ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編 (ウジョー)
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異世界で開店したカフェに加勢にいきました 前編

「異世界でカフェを開店しました。」は漫画版と原作小説版がありますが本作では漫画版の設定をもとにしております


ジゼルが生まれて早5年 このコーセルテルで生まれ育ち

【卵がえり】を経て 幼竜から少年竜へと成長した

すでに二本足で歩くことにも 自らの口で言葉を発することにも慣れ

ちょうどオレがコーセルテルに来たときのナータ達と同程度の背丈になった

武術訓練にも参加し 術練習も順調 他の竜術士や子竜との関係も良好そのもの・・・

このコーセルテル程 子竜のレベル上げに適した土地はないだろう

・・・・・・・・・が

 

「それだけでは このオレをも超える強さには届かん気がする」

 

『そんなあなたに朗報です』

 

「どうした聖母竜?」

 

『人間の神からあなたにお願いがあるそうです』

 

「オレに?」

 

『ええ 異世界の女神への配慮らしいのですが・・・』

 

・・・

・・・・・・

 

「行くぞジゼル」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

ちょうど洗濯が終わった服を持ち

ジゼルを連れマシェルにしばらく外出する旨を伝えた

 

〔ジゼルも連れて行くんですか?神様の頼みごとに!?〕

 

「当然だ オレの補佐竜だからな」

 

[ハドラー様・・・♡]

 

オレにとって神の頼みごとなど 大した問題ではない

オレとジゼルが新たな経験を積むためのきっかけに過ぎんからな

 

「ではいってくる いつ帰るかはわからんが・・・

まあ家族旅行にでも行っていると思い

せいぜい土産でも期待しておけ」

 

こうでも言わねば心配性の竜術士どもがうるさいからな

 

[いってきます!]

 

      \\ いってらっしゃーい //

 

オレはジゼルを抱き上げ 神が用意した旅の扉にとびこんだ

 

      グーィーーーーイーーーーーンン

 

『ここは人と精霊が共存する世界

資源に恵まれた豊かな王国フェリフォミア

電気やガスの代わりに魔術が発達し

人々のライフラインは様々な魔術具によって支えられています

私たちの使命は 異世界からこの世界のために招かれた客人

黒川理沙というお嬢さんの力になってあげることです』

 

「創世主の女神とやらは随分と過保護なようだな」

 

『精霊の恩恵などのバックアップは既に用意してあるそうですが

神の都合で無関係の人間たちの運命変えたことに心を痛めているそうで』

 

「それをみかねた オレ達の世界の人間の神が提案したと・・・」

 

[ハドラー様! 見たことないものばっかりです!!]

 

神々の都合はさておき オレたちが見下ろす先の王国に

興奮するジゼル

オレから見れば 地上でよく見かけた街を高い塀で囲い

その先に大きな城がある 典型的な人間の王都だが

コーセルテルで生まれ育ったジゼルには 紙芝居からとびでたような

はじめてだらけの光景だろう

 

『この世界では珍しい黒髪・黒い瞳の女性で高位の精霊が守っている』

 

「という情報だけで この王都で探せとは神々というのは・・・

ジゼル! ウロウロするな 間違いなく迷子になるぞ!」

 

方向音痴のクセにいろいろなものに目移りするジゼルを制しながら

適当に王都を歩いていると 精霊が多く存在する古めな路地があった

その路地裏に一際賑わう店が見える

 

[いいにおいがしますよ ハドラー様!]

 

人間の食堂か酒場のようだな・・・

 

「情報を得るために寄ってみるか」

 

神のはからいで話は通じるらしい

実際人間たちや精霊たちの声は普通に聞こえている

この店は『カフェ・おむすび』という名前らしい

じいっと 店を見つめた後逃げるように走り出した小娘がいたが

とりあえず店に入ってみる

 

         カラン・・・

 

〔いらっしゃいませ!〕

 

ドアを開けると黒髪、黒い瞳、黒い服の女が出迎えた

どうやらいきなり当たりだったようだ

肩のあたりには精霊がいる まず間違いない

・・・

店を見回すと同じような服を着た銀髪の男が一人、他は全員客のようだ

盛況のようだが明らかに店側が戦力不足だ

女のほうは接客と調理を同時に担当、隠しているようだが疲労がでている

男の方は訓練された動きをし疲労を感じさせないものだったが

調理はたまにパンをこねる程度でほぼ接客にかかりきり・・・

精霊はこれといって役にたっているようではない

 

「ジゼル エプロンをだせ」

 

[はい ハドラー様]

 

〔お客様?〕

 

「オレの名はハドラー こいつは娘の・・・」

 

〔ジゼルと申します〕

 

一礼し笑顔を見せるジゼル この程度の挨拶はできるようになった

 

「黒川 理沙だな」

 

〔はい そうですけど・・・〕

 

「神の思し召しにより加勢にきた つづけジゼル」

 

〔はい〕

 

ハドラーはピンクのエプロンをそうびした

ジゼルはピンクのエプロンドレスをそうびした

 

そして調理場に向かう やはり流し台には 洗い物がたまっていた

 

〔ちょっと? ハドラーさん!?〕

 

  \ 注文いいですかー? / \ 私もー! /

 

      \ こっちもお願いしまーす /

 

〔あ はーい〕

 

〔ただいま伺います・・・!〕

 

黒川たちはオレたちを止める前に客に呼び止められていた

オレは洗い物を処理しながら情報を集める

 

「ジゼルは洗った食器を竜術で乾燥 傷めないように気をつけろ」

 

[お任せください!ハドラー様♡]

 

流し台から溢れそうな量だったがカール王国の厨房で1年修業し

マシェル家で5年間腕を磨いたオレの敵ではない

洗う手を止めないまま厨房や店の様子を探った

そうしていると オレのもとに黒川のところにいた精霊が飛んできた

 

「なんだ?」

 

[どうしたの?]

 

‘あなたたち 私の姿が見えるんですね 人間ではないようだけど

女神様の子供である 私達精霊ともちがいますよね?

いきなりマスターのお店に入ってきて何のつもりですか!’

 

どうやら手が離せない黒川たちのかわりに状況を聞きに来たのか

 

『まあ あなたもジゼルもどちらかと言えば人間より

精霊に近い存在ですからね』

 

‘え! もう一人いるの!?’

 

『どうやら 私の声が聞こえるようですね 

私がお相手しましょう 神のおつげを直接聞いたのは私ですし』

 

珍しく役に立った聖母竜に精霊の相手は任せることにした

 

・・・

・・・・・・

一時間もすると店の状態は大体把握できた

黒川は神の一方的な都合で呼び出された挙句この国の

有力貴族に拾われ生活の保障はされたが それで満足せずに

自活とまともなメシにありつくために 貴族の後押しで養女となり

この店を立ち上げ 切り盛りしているそうだ

この精霊は黒川がこの世界にきたときから常にそばにいて

バジルと名前をつけられ マスターとして契約を結んだらしい

 

‘私たち名前が似てると思わない?’

 

[そうね ジゼルとバジルだし 名前で結ばれるっていうのも同じね

私はハドラー様に名付けられてこの姿にしてもらったのよ]

 

たしかに命名のときの竜人化術で今の姿になっているが

まだ人化術は得意ではなく完全に人間の姿ではない

・・・共にいるオレも別に人間の姿をしているわけではないから

別にいいかと思ったからな

 

「ジゼルこれを味見しろ」

 

ボウルについたクリームを指に塗り ジゼルに舐めさせる

 

[ん~♪ 普通においしいですね♡]

 

‘普通!?’

 

次に別のボウルのクリームを舐めさせた

 

[同じ味ですね♡]

 

「まったく同じか?」

 

[はい! あ!ハドラー様もう一回やりませんか 今の今の!!]

 

なるほど 正確な計量と手順、丁寧な技に豊富な食材か

・・・となるとオレがするべきことは

 

「ジゼルこのカップふたつをあたためておき

こっちのグラスは冷やしておけ くれぐれもわるなよ」

 

[はい ハドラー様]

 

「バジル 今オムライスセットの注文が入った

必要な皿は用意できているから取りにこいと伝えろ」

 

‘え!ここまで聞こえるの?!わかったマスターに言ってくる!’

 

〔リサさん! ラストオーダーはいります!〕

 

どうやら閉店時間が近いようだな ならば仕上げに入るか

 

「ジゼル 力を貸せ」

 

[はい♡]

 

すでに食器の乾燥を終え手も拭いたジゼルがオレの足に抱きついた

 

・・・

・・・・・・

 

〔ハドラーさん 本当に助かりました!ありがとうございました!!〕

 

黒川がオレたちに頭を下げて礼を言っている

バジルを通してある程度事情は聞いたのだろう

 

〔それで・・・ あの今更なんですけど何で手伝ってくれたのですか?〕

 

「聞いてなかったのか・・・」

 

‘ごめんなさい!

マスター仕事に集中すると他のことにきづかないところがあって’

 

「聖母竜 おまえの話が通じるようならおまえに任せる」

 

『わかりました 私は聖母竜マザードラゴン

竜の騎士の生と死を司る神の使いでありジゼルの母です

黒川理沙よ 私の声が聞こえますか』

 

〔は はい! 聞こえます 女性の声でマザードラゴンさんですね!?〕

 

・・・どうやら今回は聖母竜が随分と役に立つようだ

ならば・・・この機は逃さん!

 

「おまえたちもご苦労だったな 茶と菓子だ 一服つくがよい」

 

〔なんであんたがそんなにエラそうなんだ・・・

ここはリサさんの店だぞ

まあ 俺にはマザードラゴンの声ってのは聞こえないから

食ってみるけど・・・〕

 

文句を言いながらオレに不信な目を向ける銀髪の男ジーク

オレの知る男では外見はヒュンケルが一番近いか

もっともこの程度のヤワな視線ではやつに遠く及ばんが

 

〔しかも 店の材料を勝手に使ってこんな・・・もの ぱく・・・

つくって・・・あん・・・悔しいけどうまい・・・・・・

塩がきいたお菓子なんてはじめてだ・・・〕

 

どうやら舌には正直なやつのようだ

 

バジルもジゼルの分を二人でわけて食べていた

 

〔あ!ジーク君おいしそうなの食べてる!

ハドラーさんがつくったんですか?〕

 

「ああ そうだ 好きにするがいい」

 

〔はい ではお言葉に甘えていただきます〕

 

     パンッ

 

手をあわせてから菓子をほうばる黒川

 

〔あ ・・・なつかしい味 お祖母ちゃんがつくってくれた

蒸しパンみたい・・・ 素朴でしみこんでくるような〕

 

黒川がオレのつくったフルー直伝のケーキを食べて上を見上げている

 

〔あ!とってもおいしいですハドラーさん

この世界にきてこんなにおいしいもの はじめて食べました!!

本当にうれしいです!!〕

 

「そ、そうか」

 

ここまで食いつくとは予想以上だったが

まあこれで話が通じやすくなっただろう

黒川たちが食い終わったところで本題に入った

 

「オレがここにきたのはおまえの加勢にきたということだ

とりあえずこの店の戦力が増強されるのを見届けるまでだがな」

 

〔戦力・・・ですか〕

 

「そうだ わかっているとは思うが この店は客の数に対して

明らかに人手が足りておらん

それに厨房までこのオレが難なく入れたのも問題だ

害意のあるものがきたらどうするつもりだ

料理の味はまだまだ上には上がいるが【普通の食事】として問題ない

味がわかり丁寧な技術は評価できる

それなりの経験を積めばまだまだレベルアップの余地がある」

 

〔・・・〕

 

オレの言葉に考えこんでいるのか 黒川はじっと下を向いている

 

〔ちょっと あんた! リサさんだって〕

 

〔待って ジーク君! ありがとうございますハドラーさん

私この世界に来て本当に優しい人たちに出会えて よくしてくれて

そんな皆に食べてもらった料理をおいしいって言ってもらって

お客さんが喜んで 楽しんでもらって ジーク君が弟子入りして・・・

どこか・・・傲慢になっていくところが心にあった気がします

防犯のことだってジーク君に指摘されたばっかりなのに

そのジーク君が来てくれたことでもう大丈夫なんて 思ったりして・・・

でもハドラーさんが この世界ではじめて厳しいことを言ってくれて

はじめておいしいもの食べさせてくれて・・・

はじめて【普通】って言ってくれて・・・

とても・・・安心しました・・・〕

 

‘マスター・・・’

 

〔リサさん・・・〕

 

黒川を囲み心配そうな顔のジークにバジル、

これも女神の思し召しというやつか たしかに罪なやつのようだ

 

「おまえは店を構え 客を招き 部下がいる

一国一城の王として果たすべき責任が それを成す力が必要だ

・・・少なくともオレが知る王というものはそういうやつらだった」

 

〔人手不足と防犯については私も真剣に考えてみます

どうかそれが形になるまでご協力お願いします!

ハドラーさん! ジゼルちゃん! マザードラゴンさん!〕

 

ほう 聖母竜おまえが頭数に入ってるぞ

 

『・・・うれしいものですね 頼りにされるというのは』

 

〔そうだ このまかないのお菓子の代金を〕

 

「いらん 洗い物ついでに回収した食材をつかったものだ

茶も同様 品質を維持する分 捨てる量が多いのだろう

調理器具にベットリとついていた

豊富な量の食材があったからこその戦略だ」

 

[ハドラー様 捨てるものは少ない方がいいのでは?]

 

「たしかに隠れ里や戦後復興中の国では使えん手段だが

高い品質を高価格提供することで 切り捨てた以上の利益を得る

という作戦もある、どちらが必ずしも正解というわけではない」

 

〔・・・いえ よくないことだと思います

私も最初はパンばかり売れて イートイン用のメニューの食材が

残っていた時は捨てるのがもったいなくて色々としてたはずなのに

繁盛しだしてからは忙しさを理由に品質を落とさないことに気をとられて

もっと大事なことを お祖母ちゃんたちが教えてくれてたのに

自給自足生活の中で 実感していたはずなのに・・・

どこか考えないようにしていたのかもしれません・・・

・・・・・・やっぱり傲慢になってきてたのかな」

 

黒川がまた沈んだ顔を見せる やはり疲れがたまっているのだろう

 

「閉店後の店はどうしている?」

 

〔片付けて明日の分の仕込をしてジーク君が帰った後に

帳簿をつけて 店にカギをかけた後クロード家に帰りますけど〕

 

「カギだけか?」

 

〔そうですね 現金は残してませんし〕

 

「・・・とりあえず ここにいる間は閉店後から開店までは

オレとジゼルがいてやろう この程度のカギなどないのと変わらん」

 

〔そうですね 俺が弟子入りを申し出たときも夜にリサさんひとりで店にいて

酔っぱらいが乱入してましたからね あのときも防犯のことを注意しましたが・・・

やっぱり俺 この店に住み込みで警備員をした方がいいですか?〕

 

〔ダメよ!せっかくジーク君がこの道を進みたいって言って

騎士団までやめてラインハルト君をプリンで説得したのに〕

 

[ハドラー様 プリンで説得が気になるのですが]

 

「あとにしろ」

 

〔あ でもハドラーさん このお店には布団もベッドもないですけど・・・〕

 

「必要ない オレは魔法力の回復以外にあまり睡眠を必要としない

ジゼルはオレが抱いていてやればいい」

 

[ハドラー様! 是非それで!]

 

〔ハドラーさんも疲れてるのでは? 大丈夫なんですか?〕

 

「どうということはない こいつが卵がえりのときは

1年近く抱きかかえていたからな

晩メシと朝メシには 残り物の材料は十分な量がある」

 

〔ハドラーさん オーブンやコンロは・・・〕

 

「必要ない 自前で十分だ メラ」

 

指先に火をともす

 

〔わ すごい! ひょっとしてこの蒸しパンも〕

 

「この程度ならジゼルでもできる」

 

〔ではハドラーさんご一家には今日からここで

住み込みでお手伝いしていただくということでお願いします

お給料の方は・・・〕

 

「いらん この世界の金など大して使い道がない

帰るときに土産用の菓子でも用意すればよい

20人分ほどな」

 

『そういえば出発のときに お土産期待するように言ってましたね』

 

[おにいちゃんたちの分だね]

 

〔ハドラーさんたちも異世界から呼ばれたんですよね?

帰れるんですか!?〕

 

黒川が意外そうな声を上げる

 

「当然だろう まさかお前は帰れないのか?」

 

〔だって バジルちゃんができないって!?きまりとかなんとか〕

 

‘女神様がそうおっしゃたんですよ 別次元同士が干渉し合うと

世界の均衡が崩れ消滅するので一度きりという決まりだって!’

 

『ルーラや旅の扉で世界を渡るのは特に次元の干渉とは関係ないので問題ありませんよ

もっとも黒川理沙のいた世界は私達の知らない世界ですからルーラで行けませんが』

 

〔そんなぁ~~〕

 

ああ 女神が心を痛めたというのはそういうことか

 

「一応 オレがもしお前のいた世界に行くことがあれば

自由に行けるようになるはずだ 期待せずに待っていろ」

 

〔うう・・・ 期待できないんですね・・・〕

 

‘マスター・・・ 帰っちゃうんですか?’

 

〔え!? それは・・・〕

 

「そういった話は帰ってからにしろ

今は さっさと帰ってメシ食って寝る事を考えろ」

 

〔あ はい わかりました ではまた明日からよろしくお願いしますね

ジーク君もよろしくね 防犯のこととかも家でゆっくり考えてみるから〕

 

〔リサさん 前にも言いましたが 

一人で抱え込まなくていいじゃないですか

俺はまだ新米ですが一番弟子なんですから〕

 

〔うん・・・! ありがとう 一緒に頑張ろうね〕

 

〔はい! このお店で〕

 

‘バジルもお手伝いしますよー!’

 

「お前は女王を守り手足となる騎士だ その初心を忘れるな」

 

ふとアバンとフローラたちを思い出した ・・・ふん

 

『そのたとえで言えば・・・

あなたは城に立ち寄って問題を解決していく勇者でしょうか』

 

「フン!冗談ではない

オレは城に勝手に押し入って弱点を暴き

無理難題を押し付け高笑いをあげる魔王だ」

 

[ハイ! わたし! 魔王さまの副官がやりたいです!]

 

『では私は・・・』

 

「役立たたずで姿が見えないマスコットキャラだな」

 

『それ存在価値あるんですか?!』

 

[あははははは!!]

 

「フハハハッ!!よかったな ジゼル爆笑だぞ」

 

『うれしいですが うれしくないです・・・』

 

〔ふふふ 神様の使いって聞いてちょっと緊張してましたけど

とっても仲のいいご家族なんですね〕

 

〔・・・?〕

 

聖母竜の声が聞こえないジークだけがおいてきぼりで

店内が笑いに包まれた

 




ハーメルンで投稿をはじめて2年近くになりますが
改めまして ウジョーと申します
この小説は現在連載中の拙作「ハドラー子育て日記 コーセルテル編」から
5年後ぐらいのつもりで書いております

「異世界でカフェを開店しました。」の漫画版から入り原作小説にもはまり
小説の1~6を読んだところで書き始めたものの今までとはちょっと毛色の違う
一話完結の短編モノのはずが文字数が膨らみすぎいきなり前後編になってしまいました。


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異世界で開店したカフェに加勢にいきました 後編

黒川たちが家に帰った後 オレたちは店の調理器具を確認した

オレの知ってる器具も多いが はじめて見るものも多い

この世界は精霊の力を魔術具という形で一般人でも使えるものにし

様々なものに利用しているらしい

オレの知る魔法の筒やコーセルテルの術道具に近いが

それよりも便利で融通が利くもののようだ

調理器具にもそういったものが多く一見しただけでは用途がわからんが

実際使う様子は撹拌や加熱、保温など調理の補助を主とするようだ

 

・・・いつのまにか背中で寝息をたてているジゼルはほうっておき

道具の手入れと店内の天井を掃除していると夜が明けはじめ・・・ム?

 

『どうしました?』

 

店の外に何者かの気配が近づいてくる これは黒川らではない

ジゼルを降ろして起こし待機を命じ店内からそっと外にでて様子を伺うと

フードで顔を隠した小娘が大きなバケツを持っているようだった

 

〔・・・せーの!〕

 

「待て」

 

その手をつかみバケツの中を見るとその中身は果物や野菜の皮などだった

こやつ オレたちが最初に店に入る前に店の前にいた小娘だな

腐敗臭がする・・・ということは

 

〔ひっ・・・!〕

 

「声を上げるな オレはこの店の助っ人ハドラー

そのまま店に入れ小娘」

 

オレのひとにらみで声をあげることもなく

おそるおそる店内に入った小娘をジゼルがむかえる

 

 

「こいつはオレの娘だ」

 

[ジゼルと申します]

 

「ジゼル こいつはお前に任せる

オレは準備がある」

 

『おはなしをきいてあげてね』

 

[はい!]

 

〔え・・・?〕

 

呆然とする小娘を客席に座らせ

オレは小娘の持っていたバケツをとりあげ厨房に行った

 

オレの姿が見えず さらに見た目は小娘よりも小さい

幼さの残るジゼルを前にしある程度安心したのか

小娘は少しずつ話はじめた・・・

 

少し離れた厨房でもオレの耳なら問題なく聞こえていた

それによるとこやつの名はヘレナ・チェスター

家はパン屋をやっており王家御用達の看板をあげていたが

黒川の店のパンが今までの常識では考えられない程の出来だったせいで

逆にチェスター店に悪評がたち 父が悩む姿にいてもたってもいられず、

それでこれを店前にぶちまけようとしたのか・・・

バケツの中にはそれらしいパン?のようなものがある

 

「これがチェスターのパンか・・・どれ」

 

ガツッ

 

人間が食べるにしては硬いな しかもロクに味がない・・・

いくら捨てるはずのものとはいえ 人間用とは思えん出来だな

・・・でははじめるとするか

 

・・・

・・・・・・

 

[わたしなら店に火をはなつよ! もう一瞬で丸焼きに!!]

 

〔そこまでする気はなかったわよ・・・!〕

 

[ハドラー様に敵対して 迷惑をかけるなら当然よ!]

 

「何をいっとるんだおまえは」

 

      ゴン!

 

[あうっ!]

 

ジゼルにゲンコツを落とし隣に立った

 

[だって ヘレナがお父様のために立ち上がったっていうから

わたしだったらそれくらいやりますよ]

 

「・・・まあここまで情報を聞き出せただけでも上出来としよう

ヘレナだったな お前にオレの過去を少し話してやろう

このジゼルにもまだ直接話していないことだ・・・」

 

〔・・・え?〕

 

「オレには宿敵がいる

はじめて会ったときはオレの半分も生きていない人間の若造と侮ったが

その後オレは 奴からはじめて決定的な敗北を味わった

そしてやつが第一線を退いた後はその弟子達にまで連敗した・・・」

 

〔[・・・]〕

戸惑っていたヘレナもジゼルもじっと聞き入っていた

 

「オレはやつらに勝つために手段をえらばなくなり

全てを捨てでもこの手に勝利をえようとした」

 

淡々と話しているが オレの中で静かに燃えるものがたしかにある

 

「だがその無理がたたり 身体を壊した・・・

そして最後の勝負を挑んだ・・・ 正々堂々とな」

 

[ええ?!]

 

〔それで・・・どうなったんですか?〕

 

「敗れた・・・ものの見事にな

その後 その弟子と1年ほど過ごすことがあってな

オレをじいちゃん、じいちゃんと呼び 孫のようだったよ

ジゼルが生まれるよりも前のことだ」

 

[・・・・・・・・・]

 

「そこでまた思うことがあり そいつを親元に送り届けた後

・・・オレは宿敵に教えを乞うことにした」

 

[ハドラー様が!?]

 

〔そんな・・・!悔しくなかったんですか?!〕

 

「・・・無論 屈辱だった

だが それ以上にやつに劣るままでいることが自分の無力さが許せなかった

そして その実力も指導力もオレはだれよりも知っていた

ならば最短の道はひとつしかなかった・・・」

 

[〔・・・・・・・・・〕]

 

「そして1年の修業期間を経てやつの元を卒業し

さらに腕を磨いている間にジゼルが生まれ現在に至る

そしてその成果がこれだ くらうがいい」

 

朝食につくり隠し持ちながらオレの術で保温していた

湯気のあがるまんじゅうをヘレナとジゼルにだしオレもひとつ食った

 

[いただきます!]

 

〔・・・いただきます はむ!

ん!・・・ あん・・・ んぐ・・・ ぱく・・・

ぺロ・・・ はぐ・・・

やわらかくて分厚い皮にジュっとした汁と具・・・

そして体にしみこむような優しい感じ・・・〕

 

[おいしいです!ハドラー様〜♡]

 

〔あ・・・ すみません思わず・・・

その、すごくおいしかったもので

あ、そのお金をはらいます!〕

 

「遠慮はいらん ・・・材料は全ておまえが持ってきたものだからな」

 

ニヤリと笑い返す

 

〔え・・・えーーーーーー!!

だ・だってあれはうちのざんぱん・・・〕

 

「そしてそのまんじゅうの皮はおまえの店のパンだ」

 

〔うそ!? だってこれに比べたらうちのは石・・・あっ〕

 

「そういうことだ・・・

同じ材料でこれほどの差がでる・・・ということは

単純にお前の親父のレベルが足らんということだ」

 

〔・・・・・・〕

 

「ぐうの音もでまい

ジゼルよ もしお前が同じ状況で敵の店を燃やせば

オレは戦わずに敗北を認めた上に再戦の機会さえ奪われる

それがどういうことか・・・今なら少しはわかるな」

 

[はい・・・ ハドラー様 ごめんなさい・・・!]

 

「そして・・・ 早朝から朝飯も食わずに慣れない悪事と

細腕での輸送のストレスで弱った体に 言葉と味でつけこみ

いっぱい食わせる これが悪魔のやり口だ 憶えておけ」

 

『子供たちに何教えてるんですか?!』

 

別にやれとは言ってはいない 知っておけと言っておる

 

『あなた・・・ それはそれとして大丈夫でしょうね』

 

「安心しろ 解毒処置はしてある

まんじゅうをよほど くいすぎねばまったく問題ない」

 

[わたしはハドラー様のごはんは毒のかたまりでも迷わずたべますよ]

 

『別の意味で心配なのですが・・・』

 

む、また一人店に近づいているな これも黒川らではない

 

       ゴンゴン!

 

〔あんたたちだれ?! ここはリサの店よ!!〕

 

ドアを開けて外にいた 知らん顔の小娘にまた名乗った

 

・・・

・・・・・・

 

〔助っ人って・・・ 

私となりに住んでるけどあんたみたいな大男なんてはじめて・・・

あれ?あなたチェスターのパン屋の娘じゃない?〕

 

「なんだ知っているのか ならばこやつの父親を今すぐここに連れてこい

・・・こやつの命が惜しければな 急げ」

 

『ちょっと! あなた!?』

 

「ククククッ・・・! 騎士団は呼ぶな 面倒だからな」

 

〔そんな!? わかったわ!すぐに呼んでくるから

絶対に待ってなさいよ!!〕

 

隣の小娘が走っていった後に 黒川らがやってきた

 

〔おはようございます!ハドラーさん ジゼルちゃん マザードラゴンさん

あれ どうしたんですかその子? お客さんですか・・・〕

 

「ああ 詳しい話は・・・ ちょうど来たようだな」

 

〔ハァ ハァ ちゃんと連れてきたわよ! さあその子を開放しなさい!!〕

 

〔ヘレナ!! 娘は! 娘は無事でしょうね!!〕

 

「いいから店に入れ 詳しい話は茶でも飲みながらしてやろう・・・」

 

〔 〔 〔・・・は?〕 〕 〕

 

・・・

・・・・・・

 

〔うちの娘が馬鹿な事をして本当に申し訳ありませんでした!!〕

 

娘の口からの自白を聞いた パン屋でヘレナの親父

ポール・チェスターは黒川に謝り倒し

 

〔そしてあなたが娘を止めてくださったそうで・・・

本当にありがとうございました!!〕

 

オレにも頭を下げた

ポールを連れてきた隣の魔術具店のアンジェリカはオレをにらみながらも

オレがこの店の昨日の残り物で用意した茶と茶菓子をつまんでいる

 

「すまんな おまえがオレを見る目が不信そのものだったからな

ついからかいたくなった ゆるせ」

 

〔ゆるすかーー!!もう!リサも何でこんなの雇ってるのよ!!〕

 

〔ええと・・・ でもほらハドラーさんのお菓子おいしいでしょ!〕

 

〔もーう!私はこれで帰るからね!お昼はここのランチオゴリね!!〕

 

ガチャ カランカラン

 

「いい友人がいるではないか」

 

〔ええ そうなんですけど・・・

ハドラーさんこれっきりにしてくださいね〕

 

「わかったわかった そいつらをどうするかは店主であるお前の仕事だ

オレは口出しせんが・・・情報を聞き出したジゼルの功績に免じて

その裁きをジゼルに見届けさせてくれ」

 

〔ええ?! ・・・わかりましたけど

じゃあジーク君が来たら開店準備お願いしてもらえますか?〕

 

「任せておけ」

 

茶を下げ後を任せオレは厨房に戻った

 

・・・

 

黒川の裁きはポールにはパン作りの指導の対価として店に安値で

黒川流のパンを納品し ヘレナには迷惑料がわりに店のスタッフとして

しばらく接客を担当するというものだった

 

〔ポールさん以外のパン屋さんで指導を受けたいかたがいらっしゃれば

積極的に声をかけてください できるだけ対応しますから〕

 

〔ええ!?いいんですか?いくらレシピを公開しているとはいえ〕

 

〔見てのとおりこの店の店主は私のような小娘ですから

今回のようなことは これからもあるかもしれません

ですが たとえばヘレナ〕

 

急に名前を呼ばれビクっとしたヘレナ

 

〔ハドラーさんが店にいることを最初から知っていたら

今日みたいなこと やってた?〕

 

〔いえ・・・ 多分こわくて できなかったかもしれません・・・〕

 

なるほど

 

〔ポールさんや他のパン職人さんたちが指導を受けていることが知られれば

またそれを見せることができれば このお店を必要にする人が増えれば

この店を守ることにつながるそういう狙いもあるということです〕

 

意外としたたかなようだ これは黒川の評価を改める必要があるな

ジゼルにはまだ理解できるか怪しいが それもよい経験だろう

 

〔それにこの店が忙しいときに周りに頼りやすくなりますし

それを通じて新しい料理や作り方が広がることに

協力して下さるならそれに越した事はありません〕

 

〔そんな・・・ こちらとしては願ってもないことです〕

 

〔よろしくお願いします!〕

 

〔ヘレナ・・・ 本当にご迷惑をおかけ致しました

親子共々よろしくお願いします〕

 

〔あとは ラインハルト君に相談してからになるけど・・・

この『私服騎士立寄り所』の看板を上げようかと思ってるんだけど

ハドラーさんお願いしますね〕

 

オレの課題をクリアする算段をしっかりと立ててきたようだな

犯行を未然に防ぐ狙いばかりで敵を返り討ちにするものがないのが

つまらんが・・・ しばらく様子を見るとしよう

 

その後 オレたちは一週間この店に滞在しジゼルは接客も経験し

服屋を営む黒川の養母がオレ達親子とヘレナの服を仕立てたり

ヘレナが正式な店のスタッフになったりと・・・

色々なことがあったが・・・

 

 

 

「いい土産ができた 感謝するぞ」

 

両腕に土産の菓子を抱え・・・

 

『ジゼルおわかれを・・・』

 

店の制服の上に黒いエプロンを着て

バジルを頭に乗せヘレナと泣きながら抱き合うジゼル

 

「・・・いくぞ ジゼル」

 

[・・・はい ・・・ハドラーさ・・・ま・・・]

 

〔・・・ジゼル~〕

 

‘ジゼル・・・’

 

すっかり情がうつったようだな

これは好都合かもしれん ジゼルの頭にバジルごと手を乗せて

パア・・・

 

「ジゼル、バジルお前たちにつながりを作った

精霊同士の意思疎通をつくりだす術だ 何かあれば助けを呼べ」

 

『まあこの術は世界に干渉し弊害を起こすほどの力はありませんし

竜術でもないので問題にもなりませんから』

 

[・・・じゃあ また会えるの?!]

 

「まだまだ保護者同伴が条件だが お前次第でな」

 

オレがニヤリと笑うとジゼルが抱きついてきた

その嬉し涙も今回の収穫・・・か

カフェ・おむすび・・・この店がむすんだもの 何よりの土産だ

 

 




ギリアム・イェーガーや竜眼のゼニスのように異世界を渡る猛者・・・
でもやってることは・・・まあ食欲の秋ということで


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東京・立川にアシスタントにいきました編

ここは東京・立川 以前黒川から聞いた土地の名だが今回は別件だ

オレの腕を是非とも貸して欲しいと天界からの依頼でやってきた

 

「なぜ紙芝居持参なんだ・・・

今度の依頼はまた子守りか?」

 

『いえ こちらで休暇中の聖人の創作活動に協力してほしいそうです』

 

「ああ・・・それでか

しかし休暇中の創作活動で天界が外部のオレを動かすとは

よほどの者かそれとも・・・」

 

『なんでも締め切りが近いので修羅場中とのことです』

 

「休暇中じゃないのか!?」

 

などと話しているうちに目的地【松田ハイツ】に到着した

 

『この建物の2階 階段を上がって左側の部屋です』

 

「・・・聖人が住む場所には見えんが」

 

教会や祠かと思っていたが大きいが質素なつくりの宿の一室のような住処だな

 

[ハドラーさまー! このボタン押してもいいですかー?]

 

「好きにしろ」

 

せいのびして扉の横にあるボタンを押すジゼル

 

        ピーン ポーン

 

{あ ハーイ}

 

〈あ 私がでるよ 君は原稿に集中してて〉

 

こんな狭そうな部屋に聖人が2人もいるのか

 

〈天界が手配したアシスタントさんで・・・

あなた ひょっとして【ダイの大冒険】のハドラーさん!?

魔軍司令だった?!〉

 

「たしかにそうだが オレを知っているのか?

まあいい こいつは娘の・・・」

 

[ジゼルと申します]

 

『私は聖母竜マザードラゴン

竜の騎士の生と死を司る神の使いでありジゼルの母です

お目にかかれて光栄でございます』

 

〈ああ聖母竜さんもいらっしゃるんですね

じゃあジゼルちゃんは竜の騎士なんですか?〉

 

「いや そうではないが そんなことより仕事の話だ

参考までにこれはオレが最近描いた紙芝居だ 

どうだ?オレの仕事はあるか」

 

オレを出迎えた男に紙芝居を預け 部屋の中に入ると

もう一人机に向かい紙にペンを走らせる男がいる

この二人が聖人か たしかに只者ではないような気がする・・・か?

 

『・・・よくわからないですね』

 

〈ほら見てよこの紙芝居 ダイの大冒険の別視点みたいだけど

絵はうまいし面白いよ!〉

 

{これちょうどこないだ歯医者さんで読んだジャンプに載ってた話だ

へー このときこっちはこんなだったんだ・・・}

 

[ダイの大冒険って なーに?]

 

「ネタバレはやめてくれ聖人ども」

 

{ああ ゴメンなさい 前情報を与えてしまって

私としたことが作り手への礼儀を失してしまった}

 

〈でもこれだけ描けるなら即戦力だね〉

 

{そうだね じゃあ『悟アナ』の背景をお願いしてもいい?

ジゼルちゃんは・・・}

 

「ジゼルはインクを乾かせ 皿よりも繊細な微調整が必要だが

・・・できるな」

 

[お任せください!ハドラー様♡]

 

筆ペンははじめて使ったが 使い勝手がいい

漫画の原稿の手伝いなどはじめてだが

白黒のみで表現するのもなかなか味があるし

紙芝居とは違う表現方法もなかなか面白い

 

・・・などと考える余裕があったのは最初の一時間程度だろう

 

カリカリカリカリ

    カリカリカリカリ

        カリカリカリカリ

ペタペタペタ・・・

 

作業音が狭い部屋に響く・・・

 

とてつもなく長い時間がたったような 重い世界・・・

 

{あ、消しゴム 消しゴム}

 

〈ハドラーさん ここの背景はベタで あ、黒く塗って下さい〉

 

「・・・ああ」

 

[・・・お水です ハドラーさま・・・]

 

「うむ お前は少し休んでいろ ・・・と言っても

もう部屋の中には寝れるスペースはないな・・・」

 

〈大丈夫です・・・ そろそろ アレ?

ない!! 終わったよみんな!!〉

 

{え・・・

ええーーーーっ

本当かい 祝福せよーーー!!}

 

〈漫画修羅道からの解脱・・!!

ニルヴァーナーーーーーーーーーーー!!!〉

 

『よかったですね・・・・!』

 

        シャーーーッ

 

〈ごらん世界は美しい・・・・・・!!〉

 

たしかに明けたカーテンから見える太陽はいつにもまして・・・

 

「うつくしいな・・・」

 

[はい とても・・・・・・]

 

{そうだね

いつものことだけど室内は嵐の後のようだけど・・・・・・}

 

部屋の床は散乱する紙くずや消しゴムのカスで足の踏み場もない

とりあえず掃除するか・・・

 

{ああジゼルちゃん足にスクリーントーンついちゃってるよ}

 

〈じゃあ私は原稿の最終チェックしますから

掃除とお焚き上げ入稿の準備をお願いします〉

 

「お焚き上げ入稿? なんだそれは?」

 

〈天界に直接送る方法です〉

 

{あれ心臓に悪いんだよね・・・ あ、ちょっとしつれ・・・

バ・・・

バッチカン!}

 

[へんなくしゃみ!]

 

・・・

・・・・・・

 

これが神々の領域か・・・

まさかあれだけ苦労して仕上げた原稿を燃やすことで天界に直送するとは

たしかにあれは心臓に悪い オレのふたつある心臓がひとつ止まりかけたぞ

 

『私もあんな方法があるとは知りませんでした

煙が天界に通じるというのは知ってましたが・・・・・・』

 

[次はわたしが点火したいです!ボッって]

 

「オレは正直この仕事は二度とゴメンだがな」

 

{いやー おつかれさまでしたハドラーさん

あなたが聖人の列に入ってくれたことを心から感謝します}

 

「いやオレは聖人になったおぼえはないぞ」

 

〈ありがとうございました ハドラーさん

おかげで地獄印刷所のお休みまでに間に合いそうです〉

 

聖人たちが同時にオレの手を片方ずつ握手してくる

本来ならすぐにふりほどくところだが 不思議とそれができない

これが聖人の片鱗・・・ということか

 

〈ハドラーさん この後はゆっくりしていきますか?

ビールもだしますよ〉

 

「いや それはまたの機会だ 今のオレは

太陽のもと 散歩でもしたい気分だ・・・」

 

〈わかります その気持ち 苦行明けの太陽の美しさは

ビールいっぱいの気持ちよさに並びます〉

 

{そうだ!お礼にパンチとロン毛の一発ネタなんてどう?

せっかくだから君がメインのネタで・・・}

 

〈そうだね じゃあ・・・jrで〉

 

原稿をかいていた方の聖人が自分と同じ髪型の像を転がし

自身も同じ向きで奥側に寝転んだ

 

〈幽体離脱~~!〉

 

!?

 

[アハハハハハ!!!]

 

ジゼルは爆笑しているが

 

「・・・ククッ クハハハハハ!!」

 

オレも笑ってしまった 今のネタが・・・というわけではない

聖人のはずのこの男がやったことに・・・

いや どこか聖人というものに気圧されていた自分にか・・・

 

ひとしきり笑った後 ようやくここを離れることにした

 

{ハドラーさんの紙芝居を本人に読んでほしかったのですが残念です}

 

〈いや 君・・・ 自分がかいたものを朗読なんてかなり精神的苦行だよ

私でも今やるのはためらうレベルの・・・〉

 

「・・・オレはそうでもないが まあそれも次の機会にしてくれ」

 

『もう2度と呼ぶな とは言わないのですね』

 

・・・オレとしたことが その言葉がでない

やはりさっさと出るべきだな

 

「・・・いくぞジゼル」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

オレたちは松田ハイツをあとにし 空を飛びながら街を眺めた

 

「ずいぶんと空気が違う世界だな オレが今まで行ったどの世界とも違う

・・・ふむ 大きな川があるな ここを下ればやはり海があるのか?」

 

[海・・・ 見てみたいですハドラーさま!!]

 

「そうだな・・・ 異世界の海・・・見てみるか」

 

川を下っていくと地上から僅かに太陽の力を感じた

 

「・・・どういうことだ これは?

おいジゼル一度地上に下りるぞ」

 

[はい!ハドラー様]

 

地上に下りるとそこには・・・

 

【まったくてめぇらは あいかわらずよー・・・】

 

≪ククク・・・ 今日こそは太陽が屈するときだ・・・≫

 

戦闘がはじまろうとしていた・・・!

 

 

 




今回は書いてて本当に楽しかったです。
まあいつも好きで書いてるのですが、今回はクロス相手が濃すぎて
色々ふっきれました ハドラー家が押されてしまいます
もうだめだ・・・みんな救われるんだ・・・・・・・
登場人物は実在の人物であり規約等(もっとヤバイものにも)にひっかかるおそれもあり
あえて名前を伏せていますがタグでわかる人にはわかると思います。
(織田の殿様や劉皇叔が実名で出る作品もあるし聖☆お兄さんの二次創作を投稿する方もいらっしゃるので漫画やゲームになってる偉人はセーフかもしれませんが)
そして次回はまた別作品とのクロス 本当はこっちの方が先に思いついていたので書くのが楽しみです。


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神奈川県川崎市 前編

神奈川県川崎市 首都でもないこの地で善と悪の壮絶な戦いが始まろうとしていた

 

【オラッ!!】

 

  バキ!  ドカ!!  ゴリ!!! ミシ! ガン!!

 

もうおわった・・・

 

「・・・できるなあやつ」

 

[あ 負けた方が正座してる]

 

太陽の気配がする赤い仮面の男に対して・・・

指揮官らしき兜の男とその配下らしきミイラ男にエリミネーターが一人ずつ

もう一段弱そうなのが二人の計五人があっという間にのされた挙句

正座して説教されていた

 

【・・・てめえら秋の味覚で太ったのがようやく戻ったとか言って

散々対決に誘っといてこのザマじゃねえか!ああん!!】

 

〈でもレッドさん誘ってもなかなか来てくれなかったじゃないですか・・・〉

 

【うるせえ!!! ・・・あん?なに見てんだおっさん?

てめえも人間じゃなさそうだな フロシャイムの怪人か?】

 

赤い仮面の男がオレに気付いて声をかけてきた

どうやらまだ闘気がおさまっていないようだ ・・・面白い

 

「フロシャイムという名前に心当たりはないが

怪人とは言い得て妙だな オレの名はハドラー

いい機会だ このオレが遊んでやろう・・・」

 

聖人どものところでの修羅場で体が固まっていたところだ

こやつなら・・・

ジゼルに下がるよう指示し仮面の男に近づいていく

 

【へっ おもしれえ 相手してもらおうじゃねえか!】

 

〈ああっ レッドさん!?〉

 

レッドとやらが殴りかかってきたが・・・

 

      ガシッ!

 

「なかなかの攻撃力だな・・・」

 

【なにい?!】

 

大振りの拳をうけとめた

さて守備力はどの程度か・・・ 次はオレの攻撃

 

    ガガガガガ!!!!!

 

〈ああっ! レッドさんの顔面に五発も?!〉

 

ほう見えたか やはりあの指揮官の怪人もけっして弱くはなさそうだ

だがそれよりもこの手ごたえ・・・

 

【ってめぇ~ やるじゃねえか・・・】

 

         プ プ プ 

 

〔あ、ウサ? いま支部にいるやつら全員すぐによんでこいよ!

まアじおんもしれーもんが見られっからダッシュなダッシュ!〕

 

ミイラおとこが仲間を呼んでいるようだ

 

「つづけるか?レッドとやら」

 

【あったりめえだろうがよ!!】

 

 ブオッ  フワッ

    どがっ!!

 

ヒザを狙ったケリがきたが軽くよけ体勢を崩した背中に一撃を入れた

 

「フッ! バカめ!!」

 

[ハドラーさまかっこいい!!]

 

ジゼルからの声援に適当にこたえつつレッドに注視する

仮面の奥の瞳・・・は見えないが太陽の気配は殴るたびに強くなっている

 

「・・・まだ力を秘めているな 一度仕切りなおしだ

どうせならベストのおまえを叩き潰してやろう」

 

人間にしては強靭な肉体だが 仮面に比べて体の装備品が貧弱すぎる

おそらくこの怪人たち相手なら不要と準備もなく闘いに赴いたのだろう

 

【・・・後悔すんじゃねえぞ オレはまだ負けてねえからな

逃げんなよコラ!!】

 

[あ にげた]

 

「いや まだやつも言ったとおり決着はついてない

あくまで仕切りなおしだ 互いに」

 

[あ そうだ ・・・いたいのいたいのとんでいけーー

いたいのいたいのとんでいけー!]

 

ジゼルがまだ正座をしていた怪人たちに痛みをけす術をつかっていた

 

〈うわあ ありがとう!! すっかり痛みがなくなったよ〉

 

[ハドラーさまの補佐竜のジゼルともうします]

 

「オレの娘だ そしてオレはハドラー まあ怪人と言ってもいい

おまえたちは?」

 

〈あ! 申し遅れました 私フロシャイム川崎支部のヴァンプ将軍

こちらは部下たちの・・・〉

 

〔メダリオっす! いや~ハドラーさんレベルたっけえっすね〕

 

〔カーメンマンです! レッドがボコボコにされるのはじめて見ました

すっげえスッキリしました!!〕

 

〔キー! 僕は戦闘員1号です〕

 

〔キー! ボクハ2号デース〕

 

〈先ほどまでハドラーさんと戦っていたのは

川崎市の平和を守るヒーローのサンレッド

レッドさんと私達は宿命のライバルなんです〉

 

ほう・・・

 

『あなたとアバンとの関係みたいですね』

 

「それは悪いことをしたな やつはまだまだ強くなるぞ」

 

〈ええ それは知ってます

レッドさんがあの程度じゃないってことは痛いほどに

ハドラーさんこそ気をつけてくださいね〉

 

〔レッドのやつ ああなったらいつもよりタチが悪いっすからね〕

 

「それは楽しみだ・・・」

 

ニヤリと笑うオレにジゼルが期待に輝かせた目を向けていると・・・

 

(ヴァンプさま~! メダリオ カーメンマン なにがあったの~!!)

 

〔おお アニマルソルジャー勢ぞろいじゃねえか!

おもしれえのはこれからこれから!〕

 

[ハドラーさまハドラーさま!

しゃべるウサギとネコとトリにイヌのぬいぐるみが

とっとこ歩いてきましたよ!!]

 

『ジゼルがさっきよりも目を輝かせてますね

かわいい・・・!』

 

「・・・・・・あれもおまえたちの仲間か?」

 

〈はい我が川崎支部のぬいぐるみ型怪人で構成されたアニマルソルジャー

ウサコッツ デビルネコ Pちゃん・改 ヘルウルフです〉

 

「・・・・・・そうか」

 

まあ見た目に反して強いのかもしれんが・・・

 

【悪の怪人ハドラー!!

この天体戦士サンレッドが決着をつけにきたぞ!!!】

 

サンレッドが赤い仮面と揃いの服を装備してやってきた

 

〔おお レッドのバトルスーツだ レアだレア!〕

 

(レッドどうしたの?ハドラーって?)

 

〔いいから見てろってウサ〕

 

神奈川県川崎市溝の口の公園を舞台に

正義と悪のたたかいが再びはじまろうとしていた・・・!!!

 




ハロウィンに間に合わせたかったけどまたも予定以上に話が膨らんでしまったウジョーです。
ここならハロウィン関係なくハドラー様たちが素顔でも特に問題ない気がするフロシャイムの影響力・・・世界征服が進んでる?


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神奈川県川崎市 中編

【嬉しいぜ・・・!

Tシャツ姿のオレがおいつめられて戦闘服を着たことがよう!

天体戦士サンレッドとして怪人と戦えることがなあ!!】

 

[へんたいせんし?]

 

〈いや てんたい レッドさんは太陽の戦士なんです〉

 

全身を真っ赤な服に包み

先ほどよりも強い太陽の力を感じさせるサンレッド

 

「若僧めが・・・

ではもう一度ひねって遊ぶとするか・・・!!」

 

【おらあああああ!!】

 

         ダッ!!

 

ニヤリッ    バシッ

 

「なるほど 力とスピードは申し分ない

その戦闘服は伊達ではないようだな」

 

【オレのパンチが片手で!?】

 

「動揺が大きすぎる」

 

 ビュ  ドゴッ

 

カウンターの一撃がまともにアゴをとらえた

 

【くっそ!さっき戦ったときよりはええ!】

 

「なれん仕事を終えたばかりでな

ようやく肩ならしができたところだ」

 

すぐに立ち上がったところを見ると大したダメージはないか

装備の守備力もさることながら中身もタフのようだな

 

「だがすぐに思い知るだろう・・・

上には上がいるということにな!!」

 

それからはオレの攻撃による一方的な展開だったが

サンレッドはそのたびに立ち上がってきた・・・

ジゼルたちギャラリーの歓声も盛り上がってきたが

 

【あん?・・・こんなときに日没かよ?!】

 

明らかに太陽の力が衰えてきた

どうやら日が沈むと装備が弱体化するようだな

 

「興がそがれたな・・・」

 

【なんだと てめえ!】

 

「その程度の力ではオレは倒せん

絶対にな おまえにもわかるはずだ」

 

怒りに震えるサンレッドとオレの間にヴァンプ将軍が割って入ってきた

 

〈レッドさん 私この後ハドラーさんを

ウチのアジトにご招待しようと思っています

とりあえず 明日またウチに来てもらえませんか?

ハドラーさんもそれでどうでしょうか?〉

 

「よかろう 招待にあずかろう」

 

『ジゼルもお腹がへった頃合いでしょうし ちょうどいいですね

でもあなたは明日もあの若者につきあうのですか?』

 

どこか昔のオレに似ている気がしてな・・・

 

〈ハドラーさん ジゼルちゃん どうぞこちらへ

夕飯は寒くなってきたので久しぶりにお鍋にしようと思ってます〉

 

ヴァンプ将軍に案内されてフロシャイム川崎支部のアジトに来たのだが

 

「・・・ファミリー感の漂うアジトだな 見事に町に調和している」

 

周辺の民家と変わりないたたずまいだが擬態と見れば大したものだ

 

〈ただいま~〉

 

『中も落ち着きがある様子ですね』

 

[おじゃまします]

 

〈下ごしらえはしてましたけど ハドラーさん達の分の

鶏だんごを作り足しておかないとね 野菜はたくさんあるから〉

 

「ほう将軍自ら馳走するとは 大層な歓迎ぶりだな

どれ 後学のために台所に邪魔してもよいか?

オレも料理には多少の心得はある」

 

〈そんな お気になさらず アジトの台所は私の主戦場ですから〉

 

「なに 鶏だんごとやらに興味があるだけだ

今のオレは子守りが主戦場だ 台所も慣れたものよ」

 

〈では手を洗ってからこちらへどうぞ

折角ですから作る所をイチからごらんください〉

 

オレとついでにジゼルもエプロンをつけて台所に入った

 

「ヴァンプ将軍もエプロンを着ているのだな

先ほどの格好より似合うではないか」

 

〈私のは割烹着ですけどね 年季が入ってますから

ハドラーさんもジゼルちゃんもお似合いですよ

ジゼルちゃんのエプロン手がこんでますね~〉

 

「ああ 縫うのに随分苦労した」

 

〈ハドラーさんの手縫いなんですか!?すごいですね!

ああそうです 鶏だんごの材料はこちら

鶏のひき肉 長ネギ 酒 醤油 卵白 生姜汁 片栗粉に胡麻油です〉

 

手際よく材料をそろえていくヴァンプ将軍

長ネギをみじん切りにする姿は見事なものだ

 

〈これを混ぜてこうやってこねて丸めてお鍋に他の具と一緒に煮れば・・・

できあがり とっても簡単 鶏だんご鍋

他の煮物とも相性はバッチリですよ〉

 

「そうか 分量は?」

 

〈うーん そのへんは長年の勘かな

材料もお好みで色々試してみるのも楽しいですよ〉

 

品質の安定のために分量に厳密な黒川流よりオレ向きだな

 

〈あ このくらい混ぜればいいかな

ジゼルちゃん ちょっと丸めてみない?

折角いいエプロン着てるんだもの 粘土を丸めるような感じで〉

 

ジゼルがおそるおそるといった様子で手にとり丸めていく

 

〈そう 上手上手! あハドラーさんもやってみます?

その間に私 お鍋の方を用意しますから〉

 

「そうだな やろう」

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

〈それではみんなビール持った?

ジゼルちゃんやウサコッツ達もミルク持った?〉

 

       \\ はーい //

 

〈それじゃあ ルネッサーンス!〉

 

〔おおヴァンプ様のモノマネ レベルたっけー!〕

 

〔まるで本物みたいっス〕

 

〔なんかちょっと懐かしいですね〕

 

[ルネッサーンス!]

 

ジゼルが上機嫌でマネしている いらんことまでおぼえていくな

 

『かわいいからいいじゃないですか』

 

〈じゃあお鍋のフタとるよ~〉

 

        もわっ

 

(うわあ~ しあわせなかおりがする~!)

 

〔ウサ 粋なこと言うじゃ~ん〕

 

「たしかにいいにおいだ」

 

[おいしい~~!]

 

〔あ めずらしい これ発泡酒じゃなくてビールだ〕

 

〈バイヤー君が買ってきちゃったの とっておいてたの

ハドラーさんのおかげでレッドさんとの対決に希望が見えたんだもの

お祝いしなくっちゃね!〉

 

・・・和気藹々としたまま鍋をつつき 具がなくなってきた

 

〈おまたせしましたクライマックス!

シメにおうどんいれるよ~!〉

 

(わ~! いまどきの冷凍うどんっておいしいよね楽しみ)

 

(うどんチュキ♡)

 

オレの隣にいるヘルウルフが鍋に箸をのばすがうまくとれないでいた

 

「ほれ」

 

適当にとり皿にいれてやった

 

(ハドラーさんチュキ♡)

 

[!?]

 

逆隣にいたジゼルが素早く割り込んできて

 

    ちゅるるるん

 

[おいしいですハドラーさま♡]

 

ヘルウルフの皿にあったうどんを勝手に食べた

 

(ジゼル コロチュ)

 

「!? クァーーッ ハッハッハッ!!」

 

ここまでストレートに敵意を向けられたのはジゼルにとって

はじめてのことだろう 面白くなりそうだ

 

〈ちょっとヘルウルフ君お客様だよ〉

 

「かまわん ほうっておけメシの邪魔をしなければよい」

 

〔今日は満月じゃないし大丈夫ですよ〕

 

(ボクたちがいっしょにいるから任せてよヴァンプさま!)

 

『あなた! ちゃんとジゼルたちを見てくださいよ!!』

 

心配はいらんだろうが

 

『そんな!? ぬいぐるみに囲まれたジゼルなんて

絶対かわいいのに見ないなんて!!』

 

・・・そっちか

 

    \\ ごちそうさまでした~! //

 

〈は~い おそまつさまでした〉

 




今更ですが 拙作では天体戦士サンレッドはアニメ版を元にしています
サンレッドのアニメ 声優さん含め本当に面白かったので
もちろんヴァンプ様の声はあの貴族です
ヴァンプ様の台詞は油断するとおばちゃんみたいな言葉づかいになりそうで難しいです
書くのは楽しいですが。


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神奈川県川崎市 後編

夜もふけてきて ジゼルは・・・

アニマルソルジャーたちともう寝ていた

 

『ぬいぐるみに囲まれて寝ているジゼル・・・!!』

 

わかった わかった・・・

 

〈ハドラーさん 大人のお話があるのですが・・・〉

 

「なんだヴァンプ将軍?」

 

〈あの・・・ 世界征服って興味ありませんか!?〉

 

「ほう 世界征服だと?」

 

〈はい! 考えたことありませんか世界征服?!

実はフロシャイムは世界征服を目指す悪の秘密結社なんです!

是非ともハドラーさんに入っていただきたいのです!!〉

 

「・・・・・・」

 

〈それは 私達もすぐにそんな大きなことができるとは思ってません

我が川崎支部の当面の目標はあの川崎市のヒーローであるレッドさんを抹殺です

それで一応の目鼻がたつといいますか・・・〉

 

「・・・」

 

〈あっ!? ひょっとしてハドラーさん もしかして

すでにどこかの組織の首領だったり大幹部だったりしますか?〉

 

「・・・くくく

いや たしかにそんな時期もあったが・・・な

・・・オレもかつてそんな戦いの日々の中宿敵に出会った

将軍たちにとってのサンレッドのようにな

そんなやつと今も戦い続け、

今はやつの弟子よりも優れた子を育てることがオレの戦い・・・」

 

寝息をたてるジゼルを見る

 

〈そういうことですか・・・ わかりました

このお話はここまでにして ではちゃんとお布団を敷きましょう

ハドラーさんにも丁度いいサイズの怪人用のがありますから

どうぞご遠慮なく ゆっくりしていってください

ジゼルちゃんたちの分もすぐに用意しますから〉

 

「そうだな あの修羅場で魔法力も消耗している

帰りのこともある 久しぶりに寝るとするか・・・」

 

〈おやすみなさい ハドラーさん〉

 

「ああ 将軍もな」

 

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

ぴくっ

 

夜明けか・・・

だがオレが目を覚ましたのは夜明けの太陽ではない

このアジトの前で感じる太陽の気配のせいだ

オレが起き上がり玄関に向かっていると・・・

 

ガラッ!

 

〈はーい! だれでしょうかこんな朝早くに お客さんなんて?〉

 

すでに朝食の支度にとりかかっている様子のヴァンプ将軍が玄関に走っていた

 

〈え!? レッドさん!???

どうしたんですか?いつもお昼頃まで寝ているはずなのに?!〉

 

      ボカッ!

 

【うるせえよ!それより昨日のやつをだせ!いるんだろここに!!】

 

「やはりオレの客か」

 

すでに戦闘服を装備した昨日の仮面の男 サンレッドがあらわれた

 

【ちょっと面貸せ 昨日のようにはいかねえぜ】

 

仮面で表情は見えないが かなりの自信があるようだ

 

「よかろう 昨日と同じ場所か?」

 

【いや この近くにでかい川がある

そこの河川敷がてめえの墓場だ】

 

「フン その言葉そのままお前に返してやろう」

 

昨日空から下った川のことだろう

 

「ヴァンプ将軍 いってくるジゼルはまだ寝させておけ

朝飯前には片付くだろう」

 

〈いえ 私も行きます 気になって朝ごはんに集中できませんよ!〉

 

割烹着を脱いだヴァンプ将軍も慌てて着いてきた

 

・・・

・・・・・・

 

神奈川県川崎市 多摩川の河川敷にて

正義と悪の闘いが今! はじまろうとしていた!!

 

【だし惜しみはなしだ 変身!!】

 

 バシュ!! カッ! カッ!! カッ!!!

 

【サンレッド究極形態ファイアーバードフォーーム!!!】

 

「「説明しよう ファイアーバードフォームは

サンレッドのコロナエネルギーがフルパワーに達した時に

装着される太陽の戦士の究極形態なのだ」」

 

〈あれがファイアーバードフォーム!?

あの押入れの奥にしまい込んだあれをわざわざ出してくるなんて

めんどくさがりのレッドさんが それほど本気で!?〉

 

今ヴァンプ将軍以外の声が聞こえなかったか?

 

『そうですか?』

 

だがたしかにサンレッドはかなりパワーアップを果たしたようだ

面白くなってきたな

ニヤリと口が動くのわかる

 

【くらいやがれ!ハドラー!!】

 

サンレッドが銃を構えた

 

〈あれはサンシュート!

戦闘員クラスなら一撃で倒すほどの威力を持った武器です

気をつけてくださいハドラーさん!〉

 

武器も用意してきたか たしかに本気のようだな

手のひらサイズだった銃が巨大化して大砲に姿を変えた

 

〈ええ! なんですかあれは?!〉

 

【この究極形態のときだけ使える切り札だ!

くらいやがれ!コロナバスターーー!!!!】

 

大砲の銃口以上の極太の熱線がオレに襲い掛かった

 

「ヌウウウ!!」

 

【ヘッ 一夜漬けの充電でおめえが倒せるとはおもっちゃいねえ

さあこれで! 地獄にかえるときだハドラー!!

 不    死    鳥 

    爆   炎   

ファイアーバード アターック!!!】

 

火の鳥をまとったサンレッドがむかってきた

・・・この火の鳥 見覚えがあるぞ

 

『そういえば私も・・・』

 

それにさっきの声も・・・

 

「「・・・ニマリ」」

 

そのとき背後に空間のゆらぎが!?

 

『あなた うしろに!?』

 

「いかん!まさかこのタイミングで!?」

 

         フッ

 

オレは振り返ることはせずそのまま前にでた

 

「かああああーーーーーーっ!!!」

 

      ボグアアッ!!

 

〈・・・レッドさん! ハドラーさーん!!〉

 

【はぁー・・・ はぁー・・・

ハドラーおそろしいやつだ・・・

・・・・・・これでも はー・・・  たおせねえのか・・・】

 

「・・・本来なら今の二発で黒コゲなのだろうが・・・

閃熱と火炎はこのオレの最も得意とするところ

見ろ!」

 

オレは右手にメラゾーマ 左手にべギラマをだし維持してみせる

 

【なっ!!!?】

 

「まだオレの後で寝ぼけているジゼル!」

 

[は、はい!おはようございますハドラーさま!]

 

「おとなしくヴァンプ将軍とともにいろ

見物は許してやろう」

 

[はい ごめんなさい 起きたらハドラーさまがいなかったのでつい]

 

どうやらねぼけたままリリルーラでおいかけてきたようだ

まさかこれもあのお方の仕業ではないだろうな・・・

オレが太陽をじっと見ると

・・・いつもの面白そうな顔を返しているように見える

 

【はあ はあ・・・ おい あのガキは大丈夫なのか?

オレの攻撃の余波は】

 

「あやつはああ見えて火と熱を操る火竜だ まったく問題ない

それよりも随分と息があがっているではないか

切り札が通用しなかった今 もはや問題にならんわ

死にたくなければひっこんでおれ!!」

 

【へへ・・・ なに言ってやがる

久しぶりに正義の血が滾ってきたからな~~~~

まだまだこれからなんだよ!】

 

ヘラヘラと返してくるサンレッド 仮面で顔は見えないがな

 

「ならばオレも奥の手を見せてやろう地獄の爪(ヘルズクロー)!」

 

      ジャキイイン

 

両手の呪文を解除し右手の地獄の爪をだす

 

【へっ! その白くてキラキラした爪がおまえの奥の手か?】

 

?オレの爪が白いだと 暗黒闘気と敵の血で磨かれた地獄の爪が

!爪を見るとたしかに白い

 

      マザースキャン!

 

        ピピピ

 

『・・・ヘブンズクローはアガペーで出来ています』

 

名前が変わってる! アガペーってなんだ!?

まさか

 

「地獄の鎖(ヘルズチェーン)」

 

左手の地獄の鎖を出してみると・・・ これは糸?

 

マザースキャン!

 

ピピピ

 

『・・・蜘蛛の糸は仏の慈悲で出来ています』

 

・・・オレの両手が勝手に転職してるだと?!

 

『これは転職というのでしょうか』

 

これはもしや昨日の聖人どものせいか?

 

『そうでしょうね

多分あの方たちにはそのようなつもりはないでしょうが

聖人によるちょっとした奇跡ですね』

 

随分と手軽な奇跡だな まあいい とりあえず両方ともひっこめ

 

「昨日はオレも修羅場明けでな 魔法力に余裕がなかったが・・・」

 

      ブン   ブン

 

 ジジジジッ       ジジジジ

 

「オレの得意呪文 火炎系、閃熱系はお前にも効果が期待できんが

得意呪文はもうひとつある・・・

それがこの爆裂系・・・極大呪文 そして!!」

 

  ダッ!!

 

一気にサンレッドに近づき懐に両手を当てる

 

【なにぃ!!】

 

疲労と動揺で反応が遅いッサンレッド!!!

 

      グッ

 

「味わうがいい我が子 騎士シグマの切り札

ライトニングバスターーーー!!!!」

 

   カッ

 

バキ ボキ バキ ボキ

 

               ダァン!!!

 

〈ああ レッドさーーん!!〉

 

この手ごたえ・・・

あの戦闘服の防御力と肉体で内臓まではつぶれていないが

たしかに腹にイオナズンが直撃した

 

「朝飯前でよかったな 仮面の中が悲惨なことになっていたところだ」

 

【ぐ あああ・・・】

 

腹をおさえ転げまわるサンレッド

もうたちあがれそうにはないが・・・

 

「今の呪文は直接おまえに叩き込んだが

本来は広範囲に大爆発させるものだ」

 

 ジジジジ         ジジジジ

 

再び両手にイオナズンを出してみせる

 

「せいぜい歯軋りするのだな その目で

破壊されていくものを見ながらな!!」

 

【!!!!】

 

サンレッドの目に光がもどった

そして借り物の太陽の力ではない やつ本来の

太陽のような光の闘気とともに立ち上がってきた

あきらかにヒザが震えてるが それでも自ら前にでてきた

オレは呪文を解除し・・・

 

【ディエエエエエー―――――ッ】

 

  ドドドドド

 

「ウオオオオオッ!!!」

 

   ドガッ

 

オレの拳がやつの腹を再びとらえた

だが今度はたおれん!

 

【・・・オリャアアア】

 

  ガッ

 

やつの拳がオレの顔をついに捉えた

 

「今のはなかなかだ」

 

互いにニヤリとしたのがわかる

 

・・・だが今の一撃でサンレッドに戦う力はもう残っていない

倒れはしないが もう腕も足も動きそうもない

 

「・・・ヴァンプ将軍 一宿一飯の礼だ

後は譲ってやろう オレはこれ以上手をださん」

 

〈ええ!? いいんですかハドラーさん?!

ありがとうございます〉

 

    ピ ピ ピ・・・

 

通信機でどこかに連絡をとっていたようだ

 

「あ ゲイラス君? 私私 今多摩川にいるんだけど

・・・そう そこそこ ・・・うん それでね

バスタオルを2枚と レッドさんが着れそうな服を一揃え持って来て

・・・うんうん あんまり他の怪人には言わないで うんじゃあ」

 

      プツッ

 

〈レッドさーん ちょっと待ってくださいね

今着替えとか手配しましたから〉

 

【・・・あん?】

 

〈だってレッドさんそのまま帰ったら かよ子さん心配しますよ

どうせ何も言わずに 出てきたんでしょう

起きたばかりでこれから仕事に行くかよ子さんに心配させちゃったら・・・〉

 

【・・・お前なあ それが悪の怪人のいうことかよ・・・

今がオレを殺す最大のチャンスなんじゃねえのか?】

 

〈いえ やっぱりレッドさんの抹殺は私たちの手でやんないと

そう必ず! いつの日か!!〉

 

【あっそ・・・】

 

・・・成る程これがやつらの敵対関係か

 

『・・・敵対とはいったい・・・』

 

[ハドラーさま 私も回復呪文をしましょうか?]

 

「お前はオレの片腕 つまりオレが手をだすことと同じだ

ひっこんでいろ」

 

[はーーい♡]

 

その後 ヴァンプ将軍らの手当てを受けサンレッドは自分の足で帰り

オレたちは朝食もフロシャイム川崎支部で馳走になった

 

・・・

・・・・・・

 

「では世話になったな」

 

〈もう帰ってしまうんですかハドラーさん〉

 

「ああ ここは居心地がよすぎる

長居するとジゼルがフロシャイムに入りかねん

そうなったらこいつの母親がうるさくてかなわん」

 

『当然です 世界征服の片棒なんて担がせません!!』

 

[あの・・・ ハドラーさま ・・・その・・・]

 

(ジゼル アニマルソルジャーの特別隊員になったんだよ)

 

『なんですって?!』

 

(今度きたときはぼくたちでレッドまっさつするんだ~)

 

(ついにアニソルも5人になったから新しいポーズ考えとくよ)

 

(交差点に進入します)

 

(ジゼルチュキ♡)

 

『・・・かわいい』

 

「・・・それでいいのか」

 




今回は黒太陽さん作「東方大魔王伝」の大魔王バーン様が高見の見物していましたが
直接は出てません 直接は・・・
コーセルテルの竜術士も単行本がでたり原作最新話が
いかにも楽しそうなイベントやっていたりと書きたいことがたまってきたので
こちらの更新は次回はいつになることやら・・・


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ヒムの子守り奮闘記

オレは獣王遊撃隊の12番隊員ヒム

だが今は久しぶりに創造主ハドラー様より

直々に重大な使命を仰せつかった忠実なる兵士ヒム!!

その使命とは・・・

 

[ヒムお兄ちゃん ここはどこ?]

 

{ここはデルムリン島・・・

昔ハドラー様が拠点としてブラスじいさんに任せ

ハドラー様が勇者アバンと戦いダイ・ポップとの因縁を生み

今はオレたち獣王遊撃隊の総本部がある島だ

・ ・・それはそれとしてジゼル その・・・

「お兄ちゃん」ってのはやめてくれねえか

なんかムズがゆくてな・・・

ヒムちゃんって呼んでくれい}

 

゜オレは呼び捨てでいい゜

 

[わかった ヒムちゃん ヒュンケル]

 

今回の任務はヒュンケルもいる

ハドラー様は元々ブラスじいさんに

ジゼルを任せる為この島に来たそうだが

じいさんはダイと共に旅にでていた

オレはちょうど遊撃隊の定期会議の為に島に帰っていた所で

ハドラー様に再会しこの命を受けた

オレもヒュンケルもジゼルの存在をここではじめて知ったが

妹と紹介されたときはびっくりしたものだ

ハドラー様が修行中に生み出し5歳ぐらいらしい

ヒュンケルはたまたま居合わせただけで

ハドラー様の命令を聞く義理はないなんて言ってたが

おまえの叔母にあたるとハドラー様に指摘された途端に

乗り気になった その理屈だとオレはこいつの叔父か?

アバンの使徒の長兄であるこいつは頼りになるが

今はハドラー様から子守の参考になると渡された本

『ハドラー子育て日記 ジゼル編』を読んでいる

 

[ねえねえ 遊ぼうよヒムちゃん!]

 

{おうよ!}

 

ヒュンケルがチラチラとジゼルの様子を見ている

あいつ・・・そんなに気になるなら直接手を貸せよ

 

{それじゃ 島をざっと一回り走って・・・}

 

゜まてヒム!

この日記によるとジゼルは極度の方向オンチだ

迷子になったら面倒だ

このダイの家からあまり離れない方がいい゜

 

{あん そうなのか?}

 

[まあこの家の中なら迷いようがないけど・・・

じゃあ紙芝居読んでよ ヒムちゃん!]

 

{ああ この荷物は紙芝居だったのか

どれどれ・・・ あん?これって・・・}

 

゜まてヒム それはオレの父さんがでるようだ

・・・オレにまかせろ゜

 

ヒュンケルの紙芝居の読み聞かせがはじまった

オレはジゼルと共に大人しく聞いていた

ハドラー様の魔王時代の紙芝居は面白かった

これが全てハドラー様の手書きとは

オレたちハドラー親衛騎団も知らない

ハドラー様の意外な側面に驚きの連続だった

このジゼルのこともそうだ

オレ達のような禁呪法で生み出された存在ではなく

ハドラー様だけでなく聖母竜の血を引く火竜ときく

生まれた経緯は日記を読んでもよくわからなかったが

卵の時からずっとハドラー様の手により育てられているとは

アルビナスが化けて出そうだな

そんな女王アルビナスやヒュンケルの父親

バルトス大兄貴の名を継ぐ存在

 

[おおー だんだん読み方がうまくなっていく]

 

この小さな妹を見ていると不思議な気持ちになっていく

 

紙芝居の内容がハドラー様の過去だということは

演出上の理由で伏せられているらしく

ヒュンケルのやつも一応名前を出さないように配慮していた

していたが・・・時折言葉に詰まる場面がある

バルトス大兄貴とあいつ自身が同時にでている時だ

 

゜お・・・おまえを・・・ル・・・と・・・

名・・・付け・・・・・・゜

 

あやうく名前をだしそうになっていたが

もうほとんど言葉になっていない

代わってやろうかと思ったが 自力で持ち直した

なんだかんでジゼルも楽しんだようだが

紙芝居を読み終えたところで

 

[そういえばハドラー様いつ帰ってくるかな?]

 

{さあな オレは何も聞いてねえが

わざわざオレ達におまえさんを頼むくらいだ

ちょいと時間がかかるんじゃねえか?}

 

[んーーー・・・]

 

ジゼルが急にうなりだした これはひょっとして

 

{リリルーラ(合流呪文)?!

ハドラー様のところに行くつもりか?!

ちょっとまて!}

 

[あれ?]

 

{呪文に失敗した?

いやそれともオレの勘違いか}

 

゜いや ジゼルはリリルーラが使えるはずだ

それが失敗したということは・・・゜

 

ハドラー様の身に何か?!いや大魔王のいない今

ハドラー様の脅威になる存在なんて・・・

 

[ハドラー様ーーーーーー!!]

 

なんとジゼルが家からとびだした

 

ギューーーン

 

{トベルーラまで使えるのかよ!しまった!

もしルーラを使われたらどこにいくかわかったもんじゃねえ!}

 

゜いや この日記によるとルーラは使えないらしい

オレは地上からジゼルを探す

おまえは空からだ この島からでるとは思えんが急げ!゜

 

ヒュンケルが一方的に言い放ち捜索に向かった

 

ダァン!!   ギューーーーン

 

空に飛ぶと ジゼルが飛び回っていたのをすぐにみつけた

 

{ジゼル速いな かなりのスピードだ

まるで騎士・シグマや女王・アルビナス並だぞ}

 

だがオレもレベルアップを重ね素早さもかなりあがった

あのくれえなら・・・

 

      ギュアッ

 

{うっ!?}

 

  ビュン!! ギューーーーン!!

 

間近で見てわかったがジゼルは

トベルーラだけではなく

風を纏い暴走していた

 

{この暴風 僧正・フェンブレンを思い出すぜ

やっぱりおまえはオレ達の妹だ

だから教えてやるぜ このお兄ちゃんが

上には上がいるってことをな!!}

 

   ビュッ!!

 

    バシィッ

 

ジゼルをつかまえた

 

{オレのオリハルコンの体にこんな風はきかねえ

スピードだっておまえより速いやつとやりあってきたんだ}

 

[ハドラー様! ハドラーさまどこーーー?!!]

 

{聞いてねえな おーい ジゼルー}

 

ジゼルを抱きかかえながら眼下の森に下りると

ちょうどヒュンケルがやってきた

 

゜よくやったヒム゜

 

{おう! だが捕まえたのはいいが

ジゼルはまだ混乱したままだ どうする?}

 

゜それなんだが 日記によると・・・゜

 

      ゴアッ!!

 

{うおっ!?}

 

ジゼルから炎がふきだした!

 

゜くっ!゜

 

ヒュンケルはうまく炎をかわし日記も無事のようだ

オレの体もなんてことはないが・・・

 

{ジゼル大丈夫か?!}

 

[ハドラーさまあーーー!]

 

さらに火力が上がっていく

 

゜ヒム!それは術暴走だ!!

本人に炎のダメージはないが

自分の炎を制御しきれていない状態だ゜

 

{どうすりゃいいんだ!?}

 

゜そのままでは周りの森に燃え移る

すぐに海岸に移動しろ!゜

 

{わかった おまえもすぐにこいよルーラ!!}

 

   ビューーン         

         ドン!!

 

海岸の砂浜にジゼルをつれてきた

この後はどうするか・・・

いっそジゼルを抱いたまま海に浸かって

冷えるのを待つかそれとも・・・

ジゼルのようすをみると

めをつぶったままハドラー様をよびつづけている

 

{目をあけろ ジゼル!}

 

[いや~! つめたい~!]

 

なんだ?まだ海に入ってもいないのに冷たい?

オレのこのオリハルコンの体のことか?

そういえばこいつは火竜だったな

ジゼルの顔の前に左手をかざし

 

{ならばこれでどうだ!!

超熱拳(ヒートナックル)!!!}

  

     ギャウウウ

 

オレの左手が火炎の力で急激に熱くなる

 

{どうだ? オレの得意技よ

ハドラー様よりさずかった火炎の力だ}

 

[ハドラーさまの・・・火・・・?]

 

ジゼルがうっすらと目をあけていく

 

[あ・・・ハドラー様の髪・・・]

 

その開いた瞳にオレの銀髪がうつりこんだようだ

 

{こいつもハドラー様からのさずかりもの・・・だ}

 

ジゼルの発する炎が急速に弱まっていく

 

[ヒムちゃ・・・ん・・zzz・・・]

 

完全に鎮火し体温も戻ったと同時にジゼルは寝たようだ

 

゜ジゼルは無事か?!゜

 

ようやくやってきたヒュンケルにジゼルの無事を伝え

寝ているジゼルを抱いたままルーラでダイの家に帰った

日記によると術暴走は力の制御下手な子竜には

きっかけ次第でよくおきることで

変種であるジゼルは消耗が激しく十分な休息と

栄養の補給が必要らしい

オレはダイの家に戻ってからもジゼルを抱きながら

ヒュンケルが台所で料理をしているのを見ていた

 

{おまえさん料理なんかできるのか?}

 

゜当然だ オレはアバンの最初の弟子だ

師はオレに剣だけを教えるのを良しとしなかった

それにこの日記にはご丁寧にジゼル用のレシピも

充実していた この程度造作もない゜

 

流石ハドラー様冴えてらっしゃる

この事態も予測してたに違いねえ

ヒュンケルの手際は 言うだけはあり

材料の調達もすぐにすませ みるみる料理ができあがっていく

 

[・・・zzz・・・]

 

ジゼルはよく寝ている それはいいが

 

{そんなに量を作ってどうするんだ?

こんな小さな体にそんなに入るとは思えんのだが}

 

゜あ・・・   おまえも食うか?゜

 

{オレは食えねえよ}

 

こいつもこんなミスをするのか

ハドラー様だけじゃねえ

オレが選んだこの永遠の好敵手も 知らない面が

まだまだあるようだ

 

゜まあ ジゼルが残せば オレが食えばいい

・・・早く帰ってくればハドラーのやつに

食わせてやってもいい・・・か゜

 

[ハドラーさま?]

 

ハドラー様の名前に反応したのかジゼルが目をさました

 

゜起きたかジゼル 具合はどうだ?

何か食べるか?゜

 

調理の手を止めたヒュンケルがジゼルの様子を見に来た

 

[いいにおい・・・ たべる・・・]

 

゜ほら ゆっくりたべろ゜

 

ヒュンケルがてずからジゼルに飯をたべさせている

できたてで湯気がたっている

オレには料理の名前も味も想像できないが

ジゼルはよく食べている

 

[・・・ハドラーさまのおかゆと似た味がする

美味い・・・!]

 

ジゼルはそう言って涙を流していた

 

゜・・・そうか ゜

 

ハドラー様の味・・・か それは受け継げなかったな

オレも料理習おうかな

 

・・・その後 ハドラー様がジゼルを迎えにくるまで

オレ達はつきっきりでジゼルの子守をした

ジゼルはオレには大分懐いたが 

ヒュンケルには今ひとつ懐いていない

と、いうよりヒュンケルが世話をやきすぎて

逆に反発されているようだ

 

              ヒムはレベルがあがった

 

              ちからが3あがった

 

              すばやさが2あがった

 

              たいりょくが3あがった

 

              かしこさが1あがった

 

              うんのよさが1あがった

 

              さいだいHPが4あがった

 

              さいだいMPが2あがった

 

 

 

              ヒュンケルはレベルがあがった

 

              ちからが3あがった

 

              すばやさが1あがった

 

              たいりょくが2あがった

 

              かしこさが3あがった

 

              うんのよさが1あがった

 

              さいだいHPが4あがった




勉強しなきゃいけないときほど執筆がはかどるウジョーです・

今回は初のハドラー様が一切でてこないヒムの一人称回、
そしてすごい久しぶりのダイの大冒険世界のデルムリン島が舞台と
色々勝手が違いましたがいかがだったでしょうか

お盆時期によくある親戚の年下の子の面倒をいきなり見ることになって
振り回されるお兄さん二人組みのイメージです

連日の猛暑日に熱帯夜 くれぐれもお疲れのでませんように


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大魔王の遺産

オレは今 ジゼルをヒム達に預け魔界にいる

かつて大魔王バーンが本拠としていた建物だ

 

『・・・本当に入るのですか?』

 

「バーン様本人からのご依頼だからな

やることはあくまで掃除だけだ」

 

『それはそれでどうかと・・・』

 

「対価として拠点内のものは好きにすればよいとのことだ

大魔王の遺産 興味はないか?」

 

『ジゼルやダイのためになるのであれば・・・』

 

地上のダイ達の戦いでバーン様が戦死され

魔王軍の地上・魔界の精鋭たちも壊滅したが

魔界にはまだこの拠点を含め大魔王の息がかかったものが多く残っている

既に戦死の報は魔界全土に広がっていたが

この拠点が荒れている様子はない

そもそも肉体がない怪物は魔界に限らず珍しいものではなく

大魔王ともなればどのような姿で復活するか

わかったものではないという認識なのだ

 

『たしかに死体系や幽霊系ですめばいい方でしょうね』

 

まあ太陽として見守る存在になったらしいから

光が差さない魔界に帰ることはもうないだろうがな

留守番役の魔物どもはオレが実力を示すと

おおむね協力的になった

 

『連戦でしたがあなたには問題なかったですね』

 

当然だ 魔界の強豪といえどミストバーン級ほどではない

力が全てというバーン流が浸透していたことで

オレのもっとも得意としたやり方が効果的だった

案内されて拠点内を一通り回ったが

大魔王のたたりを恐れた魔界の住人によって

拠点の中は綺麗なものだった

荒されるどころかいつ主を迎えても

恥ずかしくない状態ということだろう

 

・・・だが予想はしていたが食料庫だけはひどいものだった

 

・・・

・・・・・・案内役に聞いたところ

大魔王含め主力が抜けたことで拠点内での食料の消費が激減

だが支配下から集まる貢物が減ることはなく

また大魔王への貢物はあくまで大魔王のものであり

留守番役のものには勝手にどうにかする考えすらなく

ただ溜め込み溢れさせ腐らせていく一方だったようだ

オレは早速食料を分類 腐敗したものは

くさった死体などのゾンビ系やじんめんじゅなどの

植物系の魔物向けに調理し その他の食材で

できるだけ多様な魔物向けの献立を考える

流石に量が多かったが多人数を相手にするのは燃えた

 

  ダダダダダダダ!!!

     ボッ  バアアアアァァァ!!!

          カッ!!!

 

調理の音が聞こえたのか魔物が集まってきた

そやつらに料理は食わせその分食料庫の掃除をさせる

食材を勝手に消費したことにうだうだぬかしたやつは

拳で黙らせ調理補助に回すと従順なものですぐにコツも掴んだ

食料庫の床が半分見えたあたりで後は任せた

こいつらはオレの配下ではないが実力を示し

対価を用意すれば仕事はこなす

 

『意外と素直ですね』

 

それが当たり前なだけだ

この調子ならオレがいなくてもこれからは問題なかろう

・・・オレは大魔王の配下が近づくことがない私室

バーンのアトリエともいえる場所に足を踏み入れた

 

『まあ玉座は掃除しても私室は勝手に入れませんよね』

 

だが掃除を自分でするとも考えられん

おそらくミストバーンあたりがやっていたのだろう

・・・

・・・・・・

ざっとみたところここは研究室のようだ

 

『なんの研究でしょうか?』

 

・・・おそらく太陽をつくろうとしていたのだろう

ラナルータやレミーラなどの呪文の資料

聖なる種火や魔法の筒などの道具といった

直接武力とは関係のないものが多い

そしてダイやバランから聞いた大魔王の真の目的

そこから考えればこれ以外にあるまい

 

・・・

・・・・・・・

のこされた資料にひととおり目を通したが

長き時を生きた魔界の神全知全能たるバーン様といえど

やはり困難を極めた研究のようだ

その研究の副産物として「カイザーフェニックス」

「凍れる時の秘法」「魔法の球」などを生み出したようだ

・・・いや それだけではない

魔界の地に天をもたらす闘い それこそが

「「天地魔闘」」大魔王バーンの生き方そのものなのだろう

 

ほう?バーン様のお力をもってしても破壊できない

一時的に力を溜め込むことができる玉もあるのか

太陽の核として期待されていたようだな

 

『ですが結局太陽を生み出すことはできず

地上の破壊にのりだしたと・・・

そして死後太陽そのものになった

・・・あなたに似てませんか?』

 

・・・たしかにオレは竜の騎士の存在を知ってからは

それを参考に力を積んだ挙句 超魔生物となって

竜の騎士に敗れた死後 竜の養育をしていると・・・

 

『まあ それはさておきこの研究はどうしますか?』

 

「これは公開するべきだ 魔界全土にな

どうやらこの研究はバーン様おひとりでやっていたようだ

だからこそのこういった副産物の成果だろうが

だからこその限界があったのだ

魔界にすべての命の源たる太陽がふりそそぐ

その為の研究 これこそ魔界の神がこの魔界に遺し

そして託すべき遺産だ」

 

オレは今回の報酬として聖なる種火の一部と白紙を一枚

5000ゴールド相当の金貨を持ち帰り

バーンのアトリエを開放 その研究の成果を

魔界に広める手はずを整えた

 

『これで魔界は変わるのでしょうか?

もしや世界のバランスを乱すきっかけになるのでは?』

 

そうかもしれん だが・・・

この魔界が我ら魔族や竜の故郷である理由が

大魔王バーンのだした結論

「「神々が地上を脆弱な人間に与え

魔族と竜を地底におしこめた」」

とはオレは思っておらん

長き時を生き強大な力を持つオレたちならば

いつの日か太陽さえ生み出すことができる

 

『神々はそこまで期待していたと・・・』

 

いや今の魔界の神が期待しているのだろう

魔界の未来をな・・・

 

オレはルーラで魔界を去り次の目的地に移動した

 

『ここは・・・あなたがパプニカ王国につくった

バルトスさんたちのお墓ですか』

 

ああ バルトスの墓はヒュンケルが先につくったものだがな

 

 星の勲章をかけた墓標

 暴魔のメダルをかけた墓標

 チェスの駒の形をした墓標・・・

 

そのちょうど真ん中で一枚の絵を描き準備を整えた

 

『はじめてのお焚き上げ入稿の準備完了ですね

これでバルトスさんたちの元へ届くはずです』

 

聖なる火が必要だからな オレやジゼルでは作れず

今まで試せなかったが いい機会だ

この絵 ジゼルを見て驚いた顔のヒュンケルとヒムは上出来だ

 

『ジゼルはもっとかわいく描けますよね?』

 

・・・こんなものだろう よし絵に点火だ

 

     聖なる種火をつかった

 

       ボッ

 

     メラメラメラ・・・・・・

 

煙が天へと昇っていく・・・

 

―――

 

火が暮れ 絵は燃え尽き 煙も完全に消えた

 

「さてこれからどうするか 折角ジゼルを預けたのだ

たまには酒場でも行くか」

 

『ジゼルを迎えに行かないのですか?!』

 

おまえの子離れとジゼルの親離れのためにも必要なことだ

 

『親離れ?! ジゼルはまだ5歳

少年竜になったばかりですよ!』

 

やれやれ

・・・む あんなところに建物はなかったはずだが?

オレは一際強い光を放つ建物に向かった

このホルキア大陸では見かけない建造物

強いて言えばヴァンプ将軍のアジトに似ているが

この匂いや空気どうやら酒場のようだ

 

「看板は・・・居酒屋 のぶ か」

 

今宵は飲みたい気分だ

オレはガラスの入ったドアを開けた

 

 




お盆らしい要素があるのでもう少し早く投稿したかったウジョーです

本当は居酒屋のぶに入ってからがメインのつもりだったのですが
いつものように膨らみすぎて一話書けてしまいました

連日の真夏日にとんでもない集中豪雨で 少しワクワクしましたが
翌日の蒸し暑さに参りました 自然の驚異はあなどれません

台風にもくれぐれもお気をつけて



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居酒屋ハシゴの旅 異世界居酒屋「のぶ」

「看板は・・・居酒屋 のぶ か」

 

    ガラガラ・・・

 

〔いらっしゃいませ!〕

 

〔・・・らっしゃい〕

 

オレを出迎えた給仕の女とカウンター内にいる料理人の男が一人見える

あの男・・・できるな

 

〔お一人様ですか?〕

 

「ああ」

 

オレは店内を見回した

 

『店内の雰囲気もヴァンプさんのおうちに少し似てますね

あ あちらに神気を感じる棚がありますよ』

 

あの角にある 小さな木でできた祠のようなもののことか

・・・それよりもオレが気になるのは

カウンター席に座る男だ 客の一人だろうが

 

『あなたよりも大きな体ですね』

 

ああ しかもかなりの古強者の風格がある

それでいてこの店の雰囲気を壊さず悠然と食事をとっていた

 

  グイ       カリ

 

ただものではないなあの男・・・

着ているコートや帽子から見えるあの金色の肌

明らかに人間ではない

オレの知っている怪物で該当しそうなやつは・・・

 

「ゴールドマンか?」

 

【!? グォッ フォ フォ フォ

たしかにワシの体には砂金も含まれているが

その名前は恐れ多くもあのお方のご本名

訂正のためにも名乗らせて貰おう

ワシの名はサンシャイン

かつてはいくつもの異名を誇っていたが・・・

今は現役を退いた一匹のはぐれ悪魔 サンシャインだ

懐かしき空気を纏う猛者よ・・・ 名を聞かせてくれるか?】

 

「オレの名はハドラー

オレもかつては自らの地位を誇っていたが

今は・・・ただの子守術士 ただのはぐれ悪魔だ」

 

【グォッ フォ フォ フォ

どうだこっちへ来ていっしょに食べないか?

初対面だが あんたとは面白い話ができそうだ

お互い汗と血とシューズの革の匂いの充満した場所で

年を取ってきたのだろうが・・・

たまにはこういう普通の場所で 飯を食いながら

話をするってのもいいじゃないか

大将 とりあえず生と こいつをもう一皿】

 

〔わかりました〕

 

\ シノブちゃん こっちもトリアエズナマおかわりー! /

 

  \ オレも! あとこっちにもクシカツ一皿! /

 

〔はーい!〕

 

トリアエズナマ? なんのことかわからんが

オレは誘われるままサンシャインの隣に座った

たしかにこの男とはなにか通じるものを感じる

どうやら今日の魔界での仕事帰りの一杯は面白いことになりそうだ

 

〔はい 生一丁お待たせしました!〕

 

「ほう これは・・・」

 

グビリ グビリ グビリ

 

「よく冷えているな これは以前ヴァンプ将軍のアジトで飲んだ

ビール・・・のようだな 仕事上がりのノドによくしみる」

 

〔本日のオトーシのパリパリキャベツです〕

 

『あら かわいらしい給仕さんもいるんですね

ジゼルよりすこしだけ大きいお嬢さんですね』

 

キャベツの乗った皿をうけとり適当につまんだ

 

   パリパリ     グビリ

 

「・・・なるほど」

 

シンプルだがなかなかいい

 

    じゅわあっ   じゅううう

 

「ほう 油で揚げる料理か・・・」

 

\ うわ!いつ聞いてもいい音!待ちきれんぜタイショー! /

 

〔さぁ 揚がったぞ! 串カツおまち 熱い内にどうぞ!〕

 

【このソースをつけて食べな ・・・二度漬けは禁止だぜ】

 

   ザクッ  サク サク

 

「これは おもしろい しかもなかなかうまい」

 

【グォフォフォフォ 大将の揚げ加減が絶妙だからな

カリ  このレンコンもうまいぞ 熱いうちにな】

 

『そんなにいいものなら是非ジゼルにも・・・』

 

・・・む

 

【どうした ハドラー?】

 

「ああ これを娘に食わせてみたいと思ってな

タイショーの調理を見ていた」

 

思ったのは聖母竜だが

 

【・・・娘か 今はどうしている?】

 

「息子と孫に任せてきた

あいつらも子守の経験を積ませればいい」

 

【ならば言っておこうか

カツばかり食ってちゃ 胸やけしてしまって体に悪いぜ

間・・・間にキャベツを食べるんだ】

 

  パリパリ

 

【そうするとキャベツの成分が胸やけを防いでくれる】

 

『・・・いい人ですね この悪魔 あなたと違って!』

 

ちがいない バルトスのように自分の強さに誇りを持ち

戦場の外では子供たちには甘いタイプなのだろう

 

【しかも キャベツ以外の野菜じゃあ その効果はないそうだ・・・】

 

\へーじゃあオレも あら?パリパリキャベツくっちゃったな /

 

 \ シノブちゃん クシカツと一緒にこれもおかわり! /

 

〔はーい!  エーファちゃん お皿洗いお願いね〕

 

〔はい!〕

 

【ワシも教え子たちへの食事にはこだわったものだ

ワシが現役時代に戦ったやつらは牛丼やハンバーガーだの

カップラーメンといったジャンクフードを好んでいたからな

差をつける為にも特に直弟子のふたりには

ゆで卵の白身だけのものやチキンの皮をはいだものなど

低カロリー・高蛋白なものに限っていた

正直あまりうまいものではなかった】

 

「ほう・・・」

 

『ずいぶんと極端ですね』

 

〔鶏肉も白身も調理次第で化けますよ〕

 

【もっともほかに味を知らなければ さほど疑問も もたないがな

オレが弟子と出会ったときは 飢えて痩せこけた子供だったが

強さを求める上でその飢えた目が ハングリー精神が重要だった】

 

「たしかに食事の摂り過ぎは格闘家としての勘を鈍らせる」

 

『真似しないでくださいね!ジゼルは成長期の子竜なんですから』

 

【・・・今にして思えばそれが本当に正しかったのかと

思うこともあるがな・・・

ワシの元を離れた弟子はすっかり食い気に目覚め

ワシの前では見せなかった顔や力をみにつけていた

・・・やはり勘は鈍っていたがな

ワシの現役時代の365日修練漬の地獄の日々は

たしかに辛く苦しかったが あれはあれで楽しかった

この店のような空気もたしかにあったのだ

ワシはそれを弟子たちに伝えることはできなかった】

 

『この幸せそうな顔があふれる店のような空気がある地獄・・・?』

 

「・・・たしかに 子育ては迷うことの連続だ

時間がたって 思い返すことも多い」

 

わが宿敵アバンですらヒュンケル相手に悪戦苦闘の日々だったと聞く

 

【ジャンクフードと思っていた牛丼にしても

肉と米の組み合わせが生み出すものをオレは

あのときに思い知ったはずだったのに・・・】

 

〔あー たまに無性に食べたくなりますよね牛丼とか〕

 

『?なんのことでしょうか』

 

話していれば いずれわかるだろう

 

クシカツを片手に酒を酌み交わしつつ

話題はお互いの過去の戦歴になった

この男の潰れた片目 ボロボロの歯 曲がった腕・・・

明らかに長年の戦いによるものとわかっていたが

その中身は・・・・・・

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・わかる」

 

【そうか おまえさんも・・・経験したのか】

 

「ああ・・・ あれはそれまでの価値観がひっくり返るほどだった」

 

【たしかに・・・ あのときのワシは 尊敬するあのお方から

軍の最高幹部の首領格に任命され まさに得意の絶頂

自分の力がもっとも充実していると感じていただけにな】

 

「オレも似たような状態だったな・・・

だからこそ余計に辛いのだ・・・・・・・・・・

よりにもよって 人間の・・・勇者に負けるというのは・・・」

 

【あのジェロニモをろくに実績もない若造と侮ったことはあるが

技一つくりだすたびに骨がきしむやわな体の人間相手に

絶対にありえない・・・負け恥を 全世界に晒した

だからこそ あの時にオレは誓った もう生き恥は晒さねえと】

 

「そして 弱点を克服し更なるレベルアップを重ね

直接雪辱を果たしたと・・・」

 

【もっともその直後にその仲間に負けたが】

 

『ますます あなたといっしょですね』

 

・・・・・・・

 

【あのお方に憧れ 認められたことを誇りとし

ルール無用で暴れまわるだけだった日々から脱却し

はぐれ悪魔として 悪魔の誇りを抱いたまま宿敵たちと戦い

敗れた後は超人墓場にまで落ち そこからも抜け出し

再びあのお方に仕え また戦い・・・

そしてあのお方の最高最大の戦いにも立ち会えた

オレはその過程で多くのものを失い そして掴み取ってきた

その経験を後継者に伝えたかったが それもまた難しいものだ】

 

「・・・サンシャイン おまえはなぜ戦い続けることができた?

人間の勇者に負けた過去がありながら」

 

【人間に負けたことは確かだ!

しかし いつまでも記憶してちゃあ 悪魔超人は務まらねえ

〝都合の悪いことは忘れよ!〝

悪魔超人には記憶力の欠如が必要なんだよ】

 

「フハハハハハハハハハ!」

 

【グオッフォフォフォフォフォ!】

 

『・・・たのしそうですね 正直 私にはついていけませんが』

 

【おまえさんと話していると なんだか若返るようだ

どうだ この後もう一軒つきあわないか?

わが友と待ち合わせていてな 是非会わせてみたい】

 

「別にかまわんが・・・  では払いはこれでいいか?」

 

オレは200G相当の金貨を給仕の女にわたした

 

〔あっ 金貨ですか はじめて見るデザインですけど〕

 

【ほう かなり金の純度が高そうだな】

 

〔わかるんですか?〕

 

【ワシの体には砂金も含まれているからそれくらいはな】

 

「オレが料理修業に下働きしていたときの

給金二日分程度の価値だろう」

 

〔そんなに!?ちょっと待ってください お釣りを・・・〕

 

「釣りはいらん サンシャインの分もいれておけ」

 

〔それでも多すぎですよ!〕

 

「・・・なら そこの神棚にでも供物を足しておけ

オレをこの店によんだのはそいつだろう」

 

〔お供え物ですか 珍しい使い方ですね〕

 

「それでも多ければ 他の客にクシカツをふるまっておけばいい」

 

\\ おおー 太っ腹だね旦那!! //

 

〔お客様これを!クシカツとキャベツお弁当箱に詰めてきました

娘さんといっしょにどうぞ〕

 

〔ヘルミーナさん流石!〕

 

「ほう ・・・今度は娘もつれてこよう」

 

〔はい!ありがとうございました~〕

 

       ガラララ

 

店の外に出ると 明らかに景色が変わっていた

やはり世界を越えていたか

 

『やはりあの聖人たちやヴァンプさんたちと出会った

世界のようですね』

 

そうだな

 

「サンシャイン 次はどんな店だ?」

 

【古都特有の上品さを感じるこの居酒屋もいいが

次に行くのは食い倒れの街大阪を体現する店だ

特に煮込みが絶品だ 今度はワシが奢ろう

金貨払いはできそうにないしな】

 

「ほう いいのか?」

 

【悪魔がただで借りを作るわけにはいかないのさ】

 

『たのしみですね』

 

おまえはジゼルの元に早く帰れと言いそうだったが

 

『ジゼルへのお土産もらいましたから

ジゼルたちにまた何かあればいうことはありません』

 

現金なやつだ

 

オレたちは大阪の通天閣という名の塔を目指して空を飛んだ




書きたいことが溜まる一方で消化しきれないウジョーです。
今回のネタも去年から構想してましたが
「どうせ居酒屋でハドラーとサンシャインが串カツ片手にぼやくネタなんて
他に書く人もいないだろうし東方サッカー編が終わってからでいいか」
と思っていたら よりにもよってキン肉マン休載の合間に
「カナディアンマンとスペシャルマンとプリプリマンがファミレスでぼやく」
なんて漫画が掲載されてて焦りました
元ネタのⅡ世の串カツ話が大好きすぎて書いたとはいえ
こんなタイミングで妙な被りかたを・・・

キン肉マンの次シリーズに期待しつつキャプテン翼のドイツ対ブラジル戦にやきもきし
プレイボール2ndに盛り上がり ドカベンの最終戦に・・・
平成も終わろうしているはずなのに まるで昭和のラインナップ
いい時代になったものです・・・


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居酒屋ハシゴの旅 THE大虎

空を移動するときに目印となった塔がよく見える

サンシャインに案内された居酒屋・・・

 

「THE 大虎か」

 

暖簾に書かれた文字をそのまま読んだ

 

「先の店[のぶ]はできて間がない新しい店だったが

ここは明らかに古強者のような風格を感じるな」

 

【グォフォフォフォ 

たしかにワシが現役時代の頃とまるで変わらん店構えだ

・・・そういえば看板に電飾が加わっているのう

さあ 入るか】

 

ガラ             ピシャン

 

〔いらっしゃいませ〕〔らっしゃい〕

 

〔あ、 サン、サンシャインや!〕

 

〔やっぱりきたで もう一人でかいのつれとる!〕

 

歴戦のたたずまいの店に入るとにぎやかな声が出迎えてきた

たしかに[のぶ]とは店員や客からしてまったく違うな

その中でカウンター席に座る客

三つの顔 一際大きな背中 六本の腕 膝から先を失った片足

そしてこの王者のような風格・・・ この男がサンシャインの・・・

 

【またせたなアシュラマン】

 

【先にやってるぞ サンシャイン そちらは?】

 

「オレの名はハドラー ・・・はぐれ悪魔だ」

 

【そうかわたしは・・・おなじく はぐれ悪魔超人のアシュラマンだ

まあ座るがいい 飲むか?】

 

「ビールか・・・ さっきも飲んだが最初の1、2杯はうまかったが

どうにも酒精がものたりなくてな」

 

〔そらあんさんらみたいな でかいガタイのレスラーやったら

ビールの一本や二本じゃ酔えへんやろが こうしたらどや!〕

 

近くにいた一際小さな男の客がアシュラマンのすすめてきた

ビールのコップにストローをいれてきた

 

「こうか?」

 

そのコップを受け取りストローで飲んでみる

・・・ほうたしかにひと味違うな

 

〔どや コップでガブ飲みやと酸素も一緒に吸い込むさかい味もええが

ストローやとそれがなく呼吸が苦しい上に ノドに首周りにも

力が入るさけ血圧も上がると

ついでに飲むときに炭酸がとばへんで胃の中であったまって炭酸が

発生して吸収がようなるんや 簡単に酔えるようになるで〕

 

「なるほど 理屈だな」

 

【面白い 流石酒屋のボンさんだ 今のお話に一杯おごりましょ】

 

〔こらーボン、おんどりゃえらそーに薀蓄たれてからに

昔日照り顔のお客はんのうけうりそのまんまやないか!〕

 

〔とっつあんもようおぼえとるな 鷹も雁も大阪に巣があった頃やろが

流石に専売特許かて期限切れやて〕

 

〔なつかしいですね景虎くんも夏子ちゃんもこんなに小さかった頃ですね〕

 

〔中島先生もよう憶えとりますな〕

 

【大将 こっちにもビールをストローつきで】

 

【わたしももう一杯】

 

〔まいど!〕

 

\\カキィーーン  なんだー2回表四番の微笑も初球攻撃だー!!//

 

〔なんや!?〕

 

店内の者が一斉に快音につられて悪魔の目玉のような

映像装置に振り向いた

 

   \\微笑三太郎にっこり笑ってレフトスタンドだあーー!!//

 

〔ああー!池畑打たれとるやないけ 

大阪出身の意地を見せたらんかいな〕

 

〔京都に新球団ができたんはうれしいけどな〕

 

【京都か我ら悪魔超人にとっても聖地とも呼ぶべき場所だ】

 

【あのお方が我らの始祖を導いた土地だからな】

 

「ほう!なかなか面白そうな話が聞けそうだ」

 

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

酒がすすみ話もすすみ周りの客も巻き込んで盛り上がっていく

 

   \\ああ~~~~ なんという投法だあー//

 

〔でたで!大回転や〕

 

     \\ああ~~~~ 空振りだあー//

\\大回転にタイミングが狂わされバットが踊らされた~~//

 

〔男やで池畑!!〕

 

【見事な一投だったな 打たれた四番に対してこれ以上ないリベンジだ】

 

【グムゥ~~ 超人顔負けの投法だのう 新技の参考になりそうだ】

 

「打ちも打ったり 投げも投げたり 野球を見るのははじめてだが

酒を片手に野次を聞きながら真剣勝負を見るのも

なかなか面白いものだな」

 

『私にはよくわかりませんが・・・その煮込みはおいしそうですね』

 

たしかにここの煮込みはうまい

サンシャインがすすめるだけのことはある

深みがあり酒にも飯にもあう

あの大将がつくっているようだが この味が盗めないものか

 

〔なかなかのドリームホークスやけど

やっぱりちょっとものたりんのう〕

 

〔キヒヒヒ そらしょうがないわな肝心な人がおらんのやから〕

 

〔そや山田屋!肝心なやつがおらんで!

おやっさんここにおらんゆうことはそうゆうこっちゃないんか!?〕

 

〔あ~

わしもそれやったら店閉めてでも甲子園球場へ

かけつけるところやが・・・〕

 

〔サッちゃんも知らんのかいな?〕

 

〔別になんとも言ってません ただしばらく店にはでれないと〕

 

「何の話だ?」

 

〔なんや知らんのかいな でっかい兄さん

ここの店の娘ムコののんべはただもんやないで!〕

 

「ほう」

 

【野球界の超人・景浦安武 通称あぶさんだ】

 

【まてサンシャイン まさかそれはオレ達が現役時代に

あの三冠王と代打のみで本塁打王争いをしていたあの男か?】

 

【そう 球界屈指の酒豪と呼ばれながら

30年以上のプロの現役生活 40代での三度の三冠達成

60歳を超えての4割達成 あげればキリがない伝説のスラッガーだ】

 

ぐびっと酒を飲みながらサンシャインの解説が入る

野球の記録はピンとこないが人間の古強者のようだ

 

[あぶさん]とやらの話題がでた途端さらに店内は盛り上がり

野球観戦の熱も上がっていく

 

【甲子園球場か・・・ 魔物の住む聖地

ワシにとっても思い出深いのう

あのお方の側で観戦の栄誉をえたあの日が懐かしい】

 

【あのキン肉マンとネメシスの試合は正義超人と完璧超人の

新たな歴史の一歩を踏み出した重要な試合だったな

・・・わたしはあのときジャスティスマンにKOされて意識がなかったが】

 

アシュラマンの顔が無表情な面に切り替わり沈んでいた

 

〔そ!そういえばつい最近 そこの通天閣でもキン肉マンⅡ世が

超人オリンピックの本戦をやってるのを見に行ったな〕

 

〔いったいった!関空でも試合があったし

あのときには大阪が随分盛り上がったもんや〕

 

〔もっと前には大阪ドームであんさんらが主催した興行もあったのう〕

 

【改めて考えるとここ関西は悪魔・正義超人にとっても重要な土地じゃ

兵庫、大阪、そして京都・・・ 感慨深いのう・・・】

 

「オレにはよくわからんが

腰をすえて聞かせてもらえるか?」

 

サンシャインたちの空いたコップに酒を注ぎつづきを促した

 

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

 

 \\さあーーー 例によって四股踏みの儀式です大垣!!//

 

【カーカカカ! 力士に忍者に侍 さらには覆面・・・

まるでリングの上だな 野球場も中々懐が深い】

 

〔そうやな 両チームともすごい面子を揃えたもんや〕

 

〔そう聞くと超人レスリングも大概やな なんでもありや〕

 

    \\グワキィーーーーーーン//

 \\な なんとレフトスタンドに飛び込んだーーー//

\\勇み足の大垣が雪辱の同点ホームランだぁーーーー//

 

〔おお!!7回にまた同点や これはまた面白くなるで〕

 

〔ここや!こういった試合にこそあぶさんの出番やないか!

よっぱらいの白川使うぐらいなら

・・・ってあいつバッターボックスで寝とるで!?〕

 

「戦場でよっぱらって寝るとは あの男どんな心臓をしている」

 

『あなたのように二つあるのでは?』

 

【グオッフォッフォッフォ どうやら今度はそのよっぱらいの白川が

投げるようだぞ まだまだ楽しめそうだ 大将 ひやをおかわり】

 

〔こっちもやおでんとビール追加!!〕

 

「オレも煮込みをもうひとつ」

 

・・・そしてついに試合は

 

\\さあーー反撃です!!ワンアウト一・二塁とチャンスを広げたのです!!//

 

〔9回裏!一点負けとるこの正念場 打順は六番の根暗

もうここしかないで!〕

 

    バン!!

 

〔せや!!代打の切り札ここで切らんでどうするんや!!〕

 

〔なんでや なんでベンチは動かへんのや!?〕

 

【たしかにあぶさんがでるとしたらここしかない】

 

「だが 代わりはなしか」

 

 \\カキィ!!   根暗これを逆らわず軽打!!//

 

〔ああ・・・〕

 

〔つっこんだ音武田が本塁でアウトや〕

 

  \\真田 空中から大垣にタッチだあーーー//

 

「終わったな」

 

【ああ】

 

\\アウトー!!鮮やか真田 回転ジャンプの劇的忍者プレーだあーー//

 

     \\ウォーリアーズ決勝進出だあーーー//

 

〔ああ なんでや監督 あぶがでれんならトラがいるやないけ・・・〕

 

〔そうやな 物干し竿をうけついだトラまで出番なしとは・・・

一発勝負のトーナメント もうこれでおしまいや〕

 

【虎? 鷹のチームではなかったのか?】

 

【ぬ】

 

アシュラマンの疑問の声にサンシャインの表情が凍った

 

〔あんさん知らんのかいな トラゆうたらあぶの息子の景虎や

つまりこのとっつあんの孫でサッちゃんの息子っちゅうこっちゃ〕

 

【む・・・むすこ・・・】

 

【アシュラ・・・】

 

アシュラマンの様子が明らかに変わった

隣に座っていたサンシャインがそれに気付き声をかける

 

【ち・・・父と子が同じチームで共に戦っているのか?】

 

〔そうや 野球界最高の親子鷹やで

まあ そこにいたるまでホンマ長かったけどな〕

 

〔そうやな 運命のドラフトでくじびきの末同じリーグで敵同士

あんときは試合のたんび 勝負のたんびに

店の空気がなんともいえんものになったもんや〕

 

〔そうでしたね 大虎さんも屋号を変えようとか言っていたり

ユニフォームを重ねて着ていたりしてましたね〕

 

〔ほんまあんときはしんどかったわ わても苦悩の日々やった

わてのほれこんだムコどのと愛する孫との骨肉の争い

かわいいサチ子もどっちが勝ってもいつも辛そうで・・・

二人とも常に必死な真剣勝負・・・ ほんまなんちゅうたらいいか〕

 

『大将さんも給仕をしていたサチ子さんも涙をうかべていますね』

 

【・・・】

 

「骨肉の争いか・・・」

 

手に持った酒にあの男の面影がうつる

 

「オレの最初の息子は・・・

アシュラマンのように6本の腕をもっていた

オレの当時の部下の中で最も優秀で骨があり

つねに最も重要な役目を任せていた」

 

【・・・・・・・・・】

 

あえてアシュラマンの顔を見ず酒をあおる

 

『むこうは3つの顔で見てきますが』

 

「だが・・・ 最悪の時に決定的な裏切りをはたらき・・・!

オレは大敗を喫し そしてこの手で直接引導を渡した」

 

コト・・・  グ・・・!!

空のコップを置き右拳につい力が入る・・・

この拳で・・・!

 

【ハドラー・・・ おまえも・・・】

 

【わたしと同じ・・・業を背負っていたのか】

 

「オレはあのときの言動はともかく

行動そのものは悔いていない・・・いないが」

 

『・・・・・・あなた』

 

トクトクトク・・・

 

【飲むがいい・・・ いや飲んでほしい】

 

アシュラマンがオレのコップに酒を注ぐ

その隣ではサンシャインが泣いていた

 

『サンシャインさん悪魔にしておくには心が優しすぎませんか?』

 

・・・情が深いのだろう

 

グビ ドクドク

 

「ふう」

 

オレはアシュラマンの方を向き やつのコップに酒を注いだ

 

トクトク

 

【ウ・・・    シ・・・   シバ・・・・・・・】

 

アシュラマンの三面が全て泣いていた

 

『あの顔 あの目・・・ 見覚えがあります』

 

ム?

 

『バルトスさんたちのことを思い出しているときのあなたの・・・

子供を亡くした 親の目です』

 

・・・そうか

 

【育てるというのは 本当に難しいものだ】

 

店にいる者全員が頷いたようだ みな心当たりがあるのだろう

 

「・・・さて 結局 噂の[あぶさん]とやらが見れなかったのは

少し 残念だったな」

 

〔せ・せやな! まったくあぶのやつどこでのんだくれてんねん

恩師の岩田鉄五郎はんかてこないだドカベン山田太郎を

見事におさえたったちゅうのに!〕

 

〔そ!そうや あのピッチングみて老けこんどるようなムコどのやない!!〕

 

【!?ちょ、ちょっとまってくれ 岩田鉄五郎というと

わたしたちが現役のときでさえ60とかではなかったか?!

あのときでさえ選手として活躍していたのが驚きだったが・・・】

 

【グオッフォフォフォ そう その岩田鉄五郎だ

ワシらが現役のときにちょうど今のワシらぐらいの歳だったはずだ

ワシもつい先日その登板していた試合をみたが

あのときに劣らぬ勝利に対する執念 鋭さを増した老獪な駆け引き

超人よりも超人のような男だった ワシも老け込んではいられん】

 

『マトリフさんやブロキーナさんのような方ですかね』

 

あのアバンの仲間の老いぼれたちか やつらは強かった・・・

 

〔さすが!ようわかっとるなサンシャインのおっちゃん!〕

 

〔おたくら次の超人レスリングの興行はいつや?

今度は応援したるで!!〕

 

〔せやせやプロ野球がこんだけ盛り上がってるんや

負けずにドリーム見せたらな客が離れてまうで〕

 

【グオッフォフォフォフォ ワシもそれは考えていたところだった

だからこそ今日アシュラマンに声をかけ ハドラーを誘い

ともにこの店でのんでいるわけだ】

 

〔おお!〕

 

【まさに時が来た!

現在新世代正義超人(ニュージェネレーション)の主力は過去に派遣され戦力を大きく欠き

タイムマシン作成のために人間たちの建造物を破壊したことで

色々と面白いことになっている】

 

【弱体化していたのではつまらんだろう

満天下に悪魔超人の強さを見せるのであれば

万太郎たちがいるときの方がよかろう】

 

【アシュラマンよ おまえやワシが本当にリングで戦いたいのはだれだ?

万太郎やテリー・ザ・キッドたち新世代正義超人ではなかろう

今は伝説超人(レジェンド)とよばれる・・・

初代キン肉マンやテリーマン ジェロニモたちではないのか】

 

【そうか!主力がいない今だかろこそ引退したあいつらを

我らのライバルたちをひっぱりだすまさに好機!!】

 

【そう そしてその大義名分もある

人間と超人 その交流を目的とすればやつらは必ずでてくる

超人委員会も後継者たちが過去に行き前委員長のハラボテの指揮だ】

 

【連絡もつけやすいか

カーカカカ ダテに歳はとっておらんなサンシャイン】

 

オレの目の前で何かがつくられていく

 

【レディース アンド ジェントルメン!

ここに関西を舞台にした大興行を提案する!

その名も! 超人一等祭!! 悪魔・正義の属性 超人・人間の種族

新・旧世代も超えて行う超人オリンピックを超える一大興行!!】

 

〔そいつはおもろそうや!!

この弁当屋も協力はおしまんで!〕

 

〔山田屋ばっかりにええかっこさせんで!

わてんとこの酒屋も負けん!〕

 

〔ボン!おんどれこそワシの居酒屋大虎を忘れたらあかんで!

屋台で赤ちょうちん大虎 煮込みつきでだしたるがな!!〕

 

〔私も絵描きのはしくれとして関わりたいですね

せっかくのご縁です〕

 

〔中島先生も乗り気ですね〕

 

【グオッフォフォフォフォ どうだ アシュラマンにハドラー

できる気がしてきただろう

年なんて関係ない メラメラと燃える闘志がオレたちにはあるんだ】

 

「オレもか!? まあ面白そうなのは間違いない

おまえたちがこれほどまでこだわるライバルたちにも興味がある

よろこんで参戦しよう 協力は惜しまん」

 

【グオッフォフォフォフォ!さあ今日はオレのおごりだ

そして改めてみなさんにも興行への協力お願いする!!】

 

【わたしももとう 人間の岩田や景浦に負けてはいられん

老いてますます夢が心が猛るままに!

魔界のプリンス・アシュラマン本当の再生(リボーン)の前祝だ!!

カーーーカカカ!!!!!】

 

〔よっしゃ サッちゃん焼き鳥追加!あと乾杯するからビール!〕

 

〔よっしゃ!わても飲むで!〕

 

\\\\ かんぱーーーい!! ////




好きなものをひたすら書き散らかしたウジョーです
バルトスさんいなかったら「ダイの大冒険」要素なくなりそうです。
今連載中のドカベンにあぶさんが出るドリームはくるのか?!
やっぱりウォーリアーズ最後の打者で代打かそれともスターズの秘密兵器か?

書きたいことがたまる一方で体がついていきませんが
超人一等祭の冒頭ぐらいは年内に書ければいいかな、といった調子です。

霜月に入り朝晩は本当に寒くなってまいりました
インフルエンザの脅威も含め特に体調を崩しやすい時期
健康にお気をつけくださいませ。


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受け継がれるもの

サンシャインらと別れ土産を手にデルムリン島へもどってきたが

ある光景を目にしたことでオレはあやつらのもとへ

 

         フッ

 

\\\\ ハ・・・ハドラー!!!! ////

 

「・・・ククッ 久しいな我が宿敵アバンの使徒よ・・・」

 

『ごきげんようダイ』

 

そこにいたのはダイ、ポップ、マァム、ブラスの4人

あのゴールデンメタルスライムがいないところを見るとまだ捜索の旅中か

 

〈ハドラーさま どうしてこのようなところに?〉

 

ブラスの疑問への答えに

 

「・・・実はデルムリン島に強力な竜があらわれてな

ヒュンケルとヒムが対応したがすでに・・・

クロコダインも加わったが長くは持たないだろう」

 

'なんだって!?そんなバカな!?ヒュンケルにヒム

クロコダインのおっさんの3人でも手に負えないなんて'

 

“まさか大魔王級の竜が!?”

 

《いそいで帰ろう!!デルムリン島へ!!!》

 

「よしおまえたち オレの手をとれ 案内する ・・・ルーラ!!!」

 

――――

 

《え おれんち!?ここにいるの?》

 

「気配を消してここから様子をうかがえ 迂闊に声をだすなよ」

 

ダイたちがそうっ と窓から家の中をのぞきこむ そこのいたのは

 

馬になってジゼルをあやす笑顔のヒュンケル

爆笑しながらそれを囲むヒムやクロコダイン、獣王遊撃隊たちだった

 

'え?なにこれどういう状況?'

 

“あんな顔で笑うヒュンケルはじめて見るわ”

 

混乱しつつも オレにふりむいたダイたちへ言ってやった

 

「別に嘘は言っておらんぞ やつらすっかり骨抜きになっているだろう

ちなみにヒュンケルの背にいる子供が術で姿を変えている子竜で

オレと聖母竜の娘 ジゼルだ」

 

〈なんとハドラーさまのご息女!?〉

 

'いつのまに!?'

 

“じゃあアルビナスたちの妹!?”

 

《聖母竜ばあちゃんの娘!?

えーと だとすると父さんの妹でもあるから・・・

なんていうんだっけ?》

 

『ダイからみると叔母にあたりますね』

 

「そしてブラスよ・・・ ジゼルを背に乗せている男を知っているか?」

 

〈ヒュンケル君ですか?

・・・ダイの兄弟子でアバンどのの一番弟子と聞いておりますが

ヒュンケル・・・ヒュンケルか・・・

そういえばどこかで聞いた名のような気も・・・・・・・〉

 

「バルトスの息子だ」

 

〈・・・そうかっ・・・ヒュンケル!!

その昔 魔王ハドラーさまのつくりだした軍最強の地獄の騎士

バルトスどのが育て上げた人間の少年の名が・・・

・・・ヒュンケルじゃった!!

あの地底魔城に光をもたらしていたあのときの赤子が

・・・バルトスどののご子息が・・・立派に・・・本当に立派になって

まさかわしの家で ハドラーさまのご息女をあやしているとは

・・・なんと・・・いう・・・・・・・まるであのときにかえったようじゃ〉

 

《ブラスじいちゃん・・・》

 

ブラスが泣き崩れ ダイが支える

 

「ポップ、マァムすまんがここに1000ゴールドほどある

これでやつらをねぎらう宴の買出しを頼めるか

ジゼルの世話の礼にと土産は用意していたが

これだけの人数がいてはとても足らん」

 

“わかったわ よろこんで”

 

サンシャインたちの祭りの支援に所持金の大半をあずけ

残った分をポップたちに押し付けた

まさか大魔王バーンもかつての拠点の金がダイたちのために

使われるとは思ってもいないだろう

持ち帰りに包まれたクシカツや煮込みの入った小鍋などは

オレがあたためておくとして・・・

 

「とりあえず中に入るか いくぞダイ ブラス」

 

'おっと 今のうちにヒュンケルをからかっておくか

買出しはその後でも・・・'

 

“・・・ポップぅ!また意地悪なことしないでよっ!!”

 

'・・・んなこと言われてもねェ・・・ケケケッ'

 

「やれやれにぎやかなことだ クククッ」

 

『フフッ 久しぶりにダイの楽しそうな顔が見れてなによりです』

 

その後宴の席でダイ達にサンシャイン達の開催する祭りへの参加と協力をとりつけ

それと引き換えに死者へ手紙を送る【お焚き上げ入稿】を伝授した

オレも今日のことはあらためて煙に乗せておくるとしよう

・・・オレが生み出しオレより先に死んでいったオレの子たちへ

 




超人一等祭にはやく手をつけくてちょっと駆け足気味のウジョーです

ハシゴの旅ネタはまた機会をみつけて書きたい気もしますがとりあえず前回で一区切り
今回はジゼルが生まれたときからいつか書きたかったブラス老とヒュンケルのおはなし
もっとじっくり宴のシーンも含め書ききれない気持ちもありますがどうにも難しい

一段と寒さ深まりまるで一気に冬になったような気さえしますが
風邪やインフルエンザがしのびよる一段と注意が必要な時期でもあります
お疲れのでませんように。


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超人一等祭 一本目 カナダナンバーワンはだれ?

<さあ ここ大阪城特設リングでは

超人一等祭特別イベント

カナダ最強決定戦がおこなわれようとしております>

 

≪赤コーナー 超人強度100万パワー 強力巨人

キン肉マンビッグボディー!!!≫

 

<赤コーナーに佇むのは キン肉星王位争奪戦において

強力チームを率い知性チームと伝説に残る戦いの末

惜しくも!敗れてしまった

大将キン肉マンビッグボディです!!

戦後は開拓者ストロングマンとして仲間達と共に

宇宙各地で活躍しております!!

おおっと マッスルポ-ジングだ!

キン肉マンと同じ歳のはずですからその肉体は

とうに全盛期を過ぎていますが

まさに強力の化身キン肉マンビッグボディの名にふさわしい

圧倒的な筋肉美だ~!!!>

 

≪青コーナー 超人強度100万パワー 縁の下の力持ち

カナディアンマン!!!≫

 

<対する青コーナーはカナダ超人といえばもちろんこの超人

日本でも馴染み深いその名もズバリ カナディアンマンです!

第20回超人オリンピックのファイナリストであり

あのロビンマスクとリングどころか試合会場を揺るがす激戦を演じ

その後も捲土重来を胸にあの伝説の時代を戦いぬき

パイレーツマンとの激闘は多くのファンが涙した

まさにレジェンド!!

現在はヘラクレスファクトリーにて教官として

後進を厳しく指導する立場ですが

この試合で再び捲土重来となるのでしょうか!!>

 

≪この試合レフリーはこのナチュラルグリーンが務めます≫

 

<この試合を裁くのは日本からカナダへ派遣されている

駐屯ヒーロー森林戦隊グリーンレンジャー・ナチュラルグリーン

北海道で活躍する兄弟戦士アバシリンの甥であり

かつて埼玉でウェザースリーに加わり

ウェザーグリーンと名乗ったこともあるヒーローです

そして実況はわたくしチャーリー高橋

解説はこの超人一等祭特別開催者の

はぐれ悪魔超人トリオのひとりハドラーさんです

ハドラーさん今日はよろしくおねがいします>

 

「ああ よろしく」

 

<カナディアンマンのセコンドには息子のカナディアンボーイ

親友のスペシャルマンにその息子スペシャルマンJrの三人

対してビッグボディのセコンドには

ペンチマン、レオパルドン、ゴーレムマン、キャノンボーラーの四人

観客も試合開始を今や遅しとまちわびております!!>

 

  カーーーーン

 

<ゴングがなってついに試合がはじまりました>

 

     ガチィ!!

 

<リング中央力比べです!

両者超人強度は100万パワーとまったくの互角!

しかもパワーファイター同士

ここはお互い絶対にゆずれません!!>

 

「だがこの二人筋肉のつきかたや体格が違う

修業や日々の仕事の差だろうが・・・

ここでは兜の男の方が有利だろう」

 

〔〔強力100%!!〕〕

 

【ぬおお このオレがパワー負け・・・だと】

 

【カナディアンマン!

相手の上半身のパワフルさに惑わされるな

足元を狙うんだ!】

 

【おう!見ていろスペシャルマン

おまえとの特訓でえたテクニックを!!】

 

<カナディアンマン 力比べから切り返し

タックルでビッグボディの足をとってダウンをとった>

 

【くらえ メイプルデスロック!!】

 

<ビッグボディをうつぶせにして

ハーフボストンクラブのように片足を

ガッチリと捉えガッツポーズだ!!>

 

「これだけ見事にきまっては力任せに外すのは危険だ

足が破壊されてはこの後は勝負にならん」

 

【さあきまったぜ!ギブアップしろ!!】

 

〔〔・・・豪 力100%!!〕〕

 

<なんとビッグボディ!

うつぶせのまま腕立て伏せのように両手の力のみで

カナディアンマンごと身体を浮かせた!!>

 

〔〔俺式マッスルインフェルノ!!!!〕〕

 

ギュワアーーーーーー  ゴガァン!!||

 

                ボギン!!\\

 

【グワア!!】

 

<ビッグボディがカナディアンマンを背に乗せたまま

リングのコーナーに突進!!

その衝撃で折れた鉄柱がカナディアンマンに直撃した!

これによりメイプルデスロックが外れたが

両者ダウン カウントをとります!!>

 

「信じられんことをするな

技を外すために鉄柱に頭からつっこむなど

捨て身にもほどがあるぞ

頭は大丈夫か?」

 

〔〔グ・グムゥ・・・な、何が知性だ・・・!〕〕

 

<カウント4でビッグボディが立ち上がった!>

 

「あの兜がダメージをおさえたか」

 

【ま・・・まだ負けるわけには】

 

<カウント6でカナディアンマンも立ち上がってきたぞ>

 

「だがフラフラの棒立ち

あれではやられに立ち上がったようなものだ」

 

〔〔パワー全開 強力!!120%!!!!〕〕

 

<ビッグボディ上空高く飛んだ!!

頭を下に切りもみしながら落下していく!!>

 

「狙いはカナディアンマンの脳天か!

あの兜でもう一度頭突きをくらえば

2度と立てなくなるぞ!!」

 

〔〔くらえ!!俺式マッスルリベンジャーー!!!〕〕

 

       ギ

       ュ

       ワ

       ア

       ア

 

バッ

 

 

       グ

       ガ

       ァ

       ン

 

<すさまじい衝撃!!きまったーー!!>

 

「・・・!? いや よく見ろ

カナディアンマンには当たっていない

いやカナディアンマンが移動させられている」

 

【ボ・ボーイ・・・】

 

【すまない親父 見ていられなかったんだ】

 

<なんとセコンドのカナディアンボーイが

カナディアンマンをかばいリングに上がっていた!!>

 

【・・・ビッグボディ カナダナンバー1を名乗りたいのなら

オレと戦え!!ヘラクレスファクトリー仕込みの

力と技を見せてやるぞ!!】

 

〔〔ぬう・・・若造が・・・

いいだろう そそのかされてやろうではないか・・・〕〕

 

【やめろボーイ!これはオレの戦いだ!!

(ズキン!)  ウオ・・・】

 

<なんと乱入したカナディアンボーイが宣戦布告!

ビッグボディは傷つきながらもこれを受けた!!>

 

\\卑怯だぞカナディアン親子!二人がかりなんて//

 

\\そうだそうだ しかも現役バリバリじゃねえか//

 

<さあ 納得がいかない観客から声があがってきました>

 

「うむ リングはどうおさめるか」

 

バアンッ      バサッ

 

〔殺伐としたリングに颯爽とボク参上っ!

              ボク参上っ!

               ボク参上っ!〕

 

<なんとリング上に更なる乱入者だ!!>

 

【何者だ!!】

 

〔ボクは東京女子プロレス正規軍、

サンデーモーニングの

メアリ・ノートンだ!!!

カナダ生まれでカナダ育ちの

このボクも参戦資格があるはず

ボクがビッグボディさんに加勢するよ!!〕

 

<なんと乱入者の正体は

日本の女子プロレス界若手の登竜門

今年のヤングドラゴン杯を制した

メアリ・ノートンだ!!!>

 

「あの身のこなし 人間の少女に見えるが

なかなかの動きだ マァムを彷彿とさせる」

 

≪・・・この場をあずかるレフリーとして

仕切らせていただきます!!

本来の超人レスリングのルールであれば

セコンドが直接手を貸すことも

人間であるメアリ・ノートンの乱入による参戦も

認められません、が 今回は種族や属性、世代も超えて

リングの内外で交流し親睦を深めるという

超人一等祭の特別イベント その精神にのっとり・・・

ここからは!

 

カナディアンマン、カナディアンボーイ組

        対

ビッグボディ、メアリ・ノートン組による

マッスルタッグマッチによる決着といたします!!≫

 

 \\うおおおお!!!//

 

≪なお試合の権利はあくまでカナディアンマンと

ビッグボディのみとし どちらかがKOした時点で

決着となります!!≫

 

<なんとここで新展開です!

急遽乱入者を含めたタッグマッチ形式です!!>

 

「戦場は変化を続けるもの

両者のダメージが残っているが

この二人の参戦をどう生かすかが勝利のカギだ」

 

・・・

 

【・・・こうなってしまったものはしょうがない

ボーイ オレ達親子の力で勝利をつかみにいくぞ】

 

【ああ 親父 オレ達親子の絆で捲土重来だ!!】

 

―――

 

〔〔おまえさんとは はじめて会うと思うが

その若さでオレのことを知ってるのか?〕〕

 

〔もっちろん 昔からボクはスーパーヒーローに憧れてるもん

カナダ出身のキン肉マンビッグボディのこともバッチリさ

こうやって超人レスリングのリングにあがれるなんて

夢のようだよ!!〕

 

〔〔なんか妙なことになっちまったが大丈夫か?

相手は超人 命にかかわることはないだろうが

下手をすればただではすまんぞ〕〕

 

〔だいじょーぶだよ これでも毎日リングで鍛えてる

プロレスラーだよ このチャンス生かしてみせる!〕

 

〔〔・・・よしわかった

みんなサポートは頼んだぜ

相手は実の親子インスタントチームにはない強みがある

オレたち強力超人のチームワークを見せてやるぞ〕〕

 

〔〔〔〔オウ!〕〕〕〕

 

〔〔親方!・・・ハアハア、間に合った

オレも応援するぜ!!〕〕

 

〔ええっ?ノーリスペクトのフォーク・ザ・ジャイアント!?

なんでこんなところに??〕

 

〔〔フォークはオレ達のところで強制労働中なのさ〕〕

 

〔え・・・強制労働・・・〕

 

〔〔ああ、強力な力を制御する術を労働で学ぶ

オレたちストロングファミリーはキン肉星刑務所の

受刑者を積極的に受け入れて共に汗を流している

それが かつて邪悪の神にそそのかされてしまった

オレたちの生き方なのさ〕〕

 

〔・・・ねえ ボクもそのファミリーに加えてくれない?

こっちも親子のコンビネーションで対抗しようよ

パパ!!〕

 

〔〔パパぁ!!??

・・・よし わかった そういうことなら〕〕

 

「・・・ビッグボディがあの兜をはずしているぞ」

 

〔〔せっかくかわいい娘が見てくれるんだ

こんなマスクなんかとって・・・オラの本来のマスクと名

ここからはこのストロングマンにお・ま・か・せ!!〕〕

 

<いかついマスクとプロテクターをはずしたその中から

より強靭な肉体があらわれた!!>

 

≪それではあらためまして

赤コーナー ストロングマン&メアリ・ノートン

ストロング・ファミリー!!!

 

青コーナー カナディアンマン&カナディアンボーイ

カナディアン風・親子丼!!!≫

 

\\ワー ワー!!!//

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

<ほんらいサッカーの実況アナウンサーである

チャーリーですが アルバイトで

プロレスの実況アナウンサーも やってます

そんなごえんで やってきたおしごと

レジェンド同士の対戦なので

す~ぐにおわっちゃうかと おもってたら

こ~んなことに・・・

いまのうちにねちゃおっと

ぐ~~ ぐ~~

  すやすや すぴ~

ぐ~~ ぐ~~

  すやすや すぴ~>

 

 

カーーーーン!!!

 

<さあ試合再開です>




ニコニコアプリゲーム リング☆ドリームでメアリ・ノートンを応援しているウジョーです

現在世界タッグ挑戦中の応援の意味をこめて今回は書き始めましたが・・・
思ったより長くなりそうなのでいったんここできります
モタモタしてると世界タッグ戦が終わってしまうので次回はできるだけ早く
・・・に書けるといいな 超人レスリングを文字だけで書くのが思った以上に難しい
今回は原作キン肉マンよりも同人ゲームマッスルファイトに色濃く影響を受けています
もしキン肉マン本編にビッグボディがでたらここの内容も少しいじるかもしれませんが
まずは次を目指します


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超人一等祭 二本目 決着 カナダナンバーワン!

〔〔ハーッ〕〕   【オオーーーッ】

      ドーーン!!

 

<リング中央 ストロングマンとカナディアンマン

タックルで正面から激突!!

リングサイドの実況席まで振動が伝わります!!!>

 

「ぶつかりあいは互角 両者体勢を崩した」

 

〔いけーー!パパー!!〕

 

〔〔剛力120パーセント!!〕〕

 

<いちはやく体勢を立て直したストロングマン

カナディアンマンを何かの技にかためていく~!!>

 

〔〔メイプルリーフクラッチーーーーーッ!!!〕〕

 

     グワッキィ

 

【ぐおおおおっ!!】

 

<関節技を決めた!

本来なら上空でクラッチを極めキャンバスに

落下する技のはずですが あえてリング上でクラッチを極め

ストロングマンの力でカナディアンマンを圧迫していく!!>

 

「あれはきついぞ背中越しに両手両足を捉え

あの強力で背中や腰を攻めるとは・・・

この状態から脱出するのは困難だぞ」

 

【いけない あれではパイレーツマン戦の古傷に響く!!】

 

<カナディアンボーイ カットにとびだした!!>

 

〔させないよ!〕

 

<メアリもとびだし カナディアンボーイをとらえた>

 

【なにぃ!?】

 

〔ぽひのゴーストガール!

見よう見まねでやったがうまくいったぜ〕

 

[かっこいい!]

 

「パワー差を逆に利用し絡めとったか

やはり人間の格闘技はあなどれんな」

 

〔〔よくやったメアリ!

カナディアンマンおまえはもう十分

フロンティアスピリットを示した

さあ ギブアップしろ!!〕〕

 

【なんの・・・ これしき・・・】

 

【・・・くっそう

だが・・・ 腕一本動けば】

 

<カナディアンボーイ腕一本でほふく前進し

ストロングマンたちに にじりよっていった!!>

 

〔そんな とまらない・・・〕

 

【どんな大木さえも切り倒す

それがオレ達 きこりの仕事だ!

まさかりチョップ!!】

 

  ガシィ!

 

<ついにカナディアンボーイが

ストロングマンの片足を払った!!

ダウンの衝撃で技がはずれた!!>

 

【でかしたボーイ!

このチャンス生かして見せる

くらえカナディアンバックブリーカー!!!!】

 

<カナディアンマンとうとう伝家の宝刀を抜いた!!>

 

「肩にかかえ背骨を攻めるか これは効くぞ」

 

【この技は相手の体重を利用する!

その巨体があだになったストロングマン!!】

 

〔ライオンカッター!!〕

 

   ズバッ!!

 

<メアリの必殺ライオンカッターが一閃!>

 

「だがカナディアンマンは動じてないぞ!」

 

【人間にしてはいい威力だ だがボーイがつくった

このラストチャンス けっして逃しはしない!!】

 

〔〔グオオオオオ!〕〕

 

〔アイアム、メアリ・ノートン!スーパーパワー!!

愛と友情と情熱の必殺ライオンカッターー!!!〕

 

   ズバァアアン!!

 

【グッ!!】

 

<ゆらいだあ!!メアリのライオンカッターに

カナディアンマンの体勢がわずかにゆらいだあ!>

 

〔〔いまだっ!!〕〕

 

「ストロングマンが肩から逃れた」

 

【そうくることは織り込み済みだ!!

リビルト・カナディアンバックブリーカーーッ!!】

 

「うまい!しかもあれだけ足と首をガッチリきめれば」

 

〔〔うわーーっ

動けない~~~~っ!!〕〕

 

  メキ メキ メキィ

 

【もうお互いスタミナはのこっていない!

この巨木をへし折り・・・

これで これで決着だ!!】

 

〔パパ!!くっ もういちげ・・・〕

 

【そこまでだ もう親父の邪魔はさせない!】

 

<カナディアンボーイ メアリをつかまえ

赤コーナーへふった!>

 

〔〔グアアア・・・〕〕

 

〔〔〔みんなオレたちの超人パワーを兄貴に!

20万パワーずつだ!!〕〕〕

 

〔〔〔オウ!〕〕〕

 

 ズン ズン ズン ズン ズン

    ズーーーン

 

〔〔〔オレたちファミリーの気持ちだ

うけとってくれ兄貴!〕〕〕

 

〔〔〔強力超人の底力を見せてくれ 親方!!〕〕〕

 

  ブオン  ピカピカピカーーー!

 

<セコンドのキャノンボーラー

光る玉をストロングマンへボーリングスルー!!>

 

    バン   ボワァ

 

〔〔合力!200パーーセントーーー!!!〕〕

 

【な なにぃいい!!】

 

「あれだけ極まっていた技を力ではずした!」

 

〔〔ゴーリキーー!!〕〕

 

<ストロングマン!カナディアンマンを抱えてとんだ!!>

 

〔パパー!!〕

 

<メアリもロープの反動を利用してとんだーー!!>

 

〔〔メアリ!!〕〕

 

 ガシィ!  ガシィ!!

 

〔〔父と!〕〕〔ムスメの!〕

 

〔〔マッスル!!〕〕〔ダブル!!〕

 

〔〔〔〔インパクトーーー!!!!!!!!!〕〕〕〕

 

<ストロングマンがカナディアンマンをパワーボムにとらえ

それをさらにメアリがタイガースープレックスにとらえた!!>

 

【ぬあああ!!】

 

     ギ

     ュ

     |

     |

     ン

 

【親父!】

 

【くるなボーイ!そして見ろ!!

見逃すな!全てを学び取れ!!!】

 

     ズ

     ガア

     ン

     !!

 

 カンカンカンカンカンカン!

 

<決着!試合終了!

必殺のツープラトン マッスルダブルインパクトで

見事KO勝利!!>

 

[ハドラーさま!あれ!わたしもやってみたい!!]

 

「10年早い だがおまえにとっても学ぶべきことの

多い試合だったようだな・・・」

 

〔パパ アレやりたい アレ!〕

 

〔〔よし オレの肩にのれ!!〕〕

 

〔〔〔〔ナンバー ワーーーーン!!!!〕〕〕〕

 

     \\ワー ワー!//

 

 \\おまえたちがカナダNO.1だ!!//

 

\\メアリー世界タッグ応援に行くぞ!!//

 

 \\カナディアン親子もよくやったぞ!//

 

【ゆ ゆるしてくれ ボーイ・・・

不甲斐ない父を・・・

おまえに勝利の味を お・教えることができなかったオレを】

 

【そんなことはない!

許すことなんてないぞ親父!!あんたはオレの

オレの誇りだ!!】

 

【そうだカナディアンマン

ボクたちビッグボンバーズの魂は今

君のおかげでボクたちの子供たちに

立派に受け継がれたんだ!!】

 

【ボーイ・・・ スペシャルマン・・・】

 

・・・

 

《ずいぶんと 腕をあげたようだなメアリよ》

 

〔あっ 師匠!?〕

 

《こうして直接会うのはギアナ高地以来だが

おまえのその後の試合はすべて見ていた

その様子であれば 次の世界タッグ戦ベノムナイトにも遅れはとるまい

ならばそのはなむけにわしらでよいものを見せてやろう》

 

「・・・あのリングサイドにいる武闘家

ただものではない!」

 

<あ あの方は・・・>




連日投稿でメアリの世界タッグ戦当日にすべりこませたウジョーです
この後夜勤がありますが悔いはありません

キン肉マン原作ではカナディアンマンが男を見せたので
当初の構想とはずいぶん変わりましたが いい方向になったと思います

ビッグボディのメイプルリーフクラッチがついに原作で公開されたので
少し修正しました
かつてゲームでも披露されましたが ほぼ同じ形でしたね
本作ではあえて間接技扱いでしたが

この後の更新はしばらく落ち着きますが超人一等祭お楽しみいただければ幸いです


この話を最初に考えてた時はキン肉マン本編でのカナディアンマン対パイレーツマン戦よりも前で
ビッグボディ再登場など夢のまた夢だったのですが今やもう・・・
特に73巻の強力チームはまさに神がかっており
「つぎ 次鋒でろ!」「次鋒レオパルドンいきます!!」はときめきが止まりません

そして原作キン肉マン最新話のあのシーンは今作のあのシーンのイメージ通りすぎて震えました


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超人一等祭 三本目 師弟の形 拳で受け継がれるもの

「ジゼル!赤コーナーのメアリ達の治療に行け

オレは青コーナーの楓親子にあたる」

 

[はい!ハドラー様!!]

 

KOされたカナディアンマンの様子を間近で確認し

 

「ホイミ(回復呪文)!!」

 

     パアアアアア

 

かなりのダメージだったが命に別状はない

流石は超人 丈夫なことだ

 

      パアアアア

 

ジゼルの方も治療をはじめたか

あの様子なら問題なかろう

 

【あ ありがてえ・・・ 

みるみる痛みがなくなっていく】

 

「気にするな これもオレの仕事だ

それに今の戦いは色々と得るものがあった

オレにとっても娘にとってもな・・・」

 

【娘? 今あっちで手当てしている子か】

 

『ジゼルがあれほど憧れのまなざしを向けるのは

あなた以外には珍しいですね』

 

「あのメアリの戦いぶりがよほど気に入ったとみえる

力自慢の超人がぶつかりあう中に参戦し

時に力をいなし 時に協力し 勝った

ジゼルなりの理想の強さ 求める力の形が見えたのかもしれん」

 

『あなたに勝つためにですか?』

 

「ククク・・・ いい傾向だ

アバンやマァムに憧れて弟子入りを望むより余程いい

ついでに親離れもしてくれればいうことはないがな

赤コーナーを見ているがいい聖母竜よ」

 

〔すごい!ねえこれ魔法!?魔法だよね!!

ボクはじめて見た!!パパを治してくれてありがとう!

ボクはメアリ!メアリ・ノートン キミの名前は?〕

 

[わ・わたしはハドラー様の補佐竜ジゼル

今の回復呪文で治ったはずだけど どう?]

 

〔〔ああ もう大丈夫だぜ ありがとうよお嬢ちゃん

ほれ このとおり!

メアリもダメージがあるなら治してもらえるか?〕〕

 

[うん・・・ これぐらいなら・・・

いたいのいたいのとんでけー!]

 

〔わ すごい!ほんとに痛みがなくなった!

これが魔法!?ボクにも使えないかなあ!?〕

 

〔〔〔おおーい メシもってきたぜ

メアリもそっちのお嬢ちゃんも食べてきな〕〕〕

 

〔わ!牛串!ボク大好き!!アツアツでおいしそう!

ありがとうレオパルドン!!〕

 

〔〔〔テリーマンの牧場で育った牛を

テリーマンの奥さんのナツコさんが焼いたやつだ!

食わなきゃ損だぜ〕〕〕

 

〔すごーい! そりゃ絶対たべなきゃね!

ほらジゼルもいっしょに食べよ〕

 

[わ いただきます]

 

 ガツガツ

 

[おいし~!]

 

〔〔カレクックのカレー屋もでてるぞ

あとでみんなで行くぞ!!〕〕

 

〔ボク激辛が食べたい!!〕

 

[カレー?食べたことない!]

 

『うまく馴染めているようですね』

 

ククク これだけでも来た甲斐があったわ

 

・・・

治療を終えオレたちがリングを下りた後

入れ替わりに二人の武闘家がリングに上がった

 

《メアリよ かつてお前とムー成田にはギアナ高地で

流派東方不敗の手ほどきをしたが それはあくまで

ギアナ高地の大自然と共に生きる為の護身術程度のもの

流派東方不敗の門を叩いただけだ

お前がレスラーとしてそれをとりいれさらに磨く為にも

これからこのリングで起こることを胸に刻んでおけ

・・・いくぞドモン!!》

 

〈はい!師匠!!!〉〔はい!師匠!!!〕

 

<これより東方不敗マスターアジアからドモン・カッシュへの

キング・オブ・ハートの授与式を行います!!>

 

いつのまにか実況席の男が眼帯をつけた男に変わっていた

授与式を わざわざリングでやるのか?

 

《流派東方不敗は志を命懸けで伝え受け継いで行くもの》

 

〈そして技を伝えると言う事は

命のやりとりをするのと同じ事!!〉

 

《うむ よく今までわしについて来た》

 

〈俺 師匠のおかげで・・・俺の中に・・・

俺を見つけることができました!

俺はこれで家族のもとに堂々と帰れます・・・

堂々たる一人の男として・・・

堂々たる一人のドモン・カッシュとして!〉

 

《ドモン・・・お前は最初に出会った時から・・・

堂々たる男だったぞ》

 

なるほど これはあの師弟にとって卒業式ということか

かつてアバンがオレとの決戦の前にダイとポップに

『アバンのしるし』を渡していたのを思い出すな

 

《喝!!答えろドモン!!!流派!東方不敗は!!》

 

〈王者の風よ!〉

 

《全新》 〈系列!〉

 

〔すごい・・・ これが師匠たちの本気・・・〕

 

《天破》 〈侠乱!〉

 

「凄まじい拳の弾幕の打ち合い・・・

これがこの世界の武闘家か・・・!」

 

〔〔なんという力だ これが世に聞く流派東方不敗

リングの外にまで伝わるこの衝撃

一歩間違えれば拳が砕け散るぞ・・・〕〕

 

ガッ!!!

 

〈《見よ!東方は赤く燃えている!!》〉

 

見える! ぶつかり合った拳から炎のように

湧き上がり燃え盛る闘気が!!

 

《行け・・・ドモン!!貴様に

わしの持つキング・オブ・ハートの称号を与えよう!》

 

〈師匠っ!〉

 

[・・・・・・・]

 

『ジゼルが呆然としてますね』

 

「ジゼルに限らずあれを見ている者のほとんどが

同じような顔をしているがな」

 

『あれは憧れないのでしょうか?』

 

「レベルが違いすぎてピンとこないのだろう

特にあの師の方はオレが本気で相手をする価値がある武闘家だ

ム 弟子の拳に師と同じ紋章が輝いている

もしやあれが卒業のしるしか」

 

《メアリよ おまえが次にリングで対する

スパイダー菊池とソニックナイトは強い

わしが見たところ味方であるソニックキャットを含めても

リング上でお前が一番弱い

それはお前にもわかっておろう

だからこそ弱気になってはいかん!

臆するな!!闘う意志を失わぬ限り!

戦法など無限に編み出せるもの!!!

拳から一時たりとも気を抜かず勝利をつかんでこい!》

 

〈さっきの試合 超人を相手に立ち向かっていった気合と勇気

それを忘れるな!闘志ある限り

流派東方不敗はお前にも宿っているんだ!〉

 

〔はいっ 師匠!ドモンさん!〕

 

これもまた師弟の形か・・・

 

『ジゼルがあちらに憧れなくてホッとしてますよ・・・』

 

 

 

 

 




明日のキン肉マンの誕生日イベントにワクワクのウジョーです
もっとも終わったら燃え尽き症候群になりそうですが
東方不敗らがでておりますが世界観的にはGガンダムよりも
ビルドファイターズのようなメディアとしてガンダムやパイロットが存在しながらも
リアルでも存在し生活しているようなキン肉マン的な世界です
(一歩まちがえれば巨影都市のリスクがありますが)
エイプリルフールネタを仕込む時間が足りるか・・・


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超人一等祭 三本目 続 

《ドモンよお前の拳に宿るシャッフルの紋章

キング・オブ・ハートが輝いている間は肉体が超人へと変わる

だが今のお前では人間に比べわずかに抜きん出た程度のもの

流派東方不敗最終奥義石破天驚拳がうてるほどではない

上には上がおる お前はこれからそれを学ばねばならん》

 

〈はい!師匠!!ならば今ここでオレと!!〉

 

<<フハハハハハハハ!!!>>

 

〈!?〉

 

<なんといつのまにか赤コーナーに

高笑いを上げる謎のマスクマンがあらわれた!!>

 

〈その声!? まさかキョウジ兄さん!?〉

 

<<甘いぞドモン!!このマスクをつけている間は

お前の兄 日本人キョウジ・カッシュではない

ドイツの超人ファイターシュバルツ・ブルーダーだ!!

わが師 ヴォルフ・ハインリッヒの命により

この超人一等祭に裏方として参加している>>

 

〈シュバルツ・ブルーダー!?〉

 

  スッ    グイ

 

<なんとシュバル・ブルーダー!

コーナーから下りた途端その黒いマスクを脱いだ!?>

 

<<東方不敗マスターアジア・・・

我が弟ドモンが本当に世話になった礼を言わせてほしい

ありがとうございました!>>

 

〈いきなり兄にもどらないでくれよ兄さん

ついていけないよ!〉

 

<<何をいうかドモン

俺は立派に成長した弟を前につい嬉しくなって笑ってしまったが

その恩師に兄として礼を言うのは当たり前だろう>>

 

〈それはそうかもしれないけど!〉

 

《うわっははははは

礼には及ばん

それよりもどうだ 成長したドモンの力

リングでのファイトで直接感じてみぬか?》

 

<<それは好都合 ならば・・・

このシュバル・ブルーダーが・・・>>

 

    ババババババババ!!!

 

≪ふははははははは!!!!!≫

 

〈なにぃ!!その声まさかキョウジ兄さんが二人!?

これが分身の術!?〉

 

《このっ 馬鹿弟子が!!!》

 

<<あきらかに体格からして違うだろうが・・・>>

 

<なんとリングサイドにバイクで乗り付けた

もう一人の黒いマスクマンがあらわれた!!!>

 

≪ばか者!! こいつをバイクなどと呼ぶなっ

よく覚えておけ!!こいつはな

黒竜・リチャードメイソン・ハロルズド・ディオン・プリムス・ヒューリー・エリゴールプロバンス・

スチュワートソッピース・ベンチュラアキタカ三世だっ≫

 

〈なにぃ もう一度いってみろ!!〉

 

≪ふん! 黒竜・リチャードメイソン ハロ・・・≫

 

<<ハロルズド・ディオン・プリムス・ヒューリー・

エリゴールプロバンス・スチュワートソッピース・

ベンチュラアキタカ三世だ

ドモンよ 話が進まんから黙っていろ

お前もいい加減名乗ったらどうだ?>>

 

≪流石わが友シュバルツ 話が早い

私は正義の味方 怪傑ストライク男!!!

正義超人と悪魔超人が集うこの祭に参上した!!

ふははははははは!!!!!≫

 

〈ダチなのか 兄さん!?〉

 

<<今の私はお前の兄ではない・・・>>

 

≪さあリングに上がるがいい

シュバル・ブルーダーにドモン・カッシュ!!≫

 

〈なにっ!?

まさかオレ達二人を一人で相手にしようというのか!〉

 

≪ふはははは それも面白そうだが

今回はタッグマッチだ

おまえたち二人と闘うのはこの私と

もう一人の同志!その名も!!≫

 

≪≪ハーーーッハッハッハッハッハッ!

正義の味方、オセッカイザー参上!≫≫

 

<なんと今度は青コーナーに青いマスクマンが

あらわれたー!!>

 

〔くっ なんて濃いヒーロー達なんだ・・・

ボクの登場シーンが霞んじゃうよ〕

 

〔〔いやメアリ ああいうレスラーはちょっと・・・

どうせならジャスティスXのようなレスラーをだな〕〕

 

「・・・・・・・・・」

 

『もうジゼルは帰らせたほうがよいのでは』

 

これはこれで見たい気もするのだが

 

<それでは赤コーナー カッシュ・ブラザーズ対!

青コーナー ダブル・ジャスティス!

審判は!!!>

 

《この東方不敗マスターアジアが務めよう

さあ ゴングを鳴らせ!!

超人ファイト!!!!》

 

〈<<レディ・・・!!!!!>>〉

 

≪≪≪ゴオーーーーーーーー!!!!!!≫≫≫

 

カーーーン!!!




いつぞやのエイプリルフールネタの再掲です

最新話につながる内容なので


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超人一等祭 四本目 善と悪の共闘 フロシャイム大阪出張所

大阪城特設リングでの試合が終わり

闘っていたものたちの治療を終えた後

ジゼルから メアリやストロングマン達と

しばらく行動を共にしたいと言ってきた

ジゼルが珍しく自分からオレから離れて

だれかと共にいたいと言い出すとは・・・

本当にこの祭に参加した甲斐があったというものだ

 

『・・・これが親離れの第一歩というものですか

・・・・・・・・・・・・・・・寂しいです』

 

おまえはいい加減子離れしろ 

ジゼルにリリルーラで適当に合流するように伝え

身軽になったところで巡回でもするとしよう

とりあえずこの大阪会場を回るか

 

現在この超人一等祭は 超人に縁の深い場所を中心に

三箇所で同時開催をしている

この大阪城を中心とした大阪会場

甲子園球場を中心とした兵庫会場

金閣寺を中心とした京都会場だ

各会場とも街ごと巻き込んだ大規模なもので

その分トラブルも多く見込まれ

対策としてオレ達が巡回を任されている

もっとも オレは担当区域や時間などはなく

専門の担当者よりかなり緩い扱いではあるが

とりあえずオレがにぎやかしに誘ったものたちの

様子を見てくるか・・・

 

まずは近くにある屋台の見知った顔へ声をかけた

 

「ヴァンプ将軍」

 

〈ああ ハドラーさん!

リングではご活躍だったそうで

お客さんの間で噂になってますよ

今は おひまなんですか?〉

 

「・・・戦場視察というところだ

おまえには屋台をひとつ預けているからな

ム?」

 

【まいど ヴァンプはん~ それにハドラーはんも】

 

〈あれ?イエローさん?お久しぶりですーっ

あ、そういえば大阪はイエローさんの地元でしたね〉

 

「イエロー?たしかに黄色いが・・・

きむらたくや、と名乗っていなかったか?」

 

【あ~イエローいうんは 以前ヒーローやってたとき

ウェザーイエローって名乗ってたんや

んで 本名はきむらたくや

建築の仕事で会うときはそれは本名 名乗りますやろ】

 

〈イエローさんは昔レッドさんと組んで

戦隊ヒーローをやってたんですよ

ほら 以前ハドラーさんが勝ったあのレッドさんと〉

 

「ほう あの男の仲間か」

 

【おお!レッドはんに勝ったんかいな!

ごっついガタイしとるし あのサンシャインはんの

お仲間やから強い思ってはったけど~】

 

「どうだ?適当なリングで一戦やってみるか」

 

【いやいやいや わては現役離れた「元」ヒーローでっせ

レッドはんに勝ったようなお人と戦えまっかいな~

今のわてはこういった屋台やリングの組立が本業や

よく大阪のプロレス団体のレスラーと間違われるんやけどな】

 

〈まあまあハドラーさん かつてイエローデビルといわれた

イエローさんの現役時代の闘い方は 凶器の使い方とか

ちびっこには刺激が強すぎますからこういったお祭にはちょっと・・・〉

 

「そうか ところで屋台の戦況はどうだ」

 

〈思ったより料理が好評で 今材料が切れちゃって

買出しが帰ってくるまでちょっと洗いものにかかりきりで

屋台の方はちょっとお休み中です〉

 

【あっ ヴァンプさん!】

 

〈あ~ 赤井さん!?〉

 

「? 知らん顔だな」

 

『え!?レッドさんではないのですか?』

 

いや天体戦士サンレッドではない たしかに赤いが・・・

 

〈赤井さんは隣町に住んでる方で

たまにスーパーでお会いするんですよ

レッドさんのようにヒーロー協会に

属しているヒーローではないそうですよ〉

 

【これは どうもはじめまして

ヴァンプさんとはタイムセールで何度か

争ったことがあります】

 

【へ~ わてがおらんようになってから

そんな戦場があったんやな~

レッドはんよりよっぽどヒーローっぽく見えまっせ】

 

【ヴァンプさんからは

お漬物のご指南いただいたこともありますよ

今日は宇宙超人委員会からこのお祭に

お誘いいただきまして 折角なので

お祭り中はチケットで色々買えるのは面白いですね

イベントに参加するだけでもらえますし】

 

「ほう どのようなものに参加した?」

 

こやつ かなりの力を秘めているようだが・・・

 

【私は炊き出しの調理に参加して

青木さんが大食い大会に参加しました

迷子を保護したときにもチケットをもらいましたね】

 

・・・ああ そういう方向性か

 

『あなたが預かっているチケットを

ストロングマンさん達にいくつか渡しておけば

よかったですね』

 

あいつらはファイトマネーがあるからいいだろうが

オレとしては持て余したこのチケットの束を

押し付ける先を探す必要があるか

 

『いっぱいありますけど 一応主催者側ですからね

下手に扱うわけにはいかないのが難しいです』

 

〔ヴァンプ様! 買ってきました!!〕

 

ヴァンプ将軍の手の者が帰ってきたか

 

〈あー、ご苦労様ヴァイヤー君   

ふんふふんふん~・・・

ハ!? ヴァイヤー君!ウチでソースっていったら

ウスターじゃなくて 中濃ソースでしょ!〉

 

【あ~ヴァンプはん 大阪にはあんま中濃ソースは

出回っとらんのや しかも色んなソース工場があって

川崎とはソースの品揃えが全然ちがうんや】

 

〈へー そうなんですか

ごめんね そしてありがとうヴァイヤー君

やっぱり川崎と大阪じゃ 売ってるものが違うのか

私も後で行ってみないとね

あっ そうだせっかくなのでこのウスターソースで

さっと一品つくるので味見してもらえませんか?

お代はいりませんから みなさんどうぞ

ヴァイヤー君 洗い物 お願いしてもいいかな?〉

 

〔お任せください ヴァンプ様!〕

 

「ほう 味見ならジゼルが適任だったが・・・

ヴァンプ将軍の実力 再び味わうのも一興か」

 

ヴァンプ将軍の手早い調理は参考になる

 

【お~~相変わらずの手際でんな~】

 

【屋台の設備でささっと色々作れるのもすごいですね】

 

〈いえいえ電子レンジが使えますから本当に助かってます

それにつくるのは簡単なものばっかりですから〉

 

   チーン

 

〈最後にウスターソースをさっと一振りして

はい できあがり~〉

 

「ほう もうできたか」

 

【これは 食卓に一品加えるのによさそうですね

ヴァンプさんどうしてこんな料理を思いつくんですか?】

 

〈だって私 一日の殆ど料理のことばっかり考えてるから

材料はヴァイヤー君に買ってきてもらったものだけど

お好みでアレンジを加えるのもいいですよ

とってもヘルシーでご家庭でもオススメです〉

 

【いや~~ うまいです~ ヴァンプはん~

おっと お客はんも集まってきてまっせ】

 

〈あら大変!?〉

 

【ヴァンプさん 私もお手伝いします!

エプロンは持参してますから】

 

「なぜある」

 

『あなたも持ってますよね』

 

【あ!ほなわてはコンロと鍋の追加を手配しまっせ

なにわのきむたく 本業で協力や さっきのお礼に】

 

〈うわ~ 助かります~〉

 

「オレはこの後も巡回があるから手を貸せんが

これを使え 適当に山分けする程度はある」

 

オレはチケットを1束渡し屋台の前をあけた

 

  \\あ!屋台にヒーローがいる!//

 

【〈え!?どこどこ?〉】

 

 \\\\ここや!!!////

 

【お客はんからの総ツッコミ おいしいですな

ヴァンプはんに赤井はん~】

 

・・・次に行くか

 

『そうですね』




ドカベン終了が寂しいウジョーです。
あぶさんがでなかったのは残念でしたが はじまりの三人の回想には
(このときリアルタイムでは私は生まれてすらいませんが)
色々とこみあげてくるものが・・・

タグが飽和状態で書けませんでしたが
今回登場の赤井さんは「居候の赤井さん」の主人公
主婦力MAX見た目は戦隊レッドな台所の守護神です
単行本2巻で終わってるのは惜しい面白さでした

早い梅雨明けに猛暑かと思ったところに記録的な長雨と
なんとも厳しい天候 お疲れの出ませんように


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超人一等祭 五本目 ここだけの感動と興奮

さて 別の地区も見て回るか

京都はルーラで行けるが兵庫はまだ行った事がない

トベルーラで飛んでいってもよいがどうせなら・・・

 

「・・・ムッ」

 

随分と見知った顔がいた

 

゜・・・これは主催者殿・・・

ずいぶんとヒマそうで・・・

わざわざおいでになるとは・・・何用だ?゜

 

「・・・巡回というところだ ヒュンケル

兵庫地区への移動ついでに電車とやらに

乗っておこうと思ってな・・・」

 

゜ジゼルはどうしたハドラー まさか・・・

迷子になったのを放っておいたのではあるまいな!゜

 

「やつはストロングマンたちに預けてきた

ジゼルがあやつらのリングでの戦いに随分と魅せられてな・・・」

 

゜なんだとっ!!?

クッ!

こんなことならオレもリング担当にするべきだったか!?゜

 

こいつはたしか見世物のように戦えるほど器用ではないと

裏方に回ったと聞いていたが・・・

 

『ジゼルにいいところを見せたくなったのですね

その気持ちはよくわかります!』

 

゜・・・あいにくとこの電車は人間や飛行が苦手な者

土地勘のない者達が利用するための物だ

既に満席 わざわざおまえの為の席は用意できん

上・・・ならば乗ってもいいが゜

 

「・・・いいだろう」

 

電車・・・

オレたちの世界で使うトロッコに近いが

規模がかなりでかい

かなりの数の人間が乗っていた箱の上にオレは乗り込んだ

そこには1人だけ先客がいた

 

【ヘイ!ハドラー!

ここに座りな いい眺めだ】

 

ギクッ!

 

「・・・ア・・・テリーマンか」

 

この祭の準備に早くから参加している超人界の重鎮であり

サンシャインたちの宿敵である正義超人(レジェンド)のテリーマンがいた

 

【たまにヒュンケルも同じような顔をしているな

そんなにオレの声はユー達の知り合いに似ているのかい?】

 

「・・・そうだな 腐れ縁だが

一応この祭にも誘ったが・・・

奥方に にらまれて来れなかった男だ」

 

【ヒュ~~ッ そんなところもオレといっしょか!

会ってみたかったな その男に】

 

゜・・・テリーマン先生 この仕事が終わったら

オレにスピニング・トゥーホールドのかけ方を

教えてくれないか?゜

 

【オーケー ボーイ!リングに興味が湧いたかい

ユーなら、マイサン キッドのいいライバルになれそうだ】

 

たしかこの男の息子も超人レスラーだが今は旅立って

不在と聞いている

 

『息子さんが無事帰ってくることを信じているのですね』

 

――超人特急甲子園行き 間もなく発車いたします

危険ですから白線の内側までお下がりください――

 

【さあ時間だ ヒュンケル 頼んだぜ】

 

゜・・・ああ

ぬうううううううっ!!!

うおおおおおおおおおーーーーーーッ!!!゜

 

    ゴオオ

 

ヒュンケルが電車を手で押し滑走させた

 

「なかなかのスピードだな

やつの力ならこの程度はこなせるか」

 

【ハドラー わかっている筈だが

オレたちの役目は 線路上に何かあった場合の対応だ

いざというときは力づくで電車を止めることもある】

 

「無論その程度問題ないが・・・

現役を退いたとはいえおまえは超人界の重鎮なのだろう?

ずいぶんと地味な役割だな」

 

【この役割の必要性を言い出したのはそもそもオレだ

それに事故を未然に防ぐのは大事なことだ

この大阪は本来息子テリー・ザ・キッドが防衛を任され

愛する妻ナツコの故郷でもある大事な土地だ

キッドが留守の間はオレが最善を尽くすまでさ】

 

・・・この男 明らかに全盛期を過ぎた体のはずだが

とてつもない闘気を秘めている

 

『そんなところもアバンに似ていますか?』

 

一度は闘ってみたいものだ

 

   ゴオオオ

 

『せっかく面白い移動手段を使ってもジゼルがいなくては』

 

まあジゼルは一々いい反応をするからな

張り合いが違うのは確かだが

おまえはいい加減子離れをしろ

 

【この川を越えれば間もなく到着さ

スピードも落ちてきた いい力加減だ

前日まで特訓した成果だな

彼ならレスラーとしても教え甲斐がありそうだ】

 

「オレはやつを赤子の頃から知っているが

元々はたしかに普通の人間のはずだった・・・

やはりオレの息子がやつを拾い育てたのが

人間離れの切欠か・・・」

 

【たとえ人間の体でも 不屈の魂があれば

超人以上の力を発揮することがある

オレの最初の弟子・・・

ジェロニモがオレ達に教えてくれたことだ】

 

「サンシャインが言っていた元人間の勇者か

・・・ム 線路の先にだれかいる

あれは クロコダイン!」

 

【もうついたか お客さん!!

椅子にしっかり座って手すりにつかまり

ブレーキに備えるんだ!】

 

   ガシィ

 

〈・・・ようこそ 悪魔の棲む聖地 甲子園球場へ〉

 

【ナイスキャッチだったクロコダイン

ほとんどショックのないユーの強さと優しさ溢れる

やさしいブレーキだ】

 

〈それは光栄だ テリーマン殿

だが・・・ ここにはオレ以上の力自慢がいる

ハドラー殿も 退屈はするまい〉

 

「それは楽しみだ

純粋な力では魔王軍軍団長最強であった

獣王が認めるほどの豪傑か」

 

かつてオレが地底魔城でこしらえた闘技場に

つくりが近いが・・・

 

  \\\\ワー!!!ワー!!!////

 

この歓声 ・・・万単位の数の熱狂か

そしてこの甲子園球場とよばれたこの建物の禍々しさ・・・

 

『神々しさも感じますよ』

 

いったいどれほどの恐怖や絶望

歓喜と希望を生み育ててきたのか・・・

 

『お祭は大盛況のようですね』

 

「では いってくるか 腕が鳴る」

 

  ボキボキボキ

 

オレが客席に入ったところでちょうど何かイベントが

はじまるところだったようだ

球場の中心でマイクを持った男女の二人組みが

この会場を仕切っているようだ

あの巨漢の男 どうやら牛の獣人のようだが

見た目以上にとてつもない力を持っている

 

「あれがクロコダインの言っていた男か」

 

やはりその体は全盛期を越えているのだろうが・・・

百戦錬磨と苛烈な修業を経験し

千を超える傷と神をも越える力を秘めている・・・

 

『あなたより強いのですか?』

 

・・・・・・

 

【これより!!

ホームランダービー 2分間シングルマッチをおこなう

球数は無制限 ホームラン数のみを競う

主審はこのオレ

正義超人(レジェンド) 現ヘラクレスファクトリー教官

バッファローマン!

レフトポール線審は元ノーリスペクト

ボーン・コールド!!

ライトポール線審はボーンの父 怪人

キン骨マンだ!】

 

  \\\\ワー!!!ワー!!!////

 

【そして麗しのウグイス嬢は

元東京女子プロレス猛牛軍リーダー 筋肉参謀

バッファロー北村!!】

 

〔麗しのなんてはじめて言われたよ

しかもあのバッファローマンに なんだか照れくさいね・・・

ふふ これも筋肉の巡り合わせってやつかね

じゃあ早速打席に入ってもらうよ!!

スーパースターズ 1番 サード 岩鬼 正美!!

背番号5!!〕

 

〔ぬおおおおーーーー!!

世界のスーパースター男・岩鬼に自己紹介は不要やろ!!〕

 

 \\\\ワー!!!ワー!!!////

 

木の棒を10本ほど振り回しながらハッパをくわえた大男が入場してきた

 

『またいかにも力がありそうな人?が入ってきましたね』

 

ああいった規格外の人間は稀にいる

大抵は化け物扱いされるが 大した人気ではないか

 

〔さあ このホームランダービーで強打者二人に

対しますピッチャーは・・・

野球界のレジェンド 永遠の18番 岩田 鉄五郎!!!〕

 

 ドドオ ドオ ドオ

 

 \\\\\ワー!!!ワー!!!/////

 

一際でかい地鳴りのような声援がおきた

どうみても人間のおいぼれだがその名前におぼえがある

 

『たしか大虎で・・・』

 

ああいった古強者は手強い

マトリフ ブロキーナ・・・

やつらを彷彿とさせる歴戦の風格がある

 

〔わしの球は中学生でも打つで!!

打てなきゃユニフォームを脱げえ!!!〕

 

〔やったろうやないか!!!

わいが全球 場外へほうりこんだる!!!〕

 

【プレイボール!!!】

 

〔にょほほほほほほ!!!〕

 

独特なおたけびをあげる あのおいぼれ

だが投げた球に込められた強烈な闘気

やはりただものではない

 

『ものすごく遅い球に見えますが・・・

あれ蝿が止まっていませんか?』

 

だがあの岩鬼とやらはあきらかに体勢を崩した

あれではまともな反撃は・・・

 

〔喝!〕

 

 グワラグワララグアグワグワキーーーン!!

 

!?

すさまじい打球音とともに崩れた体勢のまま

棒で打ち返した球がこの球場の外へ飛んでいった

 

【ホームラン!!!】

 

その後も激しい攻防は続いた

空振りした勢いで投げた棒が中央にそびえる得点板に直撃し

観客席に入った打球に観客が群がり

 

 グワラグワキィーーーーン!!

 

〈ムヒョヒョ~~~!!?〉

 

 バーーーーン!!!!

 

キン骨マンに打球が直撃し体がバラバラになった

 

『あれ大丈夫なんですか!?』

 

みたところ骸骨系の怪人 コナゴナに砕けなければ問題なかろう

見ろ 逆方向にいる息子のボーン・コールドが大爆笑しているぞ

その一球、一打に球場が大いに沸いた

わずか2分の闘いだったがオレも手に汗を握る激しいものだった

 

『あなたが実際握ってるのビールですよね』

 

いつのまにか つい買っていたがそれはどうでもいい

 

〔にょほほほほほほほほほ ほ!!!〕

 

速い!!

時間的に最後の1球だろうが これまでで一番速い

 

〔ぬおおおおおおおおおーーーー!!!!〕

 

 グワラグワガキィーーーーーーン!!!

 

打球はバラバラになっているキン骨マンの真上

高くのびた棒の近くへ大きく曲がっていった

 

〈ファーーーーーーールだわさ!!〉

 

『頭だけでよくあんな大きな声が出せますね』

 

シャレコウベだけのモンスターもいるからな

 

〔岩田はん 今の1球 わいの完敗や

このとおりバット折られて球に押されてファール

ユニフォーム脱いで本気で引退考えるで〕

 

〔なにをぬかすかこわっぱが!!

折れたバットであれだけ飛ばした化けモンが

引退口にするのは50年早いわ!!〕

 

あのおいぼれ、岩田鉄五郎はそれ以上の化け物だがな

 

『やっぱり人間ってすごいですね』

 

 \\\ワー!! ワー!!!!///

 

〔今の岩鬼選手のホームラン数は10本

さあ 興奮冷めやらないうちにこの記録に挑むのは

バッター 景浦 安武! 背番号90!!!〕

 

〔きたーーー ムコどの~~~!!!!〕

 

〔いったれやあぶさん!!〕

 

〔あぶ~~~ 若造にもおいぼれにも負けんなー!!〕

 

『あ あちらの客席に大虎のみなさんが』

 

「あやつら大阪会場で見ないと思ったらここにいたのか」

 

あの男 年の頃なら岩田と岩鬼のちょうどあいだぐらいか

岩鬼ほどの大男ではないが無駄の無い筋肉と

長い棒を持ち静かに会場入りしてきた

 

「む?」

 

    グイ

 

何かをとりだし口にしていた あれは酒か?

 

  ブフォオ;`;:゙;` ;`;:゙;`

 

!?酒しぶきの奥からすさまじい眼光が見えた

あの鷹のような目と闘気 なるほど・・・面白くなりそうだ

 

『大虎のみなさんからあれほど信望されてましたから』

 

〔あぶ・・・ おまえには絶対に打たせん

わしがおまえをプロにスカウトしたが

この年寄りが投げよるのに 引退しおってからに

あぶ~~!!

わしに負けたら わしのチームにきてもらうで!!

しかもコーチや助監督なんぞで楽はさせん!

四番レフトでこきつかったる!!〕

 

〔・・・・・・〕

 

〔にょほほほほほほほほほ〕

 

 ビュシュ   ククク

 

球が落ちた!?まだあんな球が投げれたのか

 

 カキーーーーン

 

!!

 

一閃 あの男が持っていた木の棒が

まるで伝説の名剣のような切れ味を見せた

岩鬼のようなどんな体勢からでも豪腕で振りぬくような打ち方ではない

磐石の体勢から長い棒で的確に球を捉えた鋭い打球が

左翼の客席に突き刺さった

 

【ホームラン!!】

 

 \\\ワー!! ワー!! ワー!!!!///

 

『とんでもない騒ぎですね

お客さんもこれだけ巻き込むほどの魅力が

彼らの勝負にはあるのですか?』

 

 カシィ!!  カキーーーーン! ビシュ!!

 

〔ラスト一球! これでしまいじゃ あぶ!!

トシなんざ関係あるかい!野球は魂でやるもんだ!!

にょほほほほほほほほほほほ ほ!!!〕

 

〔!!〕

 

オレはすっかりこの師弟対決に見入っていた

・・・ジゼルにもこれは直接見せてやるべきだったか

 

『ふふっ あなたの心にも・・・

ジゼルは切り離せないようですね』




キン肉マンビッグボディの活躍がたまらないウジョーです。
メイプルリーフクラッチかっこよすぎる!
これはまたなにか書かねばおさまらないところですが
とりあえず8月発売のファイプロ最新作でエディット作成せねば・・・

連日の猛暑で気が遠くなりそうですが
しっかり食べて寝て夏を乗り越えましょう
無理せずお疲れのでませんように


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超人一等祭 六本目 またいだ世界 はたらくものたち

兵庫地区の巡回を終え甲子園をあとにする際に

イベントの準備や片付けを手伝った礼として

バッファローマンから牛肉をうけとった

 

『あの御仁 どうみても牛の化身に見えたのですが

お土産に牛肉とは よいのでしょうか?

まさかあの御仁の体の一部とかではないでしょうね』

 

地元の名物の牛肉と言っていただろうが 余計な心配をするな

しかし ここには最初から力自慢が揃っていたから

オレの力はさほど必要なかったが

それよりもオレはあのリサイクル(再生)・ゾーンをくぐって

超人の体内を探検するイベントが気になったな

 

『たしかに 大型スクリーンで外からも見れましたが

バッファローマンさんとスプリングマンさんでは

外見もそうでしたが明らかに体内の様子も違いましたし

探検しているのを見るだけでも単純に面白かったですよね』

 

一口に超人といっても色々な輩がいたものだな

牛とバネの化身超人 内臓や免疫組織のはたらきの違いも興味深い

映像を見た限り ダンジョン探索のようなものだった

どうせならジゼルがいるときに体験したいものだ

・・・さて もう夕方か 後は適当に京都地区を回り

明日に備えるとするか

 

『もう明日はお祭の最終日ですか・・・

ジゼル達が楽しめていればよいのですが』

 

とりあえず他のやつらの店の様子を見るか

リリルーラ(合流呪文)

 

      フッ

 

〔いらっしゃいませ カフェおむすび京都出張店へようこそ

ハドラーさん 聖母竜さん〕

 

「ご苦労 調子はどうだ」

 

〔ええ 思ったよりも順調です

あちらの世界の食材でできた 焼きおむすびは

この日本のお客様にも受け入れられましたし

なによりハドラーさんが手配してくださった助っ人

ダイくんたちのおかげで本当に助かってます〕

 

「ほう」

 

『そこのところを詳しく』

 

〔ダイくんはだれとでも仲良くなれるので

異世界からの店というハードルを下げてくれて

どんどんお客様をよびこんでくれます

ポップくんはすごく器用で魔道具も

すぐに使いこなして調理もできるし

武器屋の息子さんとして店番の経験もあるらしくて

接客も難なくこなします

マァムさんも調理が丁寧ですし 回復呪文で転んだ

お子様をすぐに手当てしてくださったり

綺麗な女性なのにすごい力持ちで助けてくれます

もし 私だけだったらと思うと・・・〕

 

『さすがダイですね 異世界でも活躍できるとは』

 

'お さすがのゴリラパワー

おまえのバカ(ぢから)は異世界でも通用するみたいだぜマァム'

 

“なっ・・・!

なんですってぇっ・・・!!?”

 

     ガッ

       ミシッ

 

店内で軽口をたたくポップにマァムのヒジうちがめりこんだ

 

「オレとしては こやつらは祭のにぎやかしとして

連れて来たつもりだったが・・・」

 

'いってて・・・

あ~ みずくさいこと いいっこなしだぜハドラー

今更おれたちをガキあつかいすんなよ なあダイ'

 

《そうそう これはこれでたのしいんだ

おれこんなことはじめてだし!

レオナやアバン先生も来れたらよかったのに》

 

“しかたないわよ 今のレオナや先生は・・・

パプニカもカールも ここより忙しい状態だから

ちょっとポップ こっちに火をちょうだい!”

 

「ふん 若僧どもめ・・・

黒川 おまえの仲間たちは本当によばなくてもいいのか?

この世界の神にもあの世界の女神にも神々の掟にも

気をつかう必要はない おまえは・・・」

 

〔いえ ハドラーさん

ジークくんたちには私のお店「カフェ・おむすび」を

あちらのお客様のために開けておいてもらわないと

私が帰りづらくなってしまいますから〕

 

『また あの世界に行くのですか?

こちらの世界にあなたの家族がいるのでしょう?』

 

〔ええ すでに家族と連絡はとりました

女神様たちが既に手を回していただいたおかげで

私がいない間も特に混乱も心配もなかったようですけど

この世界で就いていた仕事もどうやったのか

なくなってましたし・・・

私がいなくても回っているこの世界にいると・・・

無性に あっちに帰りたくなったといいますか〕

 

「神々もずいぶんと罪なことをしたものだ」

 

『ええ 流石に今回の理沙嬢の件に関するあやまちは

それを知った私の主神や超人の神たちの尽力で

多少歩み寄ることができしたが

肝心の理沙嬢の帰郷にこれほど時間がかかったのも

また神々の不手際です 本当にごめんなさい・・・』

 

〔いえ!聖母竜さんが気にすることなんてありませんよ

それにバジルちゃんには ついてきてもらってますから〕

 

‘はい!マスターのお手伝いのために

女神様に直接おねがいして ついてきました!!

みんなのぶんもがんばります!’

 

〔ありがとう バジルちゃん

今日はダイくんたちとこのお店をがんばって

明日は本場の京菓子を食べ歩きしながらお祭を楽しんで・・・

ここで稼いだお金で一度 実家に帰ります〕

 

「ああ 祭期間中の労働に対する報酬はオレが保障しよう

無論こちらの金でな」

 

『直接支払うのは超人委員会ですがね』

 

〔そしてその後は・・・ またあの世界に帰ります

日本のOLの黒川理沙ではなく

フェリフォミア王国 カフェ・おむすび店長の

リサ・クロカワ・クロードとして!

ハドラーさん世界を渡る時は送迎をお願いできますか?〕

 

「よかろう まかせておけ

ダイ、ポップ、マァム

おまえたちも今日一日は協力を頼みたい

その分 明日は好きにするがいい」

 

《よし! それじゃあ がんばろうみんな!》

 

'おうよ! へへっ

武器屋の息子に生まれて・・・

あんだけ嫌だった家業の経験がまさか

こんなところで役に立つなんてな'

 

“あらポップ おうちを継ぐ気になったの?”

 

'ん~・・・

昔だったら絶対にゴメンだ!って言ってたが・・・

マァムがヨメに来てくれるなら考えるかな'

 

“あまえたこと言ってんじゃないの!”

 

   バチーーーン

 

'かぁ~ いてて・・・・'

 

『懲りない子ですね』

 

「横っ面に会心の一撃だな」

 

《あ~あ・・・》

 

〔ポップくん いまのって・・・〕

 

「言ってやるな 黒川」

 

〔えーと・・・

そういえば今更言うのもどうかと思いますが

異世界の材料をいきなり使っても大丈夫なんですか?

検疫とか色々・・・〕

 

「超人委員会のチェックは受けたのだろう ならば問題はない

あそこは全宇宙を又にかけた活動をしている長い歴史がある

そのあたりのノウハウは任せておけばいい」

 

〔なるほど 国境よりもはるかに大きいスケールですね

あ、そうそう ジゼルちゃんがさっき来ましたよ

お友達のご家族といっしょだったみたいで〕

 

‘まだ近くにいると思いますよ

ここでも食べてたけど まだまだ食べるって言ってた’

 

「そうか では精々がんばるがいい む?」

 

[ハドラーさまーー♡]

 

『言ったそばから飛んできましたねジゼル』




間近に迫った人生初の手術にビビッているウジョーです
ただ親知らずを抜くだけのつもりだったのにレントゲンとったら
大学病院じゃないと難しいとか言われて さらに夏休み時期なので
予約入れても1月近く待つ上に2回もやるとか 余計に恐さがつのってきますよ・・・
正直今は別に痛くないのですが・・・ 私に勇気をわけてほしい

そんなわけで いつもより近いうちにまた続きを更新予定です


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超人一等祭 七本目 電光石火 御面頂戴

[ジゼルダーイブ♡]

 

    ば!!

 

'お ひらりとかわした'

 

〔あまりお店の前で騒いでほしくないんだけど〕

 

[トベルーラ!!]

 

   ビュン!!

 

「むん!」

 

『ジゼルをうけとめてあげてくださいよ』

 

いや こやつ いつもと違うぞ

オレの胸ではなく 頭をねらって飛んできた

 

[えい!]

 

  パシュ

 

「ふん!」

 

ジゼルがとばしてきた玉状のものを

つかんでみたが

 

    パシュン!!

 

たやすく割れた 水風船かこれは?

とびちる水しぶきに目をつぶったが

 

[いただきます!]

 

「あまいわ!

その程度の動き 目をつぶってもかわせるわ!」

 

         ブン!  

 

なんだかわからんがジゼルがオレの首を狙うとは

・・・面白くなってきた!

 

  ヒュンヒュン!!

 

“本当に目をつぶったままかわしてる

あれって難しいのよね・・・”

 

'ってことは さすが武闘家 おまえもできんのね

おっかねえなあ・・・'

 

《ジゼルまだ手に何か持ってるね》

 

“お面・・・かしら?”

 

『ジゼルはどういうつもりでしょうか?

あの手にもっている仮面のようなものを

あなたにかぶせようとしているみたいですが』

 

ふむ・・・

たとえば 「般若の面」というものがあるが

体を強力な呪いで守備するかわりに 理性を失わせる道具だ

あの面からは何らかの力を感じる

オレにかぶせることで何かしらの効果を見込んでのことか?

 

[う~~ん やっぱりハドラーさまには届かない・・・]

 

    バチ!!

 

[あっ!?]

 

〔あら?

屋台のライトが消えちゃった

あ 発電機が止まってる〕

 

《あ!あれ!!ジゼルのスピードがあがってる》

 

 ギュンギュン ギューーーーン!!!

 

たしかに 電気をとりこみスピードは上がったが

この程度なら・・・

 

〔〔〔ペンチ・クロー!!〕〕〕

 

〔〔〔次鋒レオパルドンいきます!!〕〕〕

 

〔〔〔ゴアアアアア!!!〕〕〕

 

〔〔〔今だ兄貴!!!!〕〕〕

 

  ガシィ!   ガチィ!

 ガッ!!     ガシィ!!

 

「なにぃ!!?」

 

いきなりあらわれた超人たちに両手両足を押さえられた

こやつらはストロングマン一家の!?

 

〔〔強力スロー!!!!!〕〕

 

  ブオン!!!

 

[ジゼルダイブスペシャル!!!]

 

「くっ!?」

 

ストロングマンに投げられたジゼルが

凄まじいスピードでオレの顔面をめがけて飛んできた

これは避けきれん!

 

「いけ 蜘蛛の糸!!」

 

オレの左手からのびた蜘蛛の糸がジゼルを絡めとった

 

「まったく大したやつだ

数人がかりとはいえ オレに奥の手をださせるとは」

 

『ヘルズ・チェーンと違って

これなら殺傷力0ですからジゼルも大丈夫ですね

あのときの聖人おふたりに感謝です』

 

〔〔強力スロー!!!!!〕〕

 

  ブワン

 

〔メアリィキィイーーック!!〕

 

「なにぃ!?」

 

   ズゴア!!!

 

オレの顔面にメアリのドロップキックが刺さった

くっ こちらが本命か?!

強力超人4人が力づくで体捌きを封じ

ストロングマンを発射台にしたジゼルの突撃で注意を引き

見事オレに会心の一撃をあびせた

 

「だが!!」

 

   グアッ

 

〔うわあ!?〕

 

「なかなかいい鍛え方をしている!

小兵の人間とは思えん一撃だったが!」

 

首の力だけでメアリの蹴りを跳ね返した

!?

 

「しまった!!

今の隙にジゼルが蜘蛛の糸から脱出していた!」

 

    フッ

 

[ジゼルダイブ・改!!]

 

いきなりジゼルがオレの胸元にあらわれた

オレの体はまだ動かせない!

 

「ヘルズ・チェーン!!」

 

右手から伸ばした鎖が・・・

 

『いけませんっ!!』

 

    スパン

 

ジゼルのもっていた仮面を切り裂いた

 

[ああ!!?そんな!?]

 

〔〔そこまでだ!!〕〕

 

ストロングマンのさらに後からストップがかかった

そこにいたのは二人の超人

 

〔〔グロロー ハンゾウ 気持ちのいい勝負だったが

こういう場合はどうなるんだ?〕〕

 

〔〔トートトト 流石にここまでムキになる者がいるとは

想定外だったが・・・ お面が割れては失敗扱いだ〕〕

 

「どういうことだ?」

 

〔〔オレは元ノーリスペクト#2鬼畜超人ハンゾウ

この祭ではこの京都地区で 趣味を活かし

お面と折り紙の販売を行っている〕〕

 

〔さっきフォークの紹介で ハンゾウのとこで

ボクたちお面を買ったんだけど・・・〕

 

[その時に家族向けのゲームに誘われました

ゲームの内容を明かさずに家族の顔に買ったお面を

かぶせたら もう一つおそろいのお面をプレゼント

というものでした]

 

〔〔名付けて・・・御面頂戴!

トーーットトト!!〕〕

 

「ああ それでオレの顔を狙っていたのか

その仮面をかぶせることだけが目的だったと」

 

〔ボクのパパ(ストロングマン)は肩車を頼んだら

あっさりひっかかってくれたけど

ジゼルのパパは簡単にはいかないだろうと思って

いざとなったらみんなで協力しようってことになったんだ〕

 

「オレは子供相手に全力を惜しまん男だ!」

 

'大人げねえな・・・'

 

「おまえが言うか ポップよ

オレは オレの10分の1も生きていないおまえたちに

散々負けた上に 何度も死んだ男だぞ」

 

“まあまあ お互いケガもなく終わってよかったわ

ジゼルは残念だったけど またがんばろうね”

 

『ところであのハンゾウがつけているのが

例の般若の面、でしょうか』

 

たしかに見た目はそのとおりだが・・・

やつの仮面の奥からは多くの修羅場を経験しながらも

他者への敬意 不屈の魂を秘めている

般若の呪いにとりつかれた者ではありえんことだ

さて・・・

オレがまっぷたつに割った仮面を拾ってみた

 

「これは 緑色の魔族の顔か」

 

『あなたにまけないくらい 凶悪そうな顔ですね』

 

〔〔そいつは「違う世界の大魔王」の面だ〕〕

 

「ホウ それは他人とは思えんな

しかも不思議な力を感じる・・・」

 

〔〔トートトト、違いのわかる男だ

それも含め ひとつひとつがオレの手製

オレの超人パワーがうつったのだろう〕〕

 

一応 顔の右半分となった面を装備してみた

 

〔あ そうだハドラーさん!

その状態で魔王らしいことを なにか一言!!〕

 

「きさまの息の根をとめてやる!」

 

    \\おお~~!//

 

[ハドラーさま~ おそろい おそろい]

 

左半分となった面を装備したジゼルがはしゃいでいる

 

'おいハドラー

こんな店先で魔王の威厳とかだすなよ

お客さんが逃げちまうぜ'

 

「そうか では晩飯でも食いに行くか

ストロングマンたちもどうだ?

この京都にオレがサンシャインと出会った居酒屋がある」

 

〔よし!行こう!〕

 

《またね ハドラーじいちゃん!

聖母竜ばあちゃん!!》

 

『ええ また!』

 

〔〔まてジゼル ゲームの努力賞だ〕〕

 

 サ  サ   サ

 

“この店のチラシを一枚使って

何かの形に折り始めたわ”

 

〔〔ハンゾウ流 極意 雅! 風船玉ーーーっ!〕〕

 

   プオーーーーッ

 

〔〔もっていけ〕〕

 

[ありがとう!

見て見て ハドラーさまー!]

 

「ああ・・・見事な紙風船だ

では ここは任せたぞ黒川、

そして アバンの使徒どもよ」

 

異世界を越えた店主の屋台を後にし

オレたちが向かうのは・・・

異世界につながる店 居酒屋「のぶ」

 

 

 

 

  ジゼルは帯電体質をおぼえた




残暑お見舞い申し上げます
手術を明後日に 日付が変わったらもう明日になってしまうウジョーです
ついつい小説を書いたりしていましたが 現実からは逃げられません

まだまだ暑い日がつづきますがお疲れのでませんように


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超人一等祭 八本目 思いがけない訪問者たち

〔いらっしゃいませ!〕

 

〔・・・・・・らっしゃい〕

 

まだ夕食には早い時間なのか

店内はまだ空いている席がかなりある

 

「ああ 席はある 入れ」

 

〔〔本当にオレたちまでいいのか?〕〕

 

「かまわん この店は超人一等祭と提携しているから

チケット払いが可能だ どうせ使い道はこれぐらいだ

ここの払いはオレに任せておけ」

 

オレとジゼルはカウンター席に座り

メアリと強力組は近くのテーブル席に座った

ジゼルとメアリ以外はでかい体ばかりで店が狭く感じるが・・・

 

『あなたも含めてですよ』

 

〔こちらオトーシです〕

 

「ご苦労 ・・・エーファとヘルミーナだったか」

 

〔はい! あの・・・

お隣の女の子がハドラーさんの娘さんですか?〕

 

「そうだ こいつがオレの娘だ」

 

[ハドラーさまの補佐竜ジゼルです]

 

〔ホサリュウ?〕

 

「オレの部下でもある ということだ

他のやつらはジゼルの友とその家族である

祭のゲストと裏方達だ」

 

〔わかりました それではお客さま、

お料理は如何致しましょう?〕

 

「祭でこの牛肉の塊をうけとってな・・・」

 

    ドン!!

 

「大将 丸ごとやろう

これを使っていくつか料理をしてみせろ」

 

〔少々時間がかかりますが〕

 

〔わーー♡  おおっきいですね〕

 

この男の料理の腕・・・

オレの知る中ではもっとも盗みがいがある

 

「構わん 適当に飲みながらみせてもらおう

おまえたちも適当に注文しろ」

 

    \\オ~~!//

 

〔なにか 食べてみたい料理とかありますか?〕

 

「・・・ああ!

以前サンシャインから聞いたことがある

牛丼というものはできるか?

名前からして牛肉を使うようだが・・・」

 

〔はい できますよ

それでは牛丼と せっかく大きいので

ほかにも色々な料理にしてみましょう

皆さんにも召し上がってもらえるように〕

 

     スッ スッ

 

大将の包丁がでかい肉塊を薄く切り裂いていく

やはり見事な腕だ

もしオレの世界にいて戦士を目指していれば

一角の戦士としてオレと戦っていたかもしれん

 

『それほどですか』

 

「ジゼル おまえもよく見ておけ」

 

[はい ハドラーさま♡]

 

   ジュウウウ・・・・ クツクツクツ・・・

 

ほう 肉を焼くように煮るのか

店中に牛肉の香りが広がっていく

 

〔ああ いいにおい!

これはすごい牛丼ができそう〕

 

〔これがギュードン・・・

スキヤキに似てますね〕

 

〔・・・これは よいものです!〕

 

〔ぜったいおいしいやつだよね~!〕

 

〔〔これはたまらんにおいだ!!

こっちにとりあえず生6丁!

メアリは何を飲む?ジュースあるか?〕〕

 

〔ん~~ どうしよっか?〕

 

〔〔闘う男のメシっていえばやっぱ牛丼だな

あのキン肉ハウスでキン肉マンの大王就任祝いの

牛丼パーティーを思い出すぜ!〕〕

 

〔〔グオゴゴゴゴゴ!!〕〕

 

〔はい おまたせしました!生です!!〕

 

   ドドドドドドン

 

「よし 皆 今日はご苦労だった

明日は祭の最終日 一層奮起せよ!」

 

 \\\\乾杯(プロージット)!////

 

      カシャアン!!

 

    ガララ・・・

 

{おお~~いいにおいではないか!!

美味しそうじゃのう これは最高の牛丼のにおい!!

さすがサンちゃんのオススメ!!}

 

(大王様!ったく~~~・・・

こういうところは昔と全然変わってないんだから)

 

【グォフォフォフォ 親子2代・・・

どちらといても苦労が絶えんなミートよ】

 

「おお サンシャイン」

 

〔うわあ!キン肉マンとミート君だ!!

サインください!!!〕

 

   サッ

 

メアリが色紙とペンを持ってすっ飛んでいった

ほう・・・今共に入店してきたあの男が

サンシャイン達の宿敵・・・

キン肉マンか

 

『腰も曲がって筋肉もしぼんでますし見た目だけなら

この世界で見たどんな超人より弱そうですが・・・

老人の方ではなくあちらの少年の方でしょうか?』

 

見た目で判断するな 強いぞ・・・やつらは

 

〔しのぶちゃん ちょっと・・・

俺の分もサインもらってきてもらえるかな〕

 

〔大将もほしいんだ・・・〕

 

{おお~~よろこんで!!

こんな若い女の子にサインを求められるとは

ワシもまだまだ捨てたものじゃないの~}

 

  カキカキ

 

(え!? ボクのサインもいるんですか?)

 

〔もちろん!だって!!

あの圧倒的体格差のミキサー大帝へ決めた

ミート君の大逆転のバックドロップ!!

ボクはプロレスラーとして本当に憧れてるんだ!!〕

 

(なんか照れますね もう30年も前のことなのに

ボクは超人保存装置で若いままですが・・・)

 

『少年の方も強かったのですね・・・』

 

これは面白くなってきた




キン肉マンは祭の最終日にかっこよく登場させるつもりだったウジョーです
居酒屋のぶでは適当に飯を食べながら別行動だったジゼルから話を聞く・・・
という内容のはずでしたが

そういえば牛肉持ってた→折角だから大将に料理してもらおうか→シンプルに牛丼かな
→牛丼といえばキン肉マン→出すしかないというか勝手に出た

結局 本題に入る前にここで一区切り 続きはまたの機会に
親知らずを一本抜いて 手術の最中よりもその後の痛みの方が厄介で
いまだに空いている穴に入り込む飯粒が気になる今日この頃
まだもう一本を抜く手術もあるのか・・・

猛残暑に台風と中々気が休まりませんがお疲れのでませんように


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超人一等祭 九本目 ジゼルのお祭堪能記 1

〔お待たせしました 牛丼です〕

 

{おわ~~~ こらまたうんまそうな!!}

(あ!大王さま!ダメですよそのまま食べちゃ!!

胃潰瘍なんですから 柔らかくしたものでないと!

大体 ぼくたちはまだ注文してないでしょ!)

 

{ミートしゃん なんもそんなおかたいこと

言わなくたってええやねん}

 

(そうはいきません!

大王さまはもうキン肉星の大王なんですよ!

それにⅡ世が旅立っている今!

さらに責任重大なんですから!!)

 

{いや~~ すまんの~ミート~

やっぱりミートに怒鳴られると青春の日々がよみがえるのう~っ

しかし・・・ 牛丼ツユギリ特盛で食べたかったのう}

 

『おじいさんと孫にも見えますが・・・』

 

「あれもまた主従の形のひとつだ」

 

(すみません なにか牛肉をつかった消化にいいものを

お願いできますか?)

 

〔はい お任せください

ハドラーさん ヒレ肉を使わせてもらっても?〕

 

「好きに使え ジゼルよく見ておけ」

 

(ありがとうございます ごちそうになります!)

 

{いや~ スマンのう ワシらまでご相伴になって}

 

ミートとキン肉マンが礼を言ってくるが

 

「礼ならバッファローマンに言え

この牛肉はやつから渡されただけだ」

 

{バッファローマンからか あいつは今どうしとるんだ?}

 

【あいつは兵庫地区を任せている

東女出身のレスラー バッファロー北村を

ゲストに呼んでいたんだが・・・

お互いにファンだというから祭の案内も頼んだら

すっかり意気投合してコンビを結成したと聞いておる】

 

(そうなんですか)

 

{あいつは豪放磊落を売りにしとるくせに

1人ぼっちが大嫌いな淋しんぼうだからのう

いっそそのまま結婚してしまえばええのに・・・}

 

(バッファローマンさんって独身でしたっけ?)

 

キン肉マンたちの会話が弾んでいるがオレは

大将の手元から目を離さない

ヒレ肉・・・ 脂身の少ない部位をどう使うのか

 

{おお たのしみだの~

うちのカミさんはおかゆやミキサーにかけた牛丼くらいしか

食べさせてくれんのじゃ・・・

ミキサーにはちょっとトラウマがあるんじゃがのう}

 

(大王さまはもういくつか歯も抜けてらっしゃいますから

でも昔からあんまりよく噛んでなかったような?)

 

〔ふ~ん やっぱり牛丼は飲み物なのかな?

東女でも げんかつぎに牛丼を飲む っていうのが

流行ったことがあってね〕

 

(え できるんですか!? メアリさんも!?)

 

〔ボクには難しいけど・・・

ソニックさんとかKATONさんとかできる人はいるよ

そういう人たちと戦う前に その域に行こう!とか

飲み干してやろう!っていう げんかつぎなんだ〕

 

{おお~ それは粋だのう}

 

〔〔東京女子プロレスおそるべし・・・〕〕

 

[これを・・・飲む・・・・・・]

 

『ジゼルが牛丼を前に固まっていますね』

 

「大将を見ろと言ったのだが

やれやれ・・・ まあいいか 熱いうちに食え

ところでジゼルよ 祭はどうだった?

ストロングマンたちと回ったのだろう」

 

[ハイ! いただきます!

ハドラーさま♡

そうですね 色々ありましたけど・・・

一番すごかったのが京都の・・・]

 

ストロングマンやメアリたちも加わり

ジゼルの報告は興味深いものだった

 

・・・やはり話題の中心はリングだった

京都の会場のひとつ

メアリがどうしても見たい催し物があるということで

皆で向かったリング上では胴着を着た男による

魚の解体や 頭突きによる瓦割り

刀による居合い術といった演武が行われていた

 

"セガサターン、シロ!!!"

 

〔うわあ すごい!!あれがニッポンの武道家!〕

 

[武道家?武闘家じゃなくて?]

 

〔〔おお あの石頭 なんか他人の気がしないな〕〕

 

〔〔〔やっぱり頭をつかうといえば頭突きだよな〕〕〕

 

〔ああいうパフォーマンスって

プロレスでもたまにあるんだよね

ボクもやってみようかな

そうだ 後でサインもらえないかなあ・・・

って あっ!?あそこ!!!!〕

 

メアリの指さした先にいた人たちの会話を

声を聞きこえやすくする竜術で聞いてみると

 

〈なあ 光太郎 あの人って

本郷さんじゃないのか?〉

 

〈たしかに先輩に顔も声も似てるが・・・

ちょっとトシいってるし他人の空似じゃないか?〉

 

〈そういえばサグ市にも本郷さんそっくりの

刑事さんがいましたね〉

 

〈ふむ どうだろうか・・・〉

 

・・・

 

〔うわあ あのリングに近い席にいる人たちって・・・

もしかして本物?

ちょっと近づいて確認してみようかな

ジゼルも来る?サインもらえるかも

っていうか 絶対ほしい!!

あ パパたちはダメだよ 大きすぎて

こっそりできないから〕

 

[気配を散らす竜術もあるよ]

 

〔ナイスジゼル!よしレッツゴー!〕

 

・・・

 

〈それよりも あまり遊んでもいられないぞ

ぼくたちには・・・〉

 

"ッ!!

遊んでもいられない・・・・・・?

そこの君!もう一度言ってみろッ!"

 

〈ええっ!?

いや ぼくたちはゼウスとして

遊んでもいられないと・・・〉

 

"なげかわしいッ!

ヒーローの諸君が真面目に遊ばぬとは・・・!

子供たちの未来を!夢を守る君たちがそんなことでどうする!!

これは体で覚えさせるしかないようだ!

さあ!!リングに上がりたまえ!!"

 

〈へへっ そういうことならオレがいくぜ!〉

 

〈光太郎!?〉

 

1人の若者がリングに上がった

 

〈一応自己紹介しとこうか・・・

オレの名は南光太郎 ハンサムな好青年さ

名前を聞かせてくれませんかね?〉

 

"せがた・・・

己を愛し、己を信じ、己に勝つ

遊びの道を極め、頂点に達した男

それが俺だ

それが・・・せがた三四郎なのだ!"

 

〈へえ・・・さて いくぜ せがたさんよ!!〉

 

"トリャーーーー!!"

 

   ブン!    ドシン!!

 

〈ぐわ!!〉

 

〔うわ 背負い投げが決まった!!〕

 

〈光太郎さんがあっさりやられた!?〉

 

"光太郎君 君の力はそんなものではないだろう

真剣にかかってきたまえ そう命をかけて!!

その腰のベルトの誇りにかけて!!!"

 

〈これのことを知ってるとは

本当に本郷先輩なのか?〉

 

"その答えは、君たち自身が見つけるのだ"

 

〈へん・・・しん!!!〉

 

〔うわあああ!!本物だあ!!!!!〕

 

[・・・黒いバッタの怪人?]

 

〈愛と正義の戦士 仮面ライダーブラックとは

オレのことさ!!〉

 

〈光太郎さん!せがたさんが本郷さんなら・・・!〉

 

"それでいい いくぞ!!"

 

〈変身しないのかよ!?

だが手加減しないぜ ライダーパンチ!〉

 

〈でやあっ!!〉

 

     ガチィ!!

 

〈ザクを一撃で倒すライダーパンチを素手で止めた!?〉

 

"そおうりゃあ!!!"

 

〈ライダーキック!!〉

 

    ズガン!!!

 

空中でのとび蹴り同士の激突に会場が揺れた

 

〈うわあ!!?〉

 

〔うそ!?仮面ライダーがキックで負けた!?〕

 

[つよい!!]

 

   ズガアアァン!!!

 

〈光太郎さん!?

コーナーポストに衝突したけど、

よかった生きてる・・・〉

 

"さあ ダン君 アムロ君 ギリアム君

君たちもリングに上がりたまえ

真剣に遊ぶことを体で覚えてもらう!!"

 

〈まだ名乗ってないし名前も呼んでないのに

ぼくたちを知ってる?! やはり・・・〉

 

"セガサターンがつないだ絆

・・・せがた三四郎は、君たちの心にッ!"

 

〈言葉の意味はよくわからないがとにかくすごい自信だ

ならば 我々はこのリングで、真剣に!

バトルドッジボールを挑もう!!〉

 

怒馳暴流(ドッチボール)、いいだろう!!"

 

〈コール ゲシュペンスト!!〉

 

〔パワードスーツが一瞬で!?〕

 

[ドッジボールってなに?]

 

〈ぼくはあまり人前で変身したくはないんだが・・・

デュワッ!!〉

 

〔ウルトラセブンだ!!(人間サイズ)〕

 

[赤い!!

サンレッドとも赤井さんとも違う

太陽の力を持った赤いヒーロー!?]

 

〈最後はぼくか・・・ コール ガンダム!

いきまーす!!〉

 

〔ファーストガンダムもキターー!!〕

 

[あれもヨロイみたいに装備するんだね]

 

"では試合前にルールの確認だ

コートはこのリング 真ん中に線を引き

内野は4人 外野は3人だ"

 

〈ぼくたちのチームの外野はカプセル怪獣をだす

でてこいウィンダム、ミクラス、アギラ!〉

 

   ポン ポン ポン

 

〔うわ!目の前にすごいのがでた!!

ウィンダムだけなんで寝てるの!?

しんだふり?〕

 

[紙芝居で見たことない怪物ばっかり!?]

 

〈使うのはこのバトルドッジボール公式球

攻撃手段はこのボールを使ったもののみ

立ち上がれなくなったものから退場

どちらかのチームの内野が全員退場した時点で決着

これでいいか?〉

 

"もちろんだ 俺のチームは・・・

うりゃああああ"

 

    ズララララ!!!

 

"俺たちみんなで闘う!"

 

〈うわ!?分身した!!〉

 

〈この人 人間じゃない!?〉

 

〔・・・ねえジゼル

あれって竜術とかでマネできる?〕

 

[できない・・・]

 

〔あのひとってドラゴンよりすごいの!?

伝説の男 せがた三四郎・・・

遊びの道を極める・・・か〕

 

〔〔いやいや あれは人間技じゃないと思うんだが〕〕

 

〔あれ パパたちも来ちゃったの?〕

 

〔〔ああ おまえたちが巻き込まれるおそれがあったからな

リング外の 外野たちのさらに外周をオレたちで囲い

流れ弾が客席にいかないようにするつもりだ

メアリたちは安心して試合を見ていればいい〕〕

 

〔ありがとうパーパ♪〕

 

そのとき、不思議な事が起こった

 

〈あち!あち!あち!あついってば!〉

 

〈光太郎!?〉

 

〔あ 仮面ライダーブラックが・・・〕

 

〈はっ!オレはいったい どうなったんだ?

おっ!?変身ベルトが違う!

それに胸のイニシャルも!

この文字は・・・R・・・X?〉

 

[あのベルトからすごい火の力・・・

いえ 太陽の力を感じる]

 

〔あれがキングストーンの不思議な力!?〕

 

〈光太郎 大丈夫なのか!?〉

 

〈ああ 大丈夫だギリアム それどころか・・・

震えがくるくらいのパワーがみなぎっていやがるぜ〉

 

"・・・どうやら

あらためて 君の名を聞く必要があるようだな"

 

〈天が呼ぶ 地が呼ぶ 人が呼ぶ、

悪を倒せと オレを呼ぶ! 見よ!!

仮面ライダーブラックRX!!〉

 

ヒーローたちの 熱く危険な闘いが

今 始まる!!

 




昨日は2度目の口の中の手術でハヤシライスを飲む羽目になったウジョーです。
まあ少量ならできなくはなかった・・・ これなら牛丼もいけるかも?
拙作でのヒーローたちは原作そのものではなくSFCソフト「ヒーロー戦記」を参考にしております
せがた三四郎は・・・まあ心の中のイメージで


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超人一等祭 十本目 ジゼルのお祭堪能記 2

バトルドッジボール ポジション

 

   せがた三四郎     ウィンダム

せ|―――――――――――――――|

が|ウルトラセブン |せがた三四郎  |

た|ライダーRX   |せがた三四郎  |ア

三|ゲシュペンスト |せがた三四郎  |ギ

四|ガンダム    |せがた三四郎  |ラ

郎|―――――――――――――――|

   せがた三四郎       ミクラス

 

 

 

[ってことが ありました]

 

「ほう 怒馳暴流(ドッチボール) 京都ではそんな戦いがあったのか」

 

{それはまたエライことになっとるのう!}

 

〔俺も見たかったなあ それ〕

 

〔大将ったら また言ってる〕

 

(すごいメンバーですね ぼくもサインもらいたいですよ)

 

〔ボクたちはちゃんともらったもんね~!

ほらほら!!〕

 

[見てください!ハドラーさま!!]

 

「たしかに紙に名前が書いてあるな

・・・で どうするんだこれは?」

 

[へ?]

 

〔記念というか ほしいからもらったというか

ホラ 書いた人によって個性がでたりして面白いよ!!〕

 

『そういうものですかね』

 

〔ハドラーさん 牛丼おまち〕

 

「ほう これが」

 

とりあえず食ってみた

 

「なるほど・・・・・・

肉と米からこれでもかというほど攻撃力を感じる

これはいかにも力がつきそうだ」

 

『ハドラーはちからが2あがった、かもしれません』

 

【たしかに暴力的なうまさだ

しかも大してかまずに飲み込めるほど柔らかい肉だ

技を出す度に強く食いしばるため

ボロボロになった歯でも かっこんで食いたくなる】

 

〔もぐもぐ ボクのお肉は結構歯ごたえあるよ

かんだときに肉汁がジュッとしておいしい!!〕

 

{不思議じゃのう 見た目は同じ牛丼じゃが

ワシのはそのまま飲み込めそうなほどじゃ

しかもツユダクのような汁っぽさもなく

なによりうまいっ!!}

 

〔ハドラーさんの持ってきた肉が良かったからですよ〕

 

[・・・工夫は火加減?それだけじゃないかも

うーん ハドラーさま そっちも一口

食べてみてもいいですか?]

 

「ああ 食ってみろ

やはり肉の扱いに手がこんでいたな

サンシャインからも一口もらっておけ

で、戦いはどうなった?」

 

[はい! すごかったですよ!]

 

 

 

 

 

 

"おうりゃ!!"

 

    バシィ!!

 

〈うわあ!!〉

 

〈アムロ!? くっ リライブ光線!!〉

 

   パリリリリリィ!

 

[すごい・・・!あんなに何度もいっぺんで

全員に回復魔法をかけれるなんて]

 

〔あれがなかったら もうだれか倒れていたかも・・・

流石ウルトラセブン でも・・・〕

 

〔〔・・・ああ 逆にあの回復の光線を使うたびに

反撃のリズムが崩れているようにも見える

せがた三四郎に押されっぱなしだ〕〕

 

     ガシィ!!

 

〔あっ!!RXがキャッチした!!〕

 

〈よし これをうて!アムロ!!〉

 

〈このハイパーバズーカで!〉

 

    ドーーーン!!

 

〔あれって ありなの?〕

 

〔〔まあボールを弾に使ってるからセーフだろう〕〕

 

"セガサターン!シローーーーーーーー!!!"

 

   ボガーーーーーーン!!!

 

〈うわあ!?直撃したせがたさんが爆発した!?〉

 

〔せがた三四郎――――!!!〕

 

"心配はいらないぞアムロ君 あれは分身だ

さあ 俺たち全てを倒してみろ!!"

 

〈自分と同じ姿が目の前で爆発したのに平然としている

やはり体だけではない 心まで強靭だな〉

 

"どりゃあ!!!"

 

〈んぐっ!!〉

 

〈ギリアム!リライブを!?〉

 

"あまいっ!!"

 

   バッ

 

〔ああっ!?

外野のせがた三四郎にこぼれダマをとられた!〕

 

[あぶない!!]

 

"脳天直撃!セガサターーン!!"

 

   バシィ!!!

 

〈うわあっ!メインカメラが!?〉

 

〈アムロッ!!!〉

 

"セブン君!!今のは君の判断ミスだ!

まず君がボールを確保してから回復をする局面だった

真剣勝負には甘さを捨てる覚悟が必要だ!!"

 

〈ダン 彼の言うとおりだ

今の君は平常心を失っている

冷静になってこそ 君はその真価を発揮できる〉

 

〈!!?

・・・たしかにぼくはせがたさんに声をかけられてから

ずっと動揺していたのかもしれない

彼が分身して内野・外野からグルリと囲まれたときは

寿命が1万年ほど縮まった思いだった

精神的に飲まれてつい感情的になっていたようだ

ふー・・・ ありがとうギリアム

・・・今・・・心が穏やかになっていくうちに

からだが・・・芯から燃え上がるようだ・・・!〉

 

〈ダン・・・そうだ

まだおわりじゃないのさ〉

 

〈へ!それでこそだ!

オレだって本ご、せがたさんが増えたときは

3日ぐらい寝込みそうだったぜ!〉

 

〈ぼくも3日ぐらい夢にでてきそうですよ〉

 

〈お前たち、やはりタフだな〉

 

〈すまなかったな みんな

アムロはまだ動けるか?〉

 

〈いえ、ガンダムは今のダメージで限界です

反応がにぶい・・・なら!

コール ν!!〉

 

     カッ

 

〔うわあ!!νガンダムだ!!!

さっきも思ったけど 呼べば来るなんて

Gガンダムみたいだよね〕

 

[G、ガン?]

 

〈オレも出し惜しみしている場合ではなさそうだな

より真剣に!ベストを尽くす!!

ゲシュペンスト モードアクティブ コードRV!〉

 

    ブオン!!

 

〈タイプRVの実力を 見るがいい〉

 

〔〔あの黒いのパワーアップしたのか!

背中にとっきんとっきんが増えて顔が変わったぞ!!〕〕

 

"そうだ!それでいい!!

さあここからは問答無用だ!!"

 

 

 

牛丼を食いながら聞くジゼルたちの話は中々面白い

 

「戦いながら ときに姿を変えるほど強くなっていく、か」

 

〔それからはさらにすごい戦いになっていったんだ!〕

 

[ボールがうなりをあげて投げあい

キャッチするたびに衝撃でリングがゆれてました!]

 

〔俺の知っているドッジボールと違う

やっぱり超人がやると派手になるなあ〕

 

〔大将は料理人なんだから 普通のドッジボールも

しないでくださいね 手を大事にしないと!〕

 

〔そうです!タイショーさんの手の力も

とっても素敵です!!〕

 

〔ありがとうシノブちゃん エーファちゃん

まあそれはそれとして やっぱり直接見ときたかったな〕

 

【バトルドッジボールか、

新世代悪魔超人のトレーニングに使えそうだな】

 

{おっかないのう まあ正義超人としても

超人オリンピックの予選とかで使われるかもしれんのう}

 

(たしかに超人委員会が採用するかもしれませんね)

 

「それで その後はどうなった?」

 

[はい!それからは一進一退の投げ合いでしたが・・・]

 

 

 

     バシィ!!!

 

〈くっ キャッチするたびに凄さを実感する!〉

 

〈だが、だんだん つかめてきた!

一気にいくぜ!!〉

 

〈よし!ボールを上げてくれギリアム!

あわせるぞ光太郎!!〉

 

〈任せろ!〉

 

〈流星・・・〉〈電・・・〉

〈〈キィイイイイーーーーック!!!!〉〉

 

"""ぬおおおおおおおお!!!!"""

 

  ドガガガガーーーーンンンン!!!!

 

〔すごい!!ウルトラセブンと仮面ライダーRXの

ダブルキックだ!!!!〕

 

〈やったか!?〉

 

〈おおっ!!向こうの内野は・・・1人だけだ!

今ので分身体は倒した あとは本人のみだ!!〉

 

"見事だッ! ダン君ッ!光太郎君ッ!"

 

〈ふう せがたさん ここまでにしませんか?〉

 

"まだだっ!アムロ君 俺の指が折れるまで!

君の剣が折れるまでッ!"

 

〈剣って ぼくのはビームサーベルなんですが〉

 

 

 

 

「・・・ふむ それでは1対4か

分身体が消えただけで本来の戦力差と言えるが」

 

『もう勝負は見えたのでは?』

 

「いや ここからが面白くなるのではないか?」

 

[そうです! ここでせかだ三四郎さんのところに

将軍様が乱入して 参戦しました!]

 

{【なんだとーーーー!!!】}

 

おお それまで面白がって話を聞いてた

サンシャインとキン肉マンたちが大層おどろいていた

 

【そんなバカな!?

将軍様がそのようなところにおられるはずがない!!】

 

{そうじゃ!ついこの前 万太郎たちが必死で

ここにいるミートを助けて将軍復活は

完全阻止したはずじゃ!!}

 

〔ああ~ そういえば会場でも

みんなそんなこと言ってた 言ってた

こんなところに将軍様がいるはずがない!って

みんなわかってるよね~〕

 

サンシャインたちの口ぶりからかなりの大物のようだな

 

[本当にすごかったですよ将軍様!

ボールにズバッと剣を振るとバッタバッタ倒れていって!!]

 

「よくボールの方が切れなかったな」

 

〔〔みねうちだったからな〕〕

 

{おわ~ やっぱり将軍は おっとろしいのう!

あの剣には鉄の硬さを持つワシの肉のカーテンも

あっさり斬られてしまったからのう

今思えば モンゴルマンのやつ なんで

あいつが振り回していたパイプ椅子や

ワシの持ってたフォークは止めたのに

あの剣はスルーしたのかのう?

あれシルバーマンの首チョンパしたやつじゃろうて}

 

【なにを言うか あれはあのお方の体の一部のようなもの

つまりウォーズマンのベアクローやジェロニモの手刀と

同じ扱いだろうが・・・

あの試合ではどちらかと言うとロビンが投げ込んだヨロイを

盾に使ったおまえの方が反則くさいぞ】

 

{グ・グム~~ それをいわれるとのう}

 

(あの~ 大王さま

さっきからメアリさんたちの話を聞いていると

『将軍』といっても ぼくたちの知ってる『将軍』とは

別人かもしれませんよ)

 

{なにをいうかミートよ ヒーローをバッタバッタと

倒せるようなおそろしい『将軍』がそう何人も

おるわけないじゃろうが!}

 

(メアリさん その『将軍』の写真とかありませんか?)

 

〔あちゃ~ もうバレちゃったか

なんか貴重な話が聞けてラッキーだったから

パパもツッコミをいれないようにしてたのに

はい これがその将軍様の写真〕

 

メアリたちの様子からサンシャイン達はまんまと

ミスリードに乗せられていたようだな

どれどれ将軍とは結局どのようなやつか・・・

 

{【(ゲエーーーー! 将軍って 上様!?

なぜ上様がそんなところに!?)】}

 

〔会場があった京都の映画村はヒーローショーだけじゃなく

時代劇の聖地でもあるから〕

 

[馬に乗ってきてました]

 

(交通手段を聞いてるわけじゃなくて)

 

「上様?この人間のことか?

たしかにかなりの使い手に見えるが」

 

{なにを~~~っ

このお方をどなたとこころえるーーーっ}

 

(大王さまったら・・・

ところで本当になんで上様がリングに?)

 

[えーと たしか・・・]

 

 

 

"上様がなぜこのようなところに!?"

 

“ふふ ただのお節介よ

三四郎! 助太刀いたそう”

 

"ははっ!!"

 

〈おいおい!? またすごそうなのが加わったぞ〉

 

〈あのせがた三四郎さんが低姿勢になるなんて

いったい何者なんだ・・・〉

 

“うろたえるなっ!”

 

"どんなことにも動じず闘えてこそ、真の格闘家である!"

 

〈うっ たしかに、

まったく 本当にあの人たちからは

教わることがたくさんあるな〉

 

〈そのお礼はオレ達の真剣勝負で返すしかないさ〉

 

ジャキ!!

 

“ではいざ尋常に 勝負!!”




ニコニコ動画でせがた三四郎を見ていたはずが、
いつのまにかマツケンサンバを見ていたウジョーです

作中でたまにでてくる怒馳暴流《ドッチボール》とは

その源流は三国時代の中国にあるといわれている
馬上の敵に対し、鉄球をぶつけて倒すことが目的であり、
さらに敵がその鉄球を避けた時のために「外野」と呼ばれる兵士が、
外れた鉄球を拾い、再び敵を狙うのである。
余談でははあるが、張飛益徳がこの怒馳暴流の名手であったことは、
多くの歴史書には記述されていない。
    民名書房刊「中国技術大覧」より

のことであり バトルドッジボールとは元ネタが別のものです。


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超人一等祭 十一本目 ジゼルのお祭堪能記 3

  せがた三四郎      ウィンダム

 |――――――――――――――|

せ|ウルトラセブン |         |

が|ライダーRX   |せがた三四郎|ア

た|ゲシュペンスト |上様      |ギ

三|ガンダム    |         |ラ

四|          |         |

郎|――――――――――――――|

   せがた三四郎      ミクラス

 

 

{それは なんというかとんでもないのう}

 

【どうやっておさまるんだ それは・・・】

 

〔オレもその場で 将軍かよーー!!

とか言いたかったな〕

 

〔大将 本当に自重してよ・・・〕

 

「オレもその場にいれば乱入したかもしれんな」

 

『あなたも自重してください』

 

「遊びの道を極めた男と、民を統べる身で剣を振るう男か

我が宿敵を思い出すからな」

 

『あの人ですか 私には結びつきませんが』

 

(それで どうなったんですか?)

 

〔うん 一度はヒーローがみんな倒れて

これまでかも、て雰囲気になったけど・・・〕

 

[なんとか たちあがろうとするヒーローに

会場中からすごい応援があったの]

 

〔〔あれはすごかったな

まるで超人オリンピックの決勝戦ような

すさまじいもんだった

メアリもジゼルもノドが枯れるほど 

エールをおくってたぞ〕〕

 

〔いや~ あこがれのヒーローがボクたちの声に

応えてくれるてるみたいで もう必死だったよ〕

 

[ついつられちゃいました]

 

『ジゼルが私達や身内と無関係な者に

それほどの声援をおくるなんてはじめてのことでは?』

 

たしかに そうかもしれんな

 

〔そこから ついに・・・〕

 

 

 

“まだ立ち上がろうとするか・・・

三四郎よ これを使え”

 

    スッ

 

"上様!?"

 

“徳川の伝家の宝刀だ

お主なら使いこなせるだろう

一太刀で決めよ”

 

"ははっ!!

この居合いで いぇええええええい!!!!!!"

 

刀をうけとり胴着にたすきがけをした せがた三四郎の

目にも留まらない一閃をうけボールも斬撃のように飛んだ

 

〈リボルクラッシュ!〉〈ヴァンピーアレーザー!〉

〈ファンネルバリア!〉〈アイスラッガー!〉

 

    バチィイイン!!!!!

 

〈〈〈〈うおおおおおおおおおおお!!!!〉〉〉〉

 

・・・・・・・・・

 

会場そのものを揺るがす その日一番の衝撃

リング上ではヒーローが4人がかりで

ボールをキャッチしていた

 

"・・・俺の負けだ"

 

〈え!?〉

 

“民たちの声に応え 立ち上がり

仲間たちと協力し命がけで脅威に立ち向かった”

 

"だからこそ人は君たちをスーパーヒーローとよぶ

俺はその姿に感動したっ"

 

“民の平穏を守る者たちとこれ以上闘う道理はない”

 

スッ       ガチッ

 

せがた三四郎と将軍からの握手にヒーロー達も応じた

 

〈ありがとうございました せがたさん 上様〉

 

〈せがた先輩 あんたのキック 忘れねえぜ!〉

 

〈あなたがたに光の祝福のあらんことを〉

 

〈ありがとうございました オレは・・・

みなさんのおかげで かつてのわだかまりを越えて

また彼らと共に戦うことができました

オレが過去に犯した罪を生きて償うことができます

この実験室のフラスコの中で!〉

 

"おめでとうギリアム君

君の夢はこれからつながるんだ"

 

“ふふ どんなに時代がかわったとしても

絆とは絶えず続いていくもの

だからこそ顔を上げ 友と共に歩いていけばよい”

 

リングで交わされる握手とともに

バトルドッジボールは終了した

 

 

 

「それほどの激闘か やはりオレも直接見たかったな

しかし 握手か・・・」

 

『「さらばだ勇者ダイ 最期にせめてオレを倒した

その腕にふれさせてくれ」でしたっけ?』

 

やかましいぞ聖母竜!思い出さんでいい!!

 

{真剣勝負を通じてわかりあい そして握手}

 

〔まさにヒーローの王道だよね!!

ボクもリングで試合の後に握手をしたことがあるけど

あれがいい!!

断られちゃうこともあったけど だからこそ!!〕

 

{・・・昔 握手しようとしたバッファローマンが

悪魔に完全にとりつかれ いきなり襲われたり

悪魔将軍が握手のときに地獄の九所封じその八で

思考能力を奪われたりと、すんなりいかないことも

たびたびあったが だからこそ・・・

友情の握手は特別なものなのだ}

 

キン肉マンが自分のタコだらけの手をじっと見ている

 

サンシャインやミート ストロングマンたちも

自分の手に何か 思うことがあるのだろう

 

〔それでその後は リングの上だけじゃなくて

会場中のみんなで手をつないで歌って踊ったんだ!〕

 

〔オーレ手をつなごう♪〕[大切を 伝えるために♪]

 

歌いながらジゼルがオレの手もつないでくる

 

「オレはその場にいなくてよかった」

 

『さっきと言ってる事が違いますよ

いくらあなたが歌や踊りが残念だからって』

 

〔せがた三四郎はすごかったね

真剣に遊ぶことで強くなるんだもん〕

 

[あれからお祭も真剣に楽しみました]

 

〔今度セガサターン用のボタン電池を買っておこう〕

 

〔ボクも新しいパワーメモリーがほしくなっちゃった〕

 

{しかしドッジボールか ワシはやったことないのう}

 

〔俺は子供のとき学校でやってましたね〕

 

〔私もそうでしたね〕

 

{ワシが一方的に石を投げられたりしたことは

よくあったがのう}

 

〔キン肉マンが昔すごい苦労していたのは

有名な話だけど本当なんだね〕

 

{まあのう 幼いときにパパにブタと間違えられて

地球、日本に捨てられてからというもの・・・

誰も知る者も頼る者もいなかったこの世界は

けして やさしいものではなかった

人間たちからダメ超人ドジ超人とうしろ指をさされ

つまはじきにされつづけた生活はつらく惨めなものだった}

 

〔それは いつのまにか異世界につながった

この居酒屋どころではないですね〕

 

キン肉マンが酒を手に 涙ながらも

はっきりと語りだした

 

{だが・・・ウルトラマンに憧れ

牛丼を愛し プロレスを愛した

あの頃のわたしがいたからこそ

異邦人であるわたしに大和魂を教えてくれた

この国があったからこそ

今のワシがあり キン肉星大王としての務めを

果たすことが出来ている}

 

(王子、いえ大王様 本当に立派になられて

グス・・・・・・)

 

『本当に苦労していたのですね』

 

産み落とした後は死ぬまで人任せを

延々繰り返していた聖母竜が何を言うか

 

〔・・・ねえパパ、ううんストロングマンさん

キン肉マンさん ジゼル 聞いてくれる?〕

 

〔〔どうしたメアリ!?今更なんの遠慮がある

オレたちはもう身内だ!なあみんな!!〕〕

 

   \\おう!!!//

 

〔ペンチマン、レオパルドン、ゴーレムマン、

キャノンボーラー、フォーク・ザ・ジャイアント

ありがとう みんな・・・

えっとね ボク カナダ出身で天涯孤独だったんだ

一応保護者はいたし 命の危険とかはなかったから

キン肉マンさんに比べれば、全然恵まれていたよ〕

 

[・・・・・・]

 

ジゼルの表情が変わった あんな神妙な顔は珍しいな

 

〔向こうの学校では無視と意地悪の毎日で

ボクもケンカばかりしてさらに孤独になっていった

そんな逃避もあってか 特撮やアニメにのめり込んで

強い、ヒーローに憧れた

そう。弱いモノの味方で・・・

悪をバッタバッタとなぎ倒す、その姿に憧れたんだ

最初の頃は、助けてほしかった

いつか、ボクの前にもヒーローが現れて

ボクを守ってくれないかなって思ってたんだ〕

 

ポン、とメアリの頭にストロングマンが手を乗せた

 

〔でも日々は何も変わらなかった

ヒーローは日本にしかいないのかなって、

落ち込んでいたこともある、

結局、ボクは一人なのかって〕

 

ジゼルがオレを握る手に力が入る

 

〔そうしているウチに考え方がだんだん変わっていって

いくら待ってもヒーローが現れないなら

ボク自身がヒーローになれば良いんじゃないかなって

ヒーローになって、困難に立ち向かえば良いって!〕

 

ジゼルやストロングマン、キン肉マンらだけではない

サンシャインやシノブ、エーファまで泣いている

 

〔そんな時 ネットで日本の女子プロレスラー募集を見て

すぐ応募して それにはまわりも協力的で

追い出されるようにカナダを出て日本に来たんだ

そして、日本で・・・ボクは出会ったんだ

大切な仲間に。友達に。

ボクが今日ここにいるのはそんな大切な友達と

リングで精一杯闘って、勝ち抜いたご褒美

キン肉マンやウルトラマン、仮面ライダー達に憧れて

ボクはこの国に来て本当に 良かったよ〕

 

メアリの笑顔が ジゼルの何かに触れたのか

メアリにとびつくように抱きついた

 

『ああ・・・ ジゼルが自分から抱きつくなんて

私やあなたを除いては はじめてのことでは?

うう、寂しいです・・・』

 

そうだったか?

ええいメソメソするな聖母竜よ

他者との交流で得るものは大きい

おまえも知っているはずだろう

 

〔〔メアリ 改めてオレから言わせてほしい

おまえさんはもう自分の2本の足で逆境と闘う大人だ

若手とはいえ現役の女子プロレスラーとして活躍する

立派な社会人にこういう言い方がいいかはわからんが

オレはもうおまえさんを実の娘だと思っている

そしてストロングファミリーはみんな家族だ

これからもオレのことをパパと呼んでほしい!〕〕

 

〔ありがとう!パパ!!〕

 

    ガシィ ガシィ ガシィ

 

握手が次々とつながっていく

盛り上がっているな あいつら

ダイやヒュンケルは赤子の状態で

ブラスやバルトスに拾われ親子となったが

こういったケースははじめて見る

 

『いろんな親子のかたちがあるものなのですね』

 

{サンシャイン 礼を言わせてくれ

この祭がなければ彼女たちの出会いはなかった

そしてわたしもこの日本に恩返しをする機会を得た

だからこそ言いたい ありがとう}

 

【グオッフォフォフォ

正義超人の代表とも言えるキン肉星の大王が

悪魔超人に礼など言うものではない

それに悪魔には悪魔の思惑があり

おまえ達はそれに利用されているだけにすぎん

明日 祭の最終日におまえ達は知ることになる

せいぜい未知の恐怖に震えるがいい

グオッフォフォフォ~~~】

 

{ヒエ~~~おっかないのう

ワシは本場の上方落語のハシゴをしたいのだがのう

まあそれはさておき今日は思う存分

食って飲もうやサンちゃん

大将!牛丼おかわり!!}

 

(ぼくも おかわり!!)

 

そう!明日だ!!

このオレがサンシャイン達の企みに乗り

この祭に裏方として協力していたのは

明日のそのときのため・・・

クククたのしみだ 久しぶりに血が騒いできたぞ

ふたたびオレの手をつよく握ってきたジゼルに

 

「おまえにも働いてもらうぞ我が補佐竜ジゼルよ」

 

[はい ハドラーさま♡]




体育の日を前日になって思い出したウジョーです
10月10日のイメージが抜けてませんが折角なのでドッジボール編を書き上げました
書いているうち興が乗って当初の構想よりも思わぬところが膨らみすぎましたが
次は祭の最終日か、逆に開催前の祭の準備回をいれるかも

9月は涼しく10月の方がかえって暑いような気もする妙な気候に
昼夜の温度差と夏の疲れで体調が崩れやすいこの時期
おつかれのでませんように


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超人一等祭 十二本目 強襲!悪魔超人 ラウンド1

強襲悪魔超人中は第三者視点となります
地の文は吉貝アナウンサーとアデランスの中野さんです


みなさまご覧ください!こちらは大阪新世界!!

かつて超人オリンピックBブロック2回戦がおこなわれていた

この花びらのように開かれた通天閣中央部特設リングでは

伝説正義超人ジェロニモによるカラオケリサイタルがおこなわれています

マイクを使わずに大阪中に響き渡る歌声が・・・

 

【グオッフォフォフォ

われわれの死闘の舞台となる 神聖なリング上でカラオケとはな・・・】

 

      ボ~~~~ッ

 

あーーーーっと通天閣の上空から

黒いフードとマントをつけた謎の巨漢超人レスラーが二人!

リングに降り立った!!!

 

〔〔ゲェーーー おまえたちは・・・!?

ここで出てくるなんて台本にかいてないズラ!!〕〕

 

    ドガ!!

 

〔〔うわ!!〕〕

 

いきなり巨漢超人の一人が20文キックでジェロニモをリングから蹴りだした!!

 

「この会場はわれらが占拠した!!」

 

【通天閣に祀られたビリケン像をいただきにな!!】

 

あーーーーっと

謎の超人からの突然の犯行予告

そのターゲットはなんとビリケン様だ!!

 

   \\なんやて!?//

 \\ビリケンさんに手を出すなんて!?//

    \\なんちゅうことを!!//

   \\この外道がーーー!!!//

 \\ツラみせんかい!こんヒキョーモン!!//

 

【グオッフォフォフォ 悪魔にひきょうなどという言葉はない】

 

「クハハハハ!!」

 

   グイ!   バッ!!

 

〔〔おまえたちの好きにさせないズラ!!〕〕

 

あーーーーっと ジェロニモがリングに復帰!

そのまま謎の超人にとびかかった!!

 

〔〔トマホークチョップ!〕〕

 

    ズガアン!!!

 

「グオ!?」

 

  パサ・・・

 

謎の超人の首元にチョップが炸裂!!

フードの下から凶悪な悪魔の仮面がでてきた!!

 

〔〔ウララーーーーーー!!〕〕

 

  バサッ!!       ガッ!!!!

 

黒マントの超人の一人がその姿をあらわした!!

悪魔の仮面に筋骨隆々の巨体がジェロニモを捕まえた!!

 

「いい一撃だったが このオレに二度も通用するか!!」

 

     ミスミスミスミス!

ブオオン!!       キラン✨

 

なんとジェロニモをエアプレンスピンで上空に放り投げた!!

これはすごい投げだ!!!

ジェロニモは遥か彼方へ もう見えなくなった!!

 

「ククク・・・

オレは異世界から来た魔王

この世界の悪魔超人と手を組み この世界を侵略しにやってきた!!」

 

   \\なんやと!?//

   \\帰れ帰れ!!//

  \\こんデカブツが!!//

 \\このド外道がーーー!!!//

 

お客さん リングに物を投げないでください!!

 

     パシ!!

 

「ほう なまたまごか、ククク」

 

  パク    ゴクン  

 

なんと客席から投げ込まれた卵を魔王が飲み込んだ

 

「いい声で騒ぐこの世界の人間どもに

魔王の力を見せてやろう!

我が部下を生み出す瞬間をな!!」

 

     カッ!!

 

炎をはきだし・・・いや 炎の中に!?

 

[グオオオオオオオオオ!!!]

 

  \\\\ド・ドラゴン!?////

 

なんと炎の中から巨漢超人をはるかに上回る

ドラゴンがあらわれた!!!

リングの3分の1を占めるその威容!!

 

「わが子よ その力をオレに見せてみろ」

 

     スゥーーーーー

 カパ       ゴオオオオオオオオーーーーーー!!!!

 

なんということでしょう!?

ドラゴンのはきだした はげしい炎が自分を生み出した魔王を直撃!!

これほどの火力ではいかに魔王とはいえただではすまないでしょう!!

 

「・・・フッ!!フハハハハハッ!!!!」

 

もえさかる炎の中から魔王の笑い声が聞こえます!!

まったくのノーダメージなのでしょうか!?

 

     ギュオオオオン!

 

ドラゴンの炎が魔王の右手の人差し指に

まるで綿飴のように収束されていきます!!

 

「申し分ない火力だ

これを・・・!」

 

     ゴオオオオ

 

魔王の指先で太陽のように輝いていた火球が黒く染まっていく!!!

 

メラゾーマ(火炎呪文)!!」

 

ゴオオオオオオオオ!!!!!

 

魔王の指先の火球が通天閣の先端に直撃

黒い炎で燃え上がった!!!

 

「オレのメラ(火炎)は地獄の炎・・・!

目標を焼きつくすまで決して消えん

こいつを放っておけばこの塔は・・・

オレの支配する炎魔塔となる!」

 

   \\なんやって!?//

 \\うわああああやめろおおおオ!!//

    \\やめてくれえっ!!!!//

 \\ビリケンさんが丸焼けにーーー!!!//

 

「人間どもの恐怖と怒りの声・・・ クハハハハ!!

たとえ雨がふろうとこの炎が消えることはない

ククク わが子よ おまえに名をやろう

おまえの名は 『ジゼル』だ」

 

  ピカーーーー!!

  スーーー

 

[ハ、魔王様]

 

名前を付けられたドラゴンが光に包まれ

その中から少女があらわれ 魔王にかしずきました!

角としっぽがあることから 先ほどのドラゴンの化身超人と思われますが

その容姿はまさに美少女 身長は魔王の腰ほどしかありません

 

【グオッフォフォフォ

ビリケンの加護のせいか 炎のすすみは遅いが

通天閣がジワジワと炎に巻かれていく姿もまた一興よ】

 

「あの炎を消すにはオレを倒すほかない

ビリケンとやらは太陽に眠る 我が魔界の神の復活のいけにえとしてくれよう

クハハ この塔の中央部まで炎がくるには しばらく時間がかかる

だが オレとジゼル そしてこの男のいるリングに上がってくるような

命知らずのドアホウがこの世界にどれだけいるか みものだな」

 

〔ドアホウで結構!!〕

 

「・・・ほう」

 

[!?]

 

【グオッフォフォフォ・・・】

 

     バッ!!

 

[殺伐としたリングに

颯爽とボク参上!ボク参上!!ボク参上!!!]

 

なんとおお!!凶悪な三人の悪魔が支配するリングに挑戦者があらわれた!!

青コーナーの上に立ったのは赤いマントをまとった謎の人物だ!?

 

   バサッ!!

 

[天よぶ!地がよぶ!人がよぶ!悪を倒せとボクをよぶ!!!

バトルガールなヒロイン メアリ・ノートン降臨!!!!]

 

赤いマントを脱ぎすてその正体をあらわしたのは!

東京女子プロレス正規軍、サンデーモーニング所属の

プロレスラー メアリ・ノートンだ!!

 

「だれかと思えば人間の小娘か

このオレたちが相手をするまでもない

ジゼルよ」

 

[ハ!]

 

  パキ    

 ス・・・

 

なんと魔王が自らの仮面の右半分を割りジゼルに渡した!

その割った仮面の下からはじめて見えるのは

凶悪な悪魔の顔の仮面に劣らない 残酷そうな悪魔の素顔だあ!!

 

「ジゼルよ我が片腕としてこの片面をつけ

その思い上がった小娘にその力を見せてやれ」

 

[ハ、魔王様 ごらんください]

 

笑顔で仮面をうけとったジゼルをリングに残し

魔王と謎の超人はリングを降りました

これはとんでもないカードとなりました!!

 

魔王の子として うまれたてのリトルドラゴン・ジゼル

       対

女子プロレス若手ナンバーワンのヤングドラゴン・メアリ

 

注目の女子ドラゴン対決がこの通天閣特設リングでおこなわれようとしております

 

[魔王様のために!]

 

〔ボクの信じる正義のために!

さあさあゴングはやく!!〕

 

     カーン!!

 

[とびひざげり!!]

 

  ビュン    ドガ!!

 

〔うああ!?〕

 

    ズザザザザ!!!

 

ゴングと同時にジゼルのジャンピングニーがメアリを襲った!!

女子レスラーとしても小兵のジュニア級のメアリとはいえ

さらに体の小さなジゼルの一撃がロープまで押し込んだ!!

ですがメアリはとっさのガードが間に合いました ダメージはあまりないでしょう

 

[さらに!まわしげり!!]

 

ああっと!!ジゼル 着地を挟まずに空中をとぶように態勢を整え

つづけて鋭いローリングソバットだ!!

 

〔なんの!!〕

 

 バシ! グオオ!!

     ドシン!!!

 

メアリ ジゼルの足をつかんでドラゴンスクリューだ!!

 

勢いを利用した返し技で 空を舞う竜をリングに落とした!!

 

〔ここだあ!!〕

 

    ガチィイン!!

 

さらにドラゴンスリーパーにスイッチ!

これはうまいですね あの態勢からでは

ジゼルが炎を吐いて脱出を試みてもメアリにはあたりません!!

 

〔さあ どうだ!〕

 

[ん・う・・・・・・]

 

「やはり人間の格闘技には見るべきものがある」

 

【グオッフォフォフォ どうする?】

 

なんと魔王がリングイン!

ジゼルのピンチに直接手助けするのか?!

 

  \\BOOーーー!!!BOOーーー!!!//

 

これには観客からの激しいブーイングだ!!

 

  ガシ!    ポーーーーーーン

 

なんと魔王がメアリとジゼルを二人まとめてリングの外へ放り投げた!?

 

「・・・ほめてやるぞ!

前座試合にしてはなかなか面白かった・・・!!!

では もうひとつ面白いものを見せてやろう

フン!!」

 

   ブン    パッ

 

あーーーーっと みなさまご覧ください!

大型スクリーンに映し出されたのは大阪ドームです

 

 

 

【カカカカー

阿修羅面 冷血!!

悪魔の華 雪花大輪咲きー!

そして 地獄めぐりナンバー5

竜巻地獄!!】

 

  ビュゴオオオオオーーーー!!!!

 

 

なんということでしょう大阪ドームが猛吹雪の竜巻に覆われた

あそこには超人一等祭のイベントに参加している人が大勢いるはずです!!

 

【阿修羅面・・・ 笑い!

カーーーーカカカ

この竜巻によって大阪ドームが凍り付き氷魔塔となったときこそ

ここが悪魔の手に落ちるとき!!

そして氷魔塔・炎魔塔のふたつが揃うと禁断の悪魔の術が完成し

この地は魔界とつながる

それを止めたければ・・・

わたしの竜巻地獄を突破し

この魔界の王子(プリンス) アシュラマンを倒すしかない!!

カーーーーカカカ!!!】

 

ア アシュラマンです!

大阪ドームにあらわれたのは かつて 悪魔六騎士 はぐれ悪魔

そして悪魔種子として 正義超人と戦い続けた悪魔超人界の最高傑作とよばれる

アシュラマンだ!!

ザ・坊ちゃんズ戦のときのような 若々しい肉体ではなく

伝説超人世代と同様 その体には年輪が刻まれ さらに右足を失っておりますが

松葉杖を使いドーム中央のリングに上がってきました

これはなんということでしょう!!

新世代正義超人の主力が不在のこんなときに

この大阪の地に2ヵ所同時に悪魔による危機が!!

 

{そこまでだ悪魔ども!!

正義の超人はここにいるぜ!!}

 

  \\なんやっ テ・・・テリーマン!?//

    \\おおおテリーマンだ!!//

    \\テリー!!テリー!!//

 \\\\テリー!!テリー!!テリー!!テリー!!////

 

なんとアシュラマンに待ったをかけて入場してきたのは

伝説正義超人テキサスブロンコ ザ・テリーマンだーー!!!

 

{キッドたちが不在となった今

わたしが 大阪駐屯超人の我が息子キッドにかわって

アシュラマン おまえとたたかってやるぜ}

 

あーーーーっと かつてテリーマンの息子テリー・ザ・キッドが

悪魔超人を相手に鮮烈なデビュー戦を果たしたこの大阪ドームで

現役時代にシングル・タッグと激しく5分に戦った因縁の相手

アシュラマンとの時代を超えたシングルマッチが実現しようとしています!!




おそらくプレイ時間最長のゲームは「リング☆ドリーム」のウジョーです。

戦闘描写難しいです 技名のみで具体的な動きを大分省いていることもありますが
ジゼルのデビュー戦があっさり終わってしまいましたが
いきなり闘いのプロと戦えばまだまだこんなところです 距離とって炎を吐けば別ですが





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超人一等祭 十三本目 強襲!悪魔超人 ラウンド2

【カーーーーカカカ よくぞきたテリーマン!!

だが いかにおまえといえど 

わたしの竜巻地獄をこうもあっさり突破できるとは思えんが】

 

{たしかにまともに突破しようと思えば容易なことではないが

今日は大阪ドームの売店で 牛串を売っていたのさ}

 

〔さあー テリーマンファンならこうてんか!!

テリーマンが育てた牛を 嫁のウチが焼き 

息子のキッドがデビューしたホームグラウンドで売ってる牛串や

これを手に応援せんでどうするんや!!

今なら一本千円 さあ かったかった!!!〕

 

{ナツコ・・・ さっきまでその牛串は800円だったのに・・・

それよりアシュラマン ユーはその片足で戦うつもりか?}

 

【この失った右足はわたしなりのケジメだ

偽りの若さをえて、あのお方の幻を追い求めてしまった

・・・再生(リボーン)アシュラマンのな

それに 片足はハンデにはなるまい おまえの左足は義足のはず】

 

{この義足の左足はオレの絆だ

愛する両親からもらい キン肉マンを守るために失い 爺やがつくり 

人間の技術の進歩で磨かれた ザ・テリーマンの本物の足だ

まったく問題ない!}

 

【かわらんな おまえは カカカカ

まさか一人でわれら悪魔に戦いを挑むつもりか】

 

{オレひとりでやってやるってんだ~~っ}

 

 

{まちな テリーマン

おまえにばかり いいカッコウはさせないぜ!!}

 

あーーーーっと 大阪ドームにつづき 通天閣の悪魔打倒に名乗りをあげたのは

なんとキン肉マンだ!!!

超人オリンピック・リザレクションで息子キン肉万太郎がバリアフリーマンと戦った

この通天閣特設リングで父キン肉スグルが 昔のようにセコンドのミート君とともに

キン肉族勇者の戦闘スタイルで入場してきました!!

 

\\\\キン肉マン!!キン肉マン!!キン肉マン!!キン肉マン!!////

 

大歓声を受け堂々たる入場です!

その肉体は年齢を感じさせない分厚い筋肉の鎧に覆われております!!

まさに「キン肉マン」!!

 

昔と変わらないミート君の姿もあって まさに往年のチャンピオンが帰ってきました!!

 

【グオッフォフォフォ

ついにきたか・・・】

 

「さあリングに上がってこい 最強最高の大王たる正義超人よ

オレの手で料理してやろう あの炎魔塔の頂上にその身体をつき刺しくれるわ

ブタの串焼きのようにな

クァーーーッ ハッハッハッ!!」

 

{ひょええ~~~!!! あっ!?}

 

ズル~~~~~~~ッ

 

{キャ! 恥ずかし・・・・・・!!}

 

な・なんとキン肉マンの分厚い大胸筋だと思われていたのは

お腹から集めた脂肪 腕や足の筋肉もあっという間にしぼんだ!!

あいかわらず見栄っ張りですね

 

   \\\\どわははははははは!!////

 

通天閣、大阪ドーム双方の観客大爆笑です!

あ、魔王たちも笑ってます

 

「フハハハハハ!  なるほど たしかに恐ろしい男だ・・・」

 

【ほう わかるか】

 

「オレ達がこれまでつくった恐怖や武威が完全にふきとばされた

もう観客の頭にオレ達はいないのではないか?」

 

【そう・・・ あれがワシらの いや・・・

あのお方の時代から戦い そして越えるべき敵 正義超人の

チャンピオン キン肉マンだ

・・・ではワシがいこう】

 

「いや オレがいく」

 

リング上で待つ二人の巨漢悪魔を見上げるキン肉マン

ミート君が広げたロープをくぐり 今リングイン!!

そして青コーナーにミート君がセコンドにつきました

 

「オレ達二人と戦うのはおまえ一人か キン肉マン

この日のためにオレはこの祭りに協力し この世界の悪魔超人たちに手を貸した

オレの望みはこのリングでおまえを打ち倒すことだけだっ!!!!!」

 

{へのつっぱりはいらんですよ!}

 

 

 

じょ~~~~っ

 

あーーーーっと キン肉マン 余裕を見せる表情と裏腹にリング上でおもらしだ!

 

(なにやってるんですか大王様!!まったく~!!!

ほんとに手のかかるところは 王子のときとかわってませんね!

替えのパンツはこのとうりいっぱい用意してありますからね)

 

{お~~ミートしゃん、息子ともどもおまえには世話になってばっかりだわい

よいしょと、 ミートよ リングにいるときは王子のほうがしっくりくる!}

 

(ハイ 王子!Ⅱ世のいない今 王子のセコンドにつけるのはやっぱりうれしいや)

 

    キラン✨

 

〔〔正義超人はここにもいるズラ!!

チェストーーーー!!!!!〕〕

 

 ズ

 サ

 |

 |

!!!

 

あ・あーーーーっと!!

なんと上空からジェロニモが急襲!!

フードとマントでいまだ正体を隠したままの最後の悪魔を

トマホークチョップでまっぷたつーーっ!!

 

  \\\\ジェロニモーー!!////

 

【グオッフォフォフォ

おまえの得意技であるトマホークチョップ、

昔よりも切れ味が増している

どうやらお互い 伊達に年をとったわけではないようだ】

 

  ズン

 

あ、あーーーーっと 切り裂かれたマントの中から再生し

姿をあらわしたのは・・・

 

〔〔オラはうれしいぜ おまえと再び戦えるのがな

悪魔超人の首領 サンシャイン!!〕〕

 

【グオッフォフォフォ】

 

〔〔キン肉マン先輩 勝手いって申し訳ないが

ここはオラもいっしょに戦わせてほしいだ!〕〕

 

{もちろんだジェロニモ 今日は私とおまえで

『ニューマシンガンズ』だ!!}

 

〔〔ウララーーーーー!!〕〕

 

「なるほど2対2か」

 

【いいだろう ニューマシンガンズは ふたたび

この『はぐれ悪魔コンビ』に敗れ去る運命にある】

 

これはとんでないことになりました

大阪ドームでは テリーマン対アシュラマンの黄金カードが!

通天閣では ニューマシンガンズ対はぐれ悪魔コンビの夢のカードが!!

正義超人対悪魔超人の世紀を超えた超人大戦が大阪にて勃発!!!

 

【キン肉マンよ 闘いを始める前にこちらから提案がある

そう警戒するな 凄惨なデスマッチではない

こちらの魔王は超人レスリングに慣れてなくてな 今日がデビュー戦だ

そこで互いに悔いを残さず思いっきり闘い 完全決着をつけられるよう

この試合に関しては特別に第三者によるレフェリーをつけようと思う】

 

{それはいいが 超人委員会に頼むか?}

 

【いや超人委員会は正義超人に属する

それよりも この祭りの趣旨に従い人間のレフェリーを手配している

この一戦をさばくレフェリーは彼女だーーーーっ!!】

 

  ジャーーーン♪

 

この入場テーマは まさかあの人物なのか!我々が知るあのレスラーなのか!?

ああーーーーっと 花道にあらわれたのはー!

東京女子プロレスの いえ 女子プロレス界の伝説(レジェンド)ブラッディ井上だ!

昨年現役を引退し リングから姿を消したカリスマレスラーが大阪でリングインだ!!

 

{おお レディーゾンビー井上か よく呼べたもんじゃのう}

 

悪役(ヒール)界重鎮のサンシャインさんに三顧の礼をされれば

断われませんよ〕

 

(悪役と悪魔は砂糖と塩ぐらい違うと思いますが・・・)

 

 

    カアァーーーーン

 

さあレフェリー井上の合図で 通天閣と大阪ドーム2大決戦のゴングがなったあ!!

 

「まずはオレがいく」

 

〔〔キン肉マン先輩 ここはオラにいかせてほしいだ!〕〕

 

       ガチイ!!!

 

いきなり魔王とジェロニモのショルダータックルが激突!!

 

リングがゆれます!!

 

  グラ・・・

 

ああっと!! ジェロニモが押された!

 

   ドガガガガ!!!!

 

体勢を崩したところに魔王がパンチの連打!!

このまま一方的に終わってしまうのか!?

 

〔〔そうはいかないだ!!〕〕

 

   ダッ!    ガシィイ!!!

 

ジェロニモ パンチの連打を潜り抜けテリーマンばりの素早いタックルで

魔王の足をとった!!

 

「くっ!!」

 

だが倒れない! 魔王はしっかりと受け止めその体勢はゆるがない!!

 

「もらった!!」

 

魔王すかさずジェロニモを捕まえ一気に持ち上げた!!

 

{いかん!!}

 

    ドガッ!!

 

キン肉マン ジェロニモの救出にリングに入って魔王へドロップキックだ!!!

 

「あまい!!」

 

なんと魔王!腹筋の力だけでキン肉マンを跳ね返した!!

 

{ゲェーーー!}

 

「くらえ!!」

 

魔王そのままジェロニモをキン肉マンに投げつけた!!!

 

    ガガアン!!

 

〔〔ぐわ!!!〕〕

{おわーーー!!!}

 

「クァーーーーッハッハッハッ!」

 

強い!!これが異世界の魔王の実力か!!

大阪・新世界に魔王の高笑いが響き渡る!!!




実はジェロニモが一番好きなウジョーです。

ついにやってしまいましたキン肉マン戦
どのキャラも好きすぎて書きたいような書きたくないような一戦
今日はキン肉マン65巻とキン肉マンジャンプを買って読んで
気持ちがもりあがり つい一気にここまで書いてしまいましたが
さてさて年内にどこまで書けるか

12月に入っても妙に暖かい日もあったりしますが
年末の忙しさにおわれる大変な時期
おつかれのでませんように


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超人一等祭 十四本目 強襲!悪魔超人 ラウンド3

さあ こちら吹雪竜巻により氷魔塔になりかけている大阪ドーム内では

因縁のテリーマン対アシュラマンのシングルマッチの激戦に動きがありました!!

テリーマン背後のロープを切断しコーナーポストを引き抜き・・・

そのロープを体に巻き付けた!!!

 

【カーカカカカ なんのつもりだテリーマン?】

 

{くらえーーーっ

テキサスツイスターーーーッ}

 

ゴオオオオオ

 

なんとテリーマン 切断したロープとコーナーポストを使って

掟破りの竜巻地獄だーーー!!

 

【たとえ使える腕が4本でも遅れはとらぬわ!!

阿修羅面 冷血 竜巻地獄!!!】

 

ゴオオオオオ!!    ゴオオオオオ!!

 

テキサスの竜巻と魔界の竜巻がリング中央で激突!!!

 

!!

なんと激しい竜巻の激突がおさまったリング上にはだれもいない!?

いえ!いましたドームの天井近くの突起物につかまりお互いにらみ合っていた!!

 

{やはり松葉づえを使っていては竜巻地獄も威力は弱く

阿修羅バスターも阿修羅稲綱落としも使えないようだな}

 

【カーカカカ!!

それがどうしたテリーマン そんなことは百も承知で

わたしはこのリングに帰ってきた おまえたち正義超人と戦うためにな!!】

 

ああっとアシュラマン テリーマンにとびかかった!!

テリーマンも真っ向からいった!!

リング上空でロックアップだ!!

 

【たとえ年は取っても超人強度はかわらん

1000万パワー全開(テンミリオンパワーフルスロットル)!!】

 

ああっと10倍以上の超人強度の差か!

アシュラマンが押している!!

 

{チッチッチッ パワー差なんて関係ない

オレはいつも自分の力でそんな差を!

く・・・覆してきた~~~っ!}

 

あーーーーっとなんとテリーマン不利な体勢を持ち直し

逆転のオクラホマスタンピートだ!!

 

{リャアア~~~~~ッ!!}

 

【グハッ!!】

 

高高度からの一撃 アシュラマンKOか!?

 

【・・・これからが 悪魔殺法の本番だ

阿修羅面怒り!!】

 

{やはりこれくらいで倒せる相手ではないか ならば・・・

GO FOR BROKE(当たって砕けろ)だ!}

 

 

 

さあところ変わって通天閣特設リングではジェロニモとサンシャインが

リング中央ではげしいチョップの応酬だ!!

 

   バシィ!!ビシ!!ビシ!!バシ!!

 

あーーーーっとサンシャインが押されているか

その巨漢が徐々にゆらいでいる!!

 

【ぬおおお!!】

 

サンシャインつかみにいった!!

 

〔〔なんとーーーー!!〕〕

 

ジェロニモ 勢いを利用しリバーススープレックスでサンシャインを投げ返した!!

 

【グオオオ!?】

 

サンシャイン ダウン!!

 

【グオッフォフォフォ・・・

どうやら伊達に歳をとったわけではないようだなジェロニモよ

初対戦のときは デビューどころか人間の若造 やわな体だったが・・・

今や元ハワイチャンピオンであり 万太郎をはじめとする

新世代正義超人を輩出し続けるヘラクレスファクトリーの教官

しかも卒業試験の壁として立ちふさがることができるほどの肉体を維持している】

 

たしかにレジェンドの中では若いジェロニモ その肉体は若々しく

同時にベテランの風格も兼ね備えています!

 

{グム~ たしかにちょっとうらやましいわい}

 

【それに比べワシは

かつて悪魔将軍様に直接指導を賜れ、仕えることができる悪魔六騎士、

さらにその首領格の地位と新たな時代というこの上ない栄誉を与えられながら、

残虐・完璧超人と手を組んでまで結成したd・M・p(デーモンプラント)は崩壊し

新世代悪魔超人も失い 愛弟子チェックメイトすら正義超人に鞍替えした・・・

そして残ったのは老いさらばえ衰えたこの肉体のみ

今や飲み友達に付き合ってもらわねばリングに関わることさえできん

これでは将軍様にあわせる顔がない!】

 

〔〔それは違うズラ!!〕〕

 

あーーーっとジェロニモがいったーーー!!

トマホークチョップの連打だ!!

 

  ビシィ!!バシィ!!ビシ!!ビシ!!バシ!!

 

〔〔オラはあくまで偉大なる多くの先輩がたと共に教官の一人として

歴史あるヘラクレスファクトリーで後輩たちを指導していただけにすぎん!

対してあんたはたった一人で悪魔超人の火を消さず多くの悪魔超人を育て上げた!

d・M・pアジトを直接崩壊させたときの あの悪魔超人の姿が

オラには かつて悪魔将軍に時代と共に託された

最後のダンベルを祭壇にはめる おはんの姿に重なっただ!!

おはんはたしかに!悪魔超人魂を次代に伝えていたんだ!!〕〕

 

【や・・・やめろ!】

 

    ビシ!!バシ!!

 

〔〔オラは おはんがチェックメイトを抱きかかえ去っていった背中、

アシュラマンと支えあい去っていった背中が忘れられなかった

指導者としてオラよりはるかに高みにいるおはんが

この祭りの話を持ち込んだと聞いたとき 絶対になにかやると思っていただ!

だからこそオラは今このときのために 最高の調整をしてきたずら!!〕〕

 

      ボワア

 

ああっとジェロニモの体が光った!!

 

【やめろーーー!!!

そんな言葉をちらつかせるのは もうやめろーーーっ!!!】

 

       バキ!!

 

サンシャインのカウンターパンチがきまった!

ダウンしたジェロニモの足をつかまえジャイアントスイングだ!!!

 

   ミスミスミスミス

 

【我々悪魔超人の原動力はこの世への反骨心 劣等感 憎悪という負の感情

今のお前の言葉はアパッチのおたけび以上に危険だ 死ねー】

 

   カアアーーー

 

〔〔そうはいかん!!〕〕

 

    ズガアン!!

 

なんとジェロニモ 腹筋を生かして頭突きとトマホークチョップを同時に

サンシャインにくらわせジャイアントスイングを止めた!!

サンシャイン ダウン!!

 

〔〔かつてオラの未熟さでテリーマンの足を引っ張り負けただけでなく

偉大なるプリンスカメハメまで死なせてしまっただ

だが今日こそ おはんという太陽に堂々と挑み 超えて見せる!!〕〕

 

【グムゥ・・・】

 

「かわれサンシャイン!」

 

{こっちもタッチだジェロニモ!}

 

     パン!

 

さあお互いパートナーに交代し、ああっとキン肉マンいきなり魔王へダッシュ!

ヒップドロップの体勢だ!

 

{くらえ!イエローホール!!}

 

   プオーーーーーッ!

 

「ウオッ!?」

 

キン肉マンの強烈な屁が魔王の顔面へ炸裂した!!

 

{スキあり!}

 

キン肉マンその勢いのまま ひるんだ魔王の頭をとびこえ

 

    ガキィッ!

 

{48の殺人技の一つ!超人絞殺刑改め

アルティメット・デスペナルティじゃ~~~っ!!!}

 

「ヌオオ・・・」

 

これはすごい ロープを利用し魔王の首締め 腕折り 背骨折りの関節技だ!!

 

{かつてカメハメ師匠から伝授されたカメハメ百手は素晴らしいものだったが

それを使うにも師匠のような鍛え抜かれたハガネの肉体を必要としたものが多かった

だが研鑽を重ね今の老いぼれた私にも使えるように改良を加えてある!!}

 

「グウウ・・・!!」

 

   ギリ ギリ ギリ・・・!

 

魔王が もがくものの技を外すことができない!

 

{これぞテコの原理を利用しキン肉に頼らないキン肉族の戦い方!

私には! 多くの戦いを通して 戦友によってこの体に刻まれた技が友情が!

今も私に力を与えてくれている!!}

 

21世紀のリングにキン肉マンが不死鳥のごとくよみがえった!!

 

「グ・・・だが これしきの力でオレを倒せると思っているのか!?」

 

{思っちゃいないさ だがこれはシングルではなくタッグマッチ

ヘイ ジェロニモ!!}

 

〔〔ウララーーーーーッ!!〕〕

 

     グキッ!!

 

あーーーーっとジェロニモ キン肉マンの体の上に飛びのったーーーっ

 

「ガハッ!!」

 

[ハ!魔王さまあ!!!?]

 

〔キン肉マンの体にジェロニモの体重をあびせることによって

アルティメット・デスペナルティの破壊力を増すなんて

これが友情のコンビネーション!!〕

 

正義超人の猛攻に観客のボルテージもさらに上がっております!!




本年もお世話になりましたウジョーです。

書く前に考えていたのと違いジェロニモが思ったよりも熱く喋ったり
原作キン肉マン本編最新話でキン肉マンがかっこよすぎたのもあり
正義超人の猛攻のまま年越しとなりました
これでもし原作でジェロニモが新たに活躍するようなことがあれば
試合がいつ終わることか・・・
そもそもキン肉マンやダイの大冒険を読み返すたびに書きたいことが
雪だるま式に増えていくもので 拙作はいつ終わるのやら・・・
1月1日がミート君の誕生日でした 遅ればせながら誕生日おめでとう
ミート君の出番 次回の予定だったとはいえ今回セリフすらなかった・・・

来年もよろしくお願いいたします。
寒さも一段と増してきましたが どうかよいお年をお迎えください。


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超人一等祭 十五本目 強襲!悪魔超人 ラウンド4

サンシャインのヘッドロックがキン肉マンにガッチリ極まった!

 

{おわー!これはたまらん!!}

 

キン肉マンたまらずロープをつかんだ!!

しかしサンシャインは気付いていないのか離そうとしない!!

サンシャインからは左目の眼帯で死角となっているのでしょう

 

〔ロープブレイクだ!!〕

 

レフェリー井上、強引に割って入って引き剥がしました

これは勇気あるレフェリングですね レフェリーが闘いに巻き込まれて負傷するのは

よくあることですが 超人レスリングではレフェリーの死亡事故もあります

リング上で唯一の人間であるレフェリー井上には十分注意してほしいところです

 

「ロープブレイクとはなんだ?」

 

技をかけられたレスラーがロープをつかんだら技を外すというルールです

超人レスリングでは無視されることもありますし

リングやレフェリーによっては逆に故意にロープを掴む方を反則にすることもあります

今日の試合では止めるようです

 

{お~ いてて・・・}

 

(王子!サンシャインは 昔のような荒くれファイターではありません!

読みが深く緻密な戦略家となっています

以前はⅡ世をレフェリーとして立たせキッドをゆさぶりました

誤爆を装いレフェリーだったⅡ世を攻撃させたこともあります!!

井上さんを巻き込まないよう気をつけてください!!!)

 

「ほう ただサンシャインが井上のファンだったからリングに招いたわけではないのか

ククク なかなか悪どい」

 

{安心せいミート 私がいる限り ブラッディ井上に危害は与えさせん!

それにサンシャイン達にもそんなつもりはない それくらいは実際戦ってみてわかった}

 

(わかりました ですが王子 油断はしないでください

あの魔王の力は想像以上です

リング内の逃げ場の少ないレフェリーが危険なことに変わりないんです 

それと 魔王は超人レスリングにまだ馴染んでいません!

ロープやコーナー ジェロニモとの連携をうまく使ってください)

 

{おうとも! やらいでか!!}

 

【グオッフォフォフォ そう うまくいくかな】

 

      バッ!

 

キン肉マン掴みかかるサンシャインをよけてバックをとった!

すぐさまジェロニモがとびだしフォローに入って

ツープラトンのバックドロップだー!!!

 

{〔〔うおりゃあああ!!!〕〕}

 

「させるか!!」

 

    ドシィ

 

なんと魔王もとびだし サンシャインの巨体を受け止めた!!

 

{〔〔ゲエェーーーー?!!〕〕}

 

「お返しだ!」

 

なんと魔王受け止めたサンシャインをそのままボディスラムで

ニューマシンガンズに向けて投げつけた!?

 

【くらえーっ サンシャインプレスー!!】

 

      ズン

 

ニューマシンガンズがサンシャインプレスによって

二人とも下敷きになったー!!

 

【グオッフォフォフォー!連携にやられたのはそちらのようだったな!】

 

「手ごたえはあった もはや立てまい」

 

(ああ・・・ サンシャインは全盛期の半分以下の体重になったとはいえ

並の超人よりもはるかに大きく重い それをあんな力で投げつけるなんて!?)

 

〔カウントをとる 両者下がって!!〕

 

レフェリーがはぐれ悪魔コンビをコーナーまでしりぞけカウントをとります! 

 

〔ワーーン!!〕

 

   \\まさかキン肉マンが!?//

 

〔トゥーーー!!〕

 

   \\てか ありゃ死んだんじゃ・・・//

 

〔スリーー!!〕

 

  \\いや 昔のジェロニモなら人間時代でも立てるはずや・・・//

 

〔フォーー!!〕

 

   \\あかん・・・ 二人とも もうトシなんや・・・//

 

(なにを言ってるんですか!!

まだボクたちにもできることがあります!!

さあ つづいてください スーグール!

スーグール!)

 

〔ファイブ!!!〕

 

 \\スーグール!!スーグール!!スーグール!!スーグール!!//

 

〔シックス!!!〕

 

〔そ・・・そうか! ジェーローニモ!ジェーローニモ!〕

 

   \\ジェーローニモ!!ジェーローニモ!!!//

 

〔セブン!!!〕

 

ミート君とメアリたちを起点に 観客全員からリング上の

ニュー・マシンガンズへの大エールがはじまった!!!

 

    ピク・・・

 

[そんな!?動いた!?]

 

〔エイト!!!!〕

 

   ググ・・・

 

{へ・・・ へのつっぱりは!}

 

ああーーーーっと カウント8でキン肉マンとジェロニモが

支えあいながら立ち上がってきたーー!!!

 

\\\\スーグール!!スーグール!!スーグール!!スーグール!!////

   \\\\ジェーローニモ!!ジェーローニモ!!!////

 

〔ナイン!!!!!!〕

 

{いらんですよ!!!!}

 

  \\\\たったーーーーーー!!!!!!!////

 

カウント9.9で完全に立ち上がった!!!

 

「あの状態から立ち上がってきたか・・・

しかもあの目は倒れる前よりも鋭い

額の肉の文字も、いや 肉体が燃え上がっているようだ

あんな声援に回復呪文以上の効果があるというのか」

 

【あれはただの声援やエールなどではない

あれは(パワー)なのだ】

 

「ほう!」

 

【・・・愛と友情を力とする

火事場のクソ力なのだ!】

 

「よし!かわれサンシャイン!

オレはその力を発揮しているあの男と戦うために

ここにいるのだ!!!」

 

    パン!!

 

地獄の爪(ヘルズ・クロー)!!」

 

なんとタッチと同時に魔王の手からベアークローのような

鋭い爪が生えて キン肉マンに襲い掛かった!!!

 

{ベアークロー返し!}

 

     ガッ

 

「ゲェッ!!!」

 

ああっとキン肉マン ヘルズ・クローに蹴りを合わせそらした!!

魔王は おおきくバランスを崩した!!

 

{今です王子!!!}

 

{48の殺人技のひとつ!!

風林火山!}

 

   サッ

 

{疾きこと風の如くーーーっ!}

 

   ギュル ギュルン ギュルン

 

キン肉マン 魔王をダブルアームの体勢にとらえて大回転――っ!

 

     ズン

 

「グハッ!」

 

    パン!

 

ここでジェロニモにスイッチ

 

〔〔徐かなること林の如くずらーーっ!〕〕

 

  ゴ

  ゴ

  ゴ

  ゴ

 

魔王をローリングクレイドルでかためながら上昇―――っ!!

 

{マッスル火玉弾!!}

 

    バ

    |   

    |

    ン

 

キン肉マンはロープを弾いて宙に舞った!!

上空でジェロニモと合流!!!

 

     ガシィ

 

{{侵略すること!}}〔〔火の如くずらーーーっ!〕〕

 

「う、うごけん!?」

 

 ザ ザ ザ・・・・

 

[ハ!? 魔王さまーーーー!!!?]

 

ツープラトンのキン肉ドライバーで

リング中央へ一気に降下ーーっ!!!!

 

   ズボォ!!

 

これは決着かーーー!!

あまりの威力にこちらからでは全員が確認できないほど

キャンバスに深く突き刺さったーーーー!!!

 

〔スゴーーーイ!!

これが生で見るキン肉ドライバー!!!

ってアレ?全員いない?サンシャインさんも?!〕

 

(ハ!? 違う!これは今までのキャンバスじゃない!

これは砂の・・・!)

 

【グオッフォッフォフォフ!!!

そう これぞ地獄めぐりNO.6砂地獄よ!!】

 

なんとサンシャインが砂となって落下の衝撃をおさえていた!!

逆に砂地獄にニュー・マシンガンズが飲み込まれる状態となった!?

 

〔ニュー・マシンガンズが・・・ 戻ってこない・・・〕

 

  ボコ・・・  ボコ・・・

 

(王子!!ジェロニモー!!)

 

   バサーーー!!

 

ああっとーーー 砂地獄からでてきたのは

ニュー・マシンガンズの二人を抱えた魔王だーー!!

キン肉マンとジェロニモは完全にグロッキーだ!!

 

「ハア・・・ ハア・・・

サンシャインの好フォローがなければあぶなかった・・・

あれで威力半減といったところか 久しぶりに死ぬかと思ったわ」

 

【悪魔にも友情はあるのさ】

 

「ふ いいおる

カハッ!?」

 

ああっと魔王 吐血!!

砂がクッションになっていったとはいえ風林火山のダメージは大きかったか!?

 

「まったく 恐ろしい技だった・・・

もはやこやつらは虫の息だが 油断はせん!

ここからは オレの最終地獄だ!!!」

 

   ギュルギュルギュル

 

魔王 ジェロニモをエアプレン・スピンでふりまわすーーーーっ!!

 

「ぐおおおおおおお!!!!」

 

  バッ!!

 

   ギュ

   |

   |

   |

   |

   |

   ン

 

魔王がすごい投げでジェロニモを空のかなたへーー!!!

これは試合前よりも勢いがある!!

 

  ゴロゴロゴロ  ~ ○ ~ ○ ~ ○

 

「とどめだ!地獄の砂団子!」

 

魔王 砂団子を上空のジェロニモへ投げた!!

 

  バシャ!!  バシャ!!

 

直撃---!!

あーーっと砂団子の正体はサンシャインの一部だった!!

 

【グォッフォッフォフォ!!

本当の地獄はここからよーーーーっ!】




最近ペースが上がり気味のウジョーです

ディアさんによる 本家ジゼルがコーセルテルに迷い込んできた
「ジゼル異世界出張日記~ハドラー子育て日記番外編~」が投稿され
私の火事場のクソ力が発動中のため 拙作の続きも早めに投稿できそうです。



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超人一等祭 十六本目 強襲!悪魔超人 ラウンド5

「くらえーー!!」

 

バシャ バシャ!! バシャ バシャ!!

 

魔王による地獄の砂団子の連射!!

ジェロニモに被弾するたび サンシャインが何かの技にかためていく~!!

 

【グオフォッ

くらえ~~~~っ

コンプリートサンド・セメタリープレスーーッ!】

 

     ブン!

 

{キーパーツがいったーーー!!}

 

「なに!?」

 

     バシィ!

 

〔〔これでおはんの砂地獄もおしまいタイ!〕〕

 

ジェロニモ無理な体勢から キーパーツをキャッチ!!

ここから逆転なるか!?

 

 

【きさまら まだ息があったか

これをねらっておったな・・・】

 

〔〔ハア、ハア・・・キン肉マン先輩とミート君のおかげタイ

おはんが砂地獄による力の消耗を抑えるため

キーパーツを使っているだろうとアドバイスを受けていた

もはや無理な体勢を維持しなければならないこの技は封じた!!〕〕

 

【ならば この呪いのローラーで・・・】

 

   カシャ ウィーーン

 

サンシャインの胸が開き これまで多くの超人の血を吸ってきた

呪いのローラーがあらわれた!!

 

〔〔砂は音に弱い!!

アパッチの断末魔!!!〕〕

 

     ザバアアァ!!!!

 

サンシャインの上半身が崩れ去った!!!

通天閣の上空でジェロニモ大逆転!!!

 

    ブオン!!!

 

なんとサンシャイン!

下半身のみとなった状態から40文ロケット砲発射!!

まだ闘志は失っていなかった!!

しかし渾身のドロップキックは空振りーー!!

やはり上半身がないため見えていないのか!?

はげしくもつれあいながらリングに落下してくる!!

サンシャインの足がジェロニモの首にひっかかった!?

 

(違う!!あれは 単に首にひっかけたものじゃない

あの技は!!)

 

{じ・・・地獄の断頭台・・・}

 

「おまえの相手はオレだ」

 

魔王がキン肉マンをネックハンキングツリーで引きずり上げた!!

 

「借りるぞ この技を!!」

 

      ガッチィ!!!

 

〔あれは!?カナディアンバックブリーカー!!!〕

 

魔王 キン肉マンをカナディアンバックブリーカーに捕らえ

地獄の断頭台の落下地点へ移動した!!

 

「さあこい!サンシャイン 地獄のコンビネーションだ!!」

 

(いけない!!)

 

ニュー・マシンガンズのセコンド、ミート君からタオルが投入された!!

 

「?」

 

しかし魔王これを無視!

技を解こうとしない!!

このまま激突しては!!

 

〔ブレイクだ!!ええい仕方ない!!!〕

 

    ズガァアンン!!!!

 

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

な なんと レフェリー井上がアックスボンバーで

魔王を動かした!!!

 

{グウウ・・・}

 

〔〔ううう・・・〕〕

 

生きています!!

ニュー・マシンガンズの最大のピンチを

レフェリー井上が救出していた!!!

スーパーヘビー級の超人を右腕一本で吹き飛ばした!!

女子プロレスのレジェンド井上が!

いや往年のレディーゾンビー・ブラッディ井上が!

この大阪のリングに 今よみがえったぁ!!!!

 

 \\\\\\\いーのうえ!!いーのうえ!!!!///////

 \\\\\\\いーのうえ!!いーのうえ!!!!///////

 

「今日一番の歓声ではないか・・・

まさか審判に持っていかれるとは

だが リング上で 敵は二人とも倒れたまま

サンシャインはなぜか腕一本しかない

結局 この決着はどうなった?」

 

〔タオル投入は セコンドによる試合放棄を知らせるもの

つまり はぐれ悪魔コンビ あなたがたの勝ちだ〕

 

   サッ

 

カンカンカンカンカンカン!

 

レフェリー井上が魔王の左腕とサンシャインの片腕を掲げた!!!

はぐれ悪魔コンビが激闘を制し

ニュー・マシンガンズをくだしましたーー!!!

 

  ズキ!

 

〔!!〕

 

「その腕 オレへの一撃で痛めたか

オレを動かしたその力と勇気 そしてその痛む体をおして

オレたちの腕を掲げる胆力に敬意を表し

人間の勇者に この魔王から褒美を与えよう

ホイミ(回復呪文)

 

     パアアアア

 

〔これは?!〕

 

ああっとレフェリー井上が光に包まれた!!

 

〔そんな!?今の痛みだけではない

長いレスラー生活の古傷の痛みや体の重さまで・・・

完全に消えた・・・〕

 

 \\いのうえー!!リングに帰ってきてくれてありがとー!!//

   \\ステーキ屋!開店したら絶対行くぞー!!//

 \\\\\\\いーのうえ!!いーのうえ!!!!///////

 

 

(王子!ジェロニモさん!)

 

{心配するなミートよ わ・わたしなら生きているぜ

ジェロニモも 受けたのが下半身だけの断頭台じゃあ・・・

た、ただのニードロップにすぎん}

 

〔〔す・すまねえ キン肉マン先輩 オラが不甲斐ないばっかりに

ミート君にも嫌な役をやらせてしまっただ・・・〕〕

 

{なにをいうジェロニモ

おまえがいなければ ここまで闘うことはできなかった

ありがとう いいコンビだったぜ・・・}

 

〔〔キン肉マン先輩・・・!!〕〕

 

\\\\スーグール!!スーグール!!スーグール!!スーグール!!////

   \\\\ジェーローニモ!!ジェーローニモ!!!////

 

「丈夫なことだ あの様子では命にも別状はなかろう

サンシャインも今日はもう闘えないだろうが 休めば動けるようにはなるか

ジゼル 風竜術であの砂をできるだけ集めておけ オレが治療する」

 

[はい!魔王様!!]

 

「ククク やはり勝利の味はいい

それも強者との真剣勝負なら尚更だ

さて アシュラマンの方はどうなったか・・・」

 

あーーっと大阪ドームの一騎打ちもクライマックスを迎えていたー!!




もう一生分のバトルを書いた気がするウジョーです 
風林火山が最後までつながればそのままマシンガンズが勝って終わってたのですが
もうちょっとだけ続きます。


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超人一等祭 十七本目 強襲!悪魔超人 ファイナルラウンド

【・・・これからが 悪魔殺法の本番だ

阿修羅面怒り!!】

 

{やはりこれくらいで倒せる相手ではないか ならば・・・

当たって砕けろGO FOR BROKEだ!}

 

ガッガガッ! ビシィ!!  バッ!

 

こちら竜巻に包まれた大阪ドームは

ドーム外の猛烈な冷気とは反対に凄まじい熱気の打撃戦が展開されています!!

 

【阿修羅四道蓮華―――っ!】

 

  バッ   バッ

 バッ   バッ

 

あーーっとアシュラマン4本の腕でストレート フック アッパーッ

テリーマンめがけ縦横無尽に放っていくーっ!

 

 ビシィ バシィ

  ドガッ! ボム!

 

テリーマン2本の腕はカットしたが

もう2本の腕のパンチをまともにくらった!!

 

{グアア・・・

くっ やはり手数では分が悪いか

だが!このテリーマンは恐れはしない!

立ち止まらない!怯まないーーっ!}

 

あーーっとテリーマン速攻だーー!!

 

  \\テリー!テリー!テリー!テリー!//

 

両者足を止めての強烈な乱打戦だ!!!

 

〔もう牛串はタダでええ!

ほらほらこれ持ってみんな応援や!!

テリー!テリー!〕

 

 \\テリー!!テリー!!テリー!!!テリー!!!!//

 

テリーマンの妻ナツコさんの大盤振る舞いで

ますます大観衆が沸きあがるーーっ!

21世紀の大観衆も知っている

乗っている時のテリー一族(ファミリー)の強さを!!

 

【ウググ!】

 

テリーマンのナックルパートがアシュラマンに食い込む!

 

   グルン!

 

【左腕をふりまわすクセ!!】

 

 ブン バキイ!!

 

【右ストレート・・・だと】

 

{かつてオレの腕といっしょにクセまでうばったばかりに

このフェイントにひっかかったな!!

幼少の頃にパパに指摘されたクセだ!!

そのままにしておくわけがないだろう!!!}

 

1000万パワーを誇り6本の黄金の腕を持つアシュラマンを

95万パワーのテリーマンの2本の腕が圧倒していく!!

アシュラマンの怒り面が流血を伴い歪んでいくー!

 

    ガッ!ズルッ!!

 

【しまった!?】

 

アシュラマンを支える松葉杖の一本が血で滑ったか!?

大きく態勢を崩した!!

 

{とどめだーー!!}

 

いった いった テリーがいったーーーー!!

 

    カッ!

  ズズズ ズズ ズズ

 

あーーーーっと 失われていたアシュラマンの右足が生えた!!

 

【こ!?この足は!?そんな、まさか!?】

 

{なんだ?アシュラマンの方がとまどっている!?

いったいだれの足なんだ?}

 

【ま 間違いない これは

ア・・・ ア~~~~ッ】

 

あーっとアシュラマンが取り乱しているーーーっ!

右足が再生し万全の状態となったアシュラマンが

反撃のチャンスのはずのアシュラマンが凄まじい取り乱しようだ!

 

【アア~~~~ッ

シバ~~~~~~~~ッ!!!】

 

アシュラマンの怒り面が!?

いやアシュラマンの三面全てが泣いているーーー!!

 

     ブン!

 

【魔界のクソ力~~~~~っ!】

 

アシュラマン松葉杖を投げ捨て泣き顔のままテリーマンへ向かっていく!

 

【阿修羅六道蓮華―――っ!!】

 

アシュラマン6本の腕を駆使した猛攻!

 

  ドガ! ズガ! ガン! ガシ!

 

テリーマン防戦一方!!

 

{な・なんの リャーーー!}

 

  ドガ!

 

反撃のラリアートがアシュラマンの首元へ炸裂!

 

【アァーーーー! 波羅蜜多ラリアットーーーッ!】

 

ドゴオン!!

 

アシュラマンの右側の3本の腕が束となって太い腕となり

テリーマンの胸に叩き込まれたーーーー!!

テリーマンたまらずダウン!!

 

【ハァ ハァ こ この老いた体では も、もう

阿修羅バスターのような大技を使う力は残ってない・・・

だが パワーはなくても勝負を決する技がある!

かつてきさまから腕と共に奪ったこの技がなあ!!】

 

   ガキィ!

 

あーーーーっとアシュラマンがテリーマンに掟破りの

スピニング・トゥホールドをかけたーーーー!!

 

{うわーっ!!}

 

テリーマンの生身の右足を攻め立てるーー!

これは効いているぞーー!!

 

   ガキィ! 

      ブチブチッ!

 

{シューズのヒモが切れた!?

まさか キン肉マン達が!?}

 

  スポッ

 

【しまった!?】

 

アシュラマンがつかんでいたテリーマンのシューズが脱げた!

テリーマンすかさず技から逃れ

 

{テキサスコンドルキック!!}

 

   ガシ!!

 

なんとダウンした状態からアシュラマンのアゴへ

とびあがるようなテキサスコンドルキックが炸裂!!

今度はアシュラマンがダウンだ!!

 

{キン肉マンとジェロニモが窮地を救ってくれた

この友情にこたえなければ!!

くらえ!スピニング・トゥホールド!!}

 

あーーっと ここで本家テリーマンのスピニング・トゥホールドだ!!

再生したばかりのアシュラマンの右足を強烈にひねりあげる!!

 

【グワアーーー!!】

 

{アシュラマン!

おまえが抱える 愛と 怒りと 悲しみが!

この戦いを通じ 長きにわたるライバルであるミーにも通じた!

オレたちはまたわかりあえる!息子を持つ親同士として

さあフィニッシュだ! テキサスクローバー・ホールド!!}

 

    ガキィ!!

 

テリー一族の至宝スピニング・トゥホールドと

テキサスクローバー・ホールドの連続技だー!!

アシュラマンの足首とヒザがあぶなーーーい!!!

 

【ギ・・・ギブアップ!!】

 

アシュラマン ギブアップを宣言!

 

カン カン カン カン カン カン!

 

34年前のウォーズマン体内リングから続く因縁の一戦は

テリーマンのテキサスクローバー・ホールドによって決着!!

そしてご覧ください!

大阪ドームを覆っていた竜巻が晴れ完全に解放されました!!

 

 

   \\テリー!!!テリー!!!!//

 \\テリー!!テリー!!//\\テリー!!テリー!!//

 

{アシュラマン その足は・・・}

 

         バッ

 

【なにも言うな!テリーマン!!】

 

{・・・ ナイスファイト アシュラマン!}

 

      ガチッ

 

【・・・ナイスファイト テリーマン】

 

両者健闘を称える握手だ!!

そしてアシュラマンは黙ってリングを降ります

 

 \\テリー!!!テリー!!!!テリー!!!テリー!!//

 \\アシュラ!!アシュラ!!アシュラ!!アシュラ!!//

 

勝利した正義超人テリーマンだけではありません!

試合結果を認め堂々とした魔界の王子の潔さ 公正さ 行動の洗練さに

大観衆から大エールがおくられております!!!

 

 

 

 

「アシュラマンが敗れたか・・・ む?」

 

    スッ

 

あーっと こちら通天閣特設リングでは敗れたキン肉マンから

魔王に対し握手が求めらています!

そして魔王が歩み寄る!

 

(王子!)

 

「・・・キン肉マン!」

 

{ハイ!}

 

(今更びびらないでください・・・)

 

「この世界の 神から与えられた超人パワー

その中でもおまえたち親子二代に受け継がれる奇跡の力 火事場のクソ力

オレの知る親子が持つ究極の力に通じるものがあるのではないかと思ってな

その力を知るために オレはこの舞台を作った

・・・そして この戦いを通じ その力に触れ

オレの知るあの力よりも さらに先があることがわかった

そしてそれはキン肉マン親子だけではない

ジェロニモやテリーマンたち他の正義超人、

そしてサンシャインやアシュラマンのおかげで

悪魔にもその力を出す可能性があることを知った

感謝するぞ キン肉マン おまえと闘えてよかった

ありがとう!」

 

    ガチイ

 

ああっと!魔王が握手にこたえた!!

 

{私もあんたと闘えてよかった ありがとう!

異世界の戦士とわかり合うことができたのじゃからな!}

 

「だが・・・ 氷魔塔とは違い この塔の炎の進行は止まっていない

サンシャインはもう戦えぬが このオレを倒さぬ限り

地獄の炎が消えることはない!

次にリングに上がってくるものはおらぬか!」

 

〔よーし!

今度こそボクが・・・〕

 

〔〔やめておけメアリ ここはこのストロングマンに・・・〕〕

 

     ポン

 

〔え?〕〔〔ん?〕〕

 

「さあ この魔王への挑戦者はだれだ!

ダイか! ポップか!!」

 

‘残念 私です’

 

「なに!?」

 

    ヒュ!

     カ!

   カ! カ!

   カ! カ!

 

‘邪なる威力よ 退け  むうううっ!!

マホカトール(破邪呪文)!!’

 

   ドドオン

  ブアアアア

 パアアアアアッ

 

「この破邪の五芒星 間違いない!」

 

なんと突如謎の光に包まれたと思ったのもつかの間

魔王の手によって燃え盛っていた通天閣が!!

もとの姿をとりもどした!!!

この奇跡のような現象を起こしたのはいったいだれなんだ~!!

 

「クックック この魔法陣 やはり貴様か」

 

なんと魔王が指差す先には!

黒いキン肉マンのマスクをつけた男が!

ミート君のお面をつけた女性とともにリングに向かって入場してきます!!

 

〔あれはキン肉マングレートのマスク!!

しかもあの声は!でもあの中の人は今も大阪ドームに!?

あれ??〕

 

‘私は・・・ キン肉マン・グレート・Ⅳ世

正義を守り悪を砕く 正義超人!

・・・・・・魔王さんとやら あなたのお誘いは私が受けましょう’

 

「貴様 どう見ても祭を満喫しているだけだろう!

この遊び人め!」

 

突如あらわれたキン肉マングレートⅣ世!

その格好はハチマキを巻いた法被姿で手にはリンゴ飴と

リングコスチュームというより どうみても祭り衣装です!!

しかし その堂々と入場する姿は キン肉星大王キン肉マンに

劣らない気品さえ感じさせます!!

魔王の手から通天閣を救って見せたその実力が

リングの上で発揮されようとしています!

 

「貴様の挑戦受けようではないか 宿敵よ」

 

‘ええ お相手しましょう 宿敵・・・’

 

  別の世界の魔王

     対

   キン肉マングレートⅣ世

 

次回宿命のゴングが鳴る!




ニコニコアプリゲーム リング☆ドリームでメアリ・ノートンを応援しているウジョーです(2回目)
メアリ世界タッグ挑戦中の応援の意味をこめて書き始めた超人一等祭編から早1年過ぎ
そのメアリはタッグ王者奪取後防衛を重ね今日は防衛戦 しかし現在劣勢 応援中です
→結果 メアリ タッグ王座陥落・・・ 挑戦者とんでもなく強かった

それはさておき ついにやってしまった宿命の対決
最初の予定では 戦闘シーンの連続なので最後に試合の結果だけちょろっと書いて
祭を終わらせてから機を見てじっくり書くつもりでしたが
どうにも戦闘シーンが頭からあふれてしまい止まらないので次回ゴングです
魔王様は戦いたくてしょうがない模様・・・



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超人一等祭 十八本目  魔王 対 キン肉マングレートⅣ世

『キン肉マン・グレート・Ⅳ世 一体何者なのでしょう

名前からして先ほど闘ったキン肉マンよりも強いのでしょうか?』

 

聖母竜よ 本気で言っているのか?

あれはアバンだ

 

『ええ!?そうなのですか?

顔が全然違いますよ!』

 

あれは覆面だ

 

『しかも黒い肌でとっても筋肉質ですよ!』

 

あれは作り物の・・・いやまてよ

たしかアバンはモシャスが使えたはず

あんな変装 いや仮装をする必要はない

 

    グ!

 

‘トォッ’

 

 

   バッ!!

 

<あーーっとキン肉マングレート華麗なジャンプでリングインだ!>

 

 \\グレート!//\\グレート!//\\グレート!//

 

<大阪のリングにまたもレジェンドが復活しました!

その名はキン肉マングレート~~~~っ!!!>

 

さては観客にうけるからか

 

『え!?そんな理由ですか!?』

 

‘さて魔王さん 先の激戦、実に素晴らしいものでした

結果 そのダメージは明らかに大きいものでしょう

正・悪超人レスリング統一規約第45条大事7項

一人のレスラーが数試合闘う場合、

その負傷がはげしい時は 次の試合まで

1時間の休憩をとれることになっています

炎魔塔による時間制限もなくなりましたし

私と戦う前に ここでランチタイムでもはさみませんか?’

 

どうやらオレよりも超人レスリングのルールに詳しいようだが

 

「ククク そんなものは無用だ

たしかにダメージは大きいが・・・

ホイミ!」

 

     パアア!

 

む!?この手ごたえ オレの魔法力が抑えられている・・・が

 

「このとおり 回復した 問題ない

むしろ 先の破邪呪文で魔法力の消耗した貴様の方が休憩が必要ではないのか?」

 

‘いえいえ、シルバーフェザー!’

 

     パアア…

 

‘このとおり 回復しました

あなたにも一本うっておきましょうか?

闘いの前に回復して万全の体制を整えるのは当然のことです’

 

「相も変わらず甘い奴よ ヘドが出るわ

そんなことよりもルールの確認だ」

 

‘そうですね 基本は超人レスリングのルールに合わせましょう’

 

「いいだろう 貴様はすでにオレよりも詳しいようだが

引き続きレフェリーは井上に頼めるか?」

 

〔引き受けましょう〕

 

‘道具の使用は?’

 

「好きに使え オレと貴様では体の出来も鍛え方も違う

剣でも槍でも魔弾銃でも好きに使え」

 

‘たしかに単純な戦闘力 この世界でいう超人強度では・・・

私のそれはあなたの1割にも満たないでしょうね・・・・・・’

 

貴様はそもそも人間だろう

 

‘ですが あなたの方が強いのはいつものこと

あなたとは何度も顔を合わせ戦ってきましたが

一度も私の方が強いと思ったことはありません’

 

『よくそれであなたと何度も戦う気になれますね

これが人間の勇者 ダイの先生・・・』

 

「それでこそ我が宿敵

貴様とはルール無用のデスマッチで決着、と言いたいところだが

それでは貴様を追いつめてもダイたちが乱入してでも止めに入るだろう

そして万が一にもオレが不利となれば ジゼルが抑えきれん

どちらにしろ肝心の決着が有耶無耶になりかねん」

 

『まあそうでしょうね』

 

‘一理ありますね’

 

「そこで貴様のその覆面を見ておもいついた勝負の方法として

どちらか素顔を晒した方が負けとなる

マスクはぎデスマッチを申し込む!」

 

‘なるほど あなたの半面と私の覆面

それが勝負の鍵ですか たしかにこれなら

命のやりとりをする必要はありませんね

いいでしょう 全ての条件を含め 時間無制限一本勝負

シングルマッチであなたに勝って見せましょう’

 

      ピク!

 

「クックックッ 貴様の破邪の魔法陣によって

オレの魔炎気や呪文を多少なりとも抑え込むことはできるようだが

マシンガンズ戦で見せた地力は変わらぬ

今日こそ貴様の敗北をもって決着をつけてやろう

貴様の弟子や その女の前でな」

 

      ピクッ

 

オレがミートの面をつけた女を指さすと

アバンの秘めたる闘気が膨れ上がった

 

『!?人間がこれほどの力を?』

 

どうやら こやつも・・・

 

「ククク さあ」

 

‘勝負といきましょうか’

 

‘「宿敵!!」’

 

〔ヘイ!ゴング〕

 

       カーーーン!!!

 

<さあゴングとともに両者リング中央へ

魔王は正面からつかみかかりにいった!>

 

     バシャッ!!

 

「ぬお!?貴様あ!」

 

いきなり顔面に水が!?

呪文を使った気配はなかったがどうやって!?

 

‘ただの水風船ですよ

あなたといきなり正面から組み合う気はありませんからね!’

 

      ビシ!!

 

<グレートの鋭いローキック!!>

 

「くっ!味な真似を!」

 

‘まだまだ!’

 

   ビシ!ビシ!ビシ!ビシ!

 

<ローキックの連打!!たまらず魔王のヒザがぐらつく~!!>

 

  バッ   ガチ!!

 

<グレートが仮面に伸ばした手を 魔王がつかんだ!!>

 

「ククク たとえ目をつぶり 気配を隠そうとも

その程度の動き 勘でつかめる!」

 

   ブチッ!

 

「なに!!?」

 

<なんとグレートの手がちぎれ 魔王の手から脱出!!>

 

いや これは やつのボディースーツの切れ端

手の部分が たやすく外せる仕様か

 

「抜け目のないやつよ・・・

貴様のことだ 仕込みはこれだけではあるまい」

 

‘もちろん せっかくのあなたとの再戦です

この大観衆に退屈はさせませんよ’

 

「あいかわらず食えぬ男よ」

 

‘さあ 第2ラウンドといきましょうか’

 

[魔王さま!!]

 

「不安そうな声を出すなジゼル」

 

“死なないでくださいね あなた”

 

‘いやぁ~~っ 毎度ご心配をおかけします 我が勝利の女神様♪’




キン肉マンスーパーフェニックス戦が気になっているウジョーです。
知性あふれるレスリングとかすごい参考になりそうですが なかなか書く時間が・・・

花粉症で目と鼻が大変なことになってきましたが今年は一段ときつい気もします
朝夕の寒暖差も大きく体調を崩しやすいこの時期 おつかれのでませんように


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超人一等祭 十九本目  魔王 対 勇者

「やはり貴様相手に肉弾戦だけでは芸がないか

ならば べギラマ(閃熱呪文)!」

 

  ゴアア

 ドオオオオオ

 

‘むうううっ 海波斬!!’

 

   ブアアア

 

  パアアアン!!

 

<なんと魔王が放った光線をグレートがハチマキで切り裂いた!!

まっぷたつとなった光が美しい放物線を描きリングを舞った!!!>

 

‘今のがべギラマ!?

なんという以前戦ったときは次元が違う・・・!

こ これが・・・!?’

 

流石アバン 違いのわかる男よ

 

『どういうことですか?』

 

ククク

あの布で切り裂いたのはやつの技量によるものだが

本来直線的な高熱放射であるべギラマを放った後

動きを制御しつつ客席に届く前に熱を消し去るなど

想像を絶する技量が必要なのだ

あの世界の常識ではな

 

‘・・・驚きました まさか あなたがこんな真似を’

 

ククク まだまだオレがみにつけた【竜術】はこんなものではない

メラミ(火炎系呪文) ヒャダルコ(吹雪系呪文)

 

2つの呪文を同時に!?

 

「ハッ!!」

 

    ブオオオ!!

 

‘これは!?’

 

なんと今度は魔王が超人よりも巨大な水球を

リング上に生み出した!!

 

「これは沸騰寸前の熱湯だ

今度はたとえ切り裂いたとしてもそのまま貴様に襲い掛かる

さあどうする!!」

 

バギクロス(真空系呪文)!!’

 

魔王が投げた水球を グレートは風でうけとめ

逆に強烈な水刃が魔王に襲い掛かった!!

 

「!?いかん!!」

 

   ドカッ!!!

 

魔王が両腕でブロック!!

熱湯の刃を無傷で防ぎきった!!

 

「あやうく仮面が割られるところであったわ

このキレ 貴様もただ年をとっているわけではないようだな」

 

‘なんのなんの 今度は私の方から

ほんの拙い小技で恐縮ですが・・・’

 

  ヒュ    ヒュン ヒュン ヒュン

 

<ああーーっと グレート 先ほど光を切り裂いた

ハチマキを 今度は何もないところで振り回し始めた>

 

‘いえいえ ここには魔王が生み出した

濃密な魔法力を含んだ水分があります

それをハチマキにとりこみ・・・

マヒャド!!’

 

ピキィイイイン!!!

 

『まさか!?』

 

‘抜けば玉散る氷の刃・・・

ダイ君が使う 魔法剣の再現にはいささか苦戦していました

一瞬の模倣自体は不可能ではありませんが

維持がヒジョーにムツカシイ

ですが あなたの魔法力を【つなぎ】に使うことで

こうして魔法力を垂れ流すことなく

安定した魔法剣として実現することができました’

 

『そんな・・・

ハンバーグをつくるようなノリで簡単に!?』

 

なにをそこまで驚いている

魔法剣が竜の騎士の専売特許だと思っていたのか

おめでたいやつだ

 

『ええっ!?

そもそもアバンはなぜここにいるのですか!?

あなたの誘いを断ったのに この異世界にこれるはずが!』

 

たしかにいくらここがオレたちの世界と近い世界とはいえ

オレですら聖母竜と同化しなければ異世界を渡ることはできない

 

「貴様はなぜここにいる」

 

‘お仕事をどうにかひと段落させたので

こちらのお祭に参加させていただきました

かつて弟子が(ダイやヒュンケル)行方不明になったときから

リリルーラ(合流呪文)改良の研究をしていました

先にきていた一番弟子を目印にそれを使ってポーンと

それからはこちらでさらに強化するために拠点をつくり

昨夜あたりからお目付け役といっしょにお邪魔しております’

 

『そんな・・・

人間が そんな真似を・・・』

 

おまえの唯一のとりえともいえる異次元移動まで可能としたか

まあ この男なら不思議ではないか

 

『こわい!今 はじめて人間がこわいと思いましたよ!』

 

安心しろ こいつはアバンだ

 

『・・・あなたが私に 安心しろ、とは珍しいですね』

 

‘それがここに来た手段 そして・・・

ここ(リング)にいるのは あなたがいたからですよ’

 

「ほう」

 

‘私がこの世界で最初に出会った人はヒュンケルが

お世話になっていたテリーマンという方でした

そして彼とすっかり意気投合してこの世界のことや

スピニングトゥホールドのかけかたなどを教わりました’

 

アシュラマンと戦っていた男か

そういえば電車に乗ったときにも話したが

そのときはまだアバンのことを知らない様子だった

少なくともあの後に来たということか

 

‘そして正義超人が【分かり合うために戦う】ことを教わり

このグレート覆面マスクを預かりました

そして 今 一番知りたいのは あなたなのですよ

あなたの日記を拝見したり 手料理を味わうことができれば

多くのことを知ることが出来るでしょう

しかし、【魔王】と分かり合うために、

正義超人として・・・ リベンジマッチにきました’

 

この男の口からリベンジという言葉がでるか

だが魔法剣か 厄介だな

 

『そうなのですか?』

 

あの男なら箸一本でもアバンストラッシュで

この面を割る程度のことは可能だ

それゆえ やつ全体を警戒していたが

あの氷の刃はオレに嫌でも警戒を抱かせる

 

『つまり不意をつかれやすくなると・・・』

 

「ククク いいだろう・・・

オレの力をとくと味わうがいい

出し惜しみはせんぞ!!」

 

<魔王がいったー!!>

 

‘氷結大地斬!!’

 

   ブオオン!!

 

「グオオオ!!」

 

   ピキキキキ!!!

 

「グオ!?」

 

左腕一本 凍り付いたが!

 

    ガシ!!

 

<魔王がグレートの顔面を右のアイアンクローで捕えた!>

 

「左腕はくれてやる

もはや逃がさんぞ」

 

‘これは!? ただ握力が強いだけではない

あらゆる食材を扱い 洗濯物を扱い 子供を抱いてきた手!

一部の隙もない!!’

 

「余計な分析をするな!

む!?」

 

    バッ!!!

 

〔ロープブレイクだ!!!〕

 

あーーーーーっと 間一髪

グレートがロープをつかんでいた!!

レフェリー井上が割って入って技をといた!!

 

「くっ その手が!」

 

『たしかに魔法剣に気をとられて

ロープに気づきませんでしたね』

 

「くっ ここは腕を解凍して仕切り直すか」

 

メラで強制的にオレの腕の氷を融かそうとしたが

 

    ボン!!

 

「なにぃ!!?」

 

<なんと魔王の左腕がふきとんだ!

これはどうしたことだ!!?>

 

‘冷たい食器に急に熱湯をそそぐと砕けるように

急激な温度差がもろくした可能性はありますが

あの魔王がこの程度で?’

 

『・・・すみません 私のせいです

戦闘状態で体を維持するのがこれほど消耗するとは・・・』

 

そういえば ただでさえ戦闘に不慣れな聖母竜に

いきなり2連戦は酷だったか

 

『これ以上は戦闘どころか まともに体を維持するのも・・・』

 

     ピシィ・・・

 

くっ 最初にアバンに蹴りをうけたヒザにヒビが

 

『せめて試合の合間の休憩をうけていれば・・・』

 

    グラ・・・

 

<あーーーっと 魔王がよろめいた!

コーナーにもたれかかるような態勢で

なんとかダウンを回避したが右腕を失ったダメージは深刻か!?>

 

「ククク・・・!」

 

<おーーーーっと ピンチに見える魔王の不敵な笑い>

 

‘楽しそうですね’

 

「たのしい、か ・・・そうだな

認めよう 貴様との闘いが!この窮地が!

オレの体の全てが ふきとんだ腕すらも

喜びに震えておるわ!!」

 

〔魔王 その体で続行可能なのか?

命に関わるようならレフェリーストップをかけるが〕

 

「見てみろ 血は一滴たりとも でておらぬ

人間とは体のつくりがまるで違うのだ

たとえコナゴナとなろうとも 大した問題ではない」

 

『灰の一粒一粒をこの私がつなぎとめていますからね

ですが・・・私には もう』

 

「ククク 

この世界の悪魔の知恵がオレに打開策を与えてくれた」

 

      ブチブチ!!

 

なんと魔王がコーナーの鉄柱を片手で軽々とひきぬいた!!

これを一体どうするのか!?

 

‘おやおや何の真似でしょうか

アシュラマンのようにそれを松葉杖に使うのですか?’

 

「いや オレが真似るのは、サンシャインだ

ベギラマ!!」

 

     ドロ・・・

 

<なんと魔王が握る鉄柱がまるでアメのようにとけだした!>

 

   ギュッ コネコネ グッ!

 

とけた鉄柱をまるでおにぎりを握るように

片手で器用にこねていきます!

 

・・・

 

「完成だ

見るがいい これぞ逆転の切り札キーパーツ

その名も【魔王のカギ】」

 

<なんとこれは!?

魔王の手には一本のカギが!

まるでチェスのキングの駒のようなカギが出来上がっています!

これを一体どうするのか!!>

 

    ガチャーーーン

 

<胸に埋め込んだーー!!>

 

『私の負担が減った?!

こんなことが!?』

 

「ホイミ!」

 

 パアアアーーー!

 

回復呪文でヒビは治ったが

さすがに砕けた左腕は再生できなかったか

どうせアバンに氷漬けにされた腕なら この方が身軽でいい!

急ごしらえのカギにしてはいい出来といえる

 

「片腕では極大呪文は使えん

炎の暗黒闘気と相性が悪い右のヘブンズクローでは

超魔爆炎覇も使えん

・・・だが

オレの優位は動かん」

 

‘・・・そのとおりです

その状態でも私よりも強いでしょう

さあ第3ラウンドといきましょうか’




スパロボTをプレイしてからトライダーG7のテーマ曲が頭から離れないウジョーです
新スパロボのときから曲は知ってましたが歌詞が加わると強力すぎました
社員総出の合体攻撃もツボでした 原作アニメ見てみようかと思うほどに

新元号の告示が目前 新たな時代の大きな節目に
天皇陛下のこれまでに 改めて頭が下がる思いです

エイプリルフールネタは正直今回形にするのが間に合いそうにないので
とりあえず超人一等祭に集中します
すっかり暖かくなったと思いきや意外と夜は寒かったりと油断ならない今日この頃
おつかれのでませんように


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超人一等祭 二十本目 決着!!ハドラー対アバンの巻

‘ところで 【どたまかなづち】を知ってますか?’

 

「ああ タルのようなものを頭に装備して攻撃する武器だ

怪物では珍しくはないが・・・

人間が頭突きに特化した攻撃は目立つから憶えている

まさか貴様も使えるのか?」

 

‘アバン流殺法は武芸百般に通じています

もちろん あれでアバンストラッシュも使えますよ

何より見た目だけでウケますからね 

昔、親友たちと使い方を夜通し語り合った思い出深い武器です’

 

『なぜいきなりこんな話を?』

 

わからん だが この男の 他愛のないような言動が

何かの答えに通じている

会話の中身か それとも時間稼ぎか

真意は読めないが・・・いつものことだ

 

『では 無理やり話を切ればよいのでは?』

 

いや ここは適当に話を合わせながら

一度 オレも冷静になり現状を整理する

まずオレは左腕を失ったが体力 魔法力ともにまだ余裕はある

だが肉体の崩壊を止める【魔王のカギ】はあくまで急ごしらえの代物

効果がある間に決着をつける必要がある

右腕一本では極大呪文を使えずヘルズクローもない

対するアバンはこれまでの攻防の手ごたえから

リングに上がる前にバイキルトやスカラなどの補助呪文で強化をし

このリングを含む会場全体に破邪の魔法陣による結界を張り

オレの魔法力を半減させている

リングとルールを使い 追いつめても抜け出す技術はオレよりもはるかに巧みだ

だが、戦闘力という点ではまだオレの方に分がある

勝負の決め手となるマスクは互いに有効打がないが

オレの顔の左半分を覆っている仮面が正面に張り付いているのに対し

アバンのマスクは頭全体を覆う覆面となっている

あの頭頂の角を引っ張れば脱げそうだが 罠の可能性も否定できぬ

 

『角というよりトサカみたいですよね

ひょっとして小さなどたまかなづちを仕込んでいるのでしょうか?』

 

いや、あれでアバンストラッシュを使ってくるかもしれんぞ

 

    バンバン!

 

む?

 

[魔王様!!]

 

{魔王様!!}

 

赤コーナーでマットを叩く音に気づいて振り向けば

ジゼルだけではなく いつのまにかヒムまでいた

そして青コーナーにはミートの面をつけた女王だけではなく

 

'先生!うちの武器屋でも入荷してたぜ!'

 

≪それってパプニカでおススメされたあの武器だよね

本当に強かったんだ あれ≫

 

ダイ、ポップ、マァム その後ろに気配を抑えているヒュンケルもいた

ふう、これほどの猛者達の接近に気付かなかったとは

・・・やはりオレは冷静さを失っていたようだな

さて では改めてまだ喋っているアバンを見ると

やはり厄介なのはやつが装備した氷の刃だ

直接触れるのは危険だがヘルズクローがない状態では防御もままならん

 

『右腕のヘブンズクローでは防げないのですか?』

 

あれは物理攻撃力がまったくない上に暗黒闘気と相性が悪い

魔炎気が纏えないせいで超魔爆炎覇も使えん

 

『火炎呪文を纏わせて炎の爪にするのはどうでしょう?』

 

アバンの二番煎じで対抗するのはかえって・・・

いや、

 

「オレが磨いてきた術はこれで終わりではない

見せてやろう ジゼルの火遊びとは違う地獄の業火を

メ・ラ・ゾー・マ

ぬうううううん!」

 

       ゴオオオ!

 

この破邪の魔法陣の中では同時に操れる炎は4つが限界か

だがこれで十分

 

<あーーーっと 魔王の爪に4つの火が灯った!!>

 

‘む!?’

 

「フィンガー・フレア・ボムズ!」

 

   ゴウ!!        ゴウ!!

 

 

   ゴウ!!        ゴウ!!

 

<なんと炎の爪を全て発射!!

しかもその標的はグレートではなくリングを支える

4つのコーナーだ!!

そしてコーナーとつながれているロープが激しく

燃えあがっております!!>

 

「これぞ地獄めぐりNO.4焦熱地獄だ!!

このファイアーロープ オレならともかく

貴様は 触れただけで ただではすまんぞ」

 

‘なるほど これはまさに地獄

ロープブレイクはできそうにないですね

それでいてリングの外には飛び火して火事になるようなことはない、と

扱いの難しい炎をこれほど精密に制御するとは・・・’

 

だがこの男やはり抜け目がない

試合前に井上にかけておいた耐熱・耐火の火竜術ほどではないが

フバーハによる光のバリアを纏っているのが見える

あれでは直接ロープやコーナーに触れなければダメージにならんか

まあいい

 

「これでこの魔王から逃げることはできん

さあ 貴様との決着のときだ!」

 

‘・・・・・・勝負だ! 魔王!!

あなたに敗れたあの日から心身を鍛え直してきた成果

その新能力を直接見せる時が来た!!’

 

「フフフッ

常に他人のためにその力を使ってきた貴様が

はじめて己の意地のために使うか!」

 

‘それは今のおまえも同じはず!

行くぞ!!’

 

     ダッ!

 

ああーーっと

グレートが氷の刃で斬りかかりにいった!!

 

大地斬?!いや 魔法の気配を感じる

これは!? 

 

‘トラマナ!!’

 

      カアアアアッ

 

「ぬおおおお!!

この光はあの時 キルバーンの炎を消した!?」

 

<あーーーっと光に包まれたことでリングロープの炎が消えた!?>

 

オレはリングを包んだ破邪の光に意識を奪われ

それに紛れるように高まる闘気に一瞬対応が遅れた

 

‘アバンストラッシュ!!!’

 

「ぬううううっ!?」

 

咄嗟に右腕で仮面をかばった

 

    ピシィ!

 

わずかにヒビが入った音がしたが仮面は割れていない

しかも冷気は感じない従来のアバンストラッシュだった

どうやらトラマナで氷の刃の魔力も消し飛んだようだ

防御した右腕もダメージはあったがまだ使える!!」

 

「これならすぐに反撃を!」

 

‘そうはいくかーーーーっ!!

魔王封印!!’

 

         ビシィ

 

<あーーーーっと

元の布に戻ったグレートのハチマキが

魔王の体に巻き付いた!!>

 

「なにぃ!?」

 

右腕ごと巻き込まれた!?

しかしこの程度ひきちぎれば!!

 

    サッ!

 

<なんとグレート 魔王の頭を掴み後頭部に乗った!!>

 

'まさか先生その構えはメガ・・・!?'

 

‘安心してくださいポップ

これは自己犠牲呪文(メガンテ)ではありません

正面から割れないのならば後ろから叩き割るための

テリーマン直伝 テリーファミリーの至宝NO.3’

 

「貴様 どたまかなづちはこの!?」

 

カーフ・ブランディング(子牛の焼き印押し)!!!’

 

リングにカナヅチと化したオレの頭が振り下ろされ

仮面を割るイメージがくっきりと浮かんだ・・・が!

 

「甘い!!」

 

      バッ!!  ピタ  

 

<耐えた!!

後頭部から膝を乗せたキン肉マングレート

渾身のカーフブランディングを魔王が踏ん張って耐える!!>

 

「トラマナやアバンストラッシュまで囮に使い

オレの後頭部をとらえ、この一撃に賭けたようだが

ダイやジゼルはオレの頭上でよく遊んでいてな

貴様一人 どう動こうと揺らぎはせんわ!!」

 

'ダイ おまえ・・・'

 

≪いや 天界でハドラーの世話になってたときは

おれは小さな子供に戻ってたし・・・≫

 

'今でもちっさいガキじゃねえか'

 

≪ム≫

 

     ポカポカポカ!

 

″先生の応援をしなさい!″

 

「なにをやってるのだ あやつらは」

 

リング外でダイとポップがじゃれているのが目に入った

 

‘まだ私の攻撃は終わっていませんよ!

開扉呪文(アバカム)!!’

 

「しまった!?」

 

      パアアッ

 

頭上のアバンの唱えた呪文に応えるように

オレの中から痛恨の音が響く

 

  ガチャ!!  ポン!!

 

<なんと魔王の体からカギがとびだした!!>

 

     ピシ!ピシィ!

 

魔王のカギが外れた途端に体中にヒビが入った

負けるのか!?オレは!また!この男に!!?

 

[ハドラー様!!!]

 

{ハドラー様!!!!}

 

!!

負けたくない 我が子らの前で!

たとえ膝が砕けようと 折るわけにはいかぬ!!

赤コーナーで声を上げるヒムとジゼルだけではない

バルトス!

フレイザード!

アルビナス!

フェンブレン!

シグマ!

ブロック!

魔王の名や魔族の体を捨てても・・・

オレには!!!

 

    ボアア・・・!!

 

‘う うごかない!?

この魂の輝き 今、私にもようやくわかったようです

今のあなたを支えているものを

悔しいですがどうやら私一人の手にはおえないようですね’

 

言葉とは裏腹にオレの頭を掴むやつの手からは

勝負をあきらめる気配を感じない

それどころか・・・!

 

‘と いうわけで

大地に眠る 力強き精霊たちよ・・・

いまこそ我が声に耳を傾けたまえ’

 

「この呪文は!?」

 

重圧呪文(べタン)!!!!’

 

   カッ

 

   ド

   ガ

   ッ

 

「グゥおオオオオオオ!!!!!!」

 

   ドゴゴゴゴゴゴゴ

 

 ビシィ!ギシ!グシュオオオ!!!!

 

すさまじいおもさだ!!

この世界の大地の精霊はこれほど強いのか!?

  

    〝あなた!〝≪先生!!≫'先生!!'″先生!″

 \\\\グレート!!グレート!!!!グレート!!////

 

青コーナーのセコンドたちや観客の声援をうけ

さらに重さが増していくだと!

そんな呪文だったかこれは!?

食いしばる歯も砕けていく重圧の中にいるがそれはアバンとて同じこと

こいつを地面に落とせば逆転する目がある!!

 

‘・・・あなたは本当に強くなりましたね

ですが私も 愛する人のため 支えてくれた友のため

誇りである弟子のため 応援してくれるお客さんのため

共に生きる民のため 生まれてくる子のため

そして 今も強くなり続ける我が宿敵のために

会心の一撃を!!’

 

 ボアアア  カアアアアアーーーーッ

 

「こ!この闘気は!?キン肉マンの!?」

 

‘火事場のぉ!カーフ・ブランディング・べタン!!’

 

    ズガアアアアンン!!!

 

  ピシピシピシ・・・  パリン!!

 

「ガハッ」

 

 

    カンカンカンカンカンカン!

 

<決着―――!!!

キン肉マングレートのカーフ・ブランディング・べタン炸裂!!!

魔王の仮面がコナゴナとなってその素顔が明かされました!!

超人一等祭通天閣リング

魔王対キン肉マングレートⅣ世による一戦は

激しい熱戦の末キン肉マングレートⅣ世に軍配があがった!!>

 

‘ハドラー・・・’

 

   スッ

 

「握手か・・・」

 

<あーーっと グレートからの握手を魔王が拒否!

それどころか魔王の体が灰となって崩れていきます>

 

「・・・ククク 負けたか

だがこれで終わりではないぞ 宿敵」

 

‘・・・ええ 今度は握手をうけてもらいますよ’

 

・・・さて負けることは考えてなかったから幕引きをどうしたものか

サンシャインの体もまだ再生してないようだし

オレもすぐには復活できん

ここは勝者のアバンに任せるか

 

「「では 余がひきうけよう

観戦料としてな」」

 

なに!?

 

     カッ!!

     ブワワワ

 

≪ハドラーの灰が舞い上がって何かの形に・・・≫

 

'あれは!ハドラーじゃねえ!?'

 

‘まさか・・・!?’

 

「「悪魔騎士首領格並びに余の片腕魔王ハドラーを退けたお前たちに 魔界の神たる大魔王バーンの声をきく栄誉を与えよう」」

 

{ゲエーーーー!?

サタンの他にも大魔王が!?}

 

≪おれたちの世界で倒したバーンがなんでここに?!≫

 

'まあそれ言ったらハドラーもだけどな'

 

‘肉体を失っても復活する前例はいくつもあります

どうやらこれは・・・’

 

「「・・・フフフ久しいな勇者ダイとその仲間たちよ お前たちの絆の力をあなどったのが かつての余の敗因のひとつであった この世界でも超人と人間の絆の力 この世界では「友情パワー」「火事場のクソ力」と呼ばれるものがハドラーたちを退けるのを見ていた・・・これでは余の復活は諦めるしかなかろう」」

 

そういえば 今のこの方は太陽から眺めることができたのか

 

「「・・・だが人間たちが平和に慣れ超人との絆を忘れたとき 迫害された正義超人にかわり さらに強力な魔王軍により悪魔の時代がくる 余はそのときを楽しみに待つとしよう」」

 

  \\\\人間なめんな!!そんなときがくるわけねえ!!////

  \\\\そうだ!どんな時代になっても正義超人の熱い戦いは絶対に忘れねえ!!////

 \\\\キン肉マンたち伝説超人(レジェンド)が!!万太郎たち新世代超人(ニュージェネレーション)が誰のために戦ったのかを!!////

   \\\\魔界にけえれ大魔王!!!!////

 \\\\かーーえーーーれ!!かーーーえーーーれ!!!////

 

「「ふっふっふっ・・・ふはははははは はーーーーっはっはっはっ!!!!」」

 

<あーーーっと

大魔王の影が消え まとまりを失った灰が風に乗って

大阪の空へ散っていきました!!>

 

大魔王バーンの語りは想定外だったが、これで長かった祭りも終わりか

後はとりあえず元の姿に戻って片づけを・・・

 

『すみません まだ力がもどってません

このままでは灰が足りなくなる可能性が・・・』

 

おいおい・・・ 

オレの灰がまとまりを失っていくと同時に

・・・意識も・・・薄れていくようだ

 

『流石にそれはまずいです・・・どうにか・・・』

 

いや、聖母竜よお前には、最大の感謝を

・・・ありがとう・・・

・・・・・・上出来だ・・・

我が永遠の好敵手に力の全てを出し合った・・・

出しつくした・・・!

・・・・・・・・・・もはや思い残すことは・・・

 

 

 

 

 

 

      ぶわ・・・・

 

この風は

 

       ブワン

 

[ハドラー様!]

 

ジゼルの風竜術だったのか

どうやらオレの灰が失われないように術で

かき集めることに成功したようだ

 

『火竜術以外の竜術も上達しましたね』

 

[ハドラー様 わたし 強くなりたいです

あのキン肉マングレートに勝ちたい

ハドラー様に勝ち あのお面を叩き割ったあの人に!]

 

「そうか・・・」

 

ジゼルのたしかな成長と決意

それを感じただけでもこの祭りの価値は大きい

そしてオレも 鍛えなおさねばなるまい

さらに強くなるために 我が子とともに




平成の終わりに滑り込めたウジョーです。

もう最終回になりそうなほどつめこみましたがネタがまだでてくるので
まだ続きますが超人一等祭はこれでひとまず終わりバトルも多分これでおしまいです
最後にでてきたバーン様はその場を盛り上げるために適当に言ってるようであり、
そうでもないかもしれないような、まあこの世界で復活する気はないでしょうが・・・
アバン先生には声繋がりでテキサスブロンコだけではなく壁側のいぶし銀やドカベンネタも
放り込もうかと思いましたがバトル中にはちょっと無理でした

さてさて次回は令和に入ってからとっておきの帰郷ネタを投稿予定ですが
ゴールデンウイーク中にできるか・・・

天皇陛下の譲位に改元という時代の節目 こういうときこそ色々おきてしまうもの
心安らかに迎えられますように


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里帰り編 バルジ島へ上陸せよの巻

超人一等祭に呼び集めたダイや黒川たち協力者を送り届け

会場の片付けも一区切りついた

サンシャインたちは次の祭りも視野にいれて動いているようだが

オレはそこまでこの世界に関わる気はない

この世界を去ることを伝え 祭りの主催者の一人として

サンシャインに預けた金の分の分け前を受け取ったが

正直この世界の金は特に使い道がない

かさばってもしょうがないと次の祭りにでも使えと返せばカードになって戻ってきた

いまだにこの世界のことはわからないことが多いが

とりあえず この世界でやることはなくなった

そして忙しさに追われているときはそれほどではなかったが

 

「く・・・・・・」

 

アバン戦での敗北の口惜しさが今になって染みる・・・

 

『え!?今頃ですか!?』

 

「悔しいものは悔しい

やはり強さを磨き続けねばこの悔しさは晴れん・・・」

 

[ハドラー様・・・私も、私も強くなりたい!

メアリやキン肉マングレートよりも!!]

 

ジゼルも祭りでの悔しさを忘れていないようだな

 

「そういうことなら自分を見つめ直すためにも

一度 元の世界に帰るか」

 

[コーセルテルですか?]

 

「いやオレや聖母竜が元々いた世界だ

デルムリン島に連れて行ったことがあるだろう

あの世界だ」

 

[あ~ ヒムちゃんたちのいた わかりました]

 

「ではいくぞ」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

      ガシィ!

 

「・・・そこまで抱きつくな

瞬間移動呪文(ルーラ)!」

 

    ギューーーーン!

 

 

 

オレはルーラで世界を越えた

目的地はバルジ島

かつてパプニカ王家が最後の拠点としたことから

フレイザード率いる氷炎魔団が制圧し、オレ自らが魔王軍を率い

ダイ達と戦い・・・敗れたところだ

今はあの戦いで死んだフレイザードを含めた

オレの子らの墓地となっている

そういえばかつては

「バルジ島をやつら(ダイ達)の墓場にするのだ!!」

などと言ったおぼえがあるが、皮肉なものだ

 

『あなたもそこで一度死んだのでしょう』

 

それはさておき アバンとの戦いでオレの体が崩れていたあのとき

たしかに・・・オレの体は我が子らに支えられた

あれだけではない

かつてのダイとの最終決戦時 アバンストラッシュクロスを受け

剣折れ 一度は倒れながらも もう一度立ち上がり

オレが悔いを残すことなく最後の超魔爆炎覇をだすことができたあのとき

・・・そしてバルジ島でヒュンケルがオレを殺したあの心臓への一撃

あの力を振り返るために あやつらに会いに行くとしよう・・・

(つわもの)どもの夢の跡となったあの島へ

 

 

 

 

 

ブオン!!

 

 

 

 

      ~バルジ島~

    ✨

 

 

    ドーーーーーーーーン!!

 

[とお~~~ちゃく~~~!あ~なつかしいかんじ]

 

世界を超えオレたちはこの世界に帰って・・・

 

       !?

 

「馬鹿な!?あれは バルジの塔だと!?」

 

オレはたしかにバルジ島に着いたのだがそこにはバルジの塔があった

 

[バルジ島にバルジの塔 どこか変ですか?

たしか紙芝居にもありましたよね

ここのことではないんですか?]

 

ジゼルの疑問に答えながら現状を把握していく

 

「あの塔は大魔宮(バーンパレス)究極兵器(ピラァ・オブ・バーン)によって消し飛び

更地になったこの島には黒の核晶コアが入っていた柱があるのみだった

だからこそ価値を失いオレの子らの墓地にできたのだ

しかもその墓がない!」

 

[え?え?]

 

そこにないはずなのに現存するバルジの塔

あるはずなのに消滅したバルトスやフレイザードらの墓と柱

そして・・・

 

「このヒュンケルのグランドクルスがつくった底なしの十字の崖はある

・・・・・・一体どういうことだ?」

 

更地となった後でもこの十字崖はのこっていた

かつての激戦の爪跡でありヒュンケルの成長の証でもあるこの十字崖の近くに

オレとヒュンケルでバルトスらの墓をつくっていたのだ

そして今、この島での戦闘は起きていないようだが 

あの戦の跡がほかにも生々しく残った 更地になる前の見覚えのある景色であり

世界を覆う邪悪な大魔王の気配をたしかに感じる

もしやここは過去の・・・

 

      !?

 

「馬鹿な!!?今!ここに近づいてくるこの気配は!?」

 

 

 

       ~某所~

 

‘’なんで俺が子守なんか……ブツブツ……

にしても人間のガキじゃないだけまだマシか

魔族のガキだとまだ手間が少なくて助かるぜ

全く、魔族のガキでこれだけ手間がかかるんだ。

バランの野郎はダイをあやすのに苦労したんだろうな

あのバルトスの兄貴はどんだけすげえのやら‘’

 

    \ふやぁー!ふやぁー!/

 

‘’今度はなんだってんだ?

今度はオムツかよ、しかもでけえ方

お袋、出来れば早く帰ってきてくれ

あん?!この気配は・・・‘’

 

 

 

    ~バルジ島 十字の崖~

 

   ザシャッ

 

[あ!あれは・・・

ひょっとしてこの間の紙芝居にでてた!]

 

オレの前に降り立った男は間違いない

 

「フレイザード!!!???」

 

かつて魔王軍 氷炎魔団の軍団長を任せた

オレの息子 氷炎将軍・・・フレイザード!

だがやつはダイとの戦いによりこのバルジ島で戦死したはず

しかもオレの知るやつよりも明らかに体の炎は煮えたぎるマグマのように熱く

氷の体も凍てつくように一段と強い!

さらに禁呪法で生みだしたやつとオレとの魔力のつながりがない

もしや別個体なのか?

 

‘’ハドラー様!

これはまた一段と いや・・・

そんな次元じゃないほどにパワーアップされたようで・・・‘’

 

オレを知っているということは やはりオレの知るフレイザードなのか?

だが同時にたしかな違和感もある ここは

 

「出迎えご苦労・・・!

フレイザードよ 今までおまえは何をしていた?」

 

とりあえず直接聞くことにした

もう何を聞いても驚かんぞ

 

‘’あれ?聞いてないんですかい お袋から?

ハドラー様の娘 俺からすりゃ妹を預かってますぜ‘’

 

「なんだと!!!!!?????」

 

『おもいっきり驚いてるじゃないですか』

 

[??]

 

墓参りにきたはずのオレ達は

死んだはずの息子に案内されるまま

消滅したはずのバルジの塔へ

存在しないはずの娘に会いに向かった・・・




令和あけましておめでとうございます

令和最初の更新は家族旅行の定番 墓参りを兼ねた里帰り編
・・・のはずですがいきなりの迷子です
久しぶりに帰ってみると微妙に景色がかわっていたり
変な道に入り込んでしまったり 知らない建物があったり なくなってたり
案内してくれる息子も雰囲気ちょっと変わって戸惑ったり・・・

まあそんなこともあるよねと次回に続きます




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里帰り編 子守りの救世主???の巻

オレ達をバルジの塔へと案内するフレイザード

その体にはこいつの栄光の象徴とも言うべき【暴魔のメダル】がない

手柄にこだわるこいつがそれを外しているとは

 

『子守りの邪魔だから外したのでしょうか?』

 

たしかに邪魔になるかもしれんが

こいつがそんな理由で外すとも思えんぞ

それも含めてこいつの口から直接聞くとしよう

【オレの娘】・・・というのも気になるが

 

    ~バルジの塔の中~

 

‘’こいつがお袋から預かったハドラー様の娘のラーゼルですぜ‘’

 

   \ふやあ ふやあ/

 

赤子か!?しかも禁呪法で作られたタイプではないだと!?

 

[かわいい~~ラーゼルちゃん~ ]

 

『ええ 本当に・・・』

 

「色々と言いたいことはあるが・・・

まず最初に・・・おまえのいう 【お袋】とは

一体だれのことだ?」

 

‘’何言ってるんですか?

ハドラー様の、魔軍司令親衛隊隊長にきまってるじゃないですかい

お二人が俺を禁呪法で生み出してくれて

俺が死んでる間にこいつが産まれたと聞きましたぜ

そこにいるガキもハドラー様の娘なんだろ?

どう見てもお袋にそっくりじゃねえか

双子だったとは聞いてなかったが・・・‘’

 

「魔軍司令親衛隊隊長だと・・・?」

 

オレが魔軍司令時代の親衛隊はアークデーモンやガーゴイルらだが女はいなかった

もしや親衛騎団女王アルビナスのことか?

 

『私、じゃないですよね』

 

「そいつの名前は・・・」

 

\ふやあ! ふやあ!/

 

[ハドラー様!

ラーゼルちゃんのオシメがずれてるからなおしていいですか?]

 

「ええい!適当にやっておけジゼル!!」

 

‘’ジゼル?

お袋の名前そのまんまか

こりゃ男との双子だったらそいつの名前

ラーゼルじゃなくてハドラーになってたんじゃねえか?‘’

 

「・・・ということは ラーゼルの母は」

 

『ジゼル、ということでしょうか』

 

・・・・・・つまり、ここは過去の世界ではなく

 

『平行世界、でしょうね

多分この世界に【聖母竜】や【ハドラー】【ダイ】もいるのでしょうね』

 

ならばこの世界のオレやジゼルに会うのは避けた方がよさそうだな

 

『ええ 私も立場上 色々まずいので

こちらの私に会わないようにしてください』

 

その後フレイザードに、ついでにジゼルにも聞こえるように事情を話した

流石オレの子らだ 理解も早い

ラーゼルは聞こえているかどうかもわからんが

フレイザードからも事情を聞いた

やはりオレの知るフレイザードとは多少違うようだ

ダイ達との戦いでは優勢の状態からミストバーンによって

無理やり鎧に押し込められた挙句 捨て駒扱いされ死亡

この世界のジゼルによって蘇生されミストバーンへの復讐のために魔王軍離脱を決意し

産まれたばかりのラーゼルの子守りを命じられたそうだ

 

‘’あ~ まあそういったところですハドラー様

それじゃすぐに元の世界とやらに帰るんですかい?‘’

 

この世界に直接 物を残したり目立つのはまずいが・・・

 

「いや いい機会だ

おまえの知らないオレの新たな力を見せてやろう

ジゼル 手を貸せ」

 

[はい!ハドラー様♡

行こ!フレイザードお兄ちゃん ラーゼルちゃん]

 

‘’あ~ お袋 と呼んでいいのか?あ ダメ?

でも名前でも呼ぶのもなあ 変な癖がつきそうだし

それにお袋からお兄ちゃんと呼ばれるのも変な気分だし

フレちゃんと呼んでくれ‘’

 

[わかったフレちゃん!あ なんかしっくりくる!!]

 

フレイザードはジゼルに対して戸惑いが隠せないようだ

オレがフレイザードに見せる新たな力 それは

 

「このバルジ島はパプニカ王家の最後の拠点

籠城に必要なものは一通りそろっているはずだ

つまり 食料 衣服 その原材料となる各種植物の種

そして それを育てる畑・・・

おまえはその価値を それを生かす力を知る必要がある

今のおまえにこそ そこのラーゼルのためにもな」

 

塔の中にあるツボを調べると種がいくつもある

どうせオレのいた世界ではこれからまもなく消し飛んだ物ばかりだ

遠慮はいらん 持ち出して外に出る

やはり塔の外には畑がある

実がなっているものもいくつかある

 

「この畑の土を参考にしろ 見ているがいい

まずは荒地を耕す 岩や石を砕き土に空気を含ませる

これは素手でもできる」

 

   ズボ ズボ ズボ ズボ 

 

素手で直接 土を耕すところを見せる

この程度は木竜術士や獣人たちとよくやっていた

地竜術や木竜術を使えばはやいだろうが

オレやフレイザードなら術や道具すら必要ない

魔界にいるおおみみずが通ったような程よい土壌ができた

 

「そして種をまき必要な水を適量まく

ここは腕の見せ所だ 見るがいい

メラ(火炎呪文) ヒャド(氷系呪文)」

 

‘’二つの呪文を同時に!?‘’

 

「これはおまえ向きともいえる技術だ

炎と氷 同時に使い新たな可能性を引き出す

同時同調術とも呼ばれる術だ

おまえのセンスは申し分ない ひたすら使って慣れろ

何もないところで任意の温度の水、湯が作れるのだ

子守りにこれほど便利な術はそうない」

 

    ブワ   シャーーーーー

 

畑に水をまいてみせる

この水量・水温を自在に制御できるようになればさらなる応用の幅もでてくる

 

‘’ウヌ・・・‘’

 

[見てて ラーゼルちゃん]

 

    バッ  ぱあああ・・・

 

ジゼルがオレのまいている水に竜術をつかい虹の橋をかける

 

     \ふわあ~~・・・/

 

虹に見とれるラーゼルにジゼルも満足そうだ

残った種をフレイザードにわたしておく

 

『持って帰るのもまずいでしょうしね』

 

 

 

塔に戻ってタンスを開ければ 質のいい服も揃っていた

 

「パプニカの衣服は耐火 耐魔に優れたものが多く

特にここにはそういったものが多い」

 

‘’そういや パプニカの姫さん周りのザコですら俺の炎の息を耐えやがったな

ですがハドラー様 そいつは弱っちい人間のためのもんだろ

俺やラーゼルにそんなものが必要ですかい?‘’

 

「たしかにオレたち魔族は人間よりもはるかに強靭な体だ

だがその故郷 魔界は太陽の光も差さない暗黒の地だ

そのせいでこの地上での昼は眩しすぎて夜にしか活動できない魔物は珍しくない

極寒のマルノーラ大陸でしか活動できないものもいる

産まれたばかりのラーゼルがそうならないとも限らんだろう」

 

‘’ああ・・・ 俺の部下もそんなのばっかりだったな‘’

 

[ラーゼルちゃん これ着てみない?

こうやって巻き巻きして あ! おにぎりみたい]

 

     \ふやあ♡/

 

ラーゼルが黒いマントに巻かれてご機嫌のようだ

 

 

 

    ジャキィン! ボウ!!

 

オレはヘブンズクローに炎をまとわせ炎の爪と化した

 

‘’こいつはダイの使ってた魔法剣とおなじ!?‘’

 

「このように体の一部に呪文をまとわせた方が制御しやすいかもしれん

おまえなりに色々と試してみるがいい」

 

‘’たしかにこいつは使えそうだ‘’

 

「ただ熱くするよりも温める、凍らせるよりも冷やす方が

はるかに繊細さを必要とし技術が磨ける 見ろ」

 

ラーゼルにオレのヘブンズクローを握らせた

 

    ギュっ

 

  \ふわあぃ♡/

 

[あ 気持ちよさそう 爪によってぬくもりがちがう

こっちはひんやり~ かぷっ♡]

 

「おいジゼル 爪をかじるな」

 

ジゼルがヘブンズクローをあまがみすると

となりの爪をラーゼルもくわえだした

 

     \あむあむ♡/

 

「もうラーゼルが真似しているぞ!

いらんことを教えるなジゼル!」

 

 

 

オレは自分で作った紙芝居をとりだした

 

‘’ハドラー様 そんなものどうすんですか!?

いくらなんでも!‘’

 

「この紙芝居にはヒュンケルの弱点がのっている」

 

‘’ラーゼル!しっかり見ておくぞ!!‘’

 

     \ふやい!/

 

[わあ♡

地底魔城のおはなしだ!]

 

 

 

備蓄の食料もまだわずかにあった

 

「ただ野菜を食うだけでも効果があるが

切り裂き 焼き 砕き 冷やすことで

さらなる力を引き出すことができる

ジゼル 見せてやれ」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

食材を手早く料理するジゼル

フレイザードも驚きながらも冷静な目で見ている

 

[たべてみてね!フレちゃん ラーゼルちゃん]

 

‘’お・おう 赤ん坊の食事まで作れるのか‘’

 

   \もきゅ もきゅ/

 

[もちろんハドラーさまのお料理の方がおいしいよ!]

 

「当然だ そして保存食の作り方も見せておこう

これはこの世界において知る者のいない超技術ともいえる」

 

料理をジゼルに任せながら残った野菜で

ヴァンプ将軍仕込みの漬物の作り方を教える

これは作り手により味も変わる

いずれはフレイザードだけの味が生まれことだろう

 

‘’こんなに小さくても料理がうめえとは流石お袋と冷静に思いながら・・・

ハドラー様がそれ以上にうめえことに驚きがおさまらねえ!‘’

 

 

 

「オムツを替えるときは尻をしっかり拭いておけ

そして便の状態から健康状態を分析できる

これは大人になっても有効だ おぼえておけ」

 

‘’俺はエネルギー岩石生命体だから馴染みがないもんで

・・・クソは全部燃やしちまいました‘’

 

 

・・・

・・・・・・

 

などなど とりあえず一通り子守りの技を仕込んでみた

後は実戦で経験を積みレベルを上げるだけだ

 

『闘う術は教えなくていいんですか?

大魔王の邪悪な気配がありますからまだバーンも生きてますよね

フレイザードはメドローアとか使えそうですし

あなたの超魔爆炎覇もいずれは使えるのでは?』

 

生兵法でダイにそれを当てるかもしれんぞ

 

『やめておきましょう』

 

そのあたりはかえって教えない方がいい

特にフレイザードの蘇生やラーゼルの誕生など

ただでさえ未知の要素が大きいこの状態だ

それにこいつはオレの知るフレイザードと大きく違うところがある

 

『強さ・・・ですか?』

 

いや もっと決定的なところだ

このフレイザードはこの世界のオレやジゼルの命令ではなく

ミストバーンへの復讐のために大魔王のもとを離れた

それはこいつが【誇り】に目覚めた、ということだ

 

『誇り?』

 

オレの知るフレイザードは生み出してから1年足らず

自分の人格への自信がなく誇りを持てなかった

だからこそ手柄を求め出世に走り仲間からの羨望や

勝利を求め続けていた

だがこいつが過去の栄光を捨て魔王軍を離れたということは

ただ利用されたことに怒っているわけではない

自分の人格を無視し ただの捨て駒として扱われたことが許せんのだ

傷つけられた『誇り』があるからこそ怒るのだ

かつてオレの体から黒の核晶(コア)が抜き出され

それを目にしたときのオレのようにな・・・!

 

 

 

‘’ハドラー様 今日ほど俺はあなたを偉大に思ったことはないぜ‘’

 

洗濯物を乾かしているときにいきなり

隣にいたフレイザードからそんなことを言われた

 

「嬉しい言葉だが それはこの世界のオレのためにとっておけ」

 

『本当に嬉しそうですね』

 

黙っていろ聖母竜

 

「・・・フレイザード さっきも言ったが

氷の国や火山周辺など活動できる場所が限られている魔物は多い

溶岩魔人 氷河魔人 フレイム ブリザード・・・

そういったものたちが外で活動できるのはおまえの近くのみ

だからこそおまえに氷炎魔団の軍団長を任せた

これは魔王軍最強の竜騎将バラン

武徳を持った獣王クロコダインにもできない

おまえだけにできることだ それがどういうことかわかるか?」

 

‘’あん?そりゃそのためにハドラー様が俺を作ったんだろ‘’

 

「おまえにはオレや大魔王バーンとも違うタイプの魔王となれる可能性がある

ということだ」

 

‘’!?俺が魔王!?‘’

 

フレイザードの洗濯物を持つ手が止まる

 

「魔物が生きていける世界を作ることができる

それを魔王と言わずなんと言う

今のおまえがなんのために生き 戦うのか 何を目指すのか

そんなことはこのオレが知ったことではない

だがオレは、おまえのもつ可能性をおまえよりも

かつてのオレよりも知っている」

 

‘’ハドラー様・・・‘’

 

「オレ達はもう帰る もう会うこともなかろう

オレ達のことをこの世界のオレ達に知らせる必要も隠す必要ない

帰るぞ ジゼル」

 

[はい!ハドラー様♡

じゃあね!フレちゃん ラーゼルちゃん]

 

     ぴょん  すりすり

 

「ええい!抱きつくな!」

 

‘’そういうとこ見ると やっぱお袋とハドラー様、なんだな‘’

 

「・・・フレイザードよ

これはオレの世界では直接言えなかったことだが

かつて六大団長がはじめて一堂に会し

大魔王の業火中からおまえが【暴魔のメダル】を掴み取ったあのとき

オレは最高に誇らしかった」

 

‘’あれか!‘’

 

「竜の騎士バラン

忠誠心の塊クロコダイン

出世欲の化身ザボエラ

大魔王の腹心ミストバーン

そしてアバンの一番弟子でありバルトスの子ヒュンケル

オレの子であるおまえが・・・

それら全てに先んじて傷つきながらもメダルを握り

全軍団長からの視線を独り占めにし 大魔王からの賞賛をうけた!

そのメダルの輝きを見るたびに

魔王軍の切り込み隊長の活躍を聞くたびに

オレも誇らしかった・・・」

 

オレはこれを言うためにこの世界にきたのかもしれない

オレの誇り その源 そして感謝を

 

『もう思い残すことはありませんか?』

 

・・・いずれフレイザードは己の誇りを踏みにじった、

あのミストバーンに戦いを挑むのだろう

あやつ相手ではたとえ更にレベルアップを重ねても分が悪かろう

だがこれは意地と誇りをかけた男の戦い

・・・勝ち負けよりも大事なものがある

 

『・・・』

 

オレもポップに気づかされたことだがな

だからこそオレに言えるのは もうこれだけだ

 

「我が子フレイザードよ

おまえの健闘を祈る

そしてラーゼルよ

・・・達者でな

さらばだ ルーラ!!」

 

‘’ハドラー様!!‘’

 

   ギュオーーーーーーーー

            ――――――――ン

                    ✨

 

 

‘’いっちまったか・・・

ありがとうよハドラー様・・・‘’

 

     \ふやあ~!/

 

‘’あーあ なってねえな

俺もよ・・・!

妹になぐさめられちまった

ま いいさ これで俺はまた強くなれる

待っていやがれ ミストバーン

てめえに落とし前つけるのはこの俺だ

ハドラー様とお袋によって生みだされた

このフレイザード様だ!!

クカカカカカーーーーーツ!!!!‘’

 

   \ふやややあ~~!/

 

 

 

 

            フレイザードはレベルがあがった 

 

             ちからが1あがった

 

             すばやさが1あがった

 

             たいりょくが3あがった

 

             かしこさが2あがった

 

             うんのよさが2あがった

        

             さいだいHPが3あがった

         

             さいだいMPが3あがった

 

 




ドラクエビルダーズ2の影響を受けすぎたウジョーです
ハドラーさまが子守り術士というよりビルダーみたいになってしまいました

今回のバルジ島はディアさん作の「魔軍司令親衛隊隊長の恋愛! 氷炎将軍と勇者一行、苦戦する」あたりのコラボ小説です
ディアさんからのご許可いただき感謝です
その後のフレちゃんの活躍は「魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!」本編の続きでお楽しみください
拙作ではフレイザードもラーゼルも出しようがなかったので今回の交流は
ハドラーさまにとってもジゼル嬢にとってもホクホク顔の出来事でした
そしてディアさんの手による今作の逆パターン「ジゼル異世界出張日記~ハドラー子育て日記番外編~」も連載中です

急に暑くなってまいりました 強い日差しに昼夜の寒暖差と体調の崩しやすいこの気候
おつかれのでませんように


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里帰り編 お墓参り

~バルジ島 墓地前~

 

 

     ドーーーーーン

 

「帰ってこれたか・・・」

 

オレはバルトスら オレの子らの墓を確認し

無事に元の世界へ帰ったことを確信した

 

[ここはどこですかハドラー様?]

 

「この島の名はバルジ島」

 

[さっきの島と同じ名前ですね]

 

「趣は異なるが同じ島だ

時間的に言えば 数年先ではあるがな

共通のものとよべるのは・・・

そこにある十字崖だけだ」

 

[あ たしかにこれはありましたね]

 

「そしてあれはオレの子らが眠る墓場だ

それぞれの墓石に名を刻んでいる

読んでまわってみるがいい」

 

[えーと この星の勲章をかけた石がバルトス・・・

チェスの駒の形がアルビナス・・・

フェンブレン・・・ ブロック・・・ シグマ・・・

メダルをかけているのがーーーフレイザード・・・!?

フレちゃん!!??]

 

ずいぶんと驚いているがバルジの塔での説明を理解できてなかったのか?

 

『理解できていても さっきまで話していた相手の墓を見れば

驚くのも無理ないのでは』

 

「オレの子は おまえとヒム以外は皆死んでいる

オレのせいでな・・・

さっきまでいたあの世界ではどうなるか分からんが

この世界では フレイザードはあの紙芝居のとおりに死んだままだ」

 

『あなたはフレイザードの蘇生はできないのですか?』

 

それは無理だ ただバラバラにされただけならともかく

ダイにコアを斬られ ミストバーンに残り火を踏み消され

挙句に究極兵器ピラァ・オブ・バーンに島の表面ごと完全に消滅された、

コアから同じものを作り直し禁呪で生み出しても

それは別の個体である フレイザードBができるだけだ

バルトスも アルビナスも フェンブレンも シグマも ブロックも

よみがえることは ・・・二度とない

・・・・・・オレは何度もよみがえっているがな

 

『それは私のせいですが・・・』

 

[ハドラー様 やっぱりラーゼルちゃんの名前はない・・・のですね]

 

「ああ そもそもオレの知るものにそのような名前はいない

だから当然 墓もない」

 

まだ生まれていないのか そもそも存在しないのか

ジゼルのことといい あの世界とは違うものはいくつもある

 

[ハドラー様 このお花は?]

 

バルトスの墓前に供えられた枯れた花

このホルキア大陸ではよくあるものだ

かつてバルトスが地底魔城に持ち込むことを許可をした憶えがある

・・・ヒュンケルか

 

「ヒュンケルが供えた花束だろう

墓に眠るものに縁のあるものを供え物として置く風習がある」

 

オレはお焚き上げ入稿をするつもりで用意した絵がある これを・・・

 

[ハドラー様!!私も!私もお供え物置きたいです!

お花をフレちゃんに!]

 

『あらあらジゼルがこんなことを言い出すなんて』

 

こいつは生まれてからこれまで身近なものの死に触れたことがない

幽霊の友人はいても 生きていた者が死んで会えなくなる経験がない

・・・変則的ではあるが身内として会ったばかりのフレイザードの墓に

何か思うところがあるのだろう ・・・オレのようにな

 

『あなたも・・・』

 

「はりきるのはいいがどうする ここには草木一本生えてないぞ」

 

そう このバルジ島はさっきまでいた平行世界のバルジ島とは違い

・・・本当になにもない島だ

究極兵器ピラァ・オブ・バーンが落とされてから数年は経っているが

動物も怪物も植物の気配すらない不毛の土地となったままだ

地形まで変わったのかバルジの大渦すらなくなっているのだ

 

[これを使います もう枯れているけど

木竜術で一度種にして・・・]

 

    パアアーーー・・・

 

ヒュンケルが供えていたであろう枯れた花束に竜術をかけ

10粒ほどの花の種がとれた

 

[ふぅ、さて これから・・・]

 

「まて、もう日が暮れはじめている

おまえの魔法力もかなり消耗している

これ以上 慣れない木竜術は使えんはずだ」

 

それにこんな土地ではたとえ術で花を咲かせてもどうせすぐに枯れる

 

[・・・はい ハドラー様]

 

「今日はもう寝るぞ

オレもフレイザードたちの前で少々調子にのってしまった

ひと眠りして消耗した魔力を回復しなければならぬが・・・」

 

何もないはずのこの島に光が生まれた

 

[あれは!?]

 

「そういえば 以前にもなぜかあんなものがあったな

あそこにはあの男がいるかもしれん

これを持っていくか・・・」

 

土 いや ほぼ砂を小瓶に採取し

ジゼルを連れ光源に行く

 

「居酒屋 のぶ こんな辺鄙なところに他に客がくるとは思えんが」

 

『神が出入り口だけをここにつなげているのでしょう

どうやら営業に支障がないようにしていますね』

 

[ハドラー様 開けますよ]

 

    ガラガラ・・・

  ワイワイ    ガヤガヤ 

 

〔いらっしゃいませ!〕

 

〔・・・らっしゃい〕

 

「邪魔するぞ」

 

[ハドラー様 どこに座りますか?]

 

探すまでもなく目立つ背中がある

伝説の悪魔騎士 サンドモンスターのな

 

「隣は空いているかサンシャイン」

 

【グォフォフォフォ

席はひとつしか空いてないぞハドラー】

 

「問題はない ジゼルはヒザの上に乗せればいい」

 

[わーい ハドラー様♡]

 

     ぴょん!

 

[~♡~♡]

 

「ヒザの上に乗るなど珍しいことでもあるまいに

やけに機嫌がいいな」

 

【仲のいいことだな 注文はどうする?】

 

「適当に頼んでくれ 支払いはあのカードが使えるのか?」

 

【それでも問題ないが

あのニューマシンガンズに勝ったんだ

ワシ持ちでパーっとやらんか?

とりあえず生2丁と串カツをおくれ

キャベツもつけてな

あとジゼルちゃんにホットミルクを】

 

〔ハーイ!〕

 

「オレはその後に宿敵に敗れたからめでたくはなかったぞ」

 

【都合の悪いことは忘れよ!

再戦のための特訓ならいくらでも付き合うぞ

まずはこの勝利の美酒を楽しもうではないか】

 

「器のでかいやつだ

まあ たしかにニューマシンガンズは手強かった

あの勝利は祝う価値がある」

 

〔生2丁お待たせしました〕

 

「おお」

 

〔はいジゼルちゃん ホットミルクおまたせ〕

 

[ありがとうエーファおねえちゃん]

 

【では ワシらの勝利に】

 

「乾杯」

 

[るねっさーんす!]

 

〔ぷっ!ぷふっ!〕

 

〔ちょっとしのぶちゃん フフッ〕

 

〔大将だって笑ってるじゃない〕

 

  グビ   グイ   コクコク

 

「グフフ・・・ そうだ これを見てくれ」

 

サンシャインに小瓶に入れたバルジ島の砂を渡した

 

【ほう ワシに砂のことを聞くのか?

どれ・・・

これは 砂に見えるが岩や木、レンガだったものだな

強力な爆発の衝撃で粉々に砕かれたものか】

 

「流石 鋭いな

そこではかつて大きな戦いがあってな

多くの部下が倒れ息子の一人が戦死し オレ自身死にかけたほどだ

その後強力な兵器により草木一本生えないほどの荒れ地となった」

 

[ハドラーさま・・・]

 

    ギュっ・・・

 

ジゼルがオレの服をつかんでくる

 

「今はオレの子たちの墓場となっているのだが

今日墓参りにジゼルを連れて行ってな

この種を植えて墓前に供えようとしているわけだが・・・」

 

【こんな砂場では難しいことぐらい おまえさんならわかっているだろう

なぜ わざわざらしくないことを?】

 

「あの墓参りにジゼルを連れて行ったのは今日がはじめてでな

ジゼルが生まれたのはその戦いが終わったあと

我が子らがあの墓に眠ったあとのことだ

そんな兄達にジゼルがはじめてやろうとしていることだからだ」

 

    グビ グビ

 

ビールを飲みほし 枝豆をつまむ

 

【なるほど

しかしこの砂 不自然な程 力を感じないな

微生物も異常な程少ない

水分は感じるから近くに 十分な水場もあるのだろう?】

 

「ああ そこは小さな島だ 周り一面水はいくらでもある」

 

【荒地となったのがジゼルちゃんが生まれるよりも前

水気がありながらここまで土地の回復が遅いとは

よほどその兵器とやらが凶悪な威力だったか】

 

あの大魔王が地上を消し飛ばす布石とした兵器だからな

本命の黒のコアが不発だったとはいえ それだけの威力だったのだろう

 

【グオッフォフォフォ

ではあの御方より直接指導賜った古来より伝わる超人開拓術を教えよう

ろくに光も差さない不毛なる魔界の地を切り開かれた由緒あるものだ】

 

「それは期待できそうだな」

 

     じゅあっ

 

〔はい串カツ お待ちどお!〕

 

[いただきます!ハドラーさま どうぞ]

 

ジゼルが差し出した串カツを食いながらサンシャインの話を聞く

 

【まず リングをつくる!】

 

「ほう!」

 

『なんだか悪い予感がしますが・・・』

 

〔ホットミルクおかわり!〕

 

これは長い夜になりそうだな・・・




こち亀最終回以来久しぶりにジャンプを買ったウジョーです
キン肉マンの読み切り面白かった 本誌連載中は物心ついてなかったけど・・・
キン肉マンの図鑑も読み応えあって面白かったし 
公式サイトの記念アニメ調ストップムービーもすごいワクワクしたりと
今年はキン肉マンが充実しすぎてもう・・・
ダイの大冒険もジャンプフォースに参戦したり冒険王ビィトの新刊がでたりと
何かあるのではと期待してしまいます


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里帰り編 お供え物選び

「まずリング作りか」

 

〔指輪のことじゃないですよね?〕

 

【もちろん オレたちの戦いの舞台のことだ

別にあの祭りのときのような素材のキャンバスや

ロープを無理に用意する必要はない

極端な話 地面に線をひくだけでもよい】

 

〔子供のお相撲ごっこで線をひくようなものでもいいんですか?〕

 

【ああ それでいいのだ

超人にとってはあらゆるものがキャンバスとなりロープとなる

だからこそ様々なデスマッチが生まれ 

世界各地 宇宙のあらゆる星にリングがあるのだ

そこで流れた血と汗が大地に力を与え

その力のぶつかり合いに惹かれ超人や人間たち命あるものが集まってくる

そして戦いが戦いをよんでいく】

 

「なるほど 面白い世界観だ 参考になる」

 

【特に悪魔は戦いの末に死んでも残した血から

悪霊として労働力になる 十分な功績をつめば

悪魔超人に昇格することもできる】

 

『ええ・・・』

 

まあ オレもそういった術に心当たりがある

不死系怪物を生者にもどすことはできぬがな

 

【我が主である あのお方の流す汗はリングを

宇宙一の硬さを誇るダイヤモンドにすることができる

血や汗にはそれほどの可能性を秘めておるのだ】

 

〔ダイヤモンドのリング・・・プロポーズには使えそうにないね〕

 

『そんなプロポーズはどこの世界にもありませんよ』

 

[よくわかりませんが串カツおかわり!]

 

【串カツだけでは胸やけするぜ 間・・・間にキャベツを食べるんだ

同じように戦いの衝撃でこなれた地面に種をまくんだ

太陽の恵みがなく どんな根の侵入を拒んできた岩盤にも

植物が根付くようになっていくのだ】

 

    パリパリ

 

[なるほど もっと串カツが 食べたくなるね]

 

【そうだ それも命の循環や戦いの連鎖の一端と言えよう

・・・ワシに語れるのはこんなところだ】

 

「なるほど 一理ある」

 

『なんという力業・・・』

 

「結局どうすればいいの?

フレちゃんたちのお墓の前でハドラー様と戦えばお花が咲くの?」

 

【グオッフォフォフォ

まだまだジゼル嬢相手ではハドラーは汗もかかんだろう

わしが言ったのはあくまで超人による開拓術だ

弔いのかたちに正解があるわけではない

ハドラーとともに色々と試してみるといい

それ自体がお前さんの兄達にとってなによりの供養となる】

 

そう言ってジゼルの頭をなでるサンシャインの顔は、

非常に穏やかなものだった

この男も多くの者を見送ってきたのだろう・・・

 

 カリ  ングング    ジーー・・・

 

大将の料理の技に注目しながら適当に次を注文する

次は揚げ物ではなく煮物にするか・・・

 

【お供え物には花も定番だが・・・

合わせて食べ物を供えることもある

そういったことを考えてみるのもどうだ】

 

〔あ シノブさん あのカミダナのイナリズシも

御供えですよね〕

 

〔そうね エーファちゃんも食べたあれは

お稲荷さんの大好物なんだよ〕

 

「イナリズシ?

イオナズンと似ている気になるひびきだな

大将 頼めるか?」

 

〔あいよ!〕

 

大将が手早く飯を何かに包んで握っている

黒川が祭りでつくっていたおむすびに似ている

そういえばあれもあったか?

 

〔ご注文の品 お待たせしました〕

 

しのぶが持ってきた一皿にはイナリズシが二つ乗っていた

 

「おまえもひとつ食えジゼル」

 

[ハイ!ハドラー様♡]

 

    カプ

 

フム 食べられる袋に飯をつめほどよく握ったものか

袋から染み出す味が飯にうまく馴染んでいる

 

[面白~い モグモグ]

 

〔そういえば供養に花火を使うというのを聞いたことがありますね

あのお祭りにもいらっしゃったあの将軍様が その昔、

災害で亡くなった方たちを慰霊するための打ち上げ花火が

東京の有名な花火大会のはじまりというのを聞いたことがあります〕

 

〔あれは送り火だったんだね〕

 

「火や煙を供養に使うのはどこの世界でもあるのだな」

 

【そうだ 東京といえば話は変わるが これを預かっている】

 

サンシャインから何かの券のようなものを渡された

 

【あの祭りでジゼル嬢と前座を務めたメアリ・ノートンの

世界タッグタイトルマッチのある女子プロレス大会のチケットだ

大会は一週間後 リングサイドの特等席4人分だ】

 

「4人?おまえもいっしょに行くのか?」

 

【いやわしもアシュラマンと共に行くつもりだが

わしらは対戦相手の狂獣(ヒール)コンビベノムナイトの応援だから

別の席をとってある ほかの者を誘えばよい

それと大会場所はここから少し離れた東京だ

わからなければ当日そこまでは案内するが?】

 

「トウキョウ・・・・・・たしか前に聖人の助太刀に行ったのが

東京立川という地名だったはずだ

あの近くで会ったヴァンプ将軍の拠点が神奈川県川崎支部だったか

どちらかに行って聞けばわかるはずだ」

 

【なるほど たしかに会場近く知己がいるなら問題ない

チケットに会場の名前と住所がある

聞いてもわからなければワシらに合流すればいい

この大会は世界タッグ以外にも見どころが多い

他団体の多摩川女子プロレスとの団体対抗タッグマッチ

ヤングドラゴン杯の予選 KOM(キングオブマッスル)予選 セヴンスター 

そして世界無差別級シングルマッチ王者の初防衛戦と

退屈する暇もないビッグマッチ揃いだ】

 

「人間同士の戦いはオレも昔から興味があった

ジゼルにもいい刺激になるかもしれん 行ってみるか」

 

[メアリの応援!楽しみです!]

 

「ならばそれまでは墓場の土いじりでもしてみるか

数日程度効果がでるとは限らんがな」

 

【ハドラーよ・・・

ワシはその墓場を直接見たわけでも

かつてのそこでの戦場も知らんが・・・

あんたとその子どもたちが命をかけた激しい戦いの記憶は

たとえどれほどの爆弾をもってしても消えることはない

今は死んだように見える土地でもその古戦場が 何かのきっかけで

闘う意志に反応し往年の姿の一部を見せることがあるかもしれん

魂の安息を願うのであれば 穏便にな】

 

「そうか ではリングの設営はまたの機会にするか」

 

流石にただ花を供えるだけでそこまで大掛かりにする気はないが

 

【ああ そういえば砂地といえば ピラミッド・パワーがあったか】

 

〔ピラミッド・パワーとはまた懐かしい

久しぶりに聞いた気がします〕

 

〔知ってるの大将?〕

 

〔しのぶちゃんは知らないのか

まあ今時使わないからね〕

 

[ピラミッドって何?]

 

【実物を見せた方がいいか

これを使うぞ】

 

    ギュ

 

サンシャインが小瓶から砂をすべて手に乗せ握りしめた

 

【これだけあれば・・・サンシャイン・パワー全開!!】

 

   ギュン ギュン ギュン

 

【これが地獄のピラミッド・ミニだ】

 

サンシャインの手のひらに四角錘の砂の塊があった

角は鋭く砂も崩れる様子もない出来だ

 

『地獄の というのはいらないですよね』

 

尖ったところが刺されば痛いだろう

 

『え?そんな地獄!?』

 

【この形がパワーを集め貯める効果があるらしい

ミスター・カーメンの方が詳しいのだがまあ形は

これを参考に大きくつくればいいだろう】

 

「ほう 魔法陣や道具ではなく

結界の形を工夫することで効果を高める発想はなかったな」

 

サンシャインからピラミッドを受け取り手に乗せる

 

・・・

 

なるほど 力の流れを感じる

規模を大きくすればある程度の効果が・・・

 

[・・・・・・]

 

腹がふくれてきたのか 膝の上のジゼルがウトウトしてきた

情報も得た そろそろ帰るか

 

「ではオレ達は失礼する また会おう」

 

ジゼルを抱えて店をでた

 

〔ありがとうございました~〕

 

一度家に帰って寝ておくか・・・

 

 

 

・・・・・・

起床し食事を終えたジゼルに補佐竜の正装を着させ

オレも久しぶりに竜術士の正装を着た

 

[正装姿も素敵ですハドラー様♡]

 

「地竜と木竜の服も持っていけ しばらくはここに帰らんぞ」

 

[はい ハドラー様♡]

 

ジゼルを連れてまず向かうのはホルキア大陸パプニカ王国、王宮

 

 

〔いらっしゃいませ おじいさま〕

 

「その呼び方はダイをつかまえてからにしろと言ったはずだ

レオナ姫よ」

 

[はじめましてお姫様]

 

パプニカ王家最後の一人にして

アバンの使徒の一人 レオナ姫

実は異世界の祭りにもアバンやフローラと共に来ていたが正体を隠し

非公式で城を抜け出していたのでここでは久しぶりに会い

ジゼルとも初顔合わせということになっている

大したおてんば姫だ

 

『ダイの伴侶としてはお似合いのお嬢さんですよね』

 

まあ ダイ次第だろう




相変わらず着地点をあまり考えずに書いてるウジョーです
帰郷編がこんな流れになるとはフレちゃんらとのふれあい中は考えもしなかったのに
しかも他にも書きたい話ができたりして次はどうなることか

蒸し暑さももちろんですが大雨による水害も要注意です
雨が降らないのももちろん困りものですが・・・
おつかれのでませんように


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里帰り編 パプニカの今

オレを出迎えたのは姫と若い三人の賢者、古強者と若い兵士が二人

なかなかの手練れ揃いのようだがオレを相手にするには少ないが

レオナ姫は緊張する様子もなくオレ達と気安く会話を交わしている

 

〔ダイくんとは婚約一歩手前くらいまでは約束したわ

正式に婚約するとダイくんのゴメちゃん探しの妨げになるもの

ダイくんは世界中を巡ってゴメちゃんを探す

私はこの国をゴメちゃんが下りて来たくなる国にして待つ

そしてゴメちゃんに私たちの結婚式に参加してもらうって約束をしたの〕

 

「それはまた気の長い話だ」

 

『ひ孫のお世話ができるのはいつになることか』

 

〔でもこれでみんなを納得させたわ!

アバン先生やフローラ様の助言のおかげよ〕

 

こんなところでもあやつの名を聞くか

 

〔ところでおじいさま今日はどのようなご用事でしょうか?

直接ここに来たのはバルジ島を墓地にするために買いに来られた時以来ですが〕

 

レオナ姫の口調や目が王族のものとなった

周囲のものに聞かせるように意識したものだ

 

「そのバルジ島のことでな・・・」

 

オレはバルジ島の現状とこれからのことを説明した

 

〔なるほど それでは バダック!

あの9人を連れておじいさまの計画に協力

バルジ島での経過や成果を報告して頂戴〕

 

〔了解です姫様〕

 

姫の横にたつ世話係であろう古強者が応える

パプニカのバダック・・・どこかで聞いたような

見たところそれなりの歳の人間

かつての戦場にいても不思議ではない

 

「監視がいるような派手なことをするつもりはないぞ」

 

〔それだけじゃないわ

あの究極兵器(ピラァ・オブ・バーン)が落とされた不毛の地はあそこだけじゃない

それに魔王軍との戦いで荒れた場所 復興の進まない土地はまだあるわ

何よりダイくんの生まれ故郷かつてのアルキード王国は

竜の逆鱗に触れて滅亡してからいまだに草木一本生えないまま〕

 

ああ バランのドルオーラで消し飛んだあの国か

 

〔たとえ失敗に終わってもいい

土地の再生の研究は賢者としても最優先課題になるわ〕

 

「まあいいだろうオレとしては墓を荒らされなければ

人間がかかわることを拒むつもりはない」

 

〔もちろんそれは約束するわ

おじいさまがいない間もお墓が荒れないように

万全のケアも約束します

あの島で眠っているのは魔王軍だけじゃないもの〕

 

「そうか では好きにするがいい」

 

そこが一番の懸念材料だったからな

 

『どういうことです?』

 

元魔王が人目につかない島で何かをしている

人間が不審に思いオレがいない間に墓を調べようとする可能性がある

荒らされてはあまり気分がいいものではない

 

〔ところでおじいさま その服はどこで買ったの?

あたしもほしいんだけど〕

 

姫口調はやめたようだ

ここからはただの雑談、といったところか

 

「これはオレが家事修行をしている土地の術士の正装だ

つくったのはここにいる娘のジゼルだ」

 

[はい そして私の服はハドラー様の手縫いです!]

 

〔なんと!?〕

 

〔そんなこともできるの?!〕

 

「これは古着をばらして縫い直しただけだがな

糸を紡ぐところからできるぞ」

 

〔本当に家事修行をやってたのね

あたしとのダイ君の間に子供ができたら傅役(もりやく)をお願いできるかしら?〕

 

    ざわ・・・

 

周囲の動揺が見える

だが意外とすぐにおさまった

 

〔もちろんバダックやブラスさんにもお願いするわ

あたしはできるだけいろんな方に声をかけるつもりよ〕

 

なるほど その名前だけでも 元魔王に人間 怪物

 

『竜の騎士と人間の子であるダイの生い立ちに思うことがあるようですね』

 

「オレの子守修業は『竜の保護者』の使命のためだ

そのときがくれば力を貸そう」

 

〔頼りにしているわ おじいさま♪〕

 

『まあその使命は私が勝手に言ったことですけどね』

 

それでいいのだ オレにとってもはやただの建前にすぎんが

神の使いからの使命という大義名分は人間には意味がある

 

「さて それではオレたちは失礼する

このままバルジ島で実験を開始する」

 

〔わかったわ こっちも準備が済み次第

バダックをはじめとした10人を送るつもりよ

ルーラですぐにつくと思うわ〕

 

「そうか」

 

オレ達は城をあとにし バルジ島に移動した

 

・・・・・・・

 

「さて まずは墓の前の地面からやってみるか

ジゼル!」

 

[はい!ハドラー様!]

 

「まずは竜術でこの島に住む精霊を探してみろ」

 

[はい!水竜術から・・・]

 

パアアア・・・

パアアア・・・・

・・・・・・・・・

 

[はあ、はあ・・・全然いない

コーセルテルは他の土地より精霊が多いとは聞いていたけど

こんなにいないなんて これで植物とか育つのですか?]

 

「まあ予想通りだ 大地に力がないこの島で

花を咲かせるためには・・・」

 

 キラン!

 

キー―――――ン

 

      ドォー―――――ン

 

説明を始めようとしたところでルーラでパプニカの一団が到着した

術者であろう王宮にもいた賢者の男を先頭にバダックに加え

王宮では見なかった坊主頭の男たちが9人

合計11人

 

『10人だったのでは?』

 

〔こうして直接挨拶するのははじめましてハドラーどの

私はパプニカ三賢者の一人 アポロ〕

 

ふむ アバンの使徒には及ばぬが人間にしてはなかなかの実力者のようだ

 

〔私は他にも仕事を抱えているため送り迎えのみの担当ですが

彼らをよろしくお願いいたします〕

 

アポロは挨拶をすませた後はすぐにルーラで去っていったが

残された者たちは・・・

 

 \\ハ!?ハドラー!?//\\まさか魔王ハドラー!?//

\\な なんてことだ!?//\\あれを見ろ墓石があるぞ!//

   \\ここが 私たちの墓場になるのか!?//

\\こんな何もない所で だれにもしられず魔王の手で!?//

 \\ああ!姫のお怒りはやはりそこまで深いのか・・・//

 \\言うな!私たちはそれほどのことをしたのだ!!//

\\バダック、わしにこんなことを言う資格はないがパプニカを頼む//

 

〔何を言っとるかテムジン!!

姫やハドラーどのに失礼だろうが!!〕

 

坊主頭の男たちが9人が阿鼻叫喚となった

こいつらはここで何をするのか聞いてないのか?

 

「ククク たしかにここは墓場だ」

 

 \\\\・・・うっうっうあああ!!!////

 

「お前らのではないが・・・混乱して聞こえていないな」

 

 

『人が悪いですよ』

 

悪魔だからな

 

[む~~]

 

「珍しくずいぶんと不機嫌だな ジゼルよ」

 

[・・・だって ハドラー様にあんなことを言うなんて]

 

「オレは言われるようなことを散々やってきた

あれが当たり前の反応だ

そういえばオレが先の祭りで観客から罵声を浴びていた時は

おまえは特に不機嫌にはならなかっただろう」

 

[あの時はハドラー様がそれを望んでましたから・・・]

 

パプニカとは魔王時代から特に激しく戦火を交えてきた

オレや配下の手によって親兄弟が殺されたものも多くいる

 

『レオナ姫をはじめとするあの王宮にいた者たちが奇特なのでしょうね』

 

それにオレはヒュンケルと違い謝罪も贖罪もする気はない

 

『私に命令権はありませんが普通は竜の騎士の討伐対象ですよね』

 

オレとしてはむしろ\\まだ生きているのか!//

\\さっさと死ね!!!//と罵声を受けながら

堂々と力を振るうさまを見せつける方がいい

そういった中で死んでいった我が子や配下を見送ってきたのだ

もっとも・・・ダイやジゼルにそれをさせるつもりはないが

 

『だからこそ 先の王宮ではわざわざ正装をして

相手に敬意を示したのですね』

 

ダイにとってこの国は特別な国だ

アルキード王国の轍を踏ませるわけにはいくまい

 

『そのためのあなたの竜の保護者としての使命です』

 

〔すまぬ ハドラーどの

テムジンらはかつて魔王だったハドラーどのを戦場で見たことがあってのう

そのせいもあって誤解してしまったようじゃ

姫の口からこの地での仕事は聞いておったんじゃがのう〕

 

「バダックよ こやつらは罪人なのか?」

 

〔まあのう パプニカ王国の恥を晒すようじゃが 投獄中に

大魔王軍の侵略がはじまり非常事態ゆえに執行猶予中の仮釈放扱いで

これまで働いておったんじゃが、それでな・・・〕

 

なるほど 戦いが終わり復興もすすんだ今

オレの手で処刑されると早合点したわけか

 

「おまえたち人間の都合は知ったことではないが

オレがやろうとすることを教えてやろう」

 

     ビクゥ!!

 

オレの言葉に激しく動揺する男たちを前に説明を続ける

 

「まずこの墓場の前の土地に適当な結界を張り

その内側とその隣で色々な土壌改良を試すつもりだ

目標はこの墓に弔いの花を咲かせることだ」

 

 \\どういうことだ!?//\\まさかあの魔王が!?//

\\本当なのか!?//\\あの墓石にそんな意味が//

  \\姫は本当にあの魔王と和解したのか!?//

 \\一体何があったのだ!?//

 \\賢者として知恵を求めらているのか・・・//

      \\おお 神よ・・・//

\\わしらがまだパプニカに必要とされているのか!?//

 

更にざわついたが まあいい 

 

「ジゼル この棒で地面に線を引け

一辺20歩ごとの正方形だ」

 

ジゼルにひのきのぼうを渡し

ピラミッドパワーをよぶための結界を張る準備をすすめる

 

[はい!ハドラー様!!]

 

「そこの男 む もしやおまえは賢者か?」

 

坊主頭の男の中に ひと際強い魔法力を感じる男がいた

 

〔俺はもう賢者などではない・・・

ただの、バロンだ〕

 

バダック、テムジン、そしてバロン

・・・どこかで聞いたことがある名前なのだが

このときはまだ思い出すことができなかった




動いてるときよりもじっとしているときの方が汗が噴き出る気がするウジョーです

暑さが一段増してきたのでいっそそれを利用できないかと暑い地域原産のアボカドの種を鉢に植えてみたりしてます
芽がでないようならピラミッドパワーを試してみようかな

まさに暑さのピーク 
室内でも熱中症に気を付けて お疲れのでませんように


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里帰り編 パプニカの過去

〔この土は異常ですな・・・

旧魔王軍との戦の頃より砂漠化した土地の再生事業に携わってきましたが

これほど 生命を感じない砂は見たことがない

これでは水を貯える力もなく植物が根付くことも困難でしょう〕

 

テムジンはどうやら経験者のようだ

 

「では この荒地に花を咲かせるにはおまえたちならどうする?」

 

〔そうですな・・・

まずは砂地に適し悪環境に強い生物・・・

たとえばサソリ系怪物やサボテンなどを持ち込み

魔法で水場も作っておきます

徐々に生物が増えていくのを待ちながらからくりを用い

適宜手を加えていきます

もちろん環境によって事情が異なりますので

必ずしも正解がだせるとは限りませんが・・・〕

 

なるほど どうやら無能ではないようだが

 

・・・・・・サソリ・・・からくり・・・

・・・テムジンとバロン・・・

! そうだこやつらは

 

「オレがかつてつくったキラーマシンを持ち出し増長した挙句

パプニカ王国乗っ取りのため魔のサソリでレオナ姫殺害をもくろみ

それら全てをデルムリン島でダイに叩き潰されたやつらか

そういえばバダックを除けば謀反に加担した人数も合うな」

 

〔!?よくご存じで・・・〕

 

「ブラスの日記に書いてあったぞ

ダイが竜の騎士にはじめて目覚めた戦いであり

パプニカ国王が勇者の家庭教師としてアバンをダイに送り出したきっかけらしいな」

 

『つまりあなたの死亡フラグが立ったわけですね』

 

おまえは役にたたないくせに いらんことばかりおぼえるな

 

〔そうですかブラス老が・・・

さぞわしを恨んでいることでしょうな

明確に殺害を指示したこともあったしのう・・・〕

 

「とくにそういったことはあの日記に書いてなかったが

それより あのキラーマシンをよく使えたな

力はそれなりにあるはずだが人間が使う仕様でつくってなかったが」

 

〔魔王の遺産の有効利用は当時流行しておりました

特に戦後復興のお題目を掲げれば 国を挙げて動きますからな

魔物だけではなく人も対象にできることでコスト削減効果の大きい『魔法の筒』

強力な力を人の手で操作することによって土木作業に使える名目の『キラーマシン』

これらを堂々と研究・使用しておりました〕

 

「人間のこういうところがあなどれん」

 

〔その功績で司教の座まで出世しましたよ

わしを・・・許せませぬか?〕

 

「ククク この地に眠るのは我が子と配下たち

そしてその敵たちだ おまえたちの入る余地はない」

 

ジャリジャリジャリ・・・

 

[・・・じゅーーく、にーじゅう!]

 

    ザクッ

 

[ハドラー様!線引きおわりました!!]

 

「ご苦労!

ジゼル サンシャインから渡されたピラミッドをだせ」

 

[はい これです!]

 

サンシャインがつくったピラミッドの模型をうけとり

ジゼルによくみえるようにゆっくりと結界術をとなえる

 

「むぅんっ!!」

 

      ドドォン

 

    ブアアアアアア

 

[うわあ きれい・・・!]

 

〔これが魔王の魔法・・・〕

 

〔いったいどんな効果が・・・〕

 

〔魔法陣がただの四角で ピラミッド型の結界なんてはじめて見るぞ〕

 

「とりあえずこんなところか

ジゼル 結界術は描いた魔法陣の内容や

用いる呪文によって効果が変わってくる

今回は特にこれといった効果を仕込んだわけではないが

道具や建造物を利用して効果を高めることも可能だ

たとえばこのピラミッドの模型を結界に用いることもできる」

 

[これ入ってみてもいいですか?]

 

「そうだな 試しに入ってみるか

お前たちも入れ 人間への影響も気になる」

 

〔おお では早速〕

 

    ザッ

 

〔バダック! いきなり入るやつがあるか

そもそも魔法力がないおまえに何がわかる!〕

 

〔ふむ 多少影響を感じますが・・・

呪文が使えなくなるほどではないですね

結界の場所によって効果が違うのかもしれません〕

 

テムジンやバロンらも結界の中に入っていく

オレも中で効果を感じてみたが・・・

 

「微妙に力の流れが変わった気もするが・・・」

 

『私にはわかりませんが

ジゼルに悪い影響がなければよいのですが』

 

「この程度でどうこうなるとも思えんが

とりあえず ジゼルは結界からでろ」

 

[はーい!]

 

     ぴょん!

 

[あ!? あーーーーーー!!!??]

 

  ズザザザゴロゴローーーーー!!!!

 

『ジゼル!?』

 

「どうしたジゼル!?」

 

〔ジゼル嬢が大穴に落ちた!?〕

 

「なぜよりによってそっちにとびだした!?

この方向音痴が!!」

 

〔方向音痴とかそういう問題ですか!?〕

 

〔この穴 底が見えないほど深いぞ!〕

 

ヒュンケルがオレに使ったグランドクルスでできた大穴にジゼルが転げ落ちた

 

「あれでも火竜のはしくれだ この程度のことで死にはせん」

 

   ドボぉン!!

 

この音はジゼルが底に落ちた音か?

これは水 いや泥に落ち込んだか?

この大穴の底には砂ではなく 泥があるのか

 

〔ジゼル嬢は無事か!?すぐに救出行かねば!〕

 

〔バダック殿ここは私に任せてください

照明呪文(レミーラ)!〕

 

  パアア!!

   バッ

バロンが大穴を照らしながら飛翔呪文(トベルーラ)で救出にむかっていった

 

『火竜は水に弱いのですよ!

いくらジゼルでも泥水に埋まっては危険です!

早くあなたも!!』

 

「・・・そういえばこの大穴の中はまだ見ていなかったな

オレも降りてみるか」

 

『言い訳はいいですから早く!!』

 

やれやれ・・・

 

     ザッ

 

大穴の底には泥に埋まってるジゼルと・・・

それを助けようと手こずっていたバロンがいた

だがそれよりも気になるのはその周りにある

 

「これは薬草!? ここに自生しているのか?」

 

   ズボッ!

 

[ぷはあっ! あっハドラー様♡]

 

バロンの手によって引っこ抜かれたジゼルがオレに気づいたようだが

 

「ろくに光も差さないこんなところで薬草が育つはずないが・・・」

 

〔ハドラー殿 ジゼル嬢は助け出しましたが・・・〕

 

「ジゼル これを食ってみろ」

 

薬草を引き抜きジゼルに渡した

 

[はい!ハドラー様♡ バリボリ

おいしいです ハドラー様!!]

 

効果も問題ない 本当になぜこんなところに薬草が?

 

〔この大穴の中は生命力にあふれているように感じますね

薬草が自生するほどの土があるのはこの島ではここだけでは?〕

 

「そのようだな ということは

これはあのグランドクルスのせいか・・・」

 

ゴクリ・・・

あのすさまじい威力を思い出すといまだに冷や汗がでる

 

[ハドラー様 こんなところに袋がありました!]

 

ジゼルがもってきた薬草袋、見覚えがあるような・・・

これはもしやヒュンケルがポップに渡して食ってたあれか

まさかあのときの食べ残しがこの穴の中で落ちて根付いたのか

 

『誰も知らないところでドラマがあったのですね』

 

そう考えるとオレも当事者だがな

 

「さてジゼルよ地竜術で泥を塊にする

とりあえずおまえの頭分程度の量を持って帰るぞ」

 

ともあれ貴重な生きた土を

ジゼルの竜術で固めて持って帰った

3人とも泥まみれになったが中々得るものはあった

 

[ハドラー様 できました!]

 

ジゼルが薬草袋に泥をつめ 花の種を植えこんだものをバルトスの墓前に供えた

 

「バルトスよ おまえの息子が用意した袋と

作り出した命の土に 供えていた花の種を

末の妹が改めて供えているぞ」

 

〔ここが バルトス殿の墓ですか〕

 

「そうだ 地獄の騎士バルトスを知っているのか?バダックよ」

 

〔・・・かつて戦場で何度か剣を交えたことがありましてな

わがパプニカ一刀流の剣の冴えをもってしても

あの変幻自在の6本の剣には及ばなかった

しんがりの役目のときは命からがらどうにかしのいだこともあった

常に正々堂々とした騎士の鑑のような敵であったと・・・

ワシは思うよ・・・!〕

 

・・・・・・ありがとう

 

『直接言えばよいのでは』

 

オレが言わずともバルトスが言っておるわ

バルトス・・・

最初にオレが生み出しオレの手で葬った我が子よ

おまえの生きた証はたしかにここにあるぞ

 

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

 

それからしばらくの間 このバルジ塔でパプニカのやつらと

土いじりをしていた

木竜術を使わなければこの種が芽吹くまで10日はかかるらしく

今のところとくに変化はない

だがパプニカのやつらは意外とよく働いていた

やはりただの馬鹿どもではないようだ

オレを恐れながらもジゼル効果かバダックの人徳か

この数日でオレのつくった鍋を囲み安ワインを飲むほどになっていた

 

〔ヒック・・・わしにとってもっとも障害となっていた

かの勇者の仲間だった大魔導士を追い出したことで

計画は一気にすすんだ いや暴走した・・・〕

 

「ほう あいつをか!? なかなかやるではないか

やはり裏切りを行う者はなにかしら取り柄があるものだな」

 

〔そしてパプニカ王国唯一の後継者レオナ姫の

教育係の一人バロンを取り込み・・・

デルムリン島での地の神の儀式を強行し・・・〕

 

「ダイにやられたと」

 

〔クッ クククッ

ワッハッハハハハハッその通りだ魔王殿

もし計画通りレオナ姫を殺してしまっていたらと思うと今でもゾッとしますよ

レオナ姫こそ生きていてもらわねば困るということを!〕

 

〔ダイくんがおまえたちに教えてくれたんじゃな〕

 

「ククク・・・」

 

[ハドラー様も楽しそう]

 

〔しかし この島でフレイザードの墓がのう

はじめてあやつを見たのは あのバルジ塔で

まさに姫を氷漬けにしようとするにっくき姿じゃった

そして次に会ったときはごっつい鎧を着てダイくん達と闘う姿じゃった

あのときはワシは無様にも腰を抜かしクロコダインに助けられねば

間違いなくおっちんでおったわ かっかっか!!〕

 

「ほうフレイザードの最後の戦いを見届けたのか

もっと聞かせてもらおうか どうだもう一杯」

 

[ハドラー様もどうぞ!]

 

 \\\\\\乾杯~っ!!//////

 

・・・

 

「かつてあの大魔導士はこのオレに

【いいやつはみんな死んで

オレやおめえみてえな悪党だけが生き残っちまった

・・・いやな世の中だよなぁ・・・】

とぬかしてオレにたった一人で闘いを挑んできおったわ」

 

〔わしもダイ君が行方不明になったときは・・・

同じようなことを思いましたよ

なぜわしらが生きているのにあの子がと・・・〕

 

〔ワシとて 王様が亡くなられフレイザードが死んだのに

姫の氷が溶けなかったときは何度も思ったものじゃ・・・〕

 

老いぼれどもが・・・ いや

酒をあおるものたちがみな、泣いていた

 

・・・・・・

・・・オレとしたことが飲み明かしてしまった

 

『困った人ですね

ジゼルが楽しみにしていたあの日を忘れないでくださいよ』

 

もうそんな日か まあ異世界の人間の武術にも興味がある

行ってみるか 

「起きろジゼル 行くぞあの世界へ

バダックたちは直に迎えがくるそのまま寝かせてやれ」

 

[はい!ハドラー様!!

いきましょう メアリの応援に!!]

 

ククク やはり人間は面白い

 

『あら?ジゼルのお供えした薬草袋から・・・』

 

[あ!芽がでてる!!]

 

〔幸先がよいですな〕

 

「なんだ起きていたのか おまえたち」

 

\\留守の間はこの墓地のことはお任せください//

\\腐っても神に代々つかえる身//

\\こういったことは任せてください!//

\\ジゼルちゃん この芽は大事に育てるから安心してくれ//

\\墓の手入れもお手の物//

\\こんな何もない所だけど パプニカの民として!//

\\花を咲かせてみせますよ//

\\姫を守った同胞たちにいつか!胸を張って会えるように!//

 

〔みんなおまえさんたちの土産話を待っておるよ〕

 

「・・・いいだろう 好きにするがいい」

 

[いってきます!]

 

 \\\\\\いってらっしゃーい!//////

 




忙しくなって筆が止まってしまったウジョーです。

正直この話はもっと短く終わって10月1日のメアリのタッグタイトルマッチに合わせて
次の話をもっと早くに書くはずでしたが新しい仕事がよりにもよって10月1日に
初出勤日が重なって準備やらやりつつ書いてた今回の話も勝手に膨らんでいって・・・
バダックさんはともかくなぜ読切のみで本編にまったくでないテムジン達がこんなに喋る?

すっかり涼しくなって・・・と思いきや妙に暑い日や 夜に元気な蚊がいたりと
彼岸を過ぎても残暑を引きずることもありますが おつかれのでませんよう


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女子プロレス編

   ~東京都立川市 聖地 松田ハイツ~

 

    ピンポーン・・・

 

{はーーい!

どちらさま・・・

わっ お久しぶりです ハドラーさん ジゼルちゃん}

 

〈わ 原稿の締め切り近かったの?〉

 

相変わらず自然に不自然な聖人二人がここに住んでいた

 

「今日は別件だ この場所に行きたいのだが

案内を頼めるか?

ジゼルが見たがっていてな」

 

[よろしくお願いします!]

 

〈それはもちろんいいですけど

わ すごい東京女子プロレスのリングサイドチケットだよ!

これ買ったら何万円もしちゃうやつだよ!〉

 

{え!そんなにするのかい!?}

 

「この券であと二人入れると聞く

案内の礼にお前たちも見ていくか?」

 

『・・・お二人をお誘いするのは大変良いことですが

また新たな聖地や聖戦ができる気が・・・』

 

〈私 スプラッターとか痛い系 本当ムリだけどプロレスには興味あったんだ

あ!これすぐにいかないと第0試合(ダークマッチ)に間に合わないよ

第0試合(ダークマッチ)はテレビ放送されないから

会場限定のボーナストラックみたいなものだよ〉

 

{君は本当にそういうことおさえてるよね}

 

「それではよろしく頼む」

 

[しゅっぱーつ!]

 

 

   ~東京女子プロレス 試合会場~

 

[とうちゃ~く]

 

「おまえが迷子になりかけるせいでギリギリだがな」

 

{いやいや はしゃぎたくなる気持ちもわかりますよ}

 

〈あ 大きい売店がある! パンフレット買おうよ!

試合ならネタバレじゃないしいいよね!〉

 

[ねたばれってなに?]

 

「今日の試合の戦士の一覧か

オレも興味あるが これはカードで買えるのか?」

 

パンフレットを手に入れた

 

〈まずは席につきましょうか

パンフレットは座ってから読めばいいですし〉

 

{そうだね 第0試合がはじまりそうだし}

 

「ジゼル はぐれると面倒だ 肩に乗れ」

 

[はい!ハドラー様♡ジゼルダーイブ!]

 

会場は客でいっぱいとなっていた

この満員の客がこの戦いを見に集まっているのか

あの超人一等祭を思い出す

中心のリングを囲むように並ぶ席の中

青コーナー近くの席に座ったところでちょうど選手が入場してきた

 

{うわ~ 華やかな衣装だね}

 

〈あれは台所用エプロンがモチーフかな〉

 

[かわいい・・・]

 

「パンフレットによると あのエプロンの女の名は飯田知世子

メアリと同じ派閥 サンデーモーニング所属とある あいつの仲間か」

 

[メアリの仲間!あ はじまった!]

 

    カーン!

 

「・・・悪くない動きだ 両者タイプは違うが実力差はあまりない」

 

    ビシィ! ビシィ!

 

[うわ いたそう!]

 

{プロレスのトレーニングはかなりの苦行らしいからね}

 

〈ああ 前にテレビで見たことあるけど あれすごいよね〉

 

      \1!2!3!/

 

      カンカンカン!

 

[あ 飯田負けちゃった・・・]

 

〈女子プロレスはハッスル商店街で無料券をもらって見た

多摩川女子プロレス以来だけど随分雰囲気違うね〉

 

{そうだね 屋外と屋内 団体の規模の違いは勿論だけど・・・

でもどこか共通するものもあるよね}

 

〈あ!次の試合はその多摩女との対抗戦だって!〉

 

「あのスクリーンを見ろ 何かしゃべっているぞ」

 

〔これって、あれですかね。

今日も勝ったら・・・・・・

またこういう大会に呼んでもらえるって

考えていいんですかね?〕

 

〔その、自分は・・・・・・

多摩女魂を見せに来た。とにかく、勝って。

今度は、多摩女(ウチ)に呼び寄せてやる。〕

 

〈あ!前に見た多摩女のレスラーさんだ!〉

 

{ずいぶん緊張してるね 望宮さん}

 

〈見知らぬ土地での布教って緊張しちゃうのわかるなあ~

下手にキャラ作っちゃうと地元に帰ったときに余計気まずいことになるし・・・〉

 

{時として地元ほどのアウェーはないよね!}

 

『なぜ布教あるあるに・・・』

 

「布教か!?たしかにあのレスラーの台詞は

聞きようによってそうとれなくもないが

対戦相手にとってはリベンジマッチか これは荒れそうだな

お行儀のよい戦いよりも見ごたえがありそうだ」

 

[ハドラー様 ゆきりんごってどんなリンゴですか?]

 

「それはコンビ名のようだ

オレがサンシャインと組んだときにはぐれ悪魔コンビと名乗ったあれだ」

 

『おふたりだとどんなお名前になるでしょうかね』

 

{〈パンチとロン毛だね〉}

 

「とんでもないのを即答で返してきたぞこの聖人ども!」

 

『私は聞かなかったことにした方がいいのでしょうか・・・』

 

      カーン!!

 

激しい攻防だが 試合前のやりとりを引きずっているのか

多摩女組の動きがやや硬い ゆきりんご組が試合をリードしているようだ

ゆきりんごの紅葉林檎が多摩女の白木孝奈をヘッドロックでとらえた

 

\あーーっと! 紅葉のヘッドロックのままカメラの前へ!  /

 \そして白木の顔をつかみ変顔をテレビで全国お茶の間へ!/

 

〔このぉ!!!〕

 

      ドスン!!

 

   \白木怒りのバックドロップ炸裂!!これはきいているぞ!!/

 

        パン!

 

  \ここで白木からパワーのある望宮へタッチ!勝負にでるか!?/

 

         ブファ!!

 

 \なんとここで毒霧!!望宮の顔が真っ赤に染まった!!/

 

「あれは効いたぞ カウンターで顔に毒攻撃とは

人間にしてはなかなかやる」

 

[火 じゃないですよね?]

 

〈あれはタバスコが混じっているかな?あれつくと落ちにくいんだよね〉

 

{あ!見て熊井さんが紅葉さんと合流したよ}

 

    ブワ!   ズドォン!!!!

 

  \ゆきりんごのツープラトンス-プレックスが決まった!!/

 

これが決定打となり 試合はゆきりんごの勝ちとなった

その後はかつてメアリが制したというヤンドラ杯の予選試合が続いた

タッグの四人は新人だったがそれよりも経験を積んだ若手の争い

それぞれタイプの違うレスラーのぶつかり合いはみごたえがあった

オレの世界のレスラーは巨漢が力と技を生かした戦い方が主で

これほど戦闘スタイルに幅があるものではなかった

などと考えていると・・・

KOM(キングオブマッスル)の予選試合がはじまった

腕一本でオレを揺るがせたあの井上が初代チャンピオンを獲ったタイトル

試合前のインタビューで現チャンピオンが映ったが

たしかにその名にふさわしい筋肉をもっていた

その肉体に誇りをもち 磨くことに喜びをもつタイプだった

試合はまさに力と力のぶつかり合い これまで試合の中では

・・・一番オレ好みのものだった

そしてセブンスタータイトルマッチ 入団7年目の者同士のぶつかり合い

戦場に7年揉まれた者か・・・ 人間の成長は速い

潰れる者も多いだろうが それを乗り越えた者か

共に乗り越えたとも言える間柄 他の者にはない因縁があるのだろう

試合前のインタビューでは・・・

 

〔それじゃ、いくよ・・・・・・あっちゃん。

東京女子プロレス2011年一期組!星空こがね、参る!!〕

 

〔それじゃ、来て・・・・・・

東京女子プロレス、星空こがねの同期!紅蓮篤美・・・・・・受けて立つ!〕

 

〔恋人同士かおまえら!?〕

 

オレと同じことを思ったやつがコメントテーターとして叫んでいた

 

〔このピー!ピー! ピーにピー!ピー!とか!!〕

 

[ハドラー様 あの人ピー ピー って声どうやって出しているんですか?]

 

「わからん 口の動きと声が合っていないようだが・・・」

 

{あれは放送に乗せられない発言に規制として機械音をかぶせているんですよ}

 

〈地上でも天界でもありますよね ああいうの〉

 

{・・・マーラは誰の心にも入り込むものです 

言葉には力がありますから 電波に乗せられないものがあるんですよ}

 

『なるほど 配慮なんですね』

 

試合は序盤から星空が優勢だった 中盤わずかに紅蓮が見せ場をつくるが

再び星空が優勢な試合運びを見せていた 

どうにか食らいついていた紅蓮が終盤その名に負けぬ炎のような逆襲を見せ逆転劇を果たした

 

「見事なものだ」

 

〈ええ すごい闘志でしたね

それにしても少しお腹空いたな・・・〉

 

{おや ずいぶん時間がたってましたね

何か食べてきましょうか 次の試合まで少し時間があるようだし

入場券のお返しにご飯代はこちらがもちますよ}

 

[いきましょうハドラー様!]

 

とりあえず席を会場内の売店を見て回った

 

{チャーハンが800円!?どんなお米をつかってるんだ!?}

 

〈こういうところのはちょっと高めだよね

あ!見てあれ200円だって!あれなら心安らかに買えるよ!〉

 

[ム~たい・・・りく、やき?]

 

「ムー大陸焼き 聞いたことないな

それよりも作って売っているのは さっきのKOM予選で負けた

ムー成田ではないのか?」

 

〈ほんとだ ファンサービスかな?〉

 

{あの激闘のあとに売店で実演販売なんて

是非あそこで買っていきましょう!}

 

「このパンフレットによるとあいつもメアリの仲間か

あいつも顔が広いな」

 

ムー大陸焼きは 宗教上の理由とやらでいくつか材料を抜いたものを頼んでいたが

食べたところ以前ヴァンプ将軍が屋台でだしていたものとよく似ていた

違いは「ムー大陸焼き」と焼き印されていたぐらいだったか

 

〈ムー大陸って たしか父さんが・・・〉

 

〔おや ムー大陸について何か知っているのか?

私の前世はムーの戦士 ムーについて何か知っていることがあれば聞いておきたい〕

 

{それはちょっと 私たちの口からいうわけにはいかないもので・・・}

 

食事を済ませ席に戻ると知った顔が増えていた

オレ達の近くには祭りでメアリと共にリングに上がったストロングマンたちが

リングを挟んで逆側の席にサンシャインとアシュラマンが座っていた

リングから離れているが東方不敗とドモン・カッシュもいる

まあ来るとは思っていたが・・・

 

試合前のインタビューを終えリングに向かう両タッグにおくる声援で会場が揺れた

    TWP世界タッグ王座選手権

王者  ベノムナイト(スパイダー菊池 ソニックナイト) 

挑戦者 ライオット(ソニックキャット メアリ・ノートン)

 

この試合は特に激しいものだった

人間同士ではあったがかなりのハイレベルのぶつかり合い

試合前 メアリはその中であきらかに格下扱いだった

事実 その時点ではその程度の実力であったのは間違いない

だが試合中 そのメアリが大幅なレベルアップを果たした

試合前のインタビューでこの試合は若手ナンバーワンのご褒美として

メアリに経験を積ませるものだと語られていたが

その経験をその場でレベルアップにつなげ動きが格段に良くなっていく

スパイダー菊池の猛毒と評される蹴りに耐えソニックナイトの死角からの攻撃を躱し

あのカナディアンすら揺らいだ必殺のライオンカッターが炸裂すると

興奮した観客の足踏みで再び会場が揺れた

ジゼルもすっかり試合に魅せられていた

戦いの中で磨かれ 急成長を遂げていくあの顔 あの目

オレにもおぼえがある あの宿敵たちの戦いで幾度も見た・・・

 

 

決着の時を迎え・・・

 

リングの上でチャンピオンベルトを巻いたメアリたちを見つめるジゼルの目に

決意の炎が宿るのを感じた




相変わらずリングドリームにハマってるウジョーです
今日はメアリ・ノートンのセブンスタータイトルマッチ
その応援として結構前から構想して書き始めてたのに結局当日までかかってしまいました
タッグでタイトルをとって陥落してと色々ありましたがついにシングルマッチでのチャンス到来
今回こそ全力で応援せねば

度重なる台風 大雨で日本中大変なニュースが流れておりますが
復興とご自愛のほどお祈り申し上げます。


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女子プロレス編 入門前

[ハドラー様 私、

東女寮に入ってプロレスラーになりたいです!]

 

「ほう?

オレが元いた世界にもいた格闘士(レスラー)やサンシャインらのような超人レスラーではなく

今日見てきた【プロレスラー】になりたいと」

 

[はい!]

 

ジゼルは興奮冷めやらぬ様子で即答した

ダイやポップも勇者アバンに憧れ 弟子入りしたことから始まったと聞く

メアリ達の闘う姿にジゼルにそういった感情が芽生えたのは歓迎するが

 

「東女寮とはなんだ?」

 

[メアリから聞いた話ですが、

東京女子プロレスに入団した新人が 同期と同じ部屋で寝食を共にしながら

先輩から指導を受けてプロレスラーとしてリングで戦えるように修行する場所です]

 

「ほほう それは面白い」

 

『人間の修行の場がですか?』

 

そこではない そこに入るということは・・・

 

「おまえがオレの元を離れそこで修行に専念する、ということだな」

 

『え!?』

 

〈出家みたいですね〉

 

[・・・・・・はい

メアリは 東女寮で生涯の友であり好敵手と出会い

励ましあい 磨きあい 意識しあうことで今があると言ってました

私は プロレスラーになって リングに上がって

今日のハドラー様の熱い眼差しを受けたいんです!]

 

「そっちか!?強くなりたいのではないのか?」

 

たしかに昔から人間の闘いを見る趣味があったが

 

[もちろんハドラー様に勝つために強くなりたいのが一番ですけど

ハドラー様がヒムちゃんやフレちゃんを見る目と

私を見る目がどこか違う気がしてて・・・

さっきまでのメアリたちの試合を見ていた目が近い気がして]

 

そんなものか 正直そこまで違う気はしてなかったが

 

『まったく同じ、ということはないでしょうね』

 

〈女の子はよく見ているものですよ〉

 

『私は反対です ジゼルはまだ5歳

親元を離れ 戦いに身を置くなんて!

竜の騎士でも普通は紋章の力を使える成人になってからですよ!』

 

聖母竜よ 落ち着いてよくジゼルを見ろ

背中に不安をあらわす暗竜の翼が出ている

普通の暗竜と違いこいつがオレと共にいるときはこれを見せるのは稀だ

こいつがただ試合の熱にあてられ勢いだけでこんなことを言っているわけではない

・・・不安を抱えながら勇気を振り絞っている、ということだ

 

『・・・・・・勇気、ですか』

 

「よかろう だが具体的にどうすればいいのか?」

 

〈出家ならお力になれますが〉

 

{洗礼なら・・・ まあ帰ってから調べましょうか}

 

「とりあえず そこにいるサンシャインたちに聞いてみるか」

 

セミファイナルが終わり 最後の試合まで まだ時間がある

ジゼルを連れて今のうちに聞いておくか・・・

 

【おう メアリ嬢ちゃんのタッグ奪取おめでとう

アシュラマンはスパイダー菊池のファンだから応援はできなかったが

ヤンドラのご褒美からタッグタイトル奪取は快挙だ

ビール飲むか?ジゼル嬢ちゃんにはヤキトリもどうだ?】

 

「もらおう ジゼルも」

 

[サンちゃん ありがとうございます]

 

【次は今日のメインイベント シングルのタイトルマッチだ

凶獣から今 勢いのあるルシフェルが挑戦だ

現チャンピオンのシュバルツは強さにムラがある

ひょっとするかもしれんぞ カーカカカ】

 

「それも気になるが相談がある 実は・・・」

 

サンシャインたちに相談したところ

 

【なるほど ワシが預かって立派な悪魔超人に育て上げたいところだが

人間の技術を肌で学び取るには今がちょうどいい時期かもしれんな

竜の化身超人といえど 今なら肉体的には人間と大差ない

多少抜きんでたところがあったとしてもあそこなら問題は少ない】

 

【私は幼いころ周りと馴染めなかったが 周囲との衝突も

その後の恩師との出会いも別れも・・・

今となっては、かけがいのないものであった

私は協力を惜しまない】

 

【ワシもだ ちょうどこの大会のあと 東女の社長と会う約束がある

週刊リングの記者も同席するが 共に会ってみぬか?

ジゼル嬢のこともなんとかなるかもしれんぞ】

 

「顔が広いな」

 

『体も広いですしね』

 

それは関係ない

 

【そろそろゴングだ 席にもどるといい

メインイベントがはじまるぞ】

 

「ああ ではまた後でな いくぞジゼル」

 

[はい ハドラー様]

 

ジゼルの背中で翼がゆれる

人間社会にしばらく身を置くなら人化術を磨く必要があるな

 

『ジゼルの竜の角も翼もかわいいのですが、

やはり竜人状態のままというわけにはいきませんか』

 

・・・関係ないが竜魔人のバランに一方的に打ちのめされたのを思い出した

 

『あれは極端な例ですから

ジゼルがああなることはないはずですし』

 

どちらもおまえの子だろう

 

・・・

・・・・・・

 

大会を終え聖人二人と別れ はぐれ悪魔コンビと共にこの団体の長に会う

 

『さっきの試合ではレスラーの頂点チャンピオンをめぐる争いでしたが

団体の長 社長はまったく別もの とのことでしたね』

 

最強の存在が魔王を名乗る魔族とは違い 人間社会では普通のことだろう

勇者で王となったアバンの方が珍しい例だ

ジゼルが緊張しながらオレについて歩いてくる

さて どうなることか・・・

 

〔はじめまして 東京女子プロレス社長の東 丈太郎(あずま じょうたろう)です

お会いできて光栄です〕

 

〔プロレス専門誌週刊リングの記者初芝 乃愛(はつしば のあ)です

先日の超人一等祭では直接試合見てました!

こちらがそのときの記事の載った 本誌です

是非 ご一読ください〕

 

「オレの名はハドラー こちらは娘のジゼルだ

今日は客として試合を見に来ただけのつもりだったが

事情が変わってな 急な同席 失礼する」

 

オレが同席したこの集まりは またあの祭りを開催するにあたり

協力する打ち合わせのようだ

次回についてはオレは関与していなかったが 準備は進んでいるようだ

 

【前回は正義超人たちの事情から宣伝や準備に十分な時間がとれず

東女さんとの協力もメアリを招待するぐらいしかできなかったからな

今度は東京を含めた関東での開催を予定している】

 

東女(うち)としても早い段階から協力できるのは大歓迎ですよ

何より面白そうですからね 超人レスリングと積極的に関わるのは

プロレス業界にとってもファンにとってもいい刺激になります〕

 

〔週刊リングとしては 開催までに目玉となる企画があれば

長い期間 このお祭りを目玉記事として大きく扱えますよ

何かありませんかね?

ハドラーさんの密着取材とか人気でそうですけど〕

 

【ソレじゃ!

いい企画がある ここにいるジゼル嬢を東女寮に入れてみんか】

 

〔寮に?〕

 

[はい!やります!]

 

「ほう」

 

【そしてジゼル嬢を週刊リングが密着取材をして記事にする

そうすれば 親としてもいくらか安心できるだろう】

 

『なるほど!』

 

まあ おまえがそれである程度納得できるならマシになるか

 

〔それは面白そうですね!

一等祭でのジゼルさんのリングデビューは反響大きかったですし

超人が人間の女子プロレス団体へ入団するのも前代未聞です!

連載記事としてページをとれます!〕

 

〔面白そうですが・・・ ジゼルさん何歳ですか?

超人ですから人間の常識は通用しないのでしょうが〕

 

[5歳です!]

 

〔見たまんまの年齢だった!?

う~ん 流石に見た目も中身も5歳の女の子をレスラーとして預かるのは・・・

道場で練習するぐらいならまだなんとかなりますが〕

 

【いやいや 子供だからこそ人間との濃密な交流に意味があるのだ!】

 

〔しかしですね・・・〕

 

「まあ 待て よく知らない生き物をいきなり預かれと言っても無理がある

まず オレが竜について簡単に教えてやろう

秘密ではないが 一般的に知られていない基本的なことだ

竜には三つの形態 元竜・竜人・人化とそれとは別に

成長過程において幼竜・少年竜・成年竜の3段階がある

今のジゼルは幼竜を終え少年竜となったばかりだ

最も成長著しい時期と言える

内面が成長すればそれに伴い外見も成長するが

場合によっては何十年何百年もこの姿のままの可能性もある

竜の寿命は300~400年と人間とはまるで違うからな

そして成年竜となるには 火の気が強い火山などを利用して成長させる必要がある

つまり預けている間に成年竜になることはない」

 

〔これも記事にしてもいいですか?〕

 

「元竜はこの世界でも一般的なイメージの竜・ドラゴンの本来の姿だ」

 

〔あ 一等祭で最初に見せた姿ですね

この本誌でも写真を載せてます このページです!〕

 

「たしかにあのときのジゼルだな

見ての通りの巨体だ はっきり言ってこの建物の入り口にすら入れない不便な状態だ

そこで竜が人間と共に生きるために編み出した術により竜人となったのが今のジゼルの姿だ

竜の角や翼が残っているがほぼ人間の姿となっているが

生物的には人間よりも精霊に近い存在といえる」

 

〔いわゆる超人や亜人といった見た目ですね〕

 

「さらに竜の気配をほぼ消し 人間社会に竜とバレずに溶け込める人化

これはさらに高度な人化術を使う必要がある 実際にオレが使って見せよう」

 

   パアア・・・

 

〔本当に普通の女の子になりましたね!

写真一枚いですか!?〕

 

[え?はい?]

 

   パシャ!

 

「このとおり竜の力は抑えられほぼ人間となっている

火竜としての特性の一部 火の無効や方向音痴

術による竜の潜在能力の発現は可能だが

肉体能力的にも人間とそう変わらん

自力でこの術を使えるように仕込んでおく

しばらく預かってみぬか」

 

〔・・・・・・わかりました

ただし条件があります 何かあったときにハドラーさんと連絡がとれるように

こちらの世界ですぐに連絡がとれる身元保証人となる人を連れてきてください〕

 

【ワシらでは駄目なのか?】

 

〔この日本 できれば関東圏内に定住している人が望ましいんです

プロレスはビジネスでもあり なんでもありな世界です

だからこそ不測の事態はどうしても起こります

この条件はゆずれません

もちろん人化の術を本人が自由に使えるようになるのも必要条件です

これでも娘を持つ父親でもあり 多くの社員を抱える社長でもあります〕

 

「できるなジゼル」

 

[はい!ハドラー様!!]

 

なかなか成長したものだ

ここまで人に近くなる人化術は幼竜のうちは練習をしていない

竜人化よりも難度が高く竜の力を大きく抑える術のため幼竜の成長を妨げるからだ

術を1からおぼえ地元の協力者を得て オレから離れ修行の地に赴く

これが実現ができたとき ジゼルはさらに大きくレベルアップする

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・そう思っていたのだが

 

      べったり!

 

「離れろジゼル」

 

      ブルブル!

 

ジゼルがアニマルソルジャー入りした縁からヴァンプ将軍の協力を得ることに成功した

その頃からジぜルはオレの背中から張り付いて離れなくなった

こうなることは珍しくないが・・・

 

『しばらく私たちのもとを離れるのですから

これぐらい許してあげてください』

 

「こんな一時の甘やかしが何になる!」

 

オレの手を巧みにかわしながら体を這いまわり続けるジゼルが

 

[ハドラー様!竜術士とともにいることで成長を促す竜術が自然と発生しています!

人化術を少しでも速くおぼえるために お力を貸してください!]

 

「!? お前にしては頭をつかったな

まあいいだろう どうせ最初のうちは術の使用にオレの力を貸すことになる」

 

[ハドラー様♡]

 

「だが東女寮入りする条件は一人での術の使用だ

ただでさえ変種であるお前向きの術ではない

人化術に特化した変種のプレアよりもはるかに高い壁だと心得ておけ!」

 

[はい♡ハドラー様!]

 

     パアア・・・

 

ジゼルが自らオレの腕の中に納まり早速オレの力を借りて人化術を使う

少しずつ ジゼルから竜の気配が弱まっていく

その身に流れる血さえも変わっていくようだ

・・・ちょうど逆のことではあるが

かつてバランがオレとの戦で人の姿を捨て竜魔人となった時を思い出す

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【かつては親子でありながら骨肉の死闘を演じたこの破壊魔獣の姿をっ・・・

あの子にだけは二度と見せたくなかったからだっ!!!】

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『・・・このバランの記憶 私の心にかなりくるものがありますね

相手が死ぬまで戦い続ける竜の騎士バラン 究極の戦闘形態バトルフォーム

その妹といえるジゼルは竜の力を封じ人の世界に行こうとしています

骨肉の闘いの末・・・ あなたに認められるために

どうしてこうなったのでしょうか』

 

[スー スー・・・]

 

慣れない術の使用のためかいつの間にかジゼルは寝ていた

抱きかかえる形となったが 回復するまではこのままにしておくか

 




年末に執筆意欲の湧くネタが連発されながら書く時間がなかなかとれないウジョーです

ダイの大冒険のアニメ化ゲーム化 リングドリームのサービス終了 コーセルテルの竜術士の長編終了の単行本発売 と、書きたいことが山のようにできているのに 仕事が、
しかも正月休みの直前 仕事納めの途中に目を傷めて PC画面を見続けるのがつらい・・・

ダイの大冒険のアニメ化 PVを見る限り 原作最終回のダイの帰りを待つダイの剣と
多分クロコダイン戦のダイのアバンストラッシュと 期待と想像が高まる出来でワクワクがとまりません 放送が来年の秋とはずいぶん先の気もしますが ダイの大冒険30周年や冒険王ビィトの休載期間と比べればどうということはない気もします

寒さが一段と厳しくなり ただでさえ忙しくなる年末年始
お疲れのでませんように よいお年を
来年もよろしくお願いいたします。



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女子プロレス編 入門後 暇人は語りたい

ジゼルが人化術を習得し東女寮入りを果たした

 

『さびしいです・・・』

 

しつこいぞ聖母竜よ

 

『あなたもいまだにこの世界にいるということは

さびしいのでしょう』

 

・・・・・・この世界にはサンシャインたちのような強者や

参考になりそうな武術もある

オレなりに得るものが多いと判断したにすぎん

 

『・・・・・・の裏側が私にはよめるのですが』

 

     ー!?ー

 

『この気配は!』

 

強力過ぎる火竜に暗竜の気配だと!

ジゼルとは比べ物にならん これほどの力 バーン級だぞ!

ここは人間の街の中 昼過ぎで人通りはやや少ないが

とてもこんな大物がいるような場所には見えんぞ

 

『神か大魔王でもいるのですか!?』

 

この気配 近いぞ・・・

 

ーーーーーーー

 

この建物か この世界のダンジョンに入るのは初めてだが

 

『まわりの建物とあまり変わらないですよね』

 

たしかにな この竜気がなければ通り過ぎていたところだ

羽の生えた犬の看板が目立つ3階建ての建物か・・・入ってみるか

 

『・・・そうですね ジゼルのいる東女寮からそう遠くないここで

これほどの竜の存在は無視できませんね』

 

・・・竜気は地下からか

階段を一階分下りたところに魔力を秘めた樫の木の扉があった

扉には猫の絵と【洋食のねこや】の文字があった

 

「なんだ?猫を食べるところか?」

 

『猫がやっているお店ではないのですか?』

 

「まあいい 入るぞ」

 

   ガチャ    チリンチリン

 

扉を開けると備え付けの鈴がなった

この鈴からも魔力を感じる

 

〔いらっしゃいませ!〕

 

中は席に着いた人間が何人か見える どうやら食堂のようだ

オレを出迎えた人間にたずねた

 

「・・・ここは食堂か?」

 

〔はい 洋食のねこやへようこそ

お客様 おタバコはお吸いになりますか?〕

 

「いや 支払はこれでいいか」

 

サンシャインにこの世界で金がわりに使えると渡されたカードを見せた

 

〔はい 使えますよ お支払いのさいにもう一度お見せください

それではお好きな席にどうぞ〕

 

   トントントントン   ザーッ

 

店の奥から調理の音が聞こえる

できる かなりの腕前だ どうやら料理の方は期待できそうだ

 

『目的は忘れないで下さいよ』

 

わかっている

竜の気配が特に濃いところへ近づいていく

そこには二人の男がいた

黒髪の筋肉質の人間の男と赤髪にメガネをかけたの犬型獣人の男か

どうやら竜はここにはいないようだ

残り香程度でこれほどの竜気とは やはり相当な大物が通う店のようだ

とりあえずオレはそのとなりの席に座り様子をうかがう

この男たちが竜の関係者かどうかはわからんが・・・

 

〔高橋先生 俺たち秘密警察犬(シークレットドーベルマン) いわゆる狼男が

亜人(デミ)として扱われたのはごく最近 ここ数年の話だ〕

 

〔え そうなんですか?でも因幡さんはもっと前から警察でお勤めと聞きましたが〕

 

人間の方が高橋 獣人の方が因幡か 

この二人から直接竜の気配は感じない

 

〔俺達狼男は一般的な亜人(デミ)と違って意図的に生み出されたものでな

歴史的に本家はフランスにあるらしいが

人間ではないからと人権はなく 超人扱いでもなく警察の所有物扱いだったんだ

俺自身 それを疑問に思わなかったしな〕

 

〔そんな・・・〕

 

人間社会のルールとやらも色々と面倒そうだな

しかしどうでもいいが 二人とも同じような声で聞いていて紛らわしい

給仕から注文を聞かれたので日替わり定食を頼んでおく

この席から料理人の姿はよく見えないが盗める技もあるだろう

 

〔まあ動物愛護管理法で守られていたわけだ〕

 

〔狼男にも適用されるんですか!?〕

 

〔それを崩す一因となったのが俺の存在だ〕

 

〔・・・因幡さんがそれだけの功績を積んできたと?〕

 

〔いや 俺のクソ親父のたとえ話では

ブタとイノシシは生物学的に同種だが ウマとロバは別種だ、

という話だそうだ〕

 

〔なるほど 種の定義で重要視されるのは・・・

交配可能で繫殖能力がある子を生み出せるかという部分

ということは、因幡さんは〕

 

〔流石生物教師 話がはやい

俺のクソ親父は狼男と人間のハーフで・・・

俺と弟はその遺伝子を人工授精した人間の母親から産まれたわけだ〕

 

〔・・・?でも因幡さんが産まれて数年ってことはないですよね

亜人に関する法律はデリケートなところがありますが

適応されるのに時間がかかりすぎでは?〕

 

〔さっきも言ったが俺自身そのことに疑問を持たず警察犬の訓練を受け

法の番犬の仕事に誇りを持っていたからな 弟がいたから頑張れた

クソ親父がテロやった挙句行方不明になった事件を起こさなきゃ

・・・もっと時間が かかってたかもな〕

 

〔そんなことが・・・

失礼ですが因幡さんの母親はどうされたんですか?〕

 

〔俺は直接会ったこともないまま 死んだらしい

はじめて顔を知ったのは

・・・銃をぶっ放してきたロボットになってたな〕

 

〔えー・・・〕

 

『色々な親子の形がありますね』

 

そうだな 

 

〔今の俺は狼だらけの五人暮らしで楽しくやってるよ

すごいしっくりくる〕

 

〔狼には群れをつくる群棲本能がありますからね

やっぱり狼男にもそういった特性があるんですね〕

 

〔もちろん狼男の能力は捜査にも役立つ

データ収集能力ってやつだ

だからこそ秘密警察犬(シークレットドーベルマン)の歴史がある〕

 

〔それは興味深いですね やっぱり嗅覚が発達しているんですか?

ひょっとしてここではにおいが強すぎてストレスだったりしますか?〕

 

〔い~や たしかに匂いフェチや音フェチだとそういうこともありえるが

俺は・・・毛フェチだ!!〕

 

〔毛フェチ?〕

 

また聞き慣れん言葉がでたな

亜人(デミ)に超人 毛フェチ オレ達の世界では使わない言葉が多い

この世界でジゼルがどう育つか楽しみだ

 

『ふふふ・・・』

 

〔高橋先生の髪と オレの髪を比べてもらえばわかりやすいが

キューティクルがまるで違う

動物によってキューティクルは様々で俺の毛は犬猫のと同じものでな

俺が人間じゃねーと思ってた根拠のひとつだ〕

 

〔因幡さん・・・〕

 

どうやらあの二人は竜とはまったく関係なさそうだな

あの席に座っていたのはただの偶然か

注文していた料理もきたし とりあえず食うとしよう

肉料理か 期待させるにおいだ

 

「あむ・・・ ほう」

 

繊細で 丁寧な仕事だ 香辛料の加減もうまい

仕込み 調理に十分な手がかかっている

店の規模からみて かなりの人数を相手にしているようだが

提供と手間をギリギリまで踏み込んだ技が見て取れる

この料理人はやはりかなりの腕前だ

 

〔俺にとっては高橋先生の立派な黒髪剛毛一本の海の波のような

キューティクルが口よりも雄弁に語ってくれるのさ〕

 

〔こっちとしては自分の口で語り合いたいんですが〕

 

〔そんじゃ えーっと おっ! ここに一本長い髪の毛があるな

燃えるような美しい赤い髪 このキューティクルは人の毛じゃない

俺も見たことのない未知のキューティクルだ

亜人(デミ)、いや 超人の毛かもしれないな〕

 

〔超人ですか それは私も間近で見たことないですね〕

 

!あれは 強烈な火竜の気配! あれがあの席から感じたものか

 

『店全体からもですが この店を守ろうとする意志を感じます』

 

もしそうなら 持ち出しはまずい

最悪 その竜がでてくる可能性がある!

毛一本でこの力 オレでも分が悪い・・・!!

 

〔高橋先生 狼男の特性と聞いてどんなものを思いつく?〕

 

〔え?そうですね 一般的な伝承ですと

満月の夜に 変身したりとか〕

 

〔そう 実際満月で変身までできるのは狼男の中でも俺を含めごく一部だが

例えば満月の夜に俺が赤い毛を噛むと狼に変身できる〕

 

〔なるほど因幡さんのご先祖に同じようなことができる狼男がいたんでしょうね

赤い毛、因幡さんの髪と同じ色の毛で狼になるということは

そこに何か因果関係があるのでしょうか?〕

 

〔俺は正直 狼のときの自分の姿はあんま好きじゃないけどな

まあ 今は新月の昼間 変身するわけじゃない

ちょっと噛んでみるだけ あむあむ・・・ん!!?〕

 

竜の髪を噛んだ!?

 

     バウン!

 

〔因幡さんが赤い狼に!?

これが狼男の変身能力!?でもなぜ?〕

 

    バタン!!

 

赤い狼が倒れた

 

「どけ!オレがみてやる」

 

となりの席で倒れた狼を間近で診た

狼は竜の髪を咥えたまま倒れていた

どうもこの髪の竜気をわずかにとりこんだようだ

過剰な力で破裂寸前だったところを自力で止めたか

とりあえず髪をとりのぞくしかあるまい

 

〔どうしましたお客さん!!〕

 

調理場から男が駆けつけてきた

こいつがここの料理人か

 

『また似たような声ですね

この世界も結構広そうですが これほど似た声が3人も揃うなんて』

 

確率だけなら奇跡とよべそうなレベルだな

 

「今 処置をしている

おい高橋とやら オレがこいつの口をこじあける

すぐに髪を取り除け」

 

〔はい わかりました!〕

 

   ガシ! ギギギ・・・!

 

「この狼の力・・・!

オレを手こずらせおって これが【けふぇち】とやらの力か・・・

!!

今だ!!!」

 

〔はい!〕

 

     パッ

 

    ボン!!

 

高橋が竜の毛を掴み取ると狼が元に戻った

・・・いや髪がのびて体も少し大きくなっているか

これも竜気の影響か 

 

〔大丈夫ですか お客さん?

ひょっとして料理に髪の毛が入っていましたか?

俺はこの店の料理人で店主です〕

 

〔いや この毛は赤い長髪 しかも 人間のものじゃない

店主を含めこの店の料理人はだれも該当しない

まあ店主の短髪黒髪も興味あるが〕

 

〔それにこれはテーブルにあったものですから〕

 

「これは竜王か竜神級の竜の毛だ

店主 心当たりはあるか?」

 

〔このテーブルでいつもビーフシチューを召し上がる常連の女王様のものだと思います

掃除が行き届いてなかったようで申し訳ございません!〕

 

店主が頭を下げ謝罪しているが・・・

 

「いや 店主

この毛はその竜の女王がこの店を守るために人知れず仕込んでいたものだろう

普通の人間には気づくこともできんはずだ」

 

〔俺は現在亜人課に出向中の警察犬で毛フェチの因幡洋だ

未知のキューティクルに食いついてしまったが店の一部に手を出した俺に非がある

法の番犬としてそこはハッキリしておきたい

毛フェチとしてはまったく後悔してないが!〕

 

人型に戻ったため服を着直しながら因幡が答え頭を下げた

 

〔そこはハッキリ言わなくてもいいのでは?

こちらもお店やほかのお客さんにご迷惑をおかけをおかけして申し訳ございません

つい因幡さんとの語り合いに盛り上がってしまい迂闊なことをしてしまいました〕

 

同じような声をした男たち3人が頭を下げあっている なんだこれは

 

『声は同じでも職業や性格はバラバラですね』

 

「そんなことより 竜の女王が注文したというビーフシチューが興味深い

1皿いただこう

先の料理は丁寧な仕込みと確かな技術を感じるいい仕事だった

期待してやる」

 

〔私もお願いします ここの料理おいしいですから楽しみです〕

 

〔あ 俺も俺も さっきあの髪の毛をくわえたとき

女王様がルンルン気分でビーフシチュー食べてるの見えたから

俺も食ってみたくなった〕

 

〔はい ご注文承りました ビーフシチュー3皿お持ちいたします〕

 

その後オレはこの二人と同じ席につき

ビーフシチューを食べながら存分に語り合った

その結果この世界では どうやらオレや竜人状態のジゼルが超人

人化したジゼルは人ではあるが特殊な力を持つ亜人(デミ)という扱いになるだろうと

 

『人化術を仕込んだ甲斐がありましたね

バランの悲劇のようなリスクを回避できますよ』

 

あんな話は人間社会ではよくあることだ

種族的差別だけの問題ではないが・・・リスクは下がるか

 

『それはなによりですね』

 

因幡がこの国での戸籍が必要なら亜人課に出向中の自分が便宜を図れるとの申し出もあった

もちろんオレには必要ないが

 

『ジゼルには必要ですね 私たちの目の届かないところへ預けるのですから』

 

・・・・・・まあ修行の妨げにならないように用意しておくか

 

〔あんたのは サラサラとした極上の髪だ シャンプー1回払いであらゆる協力を惜しまないぜ〕

 

〔今日は実に有意義なおはなしでした またこのお店で語り合いましょう〕

 

〔またのご来店お待ちしております〕

 

『やはり同じ声が3人並ぶと妙な感じですね』

 

まだいるような気がするがな




書きたいことがたまるのに書くペースが落ちているウジョーです
正直リングドリームのサービス終了までにジゼルのデビュー戦を書きたいのですが
間に合うかどうか

今回はアニメ
『キューティクル探偵因幡』の因幡洋
『亜人ちゃんは語りたい』の高橋鉄男
『異世界食堂』の店主
の中の人が同じ三人による世界観の説明回のようなものだったはずですが
アニメ見ながらのせいか また色々長くなってしまいました

新型コロナ インフルの流行の中 私はノロウィルスにやられてました
もう治りましたが 予防はやっぱり大事です 手洗い 消毒 換気 休息
何よりお体ご自愛下さい


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女子プロレス編 トレーニング

   プロレス---・・・

リング上 ときには リングを飛び出して展開する攻防を

観客に見せることを目的としたスポーツである

その主役とも言えるレスラーの練習は時に試合本番よりも過酷なこともある---・・・

 

〈ハドラーさん見てこの動画!

東京女子プロレスのソニックキャットさんの練習風景なんだけど

以前テレビ放送されたもののまとめ動画だって!!〉

 

またも聖人たちの漫画の原稿作業に呼ばれ それがひと段落付いたところで

聖人のロン毛の方から面白そうなものを見せられた

 

『その呼び方 本当によいのでしょうか・・・』

 

「ソニックキャット・・・たしかメアリのパートナーだったな

どれ・・・」

 

・・・

むき出しのコンクリート部屋での受け身の練習

光のない暗闇でのチェーンデスマッチ・・・

なかなか面白い光景が続く

 

『ジゼル・・・ 大丈夫でしょうか・・・』

 

〈あ この人 芸能人のメルぴょんさんだ

そういえばプロレスデビューしたんだっけ

うわ大玉に追いかけられながら坂道ダッシュしてる!〉

 

{コントじゃないよねこれ・・・

限界を感じたところからが 特訓のはじまりで

極限状態で感覚を磨くって 発想が苦行僧だよ!!}

 

「・・・一理ある」

 

『それはどうでしょう・・・』

 

〈君の得意そうなジャンルだよね〉

 

{やめてよ 天部が聞きつけたらまたとんでもないことになるから!}

 

「オレを倒した勇者ダイは ナイフ一本で落下する岩や竜の炎を斬り抜け

目を閉じながらオレの息子を倒し剣の奥義に辿りついたと聞いた

本人からな・・・」

 

     ズキリ

 

かつてうけた ダイのアバンストラッシュのダメージを思い出す

ジゼルもいずれはこういった修行の果てに・・・

あいつだけの奥義に辿りつくのだろう

そんなあいつと戦う日が来るのが楽しみなような 怖いような

 

『ジゼルが強くなろうとするのは

あなたに勝って あなたと結婚するためですが』

 

・・・・・・

 

『あ 楽しみより怖い方が強くなりましたね』

 

「・・・世の中 上には上がいる

やがてあいつにも オレよりももっと惹かれる者があらわれるはずだ」

 

      プルルルル

 

{あれ 天部からだ さっきお焚き上げ入稿した原稿についてかな?

ちょっと失礼・・・

・・・・・・え!?単行本に4ページ書き下ろし追加!?

アシスタント修行中の阿修羅君が1ページ担当!?

そんないきなり!しかも締め切りが今日まで!!?}

 

「今 アシュラマンがアシスタント修行中と言ったか?」

 

{いや 多分同族の別の人のことじゃないかな?}

 

      カチリ

 

〈あ 苦行スイッチが入っちゃった

ハドラーさん もう少し修羅場にお付き合いいただけます?〉

 

「いいだろう ジゼルに負けていられぬからな」

 

 

 

 

 

後日 ヴァンプ将軍の料理教室に行った帰り

かつてサンレッドと戦ったあの川に沿って歩いていると

見覚えのある者達がいた

 

「あれはバッファローマン」

 

かつてこの世界の祭りで共に協力した超人だ

あのときとは違いジャージ姿だったが

 

『共にいる人間にも見覚えがありますね』

 

「ああ たしか東女の試合でリングに上がっていたな

たしか多摩川女子プロレスの望宮と白木だったか

ということは あれはプロレスの特訓中か?」

 

『声をかけるのですか?』

 

「ああ どうせなら間近で見てみたい

バッファローマンよ」

 

【ん?

おおハドラーか? どうした?】

 

「面白そうなことをしていると思ってな」

 

【あの祭りで知り合ったバッファロー北村が

最近この多摩女で働くようになってな 声を掛けられた

正義超人養成学校ヘラクレスファクトリーの教官であるこのオレが

超人流の特訓メニューを人間のプロレスラーに応用できないか

色々と試してみようと思ってな】

 

「それは興味深い オレも参加させてくれ

協力は惜しまんぞ」

 

【それはありがたい

多摩女の社長を紹介しよう

現役のレスラーでこの団体のエース・・・】

 

〔スペシャル小原 本名は小原冴だ〕

 

鋭い眼光のいい面構えをした女がやってきた

若い白木や望宮よりもできるな

 

〔現役超人レスラーのハドラーさんまで協力してくれるのは本当に嬉しいんですが

ウチはなんつうかアレだ ちいせえ団体なもんで大したお礼はできねえ

ぶっちゃけ金がねえ バッファローマンさんは完全に無料ロハだ

それでもいいんですかね?〕

 

「気にするな 今 娘を人間のプロレス団体に預けていてな

プロレスの練習に興味があるだけだ 礼はいらん

それにそこの二人が東女のリングに上がった試合をたまたま見た

期待しているぞ」

 

〔ご協力感謝します!〕

 

社長に続き他のレスラーたちも頭を下げてきた

ここにいる数人が多摩女の全レスラーとのことだ

ジゼルを預けた東女とは確かに規模が違うが

どいつもまだまだ強くなる可能性を感じる

これは面白くなりそうだ

 

【まずは簡単なところでこのサンドバッグのキック打ちだ】

 

ジャージ姿で竹刀を持ったバッファローマンが

火のついた袋を吊るし指さした

 

「なるほど この火に焼かれないほどの速度の蹴りを見せろと」

 

【ホホー さすがハドラー理解が速い

おまえにはそれともうひとつある

これを支える鎖はおまえが本気で蹴ればたやすく切れるだろう

スピードとフォームを維持したまま力加減を身に着けるのだ】

 

「なぜだ?」

 

【蹴り一発で試合が終わっては盛り上がらんだろ

試合を通じてお互いに分かり合うためにはこういった練習も必要だ

悪魔超人ではやらんがな】

 

「なるほど ただ敵をたおすだけではないか

フン!」

 

  ドス!   ドス!ドスドス!! 

 

〔すごい!速射砲のようなキックの連打!

しかも完璧なフォームを維持している!〕

 

〔サンドバッグの鎖もきしむ音はしているけど

切れない絶妙な力加減〕

 

〔スペシャルだぜ・・・!〕

 

・・・こんな調子でバッファローマンが持ち込んだ

いくつかのトレーニング器具を用いたものや

身一つでできるものなど多摩女のレスラーも交えて色々試してみた

いくつかは改良次第で普段の練習にいかせるものあったようだ

だがやはり試しているうちに・・・

 

〔ぐあっ!!?〕

 

回復呪文(ホイミ)

 

    パアア・・・

 

〔すっご!痛みも傷も完全になくなったっすよ!!〕

 

人間の身ではやはり怪我がたえない

その都度回復しているが

 

〔ありがとうございますハドラーさん

その魔法?ですか

何度も使ってもらってますが お疲れではないですか?〕

 

「問題ない

たかがホイミ 消費する魔法力は微々たるものだ」

 

〔本当にありがとうございました

特にこの甘粕己虎(あまかすことら)はまだ新人の大事な時期なので〕

 

〔社長!社長もKOM(キング・オブ・マッスル)を控えてる身なんですから

治療を受けた方がいいっすよ!〕

 

〔いやオレはケガはしてないが・・・〕

 

「ほう KOM(キング・オブ・マッスル)というと あのブラッディ井上の・・・

なるほどやつの後継者か ならば万全の肉体で闘うがいい」

 

      ガシィ!

 

小原の顔をつかみホイミをかけた

 

     パアア・・・

 

「・・・ほう!

かなりの修羅場をくぐり抜けてきたようだが

深刻なダメージは少ない 丈夫な肉体だ 大事にしろ」

 

〔か・・・体が軽い・・・!

アレだ・・・まるで若返ったみたいだ!!〕

 

「さすがにそんな効果はない

体に蓄積されたダメージが回復しただけだ

あとはおまえ次第だ」

 

〔ハドラーさん・・・

KOMのタイトルマッチ 必ず見に来てください

いつもスペシャルな試合を心がけてますが

このお礼に・・・一段とスペシャルな試合を見せますよ!!〕

 

「それは楽しみにしておこう」

 

〔ここらで休憩にしようかねえ!

特製ハヤシライスだ バッファローマンさんもハドラーさんも

ぜひ召し上がっておくれよ!〕

 

「ほう 特製・・・だと

見た目はいつぞやに食ったビーフシチューを飯にかけたように見えるが」

 

【ホホー 腹が減る匂いだな!

こいつはうまそうだぜ!】

 

     \\\いただきます///

 

   もぐもぐ・・・

 

「・・・濃厚な味だな

材料そのものはそこまで特別ではないが

味と栄養の濃さが

・・・・・・・・・これはまさか水分が?」

 

〔そう!この水分はタマネギやトマトから作られているのさ

さらに北村さんが調達してくれた牛肉の肉汁もたっぷり混ぜ込まれた、濃厚!〕

 

【こいつは力がつきそうだ!

ヘラクレスファクトリーの学食に出したいものだ!】

 

「これは応用が効きそうだな」

 

〔デザートに己虎が買ってきてくれた黒糖饅頭もあるよ〕

 

【おお北村 おまえさんは練習しなくてよかったのか?】

 

〔私ゃ、もう現役復帰するつもりはないよ

ここには事務助っ人(臨時手伝い)ってことでいるんだ

リングに上がる気はないよ〕

 

【ハドラーに古傷治してもらえりゃまだいけるんじゃないか

たしかスペシャル小原の2コ上ぐらいだったろ】

 

〔女の歳を言うんじゃないよ!〕

 

【でもそんな格好でいい体見せてんじゃねえか】

 

〔格好のことも言うんじゃないよ!〕

 

【ところでハドラー、飯の後 ちょいとスパーにつきあってもらえるか?】

 

「スパー? ああ組手か よかろう

おまえなら不足はないだろう

あの祭り以来の本気がだせそうだ」

 

【オレは歳は50をとうに過ぎたが

1000万パワーは健在だ

肉体だってまだまだいけるつもりだぜ・・・!】

 

〔おお!こりゃすごいカードじゃないの!

これだけで金とれるっすよ!〕

 

〔肉体派の超人レスラー同士のスパー

勉強になりそうっす〕

 

〔リングの上はやめとくれよ

もちそうにないからさ〕

 

〔うわ バッファローマンさんジャージ脱いで

バッファローサポーターまでだしてる

すごい体 あれが超人のスーパーヘビー級・・・〕

 

〔ハドラーさんもすごい体 あの二人の写真だけでもすごい売れそう〕

 

〔それは冗談でもやめろ アレだ 仁義に反する〕

 

〔わかってますよ社長〕

 

〔・・・・・・・・・スペシャルだぜ〕

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

「いい汗をかいた」

 

『力比べであなたと互角の人が

引退して指導者をしているなんて

この世界も相当なものですよね』

 

「まったくだ」

 

バッファローマンとの組手を終え

多摩女の連中から別れ際に試合のチケットをもらい

川沿いを適当に歩いている

さて・・・これからどうするか・・・

と しばらく考えていると またも見知った顔がいた

あれはジゼルを預けた東女寮の・・・

 

〔ああ!ハドラーさん!お久しぶりです!

東女寮の寮長の田中えり子です

すみません!ロードワーク中にジゼルが迷子になりました!

ひょっとして見かけたりしませんでしたか!?〕

 

「それは手間をかけたな

オレはみておらんがジゼルのいる場所くらいすぐにわかる」

 

ジゼルがリリルーラで互いの元に行けないようにしてあるが

あやつの気ぐらいはすぐに感じ取れる

 

「・・・・・・この川沿いにすすんだ先、

さっきまでオレがいた多摩女のある場所か

どうやらオレがバッファローマン相手に出した本気に

ジゼルがひかれたかもしれぬな」

 

『あなたのせいですね』

 

〔多摩女にバッファローマンさんがいるんですか!?〕

 

「ああ 先程まではオレもいたからな

いくのか?」

 

〔ええ ジゼルを迎えに〕

 

〔寮長~~! あ ジゼルのお父さんといっしょだ

こんにちは!〕

 

東女の他のレスラーもやってきた 迷子になったジゼルを探していたのだろう

 

「おまえから見てジゼルはどうだ?」

 

〔本当にがんばってますよ あんなに小さな体で

新人だめしの耐久マラソンでもちょいちょい迷子になりながらですが

新人の最高記録出しましたし

いつも練習熱心で 熱血すぎて本当に熱くなるのを

組み合いに生かすのにあと少しのところまできました

うちの副寮長 台所の守護神からも料理の手伝いが優秀で

魔法による料理法とか逆に勉強になるとか言ってましたよ〕

 

『ジゼル・・・』

 

あやつなりにやっているようだな

ならばオレからもひとつだけ 余計な世話を焼いてやろう

 

「田中 おまえからは強い火の気質を感じる

それはジゼルにとっては非常に好ましいものと言える

もしジゼルに対し何か遠慮があれば捨てるがいい

おまえの心のままぶつかれ」

 

〔ええ!? でもあたしのって ゲンコツとかですよ!?〕

 

「そのゲンコツはオレの拳よりも強いと?」

 

レスラーである田中よりもはるかに太く鍛え上げたオレの腕を見せる

 

〔うわあ うらやましいですね その腕

わかりましたそこまで言われたら 変な遠慮なんかしませんよ

他の寮のみんなと同じようにビシバシ扱いますんで!

ハドラーさん このままジゼルに会っていきませんか?〕

 

「それはやめておこう それはあやつの成長(レベルアップ)の妨げになる」

 

『まあ残念ですが 否定できませんか・・・』

 

「では、な」

 

ルーラでここを離れた これ以上近づけばジゼルに気づかれる

次に会うときは あやつがレスラーとなったときだ

 

『・・・それは つまり あの子が戦う日がくる、ということですね

戦うために生まれる竜の騎士の生と死を司る神の使いである私が

今更言えたことではありませんが・・・

ありませんが!心配でしょうがいないのです』

 

・・・・・・今まであったレスラーの顔でも思い出せ




リンドリのサービス終了までにジゼルのデビュー戦を書きたいウジョーです
終了日の3月26日まで残りわずか 厳しいですがもうひとがんばり

春のお彼岸をむかえ 寒さもやわらぎ 暖かい日もありますが
世界的なコロナ流行に加え季節の変わり目 年度の節目の忙しさと
体調を崩しやすい時期と重なっております より一層ご自愛くださいませ


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女子プロレス編 デビュー戦 前編

女子プロレス編 デビュー戦に限り地の文はハドラーの台詞ではなく
リングアナウンサーの台詞になっております


      \\\\\\ワー ワー//////

 

さあ お待たせしました

東女興行第一試合がはじまります

赤コーナーではミス・十両とその弟子ポジティブファイター染宮一二三(そのみやうたたね)が既にリングインして

青コーナーから注目のルーキー登場を堂々と待ち受けております

 

    \\\\\\オー! オー!//////

 

あーーーっと 青コーナー側の入り口から歓声があがった!!

選手入じょ・・・

 

[火竜変化呪文(ドラゴラム)!!]

 

      ドオオオオオオン

 

なんとドラゴンです 身長4mはありそうな大きなドラゴンがこの東京に出現!

戦いのワンダーランドが剣と魔法のファンタジーワールドになってしまったのか!?

 

〔いくよジゼル!〕

 

その背中にはサンデーモーニングのメアリ・ノートンだ!!

闘うヒロインはついにドラゴンライダーにクラスチェンジしたのか!?

 

[どうせならDQ(ドラクエ)っぽく転職って言ってほしいな]

 

あーーっと とんだ!!

その黒い翼を羽ばたかせ 悠然とリングに・・・

いえ!?方向をかえた!?なんとむかう先は客席、いえこの放送席だーー!!!!

 

    グオオオオ

 

[グワァァーーーーッ!!]

 

     ガシィ!!

 

「かわらんな・・・

だが、今日の相手はオレではない フン!」

      

     ブォオン!!!

  

なんとドラゴンをアイアンクロー投げー!!

リングに直接放り込んだーーー!!!

 

    シュゥゥゥーーーーーッ  

               ド ドン!!

 

あーーっと ドラゴンが姿を消し

リング上には十両、染宮、メアリ、そして少女ジゼルの4人が揃ったーーー!!!

 

「ジゼルとメアリは既に倒れているがな」

 

『私 犯人を知っています ハドラー、という名前ですよ』

 

「まあたしかにオレが放り投げたせいだが」

 

[回復呪文(ベホイミ)・・・・・・]

 

     パアア・・・・・・

 

〔ふっかぁーーーーつ!〕

 

     パアア・・・・・・

 

[久しぶりのハドラー様とのふれあい

これでたたかえる・・・!]

 

さあ注目の第一試合はタッグマッチ

チャンコ部屋の親方であり元女帝直下ミス十両! そして

アメリカ帰り後チャンコ部屋に入門した染宮との師弟タッグに対し

元ヤングドラゴンであり名タッグ・ライオットのひとりメアリと

今日がデビュー戦いきなりドラゴンの姿で湧かせたジゼルのダブルドラゴンの

注目の一戦が今!はじまろうとしております!

 

こちら放送席 リングアナウンサーは私、吉貝

特別解説者に超人レスラーとして先日レジェンド、

キン肉マン・ジェロニモ組をくだす鮮烈なデビューを果たした魔王であり

ジゼルの実の父親であるハドラーさんをお迎えしております

 

「人間の勇者に敗れて魔王休業中のハドラーだ

勇者ブラッディ井上の古巣で娘のデビュー戦を特等席で見れて感謝する」

 

さてハドラーさん 今日がデビュー戦のジゼルについてですが

それを誰よりも知っている立場であるお父さんのハドラーさんに色々解説していただきます

 

「よかろう」

 

まずは入場のときいきなりドラゴンに変身して飛んでいましたがあれは一体?

 

「あれは火竜であるジゼルの本来の姿 元竜ともいう

あの大きさの姿では不便なため術によって今の人間の少女の姿になっているのだ

今の姿では肉体能力もほぼ人間とかわらん

火の耐性をもち竜術、お前たちから見れば魔法として

竜の力を使うことはできるがな

今 リング上で回復呪文を使いオレが投げたダメージを回復してみせたのがその一端だ」

 

なんと魔法を使えるのですか!?

あの低学年ぐらいの小学生の少女に見える姿も魔法によるものなら

本来の年齢はもっと上、ということでしょうか?

 

「年齢は、たしか東女に預けた時点で5歳くらいだったはずだ

あれから1年以上たって6、7歳ぐらいか

竜は誕生日を祝う習慣があまりないから曖昧だが」

 

ではほとんど見た目通りということでしょうか

 

「いや竜の成長は人間とは違う

心の成長や環境に伴い 見た目も大きく変わる

実際にジゼルは東女に預ける前と体つきはまったく変わってない」

 

1年以上たっても成長していないと

 

「きっかけ次第で大きく変わる可能性はある

東女での修行で実力は確実についたはずだ

この試合で化けるかもしれんぞ」

 

試合中に急成長したらバトルコスチュームがきつくなるのでは?

 

「あれは竜族用にオレが作った特注品だ

竜の姿になっても破れることなく普通に着ているだろう」

 

なんとあの料理用エプロンを着けたメイドさんのような衣装がハドラーさんの手作りですか!?

 

「なぜかあいつはエプロンタイプの装備と相性がいい

レースとフリルが多めの色違いも作ってあるが」

 

『それは次の楽しみにとっておきましょう』

 

それではハドラーさん今日の対戦相手のチャンコ部屋師弟コンビですが

タッグパートナーが今も急成長中のメアリとはいえ

レスラーとしてのキャリア、実力はかなり高く厳しいものがあります

この組み合わせは こちらに入った情報によるとジゼルが東女に入団する際に

[ミス十両に勝てるくらい強くなりたい]と発言し

それを聞いたミス十両が、

〔それは光栄 準備ができたらいつでも胸を貸すでゴワス〕

と返したことから因縁が生まれたとのことです

 

「ジゼルの最終目標はオレに勝つことだ

だから小さな体で 大きくて強い相手と堂々と戦ったメアリに憧れプロレスを学んだ

東女ではそのわかりやすい目標としてあのミス十両を選んだのだろう」

 

ハドラーさんから見てリング上レスラーはどう見ますか?

 

「一番強いのはミス十両、オレの知るレスラーのイメージ通り

恵まれた体格と確かな技術を持った武闘家だろう

その次にメアリ 以前見たタッグタイトル奪取の試合から

更にレベルアップしたようだな

やや下がって染宮 動きは悪くなく度胸もあるようだ

竜の姿のジゼルをリングに放り込んだときも

わーわー言いながらも リングから逃げず目もそらさなかった

そこから大きく落ちてジゼル、といったところだろう」

 

なるほど おそらく私や会場のお客さんと同じような認識ですね

ですがジゼルには魔法があります

おそらく反則扱いとなり5カウントをとられるでしょうが

実力の不利を補うことができるのではないでしょうか?

 

「入場時の変身と回復でかなりの魔法力を使っている

入団前のジゼルであればもう休眠状態になるほど消費だ

体力と違い魔法力は回復しづらい 精々あと一回か二回程度

使いどころがあればいいがな

レスラー同士のぶつかり合いで互いがどうレベルアップするかが

勝負の鍵、となるだろう

その意味ではジゼルはもちろんだが 染宮が鍵を握っていると言える」

 

ありがとうございます!

さあそれではいよいよゴングです!!

 

     カーーーーーン!!!

 

さあ 最初に向かい合うのは染宮とジゼル!

ハドラーさんが勝負の鍵を握るといった二人が早速激突です!

 

      ガチィ・・・!!

 

ああっと まずは互いに力比べだ

染宮小さすぎるジゼルに対し いかにも組みづらそうだ

染宮の身長は154㎝と、けして女子プロレスラーとして大きい方ではないですが

対するジゼルは110㎝と団体最小この身長差はどうでしょうかハドラーさん

 

「オレにも経験があるが小さい相手はやりにくい

それでいてパワー差がなければ余計にやりにくくなるが・・・」

 

     ググ  グググ・・・

 

ああっとやはり染宮が押してきた!

やはり力比べでは分が悪いのかジゼルがマットに押し込まれていく!

 

   ジッ・・・

 

〔あっつ!!〕

 

あっと染宮がひるんだか!?

ジゼルが体勢を立て直して足をひっかけにいった!

 

「今のはジゼルの異常発熱体質だ

ほぼ無意識の発熱ではヤケドにもならんだろうが

不意をつく程度の効果あったようだ」

 

小さな体をたくみに使い染宮の足を取ってダウンを奪った

そこへジャンプ!

染宮のボディにヒップドロップだ!

 

    ボスン!

 

さらにもう一度ジャンプ

 

〔なんの!!〕

 

     バシィ!!

 

染宮ブリッジで跳ね返した!!

 

やはり軽かったか ジゼルはそのままゴロゴロ転がって距離をとった

その先は青コーナー いったんメアリと交代(タッチ)か!?

 

〔そうはいかないよ!〕

 

染宮立ち上がってダッシュ そのままジゼルにタックルにいったー!

 

〔ジゼルよけてーーー!〕

 

ジゼルジャンプ一番とんだーーー!!

低い体勢となった染宮を飛び越え後ろをとった!!

 

〔いまだジゼル!キックだ!〕

 

[まわしげり!!]

 

     ドゲシ!!

 

〔うわ!!?〕

 

染宮の脇腹に鋭い蹴りが入った!!

たまらずうずくまる染宮!!

 

〔チャンス!〕

 

ここで青コーナーのメアリが飛び出してきた!!

 

     ドコドコドコドコドコ!!

 

二人がかりで染宮の背中にタイコ打ちの連打だー!!

会場にcz

打撃音の演奏が鳴り響くー!!

さあ演奏を終えてコーナーにもどったメアリにタッチにいくジゼル!

 

     パン!

 

ここで交代して再びリングに入ったメアリを染宮がすぐにつかまえ・・・

 

     ブワア!!

 

いきなりジャーマンスープレックスだー!!!

 

     ドシーン!

 

さらに体勢をかえて、なんともう一度・・・

ジャーマンスープレックスだ!!!

 

    ドシーーン!!

 

そのまま抑え込んだ!!

 

   (ワン)

 

   バッ!!

 

カウント1でふりほどき すぐに立ちあがった!

 

〔いてて・・・〕

 

メアリ 頭をおさえながら距離をとった 青コーナーを離れ・・・

その先はミス十両の立つ赤コーナーだー!

 

〔あ、しまった!?〕

 

   グイ!

 

十両 腕を伸ばし メアリをつかんだ!

 

〔師匠そのまま! いくぞ メアリ!!〕

 

動きの止まったメアリに染宮のドロップキックが炸裂ー!!

 

      ドーーン!

 

〔ぐぅわ!!!〕

 

メアリが赤コーナーと染宮のサンドイッチだーー!

これは効いているぞー!!

 

        パン!

 

ここで染宮から十両へタッチ!

十両、メアリをかついでゆっくりとリング中央へ

そして渾身の・・・ボディスラムだ!!!

 

   ズドォーーーーーーーーン!!!

 

リングがゆれます!!

メアリがあおむけでリング中央で大の字になって動きません!!!!

 

十両おさえこんだ!

 

レフェリーがカウントを・・・

あっとジゼルがすかさず飛び出してきた!

 

[メアリー!!]

 

十両へドロップキック!!

 

    ボン!

 

あっさり弾かれた!!

 

(ワン)

 

「軽すぎるな あれでは効果がない」

 

『ええ!?そんな!?』

 

ジゼル体勢を立て直し今度はロープへ走った!!

 

(トゥー)!!

 

   グゥイィーーーン

 

ロープの反動を利用して跳んだーー!!

 

[とびひざげり(ドラゴンカッター)!!!]

 

     ドゴォン!!!

 

「ほう!」

 

ジゼルのドラゴンカッターがカウント2.5でついに十両を突き飛ばしたーー!!

すぐさま立ち上がったメアリ!

十両のバックをとった!!

 

〔うぉりゃあああああ!!!〕

 

なんとそのままジャーマンスープレックスだー!!!

155㎝ジュニア級のメアリが!

169㎝スーパーヘビー級の十両を豪快に投げた!!!

 

     ドズォオオオオンン!!!!

 

ボディスラム以上の衝撃だーーー!!!

 

 \\\\\\おおおーーーーー!!//////

 

会場も湧きます!!

しかしメアリもダメージが大きい!

フラフラしながら青コーナーへもどりジゼルとタッチだ!!

 

      パン!

 

ジゼルが再びリングイン そして十両もゆっくりと立ち上がります

見上げるジゼル 見下ろす十両

身長差は69㎝!体重はおそらく3倍以上!!

デビュー戦で挑むにはあまりにも大きな相手!!!

 

「だがこれがジゼルの選んだ道」

 

『私たちには見守ることしかできないのですね・・・』




うっかり投稿場所を間違えたウジョーです

リング☆ドリームサービス終了までに投稿しようとし編集中に寝落ちして
焦って投稿したら気づきませんでした しかも前編だけ

まあもう焦っても仕方ないのでここからマイペースで・・・


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女子プロレス編 デビュー戦 中編

女子プロレス編 デビュー戦に限り地の文はハドラーの台詞ではなく
リングアナウンサーの台詞になっております


さあリングでにらみ合う小学生体型のジゼルと力士体型のミス十両!

十両のマスクからのぞく眼光がジゼルをしっかりとらえている!!

ここからは試合前に収録した両者のVTRを見ながら試合を見ていきましょう

 

『私たちはまだこの放送見てませんね』

 

「ジゼルはまだ踏み込むことをためらっている

しばらく動きはなかろう」

 

  ー東京女子プロレス興行ー

 

 第1試合 ジゼルデビュー戦 タッグマッチ

  青コーナー メアリ ノートン

        ジゼル

 

〔リトルドラゴン・ジゼルは女子プロレスラーである

彼女が召喚された日本は今もまだ女子プロレス戦国時代である

彼女は愛するパパのために今日からリングで戦うのだ!

じゃあジゼル 一言どうぞ!〕

 

[私はハドラー様の補佐竜ジゼル

偉大なるハドラー様をお支えし、いずれはそのお力を超えるために

この東女の門を叩きました

メアリをタッグパートナーにできたことで

早速、大きくて強そうなミス十両さんと戦う機会を得ました

私のレベルアップのためにその胸お借りします]

 

   ー東京女子プロレス興行ー

第1試合 ジゼルデビュー戦 タッグマッチ

  赤コーナー ミス十両

        染宮一二三(そのみやうたたね)

 

〔いきなり師匠と戦おうなんて 流石に20年早いよ

自分より強くて大きい相手を狙うその意気込みは買うし

個人的には応援したいけどね

ここはボクが相手してあげるよ

アメリカではボクも自分より大きな相手と戦い続け

いつも日高さんにしごかれてたんだ

そして日本に帰ってからはチャンコ部屋で師匠にもまれて・・・

強くて大きい相手と戦い続けた経験値ならボクもちょっとしたもんさ!

師匠との初コンビの初戦をこの大会場でやれる機会をくれたお礼に手ほどきをしてあげよう!〕

 

〔セッシャもスモウレスラーとしてこの体でリングにあがり続けた自負があるでゴワス

そのセッシャを見込んで胸を借りたいというなら望むところでゴワスが

成長著しいメアリも要注意でゴワス

ここは新弟子の一二三との新コンビで堂々と相手になるでゴワス〕

 

 

 

 

「なるほど ジゼルにとっては勝ち目の薄い難敵ではあるが

得るものの大きな戦いとなりそうだな」

 

『ジゼルは大丈夫でしょうか?』

 

やはり今日がデビュー戦のジゼルには厳しいのでしょうか?

 

「そうだな もしジゼルが勝てるとすれば・・・

まずメアリとのチームワークがうまくかみ合うことは大前提だ

そして一二三が新弟子で初タッグと言っていたあたりに隙があれば

後はジゼルが十両の弱点をつくことができれば

あるいは・・・」

 

弱点、ですか?

 

「あの巨体を支える下半身、特にヒザ だな

人間の弱点をつける悪魔の残虐さと大胆さを

オレから受けついていれば見抜くことができるが・・・」

 

    ジリ・・・

 

おおっと 十両がじわりとジゼルとの距離をつめていく

 

   ダダダダダダ!!!

 

ああっとジゼルが動いた!!

十両の周りを走ってグルグル回りだしたぞ!!!

 

 

「あれは・・・」

 

『回復呪文・・・ですよね?』

 

「なるほど十両をリング中央まで寄ってこさせ

リングを丸く大きく使うつもりか」

 

これは速い!このスピードは東女でもトップクラスか!?

 

「あいつは火竜ではあるが風竜仕込みのスピードもある

その気になれば空中も舞えるが・・・」

 

     ブン!

 

[うわ!?]

 

十両の張り手!

空振りするもジゼルが描いた円が大きくゆがむ!

 

「軽く見せた攻撃に反応しすぎだ

つかまれば危険だが あれだけ大げさに動けば

すぐに自分が体勢を崩すぞ」

 

〔ジゼル! ロープやコーナーも使えるんだ!

リングをもっと大きく使ってゆさぶるんだ!!〕

 

[よーーし!]

 

   バッ!!

 

ジゼルがロープへとんだ!!

 

    グイーーーン!

 

そのままロープの反動を利用しての・・・

 

[ドラゴンカッター(とびひざげり)!!]

 

〔ムン!!!〕

 

    ズドォ!!

 

「ほう!」

 

ジゼルのドラゴンカッターが十両の正面どてっぱらに炸裂!!

 

〔ハアッ!!!!〕

 

      バァン!!

 

[えっ!?]

 

  \\\\\\オーーーー!!//////

 

なんと十両 正面からジゼルのドラゴンカッターを腹筋だけで跳ね返した!!

 

『そんな!?さっきは効いたのに!』

 

〔うっ!?〕

 

  グラ・・・  ズン!

 

十両片膝をついた!

流石にノーダメージとはいかなかったようだ!

 

「一応効いてはいたようだが・・・」

 

〔ぐ・・・〕

 

〔師匠!?〕

 

[いける!?]

 

ジゼルが再び十両にとびかかった!

 

     ガシィ!!

 

〔ドスコーーーイ!!〕

 

十両 ジゼルをキャッチ!

そのままジゼルを抱え上げて・・・

 

〔ライオンカッター!!!〕

 

    ドォオン!!!

 

〔ぬうぅ・・・!?〕

 

メアリがカットに入った!!

ジゼル危機一髪で脱出!

 

  \\\\\\ほーーー・・・//////

 

会場からためいき!

まだまだ勝負はこれからのようだ!!

 

[やっぱり!間違いない!!!]

 

ジゼル非常に低い体勢での素早いタックル!!

十両の足をとった!!!

 

「今の攻防で気づいたか やつの弱点に」

 

『あそこから どうするのでしょうか?』

 

     パアア・・・

 

光ったあ!?

ジゼルがタックルでつかんだ足から光があ!!

これはまさか魔法なのか!?

レフェリーがかけつけ ジゼルを十両から直接引き離した!

いったい今の光は何を意味するのか!?

十両は動かない!ぼうぜんと立っているようですがマスクで表情がよめません!

ジゼルはニュートラルコーナーでレフェリーから注意をうけています

 

〔師匠!タッチだ!

魔法の正体がわからない以上いったん下がって!〕

 

〔・・・・・・これは、

ならば・・・セッシャは・・・・・・〕

 

〔ジゼル!こっちも交代を・・・〕

 

     ドドド!!

 

あっとレフェリーがジゼルから離れたところへ十両が突進!

 

「速い!」

 

『いけません!!』

 

[ひ!?]

 

      ズル!

 

         ブワ!

 

    バアン!!!!!!

 

必殺の十両張り手が ギリギリかわしたジゼルの頭上を突き抜けコーナーに炸裂!!

鉄砲音が会場に鳴り響いた!!!

 

「かわしたというより

腰が抜けて倒れこんだ上を通過しただけだが」

 

『あれが直撃したらただではすみませんよ!

見てくださいあの真っ青なジゼルの顔を!

あんなの初めて見ましたよ!!』

 

「どうやら眠れる獅子を起こしてしまったようだ」

 

〔ジゼル!!タッチだ!!!こっちへ!!〕

 

   バッ! ゴロゴロゴロゴロ・・・

 

ジゼルが青コーナーへ転がりながら脱出!

 

     パン!

 

メアリと交代だ!!

 

〔よーし!いっくぞーー!!〕

 

[ハー・・・ ハー・・・ ハー・・・

・・・・・・・・・・・]

 

「ジゼルの心が折れたか

いや 知った、と言うべきか」

 

『何をですか?』

 

「恐怖、だ

十両の本気の一撃で あやつは生まれて初めての

真の恐怖を味わったのだ

これは後で十両に礼を言わねばならんな」

 

『そんな!?

あの子は柱にしがみついて震えているのですよ!!』

 

「本当に心が折れ 恐怖につぶされていればあそこにはおるまい

ここにはオレがいて 後ろには敵がいないのだ 逃げ道はいくらでもある

リングの端で 震えながらもあやつなりに

逃げるか戦うかのギリギリでせめぎあってるのだろう

その中でこそ磨かれるものがある

オレのもっとも苦手とするあの力がな・・・!」




結局前中後編になってしまいました 短くまとめるのが苦手なウジョーです

いざ試合が始まると勝手に動き出すのでそれを全て書こうとすると
これでもまだ書ききれないのがなんとも・・・

コロナ騒ぎがおさまらないせいか リングドリームの新作はいまだはじまる気配がなく
キン肉マンは休載状態になり 近場の温泉は休業になったりと
楽しみがどんどん削られながらの春ですが
病気に負けず 疲れをださず 健康第一で乗り切りましょう
 


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女子プロレス編 デビュー戦 後編

女子プロレス編 デビュー戦に限り地の文はハドラーの台詞ではなく
リングアナウンサーの台詞になっております



〔殺伐としたリングに颯爽とボク参上!

ボク参上!!

ボク参上!!!〕

 

リングインしたメアリにミス十両のぶちかましだー!!

 

〔なんのーー!!〕

 

なんとメアリ 向かってくる十両に正面から体当たりだ!!

 

    ズガアアン!!

 

〔うわああああ!?〕

 

メアリふっとんだーーー!

 

「まあ そうだろうな」

 

    バッ

 

メアリ ロープをつかんでどうにか場外への落下をしのいだ!

 

『ジゼルは大丈夫でしょうか?

メアリがふきとんだときもまるで動きませんでしたが』

 

「オレが何か一言命じれば 戦うことも逃げることもできるだろう

だが それではいかん 打算を捨て自分の心からの行動が大事なのだ

戦うにしろ 逃げるにしろ・・・

答えはリングの上でジゼル自身が出すのを見届けるしかない」

 

〔うう・・・

まるで車にはねられたみたいだ・・・

ソニックさんやシュバルツさん以上の攻撃力、

これが女帝直下 ミス十両さんの本気のパワー・・・

けど!!〕

 

     バン!

 

メアリがロープの反動を利用してリングにもどった!

 

〔メアリ・ノートンは、ファンに勇気と希望を与えるため、

今日もリングで戦うのだ!〕

 

[!?]

 

「ほう どうやらジゼルは良き師、良き敵、良き仲間

そして良き戦に恵まれたようだな」

 

『それ 私が入る余地がないですよね

良き母もいれてほしいのですが・・・』

 

「見ろ 目をつぶり震えていたジゼルが

今はメアリの背から目をはなせないでいる」

 

さあ メアリの反撃だ!!

十両へ打撃の連発だ!

 

   ビシィ!  ドガ!  ズゴ!

 

チョップ! キック! エルボー!

だが十両の牙城はくずせない!!

 

    ガシィ

 

あっとメアリが十両につかまった

そしてロープへ振る!

 

   ブン!

 

  ダダ!!

      ドゴン!!

 

ロープからはねかえってきたメアリへラリアットだ!!

 

メアリダウン!

 

ここで十両が一二三(うたたね)へタッチ!

 

   パン! タタタタタ!

 

一二三、ダウンしたメアリにダッシュで近づき

 

   バッ   ズドン!!

 

そのままフライングボディプレスだ!!

 

〔うあ!!!〕

 

[メアリ!!!]

 

さあメアリ このまま実質1対2の厳しい戦いにのまれてしまうのか!?

 

〔なんの!〕

 

メアリすぐさま反撃!

一二三をリバースロメロスペシャルにとらえた!!

 

   ドン!!

 

しかし十両がすぐにカット!!

 

一二三脱出!

 

〔それじゃメアリ そろそろトドメといくよ~〕

 

     ズルズル・・・・・・

 

しかも今度は十両とともに

メアリを赤コーナーへひきずっていくー!

 

[ああ・・・]

 

    パン!!

 

ここで一二三 十両へタッチ!

 

  グワァ

 

すかさずメアリを片腕で抱え上げ・・・

 

   バッ!!

 

[メアリ!]

 

ここでジゼルがリング内へ飛び出した!

 

『ジゼル!?』

 

そのままメアリを助けに一直線にむかって・・・

 

    ドワッ   ドガア!!!

 

キングコングスラムで迎撃!!!

 

『ジゼルー!!』

 

ジゼルが投げられたメアリの下敷きになった!!!!

 

「あんな真正面からくればオレでもそうするぞ」

 

〔師匠!今こそあの技を!!〕

 

〔いくでゴワス!!〕

 

なんと十両こんどは一二三を抱え上げた!?

そして・・・!

 

      ドオゴオン!!

 

リバースパワースラムでメアリたちに覆いかぶせた!!!

これは十両の師 女帝神崎玲子がFWWWで見せた合体技だ!!!

これは決まったか!??

 

「・・・いや まだだ」

 

〔・・・く、おっりゃあああーーーー!!〕

 

メアリが一二三を押しのけ立ち上がった!!

そして十両のバックをとった!

 

    ガッ   グググ・・・

 

〔く・・・!!〕

 

しかしバックドロップの体勢から動かない!

やはりダメージは深刻か もう十両を投げるほどの力はのこってないのか!?

 

    ガッ!

 

なんと逆側にジゼルがついた!

 

〔いくよジゼル!

バックドロップのコツは!!

気合と共に!!!〕

 

[ヘソで投げる!!!]

 

   ブオン!!    ズドォオオン!!!!

 

ツープラトンのバックドロップが決まったーー!!!

衝撃でリングが激しく揺れています!!

 

[私 おへそ、ないけどね]

 

〔卵からうまれたもんね

ジゼル ちょっと離れて見てて

先輩らしいところも見せるよ!〕

 

ジゼルが青コーナーへもどります

おや?解説のハドラーさん 

いつのまにかジゼルの背が伸びているようにみえますが・・・

これは戦いの中でレベルアップしたということでしょうか?

 

「そうだ

頭一つ分、といった程度か

まだまだガキの姿ではあるが・・・」

 

立ち上がった十両と正面から向かい合うメアリ

あっと!そのまま組み合った!!

 

「メアリが身長差以上に低く組みにいったか

あれでは十両からは仕掛けにくいだろう

オレにも経験がある」

 

『ダイとあなたとの身長差はあの二人よりも大きいですからね』

 

   ブオ!

 

〔今だ!〕

 

    ガチィ!

 

〔なんと!?〕

 

〔千鶴!技を借りるよ!!〕

 

     ブン!!!

   ズドォオン!!!!!

 

[!?]

 

なんとメアリが十両の腕をとって投げた!!

もう回復したのでしょうか!?

 

「違う メアリのダメージはまだ大きい

ジゼルが回復呪文を使った素振りもない

今のは身長差と相手の体重を利用したあやつの技術によるものだ」

 

なるほど

十両すぐに立ち上がって一二三と交代です

メアリも下がってジゼルと交代しました

 

〔落ち着いてジゼル まずは一二三さんをよく見て!〕

 

[はい!]

 

〔師匠の猛攻を受けてもまだ戦えるなんて

見た目よりずっとタフだね

それじゃ ご褒美にいいものを味合わせてあげよう〕

 

[・・・ひょっとしてプリンかな?]

 

〔それは試合の後で熱々のラーメンつきでおごってあげるよ!!〕

 

一二三 非常に低いタックルでジゼルの足をとった!

 

「ジゼルは急に伸びた自分の身長に慣れてないな

ああもたやすく足をとられるとは」

 

    ガチィ!

 

[え!?]

 

〔メアリ!技を借りるよ!!〕

 

    ブン!!!

   ズドォオン!!!!!

 

[かはっ・・・・・・!]

 

なんとこれは!?

先ほどメアリが十両を投げた技を一二三がジゼルにかけた!!

 

〔ボクはアメリカのリングで自分より大きくてパワーのある相手と戦い続けてきた

そこで勝つために自分の力だけじゃなく

相手の力を利用するすべを体でおぼえてきたんだ

これぐらいならすぐに盗んで使えるほどにね〕

 

[相手の力を・・・利用・・・]

 

あっーーーと ダウンしたジゼル立てない!!

 

〔そんじゃ そろそろトドメを・・・

あれ?師匠がよんでる〕

 

ここでまたも一二三が十両とタッチ

十両がリングに入って ああっとコーナーのロープを

一段、二段と上がっていくー!

 

     ガタッ!!

 

『まさか!?』

 

さあコーナー最上段へ上がった十両!まさか!そこから!!

 

     バァァン!!!

 

とんだーーー!!!

スーパーヘビー級のフライングボディプレス!

いやマウンテンドロップが!!!

 

   ズズン!!!!

 

ジゼルをおしつぶしたーーーー!!!!

 

『ああ・・・』

 

〔ジゼルーーーーー!!〕

 

ああっとメアリがとびだした!

十両の下敷きになったジゼルの救出にむかった!

 

     バッ!!

 

それを一二三がカット!メアリあと2歩のところで止まった!

 

〔はなして一二三さん!ジゼルが!!〕

 

〔落ち着けメアリ!

本当に危なかったら師匠がすぐに試合を止めてるから!〕

 

   ワーーーーン!

 

レフェリーがカウントをとります!

 

    \\\ざわざわ・・・///

 \\あれってほんとにつぶれたんじゃ・・・///

 

   トゥーーー!!

 

『ジゼル・・・』

 

    \\\生きてる?///

  \\\あそこまでやらなくても・・・///

 

    ス・・・

 

おっと?レフェリーがカウント2.9でとめました

十両に動きがあったようです 自らの判断で試合を止めるのでしょうか

 

「いや 違う」

 

え!?

 

    グ・・・

 

「十両が動いたのは本人の意思ではない」

 

    ググ・・・

 

まさか 十両の体が少しずつ 浮いている!!

 

〔ジゼル!!〕

 

     バッ

 

ここでメアリが一二三から脱出

 

   ダッ!!

 

なんとダッシュでむかったのはジゼルの救出ではなく青コーナー!

一気に最上段に上がって・・・

 

〔ジーゼール!ジーゼール!〕

 

ジゼルへの大エールだー!!

 

   \\\ジーゼール!ジーゼール!///

 

なんと客席のぬいぐるみたちからもジゼルコールだ!!

 

  \\\ジーゼール!ジーゼール!///

 

「ストロングマンたちからもか」

 

  \\\ジーゼール!ジーゼール!///

 

『あそこからも!』

 

 \\\ジーゼール!ジーゼール!///\\\ジーゼール!ジーゼール!///

 

  \\\ジーゼール!ジーゼール!///\\\ジーゼール!ジーゼール!///

 

客席のいたるところからジゼルへの大エールだ!!!

 

「ほう なかなかの熱気だ

客席のエールとやらにこれほどの力があるとはな

魔王軍の勝鬨にも劣らぬぞ」

 

     グググ・・・!!!

 

大エールに応えるように十両の体が持ち上がっていくーー!!!

 

   シュウウーーーーー 

 

「熱気が渦巻いていく

その中心はやはり・・・」

 

『ジゼルですね』

 

      グググ!

 

ジゼルの姿が見えてきました

十両の巨体をその身一つで持ち上げていくーー!

 

[ハドラー様、 バンザーーイ!!!]

 

   グワーーーーッ!!!

 

ジゼルの十両挙(じゅうりょうあ)げだーーーーー!!!

 

   \\\\\\オオーーーー!!//////

 

十両をバンザイの体勢でもちあげきった

その体はさらに成長していたー!!

 

「身長や体つきはメアリと同じくらいか

どうやら会場の熱気だけではなく

十両からも熱を吸収し力に変えているようだ

このような火竜術の新たな応用をみせてくるとは」

 

『本当に成長しているのですね

無事なようで何よりです』

 

〔いくよー!ジゼル!!〕

 

メアリが青コーナーから大ジャンプ!!

 

〔ライダーキック!!!〕

 

  グラア…

 

 

  ドズズン!!!!

 

メアリのライダーキックが十両へ炸裂!

そのままジゼルが十両をバックフィリップ気味に投げた!!!

 

〔これがボク達の愛と友情のツープラトンだ!〕

 

[ふーー・・・]

 

十両ダウン!このまま抑え込めば逆転勝利となるか!

 

[う・・・うごけない]

 

あーーとジゼルは動けない

現時点で試合権があるジゼルと十両が倒れたまま動きません!

 

   ワン!

 

レフェリーが十両に対しダウンカウントをとります

 

   トゥー!

 

10カウントまでに十両が起き上がらなければ

ジゼル・メアリ組の逆転勝利となります!

 

   スリー!

 

 \\\たつなーー!!///

 

   フォー!

 

 \\\ねてろーーー!!///

 

   ファイブ!

 

〔師匠!〕

 

   シックス!

 

〔ジゼル!〕

 

 グ・・・

 

あーーっと十両が動いた!

 

   セブン!

 

半身を起こしたがまだカウントは止まらない!

 

   エイト!

 

さあヒザ立ちから立てるか!?

 

   ナイン!

 

ああっと 一気に立ち上がった!!

一転してジゼルがピンチだ!

一歩、二歩と十両が近づいてくるがジゼルは動けない!

 

『ああ・・・』

 

ついに十両がジゼルを捕まえた

 

    グ・・・・・・

 

ジゼルを抱え上げた十両がレフェリーを呼びます

ああっと試合を止めたー!!

 

    カンカンカンカンカンカン!

 

決着ーー!!

リングが激しく揺れ続けた激闘!!

制したのはチャンコ部屋の刺客ミス十両・染宮一二三組!!

大きな可能性を見せてくれましたジゼル!

ですがそのデビュー戦にはあまりにも高い壁だった!

 

「うむ ご苦労

上には上がいる 体でおぼえただろう」

 

    シューーー・・・

 

〔〔〔ジゼル(殿)!?〕〕〕

 

[うー・・・ ハドラーしゃま・・・]

 

なんと試合終了した途端にジゼルが試合開始時の小さな体に戻ってしまった!

ハドラーさんこれはいったい?

 

「どうやら試合中の急成長は戦いについていくための

一時的なものだったようだな

だが まったく同じというわけではない

オレの見立てではわずかに成長しているようだ」

 

 \\\\\\パチパチパチパチ!!//////

 

十両がジゼルを抱き上げ 一二三とメアリがロープを広げ

万雷の拍手をうけながらリングを下ります

おっと十両 この放送席に向かってきます

 

「やれやれどうやら役者が違い過ぎたか」

 

『これは手土産持参で礼を言わねばならないですね』

 

 

 

 

   ジゼルはレベルがあがった

 

   攻撃力があがった

 

   防御力があがった

 

   スキル ファイヤープロレスリングをおぼえた

 

   スキル効果 熱血タイプの敵・味方の数だけ自分の攻撃力UP




新型コロナと関係なくお腹壊して暑さにうだってるウジョーです

試合会場は熱いことこの上ない状態となっていますが
実際のところまだまだスポーツに限らず自粛ムードが続き
大会関係は軒並み中止とさびしいかぎりです

急に暑くなり体が慣れてこないこの時期が特に熱中症が多く
食べ物も痛みやすい今こそ 体調を整えて予防を心がけましょう


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女子プロレス編 デビュー戦 後日談

ーチャンコ部屋前ー

 

    ピンポーン

 

「たのもう」

 

     ガチャ

 

〔ようこそハドラー殿 お待ちしておりもうした〕

 

チャンコ部屋をたずね呼び鈴を鳴らすとミス十両が出迎えてきた

先日のリング上で見たマスクとは逆に口元を隠すマスクをしているが

素顔ははじめて見たな

 

『試合の時にはわかりませんでしたが

おだやかで優しそうな方ですね』

 

「ああ 先日はこやつが世話になった」

 

背中に担いでいるジゼルを見せ挨拶を交わす

 

〔ジゼル殿は寝ているのでゴワスか?〕

 

「あの試合で魔力も体力も使い果たしたからな」

 

〔なんと!?あの試合からずっと寝ているのでゴワスか!?

あれからもう何日もたっているのにそれは!?

あの試合の後はコロナショックで興行が自粛となって

無観客試合ばかりのせいでジゼル殿の試合がないのかと・・・〕

 

「気にするな

これは【卵がえり】といってな

回復するまで眠りが深くなるものだ

東女寮では何日も寝込んだままで不安になった田中から連絡を受けたが

こうやってオレにしがみついていればいずれ目を覚ます」

 

〔そ そうでゴワスか・・・

しかし今は新型コロナの流行で外出すら自粛を求められているでゴワス

寮よりも親元の方がよいという配慮では〕

 

「オレもジゼルも根本から人間とは違う

病気にかかることもうつすこともない

卵がえりのように種族特有の問題はあるがな

それより本題だ」

 

     スッ

 

オレが差し出した手を十両がややためらいながらも握り返してきた

 

「これは先日の試合の礼だ

回復魔法(ホイミ)

 

      パアア・・・

 

\\\師匠!!!///

 

    バタバタバタ!!

 

チャンコ部屋の奥からレスラー達が駆けつけてきた

先の試合で十両と組んでいた染宮一二三を含め6人か

 

「染宮もいたか ちょうどいい

お前もジゼルが世話になったからな

ケガがあるなら治療するぞ」

 

〔治療?今の光が、ですか?〕

 

〔たしかにセッシャの体からあらゆる痛みが消えたでゴワス!

あの試合、ジゼル殿の不思議な光でヒザの痛みが消えたでゴワスが

今のは他の痛みや疲労までなくなったでゴワス!〕

 

「オレのホイミはジゼルが戦いのどさくさに紛れて使った

ベホイミとは魔法力が違う 経験が違う 制御力が違う

オレもかつて伊達や酔狂で魔王などと名乗っていたわけではない」

 

〔なんと では本当に痛みだけではなく全てのケガが完治した

ということでゴワスか!?〕

 

「そうだ お前の戦いを見て思ったのだが

実に惜しく感じてな」

 

〔惜しい、とは?〕

 

「ジゼルがベホイミを使った前後の戦い方で言えば

回復前の経験を感じさせる巧みな技

回復後の体格を生かし気迫を全開にし圧倒した力技」

 

『あれは見ていて怖いものがありました』

 

〔わざわざ試合中に不思議な術を使ったからには

ジゼル殿はああいった戦い方が望みなのかと思ったもので

セッシャなりに応えてみたのでゴワスが・・・〕

 

「上出来だ

お前ほどの実力と実績のあるものが

ジゼル相手にあれほど力を見せれば

大抵のレスラーは下手な遠慮をしなくなる、これは大きい

そしてジゼルは恐怖を知った

あやつはこれまで直接的な敵意にふれる機会がなかった

・・・だからこそ 礼はこれで終わりではない」

 

〔え?〕

 

「オレが相手をしてやろう

全力でかかってくるがいい」

 

〔なんと!?〕

 

   \\\ちょっとまった!!!///

 

染宮らが十両の後ろから前にでてきた・・・

 

「そういえば 活動自粛中のレスラーにしては

頭数が多いな 全員お前の弟子か?」

 

〔たしかにセッシャの弟子ですが

全員集まっているのは・・・

その、ハドラー殿からのあの・・・〕

 

「どうした?」

 

〔チャンコ部屋の鏡にいきなり血文字で師匠に

お礼参りをする、てメッセージがきたから

師匠は警察を呼ぶのはまずいって言いますし

とりあえず皆で集まろうってことになりました〕

 

「・・・鏡を使った通信呪文のことか

人間の言葉で書いたから内容は伝わっていたようだが

どうも認識に齟齬があるようだな

たしか文面は・・・」

 

〔スマホにとってますよ えーと、

”今宵 先日の試合の件で礼に参上する 腕を振るい馳走しよう ハドラー„

これが今朝突然でて それを見たボクが皆に連絡したんだ〕

 

「たしかに 文面だけ見れば試合結果の逆恨みによる襲撃予告にもとれるか

そういえば元々宣戦布告に使うことが多い呪文だったな」

 

『あなたはたまに私と同じくらい世間知らずになりませんか?』

 

「・・・どうやら迷惑をかけたようだな

夕食を馳走する程度の意味だったのだが」

 

〔申し訳ないハドラー殿!

不快にさせてしまい 何とお詫びすれば〕

 

〔師匠のせいじゃないです!

ボク達が勝手に集まっただけなんです!〕

 

十両に続き弟子たちが頭を下げてくる

やはりこの十両 器が大きく人望もある

獣王クロコダインを彷彿とさせる

 

『なるほど あなたにとって

武人として最大級の評価 ということですか』

 

「気にするな これはオレの落ち度だ

それよりもお前のことだ

はっきり言ってここにいるお前の弟子たちでは

今のお前が全力をぶつけてはそうそう持つまい

体に不調を抱えながら実戦で磨いてきた技術と全開の力

これを両立させる勘を養う為オレを利用すればいい」

 

〔たしかに業界全体が興行自粛の中

切磋琢磨する相手に不自由はありもうすが

ハドラー殿にそこまでしていただくのは・・・〕

 

「オレはお前がブラッディ井上やスペシャル小原に匹敵

いや 超える可能性を秘めた逸材とみている

お前が強く大きい存在でいればジゼルの成長につながることになる

敵としても味方としてもな」

 

〔セッシャが!?

セッシャのことをそこまで・・・

ハドラー殿 改めてこの道場で胸を貸してほしいでゴワス!〕

 

「よかろう では上がるぞ」

 

オレはチャンコ部屋の道場で十両と相対した

 

〔ハドラー殿 ジゼル殿を背負ったままで?

稽古の間は弟子たちに預けていただければ・・・〕

 

「この状態のジゼルはしがみついてて外れぬのだ

・・・お前がオレを本気にさせれば オレの発する魔炎気を吸って

ジゼルが早く目を覚ますかもしれんぞ

さあ かかってくるがいい」

 

〔・・・それでは  ハッケヨイ・・・ノコッタ!!〕

 

     パァンン!!

 

十両の張り手を胸で受けた

 

〔おお! 師匠の張り手を正面から受けてビクともしてない〕

 

〔あれが超人レスラー・・・〕

 

「どうした?あの試合では空振りでジゼルの心を折ったようだが

このとおりオレの背のジゼルはまったく動じていないぞ」

 

〔ぬうう・・・ハァーーーーッ!!!〕

 

   ガシィ!!

 

〔ヌ!!クッ!〕

 

   バッ!!ザッ!!!

 

〔すごい!師匠のぶちかましにも

つかんでからの投げにもまったく動かない!〕

 

〔一歩も動かないだけじゃない最小限の体の動きであの師匠の技を封じている〕

 

「試合の後 ウルフマンの相撲部屋をたずねて

少々相撲技を盗んできた そう簡単にオレを本気にさせられるかな?」

 

〔セッシャのためにそこまで・・・!?〕

 

「勘違いするな

この世界の格闘術に興味があっただけだ

さあッ!!

ガンガンかかってこいッ!!!」

 

〔ドスコーーーイ!!!!〕

 

   ドガァン!!!

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

〔ハー ハー ハー・・・〕

 

   ボタボタボタ・・・・・・

 

息を切らせた十両の汗が床を濡らしていく

しかしオレの足はまだ一歩も下がってない

肝心の力と技がどうにも一致しない

もう一息のようだが 目の焦点があってないな

ここは一度間をとるか・・・いや 十両の目

この目はオレをみていない?ならば

 

「十両よ

おまえの中に理想の強者がいるのだろう

師か、ライバルか、先達か、それは知らぬが、

上には上がいる おまえの前にいる者はそれよりも強い

その相手に繰り出す全身全霊の一撃を見せてみろ!!!」

 

   ゴオオオオ・・・

 

闘気を開放し十両を誘う

 

『あなたにしては女性の誘い方が優しいですね』

 

黙っていろ聖母竜 わざわざアバンのかつての台詞を持ってくるな

ムウッ?

十両の闘気が研ぎ澄まされていく

やはりまだ上があったか

 

〔・・・ドスコーーーイ!!!!〕

 

    ズバァアン!!!!!

 

             ズズッ

 

「グ・・・グハハハハッ!!!」

 

〔おおっ!ついに師匠の張り手でハドラーさんが半歩下がった!!!〕

 

「ククク 体力の限界が近いようだが今の一撃はよかった

さあ力尽きるまでつきあってやろう

ここからが本番だ!!!」

 

[ん~・・・]

 

背中でジゼルがもぞもぞしだした

 

   かぷっ・・・ ちうちう・・・

 

ジゼルがあまがみをしてきた

まだ寝ているようだがオレや十両の闘気に反応しているのだろう

 

〔ごっつあんです!!!〕

 

十両が最後の力を振り絞るように再び向かってきた

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

    ズズン・・・!!

 

  \\\師匠!!///

 

力尽きるようにオレに倒れかかりながら十両が沈んだ

 

「どうやらオレの見込んだ通りのようだ」

 

体の慣らしとしては十分だろう

とりあえず部屋の脇にでも寝かせておこう

 

    グッ

 

  \\\おお~~~~!!///

 

〔スーパーヘビー級の師匠を軽々とお姫様抱っこ!〕

 

〔これはちょっと真似できそうにないわ〕

 

〔師匠 意識があるのかな?〕

 

〔ちょっとでも 表情が見えないかな〕

 

「さて 次は・・・」

 

〔ちょっと待った!!

師匠がこうまでいいようにされてそのまま帰らせるわけにはいきませんよ

チャンコの弟子筆頭・紅蓮篤美(ぐれんあつみ)お相手仕ります!〕

 

〔同じく チャンコの一番弟子・古代(こだい)ウズメ!〕

 

〔同じくチャンコの弟子・京須心美(きょうすここみ) 私の蹴りを刻んで見せます!〕

 

〔WOODSの3人の後はおいら 磯部かんきちが相手だ!〕

 

〔このボク 染宮一二三(うたたね)もいるよ〕

 

〔私が一番最後に入門した鹿野瑠璃(しかのるり)です

私たち元日高一派新弟子三人衆が逃がしませんよ〕

 

十両の弟子達がオレをぐるりと取り囲んだ

背中で寝たふりを続けているジゼルをやつらに放り投げ

 

「いいだろう

全員まとめてかかってこい

ジゼル いい機会だ おまえも混ざれ

試合で見せた力が全てではないところを見せてみろ」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

十両の弟子にジゼルを加えて7人が総がかりでかかってきたが

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

全員もれなく倒れ伏した

 

〔つ、強すぎる・・・〕

 

〔はあ はあ まさか ここまでとは〕

 

〔ーーー もう動けません・・・〕

 

「こんなところか

やはりまだ十両ほどの実力者はいなかったか」

 

未熟だがこれからの成長次第か

これでしばらくは立てまい

 

「さて仕上げだ

調理場を借りるぞ おまえたちはそのまま寝ていろ」

 

〔え そんな お客さんにそこまでしていただくわけには!っぐ・・・〕

 

「今更そこを気にしてどうする」

 

[ベホイミ!]

 

     パアア・・・

 

倒れていたジゼルが起き上がった

 

[ハドラー様お手伝いします♡

そうだ!

寮でハドラー様のエプロンを縫ってました

是非着てください!!リリルーラ!!]

 

    フッ

 

    フッ

 

手縫いのエプロンをもってやってきたジゼルの頼みを聞き

仕方なく着てみたが

 

〔ショッキングピンク・・・〕

 

〔フリフリのレースがいっぱい・・・〕

 

「エプロンに無駄な装飾が多いが」

 

[エプロンを縫うって言ったら寮のお姉ちゃんたちから

布やレースをいっぱいもらいました]

 

〔みんなジゼルが着ると思ったんだろうね〕

 

「まあいい さっさと とりかかるぞ」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

下拵えをすませた持ち込んだ食材をだし

久しぶりにジゼルの力を借りた竜術で手早く料理し鍋に入れた

 

〔はやっ!〕

 

〔何をいれてるのかもほとんどわからない・・・〕

 

〔魔王がつくるちゃんこ鍋か、

いいにおいがするだけに余計に気になる〕

 

〔セッシャも動けないとは 不甲斐ない・・・

霧島殿のような戦々恐々とした料理でないのが救いでゴワス・・・〕

 

『戦々恐々とした料理とは一体・・・?』

 

知らん

後は加熱のみとなった鍋のひとつをジゼルに任せる

 

      グツグツグツ・・・

 

[ハドラー様 いつのまにこのような料理を?]

 

「おまえがいない間に この世界での料理屋で食した

竜の女王が週一回欠かさず食べにくるほどの料理と聞く

せいぜい楽しみにするがよい」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

十両一門はまだうごけないようだがそろそろ料理できる

鍋をやつらの中心に置き 人数分の皿を用意する

 

「ジゼル 蓋をあけろ」

 

[はい!ハドラー様!]

 

     カパ・・・

 

〔うわあ いいにおい!ビーフシチューだったんだ!〕

 

においに誘われるように十両たちが体を起こしてきた

 

〔汗くさい稽古場のにおいが一新しましたね〕

 

〔はっはっはっ 我ながら現金なものでござるな

においだけで動けるようになるとは

ハドラー殿 稽古をつけていただき

またチャンコの支度までしてかたじけなく・・・〕

 

「礼はいい そのまま食え」

 

十両の礼の口上が長くなりそうだったので切り捨て

ジゼルに味見をさせる

 

[おいしいです!ハドラー様♡]

 

「よし 完成だ 食らうがいい」

 

    \\\いただきます!!!///

 

〔!なんと濃厚なうまみ!!〕

 

〔おいしい!〕

 

どいつもこいつもさっきまでくたばっていた割には大した食いっぷりだ

 

〔いいお肉をつかってそうですね〕

 

「水を足さずに竜術で食材からの水分のみでできる濃厚さだ

そして牛肉はテリーマンの牧場の肉だ

先日あの強さの元を探りに行った結果

牧場仕事を手伝う羽目になってな

その謝礼がわりにうけとった」

 

〔これはご飯がほしいですね〕

 

「米も今 炊けた

適当に混ぜて食うがいい」

 

〔あ 玄米ごはんだ〕

 

〔これは濃厚なシチューにちょうどいいですね〕

 

〔これはもうビーフシチューではなく

ハヤシライスなのでは?〕

 

「林フレンダのハヤシライスも参考にしている

スパイスはやつが使っているものに近い

米と野菜はウルフマンからおまえたちにと預かったものだ

やつの地元の食材と聞いている」

 

〔なんとあのレジェンドの超人スモウレスラーからとは!?

セッシャのことをご存じとは光栄でゴワス〕

 

「十両のファンと聞いている

活躍を期待している、とな」

 

〔よかったですね 師匠が憧れていた

超人横綱で親方のウルフマンさんからなんて〕

 

〔一層おいしく感じるでゴワスな〕

 

〔異世界の食材は使ってないんですか?

異世界ちゃんこ的な・・・〕

 

〔食材はすべてこの世界のものだ

オレやジゼルが平気でもおまえたち人間に無害とは限らないからな〕

 

「ウルフマンのところで過去の試合の映像もみてきたが

体の具合はどうだ十両

ケガを気にせず全力を出すのは久しぶりだろう」

 

〔はい まったく問題ないでゴワス!

ハドラー殿にはいくら感謝をしてもし足りないでゴワス〕

 

「そうか」

 

〔あの ハドラー殿

できればよいのでゴワスが・・・

こうしてリングを下りてマスクも外している今は

リングネームの十両ではなく本名のマルシアと

よんでいただきないのでゴワスが・・・〕

 

「いいだろう マルシアよ」

 

〔お、師匠ひょっとして・・・〕

 

〔あのマネージャーにすら全くなびかなかった師匠がまさか!?〕

 

〔あ、いや そういえば今のご時世ではこうやって

鍋を囲むことすら自粛を求められておりもうすが

セッシャの大きな体のせいで部屋の密度上がってしまうでゴワスな!〕

 

やや自虐的な笑いでごまかそうとしているマルシアだったが

 

「その恵まれた体は おまえを育てた親の慈愛や器量によるものだろう

そういう言い方をするものではない

その体がおまえの何よりの武器であり防具であろう」

 

ヒュンケルやダイのたくましさはアバンの指導もさることながら

何よりバルトスやブラスの育児があってこそだ

けっして恵まれた育児環境ではない

怪物しかいない地で人間の赤子を丈夫に育て上げたその器量

まったく オレの部下でありながら オレよりも遥かに大きいではないか・・・

 

『本当ですよね 私も尊敬しますよ』

 

・・・む?

 

    カアア・・・

 

マルシアの顔が鬼面道士よりも赤くなっていく

 

〔師匠、師匠!〕

 

〔これは本気で惚れた?!〕

 

〔流石子守り魔王

強くて お料理上手で 父性まであわせ持つなんて・・・〕

 

〔あの堅物な師匠に春が!?〕

 

〔これは全力で応援しないと!!〕

 

ひそひそ話のつもりのようだが丸聞こえだ

 

〔師匠 師匠 ここは積極的に寄り切らないと〕

 

〔な!?何を言っているでござるか!?

そんな妻子ある方に失礼でござるぞ!!〕

 

「語尾が変わっているぞマルシアよ

オレに子はいるが妻はいないが・・・」

 

[ハドラー様の妻になるのは私!!]

 

『あらあら あなたがジゼル以外からモテるなんて

この世界は面白いですね』

 

〔ハドラーさん ハドラーさん!

チャンコ部屋の専属トレーナーになりませんか!〕

 

〔そうですよ 稽古相手ができて ちゃんこが作れて

魔法でケガの治療ができるなんて天職ですよ!!〕

 

〔そしてゆくゆくは師匠と・・・〕

 

「オレはそこまで人間となれ合うつもりはない」

 

〔ええーー、ここは居心地の良いですよ〕

 

〔やめるでゴワスよ おぬしたち

気持ちは嬉しいがそのような無理を言っては・・・〕

 

「まあ断るかわりに マルシアよ

おまえがさらに強くなるためひとつだけ助言をやろう」

 

〔助言!心して聞くでゴワス!〕

 

マルシアが姿勢を正し耳を傾ける

 

「ウルフマンの所で見たお前の過去の試合だが

一時期から明らかに低迷していたが

その要因はケガだけではない

それを理由に強者との真剣勝負が減ったことにある」

 

    \\\!?///

 

〔特に弟子を持って弟子とのタッグ戦が増えてからは

弟子に合わせたような格下相手が多い

弟子の成長に目を見張るものがある一方で

おまえ自身の動きが試合中に精彩を欠く一方だ

先の組手でわかっただろうがおまえは自分よりも強い相手にこそ

自らを高め真価を発揮する」

 

〔たしかに女帝直下の皆と切磋琢磨し

神崎殿に挑んていたときがセッシャがのびていたのを実感していたでゴワスが・・・〕

 

「このまま指導者として生きていくのであればいいが

戦士として生きていくつもりなら・・・〕

 

〔部屋を解散しろと・・・?〕

 

〔そんな師匠!?〕

 

〔私たちにも師匠に何かできないんですか!?〕

 

〔くすぶっていた私たちを引き上げてくれたのは

間違いなく師匠のおかげです!!〕

 

〔アメリカから帰ってきて東女で途方に暮れそうだったオイラたちを

あたたかく迎えてくれた師匠に恩返しできないなんて江戸っ子の名折れだぜ!〕

 

「簡単なことだ おまえたち弟子がミス・十両よりも強くなればいい」

 

    \\\あ・・・///

 

「師にとって弟子が強くなり自分を越えることは念願であるが

師にとって最も負けたくない相手でもある

そういった切磋琢磨ができるかはおまえたち次第だ」

 

[私はハドラー様に勝つために強くなりますよ!

そしてハドラー様と結婚・・・♡]

 

〔あ ジゼルのそれってガチなんだ〕

 

「まあ それはありえんが

たしかにそれほどの力を見せれば

見る目が変わるのは確かだが」

 

〔ムムム・・・〕

 

〔師匠 そのムムムは何ですか?〕

 

〔・・・ハドラー殿

このコロナ騒動が落ち着き業界が動き出してからの話となりもうすが

セッシャがKOM王者 スペシャル小原殿に挑戦することができたら

その試合を見届けていただきたいでゴワス!

セッシャが弟子達と共に磨き上げた力を見てほしいでゴワス!!〕

 

〔おお師匠が積極的に!〕

 

〔もちろん私たちが全力でサポートします!!〕

 

〔このコロナ騒ぎの間にチャンコ部屋が急成長するチャンスにするよ!!〕

 

〔もちろん 篤美おねえちゃん!〕

 

〔ここでいきなりのおねえちゃんよびはやめて!〕

 

にぎやかなことだ

 

『本当にここのお世話をする仕事はしないのですか?

ジゼルがいないと退屈なのでしょう?』

 

今のジゼルには オレが近すぎては成長の妨げになる

見ろ オレの膝の上で飯を食っているこのたるんだ顔を

 

[おいしいです♡ハドラー様♡♡]

 

『幸せそうないいお顔ですね

いいじゃないですか あの試合のご褒美でこれぐらい』

 

こんな調子ではオレは倒せん 絶対にな

 

『倒されたら結婚するのですか?』

 

絶対に負けん

 

『そういって何度も負けて死んでるあなたの言葉より

私はこの笑顔の方が信じられますよ』

 

こ・・・こいつ・・・!!

 

『ふふっ あなたをひるませられるとは はじめてあなたに勝った気がしましたよ』

 




「ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編」ついにネタ切れとなりましたウジョーです

まあ来月発売のダイの大冒険Blu-rayBOXや ダイの大冒険新作アニメやゲームで
すぐまた書きたくなるでしょうが・・・
他にも書いてたコーセルテル編など 長いこと放置中の作品もあるのでしばらくはそっちに注力するつもりです

夏の暑さに雨の湿気に寒暖差と厳しい季節になりました
おつかれのでませんように


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アニメ鑑賞編 ヒュンケル対ハドラー

[ハドラー様~❤❤]

 

     ぴょ~~~ん

 

   ぺシ!

 

いきなり飛んできたジゼルを叩き落とした

 

あの二人の原稿作業を手伝いを終えるとちょうど夜が明けていた

そのついでに聖母竜があまりにもうるさくせがむため東女寮に来てみたが

呼び鈴を鳴らす前に寮の窓からジゼルが飛び出してきた

 

「やれやれ 踏み込みからの跳躍のキレはよくなったようだが・・・」

 

『お久しぶりですねジゼル

元気なようでなによりです』

 

[あけましておめでとうございます ハドラー様 お母様]

 

「ほう この世界では年が明けていたのか」

 

〔もう年明けから1ヶ月以上たってますけどね

お久しぶりですハドラーさん 寮長の田中です〕

 

「ああ ジゼルが迷惑をかけているようだな」

 

〔ジゼルは ウチでは割と良識ある方ですが まあ今はひとつだけ

ジゼル 窓から出入りするな! ご近所さんが見たらびっくり・・・

するようなことは普段から色々やらかしているやつもいるが

食事中にとび出すやつがあるか

ウチの台所の守護神の逆鱗にふれるぞ!〕

 

[あー・・・チヨコお姉ちゃん 

笑いながら怒るから ちょっとこわい・・・]

 

「どうやら間が悪かったか

出直してもいいが」

 

〔いえ ある意味すごいいいタイミングですハドラーさん

この後お時間あれば そこの道場へどうぞ

最近ウチで恒例になっている 面白いものが見れますよ〕

 

「ほう」

 

その言葉に少し興味をひかれ案内された道場で・・・

 

    \\ わいわい ガヤガヤ //

 

「なんだこの状況・・・」

 

道場の中心部に据えられた大型の悪魔の目玉・・・

この世界でいうところの【テレビ】の前に

メアリをはじめとする大勢のレスラーが集まっている

 

[もうすぐはじまりますハドラー様!]

 

その最前列で座るオレの膝の上に座ったジゼルが画面を指さすと

 

『ダイ!?』

 

何やら耳に残る歌とともにダイの姿が映し出された

続いて奇岩城の前で魔王軍6団長とともに立つ

魔軍司令時代のオレの姿があった

 

「なんだこれは?

ダイ達がまたこの世界にやってきたのか?

いや このダイやオレ達は今よりもやや若い・・・」

 

続いて流れていく映像はまさにオレ達が敵として戦っていたときのものだ

 

〔そうです ちょうどこっちでは週に一度

この土曜日の朝 こうやってハドラーさん達の世界のことが放送されているんです

それで みんなこうしてこの道場で見るようになったんです

サンモニならともかく 前じゃまずなかったことなんですけどね〕

 

〔ボクはこうやってみんなで見て楽しむの大好きだな♪〕

 

〔セッシャも毎週 楽しみにしているでゴワス〕

 

「メアリ マルシア・・・」

 

   \\ 十両さんが本名で呼ばれてる! //

  \\ あのウワサは本当なの!? //

 \\ 十両さんが親方からおかみさんに!? //

 

ひそひそ話 にしては大きな声で話しているレスラーたちがいるが

そんなことよりも 歌が終わり画面がかつてのオレの顔のアップになって間もなく

 

「【ヒュンケル対ハドラー】だと・・・」

 

見過ごせない言葉が画面に踊った

 

〔因縁の一戦ですね〕

 

[ハドラー様・・・]

 

「これはバルジ島のあの時か

よく、おぼえているぞ・・・!」

 

〔先週はすごくいいところで終わりましたからね

今日が待ち遠しかったですよ〕

 

〔ヒュンケルめっちゃくちゃカッコイイ登場ですよね〕

 

〔あたしはポップの方が好きだな〕

 

砕かれた氷魔塔の破片が舞うなかマァムを抱きかかえるヒュンケルと

投げつけられた薬草を食いながら愚痴るポップにレスラーたちの感想がもれる

このときポップが食っていた薬草があの大穴で生えていたやつだな

映像はクロコダインがヒュンケルを救った場面に変わった

 

 

【・・・ヒュンケルよ・・・

オレは男の価値というのは どれだけ過去へのこだわりを

捨てられるかで決まると思っている

たとえ生き恥をさらし万人にさげすまれようとも

己の信じる道を歩めるなら それでいいじゃないか・・・】

 

     !!

 

死にぞこない 泣きながら己を悔いるヒュンケルに対し向けたクロコダインの言葉が

今のオレの心にも響いた

 

「やはり当時の魔王軍にとってクロコダインを失ったのは大きいな

ヒュンケルは魔王軍にいるのが不思議なぐらいだったが・・・」

 

〔このときのハドラーさんも「信じられん」って言ってますね〕

 

「ああ 本当に惜しい男を失った」

 

〔あ クロコダインさんが炎魔塔をあっさり壊した〕

 

[フレちゃんガッカリしてるね]

 

「かつてのオレが不甲斐ないばかりに・・・

すまなかったなフレイザード」

 

〔ハドラーさん この前のお祭りでも この塔をつくってましたけど

あれって結局どんな効果があったんですか?〕

 

「あれは特に効果はない

塔自体はそれなりに力を込めていた本物だがな」

 

〔え!?〕

 

「氷炎結界呪法は二つの塔とフレイザードの核コアにも使った

氷炎岩があってはじめて効果がある禁呪だ」

 

〔じゃあ盛り上げるための演出だったんですね

・・・なるほどウチの興行の参考になるかも〕

 

〔あ いよいよ戦いがはじまりますよ!〕

 

〔あ!このときのハドラーさん

バルトスさんとヒュンケルさんの二人が親子なのをちゃんと認めてるんですね〕

 

「当然だ 酔狂とはいえ かつてバルトスが望み

オレが直々に認めたことだ

それに当時の様子を見ればどう見ても親子だった

親子で姿形が違うのは怪物の世界では珍しいことではないしな」

 

[バルトスお兄様・・・]

 

〔ヒュンケルにとってハドラーさんは

育ての親バルトスの生みの親つまり祖父であり

バルトスを直接処刑した仇であり

師であるアバン先生の仇でもあるんですよね〕

 

「・・・ああ 加えて元上司でもあるぞ」

 

〔それは盛り過ぎなくらいの因縁ですね〕

 

〔あ!ハドラーさん ヒュンケルの剣を爪でうけるとき目をつぶってますよ!〕

 

「馬鹿をいえ ちゃんと片目で見てから止めたわ」

 

『片目はつぶったのですね』

 

〔すごい打ち合いですね

剣と爪の息詰まる攻防、互角に見えますけど〕

 

「あの鎧のせいで呪文がまったく効かん

オレの本来の戦い方ができない分不利だったと言える」

 

〔ああっ!?

ハドラーさんの体が貫かれた!?〕

 

      ビク!!

 

膝に抱えていたジゼルが震えた

だがこれは・・・

 

〔ああっ!?

ハドラーさんが死んだふりで油断させて爪をヒュンケルの胸板にぶち込んだ!!〕

 

〔おおっ いいなあアレ 悪役(ヒール)はこうでなくっちゃあ

今度やってみようかな〕

 

〔油断しすぎだろヒュンケル〕

 

〔ヒュンケルが驚いて【急所を貫かれてなぜ動ける】って言ってるけど

お前が言うなッ て感じだよね〕

 

〔いや どっちもおかしいだろ!〕

 

『色々な感想があるのですね』

 

それだけ多様なレスラーがいるということだろう

 

「オレのヘルズクローはたしかにやつの体を貫き

メラゾーマまで流し込んだ

こいつの不死身ぶりは(バルトス)祖父(オレ)を超えたな」

 

〔なんという筋金入りの不死身の男・・・〕

 

〔うわあ ハドラーさんのベギラゴンかっこいい!〕

 

このとき どう見ても直撃して貫いた穴からダメージが通ったはずだが・・・

 

〔あれをうけて立ち上がるとはとんでもない御仁でゴワスな〕

 

〔ヒュンケルが師匠の言葉を胸に立ち上がるとこ

私もリングで覚えがある〕

 

〔普段の厳しい稽古やトレーニングを思い出したりするんだよね〕

 

〔あれってちょっとした走馬灯かもね〕

 

『ダイも戦いの中でだれかを思いながら戦っていましたね』

 

それもまた あやつらの強さ、か

そして画面ではヒュンケルの最期の大技を見せる

 

「これは・・・」

 

嫌な汗が流れた 直接目にしたあのときを今でもハッキリと思い出せる

 

       グランドクルス!!!

 

ダイやポップがその光を目にしてアバンのメガンテの輝きとそっくりだと語っている

・・・道理でオレの冷や汗が止まらぬわけだ

 

〔あ ハドラーさん 部下でちゃっかりシールド防御してる〕

 

〔これはひどい・・・〕

 

「いや 直撃は避けたがオレもダメージはあったぞ」

 

〔ああ 抜け殻状態のヒュンケルに近づいて・・・〕

 

〔ちゃんとトドメは刺すんですね〕

 

〔うわあトドメの直前に ハドラーさんが復活の呪文を唱えてますよ〕

 

〔獲物を前に なんという死亡フラグ・・・〕

 

「そんなつもりはなかったのだがな・・・

ただ死に逝くものに当然のことをいっただけで」

 

〔子供状態のヒュンケルが先生と父を追いかけるとか

これこそ走馬灯だよね〕

 

       ドガ!!

 

[!!??]

 

画面いっぱいにヒュンケルの剣がオレの二つ目の心臓を貫いた映像が広がった

 

『・・・私までどこか痛いような』

 

   ギュウ・・・!!

 

ジゼルは汗びっしょりになりながらも画面から目をそらさない

オレの腕にしがみつきながら眼前で崩れ落ちるオレの最期の言葉を聞いている

 

「 「見事だ ヒュンケル 貴様こそ・・・真の戦士」 」

 

かつてのオレと今のオレの言葉が重なる

震えているジゼルにはあえて声をかけず続きを見る

 

フレイザードがオレの敗北を感じ取るとともに

ダイ達が一段と手柄首としての価値を上げたことに闘志を燃やしていたところで

今日の放送は終わりだそうだ

 

「なるほどたしかにいいところで止めてくるものだ

これはオレも結果を知っているとはいえ次も見たくなる」

 

〔ぜひ来週も!

というより毎週来てくださいよ!

会社の許可はとりますから!〕

 

「・・・それはありがたいが

ジゼルならまだしも なぜお前たちがそこまで」

 

〔じつは このアニメがはじまったとき

ジゼルも本当に楽しみにしていたのですが

いきなりハドラーさんがアバンストラッシュで倒されるところからはじまりまして・・・〕

 

「ぐ・・・」

 

〔そのショックでジゼルが一日中泣きまして・・・

ハドラーさんの出番はかなり多いはずなので

それからも毎週見たがるものですから

ジゼルを心配してみんな集まるようになりました〕

 

『ああ それでここに大勢いるのですね

ジゼルが大事にされているようでなによりです』

 

〔ハドラーさんの紙芝居でこのあたりの話までは

すでに知っているそうですが

ハドラーさんがバルトスさんを処刑するシーンがある回は

ジゼルの視聴をやめさせようか議論したりもしました〕

 

「・・・面倒をかけたな

オレがいることでジゼルが安定するならばできるだけ都合をつけるとしよう

オレのかつての不始末が原因だからな」

 

『私もいずれでてくるのでしょうか?』

 

おまえはでてもどうせ役に立たん

 

『その現実とは後で向き合います』

 

    あむあむあむ    ベリ!

 

いつのまにかオレの腕をあまがみしているジゼルを引きはがし

 

「かつての戦いを見て少し動きたくなった

ちょうどいい ジゼル お前のここでの修行の成果を見てやろう」

 

[はい❤ハドラー様!!]

 

〔せっかくなのでリング使います?

壊さない程度に加減してもらえればいいので〕

 

「感謝する ありがとう」

 

  \\ おお!! //

 

 \\ ありがとうって言える魔王はじめて見た! //

 

そんなことで盛り上がってどうする

 

〔さっきまでテレビで見た人の戦いが見れるなんて・・・〕

 

〔どちらかというとプロレスラーのセッシャたちが言われる立場でゴワスな

後でまたセッシャもケイコをつけてもらいたいでゴワス〕

 

〔ボクも頼んでみようかな

最近パパたち忙しくて練習相手の都合つかないし〕

 

「・・・さてジゼル 言っておくがバルジ島でのオレとは一味違うぞ」

 

手始めに軽く闘気で威圧してみたが

 

[最初から全力でいきますよハドラー様!!]

 

逆に闘志を燃やしてきた

 

「フフフッ!!!それでいい!!

それでこそ我が娘・・・!!!」

 

[ジゼルダーーーイブ!!!]

 

     ギュワン!

 

「結局それかーー!!!」

 

    ガシィイ!!    ズゥン!!!

 

      ドスン!!!

 

コーナー最上からとびついてきたジゼルをボディスラムで迎撃しエルボーで追撃した、が

 

    バ!!   ガチィ!

 

すぐに復活したジゼルがオレの首を締めに来た

 

「クククどうやら オレたちのしぶとさもしっかり受け継いだようだ

・・・血は争えんな・・・

フッフッフッ・・・!」

 

    スンスンスン

 

『あなたのにおいを嗅いでいるだけでは?』

 

・・・結局この後ジゼルの相手をしながら道場にいたレスラー全員を相手にすることになった

 

強くなるぞジゼルは いい仲間に恵まれてな

・・・あの世から 見てくれ我が子らよ




書き始めてから時間かかりすぎてるウジョーです
本当はアニメ見てからすぐに投稿したかったのですが書きあがるのに10日以上かかりました
その間ずっとモヤモヤするのになかなか アニメもVジャンプの連載も面白いので余計に
次はフレイザードの最期か聖母竜登場回か・・・あくまでアニメを見た時の気分次第ですが

節分もすぎた二月の半ばで急な冷え込み しっかり防寒して風邪などひかれませぬよう


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アニメ鑑賞編 ダイの秘密

 

      ドヨウの日の朝 東京女子プロレスの道場

 

恒例となったダイ達の映像を見る集まりに

最前列でジゼルをひざに乗せ参加した

 

「ダイの秘密、か」

 

『ダイ本人も知らなかったことですね』

 

お前も知らなかったのか?

 

『当時はまったく 知るすべもなかったですし』

 

〔あ 牢屋スタートだ〕

 

〔ドラクエの主人公って大抵一回は牢屋に入れられるよね〕

 

〔あー 言われてみれば・・・そんな気がする〕

 

「しかし バランを迎え打つのに

まともに戦えるのがクロコダイン一人か」

 

『・・・バランの出世が困るのなら

あなたが正体を隠して共に戦うわけにはいかなかったのですか?』

 

その発想はなかったが あの時点で共闘か・・・

自分の保身のために命がけで戦う選択が当時のオレにあるかは別として  

クロコダインと共闘し 竜騎衆を倒したヒュンケルとポップが合流し・・・

正体がバレなければ 或いは・・・?

 

〔レオナ姫がダイ君にナイフを渡してるけど

ダイ君ビビりすぎてない?〕

 

〔あ・・・〕

 

[?]

 

〔意外とやることやってたんだね

これってダイ君おぼえてるのかな〕

 

[なんのことですか?ハドラー様]

 

「オレに聞くな マネされても面倒だ」

 

場面が変わって戦場へ そこでは

かつてバルジ島でオレが不覚をとるほどの実力を示したヒュンケルが

バランの配下ラーハルトに圧倒されていた

 

〔強かったね・・・〕

 

〔ひょっとしてハドラーさんより強いんじゃ・・・〕

 

「スピードだけならこのときのオレよりも速いだろうが

一対一なら負ける気はせんぞ」

 

バランと二人ならこのときのオレは絶対に戦いたくはなかったがな

 

『そんなことを考えていたから

魔軍司令の地位が危なかったのでは?』

 

うるさいぞ聖母竜

 

〔先週も思ったけど

あの声としゃべりかたのせいでどうしてもヅラに聞こえる〕

 

〔ヅラじゃない カツ、 ラーハルトだ〕

 

〔ますますそうとしか聞こえなくなるよ マジメなところなのに

今年は映画もあったし〕

 

『何の話でしょうか?』

 

大方似た声のやつがいるのだろう

よくあることだ

それよりも倒れ伏したヒュンケルに対しラーハルトが

バランの過去 そしてダイの出生の秘密を語りだした

 

「このあたりはまだジゼルには紙芝居で見せたことはないな」

 

『私もバランから聞いただけなのでこういった映像で見れるのは興味深いですね』

 

[あ!?お母様!?]

 

〔え!?ジゼルのお母さんって聖母竜なの!?〕

 

〔じゃあジゼルも竜の騎士!?〕

 

「いや そうではない ジゼルは紋章をもたずに生まれた」

 

『そうですね しかし・・・

まさか私がここで出てくるとは思いませんでした』

 

「竜の騎士が死体となった後にあらわれて紋章を回収し

産み落とした後は放任か」

 

『ええ それが私の

竜の騎士の生と死を司る神の使いとしての仕事ですから』

 

だから何人産もうとも子育てレベルは上がらぬはずだ

どうやらお前の出番はもう終わりのようだな

 

[あ!ハドラー様だ❤]

 

〔今度はジゼルのパパが出た!〕

 

「懐かしいな 魔王時代のオレか」

 

[ハドラー様!!?]

 

ジゼルの悲鳴があがり オレに強くしがみついてきた

 

「いきなり死んだか

よりにもよってアバンストラッシュを食らったあのときか」

 

〔なんかごめんなさいハドラーさん〕

 

「気にするな

オレが不甲斐なかっただけだ」

 

思えば このとき たしかにオレは一度死んだ

失ったものは 体だけでは、ない

 

〔若いときのバランもでた〕

 

『冥竜王ヴェルザーまで出てきましたね

わざわざ比較してあなたのことを黙殺してもしかたない小物なんて言われてますよ』

 

「冥竜王ヴェルザーといえば魔界では

大魔王バーンと勢力を2分するほどの大物だから無理もないが」

 

〔ハドラーさん 不機嫌さが顔にでてますよ

あ!そういえば聖母竜がお母さんってことは

バランさんはジゼルのお兄さんになるのか!〕

 

「そのとおりだ」

 

[お兄ちゃんか・・・]

 

〔ってことはジゼルにとって 魔王軍軍団長にお兄さんが二人(フレイザード・バラン)

おじ、じゃなくて甥(ヒュンケル)が一人、お父さんハドラーが魔軍司令ってことか〕

 

「当時はまだジゼルは生まれてないぞ」

 

そしてバランとソアラ ダイの母でありアルキード国王女との出会いの場面となった

状況が逆ではあるがアバンとフローラの馴れ初めに似ているな

 

『そうですね』

 

城に招かれたバランがソアラとの仲を深めていくが

 

〔だんだん不穏な空気になってきましたね〕

 

『あなたのせいでもあるのでは』

 

「これはただのお家騒動・・・

人間どもの間ではよくあることだ」

 

〔たしかにそうですね

あ、城を追い出されたバランさんを追いかけてソアラさんが・・・〕

 

〔もう子供ができてるって えー・・・〕

 

「思慮が浅すぎる

どのみち世間知らずのこやつらは王には向いておらぬ

ある意味王宮の連中の見る目は正しいとも言えるほどにな

逆にアバン夫婦は思慮が深すぎて結婚するまでにバラン達の10倍以上かかったが」

 

〔人間の寿命でそれは長すぎますね〕

 

〔でもああやって駆け落ちして人知れぬ土地で親子水入らずの生活

ってのも浪漫ですよね〕

 

「しかしバランの抱き上げ方は下手だな

見ろ ダイが泣いている

バルトスの抱き上げ方ははじめてでも上手いものだったぞ」

 

『以前のあなたを思い出しますね』

 

・・・バルトスが特別だったことにしておこう

 

〔あ!?〕

 

〔囲まれてますね

王様自らおでましとか 怖いならそっとしておけばいいのに〕

 

「王の立場からすれば愛娘を魔物に攫われたのだ

放置すれば動揺が広がり国が揺れる

おなじ王女でもフローラとはその辺りの察しが・・・」

 

〔いえ ハドラーどの

たとえその結果がどうなろうとついていくと決めた

そういった御仁と出会えた・・・・・・

それ以上は無粋でゴワス〕

 

「そうか」

 

〔バランさんは抵抗せずに投降

これで親子離れ離れになったのね

そりゃダイ君が両親のことを知らないのも無理ないですね〕

 

[私は卵からでて最初に見たハドラー様をおぼえてますよ]

 

「お前は竜だからな

ナータも卵のときからマシェルと意思疎通ができたと聞く」

 

〔竜の騎士って 竜より人間に近いってことですね〕

 

『どちらかというとバランも人間ベースですよ ・・・今は』

 

〔バランさんが磔にされてますけど この先ジゼルに見せてもいいんですか?〕

 

[ハドラー様・・・]

 

オレはひざの上のジゼルにあえて何も言わなかった

 

『ジゼル自身に選ばせると?』

 

・・・バランの処刑に割り込んだソアラが死に

そのときアルキード王が竜の逆鱗に触れた

 

〔国滅びちゃったね・・・〕

 

〔怒るのは当然だけど・・・

ソアラさんの父でありダイ君にとって祖父にあたる人だったのに〕

 

〔国も人も一瞬で消し飛んだ これが世界最強の竜の騎士の本気・・・〕

 

『・・・結局 一番悪いのは私のような気がしてきました

私の行動次第ではこの結末避けられたのかも しれません』

 

・・・そのための【竜の保護者】なのだろう

 

『・・・今は あなたがいてくれてよかった』

 

[ハドラー様 お母様]

 

ラーハルトの語る過去話が終わり場面は再び戦場へ

 

「見ろ ヒュンケルが立つぞ

あの男が本当に厄介なのは、ここからだ」

 

〔ハドラーさん ちょっと嬉しそうですね〕

 

〔あ!今度はヒュンケル避けてる 鎧ない方が強いんじゃあ?〕

 

〔くらってもかまわん の覚悟で致命傷だけは避けつつ攻めるなんて

プロレスラーみたいですね〕

 

〔でも 押し返された ラーハルト強すぎない!?〕

 

〔いや 生身で槍の直撃受けて穴も空いてないし

生きてるヒュンケルの方がおかしい〕

 

仰向けに倒れたヒュンケルに向かって

ラーハルトが必殺のハーケンディストールでトドメを刺しにいった

 

゜・・・かかったな!

イチかバチか・・・

オレの生命を囮にした最後の罠に・・・!!!゜

 

ヒュンケルとラーハルトが描いた十字架によって

かつての恐怖がよみがえる

 

゜グランドクルス!!!!゜

 

「死んだふりで上からのトドメを誘い

渾身のカウンターで逆転する

オレも命取りとなった効果的な作戦だ」

 

〔セッシャらにとっても参考になるでゴワス〕

 

そして難敵ラーハルトを倒したヒュンケルの前に

一度は倒れながらも竜騎衆の一人ボラホーンが

ポップを人質に再び立ち塞がったところで今日の放送は終わった

次回はついにバランの対決か

 

〔ハドラーさん 何故竜の騎士は人間に近い姿を?

竜闘気なしだと あのくらいの攻撃魔法で死ぬなんて

クロコダインやヒュンケルより弱いんじゃあ・・・

戦うことだけが使命なら竜や魔族の体の方が強いと思うんだけど?〕

 

『・・・・・・』

 

「聖母竜は立場上その質問に答えることはできないが

オレの見解で答えよう

メアリ 竜は何故強いと思う?」

 

〔え!?

えーっと 元々強いから ですか?〕

 

「そうだ 怪物は生まれて間もないころから戦う力がある

どんな弱いものであろうともな

その中でも竜は特に顕著だ

このジゼルが生まれて間もない頃でも 力の制御は未熟だが

周囲に灼熱の炎をまき散らすことができた

今のように お前たちに預けるなどとてもできる状態ではないほどだった

それに比べ人間は弱い 赤子のヒュンケルを知っているが

スライムの赤子よりもはるかに弱かった

だが成長した強さは今見た通りだ」

 

〔人間は成長速度が速いってことですか?〕

 

「それもあるだろうが・・・

そもそも竜や魔族も含めるが怪物は強さを重視しながらも

自らそれを磨き伸ばそうとする意識が希薄な傾向がある

オレのように常に自分の強さを求め戦い続けるのは稀有な方だ」

 

〔そうなんですか?〕

 

「竜や魔族の力は敢えて紋章の力として限定的なものとし

人間の貪欲さともいえる心をそなえることで想定以上の

踏み込んだ強さを実現することが期待できる

ジゼルをわざわざ人化術でより人間に近くしているのも

そういった狙いもある」

 

〔じゃあ ハドラーさんも術で人間になればさらに強くなれるんですね!〕

 

  !?

 

「その発想はなかったな

たしかに人化術をオレ自身に使い修行し再び元に戻れば

さらなるレベルアップが可能かもしれんな

試してみるか・・・」

 

[ハドラー様とおそろい!]

 

      パアア・・・

 

〔おお早速・・・〕

 

〔どこか お顔がスッキリしたような〕

 

「そうか?」

 

〔声も変わりましたね 若返ったというか

そういえばテレビのハドラーさんに少し似てるような〕

 

〔少し女性のような いや中性的になったように見えますね〕

 

『私が同化しているせいでしょうか

私 性別がないですし』

 

「ふむ 力が落ちている気がするが

試してみるか マルシア つきあえ」

 

〔セッシャでゴワスか 喜んで!〕

 

視聴後恒例となった手合わせだが

今日はオレの人間状態の慣らしとするか

 

・・・

 

「マルシア、リングの上では十両だったか

遠慮はいらん かかってこい

この状態でもオレはさっきのヒュンケルよりも強い」

 

〔承知!〕

 

正面からの体当たりを迎え撃つ

 

     ガシィ!!!

 

「ぬうっ!

この感触 におい これまでとは段違いだ

これが人間の感覚!」

 

〔に におい!? それはあまり気にしないでほしいでゴワス!〕

 

「ハッ!!」

 

     ズン!!

 

十両の力が弱まった隙にリングに叩きつけた

 

「さあ 次々とかかってこい!」

 

リング外で見ている他のレスラーにもリングに上がるよう促す

 

[はい!ハドラー様!!]

 

〔よーし いっくよー!!〕

 

〔よっしゃ いくぜ!〕

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハア・・・ ハア・・・

人間の体は息が切れやすいな」

 

いつもなら軽く相手をしていたが

慣れない人間の体で乱戦の中 呼吸が乱れてきた

 

『あくまで人間に近い体ですが

それほど違うのですか?』

 

ああ これは予想以上だ

 

[ハドラー様!私もいっしょに戦います!]

 

「・・・いいだろうジゼル オレの後ろにつけ

おまえの鍛え上げてきた力を見せて見ろ!」

 

[ハイ!ハドラー様!!]

 

ジゼルが合流したことで戦い方に幅ができた

連携しての戦い これは感覚が鋭くなった今の方が都合がいい

ジゼルの呼吸や動きからこちらもつなげやすくなった

これがあやつらの感覚 戦い方か

それが知れただけでも この姿になった甲斐があったというもの

 

〔ハドラーどの 勝負!!〕 

 

正面からの十両の突進

 

「ぬん!!」

 

受け止めたが少し押し込まれた

 

     ズズズ・・・

 

\\おお!!ハドラーさんが三歩ぐらいさがった//

 

〔チャンス!〕

 

オレの踏ん張っていた足を狙って

横からメアリがタックルを仕掛けてきた

 

「ジゼル!」

 

[ハイ!]

 

メアリの動きをジゼルが止め そこに十両をなげとばした

十両の巨体をなんとかかわしたメアリとジゼルを視界の隅でとらえ

コーナー近くに控えていた3人のレスラーが向かってきた

 

『まだまだ来ますね』

 

今日はいつもより楽しめそうだ

 

 

 

 

 

ハドラーはレベルがあがった

 

ジゼルはレベルがあがった

 

れんけいわざ クロスボンバーをおぼえた




ダイの大冒険アニメ毎週楽しんでいるウジョーです

もう次回放送間近ですがどうにか書けました
ハドラー 聖母竜 アバン バラン ダイ ヒュンケルと
拙作でも重要人物たちが出揃う貴重な回なので絶対書きたいと思っていましたが
その分時間が掛かりました

旧アニメでは描かれなかったバランとのガチ戦闘 そしてポップの・・・
楽しみなような怖いような 色々と節目となる話なので印象深いです

アバン先生主役の「勇者アバンと煉獄の魔王」単行本もでて
ますます面白くなって色々創作意欲も湧くのですが くっ ガッツがたりない

緊急事態宣言再びと なかなかコロナの脅威がおさまりませんが
ご自愛 コロナ対策を心がけください


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アニメ鑑賞編 父との決別

今日は恒例となった例の映像を見る日だ

東女の道場を訪ねたわけだが

 

[ハドラー様ー!]

 

  べシ!!

 

ジゼルダイブをはたき落とし道場に入った

 

「前回より人間が多いな」

 

〔三密にならないように人数制限はあるのですが・・・〕

 

〔視聴後のハドラーさんとの手合わせが評判よくて

希望者が増えてますから〕

 

〔みんなコロナ禍でストレス溜まっているうえに

練習相手にも不自由してますからね〕

 

〔人間じゃないから感染リスクがない上にとっても強い

ハドラーさんが相手をしてくれる週に一度のこの貴重な機会

みんな参加したいんスよ〕

 

「あれは別にダイ達に感化されて動きたくなっただけで

毎度お前たちの相手をしてやる必要はないのだが」

 

そんな会話をしながらこの世界でテレビと呼ばれる悪魔の目玉の前に座る

すかさずジゼルが膝の上に座ってくるが構わず人化術で人間の姿になる

 

〔あれ?今日はその姿で見るんですか?〕

 

「ああ 今日はダイとバランの戦いに決着が着くはずだからな

バランが竜魔人となって捨てた人間の姿・・・

あえてその姿で見届けたくなったのだ」

 

『ダイとバランの戦いは心臓に悪すぎますよ』

 

お前が住みついているのはオレの心臓だがな

 

『あのバランがダイにドルオーラを撃ち

ダイがバランの首に斬りかかる・・・

竜の騎士が、紋章の力がこれほど恐ろしいと思ったことはありません』

 

お前が言うと重いな 聖母竜よ・・・

 

〔ねえ ジゼルはハドラーさんに勝つために東女に入ったんだよね

いつかこんな戦いをするの?〕

 

『!?』

 

「その心配は百年早い」

 

『・・・百年ぐらい あっという間ですよ』

 

〔ハドラーさんの首に牙を突き立てたりするの?〕

 

「それは今までも普通にやる」

 

   ゴソゴソ  カプッ! モグモグ

 

オレの膝の上にいたジゼルが体勢を変えて首にかじりついてきた

 

   ベリ!  ポイ!!

 

ジゼルを引きはがし 後ろに放り投げる

 

「かじりついていいとは言っておらん」

 

〔おっとと で、ジゼル 味は?〕

 

「聞くな そんなこと!」

 

[ハドラー様♡]

 

ジゼルが背中にはりついて映像をのぞきこんできた

映像ではヒュンケルが捨て身でダイに魔剣を渡していた

 

〔あのナイフが砕けなかったら アバンストラッシュが首に・・・

ダイ君にとっては砕けてよかったような〕

 

「あのナイフはこのオレに手傷を負わせたほどの逸品だが

歴戦の寿命もあったのだろう

しかしあの魔剣なら そう簡単には折れん 次の必殺の一撃で決まる」

 

〔さすが実際にその身で味わった人が言うと重みが違いますね〕

 

『次の一撃で・・・』

 

聖母竜の不安が強くなっていく

 

〔あれはギガブレイク!?〕

 

「いやあれはライデインだ

クロコダイン達の決死の消耗戦がここで効いてきたか」

 

【オレの力と・・・ 先生の技と・・・ ヒュンケルの剣と・・・!!

・・・そしてポップがとりもどしてくれた おれの思い出のすべてをひとつにして・・・

・・・おまえにぶつけてやるッ!!!!】

 

「今 ダイにかつてないレベルで心・技・体が揃った

このアバンストラッシュ いやライデインストラッシュは

まさにバランも制する会心の一撃となる」

 

〔お互いにフェイバリットを決めるための削りあいになった

プロレスでもよくある展開だね〕

 

・・・そして映像は様変わりした 激しい戦場ではなく

静かな世界でポップがただ一人で歩いている

ここは見覚えがある

 

「生と死の狭間の世界か

何度見てもあまり気分のいいものではないな」

 

〔流石ハドラーさん 作中で何度も死んでた この世界の常連〕

 

〔常連になりたくないな・・・〕

 

〔・・・行ったことある気がする〕

 

〔セッシャもこの光景に見覚えが・・・〕

 

〔え!?〕

 

   ギュ・・・

 

ジゼルが不安そうにオレの背中にしがみつく

オレはこうしてここにいる 何の不安があろうことか

 

『それを直接言ってあげればよいのに・・・』

 

そんなことより

 

「ポップ・・・ やはりここにいたか」

 

〔ゴメちゃんもきた!〕

 

「あの世界からは自力での脱出はできん

外部から何らかの働きかけがなければ・・・」

 

〔そのためのレオナ姫の蘇生呪文(ザオラル)なんですね!〕

 

・・・だが効果が薄い このままでは本当にポップが死んでしまうぞ

しかしあのゴールデンメタルスライムはなぜいる?

あの世界で自分以外の存在が介入 しかも会話ができるとは・・・

 

目まぐるしく映像が戦場と狭間の世界を移りかわり

そして 戦場でのダイの危機にポップの呪文がバランを直撃

決定的な隙を作り出した

 

【アバンストラッシュ!!!!】

 

地上最大の戦いに決着をつけたダイの会心の一撃は

鎧の魔剣が砕け バランの真魔剛竜剣は折れ

両者相打ちのようにも見えたが ダイは無事な姿を見せ

バランは竜魔人化が解け人間の姿にもどっていた

胸のアバンストラッシュの傷 出血は派手だが致命傷ではない

 

『やっと終わった、のですね』

 

[バランお兄ちゃんの胸の傷

ハドラー様がデルムリン島で負った傷に似てますね]

 

「あれか・・・

ダイが竜の騎士の力に目覚め始めたときだな

あの時はオレの両腕を犠牲にして致命傷は避けたが・・・

あのとき感じた未来の脅威がこうして現実になっていくわけだ」

 

バランの血によって蘇生を果たしたポップ

そして戦場を去るバランを見送るダイ・・・

 

『バラン・・・ ダイ・・・』

 

そして映像は魔王軍へ・・・

 

『というより あなたですね』

 

まあ そうなのだが

 

〔ハドラーさん顔面蒼白ですね もともと顔色悪いですけど〕

 

「このときのオレも言っているがオレにとって最悪のケースだったからな

敵ばかり増えて強力になっていき オレの立場どころか命も危うい

ミストバーンや大魔王バーンの言葉ひとつに本気で怯えていた」

 

〔あ、ハドラーさんが土下座してる

あの世界にもあるんだ〕

 

「オレが実際にしていた土下座と少し違うな

あんな指を揃えた構えではなかったはずだが」

 

『話を逸らそうとしても無駄ですよ

大魔王による最後通告にみなさん見入ってますから』

 

〔大魔王が失敗は三度まで許すって言ってるけど

それって三回の失敗まではセーフって意味じゃないの?

ハドラーさん 今にも死にそうな感じに見えるよ〕

 

〔アバン先生を倒した実績が評価されてラストチャンスがもらえたのか〕

 

「結果的に アバンに命を救われた形になった

あの時のオレの無念・・・

そしてオレをそこまで追いつめたアバンの弟子達・・・」

 

大魔王はもう一化けと言っているが

死んで生まれ変わるほどの決定的な敗北がこの後・・・

と いうところで今日は終わりか

 

人化術で人に近い姿になっていたせいか いつのまにか随分と汗をかいていた

ジゼルが張り付いていた背中は特に濡れている

 

[ハドラー様!東女寮でお料理の腕をさらに磨いています

朝のおやつとして持ってきています 食べてください!]

 

「ほう いいだろう この姿でいるときは味覚も冴えているようだ

味を見てやろう」

 

いつもならこの後ジゼル達と手合わせをするところだが

ジゼルの申し出を受け 持参したものを食べることにする

茶の用意もはじめているようなのでそれを待ちながら

先ほどまで見ていたかつてのオレを思い出す

あのときオレに一杯の茶を楽しむゆとりがあれば・・・

大魔王が指摘したオレの精神的なもろさもそのあたりにある気がしてきた

そして思い浮かぶのがやたらと楽しそうに茶の支度をする宿敵の姿・・・

 

「我ながら 当時のオレでは想定もしていないケースになっているようだ」

 

そうつぶやきながら茶を楽しみに待っていることに気づいてしまった




ダイの大冒険のアニメが毎回面白くて書きたい話が膨らむ一方で書くペースがまったくおいつかないウジョーです

このあたりから毎回鑑賞編を書きたい内容なのに筆が・・・
蒸し暑さの厳しさが本格化してきましたがおつかれのでませんように


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アニメ鑑賞編 ザボエラの奇策

「ついにこの日が来たか・・・」

 

ジゼル達と見る かつての戦いの映像

多少の改変はあったが基本的な流れはオレの知る通りだった

つまり・・・

 

「またオレが死ぬわけだ」

 

[!?]

 

オレの膝の上で映像がはじまるのを楽しみにしていたジゼルが動揺し震えた

 

〔そうでしたっけ?〕

 

〔まあ 結局ハドラーさんはここにいるんですが〕

 

〔ハドラーさん 始まる前からネタバレはちょっと・・・〕

 

『ジゼルに見せてよろしいのですか?』

 

「これまでの死とは性質が異なるものだが・・・

ジゼル たとえ何があろうとあのオレから目を離すなよ」

 

[はい ハドラー様・・・]

 

映像がはじまった

オレが動かせる全戦力を自ら率いて バラン戦を終えたばかりのダイ達に

夜襲を仕掛けようとしたが ザボエラに止められた所だ

 

〔なぜザボエラは総攻撃ではなく暗殺を提案したんですか?

総攻撃の方が確実そうですけど〕

 

〔そもそも ザボエラは危険なことは他にやらせて

自分の手は汚さないタイプじゃないの?〕

 

「オレが暗殺案を採用したのはこのときザボエラが言ったように

総攻撃がすでにバルジ島で失敗したからだが

ザボエラが暗殺を提案したのはその方が自分の手柄が大きいからだ」

 

〔なるほど

総攻撃で勝っても手柄はほとんど司令官のハドラーさんのものだけど

暗殺なら実行したザボエラのものになるのか〕

 

〔それに総攻撃は夜襲に気づかれて瞬間移動呪文(ルーラ)

パプニカやロモスに逃げ込まれたらそれだけで失敗確定だもんね〕

 

映像はダイ達の視点に変わっていた

バラン戦の傷の手当を終えたところのようだ

 

〔まだテランにいたんですね

早くルーラでパプニカに帰ればいいのに〕

 

「魔法力は一般的に寝ないと回復しない

ダイとポップが回復するまで身動きはとれんはずだ」

 

〔ハドラーさんみたいにキメラの翼を持ち歩いてないの?〕

 

〔勇者一行はそのあたり抜けてますね〕

 

〔気球に乗って帰ればいいのでは?〕

 

「プカプカ無防備に飛んでいたらオレが叩き落としていたはずだ」

 

〔それもそうか あ ポップが意外と元気だ〕

 

ポップがギラで花びらに穴を空けた

 

「流石ポップだ 制御が難しい閃熱系呪文でこの芸当ができるとは」

 

〔ハドラーさんやジゼルもできるんですか?〕

 

「当然だ」

 

[両手 両足の指でもできるよ 火竜の嗜みだね]

 

〔ヒュンケルが伝説の竜の血を飲むと強くなるって言ってるけど

ダイの無邪気な発言でクロコダイン達が凍り付いた顔してますね〕

 

「ポップの死を間近で見たばかりだ

思うところもあろう」

 

伝説の竜の血か・・・ 

聖母竜は伝説の竜ではあるが所詮聖母竜(おまえ)程度では効果はあるまい

 

『そうでしょうけど 人間が竜の血に興味を持たなければよいのですが』

 

[ハドラー様 私の血を飲んでみます?]

 

「いらん 半分はオレで半分は聖母竜のものだ

どう考えても毒にしかならんし役に立たんぞ」

 

〔魔王の血 いかにも危険な感じですね〕

 

〔ゲームだと強力な呪いのアイテムとか作れそうなやばいやつだね〕

 

〔下手に下水とかに流したら危ないんじゃ・・・

川が猛毒化したり トカゲが巨大化したりとか?〕

 

逆に危険視されすぎたか?

 

『狙われるよりは まだいいでしょう』

 

ポップが外の見はりに外へ出てきたところへ

変身呪文(モシャス)でマァムの姿をしたザボエラがあらわれた

 

〔うわあ えげつない!〕

 

〔妖怪ジジイが好きな人に化けて色仕掛けとか〕

 

〔トラウマものだよね〕

 

『たしかに客観的に見てこれはひどいですね』

 

〔うわ!

ハドラーさんが毒で倒れたポップのトドメにヘルズクローをだした!

アバン先生相手にも使ったことなかったのに〕

 

「・・・このときのオレは戦う前から負けていた

宿敵の弟子や元部下を相手に力押しで戦うことを諦め

ザボエラの策謀に乗った」

 

【男の戦いには・・・

勝ち負けより大事なものがあるんだってことをな・・・!!」

 

「【・・・・・・うぐっ・・・!!!】

ポップのこの言葉は本当に効いた

オレに そしてザボエラにもな」

 

〔うわ ポップ君 ザボエラに怒られながらめっちゃ蹴られてる

ザボエラはこういうとき嘲笑いながら踏みにじりそうなタイプだと思ってた〕

 

『私もそう思ってました』

 

「・・・ザボエラはポップが自分と同類だと思っていたのだろう」

 

〔同類?! 全然似てないよ!?〕

 

「オレやクロコダイン、アバンのような強者に憧れ、求める、弱者(じぶん)

その求める形は違うがな・・・

そんなポップが絶体絶命の中で強者(オレ)に意地を見せた

それが ザボエラのもっとも弱く繊細な所に触れたのだ」

 

ザボエラが感情のまま自分の手でポップにトドメを刺そうとした所で

ポップのもう一人の師 オレの宿敵の仲間

大魔道士マトリフがザボエラの腕を燃やした

・・・あのときは切りとばしたはずだったが

こいつと話していると魔王だった頃をどうしても思い出す

 

【ロカ・・・アバン・・・いいやつはみんな死んで

オレやおめえみたいな悪党だけが生き残っちまった

・・・いやな世の中だよなぁ・・・】

 

「オレも魔王時代の側近バルトス キギロ ガンガディア ブラスを失い

このときのオレの近くにいたのはかつてのオレを知っているザボエラだけ

これが当時のオレの現実だ」

 

〔ザボエラはそんな前から部下だったんですか?〕

 

「オレが魔王時代のあいつは 少々立場が異なる

あやつもあの時よりレベルアップしているが・・・

それまでに捨てたものをポップに見たのかもしれんな」

 

[捨てたもの・・・ですか?]

 

〔あ マトリフの呪文二刀流だ〕

 

〔ゲームでもボスがやるような芸当だね

ハドラーさん驚いてるけどできるの?〕

 

「容易い」

 

   ボッ!        ポン!

   パク!

 

右人差し指にメラ 左人差し指にイオを最小限で発動したが

ジゼルがメラごと右人差し指に食いついてきた

 

「くうな」

 

[あむあむ・・・ つい]

 

〔ベギラゴンの撃ち合い!

このアニメだと意外と少ない魔法のぶつけ合い!〕

 

〔ハドラーさんとポップ君のベギラマの撃ち合い以来かな?〕

 

[ハドラー様が押されてる!!??]

 

『そんなに強いのですか?相手は人間ですよね?』

 

「確かにオレが戦った人間の中で随一の魔法力だったが・・・

ポップのときもそうだったが よく聞けジゼル

魔法において重要なのは魔法力だけではない 集中力だ

動揺がそのまま出る その挙句がこの有様だ ・・・勝てぬわけだ」

 

その後 ザボエラの加勢で一度は押し返したが

駆けつけたダイによりまとめてはねかえされ

 

〔4人分の閃熱エネルギーがハドラーさんに直撃

これって相当危なかったですよね・・・〕

 

「オレの下半身が消し飛んだからな

オレが閃熱呪文を得意とし 耐熱能力が高いからこそ上半身が残ったが・・・」

 

体内の黒のコアが爆発しても不思議ではなかったぞ

 

『あなたのしぶとさのおかげで紙一重でダイ達も助かりましたね』

 

そういうことだ

 

[テレビのハドラー様がおっしゃている

【一蓮托生】とはなんですか?]

 

「結果がどうなろうと死ぬまで付き合え

と 言ったつもりだ」

 

[ハイ!ハドラー様!それ!私も!!]

 

ジゼルが手を上げてくるが お前はなあ・・・ 

 

『どちらかというとそれは私ですよね』

 

結局 この先 オレからザボエラを裏切る形になったが

 

【もっと強い力が必要なのだ!!

・・・そう あの竜魔人バランのような・・・

誰にも負けぬ・・・ 地上最強の力が・・・!!!!】

 

〔ハドラーさんが フレイザードみたいなこと言ってますね〕

 

「たとえミストバーンに頭が上がらなくなっても

デッド・アーマーとの合体を選んだときの気持ちがよくわかる」

 

〔ハドラーさんはザボエラの怪しい研究に自分の体を任せてもいいの?〕

 

「ザボエラ親子の研究は長い時間をかけたものだ

その詳細はともかく 成果物の一部は直接運用したことがある

それに純粋に力を得ようとするあの親子の執念、賭ける価値はあった」

 

〔藁にも縋ったわけではなかったんですね〕

 

ついでに黒のコアを取り除いてくれれば文句なかったがな

 

それはさておきマトリフの手によりアバンの手書きの書

【アバンの書】がダイに渡される

 

〔ダイ君 字読めないの!?〕

 

〔勇者の意外な弱点・・・〕

 

〔懐かしいな ボクもカナダにいたとき日本のマンガ読むの苦労したよ〕

 

〔そもそもあの世界どんな言語なんだ?〕

 

「この世界の人間語とほぼ同じだ

だからお前たちとの会話に不自由がない」

 

〔え?日本語ってこと!?〕

 

「オレは人間語に魔族言語 竜言語も使える

たとえどんな異世界でも会話や文字で不自由したことはない」

 

[私もないかな ハドラー様から教わりましたから]

 

『大抵どこの世界でもどこか共通の法則がありますからね』

 

〔肉体改造よりアバンの書を読んだ方が強くなれたのでは?〕

 

「本を読んだだけで強くなれれば苦労はない」

 

アバンの書を読み上げたレオナ姫がその言葉に何かを決意し

テラン王国を離れるときにダイがバランの面影を思い出したところで

今日の映像は終わった

今回の戦いはオレにとって大きな転機となるものだった

オレの生き方を変えるほどのな・・・

 

『ジゼルがこれを見た意味・・・

いつかその答えを見ることができるのでしょうか?』

 

膝の上に乗っているジゼルをふと見る

 

[? ♡!]

 

目が合うと笑ったジゼル とりあえずリングで叩きのめすとするか

 

『なぜ!?』

 

 

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

「ハア・・・ ハア・・・」

 

リングの内外ではオレ以外の全員が倒れている

死屍累々のような光景だがもちろんだれも死んではいない

人化術で人間に近い体となっての戦いの勘をつかんできたが

ジゼル一人にならともかく道場にいた全員の相手は流石に息が切れた

 

[・・・・・・・・・・]

 

オレの目の前で動けなくなったジゼルを見てふと思い出した

 

「ザボエラの毒に倒れ 助けを呼ぶ声すら出せなかったポップが

なぜオレに対しあんなことが言えたと思う?」

 

[・・・?・・・・・・]

 

「後で本人に聞いたことだが・・・悔しかったそうだ」

 

「罠に嵌められ仲間を危険に晒した自分にもだが

自分が憧れた師アバンの仇であるこのオレが落ちるとこまで落ちたことが

師まで貶められたようで悔しくてたまらなかったそうだ」

 

[・・・・・・]

 

「オレの長い戦いの歴史 その中で戦ってきた多くの敵、部下・・・

オレが戦士としての誇りを失い 落ちれば その者たちまで落ちるのだ」

 

   ググ・・・

 

〔そんな話を聞いてしまえば セッシャもこのまま寝ていられないでゴワスな・・・!〕

 

「ほう ミス十両が立ったか」

 

〔私もこのまま倒れていては・・・

送り出してくれた組長の顔に泥を塗ってしまう!〕

 

〔ボクも このまま終わったんじゃ

ボクのライバル達に顔向けできないよ!〕

 

リングの内外で倒れていたジゼル以外のレスラー達が次々と立ち上がってきた

やはりここは よき師よい戦に恵まれているようだ

 

[・・・う・・・]

 

ジゼルも場の熱気に当てられたのか立ち上がろうとしている

そうだ強くなれジゼル

オレよりもアバンの使徒たちよりも

そうすれば・・・

 

[今 ハドラー様よりも強くなったら結婚してくれるって思いました!!]

 

       ガバッ!!

 

「思っとらん」

 

       ベシッ

 

『うわ ひどい』

 

起き上がったジゼルを踏みつぶし・・・

リングを見渡すと レスラーは全員立ち上がっていた

面白い ジゼルが選んだこの修行の場 オレも楽しんでみるか

くくくくくっ!

バルトス、ブラス、キギロ、ガンガディアよ・・・

何故か今日はかつてのようにお前たちを近くに感じる

この環境でジゼルがどう成長するか共に楽しもうではないか

 




暑さでバテ気味のウジョーです
そこにコロナワクチンの副反応の高熱ですっかりダウン・・・
仕事辞めたばかりでよかったとはいえこの夏はかつてない厳しいものに

なかなか治らないと思ったらコロナに感染していてことが判明し入院しました
とてもキツイです 予防策は万全に ワクチン接種済みの両親、祖母は無事ですが
未接種の妹には感染しました ワクチン有効です

感染が広がるコロナ禍に台風と厳しい状況が続きますがおつかれのでませんように


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アニメ鑑賞編 最強剣激突

ジゼルが世話になっている世界の人間の間で流行している伝染病が

さらなる猛威となっていた

オレとジゼルには感染しないのだが オレとの模擬戦の希望者が集まり過ぎることから

オレはしばらく東女道場の出入り禁止となった

 

『まあ仕方ないでしょう こちらの人間社会の都合ですから

とはいえ、7日に一度の楽しみの ジゼルと共にこの世界で一般公開されている

あなたのかつての戦いの記録を見る機会がなくなったのは困りましたね』

 

そもそもなぜこの世界でそんな物が広まっているのかわからぬが

だが 事情が変わった

 

[ハドラー様ーーーー♡♡♡]

 

バッ!!     ペシッ

 

東女寮が見えてきたところで やってきたジゼルダイブをはたき落とした

 

「出迎えご苦労 ジゼルよ」

 

[はい!ハドラー様!

既に準備は整っています]

 

「よかろう ルーラ!」

 

    ギュン!

 

ジゼルを小脇に抱え 瞬間移動呪文(ルーラ)を唱えた

 

 

―神奈川県川崎市 フロシャイム川崎支部―

 

 

       ドン!!

 

[到着しましたね それでは呼び鈴を・・・]

 

     ブー

 

[東女寮の呼び鈴の音と全然違う 面白ーい!]

 

〈はーい!

いらっしゃいませ ハドラーさん ジゼルちゃん〉

 

「世話になる ヴァンプ将軍

これは手土産だアジトの部下たちと食うがいい」

 

〈いえいえ 気を使わせてしまって

毎週アジトのみんなで見てますから

テレビの中と外でハドラーさんがいるなんてすごい豪華!〉

 

『豪華 ですか』

 

玄関で出迎えに来たヴァンプ将軍はこの世界の人間のようにマスクを装備していた

 

「この世界で流行している伝染病はお前たち怪人にも感染するのか?」

 

〈う~ん 人間を改造したタイプの怪人なら可能性はあると本部から通知が来てます

今のところ川崎支部では確認されていませんが

何よりも予防が大事ですから ハドラーさんとジゼルちゃんも

ここでまず消毒をしてもらえますか〉

 

最近この世界ではどこの建物でも行う消毒をすませ川崎支部に入ると

 

  と て て て て て

 

{ハドラーさん ジゼル いらっしゃーい!}

 

{いらっしゃい!}

 

{・・・右折シマス}

 

{ハドラーさん ジゼル チュキ}

 

[ウサコッツたちだ!]

 

『やっぱりヴァンプさんのところのぬいぐるみ怪人とジゼルの組合せは犯罪的愛らしさですね』

 

{アニマルソルジャーが久しぶりに5人揃ったね

テレビ見たらレッド抹殺に行こうよ!}

 

[外でケンカしないように寮長に注意されてるんだけど・・・]

 

{大丈夫!直接戦わないレッド抹殺の作戦をみんなでねろう!}

 

「ククク それは大作戦だな 興味深い」

 

アニマルソルジャー以外にも怪人が3人いた

狼男にミイラ男 覆面男だ

 

〔おきゃく!おきゃく!〕

 

〈あらあら タイザ君!そんなテレビの前にいたら

みんなで見れないでしょ もっと下がって下がって

はい ハドラーさん ジゼルちゃん 座布団をどうぞ〉

 

「ああ ありがとう」

 

[ありがとうございます!

楽しみですハドラー様♡]

 

座布団を抱えて結局オレの膝の上に座るジゼルにこれまでの流れを聞く

 

[ハドラー様のお願いでお城ごとパプニカに攻め込んだミストバーンですが

城はダイに真っ二つにされてキルバーンと一緒に帰るふりをして

ポップを死の大地、だったかな

そこに釣りだしたて暗殺しようとしたところに

ダイが駆けつけてきてにらめっこ状態に・・・

そこで!

ついに!!

ハドラー様が!!!!

ド――――――ンとあらわれて前回は終わりました]

 

「ふむ・・・ あのときか」

 

膝の上で興奮するジゼルの話を聞いて当時を思い出す

どうやらオレが超魔生物に生まれ変わってすぐのことだろう

あのときは肩慣らしをする暇もなかったがこればかりは仕方がない

 

[お歌がはじまりましたよハドラー様!!]

 

「見ればわかる」

 

『ジゼルは本当に待ち遠しいようですね』

 

「今までオレの晒してきた負け続けた姿に思うところがあったか」

 

[そんなハドラー様!?]

 

〈そんなことないですよハドラーさん!

司令官という立場でありながら常に最前線で戦う姿勢!

たしかに何度も負けはしましたが常に勝利を求める不屈の精神

レッドさんにいつもやられている私たちは勇気をもらいました!〉

 

「ヴァンプ将軍 その扱いではまるでオレが勇者のようではないか」

 

『嬉しいのですか?』

 

馬鹿を言うな 歌が終わった 本編がはじまるぞ

 

[ハドラー様が兜とマントを吹き飛ばして

ハドラー様のお姿が!!]

 

〔うおおお かっけええ ハドラーさんのバトルフォーム!

レベルたけええ!!〕

 

『これって全裸なのでは?』

 

お前と同じだろう

 

〔ハドラーさん 改造手術のすぐ後ですよね

痛みとかはなかったんですか?〕

 

「あのときは どうだったか・・・

たしか気分としては歓喜で高揚していたからな」

 

『歓喜?ダイがいたからですか?』

 

・・・・・・久しぶりに動けるからだ

 

『今日の映像のあなた 笑顔多いですね』

 

[ハドラー様 すごく楽しそう]

 

オレとダイの一対一の勝負がはじまった

 

〈すごい!

あのお城を真っ二つにしたダイ君を圧倒してますね!〉

 

「まあこのときはな・・・ダイが消耗していたこともあるが

地上最強生物である竜魔人を目指した超魔生物への改造

研究者だったザムザでは劣化クロコダイン程度だったが

そのデータを元にオレを母体とすることであそこまで完成した」

 

〈なるほど 勉強になります〉

 

【海破斬!!】

 

[ハドラー様の爪が切られた!?]

 

〈ああ!?〉

 

〔爪切り! 爪切り!〕

 

映像内では左手で持ったダイの剣の一閃でオレのヘルズクローが斬られた

 

「ダイが剣を右手に持ち替えアバンストラッシュの構えか・・・

ジゼルよく見ておけ この一撃の行方を」

 

ジゼルが不安を隠しきれない表情でオレの右手を握る

今のオレの右腕にはないがこのときのオレには切り札が宿っていた

 

【アバンストラッシュ!!!!】

 

[ハドラー様!?]

 

『!?』

 

{ああハドラーさん!?}

 

ジゼルの悲鳴があがるが映像内のオレはアバンストラッシュB(ブレイク)を右腕一本で止めていた

 

[すごい・・・

フレちゃんをバラバラにしたあのアバンストラッシュをうけてなんともないなんて

流石ハドラー様♡]

 

〈おお ハドラーさんの右腕に剣が!

ヘンゲル将軍のハサミみたいに!〉

 

『ハサミなんて武器になるのですか?

薄い紙を切るときにジゼルが使っていた道具ですよね?』

 

ガニラスのようなカニ系モンスターは持ち前のハサミを使うし

オレ達の世界の人間の戦士も大鋏(おおばさみ)を使うやつがいた

と ここで戦いの映像は一時中断

 

〈いや~ここでCMに入るなんて あっというまでした

手に汗握る戦いでしたね ハドラーさん〉

 

{ハドラーさん ハドラーさん ぼくのデーモンクローと

ヘルズクロー どっちが強い?}

 

ウサコッツがぬいぐるみにしては鋭い爪をだしてきた

 

「・・・それは難問だな」

 

〔正義の勇者(ヒーロー)と改造手術を受けてパワーアップした悪の司令官の一騎打ち!

しかも伝説の名工の特注最高傑作の剣対伝説の名剣!

燃えてきたーー!〕

 

〈私たちもレッドさんとこんな対決してみたいね~〉

 

〔ヴァンプ様がヘルアーマー着てレッドと戦ったときはいいセンいってましたよ!〕

 

〈え! そう!?〉

 

ほう そんなこともあったのか

 

〈そういえばハドラーさん

先程死神さんがあのバトルフォームから戻れなくなったと言ってましたけど

今のハドラーさんは角やトゲトゲがないですよね〉

 

「ああそれは・・・」

 

〈あ もうCM終わっちゃいましたね〉

 

『あなたの体の元になった灰は少量でしたからね

子守りに不要な部分まで再生させてもしょうがないですし』

 

今 わざわざ言うようなことでもないか

映像による戦いはオレが発した魔炎気でダイを捉え

必殺の超魔爆炎覇が炸裂・・・

 

『・・・してませんね よかったダイは無事です

ポップ君のおかげですね そもそもここに来たのも彼のせいですが』

 

[ルーラって便利ですね あの状態で助けられるなんて]

 

「いい加減にお前もルーラをおぼえろ

トベルーラにリリルーラ バシルーラも使えるのに

なぜいまだにルーラが使えない・・・」

 

[なぜなんでしょう?

あ ポップ魔力切れだ 最初からパプニカに飛べばよかったのに

流石ハドラー様 余裕で追いついてますね]

 

「ポップはダイを助けるためにとっさに動いているからな

冷静な判断力が欠けている

まあそもそも冷静な判断力があればこんな窮地になってないが」

 

だがここでポップがオレの精神的成長に気づきオレに対する評価が改まったのは・・・

 

『随分と 嬉しそうですね』

 

〈ミストバーンさんがここまで誘いこまなかったら

ハドラーさんはどうするつもりだったんですか?〉

 

「そのままパプニカに乗り込んで戦うだけだ

ダイ達パーティ全員を相手に命の限り戦うまでだ」

 

『あなたは元々そういう方でした』

 

わずかに視点がザボエラに移った

この戦いを水晶玉で覗き見しながら自らの研究成果に興奮していた

息子のザムザや多くの怪物を犠牲に神の生み出した竜の騎士を圧倒したことに

これ以上ない喜びを表していた

・・・だが このときのオレの頭にはザボエラのことはまったくなく

共に喜べる気もしない

 

『一蓮托生が聞いてあきれますね』

 

・・・その通りだ それが後で決定的な決別となる

 

[ハドラー様がいったーーーー!!]

 

【超魔爆炎覇!!!!!】

 

【 ズカ ァ ァ ア ン 】

 

〈ダイ君が海に落ちた!?〉

 

〔すっげええ ハドラーさん超つええ!〕

 

[ハドラー様が勝ったあ!!]

 

オレの膝の上で大はしゃぎしているジゼルには悪いが・・・

 

【さすが勇者・・・ こうでなくてはな!!!】

 

[ああ!?ハドラー様も海に落ちた!!?]

 

〔あんな冷たそうな海に!

あ でもハドラーさん 焦げてたから冷やしに行ったのかも?〕

 

「あれは相打ちだ ダイの反撃を受けて不覚にも一瞬意識がなかった」

 

オレとダイが海に落ち ミストバーンがオレの救出に向かい

空にはポップとキルバーンが残った

そして死神の鎌がポップに迫るところで今日の放映は終わった

 

 

 

〔ハドラーさんが海ポチャしてからどうなったか

ハドラーさんは知ってますか?〕

 

「いや 知らん ポップとはまた顔を合わせたから

このときは逃げ切れたようだが」

 

〔海ポチャ 海ポチャ〕

 

この狼男は少々かしこさが足りないようだな

 

〈こらこらタイザ君 失礼でしょ!

すみませんハドラーさん

そうだ もう10時になりますしおやつを食べましょう〉

 

「ああ よかろう」

 

東女道場ならこの後模擬戦となるがここではおやつか

 

〔ジゼル ずっとハドラーさんの膝の上に座ってるな〕

 

[大好きなハドラー様と久しぶりに会えたから

ハドラー様がお許しになる間はここを離れないよ]

 

「別に許してはおらぬが・・・」

 

{へー じゃあウサちゃんがレッドの家まで行って

膝の上に乗ってるのって・・・}

 

{そんなんじゃナイやい!

大体はあそこはかよ子さんの家だよ!

レッド抹殺のために乗り込んだついでに絵本を読んできただけだい!}

 

「そんな抹殺作戦はじめて聞くぞ」

 

{もー!ヴァンプ様ー!おやつたべよー!}

 

〈はいはい みんな食べる前にちゃんと手を洗ってね

ハドラーさんとジゼルちゃんもお願いします〉

 

    \\はーーい//

 

ヴァンプ将軍が立ち上がり台所に向かい

オレもジゼルをおろし腰を上げようとしたところで

 

   ガラッ!  ドカドカドカ!

 

【おい ヴァンプ!!】

 

〈あ レッドさん!? 今日は対決の予定じゃないですよね?

また珍しいスーツ着て・・・〉

 

【てめえらに用はねえよ

オレのレッドイヤーがハドラーの声を捉えた

テレビの声じゃねえ 間違いなく本人の声だ!

あいつを出せ!!】

 

{レッド!ぶっ殺すよ!!

デーモンクロー!!!!}

 

     ガシィ!

 

【だからおめえらに用はねえんだよ!】

 

{ああ ウサちゃんが捕まった!?

弱い者いじめはやめろよレッドー!}

 

{ピー・・・チャージカイシシマス}

 

{レッドコロチュ!}

 

[ハドラー様を狙うなら私を倒してからにしてもらいましょうか!]

 

【なんでちっこいのばっかワラワラ来るんだよ!!

いいからハドラーを出せ!ハドラーを!!】

 

廊下が途端に騒がしくなった

どうやらあの太陽の戦士が来たようだ

前にオレが上には上がいることを教えてやったが

懲りずに再戦が望みか

ならばまた相手をしてやろう

映像のオレばかり いい格好させていられん

 

【あんなヘロヘロになってたガキに相打ちになるような再生怪人に

見せてやるぜ!オレの高機動形態プロミネンスフォームを!!】

 

「ククク 面白い話をしているな

ならばオレも見せてやろう

今のこのオレが・・・

超魔生物さえも超え 何度も生まれ変わった先で磨き続け

手に入れた力を・・・!!

そしてそれが・・・

この世界の勇者の力をどれほど超えているかをなっ!」

 

『やはりあなたはテレビを見ているよりも

そうやって動いている方が性に合うのでしょうね』

 




8月はコロナ療養で潰れてたウジョーです

ホテル療養終えても後遺症と落ちた体力もあっていまだに本調子に戻りませんが
またボチボチ書いていきます
ちょうど今回の話はそんな療養中に放送されていた アニメ化が楽しみだったハドラー様
復活+リベンジマッチ!に元気をもらったりしてこれだけは拙作でも絶対やろうと思ってました
本当はこれ以降の回も書きたいところなんですが執筆ペースが上がらないのが何とも

キン肉マン最新話のサンシャインがジェロニモに言いたいこと全部言ってくれたりして
次回はサンシャインだそうかなとか ハドラー親衛騎団のときはヒムもだそうか
など書きたいネタは次々あるので余計にもどかしいところ

コロナ禍がなかなか落ち着かないこのご時世
お疲れのでないよう どうぞお労りください


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アニメ鑑賞編 アバン流究極奥義

   ―魔界の城内―

 

  ビシ!!

 

【グオッフォフォフォ

どうした この程度でもう音を上げるか!

お前たちが戦う相手は拳を握る力が残っていれば

たとえ心臓が止まっても自ら動かして戦い続けるぞ!!】

 

サンシャインが竹刀を振り回し

 

     バスバスバス!

 

【カーカカカカ

なんだそのぬるいパンチは!

腐り落ちる寸前のテリーマンにすら遠く及ばんぞ!!】

 

アシュラマンが6本の腕で3つのサンドバッグを支え

 

   ズン!

 

「ククククッ

この世界の悪魔の力はこんなものか

これでは汗一つかかんぞ」

 

オレがリングでこの世界の若い悪魔たちをまとめて倒していた

 

この世界で知己を得たはぐれ悪魔サンシャインに誘われ

魔界で若い悪魔たちを悪魔超人に育て上げる訓練に参加している

まだ数日程度の付き合いだが実に面白い

若い悪魔はまだ十人にも満たないが

既に正義超人を相手に実戦を経験しているようだ

結果的に全員既に敗北しているがそれを糧にギラギラとした目で

日々の精進を怠らないやつらだ

 

「どうだレックスキング 自慢のパワーが通じない気分は?

上には上がいることがわかったようだな

そこでうずくまっているMAXマンよ

その祖父ゆずりの自慢の強靭なボディがオレの拳の一撃で沈んでどうする

そして抜け目なく死んだふりで隙をうかがうテルテルボーイよ

殺気が隠しきれていないようではまだまだだ」

 

【重心を常に意識しろ!

超人パワーに振り回されるな!】

 

   \\ハァ ハァ ハァ・・・//

 

【デーモンシードどもよ!

ジェネラルストーンで得た力は仮初のものだが

感覚は忘れるな!!

サタンの誘惑とは言えおまえ達の潜在能力の一端であることは違いない

自分の肉体を鍛えあげればそれ以上の力を揮うことができる

そのときこそ力に溺れず完全に使いこなせるのだ!!】

 

    \\オウ!//

 

   ゴーーーン!!

 

【この鐘は・・・ もうそんな時間か

フン!】

 

    カァ

 

  グワグワ

 

  バァァン

 

サンシャインが壁に拳を向け光線を放つと

 

『映像がでましたね・・・

これは あの過去映像の最新話でしょうか』

 

「冒頭の映像と歌が変わったようだが

たしかにあれだな 今日はドヨウの日だったか?」

 

【お前さんたちの戦いの映像はワシらも注目している

観戦することで参考になることも少なくない

リングを降りて共に見ようではないか

おまえ達はスクワットをしながら見ろ!】

 

   \\ハッ!サンシャイン首領ヘッド//

 

【カーカカカカ アバン流究極奥義か

今日はタイトルから期待できそうだな

おっと いきなりハドラーが血を吐いているではないか】

 

「あの時か・・・」

 

『やっぱり神に逆らう所業とも言える超魔生物の改造は

リスクが大きすぎるようですね』

 

「当時のオレもそう思っていたのだがな・・・」

 

【強さとはむなしいもの か、このときのハドラーはこう言っているが

今もハドラーは強さを求め己を鍛え上げ続けているではないか?】

 

「このときのオレも言っているが

宿敵に負けたままでいたくない それだけのことよ」

 

【なるほど 実によくわかることだ

ム おまえさんの息子の目に涙が

これはつまり・・・】

 

【だれかのために流す涙 あの小僧も一皮むけるか】

 

「目を潰されたフェンブレンが帰還したか・・・

このときはあえて不利を承知で

あやつはオレが目の修復をしようとしたのを断った」

 

【ドヘッドへッ 断った?何故だ?】

 

スクワットをしながらボルトマンが当然の疑問を口にした

そういえばこやつフェンブレンと目が似ている

 

「やつにはじめて芽生えた感情・・・執念

それを薄れさせず磨くためだ」

 

【執念か・・・

我ら悪魔超人の原動力は 反骨心 劣等感 憎悪

そういった強い負の情念だ

そして正義超人との戦いを通じて僅かながらも浄化され新たな強みも得たがな】

 

「なるほどヒムとフェンブレンはその力に目覚める素養ができたと言える」

 

現在のヒムはまさにそれを体現しオレの駒から

一個の独立した男となっている

やはりサンシャインやアシュラマンは伊達に歳をとっていない

 

【カンラカンラカンラ

ハドラー殿 オレは体内に内臓したからくり人形を操り

戦いに使用する技を得意としている

本来チェスの駒でしかなかった物をあのような戦士にしたのは

ハドラー殿の力によるものなのだろう

オレに何か助言をもらえないだろうか】

 

この男はたしかザ・タトゥーマンだったか

 

『大きな体に見合わない戦い方をするのですね』

 

肉体能力もなかなか見所はあったがな

今もスクワットにキレがある

 

「いいだろう 禁呪法を教えるわけにはいかんが

この映像を見終わった後に手ほどきをしてやろう」

 

【おお・・・ 感謝いたします】

 

『よろしいのですか 適当なことを言って』

 

今はこの映像に集中したい

バラン対クロコダインとヒュンケルか

全員元魔王軍軍団長ではあるが

まともに戦えばバランに分があるはず

 

「バランの口から大魔王バーン打倒を公言したか」

 

『本来の竜の騎士の使命から考えれば当然なのですが・・・

せっかくならこの機会にダイと和解すればよいのに』

 

クロコダインもそう思ったのかバランに歩み寄りを提案するが拒否し

戦闘態勢に入ってなかったとはいえクロコダインとヒュンケルを力で圧倒した

 

【圧倒的だな竜の騎士の力というのは】

 

「いや あれはバランも本気ではない

その気になれば剣を使っている」

 

【カーカカカカ

何かを隠そうと振舞っているようにも見える】

 

「たしかに どうやらヒュンケルもそれに感づいたか」

 

『照れ隠しでしょうか?』

 

あながち間違ってはいないだろうが・・・

それでクロコダインが吹き飛んだぞ

 

「ム ヒュンケルのあの構えは・・・まさか」

 

不覚にも冷や汗が流れるのを感じだ

 

【武器を捨てた? 素手でのとっておきがあるということか

これは期待できそうだ】

 

武器を捨てヒュンケルが闘気を消し

バランも自らの闘気を抑えながら技の正体を読み当てる

当時のオレにこのような冷静な洞察力があれば

 

【捨て身のカウンター狙いか

アバン流究極奥義無刀陣

たしかに強大な力を前には有効だが・・・】

 

『あなたとアバンの過去話が入りましたね

あ、また死んで・・・』

 

言っておくが オレが死んだのはこれが最初だ

 

『ジゼルがまたこれを見て泣いているのでしょうか』

 

・・・・・・

 

【・・・このヒュンケルという男

恐ろしい領域に達しているな】

 

【ああ・・・

我らの宿敵 正義超人のリーダー格キン肉マン

やつの火事場のクソ力 それをかなり高いレベルで習得したようだ】

 

「ヒュンケルが・・・」

 

【恐怖を乗り越え無我の境地にいたり己の限界を引き出し

仲間や守るべきものの為に限界を超える友情パワー

そして敵のためにその力を尽くす寛容の精神で更なる力を得る

そこにあの若さで到達した ・・・これは見逃せん】

 

あのバルトスが酔狂にも拾った赤子だったヒュンケルが

この悪魔超人の首領らが認めるほどの猛者になったか

 

『誇らしいのですか?』

 

別にオレが誇ることではないが

・・・あいつもオレを殺した一人であり

オレの最初の子バルトスの息子であり

宿敵アバンの誇る一番弟子

オレにとっても因縁浅からぬ男だ

 

「今映像があったがヒュンケル自身

アバンに返り討ちにあったときに無刀陣を直接受けて体が覚えている

その経験が生きているのだろう

堂々とカウンターを狙う相手にバランがどうでるか」

 

【ゲパー 魔法とやらであの構えを揺さぶれないのか?】

 

「ヒュンケルの鎧は魔法が通じぬ

電撃呪文は音が大きすぎて魔王軍に感づかれる」

 

『実際あなたの子供たち ヒムとアルビナスがもう来てますね』

 

【ブロローン 男同士の一騎討ちを横槍で潰そうなどと

いかに強かろうと所詮は命令を聞くだけの人形か】

 

「メルトダウンよ それは違う

アルビナスはオレの不興を買うことを覚悟で

オレのために介入をしている

あくまで自分の判断でオレの命令を越えだしてきた

・・・結果的にアルビナス自身かなりのダメージを負ったが

これも成長(レベルアップ)といえる」

 

【ヒュンケルも大ダメージを負ったか

魔法(ギガデイン)を使っていないからギガブレイクではなく

あくまで闘気剣としての威力のようだが よく生きていたな】

 

「あの男の不死身ぶりは筋金入りよ

あの傷でも戦線離脱するとは思えん」

 

『あなたの系譜ですからね

ジゼルもたくましく育ってほしいものです

死線を何度も経験するような生き方はしてほしくないですが』

 

『・・・バランの態度が大きく軟化しましたね

あのヒュンケルとの戦いとクロコダインの涙のおかげで

ついにバランとダイが肩を並べる日が!

このようないいところでおしまいですか!?』

 

もうそんな時間か

む 今 でた竜はお前ではないのか聖母竜よ

 

『・・・どうでしょう

あまり自分の姿は見たことがないもので

おそらく私、なのでしょうか?』

 

2匹いるが お前の同種がいたのか

 

『そのようなことはないはずですが

竜の騎士の生と死を司る役目は私だけですので

本当にどなたでしょうか?』

 

お前にもわからんのか もしや他にも竜の騎士がいるのか?

 

「今日のところはこれで終わりか」

 

【いや これはビデオだ

ステカセキングに頼んだ録画映像よ

まだ続きがあるが・・・その前におまえ達スクワットをやめい

先の戦いを検討しよう

敵がカウンターを狙い動きを止めたときどう攻めるか】

 

若い悪魔たちがそれぞれ意見を出し合う

それぞれ自らの能力を生かし 敵の体勢を崩し隙を作ろうとするもの

遠距離からの攻撃で力を削ごうとするもの

バランのようにダメージを覚悟でカウンター返しを狙うもの

掴みかかって投げ技や絞め技に持ち込もうとするもの・・・

 

【ハドラー おまえならあの無刀陣に対しどう攻める?】

 

「オレがデルムリン島でアバンと再戦したときは

壁に追いつめ腹に痛恨の一撃を見舞ってやったが・・・

その状態から脳天にメガンテ自己犠牲呪文を撃ち込まれた

あそこまで捨て身でこられては互いにただではすまん」

 

あれは忘れられん・・・

オレの体験談も踏まえて悪魔たちの議論は過熱していく

 

『早く映像の続きを見ましょうよ!』

 

しかし聖母竜のボヤキはとどかなかった

 




ダイの大冒険アニメが熱すぎて正直今回~聖母竜登場回まで毎回更新したいほどのなのに逆に諸事情で今回の更新が難産だったウジョーです
これでいくらかすっきりしましたがハドラー様最後の戦いまでにどこまで書けることか
ちなみにトリビアの泉で紹介されていた音楽用カセットテープに映像を記録再生することが可能らしいのでステカセキングならバージョンアップして映像もエアチェックしてても不思議ではない、かも・・・

令和3年も早12月 今年はコロナでダウンしたりもしましたがどうにか年を越せそうです

寒さも一層厳しくなってまいりますが年末の疲れが出るこの時期お疲れのでませんように


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アニメ鑑賞編 親子竜出陣

『ああ! ダイとバランが

私のかわいい孫と子が!!

わだかまりを捨て ついに手を取って・・・』

 

まだわだかまりは捨てきれていないぞ

背中合わせで会話もまともにできん 不器用な似たもの親子だ

 

『それでも!

親子で協力して大きな障害を乗り越えて大魔王へ挑む!

これぞ竜の騎士の親子のあるべき姿!!!』

 

その障害はオレとオレの子だ

 

【しかし海中から攻めるのなら竜の親子だけではなく

水棲生物のワニの化身超人クロコダインも連れてきゃあいいのに

あいつオレの親父のスニゲーターjrにちょいと似てて

親近感があるから活躍してもらいてえなあ】

 

「地上の足止めがポップとマァムだけでは不可能だ

本来の布陣であれば親衛騎団全員で迎撃のはずだった

5対2では勝負にならん」

 

【3人でも厳しいだろうに グォフォフォフォ

しかも仲間割れで無駄に体力を減らしているのう

ポップは敵よりマァムにどつかれたダメージの方が多いのではないか?】

 

「ポップにとっては本望だろう

オレに殴られるよりマァムに殴られた方がうれしかろう」

 

『ええ・・・ 人間って・・・』

 

【そして親衛騎団との戦いがはじまるところでCMか

おっとステカセキングが編集でカットしていたか】

 

【水中の門の前にフェンブレンか・・・

たしかにここで待ち伏せすれば確実に会えるか】

 

「オレの命令を無視しての独断専行

敢えて目の治療を拒み臥薪嘗胆 復讐の炎を滾らせ

竜の騎士に挑む、か」

 

『あなたに似てますね

でもどちらかと言うとフレイザードに似ている気もしますね』

 

【おお また視点が変わった

あの戦士 やはりただ寝ているようなやつではなかったか】

 

【あの女 ヒュンケルを言葉で止められそうにないから武器を捨てたか

何と浅はかな・・・ 拳ひとつで戦うだけだろう

それにあれほどの武器を ただすてるなどとんでもない】

 

【そのまま歩いているが 死の大地へどうやって行くつもりだ?

船と港は壊した やつは魔法が使えんのだろう】 

 

「一度行ったところはキメラの翼を使えば行けるはずだ

前線基地ならひとつやふたつあるだろう

外を歩いているのはおそらくあの魔槍によばれたのだろう

しかし ヒュンケルが女に告白される様子まで見れるとはな

しかもオレとダイ達が決死の戦いにのぞむ裏でな ククク」

 

『彼の父であり あなたの息子であるバルトスも

女性とのロマンスがあったのですか?』

 

かつてのオレの幹部の中で部下からの人望がもっともある男であり

酔狂なところもあったからな・・・

また視点が変わったか まっていたぞフェンブレンとダイ達だ

 

【水中で強力な真空波を使い武器を吹き飛ばすか

なるほど 直接ダメージを与えられなくても動きを阻害すれば・・・】

 

【まるっきり超電磁スピンだな

まさに必殺技 これならばあのバランといえど・・・】

 

「バランやぶれたり!?

ここで終わるだと!?

くっ サンシャイン 次だ!早く次の映像を!

次回予告とやらも歌もいらん!!」

 

『先程の私と同じことを言ってますね』

 

     フッ

 

[ハドラーさまー!!!ハドラー様!ハドラー様♡!!]

 

「『ジゼル!?』」

 

いきなり合流呪文(リリルーラ)であらわれオレの背中に張り付いてきた我が娘ジゼル

 

「ジゼル!

東女で修行中の間は勝手にオレのもとに来ることは禁じたはずだ」

 

『あなたはこんなときに!

ジゼル 私に会いに来たのですね』

 

[ハドラー様 東女ではお正月にはお休みになるので

家族に会いに帰ったり 神様にお参りするものです

ですからハドラー様のもとに帰るのも

神様であるお母様に会いに行ってもよろしいかと]

 

『その通りですね ジゼル』

 

おまえは神の使いと名乗っていたはずだが

 

【グォフォフォフォ もう地上は正月だったか

我々悪魔超人は365日全て訓練の日々だからすっかり忘れておったわ】

 

背中のジゼルを引きはがし数ヶ月ぶりにジゼルを見たが・・・

 

「縮んだか?」

 

以前見たときはダイ程度の身長程度まで成長したはずだったが

ブラス並の身長まで縮んでいる

人化術中の竜の姿は内面の成長が反映されるはずだが・・・

 

「ジゼルよ お前は大きく成長するために東女に修行に行ったはずだが

しばらく見ないうちにひと回りもふた回りも小さくなってきてどうする!」

 

『これはこれで可愛いからよいかと』

 

【落ち着けハドラー

地上の感染流行によりしばらく会えなかったのだろう

多少の幼児退行程度 大目にみておけ 子供らしい愛嬌よ

このまま墓参りなり 他の子の様子を見るなりすればいいではないか

ではビデオ鑑賞は今日はこれまでだ

また後日来たときに続きを見ればよい】

 

ジゼルを放り投げると 自然とため息がでたが

 

「ハァ・・・ 行くぞジゼル」

 

またもジゼルがオレの背中にとびついてきた

 

[ハドラー様大好き~♡]

 

【傑作だな

まるで先のヒュンケル達の告白シーンの再現ではないか

因果な家系ではないか カーカカカカ】

 

【グォフォフォフォ】【カンラカンラ】【ドヘドへドへ】

 

悪魔超人たちが一斉に笑い出し

オレはジゼルを背負ったままルーラをとなえた

 




あけましておめでとうございます 毎度正月太りがきついウジョーです

ダイの大冒険アニメ本編のぺースに鑑賞編がついていけないですがもう今更なので
今年はさらにマイペースな更新になりそうです
本年もよろしくお願いいたします。


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居酒屋ハシゴの旅 THE大虎 2

    居酒屋 大虎

 

   ガラ

 

〔らっしゃい〕

 

年季の入ったドアを開け店に入ると店主が煮込みを作っていた

 

〔お 久しぶりやな お客はん〕

 

「ああ 今やってるか?」

 

〔やっとるで

このご時世 夜は遅うまで開けられんから

昼間っからやらんと儲からんのや〕

 

「では煮込みをひとつ

あれはうまかった」

 

〔そういうてくれるお客はんが わては

一番うれしおますで 塩辛もどうだす〕

 

「もらおう」

 

〔おおきに おおきに〕

 

   ガラ

 

〔おっちゃん ビール持ってきたで

お ハドラーさん おいでやっしゃ!!〕

 

〔ボン!もう座って飲む体勢やないか!

まだ昼やぞ 配達はいいんか〕

 

〔昼の野球ニュースを見てくだけやないか

キャンプの映像見れりゃいいんや

おでんひとつ〕

 

〔まったく気楽なもんやな〕

 

「キャンプ?」

 

〔プロ野球はシーズン前にチームで遠征して練習するもんなんや

ここのあぶやトラも今行っとるで〕

 

〔去年の日本一とったんやさかいドルフィンズの扱いが長いとええんやがな〕

 

「ほう 人間たちの間で伝染病が流行っていると聞いていたが」

 

〔そうやな そのせいでキャンプもファンが見に行けん静かなもんや〕

 

〔おっちゃんの店かてこんなぴらぴらぶら下げて仕切りこさえて感染対策してるんやで

プロ野球はもっと大変や

超人レスリングの興行も最近やってへんやろ〕

 

「サンシャイン達はまだ予定がたてられんとは聞いているが」

 

    \\にょほほほほ//

 

  \\グワラグワキーーン!!      バン!!//

 

   \\ばかたれ~!

こんなおいぼれのタマ~ スタンドへほうりこめんでどうする!

おまえのプレイボールホームランをファンに見せたらんかい//

 

\\そうじゃ!鉄っつあんにサービスしとる場合じゃないで

フェンス直撃程度じゃ打ったうちに入るかい!//

 

   \\ほな場外のファンまで届かせてやろうやないか!!//

 

〔・・・岩田監督も五利コーチも元気すぎるで

ありゃ本当に100歳過ぎてもあの調子やな〕

 

〔あの二人から見りゃ あぶも岩鬼もまだまだ小僧や〕

 

「どこの世界も イキのいい老いぼれがいるものだ」

 

『人間の心の強さのあらわれでしょうか』

 

〔そういえばハドラーさん 朝のテレビで見たんやけど

あの空飛ぶ大魔王の城で最後の挑戦とかやってたで〕

 

「ああ あれか・・・ おまえ達もあれを見てるのか」

 

バーンパレスでダイに最後の戦いを挑んだときのことかだろう

もうそこまで話が進んでいるのか

 

『私がダイを通して あなたをはじめて見たのはその時ですね』

 

「・・・そうだったのか」

 

〔ハドラーさんはこんなとこにいていいんでっか?〕

 

「あれは過去の記録を再現したものだ

オレは直接関わっていない」

 

〔へー そうなんやな 今度ここで見ていかんか?〕

 

「まあ 考えておこう

それよりも知恵を借りたい」

 

〔なんやなんや?〕

 

「伝染病の再拡大により東女に預けてある娘のジゼルと

会えなくなったことで母親がうるさくてな・・・」

 

『ジゼルに会えないんですよ!

こちらに何の落ち度もないのに理不尽な!』

 

やかましい

 

「先月 正月休みとやらで会ったばかりなのだが

オレとしては預けたまま数年は放っておくつもりだった」

 

〔わかる!わかるで!

可愛い娘と会いたいのに会えんちゅうのがどれだけ辛いか〕

 

〔おっちゃんはひとり娘と孫を溺愛しちょるさかいな

まあここ一ヶ月でまた爆発的に広がってるから

たとえ親子でも中々会えんちゅうのはこのご時世よく聞く話や〕

 

「オレもジゼルも人間ではないから病気がうつることもないのだが」

 

〔それやったら 理由さえあればなんとかなそうやな〕

 

〔・・・お嬢ちゃんは今 いくつぐらいやねん?〕

 

「たしか生まれてから6、7年ほどだな」

 

『そうですね 竜には誕生日を祝う習慣がないですし

この世界とは暦も違うので人間で言う年齢とは多少違うでしょうが

もうそれほど経ちましたか・・・』

 

〔せやったら 七五三はどうや?

東女はレスラーに伝統行事のイベントレスラーとか積極的にやるんや

ジゼルをそれに推薦してその打ち合わせとかなんやかんや理由を作って

会えるようにするんやないか〕

 

『なるほど』

 

「七五三とはなんだ?」

 

〔子供の成長を祝う伝統行事や

大阪でも東京でもやっとるはずや〕

 

〔ボン 七五三は11月 ずっと先やないか〕

 

〔ようおぼえとるなおっちゃん けどそれは問題ないねん

実際やるとなったら準備は何か月も前からやるもんや

リングコスチュームの用意やらもあるんやで〕

 

〔ぎえええー  ボン それや ナイスアイデアや〕

 

〔そうやろ 

動くなら早い方がええ 企画持ち込んだりするコネは・・・〕

 

「ああ それはオレがどうにかする

ジゼルの装備衣装も竜族用の特殊な仕様で全てオレが作る

今よりもジゼル会うことになるだろう」

 

〔あんた服も作れるんか?

見かけによらんと多才やな〕

 

「だが七五三とやらがよくわからん

装備を作るにしても想像もつかんのだが」

 

   ガラ

 

〔ごめんください〕

 

〔らっしゃい 中島先生ええところに

日本一の画家先生ならジゼルちゃんの着物の絵がかけるやないか〕

 

「ほう」

 

〔おや これはハドラーさんがいらっしゃるとは

どうやら面白そうなお話をしているようですね〕

 

〔せやせやちょっと聞いていきいや〕

 

これまでの話を説明していくと

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

〔なるほど・・・一般的な七五三のお着物だと こう〕

 

   サラサラ

 

ジゼルが華やかな服を着た絵がみるみる描きあがっていく

 

『ジゼルかわいい!』

 

なるほど大した腕前だ

 

〔この居酒屋大虎と寅年であることも踏まえまして

トラにちなんだ色合いや意匠を合わせて・・・〕

 

   カリカリカリ

 

新たな紙に新たな絵を描き上げる

黄色と黒を基調としより動きやすく攻撃的な服といえる

 

〔ええな トラの縦縞 決まりやで〕

 

『この服を着たジゼルを直接見たいですね』

 

〔7歳ですと女の子が初めて帯を結ぶ儀式ですから

帯を特徴的に見せていくようにこういった・・・〕

 

〔お~ こらまた合うな~〕

 

  カリカリ

 

〔ハドラーさんと聖母竜さんのカラーを盛り込んで

色合いをこのように袖と帯に・・・〕

 

『あら嬉しい』

 

聖母竜の姿までこの世界にさらされたのか

元の世界よりもその存在が知られているようだな

 

  ぬりぬり

 

次々と描きあがっていく様々な服を着たジゼルの絵

 

『実際作るのはあなたですが

ジゼルに選んでもらいましょうか』

 

妙な話になってきたがこれも一興か




ダイの大冒険アニメ本編が熱すぎて毎週楽しみなウジョーです

ついにハドラー親衛騎団最後の戦い 鑑賞編も本腰入れ、ようかと思ったはずなんですが
つい あぶさんやドカベン読みふけったせいで居酒屋ハシゴの旅になってしまいました
がんばれがんばれドカベンと頑張り続けてくれたおかげでドカベンだけで単行本本数が…

コロナ拡大のニュースに戦々恐々の日々ですが 昭和平成をたくましく生きた
タフガイ揃いの水島新司先生の名作が今こそ必要だと感じます


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七五三編 執念

「むう ここまでか・・・」

 

サンシャインらとともに魔界でかつてのオレとダイの戦いを見ていた

ダイのアバンストラッシュXで一度はオレが倒れるも

立ち上がりダイも尽きかけた闘気を補うように魔法剣を使ったところで終わった

 

『あくまであなたとの一騎打ちにこだわるダイ

このとき私はダイの中からあなたを見ていました』

 

【執念か よくおぼえておけ おまえ達

悪魔というものはただでは死なん】

 

【たとえ刀折れ矢尽きるとも

“あきらめない心”がある限り戦い続ける

それが真の悪魔というものだ

さあテレビはここまで

折角当事者のハドラーがここにいるのだ

この機会にその力を味わうがいい

ハドラー あの超魔爆炎覇を頼めるか?】

 

「ほう 言っておくが先の映像は何年も前のことだ

転職し新たな力をつかみとった今のオレの方が強い

若い悪魔どもの命は保証できんぞ」

 

【グオッフォフォフォ

全員に一発ずつではない 全員まとめてお見舞いしてやってくれ】

 

「それは面白い リングに上がれ若造共

オレも久しぶりに・・・味見をしたくなった!」

 

    ゾクッ

 

【カーカカカカ

やはり大したものだ リングに上がる前に声ひとつで場を支配した】

 

リングの上で悪魔超人の若造が勢揃いするのを待ち構え

ヘルズクローに魔炎気を乗せ力を高める

 

【結局テレビでは見れなかった大技を直接受けることができるとは】

【ゲパー―!】【カンラカンラ】【ドへ~】

 

「ではいくぞ せいぜい生き残るがいい」

 

オレの闘気の高まりにこのリングが、

いや この魔界が震えるのがわかる

この外へ逃げる力を先の映像で俯瞰して見た

[真龍の戦い]でオレに注がれたあの高密度なエネルギーの流れを参考に

ヘルズクローへ集束する

 

    ピタ

 

かつてダイに向けて放った全身全霊の一撃を越える力を今!

 

「超魔爆炎覇!!!!とくと見よーーーーっ!!!!!」

 

  ズガアアーーーーーン!!!

 

・・・・・・・

 

リング上で倒れ伏した悪魔超人たち全員の生存を確認し

死相がでていたテルテルボーイに回復呪文をかけた

 

『顔に[死]と表示されるのはわかりやすいですね』

 

【ありがとうハドラー 若い悪魔超人にはよい経験となっただろう】

 

【カーカカカカ やつらはしばらく今の技の恐怖に囚われるだろうが

その恐怖を乗り越えたとき 悪魔として一皮むけるのだ

・・・我々が恐怖の将 悪魔将軍様にやられたようにな】

 

【グオッフォフォフォ

当時は地獄そのものだったが今となっては

・・・悪夢だな まあ良い思い出でもあるが】

 

笑いあう歴戦の悪魔超人二人を見て

 

「どこの世界の悪魔も似たようなものだ」

 

『悪魔って・・・』

 

【ハドラー ジゼル嬢用のリングコスチュームの布問屋だが

我ら悪魔騎士ご用達の店を紹介しよう

コーチ料も弾んでおく

超人にとってコスチュームは命とも言える大切なもの

こだわりの品揃いだ 存分に吟味するがよかろう】

 

『アシュラマンはともかくサンシャインはリング上では

何も着てなかったような・・・』

 

【弟子のチェックメイトらの服を仕立てて送り出したのが懐かしいな】

 

【・・・私もかつて 息子のシバのために妻と二人で用意したものだ】

 

『本当に・・・ 似ているものですね』

 

 

サンシャインらに勧められた店で

ジゼルの七五三用の武闘着の布を選び十分な量を買った

あの映像が出回っているせいか 店内ではオレの顔を知るものがおり

何度か声もかけられたが適当にあしらった

 

『お祭りでも顔を半分だして暴れましたから

仕方ないですよ』

 

「ここでの用事は済んだ

次はジゼルだ」

 

念話でジゼルに話しかける

 

「ジゼルよ」

 

[ハドラー様♡ ドガ!! んがっ!?]

 

念話は通じたようだが まるで蹴とばされたような声も聞こえた

ちょうど組手か試合中のようだ

 

「用件は後で伝える 今は 勝て」

 

[わかりましたハドラー様! ドゴン!!]

 

『よろしいのですか?』

 

念話はつなげたままだ 様子はわかる

 

  グググ・・・  バッ  ドン!

   グルッ ズドン!!!

 

正面でのぶつかり合いか ジゼルが押し気味のようだ

 

『ジゼル・・・ ケガしないで』

 

  ガツン!

 

頭突きか ジゼルがひるんだな

 

『そんな!?』

 

  グッ  ガチンッ!!

 

反撃で踏み込んで頭突きをやり返したか

 

[ライトニングバスター!!]

 

   ズン!!

 

ただのパンチだ

 

『そもそもジゼルはイオナズン使えませんよね』

 

[ハドラー様勝ちました!

樹緑みどりおねえちゃんに初勝利です!]

 

『黄緑なのかみどりなのかわからない名前ですね』

 

[髪の毛は赤紫色ですよ お母様]

 

「そんなことより用件を伝えよう」

 

・・・

・・・・・・

 

[わかりましたハドラー様!!

1日ください!会社と話をまとめてきます!]

 

「わかった では明日の昼 また念話をする」

 

[楽しみにしています ハドラー様!]

 

念話を解き一息つく

 

『しばらく会わないうちにしっかりしてきましたね』

 

「前に会ったのはほんの2ヶ月前だがな」

 

 

 

・・・翌日

 

東女を相手にジゼルが社長との直談判まで持ち込んだところ

詳細な情報が欲しいとのことでオレがリリルーラで直接話すことになった

 

「このデザインをもとにオレが武闘着を作る

それを身に着けたジゼルがリングで戦う

結局のところそれだけのことだ」

 

[いっぱいある!?

いーち にー さーん よん ご~ ろっく ななまい!]

 

〔すごいですねこのデザイン画

これもハドラーさんが描いたんですか!?〕

 

「いや これは酒場で同席していた男が描いたものだ

店主によると日本一の画家先生と呼ばれていたが」

 

〔いいですね 折角ですからこのデザイン画も使わせてもらいましょう〕

 

「ほう では」

 

〔ええ この企画採用しましょう

元々ジゼル嬢は結構人気があるのでキャンペーンレスラーを頼みたくて

今やってるひな祭りなどいくつか打診したのですが

ハドラーさんが作った竜族用のリンコスじゃないと戦えないと

断られていましたから衣装持ち込みの企画はありがたいです〕

 

「なるほど」

 

〔それに自分も今放送中の[ダイの大冒険]を拝見していますから

娘を持つ親の一人として七五三のお祝いと聞いて協力するに決まってますよ〕

 

「自分から行っておいてなんだが それでいいのか?」

 

〔いいんですよ プロレスは商売じゃないですから

そのかわりイベントとして大々的に扱うので

ジゼル嬢にもがんばってもらいますが〕

 

「ちゃっかりしておる」

 

〔ええ プロレスは商売ですから!〕

 

『さっきと言ってることが違いますよ!?』

 

「これくらい いい加減な方が扱いやすい」

 

〔かの魔王ハドラー様にそう言ってもらえるとは光栄です〕

 

[ハドラー様 衣装はこの中から選ぶのですか?]

 

元々全て作るつもりで布を買ってあるが・・・

 

「いい機会だ お前が一つ勝つたびに作ってやろう

昨日の初勝利とやらで一着 残り六着は今後の戦績次第だ」

 

[わかりました ハドラー様!

ぜったいにごほうびいただきます♡]

 

『これは楽しみが増えますね』

 

「これも執念と言えるだろうか」

 

「ちなみに完成図はこうなる」

 

ジゼルに芽生えた執念を育てるために立体映像の魔法を使い

実際にジゼルが着た予想図をつくって見せた

 

[わ~♡]

 

〔すごいですねこれは 興行でこれも使ってほしいくらいですよ

これがガチの魔法・・・

人間の技術でこれを実現するのに何年かかることか〕

 

かつて我が宿敵アバンはたまたま居合わせたガキを守るために

我が極大爆裂呪文(イオナズン)からその身を張り

子供は明日の世界の主役だと言いはなった

・・・そんな昔のことをふと思い出したのだった




ハドラー様最終決戦をアニメで見れるとは 拙作を書き始めたときは夢にも思えなかったウジョーです
あれが9年前とか・・・

ディアさんから許可をいただき拙作でジゼル嬢をメインヒロインとして登場してから早7年
もうすぐ8年とずいぶんと長いこと書いてきましたがアニメにVジャンプの過去編と
公式からガンガン燃料投下されるのでまだまだ書けそうです


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七五三編 最後の一太刀~ベストセレクション

七五三のためにジゼルの新しい武闘着を作るにあたり ジゼルと共にいる時間が必要だと

東女に伝えたところ まとまった時間がとれると提案された日がいくつかありそれを吞んだ

 

当日 後学のために武闘着作りを見学したいレスラーが何人かおり許可した

 

「どうせ秘密にするようなことではない

ジゼル 髪を使うぞ」

 

[どうぞ♡ ハドラー様]

 

ジゼルの髪を数本抜き 持ってきた布に融合させる

 

〔今の何ですか?〕

 

「ジゼルの体に布を合わせる処置だ

ジゼルの急な変化の度に破れていては役にたたんからな

これでたとえ元竜の姿になっても服が邪魔になることはない

ジゼル そこに立て」

 

[はい♡ハドラー様]

 

ジゼルが裸になってオレの前に立ち 肩から布を当てる

 

「この程度か」

 

初リングの武闘着を作ったときから体がほとんど成長していない

リング上や修行中のときは成長したように見えるが

こうしてオレのそばにいるときは小さい体のままだ

 

「精霊に近い竜の外見は心の成長に伴い変わるはずだが

オレのそばに戻るたびに子供返りするのはどういうことか?

変種のせいで成長の仕方が違うのか ジゼルが甘ったれなのか

オレと会うことが成長の妨げになるのであれば考えねばならんが」

 

『おそらく変種のせいでしょう

他に例のない生まれ方ですからこういうこともあるでしょうし

私もジゼルのような産み方の子供は はじめてですから』

 

どちらにせよジゼルの服を作る間は何度かこうして直接会う必要がある

しばらくは様子を見るか

 

「とりあえず 大まかなイメージができた

このまま切る」

 

〔え ハドラーさん型紙は?〕

 

「不要だ」

 

布を軽く切り裂き 丸い穴を空ける

 

   スパン

 

〔え!?布が切れた・・・

ハドラーさん ハサミやナイフは?〕

 

「いらん オレの手で切れぬ布などない」

 

穴からジゼルの頭を通してかぶせ

腕と胴体に合わせ布を切り そのまま縫い合わせた

 

〔ハドラーさん・・・針は?〕

 

「糸に闘気をまとわせれば このまま縫える」

 

   チクチクチクチク・・・

 

〔しかも速い! 真似できる技術が少ないのが残念ですが

ジゼルの体にぴったりはりつくように服ができていく

でもあれってリンコスじゃなくて下着もかねたボディスーツみたい〕

 

「そうだ

デザイン画にある服はこの上に重ねるように布を足して作っていく、

だが 今日はここまでだ

ジゼル これから1週間修行中はこれを着ろ

その上に これまでの服を着ればいい

実際の動きを参考に手直しを繰り返し完成に近づけていく」

 

[それは はじめての作り方ですね]

 

「戦いのための服だ 妥協はせん」

 

〔あの ハドラーさん

着ると強くなる服はプロレスのルール上まずいのですが〕

 

「安心しろ この武闘着の守備力は皆無だ

服のせいで強くなったと勘違いされては本末転倒だ

あくまで服が邪魔にならないための処置にすぎん」

 

   スパ  チクチクチクチク

 

股下も切って縫い合わせ 腹部に脱ぎ着するための切れ目を一ヶ所作り

布一枚から服が出来上がった

 

「とりあえずこれで動いてみろ」

 

[はい ハドラー様!]

 

ジゼルの体の動きを見る 今のところ問題はない

 

〔ハドラーさん 折角ですから あの放送を見ていきませんか?

今日はハドラーさんとダイ君との最終決戦 最後の一太刀の回ですよ〕

 

「・・・あの時か わかった見ていこう」

 

ジゼルが今作った服の上に先程まで着ていた稽古着を重ねて着てオレの膝に乗った

 

「こういうことをしているから子供返りを繰り返すのではないか?」

 

     ポイ!

 

ジゼルをつまんで放り投げた、が

 

     クルクル

 

[ジゼルダーイブ♡♡]

 

2回宙返りひねりでもどってきた

 

「ほう 技は切れるようになったな」

 

    ビシ!

 

    スチャ!

 

手刀で叩き落としたがまた膝の上に着地した

 

『成長は感じたようですし このままでよいのでは』

 

邪魔にならなければな

映像は既にはじまっている

ダイが剣の鞘で魔法剣を強化し

対するオレは生涯最後の一撃のために力を高めている

 

ギガブレイクの構えで向かってくるダイの後ろにバランが

そして剣を持ち替えアバンストラッシュの構えでさらにアバンの姿が映り込み

三位一体となったギガストラッシュがあのオレに直撃した

 

『あなたも最後の一撃を放つ前に

あなたの子供達の姿を背負ってましたね』

 

「・・・互いに最高の一撃だった

あの勝敗には今でも悔いはない」

 

[ハドラー様・・・]

 

   ギュ

 

敗れて朽ちていくオレを見て 今のオレに抱き着いてくるジゼル

ダイに握手を求めていたオレに妙に感心していたが

キルバーンの罠が発動すると悲鳴を上げた

 

「わかっていても 忌々しいものだな」

 

    ミシ

 

ジゼルを引きはがす手に余計な力が入る

魔界の炎に包まれ ポップの機転で直撃こそしのいだが

映像のオレがダイとポップと共に囚われ グランドクルスですら通じない罠を前に

ジゼルもヒュンケル達のような絶望的な表情となっていく

 

[あ・・・あ・・・]

 

そのまま映像が終わった ジゼルが呆然としている

当のオレがこうしてここにいるのだがな

 

[あー!!?次回予告でハドラー様がポップを抱っこしてる!!

一体何が!?]

 

炎の中でオレが力尽きたポップをかばっていた時か

 

『ジゼルにとってはそっちも一大事でしたか

しかし この状態で1週間もお預けとは・・・

こちらの世界の人間たちもひどいことしますね』

 

「やかましいぞジゼル

お前には今作った服を1週間慣熟しなければならん

これの完成のためにな」

 

[・・・いってきます ハドラー様!!]

 

ジゼルを引きはがし命令すると

気持ちを切り替えたのか やけ気味なのか

すぐにとびだしていった

 

「面倒をかける 1週間後 同じ頃合にまた来る」

 

〔はい お待ちしておりますハドラーさん〕

 

レスラー達に告げ 東女を去った

 

 

   ―1週間後―

 

[あれ!?歌が前のに戻ってる!?]

 

〔ホントだ!どうしたんだろ?

節目になるから特殊オープニングかな?〕

 

[まあこれはこれで・・・ えー!!??]

 

『おや これは ダイとバランの親子ゲンカですね』

 

「先週見た映像よりも少し前の出来事だな

オレがまだ魔族の肉体だった頃か」

 

[どういうこと!?あの炎に包まれたハドラー様はどうなったの?!]

 

「ここにいるぞ」

 

〔ちょっとまってジゼル 調べてみるから!〕

 

オレの膝の上で慌てるジゼルを抑えたメアリだったが

 

〔・・・不正アクセス事件のせいで放送スケジュール変更だって

次の放送がいつになるかはまだわかんないみたい〕

 

[?]

 

言葉の意味はよくわからんが どうやらオレが最後を迎える映像はお預けのようだ

 

「ダイとバランの最初で最後の全力対決か

これはこれで見ごたえがあるが」

 

『・・・すごく、胸が痛いです

竜の騎士に戦いの宿命を与えているのは私でもあるのですが・・・

このようなことを想定していたわけでは・・・』

 

竜の騎士の生と死を司る神の使いが何を今更

 

[ハドラーさま・・・]

 

ジゼルが泣きそうな顔でオレを見てくるが

 

「ちょうどいいのではないか

今日作る服の追加部は竜を 聖母竜を元にしたものだ

縁の深いこの二人の戦いが何か参考になるかもしれぬぞ」

 

今日持ってきた布をジゼルに当ててみせると急に上機嫌になった

 

「現金なものだ」

 

〔ジゼルにとってハドラーさんといっしょのこの時間が何よりの楽しみでしたから

いつまでも不機嫌でいるわけないじゃないですか

ね ジゼル〕

 

[♡~]

 

ダイとバランの親子ゲンカの映像が終わった後は

以前作ったジゼルの服の上に 右半身に被さるように布を巻く

 

[これがお母様をイメージした・・・]

 

「竜と言えど戦闘で役に立つことはまったくないがな」

 

『それはしょうがないですね』

 

〔そもそも武器になったりしたら反則ですから・・・〕

 

「どうせ聖母竜は戦いでは役立たずだ」

 

『・・・それもしょうがないですね』

 

  ギュ スパ チクチクチクチク

 

布を巻き 結び 切り 縫うを繰り返し・・・

聖母竜が被さるような形ができあがっていく

 

〔たしかに シルエットが竜っぽいかな?〕

 

「・・・今日のところは これまでだ

1週間後に向けて慣熟しておけ」

 

〔そうだハドラーさん 会社から

リンコスが完成したら 大興行でお披露目を兼ねてジゼルに

新コス着てリングで戦ってほしいそうなんだけど・・・〕

 

「好きにすればよかろう」

 

〔ありがとうございます

そのときはハドラーさんも がんばるジゼルを見に来てくださいね!〕

 

『行きましょう!』

 

ジゼルが戦う姿を見て胸は痛まないのか?

 

『・・・たとえどれだけ痛くても

がんばるジゼルは何があっても見なければなりません』

 

実際痛い目にあうのはジゼルだが

 

 

    ―さらに1週間後―

 

今日の映像はデルムリン島でのアバン・ダイとの戦いか

ダイもポップもまだヒヨコの時だ

 

[・・・はじめてハドラー様の紙芝居で見た時と

前にテレビで見た時 そして今、

内容は同じはずなのに見え方 感じ方がかなり違いますね]

 

「ほう?」

 

『これもジゼルの成長でしょうか』

 

オレの膝の上で小さな体で映像に食い入るこいつが成長、

喜ばしいことであるが とてもそうは見えんな

 

[ああ!?ハドラー様がアバンと目で会話してる!

あれいいな!

ハドラー様に背中向けてアバンのしるしを渡してるし!]

 

「やはり成長しておらんのではないか・・・

そもそもあのときアバンはオレが勧誘のときに口にした

情けという言葉を持ち出してオレと交渉し

許可を出したオレに直接礼も言ったはずだが?」

 

〔そのやりとりは旧アニメでありましたね

新アニメはこういう改変結構ありますよ〕

 

映像では戦いの中 剣を手放したアバンを

拳で追いつめたオレがさらに踏み込む

 

「このような拓けた場所で攻め込むとは

やはりかつてのオレとは戦い方が違うな

オレなら無刀陣や受け流しを封じるために関節技で足を潰し

体力を削りながら洞窟の壁際へ追いつめたからな」

 

[ああっ!?ハドラー様が!?]

 

映像のオレのこめかみにアバンの指が食い込みアバンの自己犠牲呪文(メガンテ)が炸裂した

 

「あれは正直 死ぬかと思ったがな」

 

〔あの爆発でよく生きてますよね・・・〕

 

互いにな・・・

膝の上で震えているジゼルのこめかみを軽く指で押して震えを止める

 

[ハドラー様のぐりぐり気持ちいい~♡

あ あっちのハドラー様復活した

血が出た!!]

 

ジゼルがオレの頭を抑えようとするが

無論今のオレの頭から血がでているわけではない

 

「しかし なぜ今更これほど動揺する?

この映像は既に見ているのではないのか?

紙芝居でも何度か見せたこともあるはずだが・・・」

 

[ハドラー様の紙芝居では魔王様がハドラー様だったことを知らなかったですし

この映像は前に見たときは途中からよくおぼえてないような・・・]

 

〔そういえばあのときのジゼル ハドラーさんがメガンテを受けたときに白目むいてたね

起きたと思ったらアバンストラッシュで両腕を斬られたのを見て気絶して大変だった〕

 

「・・・オレが不甲斐ないばかりに面倒をかけたようだな」

 

そうこう言っている間に映像のオレもダイのアバンストラッシュを受け撤退していた

 

『ダイのアバンストラッシュと名前が胸に刻まれたあのときから

あなたとダイの因縁が生まれたのですね』

 

直接的には、そうだ

 

   スッ

 

自分の胸に手を当てようとして 今はジゼルがそこにいたことに気づく

 

   グ

 

ジゼルの頭を掴み目の前に立たせる

 

「今日の映像は終わったようだな」

 

オレは黒い布を取り出しジゼルの腰に巻く

 

「このまま縫いあげる 動くな」

 

[はい! ハドラー様♡]

 

ジゼルの下半身に合わせ布を切り 縫いつける

ジゼルはとびひざげりやまわしげりなど足技を頼りにするクセがある

足回りには特に注意が必要だ

 

「足の動きを見る 動かしてみろ」

 

[はい!この黒いズボン かっこいいです!]

 

縫い終わりベルトを着けて とりあえず形になった

 

[ハドラー様 このズボンは今の映像のハドラー様が着ていたもの!?

ベルトの形がちょっと違う ひょっとしてこれはハドラー様のお顔!?]

 

「そうだ お前が大魔王を模した飾りをつける必要はない

そしてこれはオレにとって馴染みのある戦闘服だ

これも修行中は使い続けろ

1週間後 様子を見る」

 

ちょうど映像で見た後のせいか やたらはしゃぎ回るジゼルを捨て置き東女を後にする

 

『あんなにかわいいジゼルを捨て置くなんてとんでもない!』

 

知らん 1週間後を楽しみにしろ

 

 

   ―またも1週間後―

 

「・・・これはオレが超魔生物になったばかりの頃か

たしか以前にフロシャイムで見たな」

 

[楽しかったですねハドラー様♡]

 

ダイもポップも既に消耗していたとはいえオレが終始ダイを圧倒したからな

オレとしてもようやく面目躍如したと言える

 

〔ハドラーさん ひとつ聞いてもいいですか?

ハドラーさんの超魔生物への改造ですが元々魔王として地上最強の肉体だったのに

他のモンスターの体のツギハギでそんなにパワーアップするんですか?

それとも覇者の剣の力もあるんですか?〕

 

「あの剣は魔炎気の扱いに慣れるのにちょうどよかったが

肉体改造は単純に力や素早さ 体力の向上だ」

 

・・・後は アバン達の強さを認め オレ自身の糧にできたことか

 

『それは口に出さないのですか』

 

あの映像のオレが言っているではないか

この戦いはオレが優勢なせいかジゼルがはしゃぎすぎる

オレとしては悪い気分ではないが邪魔だ

ジゼルの上半身に布を巻き付け動きを封じる

 

「動くな」

 

目をつぶっても縫えるつもりでいたがちょうどいい機会だ

目の前の映像を参考にするとしよう

 

〔竜 魔族ときてもしかして次は・・・〕

 

「そう これだ」

 

用意していた肩当をつけ形になった

 

[これは・・・!あのハドラー様の・・・]

 

ちょうどポップのトベルーラを追いかけるために展開し

同じ形になった超魔生物時に追加された肩部を縫いつけた

 

〔うわ そっくり!

でもこの首周りや背中のトゲトゲは危ないんじゃないですか?〕

 

「さわってみればよかろう」

 

〔じゃ 失礼して・・・

あ ぷよぷよでやわらかい 何でできてるのこれ?〕

 

「スライムより柔らかく薄い素材だ

格闘の邪魔にならんが守備力も攻撃力もない

肩当を外すときはこの首の部分がのびて広がる」

 

〔フリーザ軍のバトルスーツみたい

この素材ボクもほしいな〕

 

「この世界の素材に手を加えただけだ

自分で探せ もう映像は終わったか」

 

オレの超魔爆炎覇とダイのギガブレイクの激突で

この対決は相打ちとなり互いに落下したところで終わった

 

「今回の追加部は今までよりも大きい

動きを阻害するか様子を見て調整する必要がある

破損は気にせず いや使いつぶすつもりで動け」

 

[はい ハドラー様!]

 

「この武闘着についてはここまでだ

後は調整と修復を繰り返し完成させる」

 

〔ハドラーさん ジゼルの頭や顔は何もしないんですか?

このデザイン画にはドラゴンヘルムみたいなのがありますけど〕

 

「ああ この武闘着はジゼルを形作った生母竜・魔族・超魔生物

そしてその上に竜であるジゼルという意匠だ

あえてドラゴンヘルムをのせずとも 竜そのものであるジゼルの顔が見える形にした」

 

[なるほど わかりましたハドラー様

来週までにこの新しい服で練習を積み 完成に近づけていきます!]

 

「励むがいい」

 

『たしかにこの顔を兜や帽子で隠してしまってはもったいないですね

・・・次に会うのがまた楽しみです』

 

 

 

   ―またまた1週間後―

 

「ほう なかなかのくたびれ具合だ

お前の成長が見て取れる」

 

ジゼルをひっくり返しながら武闘着の様子を見ると

ところどころ破損がある

やはり実際使ってみると問題点がわかる 調整が必要だ

 

『映像がはじまりましたね』

 

「勇者ダイ達一行と大魔王バーンの初戦闘か」

 

[このときハドラー様はどうしていたのですか?]

 

「黒のコアの近距離での爆発のダメージでしばらく動けなかったな・・・

ほう アバンストラッシュの直撃でダイを脅威に感じて

バーンが光魔の杖を持ち出したのか」

 

『ああ!?ダイの剣が折られた!?

真魔剛竜剣に並ぶはずのあの剣が!?』

 

「同時にダイの心も折れたか

バランの死の動揺から立ち直る前にこの衝撃では無理もないが」

 

『あのままではダイが!?』

 

[ハドラー様きたーーーーーー!!!!]

 

「騒ぎ過ぎだジゼル」

 

オレがダイに迫るバーンのカラミティウォールを足場ごと破壊して窮地を救い

バーンと対峙し 反旗を翻す形になるとジゼルの興奮がさらに増した

 

「・・・映像に感情移入しすぎではないか?」

 

〔ハドラーさんの黒のコアの話のときは ジゼルが取り乱して大変でしたよ

ハドラーさんが一方的に裏切られて捨て駒にされたんですから無理ないですけど〕

 

オレは大魔王に対しても昔から野心はあったが

・・・あのとき心底悔しい気持ちはあった

 

『・・・たしかに あ!?人化術が解けかけていますよ!?

竜人の姿に!』

 

人間の小娘の姿から少年竜の姿になった

体も やや大きくなったが服は体に問題なく適応している

本人は体の変化に気づいていないようだが いまのところ大した問題ではなかったが

 

パワーの激突でバーンを押し カイザーフェニックスを握り潰し

一時優勢だった映像のオレがザボエラの術で動きを封じられ一転危機に陥っていた

 

[あの くそジジイ!!!!]

 

激昂したジゼルの人化術が完全に解け 元竜にもどりかけた

流石に人間の建物の中で元竜の大きさはまずい

 

「ジゼル!!」

 

名前を呼ぶ声に魔力を込めて強制的に人化術をかけ

ジゼルを人間の姿に戻した時には

ブロックのキャスリングにより映像のオレ達は救われブロックは死んだ

ブロックもあのときオレの命令を超え 自らの魂に従った

最初で最後の言葉と共にな

呆然と涙を流すジゼルが映像の中で聖母竜の姿に気づく

 

[お母様・・・]

 

「おまえいたのか」

 

『いましたよ 竜の騎士を死を感じて迎えにいきました

あのときダイを拾い上げることができたのはあなたのおかげだったのですね

しかも大魔王バーンに見られていたとは

もしあなたとの戦闘で消耗していなかったら魔法でおとされていたかもしれません』

 

大魔王バーンが飛び去った聖母竜を見送り勝利を宣言したところで映像は終わった

 

[・・・ ・・・ ・・・

ハドラー様、ひとつだけお願いがあります]

 

「ほう 言うがよい」

 

オレにもひとつ考えがある

 

[この新しい衣装に チェスの要素を加えていただきたいのです]

 

「よかろう 1週間後 用意してやろう」

 

 

 

    ―1週間後―

 

「これが おまえのチェスピース 女戦士(アマゾン)の冠だ」

 

サンシャインのかつての愛弟子チェスの化身超人のファンサービス用の玩具だったものだ

サンシャインがどうしても手放せずに持っていたらしいが

ジゼルの服について話したときにいい機会だから使ってくれて託されたものを改造した

 

〔アマゾンって チェスの駒にないよね?

ライダー?〕

 

〔うっきゅきゅ フェアリーチェスの駒だね

たしかクィーンとナイトの動きができる駒だったかな?

でもドラゴンの駒もあるのにアマゾンとは意外なのー〕

 

「そうだ これでその服は完成だ」

 

ジゼルにアマゾンの冠を被せじっくり眺める

最初のデザイン画とは多少異なるが悪くない出来といえる

 

『いいですね!私とあなた そしてあなたの子供達

それぞれが組み合わさり ジゼルが纏う

ジゼルのお祝いの1着目として とてもよい出来かと』

 

ジゼルは全身鏡の前で跳ね回り

様々な角度から確認している

・・・・・・やはり肩当の損傷が目立つ

体のひねりでできる皺は小さいが体の動きに合わせるなら・・・

 

・・・・・・・

服の修復と調整が一区切りつくと ちょうどあの映像がはじまる

 

「またあの映像か オレとダイとの最後の一太刀

・・・思えばダイも随分と逞しくなったものだ

あれほどの大技の激突 オレは超魔生物と化すことで可能となったが

ダイは竜魔人となったわけではない」

 

『そういえばそうですね

あの服やダイの剣だけでなくダイ自身の成長と

ダイの中で生きているバランやあのときの私の影響もあるでしょうね』

 

ダイの中におまえもいたのか まったく気配を感じなかったが・・・

 

[ハドラー様・・・・・・]

 

再びオレとダイ そしてポップが死神の罠により炎に包まれる

 

「・・・・・・やはり許せんな

オレ達の真剣勝負の直後に仕掛けた挙句、

高みの見物で酒を片手に楽しむ死神たちはもとより

この事態を招いたとも言える オレ自身にな・・・」

 

映像が終わり 東女から次回の放映日 1週間後の夜に

ジゼルの新武闘着を披露する試合を組むことが決まったと伝えられた

 

『楽しみですねジゼル』

 

[ハドラー様はどうなってしまうんですか!?]

 

「・・・ここにいるぞ」

 

〔ハドラーさん試合のチケット 他に渡したい人いますか?

第0試合(ダークマッチ)はテレビ放送しないので直接興行を見にこないと

何枚かは会社で用意できますけど〕

 

「何人かこの服を作るために世話になった者たちと

・・・あやつらの分を都合しておくか」

 

〔あやつら?〕

 

『・・・それはとてもよい考えですね』

 




今回は非常に難しかったウジョーです

しかも次回はハドラー様のクライマックス回
拙作のはじまるきっかけにもなった話なだけに逆に書くの難しすぎて・・・
導入部の今回が予想以上に非常に長くなってしまいました

ダイの大冒険 アニメ本編はついに終盤
ハドラー様は亡くなってしまいましたが アニメを楽しみながら続きを書いていきます

すっかり暖かくなってまいりました
心安らかに過ごされますように


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七五三編 凍れる時間の秘法

オレがジゼルを伴い店の前に来た時には既にアシュラマンとサンシャインが待っていた

 

「待たせたな」

 

【いや時間通りだ】

 

【グォフォフォフォ 時間に正確な魔王だ】

 

「元、魔王だがな この世界の人間の勇者の招待だ

この程度はせめてもの礼儀だ」

 

[サンちゃん アシュちゃん久しぶり~]

 

ここはブラッディ井上が経営するステーキ屋【武羅ッディ】

先日の試合で女子プロレス若手ナンバー1を決めるヤングドラゴン杯の

予選突破を果たしたジゼルの祝いの席ということで井上から招待された

アシュラマンとサンシャインにその話をしたところ

丁度オレを交えた悪巧みをする場所を探していたから

便乗したいそうだ

 

【既に井上には話を通して昼の営業時間までは貸し切りにしてある

支払いは私に任せろ まずはジゼル嬢を祝うとしよう】

 

   ガラッ

 

店内に入ると

 

〔いらっしゃい〕

 

〔いらっしゃいませー・・・〕

 

井上と、細野(だったか?)が出迎えてきた

井上は既に現役を退きこの店で経営者と料理人をしているが

この秘めたる闘気 衰えを見せない鍛えあげた肉体

そして細野 現役レスラーであり 給仕の格好をしているが

目の前にいながらにして希薄な気配 面白い店だ

 

〔ハドラーさんの魔法のおかげで井上さんが現役時代より元気

とっても感謝・・・ありがとうございました〕

 

細野が頭を下げ礼を述べた

 

「祭りのときに使った回復呪文(ホイミ)のことか

あれはオレをゆるがせたほどの一撃を見舞った勇者への礼儀だ

言っておくがジゼルが世話になっているとはいえ

人間が魔王の気まぐれを期待するなよ」

 

〔それはもちろん ジゼルを可愛がるのは私がお姉ちゃんだから当然・・・〕

 

[迷路(細野)お姉ちゃんは優しいけどいつの間にか後ろにいるから

たまにびっくりするけど・・・]

 

【グォフォフォフォ それはいい心がけだ

人間の持つ魔への憧れ 安易な力への欲求

そういったものにつけ込むのが悪魔の手口よ

大魔王サタンのようにな

悪役(ヒールレスラー)とはいえ人間が関わるものではない】

 

【フン あんなものは我々の悪魔超人道とは相容れぬ

この身にジェネラルストーンを宿し サタンの醜態を直接見た

あの経験から断言できる

それよりもハドラー、ジゼル嬢 時間だ テレビを見よう】

 

「そうだな この世界の大魔王サタンとやらも気になるが

アレを見た後にでもするか」

 

はぐれ悪魔に促されこの世界の悪魔の目玉が見えやすい席に座った

ジゼルが当然のように小さくなってオレの膝に乗ってきた

 

「凍れる時間の秘法、・・・あれか」

 

流れる字幕に 宿敵とのかつての(いくさ)を思い出す

だが画面に映っているのはダイの仲間達と

以前にオレの体の黒のコアを爆破させにきたときに見せた

素顔のミストバーンと対峙している謎の男・・・

いや あの足取り そしてわずかに見える腕と足、やつは・・・

 

「どうやらあの男 ミストバーンと戦うようだな

ジゼルよく見ておけ あの男の戦い方を」

 

映像ではあの男がミストバーンと一対一の接近戦をはじめた

 

【たしかにあの動き ただものではない

相手の猛攻を受け流す技量が圧巻だ】

 

【大木は風に折られるが柳に雪折れなし、か】

 

[東女だと誰に近いかな?

迷路お姉ちゃん?]

 

〔そういうのはホワイトフェイス()の方がうまい

習いたいなら頼んでみる?〕

 

【他団体だがこの手の技術ならFWWWのぽひがスペシャリストだ

対戦機会があればいいのだが他団体のトップクラス相手では難しいか】

 

[メアリから何度か聞いたことはあるけど・・・]

 

「初見であの動きは捉えにくい 格闘の教科書のような闘い方だ

ジゼルが学ぶことも多いはずだ」

 

『これを身につければジゼルが怪我をするリスクが減りそうですね』

 

それはそうだが 簡単なことではない まさに極意といえる

あれを習得できる人間か 興味がある

 

【場面が変わったな 過去の話か】

 

【ハドラーの魔王時代か】

 

「魔族のオレにとってはわずか20年ほど前だが

随分と懐かしい顔ぶれだな

今では顔つきも変わった」

 

『あなたも随分と変わってますが

懐かしい、ですか』

 

そこは気にするな

 

【皆既月食を利用する秘術か・・・】

 

ウェザー(お天気)・デスマッチの天才のアシュラマンも気になるか

やはりこのアニメは面白いな】

 

アバン達がパーティを2分し ウロド平原の戦に挑むところで

話は一度一区切りした

 

[こども?こっそり卵産んだの?]

 

〔ジゼル、人間は卵は産まない〕

 

[あ そっか じゃあなんでこどもがいることがわかるの?]

 

〔それは・・・わからない〕

 

話の合間に飲み物を持ってきた細野とジゼルがどこかズレた会話をしていたが

オレはウロドの戦であの二人が不在の理由を今はじめて知った

 

「あの男があの決戦の場にいなかったのが不自然だったが

このような裏があったのか・・・」

 

【友のために体を張って勝機をつくろうとする男と

そんな友と生まれてくる子供のために決死の戦に挑む男

そしてそんな友を見守り共に決戦に赴く男・・・

これも友情の形か】

 

【その結果泣いてる女がいるわけですがそれは・・・】

 

そして場面はウロドの決戦へ

 

〔・・・これハドラーさんが遅刻したら作戦が成立しない?〕

 

【【「[!!??]」】】

 

「・・・罠を張っていることは想定していた

人間どもの精鋭部隊や各国連合軍

伏兵や魔・呪術罠 色々と踏んだ上でこちらも精鋭を揃えて

宿敵からの挑戦状に応じたのだ

例え毒蛾の粉の罠で配下全員を敵に回すことになっても勝つつもりだった

だからこそ 魔王の矜持、礼儀として時間を守るのは当然だ」

 

映像の内容は実際の決戦よりもかなり省略されていた

例の男がオレと戦う姿もあったが

 

「肝心の戦がかなり短いな

初手でオレに恐ろしい奴と認識させた閃華裂光拳や

配下の大部分を無力化させた大魔道士の大呪文、

アバンが姿を消した奇策 そして共に呪法に取り込まれる瞬間に見せた

このオレに寒気すら感じさせたあやつの笑顔すら省略されている

これでは参考になるか?」

 

【なるほど

まあこの映像だけではわからぬところがあるのは仕方あるまい

真実を伝えるというこうとはかくも難しいもの

ワシも若いものに過去を伝えることの難しさはよくわかる】

 

『ですが この経験を通じて 神々すら知らなかった

大魔王バーンの秘密に近づけたのはかなり大きかったのでは?』

 

たしかにそれが分からなければ

敵の位置も見えずに武器を振り回すようなもの

ダイ達に勝機などなかったと言える

 

「親から子へ 師から弟子へ

過去と未来が繋がる、か」

 

【親から子 師から弟子・・・】

 

『・・・アシュラマンの仮面の奥に涙が見えるような?』

 

そこは見るな

その後 ミストバーンを 柔から剛の武術による足止めと

決意と覚悟を込めたポップのメドローアがとらえた、

その瞬間 弾かれたメドローアが逆にポップ達を包んだ

 

[え!?]

 

一瞬の出来事にジゼルが呆然としている

・・・ポップとは最近も顔を合わせたから死んではいないはずだ

おそらくアバンあたりが救出したのだろうが あえて口にはすまい

 

ここで映像は終わったようだ

それを待っていたように井上が料理を持ってきた

 

〔お待たせしました

料理を置いてもよろしいですか?〕

 

【ああ 少し待て

これを使わせてくれ】

 

   スッ   バッ

 

アシュラマンが一番上の右腕の腕輪状の装飾品を外すと

白い布キレ、テーブルクロスへと変わった

 

「ほう 面白いな」

 

【それだけではないぞ】

 

    バサッ

 

テーブルに広げるとまるで大理石のようになった

 

【悪魔霊術の応用だ よし そのステーキ皿を置いてくれ】

 

    コト

 

「質感も大理石だな」

 

    スッ

 

【そして これはジゼル嬢へのヤングドラゴン杯出場祝いだ

機会があれば使ってもらいたい】

 

アシュラマンが上から2本目の右腕の装飾品を外してジゼルに渡した

 

【布自体はサンシャインが用意したものだ

マントとしても使えるが 広げて敷けば

リングをチェス盤に変えることができる

転所自在の術程 霊術を込めてはいないから

あくまで質感は通常のリングになる

ルール上も問題はないはずだ】

 

魔法陣を仕込むこともできるな

洗濯の時にでも技術を盗めないだろうか

悪魔霊術が気になるところだが料理を味わうとしよう

 

「ほう 力強さを感じる肉だな」

 

[歯ごたえがあって いかにも筋肉って感じますね]

 

〔あの祭りでテリーマンさんと直接交渉できましたからね

彼の牧場の肉を融通してもらえました〕

 

【なるほど 広大なテキサスの大地で育まれた肉か

サンシャイン お前のボロボロの歯で嚙み切れるのか?】

 

【ワシは不滅の命を持つサンシャインじゃぞ

たしかに長いレスラー生活で歯を食いしばりすぎて

ボロボロになったが まだまだステーキ肉に負けるわけにはいかん】

 

たしかにいい肉だ それだけに扱いも技術がいるだろうが

このステーキもいい出来だ

ブラッディ井上、料理の腕もかなり鍛え込んでいるようだな

全員がステーキをたいらげジゼルがおかわりを頼んだところで

 

「アシュラマン サンシャイン 悪巧みとはなんのことだ?」

 

【ああ 今度の興行のことだ

今鍛えている若いやつらをメインでやろうと思っている

今回は正義超人共は抜きでな】

 

【ああ やつらはまだ新世代正義超人の主力が帰ってきていない上に

伝説超人もラーメンマンの行方不明 ブロッケンJrの腕が消失

キン肉マンですら姿が消えかかる事件が発生している】

 

「おまえ達悪魔超人からすれば好機ではないのか?」

 

【我々の手でやったことならともかく

時間超人などという 縁もゆかりもないやつらがやったこと

そこにつけ込むのは 我々の誇りに傷がつく】

 

【せめて万太郎達の帰還の時期がわかっていれば

今いるやつらを叩いてから迎え撃つというのも面白いがな

そこで今回は悪魔の内部抗争を興行の軸にしようかと】

 

『物騒な内容 たしかに悪巧みですね』

 

【だが我ら悪魔超人軍は完全な縦社会

上の命令に従うだけのヒラの悪魔達だけでは

真剣に戦う理由がない】

 

「どういうことだ?」

 

〔興行という形なら

お客さんを盛り上げるドラマ性が必要なんです

はい おかわりお持ちしました〕

 

[いただきます]

 

「・・・・・・お前たち二人が指導方針を巡って対立

そこから内部抗争に発展 というのはどうだ?」

 

【たしかに悪くない が

どうせなら若いやつらが自発的になるような

エサを巡る争いの方がいいのだ】

 

【我ら悪魔の力の源は情だ

反骨心 劣等感 憎悪 友情 愛情 激情

そういった感情の心の揺らぎを力にする

それが我々の使命であり 若い奴らに必要なことなのだ】

 

「なるほど そのためのエサか・・・」

 

【だが 正直今の若い奴らが 心から望むこと

しかも共通して求めるものとなるとよくわからんな】

 

【たしかに・・・何かあったか・・・・・・】

 

サンシャインらが考え込んでいると細野が飯と飲み物のおかわりを持ってきた

 

〔じぇねれーしょんぎゃっぷー これはかっぷー ドヤッ

ジゼル おかわりどうぞ〕

 

[ありがとう 迷路お姉ちゃん]

 

【【あっ!】】

 

サンシャイン達の視線がオレに、

いや オレの膝の上で肉と飯を頬張るジゼルに向けられた

 

【そうだ若い奴らが共通していること

全員東女の、しかもジゼル嬢のファンだった!】

 

【七五三イベントで新衣装を獲得するたびに大歓声があがっていたな】

 

「そうなのか?」

 

そういえばここの若い悪魔に稽古をつけるときに

ジゼルを連れて行ったことがなかったな

 

『それは知りませんでしたね

流石 ジゼルの可愛さは若い悪魔も魅了しますか』

 

親馬鹿はやめろ

 

【ジゼル嬢 ヤングドラゴン杯本戦のチケット

できればリングサイド席 手に入らないか?

そしてプレゼンターもやってもらえれば

若い奴らには十分すぎる】

 

聖母竜だけでなく若い悪魔どもも 馬鹿だったか

 

[ハドラー様のために必ず1枚は確保してるけど・・・]

 

「お前の試合はオレも解説に呼ばれている

オレが解説席に行くからそのチケットをやればいい」

 

〔あ それは待ってください〕

 

話がまとまるかと思ったが井上に止められた

 

〔今人間の世界ではチケットの譲渡、転売が厳しく規制されています

ジゼルをプレゼンターにする話も含めて東女に話を通した方がいいです

社長はノリがいいですから はりきって協力しますよ〕

 

【なるほど そういことならワシが行こう

堅気の人間に迷惑をかけるのは本意ではない】

 

気遣いのできる悪魔だな

魔王軍とはえらい違いだ

 

【もうこんな時間か 昼の営業時間が近い

今日のところはこれで解散としよう】

 

【そうだな ではジゼル嬢 ヤングドラゴン杯の優勝と

七五三衣装のコンプリート 期待しているぞ】

 

[ありがとうサンちゃん]

 

「アシュラマン ひとつ預かっているものがある

受け取ってくれ」

 

【? ああ 受け取ろう】

 

別れ際にオレがアシュラマンに本を一冊渡した

 

【悟れ!アナンダ2?マンガか これがどうした?】

 

「奥付を見てほしい とのことだ」

 

【奥付? 最後のページか】

 

     パラ・・・

 

【・・・!!?

アシスタント  ハドラー、阿修羅族 シバ・・・・・・】

 

【なんだと!?】

 

〔ハドラーさん 漫画家のアシスタントやってるの?〕

 

「ああ 立川のアパートにたまに呼ばれて作業をしている」

 

【立川のアパート!?そんな近くにシバがいるのか!?】

 

「オレはシバというやつとは会ったことがない

たしか天部所属で人間界には来ていないはずだ」

 

〔遠方アシスタント 今時リモートスタイル〕

 

【・・・シバ そうか お前も贖罪をしているのだな・・・】

 

アシュラマンの顔の三面が涙に濡れ

サンシャインが何も言わず傍らに立っている

 

『シバ たしか亡くなった息子さんでしたね』

 

ああ 母殺しの罪を犯し 自らの手で処刑した、な

井上にしばらく そっとしてやってほしいと伝え

ジゼルと共に店を後にする

 

「親から子へ 師から弟子へ・・・、か」

 

隣を歩くジゼルを見ながら かつての(いくさ)に思いを馳せた

 

 




今月は色々あってでっかいロスを抱えているウジョーです
今日買ったメガドラミニ2でいくらか埋まるでしょうか
とりあえずメガCD版キャプテン翼をプレイ中

ダイの大冒険アニメ100話ついに終わってしまいました
連載当時放送されたアニメは大人の事情であまりに中途半端なところで終わり子供心にモヤモヤを残し
連載終了時は行方不明になったダイを探す冒険がいつかは はじまると思いながらも自分もそこそこ歳になり
いくつかのダイ大の2次創作SSをきっかけに自分なりに納得のいく形を模索し拙作を書き始めたのがもう9年前になります
まだ書きたいネタを抱えているのでもうしばらく拙作にお付き合いいただければ幸いです


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七五三編 さらば 愛する地上よ

ここは魔界の入り口・・・

 

「と、書かれてはいるが そう呼ぶには違和感がある」

 

『異世界とはいえ 地上の建物、

試合会場の入り口ですからね

それより早く入りましょう

ジゼルが待つ控室に行かなければ』

 

「わかっている」

 

今日は悪魔超人の若手たちがジゼルの試合を見る権利を賭けて

武を競う武闘大会がこの会場で行われる

人間の見物客も多く集まる大掛かりなものだ

 

「悪魔超人軍の若手がジゼル目当てに全員参加か

この世界の悪魔は阿呆ばかりか」

 

『ジゼルには幼いながらも魔性の魅力がありますから

仕方がないですね』

 

どこか上機嫌な聖母竜のいつもの親馬鹿はさておき

この大会を制すれば悪魔超人軍の中でも頭角を現すことができる

ヒラの兵隊から幹部級への昇格への一歩という野心によるもののはず・・・

 

  \プレゼンターにジゼル嬢がきてるらしいぞ!/

 \このあいだの試合で勝ち取った新衣装のお披露目か?!/

 \ギョギョー 例え悪魔に魂を売っても絶対に勝ち取る!/

 \ゲパーッパッパ 我らこそが悪魔なんだがな/

\カンラカンラ 着物のような衣装だった よく似合いそうだ/

 

若い悪魔たちの話し声が聞こえてきたが

やはり阿呆ばかりのようだ

アホタレ悪魔の若僧共と親馬鹿聖母竜・・・

まったく ろくなのがおらん

 

『あ!あそこがジゼルの控室ですね』

 

  ガチャ!!      バッ!!

 

[待っていました!ハドラー様♡!!!]

 

急にドアが開きジゼルが飛びついてきた

普段着で化粧をしている途中のようだった

ジゼルを胸に張り付けたまま控室に入ると先に会場入りしたヒムと

ジゼルに化粧を施していた様子のメアリがいた

 

{お待ちしていました ハドラー様}

 

〔お久しぶりです ハドラーさん〕

 

「ああ またジゼルが世話になっているなメアリ

感謝する ありがとう」

 

〔いえいえ メイクが得意な人は東女にはいっぱいいるのに

ボクがムリ言って 着いてきたんだから気にしないでください

それよりも 例のアレ そろそろ始まりますよ

今日は最終回ですから みんなでテレビ見ましょう!

ジゼル キリのいいとこまでメイクやっちゃうからこっちに来て

ハドラーさんに少し白粉(おしろい)ついちゃったし〕

 

[「『あ』」]

 

たしかにジゼルが抱き着いてきたオレの胸元に白い粉が少しついていた

ジゼルを引き剝がし 粉を払い ヒムが出した椅子に座った

 

「最終回 これでダイとバーンの戦いに決着がつくということか」

 

映像は〝双竜紋″の力を全開にしたダイと

自らの〝鬼眼″の力を開放したバーン

なりふり構わず互いに死力を尽くした決戦がいきなりはじまった

 

〔アバンあるのはこのアニメじゃ珍しいね〕

 

「アバン?ダイとバーンしかいないように見えたが?」

 

〔あー ここで言うアバンは先生じゃなくて

オープニングソング前に入るストーリーのことで、

あ オープニングがはじまった これも今日で最後か~

いつもと違うところがないか探そ〕

 

『前もこのようなやりとりがあった気がしますね』

 

「さらば 愛する地上よ、か」

 

ダイが真魔剛竜剣を手に バーンへ

最後の一太刀を仕掛けた

 

「あの構えはギガブレイクか」

 

父バランの魂と共に ポップ達に別れを告げるように

繰り出した会心の一撃が鬼眼王となったバーンの腕を粉砕したが

肝心の鬼眼に達するところで

 

[ああっ!?剣が折れた!?]

 

「あの真魔剛竜剣が・・・」

 

思わず自分の首に手をあてる

かつてオレの首を刈りかけたあの剣が・・・

 

「今思えば・・・

意外と肝心なところで切れ味を発揮していないなあの剣

かつてのダイとバランの闘いでもダイに致命傷を与えることなく折れた」

 

〔ハドラーさん それをいっちゃあ・・・

大体そこで切れてたら話もぶった切っちゃうよ〕

 

{うまいこと言うなお前さん}

 

『バランがダイを斬るなんて悪夢でしかありませんよ

そこは剣が折れるべきでしょう』

 

バーンの反撃を受け またも追いつめられたダイに

ポップの言葉が蘇る

 

「閃光のように・・・、か」

 

ダイの剣がバーンを切り裂いていく僅かのあいだに

アバンとの初対決から続いたあの闘いの日々が

閃光のようにオレの頭を駆け巡った

 

空向こうにまで及んだ最終決戦はダイの勝利で

鬼眼王バーンをまっぷたつにすることで終わった

 

『この後のバーンの爆発にダイが巻き込まれた際に

あなたの遺灰と砕け散った輝聖石(アバンのしるし)がダイを守ったのです』

 

ああ このときだったのか

 

『私はこの後あなたの灰と輝聖石(アバンのしるし)の欠片を回収して

落下するダイを地上の仲間達の元へ誘導しました』

 

ほうお前にしてはいい仕事をしていたのだな

 

[ダイ君が帰ってきてみんな楽しそう]

 

〔みんなで勝利を喜び合うってほんとに楽しいんだよね!

あ!アイキャッチ画像が最終回の定番集合絵だ!〕

 

{あ オレもいるぜ!}

 

[ハドラー様がいない・・・あ、もう終わった]

 

「見たところアバンとダイの勇者一行関係者の集合絵だろう

ヒムはともかくオレがいては場違いだ」

 

〔大丈夫だよジゼル こういうアイキャッチは

もう一枚 対比になるものがあるのが定番

王道アニメだからCM後にハドラーさんが

でてるのがあるはずだよ!

あ!家庭用ゲームのCMきた!まだ発売日未定か~〕

 

[ハドラー様いた!!]

 

{オレはこっちにもいた!}

 

〔やっぱり魔王軍サイドもあったね〕

 

『バランもどちらにもいましたが・・・

私はどちらにもいないのですね・・・・・・』

 

・・・・・・まあそれはさておき

勝利の喜びを分かち合うダイ達の前に

あの死神キルバーンがあらわれた

 

[またでた!?]

 

{あんのやろ~ 何回見ても憎たらしいぜ!!}

 

その気持ちはよくわかるが

死神がその正体と切り札の黒の核晶(コア)を明かした

 

「今思えば・・・ オレの最後の一撃

アバンの後ろに透明になって近づいた死神を退けた

オレのヘルズクローが もう少し上の頭に当たっていたら

相当まずかったな 本当に今更だが・・・」

 

〔あ~・・・ たしかに危なかったですね〕

 

アバンとマァムの連携で逃げようとした死神の本体をたおしたが

 

「今の死神の最期が不自然だな

死んだふりをしてリリルーラで逃げたようにも見える

オレも閃華裂光拳を腕で受けたことがあるが

魔族が直撃を受けても体がとけて消えるのは奇妙だ」

 

[え!?じゃあまだ生きてるの!?]

 

{そいつはまずいぜ!

あの場にいたオレたちはあいつは死んだものだと思いこんだままだ!}

 

「アバンすら騙し通したあの死神が逃げた証拠を残すとは思えんが

魔界のどこかで機をうかがっているかもしれんな」

 

ダイとポップが黒の核晶ごと上空へ飛んで行った

そしてダイがポップを蹴り落とし・・・爆発

 

『このときに私とバラン あなたの灰と輝聖石のかけらがダイを守り

それでも瀕死の重傷を負ったダイを天界まで運びました』

 

そしてオレが蘇生されたあのときにつながったということか

 

『もう随分と昔のことのようですね』

 

まったくだ

 

そして映像はダイを探す旅をするポップ達や

間抜け面で王座につくアバンらを流し終わった

 

「この世界の事情はまだわからんことが多いが・・・

よくこれほどの再現映像が作れたものだ

オレの紙芝居など作る必要なかったか」

 

[そんなことありません!!

ハドラー様が私のために作って

ハドラー様の声で語りかける!

あの紙芝居以上のものなんて ありません!!]

 

{そのとおりですハドラー様!}

 

〔まあ 推しのファンサービスとしたら

あれ以上のものは中々ないもんね

ジゼルのプレゼンターもファンサの一環だからがんばらないと!

さあ こっち来てメイクの続きやろうね〕

 

力説するジゼルと同意するヒム

ジゼルの化粧を再開するメアリ

最近作ってなかったがまた紙芝居の続きも作らねばならんか

 

『楽しみですね』

 

気楽なものだな聖母竜 だが悪くない気分だ

 

「ジゼル これを置いておこう

メアリ 後は頼めるか」

 

〔あ!これって・・・〕

 

[楽しみにしてましたハドラー様♡]

 

 

 

 

   カンカンカンカーーーーン!!

 

Winner(ウィナー)レックス・キング~~~~ッ!!

チケット争奪悪魔生き残りマッチ決勝戦

悪夢(ナイトメア)レックス・キングVS悪魔の種子(デーモンシード)ザ・タトゥーンマンの一戦は

レックス・キングの逆襲のザウルス・スプラッシュで見事

東京女子プロレス11月の大大会チケットを勝ち取りました!!

 

【ギョギョーーーギョギョギョ!!!】

 

〔さあ ここで熱気冷めやらぬリングに魔王ハドラーに伴われ歩いてくるのは

女子プロレスラーリトルドラゴン・ジゼル!!

先の七五三ラストマッチで勝ち取った着物衣装に身を包み

プレゼンターとしてリングインだーー!!

その華やかな衣装と お人形さんのような可愛さに

会場のボルテージがさらにあがったーー!!〕

 

「さあ 回復してやろう ホイミ」

 

   パアアーーーー

 

〔ジゼルとともにリングインした魔王が激闘を終えた

レックスとタトゥーンに回復呪文だー!!

まさに魔法!傷ついた両レスラーの傷がみるみる治っていくーー!!〕

 

【グギョギョ~ ありがてえ・・・】

 

「フン 何を勘違いしている

お前も竜を名乗るならその力を直接オレに見せてみろ!!」

 

『大人げない・・・』

 

〔あーーーーっと なんとハドラーが恐竜超人レックス・キングを

片手で持ち上げワンハンドスラムの体勢にはいったーーー!!〕

 

[ハドラー様♡]

 

【カンラカンラ!待ってもらおうか!!

雪華葬い十手ーーーー!!】

 

    ガシィン!!

 

〔あーーーーっと 準優勝者のタトゥーンマンが

右腕の巨大十手でカットに入った!!!〕

 

【これ以上の狼藉は たとえ魔王が相手だろうと

このザ・タトゥーンマンが 許しゃしねえよ!】

 

「ほざくなあッ 若僧どもめがっ!!

ならばオレにたてつく二人まとめて相手をしてやるわっ!!!」

 

〔なんと リング上で急遽魔王ハドラーと若手悪魔ツートップの対決が!!〕

 

{ちょっとまったーーーー!!!!}

 

  ブン 

 ズドォォン!!

 

〔なんとなんとリングの中央に光り輝くオブジェが降ってきた!!

それはまるで巨大なチェスの駒 兵士(ポーン)のようだ!〕

 

 カッ  ギュン  ギン  ジャキン  バギン パシン

 

〔さらに人型に変形した!?

この超人の正体はいったい!?〕

 

{・・・オレはハドラー様の息子でありジゼルの兄

獣王遊撃隊 12番隊員! ヒム!!

可愛い妹とハドラー様のために 助太刀する!}

 

「よかろう

小僧共 ジゼルの手からこの券を受け取りたければ

我ら〖獄炎親子組〗にその力を示すがいい!!」

 

{そういうこった!

おいそこのレックスとやら

ハドラー様の前で(キング)を名乗ろうなんざ

10年早いんだよ!!}

 

【ガギュイーーン!今更そこか!!

なら恐竜王レックス・キングが親子まとめて料理してやるぜ!!】

 

【古今東西~~!さあさ~~~っ

ご用とお急ぎでない方は見てって頂戴!

この〖悪魔歌舞伎(デーモン・カブキ)座〗が〖獄炎親子組〗相手に

面白い見世物を観せてやるぜ~っ

ジゼル嬢も赤コーナーリングサイド特等席でとくと

ご覧あれーーっ!】

 

[はーい がんばってハドラー様!ヒムちゃん!

レックスとタトゥーンも!]

 

     カーーーーン

 

〔闘いのゴングが鳴ったーーーー!!〕

 

 

 

結局この試合はオレ達 獄炎親子組が勝った

サンシャイン達は若手に上には上がいることを

実力で示すことができて好都合だと言っていた

ジゼルの試合の観戦券は人間の技を研究し再戦の為の糧にしろと

オレから若僧2人に渡しておいた

そしてジゼルの回復呪文を受けて安らかに運ばれていった

 

『本当に大人げない・・・ まあ

あなたの闘いを間近で見れたジゼルがとてもご機嫌なので

なによりですけどね』

 

ダイの戦いぶりを見て 体が熱くなり

どうにもおさまりがつかなかった

まさに あのタトゥーンマンが言っていた

〖手舞い足踏めば九十にして老いず

手閑にして脚怠れば十九にして人滞る〗か

あやつもかつて相当老いぼれに痛い目にあったようだ

・・・・・・オレのようにな




今回のハドラー様はブーメラン投げすぎな気がするウジョーです
ダイの大冒険のアニメが終わって土曜日が寂しくなりましたがまだVジャンプの過去編
発売予定のゲームと ネタには不自由なさそうです
後はリンドリの新作情報があれば・・・
アニメ鑑賞ネタはまだやりたい回がかなりたまっているのですがハドラー様の最期は
過去編の最終回を見てからの方がよさそうなのでまだしばらく熟成させつつ
ヒム対ヒュンケルかアバン対死神あたりはボチボチ書くかもしれません

ダイの天界治療は過去の拙作『ハドラー子育て日記』でお読みいただければ幸いです
あれもう7年も前に書いたのか 原作のダイの大冒険連載期間ぐらいたっていたとは

すっかり寒くなってコロナも再び広がりだし年末の忙しさも加わってきました
まずはしっかりとご自愛し お疲れのでませんように



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幻想の地 魔王軍対大魔王軍  決戦前

今回は黒太陽さん作「東方大魔王伝 -夢現幻想-」が最終話を迎え更に続く番外編で
ついカッとなって書いたものであり前回の話とは直接つながっておりません




「ここが幻想郷か聖母竜よ」

 

旅の扉をくぐり到着したのは今回の目的の地 幻想郷

 

『そのはずです ジゼルどうですかこの地は?』

 

[・・・コーセルテルに少し似てる気がします

なぜか冒険心がくすぐられますね]

 

「いきなり迷子になるなよ オレは探さんぞ

今回は非常に重要な・・・」

 

・・・ム やや離れた所から感じるこの暗黒闘気

これはまさか!?

いや・・・ あのお方がいるのだ

だからこそあやつもいて当然と考えるべきか

 

「いくぞジゼル 遅れるな!」

 

『下手に離れると危険ですからね』

 

オレはおぼえのある暗黒闘気を目指し飛んでいった

 

       ギューーーーン!!

 

真っ赤な屋敷が見えてきた

どうやらあれが話に聞いた紅魔館のようだな・・・

 

        !?

 

その屋敷の門から挑発するような闘気

そこには女武闘家とあやしいかげの二人

 

『一人は以前会いましたね たしか・・・』

 

[美鈴だ~]

 

その隣のあやしいかげ オレの知る姿ではないが

まず間違いない あれこそがやつの真の姿

オレは地上に下り相対し ジゼルもそれに従った

 

「ククッ・・・久しいな・・・

・・・魔影参謀ミストバーン・・・!!」

 

‘ハドラー!?’

 

   ザッ・・・ザッ・・・

 

オレが歩いて近づいていくと

 

‘まっ・・・待てっ!!ハドラー!!

それ以上 バーン様のいらっしゃるこの館に

近づくことは許さん!!!’

 

「・・・やはりここが紅魔館

バーン様の御住まいか」

 

‘・・・ハ・・・!?’

 

「クククッ ハハハッ! 随分と口が軽くなったな

その隣の相棒の影響か ミストバーンよ!!」

 

〔ミストのせいで私にまでなんか飛び火してる!?

・・・あのハドラーさん バーンさんにご用事ですか?〕

 

‘まて美鈴!この幻想郷にハドラーがいたのか?!

聞いておらんぞ!!’

 

「いや オレはこの地には今はじめて来たところだ

以前オレのところにバーン様が奥方様たちを

連れてきたことがあったのだ

美鈴とはそのときに会ったことがある」

 

‘レミリア様のことも知っているとは

どうやら嘘ではないようだな

・・・それで何の用だハドラーよ

おまえはすでにバーン様の配下ではない

以前のようにお目通りが叶うと思うな’

 

〔いえ あの~ 多分顔パスできますよ

レミリアお嬢様にとっては花嫁修業の先生ですし

バーンさんもヒマそうでしたから〕

 

‘・・・門番がそれでいいのか’

 

「オレは実力で押し通ってもかまわんぞ

おまえにはオレの息子が随分と世話になったようだしな」

 

‘息子・・・だと

あの人形がおまえの後継者だと・・・

おまえ自らが認めるというのか!?’

 

「そういうことだ

ついでに言えばこいつはオレの娘のジゼルだ」

 

[はじめまして ミストバーンさん

私はハドラー様の補佐竜 火竜ジゼルと申します]

 

『よい笑顔と挨拶ですジゼル』

 

‘・・・なんだと・・・’

 

〔あのみなさん ここで立ち話を続けるよりも館へどうぞ

お嬢様たちは既に気付いていると思いますし

ミストも黙ったようですから〕

 

「いや これ以上進めばこのミストバーンは無言のまま

オレやジゼル、条件さえ合えば相棒であるお前でも

背中から容赦なく突き刺してくる そういうやつだ」

 

‘そのとおりだ

・・・・・・だが 通るがいい

バーン様のお言葉はすべてに優先する’

 

「やはり たとえ姿や立場が変わろうとも

変わらんな おまえも・・・」

 

‘フッフッ おまえもな ハドラー

バーン様が一目置かれた強靭な肉体と精神をもつ者よ

私についてくるがよい’

 

「ほう・・・ ということは」

 

‘バーン様がお会いになられる・・・!!’

 

オレたちは館に招かれバーン様たちと再会した

既に茶会の用意がされており席についた

以前我が家に来た面々が紫を除き揃っている

見慣れぬ顔もあるが 立ち振る舞いからみるに

この館の使用人たちのようだ

・・・咲夜もそうだが かなりの実力者もいるな

 

出された茶や菓子は上出来のものだった

レミリアが胸を張っているところを見ると

どうやらこの茶菓子のパイは自信作のようだ

 

「どうやら精進を重ねているようだな」

 

〔ふふっ もっと褒めてもいいのよ〕

 

『ジゼルもおいしそうに食べてますね』

 

「「・・・よくぞここまで来たハドラーよ

またこうして会えるとはな

わざわざこの地にまで来た用件を聞こうか

・・・・・・余の・・・生命がのぞみか・・・?」」

 

バーン様の発言に傍らに立つミストバーンの暗黒闘気が膨れ上がる

やれやれ・・・人の悪いお方だ

 

「・・・神々からの依頼がありましてな

・・・この幻想郷の地限定で大魔王バーン様が

復活されたことで その後の様子を知りたいと」

 

「「ほう・・・成る程 神々の導きか」」

 

「丁度よいので便乗して観光がてらジゼルも連れ

こちらにお邪魔した次第です」

 

『まあ神々への報告は私がちゃんとしますからね』

 

バーン様を変えた幻想の地には以前から興味があった

 

ゴクッ・・・

 

・・・ふむうまい茶だ しかも一杯目と二杯目で違う うまさだ

これはフランの傍らに立つ執事が淹れたものか 参考になるな

 

〔そういうことなら時間が許す限りここに逗留すればいいわ

咲夜 客室を用意しておいて〕

 

〔はい お嬢様〕

 

そしてしばらくはおだやかに茶会を楽しんでいたが

ある道具を出したことで・・・

 

「以前バーン様のご依頼で魔界の拠点を掃除した際に

このような物を発見いたしました

はじめて見た物で正体がつかめず気になっておりました

よければどのような物かお聞かせいただけませんか?」

 

オレがこの機会にと拠点から持ち出した

妙に丈夫な白黒模様の玉をとりだした

 

「「む・・・ 懐かしいな

余がかつてあの研究をしていたときの遺物か・・・」」

 

バーン様が手に取るとその隣に座るレミリアとパチュリーが・・・

 

〔あら 懐かしいわねコレ 陰陽球じゃないの〕

 

〔・・・そうね

バーンが来る前に流行ったから随分と前になるわね〕

 

「知っているのか?」

 

「「これは幻想郷のものであったのか?」」

 

〔そうとは限らないけど 幻想郷ではこれを使って・・・〕

 

〔まってパチュリー どうせなら直接やった方がいいわ

咲夜 万事整えなさい!〕

 

〔はい お嬢様!!〕

 

〔ウォルターも準備がんばってね〕

 

〔お任せくださいフランお嬢様〕

 

レミリアの号令で何やら大掛かりなことになってきた

あの玉を使って何か儀式でも行うのだろうか?

バーン様はどこか楽しそうな顔をされているが

どうやら何をするのかまでは知らないと見える

 

・・・そして この幻想の地でオレはバーン様と

再び戦うことになる

 

 

 

 




東方大魔王伝の番外編がまた面白くて書きたいことが膨らみ続けるので
いつまでたっても完成しそうにないのでとりあえず投稿してみたウジョーです。
さてどうなるものか・・・


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幻想の地 魔王軍対大魔王軍  決戦直前 チャーリー劇場

注・戦中は公平のために中立視点です


みなさん こんにちは

スポーツの秋に相応しい晴天に恵まれ 

ここ幻想郷では久しぶりの試合がはじまろうとしております

 

東方サッカーEXマッチ

魔王チーム

      対

         大魔王チーム

 

さあ選手が入場して参りました

まずは魔王チーム

1. GK 大妖精くん

2. DF バケバケくん

3. DF レティくん

4. DF チルノくん

5. DF ジゼルくん

6. MF 早苗くん

7. FW 妖夢くん

8. MF 妹紅くん

9. FW キャプテンハドラーくん

10.MF 霊夢くん

11.FW 魔理沙くん

 

続いて入場して参りました

大魔王チーム

 

1. GK 紅美鈴くん

2. DF 妖精メイドくん

3. DF 妖精メイドくん

4. DF 妖精メイドくん

5. DF ウォルターくん

6. MF 小悪魔(ショート)くん

7. FW 小悪魔(ロング)くん

8. MF パチュリーくん

9. FW レミリアくん

10.MF 咲夜くん

11.FW フランドールくん

 

なんとキャプテンバーンくんはベンチスタートのようです

 

実況アナウンサーは 私 チャーリー高橋

解説にはGK・FW二刀流で超一流の八雲紫さんをおむかえしております

今日はよろしくお願いします

 

【ふふ よろしく】

 

外界出身の私は幻想郷でのサッカーを扱うのは

はじめてですがどのようなルールなのでしょうか?

 

【そうね 大魔王バーンが幻想郷にやってくる少し前

弾幕ごっこのかわりに一時期流行したのが

サッカーごっこ それが東方サッカー

基本的ルールはサッカー準拠よ 11人対11人

ハンド禁止 敵選手への直接攻撃・弾幕攻撃禁止

ああ オフサイドはなしね 色々めんどくさいし

今日の試合に限っては選手交代に制限なし

ボールはハドラーが持ち込んだ陰陽球を使うわ】

 

なるほど では両チームを見ていきましょう

 

【戦力的には・・・ほぼ互角といっていいわ

幻想郷の頂点7人中4人が魔王チームにいるけど

チームとしては寄せ集め感が強いわ

対して大魔王チームは全員が紅魔館関係者

人数合わせの妖精メイドのディフェンスが弱点に見えるけど

魔王チームのバケバケと違ってバーンだけではなく

ミストもベンチで出番を待ってるのが気になるわね】

 

成る程 そしてなんといっても注目すべき一番の特徴は

両チームのキャプテンのポジションでしょうか

 

【ええ魔王チームはキャプテンハドラーがフォワードとなり

最前線で点をとりにいく形をとり

一方 大魔王チームはキャプテンバーンが

ベンチから指示をだすというまったく正反対なのが

面白いところね】

 

これが試合にどうあらわれるのか!

さあ 注目の試合まもなくキックオフです!!

 

 

 

・・・

・・・・・・

・・・ついに ついにかえってきた このじっきょうせき

メガCDとともに げんそうきょうに ながれついて

もうどれほどのつきひが・・・

だが わたくしは かえってまいりました

なつかしきマイクをとおした このこえ!

マイクのこのあじ!!

そして このボタンおさないぞこうげき!!

そう!チャーリーげきじょう ふっかつです!

そんな おもいを この うたに たくします!

きいてください! なみだのチャーリー

 

ピーーーーーー!!!

 

魔王チームのキックオフから 試合開始です!

 

【審判のホイッスルでこの切り替え 流石プロね・・・】

 

 

 

 




ついに東方サッカーで投稿してしまったウジョーです
まあ好きなものを扱うことしかできないので
スタメン考えるだけで相当迷いましたが次から本題です
解説席がついたのは話の都合もありますが実況アナウンサーが
東方サッカーの霖之助らではなくチャーリー氏なのは100%私の趣味です
(これはキャプテン翼タグつけたほうがいいのかな?)


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幻想の地 魔王軍対大魔王軍 前半戦 1 S.G.G.K

魔王チームのキックオフから 試合開始です

 

〔いくぜ大魔王チーム!

これがあたしの

マスタースパークだ!!〕

 

ああっと ボールをうけとった魔理沙くん

何かをとりだした!?

 

【あれは八卦炉!センターサークルからいきなり!?】

 

ゴアッ!!

 

〔魔理沙!!〕

 

なんと咲夜くんナイフをとりだし投げた!?

 

フゥア・・・ ズガーーーン!!!

 

なんと魔理沙くんの手から発した特大のビームが

ボールに炸裂したーーー!!

 

ドガッ!!

 

ボールはナイフを蹴散らし咲夜くんもふっとばした~!!

そのまま唸りをあげて大魔王ゴールへ一直線!!

 

〔キエエーーー!!〕

 

キーパー美鈴くんするどいパンチング!

 

ガッ!!

 

かろうじてはじいた

 

こぼれダマは妖精メイドくんがフォロー!

解説の八雲さん 今のプレイ

審判は一度も止めませんでしたが?

 

【大丈夫 ハンドじゃないわ】

 

なるほど たしかにキーパーの美鈴くん以外

ボールに直接手で触れた選手はいませんでした

 

【咲夜のナイフもあくまでボールに当たっただけ

咲夜を吹き飛ばしたのもボール 何も問題ないわ】

 

外界では「サッカーは格闘技」という言葉がありますが

ここ幻想郷ではまさに戦場です!!

 

【号砲一発 魔理沙らしい気持ちのいい一発だったわ

未経験者のバーン達にも東方サッカーがどういうものか

初手からわかりやすいだろうし】

 

妖精メイドくんパス!

中盤のパチュリーくんパスキャッチ!

ドリブルであがっていく!

パチュリーくんの滑らかなドリブル

サッカーの技術もかなり高いようですね

 

【そうね パチュリーは元々レベルが高い方だけど

純粋にサッカーができる程度の技術は

妖精メイドやバケバケだって備えているわ】

 

バケバケくん手どころか足もないようですが

ずいぶん器用なんですね!

前線ではツートップのスカーレット姉妹には

二人ずつのマークがつきパスコースが完全に塞がっている

パチュリーくんそのままシュートか?

いやパスだ

 

ウォルターくんとのワンツーリターン!

パチュリーくん高いタマにあわせる

 

〔させません!〕

 

そこに早苗くんがチェックにはいる

なんとパチュリーくんスルー!

 

〔〔なにィ!!〕〕

 

【早苗だけじゃなくキーパー大妖精もバランスをくずしたわ】

 

そこにあわせる小悪魔(ロングヘアー)くん!

 

〔いきます!

示現魔界流空手奥義・・・・・・

魔界流背面空中縦回転蹴り!!〕

 

ボムッ!

 

小悪魔くんオーバーヘッドキック!!

 

〔まわって止めるよ~〕

 

でたァ 大妖精くんの

ローリングセーブ!

 

           バシッ!!!

 

大妖精くん鋭いキャッチ

ゴールを守りましたーー!

 

【両チームともキーパーがいい仕事してるわね

S(スーパー)G(がんばり)G(ゴール)K(キーパー)大妖精と

S(スーパー)G(グータラ)G(ゲート)K(キーパー)美鈴の

S.G.G.K対決も見所のようね】

 

〔ちょっとまったーー!

G(グータラ)の称号はそこの解説者のものでしょうが!

何さらっと私につけてるんですか~!〕

 

【あなたにならゆずってあげてもいいわ】

 

〔いりませんよ!!〕

 

‘・・・! 集中しろ美鈴!’

 

「きづいたかミストバーン!

だがベンチからでは何もできまい!」

 

ハドラーくんボールをうけとり直線的なドリブル!

大魔王陣内に切り込んでいく~!

 

〔こっちよハドラー!〕

 

「よかろう!」

 

ハドラーくんパス!

霊夢くんパスキャッチ!

めまぐるしい攻守交替 10番霊夢くん

ここからどう攻めるか!

 

【ちなみにこの試合の敗者は試合後の宴会を全てもつという取り決めがあるわ

さて・・・どっちが主催することになるか楽しみだわ】

 

 

 

 




PS4値下げでここぞとばかりに購入して
今頃ドラクエビルダーズやりはじめたウジョーです。
マイクラ系に興味はなかったのですがこれはハマる・・・
東方サッカーのSSでの表現に難儀してますが書きたいことは
いっぱいあるのでスポーツの秋が終わるまでにもう一回くらい
投稿できるといいのですが・・・

朝夕冷え込み昼との寒暖差に体調を崩しやすい季節になりました
お疲れのでませんように

昨日は不意の地震に驚きました 当方は幸いにも大したことはなかったのですが
九州地震の例もあり油断は禁物 皆様もくれぐれもご注意くださいませ


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東方サッカー 前半戦 2 大魔王バーン立つ! ・・・がすぐに座った

〔いくわよ 魔理沙!〕

 

〔任されるぜ 霊夢!〕

 

息のあったコンビプレイで

大魔王チームの守りを突破していく~!

 

【これが霊夢と魔理沙の

東方コンビよ!】

 

〔くっ 間に合わない!〕

 

ウォルターくん 小悪魔(ショート)くん

ボールに追いつけない~!

ゴールを守るのは S.G.G.K美鈴くんと

DF妖精メイドくん三人!

 

妖精メイドくんがスライディングタックル!

 

霊夢くんかわしたー!

 

【霊夢がペナルティエリアに入ったわ】

 

〔いくわよ! 夢想封印〕

 

霊夢くんシュート!

 

強烈なドライブ回転がかかったシュートが

大魔王チームにおそいかかるーー!

 

【今の霊夢ならただ真下に落ちるだけじゃない

自由自在な変化でゴールを狙えるわ!】

 

〔体のどこかにあたってくれ~〕

 

美鈴くん体でシュートコースを塞ぎにいったー!

 

【もうそれしかないわね・・・】

 

ドン!!

 

美鈴くんふっとんだーーー!!

 

ボールはこぼれだまになったー!

 

〔妖夢、いきます!〕

 

ひくいボールにあわせ妖夢くんボレーシュート!

 

ポゥム!!

 

しかし!ゴールポストにあたったーー!

 

〔ちょっとなにやってんのよ!〕

 

〔剣つかえ 剣を!!〕

 

〔まだ 私は未熟・・・!〕

 

サッカーで足よりも剣を使えとはすごい野次ですね

 

【野次とばしてるの味方だけどね】

 

妖精メイドくんがボールをフォロー

そのまま大きくクリアーに・・・

 

「くらえ!」

 

ヂャキン! ズバァン!!

 

なんとハドラーくんのカミソリタックル!!

妖精メイドくんごとボールをゴールに押し込んだーー!!

 

【審判もゴールの判定ね】

 

ハドラーくんのカミソリタックルシュート!!

魔王チーム先制ゴール~~!!!

 

【1対0 ついに試合が動いたわ

けど妖精メイド相手にひどいことするわね・・・】

 

「最近は お茶目な家事自慢親父だと思われているようだが

オレは・・・残酷なのだ!!」

 

『大人気ないですね・・・』

 

[ハドラー様カッコイイー!!]

 

どうですか八雲さん 今のゴールを振り返って

 

【やはり大魔王チームの弱点をつかれたわね

今のカミソリタックルは仕方ないとしても

その前・・・

霊夢と妖夢にあっさり連続シュートを許したのが問題ね

ウォルターまで攻撃に参加した後のカウンターでは

無理もないけど

せめてもう一人柱となるDFがほしいわね】

 

ああっと!?

なんと大魔王チーム キャプテンバーンくんが

ベンチから立ち上がりました!

何か指示を出すのか

それともそのままフィールドに入るのか!?

 

【・・・あら? すぐにすわったわ

何かのサインかしら?】

 

大魔王チームのボールから試合再開です

 

咲夜くんから小悪魔(ショート)くんにボールがまわった

 

【大魔王チームのFWレミリアにはチルノとジゼルが

フランドールには妹紅とレティがすぐにはりついたわね】

 

得点源になりそうな二人を徹底マークですか

しかしそれではDFに大きな穴が空きそうですが・・・

 

【私も試合で戦ったことがあるけど

GK大妖精を抜くのは簡単ではないわ

それにディフェンス陣の連係もいい

この1点かなり重いかも・・・】

 

小悪魔くんからウォルターくんにパス

ウォルターくんライン際をドリブルであがっていくー!

 

〔やるじゃないかあの有能執事 いいドリブルだね

けど!フランのマークを外すためのオトリってのは

お見通しなのさ!〕

 

〔もうー!妹紅なんで敵にいるのー!

こっちのチームにくれば絶対勝てるのにー!!〕

 

〔そいつも面白そうだけど 折角なら・・・

バーンを引っ張り出して勝負したいんだよ!!〕

 

〔フランさん センターラインから動かないけど

そこからではこっちのS.G.G.Kは抜けないわ〕

 

〔ねえ妹紅にレティ 結構長いこと遊んでるけど

走りならともかく 飛んだらあたしに勝てると思う?〕

 

〔〔し・しまった!〕〕

 

ああっと フランドールくん跳び上がり

マークを振り切って一気にゴールへ飛んだ

 

〔ふふん!この羽は伊達じゃないのよ!〕

 

〔フランお嬢様!〕

 

ウォルターくんセンタリング!

飛んでくるフランドールくんにジャストタイミング!

 

【ほんとに有能ね

うちにスカウトしたいぐらいだわ】

 

〔うりあゃー!〕

 

     ズガガガガガガ!!!

 

フランくん炎の剣を出しボールに叩き込んだーー!!

 

〔止めます!〕

 

大妖精くんローリングセーブ!

 

    ドォオオン!!

 

大妖精くんふっとんだーー!

 

   ゴーーーーーール!!

 

フランドールくんの十六爪炎壁が

魔王チームのゴールにつきささったーー!!

 

【これで1対1ね】

 

八雲さん今のゴールはフランドールくんの頭脳プレイでしたね

 

【・・・フフ ようやくわかったわ

あのときのバーンの行動の意味が】

 

それではあのベンチでの動きがサインだったと?

 

【いえ あれこそが陽動 オトリだったのよ

おそらく私を含めみんながバーンに注目したあの時

パチュリーあたりがフランに入れ知恵したのね

そのまま耳打ちとかしても耳のいい誰かが気付くから】

 

なるほど 私もまんまとひっかかってしまいました

 

〔ごめんなさい みなさん、ゴールを守れなくて・・・〕

 

〔いや今のは私らのミスだ フランの狙いに気付かなかった〕

 

「そうではない

あの場合はオレがマークにつき

お前たちを下げるべきだったな

さあそれはもういい切替えろ とられたらとりかえす

あのバーンを引っ張り出すには同点ではダメだ

ゆくぞ!!」

 

     \\ おう!!! //

 




秋が終わるのが先か前半戦が終わるのが先か
ペース配分苦手なウジョーです。

涼しいを通り越して寒い日もありますが
風邪などひかれぬようお気をつけて



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東方サッカー 前半戦 3 頭脳戦

さあ同点 魔王チームボールから試合再開です

 

早苗くんから妹紅くんレティくんそして霊夢くんへと

速いパスをまわしていくー!

 

「オレにこい!」

 

〔いくわよ 陰陽師パス!〕

 

ああっと!レミリアくん咲夜くん飛びつくがとどかない!

前線 ペナルティエリア前のハドラーくんに

ボールがわたった!

 

「くらえッ!!イオラ~~ッ!!!」

 

ドーーーーーン

 

ハドラーくん右足での強烈なミドルシュート!

 

ドドドーーーーン!!!!

 

ゴールポストに直撃!

ボールはこぼれだまになったーー!

なんとポストが変形しています なんという威力だ~!!

 

【とんでもないことするわね・・・

あのゴールはバーンが参加することを想定して

強力な札を大量に使って強化してあるのよ】

 

あ~ なるほど遠めからでは歪なゴールネットに

見えていましたが あれはお札を繋ぎ合せていたのですね

 

【そう だから両軍のゴールは幻想郷最強硬度と

言っても過言ではないわ

それをああもたやすく曲げるなんて

パワーだけならバーン級かもしれないわ・・・

ちなみにゴールのポストもネットも自動で回復するから

あのままでもとくに問題ないわ】

 

〔あんなの どうしようもないじゃないですか・・・〕

 

〔なにをしてるの美鈴!!

ボールをこわがるようでは

紅魔館の門番は任せられないわ!〕

 

〔そんな お嬢様~・・・〕

 

〔つったってるだけなんて

ポストの方がまだマシよ!!〕

 

〔咲夜さんひどい!?〕

 

‘・・・・・・’

 

〔ミストの無言のまなざしも恐いし!!

それ励ましてる?怒ってる?あ、ひょっと心配・・・〕

 

こぼれだまは妖夢くんがひろった!

大魔王チームまたもピンチ!

 

〔今度は抜きます 私の剣技お見せします!

待宵反射衛星斬!〕

 

妖夢くん二刀流でボールに切りかかる

 

〔くっ!このままでは私の立場とか色々がやばい!?

こうなったら・・・!!!〕

 

切れ味するどい妖夢くんのシュートに対し

美鈴くん足で止めにいく~!!

 

〔必殺!雷斬脚!!〕

 

ボムッツ!!!

 

ボールを蹴り返した~~~!!!

 

ボールはライン際 妖精メイドがフォローしました

 

〔ファストブレイクよ!ピオリム!!!〕

 

ああっと 大魔王チームの全選手が光に包まれた!

そしてボールをキープした妖精メイドくんが

凄いスピードでライン際をあがっていくー!

チルノくんとジゼルくんの横をあっさりぬいたーー!!

 

〔あらっ!?〕

 

[えっ?!]

 

「ジゼル!チルノ!全員攻撃がくるぞ!!

レミリアのマークはオレに任せてゴール前を固めろ!!」

 

[はい!ハドラー様!!]

 

〔ゴールはあたいらにまかせろ!!〕

 

妖精メイドくんからペナルティエリア前の咲夜くんにパスが渡った

なんとバケバケくんだんまく攻撃これは危険だ!!

 

【反則覚悟で止めにいったわね】

 

咲夜くんジャンプ一番かわした

 

「ジゼル!」

 

[とびひざげり!!]

 

〔なにィ!〕

 

 ドガッ

 

ジゼルくんと咲夜くん空中で激突!!

こぼれだまにウォルターくんがおいつきシュート体勢!

 

【大魔王チームにとってはその方が有利だから

審判は反則をとらなかったわね】

 

〔やっちゃえ!ウォルター!!!〕

 

〔きめます!〕

 

ウォルターくんジャンピングボレー!!

 

大妖精くんとびつくー!!

 

〔ハッ!〕

 

ボッ!!

 

なんとボールにナイフがあたりシュートの軌道が変わった!

 

【咲夜の時止めを併用したナイフ投げね

大妖精のバランスが崩れたわ】

 

〔とめます!〕

 

ローリングセーブでとめにいったー!!

 

  ガッ

 

かろうじてはじいたー!!

 

そこに走りこんでくるのはもう一人の妖精メイドくん!

 

【3人出場してるけど正直見分けがつかないわ】

 

そのままボレーシュート!!

倒れている大妖精くんの逆をついたー!

これはきまったか!?

 

〔バケバケさん!!〕

 

バケバケくんカバーにはいったー!クリアー!!

 

しかし小悪魔(ショート)くんトラップ

魔王チームピンチがつづきます!

 

〔トップスピンパスよ!〕

 

ゴール前小悪魔(ロング)くんへセンタリング

オーバーヘッドの体勢にはいる!!

 

〔レティ発射台になって!〕

 

〔いくわよチルノ!!〕

 

チルノくんスカイラブでとぶ!!

シュートコースを完全にふさいだ!!

 

なんと小悪魔くんオーバーヘッドでパスだ!

それをうけるのは パチュリーくんだ!!

 

〔ナイスパスよ!こあ!

そしてこれが魔王チームのゴールをこじあける最後のカギよ!!

アバカム(物理)!!!〕

 

パチュリーくん強烈なヘディング!!

 

〔くっ ガッツがたりない!〕

 

大妖精くんパンチング!

だがとどかない~!!

 

ゴーール!!

 

パチュリーくんのヘディングシュ-トが

魔王チームのゴールにつきささったー!!

 

【これで大魔王チームが1点リード

・・・けどそれとひきかえに失ったものも大きいわ】

 

失ったもの?それはいったいなんでしょうか?

 

【呪文の効果はきれたようだし すぐにわかるわ 

それより魔王チームに動きがあるようよ】

 

〔苦戦しているようだね妹紅〕

 

〔慧音!〕

 

〔私もいれてくれ バーン相手には勝てる気がしないが

今の大魔王チーム相手ならこの失点をなかったことにしてみせる

どうだいキャプテン?〕

 

「よかろう 入るがいい

バケバケご苦労だった 休んでいろ」

 

ここで魔王チーム メンバーチェンジです

 

2. DFバケバケくんにかわり 慧音くん

 

【慧音はどちらかといえばディフェンス向きの選手・・・そのままだとね】

 

何か期待を感じさせるコメントありがとうございます

さあ魔王ボールから試合再開です

 

「よし!全員あがれ!総攻撃だ!!!」

 

  \\おう!!!!//

 

キャプテンハドラーくんの号令で

GKをのぞく魔王チーム全選手が攻撃参加のようです!

 

〔攻撃には私ひとりでいいわ!!

全員ここは死守よ!!〕

 

大魔王チームはレミリアくんからの指示で

ワントップの守備陣形の模様です

 

〔いくわよパチュリー〕

 

〔うっ・・・・・・・・・・・・ 喘息が・・・〕

 

パスをうけた慧音くん パチュリーくんをドリブルでかわしたー!

 

【これよ あの紫もやしの最大の弱点、スタミナ不足

先の得点では味方全選手にピオリムをかけた上に

自らヘディングまでした

体力も魔力もかなり消耗した状態では妖精メイドよりものろいわ】

 

攻守の要となるパチュリーくんがこうなっては

大魔王チームにとって大きな戦力ダウンということですね

おおっと慧音くんの前には妖精メイドくん三人とGK美鈴くんだ

慧音くんシュート体勢にはいった!!!

!!

なんと慧音くんの髪が青から緑へ!

そして頭には2本の立派な角が生え

ボールを挟み込んだ~~!!

 

【あれはハクタカ あの子のもうひとつの姿

あの状態でのパワーとスピードはひとあじ違うわよ】

 

そのまま大魔王ゴールへ一直線だ~~!!

立ちふさがる妖精メイドをものともせず蹴散らし

残るはSGGK美鈴くんただひとりーーー!!!

 

〔紅魔館の門番の名にかけて!

今!!必殺の雷・斬・脚!!!〕

 

ドゴッ・・・!!

 

とめた~~~!!!

なんと美鈴くん足一本で突進してくる慧音くんを

みごとにとめましたーーー!!

 

〔どうです これが紅魔館の門番の実力です!!〕

 

〔さすが紅魔館の門番・・・私一人ではやはり通じないか

私一人では・・・ね〕

 

〔妹紅がいったわ!!!〕

 

〔なにィ!?〕

 

なんと慧音くんボールを角でロックしたまま体をひねり

その下に走りこんできた妹紅くんと背中合わせでドッキング!!

 

〔ロングホーン!〕

〔トレイン!!〕

 

〔な・にィーーー!!〕

 

なんとそのまま美鈴くんごとボールをゴールにおしこんだー!!

 

きまった!ゴ~~~~ル!!!

慧音くんたちのロングホーントレインが

大魔王チームのゴールにつきささりましたーー!!

 

【これで2-2の同点ね

このままではまだまだ点がはいりそうよ】

 

「「・・・今のは美鈴に油断があったな

慧音を止めたと思い込み わずかにスキができた」」

 

‘・・・!!’

 

「「まだおまえの出番ではない ミストよ

それよりも 酒の代わりをもて」」

 

‘はっ!’

 

「「・・・・・・・・・

・・・大したものだな」」

 

・・・・・・

 

《東方サッカー・東方サッカー猛蹴伝・東方サッカー2

インストールカンリョウ カンセンニヨル

データノバージョンアップ マモナク ニトリ》

 

〔それが終わったら私たちも参戦するわよロビン

キラーマシーンの開発者の一人 魔王ハドラー・・・

一度会ってみたいと思っていた!〕

 

《ギッ!!》

 

さあ再び同点となり両チーム一歩もひきません

それでは大魔王ボールから試合再開です

 

 




スポーツの秋が終わるまでにせめて前半戦は終わらせたかったウジョーです。
最近どうにもPCが不調でよく止まったり勝手に電源がきれたり困ったものですが
どうにか前半戦の終わりが見えてきました。
今年中にでどうにか前半戦が・・・ おわればいいなあ・・・

地元のサッカーチームがJ1入りに王手と いいニュースがあったのに
南米ではとんでもない事故が・・・ ご冥福をお祈りいたします。


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東方サッカー 前半戦 ラスト 激突 コンビプレイ

さあ再び同点となり両チーム一歩もひきません

それでは大魔王ボールから試合再開です

 

〔消耗しているのは大妖精も同じよ!

ここは攻め続けるわ!!ゴールが見えたらうちなさい!!〕

 

〔お嬢様!!〕

 

咲夜くんからのパスをレミリアくんがキャッチ

ペナルティエリア外からはやくもシュート体勢にはいった!!

 

〔ファイヤーー!!〕

 

ゴアアアアアッ!!!

 

火炎球が魔王チームのゴールを襲う!!

 

〔とめるよジゼル!!〕

 

[うんチルノおねえちゃん! まずは火竜術で炎を消す!]

 

プスン!

 

〔おねえちゃん・・・!! バ・バブーー!!〕

 

〔チルノちゃん喜びのあまり逆に幼児化してるよ!!〕

 

チルノくんボールにむかっていく~~!

 

ボールをクリアー!

 

こぼれだまにレティくんと小悪魔(ロング)くんが

せりあいにいったー!!

 

ああ~~っと 両者ゆずらずボールはふたたびこぼれだまに

 

〔もらったぜフラン!!〕

 

〔魔理沙なら加減なんかいらないね!!〕

 

中盤での激しいボールの奪い合い

前半戦も残り時間わずか!これが最後の山場でしょうか!?

 

【ここでのボールキープが重要よ あ!?】

 

早苗くんがこぼれだまを拾った

 

〔キャプテン この弾道が見切れますか!〕

 

そして前線へのロングパス!

これがハドラーくんへ通った!

 

【チーム力の差がでたわね】

 

「よし!こいジゼル!!」

 

[はい!ハドラー様!!]

 

フッ    ベリッ!    ぽーーーん・・・

 

なんとハドラーくん ボールではなく

いきなり胸に張り付いてきたジゼルくんを

はがしてゴール前へ放り投げた!

 

【手馴れてるわね~ 普段の親子関係がわかるわ】

 

「くらわせろジゼル!」

 

そしてジゼルくんにセンタリング!

 

大魔王チームペナルティエリアの上空で

ジゼルくんボールをうけた!

 

〔ふっ ジゼルちゃんあなたの炎は以前もらいました!

我が流派に同じ技は二度と通用しない!!!〕

 

[い・な・ず・まーーーん!!]

 

ズガーーーーーアアン!!!

 

〔なにィ!!〕

 

〔あ、美鈴コゲた〕

 

ゴーール!! ジゼルくんのいなづまシュートが

大魔王チームのゴールにつきささった!!

 

【3-2前半戦ももうロスタイムぐらいしか残ってないわ

この1点大きいわよ】

 

あっと大魔王チームなんとここでメンバー交代のようです

パチュリーくんと妖精メイドくん一人をベンチに下げます

 

【この試合選手交代に制限はないわ

紫もやしの回復のためにベンチで休ませるのね

そして二人ということはついに動くのかしら?】

 

ここで参戦するのは・・・

にとりくんとロビンくんです!

 

《コンビプレイ インプットカンリョウ

バージョンアップシュウリョウ!》

 

〔ギリギリ間に合ったわね〕

 

【あら?その二人なの

河童のにとりと キラーマシーンのロビン

ほしふり大会優勝コンビね】

 

「キラーマシーン・・・だと」

 

〔ふふふ このロビンはバーンのくれた部品をもとに

あたしがカスタマイズを重ねともに研鑽をつんだ相棒よ

キラーマシーン開発者の一人魔王ハドラー・・・

いざ 勝負!!〕

 

《ギッ!!》

 

大魔王チームボールから試合再開です

あーーっとレミリアくんセンターサークルでシュート体勢!!

 

【もう時間がないから勝負にでたわね・・・

けど 直線コースはすでにチルノたちにふさがれたわ】

 

〔ハッ!!〕

 

なんとこれは 大きく弧をえがいて壁を上から超える

超ロングループシュートだ!

 

しかしこれはDFは超えてもキーパー大妖精くんには

無謀と思えるイージーすぎるシュートだ!

すでに落下点には大妖精くんがはいった

 

〔ロビン!タッグフォーメーションAだ!〕

 

《スーパーユウジョウモード発動中!》

 

〔のびーるアーム モーションS!

そりゃー二本背負いーーっ!!〕

 

ガバッ

 

なんと にとりくんからのびたマジックハンドが

ロビンくんの腕をつかみそのままボールへ投げつけた!!!

 

【あれは最強の柔術家 姿サンタローの奥義二本背負い投げ!】

 

ギュルギュルギュル

 

《ローリングハヤブサギリーーッ!!》

 

ズバババ!!!!

 

ロビンくんすさまじい回転をしながらボールに斬り込んだ!!

ボールも強烈なスピンをしながらゴールへ一直線だ!!

 

〔これが前半戦最後のプレイなんとしてもとめます!〕

 

大妖精くんローリングセーーーーブ!!

ボールにおいつくー!!

 

ドーーーーン!!!

 

大妖精くんふきとんだーーー!

 

きまったーーー!!

同点ゴーール!!

 

〔ローリングセーブ破れたり!

これがあたしとロビンのコンビプレイよ!〕

 

ロビンくんたちのノートラップローリングはやぶさボレーシュートが

魔王ゴールにつきささったーーー!!

 

【シュート名長すぎ!】

 

ピーーーーーーーーー!!!!

 

同時に前半戦終了のホイッスル~!

同点で後半戦をむかえます

 

 




超人師弟コンビと見せかけてスクラップ三太夫ネタにはしったウジョーです。
長かった前半戦よ・・・さらば! まさかこんなに長くなるとは
後半戦がはじまる前にハーフタイムをはさむ予定なのでバーン様の参戦は来年になりそうです。
こんな長編今まで書いたことないのでいつ終わるのやらさっぱりわかりませんが
最後までお付き合いいただければ幸いです。



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東方サッカー ハーフタイム

前半戦を振り返ってどうですか八雲さん

 

【3対3・・・ 両チームともに五分といえるけど

最大戦力のはずの両キャプテンは様子見・・・

といったところね】

 

ベンチにいた大魔王チームのバーンくんはともかく

前半戦で1ゴール1アシストと大活躍の

魔王チームハドラーくんも様子見ですか?

 

【ええ うったシュートはたったの2発

しかも一発は魔法の試し打ちに軽くけっただけ

アシストになったジゼルへのパスも あのまま

自分でシュートした方がゴールの確率は高かったはず

自分のチームの戦力把握や連携を優先したのね

・・・ただの親バカの可能性もあるけど】

 

ありがとうございました!

それではハーフタイム中の両チームをどうぞ

 

「ちっ 解説め的外れなことを」[ハドラーさま~]

 

〔背中にジゼルくっつけたまま言っても説得力ないぞ〕

 

ベリッ

 

[どうでした!ハドラー様!!あのゴール!!

ハドラー様からのボールにおもいきりたたきこみました!]

 

「ご苦労!」

 

〔ごめんねジゼルちゃんせっかくのリードを守れなくて・・・〕

 

「気にするな大妖精よ

それよりもローリングセーブを攻略された方が問題だ」

 

〔攻略?どういうことだ〕

 

「1点目はフランによる力押し

2点目は波状攻撃での消耗狙いだったが

3点目はボールにローリングセーブ以上の回転を与え

弾き飛ばすという工夫だ」

 

〔ベーゴマかよ〕

 

「そして結果をだした

後半はほかのやつらもそこをついてくるだろう」

 

〔そうなるとレミリアとフランだけを

マークするわけにはいかなくなるな・・・〕

 

ポン

 

〔・・・大丈夫 ここからは私に任せて〕

 

〔レティさん帽子が・・・!〕

 

〔あなたのがんばりが呼び起こした

この帽子に刻まれた文字にかけて

ペナルティ・エリア外からのシュートは許さない!〕

 

〔でもあんたから前に 魔理沙がふっとばした後

私のエリア外からの夢想封印で点とったわよ〕

 

〔あれは私がゴール前にいなかったから無し!!

無かったから!!!〕

 

「フッ 後半も楽しめそうだな」

 

 

・・・

「「みな大儀であった

見ごたえのある対局だったぞ」」

 

〔どうにか同点で折り返したってところよ

ところでその同点ゴールを決めたにとりとロビンは

センターサークルでなにやってるの?〕

 

「「ロビンの補給と改造と言っていた

ルール上マシンメーカーを持ち込んでも反則にはならんからな」」

 

〔まだ隠し技があるのね〕

 

「「さて美鈴よ」」

 

ビクン

 

「「どうした・・・面をあげよ

余は寛大な男だ

失点も三度までは許そう・・・」」

 

〔・・・〕

 

「「しかしおまえは 霊夢にふきとばされ

その隙をハドラーにつかれてしまった・・・」」

 

〔う・・・〕

 

「「・・・さらに慧音の突進を止めたことで

油断し妹紅の接近に気付かなかった」」

 

〔・・・〕

 

‘顔色が悪いぞ美鈴’

 

「「・・・そしてジゼル嬢の必殺シュートに

成す術もなかった・・・!」」

 

ガクガク ガクガク

 

「「・・・だが・・・

あの足技を余は評価しよう・・・」」

 

〔・・・・・・!!!〕

 

「「後半からはFWとして前線におもむくがよい

おまえの活躍次第でレミリアやフランも動き易くなる」」

 

〔はっ はいーーッ!!!〕

 

〔あなたも人が悪いわね・・・

試合見ながらお酒飲んでいたただけなのに

あなたもでればいいじゃないの〕

 

「「盤を見ながら杯を手に指すのも一興よ

参戦するのはいつでもできる」」

 

〔バーン見てて!後半も点とってくるから!!〕

 

〔私は1アシストだけだったし後半こそ・・・〕

 

「「女王はうかつに動かぬのが定石

気負う必要はない 見とどけようではないか・・・

女王の晴れ姿を・・・」」

 

〔楽しみにしていなさい〕

 

〔お嬢様 露払いはお任せを〕

 

‘バーンさま 美鈴のかわりの門番は是非私を・・・’

 

「「ミスト・・・」」

 

〔待ちなミスト 私にいい考えがある〕

 

「「聞こう霧の萃香よ・・・」」

 

 

まもなく後半戦がはじまりますが両チームポジションや

メンバーチェンジが発表されました

まずは魔王チーム

 

1.  GK レティくん

2.  DF 大妖精くん

3.  DF 妹紅くん

4.  DF チルノくん

5.  DF ジゼルくん

6.  MF 慧音くん

7.  FW 妖夢くん

8.  MF 早苗くん

9.  FW キャプテンハドラーくん

10. MF 霊夢くん

11. FW 魔理沙くん

 

前半戦好セーブを見せた大妖精くんに代わり

DFのレティくんがGKへ 帽子も変えて気合十分です

 

【あの帽子 どうやら幻想郷伝説の・・・

S.G.G.K スーパーグレートゴールキーパー復活ね】

 

幻想郷にもいたんですか!?

スーパーグレートゴールキーパーが!?

 

【ええ 決して許さないはずのペナルティエリア外からの

シュートが決まってから姿を見なくなったけど

あの時よりもレベルアップして帰ってきたわ】

 

つづいて大魔王チーム

 

1.   GK ミスト萃香くん

2.   DF 妖精メイドくん

3.   DF ロビンくん

4.   DF にとりくん

5.   DF 咲夜くん

6.   MF 小悪魔(ショート)くん

7.   FW 小悪魔(ロング)くん

8.   MF ウォルターくん

9.   FW 紅美鈴くん

10.  MF レミリアくん

11.  FW フランドールくん

 

 

咲夜くんをDFにかえることで

ウォルターくん、レミリアくんの三人で一本の柱を通し

新加入のにとりくんロビンくんでDFを補強

FWに美鈴くんを加え攻撃力をUPと

チーム力を大幅に強化してきましたね

 

【このキーパー 霧の萃香じゃないの?】

 

ええ 提出されたメンバー表にはGKミスト萃香、と

あの立派な角に可愛らしいリボンの小柄な女性でしょうか?

褐色な肌に鋭い眼光 いかにも凄腕のようですね

 

【なるほど・・・そういうことね

萃香は幻想郷でも頂点に次ぐ実力者の鬼なんだけど

今は大魔王の懐刀ミストが憑依しているようね

ミストが萃香の体を操ることによりその鬼の力と

ミストの暗黒闘気を合わせた必殺セービングが狙いかしらね】

 

若島津くんがゲルティスくんに

パワーアップしたようなものでしょうか?

 

【その例えは逆にわかる人が減ると思うわ・・・】

 

〔それはちょっと違うね紫

あくまで意識をもって闘うのは私 伊吹萃香よ

その真価は実戦で見せてあげるわ〕

 

後半戦まもなく開始です

 

・・・

・・・・・・

【きょうのスコアメモよ

 

じぶけぞね とめほやも ちぬぶべねら

ぬなとりぺ うざかがろ ねがうひてつ

 

みんながんばってね】

 

な~んちゃって あわててメモしたひとはごめんね

東方サッカーに パスワードなんかないよ

やっぱりかわいいマネージャーに スコアメモを

よんでもらうのも いいでんとう でしたからつい

 

【まあかわいいなんて あまりいわれたことないわ】

 

それはもったいない チャーリーなんて

かわいい かいせつさんがおとなりで どっきどき

はやくボタンをおしてくれないと まがもたないよ~

 

【あらあら】

 

ピーーーーーーー!

 

大魔王チームのキックオフから後半戦開始です

 




どうにか年内に更新できましたウジョーです。
チャーリー劇場内のパスワードは
FC版キャプテン翼1の南葛対東邦のときのパスワード・・・のはず
Ⅱはあったんですが1がみつからず確認できなくて

私は大晦日も元日も仕事なのであまり年末の実感ありませんが
みなさまよいお年を


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東方サッカー 後半戦1  二大守護神

〔完成!これがロビンのバトルサッカーフォームよ!!〕

 

なんとにとりくんハーフタイム中 センターサークル内で

ロビンくんの改造を行い後半戦開始直前に終わったようです

 

【サッカーの障害になりやすい腕の強弩を外し

代わりに大砲を装備し手に持った剣大砲も体内に格納

何より頭身を縮めることで小回りが効くようにしたわね】

 

ボールを蹴るだけでも前半戦の人が乗れそうな大きさよりも

今のSD形態の方が有利ですからね

まあ普通サッカーに強弩も大砲も剣も使いませんが

これは東方サッカー 活躍に期待しましょう!

大魔王チームのボールから後半戦開始です

 

〔なら見せてもらうわ その力を!〕

 

レミリアくんからロビンくんへパス

なんとロビンくんトラップせずにボールに大砲を向けた!!

 

〔ロビン!マジカルキャノンシュートよ!〕

 

《ギッ!!》

 

 ボウン!!!

 

ボールは輝きながら弧を描き魔王チームゴールへ!!

ゴールを守るのはS.G.G.K(スパーグレートゴールキーパー)

レティくんだ!!

 

〔どんなシュートだろうとP.A(ペナルティエリア)の外からは

絶対にいれさせない!!〕

 

バシィ!!!

 

レティくんダイビングキャッチ!!

両手でガッチリとつかみましたーー!!!

 

〔なにィ!そんなはずは!?

マジカルキャノンシュートは

触れればイオナズン級の爆発を起こすはず

あんな簡単にキャッチできるはずが?!〕

 

《レティノ両手カラ魔法力ヲ感知》

 

〔あっちのカラクリも魔法?!

でも正体がはっきりしないと一斉射撃でも難しいかも・・・

面白くなってきたね まずはディフェンスだよロビン!〕

 

〔ギッ!!〕

 

ボールはレティくんから大妖精くん、慧音くんとまわし早苗くんへ

外野からの歓声がひときわ大きくなります!

前半戦に比べ観戦するお客さんがずいぶんと増えていますね

 

【みんな気になるんでしょうね

頂点を含めこれだけの実力者が宴会や異変でもないのに

集まって戦うんだから】

 

早苗くんへ にとりくんがむかっていきます

ここは勝負にいかず霊夢くんへパスだ

そしてワンツーリターン! 

早苗くんP.A内へ入った

正面には咲夜くん 妖精メイドくんがいるぞ~!

 

〔この弾道、見切れますか?常識を超えたドライブです!!〕

 

早苗くんシュートォ!!

咲夜くんたちの頭上を越えさらにバウンド!!

変則的な動きを重ね大魔王ゴールへ!!!

 

‘〔闘魔傀儡掌!〕’

 

なんとミスト萃香くんの手から糸のようなものが伸び

ボールを絡め取った!!

 

【これがミストと憑依した利点ね

パワーはあるけど手が小さいせいかキャッチが苦手な萃香だけど

ミストの暗黒闘気でそれを補うようね】

 

〔あまい!!〕

 

なんとホウキにまたがった魔理沙くんが飛んできたーー!!

 

〔弾幕はパワーだぜ!小手先の技なんかに頼ってはいけない!〕

 

そのままホウキでボールをねじこみにいったーー!!

 

ズドン!!      ガシッ!!

 

‘〔同感だね魔理沙〕’

 

なんと萃香くん ボールごと魔理沙くんの突進を

ワンハンドキャッチで止めたーーー!!!

 

    \\なにィ!!//

 

‘〔これぞミストとの合体による真価

暗黒闘気の利用はあくまで補助的なもの

ミストによって引き出された鬼の潜在能力

この私の圧倒的なパワーこそ本丸よ!!〕’

 

両チームの前半よりも強力な守護神の登場に

観客も沸きます!これは後半1点勝負となるか?!

 

【せっかくだから萃香にも

SGGKでなにか呼び名をつくりましょうか】

 

おもしろそうですね

・・・S(城を)G(ガードする)G(豪傑な)K(鬼神)とか?

 

【S(萃香と)G(合体した)G(ゲート)K(キーパー)でもいいわね】

 

おおっとSGGK大喜利をやっている間に

ボールは中盤で激しい奪い合いに

支配するのはどのチームか!?

 

 

 

 

 

 




あけましておめでとうございます ウジョーです。

久しぶりの更新ですが後半戦のほんの最初だけになってしましました
書きたいことはいっぱいあるのですが 本年も気長にお付き合いいただければ幸いです
・・・あまりのスローペースぶりに黒太陽さんの東方大魔王伝 -夢現幻想-
完結記念に書いてたはずなのにあちらでは番外編まで終わってたりしますが・・・

本年もよろしくお願いいたします。


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東方サッカー 後半戦 2  スーパーシューター

「霧雨 博霊 魂魄は前線で待機!

タマがくればそのままゴールに叩き込め!

オレは中盤に行く!」

 

〔フラン!ゴール前で待ってなさい!

美鈴は私といっしょにボールを獲りにいくわよ!

ハドラーが加わったら咲夜達じゃ分が悪いわ〕

 

〔まかせてお姉様!〕

 

〔お任せくださいお嬢様

この足技攻撃でも守備お役に立って見せます!〕

 

さあ 中盤がさらに白熱して参りました

 

〔いきます!トップスピンパス!〕

 

〔回ってなんでもとめるよ~〕

 

小悪魔(ショート)くんのトップスピンパスを

大妖精くんがスパイラルパスカットでとめたー!

 

〔ロングパスは控えなさい 狙われるわ!〕

 

「よくやったダイ!ジゼルよフォローにまわれ!」

 

〔これだ!〕

 

小悪魔(ロング)くんオーバヘッドクリア!

空中で大妖精くんのボールをはじいた

咲夜くんがフォロー

 

「くらえ!!」

 

〔渡しません!〕

 

    ズバン!!

 

〔なにィ!〕

 

ハドラーくんのスライディングタックル!

咲夜くんからボールをうばった!

 

〔ここよ!!〕

 

【うまいわねハドラーの一瞬のスキをついて

レミリアのクリアが間に合ったわ】

 

ボールはふたたびこぼれダマに

ジゼルくんとにとりくんがせりあいにいったー!!

 

         ガッ!

 

ああーーっと

両者譲らずボールはライン際へ転がっていくー!

一番近い妖精メイドくんが間に合うか?!

 

「チルノ!」

 

〔ハドラー!〕

 

なんとハドラーくん チルノくんをボールに向かって

ブン投げたーー!!

 

〔亜米利加牛といっしょに冷凍保存してやるわ!〕

 

チルノくんそのままパーフェクトフリーズだー!!

キンキンに冷えたボールは大魔王ゴールへ!!

 

‘〔このあたしにそんなロングシュートは通用しない!〕’

 

         ボムン!!

 

ミスト萃香くん強烈なパンチング!

ボールは逆に魔王ゴールへとんでいったー!!

 

「!?」

 

〔萃香! このチャンスもらった!!〕

 

〔させないよフラン!!くらえ鳳凰のはばたき!!〕

 

        クワッ

 

〔鳳翼 天翔―――ッ!!〕

 

〔なにぃ!?〕

 

妹紅くんコスモ全開の鳳翼天翔!!

ボールはふたたび中盤へ転がっていった

 

〔慧音と二人で守るこのペナルティエリア内で

ダイレクトシュートなんて出来ると思うなよ!〕

 

〔子供達の笑顔のためにも、妹紅と共に私は戦うぞ!〕

 

【魔王チームの強化されたディフェンスだと

フラン一人で点をとるのはまずムリでしょうね】

 

再び激化する中盤の争い!

そこから抜け出したのは・・・

ハドラーくんだ!!

 

〔そこよ ロビン!!〕

 

《カミソリタックルダ!!》

 

ジャギィン!

 

「ほう!」

 

ハドラーくんドリブルのスピードをあげてかわした!

 

《ギッ!!》

 

                ジャギギイン!!

 

なんとロビンくん斬り返してもう一度カミソリタックルだ!

 

〔ロビンのカミソリは二枚刃なのさ!〕

 

「ならばこれをくらえ!!!」

 

ハドラーくんシュート体勢!

 

      グボン!!!

 

両者激突!!

 

ロビンくんふきとんだーーー!!

 

〔ロビーーーーン!!?〕

 

地を這うミドルシュート!

しかしミスト萃香くんの真正面

 

【流石にあの状態で隅を狙うコントロールはできないようね】

 

腰を落としガッチリキャッチ

 

‘〔なにィ!〕’

 

ズザザザザザ

 

なんとボールの勢いが止まらない

電車道でミスト萃香くんをゴールに運びます!!

 

〔‘闘魔滅砕陣!!!!’〕

 

      バ バ バ  ババ

 

ゴールマウスにもうひとつのネットが生まれ

ミスト萃香くんをうけとめたーー!!

ゴールライン際でミスト萃香くんとまったーー!

 

‘〔ミスト!?余計なことを!!〕’

 

〔‘このゴールはバーン様より任されたもの・・・

バーン様のお言葉はすべてに優先する・・・!’〕

 

‘〔くっ ひとつ貸しにしとくよ!〕’

 

ミスト萃香くんからウォルターくんへパス

 

〔いきますよ咲夜さん〕

 

〔すべてはお嬢様のために!〕

 

ウォルターくんと咲夜くんの速く精密なパス回し

ボールは一気に魔王チームゴールへ

そして咲夜くんからレミリアくんへセンタリングだ!

 

〔させん!〕

 

だがスカーレット姉妹には慧音くんと妹紅くんが

それぞれマークにつきシュートコースは塞がっている

 

〔ここは任せるわ〕

 

なんとレミリアくんスルー

そこに走りこんできたのは美鈴くんだー!

 

〔ここだーー!〕〔とめる!〕

 

なんととびだしたレティくんが一瞬早くボールをキャッチ!

美鈴くんのシュートをとめたーー!

 

〔うっ! この感触は!?〕

 

〔レティ!私によこしなさい!必ずきめてみせる!〕

 

なんと霊夢くん大胆なゴール宣言だ!

 

〔くろまくパスよ!〕

 

レティくんロングキック 大魔王ゴール前の霊夢くんへ

 

〔決める!!〕

 

      夢 想 天 生

 

霊夢くんボールに不思議な回転をあたえ

空飛ぶ大きな亀に乗って強烈なシュート!!

ミスト萃香くんけんめいに手をのばしたーー!

 

‘〔イテッ!?〕’

 

ミスト萃香くんの手を弾きボールはゴールへ!

 

〔‘闘魔滅砕陣!!!!’〕

 

再びゴールマウスへ暗黒闘気のネットがあらわれた

 

バリバリバリバリ

 

なんとそのネットをつきやぶりゴール!!

霊夢くんの夢想天生が大魔王ゴールへつきささったーー!

 

【解説しましょう 今のは

霊夢がかつてス-パーシューターとして

東方サッカーを席巻したときの代名詞ともいえる奥義よ

巫女の持つ能力を全て開放して、陰陽球を自分の真上に蹴り上げる。

そして落下する陰陽球に、ありったけの霊力を込める!!

ありとあらゆるものから宙に浮く能力、

陰陽球の持つ圧縮された霊気と霊気を操る能力、

それに霊夢の霊気、さらに幻爺の力!!

四つの力が一つになるとき、

ボールは無敵の力を秘めた、Last Wordになるのよ!!】

 

丁寧な解説ありがとうございます

幻爺というのは先ほど霊夢くんがシュートをするときに

支える足場となった空飛ぶ大きな亀のことですね

なるほど暗黒闘気のネットをつきやぶったのは

巫女の力というのが大きいのでしょうか

・・・あっとミスト萃香くん ベンチからでてきた

パチュリーくんから治療を受けています

 

【どうやら チルノのシュートを跳ね返したあたりから

手にダメージがあったようね

今の大魔王チームのフィールドプレイヤーに

優秀な回復役がいないのも一因だったわね】

 

パチュリーくんはベンチにもどり試合は

大魔王チームのボールから再開です

4-3 後半戦まずは魔王チームが追加点を奪いました




参考動画で出会った「サッカーと東方サッカーは、野球と野球拳ぐらい違う!」
という名言に感銘をうけたウジョーです。
まだ後半戦の2か・・・書きたいことがたまっていく一方ですが手がおいつかない
本当いつ終わるのやら。
立春を過ぎてからの厳しい寒波 みなさまお気をつけて


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東方サッカー 後半戦 3 盤上最強の駒!女王が動くとき

大魔王チームのボールから試合再開です

 

〔さあ いくわよ!〕

 

   \\おう!!//

 

大魔王チームの大攻勢!

 

【あきらかに点を意識してるわね】

 

ボールがジリジリと魔王ゴールへ近づいています

 

【ペナルティエリア内にいかに持ち込むかが重要ね】

 

ああっと!大妖精くんのスライディングタックル!

レミリアくん かろうじてかわした!

 

【守るほうも同じ事を考えてるようね

ゴールに近づくほどあたりが強くなるわ】

 

「流れはこちらにある!

もう一点とってあの男を引きずり出すぞ!!」

 

ハドラーくんボールをカット!

ライン際の妖夢くんへパスだ

 

〔妖夢いきます!〕

 

妖夢くんサイドから芸術的ドリブルで上がっていく~!

 

〔フラン!あなたは前線に残りなさい!

私達が必ずチャンスをつくってくるわ!〕

 

〔お姉さま・・・〕

 

妖夢くんから前線の霊夢くんへのパスが通った!

さあペナルティエリアにはいったぞ!!

 

〔これで決めるわ!〕

 

そこにかけつけるミスト萃香くん!

 

‘〔夢想天生!今度こそ止める!!〕’

 

〔‘闘魔最終掌!!!!’〕

 

ミスト萃香くんの右手が大きくなって霊夢くんに襲い掛かる!!

 

       フワッ

 

なんと霊夢くん気合避けだー!!

小柄なミスト萃香くんをジャンプで飛び越したー!!

 

‘〔なにィ!!〕’

 

【うまいわね ボールを足で挟み込みながら跳んだから

あの体勢では萃香がどうやってもボールには届かないわ】

 

〔シュートは強いものだけとは限らないのよ!〕

 

霊夢くんボールを巧みに体で隠しながら

クリップジャンプで一回転しながら投げるようにシュートー!!

 

〔‘ならば!!!!’〕

 

ミスト萃香くんの指から影が伸びて霊夢くんの体を迂回!

ボールを外へかきだしたーー!!!

 

〔なにィ!そんなのアリぃ!?〕

 

〔‘これぞビュートデストリンガーを応用した暗黒真空拳の新技だ!’〕

 

「ミストバーンめ! 味な真似を!?」

 

こぼれダマを妖精メイドくんがフォロー

咲夜くん ウォルターくんへとボールがまわっていくー!

 

〔フランお嬢様!〕

 

魔王チームペナルティエリア前で待機していた

フランくんへのパスが通った!!

 

〔う!?〕

 

だが魔王チームのディフェンス陣がゴール前を

ガッチリ固めて待ち構えているー!!

 

〔くっ・・・ 流石にこれは わたし独りじゃあ・・・〕

 

〔独りになんかさせないわ!フラン!!〕

 

〔お姉さま!?〕

 

自軍ペナルティエリアまで下がっていたレミリアくんが

全力疾走であがってきてフランくんと合流だーー!!

 

〔妹様 私達は常にいっしょです!〕

 

〔ハハハ・・・これぞ僕の天職ですよ!〕

 

〔咲夜、ウォルター・・・〕

 

〔パチュリー様の分まで〕〔支えてみせます!〕

 

〔小悪魔たちまで・・・〕

 

一気に前線まで上がってきた紅魔館の

トリプルコンビが魔王チームを切り裂いていく!!

 

〔もちろん紅魔館の門番の私もいますからね!

S.G.G.Kのキャッチの秘密はつかみました!

あの冷熱ハンドは片手では効果は半分以下のはず!〕

 

美鈴くんからのセンタリングがあがった!!

 

〔わかったわ美鈴 それだけで十分!

お姉様!あれをやりたいわ!

今回はお姉様が決めて!〕

 

〔ええ よくってよ〕

 

〔うぉぉぉぉぉぉぉぉレーヴァテイン!!!!!!!!〕

 

フランくん 炎の剣を生みだしボールへ投げたー!!

 

【その剣にレミリアが乗ったわ】

 

〔みせてあげるわ魔王チーム!スカーレットデビル

紅魔館の主にして バーンの女王の実力を!!!!〕

 

レミリアくんのボレーシュート!!

 

「「・・・愛いことをいう」」

 

ジャキキキキィイン!!!

 

ボールが巨大なクリスタルとなってゴールを襲う!

 

【あら綺麗】

 

〔まわって止めます!〕

〔おまえのシュートを通らなかったことにしてやる〕

 

ドガッ!! ドボッ!!

 

大妖精くんのスパイラルパスカットと

慧音くんの三種の神器によるシュートブロックを

まとめてふきとばしたーー!!!

 

〔くっ マヒャドだけでも!!〕

 

レティくんけんめいに右手をのばすー!!

 

  ズガァアン!!

 

レティくんふきとんだぁ!!

 

  ゴーーーーール!!

レミリアくんたちのトランシルヴァニアが

魔王チームのゴールにつきささったぁ!!

 

【4-4 ふたたび同点に追いついたわね】

 

魔王チームのボールから試合再開です

 

「とられたらとりかえす!!

これは逆にチャンスだ!

今の攻撃で消耗したスキをつくぞ!!」

 

ハドラーくん直線的ドリブル!

 

〔うっ!〕〔し・しまった!?〕

 

大魔王チームを中央突破だ!

 

〔ロビン わたしらで止めるよ!〕

 

《ギッ!!》

 

にとりくんとロビンくんがマークについた

 

「メラゾーマ!!」

 

   ボワッ

 

《ニトリ!!》

 

ロビンくんがにとりくんをかばうように前にでた!

 

「反応は悪くないが判断が甘すぎるわ!」

 

なんとボールを燃え盛る火炎球にしてシュートではなく

センタリングだ!!

これにはだれもおいつけない!?

 

【ジゼルがとんできたわ】

 

[まわしげり!!]

 

ジゼルくんジャンピングトルネードファイヤーシュートだ!!

 

【長い長い】

 

     ゴアアッ

 

ボールは燃え盛ったままゴールへ!

 

【あの火力・・・触れればただではすまないわよ】

 

‘〔鬼をなめるなぁ!!〕’

 

ミスト萃香くん右手のみを黒くしたまま

強烈なパンチングだ!!

 

グワッ ドオン   ぶわん

 

[えっ!!?]

 

なんとボールがさらに火力を増し業火球となって

ジゼルくんへはねかえした!!

 

グアアアア    ズドオオオオオン!!!!

 

    \\\\ジゼル!!////

 

ジゼルくんに直撃!?

なんということでしょう!?

 

【心配いらないわ ジゼルは火を司る火竜よ

どんな炎だろうと服すら燃えないわ

まあボールによるダメージはあるでしょうけど】

 

こぼれダマは・・・

 

「べギラゴン(閃熱極大呪文)!!」

 

    キュイィィィィン!!

 

落下点にいるのはハドラーくんだ!

両手から生み出された光の柱がボールに注ぎ込まれている!!

 

【すごい魔力なのに熱気をまったく感じないわ】

 

「火竜術により熱や炎の制御に磨きがかかり

凝縮強化された今のオレのべギラゴンは魔軍司令時代とは

比べ物にならんぞ!!

さあくらえミストバーン

サウザンドボール!!!!」

 

ビュオッ バァアン!!!

 

‘〔なっ・・・なにィ!!〕’

 

ハドラーくん破壊光球に強烈なキック

 

ボールはふたたび大魔王軍ゴールへ!

 

【というよりキーパーを狙ったわね】

 

〔‘うおおおおおおお!!!!’〕

 

ミスト萃香くんサウザンドボールを正面でキャッチ!!

その胸元は先ほどのように漆黒に染まっている

この球もはねかえすのか!?

 

‘〔なぁ! なにィ!!?〕’

 

なんとボールの勢いは止まらない!!

 

   ピーーーー!!

 

ゴーールイン!!

ハドラーくんのサウザンドボールが

ミスト萃香くんごとゴールへつきささったーー!

 

【5-4 後半残り10分でこの1点は大きいわ】

 

今のゴールですが以前のようにネットをだして

止めなかったのはなぜでしょうか?

 

【今のサウザンドボールをミストが闇の衣で

はね返そうとしたんでしょうね

でもハドラーのパワーに萃香が押された ということよ

もっとも もしあの暗黒闘気の網を生み出していたら

ボールと網に挟まれたままで身動きできずに

闇の衣に守られていない萃香が大炎上・・・かしら】

 

それは危ないところでしたね・・・

 

 

 

・・・スッ

 

〔・・・いくの?〕

 

「「かつての余の片腕があれほど熱烈なノックをしているのだ

門前払いというわけにはいくまい」」

 

    ニヤリ

 

 




今日購入したVジャンプのニュースに滾りすぎて一気に書き上げたウジョーです。
DQMJ3プロヘッソナルに大魔王バーン様降臨!!!だと・・・
しかもブラス老が仲間になる・・・だって
ハドラーは ハドラー様はどうしたーーー!!!
獣王クロコダインは技だけ先にでてるけどついにでるのか?!
スルーするつもりのタイトルでしたがこれは早速買いに行かねば


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東方サッカー 後半戦 ラスト 次元の違いの巻

スタジアムがどよめきます

観客のだれもが、そしてフィールドに立つだれもが

この一人の選手に注目しています

大魔王チーム最後の妖精メイドくんがベンチに下がり

キャプテンバーンくんが今入ります

 

【後半残り10分で1点負けてるもの

ここで出るしかないわ】

 

魔王チームのキャプテンハドラーくんに並ぶ巨漢

そして圧倒的な威圧感 期待せずにはいられません

 

【幻想郷のだれもが認める実力者

サッカーの実力は未知数・・・なんだけど】

 

さあ注目のポジションは・・・

あっとその前に先ほどのゴールでGKミスト萃香くん

気を失ったのかまるで動きがありません

バーンくんが歩み寄っていきます 治療でしょうか?

 

【萃香からなにかとりだしたようね

・・・瓢かしら?】

 

   グイ・・・

 

    ブフォ!

 

なんとバーンくん ミスト萃香くんに酒しぶきだ!!

 

‘〔・・・くぁ ・・・ん?〕’

 

【効果は抜群ね 目を覚ましたわ

そのまま酒をかければいいものを

あえて口に含んでから吹きかけるとか・・・】

 

〔‘お手数をおかけしました

もうしわけございませんバーン様’〕

 

「「よい おまえがその気になれば萃香の体を

自在に操れただろうに あえてしなかった

それを尊重したまでよ

・・・どうだ萃香 銘酒『大魔王』の味は?」」

 

‘〔酒霧とは味な真似を・・・ん、ひとあじ違うね

霧の萃香ともあろうものがみっともないところを

見せちまったよ・・・〕’

 

「「いや期待以上の働きであった

これよりはそこから余が打って出よう

門番の務めはそれよりも前だ」」

 

〔‘はっ!’〕

 

なんとバーンくんのポジションは まさかのGKです

これはどういうことでしょうか?

 

【考えられる可能性としては・・・

防御を強化することでより積極的に攻撃する為かしら

バーンの機動力を考えればあの位置からだって

いつでもオーバーラップで攻撃に参加できるもの】

 

なるほど攻撃と防御両方が強化されるということですね

 

「皆のもの!これからが本当の地獄だ!!

勝ち越しで凌ごうと思うな!

弱気をみせればそこをつかれる

求めるものは大魔王を打ち破った完全勝利のみ!!」

 

  \\\\おう!!////

 

「「うしろは余に任せよ 進め」」

 

  \\\\おう!!////

 

両キャプテンから檄が飛びます

 

さあボールが中央へ運ばれ大魔王ボールから

試合再開です

 

〔さあ いくわよ!〕

 

「ここだ!」

 

なんと開幕早々ハドラーくんのカミソリタックル!

レミリアくんかろうじてかわした

 

[バギ(真空呪文)!]

 

レミリアくんがバランスを崩しボールが

わずかに離れたところに風が割り込んだ~!

ボールがこぼれだまになった!

 

〔もらった!〕

 

早苗くんがすかさずボールをキープ!

流れは魔王チームにあるのか!?

 

【バーン加入で守備が補強されたことで

逆にどこかがわずかに緩んだのかもね】

 

〔ふりかえらず進みなさい!

守りはバーン達に任せて私達は敵ゴール前に詰めるのよ!!〕

 

〔はい お嬢様!〕

 

なんと大魔王チーム奪われたボールを無視するかのように

DFミスト萃香くんとGKバーンくんだけを残し

前進していくー!!

オフサイドルールのないこの試合これは大胆すぎる!

 

さあ早苗くんからFW妖夢くんへパス!

これをうけてはやくもペナルティエリアの中へ

さあ絶好のチャンスだ 妖夢くん二刀を抜いて・・・

 

      ニマッ

 

〔!!〕

 

     ピタッ

 

なんと妖夢くんフェイント!うたずに横に蹴った

万全を期したか シュートは走りこんできた

FW魔理沙くんに任せた!!

 

〔よし!!〕

 

正にバーンくんとの一対一!

ミニ八卦炉をとりだし

 

      ニヤリ

 

〔!?くらえバーン!!

これが今のあたしの全力!!

マスタースパークだ!!!!〕

 

至近距離からのマスタースパークさく烈ゥ~っ

 

    バチィィィッ!!

 

とったァ!!

 

  \\\\おおっ・・・////

 

大魔王チーム GKバーンくん

魔理沙くんのこの猛烈なシュート

マスタースパークをいとも簡単にキャッチ!!

さ・・・さすが大魔王チームのキャプテン

大魔王バーンくん 今までの沈黙と余裕 そして

メンバーからの期待は伊達ではありませんでした

観客席からも感嘆のため息がきこえます

 

【流石バーンね こうなると魔王チームが残り時間だけで

追加点は難しいわよ】

 

「「さあ 次はだれがうってくる」」

 

      ヒョイ

 

なんとバーンくん無造作にスローインだ

しかもこれは妖夢くんの真正面だ

 

「うて魂魄!

追加点でその男を幻想郷一のマヌケにしてやれ!」

 

〔望むところです……私は幻想郷を守る剣!

たとえバーンさんが相手でもこの剣でゴールを切り開く!!〕

 

       ズバァッ!

 

なんとボールが分裂ゥ!!

ボールまで切り裂いたのか!?

 

【すぐに元に戻るから問題ないわ それに・・・】

 

       バチィ!

 

【バーンには通用しないわ】

 

  ボム

 

そしてバーンくん 難なくキャッチしたボールを

またも無造作にうちあげた

まるで魔王チームをあざわらうかのようなプレイです

 

〔あたいたちをバカにすんなー!〕

 

「「たち・・・か」」

 

魔王チームDFチルノくんがオーバーラップ

ゴール前へとびこんできた

 

〔あたいは最強なんだから 勝つ!

いくわよ!アイシクルフォール!!〕

 

「「フッ・・・・・・懐かしいものよ」」

 

      バチィ

 

これもとめたぁーーー!!

 

【幻想郷最強の凍気も ものともしない

・・・ほんとにどうすればいいのかしら?】

 

 バカッ

 

そしてバーンくん軽くキック

こんどは霊夢くんの前だ

 

〔ひとりでだめならふたりでいくわ 魔理沙!〕

 

〔任されたぜ霊夢!〕

 

〔夢想!!〕〔スパーク!!〕

 

東方コンビのツインシュート!!

ボールは激しくゆれながらゴールへ!!

 

「「ほう・・・・・・ここか」」

 

            バシィ

 

バーンくん ツインシュートもワンハンドキャッチ!

これが大魔王の実力なのか

まったく揺らぎをみせません!!

 

     ポーーン

 

またも無造作にボールを放り投げるバーンくん

そのボールに駆けつけたのは

魔王チームのDF妹紅くんだ!!

 

【・・・これがバーンの狙いかしら?】

 

〔妹紅熱くなりすぎないで 闇雲にせめても通用しないわ!〕

 

〔わかってるさ慧音 前後半戦でかなり消耗した

今の私じゃバーンには通用しない なら!〕

 

妹紅くん ハドラーくんへのパスだ!

ハドラーくんへはミスト萃香くんがマークについた

 

‘〔鬼が勝負事で負けたままでいられないね!〕’

 

〔‘あのときはおまえの配下達に足止めされたが

今度はそうはいかん!バーン様をお守りする!’〕

 

ミスト萃香くんのパワータックル!

 

「どけ!今のオレに近寄るな オレの望みは

あの男からの勝利のみ!!」

 

速い!!ハドラーくん斜め前からのタックルを

猛スピードで振り切った!!

 

【すっかりサッカーに慣れた感じね

ドリブルのスピード安定感パワー前半戦とは別人のよう

あとはバーンただ一人・・・】

 

なんとハドラーくんバーンくんへむかって

ドリブルのまま一直線だ!!

 

「「よかろう・・・!」」

 

なんとバーンくんもハドラーくんへむかって

正面から走りこんでいった!!

 

「ウオオオオオッ!!!」

 

「「カーーーッ ハッハッハッ!!!」」

 

       ガッキィィィン

 

両者ボールを挟んでペナルティエリア中央で激突!!

 

【今スタジアム全体がたしかに揺れたわよ】

 

両者ふっとんだーーー!

 

ボールは・・・・・・真上にとんでいる!!

激突はまったくの互角!!

 

「ぬうううううううっ あ・・・足が!!!!」

 

ハドラーくんはうごけない!バーンくんは・・・

 

「「フハハハハ まったく大したものだ ハドラーよ

この余に力と闘気で互角の勝負ができるほどに成長するとは

・・・だが」」

 

        パアァッ

 

【あれは回復呪文の光】

 

    バァン ズオオッ・・・

 

バーンくんは立ち上がった!!

 

「「こと魔法力においては 余に一日の長がある

・・・余に比肩するほどまでに高めたその武に

敬意をもってこの奥義で応えよう」」

 

    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 

バーンくん この試合ではじめて構えをとった!

そこにボールが落下してきた!!

 

      バン

 

「「天 地 魔 闘!!!!!」」

 

      カッ

 

「ウオオオオオオオオオオ!!」

 

  バチィィイイイン!!

 

ハドラーくんふきとんだーー!!

 

[ハドラーさまああああ!!?]

 

【うわ・・・痛そう・・・というか死んだ?

あ ジゼルがハドラーにとんでいったわ】

 

バーンくんが光輝いた瞬間 正直何がおこったのか

わかりませんがハドラーくんの顔面ブロックによって

ボールは魔王チームゴールのはるか上へ!

 

【バーンの攻・防・魔の3大超必殺技をあの陰陽球に

たたきこんだ必殺シュート・・・

もしハドラーが間に入らなければ間違いなく

魔王ゴールへ入ったはずよ けどあれだけ高く上がれば】

 

「「・・・見事だハドラー 最短の防ぎかたであった

勝利のために生命を捨てる覚悟がなければ

あの一瞬で思いつかぬ方法だ・・・

だが余に同じ手は通じぬぞ

・・・・・・・・・・・・・・・・ブロックよ」」

 

      ボオッ

 

ボールが・・・!?

 

     ゴアアッ

 

はるか上空へ飛んだはずのボールが炎に包まれ姿を変えた!!

 

【あれは・・・不死鳥!?】

 

    ゴオオオオオオオアアッ

 

すさまじい炎の不死鳥が急降下!!

狙いは魔王ゴール!!

GKレティくんこれは危ない!!

 

〔そうなる気はしていましたから 準備はできています

S.G.G.Kの誇りにかけて・・・

プラスの魔力とマイナスの妖力をキャッチの瞬間融合させる

私のメドローアキャッチで 止める!!〕

 

   ギュルルルル!!!

 

レティくんこのシュートをキャッチ!!

 

「「・・・面白いな だが・・・これでエンドだ」」

 

レティくんふっとんだ~~!!

 

        ズバッ!!

 

【いけない!】 フッ

 

バーンくんの天地魔闘が

魔王ゴールをつきやぶったーー!!

こ これは!?

 

【幽々子西行結界を!】

 

‘’うふふ~♪やっぱりこうなるのね‘’

 

なんと いつの間にか解説の八雲さんと

もう一人の謎の美女がゴールを突き破った

ボールの前へ文字通り躍り出たー!!

なんとも美しい美女二人の舞!しかしこれは~!?

 

    バシイィ!!

 

なんと二人の手でボールを止めたーーーー!!

 

【あぶなかったわ・・・

バーンが出ればこういうこともあるかと思って

何重にも備えをしてたけど・・・

ハドラーとレティが間に入らなかったら

私の無敵の隙間空間でも止められなかったわよ

じゃあ 解説席にもどるわ ありがとう幽々子】

 

‘’お疲れ様~♪‘’

 

          フッ

 

ピーーーーーーー!!

 

ここで後半戦終了のホイッスル!!

バーンくんの同点ゴールで5対5!!

決着は延長戦に持越しです

あ 八雲さんおかえりなさい お疲れ様でした

 

【ふう ただいま

穴があいた結界はうちの子たちが直すから

後半戦が終わったのはちょうどよかったわ】

 

八雲さん先ほどのお二人の美しい舞は

いったい何でしょうか?

 

【あれは私がSGGK(スーパーグータラゴールキーパー)

時代に切り札にしていた友人の西行寺幽々子と

二人がかりでおこなう西行結界よ

バーンのシュートが結界の外にでると色々と

面倒なことになるから どうにかするために

駆けつけたのよ・・・紙一重だったけど】

 

実に美しい光景でした

まさに後半戦の最後を飾るにふさわしい舞に

観客席から一際大きな声援と拍手がおくられています

 

【あらあら】




夜勤明けのウジョーです。
後半戦は終わりましたがもうちょっとだけつづきます
魔王VS大魔王もこれからが本番です


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東方サッカー 最後の作戦会議

         魔王チーム

 

「ジゼルよ オレがバーンの一撃でふきとばされた

あのとき・・・おまえはオレではなくボールを追うべきだった」

 

[ハドラーさま!?]

 

「ボールは一見ゴールを大きくそれたが

ボールは死なず ゴールに炸裂した〕

 

〔たしかにあれはすごかったわ・・・けど〕

 

「大魔王バーンは恐ろしい男だ!

勝負のときに情けは捨てろッ!

冷徹になれッ・・・!」

 

〔おお・・・熱いなキャプテン・・・だが〕

 

〔ええ・・・〕

 

       ・・・たら

 

〔あのたれている鼻水で色々台無しね・・・くくっ〕

 

〔失礼ですよみなさん 笑うなんて!

バーンさんのシュートを防ごうとしたキャプテンの

名誉の負傷じゃないですか!・・・っぷ!〕

 

   \\\\あははははは!!////

 

〔おまえも笑ってんじゃないか!!〕

 

〔もうダメ!!我慢できない!!〕

 

〔はなちょうちんがぷら~んって!!!〕

 

〔いわないで!目を閉じても顔がうかんじゃう!〕

 

〔あんなマジメな顔してあれは反則!!〕

 

〔くっくっく・・・もう腹筋がもたない!!〕

 

〔はぁはぁ・・・ あ~笑いすぎた・・・

しかしよくあのバーンの一撃を顔面でうけて

鼻水ですんだな キャプテンも不死身かよ?〕

 

〔回復魔法が効いているのだろうが

聞いた話ではもう何度も死線を越えてきたらしい

本当に大したものだよ私達のキャプテンは・・・

あ 流石に鼻をかんだわ〕

 

「おまえが悪魔の大胆さを身につけたときこそ

この試合の勝利のカギ オレの奥の手になるのだ!」

 

[奥の手・・・それはつまり!

ハドラーさまの奥方様になるための大きな一歩

ということですね!!]

 

  ジゼルのテンションが5あがった

 

〔へ?〕

 

「いや そういうわけではないが・・・」

 

[悪魔の大胆さ それさえみにつければ・・・!!]

 

  ジゼルのテンションが25あがった

 

「まったく・・・奥方様とかどこでそんないらん言葉を

おぼえてくるのだ」

 

『いや それはあなたでしょ レミリアのことで・・・』

 

「あれか!?」

 

[ふっふっふ・・・]

 

  ジゼルのテンションが50あがった

 

「こうなると もう言葉が通じんぞ」

 

『いつものことですけどね』

 

〔あんたたちも幻想郷向きかもしれないな〕

 

  ジゼルのテンションが50あがった

 

[はい!ハドラー様!!

ハドラー様がだっこしてギューってしてくだされば

悪魔魂が注入されるとおもいます!!!]

 

     ゴン!

 

「このゲンコツで注入できたか?」

 

[はい・・・ごちそうさまですハドラーさま・・・]

 

  ジゼルはスーパーハイテンション状態になった!

 

「まったくどんどんいらんことまでおぼえてくる・・・

よし みんなきけ」

 

〔あ 親子漫才おわった?〕

 

「延長戦のルールは時間無制限のVゴール方式

要は大魔王チームから一点とれば勝ちだ

その為にはあのバーンを破ることが大前提だ」

 

〔あの天地魔闘の構えがなあ・・・〕

 

 

〔このままもう一度あれをくらったら試合が終わるわね〕

 

「うむ あの奥義を使わせずに勝つか

使わせた上で勝つかだ」

 

〔使わせた上・・・技後硬直を狙うのか?

だがその為にはあのタマを打ち返すしかないぞ〕

 

「オレは先の一撃ただくらったわけではない

いくつか条件があるが・・・オレが跳ね返してみせる!」

 

     \\おお・・・//

 

「だがそのためにはオレ抜きであの技を

使わせる必要がある・・・が」

 

〝・・・大丈夫なのかね・・・

そんな戦力で・・・〟

 

「いっそヒムかダイでも連れて・・・む?」

 

〝バーンを前に気圧されて剣が止まるようでは戦にならん〟

 

〔私がバーンをそのまま倒しても文句ないわよね〕

 

  \\なにィ! おまえたちは!?//

 

ジャキッ       ザ・・・

 

〝〔用心棒がいるんじゃないかと

聞いてるんだよ・・・!!〕〟

 

     \\!!?//

 

〔・・・キャプテンさん 私はあの一撃で握力を失い

もうたたかえません ですから・・・〕

 

〔私もレティの治療のために下がろう

そしてあの二人を・・・〕

 

「よかろう ご苦労だったレティ 慧音」

 

〔あの・・・

キャプテンには必要ないと思いますが

このSGGKの帽子を・・・〕

 

「いいだろう おまえの誇りとともに

必ずやあの奥義を破り雪辱を果たそう

さあ いくぞ この手に勝利を!!」

 

    \\おう!!!//

 

 

     大魔王チーム

 

「「・・・このサッカーという遊び・・・

なかなかに奥深い 個性ある強者が協力・知恵を

駆使してボールひとつを追いかけ門を突破する

試合を見るのもよし 采配をふるうもよし

そして・・・直接興じるのもよい・・・!!」」

 

〔随分ご機嫌ね バーン〕

 

‘バーン様 延長戦も?’

 

「「ふははっ 余も興が乗ってきたところよ

ハドラーたちは必ずやこれまで以上の力で

攻めてくるであろうからな・・・

こちらも最高の布陣で攻めるまで

・ ・・行くぞ・・・皆の者よ・・・

勝利をもたらすために・・・」」

 

 

まもなく延長戦がはじまりますが両チームポジションや

メンバーチェンジが発表されました

まずは魔王チーム

 

1.  GK キャプテン ハドラーくん

2.  FW ジゼルくん

3.  FW 妹紅くん

4.  FW 大妖精くん

5.  FW 幽香くん

6.  FW ロン・ベルクくん

7.  FW 妖夢くん

8.  FW 早苗くん

⑨. FW チルノくん

10. FW 霊夢くん

11. FW 魔理沙くん

 

後半戦負傷したレティくんに代わりキャプテンの

FWハドラーくんがGKへ SGGKの帽子を

受け継ぎ ゴールマウスを守ります

そしてレティくんの治療のために慧音くんも下がり

ロン・ベルクくんと風見幽香くんが新たに加入しました

 

【そもそも GK以外全員FWって・・・

いくら一点勝負だからって極端すぎるわよ

新加入の二人も本気ね】

 

つづいて大魔王チーム

 

1.   GK キャプテン バーンくん

2.   MF ミスト萃香くん

3.   MF ロビンくん

4.   MF にとりくん

5.   MF 咲夜くん

6.   MF 小悪魔(ショート)くん

7.   FW パチュリーくん

8.   MF ウォルターくん

9.   FW 紅美鈴くん

10.  FW レミリアくん

11.  FW フランドールくん

 

大魔王チームはパチュリーくんが復帰し

DFが存在しません こちらも超攻撃的な布陣です!

 

【試合当初は両チーム対極なキャプテンだったのに

ここにきてまったく同じポジションになったのも面白いわね】

 

バーンくんのGKはまったくスキのない

完璧なものでしたがハドラーくんのGKも

この布陣から見て相当の自信があるようです

 

【さすがにこれでいきなり失点するような

馬鹿ではないでしょう さてさてどうなるか】

 

さあここから完全決着のデスマッチルール

どちらか一点をとるまで時間制限はありません!!

さあまもなく魔王チームのボールから!

試合再開です!!!

 

【そして最後のチャーリー劇場よ】

 

・ ・・

・・・・・・

 

しあいも いよいよ おおづめ!

ハドラーくんたちがかつか!!

バーンくんたちがかつか!!

いよいよ けっちゃくが

つくときが きたのです!

りょうチームの きあいに

まけないように ばっちり

おうえんをしちゃいましょう!

がんばれ まおう!

がんばれ だいまおう!

フレー フレー ハ・ド・ラ~

フレー フレー バ~ン

フレー フレー チ・ャー・リ~

あ さいごのはよけいですね

ともかく どっちらが かっても

おかしくない しょうぶです!

ついに きた!

ファイナルバトルの

スタートです!!

く~っ! もえるな~!!

 

ピーーーーーー!!!

 

魔王チームのボールから

試合再開です




久しぶりの連休を満喫中のウジョーです(今日が最終日ですが)
長かった東方サッカー編もどうにか大詰めへ 
とりあえずVジャンプについてたゴメちゃんのDLCを
楽しみながらじっくり書きますかな・・・

暑さ寒さも彼岸までといいますが朝夕の冷え込みは油断ならないもの
お疲れのでませんように


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東方サッカー 延長戦1 大魔王対魔王

「このオレが地獄門の門番をする日がこようとはな

門前で散ったバルトスそしてフェンブレンよ・・・

おまえたちの名にかけて この門死守してみせよう

・・・いかなる手を使ってもな!」

 

『あなたの手は二つしかないですしね』

 

    \\\\ワー! ワーー!////

 

「「観声がまた一段と増したな

・・・・・・まあ観客は多い方がいい

余がこうして戦場に立った以上

最後はやはり決まったようなものだが

それはハドラー達が健闘したことによるもの

まさに誇るべき事!!」」

 

   ゴゴ・・

      ゴゴゴ・・・

 

両キャプテン お互いのゴール前からのにらみ合いで

このスタジアムが揺れます! 震えています!! 

 

「「さあッ!!! 刮目せよっ!!!!」」

 

「・・・・・・いくぞッ!!!」

 

  ピーーーーーー!!!

 

魔王チームのボールから

試合再開です

 

ボールは霊夢くんから入ったばかりの幽香くんへ

 

〔バーンが参戦した瞬間から溜めに溜め続けた

この一撃・・・くらいなさい!!!

フラワァースパーーーーク!!!〕

 

グヴォ-ーーーーーー!!!!!

 

なんという豪砲!!

幽香くんの傘からごんぶとビームがボールに炸裂!

 

【狙いはバーンね】

 

     グオッ 

 

「「フェニックスウィング!!!!」」

 

        ガン

 

なんとバーンくん勢いをそのままに

ボールを跳ね返した!!

カウンターシュートが今度は逆に魔王ゴールへ!!

 

【あらゆる呪文をはじき返す超高速の掌撃

幽香の元祖マスタースパークといえども例外ではないわ】

 

「うおおおおおッ!!」

 

       ドカァアアン!!

 

ハドラーくんこれを迎撃!!

ボールは・・・両手でガッチリとキャッチ!!

 

【ハドラーも譲らないわね

これは思ったより長期戦になるかしら】

 

「さあ反撃だ!」

 

ハドラーくんのスローインでボールはジゼルくんへ

・・・そこにむかったのはロビンくんだ!

 

【ロビンをつくりあげたのはにとりだけど

そもそもキラーマシーンを最初に開発したのは

かつてのハドラーたち ・・・つまり

ジゼルにとっては腹違いの兄弟ともいえるわ】

 

なんとそうでしたか!

これは注目の対戦です!!

 

《ショウブダ ジゼル!!》

 

[キラーマシーン ハドラー様の紙芝居で知ってる!

その弱点も! くらえイナヅマパスだ!!]

 

ジゼルくんパス!

ロビンくんがパスカットにいった!!

あ~~~っと!?

 

     バチィ!!

 

《ギィ!?》

 

ロビンくんの胸をかすめボールは妹紅くんへ

 

〔絶縁処理したはずのロビンが!?

地面に剣を出しなさい!〕

 

《ギィ!!》

 

    ジャギィ ザグッ!!

 

八雲さん 今のやりとりはなんでしょうか?

 

【ジゼルのイナヅマパスで感電したロビンが

内臓していた剣を使って地面に放電・・・

といったところかしら 迅速な対応といえるわね】

 

なるほど剣をアースにしたわけですね

おっと妹紅くん ボールをキープしたまま

ペナルティエリアに入った!!

 

〔いくぞバーン!!〕

 

妹紅くん飛んだー!!

 

〔これでゲームオーバーよ!

吼えろ、フジヤマァ!!〕

 

    ガガガガガガガ!

 

妹紅くんボールに烈しくストンピング!!

 

【あの目 後先考えずにこれに全力を叩き込んでるわね】

 

ガガガガガガガガガガガガガガ!!

 

〔凱風快晴!!!〕

 

    ズガン!!

 

妹紅くんのフジヤマヴォルケイノがバーンくんを襲う!!

 

     ボオッ

 

「「カイザーフェニックス!!!!!」」

 

      ゴァアツ

 

バーンくんが生み出した不死鳥がこれを迎撃!

 

〔なにィ!〕

 

なんとボールを飲み込みそのまま魔王ゴールへと

飛んでいったーー!

 

【フランが飛んで追い付こうとしてるわ

ダイレクトシュートが狙えそうよ】

 

〔・・・よーし!これを「あまいわ!!!」

 

なんとハドラーくんペナルティエリア外の位置で

ボールへあびせ蹴りだーーー!!!

フランくんふきとんだーーーーー!!!

ボールはまたも大魔王ゴール前へ!!

 

【信じられないことするわね

DFすらいないこの状況でGKがあそこまで

とびだしていくなんて・・・

ボールを後にそらしたらゴール確定よ】

 

ハドラーくんの超攻撃的なプレイ

同じGKでもゴール前からほとんど動かずに対応する

バーンくんとは やはりまったく違いますね

さあこのするどいパスをうけとるのはいったいだれか!?

 

〔くっ!〕

 

美鈴くんけんめいにボールにとびついた!

 

  ガスッ

 

わずかに頭があたった!

ボールはいきおいが弱まった

 

〔‘させるか!!’〕

 

ミスト萃香くんもボールへむかった~!!

 

  ゴッ!

 

ボールがこぼれダマになった~~~!

 

「ぬううううう!」

 

シャアッ

 

【はっ・・・速いっ!!!

ハドラーがあの速さでゴールにもどれるなんて】

 

にとりくんがボールをフォロー!

 

〔さっきの分 倍にして返すよロビン!〕

 

にとりくんからロビンくんへパス!

 

《ギギッ!!》

 

〔バトルサッカーフォームになった今のロビンに

直接搭乗することはできない・・・だが!!

スペルカード≪エネミーコントローラー≫!!!

ガッツを消費しロビンと絆合体をおこなうことができる!〕

 

「 ――――――――――――――――

| シュート                 |

| マジカルキャノン        220 |

|→スーパーロビンスコープ   450 |

  ――――――――――――――  」

 

ロビンくんの全身から砲門がとびだした!!

 

〔一発一発がマジカルキャノンの威力 つまり!

イオナズン級の一斉射撃 これで仕上げだロビン!〕

 

〔《スーパーロビンスコープ!!》〕

 

ズドドドドドドドドドドドドド!!!!!

 

【うわあ・・・・・】

 

ロビンくんの一斉射撃により

ボールがすさまじい爆発に巻き込まれた!!

ゴールを守るハドラーくんも爆風にのまれ

土煙でゴールの状態がまったくわかりません!!

 

【・・・土煙が晴れるわ】

 

ブワ・・・

 

「・・・・・・・・クックックックッ

ファッハッハッハーーッ!!!」

 

ああっとハドラーくん!?

高笑いをあげながらその両手には

ボールをガッチリキャッチ!!

 

〔イオナズンを連発とは大魔王級の猛者かと期待したが

これはとてもイオナズンとよべるようなものではない

せいぜいイオラといったところだ〕

 

〔なにィ!?〕

 

「イオ(爆烈)の呪文はこのオレの

もっとも得意とするところ」

 

《ウウ・・・》

 

 ジジジジッ     ジジジ

 

「むうううんツ!!

見ろ!

本当のイオナズン(極大爆烈呪文)とは

こういうものを言うのだーーーっ!!」

 

 ドツ

   ドガー―――――ン!!!

 

ロビンくんふきとんだーーー!!

 

〔ロビーーーーーン!!!?〕

 

《・・・内臓ブレード破断 残弾0・・・

 ・・・全必殺シュート使用不能・・・

 プレイ続行・・・可能・・・!》

 

ハドラーくんの両手からうちだされたボールは

大魔王ゴールへロングフィード!!

 

〝こいつは丁度いい 来いっ!!!

我が生涯をかけた・・・究極の兵器!!!〝

 

   バン       カッ

 

前線で待機していたロン・ベルクくんが上空へ何かを投げた!

 

ゴゴゴゴゴ   ドガ!!

 

不気味な岩のような鬼の顔があらわれた瞬間

ボールが直撃 共に地上に落ちてきた!!

 

〝こじあける手間がはぶけた・・・!!!〝

 

    バアン!!

 

なんと不気味な物体の中からあらわれたのは

二振りの剣!!

 

〝これこそ このオレが作り続け

我が弟子ノヴァの手により完成した

オレの専用武器 星皇剣・真打!!!〝

 

「「・・・ふふっ・・・」」

 

〝こんな戦場にノコノコでてくるとはな・・・

遊びたいならオレが遊んでやるぞ

・・・・・・バーン!!〝

 

「「魔族の人生は長い・・・ロン・ベルクよ

おまえが余の下を離れたあの日

気がかわるときがくればと思っていたが

お互いこのような形で相対するとは

・・・・・人生はおもしろい」」

 

〝このオレが全力を出すにふさわしい武器

そして強敵バーン!! 今こそ見せよう

魔界最強の剣技を!!!!〝

 

「「来い 余の欲した魔界随一の剣の達人よ!」」

 




ネタだしも兼ねてファミコンでキャプテン翼Ⅱプレイ中のウジョーです。
ウルグアイと延長戦までもつれ7対6の接戦を制し
楽しすぎた勢いでかきあげました
レナートくんがキャッチ3回も成功させる奇跡の大活躍(それでも6失点・・・)に
感化されて 今回はGKの活躍のために試合内容がサッカーというより
ホームラン競争のような必殺シュートの応酬でしたが・・・

拙作のコラボ相手の黒太陽さん作「東方大魔王伝」続編
怒涛の新展開に圧倒されますが こちらも気を引き締めなおして
もうひとがんばり 延長戦の終わりまでおつきあいいただければ幸いです

長い寒さもようやく一息つき新緑の季節となりましたが
朝夜の寒暖差などなかなか油断できません
お疲れのでませんように







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東方サッカー 延長戦2 闘志の根元

     ズオオオオオオオ

 

〝ロン・ベルク流剣術最強の奥義・・・!!!

星皇十字剣!!!!!〝

 

       カッ

 

ボ-ルが十字の形となってゴールを襲った!!!

 

「「・・・フフ これこそまさに魔界最強の剣技

ならば余も渾身の力をこめて放つ最大最強の一刀

カラミティエンド」」

 

         カッ

 

  ヴバアアアア!!!ドガァアアアン!!!!

 

バーンくん手刀ディフェンスで迎撃!!

 

【ボールはまた魔王ゴールにいったわね】

 

「「この手刀こそ地上最強の剣というわけだ・・・」」

 

〝ちっ 相変わらず武器の作り甲斐のないやつだ

面白いかい?そのすべてがかなう最強の肉体で

小娘どもと玉遊びするのが〝

 

「「面白いね

・・・余がこの幻想郷に招かれ間もない頃より

この者たちはルールは違えど何度もかかってきた

そしてそのたびに強くなった

余と関わったことで更なる力を求め『互いに』成長し

それをこのように実感する

・・・かつて余は自らの肉体を全盛期と決め付け

成長を捨て不老を選んだ

そのままではとても味わえなかったものよ

どんな美酒よりも病み付きになりかねん・・・」」

 

〝・・・ならば次はこのオレが幻想郷で得た力を

みせてやろう〝

 

「「それは楽しみだ ロン・ベルクよ・・・」」

 

 

 ズバアツーーー!   バチ!!

 

さあバーンくんの弾きかえしたボールを

ウォルターくんがトラップ

そこから咲夜くんへパス

 

〔さあゴールへなだれこむわよ!!〕

 

レミリアくんの号令から

大魔王チームのなだれこうげきだ!

10人がいっせいにゴールへ殺到!

 

「オレにまかせろ!!」

 

なんとハドラーくんこれをたった一人でむかえうちます!

 

【本当に自軍の10人をFWに専念させるつもりのようね】

 

咲夜くんレミリアくんへセンタリング!

 

〔こぁ 私たちの力をボールへ集めるのよ!〕

 

〔いいですとも パチュリー様!〕

 

 ポワン ポワン ポワワヮヮ

 

パチュリーくんと小悪魔くんの手から光が

ボールに注がれます

 

【もちろん直接触れてないからハンドではないわ】

 

〔レミィ 後は任せたわ!〕

 

〔お姉さま私も!〕〔ええ よくってよ〕

 

       グボン!!

 

レミリアくんたちのスカーレットツインシュート

ボールがはげしくブレながら魔王チームゴールへ!

 

「ふぬわあぁぁっ!!!!!」

 

       バァン!!!

 

ハドラーくん なんとこのシュートもガッチリキャッチ!!

 

【よくあんなの正面から止められるわね】

 

〔この熱く強烈な闘気!魔炎気!!!

なぜ あのバーンの奥義を顔面で受けて心が折れないの!?

男の意地?武人としての矜持?

それともただの負けず嫌いかしら!?〕

 

「・・・・・・いや!勿論それもあろうが

オレは見せねばならんのだ 不屈の魂を

最後の最後まで絶望しない心こそ

我が宿敵たちの最大の武器!!

オレは!オレの子らに オレの全てをかけて・・・

それを見せ続けねばならんのだっ!!」

 

       \\!!!!//

 

[ハ・・・ハドラーさま!!]

 

ハドラーくんロングスロー!!

このボールはふたたび大魔王ゴール前へ

 

       バシィ!!!

 

なんとこれをパスカット!!

 

「なにィ!!」

 

とったのはロビンくんだ!!

 

〔ロビン!?どうやってあんなスピードを!?〕

 

《タトエ刃折レ 矢尽キテモ アキラメナイ心・・・

 

    ユウジョウ

    サッカー

  + フクツノタマシイ

 ―――――――――――

      ????        》

 

〔ロ・ロビン?〕

 

《「リーガー魂」 インプット完了!!》

 

〔なにそれ!?そんなの入れてない!!〕

 

「 ――――――――――――――――

| シュート 

| マジカルキャノン     使用不能 |

| スーパーロビンスコープ 使用不能 |

|→マッハスピン       500    |

  ――――――――――――――  」

 

〔なんか知らないシュート増えてるし?!〕

 

「・・・子は成長するのだ 親の想像を超えてな」

 

《オイルが沸騰してきた

これなら・・・マッハスピン!!》

 

      ギュルルルル!!

 

ロビンくんボールをキープしたまま大回転!

これはまるで風車!いや竜巻のようだ!!

 

【前半戦のローリングハヤブサよりも速いわよ】

 

《いくぞダディ!

マッハスピンジグザグシュート!!》

 

 ギュィーーーーーン

 

カッ

              カッ

  カッ

             カッ

 

竜巻から放たれたシュートは左右に大きく曲がりながら

魔王ゴールへ~~~!!!

 

【これはとりにくいわよ】

 

さあハドラーくんどうでるか!?

            カッ

    カッ

             カッ

       フッ・・・

 

「なにィ!ボールがきえた!?」

 

  バチッ!!

 

なんとハドラーくんの足にボールがあたった!

ボールはこぼれダマに!!

八雲さん今のプレイは?

 

【左右に曲り続けた玉に目が慣れたところに

下に落ちたことでハドラーの目には玉が

消えたように見えたはず

それでもかろうじて足でゴールを守ったようね】

 

〔‘好機!!美鈴力を貸せ!!’〕

 

〔アレですね!〕

 

‘〔これぞ鬼に金棒!!〕’

 

なんと今度はミスト萃香くんが高速回転!

その後には美鈴くんが控えている!!

 

〔超級!〕 ‘覇王!’

 

〔‘〔電影弾ああぁぁぁぁん!!〕’〕

 

美鈴くんがミスト萃香くんを押し出しボールと合流!!

そのまま体ごとねじこみにいったああああ

 

「おおおおおおっ!!!」

 

ハドラーくん前にでた!!

P.Aギリギリで両者激突!!

 

「ぬううううううん!!!」

 

ハドラーくんボールはキャッチしたものの

ミスト萃香くんに押されている!!

電車道をつくりながらゴールへー!!

 

「ガアアアアアッ!!!!」

 

とまったあああ!!

ゴールライン一歩手前でハドラーくん踏ん張った!

おしくもゴールならず~~!!!

 

  ブアッ

 

「なにィ?!」

 

なんとミスト萃香くんの肌の色の黒さが抜け

逆にハドラーくんが手にもつボールが黒く染まったぁ!!

 

(‘これだ!

・・・最初からこれが狙いだったのだ・・・!!’)

 

ギュルン  スポーーーーーン

 

突然ボールが変形しすっぽ抜けるように

上へとんだーー!!

 

【ミストが萃香から陰陽球へ乗り換えたのね】

 

(‘うて!!萃香!!!!’)

 

〔応!!〕

 

  グオオオオオオ

 

萃香くんボールを追うようになんと巨大化!!

 

〔いくよミスト!!ギガンテスヘッドォ!!!!〕

 

強烈なヘディングシュート!!

ハドラーくんけんめいにとんだーーー!!

 

「うおおおおおおーーーーーッ!!!」

 

    バシィィンン!!!  グラアア・・・

 

ハドラーくんボールをキャッチするも押されている!!

 

【体勢がわるいわ これは・・・】

 

      カッ

 

「ライトニングバスター!!!!」

 

(‘オオオォオッ!!!’)

 

ハドラーくん体勢をもちなおした!!

 

「・・・あの瞬間・・・

両手にイオナズンの応用で魔法力を放出し

威力を殺せたか・・・

・・・あのときのバランの真似だがうまくいったな」

 

(‘ハドラー・・・!バラン・・・!!’)

 

「さあ今度こそ反撃開始だ!!」

 

ハドラーくん強烈なロングキック!

 

(‘うおおお・・・’)

 

     ( ) ポロッ

 

【あら ミストがボールから抜け落ちたわ】

 

〔ミスト!!〕

 

ミストくんを美鈴くんがキャッチ

ボールはそのまま大魔王ゴール前へロングフィーード!

 




DQM3Jでゴメちゃんたちにボロ負けしたウジョーです。
ゴメ・チウ・ブラスであの強さならバーン様とかどんだけ強いのか・・・
今回は流石にロビンに無理させすぎたかなと
マシンの体でサッカーときたらアイアンリーガーだろうと
趣味丸出しのノリで ハドラーへの呼び方も立場上敵なので
「ハドラー様」はなかろうとロビンマスクネタで「ダディ」にしたり
・・・黒太陽さんごめんなさい 多分まだまだやらかします

東方サッカー編もいよいよ大詰 最後までおつきあいいただければ幸いです。


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東方サッカー 延長戦3 生命でぶつかれ!!!の巻

前線で待機していた魔理沙くんパスキャッチ

 

〔どきなさい魔理沙!

今度は分身とのダブルスパークで決める!!!〕

 

〔ハッ こういうのは早い者勝ちなのさ!!〕

 

〔望むところよ!なら後悔しないさい!!

ダブルスパーーーーク!!〕

 

 ゴォ!! ゴォ!!

 

〔全力だぁ!!!ファイナルスパーーーーク!!!〕

 

           ゴォ!!!

 

魔理沙くんたちのトリニティファイナルスパーク!

すさまじい火力の三門連続砲火ぁ!!!

 

「「フェニックスウィング!!!!」」

 

ガン!!

    ボト・・・ゴロゴロゴロ・・・・

 

バーンくんこれをはじいた!!

ボールは再び魔理沙くんの前へ転がっていった~

 

【でも威力は完全死んでいるわ

さっきは威力を保ったままはね返すことができたのに・・・】

 

〔私はあきらめないわ!

ゴールをうばえないキーパーなんて

この世にいないのよ!!

魔理沙!マジックミサイルで

私にセンタリングをあげて!〕

 

〔?・・・おう 任されたぜ!

・・・とは言ったものの さっきの一発で

くっ ガッツがたりない!〕

 

〔魔理沙さん 私がフォローします!

最高のセンタリングをあげますよ!!〕

 

〔サンキュー早苗!いくぜ!〕〔ツインパスです!〕

 

魔理沙たちのツインパスだ!

大きく弧をえがきつつ不規則な動きをしながら

霊夢くんへセンタリング!!

 

〔ブースト夢想天生!!!〕

 

  ドゴォッ!!!

 

霊夢くん前転からカカトでシュートにいったあ!!

 

〔うっ!?流石にキツイ!!〕

 

凄まじい回転に不規則な軌道そして強烈な威力を

もったシュートが大魔王ゴールを襲った!!

 

【なるほど・・・自分でボールにスピンをかけるのではなく

魔理沙と早苗の力を利用したのね

そしてシュートに専念し威力を上げるために

ネオ夢想天生で上乗せとは 流石ね霊夢!】

 

「「面白い・・・ ならばこれで!

カラミティエンド!!」」

 

ガッ!!  ボトッ、ボト・・・・

 

「「なにィ!」」

 

バーンくんの手刀ディフェンス!

ボールをはじいたがこぼれダマに先ほどのような

キレがまったくありません!!

 

【芯をはずしたのよ ・・・あのバーンが】

 

〔風を!!〕

 

ゴオオオオオオ

 

なんと転がっていたボールが宙へ舞い止まった!

 

〔チルノちゃん!ジゼルちゃん!

全力で叩き込んで!!〕

 

   〔[わかった大ちゃん!]]

〔かがやくいき!〕[しゃくねつのいき!]

 

 ドオオッ       ゴアアッ

 

〔オーロラブレス!!!〕

 

   ゴオオオオオオオオ

 

なんとチルノくんとジゼルくんがはきだした

強烈な凍気と熱気が相殺することなく

ボールへ注ぎ込まれた!!

まさにオーロラのような美しい光とともに

再びボールは大魔王ゴールへ!!!

 

「「ほう・・・流石にこれは余にも真似できぬな

カイザーフェニックス!!」」

 

ゴオォオオオア!! ドオオオオオオン

 

バーンくんがうみだした炎の不死鳥がこれを迎撃!!

なんとこの不死鳥を少しずつですが押しこんでいます!

 

【チルノとジゼルの強大な氷と炎の力を

メドローアのように衝突させるのではなく

風で融和させお互いを高め合わせる

・・・それをいきなり成功させるなんて

大妖精・・・あの子らしい

あの子にしかできない切り札ね】

 

ボールは不死鳥をジリジリと押しながら大魔王ゴールへ

 

〔くッ あと・・・ あともう一押し・・・

親分たちが積み上げたこのチャンス!

もう少しでバーンに届くのに 動いておくれよこの体・・・

・・・・・・・・・・・・・前の体だったら〕

 

\\うて妹紅!//\\いきなさいアホ妹紅!!//

 

〔!?〕

 

あーっと!ベンチや客席から妹紅くんへのエールだ

 

\\\\妹紅!妹紅!妹紅!////

 

それが伝播したかのように観客席全体から

大エールだ!! 一斉に妹紅コールだ!!

 

〔なんだこりゃ・・・

慧音と輝夜だけじゃない・・・

人間も妖怪も幻想郷のみんなが私に応援を・・・

うごく・・・ 体が・・・ もうひとふんばりいける!

見ててくれよ・・・ ダイ!!

不死鳥が・・・・・・お前を呼んでるぜ!〕

 

「「来るか・・・!」」

 

\\\\も・こ・う!も・こ・う!も・こ・う!////

 

〔とどけぇえ!!! 鳳凰千破あ!!!〕

 

\\\\いけええええ!!!////

 

ズオオオオオオ!!!

 

鳳凰のはばたきが炎の不死鳥をふきとばした~!

 

「「見事・・・だが

最後の壁は厚いぞ

カラミティウォール!!!」」

 

ドゥッ

  ゴオオオオ

   バチイイイイン

  バババババババババババ

 

「「ほう 余が放ったカラミティウォールすら

押し止めるか・・・

やはり余が直々に手を下さねば・・・ム?」」

 

〝行くぞ!妖夢!〝

 

〔はい!妖夢いきます!とおああーーっ!〕

 

〝星皇十字剣っ!〝

     〔楼観・白楼剣っ!!〕

 

 〝〔重ねカマイタチ!〕〝

 

〔・・・斬り捨てご免っ!〕

 

  ズバアアアアアア

 

バーンくんのカラミティウォールを

妖夢くんとロン・ベルクくんが斬り裂いた!!

最後の壁も突破し

のこるはバーンくんの身ただひとーーつ!!

 

「「うかつな技では 迎撃できぬツ!!!」」

 

   バ  ン

 

「まっていたぞ この時を!!」

 

『あなた先ほどからずっと

攻めに参加したくてウズウズしてましたね』

 

「もどれジゼル!!」

 

[はい!ハドラー様!!!] フッ

 

   カッ

 

 天地魔闘!!!!!

 

 




最近積みゲーたまり気味のウジョーです。

次回予告風

どんな試合にも必ず終わりがくる 人それを最終回という
次回東方サッカー編最終回 『我が友』

・・・長かった戦いよ さらば


本当に何でこんなに長くなったのか・・・


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東方サッカー 最終回 我が友 

    天地魔闘!!!!!

 

  ドゴオオオオオオオオオオン

 

 \\\\なにィ!!!////

 

バーンくんがボールを巨大な蒼い不死鳥に変えて

はねかえしたぁああ

そのあまりに強烈なカウンターシュートに

大魔王ゴール前の魔王チームの全選手がふきとんだー!

 

〔みんな空へ!!〕

 

魔王ゴール前の大魔王チームの全選手は

空を飛んで難を逃れた!!

これでバーンくんのカウンターシュートを遮るのは

GKハドラーくんただ一人!!

 

【!?いえハドラーの背中にはオンブ状態でもう一人】

 

「力を貸せジゼル!」

 

[はい!ハドラー様♡] 

 

    ドオオオツ

 

【ハドラーの魔法力が一気にあがったわ】

 

チャーリーの目にもわかるほどあがっています!!

 

「ヘルズクロープラス! へブンズクロー!!」

 

ハドラーくんの手から色違いの太く鋭い爪がのびた!

 

「ヘルズクローに魔炎気を・・・

ヘブンズクローにフィンガーフレア・ボムズを!」

 

ハドラーくんの両手が色違いの豪炎に包まれた!!

 

    ドゥン

 

「三位一体! 超魔爆炎覇!!!!」

 

   ギャゥン!!!

 

【考えたわね!両手の爪に炎の暗黒闘気と

ジゼルで増幅した魔法力を足すことで

バーンの天地魔闘に対抗するつもりね】

 

なるほど後半戦の最後の「顔面ブロック」

「メドローアキャッチ」「西行結界」で止めたプレイを

ひとつの動作で再現しようと!

 

【そうね そしてそのまま跳ね返すことができれば

逆にバーンが窮地になるわ・・・・・・けど】

 

 ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

「「ハドラーよ その狙い自体は悪くない・・・

だがその手の返し技には少なくとも互角の力が必要

先に見せたあの威力であれば可能だったろうが」」

 

 ・・・ポタ・・・ポタ

 

「「この一撃 ひと味違うぞ・・・!」」

 

  ババババババ!!

 

「うぐおおおおおーーーーっ!!!!」

 

 ピシピシ・・・   ピシピシ・・・

 

[ハドラー様の爪にヒビが!?]

 

ハドラーくん バーンくんのカウンターシュートを

止めきれない!止まらない!!

それどころか蒼い不死鳥にふれているハドラーくんの爪が

どんどんひび割れていく!!

 

【蒼い不死鳥・・・!

そうかバーンの右手から滴っている魔族の蒼い血!

あれが・・・】

 

「「そう・・・余にとっても不可抗力ではあったが

その球にはロン・ベルクたちとの攻防で傷を負った

余の血がついている・・・

この幻想郷で生まれ変わった余の歴史そのもの、

余がここで育んできたこの血がな・・・」」

 

「ガアアアアアアッツ!!!」

 

ビシッ ビシッ ビシリッ

 

[ああ!!!

爪だけではなくハドラーさまの体にまでヒビが!?]

 

『ごめんなさい・・・

流石にこの威力には私が支えきれません・・・』

 

ボールがゴールラインを割った瞬間に試合が決まります!

最後の砦ハドラーくん! もう限界か~~!?

 

「聖母竜・・・ くっ この役立たずが!

おい!このままオレの体が砕ければ・・・

オレの背にいるジゼルにこの球が直撃することになる

それでもよいのか!!!」

 

『!!』

 

  パアアア・・・

 

[ハドラー様のヒビが・・・治っていく!]

 

「・・・やればできるではないか」

 

『あなたがジゼルの父であるように

私はジゼルの母・・・

ことジゼルへの献身であなたに・・・

あなたにだけは負けるわけにはいきません!!』

 

[お母様・・・!]

 

「ならばオレのすべてをかけた

この一撃!もたせてみせろ!!」

 

 ギュアアッ

 

[『三 位 一 体!!』]

 

「ドラゴニック・オーラヒートナックル!!!!!!

(竜闘熱気拳)」

 

    ドゴオンッ!!!

 

「「な・・・なにィ!!」」

 

右ぃ!!!

ハドラーくんの右ストレート 会心の一撃が!

ついに!ついにバーンくんの不死鳥を

地を這う竜にかえてはねかえしたぁ!!

 

バガァア!!

 

ハドラーくんの四肢が砕けてくずれ落ちた!!

 

『すみません これで限界でした・・・』

 

「骸がこれだけ動いたのだ もうけものよ・・・」

 

ズシャ・・・・・・

 

ブバアァーーーーーーーーーーー!

 

 \\\\し・しまった!!!////

ブバアアアアァーーーーーーーーーーー!

 

空へ退避していた大魔王チームの選手はこれに

対応できない!今度は逆に遮るもののないまま

大魔王ゴールへカウンターシュート!!

 

【!いえ 一人いるわ

センターサークルにただ一人 あれは!】

 

‘おお!あれはかつてハドラーが叛旗を翻した後に

現れた竜の姿!!’

 

〔ここでとめますよミスト 我ら紅魔館の門番として〕

 

美鈴くん いえミスト美鈴くんがむかっていった~!

 

‘いくぞ、美鈴!気を合わせるのだ’〔竜のキバ砕きます!〕

 

‘〔奥義!暗黒・幻想脚!!〕’

 

  ドガァ!!!!

 

ミスト美鈴ふきとんだーーー!

ボールはかわらず大魔王ゴールへ!

 

【いいえ 僅かに弾道があがったわ

バーンの足元だった軌道が胸の高さまで・・・

それでもゴールの枠内

しかもバーンはさっきのシュートで想定外の力を使い

技後硬直で動けそうにない!】

 

「「・・・・・・・くっ・・・!!!」」

 

バーンくんピクリともうごけない!

ハドラーくんのハットトリックと決勝ゴールの

夢をのせて竜が大魔王ゴールをのみこむのか!!

 

「バーンめ!!!

勝負を捨てよったかああーーーーーっ!!!!」

 

なんと!?

体が砕け倒れていたハドラーくんが吼えたあ!!

 

   ピクッ

 

「「・・・・・・余を・・・!

このバーンを

なめるでないわ

ハドラァアアアーーーーーーっ!!!!!」」

 

バーンくんがう・うごいたーーー!

 

【まるで ハドラーの声にこたえるように・・・】

 

バーンくんけんめいに怪我をしている右手をのばし

パンチングーーー!

 

  ドオオオン

 

バーンくんふっとんだーー!!

 

        バァン!!

 

ボールはゴールバーにあたった!!

 

ドパァアアン!       ドパァアアン!

 

なんとその拍子に両チームのゴールネットがふきとんだ!

 

【け・結界が壊れたわ・・・】

 

ゴールバーをひんまげたボールは上空へあがった!!

だがしかし!こぼれだまに反応できる人がいません!

ゴール前にいる選手は全員倒れています!

空高くあがったボールのゆくえは!?

 

フッ  [ジゼルダーーーイブ!]

 

\\\\なにィ!!なぜジゼルがそこに?!////

 

[ハドラー様のすべてをかけた一撃・・・には

もちろんこのわたしもふくまれているってこと!

大魔王バーン!!今度こそーーーー!!!!!]

 

突如ボール前にあらわれたジゼルくんおたけびをあげ

ダイビングラストショット!!

 

   ボムン!!!

 

 ピーーーーーーーーーーー!

 

 

ここで審判のホイッスル!!

試合終了―――――――う!!!!

 

\\\\\\\\ワーー!ワー!////////

 

 

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

紅魔郷 青の温泉(男湯)

 

「「実に有意義な時間であった・・・

こたびはおまえたちの優勢勝ち・・・か?」」

 

「ご冗談を・・・ ボールが破裂したあの時

我がチームはショックで目を回したジゼルを含め

全員倒れ無力化しておりました

もし代替球があり試合再開となっていれば

勝負にもなりません

それにバーン様が参戦してからのスコアは

0対1 とても勝ち名乗りなどできません」

 

「「・・・ふふふっ

試合前のとりきめでおまえが持ちこんだ陰陽球を使うと

明言していた以上これもひとつの決着よ

よい これ以上既に着いた勝負を語るは野暮

それはそれとして・・・ジゼル嬢のことよ」」

 

「・・・なにか?」

 

「「余にたったひとりで挑んでくるとは 大胆なことだ

余に冷や汗をかかせたのだ

・・・・・・あのときのおまえを彷彿としたぞ」」

 

『あら ちょっとうれしいですね』

 

「・・・誇らしいことです」

 

「「敢闘賞として特別に褒美をとらせよう・・・」」

 

「・・・褒美・・・!?」

 

「「・・そうだな いずれジゼル嬢が結婚するときは

余が仲人を務めてもよいぞ」」

 

「それは もったいないお言葉・・・」

 

『・・・いいのですか?』

 

ああ 下手に物を賜るよりこういった口約束の方が

よほどこちらにも都合がいい

 

『・・・たしかにそうですね』

 

「「ふふふっ・・・ 

今はジゼル嬢のことはレミリア達に任せ

この湯で汗を流すがよい」」

 

「はっ・・・」

 

〝ハドラー おまえはオレの最高傑作である

『ダイの剣』を傷つけた『覇者の剣』を

持っていたと聞いたが 先の試合でなぜ使わなかった?〝

 

「あれはその名にふさわしい気質を秘めた

竜眼の小僧にくれてやった

オレはそもそも剣が装備できん

ダイやバランと戦ったときは腕にくくりつけて

使っていたが もはや未練はない」

 

〝おまえはおまえで武器の作り甲斐のないやつだな〝

 

「「さて この後の宴の話でもするとしよう・・・」」

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

「ふう いい湯だった」

 

オレは戦塵を紅魔郷の湯で洗い流し

清潔な服に着替えエプロンを着て準備にかかる

 

「ほう これだけあれば宴どころか祭りができそうだな」

 

試合の見物料として観客たちからの食材が山と積まれていた

 

「ではとりかかるか・・・」

 

・・・

 

  バリバリ ジュアアアア

 

『・・・もし バーンが技後硬直で動けなかったあの時

あなたが声を掛けなかったらどうなっていましたか?』

 

オレが声を掛けねばレミリアが レミリアがしなければ

フランがチルノが魔理沙たちが・・・

ベンチや客席からでも声援がとび

そしてそれに応えただろう

そのくらいのことはこの戦いを通じわかった

 

『そうですか・・・

今のバーンはそういう男なのですね・・・』

 

  クツクツクツ・・・

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

〔はい ジゼル返すわね〕

 

湯上りのレミリアが 妖精メイドたちが着ていた

エプロンドレスに包まれホカホカになったジゼルを

抱えてやってきた

 

〔フランとチルノが念入りに洗ったけど

この子全然目を覚まさなかったわ 大丈夫かしら?〕

 

「ああ 心配いらん

寝ているというよりこれは力の使いすぎで

『卵がえり』になったのだ

このとおりオレの側にいれば宴の最中には目を覚ます」

 

オレはジゼルを受け取り手早く背中にくくりつけた

 

〔手馴れてるわね ジゼルといい料理といい・・・〕

 

「成長のための卵がえりのときは1年ほどこの状態だった

そのときは一番面倒がないこの体勢が日常だ

それにオレが料理修業をしたのは戦災復興中のカール王国

雑多な食材で大量の炊き出しはいつものことだからな」

 

 もぞもぞ・・・  かぷっ ちうちう

 

〔ジゼルが首にかみついてるわよ

言っとくけど 別に眷属にしたりはしてないわよ〕

 

「わかっている これはただのあまがみだ

ただ寝ぼけてオレの力を吸おうとしているのだろう

別に何のダメージもない どうせ起きぬし やめん」

 

〔ふーん まあそれはいいわ

・・・お風呂でのバーンとのことは聞いたけど

魔王チームが料理 こっちが宴会の配膳や支度でいいのね〕

 

「ああ ついでにこのスープの味見も頼めるか?

残念ながら血は入ってないがな」

 

〔あら いいわよ

冷たいのね・・・〕

 

  コク・・・

 

〔・・・へえ ジワリとしみる感じね

血はたしかにはいってないようだけど〕

 

「ああ 血というより汗に近い

試合と風呂でずいぶん出たはずだからな

そこを狙ったわけだ」

 

〔面白いわね もう一杯味見してあげてもいいわ〕

 

「なら こちらを頼もう」

 

〔別の鍋 違うスープね

こちらは少し熱め・・・〕

 

  コク・・・

 

〔これは 血が入ってるわね 鳥と魚かしら〕

 

「うむ 食材に含まれる血は栄養的にも

調味料的にも利用価値が高いからな

だがクセが強い分 扱いが厄介でな

ジゼルが味見役に使えんからこうして専門家に頼んでいる」

 

〔・・・そうね 個人的にはもう少し血を足したいけど

・・・香りのバランスも考えればこの程度かしら〕

 

「なるほど・・・ ム 他のやつらも来たか」

 

〔お~いキャプテン なんか仕事・・・ブフッ!?〕

 

  \\\\あははははは!!////

 

〔なんだキャプテンそのエプロン!かわいすぎ!!〕

 

〔ピンクで花柄・・・・・・ありね〕

 

〔前よりフリッフリでリボンもいっぱい!〕

 

〔あ 私ちょっとほしいです〕

 

〔だれか審判よんでこい!

さっきのハーフタイムのと合わせて

イエローカード2枚で退場にしちまえ

腹筋もたねえぞ!!〕

 

〔たしかに河童の宴会ロボより笑いがとれそうね〕

 

「ジゼルの裁縫修業を兼ねていたからな

余計な飾りが多い分経験となるし

色や柄もジゼルの趣味だ」

 

〔え!?このエプロン ジゼル作!〕

 

〔そう考えたら私もこれはこれでアリな気がしてきた〕

 

「それより仕事はいくらでもある 指示に従え」

 

  \\\\おう!!!////

 

『あらあら みなさんジゼルと同じような服を着てますね

レミリアもそうですが・・・レミリアとフランの服は

レベル高そうですね おろしたてのようですし』

 

どれも給仕服なのだろうが・・・

レミリアやフランのは急遽用意したのだろう

 

〔さっきバーンを見かけたけどあいつが着てた

あの給仕服はキャプテンが作ったのか?〕

 

「いやあれはオレがたまに助っ人にいく飲食店の制服だ

その国でも最高の工房の仕立てと聞く

バーン様用の給仕服など紅魔館でも用意してないからと

サイズが近いあれをお貸しした」

 

〔いい仕事よ ハドラー! ほめてあげるわ!!

そういえばバーンの右手が回復呪文も効かなくて

すぐには動かないと言ってたわ

私がいかねばならないようね!〕

 

そう言ってレミリアが走り出していった

 

〔今更くっつくのに理由がいるのかね~〕

 

〔お姉さまだから・・・ あ あたしも手伝ってくる〕

 

〔あれ?バーンの手はまだ治らないのに

あのとき砕けたはずのキャプテンの手は問題ないの?〕

 

「ああ オレの体は既に灰になったものを

聖母竜が形にしているものだ

聖母竜に回復魔法をかければどんな状態でも回復可能だ

いわば灰一粒一粒がオレだ

ある程度は自力でどうにかなるぞ」

 

〔・・・フレイザードみたいね〕

 

「たしかに ある意味あいつに一番近いかもしれん

まったく同じではないが・・・な」

 

『私がコアやキーパーツといえるかもしれませんね』

 

「さあ 調理にかかれ

・・・そこの酒をくすねようとするおまえも手を貸せ」

 

〝チッ きづいていたか〝

 

ロン・ベルクだけは浴衣姿だった

最初から手伝う気のなさそうな格好だ

 

「調理を手伝わんならこの肉切り包丁の手入れを頼む

どうにも手ごたえがおかしい」

 

〝ふん どうせ包丁に不向きなレアメタルでも使って・・・

ほう 素材は一般的なものだが出来はなかなか

鍛冶師はジャンク級(ポップの父)の腕前か

日頃の手入れも悪くない・・・

違和感の原因は幻想郷産特有の妖力か・・・

これは研ぎにコツがいる このまま使い続ければ

刃を傷めるか妖刀化する可能性がある〝

 

ああなるほど

レミリアのあの禍々しい人切り包丁にも意味があったのか

 

〝いいだろう この包丁の出来と手入れに免じて

ちょいと研いでやろう 

・・・妖夢!この酒を人肌にしておけ〝

 

〔ええ! は・はだ?!〕

 

〝・・・・・・別におまえの肌で

直接あたためろとは言ってない〝

 

〔え!?いや その!?〕

 

〝・・・・・・やれやれ

おまえにはまず酒の扱い方を

教えなきゃならんようだな・・・!〝

 

 \\\あはははははっ!///

 

〔あううう・・・〕

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

「「先の試合に勝者はいない

ゆえに今回は試合を盛り上げ続けた放送席の

チャーリー氏と八雲紫 そして最後の最後まで

余たちの力に応えてきた戦友・陰陽球に 乾杯」」

 

 \\\\かんぱーーい!!!////

 

「さあ食らうがいい 追加も手土産もある」

 

 \\\\いただきまーす!!!////

 

〔さあさあ皆さん、御快聴!〕

 

〔これより始まりますは、生粋のオーケストラ!〕

 

〔どちら様も耳を お傾け・・・〕

 

〔みんなー!私の歌を聞きたいか~!〕

 

〔〔〔〔ラ・オルケスタ!!!!〕〕〕〕

 

「ほう 楽団も手配していたか 流石バーン様

ああいったところはオレには気が回らん」

 

オレは料理の減り具合を見ながら宴を歩き回った

 

〔まだ寝てるのねジゼル ご機嫌天使スマイルで〕

 

「ああ 多分もう少しで起きるとは思うが」

 

〔お料理するからメイド服になったけど

やっぱりあたいの青い服の方が似合いそう〕

 

〔それよりあたしの赤い服の方がいいって〕

 

〔私の服も試してみません?〕

 

〔明日にでもうちに集まって色んな服を試しましょう

妹紅も服をもっていらっしゃい〕

 

〔まあ いいけど・・・なんだか悪い予感がする〕

 

「やれやれ・・・」

 

〔ハドラーさん!〕

 

「おまえはキラーマシン・ロビンの主 にとり」

 

〔ハドラーさん!ロビン用にって だされた

あのマシンオイルについて詳しく聞きたいのですが!〕

 

「オイルが沸騰するほど死力を尽くしていたから

ロボビタンAを調合したが・・・

あれは海水が原料だぞ オレは竜術で作れるが

精製のコツも少々面倒だ」

 

〔サンプルがあれば河童の技術力でよりいいものを

つくってみせます!!〕

 

「・・・よかろう

あのロビンの仕上がりと健闘に応えてやろう

ロボビタンBでもCでも好きにつくるがいい」

 

〔ありがとうございます!

ロビンの開発者にこうして会えてよかったです〕

 

「そうか 先の試合でのあのロビンのはたらき

オレの知るキラーマシーンとは趣が異なるが・・・いい仕事だった

オレの目すら超えたあの一撃 覚えておこう」

 

オレはにとりに手土産を約束し

それからまもなくあの男が声を掛けてきた

試合前より少し縮んでいたが・・・

 

‘・・・ハドラーよ’

 

「ミストバーン」

 

‘先の試合実に見事な活躍だった

バーン様も大変お喜びであった

・・・・・・ハドラーよ 私はおまえが

心底うらやましい この試合でつくづく感じた

修業を重ねさらに強くなる事・・・

大して面識のなかったあの癖の強い幻想郷のものたちが

積極的に手を貸し まとめあげたほどの統率力

ジゼル嬢を産み育て上げた指導力

・・・どうだ バーン様にもう一度仕える気はないか

神の使い走りなどおまえらしくもあるまい

おまえが叛旗を翻すきっかけとなったあの黒のコア

爆発させたのはこの私だ・・・

ケジメが必要というのであれば・・・’

 

・・・この男は自分で言っていて気付いていないのか

武術を磨き新技までみにつけ・・・

手を貸すどころか体を丸ごと貸した者が二人・・・

闇の師としてオレたちをも倒したヒュンケルという

真の戦士を育てあげたことを・・・

そして何よりこの男が気付くべきは

 

「オレは今更あのお方に仕える気はない

それにかつてのように太陽を求め力を集めていた時の

あのお方であれば確かにオレのような存在は必要だったが

今のあのお方の側には太陽がいらっしゃる

その輝きが強ければ強いほど必要なものがいる

それはオレではなく レミリアにとっての咲夜のように

フランにとってのウォルターのような存在・・・」

 

‘・・・!

影、か・・・・

そうだ・・・・・・私は・・・

幾千年も前から もともと一人で

バーン様を守り抜いてきたのだ!!!

それこそが私の誇り!そして今こそ

私こそが本当に必要なとき!’

 

「そうだミストバーンよ

・・・それに配下となるわけにはいかんが

本当にオレの力が必要であれば友として

少しばかり手を貸してもいい」

 

‘友か・・・今のおまえであれば

バーン様を友とよぶことも・・・’

 

「バーン様のことではない

おまえのことだ ミストバーンよ」

 

‘なんだと!?しかし私は黒のコアで

おまえとバランを!?’

 

『そういえばバランの仇でしたね』

 

「試合前にも言ったがおまえはそういう男だ

バーン様のお言葉 バーン様こそが全て

今もそしてかつても・・・その上で

オレはおまえに感謝し 敬意をもち

また憎みきれないものがあるのだ

そして先の試合 オレたちは心ゆくまで戦った・・・

悪魔にも友情は芽生えるということだ」

 

‘・・・・・・ふっ・・・

ふふふっ・・・!!’

 

「ククク・・・」

 

‘「ワハハハハハハッ・・・!!」’

 

‘友情か まさかおまえの口からそんな

正義の使徒どもの金看板のような言葉を

出してくるとはな・・・

だが・・・それがひどく心地いい’

 

「そうか」

 

‘・・・ミストだ’

 

「?」

 

‘ミストバーンは死神キルバーンが現れてから

命名された幹部名 それゆえに・・・

今のバーン様 キルや幻想郷の者たちは私のことは

それ以前の本来の名 ミストと呼ぶのだ’

 

「・・・そうか

ところで話は変わるが ヒムの報告をもとに

ヒュンケルがジゼルの世話を焼く姿を

紙芝居にした新作があるのだが・・・」

 

‘詳しい話を聞こうか!!’

 

面白いほど 紙芝居にくいついてきたところで

 

〔おーいミスト!珍しく爆笑してたけど

どんな面白いことがあった~〕

 

〔せっかくの宴なんですし面白い話は大歓迎ですよ!!〕

 

先の試合でこの男と共闘していた二人の猛者がやってきた

 

『あら?

あの一撃を足でうけたはずの美鈴が

普通に歩いてますね』

 

それは この男が試合前より縮んでいるのが答えだろう

 

「・・・たしかに宴会の余興にもなるか

バーン様もご覧になるかもしれん

伝言を頼むぞ ミストよ」

 

‘・・・!いいだろう バーン様もお喜びになろう・・・’

 

・・・パチ もそもそ

 

[かみ・・・しばい・・・?]

 

‘おまえの背中の眠り姫もお目覚めのようだな’

 

 

 

【レベルアップよ

バーン ミスト 美鈴 萃香 妖精メイド 妖精メイド 

妖精メイド ロビン にとり 小悪魔(ショート)小悪魔(ロング)

パチュリー ウォルター フランドール レミリア 咲夜  

大妖精 レティ チルノ バケバケ 慧音 妹紅 幽香

ロン・ベルク 妖夢 早苗 霊夢 魔理沙 ジゼル ハドラー

みんな 東方大魔王伝-mythology of the sun-でもがんばってね】




プチ燃え尽き症候群のウジョーです。キン肉マンロスきつい・・・

水に漬けた乾燥ワカメのごとく書いているうちに
色々かさばっていき早8ヶ月・・・
黒太陽さん ディアさんの寛大なお心のもと
登場キャラも過去最多となった東方サッカー編
これにて最終回 ここまでお付き合いいただき
まことにありがとうございました。

5月も終わらないうちに日本各地で連日の真夏日を記録
みなさまおつかれのでませんように。


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IFストーリー 東方大魔王伝 -mythology of the sun- 第34話 名前と涙

これは現在連載中の黒太陽さん作「東方大魔王伝 -mythology of the sun-」にて
拙作から押しかけ助っ人中のハドラーが第34話において自重せずに話しの流れを
無視して乱入したIFストーリーです。
幸いにも黒太陽さんから許可をいただいたのでIFストーリーとして投稿しております



~あらすじ~

かつてハドラーが東方サッカーを通じて縁を深めた地 幻想郷

そこに迫るかつてない脅威 太陽神ソル

それは平行世界で地上を破壊し勇者を返り討ちにした

もうひとりの大魔王バーンとその軍であった

幻想郷の危機に助っ人として参戦したハドラーは

敵軍の侵略に劣勢となる地上で指揮をとりながら

ロン・ベルクとともに最前線で戦い続けていたが

ソルがいる月を攻め込んだ先行隊を迎えうつ最強最後の戦士に・・・

 

 

-地上 幻想郷-

 

『間違いありません これはダイの竜闘気!

・・・・・・うーん、だと思うのですが

深い闇に囚われているせいか、月から感じるのですが・・・』

 

「どういうことだ聖母竜!?

月にダイがいるだと!?」

 

〝・・・なっ!!?まさか・・・

いや ヤツがいるということは

その可能性もあったか・・・最悪の可能性が〟

 

空よりもはるか先・・・月にダイが

 

『すぐに行かなければなりません

竜の騎士の生と死を司る私にはわかります・・・

いきましょうハドラー』

 

・・・おまえがそういうとは 捨ててはおけぬか

 

「ロン・ベルクよ 地上での戦は任せたぞ」

 

〝ああ 三流魔王の穴程度埋めてやる そのかわり

オレの認めた最高の使い手と最高傑作を任せたぞ

これはオレからの最後の餞別だ くれてやる〟

 

   スッ

 

酒瓶(スキットル)?!」

 

〝とっておきの一本だ 礼はいらん こいつは貸しだ〟

 

「いいだろう うけとっておこう

合流呪文(リリルーラ)!」

 

 フッ

 

〝たとえオレの知るあいつとは違うとしても

オレに輝きの日々をくれた太陽を・・・頼んだぞ

オレはオレで守るべきものを守るとするか

・・・友の背中をな

さあ くるがいい 今日のオレの剣は一味違うぞ!〟

 

 

 

 -月 ソルパレス「騎士の間」-

 

        フッ

 

〔なっ!?〕     《!!???》

 

「どうやら 間に合ったようだな」

 

オレは二人の男たちの間に割って入った

 

  ギン

 

・・・ダイ あの顔の十字傷からみて

やはりオレたちの世界のダイとは違うようだが

 

『ええ 私たちの知るダイの顔の傷はとっくに癒えて

のこっていませんから・・・

マザースキャン!!』

 

    カッ

 

ナイトバーンの

30%は絶望で出来ています

20%は悲しみで出来ています

20%は制御魔術で出来ています

19%は厳しさで出来ています

・・・・・・

 

『・・・なんということでしょう ダイから・・・

あのダイからは生気が感じられません

こんなことにならないように生と死を司る神の使いである私

・・・「聖母竜」がいるはずなのですが

あちらの世界の私は何をやっているのですか!』

 

そうだな オレの好きだったあの顔から光が失われている

竜魔人の紋章の禍々しい輝きがあるだけだ

戦いに敗れ 絶望に落とされ 闇に操られ

そして名前まで奪われたか・・・!!

 

『ハドラー あなたにお願いがあります

竜の騎士の生と死を司る神の使いとしてではなく

あの子の祖母として・・・』

 

その先を言う必要はない

 

「・・・・・・ダイ!

この場でオレと勝負してもらうぞ!!

むろん一対一正々堂々のな!!!」

 

ダイと向かい合っていた先ほどまで

戦っていたであろう男にも聞こえるように宣言する

 

『どうやら精霊ルビス様の愛し子のようですね

強い加護の力を感じます』

 

「つまりは異世界の人間の勇者か

ならばその力はこの後に控える大魔王にぶつけるがいい

闇に堕とされた勇者の相手は・・・

このオレ 元魔王ハドラーだ!!」

 

〔元魔王!?〕

 

人間の勇者は動揺しながらもダイから目線は外さないが、

近くにいる先行していた少女ルナの守護にまわるようだ

 

「そして両大魔王もとくと見よっ!!!

何人たりとも手出し無用っ!!!

寄らば生命が無いと思っていただきたいっ!!!!」

 

オレの宣言に対しダイの返答はただ一言

 

《・・・コロシテヨ》

 

!!?

 

「ダイ・・・ 今はバランやアバン、ブラスにかわり

いや おまえの祖父としてこのオレがハドラーが!

ゲンコツを見舞ってやろう!

たっぷりと、しかりつけてくれるわ!!」

 

〔祖父!?〕〔おじいちゃんなの!??〕

 

《コロシテヨ・・・》

 

     ズオオオッ!!

 

 ザッ              ダッ

 

     シュ    シュ

       バァン!!

  ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ゴ ゴ

 

ダイとの激突から凄まじい熱気が オレたちを取り巻いた

かつてのときのだれもよせつけない真竜の闘いの再現だ

いや あのときよりも熱気が強い

オレがわざと生み出したせいでもあるが

互いにあのときよりもレベルアップをしているからだ

・・・だが

 

「ウオオオオーーー!!!」

 

《!!》

 

   バキ ドガ ガッ ズガ

 ドン  フッ  ガガガガガガガ!!!!

 

剣が使えないほどの超接近での肉弾戦にもちこんだ

 

「力も速さも大したものだ だが!」

 

    グボ メリ

 

オレの腹に刺さるダイの拳・・・!!

 

 ガッ    ぶあっ    ばしん!

 

その手首をつかみそのままダイを地面に叩きつけた

 

 ばしこ! ばしっ!    ばん! ばしん!!

 

そのままつかみあげ だらんとしたダイは・・・

 

《コロ シテ ヨ・・・》

 

「軽い! 軽すぎるぞ!!

今のおまえの口は!舌は!!

そんな言葉を吐くためだけのものか!!!」

 

 げしん!!!

 

ダイがそのままオレの顔面に蹴りをいれてきた

その反動でオレの手を逃れ 距離をとったが

 

 ダッ!

 

剣を構える前に距離を詰める

 

「おまえは底の知れぬやつだと思っていたが

こんなものが!こんな力がおまえの底ならば

おまえに敗れたフレイザードやフェンブレン

そしてだれよりもこのオレが!!

死んでも死にきれぬわぁ!!!」

 

 ドガアッ!!

            ドゴン!

 

ダイの頬を殴りつけたが その表情を変えず

すぐさま繰り出された反撃のアッパーで

オレの体がわずかに浮き上がった しかし

 

「かつて!おまえを傷つけたことにより怒りに燃えたバランの拳に

いや はじめておまえと闘った

アバンを失ったあの時のおまえの拳にも遠く及ばぬわあ!!」

 

     グボン!!

 

オレの拳がダイの腹をとらえた!!

 

《・・・バ・・・ン・・・》

 

『ダイが!?』

 

名前に 反応した!?

 

「ダイ! おまえの名はダイだ!!

おまえの名はブラスが与えたもの!

おまえのゆりかごにただひとつ残っていたDの文字

おまえの父バランが授けた名前の一字を受け継いだ

とてもよい名前だ!

おまえにはじめて闘ったあのときから

その名を一度たりとも!忘れたことはない!」

 

 ガガガガガガガガ!!!!

 

肉弾戦を続けながら呼びかけ続ける

 

「ブラスに名を与えたのはオレだ!

つまりおまえにとってオレは名付けの祖父ともいえる!」

 

『ダイ・・・』

 

 バキ!バキ!

 

ダイの蹴りをオレの拳がむかえうつ

 

《ウ》

 

「大魔王などに塗りつぶされてはならん!!

さあ思い出せ! お前の名を呼ぶブラスの声を!」

 

〈ダイ!〉

 

《!!》

 

 ブン!

 

「バランの声を!!」

 

【ダイ】

 

《!!》

 

  ドカッ

 

「アバンを!!」

 

‘ダイ君’

 

《ア・・・》

 

    ズン!

 

「ポップを!!マァムを!!レオナを!!」

 

'ダイ!!' “ダイ!”≪ダイ君!!≫

 

《ポ・・・》

 

「クロコダインを!ヒュンケルを!ヒムを!」

 

〔ダイ!〕 ゜ダイ゜ {ダイ!}

 

≪ウアア・・・≫

 

「おまえの名を呼ぶ父を!仲間を!思いだせ!

とりもどせ!おまえの名を ダイ!!!」

 

〈ダイ!〉   <ダイ様>

〔ダイ!〕     ‘ダイ君’     ゜ダイ゜

 {ダイ!}  'ダイ!!'  “ダイ!”

≪ダイ君!!≫    〈〈ダイ君〉〉    【ダイ】

「ダイ!!」『ダイ!!!』 (ダイさん)

    \ピッピィ!!/

 

《ウアアアアアアアアアアア!!!!》

 

 \\\\\\\\ダイ!!!////////

 

《・・・!》

 

 ダッ

 

距離をとった一瞬 わずかにダイの瞳に光がもどった

 

《ハ・・・ハドラー・・・・・・》

 

!!??

 

     ポタッ・・・

 

《ナ・・・ナミダ・・・?》

 

「!? オレが戦場で泣くか これはハナミズだ」

 

『いえ 目から流してますから

流石にそれは無理があります』

 

余計なことはいわんでいい

そんなことより ダイがオレを見ている

戦い以外のオレの行動に反応している・・・

わずかな水のひとしずくに気付けたのだ

ダイに人の心が蘇りつつあるということだ

 

『では!』

 

「ここだ ここが決着のとき!!!」

 

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 

オレたちを取り巻く熱気もそのときを感じているようだった

 

 ジャキィィン!!!

 

オレは左手のヘルズクローをめいっぱい出し

酒瓶から一口含み・・・

 

 ブフォッ!!

 

酒を吹き付けて魔炎気を込めて構えた

 

「流石ロン・ベルクのとっておきだな

これでオリハルコンにも遅れはとるまい」

 

対するダイも剣を構えた

やや前かがみのアバンストラッシュの体勢

やはりあのときと同じか・・・

望むところだ!!

 

 カッ

 

ダイがアバンストラッシュ(アロー)を放つと同時に

アバンストラッシュ(ブレイク)で斬りかかって来た!

 

「超魔爆炎覇!!!」

 

     X

 

  ズバッ!!!!

 

〔ああっ!!そんな!?

2つの技を同時に交差して命中させるなんて!?

あれではひとたまりもない・・・!〕

 

アバンストラッシュ(クロス)がオレのヘルズ・クローと

胸を切り裂いた・・・・・・が!!

 

 クワッ  ドガッ!!!

 

「ククク!!

超魔爆炎覇さえもオトリよ!!

本命はこちらだ ヘブンズ・クロー!!!」

 

〔なんだって!!右手の輝く爪が少年の体を貫いた!?

あれほど技をうけてすぐに反撃に移れるなんて!〕

 

〔あいにくアバンストラッシュは心・技・体が

すべてそろわぬとできぬ技・・・!

心を閉ざされた今のおまえには到底完成せぬわ

断言してもよい・・・

オレはこの技をもっとも受けたことのある男

こんな紛い物でオレの命には届かん!!!

さあ!!!

竜闘気といえど この状態からは防げまい!!!!

オレの呪文を流し込み天国を見せてやるわッ!!!!〕

 

〔この輝きはまさか!!?〕

 

回復呪文(ホイミ)!!!!!」

 

 ドオオオオオオン!!!

 

《ウ、ア、アア・・・・》

 

〔す・すごいホイミどころじゃない

まるでべホマ いや蘇生呪文(ザオリク)級の力だ・・・〕

 

〔見てロランさん!

まるでゾンビのようだったあの子の体の色が・・・!〕

 

手応えあった!!

ダイが血色をとりもどしていくのが見える

 

  ヒィーーーーーーン!

 

『今です!!』

 

ダイの竜の紋章の輝きが変わったのを感じ取った

聖母竜も気付いたな!!

 

竜闘熱気拳(ドラゴニックオーラヒートナックル)!!!!」

 

 ピシィ ブシュウ・・・

 

ヘルズ・クローを失った左の拳を

ダイの紋章が輝く額にたたきこんだ!

と 同時にオレの拳ごと腕が 体が灰となっていく

 

〔そんな・・・

あれほどの力をもってしても突破できないなんて?!〕

 

「クックック・・・ ダイよ・・・

さあオレの半分を与えてやるぞ・・・!!

そしておまえたちの出番だ 聖母竜!・・・バラン!!」

 

  カアアアアァァ!!!!

 ゴアアアアアアアアアアアア!!!!

 

〔彼らを取り巻いていた凄まじい熱気が収束していく!

ルナ!僕の後ろに!!〕

 

  カッ……!

 

・・・・・・・・・

 

〔・・・あ ああ ロ、ロランさん

あれは もしかして・・・〕

   ・・・

 ・・・・・・

・・・・・・・・・

〔!? 2人とも いない・・・

今そこにのこっているのは

灰のようなものの山と二振りの剣だけ・・・

あれほどのエネルギーを浴びては

彼らでもひとたまりもなかったのか・・・〕

 

〔・・・あの ロ、ロランさん

あそこに あるもう一本の竜の剣は?

さっきまでなかったですよね?〕

 

 

・・・

・・・・・・

~~~~~~~~~~




色々と書きたいことがたまっていながら形にするのが滞り気味なウジョーです
今回は書いていたら興がのりすぎて長くなってきたのでもうちょっとだけつづきます
ダイとアバン先生のこととなるとついムキになり自重しなかったハドラーIFストーリー
何でもやっちゃってください!と言っていただいた黒太陽さんに感謝を
ありがとうございました


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IFストーリー 東方大魔王伝 -mythology of the sun- 第35話 眠れ、オレのもとで

-???-

~~~~~~~~~~~

 

《・・・・・・こ・・・ここは・・・天国?

お おれは・・・ようやく死ねたのか・・・?》

 

『いいえ あなたは』『生きています』

 

《あれ あのときの・・・二体いる?》

 

『私たちは聖母竜』『マザードラゴン』

 

『竜の騎士の』『生と死を司る神の使い』

 

《なんでふえてるの?》

 

『私はあなたと融合していた聖母竜』

『私はハドラーと融合していた聖母竜』

 

『今は共に精神体となったあなたに融合しているのです

あなたを救うために・・・!』

 

《おれを・・・?でもおれはもう・・・・・・》

 

     パアアッ

 

《・・・あ・・・ああっ

とっ 父さん・・・!!!》

 

【ダイ すまなかった・・・

私はおまえとつねにいっしょだと言っておきながら

おまえが闇に堕ちていくのを止めることができなかった】

 

『・・・それは私も同じです

本来こういった事態を防ぐ為の神の使いでありながら

あなたを守りきることができなかったのですから』

 

『ですが・・・今なら 今の私たちになら ダイ・・・

あなたを あなたの心と体を助けることが可能なのです』

 

『大魔王を倒すためではなく』

 

【悪を討つためでもない】

 

『『ただ あなたに生きてほしいのです』』

 

《・・・でも・・・おれにはもう・・・》

 

『かつてあなたを生き返らせたことで

さらなる地獄の苦しみを味わわせてしまいました

仲間を失い 守るべき地上を失った絶望と孤独・・・

ですがそれでもあなたは一人ではありません』

 

「オレがいるからな」

 

《・・・ハ・・・ハドラー!!!》

 

「おまえを一度 卵の状態まで戻し

ほぼ一から育て上げる オレとともにな」

 

《そんなことが・・・?》

 

「バラン・・・おまえにとっては複雑だろうが

オレに任せてくれ・・・

ダイはオレが立派に育てて見せる!」

 

【ふふふ ハドラーよ おまえにダイを託すことに

なんら不安はない ・・・何故なら】

 

       ぶあっ

 

《ああっ?! おれの体から 灰が・・・》

 

「なるほど・・・ そこにいたのか オレも」

 

【そう・・・おまえは 灰となってなお

ダイを守るために戦い続けてきた盟友だからな

ダイの体やダイの剣に残っていたおまえの灰

おまえがいたからこそ・・・

こうしてダイの心が消えずにいるのだ】

 

《父さん ハドラー 聖母竜・・・

おれは 生きてもいいの・・・?》

 

【『『「もちろんだ」』』】

 

「オレはおまえをすでに十分しかりつけた

あとは全てを許す

・・・そして よく頑張ったな ダイ」

 

《う、 う・・・》

 

【ゆっくりと 泣くとよい我が子よ

泣き止ますことは苦手だがともにいることはできる

私たちは・・・つねに・・・いっしょだ・・・】

 

「オレが真竜の戦いで生み出した熱気を

火竜術でまとめあげ莫大な生命エネルギーとし

それを使い聖母竜たちがダイの体を卵にする」

 

『ほぼ転生に近いほどの力を使いますが

私達が力を合わせれば・・・』

 

『ええ!

今こそ竜の騎士の生と死を司る神の使いの本分を使い

私達の孫を救ってみせます』

 

「そしてバランよ おまえにはもっとも重要な役目

ダイの心を守って貰う これはおまえにしかできん」

 

【任せておけ

かつては私が一方的に奪ってしまい

そしてこの子の友が命を賭けてとりもどしたもの

この子の力の〝根源〝を我が全精力をもって守る!!】

 

        クオオオッ

 

「さあうけよっ ダイ!!!

われらの力の全てを おまえが生きるために!!!」

 

《うん!》

 

~~~~~~~~~~~

 

-月 ソルパレス「騎士の間」-

 

・・・

・・・・・・

 

 

        カラン

 

〔? あれは 彼が先ほど飲んでいた酒瓶か

ルナ 少しまっていてくれ〕

 

〔ロランさん? なにを・・・〕

 

    ポン トクトクトク・・・

 

〔たとえこのような終わり方となったとしても

あなたはたしかに最後にあの少年の心と体を救った

その身を賭して孫と呼ぶ彼を救うために戦った

あなたこそ 本当の勇者だ

僕にはこうやって あなた達がのこしたこの灰に

酒を注ぐことしかできないが 最大の敬意をもって

あなた達の冥福を祈ろう・・・〕

 

   パアアアアアアーーーー!

 

               ぶわっ

 

〔灰が 巻き上がって・・・!?〕

 

〔人の 形に・・・・!?〕

 

「・・・ふう あぶないところだったな

オレの半分どころかほぼ全ての力をもっていかれた」

 

『ええ あなたの体を維持する力まで使いきったので

あやうく身動きがとれなくなるところでしたよ』

 

仮にもここは敵地だぞ・・・まったく

この借りはずいぶんと高くつきそうだな

トリアエズナマにクシカツと煮込みをつけてもたらんぞ

 

『お菓子もつけましょうか』

 

反省しろ うっかり力を使い果たすな

 

『今回に限って言えば使い果たしたのはあなたもですよね

己の立場を可愛がっている男に真の勝利などない

あなたの考えは 私には隠せないのですよ

・・・おかげで大勝利のようです』

 

〔あの 大丈夫なのですか?

それにあの少年は・・・〕

 

〔ひょっとしてその手に持っている小さな卵は〕

 

「ククク・・・ オレたちの勇者ダイだ

異世界の勇者よ・・・

この小さな勇者の尊厳を汚した大魔王に与える

会心の一撃は譲ってやろう いくがいい」

 

『こちらは孫の卵を守らないといけませんし

あなたがたの武運をお祈りいたします』

 

〔わかりました いこうルナ〕

 

〔はいロランさん!〕

 

先を行く勇者たちの背を見送り・・・

ダイのたまごに声をかけた

 

「竜の保護者ハドラー おまえを守り育てるものとして

改めてその名を呼ぼう『おかえり そしておやすみ ダイ』」

 

    ~12年後~

 

「ゆくのか おまえの世界へ・・・」

 

《うん 今のおれなら融合してる聖母竜ばあちゃんの力で

異世界も渡れるんだろ?

なら 帰るよ・・・

おれも あのときと同じくらいの年になったしさ》

 

ずいぶんとたくましく育ったダイ

その背中にはかつて使っていたダイの剣を装備し

はじめてデルムリン島で会ったときに着ていたものと

同じデザインの オレとジゼルが作った服を着て

顔には昔の溌剌とした表情がもどっていた

 

『本当に行ってしまうのですか?

あなたさえよければこのままハドラー家の二番竜として

いっしょに住み続けましょう

私たちのいた世界でダイの弟として

デルムリン島で暮らすのもよいでしょう

こう言うのは酷かもしれませんが

あなたのいた世界の地上は もう・・・』

 

[ダイ君 私達といっしょにいようよ!]

 

《ありがとう聖母竜ばあちゃん ジゼル姉ちゃん

でも おれいくよ

おれが好きな人達はもういないけど

おれの知っている景色はもうないんだろうけど

やっぱりあそこがおれの世界なんだ

地上がなくなってしまったとしても

父さんやじいちゃん アバン先生

ポップやレオナが愛して・・・

おれたちが守ろうと戦ってきた世界なんだ!》

 

『ダイ・・・』

 

「そうか・・・」

 

過去と向き合うことを決めたダイ

その顔はかつての とんでもないことをやりそうな

オレの好きな顔だった

こいつならどんな世界だろうと誰かに必要とされる存在

太陽となるだろう・・・

 

『・・・それでも 私は心配なのですが』

 

《それにオレには父さんも聖母竜ばあちゃんもいっしょだ

魔界は父さんがヴェルザーと戦って旅したとこだろ

なんにもわからないってこともないよ

ひょっとしたら地上の消滅から生き残っている人だって

いるかもしれない おれはそんな人たちのための勇者なんだ!》

 

「そうか」

 

『そちらの私の力で行き来は自由ですから

いつでも帰ってきてくださいね』

 

「こちらから様子を見に行くこともできるぞ」

 

《へへ 魔王として来たら おれは勇者として迎え撃つよ》

 

「フッ・・・ ハハハハッ!!

たのもしいことだ!」

 

  ス・・・

 

「手を」

 

《あのときみたいだね》

 

笑って握手に応えるダイ

 

「いってこい 勇者ダイ・・・!」

 

かつて・・・オレとの戦いを終え

大魔王バーンとの戦いへ赴いたダイ

これからダイが行く道は大魔王との戦いよりも過酷かもしれん

だがこの握り返すこの手から感じる勇気

さすが勇者・・・ こうでなくてはな!!!

 

《いってきます!》

 

『無理をしないでいつでも帰ってきてください

そちらの私も ダイをよろしく!』

『ええ もう一人の私 また必ず会いましょう』

 

[ダイ君 元気でね 無理をしないでね]

 

《うん じゃあ みんな 元気で!

ルーラ!!》

 

    ビュン!

 

オレたちに手を振り 飛び立っていったダイ

旅立つダイを見送ったブラスもこんな心持ちだったのだろう

 

[う・・・う・・・・]

 

ジゼルが泣きながら手を振り続ける

12年間一緒にいた弟分に随分と情が移ったようだ

 

「泣くなジゼル 勇者の旅立ちに涙はいらん」

 

[ハドラーさま・・・]

 

「・・・せめて涙は拭け 鼻水は 見逃してやる」

 

[ふふ・・・ はいハドラーさま♡]

 

『ダイ あなたの前途に幸多からんことを』

 

 

 

 

 

IFストーリー~完~

 

 

 

 

 




なんかもう色々完結した気がしたウジョーです

もちろん黒太陽さん作の東方大魔王伝 -mythology of the sun-は連載中です
これからがまさにクライマックスの大魔王戦!オススメです!

春の気配が近づいてまいりました 季節の変わり目 年度末の忙しさや温度差で
特に体調を崩しやすいこの時期 お疲れの出ませんように


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IFストーリー 世界を超えた再会 勇者ダイ復活!!の巻

時系列的には
黒太陽さん作の東方大魔王伝 -mythology of the sun--秘伝-前奏曲の翌日ぐらい
拙作では前話IFストーリー 眠れ、オレのもとで のダイが旅立つ前の出来事です



 

   ―幻想郷 某所―

 

「兵どもが夢の跡、か」

 

『また ここにきましたね』

 

一面に広がる花畑の中 手入れをしていると

おぼえのある気配が隠れるようにこちらを見ているのを感じる

 

「・・・そんなところにいないでこちらに来たらどうだ ダイ」

 

この幻想郷に訪れていた オレのいた世界とは似て非なる世界のダイ

かつての大魔王バーンとの決戦後 オレが関わることなく地上へ帰還し

救ったはずの世界との摩擦で心を痛めたが幻想郷との交流

大魔王バーンとの再戦を通して笑顔を取り戻したと聞いた

 

《うん 何してるんだ ハドラー?

ここは一体?》

 

オレの言葉に素直に姿を見せ近づいてくるダイに

 

「ここはかつての戦場 そして散っていった魂を見送った場所だ

つまり 墓場だな」

 

《墓場・・・》

 

「オレも幻想郷側に立ち共に戦った

一方的に押しかけただけだがな」

 

《・・・なんで?》

 

「悪魔にも友情がある、ということだ おまえのようにな」

 

《そっか》

 

「藤原妹紅やロランから この地で起きた大戦については聞いていないか?」

 

《ああ そういえば聞いたよ 操られたもう一人のオレ?もいたんだっけ》

 

「ああ 名前も意識も奪われた状態でな

・・・・・・そのお前を取り返すためにオレは力を尽くした

お前の胸にこのヘブンズクローを突き刺し回復呪文(ホイミ)をたたきこんでな

オレだけではない お前の中で戦い続けていたバラン、聖母竜、

そしてもう一人のオレも協力し

どうにか取り戻すことに成功した」

 

『神々の思惑も超えた縁と絆の奇跡でしたね』

 

《なんか へんなかんじ》

 

ダイが自分の胸に手をあて首をかしげる

 

「【ダイ】 良い名だ

おまえの揺り籠に残っていたDの頭文字をもとに

名付け親は鬼面道士ブラス」

 

《ハドラーがなんでそんなこと知ってるの?》

 

「その鬼面道士に【ブラス】と名前を与えたのはオレだ

つまりオレはおまえの名付けの祖父と言える」

 

《え!?そうなの!?》

 

「そもそもあやつがデルムリン島にいたのは

オレがあの島で魔王軍の戦力となるモンスターを育成させるために命じたからだ

不思議に思わなかったのか?

あの狭い島に多種多様なモンスターがいたのはそういう理由だ」

 

《へー そうだったんだ

あの島で育ったけど知らなかったな

じゃあオレがじいちゃんに拾ってもらえたのはハドラーのおかげだったのか》

 

『まあ かつて赤子だったダイが人間の国を追放されたのも

ある意味魔王時代のあなたのせいでもありますが』

 

「ではそんな孫に・・・ む!?」

 

目の前の空間がゆらぎ 新たに気配があらわれる

これは合流呪文(リリルーラ)

 

『まさか この気配は!?』

 

《どうしたんだハドラー、え!?》

 

      フッ

 

《あれ ここはどこ?あ ハドラーじいちゃん

それに・・・》

 

  ()()()()()()()

 

なんとダイが二人になった だがその外見は少し違う

 

《え!?なんで オレがいるの!?あ でもオレより背が小さい!?

それにほっぺたの傷がないよ!》

 

《じいちゃん!ばあちゃん!だれこいつ!?

それにどこ ここ!?》

 

「落ち着け ダイ」

 

オレは二人のダイの頭をそれぞれ押さえつける

後からあらわれたダイ こいつは・・・

 

「お前には 留守を任せたはずだが」

 

《うん 家事が一区切りしたから おれはジゼル姉ちゃんと瞑想をしてたんだ

ふとハドラーじいちゃんがどこに行ったのかなって気になって

そしたら・・・》

 

「ここにあらわれた、と 瞑想で魔力が高まったところで

オレをイメージしたことでリリルーラが発動したのか

しかし幻想郷は異世界だ そう簡単にこれるはずが・・・」

 

『こちらのダイはもう一人の私が入ってますから

異世界の移動が可能なのでしょう』

 

「ああ そうだったな」

 

《ちょっと待ってハドラー!

えっと 状況を説明してほしいんだけど

結局なんでオレがもう一人いるんだ?》

 

前からいたダイが混乱しながらも聞いてくる

とりあえず頭の中ではダイ(大)とダイ(小)としておくか

 

「ああ 今あらわれたこいつは 例の大戦でオレ達が取り戻したダイだ

転生に近い形でな 一度卵の状態に戻し今はオレの元で生活している

今は10歳

そのときの影響か かつての記憶をかなり失っている」

 

転生のときに失ったのか

あまりの過酷な過去から未熟な体と心を守るためにバランがあえて封じたのか

ダイ自身が封じたのかはわからんがな

 

『ダイの中の私かもしれません 

・・・少なくとも私なら 封じられるものなら封じますよ』

 

過保護なやつらだ

 

『バーンと接触させて記憶がもどることを危惧して

連れてこなかったあなたも同じですが』

 

だがダイ(大)を前に記憶がもどった様子はないが

 

《うーん なんか父さんや母さんに似てる?》

 

《え そうかな?》

 

『バランが中にいるのでバランやソアラの顔はおぼえているのですね』

 

「それよりもダイ いい機会だ 今のお前の力を見せてやれ」

 

オレはダイ(小)に小さな袋を渡した

 

《何これ?》

 

《え 種?なんの?》

 

「幻想郷の里で買った花の種だ」

 

《花!?え!?ハドラーが!?》

 

《ああ そういうことか

ジゼル姉ちゃんほど うまくないけど・・・》

 

ダイ(小)が種を蒔いていく

 

《じゃ 見てて》

 

   フワ・・・・・・

 

 パワワワワ・・・・・・・

 

ダイ(小)の木竜術によって墓場が鮮やかな赤い花畑に変わった

 

《すごい・・・こんな魔法はじめて見た

なんて呪文?》

 

《木竜術の初歩だけど》

 

《木竜術って何?》

 

「竜の力を使った植物を操る術、

つまりブラスやポップなら使えないがお前なら使える術だ」

 

《じいちゃんやポップでも使えない

オレなら使える術・・・

オレの・・・竜の力で 本当に?》

 

オレはダイ(大)の手に残った種を一粒渡し ボサボサ髪の頭に手をおいた

 

   ブワ  ほわわわ・・・・

 

《あっ・・・ きれい・・・》

 

ダイ(大)の力を借りた竜術で一輪の花が咲いた

 

「その感覚をおぼえておけ

紛うことなきおまえの力だ

いずれ自由に使えるようになる 必ずな」

 

《おれの・・・力 竜の、ちから・・・》

 

大事そうに花を抱くダイ(大)

 

『ありがとうございます

私も、神々さえも竜の騎士に竜の力を戦うためのものとしか

伝えることができなかったものですから』

 

どう受け取るかはダイの勝手だ 礼を言うほどのことではない

 

《ブラス・・・じいちゃん ポップ・・・・・・》

 

『あなた! ダイ(小)の様子が・・・』

 

「なんだ?」

 

震えているダイ(小)の視線の先には・・・

 

'すげえ呪文だな・・・'

 

《あ ポップいたんだ》

 

隠れてダイを見守っていたポップが姿をあらわし

ダイ(大)も気が付いたようだ

 

「最初からずっといたぞ 気配は消していたがな

お前を心配していたのだろう」

 

'いや~ なんのことかな

俺は大先生達のシゴキからちょ~っと逃げて休んでただけだぜ'

 

「フン そういうことにしてやろう」

 

《ポップ・・・

ポップ~~~~~!!!!!》

 

'ダイ!?'

 

ダイ(小)がポップに抱きついた

 

《ポップ!!みんな!!ごめん!!

おれが ふがいないばっかりに・・・

また おまえを・・・みんなを・・・!!!

ごめんよぉぉぉーーーーーーーーーーーッ!!!》

 

ポップの胸でダイ(小)の激しい嘆きが響く

 

「記憶がもどったか 大魔王に敗れ全てを失った記憶が・・・」

 

'ダイ・・・'

 

《もう一人のオレ・・・》

 

《ポップ~~~~~~~~~~~~~!!!!》

 

ダイ(小)の体から竜闘気があふれる

 

『あなた!』

 

「・・・・・・いや」

 

オレがダイ(小)の頭に手をおく

・・・がそれだけだ

 

ポップがダイ(小)を抱き返し ダイ(大)もダイ(小)を抱きしめた

隠れて見守っていた ヒュンケルとラーハルトもすぐ隣で佇んでいた

 

 

 

 

しばらくするとダイ(小)が泣きやんだ

竜闘気も暴走することなく 笑顔にかわっていた

 

'大丈夫かダイ?'

 

゜ダイ゜

 

〔ダイ様〕

 

《・・・ありがとう ポップ ヒュンケル ラーハルト

ハドラーじいちゃん そしてもう一人のおれ・・・》

 

《・・・・・・うん》

 

   ギュ・・・

 

二人のダイが改めて抱き合う

 

 

 

しばらく抱き合った後 離れたダイ達は互いに笑いあう

二人ともどこか決意を秘めた 勇者の顔だ

 

《ねえ ハドラーじいちゃん

この花はなんて名前?》

 

ダイ(小)が 自分が咲かせた花の名前を聞いてきた

 

「彼岸花 という名だ

種が珍しく たまに幻想入りしてくるらしい

毒性があるがこうして墓場に植える花としては一般的なものと聞いた」

 

《そうなんだ うん、これからおれがやりたいことが見つかった!

じゃあ おれ 先に帰るよ!ハドラー家に!!

おれ こうしてみんなとまた会えてよかった!!

もう会うことはないだろうけど 元気でね!!さよならみんな!!

リリルーラ!!!》

 

  フッ

 

リリルーラを唱えたダイ(小)が姿を消した

 

《あっ・・・  さよなら もう一人の【おれ】・・・

オレも 会えてよかった》

 

'ハドラー あんたがさっきのダイを育ててるんだよな'

 

「そうだ ポップよ」

 

゜・・・子は親をうつす鏡だという・・・・・・

どうやら バーンとは違う意味で

とてつもない存在となったようだな   魔王様゜

 

〔そうだな できれば戦いたくない程だ〕

 

根っからの戦士である ヒュンケルとラーハルトにそう言われるとはな

 

『ずいぶんと嬉しそうですね』

 

「ふん お前たちもさっさと戻った方がいいのではないか?

今のままではやはり お前たちはまだまだアバン達には及ばん

アバン刀殺法やメドローアなど やつらの力の一端に過ぎん

オレがあえて言うようなことでもないがな」

 

'だってよ ダイ 先生の宿敵にここまで言われちゃ

特訓に気合いれないわけにはいかねえよな!'

 

《うん わかった

オレ・・・ ここでまた ハドラーにも会えてよかった》

 

'俺もな!'

 

「ククク 次に会ったときに腑抜けたざまを見せれば

今度はオレが相手をしてやろう

ヒムに見せた力程度がオレの底だとは思わんことだ」

 

オレは去っていったダイ(大)達を見送り

彼岸花が広がる墓場を改めて手入れした

 

 

 

コーセルテルに戻ったダイ(小)はこれまで以上に

心・技・体が大きくのびていった

ジゼルとの連携では ときにオレに勝つほどに・・・

記憶がもどっただけではない 何かを覚悟し

未来のために強くなろうとする断固たる意思を

過酷な道に踏み出そうとする勇気をその瞳に宿していた

 

「ダイが勇者として 旅立つ日が近づいているようだな」

 

『そんな!? 竜の騎士の使命などもうなくなったのになぜ!?』

 

「冒険心は抑えられるものではない

あいつは【ダイ】なのだからな」

 

 

とある魔界に赤、白、黄色の弔いの彼岸花の花畑が生まれる少し前のことであった

 




ダイの大冒険の家庭用ゲーム インフィニティ ストラッシュ発売日一週間をきってワクワクしているウジョーです

ちなみに彼岸花の花言葉は「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」「悲しい思い出」「旅情」「また会う日を楽しみに」といったものがあるようです

暑さ寒さも彼岸までと言いますが 急な温度変化は体調を崩しやすいものです
お疲れのでませんように


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ハドラー子育て日記番外編 ジゼル異世界出張日記 魔竜王来訪

今回はディアさん作ジゼル異世界出張日記~ハドラー子育て日記番外編~を元にしたコラボ小説です
元ネタであるディアさんからの許可はもらっております ありがとうございました


「だれだ こやつは?」

 

このコーセルテルに見慣れない女がいた

どうやら人化した竜のようだがこの里の竜ではない

他の竜の里から来た竜の可能性はあるがこの世界の竜種の特徴とはどこか違う

しかもかなりの強さを感じる

今は意識がないようだがこれほどの猛者がこの里に

誰にも気づかれずにいるとはただ事ではないぞ

 

『私たちの世界の竜に近いようですね

・・・というより』

 

ああ・・・ オレの隣に立つ我が娘であり補佐竜のジゼルにどこか似ている

そしてその手にはオレの日記帳と同じものがある

オレの日記帳はここにある以上 こやつが盗み出したものではないようだが

いったいどういうことだ?

 

「ジゼル こやつを家に入れておけ

目が覚めれば事情を聞く マシェルたちに伝えるのはそのあとでいい」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

ジゼルが謎の女を家に寝かしつけて間もなく

 

⁅ここは・・・・・・⁆

 

目を覚ましたようだ

 

「気がついたか」

 

辺りを見渡す女に声をかけた

 

⁅ハドラー様・・・・・・⁆

 

!?聞き覚えがあるような声で謎の女がオレの名をよんできた

 

ーーーーーーーーー

 

謎の女が言うには 異世界からやってきた「魔竜王」の地位にあり

「俺の妻」で名を「ジゼル」というらしい

・・・どういうことだ?

 

『以前私たちも迷い込んだことがありますが

平行世界(パラレルワールド)ということでしょう』

 

ああ フレイザードが生きていたりラーゼルが生まれていた

あるはずのないバルジ塔のあったあの世界や

なぜかバーン様が二人いたり ダイが敗北した世界

などのようなものか

 

『そうです おそらくそういった世界かそれに近い世界の出身でしょう

なぜここにいるのかはわかりませんが あの手に持った日記帳がカギかもしれません』

 

事態を呑み込めたのか頭を抱えるジゼル(大)に この世界のことを伝えたところ

当面は祖父の名であるボリクスを名乗りオレの監視下につくことにしたようだ

 

ーーーーーーーーーーー

 

その後しばらくボリクスの様子をみていたが

魔竜王を名乗るにふさわしい力と威容を確認し

オレのメイドを務めていたという家事能力は

コーセルテル一であるマシェルすら瞠目するほどだった

 

『しかし マシェルのあの態度は珍しいですね』

 

あの小竜バカなりにボリクスを警戒しているのだろう

小竜たちを守るためにな

 

そしてオレはボリクスとともに台所に立ち小竜たちの菓子を黙々と作っていたが

そんなオレ達の元にジゼル(小)が駆け寄ってきた

 

⁅ハドラー殿、私に考えがありますから私に任せてくれませんか?⁆

 

「・・・・・・わかった」

 

オレはクッキーを作りながらボリクスとオレの娘

二人のジゼルの話し声を聞いていた

 

[ボリクスさんどんなプリンを作るの?

プリプリ?ふわとろ?クリーミー?焼き?アイス?]

 

⁅えーっと 思ったより色々知ってるのね⁆

 

[ハドラー様が色々試して作ってくださるから

みんな大好き♡」

 

⁅あらあら ハドラー殿に愛されてるのね⁆

 

別にそういうわけではない コーセルテルで使う材料にはかなりの制限がある

同じものを作り続けるよりも工夫を重ねた方が経験がつめるからに過ぎん

 

『・・・プリンの工夫が特に多いですよね?』

 

⁅ジゼルちゃん プリン好きなの?⁆

 

[はい!私は元々プリンの材料の卵だったから]

 

⁅ええ!?ちょっと!?それについて詳しく!!⁆

 

[ハドラー様がプリンを作ろうとして卵を割ろうとしたときに地震がおきて

月の精霊で活性化したお母様が・・・]

 

⁅おかあさま!!!???

そんな まさか? ハッそうか!

ジゼルちゃんはフレちゃん達のような禁呪法で生まれた子じゃない子竜!

ということは・・・母体となる 女の存在が・・・

ジゼルちゃんが私の異世界同位体であるとすれば・・・他に!⁆

 

  ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 

ボリクスの魔法力が高まっていく・・・!

なんという力だ 魔法力だけならオレよりも強いかもしれぬ

やはりまだまだ底を見せてはいなかったか!

上には上がいる ということか

 

『あの・・・なぜか寒気がするのですが・・・』

 

オレもだ

 

    タラ・・・ 

 

慌ててハナミズを拭いボリクスを注視する

 

⁅ジゼルちゃん!その【お母様】について詳しく!!!!⁆

 

あまり関わりたくない話題だがこの魔力の高まりは流石にまずい

 

[お母様はハドラー様の心の中にいるよ]

 

⁅え!? そうなの・・・ えーっと わかったわ⁆

 

     スー・・・

 

『ジゼル!ありがとうございます!プレッシャーが消えました』

 

ボリクスの魔力がおさまりオレの中の聖母竜も落ち着いた

ジゼルの生母とも言える聖母竜はオレの心臓の一つに住み込み

オレと意識や感覚を共有しているのだが

ボリクスはどうやら何か勘違いをしているようで追及をやめた

まあこれについては放っておこう

 

[ボリクスさん フレちゃんって?]

 

⁅フレちゃんは私とハ、旦那様の最初の子でね!

お兄ちゃんぶって弟妹を構いたがるのが可愛くって!⁆

 

ダブルジゼルは先ほどの魔力の暴走などなかったかのように

和気藹々とプリン作りにもどっていった

平行世界のジゼルか・・・たしかに面影はある

雷竜という竜種はコーセルテルにはなくオレのジゼルも火竜の変種?

と思っていたが案外雷竜だったのかもしれんな

 

『正直いまだによくわかってませんよね

まあ 私と雷竜ボリクスは直接関係ないのですから

うちのジゼルが雷竜とも言い切れません』

 

⁅ジゼルちゃん ハドラー殿は好き?⁆

 

[大好き♡

いつかハドラー様に勝ってお嫁さんになる!!]

 

⁅やっぱり!

それじゃあ いっぱい食べて 強くならないとね!!⁆

 

ジゼル同士すっかり意気投合したようだ

 

『めでたしめでたし ですね』




今日8月7日は鼻の日 そして水曜日 つまりハナミズの日 といえばハドラー様
という失礼な連想から前から書きたかったコラボ小説を急遽書き上げたウジョーです

ギリギリ間に合いました


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エイプリルフール・ドリームマッチ

エイプリルフール企画の夢の競演です
矛盾などは気にしない方向で・・・


      ドリームマッチ

 

GK バルトス

DF フェンブレン

DF ブロック

DF 聖母竜

DF アルビナス

MF ジゼル

MF フレイザード

MF シグマ

FW ヒム

FW ハドラー

FW ヒュンケル

 

  VS

 

GK ロカ

DF レイラ

DF ブロキーナ

DF マトリフ

DF アバン

MF マァム

MF ブラス 

FW ジャンク

FW バラン

MF ダイ

FW ポップ

 

'おいおいハドラー! ヒュンケルはこっちのチームだろ!'

 

「そう言うなポップ

こちらは聖母竜(役立たず)を数合わせに入れなければチームが成立せんのだ

大体お前たちは アバンにダイにバランまでいて戦力に不満があるのか?」

 

'まあ そうだけどよ こっちだってウチの親父なんかいるんだぜ'

 

     ポン

 

'おっ・・・親父っ!!!'

 

    グオオオッ

 

''なんか文句あんのか このクソガキがあぁあーーーーーッ!!!!''

 

'うぎゃああああーーーーーーーっ!!!'

 

       ズドォオン!!

 

「見事なパワースラムだ

お前より強いのではないか?」

 

'ぐすすん そりゃ否定しねえけど おれの肩身がせまくなるんだよ・・・'

 

「バルトスはオレの子でありその子がヒュンケルだ

ならばオレの陣営にいても問題なかろう

それに見ろあれを・・・」

 

 

 

 

❛ヒュンケル・・・立派になったなあ・・・❜

 

゜・・・とうさん・・・・・・゜

 

❛おまえがハドラーさまのご息女のお世話をしていたことを絵姿で知った

そのぬくもりとやさしさを失わず 

だれかにつたえられる男にそだってくれたことを本当に誇らしく思う❜

 

゜・・・違うんだ父さん

オレは自分の弱さをタナに上げて師を恨み人間を恨み続けていたんだ

それを救い許してくれた仲間や師の存在がなければオレは・・・・・・゜

 

❛アバンどのやあちらの方達のことだな

またも敵対することになったが正々堂々戦うことでお礼返しとしよう

おまえとともにな❜

 

゜父さんと共に・・・゜

 

❛ワシはハドラーさまより再び門番を任される栄誉を賜った

おまえの先陣を切る姿を 強く正しい戦士に成長した姿を見せてくれ!❜

 

゜・・・わかったよ 父さん!゜

 

 

 

 

[アルビナスお姉ちゃん

私の名前 お姉ちゃんから一文字もらったんだよ]

 

{ジゼル・・・ハドラー様・・・・・・・}

 

{おいおいアルビナスが泣いているぜ}

 

{会った早々 我らハドラー親衛騎団の女王を泣かせるとは}

 

{末恐ろしい娘だな 我らの妹君は}

 

{ブローム}

 

“俺が死んでる間に弟妹がずいぶん増えてやがる

まあいい こいつら全員出し抜いて俺がNO.1だ”

 

 

 

 

 

〔大きくなったなマァム!

母さんそっくりだ〕

 

″父さん・・・!″

 

〔それに比べて・・・ ブロキーナ老師やマトリフは全然変わってねえな〕

 

⁅ロカ・・・ てめえはわけえまんまか いいご身分だな まったく⁆

 

″マトリフおじさんはよく私の家に遊びに来てたんだけど・・・″

 

〔まさかマトリフ マァムにまで・・・!〕

 

⁅ニヒヒヒッ こうムチムチっとなってりゃ触るにきまってんだろ⁆

 

〔てめえ!!!〕

 

   ビュン!

 

⁅ダハハハハッ!!⁆

 

  ばたばたばた!

 

“・・・まあ 相変わらずね”

 

‘ナハハハッ なんとも懐かしいですねえ’

 

〔アバン!

てめえ姫さまをさんざん待たせた挙句

修行に夢中でカール王国滅亡に気づかなかったそうじゃねえか!〕

 

‘・・・それは返す言葉もありませんねぇ’

 

“ロカ!”

 

〔フローラ姫さま!?〕

 

“フフ とっちめてやりなさい!”

 

〔お任せください姫!!〕

 

 

 

 

 

{ケンカかい 全く旧勇者パーティもチームワークの悪りィ奴らだな

オレらハドラー一家のほうがよっぽど・・・}

 

「あれを見ろヒム」

 

 

 

 

 

『私はどうもこういうことは苦手なんですが・・・』

 

❛奥方さま、戦いは我らにお任せください

必ずや勝利を・・・❜

 

{お待ちくださいバルトスお兄様!

百歩譲ってジゼルの母親とは認めてもハドラー様は未婚のはず!

奥方様とは認めらません!!}

 

[ハドラー様と結婚するのは私ー!!]

 

{いえジゼル 流石にそれも・・・ここは僭越ながら、その・・・}

 

 

 

 

{あ~あこっちも内輪もめかい・・・}

 

“クカカカカー!イキがいいじゃねえか!!”

 

 

 

 

【ブラス老 こうしてお会いできて感激です

いつか直接お礼を言いたいと思っておりました】

 

«私たちの子をこんなに立派に育てていただき感謝の言葉もございません»

 

〈いえいえなんのなんの ワシだけではいたらぬことばかりでした

島のものたちや アバンどの レオナ姫やポップ君たちとの出会いがあってこそです〉

 

《父さんと母さんとブラスじいちゃんがいっしょにいるってうれしいけど

なんかくすぐったいな・・・どうしよう?》

 

≪じゃあダイ君 あたしの両親に挨拶する?

あそこにいるんだけど≫

 

《ええ!?レオナの父さんと母さん!?

そういえば会ったことなかったな

って、もうひきずってるよ!》

 

 

 

  \\わいわい がやがや//

 

 

 

「・・・これは 試合はじまるのか?」

 

‘まあいいじゃないですか!楽しいですから!’

 

 

 

 

   次回ウソ予告

 

“ヒュンケル てめえより先に点をとる!ジャマすんな!”

 

{ヒュンケル オレによこしな!オレのパワーで押し切る!}

 

゜フレイザード!ヒム!周りをよく見ろ!!

アバンの包囲網に絡み取られるぞ!!゜

 

‘さすがはヒュンケル私の狙いに気づいていましたか

ですが・・・私たちのチームワークは年季が違いますよ’

 

 

 

'親父----っ!!

少しは役に立てよな!!

ボーッと立ってねえでよ!!!'

 

 

''うっ・・・うるせえ!!

てめえこそ気を抜くんじゃねえぞ!!!''

 

《親子ゲンカしながらよく走れるな・・・》

 

【ディー・・・ ダイ!こちらも親子タッグの力を見せるぞ】

 

《もうディーノでもいいよ その名前も父さんと母さんが考えてくれた

おれの名前なんだから》

 

【・・・ありがとう ディーノ!】

 

 

 

 

「やはり やつら相手に10対11の人数差は厳しいか」

 

『まあ私が戦力外ですからね・・・

ここはあの子をよぶとしますか?』

 

「あやつか・・・ この状況がやつにとって幸となるか不幸となるか

難しいところだが・・・よんでみるか勇者を・・・!」

 




拙作の最終回があるとしたらこんな感じかなと書きながら思ったウジョーです

エイプリルフールネタなら何書いてもいいかと思ったらこんな内容に
試合内容までは考えつかないので今回はこれでおしまいです

令和2年も三月が終わり 世間が新型コロナの影響でこんなことになるとは
新年あけたときには考えもしませんでした

いいニュースにも目を向けるとして7月発売のダイの大冒険の旧TV・劇場アニメ(1991)Blu-rayBOXを楽しみにするとしましょうか


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不死身の救世主の巻

『久しぶりにジゼルの様子を見に この世界にやってこれましたね』

 

「夜か 人間は多くが寝ているのではないか?」

 

『私たちの気配に気づけばジゼルの方から会いにくるでしょう』

 

アバンに子が生まれたのを冷やかしに行ったつもりが

3つ子だったことで子守に巻き込まれた

ようやくヒュンケルとヒムの子育てレベルがあがり

子守は任せてこの世界にきた

 

     フッ

 

「この気配ジゼルか ムッ!?」

 

リリルーラであらわれたジゼルだったが全身が燃え盛っていた

 

[ハドラー様!!]

 

『ジゼル!?』

 

オレの胸元へ飛びついてきたジゼルだったがその炎はオレを焼くことはなく

 

「冷たいだと!?」

 

『この炎は一体!?』

 

「この炎に込められた気は・・・哀しみ、か?」

 

[う。。う。。。]

 

よく見ればジゼルが泣いている

 

『私たちに会えなくて寂しかったのでしょうか』

 

「いや この燃え方は どこか違う

・・・どうやらこの妙な炎 周囲から集めているようだ」

 

『周囲?』

 

「以前リングでの戦いで周囲の熱気を無意識に取り込んだことがあった

あのときに近いものだろう」

 

『ですが これほどの哀しみの気が集まるとは

この世界に何があったのでしょうか?

・・・ここはあの方たちに事情をお聞きしましょうか』

 

「パンチとロン毛か

まあヴァンプ将軍たちが世界征服を達成した様子でもなし

それが確実か では松田ハイツへ行くぞジゼル ルーラ!」

 

   ギュンッ

 

 

「着いたな」

 

燃え続けるジゼルがくっついたまま 部屋を訪ねた

 

   ピーン ポーン

 

  ガチャ

 

{ハドラーさん いらっしゃい

おやジゼルちゃん 泣いているじゃないか!?

もしかして・・・・・・

これを読んだのかい}

 

出迎えたロン毛が小さな鏡のようなものを触ると

そこには・・・

 

「これはオレとアバン、

地底魔城で魔王を名乗っていたときのオレと勇者アバンの戦い

やつのアバンストラッシュで

オレが宿敵にはじめて敗れ殺されたときの絵か」

 

ジゼルがうなずいている 少しは落ち着いたようだがまだ燃えている

いつも思うが・・・

なぜこの世界にはオレの過去がこうして伝えられているのか?

 

『そういえば 以前もあなたの過去の戦いの映像を見て

ジゼルが泣いていましたね』

 

「だがあのときはこのような炎ではなかったが」

 

〈ジゼルちゃんがとりこんでいるのはこの世界の哀しみだね

・・・つい先日 漫画の神ともよばれる先生が下界を離れ

天界入りしたのですよ

そのニュースが報道されたことで世界中が悲しみに包まれました〉

 

「ほう そんなことが」

 

[・・・・・・そういえば メアリたちも大泣きしてた]

 

{天界でもちょっとした事件になったよね

天部のまゆ毛の太い編集さんが天国の門で入待ちしていたらしくて

受付の当番をしていた私の弟子と揉めたらしくて・・・}

 

〈すみません そのまゆ毛そちらに行ってましたか!!〉

 

{その後もまゆ毛の太い編集さんが天国のいたるところに出現するから

先生が落ち着ける場所を父さんにつくってもらうかと}

 

〈ほんとすいません うちのまゆ毛が!!!〉

 

{先生はまゆ毛の編集者に縁があるね ・・・

世界を覆う悲しみとジゼルちゃん自身の悲しみが重なったことで

この炎が生まれたようですね}

 

「・・・事情はわかったが この状態をどうするか」

 

『延焼するわけではないようですが

ジゼルをこのままにしておけません』

 

〈・・・はい はい ではそのように

・・・ええ これから説明します〉

 

     ピッ

 

〈ハドラーさん ジゼルちゃん 聖母竜さん 外に出ましょう

この世界に広がる悲しみに

私も ともにできることがありますから〉

 

{私も 私のかわいい子羊たちのために・・・}

 

二人に促され松田ハイツをでて近くの広場に行くと

 

『え!?そうなのですか!?

いえ たしかにそうなのですが せめて先にジゼルに説明を』

 

どうした聖母竜 だれと会話している?

 

{ここならいいかな}

 

〈そうだね アパートだと松田さんにご迷惑がかかるかもしれないし〉

 

{じゃあ連絡して、あっ!?}

 

[なにっ!?]

 

ジゼルが光に包まれ大きく変化する

これは竜変化!? だがこれはジゼルの元竜姿ではない!

スカイドラゴンに似ているがはるかに大きく 妙な気を発している

 

神竜(しんりゅう)様・・・』

 

「竜の神 つまりお前の上司か

ジゼルはどうなった」

 

『コーセルテルにある同化術に近い術でジゼルの体と集まっていた力を使い

一時的に下界に顕現したようです』

 

{神竜さん わざわざありがとうございます}

 

〈君んとこ 本当にそれっぽいのいるよね〉

 

{ハドラーさん 私たちは彼と世界を巡ろうと思います}

 

〈この巡礼で下を向くみなさんが上をむけるようになれば

ジゼルちゃんを取り巻く冷たい気も収まります〉

 

「なるほど ではオレも同行しよう

この世界の広さはわからぬが ジゼルの魔力を補給できる」

 

〈では行きましょうハドラーさん〉

 

{斉天大聖さんも合流するらしい

夜とはいえ 空を飛んでいればみんなすぐにわかると思う

GT最終回を見ていればこれがどういうことか}

 

〈・・・それはどうかな?〉

 

「こやつらが言うことはたまによくわからん」

 

『失礼ですよ!

あのお方たちがおっしゃるのです

それに神竜様がおいでになったのですから』

 

実際に神竜の姿になったジゼルらと共に世界を何周かすると

世界の哀しみとやらはやわらいだのか人間の姿になったジゼルの炎は消えていた

 

・・・だが それだけではだめだ

 

 

 

 

     フッ

 

オレはジゼルを連れてルーラをとなえ再び世界を越えた

 

[ハドラー様 ここは?]

 

「ここはオレがもといた世界」

 

[?ここがですか

夜とはいえ空気が随分違いますよハドラー様]

 

「夜ではない ここは元々光がない世界、魔界だ」

 

[ハドラー様のふるさと!?]

 

やはり知っていたか 例の鏡のようなものには

かつて若いオレが魔界で魔王としての決意の思い出まで映し出されていた

・・・・・・青いな昔のオレ

流石にあれほど青臭いオレの姿まで出回っているのはどうにかならんか

 

『それはもう手遅れですよ 私ももうちょっと読みたいですが

それよりも なぜわざわざ今頃この魔界に?』

 

「ふん ジゼルが昔のオレの死にいちいち動揺するのは

今のこのオレの力にどこか不安を感じるところがあるのだろう」

 

[そんな!?ハドラー様!??]

 

ジゼルは否定するように首を振るが

 

「構わん 思えば無理もない

だが、それも今日までのことよ よく見ておくがいい」

 

『何をするつもりですか?

それに ここは魔界のどこですか?』

 

「冥竜王ヴェルザーの拠点城のひとつだ

バランによってヴェルザーがたおされたとはいえ

この魔界には まだまだ残党がいる そしてここには・・・」

 

⁅やあ これはこれはハドラー君じゃないか

驚いたもんだ キミ 生きていたんだね⁆

 

ヴェルザーの城からオレを出迎えたのは見覚えのある長身の道化姿の男

 

「死神キルバーン

お前にも相当借りがあったことを思い出してな

地獄からまいもどったというわけだ やはり生きていたか!」

 

『ダイに黒の核晶(コア)を使ったあの・・・!』

 

⁅クククッ あいにくボクは不死身でねェ・・・

キミに心臓をブチ抜かれた程度じゃあ死ねないのさ⁆

 

「ふん」

 

オレは死神の顔へあの冷える炎をぶつけた

 

   ゴオ!!

 

⁅な!?⁆

 

   ガシィ!

 

炎に包まれた頭にとびかかり つかみ確信した

 

「やはりいかにお前でも!

ヴェルザーの拠点で黒のコアは使わないようだな」

 

⁅なにを!?⁆

 

     グワシャ!!

 

オレは死神の人形の頭を握り潰し 体を八つ裂きにした

 

「ふん お前の人形遊びのタネはすでに割れている

アバンとマァムに倒されたフリをして魔界に戻って

またつまらんことを企んでいたか」

 

⁅おやおや ずいぶんと詳しいじゃないか

どうやらボクの正体も知っているようだね

でもここはボクの主 ヴェルザー様の拠点、

バーンパレスの死の罠(キル・トラップ)とは比べ物にならない質と量を誇る死神御殿さ

キミ程度じゃあどうにもならないよ

それとも かの勇者ダイ君やアバン君でもよんでくるかい?⁆

 

城の中から声が響いてくる

あの手の罠は発動のために術者がある程度近くにいる必要がある

やはりこの城の中にいるのは間違いないだろう

 

「それは好都合だ そこで待っていろ 

オレの怒りの一撃は やはりオレ自らの手でやらねばな!」

 

⁅フン 前にもましてずいぶんと嫌われたもんだねえ

そんなにかわいいお供をつれてこの城を攻略できるとでも?

ただではすまないよ⁆

 

[お構いなく死神さんとやら

ハドラー様の前では あなたはジョーカーをひく運命にある]

 

⁅・・・なるほど チビの分際であの生意気な女王の人形によく似ている

このボクに占いで勝負を挑もうなんて1000年は早いんじゃないかなァ ケケッ⁆

 

「小さくともオレの娘だ

敵を前に死を恐れる者など オレの子には一人もおらんわぁっ!!!」

 

⁅まったく あのときにキミをキッチリ始末しておくんだったよ

まあいいさ ちょうど退屈していたところなんだ

ヒュンケル君がいないけど・・・

ボクとキミ 本当の不死身がどちらか 賭けようじゃないか

チップは互いの命・・・久しぶりに楽しくなってきた⁆

 

   ゴゴゴゴゴ・・・

 

『ようこそとばかりに 城の門が開きましたね』

 

「罠があれば食い破り 敵が来れば倒すだけだ

いくぞジゼル!」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

 

 

この日 光の差さない魔界を獄炎に包まれた城が明るく照らした

 

 

 

  ハドラーはレベルがあがった

  メラ(-)(氷炎系呪文)をおぼえた

 

 

  ジゼルはレベルがあがった

  いとしさとせつなさと心強さがあがった




鳥山明先生の訃報に沈んでいたウジョーです

先生の連載をリアルタイムで楽しめていたのあの頃がどれほど贅沢なことだったのかと
思わずにはいられません
とりあえずDQXオフラインをやりながらサンドランドのゲームを楽しみに待ってます
DQもDBもこれからどうなることか・・・

彼岸が過ぎても暑さ寒さが極端な今日この頃
私も一応治ったとはいえ2度目のコロナにかかったりと世の中油断できません

くれぐれもご自愛いただきお疲れの出ませんように


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