最弱の一誠と歌姫達 (疾風の警備員)
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番外編
EX1 アーシアの使い魔ゲット大作戦


今回は、番外編になります。

アーシアの使い魔は何になるんでしょうか?

最後に発表があります。

アーシア「それでは、見ていってくだしゃ……はう、噛みました…」



タケルside

 

フェニックスとの戦いから2日たったある日、俺はイッセーがオッチャンと呼ぶ堕天使総督のアザゼルさんの所に二人で向かっていた。

 

「急に呼び出して悪かったな。」

 

「気にすんなよ。俺も暇してたからちょうどよかったし。」

 

にしても、俺を呼ぶ理由は何だ?挨拶は特訓の時にしてるし、悪い事もやってないしな………

 

「着いたぞ。オッチャン‼イッセーだけど入るぜ‼」

 

『おう、いいぞ‼』

 

扉を開け、中に入るとアザゼルさんが奥の机で書類仕事をしていた。

 

「悪いな、疲れが抜けきってねぇのに呼び出して…」

 

「大丈夫ですよ、鍛えてますから。」

 

「それで、俺達を呼んだ理由は何なんだ?」

 

「まずはタケルにだが、そのベルトか眼魂を貸してくれないか?」

 

「眼魂なら大丈夫だけど…」

 

何をするんだ?

 

「実は俺の方でもライダーに変身できるアイテムを作ろうと思って、参考にしたいんだ。因みにアーシアに貸した斧は調と切歌のリクエストで作った試作品の1つだ、ベルトももう少しで完成するぞ。」

 

え?つまりチェイサー出来るの?マジで?

 

「それでお前の眼魂を使ったライダーも作ってみたくなったんだ。」

 

お!?マジか‼俺は弁慶眼魂を手に入れたところで死んだから、スペクター以外にライダーがいたかどうか分からなかったから気になってたんだ。

 

「なら、貸せるとしたらこの6個だな。」

 

俺はベルトから黄緑、群青、ピンク、紺、深緑、薄灰色の眼魂を出した。

 

この眼魂は俺が使おうとしても反応してくれないんだ。何か条件や必要なアイテムがあるのか?

 

「こんなに借りなくて大丈夫だから………………深緑と薄灰色の2つを借りるぞ?」

 

「わかった。」

 

残った眼魂を仕舞っていると、アザゼルさんはイッセーの方を向いて………

 

「次にイッセーだが、アーシアに使い魔を持たせないか?」

 

「使い魔を?」

 

「ああ、アーシアは戦場において貴重な回復役(ヒーラー)だが、かといって大樹を毎回護衛に付けるのは正直無理がある。」

 

「俺もそれは考えてたんだ。専属の護衛がいれば俺達も動きやすくなるからな。」

 

それで使い魔って訳か。

 

「タケルもいるか?使い魔?」

 

「俺はガジェット達がいるから問題ないさ。」

 

「なら、これからアーシアを連れて探しに行ってみたらどうだ?今日は時間があるんだろ?」

 

「そうだな、それじゃ行ってくるよ。」

 

「俺も一緒に行くぜ‼何か面白そうだしな?」

 

「気を付けて行ってこいよ。最近はドラゴンや未確認の魔獣が目撃されてるからな。」

 

「「了解‼」」

 

俺達はそう言って、イッセーの家に転移した。

 

 

 

 

 

一誠side

 

「という訳で、アーシアの使い魔ゲット大作戦を始めようと思います。」

 

「まずはそのメチャクチャダセぇ作戦名を何とかしろ‼」

 

話を始めた途端にクリスにツッコまれた。

 

「そうか?なかなかイケてると思うんだけど…」

 

「「「「「「「「「「「そう思ってのはあなた(オマエ/先輩)だけだよ。」」」」」」」」」」」

 

「……ちくせう」

 

なぜ誰もわかってくれないんだ‼

 

「私はすまないが外れさせてもらおう。単独取材の仕事が入っているからな。」

 

「申し訳ないですが僕も行けません。姉さんの研究の手伝いを頼まれているので。」

 

翼とエルナは仕方ないか……

 

「他のメンバーは大丈夫か?」

 

そう言うと、メンバー全員(祐斗と小猫含む)が首を縦に振った。

 

「それじゃ、冥界に行こうか。」

 

「「「「「「「「「「オーッ‼」」」」」」」」」」

 

俺は転移アイテムを取り出して、もう一度冥界に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアside

 

皆さんお久しぶりの視点になりましたアーシア・アルジェントです‼

 

私達は冥界の堕天使領にある「魔獣の森」と呼ばれる場所に来ています。ここで私の使い魔を探すそうです。

 

どんな子に会えるのか今からとってもワクワクしてます‼

 

「アーシアはどんな奴がいいんだ?」

 

「私ですか?そうですね……やっぱりカワイイ子がいいです‼」

 

「アーシアらしいな。」

 

クリスさんとそんな会話をしながら森の中を歩いていきました。

 

途中で何体か魔獣さんに会いましたけど、皆さんから却下されています。

 

特にマッチョなウンディーネさんなら護衛にぴったりだと思ったんですが皆さんから……

 

「「「「「「「「「お願いだからそれだけはやめて‼」」」」」」」」」

 

と言われました。

 

何がいけなかったのでしょうか?

 

「…先輩、そろそろ休憩にしない?」

 

「歩き回ったからクタクタデスよ…」

 

「お腹も空きました…」

 

「そうだな、一回休憩にしよう。タケルと祐斗はシート敷くの手伝ってくれ。」

 

「あいよ。」

 

「わかったよ。」

 

「じゃあ私達はお弁当を用意しましょうか?」

 

「「「「「「「「は~い‼」」」」」」」」

 

イッセーさん達男性方は地面に大きなビニールシートを広げ、私達はアイテム袋に入れていたおかず(ご飯は響さんが用意)を出しました。

 

「は~い、紙皿配るから好きなの選んでね。」

 

シートの上にはサラダや唐揚げ、タコさんウインナーと焼き鮭とハンバーグとエビフライ等が並び、皆さん思い思いのものをお皿にのせていってます。

 

私もエビフライとサラダをお皿にのせます。美味しいですよねエビフライ♪

 

「やっぱりご飯は美味しいよね‼」

 

「響、ご飯以外も食べないと。」

 

「唐揚げゲットデス‼」

 

「…私はタコさんウインナー。」

 

「私はハンバーグをもらいます。」

 

「肉ばっか取りすぎだろ!?」

 

「あなた達‼お肉だけじゃなくて野菜や魚も食べなさい‼」

 

「まるでピクニックだな。」

 

「たまにはいいんじゃないか?」

 

「皆で食べると美味しく感じるしね。」

 

皆さんのお皿に料理がのった事ですし……

 

「それじゃ、いただきま~『『じーーーーー』』ほえ?………あ。」

 

食べようとした時に見られてるような感じがしたので、周りを見ると草むらから4つの目がこちらを見ていました。

 

「どうしたんだ、アーシア?」

 

「クリスさん、あそこに何かいまして…」

 

「なにッ‼」

 

私の指差した方をみて、クリスさんが戦闘体勢に入ろうとしたけど……

 

ぐぅ~~~~~~~~~×2

 

「はあ?」

 

お腹の音が聞こえたのか、気が抜けたような声をだしてました。

 

「良かったら一緒に食べませんか?」

 

私がそう言うと、お互いに目を合わせた(草むらの中なので目しか見えない)後……

 

『『いいの?』』

 

と、聞いてきたので皆さんの方を見ると全員が頷いてくれました。

 

「はい‼大丈夫ですよ‼」

 

『『それじゃ……』』

 

そう言って出てきたのは、黄色い身体に緑の瞳をした恐竜のような子と同じように黄色い身体に青い狼の毛皮を被り額に角が生えた子でした。

 

「「「「「「「「カワイイ~‼」」」」」」」」

 

その子達の姿を見た私達女性陣は思わず大声をあげてしまいました。

 

「あなた達のお名前は?」

 

『オイラは《アグモン》っていうんだ、ヨロシク‼』

 

『ボクは《ガブモン》、ヨロシクね。』

 

「アグちゃんにガブちゃんですね‼ヨロシクです‼」

 

その後は皆で楽しく食事をしました。アグちゃんとガブちゃんは沢山食べるんですね~。いっぱいあったおかずがあっという間になくなっちゃいました。

 

『お腹い~っぱいだよ‼』

 

『ボクもう食べられないや。』

 

「そういえばお二人はお腹が空くまで何をしていたんですか?」

 

『実はオイラ達友達を探してるんだ。』

 

『薄紫の毛皮に黒い羽と額に赤い宝石をつけた子なんだけど皆知らない?』

 

「悪いけど、俺達も見かけてないな…」

 

『そっか…』

 

『どこ行っちゃったんだろうね?』

 

二人の悲しそうな顔を見ていたら私は何とかしてあげたくなったので……

 

「イッセーさん、私この子達のお手伝いをしようと思うんですけど…」

 

「ん~、どうしたもんかな…」

 

「私はいいと思うよ。」

 

「「未来(さん)?」」

 

「皆で探せば見つかるかもしれないし、一緒に使い魔も探せばいいんじゃない?」

 

「なるほど……わかった‼俺達も手伝おう‼」

 

『『ホント!?』』

 

「はい‼一緒に探しましょう‼」

 

ということで、私の使い魔探しにアグちゃんとガブちゃんのお友達探しも加わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

食事を終えた俺達は使い魔と友達探しを始めた。

 

「友達とはどの辺ではぐれたんだ?」

 

『もう少し奥に行った所だよ。』

 

『そこではぐれちゃったんだ。』

 

ふむ、これは大変かもな……はぐれた場所に居てくれればいいんだけど…。

 

「そもそも、はぐれた理由は何?」

 

『実は別の生き物に襲われたんだ…』

 

『その攻撃を避けていた間に別々になっちゃったんだ。』

 

響の質問の返事を聞いた俺達は警戒レベルを上げた。

 

この辺には凶暴な魔獣がいるのか……場合によっては戦闘の準備をしとかないとな。

 

「そっか、どんな生き物だったの?」

 

『えっとね…』

 

その時、俺達の周りがいきなり暗くなった。

 

「なんだッ!?」

 

『あ‼アイツだよ‼』

 

ガブモンが上を指差したので、見てみると……

 

『ギャオォォォォォォォォォォォッ‼」

 

巨大なドラゴンがいた。

 

「……マジか?」

 

『マジだよ‼』

 

天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)のティアマットが悪魔領の森にいるのは知っていたけど、堕天使領の森にもドラゴンがいるなんて……オッチャンが言ってたな…。

 

「はやく逃げるぞ‼」

 

『え、何で?』

 

『戦わないの?』

 

「俺達の目的は友達を助けることだ‼アイツを倒す事じゃない‼」

 

それに倒すにしても、準備が足りない‼このまま戦っても負ける確率が高い‼

 

「今は逃げて……(ギロッ)やッべぇぞ…」

 

話している間に見つかってしまい、ドラゴンがこちらに向かってきた。

 

「どうしよどうしよどうしよ!?」

 

「逃げるデスか!?」

 

「…無理‼間に合わない!?」

 

「こうなったらやるしかねぇ‼」

 

タケルが眼魂とベルトを取り出したので、俺達も神器やシンフォギアを出した。

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

「Killiter ichaival tron」

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

「Various shul shagana tron」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

「禁手‼」

 

『Welsh dragon balance breaker!!』

 

「変身‼」

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼ロビン・フッド‼ハロー‼アロー‼森で会おう‼》

 

「祐斗と小猫、調と切歌はアーシアを守れ‼残りはアイツを何とするぞ‼」

 

『『『了解‼』』』

 

こうして、ドラゴンとの戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアside

 

イッセーさん達が戦い始めると同時に私達は近くの木の影に隠れました。

 

「ドライグさん、あのドラゴンの事わかりますか?」

 

『名前や種族はわからんがあれは中級レベルだな、ただ鱗はかなり固そうだが…』

 

小猫ちゃんとドライグさんの話を聞く限り、強そうですね…。

 

「まずは開幕ブッパだ‼」

 

そう言ってクリスさんは大きなミサイルを出し、未来さんがドーナツ状に広げた鏡にエネルギーを溜めて、タケルさんは前に見せてもらったコンドルデンワーと剣が合体した弓矢をベルトに翳しました。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

「いっけぇッ‼」

 

《MEGA DETH FUGA》

 

《流星》

 

《オメガストライク‼》

 

レーザーとエネルギー矢が直撃し、ミサイルも当たりそうだったんですが…

 

「ギャオォォォッ‼」

 

大きく吠えながら、口から炎を出して撃ち落としてしまった。

 

「ここまで来れれば‼」

 

「充分だ‼」

 

でも、爆煙の中から響さんとマリアさんが飛び出して顔を殴りました。

 

ミサイルに乗るのってかなり恐いです……‼

 

「喰らえッ‼」

 

最後にイッセーさんの槍からビームが放たれて、お腹に命中しました。

 

《HORIZON∞SPEAR》

 

「これで倒されてくれよ…」

 

イッセーさんがそう呟きますが……

 

「ギュオォォォォォォォッ‼」

 

「嘘だろ!?軽症で済むなんて。」

 

「ガアァァァァァァァァッ‼」

 

「「ウアァァァァァッ‼」」

 

「「「「キャアァァァァァァァッ‼」」」」

 

「皆さんッ‼」

 

そして、ドラゴンはその場で回転して尻尾で皆さんをなぎはらい、倒れてしまった。

 

「治療しないと‼」

 

「ダメだアーシアさん‼今行ったらやられてしまう‼」

 

「でもッ!?」

 

こんな時に何も出来ないなんて……

 

「調、私達も行くデスよ‼」

 

「…うん‼助けにいこう‼」

 

調ちゃん達はイッセーさん達の元に向かっていきました。

 

私は何も出来ないのでしょうか?

 

『悔しいな‼“進化”出来ればあんな奴オイラだって簡単に倒せるのに‼』

 

『でも、そのための力がないんだし…』

 

「進化ですか…?」

 

アグちゃんとガブちゃんの言葉が気になり、私は聞いてみました。

 

『オイラ達は純粋な思いの力で強い姿に進化出来るんだ‼』

 

『でも、今は進化するための思いの力が足りなくて…』

 

「進化出来ればイッセーさん達を助けてくれますか?」

 

『もちろん‼優しくしてくれたお礼がしたかったし‼』

 

『僕たちの方からお願いしようと思ってたんだ。』

 

だったらやるしかありません‼

 

「なら、私の思いを使ってください‼」

 

「「アーシアさん(先輩)!?」」

 

「だからお願いします‼皆さんを助けてください‼」

 

『『まかせて‼』』

 

でも、どうすれば思いの力を送る事が出来るんでしょうか?

 

『オイラ達の背中に手を当てて、思うんだ。』

 

『そうすれば、僕たちに流れ込んでくるから。』

 

「わかりました‼」

 

私はアグちゃんとガブちゃんの背中に手を置いて、眼を閉じて思った。イッセーさん達を助けてほしいと。

 

すると、私の中にある魔力が私の手を通してアグちゃん達に流れ込んでいくのがわかりました。

 

魔力も欲しいのならいくらでもあげます‼だから‼

 

『この思い、スッゴく純粋だ……』

 

『心が暖かくなっていくね……』

 

『『これならいける‼一番強い力で‼』』

 

そして、二人は黄色と青の光に包まれた。

 

 

ー推奨BGM《brave heart》ー

 

 

『アグモン‼ワープ進化‼…………ウォーグレイモン‼』

 

『ガブモン‼ワープ進化‼…………メタルガルルモン‼』

 

光が消えると私の前には、機械の鎧を纏い両手には大きな爪のついたクローを持ち背中には太陽を模したマークの入った盾のようなものを背負った人型の龍と機械の身体に剣の羽と尾を持った青い狼がいました。

 

「アグちゃんに……ガブちゃん……何ですか?」

 

『そうだよ、キミのお陰でこの姿になったんだ。』

 

『キミの思い、確かに受け取ったよ。』

 

『『だから、後はまかせて‼』』

 

そう言って、二人はドラゴンの元に向かいました。

 

「びっくりしました、あの子達があんな姿になるなんて…」

 

「僕も驚いてるよ……しかも凄い力を感じる‼」

 

裕斗さんや小猫ちゃんも驚いてますが、私も驚きました‼

 

でも、スッゴく頼もしいです‼

 

「アグちゃん、ガブちゃん、皆さんを頼みます。」

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

ドラゴンに吹き飛ばされた俺達は、予想以上のダメージに動けなかった。

 

「クソッ‼皆‼大丈夫か‼」

 

俺の声に皆が反応して起き上がるのが見えた。

 

「やっぱり強いね…」

 

「中級でもさすがはドラゴンと言ったところかしら?」

 

更に、ドラゴンの口の中に炎が溜まっていくのが見えた。

 

最後は焼き尽くすってか!?

 

「皆‼」

 

その声の方を向くと、調と切歌がこっちに来ていた。

 

「来るなッ‼巻き込まれるぞ‼」

 

しかし、無情にも炎が吐き出され俺たちに襲ってきた。

 

万事休すかッ!?

 

その時…

 

「[コキュートスブレス]‼」

 

後ろから青い光線が飛んできて、炎に当たるとそのまま凍らせてしまった。

 

「へ?」

 

『皆‼大丈夫!?』

 

すぐ横に何かが着地して聞いてきたので、そっちを見てみると青い機械の身体の狼がいた。

 

「え?……『ボクだよ、ボク。』その声、ガブモンか!?」

 

ちょっ!?何その姿、面影はほんの少しあるけど全く違う存在になってないか!?

 

『アーシアから力をもらって進化したんだよ‼今はメタルガルルモンって名前なんだ。』

 

「進化……?」

 

ってことはアグモンもか?

 

「グゥオアァァァァァァァァッ‼」

 

メタルガルルモンに炎を凍らされた怒りか、ドラゴンが尾を振り回してきたが……

 

「[ドラモンキラー]‼」

 

鎧を纏った龍の騎士が爪で尾を切り飛ばした。

 

あれ?あの鱗結構硬かったんだけど、何であっさり切れてるの?

 

『この人達をこれ以上傷つけさせはしない‼』

 

「なあメタルガルルモン……もしかしてあれが?」

 

『うん、アグモンが進化したウォーグレイモンだよ。』

 

「わお…」

 

見た目変わりすぎだろ……しかもかなり強そうだし。

 

そんな事を思っていたら、ドラゴンは空に飛び上がり、再び炎を吐こうとしていた。

 

『やらせはしない‼[グレイスクロスフリーザー]‼』

 

すると、メタルガルルモンの身体から大量のミサイルが発射され、ドラゴンに命中するとあっという間に全身が凍りついていた。

 

なにこのスー◯ーエック◯3……怪獣王でも凍らせるのか?

 

『トドメだ‼[ブレイブトルネード]‼』

 

そして、ウォーグレイモンが両手を上にあげ、ドリルのように回転しながら突っ込んでいき、ドラゴンの身体を貫き砕いた。

 

『やった‼』

 

着地したウォーグレイモンとメタルガルルモンが並んだら、光を放ちアグモンとガブモンに戻った。

 

『あれ?戻っちゃった?』

 

『一時的だったんだね。』

 

「アグちゃん‼ガブちゃん‼」

 

隠れていたアーシアがこちらに駆け寄ってきて、アグモンとガブモンに抱きついた。

 

「ありがとうございます…‼皆さんを助けてくれて…‼」

 

『それほどでもないさ。』

 

『うん、ご飯のお礼だからね。』

 

「ありがとな、二人とも。」

 

俺もアグモンとガブモンの頭を撫でた。

 

『『えへへ♪』』

 

「さて、回復錠を飲んだら友達と使い魔を探しに行くぞ‼」

 

「「「「「「「「「「了解‼」」」」」」」」」」

 

『お~い‼アグっち‼ガブっち‼どこっすか~!?』

 

と思っていたら、近くから声が聞こえた。

 

アグっちとガブっちってもしかして……

 

『ねぇ、この声…』

 

『間違いないよ‼お~い‼』

 

『はっ‼この声は間違いないっす‼』

 

すると、目の前の草むらから先程アグモン達に聞いたのと同じ容姿の生き物が出てきた。

 

『ようやく会えたっすよ~‼よかったっすよ~‼』

 

「アグちゃん、ガブちゃん……この子が?」

 

『うん‼オイラ達が探していた仲間だよ‼』

 

『やっと合流出来たね。』

 

そう言って、アグモン達は喜んでいた。

 

「それで君たちはこれからどうするんだい?」

 

祐斗の質問にアグモン達は首を傾げ、

 

『『『さあ?』』』

 

と、返してきた。……って何も決めてないのかよ‼

 

『僕たちは最後の生き残りだからね~。』

 

「生き残り?」

 

『僕たちの種族は過去の三勢力の戦争に巻き込まれて、そのほとんどが死んじゃったんだ。』

 

『そんで、僅かに生き残った者達でこの辺に住んでたんすけど、数は減っていって後はおれっち達だけになったっす。』

 

「そうだったんですか…」

 

話を聞いたアーシアは悲しい顔をしていた。

 

『でも、君たちといるのはスッゴく楽しかったよ‼』

 

『ご飯も美味しかったし‼』

 

『ちょっ!?ご飯ってなんすか!?おれっちが必死に探していた間にご飯食べてたんすか!?』

 

『『うん。』』

 

『マジっすか~!?おれっちも食べたかったっす…』

 

「ふむ…」

 

それなら、作ってあげるかな‼

 

「だったら家に来るか?食材ならまだあった筈だし…」

 

『いいんすか!?』

 

「ああ、アグモンとガブモンも来いよ‼さっきのお礼があるからな‼」

 

『『やった‼』』

 

「イッセー、アーシアさんの使い魔はどうする?」

 

「いけね!?忘れてた‼」

 

どうしたもんかな……

 

『じゃあオイラ達が使い魔になるよ‼』

 

『アーシアといれば、僕たちも戦えるからね。』

 

『なら、おれっちも使い魔になるっすよ。』

 

「いいんですか?………………私の使い魔で…?」

 

『キミの使い魔がいいんだよ‼』

 

『『うんうん‼』』

 

「じゃあ、お願いします‼」

 

こうして、アーシアはアグモンとガブモン、そしてその友達のドルモンを使い魔にした。

 

「アーシアの護衛兼使い魔も見つかったし、帰って夕飯の準備をするか‼」

 

「「「「「「「「「オオー‼」」」」」」」」」

 

 




ということで使い魔はアグモン、ガブモン、ドルモンになりました。

完璧に私の趣味です…深く突っ込まないでください。

それでは、前書きで書いた発表です‼









それは、1つの事件から始まった。



冥界での教育中にはぐれ討伐を依頼されたリアス達。



しかし、その戦いである封印を壊してしまう。



それと同時に彼女達も姿を消した。



それによって、駒王町で起こる怪事件。



生徒会メンバーから調査とついでの彼女達の捜索を頼まれた一誠達は、一人の少女と怪人に出会う。



怪人との戦いのなかで、タケルに渡されたのは新たな力。



《カイガン‼1号‼始まりの男‼技の1号》



「私と一緒にライダーの眼魂を集めて貰えませんか?」



名前と使命以外を忘れてしまった少女から頼まれたのは、伝説のライダー眼魂の回収。



しかし、その行く手を阻む者達が現れる。



???『『『変身‼』』』



その奥で暗躍する存在。



そして一誠に訪れる最悪の時‼



「悪い、…………約束………守れなくて…」



「イッセエェェェェェェェェェッ‼」



そして彼は友の思いを胸に戦いに挑む。



「俺がアイツの思いを未来に繋いでみせるッ‼」



更に現れる二人目の仮面ライダー。



「あの人の思いをバカにするなッ‼」



《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼トキメキ‼ゴースト‼》



そして、少女の記憶が甦る時、奇跡が起きる。



最後に勝利を掴むのは誰なのか?



次回 最弱の一誠と歌姫達&ネギま 英雄の魂物語



仮面ライダー魂‼昭和と平成のライダーコラボ‼











ということで、ナハト・リコリス様の作品とのコラボが実現いたしました‼

次章はタケルが主軸に物語が動いていきます。

昭和はもちろん平成ライダーの眼魂も集めていきます。

頑張って書いていきますので期待してください‼

エクスカリバー編はもう少しお待ちください。

では、最後はこの言葉で終わろうと思います。

次回も命、燃やすぜ‼


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EX02 虹野ゆめ(メイル)のある1日

どうも、疾風の警備員です。

今回は番外編第2段、メイルが主役の回です。

それと、他作品から今回限定で数人出てきます。

もし良ければ、見ていってください。


ゆめside

 

皆さん、おはようございます。

 

今回、始めて視点を……それもメインの話を書いて貰えることになりました、虹野ゆめことメイルです‼

 

ああ……この瞬間をどれだけ待ち望んでいた事か……こんなに嬉しい事はない……‼

 

「と、メタとネタはここまでにして…」

 

主の中から人間態で出てきて、ここ最近の日課になりつつある行動をする。

 

「主、起きて。もう朝だよ。」

 

「う~ん……今日は日曜だからもう少しだけ…」

 

こうして毎朝、主を起こすんだけど中々手強いのです。

 

でも、私は何としてでも起こします‼なぜなら…

 

「そう言わないで起きてよ‼私、お腹が空いてるんだからぁ‼」

 

空腹には勝てないし、私……料理出来ませんから…

 

神器から出られるようになってから、お腹が空くようになったので以前、主の見よう見まねでやってみたら、火災一歩手前の惨事になって、主から禁止令が出されてしまったんです……

 

「頼む……後8…」

 

「8光年ですか?」

 

「それは距離だぁッ‼」

 

私の返答に、主がツッコミながら起き上がった。

 

「やっと起きてくれた…」

 

やはり主を起こすのは、これが一番だね。

 

「くそ、毎回どうしてもツッコミを入れてしまう…」

 

「さ、早くご飯にしましょう‼」

 

「はいはい、ちょっと待ってろ。」

 

主が台所で調理しているのを、私は座ってそれが出てくるのを待つ。

 

今日の朝食は何でしょうか……香ばしい匂いからベーコンエッグかな?それにパンが焼ける音もするし洋風ですね。

 

「ほら、出来たぞ。」

 

テーブルにはベーコンエッグとトーストが並び、その匂いが私の鼻腔をくすぐってくる。

 

「「いただきます。」」

 

私はトーストにマーガリンを塗り、その上にベーコンエッグを乗せてかじりついた。

 

う~ん‼程よく焼けたカリカリのベーコンとプルプルの白身に半熟の黄身の目玉焼きが最高です‼トーストにマーガリンを塗るのはやはり後が良いですね‼焼きたての食感が損なわれませんから‼

 

「メイルは今日、どうするんだ?」

 

「実は此処に行ってみようと思って…」

 

そう言って、私はある雑誌を主に渡した。

 

「何々…【ここのシュークリームはまさに絶品‼食べないと人生の損ですよ‼】……この店にか?」

 

「うん‼そこまで書かれているシュークリームがどんなのか気になっちゃって‼‼」

 

ここまで評論家に絶賛されるお店なんだから、確実に美味しいはず‼

 

「どんな味なのかなぁ………………ジュル…」

 

「おいおい…涎垂れてるぞ?」

 

「ハッ!?」

 

主の言葉に我に返り、慌てて涎を拭いた。

 

「場所は少し遠いな……気をつけて行ってこいよ?」

 

「あれ、主は行かないの?」

 

「オッチャンに呼ばれててな?悪いが、一人で行ってきてくれ。」

 

「はぁ~い‼」

 

それから、朝食が終わった私達は食器を片付けた後、一緒に玄関から外に出た。

 

「それじゃゆめ、気をつけてな?」

 

「分かってるよ、お兄ちゃん‼」

 

外に出た瞬間、私達は呼び方を変える。夜中の任務とかなら問題ないけど、日中の人目がつきやすい場所での主呼びは周りの人に誤解を与えてしまうし、私も日中一人で出ている時は【虹野ゆめ】を名乗っているからだ。

 

「なるべく夜までには戻るからな。」

 

「うん‼」

 

主と別れ、私は意気揚々と駅へと歩き出す。

 

因みに今の格好は、胸元に小さめのピンクのリボンに所々フリルのついた紫のワンピースに、赤いフレームの伊達眼鏡を掛けています。

 

眼鏡は調さんから貰った物です。ただ、これで貴方も潜入美人捜査官って言われたんですけど…どういう意味なんだろう?

 

「ま、それはさておいて……早く向かいましょう‼」

 

そして、もうすぐ駅というところで……

 

「ねぇキミ、こんな所を一人でどうしたの?」

 

「相手がいないなら、俺達と遊ばない?」

 

「いえ、あの…」

 

人間の男性に絡まれました……これがテレビでよく見るナンパというのかな…?

 

どうしよう、お兄ちゃんとの約束で人間相手に攻撃しないようにと言われてるし……

 

というか、見た目中学1年の女の子をナンパって……ロリコンなのかな?

 

「ちょっと、急いでるんで…」

 

「少しくらいいいじゃねぇか。」

 

「そうそう、俺達がなんでも奢ってあげるからさ?」

 

本当にしつこいなぁ……どうやって脱出しよう?

 

そんな事を考えていたら、

 

「貴方達、そこまでにしなさいよ。」

 

「へ?」

 

「「ああ?」」

 

別の声が男達の後ろから聞こえたので、覗いてみると3人の女の子がいた。

 

「その子、嫌がってるじゃないの‼」

 

「そ、そういうの……良くないと…思います…‼」

 

オレンジのメッシュが入ったミルキーブラウンの一部をサイドで纏めた女の子に次いでピンクのポニテを三房に分け、縦に巻いてる子と薄紫のショートヘアーに眼鏡の子も男達の行動に抗議した。

 

「うっひょ‼この子達も可愛くね!?」

 

「どう、君達も一緒に?」

 

「お断りします。」

 

ブラウンの髪の子が男の誘いをバッサリと断った。

 

「その強気な態度もそそるなぁ~‼」

 

「そんな遠慮なんかしないでさ、そこの喫茶店にでも…」

 

(……………………………………………………ブチ‼)

 

そこで私は何かが切れるような音が聞こえた。

 

今の音は聞き覚えが……

 

その時、ブラウンの髪の子が何かを取り出した。それは家によく使われている……

 

「瓦?」

 

それをいつの間にか置かれていたコンクリートのブロックの上に5枚重ねて置き……

 

「ハアッ‼」

 

ガシャーン‼‼

 

右手を一閃、全てを砕いた。

 

「お・こ・と・わ・り・し・ま・す。」

 

「おお~‼」

 

今のは空手でよく見る、瓦割り‼

 

「「ヒィッ!?す、すいませんでした~‼」」

 

その姿を見て、男達はビビりながら逃げていった。

 

「あなた、大丈夫?」

 

「あ、うん。大丈夫だよ。」

 

ピンクの髪の子に聞かれそう返答するが、私は別のことが気になっていた。

 

「それにしても、さっきの凄いよね‼瓦割りでしょ?始めて生で見た…‼」

 

「ああ、真昼は空手が得意でね?怒るとああして瓦割っちゃうのよ。」

 

怒ると瓦を割るって……癖なの?

 

「驚かせてご免なさい。私は【香澄真昼】よ。よろしく。」

 

そう言って、ミルキーブラウンの髪の子が挨拶してきた。

 

「あ、虹野ゆめです‼此方こそありがとうございます‼」

 

「気にしないで、ああいう輩が嫌いなだけだから。」

 

「ふ~ん、ゆめっていうんだ。アタシは【桜庭ローラ】よ。ヨロシク。」

 

「えっと…【七倉小春】です…」

 

それに合わせてピンクの髪の子と薄紫の髪の子も挨拶してきた。

 

「あ、うん‼二人もヨロシクね‼」

 

「ところでゆめは、こんな所でなにやってたのよ?」

 

「私はこのお店に行こうとしてて…」

 

そう言ってローラちゃん達にお兄ちゃんに見せたのと同じ雑誌を見せた。

 

「あれ?私達と同じ場所に行こうとしてたんだ?」

 

「え?そうなの?」

 

「うん、私達もこの雑誌を見て…」

 

これはなんていう偶然なんだろう。それなら‼

 

「だったらこのまま皆で一緒に行かない?私も1人で行くの寂しかったから。」

 

「アタシは良いわよ。真昼と小春は?」

 

「私も良いわ。」

 

「私も…」

 

「じゃ、決定ね。」

 

「それじゃ、皆でしゅっぱ~つ‼」

 

「「「オオー‼」」」

 

 

 

 

 

一誠side

 

「「はぁ~…」」

 

オッチャンに呼ばれ、来てみたらタケルもいて、話を聞くとある町にはぐれ悪魔がいるから討伐してこいとの事だった。

 

「こんなのとっとと終わらせて、のんびりするか。」

 

「ああ…さて、そいつが隠れている場所は…………ん?」

 

「どうしたんだ?」

 

俺は渡された今、はぐれ悪魔が潜伏している場所が印されている地図を見て驚いた。

 

「ここ、今ゆめが向かってる町なんだよ。」

 

「え?マジで?」

 

「マジマジ。」

 

もしかしたら何処かで会うかもな。

 

「そうだイッセー、ジャンケンしねぇ?」

 

「何だよ、藪からスティックに…」

 

「そのネタ古すぎだからな?因みに負けた方は勝った方の言うことに従うって事で。」

 

「まあ別にいいけど…」

 

「それじゃいくぞ、ジャーンケーン…」

 

「「ポン‼」」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめside

 

「とうちゃ~く‼」

 

私達はあれから皆で電車に乗り、目的地の駅から降りて少し歩いた所にその喫茶店はあった。

 

「【喫茶 翠屋】……間違いないわ。このお店よ。」

 

「それじゃ早速…‼」

 

そのお店のドアを開けて中に入ると、コーヒーの匂いがするのと、流れてくる音楽が心地よい雰囲気を作っていた。そして、入店に気づいた紫の髪をポニーテールに纏めた女性が来た。

 

「あ、いらっしゃいませ。4名様ですか?」

 

「あ、そうです。」

 

「では、こちらにどうぞ。なのはちゃん‼4名様入りま~す‼」

 

「りょ~かい‼」

 

席に案内され四人用のテーブルに座ると、金髪のショートヘアーの女性がメニューとお冷やを持ってきた。

 

「はい、どうぞ。ゆっくりしていってね。」

 

「アリサちゃん‼これ四番テーブルに持ってって‼すずかちゃんは空いてる席の片付けをお願い‼」

 

「「わかったわ(よ)、なのは(ちゃん)‼」」

 

カウンターにいる人からの指示で、店員さんはてきぱきと仕事をこなし始めた。

 

「あの人達って仲良いのかしら?」

 

「そうかも。お互いを名前で呼んでるし。」

 

「それよりも‼3人はなに頼むの?私はこの特製シュークリームを3つにオレンジジュース‼」

 

「アタシはシュークリーム1つにカフェオレ。」

 

「私はローラと同じ。」

 

「えっと…私はシュークリーム1つにオレンジジュースにしようかな。」

 

「皆決まりみたいだね。じゃ、店員さ~ん‼」

 

「は~い‼」

 

私が店員を呼ぶと、今度は金髪を腰まで伸ばし先端付近をリボンで纏めた人が来た。

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

「え~と…シュークリーム6個にオレンジジュースとカフェオレを2つずつで‼」

 

「畏まりました。なのは~‼シュークリーム6個にオレンジジュースとカフェオレを2つずつで‼」

 

「わかったよ、フェイトちゃん‼」

 

注文が終わったので、私は気になっている事を聞くことにした。

 

「そういえば、3人はどんな関係なの?」

 

「アタシ達は仕事仲間でありライバルなの。」

 

「仲間でライバル?」

 

どういう事?

 

「私達はアイドルの卵なの。だから一緒にお仕事をすることがあれば、オーディションで戦ったりもするから…。」

 

「ああ、なるほど。」

 

そのお仕事なら、確かにその表現がぴったりかも。

 

「ゆめはどうしてあそこに?」

 

「私はあの町に住んでる従兄のお兄ちゃんの所に遊びに来てたの。」

 

因みに、これも周りの不信感を与えない為の設定だ。

 

「へぇ、お兄さんがいるんだ…どんな人なのよ?」

 

「う~んと、朝が弱くてツッコミ担当で無茶ばっかりして料理が上手‼それと…」

 

「「「それと?」」」

 

「…本当の私を見つけてくれた人だよ。」

 

「「「???」」」

 

私の言葉に3人が不思議そうな顔になった。そりゃそうだよね、普通なら意味が解らないと思うし。

 

「私は家庭の事情で周りからあまり構って貰えなかったの。そのせいでふさぎこみがちになっちゃって……いつの間にか、心配させない為に偽の笑顔をするようになって、そんな事してたら自分が何なのか解らなくなっちゃったの。でも、お兄ちゃんは埋もれていた本当の私を見つけてくれた。そして私を理解してくれようとした。そのお陰で私はこうやって笑えるようになれた。だから私はお兄ちゃんの力になるって決めたの。例え何があろうとも私だけは絶対にお兄ちゃんの味方でいようって。」

 

これは私が神器の中にいたときの話だ。こうやって出られるようになった後も、それだけは変わらないし変えるつもりもない。

 

「……いいお兄さんなんだね。」

 

「うん‼私にとってはかけがえのない人だよ。」

 

「ゆめってさ……そのお兄さんの事、好きなの?」

 

そこでローラちゃんが変な質問をしてきた。

 

「へ?うん、好きだけど?」

 

そりゃそうでしょ?そうじゃなかったらそんな事思わないし。

 

「「「おおッ!?」」」

 

そう言ったら、3人がテーブルに乗りそうな勢いで顔を突き出してきた。

 

あれ?何でそんなに驚いてるの?

 

「ねえねえ‼写真とか持ってないの?」

 

「いまは持ってないけど…」

 

「どんな人なのか見てみたいわね‼」

 

「私も少し気になるわ。」

 

何か知らない間にお兄ちゃんの好感度が上がっていってる……

 

「は~い‼お持ちどう様‼」

 

と、そこで頼んでいたシュークリームと飲み物がやって来た。

 

「あれ?さっきと同じ人……だよね?」

 

そして持ってきた店員さんがさっきの人と同じだけど、どこか違和感があった。例えば……

 

「髪型が違うし、背が縮んだ?」

 

髪型がツインテールになっているし、さっきよりも背が低かった。

 

「ちょッ‼気にしてること言わないでよ~‼」

 

その店員さんは料理をテーブルに置いてから、崩れ落ちた。

 

お仕事はキチンとやるんですね?

 

「どうしたの、アリシア?」

 

そこでさっきの店員さんがやって来た。

 

「聞いてよフェイト~‼また小さいって言われた~‼」

 

「「「「いや、言ってないし。」」」」

 

小さい方の店員さんの言葉に私達はハモりながらツッコンだ。

 

「すみません、私の姉がご迷惑を…」

 

「「「「え?姉えェェェェェェェェッ!?」」」」

 

うそ!?この小さい人の方が姉だなんて……‼

 

「ほら、お邪魔になるから戻るよ。」

 

「グエッ‼え、襟を引っ張らないで‼首がぁ~‼」

 

そのままアリシアと呼ばれた店員は奥に引き摺られていった。

 

「な、何だったのかしら?」

 

「「「さあ?」」」

 

「まあ、今のは気にしないで…」

 

私はお皿の上のシュークリームを手に取り、

 

「いっただっきま~す‼」

 

一気にかぶりついた。

 

「……(モグモグ)‼美味しいッ‼」

 

え、ナニコレ!?サクッとしつつもふんわりとした弾力がある生地に、甘過ぎずされど弱すぎない絶妙な甘さのカスタードクリームが私の舌の上で重なりあってこの言葉でしか表現できない‼

 

「ホント!?ハグ…………本当に美味しいわ‼」

 

「どうやったらこれ程のものを…‼」

 

「ほっぺが落ちちゃいそう~‼」

 

そんな幸せを堪能しながら食べていき、シュークリームはあっという間になくなった。

 

「ゆめは私達より多く食べてるのに、食べ終わるタイミングが同じだなんて…」

 

「私の趣味は食べ歩きと推理ドラマだからね‼」

 

「いや、意味分かんないから。」

 

「それじゃ、お店も混んできたみたいだしそろそろ出ようか。」

 

周りを見ると、席はほぼ埋まっていてレジ前に待っている人までいた。

 

「そうだね、行こうか。」

 

レジでお会計(それぞれ食べた分を支払った)して、次いでにお土産に8個買ってお店を出た。

 

「それはお兄さん用?」

 

「うん、一緒に食べようと思って。」

 

そんな感じの話をしながら歩いていたら、目の前を黒いロングコートに黒い帽子、サングラスと眼鏡を掛けた人が通り、細い路地に入っていった。

 

「何、今の人?」

 

「変人感丸出しだったわね。」

 

「そうだね、それに…」

 

一瞬感じたあの気配…あれは人間のものじゃない。

 

「ほら、早くかえ「気になるわね…追ってみましょう‼」うえッ!?」

 

ローラちゃんの言葉に私は狼狽えた。

 

「危ないよ‼何かあったら…‼」

 

「そこまで近づかないわよ。ちょっと正体が気になってね。」

 

そう言ってローラちゃんは、その路地に入っていった。

 

「ちょ!?ローラちゃん‼」

 

「全く…」

 

小春ちゃんと真昼ちゃんも、その後を追っていった。

 

「マズイ、このままだと皆が…仕方ないか‼」

 

そして私も後を追っていった。

 

皆の気配を頼りに走ると、工事途中のビルの前にいた。

 

「皆‼ここにいたんだ…‼」

 

「あら、ゆめも気になったの?」

 

「3人だけじゃ心配だったからだよ‼」

 

「さっきの人はこの中に入ったみたい。」

 

「私達も入りましょ。」

 

ローラちゃんが中に入るのに続いて入った瞬間、空間が歪み空の色が変わった。

 

これは結界!?

 

「え!?何よこれ!?」

 

「まさか、こんな簡単に獲物が引っ掛かるなんてな‼」

 

「キャアッ!?」

 

「「「ローラッ‼」」」

 

声の方を見ると、さっきの男がローラちゃんを捕まえていた………背中に蝙蝠を思わせる羽根を生やして。

 

どうしよう……!?ローラちゃんを助けて安全に逃がす方法は……‼

 

頭を動かして、脱出方法を考えていたら……

 

「おっと、逃がしはしないぜ?」

 

「へ?イヤァッ!?」

 

「「小春ちゃんッ!?」」

 

男の隣にもう一人の悪魔が出てきて、小春ちゃんを捕まえてしまった。

 

ダメ、このままだと皆が………こうなったら‼

 

「真昼ちゃんは下がってて。」

 

「ゆめ?」

 

私は真昼ちゃんの前に出て、剣を出そうとしたら……

 

「「どりゃあッ‼」」

 

「「へ?ぼげッ‼」」

 

聞きなれた声と共に悪魔達が倒れ、捕まってた二人は見知った二人の男性が抱えていた。

 

「お兄ちゃん!?タケルさんも何で!?」

 

そこにいたのは主とタケルさんだった。

 

「朝言っただろ?それでだよ。」

 

あれってはぐれ悪魔の討伐だったんだ。

 

「さぁ、早く向こうに…‼」

 

「あ、ありが「このクソ野郎がぁッ‼」」きゃッ‼」

 

「フッ‼セイッ‼」

 

「ガペッ!?」

 

ローラちゃんを降ろしたお兄ちゃんの所に蹴飛ばした悪魔が殴り掛かってきたが、それを右手で弾いてその勢いを使った裏拳を顔に決め、腹に蹴りを入れた。

 

タケルさんは降ろす前だったので、左足の回し蹴りで弾き、がら空きの脇腹に蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

「ほら、君も向こうに‼」

 

「あ、はい‼」

 

「ゆめは3人を連れて隠れてろ、こいつらは俺達が倒す。」

 

「うん‼分かった‼」

 

私は3人の手を引いて、近くの物陰に隠れた。

 

「大丈夫なの!?あんなヤバそうなの相手に…‼」

 

「お兄ちゃん達なら大丈夫だよ。」

 

お兄ちゃん達とはぐれ悪魔が向き合ったら、タケルさんが黒い機械的な端末を取り出し、翳した。

 

「はぐれ悪魔【ゴーレ兄弟】。」

 

「今までの殺人、拉致監禁、その他もろもろの罪で…」

 

「ジャッジメント‼」

 

それを開くと、画面に丸とバツが交互に映り、最後にバツが大きく表示された。

 

「良かったな、デリート許可だ。ま、元から決まってた事だけど。」

 

「何だお前達は‼」

 

「俺達の邪魔しやがって‼」

 

「うるせぇ、とっとと倒すぞ。」

 

「あいよ‼」

 

お兄ちゃんはカードデッキを突きだし、タケルさんは闘魂ブースト眼魂をベルトにセットした。

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

そして、各々ポーズを取り、

 

「「変身‼」」

 

《闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

光龍とゴーストに変身した。

 

「姿が変わった…」

 

「あれって噂の【仮面ライダー】?」

 

「え?噂ってどんな?」

 

「何でも、少し前に化け物と仮面ライダーが大きな戦いを繰り広げたってネットに流れてたの。」

 

「ほら、これよ。」

 

真昼ちゃんのケータイには、眼魔の王との闘いの写真があった。ただし、遠くから撮っているからか絵はぼやけていたが間違いなくお兄ちゃんとタケルさんだった。

 

「ええッ!?いつの間にこんなのが!?」

 

「まさか、ゆめのお兄さんがそうだったなんて…」

 

私もあの時の画像があったなんてびっくりだよ‼でも……

 

「なら、あのぐらいのを相手にお兄ちゃん達は負けないよ。」

 

 

 

 

 

タケルside

 

俺は弟の相手をし、奴の振るってくる剣の腹に手刀を当てて弾きながら、反対の手で殴り飛ばす。

 

「剣には剣といきますか‼」

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼アーサー‼円卓‼騎士王‼勝利の剣‼》

 

アーサー魂になり、カリバーモードのガンガンセイバーを振るい、奴の剣とつばぜり合う。

 

「このッ‼」

 

向こうが力を込めてきたので、剣の角度を変えて剣を後ろに滑らせた。

 

「うおッ!?」

 

「おりゃッ‼」

 

「バゲッ‼」

 

それによって前のめりになった弟の背中に蹴りを入れて倒れさせる。

 

「何だ、その程度か?」

 

「ふざけやがってッ‼」

 

「あらよッ‼」

 

起き上がり様に振られた剣をこっちが振るった剣に当てて、刀身を叩き折り体も切り裂く。

 

「ぐあッ!?」

 

「そろそろ止めだ。」

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

俺は剣をベルトにアイコンタクトさせて必殺技を発動させる。

 

そして頭上に掲げると、刀身が金の光に包まれていく。

 

んじゃ、久しぶりにあのセリフを言いますか‼

 

「命、燃やすぜ‼」

 

《オメガスマッシャー‼》

 

そして一気に振り下ろすと金の光の奔流が放たれ、ゴーレ弟を飲み込み、悲鳴すら上げさせずに消滅させた。

 

「削除完了……ってな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺はゴーレ兄の攻撃を捌きつつ、カウンターを決めていた。

 

「ンニャロウッ‼」

 

「よっと‼」

 

放たれようとした上段蹴りを、しゃがみながら足払いを掛けることで防ぎ、仰向けに倒れた奴の首に手を地面につけて体を回した勢いを乗せた踵落としを決める。

 

「グケェッ!?」

 

「あらよっと‼」

 

「フビャッ‼」

 

そして、そこから倒立のように起き上がりながら顔を蹴り飛ばした。

 

「お、良い顔になったな?」

 

「嘗めやがってッ‼」

 

殴り掛かってきたのを、体を反らして避け、背中に掌底を打ち込んでから、カードを1枚引いてバイザーに入れた。

 

《GANGNIR》

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

聖詠を唱え、ガングニールフォームになり槍を奴に叩きつけた。

 

「バブュッ!?」

 

「終わりにしよう。」

 

俺は飛び上がり、槍を投げる体勢になってからある事を思い出した。

 

約束だし、仕方ねぇか……え~と、これでいいか。

 

「星屑となって散れ‼」

 

そして槍を投げると多数に分裂して、ゴーレ兄に襲い掛かり、そのまま串刺しになった。

 

《STARDUST∞PHOTON》

 

着地した俺はマントを翻し……

 

「削除……完了…」

 

そう言った瞬間、ゴーレ兄は消滅した。

 

「ふう…」

 

「お疲れさん。これにて一件コンプリートか。」

 

「ああ、後はあの子達をキチンと送り返さないとな。」

 

俺達は変身を解除して、ゆめの所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめside

 

「「「さっきはありがとうございました。」」」

 

駒王町まで戻ってきた私達は、駅前で別れる事になった。

 

「全く……今後は怪しいからって変な奴等には近づかないこと‼今回は俺達が間に合ったから良かったものの、一歩間違えば死んでたかも知れないんだからな?」

 

「「「スミマセンでした…」」」

 

「まあまあ、お兄ちゃんもそのくらいで…」

 

「お前も同罪だぞ?」

 

「ア、ハイ…」

 

「分かればよろしい。」

 

「ねぇ、ゆめ。」

 

お説教が終わったら、ローラちゃんが私に話しかけてきた。

 

「なに?」

 

「ゆめのお兄さん……けっこう格好良いわね…‼」

 

「フフン……‼でしょ?」

 

でも、何でそんなに顔を赤くして言うのかな?

 

「んじゃ、この3人は俺が送っていくわ。」

 

そこで、タケルさんの提案に小春ちゃんが笑顔になった。

 

「えっ!?いいんですか?」

 

「さっきの事もあるし、一人になったら心細いだろ?」

 

「じゃあ、お願いします‼」

 

「おう。」

 

「なるほど、小春はあの人なのね?」

 

ローラちゃんは小春ちゃんの考えている事が分かったようだ。

 

「じゃ、またな。」

 

「「「またね~‼」」」

 

4人を見送ってから、私はお兄ちゃんと歩き始めた。

 

「どうだった?お店の方は?」

 

「もうサイコーッ‼シュークリームは彼処の以外食べられなくなりそうなくらいだよ‼」

 

「へぇ、俺も行けば良かったな…」

 

「そう言うと思って、お土産で買ってあるよ。」

 

「ああ、その箱はそういう事か。」

 

「ところで、相手を倒すときに言ってたあのセリフは何?」

 

「タケルとジャンケンして負けてな?1つ言うことを聞く事になって、出された命令が【決めゼリフ】を作る事だったんだよ。」

 

「それがあれ?」

 

「おかしいか?」

 

「ううん、良いと思うよ。」

 

そんなとりとめのない会話をしていたら、話題はローラちゃん達の話になった。

 

「怒ると瓦を割るって……おもしろい子だな?」

 

「でしょ?」

 

「で、そうやって仲良くなった子達と話すのは楽しかったか?」

 

「うん‼自分の気持ちも再確認出来たし。」

 

「お?それは気になるな……教えてくれよ?」

 

「ダ~メ‼これだけはお兄ちゃんにも教えられないかな?」

 

「なら、仕方ないか。」

 

そう、これだけは教えられない。

 

貴方の力になる…貴方の自由を守る剣にも盾にもなる。

 

それが私の決意だから。

 

「とりあえず、これからもヨロシクね?お兄ちゃん‼」

 

「ああ、此方こそヨロシクな。」

 

でも、たまにはこんな風に楽しんでも良いよね?

 

 




いかがでしたか?

とりあえず、自分は食レポには向いてない人格みたいです(笑)

次回から4章に入っていきますが、サブタイが決まってないので予告はお休みします。

それと、活動報告でもう一作のリメイク版に出てくるオリ人工神器の名前を募集します。

能力等は書いておきますので、皆様のいろんなアイディアをお願いします。

食レポだけじゃなく、名付けのセンスもなかった(泣)

そして星ノ瀬竜牙様、必殺技の名前を勝手に変えて申し訳ありません。ただ、この音声は通常のブレードモードとかぶってしまうのでこちらで変えさせて貰いました。

勝手な判断、スミマセンでした。


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EX3 アイドルの秘密特訓!?

どうも、疾風の警備員です。

今回は最近浮かんでいたのでやりたくなった番外編です。

それにしてもエグゼイドのゲキトツロボッツの声を水木一郎先生にやってもらいたいと思ったのは自分だけでしょうか?

まあとりあえず、どうぞ。


一誠side

 

学園でのテロ事件から3日経ち、疲れも完全に癒えた俺は人間態のメイル(ゆめ)と一緒に響が眼魂騒動の時に見つけたレストラン【AGITΩ】に来て夕食をとっていた。

 

「ん~♪美味しいね、お兄ちゃん‼」

 

「そうだな、値段も手頃だし今度は皆で来るのもアリだな。」

 

幸せそうな顔でカレーを頬張るゆめにそう答えて、俺も頼んだ煮込みハンバーグを食べる。

 

しっかりと煮込まれているのにも関わらず、肉汁が溢れてきてとってもジューシーだし、そして煮込むのに使われたデミグラスソースの味も格別だ。

 

う~ん、これは家で再現するのは無理かな?

 

カランカラン♪

 

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

 

「あ、三人です。」

 

「かしこまりました。こちらのお席へどうぞ。」

 

そこにウェイターの人が新しく入ってきたお客さんを俺達の隣の席に案内してきた。

 

「ごゆっくりどうぞ。」

 

メニューと水を置いたウェイターは仕事に戻っていった。

 

「はぁ~、今度のお仕事はなかなかハードね…」

 

「…そうだね、私達はあまりそういう事をしたことないし…」

 

「私も得物を持ってやるのは初めてだから。」

 

「「「はぁ~…」」」

 

隣からはそんな会話が聞こえてきた。

 

なんか聞き覚えがある声のような……

 

「はぁ~♪ご馳走さま‼ってあれ?ローラ達だ。」

 

「え…あ、本当だ。」

 

「へ?あッ‼ゆめに一誠さん!?お久しぶりです。」

 

ゆめの声につられ隣の席の人達を見ると、以前俺とタケルが助けたローラちゃんに真昼ちゃんと小春ちゃんのアイドル達だった。

 

「うん、久し振り‼皆、元気してた?」

 

「うん‼」

 

「もちろん。」

 

「当たり前じゃない‼そっちこそどうだったの?」

 

「もっちろん元気だよ‼」

 

そうやって仲良くローラちゃん達と話すゆめを見ていると、俺まで楽しい気分になってくる。最近までは外に出ることなんか出来ず、俺の中で色々と付き合わせてきたんだからこういう何でもない時はなるべく好きな事をやらせてやりたかった。これが俺の出来るゆめへの唯一の恩返しだと思っている。

 

「お兄ちゃん、聞いてる?」

 

「へ?悪い…ちょっと考え事してて…どうした?」

 

突然ゆめから話を振られ、慌てて返事をする。

 

「ローラ達のお仕事についてなんだけど…」

 

「仕事って……アイドルの?」

 

「はい…今度、特撮ドラマのメンバーに私達が選ばれまして…」

 

「その中で、ワタシとローラに今いない子は武器を使った戦闘シーンがあるんです。」

 

「でも、アタシとその子は戦いの経験ないし真昼も空手だから武器を使うのは初めてなんで、なかなか上手くいかないんです。」

 

「なるほど。」

 

確かにアイドルとはいえ、普通に生きている女の子にとって戦うような動きは武道でもやってない限り無縁だからな。

 

「だから、誰かに習おうかと思うんですけど、先生方も今は余裕がなくて…ここであったのも何かの縁ですし仮面ライダーである一誠さんとタケルさんにお願い出来ませんか?」

 

それなら、場合によっては力になれるかもな。

 

「因みに使う武器は何なんだい?」

 

「アタシが槍で真昼が剣、いない子が銃です。」

 

あ、これなら問題ないな。

 

「槍なら俺が教えられるよ。我流だけどね?」

 

「ホントですか!?」

 

「ああ、剣もタケルなら大丈夫だろうし銃については当てがあるからちょっと待っててくれ。」

 

俺はケータイを取り出し、タケルへとかける。

 

『もしもし、どうしたイッセー?』

 

「タケルか?実は…」

 

俺はタケルに今レストランでの事を話した。

 

「それでタケルと玲奈ちゃんの力を借りたいんだ。」

 

『なるほどな、ちょっと待ってろ…』

 

通話口から『玲奈~、ちょっと来てくれ‼』とタケルの声が聞こえ、それから数秒待ち……

 

『待たせたな、OKだってよ。』

 

「そうか。」

 

電話の奥で『生のアイドルに会える‼』とか叫んでる玲奈ちゃんの声が聞こえてくる……

 

とりあえず俺はローラちゃん達に右手でグーサインをして店のアンケート用に置いてあったペンを取り、用紙に時間と集合場所をローラちゃん達に訪ねたら……

 

「今度の休みの朝9時に【四ツ星学園】の校門前でお願いします。」

 

そう言われ、俺はタケルにそれを伝えた。

 

『OK、んじゃその時間に現地集合ってことで。』

 

「頼むな、じゃ。」

 

通話を切って皆の方を見ると、嬉しそうにしていた。

 

「向こうの了承も取れたから、今度の休みにそっちに行くよ。」

 

「「「よろしくお願いします‼」」」

 

それからも、ゆめが頼んでいたデザートのアイスを食べてから、3人と別れて俺達は家路に着いた。

 

 

 

 

 

 

それから少し経って約束の日になり、俺とゆめはアパートの側に置いてある銀色のバイクに乗った。

 

これは前にこっちの世界にやって来たヴラドさんのくれたお土産のひとつで【オートバジン】というらしい。

 

かなりの高性能に加えて、変形してロボットになることも可能なんだそうだ。

 

でも、それより驚いたのがこれが一般的な段ボール(大)の中に入っていたことだ。

 

一般的なサイズの段ボールにどうやって入っていたのか、オッチャンが面白さ半分で調べている。

 

「お兄ちゃん、そろそろ行こうよ‼」

 

「わかったよ、しっかり捕まってろ。」

 

ヘルメットを被りバイザーを下ろして、エンジンを吹かしながら俺達は出発した。

 

「うわ~‼風が気持ちいい~♪飛んでる時みたい‼」

 

「なら、もう少しスピードを上げるか?」

 

「お願~い‼」

 

「よしきた‼」

 

ゆめの頼みで法定速度ギリギリまで上げて、道を走っていく。

 

「イヤッホ~‼」

 

「暴れて振り落とされるなよ‼」

 

「わかった~♪」

 

楽しそうなゆめの声を聞きながら俺はバイクを運転して、集合時間の30分前に四ツ星学園の校門に着いた。

 

「あーッ‼楽しかった‼」

 

「オッチャンに言われて、免許取っておいて良かったよ。」

 

俺がバイクに乗れるのは、昔にオッチャンから……

 

「バイクに乗れる男はモテるぞ?だからお前も取ってこい。」

 

と言われ、受講費まで出してくれたから折角だし取ってみるかと思い、取ったものだ。

 

あの人、仕事中は結構真面目なのになんで普段は少し軽い感じになるんだ?だからたまにキャロルさんに怒られるんだよ。

 

「オーイ、イッセー‼」

 

そこにタケルの声とバイクのエンジン音が聞こえてきて、俺達の前にピンクがかった白にフロントには桜の花のオブジェが付いたバイク【サクラハリケーン】に乗ったタケルと玲奈ちゃんがいた。

 

あのバイクもヴラドさんからのお土産だ。

 

「待たせたか?」

 

「いんや、俺達も今さっき来た所だ。」

 

「おはようございます、イッセーさんにゆめさん。」

 

「おはよう。」

 

「おはようございます、玲奈さん‼」

 

「にしても、デッケェ学校だな…」

 

「ああ…」

 

視線を左右にやると、長い塀がずっと続いていて先が見えない。

 

ここ、東京ドーム何個分あるんだ?これが全部学園なんていうんだからスゴいな……

 

「あ、もう来てたんですね。」

 

その広さに唖然としていたら、敷地内からローラちゃんと小春ちゃんが出てきた。

 

「タケルさん、お久しぶりです。」

 

「君達も元気そうだな。あれから変な奴を追い掛けたりしてないだろうな?」

 

「さすがに懲りましたよ…」

 

「そりゃ結構。」

 

そんな話をしていたら、玲奈ちゃんがタケルの後ろで目を輝かせているのが見えた。

 

「ゆ……有名なアイドルが…………目の前に…‼」

 

「?あの…そちらの子は?」

 

「ああ、俺の妹。」

 

「は、始めまして‼御堂玲奈です‼」

 

「「よろしく‼」」

 

「それで、真昼ちゃんともう一人の子は?」

 

「二人には場所を取ってもらってます。そこの受付で手続きをして、中に入ってきてください。」

 

ローラちゃんに言われ、校門の端にある受付で入館の手続きを行い、二人に他の子達がいる場所に案内してもらう。

 

「にしても、随分広いんだな。外から見ていても思ったけど。」

 

「ここはアイドルの養成所兼学校ですからね。それなりの敷地が必要なんですよ。」

 

「中は4つに分かれていて【花の歌組】【鳥の劇組】【風の舞組】【月の美組】となっています。」

 

「花鳥風月からとってるのか……二人は何組なんだ?」

 

「ローラちゃんが歌組、私と真昼ちゃんが美組でもう一人の子が劇組です。」

 

「「「「へぇ~。」」」」

 

「お~い、皆~‼」

 

そこに真昼ちゃんの声が聞こえ、少し先で大きく手を振っている真昼ちゃんとオレンジ色のロングヘアーに青い鈴が付いたリボンをして、頭頂部の髪をまるで猫の耳のようにした女の子が立っていた。

 

「今日は無理を言ってスミマセンでした。」

 

「気にしなくていいよ。そっちの子がもう一人の?」

 

「【早乙女あこ】と申しますわ。」

 

「俺は龍見一誠、こっちが従妹の虹野ゆめ。」

 

「んで、俺が御堂タケルでこっちが妹の玲奈だ。」

 

「は、始めまして‼」

 

「それじゃ早速はじ「ちょっとよろしいですか?」ん?」

 

練習を始めようと思ったら、早乙女さんが待ったをかけた。

 

「どうしたの?」

 

「桜庭さん達は実際に見たから信じられるのでしょうけど、ワタクシはまだあなた達が噂の仮面ライダーとは信じていませんの。それが本当かどうか見せてもらえませんこと?」

 

「フム、それもそうだな。」

 

いきなり俺達が仮面ライダーだなんて言われて、スゴいって思う方がおかしいし、最もな事だな。

 

「ちょっと何無茶を…「分かったよ。なら今ここで変身してみせよう。」……へ?」

 

「え、いいんですの?」

 

「本当はダメだけど疑ったままだと練習に身が入らないしね。一応道具を持ってきているし。」

 

アイテムを使い結界が張れたのを確認して、俺とタケルが並び俺がデッキを前に突きだし、タケルがベルトを出して眼魂を装填した。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

そのままポーズを決め、

 

「「変身‼」」

 

そう叫び、光龍とゴーストになった。

 

「どう、信じて貰えたかな?」

 

俺達の変身を見た早乙女さんはポカンとした表情から回復し……

 

「…………こんなの見せられたら、信じるしかありませんわ…」

 

と、納得してくれた。

 

「この事は内緒にしといてね?それじゃ、特訓を始めようか。」

 

変身と結界を解除し、俺はローラちゃんにタケルは真昼ちゃんに玲奈ちゃんが早乙女さんに教え始めた。

 

俺が教えていたローラちゃんは飲み込みが早く、動きはすぐに上達していった。

 

ただ、俺がライザーとの戦いの時に10日間かけて覚えた動きを二時間で覚えられた時は多少ショックだった…

 

「よし、今度は俺と軽く打ち合ってみようか。」

 

「はい‼」

 

「お兄ちゃんもローラもがんばれ~‼」

 

「やぁッ‼」

 

「ほっ。」

 

ローラちゃんが勢いよく使っていた模造槍を突き出してくるが、それを簡単に後ろへと受け流す。

 

「くッ!?セイッ‼」

 

「ほい。」

 

「きゃッ‼」

 

次に振り返り様に横凪ぎにきた槍をそれより少し上の力を入れて、打ち返した。

 

「無理矢理じゃなく、振った槍の勢いを利用するように動くんだ。そうすれば自然と滑らかで負担の少ない動きになるよ。」

 

「ハイッ‼」

 

俺がそうアドバイスすると、彼女が足を払うように振るってきたので、ジャンプして回避する。

 

「でやぁッ‼」

 

が、元々それを予測していたのか自分の体を回転させてその勢いを乗せた突きを放ってくる。

 

「よっと。」

 

でも、俺もそれを予測していたので蹴りで弾いた。

 

「うそッ!?」

 

「うん、やり方は悪くないよ。そうやって動きをいかしながら技を繋いでいっていけるようにすれば、見た目も良く見えるから。」

 

「解りました‼」

 

所々そうやってアドバイスをしながら、タケルや玲奈ちゃんの方を見ると、

 

「なるほど、真昼ちゃんは技のキレは良いけど一発一発に力を込めすぎてる。だから二撃目への返しが遅くなってるんだ。もう少し力まずに振ってみよう。」

 

「押忍ッ‼」

 

「そうじゃなくてこうビシッ‼ですよ、こうビシッと‼」

 

「そんな擬音で解るわけありませんわ!?」

 

タケルの方は大丈夫そうだけど、玲奈ちゃんの方は後でフォローした方がいいな……

 

そんなこんなでお昼時になったので、俺達は一旦休憩と食事をすることにしたので、学園の食堂に向かっていた。

 

「良いのかい?部外者の俺達が食堂を使っても…」

 

「一応入館手続きをしてあれば問題ないですよ。」

 

「味は私達が補償します。」

 

それを聞いてゆめがヨダレをたらす。

 

「ゆめ、ヨダレ。」

 

「おっとっと。」

 

「相変わらずゆめは食いしん坊ね。」

 

「それがコイツだからな。」

 

俺はそう言って、ゆめの頭を撫でた。

 

「料理の匂いが我を呼ぶ‼…ってね♪」

 

「どこのオリジンだ…」

 

そんな話をしていたら食堂に着いたので、全員で料理を頼んでそれを受け取り空いてる席に座った。

 

「しかし、周りの視線が気になる…」

 

「ああ、俺もそう思った…」

 

中に入ってから俺とタケルに沢山の女子の視線が集まっている。

 

「お二人とも、結構なイケメンですからね。」

 

「「そうか?」」

 

「すみません、この人達そういうのあんまり気にしないので…」

 

「「「「ああ~。」」」」

 

なんか失礼な事を言われつつ食事を済ませ、午後は撮影で行われる動きの練習をしようと外に出たら……

 

「あ、真昼ちゃん発見~‼」

 

「え?…ひゃああぁぁぁぁッ!?」

 

いきなり真昼ちゃんにウェーブの入った赤茶色のロングヘアーの女性が抱き付いて頬擦りしだした。

 

「午後からオフになって帰ってきたら真昼ちゃんに会えるなんて~♪ああ~ん、相変わらず嫉妬しちゃうくらいお肌モチモチね~♪」

 

「ちょッ!?は、離れてよ‼お姉ちゃん‼」

 

「誰、あの人?」

 

「真昼ちゃんのお姉さんの【香澄夜空】さんです。私と真昼ちゃんが所属している美組のトップなんですよ。因みに歌組、劇組、舞組のトップと合わせて【S4】なんて呼ばれています。」

 

「ああ、そういえばたまにテレビで見るな。」

 

どうやらあの人は真昼ちゃんのお姉ちゃんで、有名人だったみたいだ。

 

「いい加減にしてよ!?皆が見てるから‼」

 

「あら?」

 

そこで香澄さんはようやく我に帰り、その隙に逃げ出した真昼ちゃんは俺の後ろに隠れた。

 

「ご、ゴメンね真昼ちゃん。ついテンションが上がっちゃって…」

 

「ホントよ、まったくもう…」

 

「ところでそちらの方々は?」

 

「始めまして、俺は龍見一誠といいます。」

 

「俺は御堂タケルです。」

 

「虹野ゆめです‼」

 

「………………………」

 

彼女に問われたので自己紹介していったが、玲奈ちゃんがなぜか固まってしまっていた。

 

「どうした、玲奈?」

 

「あ、あのトップアイドルのS4が…………目の前に…‼」

 

そう呟いたら、翼や調や木場を越えるような速度で懐から色紙とペンを出して彼女の前にいた。

 

「ファンです‼サインください‼」

 

「おい、今の動き見えたか…?」

 

「いや、まったく…」

 

玲奈ちゃん……これほどのスペックを持っていたとは…‼

 

「ええ、構わないわよ。」

 

「やったぁッ‼」

 

サインを書いてもらえた玲奈ちゃんは跳び跳ねながら喜んでいた。

 

「すみません、妹のワガママを聞いてもらって…」

 

「いえ、これくらい貴方達がしてくれた事に比べたら恩返しにもなりませんから。」

 

「「へ?」」

 

それってどういう……

 

「前に真昼ちゃんを助けてくれてありがとうございます。仮面ライダーさん達?」

 

その言葉に俺とタケルは驚愕した。

 

「……いつ、気付いたんですか?」

 

「昨日、真昼ちゃんが教えてくれましたから…仮面ライダーが特訓してくれるって。」

 

「真昼ちゃん?」

 

「アハハ……ごめんなさい…」

 

「ハァ…」

 

まあ、知られちゃったものは仕方ないか……

 

「あの、その事は…」

 

「もちろん、内緒にしておきますよ。」

 

「助かります。」

 

「それと、私も見学させてもらってもいいですか?」

 

「別に構いませんよ。」

 

「その代わり、抱き付かないでよ?」

 

「解ってるわ。」

 

という事で夜空さんを加えたメンバーでまた訓練を開始した。

 

特撮ドラマのシナリオによると、最初はローラちゃんと真昼ちゃんが戦うらしいので、二人で軽く打ち合ってもらった。

 

「剣を使ってる真昼ちゃんも凛々しいわね~♪」

 

「朝はもう少しぎこちなかったけど、大分マシになったな。」

 

「ローラちゃん達も覚えが良いし、これなら後は自力で上手くなっていくだろうな。」

 

槍と剣でつばぜり合いをする二人を見ながら俺はそう思った。

 

「そうだイッセー、俺達も少し模擬戦をやらねぇか?またアイツがいつ出てくるか解らねぇし、鍛えといて損は無いだろ?」

 

「それもそうだな。」

 

タケルの案にのり、俺達も少し離れた場所で借りてる模造槍と模造刀を持って向かい合った。

 

「「ハァッ‼」」

 

互いに飛び出し槍と剣をぶつけ合わせ、俺は少し離れようとするとタケルがすぐに距離を詰めてくる。

 

「フッ‼」

 

「チッ!?」

 

槍を横凪ぎに振ってタケルの動きを阻害し、距離が空いた所で長さをいかして突きを放った。

 

「なんのッ‼」

 

が、タケルは剣の上を滑らせるようにして受け流し、俺へと近づいてきた。

 

「セアッ‼」

 

「オラァッ‼」

 

俺が接近を阻止するために蹴りを放つが、タケルも蹴りを繰り出して相殺された。

 

俺はすぐに槍を引き戻して応戦しようとするが、タケルの剣が振り下ろされてきたので半歩横に動いてなんとかかわすが完全にバランスを崩してしまった。

 

「もらったッ‼」

 

「なんのッ‼」

 

すぐさま横凪ぎに振られた剣を崩れたバランスのまま倒れ、地面に手を着きながら側転をして剣の腹を蹴り上げた。

 

「うおッ!?」

 

「デヤッ‼」

 

「グッ!?」

 

両手が上に跳ね上げられた事で隙だらけになった腹に槍を叩き込む。

 

「オリャアッ‼」

 

「グハッ!?」

 

が、タケルは倒れず逆に剣の振り下ろしが左肩に直撃する。

 

互いに当たった所を押さえながら下がり、俺は槍を突きの構えですぐに飛び出した。

 

「ハアッ‼」

 

「フンッ‼」

 

それはタケルに地面へと撃ち落とされ、穂先が地面に刺さった。

 

「隙あり‼」

 

「甘い‼」

 

タケルが突きを放つが俺は棒高跳びの要領で槍を支えにそれを飛び越え、反対側に回りながら蹴りを後頭部に入れる。

 

「痛ぇッ!?」

 

「隙ありだ‼」

 

「嘗めんなッ‼」

 

槍を打ち込もうとしたが、タケルが振り返りながら振った剣に弾かれ、脇腹に蹴りを貰う。

 

「グオッ!?」

 

「喰らえッ‼」

 

「負けるかッ‼」

 

同時に突きを放ち武器同士がぶつかると、その衝撃でお互いの武器が手から離れてしまった。

 

「「クッ!?ハアッ‼」」

 

そしお互いに拳を繰り出してクロスカウンターになり、同時に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめside

 

お兄ちゃんとタケルさんが模擬戦を始めたら、練習していた皆も動きを止めて、それを見ていた。

 

「すごい動き……ツバサも真似は出来ないわね。」

 

「ていうか、あの二人は防具とか着けてるの?」

 

「ううん、何時も生身でやってるよ。」

 

「「「「ええッ!?」」」」

 

私がそう言うと夜空さんと玲奈ちゃん以外が驚いた。

 

「それなのにあんな全力で打ち合ってるの!?」

 

「それじゃあ大ケガしちゃうよ!?」

 

「大ケガ処かこの前も大きな戦いがあって、タケルさんは胸を敵の腕に貫かれるし、お兄ちゃんは制御出来ない力を使って全身の骨にヒビと左腕の複雑骨折なんて怪我を負って死にかけたんだけどね。」

 

私の言葉に全員が絶句していた。

 

「でも、あの二人はそれでも恐れずに体を鍛えているの。」

 

「それは誰かを守りたい為……かしら?」

 

夜空さんの言葉に頷く。

 

「二人とも大切な仲間がいるんです。だから、どんな敵が出てきてもそれに立ち向かおうとして、あんな特訓とか実戦で無茶をやってるんです。」

 

二人の戦いを見ながら私は皆にそう話す。

 

「私としてはあんまり無理してほしくはないんだけど…」

 

お兄ちゃんは私にとってかけがえのない人だから、出来るなら何時までもお兄ちゃんと一緒にいたい。

 

「フフ……ゆめちゃんはお兄ちゃんが大好きなのね?」

 

「はい。大好きで何時までも一緒にいたいです。」

 

「あらあら、これはローラちゃんは大変ね?」

 

「へッ!?な、何言ってるんですか、夜空先輩!?」

 

「?」

 

そんな話をしていたらお兄ちゃん達がクロスカウンターで倒れた。

 

「あ、私ちょっと行ってきます‼」

 

皆から離れ、私は二人の元に向かうと、回復錠を飲ませた。

 

「ぷはッ!?あ~効いた…」

 

「ああ…一瞬で意識が持ってかれたぜ…」

 

「んも~、二人ともやり過ぎです。」

 

「「スンマセン…」」

 

「これ以上の特訓はもう禁止‼お兄ちゃんはローラ達の指導、タケルさんは玲奈ちゃんの補佐‼」

 

「「り、了解‼」」

 

とりあえず私はこの場所での特訓禁止令を出して、お兄ちゃんはローラと真昼ちゃんの戦闘シーンのアドバイス、タケルさんは玲奈ちゃんの特訓に四苦八苦しているあこちゃんの元にフォローに行かせた。

 

「まったく…しょうがないんだから…」

 

それからも3人への指導は続き、5時頃になってようやく特訓はお開きとなった。

 

「「「今回はありがとうございました。」」」

 

「いや良いよ、こっちこそこのバカのお願いを聞いてくれてありがとな。」

 

「うう……痛い…」

 

そう小さく呻く玲奈ちゃんの頭には瘤があった。

 

どうやらローラ達にもサインをねだっていたらしく、それを見たタケルさんがお仕置きしたらしい。

 

「いえ、気にしないでください。」

 

「私達もファンがいてくれる方がやる気が出てきますもの。」

 

「それと、今回の特撮ドラマは夏休み前に放映が始まりますから見てくださいね‼」

 

「是非また来てください。他のS4メンバーもお礼を言いたいと言ってましたから。それと真昼ちゃん達が出る特撮ドラマ、実は私も出てますので。」

 

「「「「ええッ‼何それ!?私聞いてない‼」」」」

 

夜空さんの言葉にローラ達が驚いているのを見て、私達は苦笑した。

 

「はい、俺達も楽しみにしてますので。」

 

お兄ちゃんがそう言ってバイクに跨がったので、私もヘルメットをかぶり後ろに乗ってその背中に抱きついた。

 

「それじゃ、まったね~‼」

 

走り出すバイクの後ろを振り返り、手を振りながら私達はローラ達と別れた。

 

そのまま途中までタケルさんと一緒に走り、二人とも別れ家に着いた。

 

「んじゃ、部屋に行くか。」

 

そうやって歩いていくお兄ちゃんの後ろ姿を見た瞬間、名残惜しい感じがして私は思わずお兄ちゃんの手を握った。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「ん~……なんとなく?」

 

「まあ、良いけど。」

 

言えない……お兄ちゃんから離れるのが嫌だったなんて……なんか恥ずかしいし……

 

そのまま部屋に行こうとしたら、お兄ちゃんが急に立ち止まった。

 

「そういや冷蔵庫の中が空っぽになりそうだったんだ。買い出しに行かないとな。」

 

「じゃあ、一緒に行こう‼」

 

「お、おい‼引っ張るなよ!?」

 

「気にしない、気にしない‼」

 

私は笑いながらお兄ちゃんにそう言うが、心の中では1つの決心をした。

 

お兄ちゃんをもっと強くするためにも、必ずあの力…………禁手に至らせると。

 

そのために、私も頑張ろうと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それか少ししてローラ達が出る特撮ドラマが始まったので二人で視聴した。

 

内容としてはあるアイドルのライブに行ったローラが特殊災害と呼ばれる化け物【ノイザー】に襲われ、それの対処をするため特別な歌を歌い特殊武装【シンフォニーア】を纏った夜空さんと真昼ちゃんが立ち向かっていくがその戦闘で逃げ遅れたローラを夜空さんが庇うが砕けた武器の破片がローラの体に突き刺さった。それを見た夜空さんが最後の技【滅唱】を唱え真昼ちゃんの手のなかで灰になって死亡、ローラも胸に大怪我を負って瀕死状態になるがなんとか一命をとりとめた。しかし、心臓に刺さった破片までは取り除けなかった。

 

それから回復したローラは幼馴染みの小春ちゃんと普通に生活していた。そして真昼ちゃんはシンフォニーアを纏い各地で起きるノイザーの対処を淡々と行っていた。

 

ある日、ローラ達が再びノイザーに襲われ小春ちゃんは逃げられたがローラは近くにいた女の子を助けていたらノイザーに囲まれてしまった。

 

『アタシは諦めない、絶対に生きるのを諦めたりなんかしない‼』

 

ビルの屋上までなんとか逃げたローラがそう叫ぶと胸の傷痕から光が放たれ、夜空さんが呟いた歌と似ている歌を紡ぐと夜空さんが纏っていたシンフォニーアと似ている装備を身に纏っていた。

 

『あれは……』

 

『波形パターン照合……間違いありません‼あれは【ガンガニール】です‼』

 

『ガンガニールだとぉッ!?』

 

それをモニター越しに見ていたノイザー対処組織【特殊災害対策6課】の面々は驚き、真昼ちゃんは唇を噛んだ。

 

ここで第一話が終わり、エンディングになった。

 

「なんか良く知ってる設定が沢山あったんだが…」

 

「うん、ローラのガンガニールとか真昼ちゃんの【天ノ羽斬(あまのはねきり)】はガングニールと天ノ羽々斬にそっくりだったし…」

「滅唱とかどう考えても絶唱だろ…」

 

「変身前の歌は聖詠だよね?」

 

「なんだってこんな話が……」

 

その謎はエンドクレジットで解明された。

 

(原作・原案 閃光と暗黒の龍絶剣総督)

 

「何やってんだ、あの人はあああああああああああああああああああああああああああッ‼‼‼」

 

これを見た瞬間、お兄ちゃんの絶叫が木霊した。

 

因みにこの番組、【合唱戦姫シンフォニーア】は役者の戦闘シーンが凄すぎるという事でかなりの高評価になったとか。




いかがでしたか?

特訓シーンは私の勝手な解釈なのでおおめに見てください。

次回からは前に書いた【異世界渡航のトレーニング】を始めようと思います。

次回【そうだ、異世界に行こう】

「あれ、俺が二人いる!?」

では、また次回で。


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番外編4 爆誕‼走り出すNEW MEMBER!!

どうも、疾風の警備員です。

一日遅れたけど、明けましておめでとうございます‼

今回は新しいライダーが登場します。

それがどんな活躍をするか長くなりますが、良かったら暇潰しにでも見てってください。

では、どうぞ。

※加筆・修正しました


一誠side

 

永夢さん達の世界から帰った俺達は、オッチャンに向こうの世界で起きた事を話した。

 

「ゲームソフトを使った仮面ライダーに人間に感染するコンピューターウィルスか……これまた凄い世界に行ってきたな?」

 

「まぁ…確かに驚いたけどな。」

 

オッチャンは腕を組んで椅子の背もたれに寄りかかる。

 

「それに扉にも不備があったらしいし、異世界への修行旅行はしばらく中止だな。こっちで少し調べてみるからよ。」

 

「わかった。」

 

そしてみくるさんが楽しそうな顔をしながら前に出て…

 

「それと……ハイ、これ。」

 

黎斗さんから貰ったUSBメモリをオッチャンに渡した。

 

「これは?」

 

「その世界で使われてたライダーシステムのデータ……って言ったら?」

 

「マジかッ‼‼」

 

その中身を聞いたオッチャンが机を叩きながら立ち上がり、テンションが一気に上がった。

 

「こりゃ扉の調整は後回しだな‼まずはデータの解析をしてから試作、そこから更にデータを集めて…‼」

 

「はぁ……こうなった旦那様は止まらないからな。お前達は少しゆっくりするといい。」

 

「そうするよ。」

 

キャロルさんは少し呆れながらも、楽しそうなオッチャンを見て微笑みながら俺達にそう言ったので、転移アイテムで家に帰ろうと思ったが、冷蔵庫が心もとなかったのを思い出し近くのスーパーの裏路地に転移した。

 

転移が終わるとメイルが俺の中から出てくる。

 

「私も買い物手伝うよ。」

 

「サンキュー。」

 

「その代わり、今夜はカツ丼で‼」

 

「はいはい。」

 

ゆめのリクエストの材料を買った俺達は家に帰る途中、見知った4人組を見つけた。

 

「ちょっと‼本当にこの辺なんですの!?」

 

「この町でよく会うから、間違いないわ。」

 

「なんの確証もないですわよね、それ!?」

 

「連絡先とか聞いておくべきだったね…」

 

「今日は諦める?」

 

そこにいたのはローラちゃんに真昼ちゃん、小春ちゃんにあこちゃんだった。

 

「あ、ローラ達だ。おーい‼」

 

「この声…………あ、いた‼」

 

ゆめの声に気づいたローラちゃん達が俺達の元へと駆け寄ってきた。

 

「やっと会えた…お久し振りです‼」

 

「久し振り、シンフォニーアいつも楽しく見てるよ。」

 

「ありがとうございます。それで今日はその事でお話がありまして…」

 

話し?一体何だろ?

 

「実は1週間後、この町で撮影があるんです。」

 

「良かったら見に来ませんか?」

 

「もちろん、他にも連れてきて構いませんわ。」

 

おお、撮影現場を見られる機会なんて滅多にないし…面白そうだ。

 

「それなら行かせて貰おうかな。」

 

「「「やった‼」」」

 

俺の返事にあこちゃんを除く3人がハイタッチした。

 

「ああそれと………………はい、これ。」

 

俺は持っていたレシートの裏に自分の携帯の番号を書いて、ローラちゃんに渡した。

 

「解らない事があった時、連絡が取れないと不便だからね。」

 

「あ……ありがとうございます‼」

 

それをローラちゃんは嬉しそうに受け取った。

 

「それじゃ、詳しい時間が分かったらご連絡します‼」

 

「うん、楽しみにしてるよ。」

 

そう言って、ローラちゃん達と別れた。

 

「お兄ちゃん、撮影現場を見に行くの楽しみだね‼」

 

「そうだな。よし、帰ってカツ丼作るか。」

 

「おおー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから1週間経ち、俺とゆめは家の前で撮影現場に一緒に行く仲間を待っていた。

 

「待たせたな。」

 

「イッセーさん、お待たせしました。」

 

「お、お待たせしました…」

 

そこにやって来たのはタケルと玲奈ちゃん、眼魔の王の時に玲奈ちゃんと一緒にいた夕夏ちゃんがいた。

 

「よ、夕夏ちゃんは久し振りかな?」

 

「は、はい。その節はどうも…」

 

「玲奈ちゃんから長期の休みは家族で海外にいるって聞いてたけど?」

 

「それが、海外に単身赴任してる父に急に大きな仕事が舞い込んできまして…今年は早く帰る事になったんです。」

 

「そっか…」

 

彼女の家も結構複雑なんだな……

 

「ところで他のメンバーは?」

 

「翼とマリアは仕事で、響にきりしらコンビは宿題に一切手をつけてなかったから未来とクリスが監視しながらやってる。他もそれぞれ用事があって無理だってさ。」

 

ただ小猫はヴァーリの所に行くって言ってたけど…ようやく話す気になったのかな?

 

「あの…そちらの子は?」

 

夕夏ちゃんはゆめを見ながらそう聞いてきた。

 

そういやまだ紹介してなかったな。

 

「コイツは虹野ゆめ。俺の従妹だよ。」

 

「始めまして‼虹野ゆめです‼」

 

「小鳥遊夕夏です。よろしくね。」

 

自己紹介が終わった俺達は撮影現場へと向かった。

 

「ところでイッセー、その少し大きめのアタッシュケースは何なんだ?」

 

その途中、タケルが俺の持っているケースについて聞いてきた。

 

「これか?そうだな…早い方がいいか。玲奈ちゃん。」

 

俺はケースを開け、中からある8つの物の内3つを取り出して玲奈ちゃんに渡した。

 

「これって……ガシャット!?」

 

「ああ、オッチャンがノリに乗って5日間で完成させたんだ。ジェットコンバットとギリギリチャンバラ、ドラゴナイトハンターZは玲奈ちゃんに渡しておくよ。俺はこの2つを使うから。」

 

俺の手にはドレミファビート、シャカリキスポーツのガシャットが握られてる。

 

「分かりました‼」

 

「玲奈ちゃんそれって…………もしかしてゲームソフト!?」

 

そこに夕夏ちゃんがガシャットを見て、目を輝かせた。

 

「それ、どんなゲームなの!?見たこと無いものばっかり‼ねえねえ、私にもやらせてやらせて~‼」

 

「ちょっ‼そんなに揺らさないで‼き、気持ち悪…」

 

さっきまでの大人しそうな態度から一変、超アグレッシブになった彼女を見て、俺とゆめは呆気にとられた。

 

「あの子、無類のゲーム好きなんだよ。家に遊びに来ると玲奈と一緒にゲーム三昧だし。」

 

「なるほど……そうだ、タケルにはこれ。」

 

俺はゲキトツロボッツのガシャットをタケルに渡した…

 

「いや、俺はいらないよ。」

 

が…タケルはそれを断った。

 

「へ?何でだ?」

 

「俺には英雄の眼魂があるし、それはお前の方が向いてると思うしな。だから俺はいらない。」

 

「……わかった、なら俺が使わせてもらうよ。」

 

「ああ、そうしろそうしろ。」

 

俺はガシャットを懐に仕舞うと、再び歩き出した。

 

それから皆で話しながら進んで行くと、目的地にしていた撮影現場に着いた。

 

「確かここら辺の筈…「一誠さーん‼ゆめー‼こっちこっちー‼」あそこか。」

 

周囲を見渡していたら右斜め前から真昼ちゃんと小春ちゃんが手を振っているのが見えたのでそちらへと向かった。

 

「皆さん、お待ちしてました。」

 

「今日は招待ありがとな。俺含めて5人だけど大丈夫?」

 

「問題ないですよ。どうぞ、こっちです。」

 

彼女達の案内で現場の近くまで来て、警備さんのチェックを終えて進むと……

 

「歌わせましたわね…」

 

「え…?」

 

「この私に……大嫌いな歌を‼…………歌わせましたわねええええええエエェェェェェェェッ‼‼」

 

「ってひゃあああああぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

シンフォニーア【イチイブル】を纏ったあこちゃんが両手にガトリング砲を持ち、逃げ回るローラちゃんの周りで小規模な破裂音が大量に響き渡る。

 

「はいカッート‼OK‼最高だよ、2人とも‼」

 

「「ありがとうございます‼」」

 

「それじゃ、一旦休憩入ろー‼」

 

「「はい‼」」

 

監督さんの合図で休憩時間になり、2人がこちらまでやって来た。

 

「一誠さん‼来てくれたんですね‼」

 

「約束したからね。」

 

「それとそっちの子は?」

 

「この子は玲奈の友達の夕夏ちゃんだ。」

 

4人の視線が彼女に集中したので、タケルが紹介した。

 

「玲奈ちゃん玲奈ちゃん‼本物のアイドルだよ!?本物のアイドルが目の前にいるよ‼」

 

「分かったから落ち着いてよ…」

 

夕夏ちゃんは目の前にアイドルがいることに、興奮状態になっていた。

 

「お前も最初はこんなんだったろ?」

 

「お兄ちゃんは黙ってて‼」

 

「「「「アハハハ…」」」」

 

兄妹の漫才みたいなやり取りに苦笑いするアイドル達。

 

「あら、一誠さん達も来てたんですね?」

 

不意に、後ろから呼ばれ振り返ると夜空さんと彼女と同じ制服を着た女の子が3人いた。

 

「どうも、ローラちゃん達からお誘いを受けまして。」

 

「そうだったんですか。あ‼紹介しますね、彼女達が私と同じS4メンバーの…」

 

「劇組トップ、如月ツバサです。」

 

最初に青い髪をポニテにした女の子が…

 

「舞組トップ、二階堂ゆずだゾ‼」

 

次にオレンジの髪をボリュームのあるツインテにして一部を編み込んでいる女の子が…

 

「歌組トップ、白鳥ひめです。」

 

最後にブロンドのロングヘアの頭頂部を水色のリボンで結んだ女の子が挨拶した。とりあえず、このゆずって子はミカさんと気が合いそう。

 

「俺は龍見一誠です。それでこっちが従妹のゆめ。」

 

「始めまして‼虹野ゆめです‼」

 

「俺が御堂タケル、こっちが妹の玲奈で隣がその親友の夕夏ちゃんです。」

 

タケルの紹介が終わったと同時に風が吹いたかと思うと……

 

「「ファンです‼サインください‼‼」」

 

彼女達の前で玲奈ちゃんと夕夏ちゃんが目を輝かせながら色紙を突き出していた。

 

なんか玲奈ちゃん、前より速くなかったか?それに並べる夕夏ちゃんも潜在能力は高いのか?

 

「ええ、良いわよ♪」

 

「「やった‼」」

 

メンバー全員にサインを書いてもらい、2人は上機嫌だ。

 

「夜空さん、彼女達にあの事は?」

 

「話してませんよ。仮面ライダーに助けられたという話しは聞いてると思いますけど、正体は喋ってはいません。」

 

「そりゃ良かった…」

 

あんまり知っている人がいると、巻き込まれる可能性があるからな……

 

「あの一誠さん、ちょっと槍の使い方で聞きたい事が…」

 

「うん、どういうの?」

 

「この動きなんですけど…」

 

「そういうときは…」

 

ローラちゃんからの質問に答えていたら……

 

「待ちなさい‼ここは立入禁…ウワァッ!?」

 

「何だ?」

 

近くから男の悲鳴が聞こえ、そちらを見るとさっきの警備員が体から煙を出して倒れていて、そのすぐ近くに上下黒の服の男がいた。

 

「人間風情が邪魔すんなよ……折角良さげな眷属候補がいんだからよ?」

 

その言葉で俺とタケルは一気に警戒度を上げた。

 

「何だ、お前は‼」

 

「俺はアブド・アーミー……お前らなんかが気軽に話せる存在じゃねぇよ。」

 

「眷属っつー事は、お前悪魔か。」

 

タケルの言葉に奴は少し驚いた顔をした。

 

「ほう……それなりに裏に詳しい奴もいるのか。だったら話しは早い。」

 

アブドは夜空さん達の方を見て…

 

「お前ら、俺の眷属になれ。そうすれば色々と楽しい思いをさせてやるぞ?」

 

いやらしい笑みをしながらそう告げた。

 

「お断りします。」

 

が、ひめさんがそれを速効で拒絶した。

 

「私達は誰かの思惑なんかで縛られるつもりはありません。」

 

「アタシはひめに同意する。」

 

「ゆずもだゾー‼」

 

「私もです。それに、誰かを傷つける人に従う気なんてありません。」

 

続けて他のメンバーも次々に拒絶を口にする。

 

皆、結構度胸あるなぁ……

 

「そうか……だったらこうしよう。」

 

するとアブドは右手に魔力弾を作り、それをローラちゃんへと飛ばした。

 

「え…」

 

「チィッ‼」

 

俺はすぐに駆け出して、彼女を抱き抱えたら横に飛んで攻撃をかわした。

 

そしてその後に爆発が起きる。

 

「大丈夫?」

 

「あ、はい…」

 

事態がまだ飲み込めてないローラちゃんは呆然としていたが、立てるようなので地面に降ろした。

 

「何をするの‼」

 

「何って……お前達が断る度にそこにいる奴等を殺していくだけだが?」

 

「なッ!?」

 

ひめさんの怒声にアブドが答えると彼女は絶句した。

 

「眷属がトップアイドルなんて、俺の名にも箔が付くんでな……お前達に拒否権はあるが…その度に誰かの命が消えていくぞ?」

 

「くッ!?」

 

「だったら……テメェを倒せば問題解決だな。」

 

悔しそうな顔をする夜空さん達の前にタケルが出たので、俺もローラちゃん達を背中に隠せる位置に移動する。

 

「おいおい…人間が上級悪魔の俺に勝てるとでも?」

 

「勝ってみせるさ。」

 

「彼女達に危害は加えさせない‼」

 

デッキと眼魂を持った俺達はそれぞれにポーズを決め…

 

「「変身‼」」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

ゴーストと光龍へと変身した。

 

「ほお……噂の仮面ライダーとやらか…なら、俺も最近手に入れたコイツを使うか。」

 

アブドが手を上に上げ、魔法陣を展開するとそこから()()()()()()()が大量に落ちてきた。その数はおよそ100。

 

それに俺は驚きを隠せなかった。

 

「そんな…あれはお兄ちゃん達が全て消滅させた筈!?」

 

「ゆめ、これ持って皆を連れて隠れてろ。」

 

《SWORD VENT》

 

俺は残り2つのアイテムが入っているケースをゆめに渡し、バイオブレードを取り出す。

 

皆が避難しようとしたら、目のアイテム【眼魔眼魂】からコマンド達が大量に出てくる。

 

「タケル‼皆の逃げる時間を作るぞ‼」

 

「ああ‼」

 

俺達はコマンドの群れに突っ込み、目の前の1体を切り捨てる。

 

「今だ‼」

 

「うん‼皆、こっち‼」

 

俺の合図で皆が隠れるのを横目で確認しつつ、コマンド達の相手をしていき、10体程倒したら……

 

「へぇ、やるじゃん。なら……こんなのはどうだ?」

 

アブドが4体のコマンドに刀とハサミ、斧と帽子を投げつけるとそいつらの姿が変化して、コマンドからアサルトへと進化し、その上にそれぞれのパーカーを羽織った刀、ナイフ、オノ、マシンガン眼魔に変わった。

 

「バカな!?コマンドはパーカーを着れないはず…!?」

 

「売人によれば、それなりに改造したそうだぞ?」

 

そして4体のアサルト達は30体程のコマンドを引き連れて、ゆめ達の方へと向かった。

 

「マズイ‼逃がす「逃がさねぇよ。」ぐあッ!?」

 

ゆめ達の方に行こうとしたら後ろから斬られ、振り返るとコマンド達が俺を囲んでいた。。

 

「この……退きやがれ‼」

 

「邪魔すんな‼」

 

「アッハハハハハハハハハッ‼そうやって守る存在が俺の物になる所を指をくわえて見てるんだな‼」

 

楽しそうに笑うアブドと眼魔を甦らせた奴に怒りを覚えつつ、俺達は眼魔を倒していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕夏side

 

私は今、2度目になる怪物の襲撃に怯えていた。

 

玲奈ちゃんのお兄さん達は離れた所で戦っているが、数は圧倒的に向こうが多く、何体かがこっちに向かって来た。

 

「ちょっと、どうするのよ!?」

 

「そんな事言われましても!?」

 

「皆落ち着け‼今は逃げる事を考えるんだ‼」

 

ツバサさんの言葉で逃げようとしたが…

 

『『『ううう~』』』

 

あの時に見た黒いお化けみたいなのが、私達を囲っていた。

 

「くッ!?回り込まれたか‼」

 

「だったら私が空手の技で‼」

 

「無茶だよ‼化け物相手に‼」

 

だめ…もう終わりだ……

 

私が諦めかけたその時、一発の銃声と共にお化けの1体が倒れた。

 

皆がその音の方を見たので、私もそっちを見たら……

 

「こうなったら私がやるしかないか…‼」

 

玲奈ちゃんがピンクと紫で彩られたマジックハンドみたいな物を持っていて、その人差し指の部分から煙が出ていた。

 

そして腰にはあの時見た、お兄さんのと同じベルトが巻かれていた。

 

「玲奈ちゃん…?」

 

「待ってて夕夏、今コイツらを倒すから‼」

 

そう言って目を模したアイテムを握り、横のボタンを押したら黒目の部分にYと表示され、それを1つ目お化けみたいなバックルを開いて中に入れて閉じた。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

そんな音声とともにバックルから黒地にピンクのラインのパーカーが出てきた。

 

「うそッ!?玲奈さんも!?」

 

「仮面……ライダー…?」

 

そして右手を上に上げたら、大きく星を描くように動かして上に戻ってきた右手をゆっくりと顔の前まで降ろしていき…

 

「変身‼」

 

そう叫びながらベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼ユリン‼》

 

すると姿がお兄さんのオレンジの部分がピンクになった姿に変わり、飛んでいたパーカーを羽織るとピンクと黒で顔が描かれ、額には角が1本生えた。

 

《ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

「仮面ライダーユリン‼命、燃やすよ‼」

 

そしてマジックハンドの銃を連射して、道を塞いでいたお化けを倒した。

 

「今のうちに逃げて‼」

 

「わかった‼」

 

他の人達が逃げる中、私だけはその場を動こうと思わなかった。

 

「夕夏‼早く逃げなさい‼」

 

「いや‼玲奈ちゃんも一緒に…‼」

 

「無理言わないの‼いいから早く…‼」

 

「でも‼」

 

「デモもクラシーもないッ‼」

 

「ッ!?」

 

彼女の力強い言葉に声が詰まる。

 

「これは私にしか出来ないの…お願いだから私に夕夏を守らせて……早く逃げないと絶交よ?」

 

「~~~~~~~~~~~~~ッ‼‼」

 

そう言われ、私は唇をきつく結び涙を流しながら走った。

 

本当は逃げたくなんてない。一番の親友である彼女の助けになりたい…‼

 

でも力のない私があそこにいても邪魔にしかならない。それが分かった瞬間、悔しい思いで胸が一杯になった。

 

玲奈ちゃんと出会ったのは小学四年の時、町のゲームセンターの中だった。

 

あの頃は、お父さんが単身赴任した寂しさを紛らわす為に家族で最後に行ったそこによく通っていた。そこで私は彼女と出会った。

 

「ねぇ、私と対戦しない?」

 

最初は気分が紛れるなら何でもいいやと思っていたけど…

 

「また負けた~ッ‼強いね、あなた‼」

 

「え…そ、そうかな…?」

 

「ねえ、また一緒にやろうよ‼」

 

それから一緒に遊ぶようになり、五年生の時に同じクラスになってからは学校でもいつも一緒の親友になった。

 

それと一緒に寂しさも感じなくなっていた。

 

彼女は寂しがっていた私を暖かく照らしてくれた太陽みたいな存在だ。

 

そんな彼女が危ない場所で戦ってるのに、私はなにもしてあげられない…

 

そして皆が避難している場所に着いたら、私は膝をついた。

 

「大丈夫か!?何処か怪我を「……しい…」え?」

 

ツバサさんが心配そうに声をかけてくれるが、そんなのは耳に入らなかった。

 

「悔しいよ……友達が危険な場所にいるのに…何も…出来ない自分の無力さが…‼」

 

「夕夏ちゃん…」

 

座って涙する私にひめさんが慰めるように肩に手を置く。

 

でも私が欲しいのは慰めなんかじゃなく…

 

「私も……玲奈ちゃんと一緒に戦える力が…欲しい…‼」

 

でも、そんな物がすぐ近くにあるわけ……

 

「あるよ…戦うための力。」

 

「へ?」

 

その言葉に顔を上げたら、ゆめちゃんが大きめのアタッシュケースを抱えていた。

 

「この中に彼処で戦うための力が入っているの。これを渡してもいい。」

 

それを聞いて私は思わず手を伸ばすが……

 

「でもこれだけは聞かせて。貴女に彼処で戦う覚悟があるの?」

 

そう言われ、伸ばすのを止める。

 

「これを手にするということは、今後もあんな奴等と戦う事を強いられてくる。それも貴女に全く関係ない理由でも。」

 

そうだ…前回も今回も私には何の関係ない。ただ巻き込まれただけといってもいい。

 

「お兄ちゃん達はそれでも戦ってる。貴女にその覚悟がある?」

 

ゆめちゃんにそう問われ、伸ばした右手を見つめる。

 

本当はあんな化け物と戦うのは怖い……今すぐにでも部屋に引きこもっていたい。

 

でも……それでも……

 

「私は……………………戦うよ。」

 

もう一度右手を伸ばしてアタッシュケースを掴む。

 

「こんな私みたいな人を助けるために……そして…」

 

私は泣くのを止めた顔を上げてゆめちゃんを見る。

 

「玲奈ちゃんの力になりたい‼私の……一番の親友の力に‼‼」

 

「………………………………………………………………分かった。」

 

そう言うと、ゆめちゃんはケースから手を離した。

 

「これからそれの説明に入るからよく聞いてね。」

 

「うん‼」

 

そして説明を受け終わった私は急いで玲奈ちゃんの下に向かった。

 

 

 

 

 

ゆめside

 

「良かったの?あんな子を戦いに送り出して…」

 

夕夏さんを見送った後、夜空さんが私にそう聞いてきた。

 

「後でお兄ちゃんには怒られるかもしれません……でも、誰かの為に動こうとする人を見ると助けたくなっちゃうんです。」

 

そう、お兄ちゃんが私や皆にしているみたいに……

 

「それにあれは2人プレイ向きなんですよ。」

 

「「「「「「「「???」」」」」」」」

 

私のその言葉に全員が首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

「キャアッ!?」

 

私は刀眼魔の攻撃をガンガンハンドで受け止めたが、力負けして吹き飛ばされた。周りにはコマンドが15体、アサルトが4体いる。

 

「これは結構ピンチかも…」

 

そしてマシンガン眼魔が私に狙いを定める。

 

ごめん夕夏……もう一緒に遊べないかも……

 

そう思っていたら……

 

「玲奈ちゃんッ‼‼」

 

「へ?ってキャア‼」

 

右から夕夏の声が聞こえ、抱きつかれる衝撃に絶えきれず転ぶと、私の上を弾丸が通りすぎていった。

 

「イタタ……一体なに「大丈夫!?玲奈ちゃん‼」ゆ、夕夏!?」

 

気づけば私の上に夕夏が乗っかっていた。

 

「ここは危ないのよ!?早く「私も戦うよ‼」はあッ!?どうや……ッ‼」

 

夕夏の言葉に反論しようとして、私は彼女の腰にあるものに気づいた。

 

「それって【ゲーマドライバー】じゃない‼何処でそれを…‼」

 

「ゆめちゃんから貰ったの。」

 

貰ったって……ゆめさん、それ簡単に渡していい物じゃないでしょ‼

 

「玲奈ちゃんを一人になんかさせない‼私の大切な親友を…‼だから…」

 

立ち上がった夕夏が手を差し出してくる。

 

「お願い、私も一緒に走らせて‼」

 

その目を見て、私はそれが本気なんだとわかった。

 

「……………………しょうがないなぁ、なら…‼」

 

私はその手を掴んで立ち上がる。

 

「一緒に走ろうか‼」

 

「あ…………うんッ‼‼」

 

私達は並んで立ち、夕夏が右手に持つ黄色いガシャット【爆走バイク】を起動させる。

 

《爆走バイク‼》

 

すると夕夏の後ろにゲームのスタート画面が現れ、大量のトロフィーが周囲に設置された。

 

そしてスカートを翻しながらターンを決め……

 

「変身。」

 

右手のガシャットを反転させて、ドライバーに差し込んだ。

 

《ガシャット‼レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》

 

そんな音声が流れる中、夕夏は少しジャンプしながらの回し蹴りで1つのアイコンを選択する。

 

《アイム・ア・仮面ライダー‼》

 

そのアイコンが彼女に吸い込まれると、前に行った世界の仮面ライダーレーザー・ゆるキャラモードがいた。

 

「数が多いからスピードで翻弄しよう‼」

 

「OK‼」

 

夕夏はベルトのレバーに手をかけ……

 

「フェイズ2。」

 

そう言ってレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

すると彼女の姿がどんどん変化していき……

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼》

 

最後にはバイクになった夕夏がそこにいた。

 

「玲奈ちゃん、乗って‼」

 

「うん‼」

 

私はそれに跨がり、アクセルを吹かす。

 

運転方法はお兄ちゃんのを見てるから問題なし‼

 

「それじゃ、行くわよ‼」

 

走り出した私はそのまま敵に突っ込んで、コマンド達を弾き飛ばす。

 

背後に回ったらすぐさまドリフトターンして右手にガンガンハンドを握り、眼魔を撃っていく。

 

「先ずは雑魚掃除といきましょうか‼」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

夕夏のベルトからガシャットを抜き、横のスロットに装填してボタンを押したらすぐにもう一度ボタンを押した。

 

《BAKUSOU!!CRITICAL STRIKE!!》

 

マフラーから炎を出しながら加速していき、眼魔達の手前でドリフトターンして炎を浴びせると雑魚は一掃され、残ったのはアサルトだけになり、今のでダメージを負ったのか、動きは鈍かった。

 

「今度は夕夏も一緒に戦おう‼」

 

「え?でも、私バイクだから一人で動くのは…」

 

「そこは私にお任せあれ♪」

 

私は一誠さんから貰ったギリギリチャンバラガシャットを取り出して起動させる。

 

《ギリギリチャンバラ‼》

 

そしてスタート画面からチャンバラゲーマが出てきたので、私は夕夏のベルトのレバーを閉じた。

 

《ガッチョーン》

 

そしてガシャットをベルトに装填する。

 

《ガシャット‼》

 

「夕夏、掛け声。」

 

「え?……なら、フェイズ3。」

 

「それじゃあ、いっくよ‼」

 

最後にレバーを思いっきり開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

夕夏の体から車輪が外れると、チャンバラゲーマが分解されて各部にくっつき、人型になる。

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼アガッチャ‼ギリ・ギリ‼ギリ・ギリ‼チャンバラ~‼》

 

「ほ、ほんとに人型になっちゃった…」

 

「ほら、ボーッとしてないで行こう。」

 

「うん‼」

 

夕夏の周りに1つのアイコンが出てきたので、それに手を伸ばすと黄色と黒、紫で彩られた弓が出てくる。

 

《ガシャコンスパロー‼》

 

それを掴み、Aボタンを押して半分に割り2本の鎌にする。

 

《ス・パーン‼》

 

そして刀眼魔に近づき、鎌でバツ字に斬った後に足払いをかけて転ばし、右手の鎌の柄尻で左手の鎌のBボタンを2度叩き……

 

「テヤァッ‼」

 

それを一気に振り下ろして、体に突き刺すと耐えられなかった刀眼魔は爆発した。

 

「さっすが‼私も‼」

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

ガンガンハンドをバックルに翳した後、ナイフ眼魔に狙いを定め…

 

《オメガスパーク‼》

 

発射された光弾がナイフ眼魔を貫き、爆散した。

 

「よし‼」

 

「残りはあの2体だね。」

 

視線の先には、なんとか立ち上がったオノ眼魔とマシンガン眼魔。

 

夕夏が最初にオノ眼魔に近づき、右の鎌で袈裟斬りにする。その横からマシンガン眼魔が狙いを定めていたので、私がその手を狙い撃ち、射線をずらした。

 

「やあッ‼」

 

それに気づいた夕夏は左手の鎌をマシンガン眼魔へと投げて直撃させ、あらぬ方向に飛んでいく鎌を私が撃って彼女の手元に戻す。

 

「ありがとう‼」

 

「お安いご用よ‼」

 

そしてそれを逆手に持ち、回る様にしてオノ眼魔を連続で切り裂いてマシンガン眼魔の下へと吹き飛ばした。

 

「最後は同時に決めよっか?」

 

「いいね、張り切っちゃうよ‼」

 

私はミコト眼魂を使い、美琴魂になる。

 

《カイガン‼ミコト‼化学と‼魔術と‼超電磁砲‼》

 

『久々の登場だし、張り切るわよ~‼』

 

そしてガンガンハンドにカニジシャクを合体させてブラストモードにして、口径を小さく変えてからバックルに翳す。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

夕夏はスパローを合体させて弓に戻す。

 

《ズ・ドーン‼》

 

次にギリギリチャンバラガシャットを抜いた。

 

《ガシューン‼》

 

それをガンスピンのように回しながら、武器のスロットに嵌め込む。

 

《ガシャット‼キメワザ‼》

 

そして大量の矢が周囲に展開されていく。

 

「優勝トロフィーを手に入れるのは…‼」

 

《GIRIGIRI!!CRITICAL FINISH!!》

 

「私達だよッ‼」

 

《オメガブラスト‼》

 

放たれた大量の矢とレールガンの連射が眼魔達を撃ち抜き爆散した。

 

「「やったあッ‼‼」」

 

それを見た私達はハイタッチして喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

コマンドを倒し終わった俺達は玲奈ちゃん達の戦いを見た。

 

「タケル、俺達も負けてられねぇぞ?」

 

「ああ、さっさと終わらせようか‼」

 

《ドレミファビート‼》

 

俺はドレミファビートガシャットをソウチャクスロットホルダーに入れてボタンを押す。

 

「三重奏。」

 

《レベルアップ‼ソウチャック‼ド・ド・ドレミファ‼ソ・ラ・シ・ド‼OK‼ドレミファビート‼》

 

《ゲン‼カイガン‼ディープゴースト‼キルゴー覚悟‼ゲキ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

タケルがディープゴーストになったら俺はターンテーブルをスクラッチして曲を流し始める。

 

 

ー推奨BGM【One Step】(歌詞無しバージョン)ー

 

 

流れてくる曲に合わせて俺達はアブドを殴る。

 

「ごッ‼ブッ!?ガッ!?」

 

「おお、なんか踊りたくなるリズムだゾ‼」

 

ゆずさんが何故かその場で踊り始める。

 

「人間めッ‼」

 

殴り掛かってくるアブドの腕を弾き、脇腹から肩、胸から顎へと更に決めていき、ゲーマの力で攻撃力がどんどん上昇していく。

 

「次は俺だ‼」

 

そしてタケルが間に入ってきたら右、左と奴の顔を殴り、そのまま回りながら後ろ回し蹴りを決め、正面を向いたら、右足の上段蹴りを喰らわせ胸の中心を蹴る。

 

曲の最後は俺も加わり、顔面を同時に全力で殴った。

 

《PERFECT!!》

 

「ウガ…‼な、何故だ‼私は上級悪魔‼人間ごときに……負ける筈…‼」

 

「確かに一人だったら負けてたかもな。でも俺達は一人じゃない。」

 

「守りたいものがある、ともに戦う仲間がいる。その絆が俺達に力をくれる。」

 

「そんなくだらんものに…‼」

 

「あんたにゃ解らんだろうな。んじゃ、幕引きだ。」

 

《ゲンカイ‼ダイカイガン‼ディープゴースト‼ギガ‼オメガドライブ‼》

 

「や……やめ…‼ギャバッ!?」

 

相手の言葉を遮って、タケルの蹴りがアブドを吹き飛ばし、俺の目で消滅を確認した。

 

「悪いが、アンコールはお断りだ。」

 

変身を解除した俺達は玲奈ちゃん達の所に行くと、2人とも地面に座っていた。

 

「ふぅ、なんか疲れたよ…」

 

「私もそうだよ…でも。」

 

玲奈ちゃんは夕夏ちゃんを見て……

 

「夕夏のお陰で勝てたよ。ありがとね。後、絶交とか言ってゴメンね?」

 

「ううん…そんなの気にしてないし、私も玲奈ちゃんのお陰で強くなれた気がするよ。」

 

そんな感じで話してる2人を見ると、今、何かを言う気は無くなってしまった。

 

「後にするか。」

 

「そうだな。」

 

ま、2人の絆が強くなったみたいだし、悪くは無かったのかな?

 

その後、今日の撮影は中止という事になり、ローラちゃん達は俺達にお礼を言った後、学園所有の車で帰っていった。

 

そして俺達は……

 

「スゥ……スゥ…」

 

「ZZZ…」

 

疲れてしまったのか眠ってしまった玲奈ちゃんと夕夏ちゃんを背負いながら歩いていた。

 

「にしても、まさか夕夏ちゃんが変身がするとは思わなかったぜ…」

 

「今回はゆめの判断に感謝だな。」

 

「えへへ~♪」

 

「ただし、家に帰ったら説教な?」

 

「ア、ハイ…」

 

俺の言葉に喜んでいたゆめのテンションが一気に落ちた。

 

「でも、これからは夕夏ちゃんも護衛対象の一人だな。」

 

「いや、仲間でいいだろ?」

 

「まあな?一応後で聞いてみるけど。」

 

「残る問題は眼魔か…」

 

「ああ、誰が甦らせたのか調べないとな。」

 

こんなふざけた事をした奴は、必ず俺達がぶっとばしてやる‼

 

そう決意しながら俺達は家路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???Side

 

「ふむ……中々の性能でしたね。」

 

これなら私の駒としては充分でしょう。

 

「この聖遺物だけでは不安だったのですが、ちょうどいい戦力です。さあ、もうすぐですよ……人外諸君‼おまえ達が僕という英雄にぶっ滅ぼされる時は‼」




いかがでしたか?

徹夜仕事続きで、所々雑になってるかも……

次回も番外編ですが、題名が決まってないので、予告はお休みです。

では、次回でお会いしましょう。


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番外編5 訓練

どうも、風邪気味の上に睡眠時間一時間半で36時間続けての仕事を何とか乗り越えた疾風の警備員です……

もう……終わってもいいよね(人生を)?

なーんてのは冗談ですが、マジでこれに近いネガティブ思考にしかならない状態です……

この調子で書いてたら貴利矢ロス的な展開に書きかねないので、何とか思考をシンジ君ゆずりの自己暗示方法でポジティブにして書きました。

では、どうぞ……


一誠side

 

あの悪魔襲撃から次の日の朝、起きた俺は久々にチャーハンを作りゆめと食べていた。

 

「う~ん♪やっぱりお兄ちゃんのチャーハンは最高だね‼他のお店でもこの味は出せないよ‼」

 

「そうか?普通に作ってるだけなんだが…」

 

何か特別な事もしてないし材料だって大半が余り物なのに、何で俺のチャーハンはこんなに人気なんだ?

 

「ところで今日はどうするの?」

 

「そうだな……特に予定もないし、何処かに出か『たった1度、与えられた~♪』おっとすまん、電話だ。」

 

今日の予定を考えていたら俺のスマホが鳴り、画面を見るとタケルからだった。

 

「タケルから?(ピッ!)もしもし、タケルか?どうしたんだ、朝から…」

 

『ああ、実は夕夏ちゃんが朝一番で家に来てな?昨日の事とか相手の事とかを教えてくれって言ってきてるんだよ。』

 

「マジか…?」

 

一応裏の事やライダーの事は一般人には機密扱いになってるんだが……でも、昨日変身しちゃってるからな……

 

『さすがにとぼけるのも無理があるし、俺は話そうと思うんだけど…』

 

「わかった、俺も今そっちに行くよ。」

 

『頼むわ。』

 

通話を切った俺は軽くため息を吐いた。

 

「どうしたの?」

 

「夕夏ちゃんが裏の世界の事を知りたがって、タケルの家に来てるらしいから、今日はその対応だな。」

 

「うぐ…‼ごめんなさい、私のせいで…」

 

俺の言葉でゆめはしょんぼりした顔で俯いた。

 

「もう怒ってないよ。それより一緒に行くぞ。」

 

「あ、ちょっと待って!?」

 

残っていたチャーハンを掻き込んだゆめは、簡易的に作った着替え場でパジャマから水色のワンピースに着替えた。

 

「よし、準備OK‼」

 

「んじゃ、出発するか。」

 

「は~い♪」

 

元気よく返事するゆめを連れてオッチャンに連絡した後、外にあるオートバジンに乗りタケルの家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「それで、昨日のあの存在は一体何なんですか!?教えてください‼」

 

「いや、だからそれはだな…」

 

俺は朝早くから家にやって来た夕夏ちゃんの質問攻めにあっていた。………………何故かお互い正座で。

 

この子、こんなに押しが強かったか?

 

「玲奈ちゃんはすでに知ってたみたいだし、私も戦う決意は出来ました‼いい加減、喋ってくれてもいいんじゃないですか!?」

 

「おおう……いつもの大人しい君はどこいった?」

 

あまりの変貌ぶりに俺はタジタジだった……

 

「無駄よお兄ちゃん、そうなった夕夏は誰にも止められないんだから。」

 

「玲奈ちゃんも今までの事を全部話すまで正座‼」

 

「ア、ハイ…」

 

俺の隣でまったりとアイスを食べていた玲奈も、彼女の一言でマッハの速度で正座した。

 

「さあ、そろそろ観念してください‼」

 

「もうちょっと待てって‼もうす「タケル~、邪魔するぞ~?」「お邪魔しま~す‼」やっと来たか…」

 

もう押さえきれないと思った所に、イッセー達がやって来た。

 

「お、いたいた……なにやってんだ?」

 

「お前が来るのを待ってた。」

 

「おお、これが噂の正座待機ってやつ?」

 

「「「「いや、違うから。」」」」

 

ゆめさんのボケに全員でツッコム。

 

「ゆめのボケは置いといて……皆、出られる準備をしてくれ。」

 

「あれ、説明に来たんじゃないのか?」

 

「オッチャンが向こうで説明してくれるってよ。」

 

なるほど、アザゼルさんが話すなら問題ないか。

 

「だから、準備が出来次第向こうに行くぞ。」

 

「わかりました‼ほら、お兄ちゃんも夕夏も早く立って‼」

 

玲奈にそう急かされるも、俺と夕夏ちゃんは立つことが出来なかった。

 

「どうした、二人とも?」

 

イッセーが不思議そうに俺達を見てたら、ゆめさんが近づいてきて……

 

「………………ちょん。」

 

「「ッ!?~~~~~~~~~~~~~~ッ‼‼‼」」

 

足先をつつかれた瞬間、あまりの痺れに俺と夕夏ちゃんは声に鳴らない悲鳴を上げながら床を転がった。

 

「アハハハハハハッ‼2人とも面白~いッ‼」

 

「何やってんだ、お前は。」

 

「アウチッ!?」

 

俺達を見て笑っているゆめさんにイッセーが拳骨を落とし、回復するまで待ってもらってからリビングに靴を持って集まった。

 

「あの……どうやっていくんですか?」

 

「ん?一言で言えば……魔法だな。」

 

「へ?」

 

そこでイッセーが転移アイテムを使い、冥界へと出発(転移)した。

 

俺達はこれに慣れたが、始めて転移を経験した夕夏ちゃんは口を開けたまま、ポカンとしていた。

 

「………………………………はッ‼ここは何処!?私は夕夏‼中学2年の14歳‼彼氏は…………って何を口走ろうと!?てゆーか自然界の法則ぅーッ!?」

 

そして意識を取り戻したら、すぐに取り乱した。

 

「なあタケル……あの子、あんなテンションだったっけ?」

 

「ワリィ……俺も驚いてんだわ…」

 

人間、驚き過ぎるとああなんだな……

 

「はい夕夏、どうどう…」

 

「ハァー、ハァー……もう大丈夫です。訳のわからない事は頭の中で夢か何かだと思う様にします。」

 

「「「それ、大丈夫じゃないから。」」」

 

そんなコントを繰り広げつつ、アザゼルさんがいる執務室の扉を開ける。

 

「オッチャ~ン、来たぞ~。」

 

「おう、よく来たな。」

 

中にはアザゼルさんとキャロルさん、補佐役らしいファラさんがいた。

 

「君が小鳥遊夕夏ちゃんだな?俺はアザゼル、そこにいる龍見一誠の養父で堕天使を束ねる組織【神の子を見張る者(グリゴリ)】のトップだ。」

 

「そして俺がアザゼルの妻のキャロルだ。」

 

「私は2人の娘で【自動人形(オートスコアラー)】のファラ・スユーフと申します。」

 

「はへ?だ、堕天使?」

 

「いきなり言われてもわかんねぇよな?これから話してやる……っとその前に爆走バイクのガシャットを貸してくれないか?」

 

「あ、はい。」

 

夕夏ちゃんはガシャットをアザゼルさんに渡すと、それを何かの機械に差し込んだ。

 

「何やってんだ?」

 

「ん?簡単なアップデートだ。少しは戦いに役立つだろう。」

 

アップデートって……

 

「さて、お前達はそこに座れ。ファラ、全員分のお茶を頼む。」

 

「畏まりました。」

 

ファラさんが全員分の紅茶を持ってきたら、アザゼルさんが説明を始めたが、俺達は大体知ってるので聞き流した。

 

「……つー訳だ。何か質問はあるか?」

 

「あの、確か二天龍…でしたっけ?喧嘩の原因は何だったんですか?」

 

「「「ブフォッ‼」」」

 

夕夏ちゃんの質問に俺とイッセー、玲奈は飲んでいた紅茶を吹いた。

 

「いや、それは今も分かっては…………お前ら、何笑いを堪えてんだ?」

 

「「「い、いや…別に…………ククッ‼」」」

 

さすがにアザゼルさん達もショックだろうから黙っといた方がいいだろ。まさか喧嘩の元凶が目の前にいるなんてな…‼

 

「変な奴等だな?(ピピッ‼)お?アップデートが終わったぞ。」

 

席を立ったアザゼルさんがガシャットを機械から取り出す。

 

「あ、ありがと「これを渡す前に聞かせてくれ。」へ?」

 

「君が事件に巻き込まれ、今回変身して戦えたのは単なる偶然の積み重ねだ。だが、こっから先にこんな偶然の重なりはほぼ起こる事はない。だからここが最後の分岐点だ。君はこの力を捨てていつもの日常に戻るか……それともいつ死ぬかもしれない戦場に身を置くか、どちらかを選んでくれ。俺達は君の意見を尊重する。」

 

夕夏ちゃんはその言葉に少しの間、動きを止めたが……

 

「…私は決めたんです。悲しみにくれてた私を照らしてくれた友達の役に立ちたいって…その友達が危険な場所で戦ってるのに、自分だけ安全な場所で待ってるのは嫌なんです。だから私も一緒に戦う。玲奈ちゃんが私を救ってくれたように、私も玲奈ちゃんを助けたいから‼」

 

そう言ってアザゼルさんの目をじっと見据えた。

 

「……………フッ…内容としてはまだまだ未熟だが、覚悟は本物みたいだな。」

 

アザゼルさんは彼女の手を掴み、その手の上にガシャットを乗せた。

 

「これは君に預けよう。どういう風に使うかは君に任せるが、あまりにひどい場合はすぐに取り上げるからな?」

 

「あ……ハイ‼‼頑張ります‼‼」

 

認めて貰えたのが嬉しいのか、彼女は笑顔でガシャットを抱き締めた。

 

「なら、これからヨロシクね。夕夏‼」

 

「うん、こっちこそヨロシク‼玲奈ちゃん‼」

 

「そんじゃイッセー、その子をトレーニングルームに連れていってくれ。前にメイルが教えたそうだが、キチンと覚えておくに越した事はないし、多少のアップデートにも慣れておいてもらわないとな。」

 

「わかった、皆付いて来てくれ。」

 

イッセーの後に付いて歩くと、かなり広いドーム状の建物の中に入った。

 

「相変わらずデケェよな、ここ…」

 

「オッチャンの試作品の実験や武闘派の堕天使達が使う為に広めにしたんだよ。夕夏ちゃんと玲奈ちゃんは中央に行って。タケルは何かあったときに備えて端にいてくれ。」

 

「「「了解(です)。」」」

 

俺は言われた通り端の壁に背中を預け、二人が中央で立っていると管制室みたいな部屋に入ったイッセーの声がスピーカーから聞こえてくる。

 

『あ~あ~、二人とも聞こえるか?』

 

「「はい。」」

 

『それじゃ今回は夕夏ちゃんにベルトのちゃんとした使い方を説明するから、よく覚えて置くように。』

 

「はい‼」

 

『玲奈ちゃんは途中でサポートを頼むから、それまでは待機しててね。』

 

「は~い‼」

 

『それじゃ夕夏ちゃん、先ずはガシャットを起動。』

 

イッセーのアナウンスに従い、彼女はガシャットを右手に持つ。

 

《爆走バイク‼》

 

そして起動ボタンを押すと背後にスタート画面が現れ、周囲の空間がピクセル状になったかと思うとすぐにもとに戻り、トロフィーが周囲に配置される。

 

あれ?今のって永夢さん達の変身時に起きたやつか?そういえば昨日なったときはそれが起きなかったな……まだ搭載されてなかったのか。

 

『次にゲーマドライバーを腰に装着。』

 

言われた通りゲーマドライバーを装着したら、スカートを翻しながらターンを決め……

 

「変身。」

 

『ガシャットをベルトに装填。』

 

《ガシャット‼》

 

そして右手に持っていたガシャットを反転させてベルトのスロットに差し込んだ。

 

《レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》

 

彼女は周囲に現れるキャラクターアイコンの中から、レーザーのアイコンを少しだけジャンプした回し蹴りで選択した。

 

《アイム・ア・仮面ライダー‼》

 

そしてアイコンが彼女に取り込まれると、仮面ライダーレーザー・レベル1の姿になった。

 

『よし、仮面ライダーレーザー・レベル1に変身完了。続けてベルトのレバーを引いてレベル2へと移行。』

 

「はい、フェイズ2‼」

 

彼女はその場で回りながらベルトのレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク~‼》

 

レベル1のボディがパージされ、両手に持っていた車輪型の武器が体に装着されるとバイクの姿のレベル2へと変わる。

 

『レベル2への移行を確認。それじゃ、先ずはその姿での必殺技をやってみようか。玲奈ちゃん、手伝いヨロシク。』

 

「了解‼」

 

『それじゃ、ベルトのガシャットを抜いて横のキメワザスロットホルダーに装填してボタンを押して。』

 

玲奈は指示通り、ガシャットを横のスロットに入れるとボタンを押した。

 

「よいしょっと。」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

が、俺はここで少し不安を覚えた。

 

『ちょっと玲奈ちゃん?出来れば乗ってからやってほしいんだけど……』

 

同じ不安を抱いたのか、イッセーが放送で指摘する。そう、玲奈はレーザーに乗らず横に立ったままでそれを行っていたのだ。

 

「大丈夫ですって‼私がそんなミ(カチッ)……あ。」

 

そして案の定、玲奈の肘がホルダーのボタンを押してしまった。

 

《BAKUSOU!!CRITICAL STRIKE!!》

 

「へ?ぴぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!?!?!?」

 

「夕夏ああァァァァァァァァァァッ!?」

 

そのせいでラブでライブをサンシャインさせる妹キャラのような悲鳴を上げながら、夕夏ちゃんは無人で爆走し始める。

 

まったく仕方ねぇな……

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

ゴーストに変身した俺は、空を飛びながら速度から重なる場所を予測し、合流したら急いで股がりガシャットを抜いた。

 

《ガシューン》

 

そしてブレーキをかけて何とか止めることに成功した。

 

「大丈夫か?」

 

「ふええぇぇぇぇぇぇぇん‼こ、ごわがっだですよお~‼」

 

なんか……バイクが女声で泣いているのってスッゲーシュールに感じる……

 

「よしよし、もう怖くないからな。」

 

俺が頭にあたる部分を撫でていたら、泣き声もどうにかおさまった。

 

「す、しゅみましぇん‼い、色々ご迷惑を…」

 

「なに、ウチの愚妹のしでかした事だからな。さて夕夏ちゃん……アイツにお仕置きしたくないか?」

 

「お仕置き……………………賛成です。」

 

「よっしゃ‼イッセー‼」

 

『ああ、これからレベル3への移行を行う。タケル、横のホルダーにあるガシャットを起動。』

 

「あいよ。」

 

俺はホルダーからギリギリチャンバラガシャットを取り出し、起動させる。

 

《ギリギリチャンバラ‼》

 

背後に現れたスタート画面から、チャンバラゲーマが出てくる。

 

『レバーを閉じて、ガシャットをベルトに装填。』

 

言われた通りにレバーを閉じ、爆走バイクガシャットの隣のスロットにギリギリチャンバラガシャットを差し込む。

 

《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

「フェイズ3…」

 

『そして再びベルトのレバーを開く。』

 

「いくぞ‼」

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

レバーを開いたら俺はすぐに降り、夕夏ちゃんは車輪パーツが外れ変わりに分離したチャンバラゲーマが手足となってくっつく。

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク~‼アガッチャギリ・ギリ‼ギリ・ギリ‼チャンバラ~‼》

 

そして仮面ライダーレーザー・レベル3となった彼女は腕をぐるぐると回す。

 

「ん~‼やっぱり人型がいいよね~‼」

 

『レベル3への移行を確認。それじゃ武器を選択。』

 

イッセーのアナウンスの後、夕夏ちゃんの回りに武器アイコンが出てくるが……

 

「あ、あれ?なんかいっぱい増えてる?」

 

そう、彼女の周囲にはハンマーに剣に銃、弓にパッドにソウチャクスロットホルダーといった6つのアイコンがあった。

 

『え~と……オッチャンからの話によると、機能を夕夏ちゃんに合わせたのと同時に、作ったガシャコンウェポンを全部入れたそうだ。』

 

おお、すげー贅沢。

 

「な、なんか色々としてもらって悪い気が…」

 

『それは気にしなくていいよ。こっちは巻き込んじゃいけない事に君を巻き込んだんだ。それは君を生き延びさせるためのオッチャン達からのお詫びなんだろうさ。』

 

「そんで俺達の罪滅ぼしは君を守るのと、何かあったときに一人でも逃げられるくらいに君を強くすることだ。」

 

「……それって先輩が私を守ってくれるって事ですか?」

 

「まあ…出来ない時もあるけど、俺が傍にいるときは守ってみせるさ。」

 

「そうですか……………………………………やった‼(ボソッ)」

 

「?」

 

なんか夕夏ちゃんが小さくガッツポーズしたのは気のせいか?

 

『おーい、まだ訓練中なの忘れてないかー?』

 

おおっと、そうだったそうだった。

 

「夕夏ちゃん、どれか選んで。」

 

「では、最初に使ったこれを。」

 

《ガシャコンスパロー‼》

 

彼女が弓を選ぶと、それが実体化されて手に収まる。

 

『続けて武器を使った必殺技に入る。二つ目のガシャットをベルトから抜いて武器のスロットに装填。』

 

「はい‼」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

チャンバラガシャットをスパローに差したら、エネルギーが充填されていき、夕夏ちゃんは狙いを玲奈へと定める。

 

「え~と………………逃げちゃダメ?」

 

「「『逃げちゃダメだッ‼』」」

 

「デスヨネ~…」

 

『トリガーを引いて必殺技を発動。』

 

「さっきのお返しだよ、玲奈ちゃん?」

 

《GIRIGIRI!!CRITICAL FINISH!!》

 

スパローから放たれた大量の矢が玲奈へ向けて飛んでいく。

 

「い、イヤアアアァァァァァァァァァッ‼‼ブバッ!?」

 

走りながら何とか避ける玲奈だが、近くに落ちた矢の爆発に吹き飛ばされ、顔から地面に着地した。

 

《会心の1発‼》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう……お兄ちゃんも夕夏も酷いよ…」

 

「「元はといえばお前(玲奈ちゃん)が悪い。」」

 

訓練が終わった俺達は玲奈の愚痴にそう辛辣に返す。

 

「だからゴメンってば~‼」

 

「今度、翠屋さんのシュークリーム奢ってくれるなら許してあげる♪」

 

「うッ……さ、三個までなら…」

 

「冗談だよ、明日一緒に食べに行こう。もちろん料金は別会計で。」

 

「うう…………夕夏の優しさが身に染みる…」

 

そんな感じで廊下を仲良さげに歩く二人の後ろを俺とイッセーが歩く。

 

「ま~た守んなきゃなんねぇ仲間が増えたな?」

 

「ああ…でも、こうなった以上スジは通すさ。」

 

たく……コイツはま~た一人で全部背負うつもりだよ…

 

「……あんま一人で抱え込むなよ?何かあったら俺を頼れ。親友としてそれぐらいはさせろ。」

 

「その時は頼むよ。」

 

イッセーは軽く笑いながらそう答えるが、コイツの体には無茶をやり続けた疲れは確実に溜まっている筈だ。

 

なら、俺はこれ以上イッセーの負担を増やさないよう色々と支えると同時に、俺がイッセーの変わりになれるくらいに強くなってみせる‼

 

後はこのバカに、もう少し人を頼る事を教え込む事だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーその日の夜ー

 

???side

 

「この世界にあの子がいるの?」

 

私は義理の兄である陽太義兄さんが出してくれた幽霊列車に乗って、時空を越えてこの世界にやって来た。

 

「間違いないよ。以前スカーレット様もこの世界に訪れているから座標も確実だしね。」

 

「そっか…………早く戦ってみたいな…」

 

『そう急くでない、娘よ。』

 

『そうだぞ、焦りは油断を生む。戦場では常に平常心を心掛けろ。』

 

「わかったよ。焔、羽衣狐さん。」

 

私の周りを浮いている目玉を模したアイテムの眼魂に宿っている魂の焔と羽衣狐から軽く注意を受けた私は深呼吸して心を落ち着けた。

 

「どのみち今日はもう遅いから、勝負は明日以降だね。幸いこの世界は今、夏休みの最中だから時間は気にしなくても大丈夫だから。そろそろ寝ようか。」

 

「うん。」

 

陽太義兄さんにそう言われ、私はベッドが置いてある車両まで行き、明日の勝負を楽しみにしながら眠りについた。




いかがでしたか?

今回はエグゼイドのヴァーチャルオペレーションを取り入れてみました。

そして次回は悪維持さんの【天パー侍と絶刀の少女】の番外編キャラとのコラボ兼対決になります。

次回【対決‼ユリンVSヘレナ】

「いいわ‼その勝負、受けてあげる‼」

では、また次回で………………Zzz…


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番外編6 装者集合のlive‼

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアAXZが始まり、ある程度設定も分かってきたのでこちらも書き始めていきます。

ただ、久々なので番外編です。

そして最後に……

では、どうぞ。




XDの水着ガチャで☆5の翼さんが当たったけど、できればマリアが良かった(とある部分を見つつ……)


アザゼルside

 

『ハァッ‼』『ドリャアッ‼』

 

俺は今、光龍サバイブとなったイッセーと、ゴースト・グレイトフル魂となったタケルの模擬戦をキャロル、エルナと共に司令室でモニタリングしていた。

 

「スゴいです………二人の戦闘力、今までの10倍以上の数値を叩き出しています‼」

 

「ほう………新しい力も中々の物だな。」

 

「ああ、おまけにイッセーの方は使い勝手が良くなってるしな。」

 

先程まで鎧だったウルティメイトイージスは、今は両手の籠手と両足の脚甲となって格闘性能を飛躍的に上昇させていた。

 

「異世界での修行………思ってた以上の成果だな。」

 

こりゃうかうかしてると、俺も負ける可能性が出てきたぞ…

 

「ところでエルナ?」

 

「何ですか?」

 

「この前の異世界から帰ってきてからタケルの事を今まで以上に意識してるみたいだが、何かあったのか?」

 

「うえッ!?そ、そそそそそソンナコトナイデスヨッ!?」

 

俺がそう聞いたらエルナは顔を真っ赤にして、慌てながら否定した。

 

ほほう………これは何かあったな?

 

「よし、今からオレがタケルに特別訓練をつけに…「だからお前は落ち着けッ!?」離せ旦那様‼タケルの奴には1度、終焉を聞かせてやらねば…‼」

 

エルナの態度に何かを察したキャロルがフィールドに向かおうとするのを俺は羽交い締めにして抑え込んだ。

 

「お前はいい加減、妹離れしろッ‼」

 

「それくらいなら出来ているッ‼」

 

「なら、エルナが結婚相手を連れてきたらどうする?」

 

「もちろん、オレが持つ全技術を使って地獄を見せ…」

 

「全然出来てねぇじゃねぇかッ‼‼」

 

まったく………タケルとエルナの恋は前途多難だな…

 

そう思いながら、俺はキャロルを必死に落ち着かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

この前の模擬戦から二日後、ゆめと朝食を食べていた時に携帯がなったので出るとオッチャンだった。

 

「どうしたんだ、こんな朝早くに?」

 

『実は三日後に、翼とマリアのライブをやるんだが…そこで今回は他の装者達も歌ってもらう事になったんだ。』

 

「響達にも?」

 

そんな話、初めて聞いたぞ?

 

『実は最近装者達の人気が堕天使領で上がっていてな?1度でいいからライブをやってほしいと嘆願が結構来てるんだよ。まあ…響達は出るんだったらお前が見に来る事が条件と言ってるんだが。で、三日後は空いてるか?』

 

「ちょっと待っててくれ…」

 

俺はカレンダーに近づき予定を確認したら、その日はタケルと一緒にローラちゃん達の練習に付き合う日だった。

 

「ライブって何時?」

 

『だいたい夕方18時頃だな。』

 

う~ん……ちょっと微妙か?

 

『その様子だと予定アリか?』

 

「ああ、その日はオッチャンがキャロルさんにメッチャ怒られた【シンフォニーア】に出てる子達の特訓にタケルと一緒に付き合う事になってる。」

 

『ああ、あの時のキャロルはスゲ~恐かったぜ…』

 

そりゃそうだろう。いくらサブカルチャー風にしていようとも気づく奴は気づく。こちらの戦力の情報を外に流して怒らない訳がない。

 

『それだったら、その子達も連れてきたらどうだ?』

 

「は?」

 

その一言に、俺は唖然とした。

 

「いやいやッ!?民間人を堕天使領に入れて大丈夫なのかッ!?」

 

『裏の世界を知ってるし直接会場のVIP席に来れば問題は無いさ。そこだったら俺以外の堕天使に会うことは限りなく少ないからな。』

 

確かに彼処はオッチャン専用みたくなってて、来るとしてもシェムハザさんかバラキエルさんくらいだ。

 

『キャロル達には俺から通しておく。来たい奴は連れてくればいいさ。』

 

「まあ、一応話しておくよ。」

 

『あいよ。話はそれだけだ、じゃあな。』

 

「ああ。」

 

電話を切った俺は朝食を再び食べ始める。

 

「アザゼルさん、なんだったの?」

 

「ん?冥界で装者全員でのライブをやるから見に来いってのと、その日はローラちゃん達と特訓の日だから来たい子がいたら連れてきてもいいってさ。」

 

「えッ!?それホントッ‼やったぁ~ッ‼翼さん達のライブ、1度生で見たかったんだ~♪」

 

それを聞いたゆめは両手を上げて喜んでいた。因みにこっちに帰ってきてからゆめの状態を調べてもらったら、やはり神器の術式が独立具現型の術式に酷似している事が分かり、一部だけ龍の力(翼や俺がシンフォギアを装着するときに出る鎧)も使用可能だそうだ。それと、今後を考えて戸籍の方も作った。一応俺の従妹という設定になっている。

 

「ほら、今日は翠屋に行くんだろ?さっさと食わないと置いてくぞ?」

 

「ああッ!?待ってよ~ッ‼」

 

食器を片付け着替えにいく前にゆめにそう言うと、慌てながらご飯を掻き込み、食べ終わると立ち上がり左手を横に伸ばしてその先に魔法陣を描き、それを自分へと寄せながらくぐって服を外出着に着替えた。

 

お前は何処の希望の魔法使いだ?

 

「はい、準備OK‼」

 

「なんだその着替え方?」

 

「チョーイイでしょッ‼サイコーでしょッ‼」

 

「俺はまだ着替えてないからもう少し待っててくれ。」

 

「ほーい。」

 

そして着替え終わった俺はゆめを連れて翠屋に行き、そこでシュークリームを堪能した。だがゆめ、10個は食べ過ぎだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三日後………

 

「はい、今日は此処までにしようか。」

 

「「「ありがとうございましたッ‼」」」

 

ローラちゃんに真昼ちゃん、あこちゃん達(小春ちゃんもいたが彼女は見学)の特訓をして、17時になったので終わりにした。

 

「皆、もう随分と様になったな。」

 

「ああ、後は自分なりの負担の少ない動きを身に付けるだけだな。」

 

彼女達の特訓の目的は戦闘シーンを上手く見せる事なので、そこまで無茶な動きをさせる必要はない。

 

「お兄ちゃん、ローラ達にあの事言わなくていいの?」

 

「あっと、そうだったな。」

 

ゆめに言われ、ライブの事を思い出した俺は再び彼女達の元へと向かった。

 

「皆、ちょっといい?」

 

「何ですか?」

 

「実は今日、俺の知り合いがライブをやるんだけど…よかったら見に来ない?」

 

俺がそう聞いたら、四人とも楽しそうな表情になり…

 

「「「「行きますッ‼‼」」」」

 

元気よく返してきた。

 

「わかった、なら外出の許可を貰っておいで。それがないと怒られるかもしれないしね。」

 

「「「「はいッ‼」」」」

 

そう言うと、全員で走って寮がある場所へと向かった。

 

それから数分後、ローラちゃんにあこちゃんと小春ちゃんはすぐに戻ってきて、真昼ちゃんは少し遅れて…

 

「すみません、お待たせしました…」

 

「皆さん、お久し振りです。」

 

姉の夜空さんと一緒にやって来た。

 

「お姉ちゃんに話したら、私もオフだから行くと言いまして…」

 

「呼ばれたのは真昼達だけみたいなので、無理強いはしませんけど…」

 

「いえ、来たい人は連れてきてもいいと言われてますから。」

 

「あら、良かった~♪これで真昼と一緒にいられるわ。」

 

「だから、抱き着かないでよッ!?」

 

抱き着いてくる夜空さんに真昼ちゃんは顔を赤くしながら文句を言うが、その顔は特に嫌がっていない。

 

(姉妹…か…………何かが違っていれば、俺と宗二もあんな仲の良い関係になってたのかね?)

 

「どうしたの、お兄ちゃん?」

 

「ん?いや、何でもないよ。」

 

「ふみゅ~♪」

 

香澄姉妹を見てそんな事を思っていたら、ゆめが心配そうに俺を見てきたので安心させる為にそう言って頭を撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。

 

そうだ、俺の家族はオッチャンにキャロルさん、ゆめや皆だ。それ以外の家族なんていない。

 

「ゆめ、いいなぁ…」

 

「ふふ~ん‼」

 

「お前は何を勝ち誇ってるんだ?それじゃ、出発しますよ。」

 

羨ましそうにこっちを見てるローラちゃんに、ゆめがドヤ顔を決めているのを不思議に思いながら、足下に転移アイテムを落として、全員で会場のVIP席に転移した。

 

「あ、あれ!?私達今まで四ツ星学園にいたのにッ!?」

 

「一瞬で移動したんですのッ!?」

 

「これってもしかして、テレポート…?」

 

「なんかスッゴい経験しちゃったかも。」

 

「これ、お仕事の時に便利ね~。」

 

ローラちゃん達が驚く中、俺はオッチャンを見つけた。

 

「オッチャン、来たぞ。」

 

「おう、よく来たな。」

 

VIP用のソファーに座っていたオッチャンは立ち上がると、俺達の元へとやって来た。

 

「君達は始めましてだな?俺はアザゼル、一誠の義理の父親でシンフォニーアの作者だ。」

 

「「「「ええッ!?は、始めましてッ‼」」」」

 

「ハハハハハッ‼そんなに緊張しなくてもいいぞ。」

 

彼女達はまさか自分達の出ている作品の作者が前にいるとは思わず、慌てて挨拶した。

 

オッチャンはまったく気にしてなさそうだけど。

 

「ライブはそろそろ始まるから、皆楽しんでいってくれ。」

 

そして俺達も用意された席に座り、ライブの始まりを待った。

 

皆がどんな曲を唄ったりするのか楽しみだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「響~、準備は良いカ~?」

 

「OKだよ、ミカさん‼」

 

私はステージ下の奈落で、ミカさんが持ってる台の上に乗っていた。

 

「そろそろライブが始まる。皆、準備は派手に良いか?」

 

「「「「「「おう(デス)ッ‼」」」」」」

 

「では響ちゃん、1番手お願いね?」

 

「わかりました‼」

 

そこでライブの始まりを待っていたら…

 

『みなさ~ん‼‼大変長らくお待たせしました‼これよりアザゼル総督主催、シンフォギア装者達によるライブ【シンフォギアライブ】を始めます‼司会は私、小日向未来が歌い手を兼ねながらお送りします‼』

 

外から未来の声が聞こえてきた。未来は司会進行と同時に唄ったりもする。

 

『それでは最初は彼女‼‼拳を握る手は敵を倒す為だけじゃない‼誰かと手を繋ぐためにある‼戦場を貫く優しき槍‼立花響です‼‼』

 

それを聞いた私は、ガングニールのヘッドギアに似せたマイクのスイッチを入れる。

 

「内なる三合、外なる三合より剄を発する………これなる拳は六合大槍‼‼一番槍、立花響‼‼行きますッ‼」

 

「派手にやれ、ミカ。」

 

「おーし、行っくゾ~ッ‼」

 

私の登場台詞に、ミカさんが台を上へと一気に押し上げ、その勢いでステージに出るも私の体は高さ40メートルくらいまで打ち上げられた。そして、ステージ用に渡されたシンフォギアと似たペンダントを掴み………

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

聖詠と同じ起動コードを唱えると、私の姿がガングニールによく似たドレス姿に変わった。

 

「よっと………皆~ッ‼元気ですか~ッ!?」

 

『『『『『オオオオォォォォォォ‼‼』』』』』

 

「うわわッ!?スゴい声………それじゃ、最初から限界を超えていっちゃうよ~ッ‼‼曲は限界突破G-beat‼‼」

 

私が右手を高く突き上げると、音楽が流れ始める。

 

『響、アザゼルさんからイッセー君も来てくれたって‼だから頑張れ‼』

 

ヘッドギアからそれを聞いた私は更にテンションが上がった。

 

よーし、ここで良いとこ見せてイッセーをメロメロにしてやるんだからぁ‼‼

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「さすが、響の歌は元気が出るな~。」

 

「うっは~ッ‼テンション上がって来たぜ~ッ‼」

 

「私も~ッ‼」

 

「服が一瞬で変わった!?」

 

「すごッ!?」

 

両手にサイリウムを持ったタケルとゆめは、それを思いっきり振りまくり、アイドルメンバーは演出の方に驚いていた。

 

ただ、所々躍りの中に拳法の型を入れてるのがかなり独特だが………

 

そして曲が終わると響はステージ端へと消え、次に翼が奈落から飛び出してきた。

 

『続きましては皆さんご存知【クロス・ウィング】の片翼にして防人の剣たるお方‼その姿は戦場を駆け抜ける一陣の風の如し‼‼風鳴翼さんです‼』

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

聖詠を唄い、シンフォギア似のドレスを纏ってステージに着地した。

 

『推して参るは風鳴る翼、この羽ばたきは何人たりとも止められまい‼曲はBeyond the BLADE!!』

 

そして和風ロックな曲が流れ、翼が唄い始める。その時、視界の端でサイリウムを振りまくっている法被を着た白髪チビッ子と金髪ドリル少女とそれを見て苦笑している金髪男子が見えたのは気のせいだと思いたい………つか、堕天使限定じゃないんかい。

 

「そういえば、あの人が衣装チェンジするときに唄ったヤツ………私達がシンフォニーアに着替える時のに似ているような…」

 

「逆だよ真昼ちゃん、シンフォニーアは彼女達を元に作ったそうだからね。君達が似てるんだよ。そして今唄ってる人が真昼ちゃんがやってる役の元の人だよ。」

 

「えッ!?そうだったんですかッ!?」

 

俺の言葉に彼女は驚くと、すぐに真剣な眼差しでライブを見始めた。恐らく、今後の役作りの参考にするためだろう。

 

翼の曲が終わり舞台袖に下がると、次にクリスが打ち上げられた。

 

つか、全員打ち上げるつもりかミカさん?

 

『次に唄いますのは、強がるのは弱い自分を隠すため‼だけど本当は皆に愛されたい‼‼だから今日はステージで観客の皆さんのハートを残さず撃ち抜く‼雪音クリスです‼』

 

『Killiter Ichaival tron』

 

ドレスに着替え着地すると、顔を赤くしながら未来の睨む。

 

『なんだその恥ずかしさが木っ端した様な前口上はッ!?誰が考えやがった‼』

 

『ガリィさん。』

 

『やっぱアイツか、あのド腐れ外道がアァァァァッ‼‼』

 

クリスの叫びに会場中が笑いに包まれる。その中にはクリスを励ますものも含まれていた。

 

良かったな、お前は皆に愛されてるじゃないか(笑)

 

『恥ずかしさの絨毯爆撃とかマジで止めろッ‼‼!?こうなったら手加減ナシだ‼アタシの歌に聞き惚れて、鼻の下伸ばすんじゃねぇぞッ‼曲はTRUST HEART!!‼』

 

半ばヤケクソ気味になったクリスの言葉に曲が始まり、ロックテイストな音楽が場を盛り上げていく。

 

その間奏の途中で指鉄砲を作り、バァンッ‼と言いながら撃つ仕草に何十人かの堕天使と金髪の男悪魔が倒れて救護室に運ばれて行った。

 

『ふぅ………ガリィィィィィィィィイイイッ‼‼』

 

そして唄い終わったクリスは舞台袖へと走っていき、次に調が打ち上げられた。

 

やっぱり全員打ち上げるんだな………

 

『Various Shul Shagana tron』

 

『次に唄うのは可愛い花には鋸がある‼しかし奏でる音楽は月の様な美しい旋律‼月読調です‼』

 

『えっと………皆さん、よろしくお願いします。曲はジェノサイドソウ・ヘヴン。』

 

未来の前口上に少し顔を赤らめながらも、唄い始めるとすぐに調子を取り戻していき、その秘めた熱量に観客達もボルテージが上昇していった。

 

そして曲が終わると一礼して舞台袖へと向かい…

 

『デエェェェェェェェェェスッ‼‼‼』

 

今度は切歌が意味不明な雄叫びと共に、光の巨人の登場ポーズをしながら打ち上げられた。

 

『Zeios Igalima raizen tron』

 

服を着替え、着地したら何かのポーズを決め、

 

『アタシ、参上デス‼‼』

 

某電車ライダーの有名な名乗りをした。

 

『次は装者の中では常識人?いつも元気一杯‼周りを明るくする小さな太陽‼暁切歌です‼』

 

『皆~ッ‼アタシは最初から最後までクライマックスでいくデスよ~ッ‼曲はオーバーキルサイズ・ヘル‼デス‼‼』

 

切歌が唄い始めたら、ローラちゃんが首を傾げた。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、この曲…前の人の曲と歌詞やリズムが似ている部分が多い気がして…」

 

「ああ、それは…」

 

俺が説明しようとした時、オッチャンが人差し指を口に当てていたので…

 

「この後でわかるよ。」

 

とりあえずそう言っておいた。

 

切歌の曲が終わったら、さっきまで未来がいた場所に響が立っていた。

 

『司会を私、立花響が一時交代して次に唄うのは無垢にして苛烈‼全ての異能を退ける対魔の巫女‼小日向未来で~す‼‼』

 

『Rei shen shou jing rei zizzl』

 

そして未来が打ち上げられ、聖詠を唱えてドレスチェンジして着地するも少しふらついた。

 

『わっとと…‼‼皆さん、今日は来てくれてありがとうございます‼私も精一杯歌わせて貰いますね‼曲は陽だまりメモリア‼』

 

流れ始める曲は戦闘時とは違い、明るい曲で暗い気持ちも吹き飛ぶものだった。

 

「皆さん、スゴい上手…」

 

「私達なんて、霞んでしまいますわ…」

 

「うん、でも負けてられないわよ‼」

 

「そうだね…‼」

 

「うふふ、皆がやる気になるのは良いことだわ。」

 

そして未来の歌が終わり、次にマリアが飛び出してくる。

 

『え~次は………最初に言っておきます、この文を考えたのはガリィさんです。【クロス・ウィング】の片翼で普段は頼もしく見えるも素はポンコツ、そのギャップが彼女の最大の魅力‼目指せアイドル大統領‼‼マリア・カデンツァヴナ・イヴです‼‼』

 

『Seilien coffin airget-lamh tron…‼』

 

前口上に怒ったのか、少し荒く聖詠を唱えたマリアは着地と同時に左手を握り締めた。

 

『あの子………後でアガートラームを纏って顔面百殴りの刑にしてあげるわ…‼』

 

『ええッ!?だ、ダメですって‼‼マリアさん‼』

 

『狼狽えるなッ‼‼』

 

『はひぃッ!?』

 

『確かに、それは駄目ね…』

 

『そ、そうですよ‼アハハ…』

 

『最近装備されたイグナイトになってからにしないと。』

 

『殺る気満々になった!?』

 

「アハハハハハハハハハッ‼ヒ~ッ‼お、お腹痛い…‼」

 

そのコント染みた会話に会場は爆笑に包まれる。現に隣のゆめが腹を抱えて笑い転げている。

 

『ンンッ‼‼ジョークは此処までにして、そろそろ皆疲れたかしら?でも、ライブはまだまだ続くわよ。ついてこれる奴だけついてこいッ‼‼曲はDark Oblivion‼‼』

 

唄い始めたのは全て英語の歌詞の曲。これを平然と歌えるマリアはやっぱりスゲぇな…

 

そして唄い終えたら未来が司会に戻り、ステージの中央に立った。

 

『皆さん、装者達のソロステージはどうでしたか?次からは装者達のユニットステージです。先ずは彼女達‼どうぞ‼‼』

 

未来が下がると舞台の両端から調と切歌が出てきた。

 

『さっきは一人一人だったけど、今度は私と切ちゃんの二人一緒…』

 

『超協力プレーで唄ってやるデス‼‼』

 

『『曲はJust loving X-edge‼‼』』

 

そして歌が始まると、ローラちゃんが合点にいった顔になる。

 

「もしかしてさっき感じた違和感の正体って…‼」

 

「そう、あの二人の曲はユニゾンできるんだよ。」

 

二人のシンフォギアに使われた聖遺物【シュルシャガナ】と【イガリマ】は、共にメソポタミア神話に出る戦の神【ザババ】が持つとされる二振りの剣。同じ神が持つ聖遺物から作られたからこそ、あの二人のユニゾンが可能となる。

 

「曲の感じは違いますのに、ズレが殆ど無いですわ…‼」

 

「スゴい、息ピッタリ‼」

 

「面白いじゃない‼」

 

歌が終わり二人が下がると、今度は翼とクリスが出てきた。クリスの額には青筋がまだ小さく浮かんでいたので、ガリィには逃げられたんだろう。

 

『いくぞ雪音、この場に剣と弓を携えているのは私達だけ…』

 

『驚きすぎて腰抜かすなよッ‼』

 

『『曲はBAYONET CHARGE‼』』

 

そして始まるのは和とロックの完全な融合。その曲に観客達のボルテージも最高潮になってくる。

 

さすがは先輩コンビ、頼れる感が溢れてるな。

 

二人の曲が終わると、クリスだけが下がり代わりにマリアが出てきた。

 

『長く続きましたシンフォギアライブ、次の曲が最後となります。トリを務めますのは堕天使領で人気爆発中のこのお二人、風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴのクロス・ウィングです‼‼』

 

『さあ、共にゆくぞマリア‼』

 

『ええ、最高のステージに花を添えてあげましょう‼』

 

『『曲は星天ギャラクシィクロス‼』』

 

二人が唄い始めると、その声にこの場にいる全てが歌声に聞き入り、酔いしれた。

 

そして曲が終わってもしばらく静寂は続き、一人が拍手したらそれが連鎖的に周囲に伝わり、大喝采となった。

 

「すごい…」

 

「圧倒されましたわ…」

 

「レベルが違いすぎる…」

 

「うん…」

 

「これはS4の私も負けてられないわね。」

 

こっちのアイドル組もこれによって火がついたのか、やる気を出していた。

 

『それでは、シンフォギアライブはこれにて終了となります。皆様、応援ありがとうございました‼』

 

未来の言葉にステージにいた全員が舞台袖に消えていった。

 

『『『『『アンコール‼‼アンコール‼‼』』』』』

 

その後に起きるのはアンコールの嵐。

 

『それじゃ、アンコールに応えてもう一曲だけ唄うよ‼』

 

響の声に合わせ、装者全員がステージ上に出てきた。

 

『念のため用意していたアンコール用の曲、その名も…』

 

『『『『『『『【虹色のフリューゲル】‼』』』』』 』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、会場近くでは6人の男女がライブの映像を周りの雰囲気とは違い、冷めた目で見ていた。

 

「この情勢で呑気に歌とは、よほど弛んでる訳だ。」

 

「いや、この情勢だからさ。テロで不安が募っているのを解消するためだろう。」

 

「でもせっかく冥界(こんなとこ)まで来たんだから、少し遊んでいかない?()()()()もあるんだし♪」

 

「駄目だ、今回は偵察以上の行動は許可しない。」

 

「んもう、【サンジェルマン】は頭固すぎぃ~ッ‼」

 

「私達はまだ奴等に顔を晒せない……敵の目をこちらに向けさせない為な訳だ。」

 

「【プレラーティ】の言う通りだ、【カリオストロ】。おとなしくファウストローブが出来上がるのを待て。」

 

「はいはい、承知しました~…」

 

カエルの人形を持っている女性【プレラーティ】はライブに関心はなく、豊満なボディに露出度の高い服を着た【カリオストロ】は新しい玩具で遊びたい子どもの目をしながら尋ねるが、銀髪に男装した【サンジェルマン】とプレラーティにたしなめられ、渋々諦めた。

 

「君達はどう思う?」

 

「細けぇ事情はどうでもいいさ。アタシは強え奴と槍を交えられればそれでいい。」

 

「特にありません。」

 

赤い髪の女性は左掌に右拳を打ち付けながらそう答え、茶髪の少し小柄な女性は何の感情も込めず端的に答えた。

 

「予想通りの答えだな。君はどうなんだ?」

 

サンジェルマンは軽くため息を吐き、残った男性へと視線を向けた。

 

「俺は俺の目的の為に動く……それだけさ。」

 

「……その為なら、あんな男にも手を貸す訳だ?」

 

「ああ。」

 

男は素っ気なく答えるが、その瞳には確かな決意が宿っていた。例え自分がどうなろうと目的の為にどんな所業でもするという確固たる決意がサンジェルマンには好ましく思えた。

 

彼となら、良い協力関係を築けると。

 

「さて、そろそろ時間だ。」

「そうか。いくぞ【奏】、【セレナ】。」

 

懐に入れていた懐中時計を取り出し、時間を見れば撤退時間が目前となっていた。

 

サンジェルマンは足元に液体の入ったビンを落として割ると、そこを中心に錬成陣が描かれた。そしてその中に全員が入る。

 

「では戻ろう……ドクターウェルの所に。」

 

そして6人は転移し、冥界から姿を消した。




いかがでしたか?

シンフォギアAXZよりあの3人がログインしました。

これで、一誠側との敵対チームも一応の完成です。ただ、暴れるのは【体育館裏のホーリー】までないですけど……

次回からは長期コラボを2つやっていきます。先ずはガジャルグさんとのコラボ【N】についての話になっていきます。

では、次回でまた会いましょう。


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番外編7 祝え!!現れた時の王者!!

どうも、疾風の警備員です。

最初に書き始めたこの小説……長らくほったらかしにしてましたが、そろそろ再開を目指しています。

今回はキャラを思い出すための話なので、どこかおかしい場所が出てくるかも知れませんが、その時は感想で教えてくれると助かります。

では、どうぞ。


一誠side

 

「うえっぷ……吐きそう…」

 

「頼むから背中で吐くなよ、ゆめ?」

 

どうも、龍見一誠だ。今日は休みでゆめが行きたがってた喫茶店…nascitaっていう店に付き添って、店長が進める珈琲と簡単な食事をしたんだけど、珈琲を飲んだゆめが体調を崩して、俺が背負って帰り道を歩いていた。

 

にしてもあの珈琲どんな味だったっけ……飲んだ後の記憶が無いんだが……

 

「ん?一誠じゃんか、どうし……本当にどうした?」

 

その時、近くのスーパーからタケルが買い物袋を持って出てきた。

 

「タケルか、実はかくかくしかじかで…」

 

「四角いムーヴだったのか、大変だったな。」

 

「本当だz「ゴメンお兄ちゃん…もう無理…」って!?ちょっと待て!!今降ろすからッ!!」

 

「だあああッ!?予備のビニール袋あるから使えッ!!」

 

「サンキュー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ちょっと待っててね☆(byゆめ)――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~、スッキリした♪」

 

キラキラタイムが終わり、清々しい笑顔を浮かべるゆめ。こっちは後処理が大変だったんだが?

 

「ゴメンゴメンッ!!代わりに今日のお風呂掃除やるから!!」

 

「いや、気にしてないからいいって。」

 

それより気になったのは、あの店のマスターから人間以外の気配を感じた事だ。かといって三大勢力や他の陣営の種族とも違う気配……もしかして地球外の生命体?まさかな。

 

「んじゃ、俺達はそろそろ(夢よ踊れ~♪)っと、電話か…」

 

タケルと別れようとした時、俺のスマホが鳴り画面を見るとオッチャンだった。

 

「オッチャン?どうしたんだろ…もしもし?」

 

『おおイッセーかッ!?駅前広場に変な怪人が現れたらしい!!響達が既に向かってるが、お前達も向かってくれ!!』

 

「ッ!!わかった!!タケルもいるから一緒にすぐ行く!!メイル!!」

 

「うん!!」

 

「なんかヤバそうだな?早く行こうぜ!!」

 

「ああ!!」

 

電話の内容からヤバいと感じた俺達は急いで向かう事にした。

 

そして現場に着くと既に結界が張られていて、それを突破するとシンフォギアを装着した響達と2体の怪人が向かい合っていた。

 

「皆ッ!!」

 

「イッセー!!メイルちゃんにタケル君も!!」

 

「敵はあれか…………ん?」

 

響達の前に立って怪人を見るが、その姿に俺とタケルは目を疑った。そこにいたのは俺達が変身した光龍とゴーストに似ていたのだ。まあ、パッと見だと間違えそうだけど、実際は怪人みたいな体だから分かりやすい。

 

「アレって光龍とゴーストなんデスかね?」

 

「でも切ちゃん、先輩達はここにいるよ?」

 

「二人の模造品ってところかしら?」

 

「仲間の紛い物を寄越すなど…敵は我らをよほどおちょくってるらしい…」

 

「つっても、よく見たら丸わかりだけどよ。」

 

「うん、怪人らしさがどちらかといえば強いかな?」

 

「でも、なんであんなの出してきたんだろう?」

 

「んなのどっちだっていいさ!!」

 

「ああ、さっさと倒すぞ!!」

 

俺はカードデッキを、タケルはゴーストドライバーとオレ眼魂を出し変身する。

 

「「変身!!」」

 

『カイガン!!オレ!!レッツゴー!!覚悟!!ゴ・ゴ・ゴ!!ゴースト!!』

 

「メイル!!」『SWORD VENT』

 

「うん!!」

 

メイルを解放龍の剣(リモート・エッジ)を、タケルはガンガンセイバーを手にして偽物へと向かう。

 

「アアア…」

 

怪人達も気づいたのか、俺達の方を向くとこっちへと駆け出してきた。

 

「はあッ!!」「オラァッ!!」

 

そしてスレ違い様に剣を振るうとアッサリ直撃して、偽物は倒れる。

 

「なんだ?ずいぶん呆気ないな…」

 

「何かの罠か?」

 

俺達が警戒していたら、2体は起き上がり…

 

『SWORD VENT…』

 

『カイガン…ムサシ…』

 

くぐもった電子音声の後、俺の偽物は細部が刺々しくなった剣を持ち、タケルの偽物は目が赤く輝き何処からか刀を二本取り出して両手に持つ。

 

「コイツら…!!」

 

「俺達と同じ能力も持ってるのかッ!?」

 

そして最初とは違いすばやい動きで攻撃を繰り出してきて、俺とタケルはそれらを捌き生まれた隙に響達が攻撃を加えていく。

 

「オオオオオリャアアアアアアアアアッ!!!!」

 

偽物の光龍がバランスを崩した所に、響の勢いを乗せた拳が顔面に命中する。

 

「………………ガアアアアアアアアッ!!」

 

「うええッ!?効いてないッ!?」

 

しかし、偽物はダメージを受けた素振りすら見せずに、逆に響を殴り飛ばした。

 

「キャアッ!?」

 

「立花ッ!!ならば…!!」

 

翼はアームドギアの刀を大剣に変え、それを振るい斬撃を放つ。

 

《蒼ノ一閃》

 

「ヌゥア…!!」

 

『Remote…!!』

 

だがそれも、メイルの能力を再現してるのか剣の一振りで掻き消された。

 

「やはり、その能力も健在か…!!」

 

「だったら物理でゴリ押しだァッ!!」

 

《MEGA DEATH PARTY》

 

特殊攻撃が効かないと解ると、クリスが腰のミサイルを一斉射した。確かにこれなら通るはず…!!

 

『ADVENT…!!』

 

そう思っていたら、その音声と共にくすんだ禍々しい金色の龍が現れ、ミサイルを炎で焼き落とした。

 

「メイルまでいんのかよッ!?」

 

『私、あんなにブサイクじゃないよッ!!!!』

 

どうやら向こうは見た目以外は完璧に再現されているみたいだ。

 

「こりゃ厳しいか…(ザザ…)ッ!?何だ今のノイズは…!!」

 

その時、俺の体にノイズが走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

『カイガン!!ムサシ!!決闘!!ズバッと!!超剣豪!!』

 

「こんにゃろッ!!」

 

二刀流の偽物に俺もムサシ魂となり、二刀流モードのガンガンセイバーで斬り結ぶが俺の動きを完全に理解してるのか、殆どを防がれダメージは通らず…

 

「「調と切歌のダブルライダーキィック!!」」

 

「ウォアッ!!」

 

「「キャアアアアッ!!」」

 

特撮好きの二人がライダーキック擬き(足に丸鋸と鎌を装備)で突っ込んでいくが、アッサリと薙ぎ払われ吹き飛んでいく。

 

「よくも二人をッ!!」

 

それを見たマリアさんが短剣を大量に出し、一斉に俺の偽者へと飛ばしていく。

 

《INFINITE†CRIME》

 

「……ゥゥゥヴヴヴヴヴッ!!」

 

『カイガン…ビリー・ザ・キッド…』

 

しかしそれも目を茶色く輝かせ、新たに装備したのか二丁の拳銃ですべてが撃ち落とされた。

 

「今度は銃…まるで曲芸師ね…」

 

「殆ど猿真似だけどなッ!!」

 

『カイガン!!ビリー・ザ・キッド!!百発百中!!ズキューン!!バキューン!!』

 

俺もビリー魂に変え、バットクロックとガンガンセイバーのガンモードを撃ち、隙があった偽者に命中させていく。

 

「ウアアァァァァ…!!」

 

「オッシャア!!効いてるぜ!!」

 

「そうか…アレはライダーの攻撃しか効かないのね…!!」

 

「それじゃあアタシ達は役立たずデスかッ!?」

 

「…でも、邪魔しちゃ駄目だから下がろう、切ちゃん。」

 

調ちゃんに諭されて切歌ちゃんも渋々といった感じで下がっていき、同じ様に下がるマリアさんを援護して俺は偽者の前に立つ。

 

「お前の倒し方は分かった。なら…こっからは全(ザザッ)ッ!!何が…!!」

 

そしてアイコンドライバーGを手にベルトを変えようとした瞬間、体にノイズが走ると変身が勝手に解除されてしまった。

 

「な…何で変身が勝手に…!!」

 

そこで一誠の方を見れば、向こうも変身が解けていた。

 

「イッセー!!どうなってんだ!?」

 

「俺にも分からない!!急に変身が…!!」

 

「二人とも!!」

 

俺達を心配して響さん達がこちらに向かって来る……しかし、空間全体にノイズみたいなのが走ると彼女達の動きが止まった。いや、それだけでなく俺とイッセー以外の全てが止まっていた。

 

「これは…!!」

 

「どう?楽しんでくれてるかな♪」

 

「「ッ!?」」

 

そこに新たな声が聞こえ、振り返ると中学生くらいのポニーテールの女の子が笑顔で立っていた…この時間停止の影響を受けずに。

 

「これはお前の仕業か…!!」

 

「そう、この私…タイムジャッカーの【ストゥーム】のね♪」

 

「タイムジャッカー?」

 

俺は持ちうるライダー知識を総動員するが、タイムジャッカーという単語には聞き覚えがなかった。

 

という事は、この敵は俺が死んだ後にテレビもしくは映画で放映されているライダーの敵という事になる。

 

「何が目的だッ!?」

 

「別に…アンタ達には特に何も?まあ、全く関係ない訳じゃないけどね。」

 

「?おい、もっと解りやすく言え!!」

 

「やだよ面倒くさい…」

 

ストゥームはそこで指をパチンッと鳴らし、周りに大量のライオトルーパーを召喚した。

 

「なッ!?」

 

「マジかよ…!!」

 

「アンタ達がライダーの力を取り戻すには、ここにいる【アナザーライダー】を倒す必要があるの。ただし、同じライダーの力じゃなければダメージは与えられないけど♪」

 

「それ、殆ど詰んでるじゃねぇかッ!!」

 

「その通り!!後は頑張ってね♪」

 

そう言ってストゥームは消え、時間も動き出した。

 

「イッセー!!タケル君!!…って敵増えてるッ!?」

 

そして響ちゃん達が俺達を守るように前に立った。

 

「待てッ!!そいつらはライダーじゃなければ…!!」

 

イッセーがそこまで言った時、空に穴が開き白と赤の空を飛ぶ巨大バイクみたいなのが2台出てくるとライオトルーパー達とアナザーライダーを体当たりで吹き飛ばした。

 

「うええええッ!?今度は何ッ!?」

 

驚く響ちゃんにその2台が地面に着陸し、ハッチを開くと白い方からは中学生くらいの茶髪の少年が、赤い方からは黒髪をサイドテールにした少年と同年代くらいの少女が出てきた。

 

「あっぶね~…ギリギリセーフだったぜ…なあ【ルエ】?」

 

「全く、【キョーイチ】がご飯6杯も食べるから…」

 

「だってご飯は俺のエネルギーの源だからな!!」

 

「はいはい…さっさと倒すわよ。」

 

そう言うと、二人は同じベルトを取り出した。

 

「お前達は…?」

 

「すみませんおt……おっと危ない危ない…こちらも制約が多くて、この戦いが終わったら少しだけ話「悪ィけど話は後でな、おy…」ってアンタは何口走ろうとしてんのよッ!!!!」

 

「ぶごあッ!?」

 

少女の言葉に何か色々と縛りがありそうだったけど、少年の方が何かを暴露しそうだったのか、鋭い蹴りが的確に少年の脇腹に抉り込んだ。

 

うわぁ…すげぇ痛そう……

 

「うおおお…!!何すんだよ!!」

 

「アンタが禁則事項を破ろうとしたからよッ!!たく…いいからさっさと立ちなさい。」

 

「まだ痛ぇ…でも、こんなのへいきへっちゃらだね!!」

 

「そーですか…」

 

蹴られた箇所を押さえながら立ち上がった少年は、少女と一緒に持っていたベルトを装着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No side

 

『『ジクウドライバー!!』』

 

少年【キョーイチ】と少女【ルエ】が腰に付けたベルトから音声が聞こえると、キョーイチは白い懐中時計型のアイテム【ジオウライドウォッチ】を、ルエは赤いライドウォッチ【ゲイツライドウォッチ】を右手に持って縁を90度回して上部のボタンを押す。

 

『ジオウ!!』

 

『ゲイツ!!』

 

それをドライバーの右端に取り付けると、ベルト上部のスイッチを叩きロックを外し、キョーイチはアナログ時計のエフェクトをバックに左腕を右上に右手を右腰に持っていき、ルエはデジタル時計のエフェクトを背後に両手を前に突き出したら大きく時計回りに回しドライバーを包む様に持つ。

 

そして叫ぶ、己を強くする言葉を…

 

「「変身ッ!!」」

 

同時にキョーイチは左手で、ルエは両手を左右に広げながらベルトを反時計回りに一周させた。

 

『『ライダータイム!!』』

 

すると古時計の鐘の音と共に電子音声が聞こえ、二人の全身を【ジクウマトリクス】と呼ばれるライドウォッチのデータを実体化したものが包み、キョーイチは黒と銀、白のスーツに、ルエは赤と黄色と黒のスーツに身を包み、最後に顔に複眼が付くが、それは一同を唖然とさせるものだった。

 

「………………何だ、あの顔?」

 

「自己主張激しすぎだろ…」

 

「目力が半端ないわ…」

 

「切ちゃん見て、黒いライダーの顔にマゼンタ色のカタカナで【ライダー】って書いてある…」

 

「赤い方は黄色のひらがなで【らいだー】デスよ…」

 

そう、複眼の形がライダーとらいだーの文字になっているのだ。因みに額には小さく【カメン】と書かれているので、繋げればまさしくカメンライダーになる。

 

『カメンライダ~ジオウ!!』

 

『カメンライダーゲイツ!!』

 

「音声もまんまじゃん…」

 

「「見た目と音声は気にしない!!」」

 

タケルのぼやきに二人はそう返し、まずは大量にいるライオトルーパーへと向かっていく。

 

「最初は雑魚掃除だ!!」『ジカンギレード!!ケン!!』

 

「ええッ!!」『ジカンザックス!!You!!Me!!』

 

「おい、電子音声の発音…」

 

「ジオウの武器に【ケン】って書いてあるデス」

 

「ゲイツは【ゆみ】だね…だからYouとMe?」

 

そんなツッコミ所満載なライダーにいつもは興奮を覚える調と切歌の特撮大好きコンビも驚きからすぐに脱せずにいた。

 

「オリャリャリャリャリャリャリャッ!!」

 

「ふッ!!はあッ!!」

 

だが、戦闘力は本物でライオトルーパーの部隊をアッサリと半数にしてしまった。

 

「だが…やる!!」

 

「見た目で判断すんなってか?」

 

「ルエッ!!【アレ】を使うぞ!!」

 

「ええッ!!」

 

ジオウの言葉にゲイツは右腕にあるホルダーから黒と銀のライドウォッチ【ファイズライドウォッチ】を、ジオウは白とオレンジのライドウォッチ【フォーゼライドウォッチ】を取り外し、起動させる。

 

『フォーゼ!!』

 

『ファイズ!!』

 

それをドライバーの左端に取り付け、ロックを外し一周させる。

 

『ライダータイム!!カメンライダ~ジオウ!!』

 

『ライダータイム!!カメンライダーゲイツ!!』

 

そこまでは変身の時と同じだったが、彼らの後ろに人型の何かが現れる。

 

『『アーマータイム!!』』

 

するとその音声の後、人型がバラバラになると各々の体に次々と装着されていき、ジオウは白とオレンジの体に両手にロケットを装備し、背中や足にはブースターの噴射口が付いた姿に、ゲイツは黒と銀の鎧に肩にはガラケーのアーマー、そして所々に赤いラインが入った姿となる。最後に複眼がジオウは【フォーゼ】に、ゲイツは【ふぁいず】と変わる。

 

『3!2!1!フォーゼ!!』

 

『COMPLETE!! ファイズ!!』

 

「鎧を纏ったッ!?」

 

「フォーゼにファイズ……確か、タケルのライダー眼魂にも似たのがなかったか?」

 

「ああ…特徴を見ても間違いない。」

 

「宇宙…キタデーーーーーーーーーースッ!!!!」

 

「…私には夢はない、でも…夢を守る事は出来る!!」

 

「コイツらはま~た何か受信しやがって……」

 

調と切歌の言葉にクリスは諦めのため息を吐く。そんな間にもジオウは両手のロケットのブースターを吹かし、加速させたパンチでライオトルーパーを殴りまくる。

 

「オリャアァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

「全く、相変わらず力任せなんだから…」

 

5・5・5・ENTER『Ready Shot On!!』

 

そんなジオウを見て呆れつつ、ゲイツは普段でも使えるアイテム【ファイズフォンX】に何かを入力すると、体の赤いラインに右腕に向かっていく光があり、右手に着くとそれはデジタルカメラ型の打撃武装【ファイズショット】になり、近くにいたライオトルーパーの顎を正確にアッパーで捉えて体を浮かせ、正面にきた鳩尾に全力の一撃を加えて粉砕する。

 

「よっし!!ここらで一丁、必殺技だ!!」

 

『フィニッシュタイム!!フォーゼ!!』

 

「そうね、雑魚と戦うのも疲れるし。」

 

5・5・5・ENTER『Ready Pointer On!!』

 

『フィニッシュタイム!!ファイズ!!』

 

ゲイツはファイズフォンXを操作して今度は右足に【ファイズポインター】を装備し、二人はベルトのライドウォッチの上部ボタンを押し、ロックを外して一周させる。

 

『リミット!!タイムブレイク!!』

 

『エクシード!!タイムバースト!!』

 

するとジオウはその身を小型のロケットに変えて飛び上がり、ゲイツは腰だめに構え右腕を右膝に乗せながらラインを通してポインターにエネルギーが送られてくるのを待ち、貯まった瞬間ジャンプして前に回転しながら両足を揃えてライオトルーパーへと向けポインターをセットする。そしてその中へと蹴りの体勢で飛び込み、ライオトルーパー達を貫き倒す。そしてジオウは…

 

「ロケットきりもみキィィィィィック!!」

 

全身をロケットみたくして足だけ伸ばし、きりもみ回転しながら両足キックを次々と叩き込んでいった。

 

「よっしゃあ!!」

 

そして着地しながらガッツポーズを決めた。

 

「なによ、いまの?」

 

「え?きりもみキック。」

 

「ゲイツの技はカッコいいけど…」

 

「ジオウの方はコレじゃない感が半端ねぇデスよ…」

 

これでライオトルーパー達は全滅し、残るはアナザーライダーだけとなる。

 

「さて…後はアイツらだけね。」

 

「つーか、その力を悪用するとか…マジでムカつくぜ…!!」

 

ジオウとゲイツは左端のライドウォッチを取り外し、最初の姿に戻るとまた新たなライドウォッチを手にする。

 

ゲイツは黒とオレンジの、ジオウは水色と黄色で左側にレールの付いたライドウォッチだ。

 

「でもアイツらを倒すには、俺とタケルの力が必要なのに…」

 

「どうするつもりだ…?」

 

二人は縁を90度回し、ライドウォッチを起動させる。

 

『コウリュウ!!』

 

『ゴースト!!』

 

「「へあッ!?」」

 

そのライドウォッチから聞こえる音声に一誠とタケルは変な声を上げる。彼等が自身の力を持っているとは思わなかったからだ。

 

そのライドウォッチをジクウドライバーにセットし、ロックを外して一周させる。

 

『ライダータイム!!カメンライダ~ジオウ!!アーマータイム!! Remote!! コウリュウ!!』

 

『ライダータイム!!カメンライダーゲイツ!!アーマータイム!!カイガン!!ゴースト!!』

 

そしてアーマーを纏うとジオウは全身が銀と金になり、両肩にはメイルバイザーを模したアーマーを装着、顔はスリット状の鉄仮面に【コウリュウ】と複眼が変わった姿に、ゲイツは黒とオレンジの鎧に両肩には大きな眼魂を担いだ鎧になり、顔は【ごーすと】とひらがなの複眼になる。

 

「マジで俺たちの力かよ…」

 

「何で見ず知らずのヤツが俺達の力を?」

 

「「はッ!?…今何かティンときた(デス)!!」」

 

「え?何がきたの?」

 

調と切歌は再び何かを受信したのか、軽く咳払いすると右手に本を持つような仕草の後…

 

「さあ祝うデス!!全ライダーの力を受け継ぎ…!!」

 

「時空を越え、過去と未来をしろしめす時の王者…」

 

「「その名も【仮面ライダージオウ・コウリュウアーマー】!!また1つ、ライダーの力を継承した瞬間である(デス)!!」」

 

「…………この子達、しばらくテレビ禁止にした方が良さそうね…」

 

「「それだけは平に御容赦を…!!」」

 

やりきった感を醸し出す二人だったが、マリアの呟きに素早く土下座した。

 

「さあッ!!いくぞ!!」

 

「ええッ!!」

 

アナザー光龍へと駆け出すジオウ。ゲイツも両手で印を組み、パーカーゴースト達を呼び出しアナザーゴーストを同時に攻め立てる。

 

「オラオラオラオラオラァッ!!」

 

「グゥッ!?」

 

ジオウは殴りかかってきたアナザー光龍の右腕を抑え、ジカンギレードで何度も切り裂き、最後は腕を離し上段からの一閃で大量の火花を散らさせる。

 

「お前には俺の全力をぶつけてやる…!!」

 

『ガングニール!!』

 

そこに新たなライドウォッチを取り出し、コウリュウライドウォッチのレールに取り付ける。

 

『フォームベントタイム!!ガングニ~ル!!』

 

すると、両腕と両足のアーマーが響のガングニールと同じ形状に変わり、首の後ろからは二本のマフラーが伸び右肩のメイルバイザー状のアーマーの目の部分に【ガングニール】と追記される。

 

「あれって……私のガングニールッ!?」

 

「俺のフォームチェンジまで再現出来るのか…」

 

「ゼリャアアアアアアアアッ!!」

 

アナザー光龍の懐にジオウは飛び込むと、右腕のバンカーが自動で伸び拳を叩き込むと同時に戻り、衝撃も打ち込まれる。

 

「自動で衝撃ブチ込むとか…えげつねぇ…」

 

そんな拳を何度もアナザー光龍にお見舞いしてる頃、ゲイツの方もアナザーゴーストを圧倒していた。パーカーゴースト達が体当たりで隙を作り、そこにゲイツが拳や蹴りを当てていき、反撃を喰らいそうになるとパーカーゴーストがそれを防ぐなど、反撃を数の利と連携で潰しどんどんと攻め立てていく。

 

「せやッ!!」

 

「ウゴォウッ!!」

 

アナザーゴーストの腹に蹴りを喰らわせ、距離を取るとライドウォッチのボタンを押す。

 

『フィニッシュタイム!!ゴースト!!』

 

そしてドライバーを一回転させて必殺技を発動させる。

 

『オメガ!!タイムバースト!!』

 

それに合わせて背後に眼の紋章が浮かび、それを右足に集めつつ両手で印を組む。

 

「命……燃やすわッ!!」

 

集束が終わると同時に飛び上がり、ライダーキックをアナザーゴーストに喰らわせ、耐えきれなかったアナザーゴーストは爆散する。

 

「こっちも決めるぞ!!」

 

『フィニッシュタイム!!コウリュウ!!ガングニール!!』

 

そしてジオウも同じ様にして必殺技を発動させる。

 

『ファイナル!!タイムブレイク!!フィスト!!』

 

すると左腕の籠手が右腕に移り、2つが高速で回転を始めてドリルの様な形になり、背中に生えた光の翼で飛翔すると右腕を前に突きだしてアナザー光龍へと突撃する。

 

「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

その拳はよろめいていたアナザー光龍に命中し、一気に体を貫いて爆散させた。

 

「シャアッ!!やったぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかお前達が未来から来たとは…」

 

「電王もデンライナーで時間移動出来るから、仮面ライダーなら不思議じゃないな…」

 

あれから一誠達は無事に力を取り戻し、突如やって来たライダーの二人に話を聞いていたが、その正体は未来からやって来た人物だったのだ。

 

「未来って事は……もしかして、アタシ達の未来を知ってるデスかッ!?」

 

「…それは是非聞きたい。私と切ちゃんが仮面ライダーになれてるかどうかとか…」

 

「すいません、未来の事を教えるのはタブーなので無理です。下手をすると未来が変わってしまうので…」

 

「だそうだ、諦めろバカども。」

 

「バカって何デスかッ!!クリス先輩!!せめてバカの前に特撮を付けてほしいデスよ!!」

 

「…………お前はそれでいいのかよ…」

 

「しかし今回はそなた達のお陰で助かった。改めて礼を言うぞ。」

 

「いや、アレは俺達の敵だからッ!?寧ろ迷惑掛けちまったっていうか…」

 

「でもお前達の力で助かったのは事実だもの、素直に受け取っておきなさい。」

 

「はあ…………やっぱマリアさんは、俺達の時代と変わらず優しいぜ…」

 

そんなこんなで話し込んでいたら、時間が経っていたので二人は帰る為に来たマシン【タイムマジーン】の前に立った。

 

「今回はご迷惑をお掛けしました。」

 

「こんなことはもう無い様にすっからよ。」

 

「まあ、せっかくの縁だ…また来たければ来ればいい。俺たちは歓迎するからさ。」

 

「でも…」

 

「子供が遠慮すんなって。」

 

一誠の言葉に迷った様な顔をするルエに、タケルは近づくとその頭を撫でた。

 

「あ……」

 

「別に今回のはお前達のせいでも無いし、逆に俺達を助けてくれた恩人なんだ。気にしなくていい。」

 

「あ~ッ!!タケル先輩が未来の女の子を口説いてるデスッ!!エルナに言いつけてやるデス!!」

 

「違うわッ!!変な事言ってんじゃねえッ!!てかエルナには言うなよ、マジで!?」

 

「…………フフ…とにかく、私達はこれで失礼します。それでは失礼しました。」

 

「まったなー!!」

 

タイムマジーンに乗り込んだ二人はそのまま時空のゲートを開け、そこに入っていき元の時間へと帰っていった。

 

「行っちまったか…」

 

「まあ、また会えそうな気はするけどな…」

 

「確かにな…」

 

そこで一誠は首を捻っている響を見た。

 

「どうした響?」

 

「いや、あの二人…誰かに似てる様な気がして…気のせいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キョーイチside

 

タイムマジーンの中、元の時間に戻るまで暇だった俺はルエと通信で話していた。

 

「いやー、まさか本当に会えるとは思わなかったぜ…」

 

『出てきたアナザーライダーがアナザーライダーだから、私は会えると思ってたけど…』

 

「しかし本当に若かったな……()()()…」

 

『ええ……優しくてカッコいい所は変わらないけど。頭撫でてくれた感じも同じだったもの。』

 

「出た、ファザコン発言…」

 

『うっさい、誰がファザコンよ。』

 

「お前以外に誰がいるんだよ。」

 

『フン…ファミコンのアンタに言われたくないわよ。』

 

「家族大好きで悪いか、コノヤロー。」

 

『悪くないけど、尻にコントローラー挿してピコピコ操るわよ?』

 

「そのファミコンは違うだろッ!?」

 

『ほら、そろそろ着くわ。準備しなさい。』

 

「わーてるよ!!」

 

さて、俺達は俺達の時間を守りますか!!親父やお袋が守ってきた未来を……アザゼルじいちゃんがくれたこのジオウで!!




いかがでしたか?

久々だからキャラの性格が思い出しきれない……調と切歌は簡単に思い出せたけど。

こちらもゆっくりとですが、更新を始めていきます。もし、待っていてくれる人がいたら楽しみにしていてください。


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旧校舎のディアボロス
プロローグか?これ?


初作品なのでお手柔らかにお願いします。


「やっぱり気味悪いわ‼」

 

なんで…

 

「こっちに来るな‼」

 

なんで…

 

「二度と家に近づくな‼」

 

なんでだよ…

 

俺が何をしたってんだよ…

 

「お前なんて家族でも何でもない‼とっとと出ていけ‼」

 

やめろ…

 

「お前に食わせる物なんかねぇ!さっさと消えろ‼」

 

やめろ…!

「お前なんか早く死ねよ‼化け物‼」

 

 

ヤメロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ‼‼‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『主‼』

 

「ハッ‼‼」

 

今のは……

 

『大丈夫ですか!?主‼』

 

「あぁ…」

 

また、あの夢か……

 

『ご無理なさらないで下さい。もう少し休まれては?』

 

「いや、問題ないから心配しなくて良いよ。」

 

時計を見ると朝の4時過ぎか……

 

『いつものトレーニングですか?』

 

「今からやれば、登校までの余裕が多くなるからな。」

 

朝飯を豪華にするか弁当を作るか悩むな。

 

『私はお弁当の方に賛成です。“彼女”の分も作られては?』

 

別に良いが、アイツももう少し料理を覚えてほしいぜ…。

 

ジャージに着替えたら、俺はランニングをしに外に出て、桜が散り初めている通りを一定のペースで走って行く。

 

『主の体力もだいぶ上がってきてますから、トレーニングメニューを更新した方が良いですね。』

 

「なら、今日の夜にでも考えるか。」

 

『お任せください、主の支えになる事こそが私の本懐ですので。』

 

「ありがとな、“メイル”。」

 

さっきから話している相手はメイル。俺の中にある神器に宿っているドラゴン?らしい。

 

『主!?まだ信じていただけないのですか!?』

 

「だってこの目で見てないから。」

 

『精神世界で何度も御見せいたしてますが!?』

 

「あそこは夢の中みたいな場所だからダメ。」

『そうなのですか!?』

 

やっぱりメイルをからかうのは愉しいな~♪

 

『そういえば、そろそろ彼女が来る頃ですよ。』

 

「もうそんな時間か。」

 

ランニングを終えて、アパートに着いた俺は朝飯と弁当を作ろうと自分の部屋に入ったら

 

「あっ!お帰りなさい‼朝御飯出来てますよ。」

 

そんな声が聞こえたので、台所に行くと一人の女性がいた。

 

「どうやって部屋に入ったんだ、エルナ?」

 

彼女はエルナ・リーリス・ディーンハイムといって、俺に“仕事”をくれる組織の人でサポートをしてくれる俺の仲間だ。

 

「これを使いました‼」

 

そういって、先端が幾重にも曲がった針金を二本出した。

 

それを見た瞬間、俺は彼女の左右のこめかみに拳を押し付けグリグリとまわした。

 

「ピッキングしてんじゃねェ‼‼」

 

「アゥゥゥ‼ず~び~ば~ぜ~ン~ッ‼‼」

 

それを一分ほど続けてから、彼女を解放した。

 

「まったく、これで俺より年上とか信じられねえな。」

 

「うぅ~、頭がクラクラします~。」

 

そのまま朝食を食べ、登校の準備を初めていると

 

ピンポーン

 

インターホンが鳴った。

 

「エルナ!今着替え中だから出てくれ‼」

 

「了解です。はぁ~い、どちら様ですか~?」

 

エルナが対応している間に着替えと学校の準備を終えてリビングに行くとエルナと一緒に朝飯を食べている少女がいた。

 

「あっ!お邪魔してま~す‼(モグモグ)」

 

「何やってんだ、“響”」

 

「朝御飯食べてます‼」

 

彼女は“立花 響”。少し前にあった事件で助けた子で今は俺の仲間の一人だ。ちなみにさっきのメイルとの会話で言っていた“彼女”は響の事だ。

 

「食ってなかったのか?」

 

「食べて来たけど、エルナさんの作ったのを見たらお腹空いちゃって。」

 

「ハァ~、ホラさっさと行くぞ。」

「チョ‼待ってよ~‼」

 

俺がさっさと玄関に向かうと響が慌てて追いかけてきた。

 

「気をつけて下さいね~。」

 

 

 

 

 

俺と響が通っているのは私立駒王学園といって最近までは女子高だったが共学に変わった学校だ。

 

「そういえばイッセー?」

 

「どうした?」

 

「読者の人に自己紹介した?」

 

「アッ‼忘れてた‼」

 

『主はたまにうっかりしてますよね。』

 

うるさいな‼朝から色々あって忘れてたんだよ‼

改めて俺は“龍見 一誠”駒王学園に通う学生だ。ある事情で前の名字は捨てて今の名字を名乗っている。

 

仲間は響とエルナの他に六人いて、その内二人はユニットを組んで音楽活動をしていて、最近は単独ライブをするほど人気になっている。

 

「こんなモンかな。」

 

「良いんじゃない?」

 

メタ的な会話をしていると

 

「「イッセー先輩‼響先輩‼」」

 

呼ばれたので振り向くと金髪ショートカットで元気そうな女の子“暁 切歌”と黒髪ツインテールでおとなしそうな女の子“月読 調”がいた。

 

「ん?あぁ調に切歌か。」

 

「二人とも、おはよー‼」

 

「おはよう…ございます。」

 

「ゴキゲンようデ~ス‼」

 

この二人も響と同じ事件で助けた子達一年下の後輩だ。

「相変わらず二人仲良く登校か?」

 

「もちろんデス‼」

 

「…当然。」

 

そのまま四人で雑談しながら登校していると前からハゲの元浜とメガネの松田、通称“変態二人組”が全速力でこっちに向かってきた。

 

「「イッセェェェェェェェ‼‼覚悟しろォォォォォォォォォォ‼‼」

 

「…また来た。」

 

「懲りないデスね。」

 

「アハハ、悪い人達じゃないんだけど…」

 

「メンドくせぇ、三人とも下がってろ。」

 

響達を後ろに下げ、俺は拳を構えた。

 

「「必殺‼‼“浜松ラリアット”‼‼」」

 

「奥義‼ア○パンチ‼」

 

「バ○バイキンッ‼」

二人のラリアットが迫って来るが、それより先に俺は拳を松田の顔面に叩き込んだ。

 

「マ、松田アァァァァァァァァァァァ‼」

 

元浜がぶっ飛んだ松田を追いかけ行くのを確認した俺らはそのまま学園に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

響Side

 

どうも皆さん初めまして‼立花 響です‼

 

登校時に変態二人組に絡まれたけどイッセーが対応したので問題ナシです。

 

「あっそういえばイッセー。」

 

「なんだ?」

 

「ハイ!コレ渡しとくね‼」

 

「コレは?」

 

「私が作ったお弁当です‼」

 

「おっサンキュー‼エルナが食材使っちまったから食堂か購買かで迷ってたんだ。」

 

アレ?それってもしかして…

 

「お前の朝飯分だ。」

 

「心読まれたッ?!そしてごめんなさ~い‼」

 

「良いさ、後でエルナに買い物頼んどくからさ。」

 

エルナさん御愁傷様…イッセーの事だから安売りのお店はしごする事確定だね。

 

イッセーは組織から依頼を受けて稼いでるみたいだけど、なるべく安くして私達に奢ってくれたりしてるからね。

 

「それに、朝からいるって事は依頼があるって事だからな。」

 

それを聞いて私達は真面目な表情になる。

 

「また、“はぐれ悪魔”が出たってことかな?」

 

「たぶんな。」

 

「無茶だけはしないでね…」

 

「わかってるよ、心配すんなって。」

 

私の不安を払いのけるようにイッセーが頭を撫でてくる。こうされると不安がどんどん消えていくから不思議だな……

 

「見てください調さん、学校の前でイチャイチャしているカップルがいるデスよ。」

 

「…朝からお盛んな事ですね。」

 

後ろで後輩二人が何か言ってるけど、キコエナイ キコエナイ。

 

 

 

 

 

一誠side

 

午前中の授業が終わり、昼休みになり俺と響は屋上にいる。

えっ?学園到着から時間が飛びすぎだと?授業内容を小説に書いて誰がよろk『主、メタ発言はお止めください。』アレ?メイル居たの?

 

『その返しはあんまりですよ‼‼』

 

「イッセー、メイルちゃんをイジメたらダメだよ。」

 

響に怒られるがこれは俺の楽しみの一つだ。簡単には止められない。

 

「…いくら屋上でも誰かに聞かれたらマズイよ?」

 

「独り言喋ってる変質者にしか見えないデス。」

 

いつの間にか調と切歌も屋上にいた。しかし、それは不味いな、皆の迷惑になるなら今は止めるか。

 

『つまり、帰ったらまた続けるということですね‼‼』

 

そうともいうな。

 

「あれ?皆ここだったんだ。」

 

「んっ?」

 

「あっ!未来~‼」

 

屋上に新しく来たのは“小日向 未来”俺の仲間で響の大親友だ。そして、仲間内では一番頭が良いのでテスト前は響共々よく世話になっている。

「未来はどうしてここに?」

 

「響がどうなったか気になっちゃって。」

 

「「…どういう事(デス)?」」

 

調と切歌が同時に首を傾げていた。

 

「響がイッセー君に作ったお弁当、私が響に教えてたんだよ。」

 

「そうだったのか。」

 

道理で、普段料理をしない響が弁当なんて持ってきたわけだ。

 

「チョッと未来?!なんでバラすの?!」

 

「でも、私は手を出してないから、正真正銘響の手作りだよ。」

 

「スルーされた上にハードルまで上げられた‼‼」

 

この二人の漫才は置いといて、弁当箱の蓋を開けた。

 

「おぉ、旨そうだな。」

 

中にはミニハンバーグとエビフライに茹でたブロッコリーとアスパラのベーコン巻き、そして黒ごまのかかったご飯が綺麗に並んでいた。

 

『これは、美味しそうですね。』

 

俺はまず、ベーコン巻きを食べてみた。

 

「うん‼美味い‼‼」

 

「やった‼」

 

「良かったね、響。」

 

焼き具合や味付けも俺好みになっていて、箸が止まらなくなりそうだ‼

 

『主、10時の方向から来ます。』

 

メイルの言葉に従い、弁当箱を少しずらすと箸が弁当のあった場所に伸びてきた。

 

「くッ!?避けられたデスか‼」

 

「…惜しい。」

 

箸を伸ばしてきた犯人、切歌と調は悔しがりながらもまだ弁当をロックオンしていた。

 

「渡しはしないぞ?」

 

「ならばッ‼力づくで‼」

 

「…奪い取るのみ‼」

 

そのまま弁当争奪戦になりそうだったが

 

「三人共、食事中になにアソンデイルノカナ?」

 

「「「申し訳ありませんでしたァァァァァァァァァァァ‼‼」」」

 

未来さんがキレそうになったので、三人揃ってすぐさま土下座した。キレた未来はマジで恐いんだよ‼プライド!?なにそれ、生きていくのに必要なの?

 

『少なくとも多少は必要かと。』

 

 

キングクリムゾン‼

 

 

 

やっと放課後になったか~。つまらない授業から解放されるこの瞬間が堪らないんだよな。

 

「さて、響~‼一緒に帰ろうぜ‼」

 

「OK~‼今行く~‼」

 

今日は買い物はエルナに押し付けたからデートでもしようかね‼と思っていたら

 

《メールダヨ!メールダヨ!》

 

「何だよ!こんな時に!」

 

直ぐにメールの内容を確認したら、面倒な内容に思わずため息をついた。

 

「お待たせ~‼アレ?どうかしたの?」

 

帰る準備が終わった響がこっちに来たが俺の顔を見て不思議そうに尋ねた。

 

「オッチャンから《今から来い‼》だってさ。」

 

「ありゃ?そうなの?」

 

「ああ、だから今日は遊べないな。」

 

せっかく、響とデートしようと思ったんだけどな。

 

「だったら、私も一緒に行くよ。」

 

「良いのか?別に気にしなくても良いんだぞ。」

 

「私が一緒に行きたいだけだから。」

 

「わかった、ならエルナに転移させてもらうか。」

 

「そうと決まれば、レッツゴー‼」

 

 

 

 

俺達がオッチャンの所に行くときはいつもエルナに転移を頼んでいる。

 

理由としては俺の仲間全員が魔力が低いからだ。だって悪魔でも天使でも堕天使でもないのにそんな力があるわけがない。

 

だがエルナは、特殊な家系で元から魔力が多く、また魔力が低い奴でも転移できるアイテムを開発した。

 

お陰で俺らも転移できるが、運悪く今は手持ちがないのでエルナに頼む事にした。

 

「お二人共、お待ちしてました。」

 

我が家の前に着くと既にエルナが待っていた。足下に大量のビニール袋が有るのは頼んでいた買い物の帰りだったのだろう。

 

「早速だけど、頼んでいいか?」

 

「お任せください。向こうで転移アイテムの補充も有りますので。」

 

「了解。買い物ありがとな。」

 

「次からはもう少し減らして欲しいです…」

 

「食材使いきったお前が悪い。」

 

「ずびばぜん~。」

 

反省してるみたいだし、これ以上イジるのは止めとくか。

 

「イッセー。そろそろ行こうよ。」

 

「そうだな、頼むよエルナ。」

 

「了解です‼向こうに着いたら“姉さん”と“義兄さん”に元気でやってると伝えてください。」

 

そして、俺達はオッチャンがいる場所に転移した。




最後まで見てくれてありがとうございます。
完結出来るように、そして皆様に楽しんでもらえるように頑張ります。


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この戦い方はかなりツラい

今回はイッセーの戦闘回です。
見てくれている人の期待に答えられたらいいです。



俺と響はエルナに転移させてもらい所属している組織の建物に来ていた。

 

「相変わらず大きい建物だよね~。」

 

「オッチャンもかなり強いしな。カリスマもあるから人とか集めやすいのかね?」

 

 

「そういえば何処で待ち合わせしてるの?」

 

「確か、入り口にいるはず「イッセー‼響‼此方だゾ‼」この声は。」

 

周りを見回すとツインドリルの赤い髪に、大型のクローを両手に着けた女性が俺達を手招きしていた。

 

「ミカさん、お久しぶりです‼」

 

「オォ、確か久しぶりだゾ‼」

 

響とミカさんが握手しながら両手をブンブン振り回している。良くあれで肩壊さないよな。

 

『今の主ならばあれぐらい耐えられますよ?」

 

イヤ、無理だろ‼なんか残像とか見えてるんだぞ‼

 

それよりも先ずはオッチャンの所にいかないと。

 

「ミカさんがオッチャンの所に案内してくれるんですか?」

 

「そうだゾ‼コッチコッチ~。」

 

俺と響はミカさんの後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばミカさん、また装備変わりました?」

 

「確か前に見た時は髪型がストレートヘアでしたもんね。」

 

オッチャンのいる所は距離があるので俺達は気になった事をミカさんに聞いていた。

 

「確かこのツインドリルがブースターになったって聞いたゾ。」

 

ミカさんはこの会話からわかるように人間ではなく、オッチャンとその奥さんが造り上げた自動人形(オートスコアラー)だ。

 

他にも三人いて、全員がオッチャンの補佐をやっている。まぁ一人だけ性根が腐っているのがいるが…

 

「着いたゾ。」

 

気付けばオッチャンの執務室の前にいた。

 

「ありがとうございます。」

 

「今度来るときはお土産持ってきますね‼」

 

「楽しみにしてるゾ~。」

 

そういってミカさんは帰っていった。

 

「さて、俺達が呼ばれた理由は何かね?」

 

「変な事じゃないと良いけど…」

 

コンコン‼

 

多少の期待と不安を抱きつつ、俺はドアをノックした。

 

「オゥ、入って良いぞ。」

 

中に入ると黒髪に金のメッシュを入れた男性と金髪にスタイルの良い女性がいた。

 

「響も一緒に来たのか?」

 

「この後デートの約束してるんですよ。」

 

「なるほど、仲が良いのは相変わらずか。」

 

響は女性と仲良さそうに話している。この人はキャロル・マールス・ディーンハイムさん。エルナの姉であり師匠だ。昔はかなり有名な“錬金術師”として活躍しており、オッチャンが彼女に一目惚れして猛アピールの末に結婚したのは組織で語り継がれている。

 

「アッチは楽しそうに話しているが、コッチは依頼内容を話すぞ。」

 

俺が頷くとオッチャンが話し始めた。

 

「今回はお前達の住む駒王町に潜んでいる“はぐれ悪魔”の討伐とうちのバカな部下の確保だ。」

 

「その部下は何をやったんだ?」

 

「何もやってないぞ?」

 

「は?」

 

俺の疑問にオッチャンは予想外な答えをした。

 

「正確に言えば、これから何かをするだ。」

 

「つまり、ヤバい事をやりそうと?」

 

「イヤ、内容よりもむしろ場所だ。」

 

「場所?」

 

俺が知っている限りだとそれほど重要な場所なんてあったか?

 

重要な地点は既に色々な勢力が管理しているはずだし…………まさか!

 

「そいつは他勢力の管理地で事を起こす積もりなのか?」

 

「そうだ。」

 

俺の考えをオッチャンは肯定した。何やってんだよソイツは……

 

俺達のいる組織は、過去に大きな戦争をしてかなりの被害を受けたらしい。そのダメージから回復してない時にもう一度戦争になったら直ぐに負ける事は明白だ。

 

「頼む!また戦争になるのは御免だ!!引き受けてくれねぇか?!」

 

オッチャンがここまで俺を、イヤ俺達を信じて頼んでいるのに断る事はしたくないし、俺達にとっては恩人でもあるオッチャンを何とかしてやりたい。

 

だから俺は

 

「わかりました、その依頼を引き受けます。」

 

依頼を受諾した。

 

オッチャンはそれを聞いて安心した顔をしていた。

 

「すまねぇな、コッチのゴタゴタに巻き込んじまって…」

 

「そんn「そんな事ないですよ!!」っと響?」

 

「あなたが死にかけていた私達を救ってくれなかったら、私は今の幸せを掴むことが出来なかった……だから今度は私達があなたを救う番です!」

 

「響……」

 

そうだ、エルナを除いた七人の俺の仲間は昔、天界が起こした非人道的な実験の影響で死にかけ、助け出した俺は何も出来ない悔しさで泣いていたときに手を差し伸べてくれたのがオッチャンとキャロルさんだ。

 

二人のお陰で今の俺達があるんだ。だから返しきれない恩の一つをここで返さないとな!

 

「先ずははぐれ悪魔を先に潰すか。」

 

「なら、私は皆に召集かけてみる。」

 

「あぁ、頼む。」

 

ある程度の役割を決めた後、俺達は恩人二人の顔を見て

 

「「じゃ行ってきます!キャロルさん、アザゼル総督。」」

 

そう言って、部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、家に帰った俺達は今召集できるメンバーを集め、アザゼル総督の依頼について話した。

 

「だったらワタシも頑張るデスよ!」

 

「…私も頑張る!」

 

切歌と調はやる気充分だな。

 

「だったら私はネットに何か情報がないか調べてみるね。」

 

「なら僕は、同じ堕天使の方達に話を聞きに行ってきます。」

 

未来とエルナは既に役割分担を決めたみたいだな

 

「なら俺は、はぐれ悪魔を探しに行くか。」

 

「だったら私はイッセーと一緒に行く!」

 

確かに、万が一を考えると二人一組の方が安全だな。

 

「それじゃ任務中の行動はなるべく二人一組で行う事にする。未来と調、エルナと切歌で情報収集。俺と響ははぐれ悪魔の討伐と分ける。何か意見のある奴はいるか?」

 

その言葉に全員が首を横にふった。

 

「では、行動開始!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

私とイッセーは今、町外れの廃ビルに来ています。アザゼル総督から先程連絡がありこの廃ビル近辺に潜んでいると情報があったからだ。

 

「そういえばはぐれ悪魔の名前って何だっけ?」

 

「確か、バンパーじゃなかった?」

 

「いや、バイパーだったと思うんだけど?」

 

『お二人共、違いますよ。バンカーですよ。』

 

「「それだ‼」」

 

そんな緊張感の欠片もない会話をしていたら、

 

「バカな人間がまた来たぞ。ウマイのかな?ニガイのかな?」

 

上半身が裸の女、下半身が蜘蛛のような化け物が現れた。

 

「『「出たな‼バンカー‼」』」

 

「バイザーだッ!!」

 

「『「あれ?」』」

 

その場に微妙な空気が流れた。

 

「オイッ!メイル!全然違うじゃないか!?」

 

「そうだよ!メイルちゃんを信じていたのに…」

 

『お二人も間違っていましたよね!』

 

「「さて、何の事やら…」」

 

『しらばっくれないでください!!』

 

「いつまで遊んでいるつもりだキサマラァァァァァァァァァァァ!」

 

私達のやり取りにキレたバイザーが両手に槍を持って向かってきた。

 

「響は下がってろッ!」

 

イッセーの言葉に従い私は近くの瓦礫の陰に隠れてイッセーの戦いを見ていた。

 

「死ねェェェェェェ‼」

 

バイザーは槍を振り回すが頭にキているのか滅茶苦茶に振るう槍はイッセーに掠りもしなかった。

 

「どうした?それがお前の全力か?」

 

「嘗めるなァァァァァァァァァァァ‼‼」

 

イッセーの挑発に簡単に引っ掛かるあたり、冷静な判断力はもうなさそうだね。

 

「そろそろ出番だぜ!メイル!!」

 

『承知しました‼』

 

メイルちゃんの声にあわせて、イッセーの手に一振りの金色の剣が握られていた。

 

これがイッセーの神器解放龍の剣(リモートエッジ)だ。

 

「その剣は……」

 

バイザーも知っているみたいだけど、私の予想とは違い顔がにやけている。

 

「お前は知っているんだな…この神器を…」

 

イッセーの言葉にバイザーは堪えきれなくなったのか大声で笑い始めた。

 

「アハハハハハハハハハハッ!!知っているとも!その剣では敵を倒す事など“不可能”だ!!」

 

私はその言葉に疑問を感じた。イッセーは今までその神器で勝利してきたのに…

 

「なら、無知な俺に詳しく教えてくれませんかね?」

 

「 知らないのか?なら教えてやろう。その神器は何も“斬れない”んだよ!」

 

どういう事?斬れないなら私が今まで見ていたものは何なんだろう?

 

「冥土の土産だ。その神器はサポート系の神器で斬った相手の呪い等を解除するものなのさ!その上その剣は物には効くが、生命体の体はすり抜けていくから物理的に斬る事も出来ないのさ!!」

 

そういえば、昔は私達もアレでよく解呪してもらってたなぁ。それに傷つかないから不思議に思ってたけどそういう事だったんだ。

 

「つまり、それでいくら私を斬っても元気になるだけで勝つ事などあり得ないんだよ!」

 

そう言って、バイザーはイッセーに突進していくが、イッセーはポケットから一つのお守りを取り出した。

 

「残念ながら、勉強不足だな!」

そのお守りを神器に触れさせると

 

『Remote!』

 

メイルちゃんの声に似た音声が聞こえた。

 

「今さら悪あがきをォォォォ!!」

 

バイザーは槍を振り下ろすが、イッセーは神器でその一撃を受け流しながら近づき右腕に剣を振るった。

 

ザシュ!!

 

そんな音と同時にバイザーの腕に一筋の傷が出来た。

 

「なっ!?」

 

バイザーが驚いている間に左腕にも剣を振るい、傷を付けた。

 

「なっ何故だ!?その剣で私を切ることなんて出来るはずが?!」

 

「教えるわけないだろ、それに…」

 

バイザーの前に立ち、剣を高く掲げた。

 

「これで終わりだッ!」

 

そして、一気に振り下ろしてとどめを指そうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキンッッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、切り裂くどころか傷一つ付けられなかった。

 

「んなッ!?」

 

「隙ありだッ!!」

 

「グハッ!!」

 

怯んでいたイッセーはバイザーの蹴りを喰らい壁に叩きつけられた。

 

「イッセーッ!?」

 

私はイッセーに駆け寄ろうとしたが、彼は直ぐに立ち上がった。

 

「くゥ~ッ!効いたぜ今の一撃!」

 

格好つけているけど、人の身で人外の一撃を喰らうのはかなりキツいはず…

 

「クククッ!成る程な、そういう事か。」

 

バイザーは勝利を確信したかのように笑っていた。

 

「お前、魔力がかなり低いんだな!それも赤ん坊以下だ!」

 

その言葉にイッセーは悔しげに拳を握り締めた。

 

「その程度で私を倒す?とんだ笑い話だな!」

 

コイツの言葉に私は怒りを覚えた。

 

「いったい何を守ってたんだ?何回守れたんだ?」

 

イッセーの努力を知らないで…

 

「そもそも、守る事ができたのか?」

 

イッセーの悲しみを知りもしないで…

 

「今まで何回周りを見捨ててきたんだ?それで生き残ってきた気分はどうだ?アハハハハッ!!」

 

コイツは絶対に倒す!

「イッセーッ!コイツはわたs「そうだな、確かに俺は弱い。」イッセー?」

 

私はイッセーに変わって戦おうとしたが、彼の言葉に動きを止めた。

 

「ほぅ、認めるのか?」

 

「事実だからな。俺は仲間がいないと何にも役に立たないぜ?」

 

「なら、此処でさっさと死n「でもな!!」ッ!」

 

「今の俺には守りたい仲間と、いつまでも一緒に歩いていきたい人がいる!!」

 

そう言って、チラリと私を見て微笑んだ。

 

「だから、俺はあいつと仲間に相応しい男になると決めてんだ!簡単に諦めるかよ!」

 

そう言って、イッセーは神器の刃を思い切り掴んだ。

 

「いくぞ!メイル!!」

 

『はい!主!!』

 

『Remote!』

 

再び能力を発動したイッセーは神器を構え、バイザーに向かって走り出した。

 

「何をしようとお前では、私との魔力の差を前に負けるんだよ!」

 

バイザーが魔力の弾丸をばら蒔くが、イッセーはその隙間を走り抜けていく。

 

「バカな!?奴の力でそんな動きが出来る訳が…いったい何をした!?」

 

「簡単だよ。少なすぎる魔力や体力なんかを形振り構わず全力で使ってんだよ!!」

 

その技はイッセーの切り札で、弱い自分が格上の相手に勝つために編み出したものだ。

 

「それだけでは納得できるか!他に何をッ!」

 

気付けばイッセーは既に、バイザーの懐にまで入り込んでいた。

 

「これが!俺の全力の一撃だッ!!」

 

その気合いと共に放たれた一撃は、バイザーの体を両断した。

 

「人間が人外に勝つには、捨て身の一撃しかないんだよ…」

 

そう言って、イッセーはその場に膝を着いた。

 

「イッセーッ!!大丈夫!?」

 

私は彼に駆け寄って体を調べると、蹴られた場所から出血しており、他にも攻撃を受け流しきれなかったのか痣が大量に出来ていた。

 

「またこんなに無茶して…」

 

「お前を守れるんならこれぐらい安いもんさ。」

 

「ばか…」

 

そして、治療のために転移アイテムを使おうとしたとき

 

「フフッ、面白い物を見つけたわ。」

 

「「ッ!!」」

 

そんな声が聞こえ、後ろを向くと

 

「あなた達、此処で何をしていたのかしら?」

 

紅の髪に駒王学園の制服を着た女性“リアス・グレモリー”と眷属達だった。

 




イッセーの戦い方は『落第騎士の英雄譚』の黒鉄一輝の 「一刀修羅」、神器の形は同作品の『レーヴァテイン』がモチーフです。

感想も待ってます。


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この悪魔、頭大丈夫か?

グレモリー達に見つかった一誠と響

面倒事になるのは確定です。


響side

 

 

どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよッ!

 

なんでグレモリー先輩が此処に?!

 

しかも今の戦いも見られてたみたいだし~!

 

アイテム袋も忘れちゃったし!!

 

冷や汗が止まらないよ~!!

 

「もう一度聞くわ、此処で何をしていたのかしら?」

 

「えっt「教える必要性が…あるんですか…」ッ!イッセー?」

 

少し回復したらしく慌てる私に代わってイッセーが話した。

 

「あるわ、そのはぐれ悪魔は私達が倒す予定だったんだから。」

 

「あんたの予定なんか知ったことか。」

 

「確かにそうね。でも私の管理する地で好き勝手されるのも困るのよ。」

 

「だったらもっとしっかりと管理しやがれ。無能が。」

 

二人の会話で状況がどんどん悪化していく~!!

早く逃げないといけないのに~!

 

(お二人共、聞こえていますか?)

 

その時、頭のなかにエルナちゃんの声が響いた。“念話”が届くってことは近い距離にいる?

 

(そちらにグレモリーの悪魔達が向かっていたんですけど)

 

(ゴメン、もう見つかってるし、イッセーが切り札使ってまだ逃げられないんだ)

 

(そうでしたか)

 

私の説明を聞いて、エルナちゃんが何かを考え始めた。

 

「あなた!いい加減にしなさい!」

 

「ハッ!やなこった!」

 

こっちはこっちでいつ戦いになってもおかしくなくなりつつあるしッ!イッセー少し自重して~!!

 

(響さん、転移アイテムは持っていますか?)

 

(え?持ってるけど…)

 

これだけは忘れなかったけど、今の状況じゃ使うのは無理だよ~!

 

(今から私が相手の視界を奪うので、その隙に転移してください)

 

なるほど!それならイケるはず!

 

(わかった!)(頼む)

 

私達が返事を返したら、グレモリーの前にバスケットボール位の大きさをした魔力の塊が現れた

 

(二人とも、目をつぶって!)

 

それと同時に魔力が弾け、辺りを光が覆った。

 

「キャアッ!」

 

「…これは!」

 

「他にも仲間が!?」

 

グレモリー達が混乱している間に、私達はすぐに転移アイテムを使いこの場を離脱した。

 

 

 

リアスside

 

私達の視界が戻った時には、彼らはすでにいなくなっていた。

 

「朱乃、彼らが何処に転移したかわかる?」

 

「いえ、どうやら我々の転移魔法とは術式がまったく違うので追跡は…」

 

魔法にある程度精通している朱乃でもわからないとなると、探すのはかなり難しいようね。

 

「部長、確か彼女達は駒王学園の制服を着ていましたから、名簿を調べればわかると思います。」

 

「それもそうね。」

 

祐斗の言葉に私は直ぐに調査を始めることにした。

 

 

 

「なんでアイツがここに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

はぐれ悪魔を討伐した次の日、学園は日曜日で休みだったので俺達は早速情報交換をしていたのだが、

 

「二人とも、何か言い訳ある?」

 

只今、俺と響は未来様に絶賛お説教されてます。

 

「イッセー君?ちゃんと結界アイテムは使ったんだよね?」

 

「「あっ」」

 

「セイッ!」

 

スパパーン‼‼

 

「「ギャバンッ!」」

 

どこから取り出したのか紫の巨大ハリセンを持ち、俺と響の頭を思い切り叩いた。

 

「そんなお間抜けさん達が宇宙刑事になれるわけないでしょ!」

 

いや、なる気は元々ないんだけど…

 

「どうするの?たぶん明日にでも二人の所にやって来るよ?最悪、眷属にされる場合も…」

 

未来の心配もわかる。でもそれだけは絶対にないな。

 

「あんな無能の眷属になるくらいなら、逆に殲滅してやるよ。」

 

「イッセー君の場合、殲滅する前に力尽きると思うけど…」

 

「酷ッ!」

 

其処まで弱いのかね…俺は…

 

「簡単に言えば、手形のベルトに指輪を翳してもエラーしか起きないレベルの魔力だし。」

 

「発動すらムリッ!?」

 

「他にも白いク○ガとか何も憑依してない電○でもいいね。」

 

未来の言葉を聞いて俺は床に膝を着いた。

 

「やめて未来!イッセーのライフは0だよ!」

 

「あっゴメン、つい楽しくなっちゃって。」

 

未来さん、あなたはSだったんですね…

 

『大丈夫ですよ!主の強さは私がよくわかってますよ。』

 

メイル…お前なら俺をわかってくれると信じてた!

 

『主なら戦闘員10人なら何とか倒せますから!』

 

自分の弱さに俺が泣いた……

 

「メイルちゃん、お仕置きだよ。」

 

そう言って、響が俺の神器を両手で持ち全力で曲げ始めた。

 

『す、スミマセン‼励ましたつもりなんですけど!!』

 

「ダマレ」

 

ボキッ!

 

『シャリバンッ!!』

 

変な音とメイルの悲鳴?が聞こえた。まぁ一度戻せば“アレ”以外元に戻るからいっか。

 

「そうだ、響。」

 

ビクッ「な、何かな未来?」

 

未来にいきなり呼ばれた響はかなりビビっていた。

 

「あなた、イッセー君をサポートするためについていったんだよね?」

 

「そ、そうですケド……」

 

「なら、何で転移アイテムしか持ってなかったのカナ?」

 

「そ、ソレハ……」

 

俺達は誰かのサポートに入るときは必ず回復錠やスタングレネード、麻痺トラップ等の入ったアイテム袋を持っていくのだが、まさか…

 

「わ、忘れました……」

 

やっぱり、これは確実に

 

「ギルティ。」

 

未来は紫のハリセンを構えた。

 

「セイヤァァァァァァァァァァァッ!」

 

「シャイダァァァァァァァァァァァッ!!」

 

ハリセンを食らった響に調と切歌、エルナは合掌していた。いや、助けろよ。

 

「「「巻き込まれたくない(デス)。」」」

 

この薄情者ォォォォォォォォォォォ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後、俺と響が帰り支度をしていると

 

「失礼します。龍見君と立花さんはいるかな?」

 

あの時見たグレモリー眷属のイケメン が来た。

 

「何か妖怪?」

 

「発音が少し気になるけど、ウチの部長が君達を呼んでるんだけど来てくれないかな?」

 

「「えっ?」」

 

ここで俺達はアイコンタクトで、どうするのかを決めた。

 

「悪いけど、俺達はどこの部活にも入らないよ。」

 

「え?」

 

「ましてや、オカルト研究部とは名ばかりの部活は私は絶対イヤ!」

 

「はっ?」

 

そう、ここでコイツをイジるとな!

 

よし、このままさらn「どうしたの、イッセー?ビッキー?」っと桐生か、いいタイミングで来たな。

 

今現れたのは“桐生 藍華”俺の悪友だ。

 

「実は、俺と響はオカルト研究部の勧誘を受けたんだけど…」

 

「活動内容がおかしいんだよ!」

 

「ほほぅ?詳しく聞こうじゃない。」

 

桐生もノッてきたか。

 

「俺達が部室を見学してみたら。」

 

「グレモリー先輩は部員を《眷属》なんて読んでふんぞり返ってるし。」

 

「姫島先輩なんてボンテージ着て、鞭持って高笑いしてるし。」

 

「挙げ句の果てにソコの木場なんて」

 

「「天井から吊るされて鞭で叩かれながら…喜んでいたんだッ!!」」

 

「「「「「「なっ何だって~ッ!!」」」」」」

 

俺と響の話にクラス全員がノリ始めた。

 

「生憎、俺と響はノーマルなんだ。」

 

「だから、悪いけど別の人を探してね~。」

 

そう言って俺達は帰った。

 

後ろで木場が俺達を止めようとしたが、クラスの奴らの質問攻めで動けなくなっていた。さっさとトンズラだ!アバヨ、とっつぁーん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ついてきてください。」

 

なんて思っていた時もありました。

 

一学年下の塔城小猫(戦車の転生悪魔)に簡単に捕まりました…

 

人の身であの馬力に勝てるわけねぇよ!!

 

取り合えず未来達にメール送っとくか

 

「《グレモリーにゲッチュされたナウ》っと、送信」

 

「誰に送ったの?」

 

「未来、調、切歌の三人。」

 

「後でお仕置きコースだね…私達。」

 

「言うな…」

 

グレモリーに絡まれるくらいならあいつらのお仕置きの方が、まだラクなんだよ!

 

「まぁ、後で来るだろ。」

 

「…何だか大変そうですね。」

 

塔城が少し同情した目で俺達を見てた。

 

「「だったら、帰らせて。」」

 

「ダメです。」

 

「「チッ!」」

 

結局、オカルト研究部の前まで来てしまった。

 

「…どうぞ。」

 

「どうも。」

 

中に入って俺達は思った。

 

「悪趣味だ。」

 

「趣味悪いね。」

 

魔法陣がいろんな場所に書かれていて正直、この部屋の主のセンスのなさがよくわかるわ。」

 

「途中から声に出てるわよ。」

 

目の前の赤髪先輩が突っ込んできた。

 

「おっと、本音が…」

 

「フン、まぁいいわ。」

 

「早く終わらせてくれ、夕飯作らないといけないんだけど?」

 

「ようこそ、オカルト研究部へ。」

 

「話聞けよ。」

 

「私達はあなた達を歓迎するわ。」

 

「悪魔としてね。」

 

コイツ、頭大丈夫か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず聞くけど、あなた達は彼処で何をやっていたの?」

 

「はぐれ悪魔を討伐してた。」

 

「あら、今日は素直に答えるのね?」

 

面倒だし、今日ははぐれ討伐の報酬が入るから仲間達に奢ろうと思っているからな。

 

「さっき言った通り、飯の準備があるからだよ。」

 

「なら、貴方が使っていた剣は何?」

 

「神器。」

 

「どんなのかしら?見せてくれない?」

 

「メイルが穢れるから断る。」

 

お前達に相棒を触らせてたまるか。

 

『主…』

 

「なら、神器の能力は?」

 

「企業秘密だ。」

 

(イラッ!)「だったらあなた達に討伐を依頼したのは誰なの?」

 

「それこそ言う訳ないだろ。」

 

オッチャンを売るなんてこと俺は絶対しない。

 

「貴方、話すつもりがあるのかしら?」

 

「無理矢理連れてこられて、話すと思ってるの?」

 

ここで、今まで黙っていた響が喋りだした。

 

「だいたい、あの時遠くから見ているだけで何もしなかった人達が偉そうにしないでッ!」

 

「それは貴方も同じじゃn「違うさ。」ッ、どういう事?」

 

「アレは俺が倒すと決めてたんだ、だから響には手を出すなと言っておいた。」

 

 

「そう、わかったわ。」

 

やっと終りか…時間はまだ余裕だな。

 

「ならあなた達、私の眷属になりなさい!」

 

「『「はっ?」』」

 

思わずメイルまで突っ込んでいた。

 

「今までの会話でどうしてそうなる?」

 

「この地で今のような事を続けられると私の評価に泥がつくからよ。」

 

「そんなの知った事じゃない。」

 

「眷属にならないなら、貴方の仲間がどうなるかしら?」

 

「キャッ!」

 

その瞬間響の後ろに木場が現れ、後ろで手を拘束した。 やっとウチのクラスから逃げてこれたのか。

 

「響!」

 

「おっと、動くなよ。」

 

「ッ!」

 

俺の後ろにも眷属らしき男が拳を構えていた。

 

「久しぶりだね、“兄さん”。」

 

「お前か…“宗二”。」

 

まさかコイツがグレモリー眷属にいたとはな。

 

“兵藤 宗二”、俺の双子の弟で俺を家から追い出した張本人でもある。

 

「兄さんも神器を持っているみたいだね。」

 

「それが?」

 

「でも、僕の神滅具(ロンギヌス)には勝てないよ!」

 

そう言って、左腕に緑の宝玉がついた赤い籠手が現れた。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)か。」

 

確かに凄いが、やりようはある。

 

「さあ、大人しく私の下僕になりなさい!」

 

グレモリーが赤いチェスの駒を持って近づいてくる。

 

でも、俺達には頼れる仲間がいるのさ!

 

(未来!何時でもいいか?)

 

(うん、三人ともOKだよ!)

 

ならば!

 

「響。」

 

「何?」

 

「“歌っていいぞ”!」

 

「ッ!了解!!」

 

“響達の力”は悪魔には絶大だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響が軽く息を吸い込み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖詠を唱えた。

 

 

 

 

 

 




オリ弟登場です。


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学校とは壊されるもの

今回はシンフォギア勢も戦闘します。

響と未来が戦い、切歌と調はトラップ担当です。




響が聖詠を唱えると、黄色の光が周囲を覆った。

 

「ウグッ‼」

 

光の中で木場の呻き声が聞こえた。そりゃ悪魔は光に弱いからダメージにもなるわな。

 

(イッセー君!今のうちに!)

 

未来の声に従って、俺は窓を突き破り外に出た。

 

ダンッ!!

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」

 

痛ってェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!

 

かなり痛いんですけどッ!飛び降りずに階段使えばよかった。

 

ドゴンッ!

 

痛みを堪えながら校庭まで走った俺の前に何かが落ちて来た。

 

「よ~し!脱出成功!」

 

それは聖詠を唱え、武装を身に纏った響だった。

 

その姿は、制服から白とオレンジのボディスーツに変わり、足には金色の脚甲、腕には白に金のラインが入った籠手、頭には二本のアンテナがついたヘッドギアをつけ、背中には二つのクリーム色のマフラーを靡かせている。

 

「ここまでくれば…」

 

しかし、現実はやはり甘くはなかった。

 

「そんな簡単に逃げられるとでも思いましたか?」

 

俺達の上に姫島朱乃がいた。

 

そして、魔力を雷に変換させ、大量の雷を落としてきた。

 

「「ウワァァァァァァァァァァァ!?」」

 

俺と響は全力で回避しまくった。

 

というか回避しか出来ねェェェェェェェェェ?!

 

どうする?!どうするよ?!オレェ‼

 

『主‼私を使って下さい‼」

 

「オウ!」

 

俺は直ぐ様《解放龍の剣(リモートエッジ)》を出し、雷に当てた。

 

『Remote!』

 

すると、雷は“霧散”するように消えていった。

 

「あらあら、厄介な神器ですのね。」

 

「これなら、テメェの攻撃は効かねぇよ!」

 

よし、これならイケるか?

 

「なら、あの子はどうでしょう?」

 

そう言って、響の上にさっきのより魔力を込めた雷を落とそうとしていた。

 

「これだけの魔力量、彼女は耐えられるでしょうか?」

 

俺と響は姫島朱乃を挟んで反対側にいるからオレ一人で助けるのは無理だ。

 

「チィ!」

 

響も回避しようとするが反応が遅い?!

 

「さあ、食らいなさい‼」

 

このままじゃ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな聖詠が奏でられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

皆さん始めまして、小日向未来です。

 

イッセー君からのメールを見た私はすぐに調ちゃんと切歌ちゃんに合流して準備を始めた。

 

「“麻痺トラップ”の設置、完了デス!」

 

「…“結界アイテム”も何時でも大丈夫」

 

「転移アイテムと回復錠もOKだし、後は向こうの連絡を待とう。」

 

「「了解(デス)‼」」

 

調ちゃんと切歌ちゃんは校庭の端の植え込みに隠れに行った。

 

私も隠れないと!

 

そして、校舎の入口で隠れてたら、

 

(未来!何時でもいいか?)

 

イッセー君の念話が届いた。

 

(うん、三人ともOKだよ。)

 

こっちの返事と同時に旧校舎から光が漏れていた。

 

 

少ししてイッセー君が校庭に現れ、響も武装を纏った状態で空から落ちてきた。

響ったらどんな脱出したのかな?

 

 

だけど、相手もすぐに対応させてきた。

 

「アレは姫島先輩?」

 

 

先輩がコウモリの羽根を翻しながら、イッセー君達に雷を落としまくっていた。

 

(ちょッ!無茶苦茶デスよ‼)

 

(……せっかく仕掛けたトラップが)

 

(大丈夫だよ。まだたくさん仕掛けてあるから。)

 

“結界アイテム”も使ってあるから周囲には影響ないけど、校庭が無惨な姿になりつつあった。

 

ソーナ先輩、仕事増やして御免なさい!

 

気苦労が絶えない生徒会長に心の中で謝っていたら、響の上に高密度の魔力があった

 

まさか……

 

その時、ある光景が頭をよぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イヤァッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ダメ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤメテェ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソンナコト……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死にたくナイヨォォォォォォォォォォッ!」

 

 

 

 

ゼッタイ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コロサナイデェェェェェェェェェェェェェェッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

させないッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心の赴くままに私は響と魔力雷の間に飛び込み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖詠を唱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

響と未来を魔力雷が襲った。

 

「あらあら、これでは骨も残らないかもしれませんわね。」

 

姫島が何か言っているが、残念だったな。

 

「バカが、よく見てみろ。」

 

「?何を言ってッ!」

 

そこには、無傷の二人と丸い輝くものが攻撃を受け止めていた。

 

「あれは…………盾?」

 

姫島が驚いたせいか魔力雷が止まる。

 

「残念…」

 

未来は微笑みながら、

 

「鏡だよ。」

 

そう答えていた。

 

 

 

 

 

あの二人なら姫島が相手でも大丈夫だな。

 

「なら、俺も頑張らないとな。」

 

後ろを向けば、一振りの剣を構えている木場と 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を装着した宗二がいた。

 

「悪いメイル、ひとっ走り付き合って貰うぜ?」

 

『お供致します、我が主。この魂の全てを賭けて‼』

 

解放龍の剣(リモート・エッジ)を握りしめ、お守りを刀身に当てる。

 

『Remote!』

 

力の発動を確認し、剣を構える。

 

「悪いけど、行かせてもらうよ‼」

 

「兄さんごときが、僕達に勝てると思うなよ‼」

 

そっちがその気なら。

 

「龍見一誠!問答無用で行かせて貰う‼」

 

俺は二人に突撃しようとしたが、

 

「フッ‼」

 

「なッ?!」

 

木場が予想以上の速さで懐に入り込んできた。

 

「うぉッ!」

 

後ろにのけ反る事で紙一重で回避できた。

 

「なるほど、“騎士の転生悪魔”か。」

 

「驚いたよ、今の一撃は普通の人じゃ反応すら出来ないはずなんだけど。」

 

「だてに修羅場を潜ってないさ。」

 

「僕を忘れないでよね。」

 

俺と木場の間を赤い魔力が通りすぎた。

 

「この力でさっさと倒してやる‼」

 

そう言って、殴りかかってくる。

 

でも、

 

「遅すぎる。」

 

受け止めて、反撃しようとしたら、

 

『Boost!』

 

『ッ‼下がって下さい‼』

 

その声に、俺はすぐさま反撃から受け流しに変えたが、

 

「グッ!?」

 

重い衝撃が俺を襲った。

 

力を倍加するのは知っていたけどこれ程とはッ‼

 

何とか受け流した拳が地面に当たったら、直径1M程のクレーターが出来た。

 

危ねぇ‼受け止めてたら一発K、O、だったぜ‼メイル、サンキュー‼

 

『次が来ます‼』

 

木場が右から襲ってくるが、神器で左に受け流しつつ下がり距離をあける。

 

「待てッ‼」

 

今度は宗二が正面から殴ろうとしてくるが、遅いのでバックステップで余裕でかわす。

 

しかし、宗二の後ろから木場が現れ剣を振るってきた。

 

「クッ!?どわァ‼」

 

咄嗟に神器で受け止めたが、簡単に吹き飛ばされる。

 

やっぱり力比べは部が悪いか…

 

「どうやら、受け流しの技術は僕よりも上みたいだね?」

 

「そりゃ、どうも。」

 

「でも、逃げてばかりでは僕達に勝てないよ‼」

 

「勝たなくてもいいんだよ。」

 

「「は?」」

 

俺の言葉に二人は首を傾げた。

 

「どういう意味だ!?」

 

どうもなにも、簡単だろ?これぐらい理解するのは?

 

「あんた達は俺達を捕まえたら勝ちだが、こっちは全力で抵抗してるからお前達は俺を倒す必要がある。」

 

「当たり前だろ‼」

 

宗二が怒鳴るが無視して、

 

「だが、俺達は逃げられれば勝ちだ。そのために相手を倒す必要性はないんだよ。」

 

「でも、この状況と場所で逃げられるとでも?」

 

確かに、遮蔽物のない校庭で二人がかりで襲われているのがこの状況だ。

 

「でも、向こうは終わりそうだぜ?」

 

響達の方を見ると、姫島が未来のレーザーを食らい、響のパンチで落ちていくところだった。

 

「そんな‼」

 

「どうして?!」

 

二人の意識が向こうにいっている今がチャンス‼

 

(調、切歌、やれ‼)

 

(OKデス‼)

 

(…ポチッとな)

 

その元気な念話と抑揚のない念話と共に、木場達の足下から電撃が流れた。

 

「「ウワァァァァァァァァァァァァァッ‼」」

 

おし‼掛かった‼

 

切歌達の仕掛けた麻痺トラップが発動して二人が動けなくなる。

 

「身体が……動かない……?」

 

「まさか…この為に…?」

 

「ああ、受け流したり攻撃で吹っ飛ばされたのは、この場所に誘い込むためさ。」

 

実際は偶然この場所に飛ばされたんだけどな。

 

ハッタリぐらいかましてもいいだろッ‼

 

「一時間位で動けるようになるから安心しな。それじゃあな、あばよ‼」

 

さて、響達の向かえに行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

時は未来が雷撃を受け止めたところから。

 

「未来?!何で出てきたの?!」

 

「ゴメン、体が勝手に動いちゃった。でも、武装も纏ってるから。」

 

未来の武装は、私のとは違い籠手がないかわりに脚甲がかなり大型になっていてホバー移動でき、見た目より速く動ける。特徴的なのはヘッドギアでまるで獣の牙を連想させる形だ。ボディスーツは白と紫で、チャイナ服がモチーフみたい。そして武器に巨大な鉄扇を使用する。

 

「だからって…ッ‼」

 

喋っている間に姫島先輩が魔力雷を落としてきた!

 

「話しは後で‼」

 

私達は左右に分かれて回避した。

 

「私、待たされるのは嫌いなので。」

 

「「そんなの知らないよッ‼」」

 

私が姫島先輩に向かっていこうとしたら、

 

「…させません!」

 

小猫ちゃんが飛び込んできて、私を押さえつけた。

 

私はもがくが外れない。

 

「お願い‼離してよ‼」

 

「……条件次第で離します。」

 

「へっ?」

 

どういう事?グレモリーの味方なんじゃ…

 

「…私、あの人あまり好きじゃないので。」

 

「敵にも心読まれたッ!?」

 

私ってそんなにわかりやすいのかな…

 

「はい、手に取るようにわかります。」

 

「もぉイヤ…」

 

どうせ私は単純バカなんですよ……

 

「…ところで、条件の方は?」

 

アッ‼そうだった‼

 

「内容は‼」

 

皆を助けられるなら私がどうなろうと……ッ‼

 

「……“お好み焼き屋 ふらわー”の場所を教えて下さい。」

 

「えっ?それで良いの?」

 

「はい。月読さんがそこのお好み焼きは美味しいと言っていたので。」

 

「でも、何で私に聞くの?」

 

「前に撮ったという写真に先輩が映っていたので。」

 

あぁ~調ちゃんと切歌ちゃんが駒王学園に入学した日のやつか。

 

「なら、今度皆と行く?」

 

「…いいんですか?」

 

私の言葉に小猫ちゃんは不思議がっていた。

 

「…私はあなた達の敵ですよ?」

 

なぁんだ、そんな事か。

 

「私達も悪魔が全員悪い奴とは思ってないから。それに、調ちゃん達のお友達なら歓迎するよ‼」

 

そんな教会の奴等と同じ考え方をするなんて御免だしね。

 

「…ありがとうございます。」

 

そう言って、力を緩めた…ってアレ?

 

「離してくれるんじゃ…」

 

「…このまま振りほどいて下さい。そうしないと怪しまれますので。」

 

そういう事なら‼

 

「ウォォォォォォォォォォォォォォォォオッ‼」

 

「キャアッ‼」

 

小猫ちゃんを振りほどいて、私は未来の援護に向かった。

 

 

 

 

未来side

 

響が飛び込んできた女の子に捕まってしまい、私は一人で姫島先輩の相手することになった。

 

「そういえば、あなた達のその姿は何なんですか?神器とは別物みたいですが…」

 

う~ん、それぐらいなら教えてもいいかな?

 

「これは“シンフォギア”と言います。」

 

「あら、教えて下さるのですか?」

 

「名前だけですよ。後は黙秘します。」

 

「でしたら、喋るまで痛め付けるだけですわ!」

 

そう言って、雷を落としてくるけど、

 

「効きませんよ。」

 

私のシンフォギアの武装(アームドギア)である鉄扇を広げて受け止める。

 

「いけっ‼」

 

攻撃を受けきって広げた鉄扇のレーザーで反撃する。

 

《閃光》

 

「その程度の攻g…なッ‼」

 

雷で相殺させようとしたが、レーザーに当たった瞬間に書き消された。

 

「クッ!?」

 

姫島先輩は上昇して回避したけど、逆に好都合‼

 

鉄扇を畳み両手でまるで銃のように持つ

 

「スキャニングモード起動。」

 

すると、顔の上下にあったパーツが閉じ目元全体を覆うゴーグルになり、間が赤く輝いた。

 

この状態になると、私の目の前に大量の情報が表示されていく。それらを取捨選択して姫島先輩の場所を特定していく。

 

見えたッ! 左上方 、距離300M‼

 

急かさず私はレーザーを放ち、姫島先輩の羽根に命中した。

 

「キャアッ‼‼」

 

そのまま落下するかと思ったけど、途中で体勢を整え、雷を落とそうとしたが、

 

「させるかァァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

響が姫島先輩に全力の右ストレートを叩き込んだ。

 

「ガハッ‼」

 

先輩はそのまま落下し地面に激突する。

 

「この私が……。」

 

私は先輩に鉄扇を突き付け、

 

「貴方の負けです。」

 

勝利を宣言した。

 

「未来~‼大丈夫~?!」

 

良かった、響も無事みたい。

 

「お~い、無事か?」

 

あっ、イッセー君も終わったみたい。

 

「こっちは麻痺トラップで動けなくしただけだ。」

 

なら、イッセー君が一人で勝てた訳ではないんだ。

 

「二人も相手に俺が勝つなんて無理なの知ってるだろ?」

 

「それもそうだね。」

 

「イッセー君だしね。」

 

『主ですからね。』

 

「いい加減泣くぞ、俺…」

 

そんなに気を落とさないで。

 

「誰のせいだ誰の……」

 

アハハ……さてと、

 

「グレモリーの来ないうちに帰ろ。」

 

「そうだな、お~い調、切歌ッ!帰るぞ~‼」

 

「「は~い‼」」

 

やっとグレモリー達から解放された私達は家に向かって歩いていた。

 

あっ‼そういえば‼

 

「イッセー君、お夕飯どうするの?」

 

その言葉にイッセー君の動きが止まった。

 

「未来、今何時だ?」

 

「19時過ぎだね。」

 

途端にイッセー君が項垂れた。

 

「タイムセール……終わってる……」

 

「…残念。」

 

「無念デス。」

 

調ちゃんと切歌ちゃんも一緒に落ち込んでいた。

 

「仕方ないよ。ああなるなんて思わなかったんだから

 

「「「この恨み、絶対グレモリーに返してやる‼」」」

 

「「アハハ……」」

 

まぁ、元気が出たなら良いのかな……?

 

「よ~し、今日は報酬が手に入るからこのまま、ファミレスで食うか‼」

 

「「「「おお~ッ!」」」」

 

そのまま、私達はファミレスで食事をして帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにグレモリーはというと、響が脱出するために天井をぶち抜いた時の破片が頭に当たり、夜中まで気絶していたそうな。




未来の戦い方は鉄扇での長距離狙撃とミラーデバイスのオールレンジ攻撃です。

戦闘シーンは難しいですね……

精進しますので今回はこれぐらいで許して下さい。


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作戦を練ろう!

今回はあのシスターが登場します。


一誠side

 

グレモリーの眷属なれなれ事件から数日後の休日。

 

俺達は前回お説教で終わってしまった情報交換を行っていた。

 

「エルナ、何か情報はあるか?」

 

「はい、知り合いに当たったところ、ここ数日怪しい行動をしていた堕天使がいたそうです。」

 

「そいつらの特徴は解るか?」

 

「女性三人と男性一人だそうです。」

 

少なくとも堕天使が四人か……

 

「主なリーダーは《レイナーレ》と言うそうです。」

 

なるほど、ソイツが主犯か。

 

「僕の持っている情報はコレだけです。」

 

「ありがとな。未来の方はどうだった?」

 

「私はこんなのを見付けたよ。」

 

未来が見せてくれたパソコンの画面には…

 

「コレ……神父か?」

 

「そうだと思う、映像を調べた限りだとかなり人数がいるみたい。」

 

厄介だな……こっちは人数が少ないからな…

 

「この画像に写ってる教会ってこの町のじゃないデスか?」

 

切歌のいう通り、確かにこの町の教会だ。

 

「コイツらと堕天使が手を組んでいる可能性はあると思うか?」

 

「…たぶん組んでると思う。」

 

「なら、きちんと作戦を考えないとな。」

 

無策で突っ込むのは、バカのやる事だからな。

 

「他に何かあるか?」

 

「関係あるか解らないけど、最近この町に白髪の精神異常者が現れたって記事があったけど。」

 

白髪の精神異常者?なんじゃそりゃ?

 

「今の所、変な噂だと思うけど用心はした方がいいかも?」

 

「そうだな、念のため注意するか。」

 

「でも、どうしてこの町の教会にしたんだろう?他にも場所はあるのに?」

 

響の質問は確かに気になるのが…

 

「それについてはある程度推測できる。」

 

俺の言葉に全員がこっちを見た。

 

「この町は非情に遺憾だが悪魔の管理する土地だ。そんな中に教会があるのはかなり珍しい。だからこそ天界からの監視はかなり甘いはずだ。」

 

悪魔の管理地を天界が監視してたなんて悪魔陣営が黙ってないはずだ。下手したら戦争の火種になるかもだしな。

 

「それに、この地を管理しているのはグレモリーだ。アイツの管理能力のなさは実感しただろ?」

 

「「「「「ああ~」」」」」

 

さすがグレモリー!信用ゼロだな。

 

「つまり、その堕天使達にとってこの地は最高の隠れ家になるって訳さ。」

 

「イッセー君、探偵みたいだね。」

 

未来から褒められるのは悪くないな。

 

「メイルの“能力”を完全に引き出すには柔軟な思考が必要だったからな。」

 

あの訓練はかなり過酷だったな~。何度脳が焼き切れると思った事か……

 

『ですが、主は絶えず努力を続けました。私を利用するではなく理解するために。』

 

当たり前だ。俺はお前と一緒に強くなりたいからな。

 

『今回、主に宿れた事、主の力になれる事が私にとって最高の幸せです。』

 

俺も、力になってくれてありがとな。

 

時間を見れば、11時半を過ぎた頃か…

 

「時間もいいし、休憩するか。」

 

「「「「「賛成~‼」」」」」

 

さて、昼飯どうするかね?

 

「昼飯作るけど何かリクエs「「「「「チャーハン ‼」」」」」ッて即答かよ!?」

 

しかも、キレイにハモったし。

 

「だって美味しいんだもん‼」

 

「あのパラパラ具合も最高だし‼」

 

「…一度食べたら忘れられないよ。」

 

「ヤミつきデス‼」

 

「僕も再現しようと思っているんですがなかなか上手くいかないんですよねぇ。」

 

そんなに旨いか?作るのが簡単だから機会は多かったけど…

 

「なら、チャーハンにするけど誰か買い物行ってくれないか?」

 

「「はいッ‼」」

 

響と切歌が立候補した。

 

「じゃあ、卵とネギを頼む。」

 

「了解ッ‼」

 

「行ってくるデス‼」

 

「無駄遣いするなよ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「いや~タイミング良かったね。」

 

「おかげで卵とネギが安く手に入ったデスからね。」

 

まさか商店街で割引セールしてたなんてラッキー‼

 

「よし、早く帰ろう!」

 

イッセーのチャーハンが私達を待ってるよ‼

 

その時、目の前に一枚の布が落ちてきた。

 

「何これ?」

 

「何デスかね?」

 

私と切歌ちゃんでどこから飛んできたのかみていたら、一人の女の子がこっちに向かって走ってきたが、

 

ガッ‼ズサ~~~~~~ッ‼

 

「「あっ」」

 

いきなり転んだッ!?

 

「顔面から綺麗に倒れたデスよ‼」

 

「行こう‼」

 

駆け寄ってみると鼻が真っ赤になっていたけど特に怪我は見当たらなかった。

 

「大丈夫ですか?」

 

手を差し出すと、彼女はポカンとしながらも手を握ってくれたのでそのまま立たせた。

 

「いきなり転んだからビックリしましたよ。」

 

彼女は苦笑いしてた。

 

「それじゃ、気をつけて下さいね。」

 

そう言って、帰ろうとしたけど、

 

ガシッ‼

 

彼女に手を捕まれてしまった。

 

「え~と、まだ何か?」

 

すると、彼女は少し躊躇いながらも

 

「∃£Ⅹ¥⑩Ⅶ&♀¬+$?」

 

私達の知らない言語で話かけてきた。

 

「切歌ちゃん、今の解った?」

 

「響先輩が解らないのにワタシが解るわけないデスよ!?」

 

だよね~。

 

あっ‼そういえば、こういう時に役立つアイテムがあったような……

 

私はアイテム袋に手を突っ込み、中を探してみると…あった‼

 

「全自動翻訳機~。」(ドラ○もん風)

 

説明しよう!このイヤホン型アイテムを耳につけて喋ると相手の言語を日本語にこっちの言語を相手の言語に翻訳してくれるアザセル総督お手製のアイテムなのだ‼

 

最初はアザセル総督が変な名前をつけていたけど、イッセーや私達全員とキャロルさんに反対され現在の名前になった。

 

早速、耳につけてっと…

 

「あ~、あ~、私の言葉わかる?」

 

私達の言葉が急に変わったのに彼女はビックリしていたが、

 

「ハイッ‼わかりますよ‼」

 

とても嬉しそうな顔をした。

 

「そういえば、こういうアイテムがあったのすっかり忘れてたデスよ。」

 

まぁ、あまり使わないからね~。

 

「お二人とも、どうして私の言葉が急にわかったんですか?」

 

「このイヤホンを使うと相手の言葉が解るようになるし、こっちの言葉が相手の言語に聞こえるようになるんだ。」

 

「ほぇ~~、最近の機械は凄いんですね。」

 

そりゃ、人外の技術ですから。

 

「そういえば、私達に用があるんじゃ?」

 

「そうでした‼実は私【グゥ~。】はぅッ///////‼」

 

要件を話す前に彼女のお腹が鳴った。

 

「もしかして、お腹空いてるんデスか?」

 

そう聞くと恥ずかしがりながら頷いた。

 

「ん~、ちょっと待ってね。」

 

イッセーに電話をかけて、

 

[もすもす、ひねもす?]

 

「何処の兎?ちょっと聞きたいんだけど…」

 

[なんだ?空腹の見知らぬ女の子にでも会ったのか?]

 

「電話越しに心読まないでよッ‼」

 

[別にいいぞ。連れてきても。]

 

「スルーッ?!っていいの?」

 

[お前の性格は理解してるからな。早くしろよ?調が空腹で呻いているから。]

 

[響先輩……切ちゃん……早く……。]

 

電話越しに調ちゃんの死にそうな声が聞こえた。

 

「わかった。」

 

電話を切った私達は直ぐに彼女の手を握って

 

「よし、行こう‼」

 

「レッツゴーデス‼」

 

「え?え?はわぁぁぁぁぁぁぁぁッ?!」

 

全速力で家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「二人とも、何か言い訳ある?」

 

只今、響と切歌は未来様に絶賛お説教中です。

 

前にも見たなコレ……というか当事者だったな……

 

「響、ちゃんと買い物には行ってきたんだよね?」

 

「ハ…ハイ。」

 

「切歌ちゃん、その中に卵があったの知ってる?」

 

「……ハイデス。」

 

「じゃあ、コレは何?」

 

未来の手には卵のパック(8個入り)がある。

 

全て割れていたけど……

 

「「あっ」」

 

「そぉいッ‼」

 

ズパパーンッ‼

 

「「ティガッ‼」」

 

「お買い物もろくに出来ない人達が光の巨人に選ばれる訳ないでしょ‼」

 

いや、だからなりたくないって……

 

というかどこから出した、その紫の巨大ハリセン……

 

「あの~、助けなくていいんですか?」

 

響達が連れてきた子が心配してるが……

 

「大丈夫、単なるお説教だから。」

 

後は皿に盛り付ければ…よし‼完成‼

 

「お~い‼昼飯出来たぞぉ‼」

 

「「「「「は~い。」」」」」

 

「ほら、君も座って。」

 

「あっハイ。」

 

全員座ったな。

 

「じゃ、いただきます。」

 

「「「「「いただきま~す。」」」」」

 

「い……いただきます。」

 

スプーンで一口食ってみると…

 

「よし、上手く出来たな。」

 

「「「「「「美味し~いッ‼」」」」」」

 

良かった、皆の口に合ったか。

 

「あの…コレ…スゴくおいしいです‼」

 

「ありがとな。君の口に合うか不安だったんだけど。」

 

「やっぱりイッセーのチャーハンは最高だね‼」

 

「スプーンが止まらないデスよ‼」

 

響と切歌が凄い勢いで食べている。そんなに急いで食ったら……

 

「「ウグッ!?」」

 

あ~あ、やりやがったか……

 

「もう、なにやってるの?ハイ、お水。」

 

「切ちゃん……お水。」

 

二人とも、水を受け取ると一気に飲み干した。

 

「「し……死ぬかと思った……(デス)」」

 

「そんなに慌てて食べるからですよ。僕みたいにゆっくり食べれば…」

 

「エルナ、チャーハンはフォークで食べるものじゃないぞ。」

 

「え?!そうなんですか?!」

 

エルナが周りを見ると全員が頷いた。

 

「あぅ、常識知らずでずびばぜん。」

 

そんなこんなで、昼飯は楽しく過ごした。

 

食べ終わった後は、皆で未来がいれたお茶を飲んでいた。

 

「そういえば、申し遅れました。私はアーシア・アルジェントといいます。」

 

「この部屋の持ち主の龍見一誠だ。」

 

「立花響です‼」

 

「小日向未来です。」

 

「…月読調です。」

 

「暁切歌デス‼」

 

「エルナ・リーリス・ディーンハイムと申します。」

 

アーシアって名前なのか……

 

「ところで、君はあそこで何をしてたんだ?」

 

「その…道を教えてもらおうと思いまして…」

 

「場所は何処なんだ?」

 

「教会です。」

 

それを聞いて、俺達は驚いた。

 

「もしかして、君はシスター?」

 

「はい。」

 

この子が例のシスターとは…

 

『主』

 

「メイル、どうした?」

 

『彼女から神器の気配がします。』

 

「ッ?!」

 

それは俺を更に驚かせた。

 

つまり、レイナーレ達の目的は……

 

「なるほどな…」

 

「どうしたの?イッセー。」

 

一人で考え事をしていたのが変だったのか響が尋ねてきた。

 

「レイナーレ達の目的がおおよそわかった。」

 

「レイナーレ様をご存じなんですか?」

 

彼女の言葉で確信が持てた。

 

「君はレイナーレに呼ばれてこの町に来たんだよね?」

 

「ハイ、そうです。」

 

「後、君は何か不思議な力を持っている。」

 

「どうして分かったんですか?!」

 

やはりな……

 

「イッセー君。」

 

「もしや、彼女は…」

 

彼女の言葉から未来とエルナも理解したみたいだな。

 

「ああ、間違いない。」

 

だから、彼女を呼び寄せたのか‼

 

「アイツらの目的は、アーシアの神器だ。」

 

「「「ッ?!」」」

 

俺の言葉に響、調、切歌も理解したのか驚きを隠せなかった。

 

「え~と、どういう事ですか?」

 

アーシアはまだ理解しきれてないみたいだな。

 

「君がレイナーレに呼ばれたのは君が持っている神器が目的なんだ。」

 

「え?」

 

「堕天使は貴方をこの町に呼び、神器を抜き取り自分の物にしようとしているんですよ。」

 

俺の説明をエルナが捕捉してくれる。

 

「更に、不十分な術式で神器を抜かれた人間は、死んでしまいます。」

 

「そんな…」

 

エルナの説明にアーシアはショックを隠せなかった。

 

「俺達は、レイナーレ達の捕まえるようある人から頼まれているんだ。」

 

「え?」

 

「だから任せてくれ、君は俺達が守ってみせる。」

 

俺が響達を見ると全員が頷いた。

 

「皆さん…」

 

「そこで、君にも1つ協力してほしいんだ。」

 

「何ですか?」

 

俺が作戦を話すと全員が驚いた。

 

「それ、本気?」

 

「もちろん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“彼女を囮にして”レイナーレ達を一網打尽にする。」




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変人には近づかないでね。

あのキャラ喋らせるの難しい‼


一誠side

 

 

オッチャンの依頼をクリアする目処がたったので、俺達はいつ戦闘になってもいいように準備を始めた。

 

「回復錠は多めに持っていくか。」

 

「スタングレネードも目眩まし用に持ってこ。」

 

「響、解毒系のアイテムも忘れないようにね。」

 

「スタントラップもバッチリデス‼」

 

「…ヴェノムトラップも大丈夫。」

 

「サポートは僕にお任せ下さい。」

 

「頼むな。」

 

よし、全員の準備が終わった事だし…

 

「アーシアさん。」

 

「はい、なんですか?」

 

「今から、皆で遊びに行こうか。」

 

少し、気晴らしでもしますか‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、俺達は駅前通りに来ました。」

 

「イッセー、誰に説明してるの?」

 

「この小説の読者。」

 

「「「「「メタ発言禁止‼」」」」」

 

「え~。」

 

全員に突っ込まれながら、沢山の店が並ぶ場所まで来た。

 

「まずは何処にする?」

 

「それはやっぱり…」

 

「「「「「カラオケでしょ‼」」」」」

 

やっぱりな……響達と来るとだいたいカラオケだからな。

 

「“からおけ”とは何ですか?」

 

アーシアさんはカラオケを知らないのか。

 

「簡単に言えば皆で歌を唄う場所だよ。」

 

「え~と、私は聖歌しか知らないのですが…」

 

「それなら、大丈夫‼」

 

響がアーシアの手を取り、

 

「私達が教えてあげるから‼」

 

「え?はわぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼」

 

そのまま、走っていった………………って!?

 

「「「「「先に行くなァァァァァァッ‼」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

カラオケ店に着いた俺達は先に来ていた響を一発ずつ叩いてから中に入った。

 

「うぅ~、痛い……」

 

「自業自得だ。」

 

「アーシアさん、大丈夫?」

 

「は、ハイ…」

 

未来は響の呻きを無視してアーシアの心配をしていた。

 

「…何を歌おうかな?」

 

「今の内に決めとくデスよ。」

 

「皆さん、飲み物はどうしますか?」

 

「とりあえず、皆オレンジジュースでいいんじゃないか?」

 

そして、飲み物が届いたら、最初の曲が流れ出した。

 

「おっ?一番は誰だ?」

 

「…私から。」

 

最初は調か……どんな曲にしたのかな?

 

 

ー推奨BGM「black bullet」ー

 

 

調の曲は激しく格好いい感じの曲だった。

 

調の奴、結構攻めたな……

 

歌い終わったら満足そうな顔をしていた。

 

「やるな、調‼」

 

「調、カッコよかったデスよ‼」

 

「……ブイ。」

 

俺達にピースサインをしながらマイクを切歌に渡した。

 

「次は切歌か?」

 

「そうデス‼」

 

「切歌ちゃんファイトー‼」

 

「頑張ってね‼」

 

響と未来も切歌を応援していた。

 

「さぁ、振り切るデス‼」

 

 

ー推奨BGM「オラシオン」ー

 

 

切歌の曲は静かな感じだと思ったが、サビに入ったら一気にテンポアップした。

 

しかし、切歌は余裕で合わせていた。

 

俺なら絶対ミスるな……

 

「どうデスか?」

 

「凄かったよ。俺はサビで失敗しそうだな。」

 

「やったデス‼」

 

「…さすが切ちゃん。」

 

「次は誰が唄う?」

 

「なら、私が唄うよ。」

 

今度は未来か……

 

 

ー推奨BGM「Hey world」ー

 

 

未来の曲は落ち着いた中に熱い思いを感じる曲だな。

 

「どうだった?」

 

「未来の歌声が曲に合ってて思わず聞き入っちゃったよ。」

 

「ほ、褒めすぎだよ///」

 

「そうか?俺はそう思ったんだけどな。」

 

「え~と、ありがとね////」

 

その時の未来の照れた顔に俺は少し見とれてしまった。

 

「次は僕が唄います。」

 

エルナの歌か…予測出来ないな。

 

 

ー推奨BGM「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」(久野美咲ソロver)ー

 

 

「予想外過ぎる……」

 

随分可愛らしい曲だな…

 

「でも、何か似合っているような…」

 

俺達が変な感覚を感じている間に曲が終わった。

 

「なあエルナ、その曲どこで覚えたんだ?」

 

「コレは昔、姉さんが唄っていたんですよ。」

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼」」」」」

 

キャロルさんが今の曲を!?信じられねえ?!

 

「最近は何故か唄ってくれませんけど…」

 

そりゃそうだ、キャロルさんからみれば黒歴史みたいだし……

 

《メールダヨ‼メールダヨ‼》

 

「ん?誰からだ?……ッ‼」

 

そのメールを見て俺は恐怖した。

 

「どうしたんですか?」

 

「エルナ……キャロルさんからだ…」

 

「姉さんから?なんでs……ヒィィッ‼」

 

そうなるよな、俺もまだ震えが止まらねぇ……

 

「どんなメールだったのかな…?」

 

「見ない方が身のためかも…」

 

「響、未来、メール見るか?」

 

「「遠慮しますッ‼」」

 

ですよね~。

 

でも、何で俺にメールを………………あっ、これ以上広めないように俺に見張れって事ですね……

 

「よ~し‼次は私が唄うよ‼」

 

「頑張れよ‼響‼」

 

 

ー推奨BGM「コネクト」(悠希碧ソロver)ー

 

 

「この曲は…」

 

確か、響が面白いから一緒に見ようってことで見てた魔法少女アニメのOPだったな。

 

俺もCD買ってよく聞いたな……

 

「イッセー、どうだった?」

 

「上手かったよ。聞いててあのアニメを思い出したよ。」

 

「ああ、私と見てたアレか。面白かったよね~。」

 

「じゃあ、次はイッセー君ね。」

 

俺は未来からマイクを受け取った。

 

「おっしゃ‼任せろ‼」

 

最近覚えた曲を披露してやる‼

 

 

ー推奨BGM「アイデンティティ」(梶裕貴ver)ー

 

 

この曲を聞いたとき、俺みたいな弱い奴でも戦い方で勝つことが出来ると教わった。

 

それ以来この曲は俺のお気に入りだ。

 

「「「「スゴ~~~~~~イッ‼」」」」

 

「イッセー、上手すぎだよ‼」

 

「ビックリしちゃったよ‼」

 

「この間偶然見つけてさ、歌詞を見てすぐに買ったCDの曲なんだ。」

 

そして、俺はマイクをアーシアさんに渡した。

 

「次はアーシアさんね?」

 

「うぅ~、緊急します…」

 

アーシアさんはどの曲にしようか悩んでいたら、いきなり曲が始まった。

 

「え?ど、どうしていきなり?!」

 

「……私が選曲した。」

 

調、お前かァァァァァァぁぁぁぁッ‼

 

「でしたら、この曲を歌います‼」

 

「画面に歌詞が出てるからそれを見ながら唄って‼」

 

「わかりました‼」

 

 

ー推奨BGM「Kosmos,Cosmos」ー

 

 

「すげえ…」

 

「透き通るような声だね…」

 

俺達はアーシアさんの歌声に聞き惚れてしまった。

 

「ど、どうでしたか?」

 

アーシアさんの問いに、俺達は拍手することで答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラオケ店を出た俺達は、公園に向かって歩いていた。

 

本当は近くのレストランで昼飯にしようと思ったが、店の外で堕天使の気配を感じたので、周囲の安全の為に場所を移動していた。

 

「そろそろいいか。」

 

中央付近にある噴水前で俺達は堕天使がいるであろう場所を見た。

 

「あら、気付いてたのね。」

 

「気配の隠し方が下手すぎます。それでは僕の探知から逃げられませんよ。」

 

エルナのサポート能力は俺達の中でトップだからな。

 

「まぁいいわ、アーシアをこちらに渡しなさい。」

 

「断ると言ったらどうする?堕天使レイナーレ。」

 

俺が名前を言うと堕天使は驚いた顔をした。

 

「名前まで?!どうやら生かしておくわけにもいかないみたいね…」

 

「ほな、バイちゃら‼」

 

いきなり、俺の左側から光の剣を振りかぶった男が現れた。

 

「ッ‼イッセー‼」

 

響が叫ぶ…………でもな、

 

「殺気でバレバレなんだよ。」

 

後ろに半歩下がった俺の前を剣が通過し、そのままの姿勢の相手にミドルキックを叩き込んだ。

 

「安部氏ッ‼」

 

「その発音はどうなんだ?」

 

男は吹っ飛んだと思ったらすぐに空中で持ち直し、着地した。

 

「アンちゃんやりますな~、俺っち思わず朝食った卵かけご飯をキラッキラで口から流すところだったゼ☆‼」

 

なんだ、この男は?

 

「イッセー君、この人ネットの記事にあった…」

 

「ああ、白髪の精神異常者か。」

 

「アレ?俺っちもしかして有名人ですか‼さっすがオレ‼サインあげますよ?代金は…」

 

そう言って、男は改めて剣を構えた。

 

「テメエの命だよッ‼」

 

突っ込んでくる男の剣を、解放龍の剣(リモートエッジ)を出しお守りを当てて、受け止めた。

 

「およっ?綺麗な剣でやんすね。へし折ってやるからそれチョーダイ?!」

 

「やるかバカ‼」

 

そのまま、俺と白髪は戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

イッセーが変人と戦い始めたので、私と未来、調ちゃんと切歌ちゃんはアーシアさんの護衛、エルナさんはサポートとして、アーシアさんはエルナさんの傍にいる。

 

「調ちゃんと切歌ちゃんはアーシアさんを連れて逃げてッ‼」

 

「ワタシ達も一緒に戦うデスよ‼」

 

「…その為の力もある‼」

 

「あなた達まで戦ったら、誰がアーシアさんを守るの?!」

 

「「ッ‼」」

 

未来の言葉に二人は役割を理解したみたい。

 

「わかったデス‼」

 

「…そっちは任せます‼」

 

「「「任された‼」」」

 

三人が避難したのを見送った私達はレイナーレに向き直った。

 

「あなた達には悪いけど、さっさと殺してアーシアを捕まえないと。」

 

「殺れるものならやってみろッ‼」

 

私達は首にかけていた赤い結晶を取り出す。

 

「?何よそれ、それで至高の堕天使になる私に勝てるとでも?」

 

レイナーレが笑っているが無視して聖詠を唱えた。

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

その瞬間、黄色と紫の光が周りを包み込み、 武装(シンフォギア)を身に纏った私達はレイナーレに攻撃しようとしたが、

 

「悪いけど、あんた達の相手はこいつらよ。」

 

そう言うと、周囲から沢山の悪魔祓い(エクソシスト)が現れ、光の剣で襲いかかって来た。

 

『人数把握終了、数は50人です‼』

 

エルナさんから相手の情報が念話で送られてきた。

 

「「たかだか50ッ‼」」

 

その程度で私達を止められると思うなッ‼

 

私はシンフォギアで強化された身体能力で一気に飛び込み、先頭の一人を殴り飛ばした。

 

そのまま懐まで滑り込み、止まった場所の近くにいた一人に飛び膝蹴りを叩き込んだ。

 

「コイツッ‼」

 

「これで‼」

 

着地した所を左右から挟撃されそうになったが、

 

「させないよ‼」

 

未来のレーザーがエクソシスト達を撃ち落とした。

 

「ナイス、未来‼」

 

「行っちゃえ、響‼」

 

未来の応援を背に、私は右手の籠手を後ろに伸ばし、大きく振りかぶった後、全力で地面を殴った。

 

その瞬間、籠手が一気に元の位置まで戻り、発生した衝撃波が周囲を襲った。

 

「「「「ウワァァァァァァァァァァァッ‼」」」」

 

ヨシッ‼だいぶ数が減った‼

 

『残り15人です。』

 

「クソッ‼」

 

「あっちの司令塔からやるぞ‼」

 

このまま倒そうとしたが、残りの奴等がエルナさんに向かって行った。

 

「通しはしないよ‼」

 

でも、そのはるか手前で未来が展開したミラーデバイスに囲まれていた。

 

「な、なんだコレは?!」

 

「こんなモノッ‼」

 

一人のエクソシストが光の剣でミラーデバイスを切ろうとしたが、鏡に触れた途端に刀身が消滅した。

 

「バカな‼」

 

「何故、我らの剣が…」

 

「私のシンフォギア《神獣鏡(シェンショウジン)》の前にそんな力は通用しない。」

 

そして、鏡から放たれたレーザーがエクソシスト達を打ち倒した。

 

「未来さん、ありがとうございました。」

 

「どういたしまして。」

 

エルナさんがお礼を言っている時、私はあることに気づいた。

 

「二人とも、レイナーレは?!」

 

「そう言えば…」

 

「何処に…」

 

 

ドォォォンッ‼

 

 

「「「ッ‼」」」

 

今の爆発音は?!

 

「調ちゃん達が逃げた方からだよ‼」

 

まさか、もうそこまで……ッ‼

 

「行きましょう‼」

 

「「はいッ‼」」

 

皆、無事でいて‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺と白髪はあれから何度も切り結んでいた。

 

「アンタすげぇナ‼面白過ぎてオレイッちゃいそう‼」

 

「少しは黙れ‼」

 

コイツの喋りはかなりうっとおしい‼

 

「黙っちまったらオレ死んじゃう?!俺っちは喋って戦って殺してないと俺っちとは言わせねぇ‼」

 

「知るかッ‼」

 

白髪が上段から振り下ろしてくるが、神器の刀身で滑らせるように後ろに受け流し、隙だらけの背中にヤクザキックをお見舞いした。

 

「アチャモォッ‼」

 

「お前、火よりもお化けタイプだろッ‼」

 

あんな可愛いポ○モンに生まれ変わらせてなるものか‼

 

「くぅ~~、さっきから攻撃を受けてばかりで俺っち新しい世界に目覚めソウ‼」

 

「その前に永久に眠れッ‼」

 

俺は白髪に剣を突き刺そうとしたが、前に転がるように移動し避けられた。

 

「ダメっすよ~、慌てん坊の男は女性に嫌われちゃうぞッ。」

 

「やかましいッ‼」

 

本ッ当にイライラさせてくれるぜコノヤロー‼

 

『主、落ち着いてください。その調子では当てる事は出来ませんよ。』

 

ッとそうだったそうだった。一回落ち着こう……

 

「ゆっくりしている今がチャンスッ‼」

 

白髪が俺に向かって剣を突き出してくる。

 

でも、

 

「遅い。」

 

俺は神器を振り上げながら、白髪の剣の柄を切り落とした。

 

「な、なんじゃそりゃ~~ッ‼」

 

白髪が驚いている間に、アイツの股間に蹴り入れた。

 

「セイバァァァァァァァァァァァッ‼」

 

謎の悲鳴をあげながら、白髪は倒れた。

 

「ちょっと……コレは…卑怯じゃ…」

 

「戦闘に卑怯なんてルール違反はないんだよ。」

 

「チッ‼こうなったら…」

 

そう言って、懐から何かを取り出した。

 

「させるか‼」

 

俺は止めようとしたが…

 

「ばいナラ~♪」

 

奴が持っていた閃光弾で視界を封じられた。

 

「グッ?!待て‼」

 

「待てないよ~。俺の名前はフリード・セルゼン‼記憶の片隅に覚えとけよ~♪」

 

視界が戻った時にはフリードの姿は何処にもなかった。

 

「逃げ足の速い奴だ。」

 

早く皆と合流しないと……

 

 

ドォォォン‼

 

 

「ッ‼」

 

今の爆発音……まさかッ‼

 

待ってろ、皆‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が爆発音のした場所に着いたときには、傷だらけの調と切歌がいた。

 

「……イッセー先輩…」

 

「ゴメンなさいデス…」

 

「何があったんだ?」

 

「…私達が逃げていたら……」

 

「レイナーレ達が襲ってきたんデス…」

 

達って事は、

 

「他のメンバーも居たんだな?」

 

「…うん、報告にあった通りに四人だった…」

 

「でも、ワタシ達じゃ四人も相手に出来なかったデス…」

 

二人とも守れなかったのが悔しかったのか、泣きそうな顔をしていた。

 

「大丈夫だ。」

 

「「え?」」

 

「これで作戦失敗なんて誰が言った?」

 

そう、まだ終わってないさ。

 

「エルナ。」

 

「はい、アーシアさんの神器の特徴的な波動は感知できてます。」

 

「…でも、此処で一網打尽にするんじゃ?」

 

「違うよ。」

 

そうさ、捕まえるなら……よし‼

 

「調と切歌の治療が終わり次第、出発するぞ。」

 

「えっと、何処に?」

 

そんなの決まってるだろ。

 

「あいつらの本拠地だよ。」

 




フリードとレイナーレ登場‼

そろそろ、きりしらコンビも活躍してもらうか。


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さて、潰すか‼

きりしらみくが大活躍してます。

そして最後にエルナが…………

では、どうぞ!


一誠side

 

レイナーレに逃げられた俺達は、先に調と切歌の治療と態勢を整える為に一度アパートに戻ってきた。

 

「調と切歌の具合はどうだ?」

 

「お二人とも軽い擦り傷程度ですから、僕の治癒魔法で直ぐに治りますよ。」

 

「なら、良かったよ。」

 

エルナから二人の状態を聞いて俺は安堵した。

 

「それじゃ、俺は一回オッチャンに連絡してくるわ。」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

 

廊下に出て、ケータイを取りだした俺はオッチャンの番号に掛けた。

 

でもオッチャンはスゲエな、このケータイは一般的な物なのに魔改造して冥界にも繋がるようにしちまったんだし。

 

[おう、どうした?]

 

「あっオッチャン?実はレイナーレ達を見付けたんだけど…」

 

[そうか、逃げられたか。]

 

「まぁ、場所は特定できてるからこれから襲撃するつもり。」

 

[あまり無茶するなよ?お前の戦い方は見てて危なっかしいからな。]

 

そんな危ない事はしてないと思うんだけど……

 

「分かってるよ、全員無事に帰ってやるさ。」

 

[危険だと思ったらすぐに離脱しろよ?死に急ぐような真似は絶対に許さんぞ。]

 

「了解したよ。」

 

[ならいい、お前に何かあったら響が悲しむようだしな?]

 

「理解してる。」

 

あいつのおかげで今の幸せがあるんだからな…

 

[気をつけて行けよ。こっちも増援を出せるなら直ぐに送る。]

 

「助かります。」

 

そこで、通話は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

調ちゃんと切歌ちゃんの治療が終わった私達はレイナーレ達がいる廃教会に向かっていた。

 

「二人とも、もう大丈夫?」

 

「バッチリデス‼」

 

「…今度は負けない!」

 

おお~、やる気満々だ。

 

「なら、二人には最初の一撃の後、周りの神父達を片付けてくれ。」

 

「「了解(デス)‼」」

 

「俺と響はその間に奥にいると思われるレイナーレを生け捕りにする。」

 

「わかった‼」

 

さ~て、頑張りますか‼……ってアレ?

 

「イッセー、未来とエルナさんは?」

 

「あの二人なら、別の場所に向かってもらってる。」

 

別の場所?何でなんだろ?

 

「理由なら後で解るさ。ほら、もう着くぞ。」

 

そんな風に話している間に廃教会の前まで来ていた。

 

「それじゃ皆、行くぞ‼」

 

「「「オォ~(デス)‼」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「オラァッ‼」

 

俺は《解放龍の剣(リモートエッジ)》を出し、教会の扉を切り裂いた。

 

「何だッ?!」

 

「誰だ?!お前達はッ?!」

 

お~お~、驚いてるな。

 

おそらく見張りをしていたであろう神父達が、俺達を見て慌て始めた。

 

「…始めよう、切ちゃん。」

 

「行くデスよ、調‼」

 

調と切歌が一歩前に出て、赤い結晶のペンダントを掲げ、

 

「Various shul shagana tron」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

聖詠を唱えた。

 

すると、ピンクと緑の光が周囲を覆い、それが消えると、白とピンクのボディスーツにブーツを思わせるような脚甲とスリムな籠手、ツインテールと一体化したコンテナのようなパーツの付いたヘッドギアのシンフォギアを纏った調と、白と緑のボディスーツに肩に片方二つずつ付いたプロテクター、魔女の帽子みたいなヘッドギアのシンフォギアを纏った切歌がいた。

 

「…さぁ、荒れるよ。」

 

「止めてみろデス‼」

 

…アイツら、戦隊モノにハマったのか?

 

 

 

切歌side

 

初のワタシ視点デス‼頑張るデスよ‼

 

「ふざけやがってッ‼」

 

「小娘風情が‼」

 

神父達が光の剣や光の銃を構え始める……けど‼

 

「遅いデス‼」

 

ワタシと調は一気に突っ込んでいった。

 

「させるか‼」

 

「足を狙え‼」

 

ワタシ達目掛けて光の弾丸を撃ってくるが、その前に高く飛び上がって一回転した後、一番前にいた神父の顔面に飛び蹴りを喰らわせた。

 

「ライダァッ?!」

 

そして華麗に着地‼

 

「決まったデス…」

 

「…格好付けてないで、次が来るよ。」

 

調の言葉通りにワタシ達の前に剣を振りかぶった神父がいた。

 

「「当たるものか‼」」

 

二人でバック転をして回避し、ワタシは武装(アームドギア)である緑色の刀身の鎌を手に取る。

 

「ワタシ達の目的は‼」

 

「…先輩達の道を切り開くこと‼」

 

そう言って、調はコンテナになったツインテールから大量の丸鋸を射出し、ワタシは鎌の刃を三枚に増やしその内二枚を振るい飛ばした。

 

《α式 百輪廻》

 

《切・呪リeッTぉ》

 

調の鋸が道を作り上げ、私の鎌がその道にいた神父達をぶっ飛ばしていった。

 

「今のうちデス‼」

 

「…早く奥へ‼」

 

イッセー先輩と響先輩は頷くと、そのまま奥へ走っていった。

 

「これで第一目的は完了デスね。」

 

「…後はコイツらを片付けるだけ。」

 

さ~て、ド派手に行くデスよ‼

 

二つ目の武装(アームドギア)を出し、それを重ね合わせ左右に三日月型の刃が付いた武器へと変形させる。

 

《対鎌 螺Pうn痛ェる》

 

それを構え、肩のプロテクターにあるブースターで一気に加速する。

 

「なッ?!」

 

「速い?!」

 

距離が近かったおかげで直ぐに懐に入り、鎌の面の部分を当て吹き飛ばした。

 

「それそれ~‼死神様のお通りデ~ス‼」

 

「「「デュオォォォォォォォォォォッ?!」」」

 

それ、悲鳴何デスか?

 

「そんな大きな武器で俺達の攻撃が防げるかな!?」

 

残っていた神父五人がワタシを囲み、一斉に襲ってきた。でも……

 

「甘過ぎデス‼」

 

それを鎌と両肩に付いた4つのプロテクターを刃に変形させて動かし光の剣を受け止めるどころか、切り裂いていた。

 

《封伐 PィNo奇ぉ》

 

「そんなッ?!」

 

「全身が武器なのか?!」

 

「ワタシのシンフォギア《イガリマ》をナメるなデス‼」

 

 

 

 

 

調side

 

ここからは私の初視点。頑張らなきゃ‼

 

「コイツの武器はさっきの丸鋸を飛ばすだけだ‼近づけば倒せるはず‼」

 

「なら、全員で一気に行くぞ‼」

 

アレで私の武装(アームドギア)を見切ったつもり?考えが足りな過ぎる。

 

「…だったら、来れば?」

 

左の手のひらを上にし、指を何回か曲げる簡単な挑発をする。

 

「バカにしやがって‼」

 

一人が引っ掛かり突っ込んでくる。本当の馬鹿だ。

 

私はコンテナの付け根をスライドさせ、射出された円形のアイテムを掴み取り神父の顔面に投げつけた。

 

「ゴルザッ!?」

 

そして、投げたアイテムは手首から伸びたエネルギー状のワイヤーを伝い戻ってきた。

 

「アレは?!」

 

「ヨーヨーだと?!」

 

「…正解。」

 

驚いている間にもう一人の顔面にヨーヨーをぶつけた。

 

「メルバッ!?」

 

ちなみに、シンフォギアで強化された身体で投げているから、顔に当たれば気絶する程痛い。

 

「だが、予想通り近づけば‼」

 

「怖くはない‼」

 

二人の神父達が挟撃しようとしたが、

 

「…甘い。」

 

ヘッドギアのコンテナを変形させ、多関節アームにして先端にはさっき飛ばした物より数倍大きい丸鋸を装備し、剣を受け止める。

 

「何ッ!?」

 

「まだこんな仕掛けが?!」

 

それに驚愕した神父達が一旦下がろうとしたけど、逃がしはしない‼

 

私はその二人に向けてアームの丸鋸を飛ばした。

 

《γ式 卍火車》

 

コレはさっきの技よりもスピードが遅いけど、その大きさのおかげで相手の武器を切り裂いた。

 

「しまった!?」

 

「これでは戦えない!?」

 

「…私達の勝ちだよ。」

 

周りを見ればすでに戦える神父はいなかった。

 

「調も終わったデスか?」

 

「…切ちゃんも終わったみたいだね。」

 

私は神父の顔面にヨーヨーをぶつけ、気絶させてから切ちゃんとハイタッチした。

 

「中は先輩達に任せて、ワタシ達は外の警戒をするデスかね?」

 

「…そうだね、まだ神父がいるかも知れないしね。」

 

そう思って私達は壊した入り口から外に出たら、

 

「動くな‼」

 

「大人しくしろ‼」

 

たくさんの神父が光の銃をこちらに向けていた。

 

「デェス?!」

 

「…いきなり大ピンチ。」

 

これじゃ、攻撃する前にハチの巣にされちゃう!

 

『二人とも、聞こえる?』

 

その時、私達に通信が入った。

 

「…その声は未来先輩?」

 

『喋らないで、向こうに気付かれちゃうから。』

 

『…わかりました。』

 

『二人の状況はこっちでもエルナさんと確認したから。』

 

ということは、どこかからこっちを見ている?

 

『今から援護するね。』

 

…援護ってどうやって?

 

そう思った瞬間、一人の神父がいきなり倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

「ふぅ~、やっと着いた…」

 

私とエルナさんはイッセー君の指示で廃教会から約3㎞離れた駒王町にある20階建てビルの屋上にいます。

 

「…もう……ムリ…です…」

 

屋上まで階段だったせいか、エルナさんはぐったりしていた。

 

エルナさん、もう少し体力つけましょう?

 

私は屋上から廃教会の場所を確認してみたけど…

 

「やっぱり肉眼じゃよく見えないね。」

 

でも、これが私の役割なんだし頑張らなくちゃ‼

 

私は息を整えて、

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

聖詠を唱え、シンフォギアを身に纏った。

 

そして武装(アームドギア)の鉄扇を取り出し、両手で銃を持つみたいに構える。

 

「スキャニングモード起動。」

 

ヘッドギアを閉じ、送られてくる情報の簡単な整理をする。

 

「エルナさん、こっちの準備は出来ました。」

 

「ふぅ、やっと落ち着きました……了解です。」

 

エルナさんがヘッドギアに触れ、魔力で出来たケーブルを繋げた。

 

「それでは、サポートを開始します。」

 

すると、私の前に表示されている情報が驚くべきスピードで整理されていった。

 

「情報の取捨選択は僕に任せてください。未来さんは攻撃の用意を。」

 

「わかりました。」

 

改めて、廃教会の方を向いて状況を確認しようとしたけど…

 

「この状態でもよく見えないや…」

 

ギアのズームを使っても、廃教会が小さく見える程度で他はやっぱり見えなかった。

 

「少々お待ちください……これならどうですか?」

 

すると、映像がより鮮明になりズーム機能も上がったのか入り口に立っている調ちゃんと切歌ちゃんの顔もよく見えるようになった。

 

「エルナさん、スゴいです‼」

 

「整理して空いた分の容量を映像とズーム機能にまわすようにがんばりm……二人の周囲に敵の反応です‼」

 

その言葉に映像を確認したら、二人が神父達に囲まれていた。

 

『二人とも、聞こえる?』

 

私はシンフォギアの通信を使い、連絡を取った。

 

「……その声は未来先輩?」

 

『喋らないで、向こうに気付かれちゃうから。』

 

『…わかりました。』

 

音声通信をしようとした調ちゃんを嗜め、念話通信で話すように促す。

 

「調さん達の周りにいる神父の数は30人程です。」

 

「了解です。」

 

『二人の状況はこっちでもエルナさんと確認したから。』

 

「周囲に遮蔽物なし、いつでもどうぞ。」

 

私は鉄扇を構え、

 

『今から援護するね。』

 

呼吸を整えて、

 

「小日向未来、目標を狙い撃ちます‼」

 

レーザーによる長距離狙撃を始めた。

 

《紫天》

 

エルナさんがサポートしてくれたおかげで初撃は、真ん中にいた神父の後頭部に当たった。

 

「初撃命中を確認。」

 

「続けて第2射撃ちます。」

 

動揺しているのか相手の動きがなかったので次も簡単に後頭部に当たった。

 

「敵部隊の移動を確認。」

 

皆狙われていることに気づいたのか木を盾にこちらを警戒しようとしてるみたいだけど……

 

『調ちゃん、切歌ちゃん暴れていいよ。』

 

『『了解(デス)‼』』

 

二人がいるのを忘れたらダメだよ。

 

二人が左右から攻撃し始めたので、私も攻撃しようとしたけど…

 

「木が邪魔で狙いにくい…‼」

 

隠れたせいで狙撃しにくくなっていた。これじゃ攻撃できない‼

 

「任せてください‼………………これです‼」

 

エルナさんからギアに情報が送られてきて、私はそれに驚きつつも対応を始めた。

 

「ミラーデバイス展開、座標設定、角度調整よし、準備完了。」

 

展開したミラーデバイスを空中に固定、その鏡面に武装(アームドギア)を向け、

 

「発射‼」

 

レーザーを撃つと鏡面で当たった後、曲がって行き、それを繰り返していくと……

 

「ゴモラッ?!」

 

隠れていた神父に命中した。

 

《鏡宴》

 

「やった‼」

 

「次の座標を送ります。」

 

「了解しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、私達3人の独壇場となった。

 

逃げる者は調ちゃんと切歌ちゃんに倒され、隠れている者はエルナさんのサポートを受けた私の狙撃で次々と倒されていった。

 

「ラスト一人です…………ッ‼」

 

「これで‼」

 

私がレーザーを撃とうとした時……

 

「未来さん‼危ない‼‼」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルナさんがいきなり私を突き飛ばし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォン‼‼‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の爆発に巻き込まれて、屋上から落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルナさァァァァァァァァァァァァァァァん‼」

 

 

 

 

 




未来さんの技の説明しときます。

《紫天》

相手の感知できない距離からの狙撃。エルナのサポートがあれば神獣鏡の限界を超えた距離からの狙撃も可能となる。




《鏡宴》

ミラーデバイスを使い、レーザーを複雑に曲げ、障害物すら越えて狙い撃つ。一発を複数に拡散させることも出来るが威力は極端に下がるためこちらは味方の撤退支援で使用されている。

活動報告でアンケートを取っています。こちらにもコメントをお願い致します。


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援軍は一番目立つ時にやってくる

今回は残りのシンフォギアメンバーが登場します。




エルナside

 

体中が痛い…

 

下から風が吹いているのを感じる…

 

そうか…僕は落ちているんだ……

 

さっきの“攻撃”で屋上から飛ばされて…

 

「僕はこのまま死ぬんでしょうか…?」

 

それはとても嫌ですね…

 

僕はまだ皆さんと一緒にいたい……

 

もっと皆さんの役に立ちたい…

 

もっと皆さんと笑い合いたい!

 

だから僕は……‼

 

「まだ、死ねません‼」

 

その時、

 

『カ……ン!』

 

何かが聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

エルナさんが私を庇って屋上から落ちていった。

 

今ならまだ間に合うはず‼

 

私が追い掛けようとしたら、“黒い魔力と雷”が私を襲った。

 

「キャアッ‼」

 

助けに行く事に意識を向けすぎていたせいで、その攻撃が直撃して私は屋上の中央付近まで戻されてしまった。

 

これじゃ、間に合わない……‼

 

「これで一人は片付いたかしら?」

 

「この高さですから、間違いないですわ。」

 

その言葉に悔しさと悲しさを感じながら上にいる“敵”を睨み付けた。

 

「何で邪魔したんですか!?グレモリー先輩‼」

 

私は言葉にありったけの怒りを込めて叫ぶけど、

 

「あなた達が私の領地で問題を起こすからよ。」

 

問題?私達は特に問題なんて起こしてないはず……

 

「先ほど、匿名の情報が送られて来ましたの。」

 

「あなた達がこの町に来たシスターが持つ神器を奪い取ろうとしているというね。」

 

「そんなッ?!」

 

何でそんな事になってるの?!

 

「違います‼私達は……!」

 

「あなたの弁明は聞いてないわ。」

 

「え?」

 

「私達はこの情報が嘘かどうかは正直どうでもいいんですの。」

 

どうでもいい?なら何で私達を……

 

「貴方ともう一人の子からもらった一撃、その場所が未だに疼くんです。だからこそ、あなた達には仕返しをしないと気がすまないの‼」

 

そう言って、姫島先輩が雷を落としてきたが狙いが定まってないせいか簡単に避けられそうだった。

 

「これぐらい‼」

 

回避しようと思ったが、

 

「あら、避ければ雷が壊した破片がさっきの子に降り注ぎますわよ?」

 

「ッ?!」

 

それを聞き、私はすぐさま武装(アームドギア)とミラーデバイスを展開して受け止めた。

 

するとグレモリーが私を興味深そうに見た。

 

「へぇ~、落ちた子がまだ生きていると思ってるの?あの落差なら可能性はほとんど0よ?」

 

「それでも、私は信じてる‼エルナさんは生きているって‼」

 

「そう、ならどこまで耐えられるかしら‼」

 

今度はグレモリー先輩も加わって大量の魔力攻撃が襲ってきた。

 

「絶対に通さないッ‼」

 

スキャニングモードを使い、魔力の弾道を見切りことごとくを防いでみせる。

 

「やるわね‼でも、後どのくらいもつのかしら?!」

 

「クッ?!」

 

悔しいけどグレモリー先輩のいう通りだ。

 

大量のミラーデバイスの操作に加え、膨大な情報の取捨選択を一人でしているため、攻撃も出来ず私の脳にはかなりの負担がかかりこれ以上はもたなくなってきていた。

 

「それでもッ‼」

 

気力を振り絞って攻撃を防いでいく。

 

エルナさんの無事を信じて。

 

絶対に止めきってみせる‼

 

でも、現実は残酷だった……

 

 

ズキンッ‼

 

 

「アグッ?!」

 

突然激しい頭痛が私を襲った。

 

ここで限界なの!?

 

「終わりよ‼」

 

「喰らいなさい‼」

 

相手がその隙を逃すはずなく、私に魔力と雷を放ってきた。

 

……ここで終わりなのかな?

 

……エルナさんを助ける事も出来ずに?

 

…そんなことない!

 

イッセー君や響達は生きるのを諦めたりなんか絶対しない‼

 

だから私も…‼

 

気づけば攻撃はすぐ目の前まで来ていた。

 

「私も生きるのを諦めたりなんかしないッ‼」

 

その時、

 

「よく言った‼小日向‼」

 

青い閃光がグレモリー先輩と姫島先輩の攻撃を切り捨てた。

 

「「なッ?!」」

 

「え?」

 

そして、私の目には…

 

「……(つるぎ)?」

 

青と銀で彩られた日本刀が映っていた。

 

「そうだ。」

 

そして、この(つるぎ)を持つ人は…

 

「振り抜けば風が鳴る(つるぎ)だ。」

 

私達の……‼

 

「翼さんッ‼」

 

頼れる先輩だ‼

 

「どうしてここに?!」

 

「イッセーから一報をもらってな、仲間の危難を前にして鞘走らずにいられるものか‼」

 

そう言って、翼さんは武装(アームドギア)を構えた。

 

翼さんのシンフォギアは白と青のボディスーツに足にはウィングスラスターがあり耳当て型のヘッドギアを装着している。

 

「あなた、何者なの?!」

 

「ただのしがない歌女だ。」

 

「何を言ってるの?」

 

「この場でそのような嘘が通じると?」

 

「嘘ではないのだがな…致し方ない。」

 

翼さんは軽く息を吸って、

 

「ならば聞くがいい‼防人の歌を‼‼」

 

そう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切歌side

 

表にいた神父達を倒し終わったワタシと調は周囲の警戒をしていた。

 

「…未来先輩、大丈夫かな?」

 

「どうしたんデスか、調?」

 

未来先輩なら離れた場所から狙撃してたから大丈夫だと思うんデスけど…

 

「…私達に襲い掛かってきた最後の神父、隠れていたなら未来先輩の狙撃で倒されていたはず、でも先輩からは全滅の連絡もなかった。」

 

「まさか、未来先輩の所に敵がいるってことデスか?!」

 

「…多分だけど。」

 

「だったら、早く助けに行くデスよ‼」

 

ワタシが未来先輩のいた場所に向かおうとしたら、

 

「貴様らか?我々の拠点に攻めて来たのは?」

 

目の前に3人の堕天使が現れた。

 

「お前達は…‼」

 

「ふむ、誰かと思ったらあの時の小娘達か…」

 

「コスプレするなら他所でやるっすよ。」

 

「「コスプレ言うな(デス)ッ‼」」

 

確かに、周りから見ればシンフォギア(この格好)はコスプレに見えるかも知れないけど……

 

「そんな事より、うちの神父達を倒しまくったのはあんた達なわけ?」

 

「…そうだとしたら?」

 

「上等ッ‼」

 

そう言って青い髪の堕天使が光の槍を片手に突っ込んできたけど…

 

「…相手の情報も分からないのに突撃するのは。」

 

「バカのやる事デス‼」

 

すれ違い様にイガリマとシュルシャガナの刃で体を三等分に切り裂いた。

 

「は?」

 

そんな残念な言葉を最後に羽だけを残し、消滅した。

 

「何だとッ?!」

 

「何すか?!その武器は!?」

 

「…教えるとでも?」

 

調がシュルシャガナの鋸を向け、

 

「小娘と 括ったタカで こうなった。」

 

と、どや顔で言っていた。

 

…なんか川柳みたいな言い方デスね。

 

「カラワーナめ…油断しおって‼」

 

「もお、許さないっすよ‼」

 

残りの二人も羽を広げ臨戦態勢に入った。

 

「あの時のリベンジデス‼」

 

「…絶対に勝つ‼」

 

ワタシは右手、調は左手の人差し指を堕天使に突きつけた 。

 

「「さぁ、お前達の罪を数えろ(デス)ッ‼」」

 

ワタシはゴスロリ、調は男の堕天使に向かい戦闘を始めた。

 

「随分物騒な武器っすね!?」

 

「カッコいい武器デスよ‼」

 

イガリマの鎌はワタシには少し大きいけど、そのぶん頼りになるんデス‼

 

「でも、動きが分かりやすいっすよ‼」

 

ワタシが振り下ろすのに会わせて、空中に飛んで回避された……ってしまった?!

 

「空に上がればこっちのモンすよ‼」

 

そう言って、光の槍を投げまくってきた。

 

「チィッ‼」

 

走りまわって回避するけど、このままじゃ……‼

 

「ほらほら~、早く逃げるっすよ~‼」

 

こっちが手出し出来ないからってぇ~‼

 

こうなったら‼

 

「喰らうデス‼」

 

刃を三枚に増やし、二枚をゴスロリに向かって飛ばした。

 

『切・呪リeッTぉ』

 

この技なら想像外のはずデス‼

 

「うひゃあッ?!」

 

よし、驚いた隙にッ‼

 

肩のブースターで一気に飛び上がり、鎌を振るう。

 

「ギャオスッ?!」

 

ギリギリで光の槍に防がれたけど、地面に落とすのは成功デス。

 

「アイタタ……刃を飛ばすなんて卑怯っすよ‼」

 

「ワタシ達の先輩が言ってたデスけど、戦闘に卑怯なんてルール違反はないデスよ。」

 

「それも…そうっすね。」

 

ゴスロリは起き上がると光の槍を持ち、睨んできた。

 

「次で決めるっすよ。」

 

「望むところデス‼」

 

ワタシも鎌を構え、いつでも飛び込めるようにする。

 

「1」

 

「2の」

 

「「3ッ‼」」

 

その合図で行こうとしたら、

 

「隙ありだよッ‼」

 

「え?」

 

近くの茂みから、グレモリー眷属の木場先輩が飛び出してワタシに剣を振るってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調side

 

「ほぉ、少しはやるようだな‼」

 

「…バカにして‼」

 

私は男の堕天使と対峙していた。

 

向こうは空から光の槍を投げてくるけど、私は武装(アームドギア)のヨーヨーを両手に持ちコンテナを変形させた多関節アームの丸鋸で破壊しながら、反撃の手段を探していた。

 

(空を飛ばれている限り、私の勝ち目は低い。なら‼)

 

アームをコンテナに戻し、丸鋸を大量に射出する。

 

『α式 百輪廻』

 

「何ッ!?くぅッ‼」

 

男はシールドを張り、丸鋸を防ぎ始めた。

 

…今なら‼

 

私は武装(アームドギア) のヨーヨーを空高く投げた。

 

「小賢しいマネをッ‼」

 

シールドを消し、光の槍を投げようとしてるけど…

 

「…遅い‼」

 

両手を勢いよく下げヨーヨーを落とし、隙間からエネルギー刃を出して、堕天使の羽を切りつけた。

 

「グァッ‼き…貴様ァァァァァァ‼」

 

「…浅かった。」

 

もう少しで羽を切り落とせたのに…

 

怒り狂った男は光の槍を振るってきたけど、動きが単純に振り回しているだけだったから避けやすかった。

 

「ちょこまかとッ‼」

 

「そっちもしつこい‼」

 

このままじゃ埒があかない‼

 

いっそのこと突っ込んでみようかと考えていたら、

 

「邪魔だ‼どけーーーッ‼」

 

「何?ガッ!?」

 

いきなり飛び込んできた誰かに私は殴り飛ばされた。

 

「何者だッ‼」

 

「この町を領地にしているグレモリーの眷属様だよ。」

 

この…声は……。

 

「兵藤……宗二……‼」

 

「ん?君は僕の事を知っているんだ?」

 

「“敵”の事は……調べてあるから……。」

 

コイツがイッセー先輩を苦しめて“あんな状態”にした張本人……‼

 

「よく分からないけど、別にいいか。それよりも君?アイツとは縁を切って僕の所に来ない?」

 

「は?」

 

戦場(いくさば)で何バカな事を言ってるの?

 

「アイツといたって君は幸せにはなれない。でも僕ならそれが出来る。なんたって僕は“オリ主”だからね‼」

 

頭でもおかしい………………あっ、それは元からか。

 

妄想癖まで持ってるとは、ホントに残念な人……

 

「私はあなたになんか従わない‼」

 

「ふ~ん、断るって事はあの子がどうなってもいいんだ?」

 

兵藤が見ている方を向いたら、切ちゃんがグレモリー眷属の木場先輩に捕まっていた。

 

「切ちゃんッ‼」

 

「調ッ‼ワタシの事は気にしないでそいつらを……」

 

「喋らないほうがいいよ?」

 

木場先輩は手に一振りの剣を持ち、切ちゃんの喉元に突きつけた。

 

「これで自分の立場ってものを理解したかな?」

 

「……最低ッ‼」

 

コイツは絶対に許さない‼

 

イッセー先輩だけでなく切ちゃんまでも……‼

 

「貴様、なぜこんな事を?」

 

「うちにタレコミがあってさ、コイツらがシスターの神器を奪い取ろうとしてるってな。シスターを助ける序でにコイツらも倒すか僕のものにしようと思ってね。」

 

「なるほど、今だけは共闘するというわけか…」

 

「そゆこと。」

 

こんな時にコイツらが手を組むなんて……

 

「さて、アーシアはどこにいるんだ?彼女は僕が助けに行くからさ。」

 

「…教えないと言ったら?」

 

「あの子の血が周りに飛ぶだけだよ。」

 

そんな事になったら私は……

 

「彼女なら…」

 

「調ェ‼」

 

「このk「グゥッ‼」え?」

 

突然呻き声が聞こえたのでそっちを見てみると、

 

「オイ‼木場どうした‼」

 

「どこからか攻撃されて…」

 

木場先輩が右肩から血と“煙”を出しながらうずくまっていて、近くに赤い矢が刺さっていた。

 

「これは光の攻撃?!」

 

「オイ‼テメェら‼」

 

「なっ?!我々でh「えい」グハッ‼」

 

「なっ?!何やってんだ‼小猫!?」

 

「大丈夫ですか?月読さん?」

 

「…塔城さん?」

 

何で私達を……

 

「“友達”を助けるのは当たり前です。」

 

「あっ。」

 

塔城さんが私達を友達と言ってくれた事に少し嬉しく思ってしまった。

 

「他にもいますよ。」

 

「え?」

 

他にも?いったい誰だろう?

 

「アタシ達が来るにしちゃあ、ちょ~っと場を暖めすぎなんじゃねぇか?」

 

この声は……‼

 

「ハアッ‼」

 

「ガバッ?!」

 

そして私の前に誰かが降りてきたら、すぐさま兵藤を殴り飛ばした。

 

「大丈夫?!調、切歌!?」

 

まさか……‼

 

「「マリア‼クリス先輩‼」」

 

「良かった…無事みたいね。」

 

でも、どうしてここに……

 

「道に迷っていたところを私が見つけまして…」

 

「アタシじゃねぇからな‼マリアが間違えたんだ‼」

 

「仕方ないでしょ‼私はこの辺りは来たことないんだから‼」

 

その歳で迷子って……

 

「やめてッ‼そんな残念そうな人を見る目で私を見ないで‼」

 

「ところで、誰が二人を呼んだんデスか?」

 

「イッセーに決まってんだろ。」

 

「嫌な予感がするからできたら調と切歌、未来の援護に来てくれって言われてね。」

 

「「イッセー先輩が…」」

 

自分より私達の安全のために…

 

「クソッ‼なんだテメェは!?」

 

「オマエか、アタシの大切な後輩にケチつけてきたのは…‼」

 

「二人が受けた屈辱、千倍にして返してあげるわ‼」

 

「うるせぇ‼この世界は僕が全てなんだよ‼」

 

兵藤は怒りで変なことを叫んでいた。

 

「どうやら、付ける薬はねぇみてぇだな。」

 

「なら、灸を据えてやりましょう。」

 

マリアとクリス先輩は既にシンフォギアを纏っている。

 

白と赤のボディスーツに腰の大型リアアーマー、頭の周りを覆うヘッドギアを装備したクリス先輩と白とパステルブルーのボディスーツに左腕を大型の籠手、耳の大型ヘッドギアを装備したマリアだ。

 

「またコスプレが増えたっすよ。」

 

「「「「(だから)コスプレ言うな(デス)ッ‼」」」」

 

「あのゴスロリはワタシがやるデス‼」

 

「…私はあの男の堕天使を‼」

 

「だったらアタシは、木場の相手をしてやるか。」

 

「じゃあ私が赤龍帝ね。」

 

「お前ごときが僕に勝てるとでも!?僕のと違ってそんな弱そうな籠手で!?」

 

「それは違う。」

 

そう言ってマリアは左腕を突き出して

 

「この腕は翳せば漆黒の闇夜も照らす白銀の腕だッ‼」

 

高らかに叫んだ。

 

 




エルナを助けたのは一応オリキャラです。フェニックス編できちんと登場しますよ。

イッセーと響の活躍とアーシアの運命は次回までお待ちください

活動報告でアンケートもやっているのでそちらも見てもらえるとありがたいデス。



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剣と弓と槍と

今回は少し真面目なサブタイです。

アーシアの運命はどうなるのか?

イッセー・響「「では、どうぞ‼」」


響side

 

調ちゃんと切歌ちゃんのサポートで私とイッセーは教会の奥に潜入した。

 

「レイナーレはどこにいるのかな?」

 

でも、儀式をおこなう場所は分からないんだよね。

 

「確か、オッチャンのアイテムの中に使えそうなのが…………あった‼」

 

イッセーが取り出したのは某野菜人がつけていた計測器に似たものだった。

 

「異能探索器~。」(ドラ○もん風)

 

「あ~、それがあったね‼」

 

説明すると天使、悪魔、堕天使といった人外や神器(セイクリッド・ギア)を宿した人を発見してくれるアイテムなのだ‼

 

「さて、レイナーレの場所はっと……見つけた‼」

 

「えッ!?どこ!?」

 

私の疑問にイッセーは下を指差した。

 

「地下だよ。」

 

なるほど‼だから見つからなかったのか‼

 

「よっしゃ‼場所が分かりゃ後は突っ込むだけだ‼」

 

そう言って、解放龍の剣(リモートエッジ)を使い床を切り裂くと、その下には大きな空洞があった。

 

「行くぞ、響‼」

 

「OK‼」

 

下に降りると奥に続く扉があった。

 

「あの先にレイナーレがいるのか…」

 

「なら、行かないと‼」

 

私が駆け出そうとしたら、

 

「待て、誰かいるぞ。」

 

「え?」

 

扉の前をよく見てみると……あっ、いた‼

 

「ゲホッゲホッ‼随分派手な登場しやがりますな?

俺っちビックリしてホコリが気管にゲホッゲホッ‼」

 

…………なんか残念な感じになってる…

 

「お前か、フリード。」

 

「およッ!?あの時の剣士君じゃないっすか‼ ついさっきぶりですね!?どうしたんですかい?俺っちに会いに来たとか?!」

 

「レイナーレは何処だ?」

 

「つれないね~。」

 

ホントに面倒くさい性格だ…

 

「レイナーレ様ならこの奥に居るぜ。」

 

「「あっさりバラした?!」」

 

あれ~?!こういう時って俺を倒したらとかそういう展開なんじゃ!?

 

「そんな展開俺っちがぶっ壊してやるZE☆‼」

 

「もう、私の心のプライバシーは何処にあるの~‼」

 

誰も彼も私の心を読みまくって~‼

 

「イッセー‼コイツの相手は私がやる‼」

 

「え?いや、フリードの相手は俺が「わ・た・し・が・や・る‼」ハイ…」

 

このたまった鬱憤をアイツにぶつけまくってやる‼

 

「ありゃ?そっちの嬢ちゃんが相手ですかい?俺っちは剣士君が…「す・こ・し・だ・ま・れ‼」ハイ…」

 

向こうが何故か縮こまってるけど知ったことか‼

 

「じ、じゃあ俺は先に行ってるな‼」

 

「了解‼」

 

そのままイッセーは、扉の向こうにいった……って?

 

「止めなくてよかったの?」

 

「ん~?俺っちは一対一(タイマン)が好きなんだよね~。誰にも邪魔されずに相手をなぶり殺しに出来るんだぜ‼これ程サイコーな事はねぇだろ‼‼」

 

「…外道が‼」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ‼嬉しい誉め言葉をサンキュー‼お礼にバラバラにしてやんよ‼‼」

 

「やってみろッ‼」

 

私は赤い水晶体を手に、

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron。」

 

聖詠を唱え、シンフォギアを身に纏った。

 

「お前みたいな奴は、ここで倒すッ‼」

 

「やってみやがれ、クソビッチがァァァァァ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼side

 

風鳴翼だ。悪いが自己紹介は作者が設定集を出した時にさせてもらおう。

 

「翼さんッ‼心の中でメタ発言しないでください‼」

 

「す、すまん…」

 

私と小日向は今、グレモリー嬢とその女王(クイーン)を相手にしていた。

 

「防人の歌?」

 

「なんですの?それは?」

 

「つ、翼さん…大丈夫何ですか?」

 

「無論だ、総督の許可も既にある。」

 

私達シンフォギア装着者は歌を唄う事でその力を完全に引き出す事が可能となる。

 

「分かりました、援護は任せてください‼」

 

「頼んだぞ‼」

 

その時、私の胸の中からメロディと歌詞が流れてきた。

 

「な、何?!この音楽は‼」

 

「何処から流れているの?!」

 

シンフォギアの音色は一定の範囲にいる者全てに聞こえてくる。歌詞だけはその音色を持つ装着者にしか分からないがな…

 

 

ー推奨BGM『絶刀 天羽々斬』ー

 

 

私は飛び上がり腰のブースターで加速しながら女王に接近し斬りかかった。

 

「クッ?!………キャアッ‼」

 

すぐに気付き避けようとしたが剣先が女王の右腕を切りつけた。

 

「朱乃ッ‼」

 

「この痛みは……まさかそれはッ!?」

 

「天羽々斬は日本の神話に登場する(つるぎ)、つまりあなた達が不得手な聖剣と同じ物です‼」

 

小日向が天羽々斬について解説するとグレモリー達の表情に恐怖が見え始めた。

 

「なら、届かない高さからなら‼」

 

グレモリーと女王が羽を羽ばたかせ空高く上がっていく。

 

「行かせないッ‼」

 

小日向がレーザーで狙い撃つが先程の戦闘の影響なのか当たらない。

 

私は武装(アームドギア)を巨大な大剣に変え、エネルギーを溜めてそれを振るい飛ばした。

 

《蒼ノ一閃》

 

「この距離ならッ‼」

 

「当たりませんわ‼」

 

しかし、距離が空いてしまった為、避けられてしまった。

 

「どうしたらいいのかな?」

 

小日向が戦えぬ今は撤退した方がいいのだが……

 

「これで私達の勝ちよッ‼」

 

「さようならッ‼」

 

グレモリー達が特大の魔力攻撃をしようとしていた。

 

このままでは私達だけでなくエルナまで………ッ‼

 

その時、

 

「な、何ッ!?」

 

「体が引き寄せられて…‼」

 

グレモリー達がビルの屋上に落ちてきた。

 

「「キャアァァァァァ‼」」

 

そのまま激突し、地に伏した。

 

「どうなってるのよッ!?」

 

「こんな事が………‼」

 

私達も現状を理解出来ず呆けてしまい、歌うのを忘れてしまっていた。

 

「これはいったい……?」

 

「分からないが今のうちに離脱するぞ‼」

 

「ッ‼ハイ‼」

 

小日向がミラーデバイスを一つ上に展開し、それにレーザーを当てると周囲に拡散した。

 

《鏡宴》

 

「「アァァァァァァァァァァァァァッ‼」」

 

威力は拡散した分弱くなっているがグレモリー達には少しは効くみたいだな。

 

私達はこれを目眩ましにして、その隙に屋上から飛び降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

グレモリー先輩達から逃げる事に成功した私はエルナさんが落ちたと思う場所に向かった。

 

「エルナさん……何処に居るの?!」

 

確かこの辺りだと思うんだけど………

 

「落ち着け小日向!闇雲に探しても…」

 

「でもッ‼」

 

「あの~すんません?」

 

私と翼さんが言い合いになりそうになった時、男の人の声が聞こえそちらを見たら、

 

「この人ってお宅の知り合い?」

 

「え?…………エルナさんッ‼」

 

「何ッ!?」

 

その人の背中には治療されたエルナさんがいた。

 

「ど、どうしてあなたがエルナさんをッ!?」

 

私は思わず詰め寄りながら聞いていた。

 

「ちょ‼近い近い‼」

 

「あッ!?す、すみません‼」

 

何やってるんだろ、私‼

 

「少しは落ち着いたか?」

 

「ハイ…」

 

翼さんにまで心配させちゃったな…

 

「して、なぜ君が彼女を?」

 

「この近くをジョギングしてた時に落ちてくるのが見えて、急いで受け止めたんですよ。」

 

「では、この治療も?」

 

「怪我した時用に備えて持ってましたから。応急処置だからちゃんと医者に見せた方がいいですよ。」

 

「そうか、ありがとう。仲間を助けてくれて。」

 

「本当にありがとうございますッ‼」

 

私は泣きそうな顔になりながらお礼を言った。

 

「念のため、イッセーの部屋に連れて行くか。」

 

「そうですね、このまま連れて行くわけにもいかないですし…」

 

「それじゃ、俺はこの辺で…」

 

「あ‼名前だけでも………あれ?」

 

私達が少し目を離した間に、男の人はいなくなっていた。

 

「いつの間に…」

 

「何者なのだろうな…」

 

取り合えず、エルナさんをイッセー君の部屋へ連れていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスside

 

アタシは木場と戦闘してるんだが、

 

「ちょこまかちょこまかとやりずれぇッ‼」

 

さっきから縦横無尽に走り回りやがって‼

 

「僕には負けられない理由がありますから‼」

 

「んなもんコッチも同じだ‼」

 

アタシは両手のボウガンをマシンガンに変形させて撃つが狙いを付ける前に逃げられてしまう。

 

「これでッ‼」

 

「チョせえッ‼」

 

木場の振り下ろした一撃を右の銃のグリップにあるマガジン部分で受け止め左の脇腹に蹴りを叩き込む。

 

「グッ‼」

 

「食らえッ‼」

 

怯んだ隙に左の銃を放つがギリギリで回避された。

 

「なかなかやるな、木場。」

 

「雪音先輩こそ、後輩には手加減してもらえませんか?」

 

「そいつは聞けねぇ相談だな。」

 

「ですよねッ‼」

 

騎士の力でアタシの懐に一気に入り、突きを繰り出してきたがそうは問屋を下ろさせはしねぇ‼

 

右手の銃を撃ち刀身に当てることで軌道をそらさせ、左ほほをかする位置を剣が通り抜けていった。

 

「なッ‼」

 

「隙がありありだッ‼」

 

動きが止まった木場の右肩を左の銃で撃ち、よろけたところで今度は右足を撃ち抜いた。

 

「グァァァァァァァァァァッ‼」

 

「勝負ありだ。」

 

アタシは木場の額に銃を突きつけた。

 

「…お見事です……先輩…」

 

「悪いな、《イチイバル》の弾丸は悪魔には堪えるだろ?」

 

「ええ……かなり…」

 

苦しそうな顔色だけど、応答出来るんなら問題ねぇか。

 

「なぁ木場、一つ聞いていいか?」

 

「なん…ですか…?」

 

「オマエ、何を迷ってんだ?」

 

「ッ!?」

 

アタシの問いに木場は驚いていた。

 

「アタシの仲間に剣を使う先輩がいてな、その人の動きを何度も戦いながら見てるうちに、自然とそういうのが分かるようになっちまったんだ。先輩なら“剣に魂を乗せる者ほどその動きに感情が出る”とかいうかな?」

 

あの人はアタシが目指す先輩像だからな、あんな風に困ってる後輩を導けるようになるのが今のアタシの目標だ。

 

「悩みがあるなら誰でも、それこそアタシだって構わねぇ。話してみれば少しはスッキリするんじゃねぇか?」

 

「敵である僕の心配をするなんておかしな先輩ですね…」

 

「うるせぇ‼頼れる先輩だっての‼」

 

木場の顔を見ると少しだけ笑ってるように見えた。

 

「ほら、これ飲んどけ。」

 

アタシは木場の手に一つのカプセルを置いた。

 

「これは?」

 

「アタシ達が使ってる回復アイテムだよ。」

 

「なぜこれを僕に…?」

 

「あんた達は討伐対象じゃねぇし、倒しちまったら悪魔側とメンドクセェ事になるからな。」

 

「そうですか。」

 

そう言って、回復錠を飲んだ木場は立ち上がり、教会の入り口に向かって歩き出した。

 

「仲間の手助けはしてかないのか?」

 

「僕は先輩に負けましたから、敗者は去るだけです。」

 

「そーかよ。」

 

「それと、立花さんと暁さんに伝えといてください。卑怯なまねをしてすまないって。」

 

「先輩を伝書鳩がわりにするとは、いい度胸だな‼」

 

「アハハ、すみません…」

 

「たくッ、今回は特別だぞ。」

 

「ありがとうございます。それと、今度色々と相談に乗ってもらえますか?」

 

「アタシの時間に余裕があればな。」

 

「助かります。」

 

そして、木場は教会を出ていった。

 

「さて、他の奴の援護にでも行きますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「ウォォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

「ハッハァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

私の拳とフリードの光の剣が激突し、閃光が迸った。

 

「良いねぇ良いねぇ‼戦いはこうでなくっちゃ‼」

 

「ふざけるなッ‼」

 

戦いを楽しむなんて私には理解できない…

 

誰もが傷つくだけの戦いを楽しむために起こすのなら‼

 

「これ以上はやらせない‼」

 

「止められるもんなら止めてみやがれッ‼」

 

フリードが剣を大きく振りかぶる…………そこだッ‼

 

踏み込みと足のバンカーの力で一気に懐に飛び込み右脇腹に右の肘打ちを叩き込む。

 

「蘇我氏ッ‼この‼」

 

フリードは左手に光の銃を取り出し、至近距離で撃ってくるが、

 

「そぉいッ‼」

 

私は右肘から先を回すように動かし、手の甲で弾丸を弾き飛ばした。

 

「マジかよッ?!」

 

「マジだッ‼」

 

動きが止まった隙に左の正拳突きを顔面に当てる。

 

「クッ?!」

 

そして、その場で時計回りに回り、右の裏拳をもう一度顔面に当てる。

 

「ウッ?!」

 

最後に飛び上がりながら左足を回し蹴りをぶち当てた。

 

これぞ最近覚えたアニメの技の一つ‼

 

「疾風・三連撃ッ‼」

 

「ガァァァァァァァァァァァッ?!」

 

フリードは壁を3つ程ぶち抜きその部屋に倒れ込んだ。

 

「ハァ…ハァ…そこでおとなしくしてろ…‼」

 

早くイッセーの援護に行かないと…‼

 

私はイッセーが向かった扉を開け、奥へと走った。

 

進んでいくと大きな部屋が見えた。

 

あそこが終点?ならイッセーもそこに‼

 

その部屋に入ると、

 

「これで私は至高の堕天使になれる‼アハハハハハハハハハッ‼」

 

緑色の光を持って高笑いしているレイナーレと、

 

「イッセーさん……すみません…」

 

イッセーの腕のなかでグッタリしているアーシアさんがいた。

 

「イッセー…………だいじょ…………ッ?!」

 

その時私は見てしまった。

 

「クククッ‼」

 

それは笑っているイッセーだった。

 

「貴様‼何がおかしい!?気でも触れたか!?」

 

「ああ悪い、ついな………それに。」

 

そしてレイナーレを見つめ、

 

「残念だったな。」

 

そう言うと、アーシアさんの体が揺らめくと

 

バシャアッ‼

 

水となって地面に染み込んでいった。

 

それはレイナーレが持つ緑色の光も同じように水になった。

 

「これらは水に写った幻さ。」

 

え~と、どういう事?

 

 




私は途中からイッセーが『アーシアを助ける』とは書いていないのに気付きましたか?

そして、謎の新キャラ大登場‼

アーシアのシーンが気になる人は《戦姫絶唱シンフォギアGX 第4話》を見てください‼


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力と絆と

今回は2期チームが活躍します。

そして、オートスコアラーの残りのメンバーも登場です。

調「バスターズ!」

切歌「レディー!」

調・切歌「「ゴー‼」」

マリア「いや、違うでしょッ‼」


マリアside

 

私は対戦相手として一番厄介な赤龍帝と戦おうと思ったのだけど……

 

「あなた、真面目に戦う気があるの?」

 

「当たり前だッ‼」

 

でもこの男……

 

殴りかかってきた赤龍帝の拳を私は左手で簡単に捕まえた。

 

「弱い。」

 

拳を払い、右のジャブを顔に当てよろけた処に左ストレートを叩き込んだ。

 

「ゴメスッ?!」

 

「防御もなっていない。」

 

「ふざけるなッ‼」

 

怒りに飲まれたのかさらに大振りで単調な攻撃になりはじめた。

 

私は右手だけで攻撃をいなし、後ろに受け流すと勢い余ったのか転んでいた。

 

「攻撃も未熟。」

 

「うるさい‼これならどうだ!?」

 

『Boost!』

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の倍加か……

 

「これで僕の勝ちだッ‼」

 

その程度で勝てると思うなんて…

 

「喰らえッ‼」

 

赤龍帝が顔を狙って左拳を突きだしてくるが、私は首を傾けるだけでかわし、お返しに同じように左拳を全力で突き出し殴り飛ばした。

 

「ガバラッ!?」

 

「精神にいたっては赤子以下ね。」

 

子ども達の方がもっと利口の筈………………いえ、こんな奴と比べる事の方が子ども達に失礼だったわね。

 

「クソッ‼おいドライグ‼僕にもっと力を寄越しやがれッ‼」

 

『Boost!』

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の宝玉が輝き、赤龍帝の力をさらに倍加させた。

 

「アハハハハハハハハハハハハハハッ‼どうだ‼僕の力は‼‼もう少しでお前を楽に倒せるようになるぞ‼」

 

「そうね。」

 

「今謝れば僕の女とs「だったら…」へ?…ドラッ!?」

 

私は赤龍帝の鳩尾に拳をめり込ませた。

 

「そうなる前に倒せばいいだけよ。」

 

「ア…アガッ……」

 

『Burst!』

 

その電子音声(?)と共に倍加させた力の気配が一気になくなった。

 

なるほど、ある程度ダメージを与えれば倍加は解除されるのね。

 

「自分の力量ぐらい把握しなさい。格上相手に逃げる事は恥ではないわ。」

 

「格上?…………お前が?……僕よりも?」

 

私の告げた言葉に赤龍帝は異様な反応をした。

 

「この僕がお前よりも格下なんて…………あるわけねぇんだよォォォォォォォォォォォッ‼」

 

『Welsh Dragon Over Booster!』

 

「なッ!?」

 

ここで力の覚醒なんて!?

 

赤龍帝の姿を見ると、龍を模した赤い鎧を身に纏っていた。

 

『Four!』

 

「これは禁手(バランス・ブレイカー)ッ!?」

 

「こ……これが僕の…………力ッ‼」

 

『Three!』

 

まずいわね……早く終わらせないと‼………ところでさっきから聞こえるカウントは何かしら?

 

「この力さえあれば………………僕は無敵だ………無敵なんだ‼アハハハハハハハハハハハハハッ‼」

 

『Two!』

 

「さっきはよくも馬鹿にしてくれたな……」

 

「クッ‼」

 

『One!』

 

「この力の前にひれ伏しやがれぇぇぇェェェッ‼」

 

「それでもッ‼」

 

『Zero!』

 

バキャン‼

 

突っ込んでくる赤龍帝を迎え撃とうと構えた処で鎧が砕け散った。

 

「は?」

 

「え?」

 

これにはさすがに私もある意味驚いた。

 

「おいドライグ‼どういう事だッ!?」

 

『言った筈だ、ダメージがある分時間はかなり短いと……話を聞いていなかったのかお前は?』

 

今のが赤き龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)の声なの…?

 

「なら、もう一度だ‼」

 

『無理だ。』

 

「何でだよッ!?」

 

『今の禁手擬きでお前の力は限界に達している。もう一度したとしても次は1秒ももたないだろうな。』

 

「そんな……なら契約は破棄だ‼腕を戻せ‼」

 

なるほど、自分の腕を引き換えにさっきの力を得たのね。

 

なら、覚醒した訳じゃない。

 

『それこそ無理だ、一度契約したら元には戻らん。』

 

「ふざけんなッ‼」

 

「ふざけているのはあなたよ。」

 

私は赤龍帝の背後に回り、首に手刀を入れた。

 

「何の代償もなしに強い力を得られるわけがない。その覚悟もない奴が力を求めるなんて烏滸がましいと知れッ‼」

 

「シャメッ!?」

 

彼は変な悲鳴を出してから倒れ落ちた。

 

「まったく…薬を付けても灸を据えても治りそうにないわね、この性格は……」

 

『すまんな…宿主が迷惑をかけた。』

 

「いえ、あなたのせいではありませんよ、赤き龍の帝王(ウェルシュ・ドラゴン)ドライグ。」

 

『そう言って貰えると心が楽になる…』

 

……何で私はせきry…………分かりづらいからドライグでいいか…ドライグに敬語で話してるんだろう…………

 

『済まないが塔城小猫はいるか?』

 

「え?彼女なら今は切歌達………じゃ分からないですね。私の仲間と一緒にいますけど?」

 

『そうか…』

 

「彼女が何か?」

 

『なに、アイツにはよく愚痴や悩みを聞いたりしてもらっているからな。』

 

……あの子、ドライグの悩み相談をしたりしてるなんて何気に凄いのかしら?

 

「お~~~い!無事か~~~!?」

 

この声、雪音ね……

 

「ええ‼問題ないわ‼」

 

「どうだった?赤龍帝の強さは?」

 

「歴代最弱にして最低ね。」

 

「なんだ?ずいぶん鶏冠にキてるな?」

 

「そういう奴だったのよ。」

 

まぁ、少しは情報が手に入ったからよしとしましょう。

 

でも、相手がこれだと“彼”はさぞや落胆するでしょうね…

 

「そんじゃ、アタシ達は後輩たちの援護でも……」

「その必要はないみたいよ?」

 

私は切歌達の方を見ながら言った。

 

「は?どういう…………なるほどな、確かにアタシ達はお邪魔みたいだな。」

 

「でしょ?」

 

そこには“3人”で堕天使を圧倒している妹分達と後輩の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

皆さんどうも、グレモリー眷属に(脱)か(元)をつけたい年頃の女の子、塔城小猫です。

 

「どんな自己紹介デスか…」

 

「こういうのですけど?」

 

「…切ちゃん、つっこんだら負けだよ?」

 

私達は今、男とゴスロリの堕天使達と睨み合っています。

 

「面倒くさいですから、2人纏めて相手にしませんか?」

 

「それもそうデスね。」

 

「…わざわざ1対1(タイマン)でやる必要もないしね。」

 

なら、決まりですね。

 

「話し合いは終わったか?」

 

「待ちくたびれたっすよ~。」

 

…わざわざ待ってるなんて意外と律儀な堕天使ですね。

 

「ええ。」

 

「勿論デス‼」

 

「…だから始めよう?」

 

私は拳を、暁さんは鎌を、月読さんはツインテコンテナを多間接アームに変形させ丸鋸を装備した。

 

「1人増えたところで‼」

 

「さっきみたいにはいかないっすよ‼」

 

向こうも羽を拡げ、光の槍を作り出した。

 

「…切ちゃん、今度の決め台詞は分かってる?」

 

「分かってるデスよ。」

 

「2人はそういうのをやったりするんですか?」

 

「「当然(デス)ッ‼」」

 

相変わらず息ピッタリですね…

 

「なら、どうぞ。」

 

「「さぁ、(私/ワタシ)達の歌を聞けェッ‼」」

 

何故そこで歌?

 

そう思っていたら私の頭の中でメロディが流れ始めた。

 

 

ー推奨BGM《Edge works of Goddess ZABABA》ー

 

 

2人はメロディに合わせ唄いながら戦い始めたけど…

 

「あの動き…」

 

暁さんが突っ込みながら鎌を振るい、飛んでかわした二人に月読さんが先に飛ばした丸鋸が襲いかかった。

 

堕天使はギリギリ光の槍で弾き飛ばしたけど、暁さんが下から飛び上がりながら鎌を一閃、男の堕天使の左翼を切り落とした。

 

「ドーナシークッ‼」

 

ゴスロリの堕天使が仲間に気を取られている間に月読さんは両手のヨーヨーをくっつけて上に投げるとそれは大きくなり横並びの2つのビーム丸鋸と左右に棘の生えた武器になり、それを勢いよく落とした。

 

《β式 巨円断》

 

「ヒヤァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

ゴスロリは運良くビーム丸鋸の間だったが両翼を切り落とされた。

 

「綺麗なコンビネーション…」

 

まるでお互いが何をするかを事前に決めていたかの様な動きだった。

 

「私だって。」

 

月読さんのヨーヨーをかわした男の堕天使に背後から飛び蹴りを決める。

 

「バモラッ?!」

 

「塔城さん‼」

 

「2人だけで片すのはズルいですよ。」

 

「だったら止めは3人で決めるデスよ‼」

 

「…そうだね。」

 

「では、私から行きます。」

 

「クッ‼きさ「やぁ」マブヤッ‼」

 

私は全力で駆け出し、男の堕天使を殴り飛ばしてゴスロリにぶつけた。

 

「今デスッ‼」

 

堕天使が重なっている間に暁さんが肩のプロテクターからアンカー付きのワイヤーを射出し、2人をぐるぐる巻きにして地面に拘束した。

 

「体がッ‼」

 

「動けないっすよ~ッ‼」

 

2人が抜けようとしていたらその左右を黒い棒が伸びて行き奥の壁に突き刺さった。

 

伸びた棒の元を見ると暁さんがいて、その前には棒と棒を繋いでいる刃があった。

 

「行くデスよ~ッ‼」

 

暁さんは少し下がった後、ブースターを吹かせながら駆け出し、刃に飛び蹴りを決めた。

 

すると、暁さんに押されるように刃が壁に向かって進んでいく。その姿はまるで…

 

「ギロチン…」

 

《断殺 邪刃ウォTtkkk》

 

刃はそのまま進み堕天使の上半身と下半身を分断した。

 

「…まだ終わりじゃない。」

 

月読さんの声が聞こえたのでそちらを見たら、丸鋸の刃を車輪のようにしてまたがり高速で分断した堕天使に向かっていた。

 

……某機動戦士であんな装備を見たような……

 

月読さんはその刃で堕天使をさらに縦真っ二つにした。

 

《非常Σ式 禁月輪》

 

相手は断末魔すら上げずに羽を残して消滅した。

 

……神の教えに逆らって堕天した天使が十字に切られ消滅する、皮肉な最期でしたね。

 

「勝利デス‼」

 

「…リベンジ成功。」

 

2人はそのままハイタッチをしようとしたけど私を見て、

 

「塔城も来るデスよ~‼」

 

「3人でやろう‼」

 

「あっ………ハイッ‼」

 

「「「イエ~イッ‼」」」

 

私は2人に駆け寄り3人でハイタッチをした。

 

「それにしても…」

 

「「何(デスか)?」」

 

「2人の最後の技を見て、地球をクリーンにする作戦でも始めるのかと思いました。」

 

「「しないよッ‼」」

 

ですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアside

 

「う~~~ん………フワァ…」

 

知らない天井…………ではなくて龍見さんのお部屋の天井でしたね。

 

何でしょうか、すごく楽しい夢を見ていた気がします……

 

「あん?アンタが起きたって事は“分身”の役目が終わったみたいね。」

 

「あっ!おはようございます‼“ガリィ”さん。」

 

この方はガリィ・トゥーマーンさんといいまして、龍見さん達が私を助ける為に呼んで下さった方です。

 

「あ~オハヨーサン……寝起きの癖に随分元気な事で…」

 

「ハイ‼元気なのが取り柄ですから‼」

 

「あ、駄目だこりゃ……アタシの苦手なタイプだコイツ…」

 

そうなんでしょうか?

 

《pipipi!!pipipi!!》

 

その時、ガリィさんのケータイが 鳴りました。

 

え?何で彼女のケータイって分かるのか…ですか?

 

…………私、ケータイ持っていませんから……残念です…

 

「誰だよったく…もしもし~。」

 

[ガリィか?私だ。]

 

「私だって言われて電話でわかるわけないでしょうが…」

 

そういう詐欺が多いって聞いたことあります……

 

[それもそうだな、レイアだ。]

 

「それで、何か用?」

 

[お前に聞きたい事が地味にある。]

 

「さっさと言えよメンドクセェ。」

 

「だ、ダメですよ‼御家族に向かってそんな言葉……」

 

[その声はアーシア嬢か?派手に気にしなくていい。コイツの口の悪さは全員が理解している。]

 

それならいいのですが……

 

[それよりもガリィ?]

 

「あん?」

 

[お前がそっちで護衛についているからその間の仕事の肩代わりは私達が言い出した事だから問題ない。]

 

「なら電話してくんな‼」

 

[しかし、今までお前がサボっていた分の仕事が地味に混ざっているのはどうしてだ?]

 

ガリィさん……そんな事してたんですか……

 

「え~?何の事ですか~?ガリィちゃんそんなのわっかりっませ~ん☆」

 

[まぁいい。]

 

「いいんですかッ?!」

 

思わずつっこんでしまいました……

 

[ああ、マスター達が帰ってきたら混ぜた分の3倍の量の仕事を回しておくと言っていたからな。]

 

「ゲッ‼それマジで死ぬッつーの‼」

 

[私達は自動人形(オートスコアラー)だ。その程度では派手に死なん。]

 

「その通りよ、ガリィ。」

 

新しい声が聞こえたので、振り替えると緑と黒の女性執事風の衣装を着た人がいました。

 

「ファラ!?何でアンタまでいんだっつーの‼」

 

「貴女が護衛任務をサボらない様にするのと不足の事態が起きた時の対策よ。」

 

「チッ‼」

 

ガリィさんに内容を伝えた後、彼女が私の方に向き直りました。

 

「アーシアお嬢様ですね?私はファラ・スユーフと申します。」

 

「ご、ご丁寧にありがとうございます。」

 

「何か用がおありでしたら遠慮なくお呼びください。」

 

「は…ハイ。」

 

なんだか大人な対応で素敵です~‼

 

「そういえば、分身が仕事を終えたわよ。」

 

「そう……皆さん無事だといいんだけど…」

 

「大丈夫ですよ‼きっと‼」

 

「アーシア様?」

 

「私には……皆さんの無事を信じて待つことしか出来ません。でも、だからこそ私は龍見さん達の無事を祈ります。例え何が起ころうとも…」

 

「…そうですね。あの子達を信じるのも私達の役目ですからね。」

 

「あたしはどっちでもいいんだけどね。」

 

「まったくこの子は…」

 

龍見さん、立花さん、皆さん、あなた達の無事を信じています。ですからちゃんと帰ってきてくださいね……

 

 




マリアと宗二の戦闘シーンの最初の元ネタわかる人いますかね?

次回はイッセーのいけいけドンドンタイムです。

お待ちかね(してる人いるかな?)イッセーの神器の能力も説明します。


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自由を求めた龍

久々に一誠が主役の回です

今回は作者の独自解釈もあります。

皆さんの予想を越えられるように頑張りました。




一誠side

 

「これらは水に写った幻さ。」

 

俺の言葉にレイナーレは呆然としてい……

 

「え?イッセーどういう事?」

 

…訂正、響もだった。

 

「響、フリードはどうしたんだ?」

 

「今頃変な体勢で寝て、首でも寝違えてるんじゃない?」

 

「なるほど、大体わかった。」

 

たぶん全力全開でぶっ飛ばしたんだろうな……

 

「オイッ‼そんな事よりこれは一体どういう事だッ?!」

 

「うるせぇなぁ……お前が捕まえていたのはアーシアに見立てた分身だったというだけだよ。」

 

「馬鹿な‼魔力反応はまだしも神器の反応や人格まで本人と同じように作り上げるなんて不可能の筈よッ?!」

 

確かに普通なら不可能だ……でも

 

「アーシアの中にある魔力で神器のエネルギーを抽出、固定して神器の分身体を作り意識と共に肉体の分身に移す事で可能にしたのさ。」

 

「何だとッ!?」

 

「アーシアには思ってたより魔力を持っていてな、ある人に頼んでアーシアの魔力を使って神器のエネルギーを抽出した後、分身体を作り上げ神器のエネルギーをアーシアの魔力で覆う事で流出を防ぎながら入れる事で肉体を再現して、魔法で意識を分身に移せば完成って訳だ。」

 

「そんな方法が…」

 

「ダメだ…まったく理解できないぃぃぃぃぃぃッ‼」

 

お馬鹿な響はほっといて…

 

「彼女の魔力で作ったから意識と魔力の拒絶反応はないし、本人の意識だから細かな仕草も変わらないって事だ。」

 

「そんな……私の…計画が…………人間なんかに…台無しに…されるなんて…」

 

レイナーレは力なく地面に膝をついた。

 

「そのまま大人しくしてろ、そうすればこれ以上罪が増える事はない。」

 

俺がレイナーレを拘束しようと近付いたら、

 

「……い。」

 

「ん?」

 

「…さない。」

 

「何を…」

 

「許さないぞ‼‼人間の分際でよくも私の邪魔をオォォォォォォォォォォォッ‼‼‼‼‼」

 

「なっ?!うわァ‼」

 

「イッセー!?」

 

いきなり羽を拡げて飛び上がり、俺目掛けて光の槍を投げてきたので回避しようとしたが地面に当たった瞬間に爆発し、吹き飛ばされてしまった。

 

「イッセー‼大丈夫!?」

 

「あぁ…なんとかな…」

 

あの野郎……かなり怒ってやがるな…

 

「許さんぞ‼咎人共‼‼ここで抹殺してくれる‼‼‼」

 

「咎人はそっちだよ‼クソ堕天使‼」

 

「黙れ‼至高の堕天使たる私の計画を台無しにした貴様らこそ咎人‼人間など我等の道具でしかない分際で‼‼」

 

テメェ……なに言ってんのか分かってるのか?

 

「それはお前の考えか?それとも…」

 

「アザゼル様を含めた堕天使の総意に決まっている‼」

 

「ふざけんなよ…」

 

この言葉に俺は完全にぶちギレた。

 

「なら、何故あの人達は人間界への過度の干渉を禁じた‼何故あの人達は人間の神器使いを保護してるのかテメェ知ってんのかッ‼」

 

「そんなもの我々の存在を悟られないようにするのと捨てゴマにするために「違うッ‼‼‼‼」ッ?!」

 

オッチャン達はそんな邪な考えで動いているんじゃない‼

 

「あの人達が干渉を許さないのは人間の生活を壊さず、安心して暮らせるようにするためだ‼堕天使は人間界を支配しないという意志を示すためだ‼」

 

それにだな……

 

「あの人達が連れてきた神器使い達は皆、心に大きな傷を持っている奴等だ‼力を暴走させて自分の住んでた孤児院を壊滅寸前にまでしてしまった奴や、力を利用されて人を殺してしまった奴、その力を家族に気味悪がられ捨てられた奴が殆どだ‼あの人達はそんな人を出来る限り助けようとしてきた‼普通の生活を望む奴にはそれが出来るように頑張ってんだ‼」

 

(いつかお前が生きていて良かったと思えるように、自然と笑うことが出来るように俺達がしてやる‼辛い事があるなら俺達が受け止めてやる‼お前が望む事があるなら俺達が全力でサポートしてやる‼だから、俺達と家族にならないか?)

 

オッチャンのあの言葉に俺は救われたんだ……

 

今でもオッチャンは神器使いを助ける方法を模索してる。神器摘出の術式もその一つだ。神器が無くなれば普通の生活に戻れるかもしれないと考えてキャロルさんと必死になって作り出したのに、それを悪用しようとしたんだ……‼

 

「オッチャンの研究を侮辱した罪‼今ここで償わせてやるッ‼」

 

俺は解放龍の剣(リモートエッジ)を掴み、レイナーレに突きつけた。

 

『主の想い、しかと受け止めました‼ならば、その想いに私は答えてみせましょう‼』

 

頼むぜ、メイル‼

 

「その神器で私に敵う訳がないでしょッ‼」

 

そう言って、上から光の槍を投げて来るが……

 

「しゃらくせぇ‼」

 

俺は神器を振るい、槍に当てると、

 

『Remote!』

 

その音声が流れ、槍が霧散した。

 

「なッ?!」

 

「どうした?もっと来いよ?」

 

「舐めるなあぁァァァァァァァァァァッ‼」

 

俺の一言にキレたレイナーレは空中に槍を5本作り、時間差で投げてきたが、

 

「だからどうしたアァァァァァァァッ‼」

 

俺は剣を全ての槍に当て、

 

『Remote!Remote!Remote!Remote!Remote!』

 

その悉くを霧散させた。

 

「な、何故?!その神器は解呪をするだけのサポート系神器のはず?!」

 

『貴女は大きな間違いをしています。』

 

レイナーレの動揺した言葉にメイルが答えた。

 

「間違いだと?!」

 

『確かに私は呪い等を解呪することが出来ます。』

 

「だったら『ですが。』?!」

 

『いつ私が解呪がこの神器の能力だと言いました?』

 

「ッ‼」

 

メイルの言葉にレイナーレは驚愕していた。

 

「メイルは昔、世界中を旅していたドラゴン。理由はしがらみを感じない真に自由な場所で思いきり飛び回ってみたかったらしい。」

 

『しかし私は、聖書の神によって神器に封印されてしまいました。町の近くを飛んだりするドラゴンは危険だという理由で。』

 

「その時メイルは思ったらしい、『私に自由がないのなら、せめて私の宿主になる人には自由になってほしい。』と 、そしてメイルのその優しい思いに神器は答えたんだ。」

 

そして、メイルは告げた。自分の真の力を……

 

『私の能力は剣に触れた人・物の《ありとあらゆる条件を解除する》事です。』

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

あらゆる条件を解除する?それってかなり凄い能力なんじゃ……

 

「バカな?!それほどの能力なら神滅具(ロンギヌス)に選ばれてもおかしくない‼なぜ今まで気付かれなかった!?」

 

そうだよね。そんな凄い神器が今の今までばれなかったなんて……

 

『それはそうです。私の能力に気づいたのは主が始めてなのですから。』

 

イッセーが始めて?

 

「メイルの話だと、俺より前の所有者達はお前みたいに解呪能力だと勘違いしていたそうだぜ?」

 

『しかし、主は幼き時に私を出せるようになり、それを弟君に見られた事で辛い目に合わせてしまいました…』

 

「次の日から俺は何処に行っても化け物のように扱われたなぁ……誰にも見せていないのにたった一晩でそうなっちまってな?最後には親から「お前みたいな化け物は家の子じゃない‼さっさと出ていけ‼」って10歳の子どもを家から追い出すしな。金もないうえ飯はコンビニやレストランの残飯で食いつないでたし、近所からは石やゴミを投げつけられたりされたなぁ…」

 

そうだったんだ…イッセーの過去にそんな事が……

 

「そんな生活を1ヶ月近くしていた時にあの人達が俺を地獄から助けてくれた。だから俺はあの人達の役に立とうと決めた。返しきれねぇ恩を少しでも返せるように、俺の傍に居てくれる皆を守る為にな。」

 

『そして主は私の能力を理解するのと戦う力を得る為に訓練を始めました。そして2年の年月がたった時に私の能力に気づくと共に、私と会話が出来るようになりました。』

 

「最初は驚いたぜ、いきなりドラゴンが現れたと思ったら直ぐ様土下座したんだぜ?」

 

『私は主に謝罪しても許されない思いをさせてしまいました。ですが主は…』

 

「もう聞き飽きたわ。」

 

そう言ってレイナーレが槍を投げてきたが、剣で霧散させた。

 

「あなたの人生に興味なんてないの。さっさと死んでくれないかしら?」

 

「まったくせっかちなババアだ…」

 

「殺すッ‼」

 

レイナーレは光の槍を手にして突っ込んできた。

 

「イッセー‼私も一緒に…」

 

「いや、コイツの相手は俺がする‼手を出すなッ‼」

 

「でも…‼」

 

「安心しろ、必ず帰ってくるさ。」

 

「ッ………約束だよ‼」

 

私は後ろ髪を引かれる思いで下がった。

 

「いくぜッ‼メイル‼」

 

『はい‼我が主‼』

 

イッセーは剣を構え、レイナーレを迎え撃った。

 

「死になさいッ‼」

 

彼女は右手に持った槍を振り下ろして来るけど…

 

「甘い‼」

 

『Remote!』

 

メイルさんの能力で霧散した。

 

「くっ‼何故槍を壊せる?!」

 

「光の槍は光力を圧縮して形成されている。なら、その“光を纏める”という条件を解除すれば槍に力が纏まらず霧散するって訳さ。」

 

おお~‼凄い‼よく理解できてないけど‼

 

「でもッ‼」

 

すると、レイナーレは下げていた左腕を上げながら槍を作り出しイッセーの胸を切りつけた。

 

「グッ!?まだまだッ‼」

 

『Remote!』

 

でも、イッセーはほんの一瞬怯んだだけで直ぐに剣を振るい槍を消した。

 

「やはりそうなのね‼例え神器の能力が凄くてもお前の体が私達の動きに追いつけていない‼なら、私の勝ちは揺るがないわ‼」

 

レイナーレのいう通りイッセーは元々一般人、レイナーレみたいな人外でなければ私達みたいな人体改造紛いなことをされたわけでもない。

 

つまりイッセーは普通の人間のスペックで戦ってる事になり、そこには必ず限界がやって来る。

 

「くっ!?うァ‼がは‼」

 

「ほらほら‼しっかりしないと直ぐに死んじゃうわよ‼」

 

レイナーレは両手に槍を持ち高速で振るってきていて、イッセーは神器で槍を消していくがレイナーレの連撃に追いついていけず、攻撃を喰らう回数が 増え始めた。

 

本当なら助けにいきたい‼でも…彼の邪魔もしたくないし……‼

 

「「「(立花)響先輩‼」」」

 

「「「立花‼」」」

 

「響‼」

 

「え?皆!?」

 

私を呼ぶ声に振り返ると仲間の翼さん達と小猫ちゃんがいた。

 

どうしてここに……

 

「お前達の様子を見に来たんだよ‼このバカ‼」

 

「案の定、彼は無茶してるみたいね。」

 

「はい……。」

 

「な~にシケた顔してんだよ、お前は。」

 

「え?痛ッ‼」

 

クリスちゃんにチョップされた私はあまりの痛さにその場にしゃがみこんだ。

 

「な………何するのクリスちゃん……?」

 

「そんな顔で応援してたらイッセーが集中できなくなっちまうだろうが。」

 

え?そんなに酷かったのかな………?

 

「物凄く心配してますって顔だったわね。」

 

「うぅッ‼」

 

「イッセーなら大丈夫だ。」

 

「そう言いますけど、翼さんも心配じゃないんですか?」

 

「心配はしているが立花ほどではないな。」

 

「よっぽど好きなんデスね。」

 

「…朝からイチャついたり。」

 

「仲良く愛妻弁当を食べたりしてましたね。」

 

「よ~し、後輩3人組そこになおれ‼」

 

先輩をからかう後輩にはガングニールの拳骨をお見舞いしてやる‼

 

「んな事よりあれ見ろよ。」

 

クリスちゃんが指差した場所を見ると剣を顔の右側に突きの体勢で構えているイッセーがいた。

 

「あの技を使うのか…」

 

「無茶苦茶が過ぎるって言っても「これしかない。」の一点張りだからな。」

 

「響…」

 

「大丈夫だよ、未来。」

 

イッセーが約束を反古する訳がないから……

 

「必ず帰ってきて……‼」

 

今はイッセーを信じて待ってるから‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺は突きの構えをしながら、左手を刀身の腹の部分に添えて剣先へとゆっくり伸ばした。

 

「メイル、また無茶するけどひとっ走り付き合ってくれ。」

 

『はい、主の思いを貫く為の(つるぎ)として、何処までもお供いたします。』

 

ありがとう………

 

「まったく、しぶといわね‼いい加減死になさいよ‼」

 

「悪いが、そんな簡単に死ぬ気はないんでな。」

 

だからこんな無茶な技を編み出したんだ。俺みたいな《最弱》が《人外》に勝つために……‼

 

「なら、今すぐ殺してやるッ‼」

 

「メイル‼いくぜッ‼」

 

『はい、主!』

 

レイナーレが空中に大量の槍を作り出し、投げてきた。

 

だが、もう遅い‼

 

オッチャンとキャロルさん、皆が考えてくれた名前を俺とメイルは叫び、発動させた。

 

『「一刀修羅ッ‼」』

 

その瞬間、目の前まで来ていた槍の速度が急激に落ちた。

 

直ぐに槍を霧散させ、レイナーレへ向けて突撃する。

 

「ッ!?速度が上がった!?でも、これならッ‼」

 

すると、光の槍を分解してさらに細く鋭利な針に変え、攻撃してきた。

 

「それぐらいでぇぇぇぇぇぇぇッ‼」

 

剣を振るい霧散させていくが数が増えたせいで俺の体に針が刺さり始める。

 

『主ッ‼』

 

「問題ない‼致命傷にさえならなければいいッ‼」

 

俺は速度を落とさず駆け抜けた。

 

「馬鹿な‼ただの人間がこれだけの攻撃を受けて立っていられる筈はない‼貴様一体何をした‼」

 

「形振り構わずの全力使用だよッ‼」

 

「それだけでは説明できない‼その人間の限界を越えた動き………まさかお前、脳が出しているリミッターまで解除したのか!?」

 

「その通りッ‼」

 

レイナーレが動揺している隙に跳び上がり、俺の射程距離に入る。

 

「しまッ!?」

 

「お前の下らねぇ野望、今俺が打ち破るッ‼」

 

俺はレイナーレを神器で切り裂き、着地した。

 

「はぁ………はぁ………これで決まりだ‼」

 

「残念だったわね。」

 

その声に振り向くと無傷のレイナーレがいた。

 

「その剣は生物を切れないのを忘れたのかしら?」

 

「…はぁ……知ってるさ。」

 

「なら、この勝負私の『Remote!』(ドサッ)へ?」

 

メイルの能力が発動するとレイナーレはその場に倒れた。

 

「ど、どういう事!?私は切られていないのに何故神器の能力が!?」

 

『まだ勘違いしていたのですか……』

 

「勘違い?」

 

『私の能力は剣に“触れた”対象に効きます。“切る”必要はなく、剣が当たったと判断されれば能力を発動出来るのです。』

 

「でも、私は無傷だぞ‼」

 

『剣が体をすり抜ける時も傷つかないだけで当たったと判断できますよ。』

 

「そんな…」

 

「そして俺はお前の移動する為に“手足と羽の動かす”という条件を解除した。だから、お前はもう…うご……けな………い…」

 

「イッセー‼」

 

我慢の限界で倒れそうになった俺を響が抱き止めた。

 

「バカ…無茶ばっかりして………心配させないでよ…」

 

「ごめん…こうしなきゃ俺は勝てないからさ…」

 

俺ももっと強くならないとな………響を心配させないためにも…

 

「あっちのラブコメカップルはほっといてコイツはどうすんだ?」

 

クリスうっさい………そういえばレイナーレを捕まえたらどうするか聞いてなかったな…

 

「そうだわ、イッセーに渡せってアザゼル総督から頼まれていたものがあったわ。」

 

そう言って、マリアは俺の手に一つの二つ折り端末?みたいなものと一枚の紙を渡してきた。

 

「なんだこれ?」

 

「紙の方がトリセツみたいよ。」

 

「ふ~ん、どれどれ……………………………………………マジ?」

 

え?この年でこんな事やらせようというのかオッチャンよ………

 

「どういうのなんデスか?………………………こ、これは‼調‼こっち来るデス‼」

 

「どうしたの切りちゃ「これを見るデス‼」どれどれ………これは…‼」

 

なんだ?切歌と調の様子が変だな?

 

「「イッセー先輩‼これ使わせて‼」」

 

「へ?別に良いけど…………」

 

「「やったッ‼」」

 

何をそんなに喜んでるんだ?

 

「ちょっと私にも見せて………………なるほどね、そういうことか。」

 

え?響も分かったのか?

 

「これ、調ちゃんと切歌ちゃんが好きな特撮のアイテムに似てるからだよ。」

 

だからか………あいつらが嬉しそうなのは…

 

「《神の子を見張る者(グリゴリ)》所属の堕天使、レイナーレ。」

 

「誘拐、殺人未遂、反逆の罪で…」

 

「「ジャッジメント‼」」

 

そう言って、端末の上のボタンを押して開くと中にある画面にミカさんが映り左手にバツ、右手にマルの書かれた札を交互に上げ下げしていた。

 

「なに…これ…?」

 

「さあ?」

 

『ミカ、判決状だ。』

 

『ありがとだゾ。』

 

「あっ、レイアさんだ。」

 

ミカさんが判決状を見た後、左手のバツを画面一杯に見せた。

 

「バツが映ったって事は…」

 

「「デリート許可‼」」

 

え~と、トリセツによるとバツの場合その場で即時処刑を許可するってあるから………

 

「んじゃ、釈明は閻魔様にするんだな。」

 

クリスがイチイバルの銃をレイナーレに向け、引き金を引こうとした時、

 

 

 

 

 

 

 

 

バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォン‼

 

 

 

 

 

 

 

 

何処からか飛んできた魔力弾がレイナーレを跡形もなく吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだッ!?どこのどいつだ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔力弾が来た場所を見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゥゥゥゥオオォォォォォォォォォォッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒いもやを纏った西洋甲冑を着た人物がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様‼何者だッ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、甲冑はなにも喋らず…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Boost!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力を倍加する音声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 




ナハト・リコリス様のリクエストネタを入れてみました。

次々回あたりで一章を終わりにしまして、フェニックス編に入りたいと思っています。



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響き渡る歌声達

仕事で睡眠時間三時間の状態で書いたから誤字が多いかも……

でも《シンフォギアGX 3巻》とガチャガチャ《ゴーストアイコン》でスペクターのレアが手に入ったからテンション高いデスッ‼




小猫side

 

龍見先輩達がレイナーレを捕縛してこれにて一件コンプリートしそうな時に黒い甲冑が放った魔力弾がレイナーレを吹き飛ばした。

 

「貴様‼何者だッ?!」

 

“翼様”が問い掛けるけど、甲冑はなにも喋らないで…

 

『Boost!』

 

私には聞きなれた声の音声が聞こえた。

 

「その音声………………ドライグさん?」

 

『こ…こか?』

 

「やっぱり‼ドライグさんなんですね‼」

 

『あ…、…うだ…』

 

どうしてドライグさんがあの甲冑から!?

 

『や……し…ぼ…そう……い…』

 

「え?すみません!?よく聞こえないです‼」

 

『たの…!オ…をたす………れ‼』

 

「ドライグさん?ドライグさんッ‼」

 

でも、それ以降ドライグさんの声は聞こえなくなった。

 

もしかして兵藤先輩があの甲冑を着ているの?

 

それがドライグさんにも何か影響を出している?

 

あれが兵藤先輩だけならどうでもいいけど、ドライグさんが危険かもしれない‼

 

「すみませんが、皆さんにお願いがあります。」

 

私の言葉に先輩達は私を見つめる。

 

危険な事に巻き込んでしまうかもしれないけど今はこれしかない‼

 

「ドライグさんを助けるのに力を貸して頂けませんか!?」

 

皆さんを傷付けた敵の仲間である私の都合のいい頼みなのは分かってる‼

 

でも、ドライグさんは私にとって頼もしい兄みたいな存在だから‼

 

「どうか、お願いします‼兵藤先輩は殺さない限りどうなってもいいですからッ‼」

 

私は敵である皆さんに頭を下げて頼んだ。

 

翼様達は一度顔を見合わせた後…

 

「何やら委細は分からぬが…」

 

「アイツを止めた方がよさそうね。」

 

「何より後輩からの真摯なお願いだったら断る理由はねぇな‼」

 

「「《大切な友達》の為ならッ‼」」

 

「私達も手伝うよ。」

 

「私もやるよッ‼」

 

「俺がもう少し回復すれば助ける算段はある…」

 

敵である私の願いを受け入れてくれた。

 

「皆さん……ありがとうございますッ‼」

 

「礼なら全てが片付いてからだ。」

 

「ハイッ‼」

 

ドライグさん……待っててください‼

 

「今、助けますッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

塔城の頼みを引き受けた俺達は戦闘態勢に入った。

 

「っとそうだ、オラ!イッセー‼」

 

クリスが俺に向かって投げてきた物をだるい体を必死に動かしてキャッチした。

 

「これは……回復錠?」

 

見た目は俺達がよく使う回復錠だけど……

 

「アザゼルがお前が《一刀修羅》を使った後で戦闘になった場合を考えてより早く回復できるよう作った《回復錠改》だとよ。」

 

オッチャン……そんな状況まで考えていたのか……

 

「ただし、完全に回復するまで3分ほど掛かるし、効果も強めだから1日1回が限度だとさ。」

 

それでもまた戦えるなら構わない‼

 

「なら皆、3分間持たせてくれるか!?」

 

「「「「「「「「了解ッ‼」」」」」」」」

 

そう言って、全員が甲冑を囲むように散開していく。

 

「未来は力のチャージを頼む。」

 

「任せて‼」

 

そう言って膝の突起をたおし、そこから見える鏡を円形に広げて、紫色に輝く光をチャージし始めた。

 

「そんじゃ先ずは小手調べだ‼」

 

「遠当て技を持つ者は一斉に放つぞッ‼」

 

その言葉を合図にクリスはリアアーマーから大量の小型ミサイルを展開し、翼は大剣にエネルギーを溜め、マリアは左腕の籠手から武器(アームドギア)の短剣を空中に多数出し、切歌は鎌の刃を三枚に増やし、調はコンテナに丸鋸を準備した。

 

………俺はアレ喰らいたくないな……

 

『でしたら、運転を代わりましょうか?』

 

「うん、今はそんなボケ要らないから。」

 

ていうかできないから…

 

「立花と塔城でいいか?は隙を見付けたらすかさず飛び込んで一撃を叩き込め‼」

 

「「分かりました‼」」

 

「では………放てッ‼」

 

翼の声でクリスはミサイルを発射、翼と切歌は斬撃波と増えた刃を飛ばし、マリアと調は短剣と丸鋸を打ち出した。

 

《蒼ノ一閃》

 

《MEGA DETH PARTY》

 

《INFINITE†CRIME》

 

《切・呪リeッTぉ》

 

《α式 百輪廻》

 

「これならッ‼」

 

これだけの包囲攻撃を逃げられる訳がない‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、今の宗二は普通ならあり得ない行動をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に飛んできたマリアの短剣を両手に一つずつ掴み取り、他の短剣と調の丸鋸を切り落としながら移動し、クリスのミサイルを後ろから来る翼の斬撃波の前に来るようにして撃墜しながら前から来た切歌の刃を後ろに弾いてミサイルによって威力が弱くなった斬撃波にぶつけて相殺させた。

 

「ウソ……だろ……?!」

 

「なんて奴だ!我らの攻撃をこうも易々と……‼」

 

「私が戦った時と動きがまるで違う‼」

 

「そんな……」

 

「あり得ないデス…」

 

その行動に全員が愕然としている間に宗二は翼の懐に飛び込んだ。

 

「ッ‼しまっ…!?グッ‼」

 

気づいた翼は距離をとろうとしたが、繰り出されたアッパーをかわせずアームドギアを上に弾き飛ばされ、蹴り飛ばされた。

 

「センパイ‼んのヤローッ‼」

 

翼への追い討ちを防ぐためにクリスはボウガンから矢を放つが、宗二は飛び上がってかわし空中にあった翼の剣を掴み取った。

 

すると、銀と青の美しい剣が黒と血のような赤の色合いに変わり、宗二はそれをマリアに振り下ろした。

 

「その程度の腕前で‼(ガギィン)キャアァッ‼」

 

「「マリアッ‼」」

 

マリアは正面から受け止めようとしたが、宗二の力に押し負けて切歌達の場所まで吹き飛ばされた。

 

「何故だ?宗二はあそこまで強化に耐えられるような体はしてないぞ?」

 

「恐らく、あの甲冑のお陰で身体機能が上昇しているのかも知れません…」

 

俺の疑問に塔城さんが推測を述べてくれた。

 

確かに、それならば合点がいくな………

 

「それは翼さんの(つるぎ)だッ‼お前が使うなッ‼」

 

響が宗二に突撃して殴り掛かるが、回り込むようにかわされ振り下ろされた剣が背中に直撃し、地面に叩きつけられた。

 

「ガハッ‼」

 

「響‼」

 

俺は響に駆け寄ろうとしたが、回復が終わってないのでうまく動けなかった。

 

宗二は倒れている響に再度剣を振ろうとしていた。

 

「先輩達に‼」

 

「手を出すなデス‼」

 

しかし、その剣は調の丸鋸と切歌の鎌によって受け止められた。

 

「………ナ」

 

「「え?」」

 

「……マ…ルナ」

 

「「ッ‼」」

 

「ジャマスルナアァァァァァァァァァァッ‼」

 

「「キャアァァァァァァァァァァァッ‼」」

 

突然の雄叫びに驚いた二人を宗二は左右に蹴り飛ばした。

 

マズイ、このままだと………‼

 

「これ以上やらせるかよッ‼」

 

クリスがボウガンから矢を放つが…

 

「ウットウシイワァァァァァァァァァァァッ‼」

 

剣を振るって全てを切り落とし、クリスに近づいていく…

 

「こっち来んじゃねぇ‼変態がッ‼」

 

再び矢を放とうとしたら、

 

「フンッ‼」

 

ザギィン‼

 

剣でボウガンの片方を破壊した。

 

「クソッ?!」

 

「クリスッ‼」

 

「え?」

 

俺の声に気づいたクリスが正面に顔を向けたら…

 

「シネェェェェェェ‼」

 

宗二が剣を振り下ろしていた。

 

「クリスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスside

 

ここで終わっちまうのか?

 

アイツらに先輩らしい事、まだやりきってないのによ………

 

でも、この攻撃をかわすのはもうムリだ……!

 

でもよ……諦めてたまっかよ‼

 

生きるのを諦めたりするもんか‼

 

こんな風になったのもイッセー達に出会ったせいかね?

 

アタシも付ける薬がないみたいだ……

 

んじゃ、最後の抵抗といきますか‼

 

そう思っていたら……

 

ガギィィィィィィンッ‼

 

金属同士がぶつかる音が響いた。

 

「大丈夫ですか!?雪音先輩‼」

 

兵藤の剣を受け止めたのは………

 

「何でオマエがここにいるんだよ!?“木場”‼」

 

ついさっき勝負してアタシに負けた木場だった。

 

「戻っている途中で異様な気配を感じたので皆さんが無事か確認にきたらこの状況だったので思わず介入してしまいました‼」

 

こんなタイミングに現れるなんてヒーローかっての‼

 

木場はつばぜり合いをやめるとアタシの傍まで一端下がった。

 

「それより、アレは何なんですか?兵藤君と同じ気配を感じますけど…」

 

「そのものズバリだ。アレは兵藤宗二だよ。」

 

「え!?兵藤君にあんな力があるなんて僕は知りませんよ?!」

 

「アタシ達だって驚いたんだ‼こんな隠し玉を持ってるなんてな。」

 

ったく……面倒な奴だよコイツは‼

 

「でしたら、僕も手伝います‼」

 

「はあ?!なに言ってんだ‼アイツはアタシ達が…」

 

「これはグレモリー眷属の問題でも在りますから。」

 

「あ~ッ‼オマエといい塔城といい、変なところで頑固だな‼」

 

なら、やって貰うとするか……

 

「木場、アイツの持っている剣を弾き飛ばす事は出来るか?」

 

「出来ますよ。彼は剣を持ったこともないはずですからいけると思います‼」

 

「なら、やってくれ‼そうすれば“反撃”できる‼」

 

「それはさっきからチャージをしている彼女の攻撃の事ですか?」

 

「ああ‼」

 

アイツの力ならイケる筈だ‼

 

「だったら、任せてください‼」

 

そう言って木場は兵藤に近づき、剣を振り下ろしたが、兵藤は簡単に受け止めつばぜり合いになる。

 

「喰らいなッ‼」

 

アタシはボウガンから矢を放ち、兵藤の顔に命中させる。

 

「ここだッ‼」

 

その隙に木場は剣を大きく円を描くように動かし、一番下に剣先が向いた瞬間に、一気に上に振り上げて剣を弾き飛ばした。

 

「センパイッ‼」

 

「良くやった‼二人とも‼」

 

センパイが弾き飛ばされた剣を掴むと青と銀の美しい刀身に戻った。

 

ヨシ、これで何とかなる‼

 

「狼煙の一撃は頼んだぜ、小日向…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

アイツが武器をなくした今しかない‼

 

またこちらの武器を奪い取る前に決める‼

 

「未来‼やれぇ‼」

 

「分かった‼」

 

 

ー推奨BGM《歪鏡 シェンショウジン》ー

 

 

未来のチャージしたエネルギーが一際強く輝いた瞬間、巨大なレーザーになって宗二を襲った。

 

《流星》

 

「グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼」

 

両手をクロスして必死に耐えているが……

 

「無駄だぜ…無垢にして苛烈、魔を退ける輝く力の奔流……それが神獣鏡(シェンショウジン)だ。」

 

レーザーの照射が終わるとそこには黒いもやが消えた只の甲冑を纏った宗二がいた。

 

「バカな‼何故俺の力が?!」

 

宗二は現状に驚いていたが、そんな隙を見逃す俺たちじゃない。

 

 

ー推奨BGM《魔弓 イチイバル》ー

 

 

「持ってけ!10億連発‼」

 

クリスが両手のボウガンを上下2門、左右合わせて4門の大型ガトリングガンに変形させて撃ち始めた。

 

《BILLION MAIDEN》

 

「ウワァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

「コイツはオマケだ‼」

 

弾丸の殆どが命中し、よろめいているところにクリスは大型のミサイルを二つ展開して発射した。

 

《MEGA DETH FUGA》

 

「グワァァァァァァッ‼」

 

爆風に吹き飛ばされた宗二の先には……

 

 

ー推奨BGM《銀腕 アガートラーム》ー

 

 

「ハァァァァァァァァッ‼」

 

左手の短剣を蛇腹状の刀身にしたマリアがいて、その蛇腹剣を振るった。

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

「ギャッ‼グガッ‼カハッ‼」

 

そのまま空中で切り刻んだ後、マリアも高く跳び上がり籠手の後ろに短剣を連結すると刀身が長い逆手を剣となり、腰のブースターで加速し刀身にも炎を纏わせすれ違い様に切り裂いた。

 

「ヤァァァァァァァァァァァッ‼」

 

《SERE†NADE》

 

「グバァッ‼」

 

そして、落ちてくる宗二より先に着地したマリアの隣には……

 

 

ー推奨BGM《絶刀 天羽々斬》ー

 

 

「ハァッ‼」

 

翼は大剣を抜刀するかのように構え、右手が掴んでいる持ち手を勢いよく引き抜きながらバツの字に振るった。

 

《蒼刃罰光斬》

 

「アガッ‼」

 

背中に直撃を喰らい再び空に上がる宗二に二つ目の剣を抜き、柄尻を繋ぎ薙刀状にした後、剣を回転させながら炎を纏わせ宗二に突撃した。

「セイヤァァァァァァァァァァッ‼」

 

《風輪火斬》

 

「ガホォッ‼」

 

切り裂いた後、宗二より高い場所に行き剣を投げつけると、さっき以上の大きさの大剣になり翼はそれを蹴り出し、脚のスラスター共に一気に加速して宗二に激突してそのまま地面に押し潰した。

 

《天ノ逆鱗》

 

「ゴボォッ‼……く…クソが‼」

 

よほど頑丈なのか宗二はまだ意識を保っていた。

 

でも、そこには……

 

 

ー推奨BGM《Edge works of goddess ZABABA》ー

 

 

「いっけェェェッ‼」

 

調が高速で近づきながら大型の丸鋸を飛ばした。

 

《γ式 卍火車》

 

「ナメルナァッ‼」

 

宗二は両手でそれを掴もうとしたが、

 

「隙ありです。」

 

「ナッ‼バガァ‼ガベェッ‼」

 

ガードが空いた鳩尾に塔城の拳がめり込み、その間に丸鋸も直撃する。そして塔城が宗二の前でしゃがんだ瞬間…

 

「デェェェェェェェェェェェスッ‼」

 

切歌がギロチンの刃を宗二に向かって蹴り出していた。

 

《断殺 邪刃ウォTtkkk》

 

「ガグッ‼……マダ…ダ……‼」

 

しかし、宗二はそれを両手で受け止めた。

 

「その通り‼まだデスッ‼」

 

そう言って切歌はギロチンから飛び退いた。

 

その後ろでは調が塔城と手を繋ぎ、脚のローラーを使って高速回転して、塔城は地面に水平になるくらい浮いていた。

 

「えェェェェェェェェいッ‼」

 

そして、宗二目掛けて放り投げた。

 

「ナニッ?!」

 

「ここから…」

 

調が投げた勢いと戦車(ルーク)の力をそのままに……

 

「出てけ……‼」

 

塔城はギロチンを蹴り飛ばした。

 

「ヌオォォォォォォォォォォォッ?!」

 

その一撃の威力に耐えられる訳もなく壁まで一気にとばされ、腹部をギロチンで固定された。

 

「コンナモノッ‼」

 

ギロチンを外そうと宗二は手を動かそうとするが

 

魔剣創造(ソード・バース)ッ‼」

 

木場の魔剣が両手両足を拘束するように出てきた。

 

「良いのか?俺達に手を貸しても…」

 

「部長がとやかく言いそうだけど、今は君たちに手を貸すのが最善だと思っただけさ…」

 

「ウォォォォォォォォッ‼ハナセェェェェェェッ‼」

 

そう言って離す奴がいるか‼

 

「響‼決めろ‼」

 

 

ー推奨BGM《撃槍 ガングニール》ー

 

 

俺達の前には右腕を後ろに引いて踏み込む準備を完了している響がいる。

 

「今のあなたは危険過ぎる……そしてこの事件であった恨み辛みも籠めて…お前に八つ当たりしてやるッ‼」

 

「……アレで良いのかい?」

 

木場がものすごく不憫そうな目で宗二を見ているけど……

 

「いいんじゃね?敵を倒せる上にストレス発散になるんだから一石二鳥だ。」

 

もしくは宗二の自業自得だな……

 

話している間に響の右腕の籠手が大きくなり、ブースターらしいパーツも見えている。拳の前にはサックのようなものも装備されている。

 

「この一撃に全てを籠めて、行くぞッ‼」

 

そして、踏み込みとバンカーだけでなく腰と右腕のブースターを同時に噴かせる事でいつも以上のスピードで突撃していき……

 

「抹殺のぉぉラストブリッドォォォォォォッ‼」

 

その全力の一撃が宗二の腹に命中してとてつもない勢いで建物の

反対側まで殴り飛ばした。

 

「ファーストとセカンドはどうしたんだ?」

 

「それより抹殺って言わなかったかい?」

 

お互いにどうでもいい事にツッコミを入れていた。

 

「あ~ッ‼スッキリしたッ‼」

 

「「そりゃそうだろうな。」」

 

 

 

何か木場に親近感湧きそう……お互い苦労している男同士って事で……

 

そんな事を思いながら俺は宗二の元に向かった。

 

 

 




以上、第1回オリ主フルボッコの回でした。

???「なあ作者さんよ、俺の出番はまだなのか?」

作者「君の出番なら、次の回にあるよ。」

???「マジでッ!?」

作者「ほんの数行だけどな。」

???「だと思ったよ‼コンチキショー‼」

作者「というわけで次回もよろしくです。」


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1つ目の終わり

この話で一章は終わりです。

皆様の満足していただける結果になっているか正直不安です………

後輩三人組「「「バッチリミナー‼」」」




小猫side

 

立花先輩が兵藤先輩を殴り飛ばしたところを見て、胸がスカッとした。

 

「さて、回復も終わったし行くとするか。」

 

隣を見ると龍見先輩が立ち上がり兵藤先輩のところへ歩き始めた。

 

「龍見先輩……先程仰った事は本当ですか?」

 

「ん?ドライグを助ける方法があるってことか?」

 

「はい…」

 

「気になるなら見てみるか?」

 

「いいんですか?」

 

「この事をグレモリー達に言わないと約束出来るのならな。」

 

「分かりました。」

 

「なら、おいで。」

 

私は龍見先輩と一緒に兵藤せん………………先輩と思いたくないから兵藤でいいや………………兵藤の所に行くと武装を解除して制服や私服を着ている皆さんと祐斗先輩がいました。

 

「コイツの様子は?」

 

「完全に気絶してらァ。」

 

「白目剥いてるしね。」

 

「それじゃ、始めるか。」

 

そう言って、神器の剣を取り出すと思いっきり切り裂いた。

 

「ちょッ‼龍見君?!」

 

「大丈夫だって、見てみな。」

 

祐斗先輩が驚いていたが、龍見先輩のいった通り見てみると傷一つなかった。

 

「そんな……どうしてなんだい?」

 

「悪いけど俺は少し集中するから響達に聞いてくれ。」

 

そう言われて、再び兵藤を切りながら何かをブツブツ呟いていた。

 

邪魔をしないように私達は少し離れた場所にいるマリア様の所に向かった。

 

「マリア様は龍見先輩の神器について知っているのですか?」

 

「ええ、あの神器に封印されている龍は平和主義だったらしくて、生き物が傷つくのを見たくなかったそうなの。」

 

なるほど、その思いが神器に反映されたんですね。

 

「まぁ、裏技があるんだけどね。」

 

「裏技ですか?」

 

いったい何だろう……?

 

「そこの騎士君。あなたイッセーと戦ったのよね?」

 

「はい。」

 

「その時に彼、刀身にお守りを当ててなかった?」

 

「そう言えば、していましたね。何故あんなことをしたのか気になってたんですけど…」

 

「あのお守りも神器なの。」

 

「「ええッ?!」」

 

龍見先輩は2つも神器を持っているなんて……‼

 

「正確に言えば神器の破片だ。」

 

「あら、翼。」

 

私達が驚いている間に翼様も来ていた。

 

私は夢でも見てるのでしょうか………?

 

画面の向こう側でしか見ることができなかったお二人が目の前に………………。

 

「って!?悦に入っている場合じゃない‼」

 

「うわッ‼ど、どうしたんだい小猫ちゃん?」

 

「あっ、驚かせてスミマセン祐斗先輩……」

 

ちょっと気分が天限突破してしまいました………

 

でも、もう我慢できません‼

 

「あの……翼様、マリア様‼」

 

「む、どうした?」

 

「というか様って…」

 

私にとってはそう呼びたい存在ですから‼

 

私は転送魔法で手元に一つのプラスチックケース……お二人のユニットCDを出して、翼様達にそれを突き出した。

 

「お二人のユニット《クロス・ウィング》の大ファンなんです‼これにサインして貰えませんか?!」

 

こんな所で会えるなんて思ってもみなかった‼

 

何時でもサイン貰えるように転送魔法覚えてよかった‼

 

「私は構わないぞ。」

 

「私もよ。」

 

そう言って、ケースの表面にユニットのサイン、裏面に個人のサインを書いて貰いました。

 

「ありがとうございます‼一生の宝物にします‼」

 

「そう言って貰えると此方も嬉しくなるな。」

 

「堕天使領では活動できても、悪魔領は情勢の問題で行けないからね。」

 

この時ほど悪魔に転生した自分を呪った事はありません……‼

 

「えっと……先程の続きですけどお守りが神器の破片ってどういう事ですか?」

 

「そうだったわね、あのお守りの中には《解放龍の剣(リモートエッジ)》の破片が入っているの。」

 

「え?!神器はそんな簡単に壊れませんし、もし壊れても一度戻せば元通りになるはずですよ!?」

 

確かに、神器には修復機能みたいなのがありますね……

 

「あのお守り袋は神器同士の繋がりを遮断出来るようになっているんだ。」

 

「その上、能力は使用可能に出来るんだから作った人(アザゼル)は凄いわよね。」

 

確かに凄いです………ただ……

 

「誰が神器を欠けさせたんですか?」

 

強固な神器を壊すには私でも出来ないのに………

 

「お前達も見ただろう、それを可能とするパワーを持った奴を…」

 

パワーっていうとかもしかしなくても……

 

「立花さんですね?」

 

私の考えていたことを祐斗先輩が答えてくれた。

 

「その通りよ。あの子の《ガングニール》の全力で殴ってようやく5ミリくらいの破片が出来たの。」

 

あの威力で5ミリ片しか出来ないなんて………

 

「では、アレで何を解除しているんですか?」

 

「《生命体を切れない》という条件だ。」

 

「そうすることであの神器は攻撃にも使えるようになるのよ。」

 

だから、あのはぐれ悪魔を両断出来たんですね。

 

「条件を解除するんでしたら、 禁手(バランス・ブレイカー)へ至らせる事も?」

 

「それは無理よ。神器本体のシステムや封印、所有者の寿命の延長に関しては範囲外なの。」

 

「ある神器使いでそれを試そうとしたのだか、効果がないと分かってな。」

 

「あれ?解放龍の剣(リモートエッジ)の生命体を切れないというのは神器本体のシステムなのでは?」

 

だから解除は出来ないはず……

 

「それは中にいる龍の意思によって出来たもの。だから本体のシステムとは別物だ。」

 

そうなんですか………

 

「そういえば龍見君はさっきから何であんなに兵藤君を切っているんです?」

 

龍見先輩を見ると1回切る毎にブツブツ呟いてまた切るを繰り返していました。

 

「この感じだと、神器の摘出じゃないかしら?」

 

「え?!摘出出来るんですか!?」

 

マリア様の言葉に祐斗先輩は驚いていた。

 

「根気と集中力が必要な作業だからね。」

 

「でも、あんなに切る必要があるんですか?条件を解除するだけですから簡単なんじゃ…」

 

解放龍の剣(リモートエッジ)は1回切る毎に1つしか解除が出来ないの。神器の複雑な繋がりを解除するにはそれだけ切る必要があるのよ。」

 

「なるほど、複雑な条件ほど回数が必要なんですね。」

 

「その代わり、複雑にすればその分応用がきくのだけどね。」

 

「でも、条件を考えるのは大変ではないですか?」

 

「イッセーは神器の魂を目覚めさせてからは、その者に鍛えて貰っていたからな。その点に掛けては天才的ともいえるな。」

 

……いったいどんな訓練だったんだろう……

 

「お~い‼みんな~‼そろそろ終わるよ~‼」

 

聞こうと思った時、立花先輩から呼ばれてしまった。

 

「ああ‼分かった‼」

 

「じゃあ、行きましょうか。」

 

「「ハイ‼」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達が戻るとそこには、

 

「ゼェ………ハァ………ゼェ………ハァ…………」

 

息が上がっている龍見先輩がいた。

 

「あんなに疲れるなんて……彼はどれくらい切ってたんですか?」

 

祐斗先輩の問いに小日向先輩は、

 

「後二回で一万回になるね。」

 

「「いちッ?!」」

 

どれだけやってたんですか‼

 

「神器と肉体、魂との結び付きはそれほどって事。」

 

「でもこれでやっと………」

 

「おっしゃあ~‼終わった~~‼」

 

龍見先輩の叫びを聞いて近くによると、

 

「これが赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だ‼」

 

真っ赤に輝く光の玉が右手にのっていた。

 

「これが…」

 

「塔城さんには悪いけど、暫くは俺たちが預かるよ。」

 

「え?」

 

それはどうして……?

 

「宗二のあの状態、もしかしたら赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が関係しているかも知れない。下手をすると他の人が使用する場合でも暴走する可能性がある以上、おいそれと渡す訳にはいかないんだ。」

 

確かに、そんな危険な代物になっていたら大変な事になってしまう………

 

「大丈夫。ドライグからも調べてほしいと頼まれてるから心配しないで。」

 

「はい…」

 

「それじゃ、ここから撤収しようか。」

 

「「「「「「「了解。」」」」」」」

 

「小猫ちゃん、僕達も行こう。」

 

「はい。」

 

「おんや~?お帰りですか~?」

 

突然聞こえたその声の方を向くと、

 

「「フリード‼」」

 

龍見先輩と祐斗先輩の声が被った。

 

「木場も知ってるのか?」

 

「一応ね。」

 

「やっはろ~‼皆さん、四話ぶりですね‼」

 

「「「「「「「「「「メタ発言すな‼」」」」」」」」」」

 

思わず全員でツッコミを入れてしまいました。

 

「気にしな~いの‼それよりな~んでアンタらとクソ悪魔どもがつるんでる訳!?これじゃ~オレッチの考えた《敵同士でバイバイ作戦》がパーじゃねえかコノヤロー‼」

 

作戦?どういう事でしょうか?

 

「あ、知りたい?どうしてもと言うのなら教えますよ?」

 

「「「「「「「「どうしても。」」」」」」」」

 

「ホントに言うか?!」

 

先輩達………案外余裕ですね……

 

「なら、教えやshow‼クソ悪魔どもに情報を流したのは………ナント‼オレッチだったのだ~‼ついでにそっちの人間どもがアーシアたんの神器を狙ってるって嘘までついちった☆」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

それを聞いた小日向先輩は直ぐ様武装を纏いフリードに狙いをつけた。

 

「そう、あなただったの…」

 

「アレ?な~んかnotイージーな展開?コレ?」

 

「だったら、ちょっと消去させて貰おうかな?」

 

「お説教するのは好きだけどされるのはゴメンだい‼つ~ことでアバヨッ‼」

 

そう言って、サムズアッブをしたあと閃光弾を使った。

 

「クゥ‼」

 

「キャア‼」

 

「また!?」

 

『目が‼目が~~‼』

 

「「「「「「「誰だ!?今ボケた奴は!?」」」」」」」

 

「さて、オレッチは次の職場の面接にレッツゴー‼」

 

「覚悟‼」

 

「ゴ、ゴ、ゴ‼」

 

「ゴースト‼」

 

「「「「「「「オイ!?後輩トリオ‼」」」」」」」

 

「「「なんか言わないといけない気がした(デス)。」」」

 

光が収まるとフリードの姿は何処にもなかった。

 

「逃げ足の早い奴だ。」

 

「追いかける?」

 

「いや、逃走経路は用意してあるだろうから追っても無駄だな。」

 

龍見先輩のいう通り姿を見せたってことは逃げられる自信があった筈………

 

「戻ろう、エルナの様子も気になるしな…」

 

「そうだね…」

 

「じゃあな、二人とも。」

 

そう言って、龍見先輩達は液体の入ったビンをわり、出てきた魔法陣?で転移していった。

 

「私達も戻りましょうか?」

 

「そうだね。」

 

私達も転移陣で旧校舎に転移した。

 

………何か忘れてるような……まっいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「あ~、びっくりした‼」

 

何であんな高いビルの屋上から人が落ちてくるんだよ!?

 

それに向こうの教会か?さっきからドンパチやってんのは?

 

すると、その方角から服が飛んできた。

 

その服は俺の前で止まり右の袖をさしだし、その上にあるスマホを渡してきた。

 

「ありがとな。」

 

俺はその映像に映っていた物を見て……

 

「アッハハハハハハ‼やっぱ面白いわ、アイツら‼」

 

いいねぇ‼仲間になるんならこういう奴等じゃないと‼

 

「それじゃ、俺も行くか……“駒王学園”に。」

 

そして、俺はその場から霞むように消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

俺とキャロルは特別な回線でサーゼクスと通信していた。

 

「サーゼクス、俺達の言いたい事はわかってるな?」

 

『ああ、本当に申し訳ない。』

 

「貴様らはどういう教育をしてきたのだ?私怨での人間への攻撃などふざけにしても過ぎているぞ。」

 

キャロルの怒りはもっともだな。俺だったらそんな事をアイツらがやったら絶対に殴り飛ばしてるぞ?

 

『言い訳をするつもりもない。私達が甘やかし過ぎたんだろう……』

 

「今回の事は公にする気は此方もない。これが発覚すればお互いに戦争への火種になるからな…」

 

『感謝するよ。』

 

「だが、こちらの要求した事は飲んで貰うぞ?」

 

それぐらいしてもらわないと、アイツらの苦労が無駄になるからな。

 

『わかってるよ。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を研究用を含めて100セット、赤龍帝の籠手の所有権、悪魔側が所持している持ち主無しの神器全ての委譲、堕天使側で事件が起きたとき此方の戦力の無償貸与、君の家族に手を出した場合に即事処刑の権利、悪魔側の技術者の貸与でいいんだね?』

 

「ああ。」

 

『………………………今他の魔王から連絡があった。全員が今の条件でいいそうだ。』

 

「そうか。」

 

これでアイツの力になれそうだな。

 

『アザゼル、ここからは魔王としてでなく一人の悪魔として謝罪するよ。』

 

そう言って、サーゼクスが画面の向こうで頭を下げていた。

 

「そこまでしなくてもいいサーゼクス、オレや旦那様もお前に怒っている訳ではない。」

 

「そうだぜ、戦場(いくさば)に子ども達を出している時点でこうゆう展開は覚悟している。」

 

『本当にすまない‼』

 

まったくコイツは………こうゆうとこは真面目なんだよな。

 

「気にするな。また今度酒でも飲もうや。」

 

『ああ……喜んで。』

 

そして、俺達は通信を切った。

 

「ったく……馬鹿な事をする奴等もいたもんだ。」

 

「もう少し、規則を厳しくする必要も出てきたな。」

 

「それもあるが、急いだ方がいいかもしれないな?」

 

今後、こんな事態になった場合のエルナとイッセーの新しい力を……

 

「オレの方は90%終わっている。後は妹のデータを入力して、“あの子達”との連動テストを終わらせるだけだ。」

 

さすが俺の妻、やる事が早いな。

 

「旦那様はどうだ?」

 

「コッチはもう少し掛かりそうだ。同調率の調整に苦労しててな…」

 

まったく、とんだじゃじゃ馬だよコイツは。

 

「なら、オレのを手伝って貰えないか?入力はまだしも、連動テストにはどうしても人がほしいからな。」

 

「なら、終わったらコッチを手伝ってくれ。」

 

「承知した。」

 

「じゃあ、始めるか。」

 

キャロルの作業スペースに行くと、“紺色の堅琴”と1つの端末、そして青、白、赤、緑、紫、橙、虹色の光の球体があった。

 

 




一誠「オイ作者、何か中途半端じゃねえか?」

作者「そこは俺の力不足だ。正直スマン…」

エルナ「僕は強化フラグ立ちましたから気にしませんよ。」

作者「ありがとう‼」

一誠「とりあえず、文才磨け。」

作者「アッハイ。」

アンケート締め切りました。返答してくれた皆様に感謝します。


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戦闘校舎のフェニックス
転入生って目立つよな。


ここから二章の始まりです。


一誠side

 

ども、龍見一誠っす‼

 

あの事件から三日たってあの後どうなったかオッチャンに聞いたら、悪魔側から色々と手にいれたらしい。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)もオッチャンに預け、調査してもらっている。

 

つかの間の平和を手に入れた俺は響といっしょに学校へ登校している。

 

「そういえば今日だったね、アーシアさんの転入。」

 

「そうだったな、後でパーティーでもやるか?」

 

「賛成‼」

 

なら、帰りにスーパーに寄らないとな。

 

アーシアさんは事件の後、堕天使陣営で保護する事となり、オッチャンの計らいで本人も行きたがっていた学校へ通う事になり俺達のいる駒王学園に編入する事が決定して、今はクリスの家にホームステイしている。

 

二人とは、この後合流して一緒に行く予定だ。

 

「でも、アーシアさんがいてくれて良かったよ。エルナさんとイッセーの怪我を完全に治してくれたんだから。」

 

「アレは本当に助かった…」

 

翼と未来がエルナを家に運んだ時、アーシアさんが自身が持つ神器《聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)》ですぐさま治療してくれたお陰で大事に至らずにすんだし、《回復錠改》の無理矢理な回復の後、神器の超過使用で家に着いた瞬間ぶっ倒れた俺を癒して貰った。

 

そしてエルナはオッチャンに呼ばれて今は冥界にいる。

 

「イッセーってば無茶ばかりするよね…………倒れた時は本当に心配したんだから…」

 

「だから悪かったって。」

 

「心配かけた罰として何処かに連れていってもらおうかなあ…」

 

「だったら今度、一緒に遊園地にでも行くか?」

 

「ホントッ!?」

 

「おう!約束するぜ‼」

 

「やった‼」

 

この笑顔が見れるなら、財布のツンドラ化も悪くないかな…

 

二人で喋りながら歩いていたら、クリス達との待ち合わせ場所に着いた。

 

「そろそろ待ち合わせ時間だけど…」

 

「一誠さ~ん‼響さ~ん‼」

 

「おっ‼来たみたいだな‼」

 

通りの向こうからこちらに手を振っているアーシアと…

 

「んなに走ってると転ぶぞ~。」

 

「大丈夫で《ガッ‼》はぅッ‼」ズサ~‼

 

「ったく…言わんこっちゃない。」

 

そんなアーシアの世話を焼いているクリスだった。

 

「ほら、傷あるか見せてみろ。」

 

「いえ、この位でしたら神器で…」

 

「こんな人目の多い所で使う奴があるか。」

 

そう言って、膝の擦り傷に絆創膏を貼っていた。

 

「ありがとうございます‼」

 

「気にすんな。」

 

どうやら二人の関係は良好みたいだな。

 

「ク~リスちゃ~「セイッ‼」ンドンゴンッ‼」

 

響はクリスに抱きつこうとしたが、踵落としを脳天に喰らい頭を押さえながらしゃがみこんだ。

 

「オマエには何度も言ってっけど、アタシは年上で先輩なんだ‼もう少し敬った行動をしろ‼」

 

「おぉぉぉぉぉ…‼」

 

「なるほど、今日はピン「ソイヤッ‼」カチャンッ‼」

 

俺が言い終わる前にクリスのミドルキックが脇腹に炸裂した。

 

「オメーは何アタシの下着見てんだよ‼////」

 

「おぉぉぉぉぉ………‼」

 

いや、スカートで踵落としすれば見えるから………

 

「まったく、アーシア‼コイツら置いてさっさといくぞ‼」

 

「えっ?あ、待ってくださ~い‼」

 

クリスとアーシアは先に行ってしまい、俺と響は痛みでしばらく動けなかった………

 

 

 

 

響side

 

痛みから回復した私達は始業ギリギリに教室に着いた。

 

「「ヨッシャ‼セーフ‼」」

 

「セーフじゃないでしょ‼」

 

スパパーン‼

 

「ヒートッ‼」

 

「メタルッ‼」

 

折角回復したと思ったら、未来の紫ハリセンによって再び撃沈された。

 

「酷いよ未来…さっきクリスちゃんにやられた場所を正確に叩くなんて………」

 

「それは響の自業自得‼」

 

「そんな~~‼」

 

「俺は脇腹だったからまだ大丈夫だ……」

 

イッセー、そう言いながら足が震えてるよ………

 

「お前ら、席つけ~。HR始めるぞ~。」

 

先生が来たので痛む頭を押さえながら席に着いた。

 

「今日はお前達に朗報があるぞ~。なんとこのクラスに転入生が来たぞ。」

 

「「「「ヨッシャアァァァァァァァァァ‼」」」」

 

やっぱり転校生が来ると皆テンション上がるんだね…

 

「先生‼その子は男子ですか?女子ですか?」

 

「聞いて驚け。なんと“両方”だ‼」

 

「「「「やったあぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼」」」」

 

あれ?転入生ってアーシアさんだけじゃなかったんだ?

 

「それじゃ二人とも、入ってきてくれ。」

 

教室の扉が開くとアーシアさんと男の子が入ってきた。

 

「じゃ、アルジェントから自己紹介してくれ。」

 

「ハイ‼アーシア・アルジェントといいます。日本に来て日が浅いので色々と分からない事が多いですが、仲良くしてくれると嬉しいです‼」

 

「「「「ハ~~~~~~~~~~~~イ‼」」」」

 

こういう時、ノリがいいと安心するよね。

 

「それじゃ君も頼むよ。」

 

「はい‼“御堂タケル”です。趣味は鍛練とプラモデル作り、好きな物は甘いお菓子です。よろしくお願いします‼」

 

へぇ、優しそうな顔つきだなぁ…

 

「「「「ヨロシク~~~~~~~~~~‼」」」」

 

「アルジェントは小日向の、御堂は龍見の隣の席を使ってくれ。」

 

「アーシアさん、よろしくね。」

 

「ハイ‼」

 

「龍見一誠だ、ヨロシク。」

 

「こっちこそ、ヨロシク。」

 

二人が席に着いたら、授業が始まった。

 

そういえば、何で未来は御堂君を見て驚いてたんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

あれから時間はたち、今は昼休みだ。

 

ん?転入生と話さなかったのかって?

 

しようとしたけど、授業が終わる度にすぐに人垣が出来て無理だったよ。

 

で、俺は響、未来、調、切歌、アーシア、クリスと一緒に屋上で昼飯を食べていた。

 

「そーいえば、お前達のクラスに男子の転入生も来たんだって?」

 

「クリスも知ってるのか?」

 

「女子達の情報網はすげぇんだよ。」

 

なにそれ、コワイ……

 

「御堂タケルさんという方です。」

 

「優しそうな感じで女子からは人気になってるよ。」

 

へぇ~、そうだったんだ。

 

「それにあの人だよ、エルナさんを助けてくれたのは。」

 

「「「「「「えぇぇぇぇぇッ!?」」」」」」

 

未来の発言に俺達は驚いた。

 

アイツがエルナを!?

 

「だったら後で礼を言わないとな。」

 

「そんなの気にしなくていいぜ?」

 

「「「「「ッ‼」」」」」

 

その突然聞こえた声に俺達(アーシア以外)はすぐに戦える構えをとる。

 

「ちょっ!?落ち着けよ‼なにもしないって‼」

 

声の主は転入生の御堂だった。

 

「いつの間に…」

 

「お前達が喋ってる間にだよ。」

 

おかしい、今みたいな場合でも俺達は気配を感じ取れるように注意しているのに……

 

「そちらの皆さんは龍見達の知り合いか?」

 

「ああ、そうだ。」

 

すると御堂はクリス、調、切歌の前に行き、

 

「はじめまして、今日この駒王学園に転入した御堂タケルです。」

 

普通に自己紹介した…

 

「「「あっどうも?」」」

 

3人もよく分からず頷いていた。

 

「ふ~ん、全員強そうだな。さすが堕天使やあの変な甲冑に勝つだけあるな。」

 

「「ッ!?」」

 

その言葉の意味に気づいた俺とクリスは警戒度を一気に上げた。

 

「何でオマエがそれを知ってんだ‼」

 

「ん?見てたからかな?」

 

あの時は誰かに見られている気配はなかった……いったいどうやって?

 

「安心してくれ、コレを誰かに言うつもりはないから。」

 

「だったら何が目的だ‼」

 

「目的というより頼みかな?」

 

「頼み…?」

 

俺達に何を頼みたいんだ?

 

「あのさ、俺を『キーンコーンカーンコーン』っと予鈴か…」

 

すると、御堂は屋上の出口に向かって歩き出した。

 

「お、おい!頼みってのは!?」

 

「ん~、今は時間ないから放課後でいいや。」

 

そう言って、屋上から出ていった。

 

「いったい何だったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調side

 

午後の授業が終わった私と切ちゃんは帰り支度をし ていた。

 

「この後はどうするデスか?」

 

「…先輩達は転入した人と話があるみたいだから、何処かに寄り道でもする?」

 

その話し合いには私と切ちゃんは来なくてもいいと言われてる。万が一その人が敵だった場合に総督に連絡出来る人が必要だからというのが理由だ。

 

「だったらこの前出来た甘味処にするデス!」

 

「…確か、《甘兎庵》だっけ?」

 

駅前通りに出来た和風喫茶で値段もお手頃だから、学園の生徒に人気のお店だ。

 

ただ、メニューの名前がかなり独特だとの噂がある。

 

「…なら、塔城さんも誘おうか?」

 

「そうデスね、塔城も甘いものが好きって言ってたデスから。」

 

「…じゃ、行こう。」

 

私と切ちゃんは塔城さんのクラスに向かい中を覗いて見たけど、既に移動したのかいなかった。

 

「もう帰ったんデスかね?」

 

「…念のため行ってみる?」

 

「どこにデスか?」

 

私はある一点を見ながら言った。

 

「…旧校舎。」

 

「えッ!?先輩達にあそこには用がない限り近付くなって言われたじゃないデスか!?」

 

「…コレさえ有れば大丈夫。」

 

私はスカートのポケットからピンクフレームのメガネを出した。

 

「そ、それは‼《潜入美人捜査官メガネ》‼」

 

説明すると、このメガネを掛けている間は、自分の気配を完全に隠す事が出来るアイテムなのだ。

 

ただし、最上級クラスの相手には見破られてしまう可能性があるので注意が必要な物でもある。

 

「…ほら、切ちゃんも。」

 

「ああ~~‼もう、分かったデスよ‼」

 

そう言って、ライトグリーンのメガネを掛けた。

 

「…じゃあ、行こっか。」

 

「その前に、念のためイッセー先輩にメールだけ入れとくデスよ。」

 

「…分かった。」

 

メールを送信した私達は旧校舎に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

今、私は非常につまらない事に巻き込まれそうで少しイラついてます。

 

「私は貴方と結婚なんてしないって言ってるでしょッ‼」

 

「俺もなリアス、フェニックス家の看板を背負ってるんだ。その看板に泥を塗るわけにはいかないんだよ‼」

 

部長の婚約者であるライザー・フェニックスが眷属と一緒に来て、部長と結婚しようとしていて、部長がそれを突っぱねていた。

 

いつまでこの三流芝居を見てなくちゃならないんだろう…

 

祐斗先輩も少しうんざりした顔をしてます。

 

兵藤はなぜかニヤついてますけど……

 

「お前さ…さっきから部長に馴れ馴れしいんだよ。」

 

「あん?なんだテメェは?」

 

「兵藤宗二、リアス部長の《兵士(ポーン)》さ。」

 

「下級悪魔風情がオレ様に楯突くのか?」

 

何でキャンプファイアに石油の入ったポリタンク投げ込んでるんですか?

 

「当然だろ、部長は俺の女なんだからな。」

 

「「は?」」

 

思わず祐斗先輩とハモってしまった。

 

「祐斗先輩、知ってましたか?」

 

「いや、僕も初耳だよ?」

 

なるほど、兵藤のデm「そうよ!私はソージが好きなの‼貴方じゃないわ‼」ってマジですか。

 

「…アイツのどこがいいんだろう?」

 

「分かりたくないデスね。」

 

「君達は何時からいたんだい?」

 

私の左右にはいつの間にか暁さんと月読さんがいた。祐斗先輩も苦笑いしながら突っ込んでいた。

 

「…塔城さんに話があって来たの。」

 

私と話すために敵の本拠地まで来るなんて、結構大胆ですよ……

 

「…コレから《甘兎庵》に行こうと思っていて塔城さんも誘いに来たの。」

 

「塔城が甘いものが好きだと聞いていたデスから。」

 

「行きます。」

 

あの人達の罵り合いを聞いているよりかは一億倍マシですから。

 

「僕もついていっていいかな?メニュー名が面白いって聞いていたから気になってたんだ。」

 

「…構いませんよ。」

 

「無問題デス。」

 

「ありがとう。」

 

私と祐斗先輩が帰り支度をしていると…

 

「二人とも、何しているのかしら?」

 

リアス部長がこちらに気づいた。

 

「何って、帰ろうとしているんですけど?」

 

「駄目よ、ここにいなさい。」

 

「ここに居てもやることなんてないじゃないですか?」

 

私達はこの前の事件の罰として一ヶ月の悪魔稼業の禁止と被害額の賠償、一学期の間の奉仕活動を魔王様から言い渡されている。

 

つまり、はぐれ悪魔討伐の依頼でもない限り、部室に集まる必要はないのだ。

 

「まさかとは思うけど、あの子達に会いに行く訳じゃないわよね?」

 

「だから何ですか?」

 

「やめなさい、あの子達は危険よ。ソージに大怪我させた上に神器まで奪っていったのだから‼」

 

あれは仕方ないと私と祐斗先輩は思っている。

 

「差し出がましいですが部長、僕はあの時彼らがいなければ、被害はさらに酷いことになっていたと思います。その事に神器が関係あるなら彼らの行為は当然の処置だと思います。」

 

「祐斗まで……‼」

 

「…それに匿名の情報を確かめもせず鵜呑みにして、襲ってきたのは貴方達でしょ?」

 

「自分の失態を他人に押し付けるなデス‼」

 

「ッ‼何であなた達が‼」

 

月読さんと暁さんもメガネを外して部長に文句を言った。

 

そのメガネが隠蔽(ハイディング)スキルを上げていたんですね……

 

「おいリアス、誰だこの子達は?」

 

「ソージから神器を奪った奴等の仲間よ‼」

 

「なるほど……にしても中々の上玉じゃないか。」

 

ライザーは月読さん達をいやらしい目で見て…

 

「リアス、この子達は俺の女にしてもいいか?」

 

そんな事を宣った。

 

「駄目だ、その子達も僕のものなんだから。」

 

すると兵藤が見当違いな発言をした。

 

「何だと?」

 

「彼女達は僕に会うためにここにやって来たんだよ。な、二人とも。」

 

そう言って、二人に君の悪い笑顔を向けたけど……

 

「「違いますよ?」」

 

「ッ‼」

 

二人が即答した答えに兵藤は少し驚いていた。

 

「…私達は塔城さんと木場先輩を誘いに来たんです。」

 

「そこの自称天才やホスト崩れに興味はないデスよ。」

 

「「ブッ‼」」

 

その言葉に私と祐斗先輩は思わず吹き出した。

 

暁さん……ナイスです……‼

 

「ほぉ……人間ごときがこのオレを馬鹿にするとは……ミラ、やれ。」

 

そう言って、ライザー眷属の一人が棍を持って月読さんに向かって突撃したが……

 

「させるか……‼」

 

ガギィン‼

 

いつの間にか来た龍見先輩が神器で棍を受け止め…

 

「ヨッ‼」

 

「ギャンッ!?」

 

知らない男の人が掌底をお腹に当て、眷属を吹き飛ばした。

 

「「イッセー先輩‼御堂先輩‼」

 

「二人とも、大丈夫?」

 

「「ハイ‼」」

 

「良かった…」

 

「すまない、僕たちがついていながら二人を危険な目に…」

 

「気にすんなよ木場、お前と塔城が二人を守ろうと動いてくれたのは知ってるからさ。」

 

そして龍見先輩は神器を部長達に向け、

 

「さて、どうしてこうなったのか教えてもらおうか?」

 

殺気を放ちながら言った。

 




タケル「ようやく俺、参上‼」

作者「どうだった一誠達は?」

タケル「やっぱ良いね、アイツといればこうもいろんな事が起きると思うとオラワクワクすッぞ。」

作者「君の特典ももうすぐ解禁出来ると思うから…」

タケル「なるべく早くしてくれよ?」

作者「分かってるって。」

作者・タケル「それじゃ次回も見てくださ~い‼」


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憑依合体‼オレ‼

筆(というか指)が乗ったので投稿します。


一誠side

 

俺と響、未来、クリスは屋上に来ていた。

 

帰りのHR後に御堂から屋上で話そうと言われたからだ。

 

「御堂君の頼みって何だろうね?」

 

「くだらねぇ頼みなら蹴っ飛ばすだけさ。」

 

「そんな感じじゃなかったと思うけど…」

 

「とりあえず、話してみれば分かるさ。」

 

そうしている間に屋上の扉が開き、御堂が顔を出した。

 

「ったく、転入初日だからって書く書類多すぎだろ……龍見達は…おっ、いたいた。」

 

「遅かったな。」

 

「悪い悪い、転入に関する書類が色々あってそれを書いてたら遅くなっちまった。」

 

「んで、アタシ達に頼みたい事って何だ?」

 

クリスが内容を聞き出そうとすると、

 

「そうだったな、俺の頼みは…」

 

「「「「頼みは?」」」」

 

「“俺を龍見達の仲間に入れてくれ”。」

 

「「「「ッ‼」」」」

 

御堂の言葉は俺達が想像していないものだった。

 

「…理由を聞いてもいいか?」

 

「龍見達がどっかの悪魔、堕天使と戦ってるところを見てさ、お前達の仲間同士の絆が綺麗に見えたからかな?」

 

「どういう意味なの?」

 

「そのまんまだよ。それにお前達といると楽しそうってのもあるな。」

 

「まあ、楽しいのは確かだな。皆といると俺も楽しいからな。」

 

「その皆の中に俺も入れてくれって事。」

 

「だったら、相応の覚悟はあるんだよな?」

 

そう言って、クリスは赤い結晶体を取り出した。

 

「アタシ達は危険な戦場(いくさば)に出る事がある。お前は死ねる覚悟があるのか?」

 

「ちょッ‼クリス‼」

 

「龍見、止めなくていい。」

 

「御堂?」

 

御堂の顔を見ると、覚悟を決めたような顔をしていた。

 

そして、内ポケットに手を入れるとそこから目玉を模したアイテムを取り出した。

 

「それは何なの?」

 

「コレか?コレは《眼魂(アイコン)》って言うものさ。」

 

「「「「眼魂?」」」」

 

そんなもの聞いた事もないな?

 

「どんなのかは見てれb《メールダヨ‼メールダヨ‼》って何だ!?」

 

「わるい、俺だ。」

 

調からのメールか………………………何やってんだあの二人は!?

 

「すまないけど、覚悟試しはまた今度にしてくれ‼」

 

「どうしたの、イッセー?そんなに慌てて…」

 

「きりしらコンビが旧校舎に向かってるんだよ‼」

 

「「「えぇぇぇぇぇッ‼」」」

 

「おい、どうしたんだ?」

 

「俺の仲間がこの前襲ってきた悪魔の溜まり場に向かってるんだ‼」

 

「なら、助けに行かないとな。」

 

「御堂君?」

 

「俺も手を貸してやるよ。」

 

「いいのか?」

 

「《助けられる距離にいるなら助ける‼》それが俺のモットーだからさ。」

 

「ありがとう‼助かる‼」

 

響達も、何時でも出られる状態だし………‼

 

「よし、行こう‼」

 

「「「「了解‼」」」」

 

俺達は屋上を出て、旧校舎に急いで向かった。

 

「そういえば、御堂はどのくらい戦えるんだ?」

 

「中級レベルなら、問題なく倒せるな。」

 

「そりゃスゲェ。」

 

仲間なら頼もしい限りだな。

 

「見えた‼旧校舎だ‼」

 

「だったらこのまま突っ込もうぜ‼」

 

「ああ‼」

 

中に入りオカルト研究部のドアを開けると、一人の女が調に向かって棍を突き出していた。

 

「させるか………‼」

 

俺は神器を取りだし、棍を受け止める。

 

「ヨッ‼」

 

その間に御堂が女に掌底を突きだし、吹き飛ばした。

 

「「イッセー先輩‼御堂先輩‼」」

 

「二人とも、大丈夫?」

 

「「ハイ‼」」

 

「良かった…」

 

「すまない、僕たちがついていながら二人を危険な目に…」

 

「気にすんなよ木場、お前と塔城が二人を守ろうと動いてくれたのは知ってるからさ。」

 

そんじゃまずは…

 

「さて、どうしてこうなったのか教えてもらおうか?」

 

事情を知らないと誰にキレればいいかわからねぇからな‼

 

「でしたら、私がご説明致します。」

 

そう言って出てきたのは、銀髪のメイドさんだった。

 

「あんたは?」

 

「私はグレモリー家に仕えるメイドで魔王サーゼクス・ルシファー様の女王を務めていますグレイフィア・ルキフグスと申します。」

 

「ッ!?」

 

何でそんな大物がこんなところに!?

 

「まずは、龍見様達には改めてこの場でこの前の事件の謝罪を致します。」

 

そう言って、グレイフィアさんは俺達に頭を下げた。

 

「ちょッ‼グレイフィア!?何をやっているの!?貴女が人間なんかに頭を下げるなんて…」

 

「お黙りなさい‼リアス‼」

 

その一喝にグレモリーは驚いていた。

 

「貴女がした愚かな行動でグレモリー家や魔王様達に多大な迷惑を掛けた事をまだ理解していないのですか?!」

 

「私は正しい事をしたと思っているわ‼」

 

その答えにグレイフィアさんは盛大に溜め息を吐いた。

 

「分かりました。もういいです。」

 

「ようやく私の考えをりk「馬鹿は死なないと治らないみたいですね。」ッな‼」

 

「貴女との会話はコレで終わりです。しばらく大人しくしてなさい。」

 

グレモリーは悔しそうにしつつもグレイフィアさんの威圧の前に押し黙った。

 

「お見苦しい所をお見せして申し訳ありません。事の経緯の説明でしたね。」

 

「すみません、お願いします。」

 

「かしこまりました。まず………」

 

そうしてグレイフィアさんの説明を受けた後、俺は後ろにいるきりしらコンビの方を向き、

 

「まずはお前達にお仕置きだ。」

 

ゴンッ‼×2

 

「エヴァンッ‼」

 

「ゲリオンッ‼」

 

拳を二人の頭に落とした。

 

「まったく……《潜入美人捜査官メガネ》を使って忍び込むとは…」

 

「しかも途中で姿を現すなんて、敵の襲撃と思われても仕方ねぇって理解してんのか!?」

 

「「ハイ……スミマセン…」」

 

「二人とも、塔城さんとアドレス交換してないの?」

 

「「あっ、そういえばしてた。」」

 

「フンッ‼」

 

ゴンッ‼×2

 

「ゴッドッ‼」

 

「イーターッ‼」

 

切歌と調のボケにクリスの脱いだ靴の一撃が入った。

 

「んな事忘れてんじゃねぇッ‼」

 

「「………」」(チーン)

 

「あっ、気絶してる…」

 

「……今はほっとけ。」

 

さてと、次はアイツらか………

 

「宗二にフェニックス、この二人はお前達の物なんかじゃねぇ‼」

 

「じゃあ何だい?君の物とでも言うのか?」

 

「それも違う。あの二人は立派な人間だ。物なんかじゃない‼」

 

「アイツ本当にお前の弟か?腐りきってるだろ?」

 

俺もそう思うよ………

 

「貴様のような人間の戯れ言などどうでもいい、それより他にも上玉を揃えているじゃないか。その子達もオレに寄越せ。金は言い値で出してやるぞ?」

 

あっ?今コイツなんて言いやがった?

 

「テメェ、もういち「落ち着け龍見。」ッ‼」

 

フェニックスの一言にぶちギレそうだった俺を御堂が制止した。

 

「今ここでお前が手を出したら、それこそアイツの思う壺だぞ?」

 

「悪い、頭に血が昇っちまった。」

 

「けど、今の言葉にキレてるのは俺もだ…」

 

よく見ると、御堂も拳を思いきり握りしめていた。

 

「グレイフィアさんでしたね?1つ提案があるんですが?」

 

「何でございましょう?」

 

「今ここにいる3チームから代表者を一人ずつ出して、模擬戦出来ませんか?」

 

グレイフィアさんは少し考えた後

 

「可能です。許可を貰うのに少しお時間をいただきますが宜しいですか?」

 

「構いません。」

 

「では、少々お待ちを…」

 

そう言って、何処かに連絡を取り始めた。

 

「御堂…お前…」

 

「コレはこの場を収めるための勝負さ、それに提案者だから俺が出させて貰うがいいか?」

 

今の御堂からは怒りと強い意志を感じ取れる。

 

「分かった。」

 

だから俺は御堂の出場を許可した。

 

「ありがとな。」

 

「オイ‼イッセー良いのかアイツで‼」

 

「大丈夫だよ、御堂なら…」

 

「私もそう思う。」

 

「未来…?」

 

未来が俺に同意したことを響は不思議そうに見ていた。

 

「ずっと疑問だったの、御堂君がどうやって20階の高さから落ちたエルナさんを助けたのか…」

 

「「「ッ‼」」」

 

確かにそうだ、人間であるアイツがその高さから落ちてきた人を助けるなんて、ましてやその時の御堂は無傷だったと聞いている。

 

「その秘密が眼魂にあるのなら、私は勝てると思うよ。」

 

「なるほど…」

 

なら、見せてもらうぜ御堂…お前の戦う事への覚悟を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

どうも、御堂タケルっす。レギュラーキャラ何でそこんとこヨロシク‼

 

後、ついでに転生者です。

 

いつの間にか真っ白な部屋の中にいて、そこにいた自称神様とか言ってる頭のイタイおっさんに

 

「お前、俺のミスで間違えて殺しちゃったんだ。ゴメンね、てへぺろ♪」

 

とか言われて、挨拶無用で落ちていたガトリングをぶっ放した後、痛む間もなく壁に飾ってあった鎌で切り刻んだ俺は悪くない。

 

「ねぇ、神様相手にそこまでする?」

 

「この世界に神はいない‼」

 

「いや、目の前にいるから‼」

 

おっと、何処かのマイスターの台詞が出ちまったぜ。

 

「んで、俺はどうなるの?」

 

「君には、転生してもらうよ。」

 

「ん?普通は天国か地獄なんじゃないの?」

 

「君が死んだのは僕のミスだし、天国にも地獄にも君が入れる借家が無いんだよね。」

 

「え?借家?」

 

なんでそんなもんがあるの?

 

「君は天国でも野宿したいのかい?」

 

「んな訳あるかッ‼」

 

「そういう事だよ。」

 

なるほどね、向こうにも朝や夜があるよな…

 

「っていうか、何気に心を読むな。」

 

「聞こえるんだから、仕方ないよ♪」

 

コイツ……一点突破の決意をした右手を食らわせてやろうか…‼

 

「ところで俺の転生する世界って何処なんだ?」

 

「え~とね、『ハイスクールD×D』の世界だね。」

 

「オイ、待てコラ。」

 

なんで死亡フラグ満載の世界なんだよ‼向こうに着いて即ピチューンなんて嫌だからな‼

 

「安心して、君には特典が与えられるから。」

 

「特典…?」

 

「そ、アニメや特撮の力でもいいよ?」

 

「マジですかッ‼」

 

やべ~‼どんなのにしようかな‼

 

「いい忘れてたけど、特典は一個だけだからよく考えてね。」

 

「マジですか……」

 

なら、どうしようかね……

 

「よし、決めた‼」

 

「おっ、何にしたんだい?」

 

「特典は『……………………』の力にしてくれ‼」

 

「OK‼」

 

すると神様の右手に光の玉が出てきてそれは俺の中に入っていった。

 

「コレでその力はもう君の物だ‼上手く使いこなせよ‼」

 

「何でそんなにテンション上がってんだよ?」

 

「気分さ‼」

 

………………あっそ。

 

「それじゃ、新しい世界へ1名様ごあんな~い‼」

 

すると俺の後ろに扉が現れた。

 

「気を付けていってら~~‼」

 

「なんかムカつくけど、行ってくるよ。」

 

そう言って、扉に手を掛けた瞬間、

 

パカッ‼

 

「へっ?」

 

下の床が開いた。

 

「ノオォォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

「ギャハハハハハハハハハハハハハハッ‼引っ掛かった‼引っ掛かった‼」

 

「覚えてろォォォォォォォォォォォッ‼」

 

次会ったら絶対ぶっ殺す‼

 

 

ってな感じでこの世界に赤ん坊になってやって来ました。

 

最初は戸惑う事が多かったけど、人間何事にも慣れるものなんだな……

 

七歳からは特典を使いこなすために鍛練を始めた。

 

今では、大半の力を扱える程に成長できた。

 

そして、あの事件に遭遇して一人の女性を助けた。

 

その時に感じたんだ。コレが戦いをするということだと。

 

戦いに身を投じれば、いずれ自分も傷つき死んでしまう。

 

でも、この女性は手を上に上げながら、

 

「た……すけ…な…いと…」

 

仲間を助ける事を考えていた。

 

俺にこの覚悟があるのか?

 

この女性のように自分を省みず仲間を助けるという覚悟が……

 

最初、この力を貰った時は憧れのヒーローになれると浮かれていた。

 

鍛練をしてたのもヒーローのようにカッコ良く動くためだ。

 

でも、実戦ではそんな小さい理由じゃ誰も助ける事も出来はしない。

 

だから覚悟を決めた。

 

自分のためだけでなく、他の誰かも守れるようになる。

 

それが俺が俺に誓った『戦う覚悟』だ。

 

だから、俺は俺を信じる。

 

俺はその覚悟を失わず戦うとッ‼

 

「お待たせ致しました。許可がおり模擬戦を行うフィールドも完成しましたので代表者の方はこちらの魔法陣にお乗りください。」

 

グレイフィアさんの言葉に思考の奥底から引き戻され、改めて気合を入れる。

 

「そんじゃ、行ってくるわ。」

 

「御堂君‼」

 

魔法陣に乗る直前に後ろから声を掛けられて、振り返ると事件の時に会った黒髪の女の子が俺を見ながら、

 

「頑張ってッ‼」

 

そう、エールを送ってくれた。

 

こんな風に応援されるのなんて初めてだな……

 

どこからか分からないけど、力が沸き上がってくる。

 

これなら負けるなんて思えないな‼

 

「ありがとう。」

 

お礼を言い、魔法陣に乗ると光に包まれた。

 

それが収まると、中世のコロセウムの中にいた。

 

「へぇ、こんなことも出来るのか…」

 

「こんな事で驚くなんて、無知な奴だな。」

 

声が聞こえたので、視線をそっちに向けると龍見とは外見は似ていても、中身は腐っている兵藤って奴と、

 

「よろしくお願いします。」

 

先程、俺と龍見で吹き飛ばした女の人がいた。

 

「アンタらが相手か…」

 

「残念だったね、僕と当たった時点で君達に勝ち目はないよ。」

 

「あっそ、どうでもいいよお前の妄言なんざ。」

 

「なに?」

 

「お前が何を思っていようが俺には関係ない。俺は俺を信じると決めてんだ‼」

 

「私はライザー様のために力を振るうだけです。」

 

「なら、僕の力の前にひれ伏せ‼」

 

そう言って、兵藤は黒いもやを纏った甲冑に身を包んだ。

 

ライザーの眷属の人は棍を構える。

 

それじゃ、俺も準備しますか‼

 

両手を腰の前に翳すとオレンジの光とともにクリアグレーの不気味なバックルの付いたベルトが現れた。

 

そして、内ポケットから屋上で出したのと同じ眼魂を取り出し、右手で上下から挟むように持って、左手の平で横のスイッチを押した。

 

すると、黒目に当たる部分にGのマークが映し出される。

 

その後、左手でベルトの上のボタンを押してバックルを開き、中に眼魂をセットしてバックルを閉じた。

 

《アーイ‼》

 

その音声とともに、バックルから黒地にオレンジの縁取りのパーカーが現れた。ただ、フードの中に黄色の目のようなものがあり、袖からも黒いもやが手のようになっていて空中で踊り始めた。

 

《バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「な、なんだそれは‼」

 

「こんなことで驚くなんて、無知だなお前?」

 

兵藤の言葉にさっき言われた言葉を返してやりながら、バックル横のレバーを引き、両手を左右に広げ体の前に持ってくる。

 

そして、右手を上に伸ばした後、ゆっくりと胸の前に下げていく。

 

この後に言う台詞は俺の思いを込めて叫ぶ。戦う覚悟を込めて‼

 

「変身‼」

 

そう叫び、バックル横のレバーを押し込んだ。

 

《カイガン‼オレ‼》

 

その音声の後、俺の体をオレンジのラインが所々に入った黒いボディスーツが包み、胸には眼を模したマーク、顔もグレーのマスクが覆ったのっぺらぼうみたいな姿、トランジェント態になる。

 

そこに、先程のパーカーが近づいて来たのでそれを羽織りフードを被る。

 

すると、のっぺらぼうだった顔にオレンジと黒で顔が描かれ、額には火の玉を模した角が1つ生えた。

 

《レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

「何だ!?その姿は!?」

 

「今の俺は仮面ライダー…」

 

この名前に恥じない為にも俺は敢えて名乗った。

 

「仮面ライダーゴーストだッ‼」

 

 




タケル「コレが俺の力だ‼」

きりしら「「カッコイイ‼」」

タケル「おっ、分かってくれるかこの良さを?」

きりしら「「モチロン‼」」

タケル「だったら次回はもっとカッコイイ所を見せてやるから…」

きりしらタケ「「「お楽しみに~‼」」」


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幽霊をなめんなよ?

今回はタケルの戦闘回です。

タケル「ゴーストだけど、暴れるぜ‼」

一誠「それ、番組違う‼」


一誠side

 

『仮面ライダーゴーストだッ‼』

 

俺達はグレイフィアさんが用意してくれた画面を見て、驚いていた。

 

「あれが御堂の力か…」

 

「かめんらいだあ?」

 

「聞いた事ないね?」

 

「「カッコイイッ‼」」

 

切歌と調の反応は置いといて……

 

「ホントに大丈夫なのか?んなに強そうには見えねぇんだけど…」

 

クリスの気持ちも分からなくもないけど…

 

「御堂ならやってくれるさ。」

 

「うん、そうだよね。」

 

「大丈夫ですよ、きっと。」

 

「…ヒーローには絶対。」

 

「負けはないデス‼」

 

「ハァ~…しゃあねぇなぁ。」

 

俺達の言葉でクリスもやっと信じてくれた。

 

「あんなのを出してくるなんて、あなた達の負けは決まりね?」

 

グレモリーは既に勝った気でいるような顔でこちらを見ていた。

 

「そういうお前は、アイツの暴走を理解してるのか?」

 

「ええ、あの状況なら暴れまわっても問題ないしね。」

 

「コイツ…!」

 

やっぱり一度ブッ飛ばしてやろうかな?

 

「未知の能力か……ミラ、油断だけはするな。」

 

『ハイ、ライザー様。』

 

フェニックスの方は冷静な感じだな……

 

「脆弱な人間でも能力によっては此方が危険な目に合う……慎重にいけよ。」

 

『承知しました。』

 

「お前、さっきとは態度が全然違うんじゃないか?」

 

「フン、俺は特別な事情がない限り手を抜かない主義なだけだ。」

 

なるほどね。

 

「御堂、なるべく宗二を先に倒せ。また暴走されたら面倒だ。」

 

『了解、映像で知ってるからな。ありゃ厄介過ぎる。』

 

「じゃ、負けるなよ?」

 

『へっ、負けるかよ。人間の凄さを思い知らせてやるぜ。』

 

「頼むな。」

 

「それでは模擬戦を始めます。審判は私、ルシファー眷属女王のグレイフィアが務めさせて頂きます。」

 

グレイフィアさんがフィールドに向かってアナウンスを始めた。

 

「試合方法は3チーム代表者によるバトルロイヤル、制限時間は一時間で《兵士(ポーン)》の方は開始30分後に《昇格(プロモーション)》を許可します。先に相手を戦闘不能にするか、降参させた人が勝者になり、敗者チームへの一回限りの命令権が与えられます。ここまでで何か質問はありますか?」

 

「グレイフィア様、アイテムの使用については?」

 

「回復アイテムは使用禁止とし、それ以外の制限はありません。」

 

「分かりました。」

 

『制限時間内に二人以上残っていた場合はどうなんの?』

 

「その場合は、フィールドに残っている者全員を勝者にしますが、敗者チームへの命令権は無しになります。」

 

『OK、把握した。』

 

「それでは始めてください。」

 

そうして、試合が開始された。

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「そんじゃ、いくぜ!いくぜ!いくぜぇ‼」

 

俺はさっきから動きがない兵藤に向かって駆け出した。

 

なんか知らないけど、動かない今がチャンス‼

 

そのまま殴ろうとしたが、

 

「セェイ‼」

 

「ってうおッ‼」

 

左から来たライザー眷属の女が棍を振るってきたので慌ててしゃがみ回避した。

 

「危ねぇだろっ!?」

 

「勝負内容はバトルロイヤルなんだから、これぐらい当たり前でしょ?」

 

「こちとら、集団戦は経験少ないんだよ‼」

 

俺もたまにはぐれ悪魔を討伐したりしていた。

 

はぐれ悪魔は大体一人でいるからな、自分の力を試すには丁度よかった。

 

お陰でタイマンなら自信がついたけど、集団戦は慣れていない。

 

「ハァッ‼」

 

「よっと‼」

 

女は棍を突きだしてくるが、左手で後ろに受け流す。

 

「まだよッ‼」

 

「ほっ‼」

 

今度は振り返り様に棍を振るってきたが、女を飛び越えるようにジャンプしてかわした。

 

「なら、ここだッ‼」

 

そう言って、俺が着地しそうな場所を横に凪ぎ払うようにして振るったが、

 

「ざ~んねんでした。」

 

棍は俺には当たらず風を切る音がむなしく鳴った。

 

そこに俺はいないぜ?

 

「ッ‼何処に!?」

 

「人間だからって見下してばっかりだと頭がお留守になるぜ‼」

 

「ゴブッ!?」

 

俺はそう言って、周りをキョロキョロしている女の頭に踵落としを喰らわせた。

 

「くっ‼どこから声が………………なっ!?」

 

俺を見つけた女は驚いていた。

 

何故なら、俺のいる場所は……

 

「ここで~す‼ここ、ここ~‼」

 

「なんで“空に浮いている”のよ!?」

 

空中なんだからな。

 

「何故って、今の俺は《幽霊(ゴースト)》だからな、これぐらい朝飯前だよ。」

 

「ゴースト?!ありえないわ‼人間が幽霊のような存在になれる技術なんて…」

 

「“発明に不可能なんてない”。」

 

「ッ‼」

 

「確かにアンタ達からみれば、俺達人間は脆弱な存在かも知れない……でも、人間には未来を切り開く力がある‼」

 

俺が右手をバックルの前に翳すと、一振りの黒い両刃の剣《ガンガンセイバー》が現れ、それを掴み取る。

 

「その無限に広がる可能性を悪魔だ何だのって下らねぇ理由でバカにするんじゃねぇッ‼」

 

俺は剣を構え、空中から襲い掛かった。

 

「クッ!?キャア‼ッ」

 

女は棍で受け止めるが、俺の勢いに負けて吹き飛んだ。

 

「そろそろ終わりだ。」

 

俺は剣を女に突きつけようとしたが、

 

「グゥオォォォォォォォォォォッ‼」

 

「何だ!?グハッ‼」

 

「え?アグッ‼アァァァァ……」

 

後ろから兵藤が猛スピードで突進してきて俺を吹き飛ばし、女の首を右手で掴み持ち上げていた。

 

クソ‼動き出しちまったか‼

 

「ア…………ウア……ッ‼」

 

女の方も呼吸ができなくて、苦しそうにしていた。

 

このままだと、死んでしまう可能性もある。

 

「なら、助けないとな‼」

 

助けられる距離にいる奴は助けるのが俺のモットーだ。

 

俺は起き上がると同時に兵藤に向けて駆け出し、女を掴んでいる右腕目掛けて剣を振り下ろした。

 

「ガァァァァァァッ‼」

 

しかし、左腕で簡単に止められてしまった。

 

でもな……‼

 

「甘いぜッ‼」

 

剣の刀身の片側を取り外し、持ち手を出す事でもう一振りの剣に代え、それを兵藤の右手に叩き込んだ。

 

「グオッ!?」

 

それによって、首から手を離した瞬間に女を脇に抱え、兵藤から急いで距離をとった。

 

「ゴホッ‼ゴホッ‼…………なんで私を助けたの…?」

 

「単に目の前で死にそうになっていたから、助けないと目覚めが悪くなると思っただけだよ。」

 

しかし、どうしたものかね……

 

あの時は龍見の仲間7人とさっきの部屋にいた2人を入れた9人で兵藤を倒してる。

 

それを俺一人では流石に荷が重いからな……。

 

さらに兵藤は足下に落ちていた彼女の棍を拾い上げていた。

 

その棍は全体が黒くなり、所々に赤いラインが描かれた。

 

あれって相手の武器を強化して、自分の物にしてるんだっけ?

 

「お前はアイツを1人で倒せるって自信あるか?」

 

「さっきのを見れば分かるでしょ?ムリよ、武器も盗られてしまったもの。」

 

だったらこれしか方法はないか……

 

「おい、女。」

 

「何よ?」

 

「ちょっとばかし、俺に力を貸せ。」

 

「…………どういう意味よ?」

 

「一人で倒せないなら、手を組んで先にアイツをボコった方がお互いに利益になると思わないか?」

 

「……なるほど、確かにそうね。」

 

「んじゃ、一時共闘の前に…ほらよっ。」

 

俺は先程取り外した方の剣の持ち手をしまい、それを本体の柄に繋げて薙刀状にしたガンガンセイバーを女に投げ渡した。

 

「っとと‼いいの?私に使わせて?」

 

「武器があった方がいいし、それなら棍と近い戦い方が出来るだろ?」

 

「でも、貴方はどうするの?」

 

「対応する方法はあるから悪いけど、5秒だけ時間を稼いでくれないか?」

 

「どうして?」

 

「そうすれば心強い“友達”が駆けつけてくれるからな?」

 

「友達?」

 

「ああ、だから頼む。」

 

女はしばらく悩むような素振りをしたが…

 

「分かったわ。」

 

俺の頼みを受けてくれた。

 

「こっちも友達が来たら、直ぐに援護する。」

 

「期待しないで待ってるわ。」

 

そう言って、女は兵藤に向かっていった。

 

「こっちも急ぐか。」

 

武器無しで攻撃出来るのは…………あの人にしよう。

 

俺が左手をバックルの前に翳すと、銀色の眼魂が現れた。

 

女の方も、ガンガンセイバーをうまく使って兵藤の気を引いてくれている。

 

ていうか兵藤の奴、武器の使い方をどこで学んだんだ?熟練者相手に同じ武器であそこまで食らいつけるなんて……

 

っと、いつまでも見てないで俺も始めるか‼

 

「さあ、歴史に名を刻んだ偉人や英雄の力を見せてやるよ‼」

 

そして、俺は眼魂のスイッチを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

御堂はベルトから新しく銀色の眼魂を取り出した。

 

「新しい眼魂?」

 

「どんな力なんだろう?」

 

「…今度はどんな幽霊かな?」

 

「わくわくするデスね。」

 

御堂の新しい眼魂か……どんな感じなのかね。

 

『さあ、歴史に名を刻んだ偉人や英雄の力を見せてやるよ‼』

 

そう言って御堂は眼魂のスイッチを押した。

 

すると、黒目の場所に《06》と浮かび上がった。

 

そしてバックルを開き、最初の眼魂を取り出し銀の眼魂をセットして閉じた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

その瞬間、御堂が着ていたパーカーと顔にあった模様が消えのっぺらぼうになり、バックルから新しく銀色にピアノの鍵盤がついたフード付きパーカーが出てきて、空中でポーズを決めていた。

 

「…あれが?」

 

「新しい幽霊デスか?」

 

「何かポーズ決めてんぞ…」

 

「あの白黒は鍵盤かな?」

 

「そう見えるね…」

 

「音楽に関係のある幽霊って事か?」

 

いったいどんな能力なんだ?

 

俺達が色々と考えている間に、御堂はベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼》

 

そして、御堂は銀のパーカーを身に纏い、顔には五線譜と音符を使った顔が描かれた。

 

《ベートーベン‼》

 

「「「「「「はい?」」」」」」

 

ベートーベンって音楽家の?

 

何でその人にしたんだ?

 

その音声に俺達が戸惑っている間に御堂は両手を左右に大きく広げていた。

 

《曲名‼運命‼ジャジャジャジャーン‼》

 

………………お前も決めポーズをする必要あるのか?

 

「ベートーベンって確か…」

 

「耳の聞こえない作曲家だね。」

 

「…どう戦うんだろう?」

 

「サッパリデスよ。」

 

「曲でも流して応援なんてオチじゃないだろうな?」

 

「ハハハ……まさかそんな。」

 

本当にそうじゃないよな…?

 

『さあ、コンサートの開幕だ。』

 

そう言って、両手を指揮者の様に振るい始めた。

 

すると、御堂の周囲を虹色の五線譜や音符が現れ回りだした。

 

ついでに、オーケストラの演奏まで聞こえてきた。

 

しかし、これといって何もおきてない……

 

まさか本当に応援だけなんじゃ……

 

『ちょっと‼なに遊んでんのよ‼』

 

フェニックス眷属の女性も怒っていた。

 

そりゃそうだよな……

 

「御堂タケルとかいったか?あの男は何をやってるんだ?」

 

フェニックスが俺に聞いてくるが、

 

「俺に質問するな‼」

 

「逆ギレ!?」

 

んなモンこっちが知りたいわ‼

 

『まあ見てろって。』

 

こっちは目も当てられない状態なんだよッ‼

 

そうしている間に音符がゆっくりと宗二に近づいていた。

 

『今だ‼避けろ‼』

 

『へ?おっと‼』

 

『グ?ガァァァァァァッ!?』

 

御堂の指示で彼女が横に移動すると、流れてきた音符が宗二に当たり大量の爆発を起こした。

 

「「「「「「ウッソォ!?」」」」」」

 

えっ、あの音符にそんな力があったの!?

 

『まだまだ行くぜッ‼』

 

今度はパーカーに付いている鍵盤を引き始め、大量の虹色音符を作り出す。

 

『まずはフォルテ‼』

 

そう言って音符を宗二に当てようとしたけど、棍を回転させて防いでいた。しかし、さっきのより強い爆発になった事で耐えきれず棍を吹き飛ばされた。

 

『ゴォォォォォォォォッ!?』

 

『続けてフォルテッシモ‼』

 

そして、続けざまに作り出した大量の音符を当てまくり、さらに高威力になった爆発が宗二を襲った。

 

『ガバァァァァァァァッ!?』

 

「「「「「「何かすっげぇ…」」」」」」

 

『これが、作曲することに命を賭けた人間の作り出した最高の音楽だ。今のお前じゃ理解できないだろうけどな?』

 

ベートーベンさん……バカにしてごめんなさい…………

 

俺は心のなかで、作曲者に謝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

 

「アンタ、何気に凄いわね…」

 

「それよりあれはいいのか?」

 

俺が指さした場所には、彼女の棍が落ちていた。

 

「そうだったわね、早く回収しないと。」

 

彼女は棍を拾ったら、俺に武器を返した。

 

「結構使えるわね、ソレ。」

 

「そりゃどう…」

 

「グゥオォォォォォォォォォォッ‼」

 

「「ッ‼」」

 

その雄叫びが聞こえた方を見ると兵藤がまだ立っていた。

 

「へぇ……やっぱ頑丈だな。」

 

「なら、もう一度やってやるわ‼」

 

「ちょ!?待てって‼」

 

けど、女は俺の声を聞かず、兵藤に向かって突っ込んでいった。

 

「ハァ……やるしかないか…」

 

俺はバックルから茶色の眼魂を取り出し、スイッチを押すと黒目に《05》と浮かび上がった。

 

そして眼魂を取り替え、バックルを閉じた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

ベートーベンのパーカーが消え、今度は茶色のレザーにフードにはテンガロンハットが付いたパーカーが出てきた。

 

「そんじゃ、いくぜッ‼」

 

《カイガン‼》

 

俺はさっきと同じようにパーカーを羽織り、顔には正面から見たリボルバー銃の絵が描かれた。

 

《ビリー・ザ・キッド‼》

 

《百発百中‼ズキューン‼バキューン‼》

 

そして、ガンガンセイバーの付け根を斜めにし、柄にあった刀身を元の位置に反対向きではめて銃形態にする。

 

「おまけだ‼《バットクロック》‼」

 

俺が呼ぶと、何処からか茶色のメカチックなコウモリが現れ、翼を閉じて上に少しスライドさせることで、一丁の銃になった。

 

「さあ~て、狙い撃つぜッ‼」

 

2つの銃を兵藤に向けると、女にミドルキックを当てようとしていたので、直ぐ様引き金を引いて弾丸を兵藤の軸足に当てることでバランスを崩させる。

 

「隙ありッ‼」

 

「ゴブゥッ‼」

 

そこに女の棍の叩きつけが頭に決まった。

 

「これなら‼」

 

女はもう一度棍を叩きつけようとしたが…

 

「ナメンジャネェェェェェェェェェッ‼」

 

「えッ!?ひゃあぁぁぁァァァァァァァッ‼」

 

「ちょ!?マジかよ‼」

 

兵藤は棍を掴み取り、彼女もろとも俺に向かって投げ飛ばしてきた。

 

「クソッ‼」

 

俺はバットクロックを上に投げ、左腕で彼女を受け止めた。

 

「あ……ありがとう…」

 

「礼なら後でな…」

 

この間に兵藤は起き上がり、此方に向かって駆け出そうとしていたが……

 

「させるかよ。」

 

俺はガンガンセイバーの銃口を上に向けると、先程投げたバットクロックが落ちてきて、銃口をその後ろに合わせる事で2つを合体させ、一丁のライフルにした。

 

「これでケリだ。」

 

さらに、ガンガンセイバーに付いている眼のマークをバックルにある眼の部分と向かい合わせにして必殺技を発動させる。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

そして、ライフルの先にできたスコープの覗き、照準を兵藤に合わせる。

 

「命、燃やすぜ‼」

 

照準が固定した瞬間に、引き金を引いた。

 

《オメガインパクト‼》

 

銃口からエネルギーの弾丸が放たれ、兵藤に向かって突き進んでいく。

 

「グゥッ‼」

 

兵藤は顔の前で腕をクロスさせて、耐えようとしたけど、

 

「だから甘いんだよ。」

 

俺の狙いはそこじゃねぇ。

 

エネルギー弾は突き進み、兵藤の“股間”に直撃した。

 

「グボロオォォォォォォォォォォォォッ!?」

 

変な雄叫びを上げた後、兵藤は股間を抑えながら地に伏した。

 

「もう、立つんじゃねぇぞ…‼」

 

俺は警戒を続けたが、兵藤が淡い光に包まれるとフィールドからいなくなった。

 

『兵藤宗二様の戦闘不能を確認しました。』

 

どうやら、元の場所に転移したみたいだな。

 

「ふぅ~っ、疲れた……」

 

「渋とすぎでしょ、アイツ。」

 

俺はさっきまで抱えていた女を離し、距離をとった。

 

「そんじゃ、決着つけようぜ?」

 

「そうね、煩いのもいなくなった事だし…」

 

女は棍を構え、

 

昇格(プロモーション)女王(クイーン)》。」

 

そう言うと、女の力がさっきよりも上がったのが分かった。

 

「私の本気でアンタを倒してあげる。」

 

「だったらコッチも本気だ。」

 

バックルから赤い眼魂を取り出し、スイッチを押した。

 

《01》と黒目に浮かび、それをベルトにセットする。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

バックルからは赤い和風の陣羽織型のパーカーが現れ、刀を模した腕みたいなものがあった。

 

「来い‼“ムサシ”‼」

 

《カイガン‼》

 

その和風パーカーを着て、顔にはクロスした2本の刀が描かれる。

 

《ムサシ‼》

 

《決闘‼ズバッと‼超剣豪‼》

 

そして、ガンガンセイバーの刀身の片方を外し、持ち手を出す事で二刀流にして構えた。

 

「やっぱいいよな、天下無双‼」

 

「それなら、始めましょうか?」

 

「やってやるさ。」

 

俺と女は腰を低くして、いつでも駆け出せる準備をする。

 

「いざ。」

 

「尋常に。」

 

「「勝負‼」」

 

その言葉に合わせ二人同時に突っ込み、互いの武器が打ち合う……

 

《ビィ--------------‼》

 

『そこまでです。』

 

「「え?」」

 

その瞬間、急に入ったアナウンスに俺と女は動きを止めた。

 

『制限時間となりました。よってこの勝負、ミラ様とタケル様の勝利となります。』

 

「ちょっ、マジで?」

 

『マジでございます。』

 

「嘘だろぉ---ッ!?」

 

こんな終わり方かよ!?

 

せめて、決着つけさせて欲しかった‼

 

「今回は仕方ないわね…」

 

ミラと呼ばれた女は武器を下ろしていた。

 

俺も仕方なく武器を下ろした。

 

「決着は今度つけましょう?」

 

「そん時は望むところだ‼」

 

そうしていたら、俺達の体を淡い光が包んでいき、光が収まると先程の部室の中にいた。

 

俺はバックルから眼魂を取り出し、何も入れずに閉じた。

 

《オヤスミー》

 

そんな気が抜けるような音声が流れると、俺の変身も解除された。

 

「お疲れさん。」

 

俺の前にいた龍見が労いの言葉をかけてくれた。

 

「おう、お疲れ。」

 

本当に疲れたよ……あのバカ、あんな所で暴走しやがって‼

 

「この後、家に来ないか?お前の歓迎会やろうと思ってるんだけど…」

 

「なら、お邪魔しようかな。」

 

せっかく祝ってくれるなら行かないと勿体無いしな?

 

「ちょっと待て、人間。」

 

しかし、ライザーだったか?にいきなり呼び止められた。

 

「お前はこの結果に満足しているか?」

 

「してないさ。」

 

ライザーの問いに俺は即答した。

 

あそこまでいったのに、あんな終わり方なんて例え魔王様が許してもこの俺様が許せねぇってんだよ‼

 

「俺もそう思っている。だから提案だ。」

 

「提案?」

 

「お前達、今度の俺とリアスの結婚式の会場で《レーティングゲーム》をやらないか?」

 

その提案は俺達を驚かせた。

 

 

 




タケル「なぁ作者…他の眼魂は出てくるのか?」

作者「TV版のは出すけど?」

タケル「そうじゃなくて‼オリジナルの眼魂って事だよ。」

作者「ああ…そっちね?」

タケル「他の作者の所だと結構出してるみたいだし、俺達の方も…」

作者「そこは俺の閃き次第だな。」

タケル「なら、エジソン眼魂貸すから‼何か出してよ‼」

作者「まあ、少しだけ考えてみるよ。」

タケル「マジで‼」

作者「最悪、読んでくれている人達にエジソンのように閃いてもらって、それを採用とかにするかもな。」

タケル「本当に頼むよ‼」

作者「わかったわかった。」

作者「活動報告でオリ眼魂の募集をするから。」

タケル「それじゃ、次回もヨロシク‼」



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特訓は一歩間違えると拷問になる

フェニックス編の特訓です。

これ、やってた人を尊敬しますよ。


一誠side

 

「「ウオォォォォォォォォォォォォォォォッ‼」」

 

「ほらほらッ‼早く逃げないとガリィちゃん専用ジープがアンタ達を吹っ飛ばしちゃうわよ‼」

 

「「負けるかァァァァァァァァァァァァッ‼」」

 

「その脚で このジープから 逃げられる?」

 

「「韻を踏んだ言い方してんじゃねぇぇぇッ‼」」

 

どうも‼龍見一誠です‼‼

 

只今、ガリィさんの乗る青いジープから御堂と一緒に全速力で逃げています‼‼

 

なぜこんな事になっているか昨日に遡ります‼‼

 

 

 

--昨日--

 

 

「お前達、今度の俺とリアスの結婚式の会場で《レーティングゲーム》をやらないか?」

 

フェニックスの提案は俺達を驚かせた。

 

「どういうつもりだ?」

 

「簡単だ、俺がこの結果を許せないからだ。」

 

「人間ごときに引き分けた事か?」

 

「そんな事はどうでもいい。」

 

俺の疑問をフェニックスは一蹴した。

 

あれ?違うの?

 

悪魔は人間を見下しているからそうだと思ったんだが……

 

「俺は勝者と敗者が完全に決まらない勝負が嫌いなんだ。勝者は一人もしくは一チームだけでいい。それ以外の勝負は俺には何の価値もない。」

 

随分と極端な考え方だな……

 

でも、嫌いじゃないね!

 

「で、どうする?受けるのか?」

 

俺は確認のため、響達の方を見ると全員が縦に首を振った。

 

「少し待ってくれ、此処にいない仲間にも確認を取る。」

 

俺はスマホを取り出し、翼達に連絡を入れた。

 

『はい、風鳴です。』

 

「翼か?龍見だけど今大丈夫か?」

 

『ああ、私もマリアも今は休憩時間だから問題ない。』

 

「実はさ……」

 

俺がさっきまでの内容を簡潔に説明した。

 

『なるほどな、私達も承知した。エルナの方もマリアが了承を得てくれたから、日程が分かったら教えてくれ。』

 

「了解だ。」

 

俺は通話を切り、フェニックスの方に向き直った。

 

「メンバー全員の了承を得た。フェニックス、お前の提案を受けさせて貰おうか。」

 

「それでいい。楽しみにしているぞ?」

 

フェニックスは不敵な顔を浮かべていたが、それがなんだ?

 

「人間の底力を見せてやるよ。」

 

俺はそう宣言した。

 

「日時はこちらから使いを出す。」

 

「わかった、じゃ俺達は帰るから。」

 

そう言って、俺達は旧校舎から出た。

 

 

 

「今日の夕飯はどうしよ『メールデスヨ‼メールデスヨ‼』ん?」

 

「ワタシデス……塔城からデスね。」

 

「……何でこうなったんだろう?」

 

響が横から画面を見て不思議がったので俺も覗いてみた。

 

《フェニックスと部長の婚約問題をレーティングゲームで解決することになりました。10日間の猶予が与えられたので、もしよろしければ私をそちらの訓練で鍛えていただけませんか?》

 

ゲームで解決か……悪魔も大変なんだな。

 

「どうするんだ、龍見?」

 

同じように覗いていた御堂から聞かれた。

 

「丁度いいや、俺も鍛え直そうと思ってたから連れて行くか。」

 

前の戦いではかなりボロボロになったからな……もっと強くならないと‼

 

「だったら俺も付いていっていいか?どんな訓練か気になるからさ。」

 

「別にいいぞ?」

 

「なら遠慮なく参加させてもらうぜ!」

 

「簡単にくたばるなよ?」

 

結構辛いぞ、あの特訓は……

 

「なら、歓迎会はまた今度だな。」

 

「明日の準備もしないとね。」

 

俺達はそのまま帰宅して、特訓の準備をしてから就寝した。

 

 

 

次の日の朝、俺、響、未来、調、切歌、クリス、御堂、アーシアはアパートの前に集合していた。

 

「後は塔城さんだけか。」

 

「お待たせしました。」

 

そう言っている間に彼女も到着した。

 

「今回は無理なお願いを叶えてもらい、ありがとうございます。」

 

「……気にしなくてもいいよ、私達も鍛え直そうと考えていたから。」

 

「一緒にガンバルデスよ‼」

 

さて、全員揃ったな。

 

「それじゃ、転移するから全員集まれ~。」

 

「そういや、何処で特訓するんだ?」

 

「冥界だよ。」

 

「冥界か~、俺始めてなんだよな。」

 

皆が近くに来たのを確認して、転移アイテムを使い冥界へ転移した。

 

 

 

転移した場所は冥界の荒野だった。

 

あれ?おかしいな…

 

「へぇ~、ここが冥界か。」

 

「私は何度か来ていますが堕天使領は始めてです。」

 

御堂と塔城さんは少し驚いていたが、俺達は嫌な予感がしていた。

 

「イッセー、これってまさか…?」

 

「俺もそう思ってる…」

 

いつもなら本拠地の特訓施設に着くはずなのに、こんな荒野に着いたということは……

 

「皆‼早く荷物を下ろして動けるようにしてッ‼」

 

俺と響の想像が的中したかのように、未来が大声で指示を出し御堂、アーシア、塔城さん以外が急いで荷物を投げ捨て走れるようにする。

 

「オイ龍見‼どういう事だ!?」

 

「いいから急げ‼」

 

「暁さん、月読さん、これはいったい?」

 

「…今は何も考えないで‼」

 

「生きていたかったら、早くするデスよ‼」

 

ブウォン‼ブウォン‼

 

すると何処からか何かを吹かしている音が聞こえた。

 

この音は……‼

 

「オイオイ…!かなり近ぇぞ‼」

 

「総員散開‼」

 

ブウォォォォォォォォォォォォォォォンッ‼

 

クリスの声に俺が指示を出すと同時に4台のジープが前後左右から現れた。

 

「クソッ‼遅かったか‼」

 

「どこでもいいから‼とにかく逃げてェェェェッ‼」

 

「「「「逃がしはしない(ゾ)ッ‼」」」」

 

ジープに乗っていたのはファラさん、レイアさん、ガリィさん、ミカさんの《自動人形(オートスコアラー)》達だった。

 

「さあ、地獄の特訓の始まりよ‼」

 

 

 

 

 

 

 

そして、冒頭に繋がります。

 

「だあ~、逃げてても埒が開かねえ‼こうなりゃ…‼」

 

「なにする気だ!?」

 

「ぶつかる手前で華麗に避けてやるよ‼」

 

そう言って御堂は俺にサムズアップした。

 

「さあ来い‼」

 

「なら、やってみな‼」

 

「やめろ、無謀だ‼」

 

すると、ガリィさんのジープの後ろから突然火が吹いて、スピードアップした。

 

「「え?」」

 

「それじゃあね‼」

 

「ブボラァァァァァァァァァァッ‼」

 

「御堂ォーーーーーーーーーーーーッ‼」

 

その速度に対応出来ず、御堂は華麗に宙を舞った。

 

バカヤロウ‼無茶しやがって‼

 

「ボーッとしている暇があるとでも?」

 

「あ。」

 

気づけば、目の前にジープが迫っていた。

 

「さよなら。」

 

「ギィヤアァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

そのまま、ガリィさんによって俺も吹き飛ばされた。

 

俺にぶつかる瞬間に再度ブースターいれなくてもいいじゃないですか……。

 

薄れ行く意識の中で周りを見たら、アーシア以外の全員が空を飛んでいた……

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「酷い目にあった……」

 

ドーモミナサン、御堂タケルです。

 

ジープにはね飛ばされるなんてめったに出来ない体験をしました。

 

つーかよく生きてるな、俺。

 

「アーシアさんマジ感謝っす。」

 

「いえ、私は出来ることをしただけで……。」

 

この子が女神か‼

 

「皆、どんな感じだった?」

 

「全体的に少し高くなったという感じだな。」

 

「イッセーはあの動揺がなければもう少しいけたかもね。」

 

「切歌達も成長している感じだったゾ。」

 

「なら、それをさらに高めつつ得意分野を伸ばすようにしましょうか。」

 

「イッセーは“アレ”の練習をさせたら?」

 

「そのつもりよ。」

 

運転していた人達は何やら話をしていた。

 

「龍見、あの人達誰だ?」

 

「彼女達は俺達が所属している組織のトップの補佐官であり、その人の娘って感じかな?」

 

かなり重要人物だったのか……

 

「皆、大丈夫だった?」

 

「随分手酷くやられたみたいだな。」

 

そこに、俺の知らない女性二人が近づいてきた。

 

どっちも美人だな。

 

「翼とマリアか……思いっきり飛ばされたよ。」

 

「ファラさんも以外とノリノリだったよ……。」

 

「近づいたら、剣を振るってくるし…」

 

「レイアのヤツ、運転しながらコイン飛ばしてきやがるなんてありかよ!?」

 

「…ミカさん容赦なかった。」

 

「走馬灯が見えたデスよ…」

 

「爆発の中を走るのは怖かったです…」

 

「私達もさっきやったわ…」

 

「1人に2台で迫ってくるのは想像以上の恐ろしさだった…」

 

……俺達のはまだやさしい方だったのかね?

 

「そういえば、新しく入ったっていうのは彼かしら?」

 

そう言って、ピンクの髪の女性が俺を見た。

 

「ああ、御堂タケルっていうんだ。」

 

「どうも、御堂タケルです。」

 

「私はマリア・カデンツァヴナ・イヴよ。ヨロシクね。」

 

「風鳴翼だ、宜しく頼む。」

 

「よろしくです。お二人も今回の特訓を?」

 

「私達は付き添いよ、ジープ特訓は悪ノリしたガリィに巻き込まれたのよ…」

 

「付き添い?」

 

「2人共、ここにいたのか。」

 

俺達が話していたら、近くに黒髪短髪で優しそうな目をした男性が来た。

 

「大樹、どうしたの?」

 

「そろそろイッセー達の特訓を始めるから呼びに来たんだよ。」

 

「む?もうそんな時間か…」

 

「なら、早く行きましょ♪」

 

そう言って、マリアさんは男性の腕に抱きついた。

 

「ちょッ‼マリア!?」

 

「あら?別にいいじゃない。」

 

「マリア‼何をやっている!?」

 

すると、翼さんも反対の腕に抱きついた。

 

「翼こそ何してるのよ‼」

 

「いや、これはだな…‼」

 

「取り合えず、二人とも離してくれないかな?」

 

「「断る‼」」

 

「ですよねー…」

 

そのまま3人で歩いていった。

 

……リア充爆発しろ‼

 

その後、俺も皆と合流した。

 

「なぁ龍見、マリアさん達と一緒にいた男って誰なんだ?」

 

「ん?あの人は“大空大樹”さん。翼達のマネージャーをやっている人で今回の特訓の教師の一人だよ。」

 

「って事は強いのか?」

 

「俺らよりは遥かにね、《装甲創造(アーマー・クリエイト)》っていう神器を持ってる。後は前世の記憶を持っている転生者って聞いたな。」

 

「ッ‼」

 

それってまさか……‼

 

「それじゃ、始めようか。」

 

大樹さんの声に俺は思考を戻して、特訓内容を聞いた。

 

「今回、特別特訓を受けるのは一誠、御堂君、塔城さんの3人で残りの子達は特訓施設で専用の訓練になるからそのつもりで。」

 

特別特訓か……どんな内容になるんだ?

 

「じゃあ一誠達は僕に付いてきて。ファラさん、他の子達をお願いします。」

 

「畏まりました。」

 

「じゃ3人とも‼またね‼」

 

立花さん達と別れて、俺達は滝のある場所まで来た。

 

「よし、いつものいこうか。」

 

「お願いします。」

 

いつものってなんだ?

 

俺と塔城が首を傾げていると、

 

「《禁手(バランス・ブレイク)》。」

 

すると、大樹さんが水色の光に包まれ、それが収まるとそこには、赤と銀で彩られ胸にはX型に光る物が付いた鎧?ぽい物を着た大樹さんがいた。

 

その姿は……‼

 

「ウルトラマンエックス…‼」

 

「君はこの姿を知っているんだ?」

 

さっきの龍見の言葉と今の姿を見て俺は確信した。

 

「やっぱりあなたは転生者なんですね?」

 

「そうだよ、その話しは後にして…塔城さん。」

 

「はい。」

 

「今から君達に光線を撃つけど、避けないようにね。」

 

「?わかりました。」

 

「じゃ、いくよ。」

 

そう言って、胸のカラータイマーを金色に輝かせ、左足を回すように後ろに持っていき身体も左に捻ってから両腕をクロスさせて前に出し、そこから青い光線を出した。

 

「ザナディウム光線‼」

 

俺達はそれを喰らうけど、ケガ1つなかった。

 

「何をしたんだ?」

 

スパークドールズにならないなら、どんな効果が……

 

「塔城さん、このリンゴを潰してみて。」

 

塔城さんがリンゴを受け取り、潰そうとしたが…

 

「あれ?」

 

それから、何度も握り締めたけど潰す事は出来なかった。

 

「どうして?」

 

「それがザナディウム光線の力だよ。」

 

これが光線の力?

 

「この光線を受けた者は24時間、一般の人間レベルまで力が抑えられるんだ。」

 

なにそのチート……

 

「ある程度上級の存在には効かないんだけどね。」

 

イヤイヤ、充分強力ですから……‼

 

「さて、3人とも人間になった所で始めようか?」

 

そして、特訓が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

「まず、最初の特訓はこれだよ。」

 

 

ーー特訓メニュー1 滝を切るーー

 

 

「一誠と御堂君は切るだけど、塔城さんは格闘型だからこんな感じで…‼」

 

そう言って、アッパーで滝を一瞬だけど2つに割った。

 

……あの人、人間ですか?

 

「3人とも10日でこれをマスターする事。」

 

「「「わかりました‼」」」

 

先輩達は神器と剣で滝を切るけど、上手くいってないみたい。

 

「私も…………えい。」

 

ザバァ‼

 

今まで通りにやったけど、力が抑えられているので、全く切れなかった。

 

「力を腕全体じゃなくて、拳の一点に凝縮するんだ。そうすれば出来る筈だよ。」

 

「はい。」

 

次は教えられた通りにやると、

 

ザバァァァァ‼

 

「あっ、伸びた。」

 

「その調子で頑張れ。」

 

それから二時間ほど続け、10メートルの滝を1メートル切る事ができた。

 

「それじゃ、次の特訓にいくよ。」

 

 

 

ーー特訓メニュー2 ブーメラン避けーー

 

 

「本気でいくから、死ぬ気で避けてね。《禁手(バランス・ブレイク)》‼」

 

先程のように禁手したけど今度は赤と青と銀の三色に目付きが悪い感じの姿になっていた。

 

「今度はウルトラマンゼロか…」

 

御堂先輩はあの変な姿が何か知っているんでしょうか?

 

「フォームチェンジ、ルナミラクル。」

 

そう言うと、大空さんの鎧?の色が青と銀の2色に変化した。

 

「今度は僕が投げるブーメランを避けるか打ち落としてね。」

 

それなら、さっきよりは出来そうですね。

 

「じゃあ、いくよ‼デェア‼」

 

掛け声と共に、頭に付いていた2つのパーツが外れ、ブーメランになった。

 

この程度なら‼

 

そう思っていた時期がありました。

 

「ミラクルゼロスラッガー‼」

 

その声にあわせて、ブーメランが大量に分裂した。

 

見た感じで100くらいかな……

 

「ヤッ!はっ!ほっ!」

 

龍見先輩は慣れた手つきで避けている。

 

「セイ!ヤア!ハッ!」

 

御堂先輩は来るもの全てを打ち落としていた。

 

「フッ!トォ!えい!」

 

私は避けながら落とせる物を落としていた。

 

「皆結構やるね、なら数を増やすよ‼」

 

そう言って、数を増やしたけど……

 

「今度は“1人1000個”だよ。頑張って‼ハァ‼」

 

「ちょ!?その数はさすがにムダバァッ‼」

 

「龍見(先輩)‼」

 

「よそ見は命取りだよ。」

 

「「しまッカボォ‼」」

 

一度に1000個はやっぱり無理です……

 

 

 

ーー特訓メニュー3 目隠しボール避けーー

 

 

今度の特訓は何でしょうか?

 

「次は目隠しをした状態で投げられたボールを避けてもらうよ。」

 

次は絶対に成功させてみせます‼

 

「この特訓には助っ人を呼んだから。」

 

助っ人?どんな人でしょうか……

 

「では、お願いします。」

 

「うむ、我輩に任せよ。」

 

そう言って出てきたのは、スキンヘッドに金色の髭を生やし、服の上からでも丸わかりな筋肉をもった人だった。

 

「アレックス先生じゃないですか‼」

 

「おお‼一誠ではないか‼元気にやっておるか?」

 

「もちろんですよ‼」

 

「龍見先輩、お知り合いの方ですか?」

 

「ああ、この人は“アレックス・ルイ・アームストロング”さん、俺達がいた養護施設の先生の1人だよ。」

 

随分とキャラの濃い先生ですね……

 

「この10日間、我輩も協力しよう。」

 

「本当ですか‼」

 

「うむ、任せてもらおう。」

 

「それじゃ3人とも、目隠しして。」

 

私達は渡された布で目を隠してから構えた。

 

「じゃアレックスさん、お願いします。」

 

「承知した。」

 

この瞬間、私は言い知れぬ恐怖を感じた。

 

「さあ見るがいい‼我がアームストロング家に代々伝わりし、芸術的投擲術を‼‼」

 

「「「目隠ししてるからムリです‼」」」

 

そんな事を言っている時に、私の顔すれすれに何かが通り抜けていく感覚と風があった。

 

「え?」

 

ドゴォ‼

 

さらに後ろで変な音が聞こえたので目隠しを外して後ろを見たら……

 

「…………………」

 

周りにヒビ1つなくゴムボールが地面にめり込んでいた。

 

あれ?確かボールはゴムでしたよね?鉄じゃないですよね?

 

「むう、外してしまったか……次は当てるようにせねば。」

 

私は生き残るようにしないと……‼

 

「さあ‼次からは連続でゆくぞ‼」

 

「ちょ‼先生‼ストップダボォォォォォォォッ‼」

 

目隠ししてわからないけど、龍見先輩が直撃でダウンしたみたい。

 

「私は絶対に避けきってみせ(ドズッ‼)ゲバァッ‼」

 

暁さん、月読さん、私はここまでみたいです…………

 

 

 

ーー特訓メニュー4 地雷源を突破せよーー

 

 

まだお腹が痛みます……

 

「次はこの地雷源を走り抜けてね。」

 

その場所を見ると奥に《GOAL》と書かれた旗があって、周りにはポールがたくさん立っていた。

 

「ポールの下に時限式の地雷があって、一定時間で踏まないと全てが連鎖的に爆発するから。」

 

……私は紛争地帯にでも紛れてしまったんでしょうか?

 

「大樹さん……嘘ですよね?」

 

「僕は嘘なんてつかないよ?」

 

「ヤバイ‼マジだコレ‼」

 

そんな確証欲しくなかった……

 

「それじゃまずは一誠から逝ってもらおうかな。」

 

「大樹さん!?何か不吉な言い方しませんでした!?」

 

「気のせいだよ。ほら、早く逝く‼」

 

「絶対漢字が違う‼こうなりゃヤケクソだァァァ‼」

 

そう叫びながら、龍見先輩は上手くステップを踏みながらゴールまでたどり着いた。

 

「ヨッシャアァァァァァァァァァァッ‼」

 

「流石、何度か体験していると慣れてきたのかな?」

 

龍見先輩……何度吹っ飛ばされたんでしょうか?

 

「次は御堂君だね。」

 

「了解です‼」

 

意気揚々と御堂先輩は出ていきましたけど……

 

「あれ?こう行って、こう行って(スカッ)あっ。」

 

先輩が踏み外した瞬間、私の目に閃光が迸り轟音と共に灼熱の炎と風が吹き荒れて辺り一面が焼け野原になった。

 

「あーあ、やっちゃったか…」

 

煙と炎が晴れると御堂先輩が黒こげで立っていた。

 

「設置し直したら、塔城さんの番だからね。」

 

拝啓、姉様

 

私の命はここまでかも知れませんので、周りには迷惑を掛けないようにしてくださいね。

 

その後、この付近で連続爆破騒ぎの噂が堕天使領に流れたそうです。

 

 

 

ーー特訓メニュー5 とにかく逃げろーー

 

 

「ヒャッハー‼」

 

「ニャアァァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

コレが最後の特訓メニューだそうですが、最後にまたジープと鬼ごっこをするなんて‼

 

「今度は1対4だ‼逃げられるとは思わない事ね?」

 

そんなの微塵も思いません‼

 

黄色からはコインが飛んでくるし、赤は灼熱のカーボンロッドを落として来るし、緑は竜巻を起こしてくるし、青は地面を泥濘にしてくるし全てのジープが私を引き殺そうとしてきてで逃げられているのが奇跡としか感じられません‼

 

「さぁて、もう少しいたぶってから狩りましょうかね。」

 

あの青い人、性根が腐ってます!?

 

「アッヒャッヒャッヒャッ‼さあ、地獄を楽しみなさい‼‼」

 

「イヤァァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

こんな特訓が10日間続きました…

 

もぉ私、何も怖くない…………

 




特訓ネタとオリキャラを送ってくださったナハト・リコリス様、ありがとうございます‼

このオリキャラは日常編や本編に時々出させていただきます。

ところで、たまに感想にありましたけどイッセーはハーレムの方がいいですか?


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復活の龍帝

今回は小猫の主役回です。

そして、あのキャラが戦線復帰します。

小猫「これでこの小説の主役の座は私の物に…」

一誠「させるかァァァァァァァァッ‼」


小猫side

 

皆さんどうも、塔城小猫です。

 

10日間の特訓が終わり、立花先輩達と久々に合流しました。

 

この10日間は何度死ぬかと思った事か……

 

具体的には…………あれ?どんな内容だったっけ?思い出そうとすると頭に痛みが……!

 

「大変デス‼塔城が記憶障害に‼」

 

「…イッセー先輩、こんな時はどうすればいいの!?」

 

「笑えばいいと思うよ。」

 

「「なるほど‼」」

 

そんな話をした後、3人は私に笑顔を見せてくれました。

 

ああ……なんだか癒されていく感じが…

 

「それで治る訳ないでしょ‼」

 

スパパパーン‼

 

「ライオンッ!?」

 

「トラッ!?」

 

「チーターッ!?」

 

『ラタラタ~「メイルちゃん?」ハイ、スミマセンデシタ。』

 

小日向先輩の紫ハリセンが炸裂して、3人は地に伏した。

 

「小猫ちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫です、あの笑顔で全てを思い出しましたから。」

 

「「「「「「ホントに治った!?」」」」」」

 

何を驚いているんでしょうか?

 

「と、とにかくよく頑張ったな。」

 

「あれに耐えられりゃ、怖い物なんて存在しねぇよ。」

 

御堂先輩のいう通りですね。今の私は何も怖くな「それ以上はフラグだからダメ‼」おっと。

 

「助かりました月読さん。危うく首から上をマミられる未来が見える所でした。」

 

「でも、前回の最後で言ってたデスよ?」

 

「…………フラグは破砕するためにあるんですよ?」

 

そんなフラグ、私の無理でこじ開ける‼

 

「そろそろ時間だけど、いつまでネタ合戦やってるつもりだ?」

 

雪音先輩に言われ、時間を見たらゲーム開始の1時間前でした。

 

「では、行ってきます。やる気は出ませんけど…」

 

「まあまあ、特訓の成果を示してくれば?」

 

「それと、これ持ってけ。」

 

龍見先輩から何かを投げ渡され、慌てて両手でキャッチした。

 

「これは…お守り?」

 

それは、『必勝祈願』と書かれたお守りでした。

 

「悪魔でも持っていられるように術をかけてもらったから、それさえあれば必ず勝てるさ。」

 

「はい、本当にありがとうございました。」

 

皆さんにそう告げて、私は部室に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

始めて自分視点になりました木場祐斗です。

 

今は部室でライザー・フェニックスとのレーティングゲームが始まるのを戦う準備をしながら待っています。

 

「小猫ちゃん、遅いなぁ…」

 

もうすぐゲーム開始時間なのに未だに姿を現さないなんて、龍見君達との特訓で何かあったのかな?

 

「だから私は反対したのよ?あんな人達と特訓したところでなんの意味もないのに…」

 

「やはり、無理矢理にでも連れていくべきでしたわね。」

 

「これで負けたらどうしてくれるんだよ、木場‼」

 

「何で僕のせいになるのかなぁ…」

 

本当、特訓の時も兵藤君が一番不真面目だったのに……

 

何が[僕には強い力が有るから特訓なんて必要ないね]だよ、ろくに使いこなせていないのは目に見えて明らかだ。

 

今度、雪音先輩の所に相談にいこうかな……

 

「遅くなりました。」

 

僕が考え事をしている間に小猫ちゃんが転移魔法でやって来た。

 

「何をやっていたの‼こんな時間ギリギリまで…‼」

 

「特訓ですけど?」

 

「もうすぐゲームが始まるのに特訓ですって!?そんな状態で戦えるの!?」

 

「はい、出発前にアーシア先輩が神器で癒してくれましたから。」

 

「まったく……私の結婚が掛かっているのよ‼負けたらどうするのよ‼」

 

「部長、結婚おめでとうございます。」

 

「ふざけないで‼」

 

小猫ちゃん……逞しくなったな……

 

「お嬢様、開始10分前になりました。準備はよろしいですか?」

 

気がつけば、そんな時間か。

 

「ええ、良いわよ。」

 

「今回のゲームは御両家だけでなく、ルシファー様もご覧になりますので。」

 

「そう、お兄様も見ているのなら負けられないわ‼」

 

部長は勝てる気でいるみたいだけど、勝機は限りなく0に近いだろうね。

 

「祐斗先輩……そちらの特訓はどうでしたか?」

 

「簡単に言うと、負け戦かな?」

 

「OK、把握しました。」

 

「小猫ちゃんの方はどうだった?」

 

「1日数回地獄をみました……」

 

そう言って、どこかハイライトの消えた目で遠くをみていた。

 

この話題はやめた方がよさそうだね……

 

「それでは、御時間となりましたのでフィールドへ転移してください。」

 

グレイフィア様からの指示で転移するとその場所は旧校舎の部室だった。

 

『それでは、ライザー・フェニックス様とリアス・グレモリー様のゲームを始めます。審判はサーゼクス・ルシファー様の女王のグレイフィアが務めさせて頂きます。フィールドはライザー様からのリクエストで駒王学園となっています。』

 

なるほど、向こうからすれば初心者である僕たちへの更なるハンデって事か……

 

『リアス様の陣地は旧校舎の部室、ライザー様の陣地は新校舎の生徒会室になります。《昇格(プロモーション)》する場合は相手の陣地に入ってからとなります。制限時間は人間界の夜明けまでです。それでは始めてください。』

 

そして、僕たちの始めてのレーティングゲームが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

「一緒に頑張ろうな‼小猫ちゃん‼」

 

「近寄らないでください。」

 

部長の発案で私は兵藤と一緒に体育館をめざすこととなった。

 

なんで私が《歩く自爆スイッチ》と一緒にいないといけないんだろう……

 

あれですか?兵藤を暴走させて、私を序でに倒そうとでも思っているんですか?

 

フッ、チョせえですね……

 

体育館のステージ側の扉から中に入り、様子を伺ってみたら……

 

「兵士3に戦車1ですか…」

 

倒せない数ではないですね。

 

「もう少しよう「お前達‼この僕の力にひれ伏せ‼」ってこの人は……」

 

なんの策も無しに敵に突っ込むなんでこどもですか……こどもでしたね。

 

しょうがないから私も出るとしましょう。

 

「兵士1に戦車1か……アイツよりも彼の方が良かった…」

 

「ミラの恋する気持ちも分かるけど…」

 

「今はあいつらを倒そ♪」

 

「奴等を倒せば再戦の機会があるから我慢して。」

 

「分かってるわよ……て誰が恋よ‼」

 

……まるで眼中にない対応ですね……

 

「コイツら……‼なら、僕の力を見せてやるよ‼」

 

そう言って、あの黒もやを出す甲冑を纏って突撃した。

 

だから、策も無いのに突っ込むな‼

 

「グウオォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

しかも、初っぱなから暴走ですか!?

 

「「え?ちょ待って‼キャアァァァァァッ‼」」

 

体操服を着た双子を蹴り飛ばし、彼女らの持っていた2つのチェーンソーを両手に装備した。

 

……新しいジェ○ソンの誕生ですね。

 

「マズイわね……一度外に出ましょ‼」

 

フェニックス眷属の4人は慌てて外に出た。

 

「逃がしません‼」

 

私も後を追おうとしたら……

 

「ッ‼ハッ‼」

 

「ガアァァァァァァァァッ‼」

 

頭にティキィンと何かがよぎり、直ぐにその場を離れたら、兵藤がその位置にチェーンソーを振り落ろしていた。

 

「やっぱりこうなりましたか‼」

 

今までの戦いを見ていればこうなるのは簡単に予想できた。

 

只、前までの戦いは全てが乱戦だったからどうにかなっていただけ。

 

でも、今回はチーム戦でこの場には私と兵藤しかいない。

 

だから、攻撃対象が私になるのは自明の理‼

 

『兵藤様‼何をなさっているのですか!?』

 

「無駄です、今は暴走状態ですから聞こえませんよ‼」

 

こうなったら……

 

「グレイフィア様、正当防衛ってありですか?」

 

『この場合は致し方ないと思われます。』

 

よしッ‼言質は取った‼ならば‼

 

「塔城小猫‼問答無用で行かせて貰います‼」

 

私は全力で駆け出し、兵藤に近づく。

 

ジープに追いかけ舞わされて鍛えられた脚力を今、開放します‼

 

その速度は《騎士》で転生した祐斗先輩に勝るとも劣らないものとなっている。

 

「グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼」

 

私の速さに戸惑ったのか動きが一瞬止まった。

 

捉えた‼

 

右拳に力を溜め、加速と同時に懐に飛び込みお腹にその一撃を打ち込んだ。

 

「ガブゥッ!?」

 

「やった‼」

 

兵藤は5メートルほど後ろに下がったか、倒れはしなかった。

 

「グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ゥゥゥゥゥゥゥゥアァァァァァァァァァァァァァ

ァァァァァァァァァァァッ‼」

 

「ッ‼」

 

突如、兵藤は大きな叫び声を上げて左腕を自分の前に翳した。

 

その瞬間、腕の鎧がグニャリと動いたかと思えば、そこには“赤い宝玉を付けた黒い籠手”が現れた。

 

その形に私は見覚えがある。

 

でも、ありえない‼それは龍見先輩が回収したはず!?なぜあなたがそれを!?

 

そして、私の考えを裏切るかのように……

 

『Boost!』

 

その音声が聞こえた。

 

「それはまさか、《赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)》?」

 

「ゴアァァァァァァァァァァァッ‼」

 

「しまッ!?キャアァァァァァッ‼」

 

この事態に動揺していた私の隙をつかれ、兵藤の倍加された拳をもろに鳩尾に喰らってしまった。

 

『グレイフィア様‼すぐにゲームの中止を‼』

 

フェニックスの方から中止要請が出たけど……

 

『大丈夫よ、ソージならそんな事するわけないわ。』

 

このバカ部長は……‼

 

『だが、現状を見れば…‼』

 

「…大丈夫……です…」

 

私は立ち上がろうとしたけど、

 

「フンッ‼」

 

「ぐあッ‼」

 

背中を兵藤に踏まれ、押さえつけられてしまった。

 

更に、チェーンソーのエンジン音が聞こえた。

 

「やめるんだ‼兵藤君‼」

 

背中の重みが消え、声の方に目を向けると…

 

「大丈夫かい!?小猫ちゃん‼」

 

「祐…斗……先輩…?」

 

剣を構えた祐斗先輩がいた。

 

「ここは僕が押さえるから、小猫ちゃんは一度下がって‼」

 

そう言って、兵藤に向かっていった。

 

あれだけ特訓したのに、こんな簡単にやられるなんて……

 

ー悔しいか?ー

 

とっても悔しいです。

 

ー何故悔しがる?ー

 

私は皆を守れるようになりたいのに、実際は助けられてばかりだから。

 

ー力が欲しいか?ー

 

欲しいです。友達や支えてくれた先輩達、そして……

 

ーそして、なんだ?ー

 

私を助けるためにはぐれになってしまった姉様を助けるために‼

 

ーなら、思いを爆発させろー

 

え?

 

ーお前なら可能だー

 

そういえば、貴方は誰ですか?

 

ーそんな事はどうでもいいだろー

 

……確かにそうですね。

 

ーだったら思え、願え、求めろー

 

力が欲しい‼大切な人達を守れる力を‼誰にも負けない力を‼だから、私に力をください‼‼

 

ーいいだろう、頑張れよ……俺の新たな“相棒”ー

 

その声は……‼

 

次の瞬間、私は“赤い光”に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

「ガアァァァァァァァァッ‼」

 

「クゥッ‼」

 

僕は兵藤君と全速力で動きながら斬り合っている。

 

彼は僕が創る魔剣と酷似した黒と赤の剣を手に持ち、色が違う赤龍帝の籠手による倍加を使ってきている。

 

コレが今の兵藤君の力なのか!?

 

プロモーションもしていないのに、僕のスピードに追い付くどころか僕が負けている!?

 

「ゴアァァァァァァァァァァァッ‼」

 

パキィン‼

 

「ウワァァァァァァァッ‼」

 

再度打ち合った瞬間、僕の魔剣が砕けて吹き飛ばされて、壁にめり込んだ。

 

「クッ、グレイフィア様‼試合の中止は!?」

 

『それが……試合を中止するには双方の王の承諾が必要なのですが…』

 

『私は認めないわよ‼こんな終わりで結婚なんて‼』

 

「そんな事を言っている場合ですか!?」

 

このままだと兵藤君は危険な存在とされて討伐対象にされかねない。

 

やり方は僕も気に入らないけど、こんな下らない理由で仲間が殺されるのなんて見たくない‼

 

『Explosion!』

 

「ッ‼」

 

その音声が聞こえた方を見ると、兵藤君の手元にソフトボール大の魔力球があった。

 

「ガアァァァァァァァァッ‼」

 

そして、それに拳を当て、極大の砲撃にして撃ち出した。

 

マズイ!?今の状態だと‼

 

僕は壁に埋まっていてすぐには動けない。

 

こんな所で僕は終わってしまうのか?

 

「やらせないッ‼」

 

その時、小猫ちゃんが僕と砲撃の間に入ってきた。

 

「ダメだ‼小猫ちゃん‼君だけでも‼」

 

「私は決めたんです。友達や支えてくれた先輩達を守れるようになるって‼」

 

砲撃は小猫ちゃんのすぐ近くまで迫っている。

 

こうなったら、後先考えずに全力で動けば‼

 

「だから、力を貸してください‼“ドライグさん”‼」

 

『お前の思いは俺に確かに届いた。ならば、今度は俺の番だ‼』

 

そして、砲撃が当たる直前、小猫ちゃんの体を“赤いオーラ”が包みこんだ。

 

「これは…」

 

「いきます‼《禁手(バランス・ブレイク)》‼」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

赤い光と魔力砲が衝突して、周囲を眩く照らした。

 

「小猫ちゃん‼」

 

光が収まるとそこには、肘から先を覆う緑の宝玉が付いた籠手と同じように膝から下を覆う脚甲、胸元を覆う鎧に赤と黒の膝上のスパッツタイプのボディスーツを纏い、丸型の耳当てと目を覆うクリアグリーンのバイザーを掛け、左右の肩甲骨辺りから黄色いマフラーを靡かせていた。

 

「その…姿は……?」

 

「コレが私の禁手、《赤龍帝の破砕装束(ブーステッドギア・ブレイキングアーマー)》です。」

 

「禁手…」

 

「ドライグさん、行きましょう。」

 

『ああ、久々の登場だからな……何か決め台詞みたいなのがあると格好がつくんだが…』

 

「でしたらこんなのはどうですか?」

 

『…………………………なるほど、それにしよう。』

 

「では、一緒に言いましょう。」

 

そして小猫ちゃんはゆっくりと右腕を前に伸ばし……

 

「さあ、限りなき」

 

『願いをもって』

 

「『バカに与える鉄拳を‼‼‼』」

 

力強く拳を握り締め、一直線に兵藤君に向かって突貫した。

 

 

 

 




小猫「お久し振りですね、ドライグさん。」

ドライグ『ああ、ようやく戻ってこられたよ。』

小猫「これからはずっと一緒ですね?」

ドライグ『よろしく頼むぞ?』

小猫「こちらこそです。」

ドライグ『それと、作者が活動報告にハーレム化に
ついてアンケートをしているそうだ。』

小猫「コメント来ると良いですね。」

猫、ドラ「『それじゃ、次回もよろしく‼』」


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破砕

今回も小猫視点で禁手の力は戦車の駒と相性が良いものにしました。

クリス「1つ、非道な悪事を憎み‼」

翼「2つ、不思議な事件を追って‼」

切歌「3つ、未来の科学で捜査デス‼」

響「4つ、宇宙に蔓延る悪を‼」

調「5つ、一気にスピード退治‼」

マリア「6つ、無敵がなんかイイ‼」

一誠「……何やってんだ、みんな?」

装者一同「今度の新年会のネタの練習。」

未来「…………私は(泣)」




小猫side

 

どうも皆さん、禁手になって兵藤(バカ)に向かって突貫している塔城小猫です。

 

この力の使い方は禁手になった時に、頭の中に流れ込んできました。

 

『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

「1段階開放ッ‼」

 

『Jet!』

 

6回強化の内、1つを開放して推進力に使い腰のブースターで一気に加速する。

 

「グゥ!?ガアァァァァァァァァッ‼」

 

向こうも迎撃するために右手の剣を降り下ろしてきたけど……

 

「無駄です‼2段階開放ッ‼」

 

その剣に私は開放した力を収束した左拳を叩き込み、

 

「やあッ‼」

 

『Fracture!』

 

バキィィィィン‼

 

その音声と共に剣を微分子レベルで粉々にした。

 

「グォ!?」

 

驚いて動きが止まった兵藤の胸を右拳で殴り、

 

「全開放ッ‼」

 

『Fracture!』

 

ドバァァァァァァン‼

 

「ゴアァァァァァァァァァァァッ!?」

 

強力な衝撃を打ち込み胸の鎧が砕けながら吹き飛んだ。

 

「す……凄いや…………小猫ちゃん…」

 

「大丈夫ですか、祐斗先輩?」

 

「アハハ……ちょっと辛いかな?」

 

「取り合えず、安全な場所で回復を…」

 

「グォォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

「「!?」」

 

吹き飛ばした方から兵藤の雄叫びが聞こえ、見てみると鎧が再生していて身体の方も傷1つ無い状態で立っていた。

 

「傷が無くなっている?」

 

「回復系の力があるんでしょうか?」

 

だとしたら厄介ですね。

 

『だが、今の俺達なら問題なんてなかろう?』

 

「確かにそうですね。」

 

『例え、どんなに凄い回復力を持っていようが』

 

「例え、どんなに硬い鎧を纏っていようが」

 

「『全てをこの拳で破砕するのみ‼‼‼』」

 

『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

再び倍加を行い、兵藤へ向かって走り出す。

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

『Boost!』

 

兵藤は黒い籠手で倍加をして、左手を地面に叩きつけた。

 

『Transfer!』

 

すると、地面から祐斗先輩が作り出す魔剣と酷似した物が大量に出てきた。

 

これは《魔剣創造》?赤龍帝の籠手以外にも使えるなんて……

 

それでも‼

 

「3段階開放ッ‼」

 

力を開放して、右拳を地面に当てる。

 

『Fracture!』

 

バキィィィィィィィィィィィン‼

 

音声と共に地面ごと全ての魔剣擬きが砕け散った。

 

「この力は…いったい?」

 

「コレが私の禁手の能力です。」

 

兵藤から目を離さずに私は祐斗先輩の疑問に答えた。

 

「倍加した力を純粋な破壊エネルギーに変換して、攻撃と共に触れた物や相手にそれを叩き込み破砕するというものです。」

 

『更に、倍加した力の開放分によって威力はどんどん強くなっていく。』

 

「なるほど、砕けぬ物はないって事か。」

 

「『そういう事です(だ)。』」

 

「ウオアァァァァァァァァァァァッ‼」

 

『Boost!』『Explosion!』

 

話している間に力を倍加した兵藤がこちらへ向かって走ってきた。

 

「臨むところです‼」

 

『Explosion!』

 

残っていた2段階の倍加を強化にまわし、こちらも走り出す。

 

「ウォウ‼」

 

「はッ‼」

 

繰り出された右拳に左手を内側から払うようにして、外側に軌道を無理矢理変えさせる。

 

「ガアッ‼」

 

「ふッ‼やあッ‼」

 

「ゴフッ!?」

 

続けて出された左拳を右手で受け止め、そこを支点にそのまま身体を兵藤の右外側に回り込ませ左の裏拳を顔に叩き込んだ。

 

「ゴオオッ‼」

 

「せいッ‼」

 

大振りの攻撃をしてきたので、懐に入り腕を掴んで背中を向け足を払って、投げ飛ばす。

 

「ブファッ!?」

 

「何度やっても無駄です。」

 

『今のお前じゃ、小猫に触れる前に破砕されるだけだ。』

 

あなたがサボっている間に私は地獄のような特訓をしたんです。

 

だから、簡単に負ける気はありません‼

 

「デアァァァァァァァァッ‼」

 

「あなたが犯してきた罪の数々……まとめて喰らえ‼」

 

『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

「全開放ッ‼」

 

開放された力を右拳に凝縮させる。それによって赤いオーラが熱を持ち始め、炎のように揺らめく。

 

「ゼアァァァァァァァッ‼」

 

「バニシング…」

 

兵藤が突き出してきた右拳を首を左に傾ける事でかわし……

 

「フィストォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

『Fracture!』

 

「ゴブファァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

燃えるような熱い破砕の一撃を身体にぶち当てた。

 

「ハァ……ハァ……これなら…」

 

「やったのかい?」

 

「ちょッ!?祐斗先輩、それフラグ!?」

 

「オオオオォォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 

「なっ!?」

 

「ほら~…」

 

ここでそのセリフは復活フラグですから……

 

「先輩…」

 

「…なんか…………ごめん…」

 

嫌なフラグを立てた祐斗先輩はほっといて、声の方にはボロボロの甲冑を纏い、隙間からは血が大量に流れている兵藤がいた。

 

「あれだけの深傷を負ってまだ立てるなんて…」

 

「まるでゴキブリ並みの生命力ですね。」

 

「……セ」

 

「「?」」

 

「…エセ」

 

「何を言っているんで…」

 

「カエセェェェェェェェェェェェッ‼」

 

そう言って、見た目からはありえない速さで私に近づき、左腕を掴んできた。

 

その場所から、黒いもやが出てきて左腕を侵食し始める。

 

『マズイぞ小猫‼もやを吹き飛ばせ‼』

 

「わかりましたッ‼」

 

『Boost!』『Fracture!』

 

破砕能力でもやを破砕し、掴んでいた兵藤も序でに吹き飛ばした。

 

「あのもやさえも破砕出来るんだ…」

 

『魔法や呪いすらも力で破砕する…まさしく昔の俺の戦い方そのものだ…』

 

「私は使いやすいですよ。」

 

「二人とも、似た者同士なのかな?」

 

「『どうでしょうか(だろうな)?』」

 

「やっぱり似た者同士だ。」

 

「アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼」

 

「「ッ‼」」

 

気持ち悪い笑い声が聞こえ、兵藤が吹き飛んだ方を見ると……

 

「コレデモドッタ‼ボクノチカラガッ‼」

 

そう言って、黒い籠手を上に突きだすと…

 

『Welsh Dragon Balance Breaker』

 

かなり低いくぐもった音声が流れ、纏っていた甲冑が液体のようになり形を変えると、そこには私の禁手に酷似した黒に赤い宝玉が付いた全身鎧があった。

 

「あれは赤龍帝の鎧(ブーステッドギア・スケイルメイル)!?」

 

「どうしてアイツが…」

 

『どうやらさっきの接触時に禁手の情報を解析してコピーしたみたいだな。』

 

「そんな事が!?」

 

神器の解析は難しく、かの堕天使総督夫妻ですら未だに解明仕切れていないのに……

 

「コレデボクガシュヤクダ‼ボクガシュヤクナンダ‼」

 

そんな訳の分からない事を喚き散らしながら、天井を突き破って外に出ていった。

 

「マズイ!?追わないと‼」

 

「大丈夫ですよ、祐斗先輩。」

 

「え?」

 

「このままあの人に全部、任せちゃいましょう。」

 

「で、でも…」

 

「どうせ大半は敵なんですから問題ないですよ。」

 

「…小猫ちゃん…………逞しくなったね…」

 

「そうですか?」

 

『俺はいいと思うぞ。使えるものはバカでも使っておいた方がいい。』

 

「ですよね。」

 

近くで爆発音と悲鳴が聞こえてくるけど、私は何もシラナイ、キイテイナイ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクスside

 

僕はリアスにできた新しい眷属の少年の戦い方を見て、驚愕していた。

 

相手の武器を自分専用レベルまでに強化し、それどころか神器までコピーしてしまい、最後には禁手にまでなってしまった彼の能力には戦慄まで覚えてしまいそうだ。それに加えて……

 

「力の制御がまるで出来ていないのか…」

 

でなければ仲間である戦車の子にまで襲いかかる理由が分からない。

 

「サーゼクス様、彼の力は危険すぎます。あの子の傍に置いておくのは得策では無いかと。」

 

「そうだね、最悪の場合は封印措置も視野に入れといた方がいいかな?」

 

これ以上リアスを甘やかさないために厳しくいかないと……

 

「でしたら、先程の振舞いについてもキチンと叱ってくださいね?」

 

「それは勿論だよ。」

 

あんな状況で自分の欲を優先させるなんて、一度礼儀作法を徹底的に再教育させる必要がある。

 

「その時はグレイフィア、一切の甘えも妥協も泣き言すら言えないレベルでお願いしてもいいかな?」

 

「承知致しました。我が身を悪鬼にして教育させて頂きます。」

 

「普段なら加減してあげてと言うところだけど、今回はそれで頼むよ。」

 

さて、今の戦況はどうなっているかな?

 

僕は再びモニターに目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

私と祐斗先輩は歩きながら校庭に向かっていた。

 

「それにしても、禁手を解除してよかったのかい?」

 

私は今、禁手を解除している。ドライグさんが言うには…

 

『一度解除した方が、力が回復しやすい。』

 

だそうだ。

 

「それに、さっきの戦闘で試せなかった事があったのでそれをやるためにも、体調を万全にしたいんです。」

 

「試したい事?」

 

「はい、出来たらパターンが増えるのですが…」

 

『気を付けろ、近くに気配があるぞ。』

 

ドライグさんの言葉に私達は気を引き締める。

 

私達は新校舎の陰に隠れて、校庭を覗いてみたら…

 

「ジャマダ、ザコドモォォォォォォォッ‼」

 

「「「キャアァァァァァッ‼」」」

 

『ライザー様の兵士3名リタイア。』

 

「何なんですの!?あの鎧は!?」

 

……都合良く敵地で暴れていますね。

 

「援護に行くかい?」

 

「このまま王のところまで行ってしまいましょう。」

 

「…………そうだね。」

 

「そう簡単に行かせると思うか?」

 

「ライザー様の元には行かせない‼」

 

いつの間にか私達の前にライザー眷属の二人がいた。

 

「私はライザー様の《騎士》カーラマイン‼グレモリーの《騎士》よ、私と1対1で勝負しろ‼」

 

白いバンダナを巻き、西洋風の肩当て、籠手と脚甲を着た女性はそう叫んだ。

 

向こうの騎士は随分と潔いですね。

 

「そう言われたら断る訳にはいかないかな?僕がグレモリー眷属の《騎士》木場祐斗‼貴女の申し出、慎んでお受けしましょう‼」

 

「では、行くぞ‼」

 

「負けませんよ‼」

 

そう言って、二人は高速のヴィジョンに入っていった。

 

……この速度だと見逃すし、付いていくのも無理ですね。

 

「では、私達も始めようか?」

 

半分だけの仮面を付けた女性が私を見ながら構えた。

 

「分かりました。禁手(バランス・ブレイク)

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

私は赤龍帝の破砕装束を纏い構えた。

 

「それが貴様の力か…」

 

「そうです、私の前に立ちはだかる全てを打ち砕く龍の鎧です。」

 

「それは楽しみだ‼」

 

そう言って、私に殴りかかってきた。

 

「はあッ‼」

 

私も拳を突きだし、互いの拳が衝突する。

 

「中々の拳だな、予想以上だ。」

 

「それはどうもです‼」

 

「だが、少しばかり経験が足りないな‼」

 

ぶつけ合っていた拳を開いて私の手を掴み、引き寄せながら、蹴りを繰り出してきた。

 

「くぅ!?」

 

咄嗟に左腕を間に入れることでなんとかガード出来た。

 

「ほお……反応速度も申し分ないか。」

 

「なかなかやりますね。」

 

ですが、丁度良いですね、彼女で試しましょう。

 

「どうした?もう終わりか?」

 

「いえ、ちょっと試したい事があるので…」

 

もし、私の予想が当たっていたら……

 

「なら、来いッ‼」

 

『Boost! Boost! Boost!』

 

『Jet!』

 

「行きますッ‼」

 

ブースターを使い、近づきながら少し飛び上がり、飛び蹴りの体勢になる。

 

「やあ‼」

 

足に力を収束させていくが…

 

「ふん‼」

 

「ッ!?」

 

簡単に防がれたので、直ぐに後退する。

 

「この程度か?」

 

「そうみたいです。」

 

「何?」

 

今のでわかった、私は破砕の力を今は拳からしか放てないということが……

 

『おそらく、滝切の修業で力を収束させられるようになったが、拳にしか集中させる練習をしていないから他の場所にうまく力をまとめられないのが原因だな。』

 

そういう事ですか……新しく修業した方がいいみたいですね。

 

「向こうの援護にもいかなければならないから、そろそろカタをつけるぞ。」

 

「臨むところです。」

 

『Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost!』

 

「全開放。」

 

開放した力を右手に集める。

 

「行くぞッ‼」

 

お互いに走りだし、殴ろうとしたら……

 

『リアス様のリタイアを確認しました。よってこの勝負ライザー様の勝ちです。』

 

…………何やってんだ、あの姫は……

 

そう思いながら、転移の光に包まれ、もとの場所に戻った。

 

 

 




リアスvsライザー戦終了です。

次回からは一誠チームvsライザー眷属になっていきます。

タケル「オリ眼魂や一誠のハーレム化についてのアンケートを活動報告でまだやっているから、できたらコメント送ってくれな。」

それでは、次回もお楽しみに‼


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決戦前に

今回は恋愛要素を入れてみました。

でも、作者自身恋愛したことないので上手く書けてるかは自信ないです……

タケル「そんじゃ、どうぞ‼」


一誠side

 

時は小猫を送り出した後に遡る。

 

 

 

「行っちまったか…」

 

「塔城は大丈夫デスかね?」

 

「…やっぱり気になる…」

 

二人とも、塔城とはあのアーシア誘拐事件でかなり仲良くなったからな…

 

「ほら、いつまでも暗い顔しない‼」

 

「「わぷッ!?」」

 

俺は二人の頭に手を置き、少し乱暴に撫でた。

 

「そんな顔してたら、勝てるものも無理になっちまうぞ?」

 

「…そうかな?」

 

「そうだよ、心配するくらいなら勝利を信じてやれ。」

 

「…信じる?」

 

「イッセー先輩もそういう風に思ってもらった方が嬉しいデスか?」

 

「嬉しいさ、自分の事をそう思ってくれる皆が居てくれるから俺は戦えるんだ。」

 

それがなかったら、俺は既に死んでいたかもしれない…

 

「塔城なら大丈夫さ。御守りにも仕込みをしといたからな。」

 

「…仕込み?」

 

「何を仕込んだんデスか?」

 

「それは後で本人に聞くんだな。」

 

俺は後ろを向いて、修業場に移動しようとしたら、

 

「…何をやったの~‼」

 

「教えるデスよ~‼」

 

二人が両腕に抱きついてきた。

 

「ちょッ!?危ないって!?」

 

いきなり抱きつかれたから、危うく転びそうになった……ていうか!?

 

「オ、オイ二人とも!?あ、当たってるんだけど!?」

 

腕に何か柔らかい感触が~~~ッ!?

 

「…教えてくれたら離す。」

 

「教えなかったら、皆の所までこのまま連行デス‼」

 

「いや、だから本人に聞いた方が…」

 

「…えい。」

 

すると調が更に強く抱きついた。

 

フニュ!

 

「うおッ‼調さん!?更に押し付けるのは…!?」

 

「…教える気になった?」

 

「それは…」

 

「…切ちゃん。」

 

「OKデス‼」

 

ムニュ!

 

「 うひゃあっ‼」

 

今度は切歌もかよ!?

 

「「さあイッセー先輩‼キリキリ吐く(デス)‼」」

 

「勘弁してくれ~~~~ッ‼」

 

結局、皆の所まで抱きついていてクリスと翼とマリアと御堂はニヤニヤした顔をしてコッチを見るし、響と未来は絶対零度の視線を、アーシアからは羨望の視線を浴びる事になった。

 

っていうか何で調と切歌は勝ち誇ったような顔をしてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

イッセー君ったら調ちゃんと切歌ちゃんに抱きつかれて鼻の下伸ばしちゃって‼

 

そりゃ、胸は切歌ちゃんの方が大きいけど………って私ったら何考えてるの!?一回深呼吸でもして落ち着かないと‼

 

「「す~~~っ、は~~~っ、す~~~っ……」」

 

隣で響も同じ様に深呼吸していた。

 

「二人とも、何やってんだ?」

 

「「ぶはッ‼」」

 

イッセー君がいきなり話しかけて来たから、私達は驚いて空気を一気に出していた。

 

「うお!?ビックリした~‼」

 

ビックリしたのはコッチだよ‼

 

「いきなり二人が深呼吸始めたからさ……どうしたのかと思ってな。」

 

「な、何でもないよ!?ねぇ未来!?」

 

「う、うん‼何でもないから気にしないで!?」

 

「そ、そうか…?」

 

そう言って、イッセー君は御堂君の所に行った。

 

「青春してるわねぇ~。」

 

「「!?」」

 

その声に驚いて振り返ると、マリアさんが面白そうな物を見つけたような顔をして私達を見ていた。

 

「確かに彼はルックスも良いし、家事もできる上に収入も悪くないからね……優良物件なのは間違いないでしょうから、狙うなら早めがいいわよ?」

 

「な、なななな何を言っているんですかマリアさんは!?」

 

「ベ、べべべべ別に私はそんなんじゃ!?」

 

「動揺が丸わかりよ…」

 

「「ウソッ!?」」

 

私ってそんなに分かりやすい!?

 

「頑張らないとあの二人が先に手に入れちゃうわよ?」

 

「「ウッ!?」」

 

それは……………なんかやだな…

 

「それが嫌なら、自分に素直になることね。」

 

「「素直に…」」

 

「フフッ、後はあなた達で考えなさい。」

 

そう言って、マリアさんは去っていった。

 

自分に素直にかぁ……

 

取り合えず、レーティングゲームが終わったらもう少し積極的になってみよう‼

 

私は心の中でそう誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「羨ましいねぇ~、このモテ男。」

 

あんなに可愛い女の子を両腕に引っ提げて来るなんて……

 

「いや、アレはだな…」

 

「あ~、分かってる皆まで言うな。」

 

「本当か?」

 

「ようは、リア充爆ぜやがれッ‼」

 

「全く理解してねぇッ!?」

 

理解してねぇのはお前だッ‼

 

「普通、好きでもない男にあんな風に抱き着く訳ねぇだろ‼」

 

「いや、アイツらは付き合い長いからなぁ~。」

 

「鈍感か、コノヤロー‼」

 

昔からそんなような関係でも、今みたいな年頃だと違う感情があるかもしれないだろッ‼

 

「ハァ……俺も彼女欲しい…」

 

このメンバーは好きな奴が分かってるから無理だし、他に女の子は居ないから俺にはまだ先の話か……

 

「お~い‼お前ら元気か‼」

 

そんな声が聞こえたので、そちらを見ると金のメッシュを入れた髪をしたナイスミドルな男の人と金髪に泣きぼくろがあるナイスバディな女性とその女性を少し幼くした感じの女の人がいた………ってあの人は‼

 

「オッチャン‼キャロルさんにエルナも来たのか‼」

 

「ああ、お前達に渡すものがあるからな。」

 

「渡すもの?」

 

「姉さん、僕は彼に挨拶してくるので…」

 

「ああ、わかった。」

 

そう言って、俺が助けた子が目の前にやって来て、

 

「どうも始めまして、エルナ・リーリス・ディーンハイムと言います。未来さんから聞きましたけど、あの時は助けて頂きありがとうございました。」

 

良かった、元気になってたんだな。

 

「いや、俺は俺の信念に従っただけだよ。」

 

「信念……ですか?」

 

「そ、助けられる距離にいる奴は助けるってな。」

 

「ほえ~、カッコいいですね。」

 

「そうかな?」

 

「少なくとも、僕はそう思いますよ。」

 

「ありがとうな。」

 

「そうだ‼アドレスを教えてくれませんか?」

 

「え?別にいいけど…」

 

スマホを取りだし、彼女にアドレスを転送し、彼女のアドレスももらった。

 

「それじゃ、後でメールしますね♪」

 

「了解。」

 

何でそんなに嬉しそうなんだ?

 

「あ、それと…」

 

そう言って、 顔を近づけてくると俺の右頬になにか柔らかい物が当たった……………え?これって……

 

「これはその時のお礼ということにしておいてください♪」

 

「「「「「おぉ~~‼」」」」」

 

なんか周りが叫んでいるけど俺は頭が真っ白な状態になった。

 

「おいキャロル!?お前何する気だ!?」

 

「姉さん!?ダウルダブラを出してどうするんですか!?」

 

「なに、オレの妹に不埒な真似をしたアイツに終焉のcanonを聞かせてやろうと思ってな……」

 

「全員、キャロルを止めろォォォォォォォォッ‼」

 

そんな騒ぎにも俺は気付くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「すまぬな、少々取り乱した。」

 

暴走寸前だったキャロルさんを何とか押さえ込む事に成功したけど……

 

「この人を止めるのが一番疲れる…」

 

「全くだ…」

 

俺とオッチャンは揃って地面に大の字になった。

 

「そういやオッチャン、さっき渡すものがあるって言わなかった?」

 

「おっと、忘れるところだったぜ。」

 

手元に魔法陣を出し、そこからアタッシュケースを取り出した。

 

「それは?」

 

「お前達がレーティングゲームをすると聞いたからな、俺とキャロルが作り上げた《不変の駒(ノーマル・ピース)》を渡しにきたんだ。」

 

開けてみると、薄い水色に輝くチェスの駒があった。

 

「これは悪魔への転生機能だけを取り外した物で、駒の特性をその空き用量を使って強化したものだ。但し、転生しない代わりに悪魔の身体能力や魔力を得ることは出来んがな。寿命に関しては何とかそのままにできたぜ。」

 

そんなものを作ってたのか……

 

「これ作るのは苦労したぜ……研究用に手に入れた悪魔の駒の半分以上を無駄にして漸く完成したからな。」

 

「それで、これを俺達に?」

 

「フェニックスとのゲームの話は聞いていたからな、お前達が少しでも対応出来るようにしたかっただけだよ。」

 

「ありがとう。」

 

やっぱこの人には頭が上がらねぇな……

 

「で、誰にどの駒を使うんだ?どういう役割にするかは決めていたんだろ?」

 

「一応ね、ただ俺の力で皆にその駒を当てられるかどうか心配でね…」

 

俺が弱いのは自覚している……そのせいでちゃんとした役割を宛がえるか分からないんだ…

 

「それなら大丈夫だ、その点も考慮した上で調整したからな。」

 

………本当、何でもお見通しか。

 

「なら、皆の所まで行ってくるよ。」

 

「おう、頑張ってこい。それとエルナは《兵士》の駒にしてくれよ。」

 

「?わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

「皆‼集まってくれ‼」

 

俺が呼ぶとメンバー全員がすぐに来てくれた。

 

「どうしたの、イッセー?」

 

「今さっきオッチャンからこれを貰ってな。」

 

俺が《不変の駒》を見せ、機能の説明をすると全員がそれを受け入れてくれた。

 

「ありがとう、こんな俺についてきてくれて…」

 

「そんなの気にしなくていいよ‼」

 

「それより、誰がどの駒にするの?」

 

「それについては、ある程度決めてある。」

 

俺は《騎士》の駒を翼に渡した。すると、駒が光った。

 

「翼にはこの駒だ。」

 

「ああ、承知した。」

 

「次にクリスには《僧侶》の駒な。」

 

「あいよ。」

 

同じ様にクリスに渡すと駒が光った。

 

「んで、御堂は《兵士》の駒だ。」

 

「了解………ってあれ?」

 

御堂の手に置いても、駒が光らない……もしかして‼

 

俺が駒を1つずつ増やしていくと、4つ目で光だした。

 

「なるほど、御堂には駒が4つ必要だったのか。」

 

「あ~焦ったぜ、俺だけ使えないのかと思ったよ。」

 

それじゃ続けて、

 

「調は《騎士》な。」

 

「わかった。」

 

「切歌は《戦車》だ。」

 

「了解デス‼」

 

「マリアも《戦車》だ。」

 

「わかったわ。」

 

「未来は《僧侶》だ。」

 

「任せて。」

 

「響は《女王》の駒な。」

 

「よし‼頑張るから。」

 

「エルナは《兵士》だけど、大丈夫か?俺としてはクリスとエルナで迷ってたけど……オッチャンから《兵士》の駒にしてくれって言われて…」

 

「大丈夫ですよ、ここ最近は姉さんが作ったアイテムの訓練をやってましてそれを生かすには多様性があった方が良いので。」

 

「わかった。」

 

エルナは御堂と同じく、駒が4つで反応を示した。

 

これが俺達のチームか………

 

「それじゃ、しばらくは駒の特性に慣れるのを優先しようか。」

 

「「「「「「「「「了解。」」」」」」」」」

 

そうして、しばらく練習していたら俺の近くに魔法陣が浮かび、一人の女性が現れた。この人は前に御堂と戦った……

 

「ふぅ、あの白髪の子に場所を聞いたけど会えて良かったわ。」

 

「確か、ミラさんだっけ?ここに来たって事は勝負が終わったのか。」

 

「ええ、勝負は私達フェニックス眷属の勝ちよ。」

 

そうか、塔城は負けたのか………

 

「といっても、眷属の奴等はかなり強かったわ。特にあの戦車の子にはビックリしたわよ。まさか彼女が赤龍帝だったなんて。」

 

「「それホント(デスか)ッ!?」」

 

いつの間にか、俺の傍に皆が来ていた。

 

「本当よ、おまけに亜種の禁手に目覚めたんだから‼」

 

「え、マジ?」

 

俺の予想だと《譲渡》の力までだと思ってたんだけど……

 

「ええ、私とそこの彼の二人がかりでやっとだった兵士の男を一人で押さえ込んでたんだから。」

 

「小猫じゃなくてバケ猫デスね…」

 

「それ、塔城に伝えとくな。」

 

「ごめんなさい、調子乗ってたデス、粉々に破砕されたくないので黙っていて欲しいデスッ‼」

 

「…切ちゃん、言葉には気を付けよう?」

 

全くだな。

 

「それでも、向こうの王がライザー様の簡単な挑発に引っかかって、一騎討ちをして負けたのよ。」

 

「簡単な挑発って?」

 

「『お前の兵士は自爆スイッチだな。』だったかしら?」

 

単なる事実じゃないか……

 

「という事で、ライザー様とグレモリーの結婚式は三日後の夜になったから、はいコレチケットね。」

 

そう言って、1枚のチケットを渡してきた。

 

「それで何名でも入れるからゲームに必要な人数とそれ以外の人も来れるけど、無くさないでよ?」

 

「了解したよ。」

 

「それとあなた、確か御堂タケルだったかしら?貴方との決着必ずつけてあげるわ‼」

 

「臨むところだ‼首洗って待ってろ‼」

 

「楽しみにしてるわ、それじゃあね。」

 

最後にそう告げて、ミラさんは帰っていった。

 

「さて、ゲームの日取りが分かったことだし訓練を続けるぞ‼」

 

『オオ~ッ‼』

 

皆がそれぞれに始めるのを見て、俺も始めようとしたら、

 

「イッセー、お前の特訓は俺が見てやる。」

 

「オッチャンが?」

 

「ああ、これからの特訓には“コレ”を使ってもらう。」

 

オッチャンは手に持っていた何かを俺に投げ渡した。

 

「ととッ‼…………コレってもしかして!?」

 

「そうだ、お前の“新しい力”だ。」

 

「俺がコレを使えるのか?」

 

「俺達がある程度調整したし、後はメイルに頼んでくれ。そいつなら最終調整もできるはずさ。」

 

『わかりました、お任せください。』

 

「じゃあ俺の特訓内容は……」

 

「こいつを使いこなす事だ。」

 

「わかった、絶対やり遂げてやるよ。」

 

俺達は周りにバレないように結界の中で訓練をして、何とか使いこなせるようになった。

 

そして、3日経ち決着の日がやって来た。

 

 

 




全員の駒の役割は私の趣味で決めました。変更はありません。


一誠「俺の新しい力はまだ秘密か。」

作者「バレたら面白くないだろ?」

一誠「そりゃそうだな。」

作者「楽しみにしておけ、ちゃんと活躍出来るようにしてやるから。」

一誠「わかったよ。」

作者「それと、コレか次話が年内最後になるかな?」

タケル「そういや、オリ眼魂はどうするんだ?」

作者「実は、このゲームで君の時に幾つか使おうと思ってる。」

タケル「おッ‼期待してるぜ?」

作者「頑張ってみるよ。」

作一タケ「「「それじゃ、次回もお楽しみに‼」」」


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英雄の魂を纏う者

今回はタケルの戦闘回になります。

後、ライザー眷属でしゃべり方や戦闘方法が分からないキャラがいるので、そこは作者のオリジナルにしています。

そして、皆様から頂いた眼魂の内3つを使わせて貰います‼

なるべくカッコよくしましたので見てください‼


タケルside

 

「ふあぁ~~、こんな時間か…」

 

どーも、タケルっす。今昼寝から目が覚めました。といっても夜中だけど……

 

え、寝すぎだって?仕方ねぇだろ‼夜中に結婚式やるなんて思わなかったんだよ‼

 

「さて、起きて行くか…………ん、何だコレ?」

 

自分の部屋の机の上に段ボール箱があったので開けてみたら……

 

「コレは眼魂か?それにガジェットまで…」

 

中には蒼、深紅、銀鼠色の眼魂とスピーカー、小型扇風機、少し大きめのカメラが入っていた。

 

いったい誰が?

 

中を更に探してみると、手紙があったので読んでみると……

 

[君がレーティングゲームに出ると分かったから、新しい力を送ってあげたよ。頑張ってね。だからコッチにきても頼むからフルボッコは止めてね?僕、死ぬから 神より]

 

なるほど、あの(バカ)か……いいだろう、コレに免じて全英雄のオメガドライブで勘弁してやるか。

 

俺はベルトにそれらを収納して下に降りる。俺の家は2階建ての一軒家で一人暮らし……………ではなく、

 

「あ、お兄ちゃん起きたんだ。」

 

「よ、玲奈。」

 

この子は《御堂玲奈》俺の妹だ。少し大人しい性格で家の家事を一手に引き受けてくれている。後ブラコンも入っている。

 

「悪いけど、これから友達の家に行ってくるから先に寝てていいぞ。」

 

「え、これから会いに行くの?向こうの人に迷惑じゃない?」

 

「もともとこの時間で約束してたから大丈夫だよ。」

 

「なら、いいけど…」

 

「悪いな、今度買い物にでも付き合うからさ。」

 

「ッ‼約束だよ!?」

 

「おう、約束だ。」

 

「やった~‼」

 

そんなに嬉しいものかね?

 

「あ、それとお兄ちゃん…」

 

「ん?」

 

ついさっきの嬉しさは消え、何か不安そうな顔をして俺を見てきた。

 

「……ううん、やっぱり何でもない。」

 

「?」

 

何だ?言い淀むなんて気になるな。

 

「それより、時間はいいの?」

 

「おっといけね、じゃあ行ってくるわ。」

 

「気を付けてね~。」

 

少し後ろ髪を引かれつつも俺は龍見達の所に向かった。

 

「言えないよ、こんな“力”の事なんて…」

 

玲奈の呟きに気づかずに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「お、やっと来たか。」

 

アパートの前を集合場所にして、御堂が最後にやって来た。

 

「悪ぃ、少し遅れたか?」

 

「いや、大丈夫だ。」

 

これで、メンバー全員とアーシア、大樹さんが揃った。

 

「あれ、何で大樹さんまでいるんだ?」

 

「僕はアーシアさんの護衛だよ。」

 

「俺達がゲームに出ている間にアーシアに襲いかかる悪魔がいるかも知れないからな。」

 

「すみません、私の為にご迷惑を…」

 

「気にしなくていいよ、君が一誠君の力になりたいって思ってるのは知ってるし、子供達のやりたい事を手助けするのは大人の務めだからね。」

 

「ありがとうございます‼」

 

「随分アーシアちゃんに優しいわね、大樹?」

 

大樹さんの隣でマリアが少し黒いオーラを出していた。

 

「え、何でそんなに起こってるのマリア!?」

 

「よもや、そのような幼子を手にかけようとは…」

 

「翼までなに言ってんの!?」

 

「それじゃ、行くぞ~。」

 

「「「「「「「は~い‼」」」」」」」

 

「ちょッ!?一誠君助けて…」

 

「「大樹、少しO☆HA☆NA☆SIしようか?」」

 

「ああ~ッ‼」

 

大樹さん…………南無。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転移が終わると、何処かの城のような建物の前に着いた。

 

「オッチャンの処より小さいな。」

 

「あの人は1つの組織を纏めてるしその本部が家なんだから大きいに決まってるでしょ。」

 

「そらそうだ。」

 

「そういえば、何で翼さんとマリアさんはローブを着てるの?」

 

「こっちの動画投稿サイトでライブの映像が流れているから念のための措置さ。」

 

未来とそんな話をしつつ、入り口らしい門に着くと、

 

「止まれ、何故人間がいる?」

 

警備らしき悪魔に止められた。

 

「何故って招待されたからだけど?」

 

俺はチケットを見せたが、

 

「フン、そんな偽物に騙されるとでも思ったか?」

 

あれ、話が違うぞ?

 

「いや、そんな訳…」

 

「黙れ人間風情が‼俺に意見しようなど片腹痛いわ‼」

 

「おい龍見、コイツぶっ飛ばしていいか?」

 

御堂が怒り心頭で聞いてきたけど、

 

「落ち着け、下っぱの妄言に付き合う必要はねえよ。」

 

こういうのはやった方が負けだ、無視していればいいさ。

 

「貴様‼私をバカにしたな‼」

 

そう叫びながら、持っていた槍を降り下ろしてきた。

 

やっぱり下っぱだな……

 

「何をやっているんですの?」

 

自分の主の気配に気づけないんだからな。

 

「レ、レイヴェル様…‼」

 

「その方達はお兄様が今日のメインイベントのために呼ばれた人達です。それはキチンと伝えておきましたが?」

 

「し、しかし…」

 

「今の貴方に発言する権利はありませんわよ?今すぐこの場からさがりなさい、お兄様の結婚式を台無しにする者は必要ありませんから。」

 

「は……はい…」

 

そう言われ、警備はすごすごと消えていった。

 

「お見苦しい処をお見せしました。あの者については後程厳しく教育いたしますので。」

 

「それは別にいいさ、君はライザーの眷属にいた…」

 

「レイヴェル・フェニックスですわ、以後お見知りおきを。」

 

「こちらこそ、それで会場は?」

 

「ご案内致しますわ。こちらです。」

 

彼女の後についていくと、ある扉の前で止まった。

 

「ここから先が会場になりますが、こちらがお呼びするまでお待ち下さいな。」

 

「分かった。」

 

「では、失礼。」

 

そう言って、彼女は会場に入っていった。

 

「何か旨そうな料理の匂いがするな。」

 

「私も何だかお腹が空いてきたよ~。」

 

響、お前は来る前に俺の部屋でカレー食ったろうが‼

 

「ゲームが終わったら皆でご飯にするからもう少し待とう、響。」

 

「はぁ~い…」

 

『それでは‼メインイベントの対戦相手にご入場してもらいましょう‼』

 

「呼ばれたな……皆‼行くぜッ‼」

 

『オオ~ッ‼』

 

俺達は扉を開けて、会場入りした。

 

さあ、悪魔に人間の凄さを思い知らせてやるよ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

会場内はたくさんの悪魔がいたが、俺達に向けてくる視線の殆どが見下したようなものだった。

 

胸糞悪いったらありゃしねぇ。

 

「人間が相手ではライザー殿の勝利は決まったようなものですな。」

 

「そもそも、何故人間がいるのだ?さっさと摘まみ出せ‼」

 

「ここは貴様らなどが来ていい場所ではないぞ‼」

 

「そこの女ども、俺の眷属になれば楽しく暮らせるぞ?」

 

どいつもこいつもバカだらけだな。

 

本当だったら、今すぐ殴り飛ばしたいけど……

 

「……………………………………(ギリッ)」

 

龍見が必死に堪えてるんだ、ホントは自分が一番殴りたいのに俺がやるのはお門違いだな。

 

「ご静粛に願います。これより私達フェニックスと人間代表である彼等とのレーティングゲームを始めたいと思います‼」

 

周りからの歓声など俺は耳にせず、集中力を高める事にした。

 

「ゲームのルールは《イーブンデュエル》で行います。存じ上げない方に説明致しますと、同じ駒同士での決闘と言えば分かりやすいと思います。複数の駒を使用して転生している場合は同じ駒数になるようにして戦います。例えば兵士の駒2つ使った相手の場合はこちらが1つ使用の兵士を二人出しても良いということになります。昇格(ブロモーション)は開始から10分で使用を許可します。」

 

なるほど、俺とエルナ(名前で呼んでほしいと言われた)は最大四人が相手になるのか……

 

「なお、このゲームは兵士から始まるのが習わしとなっています。さあ、そちらは誰が出る?」

 

「なら、僕が「ちょっと待て」タケルさん?」

 

エルナには悪いが、

 

「最初は俺だ。」

 

1歩前に出ながらそう告げた。

 

「なら、こちらはミラとイル、ネル、シュリヤーだ。」

 

そう言うと、ミラの他に、体操服を着た双子とアマゾネス風の女が出てきた。

 

「この時を待ってたわよ。」

 

「そりゃこっちもだ、あんな終わりで不完全燃焼だったからな。」

 

「あたし達も忘れるな~‼」

 

「忘れるな~‼」

 

「さっさと終わらせよう。」

 

……個性溢れるメンツだな、オイ……

 

「それでは、相手が決まったのでフィールドに移動してもらいましょう。」

 

すると、光が俺達を包み、おさまるとチェスの盤上をモチーフにしたコロシアムのような場所にいた。

 

「へぇ、チェスの駒が元だからってか?」

 

観客席には龍見達の姿もあった。

 

「さて、準備しますか。」

 

俺は不気味なベルト《ゴーストドライバー》を出し、俺の力が入っている《オレ眼魂》のボタンを押し、バックルに装填した。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「変身‼」

 

掛け声と共にバックル横のレバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

トランジェント態の上にオレゴーストパーカーを羽織り、変身が完了した。

 

相手も棍や曲刀やチェーンソーとか…………チェーンソー!?

 

「そこの双子‼何物騒な物持ってんだよ!?」

 

「何って私達の武器だよ~。」

 

「武器なのだ~‼」

 

ええ~……何それ怖いんだけど。

 

『それでは、試合の審判は魔王であるこの僕、サーゼクス・ルシファーが行おう。』

 

しかも、魔王が審判かよ!?

 

『それでは、始め‼』

 

そのアナウンスと共に戦闘が始まった。

 

「解体しま~す‼」

 

「バラバラにしま~す‼」

 

最初は双子がチェーンソーで迫ってくるんだが……地味に怖えェェェェェェェッ‼

 

「うおッ‼」

 

きれいなタイミングで左右から振られたチェーンソー の間に飛び込み何とか回避した。

 

あっぶね~~‼額のツノがチェーンソーにかすったぞ!?

 

「隙あり‼」

 

「へ?どわあッ‼」

 

ボーッとしている間にアマゾネス風の奴が持つ曲刀で袈裟斬りにされた。

 

何だ!?気配を感じなかったぞ!?

 

「どこ見てるのよ‼」

 

「な!?うごおッ‼」

 

近くまで来ていたミラの突きを喰らい、吹き飛ばされる。

 

やっぱり連携の錬度が高ぇ。このままじゃボロ負けだな……なら‼

 

「新しい力、試してやる‼」

 

左手をバックルに翳し、蒼色の眼魂を取り出す。

 

どんな英雄か分からないけど、力を貸してくれ‼

 

オレ眼魂を取り出し、眼魂のボタンを押すと黒目に《16》と浮かび上がった。

 

直ぐ様バックルに入れ、カバーを閉じた。

 

《アーイ‼》

 

するとバックルから肩と腕、腰のところに和風の鎧が付き、フードには三日月をあしらったオブジェクトがあるロングコートの蒼いゴーストが現れた。

 

《バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「来い‼」

 

《カイガン‼マサムネ‼武勇で皇帝‼独眼竜‼》

 

マサムネパーカーを羽織ると、フェイスマスクに眼帯をモチーフにした顔が描かれた。

 

「マサムネ…………独眼竜の伊達政宗か‼」

 

「姿が変わるなんて…」

 

「おお~‼おもしろ~い‼」

 

「すご~い‼」

 

「まだ別の服があったなんて…」

 

右手を前に出すと、ベルトからガンガンセイバーとスピーカーが出てきた。

 

「コイツはどうやって使うんだ?ってうおッ‼」

 

そう思っていると、スピーカーが変形して東洋のドラゴンみたいな姿になった。

 

「へぇ、ならお前の名前は《ドラゴンスピーカー》だな。」

 

「ギャオッ‼」

 

「よし、来い‼ドラゴンスピーカー‼」

 

俺が剣を上に翳すとドラゴンが先端に乗り、変形合体して大剣になった。

 

ガンガンセイバーバスターブレードモードってな?

 

「姿や武器が変わったぐらいで~‼」

 

双子の片割れがチェーンソーを吹かしながら向かって来た。

 

「オラァッ‼」

 

俺は大剣を一気に振り下ろして攻撃した。

 

「おっそ~い‼」

 

それは簡単に避けられ、チェーンソーを振るってきたが……

 

「甘えッ‼」

 

ドォォン‼

 

「キャアッ‼」

 

剣の柄を叩くと左右の面にあるスピーカーから空気の衝撃波が放たれ、女を吹き飛ばした。

 

「イル‼こんの~‼」

 

「待ちなさい‼無闇に突っ込んだら‼」

 

もう遅ぇよ。

 

ベルトに大剣を翳してアイコンタクトする。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

そうすると、剣が蒼色に輝きだした。

 

それを肩に担ぎ、

 

「へ?」

 

「喰らえッ‼」

 

《オメガブレイカー‼》

 

一気に袈裟斬りに振るった。

 

すると、龍を模した衝撃波が飛び出してもう片方の確かネルだっけ?を飲み込み爆発した。

 

『ライザー君の兵士1名リタイアだね。』

 

魔王様のアナウンスで撃破を確認した俺は、深紅の眼魂を取り出した。

 

「次はお前だ‼」

 

ボタンを押すと《17》と浮かび上がる。

 

それをマサムネ眼魂と取り換えて、ベルトにセットした。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

バックルからは袖がなく金の縁取りがなされフードには鹿のツノがあり、左右の肩にあるマフラーのようなものの先端は十字の刃が付いている深紅のパーカーが出てきた。

 

「頼む‼一緒に戦ってくれ‼」

 

《カイガン‼ユキムラ‼戟塵まとう‼大阪の陣‼》

 

パーカーを羽織り、マスクには2本の鹿のツノが描かれた。

 

そして、ベルトから赤い小型扇風機が現れ、タコのような形に変形した。

 

「今度はタコか……《タコセンプーキ》に決めた。」

 

俺はガンガンセイバーを薙刀に変え、

 

「行くぜ、タコセンプーキ‼」

 

タコセンプーキが先端にくっつき、変形合体して十字槍になったガンガンセイバーを構えた。

 

「ネルの仇~‼」

 

「だから一人で行っちゃダメ‼私も行くよ‼」

 

今度はイルってのとシュリヤーとかいう二人がかりで来たか……

 

「ユキムラ、参る‼」

 

槍を突き出しながら、俺も二人目掛けて走り出す。

 

「こんの~‼」

 

振り下ろしてきたイルのチェーンソーを槍の十字部分で受け止め、左に払いながら地面に押し付けてめり込ませた。

 

「ぬ、抜けない~‼」

 

今のうちに……

 

「させない‼」

 

「うおッ!?」

 

後ろからシュリヤーが曲刀を振るってきたが、マフラーの刃で受け止めた。

 

「ウソ!?」

 

「そらッ‼」

 

「グハッ‼」

 

驚いている隙に彼女の腹に蹴りを当て、吹き飛ばしながら俺も二人から距離をとりベルトにアイコンタクトする。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

頭上で槍をぐるぐると回して、槍にオーラを集めていく。

 

「そろそろいいかな。」

 

回転を止めるとオーラが目映く輝いていた。

 

「喰らいな‼」

 

《オメガスライサー‼》

 

その槍を連続で振るうと、赤い斬撃波が無数に飛んでいきイルに直撃した。

 

「キャアァァァァァァァッ‼」

 

『ライザー君の兵士1名リタイア。』

 

「ヨッシャ‼」

 

これで残りは二人だ‼

 

「これ以上はやらせない‼昇格(ブロモーション)女王‼」

 

その言葉と共にシュリヤーの力が強化されたのが分かった。

 

「ふッ‼」

 

「なっ!?見え……グワアッ‼」

 

シュリヤーの強化された速度に惑わされ、剣の直撃を喰らっちまった。

 

「くそ‼どうすれば…………そうだ‼」

 

俺はベルトから新しく銀鼠色の眼魂を取り出した。

 

コイツに掛けてみるか‼

 

スイッチを押すと《18》と浮かび上がった。

 

ユキムラ眼魂を取り出し、新しい眼魂をセットする。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

今度は半袖に裾の所々が切れているダメージファッションが特徴的な銀鼠色のパーカーが出てきた。

 

「これ以上姿は変えさせない‼」

 

いつの間にか俺の右側にいたシュリヤーが剣を構え、突っ込んできたけど……

 

「え?キャアッ‼」

 

飛んでいたゴーストが体当たりして弾き飛ばした。

 

「今だ‼」

 

《カイガン‼ジンスケ‼電瞬‼一刀‼夢想無双‼》

 

パーカーを羽織ると、マスクには鞘から刀が抜かれるところで、刀身に映る光の絵で十字となった顔が描かれた。

 

「これはどんな英雄なんだ?」

 

「キューイ。」

 

「ん?」

 

鳴き声が聞こえたのでそこをみるとメカニカルなカモメが飛んでいた。

 

「もしかして、あのカメラが変形したのがお前?」

 

「キュ‼」

 

「なるほど、なら《カモメキャメラ》がお前の名前だ。」

 

「キュッキューイ‼」

 

「じゃあ行こうぜ‼カモメキャメラ‼」

 

薙刀形態だったガンガンセイバーを2つに分け、片方の持ち手を出して二刀流にし、本体の刀身にカモメキャメラが変形合体して鞘に変わった。

 

「鞘ってことはもしかして‼」

 

俺はもうひとつの剣を鞘に収め、腰を低く何時でも剣を抜けるようにするいわゆる抜刀の構えをした。

 

「そんなこけおどしで‼」

 

シュリヤーも俺を倒すために、周囲を動き回り、捉えられないようにしていた。

 

焦るな、周囲をじっくり見ろ……どんな事も見逃すな……

 

「はあッ‼」

 

右からの声にすぐに反応して、剣を抜き放つ。

 

ガキィィン‼

 

青いオーラを纏った俺の剣とシュリヤーの曲刀がぶつかり合う。

 

「そんな!?」

 

「おまけだ‼」

 

逆手で持っていた鞘を振り上げ、シュリヤーの脇腹に叩きつけた。

 

「ごふッ!?」

 

「タイミングは分かった、次で決めてやるよ。」

 

「ふざけないで‼」

 

そう言って、さっきと同じように動き回り出した。

 

俺は剣を鞘に戻し、アイコンタクトを行う。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

「今度こそ‼」

 

そう叫び、こちらに駆けてくる。

 

「やってみろ‼」

 

《オメガカット‼》

 

俺も剣を全速力で引き抜き、切り裂く。

 

俺達が交錯した後、一時の静寂が訪れた。

 

「……俺の勝ちだ。」

 

抜いた剣を鞘に戻し、カチンと音が聞こえた瞬間に相手が爆発した。

 

『ライザー君の兵士1名リタイア。』

 

「残りはお前だけだ、ミラ。」

 

「そうみたいね。」

 

「なら、あの時の続きと行こうぜ‼」

 

「やってみなさい‼昇格(ブロモーション)女王‼」

 

「こっちもだ‼」

 

ジンスケ眼魂を外し、ムサシ眼魂をセットしてレバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼ムサシ‼決闘‼ズバッと‼超剣豪‼》

 

カモメキャメラを外し、二刀流モードにして構える。

 

しばらくはお互いに動かなかったが……

 

「「ッ‼」」

 

殆ど同じタイミングで動き出し、棍と2刀がぶつかり合った。

 

俺は左手の剣で切り裂こうとしたが、競り合ってた右手の剣が受け流されたことでバランスを崩し、その間に後ろに回り込まれ背後から棍を叩きつけられた。

 

「グアッ‼こんにゃろ‼」

 

「ハア‼」

 

「フンッ‼」

 

何とか踏ん張り右足で回し蹴りをするが、叩き落とされ蹴りを繰り出してきたので右手の剣の柄で受け止めた。

 

「器用な事をするのね‼」

 

「まだまだこんなもんじゃないぜッ‼」

 

左手の剣で足を切ろうとしたが、棍で受け止めたので右手を振るって足をはね除け、体勢が崩れたミラの顔に頭突きをかました。

 

「アグッ!?」

 

怯んだ隙に右手の剣で横一閃に切り、背後に回って左手の剣で縦に切り裂いた。

 

「キャアッ‼」

 

直撃をもらったミラは地面を転がりつつもすぐさま起き上がった。

 

「本当、強いわね……あなた。」

 

「まだ本気じゃないんだけどな?」

 

「え?」

 

「俺達が何の駒を使ってるか思い出してみろよ。」

 

「何って………………まさか‼」

 

「そういう事さ、昇格(ブロモーション)‼女王‼」

 

女王に昇格したら体の奥から力が沸き上がってくるのを感じた。

 

「そろそろケリ着けるぞ‼」

 

「やってやるわ‼」

 

右手の剣でアイコンタクトをする。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

「もういっちょ‼」

 

続けてベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《ダイカイガン‼ムサシ‼オメガドライブ‼》

 

背後に眼を模した紋章が現れ、2刀に吸い込まれていくと剣のオーラが更に強く輝いた。

 

「天下無双‼」

 

「負けない‼ライザー様のためにも‼」

 

「こっちも負けられねぇんだよ‼」

 

ミラが走りながら棍を全力で突きだしてくるが、強化された体のおかげで動きを見切り、回し蹴りで棍を蹴り砕いた。

 

「そ……そんな…」

 

「終いだ。」

 

《オメガスラッシュ‼》

 

「ハアッ‼」

 

動きの止まった彼女を2刀でXの字に切り裂いた。

 

「アァァァァァァァァァァッ‼」

 

悲鳴を上げながら光に包まれて彼女は消えた。

 

『ライザー君の兵士1名リタイア、よって第一試合は御堂君の勝ちだ。』

 

空中に画面が出てきて、魔王様が俺の勝利を宣言した。

 

観客席にいた龍見達も俺に手を振っていた。

 

さて、後やることは……

 

悪魔側の観客席に剣を向け、

 

「見たか悪魔ども‼これが命を燃やす人間の力だ‼‼‼‼」

 

そう叫んでやった。

 

 

 

 

 




ということでマサムネ、ユキムラ、ジンスケ魂でした。

タケル「心を持った機械龍様、アルキメです。様、ヴラド・スカーレット様、本当にありがとうございます‼」

タケル「こちらの眼魂は今後も使わせて頂きますし、ガジェット達はマスコット的な感じでも登場してもらいますので、今後とも応援してください‼」

タケル「後、玲奈の容姿はラブライブ!の園田海未を中二まで幼くした姿を想像してください。」

作者「それでは、始めての次回予告をやってみますか。」



この手に持つ剣は友を守るため、友の敵を撃ち抜く弓を持つため。




我が身を剣に、弓にして眼前の敵へと相対する。





次回、《絶対なる刀剣・魔を討つ弓》




戦場に再び歌の花が咲き誇る。








こんなんで大丈夫かな?

これが年内最後の投稿です。皆様、良いお年を。


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絶対なる刀剣、魔を討つ弓

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

新年最初の投稿です。

翼とクリスの戦闘回です

つばクリ「見てってくれ‼」


一誠side

 

最初の試合は御堂が勝利した。

 

「やった~‼」

 

「なかなかやるじゃねぇか。」

 

「タケルさん、カッコいいです‼」

 

この勝利に皆も喜んでいる。

 

「よっ‼戻ったぜ。」

 

噂をすれば、

 

「おめでとう。」

 

「サンキュ。」

 

俺達はそう言ってハイタッチした。

 

「あんな英雄達もいたんだな。」

 

「ああ、最近手にいれてな。」

 

「…あの武器に変わったアイテムは何なの?」

 

「見せてほしいデス‼」

 

「いいぞ。」

 

懐からスピーカー、小型扇風機、カメラを取り出すと変形して東洋のドラゴン、タコ、カモメになった。

 

「「「「「わぁ~~~~‼」」」」」

 

3体は空を飛びながら皆とじゃれあっている。

 

「他にもいるのか?前にコウモリみたいなのがいたけど…」

 

宗二と戦っていたときに出てきてたな。

 

「いるぞ、ほら出てこい。」

 

すると、ベルトからダイヤル式電話と携帯電話、置時計にランタンが出てきた。

 

「総員、変形‼」

 

そう言うと、コンドル、コブラ、コウモリ、クモに変わった。

 

「コンドルデンワーにコブラケータイ、バットクロックとクモランタンで総称はゴーストガジェットだ。」

 

「これも武器になるのか?」

 

「ああ、弓矢に鎌に銃にハンマーだ。」

 

「お前、何気に多才だな…」

 

「いや、射撃の腕前は妹の方がすげぇよ。中学の射撃部のエースで国体優勝者だからな。おまけに町のゲーセンの射撃系のものは妹が全て1位に輝いてる。」

 

「マジかッ!?」

 

妹がいるのにも驚いたが、国体優勝とは…

 

『そろそろ次の対戦を始めますので、代表者はステージに上がってください。』

 

「呼ばれたか…行ってくるわ。」

 

「気を付けろよ。」

 

「ありがとよ、“タケル”。」

 

「おま!?今何て!?」

 

「じゃ、こっちは一旦頼んだ。」

 

「ったく……任せとけ、“イッセー”。」

 

 

 

 

 

 

俺がステージに上がるとライザーが既にいた。

 

「それでは、両代表が揃いましたので、二回戦を始めます。」

 

魔王様はマイクを持って、開始を告げた。

 

……魔王様、何か楽しそうな顔してんな…。

 

「二回戦からはルーレットによって戦う駒を決めます。押すのは前の試合で敗北したライザー君だ。」

 

「分かりました。」

 

ライザーがステージの中央に立つとしたからルーレットが出てきた。

 

それを思いきり回して、止まった所にあった駒の名前は……

 

「次の駒は《騎士》に決定しました‼」

 

騎士か……調と翼のどっちにするかな。

 

「こちらからはカーラマインを出そう。」

 

ライザーが出してきたのは籠手、肩当て、脚甲を身に付けて頭にターバンを巻いた女だった。

 

「人間、1つ聞きたい。」

 

「何だ?」

 

「お前の仲間に剣士はいるか?」

 

「?一応いるけど…」

 

「なら、そいつを私の相手にしてくれ。」

 

「なるほど、剣の勝負がお望みか。」

 

だったら、答えてやらないとな。

 

「と言うわけだが、どうだ翼?受けてみるか?」

 

「無論だ‼」

 

俺の問いに翼は立ち上がり、俺の側まで跳躍してきた。

 

「貴殿の相手はこの私…」

 

そして、着ていたローブを脱ぎ捨てた。

 

「風鳴翼が努めよう‼」

 

「それでは、フィールドに転移してもらうよ。」

 

「「はい。」」

 

二人が光に包まれてこの場から消えた。

 

「さて、客席に戻る「龍見先輩。」ん?」

 

聞き覚えのある声で呼ばれたので振り返ると、搭城と木場がいた。

 

「なんだ、二人も来てたのか?」

 

「部長の眷属だからね。一応は参加してるんだよ。」

 

「私達もそちらの観客席に行っても?」

 

「良いぜ、調達も会いたがってたからな。」

 

「ありがとうございます。」

 

俺はそのまま二人と一緒に席に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼side

 

私は先程、御堂がいたのと同じフィールドに来ている。

 

「まずはこちらの頼みを聞いてくれた事に感謝する。」

 

「礼など不要だ。貴殿と同じく剣の果たし合いを私も望んでいたのでな。」

 

「助かる。それではそろそろ始めましょう?」

 

「承知した。」

 

私も赤い水晶体を取り出し……

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

聖詠を唱え、シンフォギアを身に纏った。

 

「それがお前の力か…」

 

「そうだ。」

 

「では、私はライザー様の騎士‼カーラマイン‼」

 

そういい放ち、剣を抜いた。

 

ほう、名乗りを上げるか……ではこちらも。

 

「龍見一誠が騎士、風鳴翼‼」

 

脚甲からアームドギアの刀を取り出し中段で構えた。

 

「いざ」

 

「尋常に」

 

「「勝負‼」」

 

その合図と共にお互いに全力で駆け出し、剣をぶつけつばぜり合った。

 

「やるな‼」

 

「そちらこそ‼」

 

互いに離れ、再度接近し切り結ぶ。

 

上段からの振り下ろしを受け止められ、弾かれ繰り出された突きをバック転でかわし、逆立ちのまま開脚し両足のスラスターの刃を展開して体を回転させ切り裂いた。

 

《逆羅刹》

 

「くぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼」

 

しかし相手も剣を構え、捌いていた。

 

そして、手の力で後ろに跳び体勢を立て直した。

 

「なるほど、騎士を名乗るのも頷ける。」

 

「困るほど嘗められたくないからな。」

 

一誠達を守ると決めた時からこの身を鍛え上げた。

 

彼には感謝している。この身を剣とするしかなかったあの場所から助けてくれた事を……歌の素晴らしさを教えてくれたことを……

 

だからこそ、彼らに振りかかる危難は我が剣が切り捨てると誓った‼彼があの子達との幸せを掴めるようにするのが年上と風を吹かせる私の役目だ‼

 

後は、大樹とその……えと……こ、恋仲になれれば私は満足なのだが…‼

 

「何を戦場で考え事を‼」

 

「ハッ?!」

 

聞こえた叫びに思考を止め、右からきた剣を受け止める。

 

「すまない、昔からの癖でな。」

 

「今は戦に集中しろ‼」

 

私は彼女の剣を受け流し、距離をとっていると、彼女の怒りを表したような炎が剣を覆った。

 

「炎の剣とは面白い‼」

 

ならば私も新しい技を試してみるか‼

 

剣を下に向け∞を描くように動かし頭上に掲げると、刀身に青い電撃が走り始めた。

 

《雷電》

 

「雷の剣か‼」

 

「つい最近の特訓で習得したものだ。」

 

実際は月読達が見ていた特撮の技を参考にしたものだがな。

 

「行くぞ‼」

 

「来い‼」

 

共に駆け出し、すれ違い様に剣を打ち合わせる度に周囲に火炎と電撃が迸る。

 

「これほど心が踊る戦いが楽しめるとは‼」

 

「まだこれからだ‼」

 

私は帯電している剣を思いきり地面に突き刺した。

 

すると、雷撃が地面を縦横無尽に走った。

 

《雷電衝撃波》

 

「何ッ!?グワアッ‼」

 

予想出来なかったのかカーラマインは直撃をもらい、体が痺れたのかしゃがんだまま動かない。

 

「悪く思うな、戦場には卑怯なんて言葉は存在しない。」

 

「構わない、それが勝負というものだ…」

 

「ならば…」

 

「だが‼終わりではない‼」

 

そう叫ぶと、身体中に魔力を流し体内に残っていた痺れを取り除いていった。

 

「そんな手段で回復させるとは!?」

 

そんなことをすれば、痺れはとれるだろうが無理矢理体に魔力を流せば激痛が全身を襲うはずだ‼

 

「負担はあるが戦えぬ訳ではない‼」

 

再び立ち上がると先ほど以上のスピードで近づき、剣を振るってきた。

 

「クアッ!?」

 

何とか防げたが、10メートルほど後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「私の仲間が戦いで負けたんだ、なら後に続く私が情けない姿など見せられるものか‼」

 

「……………………そうだな。」

 

それほどの覚悟を見せられて何もしないのは相手を侮辱するというもの‼

 

「貴殿の覚悟、しかと見届けた。ならばこちらも最善を尽くすのが礼儀‼」

 

私は立ち上がり剣を構え……

 

「戦場に鳴り渡る歌を今、歌ってみせよう‼」

 

 

ー推奨BGM『月煌ノ剣』ー

 

 

シンフォギアから流れてくるメロディーに合わせ歌い始める。

 

「歌だと!?そんなものに‼」

 

剣に炎を纏わせて、突っ込んできたが今のシンフォギアは最大稼働‼かわせぬ道理はない‼

 

右に少し移動して剣をかわし、左脇腹を切り裂きながら後ろに回り蹴り飛ばした。

 

「グワアッ‼な、何だ?その剣は!?」

 

「我が剣《天羽々斬》はかの昔、須佐乃男命が八岐大蛇を討伐した時に使用した絶刀、つまりは神剣というものだ。」

 

「まさか……聖遺物!?」

 

「いかにも‼」

 

右足の脚甲から、もうひとつの剣を出し柄同士を連結させ、薙刀にし高速で回転させると刀身が燃え始めた。

 

「ッ!?雷だけでなく炎までも!?」

 

「風鳴る刃、輪を結び…火翼をもって斬り荒ぶ‼」

 

足のスラスターで高速移動しながら、剣を更に早く回転させることで炎の色を赤から青へと変化させる。

 

「青い炎!?」

 

「月よ、煌めけッ‼」

 

そして、すれ違い様に切り裂くと炎が彼女を包み込み、まるで満月を思わせた。

 

《風輪火斬 月煌》

 

「アアアアァァァァァァァァァァッ‼」

 

彼女はその場で膝をつくが倒れはしなかった。

 

手元を見ると握られていた剣が根元から折れていた。

 

そうか、寸前で剣を盾にしてダメージを減らしたのか。

 

「まだ……だ…まだ…倒……れる……に…は…」

 

「ですが、終わりにさせてもらいます。」

 

「なら……ひと…お……もい…………に…」

 

「……承りました。」

 

《雷電》の時のように∞を描きながら、剣を天に掲げ先程より強大な雷を纏わせる。

 

「邪鬼……退散。」

 

そして、剣を振り下ろした。

 

《雷電残光》

 

その太刀を受けた彼女は光に包まれ転移した。

 

『ライザー君の騎士1名リタイア。この試合は風鳴翼君の勝利だ。』

 

私は剣を収めるとその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

翼も勝利したか……

 

『次の対戦の駒を決めますので、代表者はステージに上がってください。』

 

呼び出しがきたのでステージに向かった。

 

「では、次のルーレットは龍見君に回してもらおう。」

 

魔王様に指名されたのでルーレットを思いきり回して止まった場所は…

 

「次の対戦は《僧侶》になりました。双方共に誰を出すんだい?」

 

だったらアイツの出番だな。

 

「クリス、頼むぜ‼」

 

「任せときな‼」

 

「こっちは美南風を出す。」

 

「よろしく。」

 

ライザー側は十二単を着た女性だった。

 

「それじゃ二人はフィールドに転移してもらうよ。」

 

クリスの転移を見送って戻ろうとした時…

 

「お待ちくださいッ‼」

 

「ん?」

 

呼ばれて振り返ると、さっき案内をしてくれたレイヴェルさんがいた。

 

「何か用?」

 

「お聞きしたい事がありまして…」

 

聞きたい事?変な事はしてないつもりだけど……

 

「先ほどのあなたの騎士は、《クロス・ウィング》の風鳴翼様ですか!?」

 

「そうだけど…」

 

「やはりそうでしたかッ‼」

 

俺の答えを聞くと物凄く嬉しそうな顔をした。

 

「私、大ファンなんですの‼サインを頂けませんか!?」

 

「あ~そういう事ね。」

 

やっぱり悪魔側でも人気が出てきているんだな。

 

「それなら、もう少し待った方がいいよ?」

 

「何故ですか?」

 

「《戦車》の戦いになったら分かるよ。」

 

「はぁ…分かりました。翼様のソロ曲が聞けただけでも嬉しいのですから‼」

 

「レイヴェル様、こちらでしたか。」

 

彼女の後ろに半分だけ仮面を着けた女性がいた。

 

「あら、イザベラ。」

 

「そろそろお戻りください。」

 

「分かりましたわ。」

 

「人間……龍見だったか?すまなかった。」

 

「構わないですよ。」

 

「そうですわ‼イザベラが出場する時にサインを後にした理由を教えてもらえますか?《戦車》では彼女が強いですから‼」

 

「分かりました。」

 

「頼みますわよ‼」

 

そう言って戻っていった。

 

《戦車》戦の時にマリアに頑張って貰うか。

 

そう思いながら席に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスside

 

やっとこさアタシの出番か‼

 

軽く肩を回したりして体を暖める。

 

「ほな、始めましょうか?」

 

相手は周囲に炎の玉を幾つも浮かべていた。

 

「へッ‼後で吠え面かくんじゃねぇぞッ‼」

 

首にかけている水晶体を手に取り、

 

「Killiter ichaival tron」

 

聖詠を唱え、シンフォギアを纏う。

 

「随分と派手な格好やなぁ。」

 

「お前が言うなッ‼」

 

十二単とかそっちが派手だろうが‼

 

『それでは試合開始。』

 

魔王の合図があり、試合が始まった。

 

「挨拶は無用でいくぞ‼」

 

アタシは両手に2連ガトリング砲を装備して撃ち出した。

 

《Billion maiden》

 

弾丸は周囲の火球を巻き込みながら、相手に命中して爆発を起こし煙が周囲を覆った。

 

「なんだ?口ほどにもねぇな。」

 

「残念やけど…」

 

「な!?」

 

煙が晴れるとそこには無傷で相手が立っていた。

 

「あれだけの爆風の中でも無傷かよ!?」

 

「私は“結界”を作るのが得意なの。」

 

そういう事か‼

 

よく見るとドーム型の結界が彼女を包み込んでいた。

 

「随分と硬いみてぇだな…」

 

「今度はこちらの番よ。」

 

そう言って手を前に翳すと、さっきの火球が大量に出てきた。

 

「お行きなさい‼」

 

そして、こっちに飛ばしてきた。しかもご丁寧に全部追尾能力付きかよ!?

 

「ナメんじゃねぇッ‼」

 

アタシはガトリング砲をマシンガンに変えて火球を撃ち落としていく。

 

「こんくらいでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼」

 

全てを撃ち落としたら、リアアーマーから小型ミサイルを和服女目掛けて発射した。

 

《MEGA DETH PARTY》

 

その全てが着弾するも結界には揺らぎすらなかった。

 

どんな術式で組みやがったんだ!?メンドくせぇ事この上ねぇぞ‼

 

「止まってると黒焦げになりますよ?」

 

「チィッ‼」

 

新しく作られた火球が迫ってきたので、下がりながら撃ち落とす。

 

「クソッキリがねぇ‼」

 

こっちの攻撃は通らねぇし向こうは攻撃し放題とかどんなムリゲーだっての!?

 

「こんなのはどうです?」

 

その瞬間、アタシの近くに来ていた火球4つが大爆発して、炎がアタシを襲った。

 

「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

あっちいぃぃぃぃぃぃぃ!?けっこう火力あんのな!?

 

「まだくたばらないのですか?」

 

「くたばってたまっかよ‼」

 

火球が無くなっている間にミサイルを飛ばしていくが……

 

「効きませんよ。」

 

やはり結界に防がれていた。

 

「どうすりゃいいんだよ!?………………ん?こいつは…‼」

 

まさかこんな所に突破口があるとは……‼

 

ある場所を見て、アタシはようやく攻略法が分かった。

 

「だったら、後は実行するだけだッ‼」

 

 

ー推奨BGM《Bye-Bye-Lullabye》ー

 

 

シンフォギアから流れてくるメロディーを歌いながら迫ってくる火球を迎撃しつつ、ミサイルを放ち攻撃を加えていく。外れたミサイルも地面に当たり、石等を飛ばして攻撃出来るようにしたがやはり防がれていた。

 

「何度やっても無駄ですよ。」

 

「やってみなくちゃわかんねぇぜ?」

 

「なら、これでどうです?」

 

彼女の頭上には今までの10倍ぐらい大きい火球が出来ていた。

 

……お前、どっかの亀の遺伝子でも取り込んだか?

 

「だったらこっちも本気だ‼」

 

マシンガンをガトリング砲に変えてリアアーマーからは小型ミサイル、肩からはリアアーマーの一部が変形して巨大なミサイルを左右会わせて4本出てきた。

 

「全部乗せだ‼持ってきやがれぇッ‼」

 

《MEGA DETH QUARTET》

 

ガトリングで火球を撃ち落としミサイルを和服女に向かって発射する。

 

「少し遅かったですね。」

 

しかし、巨大火球は完成してしまいこっちに飛ばしてきた。

 

ヤバイ?………………んな訳ねぇよ‼

 

「狙い通りだッ‼」

 

美南風に向かっていたミサイルの軌道を火球に変えてぶつけさせると、眩い閃光と共に大音量の爆音と熱風が襲ってきた。

 

でも、これで完成だ‼

 

彼女に向かって走り出すと、爆発の炎が体を焼いてくるが我慢して突き抜け、爆発で出来た“そこ”に飛び下りて斜め前に直ぐ様ジャンプすると、ライザー眷属の女が目の前にいた。

 

「な!?どうやって結界をゴブゥッ‼」

 

驚いていた彼女を蹴り倒し、右足で腹を踏みつけた。

 

「どうやって抜けたか知りたいか?だったら教えてやる。お前の結界はドーム型に展開されるが下からの攻撃を想定してなかったから地面に展開されていなかったし、結界の縁ギリギリに着弾して穴が出来たが穴を塞ぐようにはなってなかった。つまりだ、結界の地面に穴を開けて下から入れば攻略出来んだよ。」

 

「まさか…………さっきの外したミサイルは…」

 

「このための布石さ。」

 

「そんな…………」

 

「文字通りお前の結界には穴があったって事さ。」

 

そして、左手のガトリング砲を突き付ける。

 

「ヒッ!?」

 

「喰らいな。」

 

引き金を引いて撃ちまくるが、小型のバリアを張って防いでいた。

 

「なら、根気比べだッ‼」

 

今度は両手のガトリング砲を向け、撃ちまくる。

 

「イヤ……イヤァァァァァァァァァァ‼」

 

逃げ出そうとするが、アタシが踏んでるせいで逃げることは出来ないしさせねぇよ‼

 

「どうしたどうした‼まだ始まったばかりだぜ‼」

 

イイね、イイねぇ‼サイッコ~~にハイってヤツだ‼‼

 

「リ……リザイン…………します‼」

 

『ライザー君の《僧侶》の棄権を確認。この勝負は雪音君の勝ちだ。』

 

「チッ‼これで終わりかよ‼」

 

もう少し可愛がってやろうと思ったんだけど……

 

ステージに転移した後、一誠達のいる観客席に戻ったけど……

 

「……………………………………………………………………(サッ)」

 

木場と搭城を含めた全員がアタシから遠ざかった。

 

あれ?アタシ何か変な事したか?

 

 

 

 

 




翼「見てくれて感謝する。」

クリス「そういや作者、何かまた募集するみてぇらしいな。」

作者「ああ、実はタケル以外にもう一人ライダーを出そうと思ってな。」

翼「それはスペクターの事か?」

作者「いや、ゴーストドライバーで変身するオリライダーだ。」

クリス「誰が変身するんだ?」

作者「分かる人には分かると思うが、一応女性キャラとだけ言っておこう。」

作者「ライダー名は決まっているのだが、またしてもオリ眼魂に困っているんだ…」

クリス「少しは自分で調べやがれ‼」

翼「それで募集するのは前みたいな感じでやるのか?」

作者「変身者がわかっちまうけど、《射撃》に関する英雄に限定したいんだ。」

つばクリ「あっ、誰か分かった。」

作者「ということで再びオリ眼魂を募集します。因みに武器は《ガンガンハンド》ですが、一応《ガンガンセイバー》も持っています。」

翼「タケルと同じように両方を使えるのか。」

クリス「射撃って事はアタシの後輩みたいなもんか。」

翼「何かある時は助け船を出すんだぞ?」

クリス「分かってるって‼」

作者「それでは活動報告にて新しく場所を作りますので皆様のアイディアを待っています。」

つばクリ作「「「それじゃ、次回もお楽しみに‼」」」


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戦神の二剣

今回はきりしらコンビのターンです。

上手く書けてるか少し不安です。

切歌「作者は自信無さげデスが…」

調「…見てくださると嬉しいです。」


一誠side

 

「何だよ何だよ…皆してアタシを避けやがって……」

 

「雪音先輩、僕はもう避けませんから‼」

 

どうも、イッセーっす。

 

クリスのドS行為を見て、全員がドン引きして距離を開けるようにしたら、観客席の端っこで見事な体育座りをしながら拗ねて木場が慰めています。

 

クリスって意外とメンタル弱いんだな……

 

「本当にアタシを避けない?」(涙目&上目遣い)

 

「ゴフッ‼……は、はい‼」

 

木場は鼻から赤い液体が流れるのを手で隠しながら、ケアを続けていた。

 

アーシアが木場の後ろから神器で癒そうとしてるけどそれ、神器じゃ直せないと思うから無理だよ?

 

ってかお~~い‼誰か、輸血パックを木場の所に持っていってくれ‼そんなことしてる間に流れていく赤い液体の量が半端ねぇぞ‼

 

『次の対戦する駒を決めますので、代表者はステージに上がってください。』

 

「っと呼ばれたか。」

 

「あの二人は私達が何とかするからイッセー君は行ってきて。」

 

「悪い、任せた未来。」

 

「任されました。」

 

俺はそのままステージに向かった。

 

あっ、さっきのクリスのドS行為については謝っておこう。

 

 

 

ステージに行くと既にライザーと魔王様がいた。

 

「さっきはすまなかった。俺のメンバーがやり過ぎちまったみたいで……」

 

「気にしなくていい、これぐらい戦いではよくある事だ。」

 

「それでもスマン‼」

 

「なら、その誠意で勘弁するとしよう。」

 

器が広い悪魔で助かった……グレモリーなら即魔力で攻撃してきたろうに……

 

「ではライザー君、ルーレットを回してくれ。」

 

「分かりました。」

 

ライザーが回したルーレットが指した駒は…

 

「次の対戦は《戦車》に決定だ。」

 

戦車なら、さっきの悪魔になるはず……

 

「ではこちらは雪蘭を出そう。」

 

あれ?違う奴だ。

 

「ちょっとお兄様!?戦車ならイザベラを出した方が…」

 

「悪いがレイヴェル、お前のお楽しみを優先して勝負をする気はないから、イザベラを出すのはまた後だ。」

 

「そんなぁ~…」

 

レイヴェルさんが落ち込むけど替える事はないみたいだな。

 

「よし‼切歌、君に決めた‼」

 

そう言うと俺の隣に切歌がジャンプしてきて、相手に向かってピースした。

 

「デスデス‼デース‼(ポケ◯ン風)…………って何やらせるデスか!?」

 

ピースサインを決めたままツッコンでも可愛いだけだぞ?

 

「可愛いなんて照れちゃうデスよ!」

 

「心の文を読むんじゃない。」

 

「それじゃ、二人はフィールドに転移してもらうよ。」

 

二人が転移した後、調の方を見ると俺にサムズアップしていた。

 

さっきの切歌の姿を調は写メに撮れたようだ……俺にも送ってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切歌side

 

転移した場所は先輩達が戦った所と同じでしたけと、クリス先輩による大破壊の爪痕は綺麗さっぱりなくなっていた。

 

「悪魔も技術力高いデスね。」

 

「魔王アジュカ様がこの術式を作ったそうよ?」

 

「解説どうもデス。」

 

相手の女性は既に構えていた。

 

武器がないところを見るに格闘系みたいデスね。

 

「貴女も準備しなさい。」

 

「分かったデス‼」

 

ワタシは結晶体を取り出して、

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

聖詠を唱えると、シンフォギアが装着された。

 

そして、アームドギアの鎌を構える。

 

…………ダジャレじゃないデスよ?

 

『それでは試合開始‼』

 

「ハアァァァァァァァァァッ‼」

 

開始と同時に相手の雪蘭さんが突っ込んできた。

 

まずは回避に集中して様子を見るデスかね。

 

右腕を振り上げると拳に炎を纏い、殴り掛かってきたので、柄で受け止めながら後ろに跳んで威力を殺して着地した。

 

手が燃えるって何デスか!?バ◯ニングライダ◯パンチが現実で出来るなんてスゴいデスッ‼

 

はっ!?上手くやればドラゴ◯ライダ◯キックやストラ◯クウィザ◯ドも再現出来るんじゃないデスか?

 

「羨ましいデスッ‼」

 

「いきなり何ッ!?」

 

おっとつい心の声が出ちゃったデス…

 

「それが出来たらワタシも特撮の技が使えると思っただけデスよ。」

 

「ああ、そういう事ね。」

 

特撮ヒーローの技はどれも格好いいデスから、1度は憧れるものデスよ。

 

「それはそれとして、試合を続けるわよ‼」

 

「行くデス‼」

 

肩のブースターを吹かして一気に近づいて鎌を横凪ぎに振るった。

 

「ヤァッ‼」

 

「ガフッ!?」

 

しかし、相手が少し前に出た事で間合いがずれ、カウンターの拳がワタシの体にめり込み、苦しさからその場に蹲った。

 

「むやみに突っ込んでくるなんて、お馬鹿さんのやることよ?」

 

「クッ!?セイッ‼」

 

「おっと。」

 

気力で鎌を振り、何とか距離を離した。

 

なんて威力デスか……戦車に転生してなかったら今ので終わりだったデスよ!?

 

「そう来なくっちゃね…」

 

「先輩達がカッコよく勝ったのに、自分がカッコわるく負けるなんてイヤデスから…」

 

だから、負けるものかデス‼

 

その場に立ち上がり、鎌の刃を二枚増やし雪蘭へ飛ばした。

 

「喰らうデス‼」

 

《切・呪リeッTぉ》

 

刃が左右から挟み込むのを確認したら、ワタシ自身も駆け出す。

 

前と左右からの同時攻撃‼これなら‼

 

「少しタイミングがずれてる‼」

 

でも、左右の刃は炎の両拳で打ち砕かれしまいこっちに右足を突きだしてきた。

 

「それすらも、狙い通りデス‼」

 

アームドギアを上に投げ、両手で足を捕まえる。

 

「なッ!?」

 

「ワタシだって《戦車》デスから防御に徹すれば耐えられるんデスよ‼」

 

そして、肩のブースターを刃に変える。

 

《封伐 PィNo寄ォ》

 

そのまま刃を四肢に突き刺そうとしたが、

 

「くっ!!離しなさい‼」

 

「熱ッ‼」

 

足に炎を纏わせてきて、その温度に耐えられず足を離してしまったことでかすり傷しかつけられなかった。

 

「ふぅ…なかなか大胆な事をするじゃない。」

 

「でも、かなり効いているはずデスよ?」

 

「ええ、少し動くだけでも痛みが来るわ。」

 

聖遺物に切られた事で傷から煙みたいなのが出てきている。

 

今なら、さっきみたいな動きは出来ないはず‼

 

ワタシは雪蘭に向かって走り出す。

 

「何度来ようと打ち返してあげる‼」

 

向こうも迎撃するために、腰を低くして構えた。

 

「今度は無策じゃないデス‼」

 

雪蘭から5メートル辺りで止まり、右足を後ろに振り上げる。

 

そこに先ほど投げた鎌が落ちてきたので、それを思いきり蹴り飛ばす。

 

すると、刃が砕けて破片が飛んでいく。

 

「うそッ!?キャアァァァァァァァッ‼」

 

さすがに予想外だったのか、破片をかわせずその身に受けた。

 

「どんなもんデス‼」

 

「こんなもんでぇ‼」

 

「そんな!?ガハァッ‼」

 

しかし、彼女はダメージを無視してこちらに突っ込んできて炎の飛び蹴りを放ち、決まったと思っていたワタシはそれを喰らい吹き飛ばされた。

 

「これは……予想外だった…わ……」

 

「それは…こっちも……デス。」

 

ワタシは鎌の柄を杖にして立っていて、向こうは身体中から小さいながら煙を出していた。

 

「次で終わりよ‼」

 

「臨むところデス‼」

 

 

ー推奨BGM《獄鎌 イガリマ》ー

 

 

雪蘭さんは両手両足に炎を纏い、ワタシはシンフォギアから流れるメロディーを歌いながら肩パーツを展開した。

 

「ヤァァァァァァァァァァァッ‼」

 

向こうが突っ込んで来るがワタシはまだ動かない。

 

もう少し……もう少しで……………………今デス‼

 

距離がある程度詰まった時に肩パーツからワイヤーを射出する。

 

「なッ!?」

 

近すぎたのか向こうはかわせずにぐるぐる巻きで地面に固定された。

 

「トドメデス‼」

 

ワタシは跳び上がると右足を思いきり振り上げる。

 

その時に踵から刃を出現させる。

 

後は、落下の勢いと共に相手に踵落としを決め、鎌を背中に突き立てた後、胸元を蹴って離れた。

 

「アァァァァァァァァァァッ‼」

 

悲鳴をあげながら、彼女は光に包まれ消えた。

 

『ライザー君の《戦車》1名リタイア。この勝負、暁君の勝ちだ。』

 

「やった……デス…」

 

ステージに戻った瞬間に疲労とダメージで倒れそうになったが…

 

「おっと、よく頑張ったな。」

 

イッセー先輩がワタシを抱き抱えてくれた。

 

「…イッセー先輩……ワタシ…カッコよかったデスか?」

 

「ああ、スッゲェカッコよかったよ。」

 

「なら、良かったデス…」

 

「待ってろ、皆の所まで運んでやるからな。」

 

そう言って、ワタシの背中と膝に手を通して持ち上げた…………ってコレは!?

 

「イ、イッセー先輩!?コレは恥ずかしいデスよ!?」

 

「コレが運び易かったから、我慢してくれ。」

 

いや、お姫様抱っこなんて嬉しくてしょうがないんデスけど…‼

 

「重くないデスか?」

 

「全然、むしろ軽すぎて心配なくらいだ。」

 

そう言われると悪い気はしないデスね。

 

そのまま、ワタシ達の席まで運んでもらいアーシア先輩に治療してもらった。

 

どうせなら、もう少しイッセー先輩に抱いていて欲しかったデスよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

切歌を運んだ後、響からは肘打ち、未来には足を踏まれ、調からは尻をつねられ、搭城からは鳩尾に一撃をもらった。

 

……俺が何したってんだよ…………

 

『次の対戦する駒を決めますので、代表者の方はステージに上がってください。』

 

「んじゃ行ってくる。」

 

「イッセー……鈍感過ぎるとそのうち死ぬぞ?」

 

「?分かったよ。」

 

ステージに立ち、今度は俺がルーレットを回し、選ばれた駒は、

 

「今回は《騎士》だね。それじゃメンバーを呼んでくれるかな?」

 

「シーリス、来い。」

 

「はっ。」

 

「調、頼むぞ。」

 

「…がってん。」

 

《騎士》はお互い一人しか残ってないからあいてはすぐに決まった。

 

「では、二人ともフィールドに転移するよ。」

 

魔王様の転移陣に乗った二人は光に包まれて消えた。

 

……頑張れよ、調‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調side

 

「私は相手が小娘だからとて、手は抜かない。」

 

「…むしろ、嘗めてたらそっちが切り刻まれるだけ。」

 

フィールドに転移してから、私達は既に睨み合っている。

 

先輩達と切ちゃんが勝利を掴んできた。だから私も負けられない。

 

それになにより……

 

「じーーーーーー…」

 

「?どうかしたのか?」

 

「…別に。」

 

あの人には私にはない物があった。

 

「……巨乳死すべし(ボソッ)。」

 

「いや、聞こえているからな?」

 

「…巨乳死すべし。」

 

「言い直した!?」

 

先輩達にはそうは思わないけど、他の奴等の巨乳を見ていると何だかムカついてくる。

 

「…さっさと始める。」

 

結晶を取りだし、

 

「Various shul shagana tron」

 

聖詠を唱え、シンフォギアを纏った。

 

「こうして見ると、不思議な装備だ。」

 

「…でも、貴女達には最悪の武装でもある。」

 

「ちがいない。」

 

向こうも背中に背負って大剣を抜き、構えた。

 

『それでは、試合開始‼』

 

合図とともに私はローラーを使い、後ろに下がりながらツインテールのコンテナから丸鋸を射出する。

 

《α式 百輪廻》

 

これで相手がどう動くのかをまず知る‼

 

相手は大剣を振りかぶり、一気に振るった。

 

すると、その勢いで発生した衝撃波が丸鋸を全て破壊若しくは吹き飛ばした。

 

「…力任せの相手は厄介…」

 

私のシンフォギア《シュルシャガナ》はどちらかというとスピードとテクニック寄りでパワー戦には不向きだ。

 

向こうはおそらくパワー寄りのバランスタイプだ。

 

相性はかなり悪いということは油断は出来ない、仮に一撃でも喰らってしまったらその時点で私の負けが決まる可能性もある。

 

「でも、当たらなければ‼」

 

ローラーで高速で移動しつつ、今度はコンテナを多間接アームに変え、その先端に巨大な丸鋸を装備する。

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇいッ‼」

 

「その程度‼」

 

右の丸鋸を大剣にぶつけ、左の丸鋸で胴体を両断しようとしたが、鋸と大剣がぶつかった時に、大剣によって簡単に弾き飛ばされ左の丸鋸は空振りに終わった。

 

「うそッ!?」

 

予想以上に力が強い‼やっぱり正面突破は無理か…

 

「今度はこちらからだ‼」

 

そう言うと彼女は剣を地面に叩きつけた。それによって地面の石がはね上がりそれを大剣を振るうことで発生した衝撃波で弾丸のように飛ばしてきた。

 

「くッ!?」

 

私は大きめの丸鋸を盾にすることでそれを防いだが、隙間を抜けた破片が幾つか体に当たった。

 

「なかなか応用が利くみたいだな。」

 

「…そっちこそ、面白い事をやる。」

 

パワーだけじゃなくてテクニックの能力もあるみたい……本来のやり方はパワー型みたいだけどコレは本当に厳しいかも…。

 

「…なら、こういうのはどう?」

 

ヘッドギアの付け根からヨーヨーを取り出し、顔目掛けて投げつける。

 

「こんなもの‼」

 

向こうは剣で吹き飛ばそうと振り上げる。

 

「…なんてね。」

 

そこを狙いヨーヨーを操作して相手の両腕に絡ませた。

 

「何ッ!?」

 

さらに、手元のワイヤーを近くの瓦礫に絡ませて固定した。

 

「…これなら剣は振れない‼」

 

「チィッ!?」

 

この隙に大型の鋸を展開して、相手に飛ばした。

 

《γ式 卍火車》

 

これなら防御は出来ないし回避にしても動きがかなり制限されるからダメージは確実に与えられる‼

 

しかしそれは、

 

「ハァァァァァァァァァッ‼」

 

ガゴォンッ‼

 

彼女の力に瓦礫が負けた事で右腕側が外れ、片腕で大剣を振り回して丸鋸を切り落とした。

 

「…本当に《騎士》?《戦車》じゃないの?」

 

「正真正銘の《騎士》だ。」

 

「…嘘をつくのはその胸だけにして。」

 

「どれだけ巨乳が嫌いなんだ!?」

 

「…味方以外の全て。」

 

さて、どうしようかな…

 

下手な戦術だとさっさみたいに力業で破られる。かといってこっちが力業でいっても向こうに押し負けるのは目に見えている。

 

「ぼさっとしている暇はないぞ‼」

 

「え?キャアァァァァァァァッ‼」

 

いきなり身体が宙に浮いた事に私は驚いた。

 

しまった!?まだ片方が絡み付いているのを忘れてた‼

 

そのまま近くに立っていた柱に叩きつけられた。

 

「ガハッ‼」

 

「まだまだ‼」

 

今度は対角線上の柱にぶつけようとしていたので、振り回される振りをしながら彼女に向かう瞬間にワイヤーを切り離した。

 

「うおッ!?」

 

「…喰らえ‼」

 

スケートのように空中でスピンをすると翻ったスカートが鋸に変化した。

 

《Δ式 艶殺アクセル》

 

「その程度で‼」

 

スカートで切り落とそうとしたがそれは大剣に阻まれ吹き飛ばされた。

 

やっぱり簡単にはいかないか……

 

こちらはさっきのダメージが多くて向こうはほぼ無傷……

 

「…なら、一か八かに賭ける‼」

 

 

ー推奨BGM《鏖鋸 シュルシャガナ》ー

 

 

私はローラーで一気に加速して接近する。

 

「捨て身の攻撃など‼」

 

向こうは剣をバットを振るような体勢に構えた。

 

ここから先は私の動き1つで勝敗が決まってしまう……

 

タイミングを見誤るな……‼

 

こちらが射程に入ったのか、向こうの大剣が動き始める。

 

ここだッ‼

 

私は上半身をできうる限り後ろに反らせ、イナバウアーの体勢になる。

 

そして、私の上を大剣が通りすぎて行った。

 

「んな!?」

 

私の避け方を予想出来なかったのか、彼女の動きが止まった。

 

「…決める‼」

 

相手のすぐ後ろで停止し、振り返り様に回し蹴りの体勢に入り右足を振り上げると同時にローラーを鋸にして切り裂く。

 

「うあッ!?」

 

右足の着地に合わせて次は左足の後ろ回し蹴りをする。もちろんローラーは鋸になっている。

 

「ぐはッ!?」

 

左足が地面についたらそのままの勢いをのせ、少しジャンプしながら止めの鋸による回し蹴りを胸元に喰らわせた。

 

「アガァッ!?」

 

「…必殺、私の超必殺技。」

 

コレはやっぱり言わないと。

 

相手を見ると体から煙を出している。

 

「コレほどの威力とは…」

 

「…小娘だからと嘗めたら切り刻むと言ったよ。」

 

「だが、まだ終わりじゃない‼」

 

そう言って、大剣のしっかりと構えた。

 

「…なら、終わらせる。」

 

ローラーで加速してから跳び上がる。

 

「来い‼」

 

彼女は大剣を水平に構え、防御の体勢になる。

 

「…それすらも切り落とす‼」

 

空中で1回転しながら右足のローラーを鋸に変えて、踵落としをする。

 

《θ式 剛閃脚》

 

その一撃は大剣を折り、彼女を縦に切りつけた。

 

「み……見事…」

 

その言葉を最後に彼女は光に包まれ消えた。

 

『ライザー君の《騎士》1名リタイア、この勝負月読君の勝ちだ。』

 

ステージに戻るとイッセー先輩が迎えに来てくれていた。

 

「良くやったな。」

 

「…えっへん…………イタッ!?」

 

腰を反らしたら痛みが走った。

 

「腰を強打してるのに無理に反るからだ。」

 

「…さっきは痛くなかったのに。」

 

「試合に集中し過ぎて、痛みを感じなかったみたいだな。ほらっ。」

 

そう言うと私に背中を向けてしゃがみこんだ。

 

「運んでやるから乗りな。」

 

「…じゃ、遠慮なく。」

 

私はそのまま先輩におんぶしてもらった。

 

「…どうせなら切ちゃんと同じがよかった。」

 

「それはまた今度な。」

 

「…はぁ~い。」

 

でも、こっちはこっちで先輩の温もりを感じやすいから良いかも。

 

「席に戻ったらアーシアの治療を受けて、ゆっくりしていてくれ。」

 

「…先輩の時には応援するから。」

 

「だったら、カッコいい所見せないとな。」

 

「…普段でもカッコいいけど(ボソッ)。」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「…何でもない……………………鈍感。」

 

少しは気づいてくれてもいいと思う。

 

だから、

 

「…えいっ。」

 

「うおッ!?」

 

少し強めに抱きついてもいいよね?

 

「ど、どうしたんだ!?ていうか……」

 

「…気にしないの。」

 

「お、おう?」

 

席に戻るとアーシア先輩がすぐに治療してくれた。

 

その時、搭城さんとは私の発言に共感してくれたのが理由でさらに仲良くなった。

 

後、向こうで輸血されてる木場先輩は大丈夫なのか気になったけど、クリス先輩が介抱してるみたいだから大丈夫だね。

 

試合も残り半分だし、先輩達の応援もしっかりやろう‼

 

 




作者「時間を掛けた割にはビミョーな気がするなぁ。」

調「…だったら、文才上がるように初詣の時に頼めば良かったんじゃ。」

作者「存在するか分からん者に頼めるか‼」

切歌「でも、受験生の時は神頼みしまくったって聴いてるデスよ?」

作者「人の思いは年月とともに変わっていくものなのだよ。」

作者「それでは前回しなかった次回予告といこうか。」

きりしら「「逃げた。」」



彼女は戦う力がなかった。

だからこそ、皆と共に戦いたいと願った。

彼女に与えられたのは、堅琴と電子の聖獣達。

彼女は戦場で歌を奏で、聖獣達は己が身を武器へと変えて、彼女に力を貸す。





次回《電聖獣の巫女》


エルナ「次回もコマn…」

作者「ネタバレになるから止めろォォォォォッ‼」


エルナ「ところで前回で次回予告しなかったのは何故ですか?」

作者「単に次の話のキャラが決まってなかったからです。」

作者「次回予告は作者が出来ると思った時だけにやります。」

エルナ「適当ですね……」


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電聖獣の巫女

最近、ゴーストのDX玩具を集めてる疾風の警備員です。

ベルトやガジェットはほぼ揃ったけどサングラスラッシャーが見つからねぇぇぇぇぇッ‼

あ、それと今回はエルナの戦闘回です。

元ネタ知っている人どれくらいいるんだろうか……



一誠side

 

「調ちゃんと切歌ちゃんの治療は任せてください‼」

 

「頼むな、アーシア。二人とも、しばらくは大人しくしてろよ。」

 

「「はぁ~い。」」

 

切歌達をアーシアに預けてから席に戻った。

 

幸い怪我は完全に治せるから痕にはならないそうだ。

 

席の前では響と未来、マリアとエルナで柔軟等をやっていた。

 

「あ‼イッセーお帰り‼二人の怪我は大丈夫そう?」

 

「ああ、傷も残らないってよ。」

 

「「良かった~。」」

 

「皆は準備運動か?」

 

「ええ、いつ呼ばれてもいいようにね。」

 

確かに、残りは《兵士》《僧侶》《戦車》《女王》《王》だけだ。

 

「そういえば、気になってたんだけど…エルナさんの力ってどういうのなの?」

 

「僕のですか?」

 

未来の質問にエルナが反応した。

 

そういえば俺も知らないんだよな……

 

「僕は《聖遺物》と《人工神器》のコラボといった感じですね。」

 

「《人工神器》?」

 

確か、オッチャンが研究テーマの1つとして色々と作ったりしていたな。

 

「確か、アザゼル総督が作っている物よね?」

 

「はい、ですが僕のはどちらも姉さんが作り上げた物です。」

 

「キャロルさんも作れたのか…」

 

「『旦那様の作り上げた物を妻である私が作れぬ訳がない』だそうですよ?」

 

なるほど、あの人らしいわ。

 

「ねえねえ‼どんな感じのなのか見せて!!」

 

「いいですよ……コレです。」

 

響の頼みで見せてくれた人工神器は、銃のグリップのような形に左端には何かの接続用の端子、右端はボタンになっていて中央には小型の画面に金色の円形の歯車を象ったパーツが付いていた。

 

「名前は《GEARコマンダー》と言います。コレと聖遺物を使って戦います。」

 

「どうやって使うの?」

 

「それはその時までの秘密という事で。」

 

「「ええ~っ!?」」

 

エルナにはぐらかされて、響と未来は揃って声をあげていた。

 

相変わらず仲良いなお前達……

 

『次に戦う駒を決めますので、代表者の方はステージに上がってください。』

 

「呼ばれたし、行ってくるわ。」

 

「「「「いってらっしゃ~い。」」」」

 

 

ステージに立つと魔王様が笑顔で俺を迎えてくれた。

 

「おめでとう。君のチームが5勝した結果、そちらの勝ちが決まったよ。」

 

「あれ?確かレーティングゲームでは《王》を倒した方が勝ちではないんですか?」

 

「この《イーブンデュエル》は全試合行うが王の勝ち負けは関係なく、勝ちの多い方が勝者になるんだ。王の勝負だけで決まってしまうものばかりでは戦略が単調なものになってしまうし、それだけでは楽しくないだろう?」

 

「その気持ち、分かりますよ。」

 

ゲームってのはいろんなルールがあるから楽しいんだよな。魔王様も分かってるね。

 

「ということで、龍見一誠‼お前は俺に何を望む?」

 

「は?」

 

ライザーが急に訳の分からない事を言い出した。

 

「お前達の勝ちはもう揺るがないし、この後に俺が全勝しようとも結局は引き分けだ。なら、先に5勝したお前達の勝ちという判定になるんだ。」

 

「そういう事か、何でもいいのか?」

 

「一応俺の出来る範囲内にしてくれよ?さすがに出来ない事もあるからな。」

 

じゃあ、どうしようかね……

 

「だったら、私を助けなさいッ‼」

 

いきなり聞こえた大きな声に驚いて、そちらを向くとウェディングドレスを着たグレモリーと和服を着た姫島の姿があった。

 

見ないと思ったら、フェニックス側の席にいたんだ……………………このまま見なかった事にしたいなぁ…

 

「何か言ってますよ?婿さん?」

 

「リアス、いい加減に諦めたらどうだ?」

 

「嫌よ‼アナタとは結婚しないといってるでしょ!?」

 

往生際が悪いなぁ、ゲームで負けたんだから仕方ないだろうに……

 

「そこの彼は私を助ける為にアナタと勝負して勝ったんだから、結婚は無しにして私を開放しなさい‼」

 

「俺がいつそんな事を言いました?」

 

自分勝手に人様の願いを決めつけてんじゃねぇよ。

 

「貴方は私の言うことに従っていればいいのよ‼」

 

「リアス、黙りなさい。」

 

グレモリーの叫びに魔王様が低い声で告げた言葉には、俺もフェニックスも動けなくなるくらいの威圧感があった。

 

「お、お兄様…」

 

「彼はライザー君が君との結婚式の余興の為に呼んだんだ。そして彼らは先の模擬戦での決着をつける為にこれを受けた。合っているかね龍見君?」

 

「は、はい!?仰る通りです‼」

 

威圧感ある質問につい声が裏返った。

 

「そこに、君を助ける等という考えはないはずだ。純粋に互いに戦う事だけを考えていた。それを君の勝手な考えで汚す事を私は許しはしないよ?」

 

さっきまでとはまるで迫力が違う‼これが魔王と呼ばれる悪魔の力の一端なのか!?

 

「君との会話はこれで終わりだ。後は大人しくしていなさい。で、龍見君は何を望むんだい?」

 

話が終わった途端、威圧感が消え穏和な笑顔になった。

 

「魔、魔王様‼お待ちください!?人間相手に何故褒美など!?」

 

「そうですぞ‼このような下等な輩に褒美など必要ありませぬ‼」

 

「むしろ、今すぐ処刑に……‼」

 

「はぁ………………リアスといい君達といい、これ以上私を失望させないでくれ……」

 

心底うんざりしたという態度で魔王様はぼやいた。

 

「これはライザー君が彼らに仕掛けたゲームだ。ならばこそ勝利を手にした彼に褒美を与えるのは当然だ。」

 

「し、しかし彼らの力は危険すぎます‼今後我ら悪魔に牙を向くとも限りません‼」

 

「と、彼らは言っているが君はどう思っているんだい?」

 

「俺が思っていることを言っても?」

 

「構わないよ。」

 

だったら言わせてもらいますか‼

 

「何あんたら?自分達が下等と見なしている奴が怖いのか?だったら大したことないんだな。俺は自分が強いなんて思ってないけどあんたらにだったら楽に勝てそうだわ。」

 

「なんだとッ‼」

 

「俺らは唯、楽しく暮らせればそれでいいんだよ。テメェらみてぇな上っ面だけのポンコツに興味はない。」

 

「貴様ッ‼」

 

俺の言葉にキレたのか一人の悪魔が魔力を放ってきた。

 

「させませんよ。創造(クリエイション)、Bアーマー。」

 

しかしそれは、俺の前に降りてきた大樹さんが左手に持つ盾に止められて吸収された。

 

「大樹さん!?」

 

「貴方はこの後試合が控えています、彼は僕に任せてください。」

 

それに、今は鳥の頭のように前に尖った銀と紫の鎧に肩当てにはBのマーク、左手には2つの爪が付いた逆三角形型の盾を装備していた。

 

「バ、バカな……私の攻撃が…」

 

「このようなプレゼントは受け取れませんので、お返ししますね?べムスタースパウト‼」

 

その盾を床に当てると、吸収した魔力が先程の悪魔に向かって放たれた。

 

「ギャアァァァァァァァッ‼」

 

自分の魔力を喰らった悪魔はその場に倒れた。

 

「魔王様、彼の処分はこちらでしても?」

 

「先に攻撃したのは向こうだからね、任せよう。」

 

「ありがとうございます。創造(クリエイション)、Gアーマー。」

 

そう言うと、鎧は青と銀の厚めのものに変わり、肩当てに角が付き両手には3つの爪が付いたクロー型の籠手が装備され、表面にはGのマークがあった。

 

「彼は私が遣える方の大切なご子息です、彼をつまらない理由で傷つけるのは許しません。」

 

そしてクローで相手を掴み上げた。

 

「先程のプレゼントの替わりにこちらからも送らせてもらいますね。ゴモラ振動波‼」

 

「アアアアアァァァァァァァッ‼」

 

クローから青色のエネルギーが相手に流し込まれ、相手は絶叫しながら消滅した。

 

「他の皆様もこの様になりたくなければ、ご自重してくださいね?」

 

その相手に向けた笑顔は恐怖感を煽るものだった。

 

……大樹さんは怒らせないようにしよう…

 

「さて、くだらない争いはここまでにして、ライザー君はルーレットを回してくれ。」

 

「わ、分かりました…」

 

先程の笑顔にまだ震えているのか、フェニックスはゆっくりとルーレットを回した。

 

そして、矢印が指した駒は……

 

「次は《兵士》だね。それではメンバーを呼んでくれたまえ。」

 

「エルナ、頼んだぞ‼」

 

「はい‼お任せください‼」

 

「ニィ、リィ、マリオン、ビュレント‼出番だ‼」

 

「「「「はい(にゃ)‼」」」」

 

フェニックス側のメンバーはネコミミのある女が二人とメイド服を着た女二人の四人だった。

 

……本当に個性的な奴らばかりだな……

 

「それじゃ、フィールドに転移してもらうね。」

 

転移していくエルナを見送りつつ、彼女がどう戦うのか俺は気になっていた。

 

エルナ、お前の強さを俺達に見せてくれ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルナside

 

僕は、フィールドに着いてから少し体を動かして状態を確かめた。

 

うん、少し緊張のせいで動きにくいけど思った通りに動かせますね。

 

「なんか弱そうな奴にゃ。」

 

「これなら簡単に勝てそうにゃ。」

 

……その語尾はデフォルトなんでしょうか?

 

「油断しない方がいいわよ?」

 

「嘗めて掛かるなとライザー様も言っていましたわ。」

 

そちらの二人はメイドさんなんでしょうか?片方は随分と胸元が開いていますね。

 

「だって、どう見ても弱そうにしか見えないにゃ。」

 

ほほう…………そうですかソウデスカ……‼

 

「成程ナルホド…………先程から言ってくれますが、なりを理由に本気じゃないなんて後で言い訳されるのは癪ですね……‼」

 

ちょっと頭にカチンときました…‼

 

「だったら…刮目してください‼」

 

見せてあげますよ‼僕の力を‼

 

左手を横に伸ばすと、紺色の錬成陣が現れた。

 

これは、僕限定の異空間と繋ぐものでそこから陣と同じ色の堅琴を取り出す。

 

「なんなの、それは?」

 

「見てれば分かりますよ。」

 

そして、弦を弾いて起動させる。

 

「「「「痛ッ!?」」」」

 

向こうは頭を押さえながら呻いた。

 

僕のは響さん達のとは違って形が完全に近い状態の物に電子パーツをパッチワークのように繋げて作り上げられ、装着する為に弦を弾くと相手が嫌がる音色になるようにプログラムされていて装着時の隙を少なくする能力がある。

 

今回は、聖遺物由来の聖なる力の音に悪魔の皆さんが反応して頭痛が来たみたいですね。

 

その間に僕の身体に堅琴が装着されていく。

 

ボディスーツは少し露出を抑えた物で姉さんのようなスリット等はなく、スカートも膝上くらいになっている。更に左腕にはモニターの付いた籠手が装備されていた。帽子も魔女が被るようなとんがり帽になっていて赤、青、緑、黄のアクセサリが付いていた。

 

「これが僕用に改造された、《ダウルダブラ》です‼」

 

 

ー推奨BGM《創琴 ダウルダブラ》ー

 

 

『それでは試合開始‼』

 

「行くにゃ‼」

 

「やってやるにゃ‼」

 

合図と同時にネコミミ姉妹が迫ってきて青い髪の方が飛び蹴り、赤い髪の方がスライディングをしてきた。

 

姉妹なだけあってタイミングばっちりですね……ですが‼

 

「えいやーッ‼」

 

右腕から弦を伸ばし、二人の足に絡ませた。

 

「「にゃにゃッ!?」」

 

そのまま時計回りに回って……

 

「どっせーいッ‼」

 

「「にゃーーーーーーーッ‼」」

 

ハンマー投げの要領で元いた場所まで投げ飛ばした。

 

「フッフッフッ……見かけで判断するからそうなるんです‼」

 

「そんなに調子に乗ってたら…」

 

「足下を掬いますよ‼」

 

「え?」

 

その声に気づいた時には、両足を払われ前のめりに倒れたところにメイドさん達の拳が鳩尾に叩き込まれた。

 

「ガフッ‼」

 

そのまま僕は後ろに飛ばされた。

 

「油断大敵ね‼」

 

「どうやら過大評価だったみたい。」

 

「ああ~、ビックリしました。」

 

でも、僕は無傷で立っていた。

 

「う、嘘でしょ!?」

 

「何故平気で立っていられる?」

 

メイドさん達が聞いてきますが簡単に答えは教えませんよ?

 

「3人とも、もう一度いくわよ‼」

 

「「「了解(にゃ)‼」」」

 

メイドさん達が前から、ネコミミ姉妹が左右から回り込むように攻めてくる。

 

だったら、正面のメイドさん達を左右に投げ飛ばして止めてみましょう‼

 

右手の糸を前の二人に絡ませようとしたら、

 

「実はこっちが‼」

 

「速いにゃ‼」

 

左右の二人がスピードを上げて飛び蹴りを放ってきた。

 

タイミングとしては四人同時に攻撃が来るみたいです。

 

仕方ないか……“あの子”の力を借りましょう。

 

「《ファイヤーウォール》‼」

 

左手を地面にあてると私の周囲に炎の壁が出来て、彼女達の攻撃を受け止めた。

 

「なんにゃ!?」

 

「炎の壁?」

 

「貴方まで炎を操れるの!?」

 

「これは僕の力ではありませんよ。」

 

そろそろ“皆”を出してあげましょうか。さっきから何体かが出たがっていますからね。

 

「今見せてあげますよ。《弦糸創造(ストリング・クリエイション)》 」

 

糸を使い、その場に角の生えた馬と獅子と闘牛を編み上げる。

 

「それはなんにゃ?」

 

「見た感じユニコーンとライオン、牛かしら?」

 

「糸で編んだからって動くわけないにゃ‼」

 

そう言って赤髪の猫娘さんが攻撃してこようとしていたが、

 

「ファイルロード、《ユニコーンドリル》《レオサークル》《ブルホーン》‼」

 

それぞれに青、黄、橙の光の線が私の持つGEARコマンダーから編まれた三体に向けて放たれ、そこには機械的な青い体と白い角と鬣のユニコーン、白い体と黄色の鬣を持つライオン、オレンジの体に銀色の角を持つ闘牛へと変化した。

 

「ちょ!?なにそれ!?」

 

「なにって、僕の使い魔みたいな子達ですけど?」

 

『ヒヒーンッ‼』

 

『ガオォォッ‼』

 

『ブモォォッ‼』

 

実体を得られたのが嬉しいのか三体が雄叫びをあげる。

 

「それじゃ、第2ラウンドを始めましょうか。」

 

その言葉でユニコーン達がフィールドを駆け始める。

 

ユニコーンとレオがメイドさん達、ブルがネコミミの赤髪の方を狙い、僕は残ったネコミミさんを相手にする。

 

「私1人でもやってやるにゃ‼」

 

「僕も負けませんよ‼」

 

GEARコマンダーの金色の円形パーツを回し、画面に『SP1』と表示されたら右のボタンを押しシステムを起動させる。

 

「SP1コマンド‼インストール‼」

 

それを左腕にある端子に接続すると、画面に『SP1command standing by』と表示された。

 

すると、僕の手の先に電撃を帯びた黄色の錬成陣が現れた。

 

「行っくにゃー‼」

 

彼女が拳を構えて飛び込んで来るけど、そこは僕の射程ですよ?

 

「《閃光雷神撃》‼」

 

錬成陣を相手に向けると紺色の雷が放たれ、相手を襲った。

 

「アバババババババババババババッ‼」

 

雷撃が終わると、黒こげになった彼女が転移していくのが見えた。

 

『ライザー君の《兵士》1名リタイア。』

 

「やったぁ‼」

 

まずは1人撃破です‼

 

さて、他はどうなんでしょうか?

 

ユニコーンとレオは、メイド達と一進一退の攻防をしていた。

 

ブルの方は……

 

「にゃーーーーーッ!?なんでリィばっかり追い掛けてくるにゃーッ‼」

 

『ブモォォォォォォォォォォォォォッ‼』

 

…………たぶん、その赤い髪を見て興奮してるからだと思いますよ?

 

「ビュレント‼少しだけ2体を惹き付けといて‼昇格(プロモーション)女王‼」

 

「分かった。昇格(プロモーション)女王。」

 

10分経ったからか、向こうが昇格したことで上がった身体能力を使い、こちらに接近してきた。

 

「そのアイテムさえ奪えば‼」

 

「させると思いますか?《オートプレッシャー》‼」

 

左手を相手に向けそこから橙色の波動を放ち、それに当たったメイドさんは地面に伏した。

 

「何……これ…体が…重……い…‼」

 

「《オートプレッシャー》は相手の重力を制御する能力、それであなたの周りの重力を重くしました。」

 

「そん……な…‼」

 

それにそろそろ終わらせましょうか。

 

コマンダーを操作して画面に蛇の絵を映し出し起動させる。

 

「バイパードライブ‼インストール‼」

 

それを籠手に読み込ませると、モニターに紫色の蛇が映り『 Viper drive standing by』と表示される。

 

そして右手の糸が左腕にコブラを思わせる籠手を作り出し、そこにインストールしたデータによって糸の体に機械的な装甲が出来て1つの武器になった。

 

「まだ変な使い魔持ってたの?」

 

「変とは何ですかッ‼」

 

こんなに可愛い子達なのに……‼

 

「ユニちゃん‼レオくん‼その二人もこちらに‼」

 

『ガオォォッ‼』

 

その雄叫びで怯んだ相手のビュレントさんでしたっけ?を体当たりでこちらに飛ばし、ネコミミさんのリィさんの方はユニちゃんがブルくんが追い付くよりも先に回り込み、後ろ足でこちらに蹴り飛ばした。

 

「「グハッ!?」」

 

「グエッ‼」

 

その際、先に伏していたマリオンさんでいいんだっけ?の上に落ちたのは偶然だろう。

 

「今のうちに《クロックマネージャー》‼」

 

僕は両手に大きな光弾を作り、3人に投げつけ拘束した。

 

「な、なによこれ!?」

 

「動けないにゃ…」

 

「思考は働くから運動能力を止められたのかも。」

 

この力、やっぱりチートですね。

 

「では、トドメにします‼」

 

背中に翼を思わせるハープを1対出し、それに魔力と体力を注ぎ増幅させる。

 

さらにバイパーの頭をムチのようにしながら頭上で思いっきり振り回す。

 

そこに増幅した魔力と体力を受け渡す事で、膨大なエネルギーが先端に蓄積されていく。

 

後はコレを解き放つのみ‼

 

「バイパーウィップ‼ファイナルアタック‼」

 

そしてエネルギーを纏った頭部を3人に目掛けて打ち出した。

 

「「「キャアァァァァァァァァッ‼」」」

 

直撃した3人は爆発に包まれて、消えた。

 

『ライザー君の《兵士》3名リタイア。よってこの勝負はディーンハイム君の勝利だ。』

 

「ふしゅう~~~~~~…」

 

やっぱりこの技は疲れます……。

 

ステージに戻り、ユニちゃん達をコマンダーに戻し、ダウルダブラを解除したらダルさがきて座り込んでしまった。

 

『ジュア?』

 

「あはは…大丈夫ですよ。バイパー…」

 

僕の肩には半透明のバイパーがいた。

 

僕が体を作れない時は彼らは手のひらサイズの立体映像として出てくる事が出来る。

 

『ヒヒーン?』

 

『ガオ?』

 

『ギュイ‼』

 

『ブヒ。』

 

『ブモ?』

 

「あらら……ユニちゃんにレオくん、フレちゃんとボアくんにブルくんまで…」

 

いつの間にか僕の回りにユニちゃん、レオくん、ブルくんに緑色の猪の“ガトリングボア”と赤いワイバーン型ドラゴンの“ドラゴンフレア”がいた。

 

「みんな……心配してくれてるんですか?」

 

僕の問いに彼らは頷いた。

 

「心配かけてずびばぜん…」

 

「だったら心配させないぐらい強くなったらどうだ?」

 

「え?」

 

その声の方に振り向くと、タケルさんがいた。

 

「どうしてここに…?」

 

もしかして戦い終わった僕を迎えに?

 

「イッセーから迎えに行ってくれないかって頼まれてな。」

 

「……そうですか。」

 

本人の意思じゃないのが残念ですけど、イッセーさんGJです‼

 

「ほら、立てるか?」

 

そう言って、手を差し出してきますが……

 

「実は、最後の技を使うと魔力と体力が空っぽになってしまうんで立つのも難しいですね。」

 

実際に立とうとして足に力を入れても全く動かない状態です。

 

「仕方ないな…ちょっと失礼するぞ。」

 

「ほえ?…………ってはわわッ‼」

 

タケルさんが膝と背中に手を回し、お姫さま抱っこをしてくれた。

 

「こ…これは?」

 

「さっきのイッセーがやったように運びやすいから我慢してくれや。」

 

僕としては最高なんですけど……

 

なので、両手を彼の首に回して、しっかりと抱きついた。

 

「んじゃ、少し揺れるかもだけど捕まってろよ。」

 

そして、彼と私は観客席に戻った。

 

でも、他の女性陣がニヤニヤしながら色々聞いてくるのは勘弁してください……。

 

 




というわけで、エルナの戦闘回でした。

バイパーやユニコーン達の説明は次回少しします。

ほとんど能力だけの戦闘でしたね……

まあ、元サポーターがいきなり達人級になれるわけないですから。

今回は文面が浮かばなかったので次回の題名のみです。

次回『白夜の銀腕・紫天の歪鏡』

題名には特に意味はありません。その場で適当につけてます。


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白夜の銀腕・紫天の歪鏡

遅れてしまいましたが、最新話です。

そして初めての9000字越えました。

時間を掛けた分、頑張ったつもりなので見ていってください。


タケルside

 

エルナの戦い方は俺達の想像の斜め上をいくものだった。

 

本人によると“GEARコマンダー”には幾つかの術式が予めプログラミングされていて、それをダウルダブラにインストールすることで術の発動を高速化する仕組みらしい。

 

エルナはサポート系の魔法や錬金術を得意としているが、攻撃系は苦手で発動するのに5秒掛かってしまう。これは実戦になると致命的だ。

 

それを解決するためにこの2つが作られたらしいが、そのためにはダウルダブラの性能の低下は免れなかった。

 

その欠点を補う為に生まれたのが7体のプログラム生命体、通称《データウエポン》といわれる存在だ。

 

それぞれが意思と特殊能力を持ち、エルナの戦闘のサポートとともに武器になるらしい。

 

その内の1体はエルナが危機的状況に陥らない限り、力を貸さないと言っているんだと。

 

「聞けば聞くほど、面白い存在だよな。」

 

「僕も初めは驚きましたけど、今ではこの子達は大切なパートナーです。」

 

そう言って、立体映像のバイパーウィップを撫でた。

 

ちなみに、立体映像には触れる事が可能だ。

 

「俺のガジェットとも遊んでるしな。」

 

俺の周りではレオサークルにタコセンプーキが風を送りその前で丸くなっていたり、カモメキャメラとユニコーンドリルが追い掛けっこをしていたり、ドラゴンフレアとドラゴンスピーカーが互いに睨み合ったりしていた。

 

あれか?東洋と西洋での雌雄を決めようとしてんのか?

 

と思っていたら、すぐに近づいて一緒に空を飛びだした。

 

「どうやら、互いに気に入ったみたいだな。」

 

「そうみたいですね。」

 

ま、仲が良いのは嬉しいけどな。

 

「2人共、まるで子どもの成長を見守ってる夫婦みたいだよ?」

 

そんな事を思っていたら、後ろから声を掛けられた。

 

「いきなり何だ?未来さん。」

 

「ふ、ふふふふ夫婦って!?」

 

「フフッ、違ったの?」

 

まるでイタズラが成功したような顔で、未来さん(試合後に全員から名前でいいと言われた)が俺達を見ていた。

 

「何か用か?」

 

「エルナさんに“神獣鏡”の調整を頼みたいの、今のままだと相手を殺しかねないから…」

 

「そういう事ですか、分かりましたけどいつ呼ばれるかわかりませんよ?」

 

「実は…今思い出したの…」

 

「未来さんも時々うっかりさんですよね…」

 

「面目ありません…」

 

「え?未来さんの力ってそんなに強いの?」

 

相手を殺すかもって穏やかじゃない!?

 

「性能でいえば私が一番弱いかな?」

 

「ならどういう…?」

 

「“神獣鏡”の特殊能力でいいのかな?それが人外の方達には最悪過ぎる能力なの。」

 

最悪過ぎる能力?

 

「“魔祓い”っていえば分かる?」

 

「なるほど、そういう事か。」

 

人間からみれば一部を除いた人外の奴等は魔物みたいに見えるからな……

 

「特に私はアザゼルさん達一部を除いた人外が大嫌いなの、それが私のシンフォギアに強く働いたお陰で“最強の人外殺し”になっているの。」

 

「つまり人外に攻撃が当たれば一撃で消滅するかもって事か…」

 

「だから出力を抑える処置をしてもらうの、そうすれば“人外殺し”から“能力殺し”くらいになるから。」

 

「未来さんも大変なんだな。」

 

「今までは歌わなければ気にしなくてもよかったんたけど、今回は殺してしまう可能性をなくさないといけないから。」

 

「それじゃ、俺はイッセーの所にでも行くか。」

 

「ではタケルさん、また後で。」

 

「おう、エルナも後でな。」

 

「へ~、私はさん付けでエルナさんは呼び捨てなんだ?」

 

そう言って、面白い事を発見したような顔でエルナを見ていた。

 

「べべべべべ別に深い意味はないですよッ!?」

 

「わかってるって。」

 

何かわかんないけど随分と盛り上がってるな…

 

『次の戦う駒を決めますので、代表者の方はステージに上がってください。』

 

「お‼もう次の試合が始まるのか。」

 

今度は誰が戦うのかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

ステージに上がった俺はルーレットを回し、選ばれた駒は……

 

「次の駒は《戦車》だね、それじゃ選手を呼んでもらおうか。」

 

「イザベラ‼来い‼」

 

「はっ‼」

 

向こうが呼んだのは先程レイヴェルちゃんを迎えに来た女だった。

 

「そういえばこの戦いで妹が喜ぶような事があるらしいな?」

 

「そうさ、来てくれるか?」

 

「ええ。」

 

俺の呼び掛けにマリアがローブを着たままで隣に立った。

 

「お前が私の相手か?」

 

「そうよ。」

 

「なら、そろそろ顔を見せてもらおうか?」

 

「焦らなくてもちゃんと見せるわよ。」

 

そう言って、ローブを一気に脱ぎ素顔を見せる。

 

「?その顔はどこかで…」

 

「さっきから思っていたが、お前も女の趣味が良いな?」

 

「バーカ、俺はお前と違って節操なしじゃねぇよ。」

 

「そこは否定はしないが、言われr「邪魔です‼お兄様‼‼」ホバァッ!?」

 

「ライザー様ァ!?」

 

ライザーが話していたら、いきなりレイヴェルちゃんが現れてライザーに飛び蹴りを喰らわせ、吹き飛ばした。

 

「え!?何事!?」

 

「つかぬことをお聞きしますが、[クロス・ウィング]のマリア・カデンツァヴナ・イヴ様でよろしいですか!?」

 

「え、ええ…そうだけど…?」

 

「まさかここで[クロス・ウィング]のお二人にお会いできるなんて‼わたくし、嬉しすぎてたまりま…おっと鼻血が…」

 

「大丈夫?」

 

「ええ‼問題ありませんわ‼‼今ならわたくし、希望の魔法使いに勝つことも……いえ、赤のメダルでコンボになることも出来る気がしますわ‼‼」

 

「確かにどっちも不死鳥関係してるけど…」

 

「サイン頂けませんか、握手してもらえませんか、ハグしてもらえませんか、頭撫でてくれませんか、それからそれから……」

 

「ちょっと落ち着きなさい、これから試合が始まるから、それは今日の試合が全部終わったらやってあげるから少し待っててね?」

 

「は、はい‼‼‼いくらでもお待ちしてますわ‼‼‼‼‼‼」

 

そう言って、スキップしながら席に戻っていった。

 

「元気な子だったわね。」

 

「俺、圧倒されっぱなしだったわ…」

 

予想以上の反応だったな……二人の人気はかなり凄いところまで来てるのかね?

 

「まさかこんなところで、フェニックスの能力を使うことになるとは…」

 

その声の方を向くと、ライザーが顔の一部を燃やしながら立っていた。

 

あれがフェニックス家の能力か……こっちも策を練らないとな。

 

「え~、何かごたごたしたけど二人にはフィールドに転移してもらうよ。」

 

「「はい。」」

 

二人が転移していくのを見送った後、戻ろうとしたら、

 

「ちょっと待て、龍見一誠。」

 

ライザーに呼び止められた。

 

「なんだ?」

 

「レイヴェルの言っている[クロス・ウィング]というのはいったい何をやっているんだ?」

 

「音楽活動だけど?」

 

そう言うと、少し考えるようなそぶりを見せて、

 

「なら、全試合が終わった後にライブをやってもらう事は出来るか?機材はこちらが準備しよう。」

 

「それだったら心配要らないよ、結婚式に呼ばれてそちらの余興に付き合うだけじゃ面白くないから、こちらで既に準備してある。後でそっちの許可を貰おうと思ってたんだけど…」

 

「わかった、後でこのステージを使ってくれ。」

 

「了解…………あ、それとお前は覚悟しておいた方がいいぜ?」

 

「どういう事だ?」

 

この様子だとあの時の事を忘れてるな?

 

「勝者権限なんだけど、俺達の“全力の攻撃”を喰らってもらうになったから。」

 

エルナが戦っている時に皆に相談した結果こうなった。理由については全員が納得している。

 

「は?何でそんな事に………………………あ、もしかしてあの時の言葉か?」

 

「そ、俺を含めたメンバー全員があれにかなりムカついたからお仕置きって事で。」

 

「…………了解した…一応謝罪した後でいいか?」

 

心なしか一気にやつれたな。

 

「構わないよ。」

 

「実はあの後、眷属全員に『あの発言は酷すぎる‼』と説教という名のリンチを受けてな……何故かフェニックスの回復が出来ずにボコボコにされて、回復については『乙女の怒りにそんな能力は通じない』だそうだ…」

 

「……とりあえず、ご愁傷さま?」

 

「先の件は了解した…」

 

トボトボと帰って行くライザーを見て同情しそうになったが、自業自得だと思い直して席に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

マリアside

 

なんだか久し振りに私視点になった気がするわ。

 

「それにしても私の相手が貴方だとは…」

 

「私では不服かしら?」

 

「いや、楽しくなりそうだ。レイヴェル様とライブの映像を見たときに貴方と風鳴翼の動きに戦いをする者の動きが多々あったからな。」

 

へぇ、いい目をしてるわね…

 

「そろそろ、その武装を纏ってはどうだ?」

 

「そうさせて貰うわ。」

 

首に掛けてある水晶体を取り出し、

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

聖詠を唱えてシンフォギアを纏った。

 

「お前達は聖遺物を使うそうだが、それは何の聖遺物だ?」

 

「ダーナ神族の王、ヌアザの持つ銀の義手が元になっているわ。」

 

「ケルト神話か…」

 

『それでは、試合を始めてくれ。』

 

その合図と共にお互いに駆け出し、私は左腕を彼女は右腕を振り上げて突きだし、拳が激突する。

 

「いい拳じゃない…‼」

 

「そちらもな…‼」

 

拳を離し、向こうの右足の上段蹴りを同じように上段蹴りで相殺しその反動を使って回転しながら高速の後ろ回し蹴りをするが、右腕で防がれ左腕を突き出して来るのを倒立をするように前に倒れ、左足で拳を打ち上げて回避し、一度距離を取る。

 

「何処でそんな戦闘方法を!?」

 

「あいにくと独学よ‼」

 

私達ははぐれ悪魔の討伐をやりながら実践訓練をしていたからね‼

 

「しかし、この勝負は勝たせてもらう‼」

 

向こうが再度接近してくるのを構えて待ち、突き出された拳を首を傾けてかわし、腹に拳を打ち込む。

 

「ガハッ‼だが‼」

 

「なッ!?グゥ‼」

 

しかし、伸ばした右手で私の後頭部を掴み動けなくした後、駆け出してきた勢いを乗せた頭突きを喰らわせてきた。

 

「~ッ!?無茶するわね?」

 

「『無理、無茶、無謀』は男だけの特権ではないさ。」

 

「それには同意するわ‼」

 

「グッ‼」

 

頭を掴んでいる右腕の肘間接にアッパーを当てて力が緩んだ瞬間にお腹に蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。

 

直ぐ様こちらから接近して、1m手前で跳躍し体を捻りながら延髄蹴りをするが、

 

「フンッ‼」

 

「うそ!?」

 

その一撃を頭突きで相殺された。

 

「~~~~~~ッ!?これは軽々しくやるものではないな…‼」

 

「当たり前でしょ!?下手したら逆に大ダメージを負うわよ!?」

 

「だが《戦車》の防御力なら可能だ‼」

 

後ろに着地した私の方へ振り返りながら蹴りを繰り出して来て、右の脇腹にめり込んだ。

 

「チッ‼」

 

その痛みに耐えながら、軸足を払う。

 

「しまッ!?」

 

「いただく‼」

 

倒れかけてる彼女の体に左の裏拳を決め、地面に叩きつける。

 

「カハッ‼」

 

「そろそろ終わらせましょう。」

 

「クッ‼いいだろう‼」

 

 

ー推奨BGM《銀腕 アガートラーム》ー

 

 

シンフォギアのメロディーを歌いながら、左の籠手より短剣を取り出す。

 

「まだ本気ではなかったのか!?」

 

「いいえ本気よ?ただ貴方とは拳で戦いたかったの、でも私には貴方を拳で倒せる自信がない…この剣は貴方への敬意を込めて使わせて貰うわ。」

 

「なるほど、お眼鏡には叶ったといったところか。」

 

「行くわよ‼」

 

短剣を蛇腹剣に変えて彼女へ縦横無尽に振るう。

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

「この程度で‼」

 

それを掻い潜りながら向かって来るので、剣を直ぐ様戻しながら投げつける。

 

元が聖遺物なので彼女は接近を止め回避する。

 

その間に大量の剣を出し、両手に1つずつ持ち残りを一斉に射出する。

 

《INFINITE†CRIME》

 

「クゥ‼」

 

回避先を潰すように飛ばしたので、逃げられないと判断したのかダメージ覚悟で拳と蹴りで打ち落としていた。

 

この間に私も駆け出し、逆手に握った短剣を振り降ろす。

 

「ヤアァァァァァァァッ‼」

 

「まだだ‼」

 

しかし、両手を掴まれて止められた。

 

「ハアッ‼」

 

「ガッ‼」

 

そこでがら空きの腹部に蹴りを入れ、自由になった瞬間に左手の短剣を右肩に突き刺した。

 

「アァァァァァァァァッ‼」

 

「とどめよ‼」

 

右手の短剣で左肩から袈裟斬りにし、腹部に突き刺すと彼女は光に包まれて消えた。

 

『ライザー君の《戦車》1名リタイア。この勝負はカデンツァヴナ君の勝利だ。』

 

「よし‼」

 

フィールドからステージに戻り、席についてから小さくガッツポーズをした。

 

やっぱり遅めの夕食を豪華にしたかいはあったわね‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「未来さん、調整終わりましたよ。」

 

「ありがとう、エルナさん。」

 

観客席のトイレ(他の悪魔に襲撃されないように俺達専用にされている)の帰り道で未来とエルナのやり取りを見つけた。

 

「二人とも、なにしてんだ?」

 

「あ、イッセー君。ちょっとシンフォギアの調整を頼んでたの。」

 

「ああ、未来のは人外相手だとチートだからな…」

 

「ですから僕が調整して“能力殺し”にまで抑えました。」

 

「そっか、サンキュー。」

 

シンフォギアの整備や調整はエルナとキャロルさん、オッチャンぐらいしか出来ないからな。

 

『次の戦う駒を決めますので、代表者の方はステージに上がってください。』

 

「じゃ、行ってくるわ。」

 

「「いってらっしゃ~~い。」」

 

ステージではサーゼクス様とライザーがいたけど、ライザーがさっき以上に白くなっていた。

 

「……あえて聞くけど、何があった?」

 

「……眷属にも見放されただけだ…」

 

もしかして勝者権限の事か?

 

「それじゃ龍見君、ルーレットを回してくれ。」

 

魔王様に言われ、回した結果…

 

「今回は《僧侶》だね。それじゃ、選手を呼んでもらえるかい?」

 

「レイヴェル、行けるか?」

 

「今の私に怖いものなどありませんわ‼」

 

「未来、頼んだ。」

 

「うん、任せて。」

 

「それじゃ、フィールドに転移してくれ。」

 

「「わかりました(わ)。」」

 

そして、二人はフィールドに移動していった。

 

「気を付けろよ、未来。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

「先ずはアナタ達に感謝しますわ。」

 

「何を?」

 

「アナタ達のお陰で[クロス・ウィング]の歌……それも未だに発表されていないソロの曲を聞くことが出来たのですから‼」

 

そういう事か。翼さんとマリアさん本当に人気者だよね。

 

「この後ライブできないか聞いてるそうだよ?」

 

「ホントですの!?お兄様に許可するように言っておかないと…‼」

 

「それじゃ、開始時間も近いし…」

 

私は調整してもらった“神獣鏡”を取り出し、

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

シンフォギアとして身に纏い、鉄扇を手に持つ。

 

「例え、どんな装備をしようと今の私は阿修羅すら凌駕してみせますわ‼」

 

『それでは試合開始‼』

 

その合図の瞬間に後ろにホバー移動で一気に下がる。

 

「え?」

 

それが予想外だったのか、ぽかんとした顔でその場に立っていた。

 

「ボーっとしてたらただの的だよ‼」

 

鉄扇の先を彼女へと向け、レーザーを放つ。

 

「ハッ!?ひゃあ‼」

 

寸でのところで正気に戻り、空を飛んでレーザーを回避した。

 

「あ、危なかったですわ…」

 

「何処まで避けられるかな?」

 

鉄扇の付け根を斜めに倒し、ライフルのように構える。

 

「スキャニングモード起動。」

 

さらにヘッドギアを閉じ、情報の整理をする。

 

「ミラーデバイス展開。」

 

次に丸い鏡型のビットを5つレイヴェルさんの周囲にセットする。

 

「これはいったい…?」

 

「貴方を捕らえる“鳥籠”かな?」

 

整理した情報から回避先を予測してレーザーを放つ。

 

「いっけぇ‼」

 

「そのような攻撃‼」

 

レイヴェルさんはあっさりと回避したけど、ここからだよ‼

 

「一番デバイス左15度、三番デバイス右下7度。」

 

飛ばしたデバイスの角度を変える事で外れたレーザーがミラーによって反射され、彼女の背後に直撃した。

 

「キャアッ!?」

 

《鏡宴》

 

「その中にいる限り、私の攻撃からは逃げられないよ。」

 

「ですが、このような傷すぐに…!?」

 

フェニックスの力で傷を直そうとしていたが何時まで待っても回復しなかった。

 

「な、何故回復しませんの!?」

 

「それが私の能力だからだよ。」

 

不敵に笑いながらそう告げた。

 

「どういう事ですの?」

 

「私のシンフォギアは相手の“能力”を無力化する事が可能なの。それが滅びの魔力だろうとフェニックスの回復力だろうとね。」

 

本当はもっと強い能力だけどそこまで教える必要性はないかな。

 

「でしたら‼」

 

そう言って、炎の魔力弾を撃ってくるが、

 

「甘いよ。」

 

レーザーを魔力弾に当てると炎は簡単に消滅した。

 

「そんな!?」

 

「私を倒したかったら、物理で来るしかないよ?」

 

一応鍛えてはいるんだけど、なかなか上達した感じがしない……才能ないのかな?

 

「例え、攻撃が効かなくても私はフェニックス‼この身の炎にかけて不様に負けるわけにはいきませんわ‼」

 

彼女は背中の炎の翼を勢いよく広げ、大量の炎弾を飛ばして来た。

 

この技、ピンクの鳥が進化した時の技に似てる気がする……

 

「ミラーデバイス追加、軌道計算…完了。」

 

予測された直撃コースの炎弾を新たに3枚増やした鏡で防ぎ、残りは動かなくても当たらず土煙が私の周囲を覆った。

 

これは使えるかも…‼

 

私は正面に向かってゆっくりと移動して煙の中を抜けた。

 

「例え能力の無効化しようがこれだけの攻撃を防げるわけありませんわね‼オ~ホッホッホッホブッ!?」

 

彼女が“真上”で何か叫んでいるが無視して進み、背後をとれたら反転して背中にレーザーを直撃させた。

 

「ど、どこから攻撃されましたの!?周りには“誰もいないのに”‼」

 

そんな事言っても私は貴方の後ろで何度も目が合ってるよ?

 

実際は彼女のいう通り、私の姿は誰にも見えなくなっている。

 

《逆光》

 

この技は使っている時は誰にも姿を見られることはない便利な能力だから、こういう奇襲の時は結構重宝してる。

 

音まで隠せるのが最大の強みなんだけど、ホバーで高速移動するとその風圧で場所がばれやすくなっちゃうのが難点なんだ。

 

「ここだよ、どこ見てるの?」

 

「ッ!?いつの間に後ろに‼」

 

姿を見せ、動き回りながらレーザーを撃つ。

 

「もう喰らいませんわ‼」

 

レイヴェルさんも不規則に動く事で私の計算が追い付かなくなってきて外れる回数が増えたが、デバイスで常に曲げ続けて滞空させながら動きを制限するようにする。

 

「じゃあ、終わりを始めようか。」

 

 

ー推奨BGM《歪鏡 シェンショウジン》ー

 

 

左手にもう1つの鉄扇を取り出し、2つを同時に円形に広げ大量のレーザーを発射する。

 

《閃光》

 

「なッ!?クァッ‼」

 

その数に逃げ場がなかったのか、数発が命中し、外れたものはデバイスで曲げて何度でも襲わせており、今では40近い数のレーザーが彼女の周囲を飛び回っている。

 

「厄介ですわね‼不死の力を無力化されると、こうも圧倒されるなんて!?」

 

レーザーの数も充分だし、これで決める‼

 

右手で自分の前に大きな円を描き、そこに描いたサイズの鏡が現れる。

 

「さて、問題です。」

 

「は?」

 

「私はこの鏡で何をやる気でしょうか?」

 

「いきなり何を言ってますの!?貴方の戦い方をみればそんなのは…………………………ッ‼」

 

気づいたみたいだね、だからって加減はしないけどね。

 

飛び交っていた全てのレーザーを前の鏡に向けて曲げる。因みにこの鏡は凹型になっているのでその全てが集まった瞬間に巨大なレーザー砲となりレイヴェルさんへ向けてうち放たれる。

 

《終焉》

 

「ちょ待って……キャアァァァァァァァァッ‼」

 

その光の奔流に呑み込まれた彼女は回復はせずにそのまま光に包まれて消えていった。

 

『ライザー君の《僧侶》1名リタイア、この勝負は小日向君の勝利だ。』

 

そのアナウンスと共にフィールドに戻った私はシンフォギアを解除した。

 

やっぱり情報の選択をしながら戦うのは疲れちゃうな……今度そういうサポートアイテムでも作ってもらおうっと。

 

そんな事を考えていたら……

 

「貴様は危険すぎる‼‼だから、この場で死ねぇッ‼」

 

そう叫びながら、一人の悪魔が私に魔力を放った。

 

しまった!?今の状態じゃ無効化出来ないし装着も間に合わない‼

 

直撃を確信し、目をつぶった。

 

でも、その後の感覚は痛みじゃなくて誰かに抱き抱えられる感触と、

 

『Remote!』

 

私の耳に聞き慣れた音声だった。

 

ゆっくりと目を開けたら……

 

「イッセー……君…?」

 

「無事か?未来。」

 

イッセー君が神器を出して、左腕で私を抱き締めていた。

 

「テメェ……人の仲間に何やってくれてんだッ‼」

 

攻撃してきた悪魔を睨みながらそう言うが、

 

「その女は我らにとって危険そのものだ‼だから殺して何がわ『ダイカイガン‼オレ‼オメガドライブ‼』「オゥリャァァァァァァァッ‼」ガバッ‼」

 

その悪魔が喋っている時にタケル君が変身した状態で飛び蹴りを決めた。

 

「ったく……さっき大樹さんにやられてま~だ懲りないかコイツらは。」

 

そして、手に持った剣でとどめをさそうとしたが、

 

「少し待ってくれ、彼に言わなくてはいけない事があるんだ。」

 

サーゼクス様がストップさせた。

 

「………………わかりました。」

 

渋々といった感じでタケル君が離れると、その悪魔の前にしゃがみこんだ。

 

「魔王様‼彼らは危険です‼今すぐ我々と共に奴等の抹殺を「只今をもって君の持つ爵位や財産等の全てを没収し、極刑に処する。」へっ?」

 

そのすぐ後に、サーゼクス様の魔力によってその悪魔は断末魔をあげることすら出来ずに消滅した。

 

「今後、彼らに攻撃したものは爵位や財産等を没収した上で、この私自らが刑を与える。よく理解しておいてくれ。」

 

その発言にここに来ていた悪魔の全てが恐怖していた。

 

「本当に申し訳ない、先程の彼のやり方で理解してくれたと思ったんだが考えが甘かったようだ。」

 

サーゼクス様はそう言うと、私達に頭を下げた。

 

「いえ、気にしないでください。貴方の立場の大変さはある程度分かりますので。」

 

「感謝するよ、彼に今度飲みに行かないか聞いておいてくれるかな?」

 

「分かりました。」

 

そのまま、サーゼクス様は自分の席に戻っていった。

 

『オヤスミー』「全く、バカな悪魔が多いな…。」

 

「ホントだな。」「全くだよ。」

 

変身を解いたタケル君の言葉に私とイッセー君は同意した。

 

「ところでさ…?」

 

「「なに?」」

 

「お前ら何時まで抱き合ってるわけ?」

 

「「え?………………………………あ。」」

 

今の格好に気づいた私達は直ぐ様離れた。

 

「わ、ワリィつい助けるのに夢中で……‼」

 

「う、ううん‼気にしなくていいから‼」

 

何か心臓がバクバクしてる……‼

 

「それじゃ、戻るか。」

 

そう言ってタケル君は先に戻っていった。

 

「俺達も戻るか?」

 

「そうだね。」

 

イッセー君が差し出してくれた手を繋ぎ、席まで戻った。

 

勝ったんだから、これぐらいしてもいいよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても最後の攻撃の時に聞こえたあの声……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《コロセ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただの空耳だよね……?

 




来月の仕事が忙しすぎて死にそうな作者です。

これからはなるべく早く書くつもりですが、仕事の内容によっては遅れるかも知れないので更新が無いときはブラックな職場で忙しいと思っていてください。

次回

「撃ち払う槍」

久々にあの男(ゲス)も出ます。


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撃ち払う槍

今回は響の戦闘回ですが、彼女の過去も分かります。

後、最後に超展開があります。

そういうのが大丈夫な方は見ていってください。


一誠side

 

「「「イッセー(先輩)‼未来(先輩)‼大丈夫!?」」」

 

席に戻ってきた俺達に響と調、切歌が駆け寄ってきた。

 

「うん、イッセー君が攻撃を解除してくれたから。」

 

「良かったデスよ~…」

 

「…イッセー先輩は無茶し過ぎ。」

 

「悪かったって、次からは抑えるから…」

 

「そんな事言って守った試しないでしょ?」

 

「うぐっ‼」

 

響の言葉に俺は反論できなかった。

 

「まぁまぁ…無事だったんだしいいじゃねえか。」

 

「タケル…。」

 

俺の味方はお前だけだ…‼

 

「今度イッセーに何か奢って貰うって事で手打ちにしようぜ。」

 

「だと思ったよ‼コンチキショー‼」

 

コイツ……俺の今月の小遣いが残り少ないのを知ってるくせに‼

 

「「「「さんせ~い‼」」」」

 

タケルの提案に響、未来、切歌、調の四人が賛同した……ってオイ‼

 

「何で未来もそっち側にいるんだよ!?」

 

「私だって心配したんだから別にいいでしょ?」

 

貴方を守るために無茶したんですけど!?

 

ーーチョンチョン

 

「ん?」

 

その時、腰をつつかれたので振り返ると塔城がいた。

 

「どうしたんだ、塔城?」

 

「龍見先輩、私にもお願いします。」

 

「オゥフ…」

 

……今月はアイカ⚪ミュージ⚪クアワー⚪のブルーレイ買うの諦めるしかないか……

 

『次の戦う駒を決めますので、代表者の方はステージに上がってください。』

 

「………………行ってくるわ。」

 

「「「「「いってらっしゃ~~い♪」」」」」

 

元気な声を聞きながら俺はステージに向かった。

 

 

 

 

「今度はお前が白くなってるが、どうした?」

 

「今月の破産が確定しただけだよ…」

 

「………………まぁ、頑張れ。」

 

「…うん。」

 

フェニックスとそんな会話をしていたら、

 

「次の試合なんだけど、ルーレットは回さずに女王戦にしたいんだけど、どうかな?」

 

サーゼクス様がそう仰った。

 

「王がここまで残ったんだから、王の決着は最後につけるというのは燃える展開な気がしないかい?」

 

「確かにそうですね。」

 

「俺も了解しました。」

 

「それじゃ、メンバーを呼んでくれないか?」

 

「分かりました、ユーベルーナ‼」

 

「はい‼」

 

フェニックスの方は魔導師の格好をした女だった。

 

「頼むぜ、響‼」

 

「おっ任せ~‼」

 

「では、フィールドに転移してもらおう。」

 

二人が転移するのを見送ってから席に戻った。

 

けど、さっきからする嫌な予感はなんなんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

フィールドに転移した私は念入りに準備運動を始めた。

 

「しっかりと体を動かすのね?」

 

「私の戦い方は徒手空拳の格闘タイプですから。」

 

「私達魔導師とは真逆のようね。」

 

へぇ、魔法使いか……突っ込めれば何とかなるかな?

 

「さて、体も暖まった事だし…」

 

首にかけていた水晶を手に持ち、

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

聖詠を奏で、シンフォギアを装備した。

 

「それが貴方の聖遺物なの?」

 

「はい、“ガングニール”っていいます。」

 

「ガングニール?聞いたことないわ。」

 

やっぱりそういう反応になるよね。

 

「これは北欧の神オーディンが使っている槍“グングニル”のプロトタイプなんですよ。」

 

この世界にある幾つかの伝説級武器には試作品が存在している。エクスカリバーやダインスレイブ、グングニルがその代表格だ。

 

「このガングニールはかつてオーディンが使用した物で2度目の使用時に込められた力に耐えきれず砕け散りましたが、破片にはその時の力が残っていてその1つだけでも出力ならグングニルを上回ってます。」

 

ガングニールはオーディンの力に何処まで耐えられるかの実験的な物で、安定して使える加減の査定が目的だったけど、実戦では戦況を簡単に覆す事が出来るぐらい破格の性能だったらしい。

 

そして、その研究の結果が現在のグングニルだ。

 

「それは初耳だったわ。」

 

「私もイッセーに教えてもらったんですけどね。」

 

本当はアザゼルさんだけど、ここでその名前を出すのはまずいから、気を付けないと。

 

「さて、そろそろ開始時間かしら?」

 

「ですね。」

 

『それでは試合を開始してくれ。』

 

開始の合図を聞いた私は相手に向かって駆け出した。

 

「簡単には近づかせないわよ‼」

 

相手が前に魔法陣を描くのを見て、危険に思った私は跳び上がった。

 

ドォォォォォォン‼‼‼

 

そのすぐ後に足元が爆発した。

 

「ちょ‼なに今の!?」

 

「私、爆破魔法が得意なの。」

 

何もないところでも爆破出来るって、私とは相性最悪だ!?

 

「でも、近づいちゃえば…‼」

 

「それも想定済よ。」

 

そう言って、羽を出して空中に飛び上がった。

 

「今までの戦闘を見て、アナタ達は幽霊の子以外空を飛べないのはわかっているのよ‼」

 

そして、爆破魔法を連発してきた。

 

「うひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼」

 

その攻撃から私は逃げ回っていた。

 

空から爆破魔法とかどうすればいいの!?……………あ。

 

「そうだよ‼忘れてた‼」

 

そうと決まれば‼

 

私は相手の方を向いて、跳び上がった。

 

「空の上では避けられまい‼」

 

魔法陣を描き、爆破しようとしてくるが、

 

「チョイさぁッ‼」

 

右足のバンカーを使い、空中を“蹴って”回避した。

 

「なッ!?」

 

「喰らえぇッ‼」

 

その一瞬の隙をついて殴ろうとしたら…

 

《コロセ》

 

「ッ!?」

 

頭の中で不気味な声が聞こえた。

 

「隙ありよ‼」

 

「しま!?キャアァァァァァァァァッ‼」

 

その声に気を取られた瞬間に、爆破魔法が私を襲い墜落した。

 

そのまま、私は頭を抱えた。

 

「グ……‼なに?今の声…?」

 

初めて聞いたのに聞き覚えが私にはあった。

 

でもどこで?

 

《コロセコロセ》

 

「!?やめて……聞きたくない…‼」

 

《コロセコロセコロセ》

 

そうだ……この声は確か“研究所”にいた時に……

 

「やめて…やめてぇ…‼」

 

《コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ》

 

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺達が戦闘を見ていたら響が急に頭を抱えながら叫び出した。

 

「立花‼」

 

「アレは‼」

 

「響先輩!?」

 

「いったいどうしたんデスか!?」

 

「あの子に何が起きているの?」

 

「何かに魘されている?」

 

「いったい何でしょうか?」

 

「アーシアさんは回復の準備を‼」

 

「は、ハイ‼」

 

マリア達は響の様子を見て動揺していた。

 

「イッセー君‼あれってもしかして!?」

 

「ああ、間違いない…‼」

 

俺は直ぐ様魔王様に通信を繋げた。

 

『龍見君かい?丁度よかった、彼女はどうしたんだい?』

 

「説明は後でします‼今すぐ試合を中止にして俺をフィールドに送ってください‼」

 

『…何やら複雑な事情の様だけど、1度試合が始まったら乱入を防ぐ為に強固な結界が張られて誰も入る事が出来ないんだ。』

 

「だったら、通信だけでも繋げられませんか!?」

 

『それなら、私にも聞こえるようにしてくれれば問題ない。今すぐ手配しよう。』

 

「お願いします‼」

 

頼む響、もう少し頑張ってくれ……‼

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「ここは…何処……?」

 

今まで私はバトルフィールドにいたのに、気がつけば白い部屋にいた。

 

頭も何だかポーっとしている。

 

この部屋は……そうだ、“私達”がいた研究所の部屋だ。

 

その部屋を見回していると、一人の女の子がいて、その子と目が合ったらこちらに近づいてきた。

 

その子から色々と聞こうと思っていたら…

 

グシャアッ‼

 

「え?」

 

私の右手が女の子の顔を殴り飛ばし、奥の壁に激突して動かなくなった。

 

「なんで…!?体が勝手に……‼」

 

その瞬間、白かった部屋が赤黒く変わり周囲を見たら……

 

「ヒッ‼」

 

血まみれの子どもがたくさんいた。

 

「何なの…?これ?」

 

そこで何気なく手を見たら…

 

「うわぁッ‼」

 

両手が真っ赤な血で染まっていて、指先からは血が滴り落ちていた。

 

「なんで…?」

 

『これはオマエがやったんだよ。』

 

「ッ!?」

 

突然後ろから声が聞こえ、振り返ったら……

 

「え?…………私?」

 

自分にそっくりな……違う、もう一人の私がいた。

 

『ひさしぶりだね、ワタシ。』

 

「ひさしぶり?」

 

『やっぱり覚えてないか……ま、いいや。』

 

なんなのコイツは……

 

『簡単に言えば、オマエの姿を借りてるんだよ。』

 

「私の姿を…?」

 

『で、オマエに相談があるんだけど…』

 

「相談?」

 

私が聞き返した瞬間に、もう一人の私が顔のすぐそばまで近づいてきて……

 

『オマエの体、ワタシにちょうだい♪』

 

そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「まだ繋がりませんか!?」

 

『もう少し待ってくれ。』

 

響の方を見ると、体を黒いオーラが包み込もうとしていて目が赤く輝いていた。

 

『ア…………アガッ……‼』

 

まだ諦めるな‼響‼

 

『よし、繋がったよ。』

 

「ありがとうございます‼」

 

目の前に浮かんだ通信用魔法陣に向かって、

 

「何時まで寝ぼけてやがんだ‼‼とっとと起きやがれバカ響‼‼‼」

 

全力で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「私の体を?」

 

『そうさ、ワタシは体がないからどんな感じなのか知りたいんだ。換わりに今聞こえている“雑音”を止めてあげるよ。』

 

あの声が聞こえなくなるんだったら……

 

ーー何時まで寝ぼけてやがんだ‼‼とっとと起きやがれバカ響‼‼‼ーー

 

「バカはひどくない!?成績は同じくらいでしょ‼‼」

 

『あっ』

 

「あれ?何で私こんな所に……って私のそっくりさん!?」

 

イッセーの声が聞こえたら、頭が何かスッキリした。

 

『もう正気に戻っちゃったんだ……ま、今回は“挨拶”程度だし焦る事もないか。』

 

「ちょっと‼貴方はいったい……?」

 

『覚えておいてね?ワタシはオマエのすぐ傍にいるから。』

 

「え?」

 

そんな言葉を残して彼女は消えていき、部屋も壊れるとフィールドに戻ってきていた。

 

「戻ってこれた?」

 

『戻ってこれた…じゃな~~いッ‼‼‼‼‼』

 

「ギャアァァァァァッ‼耳が‼耳が~!?」

 

いきなり大音量の声が耳から聞こえ、キ~~ンとした。

 

『無事か!?立花‼』

 

『くたばってねぇだろうな!?』

 

『…頭さらにおかしくなってない!?』

 

『常識は覚えられそうデスか!?』

 

『体に何か異常は感じない?』

 

『ご飯食べられそう?』

 

皆の声が聞こえてくるって事は戻ってこれたんだなぁ……

 

「とりあえず調ちゃん、切歌ちゃん、後で覚えといてね…‼」

 

二人が私をどう見ているのかよ~~くわかったよ…‼

 

『『ハヒィッ!?』』

 

『一応無事みたいだな。』

 

「うん、イッセーの声が聞こえたお陰だよ。」

 

あの声が聞こえなかったら、どうなっていたことか……内容には文句を言いたいけど。

 

『それは何よりだ。』

 

『割り込み失礼するよ。』

 

イッセーと話していたらサーゼクス様が通信に入ってきた。

 

『立花君に聞きたいのだが、試合の方はどうする?龍見君からはこの試合は中止にしたいと言われたが…。』

 

そんなのは決まってる‼

 

「やりますよ‼」

 

あの不気味な声も聞こえなくなってるし問題なし‼

 

『と、本人は言っているがどうだい?龍見君?』

 

『俺としては止めてもらいたいんだが、こうと決めたら止まらないのは分かってる……やれるんだな?』

 

「もう大丈夫だよ。」

 

『わかった…勝ってこい‼』

 

「うん‼」

 

『それでは、試合を続行する‼』

 

それを聞いて、私が構えると…

 

「本当に大丈夫なの?」

 

ユーベルーナさんが心配そうに声を掛けてくれた。

 

「大丈夫ですから、思いっきりやりましょう‼」

 

「なら、遠慮なくいかせてもらうわ‼」

 

 

ー推奨BGM《正義を信じて、握り締めて》ー

 

 

そう言った瞬間、私が立っている場所が爆発した。

 

「これなら…‼」

 

この程度で‼

 

「ウオォォォォォォォォォォォッ‼」

 

腰のブースターを吹かしながら、爆煙の中から飛び出した。

 

「そんな…ダメージがない!?」

 

実際は結構痛かったです……。

 

でも、それを我慢しつつ一気に近づいて拳を振るう。

 

「甘いわ‼」

 

向こうもシールドを張り、防御しようとする。

 

「そんなもんにィッ‼」

 

それすら砕いて倒す‼

 

そのままシールドを殴ったら、

 

ドォォォォォォン‼

 

「キャアッ‼」

 

目の前で爆発が起きた。

 

「カウンター用の爆破シールド……覚えてて良かったわ。」

 

確かに驚いたけど…‼

 

「負けるかァ‼」

 

「え!?……ガフッ‼」

 

目の前の爆煙から飛び出し、彼女を地面に向けて殴り飛ばした。

 

そして、着地と同時に一気に接近する。

 

「クゥ…‼」

 

咄嗟にシールドを展開されたのを見て、右腕の籠手を後ろに伸ばしてから殴り、籠手が戻った瞬間に強力な衝撃が撃ち込まれ、シールドを易々と砕いた。

 

よかった~‼今回は爆破シールドじゃなかった‼

 

「バカな…」

 

「知ってますか?」

 

「何を!?」

 

「太陽って必ず昇るんですよ?」

 

そう言って吹き飛ばない程度の威力でお腹を殴り、前のめりになった瞬間に右足を振り上げて顎を蹴り、バンカーの衝撃を加えて上空にまっすぐ飛ばした。

 

《日昇》

 

吹き飛んだのを確認したら右足を振り降ろし、その勢いと両足のバンカーの衝撃で飛ばした彼女より速いスピードで空へ跳び上がる。

 

「そして、太陽は必ず沈む。」

 

彼女に追い付いてからそう言い、ブースターで前転しながら左足の踵落としをバンカー付きで喰らわせ、速度そのままに今度は落下させた。

 

《落日》

 

「トドメだッ‼」

 

空中を蹴り、ブースターで加速しながら落下しつつニードロップの体勢になり、突っ込んだ。

 

「爆砕重落下‼‼」

 

「ガバァァァァァァァッ‼」

 

地面に叩きつけられてた彼女は避けられずに直撃し、両足のバンカーの衝撃を加えた事で直径10メートル位のクレーターが出来た。

 

私はユーベルーナさんから飛び降りて、振り返りながら胸の前で右掌に左拳を当てた。

 

後ろで彼女は光に包まれて消えていった。

 

『ライザー君の女王リタイア、この勝負は立花君の勝利だ。』

 

「やった‼」

 

私はステージに転移したら皆の所に走った。

 

「みんな~~~~‼「「セイッ‼」」アビュルッ!?」

 

席に戻ってイッセーの胸に飛び込もうとしたら、イッセーとクリスちゃんのチョップで撃墜された。

 

「なぜ……どうして……?」

 

「どんだけ心配したと思ってんだッ‼」

 

「そしてその無駄に明るい笑顔にムカついたッ‼」

 

「クリスちゃん、それ理不j「ああ?」いえ、何でもないです…」

 

今逆らったら殺される…‼

 

「まあ、無事だったから良かったけどな。」

 

「ゴメン、私も何でああなったのか分からないんだ、不気味な声が聞こえたくらいで。」

 

「声…?」

 

「うん、コロセって…」

 

「ッ!?」

 

私が話していたら、未来が動揺し始めた。

 

「どうしたんだ、未来?」

 

「その声……私も戦っているときに聞こえたの…」

 

「本当!?」

 

「うん…」

 

まさか未来までああなる可能性があるってこと……!?

 

それだけは絶対に止めないと‼

 

「と、ところで響先輩……!?」

 

「離してく、くれないデスか…!?」

 

「なんのことかな……?」

 

因みに、調ちゃんと切歌ちゃんは只今アイアンクローをしつつ、持ち上げています。

 

「ゴ、ゴメンナサイ…‼」

 

「もうい、言わないデスから…‼」

 

「ダ~メ♪」

 

「「アギャアァァァァァァァッ!?」」

 

『これより最終戦を始めます。代表者はステージに上がってください。』

 

「お?呼ばれたから行ってくるよ。」

 

そう言って、イッセーが立ち上がった。

 

「頑張ってね‼」

 

「気を付けるんだぞ。」

 

「気張ってこい‼」

 

「貴方なら出来るわ。」

 

「命、燃やしていけ‼」

 

「応援してます。」

 

「頑張ってください。」

 

「気を付けてね?」

 

皆の応援を受けながら、彼はステージに向かっていった。

 

え?席にいる人の数と応援の数が合わない?大樹さんはライブの準備を始めてるし、木場君は輸血中だし、調ちゃんと切歌ちゃんは力なく手足を宙にぶら下げてるけど何か?

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「待っていたぞ、この時を‼」

 

「俺もだ‼」

 

ステージに立った俺とフェニックスは互いに睨み合った。

 

全員が勝利してきたのに王の俺が負けるなんてみっともない事してたまるか‼

 

「二人とも、準備は良いかい?」

 

「「当然ッ‼」」

 

「では、フィールドへ転「ちょ~っと待った‼」ん?」

 

これから転移するっていうところで聞き慣れた、でも聞きたくない声がした。

 

「その勝負、僕も混ぜてもらうよ?」

 

「お前は……リアスの兵士の…」

 

「何でお前がいんだよ……宗二。」

 

入口を見れば宗二がなぜか堂々とした格好で立っていた。

 

「そんなの僕がいないと物語が進まないからに決まってるだろ?」

 

「物語だあ?」

 

テメェの人生は脚本でもあんのか?

 

「さあライザー・フェニックス‼僕と勝負しろ‼」

 

「断る。」

 

宗二の宣戦布告をフェニックスは即答で却下した。

 

「な!?何でだよ‼」

 

「俺はこれからそこの龍見一誠と戦うんだ。貴様に構っている暇はない。」

 

「そんな奴なんかほっといて僕と戦え‼」

 

「なぜ貴様の命令を聞く必要がある?これ以上俺の余興の邪魔をするな。」

 

そう言って転移陣に歩いていったので俺も転移陣に入る。

 

「それじゃ、転移するよ。」

 

「おい‼待てよ‼」

 

駆け寄ってくる宗二を無視してフィールドに転移した。

 

「これでうるさいのから離れ「誰がうるさいって?」マジかよ?」

 

フィールドには俺とフェニックスだけだと思ったら宗二も転移してきていた。

 

「よく間に合ったな?」

 

「僕に出来ない事はないのさ‼」

 

あ~はいはい、天才天才(笑)

 

「どうする、フェニックスさん?」

 

「こうなったら、バトルロイヤルにするか?」

 

「じゃあ先に宗二から倒そう。」

 

「良いだろう。」

 

それじゃ、準備を……

 

『ふぅ、ようやく終わりました。』

 

「お、メイル。調整が終わったのか?」

 

『はい、これでリスク無しでの通常使用は可能です。ですが、例の機能については負担をほんの少し減らせただけですので使うときは注意してください。』

 

「了解。」

 

宗二は黒い龍の鎧を纏い、フェニックスは炎の翼を出して戦闘体勢に入った。

 

なら、俺達も行くか‼

 

解放龍の剣(リモート・エッジ)を手に持ち、刀身に“赤い結晶”を浮かび上がらせる。

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響のとは似ているが違う聖詠を唱える。

 

それによって、俺の体は金色の光に包まれる。

 

それがやむと、響と同じ籠手に爪と水色の宝玉が付いたグローブを装備し、足先が三つ爪になった金色の脚甲、肩には宝玉の付いた六角形の盾、胸には大きい宝玉が付いた装甲を纏い、背中には外が白で内が赤のマントを翻し、頭には2本のアンテナが付いたヘッドギアを装備した俺がいた。

 

さらに両手を前で組むと籠手が外れ、合体するとそれが変形していき金の穂先に中央に宝玉がセットされた1本の槍になった。

 

「それがお前の力か…」

 

「何だよ!?その姿は‼」

 

「宗二……お前に説明する気はない。」

 

俺は槍を宗二に向け、

 

「さあ、ライブを始めようぜ‼」

 

 

ー推奨BGM《勇槍 ガングニール》ー

 

 

 




ヤベェ、賛否両論になりそうな展開になってしまった……

でも、やっていくしかない‼

次回「命を賭けた修羅の道」

「今命名、この技の名は……《絶唱修羅》‼」



次回も楽しんでもらえるように頑張ります。


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命を賭けた修羅の道

フェニックス編の戦闘シーン最後の勝負です。

ようやくこの章の終わりが見えた…………

一誠「それじゃ、見ていってくれ‼」



響side

 

「あれって……‼」

 

イッセーが身に纏った物を見て、私は驚いた。

 

「私と同じ「ガングニールだとぉッ‼‼‼」うひゃあッ‼」

 

いきなりタケル君が叫んだので危うく椅子から落ちそうになった。

 

「びっくりしたぁ~‼」

 

「いきなりどうしたんですか?」

 

「いや、これを言わないといけない気がして…………(ビシィ)痛ァ‼」

 

タケル君の答えにクリスちゃんが脳天にチョップを決めた。

 

「驚かすんじゃねぇ!?」

 

「スンマセン…」

 

「しかし、一誠の新しい力がガングニールとは…」

 

「ワタシ達を驚かす為にわざわざ結界の中で訓練していたのかしら?アザゼル総督らしいわね。」

 

皆の声を聞きつつ、私は首から下がっている結晶を握り締めた。

 

「お願いガングニール……イッセーを守って……‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「さあ、ライブを始めようぜ‼」

 

 

ー推奨BGM《勇槍 ガングニール》ー

 

 

アームドギアの槍を構えた俺は宗二へと向かって駆け出した。

 

「お前ごときが僕に勝てるわけがないだろッ‼」

 

そう言って、魔力弾をがむしゃらに飛ばしてくる。

 

今までは難しかったけどこの力となら‼

 

『Remote!』

 

槍を振るい、直撃する魔力弾を素早く判断し霧散させながら一気に進んでいく。

 

エルナが人工神器と聖遺物のコラボなら、俺は神器と聖遺物のユニゾンだ‼

 

「ッ!?何でだ‼僕の予測ならこの攻撃で倒れるか近づけないのどちらかの筈なのに!?」

 

「よく言うだろ、男子三日会わざれば刮目せよってな‼」

 

宗二の目の前まで接近し、槍を思いっきり突き出した。

 

『Boost!』

 

ガギンッ‼

 

しかし、それは倍加した右腕の鎧で上に弾かれた。

 

「チッ‼」

 

「アハハ‼一回倍加しただけでもう力負けかよ‼やっぱ「誰がこれで終わりって言った?」んな!?」

 

『Remote!』

 

倍加した力を解除して、その場で回転しながら硬質化したマントを翻して鎧を切り裂き、槍を右脇腹に叩きつけて吹き飛ばした。

 

「クソが‼僕の鎧にキズをつ「どこを見ている?」ガアァァァァァッ‼」

 

飛ばした先ではフェニックスが作っていた巨大火炎弾を宗二に命中させた。

 

「この隙に‼」

 

槍を宗二に向け、穂先を展開して砲門を覗かせる。その中でエネルギーをチャージしていき臨界になった瞬間、巨大なビームを発射した。

 

《HORIZON∞SPEAR》

 

「ウワアァァァァァァァァッ‼」

 

ビームに飲み込まれた宗二は壁まで吹き飛ばされた。

 

「まだ続くぞ‼」

 

追い討ちを掛けるようにフェニックスは炎の翼から火炎弾を大量に飛ばしていく。

 

やっぱ沢山魔力持ってる奴はいいな……俺のガングニールはエネルギーが自動で精製されているから切れる心配はないし身体強化もされるけど、精々中級レベルまでだし俺の魔力は変わらず超少ないし……

 

「ウガアァァァァァッ‼この雑魚どもが‼」

 

「「いや、そっちが雑魚だろ?」」

 

あれだけ自信満々で来ながら簡単に押されてるじゃねぇか。

 

「龍見一誠、アイツ本当に強いのか?言葉だけのホラ吹きにしか思えないんだが…」

 

「その認識で間違いない。」

 

俺一人だとかなり厳しいけど、味方がいるなら話しは別だ。暴走していなければアイツは戦闘経験が無さすぎるし力を過信しているから、こっちの数が多いと一人に対しての対応がかなり遅くなる。

 

「俺がこのまま接近戦をやるから…」

 

「なら、こちらは遠距離から援護しよう。」

 

俺は宗二に向けて走り出し、フェニックスが火炎弾を飛ばしていく。

 

「その程度の攻撃でッ‼」

 

宗二も魔力弾を飛ばして火炎弾を相殺していくが、俺への反応がやはり遅い。簡単に接近できた俺は槍で魔力弾を出している左腕を弾く。すると相殺出来なくなった炎弾が宗二に次々と命中していく。

 

「ウアッ‼」

 

『Boost!』

 

「セイヤッ‼」

 

『Remote!』

 

その怯んだところに俺は槍を振るったり突いたりして、ダメージを与えつつ倍加した力を解除していった。

 

「クゥ!?卑怯だぞ‼二人がかりなんて‼」

 

「何言ってんだ、お前?」

 

「貴様が乱入したお陰で、この勝負はバトルロイヤルになった。なら、一番面倒な相手を他と協力して倒すのも立派な作戦だ。」

 

恨み言なら、こうしてしまった自分の行動に言え‼

 

「そろそろ片付けるぞ、アイツ相手にこれ以上体力と魔力、時間を使うのは勿体なさ過ぎる。」

 

「同感だよ。なら、決めるぜ‼」

 

俺は槍をドリルのように回転させて、穂先に竜巻を作り出す。フェニックスも右手に高熱の炎を圧縮していた。

 

「ふざけんな‼終わるのはお前達だ‼」

 

そう言って、宗二の鎧に赤いラインが走り始めた。

 

暴走しようとしてるみたいだけどもう遅い‼

 

俺は槍を突き出し、竜巻を宗二へと飛ばした。

 

《LAST∞METEOR》

 

「喰らえッ‼」

 

フェニックスも高熱の炎を発射した。

 

すると、俺達の技が途中でぶつかって炎の竜巻になり宗二に襲い掛かった。

 

「な!?ウアァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

それに飲み込まれた宗二は竜巻が消えると黒焦げになっており、光に包まれて転移していった。

 

『リアスの兵士1名リタイア。それと、この件について話があるからリアスは私の元に来なさい。』

 

魔王様のアナウンスを聞いた俺達は一息ついた。

 

「まったく、面倒な事しかしねえんだから…」

 

「しかし、この状態で試合を続けるのは面白くないな……魔王様、俺と龍見一誠に《フェニックスの涙》の使用を許可してもらえませんか?」

 

『使用を許可しよう、二人とも最高の試合を頼むよ?』

 

「わかりました。ほら、受け取れ。」

 

フェニックスから投げ渡された小瓶を受け取って体にかけたり飲んだりして体を完全に回復させた。

 

「助かった……これでまだまだ戦える。」

 

「回復が終わったのなら始めるぞ。」

 

「わかった。」

 

フィールドの中央からお互いに距離をとり、構えた。

 

『それじゃ改めて、試合開始‼』

 

その合図と同時に俺は駆け出し、フェニックスは火炎弾を飛ばしてきた。

 

「これぐらいなら……突き進むッ‼」

 

『Remote!』

 

槍を振るって霧散させたり、硬質化したマントで防ぎながら一気に近づき射程に入った瞬間に槍を思いっきり突き出した。

 

「それは予想できている‼」

 

しかし、素早く後ろに下がられて避けられてしまう。

 

「まだだッ‼」

 

直ぐ様穂先から砲門を展開させて、ビームを放つ。

 

《HORIZON∞SPEAR》

 

「うおッ!?」

 

この攻撃の速さに回避が追い付かなかったのか、フェニックスの右腕がビームに飲み込まれ消えていた。

 

「よしッ‼」

 

「良い攻撃だったが…」

 

そう言うと、炎が傷口から噴出して完全に回復した。

 

やっぱりそう簡単にはいかないか……

 

「メイル、アイツの回復能力を解除出来ないのか?」

 

『どうやら、遠距離攻撃では神器の能力が発動できないみたいです。』

 

「マジかよ…」

 

なら、物理攻撃で行くしかないか……

 

『ですが、うまく接近できて回復を解除出来たとしてもそれで止めをさせなかった場合、2度目はありませんよ?』

 

「だよなぁ~…」

 

俺の能力はさっきの戦闘で知られているかもしれないし、マントで攻撃を受け止めた時の衝撃はかなりのものだった。いまの俺でもそう何回も防ぐのは正直無理だ。

 

解除できても止めをさせなかったら、今以上の攻撃が俺を襲ってくる。そうなれば万事休すだ。つまり、一撃でフェニックスを攻略しなければならない…これなんてムリゲー?

 

「どうにかして2つとも解除する方法はないものかね?」

 

「考え事をする暇は与えんぞ‼」

 

「しまッ!?グアァァァァァッ‼」

 

『主‼』

 

考えに浸っていたせいで、フェニックスの攻撃に気づくのが遅れてしまい、巨大な火炎弾をモロに喰らってしまった。

 

「クソッ…‼」

 

体はまだ動くがうまく力が入らねぇ…‼

 

「油断大敵だな?」

 

「反論できない自分にムカつくぜ…‼」

 

この間にもフェニックスは両手に炎を圧縮していた。

 

あれを喰らったら確実に負ける‼

 

負けたら俺はまた失うのか?宗二の罠に掛かって両親を失ったみたいに……

 

そんなのは嫌だ‼これ以上大切なものを無くしたくない‼

 

アイツらまでいなくなったら俺は…‼

 

「俺もフェニックスの名を背負ってるのでな……終わりだ‼」

 

両手の炎を1つにして俺に飛ばしてきた。

 

「ウオォォォォォォォォォォォッ‼どわぁッ‼」

 

痛む体に鞭打って、地面を蹴って攻撃を回避するが近くに着弾し爆発に巻き込まれて、俺は吹き飛ばされた。

 

「イッつゥ‼ハア……ハア……何とか避けれたか…」

 

「あの状態でよく回避できたな?」

 

「俺は……負けられねぇんだ…‼」

 

「なに?」

 

「これ以上大切なものを無くさない為にも……負ける訳にはいかないんだ…‼」

 

「良い覚悟だ……だが、どうやって俺を倒す?」

 

確かに対抗策は未だに分からない。強力な火炎弾に炎を纏った回復がある以上勝ち目は………………炎?

 

「これだぁッ‼」

 

『主?もしや攻略法が?』

 

「ああ、でも今の状態だと厳しいかな…」

 

万全だったらできたかも知れないが、ボロボロの状態だと失敗する方が可能性が高い……

 

「だからメイル、“アレ”やるぞ。」

 

『ッ‼いけません‼あの技は無茶を通り越して無謀が過ぎます‼』

 

「それしかないんだ……頼む。」

 

『~~~~~~~~~~ッ‼後で彼女達に怒られるのは覚悟しておいてくださいね‼』

 

「分かってるさ。」

 

こりゃ、思いっきり泣かれた後で一撃づつもらうだろうなぁ……

 

でもやるしかねぇ‼

 

立ち上がった俺は槍を天に掲げる。

 

「?何をする気だ?」

 

「切り札を使うだけさ。」

 

「だったら、正面から打ち倒してやろう‼」

 

そう言って、フェニックスは構えたまま動きを止めた。

 

使わせてくれるってか?上等ッ‼

 

俺は胸に浮かぶ歌詞を口ずさむ。

 

命を賭ける歌、《絶唱》を‼

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

「Emustolronzen fine el baral zizzl」

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

「Emustolronzen fine el zizzl」

 

歌い終わった瞬間にとてつもない力が溢れてくるのと体が軋みをあげているのが分かる。

 

「メイルッ‼」

 

『はいッ‼』

 

「『一刀修羅』‼‼」

 

更に身体中のリミッターを解除して、魔力を全力使用する。

 

それによって今まで以上の力がみなぎっていた。

 

「な、なんだ‼それは!?」

 

これか?……そうだなぁ…………よし‼

 

「今命名、この技の名は……………《絶唱修羅》‼‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

ちょッ!?イッセーなにやってんの!?

 

「絶唱と一刀修羅を同時に使うなんて!?」

 

「「絶唱?一刀修羅?」」

 

「ゴメン‼説明は後でするから‼」

 

タケル君とアーシアさんはなんの事か分かってないみたい。

 

「あのトンチキがッ‼何考えてやがる‼」

 

「無茶や無謀で片付けていい技ではないな。」

 

「幾らなんでもやりすぎデス‼」

 

「…これじゃイッセー先輩の体がもたないよ!?」

 

「戻ってきたらO☆HA☆NA☆SIが必要みたいね…‼」

 

私も戻ってきたら絶対に殴ってやる‼

 

だから、必ず帰ってきて…‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

『主の負担を考えると制限時間は15秒です。それ以上は体がもちません‼』

 

「充分だ‼」

 

 

ー推奨BGM《君ト云ウ音奏デ尽キルマデ》ー

 

 

俺は穂先を展開し、ビームを発射する。

 

《HORIZON∞SPEAR》

 

「何ッ‼」

 

それはフェニックスの足元に着弾して砂埃を巻き上げ、この間に俺は空に跳び上がった。

 

「チッ‼視界を奪うのが目的か‼」

 

そう言ってフェニックスが炎で砂埃を吹き飛ばすのが見えた。

 

わざわざ位置を教えてくれてありがとよッ‼

 

俺は手に持っていた槍を全力でフェニックスに向けて投擲する。

 

「クゥ!?」

 

しかし、それはフェニックスが作った巨大な火炎弾に止められた。

 

『残り7秒です‼』

 

「行くぜッ‼」

 

腰のブースターで加速していき槍の柄尻に跳び蹴りを決める。

 

メイルの解除能力は所有者が触れていないと発動できない。つまり、蹴りでもなんでも俺が触れてさえいれば……‼

 

『Remote!』

 

火炎弾の魔力結合を解除して壁がなくなったフェニックスへと突っ込み、脇腹を切り裂いた。

 

《COMET∞SPIKE》

 

「ウアッ‼」

 

『Remote!』

 

そのまま着地した俺は槍を支えにして立った。

 

『時間です。双方を解除します。』

 

「ッ‼ウアァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

解除された途端、身体中に激痛が走り血が沸騰するような感覚と頭に何かが這いずり廻るような不快感が俺を襲い、目からは血涙が流れている。

 

ダメだ……まだ倒れる訳には…………。

 

「見事な一撃だったぞ、龍見一誠。」

 

振り返らなくても分かる。フェニックスが平然と立っているのは……

 

でも、残念だったな。

 

「この程度の傷で俺は……!?グアァァァァァァッ‼」

 

彼の叫びを聞いて俺の考えていた事は合っていたんだと確信できた。

 

何とか首を動かして後ろを見ると、フェニックスが炎に包まれて苦しんでいた。

 

「き、貴様……いったい…何を…………した…?」

 

「……不思議だっ…た…………回復する………時……炎に…焼かれて……いるのに…………お前が…平気な………顔を………してい…たのが…」

 

それが攻略のヒントになった。

 

「だから……解除した…のさ………炎が…お前……を…傷つけ………ない…って………条件を…」

 

つまり、傷を治しながら自分の炎に焼かれて傷を負い、また炎で治して焼かれるっていう無限ループになったのさ。

 

「まさか………自分の炎に………焼かれる……日が………来るとは…」

 

そういえば調と特撮を観ていた時にこんなシーンで使えそうなセリフがあったな。確か……

 

「お前に………フィナーレは……ない……」

 

そして、フェニックスは光に包まれ消えていった。

 

『ライザー君のリタイアを確認した。この勝負、龍見一誠君の勝利だ。』

 

「へへっ…………やったぜ……………………ゴボォッ‼」

 

アナウンスを聞いた俺は、血を吐いて倒れた。

 




いかがでしたか?

やれるだけの事はやってみました。

楽しんでもらえたのなら嬉しいです。

ちなみに《HORIZON∞SPEAR》の真ん中が∞なのはガングニールの色が白だから奏ベースにしたからです。

次回『試合終わって』

では、次を楽しみにしていてください。


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試合終わって

今話は短いといったな…………あれはウソだ。

調子に乗って書いてたら、長くなりました。

フェニックス編のラストです。

ギャグ多目のシリアス一滴な感じです。

よければ見ていってください。


響side

 

あの戦いの後、ステージで倒れたイッセーを回収した私達はレイヴェルさんが用意してくれた部屋に寝かせ、アーシアさんが神器で回復してくれたお陰で峠を越え、静かに眠っている。

 

「まったく……無茶ばっかりするんだから…」

 

彼の手を握りながら、私はそう呟く。

 

さっきの勝負でイッセーが使った《絶唱修羅》は最上級レベルにまで身体を強化するが、反動が凄まじかった。回復する前に調べたら全身の骨にヒビが入っていて、臓器の幾つかも機能停止寸前になっていた。魔力も乱れまくっていて、あの場で解除した瞬間に死んでいてもおかしくなかったらしい。

 

「生きてて本当に良かった……」

 

あなたが死んだりしたら私はどうしたらいいの…?

 

あそこから助けてくれた恩もまだ返せていないのにいなくならないでよ……‼

 

「…ン……ンウ……みんな…」

 

「イッセー?」

 

寝言かな?

 

「いかないで…くれ…」

 

「ッ‼」

 

涙をうっすらと流しながらそう呟いた。

 

やっぱり、御両親や前の友達を失った事をまだ吹っ切れてないんだ……

 

「大丈夫だよ、イッセー。」

 

私は彼の手を胸元まで持っていった。

 

「私はずっとあなたの傍にいるから…」

 

絶対にあなたを独りぼっちにはさせないから…‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

「切歌ちゃん、そのスピーカーは右端に持ってって‼」

 

「了解デス‼」

 

「調ちゃんはこの配線を今のスピーカーに繋いできて‼」

 

「…わかりました‼」

 

「お~い‼この荷物はここでいいのか?!」

 

「うん‼そこに置いといて‼」

「あいよ‼」

 

私達は今、[クロス・ウィング]のライブの準備をしています。

 

普段は学校等で来れないけど、予定が無いときはこうして設営の手伝いをやってるんだ。

 

「それにしても、龍見先輩は大丈夫なんですか?」

 

「きっと大丈夫だよ。」

 

小猫ちゃんからの質問に私はそう返事した。

 

一応、響が一緒にいるから問題ないと思う。

 

私や切歌ちゃん達も残ろうかと思ったけど、沢山いたら邪魔になっちゃうから。

 

「彼は昔から無茶ばっかりするから……今回はさすがにやり過ぎだったけどね…」

 

「あの技は何なんですか?力が格段に跳ね上がったと思ったら、終わった瞬間死にそうな叫びを上げてましたけど…」

 

「お、俺も聞きたいな。あれが何だったのか。」

 

「あ、私もいいですか?」

 

「僕もいいかな?」

 

小猫ちゃんの質問にタケル君とアーシアさんと木場君も聞きに来た。

 

「あれは私達が持つ聖遺物…シンフォギアって呼んでるんだけど、それの決戦機能とイッセー君が作った技を同時使用したものだよ。」

 

「決戦機能ですか?」

 

「うん、シンフォギアには幾つかの決戦機能が備わっていて、その1つがイッセー君が使ったあの歌《絶唱》なの。」

 

「ああ、あの時イッセーが口ずさんでいたやつか。」

 

「そう、シンフォギアのエネルギーを何倍にも増幅して攻撃に転用するものなの。」

 

「凄い能力なんですね‼」

 

「そんな便利な技があるなら、始めから使えば…」

 

「それはダメッ‼」

 

タケル君の言葉につい大声を出してしまった。

 

「ど、どうしたんだよ?そんな大声…」

 

「ゴメン…でも絶唱は軽々しく使ってはいけないの。」

 

その時、小猫ちゃんが思い至ったような顔になった。

 

「あの様子から考えると反動が凄いんですね?」

 

「うん……小猫ちゃん、ドライグを呼べる?」

 

「はい、ドライグさん。」

 

『どうした?』

 

小猫ちゃんの左腕に赤龍帝の籠手が出てきた。

 

「ドライグさんに話がある人がいるんです。」

 

『どんな事だ?』

 

「少し聞きたいんですけど、倍加の回数は何回でも出来るんですよね?」

 

『ああ、所有者の容量にもよるが実質は無限だ。』

 

「では、所有者ごとの限界数はありますか?」

 

『それがなかったら所有者が死んでしまうからな。』

 

「ッ‼おいおい、もしかして絶唱ってのは…‼」

 

理解したのかタケル君の顔が驚愕の表情になる。

 

「そう、所有者の限界を無視した強化なの。聖遺物との適合率が高くないと最悪、死を招き兼ねない…」

 

「アイツ‼そんなもんを使ったのか‼」

 

「あの~、でしたら一刀修羅というのは?」

 

「それはメイルさんの能力で身体中のリミッターを解除して、魔力を全力で身体に流すことで身体強化する技だよ。」

 

「リミッターって普段から脳がつけてるやつかい?」

 

木場君の質問に私は頷いた。

 

「聞いてたら倒れてもおかしくない技同士の組合せですね。」

 

「O☆HA☆NA☆SIには俺も参加しようかね?」

 

「私も参加します。」

 

「え、えっと……わ、私も参加しても?」

 

「じゃあ皆でO☆HA☆NA☆SIしよっか?」

 

「「「了解(はい)‼」」」

 

「ゴメン龍見君、僕には止められそうもないや…」

 

イッセー君、覚悟しておいてね‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「……………………ん…………………………ここは…?」

 

俺は確か、フェニックスを倒してアナウンスを聞いた後…

 

「そういや、倒れたんだったな…」

 

絶唱修羅を使った反動があれほどになるとはな……

 

「気がついた?」

 

「響?」

 

声がした方に首を動かす(そこと手以外痛くて動かせない)と響がいて俺の手を握っていた。

 

「良かったよ、目が覚めて……アーシアさんが神器で癒してくれなかったら、本当に危なかったんだから…」

 

「ワルい……心配させちまったな…」

 

「ホントだよ…‼」

 

そう言うと、響の目から涙が零れた。

 

「全身の骨にヒビが入って臓器も機能停止しかけてるし、魔力の流れも滅茶苦茶な状態だったんだよ‼何であんな無茶したの!?私達の勝ちは決まってたのに‼」

 

泣かれながらで怒られるのってやっぱり堪えるな……

 

「負けたくなかったから………かな?」

 

「え?」

 

「俺は昔、宗二の罠に引っ掛かって沢山の大切なものを失ったんだ………だからあそこで負けたら、お前達までいなくなっちまうんじゃないかと思ったら、後先なんて考えられなくなっちまった…」

 

でも、それで泣かしてりゃ世話ねぇよな。

 

「それは私も同じだよ…」

 

「ん?」

 

同じってどういう事だ?

 

「イッセーが私や未来達を彼処から助けてくれなかったら、今頃は只の殺戮マシンになってたかも知れないし…処分って言われて殺されてたかも知れない。だから今がスッゴく楽しいの‼普通とは言い難いけど皆と……イッセーとこうやって日常が過ごせるのが楽しいんだから‼」

 

「響…」

 

「だから……いなくならないでよ…‼勝手にいなくなったりしたら許さないんだから…‼」

 

「ゴメン…」

 

そう言って俺は、手を握り返した。

 

「これからも無茶するかもしれないけど、ヨロシク頼むよ。」

 

「…バカ………無茶しないでって言ってもするくせに…」

 

さすが、よく理解してらっしゃる。

 

涙を拭いた響は椅子から立ち上がった。

 

「さて、私は今から皆の所に行こうと思うけど、イッセーはどうする?」

 

「出来れば連れていってくれないか?俺もライブは見たいからな。」

 

「じゃあ車椅子借りて来るから少し待ってて。」

 

そう言って、部屋を出ていった。

 

「そうか……俺も皆の大切な存在になってたんだな…」

 

だったら、無茶ばっかりするわけにもいかないかな?

 

『そうですよ。』

 

「メイル?」

 

いきなりメイルが話しかけてきたので少し驚いた。

 

『あの様な無茶で無謀な技は今後、私が許可するまで使わせませんので。』

 

「……了解…」

 

監視役まで出てくるとは………当分はおとなしくしているか……

 

「お待たせ‼借りてきたよ‼」

 

「悪かったな。」

 

「気にしないで、立てる………………訳ないか。」

 

「スマンが手伝ってくれ。」

 

「はいはい。」

 

俺の手を掴み、ゆっくりと起こしてくれた。

 

「体が言うこときかないのは不便だな…」

 

「ほら、後は座るだけだから。」

 

「ああ……………………(グラッ)うおッ!?」

 

「えッ?キャアッ!!」

 

ドッシ~~~ン‼

 

立った瞬間にバランスを崩した俺は、響を巻き込んで倒れてしまった。

 

「いつつ…‼響、だいじょう(フニュン)ん?」

 

何だ、この右手の柔らかい感触は?

 

気になった俺は、もう一度右手を動かしてみた。

 

ムニュ‼

 

「ひゃあッ‼」

 

「へ?」

 

響の悲鳴?を聞いて、右手のある場所を見たら………

 

「イ、イッセー……‼」

 

響の胸の上でした。

 

「ス、スマンッ‼……(ピキィ‼)アギァアッ‼」

 

慌てて離れたが、その瞬間全身から痛みが走った。

 

「うう………ッ‼」

 

彼女はしゃがみ込み顔を赤くして胸を抱き締めながら、俺を睨んでいた。

 

「ち、違うんだ‼わざとじゃッ!?」

 

「何か言うことは…‼」

 

「え、え~~と………柔らかかった「フンッ‼」ペギラァッ!?」

 

その瞬間、響の右ストレートが顔面に決まり、そこで俺の意識は途絶えた。

 

「……ばか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「後はこれを繋いでっと……よし、完了‼」

 

配線の接続を終えた俺は、未来さんがいるところに向かった。

 

「繋ぎ終わったぞ。」

 

「ありがとう、これで準備は完了だよ。」

 

ライブの設営なんて始めてだったから、なんか新鮮な気分だったぜ‼

 

「タケルさん、どうぞ。」

 

「お、サンキューエルナ。」

 

エルナから飲み物を受け取って、喉を潤した。

 

「フゥ……準備も終わったことだし、1度イッセーの様子でも見に行くか?」

 

「「「賛成(デス)‼」」」

 

後輩トリオが真っ先に手を上げた。

 

「そうだね、じゃあ行こ「お~い‼みんな~‼」へ?」

 

呼ばれた方を見たら、響さんがイッセーが乗った車椅子を押しながらやって来た。

 

「悪かったな……心配かけて…「「良かった(デス)よ~‼」」痛ダダダダダダッ‼」

 

調ちゃんと切歌ちゃんが嬉しさのあまり飛び付いたら、イッセーから悲鳴が上がった。

 

「まだ完全じゃないから、勘弁してくれ…」

 

「「ゴメンなさい…」」

 

「随分無茶したもんだな?」

 

「メイルからも簡単に使えないように監視されるしな…」

 

そりゃ、ご主人様が無茶して死ぬところなんてドラゴンでも見たくはねぇだろ。

 

「ところで、その鼻の絆創膏はどうしたんだ?さっきまではなかったけど…?」

 

「絆創膏は気にするな‼」

 

「何処の鳥の手だ、お前は。」

 

ボケれるって事は大丈夫そうだな。

 

「ライブの方はどうなってるんだ?」

 

「設営終わって開始待ちだ。」

 

「そうか………大樹さんとクリスは衣装やメイクか?」

 

「ああ。クリスさんは手伝いだとよ。」

 

「そういや塔城は?」

 

「さっき花摘みに行った。」

 

「あら?皆さまお揃いでしたの。」

 

「やあ、レイヴェル……………ちゃん?」

 

俺達は彼女の姿を見て固まってしまった。

 

「えっと……その格好はど「龍見先輩、来てたんですね。」塔城………………お前もか…」

 

花摘みから帰ってきた塔城もレイヴェルちゃんと色違いの格好になっていた。

 

「その法被とハチマキと両手に4本づつ持ってるサイリウムは何だ?」

 

「「[クロス・ウィング]応援隊の正装ですが何か?」」

 

…………ツッコむのや~めた(仮面のドライバー風)……

 

因みに塔城は青、レイヴェルちゃんは薄いピンクの色合いでそれぞれのハチマキと法被の背中には《翼命‼》《マリア命‼》と書かれている。

 

「さあ‼開始まで合いの手の練習をしましょう‼小猫さん‼」

 

「はい‼頑張りましょう‼レイヴェルさん‼」

 

………さて、エルナでも連れて食事でもしてこよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクスside

 

「なぜ呼ばれたのかは理解しているかい?リアス。」

 

私はフェニックス卿に借りた部屋にリアスと朱乃君、宗二君を呼び出した。

 

「何でなんですか!?私は…‼」

 

「私は……何なんだい?」

 

「ッ!?」

 

「今回、君達がしたことは貴族としてあるまじき事だとわかっているかい?」

 

「そんなの知ったことではありません‼この結婚だってお兄様達が「結婚だったら白紙になったよ。」は?」

 

「君の振舞いでフェニックス家に嫁に行かせるなんてグレモリー家の恥と言わざるを得ない。だから、今一度貴族の振舞いを叩き込む事になった。」

 

「それに私は宗二君に招待状は渡していないがどうやって来たんだね?」

 

「そ、それは…」

 

まあ、大方予想はついてるけどね。

 

「招待状の偽造とは、手の込んだ事をしたね…朱乃君?」

 

「……なんの事でしょう?」

 

「招待状から君の魔力が確認でき、フェニックス卿側の魔力が検知されないなら証拠にならないかい?」

 

「…あらあら。」

 

まったく、この子達は……

 

「とにかく、君達はこれからグレモリー領に行って、1から勉強し直して来なさい。断れば人間界には2度と足を踏み入れる事は許さないからそのつもりで。」

 

「それと、駒王町のこれからの管理はソーナ・シトリー君が行う事が決定したよ。」

 

「ちょっと待ってください‼裕斗と小猫はなぜこの場にいないのですか!?」

 

「あの二人は彼らと仲がいいからね、悪魔と彼らの陣営との親善を担当してもらうことにした。所属は一応君だが、レーティングゲーム以外ではもう君の眷属として扱う事は出来ないし、緊急時は彼らとの行動を優先させる。」

 

「そんな…‼」

 

「では早速、グレモリー領に行きたまえ。」

 

彼らの足元に転移陣を展開して、逃げる間も与えず転移させた。

 

後はグレイフィアに任して、僕は彼女達の歌を聞きに行こうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

『間もなく、ライブを始めます。皆さま方もう少しお待ちください。』

 

「もうすぐ始まるよ‼イッセー‼」

 

「分かったから落ち着け。」

 

まったく、子供か……

 

「随分と男前になったな?龍見一誠。」

 

その声は…‼

 

「フェニックス‼……そっちは何でミイラ男になってんだ?」

 

見た瞬間、誰だかわからなかったぞ。

 

「お前の仲間にO☆HA☆NA☆SIされたからだよ…」

 

不死鳥がミイラ男になるって……

 

「いったい何をやったんだ?」

 

俺は後ろにいる響に聞いてみると……

 

「え~と、タケル君がライダーキックを決めて吹き飛んだ処に調ちゃんと切歌ちゃんがすれ違い様に切り裂いて、マリアさんが左腕で地面に殴り飛ばしたら、エルナさんがブルホーンのファイナルアタックの水晶で空に打ち上げて、未来の巨大レーザーとクリスちゃんの一斉射撃の後、翼さんが巨大剣を当てて地面に向けて進みながら私の大型化した籠手の一撃と挟み撃ちしたくらいかな?」

 

……オーバーキルやん…

 

「死というのはこういうものかと、理解できたよ…」

 

……………………ご愁傷さま……

 

「他人事みたいに思ってるけど、イッセーも後で体験する事だからね?」

 

「オワタ\(^o^)/」

 

死ぬ前にガンダ○ブレイカ○3やりたかった……

 

『大変お待たせいたしました。これより我が陣営が誇るアイドルユニット[クロス・ウィング]のライブを始めたいと思います。』

 

大樹さんのナレーションで照明が消え、ステージにライトが当てられると、黒い着物風のドレスを着た翼と白いミニスカドレスを着たマリアが立っていた。

 

『さあ、始めるぞマリア‼我らのもうひとつの(いくさ)を‼ 』

 

『ええ‼最高のステージに見惚れさせてやりましょう‼』

 

そして、曲が流れ始めると二人はレイピアを模したマイクを構え、歌い始めた。

 

 

ー推奨BGM《不死鳥のフランメ》ー

 

 

そこからのステージは圧巻の一言だった。

 

色違いのライトが彼女達を次々と照らしだし、躍りは見る者を釘付けにし、スピーカーから伝わる声は全てを魅了していく。

 

二人が最高のステージと言うのも頷けるな…

 

「これほどの物とは、驚いたな…」

 

「だろ?」

 

「「ハイッ‼ハイッ‼ハイッ‼ハイッ‼ハイッ‼ハイッ‼ハイッ‼イエ~イッ」」

 

…………彼処でサイリウムを振りながらノリノリで踊り狂っている二人はほっとこう……

 

「っとそういえば、お前にこれを渡さないとな。」

 

そう言ってフェニックスは俺の手に小瓶を置いた。

 

「お前の身体の事は聞いている。その涙を使って早めに治して仲間を安心させてやれ。」

 

「ありがとう。」

 

といっても、身体をちょっと動かすだけで痛い俺一人だと使えないから、後で誰かに頼むか。

 

そうやって、話している間にライブが終わった。

 

「「アンコール‼アンコール‼アンコール‼アンコール‼アンコール‼」」

 

「あんなレイヴェル始めて見た…」

 

フェニックスの言葉に苦笑していたら…

 

『『『アンコール‼アンコール‼アンコール‼アンコール‼アンコール‼』』』

 

「へ?」

 

周りにいた貴族悪魔達も叫び始めた。

 

「こりゃすげぇや…」

 

『これほどの声を聞きながら…』

 

『何もしないのはあり得ないわ‼』

 

『『2曲目、いくぞ‼』』

 

 

ー推奨BGM《閃光のフリューゲル》(逆光のフリューゲル マリア&翼ver)ー

 

 

ライブの興奮は暫く続き、俺達が帰る頃には昼を過ぎていた。

 

「なかなか楽しませて貰ったぞ、龍見一誠。」

 

「こっちこそ楽しかったぜ。」

 

俺達は互いに握手した。

 

身体の方は響にフェニックスの涙をかけてもらったお陰で完全に回復できた。これから1本は常備しておこうかね?

 

『無茶をする前提で話さないでください。』

 

「わかってるよ…」

 

お前は俺の母親か?

 

『どちらかといえばしっかり者の妹がいいですね☆』

 

「どうでもいいわ。というか年上のドラゴンが妹って…」

 

『え~、ダメですか?お兄ちゃん♪』

 

うわ、今背筋がゾッとしたぞ……

 

『酷くありませんか!?』

 

魔王様も大樹さんと何か話しているけどどんな内容だろ?

 

『スルーされたッ!?』

 

「そうだ龍見君、この二人も連れていってはくれないか?」

 

そう言って、魔王様は木場と塔城の肩に手を置いた。

 

「「「へ?」」」

 

「この二人には君達と悪魔側との親善を担当してもらう事になったんだ……そちらに派遣という形でね。」

 

「ですが、僕達はグレモリー眷属ですよ?勝手に決めてしまうの「分かりました。お引き受けします。」小猫ちゃん!?」

 

「ああ、裕斗君もそれは気にしなくてもいい、リアスの元に居るよりも彼らといた方が君達も気が楽だと思うからね。」

 

「は、はい。分かりました。僕もお引き受けします。」

 

「ありがとう、悪魔の未来とかはあまり気にしないで頑張ってほしい。」

 

「「ハイ‼」」

 

「じゃあ龍見君、これからヨロシクね。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「こっちこそ、仲間になるんだから名前で構わないぜ。」

 

「わかったよ、イッセー君。」

 

「はい、イッセー先輩。」

 

それじゃ、そろそろ帰るかな。

 

転移アイテムを取り出し、地面に落として転移陣を描く。

 

「じゃ、また会おうな。」

 

「そっちもな、今度は俺が勝つ‼」

 

「抜かせ、俺の連勝だよ‼」

 

そんな挨拶をして、俺達は転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕天使領の特訓施設に……

 

「あれ?家に転移したつもりなのになぜ?」

 

俺が疑問に思っていたら、皆が俺から離れていき……

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

「Killiter ichaival tron」

 

「Various shul shagana tron」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

「禁手。」

 

『Welsh dragon balance breaker!!』

 

「変身‼」

 

『カイガン‼ニュートン‼リンゴが落下‼引き寄せまっか~‼』

 

「ボアドライブ‼インストール‼」

 

そして、皆が戦闘体勢になった。

 

「……もしかして、O☆HA☆NA☆SIタイムですか?」

 

「そうだよ♪」

 

響さん‼笑顔が恐いです!?

 

「アーシアさんはこれを使ってね。」

 

「あ、ありがとうございます‼ファラさん‼」

 

「後は、このバイクのミニカーを斧にセットして下のボタンを押せば大丈夫だから。」

 

ファラさんは信号機を模した斧をアーシアに渡してミニカーをセット、ボタンを押していた。

 

『マッテローヨ‼』

 

「あの~~、情状酌量の余地は?」

 

「あると思ってるの?」

 

「ですよねぇ~。」

 

こうなったら‼

 

「三十六計逃げるに「させねぇよ‼」うおッ!?」

 

逃げようとしたら、タケルの英雄の力で引っ張られて動けなくなった。

 

「今回はちゃんとお仕置きされとけ?」

 

「イヤだ‼俺はまだ死にたくないッ‼」

 

何か脱出に使えないか周囲を見ていたら、上にある管制室にオッチャンの姿を見つけた。

 

「オッチャン‼助けてくれッ‼」

 

俺の声が聞こえたのか、サムズアップを返してくれた。

 

良かった、これで…………

 

そして、オッチャンは下を指差した。

 

それが気になった俺は指が差した方を見ると、アーシアがいて……

 

 

 

『逝ッテイーヨ‼』

 

 

 

 

聖女から死刑宣告を受けました……

 

「許可も出た事だし…」

 

「やるか。」

 

そう言って、全員が俺に武器を向けた。

 

「弁護‼弁護のチャンスを‼」

 

「却下。」

 

俺の頼みはバッサリ切り捨てられた。

 

「メイル‼力を貸してくれ‼」

 

『ただ今、返事をすることが出来ません。ペーという音声の後にメッセージをどうぞ。』

 

「ピーじゃない!?」

 

焦りのあまり、どうでもいい事にツッコンでしまった。

 

「いつもいつも無茶ばかりして…」

 

「いい加減に…」

 

「「「「「「「「「「反省しろオォォォォォォ‼」」」」」」」」」」

 

「ギャアァァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

 

 

 

 

 

その後、全治半年と診断されフェニックスの涙のお世話になったのはいうまでもない。

 




どうでしたか?笑ってもらえたのなら幸いです。

次回は番外編になります。

次回『アーシアの使い魔ゲット大作戦』

「あなた達のお名前は?」

『オイラは/ボクは/オレッちは…』

次回もヨロシクです。


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コラボ編 異世界混合のライダー眼魂
始まりの出来事


今話からコラボ編が始まります。

今回はそのプロローグなので、か~な~り短いです。

タケル「そんじゃ、見てってくれ。」


宗二side

 

やあ、読者の諸君‼この小説のオリ主こと兵藤宗二だ‼

 

作者の奴め……‼何故今まで僕の視点をやらなかったんだ!?

 

僕の活躍を書けばお気に入り登録や感想が今の3倍以上になっていたのに、あんな出来損ないの活躍ばかり書くから増えないんだよ‼

 

それに僕が負けてばかりいる様に見えているけど、あんなのは手を抜いてわざと勝たせているに決まってるだろ?演出だよ、演出。

 

本気を出せばあんな奴は一瞬で消してやるよ‼

 

メタ発言はここまでにして……

 

「何でこうなった?」

 

僕は今、グレモリー家で貴族の振るまいや勉強、執事の真似事なんてやらされている。

 

「何処で原作と違ったんだ?アーシアは眷属にならないし、小猫ちゃんも僕じゃなくアイツの処に奪われてしまったし…」

 

他にも知らないキャラがいたけど、何でかアイツを慕ってやがる。

 

まあいい、何れは僕がアイツを殺して彼女達を僕のハーレムに加えてやろう。

 

「ソージ君、あの箱をどかして貰えませんか?」

 

「わかりました、朱乃さん。」

 

今、僕と朱乃さんは物置の整理をやらされている。部屋を綺麗にすれば心も少しは綺麗になるってさ…馬鹿馬鹿しい。しかし、グレイフィアさんの使い魔で監視されてるからサボる訳にはいかない。

 

「よっと、どうぞ。」

 

「ありがとうございます♪」

 

そう言って、僕の腕に抱きついてきた。

 

ムフフ‼やっぱり大きいのはいいよな‼この感触がたまらん‼

 

このままここで押し倒して………

 

「二人とも、いるかし……って朱乃‼何ソージに抱きついているのよッ!?」

 

「ぶ、部長ッ!?」

 

「あらあら、お邪魔虫が来ちゃいましたわ。」

 

「早くソージから離れなさい‼」

 

「まあまあ、部長どうしたんですか?」

 

「っと、お兄様が呼んでいるの。面倒な事を頼む気よ?」

 

「「うわ……」」

 

サーゼクス様も何で俺たちにやらせるかな?そんなのはそれこそ出来損ないにやらせればいいだろ?親善が目的なんだからさ……

 

「とりあえず行きましょ♪」

 

そう言って、朱乃さんとは反対の腕に抱きついた。

 

「ちょっとリアス‼何やってるのよ‼」

 

「貴女もやっているのだからお互い様でしょ‼」

 

(至福だ‼でも、魔王様が呼んでるんなら行かないとな)

 

「喧嘩は後にして早く行きましょう?魔王様に叱られちゃいますから…」

 

「「ソージ(君)がそう言うなら…」」

 

 

そのまま二人を連れて、魔王様の元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクスside

 

「来るのが遅い、時間を守るのは貴族としての基本の1つだから覚えておきなさい。」

 

「「「すみません……」」」

 

リアス達に用があった私は他の二人を連れて5分以内に来なさいと言ったが、それから10分遅れてやって来た3人に私は説教していた。

 

「と、ところでお兄様?私達を呼ばれた理由はなんでしょうか?」

 

「そうだった、君たちにははぐれ討伐に行ってきてほしい。」

 

私の言葉に3人は顔には出さないが嫌そうな雰囲気を出していた。

 

「何故僕達何ですか?それこそできそ………龍見達にやらせればいいじゃないですか?」

 

「私からの指名では駄目かな?」

 

「いえ、そんな事は……」

 

「なら、行ってきてくれたまえ。因みに倒したとしても君達に金銭報酬はないからね?」

 

そう言うと、今度はあからさまに嫌そうな顔をした。

 

「タダ働きなんてしたくありません‼何故そのような事を……‼」

 

「君達にとっては別のチャンスがある。これが無事に終われば、人間界に戻る迄の時間を短縮するか検討してあげよう。」

 

この言葉に3人の目付きがかわった。

 

「部長‼朱乃さん‼頑張りましょう‼」

 

「ええ‼やるわよ、二人とも‼」

 

「はい‼やりましょう‼」

 

そして、部屋から走って出ていった。

 

「こうすれば、サボったりして周りに被害が増えるなんて考えなくて済むかな…?」

 

でも、その考えは甘く更なる事件を呼び起こす事を、僕はまだ理解してなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗二side

 

「待てェェェェェェェ‼雑魚の分際でェェェェ‼」

 

「ヒィィィィィィィィッ!?」

 

僕達は森の中で魔王様に頼まれたはぐれを発見して、逃げるそいつに魔力弾や滅びの魔力、雷で攻撃しながら追いかけていた。

 

《騎士》の転生悪魔だけあって速いな………でも僕の敵じゃないね‼

 

転生特典の1つ『神器のコピー能力』でコピーした偽・赤龍帝の籠手で倍加した特大の魔力弾を投げつけて周囲を破壊しながらも直撃させて、悲鳴をあげもせずはぐれは消えた。

 

「やるじゃない‼ソージ‼」

 

「流石ですわ‼ソージ君‼」

 

「こんなの楽勝ですよ。」

 

ほんとに余裕だったな‼やっぱり僕はオリ主なんだ‼

 

「それはそうと、最後の攻撃で何か壊してなかったかしら?」

 

「さあ?でもこんな森の奥にあったんですから大したものではないですよ。」

 

「そうね、それじゃ何処かに寄り道しましょうか。」

 

「「はい‼部長‼」」

 

そうして、その場を去ろうとしたら、

 

ーーーーーーーケケケケケケケッ‼ヤット、デレタッ‼

 

そんな声が聞こえ、振り返った瞬間に僕達の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「アハハハハハッ‼やっぱバカは扱いやすいぜ‼」

 

こんな簡単に成功するなんて、予想以上だ‼

 

ついでに倒れている奴等は俺の駒にしてやるか。

 

そう思いながら、俺は出てきた存在の元に向かった。左手に目玉を模したアイテムを握りしめながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある異世界side

 

「あの少年は何者何でしょうか……?」

 

修学旅行から帰ってきた私はそこで襲ってきた少年について調べていました。

 

フェイト・アーウェルンクス

 

魔法使い側からの情報で得られたのは、彼はイスタンブールの魔法協会から日本に研修に来たということ以外これといった情報は手に入りませんでした。

 

それから、学園長の依頼もあったので私は『地球の本棚』に入り調べようとしたら『地球の本棚』が壊れてしまうという一番最悪な事態が起きてしまいました。

 

これには私も驚いてしまい、直ぐ様再検索しようとしましたが検索が出来ない状況になり仕方ないので私が知っている限りの情報を学園長に伝えたので、学園長も納得して下さいました。

 

しかし、この件で彼は地球に強い影響力を持つか『魔法世界』出身だという可能性が高くなりました。

 

これはエヴァやタカミチを検索しようとしたら、同じ様に『地球の本棚』が使用出来なくなった事例があり、二人に共通しているのが『魔法世界』の出身ということが理由です。壊れるのは初めてでしたけど……

 

『魔法世界』出身ということを聞いた学園長はとても驚いていました。

 

私も更に詳しく調べてみようと思いましたが、これ以上情報を集める事が出来ないとわかり、悔しいですが諦める事になりました。

 

その後、エヴァの家に戻ろうとした私ですが近くに不思議な力を感じ、そこに向かってみると……

 

「何でしょうか?あの靄は……?」

 

そこにはピンク色の靄が漂っていて気になった私はゆっくりと近づいていった瞬間、物凄い勢いで周りの物を吸い込み始めた。

 

「クッ!?ダメ…耐えられ‼キャアァァァァァァァ‼」

 

巻き込まれまいと耐えていた私でしたが、最後は足場事吸い込まれてしまった。

 

その吸い込まれた先で新しい出会いと大変な事件に関わる事を私はまだ知らなかった。

 

 




いかがでしたか?

次はもう少し文章量を増やします。

次回『出会い』

では、次回もヨロシクです。


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出会い

お待たせしました‼

コラボ編の第1話です。今回は文章多めになっています。

それとUAが100,000突破しました。

タケル「そんじゃ、始まりだ‼」


タケルside

 

よっ‼御堂タケルだ。使い魔ゲット作戦から数日が経ち、ここ最近は大きな面倒事もないから平和そのものだ。

 

「おにいちゃ~ん‼朝ごはん出来たよ~‼」

 

「おう‼今行く‼」

 

玲奈に呼ばれリビングに行くと、テーブルにトーストと目玉焼き、焼いたベーコンにコーンスープといった洋風の朝食があった

 

「お、旨いな。」

 

「でしょ?今日は上手く焼けたんだ。」

 

「流石俺の妹。」

 

「えへへ~♪」

 

そんな他愛もない会話をしながら、朝食を食べていく。

 

『昨日、駒王町におきまして男性が何者かに襲われるという事件が発生しました。目撃者の話ではいきなり男性が吹き飛んだそうで、近くには誰もいなかったそうです。同町では似たような事件が既に13件あり、警察は住民の方に注意を呼び掛けています。』

 

その時、つけていたテレビにはそんなニュースが流れていた。

 

「また起きたんだ、通り魔事件…」

 

「物騒だな、お前も帰り道は気を付けろよ?」

 

「はぁ~い。」

 

先に食べ終えた俺は食器を流しに出し鞄を持った。

 

「そんじゃ先行くな。」

 

「あ、待って‼今日の夕飯は何が良い?」

 

「青椒肉絲で頼む。」

 

「合点承知‼」

 

「んじゃ行ってきま~す。」

 

「いってらっしゃ~い‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「イッセー様‼お願いです‼金貸してください‼」

 

「今月ピンチなんだ‼頼む‼昼飯代だけでも‼」

 

「因みに、何に使ったんだ?」

 

「「ナニ系に‼」」

 

「却下だバカ共、来世で出直してこい。」

 

朝、教室に着いた瞬間に松田と元浜が泣きついてきたので何事かと思ったら、くだらなすぎたので即切り捨てた。

 

「「そんなぁ~!?」」

 

「あんたもいつも大変ね?イッセー?」

 

「桐生か……全く、アイツらもエロ過ぎなければそこそこモテると思うんだけどな…」

 

「もう手遅れでしょ?」

 

「同感だ。」

 

桐生とそんな会話をしてたら、あることに気づいた。

 

「お前、腕時計新しくしたのか?」

 

前までつけていたのは所々塗装が剥がれていたが、今は最新モデルのGショッ○になっていた。

 

「ああコレ?最近バイト初めてその給料で買ったのよ。結構時給良いわよ?」

 

「へぇ~。」

 

「更に、必要だからって免許まで取らせてもらっちゃった。しかも経費は向こう持ち♪」

 

「宅配系なのか?」

 

「教えないわよ、他に人が来られると給料減っちゃうから…」

 

何だろうな、そのバイト……すっげぇ気になる。

 

「ところでビッキーは一緒じゃないの?」

 

「ああ、アイツなら「滑り込みセェーフッ‼」という訳だ。」

 

「いつもの寝坊ね…」

 

響が教室に入ってから5秒後に始業のチャイムがなり、HRが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キングクリムゾン‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の授業が終わった俺は教室でタケルと響、未来の四人で昼食を食べていた。

 

「そういえば、最近変な事件が続いてるね?」

 

「あの通り魔事件か…」

 

「確か四人目の被害者がさっき亡くなったってニュースになってたよ。」

 

「うげ……そんな大事になってんのかよ?玲奈に注意する念押しメールしとこ。」

 

そう言って、コブラケータイを出したタケルはメールをうち始めた。

 

「あれ?タケル君って兄妹がいたの?」

 

「ああ、妹で玲奈っていうんだ。」

 

「確か、射撃の中学日本一だっけか?」

 

「うわ、スゴッ‼」

 

「今日は部活がないみたいだから、大丈夫だと思うけどな。」

 

メールを送ったのか、ケータイをしまい再び食事を始めた。

 

にしても、犯人の姿が見えないってのは気になるな……何かの前触れじゃなければいいけど。

 

「すみません、龍見一誠君はいますか?」

 

「ん?」

 

呼ばれた方を見たら、ショートカットに眼鏡をかけたソーナ・シトリーが教室前にいた。

 

「ソーナ会長だ。」

 

「どうしたんだろう?」

 

「イッセー、お前何やったんだ?」

 

「何もやってねぇよ‼どうしたんですか?教室に来るなんて珍しいですね?」

 

「実は手伝って欲しい事があるので、放課後に仲間の人達を連れて生徒会室に来て貰えませんか?」

 

「?わかりました。」

「お願いしますね。」

 

そう言うと、すぐに帰っていった。

 

「会長は何だって?」

 

「放課後に手伝って欲しい事があるってさ。」

 

「それって私達も?」

 

「ああ。」

 

「何だろうね?」

 

「放課後になれば解るさ。」

 

「んじゃ、時間もヤバイし早く食っちまうか。」

 

「おう。」

 

急いで食事を済ませ、次の授業の準備をしつつも俺は何故か嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になった俺達はクリスとアーシアと裕斗、調と切歌と小猫と合流して生徒会室に向かっていた。

 

「たくっ、ソーナの奴…同じクラスなんだからアタシに先に言えってんだよ。」

 

「まーまー、クリスちゃん落ちついて…」

 

「だから、お前はせめて学園の中だけでも先輩を付けろ‼」

 

「ヒャイッ!?」

 

「二人とも、あんまり暴れるなよ。」

 

毎回同じ様なやり取りしてよく飽きないな、この二人……

 

「おっ、龍見達じゃないか‼」

 

「よっ、匙。」

 

生徒会室の前に着いたら、中から生徒会庶務を担当している匙元士郎が出てきた。

 

「聞いたぜ、フェニックスを倒したんだってな?」

 

「運が良かっただけだよ。」

 

「それでも勝ちに変わりはないさ…と、会長に呼ばれてるんだったな。中にいるから入れよ。」

 

中に入ると奥の席にソーナ会長と副会長の真羅椿姫先輩がいた。

 

「会長‼龍見達が来ました‼」

 

「ありがとう匙、皆さん来てくださり感謝します。」

 

「んで、アタシらを呼んだ理由は何なんだ?」

 

「実は皆さんに仕事を手伝って欲しいんです。リアス達が抜けた仕事と生徒会の仕事をこなしていると、どうしても人手が足りないんです…」

 

会長は俺達が堕天使陣営に所属しているのは知っている筈なのに頼んでくるなんて、よっぽど大変なんだな。

 

「それで、仕事の内容は?」

 

「ここのところこの町で通り魔事件が頻発していまして、町の人達がパトロールをしているのですが、それに学園代表として参加して欲しいのです。」

 

「ん?それなら他の生徒でも良かったんじゃないですか?何で堕天使陣営にいる俺達なんすか?」

 

タケルの疑問ももっともだな、それくらいならボランティアを募った方が集まりはいいだろうに……

 

「私はこの事件に裏の存在が関わっていると思っています。そこに一般生徒を行かせて事件にあったら大変な事になってしまいます。そこで、裏の存在と戦える力を持つあなた達に事件の調査をお願いしたいのです。」

 

「なるほど…」

 

確かに俺達なら対抗することは可能だからな。

 

俺は皆の顔を見ると全員が頷いた。

 

「わかりました、その依頼お引き受けします。」

 

「感謝します。パトロール隊の方達がいるのは学園近くの公園です。それとパトロールのコースを書いた地図も持っていってください。椿姫。」

 

「はい、皆さんどうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「悪いな、俺達も暇になったら合流するからさ…」

 

「そん時は連絡してくれ、これが俺の番号だ。」

 

近くにあった紙に電話番号を書いて匙に渡した。

 

「あいよ。」

 

「それじゃ、これから行ってきます。」

 

「あ、すいません‼もう1つ頼みがありました‼」

 

「何ですか?」

 

「実は冥界で勉強中のリアスとその眷属二人が行方不明になりまして………………片手間で構わないので探してくれませんか?」

 

その内容を聞いて俺達はゲンナリした。

 

「反省せずに脱走か…迷惑しか起こさねぇ連中だ。」

 

「本当にスミマセン………こっちはもし見かけたらで構わないので。」

 

「分かりました。では、行ってきます。」

 

また面倒を起こしたアイツらに呆れながら、俺達は生徒会室の出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

公園に着いた俺達はパトロール隊の人から二組に別れて廻ってほしいと言われ俺とイッセー、響さんと小猫ちゃんに未来さん組と裕斗とクリスさん、調ちゃんと切歌ちゃんにアーシアさん組に別れ、巡回していた。

 

「にしても、その通り魔は何が目的何だろうな?」

 

「それは、自分が楽しいからじゃないの?」

 

「そうかなぁ…」

 

案外、大事になるかもしれねぇからな……目的でも分かれば探しやすいんだけど。

 

「とりあえず、ちゃっちゃと見つけてブッ飛ばして警察に突きだしてやるk「あれ、お兄ちゃん?」へ?」

 

後ろから聞き慣れた声が聞こえたので、振り返ると買い物袋を持った玲奈がいた。

 

「玲奈!?ここでなにし………夕飯の買い物か?」

 

「うん、今日は特売日だったから安く手に入っちゃった‼」

 

「最近物騒だから俺が帰ってくるのを待ってから行けばいいだろ…」

 

「待ってたら特売終わっちゃうよ‼」

 

特売より命を大事にしてくれ、妹よ………

 

「タケル、この子がお前の?」

 

「っとそうだったな、コイツが俺の妹の…」

 

「あ、始めまして‼御堂玲奈といいます。」

 

「俺は龍見一誠、ヨロシクな。」

 

「立花響です。ヨロシクね‼玲奈ちゃん‼」

 

「小日向未来です。」

 

「塔城小猫です。」

 

「はい‼宜しくお願いします‼ところでお兄ちゃん達はここで何してるの?」

 

「ん?町内のパトロールだよ。生徒会から依頼されてな。」

 

「え!?転校して間もないのにもう生徒会に頼られる様になったの!?さすがだね‼」

 

「ハッハッハッ‼スゴいだろう?」

 

妹からの尊敬の眼差しは悪いものじゃないな‼

 

「ホントはイッセー君に来た依頼だけどね。」

 

「うぐッ!?」

 

「だと思ったよ…」

 

ああ!?妹からの尊敬が…‼

 

「それじゃ、パトロールついでにこのまま玲奈ちゃんを家まで送って行くか。」

 

「いいんですか?」

 

「タケルも言ってたけど物騒だからね、俺達が居れば安全だろう。」

 

「それじゃ……お願いしても?」

 

「任された。じゃ行こうか。」

 

ということで、玲奈を送り届けるためにコースを外れ、俺の家に向かうことになった。

 

「悪いな、妹のために…」

 

「気にすんなよ、お前の大事な家族なんだろ?だったらコレぐらいどうってことはないさ。」

 

本当に良い奴だ、やっぱりイッセーのチームに入って正解だった。グレモリーじゃ余計な危険に巻き込んだかもしれないし、兵藤の毒牙に引っ掛かったかと思うと……

 

後ろでは女性陣で仲良くお喋りしてるし、玲奈も直ぐに仲良くなれて安心したぜ。

 

「お兄ちゃん、良い人と友達になれたんだね。」

 

「ああ、最高の親友達さ。」

 

そうやって、話している間に家までの最後の直線にはいった。

 

「後はここを真っ直ぐ行った右側に家があるんだ。」

 

「皆さん、ありがとうございます。お仕事の途中だったのに送っていただいて…」

 

「気にしなくてもいいよ、これもパトロールの役目の1つだからね。」

 

「では、私はこのへ「キャアァァァァァァァァァァァ‼」ッ!?なっ何!?」

 

玲奈と別れようとした瞬間、悲鳴が聞こえた。声の方を見ると通りの真ん中で女の子が倒れていた。

 

「見て‼彼処に女の子が!?」

 

「皆‼行くぞ‼」

 

通りの真ん中で倒れている女の子に駆け寄ると、黒い体に半目を開けたベルトをつけ黒いパーカーを着た存在がその子にゆっくりと近づいてきていた。

 

「お兄ちゃん‼あれ、なに!?」

 

俺はそいつを見て驚愕していた。何故ならその存在はこの世界にいないと思っていたからだ。

 

「何でコイツが存在してんだよ…………“眼魔”‼」

 

俺達が驚いている間にその眼魔は拳を女の子に振り下ろそうとしていた。

 

「危ねぇッ‼」

 

俺はとっさに走り出し、振り下ろされる前に女の子を抱えて回避することに成功した。

 

そして、外れた拳はコンクリートの地面を軽々と砕いていた。

 

「ッ!?地面が!?」

 

「何が起きてるの!?」

 

そうか、イッセー達には見えてないのか‼

 

俺は直ぐにゴーストドライバーを出し、クモランタンを取り出した。

 

「お兄ちゃん!?そのベルトは!?」

 

「説明は後だッ‼」

 

ランタンを翳すと光の粒子が溢れていき、眼魔を覆うとその姿をはっきりと現した。

 

「ッ!?コイツは!?」

 

「イッセー‼恐らくコイツが通り魔の犯人だ‼」

 

「わかった‼未来は玲奈ちゃんとあの女の子を守ってくれ‼残りは戦うぞ‼」

 

「「「「了解‼」」」」

 

イッセー達はシンフォギアを出し、聖詠を唱え始めたので俺も女の子を預けてからオレ眼魂を取り出して横のスイッチを押した。

 

「お兄ちゃん…それは…」

 

「悪い玲奈、驚くかも知れないけど今は未来さんの所にいてくれ。」

 

「……わかった…」

 

玲奈が下がったのを確認してから、バックルを開き眼魂を中に入れて閉じた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「変身‼」

 

掛け声と共にベルトのレバーを引いてから押し込み、トランジェント態になってから浮遊していたオレゴーストを羽織ってゴーストに変わる。

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

「結界の展開、終わったよ‼」

 

「行くぜッ‼」

 

ベルトからガンガンセイバーを取りだし、眼魔へと向けて振り下ろした。

 

『フンッ‼』

 

「なッ!?グハッ‼」

 

しかし、左腕で簡単に受け止め右拳で俺の腹を殴り飛ばした。

 

「タケル‼ハアァァァァァァッ‼」

 

俺への追撃をさせないように、イッセーが槍を構えながら正面から突っ込んで行った。

 

「待て‼一人じゃ…!?」

 

「一人じゃないさッ‼」

 

「「ヤアァァァァァァァッ‼」」

 

いつの間にか響さんと禁手になった小猫ちゃんが眼魔の背後に廻っていて、同時に飛び掛かっていた。

 

これならイケる‼と思っていたが……

 

『オオッ‼』

 

「うわッ‼」

 

「キャアッ‼」

 

眼魔は槍の穂先を躊躇なく掴み取り、イッセーごと後ろに放り投げ響さんに激突させた。

 

「なら、私が…‼」

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

「全解放‼」

 

小猫ちゃんは倍加した力を右手に集めて炎の様なオーラを手に纏わせた。

 

眼魔はそれを見て、両手を左右に広げた後、半目のようなベルトの上にのせた。

 

あれ?あのポーズ……どこかで見たような……?

 

眼魔のベルトから赤い光が溢れ、それが終わると同時に右腕を振りかぶった。

 

「バニシング…フィストッ‼」

 

『ハァッ‼』

 

炎のようなオーラを纏った拳と突きだす速度と空気との摩擦で赤くなった拳が激突した。

 

「クッ!?いけッ‼」

 

『Fracture!』

 

『グオッ!?』

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の音声と同時に衝撃が放たれ、その威力に眼魔が少し下がった。

 

「効いたのか?」

 

「いえ、こっちが瞬間火力で少し上回っただけです。たいしたダメージにはなっていません…」

 

『逆にこっちの破砕の力の発動が後数秒遅れていたら小猫の拳が砕かれていた。』

 

「マジかよ…」

 

「でも、攻撃が通ると分かっただけでも充分さ。」

 

いつの間にかイッセーも響さんと一緒に俺の隣に来ていた。

 

「タケル、今度は俺達が前に行くぞ。」

 

「任せとけ‼昇格(プロモーション)・女王‼」

 

昇格した俺は幸村眼魂を取り出して、オレ眼魂と入れかえた。

 

《カイガン‼ユキムラ‼戟塵まとう‼大阪の陣‼》

 

パーカーを羽織りナギナタモードのガンガンセイバーにタコセンプーキを合体させスピアモードに変える。

 

眼魔がこちらに飛び込んで来たのに合わせ、俺達も駆け出しイッセーが槍を突きだした。

 

『フッ‼』

 

それは右腕で弾かれた。俺はその間にイッセーを後ろから飛び越えてガンガンセイバーを眼魔へと振り下ろした。

 

『ッ!?』

 

「ちッ‼」

 

それも腕をクロスして防がれてしまった。でも、コレで良い‼

 

「貰ったッ‼」

 

この間に弾かれた勢いをその場で回転する事で利用したイッセーの突きが眼魔の腹にブチ込まれた。

 

『ウォッ!?』

 

「喰らえッ‼」

 

その隙に腕の防御を力任せに振り払い、縦に切りつけた。

 

『ガァッ!?』

 

「「ハァッ‼」」

 

最後にイッセーは左、俺は右に槍を振るって×の字に体を切り裂いた。

 

「今だ‼響‼小猫‼」

 

「「これでえぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼」」

 

その声に右の籠手を巨大化させた響さんとオーラを纏った左手を構えた小猫ちゃんが俺達の後ろから飛び出してブースターの加速をのせた一撃を同時に打ち込んだ。

 

『ガハァッ‼』

 

眼魔はそのまま吹き飛び、壁にめり込んだ。

 

「これならどうだ…?」

 

「これで倒れなかったらチートじゃね?」

 

だけど、その考えは甘く、壁から抜け出した眼魔はさっきみたいにベルトの上に手を置いた後、左手を右肩の前に、右手を顔の右横に持っていき勢いよく飛び右手をこちらに突き出してきた。

 

「させるか‼(ドゴォ‼)うわァッ‼」

 

イッセーが俺達の前に出て、マントを硬質化させて受け止めるがその威力に押し負けて吹き飛ばされた。

 

そして着地した眼魔は再び飛び上がり、今度は赤く輝く右足を突き出してきた。

 

「やらせるかよッ‼」

 

俺は直ぐ様ベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《ダイカイガン‼ユキムラ‼オメガドライブ‼》

 

背後に現れた眼の紋章のエネルギーを右足に集め、眼魔と同じように飛び蹴りの体勢になり互いの足が激突した瞬間に爆発が起きて、どちらも地面に落ちた。

 

「くあッ!?」

 

「イッセー‼タケル君‼」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「…俺は大丈夫だ。」

 

「俺もな……でも、向こうも大丈夫そうだぜ?」

 

眼魔は俺達よりも早く立ち上がり、こちらに歩いてきていた。

 

「イッセー、なにか作戦はないか?」

 

「さすがに厳しいな……多分、未来がクリス達に連絡している筈だから来るまで持ちこたえるかな?」

 

「なら、もうひと頑張りしますか。」

 

「そうだね‼」

 

「やりましょう。」

 

武器を構え直した俺達は、再び眼魔へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

イッセー君達が戦っている時、私は倒れて気絶している女の子と玲奈ちゃんを守るため、ミラーデバイスの簡易結界を貼っていた。

 

「これで大丈夫なはず…」

 

「未来さん、これはどういう状況何ですか?さっきから色々ありすぎて頭が追い付きません‼」

 

「ゴメンね、向こうが終わったら説明するから…」

 

玲奈ちゃんが戸惑うのは分かるけど、気を抜いた瞬間に死んでしまうかもしれないのが戦場だから、今は余裕がないの…

 

イッセー君達も、先程の怪物に押されている状態だ。

 

何か解決策があればいいけど……

 

「うぅん……あれ?…私は怪物に襲われていたのに…」

 

「あッ‼気がついた?」

 

その時、気絶していた女の子が目を覚ました。

 

「あなたは…?」

 

「私は小日向未来っていうの。あなたは?」

 

「私はアリア・S(スプリングフィールド)・ノーレッジといいます…」

 

「アリアちゃん、早速で悪いんだけどあの怪物について何か知ってる?」

 

「いえ、私が探し物をしていた時にいきなり現れて襲われたんです。」

 

「探し物?」

 

「コレなんですけど…」

 

そう言って、彼女が見せてくれた物は色がかなり違うけど紛れもなく……

 

「眼魂…?」

 

「ご存知何ですか!?」

 

「それを使って戦っている人を知っているから。」

 

「どなたですか!?」

 

「彼処で戦っている深紅のパーカーを着ている人だよ。」

 

タケル君を指差し、その戦いを見た彼女はその眼魂を私に差し出してきた。

 

「でしたらコレを使ってください‼お役に立つかも知れません‼」

 

「本当に!?」

 

「確証はありませんが…」

 

どうするか迷ったけど、状況を打開する方法が浮かばなかった私はそれを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

あれから眼魔と戦闘を続けているが、体力的に厳しくなってきた俺達が不利になりつつあった。

 

「くそッ‼なんつー強さだ‼」

 

「これだけ戦っても威力が落ちないなんて…」

 

「こうなったら絶唱修羅で…」

 

「ダメだよ!?イッセーが持たないし相手が唄ってる間に来たらどうするの‼」

 

策もなくなってきたし、行き当たりばったりでやってみるか?

 

そんなことを考えていたら……

 

「タケル君ッ‼」

 

後ろから未来さんの声が聞こえたので振り返ると…

 

「受け取ってッ‼」

 

何かを俺に投げてきたので、慌てて受け止めた。

 

「コレって…………眼魂じゃないか!?」

 

何で未来さんがコレを持ってんだ!?

 

「それを使ってッ‼」

 

「何だか分かんないけど、分かった‼」

 

幸村眼魂をバックルから取りだし、外が緑で白目の部分が銀、黒目の所が赤い眼魂のスイッチを押した。すると眼の部分に《SR01》と浮かび上がった。それをバックルに入れ閉じた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

バックルから出てきたのは緑を基準に肘までの袖には2本の銀のラインがあり、フードの所には2本の触覚のようなパーツがついたゴーストが出てきた。

 

「力を借りるぜ‼」

 

そして、レバーを引いて押し込み、パーカーを羽織った。

 

《カイガン‼1号‼始まりの男‼技の1号‼》

 

最後に赤い複眼に銀のクラッシャーの顔が描かれた後、右手を右腰に左手を右上に突きだすポーズをとった。

 

「新しい眼魂!?」

 

「しかも今までのと何か違う…?」

 

イッセー達が色々言っていたが、俺は眼魔に向かって歩き出した。

 

眼魔はさっきとは違い何か慌てた感じになった。

 

その隙に、一気に近付いて一発殴った。

 

『グゴォッ‼』

 

その威力はさっきまでとは桁違いで苦戦していた眼魔に簡単にダメージを与えた。

 

「スゲェ…」

 

「あれも英雄なの…?」

 

「ですけど、1号という英雄偉人は聞いたことがないですよ?」

 

眼魔は体勢を立て直すと殴りかかってきたが、俺は右腕で後ろに受け流しつつ足払いを掛けて転ばせた。

 

「この姿……間違いない…」

 

立ち上がった眼魔に右手を上にあげ、一気に振り下ろした。

 

「ライダーチョップッ‼」

 

『ガァッ‼』

 

その技で眼魔の体に大量の火花が散った。

 

『グ……ガァ…………‼』

 

「コイツで決めるぜ。」

 

俺はレバーを引いて押し込み必殺技を発動する。

 

《ダイカイガン‼1号‼オメガドライブ‼》

 

空に高く飛び上がり、一回転した後、飛び蹴りの体勢で一気に迫る。

 

「ライダーキィック‼」

 

そして、勢いそのままに眼魔を蹴り飛ばした。

 

『グガァァァァァァァッ‼』

 

吹き飛んだ眼魔は倒れて爆発した。

 

「勝った……のか?」

 

「そうみたい…」

 

俺は倒したのを確認してから、バックルから眼魂を取り出した。

 

「この眼魂は……やっぱりライダーの力が宿っているのか。」

 

その眼魂を見てから、俺は眼魔の爆発した場所に向かった。何を媒介にしてあれほど強力な力を手に入れたのか気になったからだ。

 

そこには砕けた眼魔眼魂ともう1つ眼魂があった。

 

それは黒目の所が赤く、それ以外が黒一色の眼魂だった。

 

「もしかして…」

 

眼魂の上の部分を見ると《BLACK》と書かれていた。

 

「仮面ライダーBLACKの眼魂があの力の源だったのか…」

 

それに驚きながら皆の元に戻った。

 

「タケル‼大丈夫か!?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「お兄ちゃんッ‼」

 

「っと‼悪かったな、心配掛けて…」

 

抱きついて来た玲奈の頭を撫でながら、俺はさっきの少女を見た。

 

「君がこの眼魂を持っていたのか?」

 

「はい、そうです。」

 

「君は何者なんだ?」

 

「それが………………分からないんです…」

 

その言葉に俺達は驚いた。

 

「それは記憶が無いって事?」

 

「はい、名前と果たさなければならない目的以外何も分からないんです。」

 

「目的?」

 

「『仮面ライダーの眼魂』を全て回収する事です。」

 

「仮面ライダーの眼魂?」

 

そんなのがあったなんて知らなかった。俺が死んだ後に出来た設定なのか?

 

「あの……不躾で申し訳ないんですが、お願いがあります。」

 

「お願い?」

 

「私と一緒にライダーの眼魂を探すのを手伝って貰えませんか?」

 

これが俺達と謎の少女アリアとの出会いだった。

 




どうでしたか?

この出会いでどんな物語になるか皆様の期待に応えられる様に頑張ります‼

次回《ライダー眼魂大捜索‼》

オリジナルなので時間が掛かりますが、楽しみにしてください。




タグに《仮面ライダー》を付けた方がいいかな?


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ライダー眼魂大捜索‼

すんません、バトライドウォー創生とガンダムブレイカー3をやっていたせいで遅くなりました。

今回はネタが多めです。

気に入らないと思う方はブラウザバックを推奨します。

大丈夫という方はどうぞ、見ていってください。

それとタグに『仮面ライダー』を追加しました。


一誠side

 

先程の怪物(眼魔というらしい)との戦闘が終わった俺達はクリス達と合流してタケルの家にお邪魔していた。眼魔の事を教えてもらうのと助けた女の子の話を聞くためだ。

 

「オッチャンに連絡がついた。翼とマリアとエルナがこっちに向かっているのと、通信端末でこっちとの会話にオッチャンとキャロルさんも参加するそうだ。」

 

「こっちもソーナと連絡したら椿姫と匙を連れて来るってさ。」

 

「あいよ、なら予備のテーブル出すか。」

 

俺とクリスの言葉にタケルは立ち上がり、部屋を出た。

 

「あっ‼私も手伝う‼」

 

玲奈ちゃんもタケルの後を追っていった。

 

「…ところでイッセー先輩。」

 

「そこのミルヒ姫は何なんデスか?」

 

「は?」

 

調と切歌の質問に俺は首を傾げた。誰だよミルヒ姫って?

 

「そこのピンクの髪の子デスよ。」

 

「…私と切ちゃんが見てたアニメに出てくるミルヒオーレ・F・ビスコッティにそっくりだから。」

 

そう言ってアリアを見た。

 

「えと……私はそのミルヒ何とかではなくてアリア・S・ノーレッジというんですが…」

 

「「え?」」

 

「え?」

 

「外見の事はともかく、話しは全員揃ってからな。」

 

しばらくして、翼達がタケルの家に着いて通信端末をテーブルのセットしてオッチャン達に通信を繋げた。

 

「わ‼く、空間に映像が!?」

 

『通信越しで悪いな…仕事で脱け出せなくて。』

 

「構いませんよ。それじゃ話すか。」

 

タケルの雰囲気に俺達は静かになった。

 

「『眼魔』ってのは所謂幽体の存在だ。実体はなく幽霊みたいなもんだな。特徴としては何か物体を取り込むことでそれに由来する能力を持つことが出来るんだ。」

 

「ゆ、幽霊!?」

 

そういえば、響はそういうの苦手だったな。

 

「実体化させない限り攻撃出来るのは俺のゴーストの力だけだ。それ以外は何であろうとすり抜けられちまう。実体化させれば大丈夫だけど…」

 

『なるほど、先ずは実体化が最優先ということか…』

 

「そんで、コレが眼魔のコアみたいなものだ。」

 

タケルが取り出したのは、さっきの戦闘で眼魔がやられた場所にあった破片だった。

 

「コレがエネルギーを解放する事で眼魔は幽体の体になるんだ、因みに他人の体を乗っ取る事も出来る。」

 

「眼魂に似ているな…」

 

「魂を封印しておくアイテムという点では同じようなもんだな。」

 

「コレを破壊すれば眼魔を倒せたことになるんだ。」

 

「なるほど、そういえば英雄の眼魂はどうやって出来るんだ?コレとは随分違うけど…」

 

「英雄の眼魂は必要な物があるんだ。過去の英雄偉人が使っていた物とその英雄に強い思いを持つ人だ。」

 

「それがあれば作れるんデスか?」

 

「ああ、出来なくはないぞ。」

 

「…ねぇ小猫、貴方が前に契約の時に貰ったっていうアレはどうなの?」

 

「アレですね、ちょっと待ってください。」

 

そう言って、転移魔法を使うと彼女の手にはレーサーが被るようなヘルメットがあった。

 

「それは?」

 

「前に契約した人から報酬として貰った物です。確かアイルトンというレーサーが使っていたそうです。」

 

レーサーのアイルトンといえば、《音速の貴公子》と呼ばれた人じゃないか‼

 

「持ち主もこの人みたいなレーサーになりたいと言っていて、そのために色々とやったりしていたそうです。」

 

「ならどうして手放したんだ?」

 

「その人は末期の癌で独り身だったので私に最後を看取ってほしいというのが依頼でして、その時の報酬です。」

 

「スッゴい使いづらいんだけど!?」

 

なんつーもんを出してんだ小猫は‼

 

「私がこのまま持っているよりも誰かの役に立つなら問題ないと思ったので…」

 

「ハァ……まあいいか。」

 

『お、眼魂作るなら少し待ってくれ‼一誠、観測用の機械を送るからそれを使ってくれ‼」

 

「分かった。」

 

転移してきた機械を持って、準備完了だ。

 

「タケル、始めてくれ。」

 

「あいよっと……その前に変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

変身したタケルはそのヘルメットに右手を伸ばした。

 

「そんじゃ、いくぞ。」

 

そして、その場で円を描くと、眼の紋章が現れヘルメットが靄に包まれたと思ったら、赤と白で彩られたドライバージャケットのパーカーが出てきた。

 

「とりあえず成功か……来い‼アイルトン‼」

 

そういうとパーカーはタケルのベルトに入り込み、前に手を翳すと、ブラジルカラーの眼魂が出てきた。

 

「こんな感じで出来るんだ。」

 

なんか面白いものを見たな……

 

『タケル、悪いがその眼魂を俺に渡してくれないか?』

 

「別にいいですよ。」

 

『よし、一誠は観測機械と眼魔の眼魂と一緒にその眼魂もこっちに送ってくれ。それとタケル、そのクモランタンも貸してくれ。こっちで量産出来ないかやってみる。』

 

「了解。」「分かりました。」

 

「俺が説明出来るのはこのくらいだな。」

 

「そっか、ありがとな。じゃ次はアリアに……………………その頭、どうしたんだ?」

 

「ほえ?」

 

アリアに鏡を見せると、頭に犬のような耳があった。しかも、よく見ると犬の尻尾のようなものまで出ていた。

 

どっから生えてるんだ?

 

「な、何ですか!?コレはァァァァァァァァッ‼」

 

それを見た瞬間、アリアの絶叫が響き渡った。

 

「「…完全にミルヒ姫だ(デス)。」」

 

「けっこう可愛いかも…」

 

「頭撫でてもいい?」

 

「収拾つかないからそれは後でな。君は記憶が無いんだよな?」

 

「あ……はい、名前と目的以外は思い出そうとしても霞が掛かってるみたいで…」

 

「で、目的とはライダーの眼魂を集める事なんだよな?集めたらどうなるんだ?」

 

「そこまでは…………ただ、とてつもない力が手に入るとしか…」

 

「全部でいくつあるんだ?」

 

「1号と2号とV3、ライダーマンにXライダーにアマゾンとストロンガー、スカイにスーパー1にZX(ゼクロス)、BLACKとBLACK RX、真とZO(ゼットオー)とJ(ジェイ)、クウガ、アギト、龍騎、555(ファイズ)、剣(ブレイド)、響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド、W(ダブル)、OOO(オーズ)、フォーゼ、ウィザード、鎧武、ドライブに3号の計32個です。」

 

『『『『『多ッ!?』』』』』

 

なんつー数だ!?そんなにいんのかよ仮面ライダーは!?

 

「ここには、1号とBLACKの眼魂がありますから残りは30個になります。」

 

「こりゃ、時間掛かりそうだな…」

 

「でも、皆で探せばすぐだよ‼」

 

「そうだね。」

 

響と未来の言葉に皆のやる気が満ちてきていた。

 

「それじゃ、今日は暗くなってきたし明日から始めるか。」

 

『『『『『オオーッ‼』』』』』

 

「では、私と椿姫と匙はあなた達が休んでも問題ないようにしておきます。」

 

「お願いします、ソーナ会長。」

 

「それが終わり次第俺達も参加させてもらうぜ。」

 

『俺の方はさっきのデータを解析して、眼魂を見つけるアイテムと眼魔の実体化が可能なアイテムを作る。』

 

「頼むよ、オッチャン。」

 

『任せておけ。』

 

「皆さん…………ありがとうございます‼」

 

「そんじゃ、飯にでもするか。」

 

「あ、私が作りますよ‼」

 

玲奈ちゃんがそう言ってくれるけど、大勢で押し掛けてるからな……俺も作るか。

 

「一人じゃ大変だろ?俺も一緒に作るよ。」

 

「だったらチャーハンお願い‼」

 

「任せとけ‼」

 

そして、俺の作ったチャーハンと玲奈ちゃんの青椒肉絲がテーブルに並ぶと全員が絶賛だった。玲奈ちゃんからはチャーハンのレシピを教えてほしいと頼まれて、後日に教えることになった。

 

 

翌日、俺達は手分けして町中を探す事にした。因みにアリアだけど犬耳と尻尾が未だに出たままで戻す事が出来なかったので家で留守番してもらっている。本人も手伝いを頼んだ自分が行けないのを悔しがっていたが、夜までにこっちで何とかするということで、我慢してもらっている。

 

後、少しだけ記憶が戻ったらしいのだが、調と切歌が言ったミルヒ何とかに似ているって言葉を他の誰かにも言われたらしいがコレといって役に立つ事はまだ思い出せないそうだ。

 

さて、眼魂捜索開始だ‼

 

 

調side

 

私は駒王の警察署に来ていた。落とし物として届いているかもと思ったからだ。

 

「…すいません、持ち物を落としてしまって……届いてないですか?」

 

「どういうのですか?」

 

「…こういうの何ですけど…」

 

「ああ、それだったら…」

 

昨日描いた眼魂の絵を見せると、奥に行き何か持ってきた。

 

「ついさっき届いたんですよ、あなたのだったのね。」

 

「…ありがとうございます。」

 

「じゃあ、この書類に記入してくださいね。」

 

「…分かりました。」

 

その書類を出して、受け取った眼魂には《DRIVE》と書かれていた。

 

「…ドライブ眼魂、GET。」

 

まずは1つ目………………にしても、最近の警察はパトカーだけじゃないんだ…。

 

警察署から出たら赤いスポーツカーみたいなのがパトカーと並んであって、その周りで一人の男性とさっき落とし物の対応をしてくれた女性警官が追い掛けっこをしていた。

 

あ、女性の蹴りが鳩尾に入った。痛そう……

 

そこまで見てから、眼魂捜索に戻った。

 

 

 

未来side

 

私は駅前広場で眼魂を探していた。

 

「なかなか見つからないな……。」

 

人が多いから探しにくいし、元々の眼魂も手のひらサイズだからね……

 

「いらっしゃいませ~‼ドーナッツは如何ですか~‼」

 

少し休憩しようと思ったら、近くにワゴン車で販売しているドーナッツ屋さんがあった。ちょうど休もうと思ったから、買おうかな?

 

「すみません、ドーナッツください。」

 

「いらっしゃ~い‼」

 

そこは店員がオネェさんであること以外は普通のお店だった。

 

「今日は~、新作の《カイガンドーナッツ》がオススメよ~‼」

 

そう言って、出されたのはどことなくタケル君が変身した顔に似ているドーナッツだった。

 

「じゃあ、プレーンシュガーで。」

 

「あら、ざんね~ん‼はい、どうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

ドーナッツを受け取ってお金を払った後、お店の前の椅子に座ろうとしたら足に何かが当たる感触があった。

 

「何だろう………………あ‼あった‼」

 

そこには、《WIZARD》と書かれた眼魂があった。

 

「ウィザード眼魂、GET♪」

 

因みに、ドーナッツは凄く美味しかったです。

 

 

翼side

 

商店街に来ていた私は人の多さに驚いていた。

 

「いつもより人の数が多いな………………ん?」

 

近くの電柱に張られていたポスターを見ると、有名なダンスチームが来ていると分かった。

 

「なるほど、ならこの多さにも納得がいく。」

 

そのまま商店街を調べ、気づいたらダンスステージのある場所まで来ていた。

 

「ここには………………ん?見つけた‼」

 

周りを見渡すとステージの前に眼魂があり、上には《GAIM》と表記されていた。

 

「鎧武の眼魂か……っとステージの邪魔になる前に動かねばな。」

 

ステージ前から退いたら、丁度ダンスが始まった。

 

「ここからは俺達のステージだぁッ‼」

 

そのダンスは将来を期待させるようなものだった。

 

「ほう、これはなかなか…………っと、眼魂捜索に戻らねば。」

 

名残惜しいが、私は捜索に戻った。

 

 

 

切歌side

 

「何処にあるんデスかね、眼魂は?」

 

ワタシは公園の中で眼魂を探していたデス。

 

「誰かに聞いてみるデスか。」

 

その時、近くを一人の男性が通り掛かった。

 

「あの、すみません‼」

 

「ん、どうした?」

 

「こんなの探してるんデスけど、見てないデスか?」

 

ワタシの絵を見て、その人はジャケットの内ポケットに手を入れた。

 

「それってコイツの事か?」

 

そして、取り出したのは正しく眼魂だった。

 

「そう‼それデス‼」

 

「そいつは良かった。依頼の途中で見つけたんだ。」

 

「依頼デスか?」

 

ということは探偵さんなんデスかね?

 

「ああ、コイツらを見かけなかったか?」

 

そう言って見せてきた写真にはハムスターとかなり大きいセントバーナードが写っていた。

 

「悪いデスけど、見てないデス。」

 

「そうか、ありがとな。お~い‼出てこ~い‼ハム蔵‼いぬ美‼」

 

そう叫びながら、男性は去っていった。

 

貰った眼魂には《DOUBLE》と書かれていた。

 

「Wの眼魂、GETデス‼」

 

 

 

マリアside

 

私は繁華街で眼魂を探していたが、結果は芳しくなかった。

 

「場所を変えようかしら………………あら?」

 

周りを見たら昨日まで喫茶店だった場所が、今は写真館になっていた。

 

「一晩で変わるなんておかしいわね…」

 

そう思っていたら、中からマゼンタ色の2眼レフカメラを首から下げた男性が出てきた。

 

「ん?何だ、客か?」

 

「あ、いえ‼違います。」

 

「そうか。」

 

そう言って、何処かに行こうとしていた。

 

「あ、ちょっと待って!?」

 

「今度は何だ?」

 

「実は…「ああ、言わなくていい。だいたい分かってる。」え?」

 

「コレを探してるんだろ?」

 

男性がポケットから取り出したのは、紛れもなく眼魂だった。

 

「ほらよ。」

 

それを私に投げ渡してきたので、慌ててキャッチした。

 

「いいんですか?」

 

「俺には必要ないからな。」

 

そう言って、町の中に消えていった。

 

「変な人ね…………この眼魂は《DECADE》か…」

 

眼魂を仕舞い、再び捜索を始めようと思ったら……

 

「あら、喫茶店に戻ってる?」

 

そこには、今まであった喫茶店が建っていた。

 

「………………疲れてるのかしら……」

 

そんな不思議体験をしつつ、眼魂捜索を続けた。

 

 

 

クリスside

 

住宅街をアタシは探していたが眼魂が見つからない事に、少しイラついていた。

 

「あ~も~‼何処にあんだよ‼眼魂は!?」

 

「おばあちゃんが言っていた。自分が望みさえすれば、運命は絶えず自分に味方する……とな。」

 

「うおッ!?」

 

いつの間にか隣に豆腐の入った桶を持った男が、上に向かって右手を上げていた。

 

「な、何だ!?お前は!?」

 

「自分を信じきれない者が行動すればその結果しか出ない。なら、出来た自分を思い描いて行動すれば必ずその未来が訪れる。」

 

そう言って、何事もなかったかのように男は去っていった。

 

「何だったんだ……?」

 

訳わかんねぇ男だったけど、言ってた事には一理あるな。アタシはまだ見つかるって自分を信じてなかったかもしれない。だったら‼

 

「アタシだって、眼魂を絶対に見つけてやる‼」

 

そう思いながら歩いていたら、電柱の影に光る何かを見つけた。

 

「あれってまさか……‼」

 

駆けよってみると、それは眼魂だった。

 

「ホントに見つかりやがった…《KABUTO》の眼魂か…」

 

信じればその未来が来るか……さっきの男には今度会ったら礼でも言うか。

 

 

 

響side

 

「どこかな?眼魂は…」

 

クリスちゃんとは反対側の住宅街を私は探し回っていた。

 

「ん~と……うん?何かいい匂いがする…」

 

その匂いにつられて歩いていくと、一軒のレストランがあった。

 

「こんな所にレストランがあったんだ。」

 

お店を見ていたら、中から店員さんらしき人が出てきた。

 

「ん?いらっしゃい。今開店するから。」

 

「あ、違います‼ちょっと探し物をしていまして…」

 

「そうだったんだ、見つかると良いね…………あれ、何だろうコレ?」

 

その店員が手に持った物を見て、私は驚いた。

 

「あ~~~~‼‼‼‼それ、眼魂‼‼‼」

 

「うわッ‼コレが君の探し物?」

 

「はい‼‼そうです‼‼‼」

 

「じゃ、今度は無くさないようにね。」

 

「ありがとうございます‼」

 

店員さんが眼魂を差し出してきたので、受け取った私はお礼を言った。

 

「今度は友達と一緒においで。」

 

「その時は是非‼」

 

店員さんは開店作業があるのか店内に戻っていった。

 

コレは《AGITO》の眼魂か…………あれ?このお店の名前と同じだ。

 

 

 

一誠side

 

駅前通りを探していた俺は、記者の人に捕まっていた。

 

「頼む‼インタビューに協力してくれ‼‼記事書かないと編集長に怒られちまうから‼お願いだ‼」

 

「そんな事言われましても…」

 

さて、どうやって脱出しようか……

 

「協力してくれたら、コレあげるから‼」

 

「物でつろうとしても、こっちにも用が………………ってそれは‼‼」

 

その男の手には眼魂があった。

 

「あんた、何処でコレを!?」

 

「え?さっき会社の前に落ちてたんだよ。見たことないから後で何かに使えるかと思ってな。」

 

まさか、こんなかたちで見つかるとは……

 

「それをくれるなら、インタビュー受けてもいいぜ?」

 

「マジか!?シャアッ‼商談成立だ‼」

 

眼魂を受け取って、10分程インタビューを受けたら満足したのか嬉しそうに帰っていった。

 

「あの人も通り魔事件を調べるんだな…………そういやこの眼魂はどのライダーだ?」

 

上を見たら《RYUKI》と書かれていた。

 

「龍騎の眼魂か…………さて、他の皆はどうなんだろうな?」

 

 

 

タケルside

 

町外れにある森を探していた俺は木の上に座っている眼魔に遭遇していた。

 

『オマエ、ダレダ?』

 

「名乗る程の者じゃねぇよ。」

 

『オマエ、キケン、タオス。キキーッ‼』

 

そう言って木から飛び下り、手刀を降り下ろしてきた。

 

「おわッ‼」

 

横に跳ぶ事で回避して、ベルトを出して眼魂のスイッチを入れた。

 

「向かって来るならやってやるよ‼変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

ガンモードにしたガンガンセイバーを撃つが、縦横無尽に動きまわられ狙いが定まらなかった。

 

「クソッ‼ぴょんぴょん跳びやがって‼」

 

なら、あのライダー眼魂を使うか‼

 

BLACK眼魂を取り出し、オレ眼魂と入れ換えた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「いくぞ‼」

 

《カイガン‼BLACK‼ゴルゴム許さん‼ブラックサン‼》

 

…………………………なんだ、このおかしな音声…………。

 

飛んでいたゴーストを身に纏い、変身を完了した俺は眼魔に接近する。

 

『クラエ、ケケーッ‼』

 

再び頭上から手刀を繰り出して来たが、俺は直ぐにレバーを引いて押し込んだ。

 

《ダイカイガン‼BLACK‼オメガドライブ‼》

 

ベルトの上に両手を乗せると、強烈な赤い光が放たれた。

 

『ギャバッ‼』

 

それを喰らった眼魔は攻撃に失敗して地面に墜落した。

 

「一気にトドメだ‼」

 

その場から跳び上がり、右手を突き出しながら眼魔に突っ込む。

 

「ライダーパンチ‼」

 

『キギャッ!?』

 

立ち上がりかけてた眼魔はこれをモロに喰らいぶっ飛んで行き、俺は着地と同時に再び跳び上がり今度は右足を突き出した。

 

「ライダーキック‼」

 

『ケギャアアアアアァァァァァッ‼』

 

必殺コンボを喰らった眼魔はダメージ容量を越え、爆散した。

 

「たくっ、鬱陶しい奴だったぜ。」

 

変身を解除し倒した所に行くと、壊れた眼魔眼魂とライダー眼魂があった。

 

「この眼魂は……《AMAZON》か…」

 

あのしゃべり方はもしかしてと思ったけどやっぱりか。

 

「さて、一度皆と合流する『マテ。』ってマジかよ…」

 

呼び止めた声の方を向いた俺は最悪の展開に驚いていた。

 

後ろにいたのは眼魔だけど、深緑と黒のパーカーを纏い光輝く剣のような杖状の武器を右手に持っていた。

 

出来ればその眼魂は落ちてるのを回収したかったけど、一歩遅かったか……

 

「イッセー達に通信だけでもいれとくかな?」

 

それでも、アイツらが来るまで持ちこたえられるかわからねぇけど、やってみるか‼

 

『キサマハ、ココデコロス。』

 

「やれるもんならやってみやがれ‼“BLACK RX”‼」

 

 

 

 




今回出た人達はこの先出て来る事はありません。ご了承下さい。

次回 『仲間』

「俺は一人じゃないんだよ‼」

それでは、次回も楽しみにしてくださると嬉しいです。




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仲間

遅くなりましたが更新です。

今回の戦闘シーンは賛否両論になりそうな気がする……

それでも構わないという方はこのBLACK RX戦を見ていってください。



アーシアside

 

「う~ん、見つかりませんね。」

 

私は学園の裏庭をアグちゃんとガブちゃん、ドルちゃんと一緒に探していました。

 

『もう、ここには無いんじゃないってオイラは思うんだけど?』

 

『でも、ここはかなり広いから一個くらい落ちてるんじゃないかな?』

 

『それに、探した場所はまだ4分の1っすよ?こういうのは根気っす‼この前はぐれた時もオレっちは根気よく探してたんすから。』

 

「そうですね‼皆で探せばきっと見つかりま(コンッ)ほえ?」

 

足先に何かが当たった感覚があったので下を見てみたら……

 

「ああ~‼眼魂、ありました‼」

 

『『『ホントに!?』』』

 

「はい‼ほらコレ‼」

 

私の手には、《ZO》と書かれた眼魂がありました。

 

『スゴいや‼アーシア‼』

 

『この辺にまだあるかな?』

 

『全力で探すっすよ‼』

 

アグちゃん達がやる気を出してきた時……

 

[タケルより全員へ、メチャクチャヤバイ相手に遭遇しちまったから増援を頼む‼]

 

と、渡されていた通信機から連絡が入りました。

 

「大変です‼早く行かないと‼でも、私は走るのが苦手ですし……」

 

『だったら、ボクに力を少しだけくれれば乗せていってあげるよ。』

 

「本当ですか!?お願いします‼」

 

ガブちゃんの背中に手を乗せて思いの力を渡していきますけど、どれくらいでいいんですかね?

 

『もう大丈夫だよ。これくらいあれば充分だから。』

 

ものの数秒で充分になったみたいなので、背中から手を離すとガブちゃんの身体が青い光に包まれていきました。

 

『ガブモン‼進化‼………………ガルルモン‼』

 

光が収まるとそこには私より何倍も大きくなって水色と青の縞模様に四足歩行の狼になったガブちゃんがいました。

 

『さあ、乗って‼』

 

「はい‼」

 

しゃがんだガブちゃんの背中に乗ると一気に駆け出した。

 

タケルさん、頑張ってください‼

 

『ところで、何処に行けばいいの?』

 

「……………………あ。」

 

場所を聞くの忘れてました……

 

 

 

タケルside

 

「さて、公式チート相手に何処までやれるか試させてもらうぞ‼昇格(プロモーション)、女王‼そして、変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

変身した俺はガンガンセイバーを握りしめ、RX眼魔へと駆け出した。

 

RX眼魔は微動だにせずにその場に立っているけど余裕ぶってられるのも今のうちだ‼

 

射程内に入った俺はガンガンセイバーを振り上げ、上段の構えから一気に振り下ろした。

 

『フン。』

 

「なッ!?」

 

だが、その一撃は右手に持っていたリボルケインによって軽々と受け止められてしまった。

 

嘘だろ!?一応全力だったんだぞ!?

 

驚きのあまり動きを止めてしまい、その間に剣を弾かれガラ空きの身体を袈裟斬りに切り裂かれた。

 

「グアァァァッ‼」

 

一撃で相当なダメージを負った俺は何とか後ろに下がり、茶色の眼魂を取り出した。

 

接近戦がダメなら遠距離はどうだ‼

 

《カイガン‼ビリー・ザ・キッド‼百発百中‼ズキューン‼バキューン‼》

 

ガンガンセイバーをガンモードに変えて右手に持ち、左手にはガンモードのバットクロックを持って撃ちまくった。

 

『グッ!?』

 

「よしッ‼」

 

その弾丸を喰らったRX眼魔は怯んで少しだけ後ろに下がった。

 

よし‼このまま押しきっていけば……‼

 

しかし、パーカーの深緑の部分がオレンジになった途端、こちらの攻撃を受けながらも平然と歩き出した。

 

「チッ‼ロボライダーにチェンジしたか‼堅い装甲に正確に撃つ射撃型って面倒な……」

 

そして、リボルケインを銃型の武器ボルティックシューターに変えるとそれを撃ち、こちらの弾丸を全て撃ち落とし俺に直撃させた。

 

「ウアァァァァッ‼」

 

なんてヤツだ!?だったら‼

 

バットクロックとガンガンセイバーを合体させて、ライフルモードにしてベルトとアイコンタクトする。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

照準を合わせた俺は引き金を引いた。

 

「喰らえ‼」

 

《オメガインパクト‼》

 

放たれたエネルギー弾は真っ直ぐにRX眼魔に向かっていった。

 

でも、それはパーカーの色を青と白に変えたRX眼魔のゲルのような身体を通り抜けるだけで終わった。

 

「今度はバイオライダーか‼身体をゲル化されると厄介この上ないな‼」

 

RX眼魔はボルティックシューターをバイオブレードに変え接近してきた。

 

「だったら受けてたってやるよ‼」

 

政宗眼魂を取り出し、ビリー・ザ・キッド眼魂と入れ換える。

 

《カイガン‼マサムネ‼武勇で皇帝‼独眼竜‼》

 

ブレードモードにしたガンガンセイバーにドラゴンスピーカーを合体させ、バスターブレードにした剣を振り下ろしたがバイオブレードに受け流され剣を突き出してきた。

 

「させるか‼」

 

それを喰らう前に剣の柄を叩き、スピーカーから衝撃波を放つ。

 

『ヌオッ!?』

 

想定外だったのか、動きが止まったのでその間に剣を引き戻し、眼魔に突き刺した。

 

『フン、イマノワタシニコレガキクトデモ?』

 

「い~や思ってないさ、これはこの為だよ‼」

 

俺は身体を動かして、無理矢理な態勢でアイコンタクトする。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

そして、トリガーを押しながら剣を振るった。

 

《オメガブレイカー‼》

 

『ウオォォォォォッ!?』

 

そして体内から放たれた衝撃波によって、RX眼魔の身体はバラバラに散っていった。

 

「さすがにこうすれば 『イマノハオドロイタゾ。』……やっぱチートには通じねぇか。」

 

目の前で飛び散ったゲルが集まって、身体を再生しているのを見たら勝算が無いってのを嫌でも理解させられた。

 

『キサマヒトリデワタシヲタオスナド、ムリナハナシダ。』

 

「確かに俺一人じゃ勝てないのは充分に分かったよ。」

 

『ナラ、シネ。』

 

黒と深緑のパーカーに戻ったRX眼魔はリボルケインを構え、俺に突き刺そうとした。

 

でも、残念だったな。

 

「まだ、終わってねぇよ。」

 

『ナニ?』

 

なぜなら……‼

 

「俺は一人じゃないんだよ‼」

 

その瞬間、青白い光が降り注ぎRX眼魔が実体化した。

 

『ナンダトッ‼』

 

RX眼魔が驚いている間にその場にしゃがむと、俺の上を1本の槍が通り抜けRX眼魔に直撃した。

 

『グオッ!?』

 

「吹っ飛べ‼」

 

更に、後ろから一人の男が俺を飛び越えて槍に跳び蹴りをぶちかました。

 

《COMET∞SPIKE》

 

『Remote!』

 

『グアァァァッ‼』

 

それを喰らったRX眼魔は勢いよく転がっていった。

 

「悪い、オッチャンからクモランタンを受けとるのに時間を食って遅くなっちまった。」

 

「気にしてねぇよ。むしろナイスタイミングだ。」

 

そんな感じに現れた男、イッセーと会話する。

 

『グッ、タッタヒトリフエタトコロデ、カテルトオモウナ‼』

 

「タケル、コレ使え。」

 

イッセーから投げ渡されたモノ“龍騎眼魂”を受け取り、すばやく政宗眼魂と入れ換えた。

 

「やっぱり手に入れてたのか。」

 

「当たり前だろ?苦労したぜ。」

 

「だったら、ありがたく使わせて貰うぜ‼」

 

《カイガン‼リュウキ‼周りはライバル‼始まるサバイバル‼》

 

現れた袖が赤くそれ以外が銀色のパーカーを羽織り、手には龍騎の相棒ドラグレッダーの尻尾の剣ドラグセイバーを持つ。

 

『リュウキノアイコンダトッ!?』

 

「シャアッ‼行くぞ‼イッセー‼」

 

「任せろ‼」

 

 

ー推奨BGM《我ら思う故に我らあり》ー

 

 

互いに走り出し、RX眼魔に近づいた俺達は同時に武器を振るった。

 

『ソンナコウゲキナゾ‼…………ッ!?グオッ!?』

 

何かしようとしていたが、RX眼魔には何も起きず俺達の攻撃が命中した。

 

『ナゼダ!?ナゼチェンジデキナイ!?』

 

「それは俺がその力を解除したからさ。」

 

RX眼魔の叫びにイッセーが答えた。

 

『貴方の力はかなり驚異です。ですが、その“姿を切り替える”という条件を解除してしまえば、その限りではありません。』

 

「だから、さっきの一撃でそれを解除したのさ。お前達がその力を使うのをライダーは嫌がっているみたいだぜ?すんなりと解除させてくれたからな。」

 

『バカナッ!?』

 

やっぱドラゴン系の神器って反則だよな……

 

「っていうか、何でアイツの能力知ってんだ?」

 

「お前……わかってて言ってるだろ?」

 

あれ?バレたか。

 

「通信入れっぱなしにして、あんな説明みたいな言葉を聞けば分かるわ。」

 

「流石だな。」

 

俺以外の奴等に情報を渡すにはコレが一番だと思ったんだけど、正解だったな。

 

『ダガ、ソレデモワタシニカツナドアリエンッ‼』

 

態勢を立て直したRX眼魔がイッセーに向かってリボルケインを振り下ろした。

 

「そんなもんッ‼」

 

それをガングニールで防ごうとしたが、まるでバターを切るかの如く両断された。

 

「切れたぁッ!?」

 

『かなりの出力ですね。』

 

「イッセー‼下がれ‼」

 

ドラグセイバーをドラグクローに持ち変えて構えると、隣にドラグレッダーが現れたのでクローを突き出しドラグレッダーが火炎弾を放った。

 

『ヌウッ‼』

 

RX眼魔がそれに怯み、その間にイッセーが離れる。

 

「助かったぜ。」

 

「どうやらシンフォギアじゃリボルケインには対抗出来ないみたいだな。」

 

「らしい、役立たずでスマン。」

 

「後はこっちで何とかしてみるさ。」

 

「頼む。」

 

イッセーが下がったのを確認してから、再びドラグセイバーに持ち変える。

 

『ナカマニハ、メグマレナカッタミタイダナ?』

 

「いや、アイツは最高の友達だよ。」

 

『トモカ……クダラナイナ。コノヨハ“チカラ”ガスベテダッ‼』

 

「…そんな事ない‼」

 

新しく聞こえた女の子の声の方を向くと、調ちゃんがいた。

 

「…友達がいるから、私達は新しい世界を知れる。新しい自分を見つけられる‼」

 

「それに友達が一緒なら、どんな困難も怖くはないデス‼」

 

調ちゃんの後ろから更に声が響き、切歌ちゃんが現れた

 

「「だから、私達は誰かと繋がろうとするんだ(デス)‼」」

 

そして、二人から何かを投げ渡された。

 

「…私達が見つけた眼魂‼」

 

「使うデス‼」

 

「おうよ‼」

 

龍騎眼魂を取り出し、調ちゃんから渡された眼魂をセットしてレバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼ドライブ‼警官‼正義感‼タイヤコウカン‼》

 

出てきた赤と黒のパーカーを纏い、両手にはハンドルの付いた剣と車のドアを模した銃があった。

 

「んじゃ、ひとっ走り付き合えよ‼」

 

そのセリフと共に銃を撃ちながら接近する。

 

『クッ‼ハアッ‼』

 

最初の数発は喰らうも後はリボルケインで弾かれてしまった。だが、その間にRX眼魔を横をすり抜けながら剣で切り裂く。

 

『グアッ!?』

 

「次はコイツだ‼」

 

ドライブ眼魂から切歌ちゃんから貰った眼魂と入れ換える。

 

《カイガン‼ダブル‼二人で一人‼ガイアメモリ‼》

 

「さあ、お前の罪を数えろ‼」

 

右が緑、左が黒のパーカーを羽織り、駆け出す。

 

『ナメルナッ‼』

 

RX眼魔はリボルケインを突き出してきたが、右足で持ち手を蹴り飛ばしその勢いで回りながら左足で腹に蹴り込み、最後に跳び上がりながら顔に風を纏った回し蹴りを叩き込んだ。

 

『グハッ!?』

 

「次はさっき手に入れたコレだ‼」

 

《カイガン‼アマゾン‼大空に聞け‼アマゾン‼ここにあり‼》

 

緑と赤の縞模様のパーカーを着て、跳び上がりながら再度レバーを操作する。

 

《ダイカイガン‼アマゾン‼オメガドライブ‼》

 

「ダイ・セツ・ダァン‼」

 

そして、落下の勢いを乗せた手刀と袖に付いたヒレで身体を切り裂いた。

 

『ガハァッ‼』

 

これを喰らったRX眼魔は体から黒い液体を飛ばしながら吹き飛んだ。

 

「アイツ、タオレタ?」

 

「おい、片言になってるぞ。」

 

おっと、アマゾン眼魂の副作用みたいなもんか?

 

『マダダ‼マダワタシハタオレンゾッ‼』

 

「渋といな…」

 

「なら、ちゃっちゃと決めちまいな‼」

 

声が聞こえた方を向けば、クリス先輩がいて俺に眼魂を投げてきた。

 

「チートだかチーズだか知らねぇけど、んな奴とっととぶっ潰せ‼」

 

「了解です‼」

 

アマゾン眼魂と渡された眼魂を入れ換え、駆け出しながらレバーを引いて押し込む。

 

《カイガン‼カブト‼今すぐ加速‼キャストオフ‼》

 

フードの先に赤いかぶと虫の角が付いた赤いパーカーを着て、少し軽くなった身体で一気に接近する。

 

『ソノテイドッ‼』

 

RX眼魔はリボルケインで切り裂こうと振るってきたが当たる気はねぇよ‼

 

「クロックアップ‼」

 

そう言うと、周囲の動きがスローモーションになった。この間にRX眼魔の背後に移動し背中合わせになったらレバーを操作した。

 

《ダイカイガン‼カブト‼オメガドライブ‼》

 

エネルギーが右足に集まるのを確認したら、振り返りながら上段の回し蹴りを叩き込んだ。

 

「ハアッ‼」

 

『グハアァァァァァァッ!?』

 

反応することすら出来なかったRX眼魔は地面をバウンドしながら吹っ飛んだ。

 

『ヌウッ‼ウゴキガミエナカッタダト?』

 

「当たり前だ…俺の進化は光より速い。全宇宙の何者も俺の進化にはついて来れない。」

 

くぅ~~~~ッ‼言ってみたかったんだよな‼天道語録‼

 

「戦場で呆けるな‼」

 

その叱責の声と共に眼魂が飛んできたので慌てて受け止めた。

 

「その隙が死を招くと心得ておけ‼」

 

「スミマセン!?」

 

謝りつつ、叱責の主である翼さんからの眼魂をベルトにセットした。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼》

 

そして、現れたパーカーゴーストが俺の後ろから攻撃しようとしたRX眼魔を弾き飛ばした。

 

『ヌアッ!?』

 

「うおッ!?あっぶね~。」

 

翼さんの言う通り次からは気を付けよう……

 

そして、レバーを引いて押し込みゴーストを纏う。

 

《カイガン‼ガイム‼オレンジ‼バナナ‼そんなバカな‼》

 

…………この変身音は絶対にふざけて作ったな…………

 

周りを見るとイッセー達も肩を震わせて笑いを堪えていた。

 

笑うなァァァァァァァッ‼(地獄の兄貴風)

 

右手に現れた大橙丸を握り締め、RX眼魔に突っ込む。

 

「ここからは俺のステージだ‼コンチクショウッ‼」

 

八つ当たり気味に切りかかり、リボルケインとつばぜり合う。

 

「テメェで鬱憤を晴らしてやる‼」

 

そのまま、レバーを操作して必殺技を発動する。

 

《ダイカイガン‼ガイム‼オメガドライブ‼》

 

刀身にエネルギーを集め、力任せに振り抜く。

 

「セイハァッ‼」

 

『ガハッ‼』

 

威力は減衰されたが、切り裂いたその隙に1度距離を取った。

 

『ナゼダ!?ナゼワタシガオサレテイル!?』

 

「簡単さ、“俺達”の力がお前より上ってだけだよ。」

 

『アリエン‼ヨワイチカラガイクラアツマロウトモ、アットウテキナチカラノマエニハムリョクノハズ!?』

 

「なら、貴方の力は圧倒的ではなかったということね。」

 

「それに私達は力だけが全てとは思ってない。」

 

「例え1人1人が弱くても、皆が力を合わせればそれはとっても強い力になるんだ‼」

 

新たに3人の声が聞こえ、そこにはマリアさんと未来さんと響さんが立っていた。

 

「テメェに刻み込んでやるよ。短い間に俺達が繋いだ絆の力をな‼」

 

「「「受け取って(れ)‼」」」

 

3人から眼魂を受け取り、未来さんの眼魂をベルトにセットする。

 

《カイガン‼ウィザード‼指輪の魔法‼最後の希望‼》

 

「さあ、ショータイムだ。」

 

パーカーを纏い右手に現れた銀色の武器、ウィザーソードガンを構え、銃弾を五発放つ。

 

『ソノテイドノコウゲキッ!?』

 

RX眼魔はリボルケインで弾を切り裂こうとしていたが…

 

「あらよっと。」

 

『グアッ!?』

 

弾を操作してリボルケインをかわし、直撃させる。

 

「次はコレだ‼」

 

《カイガン‼アギト‼目覚める魂‼神々の話‼》

 

眼魂を響さんから貰ったのに取り換え、接近する。

 

『コレイジョ「ハアッ‼」ウアッ‼』

 

リボルケインを振るう前に、懐に入り右ストレートを決め、腹を蹴って吹き飛ばした。

 

「さあて、次行くぜ‼」

 

《カイガン‼ディケイド‼読み込むカード‼顔がバーコード‼》

 

ピンk……じゃなくてマゼンタのパーカーを羽織り、現れたライドブッカーをソードモードにして刀身を撫でる。

 

『マケルワケガナイ‼コノワタシガマケルナド……‼』

 

「もう黙って消えろ。」

 

《ダイカイガン‼ディケイド‼オメガドライブ‼》

 

目の前にホログラムで出来たカード状のものが現れ、跳び上がりながらそれをくぐり抜け、跳び蹴りを決める。

 

「デヤァァァァァァッ‼」

 

『ヌアァァァァァァァァァァァァァァッ‼』

 

それを喰らったRX眼魔は地面に崩れ落ちた。

 

「やっと終わったか…」

 

眼魂を回収するために近づこうとしたら……

 

「タケルさん‼ダメです‼」

 

「ッ‼」

 

その叫びで1歩下がると、目の前を光の剣閃が通り抜けた。

 

「うわッ!?まだ生きてんのかよ!?」

 

俺が後ろに飛び退くと、RX眼魔がゆっくりとだが立ち上がった。

 

『マダダ……マダマケテハイナイ‼』

 

「タケルさん‼コレを‼」

 

何処からか飛んできた眼魂を手に取り、ベルトにセットする。

 

《カイガン‼オーズ‼メダル奪った‼タカトラバッタ‼》

 

黒を基準に赤と黄と緑のラインが入ったパーカーを着て、袖の先にある黄色のクローを展開する。

 

『ココデマケテハ“アノオカタ”にアワセルカオガナイ……』

 

「あの御方?」

 

なんだ、コイツらを操っている奴がいるのか?

 

『キサマダケデモ、ミチヅレニシテクレル‼』

 

「そいつはごめん被るよッ‼」

 

レバーを引いて押し込み、構える。

 

《ダイカイガン‼オーズ‼オメガドライブ‼》

 

跳び上がり前に出来た赤、黄、緑のリングをくぐり、必殺技《タトバキック》を決めた。

 

「セイヤァァァァァァァァァァァァァァッ‼」

 

『グハッ!?』

 

それを受けたRX眼魔はゆっくりと倒れていき、

 

『ワレラガ“オウ”ニエイコウアレェェェェェェ‼』

 

その言葉を叫びながら爆散した。そこにはくだけ散った眼魔眼魂とBLACK RXの眼魂が残されていた。

 

「これで本当の終わりだな…」

 

「タケルさん‼怪我は無いですか!?」

 

変身を解いた俺にオーズ眼魂を渡してくれた女の子、エルナが心配そうな顔で近寄ってきた。

 

「少し痛いけど、これぐらいなら大丈夫だよ。」

 

「なら、良かったです……あまり無茶はしないで下さいね?」

 

「分かったよ。」

 

「タケルさんに何かあったらボクは…」

 

「ボクはなんだって?」

 

「え!?い、いえ‼何でもナイですよ‼はい‼」

 

「?」

 

何を慌ててんだ?

 

「お~い‼タケル~‼」

 

「ほら、皆が呼んでるから行こうぜ‼」

 

「あっ、はい‼」

 

皆の所に着くと全員が笑顔で出迎えてくれた。

 

「悪かったな、力になれなくて。」

 

「んな事ねぇよ。皆がライダー眼魂を持ってきてくれたから俺は戦えたんだ。」

 

じゃなかったら、俺は負けていたかもしれないしな……

 

「お待たせしました~~~‼」

 

と、そこにアーシアさんが何かガブモンの面影がある生き物に乗って現れた。

 

「タケルさん‼ライダーの眼魂を持ってき…………あれ?もしかして終わってます?」

 

『終わっちゃってるね。』『終わってるね。』『終わってるっすね。』

 

「そんなぁ~…」

 

その姿を見て、俺達は思いっきり笑った。

 

しかし、RX眼魔が言っていた王を倒さない限り戦いはまだ続くだろう。

 

それでも、この仲間がいる限り俺達は勝てると思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「アイツらか…………俺の邪魔をしていやがるのは…」

 

だったら思い知らせてやる。

 

「俺の邪魔をすればどうなるか……その身で味わうんだな‼」

 




いかがでしたか?

なんか、ご都合主義な気がしている作者です。

次回『砕かれる勇槍』

「タケル……皆を……頼む…」

では、次回で会いましょう。


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砕かれる勇槍

遅くなってしまいましたが、最新話です。

今回は題名通りの展開です。

では、どうぞ。


※一部加筆・修整しました。


一誠side

 

『ハ~~ハッハッハッハ‼ドウシタ?ワタシハココダゾ‼』

 

「「降りてこいや、ゴラァァァァァァァッ‼」」

 

どうも皆様、龍見一誠です。今現在空にいる眼魔に向かって調と小猫がシャウトしています。

 

なぜこうなったかというと……

 

「二人とも落ち着けよ。たかが“ペチャパイ”って言われた位で「「パイは命より重い‼」」ハイ、スイマセン…」

 

と、いうわけです。

 

「タケル、今の二人に何を言っても無駄だ。」

 

「そうみたいだな…」

 

『フム……“アップルパイ”トイウタベモノニハ“リンゴ”トイウモノガツマッテイルトキイタガ、オマエタチノ“ペチャパイ”ニハナニガツマッテ………………ナイカラペチャパイダッタナ。』

「「よし、ぶっ殺すッ‼」」

 

眼魔が更に言葉の爆弾を投下し、二人の怒りのボルテージが上昇した。

 

「ねぇ……早くしないと二人の心が先に壊れちゃいそうだよ?」

 

「といってもなぁ…」

 

響の提案にも乗りたいんだが、ここにいるのは俺と響、タケルに小猫に調で空に攻撃出来る奴が少ないのでまともに戦闘できないのだ。

 

「早く来てくれ……クリス…」

 

「お~お~、飛んでる飛んでる。」

 

噂をすればniceなタイミングでクリスとアリアが来てくれた。因みにアリアの犬耳や尻尾を服で隠すのは無理だったので、帽子やスカートに細工してそれらしいコスプレ衣装にすることで誤魔化す事にした。なので、外に出られるようになったアリアも今回来ていた。

 

「すみません、遅くなりました。」

 

「さて、楽しみにしてたし準備すっか。」

 

楽しみだった?なにがだ?

 

「Killiter ichaival tron」

 

聖詠を唱え、シンフォギアを纏ったクリスはアンカーを地面に刺し、身体を固定した。

 

「1度やってみたかったんだよな…対空砲火ってやつをッ‼」

 

そして、全身からミサイルとガトリングを一斉射した。

 

《MEGA DETH QUARTET》

 

『ヘ?ウオォォォォォォォォォォォッ!?』

 

調たちをおちょくるのに集中していたのか、全弾が眼魔に命中したが眼魔はまだ空にいた。

 

『キサマ!?シャベッテイルトキニコウゲキスルナドヒキョウダゾ!?』

 

「あ?こういう時は撃って……いいんだよな?」

 

「「「「「「当たり前じゃん(だよ)(です)。」」」」」」

 

全員の声がきれいにハモった。

 

『クッ!?ナラ、オアソビハオワリダ‼』

 

そう言うと、素早いスピードで俺達に攻撃し空に逃げるヒットアンドアウェイを始めた。

 

「キャアッ‼この‼」

 

攻撃された響が反撃しようとしたが、既に空にいるのでそれは叶わなかった。

 

「あ~もう‼こう動かれたら迂闊に撃てねぇじゃねえか‼」

 

確かに下手に撃ってしまえば味方に当たる危険性もある。どうすれば……‼

 

『見てられないな。』

 

すると突然、聞き覚えのない声が聞こえた。

 

『今回は特別だ。』

 

声の発生源があるであろうタケルの方を見ると、1つの眼魂が浮いていた。

 

そして、その眼魂はアリアの方に飛んでいき身体の中に入っていった…………って!?

 

「おい、アリア‼大丈夫か!?」

 

『心配するな、少し身体を借りているだけだ。』

 

「というか、なぜアリアに?」

 

『この子なら俺の力を使えるからだ。』

 

なんだかさっぱり分からねぇ!?

 

『取り合えず、手伝ってやる。』

 

そういって腰に手を翳すとタケルのと同じベルトが現れ、その中に今の眼魂を入れた。

 

《アーイ‼バッチリミロー‼バッチリミロー‼》

 

そして、左手を胸元に右手を顔の右側に持っていき、強く握り締めた。

 

『変身‼』

 

《カイガン‼スペクター‼レディゴー‼覚悟‼ド・キ・ド・キ‼ゴースト‼》

 

そして、変身した姿は俺達と同じ背丈になりタケルのオレンジの所が青に変わり、額と胸の目の紋章は角が2本、顔も少し禍々しい感じのライダーになった。

 

「仮面ライダースペクターだと!?」

 

スペクター……それがあの姿の名前らしい。

 

「え!?ちょッ‼何があったの!?」

 

「…アリアが仮面ライダーになった…‼」

 

「これはいったい…?」

 

その姿を見ていたら、右手に紺色の眼魂を持っていて、そのスイッチを入れると《13》と表示された。

 

「それは……タケルがまだ使えない眼魂‼」

 

それをベルトに入れると、何処からか青いバイクがやって来て真ん中から開くと、中にパーカーゴーストがいた。

 

《アーイ‼バッチリミロー‼カイガン‼フーディーニ‼マジいいじゃん‼スゲェマジシャン‼》

 

それを羽織るとバイクを背負ったみたいになり、顔も鎖と南京錠が描かれたものになった。

 

「あれが…………フーディーニ魂…」

 

そして、バイクの車輪を回転させながら空に飛び上がり、眼魔を殴った。

 

『グオッ!?ナンダキサマハ!?』

 

『答える義理はない、さっさと堕ちろ‼」

 

《ダイカイガン‼フーディーニ‼オメガドライブ‼》

 

車輪の所から鎖が飛び出し、眼魔を縛ったらドリルのように回転しながら跳び蹴りを決め、眼魔は地面に堕ちた。

 

『アタタタタタ…「「いらっしゃい…」」ヒィッ!?』

 

その場所には調と小猫が待ち構えていた。後は二人に任せるか。

 

『おい、御堂タケル。』

 

「何ですか?」

 

『俺達と同じ力を使うのなら《15人の英雄達の心の声を聞き、思いを未来に繋げろ》……この言葉を覚えておけ。』

 

そう言って、アリアの中から眼魂が出て、タケルの手に収まった。

 

「今の言葉は何だったんだ?」

 

「俺にも分からねぇ……でも、それが何かに繋がるのかもな。」

 

「「先輩、眼魂持ってきました。」」

 

近くに来た調と小猫を見ると、所々に黒い液体が付着していて、特に小猫の左手にはべっとりと付いていた。

 

「……………………一応聞くけど、どうやって手に入れた?」

 

「調さんがお腹を鋸でかっさばいて、私が左手をその中に突っ込んでほじくりだしました。」

 

………………グロすぎだよ………………

 

「と、取り合えずサンキュな…」

 

黒い液体が付いた《SKYRIDER》の眼魂を受け取るタケルだけど、俺は触りたくねぇ……

 

「アリアの方は大丈夫か?」

 

「え?……あ、はい。大丈夫です。」

 

「ん?そうか。」

 

色々聞きたいけど何か様子がおかしいし、本人が大丈夫って言ってるなら今はやめておくか。

 

「それじゃ、戻ろうか。」

 

「「「「「「了解‼」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

スカイ眼魔を倒した次の日、俺とイッセーは駅前広場にあるドーナツ屋に来ていた。眼魔についてある程度の情報が解ったから教えてくれるそうだ。

 

「で、色々調べてみたんだがどうやら過去にも似たような存在がいたらしくて、そいつはこの町の森に封印されていたみたいだ。」

 

「なら、何で今になって眼魔が暴れまわってるんだ?」

 

「誰かが封印を解いた……しかないな。」

 

「たく……誰だよ、んな面倒な事してくれたのは?」

 

「さあな……でも、眼魔を倒す事には変わりはない。」

 

「そうだな。」

 

その話が終わるとイッセーは席を立った。

 

「んじゃ、俺は響と買い物に行く約束があるから。」

 

「なんだ?デートか?」

 

「夕飯の材料だよ。今日はアイツがチャーハンが食いたいって言うからな。」

 

おーおー、相変わらず仲がよろしいこって。

 

「あれ?お兄ちゃんに龍見さんだ‼おーい‼」

 

「「ん?」」

 

突然聞きなれた声が聞こえたので、そこを見ると玲奈ともう一人同じ制服を着た女の子がいた。

 

「お兄ちゃん達も来てたんだ。」

 

「まあな。そっちの子は友達か?」

 

「うん‼親友の夕夏ちゃんだよ‼」

 

「は、始めまして‼小鳥遊夕夏です。」

 

「玲奈の兄のタケルだ、こっちが俺の友達の……」

 

「龍見一誠だ、ヨロシクな。」

 

「宜しくお願いします。」

 

「そうだ‼龍見さん、チャーハンのレシピ教えてくれるのいつ頃になりそうですか?」

 

「う~ん、今抱えている案件が終わってからになるけど、それでもいいかい?」

 

「そっか…………じゃ、待っています。」

 

そういえば、こいつも巻き込んでいるんだったな……あんまり心配掛けないようにしないと。

 

「それよりイッセー、時間大丈夫か?」

 

「やっべ!?んじゃ、またあ「ちょっといいかな?」と?」

 

イッセーが行こうとしたら、一人の男が俺達に話しかけてきた。

 

「何ですか?」

 

「君達に頼みたい事があるんだ。」

 

うっわ‼怪しさ抜群なセリフだな、オイ‼

 

「急いでるんですけど…」

 

「なに、時間は取らせないさ。ただ…」

 

そう言って右手をゆっくりと上げ……

 

「死んでくれればいいんだからな‼」

 

一気に下ろしたのを見て、とっさに俺は夕夏ちゃんをイッセーが玲奈を抱えてその場から飛び退いた。

 

すると、俺達がいたテーブルと椅子がいきなり切り裂かれた。

 

「んなッ!?」

 

何が起きた!?眼魔もいないのにどうやって!?

 

「へぇ……勘はいいんだな?」

 

「テメェ…………何者だ!?」

 

「教えてやるわけねぇだろ、ヴァ~カッ‼」

 

再び右手を動かそうとしたので、俺はクモランタンを取り出し粒子をばら蒔いた。すると、俺達の周囲には30体以上の眼魔がいた。

 

「ヒィッ!?」

 

こういうのを始めて見たんだろう夕夏ちゃんが小さな悲鳴を上げる。

 

「あれ?何で見えるようになってんだ?細工は完璧なんだけどな…」

 

「テメェが眼魔達の親玉か‼」

 

「だから教えねぇって言ってんだろ‼ま、これを見れば一目瞭然か…」

 

「なら、お前を倒せば眼魔は消えるわけだな?」

 

「やってみろよ?殺れるもんならな‼」

 

そう言って、再度眼魔に指示を出し襲いかかったきた。

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

聖詠を唱えたイッセーはガングニールを纏い、硬質化させたマントを使い、眼魔を切り飛ばした間に俺は包囲を抜け、夕夏ちゃんをドーナツ屋の裏に下ろした。

 

「いいか?玲奈も連れてくるから、ここでじっとしてるんだぞ?」

 

俺の言葉に夕夏ちゃんは頷いてくれたので、ベルトを出して、眼魂をセットしてレバーを操作した。

 

「変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

「へ、変身した?」

 

「玲奈以外には秘密な?」

 

そう頼んだ後、俺はイッセーと玲奈を助けるためを眼魔に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

玲奈ちゃんを抱えている俺は槍が使えないので、マントを武器にしながら戦っていた。

 

しかも、コイツらは……

 

「玲奈ちゃんばっかり狙いやがって‼」

 

振るわれる攻撃全てが、玲奈ちゃんを殺そうとしていたのでマントで倒しつつ、抜けてきた攻撃は俺自身を盾にして防いでいる。なので、既に俺の体には幾つもの傷が出来ていた。

 

「龍見さん‼私の事は構わないで…‼」

 

「んな事できるかッ‼」

 

この子はタケルの大切な家族だ。だったら、アイツの王である俺が見捨てるなんてしてたまるもんか‼

 

「ん~~‼なんて素晴らしい光景だ‼見ていてヘドが出るぜ。」

 

そこに、俺が倒した以上の眼魔を召喚した男は、一斉に襲わせてきた。

 

マズイ!?この数を捌ききるのは……!?

 

そう思い、自分を盾にして玲奈ちゃんを守ろうとしたら……

 

「ハアァァァァァァァァァッ‼」

 

一人の少女が目の前の眼魔達を殴り飛ばし、その後ろから紫のレーザーとピンクの丸鋸と緑の刃が周りの眼魔を蹴散らしていった。

 

「イッセー‼お待たせ‼」

 

そこには響と未来、調と切歌がいた。

 

「皆…来てくれたのか‼」

 

「当然デス‼」

 

「……アザゼル総督が眼魔の反応をキャッチ出来る機械を作って、その試運転中だったの。」

 

「玲奈ちゃんは私が預かるよ。」

 

「ああ、頼んだ。ドーナツ屋の裏に友達もいるから守ってやってくれ。」

 

「わかった‼」

 

未来に玲奈ちゃんを渡し、この場を離れて行くのを見てから俺は男の方を向き、籠手を変形させた槍を掴んだ。

 

「さて、お前の狙いはなんだ?」

 

「狙いって決まってンだろ!?オメーらの持ってるライダーの眼魂だよ‼」

 

「ライダー眼魂だって?」

 

つまり、コイツも強大な力が目的か。

 

「なら、何で玲奈ちゃんを狙った?」

 

「ハア?弱点ぶらさげてるカモがいるんだ、そこを狙わない理由を逆に聞きたいね?」

 

コイツ……‼最低だな‼

 

「これ以上長話に付き合う気はねぇし、とっとと死にやがれ‼」

 

男は新しく眼魔を召喚し、突撃してきたが……

 

《ダイカイガン‼オレ‼オオメダマ‼》

 

その音声と共に、俺達の頭上を巨大な光弾が通りすぎ、眼魔達を吹き飛ばした。

 

「テメェ……俺の妹に手ぇ出してただで済むと思うなよ‼」

 

「ええ、そのような振る舞いは戦士の恥と知りなさい‼」

 

後ろから怒り心頭のタケルと、ギアを纏ったマリアとクリスが来た…………あれ?

 

「翼は?」

 

「センパイなら、転移アイテム忘れたから走って向かってんじゃないか?」

 

翼のヤツ……こんな時に天然になるなァ‼

 

「アリアが一緒だから何とかするでしょ?」

 

「取り合えず、先ずは目の前のクソ野郎を取っ捕まえるぞ‼」

 

『『『『『了解‼』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼side

 

なんという失態だ‼転移道具を忘れてしまうとは‼

 

その事に気づいた私は、走って向かおうとしたのだが……

 

「ちょっと待ってください。」

 

アリアに呼び止められた。

 

「なんだ‼急がねば…‼」

 

「これを使って下さい。」

 

そう言った彼女の隣には白と赤で彩られたバイクがあった。しかし、私はそれを不思議に感じた。そのバイクは先程まで《存在していなかった》

 

幾ら私が急いでいたとはいえ、数秒の間に《市販で売られていない形》をしているバイクを用意するなんてあり得なかった。

 

「それは…?」

 

「“ロードセクター”と言います。これのスピードならすぐにたどり着ける筈です‼」

 

「…………これやそれ以外について後で聞きたい事があるが、構わないな?」

 

「……はい。」

 

この子はもしかしたら……

 

ある、考えが頭をよぎったが緊急事態なので後回しした私は、アリアと共にそれに股がりエンジンを入れた私はバイクを発進させたが、

 

「くぅ!?なんてじゃじゃ馬だッ!?」

 

あまりの運転の難しさに、苦戦しながら戦場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺達は男が出してくる眼魔と戦っていたが……

 

「クソ‼数が減らない‼」

 

「あんにゃろう、何体呼び出せるんだよ‼」

 

男が眼魔を出し続けてくるので、数が一向に減らなかった。それに、

 

「おまけに変な眼魔まで出しやがって‼」

 

何体かは特別なパーカーを羽織っていて、響達がそれぞれ対応していた。

 

「このままだと、玲奈ちゃん達が…‼」

 

さっきから玲奈ちゃん達に向かおうとしている眼魔の対処をしているが、疲弊してきた俺とタケルの間を何体かが抜けていき、未来が打ち倒している。

 

「どうした?もうバテたのか?」

 

「まだだ‼」

 

「こんくらいで倒れるかよ‼」

 

「あっそ、んじゃ後ろに注意しときな。」

 

「「キャアアアアアアアアッ‼」」

 

その瞬間、悲鳴が聞こえたので後ろを向くと、玲奈ちゃん達のすぐ傍まで眼魔が近づいていた。

 

しまった‼ここからじゃ間に合わない!?

 

未来も対処しようとしているが、新たに出てきた眼魔に邪魔されて出来そうもない。

 

『メガフレイム‼』

 

『フォックスファイヤー‼』

 

『パワーメタル‼』

 

その時、二つの炎と鉄球が眼魔達を凪ぎ払った。

 

「皆さん、お待たせしました‼」

 

そこには、1体の恐竜と狼、ドラゴンみたいな奴と一緒にアーシアがいた。

 

てことは……あれもアグモンとガブモン、ドルモンなのか?

 

アーシアと3体は玲奈ちゃん達の前に立ち、眼魔を威嚇した。

 

「この子達は任せて下さい‼」

 

「なら、頼んだぞ‼」

 

「ハイ‼ガンバりましょう‼グレイモンちゃんにガルルモンちゃん、ドルガモンちゃん‼」

 

『任せろアーシア‼』

 

『この子達には近づかせない‼』

 

『張り切ってやるっすよ‼』

 

「チッ‼雑魚共が‼いちいちでしゃばってくんじゃねぇ‼」

 

さて、後顧の憂いもなくなった事だし‼

 

「そろそろ、相手してもらうぜ?眼魔の王。」

 

俺とタケルは互いの武器を男に向けた。

 

俺達の周りにいた眼魔は倒し尽くしたので、残りは奴だけだ‼

 

「なら、俺も手札の1つを切るか。」

 

そう言うと、男の前に3つの魔法陣が現れ、その中から出てきたのは……

 

「久々だなぁ……屑共。」

 

「……俺は会いたくなかったよ、宗二。」

 

兵藤宗二にリアス・グレモリー、姫島朱乃だった。

 

「言いたい事は色々あるけど、あの人の命令だからな……苦しまずに殺してやるよ‼」

 

そして、3人がポケットから取り出したのは……

 

「ライダー眼魂だと!?」

 

「見せてやるぜ‼コイツの力をな‼」

 

そう言って、眼魂も黒い靄で包んだ後、眼魂のスイッチを入れた。

 

「まさか、無理やり使ってるのか?」

 

「「「変身‼」」」

 

そして、眼魂を身体の中に入れると、姫島はカブトムシのような赤と黒の姿、グレモリーは黒に赤いラインが入った姿、宗二は大きな2本の金色の角に肉体を模した赤い鎧を纏った姿になった。

 

「ストロンガーにファイズ、クウガか‼」

 

「眼魂だけで変身出来るのかよ…」

 

「さあ‼じわじわところ(ブロロロロロロロッ‼ドゴォン‼)シミュラッ!?」

 

「「……は?」」

 

悠然と歩いてきた宗二は突然現れたバイクにひかれると、空中3回転捻りしながら地面に頭から落ち、犬神家みたいな格好になった。

 

「「ソージ(君)‼」」

 

それにファイズとストロンガーが慌てて駆け寄っていった。

 

「ふう、ようやく止まったか…」

 

バイクから降りてきたのは、翼にアリアだった。

 

「止めることが出来なかったから咄嗟に何かにぶつけたのだか……大丈夫だろうか?」

 

「「むしろnice attack‼」」

 

「は?」

 

翼は不思議そうな顔をしていたが、良くやった‼

 

「クソ‼誰だ‼今の攻撃は!?」

 

「貴方達‼もう許さないわよ‼」

 

「よくも宗二君を‼」

 

「お前達の事なんか知った事かよ‼」

 

「そうだな、翼は響達の援護を頼む。」

 

「心得た。」

 

翼に響達を任せ、俺とタケルで宗二達に向き直った。

 

アリアはバイクから降りたら、徒手空拳やテーブルや椅子を使って戦っていた。でも、椅子とかは簡単に砕けているのでほとんど徒手空拳だけど……

 

ていうか身長が低いからか一部の攻撃が急所に当たったるみたいで眼魔が悶絶しながら倒れている。ていうか、動きが随分手慣れているな……

 

さらに、さっきのバイクは無人で動いて眼魔をひいていた。

 

「お前らが仮面ライダーの力を使うのは許せねぇ‼」

 

「フン‼これは今や俺の力だ‼これで邪魔な奴らを全部ぶっ殺して、俺がオリ主だってことを解らせてやる‼」

 

「お前はまだそんな事に拘ってるんだな…………だったら俺がお前を倒す‼」

 

「なめんじゃねぇぞ‼」

 

「んじゃ、そこのライダーは俺が相手してやるよ。」

 

タケルの前に、男が立ちふさがるとポケットから眼魂を取り出した。

 

「それは……‼何故貴方がそれを!?」

 

アリアはソイツの眼魂を見て驚いていた。あれもライダー眼魂なのか?

 

「変身。」

 

眼魂のスイッチを入れ、身体の中に入れて変わった姿は銅と新緑の色合いに防弾ジャケットみたいなものと、口の部分が人のものと同じ姿の仮面ライダーだった。

 

「今の俺は、《仮面ライダー4号》だッ‼」

 

そう叫び、タケルに掴み掛かった。

 

「しばらくは俺の相手をしてもらうぞ。」

 

「上等だ‼」

 

タケル達が俺から離れると、宗二達が俺を囲んだ。

 

「今日をお前の命日にしてやるよ‼」

 

「その言葉、利子つけて返してやるよ‼」

 

槍を構えた俺は、グレモリーに向かって駆け出した。

 

アイツなら格闘戦は苦手の筈だ。1度包囲を抜けて体勢を立て直す‼

 

槍を突き出し、避けた隙間を駆け抜けようと思ったが、

 

「セイッ‼」

 

「がはッ‼」

 

槍は身体を捻るようにしてかわされ、カウンターにパンチをもらってしまった。

 

「残念だったわね。ライダーになった私の身体能力は強化されているの。今の貴方の動きなら止まって見えたわよ。」

 

マジかよ……!?悪魔の身体能力が強化されたら手におえないか。

 

「オラ‼立てよ‼」

 

「ゴフッ‼」

 

倒れている俺の脇腹を宗二が思いきり蹴り飛ばす。

 

「こんな簡単に終わったらつまんねぇからさ……さっさと立ちやがれ‼」

 

「く……‼いわれなくても‼」

 

「あらあら、でしたら次は私の番ですわね。」

 

そう言うと、両腕を擦り合わせ右手を地面に当てた。

 

「エレクトロファイヤー‼」

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

そこから流れてきた電流が、俺の身体を駆け巡った。

 

「まだまだ終わらせねぇぞ。」

 

「ぐふッ‼」

 

倒れそうな俺の腹にパンチして吹き飛ばし、仰向けに倒れた俺の腹を踏みつけた。

 

「俺がテメェから受けた屈辱は……こんなもんじゃ済まされねぇんだよォォォォォッ‼」

 

何度か俺を踏みつけた後、蹴り飛ばされた俺は玲奈ちゃん達がいるドーナツ屋のワゴン車の所まで飛ばされた。

 

「グアァァァァァァァァァァァッ‼」

 

そこに、タケルも変身解除され傷だらけで飛ばされてきた。

 

「んだよ、もう少し歯ごたえあるかと思ったけど…」

 

「くぅッ!?アイツ……かなり強ぇ……!?」

 

「お兄ちゃん‼」

 

タケルが心配だったのだろう、玲奈ちゃんがワゴン車から出てきて、タケルに寄り添った。

 

「玲奈……夕夏ちゃんを……連れて…逃げろ…」

 

「嫌だよ‼お兄ちゃん達を置いていくなんて‼」

 

「わがまま…………言うなよ………」

 

「これはなんて美しい兄弟愛だ‼実に良い‼感動すら覚える‼でも、俺には何の意味もねぇよ。お前ら……殺れ。」

 

「「「了解‼‼」」」

 

そう言うと、3人が跳び上がり跳び蹴りの体勢になる。さらに、グレモリーから放たれた光線がタケル達の前で円錐になって滞空した。

 

「な、何!?体が動かない!?」

 

玲奈ちゃんが動揺している間にも3人の蹴りが迫っていた。

 

「メイル…」

 

『……分かっています。彼らを助けたいのですね?自分の命がどうなろうと…』

 

「分かっ……ている…なら、力を……貸せ…」

 

『私としましては……主に死んで欲しくありません。ですが…貴方がそれを望むのなら…………』

 

メイルの力を借り、身体を無理やり動かした俺は二人に近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

くそ……身体に力が入らねぇ……‼

 

目の前では赤い円錐が先端を俺達に向けている。あれを喰らったら死ぬかな?

 

せめて玲奈だけでも守ろうと思っても身体が動かないんじゃそれすら出来ねぇ。

 

アイツらの蹴りがもう少しで届くと思った瞬間…

 

 

ドンッ‼

 

 

横から押し飛ばされ、蹴りの射線から外れた。

 

いったい何が?

 

そう思い押された方を見たら、息を切らせながら両手を突き出しているイッセーがいた。

 

しかも、蹴りの射線にはイッセーが入っていた。

 

アイツ!?まさか俺達を助けるために!?

 

「タケル……皆を……頼む。」

 

イッセーは俺にそう言った。

 

「おい、イッ……‼」

 

痛む身体に鞭うって右手を伸ばしたが、この手は何も掴めず……

 

「「「ハアッ‼」」」

 

「ガハァッ‼」

 

イッセーは3人のライダーキックを喰らい、地面をバウンドしながら転がっていきビルの壁に激突した。

 

「イッセェェェェェェェェェェェェッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「イッセー!?」

 

攻撃を受けて吹き飛んだイッセーを見た私はすぐさま駆け寄った。

 

そこには血だらけになりながら、壁の前で倒れているイッセーがいた。

 

「イッセー‼しっかりして‼」

 

「ひ……びき…か……?」

 

聞こえてきた声はとても弱々しいものだった。

 

「わる…い………約束……まも……れ…なく……て…。」

 

「そんなのいいから‼喋らないで‼」

 

「しんぱ…い……する……なよ…」

 

そう言って、私の頬に右手で触れてきた。

 

「おれ……は…簡単……に…死な…」

 

そこで言葉が途切れ、目を閉じて頬を触っていた右手が地面に力なく落ちた。

 

「イッセー?嘘だよね?ねぇ、目を開けてよ。イッセー!お願いだから‼」

 

イッセーの身体を揺するけど何の反応も返してくれない。

 

「嫌だよ……いなくなるなんて…………そんなの…イヤ‼」

 

目から涙が溢れていき、イッセーの身体を濡らしていく。

 

「起きてよ‼ねぇ‼イッセェェェェェェェェェッ‼」

 

そして、私の叫びが周囲に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、イッセーの身体に二つの眼魂が入っていったのに気付いたのは私を含め、誰もいなかった。

 




何だか展開が無理やりな気がしている作者です。

次回『集う戦士』

「アザゼル総督に頼まれたんだよね。」

では、次回もお楽しみに。


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集う戦士

お待たせしました(待ってる人がいれば)。

ようやく書き上がったので、投稿します。

今回は新キャラ2人が出てきて、あのライダーに変身します。

では、どうぞ。


未来side

 

響の叫びが聞こえた私はイッセー君がどうなったのか理解した瞬間、心の中を黒い感情が覆っていくのを感じた。

 

《ソウ、ソノ黒イ感情を吐キ出シナサイ。ソウスレバ私ガ貴女ニ力ヲ与エテアゲル。》

 

そうすればアイツらをタオセるの……?

 

《モチロンヨ、私ハモウ一人ノ貴女ナンダカラ嘘ハ付カナイワ。》

 

だったラ…………。

 

その言葉に従い、感情を吐き出そうとしたら、

 

『皆さん落ち着いてください‼イッセーさんはまだ生きてます‼』

 

聞こえてきたアリアちゃんの通信の内容で私は正気に戻った。

 

私は今……何をやろうとした?

 

『私の元に集まってください‼考えがあります‼』

 

「りょ、了解‼」

 

『アレ?ニゲルノカイ?』

 

私の行動にさっきまで戦っていた緑のパーカーに双剣を持った眼魔が不思議そうに言った。

 

『マッイイヤ……コレデキミタチノ“キボウ”ハキエタモドウゼンダシネ。』

 

「ッ!?」

 

『ツギニアウトキハモウスコシ、ボクヲタノマシマセテヨネ‼アッハッハッハッ‼』

 

その言葉に怒りを覚えながらも、今は彼の治療を優先させるために耐えながらアリアちゃんの元に向かった。

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

俺は近くにいたマリアさんに、玲奈と夕夏ちゃんはクリス先輩に抱えられてアリアがいる場所……イッセーが倒れている場所に集まった。

 

力なく倒れているイッセーと泣いている響さんを見ていると、罪悪感と悔しさが俺を襲った。

 

「結局俺は……手の届く範囲にいる友達すら助けられないのかよ……‼」

 

「後悔は後にしてください。今は彼の治療を優先します。」

 

「しかし、こう囲まれていては…我らの転移アイテムも今はない状況ではさすがに…‼」

 

翼さんの言う通り周囲を50近い眼魔が包囲している。治療するにしても眼魔が妨害してくるのは確実だ。

 

「それなら私に任せて下さい。」

 

「させると思ってるのかい?」

 

囲みの一部からクウガに変身した宗二が現れた。その奥には眼魔の王の姿も見えた。

 

「まだ生きてるなんてしぶとい奴だ……なら、これ以上苦しまないように僕がこの場で殺してやるよ。」

 

「…ッ‼お前が‼」

 

「ぶった切ってやるデス‼」

 

ああそうだ………………アイツだけはッ‼‼

 

怒りに燃える俺より先に調ちゃんと切歌ちゃんが怒り任せに飛び出そうとしたが、

 

「ダメッ‼」

 

未来さんが2人の肩を掴んで引き止めた。

 

「…離して‼」

 

「アイツだけは絶対に…‼」

 

「今戦闘になって治療が間に合わなかったらどうするの‼」

 

「「ッ‼」」

 

その言葉に2人が悔しそうに下がったのと、思わず飛び出そうとした俺の心に突き刺さった。

 

そうだ、俺はイッセーに頼まれたじゃないか……皆の事を…………その俺が感情に任せて動いていい筈がねぇ。

 

それに、未来さんの顔を見ると涙を流しながらも必死に堪えているのが分かる。

 

本当は自分が一番動きたい癖に、イッセーを助けるために我慢してんだ。ここで俺が暴れるのは間違った選択だ。

 

「では、撤退しまょう。」

 

その言葉に俺達は唖然とした。いや、だからこの包囲が……。

 

「そこのチビッ子は状況を理解できてるのかい?この包囲を簡単に突破出来ると思ってるなんてさ。」

 

宗二達は呆れたように肩を竦めるけど、眼魔の王は何が起きるのか楽しみにしているような顔をしていた。

 

「理解していますよ。少なくとも、自身を磨くことを忘れて土塊の価値しかない三馬鹿よりも。」

 

「ッ‼へぇ~、よっぽど死にたいらしいな‼」

 

アリアの言葉にキレたのか、宗二達がライダーキックの体勢に入りグレモリーの円錐による拘束が迫ろうとした時、

 

「アカルン‼」

 

アリアがそう叫ぶと、俺達の周囲を赤い光が包んだかと思うと、いつの間にか俺の家の前にいた。

 

今のは転移魔法……なのか?

 

「さあ早く‼一誠さんの治療を‼」

 

「ッ‼おう‼」

 

「アザゼルさんには私が連絡したから、もう来るよ‼」

 

俺は頭に浮かんだ疑問を捨てて、イッセーを家に運び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

アザゼル総督とキャロルさんが来て、アーシアさんと一緒に治療を初めてどれくらいたったんだろう……

 

今の私には時間の経つのが遅く感じる。それに容態が気になって仕方がないのか皆もどこか落ち着きがない。

 

時計を見たら、治療を初めてから一時間位しか経ってなかった。もう十時間は経ったと思ったのに……

 

すると、治療していた部屋のドアが開きアザゼルさん達が出てきた。

 

「ッ‼アザゼルさん‼イッセーの容態は!?」

 

「落ち着け、今説明すっから。」

 

思わず詰め寄ってしまった私を椅子に座らせると、イッセーの容態について話始めた。

 

「まず、イッセーの容態だが、かなり危険な状態だ。アーシアの力でも癒せない毒やら力みたいなのが身体を蝕んでいってる。」

 

「毒?」

 

「ああ、組成を見たが今まで見たことがない物だ。だから、解毒薬を作るには時間がかかるし、もう1つの力に関しては完全にお手上げだ。」

 

「それじゃあ…!?」

 

「今の状態だと…………………………もって1日だ。」

 

「そんな……」

 

アザゼルさんの言葉は私達を絶望させるのに充分なものだった。

 

「それに、神器の反応も弱まってきている。まるで消えるかのようにな。」

 

「まさか!?メイルさんまで!?」

 

「おそらく、一部を肩代わりしてるんだろう。だが、それにメイル自身も耐えきれてないんだ。このままだと、イッセーと同じ時に消滅する。」

 

そこまで深刻化してるなんて……

 

「アリア、この毒や力について何か知らないか?」

 

「おそらく“フォトンブラッド”と“封印エネルギー”かと…」

 

「フォトンブラッド?なんだそれは?」

 

「簡単にいえば、怪物を殺す猛毒だよ。」

 

アリアちゃんの補足をするかの如くタケル君が説明した。

 

「それは“仮面ライダー555”に使われている粒子で、体内に注入された怪人は青い炎と共に灰になっちまう危険な代物だ。」

 

「………………タケル、何でお前がこの毒の事を知ってんだ?」

 

アザゼルさんが鋭い目で見ていたら、

 

「彼は僕と同じなんですよ。」

 

「大樹?」

 

いつの間にか部屋の中に大樹さんがいた…………っていうか同じってどういうこと?

 

「タケル君、近くにご家族は?」

 

「玲奈達なら上の部屋にいるから大丈夫です。」

 

「わかった。彼は僕と同じ“転生者”なんですよ。」

 

「ッ!?タケルもなのか!?」

 

「ああ、俺は別の世界で死んでこの世界に来たんだ。」

 

まさか、タケル君が転生者だったなんて……

 

「この仮面ライダーゴーストの力も転生するときの特典でもらったんだ。そして、俺の世界ではライダーは特撮番組の1つで仮面ライダー555もその1つだ。」

 

「僕は特典なしの転生だったけど、神器のお陰でそれを再現出来てるからね。」

 

「とりあえずお前が転生者ってのはわかった。なら、フォトンブラッドの解毒方法も知っているのか?」

 

「悪いが、原作でもそれは解明されてないんだ。だから、俺にも解らない。」

 

「……そうか。」

 

「すみませんが、俺は少し頭を冷やしてきます。」

 

「あ‼タケルさん‼」

 

タケル君が部屋を出ていくのを見て、エルナさんが慌てて追いかけていった。

 

あまり思い詰めてなければいいけど……

 

それを見たアザゼルさんは魔法陣で何処かとやりとりしている。

 

「さてアリア、あの時の私の言葉を覚えているな?」

 

「…………はい。」

 

唐突に翼さんがアリアちゃんに話しかけた。あんなに恐い顔をしてどうしたんだろう?

 

「ならば問おう…………お前は何者だ?」

 

「は?ちょっとセンパイ、何言ってんだ?」

 

「そうよ翼、どうしたの?」

 

「今は黙っていてくれ。で、どうなのだ?」

 

翼さんが何を言っているのか私は理解出来なかった。

 

「……わかりました。今なら全てお話しすることが出来ますので。」

 

「なら、お前は何者だ?」

 

「私は…………この世界の住人ではありません。簡単にいえば“並行世界”からこの世界に来てしまったんです。」

 

その言葉に私達はさっきと同じ位驚いた。

 

「ちょっ!?いつ記憶が戻ったの!?」

 

「私の中にスペクター眼魂が入った時です。その魂が身体を使ったお詫びに記憶を戻してくれたんです。」

 

「来てしまったと言ったが、自分の意思じゃないのか?」

 

「ええ、私の世界にピンク色の靄が出ていて、気になった私が近づいたら吸い込まれてしまったんです。ただ、着いたのはこの時代の過去でしたけど…」

 

何か凄い話になってきたかも……

 

「そこで私はあの眼魔の王と戦ったんです。」

 

再びアリアちゃんから衝撃発言が出た。

 

え!?戦ったの!?そんなに小さいのに!?

 

「私は自分の能力でタケルさんと同じ仮面ライダーゴーストに変身して各ライダーの力を眼魂にし、対抗していたんですけど、敵わなくて逃げようと靄の中に入ろうとした時に攻撃を喰らってしまい、この時代に来たときには記憶を無くしていたんです。」

 

アリアちゃんにそんな事があったなんて……っていうか今、変身したって言った?

 

「つまりライダー眼魂は貴女の力の1つなのね?」

 

「はい、攻撃を喰らった時にこの町に散らばってしまったんです。ライダーの力は今皆さんが手に入れてくれたライダー眼魂のライダーシリーズしか使えません。」

 

「なら、あの男が持っていたライダー眼魂は何だ?お前が教えた中にはなかったぞ?」

 

「あれはダークライダーの力が眼魂になったものです。私の中にあったものが眼魔の王に共鳴して私の中から出ていき、彼らに力を貸しているんです。」

 

「悪のライダー……か。」

 

「向こうに力を与えてしまったのは私に責任があります。だから彼らを倒すのは私の義務です。」

 

「んで、もっかいボコられに行くのか?1度負けてんだぞ?次は勝てるなんて甘ったるい現実は漫画だけにしとけ。」

 

「それは……」

 

クリスちゃんの言葉にアリアちゃんは言葉が詰まってしまった。

 

「たく……アタシも人の事は言えねぇけど、もう少し周りを頼ったらどうだ?少なくともアタシ達は手を貸すのはやぶさかじゃないぜ?」

 

「え?」

 

「それにお互いに探している物は同じだしな。」

 

「そうだね、イッセーとメイルさんを治すにはライダー眼魂が必要なんだし。」

 

「…アイツは絶対に許さない。」

 

「今度はぶったkill death‼」

 

「切歌ちゃん、発音が物騒だよ!?」

 

「幼子一人だけを戦場に送り出してのうのうと錆びるつもりはないさ。」

 

「それに私達は既に巻き込まれているのだから、今更遠慮なんていらないわよ?」

 

私達の言葉を聞いていたアザゼルさんはため息をついた。

 

「諦めろ、コイツらはこうと決めたら頑固者になるからな。」

 

「皆さん……」

 

「僕達も忘れないで欲しいな…」

 

いつの間に来たのか、扉の前に木場君と小猫ちゃんが袋を持って立っていた。

 

「イッセー先輩の容態は?」

 

「……もって1日だって。」

 

「それに神器も消えちゃいそうなんデス…」

 

「そんな…………なら、これを。」

 

小猫ちゃんが持っていた袋をひっくり返すと沢山のライダー眼魂が出てきた。

 

「凄い…………どうやって集めたんですか!?」

 

「昨日からずっと生徒会の人達と一緒に町中をしらみ潰しに探した結果だよ。」

 

テーブルには2号、V3、ライダーマン、Xライダー、スーパー1、ゼクロス、真、J、電王、キバ、フォーゼ、3号の眼魂があった。

 

「これで後は5個だと思うんだけど…」

 

確かこっちが持っているのは1号、アマゾン、スカイ、BLACK、RX、ZO、アギト、龍騎、カブト、ディケイド、W、OOO、ウィザード、鎧武、ドライブだから…………確かに後5個だ‼

 

「これなら間に合う‼」

 

イッセーを助ける事が出来る‼

 

「では、皆さんは残りの眼魂を探してください。」

 

そう言ってアリアちゃんはイッセーが寝ている部屋の扉に手をかけた。

 

「あれ?アリアちゃんはどうするの?」

 

「今の私では眼魔の王には勝てません。ですが龍見さんとメイルさんの“延命”は出来ますので。」

 

アリアちゃんの言葉に私達はさっき以上に驚いた。

 

「出来るの!?」

 

「この世界に来てから一部の力に制限が掛かっていますが、もう1日位なら何とかなると思います。」

 

「だがどうやるんだ?聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)でもお手上げなんだぞ?」

 

「これは私にしか出来ない方法なんです。」

 

そう言って部屋に入っていったので、私達もそれに付いていった。

 

「では、始めます。」

 

そして、左腕を前に出した。手首には青い結晶が付いた銀色のブレスレットがあった。

 

「ッ‼それは!?」

 

それを見た大樹さんが驚いていた。どうしたんだろう?

 

すると、結晶の上に銀と赤と青で彩られ黄色のレンズが付いたゴーグル状のアイテムが出てきた。

 

何だかよくわからないけど……

 

「アリアちゃん、イッセーとメイルさんをお願いね?」

 

「任せて下さい。私も龍見さん達には死んで欲しくありませんから。それと眼魂が揃ったらタケルさんに渡してください。彼なら眼魂の力を解放して、願いを叶えることができますから。」

 

そう言って、ゴーグルを手に取り目に付けると、眩い光に包まれたので目を閉じ、それが収まり目を開けるとアリアちゃんは何処にもいなかった。

 

「あれ?アリアちゃんは何処に行っちゃったんですか?」

 

「イッセーの精神の中だよ。“本物”のウルトラマンゼロになれるなんて……」

 

アーシアさんが不思議がっていると大樹さんが答えた…………てか本物?

 

「大樹?何か知ってるの?」

 

「ああ。」

 

大樹さんが私達に説明してくれたけど、あまりに突拍子もないことに唖然としてしまった。

 

「と、とりあえず……お前達は眼魂を探してこい。時間がないのに変わりはないからな。」

 

『『『『『ハイッ‼』』』』』

 

「眼魂の場所は見当がついてある。これを見ろ。」

 

アザゼルさんは手に持っているスマホを見せてきた。

 

「アプリとして眼魂探査機能を入れた物だ。こことここに光ってる場所があるだろ?そこに眼魂があるはずだ。」

 

画面には町の北と東に反応があった。

 

「二手に別れて行ってこい。」

 

「ハイッ‼…………あれ?この反応は?」

 

私が偶然範囲を広げたら、町の南側に沢山の眼魂反応があった。そのすぐ傍には3つの眼魂反応がある。

 

「おそらく沢山の反応はタケルだろう……その3つの反応はたぶん奴等だ。」

 

「じゃあ助けに行かないとッ‼」

 

「心配するな。あっちには増援を送ってある。」

 

増援?もしかして……‼

 

「“彼”なんですか!?」

 

「いや、アイツは俺とじいさんで頼んだ探し物をしているから、アイツの女王と兵士に頼んだ。」

 

「彼女達ですか、確かに任せられますね。」

 

あの2人なら、大丈夫だね‼

 

「それに新装備の実戦テストも頼んである。と、そうだ忘れるところだった、アーシア。」

 

「ハイ、何でしょうか?」

 

「以前貸した黒いバイクのミニカーと信号機型の斧を渡してくれないか?」

 

「わかりました。」

 

アーシアさんがミニカーと斧を渡すとそれを何処かに転送した。

 

「あの、何処に送ったんですか?」

 

「ん?本来の持ち主のところだよ。」

 

それが誰か気になった私達は、家から誰かが出ていくのに気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

家から出た俺は適当に町を歩いていた。

 

本当は自分が彼処にいるのに耐えられなかっただけだけど……

 

「タケルさん……あまり1人で背負わないでくださいね?」

 

「大丈夫だよ……俺は…大丈夫。」

 

そう言うが、こんなものはただのやせ我慢だ。

 

「僕には大丈夫そうには見えません。1人がキツいなら僕も支えますから…」

 

「ありがとな、エルナ。」

 

今、エルナがいなかったら俺はアイツらを探し出して戦っていたかもしれない。そんな復讐的なものはイッセーが喜ぶものじゃない。

 

「エルナが一緒にいてくれて良かったよ。」

 

「え!?いいいいきなりどうしたんですかッ!?」

 

「え?いや、一緒に居てくれるから俺はバカな事をしないですんでるんだなって思ったからだけど…」

 

「一緒にいるから……ですか?」

 

「ああ、俺の浅はかな行動でこれ以上仲間の涙なんて見たくないからな。」

 

「だったら、これからたっぷり見させてやるよ。」

 

「「ッ‼」」

 

突然ムカツク声が聞こえたのでそっちを見ると、宗二とグレモリー、姫島がいた。

 

「……何の用だ?俺は今機嫌が悪いんだけど?」

 

「そんな事も理解してないのか。君の持つライダー眼魂を貰いに来たんだよ。」

 

「貴方達に渡しはしません‼」

 

「なら、殺して奪うだけだよ。変身‼」

 

眼魂を使いライダーに変身した宗二達が近づいて来た。

 

「エルナ、下がって結界を頼む。」

 

「そんな!?1人じゃ無茶ですよ‼」

 

「安心しろ、負ける気はないさ。」

 

「負けるさ‼今の僕達に勝てるわ(バンッ‼)ケガッ!?」「「キャアッ‼」」

 

俺も変身しようとしたその時、何処からか銃弾が飛んできて、宗二達に火花が散った。

 

「どうやらベストなタイミングかしら?」

 

「相変わらず凄い射撃だよね~。」

 

声の方を向くと所々ピンクのメッシュの入ったミルキーブラウンの髪をツーサイドアップにまとめた女性と、紫の髪をポニーテールにまとめた女性がいた。

 

そして、紫の髪の人の手にはサックに似た拳銃の様なものがあり、マズルから煙を出していたので先程の攻撃は彼女のようだ。

 

「エルナさん、久し振りね。」

 

「美月さんにみくるさん!?どうして此処に!?」

 

「貴方達は……?」

 

「私達はアザゼル総督に頼まれたんだ。君達を守ってくれないかって。」

 

「それで、出来上がったばかりの新装備の実戦試験も兼ねて助けに来たのよ。」

 

「新装備?」

 

「これよ。」

 

そう言って、みくるさんは左腕に大型ユニットが付いたブレスレットを着け、美月さんはバイクのマフラーを模したバックルを腰に巻き付けた。

 

片方は知らないけど、もう片方は……‼

 

「マッハドライバーッ!?」

 

「あら?これの名前知ってるの?」

 

「ええ、まあ…」

 

そういえば、以前完成間近って言ってたな……

 

美月さんのドライバーに驚いている間に、みくるさんは黒と緑の機械的な形の眼魂の様なものを取り出すと、スイッチを押した。

 

《Standby‼》

 

それをブレスレットにあるユニットの窪みに嵌め込んだ。

 

《Yes Sir‼》

 

そして、ユニットを回しながら起立させ、側面にあるボタンを押した。

 

《Loading‼》

 

すると、黒地に黄緑のラインが入ったパーカーゴーストが現れた。

 

「パーカーゴーストって事は…‼」

 

「変身。」

 

その言葉をさっきの明るい感じとは違い、まるで感情を込めずに言い放ち上部のボタンを押し、何かの雫を落としてユニットに浸透させる。

 

《テンガン‼ネクロム‼メガウルオウド‼》

 

音声が流れると彼女の身体が白と黄緑のボディスーツにモノアイがあるフェイスマスクのトランジェント態になった。

 

つか、あのモノアイフェイスは怖すぎだろ……

 

そこにさっきのパーカーゴーストを羽織ると、モノアイの所に緑のレンズの丸いシュノーケルに1本の角が付いた顔になった。

 

《クラッシュ・ザ・インベーダー‼》

 

変身が完了したのかフードを脱ぎ、パーカーを着直す様な仕草をした。

 

「美月、まだ?」

 

「もうちょっと待って、そろそろ…………届いたわね 。」

 

美月さんの近くに魔法陣が現れると、そこから以前アーシアさんが使ったシンゴウアックスとシグナルチェイサーが出てきた。

 

それを手に取り、バックルの右側のパネルを上げて、シグナルチェイサーを装填した。

 

《シグナルバイク‼》

 

そして、左手を左肩までもっていき、右手を左腕に添え、そのまま円を描くように腕を大きく回した後、右手を真っ直ぐ右側に突き出し左手でパネルを下げた。

 

「変身‼」

 

《ライダー‼チェイサー‼》

 

すると、彼女な周りを紫のタイヤ型のエネルギー態が回っていき紫のラインが入った銀のボディスーツが装着され、顔は右が紫、左が銀色でオレンジの複眼に某機動戦士のような4本角のアンテナみたいなのが装着され変身が完了した。

 

「仮面ライダー…………チェイサー…」

 

俺は思わずそう呟いた。

 

「さて、みくるはどれにする?」

 

「あの赤ライン…」

 

そう言ってグレモリーの555を指差した。

 

「なら、私はカブトムシの方をやるから、貴方はあの金角をお願いね。」

 

「え?あ、ハイ…」

 

何か知らんけど対戦相手まで決められてしまった……

 

「それじゃ、お馬鹿な悪魔達に人間界のルールを叩き込んで…」

 

「地獄に送り返してあげる。」

 

「ちょっ、待って!?変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

2人が先に走り出したので俺は慌てて変身して、追いかけようとしたら、

 

「タケルさん‼絶対に無事に帰ってきてくださいね‼」

 

エルナの声が聞こえたので、振り返ってサムズアップをして、

 

「ああ‼約束するよ‼」

 

そう答えてから、宗二を倒すために駆け出した。

 

 




いかがでしたか?

新キャラについては私の趣味で決めました。

反省はするかもしれませんが、後悔はしていません。

次回「光輝く龍」

「貴方達があの人の思いを馬鹿にしないでッ‼」

次回は皆様から募集した眼魂が活躍します。格好良く書いてみますのでよければ見てください。


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光輝く龍

遅くなり申し訳ございません。

ようやくできたので投稿します。

今回はネクロムとオリライダーで募集した眼魂を出します。

では、どうぞ。


一誠side

 

ここは……………………何処だ……………………?

 

気がつけば俺は真っ暗な空間の中にいた。

 

「何で俺はこんなところに……?」

 

『主を生き長らえさせる為です。』

 

聞き慣れた声が聞こえたのでそっちを見ると、金色の身体をした西洋のドラゴンがいた。

 

「メイル……なのか?」

 

『はい。この姿で会うのは久しぶりですね。』

 

「そうだな…ところで何故俺をここに?」

 

『主の身体は今、不思議な力に犯されて瀕死の状態です。それの進攻を少しでも遅らせる為です。それに彼らも協力してくれています。』

 

メイルが首を向けた方を見ると、黒い身体の二人の仮面ライダーがベルトから赤い光を出していた。

 

『確かBLACKとRXと言っていましたね。』

 

仮面ライダーが俺の為に……

 

『すまない、龍見君……』

 

『我らが眼魔に使われていなければすぐに回復させられたのだが、その時の影響か完全に力を取り戻せていないのだ。今はこうして君への侵食を食い止めるのがやっとだ。』

 

「大丈夫ですよ……きっと皆が何とかしてくれます。」

 

『信じているのだな……仲間を。』

 

「はい。」

 

その時、上の方から眩い光が現れたかと思うと、俺達の前で人の形を作り出した。その姿は大樹さんが禁手でなる姿の1つ、

 

「ウルトラマンゼロ?」

 

『ようやく見つけました。』

 

でも、聞こえてきた声は大樹さんじゃなく……

 

「アリア!?」

 

『はい、そうです。』

 

『おお、アリアか‼』

 

『お前も無事だったのだな‼』

 

『すみません、一時的に記憶をなくしていましたがもう大丈夫です。』

 

ということは、記憶が戻ったのか。

 

『ところで、メイルさん。』

 

『何でしょうか?』

 

『あなたの身体は後どのくらい耐えられるのですか?』

 

「?どういう意味だ?」

 

『メイルさんは貴方を犯している毒の一部肩代わりしているのですが、既に限界を超えているんです。』

 

「ッ‼メイル!?お前‼」

 

『主は神器の中にいた私を見つけてくれた人。そして、共に過ごしてきた私のかけがえのない存在なのです。それを助けられるなら私がどうなろうと……』

 

「何言ってんだ‼俺はお前が居てくれたからここまでやってこれたんだ‼お前が居なくなったら俺は……‼」

 

オッチャンに拾われるまでの間の生活や響達を助けられたのはメイルが励ましてくれたり力を貸してくれていたからだ。俺1人じゃ何も出来ずに死んでいたかもしれない。

 

『主にそこまで思ってもらえていたとは……ですが、もう無理なんです。』

 

そう言って前足を出すと、一部が灰になり崩れ落ちた。

 

『既にこの身体は回復不能です。 後は消えるのを待つのみ……』

 

「ふざけんなッ‼ 勝手に諦めてんじゃねぇ‼何か……何か方法があるはずだッ‼」

 

こんな事で大切な相棒を失ってたまるか‼絶対に助けてやる‼

 

『1つだけ方法があります。』

 

「ッ!?本当か!?」

 

アリアの言葉に俺は藁にもすがる思いになる。

 

『はい、これを……』

 

ウルトラマンゼロの手から俺に小さな光が落ちてきた。光が消えると俺の手には四角い黄色のカードデッキがあった。

 

『龍見さん、メイルさんと契約して“仮面ライダー”になってください。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みくるside

 

どうも、堕天使陣営に協力している悪魔の女王をやってる夏樹みくるです。

 

今、赤ラインのライダーと戦闘中なんだけど……

 

「やる気ある?」

 

「グッ!?」

 

弱すぎて話にならない。

 

「動きが遅い、ムダが多い、単調だからカウンターしてくださいっていってるレベル……格闘戦の経験ある?」

 

「バカにして‼」

 

キレたのか殴り掛かってくるのがすぐに読めたので先に殴り掛かるが腕をクロスして防がれた。

 

「どうしたの!?これでおわ「油断大敵。」なっ!?」

 

ぶつかりあった体勢のまま左腕のユニット《メガウルオウダー》を起こし、側面のボタンを押す。

 

《Destroy!!》

 

そして、素早く上部のボタンを押して、エネルギーを浸透させる。

 

《ダイテンガン‼ネクロム‼オメガウルオウド‼》

 

「ハアッ‼」

 

「キャアッ‼」

 

増幅された力を左手に集めて、無理やり防御を破って赤ラインを殴り飛ばした。

 

「有利なところがないのになんでそんなに見下せるの?」

 

私には理解できない……彼ならしなくていいって言いそうだけど。

 

「なら、これはどう!?」

 

そう言うと、左右から剣と炎の玉が飛んできたので後ろに下がり回避する。

 

「なに、コイツら?」

 

そこには剣と盾を持ち、中世の甲冑のようなボロいパーカーを着た眼魔と胸に五行紋があり、大昔にあった烏帽子を被ったこれまたボロいパーカーの眼魔がいた。

 

「王から預かった眼魔達よ‼さあ、行きなさい‼」

 

「面倒くさい…さっさと片付ける。」

 

ネクロム眼魂を取り出しトランジェント態になってから、深緑の眼魂をメガウルオウダーにセットする。

 

《Yes Sir!!》

 

ユニットを起こしてスイッチを押すと、深緑と白に彩られ肩の所にインク入れと万年筆のペン先が合体したのがあるパーカーが出てきた。

 

そして、上部のボタンを押して身に纏う。

 

《テンガン‼グリム‼メガウルオウド‼》

 

《ファイティング・ペン‼》

 

纏うと顔の所のシュノーケルみたいなのの形が本の形に変わった。

 

「フン‼着替えたところで‼」

 

眼魔が向かってくるが、私は動かず肩のペン先をワイヤー付きで射出し、2体をバツ字に切り裂いた後、縛り上げ互いや建物、地面に何度も叩き付ける。

 

「これで終わり…」

 

《ダイテンガン‼グリム‼オメガウルオウド‼》

 

「セイッ‼ハアッ‼」

 

2体を上に投げ、ペン先で串刺しにしてからこちらに引き寄せ、殴り飛ばすと赤ラインの近くで爆発した。

 

「キャアアアアアッ‼そんな……こんな簡単に…」

 

「覚悟は出来た?」

 

「負けてたまるものかッ‼」

 

《Ready!!》

 

赤ラインは右腰にある筒にベルトにあったチップを嵌め右足に取り付けた。そして左腕の機械にある別のチップをベルトに嵌め込んだ。

 

《Complete!!》

 

すると、ラインの色が銀になり胸部装甲も肩を軸に開いて中の機械が丸見えになった。そして顔の黄色が赤に変わる。

 

「この姿になった私のスピードには誰も追い付けないわよ‼」

 

「なら、やってみる…?」

 

グリム眼魂を取り出し、ブラジルカラーの眼魂をセットする。

 

《Yes Sir!!》

 

側面のボタンを押すと、白と赤のドライバージャケット風のパーカーが現れる。

 

《テンガン‼アイルトン‼メガウルオウド‼》

 

《ジーニアス・レーサー‼》

 

それを身に纏うと、シュノーケルの形がF1カーの正面に似た形に変わる。

 

「何かは分からないけど、これで終わらせてあげる‼」

 

《Start up!!》

 

その音声と共に私達は同時に動き出した。

 

互いの距離が一瞬でなくなり、拳を振るう。

 

「ガハッ‼」

 

向こうは拳を振るおうとしていたが、その前に私の拳が相手の顔を打ち抜き、そのまま壁を砕きながら吹っ飛んだ。破片がゆっくり落ちていくのって何か不思議……。

 

「そんな!?この姿は最速のはず‼なんで追い付かれているの!?」

 

「知らないわよ。」

 

あなたの動き方がダメなんじゃない?

 

「なら、これで終わりよ‼」

 

《Exceed charge!!》

 

そう言って空中に飛び上がると、私の周りに赤円錐が6つ現れる。 身体が重くなったけどこれくらいなら…

 

メガウルオウダーを起こし、必殺技を発動させる。

 

《ダイテンガン‼アイルトン‼オメガウルオウド‼》

 

そうするとさっき以上に身体が軽くなり、力も沸き上がってきた。

 

「死になさいッ‼」

 

「うるさい…」

 

円錐の1つが襲ってきたが、拳を振り下ろして打ち落とす。

 

「チィッ‼なら次‼」

 

今度は後ろから来たが、振り返り様の裏拳で弾く。

 

上から来たのはアッパーで相殺し、左右同時に来たのはその場で回りながら殴り落とした。

 

最後の1つは右足を蹴り上げて打ち上げる。

 

「ガフッ!?」

 

「とどめ…」

 

私も飛び上がり、同じ高さになったら眼の紋章が現れたのでそれを潜りながらライダーキックを決めた。

 

「アアアアアァァァァァァッ‼」

 

《Time out!!》

 

その音声が聞こえたのと同時に爆発が起き、グレモリーと眼魂が落ちてきたので眼魂をキャッチした。

 

「これがファイズの眼魂……あの子に渡しにいこう。」

 

何か後ろで蛙が潰れたような悲鳴が聞こえたけど、気にすることもないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美月side

 

どうも皆様始めまして、ある悪魔の兵士をやっています神崎美月といいます。

 

アザゼル総督からやっとシグナルバイクを貰い、変身して戦っています。

 

「エレクトロファイヤー‼」

 

「おっと!?」

 

始めての変身でまだ慣れないから、少し手こずってるけど……

 

「あらあら、貴方は悪魔なのに何故堕天使の味方を?」

 

「私の主とその祖父が総督と懇意にしているからと、悪魔側でも貴方達を捕まえろとお達しが出てるからよ。」

 

「なら、尚更捕まるわけにはまいりませんわ。」

 

そろそろ身体が慣れてきたわね……あれを試してみましょう。

 

私はベルトの上にあるボタンを四連打する。

 

《ズーット‼チェイサー‼》

 

すると、身体中に力が溢れてきた…………でも、

 

「クッ!?結構負担があるわね…!?」

 

想像以上の力に少し身体が悲鳴をあげた。兵士の状態でやるものじゃないわね。

 

「ボーッとしていては、ただの的よ‼」

 

「ッ‼」

 

いつの間にか近づいていた姫島の拳が迫っていたが、ギリギリで横に移動して回避した。

 

「まだ慣れてないのなら、無理しない方が良いのでは?それにプロモーションができなければ女王の私に勝つのは難しいですわよ?」

 

「確かにそうね……だったらこうしましょう。」

 

強化時間が終わったシグナルチェイサーを取り出して、新たに3つのシグナルバイクの手に持つ。白一色のそれに後輪にはそれぞれチェスの騎士、戦車、僧侶の駒の絵が描かれている。

 

「王の許可がなくても、兵士は柔軟に動けるって事を教えてあげるわ‼」

 

《シグナルバイク‼》

 

騎士の絵のシグナルバイクを装填して、パネルを下げる。

 

《プロモーション‼ナイト‼》

 

その瞬間、私の中の駒が変わったのを感じた。

 

《Break!!》

 

更に、持ち歩いている武器《ブレイクガンナー》を格闘モードにして兵士ではあり得ない速度で駆け出した。

 

「ッ!?この速度は騎士の力!?」

 

「シッ‼」

 

「ガッ!?ギッ‼ゴッ‼」

 

高速で移動しながら彼女を何度も殴る。

 

「お次はこれよ‼」

 

《シグナルバイク‼プロモーション‼ビショップ‼》

 

《Gun!!》

 

射撃モードにしたブレイクガンナーを構え、弾丸を放つ。

 

「それくら(ドゴンッ‼)キャアッ‼」

 

姫島は弾丸を避けたが、思念操作で弾丸を誘導して背後に直撃させる。

 

「弾を操作してくるとは…‼」

 

「まだ終わらないわよ?」

 

《シグナルバイク‼プロモーション‼ルーク‼》

 

「来なさい、シンゴウアックス‼」

 

私が呼び掛けると、回転しながら飛んできたのでそれを掴み取る。

 

「さて、行きましょうか。」

 

刃先を地面につけ、引き摺りながら姫島へと歩き始める。

 

「これならどうです!?電気ビーム‼」

 

姫島は手から電撃を放ち、それを喰らうが私は速度を緩めず歩き続ける。

 

「このッ‼このッ‼何で止まらないんですの!?」

 

「戦車に昇格した私にその程度の攻撃は無意味よ……ハアッ‼」

 

「グハッ‼」

 

シンゴウアックスを思いっきり振り上げながら切り裂き、空高く上げる。

 

「終わりの時よ。」

 

シンゴウアックスにシグナルチェイサーを差し込み、下のボタンを押す。

 

《ヒッサツ‼マッテローヨ‼》

 

更に、ベルトのパネルを上げボタンを押し、パネルを戻す。

 

《ヒッサツ‼フルスロットル‼ルーク‼》

 

そしてシンゴウアックスを振り上げた形で待機する。

 

そこに打ち上げた姫島が落ちてくるのが見えた。

 

《イッテイーヨ‼》

 

「ハアアアアアアァァァァァァッ‼」

 

彼女が地面に激突するのに合わせてシンゴウアックスを振り下ろし、叩き付けた。

 

《フルスロットル‼》

 

「イヤアアアアアァァァァァァッ!?」

 

叫び声をあげながら目の前で爆発し、変身が解けた姫島とライダーの眼魂が落ちていたので眼魂を拾う。

 

「これであの子が助かるなら急がなくちゃ‼」

 

危険な状態である弟分を助けるため、私はこれを使えるあの子の元に走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「グアッ!?」

 

「どうしたんだい?さっきの威勢は?」

 

俺は今、宗二相手に苦戦していた。

 

クソッ‼眼魔の王から貰ったダメージがまだ抜けきってねぇ‼

 

「その程度で僕に挑むなんて…………身の程を知れ‼」

 

「ウワアッ‼」

 

拳を顔面に貰い、地面を転がった。

 

今の俺じゃ誰も守れないのか?………………いや、そんな事ない‼

 

「俺は俺に誓ったんだ…………俺を信じると…アイツの思いを俺が繋いでいくと…‼」

 

「なら、そんな事も出来ない自分に絶望しながら逝けッ‼」

 

宗二は俺にライダーキックを決めようとしてきた。

 

「やらせないッ‼」

 

「ゴバッ!?」

 

しかし、それは飛んできた弾丸を喰らい不発に終わった。

 

「誰だッ!?邪魔した奴は‼」

 

弾丸が飛んできた方を見て、俺は驚いた。

 

「これ以上お兄ちゃん達を傷つけさせないんだから‼」

 

「玲奈…!?何でここに!?」

 

「龍見さんの思いを繋いでいくのは、お兄ちゃんだけじゃないよ……私もそうしなくちゃいけないの。私のせいで龍見さんがボロボロになったのに何も出来ないのは嫌だから‼」

 

「お前…………それにその武器は…!?」

 

青の所がピンク、オレンジの所が紫になっているが間違いない。

 

「ガンガンハンド……?何でお前がそれを…」

 

「それは後で説明するよ……今はあの人を倒す…‼」

 

そう言って腰に手を翳したら、俺がよく知っている物が現れた。

 

「ゴーストドライバー!?」

 

「お兄ちゃんは下がってて。後は私が戦う‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

「へぇ……なかなか可愛いじゃないか。どうだい? 僕の所に来ないか?」

 

何か使い古されたナンパのセリフみたいですけど、聞く価値はなしッ‼

 

「お断りします‼貴方みたいなナルシストで傲慢な人、タイプじゃないので‼」

 

上着のポケットからお兄ちゃんが持っていたのと似ている眼魂だっけ?を取り出して横のスイッチを押す。

 

それをバックルの中に入れて閉じる。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

するとベルトから黒地にピンクの縁取りがされたパーカーが出てきた。

 

今まで何の力か解らなくて、ずっと怖かったけどもう逃げたりしない。この力をあの人みたいに私の大切な人達を守るために使う‼

 

「だから力を貸してください、龍見さん…………変身‼」

 

《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

音声と同時に私の身体が黒のボディスーツにピンクのラインが入った物になり、そのパーカーを羽織ると何もなかったフェイスマスクにピンクと黒で顔が描かれ、額には火の玉を模したピンク色の角が付いた。

 

「お前も仮面ライダーなのか!?」

 

「え~っと、名前はユリン‼仮面ライダーユリンです‼」

 

手に持つ銃形態にした武器、ガンガンハンドを構え…

 

「命、燃やすよ‼」

 

トリガーを引き、目の前の赤い金角の人を撃つ。

 

「ゴッ!?この…子供の分際で‼」

 

弾は命中したけど、何か怒らせちゃった?

 

「少し痛い目にあってもらうよ‼」

 

「ちょッ!?来ないでよ‼変態‼」

 

「誰が変態だッ‼」

 

女の子に手を挙げようする時点で変態確定です‼

 

銃を撃つけど近づかれるのが怖くなり、手が震えて当たらなくなってきた。

 

「どうしたんだい?当たらないよ?」

 

「あっ…‼」

 

とうとう目の前まで来られて、腕を捕まれてしまう。

 

「玲奈ッ‼」

 

お兄ちゃんが私の名前を叫ぶけど、恐怖で身体が動かない私は震える事しか出来ない。

 

「悪い子にはお仕置きをしないとなッ‼」

 

拳が振り上げられるのを見て、目をつぶってしまう。

 

誰か……助けて…‼

 

『この子に何しようとしてんのよッ‼』

 

「なッ!?ボグッ‼」

 

その時、知らない女性の声と相手の悲鳴が聞こえ、腕を捕まれていた感触がなくなった。

 

いったい何が……

 

目を開けると、上半身がベージュで半袖部分が白、腰から膝上辺りの部分はグレーの1着のパーカーが私の前に浮いていた。

 

『まったく……‼大丈夫だった?』

 

「「アイエエエエッ!?シャベッタ!?ナンデ!?シャベッタ!?」」

 

『何兄妹揃って驚いてんのよ?』

 

そりゃ驚くよ‼パーカーが喋ったら‼

 

『言っとくけど、あんたのお兄さんのパーカーも喋ろうと思ったら喋れるのよ?』

 

「え!?マジで!?」

 

『心を通わせられたらだけどね。』

 

そういえば貴方達ってゴーストだったよね…

 

「さっきから僕を無視するなッ‼」

 

「「『あっ』」」

 

パーカーさんに驚いてすっかり忘れてた。

 

『先ずはあの変態をブッ潰しますか。』

 

「でも、どうやった『あたしを使いなさい‼』へ?」

 

そう言って、ベルトの中に吸い込まれていき、そこから眼魂が出てきた。

 

「これが、私の眼魂?」

 

「使わせたまる(バンッ‼)ガベラッ!?」

 

「変身中やフォームチェンジ中は攻撃しないのがお約束だろッ‼」

 

金角が攻撃してこようとしたけど、お兄ちゃんが武器の銃を撃って足止めしてくれた。今のうちにユリン眼魂を取り出して、新しい眼魂をセットする。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

バックルからさっきのゴーストが出てきて、周囲を踊りながら漂う。そして、横のレバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼ミコト‼科学と‼魔術と‼超電磁砲(レールガン)‼》

 

パーカーを羽織ると顔の真ん中にコインと周囲に電気が走る絵が描かれた。

 

あ…結構着心地いいな…。

 

『さて、はりきっていくわよッ‼』

 

「はい(コツン)あれ?なんだろ?」

 

足に何か当たったので見てみたら、鋏がU字磁石で身体が方位磁針で出来たカニさんがいた。

 

「何これッ‼メッチャ可愛いんだけど~‼」

 

『《カニジシャク》っていってあたしの力を使うのに必要なガジェットよ。他にも何体か貴方が持ってるわよ?』

 

「なんですとッ!?」

 

こんな可愛い子がまだいるなんて‼

 

「玲奈……そろそろ戦いに集中しろ…」

 

あっと、そうだったそうだった。

 

カニジシャクをガンガンハンドにセットすると、片方の鋏を砲口にもう片方は持ち手になり、ガンガンハンドブラストモードに変形した。

 

『さあ‼ブッ放しなさいッ‼』

 

「OK‼」

 

トリガーを引くと、砲口の磁石に電流が流れ、そこを弾丸が通ると超高速で撃ち出された。

 

「グワァッ!?」

 

それを喰らった金角は後ろに吹っ飛んだ。

 

「この…‼」

 

『次は持ち手を1回引っ張ってみなさい。』

 

言われた通り引っ張ると砲口の磁石の幅が狭くなった。

 

試しにトリガーを引くと、弾丸が連射された。

 

「ダバババババババッ!?」

 

飛び出した弾は、起き上がろうとした金角に全弾命中した。

 

「こうすると連射出来るんだ~。」

 

『もう1回引っ張った後に、ベルトに武器を翳しなさい。』

 

「了解です‼」

 

引っ張ると幅が最初より大きくなり、それをベルトに翳した。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

そうすると、砲口の磁石に今まで以上の電流が流れる。

 

『後は狙いを定めて撃ち抜け‼』

 

「はい‼」

 

《オメガブラスト‼》

 

引き金を引いたら、周囲に衝撃波を出しながら高速の弾丸が金角に命中して大爆発した。

 

「ギャアアアアアアアアアァァァァァァッ!?」

 

煙が晴れると、男の人と眼魂が落ちていたので眼魂を拾う。

 

「…………私……勝ったの…?」

 

『そうよ。』

 

「クソ…‼何で僕が……こんな目に…!?」

 

『女の子をイヤらしい目で見た罰じゃないかしら?』

 

「ふざけんな‼僕は主人公だぞ‼なら全部僕の思い通りになるはずだ‼」

 

「そりゃ、人間皆人生の主人公ですけど、自分の思い通りになる事なんて滅多にないですよ?」

 

その年で中二病はちょっと……

 

「僕は一誠とは違うんだ‼あんな出来損ないの死にたがりとは格が違うんだよ‼」

 

「その言葉……………………撤回してくれませんか?」

 

出来損ないの死にたがり?あの人が?

 

それを聞いた私は燃えるような怒りが沸き上がった。

 

「なら、貴方は出来るんですか?あの人みたいに誰かを守るための行動が?」

 

「何で僕がそこまでしないといけないんだ!?自分の身ぐらい自分で「もういいです。」な!?」

 

この人には龍見さんみたいな覚悟がない。あの人は自分が今出来る方法を考えて、周りが傷つかないように動いていた。例え自分が傷つこうとも…

 

そんな覚悟もない人が…………‼

 

「自分の事しか考えない貴方達があの人の思いを馬鹿にしないでッ‼」

 

そう怒鳴り付け、私はお兄ちゃんの所に向かった。

 

「アイツの思いだと……‼そんなもん知ったことか‼この世は全てにおいて僕が優先されるべきなんだ‼」

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

玲奈の戦闘をハラハラしながら見ていた俺だったが、勝ったのを確認できたら一気に力が抜けてしまった。

 

「お兄ちゃ~ん‼」

 

変身を解除した玲奈が駆け寄ってきて、俺に眼魂を差し出した。

 

「コレ、必要なんでしょ?」

 

「何でそれを知ってんだ?」

 

「実は、途中から聞いてたんだよね。何か出来る事がないかって。」

 

だからって無茶しすぎだろ……。

 

「じゃあ私からも。」

 

「はい、どうぞ。」

 

向こうも終わったのか、チェイサーともう一人のライダーだった人が俺に眼魂を渡す。

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「気にしないで、弟みたいな子のためだから。」

 

「無茶ばかりする子だけど、これからも仲良くしてあげてね。」

 

「はい、アイツは親友ですから。」

 

そう言うと、二人は嬉しそうに微笑んだ。

 

「んじゃ、悪いけどソレ返してくれますかねぇ?」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

突然聞こえた声の方を見ると、そこには眼魔の王がいた。

 

「人が集めた物をなに掠め取ってるんですか?あんたらは?」

 

「貴方は何者なの?」

 

「チッ‼面倒くさいけど、会うたびに聞かれるのもかったりィから教えてやるよ。俺は“京極慶吾”、この世界最強になり全てを支配する男だ‼」

 

「どこのショッカーだよ…」

 

今時流行らねぇよ、世界征服なんて…。

 

「オイ‼お前‼僕たちに力を寄越せ‼」

 

京極の側に眼が覚めたのか、宗二やグレモリー、姫島が出てくる。

 

「テメェらも何眼魂奪われてんだよ?まあいいか、そこに大量に持っている奴がいるし?」

 

そう言って京極は俺を見てくる。胸くそワリィ眼をしてやがる。

 

「上級の眼魔を貸してやるから、後は自分で何とかしろ。俺はあの男からライダー眼魂を奪い取る。変身。」

 

京極は4号に変身すると、俺に向かって駆け出した。今の身体だと避けるのは無理か……

 

「させない‼」

 

その時、俺と京極の間に何かが落ちてくる。砂埃が消えるとそこにはシンフォギアを纏った響さんがいた。

 

「何とか間に合った………………って何で美月さんとみくるさんがいるの!?それに玲奈ちゃんまで!?」

 

「アザゼル総督の依頼よ。」

 

「私は……皆さんの役に立ちたくて…」

 

「ちょっと響‼先行し過ぎ‼」

 

大声がした方を見たら、メンバー全員と木場と小猫ちゃんに匙までいた。

 

「エルナ、結界はどうしたんだ!?」

 

「シトリーの皆様に変わって貰いました。」

 

「んで、俺は戦力として手伝いさ。」

 

「ゾロゾロと出てきやがって……あんたらは虫か何かか?」

 

「テメェら害虫に言われたくねぇな‼」

 

京極の言葉にクリス先輩が吠える。

 

「タケル君、これを。」

 

「これは…………‼ライダー眼魂!?」

 

未来さんから袋を渡され、中を見たら大量のライダー眼魂があった。

 

「それで32個全てが揃う筈だ。」

 

「なッ!?テメェらいつの間に‼」

 

「アタシ達を嘗めてるからデス‼」

 

「…私達の願いの邪魔はさせない‼」

 

「ククッ‼アハハハハハハハハハッ‼」

 

全員が戦闘体勢に入るが、京極は俯きながら笑いだした。

 

「まさか目の前で全部揃うなんてな…………いけッ‼眼魔達よ‼アイツらからライダー眼魂を奪い尽くせッ‼」

 

大量の眼魔を呼び出した京極は、一斉に襲い掛かってきた。

 

「総員‼タケルが願いを叶えられるまで死守するぞ‼」

 

『『『『『了解‼』』』』』

 

「みくるさんと美月さんはタケル君の護衛を頼みます‼」

 

「「任せなさい‼」」

 

皆が戦い始める中、俺はベルトから残りのライダー眼魂を取り出し並べていくが、あることに気づいた。

 

「ない…BLACKとRXの眼魂がない!?」

 

「ウソッ!?」

 

「これじゃ……イッセーを助けることが…」

 

この事態に絶望しそうになったが…

 

『大丈夫です、ライダー眼魂の前で眼の紋章を描いてください。』

 

頭の中に声が聞こえ、それが知っている声に驚く。

 

「アリアなのか!?でも、眼魂が無ければ…‼」

 

『それなら心配しないでください。此方で確保してありますので。』

 

「本当なのか!?」

 

『はい、だから急いでください‼』

 

「わかった‼」

 

俺はすぐさま眼の紋章を描くと、ライダー眼魂が宙に浮き俺の周りを漂うと光を放ち、俺は眩しさに眼を閉じた。

 

光が収まり、眼を開けると周りには1号からドライブと3号の32人のライダーがいた。

 

『ありがとう、君達のお陰で我々は再び集まることが出来た。』

 

『俺も誰かの涙を増やす為に使われる処だったよ。ありがとう‼』

 

おお…1号とクウガからお礼を言われるなんて……‼

 

『彼の事はBLACKとRXから聞かせてもらった。安心してくれ、彼は必ず助けよう。』

 

「お、お願いします‼」

 

『うむ、では皆‼行くぞ‼』

 

『『『『『『『『オオッ‼』』』』』』』』

 

そして、左手を隣の肩に、右手を前に出すと光がその中央に集まっていく。

 

『『『『『『『『ライダーシンドローム‼』』』』』』』』

 

再び目の前を強烈な光に覆われ、収まればそこには俺達が復活を望んでいた男の姿があった。

 

「ったく……無茶し過ぎなんだよ、お前は…」

 

「それは自覚してるつもりなんだけどな…」

 

その姿を見たら涙が出てきそうになったけど、それは後だな。

 

「それじゃ…リベンジといこうぜ、イッセー‼」

 

「ああ、いくぜタケル‼」

 

『待ちたまえ、タケル。』

 

俺達が行こうとしたら、1号に呼び止められた。

 

「何ですか?」

 

『これを君に送ろう。』

 

1号の手から光の玉が出てきて俺の手に乗ると、黒と赤で彩られ、炎を模したパーツが付いた眼魂になった。

 

『その力は君の役に立つ筈だ、頑張るんだぞ?』

 

「「はい‼」」

 

そして、ライダー達が眼魂に戻ると、俺達ももとの場所(イッセーはワープしたみたいなものだが)に戻った。

 

すると、全員がこっちを見て何人かは涙を流した。

 

「心配かけてすまなかったな、再会の喜びは後にして先ずはアイツらを片付けるぞ‼」

 

『『『『『うんッ‼』』』』』

 

皆がイッセーの側に集まったら、俺はイッセーと一緒に前に出る。

 

「よぉ宗二、あの時はよくもやってくれたな?」

 

「この……‼死に損ないがぁッ‼」

 

「眼魔の王…いや、京極慶悟‼決着をつけるぞ‼」

 

「お前ら……人の計画の邪魔して………………ただですむと思うなよッ‼」

 

京極は眼魔を更に召喚して戦力を整えていく。

 

「なら、俺も新しい力を見せるか。」

 

「え?…………ッ‼お前、それ!?」

 

イッセーがポケットから出したのは俺も見たことがある龍のマークが入った黄色いカードデッキだった。どこで手に入れたんだ!?

 

「メイルを助けるためにアリアがくれたんだ。お陰で俺達はここに立っていられる。」

 

そう言ってデッキを前に翳すと、腰に銀色のベルトが現れる。そして、右手を上に突き上げ握り締めた。

 

「変身‼」

 

右手を振り下ろしながらベルトにデッキをはめると、銀色の光が覆い、消えるとそこには赤の所が金、複眼が水色の龍騎がいた。

 

「仮面ライダー光龍……見参…」

 

「イッセーが……仮面ライダーになっちゃった…」

 

鏡も無しに変身できるって事はドラゴンナイトの設定も混じってるデッキなのか?っとそんなのは後にして、

 

オレ眼魂をゴーストドライバーに入れ、レバーを引いて押し込む。

 

「変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

変身した俺はイッセーに左の拳を伸ばす。

 

「さあ、命燃えるような…‼」

 

それにイッセーが右の拳を合わせる。

 

「ライブを始めようぜ‼」

 

そう言い、眼魔の群れに全員で突っ込んだ。

 




いかがでしたか?

オリライダーの眼魂はこの後の戦いでも出ますので、少々お待ちください。

次回『戦士の鎧』

「貴方に希望は奪わせない‼」

次回はBGM祭りになります。頑張って書きますので楽しみにしてもらえると嬉しいです。


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戦士の鎧

待っててくださった方々、遅れてしまいスンマセンした。

言い訳ですが、私は警備員をしているのですがかなり忙しかったのでこんなに延びてしまいました。

何だよ、36時間勤務って………それを週に2回とかウチの会社フザケンナ……‼

愚痴はこれまでにして、遅れた分ボリュームは増して(増しすぎた)います。

長くなっていますが最後まで読んでくださると嬉しいです。

では、今回はシンフォギアメンバーの戦闘です。どうぞ‼


一誠side

 

「それじゃ、行くぜ‼」

 

 

ー推奨BGM《Alive A live》ー

 

 

俺は眼魔達目掛けて走りながら、ベルトからカードを1枚引き抜き、それを左手にある籠手《龍召機甲メイルバイザー》に入れた。

 

《SWORD VENT》

 

メイルの声に似た電子音声の後、上から解放龍の剣(リモート・エッジ)が落ちてきたので、それを掴み取り先頭の眼魔を切り捨てた。

 

隣ではタケルも同じように突っ込み、剣で切り裂いていた。

 

「まさかお前が仮面ライダーになるなんてな……‼」

 

「それは後で詳しく話すさッ‼今はあの4号の所まで駆け抜けるぞ‼」

 

「おうッ‼」

 

立ちはだかる眼魔達の壁を斬り倒しながら進んで行くが倒される度に王が眼魔を召喚してくるので、前回同様にきりがなかった。

 

「あ~クソッ‼これじゃあの時の二の舞だぜ!?」

 

「今回は違うさ。」

 

タケルのぼやきに俺はそう答える。なぜなら…………

 

「「ハアアアアアァァァァァァァッ‼‼」」

 

その叫びと共に響と小猫が目の前の眼魔達を殴り飛ばし、翼とマリア、切歌と調が斬撃や刃を飛ばしクリスと未来が後方から射撃を行い、その二人に近づいてくるのを匙と祐斗とエルナ、美月さんとみくるさんに玲奈ちゃんが払い退けていた。

 

これなら勝てる‼そう思っていたら、

 

『Transfer!』

 

その音声が聞こえ、敵の動きが一気に良くなった。

 

「なんだ!?いきなり強くなったぞ!?」

 

「お前の仕業か‼宗二ッ‼」

 

俺の視線の先には憎たらしい笑顔の宗二がいた。

 

「そうさ、僕の力でこいつらを強化したんだ。3回分だから8倍になってるのかな?」

 

この…‼なんつー面倒な事を‼

 

強化された事によって俺達は劣勢になってしまい、周囲を眼魔達に囲まれてしまった。

 

「くッ!?」

 

「お前ら良くやった。んじゃ、ライダー眼魂を全て渡してもらおうか?」

 

「今渡せば、女の子達は逃がしてやってもいいぜ?ただし、僕の物になる事が前提だけどね。」

 

「まったくソージは……。でも、この子が望むのなら仕方ないわね。ある程度仕返しはさせてもらうけど。」

 

「そうですわね。その時は私に任せてくださいな。たっぷり楽しませてもらいますわ。」

 

まるで勝利を確信したみたいな態度で要求してくるアイツらに怒りが沸いてくる。

 

「おっと、その前に…」

 

「え?キャアッ‼」

 

「ッ!?響‼」

 

後ろから悲鳴が聞こえ、振り替えると響、翼、クリス、マリア、切歌、調、未来がパーカーを着た眼魔達によってバラバラに離されてしまった。

 

あれは上級タイプかッ‼

 

「そいつらは厄介そうだから先に分断させてもらうぜ?」

 

「オイッ‼あの子達は僕の物になるんだから、絶対に殺すなよ‼」

 

「あ~ハイハイ、分かったからさっさと残りを掃除しろや。」

 

「分かってるさ‼いけッ‼眼魔共‼」

 

その合図で残った眼魔達が襲い掛かってきた。俺とタケル、祐斗は剣で斬り倒し小猫は禁手で殴り飛ばし、美月さんとみくるさんは連携を取りながら蹴散らしており、エルナはダウルダブラを纏い戦いに慣れていない玲奈ちゃんを炎の壁で守っていて匙がそこに群がる奴等を払い退けていた。

 

最初は何とか拮抗していたが、

 

『すまん小猫、禁手の限界時間だ。』

 

「ッ!?そんな!?」

 

倍加の繰り返しで時間が早まり、禁手が解けた事で今までの疲労から小猫が動けなくなった。

 

「マズイッ‼」

 

そこを狙ったように眼魔達が襲い掛かろうとした。

 

「小猫ちゃんッ‼」

 

祐斗が助けに行こうとしたら、赤いオーラを纏った巨大なタイヤのような物が眼魔達を吹き飛ばしていき……

 

「おっと。」

 

「へ?ケバァッ!?」

 

その内の何体かが、宗二達に命中していた(慶悟は避けたけど)。

 

その後、小さな爆発が起き、俺達の前に赤いスーツに襟元には白と金で複雑な模様が入っていて顔には星のマークが描かれた人物が立っていた。

 

「あんたは……?」

 

俺の声にその人物が光出すと、そこには見知った少女がいた。

 

「何とか間に合ったみたいですね。」

 

「アリアッ!?え?今の姿は…?」

 

「今のは超力戦隊オーレンジャーのオーレッドです。それにしても計算通りに彼らの所に飛ばせました。」

 

「計算してやったのかよ…」

 

「どうせなら、単に引き殺すよりも引かれた奴等の爆発に巻き込まれる方が面白くないですか?どうせこのくらいでは死にそうもないですし、女性を物扱いする男にはいい気味です。それに、私はまだ10歳ですけど男を見る眼はあるつもりですよ?」

 

アリア……恐ろしい子‼

 

「やっぱり来やがったか……俺の中の存在がお前を倒したいと叫んでやがるぜ。」

 

「この事態を招いたのは確かに私の責任です。だから‼これ以上貴方を野放しにはしません‼」

 

「出来るのか?過去に負けて逃げた分際で…?」

 

「確かに私だけでは無理です。なので皆さん…………私に力を貸してくれませんか?」

 

そう言って俺達に向かってアリアが頭を下げてきたので、俺はその頭を撫でた。

 

「あ……。」

 

「そんなのは当たり前だろ?お前1人で戦わせる気はないし、俺達もアイツに仕返ししないと気がすまないしな……?」

 

「…………ありがとうございます‼」

 

「それに、分断された響達とも合流しないと「それでしたら頼もしい味方が向かいましたので大丈夫ですよ。」へ?」

 

まだ味方がいたか?アーシアは俺の治療でクタクタだし、オッチャンとキャロルさんはそんなアーシアについていて、自動人形(オートスコアラー)の皆は冥界にいるから……

 

「たぶん想像している方達とは違うと思いますが……でも心配しないでください。」

 

「アリアがそう言うなら…だったら小猫をどうにかできないか?禁手の時間が来て神器が使えないんだ。木場達も力が足りないみたいだし…」

 

実際俺とタケルは一撃で倒せていたが、木場達は数回当てないと倒せなかった。

 

「そうですね…………これはどうでしょう?」

 

そう言って出したのは赤いガラケーと青、黄、緑、桃の人形だった。そして青を木場、黄色を小猫、緑を匙に、桃色をエルナに渡した。

 

「ボクもですか?」

 

「お願いします。」

 

「でも…「私でしたら大丈夫ですから‼」玲奈さん…分かりました。」

 

最初は渋ったが、玲奈ちゃんの言葉で決心したのかエルナはそれを持った。

 

「ではこれ「このクソガキがァァァァァァァッ‼よくもやってくれたなアアアァァァァァァァッ‼」やっぱり生きてましたか。」

 

急に叫び声があがり、そこを見ると頭がアフロになった宗二がいた。

 

「龍見さん、御堂さん、彼らと雑魚の相手は私達で引き受けますので、眼魔の王を頼みます。」

 

「ああ、任せろ。」

 

「今度は負けねぇさ‼」

 

「では、行ってください‼」

 

その言葉と同時に駆け出し、前にいた眼魔の顔面を踏み台にして飛び上がり、慶悟へと突撃した。

 

「先ずはテメェらか…」

 

「「あの時の借り、倍にして返してやるよ‼‼」」

 

 

 

 

 

 

 

調side

 

私は今、大きな角が付いたフードに左胸に心臓が描かれた赤いパーカーの眼魔と戦っていた。

 

『ドウシタ?キサマノチカラハソンナモノカ?』

 

「…バカにして‼」

 

私はコンテナを開き、小型の丸鋸を射出する

 

《α式 百輪廻》

 

その全てが眼魔に向かって飛んでいくが…

 

『フッ‼ヤッ‼ハッ‼』

 

それら全てを拳で粉砕された。

 

『コノテイドデハタリン‼モット……モットオレヲモエアガラセロッ‼』

 

「なッ!?キャアッ‼」

 

一気に接近され、殴り掛かってきたのを腕で防御したがその威力に左腕の籠手を壊されてしまった。

 

『キタイハズレダ……モウオマエノジカンヲオワラセテヤロウ。』

 

私の時間を終わらせる?冗談じゃない。

 

「あなた何かには終わらせない……私はまだ先輩と一緒にいたい。一緒に歩いていきたい‼だから、止まらせなんかしない‼‼」

 

そう叫んだら、私の前に赤い光が落ちてきて顔の高さで止まった。

 

『君の思い、俺の心のギアにしっかり届いた‼一緒にアイツを倒すぞ‼』

 

そして、光がおさまると私の右手にはドライブ眼魂が握られていた。

 

そして、頭の中にどうすればいいか情報が流れてきたので、眼魂のボタンを押して体に押し当てると私の中に入っていった。

 

《DRIVE!!TYPE!!SPEED!!》

 

その音声と共にシンフォギアの上にタイヤをたすき掛けされた赤い鎧が装着され、腰には中央にディスプレイが付いた銀色のベルトが巻かれていた。左腕には銀色のブレスレットに赤いミニカーみたいなのが装填されている。そして、頭にはライダーの顔を模したヘアピンが付いた。

 

『ナンダ、ソノスガタハ?』

 

「…悪いけど私も知らない。今から初乗りなの。ねぇ、貴方の名前は?」

 

『ソウイエバナノッテナカッタナ。オレハ《ハートガンマ》ダ。』

 

「…そう、ならハート眼魔さん…」

 

私は体を少し前に倒し、いつでも駆け出せる態勢になる。

 

「…ひとっ走り付き合ってよ‼」

 

 

ー推奨BGM《SURPRISE-DRIVE(月読 調ver)》ー

 

 

足のローラーを使い接近しようとしたら、いつも以上のスピードに驚いたけど、何故か体はそれに合わせて動き、いつの間にか手にあったハンドル付きの剣で切り裂く。

 

『グゥ!?チカラガアガッタ!?』

 

「一気に行くよッ‼」

 

ベルトの右側にある突起を捻り、左腕のミニカーを3回倒す。

 

《SP!!SP!!SPEED!!》

 

すると胸のタイヤが回りだし、今以上の速度で周囲を動き回りながら、隙をみて切り裂くヒット&アウェイを繰り返した。

 

『ウアアアアアアァァァァァァァッ‼』

 

「…そろそろトドメッ‼」

 

突起を捻り、ブレスレットのボタンを押してからミニカーを1回倒す。

 

《ヒッサーツ‼フルスロットル‼SPEED‼》

 

そうすると、眼魔の回りにタイヤが4つ現れて私の前に飛ばしてきた。

 

私の前にもエネルギー体で出来た赤い車が出てきて、周囲を回るように高速で動き出したので、私は後ろに飛んで車の屋根を蹴り、もう一度飛ぶと前にハート眼魔が来たので足のローラーを鋸に変化させて蹴りながら切り刻み、また屋根を蹴り切り刻むを数回行ってから飛び蹴りを決めて吹き飛ばした。

 

『カハッ‼……ナルホド……ジカンガトマルノハ……オレノホウカ…』

 

そう言い残し、ハート眼魔は爆発した。

 

『今度こそ安らかに眠れ……ハート…』

 

ドライブ眼魂の声を聞きながら、私はイッセー先輩の所に走った。もう2度と先輩を死なせないために。

 

 

 

 

 

クリスside

 

『ヨワイッ‼ヨワスギルゾッ‼‼オンナァッ‼‼』

 

「チックショウがッ‼」

 

アタシは紫色でどこか虫を思わせるパーカーの眼魔と戦ってっけど……

 

『ソンナシャゲキデハ、コノ《カッシスガンマ》ヲトラエルコトナド、ムリナハナシダッ‼』

 

「うあッ!?」

 

知らぬ間に後ろに移動した眼魔にアタシは殴り飛ばされた。

 

なんだコイツ!?どんな動きしてやがんだ!?まるで瞬間移動みたいに突然現れやがる!?

 

『カンガエゴトナドサセンゾッ‼』

 

「ゴハッ!?」

 

今度は正面に現れ、腹に蹴りを叩き込まれた。

 

クソッ‼どうすりゃいい!?どうすりゃアイツを倒せるんだよ!?

 

『俺の力を使え。』

 

その声と共に、アタシの手に眼魂が握られていた。

 

「いつの間に……それに使えったってどうやりゃ…………なるほどな。」

 

頭に情報が流れ込んできたのでそれに従い、眼魂のボタンを押し、体に当てて中に入れた。

 

《HEN-SHIN!!》

 

その音声と共に腰に赤い機械のカブトムシが付いた銀色のベルトが巻かれ、体には重厚な銀と赤の鎧を纏い、髪にはライダーの顔を模したヘアピンが付く。

 

「…………………………………………………………………重っ。」

 

なんだこの鎧!?重すぎて動きづらいわッ‼

 

『ナニヲスルカトオモエバ、ミズカラマトニナルトハナ‼』

 

「なりたくてなったんじゃねぇよッ‼」

 

『ナラバ、ソノヨロイゴトハカイシテヤロウ‼』

 

再び目の前に現れ、拳を振るってきたが…

 

ガキィィィンッ‼

 

それは、堅牢な鎧に跳ね返された。

 

『ナニッ!?』

 

「マジかよ…」

 

『ベルトの角を反対側に倒せ。そうすれば動きやすくなる。』

 

頭に聞こえる声の通りに角を反対側に倒す。

 

《Cast off!!》

 

すると、鎧が弾け飛びカッシス眼魔に命中した。

 

『ヌグッ!?』

 

《Change beetle》

 

アタシの鎧もカブトムシの体を模した赤いものに変わっていた。それになにより……

 

「あ~~ッ‼やっと軽くなったぜ…んじゃ、反撃させてもらうぞ‼」

 

 

ー推奨BGM《NEXT LEVEL(雪音クリスver)》ー

 

 

怯んでいたカッシス眼魔に両手のマシンガンを撃ち、命中させる。

 

『クッ!?シカシ、ワタシニハモウツウジン‼』

 

「逃がすかよッ‼」

 

すぐさま右腰のボタンに手を伸ばし叩いた。

 

《Clock up》

 

その瞬間、回りの全ての動作が遅くなった。これなら簡単に当てられる‼

 

マシンガンを撃ちまくるが、カッシス眼魔はやはり消えてしまい、後ろから蹴り飛ばされた。

 

「痛ぅッ‼でもそうか、テメェは場所を瞬間的に移動できるか、時間を止められるんだな?」

 

『ヤットキヅイタカ……セイカイハコウシャダガナ。』

 

なら攻略法はわかった‼

 

腰のユニットを変形させていき、肩に大型ミサイルを4つ準備して発射する。

 

《MEGA DETH FUGA》

 

『ソンナモノナドッ‼』

 

カッシス眼魔は発射と同時に時間を止めたのか、目の前からいなくなり、また後ろから攻撃され吹き飛ばされた。

 

『ジュウガキカナイアイテニミサイルナド‼』

 

「へへっ、かかったな?」

 

発射されたミサイルの仕掛けが動き、表面カバーが外れそこから小型ミサイルが大量に発射された。

 

『ナンダトッ!?』

 

それに驚き、対応が遅れたのか落ちてきたミサイルの爆発に巻き込まれ、カッシス眼魔がアタシの方に吹き飛んできた。

 

「今だッ‼クロックアップ‼」

 

《Clock up》

 

クロックアップで加速し、接近しながらベルトにあるゼクターのボタンを押す。

 

《One Two Three》

 

「ライダーキック‼」

 

ベルトの角を元の向きに戻し、再び反対側に倒した。

 

《Rider kick》

 

右足にエネルギーが溜まったのを確認してから飛び上がり、その勢いのまま跳び蹴りを食らわせた。

 

「シャオラアアアァァァァァッ‼」

 

『ヌアアアアアアァァァァァァァッ!?』

 

攻撃に耐えきれなかったのか、カッシス眼魔は爆散した。

 

「ある男が言ってた……自分が望みさえすれば、運命は絶えず自分に味方するって。つまりだ‼こうなるのがアタシの運命だったのさ。」

 

 

 

 

 

切歌side

 

「そこデス‼」

 

『ザンネン、ハズレダ。』

 

ワタシは青のパーカーに2つの長いマフラーを靡かせ、銃と剣が合体したような武器を持った眼魔と戦闘中デス‼

 

『モウスコシアイテヲミルンダ。ソウスレバウゴキガワカルヨウニナル。』

 

「ワタシは何で敵にアドバイスされてるんデスか?」

 

『キミハマダツヨクナレル。ソノツヨクナッタキミトタタカイタイノダヨ。』

 

これって喜んでいいんデスかね?

 

イガリマを振るい攻撃していくが、剣で弾かれたり受け流されたりしていた。

 

「いい加減喰らうデス‼」

 

『ソレハオコトワリサセテモラウヨ。』

 

今度は向こうが剣を振るってきたので、鎌で受け止めようとしたけど、想像以上の威力に飛ばされそうになった。

 

「見た目より力があるデスね?」

 

『“カイジン”ヲミタメデハンダンスルト、ロクナメニアワナイヨ。』

 

「それは失礼したデス‼」

 

もう一度鎌を全力で振るうが、簡単に受け止められ逆に蹴りを喰らってしまった。

 

「痛~ッ‼どうしたら勝てるんデスか!?」

 

『だったら、任せな。』

 

『僕達が力を貸すよ。』

 

そんな声が聞こえ、後ろを見ると眼魂が浮いていてワタシはそれを掴んだ。

 

「本当に力を貸してくれるんですか?」

 

『ああ、助けてやるよ。俺が…』

 

『待ちたまえ、そこは僕達が…だろ?』

 

そう言った後、頭の中に情報が流れてきたのでそれに従い眼魂のボタンを押して体に当てた。

 

《CYCLONE!!JOKER!!》

 

そうすると、腰に緑と黒のUSBが入った赤いバックルのベルトが現れ、体を右側が緑、左側が黒の鎧に包まれて、頭にはライダーの顔を模したヘアピンが付いた。

 

『ホウ……、オモシロクナリソウダ。』

 

『『「さあ、お前の罪を数えろ(デス)‼」』』

 

 

ー推奨BGM《EXTREME DREAM(暁 切歌ver)》ー

 

 

さっきより軽くなった体で駆け出し、鎌を振るうと緑色の風の刃が飛んでいった。

 

『ソンナワザモデキルノカッ‼』

 

眼魔は持っていた剣でそれを切り捨てていたがその間に懐に入り込み、連続で蹴りをお見舞いする。

 

『クッ!?サッキヨリモツヨクナッテイル!?』

 

「まだまだ行くデスよ‼」

 

全力の蹴りを入れて距離を離し、鎌から刃を二枚飛ばした。

 

《切・呪リeッTぉ》

 

『ソノテイドッ‼』

 

眼魔は剣を振るい、切り払おうとしてるけどさせないデスよ‼

 

肩アーマーからワイヤーを射出して、動きを止めていた眼魔を拘束する。

 

『シマッタッ!?』

 

「これで決まりデス。」

 

ベルトから黒いUSBを抜き、右腰のスロットに差し込む。

 

《JOKER!!MAXIMUM DRIVE!!》

 

すると、隣に緑のエネルギー体で出来た分身が現れて、一緒に飛び上がり蹴りの体勢になる。

 

『『「ジョーカーエクストリーム‼」』』

 

そして分身と共に跳び蹴りを決めた。

 

『ミゴトダ………タノシイジカンヲアリガトウ…』

 

爆発する直前、眼魔からその言葉を送られたワタシは一礼してから、先輩の元に向かった。

 

「貴方から教わったこと、忘れないデス。」

 

 

 

 

翼side

 

『キサマノツヨサ、ミセテモラウゾ‼』

 

「謂われずとも‼」

 

私は赤、黄、黒のパーカーに長剣を持った眼魔と切り結んでいる。

 

上段からの攻撃を最小限の動きで回避し、横薙ぎに剣を振るうが、それは左腕にある棘のようなものに止められ、右手で剣を振るってきたので体を低くすることで回避するが、直後に蹴りが放たれたので剣を盾にしつつ後ろに飛び退いた。

 

『ホウ…ドウヤラザコデハナイヨウダ。』

 

「なめてもらっては困るッ‼」

 

私は剣を大剣にし、エネルギーを溜めてから振り抜き、斬撃を飛ばした。

 

《蒼ノ一閃》

 

斬撃は真っ直ぐ眼魔に向かっていったが………

 

『フンッ‼』

 

それは長剣であっさりと切り落とされた。

 

『ドウシタ?ソレガキサマノゼンリョクカ?』

 

「まだだッ‼」

 

高く飛び上がった私は周りにエネルギー状の短剣を大量に作り、撃ち出す。

 

《千ノ落涙》

 

更に、手持ちの剣を眼魔目掛け投げて巨大化させ、それに蹴りを当てて足のスラスターで加速しながら突っ込む。

 

《天ノ逆鱗》

 

「これでッ‼」

 

しかし、短剣は長剣の一振りで全て落とされ、大剣は右手だけで受け止められそのまま握り潰すかのように砕かれた。

 

「そんなッ!?」

 

『ショセンハコノテイドカ……ナラバキサマニ、ホントウノツヨサヲオシエテヤル。』

 

そう言うと、体を霧のようにして私を包み込んで持ち上げた後、地面や壁に何度も叩きつけた。

 

「ガハッ!?」

 

『コノヨハチカラガスベテダ。チカラナキモノハ、キョウシャニシハイサレルダケダ。』

 

「そんな事はない‼力だけで解決できるものなど、たかが知れている‼」

 

『ソレハジャクシャノカンガエダ‼コノヨデハチカラデカイケツデキナイモノナドナイ‼』

 

「それが貴様の真理かッ!?」

 

『ソウダ‼‼オレノシンリハ、コノコブシノナカニアル‼‼‼』

 

そう言い、拳を突き出してきた。その速さに回避は不可と判断し、剣で防御したのだが…

 

「クウゥゥゥゥゥゥゥッ!?」

 

あまりの重さに後ろに数メートル下げられてしまい、受け止めた手は痺れて剣を落としてしまった。

 

『ドウダ!?コレガオレノツヨサダ‼‼』

 

「確かにその強さは紛れもないものだ。だが、私はやはり気に食わん‼」

 

『ナラバドウスル!?』

 

「貴様を倒す‼」

 

『だったら、俺も力を貸すぜ‼』

 

突然聞こえた声に辺りを見回すと、目の前に眼魂が現れた。

 

『本当の強さってやつをアイツに教えてやろう‼』

 

「ああ‼」

 

眼魂を手に取り流れてきた情報通りにボタンを押して体に当てる。

 

《オレンジアームズ‼花道・オンステージ‼》

 

すると、体を戦国時代の武将が着ていた様な橙色の鎧が包み、頭にライダーの顔のヘアピンが付けられた。そして腰に付いたベルトには機械的な刀があり、右手にはくし型に切られたオレンジを模した剣が握られていた。

 

「ここからは私の舞台(ステージ)だ‼」

 

 

ー推奨BGM《乱舞Escalation(風鳴翼&駆紋戒斗ver)》ー

 

 

私は足のスラスターて地面を滑る様に、眼魔は駆け出して接近しながら互いの剣を打ち付け合う。そのまますれ違うと直ぐ様反転しもう一度切り結ぶ。

 

『ハアッ‼』

 

「くッ!?」

 

相手の力に押し負けるが、立て直して振り下ろされた剣を受け流し、後ろ回し蹴りを当てる。

 

『ヌウッ!?』

 

「ヤアアアッ‼」

 

倒れたその隙に軽く飛び上がりながら剣を振り降ろすが咄嗟に出された長剣で防がれる。

 

「ちぃッ‼」

 

『ナメルナァッ‼』

 

「つぁッ‼」

 

起き上がりながら振り上げられた剣をかわしきれず胸の装甲から火花が散る。返す刀で振り下ろされた剣を何とか弾き、上段から一気に叩き斬る。

 

『ウオッ!?』

 

そこで私はベルトにある刀のオブジェを1回倒す。

 

《ソイヤッ‼オレンジスカッシュ‼》

 

「ヤアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

ベルトのエネルギーとシンフォギアのエネルギーを剣に溜めていき、完了した瞬間それを振るい長剣をへし折った。

 

『バカナッ!?』

 

「喰らえッ‼」

 

周りに短剣を作り出し、射出する。

 

《千ノ落涙》

 

『オオッ‼』

 

しかし、それは眼魔の右手から放たれた波動によってかき消された。

 

「この隙、もらった‼」

 

《ソイヤッ‼オレンジスパーキング‼》

 

私は飛び上がり右足を突き出す。

 

『ソノテイド………ッ!?カラダガウゴカナイ!?』

 

「悪いが影を縫わせてもらった。」

 

眼魔の影には先の攻撃に紛れさせた天ノ羽々斬が刺さっていた。

 

《影縫い》

 

「終わりだッ‼」

 

そして、跳び蹴りが命中した眼魔は吹き飛んだ。

 

『ナゼコノオレガ…』

 

「お前は強さのみを求めたみたいだが、それを求めた理由はなんだ?」

 

『オレハ……コレイジョウジャクシャガシイタゲラレナイセカイヲツクルタメニ…』

 

「なら、誰かと共に歩み困難を切り開くのも強さの1つではないのか?」

 

『ナルホド………ナラバオマエノエガクツヨサ、アノヨデミサセテモラウゾ?』

 

そう言い眼魔は爆発した。

 

「ああ、特と見るがいい。この私、風鳴翼の生き様をな。」

 

 

 

 

 

 

マリアside

 

私は右手に短剣を持ち、迫り来る銃弾の嵐を掻い潜りながら飾りの付いた赤いフードに白いロングコートを着た眼魔に接近していた。

 

『フム……ナカナカノミノコナシダ。』

 

「喰らいなさい‼」

 

短剣を投げつけるが、それは左手に持つ盾で簡単に弾かれた。

 

「チッ‼」

 

『ムダダ、ガイストショット‼』

 

そして、右手のライフルから銃弾を撃ってくるので、すぐに動き回避する。

 

「ああもうッ‼面倒な相手ねッ‼」

 

『ソレハコウエイダ、ワタシハオウヲササエ、コノセカイデモットモメイワクナソンザイトナルノダ。』

 

「誉めてなどいないッ‼」

 

さて、どうしようかしら?向こうはかなり強さ、私1人だけだと倒しきれないかも知れない。

 

『だったら、手伝ってやろうか?』

 

突然声が聞こえた事に驚き、左側を見ると眼魂が浮いていた。

 

「どういう意味かしら?」

 

『どうもなにも、そのまんまだ。いらないなら別にいいが…』

 

なんか偉そうね……

 

『で、どうする?使うのか、使わないのか。』

 

「いいわ、使わせてもらいます。」

 

『なら、使いこなせよ?この俺、“破壊者”の力を。』

 

「ええ、ついでにその性格も破壊しましょうか?」

 

『ハッ‼やれるもんならやってみろ。』

 

そんな会話をしつつ、眼魂を掴み取りボタンを押して体に押し当てた。

 

《KAMEN-RIDE》《DECADE》

 

すると、体をマゼンタに白と黒の十字が左に傾いた鎧を纏い、腰には赤い宝玉の周りに9個のエンブレムが入った白いベルトが付き、左腰に本の形をした銀色のケースが付いている。そして、ライダーの顔のヘアピンが頭に付いた。

 

『アイコンノチカラヲマトウダトッ!?キサマ、ナニモノダ‼』

 

「そうね……歌で世界を繋ぐ仮面ライダーとでも言っておきましょうか。覚えておきなさい‼」

 

 

ー推奨BGM《Journey through the Decade(マリア・カデンツァヴナ・イヴver)》ー

 

 

私は左手に短剣を逆手に持ち、右手には腰のアイテム(ライドブッカー)をソードモードに変えて持ち駆け出す。

 

『サセルカッ‼ガイストショット‼』

 

眼魔は銃を撃ってくるが……

 

「見えてるわよ‼」

 

ライドブッカーを振るい、銃弾を切り裂く。

 

『ナニッ!?』

 

向こうが驚いている間に、短剣を投げる。

 

それは先程と同じく盾に防がれたが、パワーが上がっているのか向こうの盾を打ち上げた。

 

『ウオッ!?』

 

「懐が丸見えよ‼」

 

ベルトにある左右のハンドルを開き、バックルを縦にしてライドブッカーからカードを1枚引いてそれをバックルに入れハンドルを閉じる。

 

《ATTACK-RIDE》《SLASH》

 

カードの効果で威力の上がったライドブッカーで三度斬りつけ、短剣を蛇腹剣にして多方向から切り刻んだ。

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

『グホッ!?』

 

「次はコレよッ‼」

 

《ATTACK-RIDE》《BLAST》

 

ライドブッカーをガンモードにし、そこから光弾を大量に撃つ。

 

『クッ!?ダガ、ソレクライナラバタテデ「上をご覧なさい?」ナニッ!?」

 

眼魔の上には私が投げて弾かれた短剣が大量に増えて待機していた。

 

「行きなさいッ‼」

 

そして、私の合図で眼魔に降り注いだ。

 

《INFINITE†CRIME》

 

光弾を防ぐのに盾を使っていた眼魔は短剣の雨を防げず、更に両手に当たったことで武器を落としていた。

 

『マズイッ!?』

 

「トドメとしましょう。」

 

ライドブッカーからライダーの紋章が描かれたカードを抜き、バックルに入れる。

 

《FINAL-ATTACK-RIDE》《DE-DE-DE-DECADE》

 

私と眼魔の間に10枚のエネルギー状のゲートが現れ、飛び上がり蹴りの体勢でそれを潜り抜けていき、眼魔に蹴りを決める。

 

「ハアッ‼‼」

 

『グオオオォォォォッ!?』

 

眼魔は吹き飛び、倒れた。

 

『コレデ……オワッタト…オモウナ、ワタシハ……フタタビメイワクナソンザイトシテ……ヨミガエ…』

 

そこまで言って、爆発して消えた。

 

「来るなら来なさい。今度は貴方の全てを破壊してあげるわ。」

 

 

 

 

 

未来side

 

『ドウシタンダイ?キミノツヨサハソノテイドナノ?』

 

「まだッ‼」

 

閉じた鉄扇からレーザーを撃つが、緑のパーカーに双剣を持った眼魔はまるで踊るような動きで回避する。

 

『ホラホラ、ヨクネラッテ。ボクハココダヨ‼』

 

「キャアッ‼」

 

そして、近づいてきて双剣を振るってきたので鉄扇で防ぐが、簡単に吹き飛ばされた。

 

くぅッ‼やっぱり強い…‼

 

『ア~ア、ツマンナイナァ……ソウダ‼キミノナカマヲコロセバ、モットオモシロクナルカナ?』

 

皆を殺す?貴方が?

 

「そんな事…………させないッ‼」

 

体勢を立て直し、すぐにレーザーを放つ。

 

『アタラナイヨッ‼』

 

それも首を傾けてかわされた。

 

「残念だったね?」

 

『?……グアッ!?』

 

そしてレーザーは、眼魔の後ろにあった鏡に反射して後頭部に命中した。

 

「油断大敵だよ?」

 

やっと1発当てられた。でも、この方法はもう効かないかなぁ……

 

『……コノグライデカッタナンテ、オモッテナイヨネ?』

 

「……ッ!?」

 

その瞬間、ものすごい寒気が私を襲った。

 

なに!?この感じ!?さっきとまるで違う‼

 

その雰囲気に飲まれ、動けなくなってしまった私は眼魔の接近を許し、首を掴まれて持ち上げられた。

 

『ナマイキナコニハ、オシオキシナイト。』

 

「あ……が‼…」

 

掴む力は段々強くなっていき、呼吸すら出来なくなってきた。

 

だめ……意識が……

 

『ソレジャ、バイバ~……イバッ‼』

 

意識が消えそうになった時、眼魔の悲鳴と共に首を掴んでた手から解放された。

 

「ゲホッ‼ゲホッ‼……いったい何が…?」

 

少し霞む目で正面を見ると、眼魂が1つ宙に浮いていた。

 

『大丈夫かい?』

 

「え?……あっハイ…」

 

『アイツには俺も因縁があってね、力を貸すよ。』

 

そう言い私の右手の上に降りてきたら、情報が頭に入ってきたので、眼魂のボタンを押し、体に当てた。

 

《フレイム‼プリーズ‼ヒー‼ヒー‼ヒーヒーヒー‼》

 

右側に出てきた魔法陣を潜ると、腰には左手の絵が入った銀色のベルトが巻かれその周りには足首位の長さのローブ、胸元はルビーを思わせる色の鎧が包み、頭にはライダーの顔のヘアピンが付けられた。更に、脚甲が小さくなり両足を包み込む形に変わった。

 

『ヘェ~、マダソンナチカラガアッタンダ?』

 

「貴方に私の希望を奪わせはしない‼」

 

 

ー推奨BGM《Last Engage(小日向 未来ver)》ー

 

 

私はベルトのレバーを操作して右手に変え、そこに右手中指にある指輪をかざした。

 

《コネクト‼プリーズ‼》

 

すると、小さな魔法陣が出てきたので、手を入れてそこから銀色の銃【ウィザーソードガン】を取り出す。

 

更に、それに付いている手のオブジェを開き、取り換えた右手の指輪をかざす。

 

《キャモナ‼シューティング‼シェイクハンド‼コピー‼プリーズ‼》

 

この魔法で、左手にもウィザーソードガンが握られた。

 

「さあ、ショータイムといきましょう?」

 

両手の銃を眼魔に向けて連射する。

 

『オモシロクナッテキタジャナイカ‼』

 

眼魔はさっき以上のスピードで避けていくが、私も弾丸を操作して命中させていく。

 

『グッ!?ヤルネ‼』

 

「まだだよ‼」

 

《バインド‼プリーズ‼》

 

『アレッ!?』

 

魔法で鎖を出して眼魔を拘束する。そして、新たな指輪をベルトにかざした。

 

《ビッグ‼プリーズ‼》

 

私の前に出来た魔法陣に右手を入れると数倍の大きさになり、眼魔の手前で中指を親指で押さえて力を溜めていく。

 

『ソレッテモシカシテ……』

 

「デ~コ~ピン☆」

 

『アビュラッ!?』

 

そして、解放された中指の打撃で眼魔は吹っ飛んだ。

 

あ~~ッ‼なんかスッキリした‼

 

『コノ……ナメルナッ‼』

 

今のでキレたのか、眼魔が双剣を持って一気に近づいてきた。

 

接近は苦手だけど下がる余裕はないし、やるしかない‼

 

『ハアッ‼』

 

眼魔が振り下ろしてきた双剣を防ごうとしたら、体が勝手に動き、ムーンサルトで剣を弾き至近距離で銃を撃った。

 

『ガアッ‼』

 

「あれ!?何で体が勝手に!?」

 

『悪いけど俺が動かしたんだ。接近戦は俺に任せて君は撃つ事に集中するんだ。』

 

「わ、分かりました‼」

 

私は体の操作権を眼魂の魂?に預け、剣を脚甲で弾きながら隙をみては銃を撃ち命中させた。

 

『クソッ‼ナンナンダキミハ!?ドウシテボクノジャマヲスルンダ!?』

 

「貴方が危険な存在だからだよ‼」

 

皆を殺すと言った時や、私の首を絞めていた時にこいつは笑っていた様に感じた。

 

だから、皆の所には行かせない‼

 

「そろそろフィナーレにしましょう。」

 

両手の銃の手のオブジェを開き、左手の赤い指輪を読み込ませる。

 

《キャモナ‼シューティング‼シェイクハンド‼フレイム‼シューティングストライク‼ヒーヒーヒー‼》×2

 

「いっけえッ‼」

 

左手のトリガーを引いて、巨大な火炎弾を放つ。

 

『ナンノッ‼』

 

眼魔は双剣を投げて、火炎弾にぶつけて相殺した。

 

そして、煙が晴れる前に眼魔が突っ込んでくる。

 

『コレデボクノカチダヨッ‼』

 

「だったら、惜しかったね?」

 

《ライト‼プリーズ‼》

 

『ウアッ!?メガッ‼メガアアアァァァァッ‼』

 

それを読んでいた私は魔法で強烈な光を放って目を眩ませ、右手の銃を眼魔の顔に押し当て引き金を引いた。

 

「じゃあね。」

 

『ガバアアアァァァァァッ!?』

 

眼魔は吹き飛んだ後、ゆっくりと立った。

 

『キミハ……ジブンノキボウノ…タメナラ……ヘイキデボクヲ …コロスノカイ?』

 

「私の希望になっている人達を殺すと言ったでしょ?貴方を殺す理由はそれで充分だよ。」

 

『ソレモ……ソウダネ…』

 

そして眼魔は爆発した。

 

「すみませんけど、皆を助けたいのでもう少し力を貸してもらえますか?」

 

『もちろん。』

 

その確認をした私はイッセー君の所に向かった。

 

 

 

 

 

 

響side

 

『フンッ‼』

 

「セェイ‼」

 

鯨を思わせるフードに水色のパーカーの眼魔から振り下ろされた戦斧を拳を打ち込んで相殺する。

 

『ハッ‼』

 

「なんのッ‼」

 

今度は横薙ぎに振るわれたのを、肘打ちで弾く。

 

『コノウゴキ……コノカンジ……キサマハ…』

 

動きを止めた眼魔を私は不思議に思い、一度距離を取った。

 

『キサマハ、ナニモノダ?』

 

「へ?……立花 響ですけど?」

 

『チガウ……キサマハ、“ニンゲン”カ?』

 

「ッ!?」

 

コイツ……“私達の体”の事を知っている!?

 

『ソノハンノウ……ヤハリソウカ。』

 

「……だったらどうなの?」

 

『カンタンダ、“ヒト”デナイモノハ、ホロバネバナラナイ。』

 

「なッ!?」

 

足元に何かの紋章が描かれ、嫌な予感のした私はすぐさまそこから飛び退き、その数秒後にそこが爆発した。

 

「何で人でないだけで殺されなくちゃいけないの!?」

 

『ヒトガヒトヲコエルヒツヨウガナイカラダ。』

 

「そんな理由で!?」

 

『キサマモ、ソノヒトリダ。』

 

「勝手に決めないで‼私は…」

 

『ニンゲン…………ナドトハイワセンゾ?ソノカラダデ。』

 

「ッ‼」

 

確かに、あの施設のせいで私達は人間とは言いがたい存在だ。でも違う‼あの時イッセーが私に教えてくれた‼

 

「誰がどんな存在かは自分で決められるんだ‼お前達の勝手な意見を押し付けるな‼」

 

『その通りだ。』

 

私の叫びに誰かの声が聞こえた。周りを見ると、右側に眼魂が浮いていた。

 

「えっ!?何で眼魂がここに!?」

 

『君に力を貸しに来たんだ。さあ、一緒に戦おう‼』

 

「よく分かんないけど、はいッ‼」

 

眼魂を手に取り、頭に入ってきた情報通りにボタンを押して、体に当てた。

 

すると、私の周囲を眩い光が覆い、それが終わると腰には金と黒のベルトに体にも同じく金と黒の鎧、籠手の色も全体が金色で一部が銀色に変わっていた。そして頭にライダーの顔のヘアピンが付けられた。

 

『ソノチカラハ……【アギト】ダト!?』

 

「さあ、行くぞ‼眼魔ッ‼」

 

 

ー推奨BGM《BELIEVE YOURSELF(立花 響ver)》ー

 

 

足のバンカーで一気に相手の懐に飛び込んだ私は、全力で眼魔を殴り飛ばした。

 

『グウッ!?』

 

「逃がしはしない‼…………ッ!?」

 

もう一度飛び込もうとしたら、足元に先程の紋章が描かれたのでそれを辞め、下がる。

 

そして、目の前で爆発が起こり煙が私の視界を遮った。

 

「くッ!?何処に……‼」

 

その瞬間、私の周りが爆発し、周囲から炎が襲い掛かった。

 

「クゥアッ‼」

 

『アギトノチカラヲツカウモノハ、ワタシガホロボス。』

 

「滅ぼされてなるものかッ‼」

 

右腕の籠手を大型化し、腰のブースターで加速しながら殴りかかるが、戦斧で受け止められた。

 

「ウオオオオオオォォォォォッ‼」

 

『グオッ!?』

 

それを力任せに吹き飛ばし、近くのビルに激突させる。そして、左腕の籠手も大型化させて壁にめり込んでいる眼魔の体に両拳を押し当てる。

 

『ナニヲス「ハアッ‼‼」ガハッ!?』

 

籠手に溜まっていたエネルギーを解放し、そこから放たれる衝撃波をゼロ距離で眼魔に打ち込んだ。

 

『コノ……ワタシガ…ココマデ…』

 

「もう………終わりにしよう?」

 

足を少し開き、腰を低く構えると足元に先程のとは違う紋章が描かれ、ヘアピンからはカシャッと何かの仕掛けが動いたような音がした。そして、紋章の力を足に収束していく。

 

『ヤハリキサマハ………キケンナソンザイダ…』

 

「貴方が私の事をなんて思おうと構わない……でも、誰がなんて言おうと…」

 

収束が完了した私は飛び上がり、跳び蹴りの放つ。

 

「私は私だあああアァァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

蹴りが命中したと同時に、足のバンカーで衝撃も一緒に叩き込む。

 

『ガッ!?……グ………オオオオオォォォォォォッ‼』

 

その威力に眼魔は耐えられなかったのか、爆発した。

 

「でも……こんな体の私を………他の人はどう思うんだろう…」

 

イッセー達はそんな事を気にしてないのは知ってる。でも、学園の皆が知ったら………。

 

『アイツの言葉を気にする必要はないよ。君を惑わせようとしただけだから。それに、彼を助けに行くんだろ?』

 

「そうですね……ありがとうございます‼」

 

『どういたしまして。』

 

待っててイッセー、今そっちに行くからッ‼




いかがでしたか?

響達の姿はシンフォギアとライダーを合わせたライダー少女を想像してください。

選曲は変身したライダーでそのキャラが歌いそうな曲にしています。

ようは、私の趣味だ‼(レモンの博士風に)

次回《闘魂と勇槍》

「このセリフ、言わなきゃダメなのか?」

次は光龍とゴースト、残りのメンバーの戦闘です。

今度は早めに投稿します……


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闘魂と勇槍

前回に続き遅くなってしまい申し訳ないです。

本当にごめんなさ~~~いッ‼(何処かの電車の赤鬼みたく)

なので今回もボリューム盛り過ぎな文章量です。それでも構わない人は見ていってください。

後、ウィキで調べてサンゾウ眼魂の色が違っていたのでEXの話と合わせて変更してあります。

では、どうぞ。


アリアside

 

「では皆さん、準備はいいですか?」

 

「「「「はい(うん)(オウ)ッ‼」」」」

 

私を真ん中に左に木場さんと塔城さん、右に匙さんとエルナさんで横一列に並び、私が渡したアイテム【モバイレーツ】と【レンジャーキー】を持つ。その更に右には、神崎さんと夏樹さん、玲奈さんもいます。

 

「お前達8人で僕達の軍団に勝てると思ってるかい?」

 

私達の目の前には100を越える数の眼魔達がいる。何か台所の黒光りする虫を思い出して気持ち悪いですね。

 

「にしてもアリアちゃんだっけ?“あの一連の動作”は必要な事なのか?」

 

「はい、必要な事なんです。」

 

そこを匙さんが疑問に思うのも無理ないですが、変身ポーズからの名乗りはやらない訳にはいきません‼

 

「匙君、諦めた方がいいよ?」

 

「私は楽しみです…」

 

「ボクも楽しみなんです‼」

 

「だあ~‼分かったよ‼」

 

よし‼皆さんの同意も得られました‼

 

「何をやるのかしら?」

 

「分かんないけど、面白そう‼」

 

「ちょっとワクワクします。」

 

玲奈さん達も楽しみにしているみたいですし、格好良くやりましょう‼

 

「では、いきますッ‼」

 

私の合図で5人が左手に持ったモバイレーツを開き、右手のレンジャーキーの両手と下半身部分を上に上げてキーモードに変え、左手を右肩に持っていき右手を真っ直ぐ前に伸ばして……

 

「「「「「ゴーカイチェンジ‼」」」」」

 

そう叫んでから両手を顔の左側に持ってきて、モバイレーツにレンジャーキーを差して回した。

 

『『『『『ゴーカイジャー‼』』』』』

 

その音声と共に私達の格好が赤、青、黄、緑、ピンクのカラーの海賊服を意識したものに変わった。

 

ア「ゴーカイレッド‼」

 

祐「ゴーカイブルー。」

 

小「ゴーカイイエロー…」

 

匙「ゴーカイグリーン‼」

 

エ「ゴーカイピンク‼」

 

ア「海賊戦隊‼」

 

「「「「「ゴーカイジャー‼‼」」」」」

 

全員でポーズを決めると、背後で爆発が起こる。

 

「うおッ!?ビックリした‼」

 

「ちょっと背中が熱いかな?」

 

匙さんと木場さんが驚いていますが、これも普通ですよ?

 

「私、夢が1つ叶いました…」

 

「ボクもです。」

 

「お前達‼‼‼何をふざけてんだッ‼‼‼‼」

 

いきなり3馬鹿その1(宗二)が叫んでますが、ふざけてなんていませんよ。

 

「相手に名乗るのは礼儀の1つと教わりませんでしたか?」

 

「そんな馬鹿げた名乗りに礼儀があるかッ‼」

 

「アリアちゃん、アイツにロマンを語っても無駄ですよ。さっさと始めましょう?」

 

「それもそうですね。」

 

私達はゴーカイジャーの専用武器【ゴーカイサーベル】と【ゴーカイガン】を手に持った。

 

「なら、私達も準備しましょうか。みくる、玲奈ちゃん、いいかしら?」

 

「OK‼」

 

「だ、大丈夫です‼」

 

玲奈さんはまだ少し緊張してるみたいですね。

 

「安心して、何かあれば私達がフォローするから。」

 

「は、はい‼」

 

「それじゃ…」

 

美月さんはシグナルチェイサー、みくるさんはネクロム眼魂、玲奈さんはユリン眼魂をベルトとブレスにセットする。

 

「「「変身‼」」」

 

《シグナルバイク‼ライダー‼チェイサー‼》

 

《テンガン‼ネクロム‼メガウルオウド‼》《クラッシュ・ザ・インベーダー‼》

 

《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

そして、それぞれ武器や拳を構えた。

 

「組み合わせはライダー組と、戦隊組でいいですか?」

 

「大丈夫よ。」

 

では、準備も終わったことですし…

 

「皆さん、ド派手にいきましょうッ‼」

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

「玲奈ちゃんはどんな攻撃方法なの?」

 

これから戦い始める時に隣の美月さん(さっき名前を教えてもらった)からそう聞かれた。

 

「あ、えっと…射撃が得意です。」

 

「なら、できる限りでいいから遠くから援護お願いね?」

 

これってまだ戦い慣れてない私への配慮なのかな?

 

「了解です。」

 

「じゃ、みくる…行くわよ。」

 

「わかった。」

 

そう言って二人は眼魔の大群に突っ込んでいった。

 

『せっかく役割貰ったんだから頑張らないとね?』

 

「うん、だからミコトも力を貸して?」

 

『任せなさい‼あたしの力を見せつけ『何一人だけ抜け駆けしてんのよ?』ゲッ!?』

 

ミコトが喋ってたら、途中から新しい声が混じり、ベルトから全体が黄緑色でフードが水色のネコミミが付いたパーカーとピンクとクリーム色でドレスを思わせるようなパーカーが新しく出てきた。

 

『ミコトちゃんばっかりズルいよ‼私達にも手伝わせて‼』

 

『何言ってんのよ‼今は私のター『私は“シノン”。でこっちのピンクが“まどか”よ、これからヨロシク。』ってあんたは何自己紹介してんのよ!?』

 

『何ってこれから一緒に戦うんだもの、挨拶は必要でしょ?』

 

『そうだけど、そうじゃなくて‼』

 

なんかカオスになってきたなぁ……

 

『うるさくてゴメンね?ホントは仲良しなんだよ?』

 

ピンクのパーカーのまどかが申し訳なさそうに近寄って、謝った。

 

「それは見てればわかるよ。」

 

『『仲良くない‼』』

 

はいはい、お約束だよね。

 

「とりあえず援護に入るからシノンさん、手伝ってください。」

 

『わかったわ、それと敬語じゃなくていいわよ?』

 

『ちょッ!?私の出番取るなーッ‼』

 

ベルトにシノンさんが入ると、眼魂となりそれをベルトにセットする。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

そして、レバーを引いて押し込んだ。

 

《カイガン‼シノン‼捉える瞳‼冥界の女神‼》

 

パーカーを着ると、マスクの絵柄が円の中に十字が入ったターゲットサイトになった。

 

武器のガンガンハンドを持つと、一緒に無線機が出てきた。

 

「これは無線機?」

 

そう思っていたら、変形して四足歩行の猫みたいな形になった。

 

『“ジャガートランシーバー”よ。能力は「キャアー‼この子もカワイイー‼」聞きなさいよ。』

 

ガジェットに頬擦りしていたら、シノンさんに怒られた。ごめんなさい……

 

『その子は仲間との通信の他に、ガンガンハンドに取り付けるとヘカートモードになるの。それに取り付けた状態でも通信は可能よ。相手には念話みたいな感じで聞こえるわ。』

 

おお、結構便利なんだね。

 

ガンガンハンドに取り付けると、アンテナ部分が砲口のヘカートモードになる。

 

「それじゃ、御堂玲奈‼目標を狙い撃つ‼」

 

美月さんに接近している眼魔をロックオンして私はトリガーを引いた。

 

 

 

 

 

美月side

 

《シグナルバイク‼プロモーション‼ナイト‼》《Break》

 

《テンガン‼アイルトン‼メガウルオウド‼》《ジーニアス・レーサー‼》

 

昇格とパーカーを変えた私達は、高速で動き回りながら敵を倒していた。

 

「全く、数だけは多いわね。」

 

「黒くて数が多い…………まるでゴ「それ以上は言わないで、お願いだから‼」わかった。」

 

考えないようにしてたのに、一度そう思っちゃったら…………イヤァァァァァッ!?本当にそう見えてきちゃった!?

 

《シグナルバイク‼プロモーション‼ルーク‼》

 

ベルトのシグナルバイクを変え、近くの眼魔に足払いして倒れさせブレイクガンナーを叩きつける。

 

「害虫は駆除あるのみ‼」

 

シグナルバイクの力で上がったパワーで更に眼魔達を殴り、地面に倒れさせていく。

 

「そういえば……美月は苦手だったね…………ゴキブリ。」

 

あんな生き物は存在する必要ないのよ‼‼

 

「なら、私は手数を増やす。」

 

そう言って彼女は薄灰色の眼魂をブレスにセットする。

 

《Yes Sir‼》

 

そして、上部のボタンを押して眼魂を起動させる。

 

《テンガン‼サンゾウ‼メガウルオウド‼》《サイユウ・ロード‼》

 

現れたのは左肩にブタ、右肩にサル、背中にカッパのオブジェが付いたどこか僧侶を彷彿とさせる白と金のパーカーだった。

 

みくるはそれを羽織ると、すぐさま必殺技を発動させた。

 

《ダイテンガン‼サンゾウ‼オメガウルオウド‼》

 

すると、オブジェから赤、黄、緑の光と共に大人サイズのサルとブタとカッパが出てきた。

 

「行って。」『ウキッ‼』『ブヒッ‼』『キュッ‼』

 

みくるが指示すると3体は眼魔の群れに突っ込み、戦い始めた。

 

私、カッパの鳴き声初めて聞いたわ。

 

みくるも背中に付いていたリングを操作しながら、眼魔達を殴り飛ばしている。

 

私も近くの眼魔を殴ろうとしたら、その前に何かが当たって倒された。

 

「え?何が起きたの?」

 

攻撃が来たと思う方を向くと、片膝立ちでライフルを構えている玲奈ちゃんが見えた。

 

へぇ……思ってたより度胸はあるのね。

 

その後の彼女の狙撃は的確に眼魔の眉間を撃ち抜き、1発で倒していた。しかも弾丸は視認することが出来ない特殊な物みたい。

 

私も負けじと眼魔を殴り、数を減らす作業に入った。

 

 

 

 

 

 

アリアside

 

目の前に群がっている大量の眼魔に向かって私達はゴーカイガンを放ち、倒していたのだが……

 

「僕に銃は合わないみたいだ。」

 

「俺もだ。」

 

「私は両方です…」

 

「ボクは剣の方がダメですので…」

 

皆さん普段使うことのない武器に戸惑っているみたいです。

 

「でしたら、皆さんで武器を交換したらどうでしょう?」

 

「「「「それだぁ‼」」」」

 

「小猫ちゃん‼僕に剣を‼」

 

「わかりました……そうだ‼祐斗先輩‼銃を私に。」

 

「そっちのピンク‼銃を受けとれ‼」

 

「はい‼代わりに剣をどうぞ‼」

 

それぞれで武器交換をした皆さんは軽く調子をみた後、木場さんが高速で眼魔の群れに突撃した。

 

「うん、やっぱりこれが馴染む……ね‼」

 

そのまま、二刀流で撹乱を行いつつ敵を斬り倒していた。

 

「では、乱れ撃ちます‼」

 

エルナさんは、両手の銃を乱射して眼魔を倒していった。

 

「銃の扱いなら、クリスさんと未来さんの次に上手いんです‼」

 

数回に一回は外しているみたいですけど、命中率は高い方ですね。

 

「いきます…。」

 

塔城さんは銃を前後逆で逆手に持って敵陣に突っ込むと、近くの1体を銃身で殴り飛ばした。

 

まるでトンファーみたいです。

 

「お?こんな仕掛けもあんのか?」

 

匙さんは剣を調べて、何かを見つけたみたいです。

 

「これなら俺向きだ。オラァッ‼」

 

そして、眼魔に向けて剣を投げた。当たったソレは引っ張られるように匙さんの手に戻っていく。

 

「このワイヤー良いな‼俺の神器と同じ感覚で操れる‼」

 

今度は両手の剣を投げ、ワイヤーを操りながら敵を切り裂いていった。

 

顔に似合わず器用なんですね……

 

「今、誰かにバカにされた気がする…」

 

匙さんの呟きを聞き流して、私はゴーカイガンを撃ちながら敵陣に入り近くの敵を右手の剣で切り捨て、距離のある相手には銃で攻撃していく。

 

「一気に数を減らします‼皆さん‼バックルの上のボタンを押してください‼」

 

私の声に皆さんがボタンを押すと、新たなレンジャーキーが出てきた。

 

「もう一度変身するって事なのかな?」

 

「たぶんそうだろ?なら、やっか‼」

 

皆さんが準備できたら、先程と同じ様にケータイに鍵を差して回す。

 

「「「「「ゴーカイチェンジ‼」」」」」

 

『『『『『ゴ~レンジャー‼』』』』』

 

すると、私達は違う姿へと変わった。

 

ア「アカレンジャー‼」

 

祐「アオレンジャー。」

 

小「キレンジャー…」

 

エ「モモレンジャー‼」

 

匙「ミドレンジャー‼」

 

「「「「「5人揃ってゴレンジャー‼」」」」」

 

「ゴレンジャーハリケーン‼いきます‼」

 

私がそういうと、エルナさんの手元に1つのボールが出てきた。

 

「やり方は頭に流れてきたので……匙さんでしたっけ?パスです‼」

 

エルナさんが投げたボールを匙さんは胸で受け、それを蹴った。

 

「受けとれ‼塔城さん‼」

 

少し高めに上がったボールに塔城さんは同じ高さまで飛び上がり…

 

「祐斗先輩、お願いします。」

 

それをバレーのスパイクで木場さんへ飛ばした。

 

「任せて‼アリアちゃん、頼むね‼」

 

木場さんがそれを両手を組んで受け止め、真上に上げた。

 

「わかりました‼ゴレンジャーハリケーン‼ゴミ清掃車‼」

 

私がそれをオーバーヘッドで敵の真ん中に蹴り飛ばすと、ボールがゴミ清掃車に変わり眼魔を数十体吸い込んだ後、何処かに運ばれていった。

 

「………なんか最後が締まらねぇんだけど?」

 

「昭和の技はこんな感じですよ?」

 

「なんだよ昭和って…」

 

匙さん、そこは気にしないでください。

 

「フン‼数を少し減らした位で余裕だな?」

 

確かに私達の周りにはまだたくさんの眼魔がいた。

 

「ここからは、別れてやりましょう。あの3人組は私がやりますので。」

 

「いや、彼らは僕と小猫ちゃんの元仲間だから僕達が…」

 

「あの人達には言いたい事があるので、お願いします。」

 

「………わかった。でも、危険になったらすぐに呼んで欲しい。誰かが死にそうになるのを見るのはもう嫌だからね。」

 

「はい。」

 

「それじゃ…」

 

皆さんがそれぞれの方向に移動したのを確認した私は3人組に向き合った。

 

 

 

 

 

 

木場side

 

僕は2本の剣を振るい、眼魔を蹴散らしていたけど……

 

「もう少し、剣に特化出来ないかな……?」

 

このスーツは能力を上げてくれているが、バランス重視みたいだから、少しやりづらかった。

 

「……他の姿ならそういうのがあるかな?」

 

さっきは全員で変身したけど、個人で出来るのなら……

 

試しにバックルのボタンを押すと、赤色のレンジャーキーが出てきた。

 

「これは……鳥がモデルなんだ。」

 

とりあえず、キーモードにしてそれをケータイに差した。

 

「ゴーカイチェンジ。」

 

『ラ~イブマン‼』

 

その音声で体がキーの姿の戦士になる。

 

「レッドファルコン‼……あれ?」

 

今の言葉は言う気はなかったんだけど………

 

それが少し気になったけど、無視して手に現れた剣【ファルコンセイバー】で眼魔を切り捨て、5体程纏まっている所に剣を向け、

 

「ファルコンブレイク‼」

 

それをまとめて切り裂いた。

 

「他に剣を使える戦士がいるのかな?」

 

新しくレンジャーキーを出すと、金色の戦士が出てきたので、それをケータイに差す。

 

「いざ尋常に、ゴーカイチェンジ。」

 

『キョ~ウリュウジャー‼』

 

「雷鳴の勇者、キョウリュウゴールド…見参‼」

 

金色の翼竜の戦士になり、勝手に喋ってしまう台詞を言いつつ、剣を取り出す。

 

「あっ、これ中に何か入れられるんだ…」

 

少し探すと、電池のようなものを見つけたのでそれを1つ剣に入れた。

 

『ガブリンチョ‼』

 

そして、剣にあるレバーをいれると放電が剣を包んだ。

 

「いくよ‼秘技、雷電の舞‼」

 

その雷の剣で突っ込みながら眼魔を切り裂いていき、倒していく。

 

「次はなんだろう?」

 

この変身が少し楽しくなってきた僕は、次に出てきた顔に“火”と書かれた赤い戦士の鍵を差した。

 

「ゴーカイチェンジ。」

 

『シ~ンケンジャー‼』

 

「シンケンレッド…木場祐斗。」

 

名乗りの台詞も気にならなくなったので、持っている刀っぽいのにあるディスクを回すと、剣が炎に包まれた。

 

「火炎の舞。」

 

その剣を振るい、眼魔を切り捨てる。

 

「悪いけど、君達はここで全員成敗させてもらうよ。」

 

 

 

 

小猫side

 

銃をトンファー代わりにするのは、調さんに見せて貰った果物仮面の葡萄の人のを真似てやってみたけど…

 

「少しやりづらい…」

 

何か良いのがないか試しにバックルのボタンを押したら、青い人形が出てきたのでそれをケータイに差して回した。

 

「ゴーカイチェンジ…」

 

『ゴ~オンジャー‼』

 

「ズバリ正解…ゴーオンブルー…」

 

ライオンとバスを合わせたような姿の戦士になった私は、両腕両足にあるタイヤを回して眼魔を殴り飛ばした。

 

「次はどんな戦士かな…?」

 

出てきた赤い人形をケータイに差す。

 

「ゴーカイチェンジ…」

 

『ゲ~キレンジャー‼』

 

「体にみなぎる無限の力、アンブレイカブルボディ…ゲキレッド…」

 

何処かの拳法の構えをしつつ、前の1体に拳の連撃を叩き込み、蹴り飛ばしてから後ろの眼魔に肘打ちを当て吹き飛ばす。

 

「それじゃ、次の戦士にゴーカイチェンジ…」

 

『ガ~オレンジャー‼』

 

次のレンジャーキーを差して回すと、赤い獅子のような姿になった。

 

「灼熱の獅子、ガオレッド…」

 

手には赤い獅子の頭を模した手甲があり、それを2つに分け両手に持つ。

 

前には10体の眼魔がいて、そこに向けて両手を振り上げ…

 

「ブレイジングファイヤー…」

 

一気に袈裟懸けに振り下ろして眼魔を殴り倒した。

 

「先輩達の邪魔はさせません………牙吠…‼」

 

 

 

 

エルナside

 

「ヤアアアァァァァァァッ‼」

 

ボクは眼魔に銃を乱れ撃ちしていましたけど…

 

「指が………痛い…」

 

引き金を引きすぎて指の感覚がなくなりそうです…

 

「なにか、他の戦士になってみましょう。」

 

バックルから出てきたピンク色の人形をケータイに差して回す。

 

「ゴーカイチェンジ‼」

 

『メ~ガレンジャー‼』

 

「メガピンク‼」

 

変身を終えると手にはバラボラアンテナみたいな武器【メガキャプチャー】があったので、眼魔目掛けて放つと喰らった敵が同士討ちを始めた。

 

この武器は相手を混乱させられるみたいですね。

 

この隙に別のレンジャーキーを出してケータイに差した。

 

「ゴーカイチェンジ‼」

 

『マ~ジレンジャー‼』

 

「燃える炎のエレメント‼赤の魔法使い‼マジレッド‼」

 

短めのマントを翻しながら名乗り、モバイレーツとは違うケータイ【マージフォン】を取り出して魔法を発動する。

 

「マジ・マジカ‼レッドファイヤー‼」

 

すると、全身が炎に包まれたのでそのまま眼魔達に突っ込んでいき撃破していく。

 

「次はこの戦士です‼」

 

『デ~カレンジャー‼』

 

「1つ‼非道な悪事を憎み‼………………………………これ、5人いないとダメなやつですね。とりあえず、S・P・D‼デカレッド‼」

 

顔の横の赤色ランプを光らせながら、腰にある2つの銃を持ち、前後に合体させて1つにする。

 

「必殺‼マグナムエクスキューション‼」

 

銃から放たれたレーザーはまだ同士討ちしてた眼魔を吹き飛ばした。

 

「さあ‼ジャッジメントの時間です‼」

 

 

 

匙side

 

「だあ~ッ‼何体いやがんだよッ‼コイツらは‼」

 

さっきから倒しても倒してもキリがねぇ‼

 

「こうなりゃ、姿を変えてみっか‼」

 

そうすりゃ楽になるかもしれねぇ。

 

バックルのボタンを押すと、黄色い梟を模した人形が出てきた。

 

「あんま言いたくねぇけど、ゴーカイチェンジ‼」

 

『ジェ~ットマン‼』

 

「イエローオウル‼…………なんで名乗ってんだ、俺?」

 

とりあえず疑問は後回しにして、近づいて来ている眼魔の軍団がいたので、先頭の奴に飛び掛かり倒れてる間に両足を脇に抱え、全力で振り回して眼魔達にぶつけて吹き飛ばしていき、最後に持っている奴を投げ捨てた。

 

「んじゃ次は…………青いゴリラか。」

 

その戦士の人形をケータイに差した。

 

「ゴーカイチェンジ‼」

 

『ギ~ンガマン‼』

 

「ギンガブルー、ゲンシロウ‼…………やっぱり言っちまう…」

 

名乗りを気にしつつも1体の眼魔の頭を掴み、集団になっている場所に投げ飛ばした。

 

「今の内に、流水の鼓動‼」

 

両手を重ねて前に出し、出てきた水流と地面から出てきた水流とで眼魔達を押し流す。

 

「だいぶ減ったな……なら、今度はコレだ‼」

 

出てきたのは胸に鷲の顔が描かれた赤い戦士だった。

 

「ゴーカイチェンジ‼」

 

『ジュ~ウオウジャー‼』

 

「大空の王者、ジュウオウイーグル‼…………このセリフ、言わなきゃダメなのか?」

 

これ、いつか黒歴史になりそうだなぁ………

 

少し気落ちした気分をなんとか持ち直させて、手に持っている剣【イーグライザー】を振るうと蛇腹剣になり眼魔共を切り刻んだ。

 

「うおッ‼やっべぇ‼さっきのより使いやすいぜ‼」

 

この剣のお陰でテンションが一気にクライマックスだ‼

 

「さて、雑魚共。この俺を…なめるなよ‼」

 

 

 

 

アリアside

 

「さて、あの時はよくも土塊なんて言ってくれたわね、コスプレ娘さん?」

 

「本音を言ったまでですが?」

 

あのリアスさんはどうやら自覚がないみたいですね。

 

「まったく、私はあなたと同じ様な名前に容姿の方と会ったことがありますけど、比べるまでもないみたいです。」

 

「当たり前でしょ‼私ほど優れ「逆ですよ。何言ってるんですか?」なッ!?」

 

「その人は【貴族としての力と誇り】いわゆるノブレス・オブリージュがあります。鍛えればその分光輝く宝石の原石みたいな可能性がありました。ですが、あなたにはその可能性すら感じられません。それにあなた達は男を見る目が無さすぎです。私の兄も最低ですが、それよりダメなのを選ぶなんて…私の中学の同級生以下ですよ?」

 

元仲間の木場さんと塔城さんは苦労したんですね。

 

「さっきから黙って言わせておけば……‼」

 

「キツいお仕置きが必要みたいですわね?」

 

「覚悟しやがれ‼クソガキがぁ‼」

 

そう叫んで、鎧やら魔力を準備し始めた。でしたら私も準備しましょう。

 

バックルから赤い戦士の人形を出してケータイに差して回す。

 

「ゴーカイチェンジ‼」

 

『ニ~ンニンジャー‼』

 

「暴れて天晴‼アカニンジャー‼」

 

変身した私は手にある刀【忍者一番刀】に左下に【五】と書かれた五トン忍手裏剣を取り付けた。

 

「では、あなた達に忍の技を見せてあげましょう。」

 

五トン忍手裏剣の上の文字を【金】にして手裏剣を回す。

 

「シュリケン忍法‼金の術‼」

 

そして、刀を彼らに向ける。

 

「くッ‼………………………………………………………あれ?」

 

彼らは身構えていましたけど、何も起きませんでした。

 

「はっ‼失敗してんじゃねぇか‼何が忍法だ(カァ~ン)ハブッ!?」

 

「「ソージ((カァ~ン))ヒベッ!?」」

 

技を失敗したと思って笑おうとしていた彼らに、上から金タライが降ってきて脳天に命中した。

 

「フッフッフッ……ねぇ、どんな気持ちですか?失敗したと思って油断したら金タライなんてコントの技を喰らったのは?ねぇ、どんな気持ちですか?」

 

油断して技を喰らった彼らに更にNDKを仕掛ける。これ、決まると気持ち良いんですよね。

 

「この……‼ふざけやがって‼」

 

予想通り頭に血が昇ったみたいで、私に向かって兵藤が飛び掛かり、グレモリーと姫島が魔力を放とうしてきた。

 

「甘いです。シュリケン忍法‼木の術‼」

 

術を使うと、何処からか植物の蔦が伸びてきて彼らを縛り付けた。

 

「くそ‼はなせ‼」

 

「いいですよ?その前に、上級シュリケン忍法‼五右衛門風呂の術‼」

 

術を発動したら、彼等の足元に煮えたぎった五右衛門風呂が現れた。

 

「嘘……まさか……‼」

 

「冗談…よね?」

 

「じゃ、はなしま~す‼」

 

「「「ちょっ‼待…‼アッチィィィィィィッ‼」」」

 

蔦から解放すると五右衛門風呂に落ちて熱さにのたうち回っていた。

 

「あらあら大変……直ぐに冷やしますね?上級シュリケン忍法‼冷え冷えクーラーの術‼」

 

「「「今度は寒いィィィィィッ‼」」」

 

今の彼らは南極にいるかの様な幻覚を味わっている事でしょうね。ああ楽しい♪

 

「コイツ……‼変な技ばかり使いやがって‼」

 

「なら、真面目なのにしましょうか。ゴーカイチェンジ‼」

 

私はさっきのとは別の赤いレンジャーキーを出してケータイに差した。

 

『ハ~リケンジャー‼』

 

「風が哭き、空が怒る。空忍‼ハリケンレッド‼」

 

「いくら変わろうとも、私達が空を飛べば怖くないわ‼」

 

グレモリーがそう言うと、3人とも翼を出して空に上がった。

 

「逃がしません‼超忍法‼空駆け‼」

 

術を使いジャンプしてから空中を地面のように走り、グレモリーに接近する。

 

「そんなッ!?空を走るなんて!?」

 

「疾風流剣術‼疾風斬‼」

 

その勢いのまま、グレモリー達の翼を切りつけて飛べなくなったのか、地面に落ちていった。

 

「次‼超忍法‼幻変化‼」

 

空中にいる間に別の忍術を使い、自分の姿を戦闘機にして爆撃した。

 

「「「アアアアアァァァァァァァァッ‼」」」

 

それを喰らったのを確認してから、変化を解いて着地した。

 

「まだだ‼僕にはそれほどダメージはないぞ‼」

 

兵藤を見ると、鎧に汚れはあるが確かにダメージは無さそうだった。

 

「でしたら、この術はどうでしょう?」

 

私が構えると目の前に障子が現れ、影の世界に入り込む。

 

「な、なに!?これは!?」

 

「いったい何なんだよ‼」

 

「何が起きてますの!?」

 

「超忍法・影の舞。」

 

その影の中で私は動き回り、グレモリー達を斬りまくった。

 

「「「グアッ‼」」」

 

障子が開くと、服がボロボロになったグレモリー、姫島と鎧に大量の傷がついた兵藤がいた。

 

「これで決めます。疾風流剣術・一刀両断‼」

 

「チィッ‼」

 

兵藤の鎧を壊すため振るった刀は、ギリギリで後ろに少し下がられたので、鎧に深い傷をつけるだけに終わってしまった。

 

「この僕の鎧に……よくも傷を‼」

 

「渋とくて運が良いですね?なら、この戦士はどうですか?ゴーカイチェンジ‼」

 

『カ~クレンジャー‼』

 

「ニンジャレッド、アリア‼」

 

変身が終わった私は素早く両手で印を結ぶ。

 

「オン・サル・ニン……火炎つむじの術‼」

 

すると、私の前に炎の竜巻が現れ、彼らを襲う。

 

「「「グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼」」」

 

この隙にもう1つ術を準備する。

 

「ハアッ‼‼この程度で倒れるとでも…………んなッ!?」

 

炎を払いのけた兵藤が私を見て驚いていた。何故なら……

 

「「「「何を驚いているんですか?」」」」

 

今、私は“4人”に増えているのだから。

 

「「「「隠流、分け身の術。」」」」

 

「分身の術か‼」

 

「どれが本物なの!?」

 

「あらあら、なら簡単ですわ。」

 

そう言うと、姫島が両手に魔力を集め雷に変換した。

 

「まとめて吹き飛ばしてしまえばいいんです。」

 

そして、それを分け身に同時に放った。

 

「「「「キャアアアアアアアッ‼」」」」

 

私達はそれを喰らってしまい、“4人とも”煙と共に消えてしまった。

 

「ッ!?全部分身!?」

 

「なら、本体は何処「隠流・満月切り‼」アアアアッ‼」

 

「朱乃さん!?」

 

3人が混乱している間に“空”にいた私は落下しながら姫島を背中から切りつけた。

 

「いつの間に!?」

 

「あなた達が炎の中にいた時ですよ。」

 

「こんのオオオオオォォォォォォッ‼」

 

頭にきた兵藤が魔力弾を撃ってきたが……

 

「カクレマル忍び返し‼」

 

それをカクレマルで跳ね返して、グレモリーに命中させた。

 

「キャアアアアアアアッ‼」

 

「部長ッ!?」

 

「そろそろフィニッシュです。」

 

私はもう一振りの剣【雷鳴剣ヒカリマル】を出し、カクレマルの柄と合体させ雷を纏わせる。

 

「隠流・雷鳴斬‼」

 

「ウワアアアアァァァァァッ‼」

 

その二振りで兵藤を切り裂くと爆発を起こした。

 

「早く龍見さんの所へ「隙ありだぁ‼」へ!?キャアッ‼」

 

後ろからの声に振り返ろうとしたら、魔力弾が飛んできて私に直撃した。

 

「な…なんで生きて…?」

 

「近くにいた眼魔を盾にしたのさ‼さっきまでよくもやってくれたな‼」

 

彼の隣にグレモリーと姫島も立ち、私に魔力弾や雷を大量に放ってきた。

 

くッ‼この状況では忍術を発動する余裕も……‼

 

その時、私の前に一振りの剣が突き刺さり刀身から出る炎で攻撃を焼き払った。

 

その剣に私は驚いた。何故ならそれは……。

 

「火炎将軍剣!?」

 

無敵将軍の剣が何故ここに…もしかして、私に貸してくれるのですか?

 

頭の中に無敵将軍の姿が浮かぶと頷いてくれた。

 

ありがとうございます‼

 

火炎将軍剣を手に持つと、刀身が炎に包まれた。

 

「そんなシャチホコ剣で僕達に勝とうだなんて、馬鹿にしてるのかい?」

 

「何を使おうと私達と眼魔達に勝てるわけないわ‼」

 

「直ぐに倒してた~っぷりお仕置きして差し上げますわ。」

 

「この剣を見た目で判断すると、危ないですよ?何しろこれは、貴方達みたいな『闇の住人』を倒す為に存在する一種の聖剣。しかも、人々を救う為に賢人の魂が神格を持って生まれた存在から託されたこの剣。貴方達のその下らない幻想を、託された思いの力で断ち切らしてもらいます。」

 

「殺れるもんなら殺ってみろ‼」

 

「参ります‼火炎将軍波‼」

 

私が剣を振るうと炎の波動が放たれ、眼魔達を焼き払い兵藤達に大きなダメージを与えた。

 

「ガフッ!?な…………なんで僕の鎧が……‼」

 

「そんな半端な贋作で満足して、ろくに自分を磨かなかったからですよ。それで自分が最強だなんて片腹痛いにも程があります。」

 

「ふざけんな……‼僕は……最強のオリ主だ……‼」

 

「言いたいことはそれだけですか。」

 

私は兵藤に剣を振り上げ、切り飛ばした。

 

「あなたが最強なら、龍見さんとタケルさんは究極すら越えてますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

俺とイッセーで正面から剣を振り下ろすが、腕で受け止められ俺は脇腹に蹴りを喰らって離され、イッセーは蹴りを腕で止めるがその間に剣を弾かれ顔を殴られ、腹に蹴りを叩き込まれた。

 

「どうした?病み上がりだから力が出ないか?」

 

「まだまだ‼」

 

イッセーが剣を振るい慶吾が拳で対抗している間に俺は紫色の眼魂を取り出してベルトに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

出てきたのは金のラインが入った紫の陣羽織でそれを羽織る。

 

《カイガン‼ノブナガ‼我の生き様‼桶狭間‼》

 

テレビであったかは知らねぇが、たぶん初公開‼仮面ライダーゴースト・ノブナガ魂‼

 

ベルトに手を翳すと、本来の色のガンガンハンドが出てきた。

 

それをガンモードにして、慶吾を攻撃する。

 

「チィッ!?」

 

奴はそれを左手で払い除けるが、その隙にイッセーの蹴りが腹に当たり、体勢が崩れたところを撃ち抜いた。

 

「タケルが遠距離射撃なら、俺は近距離射撃といくか‼」

 

そう言ってベルトからカードを出し、バイザーに装填した

 

《SHOOT VENT》

 

すると、イッセーの左手には銀色の銃が握られた。というかその銃って!?

 

「ボルティックシューター!?なんでお前がそれを……‼」

 

「俺がライダーになる時、RXとブラックとウルトラマンゼロから力を貰ったんだ。」

 

なにそれ!?羨ましいんだけど!?

 

「ハアッ‼」

 

「グッ……ウアッ!?」

 

銃から撃たれた光弾を慶吾は防ごうとしたが、その威力に多少のダメージが通った。

 

「クソッ‼武器があれば勝てると思うな‼」

 

イッセーが光弾を連射するが慶吾は光弾を紙一重でかわしながら接近していき、射程に入られたのかイッセーは剣を振ろうとしたがその前に奴のアッパーが決まり仰け反ったところに膝蹴りが入り、倒れてきたイッセーの背中に肘打ちを喰らわせて地面に叩きつけた。

 

「ガハッ!?」

 

「イッセー‼こんにゃろう‼」

 

これ以上の追撃を止める為に銃を撃つと、奴が飛び退いたのでその瞬間、武器をベルトにアイコンタクトさせる。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミロー‼ガンガンミロー‼》

 

そうすると、俺の左右に大量のガンガンハンドが現れた。

 

「持ってけッ‼」

 

《オメガスパーク‼》

 

引き金を引くと、大量の銃弾が慶吾目掛けて発射された。

 

「甘いんだよ‼」

 

しかし、慶吾は正面に眼魔を呼び出すとそいつを足場に高く飛び上がり銃弾を回避した。

 

「んなッ!?」

 

そんなのありかよ‼

 

「ボサッとしてんじゃねぇぞ‼」

 

「しまッ!?グハァッ‼」

 

奴の行動に驚いていた隙に落下の勢いを乗せたパンチを貰い、イッセーの所まで吹き飛ばされた。

 

「タケル‼」

 

「大丈夫だ………あんにゃろ、やっぱ強え。」

 

「だからといって負ける気はないだろ?」

 

「へッ‼たりめぇだ‼」

 

そう言いながら俺達は立ち上がり、慶吾向かって構えた。

 

「いつまで無駄な事やんだよ、お前らは?いいから諦めてライダー眼魂置いて帰れ。」

 

「残念だが、諦めは悪い方なんだよ‼」

 

「テメェを倒すまで、何度でも立ち上がってやる‼」

 

「あ~~~~~ッ‼‼‼‼‼いい加減ウゼェんだよ‼‼‼人のやる事なす事に邪魔してんじゃねぇぞ‼‼」

 

そう叫びながら慶吾は右手を上に上げた。

 

「そんなに死に急いでんなら、“コイツ”でとっとと逝かせてやるよ‼‼‼‼」

 

すると、上からエンジン音が聞こえてきたので空を見ると1台の飛行機が迫ってきていた。

 

「やれ‼‼スカイサイクロン‼‼」

 

その言葉が合図になったのか、スカイサイクロンからミサイルとマシンガンが俺達に降り注いだ。

 

「「ウワアアアアァァァァァッ‼」」

 

まるで豪雨のように降ってくる弾丸とミサイルに俺達は大ダメージを受け、崩れ落ちた。

 

「う………ぐ…‼」

 

「く…そ…‼」

 

「アッハハハハハハハハハハ‼さっさと眼魂を渡さないからそうなんだよ‼‼」

 

そういやあんなのがあったのを忘れてぜ……‼

 

「タケル……あの飛行機は任せろ…‼」

 

イッセーがそう言うと、バックルからカードを引き抜き、バイザーに入れた。

 

《ADVENT》

 

「頼むぜ、メイル…‼」

 

そして、イッセーの体から大きな光の球が出てきてそれが弾けるとそこには2対4枚の光翼に額に剣に見える角、頭と足と体に水色の宝玉がついた金の鎧を着た1匹のドラゴンがいた。

 

『お任せください‼』

 

メイルさんが翼を広げると、戦闘機すら追い越せる様な速度でスカイサイクロンに向かっていき、翼から光弾を大量に飛ばし、口からは火球を飛ばして攻撃を開始した。

 

「馬鹿なッ!?あれはテメェの神器に封印されてる存在のはず‼それが何故解放されている!?」

 

「へッ‼教えるわけねぇだろ、ヴァ~カ‼」

 

「一生悩んでろってんだ‼」

 

実は俺も知らないけど………たぶん契約モンスターになったからなんだろうな。

 

「だったらテメェらをブッ殺せば問題ねぇ‼」

 

「殺されねぇよ‼」

 

俺は白い眼魂を取り出してベルトに入れると、首に数珠をかけた白い僧兵みたいなパーカーが出てきたのでレバーを引いて押し込み、それを羽織る。

 

《カイガン‼ベンケイ‼兄貴‼ムキムキ‼仁王立ち‼》

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ‼」

 

薙刀モードのガンガンセイバーにクモランタンを付けてハンマーモードにし、慶吾へと突撃する。

 

「ハッ‼血迷ったか‼そんな特攻………グアッ‼」

 

ガンガンセイバーを振り上げる俺に、殴り掛かろうと慶吾が構えた時、後ろから撃たれた光弾が慶吾に直撃した。

 

「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ‼」

 

イッセーが作った隙にセイバーを突き出し、慶吾を吹き飛ばしてからベルトにセイバーをアイコンタクトさせる。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

「今度こそ、喰らえやッ‼」

 

《オメガボンバー‼》

 

頭上で少し回した後、セイバーを地面に叩きつけると、エネルギー体で出来た弁慶の七つ道具が現れ慶吾へと飛んでいき、直撃する。

 

「ガアアアアアァァァァァッ!?」

 

ダメージを受けて弱っている間に俺は奴の後ろにまわって羽交い締めにする。

 

「テメッ‼離せ‼クソが‼」

 

「イッセー‼‼決めろぉッ‼‼」

 

 

 

一誠side

 

タケルの声が聞こえた俺は、デッキからカードを1枚引いた。そこには、ベルトと同じ龍のマークが描かれていて、それをバイザーに装填する。

 

《FINAL VENT》

 

「来い‼‼メイル‼‼」

 

俺の声が聞こえたのかメイルが俺へと向かってくる。

 

「これで決める‼‼」

 

飛び上がった俺はメイルに向けて右足を伸ばすと、翼の光弾が発射され右足へと飛んでくるがダメージはなくそのまま集束されていく。

 

それが終わると俺は向きを変えて慶吾へと飛び蹴りの体勢になる。そして後ろからメイルの火球を受けて爆発的な加速で慶吾に突き進んで行く。

 

「終わりだああアァァァァァァッ‼」

 

「くそがアアアアァァァァァァァァッ‼」

 

これは決まった‼‼と思った時、最悪な事が起きた。

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「「「へ?」」」

 

何処からか宗二が此方に向かって飛んできたのだ。しかもタイミングも最悪だった。

 

「おい!?このバカ‼どけどけどけ‼‼」

 

「ああああああああ‼………………へ?ガボラアアアアァァァァァァァァッ‼」

 

そのまま必殺のライダーキックは慶吾ではなく宗二に命中してしまい、不発に終わってしまった。

 

「「あのバカヤロオオオオオオオオオオッ‼‼‼」」

 

全力で叫んだ俺とタケルは絶対に悪くない。

 

「アハハハハハハハッ‼‼どうやら運は俺に味方したみたいだ………なッ‼‼‼」

 

「ブッ!?」

 

慶吾はタケルに頭突きをし、力が緩んだ隙に脱出されてしまった。

 

「残念だったな?俺を倒せるチャンスだったのに。」

 

「そうか?だったらもう一度作ればいいだけさ。」

 

「なら、作ってみろよ?」

 

「言ったな?だったら出し惜しみはナシだ。後で吠え面かくんじゃねぇぞ‼」

 

俺はデッキから白い槍が描かれたカードを引き抜きバイザーに装填し、タケルは黒と赤の炎のパーツが付いた眼魂を取り出してボタンを押すと身体中が炎に包まれながらバックルに入れた。

 

《GANGNIR》

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

メイルバイザーがカードの力で一振りの槍に変形し、タケルのバックルからは炎を思わせるパーツの付いた黒と赤のパーカーが出てきた。

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

《闘魂‼‼カイガン‼‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

聖詠を唱えた俺は金色の光に包まれ、それが弾けると肩に六角形の宝玉が付いた金の盾に、腕は金色に水色の宝玉をはめた赤龍帝の籠手みたくなり、足もそれと似た脚甲が装着され、背中には外が白で内が赤のマントを羽織った姿になり、タケルは全体が赤くなり腕や足には炎の模様が入り、胸の眼の紋章は銀色で少し浮き上がった姿に変わり、パーカーを羽織ると顔にはオレ魂の顔に炎が加わった様な燃えるものになり、角の色もオレンジになった。

 

最後に俺は槍を肩に乗せ、タケルはフードを脱いだ。

 

「へぇ~~、それがお前達の本気か?」

 

「そうだ‼心の炎をこの身に込めて‼‼」

 

「魂の叫びに乗せて熱唱してやる‼‼」

 

 

ー推奨BGM《友を信じ、想い燃やして(作者オリジナル)》ー

 

 




いかがでしたか?

メイルの姿はシャイニングレゾナンスの煌竜イルバーン完全状態で翼が【白龍皇の光翼】の白が金に、光の翼部分が水色になっていて額の剣は【解放龍の剣】になっている姿を想像してください。

次回《炎の想い》

「俺に力を貸せ‼」

では、また次回で


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炎の想い

またもや遅れてしまいました。

中々思うように書けなかったので、気分転換に新作を書いたりなどしていました。

そして、ようやく出来ましたので投稿します。

では、どうぞ。


タケルside

 

闘魂ブースト魂とガングニールフォームになった俺とイッセーは慶吾へと駆け出し、慶吾も俺達へと駆け出してきた。

 

そして、イッセーが自分の間合いに入ると槍を全力で突き出した。

 

「オラァッ‼」

 

「クッ!?………何ッ!?」

 

「セラァッ‼」

 

慶吾はそれをジャンプしてかわしたが、それよりも一歩早くイッセーの後ろでジャンプしていた俺の回し蹴りを喰らい、吹っ飛んだ。

 

「チィッ‼さっきよりもパワーアップしてるのか!?」

 

「先輩ライダー達の思いが集まったこの眼魂の力と…」

 

「仲間と同じ力を纏ったこの姿で…」

 

「「負けられねぇんだよォォォォッ‼‼」」

 

イッセーが槍を慶吾へと投げつけ、俺は再び接近するために走る。

 

「うっとおしいわッ‼‼」

 

槍を左手で簡単に弾き、俺に右ストレートを突き出してくるけど………………今度は見える‼‼

 

その拳を左手で受け止め、逆に此方に引っ張り顔面を殴った。

 

「グアッ!?」

 

続けざまに膝蹴りを腹に入れ、手を離して前のめりになった所で背中に踵落としをする。

 

「ガハッ!?」

 

追撃で踏みつけようとしたが、それは転がって避けられてしまった。

 

「この……‼‼ふざけや《SWORD VENT》何ッ!?ギャアッ!?」

 

慶吾が立ち上がろうとしたが、そこに先回りしていたイッセーが解放龍の剣とこれまたBLACK RXが使うバイオブレードの二刀流で奴の背中をバツ字に切り裂いた……って‼‼

 

「それも使えるのかよッ‼‼」

 

「後、リボルケインとバイタルチャージのカードもあるぞ。」

 

お前……………もう魔力なくても良くね?

 

「確かにこのライダーの力なら、一刀修羅を使うことも減ってくるだろうな。」

 

「何シレッと心読んでんだよ。」

 

「俺を無視してんじゃねぇぞ‼‼」

 

「おっと。」

 

起き上がり様にイッセーに足払いをかけようとしたが、軽くジャンプすることで避けた。

 

「ハッ‼」

 

「クッ!?デヤァッ‼」

 

「セイッ‼」

 

イッセーがバイオブレードを振り下ろすが、それを慶吾は右腕で受け止めて、左の拳を突き出してくるが解放龍の剣で受け止める。

 

「急に余裕ぶりやがって……‼‼気に食わねぇんだよ‼‼」

 

「うおッ!?」

 

そう叫びながら、慶吾がイッセーの剣を無理矢理弾き飛ばし、そのまま体当たりして脱出した。

 

「イッセー、大丈夫か?」

 

「ああ、でもワリィ……抑えてられなかった。」

 

「奴も必死って事か…」

 

なら、ほんのちょっとの油断で死んじまうな……

 

「何なんだよ……そんな簡単に強くなりやがって……あれか?自分は主人公だって思ってんじゃねぇだろうな?」

 

「そんな事思うのは宗二だけで充分だよ…」

 

「アイツと同類に思われるのは心外だ。」

 

ホント、倒されても迷惑な疑惑を残すなんて……アイツの前世の前世ってアポロガ○ストじゃ…………いや、これはアポロ○イストに失礼だったな。とりあえず、この宇宙でもっとも迷惑な奴だ………

 

「たくッ‼ホンットムカつくぜ‼彼処にいた奴らの方がもっと面倒だったけどな‼」

 

「彼処?」

 

もしかして、慶吾が所属していた所の事か?

 

「ああ?知りたきゃ吐かせてみろよ?」

 

「なら、強引に聞き出す‼」

 

イッセーが2刀を構え突撃すると、慶吾は跳び上がり、近くまで来ていたスカイサイクロンに飛び乗った。

 

「「なッ!?」」

 

「ここまで来れるかな?」

 

「逃がすか‼来い‼メイル‼‼」

 

『ハイ‼主‼』

 

「力を貸してくれ‼‼フーディーニ‼‼」

 

イッセーがメイルさんの背に乗って飛んでいき、俺はフーディーニ眼魂を取り出した。

 

何故だか分からないけど、今なら使えそうな気がする……

 

横のボタンを押すと、反発される事なくナンバリング状態になった。

 

俺はその眼魂をバックルに入れ、レバーを引いて押し込んだ。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼フーディーニ‼マジいいじゃん‼スゲェマジシャン‼》

 

現れたマシンフーディーが開き、その中にいたパーカーゴーストを羽織り闘魂フーディーニ魂になった俺はイッセー達を追って空へ飛び上がった。

 

その空では、スカイサイクロンのマシンガンとミサイル、メイルさんの光弾と火球が飛び交っていた。

 

「待たせたな‼」

 

「来たか……それって前にアリアが使っていたやつだよな?」

 

「ああ、今まで使えなかったんだけどな……たぶんこの闘魂ブースト眼魂を手に入れたからだと思う。」

 

「なるほど………なら、小回りはそっちが上だな。俺達が道を開けるからお前はアイツを引きずり下ろせ‼」

 

「了解‼」

 

背に乗っていたイッセーがメイルさんの頭に移動すると、ボルティックシューターでの攻撃を追加した事でイッセー達が押し始めた。そして、スカイサイクロンの攻撃が一瞬止んだ瞬間に奴目掛けて飛び込んだ。

 

「ウオオオオオォォォォォォッ‼‼」

 

「クソッ‼ちょこざいな‼‼」

 

だけど、すぐに気付かれてミサイルとマシンガンが襲ってきた。

 

「『やらせない(ません)‼‼』」

 

それをイッセーとメイルさんが迎撃してくれて、何とか近づけた俺はレバーを操作して必殺技を発動させた。

 

《ダイカイガン‼フーディーニ‼オメガドライブ‼》

 

4つのタイヤから鎖を伸ばし慶吾をグルグル巻きにし、背中のバイクを切り離してドリルキックを決める。

 

「ガアッ‼」

 

そのまま慶吾と一緒に地上へと落ちていき、地面にぶつかる前に俺はフライトユニットになったバイクに飛び乗り、慶吾は轟音と共に地面に激突した。

 

「やったか?」

 

「フラグ立てんな‼‼まあ、大ダメージは免れないだろうけどな。」

 

舞い上がっていた土煙が晴れると、大きなクレーターの中央に大の字に倒れている慶吾がいた。

 

「ア………ガハッ‼………ク………ソが……‼」

 

「渋といな……でも、もう限界だろう?」

 

「まだ………………終わっ……て………ねぇ……ぞ‼」

 

「強がりはそこまでにしとけ。」

 

「強がりか………どうか………………よく…見とけッ‼‼」

 

そう叫ぶと、慶吾の体が炎に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慶吾side

 

こんな所で負けるのか………俺は………ふざけんなよ?

 

「まだ………………終わっ……て………ねぇ……ぞ‼‼」

 

そうだ、終わりなんかじゃねぇ‼‼俺はまだ死んじゃいねぇ‼‼

 

『ナラ、チカラヲモトメルノカ?』

 

当たり前だ‼‼おい‼‼眼魔の王‼‼俺に力を貸せ‼‼お前の力を‼‼

 

『ヨカロウ……タダシ、タイカハモラウゾ?』

 

対価だと……?それは何だ!?

 

『キサマノカラダヲ、モラウ。』

 

身体か………残念だが少し高ぇから、割り引きさせてもらうぜ?

 

『ワリビキダト?ソンナコトハシナイ。』

 

テメェの意思は関係ねぇ、それが俺の能力だからな。

 

『ナニ?』

 

自分の腕に銀色のブレスレットが現れ、それを見た眼魔の王がたぶん、驚愕しているだろう。

 

『《チョウリキノウデワ》ダト!?マサカキサマ‼‼』

 

そうだ‼コイツは自身にかかるコストを減らしてくれるモノさ‼

 

『ニンゲンフゼイガアアアァァァァァァッ‼‼』

 

うるせぇ‼‼その力、貰っていくぞ‼‼

 

奴が炎に変わり、俺を包むと身体中から力が沸き上がってきた。

 

ハハハハハハハハッ‼‼そうだ‼‼俺が求めていたのはこれだ‼‼この力だッ‼‼後は目の前のゴミを掃除したら奴らの番だ‼‼

 

高揚していく気持ちのまま、俺は意識を現実に戻した。

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

何だッ!?奴に何が起きてるんだ!?

 

「嫌な予感しかしねぇ……タケル‼今のうちに倒すぞ‼このままだとヤバい‼‼」

 

「お、おう‼」

 

俺は解放龍の剣を、タケルはベルトから出したガンガンセイバーを構え炎を切り裂こうと振り下ろし……

 

「ハァッ‼」

 

「うあッ!?」

 

「グゥッ!?」

 

その前に炎が俺達に襲い掛かってきた。

 

「そうだ………これが俺だ…‼本当の俺の力だッ‼‼」

 

そして、炎の中から身体の至る所に炎の模様が入った仮面ライダー4号……京極慶吾が出てきた。

 

「クソッ‼遅かったか…‼」

 

「ここにきて、俺達と同じくパワーアップってか?」

 

「さあ来いよ‼新しい力を見せてやる‼‼」

 

「上等だ‼‼」

 

奴の言葉に乗り、タケルが慶吾に向かって駆け出して、拳を突き出した。

 

「オラァッ‼」

 

「フン…」

 

だが、先ほどと違いそれは奴の右手に軽々と受け止められた。

 

「なッ!?」

 

「なんだぁ、このヘナチョコパンチは?いいか、パンチってのはこうやんだよッ‼」

 

「グハァッ!?」

 

そして、左手に炎を纏わせてタケルを殴り飛ばした。

 

「タケルッ!?チィッ‼」

 

俺も剣を構えて走り出し、解放龍の剣を振るう。

 

「ハァッ‼」

 

「シッ‼」

 

それは炎の拳で受け止められたが……

 

《Remote‼》

 

剣の能力で炎を解除する。つか、なんて熱さだ‼変身していても身を焼き尽くされそうな程の熱量を感じるなんて!?

 

「やっぱ厄介だな、その剣は………この炎でドロッドロに融かしてやるぜ‼」

 

「んなこと、させッかよ‼」

 

バイオブレードを振るい、奴の腕を弾くが右足の蹴りが迫ってきたので、同じ右足で打ち合うが予想以上の力で押し切られそうになったので、弾かれながらもその勢いを利用するようにして回転しながら2刀を振るうが……

 

「おっせぇんだよッ‼‼」

 

それは右腕で簡単に止められ、腹に炎の蹴りを打ち込まれた。

 

「グフゥッ!?」

 

「イッセー‼」

 

殴り飛ばされたタケルがいつの間にか慶吾の背後にいて、剣を振り下ろしていた。

 

それは攻撃の直後に行われた完璧なタイミングだったのだが……

 

ガシッ‼

 

「んなッ!?」

 

慶吾はそれを見る事なく、左手で剣を掴んだ。

 

バカな‼‼あの一撃を見ずに受け止めるなんて!?

 

「あ?なんで左手が勝手に動いてんだ?」

 

『ワタシガウゴカシタノサ。』

 

慶吾自身がその動きに驚いていたら、新たな声が慶吾の中?から聞こえた。

 

「何でテメェが俺の身体を!?」

 

『チカラノタイカダ。セイクリッド・ギアデヘラシタケッカ、キサマトノ“カラダノキョウユウ”ニナッタヨウダ。』

 

「だからって、勝手に動かしてんじゃねぇ‼‼」

 

『キサマノサシズナドシラン。ワタシハカッテニサセテモラウ。』

 

「チッ‼面倒くせぇなッ‼」

 

「うあッ!?」

 

剣を離し、タケルがバランスを崩した瞬間に蹴り飛ばす。

 

なんだ?誰と話してるんだ?

 

「まあいい、これくらいなら妥協点だ。」

 

面倒そうに言いながら、俺に蹴りを繰り出してきたので、それを転がりながら回避して立ち上がる。

 

「ハッ‼‼まだ立てんのか……いい加減くたばれよ‼‼」

 

「断る‼‼」

 

慶吾が一気に接近してきて殴り掛かってくる。

 

受け止めるのが無理なら、受け流すまで‼

 

解放龍の剣を奴の腕の内側に当ててそこを滑らせていき、バイオブレードで腹を切ろうとしたが……

 

『フン。』

 

それは、普通ではあり得ない速度で動いた左腕に防がれてしまった。

 

「クッ‼」

 

「おい‼だから勝手に動かすな‼‼」

 

『キケンカラマモッテヤッタノダ、ムシロカンシャシテホシイクライダ。』

 

「けッ‼そうか………よッ‼」

 

「ガハァッ!?」

 

誰かと会話しながらの慶吾に剣を両方とも弾かれ、顔に右ストレートを貰い、俺は後ろに吹き飛んだ。

 

「だが、この力には感謝してるぜ?お陰でアイツらをボコれるんだからな。」

 

倒れている俺に攻撃することもなく、誰かと会話している間に俺も立ち上がりタケルと合流する。

 

「イッセー、同時に二刀流で行こう。」

 

「だな。」

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼ムサシ‼決闘‼ズバッと‼超剣豪‼》

 

闘魂ムサシ魂になったタケルはガンガンセイバーともう一振りの剣を出した。

 

「なんだ?その剣?」

 

「いや、俺も知らない……何でサングラス?」

 

赤い刀身にサングラスのオブジェクトが付いた剣を見て不思議に思い、サングラス部分を動かすと中に2つの窪みがあった。

 

「何だコレ?」

 

「何か眼魂が入りそうだな。」

 

「いつまで、ボーッとしてるんだ?」

 

慶吾の声で剣の詮索を止め、向こうを見るとライダーキックを始める体勢になっていた。

 

「マズイッ!?」

 

「どうする!?」

 

今の俺達が奴に強力な技を当てられるとしたら……

 

「よし、タケル……攻撃は俺が受け止めるからお前は必殺技を最大威力で奴に決めろ。」

 

「ちょッ‼受け止めるったってどうやんだよ!?あの威力は並大抵の防御なんて簡単に突き破ってくるぞ‼」

 

「考えならある。」

 

俺が右手を前に出すと、先ほど投げたガングニールが飛んできて、それを掴み取る。

 

そして、デッキからカードを2枚引き抜く。

 

「ファイナルベントは使っちまったから、これが今の俺の最大威力だ‼」

 

《CHARGE VENT》《CHARGE VENT》

 

その2枚をガングニールのバイザー部分に入れ、2刀にエネルギーをチャージしていく。

 

「更に、一刀修羅ァッ‼‼」

 

そこに魔力を完全解放して全身を瞬間的に強化する。

 

「止められるもんなら、やってみろよ‼‼」

 

慶吾が跳び上がり、ライダーキックを俺へと放つ。

 

「ここからは、俺のライブだァッ‼‼」

 

そのキックを2刀を振るい、受け止める。

 

「「うおおおおおおオオォォォォォッ‼‼」」

 

両腕にもの凄い衝撃が襲い、徐々に後ろに下げられていくが体勢を崩さずに耐える。

 

「中々やるじゃねぇか‼‼このまま根比べといこうやぁッ‼‼」

 

「悪いけど、1分しか持たねぇから断らせてもら……グアアァァァァッ‼‼」

 

全力で耐えていたが向こうの力に押し負けて、ある程度減衰させたがそれでも強力なライダーキックを喰らってしまった。

 

「へへッ‼次で終わり「ハアアァァァッ‼」何だとッ!?」

 

地面を転がりながら俺が見たのは、2つの剣に圧倒的なオーラを宿した剣を振るうタケルが俺を飛び越えるところだった。

 

「決めろ、タケルぅッ‼‼」

 

 

 

 

 

タケルside

 

イッセーが攻撃を受け止めている間に、俺は新たな剣の窪みにオレ眼魂と闘魂ブースト眼魂を試しに入れた。

 

《メガマブシー‼メガマブシー‼メガマブシー‼》

 

「うるさッ‼‼」

 

なんだこの音声!?眼とサングラスだからか!?

 

音を止める為にサングラスを下ろす。

 

《闘魂‼‼ダイカイガン‼》

 

そうすると、今度は軽快な感じのメロディーが流れ始めた。

 

続けて、ガンガンセイバーをベルトにアイコンタクトさせる。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

そしてだめ押しとばかりにベルトのレバーを引いて押し込む。

 

《ダイカイガン‼ムサシ‼オメガドライブ‼》

 

背後に出てきた目の紋章から、エネルギーが2刀に流れていく。

 

そこで、イッセーがライダーキックを喰らうのを見て、一気に駆け出し転がっていくイッセーを飛び越えて剣を攻撃後の慶吾に振るう。

 

「決めろ、タケルぅッ‼‼」

 

左手のガンガンセイバーを全力で振り下ろすが、それは右腕で止められる……

 

「なめんなぁ‼‼」

 

《オメガブレイク‼》

 

が、それすら押しきり袈裟斬りに切り裂く。

 

「ウゴォッ‼」

 

「まだまだッ‼‼」

 

続けて右手の剣で切り裂こうとしたが、左手でそれも止められる………

 

「邪魔だぁッ‼‼」

 

《メガ‼‼オメガシャイン‼》

 

も、同じ様に力任せにぶち破って身体を切り裂いた。

 

「ガバァッ‼‼」

 

ダメージ故か、よろける慶吾の前で両手を上に上げる。

 

「止めだアアアアアアアアアアアァァァァァッ‼‼」

 

そして、一気に振り下ろして、2刀で縦に切り捨てた。

 

「ガアアアアアアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

それを喰らった慶吾はゆっくりと後ろに倒れ落ちた。

 

「ハァ………ハァ………ハァ………イッセー‼無事か!?」

 

変身を解除し呼吸を整えてから、吹き飛ばされたイッセーの所に行くと、変身が解除されていたが何とか立ち上がろうとしていた。

 

「やったな………タケル…‼」

 

「まったく、無茶してんじゃねぇよ。このバカリーダー。」

 

「うるせぇ。」

 

でも、これでようやく終わったか………

 

「やっとゆっくり出来『フハハハハハハハハハハ‼‼ヨウヤクコノトキガキタ‼‼』ッ‼‼」

 

安心したのもつかの間、気味の悪い声での高笑いが聞こえたのでそこを見ると………

 

『ヤツノイシキガキエタオカゲデ、ワタシハフタタビジユウナカラダヲテニイレタ‼‼』

 

ボロボロの状態で立っている慶吾がいた。

 

「な…何で……‼」

 

「あれだけの攻撃をもろに喰らって平然と立てるのかよ…‼」

 

『ン?キサマラカ………………カンシャスルゾ、キサマラノオカゲデ、ワタシハヨミガエルコトガデキタ‼』

 

「俺達のお陰だと…!?」

 

どういう事だ!?それに今の慶吾は様子がおかしい……

 

『イマミセテヤロウ………ワタシノスガタヲッ‼‼』

 

そう言うと再び奴の身体が炎に包まれ、それが消えるとそこには異形の鎧と融合した仮面ライダー4号がいた。

 

『コノトキバカリハヤツノセイクリッド・ギアニカンシャシヨウ、コイツヒトリデカンゼンニフッカツデキタノダカラナ‼‼』

 

「まさか……眼魔の王………………なのか?」

 

『ソウダ‼‼ワレコソガガンマノオウニシテ、コノセカイヲスベルソンザイダ‼‼』

 

マジかよ………此方はもう満身創痍だっていうのに………‼

 

『ソレデハ、フッカツノシュクホウトシテ、キサマラヲアタカタモナクフキトバシテヤロウ‼』

 

そして、両手に圧倒的なまでの炎の魔力を溜めていき、俺達に向けて撃ち放った。

 

ダメだ‼回避なんて間に合わねぇ‼‼

 

迫ってくる攻撃に生きることを諦めそうになったその時……

 

《ATTACK RIDE BARRIER》

 

《ディフェンド プリーズ‼》

 

目の前にマゼンタの光の壁と炎の防壁が出てきて、それを受け止めた。

 

「「え?」」

 

《ヒッサーツ‼SPEED!!フルスロットル‼》

 

《TRIGGER!! MAXIMUM DRIVE‼》

 

それに驚いていたら、今度はタイヤのエフェクトが入った光弾と緑色の弾丸が眼魔の王を襲った。

 

『グゥッ!?』

 

《ソイヤ‼オレンジスカッシュ‼》

 

《One Two Three Rider Kick》

 

「ハアアアアアアアアアァァァァァァァァ…‼」

 

更に、3人組が俺とイッセーを飛び越えて跳び蹴りを叩き込む。

 

「「「テヤアアアアアアァァァァァッ‼‼」」」

 

『ヌグゥゥゥゥオオオオオォォォォォォッ‼‼』

 

それを喰らった眼魔の王は吹っ飛んだがすぐに起き上がった。

 

『キサマラ‼ナニモノダ‼‼』

 

「アタシ達が何者かって?」

 

「問われて名乗るのは烏滸がましいのだが…」

 

「問われなくても答えてやる‼‼」

 

そして、俺達の前に集まったのは………

 

「龍見一誠の女王‼立花 響‼」

 

「同じく騎士‼風鳴 翼‼」

 

「同じく僧侶‼雪音 クリス‼」

 

「同じく戦車‼マリア・カデンツァヴナ・イヴ‼」

 

「同じく騎士‼月読 調‼」

 

「同じく戦車‼暁 切歌デス‼」

 

「同じく僧侶‼小日向 未来‼」

 

イッセーを慕う仲間達だった。

 

「彼女達だけではありませんよ?」

 

後ろから更に声が聞こえ、振り返るとアリアにエルナ、木場と塔城と匙にみくるさんに美月さん、玲奈がいた。

 

「皆……どうして?」

 

「雑魚掃除が終わったから駆けつけたのよ。」

 

「まったく……二人揃って無茶ばっかりやるんだから…」

 

みくるさんと美月さんは少し呆れた感じで俺達を見ていた。

 

…………無茶ばっかでスンマセン…。

 

「タケルさん、お怪我は?」

 

「さすがにイッセー共々満身創痍だ……エルナ、回復魔法頼めるか?」

 

「はい‼お任せください‼」

 

彼女に回復してもらっていたら、玲奈が心配そうな顔で俺の傍に来る。

 

「お兄ちゃん……本当に大丈夫なの?ひどい怪我だけど…」

 

「心配すんなよ……これくらい何ともないたい痛いッ‼何で怪我してる場所つねるんだよ、エルナ‼」

 

「私と妹さんに心配させた罰ですよ。」

 

「仕方ねぇだろ!?こうでもしないと倒せなかったんだからよ…」

 

「だからと言って、怪我をしていい理由にはなりません‼」

 

「ハイ…」

 

確かに、心配させたんだし後でお礼でもするか。

 

「イッセー先輩、生き返って何よりです……‼」

 

「悪かったな小猫、心配させちまって…」

 

「ホントです……後で、ご飯奢ってください…‼」

 

「了解、好きなもの作ってやるよ。」

 

「約束ですよ……?」

 

「つーか何だ、あの化け物は?」

 

「たぶん、眼魔の王だと思う……姿が随分禍々しくなっているけど…」

 

「つまり、あれをボコれば良いわけだ?」

 

「だと思うよ。」

 

「なら、とっとと終わらせようぜ?龍見、御堂、もう回復は充分だろ?」

 

俺達はエルナに回復魔法を止めて貰い、立って身体を確認する。

 

「「うしッ‼回復完了‼」」

 

そして、カードデッキと闘魂ブースト眼魂をお互いに手に持つ。

 

「皆、行くぞ‼」

 

『『『『おう(うん)(はい)‼‼』』』』

 

イッセーはデッキを前に翳し、俺と玲奈は闘魂ブースト眼魂とユリン眼魂をゴーストドライバーに入れ、みくるさんはネクロム眼魂をメガウルオウダーにセットし、美月さんはシグナルチェイサーをマッハドライバーに装填する。

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

《Stand by‼》《Yes Sir‼》《Loading‼》

 

《シグナルバイク‼》

 

アリアにエルナに木場に塔城に匙はガラケーとレンジャーキーを持つ。

 

「「「「「変身ッ‼」」」」」

 

「「「「「ゴーカイチェンジ‼」」」」」

 

《闘魂‼‼カイガン‼‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

《テンガン‼ネクロム‼メガウルオウド‼》《クラッシュ・ザ・インベーダー‼》

 

《ライダー‼チェイサー‼》

 

『『『『『ゴーカイジャー‼』』』』』

 

俺達の変身が終わると、立花さん達も俺達の傍にやって来る。

 

『フン……キサマラテイドデ、コノワタシニハムカオウトイウノカ?』

 

「そうだ‼‼お前は必ず……‼‼」

 

「俺達がブッ飛ばす‼‼」

 

『ナラバコイ‼‼オウノチカラヲミセテヤロウゾ‼‼』

 

「「これで完全に終わらせてやるッ‼‼」」

 

この戦いを最後にするために、俺達は眼魔の王へと駆け出した。

 




いかがでしたか?

最後の慶吾の姿は仮面ライダー4号とガンマイザーファイヤーが融合した姿を思い浮かべてください。

『超力の腕輪』は所持者にかかるコストを削減するサポート系神器です。

例えば、いつもは10のコストで魔法を発動させるけど、この神器があれば7のコストで同等の効果が出せます。更に普段と同じコストで使用すると効果を倍増させる事が出来ます。

後、前書きにも書きましたが息抜きに別作品も書き始めましたので、もし良ければそちらも見てください。

次回《灼熱の決戦》

「そんなんで俺達の炎が負けるわけねぇッ‼‼」

では、次回も楽しみにしてくれると嬉しいです。


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灼熱の決戦

コラボ編バトルの最後です。

遅くなったのは申し訳ありません。

戦闘描写が上手く書けなかったのと、仕事が忙しかったんです。

まあ、言い訳にしかならないんですけどね?

それでは、待ってくれていた人と偶然見かけた人が楽しんで貰える事を願って………本編どうぞ‼


一誠side

 

変身した俺は眼魔の王へと向かい、拳を繰り出す。

 

「セェアッ‼」

 

『フン…』

 

「ゴハッ!?」

 

それは左手で止められ、さっき以上の炎を纏ったパンチを喰らってしまった。

 

「イッセーッ!?ハアアァァァァッ‼‼」

 

そこに響が飛び込み眼魔の王に殴り掛かり、向こうも同じように拳を突き出してぶつかり合うが……

 

『カルイゾ、オナゴォッ‼』

 

「キャアッ!?」

 

あっさりと押しきられ、吹き飛ばされた。

 

「お前ら、そこどけぇッ‼」

 

クリスの声ですぐに後ろに飛ぶと、大量のミサイルが眼魔の王に直撃した。

 

『ナンダ?コノテイド、ヌルスギテカゼヲヒイテシマウゾ?』

 

「マジかよ…」

 

その言葉にクリスが驚いていると、左右から翼と木場が飛び出してきた。

 

「ならばこの剣でッ‼」

 

「押し通らせて貰うよッ‼」

 

そして、すれ違い様に櫛形に切ったオレンジみたいな剣とカットラスで切り裂き即座に反転して後ろから剣を振るう……

 

『オソイゾ?』

 

「クゥッ!?」

 

「ウアッ!?」

 

が、全身から炎を吹き出し二人を弾き飛ばした。

 

『コンドハコチラノバンダ。』

 

そう言い、両手に炎の球体を出し1つに纏めると此方へそれを投げた。

 

見た目で危険だと分かり全員が散開して避けた。

 

その後に大きな爆発音と熱風が俺達を襲い、そこを見ると建っていたビルが丸々無くなっていた。

 

「…うそ…」

 

「あり得ないデスよ…」

 

『イマノハコテシラベダ……オドロクノハココカラダゾ。』

 

すると、奴の身体が炎となりそこから火炎弾を大量にばらまき出した。

 

「危ない‼」

 

マリアが咄嗟に短剣でバリアを張り、防いでくれた。

 

「向こうが遠距離ならこっちもだ‼」

 

「私もやるよ‼まどか、来て‼」

 

『任せて‼』

 

タケルがロビン眼魂を、玲奈ちゃんが飛んでいたピンクのパーカーゴーストを眼魂にしてバックルに装填し、レバーを操作した。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼ロビン・フッド‼ハロー‼アロー‼森で会おう‼》

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼カイガン‼まどか‼奇跡と、魔法は、内緒だよ?》

 

タケルはガンガンセイバーにコンドルデンワーを玲奈ちゃんはピンクとクリーム色のドレス風のパーカーで顔は魔法陣が描かれた姿に変わり黒がピンク、持ち手が紫のガンガンセイバーを出しそこに全身が白いコンドルデンワーがやって来た。

 

「あの子は!?またカワイイ子がキター‼」

 

『私のガジェット【スワンデンワー】だよ。』

 

スワンデンワーがガンガンセイバーに近づくと、変形合体してタケルのと同じアローモードになる。そして、それに頬擦りしだした。

 

「玲奈‼頬擦りは後にして、初っぱなから決めるぞ‼」

 

「ッハ!?う、うん‼わかった‼」

 

そして、互いの武器をベルトにアイコンタクトさせ、更にベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《ダイカイガン‼ロビン・フッド‼オメガドライブ‼》

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

《ダイカイガン‼まどか‼オメガドライブ‼》《ダイカイガン‼ガンガンミトケー‼ガンガンミトケー‼》

 

タケルは複数の分身を出し、玲奈ちゃんは先端に魔法陣みたいなのを展開した。

 

「「いっけぇッ‼‼」」

 

《オメガストライク‼》《オメガレイン‼》

 

そして沢山の炎の矢とピンク色の光の矢が眼魔の王を襲った。

 

『ヌオッ!?コレハ…‼』

 

それを喰らった王はさっきまでと違い怯んでいた。

 

「どうやら、必殺技クラスなら通るみたいだな。」

 

「なら…‼」

 

「私達が口火を切るわ‼」

 

そう言って、ネクロムとチェイサーに変身したみくるさんと美月さんが王へと駆け出した。

 

『ナメルナァッ‼』

 

それを阻もうと王は火炎弾を放ってくるが………

 

「「ハアアァァァァァァァァァッ‼‼」」

 

それを避けたり弾いたり、時には喰らいながらも突き進み接近出来たら拳を出した。それは受け止められるが、反対の手でそれを上に弾き蹴りを打ち込む。

 

『グゥッ‼』

 

「みくる‼やるわよ‼」

 

「分かってる…‼」

 

《シグナルバイク‼プロモーション‼ルーク‼》《ヒッサツ‼フルスロットル‼ルーク‼》《Execution………Full break…‼》

 

《Destroy‼》《ダイテンガン‼ネクロム‼オメガウルオウド‼》

 

「「ハアッ‼‼」」

 

昇格した美月さんとみくるさんがブレイクガンナーと左拳にエネルギーを集めて全力で王を殴り飛ばす。

 

『グハァッ‼』

 

「皆‼今のうちに‼」

 

その言葉に、俺達は一斉に動き出した。

 

 

ー推奨BGM《始まりのバベル》ー

 

 

マリアがカードをベルトに入れ、翼がオレンジの剣と機械的な日本刀を合体させて薙刀にし、そこにベルトの錠前みたいなのを取り付けた。

 

《Final-Attack-Ride》《DE-DE-DE-DECADE‼》

 

《ロック・オン‼》《壱、拾、百、千、万‼オレンジチャージ‼》

 

「フッ‼」

 

そして、翼の剣からオレンジ色の光刃を飛ばし、王を拘束する。

 

『コノテイドノコウソクナドッ‼』

 

「逃がしはしない‼」

 

マリアが左からゲートを潜りながら、籠手に逆手に装着した剣ですれ違い様に切り裂いた。

 

《SERE†NADE》

 

そして右から翼が薙刀に炎を纏わせながら切り裂く。

 

《風輪火斬》

 

『グオッ!?』

 

《ターン‼ドリフト・カイテーン‼》

 

《METAL!!MAXIMUM DRIVE‼》

 

「「デェェェェェェェェェェェェイッ‼‼」」

 

そこに調と切歌が高速回転しながら、剣とロッドを叩き込んだ。

 

《Δ式 艶殺アクセル》

 

《災輪・TぃN渦ぁBェル》

 

『ウアッ!?』

 

「弾薬の大盤振る舞いだッ‼持ってきやがれッ‼‼」

 

クリスは両手のガトリングと腰と肩から大量のミサイルを一斉に放つ。

 

《MEGA DETH QUARTET》

 

『ソンナコウゲキ、ヤキハラッテクレルッ‼』

 

それを王は撃ち落とそうとしたが…

 

「クロックアップ‼」

 

《Clock up》

 

クリスの姿が一瞬で王の背後に移動して、

 

《One Two Three》

 

「ライダー……キック…‼」

 

《Rider Kick》

 

『ガホォッ!?』

 

そして振り向き様の上段回し蹴りを王に喰らわせ、弾幕へと蹴り飛ばし、ミサイルと弾丸の直撃で更に吹き飛ばされた。

 

「未来‼行こう‼」

 

「うん‼」

 

続けて着地点に響が移動して、足下に紋章を展開したら右拳を地面に叩きつけ、足ではなく右手に集束させていく。

 

未来は右手の指輪を変え、ベルトに読み込ませる。

 

《チョーイイネ‼キックストライク‼サイコー‼》

 

そしてロンダートをしながら空へ飛び上がり、蹴りの体勢になる。

 

「ハアァァァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

『ウヌァッ!?』

 

未来のライダーキックが決まり、そのまま響目掛けて突き進んでいき、その右手は集束が終わったのか金色に輝いていた。

 

「ぶち抜けえぇぇェェェェェェェッ‼‼」

 

打ち出された拳は王の背中にめり込み、未来の蹴りと挟み込む様になった。

 

『グガアァッ!?』

 

『『『『『ファ~イナルウェーブッ‼』』』』』

 

2人が退くと俺の後ろからそんな音声が聞こえ、振り返るとアリア、木場、小猫、匙、エルナが銃と剣にそれぞれの色のオーラを纏わせていた。

 

「「「「「ゴーカイブラスト&スラッシュ‼‼」」」」」

 

そう言ってエネルギー弾を放ち、そこに飛ばした斬撃を当て一気に加速した5つの攻撃が直撃する。

 

「俺も、やらないとな‼」

 

《SHOOT VENT》

 

ボルティックシューターを出し、デッキから更に1枚引いてバイザーに装填する。

 

《CHARGE VENT》

 

銃口に高密度のエネルギーが溜まり、それを撃ち出す。

 

『グアアァァァァァァァァッ‼‼』

 

その連続必殺を受けて、王は倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「や……やった…」

 

「終わったんだな…」

 

戦いが終わり気が抜けたのか、全員が変身を解かずにその場に座り込んだ。

 

これでこの騒動も終わりだな………何か短い間に色々あったから疲れたぜ…

 

「さて、帰って寝ると『クックックッ、イマノハサスガニキイタゾ?』ッ‼」

 

突然聞こえた王の声に驚き、王が倒れた場所を見るとそこには、ダメージはあるがいまだ健在な王の姿だった。

 

『ココマデイタデヲモラウトハ………キサマラ、カクゴハデキテルナ?』

 

そう言うと、王からさっき以上の魔力が溢れてきた。

 

嘘だろ………まだあれほどの力が…‼

 

『サア、ワガホノオニヤキツクサレロッ‼‼』

 

そして、両手から巨大な火炎弾を大量に放ち、俺達の周りで大爆発を何度も起こした。

 

「「「「ウアアァァァァァァァァァッ‼‼」」」」

 

『『『『『『『キャアァァァァァァァッ‼‼』』』』』』

 

その攻撃で俺とイッセー、アリア以外の変身が解けてしまい、俺も闘魂ロビン魂から闘魂ブースト魂に戻ってしまった。

 

『マダイキテイルノカ………コンドコソ、メイフヘトオクッテヤロウ…‼』

 

「んな事………させッかよ……‼」

 

痛む身体を無視して立ち上がると、隣にイッセーとアリアもやって来た。

 

「2人共……まだやれるか?」

 

「当たり前だろ?そう言うお前は?」

 

「問題ねぇよ。」

 

「私も大丈夫です。」

 

「なら、行こうぜ‼」

 

「「おう(はい)‼」」

 

《SWORD VENT》

 

バイオブレードを出したイッセーは、左手にボルティックシューターを持ち変えて突撃する。俺も右手にサングラスの剣、左手にはガンガンセイバーをガンモードにしてアリアと一緒に後を追う。

 

『サンニンゴトキデ、カテルトデモ?』

 

王が出してくる火炎弾を銃で撃ち落とし、接近出来たら剣を振るうが俺とイッセーのは両手で防がれ、アリアは振るう前に蹴り飛ばされた。

 

「カハッ!?」

 

「アリア!?こんのッ‼」

 

俺達は王から離れ、銃を連射するが………

 

『フンッ‼』

 

身体を炎にして弾丸は奴の身体をすり抜けていった。

 

「んなッ!?」

 

「そんなのアリかよ!?」

 

『スキアリダゾ‼コゾウドモ‼』

 

「「ウワァッ‼」」

 

俺達が驚いているところに、至近距離から火炎弾を貰い吹き飛ばされた。

 

「今ですッ‼」

 

そこで、アリアが懐に飛び込もうとした……

 

『サセンッ‼』

 

「アウッ!?」

 

が、身体を炎にして逆に彼女を焼いた。

 

『マズハ、オマエトノインネンヲ、オワラセヨウ。』

 

王は彼女の前でさっき喰らったのより、数倍の熱を感じさせる火炎弾を作り出す。

 

「う……あ…‼」

 

アリアも逃げようとするが、ダメージが大きく動きが遅い。

 

このままじゃアリアが死んじまう…だったら…‼

 

同じ考えだったのか、イッセーも俺と同時に立ち上がり王とアリアの間に飛び込み、放たれた火炎弾を剣で受け止める。

 

「龍見さん‼御堂さん‼」

 

「早く下がれ‼」

 

「コイツは俺達が…‼」

 

火炎弾を何とか上空に弾き飛ばし、ボルティックシューターとガンガンセイバーを連射する。

 

『ム……ウットウシイゾ‼』

 

「「グワァッ‼」」

 

少し怯んだうちに彼女を抱えて離脱しようとしたが、奴の身体から噴き出された炎を喰らい、助ける前に吹き飛ばされた。

 

「ッ‼今ですッ‼」

 

『ファ~イナルウェーブ‼』

 

「ゴーカイスラッシュ‼」

 

炎がおさまった瞬間を狙い、アリアが斬撃を飛ばして王に直撃させた。

 

『キキハセンッ‼』

 

しかし、何事もなかったかの様に王はその場に立っていた。

 

「そんなッ!?」

 

『コンドコソ、オワリダ。』

 

炎を纏った拳を王は振り上げる。

 

ダメだ‼飛ばされた距離が長くて間に合わねぇ‼

 

そして、拳が振り下ろされる……

 

「Balwisyall Nescell Gangnir tron………………ゼリャアアァァァァァァァァッ‼‼」

 

『ヌ?』

 

直前、シンフォギアを纏った響さんがその拳を蹴り飛ばした。

 

『ジャマヲスルナ‼』

 

「嫌だ‼お前がアリアちゃんを……私の友達を傷つけようとするなら、何度だって邪魔してやる‼」

 

「その通りだ‼」

 

更に、青い斬撃と銀の短剣、ピンクの丸鋸に緑の刃、赤いミサイルと紫のレーザーが王を襲った。

 

「後輩ばっかに任せて、年上のアタシがやられっぱなしってのは性に合わないんだよ‼」

 

「…せっかく出来たヒーロー仲間…‼」

 

「それを殺させはしないデス‼」

 

「それに、この子をちゃんと元の世界に帰してあげなきゃいけないしね。」

 

「だから、私達は諦めたりなんかしない‼」

 

その後ろから、木場に搭城さん、匙にみくるさん、美月さんに玲奈、エルナも出てきた。

 

「僕達も忘れないで欲しいな。」

 

「…まだ、やれます。」

 

「こんな熱い展開、乗らなきゃ損だぜ‼」

 

「私達の仕事は皆の護衛…」

 

「護衛がさきに倒れる訳にはいかないわ。」

 

「私も……まだしなくちゃいけない事があるから…‼」

 

「タケルさん達をやらせはしませんッ‼」

 

やっぱりイッセーの仲間になって良かったぜ‼こんなに頼もしい仲間が出来るんだからな‼

 

「俺達もいつまでも倒れてる場合じゃないぜ…?イッセー‼」

 

「ああ…‼皆を守るためにもな…‼」

 

俺達も立ち上がって、アリアを守る様に前に出る。

 

「皆さん…」

 

『イクラツヨガロウガ、ソノボロボロノカラダデナニガデキルッ‼‼』

 

そう叫び、巨大火炎弾を放ってきたので弾き返そうと構えていたらアリアのバックルが光り出した。

 

「え?これは…」

 

そこから15の光球が現れて、攻撃を防いでくれた。

 

「何が起きたんだ…?」

 

不思議に思っていたら、光球はアリアの前に行き1つに合わさって金色の鍵になった……ってあれは‼

 

「ゴールドアンカーキーッ!?」

 

「どうして……私にはまだ使えないはず…?」

 

アリアも疑問に思っていたら、目の前を光が覆った。

 

 

 

 

 

アリアside

 

あまりの眩しさに瞑った目を開けると白い空間にいて、私の前に銀色の海賊服を着た戦士がいた。

 

「鎧さん?どうしてここに?」

 

『いや~、マーベラスさんから手を出すなって言われてたんですけどね?皆さんを見てたら応援したくなっちゃいまして…』

 

そして、ゴールドアンカーキーを私に差し出してきた。

 

『今回のみって事で皆さんに協力して貰ったんですよ。だから、この世界の友達を守る為に使ってください‼』

 

「鎧さん……皆さん……ありがとうございます‼必ず守ってみせます‼」

 

『それじゃ、俺はマーベラスさんに叱られてきます‼』

 

そう言って彼は去っていった。

 

「とりあえず、無事を祈ってます。」

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

光がおさまると、アリアがゴールドアンカーキーとモバイレーツとは別のケータイ【ゴーカイセルラー】を持って立っていた。

 

「すみません、もう大丈夫です。」

 

「さっきの光は何だったんだ?」

 

「それは後でお話しします。今はアイツを倒しましょう。」

 

「そうだな。」

 

『主。』

 

「ん?なんだメイル?」

 

『“例のカード”を使いましょう。』

 

「あれか……そうだな、それじゃなきゃ勝てないと思うし。」

 

そう言って、イッセーはカードを1枚引いた。そこには“銀色のアーマー”とその後ろに1体の鳥が描かれていた。

 

「そのカードってまさか……」

 

そして左手を伸ばしたら、バイザーが光り輝き龍の頭を模した銃型の物に変化し、口部分を開いてその中にカードを入れた。

 

《Survive》

 

すると、光龍の装甲が赤が金、金のラインがメタリックブルーの龍騎サバイブになり、その上に俺も見たことあるが作品が違うアーマーと右腕に剣が装着された。

 

「“ウルティメイトイージス”まで装備するとか…」

 

「では私も、ゴーカイチェンジ‼」

 

俺がイッセーの姿に驚いている間にアリアはゴーカイセルラーの下部にゴールドアンカーキーを指した。

 

『ゴォーカイレッド‼ゴールドモォード‼』

 

その音声と共にゴールドアンカーキーが鎧へと変わり、アリアの身体を覆った。

 

「さて、2人の準備も終わったことだし………やるか‼」

 

3人で並んで立つと、響さん達のシンフォギアが解除されて崩れ落ちた。

 

「「「皆(さん)ッ!?」」」

 

「ごめん………もう…限界…みたい………」

 

「わかった………後は俺達に任せて休んでろ。」

 

「お願いね…」

 

その言葉を言ってから響さんは気を失った。

 

「木場、悪いけど響達を連れて下がっていてくれ。」

 

「…本当は一緒に戦いたいけど、僕達も身体が思った通りに動かないみたいだから、後は任せたよ?」

 

そう言って皆を連れていったのを見届けてから、王を前に構える。

 

『イクラツヨクナロウガ、コノワタシニカテルモノカッ‼』

 

「うるせぇッ‼これで本当の終わりにしてやる‼」

 

 

ー推奨BGM《我ら思う、故に我ら在り》ー

 

 

3人で一斉に走り出すと、王が火炎弾を放ってくるが…

 

「これ以上誰も傷付けさせるかよッ‼」

 

イッセーが前に出て、鎧で攻撃を受けながら走り抜けていく。

 

「あのバカ…また無茶しやがって‼」

 

「でも、全然効いてないみたいです。」

 

そのまま近づき、右手の剣で×字、横一閃に斬った後、回し蹴りを喰らわせた。

 

「オウリャアッ‼」

 

『グオッ!?』

 

「次、行きます‼」

 

そこにアリアが飛び込み、持っていた槍【ゴーカイスピア】を振るい縦・横と切り裂いた後、3連続の突きを当てて吹き飛ばし、左手にゴーカイガンを出して撃ち追撃していく。

 

『ヌアアァァァァァァッ!?』

 

「今度は俺だ‼」

 

よろけている王の顔に拳を叩き込み、そこから左のフックに膝蹴り・アッパーからのストレートに飛び蹴りと連撃を決めていく。

 

『コノ…‼フザケルナァッ‼』

 

これまでの攻撃にキレたのか、炎の拳を放ってきたので俺はそれに自分の拳をぶつけた。

 

さすがに熱いなぁ………それでも‼

 

「そんなんで俺達の炎が負けるかよ‼」

 

気合いを込めた言葉に合わせて、俺の拳からも炎が出てきて王の拳を押し返して殴り飛ばした。

 

『ガハッ‼バ、バカナ…‼』

 

「まだ、終わらねぇぞ‼」

 

ベルトからサングラスのついた剣………面倒くさいから【サングラスラッシャー】でいいか………を取り出し、王を切り刻む。

 

『ヌハァッ!?』

 

《ファ~イナルウェーブ‼》

 

そこに電子音声が聞こえたので、そこから飛び退くとアリアが槍を構え、左右にメガシルバー・ガオシルバー・マジシャイン・ボウケンシルバー・ゴーオンゴールド・ゴーオンシルバー・ゴセイナイトが銃を構えていた。

 

「ゴーカイレジェンドリームッ‼」

 

技名と共に槍を突き出すと他の戦士も銃を撃ち、その弾がシンケンゴールド・デカブレイク・シュリケンジャー・キングレンジャー・キバレンジャー・タイムファイヤー・ドラゴンレンジャー・アバレキラーの姿になり、すれ違い様に王を切り裂いて行き最後にアリアがゴーカイスピアで切り飛ばした。

 

『ガハァッ‼』

 

《SHOOT VENT》

 

次にイッセーがカードをバイザーに装填すると、鎧と剣が外れて左手に弓の形で再構築された。

 

「こいつはオマケだ。」

 

《ROD VENT》

 

更に、リボルケインを呼び出して弓の穂先にセットした………ってオイオイ‼

 

「発射ッ‼」

 

そして放たれたウルティメイトイージス+リボルケインが王に命中後、ドリルのように高速回転しながらその身体を貫いた………やり過ぎだろ!?

 

『グ………ウォ…‼』

 

「それじゃ俺も『タケルよ、私達も協力しよう‼』え!?」

 

突然聞こえた声に驚いた俺は、その声の方を向くと32個のライダー眼魂が浮いていて、そこから全員がパーカーゴーストとなって出てきた。

 

『私達の力を身に纏い、決着をつけろ‼』

 

「はい‼」

 

ライダーゴースト達が1列に並び、俺は飛び上がりながら彼等の力を身に纏っていき、最後に闘魂ブーストパーカーを纏ってベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《闘魂‼‼ダイカイガン‼ブースト‼‼オメガドライブ‼》

 

背後の紋章の力を右足に集め、飛び蹴りを王に決める。

 

『コノワタシガ………コンナトコロデェェェェェェェ‼』

 

「いい加減、成仏しやがれぇぇぇぇぇぇッ‼」

 

目の前で爆発が起き、4号に融合していた禍々しい鎧が剥がれて消滅した。

 

爆心地には変身が解け、血塗れの慶吾が倒れていた。

 

「ハハッ………俺の…負けか……」

 

「………なんでこんな騒動を起こしたんだ?」

 

「ただ…見返し………たかった…だけ……さ…」

 

「見返す?誰にだ?」

 

「教える………かよ……先に……死後の世界………ってやつを…拝んで……おくぜ……s」

 

その言葉の途中で、彼は粒子状になって消えていった。

 

「じゃあな………今度は良い奴になって生まれ変わってこいよ。」

 

こうして、ライダー眼魂を巡る事件は終わりを迎えた。

 




いかがでしたか?

一応文才の無い頭をこねくりまわして出した戦闘シーン、楽しんで貰えたら幸いです。

次回《またいつか》

「え!?ちょっ‼待ってください‼それだけは……アーレー!?」

次がコラボ編最終回です。


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またいつか

コラボ編最終話になります。

今回はコラボの話がなければ考えなかった事をやっています。

それではどうぞ‼


タケルside

 

慶吾の最後を見届けた俺は変身を解除して、イッセーとアリアの所に戻った。

 

「慶吾は?」

 

「逝っちまったよ。最後に意味深な言葉を遺してな。」

 

「そうですか…」

 

俺の言葉にイッセーとアリアは少し複雑そうな顔になった。

 

「取り合えず、2人とも変身解いたら?」

 

「だな……。」(グラ…)

 

変身を解いた瞬間、イッセーがいきなり倒れた。

 

「おい、イッセー‼どうしたんだよ‼しっかり「スゥ……スゥ……」ね、寝てる?」

 

「どうやら、サバイブを使ったせいで体力を著しく消耗したみたいですね?」

 

「驚かせるなよ…」

 

1度死にかけてる奴が復活してから倒れるって、寿命が縮むわ。

 

「イッセーはこのまま俺が運んで行くから、アリアは皆に戦いが終わったことを知らせに行ってくれないか?」

 

「わかりました。」

 

アリアが響さん達の方に走って行くのを見ながら、イッセーに肩を貸す様にして歩いていく。

 

「ったく……いつも無茶ばかりしやがって…」

 

俺達を守るためだろうが、敵の攻撃を喰らいながら突っ込むなんて……

 

「俺も……もっと強くなってやる…お前に無茶させない為にもな。」

 

そう決意を固めて、俺も皆の所に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

少し前に意識が戻った私達はアリアちゃんからの知らせを受けて心底ホッとしていた。

 

これでやっと戦いが終わったんだ……

 

それから少ししてタケル君がイッセーを連れて戻ってきた。

 

「イッセー‼タケル君‼」

 

「ワリィ、静かにしてくれ。コイツ寝てるからさ。」

 

「あ、ゴメン‼」

 

イッセーの顔を見ると、気持ち良さそうに眠っていた。

 

その顔を見てたら、自然と涙が溢れてきた。

 

「ホントに……良かった……戻って来てくれて…」

 

「だよな……そんで戻ってきてすぐに無茶するし…」

 

「まったくだな。」

 

「アタシ達の心配なんてどこ吹く風みてぇに無視しやがるし…」

 

「…でも、それがイッセー先輩。」

 

「そうじゃなかったら、偽者確定デス。」

 

「さて、皆で帰りましょうか。」

 

「うん、帰ろう。」

 

私達がタケル君の家に行くと、アザゼルさんとキャロルさん、アーシアちゃんが出迎えてくれた。

 

「おーおー、全員ボロボロだな?」

 

「まったく、心配ばかり掛けてくれる子達だ。」

 

「皆さん‼ご無事で良がっだでずよ~‼」

 

色々と感極まったのか、アーシアちゃんが泣きながら私に抱きついた。

 

「ちょっ‼アーシアちゃん‼痛い痛い‼抱きつかないで~‼」

 

王の炎で全身の至るところに火傷があるから、スッゴい痛い~‼

 

「取り合えずアーシア、先ずは全員を癒してやれ。」

 

「グズ……は、ハイ‼」

 

その後は、アーシアちゃんがイッセーを除く全員を癒してくれた。

 

そして、イッセーを寝かせた部屋から彼を診断していたキャロルさんが出てくる。

 

「キャロル、イッセーの様子はどうだ?」

 

「今の所は体力の消耗ぐらいと、身体中の骨のヒビくらいだ、車イスなら日常生活は出来るだろうな。だがその体力の消耗が激しすぎるから今日は目を覚まさないだろう。」

 

「そうか……ま、無事だったからそれくらいなら良しとするか‼ところでアリア、アイツは仮面ライダーになったそうだがどういうの何だ?」

 

イッセーの容態を聞いて安心したのか、アザゼルさんが興味津々でアリアちゃんに聞いてきた。

 

「ああ、それは『それなら私も同席させて貰います。』へ?」

 

アリアちゃんが説明しようとしたら、メイルさんの声が聞こえてきて隣の扉を開けると、イッセーの身体から光の球体が出てきて人間の形を作り上げ、光が収まるとそこには水色の瞳に金髪をツインテールにまとめ頭の左側に水色のリボンを付け、水色のワンピースに所々金色の鎧を身に付け、金色の剣【解放龍の剣】を腰に下げた女の子がいた。

 

「ふう…人間態になるのは始めてですが、上手くいきましたね。」

 

「…………………………誰?」

 

私がポツリと呟いた言葉に全員が頷いた。

 

「あ、皆様に姿を見せるのは始めてでしたね。私はこの剣【解放龍の剣(リモート・エッジ)】に封印されている存在、【解放龍(フリーダム・ドラゴン)】のメイルと申します。」

 

『『『『『『え?えぇ~~‼‼』』』』』』

 

その子の発言に私達は驚愕した。

 

嘘ッ!?メイルさん、神器から出られたの!?

 

「皆様が驚くのも分かりますが、これは主がライダーになったからだと…」

 

「イッセーがライダーになったから?」

 

それがどうして外に出られるのと関係があるんだろう?

 

「イッセーさんが使うライダーシステムは、モンスターと契約することでその力を発揮します。そして契約したモンスターの力を使ったり召喚する事ができるので、そのせいではないかと。」

 

「なるほど、召喚する機能の影響が普段でも働くようになったのか。」

 

「ただ、カードによる召喚でないかぎり、人間態が限界みたいですけど…………あの忌々しいクソ神め…‼」

 

今、さりげなく神を罵倒した? ……って普通に飛んでただけなのに封印されたらそりゃ怒るか。

 

私も…教会とか天界の人達は好きじゃないし。

 

「んで、今の強さはどれくらいなんだ?」

 

「私も中級とはいえドラゴンです。このような身でも上級の悪魔にはひけをとらないつもりです。」

 

「そんくらいありゃ充分だ。」

 

「それに、イッセーさんにはそれ以外にもBlackとBlack RX、ウルトラマンゼロの力も授けてあります。後、特殊なカードが数枚といった位です。」

 

「アイツもスゲェもん貰っちまったみたいだな…」

 

タケル君の呟きに私は同意した。

 

なんか……イッセー強化され過ぎじゃないかな?

 

「だが、このカードはしばらく俺が預かっておく。」

 

そう言ってアザゼルさんは、【Survive】のカードをデッキから引き抜いた。

 

「異常な体力の消耗に骨のヒビ……アイツがコレを使うにはまだ早すぎる。もう少し鍛えてからだな。」

 

「私もそう思います。使うのを薦めた私が言うのはおかしいですが、今の主が使い続けるといずれ身体に悪影響が出てきます。」

 

そうか、今のイッセーの状態はそのカードが原因だったんだ……

 

「さて、戦いの話しはこれまでにして……アリアはどうするんだ?ここでの目的は果たしたんだろ?」

 

「えっと…その事なんですが…」

 

タケル君がアリアちゃんにそう聞くと、少し残念そうな顔になった。

 

「あまり長くはいられません。私は異世界の存在ですから……目的を達成した今、遅くても3日後までに戻らないと世界の異物として排除される可能性があります。」

 

「…そうなんだ…」

 

「少し寂しいデスね…」

 

「仕方ないわ、彼女は住む世界が違うのだから。」

 

アリアちゃんの言葉に調ちゃんと切歌ちゃんが残念そうな顔をして、そんな2人の頭をマリアさんが優しく撫でる。

 

「でも、逆に2日半くらいまでは大丈夫って事なんだよね?」

 

「え?はい、そうですが…」

 

「だったら明日は皆でお出かけしない?せっかく来たのに戦いの思い出だけなんてつまらないしね?」

 

「うん‼そうだね‼明日ならイッセーも目を覚ますしね‼」

 

そこで未来が出した提案に私は賛成した。

 

最後くらい楽しい思いをしても、誰も文句なんか言わないだろうし。

 

「では、私達は1度失礼します。魔王様に報告や彼女達の引き渡しをしなければなりませんので。ですが見送りをするときは教えてください。私達も駆けつけますので。」

 

そう言って、多少面倒そうな顔をしてソーナ会長達は帰っていった。

 

「私とみくるも1度彼の所に行くわ。」

 

「アイツ、ほおっておくと猿と一緒にラーメンしか食べないからね。そうならないようにごはん作らないと…」

 

みくるさん達も、仲間の(食生活が)心配の為に戻った。

 

「お前達も1度帰って休め。明日か明後日に遊ぶなら今のうちから体力を回復させとけ。」

 

『『『『は~い。』』』』

 

「タケル、悪いがうちのバカ息子をここで休ませてやってくれないか?」

 

「お世話は私が致しますので。」

 

「ならメイル、イッセーが起きたらこう伝えてくれ。」

 

「………………………………承りました。」

 

「俺達は別に良いですよ。なあ、玲奈?」

 

「はい。」

 

イッセーとメイルさんはこのままタケル君の家で休ませる事になり、家に帰った私は布団に倒れるとそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「…………んぅ……あれ?……俺…何で…………痛ッ‼」

 

いつの間にか布団にいた俺は、身体を起こそうとして激痛が走り呻いた。

 

俺は確か王との戦いが終わった後、そのまま倒れたんだっけ?

 

「お目覚めですか?主。」

 

そこに聞き慣れた声で、しかし見掛けない女の子がいた。

 

「……………………………………誰?」

 

「昨日の響さんと同じ反応ですね…私です、メイルです。」

 

「……………………………………………………なんだ幻覚か。」

 

この状況をそう判断して、俺はもう一度寝ることにした。

 

「ちょっ!?幻覚じゃないです‼現実ですからッ‼」

 

「まだ疲れてんのかなぁ、幻覚を見るなんて…」

 

「だから幻覚じゃありませんってばぁッ‼」

 

うるせぇ‼今まで神器に封印されていた(ドラゴン)が、突然出てきて女の子の姿になっていたら、誰だってそう思うわッ‼

 

「取り合えず、お前はメイルでいいんだよな?」

 

「さっきからそう言ってるじゃないですかぁ~‼」

 

「ああ、悪かったって。」

 

泣きそうなメイルを慰める為に、痛む身体に鞭打って取り合えず頭を撫でた。

 

「ふにゅう~♪」

 

そしたら、今度は笑顔でその感触を味わっていた。

 

この瞬間、ちょっと萌えたのは内緒だ。

 

「フムフム、主はこのようなシーンに萌えると…」

 

「地の文を読んでんじゃねぇ。」

 

そんな漫才をメイルとやっていたら部屋の扉が開いてタケルが入ってきた。

 

「起きた瞬間から何やってんだお前達は…」

 

「タケルか……取り合えずアーシア呼んでくれないか?身体中が痛くて…」

 

「それなら、メイルさんに聞いてみな?」

 

何故そこでメイル?

 

「主、その事でアザゼルから言伝てを預かっています。」

 

「オッチャンから?」

 

なんだろう……嫌な予感しかしない。

 

「こほん……『このバカ息子が‼無茶ばっかりやってんじゃない‼罰として今日1日はその痛みを味わっておけ。アーシアにも治療するなと言ってあるし、お前の隠し持ってる【フェニックスの涙】も全部預かってある。それで少しは反省しとけ。』……だそうです。」

 

「Oh my god‼」

 

なんてこったい‼今日1日この状態かよ!?

 

「あ、車イスを使うのはOKなので今持ってきます。」

 

そう言って、メイルは一旦部屋を出た。

 

「つーか、何でこんなに身体が痛いんだ?」

 

「サバイブを使った影響だってさ、それを使うのに身体が追い付いてないらしい。このまま使い続けると身体壊すからアザゼルさんがカードを預かっていったよ。」

 

「そういう事か…」

 

「因みに身体が痛いのは、全身の骨に小さいけど無数にヒビが入っているからだと。」

 

「想像以上に酷かった!?」

 

え?俺またそんなにボロボロなの?

 

「お待たせしました。」

 

そこにメイルが車イスを持ってやって来た。

 

その時、ある考えが浮かんだ。

 

「そうだ‼メイ「致しません。」まだ途中ッ!?」

 

「どうせ、神器の能力で痛みを解除しようと考えたのでしょう?」

 

「わあ、ばれて~ら…」

 

「それでは反省になりませんので、ここは心を鬼にさせていただきます。」

 

チクショウッ‼俺の味方がいねぇ‼

 

「ほら、飯出来たって呼びに来たんだ。行くぞ。」

 

タケルとメイルに車イスに乗せられ、リビングに行くとご飯に味噌汁、鮭の切り身に漬物といった和の朝食が出来ていた。

 

「あ‼龍見さん‼目が覚めたんですね!?」

 

そこで、玲奈ちゃんが車イスに乗った俺に気づいた。

 

「ゴメンね、心配させちゃったみたいで。」

 

「そんな事ないです‼龍見さんが私とお兄ちゃんを庇ってくれなかったら今頃……だからゴメンなさい‼」

 

そう言って、玲奈ちゃんが頭を下げた。

 

「気にしなくていいよ、あれは俺がしたくてした行動なんだから……それよりあの時、思いっきり突き飛ばしちゃったけど怪我とかなかった?」

 

「え?はい…」

 

「なら良かったよ。」

 

「……えっと、それだけですか?」

 

「何が?」

 

俺、何かおかしな事言ったか?

 

「いえ、おかしい所はなかったと思いますが…」

 

「何気に心を読んでんじゃない‼」

 

メイルのメタな言葉にすぐに突っ込む。

 

「いえ、もっと怒られるんじゃないかと…」

 

「ああ、家族が危険な目に合っていたら誰だってああいう行動を取るものさ。俺もよくやって怒られてるし…メイル、彼女の所まで。」

 

「わかりました。」

 

メイルに頼んで彼女の前まで移動させてもらう。

 

「俺は君の行動を叱るつもりはないよ。だから、もう自分を責めなくていいんだ。」

 

「え?」

 

「そんな顔をするまで、自分を責めていたんだな……もう泣かなくていい。」

 

玲奈ちゃんは自分の顔に手を持っていって、始めて泣いてるのに気づいたのか一気に涙が溢れだした。

 

「だッて…私があそこで出てこなかったら……龍見さんが…………死にかける事なんて………なかったのかもしれないって…考えたら…‼」

 

「玲奈…」

 

玲奈ちゃんの言葉を聞いていたタケルも心苦しそうな顔になる。

 

「いや、あの時は君が出てこなくてもタケルが動けなかったから結果は変わらなかった。でも、俺は今ここにいる。こうやってボロボロだけど生きている。だからもう気にしなくていい。」

 

「だけど…‼」

 

「だったら………今度、青椒肉絲の作り方教えてくれ。」

 

「へ?」

 

「あれは美味しかったから是非とも再現してみたくなった‼だからそれでどう?」

 

「…………………………プッ‼アハハハハハハハッ‼」

 

しばらく呆然としたあと、玲奈ちゃんは笑いだした。

 

「わかりました‼それで良ければ‼」

 

「オシ‼商談成立ってね?」

 

「はい、約束の炒飯の作り方も忘れないでくださいね?」

 

「了解‼」

 

これでもう大丈夫かな?

 

「それじゃ、飯にしようぜ‼腹減ったよ。」

 

「はい‼そうしましょう‼」

 

こうして俺達は食事をして、オッチャンから冥界に来いと連絡があるまで、のんびりと過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

アザゼルさんに呼ばれ、玲奈も連れた4人で行くとそこにはアリアと響さん達にアレックスさんまでもが揃っていた。そこで起きているイッセーに響さんに未来さん、調ちゃんに切歌ちゃんと小猫ちゃんにアーシアさんが抱きついて激痛に呻いていたのは見ていて面白かった。

 

「お、これで全員だな。」

 

「それで、ここで何をやるんですか?」

 

「なに、アリアはいろんな戦士になれるって聞いてな?せっかくだからいくつか武装や姿を見せてもらおうと思ってよ。」

 

「場合によっては、オレと旦那様で再現してみるつもりだ。」

 

「僕は一応止めたんですけど…」

 

「力及ばず……か…」

 

「はいぃぃ…」

 

落胆する彼女の周りをデータウエポン達が漂って慰めている。

 

まあ…堕天使の最強夫婦らしいし……エルナ一人じゃ止められねぇか。

 

「では、先ずはコレなんてどうですか?」

 

そう言ってアリアは、ガトリングガンのような物を出してアレックスさんに持たせた。

 

「これは『ギガストリーマー』と言って、ウィンスペクターと言う作品の最強ツールなんです」

 

「へぇ【ダダダダダダダダダダダッ‼】うおッ‼‼」

 

そしてアレックスさんがアリアが注意している最中に引き金を引いてしまい、撃たれた地面は大きな穴だらけになった。

 

ギガストリーマーの威力に驚いた俺達であったが、それ以上にアリアが口をあけて唖然としていた。

 

アレックスさんは平気でギガストリーマーを運用していたのだが、流石におかしいと思ったのか撃つのを止めた。

 

「うむ。すばらし「何で平気なんですか‼」むう?」

 

「ギガストリーマーは反動圧力が普通に『20G』もでる一般人には危険物なんですよ‼しかも、長時間使用状態なら『25G』は軽く出るほどの存在なんですよ‼何で平気なんですか‼」

 

アリアが驚いていたが、それ以上に俺達も驚いてた。

 

反動圧力の大きさの凄まじさがあるにも拘らず、撃った本人は一歩もその場から動いていなかったからだ。

 

「お、おいちょっと待って!?反動圧力が20Gだと‼普通の人間が撃てるはずないだろ!?」

 

流石のアザゼルさんも驚いていたが、アリアの説明も続いた。

 

「本来はクラステクターか、ソリッドスーツのヘビータイプって言う特殊強化スーツを着込んで放つものなんです。それでも、その装着した存在達も、1・2日は完全にマスターするのに時間がかかったんですよ?それなのに……」

 

「うむ。確かに凄まじかったが、日頃から鍛えあげられたこの芸術的肉体を持つ我輩には、意味が無かったようだな。」

 

「「「「「(完全にバグキャラだ(だよ)……)」」」」」

 

全員の心が一致した瞬間でもあった。

 

因みにであるが、アリアがこんな危険な品物を一番最初にしたのは意味があり、見た目はこんな変な形をしていても、反動圧力や、威力に関してはあり得ないという事を説明する為で、他にも色々とアリアから銃火器や剣などを見せてもらったアザゼルさんとキャロルさんは、思い切り発明に従事してしまう嵌めになってしまったが……

 

 

 

次の日は、昨日アザゼルさん達の発明欲の暴走で潰れてしまったので、行けなかったお出かけとなった。因みにイッセーはお仕置きが終わったのでアーシアさんに回復してもらい、擬人化したメイルさんと手を繋いで歩いている。何故なら……

 

「【お兄ちゃん】‼あれは何ですか!?向こうは何ですか!?」

 

「いい加減落ち着け‼【ゆめ】‼」

 

こんな感じであらゆる物事に興味津々で突撃しようとするメイルさんを抑える為である。どうやら生身の身体で動けるようになったのが嬉しいらしい。

 

後、呼び方についてだがメイルさんの【主】呼びはどう考えても世間に誤解を招くものなので、どうするか話したらメイルさん本人(本龍?)が【お兄ちゃん】が良いと言って、イッセーが却下していたが最終的にそれで決定した。

 

メイルさんの方も人間態の時の名前が欲しいと言い、過去に【虹の下を飛び回るのが夢】と言っていたらしく、そこから取り【虹野 ゆめ】になった。

 

「さて、どこに行こうか?」

 

「そうだねぇ…」

 

そう思って皆で歩いていたら、ある洋服店で女性陣が止まった。

 

その店に気づいたアリアが逃げようとしたが…

 

「どこいくの?アリアちゃん。」

 

「へッ!?いや、あの…‼」

 

いつの間にか後ろに回った響さんに捕まっていた。

 

「みんな~、この店に入ろうか。あ、イッセー達男の子は外で待っててね?」

 

「「了~解。」」

 

そのままアリアは響さんによって洋服店……いや、【コスプレショップ】に引き摺られていく。

 

「さて、どんな服が似合うかな?」

 

「「やっぱり犬耳の姫様の服(デス)‼」」

 

「女の子だらけの島の何でも屋の子もいいんじゃないかしら?」

 

「…私は民間警備会社の社長がいいと思うが…」

 

「アタシは桜の島の予知夢の子だな。」

 

「え~?やっぱり魔法つかいだよ。」

 

「骨董品屋の若女将なんてどうでしょう?」

 

「じゃあ、全部やっちゃおうか‼」

 

「「「「「「オオーッ‼」」」」」」

 

「え!?ちょっ‼待ってください‼それだけは……アーレー!?」

 

ものの見事に中の人ネタだな……

 

アリアは必死の抵抗をしたが逃げられずお店にドナドナされた。

 

「「「南無…」」」

 

中に入れない俺とイッセー、この場に残ったメイルさんはアリアに合掌した。

 

それから3時間後に未来が出てきて、俺達も中に入ってほしいと言われたのだ。流石に残っていた俺達も当初は断ろうと思ったのだが、アリアが頼んでいると言われたのだ。

流石の俺達もその言葉に驚いたが、頼んでいるのがアリアなのもあり、俺達は響達がいる場所に移動した。

ちなみにであるが、ここに入る途中で玲奈と出会い、玲奈も一緒に入って行く事になった。

 

 

アリア達がいた場所は、背後に何処かの神社と桜並木をモチーフにした絵が描かれている場所で、アリアはその絵を懐かしそうに見ていた。

 

「これって、確か幻想郷っていう場所にある博麗神社の絵ですね。」

 

「玲奈、この絵の場所が分かるのか?」

 

「うん。友達がやっているシューティング系のゲームの世界にある架空の神社なの。でも、何で?」

 

玲奈が不思議そうにしていたら、アリアが俺達のほうに顔を向けてきた。

 

「私が『本当に帰りたい場所』だからですよ。私は、別世界に存在するある世界で、この幻想郷に入ってしまった人間であり、幻想郷で生きていくと決めた人間なんです。まぁ今はとある理由で産まれた世界にいるんですけど……」

 

流石の発言に俺達も驚いたのだが、アリアは同時にこの絵が自分が知っている場所の風景と似ていた為、ここで皆と一緒に記念撮影をしたいと言ったのだ。

 

俺達もそれを了承したのだが、ただで記念撮影をするのはあれなので、全員でコスプレをする事になった。

ちなみにであるが、この幻想郷という世界とはまったく関係ないような衣装で全員写っていたが、アリアから幻想郷は『全てを受け入れるこの世で最も美しく、残酷な世界』と言われたのもあり、個人個人の衣装で記念撮影となった。

 

ちなみにであるが、アリア自身も幻想郷に入った時に、今回と似た事案がおきたらしく、そのことが原因でこういう風なコスプレはある意味慣れているらしい。

撮影した写真は、アリアは携帯等の記録端末を持っていなかったので、現像してもらった写真を、ここで売っていた小さな写真入れに入れ、嬉しそうにしていた。

 

ただし、帰ってここで写した写真をアザゼルさん達や他人に見せるのはアリアから禁止されたのだが、どうしても無理に見ようとしたアザゼルさんにアリアがブチキレた。

 

「………………その写真を見ようだなんて考えているなら、こちらも考えがありますよ?」

 

『なんだ?オレの出番か?』

 

そんな彼女の雰囲気に引き寄せられたかのように、赤と黒で彩られ黄色い目を持つ、デフォルメされたコウモリが現れ………………ってソイツは!?

 

「へ?……お、おい、アリア……ちゃん?」

 

「アザゼルさん………………絶滅せよ…‼」

 

『喜べ‼絶滅タイムだ‼ガブリッ‼』

 

「総員退避ぃーーーーーー‼‼」

 

その後のアリアの暴走は、アザゼルさんだけでなく、俺達まで被害を受けそうだったので、闘魂ブーストと光龍ガングニールフォームになった俺とイッセーの連続ライダーキックと、玲奈のオメガブラストの30連射でなんとか止まった。……………………10回ぐらい死にかけたけど……

 

その後アザゼルさんは奥さんからお叱りを受けて、俺達が不憫だと思うほど暗くなっていた。

 

 

 

 

それから色々とあって、アリアの帰る時になり、彼女の頼みで駒王町にある小高い丘の上にいた。

 

「そろそろお別れ……か…」

 

「色々とご迷惑を御掛けしました。」

 

「誰もそんな事気にしてないさ。向こうでも元気でやれよ。」

 

「…せっかくヒーロー仲間が増えたのに…」

 

「帰っちゃうのはやっぱり寂しいデスよ。」

 

「ほら、我が儘言わないの。アリアにも向こうでやることがあるんだから。」

 

調ちゃんと切歌ちゃんは寂しそうだが、排除されるのを避けるにはこれしかないんだから仕方ない。

 

「アリアちゃん、向こうでも頑張ってね‼」

 

「貴殿の健闘を祈っているぞ。」

 

「ま、お前なら大丈夫そうだけどな。」

 

「もし、また来れたら何時でも寄ってね。」

 

「はい、その時は是非‼」

 

未来さんの言葉にアリアは笑顔でそう返す。

 

俺達の後ろではアザゼルさんとキャロルさん、木場に塔城さん、シトリー眷属やみくるさん、美月さんに玲奈もいて笑顔でそれを見ている。

 

そちらにも挨拶に向かっていき、アザゼルさんの所でなにやら真剣な顔つきで話をし、途中から映像通信でサーゼクスさんに繋いで話しているのが見えた。

 

それが終わると、今度はイッセーの所に来た。

 

「アリア、君には本当に助けられたな。こんな力まで貰っちまったし。」

 

「私も感謝しています。こうして自由に動ける様になれましたから。」

 

「気にしないでください。それが私のできる事だったんですから。それからタケルさん、あなたにこれを。」

 

イッセーとメイルさんの感謝の言葉にアリアはそう言った後、俺に真っ白な状態の形が微妙に違うでっかい眼魂と此方を睨んでいる目をした青紫の禍々しい眼魂を渡してきた。

 

「これは?」

 

「おっきい眼魂ですね。もう1つは凄まじい力を感じます…………あれ?上の絵柄が描かれてない?」

 

その2つを見たエルナは不思議がっていたが、俺には何故かそれらが頼もしく見えた。

 

「白い方は英雄の方達が関係しています。もう1つの眼魂【ディープ眼魂】共々、時が来たら貴方の力になってくれる筈です。」

 

「いいのか?君の使うべきアイテムなんじゃ…」

 

「ディープ眼魂は私も持っていますし、白い方は私が使おうとしたら何故か動けないですし、無理に使おうとすると寿命が縮むらしくて……でも、タケルさんなら使いこなせる筈です。」

 

「…………わかった、ありがたく貰うよ。」

 

「はい…………あれ?」

 

その時、アリアの中から32個のライダー眼魂が出てきて、俺の周りを漂ったあと地面に着地した。

 

「何でライダー眼魂が…」

 

「どうやらタケルさん達の力になりたいみたいですね。」

 

「そしたら、お前の力が…」

 

「いえ、私の中に彼らの力を感じていますので、おそらくそちらが分身みたいなものだと思います。力は変わらないですけど。」

 

「本当に俺に力を貸してくれるんですか?」

 

そう聞いたら、まるで頷くかの様に眼魂が動いた。

 

「先輩達……ありがとうございます。」

 

この人達の魂に恥じない様にならないとな……

 

「では、お別れの前に私から皆さんにプレゼントがあるので、私の前に集まって目を瞑ってください。」

 

『『『『『?』』』』』

 

何をするのか分からないけど、俺達は彼女の前に行き目を閉じた。

 

それから数秒間待って……

 

『もう開けて大丈夫です。』

 

そう言われて目を開けたら…………目の前に【地球】が見えた。

 

『どうですか?月から見た地球は?』

 

どうやら俺達はウルトラマンゼロに変身したアリアの手の上にいて、バリアで守られているようだ。

 

「ほう、こんな光景をキャロルと見られるなら長生きも悪くねぇな。」

 

「ああ、オレもそう思うよ……旦那様。」

 

アザゼルさんはキャロルさんを抱き寄せながら、2人で景色を見ている。

 

「これは……見事なものですね…」

 

「いえ‼自分は会長の方が…………その、あの……ですね…‼」

 

「はぁ……匙、しっかりしなさい。」

 

匙は会長と良い雰囲気になりたいみたいだけど、肝心なところでヘタレになり、副会長に呆れられてる。

 

「うぅ~‼こんなのがあるなら、彼と来ればよかった~‼こういう時まで探し物をしなくても~‼」

 

「仕方ないでしょ?“アレ”はとても重要なものなんだから…」

 

「でもでも~ッ‼」

 

「はいはい、今回は諦めなさい。」

 

美月さんは荒れてるみくるさんを宥めていた。この前から言ってる“彼”って誰なんだろう?

 

「綺麗ですね~。」

 

「ん?エルナか、そうだな。」

 

隣に来ていたエルナの言葉にそう返す。そういえば、エルナにも色々と心配掛けたっけ?

 

「今回は色々と悪かったな。心配ばかり掛けて。」

 

「本当ですよ。あの時はタケルさんが消えちゃうんじゃないかとハラハラしてたんですから。」

 

「俺そんなに落ち込んでた?」

 

「ええ。」

 

そんな風に見えてたのか……あの時の俺は。

 

だったら何かお詫びを考えないとな……つってもこれしか浮かばねぇや。

 

「ならその時のお詫びに、今度の休みどっか遊びに行くか?」

 

「え!?そ、それは…………ふ、ふふふ2人きりで……ですか…‼」

 

「一応そのつもりだけど?やっぱ男と2人きりってのはいや「いえ‼是非行きましょう‼」お、おう…」

 

こんな感じで俺は彼女と出掛ける約束をした。

 

後ろから「お兄ちゃん、大胆‼」とか「エルナさん、頑張れ‼」なんて聞こえてくるのはなんでだ?ただ、出掛けるだけなのに。

 

『そろそろ戻りますね。』

 

地球に戻り、ゼロの手の上から降りた俺達はゼロの方を向いた。

 

「最後に良いもの見させてもらったよ。」

 

『私も皆さんの絆の力を見させてもらいました。もし、これから先どんな困難が待っていてもその優しさを忘れないでくださいね。弱い人達を労り、互いに助け合って、どんな存在とも仲良くなれるという思いを失わないでください。例えその思いがどれだけ裏切られても。それが、私が皆さんに託す願いです。』

 

「ああ、分かったよ‼」

 

『では、皆さん……さようなら‼』

 

そう言って、ウルティメイトイージスを装備した彼女は、時空を跳躍して消えていった。

 

「誰とでも仲良くなれる……か…」

 

その言葉にあることが浮かんだ俺は、ムサシ眼魂を手に持った。

 

「それなら、この英雄達とも仲良く出来るかもな。」

 

そうしたら、ムサシ眼魂が赤い光を発した。

 

「へ?…………うおッ‼」

 

そのまま俺は中に吸い込まれた。

 

気がつくと、俺は道場のような部屋にいて目の前には赤の羽織に2本の剣を肩から下げ、刀の持ち手が髷になり銀のはちまきを巻いたようなフードの中から赤い眼を覗かせている黒い身体の存在がいた。

 

『此度の戦い、友のために良く戦った‼』

 

「もしかして……宮本武蔵?」

 

『いかにも‼拙者が剣豪、宮本武蔵である。』

 

どうやら俺は眼魂の中にいるみたいだ。

 

こんな機会は滅多にない……なら‼

 

「頼む、ムサシ‼俺はアイツを……仲間を守れるようになりたい‼だから……これからも俺に力を貸してくれ‼」

 

俺はその場で土下座をしながらそう頼んだ。

 

『面を上げろタケル。解っておる、及ばずながらこの武蔵、これからもお主の力になることを約束しよう。』

 

「あ、ありがとうございます‼」

 

『だがお主に協力的でない英雄もいる……だからタケルよ‼なにがあろうと決して折れる事のない心を持つのだぞ‼』

 

「はい‼」

 

当たり前だ‼この思いは何があろうと折られてたまるか‼

 

『さて、外でおなごが心配しているようだ。もう戻るといい。』

 

そして、武蔵が再び光を放ち、それが終わると俺はさっきの場所に立っていた。

 

「タケルさん‼大丈夫ですか!?」

 

隣にはエルナがいて、心配そうに俺を見ていた。

 

「あれ?俺はどうして…」

 

「いきなり立ったまま気を失ってたんです。何があったんですか?」

 

「ああ、ムサシと会話していたんだ。」

 

「ムサシと…?」

 

「うん、決して折れぬ心を持てだってさ。」

 

「折れない心ですか……格好いいですね。」

 

「さすが英雄ってところだな。」

 

「お~い‼2人とも‼置いてくぞ~‼」

 

少し離れた所でイッセーが俺達を呼んでいた。

 

「行くか。」

 

「はい。」

 

俺とエルナは並んで歩き出した。仲間の元へ。

 

 

 

 

 

アリアside

 

元の世界に戻った私が時間を確認すると、飛ばされた日から数分くらいしか経っていなかった。

 

「次元跳躍の影響でしょうか?何日も向こうにいたから怒られないだけマシかもですね。」

 

そして私は空を見上げた。そこには無限に広がる青空があった。

 

「タケルさん、イッセーさん、皆さんの未来に無限の可能性があらんことを。」

 

そして同時に、今回の首謀者であり、犠牲者でもあった京極慶吾のことだった。

何故彼があんな事をしたのかは調べておいた。同時に、とんでもない事実も分かったが、それはアザゼルさん経由で報告しておいたので、大丈夫だろう。

 

「京極慶吾、汝(なんじ)の魂に幸(さわ)いあれ。」

 

そう思いつつ、私はこの世界にいる仲間の元に帰って行った。いつか私の帰りを待っている『大切な家族の下』に帰る為に、私はこの世界でなすべき事をなす為に。

 

そして、あの記念写真は私の大切な宝物なのだから……

 




いかがでしたか?

宗二達の判決は次回に書きます。

メイルの擬人化は思い付いてもいなかったのですが、この度外に出られる事になりました‼

外見は名前を検索してくだされば出てくるキャラで、普段は鎧と剣を仕舞って、水色のワンピース姿です。

場合によっては彼女単独の話を書くかもです。

まぁ、しばらくは本編中心で番外的な話は三勢力会談後にします。

では、次回からエクスカリバー編になりますので、お楽しみに。


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月光校庭のエクスカリバー
新たな事件


今回からエクスカリバー編になります。

この章は少し早めに進めていこうと思います。

では、どうぞ‼


一誠side

 

眼魔の王との戦いや異世界の少女との別れから数日経ち、俺は一部変わったがそれほど変わらない日常を送っていた。その変わった一部が……

 

「主、起きてください。朝ですよ。」

 

「う~ん……あと5…」

 

「5年ですか?」

 

「先にオチを言うなぁ‼」

 

こんな風にメイルが出てこれるようになったので、今までの1人暮らしから2人暮らしになった。

 

朝食を作り、メイルと共に食べ始める。

 

「主は今日も学校ですか?」

 

「まあ、休日以外は学校行くのが仕事だからなあ…メイルはどうするんだ?」

 

「私はまたこの町を見て回ろうと思ってます。何かおいしい食べ物が見つかるかもしれませんし………ジュル……」

 

「おい、ヨダレ垂れてるぞ?」

 

「ハッ!?」

 

俺の言葉にメイルはあわてて口元を拭った。

 

因みに最近のメイルの趣味は食べ歩きと推理ドラマだ。

 

「無駄使いするなよ?」

 

「それくらい分かってますッ‼」

 

俺の忠告にメイルは頬を膨らませた。

 

一応ある程度のお小遣いは渡してあるが、残金を考えているか心配だ……前借りはさせないけど。

 

「それじゃ、行ってくる。」

 

「いってらっしゃいませ。」

 

そして、メイルに留守を任せて、俺は学校に向かった。

 

「あ、イッセー‼おはよー‼」

 

「おはよう、一誠君。」

 

「おお、おはよう、響、未来。」

 

途中で響と未来に合流したので、そのまま3人で学校に向かう。

 

「最近の修業の調子はどう?」

 

修業というのは【survive】のカードを使えるようにする為のもので、かなり厳しい内容になっている。

 

「そう簡単にはいかないさ、あの力を使いこなすにはまだまだだって。」

 

「そっか―、じゃあもっとガンバロー‼」

 

「「おおー‼」」

 

そんな感じで話しながら登校し、教室の扉を開けて中に入ると机の上に突っ伏している桐生がいた。

 

「どうしたんだ?疲れてるみたいだけど?」

 

「んん~?……ああ、イッセー達か。最近バイトがきつくなってきてね…」

 

「そんなになのか?」

 

「内容は言えないけど、案外ハードになってきてさ……さすがにクタクタになってきたよ…」

 

「でも、時給は良いんだよね?」

 

「まあね。」

 

「あんまり無理しないでね?」

 

「ありがとう……悪いけど、HR始まったら起こして。」

 

「わかったよ。」

 

「んじゃ、オヤスミー…」

 

そんなタケルのベルトの変身解除の音声みたく言って眠った。

 

「いったい何のバイトしてるんだろ?」

 

「さあな、俺もよく分からん。」

 

「とりあえず寝かせておこう?」

 

桐生を寝かせたまま、俺達が席に着いたら丁度担任が入ってきたので直ぐ様桐生を起こすため、隣の席の未来が揺すっていた。

 

 

 

 

タケルside

 

放課後になり、俺はイッセーの元に向かった。

 

「なあイッセー、俺もお前のしゅ「タケルか、ちょうどよかった。」ん?どうしたんだ?」

 

「オッチャンが俺達を呼んでるんだ。何でも重要な案件だとか…」

 

「重要な案件?」

 

イッセーの修業に付き合わせてもらおうと思っていたのに、何があったんだ?

 

「裕斗と小猫達にも一緒に来てほしいそうだから、呼びに行くぞ。」

 

「あいよ。」

 

イッセーと一緒にメンバーを集め、人目がつかない所でオッチャンがいる冥界に転移アイテムで移動する。

 

転移するとアザゼルさんの他にキャロルさんにファラさんにレイアさん、ガリィとミカさんもいた。

 

「おいこらタケル、テメェ今アタシの事呼び捨てにしやがったな?」

 

「いいえ、別に?」

 

「フン‼ならいいけどね。」

 

ガリィさんに睨まれた俺は、とっさにそう言った。

 

やッべェ~!?本気で殺されるかと思った!?

 

「気を付けろよ、ガリィさん怒らせたらマジで怖いから。」

 

「どんくらい怖いんだ?」

 

「そりゃ………………………………(ガタガタブルブル)」

 

「スマン、聞いた俺が悪かった…」

 

俺が聞いた瞬間、イッセーの顔が青くなり思いっきり震えだしたのですぐに謝った。

 

いったいどんな目にあったんだ、お前は……

 

「そろそろ話していいか?」

 

「あ、どうぞ。」

 

「まずは先日の事件での、グレモリー達の処遇が決まった。グレモリーと姫島は魔力封印五千年に人間界への移動制限、レーティングゲームへの参加の永久凍結だ。宗二の方は魔力と神器の永久封印と身体能力を一般人にまで下げる首輪の着用がプラスされている。どれか1つでも破った場合はその場で【はぐれ】として狩ってよしだと。」

 

「移動制限の方は奴等が高校を卒業してからになるが、魔力が使えなければ怖くもないだろ。」

 

まあ、少し不服だが妥当だろうな。

 

「それと実はついさっき大変な情報が入った。」

 

「情報?」

 

「教会から【エクスカリバー】が3本盗まれたそうだ。」

 

「ッ‼」

 

『『『『『ええッ‼‼』』』』』

 

その情報に皆が驚くが、俺は別の意味で驚いていた。

 

「エクスカリバーって複数あんのか?」

 

「タケルは知らないのか、エクスカリバーは過去にあった天使、堕天使、悪魔の戦争で折れちまったんだ。」

 

「聖剣でも折れるのかよ!?」

 

「まあな、それの破片を回収して錬金術で七つの剣に修復させたのが今のエクスカリバーだ。」

 

マジか……エクスカリバーが複数あるなんて、レア度下がってんじゃん。

 

「今回はその内、【天閃(ラピッドリィ)】【透明(トランスペアレンシー)】【夢幻(ナイトメア)】の3本が奪われたそうだ。」

 

「犯人は誰か解ってるんですか?」

 

イッセーがそう言うと、アザゼルさんは険しい顔になった。

 

「実は……エクスカリバーを盗んだのは堕天使なの。」

 

『『『『『ハアァァァァァァッ!?』』』』』

 

ファラさんが質問に答えると、全員が再び驚いた。

 

「レイナーレ達以外にもいたんだ……バカな事するのは…」

 

「それで誰なのだ?そのような騒ぎを起こした不届き者は?」

 

「それは……」

 

翼さんの問いにファラさんはイッセーを心配するように見た後……

 

「エクスカリバーを盗んだのは…………【コカビエル】よ…」

 

そう告げた。

 

「は?……嘘…だろ?」

 

「残念ながら本当なの。」

 

「随分と派手な事をやる。」

 

「そう?アタシはいつかやるとは思ってたけど。」

 

「まぁやっちゃったもんはしょうがないゾ。」

 

なんでイッセーはあんなに動揺してるんだ?

 

「そんな…あの人がそんな事するわけ…」

 

「事実だ。認めろ。」

 

否定しようとしていたイッセーにアザゼルさんが現実を突きつけた。

 

「この問題に関して堕天使陣営はコカビエルの確保を決めた。今の潜伏場所も特定してある。お前達にはそこに向かって奴の足止めを頼みたい。」

 

「足止め?なら、捕まえるのは?」

 

「捕まえるのは旦那様の【新装備】が完成次第、旦那様自身がやる。」

 

「そういう事だ。」

 

新装備?どんなのなんだろう……気になるな。

 

「その必要はない。あの人は……コカビエルは俺が止める…‼」

 

そう言ってイッセーは情報が入った端末を掴み取り、部屋を出ていった。

 

「あ、待ってよ‼イッセー‼」

 

その後を響さんに未来さん、調ちゃんに切歌ちゃんに塔城さんが追っていった。

 

「どうしたんだ、アイツ…?」

 

いつもと雰囲気が随分違うような……

 

「お前達も行ってくれ。今のアイツは無茶しかやらねぇからな。」

 

「分かりました。」

 

アザゼルさんの言葉で俺とエルナ、翼さんとマリアさんも出ようとしたが……

 

「ワリィけど、先に行っててくれ。」

 

クリスさんが木場の肩を押さえながら、そう言った。

 

「どうしたのだ?雪音?」

 

「ちょっとコイツと話があるんだよ。」

 

「……離してくれませんか、雪音先輩?」

 

「いいからこっちに来い‼」

 

「わかった、なるべく急げ。」

 

「あいよ‼」

 

木場を掴みながらクリスさんは部屋を出た。

 

なんなんだ?一体何を抱えてんだよ、お前らは……

 

そんな疑問が頭の中で渦巻いていくが、今はイッセーの元に向かうのが先だと思い、俺も部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスside

 

アタシは木場を引っ張りながら、グリゴリ本部の中庭に来た。

 

「いい加減に……してください‼‼」

 

そこで木場がアタシを力任せに振りほどいた。

 

「何なんですか!?僕は行かないといけないのに‼」

 

「今のお前が行ったら、邪魔にしかならねぇからだよ。」

 

「何を根拠に…‼」

 

「その目だ。」

 

木場の目を指差しながらそう告げる。

 

「目…?」

 

「ああ、今のお前の目は昔のアタシにそっくりだったからな……敵に対する復讐のみを写してたアタシの目に。」

 

「ッ!?」

 

アタシの言葉に木場が驚いた表情になった。

 

「何驚いてんだよ?アタシがそんな事を考えたこともない箱入りの娘だとでも思ってたのか?」

 

「それは…」

 

「んな事はどうでもいい、お前は何を憎んでいるんだ?」

 

「雪音先輩には関係ありません…」

 

「なら、お前をここから出すわけにはいかないな。」

 

「くッ!?」

 

アタシは木場の後ろに回り込み、腕を捻り上げる。

 

「今のお前が行ったら、戦場をかき乱すだけだ。それで仲間が傷つく所なんかもう見たくないんだよ‼」

 

「ッ‼‼」

 

そこで木場が力を緩めたので、アタシも腕を離した。

 

「そうですね……あの時のイッセー君みたいに誰かが傷つくのは僕も見たくないですから…」

 

「わかりゃあいい、んで?何が憎いんだ?」

 

「雪音先輩は【聖剣計画】をご存知ですか?」

 

木場の話した単語はアタシも聞き覚えがあった。

 

「一応教会にいたからな。聖剣を使えるようにするための計画だったか?」

 

「ええ、僕はその計画の被験者なんです。あの時は僕や仲間は神のために働けると思って一生懸命でした。でも、適性がないとわかると教会の奴等は僕達を毒ガスで殺そうとして、僕だけは仲間が逃がしてくれたんです。」

 

そこで木場は拳を握り締めた。

 

「だから僕は彼等の仇を討ちたいんです‼そうしないと僕は、逃がしてくれた彼等に会わせる顔がない‼」

 

「そうだったのか…」

 

コイツも色々と辛い体験をしてきたんだな……

 

「でも、それで今の仲間を傷つけてしまっては仲間に会えた時に怒られちゃいますね…」

 

「かもな。」

 

こっちに向き直った木場の顔は、憑き物が落ちたようになっていた。

 

「ありがとうございます。話を聞いてくれて……少し心が楽になりました。」

 

「なら、良かったよ。」

 

「そういえば雪音先輩も教会にいたと言ってましたけど、何故イッセー君の仲間に?」

 

そうだな……コイツにならいいか。

 

「なら教えてやるよ。アタシ達聖遺物を使う奴等がイッセーの仲間になるきっかけになった教会の実験……【神兵計画】についてな。」

 

 




いかがでしたか?

次の話は響達シンフォギアメンバーの過去話になります。

実験の内容からイッセー達の出会い、潜伏場所の攻撃に教会組の登場までやろうと思っています。

次回、【神兵計画】

それでは、また次回に。


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神兵計画 前編

どうも、疾風の警備員です。

前回で教会組の登場までやると書きましたが、長くなりそうなので前後編に分けます。

シンフォギアメンバーが受けた神兵計画が明らかとなっていき、また懐かしいあの男も出てきます。

では、どうぞ


木場side

 

「神兵計画…?」

 

僕はその単語に聞き覚えがなかった。

 

「知らねぇのも無理ねえさ、この計画は幾重もの情報統制の元に行われていたからな。」

 

そこまでの機密性を持った計画なんて……

 

「この計画の目的は【神の武器を使う悪魔祓い師を作る】事さ。」

 

「神の武器…」

 

「アタシのイチイバルは狩猟の神であるウルが使用する武器。他に有名なのは立花の使うガングニールか?あれはオーディンの持つ槍【グングニル】のプロトタイプだしな。」

 

「でも、そんな物をどうやって教会は手に入れたんですか?」

 

神の武器なんてそんな簡単に手に入る訳がない。いったいどこから……

 

「過去に神同士の戦いが起きた場所に信者を送って、戦闘で欠けた破片を持ち帰らせてそれを使ったのさ。」

 

なるほど、その破片が……。

 

「ま、その捜索をしていた信者は聖遺物を渡した後に殺されたよ。計画をほんのちょっと知ったってだけで。」

 

「ッ‼そんな!?」

 

自分達の計画の為に信者を利用した上に殺すなんて!?

 

「そして調査の結果、その聖遺物は女子に反応しやすいとわかり、世界中の孤児院から沢山の子供が集められた。」

 

「最初は破片から武器へと復元させて、それを使わせる予定だった。しかし、それが無理と分かると奴等はやり方を根本から変えた。武器から人の改造にな?」

 

「そこからは実験の毎日だった。薬物投与は当たり前で他にも身体の一部を切り飛ばされて機械の義手や義足を付けられたり、脳をいじくりまわされた奴もいりゃ他の動物の遺伝子を入れられて人間じゃなくなった奴も出た。それでも適合する奴は現れなかった。」

 

「この事に焦りを感じた研究者の1人が、とんでもない事を思いついたのが悲劇の始まりになっちまった……」

 

「とんでもない事?」

 

いったい何を思いついたんだ?

 

「人間と聖遺物の【融合】だよ。」

 

「融合?」

 

「ようは適性の高い人間に聖遺物を埋め込ませる事で、強制的に適合させようとしたのさ。」

 

「まさか……その時に選ばれたのが…」

 

「そう、アタシ達だ。」

 

そんな……先輩達の過去にそんな事が……

 

「聖遺物は適合率を最大限に高める為に、心臓に埋め込まれ、それから暫くは激痛がアタシ達を襲った。ホント、何度死にたいと思ったことか…」

 

「でも、今ここにいるということは……適合したんですね?」

 

「ああ、でっかい爆弾を抱えてな。」

 

「爆弾?」

 

それはいったい……

 

「その爆弾がいつ爆発するか怯えながら、アタシ達は実験を繰り返された。」

 

「実験?」

 

「人と融合した聖遺物がどれ程の力を持つのか……のな。」

 

その時、僕はこの話を聞かない方が良かったのかもしれないと思った。何故なら……

 

「実験の内容は…………適合しなかった、或いは適合試験が行われなかった奴を【的】にした戦闘だった。」

 

僕の過去よりも凄惨だったのだから…

 

「生きたい一心で毎日毎日、仲間を殺していく日々……アタシ達の心が壊れて爆弾が爆発するのは時間の問題だった………そんなある日、1人の男が施設を強襲した。」

 

「それが、イッセー君…」

 

「ああ、研究者達の神経伝達を解除して動けなくした後に部屋に居たアタシ達を救出してくれたんだ……立花以外な…」

 

「立花さん以外?なら、彼女はどこ「実験用の戦闘場だよ。」……それってまさか…‼」

 

「そう、アイツは実験の真っ最中だった。だからイッセーに助けて欲しいと頼んで、そこに向かったアタシ達が見たものは爆弾が爆発して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒いオーラに包まれ、目を真っ赤に光らせて雄叫びをあげている立花と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

被験者として集められた残り全ての子供達の、大量の血まみれの屍だった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

アザゼルさんの端末を頼りに潜伏場所に行くと、そこは廃棄されたビルの工事現場だった。

 

「ここに…コカビエルが…‼」

 

イッセーはそのまま中に入ろうとした……って!?

 

「なにやってんだ!?罠があったらどうする‼」

 

「何とかする。」

 

「んなもん、無策と変わらねぇよ‼」

 

「それでも行かなきゃいけないんだ‼」

 

俺を振り払って、イッセーは進んでいく。

 

あ~もう‼誰かこのバカを抑えてくれぇ‼

 

「失礼します。」

 

『Remote!』

 

「うおッ!?」

 

もう少しで中に入れる所で、ゆめさんが神器を出してその能力でイッセーの動きを止めた。

 

「何するんだ‼メイル‼」

 

「今の主を行かせるのは危険と判断しました。すみませんが大人しくしていてください。」

 

「クソッ‼」

 

ゆめさんナイス‼

 

その状態のイッセーを響さんに預け、少数精鋭ということで俺はエルナと一緒に中に入った。

 

「エルナ、何か解るか?」

 

「ちょっと待ってください…レオ君、お願いします。」

 

『ガオ。』

 

レオが写っているGEARコマンダーを近くのパソコンに向けると、数秒経って画面に建物の詳しい見取り図が映し出された。

 

「俺達がいるのが、今ここで…」

 

「最上階が目標地点ですね……何かの存在らしき反応もあります。」

 

「なら非常階段で行くべきだな。これなら相手の後ろを取れる。」

 

「分かりました。ありがとう、レオ君♪」

 

「サンキューな、レオ。」

 

『ガオ♪』

 

そして非常階段から上に登り、最上階の扉をゆっくりと開ける。

 

「どうだ?反応は?」

 

「あります。」

 

「よし、なら行「ヘイ‼そこに隠れてるラァ~ブカップルゥ‼とっくにバレ~バレだからとっとと出てきチャイナYO‼」どうやらお見通しか。」

 

中に入ると白い髪に神父を思わせるような服を着た男がいた。

 

「ちょっとちょっと~‼いちゃラブやんなら他の場所でやってよね~。それともなに?見られながらやるのが趣味なんですか!?正直引くわ~…」

 

「お前テンション統一しろよ。」

 

ホント何なんだコイツ…

 

「それはム・リ‼移ろう天気のように俺っちのテンションも変わりやすいのだ‼」

 

「いや、知らねーよ。」

 

「まあ、とりあえず死ねや‼」

 

そう言って男はどこからともなく1本の剣を取り出して、俺達に振り下ろしてきた。

 

「チッ‼」

 

俺はすぐにゴーストドライバーを出し、そこからガンガンセイバーを出して受け止めた。

 

「およ?」

 

「タケルさん‼」

 

「お前は下がってろ‼」

 

俺は蹴りを繰り出すが、男は余裕で回避して下がった。

 

「あらら~、おたくやりますねぇ?」

 

「何者か知らねぇがそっちがその気なら、倒させて貰うぞ‼」

 

闘魂ブースト眼魂を取り出し、バックルに入れる。

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼》

 

「何か知らんが今がチャー…ンバッ!?」

 

眼魂を入れる隙を突いて男が飛び掛かってきたが、バックルから出た闘魂ブーストゴーストに弾き飛ばされた。

 

「変身‼」

 

《闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

闘魂ブースト魂に変身した俺はフードを脱ぎ、新たにサングラスラッシャーを手に持つ。

 

「ちょ!?何すかその姿!?コスプレですか!?未だに治らない中二病ですか!?」

 

「ウッセェ‼自覚はあるわ‼」

 

人が微妙に気にしている事を…‼

 

サングラスラッシャーを振るうと向こうも剣を振るい、つばぜり合いになる。

 

「おほッ‼想像以上のパワーじゃん‼」

 

「仮面ライダーなめんなコラァッ‼」

 

更に力を込めて弾き飛ばすも、猫のような動きで華麗に着地した。

 

「あちゃ~‼こりゃ無理だ、パワーじゃ敵わないや。」

 

「なら諦めて投降しろ。」

 

「それはイ~ヤ♪俺様は自由に生きて悪魔達をチョンパしていくんだい‼」

 

「グアッ‼」

 

そう言うと男はその場から消え、瞬間俺の背中に痛みが走った。

 

「何だッ!?」

 

「この【天閃(ラピッドリィ)】スゴいよぉ‼さすがエクスカリバーの一振りィ‼」

 

エクスカリバー!?まさかコイツ‼

 

「お前、コカビエルの仲間か‼」

 

「ありゃ、旦那の名前もうバレてるんすね。なら、死んでちょ‼」

 

「死ねッか‼」

 

高速で動き回る男の剣を何とか受け止めていくが、速すぎて反撃の隙がねぇ!?

 

「せめて眼魂を変えられれば…」

 

「オートプレッシャー‼」

 

その時、オレンジ色の波動が放たれ、動き回っていた男に当たると動きが一気に遅くなった。

 

「うおッ!?何なに!?身体重ッ!?」

 

「エルナか‼」

 

「タケルさん‼今のうちに眼魂を‼」

 

「ああ‼」

 

俺はカブト眼魂を取り出して横のスイッチを押し、ナンバリング状態にする。

 

「先輩…力、お借りします‼」

 

そして闘魂ブースト眼魂を出し、カブト眼魂と入れ換えてレバーを引いて押し込んだ。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼カブト‼今すぐ加速‼キャストオフ‼》

 

カブトゴーストを纏い、闘魂カブト魂になるとエルナも波動を止めた。

 

「あ~びっくりドンキーっすよ‼危うくペチャンコになっちゃうかと思っちった‼」

 

「なっても平気な顔して斬りかかりそうだな、お前。」

 

「敵からも特別扱い‼やっぱり俺様、最高‼」

 

「褒めとらんわ‼」

 

この男といるとツッコミだけで疲れる……

 

「何にせよ、この【天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)】、俺呼んで……チョッパヤの剣に追いつけるかよ‼」

 

「だったらテメェも高速のヴィジョンを見逃すなよ?ついて来れるならな‼」

 

瞬間、俺達は高速の世界に入った。

 

 

 

 

クリスside

 

木場の奴に神兵計画の話をしていく度にその時の光景が目に浮かんでくる。

 

あの日はどしゃ降りの雨で実験が行われる直前に施設内にサイレンが鳴り響いた。

 

「何だ!?何が起きてんだよ‼」

 

部屋の外では銃を装備した警備が慌てた様子で何かを話していた。それを聞き取ろうとしても、防音が効いた部屋にはサイレン以外何も聞こえなかった。

 

「チックショウ‼何がどうなってやがんだ‼」

 

その時、扉の窓からさっきの警備が倒れるのが見え、その奥に1人の男が立っていた。そして部屋の中を1つ1つ覗いていきアタシの部屋の中を見たら剣を出して扉を切り裂いた。

 

「大丈夫か!?」

 

「な……だ、誰だお前ッ‼」

 

「俺か?俺は龍見一誠、この施設に雨宿りの為に入ったら急に襲われたから逆に攻め込んでる男さ。」

 

「はあ?」

 

最初は何言ってんだコイツ…って思ったっけ……

 

でも、その後も一誠は翼センパイやマリア、調に切歌に未来も助けてくれた。

 

「これで全員か!?」

 

その言葉にアタシは頷こうとして……

 

「待って‼響が……友達が実験場に連れてかれてて‼」

 

未来の奴がそう言って……

 

「わかった‼場所はわかる?」

 

「はい‼こっちです‼」

 

何の躊躇いもなくついて行きやがった。

 

途中で会った警備の連中は一誠が剣で動けなくして、実験場に着いた時にアタシは違和感を覚えた。

 

「おかしい……静か過ぎる…」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、本来なら銃声や爆音が聞こえてくるはずなのだが…」

 

「中でいったい何が………悪いけど、君達は出口を探してきてくれないか?」

 

その時、一誠がそう言い私達は不思議に思った。

 

「え?どうしていきなり…」

 

「中にいる人を助けたらすぐさま脱出できるようにしたいからさ?頼んでもいいかい?」

 

「…わかった。」

 

「行ってくるデス。」

 

「ちょっと!?待ちなさい‼」

 

「2人だけでは危険だ‼」

 

調と切歌が一誠の言葉で走り出し、マリアと翼センパイがそれを追いかけていった。

 

「君達もお願いして「アタシは残らせてもらう。」へ?」

 

「アタシはアンタを完璧に信用した訳じゃない。」

 

でも、アタシはこの違和感が何なのか知りたくて……

 

「私も響を助けたいんです‼」

 

未来は立花を助けたくて残った。

 

「……………………わかった、但し覚悟しておいて欲しい。」

 

そう言って一誠が扉に手を掛け……

 

「この先にあるのは…」

 

思いっきり開けると……

 

「地獄だ。」

 

『ウゥゥゥゥゥゥゥゥオオオォォォオオオオオオオオォォォォオォォォォォォォォォォォォッ‼』

 

そこには、地獄が広がっていた。

 

 




いかがでしたか?

次は2つの決着と教会組の登場まで書いていきます。

次回【神兵計画 後編】

では、また次回で


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神兵計画 後編

どうも、疾風の警備員です。

今回は後編です。

では、どうぞ‼


タケルside

 

「ヒャッハァッ‼」

 

「ゼラァッ‼」

 

高速の世界の中で奴のエクスカリバーと俺のサングラスラッシャーの軌跡が何度もぶつかる。

 

「こンのクソガキがァッ‼」

 

「ウッセェンだよ‼」

 

上段から全力で振り下ろされた剣をサングラスラッシャーで弾き、お返しに左足で蹴ろうとするがあり得ないくらいに身体を捻り回避された。

 

「くそ…曲芸師かよ、お前は‼」

 

「コスプレ野郎には負けますけどね~♪」

 

「おし、ブッコロ確定‼」

 

一気に接近して右足の上段回し蹴りを放つ。

 

「イェイッ‼」

 

それを奴はマトリ◯クス並みに身体を反らして避けられ、背中を見せてしまう。

 

「んなッ!?」

 

「からの~…I'll be ba~ck‼」

 

そこから起き上がりの勢いもプラスさせて剣を突き出してきた。

 

「なんのッ‼」

 

俺はすぐさま剣を背中に添えるようにのせ、その上を滑らせるようにして受け流す。

 

「ワァオッ‼やっぱアンタチョーイイネ‼サイコーだぜ‼」

 

「そおらッ‼」

 

剣を弾き飛ばして、振り返りながら剣を横凪ぎに振るう。

 

「ちょいさッ‼」

 

「うぐッ‼」

 

それは受け止められ、お返しの蹴りを腹に貰ってしまい、タイミング悪くそこで高速状態が終わってしまった。

 

「しまった!?」

 

「タケルさん!?」

 

「その隙、ゲットだぜ~‼」

 

そこに男が剣を振り下ろしてきた。

 

ダメだ……回避は間に合わない……

 

その時、

 

「【イリュージョンフラッシュ】‼」

 

エルナが一瞬で俺の前に出てきて、

 

「【ファイヤーウォール】‼」

 

炎の防壁で攻撃を受け止めた。

 

「What's!?」

 

「【クラッシュレイ】‼」

 

更に左手の指先から細いレーザーを放ち、エクスカリバーに当たると聖なる輝きが消え、奴の高速状態も終わった。

 

「なんじゃこりゃ~ッ‼」

 

それを見た男は一気に俺達から距離を取った。

 

「なんすかアンタ!?1人びっくり箱かよ‼」

 

「エルナ…?」

 

「僕だって、何時までも守られているだけじゃありません‼」

 

そう言ってダウルダブラを取り出し、音色を奏でた。

 

「ノオォォォォォォッ‼!??タンマ‼皿を擦る音はイィヤァァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

その音を聞いた男は耳を押さえてのたうちまわっている。

 

そういえばアレって、敵には嫌いな音に聞こえるんだっけ?

 

そしてダウルダブラを装着したら、GEARコマンダーを取り出して闘牛の絵を選んでボタンを押し……

 

「ブルドライブ‼インストール‼」

 

それを左腕の端末に繋げた。その画面には英語で

 

『Bull drive standing by』

 

と表示され、右腕を弦が覆っていきそこにはブルホーンの頭部を象った2本の大きな角が付いたオレンジ色の籠手のようなものが装着された。

 

あの角で殴られたらメッチャ痛そう……

 

「おおう…まさかそれでオレッチを殴るなんてことは……」

 

「それ以外何がありますか?」

 

「ですよね~ッ‼」

 

そう言って、男はエクスカリバーに再び聖なるオーラを纏わせ、高速でエルナに迫った。

 

「なら、さっさとチョンパッパ‼」

 

「エルナッ!?」

 

「【クロックマネージャー】‼」

 

が、それを予測してたかのように完璧なタイミングで光弾を使い、男の動きを止めた。

 

「あれ!?動けない!?これが噂のグロフリ!?」

 

「いきます……ヤァッ‼」

 

「非デブッ!?」

 

そしてブルの拳で殴り飛ばした。……つか、おい発音。

 

それにしても、

 

「何で奴が迫ってくるのが解ったんだ?」

 

「実はレオ君の【ハイパースキャン】で彼の思考を最初から読み取って、ある程度行動を予測してたんです。」

 

「んな応用も出来たのか…」

 

エルナの肩にホログラムのレオが出てきて、ドヤァという感じでポーズを取り、エルナがその頭を撫でた。

 

「さっすが、頼りになる子達だな。」

 

「ハイ‼僕の自慢の子達です‼」

 

その時のエルナの笑顔に俺はちょっとドキッとした。

 

「だ~か~らぁ~……いちゃラブしてんじゃねぇぞ‼このバカップルがぁ‼」

 

そこに吹き飛ばされた男が、乗っかっていた段ボールを払い避けながら出てきた。

 

「「あ、生きてた。」」

 

「この程度じゃ、僕は死にましぇ~ん‼…でもでもでもでも‼そろそろヤバいのでフリード…にっげま~す‼」

 

「ッ‼逃がすかよ‼」

 

男が懐に手を入れようとするのを見て、俺はサングラスラッシャーにオレ眼魂と闘魂ブースト眼魂をセットしサングラスを下ろす…

 

「ほな、バイチャ♪」

 

より早く奴が何かを地面に投げつけた。

 

「「うあッ!?」」

 

そしたら眩い光が俺達を襲い、それが消えると男は居なくなっていて……

 

「あう~……目がシパシパします~…」

 

この場には目が眩んでいる俺達と……

 

《メガマブシー‼メガマブシー‼メガマブシー‼》

 

サングラスを下ろす前のサングラスラッシャーからこの状況を的確に表現、かつちょっとムカツク待機音が鳴り響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリス(回想)side

 

一誠が開けた扉の中は、まさに地獄といっても不思議じゃないくらいの光景が広がっていた。

 

身体に穴が空いていたり、手足をもぎ取られた子供の遺体がゴロゴロ転がっていて、その奥にいた立花は今まさに掴んでいた1人の子の頭を胴体から引きちぎった。

 

「なん……だよ…………これは…!?」

 

「ひ……びき…?」

 

『グウウウゥゥゥゥゥゥゥオオオオオオォォォオオォォォォォォォォォォォォッ‼‼‼』

 

その頭を投げ捨て、上を向いて雄叫びを上げる。

 

「………………ひょっとして暴走してるのか?」

 

『早く止めないと、彼女の命に関わるかもしれません。』

 

「行くぞ、メイル‼」

 

『はい‼』

 

「お、おい‼その剣でどうするつもりだ‼」

 

「ダメ‼響を殺さないで‼」

 

一誠は【解放龍の剣(リモートエッジ)】を握りしめ、立花に向かおうとしたところを、それが何なのか解らなかったアタシ達は止めたんだったな。

 

「大丈夫‼この神器なら彼女を殺さずに助けられる‼」

 

「どこにそんな保証があるってんだ‼」

 

そのアタシの言葉に一誠は、

 

「なら、これでどうだ?」

 

剣を逆手に持って自分の腹に突き刺した。

 

「は?」「え?」

 

「よっと。」

 

それに驚いているアタシ達をしり目に、一誠は何事もなかったかのように身体から剣を抜いた。そして、刺さっていた場所には傷1つなかった。

 

「これで信じて貰えたかな?」

 

「お……おお。」

 

今思い出してみれば、解っているとはいえ、よくそんな事を躊躇いもなく出来たなって思う。

 

「んじゃ、行ってくる。」

 

そう言って一誠は暴走している立花の元に向かっていった。

 

『グゥ?ウオワアアアアアアアアァァァァァッ‼』

 

その接近に気づいた立花も、一誠に向かって拳を突き出した。

 

「フッ‼」

 

『ッ‼』

 

それに対して一誠も剣を突き出すと、何故か立花は攻撃を止め回避した。

 

どうして攻撃をやめた?アレなら防御すれば楽にカウンターなり何なりと入れられた筈だ。

 

「セイッ‼」

 

『ガァッ‼』

 

そこから剣を横凪ぎに振るうと、立花はバック転でそれを避け、下がった。

 

そこから何度も一誠が剣を振るい、立花がそれを避ける展開が続いた。

 

何だ?何で回避ばかりなんだ?アタシが見た限りだと反撃できる機会はいくらでもあった。でもどうして…

 

そこでアタシは、立花が一誠の蹴りを受け止めるのを見た。

 

一誠自身の攻撃は避けない?ということは、立花が恐れているのはあの剣か‼

 

その時、立花が死体を踏んでバランスを崩した。

 

『ガッ!?』

 

「貰ったッ‼」

 

一誠がその隙を見逃す筈はなく、躊躇せずに剣を振り下ろした。

 

『ガゥアッ‼』

 

「うわッ!?」

 

が、立花は倒れる勢いを加速させながら足を振るい、踏んだときに付いた足裏の血を一誠の顔に飛ばし命中した。

 

「クゥ‼しまったッ!?」

 

『ガアアアアアアアァァァァァァァァァッ‼』

 

「グハアッ‼」

 

それが隙となり、立花の拳が一誠の腹を打ち抜いた。

 

そのまま、飛んでいき壁に大きな音をたてて激突した。

 

「お、おい‼しっかりしろ‼」

 

「大丈夫ですか!?」

 

アタシ達が駆け寄ると、一誠は身体中から血を流して瓦礫に埋もれていた。

 

「つぅ~‼結構効いたな…‼」

 

『やはり身体能力は向こうが上ですね。このまま戦うのは勝率がかなり低いかと。』

 

「やっぱ“アレ”しかないか…」

 

『なら、制限時間に注意してください。アレは諸刃の剣なんですから。』

 

「わかってるよ。なら絶対に当てないとな‼」

 

「ちょっと待て‼お前、自分の身体の事わかってんのか‼」

 

見た目で重症だとわかるのに、一誠は立花を助ける事しか考えてなかった。でも…

 

「彼女は君達の【家族】なんだろ?」

 

「え?……まあ、そうだな…」

 

この施設で一緒に暮らしてたんだから、家族みたいなもんか?

 

「だったら、俺は助ける……それに彼女も助けを求めてる。」

 

「へ?……あ。」

 

一誠の視線の先を見ると、立花が立っていた。赤く光る目から涙を流して……

 

「待ってろ……今…助けて…」

 

自分がボロボロになろうとも、誰かの家族を助けようとする一誠を見て、コイツなら信じていいかもしれない。そう思ったアタシは……

 

「おい、何か手伝える事はあるか?」

 

自然と、そう口にしていた。

 

「え?それって「いいから何かあんのか‼」じ、じゃあ隙を作ってくれないか!?対抗できる方法はあるけど、20秒しかもたないから。」

 

「隙を作ればいいんだな?なら任せとけ。」

 

「私もやります‼友達を助けたいから‼」

 

「よし、だったら一緒に行くぞ‼」

 

アタシと未来は一誠の前に立って…

 

「Killiter Ichaival tron」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

聖詠を唱えて、シンフォギアを身に纏った。

 

「それは……」

 

「スッゲェムカツクけど、この施設の研究成果だよッ‼」

 

「いくよ……響‼」

 

アタシと未来はその場から駆け出し、左右から回り込むようにして手に持ったボウガンと鉄扇のレーザーで足元を狙い撃つ。

 

『ガァッ!?』

 

足元から砂煙が上がり、それが立花の視界を奪う。

 

そのタイミングで中に入り、立っていた立花の腕を未来と一緒に掴んだ。

 

「今だッ‼」

 

「ああッ‼」

 

立ち上がった一誠は、刀身に握りしめ……

 

『Remote!』

 

神器の能力を発動したら、アイツの力が数倍に上がったのを感じた。

 

いったい何をやったんだ!?…って最初はびっくりしたな。

 

そこから、さっきまでとは比べ物にならない速度で立花に接近して、一気に剣を振るい立花を斬った。

 

『Remote!』

 

その音声とともに立花の黒いオーラが消え、纏っていたシンフォギアも解除されて倒れ落ちた。

 

それと同時に一誠も倒れた。

 

「お、おい‼2人共、しっかりしろ‼」

 

「響‼」

 

アタシ達が駆け寄ると、2人共呼吸をしていたのを確認して安堵した。

 

「雪音‼小日向‼無事か‼」

 

「ちょっ‼何があったの、この部屋!?あ、調と切歌は部屋の外にいなさい‼」

 

そこに翼センパイとマリアが来た。

 

「ちょうどいい‼2人共、立花とコイツを運ぶのを手伝え‼」

 

「承知した‼」

 

「わかったわ‼」

 

2人に手伝ってもらい、立花達を運びながらアタシ達は施設を脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

「これがアタシ達が経験した神兵計画ってものの内容だ。」

 

僕は絶句していた。それは僕が体験した事が生易しく感じるほど凄惨なものだった。

 

「雪音先輩は…………考えた事はなかったんですか?そんな事をした教会に復讐を…」

 

「何度もあるさ。それこそ全てを投げ出してもやり遂げようと考えたっけ……けどな?」

 

そこで、先輩は空を見た。

 

「その度に立花達が泣きついてきて、それを毎回あやすのが面倒になっちまったから止めたんだよ。」

 

先輩はそんな風に言っているけど、表情は全然違って優しそうな顔をしていた。

 

たぶん、皆にこれ以上心配させたくないんだろう。

 

「強いですね……先輩は…」

 

「んな事ねぇよ。1つの思いを何処までも貫こうとする……お前の方がよっぽど強ぇさ。でも、お前の仲間が何を思って助けてくれたのか……もう一度考えてみたらどうだ?」

 

「何を思って……あ…」

 

『自分達の事はいい‼君だけでも生きてくれ‼』

 

その時、施設から逃げる僕に向かって叫んだ子の言葉を思い出した。

 

「ああ、そうか……彼らは復讐なんかより、僕に生きていて欲しかったんだ…」

 

「だったら、その願いを叶えてやれ。それが死んでいった奴等の心を受け継ぐって事なんじゃないか?」

 

「心を…………受け継ぐ………」

 

「ま、よく考えるんだな。」

 

そう言って先輩が中庭から出ていこうとしたとき、彼女のケータイが鳴った。

 

「もしもし?……センパイ?…………えッ!?……ああ………わかった。」

 

「どうしたんですか?」

 

「どうやらコカビエル達は既に拠点を変えてたらしい。そこでタケルとエルナがエクスカリバー使いと戦闘になったそうだ。」

 

「えッ!?2人は!?」

 

「落ち着け、無事だよ。なんとか追い払ったそうだ。」

 

「そうですか…」

 

良かった……皆が無事で。

 

「もう大丈夫そうだな、聖剣相手でも?」

 

「はい、これからは僕も、先輩や皆を守る為に戦います。」

 

「ハハッ‼なら、早く背中を預けられるなってくれよ?」

 

「ええ、なってみせますよ。」

 

そう決意しながら僕も中庭を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

昨日のアジト襲撃から一夜明け、登校時間になった私と響は一誠君のアパートの部屋の前に来ていた。

 

「イッセー、大丈夫かな?」

 

「昨日はだいぶ焦ってたから…」

 

もう落ち着いているといいんだけど……

 

私がインターホンを鳴らしたら、

 

『はぁ~い‼』

 

中からゆめさんの声が聞こえてきた。

 

「あ、未来さん達でしたか。主ならもう出てきますよ。」

 

ドアを開けて出てきたゆめさんがそう言うと、奥から制服を着た一誠君が出てきた。

 

「ん、2人共どうしたんだ?」

 

「一緒に行こうと思って。」

 

「迎えに来たんだよ‼」

 

「そうか、悪いな。」

 

そう言う一誠君は、何時もと変わらない雰囲気だった。

 

「もう大丈夫なの?」

 

「ああ、メイルにこっぴどく叱られたからな。」

 

「なら、良かったよ。」

 

「んじゃ、行こうか。」

 

「今日は私もこの姿で学校までお供しますので。」

 

すると、ゆめさんも人間態で出てきた。

 

「あれ?イッセーの中には戻らないの?」

 

「昨日の件もありますから、日中は私が警戒しておこうかと…」

 

「なるほど。」

 

そうやって4人で歩いていたら……

 

「「イッセエェェェェェッ‼死ねえェェェェェッ‼」」

 

後ろから松田君と元浜君が一誠君に殴り掛かってきた。

 

「てい。」

 

「「アバッ‼」」

 

でもそれは一誠君が出した肘に命中した。

 

「「ぐおおおおおお……こ、拳が…」」

 

「自業自得だ。つか、なんだよいきなり。」

 

「うるさい‼なんでお前ばっかり女の子と一緒に‼」

 

「俺達にも紹介してください‼お願いします‼」

 

「そうか、わかったよ。断る。」

 

松田君達の頼みを一誠君は瞬時に切り捨てた。

 

「「チックショオォォォォォォォッ‼」」

 

なんかそんな風に叫ぶお笑い芸人いたなぁ…

 

「それに誰だ、その子は?」

 

「初めて見る子だけど…」

 

「始めまして‼お兄ちゃんの従妹の【虹野ゆめ】です‼」

 

2人に自己紹介するゆめさんだけど、キャラが変わってる……

 

「訳あって家で預かってるんだ。」

 

「なんでお前ばっかりそんな展開があるんだよ‼」

 

「そのラブコメ力を俺達にも寄越せッ‼」

 

「やっかましい‼なんだラブコメ力って!?」

 

「「アハハ…」」

 

こんな感じで賑やかに登校して、もう少しで校門というところで……

 

「ん?……ッ‼」

 

「どうしたの、未来?…ッ‼」

 

私と響はそこに立っている人物の格好を見て、足が止まった。

 

「2人共どうし……なるほど…松田と元浜、悪いけどこっち側に来てくれ。」

 

「ん、別にいいけど?」

 

「何かあるのか?」

 

そこで一誠君が松田君と元浜君を移動させて、私達の視界を遮るようにしてくれた。

 

「ありがとう、一誠君(ボソッ)」

 

「気にするな(ボソッ)」

 

そのま私達はその人達の横を通り抜けて校内に入った。

 

でも、なんで教会の人がいたんだろう……変なこと起こさないといいけど…。




いかがでしたか?

今回はちらりの教会組ですが、次回からきちんと登場します。

木場君の暴走はないので今後の展開はだいぶ変わります。

次回『2人の聖剣使い』

次はもう1つの作品を更新しようと思いますので、少し遅れます。

よければ2作目の『死霊使いと吸血姫と』も見てください。


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二人の聖剣使い

今回は教会メンバーが登場です。

ただし、敵対状態なので対応は悪いです。

それと、私なりの勝手な解釈もあったりします。

教会組が好きな人や独自解釈が駄目な人はブラウザバックを推奨します。

それでもいいという人は見ていってください。


一誠side

 

今日の授業が終わった俺達は、屋上に集まり今後の事を話すことにした。

 

「さて、コカビエルは何処に隠れてるんだ?」

 

「過去の大戦を生き残った堕天使だからな、そう簡単には見つからないさ。」

 

「だよな~…」

 

あの人は隠れ家とかに向いてる場所を探すのも上手かったからな……

 

「でも、コカビエルさんはなんでいきなりこんな事件を起こしたんでしょう?」

 

アーシアの発言は俺も気になっている事だ。

 

「わからない……だからこそ、探しだして問いたださないと。」

 

あの人が何故エクスカリバーを盗んだのか、内容次第では1発ブン殴ってやる‼

 

「そういや一誠、お前達朝に教会の奴等が居たのを見たんだって?」

 

「ああ、ローブを被っていたから顔はわからないけど。」

 

「2人いて、片方は大きな剣みたいな物を持ってたよ。」

 

唐突にきたクリスの質問に俺と未来はそう答えた。

 

「そうか……何もなきゃいいんだけど…」

 

「どうだろうな(♪~♪~♪~)と、ちょっとスマン。」

 

俺のケータイが鳴り(着メロは【REVOLUTION】)皆から離れて画面を確認したら…

 

「支取会長?どうしたんだろう…」

 

取り合えず画面をタップして通話状態にする。

 

「もしもし、龍見です。」

 

『あ、龍見君ですか?すみませんが、そこにお仲間の方達は居ますか?』

 

「ええ、ちょっと仕事の話をしていたんです。」

 

『なら丁度良かったです。申し訳ありませんが、皆さんを連れて生徒会室に来てもらえませんか?』

 

「生徒会室にですか?」

 

何かあったのか?

 

『ええ、今客人が来ているのですが貴方達を連れてこいとしつこくて…』

 

なんだろう……嫌な予感しかしねぇ…

 

でも、会長にはグレモリー達の事で世話になってるから……

 

「わかりました、今向かいます。」

 

『すみません、お願いします。』

 

電話を切った俺は皆の元に行った。

 

「誰からだったんだ?」

 

「支取会長からだった。なんか皆を連れて来てくれって…」

 

「んだそりゃ?ヤバそうな気配がすんだけど?」

 

それは俺も感じてる。

 

「支取会長には世話に成ってるから引き受けたけど、行けない奴はいるか?」

 

俺がそう聞くと誰も何も言わなかった。

 

「じゃあ行くか、場所は生徒会室だって。」

 

『『『『『了解。』』』』』

 

メンバーを連れて生徒会室前に着くと、小猫と木場が何かを感じたのか目が鋭くなった。

 

「祐斗先輩…」

 

「どうやら、僕達は中に入るのに覚悟がいるみたいだ。」

 

2人の言葉が気になったが、取り合えずドアをノックする。

 

『どちら様ですか?』

 

「龍見です。呼ばれたので来ました。」

 

『どうぞ、開いてますので。』

 

会長の許可を貰い扉を開けると、中には会長と副会長に匙と、朝に見た教会の人間がいた。それぞれフードを脱いで青髪に緑のメッシュが入った女性と栗色の髪をツインテールにした女性だった。

 

その2人を見た途端、響と未来に調と切歌が俺の背中に隠れた。って言っても4人も隠せないけど。

 

アーシアはクリスの後ろに隠れてた。

 

「何か御用ですか?」

 

「はい、実は「そこから先は私達が言おう。」…どうぞ。」

 

会長が説明しようとしたら、教会組の片方がそれを遮り、こちらを向いて……

 

「お前達が堕天使陣営の者だな?単刀直入に言う……エクスカリバーは何処だ?」

 

俺の首もとに剣を突きつけてきた。

 

「何をやっているのですかッ‼‼」

 

それを見た支取会長が叫び、タケルとクリスと木場が応戦しようとするが、右手を出して止めさせる。

 

「……いきなりだな。相手に名乗る事もしないのか?」

 

「貴様ら盗人に名乗る必要などない。」

 

「あっそ、つまり教会ってのは相手に剣を突きつけるのが挨拶なんだな……勉強になったよ。」

 

「あら、随分強気なのね?【兵藤一誠】君?」

 

「あ?」

 

その時、ツインテールの方の信徒が俺の昔の名前を言った。

 

「誰だ、お前?」

 

「私を覚えてないなんて、やっぱり【ソージ君】は苦労してたのね……こ~んなお馬鹿なお兄さんで。」

 

「げっ……まだいたのかよ、アイツの信者…」

 

ソイツの言葉に俺達はげんなりした。

 

他に誰がいたっけ…………興味ねぇからいいや、思い出さなくて。

 

「【イリナ】、知り合いなのか?」

 

「ちょっと止めてよ【ゼノヴィア】‼こいつと知り合いなんて最悪じゃない‼」

 

「イリナ?……ああ、昔宗二に引っ付いていたあの男か(ブオォン‼)よっと。」

 

名前から記憶を掘り返してみたら、検索にヒットしたので内容を喋ったら斬りかかってきたので、上体を反らして回避した。

 

「危ねぇな、銃刀法違反だぞ?」

 

「うっさい‼誰が男だ‼アタシは女よ‼」

 

んなのどっちでもいいだろ……少なくとも俺はアンタが男だろうが女だろうがどうでもいい。

 

「フン‼それよりソージ君は何処?この学園にいるのは分かってるから教えなさい‼」

 

「ああ…」

 

それくらいだったら正直に答えてやるか。

 

「冥界だけど?」

 

「へ?」

 

俺の答えにイリナが間抜け面になった。やっべ、おもしろ…‼

 

「アイツ、悪魔に転生したけど問題起こして1学期の間は冥界送りになってるよ。」

 

後ろでも響達が頷いている。

 

「う…嘘よ……ソージ君が……悪魔に…」

 

「事実だ、認めろ。」

 

そう言うと、手足を床に着いていわゆるorzの格好になって口から魂みたいなのが出ていた。

 

「おい、コイツどうすんだ?」

 

「邪魔だからほうっておけ、それより改めて聞く……エクスカリバーは何処にある?」

 

「だから、俺達もその犯人を探してる。上司が1度調べて場所を突き止めたけど移転した後だったし。」

 

「そうか、ならこれ以上ウロチョロするな。盗人のコカビエルは私達が倒す。」

 

「……ちょっと待て…え、何?2人で倒すの?あのコカビエルを?」

 

「そうだが(だけど)?」

 

俺の質問にゼノヴィアと立ち直ったイリナが即答した。

 

…………やっぱり教会ってバカの集まりだ……

 

「アンタ達は自分の命を何だと思ってるんだ!?相手は過去の大戦を生き抜いた最上級の堕天使なんだぞ!?」

 

「神のために死ねるのなら本望よ。」

 

「これ以上お前に語る気は無い……シトリーよ、先の約束を忘れるなよ?」

 

「ええ、非常時以外では私達は貴方達の行動を邪魔しないと約束します。」

 

「ならいい。イリナ、帰るぞ。」

 

「わかったわ。」

 

ゼノヴィアは剣を背負いイリナと共に、生徒会室から出ようとした…

 

「ん?ちょっと待て…そこにいるのはもしや【魔女】のアーシア・アルジェントではないか?」

 

ところでアーシアに気づいてしまった。

 

「え?それって悪魔を癒したっていうあの?」

 

急かさずクリスと木場と小猫がアーシアの前に立って後ろに守るようにした。

 

「はい、そうですが…」

 

「まさかこんな極東の地で出会うことになるとは…しかし、かつて神に愛され、神と同じく平等な愛をもたらす【聖女】が堕ちたものだな。堕天使の仲間になっているなんて、君を信奉していた者達が知ったらどう思う事か…」

 

「それは……」

 

「安心しなさい、上には報告しないから。そんなことして信徒が悲しむ姿は見たくないもの。」

 

彼女達の言葉が心に突き刺さってくるのか、アーシアは顔を俯けた。

 

……おい、お前達にアーシアの何がわかる…‼

 

「それに加えて悪魔とも親しくしているとは……君の神への信仰はその程度のものだったのだな。」

 

「いえ‼そんなことは…‼」

 

「あるわ、今の貴女の状況が信仰の少なさを物語っているもの。」

 

彼女達の言葉に俺達の怒りのボルテージが上昇していく。

 

「しかし、お前は神への信仰を捨ててはいないな?何故だ?」

 

「ちょっとゼノヴィア、神を裏切って堕天使陣営にいる彼女が神を信仰している訳ないでしょ?」

 

「いや、彼女からは神を信仰する者特有の匂いを感じる。間違いない。」

 

「それは……捨てきれないだけです。毎日欠かさず続けてきた事ですから…」

 

そう、アーシアはクリスの家で毎朝欠かさずお祈りをしている。1日も欠かさずに…

 

「そうすれば再び神の愛を受けられると思っているのか?滑稽だな、お前がいくら祈ろうと何の意味もない…………いや待て、だったらお前に神の試練を与えてやろう。」

 

そう言ってゼノヴィアは剣を抜き、アーシアに切っ先を向けた。

 

「今ここで、私に断罪されろ。」

 

「え?」

 

……あ?コイツ今なんつった?

 

俺は怒りはその言葉で爆発寸前になった。

 

「そうすればお前の信仰は充分なものになる。神の愛も再び得られるだろう。さあ、今す「うっせぇんだよ‼神神神神って‼それしか言えねぇのか、お前達は‼」なッ!?」

 

その時、俺より先にクリスが叫んだ。

 

「それにだな、テメェはさっき神の愛は平等とか抜かしてたよな?」

 

「それがどうした!?」

 

「だったらなんで神はアーシアを愛するのをやめたんだ?」

 

「それは、彼女の信仰が足りなかったから「はい、論破‼」へ?」

 

イリナの発言を聞いて、クリスがしてやったりな表情をした。

 

「テメェの今の言葉だと神ってのは【自分を深く信仰している者にだけ愛を振り撒く】って事になるんだぜ?他の信徒共が聞いたらどう思うだろうなぁ?神が実は差別をしていたなんて知ったら?」

 

「き…キサマ…‼」

 

『『『『『おお~‼』』』』』

 

その言葉に俺達は拍手した。

 

確かにクリスの言う通りだな。神が差別してるなんてしれたら、教会が大混乱になるのは間違いない。

 

「私達だけならいざ知らず…教会や、ましてや神を侮辱するなど許せん‼先ずはキサマを断罪してくれる‼」

 

「いいぜ‼相手してやる…………と、言いたいがアタシの代わりにやってみないか、木場?……丁度良いだろ?」

 

「え?いいんですか?」

 

いきなり振られた話に木場は少し驚いていたけど、すぐに瞳に闘志を燃やし出した。

 

「なら、遠慮なくやらせて貰います。」

 

「何だ、お前は!?」

 

「ん~、一応君達の先輩になるのかな?失敗作だけどね。」

 

そう言って、魔剣を出してゼノヴィアに突きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

外に出て、旧校舎近くにある空きスペースを使って教会組との模擬戦を行うこととなり、向こうはゼノヴィアとイリナの2人、こっちは木場とじゃんけんの結果、俺となった。

 

まあ、俺も言いたい事があったから丁度良かったんだけどな。

 

「先ずは俺とイリナって奴か…」

 

さ~て、一丁やりますか‼

 

「貴方が私の相手なの?なんか弱そうね。」

 

ローブを脱いだ彼女の服装は身体にピッタリフィットした黒のボディスーツだった。

 

……………教会の奴等も色々溜まってるのか?

 

「勝手に言ってろ。」

 

俺はゴーストドライバーを出して、オレ眼魂のスイッチを入れてバックルに入れる。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「ちょっ!?な「変身‼」聞きなさいよ!?」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

相手の言葉を遮って、俺はパーカーゴーストを纏い変身する。

 

「お兄ちゃ~ん‼頑張れー‼」

 

見物用の場所では、玲奈が俺の応援をしてくれ…………

 

「いや、なんでいんの!?お前!?」

 

「買い物帰りにゆめさんに会って…」

 

「お兄さんの活躍するところを見ませんか?と私が誘いました。」

 

「そして、俺が許可した。」

 

「はぁ……もういいよ、何でも…」

 

ベルトからガンガンセイバーを出して、薙刀モードにする。

 

「それじゃ、試合開始‼」

 

イッセーの合図と同時に俺は飛び出し、薙刀をベルトにアイコンタクトさせる。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

「え!?いきなり必《オメガストリーム‼》セリフ被ってる!?」

 

「そおぅらッ‼」

 

「ヒャアアアアアアアッ!?」

 

全力で振るったそれは、彼女が地面にヘッドスライディングしたことでかわされた。

 

「いきなりすぎでしょ!?普通は《ダイカイガン‼オレ‼オメガドライブ‼》だから最後まで…キャアッ‼」

 

何かを叫ぶ声を無視してエネルギーを込めた回し蹴りを放ち、彼女はしゃがんで避けた。

 

「んもう怒った‼貴方を断《一発闘魂‼‼アーイ‼》ねぇ、狙ってやってるでしょ!?」

 

「さあね?」

 

《闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

闘魂ブースト魂になり、彼女が振るってくるエクスカリバーをサングラスラッシャーで捌いていく。

 

「この…‼当たりなさいよ‼」

 

「ハッ‼」

 

「アグッ!?」

 

攻撃が当たらない事に焦ったのか、大振りになったところを狙って腹に蹴りを入れる。

 

「面倒だから終わりにする。」

 

俺は朝、あの転生させてくれたムカつく神から、新しく送られてきた白と紫の眼魂を取り出して、横のスイッチを押してナンバリング状態にし、バックルに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

すると、バックルから白地に金のラインが入り、肩には黒い鎧がありフードには紫の角が2本生えているパーカーが現れ、空中でポーズを決めると横に中国系の鎧を着た武将の絵が写し出された。

 

そしてバックルのレバーを引いて押し込む。

 

《カイガン‼リョフ‼最強‼武将‼天下無双‼》

 

そのパーカーを羽織ると、戟の刀身を使った顔が描かれた。

 

更にバックルからガンガンセイバー薙刀モードとサウンドレコーダー型のガジェット【カメポッド】が出てきて、2つが合体するとガジェットから矛の刀身が出てきてガンガンセイバー戟モードになった。

 

「呂布!?それって三国志の英「行くぞ。」いい加減にしなさいよ、セリフ被せるの!?」

 

ガンガンセイバーを振り回してイリナへと叩き込む。

 

「なんの‼…キャアッ‼」

 

それを彼女は防御するが力業で押し切る。

 

「何なの!?パワーが桁違《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》途中で必殺技を発動するなぁ‼」

 

アイコンタクトさせたガンガンセイバーを構え……

 

「このままやられ《オメガバースト‼》お願いだから最後まで言わせて!?」

 

連続突きを彼女にお見舞いした。

 

「アアアアアアッ‼」

 

それを喰らった彼女は地面に倒れた。

 

「そこまで‼勝者‼御堂タケル‼」

 

判定を聞いた俺は変身を解除して、彼女の前に立った。

 

「なんで……?私が…負けるな……んて…」

 

「お前は1つ間違えた。死に場所を求めて戦う奴には信念がない。だから負けたんだよ。」

 

「違うわ‼私達は神のために「いい加減にしろッ‼‼」ッ!?」

 

「お前の命はそんな簡単に投げ出せる物なのか!?絶対に勝てない相手に挑んで特攻できるほど安い物なのか!?」

 

「当たり前じゃない‼私達は神の代理人よ‼神に命を捧げるのは当然なの‼」

 

「俺にはわかんねぇよ‼アンタらが命を粗末にしようとする事が‼おかしいだろ、そんなの‼」

 

「神のために死ぬ事のどこがおかしいのよ‼」

 

なんでわからねぇんだよ…‼

 

「お前が死んで悲しむ奴の事を考えた事があるのか!?両親や友達に辛い思いをさせるのが正しい事なのか!?」

 

「それは神が私達に与えた試練なのよ‼それを乗り越えた時、神の愛を得られるのよ‼」

 

「ふざけんな‼‼」

 

彼女の言葉に俺は完全にキレた。倒れている彼女の胸ぐらを掴んで無理矢理立たせて…

 

「神様ってのは人の幸せを願ってるんだろ!?それを信仰するお前達が神の願いに逆らってどうすんだよ‼」

 

「ッ!?」

 

そう言うと、彼女の顔に動揺が見えた。

 

「そんなテメェらが……アルジェントさんの信仰に文句を言う資格はねぇ‼‼」

 

「そ……そんな…私の…………信仰…は…」

 

「それに命ってのはな……親から与えられて色んな人との出会いや沢山の経験を燃料にして、自分色の綺麗な炎を燃やしているんだ。そんな炎を無駄に消すようなバカを俺は絶対に許さない‼」

 

そう言ってから彼女を離し、俺はイッセー達の元に戻った。

 

アイツらの言うこともわかる、それぐらいの覚悟だってことも。だけど、生きる覚悟じゃなくて死ぬ覚悟なんて間違ってる‼それにアルジェントさんと同じ教会の出身なら、理解しあえば友達になる事だって…‼

 

その時、俺を緑色の光が包み込んだ。

 

あまりの眩しさに目を閉じ、ゆっくりと目を開けると深い森の中にいて、目の前には緑の生地に黄色のラインが入り、頭のフードには黄色い羽根飾りが付いたパーカーを着た黒い存在がいた。

 

「あなたは……ロビン・フッド?」

 

『相手を理解しようとする、お前の心は素晴らしい。』

 

「同じ場所で生きてきたのなら、分かり合う事だって…‼」

 

『お前は自分の正義を相手に押し付けるのか?』

 

「え?」

 

正義を押し付ける?それはいったい……

 

『私が過去に戦った相手にも彼らなりの正義があった。』

 

「でも、戦ったんだろ?」

 

『相容れない正義だったからな。タケルよ、正義は1つとは限らない。生まれた環境、時間、その後の経験でその人物の正義は変わってくる……そして戦いとは、それぞれの正義のぶつかり合いだということを忘れるな。』

 

「はい。」

 

そして、再び光が広がり気がつくと元の場所に戻っていた。

 

「どうしたの、お兄ちゃん?」

 

「ん?ちょっと英雄と話してた。」

 

「え!?どんな事!?」

 

「『正義が1つとは限らない』だってさ。」

 

「お~‼なんか深い言葉だね。」

 

「そうだな。」

 

自分だけでなく、相手の正義も理解する……それは必ず守ります。

 

新たな誓いを胸に刻んで、俺は目の前の木場VSゼノヴィアの模擬戦を見ることにした。

 

 




いかがでしたか?

今回のは感想に批判が来るのを覚悟して書いています。

それと、タケルの新しい眼魂として【呂布眼魂】を出しました。

ジーク・フリューゲル様、アイディアありがとうございました‼今後も呂布眼魂は使わせて頂きます。

次回は木場VSゼノヴィアとコカビエルの登場まで書こうと思います。

次回【黒翼の戦鬼】

では、次回でお会いしましょう。


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黒翼の戦鬼

どうも、疾風の警備員です。

今回はコカビエルの登場になります。

それに少し駄文気味です。

それでも良い方はどうぞ見ていって下さい。


木場side

 

御堂君の模擬戦が終わり、次は僕とゼノヴィアさんの番になった。

 

「それじゃ、お手並み拝見といこうかな?」

 

「フン、私を嘗めるな‼」

 

「では、試合開始‼」

 

「ハアァァァァァァッ‼」

 

開始の合図と共に彼女が剣を振り上げて向かってくる。僕は右手に神器で創った剣【光喰剣(ホーリー・イレイザー)】を握り締め、それを迎え撃とうとして……

 

ゾクッ‼

 

「クッ!?」

 

直後に感じた悪寒で、【騎士】の力で一気に距離を取った。

 

ドゴォンッ‼

 

すると、今さっきまでいた場所で轟音が鳴り土煙が舞った。

 

それが晴れると地面には直径2メートル程のクレーターが出来ていた。

 

「へぇ、なかなかの力だね?」

 

「この私の聖剣【破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)】に壊せぬ物などない‼」

 

そう言って彼女は再び剣を振り上げた。

 

なるほど、エクスカリバーならあの破壊力も頷ける。

 

「確かに、当たれば僕たち悪魔は唯ではすまないね。」

 

「今更怖じ気づいたか?」

 

「まさか。」

 

それどころか、冷静に対処法を考えている自分にビックリだよ。

 

「ならば、散れ‼」

 

目の前まできた彼女の剣が僕目掛けて振り下ろされ、轟音と土煙が舞い上がる。

 

「「木場先輩!?」」

 

それを見ていた月読さんと暁さんの声が聞こえた。

 

心配しなくても大丈夫だけどね。だって……

 

「でも、当たらなければどうって事はないさ。」

 

「何ッ!?」

 

僕は既にゼノヴィアさんの後ろから首筋に剣を突きつけているんだから。

 

「そんなバカな…」

 

「あれだけの大振りの動き、【騎士】の僕にとっては避けて下さいって言っているようなものだよ。で、どうするんだい?」

 

「クッ……………………私の負けだ。」

 

「そこまで‼勝者‼木場裕斗‼」

 

一誠君の宣言を聞いてから、僕は剣を下ろした。

 

「教会のエクスカリバー使い、どれ程のものか期待してたけど…………僕に簡単に負けるようじゃ堕天使幹部に勝つなんて、無謀以外の何物でもないよ?」

 

「それでも、私は与えられた任務をこなすだけだ。余計なお節介はやめてもらおう。」

 

そう言って、教会の2人は帰っていった。

 

「ったく……胸くそワリー奴等だ。信仰と盲信は違ぇってのを理解しろっての。」

 

「仕方ありませんよ。そうやって人を洗脳して手駒にするのが教会のやり方ですから。」

 

「違いない。」

 

隣に来た雪音先輩の言葉にそう返答する。僕や先輩達も奴等の言葉に踊らされてあんな目にあったのだから。

 

「…木場先輩。」

 

「腕から少し煙が出てるデスよ!?」

 

「えっ?」

 

暁さんに言われ、右腕を見ると小さな切り傷が有り、そこから煙が出ていた。

 

「あの時にかわし切れなかったのか…」

 

「あ、今治します‼」

 

アーシアさんが神器で傷を癒してくれていると……

 

「……まだ完全に吹っ切れてはいないか?」

 

雪音先輩が心配そうにそう聞いてきた。

 

「…………長年憎んだ物ですからね、やはり実物を見てしまうと抑えきれないみたいです…」

 

「そうか…」

 

僕もまだまだ未熟って事かな……

 

「アタシが言って、お前が理解したこと……忘れるなよ?」

 

「わかってますよ。」

 

そんな風に話していたら……

 

「…聞きましたか?切ちゃん、小猫ちゃん?」

 

「ええ、バッチリ聞こえたデスよ?」

 

「はい、まさかあの2人が意味深な関係になっていたとは…」

 

「「「これは学園中に広め「Killiter Ichaival tron」ヤバッ!?」」」

 

後輩組が変な話を始め、それが雪音先輩の逆鱗に触れたらしく、彼女は聖詠を唱え両手にガトリングを装備した。

 

「おーし3馬鹿後輩組、ド頭に風穴欲しいんならキチンと並べやッ‼‼」

 

「「「ギャアァァァァァァァァッ!?」」」

 

そしてガトリングを乱射しながらの鬼ごっこを開始した。

 

「アハハ……」

 

それを見ていた僕は苦笑いしながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

模擬戦から1日経ち、俺は未来、調と切歌と一緒に町を見回っていた。

 

「何処にいるんデスかね?コカビエル。」

 

「…全然わからない。」

 

「根気よく探すしかないよ。」

 

「探す場所が減れば自ずと特定出来るさ。」

 

そんな会話をしながら歩いていたら……

 

「えー、迷える子羊にお恵みを~。」

 

「どうか、天の父に代わって哀れな私達にお慈悲をぉぉぉぉ ‼‼」

 

募金箱みたいなのを持って何か叫んでいる教会の2人がいた。

 

「どうする?」

 

「アレしかないと思う。」

 

「…未来先輩に賛成。」

 

「同じくデス。」

 

「なら、決まりだな。」

 

……………………………………………………………見なかった事にしよう‼

 

「さ、コカビエルを探しに行こうか‼」

 

「「「おお~ッ‼‼」」」

 

満場一致でシカトするになり、その場を走り抜けようとした……

 

「あ‼あそこにいるのは‼」

 

「ぬ‼」

 

が、どこかの機動戦士の登場人物よろしくの直感で俺達を見つけた。

 

全員で素早くアイコンタクトでの会話を終え……

 

「おい‼正面に万札を持って近づいてくる人がいるぞ‼‼」

 

「「え!?ドコドコッ!?」」

 

俺の言葉に気が逸れたこの隙に‼

 

「「「「トランザム‼」」」」

 

俺達は全速力でこの場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

イリナside

 

「ちょっと~何処にもいない……あれ?」

 

龍見一誠の言葉に気をとられ、正面にそれらしい人はおらずその間に彼等もいなくなっていた。

 

「なにも逃げなくたっていいじゃない…」

 

「まあ、向こうに良い感情は持たれてはいないさ。それにアイツ等は堕天使の仲間だ。こちらが仲良くする理由もない。」

 

「それはそうだけど…」

 

確かにアーシア・アルジェントを侮辱して断罪しようとした私達を避けるのは仕方ない。

 

「それよりも今は目先の問題を何とかしろ。お前の不注意で路銀が無くなったんだぞ。」

 

「うぐッ!?わかってるわよ…」

 

私が考え事をしながら歩いていたら人とぶつかってしまい、お互いに謝罪して離れた後に財布がない事に気付き、さっきの人にスられたとわかった。

 

「いったいどうしたんだ?いつまでもそんな調子だと先が思いやられるぞ。」

 

「それは…」

 

「まだ悩んでるのか?あの男に言われた言葉を…」

 

「なッ!?」

 

ゼノヴィアごときに心を読まれた!?

 

「図星か。」

 

「……うん。」

 

『お前が死んで悲しむ奴の事を考えた事があるのか!?両親や友達に辛い思いをさせるのが正しい事なのか!?』

 

『神様ってのは人の幸せを願ってるんだろ!?それを信仰するお前達が神の願いに逆らってどうすんだよ‼』

 

模擬戦が終わった後、戦った相手の子から言われた言葉が未だに頭から離れない。

 

それが頭の中で聞こえる度に、私の心は揺らぐ。

 

私が死んだら周りはどう思うのか、神の願いはなんなのかと。

 

「ねぇゼノヴィア……私の信仰って間違ってるのかな?」

 

「それはお前が答えを見つけなければいけない事だと思うが?」

 

「だって…」

 

私ひとりだと何だか堂々巡りしそうなんだよね……

 

「…もう一度彼に会えば、何か解るかな?」

 

そんなことを思っていたら……

 

「なにやってんの、アンタ等?」

 

「え?」

 

目の前に件の彼がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

あの場からしばらく走った俺達は住宅街の手前で少し休んでいた。

 

「まったく……なにやってんだよ、アイツ等は?」

 

「……あれが神の試練とか?」

 

「おサイフを落としちゃったんじゃない?」

 

「きっと変なのに騙されて、高い絵でも買っちゃったんデスよ‼」

 

「「「まっさか~。」」」

 

「デスよね~」

 

いくら教会の奴等でもそこまでバカじゃないだろ。

 

そして住宅街の中を見回り人通りの少ない路地に入った瞬間、殺気の混じった視線を感じた。

 

「皆気を付けろ‼誰かいるぞ‼」

 

「「「ッ‼」」」

 

すぐに4人で背中合わせになり、背後の死角を無くしつつ周辺を警戒する。

 

「未来、結界アイテムを。」

 

「うん‼」

 

アイテムを使い、結界を張り終えた時……

 

「お邪魔虫はとっとと駆除しましょ~♪」

 

と、上空から声が聞こえた。

 

「ッ!?上か‼」

 

「虫のお首をギッチョンチョーン‼‼」

 

「全員散開ッ‼」

 

俺達がバラけた瞬間に、今までいた場所に誰かが物凄い勢いで突っ込んできて、見事に着地した。

 

「おんやぁ~?誰かと思えばイッセー君じゃあ~りませんか‼なんという御導き‼実に32話ぶりっすね‼神に感謝を……あ、俺様はぐれ悪魔祓いだった。じゃ感謝しなくていーや。」

 

「相変わらずだな、フリード。それとメタ発言やめろ。」

 

「俺っちはいつも笑顔でいます‼元気でっす‼そしてやめない‼そうそう、旅行のチケット余ってるんだけどいらない?」

 

「……因みに何処行きだ?」

 

「んも~‼決まってんじゃん……地獄だよ‼‼」

 

そう言って持っていた剣(タケルの情報から恐らく天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ))を構え、俺目掛けて物凄い速さで突っ込んでくる。

 

やばッ!?速すぎて対処が…‼

 

後㎝で俺の身体に刺さる瞬間、身体から金の光が出てエクスカリバーを弾いた。

 

「なんじゃッ!?」

 

『主には指一本触れさせはしません‼』

 

そして、俺の中からメイルが人間態で出てきて鎧と剣を身に纏った。

 

「ナニソレ!?アンタはシロシ◯の実の能力者だったの!?」

 

「ちゃうわッ‼」

 

「主、私が時間を稼ぎますのでその間に変身を‼」

 

メイルがフリードに【解放龍の剣】を突き出し、奴はそれをエクスカリバーで防ぎつばぜり合いになる。

 

「なんすかアンタ!?見た目中一なのに力強ッ!?」

 

「ただの中級のドラゴンです‼」

 

「うっひょ~‼マジっすか!?スゲェや‼‼だったらドラゴン退治としゃれこみますか‼」

 

フリードの姿が消え、メイルの後ろに現れると剣を振り下ろす。

 

ガキィン‼‼

 

が、メイルはわかっていたかのように振り返る事なく剣を背中に出した光翼で受け止めた。

 

「ありゃッ!?」

 

「ドラゴンの動体視力……嘗めないで下さい‼」

 

そして強引にフリードの剣を弾き、振り返りながら高速の連続突きを放つ。

 

「うおッ!?ちょッ!?待ッ‼でぇッ!?いやッ!?恐ッ‼」

 

その速度はエクスカリバーの能力でもやっと追い付ける程の速さらしく、フリードが必死の形相でそれをギリギリの所で捌いていた。

 

「……ゆめさん、強ッ。」

 

「圧倒的じゃないデスか。」

 

「【天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)】の速度を普通に上回ってる…」

 

「……俺等の出番って必要か?」

 

ドラゴンなのは伊達じゃないって事だな。

 

「まあ、メイル一人にやらせる訳にはいかないし……変身‼」

 

「Various Shul Shagana tron」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

俺は仮面ライダー光龍に変身し、3人はシンフォギアを身に纏う。

 

「調と切歌はメイルと一緒に近接戦、未来は俺と遠距離援護だ。」

 

「「「了解‼」」」

 

『SHOOT VENT』

 

調と切歌がメイルの元に向かっていき、俺はボルティック・シューターを未来はアームドギアの鉄扇を右手に持ち、左手でスマホを操作して援軍要請してもらう。

 

「ありゃ、お仲間登場?しか~し‼俺様はどんな逆境にもめげないぜ‼‼……ねぇ、今のカッコ良かった?」

 

「…さあ?」

 

「興味ないデス。」

 

「私はカッコ良かったと思います。」

 

「おお‼‼ドラゴンちゃん、話しが分かるねぇ~‼どう、俺様にチョンパされてみない?」

 

「慎んでお断りします♪」

 

「振られたぁ~‼」

 

「…………あの2人は何やってんだ…」

 

「ア、アハハ……」

 

メイルとフリードの漫才擬きに俺は呆れ、未来は苦笑する。

 

「メイル、お前の今日の晩飯……海苔1枚な。」

 

「お兄ちゃんッ!?そんな殺生な‼私の楽しみの半分を奪「調、切歌‼奴を動き回らせるな‼なるべくその場に釘つけにするんだ‼」遮られたッ!?」

 

俺の宣言にメイルが日常モードの話し方で文句を言ってくるが途中で切り捨て、2人に足止めを頼む。

 

「ヤアッ‼」

 

「おっと‼」

 

「デェスッ‼」

 

「とりゃ‼」

 

調がアームドギアのヨーヨーを投げつけるとフリードは後ろに飛んで避け、その場所を予測していた切歌が鎌を横凪ぎに振るうが剣で受け止めた。

 

「そこッ‼」

 

が、動きが止まった隙に調のヨーヨーがフリードの足に絡み付き、動きを止めた。

 

「矢部ッ!?動けない!?」

 

「「「「オイ、発音‼」」」」

 

フリードのボケにツッコミつつも俺と未来は武器を構え、フリードに照準を合わせる。

 

「俺様ピ~ンチ!?ならば、かくし球その2‼」

 

「ッ‼使わせるか‼」

 

そう言って懐に手を入れるフリードを見て、すぐに引き金を引いて俺と未来の光弾とレーザーが撃ちだされた……

 

「「キャアッ‼」」

 

「なッ!?」

 

「えッ!?」

 

が、光弾は切歌の鎌に当たりレーザーは調のヨーヨーのワイヤーを焼き切った。

 

「何処狙ってるデスか‼」

 

「いや、確かにフリードを狙ったはずなんだが…!?」

 

「何で狙いがずれたの!?」

 

「ンッフッフッ~‼なーらば‼あっしが教えやしょう‼」

 

拘束が解けたからか、いつの間にか電柱の上に立っていたフリードが変なポーズをしながらもう1つの剣を出した。

 

「こいつは【夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)】、相手に幻覚を見せちゃう剣なのよね♪」

 

「もう1つのエクスカリバー!?」

 

コイツ、まだエクスカリバーを持ってたのか‼

 

「これで幻覚見せて狙いを外したのさ。2つのエクスカリバーを使える俺様ってやっぱスゥ~パァ~カッケェッ‼‼」

 

「くッ!?」

 

よりにもよって一番面倒くさい奴に面倒な物を‼‼

 

「さあ~て、こっからは俺のステージってか‼‼」

 

「皆構えろ‼来るぞ‼」

 

2刀を振り上げ、突っ込んできそうなフリードを迎え撃つ為に武器を構えたら……

 

「何をやっている、フリード?」

 

「「「「ッ‼」」」」

 

この場に新しい声が聞こえ、そこから放たれた威圧感で俺達は動けなくなった。

 

このプレッシャー‼まさか‼‼

 

「そろそろ計画の最終段階だというのに、何処をほっつき歩いているのかと思えば…」

 

「あら、“旦那”じゃないの。何してるんスか?こんな辺鄙な場所で?」

 

「エクスカリバーを持ったお前が戻らないから探していたんだ。面倒を掛けるな。」

 

「そいつはスイヤセンね。」

 

威圧感に潰されそうになりながらも、顔を上げると空に5対10枚の漆黒の翼を広げた堕天使がいた。

 

「ん?そこにいるのはお前か、一誠。」

 

「まさかこんなところで会うとは思わなかったぜ…」

 

俺はそいつを睨みながら……

 

「俺がアンタを捕まえる…………【コカビエル】‼‼」

 

そう叫んだ。




いかがでしたか?

イリナの展開は気に入らない人が多そう……

次回『深夜の決戦』

では次回でお会いしましょう。


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深夜の決戦

どうも、疾風の警備員です。

今年の夏はシン・ゴジラやゴースト&ジュウオウジャーにアイカツスターズ等見たい映画が多く出費も多くなりそうです……

今回は駒王学園での勝負開始の所までになります。

では、どうぞ‼


タケルside

 

「つまり、俺の言葉について悩んでいたら財布をスられて一文無しになり、仕方なく物乞いしていたと?」

 

「そういう事になる。」

 

俺は今、路上で物乞いなんかやっていた教会の2人を見つけてしまい、話しかけていた。

 

しかし、財布をスられるなんて災難だったな……俺も全財産入ってるからスられたらその場でorzってるぞ?

 

「悪いけど、仲間を侮辱したお前らを助けてやる気はないからな?」

 

「別にいいわよ。これは私の責任なんだから。」

 

へぇ……驚いたな。

 

「なによ、その顔は?」

 

どうやら心の声が表情に出ていたらしく、彼女に睨まれた。

 

「いや、アンタの事だから、これも“神の試練よ‼”とかなんとか言うんだと思ってたからさ…」

 

「……別に、自分の信仰が正しいかどうか分からなくなってるのに、神がどうとか言えないだけよ…」

 

おお……思った以上に効いてたみたいだな。

 

「もし心が迷子になってるんなら、自分の思うままにやってみたらどうだ?」

 

「へ?」

 

「ただの独り言だよ。んじゃ、俺はこれで(♪~♪~♪~)と、メールだ………………はあ!?」

 

届いたメールを確認して、俺は思わず大声を出してしまった。

 

「ちょっ!?どうしたのよ?」

 

「イッセー達の所にエクスカリバー使いが現れたみたいだ‼急いで行かねぇと‼」

 

「何ですって!?ゼノヴィア‼私達も行くわよ‼」

 

「ああ‼」

 

俺が走り出すと2人もついて来たが突っ込む時間も惜しかったので無視して、メールにあった住所まで急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「お前が俺を捕まえるか……クックック……ハッハッハッハッハッ‼」

 

空にいるコカビエルを睨みながら叫んだ俺の言葉に、笑ったかと思うと……

 

「自惚れるなよ?」

 

「ッ‼‼」

 

さっき以上の威圧を俺に放ってきた。

 

「堕天使領にいたとき、お前が俺に勝てた試しがあったか?」

 

「うッ‼……クッ……今の俺はあの頃の俺じゃねぇ‼」

 

その威圧に一瞬、気圧されそうになるがなんとか耐えて言い返す。

 

「おりょ?旦那とイッセー君は知り合いなんすか?」

 

俺とコカビエルの関係が解らないのかフリードが割って尋ねてくる。

 

「なに、過去に俺がアイツに戦い方を教えていただけだ。」

 

「ほぉ‼つまり、イッセー君は旦那のお弟子さんでしたか‼」

 

「そんな大層なものでもないさ。」

 

そこでコカビエルが威圧を止める。

 

「お前達の事だ、アザゼルから俺を捕まえるように言われているんだろう?」

 

「だったらなんだ‼」

 

「悪いがそれは出来ん。俺にも譲れないものがあるのでな。」

 

譲れないもの?それはいったい何なんだ?

 

「それでも俺を止めたければ、今日の深夜0時に駒王学園に来い。そこで決着をつけてやる。フリード。」

 

「アイアイサー‼忍法・霧隠れ‼」

 

そう言ってフリードが懐から何かを出し、地面に叩きつけると眩い光が俺達の視界を奪った。……って‼‼

 

「「「「「霧関係ないッ!?」」」」」

 

「やーい、引っ掛かった~‼んじゃ、アバヨッ‼‼」

 

視界が戻るとそこにはコカビエルもフリードもいなかった。

 

「クソッ‼逃げられた‼」

 

「…どうするの?」

 

「とりあえず調はオッチャンに今の事について連絡を入れてくれ。それと対策を考えなくちゃいけないから、切歌は皆に俺の部屋に集まるよう指示を頼む。」

 

「「了解(デス)‼」」

 

「未来は支取会長に連絡して「オーイ‼イッセー‼」ん?タケル……げッ…何でアイツらまで…」

 

この場の片付けをしていたら、後ろからタケルの声が聞こえ振り返るとタケルと何故か教会の2人がいた。

 

「悪い、遅くなった。で、状況は?」

 

「フリードと戦っていたらコカビエルが現れて、深夜0時に駒王学園に来いと言って逃げられた。」

 

「ついにラスボス登場か…」

 

「それより、何であの2人がいるんだ?」

 

アイツらが来てから未来達はなるべくそっちを見ないようにしたり、俺を壁にしたりしている。

 

「偶然会ったときにメールが来て、ついて来ただけだよ。元の目的は同じみたいだしな。」

 

「まあ、こっちに敵意を向けてこなけりゃ、俺も文句は言わねぇけど…」

 

「話し中悪いが、エクスカリバー使いは何処に消えた?」

 

「さあ?閃光弾で目眩ましされた隙に逃げられたからな。」

 

俺とタケルの話しに入ってきた青髪に俺はそう返す。

 

「そうか…なら我らがここにいる理由はない。イリナ、行くぞ。」

 

「ええ‼」

 

「は?いや、2人じゃむぼ…………もういねぇ…」

 

タケルが忠告しようとしたが、彼女達はその前にいなくなっていた。

 

「まったく……どうなっても知らねぇからな…んで、俺達はどうする?」

 

「とりあえず、対策をたてようと思うから俺の部屋に来てくれ。」

 

「わかった。」

 

その後、後片付けが終わった俺等は俺の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

あれから一誠君の部屋に到着し、しばらくすると翼さんとマリアさん以外のメンバーが揃った。

 

「んじゃ、対策会議を始めようか。」

 

「翼様とマリア様は?」

 

「あの2人はオッチャンと一緒に来るそうだから、今は冥界にいる。」

 

小猫ちゃんの質問に一誠君が返す。

 

「そういや俺は知らねぇんだけど、コカビエルってのはどのくらい強いんだ?」

 

「使うのは光の力と背中の羽を使った斬撃だ。恐らく、強さはこの前戦った慶吾の中の眼魔に近いレベルだ。」

 

「なるほど、厄介だな…」

 

「それに、過去に起きた三勢力戦争を生き残った実力者でもある。油断したら簡単に倒されるぞ?」

 

「ハァ…相変わらずハードモードって事か…」

 

一誠君の説明にタケル君もため息を吐く。

 

そうだよね、ここの所強敵ばかりとの戦闘だし……

 

「それにエクスカリバーを持っているフリードだ。アイツの戦い方は滅茶苦茶だから予想がつかない。だから、対コカビエルと対フリードで戦力を分散するのが得策だと思うんだが…?」

 

「私は一誠君の意見に賛成するよ。片方に集中させ過ぎて、もう片方との挟み撃ちは避けたいし。」

 

「だな、アタシもそれが良いと思う。片方がとっととフリードをぶっ飛ばして援護に行きゃいい。」

 

私とクリスさんの言葉に他の皆もそれに頷いていき…

 

「なら、作戦はこれにするとして次にメンバー分けだな…悪いが俺はコカビエルの相手をする。」

 

「じゃあ、僕はフリードの相手をさせてもらうよ。」

 

「じゃあライダーは分散した方が良いだろうから、俺はあの白髪野郎にするぜ。」

 

男性組が別れ終わったので女性組も別れた結果、対コカビエルは一誠君、私、響、調ちゃん、小猫ちゃんで対フリードは木場君、タケル君、エルナさん、クリスさんに切歌ちゃんになり、アーシアちゃんは後方で回復役になった。

 

「それじゃメンバー分けも終わったし、後は指定された時間までまだあるから皆で飯にでもするか。」

 

「「「「さんせ~い‼」」」」

 

一誠君の言葉に響達が元気よく返事する。

 

「いいのでしょうか?こんなにのんびりして…」

 

「いいんじゃないか?腹が減っては戦は出来ぬってな。」

 

「なら、ちょっと待ってろ。今作るから。」

 

「あ、私手伝うよ。」

 

台所に向かう一誠君にそう言って、私も立ち上がった。

 

「悪いな、この人数分を1人でやると疲れるから頼むわ。」

 

「うん‼」

 

冷蔵庫から出されていく食材を受け取り、並べていく。

 

キャベツにニンジン、もやしにピーマンに豚肉……この材料だと野菜炒めかな?

 

近くにある棚から包丁を取り出して食材を切っていく。

 

「ハァ…響や切歌ももう少し料理を覚えてくれると、楽になるんだけどな…アーシアはドジっ娘だから刃物は危ないし…」

 

「あの2人はどっちかっていうと、食べる専門だから…アーシアちゃんは仕方ないかな?」

 

「未来だけだよ…料理を手伝ってくれるのは。ありがとな。」

 

「そんな事、気にしなくていいよ。」

 

こんな会話をしながら作業していたら……

 

「あの2人……こうやって見てると新婚夫婦みたいだな?」

 

「御堂君もそう思った?僕にもそう見えたよ。」

 

「ッ‼‼」

 

スコーンッ‼

 

後ろから聞こえたタケル君と木場君の会話に私は動揺して、食材のないまな板に包丁を振り下ろして大きな音が部屋に響いた。

 

一誠君と私がし、新婚夫婦!?それは嬉しいけど、想像したらなんか恥ずかしい‼

 

「ど、どうした!?大丈夫か、未来!?」

 

「へッ!?な、何でもないよ‼うん、何でもない‼」

 

この動揺を悟られないように平静を装うとしたけど…

 

「いや、そんなに顔を真っ赤にして言われても…」

 

「ふえッ!?」

 

一誠君に言われ、すぐさま顔に手を当てる。

 

嘘ッ!?私、そんなに分かりやすいくらい顔赤いの!?いけない‼静まれ……静まれ……‼‼

 

そう両手で顔を隠し自分に念じていたら、額に少し冷たい感触がしたので手を退けたら……

 

「う~ん…熱は無いみたいだな…」

 

一誠君の顔が目の前にありました。

 

どうやらおでこ同士を合わせて熱を測ってくれてたみたいです………って顔が近い近い近い近いッ‼‼

 

「「「「「ああーッ!?」」」」」

 

「な………なななななな…‼」

 

「あまり無理するなよ?この後に大きな戦いがあるんだからな。」

 

「う……うん…‼だだだ大丈夫だから‼」

 

「なら、良いけど…」

 

「あ…」

 

一誠君の顔が離れていくのをホッとしつつも、少し淋しい気分で見送る。

 

「ほら、早く作っちまおうぜ?時間もあまり掛けられないしな?」

 

「う…うん、そうだね‼」

 

心臓がバクバクと音をたてながらも、なんとか表面上の平静を取り戻していこうとしたけど……

 

「御堂君、口の中が甘く感じるんだけどこれって何でかな?」

 

「それはあの新婚夫婦のせいだろ。」

 

スコーンッ‼

 

その言葉で再び動揺が表に出てしまった私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

食事も終わり、指定された時間まであと少しだったので俺達も部屋を出て駒王学園に向かった。

 

にしても、食事の最中未来は俺と顔を合わせようとしないし、響と調と切歌と小猫とアーシアから変な視線を浴びせられたのは何でだ?

 

「イッセー……背後には気を付けろよ?」

 

「そうしないと…………ゴメン、僕の口からこれ以上は…」

 

「え、なに?俺、いつの間にか絶体絶命なの?」

 

「「この鈍感ヤローが。」」

 

「何故にッ!?」

 

男三人組でそんな話をしつつ、駒王学園に着くと支取会長達が正門前にいた。

 

「龍見君、皆さん、お待ちしていました。」

 

「すみません会長、俺達堕天使陣営のゴタゴタに巻き込むような形になってしまって…」

 

「気にしないで下さい。あなた達のせいではありませんから。」

 

「ありがとうございます。それで、この結界は?」

 

学園を見ると大きな結界に覆われていた。

 

「既にコカビエル達は来ていて、何かの準備をしているみたいです。最初は私達で何とかしようと思ったのですが…」

 

そう言って俯く会長の足を見ると小刻みに震えていた。

 

「たった一瞬、威圧を浴びただけでこの有り様です。悔しいですが、私達は被害を抑える為の結界に集中することにしました。ですので…」

 

「大丈夫ですよ、元よりそのつもりなんですから。」

 

「お願いします。」

 

会長が結界に穴を空け、そこから俺達は中に入ると1人の老人が地面に魔法陣みたいなのを描き、そこには【4本】のエクスカリバーが浮いていた。

 

あれ?4本?報告だと3本だったはず……

 

「来たか、一誠よ。」

 

そこに、空から声が聞こえて上を向くとコカビエルが腕を組んで空に浮いていた。

 

「約束通り来たぞ‼コカビエル‼‼」

 

「早めに来たところ悪いがこちらの準備がまだなのでな……まずはコイツを渡しておこう。」

 

そう言って、こちらに魔法陣で何かを転送させてきたので警戒していたが、出てきたのはズタボロになった紫藤イリナだった。

 

「コイツともう1人が俺のいたアジトに仕掛けてきたのだが、あまり強くなくてな?片方は逃げられたが、コイツは軽く捻ってエクスカリバーを奪わせてもらったよ。天界の奴等は何を考えているのか……俺相手にこの程度で勝てると思われたのなら屈辱だな。」

 

「だから2人じゃ無謀だって言ったんだ…アーシア、一応回復してやってくれ。このまま死なれて天界から文句を言われるのは避けたいからな。」

 

「あ、はい‼わかりました‼」

 

紫藤をアーシアに預け、俺は再びコカビエルと向かい合う。

 

「さて、それじゃ殺ろうぜ‼コカビエル‼」

 

「フム…さすがにこの数相手では少し骨が折れるか…フリードもまだ“武器”がまだ完成していない…なら、一誠以外にはコイツらの相手をして貰おう。」

 

コカビエルが手を振るうと、大量の魔法陣が浮かび上がりそこから巨大な三つ首の犬のような生き物が出てくる。

 

「ケルベロス‼」

 

「なに、この数!?」

 

「およそ20ってとこか…」

 

そして、その群れの先頭にコカビエルが降り立つ。

 

「一誠、お前の相手は俺が直々にしてやる。持てる力の全てで掛かってこい‼」

 

「へッ‼んなもん当たり前だ‼つーか、そうしねぇと勝てる可能性が0なのも分かってるからな‼最初から飛ばして行くぞ‼‼」

 

左手に握り締めたカードデッキを前にかざし、腰に銀のベルト【Vバックル】が装着されたら左手を左腰に戻し右手を上に突き上げて握り締める。

 

「変身ッ‼」

 

そして右手を振り下ろしながらデッキをバックルに装填して仮面ライダー光龍に変身する。

 

「それが仮面ライダーとやらか……さあ来い‼このバカ弟子が‼」

 

「そっくり返してやるよ‼このアホ師匠‼」

 

互いに走り出し、射程に入ったら俺は右手をコカビエルは左手を後ろに引き、一気に突き出して拳同士が激突する。

 

その激突音がこの決戦の開始のゴングになった。




いかがでしたか?

次の話は木場君sideでの話になります。

次回『剣の騎士』

では、次回でお会いしましょう。


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剣の騎士

どうも遅くなりました。疾風の警備員です。

今回はエクスカリバー編木場sideです。

色々と書いてたら1万文字越えてしまった……

後、木場君の禁手はちょいと改造してあります。

よければ見ていってください。


タケルside

 

イッセーとコカビエルが拳をぶつけ合った瞬間、ケルベロス達が俺達へと向かってきた。

 

「んじゃ、お邪魔犬の相手をしますか。」

 

俺はジンスケ眼魂をゴーストドライバーにセットしてレバーを引いて押し込む。

 

「変身‼」

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼ジンスケ‼電瞬‼一刀‼夢想無双‼》

 

そしてバックルからガンガンセイバーを二刀流で出してカモメキャメラと合体、鞘モードの本体に小太刀の方を納めベルトに翳す。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

背後の紋章から剣にエネルギーが集束されていき、腰を低くして右手を小太刀に添えるようにして構える。

 

「切り捨て…」

 

「ガオォッ‼」

 

「シッ‼‼」

 

《オメガカット‼》

 

そして、俺の射程に入ったケルベロスに向かって飛び込み、すれ違い様に小太刀を抜き放ち一閃する。

 

着地した場所で1秒ほど静止した後、剣を鞘に納めていくとケルベロスの体に無数の線が浮かび……

 

「…………御免。」

 

完全に納めるとケルベロスは細切れになって消滅した。

 

「グオワァッ‼」

 

そして、右側から来たもう1体に振り向き様に剣を抜こうとしたら…

 

「やあッ‼」

 

エルナが伸ばしたバイパーがケルベロスの足に巻き付き、動きを拘束した。

 

「タケルさん、今です‼」

 

「ナイスだ‼エルナ‼」

 

その隙を使ってベルトのレバーを引いて押し込む。

 

《ダイカイガン‼ジンスケ‼オメガドライブ‼》

 

「ハアッ‼」

 

紋章のエネルギーを集束した剣を一気に抜き、放たれた斬撃がケルベロスを縦に両断した。

 

「一緒に行きましょう‼」

 

「おうッ‼」

 

「ガアッ‼」

 

隣に並び立った所にケルベロスが飛び掛かってきて、俺達は後方へ飛びながらエルナはGEARコマンダーを俺は黄色の眼魂をバックルにセットすると銀に黄色のライン、左右の袖から伸びたワイヤーの先には電球を半分にしたかのような物が付いており、フードには2本のアンテナがついたパーカーが現れ、ポーズを決めると白熱電球を持った発明家の姿が浮かび上がった。

 

それをレバーを操作して身に纏う。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼エジソン‼エレキ‼閃き‼発明王‼》

 

すると電球のようなパーツが肩に移動し、顔には黄色で電球の絵が描かれ、ガンガンセイバーをガンモードにする。

 

エルナは籠手にSP01と画面に表示されたGEARコマンダーを接続して両手に雷撃が走る錬成陣を作りだし、俺はベルトにガンガンセイバーを翳す。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

そして互いに錬成陣と銃口をケルベロスへと向け…

 

「閃光雷神撃‼」

 

「痺れなッ‼」

 

《オメガシュート‼》

 

そこから迸った雷がケルベロスに直撃する。

 

「ガワワワワワワワワワワワッ!?」

 

それが終わると、黒焦げになったケルベロスは地面に倒れ消滅した。

 

「次、行くぞ‼」

 

「はいッ‼」

 

俺はニュートン眼魂を取り出し、エジソン眼魂と入れ換える。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼ニュートン‼リンゴが落下‼引き寄せまっか~‼》

 

ニュートン魂になった俺はエルナと左右に移動して、1体のケルベロスを挟み込む位置につき…

 

「ガオ?」

 

《ダイカイガン‼ニュートン‼オメガドライブ‼》

 

「潰れろッ‼」

 

「オートプレッシャー‼」

 

俺は右手のグローブから斥力を、エルナが重力を操作してケルベロスに左右から超重力を掛けて、プレス機のように押し潰していく。

 

「ゴ……ガア…………ギ……‼」

 

全身から骨の折れる音を鳴らしながらケルベロスは倒れ伏し、消えていった。

 

「他はどうだ?」

 

周りを見ると、調ちゃん、切歌ちゃん、小猫ちゃんの1年トリオは連携して戦っており、調ちゃんが体の下を【非常Σ式・禁月輪】で腹を切り裂きながら駆け抜け、切歌ちゃんが【断殺・邪刃ウォTtkkk】で真ん中の首を切り落とし、塔城さんが禁手の姿で【バニシング・フィスト】を背中に打ち込み、粒子レベルで粉砕されて消滅していた。

 

響さんと未来さんは互いの欠点を補い合うように2人でケルベロスを圧倒していた。

 

木場とクリスさんはケルベロスの攻撃をかわしながら、エクスカリバーがある所に向かっていた。

 

「木場の神器じゃエクスカリバーの攻撃には耐えられない……なら‼熱いやつ、いきますかッ‼」

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼バッチリミナー‼闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

闘魂ブースト魂になった俺はガンガンセイバーを木場へと投げた。

 

「木場‼コイツを使えッ‼」

 

「へ?おっととッ‼ありがとう‼」

 

それを受け取った木場は、再びエクスカリバーの元へと向かった。

 

「いいんですか?武器を渡してしまって…」

 

「問題ねぇよ。」

 

そして振り返ると、そこには3体のケルベロスが口から涎を垂らしながら俺達を見ていた。

 

「あわわわわわ…‼」

 

「ヘッ、上等だ。」

 

俺は右手に炎を纏わせて……

 

「紅に燃えるぜッ‼‼」

 

「ギャワアゥッ!?」

 

真ん中の1体を殴り飛ばした。

 

「フッ、俺に触れると…ヤケドするぜ?」

 

「さっきから言ってるセリフは色々アウトじゃ…それと自爆技はやめてくださいね?」

 

「俺も英雄の力を借りているから無問題‼…後、それは俺もやりたくない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

御堂君の剣を受け取った僕は雪音先輩と一緒にエクスカリバーが浮いている魔法陣まで行こうとしていたが……

 

「くッ!?この数で来られると…‼」

 

「さすがに鬱陶しいんだよッ‼」

 

それを守るかのように、ケルベロス達が邪魔に入ってきた。

 

「どうすれば……「木場‼後ろだ‼」え?」

 

雪音先輩の声で振り返ると大きな口を開けたケルベロスが目前に迫っていた。

 

しまったッ!?この距離じゃかわしきれない‼

 

「チィ‼「ガオォッ‼」この…‼邪魔すんな‼」

 

雪音先輩が援護しようとしてくれるが、他のケルベロスにことごとく邪魔されていた。

 

このまま噛み付かれるというところで……

 

「セイッ‼」

 

「ギャガッ!?」

 

「「なッ‼」」

 

新たに現れた人物によってケルベロスは首を斬られ、消滅した。その人物は…

 

「ゼノヴィア…さん?」

 

「助太刀に来た。」

 

「……どういう風の吹き回しだ?」

 

ケルベロスを倒した雪音先輩がゼノヴィアさんに詰め寄った。

 

「イリナとコカビエルのアジトを強襲したまでは良かったのだがあまりの力の差に逃げ出し、今後を考えていたらある男の言葉を思い出してな?」

 

「言葉?」

 

「“心が迷子になっているのなら、自分の思うままにやってみろ”…だそうだ。だから私は君達と協力する事を決めた。」

 

「…………誰が言ったか、だいたいわかった…」

 

僕もわかったよ……たぶん御堂君だね…

 

「アタシ達がお前を信用するとでも?」

 

「もちろん思ってはいない。だから…」

 

そこで彼女はエクスカリバーを投げ、雪音先輩の後ろに来ていたケルベロスへと突き刺した。

 

「私はここのケルベロスの相手でもしているさ。お前達は好きに動くといい。」

 

落ちていたエクスカリバーを拾い、彼女はケルベロスへと構えた。

 

「…礼は言わねぇぞ。」

 

「気を付けて‼」

 

彼女への一応の感謝の言葉を伝え、僕と雪音先輩は魔法陣の前にまで来たのだが…

 

「あれ、エクスカリバーが1つしかない?」

 

しかし、先程と違いエクスカリバーは1本しかなかった。

 

さっきまで4本あったのに…………まさか!?

 

「……完成だ‼」

 

陣の近くにいた老人の声が聞こえ、自分の考えが正しい事を確信した。

 

「4本のエクスカリバーを1つにしたのかッ!?」

 

「その通りだ。更にそのお陰で下の魔法陣も完成した。後20分でこの町は吹き飛ぶだろう。」

 

「んだとォッ!?」

 

まさかそんな術式なんて!?早く停止させないと‼

 

「ふざけんな‼テメェ何が目的でこんなことを‼」

 

「何故…だと?決まっているだろう‼私の夢を、研究を否定し、それを利用している天界の奴等への復讐なのだよ、これは‼」

 

「復讐…」

 

「どうした、木場?」

 

その老人が怒りを露にしながら叫ぶ言葉が何故か僕の耳に響く……それと同時に心臓が激しく鼓動する。

 

なんだろう……この心から沸き上がってくるものは?

 

「奴等が私の研究を否定しなければ、私の夢はもっと早く叶ったのだ‼それを天界の連中はやり方が異常だと私を追放処分にしたのだ‼」

 

「お前の夢?」

 

「そうだ‼私の憧れた…かの【騎士王】を新たに作る事だ‼」

 

その騎士王が使っていた武器はゼノヴィアさんが持ち、僕とも因縁のある物…つまり、

 

「その研究とはまさか…」

 

「エクスカリバーに選ばれし者を作る計画……それがこの私、バルパー・ガリレイが提唱した聖剣計画なのだ‼」

 

「「ッ‼」」

 

そうか……この人が……

 

「貴方が…聖剣計画の責任者なんですか…?」

 

「ん……?貴様は?」

 

「どうしてあんな事をしたんですか?どうして僕たちを毒ガスで殺そうなんて…」

 

「ほう…あの時の生き残りか…なら答えてやろう。使えなくなった道具を生かしておく必要がないからだ。」

 

「え…?」

 

道具…?僕や彼等が……道具だって…?

 

その瞬間、胸の中から沸き上がっていたものが燃え始めた。

 

「いくら実験してもなんの成果も出せない道具は、処分するものだろう?」

 

「……れ…」

 

それはどんどん熱さを増していき……

 

「そして、調べてみれば聖剣を使うにはある因子が必要だと分かり、貴様らはそれが少なかった事がわかった。とんだ無駄をしたものだと思ったよ。」

 

「……まれ…」

 

ついに……

 

「まあ、その因子を取り出し結晶体にすることで使用を可能にできる事が解ったから完全な不要品では無かったが、他に情報を渡されて真似されては困るのでね?ああした訳だよ。」

 

「黙れェェェェェェェェェッ‼‼」

 

それ(怒り)が爆発した。

 

コイツだけは許さない‼

 

「おい、ちょっと待て‼」

 

雪音先輩の声を無視して、御堂君から渡された剣を握り締め、僕はその男へと一気に接近して剣を振るう…

 

「はい、残念賞‼」

 

が、それは突然割って入ってきた剣に防がれてしまった。

 

「お前は…フリード‼」

 

「どうも~、いつもニコニコ悪魔のお首をチョンパる男、フリード・セルゼンで~す‼」

 

「邪魔するなッ‼‼」

 

「あらよっと‼」

 

凪ぎ払うように剣を振るうも、刀身を斜めにして受け流される。

 

「早速エクスカリバーを使っているのだな。なら、ここにいる奴等で試し切りしてこい。」

 

「あいなー‼この素敵で無敵なEXカリバーでミンチにしてやりますよ‼」

 

「たとえ相討ちだろうと、それは壊「ちょっと黙ってろ。」グェッ‼」

 

感情のままにフリードと戦おうとしたら、雪音先輩に後ろから襟を引っ張られて、首が締まった。

 

「ゲホッゲホッ‼……何するんですか‼」

 

「今のお前じゃ足手まといだ。大人しくしてろ。」

 

「そんな事…‼」

 

「あるさ。そんな簡単に仲間の想いを忘れて暴走する奴に背中は預けられねぇな。」

 

「ッ‼」

 

そう言って、雪音先輩はフリードと向き合った。

 

「あれあれ~、あんたはあの時のヘビーアームズちゃんですか?こいつは楽しめそうだ‼」

 

「御託はいいから、さっさと殺っぞ‼」

 

 

ー推奨BGM『TRUST HEART』ー

 

 

高速で動き回るフリードに、両手にボウガンを装備した先輩は光の矢を乱射した。

 

「持ってきな‼」

 

《QUEEN's INFERNO》

 

「お断りしや~す‼」

 

フリードはそれを回避したり、剣で叩き落としたりした。

 

「この…‼チョセェんだよ‼」

 

「頑張って当ててみ~‼」

 

「だったら接近戦だ‼」

 

今度はボウガンをマシンガンに変え、振り下ろされた剣を銃身で受け止め、逆の銃を撃つ。

 

「うおッ!?ガン・カタっすか‼やべ、マジカッケェ‼」

 

「なら、喰らっとけ‼」

 

「それはゴメン被る‼」

 

瞬間、フリードが4人に分身した。

 

夢幻の聖剣の力!?もしかして、あのエクスカリバーは4つの能力が使えるのか!?

 

「さあさあ‼何処までもつのか楽しみだ‼」

 

「クソッ‼うあ‼」

 

「先輩‼」

 

そこに後ろに透明になって隠れていた5人目の攻撃を背中にうけた。

 

透明の聖剣の能力まで使いこなしているのか!?

 

それに必死で戦っている先輩に比べて僕は……

 

「どうだ?あやつには貴様の仲間の因子の4つの内3つを使っているからな。中々の出来栄えだ。」

 

「ッ‼」

 

フリードに仲間の因子が!?

 

「これはその最後の1つだ。特別に貴様にやろう。既に量産化も可能なレベルにまで研究は進んでいるしな。」

 

そう言って、その男は青色の結晶を僕に向かって投げ、それを受け止める。

 

「皆…」

 

「オイ‼木場‼」

 

そこに、御堂君達がケルベロスを倒してやって来た。

 

「クリス先輩になにやってるデスか‼」

 

切歌ちゃんはそのまま雪音先輩の援護に入った。

 

「その結晶は?」

 

「それは聖剣使いが祝福を与えられる時に使われる物だ。先程の会話は聞こえていたが、そんなものだったとは…」

 

「なんでそれを木場さんが?」

 

皆が僕の周りで話しているけど、それは頭に入ってこないで、自分の不甲斐なさに顔を俯け涙した。

 

僕はいったい何をやっているんだ……

 

その涙が結晶に当たって光だしたのにも僕は気づかなかった。

 

 

 

 

 

タケルside

 

木場が結晶を握り締めながら、顔を俯けている理由を聞こうとしたら、目の前にピンクの眼魂が出てきて光を放ち俺は目を瞑った。

 

目を開けると正面には遥か昔にあった竪穴式住居とフードと両肩に金の装飾品が付いたピンクのロングコート風のパーカーを着た黒い存在が立っていた。

 

「貴方は…?」

 

『妾は卑弥呼なり。』

 

「卑弥呼様ッ!?」

 

それって昔に巫女をやっていたあの…‼

 

『タケルよ、妾を呼ぶのです。』

 

「卑弥呼さんを?」

 

いったい何故?

 

『あの石には幼き子らの魂が宿っています。』

 

「あの石の中に?」

 

『そしてその子らは、それを握っている者に語り掛けようとしておるのです。それを妾の力で聞こえるようにいたしましょう。』

 

「成る程、分かりました。」

 

『では、頼みましたよ?』

 

そして現実に戻ってきた俺は卑弥呼眼魂を手に持つ。

 

「木場。」

 

「……何だい?」

 

「今からお前に、その中にいる奴等の声を聞かせてやる。」

 

「え?」

 

そして、それをバックルに入れる。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

ベルトからヒミコゴーストが出てくると、隣に巫女装束を着た女性の絵が浮かび、俺はレバーを引いて押し込んでそれを闘魂ブーストのトランジェントの上に羽織った。

 

《カイガン‼ヒミコ‼未来を予告‼邪馬台国‼》

 

すると勾玉を複眼みたいにしたピンク色の顔が描かれた。

 

更にもう一度レバーを操作して、必殺技を発動させる。

 

《ダイカイガン‼ヒミコ‼オメガドライブ‼》

 

「魂魄……解放……‼」

 

両手に浄化の力を持つ炎を纏わせてそれを周囲に広げていき、最終的には学校の結界内全てに広がった。

 

「これは…?」

 

「浄化の炎で作った特殊なフィールドだ。この中なら話せる筈だぜ?」

 

「話せる?それはだ『久しぶりだね?』ッ!?」

 

木場が喋っている時に、聞きなれない小さな子どもの声が聞こえ、そこを見ると数人の子どもが半透明の姿で立っていた。

 

「皆!?どうして…」

 

『彼の力で一時的に出てこれてるのさ。』

 

『それより何だよ、その情けない顔は?もっとシャキっとしろよな‼』

 

「でも……僕は君達の願いを忘れて……怒りのままに…‼」

 

『気にしないで?むしろ、私たちの為に怒ってくれてありがとう。』

 

『ありがとー‼』

 

強い子達だな……自分よりも誰かを優先させるなんて……

 

『だから、これからは自由に生きて?』

 

『俺達の事は気にしなくていいからよ‼』

 

「うん……ちゃんと皆の分まで生きるから『それだと50点かな?』へ?」

 

『言葉が足らねぇよ。』

 

『私たちの分まで【幸せ】に生きて。』

 

『それが私達の最後の願いだよ。』

 

「……良いのかい?僕は…………君達を置いて逃げた僕が幸せになっても…?」

 

『『『『『『『『当然‼』』』』』』』』

 

「皆…………ありがとう…‼」

 

木場の目から涙が流れ落ちる。ただし、今度は悲しい涙じゃない。

 

『貴方は1人なんかじゃない。』

 

『体が無くても、魂までは消えないさ。』

 

『君には僕たちがついてるんだ。』

 

『だからもう怖がらなくていいの。』

 

『聖剣だって受けとめてやろうぜ‼』

 

『たとえ神様が見ていなくたっていい。』

 

『たとえ神がいなかろうと関係ない。』

 

『いつでもいっしょ‼』

 

『『『『『『『『僕(私)達の心は‼‼』』』』』』』』

 

「いつだって1つだ‼」

 

その瞬間、俺は木場の何かが変わったのを感じた。

 

「なんだ、この感じは…?」

 

「至ったんです。」

 

「へ?」

 

エルナの返答に俺は間抜けな返しをしてしまった。

 

いや、至ったって何に?

 

「神器は所有者の想いや願いが、この世界の流れに逆らう程の劇的な変化を起こしたとき、新たな領域へと至れるんです。それが…」

 

「僕の想いに答えてくれ……魔剣創造(ソード・バース)‼‼」

 

木場の叫びに合わせて、その手には神々しさと禍々しさを併せ持った一振りの剣が握られていた。

 

禁手(バランス・ブレイカー)です。」

 

「【双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)】‼これが僕の……僕達の想いの力の結晶だ‼」

 

「あれが……木場の禁手…」

 

その剣に見惚れていたら、幾つかの眼魂が木場の元へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

禁手によって出来た剣を見ながら、神経を研ぎ澄ませていく。

 

皆の想い、今度こそ受け取ったよ…………だから‼

 

「エクスカリバーとの因縁を今ここで断ち切る‼待っててください‼雪音先輩‼」

 

フリードと戦っている先輩と暁さんの元へ行こうとしたら、僕の目の前に眼魂が7つ現れた。

 

「これは…ライダーの眼魂?」

 

それらが僕の剣に光を当てていき、それが終わると刀身の根本にソケットのような物と持ち手にトリガーが付いた。

 

「これ…眼魂が入るような……もしかして、僕に力を貸してくれるんですか?」

 

そう聞くと、頷くかのように眼魂達が動いた。

 

「……ありがとうございます。」

 

「私も共に行こう。」

 

そう言って、ゼノヴィアさんも隣に立った。

 

「良いのかい?エクスカリバーを壊してしまうかもしれないよ?」

 

「構わないさ、あれは聖剣ではなく最早異形の剣だ。ならば破壊したほうがいい。最悪破片だけでも持ち帰れれば良いしな。それに私にも切札がある。」

 

彼女が正面に手を翳した。

 

「ぺトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ、我が声に耳を傾けてくれ。」

 

そう言霊を唱えると空間が歪み、その中から鎖に繋がれた1本の剣が出てきた。

 

あれも聖剣なのか…!?エクスカリバー以上の聖なるオーラを感じる‼

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する………………デュランダル‼」

 

それを彼女が手にすると、鎖が弾け飛びエクスカリバーとの二刀流になった。

 

デュランダルといえばエクスカリバーと同等の力を持つ聖剣じゃないか‼

 

「馬鹿な!?何故小娘ごときがそれを!?私の研究でもデュランダルまでは使えない筈だッ‼」

 

「なに、それは私がデュランダルに選ばれた謂わば天然の聖剣使いだからさ。」

 

「なんだと!?」

 

彼女の言葉にバルパーは驚いていた。

 

「ただ、かなりのじゃじゃ馬でな?異空間に仕舞っておかないと何でも切り裂いてしまうのが難点だ。では行くぞ‼」

 

「ああ‼」

 

二人同時に走り出し、雪音先輩に迫っていたフリードに剣を振るう。

 

「ぬあッ‼‼」

 

「木場!?」

 

「雪音先輩‼大丈夫ですか‼…………って!?」

 

「ん…どうした?」

 

先輩の様子を確認しようとして見たら、フリードに斬られたのか所々ボディスーツが破れていて肌(特に胸元)が見えていたので僕は慌てて目を反らした。

 

「と、とりあえずこれを着ていてください‼」

 

「へ?………………ッ!?!?!?い、いや…これなら‼」

 

着ていた制服のシャツを先輩に渡すが、シンフォギアを解除した先輩は制服姿に戻り、

 

「Killiter Ichaival tron」

 

再び聖詠を唱え、シンフォギアを身に纏った。

 

「わ、ワリィ……‼戦いに集中し過ぎて気づかなかった…‼」

 

「い、いえ‼大丈夫ならいいんです‼」

 

シャツを着直しながら、互いに赤くなっているであろう顔で話していたら…

 

「「そこの2人‼イチャラブしてないで手伝え(デス)‼」」

 

「「してないッ‼‼」」

 

暁さんとゼノヴィアさんから、からかい混じりの言葉に同時に反論する。

 

「たく‼行くぞ木場‼」

 

「はい‼今度こそ先輩を守ってみせますよ‼」

 

「はッ‼だったらその覚悟を見せてみろ‼」

 

 

ー推奨BGM《BAYONET CHARGE(クリス&木場ver)》ー

 

 

僕は騎士の力で一気にフリードに向かう。

 

「喰らいま「「逃がさない(デス)‼」」ルンバッ!?」

 

逃げようとしたフリードは暁さんとゼノヴィアさんの攻撃で機会を逃し、僕は聖魔剣のソケットにブレイド眼魂を入れて、トリガーを引いた。

 

『BLADE』

 

すると、聖魔のオーラが刃面に凝縮されていった。

 

「セアッ‼」

 

「なんくるナイサー‼‼……って刃零れしとるぅッ!?」

 

聖魔剣がエクスカリバーと切り合うと、エクスカリバーの刀身が少しだが欠けていた。

 

「こんなタイミングでパワーアップとかマンガかラノベかよ‼………………あ、これ二次小説だった。」

 

「「「「メタ発言止めろォ‼!?」」」」

 

フリードの言葉に全員で突っ込みつつ、そのまま襲いかかったけど……

 

「秘技、影分身‼」

 

「またかッ!?」

 

「数が多いな。」

 

「囲まれたデス!?」

 

夢幻の力で10人以上に増えたフリードが僕達を囲っていた。

 

「へッ‼こんなもん…‼」

 

「凪ぎ払うだけだ‼」

 

雪音先輩が両手にガトリングを装備し、僕は電王眼魂を入れた。

 

『DEN-O』

 

すると聖魔のオーラが剣先から伸びていき、少し離れた場所で剣の形になった。

 

「持ってけ‼」

 

「ハアッ‼」

 

先輩がガトリングを乱射し、僕は飛んでいるオーラの剣で一気に凪ぎ払った。

 

「ハアッ!?なんばしよっと‼アンタ等は‼」

 

「隙ありデス‼」

 

僕達の攻撃に暁さんが放ったワイヤーがフリードの右足に絡み付いて地面に固定された。

 

「うぴょッ!?オレ様ピンチ?」

 

「その通りだ‼」

 

ゼノヴィアさんがデュランダルと破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)を振り下ろし、フリードがエクスカリバーで受け止めるが刀身の大量の罅が入った。

 

「ウッソォ!?これ、伝説の剣なんですよね!?マジでモロッ‼もしかしてパチもん掴まされた!?」

 

「かもなッ‼‼」

 

「スンドゥブッ!?」

 

さっきまでの怨みも込めてあるだろう雪音先輩の拳を顔面に喰らってフラフラしている間に鎧武眼魂をソケットに入れる。

 

『GAIM』

 

左手に現れたもう1つの聖魔剣を掴み、柄同士を合わせて薙刀形態にし、走り出す。

 

「ちょっ!?なんのこれし「デアッ‼」(パキィン‼)折れたぁー!?」

 

鞭のように伸ばしてきたエクスカリバーにすれ違い様に聖魔剣を当てると、刀身が粉々に砕け散った。

 

「聖剣がなまくら剣に負けるってありっすか!?せっかくリサイクルまでしたのにッ‼……ハァ、やっぱ1度でも折れるような剣は駄目だな。次ッ‼」

 

「そんなものはないッ‼‼」

 

そして振り返りながら2刀にした剣でフリードを縱に切り裂いた。

 

「DEATHよねーッ‼‼」

 

血を流しながらそう叫び、フリードは倒れ落ちた。

 

「皆、やっと終わったよ…」

 

剣を下ろして空を見上げながら、僕はそう呟いた。

 

「どうだ、スッキリしたか?」

 

「はい、色々とありがとうございました。」

 

近くに来ていた雪音先輩に僕はお礼を言った。

 

「気にすんな、単なる先輩のお節介だし…………それと…」

 

そこで雪音先輩が僕にヘッドロックを仕掛けてきた。

 

「さっき見たものは忘れろ…‼いいな‼」

 

「ちょっ!?先輩‼ダメです‼その技は…‼」

 

頭に柔らかい感触がぁ~!?

 

痛さと柔らかさと女性特有の甘い匂いまで感じるある意味天国と地獄にどぎまぎしつつも、僕は過去に決着がついた事を喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

エクスカリバーが折れて、茫然自失としているバルパーを抑えながら木場とクリス先輩を見て……

 

「エルナ……コーヒーのブラックって持ってないか?」

 

「……ボクが欲しいですよ。」

 

「フム、確かこういう状況を的確に表した日本語があったと思うのだか…」

 

「(クフフ‼いいこと思いついたデス‼)それはデスね…」

 

俺達がそんな事を思っていたら再び卑弥呼眼魂が出てきて俺を眼魂の中に連れていき、卑弥呼と対面した。

 

『人の想いは他の人物に多大な影響を与える力がある。』

 

「はい、今回のでそれがよく分かりました。」

 

木場とあの子達の関係を見たら、信じない訳がない。

 

『だが、それは良いものばかりではなく悪しきものもある。それが現世に破滅をもたらすことも……。』

 

確かに、そう考えて行動する奴もいる。宗二とかな。

 

『タケル、想いの力を信じ、それを正しく使える強さを持つのです。それが近い未来にそなたを新しい力へと導くでしょう。』

 

「新しい力…?それはいったい…」

 

『妾に言えるのはここまでです。タケルよ、精進するのですよ?』

 

そう言って俺は現実に戻された。

 

新しい力って何だ?もしかして前にアリアに貰ったアレか?

 

「嘘じゃ…エクスカリバーが折れるなど……きっと夢だ‼そうだ‼あの騎士王の剣がこんなに弱いわけ…‼それに聖魔剣だと!?相反する二つの力が混ざり合う訳が…‼」

 

「うっせーぞオッサン。ちょいと黙って…………ん?」

 

足元でブツブツ呟いているバルパーを黙らせようとした時、近くに光る何かが落ちているのが見えた。

 

「これは……さっきの破片か?でもこの感じ…もしかして‼」

 

それを拾った俺は、それがある現象の前触れであることを思い出し、その破片に目の紋章を描いた。

 




如何でしたか?

この作品のバルパーはエクスカリバーより、それを使っていた騎士王への憧れが強くなっている感じです。

木場君に力を貸した残りのライダー眼魂は何か楽しみにしていてください。

早くタケルをグレイトフルにしてぇ……

後、活動報告で最強フォームについての悩みを書いているので協力してくださると助かります。

次回『一撃に込めて』

では、次回のエクスカリバー編一誠sideでまた会いましょう。


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一撃に込めて

どうも、疾風の警備員です。

今回は一誠sideです。やっとあの技を習得します。

そして、最後にアザゼルの新装備がお披露目です。

では、よければ見ていってください。


一誠side

 

「「ハアァァァァァァァァァァッ‼‼」」

 

俺とコカビエルの拳が激突し、そのまま戦闘に突入する。

 

拳を離し左腕を振るうが、同じように左腕で弾かれその勢いを利用した裏拳が来るが右手で止め、蹴りを放つが左足でガードされ逆の足の蹴りを左手で弾きながら1度距離を取る。

 

「驚いたぞ…仮面ライダーというのになると、ここまで身体能力が上昇するのか。」

 

「よく言うぜ、全く堪えてないくせに。」

 

「フン、鍛え方と経験が違うからな。」

 

「そりゃそうだッ‼」

 

走り出し、飛び蹴りをするが半歩横にずれて簡単に回避され、振り向き様に裏拳を繰り出すもその腕を掴まれ脇腹に蹴りを喰らう。

 

「ぐッ‼」

 

「どうした……その程度か‼」

 

掴まれたままの腕を引っ張られ、バランスを崩した所に腹に膝蹴りを貰い、体がくの字に曲がっている間の背中に肘打ちが入り倒れたら右足で蹴り飛ばされた。

 

「ガフッ‼」

 

「どうやら、まだ上手く力を扱うことに馴れてないのか。」

 

『主‼カードを使ってください‼』

 

「ああ‼」

 

デッキからカードを抜き、メイルバイザーに装填する。

 

《SWORD VENT》

 

空から落ちてきたバイオブレードを掴み取り、構える。

 

「ほお、そんな能力が…」

 

「いくぜッ‼」

 

「させん‼」

 

突っ込んでくる俺に光の槍を投げて来るが、それをバイオブレードで両断する。

 

「フム……なら、こうすればどうだ?」

 

少し思案したかと思えば、コカビエルはその手にレイピアサイズの細い光の槍を作り出した。

 

そんなもの、一気にぶった斬る‼

 

「オオッ‼」

 

気合いを込めながら剣を一閃し……

 

カギギギギギギ‼

 

「んなッ!?」

 

「やはり、予想通りだったか。」

 

そのままつばぜり合いになった。

 

『そんな!?この剣は切断力なら聖剣超えをしているはず‼そんな細い光の槍で受け止めるなど…!?』

 

「凝縮した光の槍の更に接触面にのみ力を集中しているだけだ。その部分以外は強度が中級レベルになっているが、接触面は聖剣を超えられる。」

 

『なんという無茶を!?1㎜でもずれれば貴方が斬られるかもしれないのですよ!?』

 

「これくらいの無茶など、日常茶飯事だ。」

 

『…………やはり、主の戦い方は師匠譲りですね。』

 

メイルの呆れた感のある声を聞きながら、剣と槍で斬り合っていく。

 

こんだけやってるのに全く折れねぇなんて…‼

 

「流石は堕天使幹部を名乗ってはいないか…」

 

「当然だ、誰が戦いを教えたと思っている?お前の癖などお見通しだ。」

 

「そうか…」

 

(メイル、出てこれるか?)

 

(いつでも‼)

 

心の中でメイルとの会話を行い、カードを抜いてバイザーに入れる。

 

「だったら、相棒の動きまで読めるか?」

 

《ADVENT》

 

「ゴアアァァァァァァッ‼」

 

「何ッ!?」

 

俺の体から金色の龍が出てきたことにコカビエルは驚いた。

 

「ガアッ‼」

 

「ぬおッ‼」

 

その隙に放たれた火球がコカビエルを襲った。

 

「今だッ‼」

 

一気に駆け出し、ブレードを突き刺そうとしたが……

 

「ちいッ!?」

 

背中の翼を広げて、空へと逃げた。

 

「あッ‼逃がすか‼メイル‼」

 

『はいッ‼』

 

コカビエルを追って飛んでいくメイルを見ながら、新たに光翼が描かれたカードをバイザーに入れる。

 

《WING VENT》

 

すると背中にメイルの光翼と同じものが現れて、俺自身も空へと飛び上がり、コカビエルと対峙する。

 

「神器の中のドラゴンを解放し飛行能力まで持っているとは……仮面ライダーとは何でも有りか?」

 

「さあ?……タケルの話だと【その時、不思議な事が起こった】で何でも解決できるライダーがいたらしいから、そうなのかもな。」

 

「ならば、それが起こる前に倒すとしよう…‼」

 

『させません‼』

 

そう言って突撃してくるコカビエルにメイルが光翼から大量の光弾を放って妨害しようとするが…

 

「甘いわッ‼」

 

それを最小限の動きで掻い潜ってきた。

 

「さっすが…‼やることが半端ねぇな‼」

 

『主…?あまりああいうのは真似しないで「だったら迎え撃ってやる‼」聞いてッ!?』

 

メイルの小言を無視して俺も突っ込んでいき、再びつばぜり合いになる。

 

「ハハハハハッ‼まさかあんなに弱かったお前が、ここまでやれるようになるとはなッ‼」

 

「よく言うだろ?【男子三日会わざれば刮目せよ】ってな‼‼」

 

「確かにな‼‼………………………………だが…」

 

「ッ‼‼‼!?うわぁッ‼」

 

『主‼‼』

 

いきなり雰囲気の変わったコカビエルに驚いていたら、いままで以上の力であっさりと吹き飛ばされ地面に激突した。

 

「さっきまでのが本気だとでも思ったか?」

 

「ウグッ…………ク…ソ……‼」

 

「フッ‼」

 

「ガハァッ‼」

 

起き上がろうとしていたところに、コカビエルが高速で突っ込んできてその勢いを乗せた蹴りを俺の腹に叩き込んだ。

 

「嘗めるなよ?俺には成すべき事がある…故に負けられんのだ。」

 

「成すべき……事…?」

 

「そこまで話すつもりはない。もし聞きたければ俺にまともな一撃を決めてみろ?」

 

「なら……やってやる…さ…‼メイル‼‼」

 

『お任せを‼』

 

「うぬ…‼」

 

俺の合図でメイルがコカビエルに体当たりを仕掛けるが、その場を移動して回避されその間に俺は痛みを押し殺して立ち上がった。

 

「つぅ~、けっこう効いたな…」

 

『大丈夫ですか?』

 

「ああ、気にすんな。」

 

心配そうなメイルに少し無理して平気な感じを出して答える。

 

「さてどうする?お前1人では俺に一撃を入れるなど容易ではないぞ?」

 

「そうだな…………だったら…‼」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇいッ‼‼」

 

俺の後ろから調が出てきて、小型の丸鋸を大量にばら蒔いた。

 

《α式 百輪廻》

 

「む…。」

 

コカビエルはそれを盾で防いだ……

 

「そこッ‼」

 

パキャン‼

 

「うおッ!?」

 

が、未来のレーザーでそれをあっさりと破壊され、

 

『Transfer‼』

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

『Explosion‼』

 

「「ハアァァァァァァァァァァッ‼‼」」

 

「ぐぅおおぉぉぉぉぉぉッ‼」

 

【譲渡】の力で強化された響と限界まで倍加した小猫ちゃんの拳がコカビエルを後ろに無理矢理下げさせた。

 

「コカビエルさん、私達も忘れないで欲しいな?」

 

響の言葉に、コカビエルは腕を軽く振って、平然とした顔で立つ。

 

「いやいや、そんな事はない。もう少しケルベロスで抑えられると思っていたが……」

 

「強くなってるのは一誠君だけじゃありません。」

 

「…私達も強くなってるし。」

 

「私の力で更に強化も可能です。」

 

『赤龍帝の名は伊達ではないぞ?』

 

「ククク……そうだったな。なら、お前の持てるもの全てを使え‼一誠‼‼そうすればあるいは俺に届くかも知れぬ………………ん?」

 

コカビエルが高らかに叫んでいたら、結界内が更なる何かに覆われていった。

 

「何だ…これは…?」

 

「何が起きたんだ!?」

 

「あ、イッセー‼あそこ見て‼」

 

響が指を指す方を見ると、ピンクのロングパーカーを纏ったタケルの姿と、半透明の子どもと話している木場の姿があった。

 

「新しいパーカーか?」

 

「あの半透明の子どもは…………もしかして、幽霊?」

 

「「ひぃッ!?」」

 

未来の呟いた言葉が聞こえたのか、お化けが苦手な響と調が俺の腕に抱き付いてきた。

 

それをしばらく見ていたら、木場の感じが変わったのがわかった。

 

『フム、あの小僧は至ったみたいだな?』

 

『はい、私もそう感じました。』

 

「……それってもしかして…?」

 

『そうです主、彼は禁手(バランス・ブレイカー)に至ったのです。』

 

やっぱりそうか……

 

新たに出来た剣を握り締め、木場はフリードと戦いを始めた。

 

「……なあ、なんで今の隙に攻撃してこなかったんだ?」

 

そこで、俺は疑問に思ったことをコカビエルにぶつけた。

 

さっきの木場が幽霊と話しているとき、俺達は完全に無防備になっていたのにコカビエルは何もしてこなかった。

 

あの時なら簡単に俺達を倒せたはず…それなのに、どうして……

 

「なに、今生であるかどうかわからん死者との短き語らいの場を汚す程、俺も不粋ではない。」

 

「…?」

 

そう喋っている時、俺はコカビエルの表情が気になった。

 

なんで、あんなに悲しそうな顔をしたんだ?

 

そんな事を考えていたら、木場がフリードを切り捨てた。

 

「それももう終わった。ここからはお前達に1度チャンスをやろう。」

 

「チャンス?」

 

そう言ってコカビエルは正面に10枚の盾を展開した。

 

「この盾を突き破って、俺に一撃を入れてみろ。それが出来ればそこの魔法陣を止めてやろう。」

 

「それに従うとでも?」

 

「もし、それ以外の攻撃を行ったら即座に魔法陣を起動させる…………と、言ってもか?」

 

結局はその提案に乗るしかないのか……

 

「いいじゃねぇか、イッセー。」

 

「タケル?」

 

「残り時間はそう長くはない。だったらやるしかねぇさ。」

 

「……確かにな。それとバルパー達は?」

 

「ああ、ゼノヴィアさんに預けた。」

 

「どうやら準備が出来たみたいだな?なら、来い‼‼」

 

「それじゃ、僕からいかせてもらうよ。」

 

木場が右手に聖魔剣を出し左手には眼魂を持ち、それを剣のソケットに入れた。

 

『ooo』

 

「はあッ‼」

 

気合いと共に剣を振るうと、その剣筋を境に空間がずれた…………は?

 

それが戻ると、一枚目の盾が砕け散った。

 

「あれ?今……空間がずれたような…?」

 

「ちっちゃい事は気にするな。」

 

「「「それワカチ「黙ってろ」キャウンッ‼」」」

 

何かボケようとした後輩sはクリスに黙らされた。

 

「イタタ……次は私がやります。」

 

『見せてやれ、お前の力を‼』

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

「全解放。」

 

頭の瘤を擦りながら小猫が倍加した力を右手に集束させ、オーラが炎のように揺らめく。

 

「バニシング・フィスト。」

 

『Fracture!』

 

その拳が盾に当たった瞬間、2枚目が粉々に砕け散り3枚目の盾にも罅が入っていた。

 

「ほお、亜種の禁手か…」

 

「『今の私(俺)達に砕けぬものなどない‼』」

 

そして、その後ろから調と切歌が手を繋いだままで飛び上がった。

 

「…私達も…‼」

 

「負けてられないデス‼」

 

調が右足、切歌が左足を突き出し丸鋸と鎌を展開して一直線に盾へと突っ込み、3枚目を破壊し4枚目の盾も砕いた。

 

…………後、関係ないけど切歌だけ瘤が2つなのはなんでだ?

 

「んじゃあ、次はアタシだッ‼」

 

クリスは両肩にミサイルを4つ出し、射出した。

 

《MEGA DETH FUGA》

 

それは盾に着弾し、5枚目を破壊する。

 

「次は私ッ‼」

 

続けて未来がレーザーであっさりと6枚目の盾を撃ち破る。

 

「くッ!?敵にまわすとやはり厄介だな…‼そのシンフォギアの力は‼」

 

「次はボクがやります‼」

 

エルナは飛び上がりコカビエルと同じ高さまで上がったらGEARコマンダーを出し、画面に一角獣の絵を写し出して、左手の籠手に繋げた。

 

「ユニコーンドライブ‼インストール‼」

 

《Unicorn Drive Standing By》

 

そして、右腕に弦で編まれたユニコーンの頭部に色や装甲が付き、1つの武装になった。

 

更に背部の翼状に広げた弦に魔力と体力の全てを注いでいき、それをユニコーンへと送る。

 

すると、角状のドリルが物凄い勢いで回転を始めていき、水色のオーラを纏っていく。

 

「ユニコーンドリル‼ファイナルアタック‼」

 

右腕を突き出すとドリルから渦巻いた青いエネルギーの奔流が放たれ、7枚目の盾にぶつかるとそれを砕き、8枚目の盾にも罅を入れた。

 

「ふしゅう~~~~…………」

 

「おっと。」

 

体力と魔力を使い果たしたエルナはダウルダブラの飛行が解除されて落ちていくが、タケルがそれを受け止めた………………お姫様抱っこで。

 

「あうう~、す、ずびばぜん…‼」

 

「お疲れさん、後は任せとけ。」

 

「タケル君、エルナさんは私が。」

 

「おう、頼む。」

 

未来にエルナを預けたタケルは俺が見たことない青と金色で彩られた眼魂を取り出した。

 

「それは?」

 

「ついさっき作った眼魂だ。」

 

タケルがそれをベルトに入れようとしたら……

 

「ライダージャンプ…とぅッ‼」

 

響が両足のバンカーを地面に打ち込み反動を利用して、コカビエルのいる高さを越えるほど空高く跳び上がった。

 

「「へっ?」」

 

いきなりの行動に驚いている俺達をしり目に、頂点まで達したのか、空中を蹴って高速で突っ込んで(落下ともいえる)コカビエルの盾に迫り…

 

「ライダーパァンチッ‼‼」

 

巨大化させた右腕の籠手の衝撃をプラスさせた一撃で、8枚目の盾を打ち砕いた。

 

「ふぅ~……タケル君、◯ンチホッ◯ーの必殺技ってこんな感じでいいんだっけ?」

 

その言葉に俺は隣のタケルを睨むと……

 

「ふひゅ~、ふひゅ~。」

 

口笛(吹けていない)で誤魔化そうとしていた。

 

「お前、いつの間に…」

 

「いや~、この前何か使えそうな技はないかって聞かれてな?」

 

「そういう事か……他にも何か教えてないだろうな?」

 

「……………………………………………………………………テヘ♪」

 

その態度で他にも教えてると理解した俺は軽く呆れつつも、タケルの方を向き……

 

「後で玲奈ちゃんに報告しておく。」

 

「ちょっ‼それは待って!?」

 

『お兄ちゃん、後でOHANSHIがあるから逃げないでネ?』

 

「あ、終わった……………………つか、何処から話してんだ!?」

 

いきなり聞こえた玲奈ちゃんの声に、タケルは軽く絶望しつつも驚いていた。

 

てか俺も驚いたぞ。玲奈ちゃんには知られないように動いていた筈なんだけどな…?

 

『お兄ちゃんの帰りが遅いから美琴とシノンとまどかに頼んで探して貰ってたんです。今は結界?の外のビルの屋上でガジェットを使って話してます。』

 

「タケル…」

 

「スマン……連絡いれるの忘れてた…」

 

『ここから援護とかいりますか?』

 

「いや、今はいいよ。そこで大人しくしててくれ。」

 

『はぁ~い‼』

 

玲奈ちゃんとの会話が終わると、タケルはさっきの新しい眼魂をナンバリング状態にしてベルトに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

すると、バックルから胸元は銀で腰から下は青、フードは黄色になっているロングコートの騎士風のパーカーが現れ、ポーズを決めると剣を地面に刺し、柄尻に両手を乗せ遠くを見ている剣士が写った。

 

それをレバーを操作して闘魂ブーストのトランジェントの上に身に纏った。

 

《カイガン‼アーサー‼円卓‼騎士王‼勝利の剣‼》

 

すると、顔には剣先が下を向いた西洋剣が描かれ、バックルからは赤い短剣が出てきた。

 

「アーサー王って……お前、エクスカリバーの破片から作ったのか!?」

 

「そういう事♪」

 

そして短剣が変形してワイバーンに酷似した形になった。

 

「よし‼お前の名前は【ワイバーンカリバー】だ。」

 

『ギャオッ‼』

 

バックルからガンガンセイバーを出したタケルはワイバーンカリバーを剣と合体させると、刀身が伸び少し大きめの剣になった。

 

「ガンガンセイバー・カリバーモードだな。」

 

それを構え、コカビエルを見た。

 

「まさか、かの英雄の力を使えるとは……面白い‼」

 

「いくぜッ‼」

 

《ダイカイガン‼アーサー‼オメガドライブ‼》

 

タケルはベルトのレバーを引いて押し込み、必殺技を発動させた。

 

剣に金色のオーラを纏わせて飛び上がり、盾に向かって剣を振るった。

 

「オラァッ‼」

 

キィン‼

 

9枚目の盾はそのまま綺麗に切り裂かれ、残りは1枚になった。

 

「後はイッセー、お前の番だ。」

 

タケルにそう言われ、構えようとしたら……

 

「では、最後は特別だ。」

 

コカビエルはそう言って、全力で光の力を盾に込めた。

 

マズイ…‼これだとファイナルベントと一刀修羅を合わせて盾は壊せても、コカビエルには届かないと思う。

 

それすら解ってやってるのかも知れないけど……

 

どうする…………どうすれば届く…‼

 

「どうした一誠……もう時間は無いぞ?」

 

コカビエルの言葉に焦りつつ悩んでいたら……

 

「イッセーなら大丈夫だよ‼全部の思いを一撃に乗せてぶつけちゃえ‼」

 

響の応援が聞こえ、そこである考えが浮かんだ。

 

そうか……それなら……‼

 

(メイル‼この考えはどう思う?)

 

(う~ん……絶唱修羅ほど危険はないと思いますし、良いとは思いますが…やはり主の戦い方はコカビエルと似ていますね。)

 

(なら、これで行こう‼)

 

「響、ありがとな‼」

 

突破口が見つかった嬉しさと感謝のあまり、俺は思わず響を抱き締めた。

 

「うぇッ!?ど、どどどどどどどういう事ですかッ!?」

 

「お前のお陰で解決策が見えたんだ‼ホントにありがとな‼‼」

 

「あ、えええええ~とッ!?どどどどういたしまままましてッ!?」

 

響を離して、コカビエルに向き合った俺はカードを1枚引いてバイザーに入れた。

 

《GANGNIR》

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

ガングニールフォームになり、槍を構える。

 

「どうやら、俺に一撃を当てる算段がついたみたいだな?」

 

「ああ、今それを見せてやるよ‼」

 

『FINAL VENT』

 

ファイナルベントを発動して槍を高く上に投げて自らも飛び上がり、穂先がコカビエルの方を向いたところで柄尻に跳び蹴りを決めて突っ込み、後ろからメイルの火球を受けて一気に加速する。

 

「メイル‼やるぞ‼」

 

『はい‼』

 

「『一刀修羅ァッ‼‼』」

 

そして魔力を全力使用し、メイルの能力で身体中のリミッターを解除する。

 

「何をするかと思えば……その程度では俺に届かないぞ‼」

 

「解ってるさッ‼」

 

1分間に全てを賭けてもアンタには届かない‼だったらもっと短く…………それこそ、この一撃に全部を込めてやる‼‼

 

力の全てを穂先に凝縮させ、盾にぶつかると大量のスパークが周りに走り、拮抗するかと思えば盾を打ち砕き、肩に深々と槍が突き刺さった。

 

「フッ……見事だ、一誠。」

 

「よっしゃ~……」

 

が、そこで力尽きた俺は落ちそうになるがコカビエルが俺の手を掴み、地面までゆっくりと下ろしてくれた。

 

「まさかこんな技を思い付くとは……まだまだ見所がありそうだな。」

 

「それより…………魔法陣を…」

 

「っと、そうだったな。」

 

コカビエルが右手を魔法陣に翳すと、それは消え失せた。

 

「イッセーッ‼」

 

「案ずるな。力を使い果たしただけで命に別状はない。」

 

「まだ……だ…‼まだ…………決着が…‼」

 

「それなら、もうすぐ相応しい奴が来る。」

 

「相応しい奴?」

 

その言葉を響が疑問に思った時、俺達がよく使う転移アイテムの魔法陣が浮かび、翼とマリアが出てきた。

 

「すまない、遅くなった。」

 

「どうやら、あらかたの事は片付いたみたいだね。」

 

そう言って2人が左右に一歩ずつ動き、向き合うとかしづくように膝を着いた。

 

その間に新たに魔法陣が浮かび、出てきたのは……

 

「よう、コカビエル……色々と派手にやったな?」

 

「あまり面倒を掛けてくれるなよ?」

 

「フッ…‼漸く来たか‼アザゼル‼キャロル‼」

 

総督用の正装を着たオッチャンとダウルダブラを装着したキャロルさんがいた。

 

「お前……自分が起こした問題の大きさが分かってるのか?」

 

「そうだな…………良くてコキュートスでの永久凍結、悪い方なら即処刑といったところか?」

 

「分かってるなら話が早い……潔く投降しろ。」

 

「それは断る。まだ……やるべき事がある…‼」

 

「もう一度、三勢力戦争を起こす事か?」

 

オッチャンの言葉に俺達は驚愕した。

 

まさか、戦争を始めるのが目的だったなんて…!?

 

「そうだ、そして俺は証明するんだ。堕天使が最強であるという事を‼‼」

 

そう叫び、10枚の翼を広げ、両手に槍を持つ。

 

「それを邪魔するならアザゼル…‼たとえ貴様であろうと倒す‼」

 

「…………どうやら決意は固いみたいだな。」

 

そこでオッチャンが右手を上に上げると、その手に黒と赤で彩られ黄色い目のデフォルメされた蝙蝠が飛んできた…………………………ってあれは!?

 

「なら、俺の新しい力で止めてやるよ。」

 

『フッ…イイダロウ。チカラヲカシテヤル。ガブリッ‼』

 

その蝙蝠を左手に噛ませると、顔にステンドグラス状の紋様が浮かび、腰には赤いベルトが巻き付いた。

 

「変身。」

 

そのベルトに蝙蝠を逆さまに取り付けると、銀色の波動に包まれ、それが弾けると赤と黒の鎧に黒のマント、蝙蝠を意識した仮面に緑色の複眼をした力強くも禍々しい姿のオッチャンがいた。

 

「コカビエル……お前には、俺が直接判決を下す…‼」

 

「やれるものならやってみろ‼‼」

 

そして互いに走り出し、その中央で激突した。

 

 

 




いかがでしたか?

今回のアーサー眼魂は星ノ瀬竜牙様のアイディアからいただきました。星ノ瀬竜牙様、ありがとうございます。この眼魂は今後も使わせて頂きます。

そして、アザゼルの新しい力は2世なコウモリの鎧でした。

ただ、これは人工神器での模倣品なので本来の半分位の力しかありませんが、そこはアザゼル本人の力で充分カバー出来ます。

次回はアザゼルとコカビエルの戦闘になります。次かその次でこの章も終わり、いよいよ宗二が断罪される4章へと入っていきます。

次回『漆黒の王』

では、よければまた次回で。

後、活動報告でもう一作についてアンケートをとっているので、良ければ回答お願いします。


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漆黒の王

どうも、疾風の警備員です。

最新作が出来たので投稿します。

これで50話目になりました‼

この話で3章は終わりとなります。ただ、内容が駄文かもしれません……

どんな結末か、皆様の予想を裏切れるように書いたつもりです。

そのように書けたか、見ていってください。


アザゼルside

 

「変身。」

 

俺は新しく作り上げた人工神器【ダークキバの鎧】を身に纏い、コカビエルと対峙した。

 

まだ調整が終わってなくて、出力がデータの半分ほどだが……ま、問題ないだろ。

 

「コカビエル……お前には、俺が直接判決を下す…‼」

 

「やれるものならやってみろ‼‼」

 

同時に走り出し、俺の拳と奴の槍がぶつかり合う。

 

「どうしたッ‼なぜ武器は使わない!?」

 

「生憎と、まだ製作中なんでな‼」

 

この姿だと光の力が使えないから、幾つか武装も考えていたが今回は時間が無かったからほぼ素手だ。

 

「そうかッ‼」

 

コカビエルが両手の槍を投げ、俺はそれを右足の回し蹴りで叩き落とす。

 

「背中がガラ空きだぞッ‼」

 

後ろを見せた一瞬の隙に、コカビエルが俺目掛けて突っ込んでくるが……

 

「甘ぇよッ‼」

 

「ぬッ!?」

 

背中のマントを翻して一瞬だけ視界を遮り、怯んだところを後ろ回し蹴りを顔に打ち込んだ。

 

「グハァッ!?……くぅッ‼」

 

吹き飛んだコカビエルだったが、すぐに体勢を建て直し翼を硬くして斬撃を放ってきた。

 

「なんのッ‼」

 

それを俺は両手と片足で捌いていく。

 

「ここ最近は、まともに訓練などしていないはず…なのにこれ程の強さを維持しているとは……相変わらずの面白特訓法だな?」

 

「ったりめぇだ‼飯食って、研究して、寝る‼俺の特訓はこれで充分さ‼」

 

『『『『『んな訳あるかァッ‼‼』』』』』

 

外野の連中(キャロル以外)から息の合ったツッコミが飛んでくるが、無視だ無視。

 

「いや、あながち間違いではない。発明品を作ることは、いろいろと発想したり考えをまとめたりするが、それが戦術を考えるのに役立つし、旦那様は武装系の物を作ると必ず自分で性能試験を行っている。相手は主にオレかシェムハザ、バラキエルだ。そのお陰で体が鍛えられていると言ってもいいだろう。」

 

そこでフォローしてくれるとは…本当に良い妻だぜ。

 

「だったら遠慮はせんぞッ‼」

 

「こっちは何時でも全力だぜ?」

 

コカビエルが突っ込んでくるので、迎え撃つ為に腰を低くして構え、出された右ストレートを上半身を下げて回避する……

 

「ヌンッ‼」

 

「グッ‼」

 

が、その勢いのまま通りすぎようとするタイミングで左膝を出して俺の顔に直撃した。

 

「フン‼慢心が過ぎるんじゃないのか?アザゼル。」

 

「へッ‼それはどっちだろうな?」

 

「なに…ッ‼ガハッ‼」

 

そこでコカビエルは腹を抑えて吐血した。

 

「き…貴様…‼なにを…………した…‼」

 

「お前が膝を入れるのと同時に、俺もお前の鳩尾に肘を打ち込んでたんだよ。」

 

ま、けっこうシビアなタイミングだったけどな。

 

「…………だ…‼」

 

「ん?」

 

奴がそこで、何かを言おうとしていたので耳を傾ける。

 

「これだけの……力が…ありながら…………なぜ、戦争を止めたのだ‼アザゼル‼‼あんな形での終わり方など納得できるものか‼‼」

 

「…だが、ああしなければ俺達が生きていたか解らねぇぞ?」

 

「それでもだ‼‼あれでは死んでいった仲間達が浮かばれん‼」

 

やっぱり……お前はまだ吹っ切れていなかったのか…あの戦争を……

 

「だから俺はもう一度戦争を始める‼そして、完全な決着をつける‼それこそが真の目的であり、アイツ等への本当の供養になる‼」

 

その瞳に決意の炎を燃やしながら、コカビエルは立ち上がった。

 

「…………俺がそれを認めると思ってるのか?」

 

「思ってなどいないさ……だから、押し通る‼‼」

 

翼を広げて向かってくるコカビエルの拳を右手で受け止める。

 

(さっきより力が上がっている…‼これがアイツの覚悟という事か‼)

 

「答えろアザゼル‼‼死んでいった者達にとって、あの戦争はそれだけの価値があったのか‼」

 

腕を振り払い、放たれた上段蹴りを左腕で受ける。

 

「あれだけ大勢が犠牲になったからこそ、戦争の悲惨さを知りお互いが協調できるようになっただろう‼」

 

足を弾き、脇腹に蹴りを叩き込む。

 

「グゥッ‼…あれは二天龍の介入があった事による一時的なものだ‼現に今も三勢力での争いは絶えない‼ただ戦争が縮小されただけに過ぎん‼」

 

奴の拳が俺の顔に決まる。

 

「ツゥッ‼だからと言ってこれ以上、多大な犠牲を払わせる訳にはいかないだろ‼」

 

今度は俺の拳がコカビエルの顔に入る。

 

「ウッ‼だったらその犠牲になった者達の思いはどうなるんだ‼俺達に勝利を託して死んでいったアイツらの思いは‼」

 

奴の蹴りが腹に当たり、数歩下がる。

 

「ッ‼アイツらが願ったのは勝利じゃなくてその先じゃないのか‼」

 

俺はコカビエルの服を掴んで引き寄せ、頭突きを決める。

 

「グハッ‼なら、なんだというのだ‼アイツらは俺に何を託したというんだ‼」

 

「堕天使全体の【平和】に決まってんだろ‼」

 

「ッ!?」

 

俺の言葉に奴の動きが止まる。

 

「あの戦争はなんの為にやっていたか忘れたのか?俺達の平和を守る為だろうが‼勝利なんて二の次だ‼戦えない奴等を守る為だろ‼これ以上戦わずに戦争が終わるならその方が良いだろ‼」

 

「そんなものは過ぎた幻想だ‼」

 

「その幻想を実現するのが俺の…総督と名乗る者の役目だ‼‼」

 

「だったら…」

 

コカビエルは小さく呟いて、地面に蹲った。

 

「だったら、何故もっとそれを早く出来なかった?それが叶っていれば……アイツらは死なずにすんだのに…‼」

 

そして、地面に小さな水滴が落ちた。

 

「それは俺の力不足だ。否定はしない…………本当にすまなかった。」

 

俺はコカビエルの肩に手を置き、そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「コカビエルは三勢力戦争で何かあったのか?」

 

「おそらくだが、見当はついている…」

 

俺が疑問を口にしたら、キャロルさんが返答してくれた。

 

「奴は過去に天使側の補給線を断つ作戦に向かうために、奴を慕っている36人の精鋭と共にその場へと赴たが、作戦がばれていたらしく帰って来たのは……奴1人だけだった。」

 

「それからだ……奴が戦場で大暴れするようになったのは。たぶん、その時の経験が奴をそうさせたのだろう。」

 

コカビエルにそんな過去があったなんて……

 

俺はゆっくりと歩き出して、コカビエルの元に向かった。

 

「コカビエル。」

 

「……一誠か…」

 

俺が話しかけると、弱々しくも返事をしてくれた。

 

「こんな俺を笑いに来たのか?部下の思いにも気づけない情けない俺を…」

 

「んな訳ねぇさ。」

 

俺もその場にしゃがんで、話しかける。

 

「アンタは俺の目標でもあるんだ。そのアンタがずっと抱えてきた思いを笑うなんて真似はしない。」

 

「お前にまで気をつかわれるとは……。」

 

「たまにはいいだろ?でも、きちんと罰は受けてほしい。そうじゃねぇと……俺はアンタから教えてもらったことを誇りに思えないからよ…」

 

「……そうだな、それがこの騒ぎにおける俺の責「そうか‼そういう事か‼」ん?」

 

コカビエルの言葉を遮るように、ゼノヴィアが抑えていたバルパーが叫び出した。

 

「これなら聖魔剣が出来たのにも納得がいく‼つまり、聖と魔を司るバランスが大きく崩れているからだ‼ということは…‼」

 

「ッ‼‼オイッ‼急いでそいつの口を塞げ‼‼」

 

「えッ!?」

 

オッチャンの声にゼノヴィアは慌ててしまい……

 

「四大魔王だけでなく……神も既に死んでいるという事か‼‼」

 

『『『『『ッ‼‼』』』』』

 

その言葉に全員の動きが止まった。

 

はっ?神が死んでいる?四大魔王は知ってたけど神の方は全く知らないぞ?

 

「あのバカが…‼」

 

「よもや自力でそこにたどり着くとは…」

 

「え?その話、本当なのか?」

 

オッチャンはアーシアの方を一瞥した後……

 

「ああ、本当だ。これを知っているのは熾天使に現四大魔王、俺達堕天使の一部幹部のみだ。」

 

そう言った。

 

「では……私達が神から与えられる愛は…」

 

「今はミカエルを中心にして熾天使全員でシステムを管理しているから大きな問題はないが……力不足は否めない。加護何かも昔ほどでは無くなっているしな。」

 

アーシアの力ない叫びに、オッチャンの言葉が突き刺さったのか顔を俯けた。

 

「それじゃ……私達がやってきた信仰には、何の意味もないじゃない…」

 

「嘘だろう…?嘘と言ってくれ…」

 

「私達は……何の為に…」

 

教会出身の3人がその事実に打ちのめされていたら……

 

ドスッ‼

 

「ウゴッ!?」

 

『『『『『なッ!?』』』』』

 

バルパーにオレンジ色の光の矢みたいなのが当たり、その体は黒い粒子になって消えていった。

 

「何だッ!?」

 

「一体どこからッ!?」

 

「下がれ、一誠ッ‼」

 

「ッ‼うわッ!?」

 

俺は突然コカビエルに手を掴まれ、おもいっきり投げられた。

 

「イッツツ……何を「ガハッ‼」へ…?」

 

痛む体を起き上がらせると、先程と似た青い光の矢がコカビエルに突き刺さっていた。

 

「コカビエルッ‼」

 

「……無事か…一誠…?」

 

コカビエルは矢が刺さっている場所から粒子化し始めている体で俺に喋り掛けてくる。

 

「ああ‼無事だ‼でも、アンタの方が…‼」

 

「気にするな……それよりも……よく聞け…」

 

「その前に治療を‼」

 

「これから先…………お前には大変な未来が……待っている…それこそ…………【修羅】では生ぬるい未来かもしれない…」

 

「それぐらいわかってる‼‼だから、今は治療「【一刀羅刹】だ…」え…?」

 

「お前が俺に……一撃を当てた時の…………技の名だ…一撃に何もかもを込めるなど…………修羅すら越えた……まさに、羅刹のごとき技だったからな……」

 

「そんなこといいから‼‼今は…「強くなれ……お前なら…………皆を守れる…」おい……コカビエル…?」

 

力が上手く入らないのか、ゆっくりと震える手を俺に出してきて、俺もその手を掴もうとして……

 

「さらばだ…………我が愛弟子よ…」

 

寸前で、完全に粒子になって崩れ落ちた。

 

「…あ………」

 

「くそッ‼誰か‼見た奴はいないか‼」

 

『玲奈です‼先程屋上に白いコートみたいなのを着た人影を見ました‼』

 

オッチャンと玲奈ちゃんが連絡を取っている声を、俺はどこか遠い場所で聞いている感じになっていた。

 

「そいつはどこに行ったか解るか‼」

 

『あ、え~と……一瞬光った後に消えちゃいました…』

 

「……そうか、ありがとう。君もこっちに合流してくれ。」

 

『はい、分かりました。』

 

こうしてエクスカリバーを巡る事件は……予想外な形で幕を引く事となった。

 

 

 

 

 

 

???side

 

「ふむ……人間相手には充分な効果でしたが、幹部クラスの人外にはまだまだ効果の効きが弱いようですね。」

 

もう少し、改良を加えてみましょうか……

 

「ですが、やはり素晴らしい‼‼この【聖遺物】さえあれば私も【英雄】に…‼ククク……ハーッハハハハハハハハ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

事件から二日後、堕天使領においてコカビエルの葬式が行われた。

 

今回の騒動の主犯格である者の葬式をやるのはどうなんだという意見もあったが、オッチャンの権限でその意見は潰された。

 

そして俺は今、礼服を着て葬式が行われている会場の屋上で手摺にもたれ掛かって空を見上げていた。

 

「こんな所でどうしたの?」

 

そこに新しい声が聞こえたので、入り口を見ると黒いドレスの礼服を着た響がいた。

 

「ちょっと風に当たりたくて…」

 

「そっか…」

 

響は俺の言葉に簡単な返事をした後、隣に座った。

 

「お葬式、行かないの?」

 

「まだ、心の整理がついてなくてな…」

 

実際、目の前でコカビエルが消えていくのを見たのに驚きしかなく、涙さえ流れなかった。

 

「俺は……何も出来なかった。目の前でコカビエルが粒子になって崩れていくのをただ、見ていることしか出来なかったんだ。」

 

そう言って、俺は自分の右手を見つめた。

 

「イッセー…」

 

「こんな辛い思いをするのは…………もう、御免だ。だから…‼」

 

俺は右手を握り締めた。それこそ爪が食い込んで血が流れる程に……

 

「俺はもっと強くなる。そして仲間を守れるようになってみせる…‼」

 

その手を立ち上がった響の手が優しく包み込んだ。

 

「イッセーなら出来るよ、必ず‼私が保証する‼」

 

「…ありがとな。」

 

「だから…」

 

響は手を離して、俺の首元に持っていきそのまま引き寄せてきたので、顔が胸に埋まる形になった。

 

「ちょっ‼響!?これは!?「泣いていいんだよ。」え?」

 

「人はいきなり強くなんてなれない。最初は誰だって弱いんだから……泣いても問題ないよ。」

 

「でも、これから強くなろうとしてるのに……泣いたりなんか…」

 

「今は私しかいないし……誰かに言いふらしたりなんかもしない。約束するよ。」

 

響の言葉に、俺は何かが溶けるような感じがして…

 

「本当は…………もっと……いろんな事を……教わりたかった…」

 

「うん…」

 

「ここ最近であった……事も…………話したり…………したかっ……た……‼」

 

いつの間にか、心で思ってた事を喋っていた。

 

「本当は……あんな感…じじゃなく……1人で…………倒して…認め……て……欲しかったんだ…‼」

 

「そうだったんだね…」

 

「なのに……勝ち逃げ……なん…て……ズルい…………だろ…俺は……俺は…‼師匠……‼‼うあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼」

 

そして、おもいっきり泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィアside

 

事件の後、エクスカリバーの破片を回収した私とイリナはそれぞれの教会に行くために別れ、私は破片を渡した後に神の不在を神父に追及したら……

 

「やはり追放処分か…」

 

案の定、教会を追放され、宛もなく町をさ迷い歩いていたら、町外れにある川にまで来ていた。

 

「私はこれから……どうすれば…」

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

その時、近くでキャンプしていたであろう紫の髪をポニーテールに纏めた女性に声を掛けられた。

 

「いえ、ちょっと帰る場所を無くしまして…」

 

と、信じてもらえないであろう事を話してみたら……

 

「そうなの……なら、こっちにいらっしゃい。」

 

手を掴まれ、引っ張られるように連れていかれたのは、彼女の仲間と思われる男性3人と女性3人がキャンプしている場所だった。

 

「お帰り……その人は?」

 

「なんか、帰る場所が無くなっちゃったそうなの。だから、御飯だけでも一緒にどうかなと思って。」

 

「そうか……俺は構わないが皆はどうだ?」

 

「アタシは良いよ。多めに作ってあるし。」

 

「私も構わないにゃん。」

 

「オレっちも別に良いぜ。」

 

「私も良いですよ。」

 

「わ、私も大丈夫です‼」

 

「ということだから、一緒にどう?」

 

「…………では、ご相伴に預からせてもらいます。」

 

そこで、私はあるものを感じ取った。

 

「失礼ですが…」

 

「ん?」

 

お世話になるこの場で言うのは少し躊躇いがあったが、威を決して……

 

「貴殿達は……悪魔か?」

 

そう聞いてみたら…

 

「そうだけど?」

 

以外にも返事はあっさりと返ってきた。

 

「そういう貴女は悪魔祓いかしら?」

 

「……元が付きますがね。」

 

「どういう事だ?」

 

リーダーらしき銀髪の男性に問われ、私はこれまでの経緯を話した。

 

「相変わらず、教会はバカな事しかしないな。」

 

「今になって、同じように追放された彼女の気持ちがわかりました。できれば彼女に謝りたいが……今の手持ちの金額ではそれも出来ない。」

 

着の身着のまま追い出されたので、財布を持ってくる暇すらなかった。

 

「…………良かったら君、悪魔になってみるか?」

 

「……………………は?」

 

そこで、銀髪の男性に予想外の提案を言われた。

 

「何故、私を?」

 

「う~ん、君はもっと強くなれるような気がしたから…………かな?」

 

「それだけ…?」

 

「そうだな。」

 

「………………………………………………プッ」

 

そんなおかしな勧誘に私はつい、笑ってしまった。

 

「どうやら貴殿は、面白い感性を持っているようだ。」

 

「俺としては、単なる戦闘狂のつもりなんだが…?」

 

『『『『『いや、充分おかしいから。』』』』』

 

「…………泣くぞ?」

 

そんな風景を見ていたら、私もこの中に入りたくなってしまった。だから……

 

「貴殿の提案、喜んで受けよう。」

 

そう答えていた。

 

「そうか‼なら、君に与える駒は……これかな?」

 

そう言って渡されたのは【戦車】の駒だった。

 

それを胸に当てると体の中に入っていき、背中から黒い蝙蝠みたいな羽が生えた。

 

「では、新しい眷属の為に自己紹介をするとしよう。」

 

彼がそういうと、所々ピンクのメッシュの入ったミルキーブラウンの髪の女性が立ち上がった。

 

「アタシは【女王】の夏樹みくる。ヨロシクね。」

 

次に黒髪に猫耳を生やし、着物を着崩した女性が立った。

 

「私は【僧侶】の黒歌にゃん。」

 

次は金髪で眼鏡をかけた男性が立った。

 

「私は【騎士】のアーサー・ペンドラゴンです。そしてこっちが妹の…」

 

アーサーの言葉に隣にいた魔法使いの格好の女の子が立ち上がった。

 

「ルフェイ・ペンドラゴンです。【僧侶】を任されています。」

 

次に中国系の鎧を身に纏った男が立った。

 

「オレっちは美候ってんだ。嬢ちゃんと同じ【戦車】だから、わかんない事があったらオレっちに聞きな。」

 

そして次に、私を連れてきた女性が立った。

 

「私は【兵士】の神埼美月よ。」

 

最後にリーダーらしき男性が立ち上がった。

 

「そして、俺が【王】のヴァーリ・ルシファーだ。旧魔王ルシファーの血を継ぐ者であり、白龍皇だ。」

 

…………………………どうやら私は、とんでもない悪魔の眷属になったみたいだ。

 

「それで、君の名は?」

 

「ゼノヴィアだ。これからよろしく頼む、マスター。」

 

『『『『『マスター?』』』』』

 

「む、何かおかしいか?」

 

「いや、別にそうじゃないが…まぁ、いいか。」

 

そんな感じで私はヴァーリ・ルシファーの眷属になった。

 

「それじゃ、明日は駒王町に向けて出発するぞ。」

 

「ん?今、なんてった?」

 

「駒王町に向けて出発するか……だが?」

 

なんたる偶然なのだろうか……

 

「私が謝りたい人物もそこにいるんだ。」

 

「そうか、それは偶然だな。」

 

「それで、マスター達は何をしに?」

 

「届け物だよ。」

 

そう言って、魔法陣から小さい箱を出した。

 

「それは?」

 

「堕天使総督とウチのじいさんに頼まれて色々な国を回ってようやく見つけた……かの名工、ドヴェルグ=ダインが残した遺産…」

 

その箱を開け、中にあった金属を見せてくれた。

 

「魔剣【ダインスレイフ】のプロトタイプ……その破片だ。」

 

 

 

 

 

 

イリナside

 

「ねぇ‼神が死んでいるってどういう事よ‼」

 

「イ、イリナ様!?落ち着いてください‼」

 

「落ち着ける訳ないでしょ‼」

 

私は教会に戻って直ぐに神父達に神の不在について問い詰めていた。

 

「いいから早く説明しなさいよ‼」

 

そんな感じで教会内で叫んでいたら……

 

「イリナ様、熾天使の方がお会いになって説明してくれるそうです。」

 

「そう、なら案内して。」

 

「此方です。」

 

神父の案内についていくと、何故か教会の裏手に出たが、そこには誰もいなかった。

 

「ちょっと‼誰もいな(ドスッ‼)……へ?あああああああああああッ‼」

 

連れてきた神父に文句を言おうとしたら、お腹に何かが当たる感触の後、激痛が走った。

 

「全くうるさいガキだ。」

 

その神父の手には包丁が握られていて、刃の部分には赤い液体……私の血が付いていた。つまり、私はこの神父に刺されたのだ。

 

「そんな事をベラベラ喋られると困るからさ……ここで死んでくれ。」

 

「ア…………アガ……‼」

 

「それじゃ、そこでのんびりとのたれ死にな。」

 

そう言って、神父は教会に入っていった。

 

私…………ここで……死ぬの……?

 

そんなの嫌ッ‼宗二君にも会えてないし、やりたい事はたくさんあるのに……‼

 

「こんな……最後…………なんて……‼」

 

死ねない……こんな風に私を傷つける世界に復讐するまで…………私はまだ……

 

「死にた……くな…い…‼」

 

そう思っていたら…

 

「へぇ……いい目だ。世界に絶望し復讐を誓う人間の目だな。」

 

突然聞こえた声に、なんとかその方を向くと1人の男性がいた。

 

「気に入った‼お前、助けてやるよ。」

 

そう言って私の体の上に1枚のカードを置いたら、それが光り15枚の石盤になって私の中に入り込んできた。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ‼‼‼」

 

その瞬間、さっき以上の激痛が私を襲い……

 

「ただし、俺の駒としてな?」

 

そこで、私という存在は消えた。

 

 

 

 

 

???side

 

15枚の石盤が入った女はおもいっきり叫んだ後に急に黙り、ゆっくりと起き上がった。

 

「予想通り、【奴等】に人格を消されたみたいだな。」

 

『よろしくお願いいたします。』

 

ハイライトが消えた瞳で、何の表情もなく感情のこもらない機械のような喋り方をするようになった女を見て、俺はほくそ笑む。

 

『貴方の事はなんと御呼びすれば?』

 

「そうだな……本名だと後々面倒になるし、【N】と呼べ。」

 

『マスター名、登録………………完了。了解しました、N様。』

 

「ああ、よろしく。それで、お前の名前は?」

 

『私には名前などありません。』

 

「ちげぇよ、消える前の人格の名前だ。そっちの方がこの世界に紛れ込ませやすいからな。」

 

『検索……完了。この個体の名は【紫藤 イリナ】となっています。』

 

「そうか、ならそれをテメェの名前にしとけ。」

 

『了解。個体名登録………………完了しました。』

 

「んじゃ、行くとすっか。」

 

俺が歩き出すと、イリナも後を付いてきた。

 

「次の目的地はどうするかな?」

 

俺は色んな地名が書かれているサイコロを手に持ち、それを投げた。そして上に出た地名は……

 

「なるほど、ここか…」

 

日本だった。

 

「ここにはどんだけ強い奴がいるんだろうな…‼」

 

そこへ向けて歩こうとして……

 

「あ、思い出した。」

 

『どうされましたか、N様?』

 

「もう1人、駒にしたい奴がいるんだった。」

 

すぐに向きを変え、そいつがいる場所へと歩き出す。

 

「そいつを駒にしたら、すぐに日本に向かうぞ。」

 

『了解しました。』

 

さて、日本にいる強者諸君……俺を楽しませろよ?

 

 




いかがでしたか?予想を裏切れるようになっていたでしょうか?

心情を描くのは苦手なので、拙いのは目を瞑ってもらえると助かります。

そして、ヴァーリチームは今回、眷属としての登場になります。

最後に登場した【N】はガジャルグ様から頂いたキャラになります。

彼の行動にも注目してほしいです。

次回から4章……………………と、言いたいですが、最近思い浮かんでいたネタの番外編を書いてからにしようと思っています。

次回『EX02 虹野ゆめ(メイル)のある1日』

活動報告でもう一作についてと最強フォームについての悩みを書いているので、そちらにもコメントを頂けるとありがたいです。

ゆめ「それじゃ、次回でまた会おうね~‼」

一誠「次回は8割日常、2割バトルなので、ゆめは外に出っぱなしで日常モードの喋り方になります。」


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停止教室のヴァンパイア
始まりとプールと白龍皇


どうも皆さん、疾風の警備員です。

今日はシンフォギアライブ2016のブルーレイの発売日‼

当日行けなかった私は勿論予約したので、仕事終わりに買って帰ってはっちゃけるつもりです‼

他にもアイカツ!やサンシャインのCDも買うつもりです。

という訳で(どういう訳だ)今話より停止教室のヴァンパイア編です。

では、どうぞ。


一誠side

 

「さあ行け‼俺の電ネズミ‼いなずまだ‼」

 

「ハッ‼俺様のピンク玉を嘗めるなよ‼その前にコピーしてやる‼」

 

「その二人が戦っている所を私のキツネさんで漁夫の利‼」

 

「「ああッ!?」」

 

「そして3人纏まったところを私の赤ヒゲさんのハンマーでドーンッ‼‼」

 

「「「ノオォォォォォォォォォォッ‼」」」

 

どうも皆さん、龍見一誠です。今日はタケルと玲奈ちゃんが遊びに来たので、メイルも呼び出してスマ◯ラで対戦中です。

 

因みに俺が電ネズミ、タケルがピンク玉で玲奈ちゃんがキツネ、メイルが赤ヒゲだ。

 

そして何気にメイルが強い……5回戦ったが全て1位だ。

 

なんでこんなに強いんだよ‼

 

「フフン‼戦闘経験は主達より多いんだから‼」

 

「だから、地の文を読むな。」

 

「このゲーム…誰にも負けた事なかったのに…」

 

玲奈ちゃんは無敗記録が終わったどころか、5連続で負けた事がショックなのかorzの体勢になった。

 

「つか、俺……連続最下位なんだけど…」

 

そして意外にも、タケルが一番弱かった。

 

「クソ‼もう一回だ‼」

 

「良いぜ‼受けてたってやる‼」

 

そんな風にテンションが上がっていたら…

 

ピンポーン!

 

「あ、は~い‼」

 

インターホンがなったので、メイルがドアに向かった。

 

「誰だ?」

 

「たぶん響達の誰かだろ?」

 

「主~、アザセルさん達が来たよ~‼」

 

そんな風に思っていたら、まさかの客だった。

 

「よ、元気そうだな?」

 

「邪魔するぞ。」

 

部屋に入ってきたのは、オッチャンとキャロルさんの二人だった。

 

「いらっしゃい、ちょっと待ってて……今、麦茶でも出すから。」

 

「おう、悪いな。」

 

「助かる、外は大分暑くなってきたからな。」

 

コップに麦茶を注ぎ、二人の前に出して俺も向かいに座った。

 

「で、今日はどうしたんだ?」

 

「今日はお前達に話す事があってな?」

 

「あ、じゃあ私は席を外しましょうか?」

 

「いや、君もいてくれ。君も当事者だからな。」

 

「は、はぁ…?」

 

玲奈ちゃんが部屋から出ようとするが、キャロルさんに呼び止められた。

 

玲奈ちゃんも当事者……って事は…

 

「師匠の起こした事件について…か。」

 

「ああ、その事について悪魔陣営と天界陣営に説明やらなんやらをしなくちゃならなくなってな?それで現場にいたお前達にも参加してもらいたいんだ。」

 

「これは既に決定事項でな、事後報告になった事はすまない。」

 

「それは別に構わないけど…」

 

あの事件は3陣営の均衡を崩しかねないものだったしな……仕方ないか。

 

「それとこの会談にはもう1つ目的がある。」

 

「もう1つの目的?」

 

「三勢力による同盟だ。」

 

「「「!?」」」

 

同盟だって!?何だってそんな事に!?

 

「三勢力は前の戦争の疲弊から抜け出してはいない。なのにこのまま争い続けてみろ?間違いなく滅びちまう。それを防ぐ為ってのが1つと新たな脅威に対抗するためってのが2つ目だ。」

 

「それって前にシェムハザさんに調べさせていたことか?」

 

「そうだ、どうも最近活動が活発になってきていてな?そろそろ表に出てくると予想している。」

 

「そういう事か…」

 

こりゃ大変な事になってくるかもな……

 

「おいイッセー、俺と玲奈がついていけてねぇよ。何だその脅威ってのは?」

 

「と、スマンスマン。」

 

タケルが入ったのは最近だし、玲奈ちゃんはどっちかというと保護対象だからな。

 

「実はここ最近、水面下で不穏な動きをしている組織がいるそうなんだ。そいつらの動きが活発になった。つまり、本格的に活動しようとしてるって事だ。」

 

「うげ……そんな奴等がいんのかよ…」

 

「怖いですね…」

 

「会談の件は了解したよ。」

 

「そうか……っと、もう1つ聞きたいことがあったのを忘れてたぜ。」

 

「?」

 

「これについてなんだが…」

 

そう言ってニヤニヤと笑いながら、俺に1枚の紙を見せてきた。

 

「何々……げッ!?なんでこれを!?」

 

その用紙を見て俺は驚いた。だってこの紙は貰ったその日に捨てた筈なのだ。

 

「サーゼクスから回ってきたのさ。イッセー?俺達を騙そうなんざ2万年早ぇぞ?」

 

「ちゃんと行ってやるから、覚悟しておけよ?」

 

「イィィィィィィィヤアァァァァァァァァッ‼」

 

俺は叫びながら用紙を投げ出した。それには【授業参観について】と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

どうも、立花響です‼私は今、仲間の皆と体操着でプールサイドにいます。実は生徒会にプール掃除を頼まれて、お代として最初にプールで遊ばせてくれるそうなんです‼

 

「なんでこの暑い日に、プール掃除なんてやらなきゃならねぇんだよ…」

 

「良いではないか。その代わりに最初に水浴びをさせてもらえるのだろう?」

 

「そうだよクリスちゃん‼元気よくいこうよ‼」

 

「オメーは何時でも元気だな…」

 

暑さにうだっているクリスちゃんを元気付けようとしたけど、失敗しました……

 

「さあ、やるデスよ~‼」

 

「……とっとと終わらせる…‼」

 

「二人とも、水分補給を忘れないでね。」

 

「「は~い‼」」

 

最初から燃えている調ちゃんと切歌ちゃんにマリアさんが注意する。

 

「というか、ボク達も参加していいのでしょうか?学園関係者じゃないんですけど…」

 

そう、ここには学園に通っているメンバー以外にも翼さんにマリアさんにエルナさん、更には玲奈ちゃんまで来ていた。

 

「なんかイッセーが会長に掛け合ったら、簡単に許可してくれたそうだよ?」

 

「懐の大きい方なんですね…」

 

ソーナ会長は色々と話が通じる人だからね。

 

「それじゃ、掃除を始めるぞ‼」

 

『『『『『おお~‼‼』』』』』

 

イッセーの開始の合図と共に、掃除は始まった。

 

 

 

キングクリムゾン‼‼

 

 

 

掃除が終わった私達は水着に着替えてプールサイドに集まった。(水着姿はそれぞれの水着回の姿をご想像ください)

 

「さあ‼遊ぶぞ~‼」

 

「でも、水が張られてませんが…?」

 

アーシアちゃんが水のないプールでどう遊ぶのか不思議に思っていたら……

 

「おーい‼連れてきたぞ‼」

 

タケル君がソーナ会長を連れてやって来た。

 

「皆さん、お疲れさまです。プール掃除が終わったそうで。」

 

「はい、これでどうですかね?」

 

ソーナ会長が一通りプールを見て回り、戻ってきて頷いた。

 

「これなら充分ですね。ありがとうございました。」

 

「それじゃ会長、すみませんけど…」

 

「分かっていますよ、約束ですしね。」

 

そう言うと、右手から魔力を出し、それを水に変換して一分程でプールは満水になった。

 

「お待たせしました。時間は5時迄としますのでそれまでは自由に楽しんでください。」

 

そう言って、ソーナ会長は帰っていった。

 

「それじゃ、今から自由にしてくれ。」

 

「「イェ~イ‼」」

 

イッセーから許可がおりた瞬間、調ちゃんと切歌ちゃんがプールに飛び込んだ。その時上がった水がイッセーをずぶ濡れにした。

 

「プールに……飛び込むなあッ‼‼」

 

「ヤバイ‼逃げるデスよ、調‼」

 

「…がってん‼」

 

二人はそのまま泳いで逃げようとしたが……

 

「セイッ‼ハアッ‼」

 

「「ブベッ!?」」

 

イッセーが何処からか出したビーチボールを投げ、二人の後頭部に命中し、そのままうつ伏せで浮かびあがった。

 

「たく……俺は日陰で少し休んでるわ。」

 

イッセーは日陰の場所まで行ったので、私もプールに入ろうとしたら…

 

「ダメだよ、響。」

 

「うひゃあッ!?」

 

未来の声と同時に背中に冷たい感触が走り、思わず飛び上がった。

 

「な、何するの未来~‼」

 

「日焼け止めだよ。塗らないと焼けちゃうよ?」

 

そうだけど、いきなり塗る!?

 

「いつも驚かされてるから、そのお返し♪」

 

「だったら……私もお返しだぁ~‼」

 

「ふふ、残念でした♪」

 

両手に日焼け止めをつけて未来に迫ろうとしたが、その前に既にプールに逃げていた。

 

「ああ~‼ズルいよ未来‼私も‼」

 

私もプールに飛び込み、その水を未来に浴びせた。

 

「わぷッ!?やったな~‼」

 

「うぴゃッ!?まだまだ~‼」

 

私はそのまま未来との水の掛け合いを楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「足をもっと大きく動かすんだ。ほれワンツー、ワンツー。」

 

「あぷ……あぷ…‼」

 

俺は今、エルナに泳げないから泳ぎを教えてほしいと言われそれを手伝っている。

 

その横で、イッセーがアーシアさんに同じように泳ぎを教えている。

 

因みに木場はクリス先輩に頼まれ背中に日焼け止めを塗っていたが、そのせいで頭がオーバーヒートを起こして寝ていて、翼さんとマリアさんが泳ぎで勝負中、塔城さんは浮いていた調ちゃんと切歌ちゃんを担いで運び日陰で団扇を扇いでいる。

 

取り合えず、木場は爆発しろ‼‼

 

「ずびばぜん……私の為に……お時間を…‼」

 

「喋ってると水飲むぞ?」

 

手を引いているので沈む心配はないけど、水を飲むと慌てる奴がいるからな。

 

「いい調子だ、そのままそのまま…」

 

すると俺の背中が壁にぶつかった。どうやら端まで来たみたいだな。

 

だがエルナは止まった事に気づかず俺にぶつかり、抱きつく様な体勢になった。

 

「あ……す、ずびばぜん‼」

 

エルナは顔を赤くしながら俺から離れた。

 

「お、おう…」

 

今一瞬、柔らかい感触が当たったような……

 

「お兄ちゃん…鼻の下伸びてるよ?」

 

「うおッ!?」

 

水中から玲奈がいきなり現れ、俺をジト目で見てくる。

 

「な、何だよいきなり!?」

 

「べっつに~、そんなだらしない顔してたら、エルナさんに愛想尽かされるよって思っただけ。」

 

「うッ!?」

 

玲奈にそう言われ、そんなシーンを想像してみた。

 

(タケルさんって、スケベな人だったんですね。幻滅です、近寄らないでください。)

 

「あ…ダメだ、マジでへこむ…」

 

そんなこと直接言われたら、しばらく立ち直れないかも……

 

「気を付けてよ?お兄ちゃんを慕ってくれてるのに変なことして嫌われても私は知らないからね。」

 

「お、おう…」

 

確かに、エルナは俺に良くしてくれてるからな……

 

「どうしたんですか?」

 

「どうわぁッ!?」

 

いつの間にか近くに来ていたエルナに驚いてしまった。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ‼なんでもないぞ!?」

 

「?」

 

何とか落ち着いて返そうとしたが、逆に焦ってしまいエルナは不思議そうな顔をしていた。

 

にしても、俺はなんでエルナの事でこんなに慌ててるんだ?う~ん……さっぱりわかんねぇや。

 

でも、彼女に嫌われるのはなんかイヤだから、注意しましょうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

あれから時間になり、先にプールから上がり着替え終わった私は校庭で皆を待とうと思い向かうと、そこには銀髪の男性と以前、コカビエルの事件で来た教会のデュランダル使いがいた。

 

「おや?君はあの時の…」

 

「……どうも。」

 

前にイッセー先輩やアーシア先輩に武器を向けてきたので、一応警戒はしておく。

 

「いや、そこまで警戒しなくても…」

 

「…あなたは前科がありますから。」

 

「うッ!?それを言われると…」

 

「何をやったんだ、お前は?」

 

私の態度と彼女の反応を見て、一緒にいた男性は呆れたような顔をした。

 

「いや、マスター!?これはだな…!?」

 

「マスター?」

 

どういう関係なんだろう……上司?

 

そこで私はある事に気づいた。彼女の気配が変わっていた事に。

 

「…悪魔になったんですか?」

 

「ん?ああ、事情があって私はマスターの眷属になったのだ。因みに駒は【戦車】だ。」

 

あれだけ神を信仰していた彼女が悪魔になるなんて……

 

「君に聞きたいんだが、龍見一誠を知っているか?」

 

「イッセー先輩ですか?」

 

この人は一体誰なんだろう……悪魔なのは確かだけど、感じる力はかなりのものだ。それに、左腕が少し疼いている。

 

……言っておきますけど、中二病じゃないですから。

 

『この気配……成程、アイツか。』

 

「ドライグさん?アイツって?」

 

『この男はお前の今後に関わってくる。用心はしておけよ?』

 

「へっ?」

 

今後に関わってくるって……さっきからなにがなにやら解らなくなってきた……

 

「おーい‼小猫ー‼」

 

その時、イッセー先輩と皆がやって来た。

 

「何やって……あれ、ヴァーリじゃないか‼」

 

「よっ、久しぶりだな。」

 

イッセー先輩は親しそうに男性に近づき、互いに拳を合わせた。

 

「いつ戻ってきたんだよ?オッチャンとお祖父さんに頼まれものを探してたって聞いてたけど…」

 

「今さっきだ、ようやく探し物が見つかってな。」

 

「あの…イッセー先輩、その人とはどういう関係なんですか?」

 

「え?そうか、小猫にはきちんと紹介しないといけないな。」

 

そう言って私に向き直り……

 

「この人は【ヴァーリ・ルシファー】。旧魔王ルシファーの血を継ぐ最上級悪魔で……小猫、お前の対になる神滅具【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】を宿す白龍皇だよ。」

 

と、そう告げた。




いかがでしたか?

今回はなんか日常編になっちゃいました。

私は何故か日常系の話になると、筆が遅くなるんですよね……戦闘シーンは案外すらすらと浮かぶんですが……

次回は授業参観の話がメインになると思います。

次回【授業参観と蠢く闇】

「貴様が魔法少女だと?ハッ‼片腹痛いわ。」

では、次回をお楽しみに。


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授業参観と蠢く闇

どうも、疾風の警備員です。

今回は日常編Part2みたいな感じです。

最後は少しだけ敵の動きを書きました。

面白いかどうかはわかりませんが、良かったら見ていってください。


一誠side

 

俺がヴァーリを紹介した瞬間、小猫の動きが止まった。

 

そりゃそうだよな、いきなり自分の目の前に生涯に関わるライバルとなる奴が現れたんだからな。

 

「…えっと、本当ですか?」

 

「ああ、ほら。」

 

そう言ってヴァーリは光翼を展開した。

 

『久しぶりだな、ドライグよ。』

 

『ああ、久しぶりだな…アルビオン。』

 

そこに新たな声が響く。アルビオンとドライグだ。

 

『彼女が新しい宿主か?』

 

『前の奴が最悪だったからな…今はかなり充実してるぞ。』

 

『そうか、ところで随分と戦意がないが宿主の影響か?』

 

『そういうお前こそ、やる気が感じられんが?』

 

『どうやら今回は戦わずに済むかもしれんな?』

 

『たまにはいいだろ…お互いの為にもな?』

 

『そうだな。』

 

そこで声が途切れた。どうやら会話が終わったみたいだ。

 

「そういう訳で俺は二天龍の戦いにはそこまで興味がないから、できれば仲良くしよう。」

 

そう言ってヴァーリは手を差し出し、

 

「はい、私もそういうギスギスした争いは嫌いですから。」

 

小猫も手を出して、互いに握手した。

 

「お兄ちゃん、どうしたの……あッ‼アルビオンだ‼久しぶり‼」

 

そこに人間態のメイルがやって来て、ヴァーリに駆け寄った。

 

『…………………………………………………………誰だ?』

 

「私だよ、メイルだよ‼」

 

メイルのその言葉にヴァーリとアルビオンの顔(片方は分からない)が驚きに染まった。

 

あれ?美月さん達、教えてなかったのか?

 

『は?いやいや、嘘はやめろ。奴は神器に封印されているんだぞ?出られるわけが……』

 

『アルビオン、驚くのも無理ないが……本当だ。』

 

ドライグの悟ったような声が再び聞こえ、それにより本当だと確信したのか…

 

「『ウソダドンドコドーンッ‼‼』」

 

オンドゥル語で叫んだ。

 

「おい一誠‼どういう事だ!?みくるや美月からは何も聞いてないぞ!?」

 

「いや、二人も知ってるはずだけど…」

 

「成程、俺を驚かせようって事か……‼あの二人…今度超こってり系のラーメン屋に連れていってやる‼」

 

「何故そこでラーメン屋?」

 

むしろご褒美じゃ……

 

「アイツ等が体重を気にしてるからだ‼」

 

おま……それ、死亡フラグじゃね?

 

『なんという事だ…………はッ!?まさか…龍見一誠よ、すまないが彼女の耳を塞いでいてくれるか?』

 

「へ?別にいいけど…」

 

アルビオンに頼まれた通り、メイルの耳を塞いだ。

 

『ドライグ、彼女に手を出してはいないだろうな!?』

 

『出来るかッ‼俺は封印されたままなのだぞ‼名前で呼ばれるぐらいだ‼そういうお前こそ、何もしてないだろうな‼』

 

『こちらも同じだ‼それ以上でもそれ以下でもない‼』

 

すると天龍達がいきなり、怒鳴り合いを始めた。

 

『まさか、こんな事になるとは……』

 

『これも聖書の神の嫌がらせなのか?』

 

なんだ?いったい何の話をしているんだ?

 

「あ…もしかして、ドライグさんとアルビオンさんはメイルさんの事が好きなんじゃ…」

 

『『言うなァァァァァァァァァァッ‼』』

 

小猫が何かを呟こうとしたのを、二人が大きな声で打ち消そうとしたが間に合わなかった。

 

「やはりそうでしたか…」

 

『そうだよ‼悪いかッ‼』

 

『よくケンカしてた原因もこれだよ‼』

 

「まさか……三勢力の戦争に介入してきた時のケンカも…」

 

『ああ、どっちが先に告白するか決めるための勝負だ‼』

 

『それをお前らが邪魔して封印したせいで出来なかったんだぞ!?』

 

三勢力戦争のまさかの真実発覚!?

 

「つまり……二天龍の因縁の原因も…」

 

「ダメだ……何も言えねぇ…」

 

「ねぇ~、皆して何話してるの?」

 

メイルの問いに俺は答える事が出来なかった。

 

そして、ゼノヴィアはアーシアの前に行くといきなり土下座した。

 

「え?」

 

「すまない‼アーシア・アルジェント‼」

 

「えっと……ゼノヴィア…さん?」

 

「神は既におらず、その愛もないのに君には酷い事を言ってしまった‼謝って済むとは思ってもいない。もし君の気が済むなら何をしようと「顔を上げて下さい、ゼノヴィアさん。」アーシア・アルジェント?」

 

「私は今の生活が好きです。クリスさんには色々とご迷惑を掛けているかもしれませんが、今がとっても楽しいんです。だから、同じ境遇の者同士でお友達になってくれませんか?私はこの楽しさを貴女とも分かち合いたいですから。」

 

「こんな私を……友と呼んでくれるのか?」

 

「はい‼」

 

「…………ありがとう、アーシア。」

 

どうやらあっちは丸く収まったみたいだな。

 

その後、オッチャンに探し物を届ける為、ヴァーリ達と別れ家に帰った。

 

 

 

 

 

それから数日経ち、とうとう授業参観の日となった。

 

「はぁ~…鬱だ…」

 

俺は教室の自分の席で脱力していた。既に後ろには何人か親御さんが来ている。

 

「どうしたの、イッセー?」

 

そんな俺の席に一人の女子が来た。

 

「ん?なんだ機龍か…」

 

「誰が3式多目的戦闘システムだ‼桐生よ‼それで、何そんなにふやけてるの?」

 

「……親が来る…」

 

「あ、うん……だいたいわかった。」

 

高校生にもなって親が見に来るとか、地獄以外のなにものでもない。ましてやあの二人だ。どんな格好で来るのやら……

 

「おい、あの四人見てみろよ‼」

 

「うおッ‼男の方はチョイ悪感がスゲー合ってる‼」

 

「女性の方もキレー…」

 

「一緒にいる女の子もカワイイッ‼」

 

「あの子、お持ち帰りしていい!?」

 

そんな事を思っていたら、教室が騒がしくなった。

 

「何だ?」

 

「誰かの親でも来たの……」

 

桐生がそこを見た瞬間、動きが止まった。

 

「どうしたんだ、まるでアブソリュート・ゼロでも喰らったみたいに固ま…って……は?」

 

俺も気になって、そっちを見た瞬間動きが止まってしまった。

 

そこには濃いグレーのスーツに白のYシャツと黄色のネクタイをしたオッチャンと濃い紫で膝上の長さのドレスを着て肩には毛皮のストールを掛けたキャロルさん、クリーム色のワンピースの上に水色のショート丈のカーディガンを着たゆめ(メイル)に薄い紫のドレスを着たエルナがいた。

 

「え~と……あッ‼お兄ちゃん発見‼」

 

そしてゆめが俺を指差しながら叫んだ。

 

瞬間、クラス中の視線が俺に集まった。

 

「ウソッ!?龍見君の家族!?」

 

「マジかよ!?」

 

「あの子、私に頂戴‼」

 

「お前ら落ち着けよ……後最後の奴、やらないから諦めろ。」

 

にしても桐生のポカンとした顔、面白いな。

 

「ほらほら、席に着きなさい。授業を始めますよ。」

 

教師が来た瞬間全員がすぐに戻った。親の前で変なことは出来ねぇよな……

 

「それでは本日使う物を配ります。」

 

そう言って配られた物を見て、皆が目を丸くした。だってそれは……

 

「紙粘土……?」

 

図工とかで使う紙粘土だったからだ。

 

あれ?この授業……英語だったよな?

 

「その紙粘土で好きなものを作ってください。そういう英会話もある。」

 

(((((ねぇよッ‼‼‼)))))

 

たぶん、心の中で皆が1つになった気がする……

 

「時間は終了10分前まで、それではLet's Start‼」

 

最後だけ発音良いな!?

 

そんなツッコミを思いつつ、俺も作り始める。

 

せっかくだし、今までの感謝を込めて作りますか‼

 

紙粘土を二つに分け、集中しながら作る。

 

時間を掛け、終了3分前に完成したそれはガングニールフォームの仮面ライダー光龍とその後ろで高らかに吠えるドラゴンの姿のメイルだ。

 

「うむ、我ながら良い出来だ。」

 

ヘラを使いまくって、鱗も一つ一つ作り上げたからな‼会心の一作だ。

 

「龍見君……見事だ‼まるで今にも動き出しそうな出来‼先生は誇らしいぞ‼」

 

「ど、どうも……?」

 

「私は生徒の新たな才能を開花させてしまったのかもしれない…‼」

 

いや、オッチャンに教えられた事が少しあるから、手先が器用なだけなんだけど……

 

そして、チャイムがなり授業が終わった。

 

 

 

 

 

タケルside

 

授業の後、廊下に出てイッセー達に合流した俺は皆の作品を見ていた。

 

イッセーはどう考えてもプロのレベルだろ。未来さんはデフォルメされたウサギか。

 

でも、響さんの作品だけは理解不能だった。

 

「茶碗に乗せた白米…………なんじゃそりゃッ!?」

 

「え、そう?上手く出来たと思ったんだけど……」

 

いや、それ以前に白米を作ったなんて浮かぶか‼

 

「タケルは何を作ったんだ?」

 

「ん?これ。」

 

俺が見せたのは、闘魂ブースト魂のゴーストの像だ。

 

「おお……お前も上手いな。」

 

「結構苦労したけどな。」

 

そうやって話していたら、アザゼルさん達がやって来た。

 

「お前ら、中々の出来だな………………響を除いて。」

 

「酷いッ!?」

 

いや、正しい評価だと思うけど?

 

「ところでオッチャン、3年と1年には誰か行ってるのか?」

 

3年にはクリスさん、1年には調ちゃんと切歌ちゃんがいるけどアザゼルさん達はずっとこの教室にいたな。

 

「3年には翼、1年にはマリアが行ってるよ。」

 

ああ、確かにそこにいる人達にとっては保護者っぽい人達だな。

 

「お兄ちゃん、これって私?」

 

「ああ、会心の出来だ。」

 

「ねぇ、これ貰ってもいい!?」

 

「おう。」

 

「ありがとう‼」

 

ゆめさんはイッセーの作品を貰って、目をキラキラさせながら喜んだ。

 

「……元からそのつもりで作ったんだろ?」

 

「ああ、昔から世話になってたからな。何か形に残るような物の1つでも贈ろうと思って。」

 

成程、ずっと一緒だった神器の中のドラゴンが出てこれるようになれたから、そんな考えになったのか。

 

「あれ、イッセー君達にアザゼル様達も、こんな所でどうしたんですか?」

 

そこに木場が通りがかった。

 

「木場?何処に行くんだ?」

 

「それが、体育館で魔法少女が撮影会をしてるって噂を聞いてね……ちょっと見に行ってみようと。」

 

「「「「「「魔法少女ぉ?」」」」」」

 

何だそりゃ?こんな場所で魔法少女が出るなんて……

 

「ほぅ…魔法少女か…」

 

その言葉に何故かキャロルさんが反応した。

 

「木場、オレをそこに案内しろ。」

 

「え?別に構いませんけど…」

 

「なら行くぞ。」

 

そのまま木場も連れて体育館に行くと、ステージで何やら撮影会が行われていて、その中心には魔法少女のコスプレをした女性がいた。

 

「やはり、アイツだったか…‼」

 

ん、アイツ?知り合いなのか?

 

「オラオラッ‼生徒会だ‼お前ら何やってんだ‼散れ散れ‼」

 

そこに匙がやって来て、群がっていた生徒を下がらせていった。

 

「たく……あんた、ここの生徒の関係者?」

 

「うん、そうだよ~。」

 

「悪いけど学園であんな事は止めてくれませんかねぇ……それになんだその格好?こういう日には相応しい格好とかあるだろ?」

 

「ええ~、だってこれが私の正装だもん☆」

 

そう言ってコスプレさんは横チェキを決めた。

 

だもんって……そんな年でもねぇだろ?見た目からして。

 

「やはり貴様か……【セラフォルー・レヴィアタン】?」

 

「へ?…ッ‼キャロル・マールス・ディーンハイム!?何故ここに!?」

 

「息子達の授業を見に来たんだ。」

 

「フン、ここで会ったが百年目‼この魔法少女レヴィアたんが今度こそ貴女を倒す‼」

 

「貴様が魔法少女だと?ハッ‼片腹痛いわ。」

 

え?何なの、この展開?

 

「貴様の様な魔力をバカスカ撃って愛想を振り撒くだけの女を魔法少女と呼べるものか、複雑な術式の魔法を使いこなし、周りの者に幸せを届けてこそ、それを名乗る事が許されるのだ。」

 

「そんな事ないもん‼私だって悪魔の平和の為に戦え…」

 

「貴様が他陣営と事を起こせば、戦争の引き金にしかならないぞ?皆を助ける魔法少女が戦争を起こしてどうする。」

 

「ううッ!?」

 

「なあイッセー……これ、どういう状況?」

 

「あの二人って仲が悪いんだよ。」

 

いや、それは見れば分かるんだが……

 

「あっちの魔法少女擬きがセラフォルー・レヴィアタン。大の魔法少女好きにして魔王の一人だ。」

 

「魔王かよッ!?」

 

それじゃ魔法少女じゃなくて魔王少女だろ!?

 

「けどあの態度や仕草が、魔法使いや錬金術師達から見るとかなりムカつくと怒りを買ってるんだそうだ。」

 

まあ、魔法に関係ある人達が全員あんなキャピキャピしてると思われるのは確かに嫌だろうな……

 

「そんなのはどうでもいいの‼今日こそは貴女をボッコボコにして、私が魔法少女だって認めさせてやるんだから‼」

 

「と言いつつ、戦績はオレの9戦9勝だがな?」

 

何それ圧倒的じゃん……

 

「フッフッフッ……この記念すべき10戦目で貴女は地に這いつくばるのよ‼」

 

「抜かせ、オレの記念すべき10勝目に花を添えるだけだ。」

 

「黙れファザコン錬金術師。」

 

「失せろシスコン魔王少女。」

 

「「……………………………………ヤンのかゴラァ?」」

 

既に一触即発ムード!?

 

今すぐにでも結界を張って戦い始めるそうになる……

 

「やめろ、キャロル。」

 

「セラフォルーもだよ?」

 

「「旦那様!?(サーゼクスちゃん!?)」」

 

が、アザゼルさんとサーゼクスさんがそれを止めた。

 

「これから同盟を結ぼうという時に、暴れるなよ。」

 

「外交担当の君がそれではいけないよ。」

 

「「はぁい…」」

 

スゲェ……一触即発の空気が一瞬で霧散した。

 

「悪いなサーゼクス、面倒を掛けた。」

 

「いや、それは此方もだよ。それに龍見くん、君には妹が本当に迷惑をかけてすまなかった。君に会えたら直接謝りたかったんだ。」

 

そう言ってサーゼクスさんはイッセーや俺達に向かって頭を下げた。

 

「そんなッ!?頭を上げて下さいよ!?そちらの罰できちんと裁いてくれたんですから、俺はもう気にしてないですよ‼」

 

「ありがとう……それと出来れば君達に頼みたい事があるんだ。」

 

「頼みたい事……ですか?」

 

「ああ、リアスの眷属にいた【僧侶】の子の事なんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「おい、僕達を助ける理由はなんだ?」

 

「貴方達をこんな目にあわせた者共に復讐する機会を与えてあげようと思った…………からでは駄目ですか?」

 

「それだと貴方のメリットがないでしょ?」

 

「そうですね、ですから条件をつけます。これに納得して頂けるのなら、貴方達を解放させてあげましょう。」

 

「どういう条件ですの?」

 

「簡単です。復讐する日をこちらで指定させてもらう……それだけです。」

 

「それだけなのか?」

 

「はい。」

 

「………………良いぜ、飲んでやるよ。」

 

「分かりました。では、その日になりましたら迎えを寄越します。それまではいつも通りでお願いします。」

 

「わかった。」

 

そして、接触した者達が去った後に私は堪えていた笑みをやっと表に出した。

 

「バカな子達……精々私達の駒になってもらいましょう。」

 

これで準備は整った……後はその日を待つのみ。

 

「私達を迫害した事……後悔させてあげます。覚悟してなさい、現魔王ども…‼」

 

そして、私は魔法陣でその場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N side

 

「ん~、やはり飛行機は疲れるな。」

 

空港に着いた俺は到着ロビーで体を動かしたら、骨がパキパキとなった。

 

「さて、何処に行こうかね…………何やってるイリナ?とっとと来い。」

 

『N様、巨大な力が集まっている場所を発見しました。』

 

「……………………何処だ?」

 

『駒王町と呼ばれる場所です。』

 

ほ~、偶然選んだ地にそんな場所があるとは……

 

「なら、そこへ行くぞ。案内しろ。」

 

『はっ、了解しました。』

 

さあ、駒王町にいる強者諸君……

 

「俺を楽しませろよ?さもなくば……待つのは死だ。」

 




いかがでしたか?

次回はお待ちかね?の男の娘のヴァンパイアの登場です。

次回【引きこもりヴァンパイア】

「うわあぁぁぁぁぁぁぁんッ‼聖剣とか絶刀とか魔弓とか銀腕とか歪鏡とか鏖鋸とか獄鎌とか撃槍とかニンニクを持って追い掛けて来ないでくださあぁぁぁぁぁいッ‼」

では、また次回で。


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引きこもりヴァンパイア

どうも、疾風の警備員です。

今回は男の娘ヴァンパイア、ギャスパー君の登場です。

それと天界について賛否両論になる内容になっています。

天界組が好きな人とかはブラウザバックを推奨します。

もし、そういうのが大丈夫な人は暇潰しがてら見ていってください。


一誠side

 

あの後、セラフォルーさんがやって来たソーナ会長を追い掛けて行ったり、家に来たオッチャンとサーゼクスさんが酒盛りを始めたり、キャロルさんとグレイフィアさんが互いに夫の愚痴を言い合ったりしながら過ぎていった。

 

そして翌日、俺達学生組は木場と小猫の案内で旧校舎のある部屋の前まで来ていた。その部屋の扉には事件現場とかで警察が張ったりする黄色のkeep outのテープで塞がっていた。

 

「この部屋にいるのか?その僧侶の子が?」

 

「うん、部長が眷属にしたんだけど力を制御出来なくてね?周りに被害を与えてしまうかもしれないからなんだ。」

 

「……でも、夜だけは封印が解けるので完全な封印というわけではありません。」

 

なるほど、でもどんな奴なんだろう……

 

「人間と吸血鬼のハーフなんだけど人見知りが激しいんだ。だから外には滅多に出ようとしないんだよ。」

 

「それでいいのか、吸血鬼?」

 

仮にも人間から血を吸ってるんだろ?ハーフだけど。

 

「それじゃ悪いけどイッセー君、扉の封印術式を解除して貰ってもいいかい?」

 

「あいよ。頼むぜ、メイル。」

 

『お任せください。』

 

俺は【解放龍の剣】を出して、扉に当てた。

 

『Remote!!』

 

そしてパキンという音と共に、封印とテープが剥がれ落ちた。

 

「ありがとう。それじゃ、僕達が呼ぶまで外で待ってて。」

 

そう言って木場と小猫は中に入っていった。

 

「いったいどんな子なん「イィィィィィィィィヤアァァァァァァァァァァァァッ‼‼‼」な、何ッ!?」

 

響が相手を想像していたら、突然叫び声が聞こえた。

 

「部屋の中だッ‼」

 

「行くぞッ‼」

 

何か非常事態があったのかと思った俺達は、中へと突入した。

 

その部屋は薄暗いが可愛らしい内装がなされていて、中央に棺桶がある以外はぬいぐるみ等が置いてある女の子らしいもので……

 

「イヤですうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼お外に出たくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ‼人怖いいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ‼」

 

「ギャスパー君、大丈夫だよ。」

 

「…ギャー君、落ち着く。」

 

部屋の隅で体育座りで怯えている金髪紅目の女の子が木場と小猫に宥められている所だった。

 

……………………………………うん、なんだこれ?

 

「ヒイィィィィィィィィィィィィッ!?なんか知らない人まで入って来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼」

 

「うるさッ!?」

 

なんつー大声だ!?

 

「この人達は仲間だよ。ギャスパー君。」

 

「ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼お家帰るうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼」

 

「……ギャー君の家はここだよ。」

 

「あ、そうだった………………じゃあ棺桶の中に帰るうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼」

 

「……ダメ。」

 

そう言って小猫は棺桶に蓋をして、その上に調と切歌が乗っかった。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁんッ‼小猫ちゃんと知らない二人がいじめるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼」

 

よくこれだけ叫んで喉が枯れないな…

 

「Killiter Ichaival tron」

 

『『『『『えっ?』』』』』

 

その時、聖詠が聞こえ振り返るとクリスがシンフォギアを身に纏い、銃をその子に向けた。

 

「ちょッ‼クリス、何やって…‼」

 

「さっきからピーピーピーピーと……喚いてんじゃねぇぞ‼‼このクソガキィッ‼」

 

「ヒイィィィィィィィィィィィィッ!?」

 

そして引き金が引かれたが、そこにその子はいなかった。

 

「なッ!?」

 

「何処に「うう……ひっく…‼」あ、あそこ‼」

 

未来が指差した場所を見ると、さっきとは違う部屋の隅で体育座りしてた。

 

どうやって移動したんだ!?まるで瞬間移動したみたいに……!?

 

「いつの間に…‼」

 

「転移…?ううん、術の発動が感じられなかったから神器?」

 

「ニャロウ…ッ‼今度こそ…‼」

 

「イヤァァァァァァァッ!?撃たないでぇぇぇぇッ‼」

 

「ストップストップ‼雪音先輩、待ってください‼あの子は事情があって…‼」

 

クリスが再び撃とうとしたが、その射線に木場が割り込んだ。

 

「ああッ!?事情だぁ?」

 

「はい‼ですからシンフォギアを解いてください‼お願いします‼」

 

「………………しゃーねぇな。」

 

クリスが解除したのを見て、俺はその子に近づき同じ目線の高さになるようにしゃがんだ。

 

「始めまして、俺は2年の龍見一誠って言うんだ。ヨロシクな。」

 

「うえ……?」

 

その子は恐る恐るだけど、俺を見た。

 

「今日は君に話さなきゃいけない事があるんだ。だから、聞いてくれないかな?」

 

「話さなきゃいけない事…?」

 

「ああ、とっても重要な事なんだ。」

 

「………………叩いたりしないですか?」

 

「いや、そんな事する気はないけど…」

 

この怯え方……どこかで見たような……

 

「そういえば、君の名前は?」

 

「……ギャスパー・ブラディ…です…」

 

「ギャスパーか、ヨロシク。」

 

それにしても、こんな女の子がここまで怯えるなんて何があったんだ?

 

「あ、言い忘れていたけどギャスパー君は男の子だから。」

 

『『『『『は?』』』』』

 

そんな事を考えていたら、木場から思わぬ発言が飛んできた。

 

「じゃあ…………あの女性用の制服を着ているのは…」

 

「だって……こっちの方がカワイイんだもん…」

 

『『『『『ウソダドンドコドーンッ‼‼』』』』』

 

引きこもりの女装好きって趣味が過ぎるわ‼

 

 

 

 

 

 

 

そして話をするため、オカルト研究部の部室に集まった。ただし、ギャスパーは大きな段ボール箱の中にいる。

 

そして彼に、これまでの事を全て話した。

 

「そ、それじゃ……僕はどうなっちゃうんでしょうか?」

 

「サーゼクスさんの頼みで、君は俺達のチームが預かる事になったんだ。」

 

「そ、そうだったんですか…」

 

にしても、この子が封印される原因の力ってなんなんだろう?

 

「木場、ギャスパーが封印される原因になった力の事を教えてくれないか?」

 

「うん、ギャスパー君には【停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)っていう神器が宿っていて、視界に映したものを止める力があるんだけど、それの制御が出来ないんだ。」

 

「それで、さっきみたいに無意識で止めてしまうから封印されていたのか…」

 

これはかなり厄介だな……オッチャンから昔聞いたけど、五感系の神器は制御が難しくて暴走しやすいらしいし……

 

「あ、あの…………僕、部屋に戻「…ダメ。」ええッ!?」

 

ここから一刻も早く逃げたいのだろう、ギャスパーの言葉は小猫に一撃粉砕された。

 

「…魔王様からギャー君を鍛える様に頼まれてるから。」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

そう、小猫の言う通り俺達はギャスパーの身柄を預かる事と、鍛えてほしいと頼まれたのだ。

 

戦場に出れなくてもせめて、普通に外を歩ける様にしてほしいというのがサーゼクスさんの言葉だ。

 

「という訳でこれから特訓に入る、鍛えるのは彼女だ。」

 

「特訓なら私にお任せ‼ヨロシクね、ギャスパー君‼」

 

響がギャスパーに手を差し出すが…

 

「ヒィッ!?」

 

悲鳴を上げて、段ボールの中に籠ってしまった。

 

「ありゃりゃ……手を繋げるのはもう少し後かな?」

 

響も苦笑しながら手を引いた。

 

「もう‼クリスちゃんがいきなり撃つからだよ?」

 

「はあッ!?アタシのせいだって言いてぇのか‼」

 

いや、どう考えてもお前のせいだろ?

 

「クリスさん、怯えている子をいきなり撃ってはいけません‼」

 

「うぐッ!?」

 

アーシアに注意されたクリスは頭をかきながら立ち上がってギャスパーの元に向かい……

 

「その……何だ……さっきは悪かったな…」

 

不器用な感じで謝った。

 

「あ……えっと……僕もスミマセン…」

 

「んじゃ、互いに謝った事だし、さっそ【~♪】っと悪い、電話だ。」

 

画面を見るとオッチャンだったので、俺はすぐに出た。

 

「はい、もしもし?」

 

『イッセーか?悪いが今から言う住所に来てくれ。』

 

「え?今から?」

 

随分と急だな……

 

「これからギャスパーの特訓なんだけど…」

 

『すぐに終わるさ。だから頼む。』

 

「う~ん、分かった。今から向かうよ。」

 

『悪ぃな。』

 

電話を切って、俺は皆の方を向いた。

 

「悪いけどオッチャンから呼び出しがあって今から行くことになった。響、特訓の方よろしくな?」

 

「まっかせといてよ‼」

 

「なるべく早く戻るから。」

 

俺は転移アイテムを取り出して、先程指定された住所へと転移した。

 

転移先に出ると、そこは一軒の神社だった。

 

「おーいオッチャン、来たぞー‼」

 

「おう来たか、こっちだ。」

 

境内の中からオッチャンが手招きしてきたので、それに従い中に入ると、そこにはオッチャンだけでなく隣に端正な顔立ちの青年もいた。

 

ただし、その身には豪華な純白のローブを纏い頭には天輪が浮いていた。

 

「君が龍見一誠君ですね?私は熾天使のミカエルと申します。」

 

その名を聞いた俺は眉間に皺を寄せた。

 

コイツが響達に辛い思いをさせた天界のトップ…‼

 

「この度は私の話「御託は聞きたくないんで、早く本題に入ってください。」…失礼しました。」

 

俺の態度にオッチャンが頭を抱えていたが、それでも俺は態度を変える気はない。

 

「今回は貴方に謝罪をしに来ました。」

 

「謝罪?」

 

「はい、先の事件でゼノヴィア達が貴方に失礼な態度をとったそうで誠に申し訳ありません。」

 

そう言ってミカエルは頭を下げた。

 

違う……俺が聞きたいのはそれじゃない……

 

「………………その程度の事で俺を呼んだんですか?」

 

「いえ、それ以外に渡す物があります。」

 

ミカエルが掌を翳すとそこに1本の剣が浮かんでいた。

 

この感覚……聖剣か?

 

「これは【アスカロン】……ゲオルギウス…聖ジョージが龍を退治する時に使った龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)を持つ聖剣です。」

 

龍の神器を持つ者に龍殺しってなんの皮肉だよ?

 

「これには特殊儀礼を施してあるので、龍の神器を持つ貴方でも使えます。」

 

「あっそ。」

 

一応手に取ってみると、確かに拒絶的な反応は感じられない……でも、メイルを傷つけるかもしれない剣なんて……

 

「俺には必要無いですね。」

 

俺は剣をミカエルに突き返した。

 

「……では、何か望みはありますか?」

 

その言葉に少しイラッとした。

 

「だったら謝罪してくださいよ、神兵計画に巻き込まれて死んだ全ての人間に。」

 

それを聞いたミカエルは不思議そうな顔をし、

 

「すみませんが、神兵計画とは何なのですか?」

 

そう宣った。

 

その瞬間、俺の体は怒りに支配された。

 

「何で熾天使のアンタらが知らねぇんだよ‼‼自分達のお膝元が起こした事件だろうが‼‼」

 

俺はミカエルの襟を掴み、引き寄せる。

 

『主‼お止めください‼』

 

「止めろ、イッセー‼‼」

 

が、それはオッチャンによって引き剥がされ、そのまま羽交い締めにされた。

 

「その計画でどれだけの子供が犠牲になったと思ってんだ‼‼知らねぇじゃ済まされねぇんだよ‼‼」

 

「それだけじゃねぇ‼‼木場も聖剣計画の被害者だ‼‼何故計画に監視者を送らなかった‼‼それだけでも充分防げたかもしれない‼‼なのに何故‼‼」

 

「そ、それは…」

 

「オイ、止めねぇか…‼」

 

「そしてバルパーは問題を起こしたら研究成果だけを奪って追放か!?さっすが天使様‼‼バルパーの事は聖剣を使える様にするだけの道具にしか見てなかったんだろ‼‼」

 

「それは違…‼」

 

「オイ、イッセー‼」

 

「違わねぇよ‼‼自分達や神を盲信させ、悪魔祓いなんて兵にさせるのも、悪魔の【悪魔の駒】で眷属した転生悪魔と変わらねぇじゃねぇか‼‼」

 

「……ッ!?」

 

「それで人間を幸せにするとか語ってん「いい加減にしろ‼‼」ガハッ!?」

 

そこで羽交い締めを解いたオッチャンに殴り飛ばされ地面を転がった。

 

「お前の言いたい事は分かる……でも、今ここでそれを喚き散らしてなんになるんだ!?そんな事したって何の意味もねぇよ‼なら、これ以上同じ過ちを繰り返さない様にするのが上に立つ者の仕事だ。」

 

「だったら、人生を壊されそうな奴がいるのに見捨てるのも仕事なのか…‼」

 

「ああ、俺達はより多くの命について考えなきゃならない。場合によっては小を犠牲にする事もやむ無しとする判断もしなくちゃいけない。」

 

「それが……上に立つって事なのかよ…‼」

 

「そうだ。そしてその苦しみを一生背負っていくんだ。誰に許される事も無くな……」

 

そう言うオッチャンの目は、どこか悲しさを感じさせるものだった。

 

そこで俺は思い出した。かつてオッチャンも師匠に出した命令で、多くの部下を死なせてしまったことを。そして、戦争を終わらせたが多くの部下の死を無駄にするような形になってしまった事を。

 

「イッセー、許せとは言わない。だが感情に飲まれるな。そうなった奴の言葉には何の価値もない。」

 

「……………………分かった。ミカエルさんもすみませんでした。」

 

「いえ、貴方の言う事も正しいですから。」

 

「頭を冷やしたいから、俺はこの辺で。」

 

俺は転移アイテムを取り出して、学園へと戻った。

 

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

やれやれ、響達の事になると熱くなるのは変わらねぇな…………ま、あの現場を見ちまったんだ。仕方ねぇのかもな。

 

「アザゼル、私も一旦失礼します。」

 

「ああ、分かった。」

 

「では、お礼の件はいずれまた。」

 

ミカエルが転移していくのを見送り、俺は一人空を見上げた。

 

ここ最近、いろんな事件が起きた。それは世界を揺さぶる事が起きる前触れなのかもしれない。

 

「それにアイツ等を巻き込もうってんだから、俺もイッセーを叱る資格はねぇのかもな…」

 

どんよりと曇る空を見ながら、俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺は学園の屋上に転移した後、オッチャンに言われた事を考えた。

 

確かにあの時の俺は怒りの感情に飲み込まれていた。

 

「感情に飲まれるな…………か…」

 

俺も今後、オッチャンみたく辛い選択を迫られる時が来るのかもしれない。

 

「その時に俺はそんな選択を出来るんだろうか…」

 

正直、今は頭がこんがらがって何も分からない。でも、そんな事があるということは頭に入れといて置こう。

 

「さて、気を取り直してギャスパーの特訓の様子でも見に行くか。」

 

屋上から全体を見ると、校庭に響達を見つけた。

 

出来る限り平常心に戻るため、ゆっくりと歩きながら校庭へと向かい、そこで見たものは……

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁんッ‼聖剣とか絶刀とか魔弓とか銀腕とか歪鏡とか鏖鋸とか獄鎌とか撃槍とかニンニクを持って追い掛けて来ないでくださあぁぁぁぁぁいッ‼」

 

必死の形相で逃げるギャスパーとデュランダルとニンニクを持つゼノヴィアと小猫、そして聖遺物を身に纏った響達がギャスパーを追い掛け回している絵だった。

 

『ギャスパーさんから見れば、まさに地獄絵図ですね。』

 

「……………………取り合えず、おーい響‼」

 

「あ、イッセー‼」

 

「ちょっとこっちに来てくれー‼」

 

「わかったー‼」

 

俺に呼ばれて、シンフォギアを解除した響がやって来た。

 

「どうしたの?」

 

「今はどんな訓練をやってるんだ?」

 

「えっと、先ずは恐怖心を無くすための特訓なんだけど…」

 

「へーそうかそうか…」

 

俺は笑顔で響に近づき…

 

「フンッ‼」

 

「ぐえッ!?」

 

コブラツイストをきめた。

 

「恐怖心を無くすどころか、更にトラウマ増やしてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼‼」

 

「ギャアアアアァァァァァァァァァッ‼」

 

先ず俺がやらなきゃいけない仕事は、このバカにお仕置きする事だ‼‼

 

この後、皆を呼び戻してギャスパーを救出したら泣きながらお礼を言われた。

 

もうコイツに特訓を任せたりはしない……俺は心にそう誓った。




いかがでしたか?

今回も賛否両論、批判覚悟です。

あくまで私なりの解釈なので。

次回【始まる三勢力会談】

では、次回でお会いしましょう。


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始まる三勢力会談

お久しぶりです。疾風の警備員です。

ギャー君の特訓は省略して、三勢力会談の始まりとなります。匙の出番ェ…

この話から、色々とイベントが起きます。

今回は最後に1つイベントがあります。

では、どうぞ。


一誠side

 

あれから、ギャスパーの特訓を行う為にオッチャンに相談したら、匙が持っている神器が役立つと言われ頼み込んだ上で協力してもらい、ある程度の成果を見せていた。

 

黒い龍脈(アブソープション・ライン)】って結構応用がきくのな。戦いの時、下手に突っ込んだらヤバそうだ。

 

そして今日、ついに三勢力会談が行われる日となり、俺達は調と切歌を除き、玲奈ちゃんを足したメンバーで指定された時間よりも一時間ほど早く学園にいた。

 

「う~、緊張してきた~‼」

 

「何で響が緊張してるの?喋るのはほとんどイッセー君だよ?」

 

「でも~‼」

 

「静かに、着いたぞ。」

 

三回ノックして開けると、中には既にオッチャンとキャロルさん、サーゼクスさんがいた。

 

「失礼します。」

 

「おう、随分早いな?まだ一時間前だぞ?」

 

「遅れるよりかはマシだろ?」

 

「ふ、そりゃそうだ。」

 

そんな会話をしていたら、扉がノックされヴァーリとゼノヴィア、美月さんとみくるさんが入ってきた。

 

「失礼します。」

 

「あら、一誠君達じゃない。」

 

「元気してた?」

 

「もちろん、元気にやってるよ。」

 

「アーシア、調子はどうだ?」

 

「私は元気ですよ、ゼノヴィアさん。」

 

「ヴァーリ達は今日は?」

 

「俺達はサーゼクス様の護衛だ。一人遅れているがな。」

 

「う~ん、ヴァーリ君に様付けで呼ばれるのは、やはり違和感が強いな……」

 

ヴァーリの発言に、サーゼクスさんは苦笑していた。

 

確かに、サーゼクスさんはルシファーの名を襲名してるが、ヴァーリはその本家の血筋だからな~。違和感があるのは仕方ないよな。

 

「イッセー達はアザぜルさん達の護衛か?」

 

「それもあるけど、師匠が起こした事件についての説明もする事になってる。」

 

「そうか……あまり気を落とすなよ?」

 

そう言って俺の肩を優しく叩いた。たぶん、元気付けようとしてくれてるんだろう。

 

「サンキュー。」

 

「イッセー君、ギャスパー君の調子はどうだい?」

 

「ある程度の成果はありましたけど、不安要素がまだあるので今日は旧校舎で護衛の調と切歌と一緒に留守番してもらっています。」

 

「わかったよ、ありがとう。」

 

そしたら、再び扉が開いてセラフォルーさんとソーナ会長、真羅副会長に匙が入ってきた。

 

「ほお、今日はキチンとした服装なのだな?」

 

「ぶぅ~‼私だって趣味と仕事は分けられます~‼」

 

「お姉様、もう少し威厳を持ってください‼」

 

「大変そうだな……匙?」

 

「なら、変わってくれよ…吸血鬼の子の神器の特訓を手伝ったろ?」

 

『『『『『ごめん、遠慮する。』』』』』

 

「全員で揃って言うなぁッ‼」

 

いや、セラフォルーさんの相手が出来るのはたぶん調と切歌ぐらいだから…………俺達だと絶対に対応仕切れない。

 

「あの~、私……何人か解らないんですけど…」

 

「あ……ワリィ、今教えるよ。」

 

玲奈ちゃんは何人かわからないので、タケルがその人達の元へ連れていき、挨拶させていた。

 

「失礼しますよ。」

 

今度はミカエルさんが白衣を着た一人の男を連れて入ってきた。

 

「おう、ミカエルも早いな。50分前なのにもう全員揃ったぜ?」

 

「ええ、彼をご紹介しようと思いまして。」

 

そしてミカエルさんの隣にいた男がお辞儀した。

 

「始めまして皆様。私は教会で聖剣や聖遺物の管理を任されています【ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス】と申します。長いのでどうぞウェルとお呼びください。」

 

「では、少し早いけど始めよう。」

 

「そうですね、詳しい自己紹介は始まってからでも良いでしょうし。」

 

そう言われて、護衛メンバー以外が席に着いた

 

「それでは、今回の会談は全員が【神の死】を認知している前提で行うが、よろしいでしょうか?」

 

サーゼクスさんがそう聞くと、全員が頷いた。

 

「では、その前提条件の下で会談を始める。」

 

そして、会談は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

三勢力が一同に会する会談、どんなものになるのか最初は緊張しながら見ていたが……

 

「という事なので、我々天使勢といたしましては…」

 

「悪魔側として、それについては…」

 

「これは堕天使側の解釈なんだが…」

 

1度始まれば、それは情勢がよく解ってない俺と玲奈からすれば退屈なものだった。

 

「ふあ…」

 

「お兄ちゃん、みっともないよ?」

 

「仕方ないだろ、退屈なんだから。」

 

こう自分に関係がなかった問題だと、どうしてこんなに眠くなるんだろう……

 

「それでは次に、今回の会談の原因になったコカビエルの事件について……一誠君、説明をお願いするよ。」

 

「わかりました。」

 

おっ?一誠の番か。ここだけはシャンとしないとな。

 

一誠の説明は10分ほど続いた。

 

「……以上が今回、我々が関与した事件の内容になります。」

 

「そして、この報告に嘘偽りが無いことをこの私、ソーナ・シトリーが証言します。」

 

「ありがとう二人とも。この件についてアサゼル殿は何かありますか?」

 

一誠達が座り、サーゼクス様からそう言われてアサゼルさんが立ち上がった。

 

「まず、今回の騒動について先に配られた資料に明記してある通り、俺達堕天使陣営の組織【神の子を見張る者(グリゴリ)】は関与していない。コカビエルの独断である事を再度告げておく。そしてそれの対処は俺の義息子である一誠達のチームが行い、謎の攻撃によってコカビエルは死亡した。が、今回の件は明らかに俺の監督不行きによって起きたものだ。よってこの場を借りて謝罪する。すまなかった。」

 

そう言い、頭を下げた。

 

「頭を上げてくれアサゼル……それは私達も理解している。」

 

「ええ、貴方が戦争を起こそうという意思がないのは昔から解っていました。ですが、最近は戦力の増強を図っていますよね?それはどういう事か説明してもらえますか?」

 

「ああ、それについてはこれから配布する資料を見てくれ。」

 

そう言って資料を回し、それを見た各陣営トップの顔色が変わった。

 

「アザぜル……これは本当の事ですか?」

 

「ああ、シェムハザ直々に調べてもらったんだ。まず間違いは無い。」

 

「なんという事だ……この様な組織が出来ていたなんて…」

 

「戦力増強はこの為だ。だから俺はこの場で提案する。天使、堕天使、悪魔の三陣営による和平及び同盟を。」

 

そして、アザゼルさんのこの会談最大の目的が始まった。

 

「丁度良かった。私も同じことを考えていたんだ。このまま争っていてはいずれ滅びてしまうのは目に見えていたからね。」

 

「我々天使もです。そしてこの資料を見て、今すぐにでも結ばないといけなくなりましたね。」

 

「ああ、だから先ずは二天龍を宿す二人に聞きたいんだが、この和平や同盟についてはどう思ってる?」

 

視線を塔城さんとヴァーリさんに向けると、ヴァーリさんが口を開いた。

 

「俺はたまに強い奴と戦える機会があれば、それで良いさ。眷属とゆっくり過ごすのも悪くないしな。」

 

「……私も仲間とおいしい物を食べられれば、それで構いません。」

 

ヴァーリさんは良く分かんないけど、塔城さんは彼女らしいな。

 

「なら、タケルはどうだ?」

 

「え、俺!?」

 

何で俺に振るの!?

 

「お前は最初に確認された不思議な力を使う人間だからな。」

 

「俺は…………皆で平和に過ごせればそれでいいです。」

 

「そうか。」

 

そうだ、いつかはこの力を使わなくなる時が来る。英雄達も俺に無理矢理付き合わせる必要も無くなる……

 

そうしたら、黄緑色の眼魂が出てきて俺の意識を中に呼び込んだ。

 

気がつくと何処かの古い江戸民家の中にいて、そこには黄緑色で頭には大百日鬘を付けて肩から背中に掛けて仁王の襷が派手なロングコートの黒い存在がいた。

 

『おいおいタケル、連れねぇ事を言うもんじゃあ無いぜ?』

 

「貴方は…?」

 

『俺様は【石川五右衛門】‼天下の大泥棒よ‼』

 

「石川五右衛門!?」

 

確か8番目の英雄眼魂が五右衛門だった筈……

 

『タケル、俺様達は別に嫌々お前といるわけじゃねえ。良く言うだろ?【旅は道連れ、世は情け】って?俺様はお前さんがどんな風に成長するのか楽しみにしてるんでい。その楽しみを奪わねぇでくんな。』

 

俺の成長が楽しみ?そこまでのもんか?

 

『それに天使、堕天使、悪魔の同盟‼面白ぇじゃねぇか‼自分達の危機が迫ってるから、過去のいざこざを越えて手を取り合う‼こういう展開は胸が熱くなるってもんよ‼』

 

「まぁ……確かに分かりますけど…」

 

『おめぇさんも大変な事にぶち当たったら、意地やら何やらは捨てちまって、周りを頼ったりできる男になりな。』

 

そう言って俺は意識を外に戻された。

 

「タケルさん、どうされました?」

 

「いや、英雄と話をしていただけだよ。」

 

「今度はどんな英雄なんですか?」

 

「天下の大泥棒。」

 

「……………………色んな英雄がいるんですね。」

 

おいエルナ、その間はなんだ?

 

「では、どの陣営もこれに反対する者はいないな?」

 

アザゼルさんの言葉に俺達は一斉に頷いた。

 

「では、この場を持って同盟を…」

 

その瞬間、全ての時間が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

『Remote!!』

 

「はッ‼」

 

自分の神器の音で気がつくと、トップの人達と一握りの護衛メンバーを除いて動きが止まっていた。

 

『大丈夫ですか、主?』

 

「これは一体…?」

 

「気づいたか、イッセー。」

 

オッチャンとキャロルさんは鋭い目で校庭を見ている。

 

「オッチャン、一体何が起きたんだ?」

 

「テロだよ。」

 

「なッ‼もしかして、あの組織が!?」

 

「だろうな、何時の時代も和平を結ぼうとすれば、反発する奴等は出てくるもんさ。」

 

「それに各陣営のトップが顔を覗かせているんだ。起きない方がおかしい。」

 

どうやらオッチャンとキャロルさんは既にこの展開を予測していたみたいだな。

 

「イッセー、お前は神器で止まっている奴等を解除しろ。それが終わったら、校庭の掃き掃除でもやってもらおうか?」

 

「え?……………………マジかよ……」

 

外を見たら、校庭には黒いローブを着た奴等が沢山いた。

 

「解った。急いでやるよ。」

 

俺は解放龍の剣を使い、止まっていた人達を動ける様にしていった。

 

「ヴァーリ君に小猫君は無事な様だし、一足先に彼等の迎撃に向かってくれ。」

 

「「了解。」」

 

「この時にこの行動、貴方はどう考えますか、ウェル?」

 

「やはり敵対の表れだと思います。そして、この停止現象……確か、元グレモリー眷属に時間を操る神器を持っている者がいましたね?これはその所有者を使った…いや、学園を覆うほどの規模での発動……恐らく、強制的に禁手化させた可能性もあります。」

 

「ギャスパーが!?」

 

あの組織……‼ギャスパーの思いを踏みにじりやがって‼

 

「そうだヴァーリ、こいつを受けとれ。」

 

「ん?おっと。」

 

そう言って、オッチャンはアタッシュケースを投げ渡した。

 

「この前の依頼の成功報酬だ。役に立つ筈だぜ。」

 

アタッシュケースを開き、中にあった紙(おそらく取説)を読んだヴァーリはケースを閉じて、停止から解除させたゼノヴィアにそれを投げた。

 

「マスター?」

 

「それはお前向きだ。お前が使え。」

 

「へ?」

 

そんな呆然としているゼノヴィアを無視して、窓際に小猫ちゃんと立ち…

 

「行くぞ、アルビオン。」

 

「ドライグさんも。」

 

『『おうッ‼』』

 

「「禁手化‼‼」」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!』

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

禁手となって外へと飛び出した。

 

「あれ、イッセー?私…何があったの?」

 

最後の停止者の響を解除して、すぐさま状況を説明する

 

「響、ここがテロリストに襲われた。」

 

「ええッ!?」

 

「響は未来と一緒にギャスパー達の所に行ってくれ。この停止現象もギャスパーの力が関係しているらしい。」

 

「でも彼処には調ちゃんと切歌ちゃんが…‼」

 

「貴方達のシンフォギアと呼ばれる装備は装着型、身に纏う前に襲われたと考えるべきでしょう。」

 

俺の言葉にウェルさんが補足してくれたお陰で二人はすぐに状況を理解してくれた。

 

「転移系の物は無効化されているから、直接出向くしかない。響の突破力と未来の無効化能力なら行ける筈だ。」

 

「「わかった‼‼」」

 

「翼とマリアとクリスとエルナはここでオッチャン達の防衛を‼」

 

「「「「了解‼‼」」」」

 

「タケルは俺と一緒に外の掃除をするぞ‼」

 

「あいよ‼」

 

「私も行きます‼」

 

「玲奈ちゃん?」

 

俺が分担を決め、出撃しようとしたら玲奈ちゃんが参戦すると言い出した。

 

「駄目だ、お前はここでアザゼルさん達と一緒にいろ。」

 

「でも…‼」

 

「デモもクラシーも無い。」

 

「ッ‼」

 

なおも食い下がろうとした玲奈ちゃんをタケルが睨んで黙らせる。

 

「……………………………………解った…」

 

「…よし、行くぞタケル‼」

 

「ああ‼」

 

「みくる、ゼノヴィア、私達も行くわよ‼」

 

「「ええ(はい)‼」」

 

「待てイッセー、お前にもこれを渡しておく。」

 

そう言って7枚のアドベントカードを俺に投げ渡した。

 

「サバイブのカードを元に複製したブランクカードで作った物だ。戦力の足しになる筈だ。」

 

「サンキュー‼」

 

俺達が校庭に出るとヴァーリと小猫ちゃんが戦い始めていたが、数は圧倒的に相手が上だった。

 

それを見て俺はデッキを、タケルとみくるさんは眼魂、美月さんがシグナルバイクを取り出した。

 

「よし、私も‼」

 

俺達が変身準備をする中、ゼノヴィアはアタッシュケースから金色のベルトと金色のガラケー、1本の短剣を出してベルトに取り付け腰に巻いた。

 

そしてガラケーの【0】のボタンを三回押して、enterと書かれたボタンを押す。

 

《Standing by》

 

《Stand By》《Yes Sir》《loading》

 

《シグナルバイク‼》

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

タケルのベルトから流れる待機音に合わせて全員がポーズを決め……

 

「「「「「変身‼‼」」」」」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

《テンガン‼ネクロム‼メガウルオウド‼》《クラッシュ・ザ・インベーダー‼》

 

《ライダー‼チェイサー‼》

 

《complete》

 

そして俺が光龍、タケルがゴースト、みくるさんがネクロム、美月さんがチェイサーとなり、ゼノヴィアは黒に金のラインが入ったロングコート風のボディスーツを身に纏い、顔は赤のモノアイになっていてΩを意識したデザインになった姿に変わった。

 

「おお…これが、仮面ライダー…オーガ…‼」

 

「ゼノヴィア……頼りにして良いんだな?」

 

「ああ、お前達にした無礼の数々を払拭するレベルで働こう‼」

 

腰の短剣を抜き、ガラケーにあるメモリーを取り外して、短剣に取り付けた。

 

《Ready》

 

すると、刀身が光ながら伸びた。

 

「よし、これならイケる‼」

 

「それじゃ、皆の準備も終わった事だし…」

 

俺達は既に此方に狙いを定め始めてる黒のローブ軍団の方を向き……

 

「アイツらを撃退するぞ‼‼」

 

散開して、軍団に突っ込んだ。




いかがでしたか?

ということで、ゼノヴィア変身回でした。

次回はアイツとの決着になります。

次回【因縁の決着】

「追跡‼撲滅‼いずれもぉ~‼マッハ~‼」

ではまた次回で会いましょう。


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因縁の決着

どうも、疾風の警備員です。

今回で奴との因縁が終わります。

それとマッハ登場ですが、キャラはアイツです。

では、どうぞ。


ゼノヴィアside

 

私はマスターからもらったベルト(オーガギア)を使い、仮面ライダーオーガとなって敵へと切り込んだ。

 

「はあッ‼」

 

「キャアッ!?」

 

数人程切り捨てたが何故か青い炎と共に灰になっていく。

 

傍目から見れば、恐ろしい光景だな。

 

「そういえば、デュランダルは使えるのだろうか?」

 

フム、なら試してみよう。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ‼」

 

「ッ‼やらせるなぁッ‼」

 

私の行動に気づいた敵が攻撃してくるが、オーガの剣【オーガストランザー】で切り裂きながら詠唱を続ける。

 

「我が声に耳を傾けてくれ‼……この刃に宿りしセイントの御名において…‼」

 

「くッ!?総員、一斉射だ‼」

 

「「「「「はッ‼」」」」」

 

私は異空間から出てきた柄を握り締め、

 

「我は解放する‼」

 

「撃てぇッ‼」

 

正面から放たれる攻撃を……

 

「デュランダル‼‼」

 

引き抜いたデュランダルのオーラで吹き飛ばした。

 

「バ……バカな…‼」

 

「丁度纏まっているな…………これなら殺りやすい。」

 

私はベルトにつけているオーガフォンを開いて、enterキーを押した。

 

《Exceed Charge》

 

すると、体のラインに合わせてエネルギーが流れていき、剣に到達すると刀身が輝き出した。

 

更に、デュランダルにも力を送り、より一層輝き始める。

 

「ッ!?総員退…」

 

「セイヤッ‼」

 

「「「「「ギャアアアアアアアアッ‼」」」」」

 

その双剣を逃げようとするローブ達に向けて振るうと、刀身が伸び、ローブ達を消滅させた。

 

「どうだ龍見一誠‼私も役立つだろう‼」

 

「うん、それは判ったから近寄らないで。」

 

「何故ッ!?」

 

私はまた何か失礼な事でもしたのだろうか?

 

「いや、その武器に使われている物にトラウマがあるだけだから。」

 

「む……そうか、なら仕方ないな。」

 

私も過去に受けた訓練の幾つかがトラウマになっているからな………………………………あ、やめて…これ以上その拳骨で殴らないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼

 

「おい、ゼノヴィア‼」

 

「はッ‼」

 

そこで龍見一誠の声によって現実に戻った。

 

「どうした、急に震えだして?」

 

「いや、私も自分のトラウマを思い出しただけだ…」

 

「そ、そうか…」

 

よし、気を取り直してやるぞ‼

 

私は改めてオーガストランザーとデュランダルを握り締め、敵に突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

俺はガンモードのガンガンセイバーで敵を撃っていたが……

 

「だあぁぁぁッ‼数が多すぎんだろ‼」

 

そう、数が多いのだ。まるで台所に沸く黒光りの害虫のごとく……

 

「こうなりゃ、この英雄だ‼」

 

俺は水色の眼魂を取り出し、ナンバリング状態にしてベルトに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

するとバックルから水色の生地に肩に金の装飾があり、前面の縁が金と水色の縞模様、それ以外が金色のラインで彩られた袖無しのパーカーが現れ、隣にはファラオの王の姿が浮かび上がった。

 

それをレバーを操作して身に纏った。

 

《カイガン‼ツタンカーメン‼ピラミッドは三角‼王家の資格‼》

 

そして、顔には向かい合う2つの鎌が描かれた。

 

これも本編であったかどうか知らねぇが、ゴースト・ツタンカーメン魂だ‼

 

バックルからガンガンハンドとコブラを模したケータイが出てきて、合体するとコブラの尾が刃になったガンガンハンド・鎌モードになった。

 

おい、今それって自撮り棒じゃね?って思った奴手を上げろ………………………………………………………………………良かった~、俺だけじゃなかったか…そう思ってたの。

 

その自…………じゃなくて、ガンガンハンドをバックルに翳した。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミロー‼ガンガンミロー‼》

 

「まとめてお掃除だ‼」

 

鎌を振るうと、ピラミッドを模したエネルギー態が飛んでいき、一定の距離で止まると周りにいた奴等を吸い込み始めた。

 

「ウワァッ‼」

 

「キャアッ!?」

 

マァッサラーマ(さようなら)~。」

 

《オメガファング‼》

 

トリガーを引くと、その中で大量の爆音が轟きピラミッドは消えた。

 

「このッ…‼」

 

「おっと。」

 

その時、近くに来た奴が魔法で攻撃してくるが、それを楽々かわし、闘魂ブースト眼魂をバックルに入れる。

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「さあ、熱くいくぜッ‼」

 

《闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

闘魂ブースト魂になった俺はサングラスラッシャーをブラスターモードにしてそいつを撃つ。

 

「ガッ!?」

 

そして、サングラスを上げ中にオレ眼魂とビリー・ザ・キッド眼魂を入れ、サングラスを下ろしガンガンセイバーガンモードとサングラスラッシャーを構える。

 

《ダイカイガン‼》

 

2つの銃口にエネルギーがチャージされた瞬間、トリガーを引く。

 

《オメガフラッシュ‼》

 

「乱れ撃ちじゃーッ‼」

 

そこから大量の炎の弾丸が連続で発射され、次々に敵を撃ち落とす。

 

「さあ~て、次はだ【ブロロロロロロッ‼】ん?」

 

その時、何処からかバイクのエンジン音が聞こえてきた。

 

「なんだ?何処か【ガシャアァァァァァァンッ‼】うおおおおおおおッ!?」

 

そして、結界を突き破って1台の白いバイクが俺に向かって飛んできたので、慌てて回避した。

 

「危ねぇだろ‼‼どこ見て運転してんだ‼‼」

 

「いや~、ゴメンゴメン‼遅刻して慌ててたからさ?」

 

すぐ近くに止まったバイクの運転手の文句を言うが、相手の声を聞いて少し引っ掛かった。

 

あれ?この声…聞き覚えが……

 

「タケル‼大丈夫か‼‼」

 

「お、おう。」

 

そこでイッセーが来た。

 

「あれ?その声はもしかしてイッセー?」

 

「へ?何で俺を……いや、その声…………まさか…‼」

 

「そのまっさか~‼」

 

運転していた奴がヘルメットを脱ぐと、茶髪を三つ編みにし眼鏡を掛けたクラスメイトがいた。

 

「「桐生ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」」

 

そう、桐生藍華がいた‼

 

「え!?何で!?桐生、何で!?」

 

「前にバイトって言ってたけどあれは嘘よ。本当はライダーの適性検査で選ばれて訓練してたのよ。」

 

バイトじゃなくて仮面ライダーやってたのかよ!?

 

「どこで適性検査をやるなんて機密情報を…」

 

「フロムB。」

 

「「まさかのバイト情報誌!?」」

 

アザゼルさん、あんた何してんの!?

 

「コラッ‼藍華‼」

 

そこにチェイサーに変身している美月さんが来た。

 

「げッ!?あ、姐さん…‼」

 

「朝、時間指定したのに遅れるなんて何してたの?」

 

その質問に、桐生が大量の冷や汗を流した。

 

「え~とですね…………………………寝過ごしました…」

 

それを聞いた美月さんは盛大なため息を吐いた。

 

「そう。なら、お説教は後にしてあげるから、早く変身しなさい。」

 

「イエス、マム‼‼」

 

美月さんに敬礼しながら、彼女が懐から出したのはバイクのマフラーを模したベルトだった。

 

「やっぱりマッハドライバーか…」

 

あのバイクを見たときから確信してたけど……アレって【ライドマッハー】じゃん。

 

ドライバーを腰に付け、更にミニチュアサイズにしたライドマッハー【シグナルマッハ】をドライバーに装填した。

 

《シグナルバイク‼》

 

「Let's…変身‼」

 

《ライダー‼マッハ‼》

 

そしてポーズを決め、エネルギーで出来たタイヤが彼女の周囲を回りながらスーツを装着させた。

 

白に赤のラインが入ったボディスーツに同じ色のマフラー、右肩にはタイヤを模したオブジェが付き、ブルーのゴーグルにヘルメットを模したフェイスマスクをしたライダーになった。

 

「追跡‼撲滅‼いずれもぉ~‼マッハァーッ‼」

 

「は?」

 

桐生が叫びだした言葉に、イッセーがポカンとしているが、俺としてはこの台詞がある方がそれらしく感じるな。

 

「仮~面ライダァー……マッハァーッ‼」

 

「………………貴方…リゼヴィム様が教えたソレ、本当に覚えたのね?」

 

「いやぁ~、なんか物凄くしっくりきまして。」

 

「まあいいわ、行くわよ藍華‼」

 

「はい‼ヴァーリ眷属【兵士】候補、桐生藍華‼行きます‼」

 

そして、チェイサー(美月さん)マッハ(桐生)が二人揃って戦い始めた。

 

あ、やべ……こんな形で夢にまで見た二人の共闘が見れるなんて思わなかった。

 

「んじゃ、俺も頑張りますか‼」

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

タケルと別れ、俺は小猫とヴァーリとみくるさんと一緒に敵を撃退していく。

 

「数が減らないな…」

 

「あの魔法陣が有る限り、無限に沸くってか?」

 

「なら、先ずはアレを壊す。」

 

「やりましょう。」

 

俺達は魔法陣に攻撃しようとしたら、そこから人が3人出てきた。

 

「待て‼誰か出てきたぞ。」

 

そいつらはそのまま地上に降りるかと思っていたら、一人が物凄い勢いで突っ込んできた。そしてそいつはヴァーリの光翼を掴む。

 

「この‼離せ‼‼」

 

体を揺らしてそいつを振り払うが、その時フードの隙間から見えた奴の口が歪んだ。

 

そのまま地上に降りたそいつは、さっきの二人組と合流した。

 

「なんだ、アイツは?」

 

『主、この気配は…』

 

「ああ、間違いない。」

 

あれだけの重罪になりながら、まだ懲りないのかよ‼

 

「悪い、アイツは俺が一人で倒す。」

 

「先輩…」

 

「心配するな。邪魔が入らないよう頼む。」

 

「……わかりました。」

 

同じ様に気配で誰だかわかった小猫が心配そうに俺を見るが、そう言って地上で奴と向き合う。

 

「よぉ屑野郎……久し振りだな?」

 

「俺は2度と面を見たくなかったぜ。」

 

「連れねぇ事言うなよ。俺は片時も忘れた事はねぇぜ?テメェらから受けた屈辱の数々を…‼」

 

「だから来たってのか?テロリストになってまで。」

 

「そうだッ‼‼」

 

フードの男……兵藤宗二と後ろにいる二人が憎悪を込めた視線を俺に飛ばしてくる。向こうはグレモリーと姫島だな。

 

「もう原作とか関係ねぇ‼‼テメェは俺の手で殺す‼‼」

 

そう叫んで鎧を纏っていくが、前に見た黒い偽の赤龍帝の鎧に新しく黒く紫の光翼がプラスされていた。

 

『主、あの光翼からアルビオンと同じ力を感じます。』

 

「だろうな…」

 

先ほどの接触時にコピーしたんだろう。

 

「これで僕は最強だ‼‼何せ二天龍の力を手に入れたんだからな‼」

 

『全く、元宿主とはいえヘドが出る。』

 

『ああ、我らの力をコピーした程度で偉そうにするなど。』

 

「…私も不愉快です。イッセー先輩、ぶっ飛ばしてください。」

 

「俺もだ。イッセー、遠慮なく潰せ。」

 

「おう‼」

 

《GANGNIR》

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

俺はガングニールフォームになり、槍を構える。

 

「行くぞ、これで決着だ‼」

 

「無様に死ねぇ‼‼」

 

俺達は互いに走り出して、丁度真ん中で拳と槍が激突した。

 

 

ー推奨BGM【勇槍ガングニール】ー

 

 

少しの間つばぜり合い、同時に互いを弾いて下がる。

 

『Boost!!』

 

そこで倍加の音声が聞こえ、それを解除するために慌てて解放龍の剣を振るうが…

 

ガシッ‼

 

「なッ!?」

 

それを簡単に掴まれてしまった。

 

「クヒヒ‼頂くぜ?お前の大事な愛しい相棒を‼‼」

 

そして、剣を握る奴の手から黒い靄が侵食していった。

 

「ッ‼メイル‼」

 

『Remote!!』

 

咄嗟に能力で侵食を解除したが……

 

「ざ~んねん‼1歩遅かったなぁ‼‼」

 

奴の右手に色が黒くなっているが、外見は全く同じ【解放龍の剣(リモート・エッジ)】が握られていた。

 

あ?テメェ何してんだ?

 

『主?』

 

「テメェが…」

 

「ん?良く聞こえないなぁ?」

 

「テメェが…‼」

 

「もっと大きな声で言えよ‼」

 

「テメェごときがメイルを汚してんじゃねええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

俺は頭に沸き上がった怒りのままに、奴に槍を突き出すが簡単に避けられる。

 

「どうよ!?大事な相棒をコピーされる気分は?俺はサイッコーッ‼だけどな?」

 

「ふざけんなあああああああッ‼‼」

 

横凪ぎに槍を振るいつつ、硬質化したマントでも攻撃するがやはり避けられる。

 

「アハハハハハハハハハハハハハハッ‼‼笑いが止まらねぇ‼‼そうだッ‼その顔が見たかった‼」

 

「ガッ!?」

 

もう一度槍を振ろうとしたが、隙が大きかったのか奴の拳が脇腹に入り、ぶっ飛ぶ。

 

「クソッ‼『Divide!!』なッ!?」

 

その音声の後、俺は体から力が抜けるのを感じた。

 

しまった!?感情に飲まれてこんな簡単なミスを!?

 

「どうだ、自分の力を半減された気分は?おっと、スマンスマン。半減するほどの力なんて元から無いよな?」

 

「この…‼」

 

何とか立ち上がって槍を掲げようとしたら、意識を飛ばされる感覚に陥り、気が付くとドラゴン態のメイルが目の前にいた。

 

てことは、ここは俺の心の中か……

 

『主、何をそんなにお怒りになっているのですか?』

 

「アイツがお前をコピーした剣を振るっているからだ。」

 

俺にとってはメイルは最高の相棒だ。その能力も自由になるためのものだ。それをアイツは欲望の為に振るおうとしている……それが俺は許せねぇ‼

 

『そういう事ですか。私はあんなもの、気にするまでも無いですよ。」

 

「へ?」

 

いやだって、お前のコピーだぞ?

 

『私は心が籠った贋作なら本物にも勝てる事が出来ると思っていますが、あんな形だけの中身スッカラカンの贋作随一の駄作に負けるつもりは毛頭ありません‼』

 

そうだ……アイツのは見た目と能力だけのハリボテで俺とメイルの絆まではコピーしてないし出来る筈もない‼

 

「……………………ああ、そうだな。あんな贋作擬きにお前が…いや、【俺達】が負ける筈無いもんな‼」

 

『はい‼ですから、思いっきり暴れてフルボッコにしてやりましょう‼』

 

「ああ、行くぞ‼メイル‼‼」

 

『はい‼主‼‼』

 

そして意識が体に戻ると、半減の効果が消えていたのか楽に立ち上がれた。

 

「なんだ?漸く負けを認め「うっせぇよクソ野郎。」……なんだと?」

 

「強い力を持っただけで最強だと叫ぶなんて、情けないって言ってるんだけど?」

 

「……よっぽど死にたいみたいだな…‼」

 

『主。』

 

メイルに呼ばれ、意識を宗二に向けつつ耳を傾ける。

 

『先ほどアザゼルから貰ったカードを使いましょう。幸いサンドバッグが目の前にいますからね。』

 

「そうだな。」

 

俺はデッキからカードを7枚引いて手元で広げる。そのカードにはシンフォギアを装着した響、翼、クリス、マリア、調、切歌、未来が描かれていた。

 

その中から未来のカードをバイザーに入れる。

 

《SHEN SHOU JING》

 

そしたら、頭に聞き慣れた聖詠が浮かんだのでそれを歌い上げる。

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

するとガングニールの装甲が消え、新たに未来が纏っている神獣鏡の装甲を纏い、マントと肩の装甲の色が紫色に変わり、顔には獣の牙を連想させるヘッドギアが装着された。

 

仮面ライダー光龍・神獣鏡フォーム。

 

 

ー推奨BGM【歪鏡 シェンショウジン(一誠ver)】ー

 

 

「ふん、姿を変えた位で‼」

 

宗二が拳から魔力弾を放ってきたが、右手に持った鉄扇で楽々弾く。

 

「ふ~ん、ほんのちょっとパワーアップしたみたいだね?」

 

「ご託はいい。」

 

鉄扇を斜めに傾け、ライフルにして顔のすぐ横の鎧を撃ち砕く。

 

「ッ!?この…‼よくも僕の顔を‼」

 

「知るか、 ナルシスト。」

 

『そもそも、顔なら主の方がイケメンです‼』

 

いやメイル、それは今どうでもいい……

 

「リアスと朱乃も援護してください‼」

 

「「ええ‼」」

 

宗二は後ろの二人…グレモリーと姫島に援護を頼み、滅びの魔力と雷が飛んでくるが……

 

「ミラーデバイス展開。」

 

円形の鏡を出してそこからレーザーを放ち、二人の攻撃を打ち消し、肩をかする。

 

《混沌》

 

「「うあッ!?」」

 

1発で消えないって事は、どうやら無効化の力は未来のより弱いみたいだ。

 

『次にいきましょう。』

 

「おう。」

 

今度はクリスのカードをバイザーに入れる。

 

《ICHAIVAL》

 

「Killiter Ichaival tron」

 

聖詠を唱えると腰に大型のコンテナに両手には赤い籠手、頭の前を囲むヘッドギアが着きマントと肩の装甲の色が赤になる。

 

 

ー推奨BGM【魔弓イチイバル(一誠ver)】ー

 

 

両手の籠手をガトリングに変え、宗二へと掃射する。

 

《BILLION MAIDEN》

 

「ウオォォォォォォッ‼‼」

 

それによりその場に釘付けになったので、腰のユニットからミサイルを放つ。

 

《MEGA DETH PARTY》

 

「うわあぁぁぁぁぁッ‼」

 

それは全弾宗二に命中した。

 

次に調が描かれたカードをバイザーに入れる。

 

《SHUL SHAGANA》

 

「Various Shul Shagana tron」

 

すると、足がブーツ状の装甲に覆われ両手にコンテナ型のトンファーが握られ肩とマントの色がピンクになる。

 

 

ー推奨BGM【鏖鋸シュルシャガナ(一誠ver)】ー

 

 

「ツインテ部分をトンファーにしたのか……この方が使いやすい‼」

 

足のローラーで加速して接近しつつ、コンテナを前面に向けて開き、そこから小型の丸鋸を打ち出す。

 

《α式 百輪廻》

 

「ナメンナァッ‼」

 

それを宗二は魔力で撃ち落としていくが、その間に間合いに入り、トンファーの表面をチェーンソーみたくして脇腹の鎧を抉り取る。

 

《ε式 重影拳》

 

「ウグッ‼この…‼」

 

攻撃によろめいたが、すぐに立て直してアッパー気味に拳を振るってきた。

 

「フッ‼」

 

「グアッ!?」

 

それを体を後ろに反らしてかわし、そのままバク転の要領で足を振り上げ、足のローラーを鋸にして縦に切り裂いた。

 

「ウガッ!?」

 

「次‼」

 

デッキから切歌のカードを引いてバイザーに入れる。

 

《IGALIMA》

 

「Zeios Igalima raizen tron」

 

今度は肩の装甲の形がブースター装備のプロテクターになり、マントの色が緑に変わり頭には魔女帽を意識したヘッドギアが装着される。

 

 

ー推奨BGM【獄鎌 イガリマ(一誠ver)】ー

 

 

俺は鎌を出し、刃を3枚に増やして2枚を奴へと飛ばす。

 

《切・呪リeッTぉ》

 

「やらせないわ‼」

 

それをグレモリーと姫島が撃ち落とす。

 

「アンタらは邪魔だ‼」

 

肩からワイヤーを飛ばして二人をがんじがらめにして、地面に固定する。

 

更に、もうひとつの鎌を出し手持ちのと合体させ、向かい合う半月状の武器にする。

 

《対鎌・螺Pうn痛ェる》

 

そして、肩のブースターを吹かして加速し、グレモリー達に近づいて鎌を思いきり叩きつけた。

 

「「アアアアアアッ‼‼」」

 

「アンタらの処分は後だ。」

 

その時、背後から魔力弾が飛んできたので、振り返り様に切り落とす。

 

「テメェ…‼良くもリアス達を‼‼」

 

「なんだ、さっきから気になってたけど名前を呼ぶ仲になったんだな?」

 

「死ねぇ‼‼」

 

宗二が殴り掛かって来るが、後ろに飛んでかわし、翼のカードをバイザーに装填する。

 

《AMENOHABAKIRI》

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

すると、足にスラスターを兼ねたブレードが装着され、逆三角形の形になった肩の装甲とマントは青に変わる。

 

 

ー推奨BGM【絶刀 天羽々斬 (一誠ver)】ー

 

 

俺は右手に銀と青に輝く刀を握り、足のスラスターで地面を滑る様に移動する。

 

「オラオラオラオラオラァッ‼」

 

気合いと共に宗二が魔力弾を飛ばしてくるが、冷静に射線を見切り刀で切り落としていく。

 

「これならどうだッ‼」

 

今度は魔力を凝縮して此方に飛ばしてきたので、刀を巨大化させてエネルギーを溜め、斬撃として飛ばした。

 

《蒼ノ一閃》

 

それは魔力弾をアッサリと切り裂き、宗二に迫る。

 

「魔力系なら‼」

 

『Remote!!』

 

が、それは宗二がコピーした偽・解放龍の剣で霧散した。

 

「アハハハハハハハッ‼そんな攻撃が通用「邪鬼…」へ?」

 

俺はその斬撃に隠れる様にして接近し、今目の前で驚いている宗二に雷撃を纏った刀で切り裂く。

 

「退散…‼」

 

《雷電残光》

 

「ウワアァァァァァァァァァッ‼‼」

 

剣が届いたのか、体から少し煙を出して電撃で痺れて崩れ落ちる。

 

「まだ終わらねぇぞ?」

 

今度はマリアのカードをバイザーに入れる。

 

《AIRGETーLAMH》

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

すると、足は銀の靴を履き左腕に大型の籠手が付き、左肩の装甲だけがひし形になり左右非対称の姿になってマントはパステルブルーに変わる。

 

 

ー推奨BGM【銀腕・アガートラーム(一誠ver)】ー

 

 

俺は籠手から短剣を抜き、刀身を蛇腹状にして鎧を切り刻んでいく。

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

「ぐううぅぅぅぅぅぅッ‼‼」

 

これに怯んでいる間に飛び上がり、籠手の後ろに短剣を装着させて大型にし、腰のブースターで一気に加速して背中の光翼を切り落とす。

 

《SERE†NADE》

 

「ッ‼良くも僕の光翼を‼‼」

 

「それはテメェのじゃねぇだろ?」

 

今の俺も人の事は言えないけど……

 

『いえ、ただ己の為に振り回すだけならそうでしょうけど、主は皆を守るために使っているのですから、彼女達も認めてくれる筈です。』

 

「そうだといいな。」

 

ま、なんにしても次で終わらせる‼

 

俺は響の描かれたカードをバイザーに装填した。

 

《GANGNIR》

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

すると、マントが2本のマフラーになり、両足には金と黒の脚甲が、腕には金のラインが入った白い籠手が装着され、頭には2つの角みたいなヘッドギアが装着された。

 

 

ー推奨BGM【撃槍・ガングニール(一誠ver)】ー

 

 

俺はゆっくりと歩きながら宗二に近づいていく。

 

「く、来るんじゃねぇッ!?」

 

それを宗二は怯えた感じで後退りしながら魔力弾を撃ってくるが、全て拳で叩き落として目の前に立つ。

 

「フンッ‼」

 

「オゴォッ!?」

 

そして腹に左拳を打ち込むと、鎧の口の部分から血を吐きながら膝をついた。

 

俺は右足を引き、右の籠手を顔の横あたりまで引き伸ばして構えた。

 

「おい……何する気だ…‼止めろ‼謝る‼今までの事は全部謝るから‼お願いだ‼頼む‼‼」

 

「……………………………」

 

そう言われ、右腕を下ろす……

 

「……フ、バカめ「ほい。」ガフッ!?」

 

ふりをしたら、案の定攻撃しようとしてきたので左足で顎を蹴って黙らせた。

 

「それくらい読めてんだよ。最後の慈悲を無駄にしたな。」

 

『主、トドメといきましょう。』

 

「ああ。」

 

「『一刀羅刹‼‼』」

 

一刀羅刹を発動して顔面を殴り、籠手の衝撃もプラスされた事で顔中から血を吹き出しながら倒れていたグレモリー達を巻き込んでぶっ飛び、結界に激突した。

 

宗二は少し痙攣したかの様に動いた後、ピクリとも動かなくなった。

 

そして、力を使い果たした俺は変身が解除され、フラフラの状態だった。

 

「終わった……のか……?」

 

『一刀羅刹に加え、響さんのガングニールでの衝撃を頭に喰らわせましたから、普通なら即死、万が一生き残っても体にかなりの機能障害が出る筈ですから、戦線への復帰は先ずないでしょう。アレにフェニックスの涙を使うほどテロリストもバカじゃないでしょうし。』

 

「と……いうことは……?」

 

『はい、主の勝利です。』

 

メイルの言葉に俺は右手を上に突き上げ、ガッツポーズをした後、力尽きて校庭に倒れそうになったが駆けてきた響と未来に抱き抱えられた。

 

「お疲れ様。」

 

「漸く終わったね。」

 

二人の声を聞きながら、俺は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか……強い奴等の気配がするのは…」

 

『はい。』

 

「よし、行くぞ。」

 

だが、すぐ近くに災厄が迫っているのを俺達はまだ気づいていなかった。

 

 




いかがでしたか?

これで一誠と宗二の因縁は完全に終了です。

ですが、この章はまだイベントがありますので、楽しみにして欲しいです。

そして次はキャロルさんが参戦します。お相手は勿論あの魔王になります。

次回【殲滅の音色】

「見せてやろう…俺の新しい力を‼」

というわけでまた次回です。


後最近リリカルなのはの作品も書き始めましたので、良ければそちらもどうぞ。


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殲滅の音色

どうも、疾風の警備員です。

今回はキャロルVSカテレアとギャスパー救出の場面になります。

キャロルの初戦闘&新装備お披露目になります。

では、どうぞ。


玲奈side

 

私はお兄ちゃんに言われた通り、アザゼルさん達と一緒に残っていた。

 

「大丈夫かな……?」

 

「大丈夫ですよ。タケルさんは強いですから。」

 

私が弱気な発言をしたら、エルナさんが励ましてくれた。

 

「…信頼してるんですね?お兄ちゃんの事。」

 

「はい。」

 

私の言葉に一切の疑いが無いような笑顔をした。

 

ああ、お兄ちゃんが意識し始めたのも解るかも……。

 

「エルナさんがお姉ちゃんになってくれないかなぁ…」

 

「うえッ!?」

 

その呟きにエルナさんが顔を真っ赤にして反応した。

 

「私、エルナさんみたいなお姉ちゃんが欲しいなって昔から思ってたので……どうですか?お兄ちゃんは?」

 

「え…!?あ、その……タケルさんは確かにカッコいいですし、頼りになりますし、色々良くしてもらってますから‼嫌いという事はないですし‼むしろ……って!?私は何を口走ろうと‼」

 

あ、これ確実に両思いだ。

 

よし、これから色々と策を張り巡らせて……‼

 

「アザゼル、もしかしてあれが…?」

 

「ああ、間違いない。奴等が【禍の団(カオス・ブリゲード)】だ。中には神滅具持ちも何人かいるそうだぜ?」

 

「しかし、まるで狙った様なタイミング……まさかとは思いますが…」

 

「たぶん、いるだろうな。ここか、戦場に。」

 

アザゼルさん達は何か話していた。

 

「一体何の話だろう?」

 

「この中に裏切り者がいるって事よ。」

 

「えッ!?」

 

マリアさんが話してくれた内容に私はビックリした。

 

裏切り者!?何で、平和になろうとしてるのに……‼

 

「平和が困る輩も存在するという事だ。君にはまだ解らないかも知れないが……戦を生業とする者も確かに存在している。」

 

私は翼さんが話した事に、嫌悪感が沸き上がった。

 

戦いなんて不幸しか呼ばないのに…‼

 

「人の不幸を商売にしようとするなんて……‼そんなの許せない‼」

 

「玲奈ちゃん…」

 

その事に憤っていたら、部屋の端に魔法陣が浮かび上がった。

 

「ッ‼玲奈ちゃん、下がってください‼」

 

「あれは……………………レヴィアタンの魔法陣か‼」

 

その魔法陣を見た赤い髪の人が驚いた声を上げた。

 

え?レヴィアタンさんならそこに……

 

「えっと、玲奈ちゃんが勘違いしない様に説明すると、今の魔王様は世襲制でルシファーやレヴィアタンは役職名みたいなものなんです。」

 

「え!?」

 

「そしてあの魔法陣は過去の魔王レヴィアタンの血を受け継いだ者のものです。」

 

え~と、つまりここにいるのはレヴィアタンの役職に就く人で、あの魔法陣は本来のレヴィアタンの物ってことでOK?

 

そして、魔法陣から褐色の肌に長いスリットの入ったドレスを着た眼鏡の女性が出てきた。

 

「ごきげんよう…現魔王サーゼクス殿にセラフォルー殿。」

 

「旧魔王レヴィアタンの後継者、カテレア・レヴィアタン。何故このような事を?」

 

「決まっています。貴方達現魔王を倒すため…」

 

そう言って、いきなり魔力弾を撃ってきたが、魔王様二人とアザゼルさん、熾天使の方が協同で結界を貼って防いだ。

 

「長きに渡る敵と協力して結界を張る等…‼みっともないと思わないのか‼」

 

「これからの時代は争いが全てを解決する方法では無いからだよ。それに他勢力と争うほど、我らに余裕はない。」

 

「カテレアちゃんもうやめて‼こんな事をしても…‼」

 

「黙りなさいセラフォルー‼‼私からレヴィアタンの名を奪った貴様の言葉など聞く耳は持たん‼‼」

 

この女の人…なんか嫌い。

 

「貴方を殺し、私が再びレヴィアタンとなって神も魔王もいないこの世界に我らが変革をもたらす‼‼」

 

「その言い方だと…他の旧魔王達も禍の団に?」

 

「ええ…我々魔王派は禍の団への協力を決めました。」

 

「どうやら、悪魔側の確執が本格的になったみたいだな。」

 

なんか…とてつもなく面倒な事になってる?

 

「しかしこのような場に人間まで連れてくるとは…………そんな下等生物など我らの奴隷以外なんの役割もないというのに…」

 

その言葉に私はイラッとした。

 

「煩いですよ、オバサン。」

 

「なッ!?」

 

「「「「「プッ‼‼」」」」」

 

私がそう言うと、オバサンは驚きお偉いさん達は吹き出した。

 

「き、貴様‼‼今何と言った‼‼」

 

「何ですか?この部屋の広さで声が聞こえないなんて、年で耳が遠くなったんですか?」

 

「れ、玲奈ちゃん…‼」

 

エルナさんは私の横で、どうやって止めようかあたふたしていた。

 

すみませんエルナさん………止めないでください。

 

「確かにオバサンからみれば人間は下等生物なのかも知れませんけど………今のオバサンが人間とどれだけ違うの?」

 

「何ッ!?」

 

「同じ悪魔で対立して争う………悪魔同士でいがみ合うのがそんなに楽しいんですか?バッカみたい。そんなの人間の歴史とあまり変わらないじゃない。人間同士で戦って覇権を決める………悪魔がどれだけ凄いかしらないけど、貴方のやってることは人間のそれと同じなんですよ。」

 

「こ、この小娘…‼私をオバサン呼ばわりどころか、あまつさえ人間と同等だと…‼‼」

 

「あ、スミマセン訂正します。私の年代からみればオバサンじゃなく【ババア】でしたね。危うくオバサン方に失礼になるところでした。」

 

「「「「「ブフォッ‼‼…ク、ククク…アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ‼」」」」」

 

「ええいッ‼貴様等も笑うなぁッ‼‼そしてお前は殺す‼‼」

 

私の言葉でアザゼルさん達が爆笑して、ババアが顔を赤くして怒鳴っている。

 

「ククク…‼いや玲奈よ、存分に笑わせて貰った。よし、お前の代わりにアイツの相手は俺がやろう。」

 

そう言って、キャロルさんが前に出た。

 

「おいおい、お前が出る必要はないだろ?俺が…」

 

「なに、たまに運動しなければ太ってしまうからな。それに…」

 

懐に手を入れ、取り出したのは銃のグリップみたいな形をした小型の端末だった。

 

「こいつのテストもしたかったからな?」

 

「それは…GEARコマンダー!?」

 

アレって前に見せて貰ったエルナさんのアイテムの色違い?

 

エルナさんのは青だったが、キャロルさんが持っているのは黒だった。

 

「堕天使総督の女か………貴様が私に勝てるとでも?」

 

「お前も若いのと戦った方が張り合いがあるだろ?」

 

「くッ!?いつまで年齢の事を…‼」

 

「ほら、表に出ろ。全力で相手してやる。」

 

「良いでしょう‼」

 

部屋の窓を開けると、二人はそこから外に出ていった。

 

えっと………挑発したの私なんだけど…いいのかな?

 

 

 

 

 

 

キャロルside

 

外に出た俺とカテレアは空中で向かい合う。

 

「さあ、早く装備を身に纏え‼」

 

「そう慌てるな。」

 

俺は錬成陣から紫の堅琴を取り出して弦を弾く。するとそれは変形していき、身に纏うとサイドがかなり空いた紫のミニスカートの服になり、頭に被る帽子には赤、青、緑、黄のアクセサリーが付いたファウストローブになる。

 

「さあ、貴様に終焉の鎮魂歌(レクイエム)を聞かせてやろう‼」

 

 

ー推奨BGM【殲琴・ダウルダブラ】ー

 

 

「死になさい‼」

 

カテレアが魔力弾を撃ってくるが、右手を振るい伸ばした斬糸で切り払う。

 

「なんだ、この程度か?」

 

「嘗めるな‼」

 

今度は大量に放ってくるが、右手の指をバラバラに動かして斬糸を振るい、直撃弾だけを撃ち落とす。

 

「指先だけは器用ね。」

 

「指先だけじゃないさ。」

 

俺はGEARコマンダーを取り出して、画面にサイの絵を映し出す。

 

「見せてやろう………俺の新しい力を‼」

 

そして、横のボタンを押して起動状態にする。

 

「ライノドライブ、インストール‼」

 

それを左腕の端子に接続すると、そこから電流が左足に流れ、輝きと共に銀色の頭部に赤い目と金の角のサイが装着された。

 

「ッ‼珍妙な物を‼そんなハリボテで‼」

 

「なら、試してみるか?」

 

錬成陣からサッカーボールサイズの岩を作り出し、少し上に投げる。

 

「出来るものなら、避けてみろ‼」

 

左足を後ろに振り上げ、重力に従って落ちてくる岩を、サイのデータウェポン【ライノストライク】で蹴り飛ばす。

 

するとそれは、空気の炸裂音を鳴らしながら飛んでいきカテレアの腹に命中した。

 

「ゴバァッ!?」

 

喰らったカテレアは口から血を吐きながら、地面に降りた。

 

「な、なんて力…‼」

 

「どうした、まだ序の口だぞ?」

 

今度はコマンダーにキリンの絵を映し、起動させる。

 

「ジュラフドライブ・インストール‼」

 

接続と同時に右腕に電流が流れ出し、山吹色のキリンの首が伸び、頭の部分は口の部分が鋭くなっている。

 

「そぅら、行けよッ‼」

 

右腕のキリンのデータウェポン【ジュラフレイピア】を構え、炎の錬金術で先端を燃やしながら突き出すと、首が更に伸びていった。

 

「なッ!?チィッ‼」

 

カテレアは驚愕しつつもそれをかわす。

 

「甘いんだよ‼‼」

 

俺はそれを横に振るい、カテレアを凪ぎ払う。

 

「ガッ!?」

 

「まだ壊れるなよ?」

 

コマンダーにワニを映し、起動させる

 

「クロコドライブ・インストール‼」

 

右足に電流が流れていき、深緑色のワニの頭部が右足を包み込む。

 

「一体幾つ武器を!?」

 

「知りたければ、引っ張り出してみろ。」

 

「だったら…‼」

 

カテレアが空中に大量の魔力弾を展開して一斉に飛ばしてきた。

 

俺は右足を前に突き出し………

 

「喰え。」

 

そう呟くと、右足のワニのデータウェポン【クロコバイト】がその口を大きく開け、魔力弾を1つ残らず平らげた。

 

「そんな…‼」

 

「ほれ、返品だ。」

 

そしてその口から、さっきの魔力を錬金術で水に代えて束ねた奔流が放たれ、カテレアに直撃した。

 

「キャアアアアアアアッ!?」

 

「だらしない…それでも魔王の直系か?」

 

「…まだよ‼まだ私にはコレがある‼‼」

 

そう言ってカテレアは懐からビンを取り出し、中身を飲んだ途端、力がはね上がった。

 

「ドーピングか…」

 

「今の私の力は前魔王に匹敵するほどだ‼これで貴方は終わりです‼‼」

 

「そうかな?なら、ケリを着けるとしようじゃないか。」

 

背中に翼みたく広げたハープを鳴らし、そこに魔力と体力を半分ほど注いでいく。

 

そして、錬金術で光の力をジュラフレイピアの穂先に凝縮させていく。

 

「さあ、死になさい‼‼」

 

カテレアが今まで以上の魔力を込めた魔力弾を放つ。

 

「ジュラフレイピア‼ファイナルアタック‼‼」

 

俺は光輝くジュラフレイピアを突き出し、放たれた光の奔流が魔力弾にぶつかると、アッサリと貫通してカテレアの体を貫いた。

 

「ゴブッ!?ガ………ハ…‼」

 

「安心しろ、殺さない程度に抑えてある。聞きたい事が山程あるのでな。しばらくはその痛みに呻いていろ。」

 

地に伏したカテレアの傷口を踏みつけながら、視線を周囲に向けると一誠が神獣鏡を纏う姿が見えた。

 

「お前がどこまで強くなったか……見させてもらうぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

旧校舎に突入した私達は、目の前に出てくるローブを着た人達……恐らく魔法使い……を殴り飛ばしながらギャスパー君のいる部屋を目指した。

 

「貴様‼止ま「邪魔‼‼」レバァッ!?」

 

出てきた男を殴り、窓から落として進むとギャスパー君の部屋に着いた。

 

が、何かの術式が掛かっているのか開ける事ができなかった。

 

「響、退いて。」

 

未来が鉄扇で扉に触れると、パキンッという音と共に術式が壊れた。

 

「よし、行こう‼‼」

 

扉を勢いよく開けると、中にはシンフォギアを纏った調ちゃんと切歌ちゃんに魔法陣に張り付けにされているギャスパー君と一人の魔法使いがいた。

 

「「ギャスパー君‼」」

 

「…響先輩‼」

 

「未来先輩も来てくれたデスか‼」

 

「ちッ‼また邪魔が増えたわね。」

 

「ギャスパー君を離せ‼」

 

「するわけないでしょ?」

 

魔法使いはギャスパー君の髪を掴み顔を起こす。その顔は涙に濡れていた。

 

「この子の力はとっても使えるもの。もっともっと利用させてもらわなきゃ。」

 

その言葉に私は頭にきて突撃しようとした…

 

「ふざけ…「あら、1歩でも動けばこの子の命は無いわよ?」…クッ…‼」

 

が、相手にそう言われ何とか踏み止まった。

 

「…私達も他の奴等は倒したんだけど…‼」

 

「アイツがギャスパーを人質にしちゃったから、手が出せなくなったんデスよ‼」

 

「卑怯よ‼人質を取るなんて‼」

 

「フフ、悪いけど卑怯もラッキョウも大好きなの。」

 

「皆さん……もういいです…………僕を殺してください……もう…誰かの時間を止めるのは……イヤなんです…」

 

「ッ‼」

 

そこで涙ながらに喋ったギャスパー君の言葉が聞こえた。

 

「…ダメ、ギャスパー君‼」

 

「諦めるのは早いデスよ‼」

 

「でも……迷惑しか掛けない僕なんか…………いなくなっちゃえば…「逃げるなッ‼‼」…ヒィッ‼」

 

その言葉を聞いて、私はそれを遮るように全力で叫んだ。

 

「何よ、いきなり大声で叫んで…」

 

「君の過去は木場君達から聞いて知ってるよ。その力のせいで同じ吸血鬼の人達から迫害されていたこと…そして傷付いていたことも……でも、逃げてばっかりじゃ何も変わらない、変えられないんだよ?」

 

「響…」

 

「私もね?君と同じように暴走したことがあるの。そして皆に沢山迷惑かけちゃったんだ……でも、ここにいる私の仲間は誰一人として私を見捨てようとはしなかった。だから私は二度と暴走しないと心に誓ったの。それがどれだけ大変かは分かっていたし、皆にも負担を強いる事だったけど、これだけは成し遂げようって必死に頑張って今はこうやって制御できた。」

 

本当だったら自分一人で何とかしなくちゃいけなかったのに……皆、イヤな顔せずに私に付き合ってくれた。

 

だから……今度は私の番だ‼

 

「確かに過去にしてしまった事は変えられない……でも、未来は変える事が出来るんだよ‼自分がそう思い、それを目指して頑張れば…‼」

 

私はギャスパー君に手を伸ばし……

 

「もし何かあっても私達が助ける‼‼だから辛かったり、恐かったりする時こそ……逃げるなッ‼‼戦えッ‼‼そして過去の自分に打ち勝てッ‼‼決して最後まで……生きるのを諦めるなッ‼‼」

 

そう叫んでいた。

 

「響……さん…」

 

「フン、さっきから綺麗事をベラベラと…‼」

 

「…響先輩の努力を…‼」

 

「綺麗事の一言で片付けるなデス‼」

 

「そんなの知らないわよ。」

 

調ちゃんと切歌ちゃんが武器を構えようとしたら……

 

「響…さん………僕も、変われますか?こんな情けない自分から…」

 

ギャスパー君の声が聞こえた。けど、さっきとは違い生きようとしている思いが伝わってくる。

 

「出来るよ‼‼君が望めば‼‼」

 

「僕は…‼」

 

何かを決意したみたいに目を光らせると、魔法使いの動きが止まった。

 

「僕は変わりたい‼こんな自分にさようならしたいんです‼」

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

そして止まっている魔法使いを、私が殴り飛ばした。

 

「任せて、ちゃんと手伝ってあげるから‼」

 

「……はい‼」

 

魔法使いがいなくなった事で拘束が解けたギャスパー君が伸ばした手をしっかりと掴み取る。

 

「僕も頑張ります‼今度こそ、変わってみせます‼」

 

「うん‼」

 

これでギャスパー君の救出も完了したし……

 

「皆、アザゼルさんの所に戻ろう‼」

 

「「「「了解‼」」」」

 

そして、戻るとアザゼルさんが校庭を見ていて、そこには私と同じガングニールを身に纏った光龍が、いつの間にかやって来ていた兵藤宗二を殴り飛ばしたところだった。

 

「やっと、ケリが着いたな。アイツの因縁の。」

 

「イッセー‼」

 

「待って、私も‼」

 

私と未来が校庭に駆けつけると、イッセーの変身が解除されて倒れそうになっていたから、慌てて支えた。

 

「お疲れ様。」

 

「漸く終わったね。」

 

そう労いの言葉をイッセーに掛けていたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャアァァァァァァァァァァァン‼‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結界が突然壊され……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、なんか面白そうな連中が沢山いるじゃねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

災厄が降臨した。

 

 




いかがでしたか?

キャロルのデータウェポンが何を元にしたか解りましたかね?

次はガジャルグ様から頂いたキャラが暴れます。

次回【最悪の災厄】

「家族、友達、恋人、戦友……どれも等しく…くだらねぇ。」

では、次回も頑張ります。


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最悪の災厄

どうも、疾風の警備員です。

テレビのゴーストは本日で本編が終了してしまいました。

すこし寂しいですが、来週のエグゼイドとの番外編を楽しみにして頑張りますよ‼

では、こちらも大変な事態に入ります。

良ければどうぞ見ていってください。


N side

 

イリナに案内され、着いた場所は強力な結界に覆われた駒王学園という町にある学校だった。

 

「ここか……強い奴等の気配がするのは…」

 

『はい。』

 

「よし、お前はここで待機していろ。外で人外が襲ってきたら潰して構わん。」

 

『了解しました。N様。』

 

俺が結界に蹴りを入れると、甲高い粉砕音と共に人一人が通れる穴が簡単に出来、そこから中に入ると沢山の人間や人外達が俺を見ていた。

 

「お、なんか面白そうな連中が沢山いるじゃねえか?」

 

しかも何人かは()()()()()を持っているときたもんだ‼こりゃ、楽しくなりそうだ‼

 

「誰だ…お前は…」

 

そこに赤い体に目のマークを胸に付け、パーカーを羽織った奴が訪ねてきた。

 

「さあね、適当にNとでも呼べや。」

 

「名乗る気は無しか……なら、何しに此処へ?」

 

「戦い以外に目的はない。」

 

「まさか、お前もテロリストか?」

 

「おい……んなそこら辺にいる、羽虫どもと同じにすんじゃねぇよ?」

 

「…ッ‼‼」

 

奴の言葉に少しイラつき、殺気を出しながら答えると、そいつはすぐに拳を構えた。

 

へぇ……大抵の奴等はコレくらいの殺気で逃げ出すんだけどなぁ……良いね、コイツ…………気に入った‼‼

 

「なら、悪いが出ていって貰おうか?今お前の相手をしている暇はねぇんだ。」

 

「そうかい…………なら…‼」

 

俺は真ん中に丸く赤い宝石が付いた、四角く黒い箱を取り出して腰にあてるとベルトが伸びて腰に巻き付き、左手に持つ黒のボディスーツに深紅の鎧を纏い、顔の部分には目は無いが鋭く禍々しい牙の生えた口が見える存在が描かれたカードをベルトに装填する。

 

そして待機音が流れる中、右手を上に突き上げ、ゆっくりと左に倒していき左肩の少し上部分で止め、親指を自分の方に向けて立たせ一気に右肩の少し上まで移動させる。さながら首を掻き切る様な動作をし…

 

「変身。」

 

そう言って、箱の右側にある上下赤青のボタンの赤を押した。

 

《SET ENDED!!》

 

その電子音声の後、体を赤い光が包み込み、それが収まると俺はカードに描かれた姿と同じになった。

 

「ウオオオオオアアァァァァァァァァァッ‼‼」

 

そして口の部分を開き、思いきり雄叫びをあげる。

 

「フゥ……良し、今日もいい感じだ…‼」

 

「そんな……‼俺の知らない仮面ライダー…!?」

 

「あん?コレは仮面ライダーっていうのか……だったら今の俺は【仮面ライダーエンデ】だ。」

 

俺はそのまま脱力した状態で立つ。

 

「なんだ?構えねぇのか?」

 

「バカか?そんなもんする必要性を感じない。それに構えちまったらどんな攻撃をするか分かっちまうじゃねぇか。それじゃ勝負の賭け引きがなくて面白くねぇだろ?」

 

「そう……かい‼」

 

そう言って俺に突っ込んできて拳を突き出してきたので、右手で受け止めつつ後ろに引っ張り、足を払って体が浮いた所を腹に左腕に装着されているクローを叩き込んだ。

 

「グオッ‼」

 

その勢いのまま後ろの地面に叩きつけ、顔を蹴り飛ばす。

 

「ガハッ!?」

 

「おいおい…お前は牛か?赤い物を見たら興奮しちまうんですか?単調なんだよ、その攻撃は。」

 

「うおおおおおおおおおおおおッ‼‼」

 

その時、後ろから変な鎧を着けた女が飛び込んできたので、腰にある隠し武器【テールスティンガー】で拳を絡め取り、来た方向へと投げ返した。

 

「キャアッ‼」

 

「立花‼」

 

その場所には、似たような装備の女が他に6人いて此方を睨んでいた。

 

「おい…俺のお楽しみの邪魔すんじゃネェヨ…‼」

 

俺は左腰に付いているカードデッキから1枚のカードを引いた。それには黒のボディスーツに銅色の鎧、銀のマスクをしたライダーが大量に写っていた。

 

「あんたらはコレで遊んでろ。」

 

それをそいつらの前に投げると、赤黒い光と共にカードに描かれていたライダーがその場に立っていた。数は約40ってところだな。

 

「ライダーを…召喚した…!?」

 

「殺れ。」

 

俺の指示で呼び出したライダー【ライオトルーパー】が一斉に女達に襲い掛かった。

 

「さて、邪魔はいなく「フッ‼」おっと。」

 

戦いの続きをやろうとしたら、いきなり白と緑のライダーが殴り掛かってきたので後ろに1歩下がってかわした。

 

「まだ邪魔する奴がいるのか…」

 

「アンタ…敵?」

 

「そうだ……と、言ったら?」

 

その瞬間、蹴りが飛んできたので体を反らしてかわし、起き上がりの勢いそのまま頭突きをしたら、向こうも頭突きをしてきて相殺される。

 

「やるな…」

 

「お前……消えろ。」

 

「お前がな?」

 

ふたたびカードを取り、そいつに投げるとそこには黒い機械的な鎧に青い複眼のライダー【G4】が立っていた。

 

「ッ‼他にも…‼」

 

「テメェの相手はソイツだ。」

 

「みくる‼」

 

G4が銃を撃って白と緑のライダーを牽制していたら、銀に紫のライダーがやって来て互いに連係しながら戦い始めた。

 

その戦いを見ていると、俺は無性に腹が立った。

 

「くだらねぇ…ああ、くだらねぇ…‼」

 

「何が……くだらねぇんだ?」

 

さっきボコった赤い奴が起き上がり、フラフラしながらも構える。

 

「決まってんだろ?誰かと協力しながら戦う事だ‼他人なんざ邪魔なだけなんだよ‼だったら俺はどっちも殺す‼」

 

「ふざけんな…‼人の命はそんなに軽くねぇ‼仲間と助け合う事で人はいつも以上の力を発揮できる‼そんな仲間がお前にはいねぇのか‼」

 

「ハッ‼‼」

 

俺はそいつの言葉を鼻で笑った。

 

何バカな事を言ってんだ?

 

「家族、友達、恋人、戦友……どれも等しく…くだらねぇ。」

 

「なん……だと…‼」

 

「くだらねぇって言ったんだ。他人なんかに関わって自分が殺されちまったらバカみてぇじゃねぇか…?だったら、その前に殺してやる…‼俺以外の全てをな‼‼」

 

「狂ってやがる…‼」

 

「そうかもな?だが……本当に狂ってるのは…この世界かも知れねぇぜ?」

 

「ッ‼」

 

赤いライダーが一瞬動揺した隙に一気に懐に飛び込み、胸に掌底を打ち込む。

 

「ガッ!?」

 

「世界ってのはな、結構単純なんだよ?【強い奴が正義】。これだけだ。」

 

「そんな……わけ…‼」

 

「あるさ……それは歴史が物語ってる。戦争して勝った国が世界の覇者……な?単純だ……ろッ‼」

 

「ブバッ‼」

 

掌底で下がった奴に、飛び蹴りを決めてさらに吹き飛ばす。

 

「弱い奴は強者の奴隷……それが世界の真理であり狂気なのさ。」

 

「違う‼世界はそんなに醜いばかりじゃない‼人と人が手を取り合えば…‼」

 

「いい加減にしろよ?」

 

俺はそいつの首を掴み、持ち上げる。

 

「う‼……ガ…‼」

 

「お前の言葉は単なる綺麗事だ。それとも何か?お前は他人の為に命を捨てられるのか?」

 

「グ……ああ…‼」

 

「なに?」

 

「俺も……以前…そうやって…助けてくれた奴がいる…‼自分が死ぬと……解っていてもだ‼だから俺は信じる‼誰かを思う気持ちは力になると…‼そして……アイツも…仲間も……今度は俺が守る‼‼」

 

「……あっそ。」

 

俺は左腕を後ろに引き、全力でクローを突き出して胸にある目のマークの中央部分から背中に掛けてコイツの体を貫いた。

 

「ゴブッ!?ガ……ア…‼」

 

「だったら、理想を叶えられずに死んでいろ。」

 

「【クロックマネージャー】‼」

 

左腕を引き抜いて投げ捨てた瞬間、緑の光弾がそいつを包んだ。

 

「ああ?」

 

それと背中に数発の弾丸が命中する…………痛くも無いが。

 

放たれた方を見ると、一人の女の子がマジックハンドみたいな銃を構えていた。

 

「よくも…………お兄ちゃんを‼‼」

 

「んだよ、お前コイツの妹か?…………ダメだな、お前じゃ楽しめそうにねぇや。」

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

『アーイ‼バッチリミナサーイ‼カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼』

 

その女はさっき殺した男と似た姿になり、銃を乱射してきた。

 

「ま、痛くも無いんだけど…」

 

「でやぁッ‼」

 

「そして、甘い。」

 

「グハッ!?」

 

その乱射の隙をついたつもりなのか、さっき殴り掛かってきた女が再び来たので、振り返り様の回し蹴りで叩き落とした。ライオトルーパー達を倒したのか……見込みはあるかもな。

 

「ならばッ‼」

 

「これでッ‼」

 

次に左右から青い斬撃と蛇腹剣が飛んでくる。

 

《蒼ノ一閃》

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

「はぁ~…」

 

俺はため息を吐いて、左の斬撃を裏拳で壊し、右の蛇腹剣は腕にわざと巻き付かせ、力任せに腕を振るってそいつを振り回し、斬撃を飛ばしてきた奴に衝突させる。

 

「「アアッ‼」」

 

「なら、コイツはどうだッ‼‼」

 

今度は小型のミサイルが大量に飛んでくる。

 

「おいおい…人気者は辛いねぇ。」

 

どうするか考えていたら、()()()を見つけたのでそれを掴み取って直撃の寸前に前に出した。

 

そしてミサイルが次々に俺の前で爆発していった。

 

「へッ‼どんなもん「こんなものか?」…んなッ!?」

 

爆発の煙が晴れて俺の姿が見えたのか、奴等の驚愕した顔が見えた。

 

そりゃそんな顔になるわな。だって……

 

「そんな…響を盾にしたの…!?」

 

さっき蹴り落とした女の頭を掴んで、ソイツでミサイルを防いだんだからな。

 

「あ……グ…‼」

 

「…なんて事を!?」

 

「どうしてそんな酷い事が出来るんデスかッ!?」

 

うるさいチビッ子が何か喚いているが……

 

「ここに倒れていた…………コイツが悪い。」

 

それ以外何があるってんだ?俺は使える物を使っただけだ。

 

「ほら、返してやる。」

 

その女をチビッ子達に向かって投げると、そいつらは受け止めようと構えを解いた。

 

「戦場で何バカな事してんだよ?」

 

構えを解いていいのは、相手が死んだ時だけだ。

 

俺は加速して投げた女を蹴ると、チビッ子達を巻き込んで吹き飛んだ。

 

「「キャアアアアッ‼‼」」

 

《カイガン‼ミコト‼科学と‼魔術と‼超電磁砲‼》

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

「喰らえぇぇぇぇッ‼‼」

 

《オメガブラスト‼》

 

そこにさっきの妹ちゃんが服を着替えて、超電磁砲みたいなのを撃ってくるが、左のクローで弾いて近くに来ていた赤い龍を模した装備を着けたチビに直撃させた。

 

「キャッ‼」

 

「小猫ちゃんッ‼」

 

それを見た金髪に泣きボクロの男が、剣を持ってかなりの速度で接近してくる。

 

「中々の速度だ……だけど。」

 

「ハアッ‼」

 

たぶん、奴からすれば最速なんだろうが……

 

「見えてるんだなぁ~、これが♪」

 

それを右手の人差し指と中指で挟んで受け止めた。

 

「なッ!?」

 

「ほい。」

 

そのまま手首を軽く回して、刀身をへし折る。

 

「僕の……皆の……剣が…」

 

「はい、脱落~。」

 

動きが止まった奴の腹に3割の力加減で蹴ったら、奴の速度と同じくらいの速さで結界に衝突して気絶した。

 

「脆いねぇ、肉食え肉。」

 

《ヒッサツ‼フルスロットル‼チェイサー‼》

 

《ヒッサツ‼フルスロットル‼マッハ‼》

 

《デストロイ‼》《ダイテンガン‼ネクロム‼オメガウルオウド‼》

 

「「「ハアアアアアァァァァァァッ‼‼」」」

 

「ん?これは当たったら痛そうだ。」

 

3人で一斉に飛び蹴りを繰り出してくる奴等を見てそう呟き、バックルの青のボタンを押す。

 

《BREAK THE ENDED‼》

 

その音声に合わせ、腰を低くし右足に赤黒いエネルギーを凝縮させていき、間合いに入った瞬間、回し蹴りで一蹴する。

 

「「「キャアアアアアアアッ‼‼」」」

 

「G4を倒したみたいだからどれ程と思ったが……どいつもこいつも歯応えがねぇな……誰か俺を楽しませろよ?」

 

「なら、俺が相手しよう。」

 

俺のぼやきに返答した奴の方を見れば、白い全身鎧に身を包んだ人物が光翼を広げて浮いていた。

 

「あ?へぇ……白龍皇か……面白そうだ‼」

 

「行くぞッ‼」

 

「来いよッ‼」

 

互いに一気に距離を詰め、拳をぶつけ合う。

 

「ぐう…ッ!?」

 

「おら、どうしたぁッ‼」

 

拳を振り切り、白龍皇を吹き飛ばして再度加速する。

 

「デリャアッ‼」

 

「クッ‼アルビオン‼」

 

『Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!』

 

そこで奴の神器が発動して、力が無くなっていく感覚に襲われる。

 

「チィッ‼やっぱり神器持ちはズッコイな‼」

 

「悪いが、倒させてもらうぞ‼」

 

「これはヤバいか…?」

 

そう思っていたら、結界を突き破ってイリナが降りてきて、白龍皇を弾き飛ばした。

 

「グウッ!?」

 

『敵対対象、確認。排除行動に入ります。』

 

コイツ…‼俺の戦いに水を差すとは…‼

 

俺はイリナの髪を掴み引き倒す。

 

「おい……俺のお楽しみ(戦い)に割り込むなんざ………………良い度胸してんじゃねぇか、ああッ!?」

 

『N様に言われた事が終わりましたので、新たな指示を頂きに来た処、先程の場面に遭遇、介入いたしました。』

 

「指示だぁ!?」

 

詰まり、外で攻撃されてそいつらを全滅させたって事か……性能は申し分ないが、教えが甘かったか‼

 

「いいかッ‼今後2度と、俺の指示がない限りお楽しみに介入するな‼次やったら死体に逆戻りさせるからな‼」

 

『新たな指示を確認…………更新完了。了解しました、N様。』

 

「解りゃいい、駒の分際で勝手しやがって…‼」

 

だが、白龍皇相手は対策が必要だな……仕方ねぇ、今はコイツに足止めさせとくか。

 

「おい、新しい指示だ。白龍皇を足止めしろ。だが殺すな。いいな?」

 

『任務受諾……完了。これより妨害行動に入ります。』

 

イリナは体から赤と茶色の二枚の石板を出し、それを蠍をモチーフにした剣と蝙蝠をモチーフにした銃にして装備し、白龍皇に突撃した。

 

「なんだ!?コイツから感じるプレッシャーはッ!?」

 

『妨害行動開始。』

 

「さて、面倒なのは離れたしさっきので力も戻ったから…………続きといこうかね?」

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

タケルがやられた瞬間、俺は回復を待たずに飛び出そうとしたがオッチャンに押さえつけられていた。

 

「離してくれ‼‼このままだとアイツは‼‼」

 

「だから落ち着け‼クロックマネージャーで時間を止めている間は大丈夫だ‼」

 

「だからって‼‼」

 

「それに回復仕切ってないお前が行っても、アイツの二の舞になるだけだぞ‼」

 

「ッ‼………………クソォッ‼‼」

 

何も出来ない自分に腹が立ち、地面を思いきり殴る。

 

「もう少しだ‼もう少ししたら【とっておき】と一緒に出してやる‼だから今は我慢しろ‼‼」

 

俺は皆が苦戦する姿を見て、拳から血を流すほど握り締めた。

 

頼む皆…‼もう少しだけ耐えてくれ‼‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

あれ…………ここ、何処だ……?

 

俺はいつの間にか、暗い空間の中にいた。

 

俺は確か……あの謎のライダーと戦っていて……

 

そこで俺は思い出した。奴の左腕が俺の胸を貫いた事を。

 

思わず手を胸に当てるが、傷は一切なかった。

 

「やっぱ……死んだって事なのかね…?」

 

だとしたら情けない…‼あれだけの言葉を吐きながら、なす術無くやられた自分が‼

 

「俺はまだ死ねない…‼皆の…仲間の為にも‼」

 

その時、俺の目の前に一体のパーカーゴーストが現れた。それは青紫の生地に肩の部分には暗めの赤に銀で縁取られた炎の様なプロテクターの中に眼の紋章が描かれていて、顔の辺りにはまるでヘラジカを思わせる様な形の角が顎にあった。

 

「お前は…?」

 

それは俺の周囲を周りながら、俺の体を紫の炎のリングで締め付けた。

 

「んなッ!?こ、こんの…‼」

 

俺は必死にもがいて脱出を試みるが、それは簡単には壊れなかった。

 

そしてパーカーゴーストは俺の前でじっとしていた。まるで、俺を試しているかのように……

 

「お前が何なのか知らねぇけど、俺は行かなきゃいけないんだ‼」

 

俺はもがきながらパーカーゴーストに叫んだ。

 

「今度こそ皆を守る‼誰一人‼欠けること無く‼」

 

そして、パーカーゴーストを思いきり睨み付け……

 

「だから俺に力を貸せ‼‼俺に……仲間を守れる力を‼‼」

 

そう叫んだらパーカーゴーストは頷く様な仕草をすると眼魂の姿になり、リングに体当たりして破壊したら俺の右手に収まった。

 

「これは前にアリアに貰った…」

 

その眼魂はかつてこの世界に迷いこんだ少女、アリアから貰った禍々しい形の眼魂だった。

 

そして、上部を見たら紫の炎と共に絵柄と名前が浮かび上がった。

 

「【DEEP GHOST】……ディープゴースト眼魂ってのがコイツの名前なのか?」

 

よし‼新しい力も手に入った‼後は皆の所に…………あ、俺死んでんじゃん…

 

いや、きっと何とかなる‼皆が何とかしてくれる‼だから今はコイツを使いこなす‼

 

いきなり実戦なんて無理があるからな。そして戻れたら俺の番だ。必ずアイツを倒す‼

 

その思いを胸に、俺はその空間でディープゴースト眼魂を使いこなす為の修業を始めた。

 




いかがでしたか?

エンデの姿は【アクセル・ワールド】のシルバークロウの鎧が赤、スーツが黒になって、本文にある特徴を足した姿を想像してください。

そして彼が、今後のタケルのライバルとなります。

次回【深淵を睨む瞳】

「魂の底力を見せてやる‼」

では、次回でお会いしましょう。


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深淵を睨む瞳

どうも、疾風の警備員です。

今回はタケルがあの眼魂で変身します。

なのでこれだけは言っておこうと思います。

変身音は気にするな‼

では、どうぞ。


ゼノヴィアside

 

「ふぅ、雑魚は粗方片付いたか…」

 

2つの剣を振るい周囲を確認したが、既にローブを纏った者達の数はかなり減っていた。

 

「そろそろマスター達の手伝いを(ドゴォン‼‼)うおッ!?」

 

そこでマスター達の援護に向かおうとしたら、目の前に何かが物凄い勢いで落ちてきた。

 

「いったい何が「クハッ‼」マスターッ!?」

 

そこを覗くとマスターが倒れていた。しかも禁手の鎧のあちこちに罅が入っている。

 

「大丈夫ですかッ!?」

 

「ゼノヴィアか……?気を付けろ…‼奴は…‼」

 

そこまで言ったら、銃声と共に私達の周りに火花が散った。

 

「……ッ‼誰…だ……!?」

 

攻撃してきた者の姿を見ようと首を動かし、私は硬直してしまった。

 

『新たな対象を確認。敵対勢力と認識、妨害行動に入ります。』

 

「イ……イリナ……?」

 

何故なら、そこに立っていたのは、紫のラインが入った近未来的な白いスーツを着た、かつての相棒である紫藤イリナだったのだから。

 

「イリナ、何を…しているんだ?お前は…教会に……戻ったんじゃ…」

 

『妨害開始。』

 

私は思わずそう口にしていたが、イリナは何の躊躇いも無く蝙蝠を模した銃で此方を撃ってきた。

 

「グアッ!?」

 

直撃を貰った私はその場に倒れる。

 

な、なんだ……何が起こっているというんだ……?

 

『対象のダメージ軽微、攻撃を続行。』

 

「クッ‼」

 

私はたまらず双剣を振るい、攻撃を弾いた。

 

(ッ‼なんだこの重さは!?これだとそう何度も防ぐのは無理だ‼だが…‼)

 

「イリナ……お前に何があったのか私は知らない。それでも…‼」

 

衝撃で痺れる手に力を入れ、剣を握り直し構える。

 

「これ以上、マスターに手出しはさせん‼」

 

『攻撃続行。』

 

「来い、イリナァッ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「良し、もう大丈夫だ‼一刀修羅は無理だが、戦闘には問題ない‼それと…ほれ、とっておきだ‼」

 

オッチャンから許可が出て、俺の手に1枚のカードが乗せられた。

 

「コレは…‼」

 

「本当ならもう少し修業をしてから返そうと思っていたが、今は緊急事態だ‼終わったら、また回収するからな?」

 

「分かった、行ってくる‼」

 

「おう、アーシア達の守りは任せておけ‼」

 

オッチャン達が張っていた結界から出て、皆の所に向かうとそこには未来とエルナ、襲撃者以外は全員が倒れ伏していた。

 

短い時間で皆を倒したというのか!?

 

『主‼急いで変身を‼』

 

「ああッ‼」

 

カードデッキを前に翳してベルトを装着し、ポーズを省略してデッキを装填した。

 

「変身ッ‼‼」

 

光龍になり、未来に伸ばしていた襲撃者の手をギリギリで掴む。

 

「あ?」

 

「イッセー君ッ‼」

 

「悪い……待たせた…」

 

「何だ、お前?」

 

「お前の敵だよ…‼」

 

「へぇ、分かりやすいな。」

 

手を振り払われ、互いに正面から相対する。

 

「未来、皆を連れて下がれ。」

 

「でもッ‼イッセー君一人じゃ…‼」

 

「いいから下がれッ‼‼コイツは俺が抑えておく‼‼」

 

「イヤッ‼‼私も一緒に戦うッ‼‼」

 

「ダメだッ‼‼倒れてる皆を巻き込むわけにいくか‼‼頼むから皆をオッチャンのもとまで連れていってくれ‼」

 

「…………………………分かった、絶体帰ってきてね‼‼」

 

未来がミラーデバイスに皆を乗せて下がっていくのを見送り、デッキからカードを引く。

 

「今の隙を攻撃しないのか?」

 

「これから面白くなるかもしれないのに、それを無くす意味ないじゃん?」

 

奴の声は本当に戦いを求めるだけの狂った雰囲気を持っているのを俺は感じ取った。

 

「ああそうかい……だったら楽しませてやるよ…‼‼」

 

俺が左腕を突き出すとバイザーが輝いて龍の頭を模した銃みたいな物に変わり、その口の部分を開いて中にさっきのカードを入れて閉じた。

 

《Survive》

 

すると俺の体が光りだし、サバイブ態なったその上にウルティメイト・イージスが装備された。

 

「おおッ‼なにそれ‼そんなのあるなんておもしれぇじゃん‼」

 

「時間が無いんだ、御託は抜きでとっとと倒す‼」

 

コレはまだ俺の体が耐えきれないものだ。そう長くは使えない。

 

だからこそ、速攻で潰す‼

 

俺は一気に地を駆け、右腕の剣を振るう。

 

「いッ!?結構速い「オラァッ‼」ブハッ‼」

 

奴は咄嗟に左腕のクローで受け止めたが、それを押しきりその体を切り裂いた。

 

「くッ!?パワーもダンチかよ‼「セイッ‼」グホォッ‼」

 

それで怯んでいる間に、奴の腹に蹴りを打ち込み、その場で回転しながら剣で切る。

 

「チィッ‼調子に乗んじゃ「オオオオオオオッ‼」ゼラアアアアアアアッ!!」

 

俺が右腕を振るえば、奴は左腕を振るい剣とクローが激突するたびに周囲に衝撃波が発生する。だが、性能は此方が上なのか奴の傷がどんどん増えていく。

 

「アハハハハハハハハハハハッ‼‼楽しい…楽しいなあ‼‼お前もソウダロォッ‼‼」

 

「此方は必死なんだ‼‼楽しむつもりはない‼‼」

 

「連れねぇ事言うなよ‼‼もっともっと楽しもうぜぇ‼‼」

 

しばらくは俺有利の戦いだったが、段々と互角になり始めてきた。

 

『主ッ‼これ以上はサバイブの力に体が持ちません‼1度後退を‼』

 

「ダメだッ‼ここで下がれば確実に押し負ける‼前に行かなきゃ守りきれない‼」

 

『ですがッ‼』

 

確かに体が悲鳴を上げているが、まだ引けない‼アイツの無事を確認するまで‼

 

「ボサッとしてんじゃねぇ‼」

 

「ガッ!?」

 

メイルとの会話に気を取られた隙をつかれ、腹に右ストレートを貰い、数歩下がってしまう。

 

「余所見してると……死ぬぞ?」

 

奴は腰のケースからカードを1枚引くと、こちらへ投げ、光と共に実体化し、そこにはオレンジの部分が白で胸の眼の紋章の色が赤紫になったゴーストがいた。

 

「こ、コイツは…‼」

 

「【ダークゴースト】さ。安心しろ、お前にじゃない。」

 

そう言うと、ダークゴーストは右を見た。俺もつられそっちを見ると変身した玲奈ちゃんがいた。

 

「玲奈ちゃんッ‼」

 

「お兄ちゃんの……仇…‼」

 

「うるせぇなぁ……お前はアイツと遊んでこい。」

 

その言葉にダークゴーストは駆け出して、玲奈ちゃんへと向かった。

 

「ッ‼させ「行かせねぇよ。」ドワッ!?」

 

ダークゴーストを迎撃しようとしたら、襲撃者の蹴りを貰って遮られた。

 

「テメェは俺とのお楽しみが残ってるだろ?」

 

「そこをどけぇッ‼」

 

全身の痛みが酷くなっていくのを無視して、俺は襲撃者へと剣を振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

私はお兄ちゃんが変身した姿と似ているライダーが振り下ろしてきた剣を、ガンガンハンドで受け止めた。

 

「邪魔を…………しないでよ…ッ‼‼」

 

力を込めて剣を弾き、直ぐ様相手を撃ち、距離が離れた処でシノン眼魂を取り出し、バックルに入れてレバーを引いて押し込んだ。

 

「お願い、シノン‼」

 

『ええ、分かったわ。』

 

《カイガン‼シノン‼捉える瞳‼冥界の女神‼》

 

シノン魂になり、ヘカートモードのガンガンハンドでダークゴーストを撃ち抜く。

 

「これなら勝てる…‼」

 

そう思っていたら、ダークゴーストが赤と白に彩られた眼魂を持ち、ナンバリング状態にしてバックルに装填した。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

そして、そこから上から4分の3が白で残りの下が赤色、フードが薄い茶色のパーカーが現れ、ポーズを取るとレイピアを構えた少女の姿が見え、レバーを操作して身に纏い、顔には上に向かって掲げられたレイピアが描かれた。

 

《カイガン‼アスナ‼走る剣先‼閃く光‼》

 

そして、ガンガンセイバーの剣先を此方に向けて、桁違いの速度で近づいてきた。

 

「くッ!?」

 

すぐさま狙い撃つが、直撃弾は剣の突きで迎撃されていく。

 

「そんな…‼」

 

そして、剣の射程に入られた途端、剣をアイコンタクトされ、紫の光が剣を包んでいった。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼オメガブレイク‼》

 

そして、いきなり強い衝撃が体を襲い、吹き飛ばされた。

 

「ガハッ‼い…いったい何が……」

 

ダークゴーストを見ると、剣を突き出した状態だった。

 

まさか、ただの突きの威力で……!?

 

それに驚いていたら、ダークゴーストは薄紫と黒に彩られた眼魂を取り出した。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

そしてバックルから出てきたのはフードが黒、それ以外が薄紫で左腕に丸い盾が付いたパーカーが出てきて、ポーズを取ると拳銃を持った黒髪に赤いリボンを着けた女の子の姿が映った。

 

それを纏うと、顔には時計盤が描かれる。

 

《カイガン‼ホムラ‼止まる時‼撃ち抜く銃器‼》

 

そして、ガンガンセイバーをガンモードにして撃ってきた。

 

「くぅッ‼…まどか‼」

 

『任せて‼』

 

私は横に転がって攻撃をかわし、まどか眼魂を入れてそれを纏った。

 

《カイガン‼マドカ‼奇跡と‼魔法は‼ナイショだよ‼》

 

ガンガンセイバーを取り出し、飛んできたスワンデンワーと合体させ、アローモードにして矢を放つ。

 

それは弾丸を打ち消し、ダークゴーストにダメージを与えた。

 

「まだまだ…ッ‼」

 

その時、ダークゴーストが左腕の盾を翳すとそれが開き、私の矢と体の動きが止まった。

 

なんで…‼体が全く動かない‼

 

その間にダークゴーストはゆっくりと移動しながらバックルに武器をアイコンタクトさせた。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼オメガシュート‼》

 

そして放たれた弾丸は無防備な私を撃ち抜いた。

 

「キャアアアアアアアッ‼」

 

攻撃を受け、吹き飛ぶ私を尻目に、ダークゴーストはさらに別の眼魂を出して、それをバックルに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

そして、バックルから上はベージュに下は緑、フードはピンクに近い赤色のパーカーが出てきて、ポーズを取ると両手の指の間に細い金属棒を持った少女が浮かび上がった。

 

そしてそのパーカーを纏ったら、顔には4本の横線とその中央に盾が描かれた。

 

《カイガン‼クロコ‼いきなりテレポート‼相手をジャッジメント‼》

 

ダークゴーストは両手に金属棒を持つと、此方に投げる体勢に入った。

 

私はそれを避けようとしたら、突然ダークゴーストの手からそれが消えた。

 

「ッ!?いったい何処に《ダイカイガン‼クロコ‼オメガドライブ‼》…ッ‼」

 

金属棒を探すため周囲を見ていたら、その音声が耳に入り、咄嗟に避けようとしたが足が動かなかった。

 

「なんで…‼これはッ!?」

 

足元を見ると、先程の金属棒が両足を地面に縫いつけていた。

 

「そんな、いつの間に(ドゴォン‼‼)キャアアアアッ‼‼」

 

そのせいで回避ができず、必殺の飛び蹴りをモロに喰らい、ユリン魂に戻ってしまった。

 

「私じゃ……お兄ちゃんの…仇も撃てないの…‼」

 

《カイガン‼ダークライダー‼闇の力‼悪いヤツラ‼》

 

痛みで立ち上がれない私に、ダークゴーストは最初の姿に戻ると剣を私目掛けて振り上げた。

 

ああ……私も倒されちゃうのかな……?ごめんねお兄ちゃん……仇…討てなかったよ……

 

私は目を瞑り、ダークゴーストの剣が振り下ろされ……

 

ガキィンッ‼

 

何かの金属と激突する音が耳に響いた。

 

「え?」

 

それが気になり、ゆっくりと目を開けたら……

 

「おい……似たような姿で人の妹になにしてんだ、テメェ?」

 

剣で攻撃を防いでいるお兄ちゃんの姿だった。

 

「お兄……ちゃん…?」

 

「覚悟………出来てんだろうな?」

 

そして剣を弾き飛ばし、お腹に蹴りを入れた。

 

「ちょうど良い、コイツの実験台になってもらうぞ。」

 

そう言って青紫に睨むような目が描かれた眼魂を取り出し、スイッチを押すと不気味な鳴き声と共に眼魂が紫の火に包まれ目の所が赤く光った。

 

それをゴーストドライバーのバックルに投げ入れる。

 

《Dive to Deep‼アーイ‼》

 

すると青紫の生地に肩には赤紫に銀で縁取られた炎のように見えるプロテクターが付いていて、顎には禍々しい形の角があるパーカーが出てきた。

 

《ジロットミナー‼ジロットミナー‼》

 

そしていつものポーズを取りながら、レバーを引いて押し込んだ。

 

「変身ッ‼」

 

《ゲン‼カイガン‼ディープゴースト‼》

 

すると、体は暗めの銀に少し大きめに描かれた骨の模様、胸には赤紫の立体になった眼の紋章に頭は青紫のトランジェントに包まれ、パーカーを羽織ると顔はいつもの最初の姿のオレンジ部分が銀色で替わりにオレンジの龍を模した髭みたいなのが描かれ額には先程の角が生えた。

 

《キルゴー‼覚悟‼ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

最後にフードを勢いよく脱ぎ、拳を構えた。

 

「行くぞ…」

 

お兄ちゃんは一気に走り出し、ダークゴーストに拳を叩き込む。怯んだらそこから2発、3発と連続で殴りまくり、蹴りで相手の足元のバランスを崩して、顔を押さえつけ膝を連続で打ち込んだ。

 

よろけるダークゴーストを前に、ベルトに手を翳すとサングラスラッシャーによく似た……けど、色が赤紫と青紫の2色になった剣を取り出してバツ字に切り裂いた。

 

それだけの攻撃を受け、膝を付いたダークゴーストを見て、お兄ちゃんは剣を投げ捨ててベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《ゲンカイ‼ダイカイガン‼》

 

胸の前で印を結び、背後には額の角が羽のような形に装飾された眼の紋章が浮かび上がる。

 

「魂の底力を見せてやる‼」

 

《ディープゴースト‼ギガ‼オメガドライブ‼》

 

「ハアアアアアアアアァァァァァァァッ‼‼」

 

紋章のエネルギーを右足に集め、放たれた飛び蹴りはダークゴーストに直撃し、爆発した。

 

「大丈夫か、玲奈?」

 

「本当に……お兄ちゃん…なの…?」

 

「イエス、アイアムお兄ちゃんだ。とりあえずお前は1度下がれ、そんな状態じゃもう戦えないだろ。」

 

「………うん…」

 

役に立てない自分への悔しさと、お兄ちゃんが生きていた事への嬉しさがごちゃ混ぜになって、どう接しようか困っていたらお兄ちゃんの手が私の頭を撫でた。

 

そしたら、心が一気に落ち着いた。

 

「心配させたのは悪かった。後で何でも言うこと聞いてやるから。」

 

「…約束だよ?」

 

「おう。それじゃ、俺はイッセーの所に行ってくる。」

 

「気を付けてね?」

 

「あいよ‼」

 

そう返事をして、お兄ちゃんは龍見さんの所へと走っていった。

 

私も戻ろうと思ったら、周囲に12個の眼魂が転がっていた。

 

「もしかして、ダークゴーストが持っていた眼魂?」

 

これならもしもの時、戦力になるかもと思った私はそれらを全て回収してからアザゼルさん達の所に戻った。




いかがでしたか?

タケルの復活とかは次回にします。

次回【暴食】

「イィィィィィヨッシャアァァァァァァァァッ‼‼パクついたアアアァァァァァァァァァァァァッ‼‼」

というわけで、また次回で。


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暴食

どうも、遅くなりました。疾風の警備員です。

エグゼイドを見て思ったことは…

なんだ、あの超動き回るゆるキャラは…‼でした。

でも、私的には予想以上に面白かったです。

では、本編の方…どうぞ。



エルナside

 

イッセーさんの指示でお義兄さん達の結界に戻った僕はタケルさんの状態を見て愕然としていた。

 

胸には大きな風穴が空いていて、クロックマネージャーで何とか時間を止める事に成功したが、解除した瞬間に大量の血が流れ出して死ぬ可能性が高かったからだ。

 

「アーシアは響達の治療の真っ最中だ…‼サーゼクス‼フェニックスの涙はあるかッ!?」

 

「それなら今持っている‼使ってくれ‼」

 

「助かる‼」

 

お義兄さんがサーゼクス様からフェニックスの涙を受け取り、僕とタケルさんの元にやって来た。

 

「こいつはひでぇ……エルナッ‼しっかりしろ‼」

 

「でも…でも…タケルさんが…‼」

 

涙で顔を濡らしている僕の肩をお義兄さんが掴んだ。

 

「助ける方法ならある‼殆ど賭けだがこれしかない‼」

 

「えッ!?」

 

「フェニックスの涙がクロックマネージャーに当たるギリギリのタイミングで解除するんだ‼かなりシビアになるが間に合えば死ぬ寸前で回復は出来る‼」

 

「僕に……そんな難しいのなんて…‼」

 

「お前しか出来ねぇんだ‼タケルを助けてやれるのは‼」

 

「……ッ‼」

 

お義兄さんの言葉を受けて、僕はゆっくりと手を伸ばしてフェニックスの涙を手にする。

 

「チャンスは一度きりだ…覚悟していけ。」

 

「はい…‼」

 

僕は涙を拭きながら瓶の蓋を開け、タケルさんの側までいく。

 

「タケルさん……今、助けます…‼」

 

そう決意を口にした時、タケルさんのポケットが青紫色に光った。

 

「今のは…?それよりも…‼」

 

僕は体の全感覚を今までにないほどに集中させ、涙を垂らす。

 

スローモーションに見えるような世界の中で雫の軌跡を追い、クロックマネージャーに触れるほんの数㎜という所で…

 

「解除‼」

 

それを解除したが、ここで致命的なミスをしてしまった。

 

タケルさんの体はクロックマネージャーで時間を止めていたので、体が宙に浮いていたのを失念していて、体が地面に落ちそうになり、タイミングにズレが生じてしまったのだ。

 

しまったッ!?僕のミスで…‼ごめんなさい、タケルさん‼

 

だけどその時、タケルさんのポケットが再び青紫に光ると、体が少しだけ浮いた状態になり雫がかかって傷がすぐに修復された。

 

「…………う、ううん…あれ?ここは……戻ったのか…」

 

「た……タケル…さん…?」

 

「ん?今どんな状「タケルさんッ‼‼」うおっとッ!?ど、どうした!?」

 

生き返ったタケルさんを見た瞬間、僕は思わず彼に抱き着いていた。

 

「グスッ……良かったです…‼生き返って……本当に良かったです…‼」

 

「……そうか、死にかけてたんだったな。悪いな、心配掛けて。」

 

そう言うと彼は僕の頭を優しく撫でてくれた。

 

「さて、早くアイツを何とかしないとな。」

 

「ッ‼ムチャですッ‼一度手も足も出なかったんですよ!?下手したらまた…‼」

 

「大丈夫さ、今度はコイツがある。」

 

タケルさんがポケットから取り出したのは、以前異世界から来た女の子のアリアさんがくれた青紫に睨む様な瞳の眼魂だった。

 

「それは…」

 

「【ディープゴースト眼魂】だ。これなら奴と対等になれるかもしれない。」

 

「……怖くないんですか?一度殺されかけた相手に挑むのは…」

 

僕の質問にタケルさんは少し顔を俯けた。

 

「本当は怖いさ……また殺されるんじゃないかって思うと全身が震えてくる…でも……」

 

そこで言葉を切り、抱き着いていた僕の肩を掴んで体から離した。

 

「お前や玲奈、皆が傷付いていくのを見ているだけの方がずっと怖いんだ。だから俺は戦う……皆を…そして、お前を守る為にもな。」

 

「タケルさん…」

 

「そして必ず帰ってくるさ。約束する。」

 

そう言って小指を伸ばした右手を差し出してきたので、僕も少し躊躇いながら小指を絡めた。

 

「………………絶対帰ってきてくださいね?」

 

「ああ、任せとけ。」

 

指を解き、出ていこうとしているタケルさんに……

 

「いってらっしゃい。」

 

そう告げると、右腕を横に伸ばしてサムズアップし……

 

「行ってきます‼」

 

そう言って、ピンチに陥っている玲奈ちゃんの元へと向かっていった。

 

「信じて……待ってますから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

玲奈を助けた俺はNと戦っているイッセーの援護に向かった。

 

「へぇ……中々頑張ったな。でも、もう限界でしょ?」

 

「まだ……だ…‼」

 

そこには傷が沢山ついたが余裕そうなNと、傷はあまりないが肩で息をしているイッセーがいた。

 

つか、アイツ…‼サバイブ使ってたのかよ!?まだ体が追い付いてないってのに‼

 

俺は手を翳し、投げ捨てた剣【ディープスラッシャー】を呼び戻し、ブラスターモードにしてNを撃った。

 

「ッ!?誰だ……俺の邪魔をするのは…‼‼」

 

「よぉ、さっきの礼をしに来たぜ?」

 

「た…………タケル…………なのか……?」

 

攻撃されたNは怒りを滲ませながら、イッセーは驚愕したかの動きで俺を見た。

 

「何だよ、誰かと思えばさっき俺に負けた奴か……一度倒した相手は興味ないんだよね?どっか行ってくんない?」

 

「そう言うなよ。せっかく強くなったんだから相手してくれよ。でなきゃ勝手に混ざるだけだかな?」

 

「アハハハハハハハハハハハッ‼‼それもおもしれぇかもな!?良いぜ、まとめて相手してやんよぉッ‼‼」

 

「なら……遠慮無く、狩らせてもらう‼」

 

俺は一気に地面を駆け、ディープスラッシャーをソードモードにして振るう。奴はそれを左手のクローで受け止めたが別方向からきた光弾が命中する。

 

「くッ!?」

 

「今度は二対一だ、油断してたら命取りだぜ…‼」

 

そこにはボルティックシューターを構えたイッセーがいた。

 

「もらったッ‼‼」

 

俺はこの隙にベルトからサングラスラッシャーを取り出し、銃口をNに密着させて撃つ。

 

「グゥッ!?」

 

「オオオオオオオォォォォォッ‼‼」

 

そして離れたら、サングラスラッシャーをソードモードにして、二刀流で連続で斬りかかる。

 

「ヒャハハハハハハハハハハハハッ‼‼」

 

だが、奴は笑いながら左手のクローだけで攻撃を捌いていく。

 

「この…ッ‼少しは喰らえってんだッ‼」

 

こっちは両手で剣を振ってるってのに、片手だけって自信無くすぞッ!?

 

「すげぇ……スゲェよ、お前ッ‼‼一度死から甦っただけかと思えば……こんなに楽しいのは久しぶりだぜッ‼‼」

 

「だったら、とっておきのお楽しみがあるぜ?」

 

《SHOOT VENT》

 

俺の後ろからそんな電子音声が聞こえ、イッセーの片膝立ちの状態でウルティメイトイージスがアローモードになり力をチャージしていく。

 

「おう……あれは今の状態だとヤベェかな?」

 

「逃がさねぇぜッ‼」

 

剣を振るい、奴がクローで受け止めたら全力で押し込んでいく。

 

「ぬおッ!?」

 

「決めろ‼イッセーッ‼」

 

「星屑となって散れッ‼‼」

 

そしてファイナルウルティメイトが放たれる。俺は渾身の力で奴を後ろに下げさせて、高く飛び上がった。

 

「なッ!?ウワアアアアアアアッ‼‼」

 

それを喰らったNはかなりの勢いで後ろへと吹き飛ばされた。

 

でも、まだ終わりにはしない‼

 

俺はベルトのレバーを引いて押し込む。

 

『ゲンカイ‼ダイカイガン‼ゲキコウゴースト‼‼』

 

すると、背中に肩にあるプロテクターと同じ形の翼のオーラみたいなのが現れた。

 

『デスゴー‼憤怒‼ゼ・ツ・メ・ツ‼ゴースト‼紛争‼抹消‼破滅のソウル‼‼』

 

その翼で一気にNへと接近しながら、再度ベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

「魂の底力を見せてやるッ‼」

 

『キョクゲン‼ダイカイガン‼ディープゴースト‼ギガ‼オメガドライブ‼』

 

「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

そして2つの剣が紫のオーラで包まれていき、俺は突っ込む勢いそのままにすれ違い様にNを切り裂いた。

 

「グアアアアアアアアアアアッ!?」

 

俺は奴の数メートル後ろに着陸し振り返ると、Nがゆっくりと仰向けに倒れた。

 

「やっと……終わったか……」

 

以前戦った眼魔の王を思い出しそうになったぜ……

 

「もう戦う力なんて残って「フ…クク……アハハハハハハハハハハハッ‼‼」ッ!?」

 

その時、笑い声が周囲に響き奴を見ると、全身をバネのようにして平然と起き上がった。

 

「あ~、楽しんだぜ。もっと楽しみたいがそろそろ時間みたいだし、ここで止めとくか。」

 

「時間…?」

 

その言葉を疑問に思っていたら、何かが砕ける様な感覚が起き、止まっていた護衛達が動き始めた。

 

「停止状態が終わった…‼」

 

「ギャスパーか……」

 

更に、上空にあった転移の魔法陣も消滅した。

 

これなら増援はもう来ない‼やっと終わりが見えたか。

 

「んじゃ、俺達もおさらばするか。イリナ、帰るぞ。」

 

『はい、N様。』

 

Nの隣にいきなりイリナが現れたが、その姿は大量の血に濡れていた。

 

『申し訳ありません、一人も削除出来ませんでした。』

 

「構わねぇ、その方が後の楽しみがあるってもんだ。とりあえず、ここから出るぞ。」

 

『了解しました。』

 

「って、逃がす訳ねぇだろッ‼」

 

俺はディープスラッシャーから弾丸を放つが、イリナに簡単に受け止められ、逆にイリナから大量の火球が飛んできて俺に直撃した。

 

「グハァッ!?」

 

『それでは転移いたします。』

 

変身が解けた俺は奴等が転移していくのを悔しい思いで見送りつつ、別の場所で倒れているイッセーの元へと向かい、アイツの左腕を見たらあり得ない方向に腕が複雑に曲がっていた。

 

「どうみても重症……だよな…」

 

さて、どうやって運ぼうか……

 

そんな事を考えていたら、

 

「イィィィィィヨッシャアァァァァァァァ‼‼パクついたアァァァァァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

そんな狂った様な叫びが聞こえ、振り返ると黒い体にオレンジの目の怪物がカテレア・レヴィアタンの体とアザゼルさんの左腕を喰らった場面だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

イッセーとタケルが協力して侵入者を撃退し、ギャスパーが響の教えで勇気を振り絞って結界を解除したお陰でこの戦いの終わりが見えた。だが、イッセー達やヴァーリ達といった戦闘組のダメージは深刻でこれ以上の長期戦は不可能といえる状態にまでなっていた。

 

「さて、侵入者の事は気になるが、まずは今回の襲撃の首謀者に話でも聞こうかね?」

 

俺はキャロルが踏みつけて抑えているカテレアの元へ向かおうとした時、その足元から何かが出てきているのが見えた。

 

「ッ‼キャロルッ‼‼」

 

「へッ?キャアッ‼」

 

俺は一気に駆け出し、キャロルを押し飛ばすと地面から巨大な口が出てきてカテレアの全身と俺の左腕を喰らっていった。

 

「グアァァァァァァッ!?」

 

「旦那様ッ!?」

 

すかさずキャロルが左腕に止血の魔法を掛けてくれた。

 

「よお、無事か?」

 

「旦那様のお陰でな……しかし、コイツは…?」

 

俺達の目の前で喰った者を咀嚼しているコイツを見ていたら……

 

「イィィィィィヨッシャアァァァァァァァ‼‼パクついたアァァァァァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

そんな狂った様な叫びが聞こえ、そっちを見ると顔を押さえながら笑っているウェルがいた。

 

「いやぁ~、あの時代遅れの婆さんだけでも良かったってのに、まさか堕天使総督の一部と【オーフィスの蛇】まで手に入っちゃうなんて‼ボクってばやっぱりツイてるよォォォォォォォッ‼」

 

「どういう事ですか、ウェル?完全聖遺物の【ネフェリム】を持ち出した上に、この様な事を…‼」

 

それを見たミカエルが怒りを露にしながら問いかけるが……

 

「はあッ!?人間に頼らなきゃ存続すら危うい下等種族どもが‼何時までお猿の山の大将を気取るつもりだい?」

 

「……」

 

「反論なんて出来ませんよねぇ~‼‼だって事実何ですからぁ!?自らを高尚な生き物と思ってるアンタ達なら尚更ね‼しっかし、禍の団(カオス・ブリゲード)も大したことないね…これほどの役立たずとは。」

 

なるほど、ヤツがスパイだったのか。

 

「でッもぉ‼お陰でネフェリムを強化出来たのはまさしく行幸ッ‼‼それだけはほんのちょっぴり感謝しましょう‼」

 

「んで、お前の目的は何なんだ?」

 

「もちろん、【英雄】になることさ‼‼」

 

「英雄……ねぇ…」

 

んなもん、なりたくてなれるもんじゃねぇぞ?

 

「そしてその夢を叶える為に……‼‼君達、絶滅させてくんないかな?」

 

高笑いしていたウェルの顔がいきなり真顔になってそう告げる。

 

「それに、わかりましたなんて言うわけにはいかないよ?」

 

「うん、知ってます‼‼それに、今のネフェリムでも勝ち目は無いから…………こんなの用意しちゃいました‼」

 

そう言ってウェルの右手には何かのリモコンの様な物があり……

 

「あ、そ~れ……ポチッとな。」

 

「グワアァァァァァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

それを押した途端、何処からか叫び声が聞こえ、そっちを見てみると……

 

「おいおい、さっき倒した筈だろ?アイツは…」

 

「カテレアが接触した時にある機械を取り付けましてね?強制的に暴走して貰いました‼」

 

「なんという事を…‼」

 

鎧を纏いながら立ち上がった兵藤は、リアスと朱乃の頭を掴み、何か泥の様な物を流していくとリアスは黒い赤龍帝の鎧を、朱乃は黒い白龍皇の鎧を身に纏って立ち上がった。

 

厄介な奴等に厄介なモンを持たせてんじゃねぇ!?

 

「んじゃ、僕はケツカッチンなんでここでバイバーイ‼」

 

ウェルは足元に転移魔法陣を出して転移していった。

 

「チィッ‼今はウェルよりもアイツらか‼」

 

俺は奴らを睨みながら作戦を考えるが、戦闘組の殆どが行動不能の今、作戦は限られてくる。

 

「さて、どうしたものか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「あれが依頼されたターゲットか?」

 

「そうだよ~、この世界の神になんとしてくれって懇願されちゃってさ。」

 

「なら、さっさと倒そう。あれは生かしておく価値なんて微塵も無いんだから。」

 

「なんか物騒じゃね?まあいいけど。」

 

「それじゃ、3人仲良くアイ・キャン・フラーイッ‼」

 

「ちょッ‼襟つか…うおぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

「よっと。」

 

「さあ、パーリィの始まりだよ‼」

 

 




いかがでしたか?

最後のはとある方が書かれている小説のキャラです。

つまり、次回はプチコラボの回となります‼

という訳で次回【異界の訪問者】

では、次回をお楽しみに。



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異界の訪問者

どうも、疾風の警備員です。

遅くなってスミマセン‼中々の難産でしたが、ようやく完成いたしました‼

そしてこの小説も祝一周年となりました‼

上手くなってるか、分かりませんができればこれからもこの【最弱の一誠と歌姫達】をヨロシクお願いします‼


タケルside

 

イッセーを担いでアザゼルさん達の元に向かっていたら、さっき倒された兵藤達が黒い鎧を纏って立ち上がっていた。

 

「おいおい……何が起きてんだよ…‼」

 

しかもあの二人にまで鎧を纏わせるなよ!?メンドくささ倍増してんじゃねぇか‼

 

しかも、俺はさっきの戦いで力を使い果たしてこれ以上の戦闘は無理だし、イッセーにいたっては前回のサバイブ変身時と似たダメージに加えて左腕が複雑骨折の重症だ。今、奴等に襲われたら…‼

 

そう思っていたら、兵藤達の顔が俺達の方を向き、目の部分を赤く輝かせた。

 

ヤバッ!?急がねぇと‼

 

イッセーを担ぎ直して急いで運ぶ。アザゼルさんがいる場所まではもうすぐだが奴等の方が近い。間に合うかと言われれば正直微妙だ。

 

そして予想してた通り、奴等は翼や背中のジェットを使ってこっちに一気に近づいてきた。

 

「本当に予想を裏切らねぇなッ!?クソ‼」

 

変身する時間もないので、イッセーの盾になろうと構えていたら……

 

「ハッ!!」「ていッ!!」「ぶっ飛べ!!」

 

空から男女3人が落ちてきて、兵藤を吹き飛ばした。

 

「「ッ!!」」

 

「そっちの二人も序でに飛んでけ。」

 

更に、グレモリー達にも蹴りを当てて兵藤と同じように吹き飛ばした。

 

「な、何だッ!?」

 

俺がその事態に驚いていたら……

 

「う~ん…やっぱりマーシャルキック+武術<CQC>で振った方がもっと吹き飛ばせたかな~?」

 

「いや、ここは伝家の宝刀"無言の腹パン"で沈めるか1クリの奥義でもよくないか?」

 

「なんで戦場まで来てTRPGについて話してるの…あとそんなので力強化されても困る…」

 

と、3人はそんな緊張感の欠片もない話を始めた。

 

「え~と……アンタ達は?」

 

「ん?やあやあ、君がこの世界の転生者だね?君を転生させた神様の事、覚えてる?」

 

ああ~、あのムカつく神(笑)の事か……

 

「そうそう、その神からあの転生者の始末を懇願されちゃったから、次元を越えて処理しに来ました~。」

 

えっと…………何がどゆ事?

 

俺がポカン…としていたら、今度は別の女の子が喋り始めた。

 

「つまり、私達の作者があの転生者の始末の許可を貴方の作者に頼んで、了解を貰えたから狩りに来た……って感じかな?」

 

「メタ発言し過ぎッ!!!?」

 

作者って何ッ!?俺がまるで小説のキャラみたいじゃないか!?

 

「そこは気にしなくていいよ。それにしてもそっちの子は酷い怪我をしてるね?」

 

「ッ‼そうだ!!急いでアザゼルさんの所に「待って。」あッ!?」

 

イッセーの容体を思い出して連れていこうとしたら女の子に呼び止められ、焦りのあまり苛立ちが混じった返事をしてしまった。

 

「それならこんなのはどう?」

 

そう言って見せられたのは、単なるスプレー型の傷薬だった。

 

「んなおふざけに付き合「プシュー。」ってオイこら………………………………は?」

 

文句を言う前にスプレーがイッセーや俺にかけられると、傷やら疲労やらが全て回復してしまった。おまけにイッセーの左腕も完全に治っていた。

 

「嘘だろ………………何だよ、そのスプレーは?」

 

「何って……“かいふくのくすり”だけど?」

 

「俺達ゃポ○モンかッ‼」

 

つか人間にも効くんかいッ‼

 

「【ヴラド】は向こうの人達を。」

 

「OK!!このお豆さんを食べれば、怪我なんて1発KOだよ‼」

 

「そっちは“仙豆”かよッ‼」

 

「これを向こうで治療中の人達のお口にシュウウウウゥゥゥゥゥゥゥッ‼‼」

 

そうやって投げられた仙豆はアザゼルさん達が張った防御用の結界を突き抜け、立花さん達の口にゴオォォォォォル!!

 

「「「超エキサイティンッ‼」」」

 

「やっかましいッ‼‼」

 

ここから彼処まで20メートル位あるし、口なんて少ししか開いてないのによく入ったな……それに結界で砕けねぇのになんで歯で噛み砕けるんだ?

 

そして結界の中では立花さんと月読さん、暁さんがいきなり立ち上がって「「「元気100倍‼」」」とか叫んでるし……

 

「おかしいな…………前の話まではウチの作者的にはシリアス系だったのに…」

 

「お前もメタ発言してんじゃねぇか。アイツらのやることにツッコンでたら、きりがないぞ?」

 

「今実感し…………………………イッセーにそっくり!?」

 

「え、今さら?」

 

さっきから兵藤達の様子を伺っていた男の顔を見ると、目が少しつり上がっているがイッセーそっくりだった。

 

「ん…………タケル…?今何が起きてんだ…?」

 

「お、気がついたか。」

 

そして起きたイッセーが自力で立つと、目の前にいる自分のそっくりさんと目があった。

 

すると、いきなり互いに胸の前で両腕をクロスさせ、イッセーが左手をそっくりさんが右手を突き出した。

 

そして突き出した手を戻し、反対の手で何かのカードみたいなのを持ってるみたいにして、それを突き出した手の上に翳す様な仕草を2回した後……

 

「「光の力、お借りします‼」」

 

同時にそう叫んで、最初に突き出した手を上に上げた。

 

「ほら、メイル。」

 

『へ!?あ、え~と…………ふ、ふゅ~じょんあっぷ?』

 

イッセーに促され、戸惑いながらもメイルさんが声を出した。

 

まるで鏡合わせな二人はしばらく動かなかったが、そのポーズをやめ……

 

「「な~んだ、鏡か。」」

 

「な~んだ、鏡か…………じゃねぇわッ‼‼」

 

そんなボケをかます二人に俺はすかさずツッコンだ。

 

「だって目の前に自分のそっくりさんがいるんだぞ?」

 

「一度はやってみたいだろ?鏡合わせごっこ。」

 

「もういや……誰でもいいから、この立ち位置代わってくれ…」

 

なんで俺がツッコミばかりしなきゃなんねぇんだよ……あ~、エルナの笑顔に癒されてぇ…………あれ、なんでエルナの顔が浮かんだろ?

 

そんな事を考えていたら、吹き飛ばされた兵藤達がゆっくりとまた立ち上がった。

 

「お、やっと起きたか。」

 

「ッ‼宗二…‼アイツまだ‼」

 

イッセーがデッキを出そうとしたら、そのそっくりさんに止められた。

 

「もう少し休んどけ。お前の分は残しといてやる。」

 

そう言って左腕にグレーの機械の箱みたいなのを取り付けた。

 

「【世戒】、準備はいい?」

 

「【ティーオ】か…問題ない、まさかコラボ先で初戦闘になるとは思ってなかったけどな。」

 

「さぁ‼さぁ‼今宵の舞台は異界で始まる咎人の物語、それでは皆様ご一緒に?」

 

3人が揃い、ヴラドと呼ばれた人がそう言うとその腰にゴーストドライバーが現れた。

 

「あれはッ!?」

 

「俺と同じ…ゴーストドライバー…」

 

それに眼魂を入れると白いパーカーゴーストが出てくる。

 

《アーイ!!バッチリミナー!!ハァーイ!!バッチリミナー!!ハァーイ!!》

 

「……変身。」

 

《カイガン!!ガイスト!!レッツゴー!!覚悟‼操り‼ゴースト!!》

 

それを纏うと、俺とは色違いの白いゴーストになった。

 

「白いゴースト…‼」

 

「なら、私はこの世界の力を使わせて貰うよ。」

 

次にティーオと呼ばれる少女が手に持ったのは、赤い結晶体だった。

 

「それはまさか…‼」

 

「覚悟はいい…?」

 

兵藤達を一瞥した後…

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

イッセーと同じ聖詠を唱え、ライダーになる前のイッセーが使っていたのと同じガングニールと似た紅い姿になった。

 

「紅の…」

 

「ガングニール…だと!?」

 

「最後は俺か…」

 

最後に世戒と呼ばれたイッセーのそっくりさんは、以前見た眼魔眼魂を取り出し、それを体に取り込むと青と銀の体にモノアイの体をした怪人みたくなり、その上にグレーの裾が長めのパーカーを羽織った。

 

「あれは…眼魔なのか?」

 

「見たことない姿だ…」

 

「狂った白き道化師、ヴラド・スカーレットこと仮面ライダーガイスト、サァ喜劇の開幕デェース‼」

 

「葬槍ガングニールと影を統べし二創龍ティーオ…参る。」

 

「俺の名乗りは後にする。」

 

「それじゃ、ミッション…スッタァートォ‼」

 

そう言ってヴラドさんがグレモリー、ティーオさんが姫島、世戒さんが宗二へと向かっていった。

 

「一体アイツらは…」

 

「異世界から来たらしいけど、味方みたいだな。」

 

「「イッセー(君)‼」」

 

そこに立花さんと小日向さんが俺達の元にやって来た。

 

「もう!!あんなムチャするなんて!!私、心配したんだからね‼」

 

「わ、悪かったって…‼」

 

小日向さんに説教されてるイッセーを尻目に、俺は戦いを始めた3人を見ていた。

 

「で、イッセー?俺達はどうする?」

 

俺がたずねると、イッセーはフッと笑みをこぼし……

 

「当然、参加するに決まってるだろ?まだよくわかってないが、この世界の問題は俺達が終わらせないとな‼」

 

「私達も出るよ‼」

 

「うん‼」

 

「そうこなくっちゃ‼」

 

なら、まずは体を慣らしておかないとな!!

 

 

 

 

 

 

ヴラドside

 

ヤッハロー‼どうも‼転生者狩りで有名なヴラドデェース‼今、異世界の転生者に魂を奪われたおバカさんを相手にしてるんだけど……

 

「ねぇ、どんな気持ち?愛しい人から力を貰って勝てると思ってたのに手も足もでないで地に伏してる気分は?ねぇねぇ、どんな気持ち?」

 

いやぁー、あっけなさ過ぎて拍子抜け中なので、NDKで精神を痛ぶってまーす!!

 

「…‼」

 

「あらよっと。」

 

「…‼ウゥッ!?」

 

いきなり起き上がり、滅びの魔力を撃ってくるがあまりの速度(遅さ)にガンガンセイバーで打ち返し、撃った本人へとジャストミィィィィィィトッ‼‼

 

「アハハハハハハッ‼どうしたの?どんどん撃ってきなよ。バッチコーイ‼」

 

「……ゥゥゥゥウウウウアアアアアアアアッ‼‼」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!BoostBoost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

「およ?」

 

倍加の音声が鳴り響き、力が上がったのかさっきのより大きな魔力が放たれる。

 

私は剣をゆっくりと上に上げて……

 

「ほい。」

 

自由落下に任せた振り下ろしで、魔力を真っ二つにする。

 

「彼への愛の力ってヤツですか?素晴らしい‼感動的ですね‼で~も…そんなの私には無意味だけどネェ‼」

 

手の剣を相手に投げると、顔に命中しそこの鎧を砕いて戻ってくる。

 

「グルルルルルルル……ッ‼」

 

「あーりゃりゃ、理性はもうないのね?ま、最初から無かったも同然だけどサ。」

 

ま、早めに楽にしましょうか。

 

私は紅の眼魂を取り出し、バックルに入れレバーを操作した。

 

《カイガン!!ユキムラ!!激塵纏う!!大阪の陣!!》

 

幸村魂になった私はガンガンセイバースピアモードを構える。

 

後ろから「俺の眼魂とガジェットがねえ!?」とか声がするけど、何も聞こえないキコエナイ。

 

元々ワタシが作ったヤツだから無問題!!

 

「オオオオオオオオオオオオオッ‼‼」

 

魔力を連射してくるグレモリーに槍を回転させて弾きながらゆっくりと近づいていく。

 

「いい加減、鬱陶しいんだよね。」

 

充分に近づいてから槍を振り下ろし、左腕を肩から切り落とす。

 

そのまま体も回しながら再び上段に構えた槍を振り下ろし、右腕も同じように切り落とした。

 

「アアアアアァァァァァァァッ!?」

 

「うるさいっての。」

 

今度は横凪ぎに振るって両足を切断して達磨状態にして、地面に転がす。

 

「アンタの役割はもう終わったの。ダメじゃない、舞台を降りた役者が再び上ってきちゃったらさ‼」

 

私は彼女の首を掴み、上空へと投げてベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

「それではコレにて閉幕としましょうか♪」

 

《ダイカイガン!!ユキムラ!!オメガドライブ‼》

 

すると、肩から下がっていた槍の穂先がグレモリーへと伸びていき、鎧を貫通して体に刺さり空中に固定した。

 

「ハッ‼」

 

そして伸びた穂先に引かれる様に飛び上がると、真っ直ぐにグレモリーへと突き進み飛び蹴りを直撃させた。

 

「アアアアアァァァァァァァッ!?」

 

着地と同時に空中で爆発音が轟く。

 

「おバカな王のつまらぬ喜劇、コレにて閉ッ幕‼」

 

後は魂回収して……う~ん、浄化(ごうもん)でもしようかな♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティーオside

 

「やっぱりこの程度か…」

 

姫島が持つ転生者から渡された黒い白龍皇の鎧の強さがどれ程のものかと思っていたけど……

 

「ねえ、いつまでも倒れてないで来なよ?」

 

想像以上に弱かった。これじゃアルビオンの名に泥を塗っている様なものだ。

 

「ゥゥゥゥゥゥガアアアアアアッ‼」

 

「遅い。」

 

不意打ちのつもりなのか、いきなり起き上がり私へと手を伸ばしてくるけど、半歩横にずれて余裕でかわし、マントを沢山の手に変えて体を掴みあげる。

 

《エンバーミング》

 

「貴方にその鎧を着る資格はない。」

 

そして、その体を炎を纏った槍で切り裂く。

 

《火葬》

 

「ガアアァァァァァァッ!?」

 

その切った体から黒い煙が出てくる。

 

「そういえば、コレは聖遺物だったから悪魔には“こうかはばつぐんだ‼”なんだっけ?」

 

簡単に終わったら勿体ないから、もう少し色々と試してみよう。

 

今度は槍に水を纏わせて突き出したら、水が龍の形になって姫島を押し流した。

 

《水葬》

 

「ガボォッ!?アアアアアアアッ‼」

 

水から出てきた彼女は、上空から私へと雷を放ってくる。

 

「無駄。」

 

そう言って私が槍を振るって起こした風に雷がぶつかると、まるで何もなかったかの様に雷が消えた。

 

《風葬》

 

「落ちろ。」

 

そして、地面に槍を突き刺すといきなり姫島が地面へと落下しめり込んだ。

 

《土葬》

 

「なるほど、さっきの風は消滅で今のこれは重力操作なんだ。」

 

結構色んな能力が使えるんだ。チョッと面白いかも。

 

「あの~…」

 

「ん?」

 

後ろから呼ばれ振り返ると、さっきまで結界の中にいた二人の少女がいた。

 

「どうしたの?」

 

「小日向未来です。私達にも手伝わせて貰えないでしょうか?あれは私達の世界の問題なので…」

 

「立花響です。あまりそちらに迷惑を掛けられないですし…」

 

「いいよ。」

 

彼女達にも色々と因縁とかあるかもしれないしね。

 

「「やった‼」」

 

「それじゃ、やろうか。」

 

「「はい‼」」

 

私がそう言うと同時に、立花さんが突撃して姫島を殴ると鎧に大量の罅が入った。更に顎にアッパーを決めて上空へと打ち上げる。

 

そして私の隣にいた小日向さんがドーナツ状に鏡を展開して、そこから極太のビームを発射した。

 

《流星》

 

ビームが姫島に直撃し、照射が終わると鎧が消え身体中から煙を出した姫島が浮いていた。

 

もうすでに虫の息だけど、止めを決めるために槍を構える。

 

その槍の周りに炎、水、風、雷、鋼の属性で出来た鷹型の魔力弾を作り出す。

 

「他者の意思を知ろうとせずにのうのうと生きてきたことを後悔しながら逝きなさい…」

 

そう言って鷹達を発射した。それらは姫島に命中して跡形もなく消し飛ばした。

 

《鳥葬》

 

「アディオス。」

 

そして姫島の魂を回収した私は、別の戦闘へと視線を向けた。

 

「世戒、貴方の力を見せてあげなさい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世戒side

 

「さて…いくか。」

 

眼魔スペリオル・パーフェクトになった俺は兵藤の相手をすることになり、まず小手調べとして軽く殴りかかったが、回避され蹴りがとんできたので下がって避けた。

 

どうやら、今のままだと向こうが少し上か……なら、コレを使ってみるか。

 

右手に眼魔眼魂を持ち、横のボタンを押した。

 

《ナイフ‼》

 

それを左腕に装着している“プロトメガウルオウダー”に装填する。

 

《Loading》

 

そうすると、そこからシルクハットに赤い仮面、両肩には噴出口があり両腕が大きな刃になっているパーカーが現れ、俺はそれを羽織り眼魔スペリオル・ナイフへとなる。

 

「お前の魂、狩らせてもらう。」

 

俺は肩からピンク色の霧を出して奴の周りを覆っていく。

 

俺を見失ったのか周囲をキョロキョロしている間に背後から近づき、背中を切り裂いた。

 

「ウゴッ!?」

 

奴はすぐに反応して横凪ぎに拳を振るうが、俺はその前に離れていたので空振りに終わった。

 

「さて、俺はどこだろうな?」

 

もう一度背後から切ろうと歩み寄っていたら……

 

「ガアアアアアアアアアッ‼‼」

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Explosion!!』

 

「ダアッ‼」

 

ドゴォンッ‼‼

 

「んなッ!?」

 

兵藤が力を倍加させ魔力を込めて地面を思いきり殴り、それで発生した風で霧が吹き飛ばされてしまった。

 

そして俺を見つけると一気に突っ込んできた。

 

チィッ‼この姿で正面切ってやり合うのは無茶か‼

 

ナイフの武器は姿を眩ます霧と大型の刃だ。だが、コレは不意打ちに向いてはいるが、直接戦闘では取り回しが悪すぎる。特に今の奴のスピードはかなり速い。

 

だから俺は下がりながらナイフ眼魔眼魂を外し、別の眼魔眼魂を素早く起動して、プロトメガウルオウダーに入れた。

 

《カッチュウ!!》《Loading》

 

「フッ‼」

 

俺は着ていたナイフ眼魔パーカーを兵藤目掛けて脱ぎ捨てて目眩ましに使い、その隙に青のコートの上に銀の鎧が付いた“甲冑眼魔パーカー”を羽織り、眼魔スペリオル・甲冑になる。

 

「いざ……参る‼」

 

ナイフ眼魔パーカーを払い除けてきた兵藤の拳を剣の突きで受け止める。

 

「白龍皇の力は触れた相手の力を半減させる……なら、俺とは独立しているパーカーの剣だったら触れられても問題は無いだろ?」

 

拳を弾き脇を狙うが、足で弾き飛ばされたのでその勢いを使って回転しながら反対側を狙う。

 

「グガッ!?」

 

その動きに追い付けなかった兵藤の腹を横一文字に斬るが、直前で下がられたので鎧に傷を付けるだけだった。

 

「逃がすか‼」

 

俺は剣を兵藤へと投げ、すぐに飛び上がった。

 

兵藤はそれを上に弾いたら俺がいないことに気付き、警戒を強めたが俺は空中で弾かれた剣を掴み取り落下の勢いをプラスして縦に兵藤を切り裂いた。

 

「グウッ!?」

 

「今度は手応えがあったな。」

 

鎧の隙間からは血が流れていたので、ダメージを与える事には成功したみたいだ。

 

「オオオオオオッ‼」

 

それに怒ったらしい兵藤は、翼を広げて俺から距離をとり魔力弾を連射してきた。

 

「今度は遠距離かよ…」

 

左手で剣を持ち、攻撃を切り落としながら右手で新たな眼魔眼魂を起動させ、プロトメガウルオウダーにセットした。

 

《オノ‼》《Loading》

 

甲冑眼魔パーカーを盾にしながら、出てきた赤い髪に茶色のコートの肩には動物と思われるものの頭蓋骨、腹部に巨大な斧が付いたパーカーを着て眼魔スペリオル・オノへとなり、正面にバリアを張って攻撃を受け止める。

 

「しつこい男は嫌われる……ぜッ‼」

 

攻撃の間を狙って斧を作り出し全力で兵藤へと投げつけるが、攻撃に撃ち落とされる数が多く当たっても魔力弾にぶつかっているので威力が落ちて決定打にならない。

 

『Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!』

 

そこに倍加の音声が連続で鳴り響き、魔力弾の威力が一気に強くなり盾に罅が入り始めた。

 

「クッ‼少しヤバイな…」

 

このままでは盾が砕けてしまう‼だが、眼魂を代えようとしてもパーカーを脱いだ瞬間にバリアが消えてしまう。

 

どうする…‼どうやって切り抜ける!?

 

状況の打破に頭を悩ませていた時…

 

「「オラァッ‼」」

 

「グフッ!?」

 

さっきの転生者とこっちの世界の俺が、剣を振るって兵藤を切り飛ばした。

 

「大丈夫か?」

 

「あ…ああ、悪いな。」

 

「気にしなくていいさ、アイツは俺がケリをつけたいし…」

 

「俺は目の前でピンチの奴を放っておけないだけさ。」

 

「なら、そういうことにしておくよ。」

 

立ち上がった俺は二人と並んで兵藤を見据える。

 

「今度は俺達も混ぜてもらうぜ?」

 

「構わないだろ?」

 

「ああ、一緒に殺るか。」

 

転生者がゴーストドライバーを、こっちの俺はカードデッキを、そして俺はスペリオルの変身を解き、新たに四角いキューブがくっついた懐中電灯を取り出す。

 

「それは?」

 

「俺の本気モードに使うやつだ。アイツは良いテスト相手になる。」

 

「んじゃ、いくぜッ‼‼」

 

転生者はディープゴースト眼魂をドライバーに装填し、もう一人の俺……言いづらいから龍見にするか……はカードデッキを前に突き出す。

 

そして俺は右手の懐中電灯を顔の左側に持ってきて、その後部を左手で叩く。

 

《Dive to Deep!!》

 

《ザ・ワールド‼》

 

《アーイ!!ジロットミナー!!ジロットミナー!!》

 

転生者から流れるベルトのリズムに合わせて、左右の二人はポーズをとり、俺は右手を下ろしキューブを回転させて闘牛が描かれた面を矢印にセットする。

 

「「変身‼」」

 

「本能覚醒‼」

 

そう叫んだ後、転生者はベルトのレバーを引いて押し込み、龍見はベルトにデッキを嵌め、俺は左足の内腿で懐中電灯【ジュウオウ・ザ・ライト】の後部を叩いて上に掲げた。

 

《ゲン‼カイガン!!ディープゴースト!!キルゴー!!覚悟!!ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

《ウォ~ウォ~ッ‼タウラ~スッ‼》

 

転生者はディープゴースト、龍見は光龍、俺は縦に真ん中が黒で左が銀に右が金に分かれたボディスーツに目の部分はバイザーで口は金のマスクで頭は黒い闘牛がモチーフとなっているヘルメットの姿となった。

 

「「なんじゃそりゃッ!?」」

 

「改めて名乗ろう、俺は兵藤世戒……バカな転生者を噛み殺す者、ザ・ワールドだ。」

 

「ウオオオオオオォォォォォォォォッ‼‼」

 

二人が色々と聞きたそうにしていたが、兵藤が起き上がったのでそれを中断して構える。

 

「これが本当の最後だ……宗二イィィィィッ‼」

 

龍見の言葉を合図に、俺達は一斉に兵藤へと突っ込んだ。

 

 

 

 

 

一誠side

 

 

ー推奨BGM【Alive A live(一誠ver)】ー

 

 

《SWORD VENT》

 

俺は出てきた【解放龍の剣(リモート・エッジ)】を握り締め、俺は宗二へと斬り込んだ。

 

すると宗二は両手に大きな魔力弾を作り出し、それを強引に融合させて俺へと放ってきた。

 

あれは……テレビだけでやっていたドラグ・ソボールGTに出てくる“10倍ドラゴン波”!?

 

『主‼何倍だろうと、私達には関係ありません‼』

 

「ああッ‼いくぜメイル‼」

 

剣を前に突き出しながらを走り、ドラゴン波が剣に触れた瞬間……

 

『Remote!!』

 

神器の能力を発動して魔力を霧散させながら駆け抜けていく。

 

そこに俺の真後ろに隠れていたタケルと世戒が左右から飛び出した。

 

「いい加減に…‼」

 

「倒れろ‼」

 

タケルが双剣で宗二の腕を上に弾き、がら空きになった胴体に世戒が拳が叩き込まれる。

 

「ゴガッ!?」

 

「そぉらッ‼」

 

よろけて下がったところを、俺が顔面に飛び蹴りを決める。

 

「グボッ‼」

 

「まだまだ‼」

 

そこに剣を銃にしたタケルの連射が宗二の動きを止める。

 

「そのまま止めておけよ‼」

 

世戒が変身に使ったライトを取り出すと、キューブを回して狼の絵柄に合わせて腿で後部を叩く。

 

「本能覚醒‼」

 

《ウォ~ウォ~ッ‼ウルフ~ッ‼》

 

すると、世戒のヘルメットが後ろにスライドしてその下から銀色の狼を模したヘルメットが出てきた。

 

「ウェポンカーニバルッ‼」

 

そしてどこからか左右に刃の付いた長柄の斧を取り出し、斧を片側に畳み柄を短くして銃のように刃の根本を持った。

 

「変わった!?」

 

「駆けるぞッ‼」

 

そう言った瞬間、世戒の姿が消え、いつの間にか宗二の上から射撃を行っていた。

 

「速い…‼」

 

タケルも射撃を止め、その動きを追おうとしていた。

 

宗二の後ろに着地した世戒は背中に回し蹴りをする。

 

転がった宗二が起きようとするが、その前に武器から射撃をして吹き飛ばしていく。

 

「ゴアッ!?」

 

「追加だ。」

 

そしてその異常な速度で宗二に近づき、腹に蹴りを入れてこちらへと飛ばしてきたので、俺とタケルはすれ違う瞬間に剣を振るって宗二を斬る。

 

「ガア‼」

 

「今度は俺の番だ‼」

 

俺は上段から剣を振るうが宗二に受け止められたので、腹に蹴りを捩じ込み力が緩んだ瞬間に一気に斬った。

 

「まだまだだッ‼」

 

そこから剣と蹴りを使った連撃を宗二へと行う。

 

「本能覚醒‼」

 

《ウォ~ッ‼ウォ~ッ‼クロコダ~イルッ‼》

 

後ろからそんなら声が聞こえ、蹴り飛ばした宗二へと俺の上を飛び越えて世戒が両手に持ったハンドアックスを振るった。

 

その顔は口にあった部分が頭までスライドしていて、ワニの顔を思わせるものになっていた。

 

武器のハンドアックスもさっきのを2つに分けた物みたいだ。

 

「攻めまくるぞ‼」

 

「おうッ‼」

 

俺の剣で攻撃してきた宗二を受け流し、その隙を世戒がハンドアックスでどんどん切り裂いていく。

 

「「ハアッ‼」」

 

最後に二人で蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

「そろそろ終わらせてやろう……本能覚醒‼」

 

《ウォ~ッ‼ウォ~ッ‼タウラ~スッ‼》

 

最初の姿に戻った世戒は両腕を胸の前でクロスにして……

 

「野生大解放ッ‼‼」

 

そう叫ぶと、肩にあるプロテクターから闘牛を思わせるような角が伸び、左手から鋭い爪を持った狼の手になり、右手はワニの尻尾をしならせていた。

 

タケルはサングラスラッシャーにオレ眼魂と闘魂ブースト眼魂、ディープスラッシャーにはビリー・ザ・キッド眼魂と信長眼魂を装填し、俺はデッキからFINAL VENTのカードを引いた。

 

《メガマブシー‼闘魂ダイカイガン‼》《ハゲシー‼ダイカイガン‼》

 

《FINAL VENT》

 

「ハッ‼オラァッ‼」

 

世戒が爪から斬撃を飛ばし、尾を思いきり宗二に叩きつける。

 

「テメェの世界(ものがたり)は……ここで終わりだッ‼‼」

 

世戒の叫びに合わせて、タケルが宗二の真上を飛びながら……

 

「魂の底力を見せてやる‼」

 

両手のトリガーを引いた。

 

《メガ‼オメガフラッシュ‼》《オメガダマ‼》

 

銃口から放たれた特大の弾丸が宗二を襲い、

 

「【ワールド・ザ・クラッシュ】‼」

 

まるで闘牛のような勢いで世戒が宗二に体当たりしてその体を宙に投げた。

 

俺は出てきたドラゴン態のメイルと共に飛び上がり、右足に光弾のエネルギーを集束させていき……

 

「…………星屑となって散れぇぇぇぇッ‼」

 

背後からメイルの火球を受けて加速した飛び蹴りを食らわせた。

 

「……ガガ…………オ、オレハ………サイキョウ…」

 

宗二はそんな言葉を残し、爆散した。

 

「よっと。」

 

そこに世戒が右の尾を伸ばし、爆発の中から光の玉を引っ張り出した。

 

「残念だったな。俺達とお前とじゃ…(レベル)が違ったんだよ。」

 

「それは?」

 

「兵藤宗二の魂だ。」

 

「……そうか。」

 

周囲を見ると既に他の戦闘も終わっていた。

 

「この会談もやっと終わったか…」

 

「なんか、メッチャ疲れたわ…」

 

くたくたな体になんとか力を入れて、俺達はオッチャンの所へと歩いていった。

 

 

 

 

 

結界の前に着くと俺は響と未来、調と切歌と小猫とアーシアに抱きつかれ、タケルもエルナと玲奈ちゃんに抱きつかれていた。

 

「お~お~、あの二人はモテモテだねぇ~♪」

 

「茶化さないの。ちょっといい?」

 

「あ、はい。」

 

「この魂なんだけど、私達が預かってしかるべき処理をさせてもらうけど構わない?」

 

「…………お願いします。」

 

「わかった。」

 

「あ、それとコレ…お土産ね♪」

 

ティーオさんの質問に答えたら、ヴラドさんが大きな段ボール箱を出した。

 

いや、そんなの仕舞っておく場所なんて無かったのにどこから出した?

 

「それと、あの紫の子なんだけど…」

 

紫の子…?え~と……

 

「もしかして未来の事ですか?」

 

「うん、あの子の事……ちゃんと見ていてあげて。」

 

「?……それはどういう…」

 

「あの子の力は人外から見れば危険そのものであると同時に味方につければ最大の切り札になる魅力がある。それを狙う嫌な存在は必ず出てくるからちゃんと守ってあげて。」

 

そういうティーオさんの顔は真剣なものだったから、俺はそれに力強く頷いた。

 

「解りました。」

 

「それじゃ、私達は帰るね。」

 

そう言って、彼女たちは俺達の前から消えた。

 

これにより、天使、堕天使、悪魔の会談は終わり、ここ駒王学園で結ばれた協定は【駒王協定】と呼ばれる事となった。

 

しかし、問題は山積みである。

 

謎のテロ組織【禍の団】や謎の男【N】とそれに付き従う紫藤イリナ、天使側から寝返ったウェルといったものだ。

 

それに異世界から来た人が言っていた、未来を狙う存在にも注意してかなくてはいけない。

 

もうすぐ夏休みだし、ここいらで特訓といこうかね‼

 

来るべき戦闘に備え、俺はそう決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

「このままだとやはり無理か…」

 

俺は自分の端末に表示されているデータを見て、そう呟いた。

 

それは先のNと呼ばれる男とイッセー達の戦闘シュミレーションの結果だった。

 

「色んな方法を試したが、どれも10%にすら満たないとは…」

 

そこには、俺が考えうる現状での最高の戦略を駆使しても一桁にしかならないイッセー達の勝率が映っていた。

 

「やはり、あの計画を急ぐか。」

 

俺は端末の画面を切り替えると、そこにはシルエットになっている響と未来の絵があり、その前のウインドウには【PROJECT IGNITE】と表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「これで計画の第一段階は終わりましたね。」

 

後はあの者がどのように行動するか……

 

「だが、何があろうと私の計画は完璧だ。ハハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼‼」

 

静かなこの場所に、私の笑いが響き渡った。




いかがでしたか?

今回で完全に宗二達は消えました。もし、断罪したい人がいましたらメッセージを送ってくだされば私は許可しますので。

次回はまた番外編で以前出したキャラに再登場してもらうつもりです。

その後は、オリジナルの章【異世界渡航のトレーニング】をお送りします。

では、また次回でお会いいたしましょう。


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異世界渡航のトレーニング
そうだ、異世界に行こう


どうも、疾風の警備員です。

今回からオリジナル章【異世界渡航のトレーニング】を始めます。

悪魔側じゃ無いから新人悪魔の会合とか関係ないですからね。

ただ、オリジナルなので更新は少し遅くなるかもです。

では、どうぞ。



追記、ギャスパー君を忘れていたので追加しました。


一誠side

 

あの会談襲撃から幾ばくか経ち、夏休みに入った俺は急いで宿題を片付けていて、ゆめは俺が買ってきていたアイスを幸せそうに頬張っていた。

 

「なんでそんなに急ぐの?夏休みは始まったばかりだよ?」

 

「この夏休みはなるべく修行に充てたいからな。」

 

ここ最近は異常な強さの敵が多く、俺は毎回傷だらけになっている。

 

「この先、このままの強さだと確実に俺は死ぬだろうな。そうならない様にするためにもっと強くならないと…」

 

「なら、先ずは禁手を目指そうよ。」

 

「え?」

 

俺はそう言うゆめを見た。ゆめは顔だけこちらに向けていたが、その顔は真剣そのものだった。

 

「私の禁手には未だ誰も至ってないの。もし至れたらどんな能力になるか私も解らない。でも…」

 

ゆめが持っていたアイスをテーブルに置いて体も俺の方へ向ける。

 

「至れたらそれは確実にお兄ちゃんの力になる。不確定な要素が多いけど、やってみる価値はあるよ?そのためなら私は協力を惜しまない。」

 

「ゆめ…」

 

「お兄ちゃんは初めて私を見つけ、理解しようと努力し、その上私に自由に動ける体までくれた。だから今度は私の番……お兄ちゃんが強くなりたいなら私が力をあげる。お兄ちゃんの願いを叶えられるだけの力を…‼」

 

「……そうか。」

 

俺は右手を伸ばしてゆめの頭を撫でる。

 

「ふみゅ?」

 

「ありがとな、俺の事をそこまで気遣ってくれて。」

 

「うみゅ~♪」

 

ゆめがここまで言ってくれたんだ……だったら…

 

「俺も目指してみるよ……お前の禁手を。だから、力を貸してくれ。」

 

「うんッ‼」

 

さて、目標も決まったことだしどんな修行にするか……

 

pipipi,pipipi♪

 

その時、俺の携帯が鳴った。

 

「誰だ……オッチャン?」

 

画面を見るとオッチャンからだったので、俺はすぐに通話ボタンをタップした。

 

「もしもし、オッチャン?」

 

『イッセーか!?今すぐメンバー全員連れてこっちに来い‼いいか‼今すぐだぞ!?+αがいても構わんからな‼』

 

そう一気にまくし立てて通話を切られた。

 

「何なんだ?」

 

「どうしたの?」

 

「なんか今すぐオッチャンの所に全員集合だってよ。」

 

俺はとりあえず全員に一斉メールを送り、帰ってきた返信には全員が行けるとあったので、冥界に現地集合と再度送りアイテムを使って冥界へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

冥界のオッチャンの屋敷の前に着くとすぐに全員+玲奈ちゃん、アーシア、木場、小猫ちゃん、ギャスパーが転位してきた。

 

「どうしたの?いきなりあんなメールしてきて…」

 

「いや、俺も良く解らないんだよ。オッチャンに今すぐ集まれって言われただけで…」

 

響の質問に俺はそう答えた。

 

「…とりあえず行ってみよう。」

 

「そうすればすぐに解るデスよ。」

 

「それもそうだな。」

 

屋敷へと入りオッチャンの部屋に行くと、俺達を待ちわびていたオッチャンとキャロルさんがいた。

 

「お、やっと来たか‼」

 

「どうしたんだ?電話では内容も言わずに切るし…」

 

「そいつはスマンな、あまりの驚きに興奮を押さえられなかったんだ。」

 

その顔は新しいオモチャを買って貰えた子供みたいになっていた。

 

「実は【禍の団】の拠点を捜索していて、念のため次元の狭間も調べていたら面白いものを見つけたんだ‼」

 

「「「面白いもの?」」」

 

後輩3人組が首を傾げていると、

 

「実は次元の狭間に空間の揺らぎを見つけたんだ。そこに無人の偵察機を向かわせると、そこにはこことは違う世界を発見した……つまりは異世界だ‼」

 

『『『『『ええッ!?』』』』』

 

オッチャンのその発言に驚いた。

 

え、異世界ってマジであるの!?

 

「そしてイッセー…お前の事だ、夏休みは修行に使おうと思ってんだろ?でもどんな修行にしようか悩んでいる…」

 

「なんでそれをッ!?」

 

「義理でも父親ナメんな。そこにこの異世界の発見……そこで俺はティンッ‼ときた。そうだ、異世界にしよう……と。」

 

鉄道のCMかというツッコミをなんとか堪え、俺は気になった事を聞くことにした。

 

「でもどうやって行くんだよ?次元の狭間なんて…」

 

「それについても問題ない。」

 

オッチャンはそう言うと、指を鳴らしていつの間にかいたファラさんとレイアさんにピンク色のドアを持ってこさせた。

 

「それは?」

 

「これは俺とキャロルで協同開発したその名も【ディ「異世界渡航ドアだ。」っておいキャロル!?」

 

「旦那様のつける名前は中二感が凄すぎる。これくらいがシンプルで良い。」

 

「まあ構わねえけど……と、いうわけで移動方法もある。」

 

用意がよすぎるだろ……てかそれってどう見ても【どこでもドア】だよな?

 

「既に発見した幾つかの歪みの1つにセットしてある。一応旅の用意もしてある。行って鍛えてこい。後ついでにその世界の技術もこれを使えば情報を手に入れられる。」

 

オッチャンはそう言って俺に、真っ白なカードを渡してきた。

 

「解ったよ。」

 

俺はそれを受けとり、扉を開けた。

 

開けた先は白い光に包まれていてよく見えなかった。

 

「それじゃ、出発デース‼」

 

「…レッツゴー。」

 

「私も。」

 

「あ、私も行く‼」

 

そして俺が入る前に目をキラキラと輝かせていた後輩3人組と玲奈ちゃんが先に突入していった。

 

「っておいッ!?」

 

「まだどんな所かわからないのに‼」

 

「俺達も行くぞ‼」

 

タケルの声に俺達もすぐに中に入ると、一瞬の浮遊感の後にすぐに下に引っ張られる感覚に陥った。

 

周囲を見渡すと、眼下に街並みが見え、そこに向かって重力任せに移動していた。

 

……………………てか、これって落ちてるッ!?

 

「「いぃやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼」」

 

いきなりの状況にパニックになった響と未来が俺の腕に抱き着いてくる。

 

「ヒモ無しバンジーってこんな感じなんですね。」

 

「そっちはもっと低いところからだけどな。」

 

タケルとエルナはなぜか余裕そうにしゃべっている。

 

「この程度の事態では、心乱すものではないな。」

 

「でもどうやって着地する?」

 

翼とマリアも余裕だな!?

 

「クククククリスさ~んッ!?」

 

「たたたたた助けて~ッ‼」

 

「ええい、引っ付くなッ‼いいからアーシアはドルモン呼んで進化させろッ‼」

 

「は、はいいいいい~ッ‼‼ドルちゃ~ん‼‼」

 

『呼ばれてとび出て久々登場ッス‼‼ついでに超進化‼‼ドルグレモン‼‼』

 

アーシアの方はドルモンを進化させてその背中にクリスと木場にギャスパーを乗せて飛び始めた。

 

「なら俺も、変身‼‼」

 

俺は光龍になると、デッキからカードを抜いてバイザーに入れる。

 

《ADVENT》

 

『私の背に乗ってください‼』

 

呼び出したメイルの背に俺と響と未来、タケルとエルナに翼とマリアを乗せる。

 

「「助かった……」」

 

「さて、もう一仕事あるぞ。メイル、頼む。」

 

『お任せください。』

 

そして、一度加速して更に下にいたまるで泳ぐような動きで落下に抗っている4人を発見した。

 

「イッセー先輩ぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ‼‼」

 

「…ヘルプミー‼」

 

「お願いします‼」

 

「落ちるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼‼」

 

「はぁ……メイル。」

 

メイルが4人の方に向かうと、あいつらは助かったというような顔をしたがそれはすぐに驚愕に変わった。

 

なぜなら、メイルが大きく口を開けて近づいていたからだ。

 

「ちょちょちょちょちょ待って欲しいデス!?」

 

切歌の制止の声を無視して近づき、4人の服の後ろ襟をくわえさせた。

 

「「「「グえッ!?」」」」

 

その衝撃+落下の勢いで首が締まったのか、カエルが潰れるような声を出した後、手足を中に投げ出して動かなくなった。

 

「や、やり過ぎじゃない?」

 

「これぐらいしないと反省しないさ。」

 

さて、どこに着陸しようか悩んでいたらと少し先に見知った建物が見えた。

 

「あれって……駒王学園か?」

 

「え?あ、本当だ!?」

 

「てことは、ここは私達がいたのと似た世界なの?」

 

「かもな。とりあえず今は彼処に行こう。メイル、結界を張りつつ彼処に向かってくれ。」

 

『わかりました。ドルグレモンもいいですね?』

 

『了解ッス。』

 

2体に頼み、俺達は駒王学園らしき建物へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「なあ先生、俺達を呼んだ理由はなんだ?」

 

「実はさっき、この町に怪しげな反応が現れてそれがこっちに向かってきてるんだ。」

 

「はあッ!?マジですか!?」

 

「おう、マジだ。」

 

放課後、いきなり部室に呼び出された俺【兵藤一誠】と仲間は部活の顧問【アザゼル先生】にそう言われ驚いた。

 

ついこの前にディオドラや旧魔王派を倒したばっかだってのにもう新手が来たのかよ!?

 

「人数は14人程なんだが……ちょっとおかしな事になっててな…」

 

「それは何かしら?」

 

先生が言い淀んでいるのを【リアス・グレモリー】部長が促す。

 

「信じられんかも知れんが、その内の4人の反応が木場裕斗、塔城小猫、アーシア・アルジェント、ギャスパー・ヴラディ、そして兵藤一誠…………お前らと寸分違わず合致した。」

 

「「「「「ええッ!?」」」」」

 

アザゼル先生の言葉に俺達は驚いた。

 

それってもう一人俺がいるって事か!?

 

「禍の団の仕業かしら?どうしてそんな事を…」

 

「解らん…だが、警戒しておけ。これは厄介な事になるかも知れないぞ………………どうやらお出でなすったみたいだな?」

 

先生に言われ警戒を強めようと思っていたその時、校庭に何かの気配が現れた。

 

「なんだが解らないけど、行くわよ皆‼‼」

 

『『『『『はい‼部長‼‼』』』』』

 

部長の指示で旧校舎から出て校庭に向かい、そこで俺達が見たものは…………

 

「わけもわからん場所にはしゃいで飛び出す奴があるか‼危うく死ぬ所だったんだぞ‼」

 

「「「「ごめんなさい……でも…イタッ‼」」」」

 

「今貴方達の反論は認めません。ちゃんと反省しなさい。」

 

「玲奈、お前夏休みの間のゲームは毎日一時間だけな。」

 

「やめてッ!?それされたら私、何をして夏休みを過ごせばいいの!?」

 

「友達と遊べ。」

 

「夕夏は夏休みの間海外で過ごすから、誰もいないの~ッ‼」

 

そこには校庭に正座している4人の女の子(一人は小猫ちゃんそっくり)とそれに説教をしている3人の男女で残りは苦笑いしながらそれを見ていた。

 

え、何この状況…?

 

「たく、お仕置きはまた後にして先ずはこの世界の状況を……」

 

そこで、説教をしていた男(俺そっくり)と目があった。

 

その瞬間、俺はある衝動が芽生え右足を少し後ろに引いて両手を胸の前でクロスさせた。

 

それはどうやら向こうも同じらしく俺とは逆の足を下げて腕をクロスさせた。

 

そして同時に腕を突き出す……

 

「短期間で同じネタをやらせるかあぁぁッ‼‼」

 

「まそっぷッ!?」

 

前に別の男がそっくりさんに飛び蹴りを決め、3メートル程吹き飛ばした。

 

「イッセー君?」

 

「イッセーさん、何をしてるんですか?」

 

「はッ!?」

 

ふと我に帰ると変なポーズで固まっていた俺を【姫島朱乃】先輩と【アーシア・アルジェント】に心配そうな目で見られていた。

 

俺はいったい何をしようとしていたんだ!?なんかスゲェ恥ずかしい……こうなったら‼

 

「あれ、俺が二人いるッ!?」

 

『『『『『知ってる。』』』』』

 

「やっぱ効かないですよね、チキショーッ‼」

 

渾身の話題そらしをしたが、やはり空振りに終わってしまった。余計に恥ずかしい……

 

「イツツ……タケル、もうちょっと手加減しろよな?」

 

「それぐらいがちょうど良いんだよ。」

 

「たく……それにしてもそっくりさんを見たのは2回目だが、やっぱ変な気持ちだよな…」

 

そっくりさんの言葉に俺は更に驚いた。

 

え!?俺のそっくりさんってまだいるの!?

 

「とりあえず、そろそろ貴方達が何者か名乗ってもらってもいいかしら?」

 

このままだと埒が明かないと思ったのか、部長が少し声を低くしながら聞いた。

 

その瞬間、向こうの人達が一気に戦闘態勢になるが、そっくりさんが手を伸ばしてそれを止めた。

 

「止めろ、確かに同じだが()()()()とは違うんだ。いきなり襲ってくる事はないよ。」

 

「ま、そりゃそうか。」

 

あれ?向こうでは俺がリーダーなのか?

 

「貴方達は何者なの?なぜ私の下僕と同じ顔をしている者がいるのか聞かせてもらえるかしらね?」

 

「解りました。俺の名は龍見一誠、信じてもらえるかわかりませんがこことは違う世界から来た【兵藤一誠】です。」

 

こうして俺、兵藤一誠は異世界から来た自分と邂逅した。




いかがでしたか?

次回は原作組との模擬戦になります。

次回、【原作の世界①】

「俺はアンタとやらせてもらうぜ、白龍皇?」

では、また次回で


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原作の世界①

どうも、疾風の警備員です。遅くなってスイマセン‼

最近仕事場の講習で心肺蘇生法をやりました。

これでドレミファビートはクリアだぜ‼

関係ない話になりました。

つー訳で、本編どうぞ。


一誠(原作)side

 

「つまり貴方達は、そちらの世界のアザゼルが作った異世界渡航用のアイテムを使ってこの世界に修行に来たのね?」

 

「はい、そういう事です。」

 

あれから全員を部室に招いて話を聞いてみたら、どうやら修行が目的らしい。

 

「よければお互いに模擬戦なんかをしませんか?世界の違いでどんな風に変わっているかこちらは興味がありますし…」

 

「う~ん、そう「面白そうじゃねぇか。リアス、ここは受けとけ。」ちょッ‼アザゼル!?」

 

「こんな機会は滅多に無いんだ。それに異世界のイッセーや他の仲間がどんな力を持っているか気にならないか?」

 

「それはそうだけど…」

 

「なら、決定だ。フィールドは校庭でいいだろ。」

 

アザゼル先生の決定で俺達は校庭へとむかう。

 

「そっちの使い魔さんも可愛いです~♪」

 

「そちらのラッセー君も可愛いですよ♪」

 

その途中でダブルアーシアの姿が目に入った。

 

なんだ、あの超癒し空間は!?お互いの使い魔を抱き締め合いながら可愛い笑顔ではしゃいでいるアーシアが二人いるなんて…‼ここがヘヴンか…‼

 

他にも向こうにはかなりの美女や美少女が揃っている。一人は他の人から赤い結晶を預かって何かやっているけど…

 

しかし皆さん、中々のおっぱいをお持ちで…‼模擬戦の時に上手くして拝ませてもらおう…‼

 

「ところで、そちらの世界の私達はどんな感じなのかしら?」

 

「こちらには来ていないようですし、気になりますわ?」

 

「えッ!?え、え~と………驚かないでくださいね?」

 

そう言ってもう一人の俺は部長に何かを耳打ちしたら、部長が崩れ落ちた。

 

ちょッ!?お前部長になにしたんだよ!?

 

「アハハ……向こうの私は………………バカだったのね…」

 

「リアスッ!?」

 

「姫島先輩も…」

 

部長を心配して駆け寄った朱乃さんに、もう一人の俺が耳打ちすると、部長と同じくorzの態勢になった。

 

「フフ………なせ何故でしょう、とっても悲しい事なのに…………自業自得としか思えない私の一生は…」

 

いや、本当に何があったんですか!?

 

『しかし、まさかそんな事になっているとはな…』

 

その時、俺に宿っている神器【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】からドライグが呟いた。

 

「どうした、ドライグ?」

 

『いや、これは後のお楽しみにした方が良いだろうな。相棒も驚くぞ?』

 

「はあ?」

 

わけのわからない事を話すドライグを疑問に思いつつ、校庭に着くと先生が結界を張った。

 

「これで良しっと…んで、先ずは誰がやるんだ?」

 

「「…私です。」」

 

第一戦は誰にするかとなったら、ダブル小猫ちゃんが同時に手を上げた。

 

「おし、ならフィールドの真ん中に行け。」

 

小猫ちゃん、頑張れ‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫(最弱)side

 

私は今、別世界の自分と向き合っています。

 

「…お互い全力でやりましょう。」

 

「…そうですね…………ところで向こうの端で体育座りして落ち込んでいる部長と副部長は……」

 

「無視しましょう。構ってたら日が暮れます。」

 

「解りました。」

 

するともう一人の私は猫耳と尻尾を出し、私はそれに驚きつつも理解した。

 

ああ、向こうの私は1歩進めたんだと……

 

「…そっちの貴方は、振り切れたんですね?」

 

「…まだ完全ではありませんけど……そういう貴方はまだ?」

 

「はい、まだ怖いです。でも、私には心強い仲間がいます。」

 

そう言って左腕を前に翳すと赤龍帝の籠手が現れる。

 

『『『『『ええッ!?』』』』』

 

それに異世界側の人達(落ち込んでいた部長と副部長も)が驚く。

 

禁手(バランス・ブレイク)

 

《Welsh dragon balance breaker!!》

 

そして禁手の【赤龍帝の破砕装束(ブーステッドギア・ブレイキングアーマー)】を身に纏った。

 

「小猫ちゃんが赤龍帝で、しかも禁手に!?」

 

『どうだ、驚いただろ?』

 

「しかもありゃ亜種じゃねえか‼後で研究させてもらえるか聞かねぇと…‼」

 

向こうから聞こえてくる声を無視して、私は拳を握る。

 

「…【赤龍帝】塔城小猫の破砕の拳、お見せします。」

 

『ではやるぞ、小猫よ‼』

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!》

 

「一段階開放…‼」

 

《Explosion!!》

 

1つだけ開放した力を推力にまわして、一気に加速して接近して拳を振るう。

 

「ッ‼」

 

それを向こうは跳躍してかわし、拳は地面にぶつかる。

 

《Fracture!!》

 

そして能力が発動して地面を原子レベルで破砕した。

 

『『『『『んなッ!?』』』』』

 

「…凄い力ですね。」

 

「倍加した力を破壊エネルギーに変えて相手に叩き込む……それが私の禁手の力です。」

 

「…なら‼」

 

今度は向こうが接近してきて飛び蹴りを放ってきたので、私は横に跳んでそれをかわした。

 

そして着地の隙を狙って拳を放とうとしたら、彼女は着地の勢いを止めず、滑るように地面を移動したため目算がずれて拳が空を切った。

 

「しま…‼」

 

「やあ…‼」

 

その隙を逃さず、反転してきた彼女の拳がお腹に命中した。

 

「ガッ!?まだま……あれ?」

 

すぐに立ち上がろうとしたが、何故か体に力が入らない。

 

「…貴方の体内の気を仙術で乱しました。もう立ち上がれない筈です。」

 

向こうの私がいう通り体には少ししか力が入らなくなっていた。

 

でも、少しでも力が入るのならやりようはある‼

 

「…ドライグさん。」

 

『分かっている、あまり無茶はするなよ?』

 

「もちろんです。」

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Explosion!!》

 

力を一気に強化し、それを全て開放して私は立ち上がった。

 

「そんな…!?」

 

「少しでも力が出るのなら…………後は強化すればこれぐらいはできます。」

 

立ち上がった私を見て、向こうは驚愕の顔をする。

 

だが、無理矢理なため当然体には負担が掛かるし、今だって視界がぐらついている。これはドライグさんがいて初めて出来る芸当だ。

 

『だが、今の状態は1分程しか持たんぞ?』

 

「もともと仙術を貰った時に負けは決まったようなものです。だったら……私はこの1分に全てを賭けます。」

 

『1分に全てか……まるで龍見一誠の【一刀修羅】みたいじゃないか‼良いだろう‼お前のその覚悟、皆に見せつけてやれ‼』

 

「はい‼」

 

ぐらつく視界の中、腰のブースターで加速して殴りかかる。

 

「ッ‼」

 

向こうはそれを横に移動して避ける。

 

「逃がさないッ‼」

 

《Fracture!!》

 

が、私は破砕の力を何もない空間に使った。そのせいで正面に衝撃が発生して私の加速を完全に止めた。

 

「なッ!?」

 

「セイアッ‼」

 

そして体を強引に捻って回し蹴りを喰らわせた。

 

「ガハッ!?」

 

吹き飛んでいく彼女へと、再び地面を蹴り高速で近づいていく。

 

その途中で彼女が体勢を立て直し、こちらに蹴りを放ってくる。

 

「テヤッ‼」

 

「ハアッ‼」

 

私はそれに拳をぶつける。

 

《Fracture!!》

 

破砕の力で仙術を打ち消し、勢いで勝る私が再び彼女を吹き飛ばす……

 

「まだです‼」

 

が、彼女はその前に体を回して、私の腕を掴んで吹き飛ぶのを防ぎ、頭突きをしてきた。

 

「ヤアッ‼」

 

「グッ!?」

 

それによろめくと同時に体が再び重くなった。

 

まさか頭突きで仙術を決めるなんて……

 

『2度も仙術を受けては対抗しようがないな。』

 

(……残り…………時間は…?)

 

『ん?6秒だが…』

 

(なら……)

 

ふと、揺らぐ視界に本能で右腕を動かし振り上げた拳が、彼女の顎を的確に捉えた。

 

「ガフッ!?」

 

確かな手応えを感じたのと同時に、時間が来て襲いくる負荷に耐えられず私は気を失った。

 

 

 

 

一誠(最弱)side

 

小猫のアッパーが決まり両者が倒れた事で試合終了となり、俺は彼女を背負ってアーシアの元へと連れていき治療を頼んだ。

 

「アーシア、頼むな?」

 

「はい、お任せください‼」

 

その間に向こうのオッチャンが校庭を修復した。

 

「…まさか、小猫から猫耳が生えるなんて…」

 

「ビックリしたデスよ!?」

 

「何か事情でもあるのかな?」

 

「それは後で本人が喋る気があったなら聞くことにしよう。」

 

今まで黙っていたのはそれ相応の理由がある筈だ。無理に聞き出す必要はないだろ。

 

「よし、次は誰がやるんだ?」

 

「僕がいくよ。」

 

そう言って木場が前に出た。

 

「なら、こっちも僕が出るよ。」

 

そしてグレモリーさんの所も木場が出てきた。

 

「なら、今度はタッグ戦にするか。互いにもう一人出して貰おうか?」

 

「だったらこちらは私が出よう。」

 

すると、向こうはデュランダルを持ったゼノヴィアが出てきた。

 

へぇ、この世界ではグレモリー眷属にいるんだな。

 

「なら、こっちはアタシが出る。」

 

すると、俺達の方からクリスが木場の横に並んだ。

 

「いいんですか?」

 

「向こうは近距離コンビだ。アタシならやり易いし、お前が前に言った事をどこまで実行できるか試してやる。」

 

「ハハ…なら、僕は雪音先輩は必ず守れるって証明してみせますよ‼」

 

「ヘッ‼その意気だ‼」

 

そんな会話をしながら木場は聖魔剣を、クリスはシンフォギアを握り締める。

 

「Killiter Ichaival tron」

 

そしてイチイバルを纏った瞬間、向こうの俺の顔が鼻の下を伸ばしてだらしなく崩れた。

 

あれ?なんであんな表情になってるんだ?

 

「おい、そっちの俺はどうしてそんな顔に…」

 

後に俺はこの質問をしたことを心底後悔した。

 

「そりゃ、こいつは胸が大好きのおっぱい星人だからな。」

 

「はい、大好きです‼‼」

 

それを聞いた俺は力なく地面に膝と手を着いた。

 

「ハ…ハハ……こっちの俺は…おっぱい好きの………変態…」

 

「アハハハハハハハハッ‼ヒーヒヒヒヒヒヒヒヒ‼ひぃ~ッ‼腹痛ぇ…‼」

 

笑ってんじゃねぇよ、タケル‼‼

 

「因みに冥界のテレビでは【乳龍帝おっぱいドラゴン】として子供たちに大人気だ。」

 

そして更なる追い討ちが俺を襲ってきた。

 

『うおおおおおおおおんッ‼俺は…俺は赤龍帝だ‼乳龍帝などでは断じてないんだ~ッ‼』

 

『なんと……こっちの俺はそのような不憫な境遇に……‼』

 

「「最低…」」

 

「ぐふぅッ!?」

 

向こうの俺が二人の小猫からの発言にダメージを受ける。とりあえずドライグはご愁傷さま……

 

「それにこいつは女の服を破壊する技や、おっぱいの声を聞くと言った技も会得しているんだ。」

 

「おぅふ…」

 

続く追い討ちに俺は肘まで地面に着ける。

 

「イッセー、しっかりして‼」

 

「イッセー君がそんな人じゃないって、私達は知ってるから。」

 

「…向こうはイッセー先輩とは別人なんだし。」

 

「先輩がそこまで落ち込む事ないデスよ‼」

 

「調さん達のいう通りです。」

 

「私は今のイッセーさんが良いです‼」

 

「そうですよ‼あんなの気にしなくていいんです‼後、お兄ちゃんは笑いすぎ‼‼」

 

(ここで主が部屋の畳の下に隠している艶本の事は喋らない方が良さそうですね?)

 

「皆…‼」

 

メイルは後でシバくとして、皆の言葉に俺は立ち直る…

 

「そして、最大に面白いのはリアスの胸をつついて禁手に至った事だ‼‼」

 

前に落とされた最大級の言葉の核弾頭に、俺は真っ白になって崩れ落ちた。

 

『『『『『イッセー(君/さん/先輩)!?』』』』』

 

「つーか、そっちの俺は美少女達にモテモテなのかよ!?羨ましすぎる‼‼」

 

『『『『『なんでそこで血涙!?』』』』』

 

「この子の夢はハーレムを作る事なのよ。」

 

「ゴハァッ‼」

 

『『『『『やめて!?イッセー(君/さん/先輩)のライフはもうゼロになってるから‼‼』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場(最弱)side

 

真っ白に燃え尽きてるイッセー君を見て僕は苦笑していた。

 

これは確かにショックだよね……

 

「そうか………禁手って……女の胸をつつけばなれるのか…」

 

「違う‼それは違うから‼イッセーッ‼」

 

「お願い‼正気に戻って‼」

 

「反応が面白いからもっと何かねぇのか、アザゼルさん?」

 

「お前いい性格してんな?だったら、フェニックスとの戦いの時に叫んだ言葉は(ズキューン‼)ッ!?」

 

向こうのアザゼルさんがタケル君に何か言おうとしたら、雪音先輩が躊躇なくアザゼルさん目掛けて発砲した。

 

「一応そいつはアタシ達の命の恩人なんだ……これ以上何かやるってんなら額の風通しが良くなるぞ?」

 

それを見た二人は残像が出る速度で首を縦に振った。

 

「最初っからそうしてりゃいいんだよ。んじゃま、始めッけどいいか?」

 

「「はい(ああ)‼」」

 

「では、始め‼」

 

向こうの部長の合図と同時に僕と向こうの僕は駆け出し、互いの聖魔剣をぶつけつばぜり合う。

 

雪音先輩はそこから動かずに、長めのライフルを構えていた。

 

「速さは同じみたいだね‼」

 

「そうだね…‼だけど、コンビネーションはどうかな?」

 

僕は自分達とゼノヴィアさんの周りに硬めに作った聖魔剣を大量に地面から召喚する。

 

「これはッ!?」

 

「木場、今援護に(パンッ‼)ぐあッ!?」

 

「ゼノヴィアさん!?」

 

援護に行こうとしていたゼノヴィアさんは()()から攻撃され、倒れる。

 

「彼女は動いていないのに、なん(パンッ‼)ッ!?」

 

再び聞こえた銃声に、彼はつばぜり合いをやめて下がり、そのほんの少し後に銃弾が()からやって来た。

 

「今のは…‼」

 

「悪いけど、考える暇は与えないよ‼」

 

聖魔剣の間をすり抜け、彼に剣を振るおうとしたら…

 

「させん‼」

 

「君の相手は僕じゃないよ‼」

 

間にゼノヴィアさんが入って来たので、跳躍して頭上を飛び越えると彼女は僕の後ろにいた雪音先輩の正面に立っていた。

 

「鉛弾の大バーゲンだ‼ありがたく貰ってきな‼」

 

「うあああああああああッ!?」

 

そこで銃弾が連続して聞こえてきた。恐らく武器を銃からガトリングに変えたのだろう。ゼノヴィアさんはそれをデュランダルを盾にして耐えている。

 

「さあ、逃がさないよ‼」

 

「くッ!?」

 

「……………………なんてね?」

 

もう一人の自分に剣を振るうと見せ掛けて、僕は後ろに剣を投げた。

 

「グハッ‼私の………出番…これ……だけ…だ………と…」

 

それはゼノヴィアさんに刺さり、彼女は倒れた。

 

「急所は外してあるから、回復すれば問題はないよ。これで2対1だ。」

 

僕は聖魔剣の切っ先を向ける。

 

「さて、どうあがいてみるんだ?」

 

雪音先輩も僕の隣にやって来てマシンガンを構えた。

 

「……その前に、さっきの攻撃について教えてもらっても?」

 

「あれか?あれは【跳弾】さ。聖魔剣に当てて弾道を変えただけだ。」

 

「まさか刀身に!?あれだけの剣の中で、正確に狙えるなんて…‼」

 

「アタシぐらいになりゃあ、その程度造作もない………って言いてぇけど、木場が上手く配置してくれたお陰だな。偏向射撃は小日向の方がもっとスゲェしな。」

 

「先輩のクセはだいぶ分かってきましたから。それじゃ、一騎打ちといこうか。」

 

「……騎士としてそう言われたら断れないな。」

 

向こうの僕が剣を構え、僕は聖魔剣にあるスロットを1つ増やしてそこに剣眼魂とカブト眼魂をセットした。

 

同時使用は体力の消耗が激しいけど、さっきのつばぜり合いで剣のうでは向こうが少し上だと分かったので使うことにした。

 

「それは?」

 

「本来はタケル君のだけど……また、力をお借りしますね。」

 

2つをスロットに入れ抜刀の構えをとる。

 

「どうやら君は、僕とは別の力も持っているみたいだね。なら、僕も本気でいくよ。」

 

向こうは突きの構えで僕へと駆け出してきた。

 

それに合わせて僕は剣のトリガーを引いた。

 

《Blade》《Kabuto》

 

その瞬間、世界の動きが遅くなり僕は目の前の相手の横をオーラを刃面に集中させ雷を纏った剣ですり抜けながら切り裂いた。

 

その現象は3秒程で終わりを迎え、彼は地に倒れた。

 

「雷鳴一閃…」

 

「勝負あり‼異世界組の勝ちよ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

模擬戦が終わって帰ってきた木場はクリスさんに何故かヘッドロックを喰らっていた。理由としては……

 

「お前一人でやり過ぎなんだよ…‼もう少しアタシの出番を残しておけや‼」

 

「そんな事ありませんって‼だ、だからその技はやめてくださいッ‼」

 

木場は苦しそうにしつつも、顔を赤らめている。

 

そりゃおっぱい(あんなもの)を後ろから押し付けられたら、男は皆そうなるわな。

 

そしてそれを見て向こうのイッセーが血涙を流している。やべ~、笑いが止まらねぇ‼

 

「ハァーハァー…模擬戦やる前に笑い死にしそう…‼」

 

「あんまり笑ってばかりなのは失礼ですよ?」

 

「わかってるけど……アハハハハハッ‼やっぱ笑える~‼」

 

「もう…」

 

エルナが呆れたような声を出すが、こればっかりは仕方ない。

 

しかし向こうのイッセー、血涙の出血多量で死ぬんじゃないか?

 

「おい、もう一人の木場‼なに羨ま……ゴホン、けしからん事を‼俺と変わってください、お願いします‼」

 

「テメェにやるわきゃねぇだろ‼このド変態‼」

 

「ゴフッ‼」

 

「クリスちゃんストップ!?こっちのイッセーにもダメージ入ってるから‼」

 

なにこのカオス…‼どう考えたって笑うしかねぇだろ‼

 

バンッ‼バンッ‼バンッ‼

 

その時、3発の銃声が聞こえ俺の顔の皮膚ギリギリを銃弾が通り過ぎていった。

 

「お前はいい加減に黙れ?」

 

「スミマセンデシタ…」

 

撃った張本人(クリスさん)の血走った目に睨まれた俺は片言になりながら、すぐに謝罪した。

 

ヤバい…‼これ以上はマジで風穴開けられて殺される!?

 

「だから言ったんです…天罰ですよ?」

 

「はい…」

 

「んじゃ、次は誰が……お、どうやらお客さんのようだな?」

 

アザゼルさんがそう言うと、その隣に魔法陣が現れ、一人の男が転移してきた。

 

「不思議な反応とアザゼルが結界を張っているから何かと思えば……ずいぶん面白そうな事をしてるじゃないか?」

 

「やっぱ来やがったか、ヴァーリ。」

 

その魔法陣に立っていたのは、この世界のヴァーリさんだった。

 

「酷いじゃないかアザゼル、こんな事なら俺を呼んでくれてもいいだろ?」

 

「バーカ、お前は今【禍の団】にいるんだ。そうホイホイ連絡なんかできるか。」

 

「フム、そう言われると仕方なく思えるな。だが、こうして来たんだ。俺も交ぜてもらおうか?」

 

それを聞いた俺は、薄く笑みを浮かべた。

 

まさかこんな機会に恵まれるなんてな……だが、ちょうどいい‼

 

「だったら、俺はアンタとやらせてもらうぜ、白龍皇?」

 

「ほう?」

 

ヴァーリさんは俺を軽く見た後、ニヤリと笑い……

 

「なかなか面白そうだ…良いだろう、相手をしてやる。」

 

「決まりか?んじゃ、二人は中央に来い。」

 

アザゼルさんに言われ、俺達は中央に立った。

 

「タケルさん、頑張ってください‼」

 

「おう‼」

 

さて、自分の力がどこまで通じるか……やってやるぜ‼‼




いかがでしたか?

前回で予告しときながら、タケル君の戦闘シーンは次回に持ち越しです。

次回【原作の世界②】

「おーおー、大軍で来やがって。」

では、次回をお楽しみに。


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原作の世界②

どうも、疾風の警備員です。

今回はタケルVSヴァーリ(原作)です。

そして、皆様から頂いたオリ眼魂の一つと対話します。

では、どうぞ。


アザゼル(原作)side

 

俺はフィールドの中央でヴァーリと向き合う男、タケルとかいう奴の観察をしていたが…

 

(奴には神器の気配は感じんし、魔力が多い訳でもない……なのにあの自信はどこからくるんだ?普通に考えれば敗北は必至、それとも俺の知らない何かがあるのか?)

 

「さて、事情はおおかた理解している……君達は恐らく別の世界から来たんだろう?しかもメンバーが殆ど違うとくれば持っている力も違っている。そしてお前は他とは何か違う雰囲気を纏っている……どんな力を見せてくれるのか楽しみで仕方ない…」

 

「……俺達の所のヴァーリさんとはえらい違うな…しかもかなりの戦闘狂ってか?」

 

「否定はしないさ。さあ、そろそろ始めようか?禁手(バランス・ブレイク)。」

 

《Vanishing Dragon Balance Breaker!!》

 

ヴァーリが白龍皇の鎧を纏うと、タケルは先程向こうの木場が使っていた眼を模した物を手に取った。

 

「あれは向こうの裕斗が使っていた…」

 

「いや、恐らくアイツが本来の使用者なんだろう。たぶんさっきのは副産物か何かなんだろうな。」

 

「神器に影響を与えるほどの力を持っているというのかしら、あれは?」

 

「それは見てみりゃ分かるだろ。」

 

リアスと話していたらタケルは腰に手を翳し、そこにクリアグレーの一つ目お化けみたいなバックルの付いたベルトが現れた。

 

「あれは……新種の神器?」

 

「だが、あんなものは見たことが…」

 

すると奴は左手でバックルを開き、そこにボタンを押して黒目の部分に【G】と浮かばせたそれを入れ、バックルを閉じた。

 

《アーイ‼》

 

『『『『『は?』』』』』

 

そこで、ベルトから聞こえた声に俺達は呆然とした。

 

アーイって……眼そのままだろ!?

 

だが向こうはこっちの事はお構い無しに横のレバーを引いた。

 

するとバックルの中央から黒地にオレンジのラインが入ったパーカーが出てきた。

 

《バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

そんな音声が流れる中、まるで陰陽師みたいな動作のポーズをした後……

 

「変身‼」

 

《カイガン‼オレ‼》

 

そう叫びながらレバーを押し込むと、奴の体が黒地にオレンジの骨の柄が入ったボディスーツになり、顔は銀のマスクで覆われていた。

 

その上にさっきのパーカーを羽織ると、オレンジと黒で彩られた顔に額には1本の角が生え、フードを脱いだ。

 

《レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

更にベルトの前に手を翳すと、一振りの剣が出てきてそれを掴んだ。

 

ありゃなんだ!?神器とかとは全くの別物だ‼異世界にはこんな技術もあるのかよ‼くぅ~ッ‼研究者魂が疼くぜ‼

 

「姿が変わった?」

 

「あれは禁手なのでしょうか?」

 

「なんかヒーローっぽいな。」

 

『『『『『ところで、さっきの歌は?』』』』』

 

ある程度感想を言ったら、全員が同じ質問を奴にぶつけた。

 

それを聞いた奴はこっちを見て……

 

「歌は気にするなッ‼」

 

『『『『『おい!?』』』』』

 

そんなボケを飛ばしてきた。

 

「んなの使用としか言えねぇよ。さて、始めようか‼」

 

「ああ‼」

 

タケルとヴァーリが互いに頷くと、ヴァーリは光翼を広げタケルはオレンジの光に包まれながら空へと飛び上がった。

 

「飛行能力まであるなんて…」

 

「なんかホントにお化けみたいですぅ!?」

 

ある高さまで昇ると、互いに接近して剣と拳がぶつかり合った。

 

そのまますれ違い、ヴァーリは魔力弾をタケルは武器を組み換えて銃にして撃ち合いを始めた。

 

「変形できる武器まで…」

 

お互いの攻撃を迎撃、もしくは回避しながら二人は地面へと着地する。

 

「どうやら想像以上みたいだ。ならば、こちらも少し本気を出そう‼」

 

ギアを上げたのかヴァーリがさっき以上のスピードでタケルに迫る。

 

「ッ!?チィ‼…グアッ‼」

 

タケルは横に跳んで避けようとしたが間に合わず、肩に攻撃を喰らった。

 

「さて、ここからどう抗う?」

 

《Divide!!》

 

「うおッ!?」

 

白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の能力で力を半減されたのか、タケルは膝を着いた。

 

(さあ、どんな力を見せてくれるんだ?)

 

「これは確かに厄介だな……仕方ねぇ、先輩達の力を借りるとしますか…‼」

 

そう言うと、タケルは白、赤、緑の3色に彩られた眼のアイテムを取り出した。

 

それのボタンを押してバックルの中のやつと取り替えた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

出てきたのは肩に白いマフラーを靡かせた、赤、白、緑の3色のパーカーだった。それが空中でポーズを取ると横に見知らぬ仮面の戦士が浮かび上がった。

 

それをさっきの黒のパーカーと顔の模様が消えたタケルがレバーを操作して羽織った。

 

《カイガン‼V3‼力と技‼ダブルタイフーン‼命のベルト‼》

 

そして顔は緑の眼に赤と白で先程の仮面の戦士の顔が描かれた。

 

「仮面ライダーVスリャーッ‼」

 

そう叫び、さっきの浮かび上がった戦士と同じポーズを取った。

 

「服を着替えた!?」

 

「なんか派手だな…」

 

「うおおおおおおッ‼ヒーローっぽいぜ‼」

 

「イッセー君、落ち着いて…」

 

なるほど、眼魂(あれ)は奴の強化アイテムで複数あるのか……

 

「レッドボーンパワーッ‼」

 

タケルがそう叫ぶと、胸の辺りの赤いラインが輝き、奴の力が増大した。

 

「まさかそんな方法で半減に対抗してくるとは‼」

 

「俺はどんな勝負だろうと、負ける気はないんでな‼」

 

「ならば、続きといこう‼」

 

二人が同時に飛び出す。今度はタケルも武器ではなく格闘戦をやるみたいだ。

 

「フッ‼」

 

先ずはヴァーリが拳を突き出す。

 

「ヨッ‼ハァッ‼」

 

が、タケルはその拳を右手で掴むと、背負い投げでヴァーリを投げ飛ばした。

 

「クッ!?」

 

すぐに体勢を立て直したヴァーリだが、睨み付けた先にタケルはいなかった。

 

「この場合は……上かッ!?」

 

見上げたし視線の先には右手を手刀の形にして振り上げていた。

 

「【V3電熱チョップ】ッ‼」

 

強力なエネルギーを纏い勢いよく振り下ろされた手刀を、ヴァーリは腕をクロスして受け止めたがその威力に足元にクレーターができた。

 

「仕止め損なったかッ‼」

 

「今度はこちらからいくぞ‼」

 

奴の手を払い除け、がら空きになった腹にヴァーリのボディブローが決まった。

 

「ガッ!?」

 

「フンッ‼」

 

追撃とばかりに回し蹴りを叩き込み、タケルは吹き飛んだ。

 

「どうしたこんなものでは……ッ!?」

 

「……かかったな?」

 

止めをさそうとしたヴァーリだが、何故かその場から動かなかった。よく見ると先程の回し蹴りの時に軸にした足を凍らされて、地面に固定されていた。

 

「【フリーザー・ショット】……今度は逃がさねぇ‼」

 

《ダイカイガン‼V3‼オメガドライブ‼》

 

ベルトのレバーを操作したタケルは高く飛び上がるときりもみ回転を始めた。

 

「V3きりもみぃ……‼」

 

そのまま回転しながらヴァーリに蹴りを決める。

 

「グゥッ!?」

 

ヴァーリはそれをなんとか両手で受け止めるが、勢いに押され両腕を弾かれてしまった。

 

逆にタケルは弾かれた勢いすらも利用して更に飛び上がり、再び飛び蹴りの体勢に入った。

 

「反転キィィィィィィィックッ‼‼」

 

「ヌウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?」

 

その蹴りはヴァーリが無理矢理戻した左腕に受け止められるが、足の氷を砕いて数メートル後退させ左腕の部分の鎧を砕いた。

 

「ッ…‼なんて威力だ……‼」

 

鎧を修復して構えるヴァーリだが、あのダメージを受けた左腕は力が上手く入らないのか小刻みに震えている。

 

「まだまだこんなもんじゃねぇだろ?」

 

「ああ、こんな楽しい勝負……簡単に終わらせるのはもったいない‼」

 

『ならば見せつけるのだ‼お前の力を‼』

 

神器に宿る龍【アルビオン】の声に合わせ、ヴァーリは空を飛び魔力弾を連発しだした。

 

「さあ、何時まで耐えられる‼」

 

「そっちがその気なら、付き合ってやるよ‼」

 

タケルは白、黒、赤の3色のアイテムを持ちバックルに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

今まで着ていたパーカーが消え、今度は黒地に銀のライン、胸のところは赤いロングコート風のパーカーが現れる。それを纏うと、顔にはルビーで出来た顔が描かれた。

 

《カイガン‼ウィザード‼指輪の魔法‼最後の希望‼》

 

「さあ、ショータイムだ。」

 

その手には銀色の銃が握られていて、奴はそれに付いている手のオブジェを開いた。

 

《キャモナ‼シューティング‼シェイクハンズ‼キャモナ‼シューティング‼シェイクハンズ‼》

 

不思議な音声が流れるなか、奴はそこに右手のいつの間にか付いていた指輪を翳した。

 

《コピー‼プリーズ‼》

 

すると奴の手にもう一つ同じものが現れた。

 

ほう…対象をコピーする能力か。

 

「乱れ撃つ‼」

 

両手の銃をヴァーリへと向け、連射する。

 

互いに直撃弾を撃ち落とし自分の攻撃を当てようと撃つが、なかなか決定打にならない。

 

「ああ~ッ‼めんどくせぇ‼こうなったら…‼」

 

《バインド‼プリーズ‼》

 

ヴァーリの周りに魔法陣が複数現れると、そこから出てきた魔力のチェーンがヴァーリを縛り上げた。

 

「クッ!?」

 

「これで決まりだ‼」

 

《ダイカイガン‼ウィザード‼オメガドライブ‼》

 

足下に魔法陣を出したタケルは右足に炎を集束させ、そこからロンダートを決めつつ跳び上がり、蹴りの体勢になる。

 

「これは悪手だったな。」

 

《Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!Divide!!》

 

パキィィィィィィィィン‼

 

だが、ヴァーリは神器でチェーンの強度を何度も半減し、拘束を簡単に破った。

 

「んなッ!?」

 

既に蹴りを止められないタケルにヴァーリは直前で少し上に上がり、体を丸めて前回転して下を通るタケルの顔に回転を加えた踵落としを叩き込んだ。

 

「ゴファッ…‼」

 

直撃を貰ったタケルは地面に激突した。

 

「驚いたよ、君はまさしく強者だ。だが、俺にはまだ届かないが…」

 

「ふざ……けんな…‼」

 

タケルはゆっくりとだが、力を込めて立ち上がる。

 

「俺の中の炎は……まだ消えちゃいねぇ‼‼」

 

すると、今度は黒にクリアレッドの炎をあしらったパーツの付いたアイテムを出し、横のボタンを押すとそれが燃え上がり開いたバックルに装填する。

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼》

 

そして素早くレバーを引いて押し込んだ。

 

《闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

するとタケルの姿が黒から深紅に変わり、所々に炎を模したマークの入ったボディスーツになり、その上に肩とフードに炎のパーツが付いたパーカーを羽織ると、額の角がオレンジになり、眼の部分は炎の揺めきを表しているものに変わった。

 

「烈火に燃えていくぜッ‼」

 

その姿に周りは驚いた。

 

「姿が変わった…」

 

「力も跳ね上がっていますわ。」

 

「あれでヴァーリと張り合っていたのかよ…‼」

 

俺も正直驚いている。こんな強化をまだ残していたとは……

 

(なら、さっきみたく上着を変えたら更に強くなるかもな)

 

そしてタケルが駆け出そうとしたら、青と金と白で出てきたアイテムが奴の前に出てきて輝きを放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「ここは……?」

 

俺は目の前に出てきた眼魂の輝きに目を瞑った瞬間、何処かの丘の上にいた。

 

そして視線の先には青のロングコート風のパーカーに金のフードを羽織った黒い存在がいた。

 

「アンタは……アーサーか?」

 

『はい。』

 

そこで俺は一番聞きたい事を聞いた。

 

「何で今、俺を呼んだ?俺は今ヴァーリさんと戦っている最中なんだけど?」

 

『それについては謝罪します。ですが貴方にどうしても聞きたい事があります。』

 

「聞きたいこと?」

 

はて、俺はこんな英雄に質問されるような事をしたか?

 

『なぜ、貴方はそこまで迷いなく戦えるのですか?自分の選んだ道に後悔は無いのですか?』

 

「え?」

 

「戦火に身を投じれば貴方は傷付き死ぬかもしれない…なのに何故、その道を選んだのですか?』

 

「なんだ……そんな事か。」

 

『は?』

 

「これは俺が俺自身で選び抜いた道だ。そこにどんな困難が待っていようとも……ただ、突き進むだけさ。」

 

『それが、家族を悲しませるとしてもですか?』

 

「それは悪いとは思うが自分で決めたんだ。なら、迷う必要はない。俺はこの生き方を選んだ自分を信じる……そう【覚悟】を決めたからな。」

 

『覚悟……』

 

「話はそんだけか?」

 

『ええ……貴方の思いを見せて貰いました。その生き方を貫く貴方の為に力を貸しましょう。』

 

「いいのか?」

 

『ええ、もちろんです。』

 

「そっか……んじゃ、よろしく頼む‼」

 

『はい、我がマスター。』

 

アーサーにそう言われ、俺は現実に戻った。

 

つかマスターって……お前はゼノヴィアさんか?

 

 

 

 

 

 

アーサーside

 

『行ってしまいましたか…』

 

しかし、彼ならば必ず望む未来を手に入れられる筈でしょう。

 

『しかし、さっき一瞬だけ彼の心臓の所が水色に光ったのは何だったんでしょう?』

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

現実に戻ってきた俺が最初に見たものは、正面から迫ってくる拳だった。

 

「うおおおおおおおおおおッ!?」

 

それを某フィギュアスケート選手並に体を反らして回避した。

 

「む、意識はあったのか。」

 

「さっきまでなかったけど、今の喰らってたらまた無くしてたわ‼」

 

拳を突き出してきた男、ヴァーリさんにそう言いバック転をして体勢を戻した。

 

「何故意識を無くしていたかは知らないが、戻ったのなら続きをするぞ。」

 

「おーし、上等だあ‼」

 

今度は俺が駆け出してヴァーリさんに拳を突き出す。

 

「フッ‼」

 

向こうも同じ様に拳を突き出し、拳同士が激突した。

 

「さっき以上の力……ますます面白い‼」

 

拳を放し、向こうの上段蹴りを屈んでやり過ごし、足を払おうとしたがジャンプでかわされ振り上げた足で踵落としがきたので横に転がって回避する。

 

そして起き上がりと同時に迫ってきた拳を、相手の腕の内側に自分の右腕を入れて軌道をそらす。

 

「やるじゃないか…」

 

「おっと、本領発揮はここからだぜ?」

 

俺は右手に持っていた眼魂のボタンを押し、腕を弾いてヴァーリさんの腹に蹴りを決め、距離が離れた所でバックルにセットした。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「いくぜ、アーサー?」

 

『はい、星の剣の力…お貸ししましょう‼』

 

出てきたアーサーゴーストパーカーをレバーを操作して羽織った。

 

《カイガン‼アーサー‼円卓‼騎士王‼勝利の剣‼》

 

そして出てきたガンガンセイバーにワイバーンカリバーを装着しカリバーモードして、某機動戦士でよく見るサン○イズ立ちで構えた。

 

「『輝く剣が、勝利を招く‼』」

 

「ならば、その勝利はこちらがいただく‼」

 

ヴァーリさんがこちらに接近してくるのに合わせ、俺は剣に一つ()()をして突き出した。

 

「シッ‼」

 

「ッ!?」

 

ヴァーリさんは一瞬の硬直の後、直ぐに横に跳んで突きを回避した。

 

彼からは鎧越しでも驚きの感情が読み取れる……そりゃそうだ、なにせ……

 

「馬鹿な…‼()()()()()!?」

 

俺の手には今、何も握られていない風に見えているのだから。

 

『いや待てヴァーリ、奴の手元……風が吹いていないか?』

 

「確かに……そういう事か。」

 

あれ、もうバレた?

 

「お前は剣に風の結界を作り、それによって光の屈折率を変えて透明にしているのか。」

 

「どんな直感だよ‼」

 

『私の【風王結界(インビジブル・エア)】をこうも簡単に見破るとは…』

 

あの人、絶対にニュ○タイプだ……

 

「でも、仕組みが解ったところで‼」

 

俺が剣を振るうと、ヴァーリさんは少し大袈裟に回避を続ける。

 

「見えないとこうもやりづらいとは…‼」

 

姿が見えない剣……つまり、長さや幅も分からないってことは間合いが全く読めないって事になる。それは攻撃側に圧倒的に有利に働く事になる。

 

 

まあ…俺も見えないんだけどね?

 

 

ちょっとアーサーさん!?これだと俺も使いにくいんだけど!?

 

『そこはほら…アレです……気合いと根性で頑張ってください。』

 

「そこでまさかの根性論ッ!?」

 

待て、よく考えるんだ……風の結界なんだから……そうだ‼

 

「だったらこの風を吹き飛ばしてやる‼」

 

俺は剣を右肩に担ぎ、一気に振り下ろして風を暴風として撃ち出した。

 

「【風王鉄槌(ストライク・エア)】ッ‼」

 

「なッ!?グハッ‼」

 

それはこちらに近づこうとして、動き出したばかりのヴァーリさんに直撃した。

 

「よっしゃッ‼」

 

「ツゥッ!?面白い事ばかりやってくれる…‼」

 

『ヴァーリ‼そろそろケリを着けろ‼長引くとこっちが不利になる‼』

 

「もっと楽しみたいのだが……いた仕方ない‼」

 

アルビオンの言葉にヴァーリさんは空へと飛び上がり、巨大な魔力弾を作り始めた。

 

「おいおい…‼待てヴァーリ‼そいつはやり過ぎだぞ!?」

 

「彼とキチンと決着をつけるには、これしかない‼」

 

「いいぜ‼その勝負乗った‼」

 

「だああッ‼リアスと朱乃は結界の強化に付き合えッ‼‼」

 

「「は、はい‼」」

 

「エルナ、お前も頼む‼」

 

「わわわわわかりましたッ!?」

 

周りが大慌てになっているのにも気付かず、俺は剣をベルトにアイコンタクトさせた。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナー‼ガンガンミナー‼》

 

更に、ベルトのレバーを引いて押し込み、必殺技を発動させる。

 

《ダイカイガン‼アーサー‼オメガドライブ‼》

 

そして剣を頭上に掲げると、ワイバーンカリバーの羽の部分が開き、そこから金の粒子が出てきて剣を金色に染め上げながら、光の力を凝縮していく。

 

「さあいくぞ‼」

 

「命…燃やすぜ‼」

 

《オメガスマッシャー‼》

 

ヴァーリさんが撃ち出す魔力弾……いや、魔力の砲弾と俺の光の斬撃が同時に放たれ中央でぶつかり合う。

 

「グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼‼」

 

「オオォォォォォォォォォォッ‼‼」

 

力を込め押し返そうとするが互いに1歩も譲らず、最終的に……

 

ドオォォォォォォォォォォォンッ‼‼

 

「くあッ!?」

 

「うおッ!?」

 

大爆発を起こし、俺達は吹き飛ばされた。

 

「ク……ま、まだだ…‼」

 

「おう…‼まだ……負けちゃ…‼」

 

「やり過ぎだ、バカども‼」

 

「「そげぷッ!?」」

 

力を振り絞り立ち上がろうとした俺達だったが、アザゼルさんの拳骨で強制的に意識を断ち切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠(最弱)side

 

「…やり過ぎにも程があるってんだ…」

 

向こうのオッチャンがそう愚痴るのもよくわかる。今の校庭はまるで核ミサイルでも落ちたんじゃないかというような酷い有り様だったからだ。

 

こういうのの修復が得意なエルナはタケルの治療(膝枕をしながら)をしているし、他のメンバーは修復とかの魔法は使えないので、小猫や木場に任せて俺達は基本傍観だ。

 

「酷い有り様だね…」

 

「ホントデスよ。」

 

「私の拳より酷い。」

 

「でも凄い技だったよね‼」

 

「ウム、輝く剣とは中々に粋な例えだったな。」

 

そこで、オッチャン達が修復を終えた。

 

「まったく…加減を考えろってんだ……さて、次はどうする?」

 

丁度いい、この世界の俺にお灸を据えてやる‼

 

そんな怒りを燃やしながら前に出ようとしたら、空中に大量の魔法陣が浮かび上がった。

 

「なんだッ!?」

 

「今度は招かれざる客ってか?」

 

そこから出てきたのは、悪魔達だった。総数は約300程。

 

「彼らは禍の団の旧魔王派…‼」

 

「まだ生き残りがいたのかよ!?」

 

どうやらアレは禍の団らしい。しかも全員がこちらに殺気を向けている。

 

「現魔王ルシファーの妹、リアス・グレモリーとその眷属達に堕天使総督よ。ここで貴様らを倒させてもらうッ‼」

 

「おーおー、大軍で来やがって。」

 

「そこにいる貴様らもついでに消えてもらおうか?」

 

俺達はついでかよ……

 

「おし、模擬戦はあいつらを蹴散らした後にするがいいか?」

 

「解った。俺達も手伝おう。」

 

「いえ、これはこちらの世界の問題よ。貴方達は…」

 

「俺らも消すって言ってんだ、正当防衛だろ?」

 

「……なら、お願いしようかしら?」

 

「了解、皆やるぞッ‼」

 

『『『『『おおッ‼』』』』』

 

「タケルも起きろ、もう直ってんだろ?」

 

「おう、気力体力共に完璧ってな。」

 

それを確認して俺はデッキを、タケルはディープゴースト眼魂を取り出す。

 

《Dive to Deep!!》

 

俺はデッキを前に翳してベルトを装着し、タケルは眼魂をバックルに入れた。

 

《アーイ‼ジロットミナー‼ジロットミナー‼》

 

そして互いにポーズを取り…

 

「「変身ッ‼」」

 

《ゲン‼カイガン‼ディープゴースト‼キルゴー‼覚悟‼ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

光龍とゴーストに変身した。

 

皆もシンフォギアを装着して戦闘体勢に入る。

 

「我らに抗うとは……身の程を教えてやろう‼」

 

「来るぞ‼総員、戦闘開始‼」

 

こうして、俺達と禍の団の戦闘が始まった。

 




いかがでしたか?

次回か次々回で原作の世界は終わりになります。

次回【原作の世界③】

「「お前……覚悟できてんだろうなあ?」」

では、次回をお楽しみに。


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原作の世界③

どうも、疾風の警備員です。

今回で原作の世界は最後になります。

では、どうぞ。


一誠(原作)side

 

異世界の俺達と模擬戦をやっている所に禍の団の旧魔王派の奴らが襲撃をしてきた。

 

「ドライグ、いくぜ‼」

 

『おう‼』

 

俺は赤龍帝の籠手を装着して上に突き上げ……

 

禁手(バランス・ブレイク)ゥッ‼‼」

 

《Welsh dragon balance breaker!!》

 

禁手を発動して赤龍帝の鎧を身に纏った。

 

そして、向こうの俺がどんな姿になるのか気になり、見てみたら何かの小さい箱を前に翳していた。するとその腰に銀色のベルトが装着された。

 

え、アイツも向こうの奴と同じ力なのか!?

 

「「変身ッ‼」」

 

そして箱をベルトに入れると、鏡像が3度重なり金のボディスーツに銀のプロテクターを身に纏い、顔は鉄仮面みたいな姿になっていたし、ヴァーリと戦っていた奴の姿も暗めの銀のスーツにオレンジ色で描かれた骨の模様、青紫のパーカーを羽織り額には禍々しい角が生えた姿だった。

 

さっきのより強そうじゃないか!?後、何段階変身を残してんだ!?

 

「先ずは囲みを突破する。翼ッ‼」

 

「承知した‼」

 

向こうの俺の合図で、青い髪の人が持っていた日本刀が巨大化して青い斬撃を飛ばした。

 

《青ノ一閃》

 

それは旧魔王派の一画を縦に両断するほどの大きさがあり、それに逃げ遅れた奴らはアッサリと消滅した。

 

なんだあの攻撃!?放たれた瞬間スゲェ寒気がしたぞ!?

 

『恐らくアレが纏っているのは聖なる力を宿した物か、それに準ずる物なのだろう。先程の赤い奴といいどうやら向こうは厄介者揃いみたいだな?』

 

マジか!?ゼノヴィアの奴、よく無事だったな……

 

『向こうの技師がその辺の調整をしていたのだろう。』

 

俺達が話している間にも向こうの行動は進んでいく。

 

「くッ!?急いで隙間を塞げッ‼」

 

「よし、開いた隙間の左をクリスとタケル、右を俺と未来で攻撃しながら維持して走り抜ける‼」

 

「「「「了解‼」」」」

 

「木場とマリアはクリス達、小猫と翼は俺達の護衛‼響に調、切歌はアーシア、ギャスパー、エルナ、玲奈ちゃんの方を頼む‼」

 

「「「「「OK(デス)‼」」」」」

 

「そっちはそっちで出来るか!?」

 

「もちろんよ‼」

 

「だったら行くぞ‼」

 

《SHOOT VENT》

 

何かのカードを読み込ませた向こうの俺は銀の銃を持って紫色の装備をした子と、ヴァーリと戦っていた奴はサングラスが付いた剣を銃モードにして両手に持ち、赤い人と一緒に撃ちまくり、開いた隙間へと走っていく向こうの俺の言葉に続くようにして俺達も走り出す。

 

「止めろ‼奴らを囲みの外に出すなッ‼」

 

それに気づいた旧魔王派の奴らは大量の魔力弾を飛ばしてくる。

 

ちょッ!?数が多すぎだろッ‼

 

《Half Dimension!!》

 

その時、その音声が聞こえ魔力弾の数が半分になった。

 

こんな事が出来るのは…‼

 

「今回は手を貸そう。」

 

声につられ振り返ると禁手の白い鎧を纏ったヴァーリがいた。

 

「いいのか!?お前も禍の団じゃ…‼」

 

「あれほど楽しい勝負ができた礼と、二人の兵藤一誠の戦いを楽しみにしていたのを邪魔されて俺も少し頭にきているんだ…」

 

なんかお前らしい理由だな……

 

「白龍皇‼貴様、裏切るのか!?」

 

「裏切るもなにも、俺は旧魔王派の構成員じゃないのでね。」

 

そう言って魔力弾を放ち、その悪魔を消し飛ばした。

 

「後方は俺が努めてやろう。」

 

「頼む‼……やられんなよ?」

 

「フッ……誰に言っている?」

 

普段はライバル関係だけど、味方に付いたらコイツ程頼もしい事はねぇ‼

 

ヴァーリの半減で少なくなった魔力弾を皆で迎撃しながら隙間へと駆け抜けていき、俺達もようやく囲みを突破した。

 

「おーし、こっからは反撃だぜ‼」

 

「そうだな、クリス‼一斉射で敵を分散させろ‼」

 

「あいよ‼」

 

向こうの俺の指示に赤い人が答えると、両手には上下2門、系4門のガトリング砲に腰からはミサイル発射口、両肩に大型ミサイルが4つ装備された。

 

なにそのヘビー○ームズ!?取り合えず武器の変形の度に揺れるおっぱいが眼福でっす‼あざーす‼

 

「さあ、ブッ飛びやがれ‼」

 

そして、彼女の叫びと共にガトリングと小型ミサイルの弾幕が放たれた。

 

《MEGA DETH QUARTET》

 

「ッ!?全員散れ‼散れー‼」

 

それを見た旧魔王派は、慌てて散開していく。

 

「ハンッ‼チョせぇんだよ‼」

 

そこに彼女は大型ミサイルを扇状に放ち、ある程度進んだら表面のカバーが外れ小型ミサイルが大量に撃ち出された。

 

「マイクロミサイルッ!?」

 

そのすべてが爆発した後には、旧魔王派の数が3分の1減っていた。

 

「旧魔王ごときの権力に便乗してる分際で、のぼせ上がってんじゃねぇぞ半端者ども?」

 

俺…あの人と戦わなくて良かった‼もしやってたらあのおっぱいを拝む前に蜂の巣だ…‼

 

「この混乱している間に乱戦に持ち込む‼近接組は突撃‼射撃組は牽制と非戦闘組の護衛‼」

 

『『『『『了解‼』』』』』

 

「向こうのイッセーは、お前より頭良いな?」

 

「くッ!?否定できない自分が憎い‼」

 

アザゼル先生の言葉に少し凹む……

 

でも、エロさだったら絶対俺の勝ちだ‼

 

「そこッ‼下らない事喋ってないで動けッ‼」

 

「り、了解ッ!?」

 

向こうの俺に怒鳴られた俺は、急いで戦線に参加した。

 

「白龍皇、今度は共闘しねぇか?」

 

「フム、それも面白そうだ。」

 

視界の端ではヴァーリとさっきの対戦相手が協力して、ヴァーリが前衛で幽霊っぽいのが二丁拳銃でサポートしながら次々と殲滅していった。

 

あの二人を同時に相手とか……死亡確定だな…

 

「調と‼」

 

「切歌と‼」

 

「小猫の‼」

 

「「「トリプルストリームアタック‼」」」

 

別の場所ではピンクと緑の装備の子が、赤龍帝の小猫ちゃんと一緒に1列になって突っ込んでいた。

 

先頭の小猫ちゃんが敵を殴り、左に吹き飛んだのをピンクの子が丸鋸を飛ばして切り裂き、右に吹き飛んだのは緑の子が鎌の刃を飛ばして両断していた。

 

向こうの小猫ちゃんノリ良いな?つか、その技名スッゲェ聞き覚えがあるんだけど……

 

「喰らえッ‼」

 

「邪魔だッ‼」

 

そんな事を気にしていたら目の前に敵がきたので、全力で殴り飛ばした。

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!》

 

「いくぜ‼ドラゴンショットッ‼」

 

力を倍加した俺は目の前に魔力の魂を作り、それを殴って極太のビームにし、敵を消滅させる。

 

「へッ‼どんなも(ドゴォォン‼)な、なんだぁッ!?」

 

大きな音が響いたので、辺りを見回したら校庭に巨大な剣が突き刺さっていて、その上にさっきの青い髪の人が立っていた。

 

なにあの剣!?どっから出したんだよ!?つか、校庭が大惨事に‼

 

更に別の場所では銀色の装備の人が、蛇腹剣を振るっていた。そしてそれと一緒に躍動するおっぱい‼これはたまりませんなぁ…‼

 

ギャリィィィィンッ‼

 

すると、俺の顔の鎧をかするように蛇腹剣が突き抜けて、後ろから来ていた悪魔を切り裂いた。

 

「不穏な視線を感じたから剣を振るったけど…………ご免なさいね?」

 

「イエ、ダイジョブデス…‼」

 

その顔は素敵な笑顔だったが、俺には悪魔の顔に見えた……………………悪魔なのは俺だけど。

 

部長と声が全く同じなのに……あの人の方がメチャクチャ怖えぇぇぇぇぇぇッ!?

 

恐怖心に駆られた俺は、真面目に戦う事にした。

 

木場はもう一人の木場と動き回ってるし、部長は朱乃さんと後方だし……

 

「よし、ここからは私も参戦‼」

 

その部長の後ろにいた女の子が腰に手を翳して、1つ目お化けみたいなバックルのベルトを出した……ってあの子も変身出来んのかよ!?

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

「へ~ん身‼」

 

《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

その子が黒字にピンクのラインが入ったパーカーを羽織る事で、さっきの男と色違いな姿になっていた。

 

更にベルトからマジックハンドの様なものを出すと手の部分を閉じて、1体の悪魔を狙撃した。

 

あの子までいれば後ろは大丈夫かな?

 

チラっと視線をずらすと、さっきのトリプルなんたらにこっちの小猫ちゃんとゼノヴィアまで加わっていた。

 

……………………見なかった事にしよう‼

 

「ハァ~…‼ホワチャーッ‼」

 

そこに黄色の装備の子が怪鳥音を発しながら拳を突き出し殴られた悪魔は10人程巻き込んで吹き飛んだのを見た。

 

アレ、絶対喰らいたくない……

 

「おい、もう一人の俺‼一緒に行くぞ‼」

 

「え!?お、おう‼」

 

いきなりもう一人の俺にそう言われ、俺は戸惑いながら返事をした。

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!》

 

「だったら受け取れ‼」

 

《Transfer!!》

 

「おお……力がこんなにみなぎるなんて…サンキュー‼」

 

《GANGNIR》

 

「Balwisyall Nescell Gangnir Tron」

 

もうひ…………ああ‼面倒くさいから龍見にしよう‼……龍見がカードを左腕の籠手に入れて読み込ませ、なにかを口ずさむと姿が変わった。

 

「おお‼フォームチェンジ‼」

 

「さて、ボコボコにしてやるぞ?」

 

「おうよ‼」

 

俺達が突っ込んでいくと、左右から敵が迫ってくる。

 

「貴様らはここで排除する‼」

 

「死ねぇッ‼‼」

 

「「やっかましいッ‼‼」」

 

「「ぶんぺッ!?」」

 

そいつらを殴り飛ばして、さっきから偉そうに指示を出している奴へと近づく。

 

「く!?役に立たん奴等め……‼お前達は俺が相手をしてやろう‼」

 

そう言って剣を抜いたけど……

 

《SWORD VENT》

 

「遅ぇッ‼‼」

 

もう一人の俺がその剣を根本から切り落とした。

 

「バカなッ!?」

 

「とっととくたばりやがれぇッ‼‼」

 

そして俺がその顔面を殴り飛ばした。

 

「グハァッ!?」

 

「「弱ッ‼」」

 

そして、リーダーがやられたからなのか、敵の動きが一気に悪くなった。

 

「後は雑魚だけだ‼さっさと殲滅するぞ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠(最弱)side

 

あれから、5分程で旧魔王派の悪魔達は全滅した。

 

「いや~、こっちの俺は結構強いんだな?」

 

「ハッハッハッ‼それほどでも~‼」

 

少し調子に乗りやすくエロいが、強さは中々のものだった。

 

禁手の力がこれほどのものとは思わなかった。これは早く修得しないと…‼

 

「さて、問題も片付いたし……一誠同士の勝負をやるとしようか。」

 

「「はい‼」」

 

向こうのオッチャンの指示でお互いに向かい合う。因みに変身や禁手はまだしたままだ。

 

「そんじゃ…………始め‼」

 

《SWORD VENT》

 

俺は合図と同時にカードを引いてバイザーに装填、解放龍の剣を呼び出して、地を駆ける。

 

「先ずは……ドラゴンショットッ‼」

 

向こうの俺は魔力弾を撃ってくるが……

 

《Remote!!》

 

解放龍の剣で霧散させた。

 

「んなッ!?だったら‼」

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!》

 

「いくぜ、ドライグ‼」

 

《Explosion!!》

 

向こうは無数の倍加で力を上げ、背中のブースターで突っ込んでくる。

 

「オラァッ‼‼」

 

「チッ!?」

 

俺はそれを剣で受け止めるがその圧倒的な力に、どんどん後ろへと後退していく……

 

《Remote!!》

 

「うお!?ち、力が…‼」

 

そこに神器の力で奴の倍加を解除した。

 

「お前、何したんだッ!?」

 

「【剣に触れた相手の能力を解除する】……それが俺の神器【解放龍の剣(リモート・エッジ)】の能力だ。」

 

魔力攻撃なんかは俺でも簡単だ……でも神器の方はその能力をキチンと知ってないと解除しづらいんだけど、その辺はメイルがサポートをしてくれているので、大抵は解除できる。

 

「んなのチートだろッ!?」

 

「無限に倍加する奴に言われたくないわ‼」

 

こっちは裏技使わない限り、強化なんて出来ないんだからな!?それもデメリットの方が凄いんだぞ!?

 

「それに俺はまだ禁手にも至って無いんだよ‼」

 

「それでも充分に強えよッ‼」

 

「こちとら仲間の力を借りなきゃ満足に戦えないしな‼」

 

殴りかかってくるもう一人の俺…………こう呼ぶの面倒になってきたから兵藤にしよう……の拳を剣で反らす。

 

《Boost!!》

 

《Remote!!》

 

更に倍加の力を直ぐに解除していく。

 

「くそッ!?このままじゃ埒があかねぇ‼……だったら‼」

 

兵藤は何を思ったのか俺に突っ込んできた。

 

「何を考えているのかは知らないけど‼」

 

俺はそれを横に移動してかわす。

 

「あらッ!?」

 

『『『『『へ?ヒャアァァァァァッ!?』』』』』

 

すると、兵藤はそのまま通りすぎていき、タケルや響達がいる場所に突っ込んでいった。

 

もしかして……無策で突っ込んできたのか?

 

「って、大丈夫か!?皆!?」

 

「な、なんとか…」

 

響の声が聞こえたので、無事だったようだ。

 

「す、スミマセン‼勢い余っちまって…‼」

 

「わざとでなければ文句は無い。」

 

「次は気を付けやがれ‼」

 

「ハイィッ‼」

 

戻ってきた兵藤が構え直すのを見て、俺も構える。

 

といってもさっきの戦いでダメージはなくても疲れはある程度残っている。

 

「なあ、次の全力の一撃で終わりにしないか?」

 

「いいぜ、でも俺が勝つ‼」

 

「抜かせ。」

 

デッキからファイナルベントのカードを引いてバイザーに読み込ませる。

 

《FINAL VENT》

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!》

 

向こうは限界まで力を倍加させてそれを拳へと込めていた。

 

俺が腰を低くして構えると、身体からメイルが出てくる。

 

「んなッ!?ドラゴン!?」

 

『おお…‼』

 

『…………美しい…』

 

「ハアッ‼」

 

飛び上がりメイルの光翼の弾丸を右足に集束させ、兵藤へと突き出しながら背中に火球を受けて加速する。

 

「ッ‼今命名、ドラゴンフィストッ‼」

 

俺の蹴りに合わせて兵藤が拳を突きだしてくる……

 

「メイル‼」

 

『はい‼』

 

「『【一刀羅刹‼】』」

 

俺はリミッター解除と魔力全力使用の一刀羅刹を使い、ぶつかり合う。

 

「『ハアアアアァァァァァァァッ‼‼』」

 

威力は俺が上なのか、兵藤をどんどん押し下げていく。

 

このまま押し切る‼

 

「クウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼ドライグゥッ‼‼」

 

《Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!Boost!!》

 

しかし、兵藤が更に倍加を重ねた為に逆に俺が押され始める。

 

「グゥッ!?」

 

「ドオオオォリャアアアアアアアアアアッ‼‼」

 

「ウワァッ!?」

 

最後は俺が弾かれて、変身が解除されてしまった。

 

「試合終了‼勝者、兵藤一誠‼」

 

「大丈夫、お兄ちゃん?」

 

変身が解除された事で人間態になったメイルが心配そうな顔で俺を見る。

 

「何とかな……力使い果たして動けないけど…」

 

「よ、派手にやられたな?」

 

そこにタケルが来て、俺を起こして肩を貸してくれた。

 

「ああ、完敗だよ…」

 

まあ、そこまで悔しくはないな。逆にもっと強くなってやるって気持ちになれた。

 

「あ~…マジで死ぬかと思った…」

 

兵藤の方も限界だったのか、リアスさんや向こうのアーシアに起こされていた。

 

「やるな、今回は俺の負けだよ。」

 

「お前こそ……なかなかだったぜ?」

 

そう言った後、兵藤の顔がゲスいものに変わった。

 

「んじゃ、勝者のご褒美を貰うとしますか‼」

 

そして指を鳴らした。

 

ビリィ‼×2

 

すると何かが破れる音がしたので、そちらを見たら…

 

「「へ?」」

 

………………響とエルナの服が弾けとんで、裸になっていた。

 

「「んなッ!?」」

 

「「い……イヤアアアアァァァァァァァァッ‼」」

 

二人は叫びながら、身体を隠すようにしゃがみこむ。

 

「おほッ‼ナイスなおっぱいを脳内保存‼ありがとうございます‼」

 

驚きのあまり硬直している俺とタケルに、調と切歌、小猫と玲奈ちゃんが囲うようにして二人を隠し…

 

「男どもは見るなァッ‼‼」

 

「「「「は、はいぃぃぃぃぃぃッ!?」」」」

 

マリアの怒声にタケルはすぐさま顔を横に逸らして目を閉じ、俺はメイルが後ろから目を覆って隠した。

 

向こうの木場も同じように顔を逸らし、俺達の方の木場はクリスが頭を脇に抱える様にして抑え込んでいた。

 

「ちょっと待ってて‼今、着替えを持ってくるわ‼」

 

「お願いします‼響達はそれまでシンフォギアを纏え‼」

 

俺がそう言うと、二人は聖詠とハープを鳴らしてガングニールとダウルダブラを纏った。

 

「男子達、兵藤を除いてもういいわよ。」

 

マリアの言葉でメイルが手を退けてくれたので、響達の方は見ず兵藤を睨み付ける。

 

「キミ……ナニシテクレテンダ?」

 

「え……さっき突っ込んだ時に偶然技が発動しちゃって…………せっかくだから、拝ませてもらおうかな……と?」

 

「「フ~ン、ソッカソッカ…」」

 

隣にいたタケルも同じ考えになったのか、ベルトを出した。

 

「あの……何でベルトを…?」

 

それに俺達は答えず、無言で変身する。

 

《ゲン‼カイガン‼ディープゴースト‼キルゴー‼覚悟‼ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

「…………もしかしなくても、怒ってらっしゃる?」

 

「ソウダナ、コレグライナ?」

 

《ゲンカイ‼ダイカイガン‼ゲキコウゴースト‼デスゴー‼憤怒‼ゼ・ツ・メ・ツ‼ゴースト‼紛争‼抹消‼破滅のソウル‼》

 

《FINAL VENT》

 

タケルはゲキコウモードになり、俺はファイナルベントを読み込ませた。

 

「「お前……覚悟できてんだろうな?」」

 

「……………………弁解の余地は?」

 

《キョクゲン‼ダイカイガン‼ディープゴースト‼ギガ‼オメガドライブ‼》

 

「「あるわきゃねぇだろッ‼‼」」

 

「ですよねギャアアアアアアアアアアアアッ‼」

 

兵藤は俺達のダブルライダーキックを受けて、吹き飛んだ。

 

ふう、悪は滅びたぜ‼

 

 

 

 

 

 

あれから響とエルナはリアスさんが持ってきた服に着替えたが、響は顔を赤くしながら俺を睨んでいる。

 

「ねえイッセー……見たでしょ?」

 

「な、何を…?」

 

「惚けてもムダだよ?」

 

「うぐ………………すみません、見ました…」

 

響の尋問にシラを切ろうとしたけど、あまりの迫力に白状してしまった。

 

「そっか~、見ちゃったんだ~?」

 

「俺が悪かった‼だから、許してくれ‼」

 

「じゃあ…今度二人っきりでご飯食べに連れていってくれるなら許してあげる。もちろんイッセーの奢りでね?」

 

「わかった…夏休みの間に行こうか。」

 

「うんッ‼」

 

さっきまで顔を赤くして恥ずかしそうにしていた響も、今の約束でようやく笑顔になってくれた。

 

「タケルさん‼アレは忘れてください‼いいですか!?絶対ですからね!?」

 

「お、おう……わかったから落ち着けって。」

 

「うう……お嫁さんに行く前にあんな姿を見られちゃうなんて…」

 

「お兄ちゃん…ちゃんと責任とりなよ?」

 

「ハッ‼タケルさんが責任をとってくれるならこれはこれで…‼」

 

「ホントに落ち着け‼」

 

タケルの方も大変そうだな……

 

「本当にご免なさいね、ウチの子が迷惑を掛けて。」

 

「もう良いですよ。キチンと制裁は加えさせて貰いましたし…」

 

謝ってくるリアスさんにそう言い、視線をずらすと近くの木に簀巻きになってぶら下がっている兵藤(顔面ボロボロ)がいた。

 

「ぽんどうにずびませんでびだ…‼」

 

「謝りゃ終わりって済むわけねぇだろ……ド頭に風穴空けんぞ、ああん!?」

 

「雪音先輩、持ち歌の歌詞を脅しに使わないでください…」

 

「だあってろ木場‼」

 

「うら若き乙女の柔肌を衆目に晒すなど言語道断だ。これでもまだ手緩い。」

 

「…イッセー先輩の顔でえっちぃ事をするなら…」

 

「月に代わってお仕置きデス‼」

 

「…同じ赤龍帝として嘆かわしい。」

 

『俺は悪くない……悪いのは…悪いのは全部相棒だあああああああッ‼‼』

 

『この世界の俺よ……強く生きろ…‼』

 

「兵藤は何故胸に拘るのだろうか……もしや、それが奴の成長の秘密なのか?ならば俺も…」

 

『やめろヴァーリッ‼それだけは本気のマジの全力全開でやめてくれぇぇぇッ‼‼』

 

なんか……この世界の二天龍の威厳はいつか地に落ちそうな気がしてきた……いや、片方は既に落ちてるか。

 

「アハハハハハ‼こっちの世界のドライグとアルビオンは面白いね、お兄ちゃん‼」

 

それを俺に肩車されながら見ているゆめが笑っている。

 

「あんまり笑ってやるな。それと体力的にキツいからそろそろ降りてくれ…」

 

「はぁーい。」

 

返事をしたゆめは俺の肩から飛び降りる。

 

「……おい、さっきから気になっていたんだが…………ソイツは誰だ?」

 

「ん?俺の神器に封印されてるドラゴン。」

 

「ドラゴンの時はメイル、人間の姿の時はゆめって呼んでください‼」

 

「ああ、神器の中に……はいいいいいいいッ!?」

 

俺がこの世界のオッチャンの質問に答えると、奇声を上げながら驚いた。

 

「どうやって神器から出てんだ!?そんなの聖書の神じゃねぇと出来ないはずだ‼」

 

「俺が変身するライダーはモンスターと契約する事で力を発揮するんだ。メイルが出てこれるのは俺と契約したその恩恵らしい。変身してないと人間態にしかなれないけどな。」

 

「……おい、お前の神器とそっちの塔城の神器を調べさせてくれないか?これは世紀の大発見になるぞ…‼」

 

「「うん、遠慮します。」」

 

「即答!?……ま、それは自分で解き明かすか。」

 

オッチャンはあっさりと諦め、リアスさんのところに戻っていった。

 

「さて、そろそろ帰るぞ‼」

 

『『『『『はーい‼』』』』』

 

「あら、もう帰るの?」

 

「ええ、いい特訓になったと思いますし……メンタルが持ちそうにもないんで…」

 

「それは……本当にごめんなさい。」

 

リアスさんの謝罪を受けながら、俺は背後に異世界渡航ドアを出した。

 

『『『『『どこで○ドア!?』』』』』

 

「異世界渡航ドアです。それでは皆さん、また機会があったら会いましょう。」

 

最後にそう言って俺達はドアを潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠(原作)side

 

別世界の俺が帰って行くのを見つつ、俺はあることを考えていた。

 

「そういや昇格(プロモーション)ってフォームチェンジに近いようなもんだよな?」

 

小さい頃に見た特撮にもよくあったし……

 

「昇格と禁手を合わせてフォームチェンジ出来たら格好よくね?」

 

そう思ったら試したい衝動が沸き上がってきた。

 

よし、今度やってみるか‼…………その前に、

 

「誰かそろそろ降ろしてえぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Next world side

 

「おい、それで何をやるつもりだ?」

 

「実験だよ……これがボクたちにどんな変化をもたらすかのね?」

 

「ふん‼勝手にしろ。俺も勝手にさせてもらう‼」

 

そう言って僕の仲間は()()()()()()()()()()()()

 

「なら、そうさせてもらうよ。」

 

僕は手の中にある禍々しい感じの()()()()を握り締める。

 

「さあ、隠しステージを彼等がどんな風にクリアするのか………………心が踊るなぁ…‼」

 




いかがでしたか?

皆様の期待には答えられて無いような気がしてます……でも、やり過ぎると今後のネタとかにも被りが出てくるし……

取り合えず次回は別の世界です。

次回【新たな世界へLet's GO‼】

なお、次回はシンフォギアメンバーはエルナを除いてお休みです。

後、活動報告で眼魂の募集をしていますので良ければそちらの方も見てください。


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新たな世界へLet's GO‼

どうも、疾風の警備員です。

今回から新しい世界ですが、そこで一誠達が一騒動に巻き込まれます。

では、本編をどうぞ


一誠side

 

『いいわ、戦いましょう?私と……貴女で。』

 

『なら、私の槍で……この思いを貴方に届けてみせる‼』

 

『違う…‼それは………………お姉ちゃんの槍だッ‼‼』

 

「「おお…」」

 

最初の異世界から帰って来て2日経った朝、俺はゆめと一緒に録画していたローラちゃん達が出ている【合唱戦姫シンフォニーア】を見ていた。

 

「ローラも真昼ちゃんも迫力ある演技だね。」

 

「ああ、さすがアイドルなだけあるな。」

 

♪~♪~♪~

 

そしてエンディングに入った時、俺の携帯が鳴った。

 

「誰だ……オッチャンか。」

 

俺は携帯を手に取り、相手を確認したらオッチャンだったので、通話モードにした。

 

「もしもし?」

 

『おうイッセーか?次の世界への座標の固定が出来たからコッチに来てくれ。』

 

「わかった。」

 

『んじゃ、待ってるぞ?』

 

そう言って通話が切れた。

 

「アザゼルさんはなんて?」

 

「次の世界へ行けるようになったから、冥界に来てくれって。」

 

「今度はどんな世界なんだろうね?」

 

「それは行ってからのお楽しみだな。ゆめ、中に入ってくれ。」

 

「はーい。」

 

ゆめを身体の中に戻した俺は、転移アイテムで冥界へと向かった。

 

そして、オッチャンのいる部屋に着くとそこにはタケルとエルナ、玲奈ちゃんがいた。

 

「あれ?まだこれだけなのか?」

 

「ああ、他の人達はまだ来てないぞ。」

 

「お、揃ってるな?」

 

そこにオッチャンとキャロルさんにみくるさんとゼノヴィアがやって来た。

 

「失礼する。」

 

「やっほ~♪イッセー君達、久し振り‼」

 

「お久しぶりです。オッチャン、揃ったって……響達が来てないぞ?」

 

「彼女達は今回、お休みだ。」

 

「「「「お休み?」」」」

 

キャロルさんの言葉に俺達は首を傾げた。

 

どういう事だ?響達が風邪とか引いたのか?

 

「今、彼女達のシンフォギアのバージョンアップを行っている。それには時間が掛かるのでな、今回の渡航はお休みという事だ。」

 

「「「「おおッ‼」」」」

 

キャロルさんの説明に俺は驚いた。

 

シンフォギアのバージョンアップが可能だったなんて‼これならあのNにも対抗する事が出来るかもしれないな‼

 

「それであまり人数が少ないのは危険だから、ヴァーリの眷属から2人程連れてきてもらったんだ。」

 

「私は改修と武装を追加してもらったメガウルオウダーのテストも兼ねてだけどね。」

 

「ワタシは自分から志願した。お前達の護衛は任せて貰おう。」

 

みくるさんは左腕に付けたメガウルオウダーを見せながら、ゼノヴィアはやる気満々な表情でそう言った。

 

「2人共、ありがとう。」

 

「さて、前回はコッチと似た世界らしかったけど、今度もどんな世界かわかんねぇから面白い情報を頼むぞ?」

 

「一応修行がメインなんだけど?」

 

「気にすんな。取り合えず、気を付けて行ってこい。」

 

「「「「「行ってきます‼」」」」」

 

オッチャン達にそう言って俺達は異世界渡航ドアを潜った。

 

しかし、この時から次の世界の騒動に巻き込まれているなんて、俺達は思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

扉を潜った先にあったのは大きなビルとかが並ぶ都会だった。

 

「おお、ずいぶん都会な場所に出たな。」

 

「これが都会というものか……なかなかに壮観だな…」

 

隣に立っているゼノヴィアさんも、周りの風景に見とれていた。

 

「なあイッセー、これからどう……あれ?」

 

「どうした……む?」

 

今後の行動を相談しようと後ろにいるだろうイッセーに声を掛けたんだけど……

 

「誰もいない…?」

 

この世界の人達はいたが、イッセー達がいなかった。

 

「はぐれたのか?」

 

「いや、俺達は扉を出てから殆ど動いちゃいねぇ……つまり、扉の方に何かあったと考えるのが妥当か。」

 

もしくはこの世界の影響なのか…?だとしたらこの世界で何かが起きている?

 

「ゼノヴィアさん、周りに注意を『フハハハハハハハハハッ‼‼』ッ!?」

 

突然の笑い声にその方向を向くと、逃げ惑う人達と1体の怪人が歩いてきた。

 

「テメェは…‼」

 

『ん、貴様は誰だ?』

 

「ゼノヴィアさん‼」

 

「ああ‼」

 

俺は直ぐにゴーストドライバーを、ゼノヴィアさんはオーガギアを装着して変身シークエンスに入った。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

《Standing By‼》

 

「「変身‼」」

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

《Complete‼》

 

ゴーストとオーガに変身し、武器を構える。

 

『仮面ライダーだったのか!?しかし好都合だ…」

 

そう言うと、怪人は姿を消した。

 

「逃げた?」

 

「だが、なぜ「見つけたぞ‼」ッ!?」

 

怪人の行動を怪しんでいたら、そこに赤いズボンにオレンジのシャツの上から白衣を着て首には何やら機械的な聴診器をかけた男性と看護士の服を着た女性がやってきた。

 

「誰、あんた?」

 

「この世界をお前達の好きにはさせない‼」

 

「へ?」

 

いきなり何言ってんだ、この男は?

 

だが、俺はその後の男の行動に驚きを隠せなかった。

 

男は左手に黄緑とピンクで彩られた箱のような物を持ち、腰に当てるとベルトが伸びて装着された。

 

「ッ‼それは!?」

 

そして右手にピンク色のカセットのような物を握り、それのボタンを押した。

 

《マイティアクションX‼》

 

するとその男の後ろにゲームのスタート画面みたいなのが現れ、そこから茶色いキューブ状の物体が周囲に配置された。

 

「御堂‼あれはもしや…‼」

 

「間違い無い‼アイツは…‼」

 

「この世界の運命は……俺が変えるッ‼‼」

 

男は右手を左前に出すと、そこから大きく腕を回しながら顔の右側まで持っていき……

 

「変身‼」

 

そう叫び、カセットを逆さにして左手に持ち替えて上に突き上げ、一気に振り降ろしながらベルトに装填した。

 

《ガシャット‼》

 

そしたら男の周囲にキャラクターが描かれた多数のアイコンのようなものが回り始め、その内の1つに男は右手を伸ばして選択し、そのアイコンにSELECTと表示される。

 

《レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》

 

そのアイコンと重なり、男の姿が変わるとそこには…

 

《アイム・ア・仮面ライダー‼》

 

「奴は仮面…ライダー?」

 

そして変身が終わった姿は、ピンクの逆立った髪にゴーグルをかけたような顔に胸にはコントローラを模していて、何かのゲージと武器のアイコンが2つ描かれていた。

 

そして何よりも驚いたのがその全体像で、短い手足にずんぐりとした身体に大きな頭といった4頭身の姿だった。

 

「「……ゆるキャラ?」」

 

俺とゼノヴィアさんの声が重なる。

 

どう見てもライダーには見えなかった。むしろゆるキャラといった方がしっくりくる。

 

「お前達がここ最近、街を騒がせている犯人だな‼」

 

「「へ?」」

 

俺はその言葉に呆然としながらも、あの怪人の言葉を思い出した。

 

好都合ってあのヤロウッ‼俺たちを敵にしたてあげやがった!?

 

「明日菜さん、反応があった場所に向かった皆に連絡を‼」

 

「わかった‼」

 

「いくぜ、大変身‼」

 

ゆるキャラライダーはそう叫ぶと、ベルトのレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

すると、ベルトからゲートが出てきてそれを潜った。

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティマイティアクション‼X‼》

 

そしたら、ソイツの白い身体が弾けとんで、ピンク色の胴体の等身大になった。

 

「SDから…‼」

 

「リアルに!?」

 

「さあて、ノーコンティニューでクリアしてやるぜ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ここは…?」

 

「何処なんでしょう?」

 

俺は玲奈ちゃんと一緒に異世界の探索をしていた。

 

「それにタケル達ともはぐれちまったし…」

 

扉を潜ったら、そこには俺と玲奈ちゃんしかいなかった。

 

「扉の故障ですかね?」

 

「それは解らないけど…」

 

すると目の前から白衣を着た男が歩いてきた。ソイツは俺達の前で止まるとこちらを睨み付けてきた。

 

「誰ですか?」

 

「見つけたぞ、イレギュラー。」

 

「「へ?」」

 

その男は俺達に向かってそう言った。

 

「研修医から連絡があった。ピンクのドアの近くにいる奴等は怪人の仲間だとな。」

 

「つまりお前達は邪魔者って訳だ。」

 

そこに新たな声が聞こえ、後ろを向くと白衣を着て髪の一部が白い男がいた。

 

「ヤブ医者、何故ここにいる?」

 

「さあな?」

 

「……で、俺達に何の用だ?」

 

「なら、端的に教えてやる。」

 

そう言って男達は黄緑とピンクに彩られたベルトを装着した。

 

「イレギュラー、お前達の存在は……No Thank youだ。」

 

《タドルクエスト‼》

 

《バンバンシューティング‼》

 

前の男が右手に持った、後ろの男は左手に銃を持つような形で持った何かのカセットを起動させると音声と共に背後にゲームのスタート画面が現れ、周囲に宝箱とドラム缶が配置された。

 

「これは…?」

 

「ゲーム……ですよね?たぶんRPGとシューティングゲームの…」

 

前の男は右手を左前に持っていきながら、後ろの男はカセットを右手に持ち替えガンスピンのように回し、

 

「「変身。」」

 

そう呟き、カセットをベルトに装填した。

 

《ガシャット‼レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》×2

 

そして現れたアイコンを前の男は左手を横に伸ばして騎士の、後ろの男は右手を銃の形にして右目が隠れたキャラのアイコンを選択した。

 

《アイム・ア・仮面ライダー‼》×2

 

そして彼等が変身した姿は、アイコンの顔に4頭身のずんぐりむっくりしたものだった。

 

「術式レベル2。」

 

「第弐戦術。」

 

しかし、男達はそう呟くとベルトのレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》×2

 

《タ~ドルメグル‼タドルメグル‼タドルクエスト~‼》

 

《ババンバン‼バンババン‼バンバンシューティング‼》

 

「「ッ‼」」

 

すると彼等の白い身体が弾け飛び、騎士の方は水色の胴体に左手に盾を装備した騎士、もう一人は蛍光イエローのマントを右寄りに羽織った紺色の身体の等身大の姿となった。

 

「姿が変わった!?」

 

「レベルアップって…」

 

「これより、イレギュラー切除手術を開始する。」

 

「ミッション開始。」

 

「く!?玲奈ちゃん‼俺達も‼」

 

「はい‼」

 

俺はカードデッキを前に突きだし、玲奈ちゃんは眼魂をバックルに入れてレバーを引いて押し込んだ。

 

「「変身ッ‼」」

 

《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

光龍とユリンに変身したら俺は騎士の、玲奈ちゃんは右目を隠した男との戦闘に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みくるside

 

扉を潜ったら私とエルナちゃんは何処かの河川敷にいた。

 

「タケルさん達は何処なんでしょうか?」

 

「解らないけど……探しにいきましょうか。」

 

取り合えず行動しようと思ったら私達の前にこの場には似つかわしくないピシッとしたスーツを着た男性が現れた。

 

「どうしたんだい、お嬢さん方?」

 

「あ、えっと…道に迷って…」

 

「そうか、それはお困りのようだね。」

 

その男性は人の良さそうな笑顔で対応しているが、私は彼に対して不信感しかなかった。

 

「では、私があんな「待って、貴方の目的は何?」」

 

彼が言葉を言いきる前に私は割って入った。

 

「みくるさん?」

 

「エルナちゃん下がってて、あの男は怪しい。」

 

「おやおや、初対面なのに…………勘の鋭い子だ。」

 

そう言って彼は笑うが、そこには侮蔑も含まれていた。

 

「もう一度聞くわ、貴方の目的は何?」

 

「目的か…」

 

すると男は腰に黄緑とピンクに彩られたベルトを装着した。

 

「それは、君達を排除しに来たのさ。」

 

そう言って右手に持った紫のカセットのような物を起動させた。

 

《マイティアクションX‼》

 

彼の背後にゲームのスタート画面が現れ、周囲に茶色いキューブ状のようなものが設置された。

 

私はそれを見て左腕にメガウルオウダーを装着し、ネクロム眼魂を持ち起動させた。

 

《Stand by‼》《Yes Sir!!》《Loading!!》

 

「「変身。」」

 

《TENGAN NECROM MEGA ULOAD!!》《CRASH THE INVADER!!》

 

《ガシャット‼レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》《アイム・ア・仮面ライダー‼》

 

私はネクロムになり、向こうは黒い髪を逆立てた赤い目のぽっちゃりさんに変わった。

 

「……それで勝てるとでも?」

 

「いや、これじゃ難しいだろう。だから、レベルを上げよう。」

 

かなりくぐもった感じの声でそう言って奴はベルトのレバーを開いた。

 

「グレード2。」

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティー‼アクショーン‼X‼》

 

するとぽっちゃりした身体が弾けとんで、黒と紫の等身大の姿となり右手にはチェーンソーと銃を合体させたパッド型の武器があった。

 

「この姿なら問題ない。」

 

「…………そう。」

 

戦闘モードに意識を切り換えた私は拳を構える。

 

「だったら……壊す。」

 

「やってみたまえ。」

 

そして互いに駆け出し、拳同士が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

パラドside

 

「さあ、ボーナスステージの始まりだ。どんな結末になるか…………心が踊るなぁ♪」




いかがでしたか?

次回は怪人の罠によるエグゼイド勢との戦闘になります。

次回【エグゼイドの世界 Level1】

「な~に皆して乗せられちゃってんの?」

では、また次回で。


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エグゼイドの世界 Level1

どうも、疾風の警備員です。

今回はエグゼイド勢との戦闘です。

まさか、あの子の設定が次のライダーシリーズで使えるなんて、作った時は思いもしなかった……

では、どうぞ。


みくるside

 

《ギュ・イーン‼》

 

私と黒いライダーはぶつかり合った拳を離して距離を取ると、向こうはパッドの前後を入れ換えてチェーンソーを前にして斬りかかって来た。

 

「フッ。」

 

「ハッ‼」

 

私は左腕でそれを受け流し、右手の掌底を打ち込む。

 

「グッ!?」

 

そこから更に左右の掌底をお腹に叩き込み、アッパーで顎を打ってヤクザキックをめり込ませ、彼は地を転がった。

 

私は更に追撃をしようとした……

 

《チュ・ドーン‼》

 

「ハアッ‼」

 

「クゥッ!?」

 

が、銃口を前にしたパッドに撃たれ、それは断念された。

 

「なるほど、中々の強さだ。」

 

「……戦場で御託はいい。」

 

「そうか、なら私も少し本気を出そう。」

 

そう言うと、黒いライダーは黄緑色のカセットを手に持ち、ボタンを押した。

 

《シャカリキスポーツ‼》

 

後ろにスタート画面が現れ、彼はベルトのレバーを閉じた。

 

《ガッチョーン》

 

そして刺さっているカセットの隣に、そのカセットを刺した。

 

《ガシャット‼》

 

「グレード3。」

 

最後にベルトのレバーを再び開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

そしたら、黒いライダーの横に黄緑とピンクに彩られたBMXが出てきた。そして黒いライダーは紫と緑のゲートを潜る。

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティー‼アクショーン‼X‼アガッチャ‼シャカリキ‼シャカリキ‼バッドバッド‼シャカッと‼リキッと‼シャカリキスポーツ‼》

 

するとライダーとBMXが合体し車輪が両肩、残った中央部が胴体のプロテクターと頭のヘルメットへと変わった。

 

「さて、君はレベル3にどこまで対応出来るのかな?」

 

そう言って奴は車輪を外し、紫のオーラを纏わせながらこちらへと投げてきた。

 

「そんなもの…」

 

私はそれを手刀で弾く。

 

「甘いな…」

 

「?(ドゴォッ‼)うあッ!?」

 

その刹那、背中に強烈な一撃をもらい、怯んだ所を何かが連続でぶつかってきて、今度は私が地を転がった。

 

「くッ!?いったい何が…」

 

その時、黒いライダーの手に先程の車輪が戻ってきた。

 

まさか、投げた後でも操れるの!?

 

「まだ終わりではないよ?」

 

奴はパッドからビームを放ってきて、私は転がりながらそれを回避し、メガウルオウダーから新しく追加された1つの武器を取り出した。

 

それはタケル君や玲奈ちゃんが使っているガンガンハンドに似ているが、掌の部分がガジェット接続端子ではなく、眼魂を入れるソケットになった白と黄緑、オレンジで彩られた武器【ガンガンキャッチャー】だ。

 

私は直ぐ様それを銃モードにして、起き上がりながら飛んできたビームを撃ち落とす。

 

「ほお…」

 

「…勝負はこれから。」

 

ガンガンキャッチャーを構え、連射しながら私は走り出す。

 

「む…」

 

向こうはそれを車輪を盾にして防いでいるが、ある程度近づいたらロッドモードにしたガンガンキャッチャーで胸を突いた。

 

「グフッ!?」

 

そこから私はもう二歩程近づき、上段から叩きつけてよろけた所を更に突き、後ろに下がろうとする奴の左腕をガンガンキャッチャーで掴み取って引き寄せ、回し蹴りを喰らわせて吹き飛ばした。

 

「グハッ!?」

 

「…今。」

 

この隙に私はガンガンキャッチャーのソケットにアイルトン眼魂を装填した。

 

『DAIKAIGAN!!』

 

キャッチャーを再び銃モードにし、銃口に緑色のエネルギーをチャージしていく。

 

「…発射。」

 

『OMEGA FINISH!!』

 

そして引き金を引いた瞬間、音すら置いていく速度の弾丸が敵を撃ち抜いた。

 

「ウワァッ‼」

 

それを受けた黒いライダーは勢いよく吹き飛んだ。私は倒れた黒いライダーの下まで歩み寄った。

 

「レベル3が……何だって?」

 

「ウグッ……どうやら、私は君を少し見誤っていたようだ…今回は撤退させてもらおう。」

 

「させるとでも?」

 

私は銃口をライダーの頭に向け……

 

「出来ないのなら……出来るようにするまでさ。」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

そこで奴が黄緑のカセットを、横のスロットにセットし、すぐさまボタンを押した。

 

《SHAKARIKI‼CRITICAL STRIKE‼》

 

「ハアッ‼」

 

「キャアアアアッ‼」

 

そして至近距離からカラフルなエネルギーの車輪型ビームを喰らってしまい、吹き飛ばされて変身が解けてしまった。

 

「く…‼あれ?」

 

何とか起き上がり、周囲を確認するがそこに黒いライダーはいなかった。

 

「逃げられちゃったか…イタタ…」

 

何とか立ち上がるが、最後に受けた攻撃のダメージは残っていたのか、胸元から痛みが走った。

 

「みくるさん‼大丈夫ですか!?」

 

「あ、エルナちゃん……ちょっと身体がキツいかな?」

 

「今回復します‼」

 

隠れていたエルナちゃんに回復魔法を掛けてもらい、痛みはすぐに収まった。

 

「ふぅ~…ありがとね。回復してもらっちゃって。」

 

「いえ…でもあのライダーはいったい何の目的で私達を…」

 

「わからない……とりあえず今は皆と合流しないと。たぶん、皆も襲われているはず…」

 

「うえッ!?なら急がないと‼」

 

「うん、私も護衛としての役目を果たさないと…‼」

 

何より悔しいのはアイツはまだ本気じゃなかった……それなのにこんな結果じゃ、ヴァーリの女王なんて胸を張って言えない…‼次は必ずアイツを壊す‼その為には()()を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

《ガシャコンマグナム‼》

 

《ガンガンハンド‼》

 

「フッ‼」

 

「ヤアッ‼」

 

互いに武器を出した私達は、その場で銃口を向けて撃ち合う。

 

その銃弾は全て中央でぶつかって相殺された。

 

「テヤアアアアアアアアッ‼‼」

 

「フンッ‼‼」

 

そのまま横に移動し、ドラム缶を盾にしながら撃ちまくる。

 

私は向こうの弾丸を撃ち落としつつ、隙間を掻い潜って相手へと当てる。

 

「くッ!?中々の腕前じゃねぇか……嬢ちゃん?」

 

「貴方のゲームがシューティングなら…私に勝つのは無理だよ。」

 

「なに…?」

 

「それにゲームで対戦といえば…」

 

私は少し離れた所にあるドラム缶を撃ち壊すと、中から金色のメダルみたいなのが出てきて、私に吸い込まれた。

 

「強化アイテムでしょ‼」

 

《スピードUP‼》

 

メダルの効果で速度が上がった私は、一気に敵に突っ込んで銃口を押し付けて至近距離で撃った。

 

「グアッ!?」

 

「フフン♪子どもだからって甘くみないでよね?」

 

「ちぃッ‼ガキの癖に銃の扱いが妙に様になってやがる‼」

 

「そりゃそうよ、私…全国中学生射撃大会で優勝してるし、町にある全てのシューティングゲームの記録一位を維持しつつ、更新していってるんだから‼」

 

だからこの勝負、負けられないし負けるつもりもない‼

 

「だったらこんな趣向はどうだ?」

 

向こうはそう言うと、オレンジ色のカセットを左手に持ち、銃を撃つようにボタンを押した。

 

《ジェットコンバット‼》

 

新しく浮かび上がったスタート画面からオレンジ色の戦闘機を模した小さいキャラが出てきた。

 

「か……可愛い…‼」

 

私がそれに見とれている間に、ベルトのレバーを閉じ、カセットを刺した。

 

《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

「第参戦術。」

 

そしてレバーを再び開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼ババンバン‼バンババン‼バンバンシューティング‼アガッチャ‼ジェット‼ジェット‼イン・ザ・スカイ‼ジェット‼ジェット‼ジェットコンバーット‼》

 

するとさっきの戦闘機が相手を頭から食べ、そのまま変形して背中にジェットエンジンとウイング、左右の腰の所にガトリングガンを装備、右目を隠していたパーツが上に捲れバイザーが付いた姿へと変わった。

 

「ここまで追い付けるかな?」

 

向こうは背中のジェットを吹かして空へ飛び上がると、両手にガトリングガンを持ち、私へと撃ち始めた。

 

「ちょッ!?空からとかズルい‼」

 

「知るか。」

 

「キャアッ‼」

 

縦横無尽に動き回る相手に私の射撃が当たらなくなり、逆に私は向こうの攻撃を喰らうようになった。

 

「こうなったら…‼」

 

私は右手に赤、青、白のトリコロールの眼魂を持ち、ナンバリング状態にしてバックルに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

するとバックルから白地に青いライン、所々に赤いクリスタルが付いたドレス風のパーカーが出てきて、ポーズを決めると髪をサイドテールで纏め機械的の魔法の杖みたいなのを持った女性が浮かび上がった。

 

「お願いします、なのはさん‼」

 

『うん、任せて‼』

 

《カイガン‼ナノハ‼射撃‼砲撃‼星の輝き‼》

 

そしてパーカーを羽織ると、顔には星を模したエンブレムが描かれた。

 

「行くよ‼【アクセルフィン】‼」

 

私は足にピンク色の羽根を生やすと、そのまま空へと飛び上がった。

 

「おいおい、着替えただけで飛べるのかよ?」

 

「今の私は魔法少女ですから‼」

 

『私はもう少女っていえる年じゃないけど…』

 

なのはさんの発言はムシして、ロッドモードにしたガンガンハンドで大きく円を描くと、その周りにピンク色の光球が大量に出てくる。

 

「アクセルシューター‼シュゥゥゥゥゥトッ‼‼」

 

そしてガンガンハンドを前に突き出すと、光球が相手へと向かっていった。

 

「そんなもの…‼」

 

向こうはガトリングガンで撃ち落とそうとする……

 

『コントロールは私がやるよ‼』

 

が、なのはさんの操作で弾幕を避けながらライダーに命中した。

 

「うおッ!?コントロール可能って訳か…‼」

 

「このまま追撃‼」

 

ハンドを銃モードに変え、そこからピンク色の太いビームを撃つ。

 

「【ディバインバスター】‼」

 

「ち…‼」

 

ライダーはそれをギリギリでかわした。

 

「まだまだ‼」

 

照準を合わせてバスターを連発するが、向こうもそれをアクロバットな動きでかわす。

 

「こんのッ‼」

 

「そんなにバカスカ撃ってると、危険だぜ?」

 

私より少し下の所で止まったのをみて、すぐさまバスターを撃とうとしたら……

 

『いけないッ‼撃っちゃダメ‼』

 

「え?」

 

なのはさんの声に撃つのを止め、よく見ると奴の後ろに戦っているイッセーさんがいた。

 

「ッ‼卑怯よ‼」

 

「そこにいるお前が悪い。」

 

奴はオレンジのカセットを抜き、横のスロットに挿し込みボタンを押した。

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

《JET!!CRITICAL STRIKE!!》

 

腰に構えたガトリングガンと背中から大量のミサイルが発射される。

 

これ、雪音さんの技に似てる‼

 

そして逃げる暇もなく、弾丸とミサイルが私を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

《ガシャコンソード‼》

 

《SWORD VENT》

 

「ハアッ‼」

 

「オリャッ‼」

 

剣を出した俺達は互いに接近してつばぜり合う。

 

それを止め距離を半歩分離すと、向こうが手首を返して横凪ぎに振るってきたが、俺は上に上げていた手を回して剣先を下に向け左腕を支えにして受け止める。そして力を込めて上に弾き左手で殴り掛かるが盾に受け止められ、振り下ろされた剣をバイザーで受け止める。

 

「何故貴様らは【バグスター】の味方をする?」

 

「バグスター?」

 

奴の言葉は俺には訳のわからないものだった。

 

バグスターってなんだ?眼魔とは違うのか?

 

「惚けるか……並ば、倒して聞き出す‼」

 

剣にあるBボタンを2度叩いた相手は、剣に炎を纏わせながら振るってくる。

 

「くッ‼」

 

『主‼』

 

それを解放龍の剣で受け止め、

 

《Remote!!》

 

神器の能力で炎を解除する。

 

「なにッ!?」

 

「そんなもんでッ‼」

 

お返しとばかりに剣を振るうが、盾で防がれる。

 

「炎が通じない…?だったら手術方法を変える。」

 

《コ・チーン‼》

 

向こうがAボタンを押すと、刀身が180度回転して水色の刀身に変わり、それを逆手に持ちBボタンを2度叩いた。

 

「ハアッ‼」

 

「テリャッ‼」

 

振られた剣を解放龍の剣で切り結ぶ。

 

炎ならさっき見たんだ‼解除なんて……

 

『あ、主……さささ、寒い…‼』

 

「へ?」

 

そう思っていたが、剣を見ると切り結んだ所が凍っていた。

 

って凍ってる!?炎だけじゃなくて氷も操れるのかよ‼

 

「フン…」

 

俺達が驚いている時、奴はBボタンを5回叩くと地面に突き刺した。

 

すると氷が地面を走り、俺の足元まで来ると膝から下までを凍らせた。

 

「あ!?う、動けねぇ…‼」

 

「俺に斬れないものはない…」

 

《カ・チーン‼》《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

そう言い、奴はベルトのカセットを剣のスロットに差し込んだ。その剣には氷と炎が纏っていく。

 

《TADDLE!!CRITICAL FINISH!!》

 

「ッ!?ヤベェッ‼」

 

必殺技が来ると思った俺はデッキから急いでカードを引いてバイザーに読み込ませた。

 

「セアッ‼」

 

それと同時に奴の攻撃が俺に直撃した。

 

「さて、いろいろ聞かせ「Imyuteus amenohabakiri tron」何ッ!?」

 

爆炎の中から俺はアメノハバキリフォームになって出た。

 

「姿を変えた……その時のエネルギーで相殺したか。」

 

「いざ……参る‼」

 

 

ー推奨BGM【絶刀 天ノ羽々斬】(一誠ver)ー

 

 

俺は足のスラスターを吹かし、地面を滑るように移動する。

 

「速い…‼」

 

「そこ‼」

 

背後を捕った俺は直ぐに近づき、手に持った刀で一撃をくわえる。

 

「グッ!?」

 

「ソリャアッ‼」

 

更に左のスラスターの出力を上げて、その場で回転しながらブレード部分で蹴り飛ばす。

 

「グアッ!?」

 

そのチャンスを見逃さず、剣を巨大化させて斬撃を飛ばす。

 

《蒼ノ一閃》

 

「ウアアアアッ!?」

 

直撃を貰った敵は地面を転がった。

 

「一応言っておくけど、俺達はバグスターなんて知らないしあんた達にいきなり襲われる理由もない。」

 

「だが、この世界に未知の敵が現れるのと同時に現れたイレギュラー……疑うなという方が無理だ。」

 

「それは…」

 

相手の言葉は利にかなっている。俺も実際にあったらそう思うかもしれない……

 

「だから貴様達はここで切除する…‼」

 

《ドレミファビート‼》

 

そこで奴は蛍光イエローのカセットを取り出し、起動させるとスタート画面から金に近い黄色のロボットが出てきた。

 

「それは…」

 

「術式レベル3。」

 

《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

レバーを閉じ、カセットを空いてる場所に差したら、再びレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼タ~ドルメグル‼タドルメグル‼タドルクエスト~‼アガッチャ‼ド・ド・ドレミファ‼ソ・ラ・シ・ド‼OK‼ドレミファビート‼》

 

すると、出てきたロボットが大きく口を開けながら相手に噛みつき、変型していくと右手にはDJが使うターンテーブルが、左肩には2基のスピーカーが装備され、顔はピンクのゴーグルにサンバイザーが付いた姿へとなった。

 

「RPGにリズムゲームか……つか、あんたはリズムゲームとか苦手そうに見えるけど…?」

 

俺はそう言うが、奴は何も答えずにターンテーブルを操作してスピーカーから音楽を流し始めた。

 

 

ー推奨BGM【EXSITE】ー

 

 

そして剣を仕舞い、此方に歩いてくる。

 

「なんだか知らないけど…‼」

 

俺は刀を握り締め、奴へと振るう……

 

「フ…‼ハア‼」

 

が、それは弾かれ胸に掌底を喰らう。

 

「ウアッ!?…この‼」

 

よろめきながら剣を振り下ろそうとしたら、その前に向こうの腕をこちらの腕の下に入れられて妨害され、がら空きになった脇腹に掌底の3連撃を叩き込まれる。

 

「グハッ!?」

 

その後も攻撃しようとも防ぐか弾かれ、出来た隙に掌底が何度も打ち込まれる。しかもそれは、音楽に合わせ段々と力が上がっていた。

 

そして曲の終わりと同時に叩き込まれた一撃で俺は吹き飛んだ。

 

「リズムがぴったり…‼どんなからくりだ!?」

 

膝を着きながら、そう言ったら…

 

「心肺蘇生法ならば熟知している。」

 

そう返ってきた。

 

心肺蘇生法…?それって確か人工呼吸と……ってもしかして…‼

 

「心臓マッサージのリズム!?」

 

嘘だろ!?まさかそれをリズムゲームを応用してくるなんて…‼

 

「キャアアアアアアアッ‼‼」

 

更に、空から玲奈ちゃんが俺の目の前に落ちてきた。

 

「ッ‼危ない‼」

 

痛む身体に鞭打って駆け出し、地面とぶつかる前に彼女をお姫さま抱っこでキャッチした。

 

「大丈夫か!?」

 

「え?た、龍見さん…?」

 

「良かった…」

 

彼女の無事に安堵していたが……

 

《ガシャット‼キメワザ‼》×2

 

前後からその電子音声が聞こえ見てみると、騎士が剣にト音記号のエネルギーを纏い、右目が隠れていた方はライフルにエネルギーを溜めてこちらに向けていた。

 

「くッ!?ごめん‼」

 

「ふえ?きゃあッ‼」

 

俺はとっさに彼女を近くの植え込みへと投げた。それと同時に……

 

《DOREMIFA!!CRITICAL FINISH!!》

 

《BANG BANG!!CRITICAL FINISH!!》

 

放たれた必殺技が俺に直撃した。

 

「ウアアアアアアアアッ‼‼」

 

「龍見さん‼」

 

あまりの威力に俺は変身が解け、その場に倒れた。

 

「龍見さん‼しっかりしてください‼龍見さん‼」

 

「ガハッ‼……に…逃げろ…‼」

 

「でもッ‼」

 

「いいか「逃がすと思うか?」……くッ‼」

 

再び必殺技を放とうとしている姿を見て、もう一度変身しようとしたら……

 

《DAITENGAN NECROM OMEGA ULOAD!!》

 

「テヤァッ‼」

 

「あ?グアッ!?」

 

銃を持っている奴は、やって来たネクロムの飛び蹴りを喰らって吹き飛び、

 

「ファイヤーウォール‼」

 

「何ッ!?」

 

騎士の攻撃はエルナが張ったシールドに防がれた。

 

「大丈夫、二人とも?」

 

「私より龍見さんが‼」

 

「大丈夫ですよ、ボクが治しますから。」

 

エルナが俺の近くに来て、回復魔法を使い傷を癒してくれたお陰で何とか起き上がった。

 

「悪い、助かった。」

 

「いえ、間に合って良かったです。」

 

「回復か……厄介な。」

 

「テメェ…‼よくもやりやがったな‼」

 

「黙れ……壊されたい?」

 

「やれるもんならやってみ「ストップストップ‼皆、戦いを止めろ‼」ああん!?」

 

そこに新しい声が聞こえ、そこにはサクラハリケーンに乗ったゴーストとオーガ、黄色いバイクに乗ったピンク色のライダーだった。

 

「何故止める、研修医?」

 

「コイツらは敵じゃない‼他にいたんだ、この事件の犯人が‼」

 

「おいおい、コイツらがその仲間と言ったのはお前だぞ?」

 

「う…!?すみません、俺の判断ミスです‼」

 

「まったく…な~に皆して乗せられちゃってるの?」

 

すると、また声が聞こえたが声の方を見ると黄色のバイクしかなかった。

 

「貴様は黙っていろ、監察医。」

 

え…?監察医?どこにそんな人が……

 

俺達が声の方を見ていたら…

 

「レーザー、変身解くか人型にならないとこの人達困惑してるぜ?」

 

「おっとそりゃそうだな。」

 

《ガッチョーン》

 

レバーを閉じる音が聞こえると、バイクが他のと同じ白いずんぐりむっくりの身体の人型になった。

 

「バイクが……人間に?」

 

「いや、一応人間だから。人からバイクね?」

 

「それよりも、この事件の犯人って?」

 

「スルー?乗り悪いなぁ…とりあえずここで話すのもなんだし、場所変えようぜ?」

 

「何処にするんだ?」

 

「ん?【CR】っつーバグスター治療の専門部所だよ。」

 

そう言って歩いていったので、俺達もその後に続いた。




いかがでしたか?

長くなりそうだったので、ゴーストとエグゼイドの戦闘は次回にまわして、この世界のボスとの戦闘前までやりたいと思います。

次回【エグゼイドの世界 Level2】

「黙っておく代わりに私と賭けをしない?」

後、活動報告で玲奈の眼魂について新たな募集を出したので、よければコメントください。

では、次回にお会いいたしましょう。


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エグゼイドの世界 Level2

どうも、疾風の警備員です。

今回はエグゼイドVSゴーストと敵の正体が解ります。

それと前回説明し忘れたんですが、この世界はエグゼイド原作のパラレルなので、細かい所が違います。例えばドクター達の仲が多少良かったり、ガシャットの入手経緯が違う等です。ご了承ください。

そして、あのキャラに強化フラグが立ちます。

では、どうぞ。


一誠side

 

変身を解いた俺達は、さっきまで戦っていた人達の案内で、【聖都大学附属病院】という所にある【電脳救命センター】通称CRと呼ばれる場所に来た。

 

「皆さん、僕の勘違いで戦いになってスミマセンでした‼」

 

そして着いた瞬間、ピンク色のライダー【エグゼイド】になっていた男【宝生 永夢(ほうじょう えむ)】さんが頭を下げた。

 

「まったくだな、これはお前の先走った判断が起こした診断ミスだ。」

 

それを見ていた騎士のライダー【ブレイブ】の変身者、【鏡 飛彩(かがみ ひいろ)】さんが鋭く指摘した。

 

「本当だぜ。ムダな体力使わせやがって……」

 

更に銃のライダー【スナイプ】の変身者、【花家 大我(はなや たいが)】さんが憤慨を露にし……

 

「ま、それに乗せられたアンタ達も悪いんだけど…」

 

黄色のバイクになったライダー【レーザー】の変身者、【九条 貴利矢(くじょう きりや)】さんが周りを煽る。

 

「おし監察医ヤロー、俺と勝負しろ。俺が勝ったらテメーのガシャットを全部貰うぞ?」

 

「やなこった。一人で勝手にやっててよ。」

 

「それ以前に薮医者と監察医、貴様達は何故ここにいる?関係ない奴等は出ていけ。」

 

「だそうだ。ほら、そこのお前らも外に出るぞ。関係ない奴等は出ていけだと。」

 

「「「「「「え!?え~と…」」」」」」

 

「そいつらからは聞かねばならない事があるから問題ない。出てくのはお前たちだけだ。」

 

「悪いけど、その提案には乗れないな。」

 

「もぉ~‼飛彩さんも大我さんも貴利矢さんもいい加減にしてください‼今は僕達が争っている場合じゃないんですよ!?」

 

「「「誰のせいだ、誰の。」」」

 

「…………………………僕、ちょっとバグスターウィルスに感染しに行ってきます…」

 

「永夢!?しっかりして‼はやまっちゃダメよ‼」

 

「「「「「「何このカオス…」」」」」」

 

今、目の前で起きているコントに俺達は戸惑いっぱなしだった。

 

「なあ、あの宝生って人…本当に大丈夫なのか?」

 

「おっかしいな…さっきまではもう少し頼れそうだったんだけど…」

 

そう言って、さっきの戦いを思い出しているのかタケルは目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「さあて、ノーコンティニューでクリアしてやるぜ‼」

 

《ガシャコンブレイカー‼》

 

ピンク色のライダーは、ハンマーのような武器を持つと俺へと向かって跳躍してきた。

 

「ゼノヴィアさん、なるべく傷つけずに倒すぞ‼」

 

「私はもうそういう細かいのは苦手なのだが……とりあえずやってみよう‼」

 

着地のタイミングを狙うため、そこへ向かって駆け出し剣を振るう……

 

「オリャッ‼」

 

が、相手はタイムラグもなしに着地と同時に再び跳ねた。

 

その結果、剣は空振りになり逆に背後を捕られハンマーで背中を叩かれた。

 

「うおッ!?」

 

「まだまだ‼」

 

「やらせん‼」

 

もう一度ハンマーで殴ろうとしていたところを、ゼノヴィアさんが剣を振るって奴を弾き飛ばした。

 

「うおッ!?いつつ……なんつー馬鹿力だ…」

 

「私は白龍皇ヴァーリ・ルシファーが戦車‼ゼノヴィア‼私に砕けぬ物など……ない‼」

 

そう名乗り、剣を上段から振り下ろした。

 

「おっと‼何度も喰らうか‼」

 

が、それは後ろに跳ばれる事で避けられた。

 

「ええい、ちょこまかと…‼」

 

「へへッ‼俺の動きについてこれる「やってやるよ‼」ドわぁッ!?」

 

ゼノヴィアさんが相手をしている間にビリー・ザ・キッド魂になった俺はガンガンセイバー・ガンモードとバットクロックでピンクライダーを撃ち落とした。

 

「ゼノヴィアさん‼援護は俺に任せて突っ込め‼」

 

「了解した‼」

 

「こいつはピンチかな?だったら…‼」

 

俺が遠距離、ゼノヴィアさんが近距離で戦い、相手はブロックを出したりして足場にしながら攻撃を避けていき、1つのブロックをハンマーで砕くとそこから赤いメダルが出てきて、そいつに吸い込まれた。

 

「アイテムゲット‼攻撃力アップ‼」

 

そしてハンマーにあるBボタンを3回叩いて、地面を打つとカラフルな衝撃波が地面を走り、俺達に直撃、吹き飛ばされた。

 

「「グハッ!?」」

 

「先にフィニッシュを決めるのは俺だ‼」

 

《ガシューン》「フッ‼」《ガシャット‼キメワザ‼》

 

そう叫び、カセットをベルトから抜いて息を吹き掛け、ハンマーにあるスロットへと差し込むとカラフルなエネルギーがハンマーに集まっていく。

 

「させるか‼」

 

《Exceed Charge》

 

それを見たゼノヴィアさんもオーガギアのエンターキーを押して、フォトンブラッドを剣にチャージしていく。

 

《MIGHTY!!CRITICAL FINISH!!》

 

「オラァッ‼」

 

「ハァッ‼」

 

互いに充填が終わり、ピンクの方は跳躍してハンマーを振り上げ、ゼノヴィアさんは剣先を下に向けて構え、同時に振るいぶつかり合った。

 

そして数秒の拮抗の後、互いに吹き飛びゼノヴィアさんは変身が解除されるが、向こうはまだ健在だった。

 

「クッ!?すまない……御堂…‼」

 

「気にすんな、後は俺がやる‼」

 

「ゲージがだいぶ減ったけど、まだまだイケる‼」

 

俺は闘魂ブーストを、向こうは赤いカセットを取り出し起動させる。

 

「もうお前は許さねぇ…‼」

 

「それはこっちのセリフだ‼」

 

《ゲキトツロボッツ‼》

 

《一発闘魂‼‼アーイ‼》

 

俺のバックルから闘魂ブーストパーカー、相手のスタート画面からは赤と白で彩られた小型のロボットが出てきてお互いに何度もぶつかり合う。

 

《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

そして向こうはレバーを閉じ、カセットを差す。

 

《バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「大大大変身ッ‼」

 

《闘魂‼‼カイガン‼ブースト‼‼》

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

俺は闘魂ブースト魂になり、向こうは右腕を大きく回しながらレバーを開き、ロボットが上から噛みつくように合体し胸部と肩のアーマー、左腕に大きな強化アームが付き額には某機動戦士を思わせるV字のアンテナが付いた姿へと変わった。

 

《俺がブースト‼‼奮い立つゴースト‼‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼ファイ‼ゴー‼‼ファイ‼‼》

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティマイティアクション‼X‼アガッチャ‼ブッ飛ばせ~‼トツゲキ‼ゲキトツパンチ‼ゲキトツロボッツ‼》

 

変身が終わった俺達はゆっくりと歩き出す。

 

そしてある程度近づいたら、一気に駆け出し俺は右、奴は強化アームをつけた左の拳をぶつけ合わせる。

 

「うおッ!?」

 

だが、その瞬間俺の身体が後ろへと吹き飛ばされそうな衝撃を受けた。

 

重ッ!?この左腕どんだけ強化されてんだよ‼こりゃ左拳を受けるのはやめた方がよさそうだ……

 

強化アームを右足で弾き、左足の回し蹴りで奴を蹴り飛ばす。

 

「うわッ!?」

 

向こうがよろけている間にサングラスラッシャーを取り出し、背中めがけて撃った。

 

「くうッ!?遠距離技なら俺にもあるぜ‼」

 

そう言って左腕を思いきり突き出すと、強化アームが俺へと飛んできた。

 

「ってロケットパンチ!?うおおおおおおッ!?」

 

俺は慌てて左に転がってそれをかわした。

 

本物のロケットパンチ!?フォーぜのなんちゃってロケットパンチじゃないし……

 

そして、飛んでいったアームは弧を描きながら向こうの腕に戻った。

 

一回限りって訳じゃないのか……面倒だな…

 

「もう一回だ‼」

 

「チィッ‼」

 

再び飛んでくるアームに俺はガンガンセイバーを呼び出しサングラスラッシャーをブレードモードにして、ベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《闘魂‼‼ダイカイガン‼ブースト‼‼オメガドライブ‼》

 

「おっ……ラアッ‼‼」

 

2刀にエネルギーを纏わせて全力で振るい、アームを弾き飛ばした。

 

「んなッ!?嘘だろ!?」

 

「おおおおおおおおおおおッ‼‼」

 

そしてアームが戻って来る前に接近して、2刀で斬りまくる。

 

「うわああああああああッ!?」

 

「どうだッ‼」

 

しかし、向こうもただでは終わらず…

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

吹き飛びつつも腰のスロットにカセットを差し、戻って来た左腕でボタンを押した。

 

《GEKITOTSU!!CRITICAL STRIKE!!》

 

「ハアッ‼」

 

赤とオレンジのエネルギーを纏ったアームが剣を振り切ったところで硬直していた俺に直撃してそのままおし飛ばされていき、壁にぶつかって止まったがアームはなおも俺を逃がすまいと押さえ付けてきた。

 

「こんのッ……‼」

 

「うおおおおおおおおッ‼オラァッ‼」

 

そして起き上がりこちらへと駆けてきた相手が、恐らく全力でアームへと腕を突っ込んだ。

 

《PERFECT!!》

 

その瞬間、俺を爆発が襲った。

 

「「ウアアアアアアアアッ‼」」

 

その爆風に俺も、何故か相手も吹き飛び変身が解除された。

 

「うう……まさか、自分の攻撃にも耐えられなかったなんて…」

 

「あれだけ攻撃したのに……平然とされる方が……ショックだよ…」

 

お互いにボロボロだが、再び変身しようとベルトを出そうとしたら……

 

「はーい、そこまで。それ以上は悪ノリが過ぎるぜ?」

 

俺達の間にアロハシャツに赤い革ジャン、サングラスにダメージジーンズの格好の男が入ってきた。

 

「貴利矢さん!?何で止めるんですか‼彼等は…‼」

 

「それ、間違いだから。」

 

「へ?」

 

その男の言葉にライダーの男は呆然とした。

 

「そいつら、逃げる人達の盾になるように変身してたし…相手もそれを見て驚いていたからな。仲間だったらそんな事ないっしょ?」

 

「それは…」

 

「そして好都合と言って逃げた瞬間、オタク達がやって来た。どう考えてもお前は敵に乗せられたって訳。OK?」

 

どうやらこの人は最初から見てたみたいだな…

 

「だったら何でもっと早く止めてくれなかったんですか?」

 

「そりゃ演技かもしれないんだから、様子を見てたんだよ。」

 

「マジかよ…」

 

その時、近くにいた看護師の人が慌て始めた。

 

「だったら大変!?飛彩達、もう他の反応があった所で戦っている筈だよ!?」

 

「そうだった‼早く止めに行かないと‼」

 

それを思い出した俺はサクラハリケーンを出した。

 

「ゼノヴィアさん‼もう動けるか‼」

 

「ああ‼」

 

彼女を後ろに乗せて全速力に耐えられるように変身してエンジンを吹かす。

 

「貴利矢さん‼僕を乗せてください‼」

 

「ま、医者から殺人犯が出て評判を下げないようにしますか。良いぜ。」

 

そう言うと、貴利矢といわれる人はピンクと黄緑のベルトを腰に装着して、黄色のカセットを起動させる。

 

《爆走バイク‼》

 

するとスタート画面から沢山のトロフィーが出てきた。

 

そして彼はその場でターンを決め…

 

「変身。」

 

カセットをベルトに差した。

 

《ガシャット‼レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》《アイム・ア・仮面ライダー‼》

 

そして白いずんぐりむっくりの身体には頭はバイクのハンドルみたいなのがあり、両手にはタイヤを模した武器みたいなのがあった。

 

「おし、ノッてくぜ?二速‼」

 

そこからまた回りながらベルトのレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼》

 

すると人型から黄色のバイクに変わった。

 

「御堂‼見たか!?人からバイクになったぞ!?」

 

ゼノヴィアさんは驚いているが、俺はそうでもなかった。

 

「あれ?ノリが薄いなぁ…普通は驚くぜ?人がバイクになったら。」

 

「いや、似たというかある意味上位互換のライダーを知ってますから。」

 

「なん……だと……‼」

 

仮面ライダーアクセルなら4頭身にならなくてもバイクと人型をいったりきたり出来るし。

 

「なんか負けた気がするが……今は他の所に急がねぇとな‼」

 

「ああ‼」

 

そして俺達は皆の場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「つ~訳だ。」

 

「なるほどな。」

 

ようはあの人がいなければまだ戦っていたかも知れなかったのか……

 

「それじゃ、話を戻しますけど……今、この世界で何が起きているんですか?」

 

「それなんだけど…」

 

看護師の人が話そうとしたら……

 

「それは僕から説明しよう。」

 

CRにアタッシュケースを2つ持ったスーツ姿の男性が入ってきた。

 

その人を見た瞬間、エルナの表情が驚きの顔に変わりみくるさんはなんか悪い笑みを浮かべていた。

 

「始めまして、異世界の諸君。私は【檀 黎斗(だん くろと)】。彼等が使うライダーシステム【ゲーマドライバー】の開発者だ。」

 

「あなたが…」

 

「社長!?どうしてここに‼」

 

「君達に渡すものがあったからね、説明はついでさ。さて、今回の敵だが…これを見てほしい。」

 

近くにあったモニターに映し出されたのは黒い身体に紫のどこかゲーム機のような模様が入ったパーカーに半目のベルトを付けた怪人の姿だった……って!?

 

「「眼魔ッ!?」」

 

「おや、君達はアレが何なのか知っているのかい?」

 

「ええ、俺達の世界にも出てきた存在です。」

 

「そうか、ならアレは【ゲーム眼魔】と呼称しよう。アレが最近起こっている事件の犯人だ。いきなり現れては周囲にバグスターウィルスを撒き散らしている。」

 

「あの~、バグスターってなんですか?」

 

「バグスターはね?進化して人間にまで感染するようになった【コンピューターウィルス】なの。感染するとバグスターに体を乗っ取られていき、最終的には消滅しちゃう病気なのよ。」

 

玲奈ちゃんが俺達が疑問に思っていた事を聞いたら、看護師の女性【仮野 明日那】さんが説明してくれる。

 

「治療方法は只一つ、感染元になっているバグスターを倒す事だ。」

 

「なるほど。」

 

だったら早く見つけて眼魔をぶん殴……感染した人達を助けないとな‼

 

「それについて…宝生先生、これを。」

 

社長さんは持っていた2つのアタッシュケースの内、小さい方を開き中身の龍の頭の装飾がある金色のガシャットを宝生さんに渡した。

 

「これは……新しいガシャット!?」

 

「最大四人で協力して戦う狩猟ゲーム【ドラゴナイトハンターZ】のガシャットだ。これさえあればレベル5になることが可能になる。他の先生達だと協力しそうにないからね。君なら他の先生と協力プレイが出来ると信じているよ。」

 

「あれ?3の次は4じゃ…」

 

「バーカ、あのガシャットは1個飛ばすくらいスゲェって事だ。」

 

玲奈ちゃんとタケルがなんか聞き覚えがあるような話をしていたら、社長が今度はこっちに来た。

 

「それと、君達には迷惑を掛けてしまったからね……これを受け取ってほしい。」

 

俺達に大きいアタッシュケースを開いて中を見せると、そこには全体が青で黄色のラインが所々にある彼等が使っていた腰のスロット兼ホルダーが4つあった。

 

「これは【ソウチャクスロットホルダー】、ゲーマドライバーがなくてもレベル3以上のガシャットの力が使えるようになる。もちろんキメワザも使用可能だ。時間の都合上、4つしか出来なかったんだがね。」

 

「ありがとうございます‼」

 

「その代わり、この事件の解決に君達の力を貸して欲しい。」

 

「もちろんです。」

 

「ありがとう、では私はこの辺で。」

 

そう言って社長さんは帰っていき、みくるさんが何故かその後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みくるside

 

「ねぇ、待ってくれない?」

 

私の声に社長さんは止まり、こちらに振り返った。

 

「まだ何か?」

 

「貴方は彼等の敵…………って事でいいのよね?」

 

「…………ここではお話出来ませんね。」

 

ふ~ん、はぐらかすって事はたぶん当たりね。

 

「大丈夫、それは黙っといてあげる。」

 

そう言うと、彼は少し驚いた表情をする。

 

「何が目的ですか?」

 

「あら、話が早いわね?」

 

私は不敵な笑みを見せながら……

 

「黙っておく代わりに私と賭けをしない?」

 

彼にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

社長が帰ってから数分後、町でゲーム眼魔が暴れていると連絡があり、俺達はすぐに現場へと向かった。

 

そこにはゲーム眼魔と変なオレンジ頭に真っ黒なパーカーを羽織った戦闘員達がいた。

 

「ようやく見つけたぞ、このクソヤロー‼」

 

『お前たちは!?チィ……同士討ちにはならなかったか。』

 

「お前にこれ以上、好き勝手はさせない‼」

 

宝生先生達はベルトを装着してガシャットを起動させた。

 

《マイティアクションX‼》

 

《タドルクエスト‼》

 

《バンバンシューティング‼》

 

《爆走バイク‼》

 

俺達もベルトを出して変身しようとしたら、ビームが飛んできて足下で火花が散った。

 

「うおッ!?誰だ‼」

 

撃たれた方を見ると、そこには宝生先生が変身するエグゼイドと似た黒いライダーがいた。

 

「アイツは!?」

 

「私の獲物だよ。」

 

みくるさんが黒いエグゼイドの元へと歩きだし…

 

「あ、そうだ。タケル君、闘魂ブーストの眼魂を私に貸してくれない?」

 

「え?分かりました。」

 

そう言ってきたので、俺は闘魂ブースト眼魂を彼女へと投げ渡した。

 

「ありがとね♪」

 

それを受け取ったみくるさんは、黒いエグゼイドの元へと向かった。

 

「タケル、向こうはみくるさんに任せて俺達はアイツをフルボコるぞ…‼」

 

「おうよ…… 出てきた事を後悔させてやんよ‼」

 

俺達もベルトを出し、眼魂やオーガフォンを構える

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

《Standing By》

 

「「「「「「「「変身‼」」」」」」」」

 

《ガシャット‼レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》《アイム・ア・仮面ライダー‼》×4

 

《カイガン‼オレ‼レッツゴー‼覚悟‼ゴ・ゴ・ゴ‼ゴースト‼》

 

《カイガン‼ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

《Complete》

 

変身が終わった俺達は横一列に並ぶ。

 

「タケルさん、気を付けて下さいね?」

 

「わかってるって‼さーて、覚悟しろよ眼魔?遠慮なくぶっ飛ばさせてもらうぜ‼」

 

『フン……やれるものならやってみるがいい‼』

 

「俺達がノーコンティニューでクリアしてやるぜ‼」

 

宝生先生の言葉が終わると、俺達はバグスターと眼魔へと突撃した。




いかがでしたか?

後半、急展開になってスミマセン……

さらに、次回はテレビに出ている全ガシャット音声が鳴り響きます。字数稼ぎがひどい事に(笑)

次回【エグゼイドの世界 Level3】

「狩りのターゲットはゲーム眼魔‼」

「8人の誰が先に倒すか勝負だ‼」

では、また次回で。


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エグゼイドの世界 Level3

どうも、疾風の警備員です。

今回、8人プレイをやろうと思っていたのに私がその場の思いつきでやったことの影響で一万文字を越えてしまう事態になったので、今回は二人協力プレイまでになってしまいました。

もし、楽しみにしていた方がいたら申し訳ありません‼

次回で面白格好良く書きますので、今回はこれで勘弁してください‼

それとネクロムの強化形態を出しますが、これは私の作品全てで共有させるつもりなので、これとは違う小説で見掛けたら私の作品かもしれません。

長くなりましたが、本編どうぞ。


みくるside

 

私は左腕にメガウルオウダーを装着し、黒いエグゼイドの前に立つ。

 

「一応確認するけど……社長さんよね?」

 

「ああ、そうだ。」

 

「なら、賭けの内容を覚えてる?」

 

「勿論だとも。私が負けたら君達にガシャットとゲーマドライバー、各種武装のデータを全て渡す。逆に私が勝った場合は君達の持つライダーのデータを全て私に渡す……だったね?だから、今回は初めから本気でいこう。」

 

《シャカリキスポーツ‼》《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

社長さんは黄緑のガシャットを取り出し、起動させてベルトへと差し込む。

 

「グレード3。」

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティー‼アクショーン‼X‼アガッチャ‼シャカリキ‼シャカリキ‼バッドバッド‼シャカッと‼リキッと‼シャカリキスポーツ‼》

 

「それと、特別なステージに君を案内しよう。」

 

《ステージ・セレクト‼》

 

レバーを開きレベル3の姿になった相手は周囲の景色を廃工場へと変えた。

 

それを見た私は、タケル君から借りた闘魂ブースト眼魂を起動させて、メガウルオウダーに装填した。

 

《Yes Sir!!》

 

そして上部ユニットを起こして、側面のボタンを押す。

 

《IGNITION!!》

 

するといつもと違う音声の後、炎を纏いながらネクロムパーカーのラインとケーブルが紅くなり、闘魂ブーストパーカーのパーツが合体したようなパーカーが私の周りを飛び始める。

 

「変身…」

 

《TENGAN!!》

 

エネルギーの雫を本体に落とすと炎の波紋が拡がり、炎に包まれながら身体を緑の部分が深紅に変化し所々に炎のマークが入ったトランジェントになってその上にパーカーを羽織ると顔のレンズは紅になり、額の角も赤くなる。

 

《NECROM BLAZE MEGA ULOAD!!》

 

《BURNING SOUL!!》

 

そして変身が完了すると炎が吹き飛ぶ。

 

「ほう……それが君の切り札かい?」

 

「仮面ライダー……ネクロムブレイズ…」

 

「私は仮面ライダー…ゲンム。」

 

互いに名乗ったらゲンムが走り出し、射程に入ったらチェーンソーを振るってきたが、私はその刃を左手で掴み取った。

 

「何ッ!?」

 

刃が高速回転している為に手から火花が大量に飛び散るが、私は平然としている。

 

アザぜルさんの改修と闘魂ブースト眼魂の力でここまで強化されるなんて…嬉しい誤算かな?

 

「クウゥゥゥゥゥゥゥ…‼」

 

「フッ…」

 

刃を押し込もうとゲンムは力を込めていくが、私はその間に右の掌底を腹部に叩き込む。

 

「グッ!?」

 

くの字になったら頭を押さえて顔に膝蹴りを3回入れ、仰け反ったら顎にアッパーを決め、ゲンムの体が空中で1回転して背中を見せた所に蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

「ガアァァァァァァッ!?」

 

「まだ…」

 

そして地面に落ちる前に、右足に炎を纏わせた飛び蹴りで追撃し、積んであったドラム缶にぶつかりその下敷きになった。

 

「グハッ!?」

 

「それが貴方の本気?」

 

歩み寄りながら私はそう呟く。

 

《チュ・ドーン‼》

 

するとドラム缶の中からビームが飛んできて、直撃する。

 

「この程度で終わりはしないさ。君も今のは効いていないだろう?」

 

「ええ…」

 

その中からゲンムが出てきて、私も半歩下がったくらいでその場に立つ。

 

「しかしこれは予想以上だ。今のでゲージの7割を持っていかれてしまったよ…許しがたい事だ…‼」

 

「…言った筈だよ?戦場でご託はいらないって。」

 

「……………ハアッ‼」

 

ゲンムはパッドのビームを私に連射しながら、黄緑のガシャットをキメワザスロットに装填した。

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

そしてすぐさま必殺技を発動した。

 

《SHAKARIKI!!CRITICAL STRIKE!!》

 

ゲンムが飛び上がり、放ってきた蹴りが私に直撃して爆発が起きる。

 

「これなら…(ガシッ‼)ッ!?うあッ!?」

 

でも、私は何食わぬ顔で立ち、ゲンムの足を掴んで近くの壁に投げつけた。

 

「……終わりよ。」

 

《FIRE!!》

 

メガウルオウダーを起こし、横のスイッチを押すと背後に赤い幾何学的な眼の紋章が現れ、それが右足に集束されていく。

 

「う……く…‼」

 

《キメワザ‼》

 

ゲンムも再び必殺技を発動する…

 

《DAITENGAN NECROM BLAZE OMEGA ULOAD!!》

 

が、それより早く私は飛び上がり蹴りの体勢に入ってゲンムへと迫った。

 

《SHAKARIKI!!CRITICAL STRIKE!!》

 

そして、寸前で必殺技が間に合ったゲンムがビームを放ってくるが、それを簡単に打ち破ってライダーキックが直撃した。

 

「ゴハァッ!?」

 

地面を転がり、ゲンムは変身が解除された。

 

「…賭けは私の勝ち。」

 

「……ああ………約束は守ろう……」

 

「そう…」

 

私も変身を解除して、一誠君やタケル君達が戦っている方を見る。

 

「助けに……行かないのかい?」

 

「これはあの子達の修行なんですよ。それに…」

 

私は社長の方を向き…

 

「勝負は正々堂々が、私の王のスタイルなの♪」

 

そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「大変身‼」「術式レベル2。」「第弐戦術。」「二速‼」

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》×4

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティマイティアクション‼X‼》

 

《タ~ドルメグル‼タドルメグル‼タドルクエスト~‼》

 

《ババンバン‼バンババン‼バンバンシューティング‼》

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼》

 

宝生先生達がレベル2になったら、俺達も眼魔コマンドの姿をしたバグスターウィルスへと向かった。

 

「おい嬢ちゃん、乗ってかないか?」

 

「ならば、遠慮なく‼」

 

バイクになった九条先生に乗ったゼノヴィアさんは、オーガストランザーを振り回しながら敵陣を駆け抜ける。さながら暴走族のようだ。

 

「俺達も突っ込むぞ‼」

 

「「おう‼」」

 

イッセーの声に俺達も敵陣目指して走り、先頭の一人を切り伏せる。

 

「小娘、今度はどっちが多く敵を倒すか勝負だ。」

 

「良いわ、勝つのは私だけどね‼」

 

「抜かせ。」

 

玲奈はスナイプと撃破競争を始めて、撃ちまくるのはいいが俺のすれすれを弾丸が通って行くのは勘弁してくれ……

 

「フッ‼」

 

「ハッ‼」

 

イッセーとブレイブは少し離れた距離で、互いに干渉しないように戦っている。

 

「本当は連携した方が効率が良いんだけど…」

 

「ついさっきまで戦っていた相手を直ぐに信じろってのは難しいからな。」

 

「ピピーッ‼」

 

「「邪魔だ‼」」

 

「ピーッ!?」

 

ナイフを向けてきたウィルスにエグゼイドが顔にハンマーを、俺が剣の腹を叩き込んで吹き飛ばす。

 

『中々に抵抗するな…ならば、これでどうだ‼』

 

ゲーム眼魔が手を振るうと、藍色にシルクハットを被った怪人と赤と白の魔法使い風の怪人と緑がかった灰色の機械的な怪人が出てきた。

 

「あれはソルティ伯爵にアランブラに隊長リボル!?」

 

「知ってんすか?」

 

「ああ、俺達が前に倒したバグスターだ。」

 

『フハハハハハハッ‼我が名はゲーム眼魔‼敵キャラをコンティニューさせる事など造作もない‼』

 

ゲーム眼魔が両手を広げ、高笑いしながらそう叫ぶ。

 

うっわ……めんどくさい事を…

 

「魔法使いの相手は俺がやる‼」

 

「奴の戦い方は熟知している。故に俺が切除する。」

 

「嬢ちゃんには荷が重いだろ?リボルは俺がやる。」

 

「嘗めないでよね‼私が先に倒すんだから‼」

 

「おいバイク‼あのシルクハットに突っ込め‼」

 

「俺はレーザーだッ‼つーかテンション乗りすぎだろ?」

 

そしてこっちも色々不安だ……皆、しっかりしてくれ…

 

『そこのお前達にはコイツらだ‼』

 

そう言って眼魔が出したのは、見た目の素体は同じだがそれぞれに装備が違う4体の怪人だった。

 

「アレはレベル3ガシャットのコラボスバグスター!?」

 

「つまり4体ともレベル3の力が使えるってことですか…」

 

『さあ、奴等を捻り潰せ‼』

 

「「「「ウガアッ‼」」」」

 

ゲーム眼魔の指示で、バグスター達が俺達へと迫ってくる。

 

「うっしゃ‼どっからでもかかって来い‼」

 

「きれいさっぱり消毒してやらぁッ‼」

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィアside

 

「ハッハッハッ‼なんだ、怪人とはこの程度なのか?」

 

『この…‼しょっぱい事をしてくれる‼』

 

レーザー(バイク)に乗り、高速ですれ違いながら何度もバグスターを斬る。この感覚…病み付きになりそうだ。

 

「オイオイお嬢ちゃん、変な世界への扉開くなよ?」

 

「大丈夫だ、問題ない。」

 

「それ、だいじょばない時の言葉だから。」

 

む、そうなのか……日本語というのは難しいな。

 

「んじゃ、そろそろ俺もまともに動きたいんで……横のホルダーにあるガシャットを起動してくれねぇか?」

 

「ん?これか…」

 

私はホルダーからガシャットを取り出し、起動させた。

 

《ギリギリチャンバラ‼》

 

和風なメロディの後、スタート画面から黒に金のラインが入ったロボットが出てくる。

 

「んで、ベルトのレバーを閉じてガシャットを装填したら開け。」

 

言われたとおり私はレバーを閉じる。

 

《ガッチョーン》

 

「三速。」

 

「いくぞ‼」

 

そしてそのガシャットを、ベルトへと勢いよく装填した。

 

《ガシャット‼》

 

「サンキュー‼」

 

そしてレバーを一気に開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

「わっとと…‼」

 

そうしたら、ゲートが出てきてレーザーを潜ると車体が浮いたので私は慌てて降りると、車輪が外れロボットの手足がそのままレーザーの手足となり、顔はどこか日本のサムライがしていた甲冑のようなものになった。

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼アガッチャ‼ギリ・ギリ‼ギリ・ギリ‼チャンバラ~‼》

 

「ふう、やっぱり人型の方が楽だぜ…」

 

「おお…‼サムライか!?ジャパニーズサムライなのか!?」

 

既に絶滅したと聞いていたが、異世界でお目にかかれるとは‼

 

「ほらほら、ボーッとしてると俺一人で殺っちゃうよ?」

 

《ガシャコンスパロー‼》

 

レーザーは黒と黄色、紫で彩られた弓矢みたいなのを出すと、赤紫のAボタンを押して2つに分け、鎌にして両手に持った。

 

《ス・パーン‼》

 

「あらよっと。」

 

『グッ!?ガッ!?ゴッ!?』

 

怪人へと接近したレーザーは鎌を振るって敵を切り刻んでいく。

 

「シャオラァッ‼」

 

『グアアアアアアアッ!?』

 

最後に下から切り上げて、敵の体を浮かせる。

 

「今だ‼」

 

それを見た私は直ぐにデュランダルを取り出し、聖なるオーラを斬撃として飛ばして直撃させた。

 

『ギャアアアアアアッ!?』

 

「え!?何その剣!?」

 

「何って……デュランダルだが?」

 

「うっそマジ!?伝説の聖剣じゃん‼うひょー‼テンション上がるぜぇ‼」

 

レーザーは私の剣をいろんな角度から見てくるが、正直鬱陶しい……

 

『ガ……この、しょっぱい奴等め…‼』

 

そこに、さっきの怪人が起き上がった。

 

「あらら?しぶといねぇ~。」

 

《ズ・ドーン‼》

 

レーザーは鎌を合体させて弓にして、矢を2本同時に放つ。

 

『ゴハッ!?』

 

それを喰らった怪人は再び倒れた。

 

「よし、トドメといこう。」

 

《Exceed Charge》

 

「その案、乗った。」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

私はオーガストランザーにフォトンブラッド、デュランダルに聖なるオーラを集めていき、レーザーは弓にガシャットを装填した。

 

「ウィニングランを決めるのは…‼」

 

《GIRIGIRI!!CRITICAL FINISH!!》

 

レーザーは大量の矢を放ち、先に数本当てた後にその場で回し蹴りをすると散らばっていた矢の先端が怪人の方へと向き、一斉に襲いかかり直撃する。

 

「私達だッ‼」

 

私はチャージの終わった双剣を頭上に掲げ刀身を伸ばし、バツ字に振るって怪人を斬り裂いた。

 

『ウ…ガ…アアアアアアアアアッ‼』

 

怪人は苦痛に叫びながら、爆発した。

 

「おっし、1面クリアってか?」

 

「ならば、2面も私達がクリアするぞ。」

 

「あいよ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

私とスナイプは銃を撃ちまくり、相手を1歩も近寄らせずに戦っていたんだけど…

 

「もぉ~‼あのリボルって奴、ホントウザい‼」

 

リボルっていうバグスターが何度も戦闘員を呼び出すから、終わりが見えなくてキリがない‼

 

「奴がいる限り敵は増え続け、どんどん強化されていくぞ?」

 

「はあッ!?」

 

スナイプの言葉に私は驚きしかなかった。

 

長引けば敵は増えて強化されて、こっちは疲弊するだけじゃない‼ようはアイツがゴ○キブリの王って訳ね‼

 

「だったら速攻で駆除してやる‼」

 

私は新しい眼魂を出すと、ナンバリング状態にしてバックルに入れた。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

そして現れたセーラー服にどこか船を思わせるパーツが付いたパーカーが出てきて、ポーズを決めたらセーラー服を着て二連走砲を持った女の子が映った。

 

「行こう、吹雪‼」

 

『了解‼抜錨します‼』

 

《カイガン‼フブキ‼鎮守府着艦‼駆逐艦‼》

 

レバーを操作してパーカーを羽織ると、顔には錨のマークが描かれる。

 

そして何処からか現れた2体の機械的な水色のイルカが並んで左腕にくっつき、口を開け中から砲口を覗かせた。

 

「吹雪、この子達は?」

 

『その子達は【ドルフィンカノン】。口から高圧縮した水弾を出して攻撃してくれる私のガジェットなの。変身しなくても使えるから万が一の時の護身用としても使えるよ。』

 

「おお~‼可愛いし撫でまくりたいけど、今は我慢してやるよ‼」

 

吹雪魂の能力で私は地面をスケートのように滑りながら移動を始める。

 

「フン……何処まで出来るか、見せてもらうぞ?」

 

『バカな奴め、わざわざ向かって来るとは‼総員、一斉射だ‼撃て撃て~‼』

 

『『『『『ピピーッ‼』』』』』

 

リボルの指示で戦闘員達が機関銃を乱射してくるが、私は銃撃の隙間をヒョイヒョイと移動する。

 

「喰らえッ‼」

 

『『『ピーッ!?』』』

 

そしてドルフィンカノンで戦闘員を倒し、その隙間を通ってリボルへと接近する。

 

『ええ~い‼小癪な‼左舷、弾幕薄いぞ‼なにやってんの‼』

 

「『ネタ台詞禁止‼』」

 

『ギャバッ!?』

 

リボルの言葉に私と吹雪でツッコミを入れ、ドルフィンカノンで撃ち抜いた。

 

「よしッ‼」

 

「ほう…」

 

『このガキャ…‼総員、囲め囲め~‼』

 

攻撃が当たった事を喜んでいたら、私は戦闘員達に囲まれてしまった。

 

「ヤバッ!?」

 

『フッフッフッ…‼さあ、死《ズ・キューン‼》ギャバッ!?』

 

なんとか逃げようとしたら、リボルが弾丸を喰らって倒れた。

 

「今のは?」

 

「たく……ガキのお守りはこれだから嫌なんだ…」

 

弾の飛んできた方を見ると、スナイプが銃を構えていた。

 

「スナイプ…」

 

「ハアッ‼」

 

『『『『『ピ?ピーッ!?』』』』』

 

更に、銃を連射して戦闘員達を全て倒した。

 

「あ、ありがとう…」

 

「解ったんなら突っ走んな。次やったらテメェごと撃つぞ?」

 

「わ、解ってます‼」

 

『お、俺の部隊が…‼』

 

スナイプの言葉にシュンとしていたら、リボルが起き上がった。

 

「そろそろクリアするぞ?」

 

「はい‼」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

《ダイカイガン‼》

 

スナイプは銃にガシャットを入れ、私はベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《BANG BANG!!CRITICAL FINISH!!》

 

《フブキ‼オメガドライブ‼》

 

「「ハアッ‼」」

 

私とスナイプの弾丸は綺麗にリボルの体を貫き爆発した。

 

『ヌアアアアアアアアアアアッ!?』

 

「ミッション…」

 

「完了。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

『喰らえ‼モ・エール‼』

 

「無駄だ‼」

 

《Remote!!》

 

アランブラから放たれる魔法攻撃を、俺は神器で無力化する。

 

「貰った‼」

 

『グアッ!?』

 

その隙にブレイブが接近して剣で切り裂いていく。

 

『何故だ、何故我が魔法が通じん!?』

 

「俺の神器は剣に触れたあらゆる条件を解除できる。魔法なら俺には通じない。俺を倒したければ物理で来い、物理で。」

 

『このッ‼』

 

「させん。」

 

《コ・チーン‼》

 

俺に向かってくるアランブラに、ブレイブが割って入り氷結モードの剣で斬る。

 

『まだだ‼イ・エ「させるかよ‼」《Remote!!》ウナッ!?』

 

回復魔法を使おうとしたアランブラに俺は神器で斬り、魔法を解除する。

 

「なるほど、俺の炎を消したのもその力か……丁度いい、手伝え第一助手。」

 

「誰が助手だッ!?」

 

『何をもめている!?シビ・レール‼』

 

俺とブレイブで口論していたらアランブラが雷撃を放ってきたので…

 

「「うるさいッ‼」」

 

二人同時に剣を振るって弾いた。

 

『んなッ!?』

 

「ハアアアアアア…‼」

 

ブレイブはBボタンを連打してアランブラを何度も切り裂き、体を凍らせていく。

 

『グッ!?ま、魔法が…‼』

 

「オラァッ‼」

 

そして凍ったアランブラに俺が飛び蹴りを決める。

 

『ゲフぅッ!?』

 

《AMENOHABAKIRI》

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

アメノハバキリフォームになった俺は、短剣を1本出して、アランブラの影に投げた。

 

『この……!?か、体が動かない!?」

 

「お前の影を地面に縫った。もうそこから動くことは出来ない。」

 

《影縫い》

 

「良くやった、第一助手。」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

「だから誰が助手だッ!?」

 

ブレイブの言葉に再び反論しつつ、必殺技の発動準備に入ったので俺も剣を2つ繋げて薙刀にして思いっきり回して炎を灯し、2人同時に動き出す。

 

俺は足のスラスターを、ブレイブは凍らせた地面を滑るようにして接近し…

 

《TADDLE!!CRITICAL FINISH!!》

 

《風輪火斬》

 

「「ハアッ‼」」

 

アランブラを両断し、爆発した。

 

『そんなバカなァァァァァァァァァッ‼』

 

「術式完了。」

 

「な~にが術式完了だ‼人を勝手に助手扱いしやがって…‼本当は1人だと倒せなかったんじゃないのか?」

 

「ふざけるな、あの程度ならば1人でも問題はない。」

 

「ど~だか?」

 

「いいだろう、次はお前との格の違いを見せてやる。」

 

(あ、コイツ案外チョロいかも。)

 

口論の末、そんな印象を感じた俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

「よっと…ホリャ‼」

 

俺は飛んでくるロケットパンチを避け、ガンガンセイバーのガンモードで赤黒いバグスターを撃ち、そのまま後ろから来たオレンジのバグスターを振り返り様に殴って、赤黒いバグスターと衝突させる。

 

「そ~ら、ヨイショッ‼」

 

そこにエグゼイドがハンマーで飛ばしたグレーのバグスターが折り重なる。

 

『ヘイヨォッ‼』

 

そしたら、黄色のバグスターが音楽に合わせて音符を飛ばしてきた。

 

「なんだこれ?」

 

「それに合わせてステップを刻め‼」

 

「え?あ、なーる…オッシャ、やってみるか‼」

 

エグゼイドと一緒にリズムに合わせて音符に触れるとHITやGREATといった文字が浮かび体にダメージがこなかった。

 

つーかライダーが変身してノリノリでダンスするってかなりシュールだな……戦隊ではよくあったけど

 

「よッ、ホッ、イェアッ‼」

 

「フー‼、トォ、ハアッ‼」

 

曲も終盤に入り、そしてフィニッシュは決めポーズ‼‼

 

《PERFECT!!》×2

 

「「いよっしゃーッ‼」」

 

それに2人して喜んでいたら、バグスター達に囲まれていた。

 

「どうやら時間稼ぎだったみたいだな?」

 

「だったら新しい力を使う時だ‼」

 

背中合わせに立っていたエグゼイドが金色のガシャットを取り出したので、俺もディープゴースト眼魂を持った。

 

《ドラゴナイトハンターZ‼》

 

エグゼイドの背後に出てきたスタート画面から、今までのより一回り大きいドラゴン型のロボが飛び出してきた。

 

「うおッ!?スゲー…」

 

「一緒にいこうぜ、ゴースト‼」

 

「おう‼」

 

《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

《Dive to Deep‼アーイ‼》

 

ガシャットと眼魂をバックルに入れ、体を左に捻り右腕を斜め上に上げ……

 

「「大大大大…大変身ッ‼‼」」

 

そう言いながら俺達は大きく右腕を回して、俺はレバーを引いて押し込み、エグゼイドはレバーを開いた。

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》

 

《ジロットミナー‼ゲン‼カイガン‼》

 

俺はディープゴースト魂に、エグゼイドは右腕に剣を左腕に銃を装備し、足には脚甲が装着され顔にはドラゴンの頭が覆うと口が開き中から顔を覗かせていた。

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティマイティアクション‼X‼アガッチャ‼ド・ド・ドラゴ‼ナーナ・ナ・ナーイト‼ドラ‼ドラ‼ドラゴナイトハンター‼Z‼》

 

《ディープゴースト‼キルゴー‼覚悟‼ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

「さあて、いくぜエグゼイド‼」

 

俺がそう呼ぶが、返事はなかった。

 

「エグゼイド?おい、どうし「ゴアアアアアアア‼」うわあああああああッ!?」

 

気になった俺が振り返ると、雄叫びと同時に剣を振るってきたので慌ててしゃがんで回避した。

 

「おい‼どうしたんだよ‼」

 

俺の呼び掛けにも反応せず、エグゼイドはバグスター達へと突っ込み力任せにねじ伏せていく。

 

「チィッ!?暴走かよ‼」

 

このままだとエグゼイドの体にどんな影響があるか……でもどうやって止める?

 

解決策を考えていたら、龍騎眼魂とウィザード眼魂が飛び出してエグゼイドの中へと入ると、動きが止まった。

 

「あれ?俺、何してたんだ?」

 

「正気に戻った!?」

 

もしかして龍騎とウィザードが力を制御してくれてるのか?

 

「なんかさっきよりも力が沸き上がってくる…‼」

 

「ボーッとすんなよ、行くぞ‼」

 

「おう‼」

 

俺達は走り出し、俺はディープスラッシャーでオレンジのエグゼイドが右腕の剣でグレーのバグスターを切り裂く。

 

『グオッ‼』

 

そこに赤黒いバグスターが右手の強化アームを飛ばしてきたので…

 

「フン‼…んでもって、返すぞ‼」

 

俺はそれを受け止めて、逆に投げ返すとバグスターに直撃して倒れた。

 

「オラオラ~‼」

 

そうしたらエグゼイドが左腕の銃で吹き飛ばしたバグスター2体が赤黒いのに重なった。

 

「お?だったら…‼」

 

それを見た俺はオレンジのバグスターもその上へと蹴り飛ばした。

 

「トドメだ‼」

 

「ああ‼」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》

 

エグゼイドがガシャットをスロットに入れ、俺はノブナガ眼魂とビリー・ザ・キッド眼魂をディープスラッシャーに装填した。

 

《ハゲシィー‼ハゲシィー‼》

 

「魂の底力を見せてやる‼」

 

《ダイカイガン‼オメガダマ‼》

 

銃口から飛び出したエネルギー弾がバグスターに命中し…

 

《DRAGO KNIGHT!!CRITICAL STRIKE!!》

 

エグゼイドの龍の口から放たれた光線が、バグスター達を焼き尽くした。

 

『バカな!?我が精鋭達が…!?」

 

「へへ~ん、1度倒した相手に負けるかよ‼」

 

「そういう事だ。」

 

気がつけばみくるさんを除く全員がいて、戦闘員と呼び出されたバグスターは倒されゲーム眼魔のみとなっていた。

 

「残るはお前だけだ‼」

 

「人を嵌めた恨み、3倍で返してやる‼」

 

『く…!?こうなったら…‼』

 

俺達に追い詰められたのか、眼魔がパーカーのコントローラーがある場所を操作したら、奴の体が急に筋肉質になった。

 

『ハハハハハハハハハハッ‼‼裏コードを入力して全ての能力をMAXにした‼これなら貴様らも敵うまい‼』

 

「だったらこっちは8人プレイだ‼」

 

エグゼイドがドラゴナイトハンターZのガシャットを抜き、起動ボタンを押したらガシャットが4つに分裂してゲーマドライバーのライダーの手に収まった。

 

「なるほど、このガシャットは4人プレイ用だったな。」

 

「面白いじゃねぇか。」

 

「更に気分が乗ってきたぜ‼」

 

「ゴースト‼受けとれ‼」

 

そう言ってエグゼイドが赤いガシャットを投げ渡してきたので俺はそれをキャッチし、他にもプレイブがイッセー、スナイプが玲奈、レーザーがゼノヴィアさんにガシャットを渡す。

 

「んじゃ全員で行くぞ‼」

 

《ファング‼》

 

《ブレード‼》

 

《ガン‼》

 

《クロー‼》

 

《ゲキトツロボッツ‼》

 

《ドレミファビート‼》

 

《ジェットコンバット‼》

 

《ギリギリチャンバラ‼》

 

《ガッチョーン》《ガシャット‼》×4

 

《ガシャット‼ソウチャク‼》×4

 

ガシャットを起動させ、エグゼイド達はドライバーにドラゴナイトハンターZのガシャットを差し込み、俺達はソウチャクスロットホルダーにレベル3のガシャットを差してボタンを押す。

 

「大大大大大変身‼」

 

「術式レベル5。」

 

「第伍戦術。」

 

「五速。」

 

「バージョン3‼」

 

「三重奏。」

 

「マッハ3‼」

 

「第参武装。」

 

全員で掛け声をかけ、ベルトのレバーを開き、ホルダーのボタンを押した。

 

《ガッチャーン‼》×4《レベルアップ‼》×8

 

《マイティジャンプ‼マイティキック‼マイティマイティアクション‼X‼アガッチャ‼ド・ド・ドラゴ‼ナーナ・ナ・ナーイト‼ドラ‼ドラ‼ドラゴナイトハンター‼エグゼーイド‼》

 

《タ~ドルメグル‼タドルメグル‼タドルクエスト‼アガッチャ‼ド・ド・ドラゴ‼ナーナ・ナ・ナーイト‼ドラ‼ドラ‼ドラゴナイトハンター‼ブレーイブ‼》

 

《ババンバン‼バンババン‼バンバンシューティング‼アガッチャ‼ド・ド・ドラゴ‼ナーナ・ナ・ナーイト‼ドラ‼ドラ‼ドラゴナイトハンター‼スナーイプ‼》

 

《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼アガッチャ‼ド・ド・ドラゴ‼ナーナ・ナ・ナーイト‼ドラ‼ドラ‼ドラゴナイトハンター‼レーザー‼》

 

《キルゴー‼覚悟‼ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼ソウチャック‼ブッ飛ばせ~‼トツゲキ‼ゲキトツパンチ‼ゲキトツロボッツ‼》

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」《ソウチャック‼ド・ド・ドレミファ‼ソ・ラ・シ・ド‼OK‼ドレミファビート‼》

 

《ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼ソウチャック‼ジェット‼ジェット‼イン・ザ・スカイ‼ジェット‼ジェット‼ジェットコンバーット‼》

 

《Complete!!ソウチャック‼ギリ・ギリ‼ギリ・ギリ‼チャンバラ~‼》

 

ゲーマドライバーメンバーはエグゼイドが装備していたハンターゲーマの一部が外れ、エグゼイドが頭部、ブレイブは右腕と右足、スナイプが左腕と左足、レーザーは両手両足が装着した姿となった。

 

俺とイッセー、玲奈は今なっているフォームの上にそれぞれのゲーマを身に纏い、ゼノヴィアは両手両足を覆う鎧に額に飾りが付いた姿となった。

 

『こ、これは…‼』

 

「狩りのターゲットはゲーム眼魔‼」

 

「8人の誰が先に倒すか勝負だ‼」

 

俺とエグゼイドの言葉で、全員が武器を構えてゲーム眼魔へと突撃した。




いかがでしたか?

後半、変身音による字数稼ぎになってますね、これ……

次回は本当に8人プレイ(協力とはいわない)になります‼

次回【エグゼイドの世界 Level5】

「「「「「「「やり過ぎだ‼バカヤロー‼」」」」」」」

では、次回で。

玲奈のヒロイン眼魂、まだまだ募集中ですのでお気に入りのヒロインがいる方は是非送ってください。


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エグゼイドの世界 Level5

どうも、疾風の警備員です。

貴利矢アァァァァァァァァァァァァァァッ‼

私は結構好きだったのに……メッチャ残念です……黎斗マジ許すまじ‼

でもゲンムゾンビゲーマーはカッコいい‼

そして、こっちでは貴利矢はまだ生きているので活躍して貰いますよ‼

では、どうぞ。


タケルside

 

「狩りのターゲットはゲーム眼魔‼」

 

「8人の誰が先に倒すか勝負だ‼」

 

俺とエグゼイドの声に全員が動き出す。

 

「一番槍、いただく‼」

 

「おっ先~♪」

 

そこから真っ先に飛び出したのが、足のスラスターで滑るように移動するイッセーとゲーマの力で空を飛ぶ玲奈だ。

 

「あ‼ズリィッ‼」

 

『は、速い…‼』

 

右腕のターンテーブルをスクラッチして、音楽を流しながら眼魔を上段から振り下ろし、すぐに手首をかえして切り上げる。

 

そのすぐ後に玲奈がガトリングで追撃を加えて怯ませる。

 

『ヌアッ‼』

 

「貴様等だけにはやらせん。」

 

「ノリにノッてくぜ~‼」

 

そこにブレイブがすれ違い様に右腕のブレードで切り裂き、レーザーが飛び蹴りを喰らわせる。

 

「フン…‼」

 

そしてスナイプが左腕の銃で狙撃を行う。

 

『ガッ!?この…‼』

 

体勢を立て直したゲーム眼魔は腕から光弾を打ち出してくる……

 

「オオオオオオオオオオオオッ‼‼」

 

が、ゼノヴィアさんが両腕の鎧でそれを防ぎながら駆け抜け、両手の剣でバツ字に斬ってから突きを繰り出す。

 

『ガハッ!?』

 

「いっくぜぇー‼」

 

そこにエグゼイドが体当たりをして……

 

「喰らっとけッ‼‼」

 

最後に俺がエグゼイドを飛び越えて、左腕の強化アーム【ゲキトツスマッシャー】で殴り飛ばした。

 

『グギャラッ!?』

 

「おお‼これすげぇ威力だな…」

 

俺がそれに感心している間に、イッセーが反転して再び斬りかかろうとして…

 

「そいつは俺の獲物だ。」

 

『ゲプゥッ!?』

 

「あッ!?」

 

スナイプが近づいて、左腕の銃で眼魔を殴った事でイッセーの剣は空振りとなった。

 

「コイツは私が…‼」

 

「やらせん。」

 

ゼノヴィアさんとブレイブが眼魔の体を剣で押さえつけたら……

 

「貰いッ‼」

 

レーザーがその隙間から蹴りを入れた。

 

『グフッ!?』

 

「「何をする‼」」

 

「こういうのは、早いもん勝ちだろ?」

 

「その通り‼」

 

そこに3人と眼魔の間に降りた玲奈がガンガンハンドをフルスイングして眼魔を吹き飛ばした。

 

「「「ああッ!?」」」

 

「へへ~ん、この勝負わた「ここからは俺のライブだぁッ‼」ふえ?」

 

玲奈がガンガンハンドで撃とうとしたら、刀を大きくしたイッセーが先に斬撃を飛ばした。

 

《蒼ノ一閃》

 

『ドゥぶッ!?』

 

「うえッ!?」

 

それが直撃した眼魔は俺の元へと飛んでくる。

 

「ヘイヘイ、カモーン……ソイヤッ‼」

 

『サラパッ!?』

 

左腕をぐるぐると回して射程に入ったら、回した勢いも乗せたパンチを喰らわせ、全員が縦1列になるところに転がった。

 

「よし、今度は俺が…‼」

 

「俺に決まってるっしょ‼」

 

「俺が倒す‼」

 

「残念、私が‼」

 

「私が頂く‼」

 

「今のうちに「うおぉぉぉぉぉ…‼」へ?」

 

他の奴等が揉めてる間に倒そうと思ったらエグゼイドの唸り声が聞こえ、そっちを見ると俺たちの一番後ろで体を大きく仰け反らせていて口の部分には炎が見えた。

 

………………ん?あのモーションで炎って……ヤベェッ!?

 

これから何が起きるか理解した俺はすぐに横に動いた。他にもイッセーと玲奈、ブレイブとスナイプが同じように動く……

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「さあ?」

 

が、事態を把握していないゼノヴィアさんとレーザーがその場に取り残され…

 

「うおらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼」

 

エグゼイドから眼魔へと火炎放射が放たれた。

 

「「へ?うおわああああああああああああッ!?」」

 

運悪く射線に残ってしまった二人は地面に倒れる事でそれをギリギリで回避して、炎は眼魔を焼く。

 

『ギャアアアアッ!?アチアチアチッ‼』

 

「どうだッ‼」

 

「「「「「「「やり過ぎだ‼バカヤロー‼」」」」」」」

 

攻撃が決まった事に喜んでいるエグゼイドに全員でツッコミを入れる。

 

「何してくれてんの、名人!?見てよ、オレっちの足の爪‼少し焦げてんじゃねえか‼」

 

「私は角だ‼ほら、よく見ろ‼」

 

「ん~?それくらいだったら問題ないって‼神経質だな~。」

 

「「まず謝れやッ‼」」

 

「へぶッ!?」

 

反省が見えないエグゼイドにレーザーとゼノヴィアさんが頭をはたく。

 

「そこの漫才トリオは無視して、アイツを倒す。」

 

「奴を倒すのは俺だ‼」

 

ブレイブが眼魔へと駆け、スナイプが銃撃することで生まれた隙をついて右腕の剣で斬りつける。

 

『ガバッ!?』

 

「ほッ‼んで…ワッショイ‼ワッショイ‼」

 

俺はその横から飛び出して、左腕で何度も殴る。

 

「ちょっとちょっと‼俺を忘れんなっての‼」

 

更に俺の横からレーザーが出てくる。

 

『くッ!?この…‼』

 

「へ‼あらよっと‼」

 

眼魔が腕を振って吹き飛ばそうとしたが、レーザーはそれをしゃがんでかわし、回し蹴りを2連続で決める。

 

「ガトリング斉射‼いっけー‼」

 

そこに玲奈がガトリングをぶっぱなしてダメージを増やしていく。

 

「私も負けてはいられん‼」

 

ついでにゼノヴィアさんも飛び上がり、両手の剣を落下の勢いをプラスして振るい、縦に斬った後すぐに横凪ぎに振るって切り捨てる。

 

「俺達のビートは止められないぜ‼」

 

そこからイッセーが逆立ちして回転しながら足のブレードで乱れ斬る。

 

《逆羅刹》

 

『グアァァァァァァァァァッ!?』

 

「おまけに持ってけ‼」

 

追撃に短剣を眼魔の影にブッ刺す。

 

《影縫い》

 

『か、体が…ッ!?』

 

「おし‼決めるぞ‼」

 

イッセーの掛け声に、エグゼイド達を除く俺達は必殺技の体勢に入る。

 

《FINAL VENT》

 

《ゲンカイ‼ダイカイガン‼ディープゴースト‼ギガ‼オメガドライブ‼》

 

《ダイカイガン‼ユリン‼オメガドライブ‼》

 

《Exceed Charge》

 

いつもの必殺技発動に合わせ、全員でスロットのボタンを押す。

 

《キメワザ‼》×4

 

そして、玲奈がガンガンハンドとガンガンセイバーをガンモードにして、もう一度ボタンを押した。

 

《JET!!CRITICAL STRIKE!!》

 

「全砲門、ファイヤー‼」

 

引き金が引かれると、大量の弾丸とミサイルが眼魔を襲った。

 

『ヌオオオオォォォォォォォォッ!?』

 

「我が刃の錆になれッ‼」

 

《GIRIGIRI!!CRITICAL STRIKE!!》

 

一斉射が終わった所にゼノヴィアさんが飛び込み、両手の剣で袈裟斬り、横凪ぎに振り下ろしと連続で切り裂き…

 

「これがホントの…ライダーロケットパーンチ‼」

 

《GEKITOTSU!!CRITICAL STRIKE!!》

 

俺が左腕を飛ばして眼魔にぶつけ、吹っ飛んでいく所に追い付いて左腕をアームに突っ込む。

 

《PERFECT!!》

 

『ゴバァッ!?』

 

その爆発の勢いで更に吹き飛んでいき……

 

「星屑となって散れ‼」

 

《DOREMIFA!!CRITICAL STRIKE!!》

 

イッセーがメイルさんの火球を受け、右足に音符型のエネルギーを纏った蹴りを喰らわせた。

 

《会心の1発‼》×4

 

『ガブラァァァァァァァァァッ!?』

 

眼魔は更に勢いを増して、近くの岩に激突してめり込んだ。

 

『バカな…‼今の私は…………能力がMAXのはず…‼』

 

「んなの、あんたの限界値より俺達が上ってだけだ。」

 

『クウッ‼』

 

奴の呟きに俺がそう返すと悔しそうに頭を俯ける。

 

でも頑丈さはピカイチだな。あれだけの必殺技を喰らってまだ原型をとどめてるなんて……

 

「フィニッシュを決めるのは俺だ‼」

 

「ゲーム眼魔は俺が切除する。」

 

「俺のミッションに手を出すな。」

 

「ノリノリで行っちゃうよ~♪」

 

《ガシューン》《ガシャット‼キメワザ‼》×4

 

そしたら後ろからエグゼイド達の声と必殺技発動の音声が聞こえたので、俺達は左右に散らばった。

 

彼らは腕の武器や頭にエネルギーを溜めていき……

 

《DRAGO KNIGHT!!CRITICAL STRIKE!!》×4

 

スロットのボタンを押して火炎弾や斬撃、弾丸を大量に飛ばしていく。

 

『グ…‼グアァァァァァァァァァァァァァァッ!?』

 

《会心の1発‼》×4

 

それをモロに受けたゲーム眼魔は、爆発して散った。

 

《GAME CLEAR!!》

 

「いよっしゃーッ‼」

 

最後にエグゼイドの声でこの戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

戦いの後、治療が終わった俺達は元の世界に戻る事になり、CRの人や檀さんが見送りに来てくれた。

 

因みに終わった後にみくるさんと合流すると、黒いライダーを倒したが止めをさす前に逃げられたそうだ。

 

「僕達の世界の事件に巻き込んじゃって、本当にごめん。」

 

「気にしないでください。俺もいい修行になりましたから。」

 

永夢さんの謝罪に俺はそう答える。

 

実際、ガシャットの力で戦うのは今までとは違う経験だったから修行としては良かったと思っている。

 

「夏樹さん、私からはこれを送ろう。」

 

檀さんはみくるさんに1つのUSBメモリを手渡した。

 

「それは?」

 

「これにはゲーマドライバーやガシャット、武器の全データが入っている。君達の世界で役立ててくれたまえ。」

 

「ありがたく頂戴するわ。」

 

みくるさんはそれをイイ笑顔で受け取った。

 

何だろう……そこはかとない黒さを感じる…

 

「おい小娘、次会ったら俺と勝負しろ。」

 

「いいわ、負けないんだから‼」

 

「いや~、嬢ちゃんとは気が合いそうだぜ‼」

 

「ああ、それは私も感じていたぞ‼」

 

皆が話していたら飛彩さんが俺の前に来る。

 

「第一助手。」

 

「誰がだッ‼」

 

その言葉に俺は反論するが……

 

「お前は今のままだと……この先、死ぬぞ?」

 

「ッ‼」

 

そう告げられた言葉に思わず息を飲む。

 

「自分の身を省みない方法は、誰かが助かっても自分が代わりに死ぬ。そしてほかの誰かを悲しませる…医者からの忠告だ、覚えておけ。」

 

どうやら玲奈ちゃんを助けた時の事を言っているらしい。

 

「………………肝に命じておきます。」

 

「そうするといい。何かあったら周りを頼れ。」

 

そう言って去っていく飛彩さんを見ながら、俺は右手を強く握り締める。

 

でも俺は皆を守ると誓ったんだ…‼響達に2度とあんな辛い思いをさせないと‼その為なら俺は…‼

 

『主…』

 

そこに心配そうなメイルの声が聞こえた。

 

「心配すんなよ、メイル。俺は死なないしちゃんと強くなるさ。」

 

『はい……でも、無理しないでね?』

 

「ああ……つか、喋り方がゆめの時のになってるぞ?」

 

『もともとはこっちが素だからね。これからはこっちの喋り方で統一しようと思ってるし。』

 

マジか…‼長年一緒にいたけど初めて知ったぞ‼

 

『そりゃ、今言いましたから。』

 

…………だから地の文を読むな…

 

『私は何があってもおに……主の味方だから‼』

 

「ありがとな…それと、別にお兄ちゃんでもいいぞ?」

 

『ほんとッ!?じゃあ、改めてヨロシクね、お兄ちゃん‼』

 

「おう、ヨロシクな。」

 

俺がメイルと話していると、永夢さんがタケルに何かを手渡していた。

 

「僕を助けてくれた2つの眼魂と、さっき拾った眼魂なんだけどこれって君の?」

 

「2つはそうだけど、もう1つは知らないな…でも、受け取っておくよ。」

 

そう言って受け取ったのは、黄緑とピンクの派手なカラーリングの眼魂だった。

 

「皆さーん‼座標の設定が終わりましたよー‼」

 

エルナの声で俺達は扉の前に集まる。

 

「「「「「「それじゃ、お世話になりましたー‼」」」」」」

 

手を振っている永夢さん達にそう言って、俺達は元の世界に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黎斗side

 

「それで?君の実験はどうだったんだい?」

 

私は社長室にある卓球台の上でゲームを興じている男に話し掛けた。

 

「面白いデータが取れたよ。他の怪人にバグスターウィルスを感染させると異常なまでに防御力が上がる事が解ったんだ。」

 

「ほお…?」

 

それは面白そうなデータだ。

 

「それで、他には?」

 

「なーんにも。」

 

「は?」

 

男の発言に私は呆気にとられた。それ以外何もない?

 

「実験っていうのはただの建前さ。ほんとはあれがどんな風に暴れるのか楽しみにしていただけ……いうなればボーナスステージってやつだよ。」

 

「…………どうやら、私まで君に一杯食わされた様だな……それで君の心は踊ったのかい?」

 

「もちろん‼他の世界から来た仮面ライダーまで見れて凄く楽しめたね‼」

 

「それは良かった。」

 

「そういうお前はどうなんだ?きっちり自分用のデータも取っていたんだろう?」

 

彼の言葉に私は思わず笑みがこぼれた。思い出すのは彼女【夏樹みくる】が変身した姿、【仮面ライダーネクロムブレイズ】

 

「想像以上だったよ…‼これなら()()の完成は早まりそうだ。後は…」

 

私は机の中から白い何も描かれていないガシャットを取り出して上に掲げながら眺める。

 

「死のデータを手に入れるだけだ‼」

 

そして込み上げてくるものを押さえきれずに笑った。




いかがでしたか?

8人プレイになっていたか微妙ですけど……

そしてこの世界、少しヤバくなるかもしれません。

次回から3~4話程番外編になります。

次回【爆誕‼走り出すNEW MEMBER‼】

「私も一緒に走らせて‼」

これがたぶん今年最後の更新になります。

それでは読んでくれた皆様、よいお年を。


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対決‼ユリンVSヘレナ 前編

どうも、疾風の警備員です。

今回は悪維持さんの作品【天パー侍と絶刀の少女】の番外編に出てくるキャラとのコラボの前半になります。

ほぼ戦闘シーンですが、なるべくカッコよく書いたつもりです。

もしよければ、見ていってください。


玲奈side

 

夕夏の訓練から次の日、私は家の近くの公園の噴水前で夕夏と待ち合わせしていた。理由は前回の話であった通り翠屋のシュークリームを食べに行くため…………って前回の話って私、なに訳の分かんない事言ってんだろう?

 

「玲奈ちゃーんッ‼」

 

そんなメタな考え事をしていたら、入り口のある方角から夕夏が来た。

 

「ゴメン、待たせちゃった?」

 

「大丈夫、これくらいならどうって事ないわよ。」

 

実際に待ってたのは3分ぐらいだし、噴水前だから夏の暑さも和らぐしね。

 

「それじゃ、行こっか。」

 

「うん。」

 

そして、二人で駅まで行こうとしたら、一人の女の子が私達の前で止まった。

 

「……誰?玲奈ちゃんの知り合い?」

 

「ううん、私も知らな「貴女が【御堂 玲奈】さん?」ッ!?」

 

夕夏の質問に否定を返そうとしたら、向こうが私の名前を呼んだ事に驚きを隠せなかった。

 

誰ッ!?私はあんな子知らないのに何で向こうが知ってんのよ!?

 

「誰…あなた?」

 

「私は【鬼町 夏煉】貴女と同じ力を持つ者です。」

 

私の質問に彼女はそう答えると、腰に手を翳しそこに私が見慣れたグレーの一つ目小僧みたいなバックルにレバーのついたベルトを出した。

 

あれは…間違いない‼

 

「「ゴーストドライバーッ!?」」

 

それを見た私と夕夏は驚きの声をあげた。

 

ウソッ!?他にも私達みたいな人がいたって事!?

 

「何が目的なの?」

 

「貴女と戦いってみたい…それだけだよ。別に命が欲しいとかじゃないから。」

 

「「へ?」」

 

たったそれだけ?なんかもっと壮大な目的があるのかと思ったけど……

 

「けど、せっかくの夕夏とのお出かけを邪魔するなんてね…」

 

私にとって夕夏と遊ぶのは楽しみの1つなのに、それを妨害するとか…………その行為、万死に値する‼

 

「いいわ‼その勝負、受けてあげる‼」

 

そう言って、私もゴーストドライバーを出す。

 

「ちょッ!?玲奈ちゃん!?」

 

「悪いけど夕夏、少しだけ待ってて……今、アイツを倒してくるから。」

 

「もぉ……しょうがないなぁ…」

 

私の返事に呆れながらも、夕夏はゲーマドライバーを腰に装着した。

 

「フィールドは私が何とかしてあげるし、バイクが必要になったら何時でも呼んでね?」

 

「夕夏……ありがとね♪」

 

頼りになる親友にお礼を言って、私はユリン眼魂をバックルに入れ、夕夏は爆走バイクガシャットの起動ボタンを押す。

 

《爆走バイク‼》

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

そして二人でポーズを決めつつ……

 

「「変身‼」」

 

《ガシャット‼》

 

《カイガン‼》

 

掛け声と共に、バックルのレバーを引いて押し込み、ガシャットを装填した。

 

《レッツゲーム‼メッチャゲーム‼ムッチャゲーム‼ワッチャネーム!?》《アイム・ア・仮面ライダー‼》

 

《ユリン‼ウィルゴー‼覚悟‼ト・キ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

そしてユリンとレーザー・レベル1に変身する。

 

「あれ、そっちも仮面ライダー!?どうしよう……さすがに二人同時は…」

 

私達の変身を見た瞬間、向こうの子が慌て始めた。

 

あれ、夕夏が変身出来るのは知らなかったのかな?

 

「えっと…私は直接戦闘には参加しないよ?」

 

「え?本当ですか?」

 

「うん、今回はフィールド作りと乗り物が必要になったときだけ参加するみたいな感じだから。」

 

「よ…良かった…」

 

夕夏の言葉にその子は安堵したように息を吐いた。

 

う~ん、なんかそこまで悪い子じゃないみたいね。

 

「それじゃ私も。」

 

向こうも黒紫の眼魂を手に取り、ナンバリング状態にしてバックルに入れて閉じると、黒字に紫のラインのパーカーが出てくる。

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

「変身。」

 

そしてレバーを引いて押し込んだら、黒に紫のラインのボディスーツを纏い、パーカーを羽織ると顔が描かれ額には2本の角が生えた姿になった。

 

《カイガン‼ヘレナ‼デッドゴー‼覚悟‼キ・ラ・メ・キ‼ゴースト‼》

 

「へぇ、それが貴方の変身した姿なの?」

 

「うん、【仮面ライダーヘレナ】。それが今の私の名前。」

 

「そう…私は仮面ライダーユリン‼」

 

私はそう名乗り、バックルからガンガンハンドを出して構えると、向こうはガンガンセイバーを出して構える。

 

「命……燃やすよ‼」

 

「なら、私の生き様……たっぷりと見せてあげる‼」

 

「それじゃ、ステージ選択っと。」

 

《ステージ・セレクト‼》

 

夕夏がステージを公園からどこかの荒野に変えた瞬間、私はガンガンハンドの引き金を引く。

 

「喰らえッ‼」

 

「ッ!?」

 

少し不意討ち気味に撃ったが、向こうは剣を盾代わりにしてそれを防ぐ。

 

なんつー反応速度よ…景色が変わる瞬間を狙ったってのに。

 

「今度はこっちの番‼」

 

ヘレナが剣を握り締め、こちらへ走ってくるので私も撃ちまくるが悉くが剣で弾かれる。

 

ちょっと‼最近銃弾を剣で落とす奴多くない!?もう少し扱い良くしてよね‼

 

「ハアッ‼」

 

「くッ!?」

 

そして間合いに入ってきた彼女は剣を上段から振り下ろしてきたので、ガンガンハンドで受け止める。

 

「やっぱり、簡単にはいかないか。」

 

「当たり前…でしょ‼」

 

「うくッ!?」

 

ベルトからガンガンセイバーを出して彼女にぶつけ、離れた所をハンドで撃ち抜く。

 

「キャアッ!?」

 

「さあ、鉛弾のバーゲンセールといきましょうか‼」

 

セイバーをガンモードに変え、ハンドと一緒に乱れ撃つ。

 

「まだまだッ‼」

 

彼女はすぐに体勢を戻すと、大きく円を描くように走りながら二刀流に変え、その2刀で弾を切り落としながら再び向かってきた。

 

「あーもう、いやになるわね‼」

 

「てやあッ‼」

 

私はそれでも撃ち続けるが、投げられた小太刀がセイバーに当たって落としてしまった。

 

「しまっ!?」

 

「やああああッ‼」

 

それに気をとられている間に、投げた小太刀を掴み薙刀モードに変えたセイバーでバツ字に斬られる。

 

「キャアッ!?」

 

「これで‼」

 

《ダイカイガン‼ガンガンミイヤー‼ガンガンミイヤー‼》

 

ヘレナがセイバーをガンモードにしてベルトに翳し、必殺技を発動させるのを見て、よろけながら私もハンドをベルトに翳す。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

そして互いに銃口を向け…

 

《オメガシュート‼》《オメガスパーク‼》

 

「「ハアッ‼」」

 

同時に引き金を引き、放たれた弾丸が中央でぶつかり合う。

 

「くうぅぅぅぅぅッ‼」

 

「ぬぬぬぬぬぬぬッ‼」

 

しばらくは押し合いが続いたけど、長く持つ筈もなく爆発を起こした。

 

「「ッ!?」」

 

お互いそれを予測してたからか、私も向こうも吹き飛びはせずにその場に立つ。

 

「結構やるじゃない?」

 

「貴女こそ。」

 

このままだと埒があかないわね……こうなったら皆にも手伝ってもらいましょうか。

 

私がシノン眼魂を取り出すと、向こうも別の眼魂を手に取った。

 

「やっぱり貴女もできるのね、ゴーストチェンジ。」

 

「うん、そしてこの子がその眼魂の子と戦いたがってるの。」

 

『あら、私は貴女と何の因縁も無いんだけど?』

 

『そうだけど、同じ狙撃手としてどっちが上なのか……って思って。』

 

『そう……だったらやりましょうか?』

 

『うん。』

 

眼魂達も静かに闘志を燃やしてるみたいなので、私達も眼魂をナンバリング状態にしてバックルに入れる。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

バックルから出てきたシノンとヘレナのパーカーがぶつかり合いながら漂い、私達はレバーを操作してそれぞれを身に纏った。

 

《カイガン‼シノン‼捉える瞳‼冥界の女神‼》

 

《カイガン‼ディエチ‼見つめる瞳‼捉える砲撃‼》

 

私はシノン魂になり、ガンガンハンドをヘカートモードにし、向こうは青と紫の薄手の生地に胸元にXと書かれたパーカーを身に纏い、サイと懐中電灯が合体したみたいなアイテムをハンドと合体させた。

 

「仮面ライダーヘレナ、ディエチ魂。」

 

向こうも射撃型か……なら、こんなフィールドだとつまらないわね。

 

「夕夏、フィールド変更お願い。もちろんランダムでね?」

 

「わかってるよ。ステージ選択。」

 

《ステージ・セレクト‼》

 

夕夏にステージを変えてもらうと、今度は何処かの廃工場になった。

 

『さあ、始めましょう?』

 

『うん。』

 

眼魂達の声を合図に私は撃つが、横に動いてかわされヘレナが腰だめに構えたハンドの引き金を引いたら、一瞬の光の後に私はものすごい熱と一緒に吹き飛ばされた。

 

「うあッ!?……なんなの、今の!?」

 

『恐らくビーム兵器ね。銃口から射線を予測しないと撃たれてから回避はほぼ不可能よ。』

 

はあッ!?ビームってマジ!?

 

『ここは隠れましょう。スナイパーの本領は気づかぬ位置からの攻撃だもの。それに作戦ならあるわ。』

 

「了解。」

 

吹き飛ばされた時に起きた砂煙に紛れるように、私はその場を移動した。

 

 

 

夏煉side

 

「消えた…」

 

『落ち着いて、どんな隙も逃さず撃つのがスナイパーだよ。』

 

ディエチさんに言われた通り、周囲を警戒していたら正面少し上の所が光ったのですぐに横に避けるとその場所に弾丸が直撃した。

 

「そこッ‼」

 

私はすぐにビームを撃つが、既に移動していたのか手応えはなかった。

 

『あまり撃ち過ぎないでね?私の攻撃はチャージが必要だから。』

 

「はい。」

 

そこで右上がまた光ったので避けると近くの瓦礫に攻撃が当たる。

 

「これくらいなら…‼」

 

それからも襲ってくる攻撃を回避したり、チャージが終わり次第反撃を行うがお互いになかなか命中しない。

 

「そろそろ向こうも痺れを切らしてくるかな?」

 

『まずい…たぶんバレたかもしれない。』

 

反撃にやる気になっていたら、ディエチさんが慌てた声を出した。

 

「え?何がバレたの?」

 

『連射が出来ないのがだよ。1回目は反撃したのに2回目はしなかった…それを向こうは怪しんだはず。』

 

「え!?」

 

『たぶんそれ以降は、チャージまでの感覚を読むための攻撃だったのかも…』

 

それってかなりマズイんじゃ…

 

《ダイカイガン‼ガンガンミトケー‼ガンガンミトケー‼》

 

そこに必殺技を放つ為の音声が流れ始めた。

 

『場所は後ろだよ‼』

 

ディエチさんの言葉に振り返りながら、すぐにビームを凪払うように放つと手応えと共に音声が止まった。

 

「やった!?」

 

『……でも何か違和感が…』

 

ディエチさんの言葉が気になった私は、攻撃した場所をよく見たらそこには()()()()()()()()()()が転がっていた。

 

「これって……囮!?」

 

『ということは…《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》ッ!?上ッ!?』

 

突如聞こえた音声に上を見ると、飛び出したユリンがハンドを構えていた。

 

「もらい…‼」

 

《オメガスナイプ‼》

 

「キャアアアアアアッ!?」

 

驚きのあまり硬直していた私に、ユリンの弾丸が直撃した。

 

『隙がないなら隙を作って撃ち抜く。』

 

「それが一流のスナイパーの条件よ?」

 

着地したユリンがハンドを抱えながら、そう言った。

 

『ゴメン…私の戦略ミスだ…』

 

「ううん、私が無闇に撃たなければ…」

 

『あーもうッ‼二人揃って辛気臭いんだよ‼』

 

私とディエチさんが謝り合っていたら、ノーヴェが眼魂の姿で出てきた。

 

『んな事してる暇があんだったら、アタシと交代だ‼いいな!?』

 

『そうだね…今回は私の負けだったけど、次は負けないように色々と考えてみるよ。』

 

「うん、ありがとうディエチさん。それじゃノーヴェ、よろしくね?」

 

『任せな‼』

 

ノーヴェ眼魂を握り締めながら、私は何とか立ち上がる。

 

「直撃してるのに、立てるなんて…」

 

「まだ、終わりじゃないから。」

 

ノーヴェ眼魂をナンバリング状態にし、ディエチ眼魂と入れ換える。

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

バックルから出てきたのはディエチさんと似た青と紫の薄手の生地に胸元にⅨのマークが入っていて、両袖のワイヤーの先に籠手の形をしたグローブが付いたパーカーが出てきて、ポーズを決めるとノーヴェの姿が浮かび上がった。

 

「そっちがその気なら。」

 

ユリンの方も別の眼魂を取り出し、バックルに装填すると、白を基調に青いラインが所々にあり、両袖の先にはワイヤーで繋がった歯車状のパーツが付いた大型の籠手をぶら下げたパーカーが出てきて、ポーズを決めると白いハチマキを巻いた女の子が浮かび上がった。

 

『ちょっとノーヴェ!?何やってんの!?』

 

『あ、誰だお前?』

 

すると突然向こうのパーカーがノーヴェに話し掛けてきた。

 

「ノーヴェ、知り合い?」

 

『うんにゃ、知らねぇ。』

 

「あれ、スバルの知り合い?」

 

『えっと…私がゴーストになる前の家族なんだけど…』

 

『ハァッ!?何ふざけた事言ってんだ‼はっ倒すぞ‼』

 

『ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?』

 

「「とてもそうは見えない…」」

 

もしかして同じ世界の出身だけど、時間軸が違うのかな?

 

「なんかよく分かんないけど、いくよノーヴェ。」

 

「スバルも、口でダメなら拳で語り合うわよ‼」

 

『『了解‼』』

 

《カイガン‼ノーヴェ‼格闘‼疾走‼敵を討つ‼》

 

《カイガン‼スバル‼安全‼最短‼一直線‼》

 

互いにパーカーを羽織ると足の裏に魔力で出来たローラーが付く。

 

「「レディ………ゴー‼‼」」

 

同時にローラーを回し、走りながら右拳をぶつけ合う。

 

「速度はそっちが上みたいだけど…‼」

 

最初は互角だったけど、どんどんと私が押されてくる。

 

「だったら‼」

 

右の籠手【ガンナックル】から魔力弾を撃ち、至近距離での直撃で怯んだ隙に回り込みながら空中回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばす。

 

「ガハッ!?」

 

「『エアライナー‼』」

 

この間に幾何学模様が入った黄色い光の道を空中に作り出して、そこを駆け上がる。

 

『案外呆気ないな?』

 

「ううん、あのくらいなら…」

 

「『ウイングロード‼』」

 

その瞬間、煙の中から何処かの言語が書かれた水色の光の道が伸びてきて、その上をユリンが走ってきた。

 

「よくもやってくれたわね‼」

 

飛び出してきたユリンは、右腕のリボルバーを高速で回転させながら大きく振りかぶった。

 

「リボルバー……シュウゥゥゥゥゥゥゥトォッ‼」

 

そして突き出した右腕から、空気の弾丸を撃ち出す。

 

「その程度…‼」

 

私はそれを蹴りで打ち消す。

 

「嘗めんじゃないわよ‼」

 

《ダイカイガン‼スバル‼オメガドライブ‼》

 

「ッ!?」

 

そこにユリンがレバーを操作して、必殺技を発動させながら突っ込んできた。

 

「震動…けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんッ‼‼」

 

「くッ!?」

 

私はそれを両腕をクロスして受け止めようとしたら…

『喰らう瞬間、後ろに跳べッ‼』

 

ノーヴェからのアドバイスがあったので、言われた通り喰らう時に後ろに跳んだ。

 

「どっせいッ‼」

 

「うあッ!?」

 

そのお陰で派手に飛ばされたが、両腕以外はダメージはそれほどなかった。

 

「今度はこっちの番‼」

 

《ダイカイガン‼ノーヴェ‼オメガドライブ‼》

 

私も必殺技を発動させ、足首に魔力のギアを纏わせてエアライナーの上を走る。

 

「うそッ!?」

 

「ハアッ‼」

 

私は右拳をユリンのお腹にめり込ませ、前のめりになった所を顎に膝蹴りを入れのけ反ったお腹に回し蹴りを2度決めたらアッパーで上に打ち上げ、エアライナーで追い付いたらジャンプしながら前転の勢いを乗せた踵落としを喰らわせた。

 

「ゴフゥッ!?」

 

彼女は勢いそのままに地面へと落下した。

 

「玲奈ちゃんッ!?」

 

「大丈夫よ…イチチ…」

 

土煙の中からユリンが立ち上がった。

 

結構叩き込んだのに、あんな簡単に立ち上がってくるなんて……

 

『よっぽどあの眼魂の魂が頑丈なんだろ?』

 

だからって頑丈過ぎじゃない?

 

「だったら今度はこの子よ‼」

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

ユリンが別の眼魂をバックルに入れると、上がベージュで下が緑にフードがピンクのパーカーが出てきた。

 

『ノーヴェ、変わりなさい。あれと戦うのは私よ‼』

 

『あ?別にアタシはもう充分だから良いけどよ。』

 

そこに澪ちゃんが出てきてそう言うので、私はノーヴェ眼魂と澪眼魂を入れ換えると、黒いタンクトップ風のパーカーが出てきてポーズを決めると澪ちゃんの絵が浮かび上がった。

 

「よろしくね、澪ちゃん?」

 

『フ、フン‼別にアンタの為じゃないからね!?私がアイツを倒したいだけなんだから‼』

 

「フフ…分かってるよ。」

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

2体のパーカーが周りを漂い、レバーを操作してそれを身に纏う。

 

《カイガン‼クロコ‼今すぐテレポート‼相手をジャッジメント‼》

 

《カイガン‼ミオ‼過激な転移‼三人に分身‼》

 

同時に纏ったら、私達は一瞬で距離を詰め組み合う。

 

『あら、貴女もテレポーターなんですのね?』

 

『そうよ、アンタよりも上のね?』

 

『…………言ってくれやがりますわね…‼』

 

そしたら相手が消え、後ろから蹴りを喰らってしまう。

 

「くぅッ!?」

 

「テレポーター相手に油断は命取りよ?」

 

「そっちもね?」

 

「へ…(ポカッ)アイタッ!?」

 

私はこっそりと右腕だけをテレポートさせて、ユリンの頭を後ろから殴った。

 

「な、何が起こったのよ!?」

 

『わ、私にも何がなんだか…‼』

 

慌ててる間に手足を次々にテレポートさせながら、ラッシュを決めていく。

 

「くッ!?どうすりゃ良いのよ…‼」

 

『アハハハハハッ‼そのままタコ殴りにしてあげる‼』

 

澪ちゃん…楽しそうだなぁ……

 

『もう充分ですわ。』

 

「ちょッ!?黒子!?」

 

『あら、もう諦め「イタッ!?」へ、夏煉ッ!?』

 

向こうの言葉に力を緩めたら、突然走った痛みに私はラッシュを止めてしまった。

 

『ど、どうしたの!?大丈夫!?』

 

「う、うん……ちょっとチクッとしただけだから…」

 

痛む右手を見てみると、一本の金属棒が刺さっていた。

 

「これは…」

 

『あれだけテレポートさせてくれば、嫌でもクセが分かりましてよ?後はそこを予測してそれ(金属棒)を転移すれば自らブスリといく訳ですわ。』

 

「おお、さっすが黒子‼」

 

『これでどちらが上か分かりまして?』

 

『ぐぬぬ…‼』

 

向こうの眼魂の言葉に澪ちゃんが悔しそうに唸る。

 

「まだだよ澪ちゃん、こっちも本気でやろう‼」

 

『言われなくても‼』

 

「させるか‼」

 

私が行動する前にユリンが金属棒を投げてきたが、それを私は()()()()()()その間を通っていった。

 

「『は?』」

 

「驚くのはまだ早いよ。」

 

更に私はもう一人増え三人になり、ユリンを囲むように並び立つ。

 

「いや、分身とかアリッ!?」

 

「「「これで決める‼」」」

 

ユリンが驚いている間に私達はレバーを4回操作する。

 

《ダイカイガン‼ミオ‼オオメダマ‼》×3

 

そしてバックルから出てきた大きな眼魂型のエネルギー弾を三人同時にそれをユリン目掛けてオーバーヘッドで蹴り飛ばした。

 

「ちょちょちょッ!?どうする!?どうするのよ黒子!?」

 

『貴女ねぇ……ま~だ私の能力を理解してないんですの!?』

 

「え…………あ、そっか。」

 

何やらコントみたいなのが聞こえたけど、その間にエネルギー弾が直撃して大爆発を起こす。

 

『フン‼やってやったわよ‼』

 

「でもこういう時って《ダイカイガン‼クロコ‼オメガドライブ‼》やっぱりくる‼」

 

決まったと思った瞬間、相手の必殺技の音声が聞こえ、分身2体が倒される感覚と共に、ユリンが目の前に転移してきた。

 

「ウオラアァァァァァァァァッ‼‼」

 

「くッ!?」

 

《ダイカイガン‼ミオ‼オメガドライブ‼》

 

私は咄嗟に必殺技を発動させて、同じ飛び蹴りで攻撃を相殺した。

 

「チィッ‼本体は逃がしたか‼」

 

「び、ビックリした~…」

 

急に目の前に出てくるから、一瞬頭が真っ白になっちゃったよ……

 

『そんな……どうやってアレを…!?』

 

「今の私もテレポーターだもの。当たる直前に上空に転移したのよ。」

 

『後は上で必殺技を発動して、最初の1体に飛び蹴りを決めたら着地の前に転移して次のに決めて、最後に貴女に決めようと思ったんですけど…』

 

『キィィィィィィィィッ‼ムカつく‼ムカつく‼ムカつくうぅぅぅぅぅぅぅッ‼‼』

 

「澪ちゃん、落ち着いて!?……でも、これだとキリがないから、ステージを変えませんか?」

 

「奇遇ね、私もそうしようと思ってたのよ。夕夏、お願いね‼」

 

「わかったよ‼ステージ変更‼」

 

《ステージ・セレクト‼》

 

もう一人のライダーの力でフィールドが変わると、今度は海に変わり私達は岩の上に立っていた。

 

「海か……イカちゃん、お願いできる?」

 

『任せるでゲソ‼海は私の庭だゲソ‼』

 

「こっちもこの子に「れ、玲奈ちゃん…‼たたた助け…ブクブク…」って夕夏あぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

私が眼魂を出し、ユリンも眼魂を変えようとしていたら、もう一人のライダーが海に沈んでいっていたので、慌てて転移で岩の上まで連れて来てた。

 

「うううう……死んじゃうかと思った…」

 

「何で自分の足場を作らなかったのよ…」

 

「ランダムだから仕方ないじゃんッ‼」

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

向こうの様子を見て、なんか心配になった私は声を掛けてみた。

 

「へ?ああうん、何とか…」

 

声に覇気がないけど……大丈夫って言ってるし、いいのかな?

 

『そこのテレポーター‼今度会ったら必ずブッコロばしてやる‼』

 

『その言葉、利子を付けて返してやりますわ‼』

 

眼魂達の声を聞きながら、私達は次の眼魂をナンバリング状態にした。

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

夕夏を岩の上に置いて、私は吹雪眼魂をナンバリング状態にする。

 

「吹雪ちゃん、準備はいい?」

 

『もちろん‼海の上なら負けないよ‼』

 

黒子眼魂を取り出し、吹雪眼魂を入れてパーカーが出てくると、向こうもイカの頭を模したフードに袖には左右1本ずつ、裾には8本の計10本の触手みたいなのがある、ワンピースみたいなパーカーが出てくると空中にパーカーと殆ど変わらない姿の女の子が映った。

 

《カイガン‼フブキ‼鎮守府着艦‼駆逐艦‼》

 

《カイガン‼イカムスメ‼侵略‼征服‼海の使者‼》

 

パーカーを纏った私達は同時に海へと飛び出す。

 

私は海の上をスケートのように走り、ヘレナは水中へと潜った。

 

「水中にいるんなら、炙り出す‼」

 

『魚雷発射菅一番二番、発射‼』

 

左右の腰にある魚雷発射菅から2発の魚雷を撃ち、それが爆発すると水中からヘレナが飛び出してきた。

 

「くぅッ!?」

 

「そこッ‼」

 

それを見つけた私はすぐさま左腕のドルフィンカノンを撃つが、両腕にある触手で全て払い落とされた。

 

「やっぱりあの触手は厄介ね。」

 

『他にもあるから、当てるのは難しいかも…』

 

例えどれだけ相手の防御が固くても、私は必ず狙い撃つ‼

 

「こっちのフィールドにいらっしゃい。」

 

ヘレナがそう言うと、10本の触手が私をがんじがらめにした。

 

「『ちょッ!?私達に酷い事するつもりでしょ!?エロ同人誌みたいに!?』」

 

「『いや、しないから(ゲソ)ッ‼』」

 

私と吹雪のとっさのボケに、ヘレナ達は律儀にツッコンでくれた。どうやらツッコミの才能もあるみたいね。

 

なんてバカな事を考えている間に、私は海中に引きずり込まれた。

 

「ガボゴボガボ…‼」

 

『水中でも息は普通に出来るよ?』

 

「え…あ、本当だ。」

 

夕夏のを見て水中だと苦しいのかと思ったけど、ライダーって結構万能なんだな…

 

そう思っていたら、何かが私にぶつかってきた。

 

「痛ッ!?なに?」

 

ぶつかった存在が通り過ぎた方を見ると、高速で泳いでいるヘレナがいた。

 

『水中戦だったら私達が不利だよ!?何とか海上に出ないと…‼』

 

「わかったわ‼」

 

私は水上目指して泳ぎ始めるが……

 

「逃がさない‼」

 

ヘレナが体当たりで私のバランスを崩し、上がるどころかどんどん沈んでいた。

 

このままじゃジリ貧だ…‼どうすれば………そうだ‼

 

「吹雪、この方法はどう?」

 

私は思い浮かんだ方法を吹雪に話してみた。

 

『それはムチャだよ!?下手すれば自分がダメージを受けちゃう‼』

 

「これしかないのよ‼お願い、吹雪‼」

 

『………………わかった…そのかわり、タイミングは私に任せて‼』

 

「OK‼頼んだわよ、吹雪‼」

 

作戦が決まると、私は泳ぐのを止めてその場にとどまった。

 

「何をする気か知らないけど…‼」

 

「ぐッ!?」

 

止まった私に対して、ヘレナは次々に体当たりを決めて吹き飛ばしてくる。

 

まだだ…もう少し待て……そうすれば……

 

「これでッ‼」

 

これで決めるつもりなのか、ヘレナが大きく回りながら下からやって来る。

 

『今だよ‼』

 

「魚雷発射菅三番、発射‼」

 

待ちに待った吹雪の指示に従い、私は魚雷を発射する。

 

「そんなのが…‼」

 

ヘレナは少し横に動いてかわそうとしたが、この魚雷の本当の目的は別にある。

 

発射された魚雷は、撃たれてから1秒後にいきなり爆発した。

 

「ええッ!?」

 

ヘレナの驚きの声が聞こえたが、私はその爆風に乗って一気に水上へと突き進み、数秒で海上に出れた。

 

「プハッ‼」

 

『まったく……魚雷の爆風を利用するなんて、心臓に悪いよ?』

 

「アハハ……まあ、無事だったからいいじゃない?」

 

私が考えたのは魚雷を至近距離で爆発させ、その爆風に乗って一気に海上に出るといったものだった。

 

下手すれば自分が爆発に巻き込まれてダメージを負うかもしれないし、普通に使ってもヘレナに追い付かれてまた沈められるのがオチだ。だから目隠しと爆風を利用できる下からの攻撃を待っていた。

 

「これでようやく戦えるわ…」

 

「まさかあんな方法で逃げるなんて思わなかった。」

 

『むちゃくちゃするゲソね。』

 

「その程度の道理、私の無茶でこじ開けてやるわ‼」

 

そう叫び、私はヘレナへと向かって接近を始めた。

 

「いけ、【カラマルショクシュ】よ‼」

 

ヘレナは触手を伸ばしてくるが、私はそれをかわしたりドルフィンカノンで撃ち落としたりして進んでいくが、その内の1本が右腕に絡み付いた。

 

「取ったッ‼」

 

「甘いのよおォォォォォォォォォッ‼」

 

私は絡み付いた触手を左手で掴み、全身でスピンするように回転を始める。

 

「へ?…うわわわわわわわわわッ!?」

 

ジャイアントスイングのようにどんどん回っていくと、ヘレナの体が浮かび始める。

 

そして、勢いに負けたのか触手が腕から離れてヘレナが飛んでいく。

 

「ひゃあああああああああああああああッ!?」

 

「ここよ‼」

 

《ダイカイガン‼フブキ‼》

 

そのチャンスを逃さないためにも、素早くレバーを操作して必殺技を発動させ、ドルフィンカノンに高圧縮した水をチャージしていく。

 

「こんのおおおおぉぉぉぉぉぉッ‼」

 

《ダイカイガン‼イカムスメ‼》

 

ヘレナも10本の触手に墨を丸めた物を充填していった。

 

「撃ち抜けええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

「弾けろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼」

 

《オメガドライブ‼》×2

 

そして必殺技同士がぶつかり、辺りを爆発が覆った。




どうでしたか?

次回は後編になります。

次回【対決‼ユリン対ヘレナ‼後編】

《エンゲツ‼ダイカイガン‼》

「ここからが私達の…」

《カイガン‼》《レベルアップ‼》

「本当の全力よ‼」

では、また次回にお会いしましょう。


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対決‼ユリンVSヘレナ 後編

どうもお待たせしました、疾風の警備員です。

今回も悪維持さんの【天パー侍と絶刀の少女】のコラボ回、その後編になります。

はたして勝者はどちらなのか!?

では、どうぞ。


タケルside

 

俺は今、住宅街の中を全力で走っていた。

 

エルナから連絡があり、町の公園で玲奈と夕夏ちゃんがゲームエリアを展開して誰かと戦っていると連絡を受けたからだ。

 

「二人とも…無事でいろよ…‼」

 

「タケル‼」

 

そして途中でイッセーと出くわした。

 

「話は聞いてる‼俺も一緒に行くぞ‼」

 

「助かる‼」

 

後少しで公園に着くところまで来たら、一人の男が俺達の前で立ち塞がった。

 

「オイ、邪魔だ‼」

 

ソイツを避けて進もうとしたが、何故かソイツも俺達の前に来て妨害してきた。

 

「何のつもりだ…‼」

 

「悪いけど、君達を行かせる訳にはいかない。」

 

「なに…?」

 

そう言って男は、1つのベルトを取り出して腰に巻き付けた。色は青黒いがあの形は見覚えがある。

 

「電王ベルトッ!?」

 

「知ってるのか?」

 

「一応な…」

 

それは平成ライダー8番目の作品【仮面ライダー電王】で使われる電王ベルトの色違いだったからだ。

 

「君達に僕の妹の邪魔はさせないよ。」

 

「妹のためってか?気持ちは分からなくもねぇが、だからといって……」

 

俺はゴーストドライバーを展開し、ディープゴースト眼魂を握り締め、イッセーもデッキを前に突き出す。

 

「俺の妹とその友達を巻き込む理由にはなんねぇんだよ‼‼」

 

《Dive to Deep‼アーイ‼》

 

「「変身ッ‼」」

 

《ゲン‼カイガン‼ディープゴースト‼キルゴー‼覚悟‼ゲ・キ・メ・ツ‼ゴースト‼》

 

《SWORD VENT》

 

変身した俺はディープスラッシャーをソードモードで構え、イッセーは解放龍の剣を呼び出す。

 

「やれやれ……スカーレット様からは殺すなと言われているけど、これのテスト相手には丁度良いね。」

 

男の方はベルトのボタンを押し、流れるメロディーの中で右手にパスを見せるように持って、横に伸ばし手首を返し…

 

「変、身……」

 

それをベルトに翳した。

 

『Phantom from』

 

その音声と共にプラットフォームになると、次々に鎧が装着され最後に仮面が付くと色はディープブルーに白いマフラーを靡かせたハイジャックフォームに似た姿なった。

 

「仮面ライダー隷汽(れいき)……鬼崎陽太郎、混沌の夢に沈もう。」

 

そう名乗ると、コブラを模した鎌を手に取った。

 

「上等だ‼仮面ライダーゴースト、御堂タケル‼テメェに魂の底力ってもんを見せてやる‼‼」

 

「仮面ライダー光龍、龍見一誠‼ここからは俺達のライブだ‼‼」

 

俺達は奴にそう名乗り返して、隷汽へと突っ込んだ。

 

 

 

 

 

玲奈side

 

「アイタタタ……結構ハデに吹き飛ばされたわね…」

 

『大丈夫?』

 

さっきの必殺技同士のぶつかり合いで起きた爆発で、私は元いた岩場に思いっきり背中を打ち付け、吹雪が心配そうに声を掛けてくれた。

 

あーもう、跡が残ったらどうしよう……

 

「とりあえず私は大丈夫よ。それより相手は?」

 

『向こうも無事みたい。』

 

吹雪に言われ見てみると、向こうも岩場に激突したみたいだが、起き上がろうとしていた。

 

「こりゃ、このフィールドで続けるのは無理かな?夕夏、変更お願い。」

 

「わかった。でも、あんまり無茶しないでね?」

 

《ステージ・セレクト‼》

 

新たにフィールドを変えると、たくさんの木がある森林ステージになった。

 

「今度は森か…」

 

「いこう、ウェンディ。」

 

『よーやくアタシの出番ッスね?いっちょ張りきるッスよ‼』

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

「私達も行こうか、明乃ちゃん?」

 

『うん‼出航するよ‼』

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

私とヘレナは同時に新しい眼魂をバックルに装填した。

 

そして向こうからは2回ほど見た青と紫の薄手の生地に胸元にはⅩⅠのマークがあり、肩にはサーフボードみたいなのを半分にしたのを、左右に装備したパーカーが出てきてポーズを取ると赤い髪の女の子が映り、私の方からは白地に青のラインが走り、フードには軍人が被るような帽子が付いたどこか制服っぽいパーカーが出てきて、ポーズを決めたら茶髪をツインテにまとめた女の子が映った。

 

《カイガン‼ウェンディ‼攻防一体‼敵を粉砕‼》

 

《カイガン‼アケノ‼海と‼仲間は‼皆家族‼》

 

そしてパーカーを纏うと、ヘレナが肩のパーツを分離・合体させ、ボードにして乗っかり……

 

『IS、エリアルレイヴ‼』

 

そのまま空へと、飛び上がった。

 

「へぇ~、空飛べんだ…(コンッ)あイタッ!?」

 

それを見ていたら後頭部に何かがぶつかってきた。

 

「もう、なによ~…」

 

振り返るとそこには少し大きめのクジラ型のガジェットがいた。

 

『私のガジェットの【ホエールコンパス】だよ。かわ「やぁ~ん‼メッチャカワイイ~‼」既に抱き着いてたね…』

 

私はその子を見た瞬間に抱きしめ、頬擦りしていた。

 

『もう、そんな事してる場合じゃないよ~‼』

 

「おっと、そうだったそうだった。」

 

ガンガンハンドを構えるとホエールコンパスが左右に別れて先端を挟むようにドッキングして上部にあるコンパス部分には新たに砲身がプラスされた。

 

「ガンガンハンド・フォートレスモード‼」

 

「確かに凄そうだけど…‼」

 

『アタシ達は捉えられないッスよ‼』

 

私が銃口をヘレナへと向けるが、空中を滑るように移動しながらセイバー・ガンモードを撃ってくる相手に狙いが定められないでいた。

 

「くッ!?結構速いわね…‼どうしよう!?」

 

「ここは私の出番かな?」

 

対処法を考えていたら、私の隣に夕夏が来た。

 

「乗り物には乗り物だよ、玲奈ちゃん。」

 

「そうね、なら…協力プレイといきましょうか‼」

 

夕夏はその場でターンしながら、ベルトのレバーを開いた。

 

「フェイズ2‼」

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼》

 

レーザー・レベル2のバイク姿になった夕夏に私は跨がる。

 

「さあて二人とも、飛ばしていくわよ‼」

 

『「了解‼」』

 

バイクを走らせると、私は()()でガンガンハンドを構える。

 

「ちょッ!?危ないよ!?」

 

『こんな森の中で手離し運転ッスか!?』

 

ヘレナ達が心配そうに叫ぶが、私は夕夏を信じているからそんなの気にしない‼

 

「移動は任せて‼」

 

「頼むわね夕夏、明乃ちゃん‼」

 

『目標左舷10時の方向、撃ち方良し‼』

 

「砲撃開始‼」

 

明乃ちゃんの指示する方向へとハンドを向け、トリガーを引くとハンドの銃口とホエールコンパスの口の中にある2つの砲身から弾丸が撃ち出される。

 

「ッ!?」

 

ヘレナは慌てて上空へと移動してそれを回避した。

 

「まだまだ終わらないわよ‼」

 

 

 

 

夏煉side

 

『なんつー子達ッスか!?森の中を手離し運転で全力で走って、その上正確な射撃なんて!?』

 

「あれが協力プレイ…」

 

さっきバイクになった子……あの子に移動の全てを任せてるんだ。だからユリンは射撃に専念できる。

 

『だからってそこまで信用できるんスか!?下手すれば共倒れッスよ‼』

 

「それがあの二人の絆なんだと思う。」

 

片方に全てを預けられるほどの強い信頼関係を、あの二人は持っている。

 

ちょっと羨ましいかな……

 

『来るッスよ‼』

 

「ッ!?了解‼」

 

ウェンディの言葉にボードを動かすと、今さっきまでいた場所を弾丸が通り抜けていった。

 

私もガンガンセイバーを撃つが、木々に邪魔されて中々当てられない。

 

『射撃の腕前は向こうが上ッスね……その代わり、接近戦は夏煉の方が上ッスけど。』

 

「だからこそ、今は油断出来ないよ?」

 

射撃戦に加えて、相手は結構突拍子もない事をやってくるから……

 

《BAKUSOU!!CRITICAL STRIKE!!》

 

その時、聞き慣れない音声が聞こえたかと思うと……

 

「イィィィィィィヤッホオォォォォォッ‼‼」

 

バイクに乗ったユリンが私の隣に現れた。

 

「『えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?』」

 

な、なんでッ!?どうやって空にッ!?

 

私とウェンディの動揺なんて気にせず、ユリンはハンドをアイコンタクトさせる。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

『全砲門、一斉射‼』

 

「吹っ飛べッ‼」

 

《オメガファイヤー‼》

 

そして向けられた五つの砲口から高威力の弾丸が連射され、私に直撃した。

 

「キャアアアアアアアアアアッ!?」

 

その際、ボードから落ちて地面へと落下していったが…

 

《夏煉‼》

 

ギリギリの所でウェンディがボードを操作して受け止めてくれた。

 

「ありがとう、ウェンディ…」

 

『どういたしましてッス。』

 

「落ちる落ちる落ちる落ちるううぅぅぅぅぅ…‼」

 

ウェンディにお礼を言っていたら、上からユリン達が落ちてきていた。

 

「落ち着いて。はい、夕夏。」

 

《ギリギリチャンバラ‼》《ガッチョーン》《ガシャット‼》

 

「ふ、ふふフェイズ3イィィィィィィィィッ‼‼」

 

《ガッチャーン‼レベルアップ‼》《ば~く走‼独走‼激走‼暴走‼爆走バイク‼アガッチャ‼ギリ・ギリ‼ギリ・ギリ‼チャンバラ~‼》

 

《ガシャコンスパロー‼》《ス・パーン‼》

 

どうやって着地するのかなと思って見ていたら、最初に聞いた変身音+αが流れると、バイクに黒に金のラインが入った小さなロボットが分離・合体して人型となり、たくさんあるアイコンの中から弓矢を選ぶとそれを半分に割って鎌みたくした。

 

「ヤアアァァァァァァァァァァァァァッ!?!?」

 

そして泣き声にも似た叫びを上げながら、鎌を太い木の枝に刺して落下を食い止めた。

 

「し、死ぬかと思った…‼」

 

「ぁぁぁぁああああああああ…よっとッ‼‼」

 

その横を通り過ぎてユリンが砂埃を巻き上げながら着地した。

 

「ふぅ~、スリル満点だったわね?」

 

「満点どころかそれしかなかったよッ‼倒木を使ってあんな大ジャンプするなんて‼」

 

「悪かったって……メンゴメンゴ♪」

 

「……やっぱシュークリーム、玲奈ちゃんの奢りね?」

 

「本当にマジでごめんなさああああああいッ‼‼」

 

仲…………良いんだよね…?

 

木にぶら下がっているライダーの言葉に、マッハ土下座を決めるユリン。

 

なにこのシュールな図は……

 

「お、オホン‼この勝負は私の勝ちね‼」

 

『最後にサムい漫才があったッスけど、負けは負けッスね…』

 

「そうだね……サムい漫才はともかく、今のは私の負けだね。」

 

「「漫才いうなッ‼」」

 

二人のツッコミを無視して、次は誰にしようかと考えていたら……

 

『さて、そろそろ妾の出番じゃな。』

 

「羽衣狐さん?」

 

羽衣狐さんが眼魂の姿で私の前に出てきた。

 

『この戦いも終盤戦じゃが、今の所1勝2敗2分け……負け越している娘に、妾がここらで勝利をくれてやろうぞ。』

 

そう言って、私の右手に収まった。

 

「羽衣狐さん……よろしくお願いします‼」

 

私は自分に活を入れるように叫びながら、眼魂をセットした。

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

そしてバックルから漆黒のセーラー服に裾には白銀に煌めく狐の尻尾が九つ付いたパーカーが出てきてポーズを取ると羽衣狐さんの姿が空に浮かぶ。

 

《カイガン‼ハゴロモギツネ‼魅惑の妖狐‼統べるは漆黒‼》

 

「へぇ……中々強そうね。だったら私も‼」

 

ユリンは紅と金に彩られた眼魂をバックルに装填させる。

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

そしてバックルからは紅のドレスを意識したパーカーが出てきて、ポーズを決めると、金髪に剣を持った女性が映る。

 

「いくわよ、ネロさん‼」

 

『うむ‼余の力…存分に振るうが良い‼』

 

《カイガン‼ネロ‼万雷‼喝采‼黄金劇場‼》

 

パーカーを羽織り、ガンガンセイバー・ブレードモードを手に持つ。

 

『ほう…かの英雄【ネロ・クラウディウス】か。』

 

『余を知っているか……しかし貴様を見ていると、あの女狐キャスターめを思い出すな。』

 

『生憎と、妾は良妻賢母ではないぞ?』

 

『ガウガウッ‼』

 

パーカー同士が話し合っていたら、ユリンの足元に金色のライオンみたいな大型ガジェットがいた。

 

「ネロさん、この子は……‼」

 

『余のガジェット【レオ・アムド】であるぞ‼』

 

「はうぅぅぅんッ‼この子もかあいいよぉ~♪」

 

『そうであろう、そうであろう‼』

 

ユリンはしゃがみ、そのガジェットを抱き締めて頬擦りし始めた。

 

「えっと…………攻撃していいのかな?」

 

『当たり前じゃ。』

 

さっきも見て、なんか幸せそうな彼女を攻撃するのは躊躇いがあるけど……羽衣狐さん、容赦ないな…

 

でも、その通りだと思いセイバー・ガンモードを撃つ。

 

『ガウッ‼』

 

が、それはガジェットの顔に防がれた。

 

「なッ!?」

 

『残念であったな?さあ、刮目するがいい‼余の完全武装を‼』

 

『ゴアアァァァァァァッ‼』

 

するとガジェットが分離して顔が左腕の盾になり胴体が胸元のプロテクター、前足が腰のサイドアーマーとなり尻尾が右腕の細身の籠手で後ろ足が脚甲となった。

 

「おおッ‼なんかスゴい‼でも兜はないの?」

 

『それは脱ぐものだ。』

 

「「いやいやいやいや!?」」

 

向こうの英雄の言葉に私ともう一人のライダーがツッコンだ。

 

『何時までも遊んでおるでない。ゆくぞ‼』

 

「うん‼」

 

私はセイバーをブレードモードにしてユリンへと斬りかかった。

 

「なんのッ‼」

 

ユリンは盾でそれを受け止め、剣を振るってくるがハンドを取り出して左手に持ち、それを受け流しながら蹴りで盾を弾き、がら空きになった体をセイバーで切り裂き、ハンドをガンモードにして撃ち抜く。

 

「うっくッ!?中々器用ね?」

 

「まだまだ続くよ?」

 

ハンドをロッドモードに変え横凪ぎに振るってユリンを吹き飛ばし、それを投げ捨てセイバーをナギナタモードにして投げつける。

 

「くあッ!?こんのッ‼」

 

ユリンはそれを剣で弾くが、その弾かれる場所を予想して飛び上がり、セイバーをキャッチして二刀流にし、上段から落下の勢いを乗せて振り下ろす。

 

「それはさっきも見たわよ‼」

 

が、似た戦法をさっきやったからなのか、剣と盾で受け止めお腹に蹴りをもらった。

 

「くうッ!?」

 

「つぅ~ッ‼やっぱり接近戦はまだまだね、私……」

 

『ならば、この攻撃には耐えきれるかの?』

 

私はユリンに近づくと、裾にある九つの尻尾を使った連続攻撃を行う。

 

「うッ!?ガッ‼ゴッ!?この……まだまだぁッ‼‼」

 

最初は少し喰らいながらも盾で防ぐだけだったが、段々と剣で尾を弾き始め、そこから左腕や両足も使い出し、更には動きの無駄をどんどん少なくしながら攻撃を捌きだした。

 

「オリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャ‼」

 

「この短い間に…対応してきた!?」

 

私はその成長速度に驚愕した。

 

幾らなんでも成長が早すぎる‼どうしてこれほどまで……

 

「何を驚いてるのよ?」

 

「ッ!?」

 

彼女に呼び掛けられ、意識を戦闘に戻す。そこには攻撃を捌きながらも先程までの必死さがなりを潜め、落ち着きを取り戻しつつあるユリンがいた。

 

「人間ってのは可能性のかたまりよ?諦めないで挑戦を続けていけば、どんな未来だって掴み取れる‼こんなふうに……ねッ‼‼」

 

そして尾を全て退け、剣を突き出してくる……

 

『確かにの……じゃが主は、それでもまだ未熟。』

 

その時、尻尾の1つが開き、そこから一本の槍が伸びてユリンを突いた。

 

「キャアアアアアッ!?」

 

スーツから大量の火花を飛ばしてユリンは吹き飛ぶ。

 

『【四尾の槍・虎退治】。さっきまでのが本気と思ったか?過ぎた自惚れならば即刻捨てた方がよいぞ。』

 

「う…く…‼こうなったら…‼」

 

ユリンはふらつきながらも立ち上がり、ベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《ダイカイガン‼ネロ‼オメガドライブ‼》

 

『我が才を見よ‼』

 

「万雷の喝采を聞け‼」

 

『インペリウムの誉れを此処に…‼』

 

「咲き誇る華の如く…‼」

 

そして剣を舞の様に振るいながら、何かの呪文を唱えていき、最後に剣を地面へと突き刺した。

 

「『開け‼‼黄金の劇場よ‼‼』」

 

その言葉と共に両手を大きく広げると、さっきまでの森の風景がいきなり変わって全てが金色に輝く劇場になった。

 

「これは…」

 

『これこそが余の宝具‼【招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)】である‼』

 

『ほう……空間全てを書き換えたか。上手く力が入らんな。』

 

羽衣狐さんの言う通り、私は何故か力が入りにくくなった。

 

「今この場は私の世界‼そしてこれで決める‼」

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

ユリンは剣をアイコンタクトさせ盾を私へと投げると、剣に炎を纏わせて突っ込んでくる。

 

「閉じよ、天幕よ‼‼【童女謳う華の帝政(ラウス・セント・クラウディウス)】‼‼」

 

『娘よ、我らも。』

 

「うん‼」

 

羽衣狐さんに言われ、私もベルトのレバーを操作する。

 

《ダイカイガン‼ハゴロモギツネ‼オメガドライブ‼》

 

必殺技が発動すると、私の周りに各形態のセイバーとハンドが出てくると同時に新たに2本の尻尾から鉄扇と刀が出現する。

 

私はそれらを前面に集結させて、ユリンの攻撃を受け止めた。

 

「そんなッ!?」

 

「確かにその技は強力だけど、もう少し弱らせてからやるべきだったね。」

 

そしてそこから黒い衝撃波を放ってユリンを大きく吹き飛ばした。

 

「カハッ!?」

 

『この勝負は妾達の勝ちじゃ。』

 

『無事かッ!?奏者よ!?』

 

「な……何とかね…」

 

ユリンは結構ヘロヘロな感じだけど、私も今は強がっているだけで、かなりダメージがきている。

 

「お互い……そろそろ限界だね…」

 

「なら……次で決めましょうか…?」

 

「そうだね。」

 

ユリンの言葉に賛同して、私達は眼魂を握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

玲奈side

 

「さあて、出番よ‼美琴‼‼」

 

『まっかせなさい‼』

 

「いくよ、焔。」

 

『ああ、任せておけ‼』

 

《アーイ‼バッチリミナサーイ‼バッチリミナサーイ‼》

 

《アーイ‼バッチリミトケー‼バッチリミトケー‼》

 

互いに眼魂をバックルに入れると、私の方からは美琴パーカーが、ヘレナからは黒を基調としたセーラー服に肩と背中に7本の刀を背負ったパーカーが出てきて、ポーズを取るとポニーテールの女の子が浮かんだ。

 

《カイガン‼ミコト‼科学と‼魔術と‼超電磁砲‼》

 

《カイガン‼ホムラ‼目指せ最強‼迸る六爪‼》

 

そしてパーカーを羽織り、私はガンガンハンド・ブラストモードを構え、ヘレナは刀の7本中6本を片手に三本ずつ持って構える。

 

…………向こうの英雄はどっかの独眼竜の人をリスペクトしてんのかな…?

 

そんな事を考えていたら、ヘレナが高速で迫ってきたので私はハンドをマシンガンタイプに切り替えて、弾丸を連射する。

 

「そのくらい‼」

 

が、それは最小限の動きで回避され、左手の刀を振るってきた。

 

「なんのッ‼」

 

それをガンガンハンドで受け止め、反対からきた刀は左足の回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

それで力が弛んだので、受け止めていた剣も弾いてすぐさま撃つ。

 

「ッ!?」

 

それは向こうも予測していたのか、体を思いきり反らしてかわし、バク転で距離を取る。

 

「器用な避け方するわね…簡単には当てられないか…」

 

「近接攻撃はまだまだだけど、接近戦の防御が上手くなってる…」

 

「「だったら‼‼」」

 

私はハンドをキャノンタイプに切り替え、バックルに翳し、ヘレナはベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《ダイカイガン‼ガンガンミナサーイ‼ガンガンミナサーイ‼》

 

《ダイカイガン‼ホムラ‼オメガドライブ‼》

 

私が銃口を構えると、ヘレナがさっき以上の速度で四方八方から走ってくる。

 

「超秘伝忍法・魁‼」

 

「ちょッ!?速すぎでしょ…‼」

 

私は何とか動きを追って、ハンドで攻撃を防いでいく。

 

そこで不意に背後に寒気を感じたので、その感覚が赴くままに必殺技を撃った。

 

《オメガブラスト‼》

 

すると、いつの間にか後ろにいたヘレナへと超電磁砲が飛んでいく。

 

「ッ!?この…‼」

 

それをヘレナは6刀の抜刀術で切り捨てた。

 

「これでも決着が着かないか…」

 

このままだとキリがないと思った私は、ソウチャクスロットホルダーを左腰に取り付けた。

 

「それは?」

 

「私の切り札よ。」

 

そしてホルダーから金色のガシャットを取り出して右手に持ち、起動ボタンを押した。

 

《ドラゴナイトハンターZ‼》

 

私の背後にゲームのスタート画面が出てきて、そこからハンターゲーマが雄叫びを上げながら出てくる。

 

するとバックルが開いて、美琴眼魂がナンバリング前の状態で出てきた。

 

「えッ!?美琴、どうしたの!?」

 

『せっかくなんだから、カッコ良く決めましょう?』

 

「なるほどね♪それなら…‼」

 

私は眼魂をナンバリング状態にしてバックルに入れて閉じたらレバーを引き、ガシャットをスロットホルダーに入れてボタンを押した。

 

《アーイ‼》《ガシャット‼ソウチャク‼》

 

そして2体が周りを飛んでいるのを見ながら、私は両腕を大きく回し……

 

「だ~~~~~~~い変身ッ‼‼」

 

右手でレバーを押し込み、左手でスロットのボタンを押した。

 

《カイガン‼》《レベルアップ‼》

 

そして美琴パーカーを羽織り、その上からハンターゲーマを体に装着していく。

 

《ミコト‼科学と‼魔術と‼超電磁砲‼ソウチャック‼ド・ド・ドラゴ‼ナーナ・ナ・ナーイト‼ドラ‼ドラ‼ドラゴナイトハンター‼Z‼》

 

変身が完了した私は歩こうとしたら、体が思うように動かないどころか、勝手に違う動きをし始める。

 

(前の世界で使ってた永夢さんも暴走したそうだし、こうなるのは予測済み‼だから…‼)

 

「美琴‼お願いッ‼」

 

『よっしゃあ‼全力…放電‼』

 

バチイイイィィィィィィィィィィッ‼‼

 

美琴の掛け声と共に私の体を電撃が駆け巡ると、ハンターゲーマも叫び声を上げる。

 

「な、何を…‼」

 

「玲奈ちゃんッ!?」

 

放電は10秒位続き、終わったら両手を組んで回したり、爪先を地面に当てて回したりと体の動きを確認する。

 

良し‼万事OK‼

 

「ふぅ……制御完了‼仮面ライダーユリン・ハンター美琴魂‼」

 

『颯爽登場‼』

 

決めポーズをしながら、私はそう名乗った。

 

「あのアイテム……もう一人の子が使ってた…‼」

 

『まさか流用できるとは…』

 

「異世界のライダーの力、見せてあげる‼」

 

私はそう言いながら、左腕の【ドラゴナイトガン】を3連射する。この時、銃身の間を電撃が走る事で弾速がより速くなっている。

 

「くッ!?」

 

ヘレナは何とかそれをかわすが、私は背中にドラゴンの翼を広げて飛翔し、ヘレナへと追い縋る。

 

「待てコラァァァァァァァァッ‼」

 

「うそッ!?焔の速さに追い付いてきてる!?」

 

そして追い付いたら、右腕の【ドラゴナイトブレード】に電撃を纏わせて振るい、ヘレナを切り裂く。

 

「キャアッ‼」

 

攻撃を喰らって転がるヘレナに、私は足の【ドラゴナイトクロー】に電撃を纏って思いきり大地を踏み締める。

 

すると電撃が地面を走り、立ち上がろうとしていたヘレナに直撃して火花を散らしながら倒れる。

 

「アアアァァァァァァッ!?」

 

「どうよ‼」

 

私は一応警戒しながらヘレナを見ていると、彼女はゆっくりとだけど立ち上がった。

 

「私は……負けたくない……陽太義兄さんがくれたこの力で…………家族を守れる様になるためにも…‼」

 

『ならば私が持つ最後の刀を抜け‼今のお前なら出来る‼‼』

 

そして、彼女はベルトのレバーを引いて押し込んだ。

 

《エンゲツ‼ダイカイガン‼》

 

その音声の後に、ヘレナは背中に背負っていた剣をゆっくりと抜いていく。

 

《グレンホムラ‼》

 

刀を抜き終わると刀身が炎に包まれ、パーカーが赤と白を基調としたものに所々炎の模様が入ったものになり、フードにあったポニーテールは炎に代わった。

 

《燃えろファイヤー!焦がすぜブレイズ!!行くぞ紅蓮のイグニッション!!!》

 

「仮面ライダーヘレナ・グレンホムラ魂…‼」

 

そして刀を振るうと炎の斬撃が飛んできたので、右手の剣でそれを斬り払う。

 

「それが貴方の本気ってわけね?」

 

「うん。だから…」

 

ヘレナが再び構えるのを見て、私も構える。

 

「ここからが私達の…」

 

「本当の全力よ‼」

 

 

ー推奨BGM【我ら思う故に我らあり】ー

 

 

私は左腕の銃を撃つが、ヘレナはそれを斬り落とし、炎の斬撃を飛ばしてくるので、足のクローで蹴り落とす。

 

すかさず接近してくるヘレナに右手の剣を振るうが、向こうの刀に止められ、つばぜり合いになる。

 

「やるわね‼」

 

「そっちこそ‼」

 

そして互いに離れ、銃と斬撃を飛ばし合う。それらはぶつかり合って相殺された。

 

「なら、これはどう‼」

 

私は地面を思いきり踏んで、電撃を走らせる。

 

「ハッ‼」

 

ヘレナはそれを高くジャンプしてかわし、落下の勢いと共に剣を振るってきたので、両腕を組んで受け止めるが、あまりの威力に足が地面に少し食い込む。

 

「おらッシャアッ‼」

 

それを気合いで弾き、ハンターゲーマの口の部分から炎を吐く。

 

「ッ!?」

 

ヘレナはそれに少し驚いたようなしぐさをするが、すぐにそれを回避する。

 

「そんな事も出来るんだ…」

 

「ドラゴンといえば炎のブレスでしょ?これ、鉄則よ。」

 

そのまま口から火炎弾を連射していく。

 

「でも炎なら‼」

 

ヘレナはそれを斬り落とそうと刀を振るい、火炎弾に触れた瞬間、痙攣したかのような動きをして硬直し、火炎弾を喰らった。

 

「クハッ!?一体何が…」

 

「炎の中に美琴の電撃もプラスしたの。そうすれば剣で触れた瞬間電撃が流れて、動きを止められるから火炎弾が命中するってわけ。」

 

「そんな事まで出来るなんて…‼」

 

「射撃戦で負ける気はないわよ‼」

 

「それなら‼」

 

そこで何かを思い付いたのか、ヘレナがこっちへと駆け出した。

 

「なら、撃ち抜く‼」

 

左腕の銃と口の火炎弾をヘレナ目掛けて撃ちまくるが、弾丸は斬り落とされ、火炎弾は最小の動きで回避して、あと少しで攻撃範囲に入られると思った時、それよりも少し手前で刀を振るい、斬撃を飛ばしてきたのに対応できず、直撃をもらってしまった。

 

「うあッ!?」

 

「接近戦なら、私の領分だよ?」

 

「く……そういえばそうだった…‼」

 

ちょっと有利な場面が多かったから、油断したわね……

 

そしてよろけている間に、2撃3撃と斬撃を決められ地面を転がった。

 

「ガ……は…‼」

 

「く…‼ハァ…ハァ…」

 

でも、ヘレナも体が限界なのか膝を着いた。

 

『どうやらお互いに限界みたいね。』

 

『ならば、この一撃で終わりにしよう‼』

 

美琴と向こうの英雄の言葉に私達は何とか立ち上がる。

 

「いくわよ…‼」《キメワザ‼》

 

私はベルトのレバーを引き、ホルダーのボタンを押す。

 

「負けない…‼」

 

ヘレナもベルトのレバーを引いた。

 

私はドラゴンの口と両腕にエネルギーを貯め、ヘレナは両肩の刀を分離して空中に漂わせる。

 

「「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」」

 

《ダイカイガン‼ミコト‼オメガドライブ‼》

《DRAGO KNIGHT!!CRITICAL STRIKE!!》

 

《エンゲツ‼ダイカイガン‼グレンホムラ‼クレナイ‼オメガドライブ‼》

 

そして同時にレバーを押し込んで必殺技を発動し、私は両腕と口のエネルギーに美琴の電撃をプラスして集束させたビームを撃ち、ヘレナは宙に浮いてる6本と手に持っている刀の斬撃を1つに纏めたものを飛ばしてきた。

 

そしてそれがぶつかると、互いに押し飛ばそうとせめぎ合う。

 

「「ハアァァァァァァァァァァァァァッ‼‼」」

 

気合いを込めて力を送っていくが、互角なのか一歩も譲らずそれを打破するために更に力を込めていく。

 

そして送られるエネルギーに耐えられず、激突箇所で技同士が大爆発を起こした。

 

「「キャアアアアアッ!?」」

 

その爆発に巻き込まれ、かなり吹き飛ばされたが私は何とか力を入れて立ち上がり、ヘレナの方も立ち上がったが、すぐに倒れた。

 

「やった……私の…勝ち……だ…」

 

そこまで言って、私もその場に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

俺とイッセーが隷汽と戦っていたら、奥に展開されていたゲームエリアが解除されていくのが見えた。

 

「あれは‼」

 

「どうやら終わったみたいだね。」

 

すると隷汽は変身を解除した。

 

「なんのマネだ…?」

 

「僕が君達と争う理由が無くなったんだよ。おいで、彼女達の元に案内するよ。」

 

そう言って俺達に背を向けて、公園へと歩き出した。

 

「どうする?」

 

「……今は信じるしかないだろうな。」

 

イッセーの言葉に俺達も変身を解き、その後に付いていくと倒れている玲奈とその傍でアタフタしている夕夏ちゃん、それと倒れているもう一人の女の子がいた。

 

「玲奈ッ!?」

 

俺はすぐに玲奈の元へと走り、体を抱き起こす。

 

「オイ、しっかりしろ‼玲奈‼」

 

「あ、お兄さん‼」

 

「あれ~……お兄ちゃんだぁ~……」

 

傷だらけで、意識が少し朦朧としてるのか間延びした返事をする。

 

「タケル、これを使え。」

 

イッセーが俺にフェニックスの涙を渡してきたので、それをすぐに玲奈へとかけると傷が治っていった。

 

「御堂玲奈‼完全ふっか「このバカ野郎ッ‼‼」アバッ!?」

 

治った瞬間、調子に乗ろうとした玲奈に一喝した後、俺は脳天に全力の拳を振り下ろした。

 

「いったいな~‼何すんのよ‼」

 

「俺や他の奴等がどれだけ心配したのか……お前、分かってんかァッ‼‼」

 

「う…」

 

俺の言葉に玲奈は反抗しようとした態度を止め、大人しくなる。

 

「でも、向こうが売ってきた勝負だし…」

 

「だからってこんな無茶していい理由になるわけねぇだろッ‼‼」

 

「うう……ごめんなさい…」

 

「…………ハァ~」

 

反省の態度が見えたので、俺はこれ以上怒るのは止めて玲奈の頭を撫でた。

 

「お兄ちゃん…?」

 

「全く……こんな無茶やんのは誰に似たんだか…」

 

「いや、どう考えてもお前だろ?」

 

「うっせーぞ、イッセー。」

 

俺のぼやきにイッセーが茶化してきたので、突っ込んでおく。

 

「さて、そっちの目的についても……話してもらえるか?」

 

イッセーの言葉に隷汽とその傍らにいる女の子が話し始める。

 

「実はそこの子の眼魂を作ったのは僕なんだ。」

 

「「「「え?えぇ~!?」」」」

 

隷汽の言葉に俺達は驚きの声を上げた。

 

「でもそれを誰かに盗まれてしまってね……その時に何らかの理由で、3つの眼魂が彼女を選びその力を与えたんだろうね。」

 

玲奈の力の理由がまさかそんな事だったとは……

 

「そして僕の妹が持っているのは、その眼魂達とは真逆の存在なんだ。それを眼魂達が教えたら戦ってみたいと言ってね…こうしてやって来たんだ。」

 

「あの……ごめんなさい。何だか色々と迷惑を掛けちゃったみたいで…」

 

「いや、ちゃんと謝ってくれんならそれでいいさ。」

 

「私の時と全然対応が違う…」

 

「向こうを叱るのは向こうの役目だ。俺が口出しすることじゃない。」

 

「今回はこちらの配慮も足りなかったね。それについては謝罪するよ。」

 

そう言って、二人は頭を下げた。

 

「もういいよ。次からはこっちにも連絡とか入れてくれれば…」

 

「わかった。それじゃ僕達はそろそろ帰るけど、何かやり残しはあるかい?」

 

「あ、ちょっと待って。」

 

玲奈は立ち上がると、戦っていたと思う女の子の元に向かった。

 

「なに…?」

 

「リベンジなら何時でも受けてあげる。その時も私が勝つけどね?」

 

「む……次は私が勝つんだから‼」

 

「い~や‼私よ‼」

 

「ううん‼私だよ‼」

 

「いい加減にしろ、お前は…」

 

そんな感じに口喧嘩になってきたので、俺が玲奈の頭を鷲掴みにして引き離す。

 

「アハハ、それじゃこれで失礼するよ。」

 

すると隷汽達の後ろに電車のレールが引かれ、そこには先頭が頭蓋骨の形をした列車が走ってくる。

 

「「なんかキタァァァァァァッ!?」」

 

「不気味だな…」

 

「幽霊列車……あんなもんまで持ってたのか…」

 

それに二人が乗り込み、走り出した。その途中、窓が開き女の子が手を振っていたので俺達も振り替えし、列車は時空を越えていった。

 

「行っちゃったね…」

 

「ま、再戦の約束をしたんならまた会えるだろ。」

 

「よーし‼それじゃ翠屋へ向けてしゅ「お前達はこれから心配させた人達に謝罪の旅とお小言タイムだ。」ええ~ッ‼」

 

「当たり前だ。あれで終わる訳ないっての。」

 

「「そんな~…」」

 

俺の言葉に玲奈と夕夏ちゃんは項垂れた。

 

「まあまあ、終わったら俺が最近作ったプリンを出してあげるよ。」

 

「「やった~ッ‼」」

 

が、それもイッセーの言葉ですぐに復活した。

 

「たく……現金な奴等だ…」

 

にしても、最近異世界関係の事件多いな……そういやそろそろ次の世界へ行けるようになる頃かね。また何か起きなきゃいいけど……

 

「お兄ちゃ~ん‼なにやってるの‼早くプリン食べに行こうよ~ッ‼」

 

「そっちが目的じゃねぇだろッ‼」

 

我が妹の天然にツッコミを入れながら俺も先に行っていた3人の後を追いかけた。

 

 




いかがでしたか?

次の話から本編に戻り、皆様が期待している(作者の勝手な妄想です)あの世界に行きます。

次回【次なる世界は?】

「第3・第4のガングニールだとォッ!?」

そしてこの世界であの二人がついに……‼

ではまた次回にお会いしましょう。


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次なる世界は?

どうも、疾風の警備員です。

今話からシンフォギアメンバーが復活します‼彼女達の登場を待っていた人がいたらお待たせしました‼‼

今回はまた新しい世界に行きます。

そして、この世界であの二人が進化します。

では、本編をどうぞ。


響side

 

どうも皆さん約2ヶ月振りになります、シンフォギアの改修が終わるまでの間、夏休みを満喫していた立花響です‼

 

え、夏休みは1ヶ月ちょっとしかないのに2ヶ月振りってのはおかしい?そこは作者に言って欲しいかな……

 

「てい。」

 

ス・パーンッ‼

 

「痛いッ!?」

 

そんな近況を説明していたら、後ろから未来にハリセンで叩かれました。

 

「メタ発言禁止。」

 

「地の文を読まないでよッ!?」

 

「お前らうっせぇぞ‼」

 

「二人とも、そろそろ始まるぞ。」

 

クリスちゃんに叱られ、翼さんの言葉で私達は部屋の窓から外を見る。ここはグリゴリの特訓施設の管制室で、そこから見えるフィールドの中央にはイッセーが立っていた。

 

「ではこれより、サバイブ制御方法の検証試験を行います。イッセーさん、始めてください。」

 

『了解した。』

 

今日はここでイッセーがサバイブの制御方法で思い付いた事があるからやってみたいと言ったので、アザゼルさんとキャロルさん監修の元でその検証が行われています。

 

『変身。』

 

光龍へと変わり、デッキからサバイブのカードを出してバイザーを変化させてそれを読み込ませる。

 

《Survive》

 

《SWORD VENT》

 

そしてサバイブになると、解放龍の剣を出し自分に押し当てた。

 

《Remote!!》

 

神器の能力が発動させ、体を動かしていくがとても苦しそうには見えない。

 

「これって……成功?」

 

「やったデスよ、調‼」

 

「そうだね、切ちゃん‼」

 

「つーか、何で今までコレを思い付かなかったんだよ…」

 

「あれを使うのは生きるか死ぬかの瀬戸際だったから、そんな余裕が無かったんでしょう。」

 

「それでも、1歩前進だな。」

 

「これならイッセーも‼」

 

「うんッ‼もっと強くなれる‼」

 

今回の実験は【解放龍の剣で体に掛かる負荷を解除したらどうだ】といったもので、私達はその成功に喜んでいたが、アザゼルさんとキャロルさん、エルナさんの顔は曇ったままだった。

 

「3人とも、どうしたの?」

 

私の言葉に何も答えず、アザゼルさんがフィールドとの通信用マイクのスイッチを入れた。

 

「イッセー、どうだ調子は?」

 

『ダメだわ、これじゃシンフォギア系フォームの方がまだ強いな。』

 

「だろうな…」

 

『『『『『ええッ!?』』』』』

 

あんなに普通に動けてるのになんでダメなのッ!?

 

「皆さんに分かりやすく説明しますね。」

 

エルナさんが端末を操作すると前の画面に3つの棒グラフが表示された。それがイッセーの強さを表しているのはすぐにわかった。

 

そしてそのグラフは左右のは低いが、真ん中は少し高い山型をしていた。

 

「一番左が通常の変身時、真ん中がシンフォギア使用時、そして一番右が今のサバイブ使用状態を示したグラフです。」

 

それはつまり、サバイブの強さがほとんど無くなっている事を示していた。

 

「そんな…なんで!?」

 

「恐らくですが、神器の能力で負担を解除したせいで力が弱まったのか、サバイブ自体に何かしらの制限が発生してしまっているのかもしれませんが、現状では何が原因なのか判別できません…」

 

「イッセー、実験は失敗だ。管制室まで戻ってこい。」

 

『わかった。』

 

スピーカーから聞こえるイッセーの声にも、どこか元気がなかった。

 

そして管制実にイッセーと中から出てきたのか、メイルさんが入ってきた。

 

「ん~…イケると思ったんだけどな…」

 

「ゴメンお兄ちゃん…私の能力不足で…」

 

「気にするなって、今回のは禁手になれない場合を想定しての実験だったんだからさ。」

 

「うん…」

 

落ち込んでいるメイルさんを慰める様にイッセーが頭を撫でるけど、その顔はあまり晴れなかった。

 

「んじゃ、全員いる事だし今後の予定なんだが、もう少しで次の世界へと繋がる道が出来そうなんだ。」

 

「え、マジで?」

 

「おう、後数分で安定化できる。だからいつでも出られる準備をしといてくれ。メンバーはここに奴等にする。」

 

えーと、私に未来にイッセーでしょ?翼さんにクリスちゃんに調ちゃんに切歌ちゃんにマリアさんにタケル君にエルナさん…って完全に最初の頃のイッセーチームのメンバーだね。

 

「それとコレをシンフォギアメンバーに配っておく。」

 

そう言って渡されたのは、前にイッセー達が行った世界で手に入れた【ガシャット】とそれを使うためのホルダーだった。

 

「お前達に合うようなヤツを見繕っておいた。響と未来のは少し特別製で2つで1つのものを個別にして作ってみた。それとイッセー、お前にもコレを渡しておく。」

 

そしてイッセーにはガシャットを2つ渡していた。

 

「あれ?コレなんか見たことあるな…」

 

「情報をくまなく調べていたら見つけたデータを元に作り上げた。響と未来の同じで2つで1つのものらしかったが、個別に分けてみた。試しに使ってくれ。」

 

「わかった。」

 

「なら、準備がで「どうも~、タケル君いる?」ん?」

 

アザゼルさんが話し始めた時に、みくるさんが管制室に入ってきた。

 

「いますけど、どうしたんすか?」

 

「今日はコレを持ってきたの。」

 

みくるさんはタケル君の手に2つの眼魂を置いた。

 

「グリムとサンゾウ!?」

 

それって確か、タケル君が最初に持ってた15個の2つでみくるさんに預けてたのに…なんで返したんだろ?

 

「何か君の所に行きたがってたから、持ってきたんだ。」

 

「はい?」

 

「じゃ、ちゃんと渡したからね~‼」

 

そして渡し終わると、すぐに帰っていった。

 

「…………アイツは台風かなんかか?」

 

『『『『『アハハ…』』』』』

 

アザゼルさんのぼやきに私達は苦笑しかできなかった。

 

ほんと、台風みたいだったしね…

 

「まあいい…ほら、とっとと準備してこい。」

 

『『『『『はーい。』』』』』

 

返事をして、ある程度の装備を身に付けて異世界渡航ドアの前に集合した。

 

「次の世界でも、何か面白い情報があったら頼むぞ?」

 

「あいよ。」

 

アザゼルさんの言葉にイッセーが答えてから、私達は次の世界に旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

渡航ドアを潜った俺達は、何処かの町に出た。

 

「俺達の世界とあまり代わり映えしないな…」

 

「前とかの世界もそうだったろ?」

 

そういやそうだったとタケルの言葉に思いつつ、町を歩く。

 

町の様子は特に問題はなく、平和そのものだ。

 

「今回は平和な世界みたいだな。」

 

「あっ未来‼あそこにクレープ屋があるよ‼」

 

「こ~ら、この世界の事を調べるのが先です。」

 

「でもほら。」

 

そう言って響が指差す先には………

 

「「苺と生クリームのクレープとチョコバナナクレープを1つずつ(デス)。」」

 

「はい、毎度あり‼」

 

「「あーん…………美味し~い(デス)ッ‼」」

 

クレープを買ってホクホク顔で戻ってきた調と切歌がいた。

 

「ハァ…」

 

それを見たマリアはため息を吐いてから二人の元に行き、その頬をつねった。

 

「「いひゃい‼いひゃい‼(デス)ッ‼」」

 

「貴方達ねぇ~…もう少し緊張感を持ちなさい。私達は異世界にいるのよ?通貨が違ってたらどうするつもりだったの?」

 

「「そこまで考えてなか「このおバカッ‼」いひゃい‼‼いひゃい‼‼」」

 

二人の答えに呆れたマリアはつねる力を強めていく…

 

「まあマリア落ち着けって、せめてクレープぐらいは食わせてやれよ。」

 

が、そこで珍しくクリスがストップをかけた。

 

「ほら、さっさと食わねぇともったいねぇぞ?」

 

「「クリス先輩が優しいなんて…………明日は地球最後の日(デスか)ッ!?」」

 

「それ食い終わったら、公衆の面前でアルゼンチンバックブリーカーの刑な?」

 

「「ノオオオォォォォォォォッ!?」」

 

が、その奇跡の優しさも二人の余計な言葉で、地獄への片道切符へと変わってしまった。

 

「おいイッセー、テメェも今何か言ったか?」

 

「うんにゃ、何も?」

 

いきなりギラついた目で俺を見てきたので、俺は心の中で大量の冷や汗を流しながら、何もない風を装ってそう答えた。

 

今のクリスに逆らったら間違いなく殺される……‼‼

 

「そっか、アタシの気のせいか………………………なんて言うとでも思ったかッ‼‼」

 

「うごぶッ!?」

 

でも、何故かそれが読まれ鳩尾にドロップキックを貰った。

 

「うぐおおお…………何で…わかった…‼」

 

「女の勘をナメんなッ‼‼」

 

女の勘…恐るべし…………

 

「大丈夫、お兄ちゃん?」

 

「す……少し、時間……………くれ……」

 

心配して出てきたゆめに、痛みを堪えつつ何とか答える。

 

アイツ、本気で叩き込みやがって……‼

 

それから5分ほど経ってようやく痛みが引き、立ち上がった……

 

 

ドオォォォォォォォォォンッ‼‼‼

 

 

その瞬間、近くのビルで大きな爆発が起きた。

 

「な、何だッ!?」

 

「イッセー君、あそこ‼」

 

未来が指差す場所には逃げ惑う一般人と、青や深紅に深緑といった暗めな見た目に丸型、人型や芋虫、果てはツインテ○ルやバル○ン星人みたいな姿の異形が大量にいた。

 

「何だありゃ…‼」

 

「あんな生物、ボク達の世界にはいません。この世界のものと断定して良いかと‼」

 

タケルの言葉に、エルナがすぐに検索して返答する。

 

するとその中の1体が体を棒状に変えて、物凄い速さで飛んでいくと、逃げていた一般人の1人に当たり体を黒くしたかと思うと、粒子になって散っていった。

 

『『『『『なッ!?』』』』』

 

全員がそれに驚くなか、俺はある記憶が蘇った。

 

【さらばだ…………我が愛弟子よ…】

 

あれは…コカビエルが……師匠が死んだ時と同じ…‼

 

「ウオオォォォォォォォッ‼‼」

 

その時の光景が頭の中を過った瞬間、俺は雄叫びを上げながらデッキを握り締め、その異形へと突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「イッセーッ!?」

 

一般人が死んだのを見たら、いきなりイッセーが叫びながら異形へと向かっていった。

 

「どうしたんだ、アイツ!?」

 

「立花、お前は龍見の援護に行け‼市民の避難は我々が行う‼」

 

「わかりました‼」

 

翼さんの指示で、私はシンフォギアを握りながらイッセーの元へと向かう。

 

既に変身しているイッセーは、右手に銃を持って撃つが何故か通じていなかった。

 

(イッセーの攻撃が効いていない!?このままじゃ…‼)

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

私が聖詠を歌いシンフォギアを纏うと、敵に変化が起き暗かった見た目が一気に水色やオレンジ、黄緑といった明るい色合いに変化し、イッセーの攻撃が命中し始めた。

 

「そういうことか‼」

 

《GANGNIR》

 

「Croitzal ronzell gangnir zizzl」

 

するとイッセーもガングニールフォームになり、槍を構えて駆け出す。

 

「ちょッ‼待ってよ、イッセー‼」

 

私はそれを見て、慌てて追いかけた。

 

いったい何が貴方を駆り立てているの?

 

そんな疑問を胸に残しながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

私はある所から連絡をもらい、仲間と一緒に急いで移動してその部屋に入ると…

 

「現場の状況、どうなっている!?」

 

「ビル1棟で爆発事故発生‼周辺の建物にも延焼中‼民間人の避難は7割方完了しています‼」

 

「市民の避難を急がせろ‼」

 

その中はテレビやアニメとかで見る、秘密基地の司令室みたいになっていて私はすぐに指示を飛ばしている白いズボンに赤いシャツ、ピンクのネクタイをした人の元に駆け寄った。

 

「師匠‼」

 

「皆、来たか‼場所は市街地だ‼市民の避難と「司令、大変ですッ‼」どうした‼」

 

師匠の説明中に、男性のオペレーターから切迫した声が飛んだ。

 

「現場に特殊な反応を確認‼これは……………ッ!?そんな、嘘だろッ!?」

 

「何があったッ!?」

 

そして次の言葉に、私達は衝撃を受ける。

 

「【ノイズ】ですッ‼‼この反応はノイズのものと断定‼‼」

 

『『『『『ええッ!?』』』』』

 

「そんなバカなッ!?【アルカ・ノイズ】じゃないのか!?」

 

「いえ、間違いありません‼‼」

 

ノイズ……それは【バラルの呪詛】により統一言語を失った先史文明の中で、殲滅を望んだ人間達が作り出した自律兵器。

 

でもそれは、過去に私達が【バビロニアの宝物庫】と呼ばれる彼等の居場所を、そこを開く鍵である聖遺物【ソロモンの杖】ごと消滅させたはずッ!?

 

「オイオイ…こんな感じで旧友との再会とか、涙も出ねぇぞ?」

 

「だが再び現世(うつしよ)に現れたのなら、もう一度閻魔の元に送り返すまでだ。」

 

「その通り‼総員、直ちに「司令、現場に新たな2つの反応を検知‼」今度は何だッ‼」

 

師匠の言葉で飛び出そうとしたら、今度は女性オペレーターの人が声をあげた。

 

「これは……………アウフヴァッヘン波形!?波形パターン照合……そんな…‼」

 

「どうした!?」

 

「この2つの反応は聖遺物ですッ‼しかも波形パターン照合の結果…」

 

オペレーターはそこで声を詰まらせ、正面のモニターにある単語が表示される。だけどそれは、有り得ない筈のものだった。

 

「なッ!?」

 

「どういう事デスか!?」

 

「だってそれは…‼」

 

画面に表示されている単語は《Gangnir》…それはつまり……

 

「この2つの聖遺物は響ちゃんと同じ【ガングニール】ですッ‼‼」

 

「第3・第4のガングニールだとォッ‼」

 

私…【立花 響】が持っている聖遺物と同じだったのだから。

 

 




いかがでしたか?

次回はノイズとの戦闘とこの世界の敵の出現、こっちと原作メンバーとの模擬戦の開始前くらいまでやりたいと思っています。

次回【シンフォギアの世界 ソロ】

「この世界の私達に…」

「果たし状を叩きつけるデス。」

では、次回でお会いしましょう。


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シンフォギアの世界 ソロ

どうも、疾風の警備員です。

テレビでブレイブとスナイプがついにレベル50到達‼

ブレイブは念力や瞬間移動、バリアにバグスター召喚などまさしく魔王級な強さでしたね‼

スナイプは………………【艦これ】とか【はいふり】との二次小説が増えそう…

とりあえず絶叫マシン→放心のシーンは笑ったwww

そういえば仮面ライダークロニクルを作るのに必要なバグスターだけど、もしかしてポッピーかなり危ない?ドレミファビートのバグスターだし…

まあ、とにかく本編をどうぞ。


響(原作)side

 

「2つの……………ガングニール…?」

 

私は未だにその事実が飲み込めないでいた。

 

だって1つは未来との戦いで完全に消滅して、もう1つは今も私が肌身離さず持っている。

 

もしかして、了子さんの残したガングニールが他にもあったの……?

 

「現地の映像、モニターに出します‼」

 

男性オペレーターの藤尭さんが端末を操作すると、モニターには見覚えのある異形がたくさんいた。

 

「やっぱり……ノイズ…‼」

 

「渋てぇヤツラだッ‼」

 

が、映ったのは数秒で一瞬の光の後には、映ってたノイズが全て消えていた。

 

「…今のは!?」

 

「マリアの技デスよッ!?」

 

「どうなっているの!?」

 

私達は全員がこの状況に混乱しかけていたが、モニターが切り替わるとそこには先程の攻撃をしたと思われる存在が映った。

 

槍を突きだし、金色のボディスーツに銀色の鎧を纏い、腕や足には私のガングニールを思わせる装甲を身に付け、肩には六角形に水色の水晶玉が付いた盾みたいなのがあり、背中から白いマントを靡かせる仮面の存在が。

 

「あの槍は……奏のと同じ…‼」

 

「なんだありゃ?」

 

「…まるでテレビの特撮ヒーローみたい。」

 

「え、あれって実話だったんデスかッ!?」

 

「いや、そんなはずは…」

 

「とにかく事態がよくわからん以上、彼らとは接触する必要があるな…総員、直ちに現場に向かってくれ。」

 

『『『『『了解‼』』』』』

 

師匠の言葉で私達はその部屋から飛び出した。もう一人のガングニール装着者の顔を確かめずに……

 

 

 

 

 

一誠side

 

俺は高く飛び上がり異形へと槍を投げると、多数に分裂させて奴等を串刺しにしていく

 

《STARDUST∞PHOTON》

 

そして着地と同時に槍を回収してドリルの様に回し、発生した竜巻で敵を凪ぎ払っていく。

 

《LAST∞METEOR》

 

更に後ろから迫ってくる奴にはマントを硬質化させて切り捨てる。

 

「ハァ…ハァ…‼」

 

『ちょっとお兄ちゃん、飛ばしすぎ‼』

 

「黙ってろ‼」

 

メイルの言葉を無視して、穂先からビームを撃ち敵を消し去っていく。

 

《HORIZON∞SPEAR》

 

「イッセー‼」

 

あらかたこの場の敵を倒し次に行こうとしたら、シンフォギアを纏った響がやって来た。

 

「どうしたの!?いきなり飛び出すなんて‼」

 

「……同じだ…」

 

「へ?」

 

「この異形の殺し方……師匠が…コカビエルが死んだ方法と同じなんだ…‼」

 

「ッ‼」

 

響もその時の事を思い出したのか、驚きに顔を染める。

 

「あんな思い……2度としてたまるか…‼」

 

目の前で掴もうと思った手が、すり抜ける様に散っていくのを見ているしかできない……これ以上、誰かにそれを味あわせる訳にはいかねぇ‼

 

『だからって無茶し過ぎだよ‼シンフォギアの技はギア自体がエネルギー供給するから魔力は問題ないけど、体力の方がもたないってッ‼』

 

「ンなもん気合いと根性で何とかするッ‼」

 

心配しているメイルの言葉に怒鳴る様に返して、俺はまた別の場所へと移動する。

 

「待って、私も一緒に行く‼」

 

そして後ろから響もついてくるのを感じながら走っていると、瓦礫に足を挟まれながら手を伸ばす女性とその前で怪我をしてるのか泣いている女の子がいて、その周りを異形達が囲っていた。

 

「マズイッ!?」

 

すぐにそこへ行こうにも異形の方が親子との距離が近いし、下手に槍を投げたりビームを撃てば親子を巻き込む可能性が高かった。

 

「だったら、一刀修羅ァッ‼‼‼」

 

《Remote!!》

 

俺は一刀修羅を発動させて全力で駆け出し、異形の1体が女の子に触れる寸前で切り裂いた。

 

「ハァッ‼」

 

そしてその場でマントを翻す様に回り、伸ばして硬質化させたマントで周りの異形を一掃した。

 

「ふえ?」

 

「もう大丈夫だよ。」

 

「よい…しょっとッ‼」

 

後から来た響は女性の足にあった瓦礫をどかして、助け出していた。

 

「ママッ‼」

 

「ああ‼良かった…‼あの、ありがとうございます‼」

 

「お礼はいいので、急いで避難を‼」

 

「はい‼」

 

最後に俺たちにお辞儀をした後、子供を大事そうに抱え女性は走っていった。

 

「良かった……間に合って…」

 

そこで、俺は全身の力が抜けて地面に崩れ落ちそうになるが、槍を杖代わりにして堪える。

 

「イッセーッ!?」

 

「大丈夫……一刀修羅の限界が…………きただけだ…」

 

でも、まだ30秒くらいしか経ってないのにもう限界かよ…‼

 

『だから言ったでしょ、飛ばしすぎだって‼体力を消耗した状態なら時間も短くなるよ‼‼』

 

「……すまん、少し頭に血が上ってたみたいだ…」

 

周りの安全が確保出来たからなのか、落ち着いた頭でメイルのお説教を受けた。

 

(【戦場では常に冷静でいろ】って師匠に言われてたのに……俺もまだまだだな…)

 

「いろいろ言って悪かったな。」

 

『アイス5段重ねで手を打ってあげる。』

 

「了解。響もすまなかった。」

 

「ううん、イッセーの気持ちはわかってるから。」

 

そういや響にはあの時、いろいろと見られてたな……

 

『貴様ラカ、我ガ配下ヲ倒シタノハ?』

 

そんな事を考えていたら何処からか声がし、聞こえた方を向くと近くのビルの屋上に月(何故か一部欠け土星の輪みたいなのが出来ている)をバックに立っている2体の人型がいた。

 

「なんだお前らは…‼」

 

『我ガ名ハソロモン……【ソロモン眼魔】デアル。コヤツハ我ガ部下ノ【ネフェリム眼魔】ダ。』

 

「また眼魔…………しかも、ネフェリムだと…!?」

 

銀色に紫のラインが入ったロングコート風のパーカーを着たソロモン眼魔と名乗り、隣にいる焦茶色に赤いラインのダウンジャケット風のパーカーにフードに黄色に光る目みたいなものが描かれている眼魔をそう呼んだ。

 

ネフェリムって確か、三勢力会談で裏切り者のウェルが持っていた生体型の完全聖遺物だったはず……俺は気絶してたから外見は知らないけど…

 

『ソロモン…………アイツラ、食ッテイイ?』

 

『フム……生カシテ置ケバ我ラノ侵略ノ邪魔ニシカナランカラナ、一気ニ食シテシマイナサイ。』

 

『ヤッタ…‼』

 

ソロモン眼魔に許可を貰えたのが嬉しいのか、腕をグルグルとちぎれそうな勢いで回しながらネフェリム眼魔が俺達を見る。

 

ち…‼こっちは体力魔力共にスッカラカンだってのに‼

 

『ソレジャ、イタダキマー《ダイカイガン‼オレ‼オメガドライブ‼》ウギッ‼』

 

そして俺達へと飛び掛かってきたが、そこにタケルがライダーキックを決めて、吹き飛ばした。

 

「どうやら、間に合ったみたいだな?」

 

「スマン、タケル…」

 

「たく…いきなり一人でつっ走んじゃねぇよ。とりあえず、周囲の人の避難は終わった。後はアイツらをブッ飛ばせば終わりだな?」

 

「ああ。」

 

『ア~、痛カッタ。』

 

タケルと話していたら、まるで何事もなかったかの様にネフェリム眼魔は立ち上がった。

 

「ずいぶん頑丈じゃねえか?」

 

『オ前、誰?』

 

「ん?お前の敵だよ。」

 

『ソッカ…ナラオ前モ、イタダキマース。』

 

「そいつは御免被るぜ‼」

 

タケル目掛けて飛び掛かってくるのを、上段回し蹴りで迎撃する。

 

『モウ、抵抗シナイデヨ~?』

 

「いや、普通は抵抗するから。」

 

それでもすぐに起き上がり、再びタケルに向かおうとしていたら、俺達の後ろから大量のミサイルが飛んできて眼魔に直撃する。

 

「こんくらいやっときゃ、起き上がっちゃこねぇだろ?」

 

後ろを振り返れば、メンバー全員が揃っていた。

 

「皆ッ‼」

 

「無事か、一誠‼立花‼」

 

「はい‼」

 

『増援カ…シカシ、ソノ程度デ(バラバラバラバラ‼)ン?』

 

ソロモン眼魔が喋っていると、プロペラ音が聞こえ俺達の上に一機のヘリが現れた。

 

『コレ以上増エラレルノハ面倒ダナ…ネフェリムヨ、1度退クゾ。』

 

『ハーイ。ソノ前ニ…ソリャ。』

 

「ぐあッ!?」

 

ソロモン眼魔の言葉に煙の中から物凄い勢いで飛び出してきたネフェリム眼魔はタケルに体当たりして吹き飛ばし、その際に変身が解けて闘魂ブースト眼魂とディープゴースト眼魂を落としてしまった。

 

『ナニコレ?美味シイノカナ?イタダキマース。』

 

そして最悪な事に、その2つをネフェリム眼魔に食べられてしまった。

 

「しまったッ!?」

 

『次ニ会ウ時ハ、貴様ラノ最後ダ。』

 

『ソレジャーネ。』

 

そう言い残し、2体はその場から消えた。

 

「クソッ‼眼魂を持っていかれるなんて…‼」

 

「タケルさん…」

 

「イッセー君、体の方は?」

 

「一刀修羅を使って体力と魔力がスッカラカンなだけで、問題ない。今はタケルの方だ。」

 

あれはタケルの強化用眼魂、あれがないと今後のN等の強敵との戦いに影響が出てしまう。なんとしても取り返さないと‼

 

そこにヘリが俺達の前に着陸する。

 

「あの、大丈夫ですか‼……へ?」

 

『『『『『へ?』』』』』

 

そしてドアが開いて中から女の子が出てきたが、俺達はその姿を見て硬直し、メンバーの一人を見る。向こうも同じなのか同様に硬直した。

 

だってヘリから出てきたのは……………

 

「「わ、私?」」

 

響そっくりだったんだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、超常災害対策機動タスクフォース【S.O.N.G】へ‼‼」

 

あの後、俺達はこの世界の響の誘いで彼女が所属する組織が持つ潜水艦へとやって来た。そして今、目の前には響以外の皆と、赤いシャツにピンクのネクタイをした大柄な男とその後ろでは男性と女性が【S.O.N.Gへようこそ‼‼】と書かれた垂れ幕を持っている姿に俺達は呆気にとられていた。

 

「はあ…」

 

「俺はここの司令を勤めている【風鳴玄十郎】だ。」

 

「風鳴?」

 

その名字で俺は翼を見るが、すぐに首を横に振った。

 

どうやらこの人はこの世界での翼の親類なのだろう。

 

「このメンバーをまとめている龍見一誠です。」

 

俺は敵対の意思が無いことを示すために右手を差し出すと、玄十郎さんもそれを理解してくれたのか俺の手を握ってくれた。

 

「しかし君達の顔を見た瞬間、俺は度胆を抜かれたぞ?まさか翼達と顔がそっくりな上に、映像でそちらの響君がガングニールを纏った時は…」

 

「それはこちらも同じですよ。」

 

俺は自分のそっくりさんに2回会っているからそこまでではなかったけど。

 

「なんか、イッセー先輩の気持ちがわかった気がするデスよ…」

 

「…うん、不思議な感覚…」

 

切歌と調はもう一人の自分を見て、興味深そうに見ている。そして響は……

 

「「ヤッ‼タアッ‼ハァッ‼」」

 

何故か疾風三連撃の型を、二人鏡合わせでやっていた。

 

「ホントだ……イッセー‼鏡合わせになったよ‼」

 

「だろ?」

 

やっぱいたらやりたくなるよな‼鏡合わせ‼

 

「あれ!?なんか体が勝手に動いた!?」

 

「何を言ってんだオメェは…」

 

「俺はもうツッコまない……」

 

「アハハ…」

 

タケルは何故か呆れていて、エルナは苦笑しているけど知ったことか‼

 

「それはさておき、君達について教えてもらってもいいか?」

 

「わかりました。信じられないかも知れませんけど、実は…」

 

俺はこちらの事を玄十郎さんに説明した。

 

「まさか異世界なんてものがあるとは…」

 

「しかも天使や悪魔に堕天使までいるなんて、ファンタジーそのものじゃないですか。」

 

「他にもいたりするの?」

 

「他には妖怪とか神とかドラゴンもいますよ。因みにドラゴンなら俺の中にいます。」

 

『『『『『ええッ!?』』』』』

 

俺の言葉に向こうの人達が一斉に驚く。

 

まぁそりゃそうか……ドラゴンが体の中にいるなんて言われたら普通はそうなるよな。

 

「それって今出すことは出来るデスか!?」

 

そしたら、向こうの切歌が食いついてきた。

 

「出来るけど……1つ制約があって俺が変身してないとドラゴンの姿になれなくて人間の姿になるんだけどいいか?」

 

この言葉に向こうの人達全員が頷いた。もしかして皆見たいのか?

 

「メイル、出てこい。」

 

『ハーイ‼』

 

俺が呼び掛けると俺の中から光の玉が出てきて、俺の上で弾けるとメイルが俺に肩車された状態で出てきた。

 

「どうも、お兄ちゃんの中にいるドラゴンのメイルでーす‼人間の姿の時は虹野ゆめって呼んでください‼」

 

「おい…………こっちは体力切れなんだから降りてくれ…」

 

「ほーい。」

 

俺の言葉にメイルは肩から3回転捻りをやりながら飛び降りた。

 

まったく……体力魔力共に切れてる状態でお前を落とさないように支えるの大変なんだからな……

 

「「なんか出てきたアァァァァァッ(デス)!?」」

 

「なんと面妖な…」

 

「つーか見た目普通に人間だけど、ホントにドラゴンなのか?」

 

「そうだよ、ほら。」

 

ゆめがドラゴンの翼を広げると、周りは一瞬の驚きの後に向こうの響と切歌と調がすぐさまその翼を触りだした。

 

「おお~‼これがドラゴンの翼デスか‼」

 

「…ツルツルしてるけど暖かい。」

 

「弾力も結構あるんだね。」

 

「はう!?ちょっ、ま…んあッ‼それやめ……ひゃう‼」

 

でも、どうやらかなり敏感な場所なのか顔を赤くしながら艶っぽい声を上げ始めた。

 

「「イッセー(君)は見ちゃダメッ‼」」

 

そしたら響と未来が俺の目と耳をすぐに塞いだ。

 

そして1分くらいしたら二人が手を離し、ゆめが泣きながら俺に抱き着いてきた。

 

「ふえ~ん‼‼私、汚されちゃったよ~…‼」

 

「よしよし、後でなんか甘いもの作ってやるから。」

 

そんな感じに慰め、向こうの3人はマリアに怒られていた。

 

「次はそちらの事を話してもらってもいいですか?」

 

「ああ、我々は【災害救助】と【特異災害】に対応するために国連が組織した部隊だ。」

 

「特異災害…?」

 

聞きなれないその言葉に俺は首を傾げた。

 

「君達が先程戦った異形……我々が【ノイズ】と呼んでいるあの存在の事を指している。」

 

「ノイズ…」

 

それがあの異形の名前か…‼

 

そこからの話を簡単に纏めると

 

1、奴等は殲滅を望んだ先史文明が生み出した自立兵器

 

2、触れたものを炭素に変換し、分解消滅させる

 

3、奴等は【バビロニアの宝物庫】と呼ばれる場所におり、とある聖遺物を媒介に召喚・制御される

 

4、対抗出来るのはシンフォギアのみ

 

というものだった。

 

「なるほど……直接の接触は厳禁か…」

 

「ああ、現代兵器ですら効果がないのでな……頼みの綱は彼女達だけなのだ。」

 

「おまけに眼魔までいるとなると……厄介でしかないな…」

 

『『『『『眼魔?』』』』』

 

「っと、それについて話してませんでしたね。」

 

俺は自分達の世界であった事と、この世界で遭遇した2体の眼魔について説明をした。

 

「そのような存在がこの世界にいるとは…」

 

「そして奴等はパーカーを羽織っていた。つまり、何かを取り込んでいる可能性があるんですが…………【ソロモン】と【ネフェリム】の名に心当たりはありますか?」

 

ネフェリムの名は俺もオッチャンから教えられて知っているが、こっちの世界では違う可能性があるしソロモンの方は俺も歴史とかでしか知らない。

 

「2つとも覚えがあるなんてものじゃない。ネフェリムは私達に猛威を振るった生体型の完全聖遺物で……ソロモンはこの特異災害の根幹ともいえる代物だ。」

 

「それは?」

 

「【ソロモンの杖】と呼ばれる完全聖遺物だ。これはノイズの召喚機であると同時に、制御装置でもある。恐らくそれが取り込まれた物の正体だ。」

 

「ソロモンの杖…」

 

つまりそれの所持者が師匠を殺したのか…………‼

 

こことは違うとはいえ、犯人の手がかりを知れた俺は右手を強く握り締める。

 

「ちょっ‼イッセー‼右手‼」

 

「へ?」

 

そこに響の慌てた声が聞こえ、右手を見てみると爪が食い込んだのか血が滴っていた。

 

「すいません、救急箱ありますか!?」

 

「待ってて、今持ってくるから‼」

 

未来の言葉に向こうのオペレーターらしき女性が、それをすぐに持ってきてくれて、未来が手当てしてくれた。

 

「悪い…」

 

「気にしてないけど気を付けてね……殺気まで出てたよ?」

 

「マジか?」

 

やっべぇ…‼完全に自分を抑えられなくなってきてやがるな……

 

周りを見れば響達は心配そうに、向こうの人達は警戒を強めた感じで俺を見ていた。

 

「すみません、お見苦しいところを…」

 

「いや、気にしなくていい。君にも何か事情があるのだろう?」

 

「まあ、個人的な事なんすけど…」

 

「構わんよ、それと1つ提案なのだがこの事件の解決に君達の力を貸してもらえないだろうか?」

 

「勿論です。この事件にはこちらの世界の敵もいますから、こっちから提案しようと思ってたんですよ。」

 

「なら、しばらくの間よろしく頼む‼」

 

「はい‼」

 

俺が玄十郎さんと再び握手する。

 

「それじゃ、互いの戦力分析のために模擬戦をやりませんか?」

 

「確かに、今後の連係にも関わってくるしな。いいだろう。」

 

「それじゃこっちからは「「ハイッ‼」」……あの二人で。」

 

模擬戦のメンバーについて話し始めた瞬間、ウチの調と切歌がすぐに手を上げた。

 

「……この世界の私達に。」

 

「果たし状を叩きつけるデス‼」

 

そして互いに背中合わせになりながら、向こうの調と切歌を指差した。

 

「……わかった。」

 

「受けて立つデス‼」

 

向こうも乗り気なのか、その挑戦を引き受けた。

 

「よし、メンバーも決まった事だし、模擬戦が出来そうな場所に移動しよう。」

 

 

 

 

 

 

それから少し経って俺達は模擬戦を行うため、何かの塔の廃墟の麓に来ていた。

 

「……行こっか、切ちゃん。」

 

「休みの間見ていた特撮の技を試すチャンスデス‼」

 

「お前ら……自重しろよ?」

 

「「……………………………………………………うん‼」」

 

「今の間はなんだッ!?」

 

これから試合を始めるのに、この二人の反応で何かバカな事をするんじゃないかと思い俺は頭を抱えた。

 

「「それじゃ、行ってきまーす(デス)‼」」

 

楽しそうに模擬戦場に向かう二人に、一種の諦めを感じながら俺も安全圏まで下がる。

 

「さて、では模擬戦を始める‼双方武器を取れ‼」

 

玄十郎さんの合図で、向こうの調と切歌がシンフォギアを纏うが……

 

「……せっかく二人でいるのに…」

 

「普通に変身とか、在り来たりデスよ。」

 

「「え?」」

 

ウチの二人がそんな訳の分からない事を言い出し……

 

「どうせやるなら‼」

 

「…これくらいじゃなきゃ‼」

 

そして互いの手を繋ぎながら、高くジャンプしながら後方宙返りをし、

 

「Various Shul Shagana tron」

 

「Zeios Igalima raizen tron」

 

最高度で聖詠を唱えてシンフォギアを纏い、力強い兄弟がダブルアップしたようなポーズで地面に着地した。

 

「アタシ達の超協力プレイで‼」

 

「ノーコンティニューでクリアする…‼」

 

「おい、お前らなんでそのセリフ知ってんの?」

 

その言葉は前の世界で宝生先生が使ってたセリフに似てるけど、アイツ等は行ってないから知らないのに……

 

「「なんか頭にビビビ‼って来た。」」

 

「何を受信してんだアァァァァァァァァッ‼‼」

 

二人の回答に思わず大声でツッコむ。

 

「ハァ……とりあえず、オッチャンから貰ったやつも使ってくれ…」

 

「「ハーイ‼」」

 

精神的に疲れてきた俺に対し、二人は元気良く返事をしたら左腰にソウチャクスロットホルダーをあてると、ベルトが伸びて装着される。

 

「あの装備は?」

 

「ここや俺達の世界以外の技術をプラスしたんですよ。」

 

「他の異世界の技術を?」

 

こんな会話を玄十郎さんとしていたら、二人がガシャットを取り出し調は銃を撃つみたいに左手に持ち、切歌は持ち手に薬指だけを入れた独特の形で持ちながら、起動スイッチを押す。

 

《ギリギリチャンバラ‼》

 

《シャカリキスポーツ‼》

 

すると二人の後ろにゲームのスタート画面が浮かび、そこから切歌の隣にチャンバラゲーマ、調の隣にスポーツゲーマが出てくる。

 

ただ俺や玲奈ちゃんが持っているのとは違い、調のゲーマは黄緑の場所が桜色になり、切歌のは黒い場所が若干緑がかっていて金の部分がメタリックグリーンにカラーリングが変更されている。

 

そして半回転させたガシャットをスロットに装填し、ボタンを押した。

 

《ガシャット‼ソウチャク‼》

 

「大…‼」

 

「大‼」

 

「「大変身(デス)‼」」

 

腕を大きく回しながら二人は声を合わせ、再度スロットのスイッチを押した。

 

《レベルアップ‼ソウチャック‼ギリ・ギリ‼ギリ・ギリ‼チャンバラ~‼》

 

《レベルアップ‼ソウチャック‼シャカリキ‼シャカリキ‼バッドバッド‼シャカっと‼リキっと‼シャカリキスポーツ‼》

 

それぞれの音声が流れ、調はスポーツゲーマを上半身に、切歌はチャンバラゲーマを手足と頭に纏う。

 

更に調の周りには2つ、切歌の周りには1つのアイコンが浮かび、調の両腕の籠手に紫の部分がピンクになった【ガシャコンバグヴァイザー】が装着され、切歌の手には黄色の部分が緑、紫の部分が黄緑になった【ガシャコンスパロー】が握られていた。

 

「暁 切歌‼チャンバライガリマ‼」

 

「月読 調、スポーツシュルシャガナ。」

 

「「(お前/貴方)達の運‼試して(やるデス/あげる)‼」」

 

「ホントいい加減にしてくれ…」

 

さっきから精神的に来る頭痛が止まらねぇ…………やべ、胃まで痛くなってきた…

 

模擬戦が始まる前からネタ満載の勝負になるとわかった俺は、2つの症状に悩まされているのにも気づかない二人の試合はこうして始まった。




いかがでしたか?

次は二人の特撮ネタ満載の勝負に、眼魔との第2戦ぐらいまでやろうと思っています。

ただ最近、モチベが上がらなくなってきてるので、更新は遅くなるかもしれません

次回【シンフォギアの世界 デュオ】

「これより、チームの指揮は私が取ります。」

では、次回もお楽しみに。


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シンフォギアの世界 デュオ

どうも、疾風の警備員です。

今回はしらきりコンビの試合に、敵勢力との第2戦開始前になります。

それにしても、番外編でアイカツスターズキャラのネタをやっていたら、まさかマリア役の日笠さんがそのアイカツスターズに新アイドルの声優で参戦するとは思わなかった………しかも、主人公のライバル位置でトップアイドル、側近らしき仲間が二人とか設定被りすぎだろッ‼

これはあれか?番外編でネタをやれという神の啓示か?

関係ない話になりましたが、本編をどうぞ。




それと最初に言っておくッ‼

響のガシャットが【ゲキトツロボッツ】だと誰が言った?(黒笑)


一誠side

 

「暁 切歌‼チャンバライガリマ‼」

 

「月読 調、スポーツシュルシャガナ。」

 

「「(お前/貴方)達の運‼試して(やるデス/あげる)‼」」

 

そんな○人の○極の○世主の強運者が言うセリフで試合が始まり、俺はため息を吐いた。

 

「イッセー、その伏せ字の位置は正直微妙だと思う…」

 

「立体になったら下手すると伏せ字の意味が無くなるよ?」

 

「そこまで気にしてられるか。」

 

響と未来のツッコミにそう返す。

 

そんな事まで気にしてたら、俺の胃がもたんわ。

 

《ス・パーン‼》《ギュ・イーン‼》

 

二人は武器のAボタンを押して二振りの鎌とチェーンソーにし、それぞれもう一人の自分へと走り出す。

 

「なあタケル……前の響の時みたいに、二人に変な技を教えてないよな?」

 

「うえッ!?」

 

そこで俺はふと疑問に思ったことをタケルに尋ねた。コイツは以前に響にパン○ホッパーとかいうライダーの技を教えた前科があるからな……

 

「さ、さあ……!?知らなえないなっすよッ!?」

 

「もういい、大体わかった。」

 

どうやら今回の二人のやる気の元凶はコイツだ。

 

「言っとくけど、今回は俺だけじゃないからなッ!?」

 

「つまり、お前が関わってる事は認めるんだな?」

 

「……………………………あ。」

 

タケル本人の自白も取れたし、説教は後にして試合を見るとしますか………そういや、他に教えていた奴は誰なんだろう?

 

 

 

 

 

 

切歌side

 

 

ー推奨BGM《オーバーキルサイズ・ヘル》ー

 

 

アタシはスパローを鎌モードにして両手に持ち、もう一人のアタシへと駆け出す。

 

「どんな装備か知らないデスけどッ‼」

 

向こうのアタシはそれに真っ向から立ち向かうつもりなのか、鎌を振り上げる。

 

だけどアタシは進路を変えずそのまま突っ込んでいき、向こうの間合いに入ると同時に振るってきたイガリマを()()()()()()()()()で軽々と受け止めて弾き、踵から刃を出して回し蹴りを放つが、上体を反らして胸元を掠めるだけだった。

 

「おとととッ!?響先輩以上の馬鹿力デスか!?」

 

「アタシはイッセー先輩の【戦車】‼パワーだったら負けないデスし、このガシャットの能力のパワーアシスト効果で更に倍増デス‼」

 

イッセー先輩の話だと本来、このガシャットの力は全くの別物らしいデスけど、アザゼルさんが改良したんじゃないかだそうデス。

 

なんにせよ、アタシのやる事に変わりはないデス。

 

両足の刃を切り離して上空へと上げ、右手の鎌を振るうがイガリマの柄に受け止められる。そこに左手の鎌を逆手に握り直して右手の鎌と合体させて弓モードにする。

 

《ズ・ドーン‼》

 

「ッ!?ヤバッ‼」

 

向こうはこちらの狙いに気づいて離れようとするけど、その前にアタシはトリガーを引いて矢を四連射する。

 

「くあッ!?」

 

至近距離で直撃を貰い、相手が下がった所に先程切り離した刃がアタシの目の前に落ちてくる。これを待ってたデスよ‼

 

これがここ最近、出番が全くなかった大樹さんから教えて貰った新技‼

 

「ウルトラ○ック戦法‼」

 

そう言って落ちてきたイガリマの刃をチャンバラアーマーで強化された足で蹴り飛ばした。

 

「デェスッ!?」

 

このやり方に驚いた向こうはイガリマでなんとか受け止め、上に弾いた。

 

「まだまだ終わらないデスよ‼」《ス・パーン‼》

 

その間にスパローを再び鎌モードにして、踵にある接続部に取り付け、跳び上がって飛んでいった刃を逆手で掴み取り、落下の勢いを足しながら振るう。

 

「うひゃあッ!?」

 

「アタシのビッグバンは止められないデス‼」

 

そんな感じにテンションが上がってきたアタシは、両手の刃を縦横無尽に振るいまくる。

 

「くッ!?この‼」

 

向こうも攻撃に転じようとするけど、手数が上のアタシに中々出来ないのか攻めあぐねていた。

 

「戦い方がメチャクチャデスよッ!?」

 

「そりゃッ‼」

 

「あッ!?」

 

下からの振り上げで向こうの鎌を弾き飛ばしたアタシは両手の刃を投げ捨て、左足のスパローのBボタンを3回叩き、ジャンプしながらエネルギーの溜まった右足を思いっきり振り上げる。

 

これはタケル先輩から教えて貰った必殺技‼

 

「ギル○ヒールクロウッ‼」

 

「なんのそのデスッ‼」

 

肩のブースターと落下の勢いを乗せた踵落としは、向こうが新たに出した鎌で受け止められ、こっちは空中にいるから踏ん張りが効かずどんどんと押し返されていく。

 

「うぎぎぎぎぎぎッ‼」

 

「ふんぬぬぬぬぬぬッ‼……デスッ‼」

 

「けふッ!?」

 

このままだと押し負けるので、相手の胸を蹴り飛ばしてバク宙しながら着地する。

 

「中々やるじゃないデスか…‼」

 

「そっちこそデスよ…‼」

 

アタシは足のスパローを再び両手に持った。

 

「でも、その程度でアタシに勝とうなんて………2万年早いデスッ‼」

 

そう叫び、アタシは突っ込みながら両手の鎌を振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

調side

 

 

ー推奨BGM《ジェノサイドソウ・ヘブン》ー

 

 

「く…‼速い…‼」

 

「…私はイッセー先輩の【騎士】。速度で負けはしない。」

 

私は狙いを絞らせない様に高速で動きまわり、隙を見ては接近してヴァイザーで攻撃していたけど、ツインテのアームの鋸の壁に妨害され、中々決められないでいた。

 

「…動きが速いなら、制限するまでッ‼」

 

すると彼女はその大きな丸鋸を私へと飛ばしてきた。

 

あれは【γ式 卍火車】‼でも、丁度あれが出来る隙間がある‼

 

チャンスと思った私はそこへと突っ込み、2つの丸鋸が縦で横2列に並んだところで、その間を側転で潜り抜ける。

 

「…ッ‼だったら‼」

 

そこに着地のタイミングを見計らって、ヨーヨーが投げられるが、私は後ろ向きのまま足が着いた瞬間高く飛び上がった。そして体を捻りながら右足を突き出す。

 

これがタケル先輩直伝の必殺技‼

 

「ストライ○ウィザードッ‼」

 

「く…‼」

 

しかし、この技は向こうが急バックする事で回避された。

 

「…逃がさない‼」《チュ・ドーン‼》

 

左手のヴァイザーのAボタンを叩き、ビームガンモードにして撃ちまくり、右手にスポーツゲーマの車輪を掴み取ってもう一人の私へと投げる。

 

「この…‼やりづらい‼」

 

ビームガンと車輪で動きを鈍らせてる間に接近し、1メートル手前でジャンプしながら右足から鋸を出して空中後ろ回し蹴りを繰り出す。

 

「アク○ルグランツァーッ‼」

 

「こんの…ッ‼」

 

その攻撃は向こうがイナバ○アーで回避し、逆に右腕にヨーヨーのワイヤーを絡めてきた。

 

「これなら逃げられない…‼」

 

「それだったら‼」

 

そのワイヤーの一部をなんとかゲーマの車輪の軸に引っ掛け、ホルダーのボタンを押す。

 

《キメワザ‼》

 

その音声が聞こえたら車輪が高速で回りだし、エネルギーを溜めながらワイヤーを巻き上げはじめた。

 

「ちょッ!?うそッ‼」

 

引っ張られて驚くもう一人の私をよそに、再度ホルダーのボタンを押す。

 

《SHAKARIKI!!CRITICAL STRIKE!!》

 

「…ッ‼まだ…‼」

 

そしたら、車輪のエネルギーがヴァイザーに流れていき、コンテナから出した鋸のバリアをあっさりと切り捨てたが、本体まで届かなかった。

 

「…危なかった。」

 

「大樹さんが言っていた…」

 

息を整えている相手を見ながら、私は右手をゆっくりと上に上げながらそう呟く。

 

「?」

 

「どんな窮地でも………………回ればなんとかなると‼‼」

 

「いや、その理屈はおかしい。」

 

何故か即時否定を貰ったけど気にはしない。

 

私はすぐに跳び蹴りを繰り出すと、向こうは鋸のバリアが間に合わなかったのか両腕をクロスして受け止める。

 

「なら、証拠を見せて上げる‼」

 

コンテナを変形させてアームの先に丸鋸を作り、それをプロペラ状にする。これは【緊急Φ式 双月カルマ】で使うものだけど、今は左右に伸ばしそれが起こす推力でドリルのように高速回転を始める。

 

「こ…これは…‼」

 

「大樹さん直伝、【メビウ○ピンキック】‼」

 

「キャアッ!?」

 

その蹴りでもう一人の私を吹き飛ばす。

 

「どう?本当だったでしょ?」

 

「くぅ…‼」

 

「さあ……ここから荒れるよ、止めてみれば?」

 

そう言って、私はすぐに駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「テメェはあの二人に何教えてやがんだァッ‼‼」

 

「チョ…‼ギブギブギブ‼‼死ぬ……マジで死ぬ…‼」

 

俺が試合を見ている後ろでは、クリスが元凶の1人であるタケルにアルゼンチンバックブリーカーを喰らわせていた。

 

まあ、クリスは何だかんだ言ってもあの二人やアーシアの面倒をよく見てるからな……変な方向に進めたタケルを許せなかったんだろう。

 

クリスがタケルをシバいてる所を見たら、胃痛が少し楽になった。

 

「ふむ……なかなか面白い戦い方だな。これは今後の訓練に入れていいかもしれんぞ。」

 

「師匠ッ!?」

 

そして玄十郎さんの呟きに向こうの響が焦った声をあげた。

 

つか、どんな訓練をやるつもりだよ……

 

そんな疑問が頭に浮かんだとき、誰かの携帯が鳴った。

 

「おっとすまない……私だ………………何だとッ!?ノイズが再び現れたッ!?」

 

「ッ‼調、切歌‼‼試合は中止‼‼此方に来い‼」

 

「「了解‼」」

 

玄十郎さんの言葉に俺はすぐに試合を中止させてこちらへと呼び戻した。

 

「場所は‼‼………く…‼ここからだと距離があるな…‼そこに残っている翼とマリアをすぐに出撃させるんだ‼」

 

指示を出している端末を覗くと、俺達がいる場所とノイズが現れた場所が表示されていたが、確かに距離があったが俺達には関係ない。

 

「玄十郎さん、俺達ならここからすぐに行けますよ。」

 

「何ッ!?」

 

「転移のアイテムがあるので、座標が解ればすぐに「イッセー君はまだ駄目だよ。」って未来?」

 

俺が転移アイテムを出したら、それを未来に奪われた。

 

「まだ一刀修羅のダメージが回復しきってないでしょ?それで戦場に出るなんて許しません。私達が行って時間を稼いでおくからちゃんと回復させてね?」

 

「でも…‼」

 

「デモもストライキもありません。」

 

俺はそれでも行こうと思ったが、未来の強気な態度に押し負けた。

 

「分かったよ………なら、指揮は頼んだぞ未来。」

 

「了解。調ちゃんと切歌ちゃんも戦ったばかりだから後からね?」

 

「「はーい……」」

 

そして俺の方のメンバーが転移しようとしたら……

 

「ち、ちょっと待って!?そっちの未来も戦いに行くの?」

 

「え、そうだけど?」

 

向こうの響がこっちの未来の言葉に何故か驚いた顔をした。

 

「あれ、もしかしてそっちの私は戦わないの?」

 

「う、うん……」

 

「そっか……それも世界の違いなのかもね?じゃあ、行ってきます。」

 

「ああ、気を付けてな?」

 

「うん‼」

 

「なら俺達は急いで戻って現場に向かうぞ‼」

 

転移する未来達を見送ったら、俺達も船へと戻る……

 

「あれ?そういえばもう1人の男の子は?」

 

その時、向こうの響の言葉に周囲を見渡したがタケルの姿がなかった。

 

「アイツ何処に……?」

 

そこで俺は思い出した。さっきまでのアイツの状況を……つまり……

 

「アイツ、クリスにアルゼンチンバックブリーカーされたまま連れて行かれたぁッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

現場にあるビルの屋上に転移してきた私達が見たのは、道路を埋め尽くすほどいる、ノイズの大軍だった。

 

「……なんか気持ち悪い。」

 

「「「「うんうん。」」」」

 

思わず呟いた言葉に皆が頷いてくれた。

 

「それじゃ皆、ギアを纏って……ってクリス!?何背負ってるの!?」

 

「ん?あ、忘れてたわ。」

 

そう言って投げ捨てられたのは、手足をピクピクと痙攣させながら気絶しているタケル君だった。

 

「おーい、生きてる~?」

 

響が軽く彼をつつくけど反応がない………まるで屍のようだ。

 

「まあ大丈夫だろ?こんな所でくたばる奴かよ。」

 

「この状態にしたあなたが言う?」

 

でも、何時までもこうして話している訳にもいかないから、このままにしておこう‼

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

「Killiter Ichaival tron」

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

聖詠を唱えてシンフォギアを纏った私達は、腰にソウチャクスロットホルダーをセットしてアザゼルさんに貰ったガシャットを起動させる。すると周囲に色んな絵柄が描かれたメダルみたいなのが散らばっていく。

 

《PERFECT PUZZLE‼》

 

《KNOCK OUT FIGHTER‼》

 

《ドレミファビート‼》

 

《ジェットコンバット‼》

 

《ゲキトツロボッツ‼》

 

それをスロットに装填し、ボタンを押す。

 

《ガシャット‼ソウチャク‼》

 

すると後ろのスタート画面から5体の小型ロボットであるゲーマが出てくる。マリアさんのは銀色に輝く愛嬌のある感じで翼さんのは水色のDJ風、クリスのはガトリング砲を2つ持った赤色の戦闘機型で私と響のは形が似ているけど色が紫とオレンジ色の楕円形で目が写っているモニターみたいな場所は金に縁取られていた。

 

「50連鎖‼」

 

「ラウンド50‼(フィフティ)

 

私と響はそう叫び、他の3人は特に言わずにスロットのボタンを押した。

 

《レベルアップ‼》×5

 

《ソウチャック‼Get the Glory in the Chain!!PERFECT PUZZLE!!》

 

《ソウチャック‼Explosion Hit(Hit)!!KNOCK OUT FIGHTER!!》

 

《ソウチャック‼ド・ド・ドレミファ‼ソラシド‼OK‼ドレミファビート‼》

 

《ソウチャック‼ジェット‼ジェット‼イン・ザ・スカ-イ‼ジェット‼ジェット‼ジェットコンバーット‼》

 

《ソウチャック‼ぶっ飛ばせ~‼突撃‼ゲキトツパンチ‼ゲキトツロボッツ‼》

 

そしてゲーマを装着したら、マリアさんは左腕に大きなナックルを装備した某機動戦士の様なV字アンテナのある鎧となり、翼さんは右腕にターンテーブル、左肩にはスピーカー装着し、頭部にサンバイザーに青いゴーグルが装備され、クリスには背中にジェットエンジンと推進翼が付き腰の辺りにガトリング砲がぶら下がっていて、目元に赤色のゴーグルが装着される。

 

そして私と響のは上半身の鎧の形は同じだけど、響のは炎の模様が入ったグローブを両手に装備し、額には白いハチマキが巻かれたヘッドガードが付き、私は響のグローブのパーツが肩に付き、襟の所が少し高くなった。

 

「小日向未来、パズル神獣鏡。」

 

「立花響、ガングニールファイター‼」

 

「風鳴翼、天羽々斬・鼓動。」

 

「雪音クリス、コンバットイチイバル‼」

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ、アガートラームロボッツ‼」

 

「………何でアタシら、名乗ってんだ?」

 

「作者の文章力だと、誰がどれを纏ったか分からないかもしれないから念のためだよ。」

 

名乗りみたいなのが終わったら、私は神獣鏡のヘッドギアを閉じてスキャニングモードにする。でも、ガシャットの能力なのかいつもより負担が少ないのに、いつも以上の情報を捌けた。

 

「これより、チームの指揮は私が取ります。各員、速やかに指定したエリアに移動、敵の殲滅をお願いします。」

 

「「「「了解‼」」」」

 

皆にデータを送ったら、ヘッドギアを解除し右手を上に上げると周囲のメダルが1ヶ所に集まってくる。私はそれを両腕を振りながらパズルのように動かし、同じ絵柄のメダルを全員に送る。

 

《高速化‼》×4

 

「それじゃ、状況を開始します‼」

 

この言葉を合図に、私達はノイズとの戦闘に突入した。




いかがでしたか?

本当ならしらきりの戦いはもう少し特撮色を出したかったけど、これが限界だった………

そして残りのメンバーもガシャット装着しました。

次回は2回戦と、二人の強化までやれたらやりたいです。

次回【シンフォギアの世界 トリオ】

「力を借りるぜ、永夢さんッ‼」

では、次回でお会いしましょう。


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シンフォギアの世界 トリオ

この作品ではお久し振りな、疾風の警備員です。

最近他の作品ばかりやっていまして、ずいぶんと遅くなってしまい、申し訳ありません。

ですが、シンフォギアの新作の情報を見てだんだんモチベが上がってきたので、また更新を始めていきます。

ただ、久々なのでおかしな所があれば指摘してもらえると助かります。

では、どうぞ。


未来side

 

皆がポイントに向かうのを確認したら、私は鉄扇を出して戦闘態勢に入る。すると、ビルの壁を登ってきた芋虫型のノイズがやってくる。

 

「パーフェクトパズルの力、見せてあげる。」

 

私は再びアイテムを集め、今度は私と鉄扇にメダルを取り込ませる。

 

《マッスル化‼》《伸縮化‼》《透明化‼》

 

そうしたらバイザーを閉じて、表示される情報から敵を一掃できる軌道を計算し、そのルートに合わせて鞭みたくしなる見えない鉄扇を軽々と振るいノイズを撃破していくと、今度は空から飛行型のノイズが接近してくる。

 

「今度はこれかな?」

 

《鋼鉄化‼》《分身‼》

 

その効果で私は10人程分身を出し、鉄扇からのより密度の増した貫通型レーザーの連射で次々と撃ち落とす。

 

「翼さんはそこを制圧後、マリアさんの援護を‼響ッ‼前に出過ぎ‼クリスは響の討ち漏らしの排除を‼」

 

そんな判断をしながら自分の所に来るノイズを排除していく。

 

(でも指揮を取りながら戦闘をこなすのがここまで大変だなんて……もう少し戦力が………………あ、いた。)

 

【それ】が視界に入った瞬間、私は右手で敵を倒しながら左手で新しくメダルを集め、倒れていた彼にそれを取り込ませた。

 

《回復‼》《回復‼》

 

「んあ?ここどこだ?」

 

回復した事で目を覚ましたタケル君に、私は指示を出す。

 

「タケル君、悪いけどこの敵をお願いしてもいい?私は指揮に集中したいの‼」

 

「えっと……よし‼大体分かった‼任せとけ‼」

 

周りを見て状況を理解したのか、すぐにベルトを出すと右手にピンクと黄緑という派手なカラーリングの眼魂を持つ。

 

「力を借りるぜ‼永夢さんッ‼」

 

その眼魂のボタンを押し、バックルに入れるとピンクに黄緑の縁取り、胸の部分は銀色でゲームコントローラーを模した模様になっていて、背中には巨大な顔みたいなのを背負い、フードの上には背中の顔と似た逆立った前髪のパーツが付いたパーカーが出てきた。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼バッチリミナー‼》

 

「変身ッ‼」

 

《カイガン‼》

 

レバーを引いて押し込み、パーカーを羽織るとオレンジの瞳にゴーグルをかけた様な顔になって、変身が完了する。

 

《エグゼイド‼命懸けのゲーム‼救うぜメディカル‼》

 

「んじゃ…ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ‼」

 

そんな決め台詞と共に彼は私を跳び越え、近くのノイズを剣で切り裂く。

 

次に左右同時に来たのをジャンプでかわして同士討ちさせ、着地と同時に正面の数体にガンモードの弾丸を食らわせ、間を縫って飛んできたノイズには直ぐ様二刀流にして切り裂いた。

 

「おお…‼いつもより体が軽いなッ‼」

 

そんな感じにタケル君はバッタの様にピョンピョン跳びながら、周りのノイズを殲滅していく。

 

(そろそろイッセー君達も近くに来るみたいだし、後は眼魔を見つけられれば…‼)

 

早期にこの戦いを終わらせる為に、私は皆に指示を出しつつソロモン眼魔とネフィリム眼魔を探す事にした。

 

 

 

 

 

 

響side

 

「ソオォォォリャアァァァァッ‼‼」

 

私は自らを弾丸としてくるノイズを、殴り落としまくっていた。

 

「もう…しつこい…なッ‼」

 

後ろから飛んでくるノイズに裏拳を決めて潰しながら、私はぼやいた。

 

折角格闘技のゲームなんだから、必殺技みたいなコマンドでもないのかな?

 

そんな事を思ってたら、私の視界にコマンド表みたいなのが表示された。

 

「なんだ、やっぱりあるじゃん♪さて…どんな技が…」

 

しかし、表示されてたのは……

 

→殴る

殴る

殴る

 

「なんでロープレ風ッ!?しかも1択しかないッ‼」

 

誰コレ作ったの!?普通、疾○突きとか蒼○紅蓮拳とか弾○破岩拳とか流○螺旋拳とか波○烈帛拳とかある筈でしょッ!?

 

他に何かないかと探していたら、端に小さく【カスタム画面に移行】と書かれた文を見つけた。

 

よかった~…さすがに殴るだけな訳ないよね‼さて、どんな技が…

 

それを選んで、画面を見てみたら……

 

【カスタム技】

殴る

蹴る

頭突き

 

たったコレしかなかった。

 

「……飛べない頃の銀鴉さんの気持ちが分かった気がする…」

 

こんなの見たら確かに凹むよ……

 

「もうこうなったら、ヤケクソダアァァァァッ‼‼」

 

とりあえず他の二つのコマンドを入れ換え……

 

「アザゼルさんの…バカアァァァァァァッ‼‼」

 

コレをやったであろうアザゼルさんへの怒りを籠めて、新たに飛んできたノイズに頭突きを決めて粉砕した。

 

「あ、以外とコレ迎撃とかに使えるかも。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

潜水艦で戦場までもうすぐという所まで来る間、皆の活躍を見てたけど…

 

「響は何やってんだ…」

 

ノイズに頭突きをする響を見て、俺は頭を抱えこの世界の人達はポカンとしていた。

 

「ノイズに……頭突きッ!?」

 

「そっちの響君は破天荒な事をやってくれるな…?」

 

「俺も驚いてますよ…」

 

触れたら消滅するかもしれないのに、何やってんだお前は……

 

他の画面を見ればマリアは左のナックルを飛ばしたり、短剣をうまく使って敵を切り崩し、翼はリズムに合わせてステップを踏みながらノイズを斬りまくっていた。

 

スゲェ……翼のヤツ、パーフェクトしか出してねぇぞ……俺でも途中でグレートとかになっちまうのに、本職は違うなやっぱ。

 

『ハハハハハッ‼‼まるでゴミみてぇだなッ‼‼』

 

そこに聞こえた大声に、別の画面を見るとウチのクリスが両手のツインガトリングと腰のミサイルポッドに加えて、コンバットゲーマのガトリングとミサイルを空から乱射しまくって殲滅していた。

 

「そっちのアタシ、ハッチャケ過ぎだろ…」

 

「トリハピに目覚めなきゃいいけど…」

 

こりゃ木場に悪い事したか…?

 

「しかし未来君の戦い方は、ずいぶんと特殊な感じだな…」

 

玄十郎さんは未来とタケルが戦っている画面を見て呟いた。

 

「あの姿の時は、周囲のアイテムを複数組み合わせて使う事が出来るんですよ。しかも最大で三つ。」

 

「なるほど、敵には回したくないな…」

 

『一誠君‼敵眼魔の場所が分かったよ‼』

 

そこに未来から通信が入り、送られてきたデータから眼魔がいると思われる場所が東と西の2つ表示された。

 

『どっちがどっちかは分からないけど、ここにいるのは間違いないよ。それで、西の方はタケル君に向かってもらった。』

 

「分かった、俺は東に向かう。皆はそこの安全が確保出来次第、援護を頼む。」

 

『うん、伝えておく。』

 

通信が切れ、俺が急いでハッチへと向かおうとしたら……

 

「「はい、ストップ(デス)。」」

 

「ぐべッ!?」

 

ウチの調と切歌に足を引っ掛けられて転び、そのまま調に4の字固めを、切歌に十字固めを喰らわされた。

 

「イダダダダダダダッ!?」

 

「イッセー先輩はもう少し休む…」

 

「また無茶されたらたまらないデスからね‼」

 

『二人とも、もう少しで完全に回復するからそのまま抑えといて‼』

 

「メイル…‼お前ら覚えてろ…‼」

 

「「「「「「「…何この状況…」」」」」」」

 

相棒にまで裏切られ、しばらく苦しんでいたら……

 

「指令、出撃ポイントに到着‼」

 

「よーしッ‼総員出撃‼」

 

「「「「「「了解ッ‼」」」」」」

 

玄十郎さんの言葉にこの世界の響達が走り出す。

 

『二人とも、お兄ちゃんの回復終わったから離していいよ。』

 

「「わかった(デス)。」」

 

「おおぉぉぉぉぉぉ…‼」

 

俺が痛みに悶えていると玄十郎さんが近くに来る。

 

「大丈夫か?」

 

「……これくらい…ウチの未来のお説教に比べれば…‼」

 

「そっちの私ってそんなに怖いの?」

 

その言葉には答えず、先に行った皆の後を追うため俺達もハッチへと向かい、着いたらすぐにカードデッキを前に翳してベルトを出す。

 

「変身ッ‼」

 

光龍になるとデッキからカードを引き、バイザーに読み込ませる。

 

《ADVENT》

 

『お兄ちゃん、乗って‼』

 

ドラゴン態で出てきたメイルの背に乗り、出発しようとしたら…

 

「待って…ください‼僕も…連れていってくれ…ませんか!?」

 

「エルナッ!?」

 

エルナが息を切らせながら、俺達の所にやって来た。

 

「解ってるのか?今度の相手はヤバ過ぎるぞ?」

 

エルナの戦闘能力は決して高くはない。変身していない俺とほぼ同じくらいだ。

 

「それでも、タケルさんの力になりたいんです‼」

 

そう言う彼女の瞳には強い決意が見えた。

 

……こりゃ、言っても聞かないか……

 

「わかった……だが、あまり無理するなよ?」

 

「それはイッセーさんには、言われたくないです。」

 

「うっぐ!?」

 

くそぅ‼言い返せねぇ‼それと調に切歌‼頷いてんじゃねぇ‼

 

『なら早く乗って‼最速で飛ばしていくから‼』

 

エルナの手を引いてメイルの背に乗せると、短い助走と共に空へと飛翔する。

 

『龍見くん、頼みがある。』

 

飛んですぐに、玄十郎さんから通信が入った。

 

「何ですか?」

 

『現場で指示を頼めないか?俺は関係各所に連絡やら避難誘導の指示出しなんかをしなくちゃならんのでな。』

 

「了解です。」

 

『奏者の皆を頼む。』

 

通信が切れると、俺は奏者全員へと通信を繋げる。

 

「各員、先ほど風鳴司令から現場指揮を任された龍見一誠だ。今現在、大量のノイズの攻撃とそれを指揮してると思われる眼魔達の存在が確認されている。シンフォギア奏者は先ずノイズの殲滅を頼む。その間、東の眼魔は俺とウチの世界の未来、西のをタケルとエルナで足止めする。」

 

『『『『『了解ッ‼』』』』』

 

「という事で、エルナは先にタケルの所に行ってくれ。」

 

「はい‼」

 

返事をしたエルナはダウルダブラを取り出すと、それを鳴らして装着し弦でワイバーンを作り出す。

 

「ファイルロード‼ドラゴンフレア‼」

 

そこにGEARコマンダーから赤い光の線を伸ばし、ドラゴンフレアを実体化させ、そちらに跳び移った。

 

「それじゃ皆さん、また後で‼」

 

離れていくエルナを見送りつつ、戦場のすぐ近くに着くと調と切歌がシンフォギアとゲーマを纏う。

 

「…それじゃ、私達も。」

 

「行ってくるデス‼」

 

「頼むな‼」

 

降りていく二人の武運を祈り、ビルの屋上に未来を発見した。

 

「未来ッ‼‼」

 

「うんッ‼‼」

 

《ジャンプ強化‼》

 

エナジーアイテムで脚力を強化して跳んできた未来をメイルの背に乗せ、先ほど調べてもらったポイントへと飛んでいく。そこに着いたら目視で捜索を始める。

 

「え~と……いたッ‼」

 

未来が叫びながら指差す場所には、腕を組んで悠然と立っているソロモン眼魔の姿があった。

 

こりゃ好都合だ…‼アイツと戦えれば師匠を殺した相手の弱点が分かるかもしれない‼

 

『降りるよ‼』

 

メイルが奴のいるビルに降りると、ソロモン眼魔は腕組みを解いた。

 

『マタ貴方達デスカ……邪魔ヲシナイデクレマセンカネ?』

 

「それは断る‼」

 

「これ以上、貴方達の好きにはさせないッ‼」

 

『ナラバ排除スルダケデス。』

 

ソロモン眼魔はそう言うと、左手に杖を持ちかえ右手に俺達が見慣れた物を取り出した。それは……

 

「タケルのディープゴースト眼魂!?」

 

あの時、ネフィリム眼魔に喰われた眼魂の1つだった。

 

『コレノ力ハ素晴ラシイモノデス。私ガ使ッテコソ真価ヲ発揮デキル。』

 

それを自分の体に押し当て取り込むと、奴のパーカーに青紫のラインが走り、肩にはディープゴーストの時のプロテクターが装着された。

 

「マジかよ…‼」

 

「イッセー君‼眼魔の能力が前より上昇してる‼」

 

『フハハハハハハハハッ‼‼サア、我ガ力ニ平伏シナサイ‼』

 

「ふざけるなッ‼お前の下らない野望…ここで終わらせてやる‼」

 

《SWORD VENT》

 

解放龍の剣(リモート・エッジ)を呼び出した俺は、高笑いしているソロモン眼魔へと突っ込んだ。




いかがでしたか?

後、1・2話でシンフォギアの世界を終わりにしようと思います。

そして、もし待っててくれた人がいたら、次回は皆様が待望?していた場面になります。

次回【シンフォギアの世界 カルテット】

「魂は…永遠に不滅だ‼」

「バランス……ブレイク…‼」

では、次回でお会いしましょう。


後、私が書いてる別作品でアンケートをやってるので、良かったら意見をお願いします。


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シンフォギアの世界 カルテット

どうも、疾風の警備員です。

この作品も80話、ようやくこの時が来ました‼

待っていた方はお待たせしました‼一誠、覚醒します‼

どんな感じなのかは、本編をどうぞ。


タケルside

 

「人の眼魂を勝手に使いやがって…‼」

 

ネフィリム眼魔と対峙していた俺だが、奴が闘魂ブースト眼魂を取り込むと身体中から炎を噴出して、元々着てたパーカーに闘魂ブーストのパーツや炎の模様が入った姿へと変貌した。

 

先輩ライダー達から貰った力を……悪用されてたまるかッ‼

 

俺はエグゼイド魂の姿で、左右に不規則なステップを踏みながらネフィリム眼魔へと近づく。

 

『チョコマカト鬱陶シイナァ…』

 

(貰ったッ‼)

 

ある程度近づけたら、剣を突き出しながら突っ込むが……

 

『ジャア、コウシヨウ。』

 

ネフィリム眼魔は右腕を燃やしながら地面を叩くと炎の壁ができ、ガンガンセイバーがそれに触れた場所から熔けていった。

 

「ッ!?クソッ‼」

 

自分の手が触れる前に何とか後ろに跳ぶが、ガンガンセイバーは刀身が全て熔けて使い物にならなくなっていた。

 

「なんつー火力だ…‼」

 

持ち手だけになったそれを投げ捨て、俺は右手にサングラスラッシャーを左手にはディープスラッシャーを持つ。

 

『マダ持ッテタンダ?』

 

そしてサングラスラッシャーにムサシとジンスケ、ディープスラッシャーにツタンカーメンとアーサーの眼魂をセットする。

 

《ダイカイガン‼》×2

 

「これならどうだッ‼」

 

《オメガシャイン‼》《オメガギリ‼》

 

必殺技を発動させた2刀を振りかざしながら跳び上がり、最高度から落下の勢いをプラスさせながら振り下ろす……

 

『ザンネ~ン♪』

 

が、それは簡単に両手に掴まれて、その手から発する熱で刀身を熔断されてしまった。

 

「なッ!?」

 

『エイヤ~。』

 

そして顔の所に出来た火炎弾を喰らい、吹き飛ばされた事でオレ魂になってしまった。

 

「がはッ‼……まさか…ここまで強くなる……なんて…‼」

 

『サッキカラ、パワーモリモリダカラネェ~。』

 

剣から眼魂を回収したらまたそれを投げ捨てる。

 

「だったら先輩達の力、見せてやるよ‼」

 

俺はダブル眼魂を起動させ、バックルのオレ眼魂と入れ換える。

 

《アーイ‼バッチリミナー‼カイガン‼ダブル‼二人で一人‼ガイアメモリ‼》

 

ダブル魂になると、右側の色を黄緑から赤へと変えた。

 

「ダブル魂……モード・ヒートジョーカー‼」

 

その能力で右手に炎を燃やしながら、ネフィリム眼魔を殴る。

 

『ガッ!?……痛イナァ~。』

 

「これならイケる‼」

 

攻撃しても手にダメージが来なかったから、俺はもう一度殴りかかるが……

 

『ソリャッ‼』

 

「うッ!?グアアァァァァァッ‼‼」

 

その手を掴まれ、奴は腕を燃え上がらせ俺の腕を焼いていく。

 

なんだこの熱量はッ!?ヒートジョーカーでも耐えられないのかよ‼

 

「なら……コレだ…‼」

 

熱さと痛みに耐えながら、俺はダブル眼魂をベルトから外すと、新たにフォーゼ眼魂を装填してレバーを操作する。

 

《カイガン‼フォーゼ‼スイッチ押した‼宇宙キターッ‼》

 

フォーゼ魂になり、そこからパーカーを赤色へと変化させファイヤーステイツになると、奴の炎がどんどん眼魂に吸収されていく。

 

『アレェ~?』

 

「これならテメェの炎は効かねぇぞッ‼」

 

逆にこの炎を使ってカウンターを喰らわしてやる‼

 

『アハハハハハハハハッ‼スゴイスゴーイ‼ジャアサ…』

 

その時、俺は強烈な寒気を感じると共に、ネフィリム眼魔の顔には無い口がニヤリと笑った様に見え……

 

『ドッチガ先ニ倒レルカ、勝負シヨウヨッ♪』

 

楽しそうに言うと、全身から炎を吹き上がらせた。

 

「ぐぅッ‼こんくらいなら…‼」

 

まるで火山の噴火の様な炎の嵐に耐えつつ、その炎をどんどん吸収していく。

 

『ヘェ~、ジャアモウ少シ、パワーアップ‼』

 

「うッ!?ぐ……ガあァァァァァ…ッ‼‼」

 

しかし、だんだんと出力が上がっていき、次第に俺の体を焼き始める。

 

『おいおい…‼これ以上は吸収の限界値を越えて、眼魂が爆発しちまうぞッ!?』

 

そこにフォーゼパーカーの意思である【如月弦太郎】さんから悪い情報を聞かされる。

 

このままじゃどっちにしても焼け死んじまう…‼こうなったら‼

 

俺は熱さに耐えつつ、掴まれてない左手でベルトのレバーを操作する。

 

《ダイカイガン‼フォーゼ‼オメガドライブ‼》

 

必殺技を発動させ、左手に吸収した分の炎を集束させていくが、火力が強すぎて俺の手も焼いていく。

 

ぐぅ…‼こっちも火傷確定だなッ‼でも、これで決める‼‼

 

「『ライダー爆熱パァァァァァァンチッ‼‼』」

 

即席で浮かんだ必殺技名を弦太郎さんと叫びながら、俺は全力でネフィリム眼魔の顔を殴るとその場で大爆発が起きてお互いに吹き飛ばされ、俺は変身が解除されてしまった。

 

『ギャベッ!?』

 

「ゴファッ‼…… く…手の……感覚が…」

 

何とか首を動かして手を見ると、所々黒く煤けていて肉が焦げる臭いが鼻を突いた。

 

こりゃもう戦うのは無理か……だけど、あの一撃なら…‼

 

『ヨクモヤッテクレタネ…?』

 

「ッ!?」

 

勝ちを確信していた時、爆炎の中からダメージを負ったネフィリム眼魔が、俺へ向かって歩いてくる。

 

『モウ怒ッタヨ…………オ前ハ殺スッ‼‼』

 

そして火球を作り出して俺へと飛ばしてきた。

 

「この…‼動け‼動けよ‼」

 

それを避けようとしても、両手が使えないのでうまく動けず、その間に火球はどんどんと迫ってくる。

 

ここで終わるのか、俺は…?ふざけんなッ‼俺はまだ終われねぇ‼‼まだイッセーに助けて貰った恩を返してねェし、玲奈を一人にさせられねェし、なにより……

 

そこで俺の頭にエルナの顔が浮かび……

 

「タケルさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ‼‼」

 

俺の名を叫びながらエルナが前に降り、火球を炎の壁で受け止める。

 

「くううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ‼‼」

 

彼女は必死に抵抗するが、やはり徐々に押され始める。

 

「やめろ…お前じゃ……止めきれない…‼」

 

「やめませんッ‼タケルさんを助けられる可能性が少しでもあるのならッ‼‼それに僕も、手の届く所にいる貴方を助けたいんです‼‼」

 

それでも彼女は止まらなかった。

 

ほんと……何でこんないい女が、俺の事に必死になってくれるのかね?…………って今はそんなの後回しだッ‼

 

「死なせてたまるかよ……ノイズと戦ってる皆を……無茶しまくる親友を…………そして目の前で情けない俺を、必死に守ろうとしてくれてるアイツを…‼‼」

 

手に無理矢理力を入れて、地面に手を着くと激痛が襲うが歯を食い縛って我慢し、俺は立ち上がる。

 

パキィン‼

 

その時、俺達を守っていた炎の壁がくだけ散った。

 

「エルナあァァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

俺は無我夢中で走り出し、彼女を炎から庇う様に抱き締めると同時に爆発が俺達を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ハアッ‼」

 

俺が剣を突き出すと、ソロモン眼魔は揺らめく様に横に移動してかわす。

 

「そこッ‼」

 

その位置を予測していたのか、未来のレーザーが迫るが……

 

『マダマダデスネ。』

 

奴は体を右に傾けて避けた。

 

「それはどうかなッ‼」

 

その避け方を俺は予想していて、奴の顔目掛けて剣を振るうが、その間に突然ノイズが出てきた。

 

「くッ!?」

 

《Remote!!》

 

能力で炭素変換を解除して切り捨てるが、ソロモン眼魔は既に剣の間合いから逃げていた。

 

『見事ナ連係プレーデシタガ、私ニハ通ジマセンヨ?』

 

「厄介な能力だ…」

 

コイツは体のあらゆる場所からノイズを召喚する。それを上手く攻撃や防御に使ってくるので、俺と未来は中々攻めきれないでいた。

 

「それならこれはどう?」

 

《マッスル化‼》《伸縮化‼》《分身‼》

 

未来が俺の後ろでエナジーアイテムを組み合わせて、分身達と鞭の様な鉄扇を振るう。

 

『コレハ少々面倒デスネ…』

 

奴はそう言うと、剣と盾をどこからか召喚してそれを持ち、鉄扇を防いだり捌いた。

 

「そんなッ!?神獣鏡なら神性による強化なんて、無視して壊せる筈なのに…‼」

 

『残念ナガラ、コノ剣ト盾ハ人間ガ作リ出シタ物デ、特殊ナ効果ナンテナイ壊レニクイダケノ普通ノ武器ナンデスヨ。私ノ宝物庫ニハコノヨウナ物モアリマシテネ。』

 

そして未来へと駆け出したのを見て、俺は慌てて彼女の前に立って攻撃を受け止める。

 

『ホウ…』

 

「未来はやらせねぇ…‼」

 

その剣を弾き上段から振り下ろすが、盾に受け止められ腹を横凪ぎに斬られる。

 

「ぐあッ!?」

 

「一誠君ッ!?」

 

『ヤハリコノ眼魂ノ力ハ素晴ラシイッ‼‼奥底カラ力ガ沸キ上ガッテクル‼‼』

 

「……このぉッ‼」

 

お返しとばかりに俺も剣を振るうが、相手の剣に弾かれたり盾に防がれたりして決まらず、未来の援護射撃も簡単に避けていた。

 

タケルのディープゴースト眼魂を使う事で、こんなにパワーアップするなんてな…‼

 

『イイ加減鬱陶シイノデ、ソロソロ死ンデモライマスヨ。』

 

「ッ!?」

 

俺の攻撃を後ろへと受け流しながら、耳元でそう言われすぐに体勢を戻そうとしたが、その前に奴の斬り上げを喰らって吹き飛ぶ。

 

「がッ‼」

 

そこから何とか立ち上がった俺を、ソロモン眼魔は容赦なく何度も切り裂く。俺も対抗するがダメージの性で上手く体が動かず、どんどん攻撃を喰らってしまう。

 

「一誠君ッ‼」

 

未来がそれを見て援護しようとするけど……

 

『今撃テバ彼ニ当タリマスヨ?』

 

「く…ッ‼」

 

奴は俺と未来の間に来るように動き、同士討ちを狙うようにしていたので、撃つに撃てなかったのだ。

 

『お兄ちゃん、しっかりして‼‼』

 

「く……あ…ッ‼」

 

メイルが心配して声を掛けるけど、俺にはもう返事をする余裕も無かった……

 

『トドメデス。』

 

そしてソロモン眼魔が突きだしてきた剣が……

 

ドズッ‼

 

「ごぶぉッ!?」

 

俺の腹を貫いた。

 

『ソレデハ、サヨウナラ。』

 

剣が抜かれると変身が解け、流れる血が地面を赤く濡らしていく。

 

ダメだ……もう立って…

 

「一誠君ッ!?」

 

その場に崩れ落ちそうになる俺を、未来が支えてくれる。

 

「イヤッ‼死んじゃやだよッ‼ねぇ、一誠君ッ‼」

 

『お兄ちゃんッ‼気をしっかり持ってッ‼‼』

 

二人の声も俺には何処か遠くから聞こえていた…

 

もうダメなのか……?

 

そんな事を思っていたら、俺の視界が光で覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

火炎弾の直撃を覚悟していて目を瞑り、爆発が起きたが……

 

「あれ、何ともねぇ?」

 

痛みも熱さもなかったので目を開けてみると、俺とエルナは虹色の光のドームの中にいた。

 

「これは…『お前の覚悟、見せて貰ったぞ…タケル。』ムサシさん?」

 

そこにムサシさんの声が聞こえたので周囲を見ると、俺が今持ってる英雄眼魂のパーカー達が勢揃いしていた。

 

『仲間を守るために命を賭ける勇気、オレは惚れたぜ‼』

 

『貴方は約束通り、人と人の絆を大切にしていますね。』

 

『まだちぃ~くっと未熟じゃけどな。』

 

『だけど、人間の絆の力は何物にも負けない力になル。』

 

『だから、俺達とアイツが力を貸してやる。』

 

そう言ってロビンが上を指差し、視線を上げるとドームの上に虹色の光を放つ炎の鳥がいた。

 

「あれは…?」

 

「火の鳥…」

 

『我らも分からん……だが、お前の力になってくれるそうだ。』

 

そしてムサシさんは、嘗てアリアから貰ったでっかいブランク眼魂を取り出す。

 

『タケル、お前に未来への力を託そう‼それでお前の未来を切り開けッ‼‼』

 

そして20個の眼魂と炎の鳥がブランク眼魂へと入っていくと、回りが金に色づけされた巨大な眼魂となった。

 

そしてそれがいつの間にか治っている俺の手に収まると、頭の中にこれの使い方が浮かんできた。

 

その使い方に従い、ゴーストドライバーを消し巨大な眼魂【アイコンドライバーG】を腰に当てて装着する。

 

「タケルさんッ‼僕も戦います‼」

 

「……分かった、ただし……俺の傍を離れるなよ。」

 

「はいッ‼‼」

 

エルナもダウルダブラが解除されていたので、再び琴を出す。

 

その間に俺はドライバーの右のボタンを押す。

 

《グレイトフル‼》

 

するとバックルになってる目の部分から取り込んだ英雄パーカーが全て出てきて俺の周りを飛ぶ。

 

《ガッチリミ~ナ~‼コッチニキナー‼》

 

いつもと違う待機音を聞きながら、両手を左腰に持っていき、そこから大きく回しながら右腰に移動させたら右手を上に上げてゆっくりと顔の前に下ろして横のボタンを押す。

 

「変身ッ‼‼」

 

《ゼンカイガン‼》

 

すると俺の体を黒に金のラインが入った鎧姿に変わり、右足にサンゾウとゴエモンとロビン、左足にはグリムとヒミコとリョウマ、腰にはベンケイとフーディーニ、右腕にエジソンとノブナガとツタンカーメン、左腕にニュートンとベートーベンとビリー・ザ・キッド、そして胸にムサシのマークが入るとその周りにアーサー、マサムネ、ユキムラ、リョフ、ジンスケのマークが入る。

 

《剣豪‼発見‼巨匠に王様‼侍‼坊主にスナイパー‼大変化‼》

 

そして頭には各パーカーの装飾が付き、黄色の複眼が光り変身が完了する。

 

『フ~ン…死ンジャッタ人間ト合体シタッテ勝テナイヨ?』

 

「でも、彼等の思いは俺の中でまだ生きている。」

 

ネフィリム眼魔の言葉を否定して、右手人差し指を向ける。

 

「例え肉体が滅んでいようとも、その人の思いや心はどこまでも繋がっていく……そう、魂は永遠に不滅だッ‼‼」

 

俺は拳を構えると、彼女に攻撃を向けさせないためにネフィリム眼魔へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

気がつくと俺は、何処か青白い空間に立っていた。

 

「俺は確か腹を刺されて……「お兄ちゃん‼」ッ‼メイル…?」

 

そこに聞きなれた声が響き、人間態のメイルが俺に抱き着いてきた。

 

「ごめんなさい…ッ‼お兄ちゃんの何の役にも立てなくて…‼」

 

「んな事気にしてないよ。それより此処は何処なんだ?」

 

「グス……たぶん、何処かに精神だけ転送されたんだと思う…………私は神器で繋がってるから付いてこれたの…」

 

「精神だけを転送?」

 

そんな術、聞いたことがない……でもいったい誰が?この世界に魔法が使える奴はいないみたいだし……

 

そんな考え事をしていたら、俺たちの目の前に赤いY字の形をした光が現れ、そこから更に光の線が伸びて人型を形成すると背中に翼の様な物を背負った銀色の巨人になった。

 

「あれ……なに……ッ!?」

 

「ウルトラマン…なのか…?」

 

その姿は知り合いが変身するウルトラマンに酷似していた。

 

『人間の子よ。』

 

その時、頭の中に誰かの声が響いた。

 

これは……目の前のウルトラマンの声?

 

俺が顔を上げると、ウルトラマンも俺に視線を向けてきた。

 

『君は何故戦うのか、理由を教えてもらえないか?』

 

「俺の戦う…理由?」

 

『そうだ。』

 

そう言われ俺は考え始める。

 

俺が戦う理由は……

 

「皆を守る……こんな俺に付いてきてくれる皆を…」

 

『それが君が自分の命を軽視する理由かい?』

 

「ッ!?」

 

その言葉は俺の心に深く刺さった。

 

『君の事はカードの中から見ていた。だが、君は自分を犠牲にし過ぎている。まるで彼女達を守れるのなら、自分がどうなろうと構わないという感じだ。』

 

「そ、それは…‼」

 

『何故そこまで君は自分の命を軽視する?それが何を意味しているか…理解しているか?』

 

「…………」

 

理解はしている。前の世界で飛彩さんにも似たような事を言われた。それでも……

 

「例えそうだろうと、アイツらが幸せになれるなら俺はそれでも構わない。アイツらから拒絶される位なら…」

 

『これを見ても、それが言えるか?』

 

ウルトラマンが腕を前に出すと俺の前に1つの画面が浮かび上がった。それには大粒の涙を流して何かを叫んでいる未来が映っていた。

 

「未来……?」

 

『今、君の体は死に瀕している。彼女はそれを見て泣いているのだ。君に死んで欲しくないと……それでも、先の言葉が言えるかい?』

 

それを見て俺はやっと自分の考えの馬鹿さ加減に気づいた。

 

「なんだ……俺も皆にここまで思われてたんだな…」

 

心の何処かで俺は強くならなくちゃ、皆が俺の前からいなくなっていくって思ってたけどそうじゃなかったんだ。

 

「そうだよ、皆お兄ちゃんが弱くたって離れたりしない。それだけの絆をお兄ちゃんが作ったんだから‼」

 

メイルの言葉に俺も1つの決心がついた。

 

「なら、俺も早く皆の所に行かないとな。いつまでも泣かせてたら、オッチャンに怒られちまう。それに戦い方も見直さないとな。皆も……俺も生き残れる様にしないと‼」

 

「うんッ‼」

 

『もう大丈夫そうだな。』

 

するとウルトラマンは俺達に光を浴びせる。

 

「これは…」

 

『これでイージスの負担はなくなった。それに君達の力に合わせて調整も行ってある。』

 

「ありがとうございます。」

 

『そして龍の娘よ。』

 

「ほえ、私?」

 

『君にはこれを。』

 

ウルトラマンは指先に光の玉を作ると、それをメイルへと渡し、それを受けとると、メイルの顔が驚きに染まった。

 

「……ッ!?これって‼」

 

『私からのささやかな贈り物だ。君の力にするといい。』

 

「ありがとうございますッ‼」

 

『では、君達の精神を体に戻そう。傷なら私が治しておいた。私の力と君達の()()()()が未来を切り開く力になることを祈っている。』

 

ウルトラマンはそう言い残して、この場から消えた。

 

「俺達の新たな力?」

 

それの意味が分からなかったが……

 

「それは私が至れたからだと思うよ?」

 

メイルのその言葉に俺はやっと理解した。

 

「今まで自分の命を顧みなかったお兄ちゃんだけど、自分が生きていく意味を理解した時、私の中で何かが外れた感じがしたの。だから間違いないよ。」

 

「そうか……なら、やるぞ‼」

 

「うんッ‼」

 

そして視界が暗転し再び明るくなると、涙を流して泣いている未来の顔が映る。

 

「何泣いてんだよ、未来…」

 

「え……一誠…君?」

 

「ま、泣かせた張本人のセリフじゃないか。」

 

反動をつけながら起き上がり、俺はソロモン眼魔と向き合う。

 

『オヤ、アレデ殺シタト思ッタンデスガ…』

 

「悪いな、俺はしぶといんだよ。」

 

カードデッキを翳し、バックルにはめて光龍へと変わる。

 

『何度ヤロウトモ、結果ハ変ワリマセンヨ?』

 

《SWORD VENT》

 

奴の言葉を聞きながら解放龍の剣(リモート・エッジ)を出し、更にカードを引く。

 

「なら見せてやるよ……」

 

左腕を突き出しメイルバイザーをツヴァイに変え、その口に開いてカードを差し込み閉じる。

 

《SURVIVE》

 

そして光龍サバイブになるが、ウルティメイトイージスは頭上で待機していた。

 

「本当の【自由】ってやつをなッ‼‼」

 

俺は解放龍の剣を眼前に掲げ、新たな領域へと至るための言葉を告げた。

 

「バランス…ブレイク…‼」

 

《Freedom dragon Balance breaker!!》

 

その音声と共に、俺の両手足にはシンフォギアフォームとは違い刺々しくなった籠手や脚甲になり、胸の所には水色の宝玉が付いた厚みのあまりない鎧になり、頭はドラゴン態のメイルの頭部を模した兜になりそこにウルティメイトイージスが降りてきて装着された。

 

『ソノ姿ハ…!?』

 

「まさか……禁手(バランス・ブレイカー)?」

 

「さて……華々しく行くぞッ‼」

 

『うん、お兄ちゃん‼』

 

俺が駆け出すと、ソロモン眼魔は手を前に翳した。

 

『先ズハ小手調ベデス。』

 

そしてノイズを棒状にして飛ばしてくる。

 

『そんなものでぇッ‼‼』

 

メイルが叫ぶと同時にノイズ達が直撃する……

 

《Invalid!!》

 

が、俺にダメージが来ることは無かった。

 

『ナンデストッ!?』

 

「そらァッ‼‼」

 

ソロモン眼魔が驚いている間に間合いに入り、剣を振るう。

 

『クッ‼』

 

ガキィン‼

 

それはソロモン眼魔が出した結晶の様なアイテムが出した魔法陣の盾に止められる。

 

だけど俺達には関係ねぇ‼‼

 

《Remote!!》

 

その術式を解除してアイテムを斬り、ソロモン眼魔を斬りつける。

 

《Invalid!!》

 

『ゴハァッ!?』

 

それを受けたソロモン眼魔は、後ろへと思いきり吹き飛んだ。

 

『ナ、何故デス…‼私自身モ強化サレテルノニッ!?』

 

「自由ってのは何物にも囚われる事がないし、何人にも止められない…」

 

『だからお兄ちゃんの自由を邪魔する全てを……私が無力化する‼』

 

『マサカ……ノイズノ直撃ヲ受ケテモ無事ダッタノハ…‼』

 

そう、これこそが俺の……俺達の禁手の能力‼

 

「【俺が指定した力や能力を無効化する】……それが俺達の禁手、【解放龍の騎士鎧(リモートエッジ・ナイトメイル)】だッ‼‼」

 

そしてデッキからガングニールのカードを引くと、右腕のウルティメイトソードに挿入口が現れたので、そこにカードを装填する。

 

《GANGNIR》

 

するとウルティメイトイージスが外れ、形を変えていくと突撃槍になり、俺はそれを掴み取り構える。

 

「さあ、ライブを始めようぜ‼‼」

 

 




いかがでしたか?

一誠の禁手の能力を簡単にいえば、自分にかかるマイナス要素や相手にかかっているプラス要素を無効に出来るという感じです。

例えばノイズの直撃や炭素変換の力を無効にする事で、ダメージを0にしたり、触れた相手の強化された力全てを完全に無効にしてダメージを与えられる感じです。

禁手前と違うのは1回に付き1つではなく、1回で全てを無効化出来るという事です。

次回はようやく決着になります。

次回【シンフォギアの世界 クインテット】

「私一人じゃ出来ない……だから未来、力を貸して‼」

「うんッ‼二人ならきっと大丈夫‼…だから…」

「「イグナイトモジュール・抜剣ッ‼‼」」

では、また次回でお会いしましょう。


それと、そろそろタイトルを変えようかなと思ってますので、活動報告でアンケートを取ろうと思います。

良かったら皆様の参加をお待ちしてます。


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シンフォギアの世界 クインテット

どうも、疾風の警備員です。

今回でシンフォギアの世界も最後です。そして最後にあるキャラにイベントが起きます。

では、どうぞ。


タケルside

 

俺がネフィリム眼魔に駆け出すと、奴は火球は飛ばしてくる。

 

避けてもいいけど後ろにはエルナがいる。だったら撃ち落とすッ‼‼

 

俺は1度立ち止まり、その火球を右腕で横に弾く。さっきまでかなりの熱さを感じたのに、今は全く感じない。

 

「すげぇ……パワーがダンチだぜ…‼」

 

『コノ……ダッタラ連射ダァッ‼‼』

 

今度は3連続で火球が飛んでくるが、俺には既に何処に飛んでくるのか見えていた。だから最初の1発を右手で、2発目を左手で横に弾き飛ばし……

 

「ソリャアッ‼‼」

 

最後の1発は回し蹴りでネフィリム眼魔へと蹴り返した。

 

『エ……?ギャブアッ‼』

 

それは予想外だったのか、ネフィリム眼魔は固まってしまって火球が直撃した。

 

「タケルさん‼避けてください‼」

 

そこにエルナの声が聞こえたので、俺は横に飛び退きながら後ろを見ると、エルナが胸に大きなガトリング砲【ガトリングボア】を装備していて、発射体勢になっていた。

 

「発射ッ‼」

 

そして弾丸が発射されてネフィリム眼魔に命中していくが……

 

『鬱陶シイナァ~…』

 

これといって効果は無く、それでエルナに目をつけたのか、ネフィリム眼魔が彼女へと駆け出す。

 

「ッ‼させッかよォッ‼‼」

 

俺も走り出し、ギリギリで間に入って奴を止める。

 

『退イテ、ソイツ喰エナイヨ…‼』

 

「テメェこそ……俺の女に手ぇ出そうとしてんじゃねぇよ‼‼」

 

ネフィリム眼魔の両手を上へと打ち上げ、がら空きの胴体にヤクザキックを決めて下げさせる。

 

「大丈夫か?」

 

「ふえッ!?だ、だだだだだ大丈夫ですよッ!?」

 

「…?何で疑問系?」

 

しかも顔赤いし、アイツの炎を喰らったのか?

 

「そ、それより眼魔が起き上がりますよ‼」

 

「おっと。」

 

そう言われ振り向くと、ネフィリム眼魔がのっそりと起き上がった。

 

『オ前、モウ許サナイ。』

 

「それはこっちの台詞だ。お前はここでブッ飛ばす‼」

 

「なら、私達も混ぜて貰えるかしら?」

 

そこで新たな声が聞こえたので、視線を巡らせると近くのビルの屋上に6人の人影があった。

 

「そいつは私達の罪の記憶…」

 

「……だから、私達も手伝う。」

 

「それで黒歴史を終わりにしてやるデスよ‼」

 

「私達は此方が近かったからね。」

 

「…救援に来た。」

 

「アタシ達もここから参戦デースッ‼」

 

その人影はこの世界のマリアさんに調ちゃんと切歌ちゃんと、俺達の世界のマリアさんに調ちゃんと切歌ちゃんだった。

 

「ノイズは倒し終わったのか?」

 

「ええ、後はソイツとソロモン眼魔だけよ。」

 

「てか、そっちはタケル先輩なんデスか!?」

 

「おお……新しいフォーム…‼」

 

「仮面ライダーゴースト・グレイトフル魂だ。」

 

屋上から彼女達が降りてくると俺の横に並ぶ。

 

「アイツの炎に気を付けろよ、そんじゃ行くぜッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「ハアッ‼」

 

『クッ!?』

 

俺は槍へと変わったウルティメイトイージス…【ウルティメイトスピア】を振るい、ソロモン眼魔は盾で防ぐが大きく下がる。

 

『コレホドノ強化……一体何ガ‼』

 

「お前には分からねぇだろうさ…」

 

再び接近して槍を振るい、ソロモン眼魔とつばぜり合う。

 

「自分が全てを支配しようとしているお前に……俺達の絆の力は‼」

 

『絆ダト……ソンナ不確カナモノ…‼』

 

「だが、お前はそれに負ける‼」

 

俺は奴を力で押し飛ばし、デッキからカードを引く。

 

「見せてやるぞ、メイル。」

 

『うんッ‼私達の絆を‼』

 

《ADVENT》

 

そしてメイルが出てくるが、薄い桜色のスカートに水色のシャツの上にマゼンタのジャケットを羽織った服装で、少し背が伸び髪型のツインテールが少しボリュームを増した感じのに変わった人間態になった。

 

「つーか何で人間態に?」

 

「それはあのウルトラマンに貰った物を使うためだよ‼」

 

そう言って手に持ってた物を見て俺は驚いた。それは色がグレーで取り出し口が逆だけど、俺のと同じライダーデッキだったからだ。

 

「マジか……あの時の光の玉ってそれだったのかよ…」

 

メイルはそれを右手に持って前に出すと、腰にベルトが装着され左手を上に突き上げて拳を握る。

 

「変~身ッ‼」

 

そしてデッキを装填すると銀色の光が覆い、それが消えるとそこには桜色のボディースーツに金色の複眼をしていて、右腕に籠手型のバイザーを装備した光龍がいた。

 

「名前は【仮面ライダー星龍】だよ‼」

 

そこからデッキのカードを1枚引いたら、そのまま何故か固まった。

 

「どうした?」

 

「……………………このデッキ、これ以外カードが入ってない…」

 

「うおいッ!?」

 

肝心の中身が1枚だけかいッ!?仕方ねぇな……オッチャンから貰ったアレを渡すか。

 

俺はソウチャクスロットホルダーとこの世界に来る前に貰ったガシャット2つをメイルへと投げ渡した。

 

「だったらこれを使え。」

 

「わっとととッ!?……そうだ、これなら‼‼ありがと、お兄ちゃん‼」

 

左腰にホルダーを取り付けると引いたカードをバイザーに入れて読み込ませた。

 

《HOLDER VENT》

 

すると右腰にソウチャクスロットホルダーが新たに付いた。つか入ってたカードってそれかよ……

 

「おいおい、ホルダー2つも必要か?」

 

「まあ見ててよ。」

 

そして両手にガシャットを持ち起動させる。

 

《タドルファンタジー‼》《バンバンシミュレーションズ‼》

 

すると背後に2つのゲーム画面からデフォルメ化した魔王の鎧っぽいのと戦艦が出てきて、ガシャットを左右のホルダーに装填する。

 

《ガシャット‼ソウチャク‼》×2

 

「先ずはコッチ‼」

 

そこから左のホルダーのボタンを押した。

 

《レベルアップ‼ソウチャック‼スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼》

 

すると戦艦の方がボディーを幾つかに分割しメイルに装着されると両肩に4門と両腕に4門、両手には2門の砲台を備えた姿へと変わった。

 

「仮面ライダー星龍・シミュレーションゲーマー‼」

 

「いや、どう見ても艦○れだろ?」

 

オッチャンは向こうの世界のデータを使って作ったとか言ってたけど、あっちの世界にも艦○れがあったのか?

 

「その話しはまた今度‼ほら、行こうよ‼」

 

「だな‼」

 

俺は槍を構えて再びソロモン眼魔へと向かう。

 

『一人増エタクライデ‼』

 

奴はノイズを再び飛ばしてくる。

 

《Invalid!!》

 

だが、それは禁手の効果で無効化される。

 

でもこれ、1回使うのにかなりの体力が必要だな……さっきから消耗がハンパねぇ。

 

『お兄ちゃんの残り体力からすれば、後2回だね。』

 

つまりは計5回が限界か。なら、これ以上の無駄使いは止めますかね‼

 

槍をソロモン眼魔へと突き立てるが盾に防がれる。

 

『ソンナ単調ナ攻撃「それはどうかな?」ッ!?グアッ!?』

 

少し油断しているソロモン眼魔の盾を足場に、バク宙を決めると俺の下を砲弾が通ってソロモン眼魔に直撃する。

 

俺はその隙に槍で切り裂きながら着地し、足払いをかけて転ばせようとするが、ジャンプでかわされたところを再び砲弾が襲いソロモン眼魔は吹き飛ばされる。

 

『ガアッ!?コレハ一体…‼』

 

「これが連係プレーってやつさ。」

 

『馬鹿ナ!?至近距離ノ戦闘ノ最中ニ砲撃ヲ当テルナド…‼』

 

「貴方には理解できないでしょうけど、お兄ちゃんがどう動くかなんて…」

 

「メイルが何処を攻撃するかなんて…」

 

「「(俺/私)達は動いた時から理解してるさ(よ)ッ‼‼」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルside

 

『コレダケイレバ、オ腹イッパイニナルカナ~♪』

 

「悪いが、無線飲食はご遠慮願おうか‼」

 

『アビュッ!?』

 

体を燃やしながら戯言をほざくネフィリム眼魔に、俺はアッパーを喰らわせる。

 

「元より喰われる気などない‼」

 

そこにこの世界のマリアさんが大量の短剣を飛ばしてくる。

 

《INFINITE†CRIME》

 

「…これ以上、お前が誰かを傷つける前に‼」

 

「アタシ達が喰らってやるデス‼」

 

更にこの世界のきりしらコンビが鎌と丸鋸を飛ばしていく。

 

《α式 百輪廻》

 

《切・呪リeッTぉ》

 

『効カナイヨ~♪』

 

しかし、それは炎によって当たる前に溶けてしまった。

 

「あの炎…厄介ね。」

 

「これじゃ攻撃しても無意味デスよ!?」

 

確かにこのままじゃ俺以外誰も……

 

「「ライダーダブルキィィィィィックッ‼‼」」

 

「ってお前らは何やっとんじゃいッ!?」

 

炎への対抗策を考えていたら、ウチのきりしらコンビが有名な技名を叫びながら飛び蹴りをやろうとしていて、俺は思わずツッコミをいれ……

 

「フンッ‼」

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

「「グベェッ!?」」

 

マリアさんが蛇腹剣を二人に巻き付け、コッチへと引き戻した。

 

「対抗策が見つかって無いのに突っ込んでどうするのよ、このおバカ‼」

 

「「だってぇ~…こういう時、特撮の必殺技なら突破出来ると思って…」」

 

「二人とも、夏休みの宿題が終わるまでテレビ禁止にするわよ?」

 

「「ごぉめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ‼‼」」

 

マリアさんのお説教に二人は見事な土下座を決めた。

 

全く、特撮と現実は違うっつーのに…

 

「でも、もう対抗策ならあるんじゃないか?」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「そうだろ、エルナ?」

 

俺は後ろにいるエルナの方を向くと、彼女はしっかりと頷いた。

 

やっぱり、あのガトリングボアの攻撃はこの時の布石だったか。

 

「はい、ボアの弾丸の耐熱性を1発1発変更しながら最大熱量を観測しまして、既に解析と対抗プログラムは完成してます。後はシンフォギアにインストールすればあの炎に溶かされる事は無い筈です。ただ、インストールするのに約2分掛かりまして……」

 

「なら、俺はそれまでの時間稼ぎだな‼」

 

首をコキッと鳴らし、俺はネフィリムが飛ばしてきた火球を上へと蹴り上げた。

 

『モウ食ベテイイ~?』

 

「俺を倒せたらなッ‼」

 

俺は走り出して奴に近づこうとするが、ネフィリム眼魔は2発の火球をまた飛ばしてくるので……

 

「もう見飽きたわぁッ‼‼」

 

飛んできたそれを連続回し蹴りでネフィリム眼魔へと蹴り返す。

 

『ウビュルアッ!?』

 

予想通りまたそれを喰らい、ネフィリム眼魔はよろけた。あいつ学習能力ねぇな……

 

俺はその隙に背後に回って、奴の腰の前で手を組むようにして抱き抱え、そのまま持ち上げてバックドロップをお見舞する。

 

『ウビャッ!?』

 

そして起き上がる前に両足を抱え、ジャイアントスイングを始める。

 

『アアアアアァァァァァァッ‼‼』

 

「そ~れ、ヨイショッ‼‼」

 

そして、エルナ達がいる場所とは反対方向に投げた。

 

『アバッ!?』

 

「今度はこれだ‼」

 

俺はもう一度背後に回って、コブラツイストを決めた。

 

『チョッ‼地味ニ痛イ‼地味ニ痛イ‼』

 

「そりゃ、痛くしてんだよッ‼」

 

さっき焼かれた腕の恨み、ここで晴らさでおくべきかぁッ‼

 

『コノ…ッ‼‼』

 

「おっと‼」

 

さすがにイラついたのか、体から炎を出してきたので、俺は下がった。

 

『オ前、絶対ニ喰ッテヤルッ‼‼』

 

「でも残念、時間だ。」

 

《GIRIGIRI!! CRITICAL STRIKE!!》

 

《SHAKARIKI!! CRITICAL STRIKE!!》

 

「「デヤァッ‼‼」」

 

俺がそう言うと、インストールが終わったのかネフィリム眼魔の左右からチャンバラ切歌ちゃんとシャカリキ調ちゃんがチェーンソーと鎌にエネルギーを溜めて、スレ違う様にして切り裂いた。

 

『ギャアッ‼』

 

《GEKITOTSU!! CRITICAL STRIKE!!》

 

「ハァァァァァアアアアアアアアッ‼‼」

 

そして上空からロボッツマリアさんが左腕のアームで思いっきり殴り、地面へとめり込ませた。

 

『アガァッ!?』

 

「今よッ‼」

 

「「うん/はいデスッ‼」」

 

そこにこの世界のマリアさん達が剣と丸鋸車輪とギロチンを装備して突っ込む。

 

《SERE†NADE》

 

《断殺 邪刃ウォTtkkk》

 

《非常Σ式 禁月輪》

 

その攻撃でネフィリム眼魔は両腕を切り落とされ、首も少し斬られたからか黒い液体が飛び散る。

 

『ア…………アア………』

 

「クロックマネージャー‼」

 

更にエルナがボアの能力で奴の動きを封じた。

 

「タケルさん‼今ですッ‼」

 

「おうッ‼」

 

エルナの言葉に答え、俺はベルトのレバーとボタンを交互に動かしていく。

 

《ムサシ‼エジソン‼ロビン・フッド‼ニュートン‼ビリー・ザ・キッド‼ベートーベン‼ベンケイ‼ゴエモン‼リョウマ‼ヒミコ‼ツタンカーメン‼ノブナガ‼フーディーニ‼グリム‼サンゾウ‼マサムネ‼ユキムラ‼ジンスケ‼リョフ‼アーサー‼》

 

全員の呼び出しを終えたら、再度左のボタンを押す。

 

《ゼンダイカイガン‼剣豪‼電導‼アロー‼リンゴ‼カウボーイ‼巨匠‼無双‼怪盗‼ダゼヨ‼女王‼大王‼武将‼脱走‼読書‼僧侶‼独眼‼冥銭‼抜刀‼最強‼騎士王‼》

 

すると、パーカーゴースト達が出てきて俺の上に曼陀羅を描き、俺がそこへ飛び上がると彼等は眼魂となって1つに集まり金色の光球を作り出す。

 

《ゼンインシュウゴウ‼グレイトフル‼》

 

その光球に俺は飛び蹴りをして、ネフィリム眼魔へと押し出していく。

 

《オメガドライブ‼》

 

「ハアアアアアアァァァァァァァァァァッ‼‼」

 

そして光球を直撃させてネフィリム眼魔の体を貫く。

 

『ナ、ナンデ…………イキナリ強クナッタノ…?』

 

「互いを信じ、助け合う事で俺達は新たな絆を………“信頼”を繋いでいく。その絆が俺達に無限の力を生み出すのさ。」

 

『信頼………何カ、イイネ……』

 

そう言い残してネフィリム眼魔は爆発し、そこから出てきた赤い光を俺は掴み取る。

 

「闘魂ブースト眼魂、回収完了っと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

ノイズを片付け終えた私は、急いでイッセーの元へと向かっていた。

 

「お願い……無茶だけはしないで…ッ‼」

 

ビルの屋上を跳び移り、現場に着くとそこには未来とソロモン眼魔、それに光龍と見慣れないライダーがいた。

 

あれ?あのライダー誰?それに光龍の鎧が若干いつもと違う?てか、あの槍ってウルティメイトイージスに似てる?

 

この状況に私は混乱しかけ、とりあえず現場を理解してそうな未来の下に降りた。

 

「未来‼一体何がどうなってるの!?」

 

「あ、響………あのね、至ったの…」

 

「へ?」

 

未来も少し混乱してるみたいだったけど、次第に笑顔になっていき………

 

「一誠君、禁手に至ったのッ‼‼」

 

「え…えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼!?」

 

未来の言葉に私は驚いた。イッセーが禁手に至ったなんて思いもしなかったからだ。

 

「じ、じゃああのライダーは!?」

 

「メイルさん。」

 

「マジですかッ!?」

 

え~とつまり、今のイッセーはたぶん禁手のサバイブで、彼処のピンクの艦娘ライダーはメイルさんって事?

 

「そうだよ。」

 

「だから、心読まないでよ‼」

 

未来の言葉にツッコみつつ、二人の戦いを見てるとまるで長年連れ添ったパートナーみたいに息の合った連係攻撃でソロモン眼魔を圧倒していた。

 

………何だろう、私も彼処で戦いたいのに今のままじゃそれは無理だって心が告げてる。しかし新しく付いたシステムを使えば………

 

でも、そのシステムの話を聞いた時、私は怖くなった。あれは使用者を理性無く相手をただひたすらに殺戮本能のまま殺すマシーンにさせる狂気の代物だ。あれを一人で制御出来るとはどうしても思えない。

 

それでも、彼の助けになるならと右手でコアユニットを掴んだ時、左手が暖かい感触に包まれた。

 

「無理しないで、響。」

 

「未来?」

 

「あれが怖いのは私も解ってるつもり。でも、いつかは乗り越えなくちゃいけない………その手助けなら私にも出来るから。」

 

そうだ………今の私は一人じゃない、助けてくれる診んながいる‼だったら怖くなんかない‼

 

「うん…私一人じゃきっと出来ない……だから未来、力を貸して‼」

 

「うんッ‼二人ならきっと大丈夫‼…だから…」

 

「「イグナイトモジュール・抜剣ッ‼‼」」

 

《Dainsleif》×2

 

そう叫びながら起動スイッチを入れ、ユニットを宙に投げると光の針が自分の方へと向かって伸び、一気に近づいてきたユニットごと自分に突き刺さった。

 

その瞬間、私の視界が暗くなったかと思うと別の景色が写る。フェニックス戦の時に見た血まみれの研究所の施設の中にもう一人の私がいた。

 

『まさかオマエから【暴走】しに来るなんて………頭イカれてる?』

 

「そうなのかもしれない………でも、今はイッセーを助ける為に力を貸して欲しい‼」

 

『そう言われてワタシがはい、そうですかって素直に貸すと思ってるの?』

 

それはそうだ、彼女は私の体を乗っ取りたいのに力を貸すなんて………

 

『ま、今回は初回サービスって事で力を貸してあげる、わおッ‼ワタシったらやっさしい‼』

 

「へ?」

 

あれ?もっとなにか言われるかと思ったんだけど…

 

『た・だ・し♪』

 

瞬間彼女が私のすぐとなりに現れ………

 

『次は覚悟しておくこと。本気で乗っ取りにい・く・か・ら♥』

 

「ッ!?」

 

『アッハハハハハハハハハハハハハハハハ‼』

 

耳元でそう呟き、笑いながら彼女は消えていき視界がまた暗くなると現実に戻ってきた。そして自分の姿を見ると白かった部分が黒に染まり、形も禍々しい物になっていた。

 

「これが………イグナイトモジュール…」

 

「響ッ‼」

 

突然の声に隣を見れば、未来も同じ様に白が黒に変わり脚甲が少しだけ小さく、刺々しい物になったギアを纏っていた。

 

「……さっき私、もう一人の自分に会った…」

 

「私も……初回サービスだって言ってた。」

 

「たとえそうだとしても…‼」

 

「今は私達も戦うだけッ‼」

 

互いにそう気合いを入れて、イッセー達の戦線に加わる。

 

「お前ら!?その姿は‼」

 

「ガングニールファイター・イグナイト‼」

 

「パズル神獣鏡・イグナイト‼」

 

そして未来がアイテムを集め、組み替えていき……

 

「響、受け取って‼」

 

私に5枚のアイテムを渡してきた。

 

《マッスル化‼》×5

 

それによって強化された私は右の籠手を巨大化させ、ソロモン眼魔へと接近する。

 

『ソンナ攻撃……‼』

 

私は拳を突き出すけど、それは盾に止められる……

 

「そんなもんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ‼‼」

 

が、高められた力で押し込んでいき……

 

「ぶち抜けえええええええええええええッ‼‼」

 

『ギャバブェッ!?』

 

最後にバンカーを起動させて盾を粉砕し、ソロモン眼魔を殴り飛ばした。

 

 

 

 

 

一誠side

 

「すご…」

 

「うん…」

 

強化された響の一撃を見て、俺とメイルは唖然としていた。

 

盾無しであれで殴られたら、1発で御陀仏だな……でもこれでアイツの守りは壊れた‼

 

「メイル、行くぞ‼」

 

「OK‼その前に…」

 

メイルはシミュレーションゲーマを外すと、今度は右のスロットのボタンを押した。

 

《イレカエ‼ソウチャック‼タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼》

 

そして今度はデフォルメした魔王の鎧を纏った。

 

「仮面ライダー星龍・ファンタジーゲーマー‼」

 

《ガシャコンソード‼》

 

すると1つのアイコンが出て、炎の様な揺めきの刀身をした剣がメイルの手に収まった。

 

「やった‼武器GET‼」

 

そして槍と剣を手に俺達は接近戦を始める。

 

先に出たメイルが剣に炎を纏わせながら振るい、ソロモン眼魔の剣を上に弾き、空いた体を槍で切り裂き蹴りを脇腹に喰らわせる。

 

『グ…ッ‼コノ……』

 

ソロモン眼魔は剣を振ろうとするが、俺とメイルはすぐに後ろへと跳び下がりソロモン眼魔の周りにミサイルや銃弾が大量に降り注いだ。

 

『グアアアァァァァァァッ!?』

 

「アタシ等を忘れて貰っちゃ困るぜ?」

 

「鉛玉の大安売りだ、持ってきなッ‼」

 

ゲーマを装備して飛んでるウチのクリスと黒いギアを纏ったこの世界のクリスが銃口から煙の出ているガトリングを構えていて……

 

「「推して参る‼」」

 

《高速化‼》×2

 

ウチの翼とこれまた黒いギアを纏った翼が未来からアイテムを貰って左右から連続で斬りまくり、上下で蹴りを入れながら左右を入れ換わり、再び滅多斬りした後一旦離れ、ソロモン眼魔の前後をスレ違い様にして切り裂く。

 

「オリャアアアアアアアアッ‼」

 

そしてゲーマを装備してない響がソロモン眼魔の剣を殴り砕いた。

 

『我ガ武器ガ…ッ‼』

 

「そこッ‼」

 

更にメイルがマントを腕に巻き付けると、それを前に出して伸ばし槍みたく何度も傷つけていく。

 

『ウゴ…ッ‼』

 

「終わりだ。」

 

俺はデッキからカードを引き、バイザーに読み込ませる。

 

《FINAL VENT》

 

するとウルティメイトスピアがまた変形していき、両足を覆う脚甲となり、輝き始める。

 

俺はソロモン眼魔へと走り出し、ある程度手前で飛び上がり一回転してから両足蹴りを喰らわせた。

 

『ギャアアアァァァァァァァァッ!?!?』

 

「散れ……星の輝きと共に。」

 

奴の体を貫き、背後に爆発を感じながら目の前に落ちてきた物をキャッチする。

 

「ディープゴースト眼魂、回収っと。」

 

変身を解除すると疲れで倒れそうになるが、同じように変身を解除したメイルが支えてくれた………

 

「おめでとう、お兄ちゃん。」

 

「ああ、やったぜ…」

 

『皆良くやってくれた‼‼これで状況終了だ‼‼』

 

風鳴司令のその言葉に、俺達はようやく安堵した。

 

 

 

 

 

 

あれからヘリに回収され、潜水艦に戻ると司令達が笑顔で待っていた。

 

「お帰り、無事に戻ってきて何よりだ。だが……」

 

そう言うと司令は俺とタケルを見る。

 

「そこの男子二人は少し説教だな。女性陣は先に奥に行っててくれ。」

 

響達が先に行き、司令は腕を組むと……

 

「全く揃って無茶な戦い方をする……下手すれば二人とも死んでたぞ?」

 

「はい…」「うす…」

 

「君達が犠牲になった勝利を彼女達は喜ばない事をキチンと理解して、そうさせない様な強さを持つ。それが戦場に出る男の最大の仕事だ。」

 

「「はい‼」」

 

「分かったならいい。しかし…」

 

そこで言葉を切り、司令はタケルを見た。

 

「君は戦場で大胆な発言をするな?」

 

「は?」

 

タケルの顔は全く覚えが無いといった顔だ。何を言ったんだ?

 

「そちらのエルフナイン君……ああいや、エルナ君だったな。彼女を庇いながら俺の女と叫ぶとは…」

 

「……………………え?俺、そんなこと言ってたんすか?」

 

「ああ、しっかりと記録映像もあるぞ。見るか?」

 

「いえ、遠慮しときます…‼」

 

断るタケルの顔はかなり赤くなっていた。

 

「ハッハッハッ‼これも青春だな‼大いに楽しめ若人諸君‼」

 

そう言って笑いながら司令は去っていった。

 

「お前、大丈夫か?」

 

「悪ぃ……頭が全っ然追っ付いてねぇ…」

 

「まさか、は「うっせぇ‼悪いかッ‼」別に悪か無いって。」

 

しかしタケルもだったとはな……コイツら、両思いじゃねぇか。なら、あんまり余計な事すんのは止めとこう。

 

それから俺達も休憩室でいつの間にか行われていた宴会に参加し、全員参加のカラオケ大会やダブル翼とダブルマリアの四人でのライブとかをやったりして楽しんだ。

 

因みにタケルはエルナに声を掛けようとしたが、途中で止めて何度も俺に相談に来た。子どもかッ!?

 

そして次の日、俺達は元の世界に戻る準備を終えて、最後の挨拶をもう一人の自分達にしていて、俺は風鳴司令に挨拶していた。

 

「短い間でしたけど、お世話になりました。」

 

「なに、今回の事件解決の功労者は君達だ。礼を言うならこっちの方だ。」

 

「貴方に言われた最大の仕事を守れる様に精進していきます。」

 

「そちらの世界も大変そうだが、達者でな。」

 

「皆さーん、準備出来ましたよ‼」

 

エルナの言葉に俺達は渡航ドアの前に集まる。

 

「んじゃメイル、中に戻ってくれ。」

 

「うん…………………………………………………………あれ?」

 

メイルは何時もの様に戻ろうとしたけど、その場に立ったままで首を傾げていた。

 

「どうした?」

 

「ち、ちょっと待っててッ‼ん~~~~‼んん~~~~~~~~~~~~~~~~ッ‼‼」

 

それから気合いを入れて戻ろうとしていたが、やはり変化はなかった。

 

「おい、本当にどうした?」

 

「……………………何か、戻れなくなっちゃった…」

 

「は?」

 

そして言われた言葉に俺は呆然とした。

 

え?戻れない?どゆこと?

 

「それってもしかして…」

 

俺が頭を悩ませていたら、エルナがなにかを閃いた。

 

「なんだ?」

 

「メイルさん……【独立具現型】の神器になっちゃったのでは?」

 

「………………マジか?」

 

何でそんな事に……あれか?ウルトラマンの光を浴びた影響か?それで神器の術式に異常が起きて………………ああもうッ‼考えるの面倒だから今は【その時、不思議な事が起こった】でいいやッ‼

 

「はぁ……とりあえず向こうで検査だな。それじゃ、最後の最後でちょっとありましたけど、これで失礼します。」

 

「うむ、もし機会があればまた会おう。」

 

「その時は是非。」

 

彼の言葉にそう答え、手を振りながらドアを潜る。

 

向こうに戻ったらメイルの検査に禁手の把握、戦い方の変更とやる事が盛り沢山だな。でも、ちゃんとした意味で皆を守れる様になる為に頑張りますかッ‼




いかがでしたか?

タケル君、ついに自覚しました。これについては近い内に番外編でやります。

そしてメイルもある意味進化?しました。見た目もアイカツスターズ二期のゆめの姿に変更です。

では、今回は予告無しです。

また、次回でお会いしましょう。


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N編 迫り来た脅威

どうも、疾風の警備員です。

シンフォギアAXZ8話の司令……やり過ぎでしょ!?

それにしてもOPのサビでのあの組み合わせは、絆のユニゾンだったんですね。私はてっきり胸のサイズかと……(千ノ落涙)(α式 百輪廻)ゴブァッ!?


翼「作者が何やら戯れ言を口にしているが…」

調「……あんな作者はほっといて、本編をどうぞ。」


アザゼルside

 

俺はキャロルと一緒に訓練ルームの管制室で、装者達に新しく取り付けた【イグナイトモジュール】の起動訓練を見ていたのだが……

 

「まさか全員1度も成功しねぇとは…」

 

訓練ルーム内では装者達が全員息を荒くし、大の字で倒れ伏していた。

 

「お前達、首尾はどうだ?」

 

『……全然……ダメ…‼』

 

『使おうとすると、もう一人のアタシが目の前に出てくるんデスよ…‼』

 

『しかも、こちらの問答には何も答えず剣を抜き放ち…‼』

 

『それを喰らえば、嫌な思い出ばかりが領空侵犯してきやがる…‼』

 

その報告から、暴走を促そうとする破壊本能みたいなものが、制御の邪魔をしていると俺は判断した。

 

「ふむ、制御系統にまだ問題があったか……しかし、これ以上イグナイトシステムを内部から弄るのは不可能だ。」

 

「ああ、こればっかりはアイツらの精神力に賭けるしかねぇ。」

 

イグナイトモジュールはシンフォギアの持つ負の決戦機能【暴走】を強制的に発動・制御し、その強大な力を理性を持って使う事で戦闘力の向上を図るものだったんだが、使えなければそれは単なる錆でしかない。

 

だが、1度使えた響と未来までも発動が出来なくなってると、見直しが必要か?それに響の奴が2回目以降()()()()()()()()のも気になるな……

 

「どうしたもんかねぇ…」

 

「「失礼します(デス)。」」

 

俺とキャロルがどうするか悩んでいたら、調と切歌が管制室に入ってきた。

 

「どうした?」

 

「…これから見たい特撮が始まるから。」

 

「ここで見させて欲しいデス。」

 

「……まぁ、これ以上は無茶の部類に入るな。一旦休憩にするからいいぞ。」

 

「「やった‼」」

 

皆に休憩を指示し俺が二人に許可を出すと、端にあるテレビの電源を入れ、丁度時間だったのかその番組が始まった。

 

「…ナイスタイミング。」

 

「このオープニング曲もカッコいいデスよね~‼」

 

そんな感じに二人のテレビの感想を聞き流しつつ、俺は制御の対応策を考えていた。しかしこれといって良いのは浮かばず思考のループに嵌まりそうになっていた時、調達が見ている特撮の変身シーンが目に入ったその瞬間、俺の頭に閃きが灯った。

 

そうだ、この方法なら制御可能になるかもしれん‼

 

「キャロル。」

 

「旦那様の考えている事はお見通しだ。私もそれなら可能だと思う。」

 

「なら、早速作るとしますか‼訓練は終了させて、一誠達には例の事件を調べさせてくれ。」

 

「わかった。オレから伝えておく。」

 

キャロルの返事を聞いてから、俺はすぐに作業用の部屋へと向かった。

 

待ってろ、俺が必ずイグナイトを完全に使える様にしてやる‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「連続集団行方不明事件?」

 

訓練が終わった響達を迎えに来た俺は、キャロルさんからその話を聞かされていた。

 

「ああ、最初は人間を一人ずつだったんだが、今では人間を数十人纏めて…更には下級の天使に悪魔、堕天使達までその身を消している。」

 

「どう考えても、人間業じゃないな…」

 

人間だけなら過去に事例があったが、人外の存在まで消えているとなれば、同じ人外でしかあり得ない。

 

「それの調査を俺達に…って訳か。」

 

「頼まれてくれるか?」

 

「もちろん、任せてくれ。」

 

「悪いな…だが、決して無理はするな。もし相手が強大で手に負えない時はすぐに撤退するんだぞ?」

 

「もう昔みたいに捨て身はやらないよ。」

 

心配そうに俺を見るキャロルさんにそう答える。

 

「ならいい…皆の休憩が終わり次第、調査を始めてくれ。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある異世界にて……

 

そこでは3人の男性が、ラーメンを食べている男から話を聞かされていた。

 

「……という事で、君達に異世界に現れた【ノヴァ・ショッカー】という組織の残党狩りを頼みたいんだ。」

 

「異世界にまでそんな奴等が……」

 

「執念だけなら一丁前だな。」

 

「ならば完全に潰すまでッ‼」

 

その話の内容に、3人の中で目付きの悪い男は多少驚き黒の短髪の男は飽きれ、茶髪のポニーテールの男はやる気に燃えていた。

 

「本当は僕が行きたいけど、まだ万全じゃ無いからね。」

 

「無理すんな、【K】。」

 

「わかってるよ、【翼】。」

 

3人に説明している男【K】は丼を置き胸元を押さえながら悔しそうにつぶやき、それを目付きの悪い男【高宮 翼】が宥めた。

 

「そんな体で出てこられる方が迷惑だ。」

 

「ここは私達に任せておけ‼」

 

「ありがとう【和彦】【加太】。」

 

短髪の男【黒澤 和彦】と茶髪の男【甲先 加太】の言葉にKは礼を言う。和彦の言葉は厳しいものだが、それが彼なりの気遣いだと理解しているので、不快には思っていない。

 

「それじゃゲートを作るから君達()()で行ってきてくれ。」

 

「「「4人?」」」

 

Kの言葉に3人はハテナマークを頭に浮かべ、彼が手をパチンと鳴らすと後ろの扉が開いて水色ショートヘアの一人の少女が倒れ込んできた。

 

「ぎゃぷッ!?」

 

「【さやか】!?ここで何を…‼」

 

「盗み聞きとは感心しないな?」

 

「アハハ……加太が何で呼ばれたのか気になっちゃって……」

 

「まったく…」

 

倒れ込んできたのは【美樹 さやか】。特殊な力を持った魔法少女で、加太の恋人でもある。

 

「話は聞かせてもらったよ。そんな大事だったら私も付いていくから‼」

 

「いやしかし…‼」

 

「諦めろ加太、コイツがこうなったら止まらないのは、お前が一番知ってんだろ?」

 

「うぐ‼……分かったよ…」

 

「よしッ‼」

 

さやかの性格をよく知っている加太は、諦めたかの様にため息を吐きながら同行を許可した。

 

「それじゃゲートも出来たし、何かあったら連絡を頂戴ね。」

 

「了解。」

 

Kの言葉に翼は返事をして、3人と一緒にゲートを潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

キャロルさんに頼まれた集団行方不明事件について調べていた時、彼女から預かった異常探査装置(命名キャロルさん)に2つの場所で反応がキャッチされ、場所が表示される。

 

「片方は1つで、もう片方は4つが固まってるのか?距離も離れているし、二手に別れるか。」

 

「だったら1つの方は私と未来で行ってくるよ。」

 

「いや、二人だけなんて…」

 

「数が多い方に人数を割いた方が効率的だし、響が何かやらかしそうなら私が引っ張ってでも連れ戻すから。」

 

「何故そこで私ッ!?」

 

確かに未来の特殊能力と響の突破力、それに連係は調と切歌の二人と引けをとらない。これが最適なのかもしれないな……

 

「分かった、1つの方は響と未来に任せる。残りのメンバーは4つの方に行くぞ‼」

 

『『『『『了解‼』』』』』

 

響達と別れ、俺達は4つの反応があった場所に行くとそこには身長二メートル程で黄色の複眼に禍々しい鎧の奴と黒に銀の縁取り、青い複眼のロボットみたいな奴と青い複眼に金の何処か昆虫を想わせる鎧を身に纏った奴、最後に白いマントに青と白の服を着た水色の髪の女の子がいた。

 

先ずは様子を見るために、俺達は近くの物陰に隠れた。

 

「あれは……アークにG4、コーカサスか‼」

 

「タケル、知ってるのか?」

 

「ああ、あの3人とも仮面ライダーだ。」

 

「あっちの女の子は…?」

 

「魔力は感じるけど…」

 

そこから相手の事を観察していたら、G4が左手に銃を持って俺達へと発砲してきた。

 

「うわッ!?」

 

「おい、さっきから何をコソコソしている?」

 

向けられた視線は完全に俺達を捉えていたので、これ以上隠れているのは無意味と思い、俺達は物陰から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潜むのを止め、ライダー達の前に姿を晒した一誠達を見て、G4の変身者【和彦】は銃を向けたまま警戒を怠らない。

 

「なんだお前達は?」

 

「俺達はとある事件の調査をしているだけだ。」

 

「調査だと…?」

 

「そうだ、お前達はここで何をやっている?」

 

「話す義理など無い。」

 

G4とアークの言い方が相手の気に触ったのか、クリスが前に出てくる。

 

「んな大層なおべべを着て、ここでコスプレ大会してたとか、んな理屈が通ると思うなよ?」

 

「こ……コスプレ…‼」

 

その言葉にさやかはorzった。

 

「そっちこそ、()()を6人も引き連れて調査など、甚だおかしいが?」

 

「ッ!?」

 

その言葉に一誠は驚愕した。彼等はゆめだけでなくクリス達の体の事を瞬時に見破ったのだ。

 

「先輩、奴等まさかノヴァ・ショッカーの改造人間…?」

 

「かもな。」

 

「イッセー、アイツ等…」

 

「たぶん、行方不明事件に関係あるな…」

 

しかしその勘の良さが原因で、お互いに勘違いが起きてしまった。それも最悪な方の……

 

「改めて問おう、ここで何をしていた?」

 

「こちらももう一度言おう、お前達は何者だ?」

 

これで互いは言葉での解決は無理と判断に至り、イッセー側はベルトとシンフォギアを出す。

 

「なら、話は病院のベッドで聞かせてもらいましょうか。」

 

「やれるものならな。」

 

「いくぞッ‼」

 

一誠達はライダーやシンフォギアを身に纏うと、アーク達へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響side

 

「未来…………あれ何かな…」

 

「どう見ても…トカゲ……だよね?」

 

私と未来はもう1つの光点の場所に着いたけど、そこには成人男性位の大きさで二足歩行のトカゲがいた。

 

「トカゲって二足歩行出来たっけ?」

 

「それ以前に、あんなに大きなトカゲはいないよ。」

 

『貴様らッ‼さっきからトカゲトカゲと喧しいわッ‼』

 

「「喋ったッ!?」」

 

そのトカゲがこっちを見て喋った事に私と未来は驚いた。

 

『別にいいだろ、喋ったって‼‼それより俺の姿を見たんだ……ここで死んでもらうぞ‼』

 

「未来ッ‼」

 

「うんッ‼」

 

こっちへと突っ込んでくるトカゲを左右に避け、胸元のペンダントを掴む。

 

「Balwisyall Nescell gangnir tron」

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

 

そして聖詠を唱えてシンフォギアを纏い、私は右拳を握りしめて構える。

 

『小娘が何をしようとッ‼』

 

私へと再び殴りかかってくるトカゲに、右拳を突き出してぶつけ合わせる。

 

「うぎぎぎぎぎぎぎぎぎッ‼‼」

 

『甘ぇよッ‼』

 

「ッ!?キャアッ‼」

 

でも数秒と持たずに、私は吹き飛ばされてしまった。

 

「響ッ!?このッ‼」

 

そこに未来が鉄扇のレーザーで援護してくれる……

 

『ヒャハハハハハッ‼遅い遅い‼‼』

 

が、トカゲは器用に体を動かしてレーザーをその場で回避した。

 

「そんなッ!?」

 

「だったらガシャット(コレ)で‼」

 

このままだと勝てないと思った私達は、ガシャットを取り出して起動させた。

 

『KNOCK OUT FIGHTER!!』

 

『PERFECT PUZZLE!!』

 

「ラウンド50‼」

 

「50連鎖‼」

 

それを左腰に取り付けたソウチャクスロットホルダーに装填して、ボタンを連続で押して装着する

 

《ソウチャック‼explosion hit!! KNOCK OUT FIGHTER!!》

 

《ソウチャック‼get the glory in the chain!! PERFECT PUZZLE!!》

 

パズル神獣鏡とガングニールファイターになり、私は右手に炎を灯しながらトカゲ人間に殴り掛かる。

 

「セエェェェェェイッ‼‼‼」

 

『だから甘ぇよッ‼』

 

さっきと同じ様にぶつかり合い、吹き飛ばされはしなかったがそれでも私は押し負けていた。

 

「こんの…ッ‼」

 

「響ッ‼受け取って‼」

 

その時、後ろから未来が三枚のエナジーアイテムを私に渡してきた。

 

《マッスル化‼マッスル化‼マッスル化‼》

 

「ぉぉぉぉおおおおおおおおおおッ‼‼‼」

 

『およ?』

 

その効果で私はトカゲ人間の拳を押し返していく。

 

このまま打ち破るッ‼

 

『ところがぁ……どっこいッ‼』

 

しかし、私はいきなり脇腹に攻撃を喰らって吹き飛ばされた。

 

「カハッ!?」

 

「響ッ!?」

 

『このオレ【リザード】様には、人間には無い物があるんだよなぁ♪』

 

なんとか顔を起こしてリザードを見たら、腰の所から生えている何かをクネクネと動かしていた。

 

あれって……尻尾ッ!?

 

『人間ってのは不便だな?結構便利だぜ、コレ。』

 

「なら、それを撃ち抜く‼」

 

《高速化‼透明化‼分身‼》

 

未来は自身に3枚のエナジーアイテムを取り込んでその場から消えると、リザードの四方八方からレーザーが放たれるが……

 

『これまた、あらよっとッ‼』

 

しかしリザードは、見えない所から飛んでくるレーザーを全て回避した。

 

「なんで…‼」

 

『んん~…殺気で丸解りだぜ、お嬢さん?』

 

私の隣に出てきた未来はそれに驚いていた。

 

『さて、次はどうすんだ?』

 

首を鳴らしながら余裕な態度をとるリザードに、私は右手を胸元へと伸ばす。

 

こうなったら、イグナイトしか…‼

 

でも、コアユニットに触れた瞬間、私の手が震えだし汗が吹き出し始めた。

 

ダメ……これを使ったら、また()()を見ちゃう…‼

 

私は今日の1回目……正確には前回の発動を含めれば2回目の時、もう一人の私とまた出会いあるものを見せつけられた。

 

私はそれに恐怖してしまい、それ以降イグナイトの発動すら出来なくなってしまった。

 

それでも、今ここで使わなくちゃ勝ちの目は来ない…‼

 

だから私は恐怖を押し殺して、コアユニットを掴み……

 

「イグナイトモジュール、抜剣ッ‼‼」

 

そしてトリガーを押してシステムを起動させた。

 

《Dainsleif》

 

その瞬間、私はまたもう一人の私がいる施設の中に来ていた。

 

『あれを見てま~だ来れるなんて……あんたも相当イカれてるわね?』

 

「それでも今は、この力が必要なの‼お願い、力を貸して‼」

 

『だったら、これを耐えてみなさい?』

 

そう言ってもう一人の私は右手を前に翳し、私の網膜に映像を映してくる。

 

私の手が…………小さな子どもの体を貫いたり、腕や足……頭を体から引き千切るシーンが…

 

「あ…………ああ……‼」

 

『楽しかったわよね~‼ 肉をえぐり、骨を砕き、小さな子どもの命を……心臓を握り潰していくのは♪』

 

もう一人の言葉に合わせて私の右手にまだ鼓動を打つ心臓が現れ、私の意思に関係なく手が動いてそれを握り潰し、飛び出した血が私の体や顔を真っ赤に染めていく…

 

いや……止めて…‼

 

『特にあれがサイコーだった‼‼ 子どもの頭を掴んで体から脊髄ごと無理矢理引き抜いたのはッ‼‼‼ 死の恐怖に震え泣きじゃくるその子の顔を思い出すと……とっても心が踊るわ♪』

 

そんな事はもう聞きたくないと、私は耳と目を塞ぎしゃがみこむ……そこに、足に何かが当たる感触があり、目をゆっくり開けてみたら…………

 

「ヒィッ!?」

 

それは男の子の生首だった。

 

恐怖の余り尻餅を着き、後ずさっていくと生首の目が動いて私を捉えた。

 

ーーーー人殺し

 

「ッ‼‼」

 

そして耳ではなく、脳に直接聞こえてくる声が私の精神を打ちのめしていく。

 

「あ……いや……止めて…もう…止めて……‼」

 

『何を言ってるのよ……ここにいる子達はみ~んなそう言っていたけど、それを貴女は容赦なく殺していったのよ?』

 

ーーーー人殺しッ‼、助けてッ‼、死にたくないッ‼、痛い痛いッ‼、離してッ‼殺さないでッ‼、ごめんなさいごめんなさいッ‼ もう悪いことしないからぁッ‼ふざけんなぁッ‼この化け物‼‼死ねッ‼お前なんか死んじまえッ‼‼

 

次々に新しい声が私の頭に聞こえる度に、体が震え涙が溢れだしてくる。

 

『ああ~♪なんて素敵な音楽(ひめい)なのッ‼この旋律(さけびごえ)がワタシの心を満たしていくわッ‼‼』

 

「いや…‼いやいやいやいやいやいや嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌アアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッ‼‼‼」

 

その子供達の声と流れ込んでくる負の感情に耐えきれず、私は叫んだ後意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

未来side

 

「響ッ!?しっかりして響ッ‼‼」

 

響がイグナイトを使った瞬間、虚ろな目のままその場から動かなくなり、リザードがそこを狙って響に攻撃を加えようとするのを私は必死に守っていた。

 

『何だか知らねぇが、チャンス到来ッ‼』

 

「絶対にやらせないッ‼」

 

『嬢ちゃんじゃ……力不足だっぜッ‼』

 

「キャアアアアアアッ‼‼」

 

攻撃を鉄扇で受け止めていたけど、それを掴まれ尻尾による一撃で私は吹き飛ばされた。そしてリザードは響へと拳を振り上げた。

 

『さてと……先ずは1匹。』

 

「ヤメテエエエエエェェェェェェェッ‼‼」

 

そして拳が振り下ろされる……

 

ーーーカツン、カツン

 

『ん?』

 

直前に、誰かの足音が聞こえた。

 

『誰だ、ここに入ってくる物好きなバカは?』

 

その音が聞こえる方にリザードと私は視線を向けると、逆光でよく見えないけど、入口に一人の人影があった。

 

その人影がどんどん中に入ってくると、逆光が収まり姿が顕になっていく……

 

そして現れたその姿に、私は目を見開いた。だって鎧が傷だらけではあるが、私達に最悪で強烈な印象を残した存在なのだから。

 

「何故貴方がここにいるの……!?【仮面ライダーエンデ】ッ‼」




いかがでしたか?

遅くなったのは多少のスランプと人が欠けた事で増えた仕事、シンフォギアXDをやっていたからです(おいッ‼)

次回は戦闘シーンから始まります。

ではまた次回でお会いしましょう。


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N編 異世界の戦士との対決

どうも、疾風の警備員です。

こちらの作品は久し振りになりますね。別に更新を止めた訳じゃないので、ちゃんと続けていきますよ‼

では、本編をどうぞ。


一誠達は変身が終わると武装を構え、ライダー達へと向かい駆け出す。

 

「先ずは分断するか……フンッ‼」

 

数の不利を感じ、分断させるためにアークは手を組み、地面を思いきり叩いて衝撃波を放った。

 

「ッ‼皆、避けろッ‼‼」

 

一誠の言葉に全員がその場を飛び退く。それによって一誠とタケル、翼とクリス、マリアと調と切歌の3組にバラけてしまう。それを逃さずアークは一誠達、コーカサスとさやかは翼達、G4はマリア達へと向かっていく。

 

 

 

 

一誠side

 

「ハッ‼」

 

「グゥ…‼」

 

アークが振るう拳を神器で受け止めるが、その威力に押し返された。

 

「なんてパワーだ!?」

 

「だったら‼」

 

タケルはガンガンセイバーをガンモードに変えると、アーク目掛けて撃ち、奴はそれを避けずに直撃する。

 

「やった……な訳ねぇよな。」

 

タケルの呟き通り、アークにはダメージが全く入ってなかった。

 

「その程度か?」

 

そう言って繰り出される回し蹴りを揃ってバク転で避ける。

 

「こりゃ一筋縄じゃいかないか…」

 

「だったら、本気で行くだけだ‼」

 

「だなッ‼」

 

俺はデッキケースからサバイヴのカードを引き、タケルはゴーストドライバーを消して、アイコンドライバーGを取り付けた。

 

『グレイトフル‼ガッチリミ~ナ~‼コッチニキナー‼』

 

『Freedom Dragon Balance Breaker!!』『Survive』

 

『ゼンカイガン‼剣豪‼発見‼巨匠に王様‼侍‼坊主にスナイパー‼大変化~‼』

 

『Gangnir』

 

タケルは仮面ライダーゴースト・グレイトフル魂に俺は仮面ライダー光龍サバイヴになり、右腕のウルティメイトソードに響のカードを入れてイージスの形を変え、両手足の籠手と脚甲にした。

 

「「ダリャアアアアアアアアアアッ‼」」

 

そして同時に飛び上がると、蹴りの体勢に入る。

 

「フン…」

 

アークは俺達に向かって拳を振るい、俺達のダブルキックとぶつかり合う。

 

「この…‼」

 

「やろぉ…‼」

 

「く…!?」

 

そして爆発が起こり、俺とタケルは吹き飛ばされながらも何とか着地し、アークもよろめきながら少し下がった。

 

「ヨッシャ‼やっとふらつかせたぜッ‼」

 

「だが、ダメージはあまり無いか…」

 

「今のは少し効いたな。」

 

アークは軽く手を振り、隙がない構えをとる。

 

「タケル……連係して攻めるからミスるなよ?」

 

「そっちこそな。」

 

軽く作戦を確かめたら、俺達は再びアークへと突撃した。

 

 

 

 

翼&クリスside

 

ー推奨BGM《月下美刃》ー

 

「我が太刀を受けてみよッ‼」

 

翼は手の刀を巨大化させてエネルギーを纏わせ、全力で振るいコーカサスへと斬撃を飛ばす。

 

《蒼ノ一閃》

 

「その程度の技…」

 

だがコーカサスは両手に小太刀を握ると目に見えぬ早さで振るい、斬撃を切り捨てた。

 

「なッ!?」

 

「だったらコイツはどうだッ‼‼」

 

翼の後ろにいたクリスは両手のボウガンをガトリングに変え、弾丸を撃ちまくる。

 

《Billion Maiden》

 

「させないよッ‼‼」

 

しかし、さやかが剣を大量に呼び出しそれを盾代わりにして弾丸を防いだ。

 

「ちょせえんだよッ‼‼」

 

右手のガトリングを撃ちつつ左手をマシンガンに変え、コーカサスやさやかではなく、剣めがけて撃つ。それが当たると弾は幾つもの剣を跳ね返り、コーカサスとさやかの頬を掠めた。

 

「嘘ッ!?跳弾でこれほど正確にッ!?」

 

「……私もまだ甘いか…」

 

「どこを見ているッ‼」

 

コーカサスが視線を一瞬外した時を逃さず、翼は脚のスラスターを使いコーカサスの間合いにまで飛び込んだ。

 

「セアッ‼」

 

「ふッ‼」

 

下段からの一閃をコーカサスは下がってかわし、腕が上がりきった瞬間を狙って翼の懐に飛び込んだ。

 

「くッ!?」

 

「先輩ッ‼」

 

「させないよ‼」

 

クリスは援護しようとするも、さやかが投げてくる刀剣を避けるのに必死で、そこまで手が回らない。そして右手の小太刀が翼の左脇腹に迫るが……

 

「来いッ‼」

 

ガキィンッ‼

 

「ッ!?」

 

左脚のパーツからもう一振りの刀が飛び出し、間一髪でその攻撃を受け止めた。

 

「セイッ‼」

 

翼はそれをすばやく抜き放ち、コーカサスと同じく二刀流で攻め始める。

 

剣同士が打ち合う度に火花が散り、二人の顔を照らしていく。最初は互角の打ち合いだったが翼が押され始めていく。その理由は武器の長さだ。コーカサスの武器が短い分返しが早く、翼が追いきれなくなっているのだ。

 

「なんという手練れ…‼」

 

「……軽いな…」

 

「ッ‼」

 

コーカサスから放たれた殺気を感じた翼は咄嗟に下がり、上空からエネルギー状の短剣をコーカサスへと大量に落とす。

 

《千ノ落涙》

 

しかし彼はその場から動かず……

 

「甲洗流小太刀二刀術、防ノ型 輪‼」

 

両手の小太刀をグルグルと回してそれを防ぎきった。

 

「これでもか…‼」

 

「お前は何の為に剣を振るう?」

 

「私の…?」

 

「それが即答出来なければ、私には勝てないぞ‼」

 

「くッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

マリア&調&切歌VSG4side

 

「私と調が注意を引くから…‼」

 

「切ちゃんは一気に突っ込んで…‼」

 

「了解デスッ‼」

 

マリアと調が左右に展開していき、切歌が正面からG4へと駆け出していく。

 

「…………」

 

それに対し、G4は無言で切歌へと右手の銃【GM―01 スコーピオン】を向ける。

 

「「させないッ‼」」

 

そこにマリアと調が大量の短剣と丸鋸をG4へと放つ。

 

《α式 百輪廻》

 

《INFINIT†CRIME》

 

「…………フン…」

 

しかし、G4は左手にもスコーピオンを握ると両手を左右に広げ、ノールックで発砲してその全てを撃ち落とした。

 

「そんな…!?」

 

「こちらを一切見ずに…‼」

 

「マストォォォ……ダァァァァァァイッ‼‼」

 

だが、その無防備な状態の間に懐まで入り込めた切歌が鎌を全力で振り下ろす……

 

「遅い…」

 

「え?(ドガッ‼)カハッ!?」

 

直前に切歌が鎌を上げきったその瞬間を狙い、G4の脚が切歌を蹴り飛ばした。

 

「「切歌(切ちゃん)ッ!?」」

 

「ケホ…大丈夫デス…‼」

 

「その程度か……大したことないな…」

 

「二人とも、合わせるわよッ‼」

 

「「了解(デス)ッ‼」」

 

 

ー推奨BGM【旋律ソロリティ】ー

 

 

三人が歌い始めG4へと向かっていくと、G4の雰囲気が変わる。

 

「歌いながら戦うだと…?ふざけているのか…‼」

 

両手のスコーピオンをマリアへと撃つが、マリアはその隙間を掻い潜ってG4へと接近する。

 

「マリアに手出しは…‼」

 

「させないデス‼」

 

そこに調がヨーヨーを、切歌がワイヤーを飛ばしてG4の両腕を拘束する。

 

「ハァァァァァアアアアアアアアアッ‼‼‼‼」

 

そこにマリアの左ストレートがG4の顔面を殴り付けた。

 

「よしッ‼」

 

「何がよし…なんだ?」

 

しかしG4は微動だにせず、マリアの腹を蹴り飛ばす。

 

「グッ!?」

 

「コイツも持ってけ…‼」

 

続けて調のヨーヨーが絡んでいる腕を思いきり横に振るい、引っ張られた調はそのまま横からマリアに激突した。

 

「「キャアアアアアアアッ‼‼」

 

「マリアッ‼調ッ‼」

 

「何処を見ている…」

 

切歌が視線をG4から外してしまうと、G4は空いた手のスコーピオンに【GGー02 サラマンダー】を装着し、切歌へと撃った。

 

「はッ!?こんの…‼」

 

間一髪で気づいた切歌はそれを鎌で切り落とすが、 直後の爆風で吹き飛ばされた。

 

「アアアアアアアッ!?」

 

「戦場で歌うなど……戦いを嘗めるな…‼」

 

「…強い……」

 

「仮面ライダーってのは、トンデモばかりデスかッ!?」

 

「だからと言って、ここで引けるものかッ‼」

 

「だったら見せてみろ……お前達の本気とやらを…」

 

その言葉にやる気を出した3人は、再び武器を握り締めてG4へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響&未来VSリザードside

 

カツン…カツン…

 

ゆっくりと歩いてくるエンデに未来は恐怖を覚えながらも、響を守る為に鉄扇を構える。

 

(どうしてエンデがここに…?)

 

そして未来の傍まで来て………………そのまま通り過ぎた。

 

「え?」

 

そのありえない行動に未来は目を丸くした。前回会った時はまさしく狂人ともいえる性格だった……だからこそ、今の自分達を見逃す理由が分からなかったからだ。そのままエンデはリザードと対峙する。

 

『なんだなんだァ?今度はアンタが相手か?』

 

「…………………」

 

リザードの言葉に返事をせず、エンデはファイティングポーズをとる。どうやら格闘戦が得意なようだ。

 

『クールぶりやがって……今どき流行らねぇよッ‼‼』

 

エンデの態度が気に触ったのか、何のモーションも見せずにリザードはエンデへと殴りかかる。

 

「………………遅い。」

 

『ああんッ!?(ガシッ‼)うっそーん…!?』

 

だが、エンデはそれを苦もなく右手で掴み止めた。そしてそのまま引き寄せ、バランスを崩し倒れてきたところを狙って掴んでいるリザードの腕を反対の腕の肘打ちと膝蹴りで挟み、その骨を砕いた。

 

『グギャアアアアアアアアアッ!?俺のう、腕が~ッ!?』

 

痛みに呻くリザード。その間にエンデはリザードの背後に回り、尻尾を掴みそのまま振り回し始める。

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおッ!?』

 

ある程度回したら手を離し、リザードは瓦礫に頭から突っ込んでしまった。

 

『ブオップッ!?ゲホッ‼ゲホッ‼……あ~気管に埃が……‼』

 

むせながら出てくるリザードだが、すぐ目の前にいたエンデのアッパーをモロに喰らい打ち上がる。エンデはそれに追い付くと両足蹴りを当てて地面へと叩き落とす。

 

『グハッ‼』

 

そして折れてないリザードの腕に着地して、その骨を踏み砕いた。

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアッ‼‼‼‼』

 

「うわ……痛そう…」

 

その酷い光景に、さすがの未来も引いていた。

 

『クッソォォォォォォォォォォォッ‼‼‼覚えてやがれ‼』

 

不利を悟ったのか、リザードは尻尾で地面を思いきり叩いて砂ぼこりを上げて視界を悪くし、それが晴れるとそこには誰もいなかった。

 

「逃げたか…」

 

リザードの逃亡を確認したエンデは変身を解く。それはNとは似ても似つかない顔に黒いコートを着た男だった。

 

「Nじゃ……ない…!?」

 

「そこの気絶してる子に伝えておけ、【過去を乗り越えろ】とな。でなければ未来はないと……それとお前の仲間達が戦ってるのは敵じゃない。確かに伝えたぞ。」

 

そう告げると、男は去っていった。

 

「いったい、何がどうなってるの?……それよりも早く皆の所に…‼」

 

未来はこの状況に混乱しつつも、皆の戦いを止めるためにテレポートジェムを使って転移していった。




いかがでしたか?

コラボ相手のガジャルグ様、遅くなって大変申し訳ありませんでした‼‼

では、次回でお会いしましょう。


最近、スクフェス仕様の電車(ダイヤと鞠莉)のに乗れて、ラッキーでした。


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N編 一時休戦

どうも、疾風の警備員です。

この作品ではスッゲー久々の最新話です!!

では、どうぞ!!


タケルside

 

「くっそ‼️やっぱりダークライダーはタフだな、オイ!!」

 

「今の俺達でも、決定打を与えきれないなんて…」

 

仮面ライダーアークと戦っている俺達だけど、このアーク…背が縮んだかわりに力が濃縮でもされてるのか、思ってた以上に手強い…!!

 

「翼やマリア達も苦戦してるみたいだし……早くこいつを倒して援護に行かないと…!!」

 

「そう簡単に行かせるとでも?」

 

だけどアークはまだまだ倒れる気配すらねぇ…コイツ、守りに重点を置いててよっぽどの攻撃じゃねぇと、突破はほぼ不可能…なら、最近イッセーと練習してたヤツを使う時だな…

 

「タケル、こうなったら()()をやるぞ!!」

 

「おうよ!!」

 

向こうも同じ考えだったみたいで、俺達は互いに距離を取ると準備に入る。俺はサングラスラッシャーにビリー・ザ・キッド眼魂と闘魂ブースト眼魂を、ディープスラッシャーにジンスケ眼魂とディープゴースト眼魂を装填。イッセーは両手足の籠手と脚甲を解除し、アイツ自身のガングニールのカードでウルティメイトイージスを槍へと変形させ、更にボルティックシューターも呼び出す。

 

『闘魂ダイカイガン!!』『キョクゲンダイカイガン!!』

 

『GANGNIR』『SHOOT VENT』

 

「タイミング合わせろよ!!」

 

「そっちこそな!!」

 

お互いに準備を終えると先に俺が左前側から、次にイッセーが右前側からの順でアークへと交差する様に突撃し、ディープスラッシャーでアークの腕をカチ上げ、その隙に背後まで移動した一誠がウルティメイトイージスの槍をアークの膝の裏に叩きつけ、膝カックンによって体勢を崩させる。

 

「ぐ…!!」

 

「「今だッ!!」」

 

『メガ!!オメガフラッシュ!!』

 

俺達はそれを確認すると、飛び退きながらサングラスラッシャーとボルティックシューターの乱射で立て直す隙を与えずに、背後から攻めて倒れさせる。

 

「オオオォォォォォォォォォォォ…!!」

 

「ハアァァァァァァァァァァァァ…!!」

 

着地するとイッセーが槍にエネルギーをチャージさせ、バツ字の斬撃を飛ばし、その一瞬後を俺はディープスラッシャーを抜刀術のように構えアークへと突っ込み、起き上がろうとしていたヤツを中心に、斬撃と交差する形で斬り捨てる。

 

《CROSSING∞STAR》

 

『ギガ!!オメガギリ!!』

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」

 

最後に俺が刀を鞘に納めるような動作の直後、連続の斬撃がアークを襲った。

 

コレが俺とイッセーが作り上げた合体技…その名も!!

 

「「【奥義・霊龍槍剣陣】ッ!!」」

 

完璧に決まった俺達は、互いを見ずにサムズアップを送った。

 

いや~、ここまで成功するとは思わなかったぜ!!練習でも6割失敗してたのによ!!

 

「何とか上手くいったな…」

 

「後はこれで倒れてくれりゃいいけど…」

 

振り返るとそこには、片膝を着いているアークがいる。だが、変身が解けていない以上油断は出来ねぇ…

 

「グ…!!まさか……ここまでやれるなんて…」

 

「やっぱりか…」

 

ゆっくりと立ち上がるアークだが、ダメージは結構通ったらしく動きの所々がぎこちない。

 

「でも、これ以上は無駄だよ。」

 

「なに…?」

 

「「「「「キャアッ!!」」」」」

 

アークの言葉を怪しんでいたら、シンフォギアを解除された翼さん達が俺達の前に吹き飛んできた…って言ってる場合じゃねぇ!!

 

俺は翼さんとマリアさんを、一誠が調ちゃんと切歌ちゃんを受け止め、残ったクリスさんは人間態で出てきたメイルさんが受け止めた。

 

「すまない……奴ら、予想以上の手練れだ…!!」

 

「ごめんなさい……もう、戦闘は…」

 

「後は俺達が何とかしますから、後ろで休んでてください。」

 

彼女達を下げさせ、アークの周りに集まったライダー達と対峙するが、有利であった数の理すら無くなってしまった俺とイッセーは冷や汗を流す。

 

「こりゃ…圧倒的にピンチだな…」

 

「つーか、今すぐ撤退しねぇ?」

 

「それは…出来たらの話だな。」

 

「だよなぁ…」

 

向こうも既に集結していて、武器や拳をこちらに向けている。

 

「さて、どう切り抜けるか…」

 

「先ずは翼達を逃がして…」

 

「皆やめてッ!!!!」

 

そんな会話をしている時だった。俺達と敵の間に転移の錬成陣が浮かび上がり、未来さんと担がれてる響さんが現れたのは…

 

「未来ッ!?それに響!!」

 

「大丈夫かッ!?」

 

俺達はすぐに変身を解いて2人に駆け寄り、担がれてる響さんを地面に寝かせる。

 

「とりあえず息はあるから、大丈夫そうだな…」

 

「そうか…!!」

 

それに安堵する一誠。それを見ていたアーク達も何故か変身を解いた。

 

「ねぇねぇ…あの人達、本当にノヴァショッカーなの?」

 

「なんか……違う感じがするんだけど?」

 

「確かに、奴等は仲間内で馴れ合いなどしない。」

 

向こうがそんな会話をしている中、俺達は二人に何があったか聞いていく。

 

「そうか、響はイグナイトを使おうとして…」

 

「うん…正直、あそこでエンデが来なかったら、私達は間違いなく死んでたよ…」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

そして未来さんがエンデの名前を出したら、4人組の表情が驚愕に染まった。

 

「な、なあッ!?今、エンデって言ったか!?」

 

「え?う、うん…」

 

「何で死んでる筈の奴が此処に…!?」

 

(エンデが死んでる?……ヤローがそんな簡単に死ぬ訳がねぇし、それ以前にあの快楽戦闘狂が未来さんを助ける事それ事態が変だ…どうなってやがる?)

 

向こうの話が聞こえた俺は首を傾げた。

 

「とりあえず、双方に誤解があるみたいだから改めて聞いておく。お前達は最近起きてる連続集団行方不明事件に関与しているのか?」

 

「えッ!?いやいや!!私達は今しがた()()()()に来たばかりで、何にも知らないですよ!!」

 

「この世界?」

 

「あ、やば…!!」

 

「今度はこちらの質問だ…お前達はノヴァショッカーなのか?」

 

「ノヴァショッカー?」

 

女の子が言った事も気になるが、その聞いたこと無い名前に俺は記憶を巡らせる。ショッカーにゲルショッカーにネオショッカー、大ショッカーにスーパーショッカーにスペースショッカーなら聞いたことがあるけど、ノヴァショッカーなんて知らないぞ?(※タケルは弁慶眼魂の話の所で死んでる為、劇場版【仮面ライダー1号】を知りません)

 

イッセーも知らないのか、俺を見てくるが首を横に振る事で知らないと伝える。

 

「いや、俺達もそんな名前は聞いた事がないが…?」

 

「え"ッ!?やっぱり……勘違いだったって事…?」

 

「みたいだな……すまなかった、勝手に誘拐犯と思ってしまった…」

 

「いやいやッ!?コッチだって間違えてたんだから、お合いこですって!!」

 

頭を下げるイッセーに青髪の剣投げ少女が慌てて同じように頭を下げる。

 

「とりあえずここは休戦にして、そのノヴァショッカーについて教えて貰えないか?この世界で起きてる事なら手伝えるかもしれないし…」

 

「そうですね、こちらも情報は欲しいですから。皆も良いよね?」

 

女の子が仲間に確認すると全員が頷く(G4に変身してた人は渋々だが)

 

という事で、俺達はこの場で互いの情報を話し始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、とある場所では…

 

「んだよ……人が昼寝してんのを邪魔しやがって…」

 

未来を助けたのとは別の……この世界のNは不機嫌そうに首の骨を鳴らしながら、自身を取り囲んでいるスーツ姿の男女達を苛立たし気に見ていた。隣に立つイリナも無表情ながら、警戒はしている。

 

「我々はお前を勧誘に来たのだ。貴様の力……我らノヴァショッカーの為に使え」

 

そう言うのは、糸目をした男。どうやら彼がこの中で上の存在の様だ。

 

「やだよ面倒ぇ…」

 

彼の問いに右耳をほじくりつつ、面倒くさそうに答えるN。その姿に糸目の男の額に血管が浮かび上がる。

 

「我らに従う気は無いと?」

 

「お前らの組織が俺の下に着くってんなら、一秒だけ考えてやらん事もないね♪」

 

楽しそうに言うNだがそんなつもりは毛頭無く、すぐさまなぶり殺すつもりである。

 

「そうか、交渉は決裂……ならば貴様は邪魔な存在だ。ここで消えろ」

 

そう告げ、糸目の男はコブラを模した怪人となり周りにいた男女も迷彩服にガスマスクを装備した戦闘員へと変わった。

 

「なんだ……戦うんだってんなら、盛大に歓迎しねぇとなァッ!!変シィィィィィィィィンッ!!!!」

 

《SET ENDED!!》

 

姿が変わったのを見て、Nも狂喜的な笑みを浮かべてベルトを取り付けエンデへと変わる。

 

「おいイリナ、俺が蛇野郎と遊んでいる間に邪魔が入らねぇ様に雑魚を潰しておけ。それと俺の獲物には手を出すんじゃねぇぞ?」

 

『任務了解しました。これより戦闘モードに移行。ボディはプラネットを選択。武装はブレードを、能力にオシレーションを選択します』

 

そう呟くと彼女の体がゴツゴツした岩の様な茶色い体に変わり、その両手には蠍を模した二振りの剣が握られている。

 

「行きなさいノヴァショッカーの戦闘員達よ!!我らの障害となる者を排除するのです!!」

 

コブラ怪人の指示にエンデへと向けて走り出す戦闘員。だが、その前にイリナが立ち塞がると双剣を振るい先頭の2体の上半身と下半身をアッサリと両断する。オシレーションによって刀身を高速振動させる事で切断力が強化されているのだ。

 

その為に戦闘員達はイリナによって次々に体を両断され、内臓と血と骨を周囲にぶちまけていく。

 

『N様の邪魔はさせません』

 

「く…!!まだです!!戦闘員達はまだいますよ!!」

 

コブラ怪人が右手を上にあげると、周囲からさらに戦闘員達がワラワラと出てくる。その数は軽く100に届きそうな程である。

 

『対象の増援を確認。引き続き、殲滅を続行します』

 

しかし、ガンマイザーとなった今のイリナには関係ない。ただ……主の示した敵を【倒す(ころす)】だけである。

 

「さぁ~て、雑魚はアイツに任せて……俺達もやろうぜ?」

 

「良いでしょう、貴方に屈辱的な死を贈呈してあげます…!!」

 

そう言って同時に走り出す2人。互いの距離はすぐに埋まり、突き出された拳が2人の顔を打ち抜く。しかし、それで吹き飛んだのはコブラ怪人だけだった。

 

「ゴハァッ!?」

 

「おいおい……この程度で吹っ飛んでんじゃねぇよ。まだまだお楽しみはこれからなんだぜ?せめて、あの幽霊野郎やドラゴン野郎と同じくらい……俺を楽しませてみせろやァッ!!!!」

 

エンデは吹き飛ぶコブラ怪人に一気に追いつき、その顔を掴んで地面へと叩きつけ、さらに踏みつけてめり込ませる。

 

「ブグゥッ!?」

 

「そらそら…!!もっと抗えよ…!!もっと本気になれよ…!!もっと全力出して……」

 

そこでエンデはコブラ怪人の頭から足を退かす。これ幸いとばかりに起き上がろうとするコブラ怪人だったが…

 

「俺を笑顔にしてみせろやァッ!!!!」

 

「ギャブラッ!?」

 

エンデはその脳天に容赦ない踵落としを喰らわせた。そのせいで先程と同じ……いや、それ以上の深さで地面にめり込んだ。

 

「んだよ…歯ごたえあるかと思えばこの程度か……興ざめだな…」

 

《BREAK THE ENDED‼》

 

あまりの弱さにエンデのテンションはガタ落ちし、ベルトを操作して必殺技を発動させ、右足にエネルギーを充填していく。

 

「ま、待ってくれ!?分かった!!お前の下につく!!だから命だけは…!!」

 

「おお?これが本場の命乞いってやつか……良いねぇ♪」

 

その姿にエンデは仮面の下でニヤリと笑い、足を上げる。

 

「た…助かっ「で~も……お前はいらねぇ♪」え?」(グシャッ!!)

 

それに安心したコブラ怪人にそう告げて、エネルギーの充填が終わった右足で頭を踏み砕き、辺りに頭蓋と脳髄、真っ赤な血が飛び散る。

 

「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!そうだよ、この色だよッ!!!!戦場にはやっぱり赤が似合うぜッ!!!!燃え盛る炎しかり!!流れる血肉しかり!!赤は戦場を色鮮やかに染めてくれるッ!!!!」

 

その光景に楽しそうに笑うエンデ。その近くでは最後の戦闘員を斬り捨てたイリナが立っている。その双剣と体から敵の返り血を滴らせながら…

 

「ハ~…!!よし、行くぞイリナ」

 

『どちらに?』

 

互いに人間の姿に戻り、Nは彼女に背を向けながら歩き始める。

 

「決まってんだろ?この俺をコケにした奴等をブッ潰しにだよ」

 

『了解しました。私は貴方の駒…何処へでもお付き合いいたします』

 

「フフン、それでいい♪」

 

そして2人は歩きだす。目障りな存在をこの世から抹消するために…そして、そこにいるかもしれない強者と戦いを楽しむ為に……




いかがでしたか?

今後もこんな亀更新になるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

では次回でお会いしましょう。


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