ハクノン紅茶とIS世界で頑張るのん! (是・射殺す百頭)
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ハクノンinインフィニットストラトス

処女作です!作者は学生なので、漢字の間違い、誤字脱字が多いです。fateシリーズはこれっぽっちもやってません!extraもまだ4回戦までしか行ってないし、CCCに至っては持ってません!こんな私ですが何卒よろしくお願い致します!


きっかけは異常なまでの平凡だった。毎日全く変わらない授業、変わらない会話。その異常さに吐き気すら催していた。きっかけは偶然だった。きっかけは生存の為だった。しかしその根にあったのは、思い出せない自らの記憶の為だった。

地獄を見た…

地獄を見た…

地獄を見た…

その先にある地獄を見た…

この記憶は彼の物なのだろう。あの男、性格がどうしてああなったかは知らないがどうやら他の人の為になる事をしていたらしい。その願いが自らを滅ぼす物だとしてもただ他人の為に走り続けた。その願いが借り物の理想だと知ってもただひたすらに走った。最後に残ったのは裏切りと後悔だけだった。そう言えば凛やそのサーヴァントであるランサー、そしてあの売店の神父とも知り合いだったらしい。まぁそこは置いておこう。彼は、エミヤシロウは、自らの養父に託された望みを受け継ぎ正義の味方になったその引き換えがあの最後だと言うのなら悲惨すぎる。彼の性格がああなってしまったのもそのせいだろう。あれは彼自身だけでなく周囲の環境のせいでもあるのだ。彼は最後には私のような者すら助けて消えたのだ。ならばこそこの助けられた命を無駄に出来ようはず無い。精一杯、その最後まで、何も残らない状況になるまで生きよう、闘おう。さぁ目を覚まそう、この英雄に助けられ共に闘った命を無駄にしない為にも

これは月の聖杯戦争を勝ち抜いた者の、何も無い状況から勝利を手にした人間の、白紙から始まった命の、岸波白野が本来とは別の、女性専用のマルチパワードスーツ『IS』が存在する世界での物語である。

眩いばかりの光が目に入ってくる。これはあの電脳世界では体験出来ない事だ。眩しさに閉じた瞼を開けるとそこには

 

 

 

 

 

 

森が広がっていた。振り向くと自分が来た筈の装置の沢山ある部屋の入り口が無くなっていた。不思議に思いながらも、先へ進む

 

 

 

歩いて分かったことがある。

・この森は孤島の様な所にあること

・ここには人工的な建物があること最後に

今その建物の職員の様な人に捕まっていることである。

はぁ…何故こうなったのか。何も残らない状況になるまで生きようと考えたのは良いが良く考えると今の私には彼の、自らのサーヴァントであったアーチャーの記憶と月海原学園の生活の記憶、そしてその月海原学園の制服だけである。この状況で何を無くせと言うのだ。ん?待てよ?制服のポケットに何か入っているようだ。ポケットを探って出て来たのは、赤い宝石に見た事のある夫婦剣が交錯している紋章の様な物が宝石の中に見えるペンダントが入っていた。そのペンダントを見ていると

「おい、貴様名前は何と言う?」

とこちらも見ずに聞かれた。私の名前?それはフランシスコ・ザビ……!いや待てまだ焦る様な時間じゃない。そう私の名前は

「岸波白野…です」

「そうか、では岸波白野、貴様はどうやって警備の厳重な中に証拠を一切見せる事なく入りこんだ?」

私が一番知りたい事を聞かれた。どう答えればいいのだ。まぁありのままさっき起こった事を話すぜ!すれば良いのだろうがあんなの信用して貰えるとも思えない。でも言っちゃうビクンビクン

「分かりません。気が付いたらここに居て」

「そうか、貴様は自分が何故ここに居るのか分からないのか」

「はい」

おっ?なかなか物分りが良い人なのかな?

「そう言われてハイそうですかと信じる奴は馬鹿だけだ、しかしもしもの場合を考えて取り調べをさせて貰うぞ。さあ着いたぞ」

その建物に連れて来られた後はペンダントを没収されよく分からない機械を使って私の言ったことが本当かどうかを調べて貰った、どうやら信じてもらえたようだ。

「まさか本当だったとはな」

「そう言った筈なのに…何故こんなことに」

その時、部屋の扉が開きこの目の前の女性がペンダントを渡した「山田先生」と呼ばれた人が入ってきた。

「織斑先生、結果が出ました」

「そうですか、ありがとうございます山田先生。ところで結果はどうでしたか?」

「織斑先生の考えた通りISの待機形態でした!しかも初めて見る機体でシステムロックが厳し過ぎて全く解けない所もありましたが何とかISの待機形態であることだけはわかりました。」

「やはり、ISでしたか。」

「あ、あのさっきから言っているISと言うのは何なんですか?」

「ISを知らないだと!?そんな馬鹿な!ISを知らない者が居るとすればそれはよっぽどの世間知らずか記憶障害か今まで眠り続けていた奴位なものだぞ!?」

「そんな…ISを知らないなんて…」

ここで一つ疑問が出来た。《ここは私の存在した世界ではないのでは?》という疑問が。そうだ、私はこれまで散々見てきたのだ。人類が知り得ない英雄の性格や身体的な特徴を再現する物が有ったのだ、平行世界が有った所で何ら不思議なことでは無い。そうきっと私が居た世界はこことは別の次元なのだ。

「私は多分…多分ですが、この世界の人間では無いと思います。」

「何?それでは貴様は違う次元から来たとでも言うのか?」

「はい、それ以外に有り得ないんですよ。私が元々居た世界ではISなんてものは存在しなかったし、この世界にトワイスと言う有名な医学者は存在しますか?」

私は戦ったこともある有名と言われていた学者の名前を挙げた。あの人のサーヴァントはなんだか別の世界で私のサーヴァントになってそうだよね。

「い、いえ知りません。有名な医学者の中にそんな名前は存在しない筈です!」

「これで決まりですね。私は恐らくこの世界の人間ではありません。」

「そんな馬鹿な!いや、でもそれならISを知らないと言うことにも辻褄があっている。しかし本当にそんな事が有り得るのか?」

「分かりません。でも私がそのISって言うのを知らないのも合点がいきます。」

「そうですね。そう考えて良いのかも知れません。」

これはきっと私が再び人生を送り、そして過去では無く未来の為に生きる為に神様と正義の味方がくれたチャンスなのだ。絶対に無駄にはしない。

「そう言えばこの建物もISに関係して居るんですか?」

「あぁここはそのISを使いこなせる様に指導する学園、IS学園だ。」

「私もISを見たいんですが、見せては頂け無いでしょうか?あのペンダントがISの待機形態?って奴なら私が触れたりすれば何かあるかも知れない。」

なんと無く話題に出ていてもそのIS自体を見たことが無いのでは何の話も

できやしない。

「良いだろう。その代わりに岸波白野、貴様にはIS学園に入学して貰うことになる。IS学園の内部を知り、さらにISを所持していたのだ別に構わないだろう?どうせ気が付いたらここに居たと言うのなら身寄りや宿だって無いんだろう?」

「はい、そうさせて頂きます。」

「自己紹介がまだだったな。私は織斑千冬、IS学園の教員だ。」

「同じくIS学園の教員で山田真耶と言います。それじゃあ行きましょう。」

そう決まるや否や私はそのISが保管されている場所に連れて行かれた。

「あ、あのISは一体何処にあるんですか?ここ何も無い広場か実験室みたいに見えるんですが。」

「そうだ。実験室だ。岸波、早速だが貴様にはISの稼働実験を行って貰う。使うISはもちろん貴様のペンダントのISだ。」

「ええ!?だって私IS見たこと無いしどうやって使うかも分から無いんですよ!?」

「そう言えばどんな物かすら説明して無いな。」

「そうですよ!それなのにいきなり稼働させろなんて!」

「説明してやるからやれ。いいか、IS学園の生徒になった時点で貴様は私にやれと言われたら出来なくてもやれ。いいな?」

そんな横暴が曲がり通るなんて!と叫びたくなったが言ってしまうと後々悲惨なことになりそうだからやめた。

ISって展開しようと思えば出来るのか。まさかそんなに簡単だったなんて。ある程度ISの事を教えて貰ったおかけで何とか初期の動作などは覚えた。では早速試してみようか。

そう思い、渡されたペンダントに触れた瞬間に、強く光り輝いた。次の瞬間に彼の私のサーヴァントであったアーチャーの記憶が頭の中に再び入ってきた。一度見たものなので一度目程ショックはなかったが相変わらず寂しく、そして哀しい夢物語の人生だったことを再確認させられる内容だった。そして、流れ込んでくる記憶が止まり夢から覚めた様な感覚を覚えた私の体には、あの赤き弓兵の礼装である赤原礼装が纏われていた。ってえ?赤原礼装?

「なにこれぇぇぇ!?」

よりにもよって何故あの男の服を私が着なければいけ無いんだ!?

その頃、監視兼鑑賞室では驚きの声が上がっていた。

「なんだ!?あの赤い服は!?あれはただの服では無いのか!?」

「い、いえISの反応が出ています!あんな軽装のIS見た事ありません。一体どんなISなんでしょう?」

「と、取り敢えず落ち着こう、まずは機動力のテストだ。岸波、浮いてみろ。空を飛ぶイメージを思い浮かべれば飛べるはずだ。」

「わ、わかりました。やってみます。」

言われた通りにすると足が地面から離れ、ふわふわと浮き始めた。

「よし、良いぞ。では次は加速だ。自由に空中を飛ぶ様にしてみろ。」

「はい、自由に空中を飛ぶイメージっと」

すると思った様に自在に空中を飛んいた。

「ふむ、機動力は他の機体と比べると微妙に素早いな。よし、次は武装のチェックだ。武装欄を開いてそのISの装備を読み上げてみろ。」

「はい、武装欄武装欄っとえーと何々?

干将・莫耶

フェイルノート

是・ 射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)

永遠に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)

破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)

黒鍵

偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)

村正とこの位ですかね?」

「…………何故だ、何故こんなに多い?異常な程だぞ?」

「もう20を超えた時点で驚くのも数えるのも辞めましたからね。」

私も思ったが、流石にこの量は多すぎる。他のISの装備量を私は知ら無いが、それでもこれは異常だと容易く理解できる量だ。それに読み上げていて気が付いたがこれはアーチャーの記憶で見た武器ばかりだ。だがアーチャーは神造武器は作れないと言っていた。なのに見た事のある武器は全て武装欄に載っていた、つまりこの機体にはアーチャーが見た武器ならどんな物でも揃ってるという事だ。しかし、私にはそれ以上に気になる事があった。それはこの目の前にチラつく『skill』と言う文字である。あの二人なら分かると思い聞いてみる。

「あの、この『skill』と言うのは何なんですか?」

「ん?スキルだって?聞いた事が無いな。どうしたんだ?」

「いえ、目の前に『skill』と言う文字がチラついてて」

「スキル…ですか。岸波さん出来るならそれを使って見て下さい。」

「わかりました。やってみます。」

まず何から使おうか。一覧には今使えるスキルとその消費SE(シールドエネルギー)の量が表示されている。使うのは…一番少ない『投影準備』

にしよう。それじゃああのセリフ行きますか!

同調、開始(トレース、オン)

すると、展開しておいた剣に青緑色の線が何本も奔った。

たしかこの技は武器の強化と、そして武器の形状変化が出来た筈だ。

試しに武器の形状変化をさせて見よう。手にある剣の形を矢の形に変化させた。変形までの時間は3秒かな?

そんな事を考えていると上から声を掛けられた。

「おい岸波、貴様には山田先生と闘って貰う。これはIS学園に入学する生徒には全員やって貰っている。」

「わかりました。全力でやって良いんですよね?」

「ああ、勿論構わん。だが恐らく勝てんだろうな。」

「・・・なんですって?」

「勝てないと言ったんだ。当たり前だろう、彼女はISの元代表候補だったからな。」

そうか代表候補だったのか。でもそれがどうしたと言うのだ。私とアーチャーは共に勝つ見込みが1%未満の戦いを勝ち抜いたのだ。今の私は絶対に負けないし負けられないのだ。

「勝ちます。絶対に勝ってみせます!」

「ほう、なかなか言うな。ならばお前とその機体の実力を見せて貰うぞ!」

「行きますよ!岸波さん!」

「はい!」

あれから5分程たったがお互いに一切引くことは無かった。私は投影した干将・莫耶で山田先生の撃った弾を弾き飛ばし、山田先生もばら撒く様でいて的確に私に当てようとしにきている。

「初めて操縦したとは思えませんね。なかなか戦えませんよ。こんなに強い人とは。」

「それはどうも」

互いの事を褒め合い息を切らせながら、相手に語りかける。その間には一切攻撃を仕掛ける素振りはなく2人の会話だけがあった。銃撃音や弾を剣で弾く鉄同士がぶつかる音もない。

2人のゲージは残り僅か、あと一撃耐えられるか耐えられないかのギリギリの状態である。2人ともわかっていた。次で決着が付くと…

どちらもお互いが次の一手を打つのを待っていると岸波白野はスッと手を上に伸ばした。

「山田先生、どうもありがとうございました。なかなか楽しかったです。

ISって結構慣れると楽しいですね。」

「・・・どうしていきなりそんな事を?」

「どうしてってもう決着が付くからですよ。」

「それはどういうこッ!?」

そういった瞬間、ISに搭載されたハイパーセンサーという機能が危険を知らせるブザーを鳴らした。

「上に反応!?いつの間に!!?」

そして岸波白野は腕を振り下ろした。その瞬間、山田麻耶の上から無数の剣が降り注ぐ。それはまるで剣の豪雨の様だった。

「・・・勝負あり!勝者岸波白野!!」

「やった!なんとか勝て・・・」

勝てたと言おうとした時、疲労によるものか私は倒れてしまった。

「ん…うん?あれ?私一体どうしてベッドで寝てるんだろう?」

「疲労が溜まっていたんだろう。急に別の世界に飛ばされて表面は冷静でも頭の中はそうはいかん。」

「もしかして、倒れちゃってました?」

「ああ、それはもう死んだのかという位グッタリと…な」

「そうですか。ここまで運んで来て頂いてありがとうございました。」

「礼なんか要らんよ。それより明日はISの一次移行をして貰うからなもう夜だし寝ておけ。」

「一次移行…?とりあえずわかりました。今夜はもう寝ます。おやすみなさい。」

「よく寝ろよ。それではな。」

「凄い…こんな事まで再現されてる。」

私は無事、一次移行を果たしいま何が出来る様になったかの確認中だ。

最適化をすると見た目が変わるらしいが、私の機体は殆ど変化がなかった。少し違う所は外套の背中のあたりが剣で刺したようになっていたこと位だ。…何故こうなった。

そして機能としてワンオフアビリティとかいう機能で鶴翼三連OE(オーバーエッジ)が使えるようになった。

これについて教師組は驚いていた。

何故ならワンオフアビリティは一部の機体にのみ許された、二次移行を行うことによって出来る様になる特別な技術でサーヴァントで言う宝具の様な物である。何故この機体は一次移行の状態で使えたのかはわからない。しかしこれなら技術、知識ともに皆無な私でも充分戦える。

今から新学期が楽しみだ。




いかがだったでしょうか?やはり初めて文章をここまで長く描いたのは初めてなのでおかしいところや矛盾点がたくさんあったと思います。でもこれからも精進して面白い作品に出来るようにします!(一話目だから頑張りましたけど次回からこの1/6位の量になります)よろしければ感想などもよろしくお願いします!あと学生なので不定期更新です。申し訳ありません。
それではまた次の話でお会いしましょう!


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ハクノン二次移行後!

え〜多分少ないと思うんですが、待っていていただいた方々に一言言わせていただきます。大変申し訳御座いませんでした!!色々大変な事があって、なかなか続きが書けなかったのです。それでも異常なまでに、本文が少なくなってしまいました。次話からは、しっかりやりますので、どうか、よろしくお願いします。更新ペースも出来るだけはやくしますので、私頑張るから!見捨てないで〜!!


あれから数日が経ち、私の機体『アーチャー』は二次移行(セカンドシフト)を遂げた。

え?あの終わり方なら新学期初めてるかと思ったって?

結果だけだ!この世には結果だけが残る!『新学期が始まりかけている』という過程を消し飛ばし、『始まらなかった』と言う結果だけが残った!

取り敢えず、新しい機能が追加されているのでその確認だ。

まずは、『投影』だ。アーチャーが最も得意とする魔術で、使用している宝具は全て投影品だ。この機能は『skill』に分類されてはいるが、SEを一切使用せず一瞬で武器の展開が出来る。もともと、このskillはあったのだが二次移行を終えて新たな機能が追加された。それは『私が見た剣ならば即座にその剣の投影を作れる』という能力だ。これはもともとあった投影と違い、SEを消費してしまうようだ。もともとあった投影とこの新たな投影の違いは、もともとあった投影はどうやらもともとインベントリ内にある武装を展開するというもので新たな投影は見た武器を剣や刀限定で創る効果らしい。どういった原理で剣を作成しているのかが気になって色々調べてみたが、どうやらもともとあったインベントリ内の武器のデータを書き換えているようなのだ。試しに暇だから、与えられたパソコンで観てたアニメの剣を作ろうとしたがこれがなかなかいい出来の剣が出来るのだ。私が作ったのはレイピアと、犬だかハイエナだかが混ざったようなものが取り付いている妖刀だった。あの悪霊は投影できなかったが、二次移行で会得した機能でとある事が出来た。

次の機能は『憑依経験』だ。この機能はアーチャーがまだ私と同じ位の年の頃、まだ「エミヤシロウ」として生を謳歌していた頃の技術だ。これは、投影した武器の持ち主だった英雄の戦闘経験を自らに同調させ、その英雄の戦闘技術を一時的だが身に着けると言うなんとも驚異的な能力だ。しかし誰でも出来るものでは無く、投影する際に創造の理念を鑑定し、基本となる骨子を想定し、 構成された材質を複製し、 製作に及ぶ技術を模倣し、 成長に至る経験に共感し、 蓄積された年月を再現し、 あらゆる工程を凌駕し尽くし投影をする「エミヤシロウ」のみに出来る技なのだ。この機能を使えば、さっき作ったといった妖刀の技術を身に着けることが出来るのだ。これならば、「貴様の攻撃は覚えた!」って言えるのだ。やったね!まあ当たり前だが人間の生命エネルギーよりも英雄の技術の方が明らかに強力なのでこの刀は御蔵入りだろう。ア○ビス神…不憫なり。

そして私は再びアーチャーを纏い模擬戦を行う事になった。

今回は特別な条件として、新たに手に入れた機能を使用して戦うという条件付きでの戦闘だ。では早速行きますか!

投影、開始(トレースオン)

投影するのは、かの有名な騎士王アーサー・ペンドラゴンの剣『エクスカリバー』だ。しかし、

「あ、あれ?出てこない?」

「どうした岸波。機体の調子でも悪いのか?」

「はい。何故か武器の展開が出来なくて…」

「何?武器の展開が出来無いだと?

他の武器は試したのか?」

「今やります。」

ゲイ・ボルク…出来無い

バルムンク…殆ど出来るがとても脆い

名も無い剣…出来る

干将・莫耶…出来る

乖離剣エア…出来無い

「あれ?これってもしかして…」

私は気づいた。神造武器だけが展開出来無いと言う事に。そして今まで展開しようとして気づかなかったが『移行段階が足りていません』と表示されている事に。

そう、この機体はなんと移行段階が足りてい無いと言う理由で神造武器が展開出来ないと言うのだ。ISのことはなんだか良くわからないことだらけだ。PICだのなんだのと、全く意味がわからないよ。まあ習うより慣れろって言うし、そうするしか無いんだろうけど。取り敢えず私はその場凌ぎで、無名の剣を展開した。

「よし。これで戦うしかないかな。」

「システム自体は異常が無い様だな。続けろ。」

「では、行きますよ!岸波さん!」

「はい!お願いします!」

研究を兼ねた訓練を終えた後、私は、与えられた部屋で休んでいた。今日の訓練時を振り返ったりしているのだ。

ハッキリ結論だけを言おう。この機体はかなり強い。機体のコンセプトとしては、一騎当千の様な感じなんだろう。自分自身の腕前が無くてもこれは憑依経験でなんとか出来るし、剣だって馬鹿みたいに多い。そして二次移行を済ませ、使用して気付いた事はこの機体のコアは他の機体のコアより、少しばかり意思が強いらしい。と言うのも、この機体を展開すると、何故だか分からないが、声が頭の中に響く様な感覚があるのだ。その声の持ち主の声は分からないが、ISのコアの人格の様な物なんだろう。ISには人格に似た物があるらしい。だから、使っている時間が長ければ長いほど、使用者と打ち解けて、使いやすくなるらしい。

…………そろそろ眠くなって来た。今日も訓練で疲れたので寝よう。明日からの訓練に備えて。

 




はい!今回は滅茶苦茶文字数が少なくなって、いましたね!本当にスミマセン!あと、FGOの方なんですが、データ消えました(泣)ですので今初めて一カ月位のデータしか残ってません。しかも、サーヴァントが☆4以下しか居なくて、☆4もノッブだけ…


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ハクノン決闘する!

あの〜先に謝っておきます。セシリアファンの方々!本当に申し訳ありません!ええと、何故そうなったのかと言うと、今回はセシリアアンチ回になってしまいました。はい、本当に反省はしています。でも次回からは、あまりアンチはやらないようにします。


「決闘ですわ!」

決闘?血統?血糖?ケットウ?

え?え?マジ?やっちゃった感じ?

何でこうなったんだっけ?確かあれは新学期始まって…

遂に新学期がやってきた。私とこの機体の存在を知らしめる事が出来る。そうする事であの電脳世界で見つからなかった存在意義が見つかる様な気がしたのだ。あの鋼鉄の英霊が存在していた事を間接的だがここに知らせる事が出来るのだ。それが楽しみだった。だがそれ以上に、私は普通の学園生活を知らない。故に殺し合う相手と暮らさなくていい、学園生活が体験して見たかったのだ。私は今、教室にいる。この清々しい感じが新学期かぁ。とても晴れやかだ。そう言えば、なんか世界で初めてISを動かすことの出来る。男子が同じクラスにいるらしい。それも苗字が『織斑』なのだ。恐らくというか確実に彼女の、織斑千冬の弟だろう。そんな事を考えていると、HRが始まった。

「全員揃ってますねー。それじゃあSHRはじめますよー」

と、副担任の山田先生が呼びかけた。

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね。」

シーン 。

ああ何だかとても緊張感がある。何故だろうね?私でももっとこう、

『ハ〜イ!』

みたいな声が出ても良いと思うんだけど。

「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」

シーン。

はあ、何なのこのクラス。面白そうな雰囲気のクラスだと思ったらなんか真面目な事をしている時はシーンとしちゃうクラスなの?ほらみんな何か反応してあげなさいよ〜山田先生半泣きじゃ〜ん

そんな下らない事を考えていると、自己紹介が例の『彼』の番になっていた。

「織斑くん。織斑一夏くんっ」

「は、はいっ!?」

ああ、男一人だけってのはやっぱり、気になるもんなのかな?なんかさっきからボーっとしてたけど。

「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?怒ってるかな?ゴメンね、ゴメンね!でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」

………彼女本当に先生なんだろうか?自己紹介を頼むだけで、半泣きになりながら頭下げてお願いしてる先生なんて聞いたことも無いけど。てゆーか男子ちゃんと先生の話聞いてあげなよ〜また先生半泣きじゃん!ってもういいよ。おっと、自己紹介だ。少し聞いておくか。

「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いしてる」

あー………これは酷い。なんかみんなから突き刺さる様に視線が送られているのに。

「以上です」

ガタン!勢いよく何人かが、椅子から滑り落ちる。

すると裏から鬼、もとい織斑先生が現れた。

パァン!

うわー。痛そうだなぁ。なんの容赦も無く叩くのね。

「げえっ、関羽!?」

パァンッ!

うわー。二発も行ったよ。凄いな、あの音。

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけてすまなかったな」

彼女が一年間私の担任だと思うとなんだか、少し不安を感じる。

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと…」

そして彼女はいきなりとても理不尽な事を言い始めた。

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜く事だ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

逆らってもいいけど言う事聞けってどう言う事なんだろう?そんな事を考えていると

「キャアアア!!千冬様、本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

なんて言う耳をつんざくような黄色い歓声が上がった。あの人こんなにファンが多かったの!?

「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」

ファンを蔑ろにする言葉を吐ける有名人とは、また凄い人気者だな。

「きゃあああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」

「でも時には優しくして!」

「そしてつけあがらないように躾をして〜!」

なんでこんな変人が多いんだろうね?

それとも織斑先生の言う通り、このクラスに集めてるのかね?

「で?挨拶も満足にできんのか、お前は」

「いや、千冬姉、俺は--」

パァンッ!

うっわ。またやったよ。織斑くんも懲りないなぁ。

「織斑先生と呼べ」

「……はい、織斑先生」

やっぱりそうか。彼は織斑先生の弟なのだ。

「え……?織斑くんってあの千冬様の弟…?」

「それじゃあ、世界で唯一男で『IS』を使えるっていうのも、それが関係して……」

「ああっ、いいなぁっ。代わってほしいなぁっ」

本当にこのクラスに集めてのだと思えてきた。

こんなことをしているとチャイムが鳴り、HRの終わりを告げた。

「さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ。私の言葉には返事をしろ」

うわぁまたでたよ理不尽発言半月なんてあっと言う間に過ぎるのに。

今は授業中だ。この学園は1日目から授業があるのだ。なるほどそれだけ早くISについて育成させたいのか。

そして今私はとても理解出来ない内容を聞いている。元々私は習うより慣れろというタイプの人間なので理論的な事には滅法弱いのである。1番最初に織斑先生が私にISの操縦の仕方を教えてくれた時も、感覚を頼りにしたアドバイスだらけだった。理由は「お前が感覚で物を覚えそうなタイプに見えた事とお前にISの理論をわからないだろうからだ」だ、そうだ。全く持ってその通りなのでそれをわかってくれるのは、こちらとしても結構ありがたい。

「織斑くん、何かわからないところがありますか?」

おお、質問タイム。こういう時って、何故か質問をあまりしなくなっちゃうよね。

「あ、えっと…」

うん、やっぱりし辛いよね。質問。

「わからないところがあったら訊いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

それがまた何故か質問しにくくなるんだよなぁ。

「先生!」

おっ!男一夏行くのか?

「ほとんど全部わかりません」

うわ!同士!まさかいるとは思わなかったよ。

「え……ぜ、全部、ですか……?」

あらら、また山田先生困っちゃったよ。

「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

シーン……

こういう時はさっきの時と同じくらい手が挙げにくいものである。死んでも挙げるもんか。

「……はぁ、岸波お前もだろうが。」

あれ?バレてた?なんでだろ?

「当たり前だ。誰がお前に操縦の基礎を教えてやったと思っている。」

ねえ、なぜ心が読まれるんだろうね?私はそれが不思議でならない。

「え…?岸波さんって千冬様から操縦習ってたの?」

「いいなぁいいなぁ。私も千冬様に厳しく、時に優しく調教……もとい、操縦習いたいなあ」

うるせぇ。あの人のスパルタぶりを知らんからそうなるんだ。あれだぞ?ヤバいんだぞ?凄いキツいんだぞ?

「まあ、良い。それより織斑、入学前の参考書は読んだか?」

「古い電話帳と間違えて捨てました」

パァンッ!

もう楽器だよね。彼。

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者。あとで、再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな?」

ああ、恐ろしい。あの分厚いのを、一週間以内だなんて。やっぱりスパルタなんじゃないですかやだー。

「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと……」

織斑くんの、尤もな意見も虚しく聞き入れられなかった。

「やれと言っている」

「…はい。やります」

うわ怖!主を馬鹿にされたガウェインとかああいう目つきしそう。

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の……」

 

その後はやはり、何を言っているのかわからなくなり、それを整理するので精一杯だった。気付いたら二時間目の休み時間だ。よし!彼のところに行こう!なんか気があうのが彼だけに思えてきた!

「織斑くん、ちょっといいかな?」

「ん?ああ、えっと君は確か……」

「岸波白野っていうんだ。よろしく。」

「ああ、岸波さんか、よろしく。俺の事は一夏でいいよ。」

「それじゃ、私の事も白野って呼んでくれて構わないよ。」

「いやぁ、それにしても良かったよ!ISの事全然知らない奴が他にもいて。

俺一人だったら、どうしようとか思ってたんだよな。」

「まあ全然知らない訳じゃないんだけどね。ただ理論のことを言われると全く理解出来ないんだよねぇ。」

そんな話をしていると…

「ちょっと、よろしくて?」

「へ?」

「ん?」

なんだか、いかにも「エリートですよ」オーラを放つ、女子に話しかけられた。どうやらというか、やっぱり話しかけた相手は織斑くんらしい。ここは私は押し黙ろう。

「訊いてます?お返事は?」

「あ、ああ。訊いてるけど……どういう用件だ?」

「まあ!なんですの、そのお返事!わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

あらら、駄目だ。私なんかこういう態度とる人好きになれないわ。だってなんか偉そうじゃん。なんだかISが出来てから、女ってだけで特別な扱いをして女尊男卑の形になって来てるらしいけど、私はそういうの大っ嫌いだ。

「悪いな。俺、君が誰か知らないし」

そういえば、「話しかけられただけでも光栄」って言ってたけど。この人誰?

「わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試主席のわたくしを!?」

代表候補生?どこかで聞いたようなきいてないような。ていうか、この人の態度誰かに似てるな。誰だっけ?

「あ、質問いいか?」

「ふん。下々のものの要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

あ!そうだ!アーチャーの記憶で見た、あの英雄王ギルガメッシュって奴になんか態度が似てる!

「代表候補生って、何?」

「あ、それ私も気になる。教えて?」

おっと、スッキリしてつい気が緩んだのか、質問が口から出てしまった。

がたたっ。聞き耳を立てていたクラスの女子数名がずっこけた。あれ?もしかしてこれ一般常識的なやつ?

「あ、あ、あ、……」

「「『あ』?」」

「あなた達っ!本気で仰ってますの!?」

やっぱりそうだったみたい。

「おう、知らん」

「知らないなぁ」

嘘はつかない性格なのだ!この白野ちゃんは!

「信じられない。信じられませんわ。極東の島国というのは、こうまで未開の地なのかしら。常識ですわよ、常識。テレビがないのかしら……」

いや、無いわけじゃ無いけど、私の場合あんまり使わないからなあ。

「「で、代表候補生って?」」

おお、また声が合った。やはりこやつとは美味い酒が呑めそうだ。

「国家代表IS操縦者の、その候補生として選出されるエリートのことですわ。……あなた達、単語から想像したらわかるでしょう」

「そういわれればそうだ」

うんうん、よくよく考えると簡単な事だったね。失敗失敗。テヘペロ。

「そう!エリートなのですわ!」

うわ!びっくりした!急に大声を出さないで欲しい。

「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくする事だけでも奇跡……幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

「そうか。それはラッキーだ」

「……馬鹿にしていますの?」

あんた、自分で幸運って言ってたじゃないの。

「大体、あなたたち、ISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。そっちの人はどうか知りませんが、あなたは、唯一男でISを操縦できると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待はずれですわね」

「俺に何かを期待されても困るんだが」

「ふん。まあでも?わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ」

おいおいAUOみたいな慢心と自信に満ちて、人を卑下するその態度のどこが優しいんだい?冗談はよしてくれよ。セシリー、HA☆HA☆HA☆HA

「ISの事でわからない事があれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

うんやっぱり、腹立たしいね。この態度って、ん?あれ?

「入試って、あれか?IS動かして戦うってやつ?」

やっぱりそれか、それならば、

「それ以外に入試などありませんわ」

「「あれ?俺(私)も倒したぞ(よ)、教官」

「は……?」

うん、そうだよね。あの山田先生とやった奴だ。初起動させた時のだ。

「わ、わたくしだけと聞きましたが?」

「女子ではってオチじゃないのか?」

ピシッ。ん?なんかヒビの入ったような音が聞こえだぞ?

「じゃ、じゃああなたは?」

「ああ、私はみんなより全然後に、入学が決まったちょっと特別な入学だったから、たぶんオルコットさんが結果を聞かされた時、まだ私は入学決まってなかったんだよ」

「つ、つまり、わたくしだけではないと……?」

「いや、知らないけど」

「まあ、そういうことだね。」

「あなた、あなた達も教官を倒したって言うの!?」

いや、そう言ったじゃん。話ちょっとは聞きなよ。

「うん、まあ、たぶん」

「たぶん!?たぶんってどういう意味なのかしら!?」

「えーと、落ち着けよ。な?」

「こ、これが落ち着いていられ……」

キーンコーンカーンコーン。

おっと幸か不幸かチャイムだ。そろそろ席に着かないと織斑先生のソロ演奏が始まってしまうからね。

「っ……!またあとできますわ!逃げないことね!よくって!?」

とりあえず頷いておけばいいか。

「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」

おっと、ここはしっかり聞いてしっかり覚えていないと、これは私でも理解出来そうだし、何より役に立つ。

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

ん?クラス対抗戦?代表?なんだそりゃ。

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点でたいした差はないが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで」

へえ、クラス対抗戦か、そういうのもあるのか(孤独感)

「先生!質問です!さっき話を聞いたんですけど、岸波さんが、入試の模擬戦で相手の教官を倒したって本当なんですか?」

すると、こちらに「何言いふらしているんだ貴様は…」という視線を送ってきたので、こちらも「別に好きでそんなこと言ったわけじゃないんですよ」という視線を投げ返した。すると織斑先生は、はあというため息をして、

「ああ、本当だ。岸波は入試の実技で教官を倒している。それに数少ない専用機持ちでもある」

ざわざわと教室中が騒ぎ始めた。

「他に質問はないな?それでは代表者を決めるぞ。自推他推は問わないぞ」

「はいっ織村君を推薦します!」

「私もそれが良いと思います!」

「私は岸波さんが良いと思います!」

「あっ!それじゃ私も岸波さんで!」

え?私?何故?専用機持ちで、教官倒したから?それだったらあのセシリアとかいう人は?無いの?なんで?

「では候補者は織斑一夏、岸波白野……他にはいないか?」

「お、俺!?」

おっと一夏、私も同じ気分だぞ?でも太鼓にされるのは勘弁だから何も言わずにただ座っているのだ。

「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか?いないならこの二人での投票になるぞ?」

「ちょっ、ちょっと待った!俺はそんなのやらな…」

「自推他推は問わないと言った。他推されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ」

「い、いやでも…」

これも反論しなかった理由の一つだ。どうせ反論しても理不尽な理由をつけられて、結局やらされるのだ。ならば別に反論する意味が無いのだ。無駄だとわかりきっていることは、徹底的に無くすべきだと私は思う。

「待ってください!納得がいきませんわ!」

おっと馬鹿なことをするやつがまた一人、どうせ反論したって面倒事に巻き込まれるだけなのに。

「そのような選出は認められません!そちらの人はまだしも、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

相変わらず人を見下した態度が気に食わない喋り方をするなぁ。別にいいじゃん男でも。

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿どもにされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

あっと、ダメかもしれない。我慢してたけどそろそろ限界。プッツンしそう。

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」

本当にキャンキャン五月蝿い奴だな。いっそ今すぐ宝具射出してやろうか?

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で…」

プッツ〜ン

その時私の中で何かが切れた感覚がした。感覚的にはあのドンファンに勘違いさせられた時と同じ感じだ。

「いい加減に…」

そう言いかけた瞬間、少し離れた席の男子が口を開いた。

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

あら?凄い勢いでヤバい言葉が飛んでいったぞ?不味くない?

「なっ……!?」

見ると一夏はやっちまったって顔をしていた。

「あっ、あっ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

よし!この流れにのって、私も言いたいこと言っちゃお!そして、新たに発見した能力を試そ!

「はあ、いい加減にしておけよ。小娘。先に始めたのはそっちの方だろう?大体、祖国を馬鹿にされたくらいで何をそんなにイラついている?イギリス人ってのは怒りの沸点が低いんじゃないか?」

そう、これが私の見つけた能力、《人格同調》だ。この機能はISを待機状態のまま使える唯一の《skill》でこの機能を使うと思考回路や発言の内容は私のままなのだが、持っている道具の元々の持ち主の人格と物の言い方になることが出来るのだ。ちなみに今は不自然じゃないように、とある童話作家の羽ペンを投影し、それで同調している。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

彼は、毒舌を吐くにはちょうどいい人材だ。なぜなら自分が思った以上のことまで言うことが出来るからだ。

「今のお前の人間性を採点してやろう。0点だ!気取った態度をとり、常に人を見下している。では、イギリス人としてはどうか?それも0点だ!優雅さを連想させるイギリス人の品格がこれっぽっちも無い!その上他国を侮辱し、祖国を馬鹿にされると急に激怒する、馬鹿かお前は!馬鹿にすれば仕返されるに決まっているだろう!そして最後に、ISの操縦者としては、これもまた0点だ!1点たりともくれてやるか!少し貶されただけで、すぐに激昂し、冷静さに欠ける!これでは誰もお前を推薦しないのも、頷ける!」

同調解除!ヤバいやり過ぎた。この機能のまずいところは、一度熱くなるともうそれが収まるまで、解除出来ないことだ。それにしてもこれは少しやり過ぎたかもしれない。クラスの人が大体引いている。気まずいがここは一つ声をかけてみよう。うわ〜声かけづらい!肩震えてるよ。どうしよう?

「あ、あの〜セ、セシリアさん?」

「けっ……」

「けっ?」

「決闘ですわ!」

これで冒頭に至るわけだ。




ええ、重ねてお詫びをします。セシリアファンの方々本当に申し訳ありません。僕自身セシリアは嫌いじゃないんですよ?むしろ大好きです。ですが今回、あまりネタがおもいつかなくて、つい、好きなfateキャラの性格を出した結果こうなってしまいました。本当に申し訳ございませんでした。


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ハクノンの日常

今回は結構今までより、のほほんとした回です。うん、やっぱり更新ペースが速いって良いですね。(これでも僕は結構速いつもりです)という訳で第4話お楽しみください。


ここまできたら引けないのが人間のプライドである。もう受けるしかない!

「いいよ。私は絶対に負けないから」

「貴方もですわ!」

「お、俺!?」

「当たり前だろう。お前もクラス代表の候補者だぞ?」

あっ!多分これ私のせいでもあるなぁ。あとで謝っておかなくちゃなあ。

「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い……いえ、奴隷にしますわよ」

「なんでわざと負けたりしなきゃいけないの?絶対にそんなことはしない。勝負は何時だって、真剣にやらなきゃ相手に失礼だよ」

「くそ、しょうがないか。侮るなよ?真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」

「そう?何にせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」

あ〜あ、こりやどうしようも無いね。人材選択をミスったねこりゃ。

「ハンデはどれくらいつける?」

「あら、早速お願いかしら?」

「いや、俺がどのくらいハンデをつけたらいいのかな〜と」

織斑君がそこまで言ったところで、クラス中から爆笑が起きた。

そう言えば、この世界では、女尊男卑の風潮があるんだったな。そんなのおかしいような気がしてならない。それまでこの国を作っていたのは男性たちでもあった、それがISが出たら役立たずの刻印を押され、奴隷のようにあつかわれるなんて、それは違うと思う。

「お、織斑君、それ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

「織斑君は、それは確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」

何が言い過ぎなものか。そんなわけ無い。それに、昔だってどちらの性別が上なんて決められていたわけじゃない。それは世界の価値観であり、生命自体の価値はもっと尊く、儚いものだ。だから最終的には、男女になんの区別も無い社会を目指していたのではないか。

「…じゃあ、ハンデはいい」

「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男性はジョークセンスがあるのね」

やはり、一度言わなければ気がすまない。そんな事ない、と、ISがなくても強い人は強いと。

「ねえ、織斑君。今からでも遅くないよ?セシリアに言って、ハンデ付けてもらったら?」

「それは、違うよ。」

『え?』

全員が疑問を抱くが関係無い。

「そんな事無いよ。男だって関係無い。強い人は強いし、弱い人は弱い。

ISが使いこなせない癖に女ってだけで、偉そうにするくらいなら、私は、ISの使えない男の人に生まれて、それでもなんとか媚びずに生きようと、悪戦苦闘した方がマシ」

「き、岸波さん?」

「私はこの女尊男卑の風潮が気に食わない。性別の価値が変わっても、生命の価値は変わらない。その証拠に女だろうと、それは確かに少しは軽くなるのかもしれないけど人を殺せば咎められる」

「た、確かにその通りだ。それに、男が一度言い出したことを覆せるか。ハンデはなくていい」

「そ、そうは言ってもそれは代表候補生を舐めすぎだよ。それとも、知らないの?」

「いいよ。織斑君は見ていて。決闘はまず私が戦う。セシリア、貴方が本当に強い人なのかどうか、それでハッキリするしね」

「さて、話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット、岸波はそれぞれ用意しておくように。それでは授業を始める」

(一週間か、充分過ぎる時間だ。だけど、一夏には大変かも)

そんな事を思いつつ授業に戻るのだった。

今は翌日の授業の休み時間だ。

なんかまた絡まれてしまった。

「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」

なんでまた絡んでくるんだろう?あんな滅茶滅茶に侮辱されても、また絡んでくるなんて、こいつまさかドMか!?

「まあ?一応勝負は見えていますけど?さすがにフェアではありませんものね」

「そうだね。結果は凄いわかりやすいよね。」

「ええ!その通り!このセシリ「私の勝ちで」

「まあ!あなた、聞けばISに乗りはじめて、日が浅いそうではありませんか。それで私に勝とうだなんて、100年は早いですわ!」

「?なんで?」

「あら、ご存じないのね。いいですわ、庶民のあなたに教えて差し上げましょう。このわたくし、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生……つまり、現時点で専用機を持っていますの」

「「へー」」

「……馬鹿にしていますの?」

「いや、すげーなと思っただけだけど。どうすげーのかはわからないが」

「それを一般的に馬鹿にしているというのでしょう!?」

ババン!セシリアが一夏の机をたたく。一夏のノートが落ちた。

「っていうか、国家の代表なんだから持ってて当たり前じゃん、なに威張ってんのかなぁ」ボソッ

「なにかおっしゃいました?」

「いや、なんでもないよ〜」

「……こほん。さっき授業でも言っていたでしょう。世界でISは468機。つまり、そのなかでも専用機を持つものは全人類六十億超の中でもエリート中のエリートなのですわ」

「そ、そうなのか」

「そうですわ」

ご指導ありがとうセシリア君。そのまま帰ってよろしいぞ。

「人類って今六十億超えてたのか…」

「「そこは重要ではないでしょう!?」」

ババン!セシリアが一夏の机をたたく。一夏の教科書が落ちた。

「あなた!本当に馬鹿にしていますの!?」

「いやそんなことはない」

「じゃあなんで棒読みなのさ…」

あ、こいつ今なんでだろうな?って本気で、思ってる顔だ。

「なんでだろうな?箒」

そこで話を他の人に振るってどうなのよ?ほら、篠ノ之さんも「私に振るな!」っていう目つきで睨んでるよ。

「そういえばあなた、篠ノ之博士の妹なんですってね」

「妹というだけだ」

うわぁ怖い。篠ノ之さんの目つきって滅茶滅茶怖いよね。普通にしてれば可愛いんだから普通にしてれば良いのに。

「ま、まあ。どちらにしてもこのクラスで代表にふさわしいのはわたくし、セシリア・オルコットであるということをお忘れなく」

また、彼女は気取った態度で去っていった。なんであんなボロクソ言われてまたやるんだろう?それが不思議でならない。

「箒」

「………」

「篠ノ之さん、飯食いに行こうぜ」

あ、ご機嫌斜めだ。この篠ノ之さん実は篠ノ之博士の実の妹さんなのだが、お姉さんの話を振られると機嫌が悪くなる。なんだか小さい頃にいざこざがあったらしい。

「白野、一緒に行かないか?」

「ごめん、私はパスで」

私は、人の恋路を邪魔したりするほど野暮な人間じゃないからね。頑張ってね、篠ノ之さん。

しかし、断った理由は他にもある。この二人は学食なのだ。つまり、私のお気に入りの場所で食べることは叶わないわけだ。よしじゃあそろそろ購買部でパンを買ってあそこに行こう。

私のお気に入りの場所と言うのはこの屋上である。この学校は屋上が封鎖されてはいなく、いつでも来られる様になっている。私はここに来ていつも空を見上げながら、昼食を摂っている。

私にとって、ここ程居心地の良いところはない。それに他の人は大体学食なので、ここに人がくる事は滅多にない事だ。居心地が良いと言っても、『ここにいると、気分が良くなる』とかそういう感じじゃ無い。ここに居ると、彼女の事を思い出し、そしてあの電子の海から出られたと感じることが出来るのだ。

『遠坂 凛』

それが彼女の名前だ。私のいた世界では超一流の電子ハッカーであり、アーチャーのいた世界では超一流の魔術士だった。屋上に来ると彼女を思い出すと言うのは、『表』の聖杯戦争で、彼女と初めて話をしたのがあの月海原学園の屋上だったからだ。彼女は一時はライバルの一人として立ちはだかり、最後は私の『裏』からの脱出に協力してくれた人でもあった。だからここに居ると彼女の事を思い出し、感じる事が出来る様な気がするのだ。そしてここにいればあの電子の海では決して味わえなかった、生を感じられる。吹き抜ける爽やかな風、その風に運ばれた校庭の砂や草木の香り、その全てが私の生きているを感じさせるには充分なものだった。そんな物想いにふけているだけで、昼休みは終わってしまった。私は急いで昼食を口の中に詰め込み、授業に急ぐのだった。




いかがでしたか?そういえば、ついにGOでモーさんと雁夜おじさん来ましたね!僕はどちらも別に好きな訳では無いですけども。でもやっぱり、自分の為ではなく人の為に聖杯を望み、身体を犠牲にでもやり遂げようとした雁夜おじさんには幸せになって欲しかったですね。


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ハクノン 決着!

戦闘描写がわかりにくいかも知れません。ご了承ください。あとこの作品のアーチャーはムーンセルの記録(英霊の座?)に登録された時に、全ての並行世界の記憶を得た士郎です。なのでヘラクレスの斧剣を使う際は、その時の技名で「是・射殺す百頭」とさせていただきます。こちらもご了承ください。それでは、この作品が面白いと思う方はどうぞお楽しみ下さい。そう思わない方もどうぞお楽しみ下さい。


遂に決闘の日だ。意地とプライドに賭けて、負けられない。

「ねぇ、アーチャー?ここで負けたらさ、月の勝者が聞いて呆れるよね。それにさ、貴方の名前を使って戦うのに負けたら貴方の顔に泥を塗ることになっちゃう。絶対に負けられないよ。」

答えが返ってくる筈もない言葉を、手のひらに納まっている赤い宝石のペンダントに投げ掛ける。それだけで「そんなに気負う事は無いぞマスター。いつも通りやれば君なら勝てるさ。」と聞こえてくるような気がするのだ。

そう、この戦いは、私の立場の為だけでは無い。むしろそんなものはどうでもいい。私は私の為に戦ってくれたアーチャーの顔を潰したくは無いし、無名だろうと勝てるって言うのを証明したい。たとえどんな人間にだろうと、勝機がある事を証明したいのだ。

そろそろだ。行こうアーチャー。

展開完了!

「岸波白野、アーチャー!行きます!」

 

「あら、逃げずに来ましたのね。ッ!?その剣!?」

うん?この剣をみた事でもあるのかな?

「この剣がどうしたの?」

「な、なんでもありませんわ!」

変なヤツだな。まあいいや。

セシリア・オルコット 搭乗機体名、『ブルー・ティアーズ』、背中に四枚のフィン・アーマーを装備していて遠・中距離において最高の機体性能を発揮できる機体だ。主武装は《スターライトmk Ⅲ》それ以外は流石に解析不可能かな?まあ充分だ。ビームライフルを使って来るなら、丁度アーチャーの武装は適している。

『干将・莫耶』

中国の刀鍛冶 干将が自らの名と妻の莫耶の名を冠した刀である。この刀は特殊な性質を持っている。一つは、この刀はお互い引き合うという事。二つ目はこの刀が揃った時、魔力に対する耐性が上がる事だ。この二つの性質からこの『干将・莫耶』はお祓いなどに使われていたらしい。これが私のIS『アーチャー』の干将・莫耶は魔力に対する耐性では無く、ビームに対する耐性へと置き換わっているのだ。恐らくはISにとっての魔力はそのビームに使われるエネルギーなのだろう。

「最後のチャンスをあげますわ」

とセシリアはいつもの腰に手を当てたポーズから私に指を突き出したポーズになる。こいつ…油断してる…銃口をこっちに向けてない…クソ!なめられてる!良かろう!ならばこれは決闘などでは無く、CHU☆U☆BA☆TU☆DA!

「チャンスって?」

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげないこともなくってよ」

警戒、敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行。セーフティのロック解除を確認。ふふ、ならこの気取り屋に一杯食わせてやる。

「うーん、分かった。今ここで謝罪すれば、本当に許してくれるんだね?」

「? 随分逃げ腰ですわね?さっきまでの態度は一体何処に行ってしまったのかしら?」

屈辱的だが、ここは堪えよう。これからもっと屈辱的な思いをさせる為だ。

「まあわたくしは寛大ですから、許してあげますわ」

「ありがとう、それじゃ…」

私は敵対心がなくなった事を武器の干将・莫耶を互いに逆方向に投げる。勿論これも作戦だ。そして…

「侮辱してごめんなさい。もう二度としません」

と頭を下げた。プライドを守る為にプライドを捨てるってなんか矛盾を感じるね。と考えつつ地面を見ている目は笑っていた。そしてそれを見つめるセシリアは勝ち誇った表情をしていた。

そして観客達も「情けない」や「呆れた」と言った言葉を口々に言っていた。なんとでも言え。次の瞬間にやられた!と感じるのはそっちなのだから。

ピピ!

「え……?」

その一瞬でセシリアは勝ち誇った自分を悔いた筈だ。何故なら…

さっき投げたはずの私の武器を背中に当たる直前だったのだから。

「壊れた幻想《ブロークン・ファンタズム》」

私の干将・莫耶は爆発により、セシリアのフィン・アーマーの半分を持って行った。

「な!?何が!?」

会場の観客達は、一転しウワァァァ!!と言う歓声を上げた。

「またまたやらせていただきましたァン!」

「貴方!一体何を!?」

「私の干将・莫耶はお互いを引き合う性質があるの。それを左右逆方向に投げれば引き合って、その中心部分に集まってこっちに戻ってくる。それを爆発させたんだよ。」

「じゃあ、謝ったのはまさか…!」

「油断させる為の罠だよ。」

ニヤリ、してやったと言う顔をみせる。

「もう許しませんわ!」

「さあ、かかって来なさ〜い」

この試合、実際すごく私にとって相性が良いのだ。私は慢心して剣を飛ばして飛んで来たビームを弾くだけで良いのだ。しかし、ビームは連射の出来ないタイプのライフルから放たれている。つまり一撃一撃の威力が高い代わりに消費が多いのだ。そして相手は格上の操縦者だ。剣を避けるのは容易い。それに対して私は消費が少ない代わりに多く手が撃てる攻撃だ。だが幾ら当てようと試みても、相手には避けやすい軌道でしか無い。こちらは、SEと体力を浪費していくだけだ。慢心は捨てなくてはならない。慢心は捨てて、かかって行かなくては。

そんな焦りがあった、有利なのにそんな焦りが。それが油断に繋がった。

「よし!これでトドメ!」

突っ込んで行ってしまった。相手が近接対策をしていないと油断した。

「かかりましたわ」

セシリアは意味ありげな笑みを浮かべた。

しまった!相手は遠・中距離型だ!近接対策をしてない筈が無い!

そう思った時には遅かった。

「お生憎様、ブルー・ティアーズは六機あってよ!」

そして裏からの追い込み。

「キャ!」

後ろから無視していた残りのビットがビームを当てて、私の体を押した。

そして、セシリアのスカート状のアーマーの突起が外れて、動いた。『弾道型』だ。

回避は間に合わない。そして、大爆発が起き、私の体は黒煙に包まれた。

「勝ちましたわ!やはり私の方が上だった様ですわね!」

そして、次第に黒煙が晴れてくる。そこに居たのは…

無傷の私だ。

「展開が間に合ってよかった。でも、少し消費が重いかな…?」

苦笑いをする。

「な、な、何故!?」

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)。私の使える、唯一であり最強の防御だよ。」

「そんな…」

「今まで少し油断してたよ。ごめんね。これからは全力だよ。」

干将・莫耶を再び投げる。先程と同じく、相手の背後から襲う様に。それと同時に、残りのビットを全て破壊する軌道で。

ボンボンと音がする。ヒットだ。

そして、干将・莫耶をもう一組投影する。投げた一組が当たるのと全く同じタイミングで…強襲!

「はぁ!!鶴翼…」

「ッ!背後と正面から同時に!?キャアア!」

仕上げだ。OEさせた干将・莫耶を食らわせる!

「三連!」

「くッ!」

セシリアはライフルを盾の代わりに突き出す。しかし、この鶴翼三連OEはワンオフアビリティだ。並みの装備で防げる代物ではない。ましてや盾でもないライフルなどに。

「叩き込む!!」

ガキンッ!

想像通り、ライフルは刃物で切られる紙のように二つに切断された。そして刀身はセシリアを捉えた。

勝者を知らせるブザーが鳴り響く。

「試合終了。勝者、岸波白野」

その後のセシリア対一夏戦はあっけなく感じる終わり方だった。一夏のワンオフアビリティの特性による、SE切れでの決着だ。なんか締まらない最後だった。試合後、私は織斑先生の所に行った。というのもある相談があるからだ。

「織斑先生、すこしいいですか?」

「ん?なんだ?」

「相談事があるんですが…」

「………そういうことなら、まあいいだろう。」

「ありがとうございます。それじゃあ私はこれで」

「ああ」

ふう、よかった。まあ正当性はあったから良かったと思うよ。さてこれで私は自由だ。部屋に帰ろう。

そして、部屋への帰路で私は意外な人物に呼び止められた。

「ちょっとよろしくて?」

「へ?ああセシリアか。なにか用かな?」

「あなた、あの時の剣は一体何処で手に入れたものかしら?」

「あの剣?ああ干将・莫耶の事?これはこの機体に最初からあったもので、特注のものだよ」

「……あなたは、将来の夢を語るならなんて言いますの?」

「え?将来の夢?なんでいきなり?」

「理由なんてどうでもいいですわ!なんて言いますの!?」

うーん、将来の夢なんてなあ…私はこの世界のこと対して知らないしなあ…

取り敢えず、彼の夢を挙げておこう。

「正義の味方…かな?」

「ッ!!」

なんだ?試合のあたりから少し様子がおかしいけど、どうかしたんだろうか?

「そう…わかりましたわ…引き止めてしまってごめんなさい…」

そう言ってセシリアは帰っていった。

最後までおかしなヤツだ。さて帰るか。

(今日の試合…)

一夏との一戦を思い出しセシリアは考える。

(わたくしが勝ったのに…それに岸波白野…彼女の使った剣…それに彼女の語った夢…)

セシリアは思い出す。子供の頃の記憶を。

(それじゃあまるで…)

 

 

自分は貴族の娘だ。だから誘拐された事が一度だけあった。

「嫌っ!止めてっ!」

「おい、このガキ!大人しくしやがれ!」

「誰か!助けて!」

「大声出すんじゃねえ!それに、ここじゃ叫んだって誰も助けに来ねえよ!」

「……わたくしを誘拐してどうする気ですの…?」

「決まってんだろ?金だよ金!てめぇの家は、金持ちだからなぁ!きっとたんまりと身代金を出すに違いねえ!

ぎゃはははは!」

「ッ!そんな…」

「そんじゃ、大人しくしてろよ?俺は食いモンと飲みモン買ってくるからな!」

と言って、誘拐犯は誘拐されて連れ込まれた倉庫から出ていった。すると、不思議な事に誘拐犯がブギャ!と言う声をあげたのだ。セシリアは誘拐犯が転んだのだろうくらいにしか思わなかった。そして、倉庫の中に人が入ってきた。しかし、それは誘拐犯ではなかった。

「君!大丈夫か?」

入って来たのは、肌が少し日焼けの様に褐色になっていて、髪の毛の色が白になりかけている、赤髪の青年だった。

「誰?」

「俺か?俺は…」

その青年は聞いたら誰だって笑ってしまう様な事を口にした。

「正義の味方だよ」

「正義の…味方?」

「ああ、正義の味方。君がここに連れてこられるのを見てね。助けに来たんだ。安心しろ、今警察を呼んであげるから。」

「あの人は……?」

あの人、つまり誘拐犯の事である。

「ああ、あの誘拐犯の事か。自分を攫った奴を心配するなんて君は優しいんだね。大丈夫、やっつけたよ。」

「どうやって?」

「お兄さんは魔法使いなんだ。だからこうやって、手を広げて呪文を言うと…投影、開始(トレース・オン)

するとその青年の手のひらには二振りの刀が出た。

「剣…?」

「そうだよ。ああでも安心して、こっちの反りの方で殴っただけだから死んではいないよ。」

そう言って、その青年は微笑みかけてくれた。

 

 

(まるであの人みたい…)

攫われた自分を助けてくれたあの優しい笑顔の青年。彼は一体今どこで、何をしているんだろう?出来る事ならば、もう一度会って話がしたい。お礼を言いたい。

セシリアはそんな事を思いながら、眠りにつくのだった。

 




如何だったでしょうか?セシリアを助けた青年。正義の味方さんと呼ぶとしましょう。(正体多分バレバレだけどね)この人はロンドンで勉強をしていた所、ある日誘拐されるセシリアを見つけたと言う設定です。ですが、この人は境遇は似ていますが、自主的に、尚且つ1人でロンドンに来ていました。恋人などはいませんでした。あと、最後に付け足しですがセシリアはこの人の事を好きにはなっていません。あくまで恩人というだけです。一夏君のことはちゃんと翌日の朝考えていました。以上後書きでした。


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ハクノン降りる!

はい、ハクノンが降ります。また日常回です。次はいつ戦闘になるかな?


翌日のSHRは少し、驚きの声が上がっていた。

「では、一年一組代表は織斑くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

クラスはザワザワと騒ぎ始めた。当たり前といえば当たり前かも知れない。何故なら私と一夏は戦っていないのだから。

「先生、質問です」

「はい、織斑くん」

「俺は昨日の試合負けた上に、岸波とは戦ってすらいないんですが、なんでクラス代表になっているんでしょうか?」

「それは…」

「それはわたくしが辞退したからですわ!」

「そして、私も辞退したから」

「まあ、勝負はあなたの負けでしたが、しかしそれは考えてみれば当然のこと。なにせわたくしセシリア・オルコットが相手だったのですから。それは仕方の無いことですわ」

うん、呆気なかったよね。あの勝負。私がやってた試合がバカみたいじゃん。せっかくワンオフアビリティまで出したのに。

「それで、まあ、わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして。″一夏″さんにクラス代表を譲ることにしましたわ。やはりIS操縦には実戦が何よりの糧。クラス代表ともなれば戦いには事欠きませんもの」

「じゃあ岸波は?」

「私はセシリアのものの言い方に腹立ててかかっていったからね。そんな私がクラス代表になるのは相応しく無いと思ったの」

あ、こいつ今ありがた迷惑とか思ってるな?なんてわかりやすい表情をするんだ。

「いやあ、二人ともわかってるね!」

「そうだよねー。せっかく世界で唯一の男子がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げ無いとねー」

「私たちは貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、織斑くんは」

情報を売る!?なんて恐ろしい事を考えるんだこの人達は!?私は知ってる。情報のひとつひとつの重要さを。

マテリアルが無ければ私は負けていたかも知れない。

「そ、それでですわね。わたくしのように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を遂げ…」

優柔かつエレファント?加齢にしてパーフェクト?なに言ってるんだ?優柔な象で、年取っててカンペキ?意味わかんないよ。

バン!

うわ!なに?篠ノ之さん?

「あいにくだが、一夏の教官は足りている。私が、直接頼まれたからな」

わあ、すごい。あそこまで『私が』を強調するなんて

(俺は同じ初心者で強い岸波の方が気が楽で…)

ボソッと一夏が呟いたのを私は決して聞き逃さない。篠ノ之さんとセシリアは聞いてなかった見たいだけど。空気読めよ。

「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aの私に何かご用かしら?」

「ら、ランクは関係無い!頼まれたのは私だ。い、一夏がどうしてもと懇願するからだ」

へえ、ランクCだったんだ〜。少し意外かも。因みに私はCだ。Cの上くらいらしい。

「え、箒ってランクCなのか…?」

「だ、だからランクは関係ないと言っている!」

「そうだよ〜。ランクは気にしない方が良いよ〜。だいたい、セシリアもCランクの人に負けてるからね〜」

「はあ!?わたくしがCに負ける!?そんなのありえませんわ!」

「私、ランクCなんだけど」

「え?ランクC?あなたが?」

「うん、そうだよ。だからISは実戦の立ち回り方の理解、様々な武装と技の応用さえしてれば勝率は安定するって事だよ。さらに機体が強ければほぼ勝ち確定って言っても良い」

ガラガラ!

あ、この二人ヤバいな。人間ドラムルート直行だ。

バシンバシン!

やっぱりね。

「座れ馬鹿ども」

毎度思うけどなんか生徒に対する接し方が厳し過ぎない?

バシン!

「その得意げな顔はなんだ。やめろ」

一夏がまたいつものシャレを考えていたらしい。顔に出やすいんだからやめとけば良いのに。

「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も破れていない段階で優劣をつけようとするな」

さすがに貴方達は次元が違い過ぎるとおもうんですよ。なんですか?Sって?バカにしてるの?

「代表候補生でも一から勉強してもらうと前に言っただろう。くだらん揉め事は十代の特権だが、あいにく今は私の管轄時間だ。自重しろ」

すると、織斑先生はまた一夏の方へ向き直りバシン!とまたひと叩きした。

「……お前、今何か無礼なことを考えていただろう」

「そんなことはまったくありません」

「ほう」

バシン!バシン!

馬鹿だなぁ。叩かれるってのわかってるのに言うなんて。

「すみませんでした」

「わかればいい」

なんて暴力的なんだ?そしてなぜ一夏もバレてるのに気づかないのかな?

「クラス代表は織斑一夏。異存は無いな」

クラスからはーいという返事が揃ってかえっていた。とても団結出来ているいいクラスだと私は思う。

 




ありゃ?文字数が多いぞ?なんでだろ?まあいいや、次はセカンド幼なじみに続く話だね。よろしくお願いします!


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ハクノンは優等生!

更新が遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした!
それにタイトルのネタ切れが酷くなってきたなぁ。
それはそうと、fgoのコラボが「空の境界」に決まりましたね!僕は「月姫」だと思ってたんですけどね。でも「魔法使いの夜」もいいですよね。まあ僕はどれも知らないですけどね!あ、でも蒼崎青子さんは可愛いと思います。


「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、岸波。試しに飛んでみせろ」

現在、ISの実践訓練中。私、岸波白野はIS操縦の師と呼んでもいいだろう、織斑千冬さんの命令を素直に聞く、いい子ちゃんをしている。

「アーチャー、来て」

私は言われた通り、ISを展開する。しかし、どうやら一夏は展開にすら手間取ってるようだ。

「早くしろ。熟練したIS操縦者は展開まで一秒もかからないぞ」

う〜ん、何故こうも手間取るんだろう?多分余計な事を考えてるのは間近い無いと思うけど。

「集中しろ」

そう言われてやっと一夏はISの展開を終えた。因みに私は、量子に変換されて消えたアーチャーを再び再構成させ、よび出すのと大した差が無いため結構早く展開が出来る。

セシリアも、代表候補生の称号は伊達では無く、私よりも早く展開出来ていた。セシリアのISである『ブルー・ティアーズ』も完全に修理が終わっているようだった。

「よし、飛べ」

私とセシリアはすぐに飛び上がって静止した。一夏もモタつきながらも、なんとか上がってきた。

「何をやっている。スペック上の出力では白式の方が上だぞ」

教官からのありがたいお言葉が聞こえてくる。が、そんな物は関係無い。おそらく、飛ぶときの『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』というのがよくわかっていないのだろう。そういう私もサッパリ理解不能だ。

どちらかと言うと私は、感覚的に言われた方がわかるのだ。

「一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ」

うんうんと頷く。でも正直言って、イメージで武器を作る能力を使う人間がそこを肯定しちゃうのは如何なものか?

「そう言われてもなぁ。大体、空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。なんで浮いてるんだ、これ」

そういえば私のアーチャーも飛び方が少しわかりにくいんだよな。外套の下に着ているボディスーツみたいな物の腰の辺りと靴の裏に内蔵された飛行用のユニットで飛んでるらしいが、普通にみると浮いてるだけにしか見えないらしい。

「説明しても構いませんが、長いですわよ?反重力力翼と流動波干渉の話になりますもの」

うわぁ…いかにも難しそうだ。私だったらごめんだな。

「わかった。説明はしてくれなくていい」

「そう、残念ですわ。ふふっ」

「そういえば、白野はどんな風に飛んでるんだ?」

ふと、私の方に質問が投げられる。

「ん?私?私はねぇ、感覚かな?」

「感覚?」

「そう、わかりやすい例え方ならなんでも良いの」

「そうなのか?」

「うん、だからそのイメージの例えもあんまりわからないや」

「だよなぁ…」

「一夏さん、よろしければまた放課後に指導してさしあげますわ。そのときはふたりきりで……」

そこで、通信がくる。

「一夏っ!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!」

と、篠ノ之さんから通信が入ってきた。

地上では、篠ノ之さんが山田先生のインカムを奪い取って喋っていた。

「それにしても、ハイパーセンサーってのは凄いね。こんなに遠くがくっきり見えるよ」

「ちなみに、これでも機能制限がかかっているんでしてよ。元々はISは宇宙空間での稼働を想定したもの。何万キロと離れた星の光で自分の位置を把握するためですから、この程度の距離は見えて当たり前ですわ」

へぇ〜、知らなかったな。やっぱり代表候補生は物知りだなぁ。

「織斑、オルコット、岸波、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ」

「了解です。では一夏さん、岸波さん、お先に」

セシリアは先陣を切って降りていった。完全停止もキッチリとこなしたようだ。

一夏から「うまいもんだなぁ」と感心の声が漏れていたのは言うまでも無い。

さて、次は私かな。

「それじゃ、頑張ってね。一夏」

ギュン!と加速をつけ、地面に近づいていく。

速度はセシリアより少し早いくらいのスピードだ。

そして、地面から十センチでピッタリと止まってみせた。

「よし、完璧!」

しかし、次の瞬間に少し離れた所から凄まじい音が聞こえた。

ズドォォンッ!!!

「え?なに!?」

見ると一夏が、地面にめり込んでいた。

「馬鹿者。誰が地上に激突しろと言った。グラウンドに穴を開けてどうする」

「………すみません」

地面から起き上がった一夏の白式はいつも通り純白な姿を保っていた。

「情けないぞ、一夏。昨日私が教えてやっただろう」

篠ノ之さんが睨みつけるような視線を送っていた。それに対し、一夏はなにかに納得するような顔をしていた。

「貴様、何か失礼な事を考えているだろう」

やっぱりバレてるよね〜うん、知ってた。

「大体だな一夏、お前というやつは昔から…」

篠ノ之さんの長そうなお説教の始まりかと思ったがそうはならなかった。

「大丈夫ですか、一夏さん?お怪我はなくて?」

セシリアが割って入ったのだ。

「あ、ああ。大丈夫だけど…」

「そう。それは何よりですわ」

この間までの態度は本当に何処に行ったのだろう。

「……ISを装備していて怪我などするわけがないだろう…」

篠ノ之さんが呟いた。さらにセシリアがそれに反応した。

「あら、篠ノ之さん。他人を気遣うのは当然の事。それがISを装備していても、ですわ。常識でしてよ?」

あーらら、もうこうなると長い筈だ。面倒くさいしちょっと前から気になっていた事を調べてみよう。以前からコアの意思がほかの機体より強いと言うのは知っていたのだが、まだその原因がわかってないのだ。それが戦闘に関わってくると大変だから、調べてみなければ。まずは、コアの声に耳を傾ける。少しでもコアの事を理解しておきたい。だがいくら何かを聞こうとしても声は聞こえない。向こうの思いたった時にしか喋らないのかな?なんて面倒な奴だ。

次はIS自身に『同調』をかける。さらにそこから弾き出した情報を解析、コアに掛かっているロックを解除していく。しかし、あるロックに阻まれる。これはどうやら、戦闘を重ねる事によって解除される様だ。これはもう解除のしようがない。

「……み、い!しなみ!岸波!」

「はっ!なんですか?織斑先生?」

「貴様…私に呼ばれてそれを無視するなどいい度胸だな?」

「す、すみません!ちょっとこの機体で気になるところがあって…」

「はあ…まあ貴様の機体は不明な点が多いからな。今回は不問にしてやる」

「ありがとうございます。それで私は何をすれば?」

呼ばれたもともとの理由を問う。

「ああ、射撃武器を展開しろ」

「了解です!投影、開始(トレース・オン)!」

私は、その聞き慣れた詠唱をし、アーチャーの装備である黒い弓【フェイルノート】を展開する。

「ふむ、剣を主武装にしている割には早いな。だがまだまだだ。そして、オルコット。貴様も代表候補生なら岸波以上のスピードで展開出来るようになれ」

セシリアはううっと少し呻いた後、俯いた。

「弓?何故弓なんだ?銃とかじゃなくて」

「この機体は銃は搭載されてないんだよ。代わりに弓がたくさんあるんだ」

「待ってくれ。たくさんって、IS自体はそんなに装備は搭載出来ないんじゃないのか?」

「それが私の機体は違うらしくて、数十の装備があるんだ」

「数十!?なんて数ですの!?そんな量は聞いた事がありませんわ!」

「どうも武器のキャパがおかしいみたいでね」

「だからって……!」

「おい、馬鹿ども。おしゃべりはそれまでにしておけ。授業が進まん」

そこまで織斑先生が言ったところで、終業のチャイムが鳴る。

「チッ!時間か。今日の授業はここまでだ。織斑、グラウンドを片付けておけよ」

あ〜あ、可哀想にまあ私は手伝う気はさらさら無いけどね。面倒な事は嫌いだからね。

 




文章力が更に低下したような気がします。
fgoの方はバレンタインイベントやり込んでイベント交換の礼装は全て手に入れました。ジャックのガチャは当たりませんでしたけどね。もう10連なんか回すもんか。僕は単発だけを信じる。


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日常に棲みつく異変

本編かそんな長さで大丈夫か?大丈夫だ。今回はネタ切れなだけだ。問題無い。
って!問題大ありだよ!某ハンター漫画のキ○ラ○ントよりも大蟻だよ!ってうるせえ!冗談言ってる暇はねえ!


「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」

「おめでと〜!」

一斉に皆の手にあったクラッカーが弾ける。だがお祝いされてる当の本人は、なんだか納得してないようだ。

「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるねえ」

「ほんとほんと」

「ラッキーだったよねー。同じクラスになれて」

「ほんとほんと」

おい、あのひと明らかに同じクラスの人じゃないんだけど。

ま、楽しめればいいか。

ん?あれは…新聞部の人かな?一夏とセシリアにインタビューしてるみたいだけど。

あれ?こっち来た?

「どーもどーも、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」

「あ、ご丁寧にどうも。それで?私になにか用ですか?」

「いやさ、イギリスの代表候補生のセシリアちゃんを倒したらしいじゃん?だから、どんな人かな〜?ってね。じゃあ質問してもいいかな?」

「ええ、いいですけど」

「白野ちゃんの機体は随分変わった形をしてるらしいじゃない?どんな見た目なの?」

「私のISの見た目ですか?見た目は赤い外套としか言いようがないですね」

「ふーん、確かに変わってるねえ。そんじゃあ質問その2。武装をいろんなところから展開出来るってほんと?」

「私の機体はそうやって戦うのが得意な機体ですから。でも、それ自体はこのあいだの試合はやってないですよね?その情報どうやって…?」

「いやぁ、山田先生が教えてくれたんだ」

はあ、お願いだから対戦相手に情報とか漏らさないで下さいよね?

「そっか、どうもありがと〜それじゃあまたね!」

手を振られたので、少し会釈をした。

む?写真を撮るのかな?

…………よし、割りこもう。別にそういう性格ではないのだが、今回は何故か無性にそうしたくなった。

「それじゃあ撮るよ〜。35×51÷24は〜?」

「え?えっと………2?」

「ぶー、74.375でしたー」

パシャッとカメラのシャッター音が鳴る。

どうやら同じ事を考えてる輩は大勢いたようだ。

「あ、あなたたちねえっ!」

「まーまーまー」

「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー」

「クラスの思い出になっていいじゃん」

「ねー」

「う、ぐ……」

呻くセシリアはまあ放置だ。

さて、そろそろ私はお暇させて貰おう。

だんだん調子が悪くなっているようだ。

というのも、なんだかこのあいだからたまになのだが、ノイズの様な物が走ってみえるのだ。今さっきまでそれを我慢していたのだが、原因はわからない。だが何か異変が起きているのは明らかなのだろう。

今日は早く寝よう。

ベットに腰を掛け、未だに無くならないノイズに眩暈を感じながらゆっくりと横になる。そして、自らの胸の辺りに手を当てた。

バチンッ!

「っ!痛い…!」

一瞬、頭に電撃が走ったかの様な衝撃が走った。

そしてその瞬間、首から下げていた待機状態のアーチャーの宝石部分が黒く濁った。

本当に何が原因なのだろう?

そんな事を考えているうちに私は少し浅い眠りについた。

 




大丈夫。次回はもっと上手くやります。
ところで皆さんGOやってます?最近、復讐者が強いと思ったんですよね。当たらないけど…


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黒き影に白が差す

ふむむ、今回はなかなか自信作だぞ?
なんと今回は最近GOで出たあのクラスの人です。
誰かわかります……よね?


夢を見ている。

とにかく暗闇しか無い夢を。

夢を見ている。

とても暗くて怖い夢だ。

その闇の中に一際黒い影が現れる。

「貴方は…一体誰?」

そう尋ねても返事は返ってこない。

「私の中で一体何をしてるの?」

すると黒い影が瞬く間に人型になった。

「フッ。良いぜ。質問に答えてやるよ」

その人型は意思を持ち、自分から何か行動ができる様だ。

「俺は、復讐者のサーヴァント。クラスは『アヴェンジャー』というクラスだ」

アヴェンジャー……?聞いた事のないクラスだ。恐らくあのサーヴァント、『セイヴァー』と同じイレギュラークラスだろう。というか何故ここにサーヴァントが?

「聞いた事は無いだろうよ。俺は本来なら存在してはいけない英霊。というよりもともと存在しなかった英霊だ」

存在しなかった?存在してはいけなかった?どういう事だ?

「貴方は一体誰なの?」

「ん?おいおい、今答えたばかりだろう?俺は「違うよ。そうじゃ無い」…なんだと?」

そう。私が本当に聞きたいのは、クラスなどでは無い。

「私が聞きたいのは貴方個人が一体誰なのかということだよ」

そういうと、影は少し考えるような素振りをしたあと答えた。

「はは!俺の正体…つまりは真名を問うというのか?面白い!良いだろう!答えてやる!」

その影は一呼吸おいた後、自らの真名を名乗った。

「我が真名は『アンリマユ』!常世全ての悪だ!」

「アンリ…マユ?それって…」

そう…確か月の裏側にて出逢った女、殺生院キアラが私と対峙した時に使った、アンデルセン曰く最低最悪の宝具の名前にも入っていた。

そして、エミヤシロウの参加していた聖杯戦争で、聖杯を汚染させた原因だったはず…それが何故?

「私の中で一体何をしているの?」

「ふむ、理由を話すとな?閉じ込められたんだよ。ここに」

閉じ込められた?一体何に?

「俺さ、一度だけお前も知ってる衛宮士郎の皮を被って生活していた時があったんだよ」

「そうなの?それで?それと私の中にいるのとどんな関係が?」

「ムーンセルとやらはあの男を英霊として登録した時に、並行世界でありえた可能性と記憶を全部注ぎ込んだ、いわば集合体みたいな形で登録したんだよ」

そうだったのか?知らなかったな…

「そしたらよ、同じ姿を被っていた俺を間違えてあいつの中に入れやがったんだよ」

それってつまりは、この黒いのはアーチャーの一部ってことだよね?それじゃあ余計ここにいる意味がわからないよ。

「そんで、あいつの霊格があの機械に突っ込まれた時に俺も一緒に詰め込まれた訳。それであんたあいつの事装着しただろ?」

「まあ、そりゃあしたけど」

「その時に流れ込んだ記憶あったろ?あそこに混ざって流されたんだ」

なるほど、それでここに流れ着いた訳か。

「いつか出られるといいね。アヴェンジャー」

「…………はは!あんた面白いな!

まぁ、いつ出られるかはわからんが別の奴の言葉を借りるなら「待て、しかして希望せよ」だそうだ。気長に待つとするよ」

目が覚めるといつも通りの天井が広がっていた。どうやらルームメイトはもう既に朝食を摂りに行ったらしい。私も遅めの朝食を摂りに行くとしよう。

私は急いで仕度を済ませ、部屋を後にした。




そうそう、武装欄の事について何ですがなんでささんのご指摘を参考にさせて頂き、是・射殺す百頭を無銘・斧剣にして是・射殺す百頭はアーチャーのskillにしたいと思います。ご意見ありがとうございました!


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理想の王……ではない転校生

みんなが大好きな鈴ちゃんの登場回です。クラスマッチの話の展開どうしようかな〜


朝食を済ませた私は、授業時間ギリギリになっていた為に、急いで教室に来た。するとそこでーーー

「ーーーその情報、古いよ」

と言う声が聞こえた。どうやら他のクラスの生徒が来ているようだ。

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝出来ないから」

腕を組み、片膝を立ててドアにもたれていたのはーーー小中学生くらいの小さい女の子だった。

しかし、この学園の制服を着用していると言う事は恐らく、この学園の生徒なのだろう。

「鈴……?お前、鈴か?」

教室から一夏の声が聞こえてくる。

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

その生徒はどうやら中国の代表候補生らしい。だが、何故ここに?

「何格好付けてるんだ?すげえ似合わないぞ」

「んなっ……!?なんてこと言うのよ、アンタは!」

一夏の知り合いだった様だ。随分親しそうだけどもしかして、幼馴染とか?

っと、丁度織斑先生が来た。これで退くかな?教室に入りにくいんだよね。

「おはようございます。織斑先生」

「ああ、どうした?何故こんな所で止まっている?」

「あれですよ。あれ」

「ん?あれは…」

やはり織斑先生の知り合いでもあったか。さて、

「SHRに遅刻しそうなんで早く行きましょう」

「ハア…そうだな。行くとしよう」

そう言うと織斑先生と私は教室の入り口に向かった。

「「おい(ねえ)」」

「なによ!?」

バシンッ!

うわぁまた痛そうな音だな。可哀想に。まあでも自業自得だよね!

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

「そういう訳で、ごめんね〜っと」

そう言うと私は、二人の横をすり抜けて席に着くと、さっさと準備を済ませた。

そこで一夏が一言、

「っていうかアイツ、IS操縦者だったのか。……初めて知った」

と呟いた。

「……一夏、今のは誰だ?知り合いか?えらく親しそうだったな?」

「い、一夏さん!?あの子とはどういう関係でーー」

あ〜あ、馬鹿だなあ。先生来てるって事はSHR始まる時間なのになんで席に座んないのかな?

バシンバシンバシンバシン!

注意を終えた織斑先生の出席簿が一夏に駆け寄っていた数人に牙を剥いた。

昼休みになり、私はひと息ついていた。

あの後、篠ノ之さんとセシリアが物思いにふけっていて怒られたのは、言うまでもない。

しかし、あのセシリアがみんなに見られてることに気づかずにデートがどうのこうの呟いたのは少し笑ってしまった。

そんな事を思い出していると、

「なあ、白野。一緒に昼メシ食いに行ってくれないか?」

「どうしたの?いきなり?」

「いやさ、俺一人じゃちょっとな…」

「別に良いけどさ…」

チラッと篠ノ之さんとセシリアの方を見る。うわぁ…凄い睨んでる。でもOKしちゃったし…

「サンキュー!じゃあさっそく行こうぜ!」

こいつは少しは察しろよ…

結局食堂に来る途中、何人かのクラスメイトが付いてきた。

そして、食堂に着くと各々が好きなメニューを頼む。因みに私は激辛麻婆豆腐。これを見るとあの売店の店主、言峰神父を思い出す。

みんなのメニューが決まったところで、空いてるテーブルを探す。

すると……

「待ってたわよ!一夏!」

ツインテールの少女が目の前に立ちふさがった。

 




次の話はなんかちょっとした修羅場から始まるかもしれませんね。ところで皆さんジャンヌオルタは当たりました?当たった人はおめでとうございます。当たってない人はどうか諦めずに頑張って下さいね。


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理想の王……ではない転校生②

前回の続きです。修羅場を迎えたヒロインたち…白野はその修羅場から脱出する為、あの技術を使う……!?


「まあ、取り敢えずそこどいてくれ。食券出せないし、普通に通行の邪魔だぞ」

「う、うるさいわね。わかってるわよ」

この親しげなやりとり見ると身長差も相まって、仲のいい兄妹かなにかに見えてしまう。レオもユリウスもこんな風な兄弟だったら幸せだったろうに。

「のびるぞ」

「わ、わかってるわよ!大体、アンタを待ってたんでしょうが!なんで早く来ないのよ!」

それ結構我が儘じゃない?ほら、一夏が無視しておばちゃんに食券渡し始めたよ。

「それに久しぶりだな。ちょうど丸一年ぶりになるのか。元気にしてたか?」

「げ、元気にしてたわよ。アンタこそ、たまには怪我病気しなさいよ」

「どういう希望だよ、そりゃ」

一夏の周りには本当になんか癖が強い女性しかいないなぁ。まあ私は例外だろうけど。

「あー、ゴホンゴホン!」

「ンンンッ!一夏さん?注文の品、出来てましてよ?」

あ、ホントだ。私の麻婆も出来てるや。

「向こうのテーブルが空いてるな。行こうぜ」

こんなにたくさん人がいるのによくあんなに都合よくテーブルがあいてるな。

「鈴、いつ日本に帰ってきたんだ?おばさん元気か?いつ代表候補生になったんだ?」

「質問ばっかしないでよ。アンタこそ、なにIS使ってるのよ。ニュースで見たときびっくりしたじゃない。」

本当に私が来た意味あるんだろうか?無いならさっさと食べて教室に帰りたいんだけど。

「一夏、そろそろどういう関係か説明して欲しいのだが」

「そうですわ!一夏さん、まさかこちらの方と付き合ってらっしゃるの!?」

「私帰っていいかな?」

二人の質問を聞くと、他の娘達もうんうんと頷いていた。

「べ、べべ、別にあたしは付き合ってる訳じゃ……」

「そうだぞ。なんでそんな話になるんだ。ただの幼なじみだよ」

「……………」

「?何にらんでるんだ?」

「なんでも無いわよっ!」

本当に鈍感だ…そういう事に興味が無いわけじゃ無い筈なのにいざとなると気づかないなんて…いくらなんでも酷すぎる…

「幼なじみ……?」

ん?篠ノ之さんが反応した?ああ、そうか。唯一の幼なじみと言うアドバンテージが無くなるんだから当たり前か。

そんな事を考えながら、麻婆豆腐を口に運ぶ。この辛さ…懐かしい…

よし、持ち前のかげの薄さを生かしてさっさと消えよう。

食べ終えた私は、スッと背景に溶け込む様に気配を消し、食堂を後にした。どうやらバレていないようだ。

これもう私も「圏境」を覚えてしまったんでは無いだろうか?次は「无二打」も覚えちゃうか。

なんて下らない事を考えながら私は教室に戻るのだった。




ところで月姫リメイク出るらしいですね。それをプレイできる機体があれば欲しいですね〜。エクステラの方は、最近PSvitaを買ったので、是非買いたいところですね。


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クラスマッチ開始!

今回からは、コメントで指摘された所を修正してきました。読みやすくなってると幸いです。


ついに五月になった。

 

結局あの後、特別なことも無くあの夢

以来、頭痛や目眩などもすっかり消え

て無くなった。

 

そして今から待ちに待ったクラスマッ

チが始まる。私たちのクラスの一回戦

目の相手は二組だった。

 

試合開始のブザーが鳴り響いたのと同

時に、IS同士のぶつかり合いが始まっ

た。

 

しかし、開始早々に私達は驚くことに

なる。何故なら一夏がいきなり【見え

ないナニカ】に吹き飛ばされたのだ。

 

「なっ!?一夏が吹き飛ばされ

た!?」

 

「なんだあれは……?」

 

「やっぱり篠ノ之さんも知らない?」

 

「すまん。こんな時に悪いが私の事は箒と呼んでくれ。」

 

「う、うん。それで?箒にもわからない?」

 

「ああ、一体何が起こったんだ?」

 

すると近くに座っていたセシリアがそ

の武装について説明を始めた。

 

「『衝撃砲』ですわね」

 

「衝撃砲?」

 

「ええ、空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃それ自体を砲弾化して打ち出す。ブルー・ティアーズと同じ第三世代型ですわ」

 

「……つまり、見えない砲身と砲弾を作って撃つってことだね?」

 

小難しい事はわからないので、イメー

ジするとフランシス・ドレイクのskill

だった、『カルヴァリン砲』を見えな

い様にした感じだ。

 

一夏は果たして、そんな代物に打ち勝つ事が出来るのだろうか?

 

(おお、なかなか楽しそうな事してるじゃん!ちょっと俺も見物させて貰おう!)

 

そんな声が頭の中に響く。この声には聞き覚えがある。アンリマユだ。

 

(アンリマユ?貴方、私の意識がある時でも出てこれたんだ?)

 

(ああ、実際に試したのは初めてだけどな。あと、なんか名前で呼ばれるのはむず痒いから、アヴェンジャーで良いよ)

 

そんな事を話していると、すぐにアヴェンジャーは状況を見て、的確にその重要な所を見つけ出し、私に聞いてくる。

 

(へえ、あれってどういう仕組みで撃ってるかわかるか?嬢ちゃん?)

 

(うん、なんでも圧力で作った銃身と弾で戦う武器らしいよ)

 

そしてその答えを即座に別の重要な点へと結びつける。

 

(そりゃ、厄介だな)

 

(ん?何が?確かに見えないのは面倒だけど、そこまででも……)

 

(いや、厄介だ。あの武装は、圧力で銃身を作ってるんだ。つまり、あれの砲身の角度はーーーー)

 

そこまでアヴェンジャーが言った所で、

二組の代表の機体が後ろに回った一夏の機体を衝撃砲で吹き飛ばした。

 

(ーーーーー360度だ)

 

(……全角度に向かって見えない砲弾を打ち出すなんて…)

 

(な?厄介だろ?)

 

すると一度態勢を立て直す為に少し距離を取った二機が、加速し一夏が瞬間加速(イグニッション・ブースト)』によって、奇襲をかけてその刃が、届きかけた時だった。

 

(ッ!?ヤバイ!衝撃に備えろ嬢ちゃん!)

 

アヴェンジャーが叫んだ直後の事だった。

 

 

 

ズドオオオオンッ!!!

 

 

 

アリーナ内を、地響きのような衝撃が襲った。

 

「な、なに!?何が起きてるの!?」

 

「わからない!」

 

「と、取り敢えず避難しましょう!」

 

私は、その襲撃を行った正体をアヴェンジャーに問う。

 

(アヴェンジャー!?アレなんなの!?)

 

(わからねえ…!だが、あの野郎…俺が一目見ただけで莫大なエネルギーが使われてるのがわかる様なエネルギーシールドをたった一撃でぶっ壊しやがった!)

 

(一撃で!?もしかしてあれってISなの!?)

 

(ああ、それも最大級にヤバい奴だ)

 

その場にいた皆が一目散に逃げ始める。それはそうだ。何故ならあのバリアを破壊する攻撃なんて物を人間が受けたら、一瞬で溶けて死ぬ。

 

「おい!岸波!何をしている!?」

 

「逃げましょう!」

 

「…………ゴメン。箒、セシリア、先に逃げて。私はやる事があるから。」

 

そう。あの二人だけでは危険過ぎる。せめてあと一人は時間を稼ぐ役がいるのだ。でも、この場にあれを相手出来るほどの勇者はいない。ならば、何度も死線をくぐって来た私が適任の筈だ。

 

「まさか!?アレの相手をする気ですの!?」

 

「正気か!?それにどうやってバリアの内側に行く気だ!?」

 

「大丈夫。私は大丈夫だから。だから先に逃げて」

 

そう言いながら私はアーチャーを展開する。そしてその手には、一つの弓が装備してある。そして、その詠唱をする。

 

I am the bone of my sword(我が骨子は捻れ狂う)

 

手に一本の剣が、捻れているドリルの様な剣が矢となり現れた。

そこに、出来る限りのエネルギーを籠める。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグ)!」

 

その武器の真名を高らかに告げ、矢を放った。

命中したところには、大きな穴が開いていた。

 

「……え?」

 

「バリアを……破った……!?」

 

唖然とする二人の事は、気にしている余裕はない。私は開いた穴から、バリアの内側に入っていった。

 




どうですかね?読みやすくなったでしょうか?僕としては読みやすくなったと思うんですが


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救う為の悪との契約

サブタイトルで内容がわかりやすい気がする件について、
まあ、それは置いといて、投稿遅れてすみませんでした!
どうも勉強に集中しちゃって書く気になれなかったのです。私的な事情で投稿が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。


アリーナの中に入るとそれに気づいた一夏、凰さん、そしてあの乱入者がこちらに目を向けた。

 

「んな!?アンタは!?」

 

「白野!?どうやって入って来たんだ!?」

 

「ちょっとだけ破った!2人だけじゃ不安だから!協力するよ!」

 

やはり、このバリアを破るのは普通じゃ出来ないらしく、とても驚いている。

 

(おい、嬢ちゃん。アンタなら分かっている筈だ。アンタが加わった所でたかが人間3人程度でどうにかできる相手じゃねえってのは)

 

(わかってる。でも誰かが相手をして止めないといけないから。それで例え3人が全滅したとしても、他の人が助かるならそれで良い。それに私は、今は1人じゃないから。今の私は一騎当千の錬鉄の英雄だから)

 

(………そうか。なら俺は見物させて貰うとするよ)

 

どうやら手伝ってはくれない様だ。

まあ仕方ないと言えば仕方ない気もするが。

 

「で?どうするのよ?確かに3人なら倒せるかも知れないけど」

 

「ああ、だがあいつの攻撃は一撃一撃がヤバい。どうすればいいんだ?」

 

「大丈夫だよ。私達がいればなんとか出来る」

 

「ッ!来るぞ!」

 

3人の目の前を高出力ビームが通過する。この威力は確かに絶大だ。

 

「あっぶないわね!いきなり攻撃してくるんじゃないわよ!」

 

「そんなこと言ってもどうにもならないよ!それより、早く攻撃して足止めしないと!」

 

「あ、ああ!白野の言う通りだな!行くぞ鈴!」

 

私は、その敵の姿を近くで見るとその異様さに圧倒される。その2メートルはあるだろう巨体から伸びた、バリアを破る為に使われた高出力ビーム砲の砲口が、肥大化した両腕から左右で合計4つある。

 

その見た目は、普通のISではあり得ない『全身装甲(フル・スキン)』で、

あの聖杯戦争で戦った怪物である、

『ジャバウォック』を連想させる様な体格だった。(腕の大きさのバランスはリップの様だが)

 

「ちょっと!なにボケっとしてんのよ!攻撃して足止めしようって言ったのアンタでしょ!?」

 

「う、うん、ゴメン!」

 

考える事を止め、両手に剣を構える。

あれは恐らく、見た目通りだとするとあまりスピードは速くない筈だ。

 

「なあ白野。お前のさっきのアリーナのバリアを破った時に使った武器なら一撃で倒せるんじゃないか?」

 

「いや、あれは多分通じないよ。あれの威力は恐らく、あの両腕から撃てるビームと同じくらいの威力。だったら、真正面から撃たれたら無効化されちゃう。それにさっきのは、ギリギリまで威力を高めて撃った一撃。

だからーーーー、」

 

そう、そんなに威力を高める隙も無ければあれを何発も投影するSEはこの機体には無い。

 

『織斑くん!凰さん!岸波さん!今すぐアリーナから脱出してください!すぐに先生たちがISで制圧に行きます!』

 

そんな時に、山田先生から通信が入った。今すぐに逃げろとの事だが、先生が来るまで、誰がコイツを食い止める?そんな人は私たち以外にはいない。

 

「ーーーいや、先生たちが来るまで俺たちで食い止めます」

 

「それに、そう簡単に逃がしてくれるとは思えませんから」

 

「白野の言う通りだ。いいな、鈴」

 

「ふん!誰に言ってんのよ。もとよりそうするつもりに決まってんじゃない」

 

「ああ、そうだな」

 

『織斑くん!?だ、ダメですよ!生徒さんにもしもの事があったらーー』

 

次の瞬間、敵ISがこちらに突進して来た。私は逆に真っ向から向かって行き、すれ違いざまに背中に向かって干将・莫耶を投げつける。

 

命中はしたものの、殆どダメージは無かった様で、少しよろけた程度で終わった。だが、不思議なのは食らったらダメージは無くても衝撃は完全に防ぐ事は出来ない筈なのに、敵は呻き声ひとつあげる事は無かった。まるで、よく出来た機械の様に。

 

「ふん、向こうはやる気満々みたいね」

 

「「みたいだな(だね)」」

 

私が敵の背後に、他の2人が敵の正面を取る形の配置になった。

 

「一夏、あたしとあいつで援護するから突っ込みなさいよ。武器、それしかないんでしょ?」

 

「その通りだ。じゃあ、それで行くか」

 

作戦は、私と凰さんで援護し、一夏の攻撃で圧倒させる戦法らしい。

それを理解すると、すぐに黒塗りの弓を展開する。

 

私の手の中に収まっているこの剣は

赤原猟犬(フルンディング)」。

これは矢として放たれた場合は例え弾かれようと射手が健在かつ狙い続ける限り標的を襲い続ける、赤光を纏った魔弾と化す。

 

凰さんの衝撃砲の発射の直前に弦に番え、引き始める。

 

「発射!」

 

衝撃砲はいとも容易く、その巨大な腕に叩き落とされてしまう。しかし、引きつけには充分だ。

 

「赤原を行け…緋の猟犬!」

 

弓から放たれた魔弾と化した猟犬は、

衝撃砲と同じく簡単に弾かれる。しかし、それは無意味だ。弾かれた剣は、猟犬の名に恥じない追尾能力を持っている。弾かれた先で、旋回し方向を変え再び敵に向かって行く。

 

その予想外の軌道に対応仕切れないのか、赤原猟犬(フルンディング)はISの左肘に直撃する。

 

「ちょっと!?全く効いてないじゃない!なんて硬さよ!?」

 

「そんな……!?無傷だなんて!?」

 

「うおおお!喰らえ!!」

 

怯んだ隙に一夏が突っ込んで斬撃を食らわせる。

が、それも自由な状態の右腕に吹き飛ばされてしまう。

 

「うわああ!」

 

「「一夏!」」

 

やはり、かなりの強さを持っている。

3人でかかっても勝てるかわからない。

そう考えると焦りが湧き出てくる。

この状況はマズイ、早く逃げなければと

 

そんな焦りに呼応して私の動きはマイナスな事を考え始め、それに合わせて動きまで鈍ってくる。それを敵は見逃さなかった。

 

ピピッ!

 

気づくのが遅すぎた。敵の放ったビームは目の前に迫っていた。

 

「っ!?躱せない!」

 

干将と莫耶で防ぎはするが恐らく殆ど無意味だろう。この出力を受けきることは出来ない。

 

「くううう!ああっ!」

 

「白野!?」

 

「一夏!あのビームを真正面から受けのよ!あいつは!武器や装甲で防がれて死にはしないかもしれないけど、しばらくは気絶したままよ!」

 

そんな声が聞こえたが、それ以上の言葉が私に聞こえることは無かった。私の意識は、暗闇の中に落ちていった。

 

 

また暗闇だ。あの時の夢と同じ。暗闇の中に、ただ1人私だけが立っている。

 

「これはアヴェンジャーと会った時の……」

 

すると声が聞こえてくる。

 

「力が欲しいか?」

 

「え?」

 

「誰にも負けない程の強力な力が」

 

「力……?」

 

この声には聞き覚えがある。これは多分アヴェンジャーの声だ。

 

「ああ、力だ。何者にも負けない。全てを蹂躙する力」

 

「…………」

 

「どうした?答えよ。望むのならば汝に与えよう。その力を」

 

「私は……そんなの必要ない」

 

「…………ほう?」

 

「私が欲しいのは、誰かを傷つける力じゃないから」

 

「ほう、では汝は何を欲する?」

 

「私が本当に欲しいのは誰かを、いや、誰もを守り通し、幸福にする力。蹂躙する為の力なんていらない」

 

「そうか、では汝にその力を与えよう」

 

上から黒い泥が垂れてきて、それが人の形をとる。そしてちょうど手の様な形になった所を差し出してくる。

 

「その手を取れ。それが誓約の条件だ」

 

「……………」

 

私はその差し出された手を握った。

その力を使い、皆を守る。

その為に。

 

「ククッ!契約はここに完了した。これより、我は汝の剣となり盾となろう」

 

そこまでを言い切ると、その黒い泥で出来た人型が完全な姿を見せる。

 

「それが…あなたの本当の姿?」

 

「ああ、どうだい?ヤツに似てるだろう?」

 

似てるというより、エミヤシロウそのままなんですが……

 

「しかし、守る為の力か……よく言った。それでこそだ。それじゃ、そろそろ行くか。嬢ちゃんは終わるまで待ってな」

 

「うん、お願い。みんなを助けてあげて」

 

 

「クソ!このままじゃ少しギリギリになるかも知れない!」

 

「しょうがないでしょ!2人しかいないんだから!」

 

2人は、謎のISに苦戦していた。

すると気づかないうちに、その足元には真っ黒な泥が広がっていた。

 

「?なんだよ?この黒いの?」

 

「泥……みたいな感じね?一体どこから……ってあいつからじゃない!」

 

以前、倒れたままの白野から黒い泥が溢れ出している。

そして次の瞬間、その泥が白野の全身を包み込んだ。

 

「なっ!?なんだ!?白野を!?」

 

「包み込んだ!?一体何が起こってんのよ!?」

 

その変化が気になるのか、敵のISもそれを観察している様に見つめている。

 

そして、その泥から白野の体が出た。

その体にはISが、しかしアーチャーとは違う機体を身に纏っていた。

 

「なんだよ?あの機体?」

 

「知らないわよ!あんなの見たこと無いし!」

 

その雰囲気は全くの別物で、まるで別人の様だった。

 

「…………ふう、久しぶりだな。表に出てくんのもよ。さて、さっさと終わらせてやろうか」

 

「あいつ…なんか全然雰囲気違うわよ?」

 

「鈴、あいつは多分白野じゃない。あいつはあんなに凄みのあるオーラは出してないし多分出せない」

 

その白野の皮を被ったアヴェンジャーは、その手にしている異形の剣を構えた。

 

「こいよ!デカブツ!バラしてやるぜ!」

 

相対するは『異形』と『異型』。

ぶつかり合うは、互いに強大な力。

未知同士の戦いの火蓋が切って落とされる。

 

謎のISは、その両腕に取り付けられたビーム砲を放つ。

 

「もうその手は喰わないぜ?こいつにはこういう使い方があるんだ」

 

アヴェンジャーは、両手の指と指の間全てに干将と莫耶を交互に投影し、それを一気に敵機に向かい投げつける。するとそれは、ビームの射線上で重なり一つの盾となる。

 

そして、ビームがその盾に当たると次々と剣が砕け散っていく。

しかし、そのビームの威力は目の前で四散し、皆無となった。

 

〔…………………〕

 

「もう終わりか?んじゃ次はこっちから行くぜ?と言ってもやる事は殆ど無いけどな」

 

そういうと、アヴェンジャーは投影した剣でーーーーーーー、

 

 

 

 

 

 

 

 

自らの装甲を、皮膚を切り刻み始めた。

 




久しぶりに書いたら、白野と呼ぶところと岸波と呼ぶところを間違えそうになりました。
そういえば、今回の終盤登場した機体の武装のイラストを描いたのでよろしければどうぞ(アヴェンジャー用の干将莫耶の見た目が悪いのはすみません、手書きですので)


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決着

えー、何度目かわかりませんが、またまた更新が遅れてしまった事を心からお詫び申し上げます。

私としては、だんだん創作意欲が薄れて来たり、自分の作品なんてどうせ……というネガティヴな思考を持ってしまって書けませんでした。

お恥ずかしい限りです。


「お、おい!何やってんだよ!?」

 

一夏は思わず、驚きの声を上げてしまう。何故ならアヴェンジャーは急に自らの装甲を引き裂き、皮膚までも切り裂き始めたのだから。

 

「あん?見てわかんないの?自傷行為ってヤツだよ!」

 

「てか何で、シールドが作用してないのよ!?」

 

そう、普通ならば武器による傷害行為はシールドによって防がれる。

 

「こいつには、特殊なワンオフアビリティがある。そいつを発動する為には機体と本体がある程度傷つかねえと、発動しねえんだよ!」

 

「傷つかないと発動しない……?それって一体……」

 

次の瞬間、再び熱線の反応が現れた。

 

「うお!危ねッ!畜生!無闇に攻撃して来やがって!どうなっても知らねえぞ!?」

 

アヴェンジャーはいくつかの武器を投影し、敵に飛ばす。自傷を止めはしたが、体はもうボロボロで機体の装甲も裂けてしまっていた。

 

「そっちから攻撃してくれるんなら丁度いいぜ。そら行け!」

 

敵の照射したビームに干将莫耶を飛ばす。しかし、今回は1セットだけだ。

これではかなりの量のエネルギーがアヴェンジャーに直撃する。

 

「ぐおお!痛ってえなあオイ!」

 

やはり、防ぎきるには足りない様で相当なダメージを受けていた。

 

しかし、アヴェンジャーはそのダメージ量を確認するとニヤリとした笑みを浮かべた。

 

「こんなもんでいいかな……?そんじゃあそろそろ、派手に行きますか!」

 

そう言うと、アヴェンジャーは急に残ったギリギリのエネルギーを使い、敵に接近していく。

 

「おい!危ないぞ!そんな状態で近づいたりしたら!」

 

「わかってらあ!お前も来い!突っ込むぞ!」

 

一夏はその言葉を聞くと、はあ!?と叫びながらもアヴェンジャーの後を追い、突撃した。

 

「いくぞ?俺がヤツに触ったら、すぐにとっておきの一発をぶち込んでやれ!」

 

「お、おう!わかった!任せてくれ」

 

その返答を聞き、アヴェンジャーは敵への突撃スピードを更に上げていく。

 

敵機が打ち込んでくるビームは、すべて回避する。

 

接触まで、あと3秒。

 

投影武器を投げつけ、そちらに注意を向かせる。

 

接触まで、あと2秒。

 

手に剣を投影する。

 

接触まで、あと1秒。

 

敵機がビームを放とうと、振り上げた右腕を躊躇なく、防御分のエネルギーを籠めた剣で、切断する。

 

そして、指先が切断口に触れたと同時に、その『呪い』の真名を解き放つ。

 

「逆しまに死ね!偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)!!」

 

すると敵ISの全身に、アヴェンジャーと【全く同じ場所に全く同じ傷】が出来たのだ。

 

「……………!」

 

その事に驚きながらも、次の攻撃を迎え撃とうと残った腕を上げ、一夏を攻撃する謎のIS。

 

しかし、そのビームを放つのが些か遅かった。

 

一夏はすでに、ビームを受けても斬りつけられる程の位置まで、迫っていたのだ。

 

「ぐっ!おお!!届けぇ!」

 

一閃。ISの胴体が2つになる。

 

ビームを受けながらも、一夏はその刃を打ち込み、届かせたのだ。

 

それを見届けたアヴェンジャーは、白野は再び意識を失った。

 




ゴーレム戦終わりましたねぇ(他人事)

最近、自分でも何が書きたいのかがわからなくなってまいりました。

あと、後書きで何言えば良いのかも


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別れの時

少し理由がこじつけかもしれない所が複数あるのですが……どうかそこは生暖かい目で見守って下さるとありがたいです。


ここは恐らく夢の中だ。理由は特に無いが、前にアンリマユに出会った時に似ている。

 

そんな事を考えていると、闇が形を作り人になる。

 

「よぉ、仕事は終わったぜ」

 

「そう。わかった。お疲れ様」

 

「いやいや、労いの言葉なんぞいらねえっての。感謝されたくてやった訳じゃないからな」

 

「え?じゃあ一体なんの為に………」

 

そうだ。感謝や労いがいらないのなら彼は一体何故、私なんかに力を貸したのか?見当もつかない。

 

「ははっ!意味わかんないって顔だな。ん〜そうだなぁ。強いて言うならそれが俺の、いや英雄(おれら)の仕事だからだよ」

 

「そういうものなの?」

 

「ああ、そんなもんさ。まあ俺は反英雄ですら無いけどな」

 

「ふふ。それもそうだね。″常世全ての悪″だもんね」

 

二人で笑い合う。恐らくは二人ともこれから起こる事がなんとなくわかっているのだろう。

 

 

『バグの修正(デリート)』

 

そう。見つかった不具合(バグ)は、必ず消される運命にある。

 

そして、アンリマユはアーチャーというISの中に存在する、バグの様なものだ。必ずそれは修正される。

 

つまり、もう二度と会えない。

 

「ふう、それじゃあそろそろ私は行くね。さようなら」

 

本来なら彼には消えないで欲しいが、生憎そうも行かない。彼はIS特有の修復機能によって、『傷』の一つとして埋められるのだろう。

 

しかし、あの怪物にはワン・オフ・アビリティを使わなければ勝てない。

彼は、自らを犠牲にしてまで助けてくれたのだ。

 

「ああ、それじゃあな。もう二度と会うことは無いだろうがよ」

 

そこまで言うと、彼は″ああ、そうだ″

となにかに気づいた様につぶやき、私を呼び止める。

 

「なあ、嬢ちゃん。いや、岸波白野」

 

「ん?なに?急に改まって」

 

そして、彼は別れの言葉を紡ぐ。

 

「お前の人生には、これからも苦難が降りかかることだろう。それにその

苦難(にもつ)は誰も持ってやることはできない。自分で抱えるしかない。人間に支え合う事が出来るのは苦難(にもつ)じゃなく、苦難(にもつ)の重さで倒れそうな体だけだ」

 

ゆっくりと語り、子供をなだめる様に優しく声をかける。

 

「だがな、どんな事態に陥ったとしても、どんな苦難を抱えたとしても生きている限り世界は続いている。

瀕死寸前であろうが断末魔にのたうちまわろうが、『生きている』ことに変わりはない。

それをーーーーーー、」

 

そして最後にゆっくりゆっくりと、深呼吸をして満面の、人懐っこく優しい純真な少年の笑みを浮かべて告げる。

 

「それを希望がないと、笑う事だけはしないでくれ」

 

その別れの言葉に一度だけ頷き、返事をする。

 

「ありがとう。でも大丈夫だよ。決して諦めたり、希望がないと笑ったりはしない」

 

そう、絶対にそんな事はしない。出来る訳がない。何故ならその苦難だってこの世界にある物なのだから。

 

そして私は、世界にある物に諦めをつけたり笑ったりはしない。

 

だって私はーーーーーーーー、

 

「だって私は、この世界の全てに『恋』をしているから」

 

そう、世界の全てを愛している。

 

彼(アーチャー)の救おうとした人間という生き物を、それを生み出したこの地球という土地を、心から愛しているから。

 

「ぷっ!あはは!やっぱり面白いわ!嬢ちゃんは!」

 

それを聞いたアンリマユは吹き出して笑い始める。

 

「それじゃ、今度こそ本当にお別れだ。そろそろ体も保てなくなってきたし、嬢ちゃんの目も覚める頃だ」

 

「うん、そうだね。それじゃあお別れ」

 

最後に一言。

 

ありがとう。

 

 

その私の言葉はきっと彼に届いただろう。彼は、微笑みなら消えていった。

 

そして、それを見届けた所で私の目も覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん………ああ、夢……か」

 

初めてみる天井。でもなんとなく分かる。

 

清潔なベッド、真っ白なカーテン、少し薬品の様な匂いがするここは学園の保健室だろう。

 

「あ!岸波さん!よかった!目が覚めて!」

 

「山田先生……おはようございます」

 

「ええ、おはようございます。って違いますよ!もう!あんなに無茶をして!先生心配したんですからね!」

 

いつも通りの様子で少し頬を膨らませる山田先生。

 

それを見た瞬間、目の前が霞み始めて頬を一滴の水滴が伝っていく。

 

「うええ!?ご、ごめんなさい!少し怒りすぎですか!?」

 

いつもなら笑っているところなのに、涙が止まらない。

 

そして、やっとその理由がわかった。

 

自らを助けた者が目の前で消えた事への消失感。

 

心に出来た空洞が悲しみを溢れ出させる。

 

もしかすると、アーチャーが私を助けて消えた事と重なって見えたのかもしれない。

 

「違うん………です………ちょっとだけ、悲しい事を…………思い出して………しまって……」

 

ポロポロと涙が止まらない。何故だろう?そこまで長い付き合いではなかったのに。何故こんなに悲しいのだろう?

 

「一人に………して貰っても………いい………ですか………?」

 

「え、ええ。わかりました。でも、何かあったら先生を呼んで下さい。生徒の相談を受けるのも先生の役目ですから」

 

山田先生はそう言いながら保健室を後にする。

 

そして私は彼の為に、

 

この世の全ての悪としての役割を背負った一人の少年の為に、涙を流した。

 

 




白野さんもわかってますけど、涙を流す理由がかなりこじつけで理由として弱いです。何故書いたのかと問われれば気まぐれとしか答えられません。申し訳ありません


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また夢ぇ?いい加減にしてよ……

またまた夢の中から失礼します状態ですよ!(意味不明)
また夢かよ!って感じですよね?これから夢の中でいろいろする回がたまに入ってきます。そうですね……合計7つくらいですかね?さて、この数字……わかる人にはわかるはず


「あれ?私寝ちゃってたのかな?」

 

いつの間にか寝ていた様で、気づくとそこは保健室だった。

 

「……………?なんか長い夢を見てた様な」

 

そう、長くて変な夢。『IS』だとかなんだとか、そんな感じの夢。

 

「おはようございます。先輩」

 

少し離れたところから声をかけられる。聞き慣れた声を。

 

「うん、おはよう。桜」

 

「はい、今日も元気に過ごしましょう」

 

いつも通りの会話を交わして1日が始まる。

 

バチンッ!

 

視界にノイズが走る。

 

チガウ、ココジャナイ

 

「? なんだろう今の」

 

「どうしました?先輩?」

 

「いや……なんでもないよ」

 

感じた違和感を拭いきる事が出来ないまま私は、保健室を後にする。

 

「そうだ。凛に会いに行こう。彼女と話せばきっと気が紛れるはず」

 

凛に会うために屋上へ向かう。その為に二階への階段を上っていくと、

 

バチンッ!

 

また頭痛がし、ノイズが走る。

 

オマエガイルベキバショハ、ココジャナイ

 

「一体なんなの………?」

 

少し急ぎ足で階段を駆け上る。

 

バチンッ!

 

オモイダセ、ナニガアッタノカヲ

 

またその声が聞こえ、また階を上がる。

 

バチンッ!

 

ソノイノチヲカケタ、コロシアイノハジマリヲ

 

屋上の扉を開けるとそこにはーーー、

 

「あら?どうしたの?そんなに息を切らして」

 

彼女がいた。いつもと変わらない遠坂凛が。

 

「いや、なんでもない………と思う」

 

「そう?なら良いけど。それで?ここに来るってことは私に何かあるんでしょう?」

 

「うん、でも……やっぱりそんな気分じゃないからいいや」

 

「ふーん、なにか訳ありって感じね。じゃあ良いわ」

 

そんな会話をして私は階段を下りて行った。

 

何故か階段を下りる時は、声が聞こえて来なかった。

 

「『命を賭けた殺し合いの始まり』か…………」

 

なんとなくだが、私は以前教会の前で何かを見た様な気がする。

 

私は、一階の廊下を抜けて教会の前の花壇に出る。

 

「なに………これ……」

 

そこには地獄が広がっていた。

 

見渡す限り、死体の山となっていて普段は美しかった筈の花壇も血塗れになっていた。

 

そこで再び、

 

バチンッ!

 

オモイダセ

 

自らの成し遂げたことを/ケオトシテキタイノチヲ

 

「嫌……こんなの……」

 

私は、慌てて保健室前の廊下に戻る。

 

するとそこにも、死体の道が出来上がっていた。

 

バチンッ!

 

オモイダセ

 

生きる目的を/キズキアゲタシカバネヲ

 

屍の道を駆け抜ける。その地獄を決して見ないようにしながら。

 

「ハア……! ハア……!一体どうなって……!?」

 

駆け抜けた先に待っていたのは、一階廊下の左端。つまり行き止まりだった。

 

「行き止まり!?」

 

バチンッ!

 

忘れるな/ワスレルナ

 

その真実から/ソノシンジツカラ

 

目を背けるな/メヲソムケルナ

 

「目を背けるなって言ったって………一体何があるっていうの!?」

 

ジッと目を凝らす。しかし、なにも変わらない。

 

真実を/シンジツヲ

 

思い出せ/オモイダセ

 

パキンッ!

 

そんな音と共に、壁に扉が出来る。

 

「扉が!?ここに入れば!」

 

ドアノブを回し、中に入る。

 

扉の中にはーーーーー、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電子の海が360度広がっていた。

 

知っている。ここは確か、

 

「アリーナ………?なんで………?」

 

そして、そのアリーナには1人の男がこちらに背を向けて佇んでいた。

 

「それに…………何故貴方が………?」

 

その男はこちらの声を聞くと、ゆっくりとこちらを振り向き、口を開く。

 

私はこの男を知っている。

 

「全く………酷いなこれは、君なら記憶がない状態でも乗り越えられると信じていたのだが…………あんなにヒントをやったのに最後の最後まで手のかかるマスターだよ君は」

 

掻き上げられた様な白髪

 

「どうやら過度な期待だったのかも知れない」

 

長身で褐色の肌

 

「仕方がないな。君を再び」

 

真っ赤に染まった外套

 

「私が王者に返り咲かせるとしよう」

 

飄々とした人を馬鹿にする様な皮肉っぷりを知っている。

 

「今日から君の教官になってやろう。私の事は気軽に…………そうだな」

 

そう、この男の名はーーーー

 

「アーチャーと呼んでくれたまえ」

 

「アーチャー!」

 

私は、彼の方へ駆け寄っていく。

 

「久しぶりだな。マスター」

 

そう言った彼に対して私は、

 

「うおおおお!」

 

「ぐおおおっ!?」

 

顔面を思い切り殴った。

 

「ふざけんな!何が久しぶりだ!あんた一体こっちがどんだけ苦労したと思ってるの!?」

 

「待ちたまえ!ストップ!ストップ!タンマだ!ここは普通に考えて感動の再会だろうが!なにを考えているのだね君は!?」

 

そうだ。全てを思い出した。何故忘れていたのだろう?あんな記憶は忘れてはいけない筈なのに。

 

「どんだけ………苦労………したことか…………グスッ!」

 

「む?泣いてるのか?マスター」

 

「泣いてないよ!ただちょっと目にゴミが入っただけだよ!」

 

「しかし………まあ、そういうことにしておくか」

 

む、癪に障る言動も全く変わっていない。

 

「でも、なんで私はこんなところにいるの?」

 

「ここは本当の月海原学園ではない。私が君の意識をここに引きずりこんだのだ」

 

「一体どういうこと?」

 

「アンリマユが言っていただろう?君のISである『アーチャー』は私の霊格などが、全て纏めてあの機体に詰め込んだと」

 

そういえば確かにそんな感じの事を言ってたような……

 

「そして、ISのブラックボックスの部分である『コア』。そこには一つ一つに意思が宿っている。その意思と霊格が結びつき、私の人格があの機体に生まれたというわけだな」

 

「そんなことが出来るの?」

 

「さあな。私はただ状況に流された結果がこうだっただけだからな。しかし、昔とある聖杯戦争で架空の英雄の殻を都合のいい人間に被せたサーヴァントならいたぞ」

 

そんなに適当で大丈夫なのかな?

 

「さて、君には強くなって貰わなければいけないといったな。では早速始めるとしよう。ほらこれをつけてみたまえ」

 

そう言うと、アーチャーは私に見慣れたペンダントを放り投げてくる。

 

「あっ、これって…」

 

「そう、君のISだ。それを装備して貰う」

 

私は言われた通りにISを展開する。

すると、次の瞬間に地面が大きく揺れ始めた。

 

「よし、っと。タイミングはばっちりのようだな」

 

「一体なにが起きてるの?地震?」

 

そして、揺れがピタリと止んだ次の瞬間、地面から『なにか』が飛び出した。

 

「よし、マスター。今回の相手はあれだ。あれを倒してみせろ。と言っても正攻法で倒せるほど弱くないがね」

 

「ちょっと!?なにあれ!?あの目玉がついたタコの足みたいなの!?すごい気持ち悪い!」

 

「君はソロモン王を知っているか?それなりに有名な人物なのだが」

 

ソロモン王?それって確か……

 

「七十二の悪魔を従えたって言うあのソロモン?」

 

「よくわかっているじゃないか。その七十二体の悪魔の内の一体があれだ」

 

「え………?うえええええ!!?」

 

あんなのがソロモン王の従えてる悪魔!?趣味悪ッ!

 

「ショックを受けているところ悪いが………来るぞ!」

 

「え?来るって何がってうわぁぁぁ!」

 

あの怪物はいきなり私たちの事をなぎ払ってきた。

 

「全く……だから倒せと言っておいただろう?あれは敵だ。しかも、話し合いなど出来はしない。排除しなければいけないんだよアレは」

 

私は、アーチャーに抱き抱えられる姿勢になっていた。どうやらアーチャーが助けてくれたようだ。

 

「あ、ありがとう。でもあんなの倒せるの?」

 

「ああ、勿論だとも。なにも私は不可能な事をやれだなんて言わないさ」

 

記憶が無い状態であんな状況から抜け出せとは言うのに?それだって不可能だ。

 

「さあ、行けマスター!あれを倒せばひとまず終わりだ!」

 

「ちょっとぉ!?」

 

 




エクステラの無銘のPV見て、「あれ!?ゲイ・ボルク投影してる!?よく見たらガラティーンまで!?神造武器、投影しとるやん!?」って思いましたね。しかし残念だったな!神造武器関連の設定は既に出来ていたのさ!ふははははッ!ざまあみろ!はははははは!
はあ…………何と張り合ってんだろ………俺………


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魔神柱戦

また間を開けまくってしまった・・・・
本当に毎度毎度申し訳ありません。本当はこうなる予定ではなかったんですが、如何せん学生でなおかつ大変な時期ですので・・・
ところで、大変って何回も続けて言うと変たi・・・・
うわっくだらない!


「せいっ!はあ!」

 

このタコみたいなのいくらなんでもしぶと過ぎるとおもうんだけど!?

 

「ちょっとアーチャー!?あれ本当に倒せるの!?そんな気がしないんだけど!?」

 

あの男は、自分にきた攻撃を受け流したり避けたりしながらこちらの戦いを観察し続けている。

 

「言っただろう。正攻法では無理だとな。君が今できるのは『勝つためにするべきことを考える』ということだ。『できること』では断じてない」

 

「す、するべき事!?できることじゃなく、するべきこと・・・!?」

 

考えている間にも、あの魔神柱は攻撃をしてくる。

いくら斬りかかろうとも即座に傷は修復されていく。

そのうえ、不用意に近づくことすら許されない。なにしろ敵は、急に地面から凄まじい勢いで衝撃波のようなものを噴き上げて吹き飛ばそうとしてくるような相手だ。下手に近づけばこちらがやられる。

 

「人は現状で、できることを考えてからその中で実行可能なものを見つけ、選び、行動に移す。だが、こいつ相手ではそれでは遅すぎる。初めから実行に移せ。そうでなければ倒せんぞ」

 

「んな無茶な!」

 

「仕方がない・・・・・ヒントをやろう。奴はコアが体の中心にある。そのコアを潰せばいいんだ。簡単だろう」

 

簡単!?

何を言ってるんだこいつは!?

 

傷は瞬時に回復し、近づくことすらままならない相手の中心にある弱点を突くだなんてできるはずがない!

 

「無茶言わないでよ!そんなことできるわけ・・・・!」

 

「はあ・・・ではもうひとつヒントだ。これで最後だぞ?何故、君は『一つの武器しかつかわない』?さっきから観ていれば、君は干将・莫耶しか使わないではないか。そうじゃないだろう?その機体の使い方は。『するべきこと』は君がアレに勝つためにしなければいけないことだ。しかし、別に「一人でやれ」だなんて言っていないだろう」

 

ーーーー、

そうだ。何故そんな簡単な事に気が回らなかったんだろう?それさえわかればすぐにでも倒せるかも知れないのに。

 

瞬間、頭をフル回転させる。

 

傷が治らぬうちに敵を倒す術はたくさんある。しかし、その半分以上は神造兵装を使用するもの。今のこの機体では、投影することすらできない。しかし、私には『憑依経験』が使える。それならば神造兵装でなくとも、アイツを倒せる可能性がある。

 

「何を使えばいい・・・・?矢はあの衝撃波で効果は薄くなる・・・そして、一番の障害はあの再生力・・・・その回復を上回る攻撃・・・」

 

秘剣・燕返し。あれは駄目だ。確かに対人戦では最強ランクの剣術だ。しかし、別方向から一か所への切り込みではコアまで届かない。それに、あの衝撃波だって破れない。

 

・・・・・。

射殺す百頭(ナインライブズ)ならどうだ?

そうだ。あの技なら、燕返しほどのスピードはなくとも神速を誇るあの技なら威力も充分で届くはずだ。

 

「----投影、開始(トレース オン)無銘・斧剣」

 

「フッ・・・何かに気付けたようだな。しかし・・・あれほど『するべきこと』を考えろと言ったのに・・・」

 

投影を開始する。第5次聖杯戦争にバーサーカーのクラスで現界したヘラクレス。その触媒となった柱を加工した剣。その剣の射殺す百頭(ナインライブズ)しかしらないため、それでしか再現できないのだ。(まあ、本物ではなくとある世界でエミヤ シロウが再現したのを知っているだけだが)

 

魔神柱の目がすべて見開かれ、こちらを凝視した。

次の瞬間、その目から魔力が光線のようになり襲いくる。

しかし、その攻撃は私には届かない。

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

最強にして最硬(さいこう)の魔力の盾が花弁となって開き、迫りくる脅威を跳ね除ける。

 

そしてその魔力の塊を防ぎきり(アイアス)が消えたと同時に投影は完了される。

 

投影、完了(トレース オフ)

 

それと同時に全力で走り出す。

 

経験憑依、開始(トレース オン)

 

先の光線により、大量の魔力を消費した魔神柱は100メートルほどまで距離を詰められても妨害はしてこない。

 

あの一番大きな目玉、間違いなくあそこの奥にコアがあるはずだ。

 

そこに向かい、思い切り跳躍する。

 

相手も死ぬ気は毛頭ないらしく、残った魔力を振り絞り衝撃波を起こしてきた。

 

しかしーーーー、

 

「----遅い」

 

もうすでに射程に捉えている。そして憑依も完了した。

 

経験憑依、完了(トレース オフ)ーーーー全行程、完了(セット)

 

一閃、その斬撃の巻き起こす風圧により衝撃波はかき消される。

 

そして、剣は魔神柱に到達した。

 

一閃、肉を引き裂き目玉を潰す。

 

斬った個所は即座に修復されていくが、遅い。遅すぎる。

 

その驚異的な回復速度を、神速を以って凌駕する。

 

残り7回、そのうちの6回を瞬時に叩き込み斬り伏せる。

 

見えた。黒く煌めく宝石のようなもの。あれがコアだ。

 

そして残りの一撃に全身全霊を込めて、その斬撃の名を唱える(さけぶ)

 

射殺す百頭(ナインライブズ)!!」

 

パリンッ!

という音を立てて、砕け散ったコアが雪のように散っていく。

 

【グギャアアアアアアアァァァ!!】

 

それと同時に魔神柱は断末魔を上げながら、消えていく。

 

「アーチャー!?」

 

「ああ、これで終わりだ。言いたいことはたくさんあるが、とりあえずはおめでとう。マスター」

 

終わった。これでこの戦いは終わったのだ。

 

「それにもうそろそろ君も目を覚ます頃だ。戦いが終わるまで引き留めておくつもりだったが、どうやら寝覚めが悪くならないで済みそうだぞ。マスター」

 

「・・・これでお別れ?」

 

「さあな。まあ生きていればまた会えるかもしれんな」

 

「そっか・・・・うん、また会えるよね。それじゃあね」

 

そうして、私はまた現実(にちじょう)に戻っていく。

 

 




いかがでしたか?今回はパソコンからの投稿&多機能フォームをつかって投稿しているのですが、タイピングで右腕の肘が大激痛です。
そういえば今更ですが、第六章クリアしました。
さらに有償石ガチャでは青槍王をお迎えできついでに、黒槍王と書文先生も同時にお迎えできました。
水着では、星5とマリー以外は全員呼符と無償石で来てくれまして、「あれ?運良すぎじゃね?」と思ったのも束の間、次のキャメロット2でガウェイン大爆死しました。鳥野郎はいらなかった・・・
ついでにほかのゲームの好きなキャラでも爆死しそうです。(吉良○影出ねぇ・・・)
それを思うと心が欠けそうになった。
以上、近辺報告と大喜びからの大転落でした。
それでは、皆様。さようなら~


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夢より覚めて見たもの

お久しぶりのような気がします。試験とかの都合で色々と遅れてしまいました!大変申し訳ございません!


「んん………」

 

「全く、夢から醒めても手を焼かされる。ほら起きろマスター。もうそろそろ準備をして朝食を摂りに行かなければ遅刻するぞ?」

 

「はっ!ごめんなさいお母さん!」

 

んん?あ、あれ?

 

「誰がお母さんだ。いいから早く起きて着替えたまえ。同室の生徒が君の制服を持ってきてくれたぞ」

 

「な、なんで!?なんでなの!?」

 

「なんで?なんの話だ?」

 

こいつわかっててすっとぼけてるな………!

 

「なんでペンダントが!喋ってるの!?しかも聞き覚えのある声で!」

 

「聞き覚えがなかったらそれはそれで怖いだろう。まあそんなことはどうでもいいか」

 

そうだ!どうでもいい!早く理由を言え!

 

「このISのことはわかっているだろう?だから別に不思議なことじゃないじゃないか。君も稀に感じた事があっただろう?『なにか声が聞こえるような気がする』と。それが私だ」

 

もしかして、アクセスしようとするとロックに阻まれてアクセスできなかった『あれ』のこと!?

 

「じ、じゃあもしかして……格好つけてた時の言動って全部筒抜け!?」

 

「うん?ああ、まあそうなってしまうな」

 

oh……mygod………

それじゃあ今までの恥ずかしい格好つけた台詞や、セシリアとの決闘の後の話とか全部聞かれてたの………!?

 

「…………さよならみんな………………」

 

「待て待て待て待て!!早まるな!落ち着くんだマスター!大丈夫だ!誰にも言ったりはしないから!大体飛び降りてもここは一階だぞ!?」

 

「…………本当に?」

 

「ああ、約束するとも」

 

それにしても………

 

「なんて言えばいいのかな?」

 

「なにがだ?」

 

「だってさ、『急に待機形態のISが喋りましたー』なんて言っても大丈夫なものかね?」

 

それってかなりおかしな話だよね。今までにそんな前例あったのかな?

 

「それなら問題はない。私の声は念話と同じで君にしか聞こえてはいない」

 

「ふーん………って!ヤバい!遅刻!急がなきゃ!」

 

「だから言ったのに………ほら急ぐぞ!」

 

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

なんとか授業前に間に合った………

根性ありすぎる系は伊達じゃないぞ!

 

「はあはあ………!ふう………間に合った!間に合ったぞう!」

 

そんな感じで、愛のムチという名目の理不尽な暴力を回避した喜びを噛みしめる。

するといつものメンツに声をかけられる。

 

「おはよう、白野。大丈夫だったか?」

 

「ごきげんよう、白野さん。あれほどボロボロになってそこまで元気とは恐れ入りますわ」

 

「おはよう、一夏にセシリア。箒さんもおはよう」

 

そして、セシリアよ。先ほども言ったが、

根性ありすぎる系を舐めて貰っては困る。

 

「ああ、おはよう。昨日の傷も問題はないようだな。それと、『さん』付けも別にいらん。なんというか……むず痒い」

 

「あ、うん。わかったよ。箒」

 

なんだか親近感を覚えてる私の裏から殺気を感じる…………!

 

「ッ!死んで堪るかぁ!!」

 

よし!間一髪で避けられた!

 

「甘い。さっさと席につけ馬鹿者が」

 

「痛っ!ええ!?」

 

あ、ありのまま今起こったことを話すぜッ!

私は彼女の出席簿を避けたと思ったら、いつの間にか裏に回り込まれていたッ!なにを言ってるのかはハッキリわかると思うが、私はなにをされたのかわからなかった!まあ多分、超スピードとかだと思う。

 

「お前たちもだ!早く席につけ!」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

うわお。見事なまでの統率ぶり。やはり彼女のカリスマ性のなせる技か。ランクならばC近くありそうだ。

 

「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。忘れた者は代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」

 

いやいや、マズイでしょ。なんたって花も恥じらう乙女だよ?私たち。学校指定っていうとあれでしょ?スクール水着。機能美に溢れる学校指定の水着。懐かしいなぁ。あれを着て、サクラ迷宮を駆け回っていた頃が。

 

「では、山田先生、ホームルームを」

 

「は、はいっ」

 

いつも通り、朝のホームルームは開始される。しかし、その内容はいきなり日常とは違ったものだった。

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二名です!」

 

あっ、今目の前にノイズ走った。(ような気がしなくもない)

 

「え………」

 

「「「えええええっ!?」」」

 

「デュフフww恋のフラグビンビンですぞぉwww」

 

はっ!なにか気色の悪い、生理的な嫌悪感を覚えるものに乗り移られた気がする!

 

しかしまたかぁ、2人も同じクラスに入れるものかな?まあいいか。

 

そんな風なことを考えている間に教室のドアが開き、2人の人物が入ってきた。

 

「失礼します」

 

「……………」

 

片方は男で、もう片方は白髪眼帯か。

んん?待てよ?

あれ?男?

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

にっこりとしたなんだか爽やかに笑いかけるようにしてから、一礼する。

 

その様子を目を丸くして、みんなが転校生を凝視する。

 

「「「お、お、男ぉ!!!!??」」」

 




はえ〜〜お月見終わったらまたバレンタインか〜林檎足りねえよぉ〜なんて嘆いてます。ちなみにえっちゃんは当たりました。
あと、すみません。fgoのデータがまた変わりました。ていうかしばらく前から変わってました。フレンドになりたいという方がいらっしゃれば「784,987,680」にどうかお願いします。あと、申し込みの時にプレイヤー名に#をつけていただけるととてもわかりやすくなるのでお願いします。


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転校生が多いですが、白野は今日も元気です

前回、あれだけ感動的な再会を果たした白野とアーチャーですが、アーチャーの出番今回はほぼございません。

「なに!?どういうことだ!?」

「うるさい!爆ぜてアーチャー!!」


「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入をーーー」

 

「「「きゃあああああーーっ!!」」」

 

声が学園中を木霊する。良く言えば元気がいい。悪く言えばうるさい。

 

え?私は違うのかって?当たり前でしょ。イレギュラーなんてない方がおかしいもん。それが大量にあるっていうのも当たり前だよね?………………え?違うの?

 

「男子!2人目の男子!」

 

「しかもうちのクラス!」

 

「美形!守ってあげたくなる系の!」

 

「地球に生まれて良かった〜〜〜!」

 

そこまでか…………?そこまでなのか………?

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

 

いつもより面倒くさそうだ。まあ確かにこのクラスの転校生の多さは異常だが、問題児全てを抱えてる訳じゃないからまだマシだろう。

 

ほら、2組の暴力沙汰をよく起こすチャイナ娘とかさ

 

 

 

 

[2組の教室]

 

「くしゅんっ!やだ………風邪引いた………?それともまさか!一夏がアタシの噂を……!」

 

「凰さん、P120の3行目を読んでください」

 

「え?あ、はい!」

 

 

 

 

「なんてことになってるんだろうなぁ………」

 

なんだろう。そうなっている確信がある。

 

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから〜!」

 

そういえば、転校生は2人だった。もう1人の自己紹介が済んでいない。

 

その転校生の目には、生はあるが全くと言っていいほどに熱が篭っていない。

 

まるで全てを見下した、意思のない機械のように冷たい視線。裏で腕を組み、胸を張った姿勢を崩さない。

 

口を開くこともなく、ただ佇み続けている。そして、視線は織斑先生から外れることはない。

 

しかし、初めてではない。妙な既視感がある。彼女ではないが、自分は似た人物を知っている。

 

「………挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

その立ち振る舞いはまるで、軍人のようだ。

否、恐らく彼女は軍人だ。

 

織斑先生はドイツで軍隊の教官をしていたことがあったらしい。そのときに彼女と何らかの関わりを持ったのだろう。

 

織斑千冬ほどの大物ならば、軍との繋がりがあってもなんら不思議ではない。

 

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

やはり、その冷たい感覚はなくならない。彼女を見ていると、無機質な機械を連想させられる。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

「………………………」

 

もう1人の時とは打って変わった沈黙。

痛いほどの沈黙とはまさにこのことだ。

 

「あ、あの、以上………ですか?」

 

「以上だ」

 

やっぱり思った通りだ。彼女は似ている(・・・・)

 

(ラニそっくり、か?マスター)

 

(アーチャーもそう思う?)

 

念話でアーチャーが語りかけてくる。

 

(ああ、しかし彼女とは決定的な違いがあるな)

 

(うん、彼女はラニほど感情が多くない)

 

そう思った瞬間だった。

 

「! 貴様がーーー」

 

転校生、ラウラが一夏の方へ向かっていく。なにかあったのだろうか?

 

パシンッ!!

 

乾いた音が辺りに響く。

 

一夏の頬に思い切り平手打ちを食らわせたのだ。

 

それでもラウラの表情は氷のように動かない。

 

「………………………」

 

「う?」

 

一夏が間が抜けた声を出している。そして、何秒か経ってから声を荒げた。

 

「いきなり何しやがる!」

 

その言葉も当然だろう。初対面の少女にいきなり殴られたのだから。

 

「ふん………」

 

そのまま、空いている席へと歩いていき、座ると腕を組んで目を閉じて微動だにしなくなる。

 

これには流石の私も動揺する。何が起こったのかは理解出来たが、理由がさっぱりわからないからだ。

 

織斑先生が「あー………ゴホンゴホン!」と咳払いをして、

 

「ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

それでいいのか教育者…………まあ、家庭内でいいと思われているならいいのか?

 

件の転校生と理不尽な暴力を受けることに定評のある一夏がアリーナの更衣室に駆けていった。

 

さて、私も一肌脱ぐか…………

 

 

 

 

「いたっ!みんなこっちこっち!」

 

見つけた。そして即座に各人で男子2人を探している女子生徒に位置を知らせる。

 

「あっ!白野!お前裏切ったな!?この裏切り者!!」

 

なんて声が聞こえたがシカトだ。これぞ最近の楽しみ。

 

「HAHAHA☆愉悦!」

 

「この野郎〜〜〜ッ!!後で覚えとけよ〜〜ッ!?」

 

そんな叫び声を背に、着替える為に教室に戻る。といっても、私は服の下に既にスーツを着てるから制服を脱ぐだけでいいんだけどさ。

 

 

 

 

「遅い!」

 

当然そうなるだろう。そう仕向けたんだから。

 

そしてまた一夏がなにか意味不明なことを考えているところに

 

「くだらんことを考えている暇があったらとっとと列に並べ!」

 

愛のある指導(物理)を食らって、列に加わった。

 

そして、授業が始まる…………のだが、

 

「はあ!?一夏、アンタなんでそうバカなの!?」

 

その声が響き、織斑先生が「はあ…………」と溜め息をついて声の主のもとへ歩いていく。

 

「ーーー安心しろ。バカは私の目の前にも2名いる」

 

なにが安心できるのかはわからないが、出席簿アタックの餌食が2人増えたのは確実だ。

 

バシーン!

 

今日もいい天気だ!




プーサー(プロト・アーサーの略称)…………出ないよ…………
新茶(新宿のアーチャーの以下ry)………………出ないよ……
ということで、いつも通り?の大爆死でした。あと、自分は八連双晶難民なんで本能寺のアイテム交換見たときに涙を流して喜びました。同志たちよ!今こそ双晶入手に立ち上がる時だ!


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食事をしてたら勝負を挑まれた!?なんでや!?

また遅れまくってしまった…………本当にすみません!許してください!なんでもしますんで!CCCコラボの予想以上の難易度や、リアルでの新生活に慣れるのに時間がかかってたんです!


お昼休みになり、私は食堂で昼食を摂っていた。今日のランチは鯖の味噌煮ランチだ。

今日はなんか嫌な予感がしたので学食だ。屋上に行けば、なんか取り残されそうな気がしたから…………

 

まあ、クラスの友達とは違う席で食べてるために見事なまでのボッチ感を出している。

 

(聖杯戦争の時とは全く逆だな。あの時はいつも誰かに話しかけたり話しかけられたりしていたものだが)

 

なんてアーチャーが皮肉ったらしく言ってくるものなので、さらに惨めさが増すというものだ。

 

(やかましい。私だってちょっとは寂しいよ。でも、仲間内の輪の中に勝手に入っていくのも無神経だと思わない?)

 

(まあ…………一理あるが………学園生活は楽しんでおいた方がいいぞ。三年間なんていうのはあっという間だ。気づいたら、人の手伝いなんぞに明け暮れた挙句、ロンドンに留学してたなんて洒落にならん)

 

ああ、遠坂凛とのことか。そういえばこの男は生前に、彼女と同姓同名で瓜二つの女性と交流があったな。

あの世話焼きな彼女との暮らしなんて結構面白そうな気もするけど。彼女、あれでトラブルメーカーなところあるし。万年うっかりだし。

 

「ねえねえ、ハクノン?」

 

(そもそもさ、彼女とはどういう馴れ初めでどういう関係になったのさ?)

 

(いや、君は既に見ているではないか。私は学校でアイドル的な人気の彼女とは平々凡々な赤の他人のところから始まったんだよ。どうやら向こうはこっちを知っていたようだったが)

 

そりゃあ頼まれれば雑用や力仕事までなんでも引き受けてくれる便利屋を知らないわけないでしょうよ。

 

(で?どういう関係までいったの?)

 

(どういうと言われてもな…………どういう関係だったんだろうか……………?)

 

え?嘘でしょ?自分が共同生活してた人との関係知らなかったの?本気?

 

(オレとしては仲は良好だったと思うぞ?ただ、自分と他人では評価が違ってしまうだろう?それで勘違いを引き起こしてしまうなんてナンセンスだ)

 

うわぁ、ありえないよコイツ。一緒に暮らしてる時点で向こうが自分をどう思ってるかくらい気づけよ。

 

「ねえってば〜ハクノ〜ン」

 

「え?あ、うん?ごめん、ボーっとしてた。ど、どうしたの?えーと」

 

「私、布仏 本音(のほとけ ほんね)。まだ挨拶してなかったよね〜?よろしくね〜」

 

ちょっと驚いた。ていうかアーチャーは気づけてたでしょ?何故言ってくれなかったんだ?

 

(いや、わかってて無視しているのかと)

 

んなわけないでしょ。

オタク馬鹿なの?

 

(む、なぜかその言い方には腹が立つな。やり口が陰湿な緑マントを思い出す)

 

「おーい、大丈夫〜?」

 

「ああ、ごめんごめん。大丈夫だよ。それで、どうしたの?」

 

「いや〜、ハクノン1人で食べてるから寂しそうだな〜って思って。一緒に座っていい?」

 

「ハ、ハクノン?」

 

「うん!岸波白野だから、ハクノン!」

 

所謂、あだ名というヤツだね。同年代の女子とはあまり話さなかったし、凛やラニは真面目な感じであだ名なんてつけるタイプじゃなかったから新鮮だ。

 

「そっか、ハクノンね。なんかいいね。そういうの。じゃあ一緒に食べようか」

 

「やったー!あれ?そのペンダントって」

 

「これ?これは私のISだよ。 アーチャーっていうの」

 

そういいながら私はペンダントを掲げる。

 

「あっ、この中に描かれてるのってハクノンが使ってる剣でしょ?」

 

「うん。干将と莫耶っていうんだ」

 

まあ有名な剣じゃないし知ってるわけが………

 

「ヘぇ〜中国の伝承にある剣と同じ名前なんだ〜」

 

知ってる!?この娘、こんななりで割と博識だ!

 

「知ってるの?」

 

「うん、刀鍛冶の夫婦が鍛えた剣だよね」

 

まさかそこまで知ってるとは思わなかった。彼女一体なにもの?

 

「そうそう。互いを引っ張り合う力を持ってるんだ。あとは同時に持ってるとビーム兵装に対する防御力が上がるの」

 

「ほぇ〜不思議な武装だね〜あっ、私そろそろ行くね〜」

 

「うん、それじゃあ」

 

布仏さんと別れて、私も次の授業のために席を立ち食器を返却しに行く。

 

(それにしても不思議な雰囲気な子だなぁ。のほほんとしてるっていうか)

 

(ああいうタイプの女性は、いるだけで周りを和ませられるタイプだからな。なかなかいないぞ。そういうのは)

 

ふと、食堂の入り口に目をやるとそこには水色の髪の少女が立っていた。

その少女は、見るからに上品そうな出で立ちで優雅に口元を扇子で隠していた。

 

(彼女…………)

 

(ああ、強いぞアレは。とてもではないが、あの優雅さからはイメージがつかないほどにはな)

 

何者だろう?そんなことを思った瞬間のことだった。

 

その少女は気づかないうちに私の目前にまで迫っていた。

 

「うわわっ!?」

 

そんなマヌケな私の声になど興味も示さずに私の全身を品定めするように見ている。

 

(ほう…………なるほど、ここまでとは)

 

などとアーチャーは感嘆の声を漏らすが、私からすればそんな場合じゃない。

 

「あ、あの………………どちら様ですか………?」

 

「ん?ああ、いきなりごめんなさいね。私はこの学園の生徒会長の更識 楯無(さらしき たてなし)って言います。よろしくね?」

 

生徒会長!?そんな人が一体私になんの用があるというのだろうか?

 

「生徒会長さん?私になにか御用でしょうか………?」

 

「そんなに畏まらなくてもいいわよ。それで、貴女がイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットちゃんを倒した岸波白野ちゃんでいいのよね?」

 

え?たまたま目に付いたとかそういうのじゃなくて、もとから私を探してたの?

 

「はあ…………確かに私ですけど」

 

「うん、うん、よし!白野ちゃん!私とISで勝負しましょう!」

 

はい?なんですって?勝負?ISで?

 

「す、すみません!私なにかしちゃいましたか!?」

 

これはあれかな?「ちょっと調子乗ってるから後で体育館裏な」的なアレなのか!?

 

「ーーーーーーーー」

 

ヤバい………無言だ……………これはガチでヤバいやつだ…………!

これはなんとしてでも許してもらわなければ!生徒会長っていうことはきっと実力的にもかなり上のはず!そんな人に目をつけられちゃ今後の学園生活に支障が出る!

 

「ーーーーっぷ!アハハ!違うわよ!別にそんなんじゃないわ!フフフフ!あー!おっかしい!」

 

「え?」

 

あ、あれ?違うの?〆あげるとかそういうわけじゃないの?

 

「ただ、興味があるだけ!貴女がどれほどの実力者なのかを見ておきたいの。ロシアの国家代表としてね」

 

「そ、そうだったんですか。あ、アハハハハ………………」

 

よかったぁ。普通の人で。本当に1年目から酷い目にあう所だった。

 

(おいマスター。君は話を聞いていたか?彼女は一国家の代表だそうだ。君はそんな人物に戦いを挑まれているんだぞ?セシリア嬢は1年生で、君の実力を知らずに慢心しきっていたが彼女は違う。代表候補を倒したということを知っていて、その上にこの学園の生徒会長という役職ときた。さっきの身のこなしといい、現段階で彼女と同格と言える人物は恐らく少ないだろう)

 

長い解説付きのアーチャーの警告は最もだろう。しかし、そんなものは百も承知だ。だが彼女には、抗い難いナニカがある。カリスマ性、まるでそれは呪いのように何かを惹きつける感覚がある。

 

「わかりました。やりましょう。いつにしましょうか?」

 

「うーん!いいね!ノリがいいのはお姉さん大好きよ!日時は……………今日の放課後でいいかしら?アリーナの手続きとかは済ませておくから、とりあえず第1アリーナに来て頂戴」

 

今日の放課後はなにもなく、暇なので好都合だ。

 

「それじゃあまた後でね〜♪」

 

「なんか奔放な感じの人だったな…………」

 

とりあえずは、今日の予定が決まった。放課後に生徒会長の更識楯無との勝負………!

燃えてきたぞ……………!

 

(君、そういうキャラだったか?)

 

やかましいわ。いろんなことがありすぎて錯乱状態なんじゃ。




これ、最初は屋上でワンサマーと愉快な仲間たちと一緒に食べる話だったんですけど、いざ書いてみると見事に白野さんが置いてけぼりになったので現状態になりました。次回はvs生徒会長です。

はあ…………1万5千円の課金は軽くはないですね。金欠学生の身からすればこれ以上は………って感じで。
ちなみに結果は、メルトキアラ×1のリップ×3です。副産物でクリミアの天使も来ました。
最近なんかガチャの女神が微笑んでくれてますね…………
あれ?これ不夜城のキャスター当たらないフラグなんじゃ………?


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霧を纏いし、淑女の舞踏

珍しく早めな投稿でしたね。代わりに、テスト勉強をちょっと疎かにしたような気もします。

それと、『SERIO』様、『シヤタ』様、誤字報告と設定の御指摘、ありがとうございました!まだまだご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、今後ともよろしくお願いできればと思います!本当にありがとうございました!


放課後になったので、約束通りに第1アリーナへと向かう。

 

(ねえ、アーチャー。私勝てると思う?)

 

なんて質問をペンダントに投げかけてみる。

 

(いいや、今回ばかりはどう足掻いても無理だと私は思っている。今のままの私たちでは彼女に勝てる未来が見えない)

 

やっぱりそうか。まああんなレベルのものを相手にしろなんて言われても勝てるわけがない。

 

例えるなら、レベル1で昼間にガウェインに喧嘩を売るようなものだ。そんなことをしたら、その先にあるのは敗北の道ただ一つだろう。

 

(いや、その例えですら生温いな。日中のガウェイン卿はランスロットに防戦をされて日没まで耐えられたそうだ。現状ではそこにすら到達は出来まい。一方的に翻弄されて終わりだ)

 

と、心眼(真)持ちの男が言うからにはその通りなのかもしれない。

 

「っと、着いた。先輩は中かな?」

 

アリーナに入ると予想通り、会長が待っていた。

 

「すみません。お待たせしました」

 

「いいのよ♪そんなに待ってないもの。それじゃ、早速始めましょうか!」

 

そう言って、私たちは自分たちのピットへ向かう。

 

 

 

 

 

お互いの準備が整い、あとはピットから射出されるのを待つだけだ。

 

(さて、お手並み拝見だ。生徒会長さん)

 

などとアーチャーが呟く。その声の様子には、まだいつもの飄々とした感じが残っている。

 

(ちょっと?全力で行くからね?)

 

(ああ、わかっている。だが、最初からそんなに気張っていても仕方あるまい?)

 

(そうだけど……………)

 

と、射出の準備も終了したようだ。

 

行くとしよう。この戦いから何かを学べるような気もする。

 

「よし!岸波白野、アーチャー!行きます!」

 

カタパルトによって機体が高速で前方に押し出される。

 

フィールドに出るとそこには水色を基調とした機体を身に纏った会長がいた。

背中から突き出ているパーツからは、流体の膜のようなものが出ている。

手には西洋の騎乗槍のような武装を握っている。

 

(見た限りだと、遠距離に特化した機体とは思い難いな。どうする?敵の懐に飛び込むか?それとも距離をとって戦うか?)

 

アーチャーの問いかけに意味があるようには思えない。恐らく意味などないのだろう。何故なら、どんな武器を使う人間だろうが場合によっては全く別の武器を使って戦うというのはこの男が最もよくわかっているはずだからだ。『弓兵だとしても場合によっては、剣だろうが盾だろうが使う』と。

 

ならば、

 

(近接戦で行く。まずは相手の十八番を見てから次の手は決める)

 

(了解した。できる限りの援護はしよう)

 

その返答を聞くや、私は機体のスラスターを噴かせて距離を詰める。

 

「やあっ!」

 

「なるほどね。その剣が主武装なのかしら?」

 

ガギンッ!!

という激しい金属音と共に、私の手に握られていた干将・莫耶の刀身がいとも容易く砕け散る。

 

「なっ!?」

 

この人は何をした?どうして刀身がこうも簡単に砕け散っている?

 

「でも、これでその剣は使えなくなったわね」

 

ニコッという笑みを浮かべる会長。しかし、その笑みで私の背筋は凍りついた。

 

(なるほどな。マスター。その面構えを見るに彼女が何をしたか見ていなかった…………いや、見えていなかった(・・・・・・・・)ようだな)

 

(どういうこと…………?)

 

本当だったら聞きたくもない。それだけで、どれほどの差があるのかを思い知らされることになる。

 

(彼女は手に持った槍の穂先に近い部分を持って槍のリーチと引き換えに、攻撃のスピードを上げた。その槍で君が剣を振り下ろした瞬間に、その振り下ろす勢いを利用して干将と莫耶を目にも留まらぬ速さで、かつ一撃ずつで破壊したのだ。まさか、同じISの武装なのにここまで強力な一撃を瞬時に繰り出せるとはな)

 

(そんな…………ことが……?)

 

違いすぎる。あまりにも実力が。

決定的すぎる。その差が。

 

それでも、まだ負けたわけではない。まだだ。干将・莫耶は主武装であるが故に1セットではない。全ての武器を失った訳でもない。諦めるには早すぎる!

 

一旦距離をとって、黒塗りの弓を展開する。

 

「どうすれば破れる?同時に同じ方向から攻撃するから防がれた。だったら2方向から同時に攻撃をすればいい?」

 

長く考えてる時間はない。早く行動に移さなければ。

 

投影、開始(トレース・オン)

 

「へぇ〜銃じゃなくて、弓なんて面白いわね。さて、どんな攻撃を見せてくれるのかしら?」

 

再び干将と莫耶を展開すると、それを目一杯の力で反対方向に投げる。

 

(何処を狙って………?)

 

そして新たに一振りの黒い剣を展開させる。

手に握られた剣の形状を変質させ、風による抵抗を限りなく減らす。

 

それによって造られた矢を弓につがえる。

チャージ時間0では間違いなく防がれる。それでは全く足りていない。

 

弓を引き、そこにエネルギーを溜め続けて5秒ほどの時間が経つ。まだだ。まだ足りない。

 

「来ないの?ならこっちから行こうかしら?」

 

会長がこちらに猛烈な勢いで突っ込んでくる。この距離ではあと1秒ほどだろう。チャージ時間は7秒。あと数秒。

 

「ッ!背後から!?」

 

先程投げた干将・莫耶の互いを引き寄せあう性質を利用して敵の背後から襲いかかる。

 

ISはその機能で、視界が360°になっている。

 

所詮は時間稼ぎだ。当たるなど最初から思っていない。

 

これでもう2秒稼げた。あとは………

 

「やってくれたわね!でもそういうの、嫌いじゃないわ!」

 

それでもなお、こちらへと突っ込んでくる。

 

時間は充分に稼いだ。ジャスト10秒だ。

 

手に携えるは、緋の猟犬。放たれれば魔弾と化して、射手が健在である限り狙った獲物を追い続ける。その魔剣の名はーーー、

 

赤原猟犬(フルンディング)!!」

 

「速ッ!?」

 

そう言いつつも、会長は私の一射を躱してみせる。

 

「避けられた!?」

 

音速とまでは言わないが、下手な銃弾よりは速いはずだ。それすら避けられるなんて………

しかし、

 

「また裏から!?しかも、さっきの矢!?」

 

今だ!あの矢のスピードならば会長に完全に追いつき、直撃するに至れるだろう。しかし、それは彼女を繋ぎ止める方法があればの話だ。今の彼女にそんな物は無い。ならば簡単なことだ。一瞬ではあるが、気を引けることが干将・莫耶1セットを犠牲にしてわかった。

 

たったの一瞬、それでも充分だろう。先程と同じように私は、会長に向かって全速力で突っ込む。その途中で、会長の周囲を無数の剣で囲んだ。これで完全な『檻』が完成した。全方位、逃げ場はない!

 

「これは……………!!」

 

「獲った!!はぁ!」

 

完全に仕留めた。そう確信した瞬間だった。

 

剣の動きが止まりこちらに剣先が向いた。(・・・・・・・・・・)

 

「なっ!?」

 

(不味い!壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!)

 

アーチャーが干将・莫耶を爆破した爆風で私の体は後方に吹き飛ばされ、体制を整えられずに堕ちていく。

 

次の瞬間、つい一瞬前まで会長を囲っていたはずの剣が私のいた位置に飛んでいく。

 

「けほっ!けほっ!うう、助かったよアーチャー」

 

(礼など不要だ。それよりも彼女に集中したまえ)

 

そう言われて、会長に目を向けるとそこには数本の剣で円陣を作り、こちらに刀身を向けながらそれを回転させている彼女の姿があった。

 

(まさか、こちらの武器を盗まれるとはな。贋作を盗むとは彼女も物好きらしいな)

 

いつも通りのアーチャーの皮肉をスルーしてアーチャーに尋ねる。焦りからか、動揺して声を口に出してしまった。

 

「一体何が………!?」

 

(あの水だ。あの水が彼女の秘密兵器のようだな。なんとも強力なことだ。あの剣を動かそうとしても硬く掴まれているようで全く動かん。それにあの槍だ。気づかなかったが、あの槍にはどうやらガトリングガンが装備されているようだ。赤原猟犬(フルンディング)はそれで撃ち墜とされたのだろう)

 

よく見ると、剣の両端に10cmほどの水で出来た球が付いていた。

あれが、秘密兵器………………?

 

「驚いたかな?これが私の霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)の特殊な機構だよ」

 

「水を操れる………………ってことですか?」

 

その答えに対して、会長は首を横に振る。

 

「これは、この機体に搭載されている『アクア・クリスタル』っていう機構が生み出している、アクア・ナノマシンっていう物なの」

 

「ナノマシンですか…………」

 

ナノマシンとは、0.1〜100nm(ナノメートル)サイズの機械装置のことだ。それを液体の中に入れて、水を操っているのだろうか?

 

「それにしてもさっきの攻撃はなかなかに良かったわ!ちょっと感心しちゃったもの!」

 

子供のように無邪気に目を輝かせながらそう投げかけてくる言葉には嘘は含まれていないように感じる。本心からそう思っているのかもしれないし、そう思わせる技術があるのかもしれない。

 

「お褒めに預かり光栄ですよ…………」

 

軽口を叩けつつも、次の手を考える。何をするべきかではない、何が出来るか(・・・・・・)を考えるのだ。するべきことなんて定まらない。このレベルの相手に通じることなんてほとんどないだろう。だからこそ、出来ることを考える。考えついた手を片っ端から、エネルギー残量が許す限り試していく。

そうでなければ、きっと活路なんて見出せないから。

 

(ふむ、多数ある選択肢の中からほんの一握りしかない解答を見つけ出すのは至難の技だぞ?それでもやるか?)

 

当然だ。そんなのは一考の価値もない。

根性ありすぎる系の力を見せつけてやる。

 

「おっ、その顔…………まだやる気だね?うんうん、良いね〜!最高だよ君!」

 

「その余裕、すぐにでも覆してみせます!」

 

まだ、戦いは始まったばかりだ!




うーん、投稿が早すぎてちょっと話すことが見当たりませんね。
そういえば、皆さんは今まで好きだったものが億劫になっちゃったことってありますか?僕は最近、あまりにもスマホのアプリが楽しすぎて今まで結構やってたFPSが凄く面倒になっちゃったんですよね〜上手くはなかったんですけど、結構やってたんで少し驚いてます。スマホゲーって怖い…………


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未だ活路は見出せず

よしよし、なんとなく考えが安定して来ましたよ。次のお話ももう書き始められます。会長戦は少し長引くかもしれませんがそれでもよろしければ、どうかお付き合い願えればと思います。


(マスター…………そろそろ懲りたか?)

 

「はあ………はあ…………!ま………だ………まだ……………!」

 

ダメだ…………!何をしても通じない……!どんな強力な宝具を使ったとしても全てあの水のベールに阻まれる!次の手…………!次の手は!?

 

(もうそろそろいい頃合だろう。諦めろ。正攻法では攻略出来ん)

 

そんなことはわかっている!でも、どんな武器でもあの水を攻略しきれない!

 

「じゃあ…………どうしろっていうの………!?」

 

喉からギリギリで捻り出した声に、アーチャーは答える。

 

(ひとつだけ…………まともに戦える方法がある)

 

戦える方法………?

 

(アンリマユの件は覚えているな?)

 

(アヴェンジャーがどうしたっていうの……?)

 

そんなのが今この状況の打破に繋がるなんて考えられない。

 

(アレは、いつかの現界時にエミヤシロウの皮を被ったためにこの機体に入っていた。ならば、同じ境遇の同名の男(・・・・・・・・・)がいてもおかしくは無いと思わないか?)

 

(そんな人間が……………?)

 

(いないとも言い切れない。実際、アンリマユは私とはなんの接点もない存在だった)

 

そうか、アヴェンジャーのように何かの手違いでこの機体の中に入れられた英霊が他にいるかもしれない。

 

(でもそんな都合のいい英霊がいるっていうの?)

 

(1人だけ、全くの別人だがオレ(・・)と同じ名で似た経緯で世界と契約した守護者がいる)

 

一人称が変わった……………ということはこの男のプライバシーな部分ってことなのか?

 

(君にはその男のデータが無いかどうかを探って来て貰う。その際、肉体は意識を手放すことになるがその間は私が受け持とう)

 

(…………………………)

 

それが、唯一勝利に達することの出来る方法ならば私はやる。私は勝ちたい。勝ってアーチャーの存在を人々の記憶に刻み付けたい。

こんなどうしようもなくて、バカな男の名を消したくない。だからこそーーーー

 

(やるよ。体は任せる。私はその英霊のデータが転がっていないかを探してくる)

 

(ああ、任せたぞ。では)

 

目前にウィンドウが現れる。

 

[機体データ領域侵入まであと5秒。4、3、2、1、0。侵入を開始します]

 

私の意識はそれと同時に消え、データ領域の中へと潜って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ終わらせようかしら?ねえ、白野ちゃん?」

 

「悪いが、そういうわけにはいくまい。相手になるかどうかはわからんが、少なくとも先ほどよりは上手く立ち回ってみせよう」

 

(…………………?纏っているオーラが変わった?なんというか、油断して掛かったら間違いなく足元を掬われる気がする……)

 




実は、今回の話を少し長くさせて今回限りで会長戦を終わらせようと思ったんですけど前に戴いた質問の中にあったものに「む、これは………」と思ったんでそちらに書き直しました。もともとは『清き激情』でソードバレルで展開された武器ごと白野ちゃんを吹き飛ばして、決着という形でした。
さて、皆様怒涛の2連復刻イベントを満喫していらっしゃいますか?僕は、20連して頼光様を逃して少し傷心状態の時に初心者の友達が単発で引き当てたのを知って「くそぅ!マッマのこと何も知らない癖に!」と、見苦しい嫉妬をしてしまいました。不夜城でリベンジします。(水着イベはアロハクーちゃんが出て欲しいのです)


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時のある間に薔薇を摘め

すみません、今回だけで終わらせようとしたら区切りがあまりにも多すぎたので、恐らく次回まではこの話の続きです。


[データ深層域への意識ダイブ完了です]

 

どうやらデータの中に意識を入れることが出来たようだ。さて、ここからが重要だな。

 

「まずはこの世界の事を理解しないと」

 

見渡すとそこは海が広がっていた。といっても、ムーンセルのアリーナとかサクラ迷宮とかとは違う本物の海だ。それにしてもリアルだ。

 

「どこなんだろ?ここ」

 

私はIS学園の制服を来ているようだ。その状態だと日差しや湿気なんかも相まって、とても暑い。蒸し暑い。

 

「なんか、南国って感じのイメージだな」

 

そう独りごちたときだった。背後から何かの気配がしたのだ。

 

「…………!誰かいるの!?」

 

振り返ってみてもそこには誰もいない。

 

「なんだったんだろ…………まあいいや。とりあえず、ここにいてもしょうがないよね」

 

さっきの気配はやはり気になるが、ここに突っ立っていてもなにも始まらない。人の気配はありそうだし、島の中心の方へ歩いて行ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いてみると、明らかに整備された道が出て来た。コンクリートで固められた訳でもないが、しっかりと整地されて看板も立てられている。

 

「んー、でもこの字なんて読むんだろ?」

 

もちろん日本語では無いし、少なくとも英語でも無いんだけども。

なんとなくだけど、文字の形的にアジア圏だと思うんだよね。ヨーロッパとは違う感じ。

 

すると、何かのエンジン音が聞こえてくる。恐らくは、軽自動車か小型のトラックかな?

 

「んー、ビンゴ」

 

軽トラックで当たりだった。少し声をかけてこの島の事を聞いてみよう。

 

「すみませーん。少し話を………ってあれ?」

 

手を振りながら声をかけて見たものの、止まるどころか見向きもされなかった。

 

「おっかしいなぁ…………海外じゃ普通なのかな?」

 

乗っていたのは褐色でポニーテールの少女とタンクトップの少年だった。あの年でそこまで目が悪いなんてありえない。だいたい、そんなに目が悪いなら運転出来ないし。

 

「ていうか、あの男の子日本人じゃなかった?」

 

そう呟いてまた歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷った…………完全に迷った。

 

結局看板も読めず終いだし、足踏み外して急勾配な坂を転げ落ちるし。あー、もうめちゃくちゃだよ。

 

「いやーん!まぢで制服がめちゃくちゃなんですけど〜!サゲポヨ〜!」

 

なんちゃって、まあふざけてる場合じゃないよね。いつのまにか日も暮れてるし。

 

次の瞬間だった。どこからともなく、何かが崩れ落ちるような音とともに悲鳴が聞こえてきた。

 

「な、なに!?どこから!?」

 

すると、立ち所に煙が少し離れたところから上がり始めた。

 

「い、急がなきゃ!」

 

全速力で息を切らしながら走る。悲鳴が上がったってことは人がいるってことだ。

 

「そろそろ…………!よし!ッ!?」

 

ようやく、煙の出どころであろう場所に到着した。

そこで見たものは、地獄だった。

人が人を殺し、貪り、そこにあったであろう民家はあちこちから火の手が上がっていた。

そして、何よりも奇異なのは殺された人間が再び動き出して、生きた人間を喰らっているのだ。

 

「なに…………これ」

 

その中に1人、見覚えのある顔を見つける。

先ほど、軽トラックに乗っていた少年だ。

まだ、ちゃんとした人間のままの用ではあるが、その顔は恐怖とショックによって硬直していた。

 

「あぁ………………」

 

声を出したくてもそうはいかないだろう。恐怖とはそれほどまでに人の行動を制限できる感情なのだから。

 

少年の周りを無数に死者達が囲む。もう彼は助からないだろう。そう思ったときだった。

 

彼の横にあった柵を突き破り、ロングコート姿の女性が飛び込んで来たのだ。

その女性を追うようにして駆けてきた死者がショットガンで吹き飛ばされる。

 

「チィッ!」

 

一度だけ舌打ちをすると、あっという間にその場を制圧してみせたのだ。

 

「すごい…………もしかして、あの人がアーチャーの言ってた人なの………?」

 

「いいや、彼女じゃない。誰かを探しに来たなら、それはきっと僕のことだ」

 

なっ!?いつの間に背後を取られていた!?

 

「貴方は…………何者………?」

 

振り返ることなく、そう問うと男は

「まあ見ていろ」と言うと気配を消してどこかに去って行った。

 

「今の男は一体…………」

 

ふと、先ほどの少年のことを思い出してハッとなる。あの子はどこに行った?

 

「………………見つけた。ついて行ってみよう」

 

私は彼の少し後ろを歩いてついていった。

 

 

 

 

 

 

「ここは、あの子の家?」

 

少年はその木造の家の中に入っていく。私は窓から中の様子を見る。中には、彼の父親と目ぼしき男性が本や何かの資料を燃やしていた。

 

「〜〜〜」

 

「〜〜〜死徒の〜〜〜〜?」

 

何を言っているのかよく聞き取れない。

本当ならば中に入って聞きたいところだったが、何があるともわからない。

 

「〜〜〜〜〜衛宮の〜〜」

 

待て、今あの男性はなんと言った?衛宮だって?と、とりあえず続きを…………

 

ガンッ!

 

部屋の中からそんな音が聞こえてくる。

よく見ると、少年がナイフで父親を刺したのだ。

 

「な、何して…………」

 

すると、彼は近くにあった棚から拳銃を取り出して父親を撃ち始めた。

動かなくなるまで、何度も何度も。

動かなくなっても、何度も何度も。

 

弾が切れたのか、少年はマガジンを捨てようと拳銃を振るがそんなのはもう少し慣れてからやるものだ。どう考えてもこの少年は素人。そんな子にそこまで器用なことが出来るとは思えない。

 

そこに、先ほどの女性が来て少年の振り払うようにする手を止める。

私の視界はそこで暗転した。




最近、アニメの『ダンガンロンパ』を見てて久しぶりにワクワクしたのです。まあ、友人は誰も見てないから語り合ったりは出来ないんですけどね。あとは、新しく出来た友人がカードゲーム『遊戯王』をやっていて誘われたのでまた改めて始めようかなぁと思ってます。
以上どうでもいい私情でした。(遊戯王に関してはやってた方に前マスタールールでの安く作れる中でもそれなりに強めなデッキがあれば是非、教えてください)


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時のある間に薔薇を摘め:その2

すみません。今回でも会長戦終わりません。ていうか今回は僕の作品では2話分くらいの長さです。


次に目覚めると、そこはどこかの部屋だった。そこには、先ほどの少年と女性が生活を共に送っていた。

 

女性は少年に拳銃の取り扱い方を教えているようだ。一見物騒な風景だが、銃を除けばただ普通に母親が息子に何かを教えている場面にしか見えない。

 

「ああ、その通りだ。あれは母が子に自分の持ち得る物を託しているんだ。………………自分がいなくなった時に路頭に迷うことがないようにとね」

 

横にまた、先ほどの男が現れる。今度は敵意を持っていないことがハッキリとわかる。

どれ、顔でも覗いてやろう。

 

と思ったが、赤いフードを深く被っているために見えにくい。その上、どうやら顔には目以外が出ないように帯が巻かれているようで全く顔が見えない。

 

「そう簡単に素顔を晒すと思うか?」

 

「確かに、それもそうかも」

 

「ふん……………」

 

鼻を鳴らして彼は再び消えていった。

 

「さて、薄々感じてたことだけど」

 

この2人は、私がいる事に気づいていないという訳では無いだろう。おそらく私はこの世界の人間に認識されることが無い(・・・・・・・・・・)のだ。そう考える他ないだろう。

 

「もっと腕を上げるんだ。そんなデタラメな構え方じゃ当てるなんて無理だ」

 

「う、うん」

 

「君は反動制御どころか構え方すらまともに出来ないのか?全く手のかかるガキだよ」

 

そんなことを愚痴りながらも、彼女の顔には笑みが浮かんでいた。

 

「……………でも、ナタリア。僕はもう1人はしっかり殺せてるんだよ?」

 

「そりゃあ君の父親で、無抵抗だったからだろうが。抵抗してくるターゲットを無力化することの大変さを君はまだ知らないだけだ」

 

「うっ…………………そんなのわかってるよ…………」

 

そんなことを非難がましい目で見つめながらも溢す少年。

 

(本当なら、そんなことわかって欲しくは無いんだがな)

 

「え?なんか言った?」

 

そう、ボソッと彼女が呟いたことを私は聞き逃すことはなかった。しかし、少年にその声は聞こえていなかったらしい。

 

「やっぱり…………優しい人なんだ」

 

つい、私もそんなことを言ってしまう。

 

「いいや、それより!今日の講義のおさらいといくか!」

 

「えぇ〜………」

 

そんな2人のやり取りが、私にはどうしようもなく微笑ましく見えたのだ。

 

そこで再び、視界が暗転する。

 

 

 

 

次はまた、海だった。しかし、今度は浜辺ではなく海の上。

 

だが、今までと違うのは情景が動いていない。まるで時間が止まっているようだ。

 

日差しが登る所を見るとどうやら時刻的には夜明けごろらしい。

そして私が今立っているこの場所はーーー、

 

「ボート…………?」

 

そして私の眼前には、1人の青年が立っていた。すっかり成長しているが、どうやらこの青年は大きくなったあの少年のようだ。

まとまりのない、ボサボサな髪の毛が今でも少年時代の雰囲気を残している。

 

「そう。ボートだ。そしてそれだけじゃない。この時、彼女…………ナタリアは魔術師のオッド・ヴォルザークという男を始末した後だった」

 

するとまた背後からあの男が現れる。

 

「刺した者をグールへと変える蜂を使い魔としている男で、彼女が奴を始末したときに奴の体内にいた蜂が体外へと出て、あの旅客機の中にいた乗客や乗員全てがグールになってしまっていた」

 

確かに、よく見ると少し離れた上空に旅客機が飛んでいるのが見える。

 

「残ったのはナタリアただ1人。しかし彼女はなんとか操縦席に到達することに成功した。問題はその後だ。仮に空港に着陸を成功させたとしても、その後はどうなる?」

 

空港に着陸した後…………?

 

「ッ!………………空港の人間がグールに襲われる………!?」

 

「半分正解。だがそれだけじゃない。そのまま旅客機から蜂が流出する事がもう1つの障害だ。それでどうするか?」

 

どうする………?どうにかする方法があるのか?

 

「答えは簡単だよ」

 

そういって男が指を鳴らす。その瞬間、時間が動き始める。

 

すると、目の前にいた青年が何かを取り出して構える。あの独特な形状。知っている。ネットで何度か見た事がある。あれはーーー、

 

「スティンガー………………ッ!?まさかっ!」

 

青年は呟く。

 

「あんたは僕の本当の家族だ」

 

「やめっ……………………!」

 

しかし、私の制止の声が彼の耳に届くことはなかった。

 

スティンガーとは、英語で毒針の意味を持つ携行式の防空(・・)ミサイルである。

 

つまり彼は自らの育て親を、それこそ本物の家族のような絆で結ばれていた者をその手で始末したのだ。

 

涙が止まらない。確かに恐怖はあった。しかしそうではない。恐らく私は悲しいのだ。

そうするしかなかったこの青年の生き方が。

 

「どうして…………!?なんでこんな……………!」

 

「どうして?当たり前のことだ。あれだけの蜂を逃さず全て始末するのがどれほど難しいかなんてわかりきってるはずだ。それに、既にナタリアからはダイビングの用意は出来ていないと言われた後だ。神様ってやつは、あれだけのことをやらかしたナタリアだけを生きては帰さないつもりだったんだろう」

 

「それでも!」

 

「他に手がある」と、そう言いたかった。しかし私にはそれが言えなかった。

 

「そう。言えないだろう。だって他に手なんてないんだから」

 

それが正義だと、それ以外の方法はなかったと男は言う。

 

「正義なんて言うのは要するに自己満足以外の何でもない。この時点でそれに気付ければよかったのに。この馬鹿な男にはそれがわからなかった。この後どうなったか、想像がつくだろう?歪な正義がどんな終わりを迎えたのか」

 

ああ、頭の中に流れこんでくる映像にはどこか既視感を感じる。

 

人を助けるために人を殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して

 

その果てに待っていたのは世界との契約だった。そこでやっと男は気づいたのだ。本当に全てを救えるなんてことはありえない、そんなものは空想上の御伽話なのだと。

私はそれを背後から見続けた。

 

その通りだ。この男の言ったことはなんの間違いでもない。本当の正義の味方なんてものは一方通行な正義を執行するだけの存在であり、そんなものに救えるものなんてただの1つもありはしないのだ。

 

「それでも…………………それでもッ!!」

 

なにも救えない?なにも生み出さない?ただ壊すだけ?失わせ続けるだけ?

 

違う!そんなはずはない!確かに正義のために失われたものがあった!それでもーーー!

 

「確かに救われたものがあった!誰かの笑顔を守れた!それが何にも無いはずがない!」

 

「ふん、綺麗事ばかり並べるな。『正義』なんぞに何が出来る?ただ壊して、自己満足で終わりだ」

 

「だとしても!決して後悔だけはしない!だって失われたものは無価値じゃない!その犠牲のためにも!悲しみを抱えながら!引きずりながらでも!前に進み続ける!」

 

その瞬間、視界が割れて砕け散った。海も空も、全てが崩れていく。

 

 

 

そして現れたのは、霧がかった砂浜だった。

 

「ここは………………?」

 

「僕のデータ領域の最深部さ。さて、ここまで来るとは思っていなかったがその根性に免じて話くらいは聞いてやる」

 

「あれ…………フード」

 

男はフードをつけていなかった。どういう心変わりだ?

 

「僕なりの敬意さ。アンタがここまで来るとは思っていなかったと言っただろう?だからさ」

 

「そう、それはどうも。さて、本題に入ろうか?」

 

我ながら今さっきまで叫んでいたとは思えないほどに冷静だ。

多分、頭に上ってた血が『話を聞く』という台詞で降りてきたんだろう。

 

「時間がない。完結に言うよ?ある勝負に勝ちたいから力を貸して」

 

「勝負の手助けをすること自体は構わない。が、それはメリットがあったらの話だ。別にリスクを冒す訳じゃないが、ノーリターンなんて無意味だ。僕にメリットはあるのか?」

 

メリット?この男のメリットか…………考えてなかったな…………基本損得で動くタイプかこの男。

 

「正直に言うと、無い。でも、貴方の正義が損得の観念で動く訳ないよね?だって、別に感謝されるためにやった訳じゃない。貴方の言った通り。『正義は自己満足』ってやつ。要するに、誰かを救ったことで満足するってことだよね?」

 

「僕の正義の味方は店仕舞いだよ。悪いがもう請け負ってないんだ。無意味な戦いに首を突っ込めるほどの力は僕にはないんだ」

 

だったら簡単だ。力を差し出せばいい。

 

「なら、私が理由をあげる。貴方が戦う理由を。貴方を、『私のための正義の味方』にする」

 

「アンタは何を言っているんだ?僕を正義の味方にするだと?」

 

「力をあげる。貴方に戦う力を」

 

向こうの話なんか聞いていられない。一方的に話を進める。

 

「おい、話を…………」

 

「貴方が!なんと言おうと!貴方を私の正義の味方にする!私に力を貸して!」

 

「…………………………」

 

男は黙ってしまった。ちょっとやりすぎた?

 

「なにが、アンタをそこまでさせる?何故そうまでして僕の力を欲する?」

 

何故?理由か……………理由は、

 

「勝ちたい人がいる。負けたくない。私に力をくれた人を、負けさせたくない。ただ、それだけ」

 

「………………それだけか?たったそれだけ?そんな理由でここまで来たのか?」

 

「え?なにかおかしい?」

 

その言葉を聞いた男は大きな溜め息を1つ吐いて、頭を抱え始めた。

 

「いいか?誰に騙されたか知らないが、このデータ領域に意識を挿入させるには相当な負担が脳にかかるんだ。下手をしたら脳みそが焼け焦げることになる。ここに来た時になにかあっただろう?」

 

「んー、いや?島で少し暑いなぁって感じただけだよ?」

 

「はぁ………………データで出来た世界に温度なんてあるわけ無いだろ…………」

 

あっ、あああぁぁ!?そういうこと!?あれって気温じゃなくて、脳の温度が上がってたってこと!?

 

「うっわぁぁ…………!アーチャーの奴(あのバカ)、後で絶対〆る…………!」

 

「……………………人のことを、随分信用しているんだな………?」

 

ん?なんだ?突然?

 

「当たり前じゃん。長い間一緒にいた相棒だもん。もう家族みたいなものだよね、保護者的な存在」

 

「家族…………………か」

 

ああ、もしかして地雷踏んだ?いや、ここまで来たら踏み込むべきか。地雷源に踏み込んだなら、地雷が爆発するより早く駆け抜けるだけだ。

 

「うん、だからそんな奴の顔に泥を塗るわけにはいかない。そんな奴がピンチだから、何をしてでも助けたい。命を賭けたとしても」

 

自分のために命を賭けて戦ってくれたアイツのために、私も命を賭して戦う。流石に死ぬのはゴメンだけどね。

 

「………………………名前」

 

え?今何か言ったか?

 

「今、なんてーーー」

 

「名前だ」

 

「うえ?」

 

名前?私の?

 

「雇い主の名前くらいは把握しておくべきだろう」

 

ええ?な、なんだ急に?

 

「認めよう。アンタが僕の、雇い主(マスター)だ」

 

そう言いながら、男は顔に巻かれた帯を解いていく。

 

「………………貴方は…………」

 

そう言えば、小さい頃の顔しか正面の顔を見たことがなかった。雰囲気が違って、全くわからなかった。

 

「貴方、だったんだね」

 

その顔には見覚えがあった。あの月下の夜。『いつか正義の味方になる少年』と『いつか正義の味方を目指した男』が共に月を見上げて誓った。″夢を継ぎ、必ず叶える″と

そう、男の名はーーーーー、

 

「僕は『エミヤ』、守護者になる前は『衛宮切嗣』と呼ばれていた」

 

ここに、過去と未来の正義が契約を果たした。




あんれ?わっちにしては、長くないかや?
ていうか本当にすみません。実は、僕zeroは原作読んでない上に、アニメもそこまで見込んでいないので、切嗣の価値観については完全に自分の想像です。本当にすみません。
あと、アガルタクリアしました。面白かったです。不夜城のキャスターは好きなので欲しかったんですけど、最後の方の『あの一言』がちょっといただけなかったです。なんとなく彼を軽く見たような気がして………僕は彼のこと大好きなので(likeなれどloveにあらず……!)あっ、ネタバレかも知れないですね。すみません


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決着

投稿がまた途絶えてしまった!お願いします!許してください!なんでもしますから!


(なんていう無茶な動き!?体で機体を動かしてるってよりも、機体が体を引っ張ってるって感じ!それにさっきからPICもスラスターも一度も使っていない!)

 

「なかなかやるじゃないか。ここまでとはな」

 

楯無の攻撃をバク転で避けつつ、剣を投擲する。その動きだけでも普通に見ただけでもどれほどの鍛練を積んで来たか、容易に想像ができる。さらには、その動きにはPICによる浮遊とスラスターによる加速が無いというのだ。

 

「ふっ!」

 

「くっ!?貴女こそやるじゃない!」

 

ニヤッと笑みを浮かべて余裕の振る舞いを見せるアーチャーと、それに反して焦燥を感じる表情の楯無。一見すれば、空中にいる楯無がかなり有利に見えるはずだが、今の状況は違う。有利に戦いを運んでいるのはアーチャーなのだ。

それもそのはずだ。この2人には、大差がある。スラスターをハンデとしても、アーチャーを楯無以上の強者たらしめるのはアーチャー自身の『経験値』だろう。

 

(それにしてもおかしいわ………!動きが良過ぎる!つい数分前までとは大違い!まるでこちらの敵意を読んで行動してるみたい!)

 

考えれば考えるほど、思考の泥沼に嵌っていく。ましてや、それは決して解明することの出来ないものである。きっと、そこなど無いかのように深く嵌っていくだろう。

 

そう、それが常人ならばの話だ。

しかし、更識楯無は常人にあらず。その地位は学園最強である生徒会長だ。常人と同じ思考では頂点に立つことは出来ないだろう。

 

「貴女、もっともっと気に入ったわ!全力を見せて頂戴!」

 

″面白い″と、″愉快″だと、逆境だろうと笑い飛ばして、前に進める者。それが強者の条件の1つなのだ。

 

「ふむ、残念だがそれは無理のようだな。どうやら戻ってきた(・・・・・)ようだ」

 

「戻ってきた?一体何を言ってるの?」

 

「なに、今変わるさ。さあ、派手に暴れてやれ!」

 

そう言うと、アーチャーは目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

(アーチャー?私がデータ領域に行ってからどれくらい経った?)

 

恐らく、データ領域にいた時間はおおよそ6時間ほどだろう。現実でまだ戦闘が続いているということはそれほどの時間が過ぎているとは思えない。

 

(だいたい10分未満といったところだ。それで?収穫は?)

 

10分未満、それほどまでに時間の差があったのは少し驚きだ。

 

(貴方の言ってた英霊のデータを手に入れたよ。契約もしっかりと結んできた。それとアーチャー、脳の負担に関する問題については覚えておけよ?)

 

未だに根に持っていることは後回しだ。

 

(騙すようなことになったのは謝るが、仕方のないことだったんだ。その話は後だ。データを君の脳内から機体にインストールする。私は暫く引っ込んでいることになるが、あの男に任せておけば良かろう)

 

そういうと、私の体を包んでいる機体が光り始める。

 

「ッ!?今度はなに!?面白いなあ、もう!」

 

会長がまた目を輝かせてこちらを見ている。攻撃を仕掛けてこないということは、恐らく妨害をする気は無いのだろう。

そんな会長に一言、

 

「お待たせしました会長!これより始まりますは、捻くれた魔術師(せいぎのみかた)の意地悪なマジックショーです!」

 

なんて事を呼びかけてみる。きっと彼女は余計に興味を持つだろう。だが、彼の力には会長が興味を持つだけの価値があるだろう。

 

(インストール完了。コア内部の人格構成の換装。アーチャー『無銘』からアサシン『エミヤ』へ。武装、装甲の換装完了。機体のアップデート終了。一時的三次移行完了)

 

機体が変化していく。赤い外套は消え金属の甲冑へと変わり、ボディスーツの脚部にも金属のブーツが装備される。腰のベルトから赤い腰布が伸び、頭には彼のトレードマークの赤いフードが被せられる。

 

「それが、貴女の新しい力?」

 

「はい。全力で行きますよ!(………………行けるね?エミヤ?)」

 

(ああ、不思議な感覚だがしっかりとアンタを援護しよう)

 

こちらの準備は整った。なら、もう遠慮はいらない。あとは勝つだけだ。

 

「さあ、ついてこれますか?」

 

「ええ、追いついて見せるわ!」

 

武装欄を開き、空中へ浮き上がる。展開可能の武装を見ると、そこには全く見たことの無い名前が記してあった。

 

・キャリコ M950

・ワルサーWa2000

・コンテンダー

神秘轢殺(ファンタズム・パニッシュメント)

 

(いや、どれがどれだよ!?)

 

こんな大量に意味のわかんない名前の羅列見せられてもわかるわけないじゃん!?

 

(なんだ?銃に関しては素人か?スティンガーがどんなものかは知ってるのに?)

 

いやいや、そんなわかりやすいものと比べないでよ…………

 

(まあ、いいさ。まずは小手調べにキャリコを取り出せ。所謂、サブマシンガンのようなものだ)

 

(り、了解)

 

言われたままにキャリコを展開する。イメージしたものとは全く違う独特な形状をした銃が現れる。

 

(なに………?これ………?)

 

(ヘリカルマガジンと言うタイプの弾倉(マガジン)だ。キャリコ M950は銃の上部にそれをつけるので有名だ)

 

なるほど、だからこの形状か。

 

(銃は扱えるな?反動制御が出来なきゃ当たらないぞ?)

 

そんなこと言われても、私銃扱うの初めてなんだけど!?

 

「でも、やるしかないよね!」

 

会長にキャリコを向けて連射してみる。予想以上に射撃は難しく、かなりの弾数を外してしまう。

 

「あ、あれ?あんまり当たらない………」

 

「…………プッ!あははは!ちょ、ちょっと!笑わせないでよ!」

 

く、くそ!なんか腹立たしい!

 

(20点…………いや、15点だな)

 

(しょ、しょうがないでしょ!?初めて扱うんだから!)

 

(…………近接なら、出来るか?)

 

ふと、尋ねてくるその質問にはyesと答える。

 

(私は近接戦闘の方が得意だよ)

 

(ふむ…………なら、彼女に近づいて撃てば当たるんじゃないか?)

 

なるほど。接近して距離を詰めてから発射すれば嫌でも当たるか。しかしそうなると問題点が1つ出てくる。

 

(格闘用の装備は無いの?無いと不安で不用意に近づけないよ)

 

神秘轢殺(ファンタズム・パニッシュメント)を使え)

 

(どんな武器?)

 

恐らく名前からして、彼の宝具なのだろう。それならば、きっと何かしらの特殊な能力があるはずだ。

 

(ーーーーー起源というモノがある。知っているか?)

 

起源…………あまり聞き覚えはない。魔術的な要素なのだろうか?

 

(知らない。聞いたこともないかも)

 

(そうか。難しい話じゃない、言葉の通りさ。何から始まったのか。何から生まれたのか)

 

(それは、母親とかそういうことじゃなく?)

 

(母親?違う。もっと根源的な話だ。個人としてのソレじゃなく、存在としてのソレだ)

 

なるほど、『根源』ということはやはり魔術に関する話か。

 

(っと、攻撃が来るぞ。上手く避けきれよ)

 

その警告が来た直後、会長の手に持つ兵装が火を吹いた。

 

「白野ちゃ〜ん?せっかく新しい装備になったのに、ボーッと止まってるだけじゃつまらないじゃない!」

 

挑発だ。それも明らかな。誰があんなのに乗るっていうんだ?

 

「あっ、私か」

 

機体を加速させて突っ込んでいく。

まだキャリコのマガジンには弾が残っている。

 

「いいね!そうこなきゃ!」

 

距離は大体2mくらいまで接近できた。きっと、油断している。だが、この距離なら……!

 

引き金を引くのと同時に、弾丸が発射される。

 

「甘い!そんなんじゃ当たらないわよ!」

 

くそっ!やっぱり弾かれた!

 

(無闇矢鱈と突っ込むな。それに突っ込むにしてもリロードをしてからだ。いざという時に弾切れになるぞ)

 

(わかってる!)

 

(はあ………話を続けよう。例えば『剣』から生まれる奴もいる。『無価値』から生まれる奴もいるだろう)

 

なんだろう、『剣』が起源ってすごい身近にそれっぽい奴がいるんだけど。

 

(それで、貴方の起源は?)

 

(僕の起源?アンタも僕の記憶でもう見ているじゃないか)

 

記憶の中で?それってもしかして、ナタリアという女性が説明していたヤツか?

 

(ーーーーー切って、嗣ぐ。通常の攻撃にも用いるが、歴とした僕の第2宝具。神秘轢殺(ファンタズム・パニッシュメント)。『切断』と『結合』の具現。僕の起源をカタチにしたものだ)

 

『切断』と『結合』。全くの真逆のその2つを同時に1つのモノとしてその内に内包しているということか。この男は。

 

(それを使えば接近しても戦える?)

 

(ただの剣で打ち込み続けるだけの数倍は有利に事が運べる自信はある)

 

そこまで言うのなら見せてもらおう。その宝具の力を!

 

「武装展開…………」

 

手の中には1本のサバイバルナイフが現れる。一見すると何の変哲も無いナイフだが、そこからは何かオーラのような物が流れ出ている。そして何よりも違うのは、その感触。

強く握れば壊れてしまいそうなほど脆く感じるのに事実は、握ってみると今まで触ったことのあるどんなものよりも硬く、固く、堅く感じる。そんな曖昧な感触。

 

「これが、投影品じゃない本物の宝具………!」

 

「そのナイフが本丸って感じかな?なら、全力で来なさい!射撃で迎え撃つなんて無粋なことはしないわ!学園最強の誇りにかけて!」

 

学園最強?上等!全力で打ち負かすだけ!

 

「はい!本当にお待たせしました!今度こそ本当の全力です!」

 

再び会長へ向けて加速する。その加速にはもう少しの迷いもない。

 

「ふっ!」

 

思い切りナイフを振るう。確かに感覚は普通のナイフと変わらない。だが、そこには圧倒的な力がある。

 

「へぇ!面白いナイフね………!一体どんな能力があるのかしら?」

 

「一発食らってみますか!?」

 

「うーん、出来れば直撃は避けたいかも!」

 

そういうと会長は槍の柄で私の手を叩き、右手に持った武器(ナイフ)を弾き飛ばす。

 

「さあ、これで終わり?」

 

「まだまだ!」

 

もう片手にあったキャリコを至近距離で発車する。

 

「よっ!危ない危ない!」

 

避けられたのは驚愕したが、時間は稼げた。

 

弾かれた武器はただのナイフではない。あれは宝具。つまり、なんらかの神秘が具現化されたもの。物質化された奇跡そのものなのだ。それは、本来は物質ではない(・・・・・・)ということを表している。

 

ならば、こんな芸当が容易く行えるのだ。

 

ナイフが手から離れた瞬間に、それを元の状態に戻す。そしてーーー、

 

(手の中で物質として再構築する!)

 

すると手には先ほど弾かれたはずのナイフが握られていた。

 

「よしっ!食らえ!」

 

ナイフをもう一度振り下ろす。

 

「な!?そのナイフは!?」

 

会長も対応しきれなかったようで、槍でなんとか受け止める。

 

「直撃しなかった!」

 

(充分だ。よし、射撃戦になんとか持ち込め)

 

(射撃戦?なんで?)

 

(いいからやるんだ)

 

渋々承諾し、私は会長との距離を離す。

 

「ふーん、ヒット&アウェイってこと?」

 

「次は射撃でどうです?」

 

「あら、いいの?射撃苦手でしょ?」

 

そう言われると存外に腹が立つ。ムッとした表情になってるかもしれないが構わない。射撃をさせることがエミヤの目的なのだろう。

 

「こっちから行きますよ!」

 

リロードをしてキャリコを再び連射する。

その弾丸を会長は全て弾き切り、射撃の体勢に入る。

 

(機体内全ての回路を把握、機体内部を結界化完了)

 

(ちょっ!?なにしてんの!?)

 

(彼女が射撃したらすぐにスラスターで接近して攻撃する用意をしろ。サーヴァントの戦闘を見てきたアンタなら恐らくついていける(・・・・・・)はずだ)

 

ついていける?何に?

 

「キャアッ!?」

 

(今だ!やれ!)

 

(え、あ、うん!)

 

言われた通り加速してみると、一瞬理解することが出来なかった。

 

遅い。遅い。あまりにも遅すぎる。全ての時間が遅く見える。

いや、違う。疾すぎるのだ。私が、私の機体が。

 

(これが、『固有時制御』だ。体内に結界を展開し、その内部の時間を急速に早めることによって筋肉などの動きを早めることが出来る)

 

(すごい!周りが止まって見える!)

 

会長が突然の槍の爆発で驚いて、身を屈めた瞬間にはもう私は彼女の目の前まで迫ることが出来た。

 

(槍の爆発は、さっき神秘轢殺(ファンタズム・パニッシュメント)で切りつけた時に内部の射撃に絡む機関を『切って』、デタラメに『結合』させた。それによって、恐らく弾丸が内部で詰まってその衝撃で弾けたんだ)

 

そうだったのか。つまりはこのナイフはそんな使い方が出来るということか。

 

(そして僕が生前から使っていた魔術であり、衛宮一族の魔術研究の結晶とも言える固有時制御が宝具に昇華されたもの。それがこの宝具、時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ)だ)

 

いける!これならあの会長を圧倒することだって出来る!

 

「行っけぇぇ!!」

 

入る。簡単に。こうも容易く会長にダメージを与えることが出来る。今まで出来なかったのに。こんな簡単に。そう。まるで打たされている(・・・・・・・)かのように。

 

「あーあ、これ結構キツいのよねぇ………」

 

なんだ?何を言っている?この人は?一体何をする気なんだ?何かが不味い……!この状況、今の台詞……!考えうるのは1つ!

 

そう思った時にはもう遅かった。

 

清き激情(クリア・パッション)!」

 

そう会長が発した瞬間、私は謎の大爆発に巻き込まれた。

 

「うぅぅ!あああああぁぁぁぁ!!」

 

「ったたた………勝負ありってところね」

 

その会長の声を聞いたところで、私の意識は途絶えた。




今回、自分の作品の中じゃめちゃくちゃ文字数多かった気がするんですけど、でも実際のところ今回の投稿が遅れたのは普通にサボりだったんです!内容考えてメモするのに掛かったの12時間もなかったんです!本当にすみませんでした!次回からは遅れないようにしたいです!

さて、今回の水着イベントは皆さんどんな調子ですか?僕は、チャレクエ難しすぎるので少し萎え気味です。あとは、最近は『ららマジ』っていうスマホゲーに浮気してまして………気になった方はやってみてくださいね!フレンドになりますので!


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一息ついて

今回は、前回頑張った白野ちゃんにご褒美展開を用意しました。羨ましい………


暗く体が沈んでく感覚。その闇は無限に広がっていて、どこまで堕ちても果てはない。

沈んでいけばそれに伴うように体を焼くような熱さが体を冒す。

 

その闇の中に私たちはいる。

 

「今回のことは少しばかり、僕も詰めが甘かった。すまない」

 

私が正義の味方にするといった男は私に向かい、頭を下げている。

 

「ううん。気にしないで。調子に乗っちゃって警戒を疎かにしちゃってたから」

 

そう。私は、私たちはIS学園最強の座に立つ更識楯無に敗北した。甘かった。少し有利になったからといって、あの霧を全く警戒してなかったのが敗因だろう。

 

完全な敗北。アーチャーがあの様子を見ていれば鼻で笑うレベルだっただろう。それほどまでの敗北をしてしまったのだ。

 

「アンタが、僕を正義の味方にすると言ったのに僕はその期待に応えられなかった。依頼人の信頼を裏切るなんて、僕も大分落ちぶれたな」

 

「でも、貴方はちゃんと応えようと努力してくれた。それだけで私にとっては充分だよ。それに、力を貸してくれた。それはもう可能性も残ってなかった私のことを救ってくれたって事だよ。だから、貴方は私にとっての正義の味方だよ」

 

「そうか………そう言ってもらえると僕としても気が楽になる」

 

少しの間沈黙が流れる。こうして話してみると見えてくる。この男の人間味が。

「意外と不器用な人なんだな」と

 

「…………………1つ聞かせてほしい」

 

「なに?」

 

「アンタの記憶を見た。そこにはもちろん、あの男の記憶もあった」

 

「うん。そうだね」

 

「あの男は……………『士郎』は、僕のことを憎んでいるだろうか?」

 

衛宮士郎が彼を憎んでいるか?わからない。何故なら私が共に歩んできた男は、よく似た別人なのだから。だが、これだけは言える。

 

「私にはわからないよ。でもね、私はアイツが例え貴方を憎んでいたとしてもそれと同時に貴方に感謝してると思う」

 

「感謝……?」

 

「うん。あの地獄から、自分を救ってくれたって。そして、自分が前に進むきっかけを与えてくれたって。だから、アイツはどんなに辛くても前に進み続けて正義の味方を張り続けた。その結末が、例えあの剣の丘だったとしても」

 

真っ直ぐに、彼の目を見つめる。

 

「………士郎に伝言を頼んでもいいか?」

 

「うん。なにを言えばいい?」

 

「『今まで、いろんな物を押し付けてしまってすまなかった。それでも、僕の理想を叶えてくれて嬉しかった』と」

 

「わかった。必ずアイツに伝える」

 

「っと、迎えが来たみたいだ。彼女に礼を言っておくといい。僕と契約してたって言うのもあって、彼女が爆破の衝撃を少し和らげてくれた。恐らくアンタはそろそろ目を覚ませるはずだ。それじゃあ」

 

そう言うと闇に一筋の光が降り注ぎ、彼の背後に白い髪の女性が降りて来た。

 

「貴女が私を?」

 

そう尋ねると、その女性は

「ええ」と頷く。

 

「そっか、ありがとう。助けてくれて」

 

「いいのよ。彼を信じてくれたこと、貴女に感謝してるわ。それじゃあ私たちは行くわね」

 

女性は再び彼を支えながら宙へと上がり始める。

 

「うん、それじゃあ」

 

それだけ言うと、私は目を瞑る。

 

 

 

 

 

再び目を開けると、そこには保健室の天井が広がっていた。だが、私はベッドには寝ていなかった。目前には、楯無会長の顔があり後頭部には柔らかく程よい弾力が伝わってくる。

 

膝枕だ。王道でありながら至上のシチュエーションであり、男たちのロマン。

 

「あら、目が覚めたようね。どうかしら?お姉さんの膝枕は?」

 

「正直、気持ち良くてもう死んでもいいとも思ってます」

 

いかん!頬が勝手に緩んでしまう!

 

「そう?なら良かったわ!一応、お詫びも兼ねてるからね」

 

「お詫び?どういうことですか?」

 

「ええ、その事なんだけど。本当にごめんなさい。私ったらつい本気出しちゃって、意識が飛ぶような威力の攻撃しちゃってね。ちょっと大人気なかったわよね」

 

あっ、そういうこと?まあ、別になんとも思ってないから私としてはただ膝枕して貰えてるだけだからどう考えても完全ににご褒美です。本当にありがとうございました。

 

「気にしてないんで全然大丈夫ですよ。それよりも、会長と戦えて貴重な経験が出来ました。ありがとうございました」

 

そう言って、後頭部の感触を名残惜しく思いながらも体を起こそうと思った瞬間だった。

 

「あっ、白野ちゃん!あんまり動いたら!」

 

ピキィッ!

 

「あ、え、う……ん?〜〜〜〜〜ッ!」

 

一瞬、なにがあったのかわからなかった。全身に激痛が走り、再び会長の太ももの上に頭を落とさざるを得なくなる。

 

「あ〜あ、だから言ったのよ?貴女、全身酷い筋肉痛であと2、3日はまともに食事すら取れないわよ?」

 

き、筋肉痛?なんでそんなことに…………?

 

ふと、ある言葉を思い出す。

 

『これが、『固有時制御』だ。体内を結界化し、その内部の時間を急速に早めることによって筋肉などの動きを早めることが出来る』

 

「あれが原因かぁ!?」

 

「これから少し大変かもしれないけど頑張って、お詫びってことで私これから普通に動けるようになるまでしっかりと貴女のお世話してあげるから」

 

「す、すみません……お願いします」

 

確かに尋常じゃない動きしてたもんなぁ……そりゃそうか………

 

(マスター聞こえるな?)

 

(あっ、アーチャー。彼から伝言だよ。『今まで、いろんな物を押し付けてしまってすまなかった。それでも、僕の理想を叶えてくれて嬉しかった』だってさ)

 

(……………そうか、爺さんはまたいつもみたいにオレには何も言わずに行ったのか………)

 

(え?なんかいった?)

 

(いや、なんでもない。それよりも気になることがある)

 

気になること?もしかして機体のことか?

 

(そう。機体のことだ。実は、彼女との戦闘後に莫大な量の機体への経験値蓄積があった。それによることで、一時的な物ではなく正規の3次以降が行えるようになったらしい。恐らくは彼女との戦闘と、あの男の記憶共有による獲得だろう)

 

(本当?じゃあ動けるようになったら試してみようか)

 

(ああ、そうだな。だから今はしばし休むといい。あれほどの激戦の後だ。織斑千冬以外の誰も文句は言うまい)

 

うわぁ、そうだった。あの人のこと完全に忘れてた…………明日からどうしよう…………




さーて、次からの展開どうしようかなー。ん?そろそろ転校生組2人のことを触れなきゃマズいかも?

それはそれとして、現在放送中のアニメのApocryphaでとうとう師弟が揃いましたね。両者ともfgoでの実装をお待ちしてます。特に先生の方。
以上、『ケイローン先生に甘え隊』の願望でした。


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ついに3次移行へ………!

なんてこった…………!スマホゲーに熱中してたらめちゃくちゃ前の投稿から日が経ってるじゃないか!
また遅れてしまって、本当に申し訳ないです。
ちょっと、最近私生活がいろんなことに追われてて………
まあ、いつもの言い訳です。本当にごめんなさい。


「と、言うわけでしばらくの間は放課後にノートを貸して貰ってそれを写したりしてなんとか勉強面はやり過ごしてた訳ですよ。まさか1週間近く休まされるなんて………」

 

「なるほどなぁ………白野も大変だったんだな……」

 

目の前の男子は感心するような言い方をする。

白野″も″というところが気になるところだ。

 

「そっちもなんかあったの?」

 

「こっちは、シャルルと一日中行動を一緒にしてたけど、何かあるたびに囲まれちまうんだ」

 

「ああ………そういうこと?」

 

まあ、それはいつものことじゃないか。

 

「まあ、男子の大浴場が使えるようになったっていうのは嬉しかった」

 

「はあ………まあそれは私にはあんまり関係ないかな…………っと、そろそろ私行くね?それじゃあまた明日」

 

「おう、それじゃあな」

 

 

 

 

実は、私の機体にはまだまだ既存の機体とは違うところが多く、またいつどんなことが起きるともわからないことから緊急の措置として学園の地下にアリーナの半分ほどの大きさの空間を貰った。入り口は学園の隅の方にある、カモフラージュ用の防火水槽の下だ。場所は第3アリーナの真下に当たるだろう。しかし、このことは口外してはいけないと念を押された。

 

「さあ、始めようか。アーチャー?貴方の新しい力を見せてくれる?」

 

(了解したマスター。始めよう)

 

アーチャーとの意識同調を行う。

アーチャーは機体自体の経験値の精算する。

私は自身の記憶や経験、疲労までもをアーチャーと同調し、機体の経験値へと変換させていく。他の機体のように淡いものではなく、私のISにはしっかりとした自我がある。

それを利用し、私の脳や肉体の経験を全て機体のアーチャーに記憶させて成長させていく。ある意味、不正行為(チート)に近いのかも知れない。

 

(やはり、生徒会長との戦いは大きかった。あれだけで随分な成長を遂げたようだ)

 

(当然。あれで成長してないなんて言われたら、正直私の苦労はなんだったんだって感じ)

 

(それに、君たちの倒したあの乱入機体。あれとの戦いはシールドが通用しないかも知れないという命がけの実戦に近いものだった。それもかなり大きな経験になっただろう)

 

あの機体との戦いはほとんどアヴェンジャーがやっていたような気がするが、肉体自体に経験として残っている。

 

ましてや、常人を逸した英霊が私の体を使ったのだ。それが成長に繋がらない訳がない。

 

(よし、そろそろだな。これで三次移行への下準備が整った。いくぞマスター)

 

(了解。三次移行開始)

 

三次移行を開始する。今までの経験値を精算していく。

 

〔三次移行の条件達成を確認。再度最適化(フィッティング)の後に移行を行います〕

 

私の体を包む機体が、さらに体にフィットするようになる。改めて思うが、確かにこれはなかなかに悪くない感覚かもしれない。

 

〔最適化および三次移行を完了します〕

 

体を包みこんでいた機体が光りだす。

 

そして、特徴的だった赤い外套はその鮮やかさを増していく。

 

「これが、新しいアーチャー?」

 

(ふむ、あまり変わりがあるとは思えんな)

 

確かに見た目は外套がより鮮やかな赤へと変わっただけだ。

 

「何か変化あるかな?」

 

(当然、無ければ困る。今までの苦労が水の泡だ。どれ、システム深層へ行って何が出来るのか確認してみよう)

 

「うん、お願い」

 

数十秒後、アーチャーが帰ってきた。

 

(マスター、調べてみたところ機能の変化はおそらくほぼ無いと思っていいだろう。多少機動力が上がった程度だ。だが……………)

 

「だが?」

 

(ワンオフ・アビリティが変化している。どうやらオーバーエッジ状態にはスキルで出来るようになったらしい。代わりに使用することができるようになったワンオフ・アビリティなんだが…………)

 

さっきから歯切れが悪いな。何を渋っているんだ?

 

「なんなの?」

 

(正直、あまり私は見ていて面白いものでは無い。それに君の身を危険に晒すことになるだろう。そういうものだった)

 

「どういうこと?私の身が危険に晒されるって」

 

少し間を置いたあと、アーチャーは答える。

 

(新たなワンオフ・アビリティには発動条件がある様だから君にはそれだけ教えておく。いざという時にだけ使うと約束してくれ。いいな?)

 

「どうして?一体何があったの?」

 

(いいから約束するんだ。そして、その時になったら君の目で確かめてくれ。地獄の終わりにして始まり、醜悪な正義の成れの果てを)

 

「本当に何を言ってーーーー」

 

ズズ………………ン………!

 

な、なんだ!?上から!?

 

「ここって、第3アリーナの真下だから多分上だよね………?」

 

(行ってみたらどうだ?)

 

「勿論。だけど、後で話は聞かせてもらうからね」

 

ひとまず、その場を後にして急いで第3アリーナに急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

アリーナに到着し、ざわつく観客席から中を覗くとそこにはISの武器を生身で携えた担任教師がいた。

 

「これどういう状況………?」

 

(さあな、だが見ろ。セシリア嬢に、中国の凰鈴音………君たちは鈴と呼んでいたな。彼女たちはボロボロだ。おそらく当人たちの立ち位置的に考えれば、あの転校生のラウラという少女の仕業だろうな)

 

「本当だ………大丈夫かな?」

 

すると、その場にISの装備を携えた女教師(バケモノ)が叫んだ。

 

「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」

 

パンッ!と手を叩く音が辺りに響き、その場の雰囲気を物語る。

 

こりゃあ、相当に真面目な感じだなぁ。

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

 

「ふーん、それでそのザマなんだ……」

 

病室のベッドで寝かされている2人。悔しみからだろうか、大分イライラしているのがわかる。

 

「うるさいわね!あんな奴、邪魔が入ってなければボコボコにしてやってたわよ!痛っ!」

 

「そうですわ!わたくしたちがあのような野蛮な人に遅れを取るなんて!つぅっ!」

 

シャルル君が傷口に消毒液を塗るとその痛みで言葉が遮られる。

 

「後から何と言おうが結果は変わらない。そうでしょ?」

 

その時、扉が開く音が聞こえ中に飲み物を買いに行っていたシャルル君が入ってくる。

 

「まあまあ、2人とも好きな人に格好悪いところを見られたから、恥ずかしいんだよ」

 

「ん?」

 

ボソッと呟くように言ってはいるが、そこの難聴鈍感以外には全員聞こえている。

 

「なななな何を言ってるのか、全っ然っわかんないわね!こここここれだから欧州(ヨーロッパ)人って困るのよねっ!」

 

「べべっ、別にわたくしはっ!そ、そういう邪推をされるといささか気分を害しますわねっ!」

 

いつも思うが、なんでこんなわかりやすい反応するんだ?

 

「はい、ウーロン茶と紅茶。とりあえず飲んで落ち着いて、ね?」

 

「ふ、ふんっ!」

 

「不本意ですがいただきましょうっ!」

 

シャルル君から飲み物をひったくるように受け取り流し込むように飲む。

 

「ねえねえ、私の分のお茶は?」

 

「えっ!?あーえっと………」

 

「冗談冗談。シャルル君『からかうの面白い』とか『処刑人みたいな名前』とかよく言われない?」

 

ちょっと図々しいことを言ってみる。

 

「さ、流石に処刑人みたいな名前は無いかな……………」

 

デスヨネー。

 

「そう?じゃあ私はそろそろ行くね?お2人ともお大事に〜」

 

そう言い残して保健室を去る。

できることなら新しくなった機体を見ておきたい。

 

と、背後から物凄い音が聞こえてくる。

 

「な、なに!?」

 

視線をやってみると、鬼のような形相で1年女子の軍団がやってくる。

 

「退いた退いた〜!」

 

「ちょっ!?ストップ!スト〜ップ!何!?何事!?」

 

扉の前に立ちふさがり、軍団を止める。流石に怪我人のいる部屋に突っ込ませる訳にはいかない。

 

「そこを退いて!岸波さん!私は今度の学年別トーナメントで織斑君かデュノア君と組むのよ!」

 

学年別トーナメント?なんで学年別トーナメントなんか………………

 

「一体どういうこと?組むっていうのは?」

 

尋ねて見ると、先頭に立っていた女子が事情を話し始める。

 

「今月の学年別トーナメントは、2人1組のペアで出場することになったのよ!だから!これはきっとあの2人と仲良くなれるように神様が与えてくれた奇跡なのよ!」

 

………………なんだって?ぺ、ペア?それじゃいつもボッチの私は一体どうすればいいんだ…………?

 

「は、はは…………あははは…………」

 

「あれ?岸波さん?」

 

裏から呼ばれる声が聞こえた気がしたが、そんなことはもはや気にならない。

 

「はあ…………どうすればいいんだろ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうすればいい?アーチャー?)

 

相棒に答えを出して貰おうと尋ねるも、

 

(知らん。それは君の人付き合いの問題だ。私ではどうにもできん)

 

そ、そんな〜!この薄情者め!

 

「はぁ…………」

 

大きく1つため息をつく。

その時だった。私の目の前に、まだ記憶に新しい銀髪の少女がいた。

 

「……………………」

 

「わっ…………!ボ、ボーデヴィッヒさん………」

 

ガッツリと目が合ってしまった………一体なんだっていうんだ…………

やっぱり最近はあまりツイてないのかも知れない…………

 

取り敢えず、携わらないように横をすり抜けていこう……

 

「おい、貴様」

 

「ひゃっ、ひゃい!?」

 

ああ、絡まれた…………その上に間抜けな声まで出てしまった………

 

「貴様は織斑一夏についてどう思っている?」

 

「え?」

 

「貴様はあの男についてどう思っているのかと聞いているのだ」

 

な、なんだ急に?一夏についてどう思ってるか?なんでそんなことを聞いてくるんだ?

でも、答えなきゃ目をつけられそうだし………答えておくべきか。

 

「と、友達だと思ってますけど…………」

 

「では、奴を好意の対象に見ているわけではないわけか?」

 

「え!?ええっ!?そ、そりゃあそうだけど……」

 

なんなんだ!?何が目的なんだ!?早く帰して〜!

 

「やはり他の生徒とは違うか……………貴様、今度の学年別トーナメントとやらで私と組め」

 

「はい?」

 

「貴様ならば、私情で私とあの男の戦いを邪魔しなさそうだ。それに、小耳に挟んだ情報ではそれなりに腕も立つと聞いた。それなら、あの男のペアの足止め程度には使えるだろう。わかったな?」

 

「は、はいぃ!!」

 

しまった!気迫に押されて受けちゃった!

このままじゃまずい……!何とかして断らなきゃ………!

 

「あ、あの!」

 

「お前は私と組むことでトーナメントで優勝出来る。私は織斑一夏を潰すことに専念できる。利害関係の一致という奴だ。せいぜい感謝するがいい」

 

あっ、行っちゃった………………

どどどど、どうしよう!?どうすればいい!?アーチャー!?

 

(よかったじゃないか。君もトーナメントのパートナーに困っていたろう?なら丁度いいんじゃないか?)

 

(そんなこと言っても!なんかやりづらいじゃん!)

 

そうだ!あんな堅物人間と組むなんて上手く行くはずがない!なんとかしてペアを解消して貰わなきゃ!

 

(しかし、君は彼女といざこざ(・・・・)があったわけでもない。それに彼女の言った通り、君は彼女と組めば優勝も夢じゃないかもしれない。なら君にとっても都合がいいんじゃないか?)

 

(…………………)

 

た、たしかに言われてみるとそんな気がしてきた………………それに、彼女もクラスメイトだ。友好関係を築いておいて損はない。…………まあ、そんなものが成り立てばの話だが。

 

よし!それじゃあ決して折れないド根性を見せてやろうじゃないか!燃えてきたぞぅ!

 

(…………フッ、ちょろいな)




fgoをずっとやってて、気がつけば時間が経ってるってことが増えてきました。
他にもやりたいゲームいっぱいあるのに全然出来ない………


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本当に模擬戦?

とてもお久しぶりな気がします。今まで散々、「早く投稿するよう心がける」と言ってきて、結局口だけになってしまっていますね。本当に申し訳ないです。戦闘パートは表現が難しく、書いていると新しいアイディアが浮かんでそれを取り入れている間にどんどん時間が過ぎて行ってしまうのです………我ながら恥ずかしい限りです


「岸波。少し付き合え」

 

「はえ?」

 

授業が終わり、突然思いもよらない人物に声をかけられてまともな返答が出来なかった。

 

そう、先日トーナメントでペアを組むことを決めたドイツの代表候補生であるラウラ・ボーデヴィッヒさんだ。

 

「えーと、何か用事?」

 

そう聞くと、ボーデヴィッヒさんは不機嫌そうな表情を一瞬見せた後、その理由を語った。

 

「貴様の実力を私が直々に測ってやる。本番で情けない戦いをされても困るのでな」

 

「りょ、了解であります………」

 

実力を測るということは私がボーデヴィッヒさんと戦うということだろうか?マジで?

 

「よし、ついてこい。アリーナの準備は済ませている。もし腑抜けだと判断したのなら貴様をまともに使える操縦士に叩き直す。いいな?」

 

ギロリと睨みを効かされて、もはや蛇の前のカエルになってしまった。当然、私に拒否権はないのだろう。

やっぱりこのタイプの人は苦手だ………

 

「イエス、マム…………」

 

 

 

 

 

 

 

射出直前にボーデヴィッヒさんから通信が飛んでくる。

 

「ルールは通常の試合と同じく、シールドエネルギーが0になった方の敗北とする!」

 

「わかりました。それじゃあ、いきます!」

 

カタパルトによって射出された私の機体は宙を舞い、態勢を整える。

眼前には、2人の代表候補生を相手に圧倒してみせた強力な機体を見にまとったボーデヴィッヒさんがいる。そしてーーーー

 

「開始!」

 

彼女の号令で試験がスタートした。

 

スラスターで加速し、展開した干将・莫耶を振りかざす。相手は丸腰、速度もこちらが上だろう。

 

「はあっ!」

 

しかし、その双剣は彼女の腕部から突如として展開された光の刃によって容易く受け止められる。

 

「どうした?この程度か?」

 

そういいながら、刃を収めて私の鳩尾に左の拳を突き出す。

不意の行動に防御が遅れ、構えた両腕の隙間を拳がすり抜ける。

次の瞬間の衝撃に目を瞑るが、その時は訪れなかった。

 

「ふん!」

 

なんと彼女は防御しようとした腕を左腕を外に薙ぐことによって、弾いたのだ。

そして、残る右腕も同じように今度は右腕を使って弾かれる。

そう、これで胴がガラ空きだ。

彼女が狙っていたのは

 

「喰らえ!」

 

「くうっ!?」

 

その空いた胴に対して両腕の刃を展開し、外に薙いだ腕をハサミのように閉じてくる。

このままでは間違いなく直撃だ。

 

「くっ!だけど………!」

 

(アーチャー!脚部スラスターを吹かす瞬間だけPICをマニュアル操作に切り替えて!)

 

(了解した。かましてやれ。マスター)

 

PIC操作をマニュアル操作にするということは、姿勢制御なども全て自分でやることになる。つまりは精密な動作と引き換えに高い操縦技術を求められることになる。

普段はアーチャーに全てを任せていたが、その瞬間だけは自分でやるしかない。

これは、ブレーキがかかってはいけない。スラスターの推進力を100%で活かすための方法なのだ。

 

「うらぁッ!!」

 

一瞬、踵に付いているスラスターを最大出力で吹く。

少し吹かすだけなら、恐らく前にズレた程度で終わりだろう。だが、ほんの一瞬でも他でブレーキをしきれない程の出力で一箇所に集中して吹いたのなら?

答えは簡単だ。

 

「ぐっ!?うあ!」

 

体さえ支えることが出来るのなら

ある一点を軸として回転する。

 

後方に最大出力でスラスターを使用したことにより、脚部のみが高速で移動して上昇する。

その速度は両腕の刀身が私に到達するよりも断然早く、そして相手が防御する暇もなく加速した脚部は彼女の顎先に直撃した。

 

その結果、私は無傷で彼女は脳にかなりの振動が来たはずだ。

 

「ぐう!おお!!」

 

必死に頭を左右に振ることで、なんとか誤魔化そうとしている。だが、それでは隙だらけだ。

 

「せいっ!」

 

そのチャンスを見逃すほどの馬鹿ではない。

素早く弓に赤原猟犬(フルンディング)を展開し、放つ。

 

獲物は隙だらけの少女、狙うは必中の猟犬。

回避は叶わず、彼女は赤原を駆ける狂犬に食いつかれるだろう。

 

そう思った瞬間だった。

 

「ええい!小賢しい真似を!」

 

絶好の獲物だと認識していた少女は強くその手を緋の猟犬に向かい突き出す。

すると、その勢いがまるで嘘のように消え失せて停止する。

 

そして両腕の刃にその身を刻まれて消滅した。

 

「何………今の?」

 

(わからん。だが、恐らく何か結界のようなものを前面に展開したのだろう。君たちの世界における魔術………霊子ハッカーとまではいかないがあれもハッキングの類いかも知れん)

 

(なるほど…………そりゃ厄介だね………)

 

さっきのは前面に張っただけだった。つまりは現状ではどこまで張れるのかが不鮮明だ。

ならば、やることは1つ。だがいつもと同じでは恐らく無理だ。

私は手に携えていた双剣に同調を行う。

そして、そこにエネルギーを注入していく。するとそれに耐えきれなくなった刀身にヒビが入る。

 

「む……………なんだ…………?」

 

干将・莫耶を左右に投げる。

そしてもう1組の干将・莫耶を展開し、突っ込む。

何故、先程投げた物の刀身にヒビを入れたのか?

簡単だ。気を逸らさせる為(・・・・・・・・)

ISのハイパーセンサーによって視覚が強化されているため、恐らく彼女がそれを見逃すわけがないだろう。そして、その認識は多少なりとも油断に繋がるだろう。

 

鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)

 

「ふん、来るか………!」

 

加速をつけ、相手よりも高い位置に跳ぶ。

 

心技、泰山ニ到リ(ちから やまをぬき)

 

心技、黄河ヲ渡ル(つるぎ みずをわかつ)

唯名、別天ニ納メ(せいめい りきゅうにとどき)

 

両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)

 

「ッ!?なんだと!?」

 

彼女は気がつく。さっき私が投げた筈の剣が背後から迫っていることに。

そしてその剣の刀身のヒビが完全に消え、完全な状態に戻っていることに。

 

「舐めるな!レールカノンの餌食にしてやる!」

 

彼女は肩に直結したレールカノンを発射する。確かに凄まじい速度だが、なんてことはない。この程度なら簡単に叩き斬れる。

 

「はあっ!」

 

「弾丸を割っただと!?」

 

背後からは一対の双剣。前からは私が斬り込む。これが防御を許さぬ絶技。鶴翼三連だ。

 

両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)……!鶴翼三連!」

 

確実に捉えた。もう逃すものか!

 

「くっ!しかし、甘い!」

 

彼女がさっきと同じように体の前に腕をつきだした瞬間私の動きが空中で完全に静止したのだ。

 

(やっぱり使ってきた!でも、背後の剣は避けきれないはず!)

 

その確信は簡単に破れ去った。

 

「ワイヤーブレード!」

 

彼女の機体から射出されたワイヤーブレードは背後から迫る干将・莫耶を弾き飛ばした。

どうやらあれは彼女の意思で操れるらしい。

 

「そんな………!」

 

完全に当たったと確信した攻撃が防ぎきられた。今の状態では次の手も打てない。

さっきから空中に剣を展開しようとしてもうまくいかない。

 

(マスター。不味い状況になったな。手に持った干将・莫耶に魔力は籠められるか?)

 

試してみると、干将・莫耶の対魔力の効果の影響からか少しの動作くらいなら問題はない。

 

(出来るけど、なにを?)

 

(恐らくこのままではあの型のレールカノンを無防備な状態で受けかねない。だったら最小の範囲でその剣を爆破して裏に飛べ。そちらの方がまだマシだ)

 

(了解!)

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!ぐっ!!」

 

「き、貴様!自分ごとッ!?」

 

なんとかあの結界から逃げ出すことが出来た。

そして新たに得たことも。

あの兵装は、武器だけでなく機体までも動きを止められるほどの強力なものだ。

しかし、その性質なのか恐らく展開できるのは一方向だけなのだろう。

物事には必ず綻びが生じる。完全なものなどこの世には存在していないのだ。

 

「へへへ…………ちょっとだけ痛かったけどね………でもその結界みたいなものの性質は掴んだよ!今度こそ逃がさないから!」

 

「なんだと……?停止結界を見破ったというのか?それもこんな短時間で……………いいだろう!面白い!そこまで言うのなら私を討ち果たしてみせろ!」

 

言われなくともそのつもりだ。

彼女のあの結界のような装備はたしかに他の物と比べても群を抜いて厄介だ。

しかし、あれほど強力な装備であれば何か使用にデメリットが発生するはずだ。

そしてそれは恐らく、かなり致命的な物でなくてはならない。

 

彼女は結界の使用中はほとんどその場から動くことはなかった。干将・莫耶が背後から迫った時には避ける動作する眼中に入れず、ワイヤーブレードで切り落とした。その際には、彼女は意識をこちらから外すことはなかった。

この2つから考察できるのは、恐らくあの装備を使用する時にはかなりの集中力を保たなければいけないということだ。

 

それなら集中をこちらでは無く、武器の方へ向けてしまえばいい。そうすれば私の最高の一撃を彼女に叩き込める。

ちょうど、それに相応しい剣(・・・・・)も出せるのだ。

 

「来ないならこちらから行くぞ?貴様の実力を鑑みるにどうやら受け身に徹する必要は無さそうだからな」

 

「ううん。攻めるのは私。貴女にはもう反撃の機会は与えないから!さあ行くよ!」

 

私は空中に私の知りうる中で最も強大な剣を展開した。

 

「な…………んだ………この剣は!?」

 

「この剣はただの空虚(から)創造工程(いみ)もなく、創造理念(なかみ)のないただの張子!だけど、その重みは偽の物であろうとも神代に至っている!

その身は千の山をも切り裂く!斬山剣!

虚・千山切り拓く翠の地平(イガリマ)!」

 

「馬鹿な!これほどのものが!?」

 

「この剣で、私は貴女という立ち塞がる山を切り拓く!」




気づけば時間が過ぎ、1年が過ぎようとしています。
今年の1年も色々なことがあって大変だったような楽しかったような気がします。
今年のfgoの福袋は友人と一緒に引きたいと思い、最低額分の魔法の林檎カードをプレゼントするのを約束したのです。

そういえば、ISのアーキタイプブレイカーがついにiOS版とAndroid版が配信開始されましたね(今更)
僕は新キャラのロランディーネちゃんがストライクでした。
催促するようで申し訳ないのですが、フレンドになっていただける方は次話の後書きに載せますので、そちらでお願いできたらと思います。

本当に1年が過ぎるのは早いですね…………
今年も本当にありがとうございました!こんな作品でよろしければどうか来年もお付き合い頂ければと思います!


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大剣交差

前話の投稿が気付けば12月29日………今回の登校日が3月29日………
丸々3ヶ月間が空いてる!?なんてことだ…………
これで何度目かわかりませんが、また遅れに遅れた投稿です。本当に申し訳ありません。
この3ヶ月は私的な用事が盛りだくさんで「続きを書かなきゃ」とは思っていたんですが、ちょっと厳しかったです。


「なんて巨大な…………!!」

 

これが私の使える文字通り最大の剣だ。

例えあの結界に止められたとしても、それで終わりではない。

 

「さあ、防げるものなら防いでみなよ!」

 

「ぐっ!おおおおおおお!!舐めるなぁッ!!」

 

彼女は見事にその剣を完全に静止させて見せた。いくら張りぼての剣とはいえ、流石にそれには驚かされる。

しかし、ついさっき言ったようにこれは止められて終わりじゃない。まだ私には手がある。

 

「あっははは!!ごめん!ボーデヴィッヒさん!私も貴女のこと少し侮ってたみたい!でも今のでわかった!貴女はめちゃくちゃに強い!だからこれは私の本気の証!受け取って!」

 

投影、開始(トレース・オン)

創造理念、破棄

基本骨子、想定

構成材質、擬似複製

製作技術、一部破棄

憑依経験、破棄

蓄積年月、一部破棄

 

作るのはさっきと同じ『張りぼて』で充分。これなら視界までも遮れる。

 

投影、完了(トレース・オフ)

絶・万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)!!」

 

同等の大きさの剣がもう一本、私の横を通り彼女に向かって飛ぶ。縦からは虚・千山切り拓く翠の地平(イガリマ)。そこに直角で交わるように横から絶・万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)。これで少しは堪えるはずだ!

 

「ぐうっ………!? まだだ…………負けるものかぁぁッ!!!」

 

「あ………あはは……なんてデタラメな……」

 

口から自然と乾いた笑いと驚嘆の声が漏れる。

なんと彼女は今度は圧倒的な質量と面積の剣を素手で受け止めているのだ。

しかし、それも時間の問題だろう。彼女が完全に絶・万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)を止めていられるわけもなく、今まさに壁に向かい押されているのだ。

 

「うおお、おおお!!負けるわけにはいかない!!」

 

終わらせよう。今度こそ。彼女の必死さには申し訳ないが、勝たせてもらう。こちらのエネルギーも少し危うい。これでチャンスを逃すような事があっては恐らく勝機は薄れるだろう。

 

投影、開始(トレース・オン)!ふっ!」

 

投影した莫耶を10本ほど絶・万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)に刺す。

 

同調、開始(トレース・オン)………創造理念、改修。基本骨子、改良。全工程、完了。干将、射形!」

 

そして干将を1本だけ展開し、形状を矢の形に変える。それを弓に番え、射る。

狙いは彼女の背後だ。

干将・莫耶の互いに引き合う性質を利用し、彼女に向かう剣を加速させる。

 

「なっ!?勢いが増しただと!?まさか今の矢に何か細工が!?」

 

加速した燃え盛る山のような大剣は、勢いを増して壁に突き刺さった1本の矢に向かい進む。その都度、今にも押しつぶされそうな少女から逃げ場をさらに奪っていく。

 

「うおおおああああぁぁぁぁッ!!」

 

私はそれを見ながら地面に降り、矢を展開する。

その矢の名は偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)

虹霓剣と呼ばれ、その刀身から伸びた虹は「3つの丘を切り裂いた」と言われた地形破壊さえも可能とする対軍宝具。

 

後に名を馳せた、彼の円卓の騎士団において日中であれば最強とまで呼ばれたランスロットでさえ防戦を強いられると言わしめた太陽の騎士であり、聖杯戦争においてはレオのサーヴァントとして彼に付き従ったセイバー「ガウェイン」の携えた聖剣。

転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)」の原型と言われた剣だ。

 

アーチャーが用いていたのはそれを変形させ、矢として運用することを主にしたものだ。

 

私はその矢を展開し勝利の詠唱(コマンド)を使う。

 

「……………壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!」

 

すると上では轟音とともに2本の大剣が爆発を起こす。

当然、ボーデヴィッヒさんはその爆発に巻き込まれる。そこに逃げ道など無い。それを完全に断つ為の2本の大剣なのだ。

 

その爆風から1つの影が飛び出す。それは爆風によって吹き飛ばされたボーデヴィッヒさんだ。

 

「このチャンス、逃がさない!」

 

前方に向かい、加速をつける。

ギリギリまで距離を詰める。

絶対に外さない。今度こそ仕留める。

 

「これで………!」

 

最早外さない距離まで接近した。あとは番えた矢を放つだけ…………!

 

「ッ!はああああッ!!」

 

「なっ!?く、空中でレールカーーー!?」

 

私が矢を放つのと全く同時に彼女は目を見開き、空中でレールカノンを放った。あの体制で撃てば間違いなく彼女の体は後方に吹き飛ぶはずだ。しかし、彼女の後方に待つのは壁。それだけで既に放たれた矢の軌道が変わるわけもなく、彼女は恐らく壁に叩けつけられるだけではなく偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)も受けることになる。

 

そして私も彼女の放った凶弾を止める術はない。さらにいえば、武器の展開によってエネルギーを消費していく私の機体にそれを受け止めるほどのエネルギー残量はない。

 

「ぐっ!?」

 

「ガッ!?」

 

レールカノンの弾が当たった鳩尾に強い衝撃が走る。私たちは互いの放った攻撃によって吹き飛ばされた。

 

当然、私の機体は展開状態を強制的に解除され待機状態になる。

彼女の方はどうだろうか?

恐らく良くて引き分け、最悪彼女のエネルギーは残っているんじゃないだろうか?

 

「い、ててて………」

 

体を無理矢理に起こす。あちこちが痛むが、まだ大丈夫だ。流石に動けないほどではない。

 

(マスター、大丈夫なのか?)

 

(うん。それより、ごめんアーチャー。無茶しちゃって…………)

 

そこは素直に謝っておこう。何よりも被害者は彼なのだから。

 

(全くだ。君の無茶は時々目に余る。いや、時々ではないな。かなり頻繁だ)

 

(うっ…………本当に申し訳ない…………)

 

(とりあえず、彼女の確認をしておいた方がいい。どんな状態だ?)

 

(え、ええと……………)

 

煙が晴れ、見えたものは大きなひび割れが出来たドームの壁とその中心でこちらを見つめるボーデヴィッヒさんだった。

しかし、その体にISは展開されておらず恐らく展開状態を解除されているというのがうかがえる。

 

「………………」

 

彼女の私に向けた目には恐怖も、畏怖も、ましてや敬意もなかった。

 

「不思議そうだね?」

 

あの目には見覚えがある。いつだろうと、どこでだろうと、傷つくたびにその目を向けられた。傷つけるたびにその目を向けられた。その目に浮かぶ感情はいつも1つだった。

「なぜ戦う?」「なぜ傷つく?」「なぜ傷つける?」

戦う理由も、勝つ理由も、ましてや生きる(ころす)覚悟もあるはずがないのに?

 

それでも戦い続けるのは何故だ?

何度も向けられたことのある目だ。

 

そしてその度に私の戦いには何の意味もない事に気づかされる。

だからこそだ(・・・・・・)。意味や理由が無いからこそ戦い続ける。その理由を得るために、いつか必ず生きる(ころす)覚悟を持つために。

 

それこそが私の戦う意味であり、問いの答えだ。それ以上のものも、それ以下のこともない。

 

「不思議な奴だ………これほどの実力がありながら、それ以上の力を求めようとしない。人間は決して現状に満足なんて出来ない。仮に出来たとしてもそれは一時的な者で、すぐにでも『より良いものへ』と上を目指すはずだ」

 

「ん?そんなの私だってそうだよ。もっと強くなりたい。それが目に見えないのはきっと私にあるのはそれだけじゃないから(・・・・・・・・・・)。強さだけじゃない、それだけを求める人生じゃないから」

 

「それだけじゃない………?」

 

強さだけじゃない。そんな物だけのための人生なんて哀しいしなによりも………

 

「つまらないでしょ?強さだけで生きてくなんて」

 

この世は退屈だらけなようでいて、だけど探せば探すほど面白おかしい事が数え切れないほどある。

 

月の聖杯や過去の英霊たち、パラレルワールドに様々なIS

 

こんなにも愉快なことが仕込まれている世界は私からすれば出来すぎてるぐらいの代物だ。いざ本気で楽しもうと思ったら、この世界に勝るほどのエンターテイメントは他にないだろう。

 

「この世界は神様の愛に満ち溢れてる。そうじゃなきゃ命の在り方、色や形がこんなにも多いはずがないよ。そんな世界を、ただ『強くなりたい』って理由で生き抜くなんてそんなの生きてないのと一緒。だから強さと一緒に、1つでいい。1つだけでいいから何か他の生き方を持ってみるときっとそんな風には見えないと思うな」

 

メルトリリスとの戦いでシンジの見せた勇敢さ、ラニの持つ確実さ、凛の時折見せる優しさ、レオの掲げた正しさ。

 

どれもこれも個性的ではあったが強さとは違う、戦いおいては時には邪魔になるであろうそれらの物を持ちながらも、その芯に強さを垣間見せる彼らはいつだって「強くなりたい」と願っているというよりは、「強い」と確信させる何かを秘めていたのだ。

 

「…………フッ、やはり不思議な奴だ。貴様は」

 

「あっ…………今………」

 

笑った………?

一瞬だったが、確かに彼女の表情は緩みその凛とした顔には優しげな微笑みが浮かび上がった。

 

「笑ったの初めてみた…………」

 

「む、笑っていたのか………?全くわからなかったが………」

 

どうやら無自覚で笑っていたらしい。

笑みを浮かべたのは一瞬のことだったし、本当に本人は理解していない状態で笑っていたらしい。

 

「笑ったボーデヴィッヒさんの顔、結構可愛いじゃん」

 

「……………褒め言葉として受け取っておこう」

 

そう言って、ボーデヴィッヒさんはアリーナの出口へと向かった。

 

「ボーデヴィッヒさん!」

 

そう呼びかけると立ち止まり、こちらに顔だけを向ける。

 

「トーナメント、絶対勝とう!!私達ならやれるよ!!」

 

そう叫ぶとボーデヴィッヒさんは返答をすることなくただ、片手をヒラヒラと振るようにしてからまた歩き始める。

 

確信した。私達なら、今の状況であれば絶対に負けることはないと。




そろそろ春ですね。
春といえば進学や進級、また社会進出なんかで別れを惜しみながら新しい出会いを得る季節ですよね。
というわけで、未だにセイレムのアビゲイルピックアップでの大爆死を引きずっている僕のカルデアにはお正月に来た葛飾の娘さんとジャックちゃんが来てくれました。そしてお正月の福袋ではlv100スキルマまで頑張って育てたイスカンダルが宝具2になりました。それでも言えない程アビゲイルの残した傷痕は大きいです。
あとは、らっきょの復刻やりましたね。まさかふじのんが新規で来るなんて予想外でした。当たったんですが、宝具1なので未だダビデ離れは出来そうにないです。(復刻新規実装ってことは、zeroで麻婆、プリヤで美遊もワンチャン……?)
まあ、僕は来るべきアポコラボでギリシャ師弟の為に石を貯めるんですがね………


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