バカと忠義の狂戦士 (練火)
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その男は
プロローグ


はじめまして?こんにちはこんばんは

練火です(^○^)

なんかアニメを見てたら書きたくなりました。ので。駄文ですけど…………許してください!!


悪鬼羅刹と恐れられた坂本雄二には吉井明久、木下秀吉、土屋康太の他に悪友がいた。

(さかき)恭介(きょうすけ)……名だけは誰もが知ってる悪童である。

 

 

クラス分けのテストが終わり、その一週間後。榊はFクラスの教室に入ると、目の前の教卓に一人の男子生徒が座っていた。

 

「恭介……約束通りにこっちに来てくれたのか」

 

「おぉ、雄二殿ーーーーー来るのが早すぎやしませんか?」

 

雄二がこちらに気づきながら、挨拶をしてくる……が

今の時間は6時半過ぎ……生徒は愚か、教師は鉄人以外はまだ来ていない。

とりあえず、榊は手近にある卓袱台の上に腰掛け

 

「それで、雄二殿が頭を下げてまで俺にFクラスに誘った理由……教えてくれないか?」

 

そう言うと、雄二はニカッと笑顔で

 

「俺はアイツと対等な立場で付き合う為にこのFクラスからいるであろうAクラスに下克上をする!!…すまないが…その為の踏み台になってくれ……」

 

真剣な顔つきでそう答える雄二。普通ならば他人の為に踏み台に……捨て駒に成れと言っているのだ。確実に怒るか。不満を漏らすであろう。なのだが、

 

「了解した。さすがは雄二殿だ。下克上とは面白い……最高だ!」

 

「それは良かった。お前がいなければ成功率は下がるからな」

 

「俺は、雄二殿に助けられた身。その時に御大将には忠誠を誓っていますから」

 

そう言うと、雄二は少し恥ずかしいらしく目線を反らす。

 

「そんなに大層なもんじゃ無いだろ?」

 

そんな雄二を見ながら、榊はクスリッと笑みを溢す。

今、この二人を見たら誰が思うであろうか。片方は悪鬼羅刹と恐れられた学生。もう片方は鬼と畏怖された学生だと言うことを………

少しの談笑が終わった後、榊は目立たない一番廊下側の真ん中に陣取ると、そこで居眠りを始めた。

次に起こされるのは、彼が自己紹介の時である。

 

 

 

 

僕こと明久の自己紹介が終わり、後はポカポカの陽気に眠さが襲ってきて、ボケ~としていたら、

 

「そ、それでは……もしもーし。起きてくださいよ?あなたの番ですよ~?」

 

一人の男子が揺り起こされた。男子は欠伸を噛み殺しながら前に出ると。

 

「榊恭介だ。よろしく頼む」

 

それだけ告げると、再び席へ戻っていくが。周りの空気は最悪だ。何ってたって、あの悪名高い名前なのだ。

 

『嘘だろ?あれが処刑人かよ』

 

『俺は鬼って聞いたぞ?』

 

口々に彼の噂をする。

 

『確か、友が傷付けられたら。例え誰であっても殴り込みに行くんだったよな』

 

『アイツに挑んで病院送りになったやつは100人以上いるとか……』

 

…………もしかしたら雄二以上に危険な奴かも知れない。

吉井の背中には冷や汗が流れ落ちる。

 

「ハイっ。皆さん静かにしてくださいね?」

 

担任が教卓に手を置いて、注意を促した瞬間。

 

バキィッ!!ガラガラガラッ!

 

……

 

『『『…………』』』

 

「…………あーっ。今から代えてきますので、それまで自習でお願いします」

 

そう言って教室から出ていく教師であった。

 

 




さて……書くものが多くなってきたなぁ♪
何から手をつけるべきか悩む悩む♪


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試召戦争

やっふー!!

練火です!!(・・;)
はい、きました第2話!!

半分アニメ、半分オリジナルです!
駄文ですが、それではどうぞ!!!


あの後、Fクラス代表である坂本雄二が下克上への引き金を引いた。

相手はEクラスらしい。しかも、決戦は明日の午後。

榊は一人、図書室で本を読んでいると横のスペースに数冊の本と坂本が座ってきた。

 

ヒョイッ

 

その内の一冊の本を取り、ページを捲ると折り畳まれた紙を開く。

書かれている内容は戦争の作戦内容だ。

 

「しかも、絶対に……か…」

 

「出来るか?」

 

イスに凭れながら聞いてくる坂本に榊は頷く。

 

「まぁ…………多少は注意されると思いますけど。出来ますよ」

 

「頼んだ。俺は負ける訳にはいかないからな」

 

坂本はそう言うと、席を立ち。作戦でも伝えに行くのであろう。

一人残った図書室で。榊はその紙をビリビリに破り、窓から外へ捨てた。

明日は大忙しだな……

 

 

 

(当日)

 

黒板の前に立つ坂本は作戦を書きながらFクラス勢に説明していく。

 

「ーーーーーと五時限目が終わった時にこっち側にくる数学教師の長谷川先生を確保(拉致)して、数学フィールドを張って貰う。だから、今回の戦力はーーーー」

 

吉井はそれを聞きながら、有ることを思った。

榊君はどこに行ったんだろ?

そう、昼休みになった時に榊はどこかへ行った。

……まさか逃げ出したのか!?

吉井は頭を抱えて深刻に考えていると、

 

「ーーーでだ、もう一つ…おい、明久。バカな頭をさらにバカにしてどうするんだ?」

 

「なんだと!!僕のどこがバカなのさ!!」

 

「あぁ?……そうだな…バカでは無かったな」

 

坂本が少し、そうかっと。言う顔をする。

さすがは僕の親友だ。僕はバカじゃなくてちょっとお茶目な事ぐらい知ってるみたいだ。

 

「そうだよ。僕はバカじゃないに決まって」

 

「ーーーー日本一のバカだもんな。解ってる。お前が決してただのバカじゃないことぐらいは」

 

「ーーーそう言う意味で言ったんじゃないやい!!」

 

コイツは一回簀巻きにして川に流してやろうか。

 

「っと、んな事じゃなく。今から言うのは大事な事だから、必ず忘れるなよ?」

 

真剣な顔で告げる雄二に、クラス全員が生唾を呑み、その言葉を待つ。

 

「絶対に階段から攻めようとはするな……それだけだ」

 

…………

 

「それだけ?」

 

「おお。それだけだ」

 

ついさっきの真剣な顔つきから一変、坂本はいつもの顔に戻る。

そしてーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー授業終了(戦争開始)のチャイムがなった。

 

 

 

「野郎共!必ず勝つぞ!!」

 

 

『『『『『オオォォォオォォォォッッ!!!!!!!!!!』』』』』

 

野太い男子の叫びと共に何人かがクラスを飛び出した。

吉井も出ようとするが、

 

「明久はここで待機だ」

 

「えっ?僕は行かなくても良いの!?」

 

「お前まで言ったら誰が大将を守るんだよ……」

 

頭を抱える坂本に吉井は周りを見て納得した。

誰もいないのである。

 

「うん、わかったけど。一つだけ教えて?なんで階段から攻めないのさ?」

 

坂本はそうだなっとぼやきながら、

 

「一つは戦力分散を阻止するため。ーー俺達は最弱なんだ。せめて最初は集結させてやらないと戦死するしな」

 

坂本が指を一本立てながら言い、もう一本指を立て

 

「それにあそこには……」

 

「あそこには……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーー鬼が出る」

 

 

 

 

 

Eクラスは生徒を2つに別けて進行しようとしていた。

その片方には英語教師の遠藤が着いて行っている。

 

「この階段から行けば!!」

 

挟み撃ちを企むEクラスは階段を降りてFクラスより奥にある階段に向かう為に一階に降り、旧校舎に入ろうとするが、

 

『な、なんだこれは!!?』

 

『なんで旧校舎への道が机で塞がれてるのよ!?』

 

旧校舎への続く廊下だが、階段を降り、曲がった直後に見えたのは、天井にまで積まれた机で通ることは出来なかった。

 

「塞がれてる?よく見ろよ。道はあるだろ?」

 

何処からともなく男の声が聞こえてくる。Eクラスの面々が真ん中を見ると、人一人通れるだけの道があった。

 

『なんだよ。道があるんなら、こんなの作るんじゃねぇよ!!』

 

Eクラスの一人がそう言いながら通ろうとすると、

 

「残念だが、通すわけには行かねェんだわ。ーーーーーここにいる生徒全員に戦を申し込む」

 

「承認します」

 

男の声に遠藤先生は思わず承認して、フィールドを展開する。

 

「《試獣召喚(サモン)》!!」

 

机と机の真ん中にある道の前で、山賊姿をした身の丈がありそうな斧を2挺持つ召喚獣が、そこに立っていた。

 

【英語】

『Fクラス・榊 恭介(72点)』

 

その瞬間、天井から冷たい水が降ってきた。

 

『冷たっ!?』

 

『くそっ!水かこれ!?』

 

『出てこい卑怯者が!!』

 

Eクラスはこんな卑怯な手を使う榊と言う人物に怒りを抱き始めていた。

 

「それよりさ。早く出さないで良いのか?急がないと補習室行きだが?」

 

向こう側の机の道から出てきた榊は顔をにやけさせながらそう言い、急いで召喚する。

 

【英語】

『Eクラス・古川 あゆみ(91点)

Eクラス・三上 美子(100点)

他、十五名』

 

Fクラス(最低辺)の分際で上に立ち向かおうとかしてんじゃねぇぞ!!』

 

『絶対にぶっ倒すっ!!』

 

『差の違いを見せてやる!』

 

男子生徒の召喚獣が走ってこちらにくる。

 

【英語】

『Eクラス・園村俊也(105点)』

 

召喚獣(園村)が走って向かってくるが、対照的に榊の召喚獣は構えたまま動かない。

 

『なんだよ!怖じ気づいたのか!』

 

園村が鼻で笑いながら来るが、榊はあーっと言いながら、

 

「そこ、転倒注意な?」

 

召喚獣(園村)の足元を指した。

 

『へっ?』

 

園村も気づいたがもう遅い。召喚獣は何かに滑るとそのまま召喚獣()の足元まで滑ってきた。

 

「まずは一人」

 

ザンッ‼

 

片方の斧を振り上げ、力一杯足元にあるそれの首を切った。

 

【英語】

『Eクラス・園村 俊也(dead)』

 

「戦死者は補習っ!!!」

 

西村先生が廊下の窓を開け、園村を担ぎ上げ

 

『い、嫌だっ!!誰か助けてくれェェェェっ!!!!』

 

命乞いをする園村をそのまま補習室へ、強制連行する。

 

「南無」

 

榊は軽く唱えた。Eクラスの男子生徒が自身に掛かった水に触れ、

 

『俺達の体に掛かったのは……あ、油かっ!?』

 

「御名答!正解者には補習室への旅をプレゼント!!」

 

『んなもんいるかボケ「戦死者は補習!!」……ハァッ!?』

 

おめでとうと言ったと同時に召喚獣()の斧がソイツの召喚獣の首に命中した。

 

『どうすんだよ……』

 

ザワザワッ

 

いきなり、二人が戦死になったEクラスの面々は退却するか否かの判断に悩んでいる。

そこへ

 

「どうした?どうした!?Eクラスの脳筋共!!怖じ気づいたのか?逃げるのか?各下のたった一人に!?」

 

榊は大袈裟に両手を横に広げ、叫びながら、まるで目の前にいる集団を憐れむような口調で挑発した。

 

『だ、誰が怖じ気づいたって?卑怯者!!』

 

『卑怯者なんて俺がぶっ潰してやる!!』

 

Eクラスの面々は退却と言う選択を捨ててくれたらしい。

榊は込み上げてくる笑いを耐えながら

 

『テメェ!何がおかしい!!!』

 

……耐えられなかったみたいだ。

片手で口を少し隠し、

 

「違うのなら来いよ……さっさと来いよ…!!ハリーッ!ハリーッッ!!ハゥリィィィィッッ!!!!」

 

まるで地の底からの叫び声に、Eクラスの面々は恐怖で怯えるが。

ーーーーーそれでも、相手はたった一人。ここにいる全員で相手をすればすぐに終わる。

ゴクリッと唾を飲み、

 

『絶対に殺してやる!!』

 

ダッ!!!

 

誰が言ったか。その言葉で一斉に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーそれが罠だとは知らずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

バサッ

 

『いきなり何も見えなくなった!?』

 

『な、何!?』

 

『暗い!?何があったの!?』

 

突如Eクラスの視界は真っ暗に覆われ、何も見えない。

 

「ウェェェルカァァァムッ!!地獄へようこそ♪」

 

『くそっ!!暗幕か!』

 

「大・正・解!!それでは楽しい…楽しいshowtimeだぁ…」

 

まるで悪魔のような……怪物のような声が聞こえると、そこからは悪夢の始まりだった。

 

「さぁ、今から全員ーーーーー死んでいけ」

 

 

 

 

(Fクラス)

 

試召戦争が終結。Eクラスとの交渉も終わった。

 

「……あんた達に一つ聞いても良いかしら?」

 

Eクラスの代表・中林宏美は帰ろうとしているFクラス代表・坂本雄二と吉井明久に問いかける。

 

「なんだ…?」

 

「私達、階段と廊下の挟み撃ちにしたんだけど……」

 

そこで、言い難そうに

 

「ーーーーー別動隊の17名が全滅したんだけど……いったい何をしたのかしら?」

 

じ、17人が戦死だって!?しかも雄二が行くなって警告した階段で………!?

吉井は背筋に冷や汗を感じながら………

 

「何、鬼にでも会ったのだろう?」

 

雄二はあっけらかんと答える。

 

「って。鬼っていったいなんなのさ!?」

 

「ああ、明久(天性の馬鹿)は知らなくて良いぞ?」

 

「雄二。今、僕の名前に最悪のルビを言ったよね?!」

 

そんな吉井の発言を無視して、雄二は教室を

 

「………良くやってくれた(ボソッ)」

 

出る間際、そんな呟きが聞こえた。

 

 

 

(???)

 

 

「それじゃあ、ちゃんと機能したのかい?」

 

「フィールド発生したあと………ならですがね」

 

「………そうかい。まだ研究の余地ありさね」

 

「それで?次の試作品は?」

 

「コイツさね(コトッ)」

 

「………説明書は?」

 

「後で、渡すさ。じゃ、また次の試召戦争で会おうか」

 

 

キイィィィッバタンッ

 

 

 




2話終了!!

次回はあのクラスと対戦だぁぁぁ!!!


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話し合い

ミッナサーン!!お久し振り~!!

生存報告のついでに軽めに書いてみました。
練火デスッ(´・ω・`)

それでは駄文ですがどうぞお付き合いくださいΣ(ノд<)


Eクラス戦が終わり、榊は坂本から貰った重大指令を始めた。

榊は目の前のドアを開け、

 

「すまないが失礼する。Fクラスの使者だ。Aクラスの代表に会わせて欲しい」

 

Aクラスに入りながら、そう言った。

 

『なっ!Fクラスだと!?』

 

『あんな最底辺がなんのようだよ』

 

『…チッ…チマチマ下位クラスで我慢しときなさいよ…』

 

『しかも最上位のAクラスに挑むとか無謀すぎるだろ?』

 

そんな罵詈雑言を聞きながら、目の前の教卓を蹴りあげる。

 

ガンッ!!!!

 

その榊の行動で周りの音がシンッと静まった。

 

「ちょっと、何してんのよ!そこの低脳!!」

 

そんな中、怯えもせずそれどころかこちらに掴み掛かってくる木下秀吉似の女生徒が来た。

 

「……あんたが、このクラスの代表か?」

 

「ふん!あんたなんかに代表を出すわけ無いじゃない。馬鹿なの?」

 

榊は目の前の女生徒が代表じゃないと解ると、すぐさま、記憶を思い出す。

確かーーー木下秀吉の…姉だったな。雄二殿の情報だと………やるか。

 

「代表じゃないなら失せろ。雑魚に用は無い」

 

「ざ!……生憎、代表は席を外してるの。だから、さっさとFクラス(ブタ箱)に戻ってくれないかしら?」

 

榊は少しだけピクッと反応すると

 

「いやいや、すみません。教えてくれて……確か、名前は雑魚キャラK(木下優子)さんでしたね。しかし、そちらの代表は逃げてしまったのですね……臆病風に吹かれて…プックク」

 

笑いを堪えた笑顔で答えた。

 

「な、なななんですって!?アンタなんて一瞬で……!!」

 

その発言に驚いた顔で、

 

「えっ?勝てるの~??Fクラスの一人が来ただけで周りがこんなにシーンと成って怯える小心者クラスが?病院行って頭、治療してきたら~??」

 

100%小馬鹿にしたような口振りで更に煽る。

※イメージは銀時が高杉を馬鹿にするときのアレ

 

「こ、この~!!」

 

「悔しかったら、Fクラスにでも宣戦布告でもしに来ます?雑魚キャラKさん」

 

まるで流れるようについさっきの仕返しとばかりに罵詈雑言を吐きまくる。

そして直ぐ様、榊から教室を出ていった。

……これで良いのだろうか……??

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、木下優子はFクラスに宣誓布告しに行ったらしい。

次の日。榊は下駄箱の扉を開けると、一枚の紙が置いてあった。

 

『頼みたい事がある。Aクラスに話し合いの後。屋上で待つ』

 

その紙を読んだ後。握り潰してズボンのポケットに入れた。

 

「これでは、果たし合いと間違われますぞ……」

 

榊は苦笑いしながらそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

ガラッとFクラスのドアを開ける榊

 

『何で僕が女装するのさ!?』

 

『待て明久!?ワシも女装じゃ!!』

 

ガラッバタンッ!

 

目の前の状況に理解できず。無言で扉を閉めた。

……うん、白昼夢でも見たんだろそうに決まってる。

榊は深呼吸をして。もう一度、扉を開けた。

 

ガラッ!

 

『……良いアングル(パシャッパシャッ!)』

 

『おい、ムッツリーニよ!何故写真を撮るのじゃ!!?』

 

『……それは勿論販b…秘密』

 

『全然隠せてないからの!?』

 

『販売!?僕の写真も売るの!!?……っあ』

 

『明久よ。その言い草だとワシのは既に有るみたいじゃないか!?……っあ』

 

同時に此方を見るのは確か、木下秀吉と吉井明久だったな。何故に、二人ともメイド服と動物の耳・シッポを付けているんだ?

 

『さ、榊君!?こ、これには訳があって…』

 

言い訳をする吉井達を冷たい目で見ながら、廊下の方へ顔を向け、

 

「西村先生!女装趣味の馬鹿が二人いるんですけど!!」

 

『僕の話も聞いてェェェェェッ!!!?』

 

此方に歩いてきている鉄人に向け、大声で伝えた。

 

『また吉井達か……』

 

鉄人は溜め息を吐きながら、教室に入り吉井達に説教する。

その間に榊は自分の席に座り、寝始めた。

次に起きたのは朝のHRの後である。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、Aクラスに交渉を持ち掛けに行くぞ」

 

坂本がそう言うと、あらかじめメンバーが決まってたのか。坂本・土屋・姫路・島田・吉井・木下が教室から出ていこうとする。

榊はそれを見ると、再び寝ようとするが。

 

「恭介。お前も来てくれ」

 

坂本直々の頼みなので、榊も席を発った。

廊下を歩いている最中、榊の前を歩く吉井が何かを思い出したかのように此方を向き

 

「そう言えば、榊君に聞きたいんだけどさぁ」

 

「…なんだ?」

 

「何で、バカ(・・)雄二の事をそんなに恭しく敬ってるのか。気になってるんだけど……(ピタリッ)っ!?」

 

「ーーーなぁおい。今、雄二殿の名前の前に何て言った?発言によっては……」

 

吉井の脇腹には榊の拳が当たっている。

 

 

 

「ーーーーー潰すぞ?」

 

 

 

その言葉は短いが、そこに含まれる殺気…優しさが一切みえない殺意はFクラスの生徒より何十倍も濃い。

 

(発言を間違えたら……死ぬ!?)

 

吉井も冷や汗を流し、無い知恵をフル回転させて答えを出そうと長考するが…

 

「答えないならーーーそのまま、逝け」

 

呼吸を整えながら脇腹に当ててる拳を僅かに引き、そして一撃を

 

 

 

 

「待て!恭介っ!ストップだ!!?」

 

 

 

 

ピタッ

 

ーーーーー吉井にぶち当てる前に坂本の言葉により、榊の拳は吉井の衣服に触れるくらいで止まった。

 

「恭介。コイツらは俺の仲間ーー悪友だ。こんぐらいの事はよく有るから気にするな」

 

榊は首だけを坂本に向けながら

 

「し、しかし!雄二殿、コイツが」

 

「これは命令だっ!」

 

「……了解した」

 

坂本がそう言うと。渋々だが榊は納得したのか、拳を引いた。

 

「間に合って良かったな明久」

 

安堵の息を漏らしながら言う坂本に吉井は?マークを出しながら

 

「けどさ美波の拷問や、FFF団の処刑に比べたら一撃くらーーー僕の右肩がおかしな方向へ螺曲がるゥゥゥッ!!!?」

 

「誰が!いつ!拷問したのよォォッ!!!(ギリギリギリッ!!)」

 

話していた吉井の右肩を流れるように島田が脇固めを決めた。

それを眺めながら、坂本は

 

「恭介のアレは、一撃で病院行きだからな?」

 

「……冗談だよね?ソレ」

 

関節技から解放された吉井がそう言うが、坂本は無視して

 

「それじゃあ、Aクラスに乗り込むとするかっ!」

 

ガラッとAクラスのドアを開け、中に入った。

 

「雄二?何で無視するの!?何か不安になるんだけど!?」

 

それに続き、吉井・姫路・島田・土屋が入っていった。

何故か秀吉だけは立ち止まり、こっちをみている。

 

「……なんだ?」

 

「のう、榊よ。お主はついさっき、何故ワシが女装していると解ったのじゃ?」

 

「見たら解るだろ。そんなことーーーーってちょっと待て。何故、そこで泣きそうな顔になる?」

 

「い、いや。ただワシの事を一目で男性じゃと解ってくれたのが嬉しくての……(ごしごしっ)」

 

目尻の涙を拭きながら、秀吉は言った。

こ、こういう時はどうすれば………

戦いだと数多の知恵が回る榊だが、こういう時には疎いようだ。

とりあえず、ポケットからハンカチを取り出すと。目の前の秀吉に渡し、そそくさとその場から逃げるように坂本の後を追った。

 

 

 

Aクラスには既に一度、遣いとして来ているので中は見慣れているが。

 

「さて、舐められると駄目だから過剰な反応はするなよ」

 

そう告げる坂本の後ろでは………

 

 

 

『うわぁ、凄い!アキ!お菓子の食べ放題よ!?』

 

『止めなよ島田さん。そんなに騒いだら、僕たちの品位を下に見られるよ』

 

『………ポケットにお菓子をパンパンに詰めてるアンタに言われたくないわよ!』

 

島田が吉井にキャメルクラッチを決めた。

 

『イタタタタッ!!?お腹が裂けるウゥゥゥゥッ!!!?』

 

『見え…その技は見えない』

 

『ムッツリーニ!?しょんぼりしてないで助~け~て~!!!?』

 

………………

その騒ぎを無言で見ていた榊はなんとも言えない顔をすると、吉井にキャメルクラッチを決めている島田を右脇に挟むように包み、

 

『ちょっと!?いきなり何すんのよ!!?』

 

倒れてる吉井としょんぼりしている土屋の首根っこを掴んだ。

 

『助けてくれてありがとう榊君』

 

『………何故俺まで?』

 

「雄二殿。これ等は退場させても?」

 

未だ脇で暴れている島田を涼しい顔で無視しながら榊は坂本に訊ねる。

 

「止めとけ、お前の言う退場は多分一般と違う意味にしか聞こえねぇ」

 

「酷いですな。ただ縛り首にでもと思ったのですが…」

 

「そんな残念そうに他人の人生の退場を訊ねるな!!?」

 

(本当にコイツは自分が大切だと思った奴以外には容赦が無いな)

 

坂本は内心、俺は大切な部類に入ってて良かったと安堵した。

 

「本当にFクラスは猿が多いのね。キーキーキーキー五月蝿いわ」

 

そう言いながら来たのは木下秀吉の姉・木下優子。

そして…

 

 

「…優子、その言い方は駄目…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aクラス代表(学年首席)の霧島翔子だ。




ちょっと今年は専門学生一年目+試作の小説をいくつか練ってるので、あまり投稿できないかもです

インフィニットや、信菜の野望、ガンダムを楽しみにしてた皆さん本当にすいません!!誠心誠意謝ります。
すみませんでした。


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夕焼け

こんばっぱー!!


練火だよ(´・ω・`)~

皆は体調とか壊してるの?僕はバリバリにぶっ壊れてますdeath\(^o^)/


あの後、榊がいると話が進まなくなる恐れが有るために少し離れた所でのんびりと秀吉が渡してくる茶を啜る。

 

『その提案は呑めないわよ。あんた達は卑怯で有名じゃない』

 

優子がそうキッパリ言うと、

 

『おいおい、いくらこのバカが卑怯で有名でもさすがに学年首席に勝てるわけ無いだろ?呆気なく天国行きだな』

 

『卑怯で有名な雄二だけど、学年首席には勝てるわけ無いよね。呆気なくボロ雑巾になっちゃうよ』

坂本と吉井は互いを指して、少し黙ると

 

『『………表出ろッ!!!!!(ガシッ!!)』』

 

『あんた達二人よ!!』

 

お互いの胸ぐらを掴み睨み合う二人に優子は叫んだ。

それからもそんな調子で話し合いが続くのだが………

 

「………のう、味はどうじゃ?」

 

ーーーーーさっきから俺の横にいる忠犬のように眼をキラキラさせてる木下秀吉をどうにかしてほしい。

あっ、なんかぶんぶんと尻尾を振ってる幻想まで見えてきちまってんぞ?

何も言わないのが悪いのか、秀吉はだんだんとしょんぼりしていく。

榊は秀吉からおかわりをもらい、また一口。

 

「………旨いな」

 

そう呟くと、ついさっきとは打って変わって、眼をキラキラさせながら榊を見る。榊は居心地が悪そうなのを顔に出さず

 

「………聞いて良いか?」

 

「なんじゃ?」

 

「何故、俺にそんな眼を向ける?俺はお前とは面識が無いハズだが?」

 

そうキッパリ告げると、秀吉は残念な顔をすると榊から離れて坂本達の所へ戻っていった。

 

「………無い…よな?」

 

そんな呟きは喧騒の中に消えていった。

 

「恭介……雄二の所に行かないの?」

 

秀吉と立ち変わりで霧島がこっちにやって来る。榊は苦笑しながら

 

「俺が行くと纏まるものも纏まりませんから」

 

「………そう」

 

何処か寂しそうに答える霧島。

 

「大丈夫ですよ?俺は前とは違いますから」

 

「……雄二は無事?」

 

唐突にそう訊く霧島

この無事とは女が着いていないかと言う意味だと言うのを坂本達と出会って、半年経った後で理解した。

 

「そこも安心してください」

 

「………そう………(よかった)

 

霧島は頬を紅く染め、小さな声でそう呟いた。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

最終的になんやかんやあり(内容はアニメとほぼ同じなのでskip)、五対五の団体戦になった。

Fクラスに戻り、試合の内容をクラス全員に告げ、その後の補充テストも粗方終わり。

放課後。

吉井達は最初は教室で話していたが時間が経つにつれ、一人、また一人と帰路へ行く。最後に残った坂本は夕焼けに染まる校舎を歩き屋上に行った。

そこには榊が手すりに背を預けながら、静かに読書をしていた。

 

(まるで、初めて会った時の再現のようだな)

 

坂本は内心で軽く笑うと、榊の横に移動し同じように手すりに背を預け紅くなった空を眺め始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂が二人を包んでいった。

 

 

 

 

 

 

「………勝てると思うか?」

 

 

 

 

坂本が空を眺め、そんな問いを榊に投げ掛ける。

榊は読んでいた本をパタリと閉じると

 

「………無理でしょうなぁ」

 

静かにそう答えた。坂本は別段驚いた様子は無く、

 

「それはお前がいてか?」

 

「………俺がいるなら…雄二殿の所で良くて優勢か引き分けかと」

 

それを聞いた坂本はそうかと呟いた。榊は立ち上がりながら、

 

「何、そう落胆せんでください。ーーーーー必ずやこの戦の勝利は雄二殿に捧げますから」

 

坂本の方に向き良い笑みを浮かべながら右手を伸ばす。坂本は少しだけ惚けっとした顔になったが、含み笑いをすると、

 

「クククッ…そうか、恭介がそう言うなら」

 

ガシッと榊の手を握り、

 

「ーーーーー見せて貰うぞ?お前()の勝利を……!」

 

榊は空いた左手で右胸の前に握り拳を作り

 

「御意ッ!!!」

 

ついさっきとは打って変わり獰猛な笑みで答えた。

 

 




とりあえずは原作沿いで………またの投稿で会いましょう


アディオス。


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恩返しを………

ハイハ~~~~~~~~~~イッ!!

………ゼェハアッ

練火です!!( ̄▽ ̄;)

珍しくの二週連続投稿。………もしや、これは天変地異の前触れ………!?


場所はAクラスの教室。

周りにはAクラス勢とFクラス勢の全員が観戦している。

その中心には計10人の選ばれし戦士。

その横の映画館並みのモニターから名前が出てきている。

 

Aクラス

大将

霧島(きりしま)翔子(しょうこ)

副将

久保(くぼ)利光(としみつ)

中堅

工藤(くどう)愛子(あいこ)

次峰

佐藤(さとう)美穂(みほ)

先鋒

木下(きのした)優子(ゆうこ)

 

 

 

Fクラス

大将

坂本(さかもと)雄二(ゆうじ)

副将

姫路(ひめじ)瑞希(みずき)

中堅

土屋(つちや)康太(こうた)

次峰

吉井(よしい)明久(あきひさ)

先鋒

木下(きのした)秀吉(ひでよし)

 

 

へぇ、こんな感じなのか…

 

 

……

 

………

 

…………

 

……………

 

………………

 

俺の名前は!!?

 

榊は驚いてモニターを二度見する。

これには坂本も予想外だったのか、この試合の審判役であるAクラスの高橋先生と鉄人こと西村先生に抗議する。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!何で先鋒と次峰の名前が違っているんだ!?」

 

坂本の書いた紙では

先鋒が吉井で次峰が榊の筈である。

だが、高橋先生は紙をもう一度見るが

 

「いえ、確かにこの順番の通りに書かれていますが?」

 

「なん…だと……?」

 

(いったい誰がこんな最悪な手段を……!!!!)

坂本は歯がギチギチと不穏な音を鳴らせながら考え込むが、

 

「それでは、両者先鋒は前へ」

 

その間に試合が始まった。坂本は狼狽えながら

 

「なっ!?ま、待ってく」

 

「待ちません、もうお互いのメンバーは確認されています」

 

「それでもーー」

 

「でもも何もありません、さっ、Fクラスの先鋒は前へ」

 

坂本や榊が苦虫を噛み潰した顔をする。と榊の肩にポンっと手が置かれた。

 

「そう悲観せんでも良いじゃろ。ここはワシに任せるのじゃ」

 

秀吉が真剣な眼差しで榊に告げた。

 

「ここでお主に助けてもらった恩返しをせんとな」

 

そう言うと秀吉は前へと赴く。

 

「恩返し…?」

 

そんな記憶は無いんだが………

榊は首を傾げ?マークを出していた。

 

△▼△▼△▼

 

中心には既に秀吉の姉、木下優子が待っていた。

 

「なに?あんたを出すってことは相当Fクラスは雑魚ばっかりなのね」

 

蔑みの顔で弟の秀吉を見るが

 

「姉上、余り驕らんことじゃな」

 

「へぇ?生意気言うじゃないの」

 

秀吉の真剣な表情で優子は苛つきながら返した。

 

『それでは先鋒戦、教科は何にしますか?』

 

スピーカーから流れる高橋先生の問いに秀吉が口を開く。

 

「国語で願いたいのじゃ」

 

『了解しました。それでは初めてください』

 

高橋先生がそう締めると先に優子が召喚獣を召喚する。

優子の召喚獣は鎧に片手槍と盾と言う欧米風の武装だ

 

 

 

【木下優子・国語379点】

 

 

 

 

 

「ま、どの教科でもアンタはアタシには勝てないわ」

 

上から目線の優子に秀吉は流すように言う。

 

「それはどうかの?試獣召喚(サモン)!」

 

秀吉も召喚獣を召喚する。その見た目は袴に薙刀と和風の武装だ。

そして、

 

 

 

 

 

 

【木下秀吉・国語289点】

 

 

 

 

 

 

ーーーBクラス上位以上の点数であった。

 

「秀吉…アンタ……」

 

優子は秀吉が予想以上に点数を取っていた事に驚いている。それは、榊や坂本、Fクラス勢もだが。

 

「ワシだって、この機会……逃すわけには行かないのじゃ!!」

 

秀吉の決意に優子は目を一瞬閉じ、少し深呼吸すると

 

「……成る程、なら油断はしないわ。直ぐに」

 

目を開いたと同時に、召喚獣(優子)が突撃した!!

 

「ーーーーー終わらせて上げる!!」

 

召喚獣(秀吉)はそれをサイドステップで避けると、今度はお返しとばかりにその後ろ姿を薙刀で斬りつける。

切っ先がすこし掠り、召喚獣(優子)の点数が削られた。

 

【木下優子・国語336点】

 

その勢いのまま、追撃をしようとする召喚獣(秀吉)だが、召喚獣(優子)の方が早く転身し、盾でその猛攻を防ぐ。

 

【木下優子・国語326点】

 

盾で一つ防ぐが微妙に点数が削られる。

そして、返し様の二つ!!

 

【木下優子・国語321点】

 

突きの三つ!!!

 

【木下優子・国語317点】

 

突いた状態から上に振り上げ四つ!!!!

 

【木下優子・国語312点】

 

そこで召喚獣(優子)の体が後ろに大きくたたらを踏み、バランスを崩した!

 

「ーーーしまった!!」

 

「ーーーーーもらったのじゃ!!!!」

 

そのチャンスを秀吉は逃さなかった。

上に大きく振りかぶった状態の召喚獣(秀吉)は刃を裏返し。上段で構え、振り下ろした!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーだから、アンタはバカなのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが罠だとは思わずに………

 

召喚獣(優子)は上段から迫る薙刀を盾で防ぎ、ガラ空きになった頭、喉、心臓の三点を構えていた槍で順に突き刺した。

 

【木下秀吉・国語dead】

 

「勝者、先鋒木下優子」

 

高橋先生の言葉にAクラス勢が盛大な拍手と雄叫びを挙げた。

優子はそれを聞きながら、膝から倒れ堕ちた秀吉の元まで歩み一言呟く。

 

「ーアンタはバカなのかしら?」

 

秀吉は答えない。いや…答えられない。自分が功を焦ったことでの敗北なのだから、

それを構わず優子は続ける。

 

「姉の私に勝てると思ったのかしら?そう言うのーーーー(目障りで鬱陶しいのよ)。だから、アンタは隅っこでおとなしくしておきなさい」

 

そう言うと優子は踵を返し、チームメンバーの元へ帰っていった。

秀吉もゆっくりと立ち上がるとそのままAクラスの教室から出ていった。

吉井はそれを止めようとしたが

 

「ひ、秀吉待ってt」

 

「次は次峰の方、前へ」

 

高橋先生に呼ばれ、吉井は一瞬悩んだのち、直ぐ様雄二達の所へ戻っていった。

 

(僕が必ず、秀吉の仇を取ってあげるからね!)

 

 

△▼△▼△▼

 

 

秀吉はAクラスから出て、一人、廊下をゾンビの如く歩いていた。

その頭の中には自責の念で一杯であり、もしもそれで自分が殺せるなら少なくとも十回は自殺しているレベルである。

Fクラスのドアを開け中に入ろうとすると。

 

ボスンッ

 

何かが顔にぶつかり、秀吉は一歩下がってその正体を確かめると、

 

「さ、榊………??」

 

「ーーーよう」

 

それは一人の男(榊 恭介)であった。




次はオリジナルかな~~と思う今日この頃

それではまた次回でアディオ~ス


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約束

ゲホゴホッ!

……ハッΣ(゜Д゜)
……………………どうもー練火でーす(;´∀`)

やっぱり、コメントが来ると嬉しいって良くわかるよ。
コメントありがとうね~♪


秀吉と榊、二人っきりの教室で窓枠下の壁を背にして座っている。

お互いに口を開かず、重たい空気が流れていたが、隣にいる秀吉が三角座りで目線を下にしたままゆっくりと口を開いた。

 

「すまぬのじゃ」

 

「………」

 

「『役に立てずに、負けてしもうてすまんのじゃ』…」

 

「ーーー!?ああ…その言葉は……やっと思い出した」

 

榊もその重たい口を開いた。

 

「お前はあのときの…見知らぬじいさんと一緒にいた奴か…」

 

「…覚えておったのか?」

 

秀吉が静かに此方をみながら聞いてきた。

 

「…一応な」

 

ホントに一応である。だが、そう口に出すと段々と思い出してきた。

確か…雄二殿と出会って二年目の中三の冬だったか…?

することもなく夜の散歩をしてたら近くの公園の真ん中辺りで不良五人くらいと揉めてる男装の女子+その後ろには尻餅をついている爺さんがいて、暇だったんで女子側に混ざりに行って一暴れしただけのハズなんだが………

 

「確か、その時にもお前はじいさんにもよく似た台詞を言ってしな…」

 

「ぬ…そうか……///」

 

あれは今となっては恥ずかしかったのか。秀吉は頬を紅くすると、プイッと顔を反らした。

 

「つまり、恩返しってあの時の事だったのか?」

 

そう訊くと、コクンっと頷いてくれた。

 

「別に恩返しせんでも良かろうに」

 

そう口にすると、秀吉が口を開く

 

「……ワシは榊のような男に成りたかったのじゃ、強くて優しい男にのう。じゃが、ワシはこんな見た目じゃ………だから……。だからせめて、気持ちだけでもお主のような男に……!」

 

気持ちが昂ってきたのか、その目には涙が溜まっている。

 

「じゃが…。ワシは…ワシは…………!!」

 

秀吉は一粒二粒と涙を溢しながら、話続ける。

どうやら秀吉は高一の時に榊を見つけ、国語が苦手だと知った秀吉は今こそ。前に助けてもらった恩返しをせねばと思い苦手だった勉強を死にもの狂いでやり、あの点数を取ったのらしい。

じゃあ何故、Fクラスに?と訊くと

 

「……あのテストは一問ずつ回答がズレておって直しておったら時間切れで終了じゃ」

 

秀吉が顔を下に向けながら答えてくれた。

何ともまぁ…と思い更に聴いていくとそれでも国語だけがBクラス~Aクラス中位まで取れるそうだ。

 

「じゃが、ワシは最大の機会を自滅で逃してしまった大空け者じゃ!馬鹿者じゃ!!何の…ヒックッ…何のために今まで……!!」

 

その慟哭に榊はため息を吐くと、三角座りの秀吉を自分の方へ倒した。

秀吉は体勢が崩れ、顔が榊の胸元に当たる。

榊はよいしょっとの掛け声で秀吉の体を少し上げその顔を肩に乗っけた。

 

「さ……グスッ…か…き……?」

 

右腕で秀吉を抱きしめ、左手でその後ろ髪を撫でる。

 

「こういうのは苦手なんでな、率直に終わらす。ーーーーー良くやった。秀吉、お前の勇気。努力を全員に認められなかったとしても…俺は、俺だけは認めてやる。だからそう……自分を卑下するな、な?」

 

秀吉はそれを聞くと更に涙を流した。榊はあやすように髪を撫でていく。

 

「さか、きぃ…ヒグッグスッ。ワシは、お主、の、グスッ、ようにヒックッ、なれたのか?グスッ」

 

涙声で訊いてくる言葉に榊は頷きつつ答えた。

 

「ああ、お前はーーーーー最高のバカ()だ」

 

Fクラスに秀吉の声が響いた。

 

 

▼△▼△▼△▼

 

 

 

一時間後。泣き止んだ秀吉を連れ、Aクラスに戻ってみると、先生方が話し合っている。

 

「……なんだこりゃ」

 

思わず、そんな事を口走った。

 

先鋒戦【国語】

 

木下優子○ー×木下秀吉

 

次峰戦【化学】

 

佐藤美穂○ー×吉井明久

 

中堅戦【保健体育】

 

工藤愛子×ー○土屋康太

 

副将戦【総合点】

 

久保利光×ー○姫路瑞希

 

大将戦【小学生の歴史テスト上限100点】

 

霧島翔子98点ー坂本雄二98点

 

……引き分け??

 

榊は坂本の所に行き、説明を求めた。

 

「雄二殿、いったいこれはどういう?」

 

坂本は榊に気付く。

 

「おぉ、恭介に秀吉か。まさかな…俺が満点取れないとは知らなかったぜ」

 

「自分が罠になってどうするのさ!!?」

 

横で騒いでいる吉井を無視し、坂本から答案用紙を渡され、確認すると

 

【問29】

 

1192年に征夷大将軍になったのは()である。

 

答え、徳川家康

 

先生のコメント

 

生まれてません。

 

 

「「…………」」

 

 

その答えに呆然としている榊と秀吉。

榊はチラッと坂本を見ると、その顔はニヤリとしていた。

……そういう事か。

坂本の考えが解り、内心で苦笑いを浮かべる。

雄二殿は俺の実力を改めて知りたいのか……

坂本は榊の側に来ると、

 

「後は頼んだ」

 

ボソッと呟いた後、肩にポンッと手を置かれた。

 

「御意」

 

榊も頷きながら前に出る。

 

 

ーーーーーそして

 

 

「大将戦が引き分けに終わり、二勝二敗一引き分け。先生方…代表戦ってのはどうですかい?」

 

そう先生方に提案した。

 

『そうか!代表戦に成れば、俺達は姫路さんが出せる!』

 

『ならば、勝利は貰ったぜ!』

 

『いや、向こうは霧島さんを出してきたら……負けるだろ?』

 

周囲がざわりと騒いでいく。

 

「榊君。先生方の話し合いに口を出さないでもらえますか?」

 

高橋先生がそういうと、西村先生(鉄人)が額に手を添え、笑いながら。

 

「こいつは良い。それなら遺恨は残らんな……!」

 

「ですが西村先生!」

 

高橋先生が反対意見を言おうとした時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーー良いさね、それでジャリどもが暴れなければそうしようじゃないかい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モニターの画面がついさっきの対戦表から、ある人物の顔に変わる。それを見た途端、榊は頭を下げる。

 

 

『『『『バ、ババア!!!!??』』』』

 

 

『お前ら全員、そこにいる榊やAクラスメンバーのように目上に対する敬意を持ちな馬鹿ども!!』

 

Aクラスメンバーの何人かもババアって叫んでたけどな。

ついさっきの威厳を持った表情から一転して、顔を真っ赤にして怒鳴ったこの文月学園の理事長兼学園長、藤堂カヲル学園長であった。

 

「しかし、学園長」

 

『これはアタシの決定さね。文句は後で聞いてやるから落ち着きな』

 

学園長にそう言われ、高橋先生は渋々と了解した。

 

『さて。それじゃあ代表戦になったけど、誰を出すか決まったのかい?』

 

その言葉に坂本は頷き、声を張り上げる。

 

「Fクラスの代表は榊恭介だ!!行ってこい!!」

 

「ハッ!!」

 

短く返事を返し、Aクラス勢を睨む。

しかし、それに問題があるのかFクラスの何人かが抗議を始めた。

 

「雄二!何で榊君を出すのさ!!ここは姫路さんじゃないの!?」

 

「そうよ、坂本!アイツが瑞希以上に点数を取ってるって言うの!!」

 

「さ、坂本さん。わ、私はまだ行けます!!」

 

その返答に坂本は軽くため息を吐くと、

 

「お前らも補充テスト受けただろ?アイツだって受けて点数が変わってるハズ」

 

と自信満々に言う坂本に榊は申し訳なさそうに答えた。

 

「ーーーあー、雄二殿。すまんが補充テストはサボったから受けてない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『えええぇぇぇぇぇえええぇえええっ!!!!!???!』』』』

 

 

 

 

 

Fクラスの悲鳴が教室中に響き渡った。

 




それではまた次回に会いましょう!


エル・プサイ・コンガリィ


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代表戦

ヨーソロー(ФωФ)

ヌコ好きなのに動物アレルギーの練火です( ̄▽ ̄;)




榊のまさかの暴露にFクラスが一斉にブーイングをする。

 

『引っ込めぇぇぇーーッ!!!!ガチで引っ込めぇぇーッ!!』

 

『坂本ォッ!今すぐ、姫路さんと交代させろ!!』

 

『坂本!!テメェこの試合諦めたかクソがッッ!!!』

 

ブーイングに対する返答は坂本ではなく、榊の一言であった。

 

「黙れ」

 

榊は後ろのFクラスを感情の無い目で続ける。

 

「姫路じゃ、二~三割で勝てるだけだろうな」

 

だったら!と吉井が異議を申す。だが、榊はそれを一蹴して答える。

 

「だが、たかが二~三割だ。五割以上で負ける」

 

「それでも勝てる可能性が有るじゃないか!!」

 

吉井が榊に近づき、その胸ぐらを掴み叫ぶ。

 

「何も勝ち目が1割(・・)も無い奴が出ても意味無いだろ!?」

 

榊は無言で吉井の頭数に片手を置くと、

 

 

 

 

 

 

ドゴンッ!!

 

 

力任せに頭から地面に叩きつけた。

 

「ーーーガハッ!?」

 

榊が吉井をみながら叫ぶ。

 

「ごちゃごちゃと…………潰すぞテメェッッ!!!!」

 

その叫びと行動に誰もが息を飲んだ。

榊は吉井の顔面を踏み潰そうと足を上げた瞬間。

 

ガシシッズサァァッ

 

「恭介。ストップだ」

 

坂本がその足を掴んで止め鉄人が榊の腹にタックル。それと同時に霧島が吉井の足を持ち、Fクラスに引っ張っていく。

榊はそんな坂本の止め言葉にハッと我に返る。

 

「すみません。雄二殿。俺とした事が雄二殿への采配への罵詈雑言に我慢出来なかったようです」

 

ペコリと謝ると、鉄人にも頭を下げる。

 

「全く。お前はやりすぎだとあれほど……」

 

鉄人もため息を吐いて呟き、中央に戻っていった。

 

「さて、一悶着あったが……誰か文句はあるか?」

 

坂本がFクラス勢に聞くと誰も発言はしなかった。いやしたかったが、した瞬間に吉井の二の舞になるという恐怖で何も言えなかった。

 

「……無いみたいだな。じゃあ、恭介」

 

名前を呼ばれた榊は片膝をつけ、武士が主君に命を聴く体製となる。

 

「正攻法で戦えとは言わねぇから、絶対に勝て……!!」

 

「ッ!ーーーこの命に変えても…!!!」

 

坂本は榊の返答に頷くと、自分が立っていた所に戻っていく。

榊は立ち上がり、Aクラス勢に言う

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー死にたい奴から掛かってこい雑魚ども!!

 

 

 

それに飲まれたのかAクラスの9割以上にが一歩後ずさる。

後ずさらなかったのは、木下優子・工藤愛子・久保利光、そして、霧島翔子。

 

『それで誰が出るんだい?』

 

学園長はAクラスに告げると

 

『やっぱりここは学年首席の霧島さんが…』

 

『いや、男同士で久保君でも…』

 

『だったら最初にアイツと睨みあってた木下じゃないか?』

 

口論が始まった。

 

「僕は代表が良いと思うんだけど……」

 

久保がそう推薦すると、霧島は首を横に振った。

 

「私じゃ……負ける」

 

「なっ!?そんなに頭良いのアイツ!?」

 

優子の問にも首を横に振る。

 

「学力はAの下位。補充テストはサボったって言うけど…雄二の言葉で鎖が外れた恭介は……無理」

 

そう断言する。

 

「ん~…保健体育なら何とかなるけど。ボク、点数が無いしねぇ~」

 

霧島に続き、愛子も戦力外通告した。

 

「だったらここは僕が行くとしよう!!」

 

久保が一歩前に出ようとするが、優子がそれを遮って前に出る。

 

「久保君、ゴメンね?私がアイツの相手をするわ」

 

「!?だが、君より僕の方が」

 

食い下がろうと久保が異議を申すが、

 

「私ね。この団体戦が始まる前から睨みあってたの知ってるでしょ?それのお返しをしないとね♪」

 

優子の光の無い目で言われ。思わず、息を飲む。

 

「優子」

 

「何?代表」

 

優子は霧島を見ずに中心へ歩く。

 

 

 

 

 

 

「責任は…持つ……頑張って」

 

 

 

 

霧島の激励に優子は笑みで答えた。

 

 

「あんな奴はやっつけちゃうから、代表も安心しといてね♪」

 

 

▼△▼△▼△

 

 

優子が真ん中にたどり着いた。

 

「よお、昨日振りだな木下優子(雑魚キャラK)

 

「えぇ、久しぶりね。榊恭介(ゴリラの狂犬)

 

二人は笑顔で軽く挨拶を交わす。

 

「……因みに訊くが……ゴリラってのは?」

 

「あら、解らなかったかしら?そこにいる赤髪の事よ?」

 

その言葉に榊が口がピクリと動く。

 

「赤髪と言うと……雄二殿の事か?」

 

「それ以外に誰がいるのかしら?時代錯誤の野蛮人?」

 

「よく言った。ーーーー(殺してやる)

 

二人の間に歪な空気が流れ(※因みに二人の会話は周りには聞こえてません)。居たたまれなくなったのか、高橋先生が口を開く。

 

『そ、それでは教科は何にしますか?』

 

「お前が選べ雑魚」

 

「あら?私が選んで良いのかしら?」

 

優子が馬鹿にしたような顔で訊いてくるが、榊は死んだ魚のような目付きで答える。

 

「選べと言ったんだ雑魚キャラ。それとも耳が悪くなったのか?病院にいって頭ごと直してもらえーーーそれに、どの教科選ぼうがテメェに勝ち目はねぇよ」

 

それを聴いた優子が底冷えするような声音で言う

 

「………先生。教科は数学でお願いします。ーーーー(本気で殺すわ)

 

「やってみろよ村人K」

 

『り、了解しました。それでは代表戦。始めてください』

 

試獣召喚(サモン)!!」

 

 

木下優子の召喚獣が姿を見せる。

 

 

【木下優子・数学410点】

 

 

『よりによって400点オーバーかよ!?』

 

『榊、テメェ!何で向こうに選択権渡し点だよ!!』

 

点数を見たFクラスからブーイングが流れる。

 

恭介(・・)!」

 

名前を呼ばれ、振り返ると。秀吉が此方を見て

 

 

 

ーーーー負けるでないぞ!!

 

 

そう言った。

榊は笑みを浮かべサムズアップで答える。

 

『ちょ、秀吉?何で榊君の応援してもあの点数じゃ負けちゃうよ?』

 

いつの間に復活したのか吉井が秀吉に訪ねる。

 

『いや、明久よ。恭介は勝つ。ワシはそう信じておる』

 

秀吉の自信に満ちた発言に榊は薄く笑う。

ーーーーーまた、大切なもんが出来たな。

そして、学園長を見る。

 

 

『許可するさね』

 

 

そう言ってくれた。榊は凶悪な笑みを浮かべると、ポケットからスポーツサングラスを取り出すとそれを装着し。そして、腕捲りし緑の腕輪を外すと代わりに赤の腕輪着ける。

 

「ちょ!!それ何よ!?」

 

優子が抗議に入るが、榊は無視して召喚する。

 

「企業秘密だーーー試獣召喚(サモン)

 

 

【榊恭介・数学100点】

 

点数はEクラス位だ。

その召喚獣は赤の鎧を身に纏いその肩には六文銭の紋様、額には額当て。腰には二本の小刀。そして、一本の朱の十字槍(※イメージは無双初期の真田幸村)

 

 

 

「さあ、処刑()を始めようか」

 

 

 

 

その瞬間。召喚獣(優子)が突撃をしてくる。バカの一つ覚えかと思うが、どちらに避けても対処出来るように、前回より速度が落ちている。

だが、

 

「当たるわけねぇだろうが!」

 

召喚獣()はその頭上をジャンプで避けーーー瞬間、召喚獣(優子)はその場に急停止し、頭上へ向けて槍を突き穿つ!

召喚獣()はとっさの判断で左手で小刀を抜き、迫る槍の軌道を小刀で横から当て反らすとその勢いのまま、地面に落ちる際に召喚獣(優子)のうなじに主槍で突く!

 

【木下優子・数学398点】

 

召喚獣(優子)は前のめりでふらつき、召喚獣()はそのまま前回りの応用で衝撃を流す。

二人は直ぐ様、体勢を建て直し。己の武器を構える。

観戦している周りがざわついている。

その間にも召喚獣(優子)が攻撃をし、召喚獣()がそれを紙一重で避けながら首を狙い穿つ

 

「ひとおぉぉおつッ!!」

 

【木下優子・数学375点】

 

「この…!」

 

召喚獣(優子)が槍を力任せに薙ぎ払うが、召喚獣()はしゃがみ小刀で右腕を峰に添え下から上に力任せに振り上げ、その顔を顎から頭頂までを斬った。

 

「ふたぁぁぁぁああつッッ!!!」

 

【木下優子・数学351点】

 

「くっ…!!何で当たらないのよ!!」

 

優子が苦虫を噛み潰したような顔で叫び。

召喚獣(優子)が盾で召喚獣()を吹き飛ばし、召喚獣()が宙を回る。

 

「……当たった……ッ!?」

 

優子が喜びで点数を見たが、一転して青ざめる。

 

【榊恭介・数学91点】

 

予想以上に点数が削れていない事に

 

「みいぃぃぃつッ」

 

呆然とした召喚獣(優子)の隙を逃さず、落ちる直前に小刀で首に一撃、それと同時に小刀がベキリっと音を鳴らし折れる。

そして、地面に着地と同時に朱の一閃が召喚獣(優子)の額を貫き十字槍を離して、鞘に納まったもう一本の小刀を逆手で取り出し再び首に一撃加え。十字槍を抜きながら十分な距離を取った。

 

【木下優子・数学299点】

 

「…アンタ、いったいどんな卑怯な手を使ったのよ!!」

 

優子が冷や汗を流しながら、榊に抗議するが当の本人は

「使ってねぇよ」

 

冷ややかな目で告げる。

榊の後ろにいる雄二が冷や汗を流した。

 

(当たる前に小刀を土台にして飛び盾の威力を最小限に受け流した!?しかも、受けた衝撃は体を捻らせて更に軽減させてる……あんな芸当。間違えれば即死だぞ!?)

 

「それよりよ、本気で来いよ?村人K」

 

「この……化け物!!」

 

ーーーだけどな……

 

召喚獣(優子)が盾と槍をしっかり構え、突進してくる。

だが、召喚獣()は何もせず榊は口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーこっからが俺のやり方だ」

 

 

 

 

 

 

 

ブウゥン…

 

 

瞬間、Aクラスの照明器具が一斉に光を消し。教室中がモニターの淡い映像光のみになる。

 

『!?なんだ!?ブレーカーでも落ちたか?』

 

『んな馬鹿な!モニターはついてるぞ!?』

 

『じゃあ、もしかして……』

 

AとFの全生徒がただ一人の生徒を見た。

 

 

 

 

 

「ーーー榊…恭介ぇぇぇぇッ!!!!」

 

 

 

 

優子がその生徒の名を叫ぶ。

 




それではまた次回で、あっ次回は胸糞率高いから見たくなければ見ない方が……良いよ!多分!


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価値観

えーんドリフターズ見たいのに京都○レビとか馬鹿かよ!!?

練火です(#`皿´)



アニメを何年間待ったと思ってんだバカヤローコノヤロー!!打ち首じゃぁぁぁぁああッ!!打ち首獄門じゃぁああ!!妖怪首置いてけ連れてこい!!チクショー(泣)


「ーーー榊…恭介ぇぇぇぇッ!!!!」

 

 

 

 

優子がその生徒の名を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大・正・解♪!!」

 

 

 

 

 

 

榊は歪んだ笑みを隠すことなく歌うように叫び答える。

 

「俺の大切な者を二人も馬鹿にしてくれたよなぁ!!?……ーーーーー処刑の時間だ♪安心してーーー地獄に堕ちろ」

 

地の底から響く声が聞こえ、そこからは一方的な試合であった。

直ぐ様、高橋先生が照明を着ける2分間。突然の暗闇と操作の不慣れ。その弱点を逃さず。額を目を口を首を胸を容赦なくーーー突く突く突く突く突く突く突くそして斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬抉る斬る斬る突く斬る突く斬る斬る突く。コレがもし照明が着いていたら、女子の数人が気を失うであろう事を榊は躊躇いなく実行していく。

暗闇の中で聞こえるのは一人の狂った男の笑い声と、召喚獣の悲鳴であった。

 

パチリッ!

 

Aクラスの照明が一斉に着く。

 

【木下優子・数学70点】

 

【榊恭介・数学91点】

 

既に点数差は覆っていた。

 

『この卑怯者!!』

 

『男して恥ずかしくないのか!!?』

 

AとFの大半がブーイングの波を起こしている。

ブーイングしてないのは霧島・坂本・秀吉の三人だけだ。

 

『お前にプライドは無いのか!!』

 

「ハッ?卑怯者?プライド?」

 

榊は回りを見て叫んだ。

 

「ーーーバッカじゃねぇの!?俺達がやってるのはなんだ!?聖戦か!?ーーー戦の中にも最低限のマナーがあります~ってか?だと思うならテメェら全員とんだ甘ちゃんだなオイッ!!!」

 

「な、なんだと……!?」

 

怒りにふるえる久保に向けて言い放つ。

 

「これは仮にも戦争(・・)だぞ?ルールも糞もあるかーーー」

 

「ーーー恭ゥゥ介エェェエエェェッ!!!!!」

 

その瞬間に、召喚獣(優子)が槍と盾をしっかりと構え。最後の力を振り絞っての吶喊をしてきた。

 

ズブリッ!

 

その槍は召喚獣()の右脇腹を貫いた。

優子は勝ったかのように顔を綻ばすが、榊が歪な笑みと共に告げる。

 

 

 

 

 

 

「【馬鹿はテメェだ】」

 

 

 

 

 

 

召喚獣()がその十字槍で左横の穂先で召喚獣(優子)の首を刺すと、力任せに左に吹き飛ばし召喚獣(優子)の槍がその手から離れた。

 

「そんな……」

 

「その首級(くび)ぃッ!!置いてけッッッ!!!!」

 

そして召喚獣()は槍を引っこ抜き小刀を地面に力で押し付けるように抉りながら

 

ガリガリガリガリガリガリッ!!!!!

 

ダッシュで起き上がろうとしている召喚獣(優子)の首を溜めにためた小刀で下から上へと地面を更に抉るように振り斬った。

 

【榊恭介・数学69点】

 

【木下優子・dead】

 

呆然とする優子を無視し、同じく呆然としていた久保を見ながら結論を言う。

 

「ーーーーだから負けるんだよ……お分かり?お坊ちゃん」

 

「き、貴様…!!」

 

「それにだ」

 

今度は先生方を見ながら答える。

 

「ーーーーー先生方は黙認してるこれを卑怯っつーのはガキかテメェら?」

 

その発言に一斉に先生方を見る生徒一同。鉄人や高橋先生はため息をついているが、学園長は頷いている。

 

『榊の言うとおりさね。お前たち、社会に出てもその言い訳が使えると思うかい?榊の言い方とやり方は粗いがこの貪欲さは見習って欲しいとすら思えるね』

 

「ーーと言うわけだ。お分かりかい?それと先生?」

 

高橋先生を見ると、高橋先生はスポーツサングラスを外そうとしている榊と未だに信じられないと言う顔をしている優子を見て思い出したかのように告げた。

 

 

 

 

『代表戦。Fクラス榊恭介の勝利です』

 

 

 

 

その言葉の意味がだんだんとFクラスに浸透していくに連れ、

 

 

『『『『『ヨッシャアアァァァァアアアアァァアアアッ!!!!!』』』』』

 

 

榊のガッツポーズと共に勝利の雄叫びが聞こえた。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

榊は学園長室の長ソファーで茶を啜っていた。

その左右には、秀吉と坂本がいる。榊は一息付くと、穏やかな表情で

 

「フゥッ…お二方は再クラス分けテストに行かれないのですか?」

 

「いや、俺はまだ約束は果たしてねぇからな。それだったらお前は受けなくて良いのか?」

 

坂本が茶菓子の煎餅の袋を開けながら訊いてきた。

 

「住めば都。俺は何処でだろうといつも通りに過ごすのみです」

 

そう答えると。ぽわわ~んとした表情のまま、また茶を啜る。

 

「……ついさっきの狂暴さがまるで嘘のようじゃな」

 

それを見た秀吉が苦笑いで言ってきたのを坂本があっけらかんと説明する。

 

「これは恭介の本当に信頼した人物にのみ向ける警戒心0の姿だからな」

 

「本当の信頼……照れるのじゃ//」

 

秀吉の頬が少し紅くなる。

 

「にしても、秀吉。お前が恭介の信頼を得るなんて良くやったな。あの後何をしたんだ?」

 

「あ~、ちょっとのう……」

 

言いにくそうにしている秀吉に対し、榊が口を開く。

 

「泣いてた者の相談をしてました」

 

「なっ!?何故言うのじゃ!??」

 

羞恥で顔を真っ赤にしながらポカポカとダメージ0の榊を殴る秀吉。ある意味レアシーンである。

それを聴いた坂本は軽く笑うと

 

「良いじゃないか秀吉。俺なんて夕焼けの工場での殴り合いの友情だぞ?」

 

詳細を言うと少し違うのだが、そこは別の場所で語るとしよう。

 

「他に本当の信頼を得ているのは翔子に恭介の家族だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー後はアタシと西村先生さね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人が扉に振り向くと、そこにいたのは

 

『『『学園長(学園(ババア)長)!!』』』

 

「今、誰か学園長に最悪のルビを振らなかったかい!?」

 

この学園の学園長兼召喚獣システムの生みの親である藤堂カヲルであった。

学園長は自身の机に座ると

 

「ーーーで?アタシはそこのバカ(恭介)すけのみを誘った筈なんだけどねぇ」

 

「馬鹿すけ……」

 

馬鹿すけと揶揄された榊はちょっと落ち込む。

 

「そりゃそうさね。やる策は事前にアタシか西村先生にって言っただろ?それなのに今回は何の連絡もなし…全く、高橋先生を納得させるのに骨が折れたさね」

 

片手で頭を押さえながらやれやれと首を振る学園長。

そして、鋭い眼光で坂本と秀吉に目で問いかけた。

 

「なぁに、俺は恭介のクラス代表だしな。仲間の手の内は出来るだけ知っておきたいんだ」

 

「仲間外れは御免じゃ」

 

「少しは隠そうとする努力をしなジャリども」

 

二人の答えに学園長は苦笑いと共に返す。そして、視線を榊に戻すと榊は頷き。

 

「此方の腕輪は言うほど問題は無かったが、少し動作が遅かったな」

 

赤の腕輪をテーブル置きながら、榊は感想を述べる。その横にスポーツサングラスを置く。

 

「此方は色々と問題があるな。前にも一度試したが150点以上から映像がぶれまくって慣れてないと酷い目にあう。後はもう少し視界の拡大だな。隅が真っ黒でその上に相手と自分の点数があって、横からの攻撃はギリギリでしか避けれなかった」

 

その感想を学園長はメモに書いていく。

 

「にしても、まさか大事な勝負の場に機材のテストプレイをするとはね。何回も思うが馬鹿はやっぱり馬鹿さね」

 

「そっちの方がどこが悪いとか直ぐ解るだろ?」

 

そりゃそうさねっと言って学園長が笑みを浮かべる。

その会話を呆然と聴く坂本と秀吉。

 

「お、おい恭介。まさかテストプレイって…一回は一人で試したんだよな?」

 

坂本が冷や汗を流しながら訊いてくる、榊はえぇっと頷くと

 

「スポーツサングラス()渡された次の日に西村先生に補充テストを頼みつつしました」

 

「う、腕輪の方は?」

 

秀吉も冷や汗を流しつつ問う。

 

「秀吉の姉で始めて使ったな。それにあれはイベント用の一般貸し出しの腕輪だから上限は100で精一ぱ」

 

「そんな事はどうでもいいーーー」

 

「うむ。それよりもーーー」

 

二人は口を揃えて言った。

 

 

 

 

 

 

「「大事な勝負を実験場にするな(じゃ)!!!」」

 

 

 

 

 

二人の気迫に圧され

 

「ーーす、すいません」

 

榊は身を縮めながら謝った。




もういいさ。冬の完全限定版ぜってぇーに買ってやる。
それでは次回で会いましょう

サイナラー~

Ps

あれッ?思ったより胸糞悪く無い…のかな?書いてる途中はああ~って思ったけど…どうなのだろう??


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事情

こんにちは(・∀・)ノ

ってもこれ深夜0時更新なんだけどね(^ω^)
という訳で練火です(ФωФ)


あの試獣戦争から二日間(土日)の休日を終え、榊はいつも通り一番乗りでFクラスの教室に入ると。

 

「おお、榊か。すまんがこれを二年全クラスに貼るのを手伝ってくれないか?俺はこれから、校内全箇所の召喚システムのテストをしなければならんのでな」

 

そう言いつつ西村先生が残り数枚となったポスターを榊に渡す。

その内容は……今日一日を使って宝探しをする内容だ。しかも、景品となる宝は結構豪華ときたものだ。

 

「ああ、それとお前は先に帰ってたから知らんと思うが今日から担任は俺になったからな」

 

ニヤリッと笑みを浮かべながら西村先生はそう言った。

………

榊は口を開けつつ呆然とするのだった。

 

「それじゃあ、頼んだぞ?」

 

西村先生はそう言いつつ榊の前から去るのであった。

 

▼△▼△▼△▼△▼

 

いや、確かに先生の勉強で点数は上がったが…

榊は悩みながらABCDと張り続け、最後の一枚をEクラスに張り終えた。

廊下に出ると、吉井が教室に入ろうとしている所だった。

 

「……あ、榊君」

 

心無しか落ち込みの顔で此方に気づく吉井。

 

「何だ、その面は?」

 

流石にその顔を見て無視するのは寝覚めが悪く思い、問い掛ける。

 

「それがね…」

 

吉井はため息と共に話し始めた。

 

登校時に見知らぬ少女が困っていて、訊いてみると。家族で行った遊園地のキーホルダーをどこかに落としてしまい。吉井も探したらしい。見つけたのは見つけたのだが、横断歩道のど真ん中で車で轢かれ粉々になっていたらしい。それで吉井はその少女の為に何とかしてあげたいと考えて無理だとわかってしまった。

 

如月グランドパーク(・・・・・・・・・)なんて、今有名になってる遊園地だしさ…僕は金欠だし、その遊園地に行く事も出来ないよ」

 

榊はその名前を聞くと、手にした景品引き換え一覧表の紙を見て呆然とする。

そして、引き換え一覧表を吉井の目の前に見せ付けながら告げる。

 

 

 

「運が良かったな。吉井」

 

【景品一覧

・食券一ヶ月

・飲料一ヶ月

・カップ麺一ヶ月

・如月グランドパーク プレミアムチケット

 

 

 

 

(中略)

 

 

・如月グランドパーク マスコットぬいぐるみ三種

・図書券一万円

・ゲーム引き換え一万円分

・西村先生の補習券

・如月グランドパーク マスコットキーホルダー(・・・・・・・・・・・)三種

・高橋先生の補習券】

 

「あーッ!!これだ!!」

 

吉井はその紙を穴が空くほど凝視する。

 

「どうしてこれを榊君が持ってるの!!?」

 

「西村先生から頼まれた仕事でな、今日一日を使って宝探しをするそうだ」

 

「宝探し…?」

 

吉井の問いに榊は頷きながら

 

「後は西村先生から説明されるだろうよ」

 

そう答えるのであった。

 

 




今回は正々堂々な戦いが出来る……ハズ!!


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お宝捜索戦

ヤイサホー!!

練火デース!!

どんな展開にするか未だに悩み中デースハッハッハッ


朝のSHR、何時もなら生徒達は次の時間の勉強道具を出すのだが、一つ机に三人集まりとチーム分けがされている。

教卓には西村先生が後ろの黒板にくじで分けたチームを書き込み。前を向く。

 

「よし、これで全員が別れたな。では各自代表はテストプリントを取りに来て、一限目のチャイムが鳴ったら始めろ」

 

集まっているチームを見ながらそう言った。

榊は黒板に書かれたチーム表を見てため息を吐きたくなった。

 

【チーム】

 

ーーー前略ーーー

 

・土屋康太、横溝(よこみぞ)浩二(こうじ)須川(すがわ)(りょう)

 

・榊恭介、島田美波、姫路瑞希

 

・吉井明久、坂本雄二、木下秀吉

 

 

 

神を恨みたくなるぜよ……

 

「榊、絶対に卑怯な事をしないでよ!私たちは正々堂々と見つけるんだからっ!!」

 

黒板を眺めていると、島田が何度目かも忘れた警告を言ってくる。

そして、姫路がプリントの束を両手に抱えやって来る。

 

「二人とも、お待たせしました」

 

「さて、それじゃあぱっぱと解いちゃいましょう?」

 

二人はいつでもプリントに迎えるように準備をする。

が榊だけはそんな二人に提案する。

 

「策が有るんだが……乗らないか?」

 

「……卑怯な事だったらぶん殴ってでもやらないわよ」

 

「どうなのですか……?」

 

ツンとした表情で告げる島田とすこし涙目で上目遣いの姫路の問いにため息を吐くように榊は項垂れながらに顔を下にして、

 

 

 

「……そこは善処しよう」

 

 

▼△▼△▼△▼△

 

(食堂)

 

『やったぁ~!!見つけたわよッ!!』

 

島田が食堂の自販機の下からチケットを見つけ出す。

そして足元にいる(・・・・・)双剣を持った緑色の中国服の来た召喚獣()にサムズアップをしながらチケットを見せる。召喚獣()は頷き、小さなホワイトボードから次の座標を示す場所を書いていく。

 

『次はそこね!次も見つけたら5つ目よ!』

 

上機嫌で島田は召喚獣()を肩に乗せ座標に向かい全力ダッシュを繰り出した。

 

「榊くん。ど、どうですか?当たりでした…?」

 

サングラスを掛けた榊に姫路がおずおずと話し掛ける。

 

「……あぁ。正解だ、チケットは『図書券一万円分』だとよ」

 

「けど……こんな事してよかったのでしょうか?」

 

榊が言い出した策は100%グレーの内容だ。姫路が答える者(answer)で粗方問題を解き、、次に榊が護衛兼通信手(communication hand)で召喚獣を使い、座標を伝える。そして最後に島田が探求者(hunter)で宝を見つける。

なんともシンプルな策である。正し、これは榊がいるから出来る策であり、他の生徒なら100%出来ないと断言できる。

 

「まあ、バレたら俺の陰口が増えるだけだ。気にするな」

 

それは気にしますよ……と姫路がそうぼやく。

榊は左手を前に出すと、それが何の合図か解っている姫路が話し掛けるのを止めて、テストを再び解き始める。

 

『げぇ!美春!?』

 

『御姉様!!美春は会いたかったですわ!!!』

 

中庭の噴水前で宝探し中の島田にツインテドリルの女子が出てきた。

話している事は聞こえないからわからないが、どうやら知り合いのようだ。

島田は肩に乗る召喚獣() の前でハンドサインをする。召喚獣()は頷くと、地面に降り立ち双剣を抜いた。

 

『ゴメンね美春。今は遊んでる暇は無いのよ!』

 

『そんな!!私は遊びだったのですか!!』

 

『遊んだことすら無いわよ!??』

 

聞こえないが、とてつもなくどうでもいい会話をしてそうな雰囲気だ。

 

『そのお話はそこの御姉様の肩に乗っていたクソ豚を始末してからにしましょう。試獣召喚(サモン)!!』

 

出てきたのはすこしボロ目の鎧と一本の剣。古代ローマの兵士みたいな格好だ。

 

【Dクラス、清水美春・化学125点】

 

『さあ、さっさと死になさいッ!!』

 

召喚獣(清水)は跳びながら、上段で召喚獣()の頭めがけて降り下ろした!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『バイバイ、美春』

 

 

 

 

【Dクラス、清水美春・dead】

 

【Fクラス、榊恭介・化学130点】

 

 

一合も打ち合う事なく勝負がついた。

 

『い、いったい何が』

 

『戦死者は補習ゥゥゥぅッ!!!!』

 

ガシィィィッ‼

 

呆然とするツインテドリルだが、草むらの中から出てきた西村先生に捕まると

 

『嫌アァァァァ~ッ!?!………私は絶対に!御姉様の元へ戻りますの~ッ!!!』

 

I'll be backですの~ッ!!と何やら叫んで運ばれていった。

 

『フウッ…さて探すわよ!!』

 

島田はそれを見ると、額の汗を拭い、凄く良い笑顔で探し始めた。

しかしタイムリミットと決めた五分を過ぎた時

 

「ダメか……」

 

榊は時計を見てそう呟き。頭に乗っていた召喚獣()は島田の頭をペシペシと叩いて合図を出す。

 

『あっ、もう時間なんだ……』

 

時間は昼休みに入ったのを確認すると、召喚獣()は自身のお腹を触る。

 

『一時中断ね、解ったわ』

 

島田は頷きながら、そう言った。

 

 




まあ、この小説も不定期更新なんだけどね~~
頑張るさーーーーー!


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約束の為に

ヤイサホー

練火デース(ФωФ)

本棚を新しく買おうか悩む今日この頃(´・ω・`)


昼休みも終わり、日が傾きかけた時。吉井達は屋上にて精魂尽き果てていた。

 

「チケットが一枚も取れない」

 

そう、問題を解き。その座標で探したのに出てきたのは姫路の手作りクッキーと、チャイナ服とメイド服のみである。

 

「もう残り時間は五分もねぇか……後、しらみ潰しで行ってないのはここだけか…」

 

雄二の呟きに吉井は探し始めた。

 

「おい、吉井。これ以上はもう獲られてるだろ?」

 

「まだだ!まだ諦めるわけにはいかないッ!!」

 

吉井は四つん這いの状態で小さな跡も見逃さないように注意深く早く見る。

そして、見つけた!

タイルの端がヤスリで削れて、取ってのように引っかける部分があった。

 

(これだ!)

 

躊躇い無くそこに手を掛け、タイルをひっくり返した。

すると一枚のチケットが、タイルの下に隠されていた!

 

「あっ!あった!!ねぇ!雄………二……?」

 

「明久!!早くそれを持って逃げろ!!」

 

「急ぐのじゃ!!」

 

振り返ると、坂本と秀吉がどこかのチームと戦っていた。

 

 

(……あれは団体戦時に見た召喚獣……ってことは!!?)

 

 

吉井は坂本達の向こう側にいるチームを見て青ざめた。

 

「雄二……チケットは…貰う」【Aクラス、霧島翔子・世界史480点】

 

「やっぱり、歯応えが無いわね」【Aクラス、木下優子・世界史321点】

 

「でも、手加減はしないよ?僕達だってチケットが欲しいんだもん」【Aクラス、工藤愛子・世界史311点】

 

「Aクラス……」

 

(何でこんな時に……!)

 

 

歯噛みする吉井に

 

「明久!この勝負は戦って勝ち取るのが絶対条件じゃねぇ!!俺たちが抑えてる内に早くそれ持って逃げろ!」

 

【Fクラス、坂本雄二・世界史160点】

 

「雄二……」

 

「そうじゃ!勝利条件はチケットが奪われないことにある。ーーー後五分逃げればわし等の勝ちなんじゃ!!」

 

「秀吉……」

 

【Fクラス、木下秀吉・世界史99点】

 

自信満々に二人は叫び言う。

 

「ゴメン!後は任せた!!」

 

吉井は階段に向かって走り去った。それを何もせず見逃す霧島達。

雄二と秀吉は軽口を叩きながら構えを取る。

 

「……翔子…見逃すなんて、いったい何考えてやがる?……いや、なんとなくだが予想は出来た。だから、答えなくていい」

 

「チケットより……雄二を捕まえるのが先決………」

 

「答えなくていいって言っただろうが………」

 

「やはり、狙いはワシ等だったか」

 

「当たり前よ。私に勝ったのはアイツだけなのに……たかが、同じクラスなだけで調子にのってんじゃないわよFクラス?」

 

「三対二だと流石に後味悪いしね~。僕は吉井君を追いかける事にするよ」

 

お互いが話し合うなか、工藤は吉井の後を追い屋上を後にした。

それが合図かのように四人の召喚獣が動き始めた。

 

 

ザンッ!

 

 

「……雄二、大人しくして」

 

「断る!」

 

召喚獣(翔子)の大振りな刀での降り下ろしを避けながら、召喚獣(雄二)はその空いた腹に拳の一撃を叩き込む。

 

ドンッ!

 

ーーー

 

シュッ!ザッ!ダンッ!!

 

「ハアァァァッ!!!!」

 

召喚獣(秀吉)が薙刀での縦横無尽の連撃を止めることなく続けていくが召喚獣(優子)はそれを盾で防いでいく。

 

ガンッ!ガンッ!!ドンッ!!!!

 

「国語の点数は良かったのに、何でこの教科は点数が低いのよ……バカ秀吉!!」

 

ガンッ!

 

最後の突きを防いだ瞬間、盾で薙刀を横に弾き、盾裏に隠れていた槍が召喚獣(秀吉)の頭目掛けて渾身の突きを刺し放った!

 

シュンッ!!

 

「終わりねーーーなっ!?」

 

だが、その槍は召喚獣(秀吉)に当たることは無かった。召喚獣(秀吉)は槍が迫る瞬間、自ら地面に仰向けで倒れ込み、その一撃をギリギリで避けたのだ。

 

 

 

 

 

 

「姉上よ。あまり弟を舐めるものじゃないぞ」

 

 

 

 

召喚獣(優子)が立て直す間を逃さず、召喚獣(秀吉)は膝を仰向け状態の自身の顔近くまで丸まって持ってくるとヘッドスプリングの応用で、下からのドロップキックで召喚獣(優子)の顔面を蹴飛ばした!

 

ドゴォッ!!

 

 

▼△▼△▼△▼△▼

 

坂本と秀吉は粘りに粘るが、地力である点数差が大きすぎた。

 

「雄二、降参して…この紙に判を……」

【Aクラス、霧島翔子・世界史399点】

 

懐から一枚の結婚用紙を取り出し霧島。しかも、夫の欄は坂本の名前、住所、生年月日が書かれている。

 

「駄目に決まってんだろうが………!!」

【Fクラス、坂本雄二・世界史79点】

 

冷や汗を流しつつ更に気を引き締めて、拳を握った。

 

「アンタもよ、敗けを認めたら愚弟?」

【Aクラス、木下優子・世界史283点】

 

何時ものように、侮蔑を交えて降伏を呼び掛ける優子に対し、秀吉はべーっと舌を見せると悪ガキのような笑みで答えた。

 

「武士は死ぬまで忠義を尽くすまでじゃ」

【Fクラス、木下秀吉・世界史36点】

 

坂本と秀吉はアイコンタクトで会話を交わす。

 

(秀吉、後何分だ?)

 

(多分後一分程じゃ)

 

(…マジかよ。もう五分以上は戦ってる感覚だぞ)

 

(して雄二よ、策はあるのか?)

 

(ああ、有るぜ)

 

その答えに秀吉は表情を出さずに驚いた。

 

(作戦名は当たって砕けろだ)

 

(……それは策とは呼ばんのじゃ)

 

ついさっきの驚きを返せと言わんばかりのため息を吐いた。

 

(だが、解りやすいだろ)

 

坂本の獰猛な笑みに、秀吉も苦笑で返す。

 

(それもそうじゃな)

 

二人の召喚獣は己の武器を構え直し

 

(さて)

 

(では)

 

 

「「やるとするか(のう)ッ!!!!」」

 

襲い掛かった!!

 

「雄二!援護を頼むぞ!」

 

ガギッ!

 

召喚獣(秀吉)の薙刀の降り下ろしが召喚獣(優子)の槍に防がれる。

 

「任せとけッ!!」

 

召喚獣(雄二)召喚獣(秀吉)の背後からジャンプし、その頭を狙う。

 

「させない…!」

 

それを召喚獣(翔子)が同じジャンプしてカウンターを仕掛けるが召喚獣(秀吉)が槍と交じりあっている薙刀の部分をスライドさせ、それを牽制する。

 

「まずは初撃ーーーーー食らいやがれえぇぇぇッ!!!!」

 

ドゴンッ!!

 

それを逃さず、召喚獣(雄二)召喚獣(優子)の頭を殴った。

 

▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「ハアッ!!ハアッ……!」

 

逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる。

吉井は背後を振り向かず、全力ダッシュで逃げていた。

その理由は大体解るであろう。

 

「あははははっ♪!吉井君、止まってよ~♪」

 

後ろから笑顔で追ってきているAクラスの工藤がいるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーでは無く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『吉井~♪!!待てよ~~!♪』(バットを持ちながら)

 

 

 

 

『そうだぜ~♪、俺達は友達(味方)じゃないか~~♪』(荒縄を回しながら)

 

 

 

 

『ただちょっと女性に笑顔で追いカケッコしてる事を知りたいだけなんダよ~~?♪』(松明とオイルを持ちながら)

 

 

 

 

 

『だカら、チょっとトマレヨー♪』(スタンガンをバチバチ言わせながら)

 

 

 

 

 

 

「その笑顔と手に持ってる物で誰でも逃げるよ!?!!!?」

 

それを叫びながら、時折飛んで来るカッターナイフを避けたり防ぐ吉井。

捕まれば間違いなく、いや、絶対にFクラスの異端審問による私刑と言う名の死刑が始まる事は絶対である。

吉井は階段を登り、Fクラス前に逃げようとすると。背後から裸絞め(ホールド)された。

 

ズザザザザアアァァァッ!!

 

「えっ!?ちょっ!誰か助けーー」

 

吉井は驚きを助けを呼ぼうとするが、その口を塞がれ

そのままFクラスの向かいにある空き教室に連れ込まれた。

 

「吉井、声を上げるな」

 

その声に吉井は視線を後ろに回すと、榊がいた。

 

「さ!榊くーーーモゴッ」

 

「声を上げるなと言ったぞ」

 

榊の警告に吉井は頷き、黙っていると

 

『どこだ!!何処に消えた!!』

 

『探せッ!!!見つけて始末するんだッ!!』

 

『出てきやがれコノヤロウウゥゥヴヴヴヴーーッ!!!!!!!』

 

Fクラスの生徒達の叫び声が廊下から聞こえ、そして走り去っていった。

 

「あ、ありがとう榊君」

 

「こっちに来い」

 

榊は吉井の手を引くと、演劇等で使用されている小道具置き場でうつ伏せにさせると

 

「ここに横になってチャイムがなるまで動くなよ」

 

その上から、大きめのシーツを掛けて吉井を隠した。

 

『うーん、吉井君はどこかなぁ?』

 

廊下からそんな声が聞こえると、榊は足元に置かれてた箒をとり、掃除用具のロッカーに行く。

 

「ここかなぁ!」

 

工藤は空き教室のドアを開けると同時に、榊は掃除用具ロッカーを閉めた。

 

「あっ…」

 

工藤は榊を見て、なんとも言えない顔になったが直ぐ様無言で榊に近づき、閉めたばかりの掃除用具ロッカーを開いた。

工藤は中を見て、頬をピクピクさせながら

 

「…………これは…なんの真似かなぁ~?榊君?」

 

こちらに振り向き、掃除用具ロッカーの中を指した。

そこには箒や塵取り、そして、一枚の紙が貼ってあった。

 

 

 

 

『残念・不正解!!ザマァ(爆笑)!!』

 

 

それを見て、一言。

 

「出直せ!エロ仮面を被った純情乙女!って事じゃないのか?」

 

「へえぇ、ボクの何処が純情なのかなぁ~?」

 

笑顔で聞いてくる工藤。だが、その目は彼女を知るものがいたら、断然二度見するレベルの冷たさを纏っていた。

榊はそれを聞くと、懐から一枚の手帳を取り出し。

 

「工藤愛子・Aクラス」

 

「何かなぁ?ボクのスリーサイズでも書かれてるのかな?」

 

ウワァと言うような侮蔑を交えた表情で言ってくる工藤。

 

「貧相な体に興味無いな」

 

「……ふーん」

 

榊の発言に工藤は少しイラッとしながら続きを聞く。

 

「趣味はランニングーーーー」

 

「僕に何言っても意味無いけどね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーもとい可愛いヌイグルミ探し、読書(少女マンガ)、休日はヌイグルミに包まれながら癒されており、某乙女ラジオにてそれなりの純情な投こ「うわわわわわわわわッ!!!!」」

 

 

顔を真っ青にした工藤がダッシュで榊にタックルした。

それは見事に当たり、手帳は小道具の下に落ちた。

 

「何でそこまで知ってるのさ!!ストーカー!!!???」

 

青から赤へと顔色を変える工藤。

 

「いや、なに。休日スーパーで買い物をしててな。目の前で偶然(・・)財布を落としたらしい工藤の母親と出会って。それを拾ったら偶然(・・)俺の学生証が落ちてな。そして、偶然(・・)それを見た工藤の母親が自分の娘と同じ学校と偶然(・・)知ってな。そこから、話に花が咲いてな近くのカフェでのんびりと話してたんだ。いやぁそんな偶然(・・)ーーーーー有るんだなぁ……?」

 

「こ……この……ッ!!!!」

 

工藤は歯ぎしりして、目の前でニヤニヤして眺めている榊を睨む。

 

『工藤さんって……おふろ上がりに鏡の前で落ち込むのって何で?』

 

そんな声に工藤はバッと顔を向けると、小道具の側で吉井が榊の手帳を読んでいたのだ。

 

「うわわああぁぁああぁぁッーー!!」

 

ダダダダッシュバッ‼

 

目にも止まらぬ速さで吉井に駆け寄り、その手に持っていた手帳を奪い取り

ビリイィッ‼と粉々に破り捨てた。

 

「ああ、勿体ない」

 

「なにがさっ!!」

 

榊の棒読みの発言に工藤は顔を真っ赤にしてうーっと唸り

 

「そのにやけ面を今すぐに止めてあげるッ!!!」

 

立ち上がり、召喚獣を出そうとするが

 

試獣召(サモ)

 

キーンコーンカーンコーン

 

ちょうど終了のチャイムが鳴り、召喚フィールドが消されていった。

 

「ーーーーーさて、どうやって止めるんだ?」

 

ニヤニヤしながら訊く榊に工藤は俯いてぷるぷると震えている。

 

「~~ッ!!!つ、次に会ったら絶対に潰してあげるから!!」

 

そう言い残し、空き教室から出ていった。

 

「榊君…結構外道だね……」

 

そんな吉井の呟きに頷く声は無かった。

 

△▼△▼△

 

吉井は空き教室を出ると、屋上へと向かった。

屋上に辿り着くと、手すりに寄りかかっている坂本と秀吉がいた。

二人は吉井に気付くと、立ち上がり。手を上げる。

吉井も手を上げて、

 

パァンッ!

 

ハイタッチを交わした。

 

 

その後、軽めに話し合い景品を交換して。吉井は朝の少女と約束した場所(公園)へ走っていった。

 

「ゴメンね!待たしちゃっ…………て?どうしたのそのヌイグルミ?」

 

ブランコで少女が座っていたのを見たのだが、前から見ると一つの青いヌイグルミ、いや如月グランドパークのマスコットヌイグルミを抱いていた。

 

「これですかぁ!ついさっき、怖そうなお兄ちゃんが来て葉月にこれをくれたのですっ!」

 

嬉しそうに言う少女に吉井は懐から約束していた物を取り出し、屈みながら少女にプレゼントする。

 

「はいっ」

 

「あっ!お兄ちゃん本当にありがとうですっ!ーーーーーこれは葉月のお返しなのです」

 

吉井の頬に柔らかい何かが触れた。

少女はにひひっと笑うと手を振りながら去っていった。

 

 




それではまた次回でヤイサホー!!


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前日

ヤイサホー!練火です(サザ◯さん風)

平日の相棒が放送されなくて暇です。



それは、チケット争奪戦の後の話。

 

「さて、一人二枚で分けたは良いが…俺にはこのチケット………なんの価値も無いんだがな」

 

商店街の真ん中に立ち止まる榊の手には二枚の内一枚である如月グランドパークプレミアムペアチケットが握られていた。

もう一枚の方は既に景品と交換して、公園にいた幼き子供に一つあげた。

 

「………ネットオークションにでも売るか」

 

そう考え、再び歩き出そうとするが。

 

スッ

 

「……恭介…頂戴…?」

 

首筋にヒヤリと冷たいものを押し当てられ、榊は小さく手を上げる。

 

「翔子殿?…いつの間にそこまで技術を積んだのですかな?」

 

脅迫紛いをしている人物の名を呼びながら苦笑いする榊。

首筋に当たっていた冷たいものが無くなり、振り替えると、そこには家の鍵を握った霧島と

 

「代表~!いきなり走って何処に…ゲッ!?」

 

肩で荒い呼吸をしている優子だった。

 

「…………何でアンタがここにいるのよ」

 

「何処で何しようが俺の勝手だろうがクソッタレ」

 

睨み合う二人。子供が見たら大泣き確定であろう。

その真ん中に霧島は移動する。

 

「翔子殿?いったい何をしてーー(ゴスッ)ーアタッ!」

 

睨むのを止め、訊くと返事は霧島のチョップであった。

 

「あははははっ!代表にチョップされてるーー(ポコッ)ーイタッ!」

 

優子はそれを見て嘲るように言った途端、今度は自分にチョップされた。

二人は地面にしゃがみながら頭を押さえている。

その側には冷めきった眼をしながら霧島。

 

「二人とも…仲良く……」

 

 

「「はい……」」

 

冷や汗を流しながら返事をする二人であった。

 

「じゃあ、話を戻していい?」

 

小首を傾げながら訊く霧島に榊は頷きながら立ち上がる。

 

「あ、はい。良いですけどーーーチケットって如月グランドパークプレミアチケットですか?」

 

「ぷ、プレミアチケットですって!!?」

 

榊の持っているチケットの名を聞いた途端、横にいた優子が驚きの声を上げた。

 

「なんだよ、耳元で喧しい」

 

「うっさい!ーーってそれ、本物なの!?」

 

「チッ…そうみたいですがぁ?」

 

二人の額に青筋がすこし浮かび、二人は笑顔に成るが、目は笑っていない。

 

(何、殺るの?)

 

(喧嘩売ってんのは手前だろうが?あぁ?)

 

「……仲良く」

 

「いや~。木下はこのチケットがなんなのか解るのか?」

 

霧島の冷めた声に二人は直ぐ様、役者のように大袈裟な身振りで仲良しアピールをする。

 

「だって、そのチケットってネットオークションで売れば3万はするわよ」

 

「……reality(本当に)?」

 

「……何でそこで英語なのよ?」

 

優子はため息を吐くと、このチケットの事を説明してくれた。

 

【曰く、このチケットは年に二~三枚しか出ず。二枚は一般人に高値で売り、もう一枚は株主の欲しい人に譲渡される】

 

【このチケットを手に入れた場合、そのカップルは未来永劫幸せな夫婦と成れる】

 

近くの喫茶店に移動した榊と霧島は飲み物を飲みながら、優子の説明を聞いた。

 

「でも、胡散臭過ぎるだろ?」

 

「だけど、このチケットを手に入れたカップルが結婚する率は9割越えてるのよ?」

 

マジかよ…

榊は呆然としてると、説明を聞いていた霧島が紅茶を置き、

 

 

「恭介、お願い。そのチケットを……」

 

 

頭を下げて、頼み込んできた。

 

「頭を下げなくても良いのですよ?翔子殿には子供が世話になった。その1厘でも還せるならこのぐらいは」

 

榊はチケットを霧島に渡そうとする。

 

 

 

 

「ーーーあと、私と雄二のサポートを優子と二人でお願い」

 

 

 

その手が止まった。

 

 

「それは……出来ますかねぇ」

 

 

榊と優子はお互いに頬をピクピクさせて苦笑いするのみであった。




さぁて来週の練火さんは





……特に無いです(^ω^)。


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似た者同士

お久しぶり~

練火(*´・ω・`)bデス

生存報告変わりに投稿です。


3日たった休日の朝、携帯に電話がかかった。

 

「はい、もしもし」

 

榊は電話を取ると、とてつもなく低い声で、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーーーー怨みはらさでおくべきか』

 

 

 

 

 

 

 

 

プツッツーツーツー

 

即座に通話を切る榊。

 

「何て言うモーニングコールですかい?雄二殿」

 

何でこの発言をしたか、その答えは嫌でも解る。

如月グランドパークの件で間違いないだろう。

 

「さて、行くか…」

 

ベッドから降りて、着替え始めた。

 

▼△▼△▼△▼

 

優子と霧島、秀吉達が考えに考えて作ったデートプラン。

如月グランドパークのお偉いさんを説得(脅迫)し許可を貰い、点検テストを何度もして

 

遂に今日の本番を迎えたのである。

それなのに……

 

「これはどういうことだ?」

 

榊はお化け屋敷の最終チェックをしながら無線で優子に連絡した。

 

『これは?ってお化け屋敷のこと?』

 

「それ以外に何がある?」

 

『えっ?でも、立案時から何も変わってないわよ?』

 

「見た目はなっ?!だが、なんだ……このぶら下がっている殺傷能力の高い獲物は!?」

 

『えっ?それは吊り橋効果でくっつける可能性をあげようと思って…』

 

「そんな吊り橋は何処にもねぇよ。お互いがドキドキになるのだったら解るがな?」

 

榊は釣り下がっている釘バットを触りながら、続きを話す。

 

「でもこれ、相手がドクドクと血を流す現場にしかならないだろ」

 

『で、でも。繋がるかも知れないでしょ!?』

 

「繋がらねぇよ!?これよくあるゲームなら『貴方を殺したら一生、一緒にいようね……?』って言うヤンデレバッドエンド(nice boat)フラグだからな!?」

 

『けど…代表達はもうそっちに言ったわよ?』

 

「しかも、修正すら出来ねぇじゃねぇか……!!」

 

どうするかと考えた瞬間、入り口の方から霧島と坂本の声が聞こえてくる。

 

「もう来ちまった…最悪過ぎる。ーーー南無三!」

 

榊はせめて無事でありますようにと祈りながら、非常口から外へ逃げた。

 

「それと、他に問題点は合ったか?」

 

非常口のドアを閉め、それに寄り掛かりながら優子に問い掛ける。

 

『あ、言い忘れてたわ。後、写真の時にーーーーー』

 

 

 

 

<ショウコマテ,ソノクギバットヲドコカラモッテキギヤァァァァァァ‼‼‼

 

 

「祈りは通じなかったか……」

 

『……駄目だった?』

 

坂本の悲鳴をBGMに二人のため息が重なった。

 

「で?写真がどうしたんだ?」

 

『あっ、それでねーーー』

 

改めて、優子に問い掛けると。優子もあぁそうねっと。話し始めた。

何故、こんなにも仲が良さそうなのか。霧島に言われたから?それもあるが、一番の理由は似た者同士であったからだ。

 

坂本の為に、無茶でもなんでも通すのが榊。

 

霧島の為ならば、無茶でもやる優子。

 

お互いが直感で感じた。『こいつは仲間』だと

二人は確かに似た者同士であるが、

片方(木下優子)は先生の覚えをよくするために正攻法を重視し

片方(榊恭二)は目的の為ならどんな外道な事でも躊躇わずにする。

二人からすれば、似た者同士ではあるが全く異なる信条を持っていた。

 

『ーーーんだけど』

 

「……それで、そのバカップルは脅したんだよな?」

 

榊は低い声で問い掛けると馬鹿にしたような返事が返ってきた。

 

『はぁ?そんなことしたら、ここの経営者に怒られるわよ?』

 

「そんな事は知った事か。今の内に潰しておけば後々の問題にはならねぇだろうが」

 

『だから今回のデート企画から外されたのよ?』

 

人が一番気にしてることを……

 

「んだとテメェ」

 

『何?殺るの?』

 

お互いが電話越しでいがみ合っていると、

 

『姉上、そろそろ昼時の時間なのじゃ』

 

『解ったわ。ーーーアンタもさっさとホールに来なさいよ。遅れたら殺すから』

 

そう言って無理矢理、無線が切られた。

 

「ホールって……あぁ、クイズのやつか」

 

榊はクイズは吉井達に任せて、そのバカップルを探すために歩き始めた。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

数十分歩き回って探したが見付からなかった。

もう、退園したのか…?なら良いが……

そのまま榊は最後の見せ場である。疑似結婚の様子を見に、教会へ入ると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そんなおままごとよりうちらの方が良いに決まってるでしょ?』

 

 

『まさしく、その通りだぜ!』

 

 

 

 

 

…………あ゛??

 

 



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触るな危け―――(文字が掠れている)

ヤッハロー!!


練火ですニャ(ФωФ)


久々なんで喋り方を忘れちまったよorzヨゴレツチカッタカナシミニ…


 

 

 

『そんなおままごとよりうちらの方が良いに決まってるでしょ?』

 

 

 

『まさしく、その通りだぜ!』

 

 

 

 

一瞬

 

何があったのか理解できなかった。いや、理解したくなかったのが本音であろう。

 

 

 

だが、理解しなくてはいけない。

 

 

 

心がーーー頭がーーー体がーーーーーそして、俺自身が命令してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______死刑執行(コロセ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

榊は霧島がいなくなったことで騒がしくなった教会の中を歩く。

このイベントが中止になったと感じた今回の見物客が帰ろうとするが、立ち上がって榊を見た瞬間ーーー目を反らして、立ち止まる。

それは、イベント側にいるスタッフや今すぐ、あのチンピラを殴りに行こうとした吉井やそれを止める土屋・島田・姫路・秀吉・優子である。

榊を一度でも見た人達は誰も彼もが目を反らし、動けなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレを見てはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレに関わってはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

アレに話かけてはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレに触れてはいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー死にたくなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本能がそう告げるのだ。

 

 

 

『あぁ!?何立ち止まってんだよ。早く退けよ!クソがッ!』

 

 

 

『そうよ、リョータとアタシのデートの邪魔しないでくんない?』

 

 

 

…二人を除いて。

 

 

 

 

榊はその何処にでもいそうなチンピラカップルの間を歩き

ドンッと肩がぶつかり合う。

チンピラのリョータと言った男が、

 

「痛ってぇなぁ…!テメェ、無視してんじゃね━━━━」

 

ーー見たのは、今までの人生で見たことが無いであろう怒りの形相、自身の顔面を狙う拳であった。

 

 

 

グギギギギギギ

 

 

 

 

 

「くたばりやがれ」

 

 

 

 

 

 

ビュオッ!

 

 

 

 

 

 

とある格闘漫画で素手喧嘩(ステゴロ)伝説の漢。

その漢は神から授かった握力、そしてまだ未成年で有りながら、有り得ない巨体。そこから繰り出されるパンチは一撃で耐爆性抜群の車を破壊する。

 

 

握力

 

×

 

体重

 

×

 

スピード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=破壊力

 

 

それが、その馬鹿げたパンチのある方程式である。

例えそれが、握力は平均より強め、体重も平均より重めであったとしても、その馬鹿げた破壊力には成らないが、

 

 

 

 

 

 

 

 

メギャッ!!ドゴンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チンピラ一人、病院送りにするには充分過ぎる程の威力を誇る。

殴られたまま地面に叩きつけられたチンピラは前歯は全て折られ、鼻は曲がり潰れ、目も当てられぬ悲惨な状況に成っていた。

 

「……え?」

 

女はペタンとその場に座り込み

 

「リ、リョータ?キ」

 

悲鳴を上げようとする女の耳元で榊は呟いた。

 

「大声を出したら、同じ運命だが、それでも構わんかな?」

 

咄嗟に女は口を塞いでウンウンっと頷くが、それと同時にチンピラカップルの髪の毛を掴み、

 

「い、痛いッ!!止めろ!止めろってば!」

 

そう女は言ってくるが、榊は無言のままズルズルと引きずり、

 

「ヒィッ!だ、誰か助けて!助けてよぉぉぉぉッ!!!!」

 

チンピラカップルと榊は教会を出ていった。

 

 

 

キイィィィィ_______バタンッ

 

 

 

扉が閉まった瞬間、中の空気が緩み、ざわつき出した。

 

『えっ?アレっていったい何なの!?』

 

『一瞬、殺されるかと思ったぞ……』

 

『警察呼ばないで大丈夫なの??』

 

『いや、アレってイベントじゃないのか?人の顔ってあんな簡単には潰れないだろ??』

 

ザワザワザワザワザワピーンポーンパーンポーン

 

戸惑っている見物客があーだこーだと言う中、急にチャイムが鳴り

 

 

 

 

 

 

 

『それでは、現段階を持ちまして、御披露目結婚式~inドッキリ~を終了致します。それでは皆様、帰り道にお気をつけてお帰りください』

 

 

 

 

 

 

そんなアナウンスが流れた。

 

『な、なんだ、やっぱりドッキリだったよ』

 

『となると、あのチンピラカップルも劇団とかの子かしら?』

 

『だなぁ、あの助けを求める演技は本当かと思ったぐらいだ』

 

見物客はあー、良かったー。驚いたなー等と口々に言いながら、教会を出ていくのであった。

 

後に残ったのは吉井・島田・姫路・土屋・優子である。

 

「ふぅ…なんとか間に合ったのじゃ」

 

秀吉が額を拭いながら、合流する。

 

「お疲れ、秀吉」

 

「うぬ、じゃが吉井。よく咄嗟にあんな指示が出せたのぅ」

 

「良くやった…明久…」

 

土屋と秀吉が吉井を褒めた。

ついさっきのパーク内で流れた放送は、吉井が秀吉に頼んだものであった。

だが、褒めた秀吉達とは反対に女性陣は

 

「けど……やりすぎじゃない?榊のバカ」

 

「ちょっと、ほんのちょっとだけあのカップルに同情しました…」

 

「まぁ…ウチもちょっとやり過ぎかなぁ……なんて」

 

そこには吉井達も同意するように頷いて、あの無表情の榊を思い返し

 

「これからは、榊君を怒らさないようにしないとね」

 

ゴクリッ……

 

全員の唾を飲むタイミングが見事に一致した瞬間であった。

 

 




ねぇ、知ってる?
人間ってさ、怖いことやその系統に直面すると安易な道に選びがち何だって~

次回

『キスとバストとポニーテール』編スタート(嘘予告)


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プライドと優しさとお祭り騒ぎ
吉井明久の憂鬱(前日編)


ヤッハロー


練火~でーすo(T□T)o

急性胃腸炎で病院に担ぎ込まれました~(笑)
まぁ、そんなこんなで新章です。楽しんでね?(笑)…………駄文だけど_〆(゜▽゜*)


それは、明久とその家族の一本の電話から始まった。

 

『____をそっちにやるから。アンタの監視役として』

 

「……アレ?チョット電波ガ悪イミタイダナー?チョット聞コエナイナー」

 

『……ハァ。今すぐそっちにやった方が良いわね』

 

「母さん?母さんは優しくて、それでいてとても頼れる人物だって、前々から知っているし、僕はね、この生活がとても」

 

『黙りなさい。一人暮らしを続けたいのなら、生活を改めることね』

 

「母さん!もう一度チャンスを!次のテストは絶対に━━━━」

 

 

 

ツー、ツー、ツー、

 

 

 

「……だ、大丈夫だよね?きちんとした生活を送っていなければって言ってたもんね??」

 

 

 

明久の呟きは虚空に消えるのみであった。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

あの結婚式イベントから約1ヶ月程経った休日の日曜日。

この所、榊には補修呼び出し等なく、ちょっとした単発バイトで働いていた。

今日は学園長からの試作テスとが終わり、文月学園からのんびりと歩いて帰っていると、女性に声を掛けられ、振り向くと

 

 

「すみません。そこのキミは文月学園の生徒ですよね?━━弟も同じ学校なのですが、名前は吉井明久と言うのですが」

 

 

(いいえ、知らない人です)

 

 

 

 

 

訂正しよう━━━━バスローブ姿の痴女だった。

 

 

 

 

 

榊は関わり合いを持ってはいけないと言う本能に従い、口に出かかった言葉を飲み。直ぐ様、踵を返し、歩き始める…早足で

 

「あ、あの無視をしないでいただけると嬉しいのですが……」

 

「知らないな、そんな学園史上No.1のバカで万年金欠の入学時に女性用制服で登校した男は

 

そう言うと(後半は全聞こえるかどうかぐらいの小声)、痴女は胸の谷間から一枚の写真を取り出すと

 

 

「でも、この写真には貴方と、アキくんが写っている集合写真が有るのですが?」

 

 

そう言って、見せている写真はAクラスとの試召戦争が終わった後の記念写真として学園長・藤堂カヲルが撮ったものである。

 

「チッ…初なから知っていたのか」

 

「そんな言い方は良くないですよ?」

 

「んで、その関係者が俺に何のようで?」

 

そう聞くと、痴女は少し恥ずかしそうに

 

「えっと…ですね。弟のアキくんの住所がちょっと間違えてたみたいでして、携帯の電池も無くなり、途方にくれてたのです。ですので、アキくんの家に案内してくれると助かるのですが……」

 

榊は内心ため息を吐くと、懐から取り出した手帳を開き、吉井明久のページを見る。

 

「今、ここだから…俺の家と同じ方か。了解した。此方だ」

 

先導する榊の後を痴女が早足で追いかけた。

現在地から歩いて数分の距離である。だが、その間は暇なので先ほど持った疑問を問い掛けた。

 

「弟って、事は吉井明久の姉だよな?」

 

「えぇ、そうですよ?アキくんから聞いてませんでしたか?」

 

「いや、初めて知った」

 

そう返すと、痴女はそうですか、そうですかと頷きながら、何故かメモを取った。

 

「他にもアキくんの事、教えてくれませんか?」

 

と言われたので、なるべくさしたる問題に成らない範囲で答えていく榊。

 

 

「授業態度・最悪、日常生活・堕落、食事・末期、成績・最悪中の最悪。呼び出し、補習etc…これは総減点80ですね」

 

 

「?80ってのはいったい━━」

 

そう聞くと、ちょうど吉井のマンションに辿り着いたらしく。

 

「ここまで、案内していただきありがとうございました。それでは失礼致します」

 

そう言って痴女はマンションの中に入って行くのだった。

榊もそれを見届けず、帰っていく途中、あっと声を出し

 

「名前、聞くの忘れてた……」

 

そう呟くのであった。

 




因みに今回の新章でバカテスアニメは終わります。
え~。だってこの後の内容、ほとんど榊が入らなくね?って箇所ばっかりだからさぁ~_____(以降作者の愚痴)


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吉井明久の憂鬱

ヤッハー


練火デスo(T□T)o

関東の気候に全くの慣れがこない……orz


榊は文月学園の正門前で覆面を装着した軍団に囲まれていた。

 

『榊ィ…テメェだけは許さねぇ……!!』

 

『こんだけの人数で囲めば、お前を倒せる……いや、絶対にぶっ殺して、蘇生して殺してやる!!』

 

『解体ノジカンダヨ~』

 

数は20を越え、各々が金属バットやらスタンガンやら果ては鉈、と言った殺傷力が高いものばかり持っている。

 

「ハッ。この前、病院送りにされたバカの仕返しか?」

 

榊は臨戦態勢のまま、目の前の覆面に訊くと、

 

「病院送り?貴様は何を言っている!」

 

まさかの無関係でした。

 

「……違う?じゃあ、目的は何だ?」

 

再び問うと、覆面達は一斉に叫んだ。

 

『『我らはFFF団ッ!!!!』』

 

「FFF団……?って言うと、アレか」

 

思い当たる節が一つある。

すると、榊の目の前に道ができ、その道の先、正門には大鎌を持った覆面とその横には釘とハンマーを持った覆面がいた。

大鎌の覆面は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諸君、異端者には?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『死の鉄槌を!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『男とは?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『愛を捨て、哀に生きる者!!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宜しい。これより━━━異端審問を開始する!』

 

 

 

ドンッと大鎌の石突の部分で地面を叩いた。

 

「チッ、メンドくせぇもんに目ぇ付けられたもんだ」

 

隠すこと無く毒を吐く榊。

 

『それでは、罪状を述べよ』

 

大鎌の指示に、隣にいたハンマーが答える。

 

『ハッ。━━━榊恭二は前日、バスローブ姿の美人痴女と仲良く話しながら、商店街を歩いている所を目撃されており、まるでカッ』

 

『━━簡潔に申せ』

 

『━━美人痴女と仲良くしてクソ羨ましいいィィィィ!!!』

 

そのやり取りに思わず、呆然とする榊。

 

『よって、判決は校内引き廻しの刑から紐無しバンジーの刑に処す!』

 

 

なんという速攻裁判だ。

 

 

『さぁ!遺言を聞こうか』

 

「そこは弁明じゃねぇのな……まぁいい。なら、掛かってこいよ━━━━死にたい奴からな」

 

榊の言葉がゴングになり、囲んでいたFFF団は一斉に襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

~数分後~

 

 

 

 

 

「もう少し、鍛えてから出直せ。ド阿呆が」

 

手をパンパンと叩きながら、ボロ雑巾の山と化したFFF団に告げる。

 

『さ、榊……これで終わると思うなよ……!』

 

『今日は背後に気を付けやが、れ……』

 

FFF団が口々にそんな呪詛めいた言葉を吐いていくが、榊は歩きながら

 

「おぉ、そりぁ怖い怖い。でもな、そんな体力残ってるなら逃げた方が良いぞ」

 

『『『???』』』

 

榊のその発言にFFF団の全員が頭を傾げたが、その答えは一発で解った。

 

キーンコーンカーンコーン

 

朝礼のチャイムが鳴り、

 

「あぁ……もう遅かったな」

 

校舎の方を見る榊とこれから来る事を何となく理解し初めたゴミの山(FFF団)の中間に一人の教師がやって来た。

 

 

 

 

「ほぅ、貴様ら遅刻とは良い度胸だな……!とりあえず榊は早く教室へ行け…そうだ、榊。ついでに今日は俺じゃなく別の手が空いている先生に代行を頼んでくれ。俺は━━━この馬鹿共と補習室に行ってくる」

 

 

 

 

『『『イヤアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!』』』

 

 

 

 

 

一斉に顔を青ざめさせたFFF団は口々に榊に救援を求める。

 

『さ、榊!助けてくれ!頼む!!』

 

『ついさっきのは冗談だ!なっ!なっ!?』

 

『お、俺は止めようって忠告したんだ!!だから、俺だけでも!』

 

『ふざけんなテメェ!!━━榊!俺を助けてくれたらこの先、お前の下僕になる!絶対に!約束する!だから━━』

 

「安心しろ」

 

そんな自分勝手な言葉に榊はニッコリとそう言いながら笑みで返し、その反応でFFF団は助かったと思ったのか安堵の息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━西村先生。とりあえず1日full拘束で願います」

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、解っている」

 

『『『フザケンナアアァァァァッ!!!!!!!??』』』

 

榊のお願いに鉄人は頷き、総勢31名はどうやって持たれているのかズルズルと地面を引きずられながら、そう叫ぶのであった。

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

「と言うことです」

 

「なるほど、クラスの人数が凄く少なく、朝礼が福村先生な理由はそれだったのか」

 

坂本が前を向くと、少ないFクラス生徒が教室から出て昼食を食べに行く所であった。

 

「……所で雄二殿、その、ズボンは」

 

「言うな」

 

榊の目の前で、上は夏用の半袖制服なのに、下が体育で使う半ズボンなのだ。誰がどう見ても理由を聞きたいと思うであろう。

 

「それと、アレは何があったんで?」

 

榊の指す方向には何故か、坂本と吉井を赤い顔をしながら睨む島田と姫路であるし、吉井は次の授業の準備と教科書の読み込みをしている。

 

「あー…島田と姫路はいつもの事だから、無視しといて構わないが…………明久だけ、何があったのかさっぱり解らねぇ。しかも、見ろよ」

 

そう言って坂本が見せてきたのは一通のメールであった

 

『今日…泊まってもいいかな……?家に、帰りたくないんだ』

 

なんともまぁ、大胆な告白文である。━━━だが、送信者は吉井だ。

 

さすがの榊もドン引いたように吉井を見る。

 

「吉井はアッチのケが有るのか……」

 

「お前はその目で俺を見ないから良かったよ」

 

坂本がため息混じりにそう呟いた。

 

「もしかして、そのメール…翔子殿に見られましたか」

 

榊が言うと、坂本は頷き。遠い目で語る。

 

「その所為で…━俺と吉井が付き合ってるって前々からの噂を信じちまって、登校中にズボン脱がされるわ、しかも、返さねぇでそのまま学校に行くわ、半ズボンが無いから、夏服の上にパンツという正に変態の格好で登校を」

 

「解った。解り申した。ですから、そんな今にも自殺しそうな目で語らんで下され」

 

榊が坂本の両肩を掴みながら懇願する。

 

「━━そして、この後の授業も俺は半ズボンに夏服と言う、奇抜と言うか馬鹿と言うか、頭のネジが一本外れたような格好で授業に挑まにゃならねぇ」

 

「俺が今すぐ、返してくれるように行っときますので、その手に持ったカッターをしまいなさい。今すぐに!」

 

…そりゃ、最愛(小学校からずっと)の人に自分がホモでしかも相手が親友とか思われてんなら誰だって死にたくなるものである。

声を荒げた榊に釣られたのか、秀吉が近づいてくる。

 

「どうしたのじゃ?━━━って、雄二よ!何故カッターを自分の首に当てようとしてるのじゃ!?」

 

「離せ!秀吉!!俺は…俺はあぁぁぁ!!」

 

「秀吉!その手を離すなよッ!雄二殿はそのカッターを離しなされ!!」

 

榊はカッターを奪うと足早に教室を出ていった。

 

▲▽▲▽▲▽▲

 

ガラッタタタタタタタッバンッ!!

 

「翔子殿。あの噂は誤解であります」

 

「いきなりAクラスに入ってきて何言ってるの貴方は?」

 

「五月蝿い雑魚キャラK」

 

「んなっ!?なんですって~ッ!!!」

 

榊の存外なあしらいに優子は榊の胸ぐらを掴みにかかる。

 

『おい、また木下と榊の喧嘩が始まるぞ!』

 

『木下を止めろ!そうすれば始まらねぇ!!』

 

ほとんど日常と化しつつあるこの喧騒に、Aクラスの面々は慣れたように暴れる優子を止め、宥めるために離れていった。

 

『覚えてなさいよ~!馬鹿榊イィィッ!!』

 

そんな遠吠えがどこからか聞こえた。

 

「ケンカ…ダメ」

 

「向こうが来なければ俺は何もしませんよ。ではなく!雄二殿のズボンを返してくだされ」

 

「……なんのこと」

 

無表情の表情のまま、目線をズラし、霧島はそう答えた。

 

「あの人が誰を一番思っているかは知っているはずでしょ」

 

「……うん」

 

「でしたら」

 

「━━でも、雄二が本当に私を好きなのか…時々、不安になるの…」

 

「……それは」

 

霧島は顔を伏せ、此方からはその表情が伺えない。

榊も何か弁明の言葉を出そうとするが出てこない。

 

坂本も坂本で、榊の知っている限りで最愛(小学校の時から)の人に、好きだの愛してるだのの言葉を言った記憶はないし。

霧島の今の状況を見る限り、おそらく榊と出会う前(小学校時点)でも言ったことは無いのだろう。

 

「ハァッ……仕方がありませんか…解りました。では、たまに雄二殿が俺に言っている翔子殿に関する話(ガチ話)を一部しましょう。それでどうですかな?」

 

そう言うと、霧島は目に恐怖と不安の色を滲ませながら榊を見る。

 

「…ホントに?」

 

「えぇ、十分な価値は有るかと」

 

「……交渉(パーレイ)…」

 

「━残念ながら、海賊ではありませんので」

 

そう言うと、残念と呟きながら、話をするように促した。

 

「それではまず━━━━」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

 

タタタタタタタッガラッ!!!

 

 

 

「雄二殿!!返ってきました、ぞ?」

 

「「「あっ」」」

 

 

 

 

止まるんじゃねぇ_______

 

 

 

 

 

そこには、文字を書いてる途中で口から泡を出して倒れている坂本の姿であった。

その周囲には、お握りを持った秀吉と、土屋、吉井が立っていた。

 

「さて容疑者三人。そこになおれ。そして正直に答えろよ?━━━雄二殿に何をした?」

 

榊の淡々とした言葉に三人はゴクリと生唾を飲みながら、答えていく。

 

「━━━━つまり…雄二殿が止まらず、姫路のお握りを自ら喰らってこうなったと」

 

「そうなんだよ」

 

榊の言葉に吉井は肯定した。

 

「…ハァッ。解った。悪かったな疑って」

 

軽く謝罪の言葉を吐いた後、坂本を診る。

 

「ズボン……取り返したんだがなぁ…これじゃあ、今日は起きねぇな」

 

「そ、そんな!!?じゃあ、雄二に勉強を教えてもらうことが出来ないじゃないか」

 

驚いた吉井の言葉に周囲が驚いた。

 

『『勉強を教えてもらう!?』』

 

「なんでそこで驚くのかな!?」

 

そりゃ、お前の頭に勉強と言う単語があったことについてだろ。

 

「でも急にどうしたんじゃ?雄二の家に泊まりたいじゃの、いきなりの勉強じゃの」

 

「…しかも、授業も真面目にしていた」

 

「うん、まさか僕もこの四限の間に10回も『保健室に行け』なんて言われると思わなかったよ」

 

実際は12回である。

 

「それで、アキ?今日はいったいどうしたのよ、そんなに真面目で」

 

「な、何か悪いものでも食べちゃいましたか…?」

 

「なんで美波や姫路さんもそう訝しげに僕を見るのさ?僕は普段と同じで真面目に授業を」

 

『『『嘘だな(じゃな)(ね)(です)』』』

 

「━━━━しているってどんだけ信用ないのさ!?」

 

クラス全員が見事に息の合った瞬間であった。

 

「それで、なにがあったのよ」

 

美波が吉井近づきながら訊くと、

 

「……母さんが今回のテストが酷かったら、仕送りを減らすって行っててさ」

 

「そう言えば、前回。それでバイトしたんじゃったのぅ」

 

あれか?雄二殿が『なんだあの化け物店長は……』と恐れていた、あの日か

 

「それはちょっと問題ね…」

 

「それで雄二殿に勉強をってことか」

 

榊がそう言うと、吉井も頷き。その後にため息を吐いた。

 

「うん、そう………だけど、雄二がこの調子だから今日は大人しく帰るよ」

 

5限目の授業の準備をし初めた吉井に姫路が覚悟したような顔つきで提案する。

 

「あ、あの」

 

「なんだい、姫路さん?」

 

「わ、私が教えるのはどうでしょうか?」

 

「えっ?本当に!!?」

 

「はい!」

 

元気な笑顔をしながら答える姫路に吉井は助かったかのような顔をした後、急に冷や汗を流し始めた。

 

「いや、やっぱり止めと」

 

「うぅ」

 

「かない方がとっても勉強になるから是非お願いします!!」

 

断りの言葉を言おうとした時、涙目の姫路を見た途端、吉井は即座に前言撤回をした。

それと同時に、周囲に渦巻いていた殺気も霧散した。

 

「それでは、今日は明久の家で勉強じゃな」

 

「えっ!?どうし」

 

「ウチも行くわ」

 

「いや、だから何で僕の」

 

「でしたら、何か料理を作った方が良いですよね?」

 

「いや、そこは僕が作るから安心してってだから、何で僕の家なのさ!?」

 

「……この人数で広く出来る場所は雄二か明久のどちらか」

 

「で雄二はこうなっておるしの」

 

土屋と秀吉の発言に吉井はうぐっと苦虫を噛み潰したような顔に成り、

 

「じゃ、じゃあ榊君の家な」

 

「俺は雄二殿を看病するためパスだ」

 

「━━━ちくしょう!」

 

両ひざを地面に突け、右手で床を殴りながらそう叫んだ。

 

「にしても、どうして自宅に戻るのが嫌なのじゃ?」

 

秀吉の問いに吉井は正座になり、あたふたしながら答える。

 

「そ、それは…家の鍵を落としちゃってさ!」

 

「管理人さんに言えば、貸してくれませんか?」

 

「━━じゃなくて!今、部屋を改装工事してて━━」

 

「おかしいな。今日は雄二殿が吉井の家に遊びに行く約束と聞いていたが」

 

「━━━そうでもなくてぇッ!!部屋がものスッッッッゴク!散らかっているから━━━」

 

「なら、榊と坂本を除いた全員で片付ければ直ぐに終わるわよ」

 

「━━━━━でもなくて……_____朝、自宅が爆発しててさ」

 

「なんで朝っぱらから、テロの被害を受けてんだよ、ってかよくそれで普通に登校してきたな」

 

「もう言葉が出てこない……!!」

 

吉井が蹲りながら、そう言った。

 

「さぁ、アキ。アンタいったいなに隠してるの」

 

「そうですよ、ちゃんと教えて下さい」

 

「気になる…」

 

「そうじゃぞ明久。そんなに隠されてはワシも少しは傷つくのじゃ」

 

「そうだな吉井。お前の姉が来ているだけだから隠すことなんて無いだろ?」

 

「「「「「…………ん?」」」」」

 

榊の発言に周りの空気が固まった。

 

「ちょ、榊君?ナニヲイッテイルノカナ?」

 

「あ?だから、外国から帰って来たお前の姉が泊まってる以外なんらおかしなものは無いだろ?」

 

「「ん?」」

 

榊と吉井の両者に無音が響く。

 

「そう言えば…さ。今日、 榊君に対して異端審問があったらしいけど、罪状はなんだったっ……け?」

 

その吉井の問いに榊は難なく返す。

 

 

 

「痴女を道案内した罪だな」

 

「それって昨日だよね」

 

「あぁ…そうだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━その道案内の道中、その痴女とどんな話をしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━お前のような勘の良い馬鹿は嫌いだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、吉井は榊に覆い被さるように襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ!吉井何してるの!?」

 

「お前かぁ!!お前の所為で僕の楽園がぁぁぁぁッ!!!」

 

「止まらない……!!?ムッツリーニよ!今すぐにスタンガンを最大威力で当てるのじゃ!!」

 

その暴走のスペックは榊に勝るとも劣らない性能で、結果、吉井はこの後の土屋特性スタンガン(電力MAX)を五発受けて気を失った。

 

 




なんか、気付いたらここまで書いてた……(錯乱)


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対策

ヤッハー!!


練火ですo(T□T)o


金欠で小説書く暇も無くなってきている練火ですo(T□T)o


「ッう…。ここは……?」

 

坂本が目を開けると、どうやら布団の上で眠っていたらしい。

ドタドタドタと足音がすると思い、顔を横に向けると、一人の少年が、ドアまで走り叫ぶ所であった。

 

『兄ちゃーーん!!ゆうじ兄ちゃんが目をさましたよ!!?』

 

『解ったぁッ!!飯持っていくから、もうちょっと待っててもらってくれ!』

 

『はーいッ!……だってさ、ゆーじ兄ちゃん?」

 

少年がそう言うので、坂本は頷いた。

 

「…すまねぇな」

 

「また、しょーこ姉ちゃんでしょ?」

 

「あぁー…バレちまったか」

 

バツの悪い顔で坂本が言うと、少年はクスクス笑いながら

 

「だって、きょーじがよく言ってたよ?」

 

「あの野郎め」

 

坂本も軽く微笑みながら、少年の頭を撫でる。

タッタッタッタと廊下の方から足跡が聞こえてきた。

 

「雄二殿、腹が減ってると思い。軽い料理を御持ちしました」

 

学校指定のジャージの上にエプロンを羽織った榊が出来立てのシチューを持ってくる。

その匂いに釣られ、坂本の腹の虫も鳴り出した。

坂本は微かに頬を赤らめ、少年を撫でていた手でシチューとスプーンを受けとる。

 

「ほれ、伊吹もアリガトな。もうそろ寝る時間だから行ってこい」

 

「うん!それじゃあゆーじ兄ちゃん、じゃーねー!」

 

伊吹と呼ばれた少年は手を降りながら部屋から出ていった。

 

「子供って元気だな……」

 

「えぇ。子供は宝ですから」

 

二人はほのぼのとした後、坂本の食事の音をBGMに話し始める。

 

「……翔子はどうだった?」

 

「なに、不安がっておられましたよ。まぁ、ちゃんとケアはしましたが」

 

そう答えると、坂本は榊に頭を下げ

 

「……悪いな」

 

「━━━雄二殿のちょっとした暴露話で済みましたから」

 

「…………ちょっと、そこに直れ」

 

「いやどす」

 

澄まし顔で言う榊に坂本は仕方ねぇかと呟きつつ

 

「それじゃあ次だ。明久のアレは解ったか?」

 

真剣な表情で訊いてきた。

 

「あぁ、それなのですが━━━」

 

榊がポケットから手帳を取り出し、吉井の姉について説明していく。

 

「━━と本人が言うにはそうらしいです」

 

「そうか……期末までに合格ラインを越さなきゃ、変態の姉が同居すると」

 

「簡潔に纏めるとそうなります」

 

坂本の返答に榊は頷きながら答えた。

 

「明久なら、世界史・日本史に絞るか」

 

「それはまたどうして?」

 

そう訊くと、

 

「アイツは全科目の中、歴史の点数が良いのと、もう一つは覚えるだけでの暗記科目だからな」

 

「なるほど」

 

それに、と付け加えて

 

「歴史はお前の得意科目の一つだろ?恭介」

 

「えぇ、そうですが……ってまさか」

 

嘘だろ?と言わんばかりの顔で坂本を見る榊。

 

「そのまさか、って言ったら?」

 

その返しに榊は焦りながら言う。

 

「いや、ですが…俺のやり方はあまり一般的では」

 

「だが、あの馬鹿には通用する」

 

「そ、それに設備がありませんよ?」

 

「━━恭介が鉄人に頼めば、了承するだろ?っと言うかしただろ?」

 

坂本の言葉にウグッとなる榊。

少しの間、黙った後。

 

「……解りました。西村先生と学園長には俺の方から交渉しましょう」

 

ガックリと項垂れる榊に坂本は感謝の言葉を呟くと

 

「それじゃ、明日の放課後にでも出来ないかどうか。頼んだ」

 

「解りました。ですが、吉井が拒否したら、この話は無かったことでよろしいですか?」

 

せめて最後の抵抗とばかりにそう言うと、

 

「安心しろ。あの馬鹿の扱い方は慣れてんだよ」

 

坂本は獰猛な笑みでそう答えた。

 

 




さらっと、オリキャラ出しましたけど。アレはモブなのでスルーお願いしますorz


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サンプル

ヤッハロー!

練火です(ФωФ)


生存報告がてらの投稿です(スマヌorz)



「あのバカジャリの成績アップねぇ…」

 

学園長室のソファーに榊が座り。榊の対面のソファーに学園長こと、藤堂カヲルとその後ろに鉄人こと西村先生が立っている。

姿勢を正し、真っ直ぐに学園長を見ながら榊は話し合いを続ける。

 

「えぇ。ですので補習室使用並びに()()の使用許可を戴きたいのです」

 

「と言ってもねぇ……あのジャリ共が使用するんだろ?」

 

学園長が訝しげに榊を見る。

その目には『あまり、学園のメリットには成らなそうだが?』と告げているようだ。

 

「アレで学園の一部が壊れるかも知れないから、許可は出したくないのがホンネさね」

 

「ですが、それを補えるメリットは有ります」

 

「ほぅ……?」

 

続けなと学園長は顎で促す。

 

「━━この学園の理念は一般教育から一線を画す教育方針です」

 

「だからこその召喚システムさね」

 

「はい。そして今回のケースはそれにもってこいの実験場」

 

「確かにそうさね。だけど、アレは……あぁ。なるほど」

 

学園長は言っていて、頭の中で榊の言い分を把握したようだ。

榊も頷き

 

「サンプルです。確かにアレは俺が試してその結果、今の学力まで登りましたか。ですが、科学者として研究者としてなら同じサンプルより違うサンプルが一つでも欲しいハズです」

 

そうなのだ。だが、人の口に戸は立てられないのが、世の常…流石に学園の長が自校の生徒を使っての危険かもしれない実験はマスコミや、出資している企業に叩かれる恐れがある。

 

だが…だがここでチャンスを逃すのは最善ではない。

だからこそ榊は補習室の使用許可も求めているのだ。

この学園に居る、どの生徒も鉄人の居る補習室は絶対に避ける。

____人の目には絶対に触れない地獄の中へ誰が行くと言うのか?

鉄人の補習では無いとはいえ、行きたがる生徒はいないだろう。

 

━━━━吉井以外は

 

「それにこれで成果が出れば、次の企業の取引、分校との交流にも大きな一手になるハズです」

 

そう吉井、あの馬鹿は違う。

現在、家には帰りたがらず、期末テストまでに少しでも勉強の時間が欲しい吉井なら、嫌々でもすがり付くしか無いのだ。

 

既に吉井の情報を榊から提供されている学園長はゴクリッと唾を飲む。

 

「使用人数は数人、担当顧問には西村先生を指名します」

 

どうする?と言わんばかりの顔で学園長に言うと、学園長は少しため息を吐いた後、

 

「解った……西村先生もしっかりとお願いするよ」

 

「解りました。では、放課後までに補習室の片付けとアレの移動をします。━━恭介、お前も手伝ってくれるな?」

 

鉄人の問いに榊は頷いた。

 

「ならば、朝礼が始まる前に終わらせるとしようか」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

『今から、言う生徒は放課後、補習室に来るように。____二年Fクラス。坂本雄二、同じく吉井明久__以上二名は放課後、補習室もしくは西村先生の所まで』

 

ピンポンパンポン

 

今から帰りのSHRが始まると思えば、いきなりそんな放送が始まった。

 

「……と言うわけで吉井と坂本、お前ら二人はそこから動くなよ」

 

鉄人の目の前でだ。

慌てながら、吉井は弁明の言葉を

 

「ちょっと待って!?僕はまだ何もしてないよ!!?」

 

「吉井、『僕()()()()()』とはどういう意味だ」

 

「えっ!?そ、それは……その~」

 

━━━━墓穴を掘ったようだ

 

「とにかく吉井は確実に来るように!解ったな?」

 

「…………はい」

 

鉄人に睨まれながら、吉井は力無く頷いた。

 

「それでは、SHRを始める。まず、このプリントを━━━━」

 

そう言って鉄人はプリントを回し始め、吉井は落ち込み、姫路に苦笑いされながら慰められていた。

 

「大丈夫ですよ、吉井君。私も一緒に補習室で勉強しますから」

 

姫路さん……と吉井は唯一の希望を見いだしたような顔をするが、

 

「あー…。姫路、すまないが今回は俺に任せてくれないか?」

 

「……どうしてですかぁ?」

 

「ちょっと吉井だけに頼みたい事があってな。他のメンバーに知られるとヤバイんだ」

 

「で、でも。吉井君は期末テストで…」

 

「解ってる。頼みたいってこともその事なんだ」

 

渋る姫路に坂本が普段は下げない頭を下げて頼んでいる。

さすがの姫路も、渋々とだが了承するのであった。

 

「…………解りました」

 

「すまないな姫路。この期末テストが終わったら、吉井を煮るなり焼くなり愛情を込めた手料理を喰わせるなり好きにしてもいい」

 

「ちょっと待って雄二。僕の了承無しで勝手にプライバシー侵害しちゃ駄目だよ?」

 

コイツは僕を殺したいのだろうか?

 

「解りました!!」

 

「解っちゃ駄目だよ!?姫路さん!!」

 

さっきとは打って変わって元気良く返事をする姫路であった。

 

▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

「それで?頼み事ってなんなのさ?」

 

吉井と坂本が補習室へと足を進めている最中、そう訊くと。坂本はいたって平然と返した。

 

「あっ?…そんなの嘘に決まってるだろ?」

 

「だよね~。雄二の事だもん、姫路さんに言ったアレも嘘だよね?」

 

「━━それは本当だ」

 

 

今すぐ、コイツの顔面を殴った方が良いかも知れない。

 

 

そうこうしている内に二人は補習室の前へと辿り着いた。

ガチャッと補習室の扉を開けると、部屋の中心に布団一つとその横に何かの複雑な機械が並んでいた。

 

……え、ナニコレ

 

吉井は呆然とした風にそれを見ていると、

 

 

 

 

 

 

バチチチチッバチィンッ!!!!

 

 

 

 

 

そんな危険な音と共に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカンドゴンッ!━━ァァアアアアッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し遠くの方から聞こえる音で目を覚ました吉井。

 

「へっ?……ここはどこ?」

 

目の前は何処までも続く海。

 

足元には木の巨大な船

 

━━そして、

 

 

 

 

『撃てエェェェェェッ!!!!!』

 

 

 

 

ドドドドドドドドガンッ!!

 

 

 

 

男の叫び声で空には砲弾が舞い。

次の瞬間には、近くにいた船に命中し爆発しながら沈んでいった。

 

「━━ここ何処オオォォォォォッ!!!!??」

 

絶叫する吉井の目の前に、一つのウィンドウが出てきた

 

【1588/07/31━1588/08/08】【アルマダの海戦】

 

……1588年?

 

何がどうなっているのか解らない吉井は視界の左上に浮き出ているメニューと書かれたボタンを押すと、

 

 

 

 

 

 

 

『ようこそ、フルダイブ式歴史追体験シュミレーター・試作機2号へ』

 

 

 

 

 

 

機械の声が脳内で響いた。



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