ひっちゅー ~箪笥こもりの俺と後輩のべろちゅーワールド~ (荒地)
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第一話 箪笥と少女

恋愛ラブストーリーってなんでしょうね?私は知りません。
今回の駄文はなんと連載していこうと思っています。はい……およそ、たぶん。


皆様お待ちかねの歌成音ワールド時間です。

※この小説は、「小説家になろう」でも投稿しています 。


16歳の夏 俺は箪笥に引きこもり始めて3年になった。

 

 

 

 引きこもり始めた理由は覚えていない。箪笥に引きこもった理由は覚えている。指でなぞる木目の感触とか、体を包む木の匂いとか、そういうものがひたすら俺を安心させてくれるから。

「今日も出てきてくれませんか……」

 箪笥の前にいる担任が呟く声が聞こえた。

「しょうがない……」

 そう言うと箪笥が急に傾き始めた。かと思うと担任の鼻息が聞こえた。そう……この男は私の入った箪笥を待ち上げ始めたのだ。

 いくらがたいのいい体育教師とはいえ、持ちあげるのは難しかったらしく抱えた状態でよろけ始めた。

「やめろ!やめえろおお!!俺は出たくねえ!」

 傾きが大きくなってくる。膝を抱えて座っていたはずが、いまや背中が下にくるような体勢で、まだ傾いていくのを感じる。

 

そして遂に……

 

 体育教師はバランスを崩した。男の入った箪笥は窓をぶち破り屋根を転がり落ち、教師の視界から消えた。

 転がる箪笥の中で、背を腹を肩をしたたかに打った。一瞬浮遊感があって、それからすぐに一番大きな衝撃があった。痛みに目が回りそうだった。内側につけた鍵が壊れて、外に放り出された。傷だらけで喘いでいると、上から鈴のような声がした。

 

「……先輩?」

 

 見上げると、見たことも無い美少女が、いた。

 見渡すと、見たことのない景色が広がっていた。俺の知っている鉄筋コンクリートのビル群はなく、木材で出来た商店が並び、俺が今手をつけている地面は、舗装されていない土の道だった。

 驚きを隠せない俺は、とりあえず目の前の美少女のパンティーを眺め続けることにした。

 

――そのパンティーは派手ではない。だがしかし主張が弱いということは決してなく、ワンポイントのリボンがはっきりとした主張をしている。それは今見上げている背景の空の色と同じ綺麗な淡い青色をしていた。

 

「何見てるんですか、先輩」

 女の子は、スカートの裾を押さえながら、あきれたように言った。

「随分待たせたんですから、ごめんなさいの一言くらいないんですか?」

 楽しそうな上ずった調子の声だった。

 何のことだろうか。この3年間、誰とも会わずに過ごしてきたのに約束なんてするはずがない。

 俺がそんなことを考えていると女の子はさらに言葉を続けた。

「早く狩りに行きましょうよ。」

 ……え?

 そういうと女の子は俺の腕をつかみ信じられないような力で箪笥から引きずり出した。

 俺は必死で抵抗した。つま先を箪笥のふちに引っ掛けて、掴まれてない右手で土を引っかいて、

「やめえろ。外に出たくない!」

「何言ってるんですか、先輩」

「いやだ!俺は悪くねえ!」

「もう」

 ひたすら駄々をこねていると、女の子の手から力が抜けた。その隙に箪笥にもぐりこんで、油断ならん奴だと認識して、箪笥から頭だけ出して警戒する。女の子はずいずい近づいてくる。上半身を出して構える。女の子はひたすら近づいてくる。俺は動けない。彼女は箪笥の前で立ち止まり、かがむと、文字通り、目と鼻の先までその美しい顔を俺に近づけてきた。俺は頭の中まで動かなくなる。彼女が微笑んだ、気がした。そうして……

 

次の瞬間……

 

 痛みがあった。額から爪先まで突き抜ける痛みだ。それと同時に、言い様のない音が重く響く。

(ず、頭突き……)

 一瞬女の子の顔が引いたと思った瞬間の出来事だった。

 激痛によろめき箪笥の中に崩れこむと少女は空高く跳躍した。その数瞬あと何か黒いものがすごい勢いで男の顔のあった場所を通り過ぎた。

 黒いものを追って振り向くと、真っ黒な猫がいた。となりで、頭突き女がその頭を撫でている。ゴロゴロ喉を鳴らしている様子を見るに、大分懐いているようだ。女の子は柔和な笑みを猫に見せていたが、俺の視線に気づくとアカンベーをしてみせた。一体何なんだ。この子は。

 

 その時だ。

「おいおい兄ちゃん、良ぇ箪笥持っとるやないけぇ」

 パンチパーマに、厳つい金ピカ鎧を着た男と、赤だの青だの緑だのと原色で統一した鎧を着た取り巻き達が道の真ん中からこちらを見ていた。

 にやにやしながら近づいてきていたかと思うと、3メートルほどの距離から唐突に金ピカ鎧を着たおっさんが消えた。次の瞬間には目の前に立ち、箪笥から顔を出している俺の唇を奪っていた。力が……抜けていく?

 体が箪笥の中に吸い込まれるように崩れ落ちていく。視界の端にとらえた彼女は、歯を食いしばり、怒りに肩を震わせ、鬼のような形相で叫んでいた。何と言ったか、聞き取れなかった。その姿も可愛いと思った。俺の意識は途切れた。

 

 

「――こ、ここは……?」

 目が覚めると、また知らないところにいた。今度は、マットの薄いベッドの上。薄く開いた視界から見えるのは、白塗りの天井だ。

「気付きましたか先輩?」

 声のする方を向くと頭突き少女が黒猫を抱えてベッドの横に置かれた椅子に座っている。

「何が、起きたんだ……一体」

 担任に、箪笥ごと窓から放り投げられて、意味の分からない出来事の連続だ。女の子は、穏やかに微笑んで俺を見ている。俺はちっとも穏やかじゃない。

「説明しろ」

 少女はじっとこっちを見つめている。ふっと息を吐く。吸う。

「分かりました。――先輩は、三原式素粒子合成型時空移送船零号機、いわゆるタイムマシンの操縦者として、偶然覚醒しました。先輩の時代において、タイムマシンは一般的ではなく、かつ、時空収束線に多大な影響を及ぼす可能性があったため、こちらから、移送先の座標を零号機に送り起動させ、私たちの時代に回収しようとしました。しかし、回収先の座標で、他時空からの介入者による妨害を受け、今にいた――」

「待った。日本語で頼む」

「有体に言えば、お客様はうちの商品のテスターに選ばれました。おめでとうございます。」

 絶対悪徳業者だよこれ。とんでもないよこれ。

「質問がある」

「だめです」

「え?」

「先輩はこの三原式素粒子合成型時空移……めんどくさいですね『三原』でいいです。これに乗って性能テストをしてもらわないといけません。そうしないと世界が滅びます」

「なん……だと……!?」

 




今回も今回でこんなのです前作を読んだ方は「あ……こいつまた変なの書いてるんだろうな」と思っていたかもしてませんが、その通りです。
また、初めての方ははじめましてこれが私の作風です。

こいつキメェ等の褒め言葉待っておりますので是非感想、指摘していってください。


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