DIO様がアイドル達のプロデューサーになるそうです (傷口塩)
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運命の歯車がガッチリギアチェンジ。
2015年 某病院ーー
「…‥‥」モグモグ
ふむ、この魚の煮付けは味が薄い、だが噛むほど味に深みが増す。良い、なかなか良いものだ。
‥‥ほうこの白米とほうれん草の炒め物、それにこの魚の煮付け、なんの魚かはわからないが、とにかくこの煮付けを先の2つと一緒に口の中にかきこむ。
‥睨んだ通り味が上手くまとまる、ふむ、吸血鬼になってから食事を積極的に取ろうとは思ってなかったが、
これなら毎日とっても良いかもしれないな。
‥‥‥どうしてこうなった。
序章 運命の歯車のギアチェンジ
今思い出しても、屈辱的だ
ージョナサンを殺し、ジョナサンの身体を乗っ取る。……我ながら基地外じみた事をしたもんだな……まあ、とにかくそのおかげで生きているものだから文句は言わないで置こう。ここまでで、体感的に50年というところだろう。身体が余りにも馴染まないのでさらに体感的に50年、身体を自由に動かせる位は馴染ませた。
ーここまでは良かった
まさか棺桶の蓋のサビと水圧のせいで吸血鬼+ジョナサンの怪力を持ってしても開かない蓋の前で立ち往生するハメになるとは夢にも思わなかった。
30年後、たまたま漁船の網にひっかから無ければ今頃まだ海の底だろう。嗚呼、もう狭い所で足の痺れとか肩こりとか腰の痛みにうなされるのはもう勘弁だ。
まあ、その後日本の漁師達の手で棺桶は開けられて、私は無事に出られたのだがな。
しかしまあ、どう考えても棺桶から出てきた正体不明の外国の男(筋肉隆々)。怪しく無いわけが無い。当然の如く警察に通報された。‥‥唯一の救いは私が日本語を話せるということか。波紋…こちらでは仙道か。その書物が日本語で書かれていたからな。日本語と英語は話せる。
その後この病院へ収容され今に至る。
「…‥‥」ハァ
全く酷い有様だ。棺桶に長い間いたせいで身体の節々は痛む。車‥と言ったかな?に引かれて入院が長引く。災難続きだ。身体は全く大丈夫なのだが、病院が引き止めるため、仕方なく居ることにした。大袈裟だ。
そのうち吸血鬼である事がめでたくもバレ、SPW財団にバレたが、なんかカーズとやらのせいで吸血鬼された哀れな人、という認識をされてしまった。
この状況が哀れすぎる。
まあ、そのお陰でSPW財団から吸血鬼専用の
「日光が大丈夫になる薬」
と
「吸血衝動を抑える薬」
を貰ったがな。
人間の技術も130年で進歩したのだな。侮れん。
というかSPW財団も善良な吸血鬼の社会復帰の手助けにも手を出したのか。最初に提案した人はさぞかし頭のネジがブッとんでるお方だな。…そもそも吸血鬼に善良な人なんているのか?
まあ、そのお陰で日中でも活動できるから文句は言わないでおこう。
‥さっきから文句しか言っていないがな。
日中行動可能になったのはこの時代に目覚めてからの唯一のメリット。
これだけは本当良かった。
まあ、だからと言って130年前の様に何かを成そうとする気力も無い。歳も歳なんでな。‥蓋が開かないとわかってからの30年は本当に地獄だったからな。やる事がない退屈地獄ってのは死にたくなる。おそらくこの30年が無ければ今頃「WRYYYYYY!!!」
とか叫びながら車でも投げ飛ばしているんだろう。…想像して恥ずかしくなるな。まあ、少なくとも今はフツーに暮らしたい。そう思っている。
「…暇だな。」
食事を終え、テレビをつける。最初は驚いたが今ではもう慣れた。テレビは良いものだ。情報をもたらしてくれるし、意味の無い馬鹿騒ぎを眺めるのは飽きない。
「…‥‥‥」
チャンネルを変える。‥‥ふむ、私が求める番組は無い様だな。仕方あるまい、今は午前2時。私にとっては普通の時間だが、普通の人間にとっては深夜。もう寝てる時間だ。そんな時にやってる番組といえばあにめというものと、本当にどうでもいい番組ばかり。ピンクダークの少年13期は面白かった。が、終わってしまったからな。見るものが無い。仕方ない、本でも読むか。
コンコン
「…入れ。」
本を読んでいたら誰かが扉を叩いた。面会時間なぞとっくに過ぎているのだが、私は吸血鬼。それに合わせて来るのだからおそらく私が吸血鬼という事を知っているSPW財団のスタッフか病院関係者であろう。
「失礼します。」
私が睨んだとうり、SPW財団のスタッフの人だった。背中にSPWのロゴを入れた青のジャケットを羽織っている。
「ふむ、どうした?何か薬でも渡し忘れたのか?」
…うーむ。どうしても上から目線で話してしまう。そろそろ敬語とやらで話せる様になりたい。
「い、いえ、そういう訳ではなく、別の用事で来ました。…‥…こほんっ!ディオ・ブランドーさん、働いてみませんか?」
わざとらしい咳払いのあとにこんな事を言われた。
……え?
「今の貴方を見る限り人間として生きていくにあたっての知識、常識などを身につけており、社会への一歩を踏み出すに十分な知恵を持っていると判断いたしました。」
「………」
「そこで我々、SPW財団として貴方様の自立への支援の一環として職への斡旋、およびそれのサポートを仰せつかりました。」
つまりお前はもう大丈夫だからさっさと働けって事か。
「いかがなさいますか?」
これはいい機会なのでは無いか?
確かに今はSPW財団の支援を受けて生活しているが、いつ支援が切られるのかわから無い中で生活するのは少々息苦しい。ここらで働くのが良いのでは無いだろうか。病室ぐらしも飽きてきたし。
受けよう。この話。
「ふむ、中々良い提案だ。受けよう。その話。」
「ありがとうございます。」
ありがとうございますはこちらが言いたいくらいである。
「では、誠に勝手ながらこちらで選んだ貴方様の能力で無理なくこなせる仕事のリストです。こちらからお選びください。書類はこちらで作成するのでお気になさらず。」
ふむ、この中から選ぶのか。割とあるな。土木、ゲーム会社、車会社etc
どれもイマイチパッとしない。……ここはひとつ、私の運命を試してみるか。
目をつむり、指で一点を指す。ここが私の運命の職場だ。
「ここにするぞ。」
「かしこまりました。」
さて、私の運命は、吉と出るか凶と出るか。目を開け、確認する。そこには
「346プロダクションアイドル部門事務員兼アシスタント」
と書かれていた。
DIO様って個人的にCuだと思う。
一週間に一回くらいのペースで投稿できたらいいなと思います。
感想お待ちしてます。
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第1部 心の中で輝こうと思ったそのときッ!そいつはもうすでに輝きはじめているんだッ!
The world of DIO and that are still rusted shut.
SPW財団保有マンション306号室
「…よし。」
ビシッとネクタイをしめ、スーツの裾を伸ばしシワを無くす。よし、完璧だ。その後、歯を磨く。いつもより念入りに磨く。そして顔を洗い、ふく。寝癖がないかもチェックしていく。
今日はこの私、ディオの初出勤の日である。
第1部 心の中で輝こうと思ったそのときッ!そいつはもうすでに輝きはじめているんだッ!
346プロは私が今いる部屋からおよそ10分の所にある大手会社である、まあ、私が所属する予定の部署は割と最近出来たばかりの部署であり、そこまで忙しい訳では無いらしい。
新人である私が勉強するにはもってこいという訳だ。
……そろそろマンションを出るか。
初日から遅刻しては格好がつかない。
自分でも早すぎだろと思うが、1時間半前に出勤する事にした。
346プローー
「ここか。」
私は346プロの会社ーいや、お城ーの前にいる。
前にテレビで見たポルナレフランドのポルナレフ城を小さく、より荘厳にしたような感じである。
まさにアイドル達の本部である事を表すように光り輝いている。
いけないいけない。入る前から圧倒されてどうする。
「おはようございます。」
「あっ、おはようございます。」
346プロに入り、道行く人と挨拶をしながら、私が所属する事になる部署へ向かう。……割と遠いんだな。
しかし、346プロは規模が大きいのだな。ざっと見るだけで食堂、カフェ、会議室、全てにおいて大きい。
…よく入れたな、こんな会社。
そんな事を考えていたら私が所属する部署についた。手元にある紙と標識を見比べて確認する。
シンデレラプロジェクト本部
うん、間違っていない。ここだ。
息を吸い、吐く。この動作を繰り返し、気分を整える。一応新入社員なので、敬語で挨拶をする事を意識してドアに手をかけ、開ける。
「おはようございます!」バァァァァァン!!
物凄い擬音が鳴った気がするが気にしない。
「あら?」
その人は入り口から向かって左の席にいた。……くまがすごい。おそらく徹夜で仕事をしていたのであろう。
「あの…貴方は?」
「私は、本日からこの部署で働く事となったディオ・ブランドーです!よろしくお願いします!!」
「……ああ!そういえば今日新人が来るって言ってたわね。」
忘れていたんですね。まあいいですけれど。
「ごめんなさいね。少々仕事に熱中しすぎちゃって。…ごほん、ようこそ、シンデレラプロジェクトへ。歓迎します。ディオ・ブランドーさん。
私は千川ちひろ。この部署のプロデューサーです。よろしくね。」
なるほど、この人がプロデューサーか。てっきり若いし綺麗だからアイドルかとおもったが。
「こちらこそよろしくお願いします。ちひろさん。」
とりあえず挨拶を返す。
ちひろさんと言われるのが慣れてないのか、少し照れている。名前呼びは不味かったか?まあ、かわいいからいいだろう。
その後、ちひろさんから簡単な説明を受けたが、詳しい事はちひろさんの仕事が終らないと出来ないらしい。その間暇なので緑茶を自分とちひろさんの分をいれ、差し入れる。
緑茶は良い。この苦味と渋みはくせになるものがある。緑茶に出会えたことは日本に来てから良かった事の一つだな。
やはり自分で飲むのもそうだが、他人に差し出すお茶となれば一層気合がはいる。人も吸血鬼もこういうところは変わらないのである。緑茶入れには吸血鬼の能力が役に立つ。湯のみを手のひらの温度調節で仄かに暖かいぐらいまで温め、注ぐ。この時茶柱が立つようにうまいこと注ぎ込む。茶柱があるかないかで美味しさが変わるわけでは無いのだが、気分的な問題である。
その後、火傷しないように手を底に回し、気化冷凍法の応用で手の温度を下げ、お茶を冷ます。この時のコツは湯のみの温度は下げず、緑茶のみの温度を下げる事である。もし吸血鬼のお方がいたらやって見てくれ。およそ75度ぐらいまでお茶を冷ましたら完成。何があっても美味しく、それでいて火傷をしない緑茶の完成である。これで火傷をするのは猫ぐらいのもんである。
粗茶ですがと言いながら差し出す。
「あら、ありがとう」
そう言って一度仕事の手を止め、湯のみに手を伸ばす。ずず〜っとすすりフゥ〜と息を吐く。日本人は緑茶を飲むと息を吐く。これは何故なのだろうか。DNAにでも刻まれているのだろうかと思うほど皆息を吐く。まあ、どうでもいいか。
それから間もなく、ちひろさんの仕事が終わり、346プロの案内をされた。途中、エネドリやスタドリと呼ばれる謎の液体ばかり売られている自販機をカフェやレストランや、レッスンスタジオの説明をする時よりも熱弁された。何故だ。恐らく吸血鬼である以上利用する事は無いと思うが。
いや、それよりも…
「あの…ちひろさん」
「どうしましたか?トイレですか?」
いや、吸血鬼になってからは不要ですので。
「い、いえ、違います。…シンデレラプロジェクトのアイドル達ってどこにいらっしゃるのでしょうか?」
私が聞きたいのはこれである。見た所一度もシンデレラプロジェクトのアイドルとすれ違うどころか見た事もない。いくら朝早いといえども一人くらい見かけても良いのでは無いのだろうか。
その問いにちひろさんは
「ああ…実はうちの部署にはアイドル達がまだいないんですよ。」
‥‥え?一応芸能部署ですよね。出来たばかりとはいえ、3人ぐらいはいると思ってました。
なんて考えていたら心を読んだかのようにちひろさんが
「まあ、出来たばかりなんですよ。私が3徹したのもシンデレラプロジェクトのメンバーを見つけるためですし。…アイドルの卵を見つけ、育成して輝かせる。そのためには努力は惜しみません。」
本気ですね。ちひろさん。この人は本当にアイドル達をプロデュースしたいと思っているんだな。
話しているちひろさんの目はいつの日かのジョナサンのような目をしている気がしますし。
「ですから、これから2人でアイドルを見つけて、プロデュースをしていくスタイルで行きたいと思っていますが、よろしいですか?」
よろしいも何もそれしか無い気がする。アイドルの居ないアイドル部門って何ですか。茶葉の無い緑茶みたいなもんじゃないですか。ただのお湯ですよ、それ。
「‥‥わかりました。若輩の身ですが、できる限りの努力は惜しみません。」
若輩(推定140歳強)
自分で言っててそれは無いな。と思ってしまう。
なんて茶化している場合じゃないな。ちひろさんが本気でやる以上、わたしも本気でやらねばな。
天国の母さん。よければこのディオの事を見守っててください。
ディオはSPW財団の元、敬語や緑茶の入れ方を学びました。
感想お待ちしています。
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