遊戯王ARC-V パラレル・シンクロン (ししゅう)
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第0話

突発的に書きたくなった架空デュエル小説。目標はシンクロ次元編を書くことです。どうか見守ってくれると幸いです。


「モンスターで、ダイレクトアタック!」

 

 相手モンスターが生み出した衝撃波が迫る。Aカードを探そうとするが長期戦でフィールド内のAカードはほぼ使い尽くされてしまっていることを思い出した。

 

「くっ、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 結局モンスターからの攻撃から逃げられず、悲鳴とも雄叫びともつかない叫び声をあげる。最後のLPを削り取られて俺は膝をついた。

 

『決まったーー!舞網チャンピオンシップ・ユース選手権!優勝は若干14才!赤馬零児(あかばれいじ)選手だァァァ!!』

 

 ファンファーレと歓声が鳴り響く。悔しさが溢れ出して一度だけ地面を殴りつけた。

 

「未来」

 

「!」

 

 名前を呼ばれて顔を上げると"Winner: Reiji"と表示された掲示板をバックに大会の優勝者が歩み寄ってくる。その姿はあまりにも様になっていて思わず苦笑してしまった。

 

「いいデュエルだった」

 

「零児・・・」

 

『惜しくも敗れました、同じく14才、十六夜未来(いざよいみらい)選手にも拍手を!』

 

 差し出された手を掴んで立ち上がると歓声が一層大きくなった。・・・まあ、悪い気分じゃない。

 

「結局チャンピオンシップでは一度もお前に勝てなかったな・・・」

「ふっ、だが危ない所だったよ。《光の召集》・・・後1ターン遅ければ優勝は君だった」

 

 確かにこのターンを凌ぎ切り、墓地に眠る切り札を回収できていれば・・・だが零児はそれをさせなかった。

 

「よしてくれよ・・・でも、おめでとう零児。この調子なら来年には最年少のプロ誕生か」

「どうかな・・・そういう君はどうする。来年も出場してプロを目指すか?」

 

 聞かれて少し悩む。零児の背中を追いかけるのも悪くないけど・・・

 

「そうだなあ、俺は・・・人にデュエルを教えたい」

「教える」

「ああ、舞網市のレベルはまだまだ低すぎると思うんだ。」

 

 ずっと物足りないと思っていた。この街にやって来た当初は様々な召喚法に驚かされたがそれも最初だけで、大好きなはずのデュエルが退屈に感じていた。零児と初めてデュエルするまでは・・・

 

「なるほど、確かに・・・このままでは・・・」

 

 零児もうすうすそれは感じていたのだろうか、思案顔になる。

 

「零児?」

「いや、君の言うことはもっともだと思っていた」

「そうか?でもそれだけじゃない、もっと大切なことを・・・きっといい決闘者を育ててみせるよ!お前に勝てるぐらいの奴を、な」

 

 目の前のライバルに不敵な笑みを浮かべてやると、少し驚いた顔をされた。

 

「面白い、楽しみにしていよう・・・!」

「ああ!」

 

 俺たちは固い握手を交わし、互いを称えあった。

 

 

 

 これが2年前、俺、十六夜未来と親友・赤馬零児が最後にしたデュエル。




嘘、私の小説の文字数、少なすぎ…?
原因:デュエルしてない


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第一講

2015/11/09追記
主人公の紹介をあとがきに追加


 月日は流れ、俺、十六夜未来(いざよいみらい)は16才。一年前からデュエルスクール「遊勝塾(ゆうしょうじゅく)」で塾講師のバイトをしている。採用試験の際やはり年を聞かれたが、その年の舞網チャンピオンシップユース選手権で優勝したことを告げた途端、「是非!!」と塾長に逆にスカウトされる形になり、採用となった。

 

「よし、今日の講義はは様々な"召喚方法"についてだ。デュエルモンスターズにはどんな召喚法がある?」

 

 ここは遊勝塾の小さな教室。俺は部屋を薄暗くしてプロジェクターを操作しながら授業を始める。

 

「はい!はーい!えーっと、通常召喚と特殊召喚だろ?あっ!あと反転召喚!」

「融合召喚と(シンクロ)召喚、(エクシーズ)召喚があるわ!」

「フトシ、アユ!儀式召喚とアドバンス召喚を忘れちゃだめだよ!」

 

 年少組のフトシ、アユ、タツヤが真っ先に答えてくれた。

 

「そうだな。そして最後にもうひとつ・・・」

「「「「(ペンデュラム)召喚!!!」」」」

 

 ・・・今度は遊矢の声も混ざって聞こえた。

 

 

 榊遊矢(さかきゆうや)。時のエンタメ決闘者・榊遊勝(さかきゆうしょう)の息子であり、(ペンデュラム)召喚のパイオニア。先日、ストロング石島とのエキシビジョンマッチにて突如新たな召喚法を発現させ、見事勝利してみせた。現在彼の注目度はうなぎのぼりだ。

 

「もう、遊矢・・・」

 

 そんな遊矢を半ばあきれた様子で諫めるのは遊矢の幼馴染、(ひいらぎ)柚子(ゆず)だ。いつもなら「子供かっ!」とハリセンを持ち出してツッコむぐらいのことはしそうだが、どうも最近元気がなさそうだ・・・心配だな。

 

「ははは、正解だ。さて、今いろんな召喚法が並んだが、モンスターの召喚は大きく"通常召喚"と"特殊召喚"の2 種類に分けられる。儀式,融合,(シンクロ), (エクシーズ),そして(ペンデュラム)は全て"特殊召喚"なんだ。ちなみに反転召喚は"表示形式の変更"扱いだ。」

 

 プロジェクターを再び操作して"特殊召喚"の欄に次々と召喚法を表示させてゆく。

 

「一方で通常召喚には"攻撃表示で召喚"と"裏側守備表示でセット"の2つがある。みんな、モンスターをいきなり表側守備表示で召喚したりするなよ?」

 

 そんなヘマしないよー!

 あはははは!

 

 ・・・いい雰囲気だ。さて、つぎの話に移ろうかな・・・と思っていたとき、

 

「はーい!せんせー、ちょっといいですかー?」

「どうした、素良。」

 

 挙手したのは遊勝塾のニューフェイス、紫雲院(しうんいん)素良(そら)だ。融合デッキ【ファーニマル】の使い手、さらに子供離れしたデュエルの腕前を持っている。間違いなく舞網の決闘者ではないだろう。そして恐らくは・・・

 

「やっぱりデュエルは講義じゃなくて実践したほうがいいでしょ!だから未来、僕とデュエルしようよ!少なくとも融合召喚のお手本にはなれると思うからさっ!それに、君とは一度戦ってみたかったからね・・・」

 

「・・・・・・いいだろう。じゃあみんな、デュエル場に移動教室だ!デュエルのテーマは、そうだな・・・"特殊召喚の重要性について"といったところか」

「「「「はーい!」」」」

 

 

_____________________________________________________________________

 

「二人とも!準備はいいかー!」

 

「はーい!」

「あ、はい。」

 

 リアルソリッドビジョンの管制室からマイクで話しかけてきたのは塾長の(ひいらぎ)修造(しゅうぞう)さんだ。柚子の父親で、嘘か真か彼のいない日は遊勝塾付近の気温が2℃下がると言われるほどの熱血漢だ。

 

「よーし!いくぞっ!アクションフィールド、ON!フィールド魔法、《スウィーツ・アイランド》!」

 

 リアルソリッドビジョンが起動し、フィールドがその姿を変えてゆく。お菓子の家,キャンディの木,チョコレートの池といったお菓子づくしのめるへんな世界があらわれた。

 

 ―Duel mode on, stand by―

 

「いくよ未来!」

「ああ!」

 

 これから行うのはアクションデュエルの儀式。気恥ずかしくて未だに慣れないがエンターテイメントには必要不可欠のものだ。

 

「戦いの殿堂に集いし決闘者(デュエリスト)たちが!」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ・・・これがデュエルの最強進化系!」

「アクション――!」

 

「「デュエル!」」

 

  Mirai LP4000 VS Sora LP4000

 

 

「先攻は僕がもらうよ!僕のターン!」

 

 宣言すると同時に素良はディスクから5枚のカードを引き抜いた。

 

「僕は永続魔法《トイポット》を発動!さっそく効果を使うよ!1ターンに一度、手札を一枚捨てて、デッキからカードを1枚ドローして互いに確認する。そしてそのカードが「ファーニマル」モンスターなら手札にあるモンスターを特殊召喚できるよ!まあそれ以外のカードだったらそのまま墓地に送られちゃうけどね・・・ドロー!・・・よし!ドローした《ファーニマル・ドッグ》を特殊召喚だ!」

 

 トイポットのレバーが動き出し、一つのボールが転がり出てくる。ポン!と音を立てて弾けたその中から小さな翼を背中に生やした子犬のぬいぐるみが飛び出してきた。

 

「《ファーニマル・ドッグ》が特殊召喚された時、効果発動!・・・と同時に、手札から墓地に送られた《エッジインプ・チェーン》の効果も発動させる!このカードが場か手札から墓地に送られた時、デッキから「デストーイ」カードを手札に加える!《デストーイ・マーチ》を手札に!」

 

 

  《デストーイ・マーチ》

  カウンター罠

  ①:自分フィールドの「デストーイ」モンスターを対象とする

  モンスターの効果・魔法・罠カードを相手が発動した時に発動できる。

  その発動を無効にし破壊する。

  その後、以下の効果を適用できる。

  ●対象となった「デストーイ」モンスター1体を墓地へ送り、

  レベル8以上の「デストーイ」融合モンスター1体を

  融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

  この効果で特殊召喚したモンスターは、次の自分エンドフェイズに除外される。

 

 

 ・・・《トイポット》のコストは手札から墓地に送られた時に発動する効果を持っていたのか。しかし厄介なカードを握られてしまったな、と警戒しつつ素良のプレイングに再び意識を向ける。

 

「《ファーニマル・ドッグ》の効果でデッキから「ファーニマル」モンスター、《ファーニマル・シープ》を手札に加える!続いて手札の《ファーニマル・シープ》の効果発動!自分フィールドに《ファーニマル・シープ》以外の「ファーニマル」モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!そして《ファーニマル・シープ》のさらなる効果!このカード以外の自分フィールドの「ファーニマル」モンスター1体を手札に戻すことで、自分の手札・墓地から「エッジインプ」モンスター1体を特殊召喚する!よみがえれ!《エッジインプ・チェーン》!」

 

 《ファーニマル・シープ》と《エッジインプ・チェーン》が素良のフィールドに並ぶ。コストで捨てられたモンスターの効果を活かしつつ、別のモンスター効果で即特殊召喚、というまったく無駄のない動きに関心する。しかしファーニマルモンスターが現在のアクションフィールドにマッチしていることもあいまって《エッジインプ・チェーン》がひどく浮いて見えた。

 

「お楽しみはこれからだよ!《ファーニマル・オウル》を召喚!召喚成功時、効果発動!デッキから《融合》を手札に加える!・・・魔法カード《融合》を発動!!フィールドより《ファーニマル・シープ》と《エッジインプ・チェーン》を融合!――迷える子羊よ、悪魔の鎖よ!神秘の渦にひとつとなりて、新たな力と姿をみせよ!――融 合 召 喚 !!現れ出ちゃえ!すべてを封じる鎖のケダモノ!《デストーイ・チェーン・シープ》!」

 

 融合の合図の下に《ファーニマル・シープ》が変貌してゆく。ものの数秒後には羊が鎖で縛られた姿をした不気味なモンスター、《デストーイ・チェーン・シープ》が正体を現した。

 

「僕はカードを一枚セットして、ターンエンド!・・みんなー!どう?基本的に融合召喚はカードの消費が荒いんだけど、ほら!僕のフィールドと手札には合わせて7枚もカードがあるよ!ま、要するに"カード・アドバンテージ"は大事にしろ、ってこと!・・・だよね、未来!」

「その通りだ。だがあまりにも上手くやるものだから驚いたぞ、素良。」

「へへーん!さっ、次は未来の番だよ!」

 

 

  素良 LP 4000 Hand:3

 

  フィールド:2

  ☆5《デストーイ・チェーン・シープ》DEF/2000

  ☆2《ファーニマル・オウル》ATK/1000

 

  魔法・罠:2 《トイポット》,セットカード1枚

 

 

 カード・アドバンテージの概念については俺が遊勝塾に来て以来、『攻撃力や相手へのダメージよりも自分の手元にカードを集めることを大切にしろ!』と口酸っぱく言っている。それを生徒が自分のものとし、実践している。教育者のタマゴとして喜びを感じる瞬間だ・・・しかし俺のターンではなく、()、か。これ以上のことをこのターンでやれ、というのは少しハードルが高いが・・・

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 ・・・あっ。

 

「?未来、どーしたのー?もしかして手札事故?」

「いや、そろってしまってな(・・・・・・・・・)。」

「?」

「行くぞ、《召喚僧サモンプリースト》を召喚!このモンスターは召喚されたとき、自身を守備表示にする。手札の魔法カード1枚を墓地に捨て、効果発動!デッキからレベル4モンスター一体を特殊召喚する。出でよ《終末の騎士》!特殊召喚成功時、効果発動!デッキから闇属性モンスター一体を墓地に送る・・・《儀式魔人リリーサー》を墓地へ!・・・俺は《召喚僧サモンプリースト》と《終末の騎士》で、オーバーレイ!」

「ッ!」

 

 今、わずかだが素良の表情が一瞬、険しくなった。俺はかまわずプレイを続ける。

 

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築・・・

エ ク シ ー ズ 召 喚 !!ランク4、《ラヴァルバル・チェイン》!」

 

 《召喚僧サモンプリースト》と《終末の騎士》が消えていった渦の中から現れたのは、炎を纏った海竜、《ラヴァルバル・チェイン》。俺のほとんどのデッキになら、一枚はデッキに入れておきたい汎用性の高いモンスターだ。

 

「チェインのモンスター効果、発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで、デッキのカード1枚を墓地に送る。《儀式魔人デモリッシャー》を墓地へ!」

 

 

「未来兄ちゃん、へんてこなモンスターばっか墓地に送ってどうするんだろ?」

「さあ・・・?」

 

 

 このデッキの切り札へのお膳立てが着々と進んでゆく。この手順で呼ぶことができたのは数えるほどしかないのだが・・・

 

「下準備はこれが最後だ。手札から、魔法発動!《儀式の準備》!デッキからレベル7以下の儀式モンスターを手札に加える。俺が手札に加えるのは・・・レベル6、《竜姫神(りゅうきしん)サフィラ》!」

「今度のデッキは儀式モンスター?珍しいね。」

「そうか?おっと、忘れるところだった。《儀式の準備》のもう一つの効果、儀式モンスターを手札に加えた後、墓地の儀式魔法を手札に加える」

 

 

「?」

「儀式魔法?」

「未来兄ちゃんの墓地に?」

 

 年少組がいっせいに頭の上に「?」マークを浮かべる。

 

「えーっと、未来の墓地には2体の「儀式魔人」に《ラヴァルバル・チェイン》のオーバーレイ・ユニットとして墓地に送られた《召喚僧サモンプリースト》が・・・」

 

 遊矢が確認するように墓地に落ちていったカードたちを挙げてゆく。ここまで言って、柚子は気がついたようだ。

 

「サモンプリースト・・・?そうよ!未来はサモンプリーストの効果コストでで最初に手札の魔法カード(・・・・・)を捨てたわ!」

 

「ふっ、正解だ柚子。答え合わせだ!俺は墓地から儀式魔法、《祝祷(しゅくとう)の聖歌》を手札に加える!そして、発動せよ、《祝祷の聖歌》!これは《竜姫神サフィラ》召喚の儀式を行うカード。俺は・・・墓地のレベル3の《儀式魔人リリーサー》と《儀式魔人デモリッシャー》をリリースの代わりとして贄に捧げる!」

「墓地のモンスターをリリースだって!?」

「「儀式魔人」の名は伊達じゃない。このカードたちは儀式召喚が行われる際、墓地から除外することでそのレベル分のリリースとして扱うことができる!さあ、供物は揃った。――集いし祈りに導かれ、清き竜人が舞い降りる!光指す道となれ!―― 儀 式 召 喚 !!レベル6、《竜姫神サフィラ》、降臨!」

 

 儀式魔法の発動を合図にフィールドが教会風の祭壇に切り替わる。設置された魔方陣に光が差し込み、その中から美しい翼を持った竜人が現れた。

 

「攻撃力2500か・・・でも!《デストーイ・チェーン・シープ》は戦闘で破壊された時、1ターンに1度だけ攻撃力を800ポイントアップさせて墓地から復活するよ!」

「"特殊召喚"か・・・残念だが素良、お前はもう特殊召喚はできないぞ」

「!?・・・まさかそれがサフィラの効果!」

「いや、正確には違う。「儀式魔人」モンスターは儀式召喚に使用された時、召喚された儀式モンスターに"効果を与える効果"を持っている。デモリッシャーを使用して儀式召喚されたモンスターはカード効果の対象にならず、リリーサーを使用した儀式モンスターが存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚できない!」

「そんな、効果の対象にならなくなる効果まで!?これじゃあ・・・!」

 

 「ファーニマル」モンスターは単体での攻撃力は高くない。ライフを0にできるわけではないが、このターンで勝負を決める!

 

「バトルフェイズ!《ラヴァルバル・チェイン》で《ファーニマル・オウル》を攻撃!」

「――なーんちゃってっ!リバースカードオープン!トラップ発動、《聖なるバリア―ミラーフォース―》!」

「何!?」

 

 

「「《デストーイ・マーチ》じゃ・・・ない!?」」

「どうして?強力な罠なのに!」

 

 フトシとタツヤ、アユが驚愕の声を上げた。俺もさすがに目を剥く。両方とも伏せる選択もあるのに、俺の油断を誘うために・・・まさかこんな駆け引きをしてくるとは!

 

 

「その強力な罠を未来がホイホイ踏むわけないと思ってね、未来なら《デストーイ・マーチ》を発動させずにチェーン・シープを突破するためにモンスターを並べてくると読んだのさ!」

 

 

「そこまで考えて・・・」

「シビレるゥ!」

 

 

「・・・サフィラには本当に驚かされたけど、ミラーフォースならデモリッシャーにも邪魔されないでしょ?これで返り討ちだー!」

 

 《ラヴァルバル・チェイン》の吹いた火の玉が突如現れたドーム上のバリアに反射され、逆にチェインを貫いた。そのまま勢いを増して背後のサフィラに襲い掛かる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんで・・・!」

 

 ・・・かに見えたが、炎の玉はサフィラに触れた途端に掻き消えた。

 

「・・・危なかった。墓地にあった《祝祷の聖歌》にはもう一つ効果がある。自分フィールド上の儀式モンスターが破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外することができるんだ」

「くっ・・・!ハッ!」

 

 素良が何かに弾かれた様に走り出した。・・・恐らく(アクション)カードだろう。切り替えが早いな。・・・だが間に合うかな!

 

「行くぞ!《竜姫神サフィラ》で、《デストーイ・チェーン・シープ》を攻撃!照らせ!

"セイントリ・グロー"!!」

「アクションマジック《奇跡》!モンスター一体を戦闘破壊から守り、受けるダメージを半分にする!」

 

 《デストーイ・チェーン・シープ》の頭上から一筋の光芒が降りかかる。対象を一瞬で蒸発させかねないほどの熱量を持った光に焼かれたかに見えたチェーン・シープであったが、光がおさまるとそこには《奇跡》の効果に守られて健在な姿があった。

 

「よく耐えたな」

「特殊召喚ができない今、《デストーイ・チェーン・シープ》が頼みの綱だからね・・・」

 

「バトルフェイズを終了し、エンドフェイズへ。ここで《竜姫神サフィラ》本来の効果を発動!」

「エンドフェイズに・・・?」

「サフィラが儀式召喚に成功したターンのエンドフェイズ、3つの効果から1つを選んで適用する。その1、デッキからカードを2枚ドローした後、手札を一枚捨てる。その2、相手の手札をランダムに一枚選んで捨てる。その3、自分の墓地の光属性モンスター一体を手札に加える。俺は第一の効果を適用し、ドロー!手札を一枚、墓地へ・・・これでターンエンドだ」

 

 デュエルディスクのターン表示が素良を示した。

 

 

  未来 LP4000 hand:3

 

  フィールド:1 ☆6《竜姫神サフィラ》ATK/2500

 

  魔法・罠:1 伏せカード1枚

______________________________________________________________________

 

「(げっ、また《祝祷の聖歌》が墓地に・・・)」

 

 最後に墓地に送られたカードを見て、素良は顔をしかめた。虎の子のミラーフォースが半ば不発に終わった今、多少強引にもあのモンスターを突破しなくてはならないというのに・・・

 

「(でも、そんな時のための(アクション)カードだ!)僕のターン!ドロー!」

 

 素良は再び走り出しながらカードをドローする。

 

「僕は《トイポット》の効果で《ファーニマル・ウィング》を捨てて、カードを一枚ドローする!」

「表側表示のカードの効果が発動した時、手札から《幽鬼うさぎ》の効果発動!このカードを墓地に捨て、発動したカードを破壊する。永続魔法の《トイポット》が破壊されたことにより、ドローは無効だ!」

「!でも、《トイポット》の効果発動!このカードが墓地に送られた場合、デッキから{ファーニマル}モンスターか《エッジインプ・シザー》を手札に加えることができる!僕は《ファーニマル・ベア》を手札に加えて、効果発動!手札から捨てることで、デッキから新たな《トイポット》をセット!」

「何故・・・?」

「フィールドに《トイポット》、墓地に《ファーニマル・ウィング》がある状況を作りたかったのさ!墓地の《ファーニマル・ウィング》の効果を発動!自分フィールドに《トイポット》がある場合、墓地にあるこのカードと「ファーニマル」モンスターを除外することでカードを一枚ドローする!《ファーニマル・ベア》を除外。その後フィールドの《トイポット》を墓地に送ることでもう一枚ドローできる!合計2枚ドロー!さらに《トイポット》が墓地に送られたことで、効果によりデッキから《エッジインプ・シザー》を手札に加えるよ!」

 

 《トイポット》と《ファーニマル・ウィング》のコンボで素良の手札は一気に6枚に増える。サフィラさえいなければいくらでもモンスターを展開できるのに・・・と口の中のキャンディを噛み砕きそうになる。

 

「(だめだ!冷静になれ・・・!なんとか勝ち筋を見出すんだ!)アクションカード、ゲット!・・・よし!《エッジインプ・トマホーク》を通常召喚!効果を発動、手札の「エッジインプ」モンスター、《エッジインプ・シザー》を手札を捨て、相手に800ポイントのダメージ!」

「・・・ッ!」

 

 

  未来 LP4000→3200

 

 

「そしてアクションマジック、《ムテキ・キャンディ》を発動!自分のモンスター一体は戦闘破壊されず、相手モンスターと戦闘する場合、戦闘ダメージを相手に与え、ダメージステップ終了時にその相手モンスターを破壊する!僕はチェーン・シープを選択!」

 

 チェーン・シープが目の前に現れたペロペロキャンディを丸呑みにすると、その体が七色に輝きだした。いかにも「無敵」といった雰囲気をかもし出している。

 

「!」

 

 今度は未来がAカードを探しに走り出した。

 

「ファーニマル・オウルを守備表示に変更。チェーン・シープを攻撃表示にして・・・バトルだ!《デストーイ・チェーン・シープ》で、サフィラを攻撃!」

「アクションカード、ゲット!」

「無駄だよ!《デストーイ・チェーン・シープ》がバトルするとき、相手はモンスター・魔法・罠の効果を発動できない!」

 

 

  未来 LP:3200→2700

 

 

 

「くっ!サフィラが破壊される代わりに墓地の《祝祷の聖歌》を除外する・・・」

 

 チェーン・シープの放った鎖がサフィラを捕らえて締め上げるが、聖歌の加護を受けたサフィラにすぐさま鎖を振りほどかれてしまった。

 

 

 

「・・・あれ?《デストーイ・チェーン・シープ》の効果で、未来兄ちゃんは魔法カードを発動できないんじゃなかったの?」

「いい質問だアユ。《祝祷の聖歌》の効果は"チェーンブロックを作らない効果"。つまり俺は効果を発動したわけじゃないんだ。」

「「??」」

「・・・よし、次の授業のテーマはこれにしよう」

「余裕だね、未来。カードを2枚伏せてターンエンド」

「待った!エンドフェイズにサフィラの効果発動する。このカードの効果は光属性モンスターが手札かデッキから墓地に送られたターンにも発動できるんだ。《幽鬼うさぎ》は光属性。俺は再び第一の効果を選択し、2枚ドロー。手札のアクションマジック《回避》を捨てる」

「・・・僕は今度こそターンエンド!」

 

 

  素良 LP4000 hand:2

 

  フィールド:3 

  ☆5《デストーイ・チェーン・シープ》ATK/2000

  ☆2《ファーニマル・オウル》DEF/1000

  ☆4《エッジインプ・トマホーク》ATK/1800

 

  魔法・罠:2 伏せカード2枚

______________________________________________________________________

 

 

 サフィラの除去を諦めてバーンダメージに切り替えてきたかと思ったが、Aカードとのコンボで《オネスト》をかわしつつ破壊耐性を削りに来たか・・・油断できないな。手札のこいつで一気に勝負をかける!

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード《ソーラー・エクスチェンジ》を発動!手札の「ライトロード」モンスターを捨て、デッキから2枚ドローする。《ライトロード・アサシン ライデン》を捨てて、ドロー!その後、デッキの上から2枚のカードを墓地に送る。」

 

 ・・・いける!

 

「《ライトロード・サモナー ルミナス》を召喚!手札の《ライトロード・ハンター ライコウ》を捨て、効果発動!1ターンに一度、手札を1枚捨てることで、墓地の「ライトロード」を特殊召喚する!《ライトロード・アサシン ライデン》を特殊召喚!」

「ぐっ・・・!」

 

 これが《虚無空間(ヴァニティ・スペース)》や《大天使クリスティア》に無いリリーサーの強み。相手の特殊召喚のみを一方的に封じ、自分は好きに展開できる。上手くはまればとんでもない制圧力を誇るのだ。

 

「ライデンの効果発動!1ターンに一度、デッキの上からカードを2枚墓地に送る。そのカードの中に「ライトロード」モンスターがあった場合、攻撃力が200アップする。2枚のカードの中には《ライトロード・マジシャン ライラ》があった。よってライデンの攻撃力は1900となる」

「トマホークの攻撃力を超えてきたか・・・」

「攻撃力は問題じゃない。俺はレベル3のルミナスに、レベル4のライデンをチューニング!――集いし決意が、見えざる壁を打ち砕く!光差す道となれ!―― シ ン ク ロ 召 喚 !!出でよ、レベル7、《アーカナイト・マジシャン》!」

 

「シンクロ召喚まで・・・!」

「《アーカナイト・マジシャン》がシンクロ召喚に成功したとき、自らに"魔力カウンター"を2つ乗せる。アーカナイトの攻撃力は自身に乗っている魔力カウンターの数×1000アップする」

 

 白を基調としたローブをかぶった魔道士・アーカナイト・マジシャンがフィールドに現れると、同時に彼の周りに小さな魔力の塊が2つだけ現れた。

 

 

  《アーカナイト・マジシャン》ATK/400→2400

 

 

「・・・でも、《アーカナイト・マジシャン》は守備表示じゃないか」

「言ったはずだ。攻撃力は問題じゃない。《アーカナイト・マジシャン》はフィールド上の魔力カウンターを1つ取り除くことで相手フィールドのカードを1枚選択し、それを破壊する!デッキ側のセットカードを破壊!」

「くっ!選択された《融合準備(フュージョン・リザーブ)》を発動!《デストーイ・シザー・ベアー》の融合素材となる《ファーニマル・ベア》を手札に加え、その後墓地の《融合》を手札に戻す!」

 

 アーカナイト・マジシャンの周りをふわふわと漂っていた魔力カウンターが突然猛スピードで素良のフィールドへ飛来する。宣言の通り、セットカードを直撃して小さな爆発とともに消滅した。

 

 ブラフを踏まされたか・・・だが!

 

「もう一度アーカナイトの効果を発動し、自身の魔力カウンターを1つ取り除き、残りのセットカードを破壊!」

「く、《デストーイ・マーチ》が・・・!でもこれでフィールドの魔力カウンターは尽きた!」

「確かに。だが《アーカナイト・マジシャン》の効果は保険に過ぎない」

「?」

「ライコウ,ライラ,ルミナス,ライデン・・・自分の墓地に「ライトロード」が4種以上存在する時、手札から《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》を特殊召喚する!」

 

 真っ白な体を持つ巨大な竜が天空から現れ、地上を見下ろした。

 

「出たっ!未来の切り札《裁きの龍》!」

「シビレるゥー!」

「いつ聞いても頭のおかしい召喚条件ね・・・」

 

 

「皆、このモンスターの効果を知ってるの?」

「1000のライフを払い、フィールドのこのカード以外のカードを全て破壊する!」

「はあ!?」

 

「"ジャッジメント・オブ・ザ・ライト"!」

 

 咆哮とともに、裁きの龍を中心に光の波動が(ほどばし)る。アーカナイト・マジシャンやサフィラを巻き込んで場の全てを包み込んだ。

 

「さらに、《ソーラー・エクスチェンジ》によって墓地に送られた最後の《祝祷の聖歌》を除外して《竜神姫サフィラ》を破壊から守る!」

「そんな・・・!」

 

 フィールドに存在するのは2体の竜のみ。並び立つ姿に神々しささえ感じる。

 

「・・・2体のモンスターで、ダイレクトアタックだ!」

「う、うわーーー!?」

 

 

  素良 LP4000→1500→0

 

 

  ――Winner : Mirai !――

_____________________________________________________________

 

 

 

 

 

「ねえもう一回!もう一回だけデュエルしよう未来!今度はぜったい突破して見せるからさあ!」

 

 デュエルが終わり、ソリッドビジョンが解除されるやいなや、素良が詰め寄ってきた。なかなかのしたたかさだ・・・

 

「今日はもうやめにしよう。なに、また何時でも相手になるさ」

「うう、今約束したからね!」

 

 ぐぬぬぬと唸る素良。ちなみにあのサフィラに対する手軽な対処としては《帝王の烈旋》などによるリリースや《神風のバリア―エア・フォース―》による全体バウンスが挙げられる。

 

「さて、皆。このデュエルから"特殊召喚"がデュエルの勝敗に大きく影響していることはわかって貰えたか?」

「ああ。でもそれにしても今回は随分えげつない戦法をとったな、未来・・・」

 

 遊矢が若干表情を引きつらせながら答えた。

 

「その方が皆の記憶に残りやすいと思って・・・」

「トラウマになったらどうするのよっ!」

 

 ・・・と、ハリセンで柚子にツッコまれてしまった。少し痛いが、俺は遊勝塾の一員なのだと実感できて悪い気分じゃない。

 

 

 

 

 その後でちびっ子三人に「"対象を取る"って何?」、「チェーンブロックを作らない効果って?」と質問攻めにあい、結局授業時間が延びてしまったのはここだけの話だ。




素良「そういえば融合モンスターは使わなかったけど、・・・嫌いなの?融合」
未来「そんなことはない(《簡易融合》でノーデンを召喚しようとしながら)」
柚子「禁止カードでしょ!」
素良「エクシーズの下敷きにするなー!!」

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LDSデータベースより
十六夜未来(いざよいみらい)について

 年齢:16
 容姿:年齢の割には長身、帽子をかぶっている。(蟹のようなツンツンした髪型だったという当時の同級生たちによる証言あり)
 家族構成:母(医師)
      母子家庭だが特に生活に困ってはいない模様
 使用デッキ:【ライトロード】を中心に様々なデッキを使用
 経歴:LDS総合コース入学後、(エクシーズ),融合,(シンクロ)と他コースの講義にも積極的に参加。特に(シンクロ)コースで優秀な成績を修め、15歳で舞網チャンピオンシップユース選手権を優勝した後、歴代次席の優秀な成績で卒業。現在、市内のデュエル塾に講師として所属。(LDS入学前の経歴は詳細不明、要調査)
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オリジナルアクションカードについて

  《ムテキ・キャンディ》
  魔法|アクション
  ①:自分フィールド上の表側表示モンスター1体をを対象として発動する。
  このターン、その自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、
  以下の効果を適用する。
  ●対象のモンスターは戦闘では破壊されない。
  ●自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
  ●戦闘を行った相手モンスターをダメージステップ終了時に破壊する。

 長っ。しかもアニメに出てきたアクションフィールドにオリカ出してよかったのか・・・ちなみにモチーフは「無敵キャンディ」です。遊戯王OCG風に再現すること自体は超楽しかった


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第二講

やっと・・・あがった・・・


「これは決着をつけるためのデュエル・・・引き分けなど、ありませんわ!」

 

 遊勝塾に一人の女性の声が響く。LDS(レオ・デュエル・スクール)赤馬(あかば)日美香(ひみか)理事長のものだ。

 (エクシーズ) ,融合,(シンクロ)コースの主席生徒・志島北斗(しじまほくと),光津真澄(こうつますみ),刀堂刃(とうどうやいば)を引き連れて現れ、舞網市議会議員の息子・沢渡(さわたり)シンゴを闇討ちした――死んでしまったわけではない――犯人が遊矢だと主張し、引き渡しを要求してきた。しかし、実際はLDSの生徒が他校の生徒に敗北したことの汚名返上として、勝利した暁には遊勝塾をLDSに併合するという。三番勝負の結果は一勝一敗一分け。向こうの勝利条件の達成は阻止されたかに思われたが・・・

 

『いや!だが、実際デュエルは引き分けだったわけで・・・!』

 

 予想外の展開に修造塾長が戸惑いの声を上げる。このまま話が進めば互いに一勝をあげた遊矢と光津真澄とでデュエルすることになりそうだが、筋の通らない話に俺もそろそろ黙っていられない。先手を打たせてもらおう。

 

「・・・そんなに四戦目がしたいなら、俺が相手になろう。」

「!」

「未来!?」

「未来殿・・・」

 

 

 遊勝塾の面々だけでなく、LDSの四人も目を見開いた。

 

「裏切り者め・・・」

「・・・」

 

 理事長の小さなつぶやきが聞こえた。「裏切り者」か・・・だが、こちらも引くわけにはいかない。帽子をかぶりなおし、気合を入れる。

 

「・・・いいわ、私がやる。」

 

 一歩前に出てきたのは先ほど【ジェムナイト】デッキで柚子を圧倒した光津真澄だ。

 

「ユースの優勝者とデュエルできるなんて貴重な経験だわ。しかも状況が状況、本気でお相手してもらえるでしょう?先輩(・・)・・・」

「勿論だ」

 

 

「――待て」

「!?」

 

 踵を返し、デュエル場に向かおうとした時、俺たちから死角になっていた曲がり角から一人の長身の少年が現れた。フードを目深にかぶり、顔は見えない。だが間違いない!こいつは――

 

「決着は私がつけよう」

「零児・・・!」

 

「(レイジ・・・?あの少年、どこかで・・・)」

 

 男がフードを外す。白髪に眼鏡。LDS現社長・赤馬零児その人だった。

 

_____________________________________________________________________

 

 デュエル場に赤馬零児と十六夜未来の二人が出揃った頃、観戦デッキでは・・・

 

「・・・しかし、思わぬ幸運だぜ・・・こんなところであの赤馬零児と十六夜未来のデュエルが間近で見られるなんてよ・・・!」

「ああ。LDSの黄金世代の二人だ・・・変な顔してどうした、真澄。そんなに十六夜未来とのデュエルを社長に取られたのが悔しいか?それとも戦わずにすんでホッとしているのかい?」

「うっさい。まあ、榊遊矢に負けたあんたよりは見られるデュエルができる自信はあったかしらね?」

「がっ!」

 

「(・・・十六夜未来と会話しちゃった・・・!)」

 

 刀堂刃は眼下で向かい合う決闘者のツーショットに興奮を露わにしている。志島北斗はそれに賛同しながら隣の光津真澄に嫌味を言うが、真澄に手痛い反撃を受け、沈黙してしまった。

 

 

 

 

 一方、こちらは遊勝塾側。

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 未来をじっと見つめていたアユが、その表情の変化に気づいた。

 

「未来兄ちゃん、笑ってる・・・?」

「・・・へぇー。未来を戦う前からあんなカオさせるなんてねぇ」

 

 見たことの無い未来の表情に、素良はこれから始まるデュエルへの期待感が高まっていた。

 そんな中、遊勝塾のエース・榊遊矢は浮かない顔をしている。

 

「(未来に、戦わせてよかったのか?自分の母校を敵に回すようなことさせて・・・いや、それ以前に父さんの塾は、父さんのデュエルは俺の手で守らなきゃいけないのに・・・)」

 

 

「遊矢!」

「!」

 

 不意に声が響いた。顔を上げると、デュエル場から未来が真っ直ぐに遊矢を見上げてきている。

 

「すまない遊矢。貴重なデュエルの機会を奪ってしまって。・・・本当はお前がデュエルしたかったんだろう」

「未来、俺・・・」

「だが心配するな。お前達の・・・いや、俺達の塾を、俺にも守らせてほしい!だから笑え。笑顔で応援してくれ、遊矢!」

 

 ――そうだ!未来だって遊勝塾の・・・俺達の仲間じゃないか!

 

「・・・フレー!フレー!ミ!ラ!イ!」

「遊矢!?」

 

 遊矢が立ち上がり、大声でエールを送る。その表情はもちろん満面の笑顔だ。すぐ隣にいた柚子は面食らってツッコミのタイミングを逃してしまったが。

 

「なあ未来!ただデュエルするだけじゃつまらないだろ?遊勝塾の先生として見せてくれよ!最高のエンタメデュエルをさ!」

「ふっ、こんな時に無茶を言うな!(・・・だがそれに答えてこそのエンターテイナー、か)」

 

 

 

______________________________________________________________________

 

 さて、零児と最後にデュエルをしたのは二年前だったな。久し振りの真剣勝負に自然と口角が吊り上っているのが自分でも分かる。・・・引き攣り気味じゃないといいが。

 

「待たせてすまない、零児。・・・フィールドはランダムでいいか」

「ああ」

「塾長、頼む」

 

『おう!(・・・さっきの未来の反応といい、あの少年はやはり赤馬零児!未来と同等、いやそれ以上の実力者だ・・・!ならば卑怯と言われようがここは塾のため!)アクションフィールド、ON!フィールド魔法、《ジャスティス・ワールド》!!』

 

 足元が光に覆われ、地面がせり上がってゆき、フィールドが形成される。まず目に入るのは二本の巨大の柱。その奥には小高い丘に沿って建物が並び、その頂点には巨大な神殿が鎮座している。フィールド自体が高所設定なのか、妙に日差しが眩しく感じられる。「ライトロード」達の故郷、ジャスティス・ワールドがそこに広がっていた。

 

「・・・塾長?」

 

 

"ランダム"と言ったはずだが?・・・と続けようとした時、

 

「構わん。これもアウェーの洗礼だと思っておこう」

 

 丘の頂点、神殿の正面に立つ零児が俺の言葉を遮った。・・・ならば本来神殿前(ホーム)に立っているのは俺のはずじゃないのか?

 

 

「《ジャスティス・ワールド》は未来殿が使い慣れる「ライトロード」モンスターのホームグラウンドだ・・・!塾長!漢気溢れる援護射撃だッ!」

 

 そう言うのは遊矢の親友・権現坂(ごんげんざか)(のぼる)。遊勝塾の生徒ではないが、友情のために「刀堂刃とは相性が悪い」と判断した素良に代わって助っ人として参戦。高速シンクロの【X-セイバー】相手に"不動のデュエル"というモンスター効果を活かすために敢えて(アクション)カードを取らない戦法で真っ向から立ち向かい、見事引き分けに持ち込んで見せた。

 

「(俺にできるのはここまでだ・・・後は頼むぞ、未来!)」

 

 

「(・・・ここまでしてもらって、生徒の前で無様なデュエルをすることはできないな!)」

 

 ――Duel Mode on, stand by――

 

「・・・先攻も俺でいいか?」

「できるならばジャンケンで決めよう。いつもそうだった様にな」

「ふっ、仕方ないな」

 

 言いながらディスクを操作し"パー"のコマンドをタップする。零児は"チョキ"。・・・やはり先攻が欲しかったようだ。・・・そういえば零児、「アレ」をやってくれるのか?と一瞬考えたが、観客席から声が聞こえる。どうやら柚子や遊矢たちが音頭を取ってくれるらしい。

 

 

「戦いの殿堂に集いし決闘者達が!」

「モンスターと共に地をけり宙を舞い!」

「フィールド内を駆けめぐるゥ!」

「みよ!これぞデュエルの最強進化系ー!」

「アクション――!!」

 

「「デュエル!」」

 

  Mirai LP4000 VS Reiji LP4000

 

 

「では私のターン。私は手札から永続魔法《地獄門の契約書》を発動する。このカードが表側表示で存在する限り、自分のスタンバイフェイズに1000ポイントのダメージを受ける」

 

 いきなり来たか・・・

 

「さらに、1ターンに一1度、デッキから「DD」モンスター1体を手札に加えることができる。私は

《DDリリス》を手札に加える」

 

 《地獄門の契約書》効果に観客席から驚きと困惑の声が上がる。ほとんどが1000ポイントという大きいダメージに対するものだが・・・アユは違った。

 

 

「未来兄ちゃんが言ってた・・・"ライフよりアドバンテージ"のカード・・・!このままじゃ毎ターン手札を増やされちゃう!」

 

 

「ほう。あの年齢でアドバンテージを見るとは・・・君の指導か」

「ああ。(アユ、ちゃんと気付いてくれて先生は嬉しいぞ)」

「続けようか。2枚目の永続魔法、《魔神王の契約書》を発動。このカードは自分のスタンバイフェイズに自分自身が1000のダメージを受ける。そして1ターンに1度、悪魔族の融合モンスターによって決められた融合素材をフィールドか手札から墓地に送り、その融合モンスター1体をを融合召喚できる」

 

 

「へぇ、じゃあ毎ターン融合召喚ができるんだ・・・!」

 

 融合に理解の深い素良が真っ先に興味を示す。やはり、こと融合のこととなると目の色が変わるな。そういえば「デストーイ」モンスターは悪魔族だったか。しかし融合魔法とは・・・零児の奴いつの間に融合を使うようになったんだ?

 

「手札より《DDリリス》と《DDケルベロス》を融合!――牙剥く地獄の番犬よ、闇より誘う妖婦よ、冥府に渦巻く光の中で今、ひとつとなりて新たな王を生み出さん!――

融 合 召 喚 ! 生誕せよ! 《DDD烈火王テムジン》!」

 

 炎のオーラを纏った戦士風のモンスターが融合の渦の中から現れ、零児の傍に降り立った。攻撃力は2000。さして高い数値とはいえないが、零児は通常召喚権を残している・・・ということは。

 

「これで終わりではないんだろう?」

「当然だ、君相手にこの程度では心許ない。チューナーモンスター《DDナイト・ハウリング》を通常召喚!」

 

 チューナー?・・・まさか。

 

「《DDナイト・ハウリング》の効果発動!召喚成功時、墓地の「DD」モンスター1体を攻・守を0にして特殊召喚する。蘇れ、《DDリリス》!私はレベル4の《DDリリス》にレベル3の《DDナイト・ハウリング》をチューニング!――闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!――シ ン ク ロ 召 喚 ! 生誕せよ!レベル7、《DDD疾風王アレクサンダー》!」

 

 風の中から続いて現れたのはまたもや戦士風のモンスター。片刃の剣を振りかざし、マントに身を包んだ騎士然とした佇まいでテムジンとは反対側についた。

 

「まだ終わりではない。この瞬間《DDD烈火王テムジン》の効果発動!自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、墓地の「DD」モンスター1体を特殊召喚する。《DDケルベロス》を特殊召喚!」

「!まだ何かする気か!?」

「さらに《DDD疾風王アレクサンダー》の効果発動!このモンスターもまた、自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、墓地の「DD」モンスター1体を特殊召喚する効果を持っている。再び蘇れ、《DDリリス》!特殊召喚成功時、《DDリリス》の効果を発動!墓地の「DD」モンスターを手札に加える。《DDナイト・ハウリング》を手札に!・・・私はレベル4の《DDリリス》と《DDケルベロス》で、オーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築――この世の全てを統べる為、今、世界の頂きに降臨せよ!――エ ク シ ー ズ 召 喚 ! 生誕せよ!ランク4!《DDD怒涛王シーザー》!」

 

 《DDリリス》と《DDケルベロス》は紫色に輝く光となり、銀河のように渦巻く穴に吸い込まれていく。一瞬のまばゆい光の後、青の鎧を纏った3人目の王、《DDD怒涛王シーザー》が現れ、テムジン,アレクサンダーと共に零児を守るかの様に陣を組んだ。

 

 

「シンクロやエクシーズまでも・・・」

「なんて奴だ・・・!」

 

 

「《闇の誘惑》を発動。デッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。《DDナイト・ハウリング》を除外・・・カードを2枚セットし、ターンエンドだ」

 

 フィールドには歴史上の偉人の名を持つ3人の王。手札は0だが、新たに伏せられた2枚のカードがモンスター達と共にプレッシャーをかけてくる。俺は結局引き攣ってしまった笑みをそれでも顔に貼り付けて崩すべき牙城を睨んだ。

 

 

  零児 LP4000 hand:0

 

  フィールド:3 ☆6《DDD烈火王テムジン》ATK/2000

          ☆7《DDD疾風王アレクサンダー》ATK/2500

          ★4《DDD怒涛王シーザー》ATK/2400

 

  魔法・罠:4 《地獄門の契約書》,《魔神王の契約書》

          伏せカード2枚

 

 

「・・・少しは驚いてもらえたかな?」

「ああ、俺も負けてられないぜ」

「(ふっ、これだけしてもただ闘争心を煽る程度か。やはり大した決闘者だ、十六夜未来)」

 

_______________________________________________________________________

 

「俺のターン!」

 

 意気込んだのはいいが、この手札から零児に追いつくには多少運に頼ることになるだろう。デッキのカードを信じてデッキから1枚だけカードを引き抜いた。

 

「ドロー!・・・手札から《レベル・ウォリアー》を特殊召喚!このモンスターは本来レベル3だが、相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、レベル4モンスターとして手札から特殊召喚できる!続いて手札から魔法カード、《おろかな埋葬》を発動!デッキからモンスターを1体、墓地に送る・・・《ライトロード・ビースト ウォルフ》を墓地へ。この瞬間《ライトロード・ビースト ウォルフ》の効果発動!デッキから直接墓地に送られたとき、墓地から特殊召喚される!」

 

「召喚権を使わずにモンスターをそろえてきたか・・・」

 

「・・・レベル4の《レベル・ウォリアー》と《ライトロード・ビースト ウォルフ》で、オーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築――集いし信仰が、翼に宿りて天に舞う!光差す道となれ!――エ ク シ ー ズ 召 喚 ! 降臨せよ!ランク4、《ライトロード・セイント ミネルバ》!」

 

 光が止むと、白いフクロウを傍に従えた一人の少女がジャスティス・ワールドに降り立った。が、彼女は神殿前に零児のモンスター達を見つけると途端に肩をいからせ頬を膨らませてしまう。自分達の故郷の象徴を占領されて思うところあるのは分かるが、折角の登場が台無しだ。

 

「・・・ミネルバ、効果発動!オーバーレイユニット(《レベル・ウォリアー》)を1つ使い、デッキの上から3枚のカードを墓地へ送る!この時、墓地に送られたカードの中に「ライトロード」カードがあれば、その数だけ俺はデッキからドローする!」

「ほう、墓地肥やしと手札の増強を一度に・・・」

 

 ここが正念場だ・・・頼む、来てくれと念じながら、俺はカードをめくった。

 

 《ライトロード・マジシャン ライラ》

 《オネスト》

 《ジェット・シンクロン》

 

「!俺は一枚ドロー!」

「無難に引いてきたか・・・」

 

 無難?それは違う。無駄な落ちなど一枚も無いほどの完璧な引きだ!

 

「墓地の光属性モンスター《オネスト》を除外することで、手札からこのモンスターを特殊召喚することができる!来い、《暗黒竜 コラプサーペント》!さらに墓地の《ジェット・シンクロン》の効果発動!1ターンに1度、手札を1枚捨てることで墓地のこのカードを特殊召喚する!ただし、この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、ゲームから除外される。・・・俺は、レベル4の《暗黒竜 コラプサーペント》に、レベル1の《ジェット・シンクロン》をチューニング! シ ン ク ロ 召 喚 ! 来い!レベル5、《TG ハイパー・ライブラリアン》!」

 

 《ジェット・シンクロン》が一枚のリングに変わり、コラプサーペントがそのリングをくぐってゆく。次の瞬間リングの中を緑色に輝く光が駆け抜け、白装束に身を包んだ司書、《TG ハイパー・ライブラリアン》が現れた。

 

「俺は《暗黒竜 コラプサーペント》の効果発動!このカードがフィールドから墓地に送られた場合、デッキから《輝白竜 ワイバースター》を手札に加えることができる!・・・続けていくぞ!チューナーモンスター《デブリ・ドラゴン》を召喚!このモンスターが召喚された時、墓地の攻撃力500以下のモンスターを効果を無効にして攻撃表示で特殊召喚する!蘇れ、《レベル・ウォリアー》!そして、レベル3・光属性の《レベル・ウォリアー》に、レベル4の《デブリ・ドラゴン》をチューニング!――集いし涙が、救いの戦士を呼び起こす!光差す道となれ!―― シ ン ク ロ 召 喚 ! 降臨せよ!レベル7、《ライトロード・アーク ミカエル》!」

 

 調和の光が天を貫く。金色の鎧に身を包む戦士、《ライトロード・アーク ミカエル》が空から姿を現した。

 

 

「未来の連続シンクロだ!」

「シビレるぅー!」

 

 

「ハイパー・ライブラリアンがフィールドに存在し、シンクロ召喚が行われた時、俺はカードを1枚ドローする!・・・そして魔法カード《ミラクルシンクロフュージョン》を、発動!」

「何!」

 

 このカードは元々俺のデッキには入っていなかったが、素良に「融合が見たい」とせがまれ、俺が使えそうなカードを何とか探し出してデッキに組み込んだものだ。まさかこんなに早く出番が来るとはな。

 

「このカードは、"(シンクロ)モンスターを素材に要求する融合モンスター"によって決められた融合素材をフィールドか墓地から除外することで、その融合モンスター1体を融合召喚する!俺が融合するのは、場の魔法使い族Sモンスター《TG ハイパー・ライブラリアン》と、墓地の魔法使い族、《ライトロード・マジシャン ライラ》!――白く気高き魂持ちし魔導士よ!黒衣纏いて奇跡の渦より生まれ変われ!―― 融 合 召 喚 ! 現れよ!《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》!」

 

 

「・・・未来のフィールドにも融合,(シンクロ) , (エクシーズ)が並んだ・・・!」

「すごい・・・!」

 

「ほう・・・」

 

 両陣営に融合,S,Xモンスターが並び立つ光景に観客達も見入っている。サプライズになったなら何よりだと内心胸をなでおろす。

 

「《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》が融合召喚に成功した時、自らに魔力カウンターを2つ乗せる。アーカナイトの攻撃力はこのカードに乗っている魔力カウンター1つにつき1000ポイントアップする!」

 

 

  《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》ATK/1400→3400

 

 

「《ライトロード・アーク ミカエル》の効果、発動!ライフを1000支払い、フィールド上のカード1枚を除外する!俺が選択するのは、疾風王アレクサンダー!」

「く・・・」

 

 ミカエルが剣を天に掲げるとそこから強い光が発せられた。光がおさまりフィールドを確認できるようになると、アレクサンダーだけが忽然とその姿を消していた。

 

 

  未来 LP4000→3000

 

 

 戦闘準備が整い、俺は零児の居る神殿にたどり着くべく走り出した。

 

「バトル!ミカエルで《DDD烈火王テムジン》を攻撃!」

「ダメージステップに、リバースカードオープン!永続罠《戦乙女の契約書》!このカードが存在する限り、相手ターン中私の悪魔族モンスターは攻撃力が1000ポイントアップする」

 

 

  《DDD烈火王テムジン》ATK/2000→3000

  《DDD怒涛王シーザー》ATK/2400→3400

 

 

 相手ターン中限定とはいえ厄介なコンバットトリックだ・・・だがこのフィールドでは戦い慣れている。俺は加速して視界に捉えていた(アクション)カードに向かって一息で距離を詰めた。

 

「アクションマジック発動!《ソーラー・リチャージ》!自分フィールドのモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせる!《ライトロード・アーク ミカエル》を選択!」

 

 

  《ライトロード・アーク ミカエル》ATK/2600→3600

 

 

「"サンライト・ブレイド"!」

「!私は怒涛王シーザーの効果を発動!」

 

 ミカエルが放った剣圧がテムジンを両断し、爆発を起こした。爆風は戦闘ダメージとして零児に襲い掛かり、無傷のライフから600ポイントを削った。

 

 

  零児 LP4000→3400

 

 

「(1000ポイントのパンプアップはきついな)・・・俺はこれでバトルフェイズを終了する」

「・・・《DDD怒涛王シーザー》のエクシーズ効果により、このターンのバトルフェイズ終了時に同ターン中に破壊された私のモンスターを可能な限り特殊召喚し、次のスタンバイフェイズにこの効果で特殊召喚したモンスター1体につき1000のダメージを受ける」

「!?また厄介な・・・!」

 

 爆風が晴れると、確かに先ほど撃破されたはずの《DDD烈火王テムジン》が復活していた。

 

「・・・ならば!俺は覇魔導士アーカナイトの効果発動!1ターンに1度、自分フィールドの魔力カウンターを1つ取り除くことで、フィールドのカード1枚を選択して破壊する!《DDD烈火王テムジン》を選択!」

「リバースカード、オープン!罠カード《契約洗浄(リーズ・ロンダリング)》を発動。自分の魔法・罠ゾーンの「契約書」をすべて破壊し、破壊した数だけドローする!その後、破壊した数×1000ポイントのライフを回復する!」

「くっ・・・」

 

 

  《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》ATK/3400→2400

 

 

  零児 LP3600→6600

 

 

「さらに、破壊された《DDD烈火王テムジン》の効果発動!破壊された場合、自分の墓地の「契約書」カード1枚を選択して手札に加える。《地獄門の契約書》を手札に!」

「・・・!俺はこれでターン終了・・・」

 

 神殿前最後の階段に差し掛かったところでちょうど俺のプレイが終了した。息を整えるために、暫し立ち止まる。

 

 

  未来 LP3000 hand:3

 

  フィールド:3 ★4《ライトロード・セイント ミネルバ》ATK/2000

          ☆7《ライトロード・アーク ミカエル》ATK/2600

          ☆10《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》ATK/2400

 

 

「さすがだ、零児。これだけやってもひっくり返せないか」

「君こそ見事だった。カテゴリにとらわれずにあらゆるカードを駆使することで私に対抗してくるとは・・・クールに見せてすぐ熱くなるのも変わらずか」

「・・・うるさいな。」

「だが・・・未来、今度は真似できるかな?・・・榊遊矢!」

「え!?」

 

 零児が遊矢に向かって声を発した。突然話しかけられ、遊矢は困惑気味だ。

 

(ペンデュラム)召喚が本当に君一人の力かどうか・・・そこで見ているがいい!」

「・・・?」

 

「私のターン・・・ドロー!」

 

_______________________________________________________________________

 

 

 あいつ・・・未来が"レイジ"って呼んでる奴、何を言ってるんだ・・・?だってペンデュラムは・・・

 

 

「私は再び《地獄門の契約書》を発動。効果により手札に加えるのは・・・Pモンスター、《DD魔導賢者ケプラー》!」

「なんだって!?」

「私は、スケール1の《DD魔導賢者ガリレイ》とスケール10の《DD魔導賢者ケプラー》で、あペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 

 フィールドの両端に青い柱が現れ、その中空で2体の形容し難いモンスターが停止する。柱に浮かんだ数字は"1"と"10"。俺にとって見慣れたはずの光景・・・でも上空にペンデュラムのモニュメントは現れず、2本の柱は俺の傍に立ってはいない・・・

 

 

「――我が魂を揺らす大いなる力よ!この身に宿りて、闇を引き裂く新たな光となれ!――

ペ ン デ ュ ラ ム 召 喚 !!出現せよ、私のモンスター達よ!・・・全ての王をも統べる3体の超越神、《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》!!」

 

 

 攻撃力3000の巨大なモンスターが3体、未来を取り囲むように現れた。あれは間違いなくP召喚・・・なんで!?どうしてあいつが・・・!

 

 

「ゆけッ、バトルだ!ヘル・アーマゲドンで《ライトロード・アーク ミカエル》を攻撃!」

 

 

 マズい、あんなふうに囲まれてたら未来がAカードを取りにいけない!

 

 

  未来 LP3000→2600

 

 

「ぐっ・・・!」

「っ、未来!」

 

 ヘル・アーマゲドンが放った無数の光線に《ライトロード・アーク ミカエル》は貫かれ、爆散した。・・・このままヘル・アーマゲドンのあと2回の攻撃と怒涛王シーザーのダイレクトアタックを受けたら!

 

 

「続け!2体のヘル・アーマゲドンで、《覇魔導士アーカナイト・マジシャン》と《ライトロード・セイント ミネルバ》を攻撃!」

 

「・・・!」

 

 

  未来 LP2600→2000→1000

 

 

「・・・最後に破壊されたミネルバの効果、発動!戦闘、または相手の効果で破壊された場合、デッキの上からカードを3枚墓地に送る!そしてその中の「ライトロード」カードの数だけフィールドのカードを破壊できる!」

 

 

「いいぞ未来!これならシーザーの効果発動や攻撃の前に破壊できる!」

 

 

「ほう、まだそんな効果を残していたか・・・」

「カードを3枚、墓地へ!」

 

 《スキル・プリズナー》

 《ネクロ・ガードナー》

 《光の援軍》

 

「く・・・!」

 

 

 そんな・・・!でも、《ネクロ・ガードナー》が墓地に行ったてことは!

 

 

「ふ、運が良いのか悪いのか・・・《DDD怒涛王シーザー》で、ダイレクトアタック!」

「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動!墓地から自身を除外し、相手の攻撃を1度だけ無効にする!」

 

 

 攻撃を終えた悪魔の王たちは未来の周りを離れて主の元へ戻っていった。なんとか、凌いだ・・・ほかの塾生の皆みんなと一緒になってほっ、とため息をついた。でも落ち着いたことで今度は俺の中に疑問が湧き上がってくる。

 

「(何者なんだ、アイツ!どこでペンデュラムを・・・!?)」

 

 俺は思わず手のひらをガラス窓に「ばん!」と叩き付けた。

 

「なあアンタ・・・!誰なんだ・・・?どうして・・・!」

「落ち着け遊矢。デュエルはまだ、続いているんだ・・・」

「!未来・・・」

 

「・・・バトルフェイズを終了し、私はこれでターンエンド」

 

 

  零児 LP6600 hand:0

 

  フィールド:4 ★4《DDD怒涛王シーザー》ATK/2400

          ☆8《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》ATK3000

          ☆8《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》ATK3000

          ☆8《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》ATK3000

 

  魔法・罠:1 《地獄門の契約書》

 

  ペンデュラム:2 ◇1《DD魔導賢者ガリレイ》

           ◇10《DD魔導賢者ケプラー》

 

 

 未来は相手フィールドから一瞬たりとも目を離さない。眼に確かな闘志が宿したまま神殿への階段を一段、また一段と上り始めた。・・・決闘の邪魔は誰にも許されない。俺にはこのデュエルを最後まで見届けることしかできない・・・!

 

 

_______________________________________________________________________

 

「・・・来たか、未来」

「ああ」

 

 やっと神殿までたどり着いたぞ。・・・最後に歩きになったのは別に疲れたからじゃあない。この方が映えると思ったんだ。さて、零児の場には大型モンスターが4体、内3体がPモンスターということは倒しても倒しても倒しても毎ターン沸いてくるという点が厄介この上無い。ならば、このターンで決めるしかない!

 

「俺のターン、ドロー!・・・魔法カード《ソーラー・エクスチェンジ》を発動!手札の「ライトロード」モンスター1体を捨て、カードを2枚ドローし、デッキの上からカードを2枚墓地へ送る!手札より《ライトロード・アサシン ライデン》を捨て、2枚をドロー!」

 

 ・・・来たか!

 

「デッキの上からカードを2枚、墓地へ!・・・これで墓地の「ライトロード」モンスターは4種となった!手札より出でよ、俺のモンスター達!嘆きの果てに現る、3体の絶対神!《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》!」

 

「ペンデュラム無しで大量召喚を・・・!」

 

 ・・・これがやりたかった!これでフィールドには攻撃力3000のモンスターが3体ずつ(シーザーもいるけど)。この状況と、階段の途中で拾ったAカードのコンボで勝負をつける!

 

「アクションマジック、《死線》を発動!このターンの戦闘ダメージを封じる代わりに、自分フィールドの最も攻撃力の低いモンスターが、それ以下の攻撃力を持つ相手モンスターと戦闘する場合、ダメージ計算を行わずに破壊し、その攻撃力分の効果ダメージを与える!」

「!なるほど・・・」

「俺のフィールドの《裁きの龍》は3体とも最も攻撃力の低いモンスターだ!よってこの効果はこの3体全てに適用される!バトルだ!行け、1体目の《裁きの龍》で、《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》を攻撃!"裁きのエレメント・イレイザー"!」

 

 ジャッジメント・ドラグーンの吐き出した光の奔流がヘル・アーマゲドンを丸ごと包み、フィールドから消し去った。

 

 

 零児 LP6600→3600

 

 

「く・・・ほう、Pモンスターは破壊されるとエクストラデッキへ送られるのか」

「(知らなかったのか)次だ!2体目の《裁きの龍》で・・・」

「ヘル・アーマゲドンの効果、発動!」

「何っ!?」

 

「自分のモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、ターン終了までこのカードの攻撃力にそのモンスターの元々の攻撃力を加える!破壊されたヘル・アーマゲドンの攻撃力は3000・・・よって残った2体の攻撃力は・・・!」

 

 

 《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》ATK/3000→6000

 《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》ATK/3000→6000

 

 

 6000・・・!

 

「・・・まだだ!2体目の《裁きの龍》で、《DDD怒涛王シーザー》を攻撃!」

 

 

 零児 LP3600→1200

 

 

「《DDD怒涛王シーザー》がフィールドから墓地に送られた場合、デッキから「契約書」カードを1枚手札に加えることができる。《魔神王の契約書》を手札に」

 

 く、サルベージ効果を持っていたのか!攻撃は迂闊だったか・・・?

 

「・・・バトルフェイズを終了して、俺はレベル8の《裁きの龍》2体をオーバーレイ!」

「!?これは・・・!」

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築・・・エ ク シ ー ズ 召 喚 !出でよ、ランク8!《森羅の守神 アルセイ》!このモンスターは、カード名を1つ宣言することで効果を発動できる!、デッキの一番上のカードをめくり、めくったカードが宣言したカードなら手札に加え、違えば墓地に送る。俺は《オネスト》を宣言して、効果発動!・・・めくったカードは《ライトロード・ハンター ライコウ》。このカードを墓地へ送る」

 

 

「違ったかぁ・・・!」

「《オネスト》があれば次のターン持ちこたえられたのに!」

 

 

「いや、こっちが本命だ!この瞬間、《森羅の守神 アルセイ》のオーバーレイ・ユニット1つを取り除き、第二の効果を発動!カード効果によって自分のデッキからカードが墓地へ送られた場合、フィールドのカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番上または一番下に戻す!この効果により、《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》をデッキの一番下へ!」

 

 効果の宣言を受け、零児は《DDD死偉王ヘル・アーマゲドン》のカードをデッキの一番下に差し込んだ。インチキじみたサーチ効果を持つ《地獄門の契約書》でまた手札に戻ってくるかもしれないとはいえ、このプレイングは確実に無駄にはならないはずだ。

 

「墓地の闇属性モンスター《暗黒竜 コラプサーペント》を除外することで、手札から《輝白竜 ワイバースター》を特殊召喚。俺はこれで、ターンエンド・・・」

 

 

 未来 LP4000 hand:0

 

 フィールド:3 ☆8《裁きの龍》ATK/3000

         ★8《森羅の守神 アルセイ》DEF/3200

         ☆4《輝白竜 ワイバースター》DEF/1800

 

 魔法・罠:0

 

 

 デュエルディスクのターン表示が零児に切り替わる。が、なかなか零児のターンが始まらない。どうしたものかと注目すると奴は、笑っていた。

 

「なぜ、今まで気付かなかった・・・!ペンデュラムも完成系ではない事に!」

「何の話だ」

「君にも見えたのではないか?ペンデュラムの新たな進化の可能性が・・・私が今からそれを実証して見せよう!私の、タ――」

 

「・・・なんですって?」

「マルコ先生が!?」

 

「「?」」

「零児さん!」

 

 突如、デュエルに水が差された。赤馬理事長に耳打ちしているのは、LDSの中島さんだ。いつの間にそこにいたのだろう・・・?

 

「どうした、中島・・・」

『――!』

「・・・」

 

 通信が終わるや否や、零児は俺を通り過ぎ、神殿の階段を駆け下りていく。

 

「零児!何があっ――」

「この勝負、預ける」

「・・・っ!」

 

 声をかけるが振り返りもしない。独りフィールドに取り残された俺はひどく滑稽だった・・・




―修造のン熱血指導デュエルにて―

修造「・・・よくやった遊矢・・・お前に伝えるべきことは、全て伝えた・・・ガクッ」
遊矢「塾長ーーー!」

 かくして遊矢は修造塾長とのデュエルの中で新たな扉を最初に開いたパイオニアとしての責任に目覚めたのだった!第二講完!

柚子「勝手に終わりにするなぁ!」

未来「東方は、赤く燃えている・・・」
素良「?夕日は西日だよ?」
未来「遊矢が元気を取り戻してくれて良かった・・・さすがは塾長。俺もまだまだ未熟だな」
素良「(逃げたな)」
_______________________________________________________________________

オリジナルアクションカードについて

  《ソーラー・リチャージ》
  魔法|アクション
  ①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
  そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。

 参考:《ハイダイブ》,《エクストリーム・ソード》
 いつもの

  《死線》
  魔法|アクション
  このカードを発動するターン、戦闘によって発生する互いのプレイヤーへのダメー
  ジは0になる。
  ①:自分フィールド上で攻撃力が一番低いモンスターがその攻撃力以下の攻撃力を持
  つモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊し、
  その攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 参考:《エクスプロード・ウィング・ドラゴン》
 カード名変えたい・・・

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