ハイスクールD×D 〜機械仕掛けの少女〜 (礼楽)
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プロフィール
プロフィール情報


警告!
ネタバレ注意!


プロフィールをば簡単ではありますが投稿させていただきます!

また、随時更新していきます!


1月22日
1番上に移動、追記。
3月3日、追記。


プロフィール

 

高那岐芽衣(こうなぎめい)

神器【幻想機神(ファンタズム・マキナ)

神により、いじられた正体不明の神器

(ただし現時点では能力不明、使用不可)

 

オカルト研究部には、亜空間格納庫(ヘンシェル)の事を神器と言って誤魔化している。

 

二章開始時推定14歳(素体となった人物の年齢がわからないため。)

原作開始時17歳

 

身長160cm

体重52kg

スリーサイズ 88/56/72

好きな物 ケーキ メロンパン 正義の味方

嫌いな物 争いごと(ただし、やむを得ない場合は割り切る)

 

 

深紅の髪をショートカットにしている。(一応地毛)

少々天然だが考察力は高め、しかし肝心な時にうっかりミスをしやすい。

自分よりも他人を気にかける性格で、自分のミスを責めやすい。

 

服装は動きやすいジャージ、もしくはタンクトップにホットパンツなど露出が多め。

本人曰く、バーニアの展開時に破れる可能性があるため露出が多めな服を着ざるを得ない……らしい。

原作一年前時点でレイナーレ達により多量の服を買わされている。

 

神様のミスにより死亡し、ハイスクールD×Dの世界に転生するがまたも神様のミスにより本来転生用に用意された身体でなく、元教会の人間達が行っていた【機神兵計画】によって改造された少女の身体に転生してしまった。

そのため、身体の70%は生体金属と呼ばれる成長する金属で出来ており、両腕両足と背部に至っては各種武装兵装などに変形、展開する。

アザゼル曰く、ブラックボックスだらけの技術を有り合わせの素材で組み上げたようなアンバランス。と言われるほど。

当初は内部がボロボロだったがグリゴリに保護されてからは修理と調整により一応の形で修復されている。

 

芽衣自身はあまり戦闘は得意では無いがひとたび戦闘モード【コードサタナキア】を起動させると一気に戦闘用思考+ハイテンションとなり普段は青みがかった瞳が紅くなる。

 

戦闘スタイルは高機動、高火力によるゴリ押しで接近戦はやや劣る…がヴァーリからの修行(ガチバトル)によりその水準は高めなことを本人は知らない。

 

 

神の子を見張る者(グリゴリ)に入ってからは様々な事件を(主に武力行使とレイナーレの心配症からのおせっかいにより)解決し。

刃狗(スラッシュドッグ)』の発現の元となった「ウツセミ事件」においても事件の解決に尽力した。

 

 

神様のバックアップがついており、芽衣本人は原作を知らないが神様経由で原作のキャラなどの情報を得ることがごく稀にある。(神様もあまり原作知識を教えては原作崩壊をしてしまう危険性があるため意図的に情報をセーブしている。)

 

 

亜空間格納庫(ヘンシェル)

通称、芽衣の化粧箱(化粧といっても戦化粧の意味合いが強い)

体内にある、発生装置により亜空間を構築、その中に芽衣の武装を積み込んでいる。

展開する時は自分の半径1m以内、なおかつ自分の手の上又は腕自体に限られている。

もちろん射出は出来ない。

内蔵限界はないが本人が何を入れているか忘れてしまいがちなので、

必要な分だけしか入れていない。

 

内部搭載物

 

単分子カッター(元ネタ:フルメタル・パニック)

見た目は大型のナイフだが、刃の表面は小さなチェーンソーとなっていてたとえ鋼鉄相手でも、切り裂く。

 

ブースターブレード(元ネタ:PSPo2i スティールハーツ)

柄にリボルバー型弾倉、刃の峰に噴出口を付けた片刃の大剣。

トリガーを引くことにより、弾倉内の炸薬が爆発、噴出口を伝わりブースターのように加速する。

 

 

 

人物相関

 

アザゼル

 

拾ってくれた人。口には出さないが父親のように思ってる。

 

レイナーレ

 

最初は怪しまれていたが、色々なゴタゴタや出来事が起こって今では親友。

ただしレイナーレからは、親友の前に、手のかかる妹のような存在として見られている

 

木場祐斗

 

気心知れた友人で恐らく1番仲がいい。

ただし、たまにドギマギさせられることがある。

今はまだ友達。

 

兵藤一誠

 

自分が死なせてしまった責任を感じているが当の本人が気にしていないため空回りしている。



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プロローグ
少女の転生、あるいはやらかす神様


初めまして!

今まで読み専だった私、礼楽と申します。
プロットも無ければ書き溜めすら存在しない状況ではありますが、精一杯頑張らさせていただきます!

それでは、第一話です!


人生の転換期というのは予期せぬ時に訪れるものである。

 

例えば街中でスカウトされてアイドルになる。

不良から助けた少女と恋に落ちる。

ベランダにシスター服の少女がぶら下がっている……これはちょこっと違うか。

 

 

まあ、そんなふうにして転換期は来るものだ。

 

そんな中私、高那岐 芽衣(こうなぎ めい)の転換期、

 

 

 

神様転生あるいは死後転生

 

 

聞いたことがある方もいるだろう。

突然不慮の事故や神様のミス、etc、etc……

それにより死んでしまった人がアニメやラノベ、そういった創作物の能力や武器などをさずかり創作物の世界で第二の人生を歩んでいく…。

 

そんな、普通ではありえないこと(二次創作)を私も現在進行形で体験している。

 

 

「あのぅ、そろそろ話聞いてほしいんですけど…」

 

おっと、そろそろ現実逃避から戻らねば。

今私は真っ白な空間で一人の幼女と対面している。

その幼女曰く、私は神様でここは死後の世界なんだとか。

最初はただの夢かとも思ったんだけど、私の死んだ瞬間(トラックに撥ねられる)を見せつけられまた、どれだけ私の頬を抓っても目が覚めることがないのでこれが現実だと信じざるをえなくなった。

 

そんでもって、とある問題に直面し先程まで現実逃避をしていたわけだが…

 

「こちらとしても、貴方には悪いとこをしたと思ってますし転生してもらおうと思うのですが…」

「うん、それはさっきも聞いたし理解出来てるつもりだけど…」

「ならば何が問題なのです?」

 

私が現実逃避していた理由。それは…

 

「この転生先ってどうにかならないの?」

「えっと、ダメですかね?」

 

転生先に問題があった。

神様から提案された転生先は、

 

HELLSING

北斗の拳

ベルセルク

Black lagoon

バイオハザード

 

……どれをとってもすぐに死ぬ可能性が高すぎるんですが。

 

「えぇ〜、どれも面白い作品や世界ですよ?」

「それただ単に神様の趣味でしょうが!?」

「ぶぅぶぅ」

 

頬を膨らませてもダメですよ神様(幼女)

 

「私は、もっとちゃんとした!例えば学園生活をおくりたいんです!」

「学園生活?」

「ええ」

 

なにせ享年16歳だ、高校生活も全然楽しめていない。

 

「ならこれなんでいかがです?」

 

そういいながら、神様が出してきたものは

 

「えっと…ハイスクールD×D…?」

「知らないです?」

「うん、わからない。」

 

おそらくラノベだと思われるそれは知らないタイトルのものだった。

 

「これはですね、()()()()()()()()学園系のラノベですよ。」

「そうなの?」

「はい!」

 

…なんか、怪しい。

 

「…すぐに死なない?」

「んー、まぁ良い特典を持っていったら大丈夫なんじゃないでしょうかね?」

 

……要は、何かしら戦いみたいなものはあるらしい。

っていうか、

 

「他にはないの、転生先って?」

「えーっと……ほかの世界はどうやら一杯みたいですね。なので先程の中から選んでください。」

 

どうやらこの中から選ばないといけないらしいが、どう考えても最初らへんのはアウト。

世紀末覇者やらゾンビやらに殺されるのがオチだ。

だったら…

 

「決めた、これ(ハイスクールD×D)にするよ。」

 

他に選択肢が無い以上、これにするしかないし。

それに普通の学園生活を送れるらしいし、多分ほかのよりはマシなんだろう。

…だろうと思いたい。

 

「わかりました!では次に特典を決めましょうか!」

「それなんだけども、何でもいいの?」

「?ええ、何でもどんと来い、なのですよ!」

「そう?だったら…高速で思考が出来る力が欲しいな。」

「高速思考ですね、わかりました!ほかには?」

「ん?以上だよ?」

「えっ」

「えっ」

「……ほ、ほかには?」

「だからないよ?」

「何でですかー!!?」プンスカッ!

「うわっ!?」

「転生特典ですよ!?転生特典!もっとこう、あるじゃないですか!」

「って言われても…」

「じゃあ、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!これならどうです!?」

「いやだってそれ、なんというかありきたりというか…」

「むぅ、それじゃぁ困るんですけども…」

 

と言われても、こちらだって何も思いつかないわけですし…

あっそうだ。

 

「じゃあ、今は保留にしてあとから願いを叶えてもらえるという形じゃダメかな?」

「むー、わかりました。そういうことにしておきましょう…」

 

不満ながらもなんとか納得してくれた幼j…神様。

よかった、これがダメなら適当な案が出るまで悩むところだったけども。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今から貴女をハイスクールD×Dの世界へと転生させます。よろしいですね?」

 

いよいよ転生が始まるらしく神様が何かしらの魔法陣らしきものを展開する。

 

「はい、ありがとうございました。」

「ふふっ、貴女の新たな人生に多くの幸があらんことを。」

 

そうして魔法陣が光り輝いていき……

 

「ふぇっくしゅん!!」ピキッ

「あっ」

 

神様がかましたくしゃみで形が歪み……歪み!?

 

「ヤバっ!?」

「えぇぇぇぇぇ!?」

 

………盛大に爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そこはどこともわからない研究所。

その奥深くで、その男達は嗤う。

 

ーーーこれで、我々の悲願は果たされる。

ーーー天使を超え、悪魔を超え、堕天使を超える。

ーーー人間の叡智の結晶。

ーーー究極のヒトの創造を!

 

 

男達の視線の先、ガラスに覆われた生体ポットが置かれその中には一人の少女が入っていた。

 

究極のヒト、人間の叡智の結晶と言われた彼女は…

 

 

(えっ、何この状況!?

っていうかやりやがったな、あの幼女ぉぉ!!?)

 

 

………絶賛混乱中だった。

 




ご感想、及び誤字脱字報告などお待ちしております!


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少女の覚醒
現女把握、あるいはキレる若者


おはようございます!

はい、二話目です!

前回までのあらすじっ!
少女、転生し(一人用の)ポットに入れられる。


第二話

 

皆様、ごきげんよう高那岐芽衣です。

現在私は謎の水で満たされたポットのようなものに入れられていて絶賛混乱中です。

 

(ホントナニコレ、目の前のおっさん達なんかキモイし、何?どうゆうことなの?)

 

さっきから喋ろうとしても口元にはマスクがつけられているためか声が出ない。

仕方なく周りを見渡してみれば薄暗い室内、その中に変なおっさん達と他に置かれた大量の空のポット。

 

…うん、どう見てもこれ何かの実験施設よね。

っていうか私、もしかして裸!?

じゃあ、なに!?こいつらがさっきからニヤニヤしているのって女の裸見てるから!?(違います)

 

私が身の危険(貞操的な意味で)を感じていると

 

《高那岐さん、聞こえていますか!?》

(おおぅ!?)

 

急に頭の中に聞こえてくる声、これって…

 

(もしかして神様?)

《いえす、ざっつらいと!》

 

やっぱりか。

…どうにも舌足らずなのは置いておいて

 

(どういう状況なんですかこれ!?

ていうか神様どこですか!?)

《と、とりあえず落ち着いて下さい!

順を追って説明しますから!》

(え、ええ。わかりました。)

《まずはですね…ごめんなさい!

またやっちゃいました!》

 

うん、だろうと思った。

あの時盛大にくしゃみしてたもんね。

 

《あの時、貴女の魂は本来はごく普通一人の中に入る予定だったのですが、転生陣が歪んでしまって全く別の身体の中に入ってしまって…》

(……まぁ、起きてしまったことは仕方が無いですし。)

《ずいぶんとあっさり…それでですね、想定外の事態により貴女はその少女の身体に入ってしまった訳ですよ。

ですのでこの度の責任をとる形で今後貴女のサポートをするようにと、上司から怒られてしまったわけで。》

(な、なるほど…)

《ええ、それで貴女の身体なんですが………。》

(な、なんですか?何か問題が?)

《ええ、その身体は…》

 

と、神様から説明を受けてる時に。

 

「よし、ポットを開けろ。」

「わかりました、排出開始します。」

(うぇ?)

 

ポット内の水がどんどん抜けていき私は転がり出るようにしてポットから排出された。

……その時に、思いっきり鼻を強打したわけだが。

 

「い、いひゃい…」

「…ふむ、痛覚はちゃんと機能しているのか。あと、言語機能にも異常は見られないか…」

 

なんかめっちゃ目が濁った、恐らく研究員であろうおっさんが、私をジロジロと観察しながら何かブツブツ呟いてる。

というか服よこせよ、いつまで裸のまんまなんだよ。

 

「あの、ここは…。」

「ほう、既に自我に目覚めているか。」

「えっと、貴方は…。」

「当初の予定よりもかなり早いやはり()()()()()()()()()()功を奏したか。素晴らしい成果だ。」

 

ダメだ、話聞いてくれないぞコイツ。

ってちょっと待て、人間を素体にした?

何言ってるんだ?

 

「どうやら、貴様は今置かれている状況を理解していないようだな」

「あ、はい…」

「では説明しよう。君は…」

 

 

 

 

 

 

 

《人間を素体とし、身体中を機械によって改造された兵器…》

「【機神兵】計画。

悪魔や堕天使といった異種族を滅ぼすための究極のヒトを創り出す計画、君はその完成体だよ。」

 

 

 

 

 

……は?

兵器?究極のヒト?

なにそれ、何かの冗談でしょ?

 

 

「ふむ、どうやらまだ理解が出来ないようだな。

では順を追って説明しよう。」

 

未だに混乱する私に説明されたのはこの世界の歴史、三大種族と戦争、聖書の神と魔王の死、etc、etc…っておい神様。

 

《な、何でしょうか?(滝汗)》

(どこが一般的な学園モノですか!?ガチバトル要素満載じゃないですかこれ!)

《い、一応説明はしましたよ!?…他のよりかはマシだと……》

(あれらと比べる方がおかしいわ!!)

《ぴぃ!?ご、ごめんなさい〜!》

(っていうか、神様って死んじゃってるんじゃないの?)

《わ、私は転生の神ですからここの神とはまた違った神様なのですよー。》

 

まぁ、おっさんが説明してる間に神様を問いただしてましたけど。

そのおかげか少し落ち着いてきた。

 

「……というわけで、我々は悪魔や堕天使といった異種族に対する兵器として君を創り出した、というわけなのだよ。」

 

あ、聞いてなかった。

 

 

「我らは元々天使陣営の研究者だった。しかし我々は異端として教会から追放された!神のために信仰を捧げ、尽くしてきたのにそれをあいつらは!我々が!私が何をしたの言うのだ!この計画だって、元々は悪しき悪魔達を滅ぼすための…!

だから私達は復讐するのだ!教会に!悪魔に!堕天使に!」

 

復讐ねぇ…。

この人やほかの人も憎悪に濁らせた目で語っているが、私には。

それというのも先程見つけた、部屋の隅にまるでゴミとして捨てられているかのような()()()()()()()それを見つけてしまったから。

 

「ん?…ああ、あれかね?

あれは所詮到れなかった()()()()()()()()()()()。元々身寄りのない孤児だった物を有効活用したんだかね、何の役にも立たなかったよ全く…」

 

まるで何でもないかのように言う()()()。それを聞いた途端、まぁわかりやすく言うと

 

 

 

私はキレた。

こいつらは、人の命を何だと思っているのだ。

復讐?大いに結構。

異端として見捨てられた?それは可哀想に。

 

だけど、だからといって関係ない人を自分達の目的のために使い捨てることが許されるはずがない!

 

 

 

《芽衣さん…》

(神様、私ね今凄く頭にキてるの。だから止めないで。)

「おや、どうしたのかね?」

 

急に立ち上がった私を見て怪訝そうにこちらを見るやつら。

でもそんな事はキニシナイ。

まずは、目の前のコイツを。

 

 

思いっきりぶん殴る…!

 

 

「な!? ぐおぉ!?」

急に向かってきたのに驚愕した顔を全力で殴り抜く

男は殴られた状況のまま5mほど吹き飛び、壁を突き抜けていった。

 

「な、なにを!?」

「待て!?止めろ!?」

 

ようやく現実を受け入れたのか呆然としていたほかの人達が狼狽えだした。

だけど…

 

 

【全駆動系統正常稼働】

【魔力動力炉全開稼働】

【各兵装及び亜空間格納庫内武装、セット】

【system all complete】

【コードサタナキア起動】

 

まずは全員一発ぶん殴る!




ご感想、誤字脱字報告お待ちしております!


……もしかしたら書き直すかも知れません。


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脱出、あるいはやり過ぎた…

どうも、礼楽です。

スマホで書いているせいか、遅い上に文字数が少ないことに悩んでます…

とりあえず三話どうそ!


第三話

 

〜???side〜

 

ココ最近、私はすこぶる運がいい。

以前応募した懸賞が当たったり。

信頼出来る部下を3人も得たり。

挙句の果てに今日は……

 

(あのアザゼル様の直衛を任せられるだなんて♪)

 

そう、かの堕天使総督アザゼル様の護衛という名誉を与えられたのだ。

というのも、つい先程人間界のある地域に計測器を振り切るほどの絶大な魔力が検出されたのだ。

それに興味を持たれたアザゼル様が御自身で調査されることとなり、たまたま手すきだった私が護衛の任を任せられることとなったのだ。

場所は鬱蒼とした山の奥深く、そこをアザゼル様と私が歩いて登っている。

下手に飛ぶと感知されるかもしれないからだ。

 

「…しっかし、上級堕天使用の計測器を振り切るなんざどんなやつなのかねぇ。」

 

そう言いながら隣を歩かれるこの方こそ堕天使総督アザゼル様だ。

…危険を伴うかもしれない調査なのにいつもの服なのは置いておいて。

 

 

「さ、さあ。私にはわかりかねますが、少なくともはぐれ悪魔の類ではないと思います…」

「ああ、確かに。はぐれだったらここまで膨大な魔力は出せない、それに…」

「それに?」

「こいつは常に一定の量の魔力を放出している、つまりはこれは何らかの魔力炉を保有した機械の可能性が高い。だが…」

 

そう言われながら眉間にシワを寄せながら、アザゼル様は何かを考えている。

 

「ど、どうかされましたか?」

「いや、何でもない。

それに実際に現物を見てみればわかるはずだ。

よし、少し急ぐか、レ……」

 

ズドガァァァァン!!!

 

「うおっ!?」

「アザゼル様!?」

 

アザゼル様がそう言われながら飛ぼうとした時、目の前にあった山肌が突然の爆発……爆発!?

とにかくアザゼル様の前に出て飛び散った岩石や土を光の槍で消滅させる。

 

「ご無事ですかアザゼル様!?」

「お、おう。なんともないが。

ったくなんだってんだよ一体……」

「アザゼル様?」

 

そう言いながら、爆発した場所を見つめているアザゼル様。

私もつられてそちらを見ると……

 

「こりゃ、当たりかもしれねーな。」

 

おそらくしまっていたのであろう、防護扉の残骸、その奥に舗装された施設の通路があった……

 

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

 

 

〜少し前〜

「あぁ、やっちゃった…」

《あー、まあまあ誰も死んでないようですしいいんじゃないですかね?》

 

あの後片っ端から研究員をぶん殴っちゃった訳ですが、誰も死ぬことはなくせいぜい壁や天井に突き刺さって気絶するくらい。

……どう見てもギャグっぽいけども。

 

《ふむふむ、全身を機械化してるのではなく一部の生体機能はそのまま本来の物を、手足と背部、脳の一部を機械化。そして胸部には超小型の魔力炉と…》

 

今はその辺に落ちていた資料を集めて神様がそれを私を通して読んでいるという状況だ。

私の身体のことや兵装といったことがわからなかったらこの先困ることになる。

神様はそう言って、調べてくれた。

ちなみに研究員達はまとめて縛り上げた。

ついでに置いてあったYシャツとホットパンツを着ておいた。

 

《その機械化も、生体金属という特殊なもので修復、成長、成長のための増殖といった機能を有すると…》

 

どこのアルティメット細胞だよそれ。

 

《ん…?おおぅ!?》

「えっなに、どうしたの!?」

《芽衣さん!大変ですよ!》

 

神様の焦ったような、嬉しそうな声にドキドキしてきた…

その発見って一体…

 

 

 

《なんと!生殖機能も生身のままなので、性交はもちろん妊娠も!》

「どぉぉでもいいわぁ!!」

 

すごく、くだらないことだったよ…

 

《なにを言いますか!妊娠出来ると言うことは子孫繁栄、ましてや女の幸せではありませんか!それをどぉでもいいとは何事ですか!?》

「今現在においてそれって役に立つの!?っていうか、せ、性交とか今関係ないでしょ!?」

《……おんやぁ?ずいぶんと初心なんですねぇ?そういった知識の一つや二つ、さらには経験などは……(ニヤニヤ)》

「私まだ16だったんだよ!?

経験とかそんなのあるわけないじゃない!」

《いやいや、最近の若者は進んでますからねぇ…中学生なんかは特に多感な時期ですから、そういった事もあるような気がしたので?》

「んなわけないでしょうがぁぁ!!」

 

 

閑話休題

 

《まぁ、それはともかくとしていろいろとわかりましたよ。》

「まったく…それで、わかったことって何かあります?」

《はい、いくつか。

まず、貴女の左腕はいくつもの武装を複合させた武器腕。名を【バルバロイ】というらしいです。

あと、亜空間を発生させる装置も組み込まれているらしくその空間内にも武装が収められているそうです。》

 

武装かぁ…どんなのがあるんだろう?

 

《残念ながらそこまでは…》

「そっか…」

 

 

 

ヴー!ヴー!ヴー!

 

 

 

「わっ!?なに!?」

《け、警報ですか?》

 

 

 

戦闘態勢!戦闘態勢!

現在培養室内の実験体が脱走した模様。

戦闘用キメラ、及びガードロボ起動。

対象を発見次第、処分せよ。繰り返す…

 

 

それって………

チラッと扉のプレートを見る。

 

【培養室】

 

ここじゃんかー!!?

しかも処分!?まずい…!

 

「や、やばいよ!とにかく使える武装は……」

 

【武装展開】

 

 

「うぇ!?」

 

頭の中で合成されたような声が聞こえてくると同時に、左腕が中から開き形を変えてゆく。

それと同時に、右腕の周りを白いノイズが纏ってゆき…

 

左腕は巨大なガトリングガンに、

右腕はこれまた巨大な大砲?の様なものにそれぞれ変わっていた。

 

 

【左腕、バルバロイ展開。

150mm六連装ガトリングガン

 

右腕、武装接続。

魔力砲リュミエール

脚部スラスター起動】

 

それが終わると同時にふくらはぎからスラスターが展開されてゆく。

 

 

《おお!!それとなくロマン溢れるロボッ娘変身キタコレ!》

 

ほんっとにぶれないなこの幼女は!!

まぁ、それはともかくこれが私の戦闘形態なんだろう。

研究員たちを殴った時にも音声とともに身体の中の何かが変わっていた気がするし。

 

《とりあえず先手必勝!ばばっと撃っちゃいましょう!》

「OK!それじゃあ…」

 

私は右腕の魔力砲を構え、魔力をチャージしていく。

目の中に投写されたパラメーターを確認し50%を超えたあたりで。

 

「とりあえず、これで!」

 

魔力砲を発射体制にし、バレルを展開。

周りをスパークが飛び散り、黒色の光が銃口から溢れて…

 

《やっちゃえ、バー〇ーカー!!》

(誰がバー〇ーカーだ!!)

「…fire!!」

 

この少女、ノリノリである。

 

そうして魔力砲は放たれ…

()()()()()()()()()()()()()()()()()ぶち抜いていく。

…って!?

 

「は、反動が…!?」

 

撃った衝撃で足元の床はめくり上がり、3mほど押し流されてゆく。

スラスターを吹かせながらなんとか耐えていると…

 

「…ぜぇ…ぜぇ……。

やっと……終わった……」

 

やっとこさ撃ち終わった。

魔力砲は排熱のためかそこら中のパネルが開放され排気の音が聞こえてくる。

 

そうして自分が撃った方向を見てみれば……

 

《…こ、これは…えっと…》

「………うわぁ。」

 

綺麗に真ん丸の穴が外まで続き、巻き込まれたのであろう壁やドア、恐らく放たれたのであろうキメラっぽい肉片とロボっぽい残骸が転がってるだけだった……




序盤の人…一体何ナーレなんだ…

ちなみに、50%でもガンダムXのサテライトキャノン並の威力を想定しております。(当社比)

ご感想、及び誤字脱字報告お待ちしております!


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脱出そのに!あるいは考察と出会い

おはようございます!
礼楽です!

お気に入り39及びUA1600越えありがとうございます!!
これからもよろしくお願い致します!

で、大変もうしわけありませんが、今回は特に短いです。
その分次回頑張りたいと思います!

それでは第四話、どうぞ!


第四話

 

…おーけーおーけー。

まぁ、待とうか。

私は今50%の出力で撃ったはずだ。

それがどうしてこうなった。

 

《いやぁ、見事に吹き飛んでますねぇ……。

このキメラなんて綺麗に上半身がなくなっちゃってますよ。》

「これで50%って……」

 

とりあえずこれはもう使うまい。

未だに排気を続けている魔力砲を収納して周りを見る。

 

鋼鉄製と思われる壁は消失した部分がドロドロに溶け、

合間にあったであろう土砂も綺麗さっぱりなくなっちゃってる。

恐らく、キメラ……のようなものも断面が焼け焦げてて独特の匂いを発している。

恐らく何が起きたのかわからないまま死んだのだろう。

 

……はっきり言って地獄絵図だ。

そうしてしまったのは私だが。

 

ガオォォォォン!!

 

「ひゃあ!?まだいるの!?」

《そりゃあここ敵地ですし、まだまだいると思ってもいいですね〜。》

 

私がぶち抜いた(物理)道と重なってる本来の通路から雄叫びと共にキメラが何匹も現れる。

形としては典型的な山羊の頭と獅子の体、鳥のような翼に蛇の尾……。

まだここまではいい。

脇腹から生えるようにして左右一振りのブレード、翼には小型のミサイル、よく見ると蛇の口からはガトリングが見える。

 

《……何でしょうこの、<ぼくのかんがえたさいきょうのキメラ>みたいなものは…。》

 

うん、私もそう思う。

そもそも翼にミサイル付けたら飛べないだろうし、脇腹のブレードなんてどうやって使うつもりなんだろうか。

多分武装自体は強いのだろうが、それをきちんと運用出来るようには作られていない、はっきり言って…センスがない。

 

「とりあえず、先手必勝!」

 

しかしいくらセンスがないとはいえ、閉鎖空間でのミサイルやガトリングは十分な脅威だ。だから撃たれる前にこっちが撃つ!

即座に左腕のガトリングを突き出すように構える。

見た目と裏腹に静かな駆動音で銃身が回転していき…

 

《ちょっ!?ストップ!スト〜〜ップ!!》

「え?」

 

ドガガガガガガガガッ!!!

 

「くぅぅぅ!?」

強烈な反動によって銃身が暴れまくった。

……そうだ、よくよく考えれば150mmって戦車の主砲並じゃないか。

そんなものを片腕で撃ったらどうなるか、しかも六連装のガトリングとして

 

「はぁ……はぁ……。」

 

ようやく止まり周りを見ると、至るところが蜂の巣よろしく穴だらけになっていた。

肝心のキメラも大半が穴だらけになってはいたが三体ほど全くの無傷だった。恐らく、最初に倒れた個体を盾にしたのだろう。

 

「とりあえずこれもダメ!

何かほかには…。」

 

とりあえず、ガチャガチャと左腕を元に戻す。

亜空間格納庫の中から適当な武装を引っ張りだし構える。

 

「……これは?」

《さっきの資料によると…<単分子カッター>っていう武装ですね。》

 

私が構えたそれは二振りのナイフ…のようなものだ。

ようだ…というのもサイズはナイフなのだが刃の部分がチェーンソーのようになっている。

 

「ええぃ、ままよ!

女は度胸、そしてぇ!」

 

それを逆手にして一番近いキメラに突撃する!

そのまま首に向かって飛びつき!

 

「気合と根性だぁぁぁ!!」

《なんで急に熱血系!?》

 

勢いのまま、ぶった斬る!!

 

吸い込まれるように首に刺さった単分子カッターはそのまま抵抗なく肉体を分断していく、そして着地すると同時に首がゴトリ、と落ちてゆく。

着地の勢いを殺さぬまま次のキメラに向かって跳ぶ。

同じ行程を二度行い、他のキメラも無力化していく。

 

「ふぅ……どうにかなった……」

 

そのまま外へと続く道を歩きながら考える。

先程の動き方といい、武装の出し方と使い方。

戦闘の経験がないのにも関わらずそれらの情報が頭の中で自然と構築されている。もしかしてこれが高速思考なのだろうか……。

それと、ここを脱出した後のことだ。ここが一体どこなのか、にもよるが警察やらに見つかると非常に面倒なことこの上ない。

なにせ私は単純に言えば改造人間なのだ、人権やら倫理やらで絶対に一悶着あるだろうし何より、この体の素体となった子はもう死んだものとして扱われているのだろう。そんな中出ていって見ろ、最悪実験体として解剖される危険性もある。

つまり三大種族のうちどれかに保護、あるいは所属をしないといけないわけで……

天使陣営は宗教上私のような改造人間は異端として扱われるだろうし、

悪魔陣営か、堕天使陣営のうちどちらかということになるだろう。

ではどちらにするか?と言われてもどちらとも言えない。

なぜならどちらも実態をよくわかってないからだ。

先程の研究員の話は個人の恨み辛みしか入ってなかったので、実際に見てみないことには判断が出来ない。

さて、どうしようかなぁ…………

 

《あの〜、芽衣さん?》

「はい?」

《なんか、広い場所に出たみたいなんですけど…》

「え?……あ。」

 

神様に言われて周りを見れば、広いホールのようなところに出ていた。

考え込みながら歩いてたせいかまったく気付かなかった……

とりあえず外に出てから考えるか、そう思い直し、再び歩き始め……

 

「ん?やれやれやっと見つけたぜ。

おい、お前さん。」

 

え?声?

立ち止まり単分子カッターを後ろ手に隠しながら、声の方向へ向くと

 

「アザゼル様、また先程のようなものかもしれません。

ここは私が…」

「そう警戒すんなって。

お前さんここの関係者か?」

 

なんか、めっちゃこちらを警戒してる黒い髪の女の子と、気楽そうにしている黒髪の先端が金色の着物を着たおじさんがいた。

 

 

 

…………誰だこの人達?

 




御感想、及び誤字脱字報告等よろしくお願い致します!



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探り合いと赤っ恥、あるいは信頼

どもども、礼楽です。


今回は割と頑張りました!
…ただ文章力かない自分が恨めしい。
そんなわけで、第五話どうぞ!




第五話

 

「お前さんここの関係者か?」

 

どうしよう、この状況。

 

とりあえず状況の整理だ。

目の前には女の子とおじさん。

二人とも只者ではない感じがする。

特におじさんの方は自然体だがスキがない。

それにあの笑み、質問はしたけど私がここの関係者だと確信している気がする。

……実際は関係者というより実験体の方が正しいが。

 

女の子の方はこちらを睨んで警戒しながらいつでも飛び出せるように構えている。

多分このおじさんの護衛か何かだろう。

だが、一人しか護衛がいないということは腕が立つ人。

 

とすると、おじさんは何かしらの幹部かそれに匹敵する地位の人と考えるのが正しいか……

 

こういう時便利だな高速思考。

 

それはともかく、こちらは脱走している身。相手がここの関係者ではないと100%確信出来ない以上、下手に動けば最悪戦闘にもなりえる。

 

 

まずは…

 

「何ですか貴方達は?」

《思いっきり質問に質問で返しましたね。》

 

うるさい、こちとら話術のスキルなんてものもってないんですー。

 

とりあえずは相手の出方を見る。

友好的ならそのまま保護を求めるなり出来るが、敵対した時は……

 

「おいおい、質問には質問で返してはいけないと親に習わなかったのか?

まあいい、俺はアザゼルって者だ。

こっちのはレイナーレ。」

「ア、アザゼル様!?不用意に名乗られては!?」

「……いいから任せとけって。

偶然ここに迷い混んじまったんだが道がわからなくてな、出来れば出口を教えて欲しいんだが。」

 

ふーん、おじさんがアザゼルって名前で女の子がレイナーレ、か。

どうやらあっちも警戒してるのかお互い腹の探り合いみたいな状況になってるねこれ。

 

《(アザゼルって……原作キャラじゃないですか……なんでこんなところに…?)》

 

なんか、神様がブツブツと言っているか今はこっちに集中しないと…

 

「そうだったんですか。

一応、この道…を通れば外には出られるはずですよ?」

「……道ってか、俺には大穴にしか見えないんだが。」

 

道ですよ?……私が魔力砲で撃った跡ですが。

 

「……まぁいいか。

ところで、こんな山奥に何だってこんな施設があるんだ?不便だろ?」

 

それは私が知りたいよ。ってか山奥だったのねココ。

…しかし参ったなあ。

実際、ここが何の施設かは結局わかってないし。

 

実はここ人体実験してて私、実験体なんですぅ♪

 

とか言えるわけないし。

知らないって言ったらもっと怪しまれるし……

 

「…そちらこそ、なんでこんな山奥に?どう見ても登山をするのに適した装備とは思えませんが。」

 

…まあ、目の前の2人も片や着物でもう片方もスーツ。

怪しさでいえばそっちのが怪しい。

 

「……おい、そういえばなんでお前スーツなんだよ。」

「…わ、私はアザゼル様の護衛としか聞かされてませんでしたし、何より至高の御方の護衛ともなればちゃんとした服装をしろとシェムハザ様が…」

「あいつ…時と場合を考えろよ……」

 

なにやらこそこそと話しているが、大体聴こえてる。

どうやら聴力も強化されているみたいだけど今は感謝しよう。

おかげで向こうの内緒の話やら、()()()()()()()も聞こえてくる。

 

…どうやらまだ生き残りがいたみたいだ。

 

あっちは気が付いて無いみたいだし、もともとは私がやらかしたせいだ。

どうにかして巻き込まないようにしたいけど……

 

「…あー!!もう、やめだやめ!!

めんどくさいったらありゃしねぇ。」

「…はい?」

「ア、アザゼル様?」

「おい、嬢ちゃん。お互いに腹の探り合いはやめにしねぇか?

こちとら、絶大な魔力を観測したから探りを入れにきただけだよ、まったく…」

 

え?何この人、めんどくさいって理由でまさかの暴露!?

 

「アザゼル様ぁ!?言っちゃっていいんですかそれ!?」

「別に構いやしねえよ。それに目的の物は目の前にあるしな。」

「わ、私?」

「おめぇさんさっきから魔力出して威圧してるだろ?その魔力が観測した魔力と同じ波長なんだよ。」

 

そういいながらよくわからない機器をこちらに見せてくる。

っていうか。

 

「威圧なんてしてませんよ?」

「は?だってお前、今も魔力出してるだろ。」

「そうよ。だからこちらも警戒してるの。」

「え?」

 

二人ともジト目で見てくるが私には何の心当たりも……

 

《芽衣さん、もしかしてなんですけども…》

(なんです?)

 

 

 

 

 

 

《動力炉から魔力がもれてるんじゃないですか?》

 

 

 

 

 

……why?

え、漏れてるの魔力!?

ちょっと待って!?チェック!チェェェック!?

 

【魔力動力炉に損傷が認められます。】

【現在、魔力の隠蔽率は10%を切っています。】

 

マジだったーーー!!?

え、じゃあ何!?キメラとかに気付かれたのもダダ漏れだったから!?

じゃあ何か、この人達最初からわかってるのに探ってきたの!?

それなのに私は話術(笑)で誤魔化そうとしてたの!?

何それ超恥ずかしい!!

 

「……急に蹲ってどうしたんだコイツ。」

「…アザゼル様、触れないであげて下さい。女の子にはそういう事もあります。」

 

なんかレイナーレさんにめっちゃ同情されてるー!?

 

 

〜五分後〜

 

 

「……すいません、取り乱しました。」

「お、おう。なんだ…すまんかったな。」

「…いえ、お気になさらず。」

 

とりあえず、落ち着いたので話を続けるとしよう。

…顔はまだ赤いが。

 

「で?結局お前さんは何なんだ?」

「そうよ。その魔力はただの人間には出せないものよ。さっさと白状なさい。」

 

…なんだろうレイナーレさんから滲み出る小物臭は。

 

「何者、って言われましても…そこら辺にいる普通の女子ですよ?」

 

そう言いつつ左腕を真横に上げていき…

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

ガトリングに変形させて1発だけ発射する。

 

 

ガァァァァァ!?

 

「なっ!?」

「……」

 

ちょうど隠れていたキメラに命中したらしく、血飛沫を上げて倒れてゆく。

 

レイナーレさんは私を見て驚いていたが、アザゼルさんは、すぐさま周囲を警戒していた、やはり経験の差なんだろうか。

 

「何時から気付いてたの!?」

「少し前から。でもアザゼルさんも気付いてたんじゃないです?」

「何体かはな、でもお前さんが撃った奴には気付いてなかったけどな。」

 

のしのしと、周りを囲むようにキメラが……6いや7か。

7体出てきた、そのどれもが先程の武装キメラだ。

 

「おいおい、コイツらはなんだぁ?」

「私の熱烈なファン。それこそ食べようとするぐらいの。」

「ふっ、つまらんシャレだな。

おい!何体なら任せられる?」

「な!?彼女を信用されるのですか!」

「どう考えたってこの状況じゃあ、協力するしかないだろうが。それに俺達も標的にされてるみたいだぜ。」

「2体なら、多分いけるとおもう。」

「だったら俺が3体でレイナーレが2体か。」

「アザゼル様!ここは私が命に代えましても!」

「やめとけ、せいぜいエサになるのがオチだ。それに3人ならそれぞれカバーが出来るからより戦闘がらくになる。」

「しかし!彼女が信用出来るという保証がありません!」

 

そりゃまあ、巻き込んでしまった形には一応なるわけだし、何より先程の左腕の変形を見たからか猜疑心のこもった目で私を見てくる。

信用出来ないのはわかるけど……ってヤバっ!

 

「レイナーレさん!」

「なによ!?(ドンッ!)うぇ!?」

 

私はこっそりレイナーレさんの後ろに回り込んでいたキメラを撃つ。

レイナーレさんの横顔スレスレを弾丸が飛んでゆきキメラの頭を弾けさせる。

 

あぁ、もう!しょうがない!

少々荒っぽいけど信じてもらうには!

驚いて腰が抜けたのかその場にへたりこんだレイナーレさんを抱き起こす。

そのままレイナーレさんの肩を掴んで目線を合わせる。

「巻き込んでしまってごめんなさい!全部終わったらちゃんと説明します!だから!」

 

「私を信じてくれませんか!?」

 

キチンと目を合わせて誠意をもって話せばきっと伝わるっておばあちゃんが言ってた!

だから、私はレイナーレさんの目を見続ける。

 

レイナーレさんは、最初は驚いていたのか目を見開いたままだったけど次第にキツイ睨むような目つきになってゆき、

「あぁもう!!わかったわよ!そこまで言うんならアンタを信用してやろうじゃないのよ!!」

振り払うように私を押しのけ立ち上がる。その目には先程までの猜疑心はない。

 

「もう!ただ調査の護衛としてアザゼル様に認めてもらえるだけの簡単な仕事だと思ったのに!

山肌は吹き飛ぶわ、変な女の子はいるわ、挙句にはその子と一緒にキメラと戦うなんて踏んだり蹴ったりよ!!」

「ハッハッハッ!そいつは違いないな!俺様も戦闘になるとは思わなかったぜ!」

 

なんだろう、レイナーレさん信じてくれたのはいいんだけど、なんかいろいろ開き直ってる気がする。

しかもそれってアザゼルさんがいる前で言っていいのかなぁ?

 

「あと貴女!」

「は、はい!?」

「名前!」

「え?」

「い・い・か・ら名前教えなさいよ!」

「私は高那岐芽衣!」

「じゃあ、芽衣!私はレイナーレ!

呼び捨てで構わないわ!

私が突っ込むから背中任せたわよ!それとアザゼル様も!」

「おい、俺はついでかよ。」

 

レイナーレさん、いやレイナーレがこっちを見ながら不敵な笑みを向けてくる。

任せるってことは私を信じてくれたのだろう。

背中を任せられるってことは結構大変なのかもしれないけど。

 

…なんかこういうの悪くない!

 

 

 

 

《んー?レイナーレってこんなキャラだったっけ?色々と原作と違うんですけど。あれ〜〜?

………まぁいいですか。》

 

〜アザゼルside〜

 

「…ったく、カバーし合うって言ったのに。

あいつら俺のこと忘れてねーか?」

 

まったく、レイナーレの言った通りだがただの調査がなんでキメラ退治になんのかねぇ…

 

しかも調査対象の正体は改造された

元人間の小娘で、そいつと共闘してるっつうんだから驚きだな。

 

「…しっかし、あいつら息ぴったりじゃねえか。」

 

芽衣…って言ってたか。現に今もレイナーレが光の槍をぶっ刺す前にキメラの足を撃って体勢を崩させて、刺したあとはその槍ごと敵を撃ち抜いているし。

レイナーレもレイナーレで、芽衣が撃ちやすいように射線を開けたり槍を撃たれると同時に爆散させたりと。

まるで長年組んできたコンビのように、互いが互いの行動を理解して戦ってるように見える。

これが先程まで互いを信用してなかった急造コンビってんだから驚きだな。

 

「高那岐芽衣、ねぇ……

うちに欲しいな……」

 

改造された人間の中身ってのも気にはなるが、俺の勘がこの先アイツが必要になる、そう告げている気がした。

 

 

そこら辺のキメラを適当に串刺ししながら、俺は芽衣を保護するための算段を整えていく……。

 

くっくっくっ、これからが楽しみだぜ…

 




ちなみにガトリングの反動は単発撃ちすることによって軽減しております。
……ガトリングの単発撃ちって、ものすごく武装のコンセプトとか無視してる気がするがキニシナイキニシナイ。

御感想及び誤字脱字等お待ちしております!


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神の子を見張る者
その後の後始末、あるいは新たな始まり?


Guten Morgen!
ども、礼楽です!

UA3400&お気に入り70件ありがとうございます!!

これからも頑張りたいと思います!
応援宜しくお願いします!
ではでは第六話、どうぞ!


第六話

 

 

 

さて、皆さんどうも。

高那岐芽衣です。

 

現在、私は見知らぬ部屋のベッドに仰向けの状態で寝ており身体中にコードのようなものが繋がっています。

 

さて、なぜこんな状態になっているのかというと。

あの後、キメラを全て倒した後私はその場でぶっ倒れたそうです。

その後のことは覚えていませんが、目が覚めた時にレイナーレがいた事からするとここは彼女達の施設かなにかなのでしょう。

 

…その時、レイナーレに何故か大泣きをされましたが。

 

「よう。気分はどうだ?」

 

若干耳が痛い中、アザゼルさんが書類のようなものを脇に抱えてやってきた。

 

「…起き掛けに大音量攻撃をもらったからか耳が痛いんですが。」

「まあ、そう言ってやんなってなんせ()()()()()()目が覚めたんだからよ。」

 

…はぁ!?

 

「一週間!?えっ、そんなに倒れてたんですか私!?」

「まぁ、待てって。

これから順番に説明するからよ。」

 

そのまま、椅子を持ってきて座り書類をめくる。おそらくカルテなのだろう。

 

「まずは、なんでここにいるのかなんだが…お前、自分が倒れたということはわかってるか?」

「はい、レイナーレがそんな事言ってたので。」

「よろしい、そこからなんだがお前をそのまま放置するのは気が引けてな。ここに連れ帰って治療した…つうわけだ。」

 

なるほど、じゃあここがえっと……何だっけ?

神の子を見張る者(グリゴリ)、堕天使陣営の総本部ですね。

ちなみに目の前のアザゼルさんは堕天使総督で、堕天使の中で一番エロ……偉い人です。》

 

今エロい人って言わなかった神様?

まぁいいや、とりあえずアザゼルさんは堕天使、それも堕天使総督ときた。

 

「えっと、治療ありがとうございます。」

「気にすんなって、こっちも下心があって連れ帰ったんだしな。」

「…それを本人の前で言いますか普通。」

「いいじゃねぇか、お前さんだってそこら辺は予測してたんだろ?」

「……ええ、まぁ。

タダより怖いものはないですし、むしろ下心無しだったらこっちが困ってましたよ。」

「なるほどねぇ…

それと、お前さんの身体なんだが。」

 

そらきた、やっぱり解析とかそのぐらいはしてたか。

どこまで、解析されたのかは分からないが……

 

 

「はっきり言って、あのままだとお前死んでたぜ?」

 

はえ?

 

「一応、倒れた原因とかを探ろうとお前を解析とかしたんだが……

逆にあの状態でよく戦闘ができたと感心するレベルだったぞ。

生体金属やら、壊れかけの魔力炉やらある物を適当にぶっ込んだらたまたま成功した、っていう感じだったぞ。」

 

おい、人類の叡智の結晶どこいった。

「特に魔力炉は見たことの無いコアを元にしていて全身強化や砲撃用の魔力を高い純度で自動的に引き出せる仕様だが、魔力炉自体が耐久が低く長期運用はできないポンコツだ。」

 

まさかのポンコツ扱いである。

 

「ただ、戦闘用兵器の技術としては最高傑作と言わざるを得なかったな。

高火力高機動を両立し、魔力炉を搭載して転移魔法陣による奇襲戦にも対応し、使用者のことをまったく考えていない超兵器の数々を扱えるように調整された素体。

はっきり言ってお前みたいなのが量産されたら、世界はあっという間に火の海になるな。」

 

うん、兵器云々については同意する。

確かに私が量産されたら、悪魔やらが手を組んで対抗しても、厳しいと思う。

だけどアザゼルさんは機嫌が悪くなったのか、こっちを睨んで来た。

 

「あのな、今俺はお前を量産つったんだよ。

普通なら嫌悪するなり自分は兵器じゃないって否定する場面だぞ。」

 

えっとこれもしかして怒ってる?

《もしかしなくても怒ってますね。

確かに普通なら嫌悪なりしますが…》

いやだって私、転生者ですし身体直接改造されたわけではないですし。

そりゃ、確かに普通の身体だったら良かったと思いますけど。

《うっ………ゴメンナサイ。》

いやいや、責めてるわけじゃなくてですね。

まあ、なんていうか。

 

「確かに普通ならそうですけども、

今更兵器じゃないって言っても変わる訳では無いですし、それならば。

 

 

あるがままを受け入れて、今を精一杯生きていこう。誰に何を言われても、自分を貫ければそれでいいじゃないですか。

 

 

そう思いましてですね…」

 

前世でちょっとしたことがあって悩んでる時に言われた言葉。

もう、誰が言ったかとかは覚えてないけどもこれだけは私の心に根付いている。

 

 

「はぁ……薄々気づいてはいたが、お前って、天然でバカなんだな。」

「ひどっ!?」

「まあ、いい。

それでなんだがな、お前さんの治療、もとい調整は終わってはない。

特に、あのぶっ壊れかけの魔力炉なんてほとんど治ってない。

あの施設から抜き出したデータも一部しか使えないから時間がかかる。

だかな、うちで預かるのにしてもいつまでも保護した人間、じゃあ納得しない奴もいるんだ。何より年端の娘をこんな状態でほっぽり出すのは気が引ける。

そこでだ。」

 

そこまで言うと、立ち上がって手をこちらまで伸ばし…

 

 

 

「高那岐芽衣、お前を神の子を見張る者の一員として迎え入れようと思う。」

 

 

 

え?

 

「私を…神の子を見張る者に…?」

「おう。なに、うちにくりゃあ退屈なんてしないだろうし、戦い方やら教えれる奴もいる。それに俺は神器の研究もしてるから()()()()()()()に対してのアドバイスも出来る。

どうだ?」

 

どうしようか………

メリットとデメリットを比較して、相手の思惑とかこれからを考えて………《やれやれ、芽衣さん。》んぇ?

(何ですか神様?)

《私の経験上から言わせてもらえば芽衣さん、深く考えすぎですよ。思惑とか、メリットデメリットとか、そんな感じで考えてると人の善意に気付けなくなりますよ?》

(そう、ですか?)

《そうです。伊達に神様やってませんよ〜?そういった悩みなどお見通してすよ?》

(……うん、ありがとうございます神様。)

《いえいえ♬》

 

決めた、難しく考えるより素直に行こう!

 

「アザゼルさん!」

「うお、おうなんだ?」

 

「高那岐芽衣!出来ることは少ないですが、精一杯頑張りたいと思います!

なので不束者ですが宜しくお願いします!!」

 

「お、おう。」

差し出された手を握る。

 

さて、これからが大変だ。

挨拶周りとかしないと。

あ、でも菓子折りとか無いしどっからか調達出来たら…

 

「っておい!どこ行くんだ!?」

「挨拶、回りです!」

「アホか!まだ、安静にしてやがれ!」

「…え?何事です!?」

「あ、レイナーレ!私神の子を見張る者に入ることになりました!なので宜しくお願いします!」

「え、えぇコチラこそよろしくね。」

「はい、では挨拶回りがあるので!」

「おい待て!レイナーレも止めろぉ!」

「あ、はい!ま、待ちなさい!」

 

 

 

さて、私の人生はこれからだ!

《打ち切りフラグ建てないでください!》




御感想及び、誤字脱字報告等宜しくお願いします!


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邂逅と対話、あるいは白龍皇(ショタ)

ども、礼楽です。

今回から新章です。

では、どうぞ!


第7話

 

 

さてさて、あれから1年が経ちました……

え?はやい?その間は?

って言われましても、その間はいろいろ大変だったんですよー?

 

まずは私の身体をなんとかしないといけなかったので再び施設にもどり資料を片っ端から集めまくる。

あの時、研究員を1人でも捕まえられてたら良かったんだけども逃げられた後だった…しかも、一部の資料は持ち去ったみたいだし。

 

その後集めた資料を元に魔力炉の修復及び強化、それと全体的な調節を1年がかりで行った。

これについてはアザゼルさんやレイナーレとその部下、あと堕天使幹部のサハリエルさんとアルマロスさんって人達に手伝ってもらった。

 

最初は手探りの状態だったけど、皆さんの協力やちょくちょく助言をくれる神様のおかげでなんとか完成した。

 

武装についても一部は流石にそのままだととてもヤバイ代物だと全員から言われたので(魔力砲とか、左腕のガトリングとか。)強力なリミッターをつけ、ガトリングに関してはゴム弾やら火薬の減量やらで威力を…少しだけ下げられた。

反動に関してはとある方法をとることで解決することとなった。

具体的には、前は不安定だった身体強化を安定させそれを持続させる。

それにより反動を完全とまではいかなかったが、70%以上は抑えることが出来た。

 

…ただ、アルマロスさんやアザゼルさんが悪ノリしていろいろと武装を付け足してしまった。

それも、まともなものばかりではなく色物や、完全にネタに走ったものまで様々な種類を作ってしまった。

しかも総督命令によりそれらすべてを、亜空間に常備する羽目に……

 

 

 

「あ、いた。何やってんのよ?」

「んー?この世の不条理を嘆いてたところ。」

「はあ?何それ?」

「具体的にはアザゼルさんの謎装備集…」

「あきらめなさい。」

「即答!?レイナーレひどい!」

「ほら、さっさと行くわよ。

今日はアザゼル様に呼ばれてるんでしょ?」

「はーい。」

 

まぁ、それは置いといて。

今日はアザゼルさんから呼び出しを受けている。

多分、慣らしを兼ねた模擬戦をするって前に言ってたしそのことについてだろう。

ちなみにレイナーレとはこの1年を通してお互いに親友と呼べる関係になれた。

 

「ところでアンタ、身体の調子はどうなのよ?」

「うん、もうどこもおかしくないし、やっと普通に生活できるよ。」

「ずっと、治療室のベッドだったもんね…」

「まぁ、仕方が無いよ。

っと、ここだここだ。」

 

【総督室】と書かれた部屋の前に着き、ドアをノックする。

 

 

コンコン

 

「アザゼルさーん。来ましたー!」

「おーう。入れー。」

「失礼しまーす!」

「失礼致します。」

 

レイナーレとそのまま総督室に行き、中に入る。

内装は一般的な企業の社長室と同じようなものだが、そこら中に散らばる書類やバインダー、果てはよくわからない機械など結構ごっちゃごちゃだ。

 

「…アザゼルさん、少しは片付けましょうよ。」

「ったく、入って一言目がそれかよ。つーか、敬え。一応上司だぞ俺?」

「上司っていうより総督ですけどね。それでご要件はなんでございましょうか?」

「おう、お前をヴァーリに会わせようと思ってな。」

 

ん?ヴァーリ?誰それ?

レイナーレに目線を向けるも知らないらしく首を横に振ってる。

 

「あぁ、お前らは知らなかったな。

ヴァーリっつーのは俺が保護してるガキでな、神滅具【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】の所有者だ。まあ、今代の白龍皇っていえばわかりやすいか。」

 

白龍皇…って、たしか…なんだっけ?

 

「二天龍アルビオンの…」

「そうだ、んで芽衣、前に言ってた模擬戦をそのヴァーリとやってもらおうと思ってな。」

「はぁ!?」

 

そうそう、それそれ。

たしかアルビオンって龍が封じられた神滅具なんだよね?

 

「アザゼル様正気ですか!?」

「おい、それはちょっとひどいんじゃない?俺流石に傷つくぞ?」

「その前に芽衣を傷物にする気ですか!?」

「大丈夫だって、アイツにはちゃんと手加減しろって言ってあるし、いざとなったら俺が止めるから。」

 

そんな2人の会話をよそに、私は神様に話しかける。

 

(…ねえ、神様。聞こえてます?)

《……むぐむぐ……む?(ゴックン)

はい、なんです?》

(あ、ご飯中だったんだ。)

《いえいえ、構いませんよ〜。それで何です?》

(あのね、私の神器があるじゃないですか。)

《あぁ、元の体のと特典、素体の分にアザゼルが継ぎ足した結果ごっちゃになって結局私がバレない程度に調整した【幻想機神(ファンタズム・マキナ)】でしたっけ?》

 

そう、前にも言われたが私にも神器がある。

神様の言う通り、最初はいろいろな物が混じりあってまったく内容がわからずアザゼルさんでもお手上げ状態だったのだが、こっそりと神様に頼んで調整してもらったのだ。

その結果生まれたのがこの【幻想機神】だ。

ただ、調整してもらったのにも関わらず、未だに発動出来たことがない。

原因についても不明の完全に持て余してるものだ。

 

(おもったんですけど、この神器にも白龍皇の光翼みたいに意志が宿っているってことありえますかね?)

《それは…わかりませんね。

そもそも幻想機神は様々な神器が混じり合い形作られたもの。

そこに意思があるとは思えませんが、しかしそれならば使えない理由がわかりませんし……》

 

そっか、もし幻想機神に意志があるのだとしたらヴァーリって人に神器とのコミニュケーションのとり方とか教えてもらおうかと思ったんだけどなぁ…

 

 

「おい、アザゼル。

いつまで待たせる気だ。」

 

 

そんな時、私の隣から聞き覚えのない声が聞こえた。

 

「おう、ヴァーリ。

きてたのか、わりぃな。」

「まったくだ、訓練場に来いと言ってから随分と立つから来てみたものの。」

 

横を見ると銀髪の少年がいた。

少々風変わりな白いドラゴンのぬいぐるみを右肩に付けている……可愛い

 

「えっと、君がヴァーリ君?」

「そうだ、俺がヴァーリだ。そういう君が高那岐芽衣だな。聞いていたとおりだ。」

 

……一体何を聞いたのだろうか凄く不安だ。

 

「さて、そんなことはどうでもいい。重要な事じゃない。

 

 

俺と勝負しようじゃないか。」

 

 

いや、元からする予定なんだけどね?

 




御感想及び、誤字脱字報告等宜しくお願いします!


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模擬戦!あるいは自分らしく

ドモドモ、礼楽です!

お気に入り93件及びUA5420、誠にありがとうございます!\('ω`)」

戦闘描写ってムヅカシイ……

あと、後書きにて報告があります。
それではどうぞ!


第八話

 

 

さて、訓練場に着いたわけですが。

先程からヴァーリ君が妙に張り切ってます。

 

「…ふっ、今まで戦った奴は手応えがなかったからな。アザゼルが1年間もお前の為に尽力したと聞く。つまりそれほどの価値がお前にはあるのだろう?せいぜい失望させてくれるなよ?」

 

どうやら、アザゼルさんがかまってくれないから八つ当たりしたいみたいですね。

 

《ある意味、その解釈って凄いですね…》

 

え?なんでですか。

なぜか神様にそこはかとなくバカにされている気がします。

 

「さぁ、いつでもいいぞ。先手は譲ってやる。」

 

そういいながら余裕の笑みで挑発してくるヴァーリ君。

……ちょっと、ムカっとした。

 

「…じゃあ、いくよ。っと!!」

 

踏み込み、右手で一閃。

そのままの勢いで回し蹴りを顔に放つ。

 

「…ふん、子供相手に容赦ないな。

しかも、当てる直前にナイフを出すとは。」

 

ナイフじゃなくて単分子カッターだけどね。

ヴァーリ君は怯みもせず、2歩下がることで避けきる。

 

そのまま左手の貫手、右脚の蹴り、右手の袈裟斬りを全て避けていく。

その顔はとてもつまらなそうだった。

 

「今の貫手といい、蹴りといい、まるで何かで見たものをそのまま真似ているだけにみえる。それも猿真似だな。」

 

ギクゥ!?

な、なぜに漫画やアニメでやってた格闘術を真似したのがバレたし!?

 

《…芽衣さん…》

 

やめて!

見えないけど哀れみの目を向けられているって事だけはわかるから!

それに理由ならちゃんとありますから!

 

《ほほぅ、なんなのです?

その理由って。》

(えっと、ここって室内じゃないですか。)

《ええ。室内演習場兼訓練場でしたか。》

(だからここでいつもの兵装とか使ったらここが壊れそうだなぁ…と。)

《そ〜ですね、確かに際限無く撃てばここ倒壊しますね。》

(それでそれで、戦うことはあんまり好きじゃないけど。この際だから近接格闘?っていうのも身につけた方が良いかなぁって思って。)

《それには、一理ありますね。

…で?》

(えっと、だからそのために前に見た漫画やらの技を…)

《芽衣さん…前から思ってましたけどももう一回言っときます、

 

 

貴女、大馬鹿じゃないですか。》

 

 

ひどっ!?

言い切ったよこの人!

 

《そもそも、下地も何も無いまったく修行とかしたことのない人が一朝一夕で技や技術を使えると思ってるんですか?》

 

うっ、それを言われると…

 

《ほら、きますよ。》

「…つまらん、こんなものか。

では、こちらから行くぞ。」

「えっ?……ッ!」

 

神様と話していたからか気が緩んだ一瞬を突いてヴァーリ君が………

 

その瞬間何をされたのか分からなかった。

 

気が付いたら仰向けに倒れていて、背中には強烈な痛みが走っていた。

 

 

「…ふん、その様子だと何をされたのか理解出来ていないな。」

 

起き上がると、先程と同じくただ、棒立ちの状態でヴァーリ君はこちらを見ていた。

 

「これが技術と経験を積んだ技だ。

ただの猿真似とはわけが違う。」

 

……なるほど、悔しいけどそのとおりだと思う。

今のでさえ何をされたのか分からなかった。

つまり、それだけ技術が高い何かをされたということだ。

 

「…まあ、そう気に病むな。

お前はまだ若いんだ。」

 

端の方で見ていたアザゼルさんにも慰めの言葉をかけられてしまった…。

凄く恥ずかしい…

 

…………あぁぁぁぁ!!!もう!やけっぱちだ!!

せめて一発目ヴァーリ君に当ててやる!

 

「戦闘用コード起動ッ!」

【コード・サタナキア起動】

 

 

「ほう、やっと…何っ!?」

 

ヴァーリ君が、おもちゃでも見つけた子供のように笑っているのも構わず全力で懐に潜り込む。

全身を魔力で強化しそのままの勢いで殴ったものの、ガードされてしまった。

 

「っ、今のは効いたな。

それがお前の本気のようだな。」

 

流石にダメージがあったのかガードした手をプラプラさせている。

だが、その表情はまるで獲物を狩る猛獣の如き笑みだ。

 

「さあ、もっと足掻いてみせろ!」

…上等!

 

そのまま互いに距離を取りヴァーリ君は魔力弾を、私は左腕のガトリングをそれぞれ撃ち、それらを消しあっている。

 

 

「くっ!威力だけはいやに高いな!」

【Divide!】

 

ヴァーリ君は背中から白銀の翼を出し、空中に逃げる。

何発かは当たる前に手に触れた途端勢いが減速してよけられている。

 

「だったら、こいつはどうだ!!」

上空から、先程より巨大な魔力弾を数発、打ち出してくる。

しかも直進するのではなく緩やかに追尾をしてる。

このまま、地上にいたら逃げきれないけど……

 

「これくらいなら!スラスター起動!」

 

背中と足からスラスターを展開し空中へ、魔力弾の間をすり抜けるようにしてヴァーリ君に近づく。

右手の単分子カッターで一閃する、ように見せかけてぶん投げる!

 

「少しは学習したかっ!」

 

それを難なく弾き飛ばされるが、こうなるのはわかってた!

 

右腕にスラッグカノンを展開、狙いを定めずに乱射する。

流石のヴァーリ君も避け切れることなく数発命中する。

そのままの状態で両腕の武装で……ひたすら撃ちまくる!

 

「っち、だが!

その状態では近づかれたら終わりだぞ!」

 

激しい銃弾の雨の中、ヴァーリ君は突然避けるどころか逆にこちらに向かって突っ込んでくる。その右腕には圧縮された魔力を纏わせている。

 

私は即座に右腕の武装を切り替え、魔力砲を展開、魔力のチャージ自体はこっそりと行っているのでそのままの体勢でヴァーリ君に向けて…………

 

「そこまでだ。」

 

アザゼルさんに止められた。

ヴァーリ君は右腕を抑えられているし、私も銃口を押さえつけられている。

 

「アザゼル、これからがいいところなのになぜ止めた。」

「てめぇら、周りを見てみろ。」

「「…………あ。」」

 

言われて周りを見れば、床はボロボロ、壁は穴だらけのとても大変な状況になっていた。

……ヤバイ。

 

「はぁ……お前らやりすぎなんだよ。ちっとは周りのことも考えやがれ。特に芽衣、それはやめてくれ。」

 

そう言って私の魔力砲を小突く。

ちなみに25%の出力で撃とうとしていたのだが、その分の魔力は勿体無いのであとでこっそりタンクに補充している。

 

「おい、高那岐芽衣。」

 

地上に降りて解散しようとした時、ヴァーリ君に呼び止められた。

 

「最初は酷いものだったが、中盤からは少なくとも上級堕天使以上の力を示していた。お前は近接より、後衛での射撃を極めるべきだ。」

 

そういいながら踵を返し、

 

「自信を持て。この俺から本気を引き出させたんだ。

 

楽しみにしているぞ。」

 

ニヤリと笑って出ていった。

…今のって褒められたのかなぁ?

 

「…あ、あのヴァーリが他人を褒めただと!?」

 

あ、このアザゼルさんの反応からしてどうやら褒められたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ところ変わって現在私はあるマンションの一室の前に居ます。

ここはグリゴリが保護した神器使いの人やらが住むマンションらしい。

何でも特殊な結界やらで覆っているから他の陣営からは見つからないのだとか。

とにかくこのまま立っていると邪魔になるので目的を果たすことにしよう。

インターホンを鳴らし、しばらくして。

 

「……なぜここにお前がいる。」

 

出てきたのは仏頂面のヴァーリ君。

そう、ここはヴァーリ君の部屋、の前。

あの後、アザゼルさんに聞いていろいろとおこなった後らここに来たと言うわけだ。

 

「やぁ、ヴァーリ君。さっきはありがとね。」

「…お前はわざわざ礼を言うためにここまで来たのか。」

 

なんか、若干呆れられた目線を感じるがそれは無視する。

 

「いやいや、それだけじゃなくてね………じゃ〜ん!お蕎麦持ってきました〜!」

「…なんで蕎麦なんだ?」

 

後ろ手に隠し持っていた、蕎麦(ざるそば)をヴァーリ君に渡す。

それを怪訝そうに見つめる。

 

「日本式でこれから宜しくって言うのと引越しの挨拶に使うんだよ?」

「ふーん、ひっこ……引越し?」

「うん。」

 

ヴァーリ君が慌てて隣の部屋を見ると、大量の家具やらを運び込む堕天使が出入りしていた。ちなみにこの人たちはレイナーレの部下で、既に顔見知りだ。しかも私の反対側の部屋にはレイナーレが住むらしい。

曰く、

「あんた、ひとりだといろいろと不安になると言うか……とにかく心配だから監視の意味も込めてあんたの隣に住む。」

《ツンデレ乙》

 

その時は神様がなんか言ってたが、

ともかく私とレイナーレ、ヴァーリ君はご近所になるということだ。

 

「…はぁ、やかましくなるのか。」

「大丈夫、そこまでうるさくしないから。

あ、あとアザゼルさんから食生活の改善も頼まれてるから。」

「まて、なんだそれは。聞いていないぞ。」

「だって、いくらラーメンが美味しいとはいえ、三食すべては身体に悪いよ?」

「それがどうした。ラーメンとは素晴らしい食べ物でその中でもカップ麺は……「あ、芽衣さーん、この荷物どうするッスかー?」…」

「あ、ヴァーリ君ごめんね。ちょっと行かなきゃ。

んじゃ、これからよろしくねー!」

「おい、話を………」

 

さて、ササッと片付けてみんなの分のご飯も作らなきゃ。

 

 

「あ、ミッテルトそのタンスは壁の方に。カラワーナさん、そのダンボール下さい。ドーナシークさんはすいませんがごみ捨てお願いします!」

「「「はーい!」」」

「なんでみんなわたしの指示よりテキパキ動くのよ!」

「……人徳じゃない?」

「うがーっ!!」

「わっ!?レイナーレがキレた!」

 

 

 

 

「………まったく騒々しくなりそうだ。」

 




活動報告にも書かせていただいてますが。

私のリアルでの仕事の激化により更新が遅れるあるいは止まるかもしれません。
年が明けたら更新が通常にもどる予定なので申し訳ありませんがお待ちいただけると幸いです


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何気ないバタフライエフェクト。あるいはグレゴリの日常

ども!
なんとか時間は取れたので投稿致します!

それではどうぞ!


第9話

グーテンもるげん!

 

突然ですけど助けて下さい。

職場(グリゴリ)の空気が最悪です。

というのも………

 

「………朱乃ぉ……」

 

上司(仮)のバラキエルさんが机に突っ伏したまま、負のオーラをダダ漏れして号泣しているからです。

 

ちなみに私のグリゴリでの立ち位置ですがアザゼルさん直下の特殊部隊(仮)所属で直属の上司がバラキエルさんとなってます。

 

それはともかく、普段はキリッとしていて真面目なバラキエルさんがここまでボロボロになってるのは一体………

 

「…ねぇ、レイナーレ。

何か知ってる?」

「…わかんないわよ、今朝ここに来たときからこうなってたから。」

「…そっか、ミッテルトちゃんは?」

「…うちに聞かれてもさっぱりッス。

カラワーナとドーナシークも知らないって言ってたっすよ?」

「…うーん、どうしようか…」

 

部屋の隅で三人で考えてみるがまったく思いつかない。

それにこの状態のバラキエルさんに話しかける勇気は私たちにはなかった。

というか、ダンディなおっさんが号泣してる絵面って誰得だよ。怖いよ。

 

 

 

「…ミッテルト、アザゼル様を呼んできて。このままじゃ埒が明かないわ。」

「了解す!駆け足で行ってくるっす!」

 

渋々といった顔でアザゼルさんを呼ぶように指示するレイナーレ。

まあ、こんなことで自分達のトップを呼ぶのは不本意なんだろう。

 

 

 

 

「…んで、なんだこりゃ。」

 

その後10分も経たないうちにアザゼルさんがやってきた。

何故かミッテルトちゃんは息も絶え絶えな状況で、レイナーレに渡された酸素缶でなんとか息を整えている。

 

「コイツがものすごい勢いで走り回って俺を探してたから、慌てて来てみりゃ……」

 

そうだったの!?

驚きのなかミッテルトちゃんを見るといい笑顔でサムズアップしてた。

今度なんか甘いものを奢ってあげよう。

 

「…で、だ。バラキエル、お前……その……あれだ、どうした?」

 

アザゼルさんもこんな状態のバラキエルさんを見た事がないのか多少動揺しながら話しかけている。

 

「…アザゼルぅ、俺はもうダメかもしれん……」

「おうおう、どしたよ。ほら話してみ?」

「朱乃がなぁ……朱乃がなぁ……」

 

アザゼルさんが来たことで多少落ち着いたのか、ようやく話し出すバラキエルさん。

 

 

 

 

「…朱乃がな、家出した挙句に悪魔になっちまったんだよぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

はい?

 

「は?おま、それマジか!?」

「……リアス・グレモリーの女王になったって、朱璃経由で手紙がきて………

俺はどうすればいいんだよぉぉぉぉ!!」

 

えっと、話についていけないんですけども……

 

「あのぉ、アザゼルさん。朱乃って?」

「あぁ、コイツの娘の事だ。

……しっかしグレモリーねぇ……」

 

グレモリーの名は聞いたことがある。

確か現魔王、サーゼクス・ルシファー。

その人の旧姓が確かグレモリーだ。

ってことは……

 

「相当、偉い人のとこに行っちゃったんだ…」

「家出するならまだしも!!悪魔に転生って!!うわぁぁぁぁん!」

 

うっ、本格的に泣き出しちゃいましたよ。こうなったら私たちにはどうしようもない。

2人にアイコンタクトをするとこっそりこっそりと部屋を出た…。

 

 

 

 

 

 

あれから一ヶ月。

ずっと泣いてばっかりだったバラキエルさんだったが、ある日知らない女性が職場にやってきていきなりバラキエルさんをシバキ上げた。

そのまま縄で縛られて女性に引きずられながら部屋を出て2時間後。

何故かスッキリとした表情の女性がバラキエルさんを引きずってきて、

 

「この人がまたダメになったら言ってね?」

 

そう言って部屋を出て行ってしまった。

その後バラキエルさんはなんとか立ち直ったのか泣くことは無く、真面目に仕事をし始めた。

 

後でアザゼルさんに聞いたところ、

あの女性はバラキエルさんの奥さんで朱璃さんというらしい。

元々、娘の朱乃さんにけしかけたのはこの人らしく、本人曰く人生経験なんだそうな。

 

よくわからん。

 

 

そんなこんなで時間は経ち、

今日はアザゼルさんに執務室へ来いとの事なのでたまたま暇だったヴァーリ君と、歩いているところです。

 

「…なるほど、だからバラキエルは様子がおかしかったのか。」

「うん。今は落ち着いていて、急に泣き出したりはしなくなったよ……酔わない限り。」

 

たまに皆でご飯を食べる時に、お酒が入っちゃうとまた泣きながら娘さんの事で喚き出す。

大抵アザゼルさんか朱璃さんにその場はなんとかしてもらうが、これはなんとかしたほうがいいのかなぁ……

 

 

「そりゃあれだ。下手に慰めたりすると返って逆効果になっちまうからな。こういう時はそっとしておいて、相手が愚痴りたくなったら聞いてやるのがちょうどいいんだよ。」

 

「うわっ!?」

びっくりしたあ!なんでアザゼルさんここにいるの!?

ていうか思考を読むな。

 

「お前が来るの遅いから迎えに来たんだよ。ほら、行くぞ。」

 

そう言ってアザゼルさんは執務室とは違う方向に歩き出して行った。

はて?

 

「あのぅ、こっちは執務室じゃないですよ?」

「分かってるっての。と、ここだ。」

 

そうしてたどり着いたのは…

恐らく施設の外れにある物凄く重厚な扉の前。

部屋のプレートには何も書かれておらず、そのうえ……

 

「…ねえヴァーリ君、私の見間違えじゃなければ扉中に危険物マークが書かれてませんか?」

「…奇遇だな。俺にもそう見える。」

 

至るところにWARNINGとか危険!とか書いてあって超怖いんですが!?

こころなしかヴァーリ君も若干顔が引きつってますし。

扉からはなんか嫌なオーラ漂ってますし、帰りたいんですけども!?

 

「ここはな、俺やサハリエル、研究が仕事の堕天使やらが作った研究物や試作品なんかを放置…もとい保存するための倉庫だ。」

 

放置って言ったよこの人!

 

「その中でお前に使えそうな武装やらがあるかもしれんと思ってな。こうして取りに来たわけだが…」

「…じゃあ、俺はこれで。」

「逃がさないよヴァーリ君!こうなったら一蓮托生、道連れだよ!!」

「やめろ!離せ!どう考えたって厄介ごとしかないだろう!」

「ヴァーリ君、男の子でしょう!」

「今それは関係ない!」

 

どう考えたって変なもんしか置いてない…!

なので割と本気で逃げようとしてたヴァーリ君を捕まえて羽交い締めにする。

 

「あー、安心しろ。そんなに変なもんは置いてないし。ただノリで作ったもんとか何も考えずにテキトーに作ったもんとかがあるだけだから。」

「「それが安心出来ない(の)!」」

「いいからとっとと入れ!開けるぞ!」

 

そう言ってアザゼルさんがドアの横のパネルに手をかざすと。

 

ドアが下にスライドしていき、

《…なんでドアなのに下にスライドしてるんでしょうか?》

 

ダメだよ神様、ここでは常識には囚われてはいけないのです。

最初の3ヵ月で私は慣れてしまいましたから…

 

《どこの風祝ですかあなたは。》

 

それはさておき、ドアが下がりきった先にあったのはだだっ広い空間にこれでもかってぐらい棚の敷き詰められた部屋。

 

その棚も一つ一つ形が違い、それぞれに違う物が置かれている。

 

「ここはな、グリゴリが設立された当初からずっと収集物やら素材やら、ほんとに色々なもんが置いてあってな…と、この列だ」

 

アザゼルさんについて行き奥に進むこと5分、目的の場所にようやく着いた。

棚の側面には「武器及び試験品」と書かれていてその下に「第23列」と書かれている。

 

…こんなのが23列もあるのか。

 

「さてと、この中から好きなもん取ってこい。説明は俺がするからよ。

ヴァーリも気に入ったもんあったら持ってってもいいぞ。」

「ふむ、俺は別にいらないが。

まあ、一応見てはおこうか。」

 

よし、とりあえずまともなの探しますか!

 

 

 

 

「…アザゼルさん、これなんですか?」

 

そうして各々が棚を物色している時、私が見つけたのは蒼い片刃の大剣。

全体が蒼く、ところどころに金色の装飾が描かれており美しい。

だが、目に付くのはそこではない。

刀背の部分に穴があいていて、何かの噴出口になっているのだ。

そして柄の部分に引き金があり、その先にはリボルバー型の弾倉が装着されている。

 

「ん?それか。

ブースターブレードってやつだ。特殊な炸薬を装填してその引き金を引くと中で炸薬が着火、刀背のブースターを通して排気。その時のブースターの加速により、あいてを叩き切る!ってコンセプト…と書いてあるな。ちなみに剣の銘はないらしい。」

「ブースターブレード……これもらっていいですか!?」

「お、なんだ気に入ったのか?いいぜ。持っていきな。」

「ありがとうございます!!」

 

いやぁ、良かった良かった。

一目見た時から釘付けになっちゃうくらい気に入っちゃったからもらえて良かったよぉ。

なんだ、怪しいものだらけかと思ったけどもマトモなものがちゃんと……

 

「おい、アザゼル。これはなんだ?」

「お!懐かしいなぁ!こいつはボディチェンジビーム発射装置のプロトタイプじゃねぇか!」

「…なんだその聞くからに怪しいものは。」

「こいつはな、ビームを相手に当て、その相手とそいつに1番近い奴の身体を入れ替えるって寸法なんだよ。ただ…」

「ただ?」

「入れ替えた後、元に戻らなくなる不具合が見つかってな。そのせいで倉庫送りになっちまったんだよ。」

「ダメじゃん!?それ!」

「…あと、これはなんだ?」

「おぉ!そいつはインフィニット・ハイトーンボイスチェンジャーじゃないか!さらにそっちはタイムマシンの試作機じゃあないか!そいつはな………」

 

 

 

訂正、やっぱ凄いけどろくな物が無かったです!




御感想及び誤字脱字等、お待ちしております!


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新たな生活〜原作一年前〜
いざ、駒王町!あるいは出会い。


………(土下座)

先週は更新出来ず申し訳ありません。
仕事が佳境を迎え、激務のため書く時間がありませんでした。
そしてあと一週間忙しいです。


それでもなんとか1話出来たので投稿します。
それではどうぞ!


第10話

 

グリゴリに入ってからほんとに色々な事があった。

アザゼルさんが作った失敗作が暴走したのを皆で止めたり。

ほぼ三日間ぶっ続けでヴァーリ君と模擬戦という名のガチバトルもしたし。

神滅具を持つ少年とその仲間達の戦いにも巻き込まれたし、ほんとに色々あって今……

 

 

 

「唐突だかな、お前高校行ってみる気ないか?」

「…はい?」

 

高那岐芽衣推定16歳、初めての高校生デビューです…って。

 

「高校ですか…。なんでまた突然」

「まあ、いろいろと理由があってな。まず一つ目はお前を学校に通わせようと思ったから。社会経験は大事だろ?そんでもってお前は人と仲良くなるのが上手いからな、友達でも作ったらどうだ?どうせ友達少ないだろ。」

「余計なお世話ですっ!」

「はっはっはっ!悪い悪い。

んで二つ目はな、そこの街に堕天使の拠点を作りたいんだわ。」

「拠点って、侵攻でもするんですか。」

「いや、そういうわけじゃないんだ。まあ。それは置いといて三つ目、これが1番重要だ。」

 

急に呼び出されて総督室に行ってみれば開口一番に学校へ行かないかと言われた。

それも理由を聞けば友達が少ないからとか拠点作りたいとか。

……友達ならレイナーレとかミッテルトとかいるし。

そんななか勿体つけるようにアザゼルさんが。

 

 

 

「3大勢力の和平のため、ちょっくら悪魔を偵察してこい。」

 

 

 

とんでもねぇ事を言った。

つか、ちょっと待て。

 

「…私、どこの高校に入学するんですか。」

「ん?駒王学園だが?」

 

駒王学園…確か、あの一帯って…!?

 

「リアス・グレモリーとソーナ・シトリーが統括してるところじゃないですか!?」

 

魔王サーゼクス・ルシファーの妹リアス・グレモリーと、セラフォルー・レヴィアタンの妹ソーナ・シトリー。

 

どう考えてもやばそう、てか下手すると魔王が出てくる可能性すらあるところに私(堕天使陣営関係者)が行く……

 

「チェンジで。」

「いや、お前しか出来ねーから。他のやつじゃ高校生とか無理があるから。」

「嫌ですって!だいたいなんでそんな危ないことしなきゃいけないんですか!?

あと、和平ってなんですか!?初耳なんですけど!?」

「どうどう。落ち着けって。」

「私、馬じゃないんですが!」

「和平自体は前々から考えていたことだ。この前俺らが戦争を続けても疲弊して共倒れするだけ、それじゃ余所からの攻撃を受けた時に対処出来ねぇだろ?

って話をサーゼクスとミカエルにしたら、アイツらも同じ事を考えてたらしくてな。

それで和平結んで同盟しようや、ということになったんだわ。」

「その和平自体には賛成なのですが、それで?なんで私が悪魔にスパイするようなことになるんですか。」

「禍の団。」

「…!?」

 

禍の団。通称カオス・ブリゲード。

全容は未だ解明されていないが、3大勢力を引っ掻き回して戦争をさせようとしている、いわばテロリスト集団だ。

私自身も何度か交戦したことがあるが、ほとんどが底辺の構成員だったらしく瞬殺した…が、とある男に目をつけられて以来何度もそいつと戦うハメになってしまった。

 

「ココ最近奴らは、急速に勢力を増大させている。そしてとうとう悪魔にもちょっかいを出し始めたらしい。」

「…うちからも何人か流れて行ってしまってますもんね。」

「ああ、しかも悪魔の上層部は禍の団の存在を知らないらしい。そんな中禍の団に流れた堕天使が、悪魔に手を出してみろ。悪魔からしたら堕天使陣営が攻撃を行ったといった風に捉えるだろうよ、まったくめんどくさいがな。」

「………禍の団のことを教えないんですか?」

「今のタイミングでそれを伝えてもこっちの情報かく乱だーとか捉えるヤツとかも多いだろうな。」

「なんとなくこの先の展開が読めるのは何故ですかね…」

「いろいろと成長したからなんじゃね?主に身長とか胸とか。」

「どこ見ながら言ってんですか、セクハラでブチ抜きますよ。」

「おーけー、全面的に俺が悪かった。だから、それをこっち向けんな!?」

 

…っち。せっかくこの世からまた1人セクハラオヤジを消滅させるとこだったのに。」

 

「おい、後半聞こえてんぞ。

…ったく、そこでだ。悪魔に誤解を与えないようにかつ、ついでに悪魔の期待の新星の実力をも測るために親善大使っぽく行ってこい。そしてバレるな。」

「…それ相当、キツイんですけど。そもそも親善大使なのにバレるなって…」

「今の悪魔陣営には堕天使嫌いなヤツ多いからなぁ。それではなから受け入れる奴なんざいたら戦争なんで起きやしねぇよ。」

「だから私なんですか…

もー、わかりましたよ。行きますよ。」

「あ、ちなみにもう入学までの手続き済んでるからな?」

「……………それを先に言えバカ総督!!」

「げぼぉあ!?」

 

諦めて仕方なくじゃあいまから入試とかがんばろーかなって思ってたのにこの人は…!

しかも事後承諾、思わずぶん殴ってしまった。

 

《…最近暴力的になってないですか?主にアザゼルに対して。》

(大丈夫ですよ、暴力的になるのはアザゼルさんだけですから。)

《…それは安心できるのでしょうか。》

 

 

 

 

 

そして日が経ち月が経ち、一月。

 

んで、やってきました駒王町!

…はぁ、疲れた。

そして寒い。

一応、アルマロスさんにお願いして解析系統の魔術に対して対策はとったし。

あとは目立たないように行動すればいいのだが……

 

「うーん?…こっちが神戸、あっちがソチで…」

《どこの難民ですか貴女は…》

「あははは……」

 

ついボケてしまったが実は現在絶賛迷子なのです。

……だって、来るのが初めての町なんですよ?地図片手とはいえ迷うのは仕方ないことなんですよはい。

こんな時にレイナーレは先に行ってしまって一緒にいません。

 

《やはりここは電話をした方がいいんじゃないですか?》

「いや、そうしたいのもやまやまなんですが、電池が…」

 

こういう時に不運は重なるもので、スマホの電源も落ちてしまっていた。

弱ったなぁ…

 

「最悪、大通りまで適当に歩いて交番を探してみようか。それとも…」

「あの。」

「いやいや、ここはあえてここで待ってたら探しに来てもらえたりなんかして。」

「ちょっと?」

「それとも……ん?」

 

なんかさっきから誰かに話しかけられてるような?

そう思って地図から目を離して見渡すと近くに困り顔の金髪イケメンがいた。

 

「良かった…もしかしたら無視されているのかと思ったよ。」

「ごめんなさい、考え事をしていたから。」

「ううん、いいよ。それより、もしかして道に迷ってるのかな?」

「………何故ですかね?」

「えっと、地図片手にうんうん唸ってるからそうかなって?」

「うん、そうですよ。この町に初めて来たもので、ここなんですけども…」

 

とりあえず少々恥ずかしいものの、この人に道を聞こう、そうしよう。

 

「……えっとそれここから結構距離あるよ?」

「え。」

「多分駅から方向を間違えちゃったんだね。ちょうど駅を挟んで真反対だよ。」

 

oh......マジですか。

結構歩いたから近いのかと思ってたら逆に遠ざかったという。

 

「あの、大丈夫?」

「うん、大丈夫ですはい。」

「あはは…良かったらそこまで送って行くよ。その方が迷わないだろうし。」

「え?いいの?」

「うん、僕は予定ないし。」

「すいません、お願いします…」

 

やばい、何この人超良い人だ…!

 

 

 

「へぇ、じゃあ君は駒王学園に入るために引越しを?」

「そうですよ。今年の入学に合わせて早めに来たんです。」

「そうなんだ、僕も今年から駒王学園に入学するんだ。」

「おぉ、じゃあクラスメイトになるかもしれないね?」

「そうだね。そうなったらよろしくね。」

「はい、こちらこそよろしくお願いしますね?」

 

あれから木場君(歩いてる途中に自己紹介した。)と歩きながら話していたらなんと彼も今年から駒王学園の生徒なんだそうで。

……まあ、当然か。

木場君隠してるみたいだけども微妙に魔力がもれてるし、おそらくは悪魔、それも誰かの下僕なんだろう。

私の探知機(目)を甘く見てはいけません。ふんすっ!

 

「っと、ここだね………ずいぶんと大きい家だね……」

「ええ、普通ならそうですよね……」

 

そうして歩くこと小一時間、地図の通りだとこの目の前の武家屋敷が私の家だ………

アイエェェェェ!?

武家屋敷!?武家屋敷なんで!?

てっきりワンルームのマンションかアパートだど思ってたのに!

 

《これは……この屋敷、まるでFateの衛〇邸ですね。》

 

えぇ……この屋敷1人で住むの凄く大変そうなんですけど…

 

「あ、やっと来たわね。遅いわよ!」「ごめんごめんレ…なにその格好?」

「なにって、掃除するのにいつものじゃ汚れるでしょ。」

「うん、だからって割烹着…」

 

2人で唖然としていると玄関からレイナーレが出てきた。のはいいんだけどその格好は何故か割烹着に三角頭巾と和風の格好だ。

しかも似合ってるし。

 

「ん?そっちの人は?……あぁ。」

「哀れみの目で見るな!

どうせこの子迷子になってそのへんの人に道を尋ねて送ってもらったんだろうなぁ。って感じの目で見るな!」「高那岐さん、それ自分で言ってるよ。」

「あら、よくわかったわね?」

「分からいでか!」

「まあ、何にせよ二人とも歩いて疲れたんじゃない?暖かいものでも出すから飲んでいきなさい。」

 

そう言ってにこやかに笑うレイナーレはなんだか…

 

「おばあちゃんみたいだね。」

「ちょっと待てやオイ。」

 

……コブラツイストは酷いと思うんだ。




御感想及び、誤字脱字報告等よろしくお願いいたします!


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奇天烈!奇っ怪屋敷。あるいは仲間との再会。

あけましておめでとうございます!


今年もよろしくお願いします!

そして、このハイスクールDxD〜機械仕掛けの少女~をよろしくお願いいたします!


……そしてすいません、今回も短いです。
その代わり簡単ではありますがプロフィールも同時に投稿させていただきます!
それでは、11話どうぞ!


第11話

 

「なんじゃこりゃー!?」

屋敷に入るなり叫んでしまったのだがこれは仕方が無いと思う。

《これは……ちょっと……》

「高那岐さんどうしたの…って、え?」

「安心しなさい…私も最初見た時同じふうになったから。」

 

玄関から入っておそらく居間に繋がる障子を開くと…

畳と思われる上に敷いてある赤絨毯、壁には50インチの薄型テレビ。

茶道具とティーセットが飾られていて横の掛け軸には何故か「生涯現役」と書かれてある。

部屋の隅には甲冑と西洋甲冑が仲良く並んで置いてあり、庭の方を見ればししおどしと噴水がある。

 

はっきり言ってナンダコレ状態だ…

「一体どこをどうしたらこうなるのよ!」

「言っとくけど、私がしたんじゃないわよ。引越しを手伝いに来たらこうなってたのよ。」

「ってことはあの人かぁ……!」

 

思い浮かぶのはちょいワル系のおっさん。

ぶっちゃけアザゼルさんだ。

とりあえず脳内でぶん殴っておく。

 

「……ず、ずいぶんと個性的な趣味なんだね。」

「ち、ちがうよ!?これは……父さん、そうお父さんの趣味なんだよぉ!!毎回こんな感じになっちゃってさあははは……」

 

木場君が致命的な勘違いをしていたので慌てて反論したがどんな父親だよ、こんな家建てる奴。

と、

 

「そうなのよねぇ。お義父さん、毎回言ってるんだけど直らなくてね。」

 

何故かレイナーレまで乗っかってきた。

あと、お父さんのイントネーションがちょっと違ったような。

そうこうしているうちに、レイナーレがお茶の入った湯呑みを持ってきたので、とりあえず台所(何故かフローリング)のテーブルに座った。

ちなみに席順は私、その隣にレイナーレ、机を挟んで木場君だ。

 

 

「さて、改めてまして。芽衣の義姉の天野夕麻よ。苗字が違うのは私が養子だからよ。」

 

座るなりいきなりとんでもないことぶっ込んできたレイナーレ。

なに!?いきなり姉キャラに目覚めたの!?

軽くジト目で見たらにこやかに微笑まれた。

 

「そうなんですか…

僕は木場祐斗と申します。」

「木場君っと、よろしくね。出来れば芽衣とも仲良くしてあげてね?(チラッ)」

「あっ、はい。」

 

もうこれ完全に木場君信じちゃってるよ。

なんか目配せ的なものもきてるし。

この路線で行けと?

あー、あれか。アザゼルさんの下で働いてたからとうとう頭がおかしく…

 

ズドムッ

「〜〜っ!?」

「…ん?高那岐さん、どうしたの?」「きっとお茶が熱かったのよ。」

 

こ、こいつ!

踵で足踏みやがった!?

恨みを込めて横目で睨みつけると。

 

「?」(ニコッ)

 

まるで何も無かったかのような様子で、にっこりされた。

…ちょっとイラッとした。

 

 

 

その後、木場君と様々な話をしていたが、まぁ次から次へと出るわ出るわ私の捏造設定。

曰く、

父が日系で母がフランス人。

幼少期は海外を転々して過ごす。

その時に孤児だった天野夕麻(レイナーレ)を引き取った。

その後アメリカから引っ越してきて、駒王町に来た。

両親はまだ海外におり、夕麻も職場の社員寮で暮らしているため、一人暮らしになるとか。

 

しかも後で確認したら戸籍から渡航履歴、出生証明まで全部捏造してあった。アザゼル曰く、全力で捏造したとか。

 

……もっと他のことに全力を使えよ、神の子を見張る者。

 

 

 

その後、他愛のない話をした後木場君は帰った。

この世の中、いい人っているんだねぇ。

…悪魔だけど。

ちなみになんで木場君が悪魔だとわかったのかというと。

私の眼には魔力検知やサーマル、暗視などなど、色々とフィルターのように切り替えられる。

その機能を使って木場君を見た時、身体の中にチェスの駒の様なものが見えたのだ。

恐らくそれは【悪魔の駒】。

悪魔が人間を転生悪魔にするのに使う道具だと記憶してる。

 

つまりそれを身体に入れていることから木場君は悪魔と判断したのです!

 

《…こういう時は、無駄に頭が回るんですけどねぇ…》

 

 

 

次の日、とりあえず家のおかしなインテリアについては早急になんとかしたかったのでアザゼルさんに人手をよこしてもらえるように頼んだのだが…

 

「…はぁ、みんなごめんねわざわざ来てもらって。」

「いいよ、気にしないで。」

「…ったく、なんで俺まで。」

「それを言ったら俺まで呼ばれる理由が無いんだが。」

「そこの2人!文句言わない!」

「あははは…まあまあ、夏海ちゃん落ち着いて。」

「うー…力仕事は苦手なのですが…」

 

やってきたのは、幾瀬鳶雄(いくせとびお)君をはじめとした前のマンションに住んでいた時に起こった事件の仲間達。

それもヴァーリ君やラヴィニアも一緒に来ていた。

ちなみにレイナーレは神の子を見張る者の本部に戻っていてここにはいない。

 

「…っていうか、なんだこの庭園。

はっきりいって悪趣味の塊だぞ」

「…全くアザゼルの趣味はわからん。」

「とりあえず分かれて作業した方がいいわね。」

 

2人の言う通り、内装もめちゃくちゃだったが、庭もかなりのものだった。

 

動物の形に剪定された植木はまだいいが、この池は正直言っていらない。

なので男性陣には庭をお願いして、女性陣は内装を担当する。

 

 

 

 

「…ねぇねぇ紗枝ちゃん、鳶雄君とはどうなの?」

「…そーいえばこの前、2人でどこかに出かけていたのを見たのですよ。」

「ふぇ!?な、ななな何のことかなぁ!?」

「ほう、ラヴイニアちゃん。

そこんとこ詳しく。」

「な、夏海ちゃん。顔が怖いよ…?」

 

 

しかし、そこは年頃の女の子。

集まって作業をしていれば必然なほど恋バナやらそういった類いの話が出てくる。

女が三人寄れば(かしま)しいとはよく言ったものだ。

この場合は四人だが。

 

 

「あれは、違うって!

あの…ほら…大学!そう大学に通うのに必要な物を買いに行ってたの!」

「みー、随分とお洒落な格好をしていたと思うのですが。」

「さ、流石に町中をジャージとかで歩けないでしょ?だからそういった格好になったのよ!」

「え、でも私はジャージとかで普通に街中歩けるよ?」

「「「それは芽衣だけです(よ)(ですよ)!」」」

「み、皆で言わなくても!?」

「…前から思ってたけど、芽衣ちゃんの服装って大抵ジャージかタンクトップにホットパンツのどっちかだよね…。」

「そ、そんなことないよ!?他にも持ってるよ!?っていうかそれ以外も見た事あるでしょ!?」

「「「ない(よ)(ですよ)」」」

「ジャケットを着てるか着てないかの差ぐらいしか無いような…?」

「初めてあった時も確かジャージだったです。」

「芽衣……今度レイナーレも一緒に服買いに行きましょ?」

「……うん。」

 

 

まぁ、女の子の話なんてころころと話題が変わっていくものですがね?

 

 

そうしてなんとか人を招いても大丈夫な風に改装出来たのは途中でみんなの悪ふざけが入ってさらに時間がかかってしまったのはそれはまた別の話。




御感想及び、誤字脱字報告等よろしくお願いいたします!


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これが私のスクールデイズ、あるいは事件です。(前編)


なんと、UAが10000突破しました!
とっても嬉しいです!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
これからも精進していきますのでよろしくお願いします!

今回、少し自分なりに下級生書き方を変えてみました。

それではどうぞ!


第12話

 

学校、それは学びの場。

学校、それは社会の縮図。

学校、それは新たな人達と出会い、友情を育んでいく場。

 

世間一般的には、学校はこのような認識のはずだ。

でも、私が通う学校にはこれらの他にももう一つ付け加えなければならない。

 

 

学校、それは悪魔の巣窟。

 

 

(…帰りたい。)

《ダメですよー。そもそも、素敵な学生生活送りたいと言ったのはどこの誰でしたかねー?》

 

ふざけるな。

確かに学生生活をしたいと言ったのは私だが、スパイもどきをしたいとは言ってないよ!?

 

 

不安とストレスの入り交じった入学式はとうの昔に過ぎ去り、季節は初夏を迎えようとしている七月。

不本意ながら始まったこの学生生活も三ヶ月を過ぎようとしていた。

 

(あと、この制服。

何故ここまで胸を強調させるようなデザインなのだろうか。)

 

どうでも良い事を考えながらも学校へと歩く速さは一定で、それは誰にもぶつからずにスイスイと人混みを分けて進んでいく。

 

そうして学校へと近づいていると…

 

「あ、高那岐さん。おはよう」

「おはよう、木場君」

 

横合いから声をかけられ振り向くと、金髪のイケメン男子がいた。

 

一月に道に迷った時にたまたま助けてもらって以来友好を深めてきた友人、木場優斗君だ。

 

互いに挨拶を交わし、2人で並んで歩いて行く。

この三ヶ月間でもはや日常となった光景だ。

 

そんでもって学校の校門の近くまでくると…

 

「あら優斗、芽衣。おはよう」

「おはようございます、部長」

「…おはようございます。」

 

…決まってこの先輩に出会う。

 

リアス・グレモリー。

駒王学園二年生のオカルト研究部部長にして、その正体はここら辺一帯の統括をしている悪魔だ。

その横には、彼女の『女王(クイーン)』姫島朱乃もいる。

2人はこの学校の『二大お嬢様』として有名である。

 

…が、私にとってこの2人は学校の先輩ではあるが、頭痛とストレスの種その1とその2だ。

 

前者に関しては言わずもがな、現魔王サーゼクス・ルシファーの妹であり一帯の統括者。

私の正体がバレないように避けようとしていたが、何を思ったのか向こうから接触してきたのだ。

以来、挨拶や会話をするようにはなったがこちらとしてはいつバレてしまうか気が気でない。

 

後者に関しては、最初はリアス・グレモリーの『女王』としての認識しかなかったのだが、なんと彼女はバラキエルさんの娘さんなんだとか。

…そういえば、大分前にそんな事を言っていた気がしたのだが正直忘れてしまっていた。

それをそのまま報告したものだから、バラキエルさんは何を思ったのか学校まで殴り込みに行こうとしたのだ。

その時はアザゼルさんや奥様の朱里さんが物理的に沈めたので事なきを得たが、それ以来姫島朱乃の情報やらをバラキエルさんがいちいち報告しろやら教えてくれやらとうるさいので困ったものである。

 

「あらあら、2人はいつも朝は一緒に来てるのね?」

「…ええ、まぁ。

いつも来る途中で会うので。」

 

姫島先輩は二年生ではありながら上級生から下級生までの受けがよく、見た目や面倒見の良さからまさに大和撫子とでも呼べるような人なのだが、きっと朱里さんみたいにSッ気があるに違いない。

…でも、バラキエルさんの血も引いているわけだからもしかしてMっ気もあるのでは……

 

「…あら、何か失礼な事考えてない?」

「いえ、何も考えてないですから!?

ってか近いですって!」

「あら、そう?

ごめんなさいね」

 

…びっくりしたぁ。

急に顔を近付けるから驚いたが、あの笑顔は絶対黒かったと思う。

というか何故感づいたし。

 

 

 

 

 

 

「…怖かった」

「あははは…

副部長は、怒らせると怖いからね。」

 

あの後、先輩方と他愛のない話をし、それぞれの教室へ移動した。

ちなみに木場君とは同じクラスだ。

私が廊下側の一番奥で木場君はその前だ。

 

「…あの人絶対Sだよ、それもドが付くSだ。」

「あははは…」

 

木場君。

笑ってごまかしてるけども否定はしないってことは君も同じこと思ってるってことだよね?

そこら辺を問い詰めようとした時しようと口を開き……

 

「「「「「くたばれ!この三馬鹿変態共!!」」」」」

「「うわぁぁぁ!?」」

「ちょっと待て!今回は俺関係ないぃぃぃぃ!?」

 

……ある意味この学校の名物によって邪魔された。

廊下を見れば男子が三人全力疾走で走り、その後ろを多数の女子がそれを追いかけ回してる。

 

…またか。

私は追いかけられてる三人を見てゲンナリした。

兵藤君、松田君、元浜君の三人だ。

 

この3人は…いわゆるスケベというか変態というか、つまりそういった分類に分けられる人達だ。

彼らはいつも何かしら問題を起こしてはああやって、女子に制裁(フルボッコ)されるのだ。

 

 

「ごめん、木場君。

ちょっと止めてくるよ。」

「え?

…って高那岐さん!?」

 

私は木場君に断りを入れてから廊下側の教室の窓を開けて…

 

「せいっ!」

「「ぐっはぁ!?」」

「あっぶねぇぇぇ!?

って、おわ!?」

 

思いっきり枠を踏んでジャンプし、レッグラリアットをかました。

松田君と元浜君の2人はもろに顔面に直撃して吹っ飛ぶ、が兵藤君は直前でしゃがんで回避する。

だが走ってる途中でしゃがんだため、バランスをバランスを崩してコケた。

 

……なかなかいい反射だ。

でも、それが仇になる場合もある。

 

「ぜぇ…やっと追いついたわよ!」「大人しくしなさい!」

「げぇ!?やば!」

 

こうやって後ろの女子に追いつかれて囲まれるとかね。

 

「ち、ちょっと待て!?

そもそもなんでお前らキレてるんだよ!?」

「この後に及んでまだ知らばっくれるつもり!?」

「あんた達三人がやった証拠はあるのよ!」

「こんのぉ!」

 

兵藤君は観念するかと思いや、急に知らばっくれはじめた。

それを聞いてますます女子達が、怒りで興奮し出した。

手前の剣道部の子なんて木刀で殴ろうとしてる。

 

…しょうがないなぁ、もう。

 

「はい、そこまで。」バシッ!

「なっ!?」

「こ、高那岐!?」

 

流石に目の前で下手したら流血沙汰が起きるのは嫌なので兵藤君の頭上に振り下ろされた木刀を素手で受け止める。

少々、痛かったけれどなんとか止めれたのでよしとしよう。

 

「ちょっと高那岐さん!なんで止めるのよ!?」

「いやいや、流石に木刀は不味いと思うんだけど。

万が一、兵藤君がそれで大怪我したらどうするのよ。

それにちょっと落ち着こう?

結構な騒ぎになってるし。」

 

見れば結構な野次馬に囲まれてるしこのままだとよくはなかった。

 

 

 

 

 

 

「更衣室に隠しカメラねぇ…」

 

一旦、彼女達をなだめてその場はお開きにした。

そして放課後、兵藤君達はてっきり逃げるかと思ったけども兵藤君が引きずるようにして松田君と元浜君を連れてきた。

曰く、このまま濡れ衣を着せられたままなのは嫌だそうだ。

…そういうところはカッコイイんだけどなぁ。

 

その後、女子達が事実の説明をした。

 

部活で朝練をするために更衣室に入ったら部屋の隅に隠すようにしてカメラが置いてあり、そばに元浜君の生徒手帳が落ちていたのだとか。

 

「つまり、コイツらがカメラを仕掛けて隠し撮りをしてたってことよ!」「状況的にはそう見えるけども……

元浜君は何かしら弁明ある?」

「あぁ!もちろん!

そもそも俺達はそんなことやってないし!

それにどうせ見るなら生で見たほうがいい!」

「「余計な事まで言わんでいい!」」

「げぶぅ!?」

 

状況証拠では元浜君が犯人だがそれだけでは確証にはならないし。

あと、弁明としてそれはどうなんだろうか…

 

「元浜君、生徒手帳今持ってるの?」

「いや、先週くらいに何処かで無くしたらしくてな。

ちょうど探していたところだ。」

「そう……。」

 

生徒手帳が偽物の可能性もあったが、本人が無くしてる以上、ほぼ本物の疑いもある。

 

 

こうなっては仕方が無い。

行きたくはなかったけども。

 

 

「…これって生徒会に相談した方がいいと思う。三人の濡れ衣を晴らすためにも、盗撮犯を特定するためにも。」

 

 

私は諦めつつも頭痛の種その3のいる生徒会へ行くことを進言した。

…ていうかなんで首を突っ込んだだけの私が中心に立ってるのかなぁ……

 




御感想及び、誤字脱字御報告等、よろしくお願いします!


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これが私のスクールデイズ、あるいは事件です。(中編)

………書きたいことを書いていたら予想以上に長くなった件。

それと、ご感想や評価をくださった皆様、本当にありがとうございました!
例え低評価であっても、じゃあこの人に今度は高評価をつけてもらえるように頑張ろうとも思えますし
高評価であっても、それに甘んじること無く、精進しながらもっと良くしていこう。
そう思って頑張っています!

至らない点も多々あるかとも思いますが、今後ともども本作をよろしくお願いいたします!

それでは、どうぞ!


第13話

 

〜side一誠〜

 

おっす!

俺の名前は兵藤一誠!

今、俺達は生徒会室へと向かってる。

今朝、学校に来たら言われのない濡れ衣をかけられてしまったぜ畜生…

 

何でも、女子更衣室に隠しカメラがあってそばに元浜の生徒手帳が落ちてたらしい。

元浜には聞いたがそれは落としたもので、隠しカメラなんて付けてないらしい。

でも、日頃の行いからか誰にも信じてもらえずにいつものようにフルボッコにされそうになった時、そいつは現れた。

 

 

教室廊下側の窓からレッグラリアットをかましながら。

 

 

あの時は無我夢中で避けたが、元浜も松田も後遺症が全然なかったから多分加減してくれた……んだと思う。

 

高那岐芽衣。

学年主席で入学し、この前の中間テストでも全教科満点などかなりの秀才として校内で話題の女の子だ。

スタイルも良く、深い深紅のショートカットに青みがかった目とおおよそ日本人とは思えない容姿で、かなり可愛い。

当の本人はそういったことには無関心で俺達みたいな奴にも平気で話しかけたりしてくれる。

 

 

その後、木刀から庇ってくれたりもした。

でも、パッと見鍛えてない華奢な手で勢いがついた木刀を止めた時は流石に俺も驚いた。

 

教室の中から見てた金髪の男子も目を見開いていたくらいだし、高那岐って、改めてすげぇヤツなんだなって思ったよ。

その後も、女子の話だけではなく俺達の言い分も聞いてくれて生徒会長に相談に行くなんてこともしてくれた。

ほんとにアイツには頭が上がらないぜ……

 

 

ただ、高那岐は何故か生徒会長が苦手なようで生徒会室へ行く時も苦い顔をしてた。

 

こっそり理由を聞いてみたら

「あはは…。

私あの人に説教されたことがあってね…

どうにもその後から苦手になっちゃったみたいで。」

と言ってた。

 

 

ほんとに大丈夫なんだろうか……

 

〜side芽衣〜

 

 

兵藤君に聞かれて咄嗟に考えついたことを適当に返事をしたのだがどうやら信じてしまったみたいだ。

 

正直私が支取蒼那先輩…ソーナ・シトリーを苦手としているのはやはり私が正体を隠しているからである。

だが、聞いた話によると彼女は本当に説教癖があるらしく、この前は不良に対して三時間にも渡る説教をした……と聞いている。

 

 

と、余計な事を考えていると生徒会室に着いた。

 

ノックをして中に入ると正面にいた。

深い青色のような髪に、メガネをかけた女子。

現生徒会長、支取蒼那その人である。

 

「話は聴いてますよ。

更衣室に隠しカメラだとか。

それで兵藤君、元浜君、松田君。

あなた達が疑われてることも。」

 

…流石に知っていたか。

支取先輩は兵藤君達の顔を見ながら話していたがその目に疑いの色は無い。

 

…疑いの色が無い?

 

 

「お、俺達はそんなことしてません!

本当に知らないんです!」

「落ち着きなさい。

普段の素行や、生徒手帳が落ちていたことからあなた達が疑われるのも無理はないでしょう。」

「で、でも!」

「…しかし。

ただそれだけではあなた達が本当にやったのかどうかはわかりません。

それに()()()()()()()()()()()()以上、ここで追及しても仕方の無いことです。」

 

……え?

カメラ無いの?

え?でも見つけたって…

 

「あの……カメラが無いってどういうことなんですか?」

「…貴女は?」

「一年の高那岐です。

それよりもカメラが無いとは…?」

「…聞いた話によると着替えていた女子達がカメラと生徒手帳を見つけたあと、真っ先に元浜君のところへ行ったそうで、騒ぎを偶然近くで聞きつけた先生が更衣室を調べた結果、カメラは無くなっていたそうです。」

 

……先輩からの話を聞いた私は思わずコケそうになった。

まさか真っ先に犯人候補をシバキに行くとか、うちの学校の女子逞し過ぎですよ。

 

「とにかく、この件は生徒会が預かります。

今日はもう帰りなさい。」

 

支取先輩はそう言いながら私達を帰るように促した。

時計を見ればもう18時だ。

 

「…それと、最近夜に不審者が出るというので、夜間は極力出歩くのを控えてください。」

「…わかりました。

失礼します」

 

兵藤君達はその後下校したが、去り際に先輩が言った不審者というのが気になっていた。

…そんなこと、HRでも言われなかったし注意喚起も受けていない。

なのに支取先輩は不審者が出るから夜は……夜?

 

 

 

「…確かこの女子更衣室だっけ」

 

帰り際、件の女子更衣室に寄る。

今更何かあるかどうかは分からないが、こういうのは実際に見て判断するものだとアザゼルさんが言っていた。

 

「……どう?………か……」

「……なにも……………です……」

 

と、近くまできた時誰かの話し声が聞こえたため咄嗟に草影に隠れた。

声の片方には聞き覚えはないけどもう片方は……木場君?

 

こっそりバレないようにのぞき見ると木場君と白髪の女の子が女子更衣室の前で話していた。

白髪の女の子の方は校内で見たことが無く、私よりも年下のように見える。

もしかして…木場君の妹だろうか?

だとしたらこんな人気のない所で2人っきりで何を………

は!?まさか!?

禁断の関係!?

《ズコーー!》

 

「…とりあえずこんな所で話していると誰かに見つかるかもしれないし、中に入りませんか?」

「うん、そうだね。

人払いされているはずだから中には誰も……」

 

ヤバい!

2人が更衣室に入ろうとしてる!

木場君が爛れた道を歩もうとしているのならそれを止めるのは友人としての私の使命!!

 

私はその場にカバンを置き、近くにあった丁度いい大きさの木の棒を二つ手に取ると、木場君の行く手を阻むようにぶん投げる!

 

さあさあ、木場君行きますよ!

 

《…………(必死に笑いを堪えている。)》

 

 

 

〜side祐斗〜

 

「今朝の盗撮騒ぎを調べてこい、ですか。」

「ええそうよ、ソーナから頼まれちゃって」

 

放課後いつものようにオカルト研究部に集まると、急に部長がそんな事を言い出した。

 

 

盗撮騒ぎ。

今朝、高那岐さんが仲裁する形で大事にはなってはいないが放っておくと今犯人として疑われている兵藤君達はきっと孤立してしまうだろうし、今朝の女子がそうしたように危害を加えられてしまうかも知れない。

 

…そういえば、高那岐さん。

木刀を素手で受け止めるなんて、無茶をさらっと行ってしまったけども本当に怪我はないんだろうか。

そのまま授業も平然と受けてはいたけども、あの一撃は下手をすると手の骨を折るほどの一撃だ。

それを無傷だなんて……

 

「…斗?…祐斗!聞いてる?」

「…あ、はい。

すいません、考え事をしてました。」

「まぁ、いいけども。

ともかくお願い出来るかしら?

私達は今から依頼とかがあるから…」「わかりました、任せてください。」「そう、ありがと。

あ、あと小猫も呼んであるから2人で協力して調べてちょうだい。」

 

…塔城さんを呼んでるなら先に言ってほしかったです部長。

多分、待たせちゃってますから。

 

 

 

「…木場先輩、遅いです。」

「あはは…ごめん。

はい、これ」

 

待ち合わせ場所の校舎裏で待っていたのは部長…いや、リアス・グレモリーの『戦車(ルーク)』塔城小猫ちゃん。

僕よりも年下のはずだけども、口調は結構な毒舌家だ。

多分、早めに来てそのまま待っていたのだろう。

 

僕は謝りながらも炭酸のジュースを渡す。

七月とはいえもう夏だ。

脱水症状などになってしまうかも知れなかったから、途中の自販機で買ってきたのだ。

例え悪魔とはいえ、健康には気を使わないとね。

 

「ありがとうございます。

それで、何故私も呼ばれたのでしょうか?」

「………えっと………さぁ?」

「わかりました、帰ります。」

「ちょっと待って!?

ごめんって!」

 

正直僕も塔城さんが呼ばれた理由は知らなかったけどだいたい予想は付く。

塔城さんは来年度からこの学校に通うことになる。

だから自分が通う学校を見せたかったのだろう。

…さっきから隠れるようについてきてる部長の使い魔がバッチリ見てるし。

 

 

 

 

 

「それでここが現場の女子更衣室ですか?」

「うん、そうだよ。」

 

なんとか必死に塔城さんをなだめて、女子更衣室まで来たけど、不思議と誰にも出会わなかった。

多分、部長が人払いの魔術でも使ってくれているのだろう。

(ただの偶然である)

 

問題の女子更衣室は校舎から少し距離があり、入口が校舎側から見えないように反対側に付けられている。

体育の授業や部活の時に使われて隣には男子更衣室もある。

 

「さてと、どう?何かしら違和感とかある?」

「いえ、特に外側には何もありませんね」

 

流石に何も無いか…

何かしらあったら流石に会長も気付くだろうし。

 

「…とりあえずこんな所で話していると誰かに見つかるかもしれないし、中に入りませんか?」

「うん、そうだね。

人払いされているはずだから中には誰も……」

 

このままだともし誰かに見つかったら塔城さんの事を説明しなくちゃいけないしさっさと中を見て手がかりでも……

 

 

この時、不意に視線が左にズレていなかったら危なかったかも知れない。

何せ。

 

こちらに()()()()()()()()()()()()()()が見えたから。

 

ヒュン!ドスッ!

 

「うわぁ!?」

「先輩!?」

 

咄嗟に身体を後ろに引くと僕のちょうど顔の高さの所に木の棒が()()()()()()

 

「なっ!!

って、くぅ!?」

 

僕がそれに驚いて立ち止まると誰かが僕に飛びかかって来た。

慌てて避けると、その人は距離を取りお互いに向き合った………って!?

 

「こ、高那岐さん!?」

 

そう、僕に攻撃を仕掛けた人物、それは高那岐さんだった。

 

「木場君……まさか君がそのような人物だったとは思わなかったよ。」

 

高那岐さんはそういいながら、一歩一歩近づいてくる。

 

「い、いったい何の話かな!?」

「知らばっくれても無駄だよ…

まさか木場君が……木場君が……」

 

もしかして僕が犯人として疑われているのか!?

それは誤解だ!

何とか説得を…

 

 

「女子更衣室に女の子を連れ込んでみだらな行為をしようとする人だったなんて!」

「ちっがあぁぁぁぁぁう!!!?」

 

 

より酷い誤解だった!?

っていうか何だ、みだらって!?

 

「友達として、間違った道に歩もうとする友人を止める!

それが真の友達としての使命よ!」

 

高那岐さんいったいどうしたの!?

今朝の出来る女オーラまるっきりないよ!?

あと、学校では隠してるっぽい素がでてるよ!?

 

「ちょ!?

高那岐さんそれは誤解だって!?」

「誤解ぃ?

じゃあその子は何です?

うちの学校の生徒ではないし、

少なくとも私よりか年下に見えますが?」

 

くっ!?

ここに来て塔城さんの存在がさらに勘違いを加速させてる!

 

いったいどうすれば…

 

 

「やめてください!()()()()()はそんな人じゃありません!」

 

 

その時、塔城さんが割り込んできた。

そして君はまた、何を言ってるんだ!?

 

「お、お兄ちゃん…?」

「そうです!祐斗お兄ちゃんはただこの学校を案内してくれていただけなんです!

そうだよね!?」

 

高那岐さんも塔城さんの気迫に押されたようで、動きが止まった。

そのまま塔城さんは、僕の方を向いてアイコンタクトをしてきた。

 

 

(…先輩、合わせて下さい。)

(わかった、けども…お兄ちゃんって?)

(それは…ほら、近所のお兄さん的な存在で)

(…何も考えてなかったんだね)

 

どうやら行き当たりばったりの案だったようだ。

 

これで本当に誤魔化しきれるのだろうか………

 

 

 

 

 

「なるほど…つまり塔城さんは来年ここへの入学を目指していて昔から色々と良くしてもらった近所のお兄さんの木場君に案内してもらったけども、途中でとても可愛らしい白猫を見つけて追いかけたらここについて、恐らく更衣室の中に入っちゃったんじゃないかと思い、入ろうとしたら邪推した私が割り込んでしまったと……こういった事でしたか……

大変失礼しました。」

 

 

え!?

高那岐さん信じちゃったよ!?

 

「い、いえ。元はといえば私がお兄ちゃんに無理言ったからで、私の方こそ……」

「いやいや、私こそほんっとにごめんなさい!」

「こ、高那岐さん!?

女の子が土下座って色々とまずいからやめようか!?」

 

流石に女の子に土下座させるような鬼畜というわけではないから、高那岐さんが土下座するのを必死に止めた。

 

…その時塔城さんが一瞬残念そうな顔をしたのは気のせいだと思う、というか思いたい。

 

 

 

「…しかし、白猫かぁ。

どうしてよりによってここに来たんだろ?」

「それは、僕達にも分からないなぁ。

でも、確かこっちの方に来たのは確かなんだよ。ね?」

「…はい、そうなんです。」

 

とりあえず、高那岐さんには小猫ちゃんの事は黙ってもらう事にした。

ホントなら手続きとかが必要なんだけど、こっそり入って来たらしくそんな事はしてないらしい。

だから一応先生とかには見つかりたくないから、という理由でお願いしたら先程勘違いからの襲撃をした負い目があるからか、快く承諾してくれた。

 

だけど、僕達の本来の目的は盗撮犯の証拠や情報を集めるための捜索。

だから、高那岐さんには出来ればこの場を離れて欲しいんだけど……

 

「だったらせめてもの罪滅ぼしも兼ねて、その猫探すの私も手伝う!」

 

やっぱりか。

高那岐さんだったらそうするとは思ってたけど、弱ったなあ…

 

「それではいざ!侵にゅ………あれ、開かない?」

「え、鍵空いていないの?」

 

とうとう高那岐さんが更衣室へ入ろうとしたけども、どうやら鍵が掛かっているらしい。

でも、部長は鍵は開けてあるって言ってたしおかしい……

 

「……………ふーん、ここがこうなってあれがこうで………っと、開いたー!」

「「えぇ!?」」

 

と、僕と恐らく塔城さんも悩んでいたであろう、扉を高那岐さんが開けてしまった。

その顔は実ににこやかだったけども両手に持ったピッキングツールのようなものによって雰囲気がぶち壊しだった。

 

「さて、猫ちゃん…猫ちゃん…後ついでに犯人の手がかり…」

「やっぱり高那岐さんは犯人の手がかりを探しに来てたんだね……」

「んー?

まあね、あの三人は一応同じ学年の仲間だし、やってもない事でみんなからバッシング受けてるのを見たくはないしねー……」

 

更衣室内は一般の更衣室と同じようなもので、コンクリートで出来た床や壁、ロッカーと何人かが座れる長椅子が置かれただけの内装だ。

男子更衣室も向きは左右反対だがこれとほぼ同じ作りだ。

 

高那岐さんは、ロッカーの上や中などを一つずつ確認してた。

やはり、彼女も犯人の手がかりを探しているのだろう。

そう思って聞いてみたら案の定そうだった。

 

「猫…いなかったよ……撫でたかったなあ。」

「…あの、今度うちの猫を連れてきましょうか?」

「ほんと!?

小猫ちゃんありがとう!」

 

その後、僕達は下校時刻になるまで更衣室内を見ていたが手がかりやカメラ、もちろん最初からいるはずのない猫も見つからなかった。

探している間に高那岐さんと塔城さんは仲良くなったのだろう他愛のない話をしてた。

…正直、驚いた。

塔城さんは今猫を被っているとはいえ元々あまり喋るような印象ではなかったのだけど。

今では、普通に高那岐さんと話している。

ここまで引き出せた高那岐さんが凄いと素直に思った。

 

「さて、そろそろ下校時刻だし、帰ろうか。」

「…はい」

「そ〜だね。」

 

僕らはそのまま、更衣室を出て帰ろうとしたけど、高那岐さんはまだ更衣室の方を見ていた。

 

「……高那岐さん?」

「…………ん?あぁ、ごめんごめん。」

 

僕が、呼びかけると高那岐さんは振り向き僕らに続けて更衣室を出た。

 

僕ら3人はそのまま学校を出て家に帰った。

もちろん、僕と塔城さんは夜の依頼があるために学校に後で戻ることになるのだけど。

 

結局、手がかりらしいものは見つからず、部長になんて報告をしようか迷っていた。

 

 

 

 

 

 

 

…でもあの時、それとは別に気になることが一つあった。

それは…

 

 

 

 

 

………高那岐さんが更衣室で僕が呼んで振り返った時、一瞬だけど瞳が赤かった気がしたのだ。




ご感想及び誤字脱字報告、御評価等よろしくお願いいたします!


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これが私のスクールデイズ、あるいは事件です。(後編)

とりあえず、きちんと三部構成で終わってほっとしています。w


それと、UA12000&お気に入り150越えありがとうございます!
これからも頑張ります!(卯月感)


それでは、どうぞ!


第14話

 

 

時間はめぐりて夜、一般人は皆明日のために眠る頃。

しかし、夜は一般から外れた者共にとっては人目を気にせず活動する時間。

 

例えば悪魔。

人との契約を結ぶために夜な夜な密かに活動する者達。

 

例えば犯罪者。

人の目がない夜は彼らにとっては都合の良い時間帯。

法の目を逃れ、己が欲望のために暗躍する。

 

例えば…………

 

 

 

駒王学園。

夜も更けて、月が完全に雲に隠れて出てこない暗闇。

オカルト研究部ことリアス・グレモリー率いる悪魔達が、旧校舎で依頼をこなしている頃、

1人の男が校舎内を歩いていた。

黒のスーツ姿で、メガネを掛けた若い男性だ。

足取りは少々おぼつかず、まるで夢遊病の様に歩いていた。

しかし、進む方向に迷いは無く校舎を抜けてまっすぐと更衣室に向かっていた。

 

そこは件の盗撮騒動の現場の更衣室だ。

 

男は迷うことなく女子更衣室に向かう。

予め作っていたのであろう持ち手が歪んだ鍵を使い、扉をあける。

中に入るとコンクリートで出来た壁に近寄る。

懐から幅広のナイフを取り出すと壁に出来た一見、欠けた穴のような凹みに刃を突き立てる。

そのままナイフを手前に引くと壁の一部が四角く外れ、その中に出来た小さな空間とハンディタイプのビデオカメラが現れた。

 

男は歪んだ笑みを浮かべ、それを取ろうとして。

 

 

 

 

パシャ!

 

 

 

 

「…!?」

 

突然、闇の中に広がる光と音。

男が慌てて振り向くと。

 

「こんばんは、盗撮犯さん。」

 

多少顔は見えにくいがその声から女、しかもまだ若い少女の声だと推測出来る。

その手にはライトのようなものを持っている。

 

ちょうど雲の切れ間なのか月が顔を出し、徐々に窓や扉から月光が照らしていき、その正体を現していく。

 

黒いジーンズに藍色のワイシャツ、手には一般のそれとは大きさが違う妙にゴツいライトと、反対の手にはデジタルカメラ。

そのまま、光が顔まで照らしていき…

 

「いや、ここは()()と呼んだ方がいいですかね?」

「…」

 

縁日で売っているような狐の面を被り、少女高那岐芽衣は面の下で薄ら笑いを浮かべながら男を見つめていた。

 

 

 

〜芽衣side〜

 

さてと、先生も恐らく驚いているようですしここまで張り込んだ甲斐があったよ。

 

 

 

あの後。

と言っても生徒会室を出た後ですが、こっそり校舎に戻り誰が不審者の注意喚起をしていたのか、それと更衣室にカメラの有無を調べに行った先生は誰なのか、その二つを聞いてみたら、なんと両方とも目の前にいる先生でした。

私はあまり関わったことがないので名前は知らないですが確か三年生の物理科担当で日曜大工が趣味なのだとか。

(確か同級生の桐生さんがそう言っていた……と思う。)

 

で、私は木場君達と別れ()()()仕込みを終えた後、もう一度学校に戻り茂みの中で待機して様子を見ていたら先程の先生の一連の動きを見たのでこっそり回って背後からカメラで撮った。

 

というわけです。

 

ちなみにこの格好は、前にレイナーレや夏希達に買わされた大量の衣装群の中から適当に組み合わせた物だ。

 

「そもそもおかしいんですよ。

いくら教師とはいえ女子更衣室の近くに男性である先生が朝の忙しい時間帯にいるのですか?」

 

「なので私はこう思ったんです。

貴方は最初から近くにいて、騒ぎを聞きつけた振りをして堂々と中に入りカメラを隠したと。」

 

「だから改めて更衣室を調べてみたら、不自然な窪みとその奥の空洞を見つけちゃったわけで。」

 

木場君達と調べている時は瞳の色が変わってしまうので使えなかったが、私の目には様々なスコープがある。

それを木場君が部屋から出た時に使って見たら丸見えでした、という事だ。

……あの時木場君に呼ばれてついスコープを切る前に振り向いてしまったが何も言われなかったから恐らくセーフだろう。

 

「…で、そろそろいい加減だんまりは止めてくれませんか。

私、意外と無視されたりするの嫌いなんですよ。

まるで自分だけがその場所に居ないような気持ちになっちゃうんで。」

「………」

 

とは言ってみたものの相変わらず先生は下を向き黙ったまま動かない。

正直私もこの後は警察に引っ張るか、最悪の場合なのだがグレモリー先輩か支取先輩に突き出す、という選択肢がある。

まあ、後者の場合は上手く立ち回らないと私まで疑われてしまうが(不自然的な意味で)

 

「……す」

ヒュオン!

「おうわぁ!?

危なっ!いきなりですか!」

 

そう考えてて油断してしまったのがバレたのかは分からないが、先生は急に手に持ったナイフで切りかかってきた。

私は後ろに跳ぶようにして避ける。

 

「殺すぅ…」

「まさかの超短絡的思考!?

…しまったなぁ、それは予想してないや。」

思わず素になっちゃうくらい驚いたけどまさか、

バレたか、よし殺す。

みたいな事になるとは思わなかったなぁ…

ましてや犯罪者とはいえ仮にも教師、道徳心とかどこいったおい。

 

「ころ、こここ殺すあぁ!」

「とにかくここじゃ狭いかぁ…!」

 

何だか先生が多少おかしな事にはなっているが、このままここで戦うと周りの物を壊しかねないし何よりも私が避け続ける事が出来ない。

そう考えて、更衣室の扉から一気に外に跳び出る。

 

先生も後を追うようにして走ってくるがやはりどこかぎこちない。

私は不審に思って目を切替えて見ると…

胸ポケットの中にとても禍々しい何かが入っているのが見えた。

 

「もしかしなくてもあれが原因かな?

としたら、あれさえ取り除けば!」

 

そうと決まったら、避けるのではなく攻める!

 

振り下ろされるナイフに向かって手をかざすようにして亜空間格納庫(ヘンシェル)(この前名付けた。)から仕込みその1を引っ張り出す!

 

ガヨン!

 

目の前を覆うようにして出てきたそれ、『ライオットシールド(魔改造済み)』によってナイフは簡単に弾かれる。

 

これはこの前アザゼルさんにお願いして正体を隠してる私用に作ってもらった物の一つで、中級堕天使レベルの攻撃なら傷一つ付くことがなく弾き返せる代物だ。

 

それを私とレイナーレが更に悪ノリして改造。

防御力向上に加え…

 

バリバリバリバリッ!!

 

「ぎゃあぁぁぁ!?」

「…スタンガンを内蔵してたりして。」

 

攻撃力もプラスされていたりもします。

ナイフを弾かれ大きく仰け反った身体にシールドを押し付けてスタンガンを起動。

死なないように痺れさせてからポケットの物を抜き取ろうとするが…

 

「ぐっぎぃぃぃぃ!」

「はあっ!?」

 

なんとスタンガンをものともしないかのようにまだナイフを振り下ろしてきた。

慌ててそれを防ぎ距離を取る。

 

先生は目を見開き、口元から泡を吹きながらもこちらを睨んでいる。

だが、今ので確信した。

やはり、あのポケットの物。

あれが先生をおかしくしているんだ。

そうと決まったら後はどうにかして動きを止めてその物を取るしかない。

 

…その手段は実はもうあったりする。

 

「レイナーレ!」

「了解っと!」

 

バサッ!

 

「!?」

「捕獲、」

「完了♪」

 

実は私だけでなくレイナーレも一緒に隠れていて隙を見計らって援護をしてくれるように頼んでおいたのだ。

レイナーレには予め用意しておいた『対アザゼルさん専用捕獲網』を渡していて良かったよ。

 

「さてと…………これか。」

「なによ、それ。

人型の……木?」

 

レイナーレが網の上から取り押さえてる間にポケットの中から問題の物を取り出す。

それは、小さな人の型に切り取った木片だった。

ただ、手に取ってみると凄まじい怨念というか、負の感情というかそのような物が伝わって来るのだ。

耐性がない一般人が触れると、簡単に飲み込まれてしまい犯罪意識を助長させてしまう、そういった類の呪いを受けているのだろう。

まあ、もっとも私には今大量のアンチマジックやら魔力を抑え誤魔化す道具やらでガチガチに固めている状態だ。

その中の一つに呪いの無効化とかも含まれているので呪いは効かないのだ。

 

「出処とかはまだ分からないけども…とりあえずこれは。」

 

バキンッ!

 

「…処分しないとね。」

手の中で握りつぶすと、禍々しい魔力は空中へと散るように溶けていき、それに連動するかのようにして先生は気絶した。

とりあえずはこれで一見落着と。

 

「芽衣、早く逃げないとグレモリーに気付かれるわよ」

「そ〜だね、じゃあ先生はこの前に縛って放置という事で。」

 

 

 

 

 

その後の話をしよう。

微量な魔力に気が付いたグレモリー眷属が現場に付いた時には縄で縛られた教師とその側にはナイフとカメラが置いてあった。

 

翌日、警察に突き出された教師は容疑を否定したが、自宅から盗撮した画像や動画が押収された。

それも少なくとも10年分はある事から常習犯として現在調べを受けているのだろう。

結局、あの呪いがあろうと無かろうとやっていた事に変わりは無かったのだ。

 

 

兵藤君、元浜君、松田君達3人は晴れて無罪となったが、今までの行いを悔いることなく、むしろ堂々とその…変態活動?を行うようになってきた。

そのうち彼らは悪い意味でこの学校で知らない人は居ない有名人になってしまうだろう。

 

 

支取先輩に聞いたのだがグレモリー先輩は今回の件で誰が先生を捕まえたのかが気になっているようで、あちらこちら調べているのだとか。

よほど自分たちの領地(学校)での出来事に気付かないばかりか、いつの間にか犯人を捕まえて後処理だけを押し付けられたのが気に食わないのだろう。

 

それで私はというと…

 

「…木場君、なんか最近疲れてない?」

「い、いや。

大丈夫だよ…」(どんより)

 

あの騒動から一週間。

グレモリー先輩はまだ諦めていないのか、街の中などを探させたりしている。

そうなると、疲労は溜まっていくわけで。

木場君は一見いつもと変わらないように見えるが、目の下に隈が出来ていたり。若干だけど体幹やらがズレていたりとかなり疲れている様子だ。

 

一昨日くらいにも塔城さんを見かけたけど彼女も疲れている様だった。

 

……よし。

「木場君、唐突だけどクレープ食べに行かない?

塔城さんも誘って。」ガシッ!

「こ、高那岐さん?

僕らには部活があってね?」

「あ、答えは聞いてないから。

さぁ、行こうか!」

「まっ、待って!

せめて走る速度を落としてぇ!?」

 

その夜、人探しをする彼らの前に狐面の少女が現れたかどうかは、また別のお話。




誤字脱字報告、及びご感想評価等よろしくお願いいたします!


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夏の一コマ、あるいは遭遇。

今日のお昼休み、ふと何気なくランキングを見ていたら

ハイスクールDxD〜機械仕掛けの少女〜
日間ランキング16位


(;゚Д゚)
((((;゚Д゚))))
思わず嬉しさと驚きで変な声が出そうになりました…!

正直若干の戸惑いでここに何を書こうか迷っておりましたが!

結局はいつもの通り、慢心せず日々精進して行きたいと思います!

そして、いつもこの拙作をご覧になっている方々、本当にありがとうございます!!
これからもハイスクールDxD〜機械仕掛けの少女〜 をよろしくお願いいたします!

それではどうぞ!


第15話

 

 

唐突ですが皆様、夏といえば何を思い浮かべますか?

 

海、山、プール、そして学生限定ではありますが夏休み。

 

そう、夏休みなのです!

日は流れていき八月。

うだるような暑さが続くなか、私はというと現在自宅にいたりします。

と言ってもあの奇っ怪屋敷ではなく、

みんなで直したりした結果、ますますどこぞの衛〇邸の様な作りとなった家です。

 

 

 

その中の居間で私は悩んでおります。というのも………

 

 

 

 

「……暇だ。」

 

 

そう、ぶっちゃけ暇なのです。

宿題に関しては最初の3日で終わらせました。

正直、問題の質よりも量といった感じだったのでただひたすら解いては書きの繰り返しでした。機械脳なめんな。

部活には入っておらず、バイトもしていないので正直することがないんです。

 

木場君はどうやらグレモリー先輩達と冥界の方へ行っているみたいで、いません。

最近仲良くなった小猫ちゃんも同上。

 

ならばと、あの騒動から仲良くなった兵藤君にも確認しましたが昨日から旅行に出ているそうな。

 

レイナーレに至っては休暇をとって全国スイーツ巡りの旅をミッテルトとカラワーナと一緒に行ってます。

三人とも太れ。

まあ、これに関してはもともと予定として決まっていたらしく来年は私も参加させてもらう様にお願いしたから大丈夫だろう。

 

 

…となると。

私の知り合いは大抵がどこかに行っててここ(駒王町)には居ないのだ。

 

ちくせう。

 

こんな事なら事前に予定でも立てればよかった…

 

《私とお話ってのも流石に長くは続きませんしねぇ〜》

 

ありがとうございます、神様。

でも実際話そうと思ったらいつでも話せますし、ほんとに追い詰められた時はよろしくお願いしますね?

 

《はい!任せといてくださいよ!》

 

……なんだろう、あの幼女神様が胸を張ってえっへん!ってしてるのが容易に想像出来る、そして和む。

 

あ、そうだ。

どうせすることないならアレをやろう。

 

私は思い立つとすぐさま行動するべく、入れておいた麦茶を飲み干して移動します。

 

 

 

 

そうしてやってきましたは土蔵。

原作の衛〇邸ではここにはサーヴァント召喚のための魔法陣が置いてあったりとしましたが、私の場合はここはほぼ自分専用の武器庫兼作業場だ。

 

「とりあえずは、武器の整備と整理かな?」

 

作業しやすいようにグレーのツナギに着替えてからヘンシェル内の武装、火器、各種兵装を片っ端から取り出していきます。

 

 

単分子カッター、ライオットシールド、ブースターブレード、魔力砲、その他もろもろ…あれ?パイルバンカー何て入れておいたっけ?

 

うーん、全部出し切ってみるとかなりの量があるね。

でもまぁ、一つ一つ整備すれば一日で終わりそうだし。

張り切ってやりますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

《……衣さ〜ん?芽衣さ〜ん?

起きてますか〜?》

「………んあ?」

 

………あれ?何してたっけ?

えっと………確か武装の整備をしようとして…

 

《芽衣さん…一週間も寝ないで作業してたらそうなりますよ。》

 

そうそう、確か一週間………一週間!?

 

慌てて起きると周りは武装の山が出来ていて、それぞれちゃんと整備をしたのがわかる。

 

私はそのまま武装をとりあえず置いておいて、母屋まで戻る。

 

それにしても一週間かぁ……途中から楽しくなっちゃってノンストップでやってた記憶があるけどそれからあとは全然覚えてないや。

 

《芽衣さん、途中からほぼ無心でやってましたからねぇ。

何度、ご飯食べる様にとか促したことか……》

 

うぅ…すいません。

とりあえずは何か食べる前にお風呂入らないと……一週間も入ってないとなるとヤバイだろうし。

 

 

ふぅ、生き返る…

完全に1人で入るには大きい湯船に浸かりながら一息つく。

恐らく檜で出来た浴室はとてもいい木の香りが漂っており私のお気に入りの場所でもある。

 

お風呂の準備をしている間に携帯を見てみたが、かなりの件数の着信やらメールやらがあった。

大半が、レイナーレだったが一部は木場君や兵藤君だったので慌てて返信しておいた。

心配かけちゃったかなぁ…

 

 

にしても、このお風呂は気持ちいぃ。

この身体になってからは疲れは大分出難くはなっていたが、湯船に浸かってる今ものすごく身体が軽く感じることから、相当この一週間で疲れていたのだろう。

 

…身体といえば。

湯船からそっと出て、浴室内に設置された姿見の前に立つ。

まだまだ成長途中とも言えるほっそりと、しかししっかりと締まった腰とお尻。

グレモリー先輩や姫島先輩と比べると自信が無いがそれでもある程度は存在を主張する胸。

童顔とも、大人びて見えるともいえる中間の顔つき。

深い深紅の髪を少し長めのショートカットにしているヘアスタイル。

 

実は髪の色以外私の前世の体と瓜二つだったりするけども重要なのはそこでは無い。

 

「………あまり大きくなってないなぁ…胸。」

 

女子特有の普通の悩み、身体の成長の事である。

 

《それこそ今が成長期ですからきっと大きくなりますよ!………………多分。》

 

今、多分って言ったよね!?

……でも正直、過度な期待はしていない。

何せこの身体だ。

生体金属と魔力炉、そして僅かに残った生身の身体。

微かに成長はしているが、所詮微々たるものである。

しかし、分かってはいても期待してしまうのが人間だ。

だからこうして、毎日姿見を見て一喜一憂してしまうのだ。

 

 

お風呂から上がって、居間で一息つく。

ここにコーヒー牛乳なんてあれば1番いいのだが、そんなものはうちにはない。

それどころか、ほぼ食料自体も無かったりする。

まあ、あったとしても一週間放置したら大抵の物が傷んでしまうから同じことだが。

 

 

という事で自炊するにしても材料が無いので一度買出しをする事に。

ラフな感じのTシャツにジーンズを着て、近くのスーパーへ。

 

腕時計を見ると時刻は夜の八時、日付も最後に確認してからきっちり一週間過ぎていた。

 

「やっぱりこういうのは専門家(アザゼルさん)にお願いした方が良かったかな?

手探り作業だったから余計に時間がかかっただけかも知れないけど。」

《餅は餅屋、って言葉があるぐらいですしねぇ。

まぁ、おいおい覚えていけばいいんじゃないですか?》

 

うーん、今度アザゼルさんに教えてもらおうかなぁ……

そんな事を考えながら歩いていたからだろうか、曲がり角に差し掛かりよそ見をしながらそのまま曲がろうとしたら……

 

ゴツンッ

 

「うわぁ!?」

 

何かにぶつかってしまい、そのまま弾かれるようにコケてしまった。

 

「いたたたた…すいません大丈夫ですか?」

 

とにかく謝らなきゃ、そう思って見上げると。

 

「大丈夫だにょ。」

 

……言葉に形容出来ないような人物がそこにはいた。

 

筋骨隆々の男性で、某世紀末覇者をも超えるであろう肉体をしている。

それだけならまだ良かったのだったが、着ている服が問題なのだ。

 

 

 

 

……………何でゴスロリなんだよ。

 

 

その男性が着ていたのはゴスロリ、それもネコ耳付き。

今にもはち切れんばかりに衣装が筋肉によって膨れ上がっている。

 

てか、気のせいだとは思うが「にょ。」って言ってなかったか!?

 

「…………えっと、すいませんでした。」

「気にするなにょ。

怪我が無くて良かったにょ。」

 

あ、気のせいじゃ無かった。

 

「それじゃ今度は気をつけて歩くにょ。」

 

そう、言い残してその人は去って行った。

 

………何だったのだろうか、今のは。

しかし今のはびっくりし「あ、そうそう。言い忘れたにょ。」た……ってぇ!?

 

いつの間にかまた目の前にその人が立っていた。

しかも、声をかけられるまで全く気が付かなかった……

 

「お名前なんて言うのかにょ?」

「えっと、高那岐芽衣です。」

「ありがとにょ。

ミルたんは、ミルたんって言うにょ。

それで、言い忘れた事だがにょ。

 

 

微かに()()()()オイルの匂いがするから気をつけるにょ。」

「………えー、ありがとうございます?」

「どういたしましてだにょ」

 

そういうと男性……ミルたんは、今度こそ立ち去っていった。

 

 

………え?何今の?

ってか、左腕?

 

慌てて左腕をにおってみるが全然オイル臭くなんて……

 

《…芽衣さん、誰もいない所で左腕を展開してみて下さい。》

「え?うん分かった。」

 

急に神様から指示を受けたので近くの公園に入り、木陰に隠れながら左腕を展開する。

 

いつもの通りガトリングが出るわけだが……あれ?

確かに少し、ほんの少しだけ何故か左腕からオイルの匂いがした。

 

《……芽衣さん昨日左腕の整備してる時に誤ってオイルを零しちゃったんですよ。

多分、徹夜のテンションで覚えてないとは思いますけど。》

 

………言われてみれば零したような零してないような。

 

でも待って、

だとしてもだよ。

 

 

 

何で、私自身が気付いていなかった事をあの人は知ってるわけ?

 

 

 

「……………。」

《……………。》

「……こ、この話はやめようか!」

《………そ、そうですね!やめましょう、やめましょう!》

 

 

触らぬ神になんとやら。

私達はそのまま考えることをやめ、スーパーまで歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

が、今度はまた珍しい人に会った。

 

「…ん?芽衣か。

奇遇だな、こんな所で」

「あれ、ヴァーリ君?」

 

我らが神の子を見張る者(グリゴリ)の最後の切り札。

白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】の所持者で現白龍皇、その実態は戦闘バカでラーメン至上主義のヴァーリ・ルシファー君だ。

 

もっともチーム【刃狗(スラッシュ・ドッグ)】の皆からは未だに「ルシドラ」と呼ばれていたりもするが。

 

でも、何でここ(駒王町)に……って。

 

「…ヴァーリ君、またラーメンの食べ歩き?」

「む、良く気付いたな。

実は今朝からラーメン巡りをしていたんだが、この辺に隠れた名店があると聞いてな。

知らないか?」

「そりゃ分かるよ、その手に持った大量のラーメン店のチラシやら食通本やらで。

あと、その店ならこの先を真っ直ぐ行ったところだよ。」

「む、そうか。

助かった。」

「あと、何回も言ってきたけどラーメンばっかりは体に悪いし、栄養バランスとか偏るんだよ」

「……その話は止めてくれ。

この前、鳶雄にもそう言われたよ。」

「だったらちゃんと野菜とかも」

「そこで考えたのだが、一緒にラーメンを食べないか。

そうすればラーメンの良さも分かるはずだ。」

「どうしてそうなるのかは分かんないんだけど!って勝手に引っ張るなぁー!」

「そうと決まれば善は急げだ。

早くしないと店が閉まってしまうからな。」

「承諾してないんだけどぉ!

ちょっと!話を聞けぇ!?」

 

 

 

…まぁ、何だかんだでヴァーリ君とも久しぶりに会えたし良しとしますか。

そのまま引きずられながらそう思う私なのでした、どっとはらい。

 

 

 

 

 

あと、ラーメンは美味しかったです。




誤字脱字報告、及びご感想や評価等よろしくお願いいたします!

それと、次の話ですがまた時間が飛びますのでご注意下さい。


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旧校舎のディアボロス
それは始まりの日常


いよいよ原作です。


それではどうぞ!


第16話

 

月日というものはすぐに流れていき、気がつけば春

それも新年度の4月です。

そしてこの町に来てはや一年が過ぎました。

 

 

休み終わりの9月には何故か日焼けしていた松田君と元浜君。

聞けば夏の間、海でナンパ三昧をしていたそうな。

まぁ、結果は聞かないでおきましょう。

どこか達観したような表情をしてますし、来年こそはと言っている時点で分かるようなものですが。

 

兵藤君は長崎まで家族と旅行に行っていて、お土産にオススメのチーズケーキを貰いました。

兵藤君、実は野生児っぽい見た目には似合わずチーズケーキが好物で長崎ではチーズケーキを食べ歩きしていたらしいです。

……それと、久しぶりに家族で旅行に行けて楽しかったって、とても幸せそうな表情で言っていたので仲のいい家族なんだろうなとちょっと羨ましかったです。

 

木場君については…また疲れた顔をしていたのであまり触れませんでしたが、【(キング)】のリアス・グレモリー先輩は魔王の妹で良家の次期当主。

恐らく、そういったパーティーやらどうせ特訓とかやらしていたのでしょうから。

また、どこかへ誘いましょうか。

前はクレープでしたし、あの時食べたラーメンが予想より美味しかったのでそこにしましょうか。

 

 

レイナーレに関しては、帰って来てお土産を渡すとそのまま体力トレーニングと称してどこかへ出掛けることが多くなりました。

……それと、体重計の前で唸ることも多くなりました。

私は何も知らない振りをしてご飯の当番の時に野菜中心のメニューをしばらくの間、出してあげました。

 

 

 

その後、体育祭や文化祭。

一部の人には地獄の期末テストなどなど、様々なイベントやハプニングなどが起こりましたがそれはおいおい語っていくとしましょう。

 

 

 

……それよりも目の前の問題を何とかしないと。

 

「…すいませんが今、なんて言ったかもう一回言ってくれませんか?」

「だから、お前の左腕を修理も兼ねてスペアを作るからこっちの義手と付け替えろって言ったんだよ。」

 

目の前にはアザゼルさん、その手には精巧に作られたであろう、一見すると何の変哲もない左腕。

 

神の子を見張る者本部の総督執務室、実態はアザゼルさんの物置状態となっている所で私は机を挟んでアザゼルさんと対面している。

 

 

 

先日、つい色々とやらかした挙句に左腕を多少損傷してしまい治してもらおうとここまで来たのだが、開口一番に腕を取れと言われ、現在に至るのだ。

 

 

別に左腕を付け替えるのはいい。

更にあのガトリングに手を加えるのもまだ許そう。

だけどそのスペアって………

 

 

 

「なんだよ、そんなにロケットパンチが嫌か?」

「ぶっちゃけると嫌ですね。」

 

 

ロケットパンチ機構が搭載されてたりするのだ。

 

「そもそも命中と同時に爆発し敵を粉砕するってどう考えてもこの腕、火薬が仕込んでありますよね!?」

「ばっか、お前火薬だけだと威力出ないだろが。

そこはちゃんとニトロとナパームをだな…」

「より凶悪なものまで積んでる!?

ともかく、そんな超危険物を腕にするとか有り得ませんよ!」

 

神の子を見張る者謹製の腕で根本から外れて、自動でロックオンしながら目標に到達。

その後敵を爆発により粉砕……手元に何故か置いてあった資料にはそう書いてあったが、考えたの誰だおい。

 

「まぁまぁ、落ち着けって。

それはいわゆるジョークってやつだからよ。」

「…の割には実物を作ってるあたり、反論が無かったらそのまま付ける気でしたね?」

「………」

 

おい、こっち向きなさい総督。

 

 

 

 

その後、新しく作ったという仮の腕を付ける。

これは、何も追加装備がない本当に普通の腕でもちろんロケットパンチ機構などはない。

ただ、表面の皮膚だけはどうしようも無かったので特殊な塗料によって肌色に着色した。

これを、二〜三ヶ月このままにしないといけないのでバレないようにしないと…

 

現在は学校の放課後。

今日も特にする事もなく、木場君も部活へ行ってしまったので後は帰るだけです。

 

…こういう時に、私も何かしなくちゃなぁとは思うのですが何も思いつかないのが現状。

部活も、体育系は私のこの身体のせいで何やってもチート級の結果になってしまうので。

この前なんて弓道部に体験に行った時、射撃用のレティクルがどうしても作動するので仕方なく撃ったらド真ん中三連というミラクルやっちゃって弓道部部長が泣き崩れるという所業をやってしまいました。

 

逆に文化系ですがデザインや文芸部は……その、奇人変人がいるというか。

少なくとも私は掛け算は好きではないので遠慮しました。

 

 

…と、あれに見えるは兵藤君?

ちょうどいいです。

何時も暇していそうなのでどっか遊びにでも……………ん?

 

「……神様神様。

私の見間違えでなければ兵藤君が女の子から話しかけられているように見えるのですが。」

《声に出して呼ぶと変人みたいに見られますよ…?

そして、ホントですねぇ。》

「……しかも、断続的に聞こえる会話から推測するにあれって告られてますよね。」

《……そうですね。》

「とりあえず、松田君と元浜君に写メしたいので行きますか。」

《え?ちょっ!?》

 

遠くから見ても分かるが兵藤君が女の子、多分同い年くらいの女の子に話しかけられている。

それも兵藤君が顔赤くしてニヤけてるのと、聞こえる会話から想像するに完全に告られてる。

とりあえず、あえて空気を読まずに近づいて冷やかし……もとい、祝福しないといけないですね。

………その後、あの2人にばらしますが。

 

「あれ兵藤君、こんな所で何をしてるんですかー?(棒)」

「…なんだよその無駄に棒読みな挨拶。

それよりも聞いてくれよ!とうとう俺にも春が来たんだよ!」

「ほう、それはおめでとうございます。

それでこの方ですか?」

「ああ!ええっと……」

「初めまして、柏原優子と言います。

貴女は…?」

「私は高那岐芽衣と申します。

兵藤君とは友人ですよ。」

 

近くに来て兵藤君を多少からかいつつも、女の子の方を見る。

珍しい銀髪の聡明そうな女の子だ。

「それで、兵藤君のどこか気に入ったのでしょうか?

ぶっちゃけ野生児っぽい見た目ですよ?」

「うっせ!見た目のことは言うな!」

「どこかって言われても……一目惚れとしか。」

「一目惚れねぇ…」

 

……なんだろうな、どうにも違和感がある。

一応、近くに来た時一瞬目を変えて見たけど悪魔や堕天使といった種族ではなく、普通の人間なのだが。

 

「ま、兵藤君?

とりあえず並んで並んで。」

「お、おう?

…ここでいいか?」

「はい、良いですよー。

それっ。」パシャ

 

とりあえず兵藤君を柏原さんと並べてから写メで撮る。

それをすかさず、松田君元浜君両名に送ったあと、兵藤君に見せる。

 

「お、ありがとう!

後で俺にも送ってくれよ。」

「良いですよ。柏原さんは兵藤君から貰って下さいね?」

「はい、ありがとうございます。」

 

 

この後、兵藤君達とは結局別れ、1人で家に帰った。

しかしまあ、兵藤君に彼女か。

正直、彼に出来るかどうか不安だったけど出来たのなら応援するのも友達としての役目だね。

 

 

 

 

 

 

だからこそ私は、いや私達は気が付かなかった。

もうとっくに歯車は周り出していた事に。

そしてその歯車は私という存在によって歪み、本来とは違う方向に動き出していたことを。

物語の幕は降りていた。

ここより始まるは長い長い道のり。

 

どうか、最後までご覧下さい。

 

 

ハイスクールDxD〜機械仕掛けの少女〜

 

原作開始。




戦い前の戦力ダウンは基本。
そしてイッセーに近づく女の子……

次回もよろしくお願いいたします!


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崩れ落ちる日常

……書きたいことがとっ散らかっていく不思議感…

今回は無駄に場面がコロコロ変わるのでご注意を





第17話

 

 

次の日、兵藤君が浮かれて学校に来て松田君元浜君両名にシバかれているのを尻目に私はいつもの通り木場君と、あとグレモリー先輩と姫島先輩も一緒に登校している。

 

…正直、この二人が一緒にいると他の生徒からのやっかみやパルパルなど、色々とこもった目線を向けられる。

自分の眷属を大切にしているのは、この一年でよく分かったから出来れば学校では離れてほしい。

 

「…高那岐さん、何であの三人はまた喧嘩をしてるのかな?」

「あぁ、木場君は知らないんでしたっけ。

兵藤君、昨日女の子に告白されたのですよ。」

「へぇ、あの兵藤君が?」

「あらあら、若いっていいですわねぇ。」

「……姫島先輩、ツッコミ待ちなのは分かってますけども言わせてもらいます。

貴女歳一つしか変わらないですよね!」

「…朱乃、あなたも昨日告白されてたでしょう?」

「あら、彼には申し訳ないですがタイプでは無かったので。」

「………ちなみに木場君、相手ってどんな人かな?」

「………三年生の、ちょっと気取った人だったよ。」

 

そりゃ無理だ。

私の勘では、姫島先輩はSだ。

それも真性の。

ああいう人って確か気取った様な人は相手にされないって、レイナーレが女性向け雑誌見ながら言ってた。

 

「というか、兵藤君のその彼女?

ってどんな人なんだい?」

「えっと、確かここに……あった。

昨日写メ撮ったので。」

「…へぇ、銀髪なんて珍しいじゃない。」

「グレモリー先輩のその紅い髪も充分珍しいのですが。」

「あら、芽衣のその深紅の髪も珍しいわよ。」

「まあ、そうですけど…」

 

ちなみに、流石に一年も経つと慣れてしまったのでグレモリー先輩と姫島先輩、あと支取先輩とは普通に話をするようになり、いつの間にか名前で呼ばれるようになっていた。

 

「確か、柏原優子さんと言っていましたか。

少なくともこの学校の生徒では無いですね。」

「ふーん。」

 

グレモリー先輩はつまらなそうに写メを見ていたがやがて飽きたのか兵藤君達の方を見ていた。

 

「…ねぇ、あのふたりが突きつけている携帯に写ってる写真ってこれと同じじゃない?」

「はい、だってそれ私が送ったものですよ。

というか良く見えましたね。」

「あっ。

……ええ!たまたまよ、たまたま。」

 

…この人、時々こうやって天然になったりするんだよなぁ。

正直よく今まで悪魔だってバレなかったなぁ、グレモリー先輩。

 

「でも、なんで彼らに送ったの?

こうなる事は目に見えてたのに。」

「だから、ですよ。

…昨日、兵藤君から無茶苦茶、相談やらされてたので。

朝の三時まで起きてましたよ……」「「「うわぁ…」」」

 

あの後、家に帰って写メを送ってからメールで色々と相談された。

曰く明日、つまりは今日なのだが、何といきなりデートなのだとか。

 

それに伴い、デートコースやら服装やら女の子が喜ぶものやらと、色々と相談された。

その結果気づけば朝の三時。

ものすごく眠いのに向こうは逆に目が冴えているのか元気なのにイラっと来た。

写メ自体は昨日送っていたが、今日がデートなのだと2人にチクっても仕方が無いんだよ。

クックックッ………

 

「……リアス。

何だか芽衣ちゃんが黒い笑みを浮かべているのだけど。」

「……ええ、何だか彼女の周りだけ黒いモヤが出てるみたいよ…」

「…高那岐さん、最近夜が遅いらしくて…」

 

周りが何かしら言っていたがとりあえずは、これで気が晴れたので良しとしようか。

 

 

 

 

放課後。

…で、兵藤君が颯爽とデートに行き、木場君が例の如く部活へ行き、私はと言うと、突然神の子を見張る者の本部に呼び出されたので急遽本部にまで行くハメになった。

 

そうして、総督執務室。

 

「それで、呼び出された理由は何でしょうか」

「おう、それだがな。

【ウツセミ】の事、覚えているな?」「……はい、もちろんです。」

 

…忘れるはずがない。

とある機関が鳶雄君たちのクラスメイトを実験台にし、擬似的に自律型の神器を模したものを制作、その結果生まれたのがウツセミだ。

紗枝ちゃんもそのなかの1人で、あれのせいにより一度死んでしまったも同然なのだ。

 

 

「あの時の機関の生き残りの一部が判明したんだが……

そのうちの一人がよりによって駒王町に潜伏してる事が判明した。

それも直接ウツセミの製造に関与した人物で、実験の為なら非道な事もする奴だ。

マークはしていたのだがな、先日ようやく判明した事だ。」

「なっ!?

あの町に……ですか!?」

「あぁ…

だが、詳しい場所についてはまだ分かってない。

そこでだ。

 

高那岐芽衣。

堕天使総督アザゼルとして、

この者の行方の調査と捕縛を命ずる。」

 

「了解しました。」

 

何があっても、絶対に捕まえる。

その思いを胸に秘めて、私は答える。

 

「とりあえず、現時点で分かっているのは、相手は女、それもお前と()()()のような見た目だ。

これについては不明だが恐らくは容姿は変わらない何かをしているとの事らしい。

数年前のあの時から変わっていないようだ。

それと、()()()()という事だけだ。」

 

 

 

歳が同じくらいの髪が銀髪の女……

同い歳くらいの銀髪の女…?

………え?

 

 

 

「………アザゼルさん、その人の写真かなにかありますか…?」

「いや、残念ながらそう言った物は残ってなかったが。」

 

不安が広がる。

思い出すのは、昨日のあの子。

もし仮にそうなのだとしても、何故兵藤君に近づいた…?

あの町には、リアス・グレモリー先輩がいる。

例え、隠れるだけならまだしも。

だとしても何故行動を起こした?

何故、今になって捕捉された?

何年間も足取りが掴めてなかったのに…ん?

 

違う、待て。

もしかして、わざと掴ませた…?

恐らくは誰かと接触を図ろうとしてる…?

 

 

全ては憶測、推測、想像、仮定。

だけど何よりもするべきことがある。

 

「…アザゼルさん、ちょっと出てきます!!」

「あっ、おい!」

 

もし、仮に柏原優子と名乗ったあの女がそうなのだとしたら。

兵藤君が危ない可能性が、ある!

 

 

 

 

〜イッセーside〜

 

いやぁ、今日は楽しかったよ!

 

「優子ちゃん、今日はどうだった?」

「はい、なかなか新鮮な体験をさせて頂きました。」

 

放課後、昨日高那岐(呼び捨てでいいって言われた)に相談して決めたデートコースを回ってみたけど、なんかこうちゃんとしたデートって感じがした。

 

服屋を回って、喫茶店でお茶をして、とにかくそんな学生らしい。

そんな感じのデートだった。

途中、商店街で高那岐の友達のイケメン野郎、木場がいて、オカ研の部活動の一環らしい変なチラシも渡され、からかわれた。

 

時々だったけども優子ちゃんも笑ってくれていたし、ホント高那岐には感謝しないとな!

 

「それで、兵藤君ちょっとよろしいですか?」

「え?何かな?」

 

それで、今はデート終盤で公園にいる。

ここは人気はあまりないけども静かでゆっくりと話をするにはちょうどいい場所だって言ってた。

 

「まずはお礼を。

今日は色々とありがとうございます。」

「い、いいって!

そんな改まってお礼なんて!」

 

そう言って丁寧にお辞儀をしてくる優子ちゃん。

ほんとにこの子はなんというか礼儀正しい子だ。

…ただ俺としてはもう少し笑って欲しかったけどな。

 

「それで、良かったらなんですけどこれを貰ってくれませんか?」

 

そう言って、優子ちゃんが渡してきたのは人の形をして、心臓の部分に赤い石がはまっている木細工だ。

 

「えっと、これって?」

「私、木細工が趣味でそれはお守りなんですよ?」

 

そう言って優子ちゃんは笑う。

でも、お守りかぁ………あれ?

手に持った木細工をよく見ると少しづつ黒ずんでいくように見える。

それと、同時に何だか頭がだんだん重くなっていくような感覚が…

 

「兵藤君、どうかしましたか?」

「いや…何だか頭が…」

 

あれ…どうした……

まるで底なし沼に堕ちていくような感覚が……

優子ちゃんの方を見ると、優子ちゃんは笑ったまんま俺を見てる。

でも、その笑顔が何だかおかしい。

 

 

まるでおかしくなっていく俺を見て笑っているように見えてきて………

だんだんと……何も考え………………

 

 

 

ドクンッ!

 

 

「……っくは!」

「…何ですって!?」

 

意識が落ちかける瞬間、急に体の中の何かが脈打った様な感覚が走り、意識が一気に覚醒する。

それと、同時に俺は手の中の木細工を投げ捨てて優子ちゃんから離れる。

ほとんど無意識に行動したけども、何故かそうするのが正しいと心のどこかで何かが囁いた気がした。

 

優子ちゃんは目を見張り、俺を見ている。

 

「……どうやって、逃れたのですか。」

「ゆ、優子ちゃん?」

「答えなさい!!

どうやって私の呪術から逃れたのですか!?」

 

さっきまでの優子ちゃんとは全然雰囲気が違う。

一体何がどうなってんだ……!?

 

「もう少しで、憑かせられる所だったのに…!

…こうなっては仕方がありませんね。」

「優子ちゃん!君は一体何を言ってるんだ!?」

「まだ分かりませんか?

あなたを利用しただけですよ。」

 

そう言い放った優子ちゃんの顔は、冷たくどこまでも見下した表情だった。

 

 

「そもそも、あなたみたいな人は利用価値が無ければ近寄りすらしませんよ。

ましてや()()()()()など、つまらないものです。」

 

 

「そん……な…」

「どうやってあなたが私の呪術を防いだのかは気になります。

なのでさっさと死んで下さい。

その後でゆっくりと解剖してあげますから」

 

優子ちゃんはそう言いながら、右腕を向けてきて。

 

 

 

ザシュッ!

 

 

 

突然現れた()()()()()()が俺の腹を針で貫いた。

 

「がふっ!?」

 

痛い痛い痛い痛い痛い!!

刺されたところが熱く痛い!?

蜂は刺した針をそのままにして優子ちゃんのそばに戻る。

いつの間にか針は再生されてる。

 

「…っち、まだ体に馴染みませんか。」

 

優子ちゃんは忌々しげに蜂を睨んでいるが、それどころじゃない!

 

何だありゃ!?

人より大きい蜂なんて!?

 

 

「ぐっ、うぅ……」

「まだ生きてるんですか。

意外としぶといですね。

でも、これで止めですよ。」

 

 

ヤバイ…!

またさっきの蜂が!

くそっ!足が震えて動かねぇ!?

 

そうしている間にも、蜂がグングン迫ってきて……………

 

 

ガオンッ!

 

 

突き出された、盾のようなものにぶん殴られた。

 

「なっ!?」

 

そのまま蜂は優子ちゃんの後ろまで吹き飛んでフェンスに激突した。

 

俺は驚いて、横を見る。

そこにいたのは……

 

 

 

 

 

「……何とかセーフとは行きませんでしたか。」

 

 

「え、高那岐……?」

 

盾を振り抜いた状態で立っている高那岐だった。

 

 

 

 

 

 

〜芽衣side〜

 

あの後、すぐに昨日の相談で決めたであろうデートコースを辿って探すと、

あの公園に2人はいた。

 

 

…兵藤君は腹から血を流し、柏原優子のそばには大きな蜂がいるという最悪の状態で。

 

蜂が兵藤君に向かっていたのでシールドで思いっきり助走をつけてぶん殴った。

 

「…何とかセーフとは行きませんでしたか。」

 

思わず独りごちる。

もう少し早くたどり着いていれば兵藤君は怪我をする事も無かった。

くそっ!

 

「え、高那岐……?」

「兵藤君、逃げてください。」

 

とにかくここから兵藤君を離れさせないと。

ちらっと見ただけだが出血が酷い。

このままだと危ない。

 

「な、何言って!?」

「いいから逃げる!」

 

私はシールドを兵藤君に押し付けて単分子カッターを出す。

兵藤君が驚いている様子だったが今は説明している場合じゃない!

 

「あなた、まさか神器使い!?」

「答える義務はないよ、それよりも私の友達によくも…!」

 

柏原優子も驚いている様子だが、すぐに蜂を近くまで呼び寄せた。

あれは……!

 

「ウツセミ…!?」

「…この子を知っているってことはあの時、あの場所にいたのね」

 

近くまで来てわかったがあれはやっぱりウツセミだ!

それも私が殴ったのにも関わらず、びくともしていない。

 

「この子は私の呪術と技術によって改造、強化された子達。

あの時からより進化したの。」

 

自慢するかのように挑発的な笑みを向けてくる。

恐らくはよほど自信があるのだろう。

 

「だとしても関係ないですね。

貴女は私が捕まえる!」

「ふふっ、ならやってみなさい。」

 

言い終わると同時に蜂が迫ってくる。

私はそれを右に避けてカッターで切る。

蜂はそれを察知したのか針でそれを防ぐ。

すかさず、左腕にブースターブレード【スティールハーツ】を出し、切り上げる。

しかし、それにも反応して後ろに下がり針でまた防がれる。

 

 

思ったより、針が硬い…!

 

 

後ろにはまだ動けないのか兵藤君が立ったままだ。

顔からだんだんと血の気が無くなっていっているしこのままだと…!

 

 

「どうしたのかしら?

後ろの少年が気になるの?」

 

それを見てか嘲笑うかのように柏原優子はどこまでも見下してくる。

 

 

 

こうなったら仕方ない!

スラスターを起動して…!

 

 

 

ゴスッ!

 

「ぁぁあ!?」

「……え?」

 

突然、兵藤君の悲鳴が聞こえて振り返ると。

 

()()()()蜂が兵藤君を刺していた。

 

柏原優子はその蜂を回収すると逃げていく。

 

 

「兵藤君っ!?」

 

その場に崩れ落ちる兵藤君。

慌てて近寄るが、背中側からも刺されていて、誰から見てもこの傷では……

 

助からない。

助けられない。

 

 

そう諦めかけた時だった。

 

兵藤君の周りが突如紅く光りだして、魔法陣が展開されていく。

 

あれは………確か召喚陣?

 

そうして、現れたのは紅い髪をなびかせる、悪魔。

 

 

 

 

「…あなたが呼んだのかしら?」

 

 

 

 

リアス・グレモリー先輩がそこにいた。




ご感想お待ちしております!


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自責と信頼、そしておせっかい。

皆様もお気づきかと思われますが、
一部の内容は、堕天の狗神-SLASHDØG-の内容を使っております。

分からない方にも、分かるように頑張りますが、
その点はどうかご了承ください。

また、一部の表現はオリジナル、又は別の部分から引っ張って来たりしてますので多少の矛盾はあるかもしれません。
随時直して行きますのでご了承ください。


第18話

 

 

「……グレモリー先輩?」

「芽衣…話はあとよ。

それよりも先にする事があるから。」

 

突然現れたグレモリー先輩はそう言うと、兵藤君のすぐそばに立つ。

 

そして手をかざすと出てきたのはチェスの駒、【兵士(ポーン)】。

まさか…

 

「兵藤君を眷属に…?」

「ええ、彼次第だけどね。

彼にもどうやら神器があるみたいだし。」

 

 

…………え?

兵藤君にも神器あったんですか!?

全く気が付かなかった………

そういえば、兵藤君の事をビジョンを使って見たことは無かったなぁ……

 

 

「ねえ、生きていたい?」

「………」

「ふふっ、いい子ね。

なら、私の眷属になりなさい。」

 

「我、リアス・グレモリーの名において命ず。

汝、兵藤一成よ。我が『兵士』として、新たな生に歓喜せよ!」

 

グレモリー先輩が紅い魔力を纏い、詠唱する。

そのまま兵藤君に兵士の駒を…………ん?

 

「…あ、あら?」

 

グレモリー先輩も戸惑っている。

なぜなら…

 

兵藤君に入っていくはずだった駒が、弾かれていたのだ。

私は悪魔が眷属を作る所を見たことがないのでどういう状態なのかは全く分からない。

 

 

「どうやら、一つじゃ足りないみたいね。」

 

そう言うと今度は二つで…………あ、また弾かれた。

 

「…次!三つ!」

 

弾かれる。

 

「…よ、四つ!」

 

弾かれる。

 

「………あぁぁ!?もう!

こうなったらやけよ!全部!」

 

流石のグレモリー先輩もしびれを切らして…もとい、イライラして駒を八個全部兵藤君に使った。

 

そしてようやく兵藤君の中に入っていき、傷口が塞がれていく。

私の目で見てもちゃんと、駒は兵藤君の体内で固定されている。

 

「……とんでもないわね、八個すべてを使ってやっと眷属に出来た。

つまり、この子はそれだけのポテンシャルを秘めているってことよ。」

 

グレモリー先輩はこちらを見ながらそう言った。

恐らくは私が駒の価値を知らないのを察して説明してくれたのだろう。

 

 

…でだ。

 

「…先輩、どうしてここに?」

「私はただ召喚されたからここにいるだけよ。

どうやら彼が召喚したみたいね。」

 

グレモリー先輩は兵藤君の上着のポケットからチラシの様なものを取り出すとこちらに見せてくる。

 

それはどうやら召喚陣の書かれたチラシの様で一部が彼の血で汚れている。

 

「それで。

今度は私から質問。

……芽衣、あなた何者?」

 

そう問いかけるグレモリー先輩の目は鋭く、嘘を言ったら比喩なしに殺されそうな雰囲気を醸し出している。

 

「……何者、ですか。

神器に目覚め、とある争いに巻き込まれたことのある少女。

としか言いようが無いですね。」

 

本当の事を混ぜつつ誤魔化す。

それが一番バレにくい嘘だ。

そう、前にアザゼルさんが言っていたのを思い出し、当初のカバーストーリーと混ぜつつ話す。

 

「……私は今まであなたが神器を持っていることにも気が付かなかった。

それについてはどう思う?」

「…その事ですが、明日話しませんか?

その時にすべて話しますから。」

「あら、何か今は喋れない事でも?」

「……いや、兵藤君どうするんですか」

「……………あ」

 

そう、あれから兵藤君はうつ伏せになったままだ。

それに、血塗れになった制服の事もある。

そのままにしておくわけにはいかないので、とりあえず担ごうとする。

 

「…まって、その子の事なら私がするわ。」

「え?

でも、先輩兵藤君と面識は……」

「そこは何とかするわよ。

それより、明日使いを出すからちゃんと放課後来るのよ。」

 

そう言うとグレモリー先輩は兵藤君を連れて召喚陣で何処かへ行ってしまった。

 

 

………ほんとに今日は色々と起きすぎた。

周りに誰もいないことを確認すると、その場に座り込む。

 

正直、兵藤君を助けられなかったのも、柏原優子を逃がしてしまったのも私のミスだ。

あの時、この身体の事がバレるのを恐れずにスラスターを起動していたら。

兵藤君を、連れて逃げていたら。

 

そんなもしも(IF)をどうしても考えてしまう。

 

それほどまでに守れなかったことに後悔と罪悪感が積み重なっていく。

先程まではグレモリー先輩がいたので表には出さないようにしていたけども、今更になってそれが重く伸し掛かる。

 

 

 

 

私は……()()何も出来なかった……

 

 

 

 

「…高那岐さん。」

「……え」

 

突然、私を呼ぶ声に顔を上げるとすぐ目の前に木場君がいた。

 

「…何でいるんですか。」

「部長がね、

「芽衣の事を見ていて。

あの子は多分自分を責めてるから。」って。」

「……流石悪魔、人の心の機敏に気が付くとは。」

 

恐らく、戻ってからすぐに木場君をよこしたのだろう。

全く…私もまだまだって事か。

 

「…やっぱり僕が悪魔だって知ってたんだ。」

「ええ、あとは塔城さんと姫島先輩もですよね。」

「………僕の事、なんとも思わないの?」

「木場君、それを言ったら私もあなた達に隠し事をしてました。

それなら私の事を信用するのは……」

「…僕は高那岐さんの事を今更とやかく言わないよ?

そもそも…僕達、友達じゃないか。」

 

 

そう言って手を差し出してくる。

……なるほど、木場君はそうやって天然で女子を落とすのか。

どうやら、こんな事を考えられるくらいには気を持ち直したらしい。

グレモリー先輩には感謝を一応しとこう。

 

私は木場君の手を取り立ち上がる。

 

「…木場君、今まで騙していましたが私も神器使いなんです。」

「…うん。」

「詳しい事は明日、ちゃんと話します。

ですので、明日まで待ってもらってもいいですか?」

「…分かった。」

 

木場君は私が神器使いだという事を教えると驚きはしたものの、明日話すという事は納得してくれたようだ。

 

 

……こんなふうに信じてくれる人を私はまた騙すのか。

 

「とりあえず、今日は家まで送っていくよ。」

「…でも、いいんですか?」

「それが友達としての使命、でしょ?」

 

そう言って笑う木場君。

……なるほど、前の仕返しという訳ですか。

 

 

 

 

どうせなので歩きながら、木場君の悪魔家業について聞いてみた。

最近は、仕事で疲れたOLに召喚されて夜食を作ったり、ご婦人のチェスの相手になったり、果てには女子中学生の家庭教師をしているらしい。

……何故女性の依頼ばかりなのかはあえて聞かなかった。

その代わりジト目で見たら、笑いながら冷や汗を流していたが。

 

 

そしていつの間にか家の前まで着いていた。

 

「…木場君、ありがとう。

ここまで送ってくれて。」

「…うん、どういたしまして。」

「じゃあ、また明日学校で。」

「また明日。」

 

木場君はそう言って、召喚陣を展開して。

 

ブブー!

 

「「え?」」

 

何故かブザー音と共に、召喚陣が消えてしまった。

 

「ち、ちょっと待って。」

 

木場君は慌てて携帯を取り出して電話をかける。

相手は多分グレモリー先輩なのだろう。

 

「…もしもし、部長。

はい、僕です。

魔法陣が何故か使えないんですが…………えっ!?

ち、ちょっと待って下さい!

それはそれで問題が!ってちょ!?」

 

どうやら話が終わったみたいだけど木場君の顔が盛大に引きつっている。

どうかしたのだろうか?

 

「…木場君?」

「……部長がね、今晩は高那岐さんの近くにいろって。

 

 

それも、泊まりがけで。」

 

「…………………はぁ!?」

え、ちょと待て泊まりがけでってことは何、木場君がうちに泊まるの!?

今日は、レイナーレもみんなもいないからバレないし都合がいいけどって何言ってんだ私!?

…ん?

じゃあ木場君と2人きり!?

それはそれで大問題だよ!

 

 

私も慌てて携帯を出してグレモリー先輩に電話する。

 

「はい、グレモ…」

「何考えてんですか貴方は!?」

「あら、その声は芽衣ね?」

「ええそうですよってか、木場君泊めろってどういう事ですか!?」

「あら、これは半分はあなたのためでもあるのよ?」

 

は?

半分私のためってどういう事だ?

 

「……説明を要求します。」

「そうね、一つ目は貴女の監視。

今まで正体を隠していたのだからこれくらいはしないとね、あと逃走防止。

 

それは理解は出来る。

自分の眷属と仲が良かったただの一般人だと思ってた人は、実は神器使いで、それも自分達の探査には引っかからず今の今まで分からなかったのだ。

無論、警戒はする。

 

「二つ目に貴女のケア。」

「…私の?」

「そう。

あの時、芽衣は気づいてなかったけど貴女の顔はとても自分を責めてますって顔してたわよ。

それこそ、放って置いたら自責の念で潰れてしまいそうなくらい。」

 

…やっぱり顔に出てたか。

こればかりは直さないとなぁ…

 

「そして、最後に貴女の護衛よ。」

「…え?」

 

これは予想外だった。

でもなんで私に護衛…?

 

「分からないって声の感じね。

簡単よ。

友達を大事にしてるのは知ってるから、貴女が兵藤君を殺そうとするはずがない。

となると、別の誰かがやった。

ならそれから大事な後輩を護ろうとするのは先輩としての努めよ。」

 

どう?っと、自信たっぷりに言っているが私は正直呆れそうになってた。

 

どう考えても、怪しい私のために大事な眷属に護衛させるとか。

はっきり言って人が良すぎる。

悪魔だけど。

 

「さて、いいかしら?

そろそろ寝るから。」

「あ、はい。

あと、兵藤君はどうなりましたか?」

「ああ、彼なら大丈夫よ。

今もこうして()()おとなしく寝ているし。」

「なるほど…………………ん?」

 

まて、グレモリー先輩は今なんて言った?

隣だって?

 

「…先輩、どこにいるんですか?」

「どこって、()()()よ?」

「なんで兵藤君の家にいるんですか!?

ってか、寝るってことは泊まる気ですか!?」

「貴女と同じ理由よ?

それと、ちゃんと駒が定着してるかどうか本人が起きないと分からないしね?」

「だ、だ、だからって!?」

「それじゃあねー。」

 

ブツっ

 

それだけ言い残すとグレモリー先輩は電話を切ってしまった。

そして問題は解決して無くて……

 

 

「……とりあえず、上がって。」

「…えっと、お世話になります?」

 

 

結局、一つ屋根の下、木場君と2人きりで一夜を過ごすはめになった。

 

…明日覚えてろ、グレモリー先輩。

そんでもって強く生きろ兵藤君。

 

 

目が覚めたら恐らく隣に二大お姉様のひとり、グレモリー先輩が寝ているのを見てどうなるか。

 

そう思い、無事を祈るのであった。




ご感想及び、誤字脱字報告等よろしくお願いいたします!


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ハプニングと、事情説明。

…正直、この話は迷いました。
オリジナル設定に、多少の矛盾や時間軸の変化。
そして前半と後半の温度差。

それでも、賛否両論あると思われますがほんとにダメなところは変更致しますのでご意見をお待ちしております!


第19話

 

 

 

朝、1日の始まり。

規則正しく同じ時間帯に起きる人もいれば、時間ギリギリに起きる人もいる。

大抵の人は前者で、私もその中のひとりだと思う。

 

ただ…どうやら私は朝が弱いタイプらしく、どうにも朝は意識がハッキリとしない。

今日もいつもの通りの時間に起きて、布団から起き上がる。

そしてそのまま四〜五分、ぼぅとしたままの状態でいる。

その後、いつもの朝なら着替えてから台所に行くんだけど今は春先、だんだんと心地よくなってる気候の中でついついそのまま行ってしまう。

だけど、ちょっと肌寒いような?

 

確か今日はレイナーレ達も誰もいなんだっけか。

じゃパンでいいや。

………うーん?なにか忘れてるような?

あくびをしながらも若干回ってない頭で考えながら台所の扉を開く。

 

 

 

「やあ、おはよう高那岐さん……うぇっ!?」

「んー?あー、木場君おはよー…」

 

そこには学校の制服姿で朝ごはんを作ってた木場君がいた。

おー、今日の朝ごはんは和食かー。ご飯に、焼いた鮭の切り身、お味噌汁に玉子焼き。

なかなか学生の朝ごはんとしては豪華なものだ。

 

「おぉ、美味しそう。

これ木場君が作ったの?」

「う、うん。そうだよ

…で、あのぉ高那岐さん?」

 

ん?さっきから顔をそらして話しかけてくる木場君。

 

 

 

 

……………ん?木場君?

 

 

 

起きてから時間が経って、ようやく正常に周り出した頭が状況を処理し始める。

 

 

…そういえば、木場君を家に泊めたんだっけか?

 

そうそう、思い出してきた。

昨日、とりあえず木場君を家に入れたあとすぐにお風呂とごはんの用意をして食べて、木場君を先にお風呂に入れた後部屋に戻ってから………

 

「…もしかして私、部屋に戻ったら寝てた?」

「うん、起こそうとは思ったんだけど気持ちよさそうに寝てたから。」

 

 

あっちゃぁ……

まあ、木場君の分の布団は出していたしそれはいいとして………

 

「木場君、何でさっきから顔を逸らしてるの?」

「いや、あの…ちょっ!ストップ!?」

 

未だにこっちを見ようとしてない木場君だ。

しかもどうしたのか私が近寄ると更に慌てだした。

 

「いや、ほんとにどしたの?」

「えっとね…………高那岐さん。」

「ん?なに?」

「……まずは、落ち着いて。

それで、ゆっくりと下を見てほしい。」

 

 

ん?

下を見る?

言われて下を見ると私の()()と足の先、そして床が見えて…………

 

 

 

 

 

 

 

「…下着?」

 

 

…まて、何で私の下着が見える。

ていうかそもそも何故下着しか見えない。

落ち着いて、冷静に自分の服装を見る。

 

どっからどう見ても下着姿です、ほんとうに以下略

 

そっかー、確か着替えに行ってそれで脱いだ後に寝ちゃってたんだー。

どうりで肌寒いと思ったよ。

そりゃ服は着てないから寒いわけだあははははは………

 

 

………多分、今私の顔は真っ赤だ。

そろそろ現実逃避をやめて今を見よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

なんで、気づかないのよ!!

しかもひとりならともかく、木場君に思いっきし見られた!?

まってまってまってまって!?

やばい恥ずかしい!!!

 

「お、落ち着いて高那岐さん!?

だ、大丈夫だから!」

 

頭の中でわーきゃー言ってると落ち着かせようとしたのかバッチリ目が合った。

…………み、

 

 

「みないでぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

 

バッシィィィィン!!

 

 

「高な……へぶぅ!!?」

 

 

 

 

 

……………思わず加減なしで引っぱたいてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……木場君、誠に申し訳ありませんでした。」

「いいから、土下座は止めようって!?

って、おねがいだから服を着ようよ!?」

 

 

 

 

「……何この状況?」

 

その後、レイナーレが帰って見たのは下着姿で土下座している芽衣と、頬に赤い手形のあとを付け、あたふたしている木場君の姿だったそうな。

 

 

 

 

 

「…高那岐さん、今朝のことはもう大丈夫だから。

あれはむしろ僕がもうちょっと穏便にしとけば……」

「いや、あれは私が気が付かなかったのがいけないんでして…」

「…お二人共、何時までやってるんですか。」

 

放課後。

今はグレモリー先輩の使いで来た、小猫ちゃんと木場君と一緒に兵藤君の教室に向っているところだけど、私と木場君はまだお互いに朝の事を若干引き摺っている。

…その証拠に私も木場君も顔が赤い。

 

「二人とも互いに謝ったんだからそれでいいんじゃないですか?」

「うん、そうなんだけどね…」

「なんか、もう引き際が分からなくなっちゃって…」

「……ほんとに何でこの二人って変なとこでこだわってるのか。」

 

ともかく、お互いにあれはもう忘れるとして今は兵藤君だ。

聞けば、朝から少々様子がおかしいと情報が入っているので(クラスメイトの新聞部部長に聞いた。)そうそうに見つけて事情説明を…………おん?

 

「…私の見間違えじゃなきゃ、兵藤君ボロ雑巾のようになってない?」

「…確かに、ボロボロだね。」

「…何かあったのでしょうか?」

 

教室の外から覗いてみると、兵藤君はいるにはいたが何故か背中が煤けてて、しかもボロボロだ。

うつ伏せの状態でピクリともせず、返って不気味さが漂っている。

 

「…ひ、兵藤君どうしたの?」

「…高那岐か。」

 

呼び声に反応して兵藤君は顔だけ起こすが、その顔は疲れきっていた。

 

「ど、どうしたんだい?」

「…どうした、だと…?」

「ひっ!?」

 

木場君が勇気を持って話しかけるも、兵藤君から出る負のオーラにおされたのか後退る。

 

そして……

 

「今日1日、散々な目にあったんだよ!?

朝起きたら何故かリアス先輩が隣にいたし、しかも全裸だしよ!?

そのまま先輩にからかわれたり、親が勘違いしたりしてよ!

あと、先輩のおっぱいすげぇ大きくて!でかくてよ!

っぶげ!?」

 

兵藤君が今日一日の辛さを語っている途中で、小猫ちゃんがレバーブローを叩き込んでいた。

…恐らく胸の大きさのところに反応したのかな?

 

「…変態には罰を。」

「…で、兵藤君どうしよ?

白目向いて倒れてるし。」

「…しょうがない、僕が担いでいくよ。」

 

木場君が兵藤君を担ぎ、旧校舎へと進んでいく。

これって傍から見たらただの誘拐ではないのだろうか。

そんな奇妙な四人組は、校舎を抜け悪魔の巣窟(オカ研)に歩みを進める。

 

「……んお?

って、なんじゃこりゃ!?」

「おっ、起きたね兵藤君。

今下ろすから待ってて。」

 

途中、起きた兵藤君に現在の状況を説明して理解してもらう。

そうして、オカ研の部室前に着く。

 

コンコン。

 

「部長、二人を連れてきました。」

 

そう言って木場君がドアを開けると…

 

壁から床に至るまで、悪魔文字の羅列や召喚陣とそれを支える陣形が埋め尽くすように書き込まれていた。

 

「「うっわぁ……」」

 

思わず、兵藤君と引き気味になってしまう。

てかソファーといい、テーブルといい、オカ研というより単に悪魔の休憩所になってないかこれ。

 

しかも…

 

「…なあ、高那岐。

もしかしてあれって…シャワーだよな?」

「…ええ、しかも使用中みたいですね。」

 

…まあ、使用者は分かる。

さっき、奥の方に姫島先輩がちらっと見えたし。

ここにいないのは一人だけだ。

 

「…朱乃、タオル貰えるかしら?」

「はい、これ。」

「ありがと。

…さてと、ごめんなさいね。

さっきまでちょっと汗かいていたから。」

 

シャワーから出てきたのは予想通りグレモリー先輩だった。

タオルで髪を拭きながら出てくる。

……隣で兵藤君がだらしなさそうな顔になりつつあるので咳払いして、注意を促す。

 

「んんっ!

…グレモリー先輩。

シャワーを浴びるのはいいですけど、せめて着替えてから出てください。

タダでさえここには男子が二人いるというのに。」

「あら、そうだったわね。

…て、押さなくてもいいじゃない。」

 

首からタオルを掛けているだけだったのでカーテンの中まで押し戻す。

そのまま姫島先輩にグレモリー先輩の事を押し付けて、一息つく。

 

「…待たせたわね。

さて、私達はあなた達を歓迎するわ。

 

 

……悪魔として。」

 

 

兵藤君が周りの人と自己紹介をした後に、グレモリー先輩がやっと出て来る。

そしてそのままキメ顔で、悪魔の羽根を展開する。

兵藤君はあたふたしていたが私は最初から知ってるからほぼノーリアクションだ。

 

 

そうして始まるのは悪魔としての説明。

3大勢力云々、悪魔の特性云々。

ここもアザゼルさんに最初に聞いた通りの説明だったのでノーコメント。

兵藤君が、驚きながらも話を聞いている中私はというと…

 

「…この羊羹、食べますか?」

「ん?ありがとう。

……おいしぃ。」

「私のオススメの店で買ってきたものです。」

 

小猫ちゃんとお菓子食べてたりしてます。

 

いや、だって美味しいんだもん。

そして一度聞いた話って2回目を聞く時はものすごく退屈なんだもん。

だから、私は悪くない。

 

キリッ

 

《…わざわざいい顔してまで言うことじゃないと思うんですけど。》

 

 

 

「…それであの、優子ちゃん…柏原優子についてなんですけど。」

「…正直、彼女については殆ど私達は分からないわ。

人間であることと、神器の様なものを使っていることぐらいね。」

「?神器じゃあ無いんですか?」

「それについては私より彼女に聞いた方がいいわね。」

 

そう言って私を見るグレモリー先輩。

やっと出番ですか。

 

「もぐもぐ……まずふぁ、でふね。」

「…飲み込んでから喋りなさい。」

「ごっくん……失礼。」

「それで?

芽衣、貴女は一体何者なのかしら?」

 

さて…ここからが本番。

この為に昼に一度アザゼルさんに電話して、どの程度まで話していいかは聞いている。

あとは、不審に思われないように真実と虚偽を織り交ぜて信じさせるだけだ。

 

「…私が他所からこの町に引っ越してきたのは知っていますよね?」

「ええ、祐斗から聞いているわ。」

「私は、前にいた町でとある事件に巻き込まれました。

その事件は、とある組織が一般人を拉致して実験材料にし、彼らに擬似的な神器モドキを再現したものを埋め込んだあと洗脳、町にいた本当の神器使いを襲わせるという事件でした。」

 

ここは半分が嘘だ。

実際に鳶雄君たちの事を調べられたらそこからバレる恐れがある。

それに、私の事情に彼らを巻き込みたくない。

 

「…そんな事件があったのね。」

「当時、私は姉と2人であの町に住んでいました。

そこで襲われ神器が目覚め、

そして同じように神器に目覚めた人に助けられました。」

 

ここは本当。

あのマンションに住んでいたから私はあの事件に巻き込まれる形で関わっていったのだ。

…ただ、助けるというかちょっかいを出したのは私だが。

 

 

「その後は他の人と共に戦い、とある協力者の力もあり、最終的にその組織は散り散りとなり事件は終息しました。」

「……とある協力者?」

「…堕天使です。」

「「「なっ!?」」」

「…何故堕天使が?」

「詳しくはわかりません。

ですが堕天使の1人が神器の研究データを持ってその組織に逃亡したのがことの始まりだった、そう聞かされました。」

「そんな……」

「その時に3大勢力の事や神器の事を教えてもらいました。」

 

 

「堕天使は全ての関わった人たちにケアをしていき、望むものがいたらそのまま日常へ戻れるようにサポートをしました。

私は望んでそのまま日常へと戻り、この町に来た。

その時に神器が感知されないように魔法を掛けてもらっていたんですけど…

 

…その後は皆さんの知る通りです。」

 

…みんなの顔は暗い。

だけど、もう一つ大事な事が残っている。

 

「兵藤君、貴方を襲ったあの女と蜂。アレを私は知っています。」

「…え?どういう…」

「あの蜂は恐らくあの事件で私が戦った神器モドキ、通称【ウツセミ】です。」

「ウツセミ………」

「それを使役している事からあの女は事件関係者、それも組織の生き残りでしょう。

 

…それと。」

 

私は立ち上がって兵藤君と向き合う。

 

「あの時、私はあれがなんなのか分かっていた。

分かっていて、君を守れなかった。

本当にごめんなさい。」

 

頭を下げて済むような話ではない。

私は判断を間違えた。

それによって兵藤君は一度死んだ。

人としての人生を捨てさせる事になってしまった。

これは私の罪、一生背負う罪。

なのに…

 

「…高那岐、俺はまっっったくお前を恨んだりとかしてないぜ?」

 

兵藤君はこんなふうに言うのだ。

 

「…え、でも。」

「そりゃ刺されたりしたのは痛かったけどな、でもなあの時お前が助けに入ってくれなかったら俺本当に生きてないと思う。

 

だからありがとな。」

 

…さすがにこの言葉はずるいよ。

思いもよらない言葉に泣きそうになってしまい……

 

「それに!

悪魔になったら部長や朱乃さん見たいな美人とお近づきになれたし!

将来的に上級悪魔になってハーレムとか出来るんだろ!?

最っ高じゃないかよ!!」

 

 

一瞬で涙が引っ込んだ。

…兵藤君はやっぱり兵藤君かぁ。

少しは見直そうと思ってたのに、てか糾弾されることも覚悟して謝ったのに!!

 

 

 

「…ほんと、変わった子を眷属にしちゃったわね。」

 

 

 

 

グレモリー先輩、いい話風に締めないで下さい!!?




ご感想お待ちしております!


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うごめく事態と討伐

…少々疑問に思ったのですがなぜ皆様、ミルたんが出た回だけが異様に伸びているのでしょうか?


第20話

 

 

私達はオカルト研究部に入部する事になった。

兵藤君は眷属のため、

私は監視の意味合いを含めて。

 

その時に悪魔にならないか勧誘を受けたりしたが断っておいた。

私に対して悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が正常に作用するのか疑問だったし、何より私は人間でいたいから。

 

そうして、日が過ぎていき現在は放課後。オカ研の皆はいつもの通りこれから契約活動に勤しむのだろう。

 

兵藤君は初日にまさかの魔力がほぼ無くて魔法陣すら使えないという事態が発覚してから、自転車で依頼主の所に向かうというこれから先が不安になるような状態だ。

 

私が疑問に思っていた兵藤君の神器だが、部長(この際呼び方を変えてみた)が言うには【龍の手】と呼ばれるものらしい。

効果は持ち主の力を二倍にする、というもの。

 

……どう考えてもおかしい。

実は龍の手自体はそこまで珍しくもなく、効果も弱い。

特に元が人間だった兵藤君の力が二倍になってもそこまで強くはない。

 

 

なのに、兵藤君は兵士の駒を8個全て使わないと転生出来なかった。

 

…もしかして兵藤君の神器は龍の手では無い?

だとしたら一体………

 

 

 

うーあー、わからん!!

私はアザゼルさんみたいに神器の事は詳しくないし。

そもそも兵藤君の神器を生で見た事も無いし!

 

 

《芽衣さん、とりあえず早く向かった方がいいんじゃないですか?

相手を待たせてるみたいですし。》

 

おっと、そうだった。

実は私、今オカ研にはいません。

ではどこなのかというと、町はずれの路地裏にいたりします。

 

というのも、堕天使側である少女を保護する事となったのですが、少女がこの町にいるという事で私にその子を保護しろとの命令があり、現在その担当の堕天使と待ち合わせているのです。

 

わざわざ防諜のために町はずれの路地裏という、めんどくさい所に集合させる辺り余程その子は重要性が高いのでしょう。

 

…なんで今年になってから厄介事が増えるのかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………なに、これ。」

《…ダメですね、全員死んでます。》

 

私がその待ち合わせ場所に着くと、そこは一面、血の海だった。

 

 

恐らく三人いたであろう堕天使は全員心臓の部分を巨大な針のようなもので刺されていて、首がねじ切られている。

 

争ったあとが無いことから、一瞬で全員やられてしまったのだろう。

 

それぞれの断面や貫通痕から血が湧き出るように流れ、地面を赤く塗りつぶしている。

 

 

「…資料も何も無い。

全部持ち去られたのか。」

 

一応死体を調べたが、そこからは何も出なかった。

恐らく襲撃した犯人が持ち去ったのだろう。

 

 

犯人…現時点じゃ断定出来ないけど、私は柏原優子がこれをやったと思っている。

だとすると、彼女も例の保護対象の少女を狙っているのでしょうか。

 

 

…とにかく情報がほしい。

こうなれば一度神の子を見張る者(グリゴリ)に戻るのもありですが、私は魔法陣というものは全然扱えず唯一の魔法陣も自宅。

多分部長が監視をしているだろう場所で魔法陣なんて使えば一発でバレる。

こういう時に私の偏った適性というものが恨めしく感じる。

 

 

彼らには申しわけないが亡骸はそのままにして一旦この場を離れる。

もし仮に見つけられたら厄介だ。

一応、電話で報告はしたので誰かが回収してくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

夜、部長より急遽呼び出しを受けたので呼び出し場所の廃工場まで走っていく。

 

既に他のみんなは到着しているらしく私だけが遅れているという状況だ。

…というのも直前まで私の存在を忘れていたらしく慌てて呼ばれた、といったほうが正しいが。

 

「…ぜぇ…お待た…ぜぇ…せしまし…ぜぇ…た…」

「…ごめんなさい、まさかそこまで急いで来るとは思ってなかったわ。」

「いえ……大丈夫です…から…

せめて…1分ください…」

 

家からこの廃工場までは、だいたい15分から20分かかる。

それをたった3()()で走ってきたのだ。

…我ながら頑張ったと思う。

 

「…大丈夫です。

それで何故私も呼ばれたのですか?」

「そうね、今から説明するわ。

この先の廃工場にはぐれ悪魔がいる。

それを討伐しろって言われてね。

貴女にはその手伝いをしてほしいの。」

「…なるほど。」

 

はぐれ悪魔。

主を裏切る、または主を殺し欲望のままに暴れまわる者共。

それがこの町に他所から逃げ込んだらしい。

 

 

 

 

そして今そのはぐれ悪魔、バイサー……だっけ?

それと木場君と小猫ちゃん、そして姫島先輩が戦っている。

部長は兵藤君に悪魔の駒の特性を教えているし、ぶっちゃけすることがない。

仕方なく戦闘を観察するけど…うん、これもうイジメだよね。

 

木場君は高速で動き回りつつ確実に剣で切り裂いていき、

小猫ちゃんはパワーにものを言わせてぶん殴ったり物を投げつけたりしている。

姫島先輩は雷を落として戦っている。

魔法攻撃が得意らしいが…うん、やっぱりあの人(朱璃さん)の娘だ。

やってる事がドSの所業だ。

 

 

「ねぇ、芽衣。

聞きそびれていたけど、貴女の神器ってどういったものなのかしら?」

 

戦慄しながらも戦闘を見ていた時、部長が突然聞いてきた。

確かにあの時は有耶無耶にはなったが私の神器の詳細は分かっていないため気になるのも当然だろう。

…でも私も自分の神器の事は分かっていない。

専門家のアザゼルさんをもってしても何もわからないのだ。

曰く、多数の神器と神器モドキの集合体とは言われたが結局何を足したのか、また発動条件すら分かってないのだ。

それをどう説明しろと……

 

まてよ。

どうせ分からないのならでっち上げればいいんだ。

だったら…

 

「具体的な名前は不明ですがどのような効果をもたらすかは分かりますよ?」

「え、貴女自身も分かっていないの?」

「ええ、あの時は詳しく調べる時間もありませんでしたし、それに私自身も知りたいとは思わなかったので。」

「そう…

それで?その効果ってなんなのかしら?」

 

あっ、部長の目がちょっと輝いている。

多分新しいおもちゃを見つめている子供のような目と言ったら分かりやすいか。

要は興味津々なのだろう。

 

だったら丁度いい、目の前にはおあつらえ向けのターゲットもいますし、ちょっと頑張りますか。

 

未だにフルボッコにされながらもまだ生きているバイザーに近づきながら右手にブレードを出す。

 

「私の神器の能力は身体能力の底上げと強化、そして物質の収容と保存。」

「…物質の収容と保存?」

「簡単に言えば…物であるならなんでも取り込み保存、そして出したい時に出せるという言わば倉庫のようなものです。」

 

「……ちょっと地味ね。」

「言わないでくださいそんなの分かってますから!」

 

そうだよ!

私も考えついた時地味だなぁ、て思ったよ!

でもこうしないと武器をどっから出したか説明出来ないし!

 

「ぁぉあぁぁぁ!」

「!高那岐さん、危ない!?」

「…ちょっと五月蝿いですよ。」

 

ため息をつきそうになった時、急にバイサーが私に目掛けて突っ込んできた。

恐らくこの中で唯一の人間だし、弱いと判断されたのだろう。

 

 

振り下ろされる足を敢えて踏み込み、躱す。

そのまま下へと潜り込むように屈みながら前へと踏み出す。

反転、姿勢を変え上を向く。

目の前に広がるのは無防備な蜘蛛足の腹。

迷うことなくブレードを敢えて刃を左に向けて突き入れる。

 

「あがぁぁぁぁ!?」

 

 

バイサーは痛みに震え、のたうち回ろうとする。

そうなれば当然、私は押し潰される。

フルパワーで押し返せば大丈夫なのだが、そんな事をしたら確実にみんなに怪しまれる。

 

なのでブレードのトリガーを引く。

 

トリガーの作動により火薬に点火、爆発。

それにより発生した爆風をブレード背面より圧縮、排気。

圧縮された熱風がさながらジェットエンジンのように推進力を産み、ブレードは刃を向けた左側へ直進。

私は柄を両手で握りしめてその場で小さく跳ぶ。

推進力を得たブレードはバイサーの腹を左側に切り裂きながら進み、私の体も左側へと飛ばされる。

 

そのまま転がるようにして着地、起き上がりバイサーを見据える。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

腹の切断面からは絶え間なく血が溢れ、痛みによりのたうち回るバイサー。

 

だが、その目には私に対する憎悪が渦巻いておりまだ戦意を喪失してはいなかった。

 

「この、クソガキがああぁぁぁぁぁ!」

 

叫びながら突進をしてくる。

しかし、痛みに耐えているのだろう。勢いは薄れ、ただ直進をしてくるだけのように見える。

 

「ここで終わらせてあげます。」

 

私はそう告げるとブレードを左手に持ち替え、バイザーに向かい走る。

 

彼我の距離がおおよそ5mを切った辺りで私は右手に新たな武器を取り出す。

 

それをバイサーの胴の中心に投げつけ、そのままブレードも同様に投げつける。

 

その武器…スパイクハンマーは真っ直ぐバイサーに突き刺さり、ハンマー自体の重みによりバイサーの動きが止まる。

さらにその上側、丁度胸の位置に当たるところにブレードも刺さる。

 

 

「あぎっがぁぁぁぁぁ!!?」

 

そのままハンマーとブレードの柄を踏んで跳躍、そのまま単分子カッターを出して首を切り裂く。

ゴリゴリという感触の後、単分子カッターを振り抜くとバイサーの首が落ちる。

 

「ぁ………がぎ………」

 

ドスンッ!!

 

首を失った身体はその場にくずれ落ち、横たわる。

 

 

 

 

「ふぅ、何とかなったか。」

「め、芽衣?」

「…?なんでしょうか?

…ってなんで離れてるんですか?」

 

振り返るとみんなの顔が何故か引き攣り、しかも距離まで取られてる。

 

「……………ハッキリ言って、やり過ぎよ。」

 

 

盛大に頬を引き攣らせていた部長はそう言ってバイサーの死体を指さした。

 

 

 

 

そのまま死体を見ると、

・首から上がなく、単分子カッターで切ったので切断面がのこぎりで切ったようになってる。

・おびただしい量の血が流れている。

・身体にはスパイクハンマーとブレードが刺さり、ブレードに至っては貫通している。

 

・しかもいつの間にかバイサーの元頭を踏んでいた。

 

 

 

 

 

oh......

確かにこれはやりすぎた。

 




次回はいよいよ、ハイスクールDxD唯一の良心と言われる?あの子の登場です。




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とあるシスターとの出会い

評価がガタ落ちして、どうにかしないとと思いアレコレやってドツボにはまり結局本文が短いままになってしまい、本当に申し訳ございません。

色々と試してはみましたがどうしても納得行く展開にならず、また皆様が満足されるような文になりませんでした。

なので次話はもう少し時間をかけて考えたいと思いますので、今しばらくお待ちください。



第21話

 

 

やり過ぎてみんなから引かれて、それを何とか修正し、元の形に戻ったのが昨日の事だ。

その時にリアルアマゾネスや首狩り族長などという不名誉な称号を得てしまいましたが。

 

違うんです、ただ素早く無力化するために首を切っただけです。

そしたら思ったより深めに入ってそのまま切断してしまっただけなんです。

 

必死に弁明したものの、木場君にリアルアマゾネスと言われてガチ凹みし、若干泣きそうになりながらも何とか納得してもらえたりと散々でした。

 

そうして傷心気味で次の日を迎え、

登校中に会った木場君に肘鉄ぶちかまして悶絶させたり。

昼休みは屋上にてアザゼルさんに電話でつい愚痴ってしまったり。

 

なんだかんだで現在は放課後。

 

今日は買出しをしないと食料がなくなるのでそのまま帰宅。

そして着替えるとスーパーへと向かう。

 

 

…が、その足取りは重いままだ。

というのも……

 

「…まだ見つからないなぁ、両方とも。」

《高那岐さん、地道に探せば見つけられますよ…きっと。》

 

未だに見つけられてない柏原優子と保護対象の事だったりする。

昼間に電話した時もアザゼルさんに確認してみたが何の情報も得ていないらしい。

保護対象…少女という事しかまだ分かってはいない。

何せ報告用の資料を持っていかれたのだ。

現物が出てこない限りその内容は分からないままだ。

 

もう一人、柏原優子についても同様だ。

何もわからず今もこの町に潜伏しているのかさえ分からない状況。

 

全てが八方塞がりのこの状況。

せめてレイナーレ達が手伝える状況だとまだ良かったのだが、堕天使がいる事がバレたら今度はそっちが危険だ。

なのでおおっぴらには探せない、後手に回るしかないのだ。

 

 

「…はぁ、本当にどうしよっか。

………ん?」

 

そうとほとぼと歩きながら考えている時、視界の隅にあまり見慣れないものを見つけた。

風に飛ばされたのだろうか道の真ん中にシスターの被るヴェールが落ちていたからだ。

 

…何でこんなところに?

それにこの街に教会なんてあったかな?

 

ヴェールを拾い上げて一応土などがついてないか見る。

よく見るとヴェールの裏側にA.Argentoと小さく刺繍がしてある。

 

アー、アル…

アルジェント?

どうやらこのヴェールはアルジェントさんという方の物らしいがこういうのはどうしたら良いのか…

 

「あのぅ……」

「ん?はい?」

 

どうしたものかと悩んでいたら、背後より声をかけられた。

振り向くと、1人のシスター服を着た女の子が困り顔で立っていた。

 

「この辺りで、ヴェールを見かけませんでしたか?」

「えっと、これのこと?」

「あ、それです!

ありがとうございます!」

 

ヴェールを差し出すと、女の子はとても喜びながらお礼を言った。

その笑顔はまるで太陽のように明るく純粋なものだった。

 

…癒される。

けっしてソッチの道に目覚めたわけではないが、最近殺伐とした状況が続く中この子の純粋なこの笑顔。

まるで心が洗われるかのような印象を与えてくれてる……

思えば、部長もだが私に笑顔を向ける人の大半は何かしら私を巻き込んだり、いじったりする人が多い。

私はおもちゃでもなければ、便利屋でもないのにまったく…

 

《芽衣さん、とりあえず落ち着いてください。

思考がぐっちゃになってます。

その上、めちゃくちゃです。》

 

おっと、切り替え切り替え。

 

「いえいえ、私もたまたま拾っただけですし。」

「いえ、これもきっと主の思し召しです!」

「え、あ、はい。」

 

あ、結構信心深い人なんだ。

今も胸の前で手を組み、祈りの姿勢をとっている。

 

「…んじゃ、私はこれで。」

「あ、待ってくださ…あうっ!?」

「ん?…ちょっぐえ!?」

 

とりあえずヴェールは持ち主にちゃんと返せれたのでそのまま立ち去ろうとした時、シスターが追いかけようとしてつまづいてコケてダイブしてきた。

かろうじて反応出来たが、運悪くバランスを崩してそのまま一緒に倒れてしまった。

 

「…あうぅ、すみません。」

「……い、いや…大丈夫だから……」

 

ぐぅ…倒れた時シスターの頭が思いっきり鳩尾に入って超痛い。

何とか顔には出していないものの、

声は震えまくってるし、若干脂汗もかいてしまっている。

 

「ち、ちょっと待っててください!」

 

私の状態に気が付いたのか彼女はすぐさま私の上からどくと、手をかざした。

すると彼女の指に緑色の指輪が現れる。

その指輪から光が出て私の腹部を照らす。

そのままの状態でいると痛みが引いてきた。

おそらく彼女が治療したのだろうが、アレはもしかして神器?

 

「えっと、他に痛いところは無いですか?」

「いや、大丈夫、ありがとう。」

「はうぅ、すみませんでした。

私、よく転んじゃって……」

「大丈夫だって気にしないでよ。

それよりさ、それって……」

「はい。

これはですね、神様が私に与えてくださった治療の力なんですよ。」

「…へぇー。」

 

そう言う彼女の目は少し儚げな目をしていた。

 

 

「あのぅ、私そろそろ行かないと…」

「あ、ごめんね?」

「いえ……あ!

私、アーシア・アルジェントっていいます。」

「えっと。

私、高那岐芽衣。」

 

にっこりと笑いながら手を差し出してくるアーシアさん。

その手を優しく握りながら互いに自己紹介をする。

そのまま彼女は笑顔で別れ、行ってしまった。

 

 

しかし、彼女どこに住んでいるのだろうか?

先程も言ったがこの町に教会があるなんてことは知らないし…

 



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真夜中・ザ・バトル

お待たせいたしました。 今回、特に時間がかかったのはだいたいフリードのせいです。

そして時間かけてフリードを再現しようとして失敗した挙句、喋り方がほぼ別人です。
全国のフリードファンの皆様にお詫び申し上げます。


第22話

 

細い路地裏、そこを駆ける1人の少女がいる。

時折、背後を確認しながらその右手に抱えた物を落とさないように抱え直す。

 

深い深紅の髪には汗に混ざるように血がついており、吐く息も乱れている。

少女の左脇腹からは少量ではあるが血が絶え間なく流れており、傷口には黒い大きな針が刺さっている。

 

ブゥゥゥゥゥゥン!

 

瞬間、先程まで少女が走り抜けていた道から何かが飛び出る。

 

 

蜂。

それも人の背丈をも超える大きさの蜂だ。

その蜂は真っ直ぐに少女に向かって飛んでいく。

 

少女も蜂が追いついてきたのに気付き、左手を蜂に向ける。

その手のひらに光が瞬き、形を作り、質量を持ち、その物体が現れる。

 

 

M79グレネードランチャー

 

それを蜂に向け、発射する。

射出された弾丸は丁度少女と蜂の間で炸裂、その中から鉄の矢が大量に蜂に降り注ぐ。

 

フレシェット弾。

炸裂と同時に内包された鉄の矢が散弾のように発射される特殊弾薬だ。

 

 

鉄の矢をもろに受けた蜂は力無く地面に落ちていく。

その全身には鉄の矢か刺さり、血のようなどす黒い液体を垂れ流している。

 

少女はそのまま走る足を止めずに走る。

何故なら先程から聞こえてくる羽音はまだ途切れていないからだ。

 

「まったく!

きりがないっての!」

 

少女……高那岐芽衣はそう独りごちながら走る。

 

後ろからは先程とは別の蜂が3体(・・)向かってくる。

 

 

こうなったのには訳がある。

それは今から一時間前………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side芽衣〜

 

「…なんで私が。」

「いや、本当にごめんな。」

「…ってか、兵藤君。

謝るくらいなら今回は頑張って契約とってくださいよ。」

 

 

買出し後、またもや部長に電話で呼ばれてとある一軒家まで行く事になった。

なんでも、兵藤君は評判│は《・》←ルビになってない良いのに契約を今まで1個も取れていないらしい。

そこで部長は人間視点からのアドバイスを得るために私を同行させたいそうな。

 

そうして途中自転車に乗った兵藤君と合流し、その一軒家に向かっているところ。

 

兵藤君は自転車を押して私の隣を歩いている。

申し訳無さそうな顔をしているのはいいけど、ちゃんと対策とかは考えているのだろうか。

 

「…そういえば、兵藤君。

今までの召喚してきた人たちってどんな人だったの?」

「ん?

どんな人って言われてもなぁ……

森沢さんは同好の士だし…

ミルたんさんは………うん。

スゲェ変わってる人だった。」

「…兵藤君もミルたんさんにあった事があるんだね。」

「…え?

もしかして高那岐も…か?」

「うん、何ていうか…変わった人だった。」

 

興味本位で今までの召喚者について聞いてみたんだけど、まさかここでミルたんさんの名前が出るとは思わなかった。

兵藤君も、ちょっと引きつった顔になっているし。

 

「…っと、ここだね。」

 

そうして話しながら歩くこと5分、目的のお宅に到着した。

 

「…なぁ、高那岐。

ドア空いてねぇか?」

「ん?…ほんとだ、不用心な。」

「もしかしたら俺達が来るの待ってて、ドア開けっ放しにしてんのかも!」

「…いやいや、君ら悪魔は普通は召喚されるはずでしょ?」

「あ、そっか。」

 

兎にも角にも、このままドアの開けっ放しは防犯上宜しくないのでとりあえず家に入って、家主を探すことにする。

 

「…おじゃましまーす。」

「ん?なんでそんな小声なんだよ?」

「いやいや、もしかしたら他の家族に黙って召喚してるかも知んないし、そもそも今私達は不法侵入真っ最中だからね。」

「…あ、そっか。」

 

玄関を抜けてそのままリビングの所までコソコソと進む。

………なんだろう、さっきからピリピリとした違和感を感じる。

 

 

「……ん!?

おい!誰か倒れてるぞ!?」

 

兵藤君が、指を指す。

その方向に中年の男性が縛られたまま倒れてる。

慌てて近寄り、脈や出血が無いか確認するがどこにも異常がない。

 

「…大丈夫。

多分、気を失ってるだけ。」

「そっか、良かった…。

でも誰がこんな事を……」

 

すぐさまに、全センサーを最大駆動させる。

今この家の中にいるのは私と兵藤君、そして目の前のこの人………それと、

後ろに1人!?

 

「兵藤君ッ、後ろ!」

 

バヂィン!!

咄嗟に兵藤君を突き飛ばし、振り返りながら単分子カッターで一閃するが、相手はそれを読んでいるかのように受け止める。

カッターを受け止めているのは光。

それも剣のように収縮された光だ。

 

「うおっと、危ねぇ危ねぇ。」

「光の剣……エクソシスト!?」

「その通りでござーいってな!」

 

ゴスッ!

「ぐっ!?」

「いってぇ……って高那岐!?」

 

一瞬の拮抗のあと、エクソシストに驚いた隙を見逃さずに蹴りを入れられた。

その勢いのまま転がりながら距離を取る。

兵藤君も状況を飲み込めてきたのか、そのエクソシスト相手に構えている。

 

「おーやおーや、悪魔と人間とは珍しい組み合わせだなおい。

これは是非ともコロコロしちゃうしか無いわな。」

 

そのエクソシストはけたけたと笑いながらも一切の隙を見せずにこちらを見据えている。

この特徴的な喋り方、白髪の少年、そしてエクソシスト。

 

これらの特徴に合う人物を私は知っている。

 

「誰だてめぇ!?」

「…フリード・セルゼン。

お前ら悪魔をぶっ殺するエクソシスト様だよ。」

 

フリード・セルゼン。

 

一部からは「味方殺しのエクソシスト」とも呼ばれている。

 

どのような相手にも姑息な手を使い、例え味方であろうとも自分の邪魔な存在は殺す…であろう。

 

そのような意味合いで付けられた二つ名だ。

 

 

「エクソシスト!?

なんでこんな所に!」

「俺はフリーのエクソシストでな、今の依頼主がここを襲撃しろっつうんだから来たんだけどもよぉ……

まさか本当に来るとは思わなかったぜ?

悪魔共よぉ!」

 

ブォン!

 

「おわっ!?」

「兵藤君、避けてて!

エクソシストの使う武器は悪魔には危険だから!」

 

悪魔である兵藤君を狙うフリードに

横から切りかかる。

だがフリードは懐から銃を取り出し、私に放つ。

銃口より発射された光の弾は的確に脳天と心臓の位置を狙っていた。

慌ててシールドを出し、防ぐ。

 

「…っち、何なんだよお前。

何邪魔してくれてんの。」

「そっちこそ。

さっさと帰ってくれないかなぁ…!?」

 

光の剣で何度も切りかかってくるのをシールドで捌く。

そのまま絶妙のタイミングで単分子カッターで突くが、フリードはそれを仰け反り躱す。

 

 

「ぜりゃあ!」

「ぐっ!?」

 

そこへ兵藤君がすかさず殴りかかる。

さすがにこれは避けれなかったのかモロに受けて吹き飛ぶフリード。

見れば、兵藤君の左腕には赤い篭手が付いていた。

あれが、兵藤君の神器…………

 

 

「…ってえなぁ!

てめぇら神器使いかよ!」

 

フリードは殴られた頬を抑えてはいるが、ダメージがあるようには見えない。

それに兵藤君も殴った時に足に銃弾を受けたらしく、顔を顰めている。

まずい、らちがあかない。

これは弱ったなぁ…………ん?

フリードの後ろに反応?

 

「フ、フリードさん、これは一体……」

「「アーシア!?」」

「イッセーさん!?

高那岐さんも!?」

 

フリードの背後から現れた反応、それは私が夕方に出会った少女アーシアだった。

てか、兵藤君もアーシアのこと知ってたんだ。

 

「おやおや、何?

おたくら知り合いなわけ?」

「ど、どうしてお二人がここに…」

「あ?

どうしても何も、こいつら悪魔とその愉快な仲間だぜ?」

「え……悪魔…?」

 

アーシアが信じられないといった表情で私達を見る。

兵藤君もショックを受けた表情だ。

おそらく自分が悪魔と知られたくなかったのだろう。

 

「まあ、いいさ。

ここでまとめてぶち殺せば問題ないしな?」

 

っく!

フリードがこちらに迫ってくるが、兵藤君はまだ動けない。

兵藤君を守りながら戦うとなると、これは少々…

 

「…おいおいおいおい。

それは一体何の真似だよ?」

「…止めて、下さい。」

「アーシア!?」

 

いよいよ覚悟とか諸々決めようとした時、なんとアーシアさんがフリードの前に入り込み、こちらを庇うように両手を広げたのだ。

 

「おーい、お前自分が何してんのか分かってんのか?てか、本気?そいつ悪魔だぜ?」

「イッセーさんも、高那岐さんも、いい人です!

私が困っていた時に手を差し伸べてくれて……例え悪魔だとしても、それは変わりません!

そんな人を殺すなんてこと、主が認めるはずがありません!」

 

剣を突きつけられ、怖いはずなのに。兵藤君や私が悪魔とそれに関係がある人と知り、ショックを受けてるのに。

それでもこの子は私達を……

 

「…めんどくせぇ、あの女からは殺すなって言われてたけどな…いちいち腹が立つんだよ!!

クソアマァ!」

「……!」

 

バシッ!

 

「…アーシア、ありがとう。

大丈夫だから。」

「イッセーさん!?」

 

アーシアさんの言葉に苛立ったフリードがアーシアさんを銃で殴ろうとした。

しかしそれは兵藤君がフリードの腕をつかんで止めた。

 

「あぁ?」

「アーシアが庇ってくれたんだ。

いつまでもへっぴり腰じゃ男が廃るってなぁ!!」ガスッ!

「ぐっ!」

 

そのまま兵藤君はフリードに頭突きする。

互いによろめき離れるが、

それでも兵藤君はアーシアさんの前に守るようにして立つ。

 

と、そのとき床が青白く光り出す。

それは徐々に形を変えていき…

 

「グレモリー眷属の魔法陣…!?」

 

兵藤君も気づく。

グレモリー眷属の魔法陣。

それが形成されていき…

 

「イッセー、芽衣、まだちゃんと生きているわね?」

「部長!」

 

リアス・グレモリーとその眷属達、彼らが現れた。

そうしてここにオカ研のメンバーが揃ったわけだ。

 

「……おう、マジか…

今度は団体様かよ。」

 

フリードも先程までの威勢は流石に保てないらしく、顔が引きつっていた。

 

「高那岐さん、大丈夫?

怪我はない?」

「大丈夫だよ、木場君。

それよりも兵藤君が…」

「…随分と私の大事なかわいい下僕達をかわいがってくれたみたいね?」

 

あ、ヤバイ。

部長声低いし、あれって怒ってるよね。

 

「…もうちょいでまとめてバラバラに出来てたんですけどねぇ。

どこぞの誰か達のせいで出来なくなっちまいましたがね。」

 

ズドムっ!

 

フリードがそういった途端、彼の後ろにあった壁がそのまま消えた。

見ると部長が手を翳した状況で立っていた。

 

「私はね、自分の眷属を大事にしているの。

だからそれを傷つける者は許さないの。」

「へ、へぇ…」

 

…完全に怒ってる。

こちらからでは顔は見えないけど、兵藤君が青ざめてるくらいだから相当怖いのだろう。

それを直に受けているフリードも、引いてる。

 

まあ、しかしこれで形勢逆転だ。

あとはこのまま、彼を縛り上げるなりして、雇い主を聞き出して……

 

 

この時、私は完全に油断してた。

部長達が来てこれでもう一安心と思っていたのだ。

だからこそ、それに早く気が付くことが出来なかった。

 

 

 

 

「……何の音でしょうか?」

 

最初に気が付いたのは小猫ちゃんだった。

皆が周囲を警戒するようにキョロキョロと見回す。

 

「……おいまさか、あのアマ。」

 

フリードが何かを呟き、顔を顰めて…

 

 

ブゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 

大量の羽音(・・・・・)が聞こえてきた。

 

「おい、これって…!?」

「くそ!

あのアマ、やっぱりやりやがった!!」

 

フリードも悪態をつく。

つまりはここを殲滅するために大量の蜂がここに来ているのだろう。

 

 

「部長!

周囲より多数の魔力反応!

囲まれています!」

「くっ、仕方ないわね…

朱乃!魔法陣を!」

 

部長が撤退の命令を出す。

開けた場所ならともかく、この狭い家の中では不利になると判断したのだろう。

 

「!部長、アーシアも一緒に!」

「駄目よ、この魔法陣はグレモリー眷属しか飛ばせないわ」

「イッセーさん!

私の事は大丈夫ですから!」

「アーシア!?」

 

そんな中、兵藤君はアーシアさんも連れて行けないか聞いているが、どうやらグレモリー眷属以外は魔法陣で飛ばせないらしい。

アーシアさんも別れの言葉を兵藤君に言っている。

 

……まったく。

 

 

魔法陣は輝き、皆が飛ばされる瞬間。

 

「ちょっ、高那岐さん!?」

「な!? 芽衣!!」

 

魔法陣から飛び出て、そのままの勢いでフリードに突撃する。

 

「なっ!?」

 

すぐさま銃を撃ってくるが、魔法陣を飛び出た時に起動(・・)しているので避けることは簡単だ。

 

懐に入り込み掌底、半回転し肘鉄、そのまま両手にスタンガンを出し、最大出力で当てる。

 

フリードは悲鳴を上げる暇なく失神する。

全ての打点を同じ所に集中、その上スタンガンまで浴びせたのだ。

これで失神してもらわないと困る。

 

ガシッ

 

「ふぇ!?

あの、高那岐さん!?」

「じたばたしないで、私が担いで行くから!」

 

アーシアさんの後ろに回り込みそのまま担ぎ上げる。

片腕が塞がってしまうが何とかなるだろう。

 

「な、なんで残ったんですか!」

「…いやぁ、あの部長うっかり属性持ちでね。

さっきの、グレモリー眷属しか飛ばせない魔法陣なんだけどね。

それだと私、飛ばされないんだ。」

 

グレモリー眷属専用、逆を返せば眷属以外は使えない。

つまりは私はグレモリー眷属ではないので使えないという訳だ。

 

「で、でも!」

「いいからごちゃごちゃ言わない!

黙ってないと舌噛むよ!」

「ひ、ひゃう!!」

 

全力でドアを蹴破り飛び出る。

目の前に躍り出た蜂にドアがぶち当たり、吹っ飛んでいく。

 

1、2、3…少なくとも6匹以上はいる。

あの女、ウツセミを改良したのか。

じゃないとこの数の説明が付かない。

 

「高那岐さん!後ろ!?」

 

ザシュ!

 

「あぐぅ!?」

 

突然、脇腹に激痛が……

見れば、後ろから針が刺さっていた。

近くには針を失った蜂がいて今まさに針が新しく生えようとしていた。

 

「ちょっ、そんなんあり!?」

 

毒づきながらも、左手にある物を出す。

 

M79グレネードランチャーと呼ばれるそれを目の前に撃つ。

 

それは空中で炸裂し、轟音と眩い光を放つ。

 

「閃光弾装填してて良かった…!」

 

間を縫うように、駒王学園に向かって走る。

 

アーシアは今の閃光弾で気絶してしまったらしく反応が無い。

 

「どうにかして学園まで逃げないと…!」

 

学園まで逃げれば部長達がいる。

 

 

 

 

そこまで、何としても逃げ切る!!

 




Q なんで芽衣は何時もの大火力武装使わないの?

A 使うと抱えているアーシアが超危ないです。(反動的な意味で)



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撤退戦

今回も遅れました、すいません。

しかも、また中途半端です。

…ところでふと思ったのですが。
芽衣の立ち絵って見たいって人います?





第23話

 

 

 

 

「だぁ〜!!もう!

いい加減しつこい!」

 

先程から絶え間無く襲いかかってくる蜂を撃ち落としながら、私は全力で走っている。

撃ち落とす度に蜂は黒く溶けて、消えていく。

が、それ以上に次から次へと新しい蜂がやってくるのだ。

 

先程、撃ち落とした蜂をチラッとではあるが観察したところ、中から黒い人型の破片らしきものが見えた。

 

あれって………

 

 

ドスッ!ドスッ!

 

うわぉ!?

油断してたらまた針が飛んできた。

てか、普通蜂って針取れたら死ぬんじゃないの!?

なのに死ぬどころか生えてるよ!

 

現在、細い路地を猛ダッシュで駆けているわけだが学園まであと、三キロはある。

私はスタミナはお化けレベルなのだが、精神的にきついものがあるなぁ…

 

振り向いて、装填済みのM79を撃つ。

割とテキトーに弾を装填しているので、何弾を装填したのかは自分でも分かってない。

 

おっ、今度は榴弾か。

直撃した蜂が見るにも耐えない無残な事になっている。

 

 

「しっかし、どうしよっかなぁ…。」

 

片手で銃身を折り、薬莢を捨てながらチラッと右手を…具体的には右手で抱えている者を見る。

そこにはアーシア・アルジェントが、いかにもマンガのようにぐるぐると目を回しながら気絶している。

 

つい勢いで連れてきたけど、おそらくこの子が例の保護対象でほぼ間違いないだろう。

とすると、本当なら神の子達を見張る者(グリゴリ)本部に連れていくのが正しいのだろう。

 

でもなぁ…今この子を連れていったら兵藤君が何するか分からないしなぁ…

てか、兵藤君とアーシアはいつのまに出会ったのだろうか。

しかもアーシアはイッセーさんって呼んでたし…

 

「これは……もしかし『ブォォォォン!』ってうっさいわ!!」

 

いつの間にか近くに寄ってきた蜂の頭部を蹴り飛ばす。

すぐ横の塀にめり込むがまだジタバタしているので生きているようだ。

 

 

 

「高那岐さん!」

 

うおっ!

突然蜂に剣がぶっ刺さった!

んでもって、振り返ると木場君が何かを投げたような姿勢で立っていた。

 

「木場君!ナイスっ!」

「高那岐さん、怪我は……っ!?」

 

木場君が私の脇腹を見て固まる。

針が刺さり、制服には血が滲んでいる私の脇腹を。

 

「大丈夫、まだ動けるから…!」

「……分かった、先に学園へ行ってて!

後ろは僕が守るから!」

 

…うわぁお、ちょっとドキッとした。

 

《実は芽衣さん、余裕あるでしょ?》

 

いやいや、これ空元気だから。

結構脇腹痛いし、こうやって意識だけでも余裕にしとかないとぶっ倒れそうだし。

 

木場君が私の後ろに続きながら、追いかける蜂を切り払って行く。

時には持つ剣を投げ、時には巨大な長剣を振り下ろして両断する。

やがて学園へ近付いてくると、追撃を諦めたのか、蜂達は追うのを止め去っていく。

 

とりあえずは、一安心…………うわ、ヤバイ。

気を抜いたからか、足取りがフラフラしてきた。

目も霞むし……

あっ、これは………

 

「う………ん?あ……こ、高那岐さん!?」

 

段々と足に力が入らなくなってきた時、アーシアが目を覚ました。

彼女は、私の手の中から抜けすぐさま私の脇腹に手を翳す。

あの時と同じように、暖かい光が傷をを治していく。

抜けた針は黒く溶けていき、やがて消えていった。

 

 

「うっ…はぁ…

ありがとう、楽になったよ。」

「いえ、私に出来ることはこれくらいしかないので……」

 

しっかし、きつかった……

 

「…ありがとね、木場君。

助けに来てくれて。」

「仲間のピンチに駆けつけるのは当然でしょ?」

 

…このイケメンフェイスの笑顔で何人の女子が虜になったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

その後、オカ研の部室まで戻るとまず部長に謝られた。

うっかりとはいえ私を置いていってしまった事をものすごく悔やんでいるようだったので、その謝罪を素直に受け取った。

続いて兵藤君がアーシアが無事だったことにものすごく喜んでいた。

アーシアも最初は悪魔に囲まれているからかビクビクしていたが小猫ちゃんにお菓子を渡されたり、兵藤君がみんなを紹介していったりして何とか馴染んでいるようだった。

その後、アーシアの事をどうするかで多少人悶着あったが、結果的に兵藤君の家で保護する事になったそうだ。

いざとなれば、部長達がすぐに駆けつけれるようにするためだそうだ。

そして各々が自宅へと帰っていく。

木場君が送って行くと言っていたが、傷はアーシアに治療されたし、平気だったので断った。

 

アーシアの証言では、やはり彼女を攫ったのはあの女(柏原優子)で、途中フリードと彼女を預け、どこかへ行ったらしい。

 

とすれば確実にまた襲撃する。

それに対しての装備を整えなくちゃ…

 

 

家まで歩いて戻ると、電気は点いていなく真っ暗だ。

そのまま玄関から入り、居間に続く障子を開ける。

 

と、そこに1人の男性がいた。

腕を組み、胡座をかいて座りこちらを睨んでいるのは…

 

 

 

 

「おいこら、なんで勝手に入ってるんですかフリード君(・・・・・)

 

「お前が割とガチで殴ったから治療しに来ただけだっつうの!」

 

 

 

 

 

ーー先程まで戦闘をしていた相手、フリード・セルゼンだ。

 

「そもそも、鍵はどうしたの。

玄関鍵かかってたよ。」

「二階の窓が空いてたんでそっから入ったんだよ。

戸締りくらいちゃんとしろっての。」

 

見れば頬にはガーゼが当ててあるし、湿布の独特の匂いもする。

痛みが続いているのか顔を顰めたままだ。

 

「…てか、なんでフリード君があそこに居たわけ?

独自に調べるって言ってたじゃん。」

「ふっ…聞いて驚け!

俺はなぁ、例の女に接触してなぁ、雇ってもらったんだよ!」

 

…このドヤ顔は放置して。

つまりはあの場所にいたのも、あの女の指示か。

 

「…元エクソシストを雇うってことは、戦力が欲しいってことか。」

「あぁ、俺以外にもエクソシストやらはぐれ神父やら集めてたぜ?

しかも追放された堕天使付き。」

「…え?それってほんと?

だとしたらほんとにあの女何する気だ……」

「そこまでは分からん。

俺も今日、あの女の指示通りの場所でアルジェント嬢を回収して、あの家で待ち伏せしてろとしか言われてないからな。」

 

むう、余計に意味がわからん。

ほんとに何がしたいのだろうか?

戦力を揃えたと思ったら、今度はシスターの誘拐。

そんでもって、そのシスター連れてアンブッシュさせる………

 

「やつが言うにはな、アルジェント嬢は計画には欠かせない存在なんだとか。」

「計画ねぇ……」

「まっ、俺が調べられたのはここまでだ。」

「うん、助かったよ。」

 

そういうとフリード君は立ち上がる。

まだ動きは多少ぎこちないが、明日には何とかなるだろう。

 

「おそらく、明日あたりにもう一回襲撃すると思う。

そん時は……」

「大丈夫、疑われないように加減なしで、でしょ?」

「おう、だけどな?

最後のはやりすぎだろーが。」

「あぁ、アレ?

だって普通なら絶対絶命のピンチだったからね仕方ないよ…?」

「おい、目を逸らすな。」

 

い、いやぁだってあの時無我夢中でしたから加減するの忘れてたからねぇ。

 

「…ったく。

おう、レイナーレによろしくな。」

「………素直じゃないねぇ。」

「…うっせぇ。」

 

 

フリード・セルゼン

味方殺しのエクソシスト。

しかしその正体は、

神の子を見張る者(グリゴリ)所属の私の直属の部下第一号だ。

 

 

 

まあ、彼との出会いの話やらを思い出すのはまた今度にして。

さて、明日に備えて、蔵から使っても怪しくない武器引っ張り出さないとねぇ…

 

 

 

 

 

 

 

「…んで。

これは一体どゆことなのかな……?」

 

「部長!!」

「駄目よ!」

 

ありのままにおこったことを話しましょう。

放課後にオカ研へ行ったら兵藤君と部長が言い争いをしていた。

 

 

 

ほんとに何があったんですか。




御感想及び、誤字脱字報告よろしくお願いします!


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アーシア救出戦・前編

ども、
書けば書くほど原作1話ラストの原型がなくなってきて若干不安になってる礼楽です。
最近、ガルパンにドハマリして書こうかとなやみましたがとりあえずは原作1話を書き終えてから考えることにします。


今回は前後編になりますがなるたけ早く後編を書きたいと思います。


それではどうぞ!


追伸、芽衣の性格というか喋り方が変わるのはモードの切り替えによるせいです。


第24話

 

 

 

 

 

 

 

フリード君との密会?から一夜明けて、色々と諸事情により学校を休む羽目になってしまった。

まあ、具体的には柏原優子ら一団に対しての装備を整えていた訳だが。

 

そうして、放課後。

アーシアに色々と気になっていることを聞こうとオカ研へと着いた私を待っていたのはアーシアが柏原優子に連れ去られたという事実だった。

 

 

聞けば、兵藤君は今日学校を休み、アーシアの気分転換を兼ねて、外出していたそうだ。

ハンバーガー屋にゲーセン……どう考えても学生のデートコースのような気がしてならないのだが今は割愛する。

 

最後に公園に立ち寄り、そこでアーシアの身の上話を聞きそこで友達になった瞬間に柏原優子が出てきたのだそうだ。

しかも傍にはフリード君とはぐれ堕天使を連れ、なす術もなく連れていかれたのだそうだ。

ただ、その時にフリード君が口を滑らせて町外れの教会跡に潜伏している事が分かったらしい。

 

……絶対わざとだ。

 

そして現在、部長に報告しアーシアを助けに行こうと言っているが部長がそれに反対しているらしい。

 

まぁ、そうだろう。

相手にはエクソシスト、堕天使、正体不明の蜂。

これだけの戦力を相手に戦闘経験ほぼ皆無の兵藤君が立ち向かうのだ。

そりゃ反対するだろう。

 

でも、何だろう。

本気で部長が反対してないように見えるのは気のせいだろうか。

 

 

 

 

まあ、いっか。

 

今のやりとりで兵藤君があの教会に行くのは分かったし、先に手を打って置かないといけない事が出来たので、誰にも見つからないようにこっそりと部屋を出る。

 

 

 

 

んじゃ、行きますか。

カチコミに。

 

《発想がどっから見てもヤクザのそれなんですけど。》

 

だまらっしゃい。

 

 

 

 

 

さて、やってきました教会跡。

うん…すごくわかりやすいほど、結界が張ってあるね。

なんで部長達はこれに気が付かなかったのだろうか。

 

まぁ、それはともかく。

兵藤君がここにやって来るまでにはまだ時間がある。

その前に私は私の用件…つまり柏原優子の確保とアーシアの保護、そして敵対勢力の壊滅をすればいい。

 

まあ、柏原優子に関しては最悪殺害もやむなしとアザゼルさんに言われてる。

要は彼女の研究のデータ、あるいはおそらく彼女が所属しているであろう組織の具体的な情報が欲しいわけで、メインとしてはそれの確保をしてくれと言われた。

 

 

さて、そろそろ電撃訪問と参りますか!

 

教会跡のドアの前に立ち、脚に力を込める。

見上げると、ちょうどステンドグラスがいい位置にある。

そのままバックステップし、着地の反動で身をかがめ斜め前方向に跳ぶ。

 

ガッシャャァァァン!!

 

 

「ダイナミック☆お邪魔しま〜すってね」

 

または、さいごのガラスをぶち破れ!でも可。

 

下を見ると、突然の事に対応出来ていない神父風の服装の男が2人。

2人が上を見る前にそれぞれ左右の肩を落下の勢いを乗せて踏み砕く。

 

悲鳴を上げて、肩を抑える2人にバックステップを絡めた肘鉄を鳩尾に当てる。

そのまま襟首を掴み、前方にぶん投げると、ドタバタと出てきたほかの神父にぶつかり共に転がる。

 

そうこうしていると、私を囲むようにそれぞれの武器を構える神父達。

その中心には女性の堕天使がいる。

 

「うっわぁお。

女子高生相手に20人ですか。」

「あら、立場を理解してないようね。

あんた、袋のネズミって奴よ。

大人しく私達に殺されることね。」

 

おっと、まさかの即殺害宣言って。

うーん、人数だけ見ればそんなんたろうけどさ。

 

「知ってます?

お前を殺すって言葉は生存フラグになるそうですよ?

それに……」

「それに?」

 

一旦、目を閉じ切り替える(・・・・・)

そして紅い目で見下すように、

 

「私を倒したかったら上級堕天使連れてこい、下級堕天使(下っ端)。」

 

 

ーーー思いっきり煽る。

 

 

「…ああ゛!?

テメェぶっ殺す!!」

 

途端にブチギレた堕天使が光の槍を投げてくるが、首を傾けるだけで避ける。

堕天使はもう一つ手に槍を出し、こちらへ突撃してくる。

……が、動きが直線的で何のフェイントも無いし、怖くない。

 

向かってくるのに合わせて、片足を引き上体を逸らして躱す。

避けられた事に驚いている顔をぶん殴り、横腹を蹴り上げる。

そこからスパイクハンマーを取り出し、思いっきり振り下ろす。

 

「ぎっ!…ぎゃぴ!?」

 

…悲鳴を上げたあと、全く動かなくなったけど…まあ、堕天使だから大丈夫……だと思う。

 

「お、おい。

あの女、あっさりやられちまったぞ!?」

「堕天使だから強いって話じゃなかったのかよ!」

「なんなんだよ……あんなのに勝てるわけねぇだろ!?」

「お、落ち着け!?

相手は1人だぞ!?囲んで戦えば倒せるはずだ!!」

 

……なんだなんだ。

勝手に相手が恐慌状態に陥ってるよ。

そこまでこの人が偉い立場だったのかな?

 

《…どう考えても、芽衣さんに恐れをなしているんだと思いますけど……》

 

えー?それはないと思うけど…

とりあえず兵藤君が来た時に備えて堕天使は先んじて無力化出来たし、あとはこの人達を突破して奥へ行くだけだ。

 

「………まだ、やりますか?」

「くそ!

舐めてんじゃねぇぞ!!」

 

半ば悲鳴のように叫びながら1人が光の剣で切りかかってくる。

それを皮切りに続くようにして、残りのエクソシストも襲いかかってくる。

 

 

 

 

さて、早いとこ切り抜けないと兵藤君がやって来るだろうし。

残しておいても危ないから。

 

 

 

「…全員、ぶっ飛ばす!!」

 

 

 

 

 

 

 

〜イッセーside〜

 

部長からのお墨付き、そして木場と小猫ちゃんという頼れる仲間と一緒にアーシアを助け出そうとした矢先、俺はある事に気がついた。

 

「……なあ、木場。

ところで高那岐は?」

「…ん、あれ?

さっきまでそこにいたと思ったんだけど…」

 

 

確かに俺が部長と話していた時にはいたと思ったんだけどなぁ…

それも複雑そうな表情で。

 

「…これ。

テーブルの上にありました。」

 

すると、小猫ちゃんがそう言ってメモ紙を渡してきた。

表面には

これからカチコミに行く人へ。

…てこれ、俺達のことか!?

 

「えっと、なになに…

『兵藤君、私もアーシアさんを助けたいので協力しますよ。

ですが、部長との押し問答が長いので先に行ってます。』…ってこれ!?」

「そんな!

ひとりで行くだなんて!?」

 

おいおい!

あいつ、俺を助けようとした時もそうだけど無茶をし過ぎだぞ!?

 

「すぐに行こう!」

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……ここか!」

 

やっことさ教会についた俺達だったが、周りには誰もいない。

教会もドアは閉ざされていて、せいぜい上のステンドグラスが割れている程度だ。

 

そして木場から説明を聞いて、突撃しようとした矢先……

 

バスンッ!

 

「うぐわぁ!?」

「うわっ、なんだ!?」

 

突然、神父風のおっさんがドアごと外にぶっ飛んできたぞ!?

 

慌てて中に乗り込むと、ぶっ倒れている人達がいて、その中心に高那岐が立っていた。

 

「あ、兵藤君。

それにやっぱり木場君と小猫ちゃんも来たんだね。」

「…これ、全部お前がやったのか?」

「うん、全員、エクソシストとは思えないほど動き自体は単調だったから、

避けて、

殴って、

投げ飛ばして、の繰り返しで。」

 

何でも無さそうに振舞っているが、ざっと20人はいるぞ!?

それを無傷だなんて……

 

「高那岐さん…1人で行くなんて、心配したんだよ?」

「ごめん、木場君。

でも、これでも私は結構強いんだよ?

だから大丈夫…」

「それでも!

心配をかけるような事は止めてほしい。」

「うっ、

…ごめんなさい。」

 

おぉ、珍しく木場がマジトーンで怒ってる。

それに対して高那岐はしゅんとして謝った。

…なんか、子犬と飼い主のように見えるのは気のせいか?

 

「…それで、先輩。

アーシアさんは?」

「…ごめん、まだ見つけられてない。

多分この奥の階段の先にいるとは思うけど。」

 

そう言って、指さしたのは祭壇。

行ってみると確かにそこには階段があった。

顔を見合わせて、俺達四人は階段を降りていった。

 

 

 

 

〜芽衣side〜

 

 

階段を降りた先にあったのは大きな、部屋、そして1面に広がる培養層。

 

「……なんだこれ。」

「…中は全部、蜂…。」

 

培養層の中は蜂、それも私を襲った蜂よりも大きな個体だ。

 

そしてその奥、一段高くなった場所に磔にされているアーシアと……

 

「柏原優子……!」

「…その様子だと、全然役には立たなかったのね。

まったく…金の無駄だわ。」

 

イラついたように吐き捨てる、柏原優子。

アーシアはピクリともせず、項垂れている。

 

「…アーシアに何をした。」

「あら、まだ生きていたのね、兵藤君。

もうとっくに死んでるものだと…」

「言え!

アーシアに何をしたぁ!!」

 

 

「何って、ただ神器を摘出した(・・・・・・・)だけよ?」

 

 

…神器を摘出!?

待て、神器を持ち主から取り除いたら!?

 

「まあ、この子は死ぬだけだろうけど。

大したことではないわ。」

「…大したことじゃないだと…?

…ふざけんなっ!!」

 

兵藤君の顔が怒りに満ちる。

それと同時に兵藤君の左腕に赤い篭手が現れる。

 

「今ので確信した。

優子ちゃん…いや、お前は倒すべき敵だ!!」

 

叫び、走り出す兵藤君。

木場君と小猫ちゃんもそれぞれ、兵藤君の後を追う。

 

「…邪魔はさせないわよ!

行きなさい!」

 

柏原優子…ああ、面倒臭い!

奴が懐からスイッチを取り出し、押すと。

 

周りの培養層が一斉に割れて、蜂が飛び出して、兵藤君目掛けて襲いかかっていく。

 

……だけど、そうはさせない。

 

「みんな、頭下げて!!」

 

私はそう叫ぶと同時に、両手にある物をそれぞれ出現させる。

 

ドドドドドドドドドドドドッ!!

 

「おわっ!?

…ておい、高那岐それって!?」

「説明はあと!

いいからさっさとアーシア取り返して来い!!」

 

両手にそれぞれ握ったM60機関銃の引き金を引き、蜂を撃ち落とす。

こんな事もあろうかと、こっそり本部から拝借してきたのだ。

普段使ってる物よりかは威力が劣るけど、蜂相手ならこれでも充分!

 

流石に全ての蜂は落とせないが、近づく蜂は木場君が切り飛ばし、小猫ちゃんと兵藤君が殴り飛ばしている。

兵藤君は途中、『兵士』の駒の特性であるプロモーションを使い、蜂を跳ね除ける。

…あれが、悪魔の駒の力。

 

蜂を撃ち落していくのと同時にアーシアを繋ぎ止めていた拘束具を撃ち抜く。

 

「アーシアぁ!」

 

ちょうど、兵藤君がアーシアの元へ辿り付くとアーシアの体が開放され、地面へ落ちる。

すかさず兵藤君が抱き抱えて、呼びかける。

 

「アーシア!

おい、しっかりしろ!」

「………ぅあ、

…イッセー……さん?」

 

…まだ息がある!

だったら

 

「待ってろアーシア。

すぐに…「兵藤君!」!?」

「神器を抜かれた人はどうやっても死んでしまう!

だから神器を取り返して!!

息があるなら間に合うはず!」

 

 

「それは無理ね。」

 

 

「優子ちゃん…!」

「彼女の神器はもう結合させたわ(・・・・・・)

今のあの子から取り出すのは不可能よ。」

「あの子…?」

 

彼女はそう言うと、仰ぐかのように両手を広げる。

その顔は狂気に満ちた笑顔だ。

 

「そう!

あんな出来損ないのウツセミじゃない!!

私の呪術と傀儡とウツセミ、そして『聖母の微笑』!

これらが組み合わさった、完全なる自立人造神器!

出て来なさい、『女王蜂(クイーンビー)』!!」

 

 

 

叫ぶのと同時に、巨大な何かが彼女の背後の壁を破って這い出てくる。

今までの蜂よりも二回り大きな体。

生体で出来た部分と、木で出来た部分があり、徐々にではあるが木の部分が生体によって覆われていっている。

羽は生えている途中なのか、右側にしかなく、足の数も左右で違う。

だが、顔には大きな牙。

そして体から足とは別に鉤爪のついた手のようなものが生え、さらには光力の刃が生えている。

 

 

これが、柏原優子の切り札、

女王蜂…

 

「っち!

兵藤君、予定変更!

アーシアをここから離して下さい!

でないと彼女が巻き添えになります!」

「…わ、分かった!」

 

兵藤君にアーシアを連れて下がらせて、考える。

柏原優子の言葉通りならあの女王蜂には『聖母の微笑』の効果、つまりは治療効果が備わっている。

だとしたら、一気に勝負をつけないとジワジワと回復される!

それにまだ、さっきの蜂も残ってる。

早くしないとまだ出てくる可能性も…。

 

 

「……まだ出すのは早かったか。

でも、構わないわ。

『女王蜂』、皆殺しにしなさい!」

 

「木場君、小猫ちゃん!

ここが正念場だよ!!」

 

「わかった!」

 

「…了解。」

 

 

 

 

私が機関銃を向け、

木場君が剣を構え、

小猫ちゃんが近くの瓦礫を持ち上げ、

そして女王蜂と周りの蜂が一斉に向かってきて、

戦いは始まった。

 

 




誤字脱字、及びご感想宜しくお願いします!


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アーシア救出戦・後編

最近、ほぼ週一更新になってしまってる礼楽です。

個人事ですがガルパン4DX見てきました!
いやぁ、良かったっすよ!
だがローズヒップ、お前が出ると大抵めっちゃ揺れて腰が痛くなったんだが。
おっ紅茶ぶっかけんぞコラ。

そして最後に、



ガルパンはいいぞぉ。


第25話

 

 

戦いは膠着していた。

 

というのも、相手の数が多いのと女王蜂の回復能力により、倒しても倒してもまた、這い上がってくるのだ。

こちらも数匹、細切れにして再起不可の状態にはしたが消耗が激しい。

 

木場君はまだまだ余裕の表情で戦い、

小猫ちゃんは私が渡したスパイクハンマーを力一杯振り回している。

だが、私はというと片方のM60は弾が切れ、もう片方も残弾は残りわずかになってしまっていた。

 

ーーこんな事なら本体だけじゃなくて、もっと弾倉も持ってくればよかった!

 

 

さらにもう一つ、女王蜂がだんだんとこちら側に這ってくるせいで場所が狭くなってきてるのだ。

 

「二人とも大丈夫?」

「僕はまだ大丈夫、小猫ちゃんは?」

「…私はまだ行けます。

あと先輩、すみませんハンマー壊れました。」

「えっ!?

…まあ、仕方ないか。」

 

見ると、根元からポッキリと折れてた……

以外と気に入ってたんだけどなぁ。

 

「んじゃ、これ使って。

釘バット、釘逆さver。」

「…高那岐さん。

いったいいくつ武器持ってるの?」

「数えたことはないよ。

あ、これ使えるなって思ったものは大抵突っ込んでたから。」

「…先輩、別に私は素手でも戦えますが。」

「ダメ、あの蜂は殴っても手応えは無かったからきっと打撃に耐性があるんだよ。」

 

そう言うと、小猫ちゃんは納得した表情で釘バットを受け取ってくれた。

 

…意外と似合うのは何でだろうか。

 

 

カチン。

 

そうこうしているうちに、とうとうM60の弾が切れてしまった。

 

ある程度、蜂は駆除出来たがまだまだいる。

 

どうしようか、M79だと二人を巻き込んでしまうし。

かと言って小火器だと、そもそもダメージが入るかどうか……

 

とりあえず今は単分子カッターとブレードを、両手に持ち蜂を切り刻む。

 

「あら、先程までの威勢はどうしたのかしら?」

 

柏原は、女王蜂の近くで高みの見物を決め込んでいる。

何発か撃ったりしたが、全て女王蜂の羽によって防がれてしまった。

 

でも、実際ジリ貧ではある。

だから……………………前言撤回、やっちゃおう。

 

 

「二人とも!

派手にいくから下がって!」

 

叫び、私は手にある物を呼び出す。

 

 

「ち、ちょっと待って!

そんなものここで使ったら!?」

「先輩、それは流石にマズイです……!」

 

構わず、導火線に火をつけ束ねていた紐を解き、全体に散らばるように投げつける。

 

 

ーーダイナマイトを(・・・・・・・)

 

 

ドバァァーーーン!!

 

 

「「うわぁぁ!?」」

 

爆発が起き、あたり1面に広がる爆煙。

そして何かが弾ける音と壁に何かがぶつかる音、そして近くには焼け焦げた蜂の死体。

ダイナマイトは手榴弾と違って破片は飛び散らないため、爆発した近くのものしかダメージはない。

だからダイナマイトの近くにいた蜂は木っ端微塵となり、私達には被害はない。

 

 

「ちょ、危ないじゃないか!?

僕が小猫ちゃんを抱えてなかったら巻き込まれてたよ!?」

「…先輩、酷いです。」

「いや、ちゃんと木場君がそうやって助けると思ってたから私も安心して投げられたわけで……」

「「理由になってない!(です)」」

 

 

「……呑気なものね。」

 

 

「「「!?」」」

「…あーあ、せっかく作った体(・・・・)がもうボロボロ。」

 

爆煙が晴れてきて、室内を見渡せるようになってきた。

 

部屋はボロボロで床や壁、さらには天井にも穴が開いていて。

その床の上には大量の蜂の死体。

そして奥には血を滴らせ(・・・・)ながらも先程よりも大きくなっていて、こちらに敵意を見せる女王蜂と…

 

 

胴体から下が無くなっている柏原優子の死体があった。

さらに、断面からは歯車、木で出来た骨組みが散らばっていた。

 

 

あぁ…そういう事か。

中身を入れ替えたんですね。(・・・・・・・・・・・)

「正確には融合して本体となった、といった方が正しいわよ。」

 

そう、ギチギチと牙を鳴らす女王蜂(柏原優子)

 

元の体から零れでた、木片の中に今まで何度も見た人型の木片があったこと。

まだ完成途中のような風貌の女王蜂の体が急に成長したことから考えるにそうなんだろう。

 

「人と神器の融合だって…!?」

「そうよ、元々はタダのウツセミ。

その体を強化するのに人を使っていた。

それだけの話よ。

今頃は上にいたエクソシストもみんな、タダのカラクリになってるはずよ。

何度も何度も実験と失敗を繰り返して、やっと出来た技術。

それにより、ウツセミを超えた神器がこの体。」

「…その実験で、この街を使ったわけ?」

 

前の盗撮事件の犯人も、元をたどればこの女の実験の被害者という訳か。

 

 

ただ…これでもう、大体の全容はわかった。

要はこの狂った女の女王蜂をぶっ壊せば万事解決する。

 

 

「…二人とも、一旦上に!

ここで戦うと、崩れる可能性がある。」

「…逃がすかぁ!」

 

M79を迫る女王蜂に撃ち、階段を駆け上がる。

 

 

 

三人で教壇裏の階段を上がり、蓋を閉めて入口近くまで下がる。

 

辺りを見回し………こちらに背を向け俯く兵藤君とアーシアを見つける。

 

 

アーシアは……まだ微弱だけど息をしている!

 

 

ガァァァン!

 

聖堂内に響く破壊音。

床が崩れ、そこから女王蜂が這い上がってくる。

ほぼ全身が生身と化し、鍵爪の付いた手は増えている。

 

そして顔に当たる部分に禍々しい力と、緑色の輝きが見える。

前者は柏原優子の核となっているであろう物で、後者はおそらく『聖母の微笑』だ。

 

「力が湧いてくる!

これが本物の神器の力!

素晴らしいわ!

アハハハハハハッ!」

 

笑う様に、嘲るようにそう言い放つ女王蜂。

 

 

私を含め みんながそれぞれ構えた時、

 

 

「………せよ。」

 

 

兵藤君がゆっくりと前へ歩いてくる。

手には彼の神器が既に現れていて、篭手の表面には紋様が広がっている。

 

……え、あれって。

 

「…それはアーシアの神器だ。」

「だから?

もう死んでる子にはいらないでしょウ?」

 

「……アーシアを返せよぉ!!」

『Boost!』

 

「兵藤君!?」

 

叫び、真っ直ぐ女王蜂へと突き進む兵藤君だが、横合いから鍵爪に薙ぎ払われる。

が、それを受け止め、踏みとどまる。

 

「アハハハハハハ!

ムダよ!

力のナい者にワタしはたオせなィ!」

 

完全に同化し始めたのか、女王蜂(柏原優子)の声が変化していく。

同時に、禍々しい光も強くなっていく。

 

 

 

 

 

「なあ、みんな。」

 

不意に兵藤君が話しかける。

 

「俺はさ、アイツをぶっ飛ばしたいんだ。

だけどさっきから俺だけじゃ駄目なんだ…

だから頼む!

俺に力を貸してくれ!!」

 

………まったく、今更何言ってんだか。

 

 

ブオンッ!

ザシュッ!

 

兵藤君の横合いから私が鍵爪を切り飛ばし、木場君が女王蜂の足を切りつける。

 

「今更何言ってんのかな?」

「道は僕達が開くから。」

「…先輩はさっさと、ぶっ飛ばしちゃって下さい。」

 

「…あぁ、分かった!!

後それと…俺のことイッセーって呼べよな!」

『Boost!』

 

 

…さて、とりあえずは鍵爪を全部落とすか。

 

私が走り出すと同時に木場君も反対側を走り出す。

 

「小賢シい!」

 

向こうも鍵爪を振り回しているが、まったく当たらない。

おそらく身体の大きさに自身の感覚が追いついていないのだ。

 

…と、そこへ。

「おらぁ!」

『Boost!』

「やぁ!」

 

後ろにいた兵…イッセーと小猫ちゃんの投げた長椅子が女王蜂の両目にぶつかる。

 

「ギィィィアァァァァ!!?」

 

「今!」

 

すかさず懐へと飛び込み切り刻む。

 

鍵爪、節々、足、胴体と次から次へと。

刺して、切って、時には傷口へねじ込むように足を突っ込む。

反対側では木場君が同じように、しかし無駄のない動作で鍵爪を根元から切り落とす。

 

 

「調子ニィ、ノルナァァ!」

 

あまりの連撃に耐えかね、羽を震わせ宙へと浮く。

 

…だけど、迂闊だったな。

 

「コイツをくらえぇぇぇ!!」

ブレードの引き金を引いてロックし、全力でぶん投げる。

ブースターからアフターバーナーが吹き出し、回転しながら飛び羽の根元にぶっ刺さり…

 

ーーオーバーヒートしたブースターが炸薬と連動して爆発。

羽は根元から燃え、ブレードの破片が羽を切り裂いていく。

 

 

「がぁぁぁぁ!??」

 

もう一つの羽で何とか浮遊をしようとするが、壁を蹴って高くジャンプした木場君によって鮮やかに細切れにされる。

 

 

さらには追い打ちをかけるように小猫ちゃんが何かを担いで上から降ってくる。

後ろを見ると兵藤君が何かを投げた姿勢でいるからおそらく小猫ちゃんを投げたのだ。

 

 

「…やぁぁあ!」

 

小猫ちゃんは担いだ物……この教会の十字架を思いっきり背中にぶっ刺す。

突き抜けた十字架は床に刺さり、女王蜂を標本のように縫い付ける。

 

「ゴガァァァァァ!!?」

 

這いだそうともがくが刺さった十字架は変形でもしたのかまったく動かない。

 

 

「「「今だ、イッセー!!(君)(先輩)」」」

 

「あぁ!!

行くぜぇ!!」

『Boost!』

 

 

 

「クソガッ!外レロ!?

ワタシはココでシンデイイ人間でハ!」

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

「ヤメロォォォォォォォ!!」

 

 

 

「吹き飛べ、クソ蜂!!」

『Explosion!!』

 

ドガッ!!

 

イッセーが放った拳は、真っ直ぐ突き刺さり、何かが割れる音と共に女王蜂の顔が吹き飛ぶ。

 

拳が当たったところから緑色の光が飛び出し、それをイッセーがキャッチする。

 

頭を吹き飛ばされた女王蜂はそのまま十字架ごと吹き飛ぶと、奥の壁にぶつかり、ずり落ちる。

 

 

 

 

 

 

これで…………終わった。




ご感想及び誤字脱字報告など、よろしくお願いします!


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その後のお話と七不思議

ども、今回は繋ぎの話なので短いです(いつもの事)

それとドラマCDの話になりますうえに、更にモブキャラもでます。

そんな訳でどうぞ。


第26話

 

 

 

その後の話をしよう。

 

 

あの後、アーシアに聖母の微笑を戻したのはいいがアーシアは衰弱しきっていた。

このままでは助からないとほとんど諦めていた時、部長と姫島先輩がやって来た。

 

部長はアーシアを助ける方法として、彼女に僧侶の駒を与え、自分の眷属とした。

しばらくしてアーシアは蘇り、それに感極まったのかイッセーが思いっきり抱きついてアーシアがあわあわしてたりと何ともまあ、微笑ましい雰囲気となった。

 

 

女王蜂…柏原優子の死体は部長がまとめて滅びの力で消し去り、建物内にあったものは全てを処分した……表向きは。

 

 

その後、みんなと別れて家に着くと、レイナーレ(メガネver)とフリード君が大量の資料やらデータやらを相手に悪戦苦闘していた。

聞けば私達が突入する前に二人がかりでパクッて来たそうだ。

 

……無駄にドヤ顔で説明するフリード君は軽く蹴っ飛ばしたけど。

 

打ちどころが悪かったのか、目を回して気絶してるフリード君をレイナーレに押し付けてシャワーを浴びる。

 

 

 

…しっかし、あの2人何でまだ付き合ってないのだろうか。

さっきもレイナーレは顔を少し赤くしながらも普段とは違う優しい表情でフリード君を(これまたごく自然に)膝枕してたし。

 

 

 

アザゼルさんも、

「一緒の部屋に入れて一週間放置してもくっつかないんじゃね?」

って匙をぶん投げるぐらいだし。

 

 

そうそうアザゼルさんつながりで思い出した。

この度、私こと高那岐芽衣は晴れて【神の子を見張る者駒王町支部】の支部長に任命されました。

 

 

具体的には今までの潜入及び、監視任務が該当地域の調査、他勢力との調和、さらには特別任務として今代赤龍帝、兵藤一誠の観察に変わったぐらい。

アザゼルさん直下の特殊な支部で、存在もほかの人には隠匿するそうだ。

これを知っているのは本人達とシェムハザさんだけだ。

支部員はレイナーレ達四人とフリード君。

 

……ただ、アザゼルさんが赤龍帝の篭手を観察したいがために作ったわけではない。

 

 

 

それはさておき、オカ研の話だ。

 

アーシアという超天然の至宝が加わったグレモリー眷属。

アーシアは何故か、イッセーの家に住むことになったり、木場君と小猫ちゃんを合わせた五人でゲーセンへ行きちょっとひと騒動したり、アーシアが聖書を朗読しようとして私以外の全員にダメージが入ったりと、ちょっとした事が思い出になっているであろう。

 

 

私はこの生活が案外気に入っている。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「これって日記だよね…

なんか作文っぽくなってるよ…」

 

ペンを置き、座椅子にもたれながら背伸びをする。

 

しっかし、暇だ……

 

今日は日曜日、オカ研もお休みで予定も無し。

 

壊れた武装を直そうにも、

「それは俺がたっぷり改造して送ってやるから楽しみにしとけ。」

ってアザゼルさんから言われて手元には無い。

 

…今思ったがあの人、いつ総督業務やるんだろうか。

 

 

「…あ、そうだ。

アレの練習しよっか。」

 

そうと決まればとりあえず道場までいこう。

…ちゃんと道場もあるなんて、ホントにここ衛宮邸そっくりだなぁ。

 

 

 

 

 

 

「うーん、こんな…いや、違うなぁ…」

 

何とか形だけはそれっぽく出来たけど、実際に戦闘で使うとなるとまだまだといった具合だ。

 

 

「…………うぁあああ、もう!

やめだやめ!!」

 

次第にイライラしてきて、床に転がる。

板張りの床は程よく冷たく、高まっていた体温を低くしてくれる。

そして気持ちいい。

 

《やっぱり、やめた方がいいんじゃないですか?

一度見ただけの技なんて、再現できるとは到底思えませんが。》

「いやいや、せっかくの機会だからね。

あれが使えるようになったらこの先戦う時に役に立つかなぁ…と。」

《…前はあんなに戦うの嫌がってたくせに。》

「うーん、そこはほらあれだよ。」

 

 

私はとある物を、ポケットから取り出す。

9mmパラベラム弾。

世界中のいろんな拳銃や短機関銃で使用される弾丸。

その名前、パラベラムという言葉にはとある意味がある。

 

それはーー

 

「『Si vis pacem, para bellum』」

《…汝平和を欲さば、戦への備えをせよ。》

「そう、それ。」

 

真に平和を願うのなら、理不尽に抗うための力を蓄えよ。

私はそう解釈している。

 

今でも、目を閉じれば思い出せる。

あの日、兵藤君を守れなかったこと。

今まで、守れずに目の前で死んでいった人の事を。

 

そしてーーーーこの手で殺した人達の事を。

 

 

生きるため、誰かを守るために仕方なくとは口が裂けても言えないが、それでも私は殺した。

 

アザゼルさん達は割り切れと言うが、少なくとも私はそこまで器用ではない。

 

ただ、ひとつ言えるのが……

 

「何かしら守りたいものがあるなら、今度こそそれがこぼれ落ちないようにしたいんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………と、我ながららしくもない事を考えていたのが、昨日。

 

本日は、登校日。

しかして、授業なぞ大して記すこともなく、昼休みの真っ只中。

遠くから聞こえてくるのは、賑やかな生徒達の談笑と、昼休みの放送部がかける静かな音楽、そして廊下を爆走する三バカとそれを追いかける女子達の足音。

 

 

 

…………うん、いつもの日常だ。

 

「あの、イッセーさん達は…」

「アーシア、あれがいつもの光景だから何の問題もないんだよ?」

「こらそこ。

アルジェントに変なこと吹き込むな!」

「そうそうアーちゃん気にしない気にしない♪

そんな事よりご飯早く食べないと冷めちゃうよ♪」ズルズル

「お前は、学校でカップ麺を食うんじゃない!

そもそもどっからお湯持ってきた!?」

「ん?

家からティ〇ァール持ってきた♪」

「そんな物持ち込むなぁ!!」

 

 

今日はクラスの仲の良い二人とお昼を食べる事になったが、急遽そこにアーシアも入れて(イッセーと食べようとしてたがあの状態だったため。)の昼食。

ほぼ女子会の雰囲気となってしまってるため無論、木場君はいない。

 

「てか、少しは肩の力抜かないと疲れるよ?」

「…わかってるが、こいつのほんわかな雰囲気にアルジェントがあてられないか心配でな。」

「あんたは保護者か何かか。

あとそこ、アーシアにカップ麺を勧めない。」

「え〜、美味しいのに。」

「いや、アーシア自分のお弁当あるのに勧めないの。

てか、何個持ってんの…」

「あのぅ…頑張ったら食べれますよ?」

「次の授業体育でしょ?

アーシアは小食なんだし、無理したら気分悪くなるよ。」

「あ、そうでした。」

「大丈夫だよぉ♪

私なんて三つ食べても全然平気だよ♪」

「「それはお前(あんた)だけだ。」」

「あ、あははは…」

「というかそんなに食うと太るぞ、いや太ってしまえ。」

「私は食べても太らないから♪」ポヨンッ

「「…くっ!」」

「…高那岐、アルジェント。

貴様ら目が怖いぞ。」ポヨンッ

「お二人共大きいですよね……」

「大丈夫大丈夫、まだ遅くない大丈夫……」

 

片やお硬い片メガネっ子にキャピキャピ系ジャンクフード大好きっ子、もう片方は改造人間に純粋シスターの悪魔。

 

両者の間に何の差があるのかは彼女達の名誉のために語られないが…首から下、腰から上とだけ言っておこう。

…並では巨には勝てないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっし、部活行こうぜ!

って……アーシアなに飲んでんだ?」

「牛乳です、大きくなるには牛乳が一番ですから!」

「そ、そうか。

………身長のことかな?(ボソッ」

 

放課後、教室へアーシアとイッセーを迎えに行くとそんな会話が聞こえてきた。

 

…二人とも微妙に食い違ってるよ。

あと、牛乳じゃ大きくはならないんだよ…ソースは私。

 

その後、木場君と小猫ちゃんも合流し、部室に着く。

中では部長が優雅に紅茶を飲んでいて、その横で姫島先輩も紅茶を飲んでいた。

 

私達も紅茶を頂き、それぞれ思い思いにくつろいでいると部長が突然こんな事を言い出した。

 

「ねぇイッセー。

あなた達は駒王学園七不思議って知ってるかしら?」

「七不思議ですか?

えっと、それって良くある学校の七不思議と同じようなものなんですか?」

「そうね。

この学園にもそういうのがあってね。」

「へぇ…」

 

!?な、七不思議…この学園にもそうゆうのあるんだ…

へ、へぇ…

 

《あれ、高那岐さん?

どうしました?》

 

うぇぇ!?ナ、ナンデモナイヨー…

 

「……それでね、イッセーとアーシア、あと芽衣にも今夜悪魔の仕事が終わったら見てきてほしいの。」

「七不思議をですか。」

 

わ、私も!?

何で!?

 

「そうよ、これもれっきとしたオカルト……芽衣?

どこいくのよ?」

「……こ、今夜は急用ができる予定なので」

「…急用が出来る予定ってどういう事なのよ。」

「…なあ、高那岐。

お前もしかして…」

「全然ちげーし全然怖くないしそもそもお化けだなんて非科学的な物がこの世に存在するわけないし物質の法則的に無理だしそもそも私が恐れるのは夜の学園内でのアンブッシュだしだから別にお化けが怖い訳では無い!

いいね!」

「アッ、ハイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だったら、今晩はここに来ても大丈夫ね?」

「あ」




モブキャラですが、評判がよろしければ日常回でちょこちょこ出そうかとも考えてます。
あと、とあるアニメのキャラをモチーフにしてます。

とにかく、ご感想及び誤字脱字報告などお待ちしております!



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七不思議にはご用心!あるいは謎の男の娘。

すいません、遅れました。
七不思議ネタを取り入れようとはしましたが、思った以上にグダグダになったので最初から書き直していました。

それでは、どうぞ。


第27話

 

 

人気のない夜更け…

以前はレイナーレと共に来たことがあるけど、何故かその時よりも学校が怖く感じる。

まぁ、あの時は校内入らなかったけど。

 

今回、私とイッセー、アーシアの3人組は部長、リアス・グレモリーにより真夜中の駒王学園へと来ている。

『駒王学園七不思議』を見てこいとの事だったが、そもそもこの学園の七不思議なんて聞いたこともないんだけど。

 

とにかくまずはイッセーとアーシアに合流しないといけない。

一応、校門前が待ち合わせの場所のはずだが誰もいない。

 

…てかやっぱり納得出来ん。

なんで私までこんな事しなきゃいけないのか…

そもそもこんな真夜中に、しかも明日も普通に学校があるのに七不思議調査なんて…

普通の人なら絶対明日の授業まともに受けれないよ…

 

まぁ、普通じゃないけど私。

 

……うん?

よく見たら門の上にメモが。

 

ーーわりぃ!

先入っとくわ。

後から合流しような!

イッセー。

 

 

………馬鹿かあの男は!

待ち合わせした意味無いよねそれ!?

 

あぁ、もう!

後で説教してやる!

 

 

とにかく追いかけないと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…うふふ、成功ね。

これでイッセー達と芽衣は別行動…」

「では、僕達もそろそろ…」

「ええ、お願いね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ、わぁ…

こわ…………」

 

一階の適当な窓を開けそこから中に入ると、ヒンヤリとした空気、暗く先の見えない廊下、そして独特の雰囲気、夜の学園の廊下がそこには広がっていた。

 

というか、電気が一切つかない。

先程から廊下のスイッチを切り替えてるけども、まったくつかない。

 

 

「しょうがない、ここはナイトビジョンと動体センサーで…」

 

いつまでも立ち止まっているわけにはいかないので、すぐに眼の機能を切り替えて………

 

 

『error』

 

 

……はあ?

もう1回…

 

 

『error』

 

 

「な、なんで!?」

 

ナイトビジョンだけじゃない!

他のも全部試してみるが、出てくるのはerrorのみ。

 

 

「ちょっ、なんでよ!?」

 

私が若干パニックになっていたその時…

 

 

カシャン

 

 

「!?」

 

き、聞こえた。

なんか音が聞こえた!

 

 

カシャン

カシャン

 

 

しかもだんだん音が近づいてきてる!?

 

すぐさまライトを取り出し音の聞こえた方へと向けると……

 

 

何も無かった。

 

 

「……え?」

き、聞き違い?

でも確かに………

 

カシャン

 

!?

う、う、後ろ!?

しかもほぼ真後ろから、さっきの音が…

 

まるで錆びたネジのようにぎこちなく後ろを振り向くと……

 

 

ーーーー目の前に人体模型が立っていた。

 

 

「 」

 

「…内蔵を置いてけー」

 

「…い、」

 

「…い?」

 

「いぃぃぃぃやああぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

で、でで、で出たぁぁ!?

ガチのお化けぇ!?

 

て、てかいつの間に後ろにいたの!?

や、ヤバイとにかくイッセー達に…

 

 

「…レバー置いてけー」カシャンカシャン

「ぎゃぁぁぁぁあ!?

こっち来てるぅぅぅぅ!??」

 

なんで追っかけてくんの!?

てか、無駄にフォームいいなおい!

ヤバイヤバイヤバイヤバイ!?

とにかくにげよ!!

 

 

「嫌ぁぁぁ!

来んなぁぁぁぁぁぁ!?」

「…レバー置いてけー、内蔵置いてけー。」カシャンカシャンカシャン

 

 

 

 

 

 

 

 

「あははははは!

やばいわ、あの芽衣が涙目で叫ぶなんて初めて見たわよ!」

「ふっ……ふふふっ…、確かに。」

 

 

 

 

 

 

 

…どれくらい走っただろうか。

気が付けばあの人体模型は後ろにはおらず、しかもここがどこかは分からない。

 

手持ちのライトは電池が切れかかってるのか点滅を繰り返しているし、携帯はうっかり自宅に置いてきてしまっている。

 

「…ともかく、一旦は安心か。」

 

 

行儀が悪いとは思いながらも、廊下に座りこみ、壁に背をつける。

 

「…てか、あれって七不思議なのかな?」

 

ふと、ポケットから一枚の紙を取り出す。

これは部長から、直接渡されたもので七不思議の内容が書いてあるらしい。

 

 

「えっと、なになに…

 

トイレの花子さん

廊下を走る人体模型

夜になると増える階段

学長室の悪魔

図書室の幽霊

校庭で踊る二宮金次郎の像

どこかに潜むという男の娘

誰もいない体育館で鳴る音

振り向くと呪われる廊下

夜の怪しげな保健室

女性のうめき声が聞こえる校舎裏

旧校舎で夜な夜な開かれる悪魔の集会

 

…って多いわ!?

七不思議なのな七個以上あるんじゃんか!

てか一部変なの混ざってるし!」

 

……何なんだこれは。

自然と身体から力とか緊張が抜けていき…

 

 

カシャン

 

 

すぐに抜けた力とか緊張がゲージを振り切る。

ってか、しつこいなぁ!?

 

廊下の向こう側から聞こえてくる独特の足音。

すぐさま立ち上がり周囲を見渡すと、すぐそこに部屋がある!

 

慌ててドアノブを引っ張るがビクともせず開かない。

なんで!?

と、ともかくこの中に入らないと!?

ドアノブに付いてた鎖を(・・)を引きちぎり、引っ張りまくる。

 

「このっ!開けったら!開けよ!

開けよごらぁぁぁ!?」

 

しばらくそうしていると、ヒビが入るような音と共にドアが少し開く!

 

「よっしゃ!」

 

私は身をすべらせるように中に入り、ドアを閉め、耳をあてて外の音を聞く。

 

しばらくカシャンカシャンと、近くから音がしていたがだんだんと遠ざかっていく。

 

「ふぅ…助かったぁ……」

 

流石に疲れてその場にへたり込む。

…あ、知らん間に起動してた。

やっべ、早く停止させないと……

 

「ひぃぃぃぃぃぃ、なんなんですかぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「……へ?」

 

突然の悲鳴に振り向くと、なんというかその、でっかい棺桶が部屋の中央に置いてあった。

今の悲鳴は多分その棺桶の中からだろう。

生体反応も中に生き物がいる事を示している。

 

「あのー…」

「ひぃぃぃぃぃ!?

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃ!?」

 

…なんでさ。

別に怖がらせることなんて………

あ、ドア無理矢理開けたんだっけか。

 

「えっと、勝手に入ってごめんなさい!

怖がらせちゃった…よね?」

「は、はいぃぃぃ…」

「あの、今変なのに追われててしばらく隠れたかっただけなの。

それで、無理矢理入っちゃっただけで別にあなたをどうこうする訳じゃないの。」

「……うぅぅぅ。」

「ええと…」

 

困ったなぁ……完全に警戒されている。

こういう時ってどうしたらいいんだろうか…

 

「…そうだ!」

「ひぃぃ!?」

「あ、ごめんなさい。

良かったらこれ。」

 

そう言ってポケットから出したのは、あめ玉。

いつもポケットに二〜三個ほど入れていたのを今思い出したのだ。

 

「怖がらせちゃったお詫びに。

大丈夫、市販品だから。」

「…ホ、ホントに安全ですかぁぁ…?」

「大丈夫だって、ほら…あむ。

……ね?」

 

ちゃんと見えるように一つを口に含む。

爽やかなイチゴの風味が口の中に広がっていく。

そうして笑顔を向けると、棺桶の蓋が少しだけ浮く。

蓋の隙間から覗く赤い瞳とバッチリ目が合う。

その目にはハッキリと恐怖心と戸惑いがうかがえる。

 

…確かこういう時は目をそらさないんだっけか。

そのままの笑顔で差し出すと、ゆっくりとおそるおそる向こうからも手を伸ばしてくる。

あえてそのままの状態で待ち、向こうが取るのを待つ。

彼、ないし彼女は、ゆっくりとあめ玉を持つとそのままそっと手を引っ込める。

 

「…あ、甘い。

…美味しいですぅ。」

 

どうやらお気に召してくれたようだ。

蓋の隙間がさらに開いて、ハッキリと相手の顔が見えた。

まるで人形の様な顔立ちの女の子が花を咲かせるような笑顔であめ玉を舐めてた。

 

 

 

 

 

 

 

その後少し、ほんの少しだけ警戒を解いてくれたのかお話をする事ができた。

彼……そう彼、ギャスパー・ヴラディはリアス・グレモリーの『│僧侶《ビショップ》←ルビになってない』で、なんでも力が強過ぎる神器を持っていてその制御が出来ないためにここに封じられていたそうだ。

……ただ、本人も極度の対人恐怖症の上にヘタレらしく、今の方がいいとか。

あと、そのよく見たら女子の制服を着ていたので、なぜか聞いてみたら可愛いからだそうな。

 

…これで似合っていて更には顔立ちも整っていることから絶対イッセーは女の子だと思うはずだ。

 

私のことは、部長から少し聞いていたらしくその後もつまりつまりではあるが自然と会話することが出来た。

 

「だから、僕はパソコンを使って依頼を受けているんです。」

「……へぇ、悪魔の契約ってパソコンでも出来るんだ。」

 

ずいぶんとデジタルだな悪魔。

ふと、腕時計を見れば三十分はここでおしゃべりをしてたようだ。

 

「…あ、ごめん。

そろそろ行かないとマズイ。」

 

結局、イッセーとアーシアを見つけれていないのだ。

合流しとかないとマズイ。

 

「…あ、あの。」

「うん?

なにかな?」

「その……また来てもいい…ですよ…」

 

ギャスパー君、頬を染めながら言わないでくれ。

こっちもなんだか恥ずかしくなるよ。

 

「う、うん。分かった。」

 

笑顔で手を振りながら、ドアを閉じる。

よく見たら、keepoutのテープが大量に貼ってある。

そのテープと鎖を元のように戻して、そのままそっと立ち去る。

 

 

ん?

ふと、メモを読み返すと。

 

どこかに潜むという男の娘

 

……自分の眷属を七不思議にするか普通。

とするとこの七不思議自体も怪しく見えるし、よくよく考えたら人体模型の声どっかで聞き覚えがある。

 

カシャン

 

「…レバー置いてけー。

腎臓置いてけー。」

 

うん、目の前に現れた人体模型だが、今ならハッキリと分かる。

 

「……何してるのさ小猫ちゃん。」

「…やはりバレましたか。」

 

人体模型の後ろからぬっ、と小猫ちゃんが出てくる。

そのままのぞき込むとどうやら後ろで人体模型を直接動かしていたみたいだ。

 

「………これって部長?」ゴゴゴ…

「…はい。」ガタガタ

「………ふぅん。」

 

そうかそうか、…部長やってくれますねぇ。

人がお化け怖いの分かっててこんなことするとは…

なぜか冷や汗をかいて震えてる小猫ちゃんに部長の居場所を聞き出して、彼女を連れて向かう。

 

 

 

 

 

「あら、芽衣。

七不思議はどうだった………ってイタタタタタ!?」

「…部長、覚悟ハデキテマスネ?」

「や、やめるんだ高那岐さん!

それ以上は、いけない!」

「お、落ち着いて下さい!?」

「…綺麗にアームロックが決まってるな、小猫ちゃん。

………小猫ちゃん?」

「……先輩が怖かったです。」ガタガタ

「あらあら、どうしましょう。

うふふ。」

 

 

「イタイイタイ!?

芽衣、痛いわよ!?」

「…少しは反省して下さい!」

 

 

 

 

 

まあ、今回の教訓を挙げるとしたら、

 

「七不思議にはご用心!」

 




〜???~

ん?
この感じは……誰が封印を解いた…いや、穴を開けたのかな。
これはリアスの僧侶の封印で強力なやつだったはずだが…………
ふむ、たしかアザゼルの秘蔵っ子が学園にいるのだったね。

……興味がわいた。
グレイフィア。
例の件もあるし、ちょっと学園に行ってくれないかな。
…え、いや一応これはリアスの身を案じてだね。
別に公私混同では………



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戦闘校舎のフェニックス
日常考察、あるいは賑やかな朝


ども!
やっと二巻というべきか、まだ二巻というべきか迷いますがww
二巻、戦闘校舎のフェニックス編始まります!



第28話

 

 

 

高那岐家…もとい、グリゴリ駒王町支部の朝は早い。

 

午前6時、洗面所にて。

洗面台で顔を洗っていた少女がいる。

長い黒髪を後ろでひとまとめにして、現在は歯を磨く少女、レイナーレは眠そうな顔をしながらも手際よく身だしなみを整えていく。

 

ちょうど彼女が仕度を終わる頃に、また、1人の少女が扉を開けてふらふらと入ってくる。

深紅の髪があちこちに跳ね上がり、目の下に隈を付けた少女、書類上この家の主にして、支部長の高那岐芽衣だ。

 

レイナーレと変わるようにして洗面台の前に立つと、蛇口から勢いよく水を出し、その中に頭ごと突っ込む。

そして栓を締めて水を貯めるとその中にも顔を突っ込む。

数分後、水から顔を出し、レイナーレからタオルをなげてもらい、拭き終わると、気だるそうに開いていた目はぱっちりと開き、跳ねまくっていた髪もちゃんと整い、隈も幾分かは薄まったいつもの状態になる。

 

 

2人揃って台所まで行くと、味噌のいい香りが漂ってくる。

エプロンを付けてネギを切っているのはカラワーナ。

その隣で卵焼きを焼いているのはドーナシークだ。

やってきた2人は居間に皿を並べたり、お茶を入れるなどして配膳を手伝う。

 

そのうち、朝食の用意が出来るとレイナーレは庭へと向かう。

庭に着くと白髪の少年が剣を振るっていた。

レイナーレはその少年ーーフリードに声をかけるとタオルを渡し、二人並んで居間へと向かう。

 

レイナーレがフリードを呼びに行っている一方、芽衣はまだ起きていない堕天使、ミッテルトを起こしに行っていた。

部屋に入ると、ファンシーなぬいぐるみやクッションの間にミッテルトが埋まっているのを見つけて、ため息をつく。

そのまま近づくと脇に手を通し、まるで猫を抱えるように居間へと引っ張っていく。

その間、ミッテルトは幸せそうにヨダレを垂らしたまま寝ていた。

 

 

全員が揃い(ミッテルトも朝食の匂いにつられたのか目が覚めて)皆で朝食を食べる。

献立は

白米

メザシ

キュウリの浅漬け

納豆(芽衣を除く女性陣以外)

卵焼き

ソーセージ(カラワーナこだわりの自作)

味噌汁

となっている。

 

食事は主にカラワーナが作り、暇な時にドーナシークかレイナーレが手伝う事になっている。

 

というのも、このメンバーの中で一番料理が旨いのはカラワーナで彼女自身、料理に対しては趣味の範疇を超えたこだわりがある。

そのこだわりは今出ているソーセージも元々は市販の物では納得しなかった彼女が、わざわざ機械を買ってまで自作している。

そのため、実質食事情の全権はカラワーナが取り仕切っているのだ。

……だが、卵焼きだけはどうしてもドーナシークには勝てないらしい。

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

朝食を食べ終わると芽衣は、部屋へと戻り着替える。

薄い紺色のジャージを着ると、スポーツドリンクの入った水筒を持って外へ出る。

 

素振りを再開したフリードと、一緒になって木槍を振っているレイナーレに見送られて敷地の外に出ると、ランニングを始める。

 

途中すれ違う人に挨拶をして、進んでいくと先を走る知り合いが三人、見えてくる。

 

へろへろになりながらも走る兵藤一誠と、まだまだ余裕の表情で走るリアス・グレモリー、そしてもはや息絶え絶えの状態で走るアーシア・アルジェント。

 

3人の後ろにつくと、まずアーシアを脇に抱えるように持ち上げる。

そのまま走らせると、倒れる危険性があるためだ。

 

元々アーシアは運動が得意な人ではないが、一誠とリアスが朝にトレーニングをする事を知り、自分も参加したいと言ったのだ。

だが、流石に転生悪魔になったとはいえ元々の運動音痴がすぐに治るわけではない。

体力も二人に比べて少ないし、何よりも一誠用のスパルタメニューを受ける事でその体力もすぐになくなってしまう。

 

そこで、芽衣がアーシアをサポートする形でそのトレーニングに参加をした訳だ。

 

「おはよー、アーシア。」

「はぁ……はひ……おはよ…う………はぁ…ござい…ま……ひゅぅ…」

「あら、芽衣。おはよう。」

 

「……高那岐……ふぅ…おはよう…」

「おはようございます部長、イッセー。ほら、イッセー頑張る!」

 

 

三者三様の挨拶をし、そのまま最終目的地の公園へと向かう。

 

 

 

 

〜芽衣side〜

 

 

公園につくと早速部長がイッセーに筋トレをさせてる。

私はそれをアーシアと2人で眺める。

流石に部長もこのメニューをアーシアにさせるわけには行かないので、今は二人で見学という訳だ。

 

…しかしまぁ、人を乗せて腕立て伏せとか傍から見たら拷問以外のなにものでもないなこれ。

 

「アーシアどう?体力とか付いた?」

体力とか付いた?」

「えぇと、前に比べたら多少ついたような…」

 

そう言いながら持ってきたスポーツドリンクを、コップに入れてアーシアに渡す。

 

 

……しかし、神器は思いの力に答える、ねぇ…

 

部長とイッセーの会話を聞きながら思う。

だったら私の神器はなぜ答えてくれないのか。

幻想機神。

神様が名付けたこの神器は、どんなものかすら分からない言わば置物同然。

 

そもそも、なぜ神様はこの神器について教えてくれないのか。

色々聴いたりしてもはぐらかされるし、答えてくれない。

 

ホントにこの力が、役に立……

 

 

「…衣、芽衣!」

「…?あっ、はい。」

 

部長の声で我に返ると、どうやらトレーニングが終わっていたらしくイッセーが精根尽き果ててぶっ倒れていて、それをアーシアが介抱している。

 

…何させたらああなるんだろうか。

 

「芽衣、最後の仕上げにイッセーと組手をしてほしいの。」

「「え?」」

「軽くでいいわ、お願いできるかしら?」

「…私、前に争いごとは嫌いだって言いませんでしたっけ。」

「部長ぉ〜、俺結構限界なんですけど…」

「イッセー、芽衣に勝ったらすてきなご褒美あげるわよ?」

「よっしゃ、かかってこいやぁ!!」

「単純だなおい!?」

 

先程までグッタリとしていた人物とは思えないほど、やる気に満ち溢れてるよこのイッセー(変態)

部長に抗議の目線を向けるけども知らん顔してアーシアを連れて離れてしまった。

…おのれ部長、覚えとけよ。

 

「…イッセー、できるだけ怪我しないようにはするけども保証はしないよ?」

「おう!

バッチリ大丈夫だぜ!」

 

さあ来い!とイッセーが構えるけども、正直隙だらけだ。

 

「…とりあえずイッセーから来てもいいよ。最初は私は捌くだけにするから。」

「…いっくぜぇ!」

 

うぉぉぉぉ!と叫びながら右のストレートを放ってくる、が遅い上にいわゆるテレフォンパンチ(大振りかつ、1度手を後ろに引いて放つパンチ)のため、右足を後ろにずらすだけでよけれる。

 

…瞬間、イッセーが笑い、伸びきった右腕を横薙に払う。

だが、私は足をずらした時の流れに乗りそのまま仰け反る。

そのままイッセーの額にデコピンを打つと、バックステップで距離を開ける。

 

「…イッセー、その殴り方だけだと凄い避けやすいよ。

それに、伸びきった右腕で薙いでもそこまで威力は無いし、何よりも速さが足りないよ。

…あと、私が仰け反ったとき、胸見てたでしょ。」

「げっ!?なんでバレたんだ!?」

なんでバレたんだ!?」

「…女の子ってね、視線とかに敏感なんだよ。

それと鼻の下が伸びてた。」

 

ジト目でそう言うも、絶対この男は反省はする事が無いと思う。

 

「ほら、続き続き。」

「…高那岐ってさ、なんだかんだで手伝ったりしてくれるよな。」

「…1度引き受けちゃった事だしね。途中で投げるようなことはしないよ………多分。」

 

 

その後、イッセーが何度やっても一発も当たらず時間になってしまったのでぐぬぬって表情になってた。

こればかりはこのチート臭い私の反応速度と、目が相手だから仕方が無いんだけどなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー。」

「あー、おかえりッス。」

「あれ、ミッテルトだけ?」

「えーと、レイナーレはフリードと稽古からのガチ仕合、カラワーナとドーナシークは本部へ行ったッスよ。」

「ガチ仕合って…。……また喧嘩?」

……また喧嘩?」

「……今回はプリンッスよ。」

「…どうりで、道場から光とか瞬いてるわけだ。」

 

あの2人はホントにくだらん事で突然喧嘩したりする…

でもほおっておくといつの間にか仲直りしてる。

ほんと付き合っちまえよ。

 

「…芽衣、何か怖いオーラが出てるッスよ。」

 

おっと、いけないいけない。

 

「そんじゃ、ウチがそろそろ止めて来ますよ。レイナーレもこの後予定があるっていってたし。」

 

 

そう言いながら、とてとて道場に向かうミッテルト。

…数分後、爆音ともに地鳴りが起き、目を回して伸びているレイナーレとフリードをミッテルトが引きずってきた。

 

「…何したの?」

「何時もの通りにやっただけッスよ。」

 

そう言って部屋の隅にボトッ、と二人を落とすのを眺めつつ、お茶をすする。

 

 

 

これが、この支部の日常だ。

 

「……あ、そーいえば。言うの忘れてましたけど、時間結構やばいッスよ?」

 

「な!?早く言ってよ!?」

 

 

………日常である。




ちなみに、地味にアーシアの強化をこれからもして行きます。
目指せ、不沈薬局系ヒロイン!(違う)

ご感想等、よろしくお願いします!


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種まき鳥とメイド

ども……

今週は仕事が超忙しい上に、人生初の花粉症とダブルパンチでぐったりしてました…
なんとか1話出来たのでどうぞ…

それと、お気に入り500越え+UA40000越えしました!
ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします!


第29話

 

 

「はい?

最近、部長の様子がおかしい?」

「…はい、ココ最近どこか上の空というか…」

 

とある平日の昼休み、アーシアと昼食を食べていると、不意にそうきりだしてきた。

曰く、

・明らかに不機嫌オーラをまとっている

・イッセーと目を合わせていない

・うっかりしていたのか、こけかける

・話しかけられても、ぼおっとしていた

などなど。

ちなみにイッセーにも聞いてみたが、なぜか慌てて、何も知らないと言っていたそうだ。

 

ふむ。

一旦、箸を置いて考える。

昨日の夜は確かアーシアが初の仕事をする事となり、イッセーがちょっと騒いだりしたぐらいだ。

実際アーシアの契約の仕事は順調に終わったらしく、部長も満足していたはずだ。

だとすると……

 

「…オカ研の部長としてではなく、リアス・グレモリー個人として何か問題があったのかな。」

「え?」

「具体的には、昨日の仕事が終わったあとから今朝にかけての時間に何かがあったとしたら…」

「あの…高那岐さん?」

「そもそも、イッセーも様子がおかしいという事は二人になにか…」

「えっと…あの〜?」

「…アーシア。」

「あ、やっと反応してくれました…

なんでしょうか?」

「とりあえず部活の時にイッセーを締めあげるので、手伝ってください。」

「何をどう考えたらそんな結論に達するのですか!?」

「…?」

「いや、そこで首をかしげられても…」

 

いやいや、だってさ。

部長もだけれど、イッセーも変なんでしょう?

だったらとりあえずイッセーに事情を聞いてから判断するのが一番だよ。

 

「…まあ、多分ほおって置いても大丈夫なんじゃないかな。」

「えっ、なんでですか?」

「だってあのリアス・グレモリー先輩だよ?」

 

再び箸を持ち、納豆のパックを開けながら答える。

 

「女の子ってさ、タダでさえ悩み事やら不機嫌になる事が多いけども、少し時間が経てば大抵ケロッと忘れて元に戻ってたりするんだよ?」

 

そのままかき混ぜながら一口、

うん、おいしい。

 

「そう…なんでしょうか。」

「…まあ、少なくとも放課後には顔を合わせるし、その時にそれとなく聞いてみるよ。」

 

そう言うと幾分か、悩みの色が取れたのかにこやかに笑うと、再び昼食を食べ始める。

ともかく、今日は早めに行って二人から色々と聞き出さないと。

 

 

ちなみに、後で木場君にも聞いてみたのだが、彼も詳しくは知らないらしい。

 

 

放課後。

 

「ごめん、高那岐さん!

教室に掲示するプリントを貼るのを手伝ってほしいんだ。」

 

さて、HRも終わり部室に行こうかとした時に急遽頼まれ事をされた。

快く引き受けて、木場君を先に部室に向かわせる。

まあ、多少なら大丈夫だろうしどうせすぐに終わるだろう……

 

「高那岐さん。

悪いんだけど、この課題のノートを持ってくのを手伝ってくれない?」

 

まあ、多少なら大丈夫…

 

「高那岐、すまんがこれを生徒会室まで持って行ってくれんか。」

 

多少なら…

 

「高那岐さん、ちょうど良かったわ。

これをリアスに持って行ってほしいんだけれど…

って、どうしたんですか?」

「…イエ、ナンデモアリマセンヨ。」

 

…どうして今日はこんなに頼まれごとが多いのだろうか。

思わず項垂れてしまうのも無理はないと思う。

しかも課題のノートから、生徒会採決のプリントの山、果てには個人宛のダンボール、と段々物がグレードアップしていくのはなんでだろうか。

 

ふと、同じ二年生の匙元士郎君と目が合う。

その目からは手伝ってやろうかという意志が伝わって来るがやんわりと曖昧な笑顔で遠慮しておく。

彼もイッセーと同じ転生悪魔で、目の前の支取蒼那ことソーナ・シトリーの『兵士』だ。

 

出会いは最近、と言っても支取先輩が部長から聞いたのか、自分も悪魔だと私に言った時にちょうど一緒にいて、その流れで会話をしたくらいだ。

 

そのまま受け取ったダンボール(異様に重かった)を抱えて、生徒会室を後にする。

 

一応割れ物が入っている可能性を考慮して、揺らさないように慎重に運ぶ。

が、ホントになにが入ってるんだこれ。

音が一切しないし、中で何かが転がる感覚もない。

首をかしげながらもなんとか時間をかけて部室へとたどり着く。

 

「ふぅ、なんとか着いた……っと、あれ?」

 

そのまま器用にドアノブを捻ってドアを開けようとするが、なぜかまったく開かない。

押しても引いても一切びくともせず、しかし鍵はかかっていない…ハズ。

 

「これは…もしかして、ドア壊れた?」

 

老朽化が進んでるって、部長が嘆いていたしその可能性が高い。

……と、まあ│普通《・・》の人ならそう考えるのだろうけど、実は大体の検討はついている。

旧校舎に入った時から感じる多数の悪魔の魔力。

そして、現在ドアにかけられている結界。

その事から察するに、中にはグレモリー眷属以外の悪魔がいるのだろう。

それでいて、人間などの部外者が入れないようにしたのか。

 

「どちらにせよ中に入りたいんだけどなぁ…

…しょうがない。」

 

最近、短絡的な思考になっているのは自覚しているが今は構わない。

中から微かではあるが、何やらイッセーが騒いでいるのが聞こえる。

その上、誰かは分からないが魔力を放出させている。

故に、致し方ないけども………

 

ーー最大強化した脚力でドアを、物理的に蹴り飛ばす。

 

その時に結界からの猛反発を受けたが、すべて私の魔力でバレないように叩き伏せる。

 

「俺がこの場で…ぐぅえぇ!?」

ドンガラガッシャーンッ!

「イ、イッセーさん!?

大丈夫ですか!?」

 

開けたドアから入ると、ドアに潰されたイッセーとそれに駆け寄るアーシア、目を見開いて驚く木場君と小猫ちゃんに姫島先輩。

部長は唖然といった顔をしてる、

そして、奥には何か軽薄そうなホスト風の男とそれを取り巻くかのように後ろにいる多種類の女性達。

さらに、部長のそばでこちらを観察するかのような目で見る銀髪のメイド服の女性。

 

………なんだこのカオス。

 

「あ、部長。

すいません、ドアが壊れてて開かなかったんで蹴破りました。

後で直しとくんでご安心を」

「え……え、ええ。

わかったわ」

「あとこれ、生徒会長から預かってきました。

部長個人宛です」

 

何でもないかのように会話し、ダンボールをテーブルの上に置く。

あー、やっとお使い終わった〜。

 

「……それで、この方々はどちら様でしょうか?」

「あ、えっと…」

「それは私から説明させていただきます。」

 

銀髪のメイドさんが、すっと前にーー部長と私の間に入る様にーー出てくる。

…この人さっきからずっと私を警戒してる…?

 

「私はグレモリー家に仕えさせていただいてるもので、グレイフィアと申します」

「…これはご丁寧に。

私は高那岐芽衣、リアス・グレモリー先輩に…監視されてるんでしたっけ?」

「…違うわよ、眷属ではないけども私の協力者としてオカルト研究部に所属しているのよ。」

「あれ、いつの間にランクアップしたんですか私?」

「この前のあの事件でよ。

貴方がほとんど解決したようなものじゃない」

「えっと、私はそこまで活躍してませんよ?」

「「「「いやいやいやいや…」」」」

 

否定した途端、何言ってんだこいつという目線をみんなに向けられる。

いや、だって最終的にあれを倒したのはイッセーだし。

私は露払いをしただけなんだけどなぁ…

 

「…で、あの人は?」

「…やれやれ、このまま忘れられたままなのかと思ったぜ。」

 

実際に、そのままノータッチで行こうかと思っていたがあまりにも不躾な視線が鬱陶しいかったので仕方なく話題を振ったのだ。

 

「俺はライザー・フェニックス。

純血悪魔フェニックス家の三男にしてリアス・グレモリーの婚約者だよ。」

 

…………………えー。

 

「…部長って、チャラ男が趣味だったんですか」

「違うわよ!?

彼は親が勝手に決めた婚約者で、私はその気なんてまったくないわよ!!」

「……ま、そうですよねぇ。」

「…おい、誰がチャラ男だと…?」

 

部長が全力で否定するなか、チャラ男ことライザーが苛立ちながら聞いてきた。

 

「…人の身体を舐めまわすかのように見て、見た目超軽薄そうなチャラ男で、なおかつ親のコネで女性に結婚を強要する、エセホストの格好をした、女にだらしなさそうなあなたのことですよ、種まき鳥。」

「ゴフッ!?」

「「「「「「「ライザー様!?」」」」」」」

 

少々目線やらで気がたっていたからかずいぶんと辛辣な言葉をぶつけてしまった途端、あまりのショックにその場にうずくまってしまったライザーと、それに駆け寄る推定ライザーの眷属。

…その中で金髪のいかにもお嬢様といった格好の少女だけが今の言葉に共感するように、うんうんと頷いていた。

 

「…ずいぶんと、バッサリいったね。」

「木場君、覚えておくといいよ。

女性は視線に対してはものすごく敏感で、特にああいった女を誑かす男がいやらしく見てきたらストレスとかがマッハで溜まるんだから。」

 

その言葉にさっきの子だけでなく部長と姫島先輩、小猫ちゃんも頷く。

…と、

 

「貴様ぁ!!

よくもライザー様を侮辱したな!」

 

ライザーの眷属?の1人が棍を片手に襲いかかってくる。

えぇ…めんどくさい。

 

突き出された棍を掴み、遠心力を利用するように、持ち主ごとライザーに投げつける。

 

「え?

…うわぁぁぁ!?」

「ミラッ!?」

 

ライザーは慌ててその子を抱きとめる。

今のやりとりで他の取り巻き達も私に警戒してる。

私も、現在持っている武器の中から長ドス(この前仲良くなったヤのつく職業の人からもらった)を抜き、対峙する。

やる気はないのだが、こうすることで私の得物が刀剣と思わせる効果がある。

 

「…そこまでです。」

 

と、いつの間にか私達の間にグレイフィアさんが割り込んでいた。

 

「これ以上事を荒立てるなら私がお相手になりますが?」

 

そう言い、グレイフィアさんは魔力を放出させるが…

 

ーーなんだこの魔力、ホントにこの人ただのメイドか!?

 

「…さて、結局はこうなってしまうんではないかと思っていましたが。

双方、共に丸く収める気はないようですね。」

「ええ、この男と結婚はしないわ!」

「それでは仕方がありません…」

 

 

 

 

 

「この決着はレーティングゲームでつけると言うのはいかがでしょうか?」

 

 

そう高らかに提案する彼女であったが……

 

 

 

 

 

ーーもしかして私も参加する流れなのかこれ?




ご感想等お待ちしております。


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しゅぎょーです!ぱーと1

すいません、今回お待たせした上に短いです。

これもすべてゴルゴムってやつが悪いんだ!()

それでは、どうぞ!


第30話

 

結論だけを簡略化して言いましょう。

今から10日後にリアス先輩とライザーがレーティングゲームをすることになり、私はリアス先輩の助っ人として参加することになりました。

………解せぬ。

 

 

 

 

「んで、どーすんのよ?」

「それを今考えてるの。

下手にいつもの戦い方をすると怪しまれるし…」

 

その後ライザー達は帰り、部長達も作戦を考えると言ってその場は解散となり、現在は家にいるというわけだ。

 

「……てか、なんで私はあそこまで警戒されたんだろう?」

「確か、現魔王サーゼクス・ルシファーの女王だっけ?」

「うん…聞いた時は冷や汗が止まらなかったよ…」

 

現魔王の『女王』グレイフィア・ルキフグス。

そう部長から聞かされた時はつい、構えそうになってしまったくらいだ。

…だってそんな人にマークされているとか何の冗談だよ…

 

というわけで、下手に力を使おうとすれば即バレからの拘束、尋問√確定なので今回ばかりは自力…しかも一切強化無しで戦わないといけないのだ……。

 

「とりあえず、超重火器と魔力砲は除外するとして…やっぱり近接系かなぁ。

それと小火器くらい?

…しまったなぁ、全然弾が無い。」

「まぁ、そのへんは私達も集めるの手伝うわよ」

 

仕方ないなぁ、とレイナーレが肩をすくめる。

意外と様になってるのがちょっと腹立つけど。

 

「ありがとう〜。

…あ、あと明日から私いないから。」

「…はぁ?なんでよ?」

「さっき木場君からメールが来たんだけど、どうやら10日間全部を使って山篭りの修行をするんだって。」

「…それってあんたも行くの?」

「おふこーす。

もう決定済みだってさ〜。」

「…相変わらずの巻き込まれ体質ね」

「……それは言わないでよ」

 

恐らく半ば諦めたような表情を浮かべてるであろう私を、苦笑いで見つめてくる。

ここに来る前にも、色々と事件やら何やら色々と巻き込まれることが多く、あのウツセミ事件がいい例だ。

ああ、私はこんなにも平和を求めているというのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…んで、このバカでかいリュックサックにはなにが入ってるんですか」

「芽衣の分は…確か食料ね。

一応軽めのを選んでおいたわよ」

「どおりで生臭いわけで…」

 

次の日。

早朝から迎えに来た木場君と共に集合場所までくると、大量の荷物とともに部長達が待っていた。

曰く、これを担いで修行場所である山を登るらしい。

…やっぱりスパルタじゃないか。

 

「……あ、イッセーが猛ダッシュしてる。」

「あれはきっと、小猫と祐斗に抜かれたのが悔しいのね」

「今飛ばすと後々バテる事になるのに……

あ、アーシアは大丈夫?」

「はいぃ…んしょっと、

…大丈夫ですよ。」

「ほら、無理しないの。」

アーシアも少なからず荷物を背負って登山している、が少々ふらふらしてるのでアーシアの分の荷物を空間に入れる。

 

「…便利な神器ですわね。

今まで聞いたことがないのが不思議なくらいですわ」

「…そうね、しかも確か制限はないと言っていたわね」

「え、はい。

今まで大量に物を突っ込んできてましたけど入らなくなった事は1度も無いですね」

 

正直、限界が分からないのは怖いが、この亜空間格納庫は際限なく収納ができ、なおかつ術式や封印で収めているのとは違って負担などが無いためこうやって羨ましがられることもある。

 

 

 

「と、着いたわね。」

 

程なくして、山間の別荘らしき場所に到着した。

ここはグレモリーの所有地で修行の間は好きに使っていいそうだ。

さすがブルジョワジー。

 

とりあえず荷物を自分達の部屋にそれぞれ運び込み、ジャージに着替えてから外に集合する。

 

「さて、みんな揃ったわね?

それぞれ修行内容を確認するわよ」

 

赤いジャージを着た部長が何やら説明している中、そっと周りを確認する。

来た時にはわからなかったが、奥の方はかなり広く射撃の練習も可能な程だ。

 

「……そして、イッセーには一通りの修行をしてもらうとして…芽衣!」

 

と、ほぼ受け流すように聞いていた話から私の名前が聞こえたので意識を話に集中させる。

 

「貴女はとりあえず、戦闘スタイルがわからないからイッセーと同じく一通りの修行内容になるけど、いいかしら?」

「はい、大丈夫ですよ。

あ、それと射撃の練習したいんで場所を借りてもいいですか?」

「…は?射撃?」

「ええ、これで。」

 

そう言って私が取り出したのは、

皆様ご存知のAK-47。

支部に置いてある数少ない銃の一つで、私のお気に入りの一つでもある。

……年頃の女の子が自動小銃をお気に入りにしている時点でアレなのだが。

 

「……もしかしてだけど、まだ持っていたりするの?

いや、とりあえず全部出しなさい。」

「ええ、あとは…」

 

部長が呆れながらそう言うので、私はとりあえず持ってる物を全部出すことに。

 

ええっと、まずはこの前使ったM79にM60二丁。

長ドスと短ドスにサバイバルナイフ五本、釘バットに…あれ?クレイモアなんで入れてたっけ?

あとは…この前とあるルートを使って入手したアレもあるけどそれはまぁいいか。

それと…

 

「対悪魔用の聖書と十字架、それと十字架を加工した大剣に銀の釘……

あ、無くしたはずのクロスボウあった!」

「……あの、高那岐さん。

出来ればその聖書とかは収めて欲しいんだけど。」

「ん?

あぁ、ごめんごめん!」

 

さて、とりあえずは│皆に見せられるものは《・・・・・・・・・・》これで全部だ。

あとのは確実に怪しまれるものなので絶対に見せるわけにはいかない。

しかしまぁ……

 

「……なぁ、お前いつもこれを持ち歩いてるのか?」

「いや、いつもってわけじゃないよ!?

これは修行に必要だと思って…」

「…修行でグレネードランチャーか必要だとは私は思えないのですが…」「や、姫島先輩。

備えあればなんとやらで…」

 

まぁ、案の定引かれるよね……はぁ。

 

 

 

そんなこともあったが、結局私もイッセーと同じメニューをこなすこととなった。

それで今…

 

「いってぇぇぇ!?」

「また視野が狭くなってるよ!

もっと広く周りを視るんだ!」

 

木場君とイッセーが木刀を使い、互いに打ち合っている。

…と言ってもイッセーが一方的に打たれているだけだが。

 

「ぜぇ…ぜぇ……」

「とりあえずここまでにしようか。」

 

そしてあとに残るのは息が上がっているイッセーと涼しい顔をしている木場君。

まぁ、言っては悪いが多分こうなるだろうなぁ…とは思ってた。

 

「じゃあ、高那岐さんやろっか」

「ぐぬぬ…おい、高那岐!

俺の代わりに木場にギャフンと言わせてくれ!」

「…そーいうのは自分で言わせてよー」

 

イッセーから木刀を受け取り、入れ替わるようにして木場君と対峙する。

なにが楽しいのか木場君はずっとニコニコしている。

 

「あー…お手柔らかにね?」

「大丈夫、打ち込む前に寸止めするから。」

「おい!俺の時と違うじゃねぇーが!」

 

│外野《イッセー》が喚いているが、私にはほぼ聞こえてない。

せっかく巻き込まれて修行することになったのだ。

これを利用し、自分の技術をさらに高める。

そこにのみ私の意識は集中する。

幸い、木場君の得手は剣。

私の独学の継ぎ接ぎだらけの技術を高めるのに丁度いい。

 

私の雰囲気が変わったのを悟ってか、木場君の目が真剣さを帯びていく。

 

そのまま私と木場君、互いが互いに見つめ合い……

 

「「っ!」」

 

ほぼ同時に地面を蹴り前へ。

片腕で持った木刀を木場君の首元へ容赦なく突き入れる。

それを木場君は身体を屈め、そのまま私のがら空きとなった胴へ木刀を薙ぐ。

普通ならこれで打たれて終わりなのだが、

 

ーーーそれを棒高跳びの要領で背面跳びをして避ける。

 

素早く身体を縮め、着地するとともに飛び出し空いた左腕で拳を放つ。

飛んで避けた事に多少驚いた木場君だったがすぐさま反転、木刀の峰で受ける。

流石の反応だ。

やはり、騎士の名は伊達ではないという事だ。

…でもね、

 

 

「この瞬間を待っていたんだァ!」

 

 

拳を開き、そのまま木場君の木刀を│掴み取る。《・・・・・》

 

「えぇ!?」

 

とっさのこと反応のおくれた木場君を容赦なく蹴り飛ばす。

が、軽い。

多分当たる瞬間に身を浮かして衝撃を軽くしたんだ。

 

「ち、ちょっと!?

普通剣をつかみ取りしようとする!?」

「甘いよ木場君。

それはもう、黒蜜のように甘いよ」

 

木場君が抗議をしてくるけどそんなものは知ったことではないよ。

確かに一般的な人は剣を掴み取るなんて事はしないね。

でも…

 

「今使っているのは木刀だよ?」

 

そうだ、あくまでもこれは木刀。

現実的に木刀は掴んでも手は切れない。

だったら掴んでも別に不思議じゃないよね?

 

そして戦いで大切なこと、それは…

 

「相手を無力化し、そして丸腰となった相手をボコボコにする!

それが私の戦闘理念!」

「君前から思ってたけど、戦いになると性格変わるよね!?」

「さぁ、木場君!

武器もない丸腰の状態でおとなしくぼこられるがいい!」

「それは勘弁したいかな!?

…イッセー君!木刀を!」

「お、おう!」

 

…っち、イッセーから新しく木刀を受け取ったか。

 

「悪いけど、ここからは全力で行かせてもらうよ!」

 

そう宣言するないなや、木場君の姿が消える…いや、後ろか!

 

ガギンッ!

 

「なっ!?」

「そいっ!」

 

お返しとばかりに一閃するも、直ぐに下がられてしまう。

そしてまた高速で移動して後ろに回られる。

だが、先ほどと同じ様に片手で受け止め、もう片手で一閃を繰り出し、よけられる。

 

だが、何度も何度も同じ攻防に繰り返していると、攻撃を受けていた左手の感覚がよわくなってくる。

やはり金属とはいえ強化無しの生身の状態では限界があるか…!

 

「なんで、君は、防げるのかな!?」「そんなの、勘としか、言いようがないんだけどな、っと!」

 

切りかかる木場君を全力で跳ね飛ばして、距離を開ける。

 

正面には息が上がりかけ、汗を流す木場君とその後ろに呆然と今のやり取りを見ているイッセー達が見える。

 

「いっけぇぇ!」ブオンッ!

 

私は左手に持った木刀を全力で投げ、前へと進む。

木場君も投げられた木刀を危なげなく避けて、こちらへ迫る。

 

ここが正念場!

小細工無しの正面…!

 

 

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」

 

 

 

 

 

 

バキンッ!

 

 

「「…あっ」」

 

 

私と木場君が正面からぶつかり、互いに全力で頭を狙った一撃は、双方の木刀が折れるという決着になってしまった。

 

 

「……この場合って」

「……うん、引き分けだね」

 

先程までの緊迫した空気は消え、私も木場君もすっきりとした笑顔だ。

 

いやぁ、引き分けかぁ…

ちょっと悔しいなあ。

 

「…それにしてもよく僕の動きが見えてたね。

回り込んでも防がれちゃうし。」

「ん?全くみえてなかったよ?

だから言ったじゃん、勘だって」

「だとしても、攻撃を防げているのだから、それは立派な高那岐さんの持ち味だよ」

「あ、ありがとう」

 

なんだろうか、今回は強化とかは使ってないが、ものすごく心に罪悪感が…

 

 

さて、まだまだ修行も始まったばかりだし。

このまま順調に行けばいいなぁ…





最近、芽衣と神様(名前未定。そのうち決めます)を、
このすば世界に放り込んだらどうなるか、ていうのをつい考えてしまいます。
……そのうち番外編で少しだけ書こうかな(ボソッ


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しゅぎょーです!ぱーと2

…とりあえず一言。


なんとか出来ました……


第31話

 

day1

lesson小猫

 

格闘戦

 

 

 

ブオンッ

 

「…当たって下さい」

「いやぁ、痛いのとかマジ勘弁なので嫌です」

 

バシッバシッ

 

「小猫ちゃんは、基本に忠実過ぎるんだよ。

もっとフェイント入れるとか、あえて

流れを崩す打撃を入れるとかして応用してかないと」

「…じゃあ、それを試すので当たってください」

「いやだから、悪魔の力で殴られたら死んじゃうから」

 

「…なぁ、木場。

高那岐って、もしかして何かしらの武術の伝承者かなにかなのか?

さっきから片手で小猫ちゃんをいなしてるけど」

「…そんなことは聞いたことが無いけども、もしかしたらそうなのかもしれないね」

「そこ、聞こえてますよ

そもそもこんなのは打点をずらして力に逆らわずに受け流せば誰でも出来るよ」

「「いや、その理屈はおかしい」」

「…予想以上ね。

芽衣、あなた本当にどれだけの修羅場をくぐったらそんなふうに…」

「…それについては黙秘します」

 

…しっかし、小猫ちゃんの拳は真っ直ぐだ。

それゆえどこに打ってくるかわかりやすい。

本当なら基礎を叩き直して一年単位で直していくのが良いのだがいかんせん時間が無い。

 

故に今は癖の矯正にとどめる。

 

「小猫ちゃん、格闘戦というのは流れなんだと思うの」

「流れ、ですか?」

「そう。

いかに相手にリズム…流れを取らせないようにして自分の流れを叩き込むか。

そこに格闘…いや、武道の真髄があると思うの」

 

これは非力な私が、ヴァーリ君や時々コカビエルさんと訓練…というなのガチバトルをして行く中で私が考え出した理論だ。

 

戦いーーとくに格闘や近接戦闘は常に一定のテンポで進み、互いに牽制する時、自分が攻める時、相手が攻める時と三パターンの状況が入り乱れている。

 

その中で互いに戦いの主導権…すなわち流れを取り合い、相手の流れを崩す。

 

「…超簡単に言うと、相手に何もさせないように立ち回ると勝てるってことよ」パンッ

「にゃ!?」

 

そう、│こんなふうに《猫だまし》して意表を突くとかね。

 

 

 

 

lesson朱乃

 

 

魔力運用

 

 

 

…は都合によりお休み。

だって魔力出したらバレるから。

 

 

その間に私はというと…

 

ドウンッ!

ドウンッ!

 

「んー、やっぱデザートイーグルって使いづらいなぁ…

かと言って45口径は悪魔には効果薄そうだしなぁ…」

「…へぇ、いろんな銃を持っているのね」

「と言ってもここにあるのは│拳銃《ハンドガン》だけですけどね。」

 

部長の協力の元、射撃の訓練をしてたりする。

…てか、部長。

さっきから銃を手にしては興味津々に弄らないで下さい。

トリガーに触るなってきつく言ったので触ってはいませんが素人が隣で銃を弄っていると落ち着かないんですが。

 

「…芽衣、この前持っていたのは無いの?」

「…あぁ、M49とM60ですか。

あれは今│修理に出している《レイナーレに預けている》のでここには無いですよ。

10日後には他のと一緒に間に合うようにしているので」

「…他の?」

「はい、│いろいろと《・・・・・》凄いの用意したんですよ。

まぁ詳しくは本番までのお楽しみという事で」

「そ、そう…」

 

…なんで若干残念そうなんですかね。

 

「…あら、これだけ他のとは随分違うわね……って折れっ!?

芽衣この銃折れたわよ!?」

「ああ、それですか。

それは今回の私の切り札になる銃ですよ。

あと、それは元々そうやって装弾するものなんですよ」カチャ

「…これが切り札?」

 

 

「ええ、後でアーシアにも手伝ってもらいますが、完成したらあの焼き鳥をたたき落とすくらいは出来ますよ」

 

 

 

day2

lessonリアス

 

 

悪魔の特性やら多種多様のお勉強会

 

 

 

…正直、特筆することが無いんですが。

だってなぜに今悪魔の勉強をしなければならないのだろうか。

ちなみに私はそこら辺の知識はすべて

ベネムネさんに教えて貰っている。

 

確かに知識は必要な事だけど、別に今じゃなくてもいいような…

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れに流れて夜。

悪魔御一行は夜目が効くため、夜の部と称して特訓の続きをしている。

私もそれには参加したかったのだが、生身の状態ては夜目が効かず、止む無く不参加といった形になってしまった。

 

一応目だけを起動させれば暗視透視熱視何でもござれなのだが、目の色が変わってしまうのがなぁ…

 

そんな理由で、一人暇を持て余している私が何をしているのかというと、

 

「…ふぁ。

ここのお風呂も気持ちいいなぁ…」

《そのお湯、どうやらわざわざ近くの源泉から引っ張ってきているようですね》

「うっは。

流石魔王の妹は、やる事が違うねぇ」

《…いいなぁ、私も入りたいですよ…

そんでもって風呂上りにコーヒー牛乳を飲みたいです》

「あー、わかるわぁ…

つい腰に手を当てて飲んじゃうよね…

てか、そっちには温泉って無いの?」

《無いことはないですけどもぉ…》

 

それにしてもお風呂というのはいい物だ…

これを考えたローマ人は本当に天才だと思う。

 

《にしても、本当に勝ち目ってあるんですか?

貴女単体だけだと余裕ですが、力を抑えたままでしかも団体戦。

技量と人数、両方で負けているのに…》

「そこは戦略と腕次第だって某女子高生も言ってましたし、いざとなったらそこは神頼みで…」

《…私、そこまで万能な神では無いんですけど》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後お風呂から上がり、みんなの夜食用におにぎりを作り、

「夜食です」と書いたメモを添えて置いておく。

 

そのままなんとなく手持ち無沙汰になり外へと散歩に出ると、そこには大きめの丸太に腰掛けて空を見ている木場君がいた。

 

 

「あれ?木場君?」

「やぁ、高那岐さん。

きみも散歩?」

「うん、まあそんなところ。

木場君も?」

「ちょっとね、折角綺麗な星空が見えるから」

 

そのまま木場君の隣に腰掛けて空を見上げる。

 

キラキラと満天の星空と淡く光る月。

まるでスノードームを中から見たような景色にしばし私は心を奪われた。

 

「………綺麗だ」

「…うん、確かにね」

「出来るなら写真にでも撮っておきたかったよ」

「あはは、分かるなぁ…その気持ち」

「カメラ持っていればなぁ…」

「木場君にしては珍しく、はしゃいでるね」

「うん、僕はね星空が好きなんだ。

昔、初めて見た星空が余りにも美しくて綺麗だったんだ。

その光景だけは今でも忘れられないんだ……」

 

そう言った木場君の顔は、まるで慈しむかのように、それでいて…悲しみをこらえているような顔にも見えた。

 

「木場君?」

「…高那岐さん。

僕達は勝てると思う?」

「不安なの?」

「…分からない。

僕は部長の【騎士】だ。

騎士として、主君の今後を決めるこのレーディングゲームには勝たないといけない。

だけど相手はフェニックスだ。

それに数も経験も向こうの方が上で………こ、高那岐さん?なんで頭を撫でてるのかな?」

「…あれ?」

 

私もわからない。

何故か気付いたら木場君の頭を撫でていた。

でも、何故か今はこうした方がいいと思えた。

その顔が、何故か誰かと重なって見えたから。

 

「木場君はさ、もしかしなくてもだけど自分がどうにかしないとって思ってたりするよね。

自分は騎士だからって」

「そ、れは…」

「分かるよ、その気持ち。

でもね人間…じゃなかった、多分悪魔だって同じだよ。

 

独りで抱え込むよりもみんなで頑張るの。

 

部長がいて、姫島先輩がいて、小猫ちゃんがいて、イッセーがいる。

みんな同じ悪魔の仲間なんだからさ、もっと頼ってもいいと思うよ?」

「…高那岐さんはその中にいないんだね?」

「私はほら、悪魔じゃないし。

か弱い人間の女の子だよ?」

「…はぐれ悪魔の首を切り落とすような高那岐さんをか弱いって言うかな…って痛たたたたたたた!?」

 

なんだかとても失礼な事を言われたので、撫でていた手でそのままアイアンクローをする。

 

「木場君、バッチリ聞こえてるんだけど?」

「ご、ごめんって!?

ていうか、僕の身体浮いていないいいいい!?」

「あはは、気のせいだよー」

「それ棒読みだよね!?」

《なんでしょうかこの痴話喧嘩っぽいものは…》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日は1日、また1日と過ぎていき…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…ほんとに何をするんですか?」

「んー?

対焼き鳥用決戦武器を作るの。

これさえあれば…」

 

 

 

 

「で、出来た……これが俺のなけなしの魔力を応用して作った切り札!

これで…」

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの思いと、多少の私怨を込めた準備は進んでいき……

 

 

 

 

 

 

 

 

「…芽衣、頼まれたものは用意したけども、あんたこれで何する気なのよ」「…第三次大戦だ」

「ネタに走るなオイ」

 

 

 

 

 

 

そして今日、決戦の日を迎える。

 



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VS 焼き鳥軍団

うーん、どうしてもルビ振りが上手く行かない……

もう一層の事、ルビ振るのやめようかな…


第32話

 

 

午後十時。

集合時間までまだ余裕がある中、最後の準備をしていた。

 

既に武器、重火器類は入れてあるので着替えるだけだ。

クローゼットを開けて制服に着替える。

そしてその上からミリタリーベストを羽織り、ホルスターや多目的ポーチ付きベルトを身につける。

部屋の中だというのにアーミーブーツを履き、手榴弾やハンドガン、ナイフといった武装を装備していく。

最後に足元に置いていたバッグ持ちとロケットランチャーを担ぐ。

 

 

デェェェェェェェェェェン!!!

 

 

「よし、完璧…「じゃないわよ!」ブッ!?…痛いんだけど」

「なんでコマ〇ドーごっこなんてしてんのよ!?

ほんっと緊張感欠けてるわね!」

「今に始まったことじゃないッスよそれ」

「…芽衣、その格好で歩くと通報されてしまうぞ」

「ドーナシークも言うところそこぉ!?」

 

うがー!と吠えるレイナーレを尻目に渋々ベストやホルスターを空間内に収めていく。

 

…まだ顔にペイントしてないだけましだと思ったけども。

 

 

「…それで?

修行のせいかとやらは出たのかしら?」

「うーん、みんなと言うよりイッセーは何かを掴めたみたいだね。

ほかのみんなも大体の連携とかは出来てたと思うよ」

「ふふっ、違うわよ」

 

カラワーナに言われてちゃんとしたみんなの評価をしようとしたら突然笑われてしまった。

 

「貴女のことよ芽衣。

貴女は何か変わったのかしら?」

「あぁ、そういう事?

いや…私はそもそも修行出来ない環境だったんだよ?」

 

主に魔力とか、強化とか、変形とか。

 

「…芽衣!

あれだけのものを用意したんだから絶対勝ちなさいよ!」

 

と、吠えていたレイナーレが復活してきた。

しかし絶対ときたか……

 

「全く…レイナーレ。

私を誰だと思ってるの?」

「アッパーテンション女」

「火力バカ」

「トリガーハッピー」

「加減知らずの殲滅機」

「歩く武器庫」

《パワーインフレ系女子》

「よっしゃお前ら全員表へ出ろや!」

上からレイナーレ、ミッテルト、ドーナシーク、カラワーナ、フリード、そんでもって神様の順。

揃いも揃ってコイツらぁ……!

 

「冗談よ。

グリゴリの双極の片割れですもんねー」

「うっ…。

その名前は恥ずかしい…」

 

ちなみにグリゴリの双極とは、アザゼルさんが考えたあだ名で私とヴァーリの事だ。

 

「…と・に・か・く!

私は勝って帰ってくるから!」

「おう、頑張って逝ってこい」

「ねぇ、フリード?

今、字が違わなかったかな?」

 

 

 

 

 

 

 

午後十時半。

 

オカルト研究部に着くと既に全員が揃っていた。

…てか

 

「やっぱりみんな制服なんだね。

…アーシアはシスター服か」

「まあね、やっぱりみんな学生だから」

 

木場君もやる気満々のようで。

あ、そうだ。

アーシアで思い出した。

 

「アーシア、これ使って」

「め、芽衣さん。

これは………」

「アーシアも、自分の身を守るものはいるかと思って持ってきたんだ」

 

そう言ってアーシアに渡したのは何時ぞやのライオットシールド魔改造版ver3だ。

 

具体的にどこが変わったのかと言うと…

 

「あのぉ…私の目が可笑しくなければ、これ変な突起物が付いてません?

あととてつもなく重いんですが…」

「お、よく分かったね。

それ持ち手にトリガーが付いててね、それを引くと内蔵されたバッテリーを爆発させて雷が撃てるようになったんだ」

「……電気の弾じゃなくて雷?」

「そ、まあ一発限りのビックリドッキリ機能なんだけどさ、威力は姫島先輩お墨付きだから安心してね♪」

「…一発だけとは言え、私の本気の一撃に迫る威力だったのは納得がいきませんが」

「あ、朱乃の本気に迫るって…」

「…まあ、それやったら盾自体が熱で溶けちゃうので元も子もないですが」

 

ほんと、なんでこんな機能つけたんだろうか│アザゼルさんは《・・・・・・・》。

 

「あとはハンドガンと…いや、ナイフや手榴弾……うーん、アーシア。

ライフル撃ったことある?」

「ラ、ライフル!?

…い、いえ!元は神に使える者でしたのでそのような物には触れたことすら…」

「あれ?そうなの?

…昔パリで会ったシスターさんはサブマシンガンを撃ってたけどなぁ…」

「いや、アーシアがそんなもの使ってたら逆に驚きだよ!?

それにいざとなったら俺が絶対守ってみせるから!」

「イッセーさん……」

「…木場君ー。

ぶん殴れるような壁あるかなー?」

「落ち着くんだ高那岐さん。

目が濁っている上に腕が震えているよ」

「…何でしょうか、私も無性にイッセー先輩を殴りたくなってきました」

「あなた達…そういうのは試合が終わってからにしなさい」

「…リアス、突っ込むのが面倒だからってそれはどうなのかと思うけれど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後部長が建てた作戦の説明を受けたり、部長の兄が現魔王であることをイッセーが知ったり、急に部長…リアス先輩と姫島先輩…朱乃さんが名前で呼べだの言ったりと色々とゴタゴタがあったりしたが………

 

 

試合開始十分前

 

今回のレーディングゲームはこの学校と全く同じ造りをした空間内で行われるそうで、既に私達はそこへ転移している。

 

さて…家でもやったコマ〇ドー装備は特に反対されなかったのでそのまま着ているし、例の武装│群《・》も軒並み準備万端。

 

それぞれ思い思いに最終確認をしながら時間を待っている。

 

 

そして………

 

 

 

『それでは試合を開始してください』

 

 

 

戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

「まずはライザーの【兵士】を撃破する事を優先するわ。

万が一プロモーションされた場合、私達に勝ち目がないわ。

とりあえずはトラップを各地に設置するわよ…………

芽衣?ナニシテルノ?」

「何って、先制攻撃を仕掛けようかと」

「わかった、聞き方が悪かったわ。

それはナニ?」

「何って、バリスタですが?

それも着弾すると中から聖水が巻き散らされるという対悪魔用の…」

「そんな凶悪なものを出さないでよ!?

暴発したらどうするのよ!

仕舞いなさい!」

「…はーい」

 

 

 

 

 

 

「よし、これで大丈夫だね。

高那岐さんの方は……」

「…クレイモアは予備含めて50個、感知爆弾付きのトラバサミも20個設置済み。

あとはそのへんの天井からちぎった聖書のページをばらまく罠でも作れば…ん?木場君?

なんで手を引っ張るの?

まだまだ設置するものは、いっぱいあってね…え?

これ以上はやりすぎ?

いやいや、悪魔相手にこれくらいはイタタタタタッ!?

ちょっと!痛いんだけど!?」

 

 

 

 

 

 

 

「…てなわけで、何故かこっち側に回されたんだけど。

理由がイッセーや小猫ちゃんに監視させるって酷くない?」

「「それは部長が正しい」」

「解せぬ」

 

うーん、ただ持てる全力(一部を除く)で勝利を掴み取るための作戦なんだけどなぁ……

 

「大体、仕掛けた本人が場所を覚えてないってのが一番ヤバイだろが!」

「だから、忘れたんじゃなくて解除が出来ないように複雑にしたら自分でも外せなくなっただけなんだって!

それもどこから来るのかわからないビックリドッキリ仕様」

「…本末転倒ですねそれ」

「だーもう!

とにかく高那岐は危ないから、俺らから離れるなよな!」

「えー……」

 

現在私は何故かリアス先輩から説教され、イッセーと小猫ちゃんと同じ班にされた。

一方、木場君や朱乃さんは単独行動の真っ最中で既に焼…ライザー陣営の兵士を1人撃破している。

リアス先輩とアーシアは本陣であるオカルト研究部の部室で待機している。

 

作戦としては極めて簡単で私達三人を主力かつ囮とし、側面や背後を木場君と朱乃さんで急襲、各個撃破といった作戦だ。

 

それでもって今私達は重要な拠点として認識された体育館へと移動している。

 

 

仕込み(・・・)も済んだところで一気に中に入ると、何故か体操服&ブルマ姿の幼女二人と、チャイナドレスの女、この前部室で私に攻撃を仕掛けた女の子の四人が待ち構えていた。

 

確かチャイナが戦車で他が兵士だっけ?

 

「来たわね、やはりライザー様のおっしゃる通りだったわ」

「あ、何時ぞやの」

「ミラよ。

あの時の屈辱を晴らさせてもらうわよ、怪力女」

「よし、表へ出ろ」

「…私はあの【戦車】を相手にします。

お2人は【兵士】をお願いします」「オーケー任せて、あの子にちょっと現実を教えてくる」

「となると俺はあの子達か…よぉし!」

 

 

 

「せぇい!」

「なんの」

「それ!」

「おっと」

「なんで当たらないのよ!?」

「なんでって言われても……実力差?」

「ッ!?…こんのおぉぉぉぉ!!」

 

おとと。

先程から避けに徹して様子を見てるけども、これがなかなか当たらない。

まあ突きは少し身体を捻れば避けれるし、振り回す時のうごきをよく見れば!

 

パシッ!

 

「な!?」

「同じ技というのは面白味に欠けますが…そぉれっと!!」

「きゃああ!?」

 

こうして掴んで投げる(本人ごと)のも造作のないことで。

 

「…な!?

ミラなんでこっちに!?」

「雪蘭!?

…しまった!」

 

狙い通り、小猫ちゃんの相手をしていたライザーの戦車にぶつかったところで私はあるものを取り出す。

 

「Hasta la vista baby!」

ドダダダダダダダダダダッ!!

 

世に名高いアメリカンギャング御用達のサブマシンガン、通称トミーガン。

それを二つ抱えて撃ちまくる。

 

え?小猫ちゃん?

彼女なら、ちょっと離れた所で待機しているよ?

 

 

「くっ!せええい!」

 

しかし流石はレーディングゲームを何度も戦い抜いてきた事だけはあるのかある程度の弾を棍と炎で迎撃される。

 

てか、弾丸を棍で弾くとは凄いな。

やっぱり悪魔にはそれくらいのことは簡単なのだろうか。

と、余計な事を考えながら撃っていたせいか。

 

カチンカチン

 

「あ、マズっ」

「今だ!」

 

残弾管理を怠り、両方とも弾切れを起こしてしまった。

すかさず、棍の子(名前は知らぬ)がこちらへ突撃してくる。

私は即座にトミーガンを彼女の進行方向へ投げ、別の武器を取り出す。

 

突き出される棍を弾く姿勢で取り出したのはただの鉄製のシールドだ。

それを左腕で保持し、攻撃を受け止める。

 

 

「…貴女、一体どれだけの武器を持っているのよ」

「知りたいかね?

昨日までの時点で約50種類200品目だよ」

 

嘘、実際はもっとあったりする。

 

…と、

 

「キャアアアアア!!」

「はーーはっはっは!

見たかこれが俺の新技、│洋服崩壊《ドレスブレイク》だ!」

 

…なんかやたらとデカイ声で高笑いするイッセーの声が聞こえたのでものすごく嫌々ながらそちらを見ると、下着姿で蹲る幼女二人と鼻の下を伸ばしながら高笑いするイッセーがいた。

 

…うん。

「有罪《ギルティ》」ダァン!

「うおわっ!?

おい!こっちに撃ってくるな!?」

 

まぁ、ぎゃあぎゃあ騒ぐ変態は置いといて。…そろそろかな?

 

「…と、よし!

高那岐!小猫ちゃん!」

「……わかりました、イッセー変態」「今変態って言ったよね!?」

 

合図も出たことですし、あらかじめベストにぶら下げていたグレネードをそこら中に投げまくる。

 

「くっ、爆弾!?」

 

慌てて投げたそれらから離れる彼女達だが…

よく見ればわかるんだけどなぁ…

 

ブシューーー!

 

「「「「煙幕!?」」」」

 

グレネードはグレネードでも、スモークグレネードだったりする訳でして。

 

 

「さあ、撤退撤退!!

逃げるよ二人共!」

「くっ、待て!」

 

即座に二人と合流して、体育館の外へと出る。

充分距離を取ったら、ポケットから二つのボタンがついたスイッチを取り出し片方を押す。

 

 

バスン!

 

 

瞬間、私達の横を何かが高速で通り体育館の中へ着弾。

それの着弾と同時にもう一つのボタンを押すと………

 

 

 

体育館が内外から爆発した。



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ところで機械娘とか需要があるんですかねぇ?by芽衣

芽衣「私は帰ってきたぁぁぁぁぁ!
データが飛んだり、プロット書いてるうちにごちゃごちゃになり、ガルパンに逃げていたり、諸々あったけども!こうして無事に再開だァァ!」

レイナーレ「でも今回約2000文字と短いじゃない」

芽衣「つ、次は頑張りますから!!」


第33話

 

「……やりすぎた?

あれぇ…計算では体育館は残る筈なのに…」

「…嬉嬉として『…楽しくなってきた。

よろしい、ならば倍プッシュだ!』って爆薬ペタペタ貼っていたのを計算してたって言うか?」

 

思ったより爆発は大きく、充分な距離をとっていたであろう私達も吹き飛ばされていた。

少しして体育館の方を見てみると、跡形もなく吹き飛んだ体育館跡地しかなく、先程ライザー陣営の四人の撃破(テイク)も放送されていた。

 

 

ちなみにこれはやったこと自体は簡単だ。

まず、こっそりと体育館に近づき大量のC4爆薬を設置する。

続いて、少し離れたところに先程リアス先輩より却下されたバリスタを設置、安全のため矢を形成爆薬に変更しておいた。

そしてそれぞれをリモートで操作できるようにして、体育館に突入。

中にいる敵を制圧、ないし行動不能にした上で脱出し建物ごと爆発したのだ。

 

元々リアス先輩もここは取るよりも破壊した方がいいと判断されたのでこの作戦も心置き無く実行できたという訳だ。

 

「しっかし、すげぇなぁ。

お前どこでこういう知識を得たんだ?」

「説明書を読んだのよ」

「……それは無理がありますよ」

「まあ、そこは乙女の秘密という事で。

ほらほら、木場君と合流するよ!」

「あっ!おい待てって!」

 

さて、さっさと合流して不意討ち作戦を実行しますか。

 

 

 

 

 

それと余談ではあるがはるか後方で爆発音と雷鳴、そして楽しそうに笑う女性の声が響いていたそうな。

 

「うふふふふ……!

私、本来の出番がなくて退屈していましたの。

貴女で、満足させていただけるかしら?」

 

さて、誰の声だろうね?

 

 

 

 

「ライザー・フェニックス様の【女王】、リタイヤ」

 

 

 

 

 

 

 

「…んで、これはどうゆうこと?」

「私はライザー様の【騎士】カーラマイン!

正々堂々と、勝負だ!」

「僕はリアス・グレモリーの【騎士】木場祐斗!その勝負受けて立とう!」

「待てコラ」

 

ありのまま起こったことを話そう。

作戦通り木場君と合流しようとしたら、

当の木場君が敵の騎士と1VS1(タイマン)しようとしていた。

 

とりあえず勝手に熱くなっている2人にドロップキックを浴びせ、木場君を吊り上げる。

 

「…ねえ、木場君。

合流して敵の不意を突く作戦はどこに行ったのかな?

なんで堂々と勝負しようとしてるのかな?」

「おぉい!?高那岐、ストップストップ!!

木場の顔がやばい事になってるから!」

「うぐぐ…高那岐さん。

騎士として…正々堂々と名乗られたら

…それに答えないわけにはいかなくてね……!」

 

「…なぜあちらは合流して早々に仲間同士で潰し合いをしているのかしら?」

「…それは私にも判断致しかねます、レイヴェル様」

「ぐぅ……今のは結構効いたぞ…」

 

なんか向こうがわちゃわちゃしてきたがそんな事はどうでもいい。

なにせこれも作戦の内なのだ(・・・・・・・・・・)

ただし、考えたのは今で私の頭の中にしか存在しないが。

 

《…高那岐さん、それ作戦じゃないです。

ただの思いつきです》

 

いや、ちゃんとした作戦だよ。

その名もプランB(あ?ねぇよそんなもん)

 

《より一層不安になったんですけどぉ!?》

 

とりあえず、吊るしてた木場君を下ろして相手方を見る。

 

……ん?なんか多くね?

「…先程から残っていた敵戦力がここに集まってきています。

恐らく通信で情報共有された結果だと」

 

うん、パッと見、7人ほどいるね。

 

「…おいおいマジかよ。

こっちは四人だぞ」

「これは…ゲホッ…ちょっと厳しいかもね」

 

数の上ではそこまで差がないようにも見えるけど、まだこの後には敵大将が残っているのだ。

下手に消耗したら元も子もない。

 

「さて、どうします?

このままリタイヤを選ぶか、それとも私達に倒されるか」

「…ハッ、誰が降参なんてするかよ!てめぇらぶっ倒して、俺達が勝つんだよ!」

「…なら、ここで果てなさい」

 

真ん中にいた金髪ロールの少女の号令の元、敵が一斉にこちらへ突撃してくる。

 

こちらも散開し、迎え撃つ。

…うん、撃つ。

 

ドダダダダダダダダダッ!

 

 

例の如く両手にM60をもち、乱射。

適当に狙い撃ち出された弾は予測不可能な弾幕となり相手の動きを鈍らせる。

 

その隙に木場君は相手の騎士に突撃し、携えた剣で打ち合う。

時々持つ剣を作り替えて相手を翻弄し、なおかつ周りへの牽制と警戒をしている。

対する…カーラマイン?さんは次から次へと出てくる魔剣に驚いている。

 

確か魔剣創造(ソード・バース)だっけか。

多種多様の魔剣を創り出し、それらを振るう。

最初聞いた時はまんまU〇Wだとは思ったけども、魔剣限定のためこちらの方が劣っている。

 

……今度木場君にUB〇ルートのアニメを見せてみようか。

どんな反応が返ってくるか楽しみだ

 

一方イッセーはというと、突然木場君の方へと走り出す…え?

 

「受け取れぇ木場ぁ!

これが赤龍帝の篭手の新たなチカラだ!」

「『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!!』」

 

『Transfer!』

 

ズザザザザザザザザザッ!!!!

 

「うおっわぁ!?」

 

あ、ありのまま今起こった事を話すぜ…。

『イッセーが木場君に触れたかと思うと、突然地面から大量の剣が飛び出してきた』。

 

……あれが赤龍帝の篭手の能力の一つ『譲渡』か。

凄まじいね。

 

イッセーと木場君の周りからは大量の剣が飛び出していて、ライザーの眷属達は皆それに串刺しとなっている。

私は間一髪、小猫ちゃんに首根っこ掴まれてその場から退避していたので無事ではあった。

…現在進行形で酸欠の危機に瀕しているが。

 

 

 

 

 

 

「…こっ、こひゅー…」

 

 

 




長らくお持たせしました……!
こちらも更新を再開していきます!


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え、展開早い? いわいるダイジェスト的な感じよbyレイナーレ

|ω・`)チラッ




│つ 本編





│ミ


第34話

 

実に長い間時間が経ったと思う。

具体的には半年。

いくら忙しいとはいえ怠惰ですねぇ……

何がとは言いませんが。

 

 

 

 

 

それは置いといて。

 

 

あの後、状態に気が付いた小猫ちゃんに平謝りされながら解放された私は、首元をさすりながら状況を把握する。

 

大量の剣が地面より湧き出し、その場に残っていたのは先程偉そうにしていた金髪ロールのみ。

その彼女も完全には避けきれなかったのか、身体のあちらこちらに裂傷を…………負っていたのがたった今、修復されていった。

 

つまりは、彼女も不死鳥。

だが、突然の事に驚いたのかはどうか知らないが、彼女は今目を回して気絶していた。

 

 

「よし、ここはこの娘を人質にとり無条件降伏を呼びかけると言うのは」

「……いえ、ここは見せしめとしてとりあえず腹パンを」

「そうですわね……雷でも落とせばダメージには」

「…うちの女性陣は何故ここまでバイオレンスなのか。

言っときますけどその方向性は無しで」

 

 

 

 

その後、とりあえず縛って放置(発案朱乃さん。)した。

今は何よりもリアス先輩が心配だ。

……実はこっそり起動したレーダーにより、ライザーらしき人物が先輩の所に向かって行くのを検知したのだ。

恐らく配下が皆やられて、焦ったのであろう。

わざわざ、上向きに設置したクレイモア群の中を突っ切って行っているみたいだ。

その証拠に先程からバスンバスンと爆発音が響いている。

その音に気付き、今全員で向かって行く所だ。

 

「…なあ、こんだけの爆発の中をアイツは本当に進んでるのか?」

「一応クレイモアの設定を熱探知にしてあるので(グリゴリ特別仕様)そうだとは思うけど」

「つまりアイツは生半可な攻撃じゃやられないのか…………なぁ…ドライグ…」

 

 

 

部室に着いた私たちを迎えたのは多少汚れたリアス先輩とアーシア、そして……

 

 

「あばばばばばばばばばばばばば!!??」「…………」

 

 

何故か痺れまくっているライザーだった。

 

 

「えぇーと、リアス先輩?

これはどういう状態です?」

「ライザーがここに突撃してきた時にね、アーシアがビックリしてシールドで思いっきり殴ったの。

その時に例のアレが動いたみたいで…」

「あぁ……なるほど」

 

 

 

 

 

「く、くそ!

なんなんだ一体!?

俺様の下僕達は全滅するし、飛んでいるとしたから大量の鉄球は飛んでくるし!

終いにはそこの無力そうな僧侶に感電させられるし!

リアス、君の所の下僕はどうなってるんだ!」

「概ねこの娘の影響とだけ言っておくわ」

「?なんで私を見るんですか?」

 

 

満身創痍のライザーだったが、すぐに回復し余裕そうにこちらを見下す。

……私にだけは、化け物でも見るような目を向けるが。

 

 

「なるほど、貴様か…!」

「やーい、焼き鳥」

「貴様だけは殺す!!」

「あれ、マジ切れ?

ちょっとやばかったり?」

「芽衣!!」

 

私の挑発にキレたライザーは周りを爆炎で燃やしながら突撃してくる。

皆が私を庇おうとする中、敢えて一歩踏み出し前へと出る。

 

ダァンダァンダァンダァン!

「ぐっ!?」

 

長物は概ね弾切れだった為に、致し方なく適当なハンドガンを乱射する。

最初こと面食らっていたライザーだが、

その弾の威力が弱い事を感じ取ると、炎の壁を作り出し、銃弾を溶かしていく。

 

「ははははは!!

どうした小娘!その豆鉄砲で俺を殺せると思ったか!」

「いいえ、ですがその慢心が貴方の膝をつかせることになりますよ?」

「…ほざけ!お前に何が出来る!

俺はライザー・フェニックス!

いずれ、頂点に立つ男だ!」

「なら、その鼻っ面を叩き折るのは私達(・・)だ!」

 

 

叫ぶと同時にある物を呼び出す。

消防車に積まれるような放水用のホース。

それを周りに向け一気に放水する。

それは燃え盛る部屋を瞬時に消火すると同時に、大量の水蒸気を生み出し視界を覆う。

 

「何!?」

「魔剣創造!!」

「…いけ!」

 

それと同時に木場君と小猫ちゃんがそれぞれ魔剣と瓦礫を投げつけ、両膝を潰す。

 

「くっ!?

調子に…」

「それはこちらのセリフですわ」

「喰らいなさい!」

 

それと同時に朱乃さんとリアス先輩がそれぞれ雷と滅びの力をぶつけ両手を消し飛ばす。

 

 

「ぐおぉぉぉ!?

貴様らァァ!!」

 

ライザーはすかさず身体を再生させようとしますが、そうはさせません!

 

唯一腰のホルスターに下げていた一丁の銃を引き抜きざまに発射。

その弾丸はライザーの胸の中心に着弾、すると同時に炸裂し、

 

 

「ぐふっ!?

………ぐ、ぐぁぁァァァァァァァァァァ!??

な、何をした!小娘ぇぇぇ!!」

 

その身を灼き焦がしていく。

 

 

 

「どうですか?

超高濃度(・・・・)の聖水入り炸裂弾の感想は?」

 

 

 

わざわざこの一発のために大口径の弾を発射できるように改造したコンテンダーを用意。

アーシア経由で教わった聖水の作り方を参考に、グリゴリの技術で高濃度圧縮。

それを弾丸内に封じ、着弾と同時に炸裂するようにしたのだ。

 

どんな悪魔であろうとも、これを喰らえば必ず痛みに悶え、意識を外す(・・・・・)

ここにいる最も重要な人物から。

 

 

「やっちゃってください、イッセー」

「…あぁ、行くぜ。

これが俺の……!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker !!』

 

「俺の覚悟と力だァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……え?禁手!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えー、あー。

すいません、取り乱しました。

あのあと起こったことについて話しましょー。

 

 

てっきり、赤龍帝の篭手でぶん殴るものだと思っていた所にまさかの禁手化。

 

後から聞いた話なのですが、イッセーは左腕を犠牲にしその場で禁手、『赤龍帝の鎧(ブースデット・ギア・スケイルメイル)』を発現したそうで。

しかも正規の禁手化では無いために、制限時間約10秒。

 

そのままライザーに肉薄し、ボッコボコ。

戦意喪失したライザーはその場で降参。

イッセーも禁手を解除。

気を失い、その場に倒れる………前にリアス先輩が抱きとめていました。

 

 

 

それにしてもあれが赤龍帝の篭手の禁手…

またアザゼルさんに報告する事が増えましたねぇ、全く。

 

 

 

 

んでもって、ゲーム終了とほぼ同時にリアス先輩のお兄さん、現魔王のサーゼクス・ルシファーとその女王、グレイフィア・ルキフグスの来襲…じゃなかった、労いの言葉を掛けに来た。

 

極度のシスコンの上、えらくフレンドリーな人で、面食らいましたが。

イッセーが左腕が禁手の代償により龍化しているのを見て、解決策を探してくれるそうで。

 

…ただ、去り際に私に近づき

アザゼルによろしく頼むよ(・・・・・・・・・・・・)

と、言ってくるあたり油断ならない人物だと改めましたが。

 

……てか、アザゼルさんバレてるじゃないですか私の事!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、時間がたち六月に入る前の事。

 

突然グリゴリに呼び出された私達に告げられたたった一言。

それが全てを変える起点となったのでした。

 

 

 

 

 

「コカビエルが聖剣エクスカリバーを奪取し、戦争を起こそうとしている」

 

と。



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