バカとテストと召喚獣〜龍達の血を継ぐ者達〜 (白波風)
しおりを挟む

プロローグ

懲りずに新作。予定の2週間から遅れました。サーセン。


あなたは、日本で最大の歓楽街はどこか知っているだろうか。答えは大概の日本人ならこう答える。東京にある「神室町」という街だ、と。そして「神室町」の事を話すのであれば、同時に「神室町の伝説」についても話さなくてはならない。

曰く、「日本最大の極道組織『東城会』を1人で壊滅させた男がいる」

曰く、「かつて18人を1発の無駄玉もなく、たった一度の僅かな被弾で絶命させ、その後2度も脱獄した男がいる」

曰く、「とある極道組織の構成員100人から神室町を身一つで守り抜いた男がいる」

などと、神室町には様々な男達の伝説が存在する。

これは、後にその様な伝説となる男の、「伝説となった物語」を語る、現実の様な、空想のような。そんな、一つの伝説の物語。

 

「ようこそ神室町へ‼︎歓迎するよ。……もっとも、もう少し穏やかな理由でこの街にきてくれれば、クラッカーの一つでも鳴らしてあげたんだけどね。……あんたら、本気かい?」

「ふざけてんじゃねえぞ!早く強え奴出せっつってんだろうが!『堂島の龍』を出せってよぉ!」

ここは神室町のとある一角、何人かの見た目から「チンピラ」という印象のある方が声を荒げ、それにもう一人、赤いジャケットを着た男が対応していた。どうやら、

「あいにく堂島の龍は今この場には呼べないよ。……俺を倒せなきゃ、ね」

「上等じゃねぇか!おい、やっちまうぞ!」

チンピラの方は腕に覚えでもあるのか、神室町の伝説の1人、「堂島の龍」を所望し、それを赤……いや、ワインレッド、と言うべきな色をしたジャケットの男が止めていた、という状況だったようだ。がしかし、ワインレッドのジャケットを着た方が、「堂島の龍に会いたければ俺を倒せ」と言い出した。数で囲み、チンピラ達はすぐに倒してしまおうとしているようだ。その時、不思議なことが起こった。

「遅いよ。その程度で堂島の龍に挑む気かい?」

囲まれたはずのワインレッドのジャケットの男は、いつのまにか囲いの外に居た(・・・・・・・・・・・・・)

訳が分からない。そうとしか言えない状況に、先程からこの状況をハラハラしながら見守っていた野次馬達も、呆然としていた。さらに続けて

「ダメだね、『堂島の龍』に挑みたいなら出直してきな」

一瞬にして全員を昏倒させ、そう告げる。恐ろしく強い男は、その場からスッと離れる。まるで街をぶらぶらと散歩するかのようなペースで、である。彼が強いのもそのはず、彼の名は、「秋山秀(あきやましゅう)」「バードアイ」と言う名の「何でも屋」を営む男であり、神室町の伝説の男の1人「秋山駿(あきやましゅん)」の息子である。

「ったく、最近になってまでまだあんなのがいるなんてな。どうにも、『堂島の龍』の噂は強いねぇ。お陰で儲けちゃいるけどね」

などと秀は呟きながら、自らの会社へとぶらぶらとした足取りで歩いて行く。今日の様な出来事もまた、彼にとっては日常の一部に過ぎない。それゆえ、彼はどうも退屈した様な口調である。

「戻ったぞー」

「お疲れ様。新しく来た仕事は無いからそろそろ今日は店じまいしましょうか?」

「ん、それが良いだろうな。じゃ送ってこうか?」

「いや、今日は泊まらせて貰うわよ。じゃなきゃこんな時間までいないもの。いいでしょ?」

「……わかったよ、美波」

彼が店に戻ると、助手の島田美波(しまだみなみ)が声をかけた。彼女の話から幾度となく泊まっている事がうかがえる。おそらくは、仕事の関係故だろう。そうそう、ここで彼と彼女の身分を公開しておこう。彼らは二人とも、「私立文月学園」の2日後には2年生となる2人だ。

 

ー物語はまだ、始まらない。




こんな感じです。今回はプロローグのため短いですが、次からはばんばん書いていきますよ〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

時には昔の話を1 彼らの出会いと始まり

今回は過去編。秀と美波の出会いです。原作主役を筆頭とするバカ達は、まだしばらくは登場しません。
※現在の美波が過去を回想する、という形で進行するので、美波の一人称視点かつ、モノローグの一人称は「ウチ」です。


ウチがあいつと出会ったのは、高校に入学した初日だった。

ドイツからの帰国子女だったウチにとって、わからないことだらけのまま、文月学園という高校に入学することになって、そのまま新しいクラスが始まった。よくわからない日本語での自己紹介が始まったとき、彼はそこにいた。

「神室中出身秋山秀。趣味は読書と仕事。よろしく」

そんなシンプルな自己紹介だったからだろうか。それとも他がボソボソしていたり、やたら凝ろうとして失敗していた中で、すごくハッキリした声だったからだろうか。強く印象に残った人だった。思えば、あれは『一目惚れ』と言うべきものだったのだろうと、今更ながらに思う。

「シまダ ミナミ でス。よろシクおネガイしマス」

ウチといえば、こんな情けない片言でしか自己紹介できなかった。ドイツからの帰国子女だ、と担任の先生がフォローをしてくれたけれど、それにしても、と思ってしまったウチは、この時すでにあいつに影響を受けていたのかもしれない。

「ねえねえ島田さん!」

「島田さ〜ん」

「島田さん」

帰国子女というのはどうしてここまでうるさく構われるのだろうか。他にも新しいクラスメートがいるにもかかわらず、わからない日本語で話しかけられて、ウチはどうすればいいのかわからなかった。うるさいうるさいうるさい!もう、朝見た女の子が言ってた日本語が確か人を黙らせてたような、そう思った時だった。

「落ち着きなよ君達。島田さんが気になるのはわからないでもないけど、日本語に不慣れなのにそんなに話しかけられたら困っちゃうよ」

あの、秋山秀という男だった。私を囲んでいた女子達にそう言うと、

「そ、それもそうね。ごめんなさい。島田さん」

そう言ってクラスメートは離れていった。

「さて……Es freut mich dich kennenzulernen,Herr Shimada(はじめまして、島田さん)」

「Si……Sie können nach Deutschland sprechen!? ︎(あ……貴方もドイツ語を話せるの⁉︎)」

※以下、二人はドイツ語で会話しています。

「ま、ドイツ語くらいは一般教養だよ。それはともかく、さっきのクラスメート達の非礼を詫びさせてもらえないか?」

彼は、そんな信じられないことを言った。だってウチに彼は迷惑をかけていないのだから、そんなことなどしなくてもいいはずなのに。

「やめて!貴方がしたことじゃないじゃない。なんで謝るの?」

「俺がしたことじゃなくても、あれは俺と同じ日本人がしたことだ。日本人は『帰国子女』っていうものにやたらなまでに興味を持つ傾向があるわけで、きっと不快に感じちゃったことだろう、と思ってな」

彼は、そんなことを言って苦笑を浮かべていた。

「しかも、礼節がしっかりしている、なんてことを言われる国な割にやたら無神経な奴が多い。物静かって言われちゃいるが裏を返せば陰険な奴が多い。まったく、同じ日本人として悲しいよ」

ちょっとしたことだったのに、そんなところまで発展するなんて、とっても変な人だと思ってしまった。

「っとそうだ、次のLHRが終わったら今日はもう下校していいらしいんだけど、一緒に帰らない?というか、すこし俺の家に来て欲しいんだが……いいかな?」

「なにか用事?それともナンパ?後者なら遠慮するわ」

「いやなに、今日家でモーンクーヘンを作ろうと思ってね。本場の人に味見を頼みたいのさ」

モーンクーヘンといえば、ドイツではとても親しまれているケーキだ。日本語訳するとケシの実ケーキという意味で、地域によって形が変わって、ポピュラーなのはケシの実とケーキの層が三つに分かれているものだ。でも、それを作るのは意外と大変なうえに、そもそもケシの実自体日本ではあまり食べないものだ。それを……作る?そう聞いた時、ウチは何よそれ、なんて思ったりした。まあ、放課後にそれの真偽がわかるだろうと思い、ウチは同行を決めた。それが、その程度のことが、こんなに長く、深い付き合いになるなんて、ウチはこの時、予想しているわけがなかった……

 

〜そんなこんなで放課後〜

 

「こっから先が神室町。俺の住んでる町ね。あ、離れないでよ。この町なかなか複雑だから逸れると大変なことになりかねないから」

そんな言葉とともに、彼は気軽そうにその『異質な』町に足を踏み入れた。そこに渦巻くのはなんだろう、人の熱気もそうだけど、それ以上に狂気が渦巻いてるような気がして、ウチはその時、とても怖かった。離れずについて行くと、少し大きくて古めかしい喫茶店のような店が見えた。どの町にもありそうな普通の喫茶店なのに、この町にあるそれはとても浮いていた。

「驚いた?ここは俺の店の《喫茶『鳥の巣』》ってんだ。つっても、学生の身だから土日祝しか開けてないんだけどな。さ、入って。できる限り美味しく作ってみせるからさ」

そういって『CLOSED』と書かれていた看板を、『RESERVATIONS』に替えて、店の中へ彼は入っていった。あとを追うように入ったウチは、そこでびっくりしてしまった。なにせ、その内装はとても綺麗で、ちゃんとした町に開店していたなら、話題になってもおかしくないと言えてしまうほどに凄かったから。

しかも、そこで食べたモーンクーヘンはとても美味しかった。その後、大満足で帰ろうとしたウチに彼はこんなことを言った。

「土日は開いてるから都合がいいなら来てくれると嬉しいな。それとさ、君がよければ、俺に日本語を教えさせてくれないかな?きっと、役に立つ筈だから」

彼のそんな提案に、ウチはそっちこそいいのなら、と約束をして彼に送ってもらい、そんな入学初日を過ごした。

 

ーこれは、孤独な「朱雀」と、その隣に並び立ち、そんな「朱雀」を助ける「鳳凰」の、偶然であり、また必然でもあった出会いから始まる成長の物語の、最初の1Pである。

後にこの日は、とあるカップルの結婚記念日となるが、それはまた別の話である……




次回からやっと原作です。書きたい小説のネタがガンガン降ってきてちょっと頭がオーバーヒートしそうです。とにかく、これとワルブレをやっつけたいですが……ワルブレもまだ1巻分すら終わってないんだよなぁ……はぁ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 最低に 降臨せしは 朱雀と龍

どもども、続きでございます。


桜咲く道、その中心を二つの影が通り過ぎて行く。

「相変わらず、ここの桜は綺麗だな。手入れがよくなされてる。ここが道じゃなけりゃ、花見はここでしたいもんだな」

「花見をどこでやったって結局花を楽しむのは私達だけだけどね。あーあ、どうして皆あんなに花より団子なのかしらね」

「そりゃ団子が美味いからじゃないか?」

「その団子を毎回作ってるのは誰よ。ま、花を楽しむような感性が無いってもあるんでしょうけど」

「手厳しいなぁ……まったく」

などと漫才のようなやりとりをしながら歩く二人の男女。男の方の名は、「秋山秀」女の方の名は、「島田美波」両名共に、とある学園の今日二年生となる二人である。

先程のようなくだらない会話をしながら歩いていた二人の前に、巨大な学園が見えてきた。その学園の名は「文月学園」彼らの所属する学園であり、最先端のシステムを利用している試験校でもあるなかなかに優秀な進学校だ。その巨大さもあり、中々に大きな門の前に、これまた大きな男が立っている。

「「おはようございます。西村先生」」

「ああ、おはよう。秋山、島田。相変わらず仲はいいようだな」

「当然ですよ!俺が美波を不快になんてさせるわけ無いですからね」

「まあ……ね。一応はそうかしらね」

「え”、俺なんかダメなことした⁉︎やっべいつどこでした⁉︎思い出せ、俺!」

「思い出さなくていいわよ。気にして無いから。で、西村先生はなんでここに立ってるんですか?」

相変わらずの漫才のようなやりとりをしながら二人が話している男は『西村宗一』という名の、文月学園生活指導担当者だ。その肩書きにふさわしいガタイと強面だが、あくまで厳しいのは規律を守らない生徒についてのみで、普段は少し厳しいだけのどこの学校にもいるような先生であったりする。むしろ、かなり親身に生徒の相談に乗ってあげたり、不登校の生徒に対して熱意を持って関わりにいくなど、あまり今時にはいない素晴らしい先生である。

「うむ、分けられたクラスを報告する仕事を任されていてな。ちょうど、このように」

と、彼は少し小さい封筒を二人に手渡す。二人は、少し不思議そうな顔をしながらそれを受け取り、その封筒を開く。二人の封筒の中に入っていた紙には、こう記されていた。

『秋山秀 Fクラス』

『島田美波 Fクラス』

「貴様ら……何を企んでいるのかは知らんが、流石にあれはやりすぎだ。次があるなら、もう少し不自然で無いようにやるんだぞ」

「「はーい、気をつけます」」

西村がそう言うのも無理は無い。この二人、振り分け試験において全ての教科でぴったり50点をとる、ということをやらかしたのだから。しかし、二人の言葉に反省の色は見えない。どうやらあまり点数について重要視する気は無いようだ。校舎へ向かう姿を見た西村は、ため息を漏らす。

「どう考えてもあの二人は優秀なのだがな……本当の実力でFクラスになった馬鹿共は、ある意味ラッキーなのかもしれんな」

髪型をお揃いにし、自然に手を繋いでいる二人の背中を見送りながら、西村は気持ちを切り替える。特に早い二人と違い、ここからは問題児も優等生も来るような時間だ。ミス無くやらねば、そう決意し直し、校門の外に視線を直す。彼の仕事はここからが本当の始まり、と言えるかもしれない。

一方こちらは、校舎に入りFクラスへ向かう二人。まだ会話は続いているようだ。

「しかし、Aクラス凄かったな〜。最高クラスがあれだけ凄いんならFクラスもそこまで酷く無いんじゃないか?」

「逆に考えなさい、秀。Aクラスがあれだけ凄いということは、Fクラスはとんでもなく酷い、なんてこともありえなくない。って考えてた方が、もし酷かった時に心にくるダメージは少ないわ」

「まー、俺もこれくらいだろって思ってたのがDクラスだった時点で色々諦めてんだけどな。……多分あれがFクラスだ」

残されたその教室が、二人の視界に飛び込んできた……

 

 

それは、教室というにはあまりにも酷すぎた。

汚く、寒く、臭く、そしてカビだらけだった。

それは、まさに最低だった

 

「「…………」」

「あ…ありのままに今起こったことを」

「話さなくていいわ。何かが変わるわけでもあるまいし……」

モノローグすらネタをやらねば表現ができないのだ。直面した二人もまた、ネタで表現するしかないとしか言いようがない。そして二人は微妙な顔をしながらその教室に足を踏み入れる。ちゃぶ台と畳という昔ながらの日本家屋のような場所は、心を落ち着かせる。……もちろん、そのちゃぶ台が大量、ひび割れた黒板に薄汚れた教卓、まして汚れや異臭に割れた窓ガラス、などの要素が無ければの話ではあるが。

「こりゃ……想像以上に酷いな。とにかく汚れやら異臭やらをなんとかしなきゃなこりゃ」

「ちゃぶ台や畳はいいのね……まず汚れや異臭に気を使うなんて貴方って人は本当に主夫ね」

美波に言われたように、主夫のようなコメントをまず言ってしまうあたり、家庭的と言える。が、それは今あまり関係ないことでもあったりする。……それに、まず割れた窓ガラスやひび割れた黒板に注目しないあたり、かなり他人とずれた思考の持ち主のようだ。

「ほんっと嫌になるわね……この状況に燃えてる自分が」

だが……この二人、負けず嫌いの極致、と言えるほどに負けず嫌い、逆境であればあれほど燃える二人である。……マ○ンのパン○キンじゃあるまいし、もう少しくらい落ち着いていてもいいとは思うが、そこは今突っ込むべきところではない。

「ん?なんか今、すごく失礼なことを言われた気が……」

今突っ込むべきところではない。しかし、面倒な事とは重なるものだ。戸を開け入ってきた顔馴染みに、二人は目を丸くする。

「Fクラスってのは、ここでいいのか?……お前らがいるせいで余計に信憑性が薄いんだが」

「ソーマ?お前こそ何やってんだこんなとこで」

「俺もFクラスなんだよ。理由は「言わんでいい」……なんだよ、知ってたのか?」

「いや、知らんけどな。あらかた、振り分け試験の最中に体調不良になった人が出て、そいつを助けた奴を教師がディスったから答案用紙を破って退室した。ってところだろ」

「……お前やっぱり知ってただろ」

「いんや、マジで知らんかった。ともかくソーマもFクラスか。こりゃ、今年の学年最強はFクラスかもな」

現れた男の名は『桐生蒼馬(きりゅうそうま)』神室町で『龍の名を継ぐ男』として名が知られていて、いつも無口なことからあまり何を考えているのかわからない、と言われる。しかし、実際は口下手かつ、自分のことを語るのがあまりうまくないだけ、というしょうもない理由がそうさせているのである。因みに、CV中井和哉ではない(GEプレイヤー並感)そして何より最大の特徴は、天然女たらしであることである。『接するだけで女が落ちる』とまで言われ、日夜敵が増える男。しかし本人には自覚はなく、好きな人もいるため、余計なヘイトを稼いでしまっているとてつもなく悲しい男である。そんな彼だが、成績は決して悪くない。むしろ良い方で、かなり気合を入れたらギリギリAクラスに入れるかもしれない、くらいの領域でこそあるが、Fクラスにいるには過ぎた戦力である。

「まー、なんでもいいか。じゃ、クラスメイトとしてよろしくな、ソーマ」

かたや、『天才にして秀才にして天災』と称される男、秋山秀はいつものように(・・・・・・・)不敵に笑う。それは、彼の自信の表れか、はたまた癖にでもなっているのか。

 

 

 

ーしかし、彼は、彼らは、まだ知らない。知るよしも無い。このクラスに属することになる者たちは皆、

『真性のバカ』

であるという事を……

 

 

 

「……ところでさ」

「ん?なんだよソーマ。まだなんかあるのか?」

「お前やっぱり知ってたんじゃ無いのか?」

「いや、本当に知らなかったさ。ただ、起きた出来事は知らなかったが、お前のことはよく知ってる。つまりはそういう事だ」

「……お前はなんでも知ってる、みたいな節があるからな、ちょっとばかし気になってな」

「なんでも知ってるわけねーだろ。知ってる事だけだ」

「お前いつもそれだよな。気に入ってんのか?」

「まあな。さ、取り敢えず席決めとこうぜ。……決まってないみたいだし」

「本当、このクラス酷いわね……先が不安だわ」

 




ハッピーニューイヤー!(クソ遅い)
と、いうわけで久々すぎる投稿ですね。
いやー、色々申し訳ないです。
さて、話は変わりますが、一つアンケートを取らせてください。理由といたしましては、昨年末にあげた活動報告で話してはいますが、私の頭の中にはたくさんのお話の設定やシーンが詰まりに詰まりすぎています。というわけで、これから先、何を書いていくか、更に、投稿を定期的にするか、する場合はどの程度か、更には文字数はどれぐらいがいいか。その辺を聞きたいのです。次にできるだけ早くワルブレを投稿したら、ワルブレの後書きにもこの文を載せておきます。アンケートについては活動報告で詳しい事を話します。期間は……ワルブレを投稿してから一ヶ月、にさせていただきます。何卒、ご協力お願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 あーあ、出会っちまったか

タイトルはネタ。わかる人の大体はMUGENが大好きだと思われる。そして中身は説明回。
※《》で話しているのは小声、という風に捉えてください。


何分かが経ち、次々と教室に入ってくる生徒を見回してから、そっと話し出す三人がいた。

《予想外に馬鹿面が多いんだが……大丈夫なのか?》

《大丈夫だ、問題ない。……はずだ》

《はずって……不安しかないんだけど?》

上から蒼馬、秀、美波である。教室の廊下側一番後ろを三人で確保し、ゆるゆるとこのクラスのメンバーを観察していた。「自分達が切り札(ジョーカー)になってやろうじゃねーか」という威勢の良い事を言っていた三人だったが、それは自分達以外にもそこそこできる連中がいる事が大前提であったが故に(強さ、という意味合いのできる、という事ではない)観察している限りでは、とてもそんな風に見えるのはいなかった……いや、僅かに数名、可能性があるように見えた者や、顔馴染みはいたようだが。ともかく、予想外にできなさそうな奴が多かったようで、どうも彼らは失望しているようだ。

そして登校時間も過ぎた頃、一人の男がやってきた。

「すいませ〜ん、遅刻しちゃいました☆」

「さっさと座れ、蛆虫野郎」

「その言い方は酷いっ。て、雄二。何やってるのさ」

それを見た瞬間、秀が驚いた様な顔になった。

《な……んだありゃ……》

《秀⁉︎どうしたのよ一体》

《どうした?……何が見えた》

明らかな動揺を見せる秀に、二人は問いかける。二人に向けて秀は興奮している様な、恐ろしいものを見ている様な顔をしながら、二人に話す。

《あんなにヒートが輝いてる奴なんか見たことあっかよ。ありゃ鍛えりゃ伝説になるヒートだ》

『ヒート』とは自らの気持ちが昂ぶった時に体から放出される、言わば闘気と呼べる者である。すべての人間に宿っている力でこそあるが、制御することができる人間は少ない。的確に制御することでとてつもない力やスピードなどを使用する事ができ、致命傷も回復する、といわれる。力を常に扱う者は早く目覚め、制御もすぐにできる様になるという。

喧嘩の絶えない神室町に住まう秀や蒼馬は勿論、その使い方を習った美波も制御しているが、他人の覚醒前のヒートを見る事が出来るのは秀のみである。本人曰く、「多分俺の魂が色々変なのが原因だと思う」とのこと。

よりヒートに関して詳しく説明すると、喧嘩の最中において、昂った衝動のままに繰り出す一撃が『ヒートアクション』と呼ばれるものである。普通の人間の身体であれば、一瞬で身体がバラバラになってしまう様な恐るべき力だが、しかしここでもヒートは関係してくる。神室町での喧嘩は、一種のエンターテイメントの様な認識になっており、野次馬というべきか観客というべきかわからない人々が喧嘩を見ている事が多く、その人々が熱狂する事によって無意識のうちに漏れ出るヒートがフィールドの様なものを作り出し、それによって致命傷になるヒートアクションもただのK.O技となるわけである。ちなみにだが強力なヒート使い同士の闘いにおいては、ぶつかり合うヒートがこれと同じフィールドを作り出すために、観客がいずとも致命傷を回避できる、というわけである。

こう書き連ねると、ヒートは万能と思われてしまうかもしれないが、それはとんでもない誤解である。それこそヒートを纏っていなければ、いくらヒートを使えようが致命傷は致命傷となり、死ぬときは死んでしまう。生命を無意識に守るものではない、ということである。また、超常の力を発揮できる訳ではなく、あくまでその気になり、かつそれができる肉体と場合においてならば、同じことを行使するのはさして難しい事ではない。要するに、PKやESPの様なものではない、ということだ。……つまるところ、万能じゃないということだ。

「どうも、このクラスの担任の福山真です。それでは、皆さん自己紹介をお願いします」

と、いつの間にか担任も現れ、自己紹介の時間となる。

多少のイベントが発生はしたが、そんな当たり前の時間の最後……彼らFクラスの代表は、こんな事を言い出した。

「上位クラスに『試召戦争』を仕掛けてみないか?」

爆弾を仕掛けた代表のその言葉に、獰猛な牙剥き出しの獣のような笑顔で、秀は喜んでいた。来たか……と。

口々に文句を言うクラスメート達に向かい、彼は『勝てる根拠』がある、と言いきった。

「康太、姫路のスカートを覗いてないでこっちに来い」

そして呼んだ一人目を、彼はこう紹介した。

「土屋康太。こいつがかの有名な『ムッツリーニ』だ」

『ムッツリーニ』という渾名で呼ばれる彼は、しかし秀の顔馴染みであった。秀は彼とこの学園の『情報屋』のようなものをやっているからだ。出会う前の二人はお互いに情報屋をやっていたのだが、取り扱う情報や形態の違いから、二人が交わることはないはずだった。

偶然にも、とある情報を入手せねばならなかった秀の前に、偶々同じ情報を入手しようとしていた康太に遭遇、協力してその情報を入手した二人は、その後も仲良くやろう、と二人での仕事を始めた、という経緯である。ちなみに、かつての秀は先生の秘密や、学園内で計画されている悪巧みなどが主かつ、元々持つ情報を売ると同時に、頼まれた情報を入手し、その手間賃も含めて売る、という形態であった。対して康太は生徒の秘密や恋愛などのゴシップ、並びに撮った写真を売っていて、元々持つ情報しか売らない、という形態だった。……それ故に二人は出会うはずなど無かったのだが。

「さーて、説明も終わったし、行くぞお前ら「なあ」ん?」

「試召戦争の会議だろ?参加させてくれよ」

「ああ……構わんが。お前らは?」

「後で話す。それより、さっさと行こうぜ」

代表の言う「切り札」は大体が秀の予想通りのものとなっていた。そして彼らも、自分達を活かすために、作戦会議に参加することにした。

後に彼らはその時のことを思い出しては、改めて考えることになる。

とても不思議な「運命」は存在する、

ということを……

 

 

 

 

 

 

「……大丈夫かしらね?」

「多分、問題ない」

「多分って……お前なあ……」

 

 

 




ヒートの独自解釈は、つまるところ「なんでムービー銃は効くの?」を言葉で説明したかったから。ただそれだけだったりする。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。