魔法少女リリカルなのはStrikerS ENEMY Side (トータス)
しおりを挟む

ENEMY Side
プロローグ   有り得ない出会い


これは本当に二週間ほどで書き上げた物なので、かなり粗が目立ってしまいます。
思い浮かぶがままに、思い描けるがままに、書いています。
一応、少しづつ修正しつつ、上げて行くので、一話ずつ挙げさせて頂きます。


私は、面倒臭い頑固な親爺です。

思った事を思ったがままに・・・
偶に調子に乗る事もしょっちゅうで、その事を後悔する事も暫し。
その点は反省しますが、懲りるにはまだまだ時間が掛るので、そのつもりでお付き合いを願います。


七面倒臭い頑固な親爺(=実際そう言われました)が描く、理不尽なコメディをお楽しみいただきたい。

コメディでは無いと言われる事もあるのですが・・・

私はコメディとして書き始めたので、そう言わせて頂きます。


内容は変わりませんが、修正を加えました。


 そこは閑散とした通路。

そこに、大小二人分の人影がある。二人の他に人は居ない。

 

「じゃぁ、判った? ココに書いてある所に行くの」

 

 大きい方の人影が、その手を握る小さい人影に向かって言った。

 

 コク!  キュッ!

小さい人影は頷きを以って返事として返すが、その手をしっかり握り直し、離さない。

 

「駄目、もう行かないと。それに、貴方はココに居ては駄目なの」

 

 そう言いながら、その手を放す様に促した。

 

 コクコク!   ムギュッ!

更に頷き、手は放したが、今度は足に抱きついた。

 

「駄目よ。貴方が居るべき所は、ココじゃない」

 

 そう言い聞かせるも、放す様子は無い。

 

「・・・貴方に、名前を上げる。私と、同じ意味を持つ名を。

デュオ、それが今日から貴方の名前。その名前を貴方が名乗る限り、私と貴方は繋がっている。

だから、行って」

 

 突き放すように、その小さな体を、そっと押しやった。

押されるまま数歩進み、振り返ると。

 

 そこには、確かに居るが、自分の知る顔は既に無かった。

それを確かめ、指し示された所へと走り出した。

 

 

・・・   ・・・

 

 

 その姿は、広く雑然とした街中にあった。

 

 街角にある、ありふれたオープン・カフェ。

そこで寛ぐ、紫の髪の青年。

 その傍で、白く長い髪と多少汚れが目立つ子供が同席していた。

二人はテーブルを挟み、向かい合っていた。

 

 周囲の人が、どういった関係かと訝(いぶか)る中。

 

 子供は、目の前に積まれた食事を淡々と食べていた。

 

 青年の方は、手に持った手紙を読みながら、

「ふむ。・・・なるほど。それで、君はココに来るように言われて来たのだね?」

 

 コク

 

「・・・そうか。では、私と一緒に来たまえ」

 

 コク

 

「ふむ」

 

 手を挙げ、ウェイターに合図を送り、呼んだ。

 

「はい」

 

 直に側に控えたウェイターに対し、慣れた様子でメニューを受け取った。

それにザッと目を通し、

 

「これと、これ。あと、これを、いつもの数で。

それと・・・残りを包んで貰っても良いかね」

 

 まだ手付かずのサンドイッチを、その子が名残惜しそうに見ているのを見て言った。

 

「ハイ、承ります」

 

 そう言うと、会計を済ませ、準備が出来てから連れ立って席を立った。

 

 

 二人がそこを離れ、暫らく経った。

そこで行われた、密やかな会話。

 

「なあ、あれって」

「ああ、「隠し子だな」」

「やっぱり、そうなのかしら」

「多分、母親が死ぬ前に、自分にもしもの事があったらって、持たせていたんだろ?」

「そうよね。羽振りは良いし、手は早そうだったし」(=偶に迎えが、入れ替わり立ち代わり)

「間違いねぇ。ありゃ、かなりのスジモンだぜ?」(=武闘派メンバー時)

「うぅ、ワタシ、狙ってたのに!」(=野太い声)

「ま、まぁまぁ、落ち着けよ。まだそうと決まったわけでもない」

「そ、そうよね! まだ希望は有るわよね!

先ずは、ショウを射んとすれば、マからって言うし! ワタシ、あの子の母親になるワ!」(=注・野太い声)

 

辺り一同、心の声 (《〔〈無理だな〉〕》)

 

「なぁ、賭けねえか?」

「ン? 何を?」

「アイツが、この次にきた時、あの子を連れてくるかさ」

「・・・乗った。100で来ない」

「50、来る」

「んー、来るに50!」

「来ないに200」

「来るに50」

「オイオイ、来る方に賭ける奴は、居ないのか?」

「来るに300! 来てもらわないと!」(野太い声)

「ワタシは、来ないに、100! 来ても、違う人に連れられて、ってのは?」

「・・・いいぜ、乗った」

 

 

・・・   ・・・

 

 

 連れられて来たのは閑散とした人気の無い建物。

その地下駐車場の奥へと入って行き、目の前の壁を無視して進んだ。

 

 ぶつかる様子も無く、通り抜ける。

その後を遅れじと付いて行くと、壁の向こうには広い空間があり。一人の女性が佇んでいた。

 

「お帰りなさいませ、ドクター。その子供は?」

 

 その女性は、手荷物を受け取り、上着を受け取り。

サンドイッチを、ぱく付きながらついて来る子供を見て、言った。

 

「ああ、この子は・・・私の子だ」

 

 白衣を羽織り、いつもの格好に戻りながら言った。

 

「!? そ、それは、如何いう?」

「何、私の理論を用いて別のコンセプトから作られた存在だ。だから、私の子供である事には変わりは無い。

ウーノ、面倒を見てやってくれ」

「・・・判りました。ついてらっしゃい、案内するわ」

 

 コク

 

 

・・・   ・・・

 

 

ブリーフィング・ルーム

 

「ねぇ! 聞いた聞いた!?」

「何をだ?」

「何だ?」

 

 天井から、頭だけを生やしたセインに対し、ソファで話をしていたチンク、トーレが応えた。

 

「新しい子が来たって!」

「ふうん。で、どんなヤツ?」

 

 冷蔵庫の扉の向こうから、ノーヴェは中を漁りながら聞く。

 

 プシュッ!

奥のドアが開き、そこから声がした。

 

「・・・白くて、黒い」

「いやぁー、小さくてカワイイッス!」

 

 その向こうから濡れた髪を乾かしながら、ディエチとウェンディが顔を出す。

 

「エ? 何で知ってるの?」《セイン》

「このコ」

「そう! この子ッス!」

 

 そう言って、連れてきた子供をディエチが片手に抱え。ウェンディが指し示した。

浅黒い肌、白く長い髪、まだ幼い体。

 

 着ていた服は、洗濯というよりは破棄され、間に合わせとしてワイシャツを羽織っている。

 

 プシュッ!

反対側のドアが開き、クアットロが入ってきた。

 

「さて、新しい子はどこかしら?」

「あぁ、丁度いい。クアットロ、説明して貰えるか?」

「ええ、良いですわ。その子は、ドゥーエ姉さまの子供ですわ!」

「な! そ、そんな! あの姉さまに、何が!」《チンク》

「・・・フム、そうか。では、立派に育てねば、な」《トーレ》

 

 若干、有り得ないという思いからか、声が震える二人。

 

「なぁ、そんなに驚く事なのか?」

「さぁ。私、まだ会った事ないんだよね」

「違う、名付け親だって」

「でも、親ッス!」

「ふうん、そーなんだ」

「だったら、強(あなが)ち間違っては、いねぇな」

「そう、だから、私たちも貴方の家族」

 

 コク

 

「くぅー! そろそろ替わるッス!」

 

 そう言って、入れ替わるディエチとウェンディ。

 

「ん? だとしたら、私は叔母になるのか?」

 

 ノーヴェは、割と好意的に受け止め。

 

「そっかぁ、私もオバサンかぁ。一寸いいかも」

 

 セインも、そうなった自分が大人になった様で嬉しそうにしている。

 

「私は嫌。そんな事口にしたら、酷いわよ?」

 

 そう言って凄むクアットロ。

 

「な、何だ、そうなのか」

「む、むう」

 

 やっと合点がいき、納得するチンクとトーレ。

 

「じゃ、この子は私が連れて行くから。

ドクターからこの子の面倒も任されてるし。連れて行くわよ」

 

 そう言って、ウェンディから子供を受け取り、連れて行くクアットロ。

何気に優しく抱き上げている。

 

 

・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




私のメンタルを例えるのならば、生モノのハツ《心臓》です。
傷み易いです、腐り易いです、刺されます、焼かれます、食われます・・・

なので、偶に取り替えます。
その為にスペアが有ります。

傷む前に、腐る前に、凍らせてしまいます。
チャッチャと調理して食べてしまいます。
そして、新たにスペアを手に入れます。

毛が生えて居たりはしません。気味が悪いので・・・

豆腐の如く、柔らかくも有りません。豆腐は豆腐でも高野豆腐かな?

そんな感じです。


では、また後日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一話   ハジメテノ悪事

話は原作のファースト・アラートまで飛びます。

それまでは検査や学習、訓練などに費やされています。

殆どは、検査、学習、訓練と言う名目の元、コミュニケーションに費やされています。


内容は変わりませんが、修正を加えました。


数週間後

 

 それまでに判った事は、融合系のデバイスを体の各所に埋め込まれているということ。

特に拒絶反応は無いが、成長に伴ない、どうなるかは未だ不明。

それにより、魔力関係の物との相性は良い。

 

ランク  C-

   成長の余地あり。

 

変換資質  石化

   未だ未発達な為、固形化が精々。

   若干、柔らかく。粘土状から鉛程の硬度まで、変化可能。

   硬くすれば硬くは成るが、砂礫状が精々。

   成長次第では、もっと硬くなる可能性もある。

 

 声帯を切除され、発声する事は出来ない。

四肢、外観、内観ともに異常は見られない。

 デバイスその物は、現状では取り出すことは不可能。

臓器との癒着が進み、摘出が難しいのと、術後の生存の確率が現状では低いため。

 

 

性別  男性

年齢  推定  3歳位?

 

 

 

クアットロの研究室

 

 様々な物が並び置かれている空間。その部屋の主と、優に二メートルを超える、黝(あおぐろ)い甲冑。

目に該当するだろう場所からは、複数の金色の光を放っている。

 

「どぉ、ソレの調子は?」

 

試作デバイス

   防御用デバイス = アーマード・デバイス   銘 ブリアレオス

 

 カチャカチャ・・・カチャカチャカチャ

調子を確かめるように、ゴツイ手指を動かしている。

 

【問題ナイ】

口に当たる部分から、機械を通して伝えられる低い音声。

 

 そのままゆっくりと動き出し、シャドー・ボクシングの動きを真似し始めた。

 

 ボッボボボッ!   ボファッ!

軽いジャブから、正拳突き、それだけで辺りの空気を掻き回す。

 辺りに置かれた軽いモノがそこいら中に舞い上がる。

それを見かねたクアットロは、

 

「嗚呼、ココじゃ駄目でしょ! 動くなら訓練室で!」

【ハァイ!】

 

 甲冑は、喜び勇む様にドアから出て行く。

どう見ても、子供の仕草だ。

 

「全く、どうして私があんな事。・・・でも、悪い気はしないわね」

 

 満更でもない様子で、散らかった部屋を片付けていく。

 

 

・・・ ・・・

 

 

訓練室 =どんな事が起き様が大体大丈夫なように、矢鱈と広く、頑丈に作られた部屋。

 

 そこで一通りの訓練を終え、休息を取っていたノーヴェとウェンディ。

唐突にドアを抜け、飛び込んできた甲冑に目を向ける。

 

「ん? なんだ、ありゃ?」

「んー? おお! カックイーッス!」

 

 その甲冑は、今まで見掛けなかった事も有り。

 

「あれは、新型かな?」

「そんな話は聞いてないッス!」

 

 それぞれに思った事を言い合っている。

 

 そうこう言っている内に、あっちにフラフラ、こっちにフラフラと危なっかしい。

フラついている様子から見て居られなくなり。

 

「おい! あぶねえなぁ」

 

 ノーヴェはつい口が出て、手を貸すように動いていた。

 

【アリガトー! ノー姉(ねぇ)!】

 

 そう呼ぶ相手が限られている事もあり、直に気が付いた。

 

「って、デュオ!? どうしたんだ、それ?」

「え!? デュオッスか?」

 

 それを聞き付け、ウェンディも中身が誰かは見当が付いたが、確証が持てない。

 

【ナアニ? ウェン姉?】

 

 ノーヴェはそれで確信を持ったのか、

 

「確かに・・・デュオ、だな。

おい、そんなモン。どっから持って来たんだ?」

【クー姉! ツクッテクレタノ!】

「そうッスか、良かったッスねぇ!」

 

 それだけで伝わったようだ。

 

【ウン!】

「それで、慣らしか? それなら、俺らが手伝おうか?」

「良いッスね! じゃあ、鬼ごっこッスかね?」

「・・・まぁ、妥当だな。他の誰かが来るまでは、それで慣らすか。それで良いな?」

【ハァイ!】

 

 

 それから暫く、全身を使って動き回る甲冑を相手に、半ば本気での追い駆けっこが繰り広げられた。

 

 訓練室の壁や床、天井のアチコチに凹み、窪み、歪みが生じた。

防御用デバイスには瑕疵一つない。

 

 主に、慣れない躯体から繰り出される、勢い余る体当たり、の様なモノでの被害だった。

 

 それを余裕で避け、いなし、交わすノーヴェ。

受け止め、逸らし、避け、凌ぐウェンディ。

 

「ねーねー。何やってるの?」

 

 何やら騒ぎになっているのを気にしてか、床下から現れたセイン。

現れた場所が悪かった。

 

 物凄い勢いで迫る巨体!!

 

「「あ!」」

「キャアァ!」

 

 間髪で潜り、事無きを得た。だが、巻き添えて、そのままさらに下の階へと潜行!

 

 ダン!

 

 何やら硬い物にぶつかり、上下逆さまに甲冑が下になる形で停まった。

そのまま何処に居るのか見回してみると、

 

【ア、ドクタ】

 

 そこには、スカリエッティが飲みかけだったらしい紅茶らしき物を被り、濡れ佇んでいた。

 

「ふ、ふふふ・・・これは、どういう事だい?

誰か、説明して貰えるかな?」

 

 そう言いつつも、見据える先にはセインしか居ない。

 

「イッツツツ! あ、その、これは・・・」

 

 言い淀むセイン。

 

【レンス? シテタ!】

「ほほぉ、練習中の事故か。だとしたら、しょうがないな」

 

 それだけで伝わったようだ。

 

「そ、そうです! 不可抗力です!」

「そうかそうか。その割には、カメラに映ってはいなかった様だが?」

 

 モニターには、訓練室で二人が消えた先に何が有るか思い当たり、うろたえるノーヴェとウェンディが映っていた。

 

「そ、それは・・・これから参加!

行くよ、デュオ!」

【オー!】

 

 どうやら、セインがサボっていた事はバレていた様だ。

お叱りを受ける前に部屋から出ようとする二人に対し、スカリエッティは声を掛けた。

 

「ああ、デュオ。待ちたまえ」

【何? ドクタ】

「君に、頼みたい事が有る。残ってくれないか?」

【・・・ワカタ!】

「じゃ、ノーヴェとウェンディには、私から伝えておくから。ゆっくりね!」

 

 さっさと部屋から出て行くセイン。

 

「さて。では、頼みと言うのは、これなんだ」

 

 そう言って、ディスプレイに映し出された物を指し示した。

 

「これはレリックと言う物で、今私が集めて実験に使っている物だ。

これが何処に有るかが判ったから、それを取りに行って来て欲しい。それと、番号が振られているから、目的の物で無かったら、無理に持って帰らなくても構わない」

【・・・ワカッタ!】

「当然、邪魔も入るが、それは無視して撒いてくれば良い。

・・・行ってくれるね?」

【オー!】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

数日後

   山岳地帯  トンネル内部・天井検査用通路

 

 二つの大小の人影が、トンネル内に在る。

片や、巨大な体躯に様々な物を身に付けている。片や軽装で、その巨躯が身に付けている物の具合を直してやっている。

 

「じゃあ、私はココまでだから。帰りは今言った所で、ウェンディとディエチが待ってるからね?

あと、これはイザって時に使いなさい」

 

 そう言って手渡すのは、様々な銃火器、各種榴弾、[緊急時のみ使用]と書かれた、ボタン付き筒状リモコン。

 

【ワカッタ!】

「怪我したりしないで、無事に帰って来るまでがお仕事だからね?」

【オー!】

「じゃぁ、くれぐれも深追いしたり、無理したりしないのよ?

無理して捕まっても駄目だからね?

忘れ物は、無いわね?」

【・・・ソレ、三回目ェ】

 

 そう言われ、クアットロは頬が熱くなるのを感じ、自分でも顔が赤くなるのが判る。

 

「・・・だったら無事に帰ってきなさい!

良い!? 絶対だからね!!」

【ヤー!】=Yes!

「だったらよろしい。行ってらっしゃい!」

 

 バシッと背中を叩き、押し出す。

眼下にはリニアが走って来ており、それにガジェットが張り付いている。

 

【行ッテキマァス! クー姉!】

「コラッ! クー姉禁止! 威厳が無いでしょ! 威厳が!

まったく、もう!」

 

 そう口では言うモノの、本気では怒っていないようだ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 リニアの屋根に張り付き、中に入り込む。

その内にトンネルを抜け、敵と思われるヘリが近づいて来るのを確認した。

 

 何かが、一瞬光ったようだが、気にせずに先頭車両に進む。

 

 途中、一寸した振動が間隔をあけ、四度ほどした。

ドクターの言っていた妨害だろうか?

 

 確認でき次第、とっとと逃げれば良い。

無理に戦う必要は無いって、言ってたし。

 

 気にせず探し続ける。

暫くすると、ガジェットが見付けだしたのか、小振りなコンテナ・ケースを差し出して来た。

 

 オー、有ったぁ!

あとは、コレを持って帰ればいいんだよね?

 

   プシュゥ!  ドアが開き、何者かが入って来た。

 

「な! スバル!」

「あ! うん!」

「そこの! 持っている物を放し、両手を壁に付きなさい!」

 

 銃器型デバイスを構え、こちらに向けている。周囲には、魔力で構成されたスフィアが複数、漂っている。

もう一人は身構え、こちらを警戒している。

 

 どうする?

逃げるには相手が邪魔だし。押し退けるのは、難しそう。

 だったら、確認できてないコレも、出来れば持って帰らないと。

・・・じゃあ、やる事は決まりだね!

 

タン!   タタタッ!

脇から手を出し、後ろに見える魔力球を持たされた銃で応射、撃ち抜く!

 

「な! スバル!」

「ティア!」

 

 咄嗟に身を伏せ、遮蔽物に身を寄せる二人を後目に、相手とは反対の方に走る。

置き土産も忘れずに。スタン・グレネードと煙幕弾を時間差で発動する様にして、放り込んでおいた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 キィィィィアアアァアァァァァ!     ブゥワァアァァ!

爆音と閃光の後、煙幕で覆われる車内。

 

「クッ! スバル! 無事ね!?」

「う、うん! でも! 逃げられた!」

「追うわよ!」

「分かった!」

 

 逃げた先の車両に向かうが、その先を、阻まれた。

数体のガジェットⅠ型が行く手を塞いでいた。

 

「くっ! スバル! さっさと片付けて後を追うわよ!」

「分かった! いっくよぉ!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 背後から、物凄い音が響いて来る!

Ⅰ型では、モノの数分で突破されるかな?

その前に、逃げ切れれば良い。

 

 丁度、Ⅲ型が屋根を取っ払って暴れてるから、そっから逃げれば良いかな?

 

 アレ? 何か、アームの先に絡まってる? あ、敵だ。

あ、投げた。    あ、後を追って飛び降りたのが居る。

 

 じゃあ、反対側に飛び下りればいっか!

 

 Ⅲ型を踏み台に、反対側に飛び下りる。

飛び降りる前に見えたのは、何か、でっかな竜に乗った二人組と、ブッ叩き切られたⅢ型。

 

 一瞬だったし、見られて無いし。

逃げ切れるかな?

爆発を背に、持っている鞄に何かが当たる感触を覚えつつ、逃げた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

合流地点

 

 離れた所から様子を伺うディエチとウェンディ。

 

「おー、弩派手ッスね!」

「ア、飛び降りた。怪我は・・・無さそう」

「じゃあ、もうそろそろ来る頃ッス」

 

数分後

 

 ディエチは目標が段々近付いて来るのを確認しながら、周囲を警戒していたが、見ている対象の様子が変わった事に気が付いた。

 

「ア、レ?」

「どうしたッスか?」

「泣いてる」

「・・・え? ど、どうして!? どっか怪我でもしてるッスカ!?」

「ん・・・怪我じゃ、ない?

ああ、カバンがとれてる。何処かに飛んで行った見たい」

 

それを聞き、

「あ、ああ。あの爆発の中、他は無事でも、持ち手の方が堪え切らなかった見たいッスね」

「あ、引き返して探そうとしてる」

「あー、ソロソロ引き上げないといけないし、迎えに行くッス」

「・・・そうだね」

 

 

 アチコチ探し回るデュオ。

 

 そこへ、

「デュオ、迎えに来たッス」

「・・・もう帰らないと。ちゃんと出来たんだから、ね?」

【ウウウ、デモ!】

「あれは仕方が無いッス。ちゃんとやってたのは、私達が保証するッス」

「だから。今回は、帰ろうね?」

【・・・ウン】

 

 渋々ながら、帰る事には同意した。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

リビング

 

 帰って見ると、ソファで寛ぐセインが居た。

直にこちらに気付き、

 

「あ、おかえりー。どうだった?」

「シーッス!」

「静かに」

 

 そっと壊れモノを運ぶようにゆっくりと動く二人。

その様子に、怪訝な顔をしながら近付くセイン。

 

「んー? どったの?」

 

 ディエチの背中におぶわれ、デュオは寝息を立てている。

 

「ああ、疲れて寝ちゃったんだ」

 

 初仕事で緊張して疲れたのかと解釈したが、

 

「そうッス。泣き疲れて、寝ちゃったッス」

 

 セインはその様子に、何かが有った事を察し。平素を装いながら目だけを険しくして尋ねた。

 

「・・・何が有ったの?」

「それが、作戦自体は成功したッスけど、最後に・・・」

 

 

 その顛末を聞き、

「そっかぁ、でも、無事に帰って来たから、別に良いじゃん!

ドクターも、そんなに気にして無いんでしょ?」

 

 セインはあっけらかんとした様子で、口ではそうは言うものの、如何したものかと考えを巡らせている。

 

「・・・でも、この子は気にする」

「・・・あー、何事も経験だよ! け・い・け・ん!」

 

 セインはそう言いながら、外へと出て行こうとするが、トーレが入れ違いに入って来た。

 

「ん? 何処へ行くんだ? こんな時間に」

「ん? あー、ちょっと、ね。

それより、こんな時間に帰ってくるなんて珍しい。何か有ったの?」

「ああ、ドクターに頼まれて・・・な。

これを取りに行っていたんだ」

 

 そう言って持ち上げたのは、持ち手のとれた煤で汚れた鞄。

 

「え?」「あ?」「・・・それって」

「まぁ、一応の保険と言う事で、な。

中身は無いが、これだけでも判る事はある」

 

 

 さらに少しして、チンクとノーヴェが帰って来た。

両手に余る紙袋と共に、

「ん? どうした? おお、そっちは済んだのか?

こっちの用も丁度終わった所だ」

「ただいま。あれ?

何だ、寝ちゃったのか。しょうがねぇなぁ」

「じゃあ、明日だな」

「そうだなぁ」

「え? ええ? ど、どうなってるの?」

 

今一事態が呑み込めないセイン。

 

「ん? だから、初めてなんだから。ドクターが花を持たせてやれってさ」

とノーヴェが言うと。

 

「ああ、だから、色々買って来たんだ。ほら」

 

 手に持っている荷物を拡げて見せるチンク。

様々な美味しそうな物がテーブル狭しと並ぶ。

 

「ふ、ふぅーん」

 

 セインは自分一人だけ、知らされなかっただけに、一寸不満気だった。

 

「取り敢えずは、寝かせておこう。

初任務、おめでとう。良い夢を」

そう言って、額に祝福をして、荷物を片付けに行くチンク。

 

「あ、じゃあ、私も」

そう言いながら、ノーヴェはちょっと照れ臭そうに頬に。

 

「フム、そういうものか、なら」

頭頂にするトーレ。

 

「じゃあ、私もするッス!」

反対側の頬にするウェンディ。

 

「・・・ウェンディ、一寸替わって」

「良いッスよ!」

 

 デュオはディエチの背から降ろされ、ウェンディに横抱きにされ、瞼の上にディエチの祝福を受けた。

 

「じゃ、じゃあ、ついでに・・・」

セインは反対側の瞼の上に。

 

「で、どうする?」と、ディエチが言い。

「なにが?」とセインが答え。

「寝かせる場所ッス!

取敢えず、ここのソファに寝かせて置くッス!」

 

ウェンディはそう言うと、サッサと寝かせ、クッションを纏めて寝かし付けた。

 

「・・・今は、そっとしておいてあげよう」

「・・・うん」

 

 照明が消え、暫し後・・・

 

「あら? こんな所で・・・お疲れ様」

 

 そう言って、涙で汚れた顔を拭いてやり、鼻先に祝福をして去るウーノ。

 

 

「まったく、何時まで経っても帰って来ないと思ったら、こんな所で寝てるなんて。

風邪を引いたらどうするのよ!」

 

 クアットロは言葉とは裏腹に、優しい手付きで抱き上げ、周囲に誰も居ないのを見計らい。

 

「・・・一寸位、良いわよね」

 

 少しづつ、顔が近付く。

 

【・・・何が良いんだい?】

 

 ギッギッギィィィイイイィ!

 

 クアットロは、声がした方に擬音が聞こえそうな感じに首を向けた。

 

「イ、何時から、見て居たんですか? ドクター」

 

 モニターにはドクターの姿が映っていた。

 

【いや、最初からモニターしていたんだが、まさか君・・・】ブヅッ!

 

 映像が途切れた。

デュオを抱き上げたまま、鬼の形相でモニターの電源を切っていた。

 

「ふ、ふふふ。ここのメモリーを、ショウキョシナイトイケナイカシラ。ついでに、ドクターも!」

 

 そんな事を口にしていると、ペシペシと顔を叩かれ、

【クー姉。ウルシャイノ】

「・・・クッ!」

 

 せめて、自分の部屋に!

ゆっくりと起さない様に、そっと部屋へと移動する・・・

 

 数時間後、たっぷりと寝て。スッキリした様子のデュオと、目の下にクマが出来たクアットロが居たとか・・・

一寸気になって見ていたらしい。

更には睡眠学習として、様々な情報を吹き込んで行く。

後々、その成果が遺憾なく発揮される事に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




えー、ここでのスカリエッティは爺馬鹿です。
孫は目に入れても痛くない様な可愛がりぶり。

クアットロは同性には冷酷ですが、異性で幼ければ・・・?
とまぁ、考えて見てしまった訳で・・・

ではまた後日。


楽しんで頂けましたか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話   上 ホテル・アグスタ

三部作です。

まだまだ力不足だと思いますが、手直しをしています。


ホテル・アグスタ

 

 

 ホテル裏手に、その姿は有った。

髪は一時的にブラウンに染め、長い髪は後ろで束ねた。肌は白く見える様に細工。

キッチリとした服装で、ホテルの宿泊客の子供に見える。

 

 今回は確認任務、ドクターが興味を持った物が、ココに運び込まれるか。

それを確かめる。

有ったら、連絡を入れ、様子を伺う。

奪取は、ルー姉がやってくれる見たい。

 

 万が一、オークションに出てきたら、競り落として良いって。

有る程度までは掛っても良いって。でも、後ろのウー姉、コアカッタ!

駄目なら、誰が落としたか、確認出来れば良いって言ってたし。

 

「あ、君。親御さんは?」

 

 フロント・ロビーで、男性コンシェルジュが声を掛けて来た。

入口の向こうを指さし、後から合流する事を伝え、カードを差し出す。

 

 それを見て、一寸困った様子では有ったが、丁寧に対応してくれる。

 

「えっと、困ったな。一寸、見せて貰うよ?」

 

 そう言い、カードを読み込む。

 

「はい、ありがとうね。

えっと・・・え? こ、これは・・・失礼しました。

少々、お待ち願えますでしょうか?」

 

 コク

 

 そう言うと、足早に走っているとは決して見えない様に、大急ぎで奥へと消えて行った。

そのまま辺りを見回してみる。

 きらびやかな衣装に身を包んだ、様々な大人達。

そんな中、ただ一人場違いであるかのように佇む子供。

 それが奇異にその人々の目には映るのか、不躾な目線や、胡乱なモノを見るかのように見られていた。

 

 数分後

 

 初老の老人、とは言え、背筋もピンとし、服装の乱れも、髪の乱れもない。

紳士然とした、貫禄の有る人物を伴い、コンシェルジュが戻って来た。

 

「大変、お待たせしました。

当ホテルの支配人を務めます。ギルバート・G・ガーランド(通称・G3=ジィサン)と申します。

以後、お見知りおきを」

 

 コク

 

「では、お部屋へと、ご案内させていただきます」

 

「お荷物を、お持ちします」

 

 年若な方がそう言って来たが、

 

フルフル

 

「あ、申し訳有りません。

ですが、お手を煩わせる訳にもいかないので、ご容赦を」

 

 ・・・コク

 

 納得はいかないが、そうするのが当たり前なら、仕方が無い。

 

 

 部屋へ案内された。

 

 絢爛とまではいかないが、十分に手間と費用が掛っていそうな部屋に通された。

 

「こちらが、お部屋でございます。

何か、御用がお有りでしたなら。そちらでお呼びいただければ、直に伺わせていただきます。

なお、本日、オークションを開催しておりますので、ご見学されるのでしたら、お声掛け願います。

直に手配いたします」

 

 そう言い、直に下がって行った。

 

 仮の身分として、与えられたのは。

 

 偏屈で、孫を可愛がる爺馬鹿の、たった一人の可愛い孫、という設定。

久しぶりに母親と出会う予定で、ここで合流する為。

孫の為なら、願いなら。金に糸目はつけない、らしい。

目に入れても痛くはない、みたい?

迎えには、誰が来るかは判らない。都合がつき次第だと言う事だった。

 

 今回は、オークションと言う場の雰囲気を学ばせる為、ビッター(競売の代理人)として参加と言う事に、一応なっている。

 

 

 一通り、部屋を検分すると、特に怪しい物は無さそう。

秘密通路とか、覗き穴とか。

盗聴器とか、監視カメラとか、[フリフリのフリルの]女中(メイド)さんとか、[羊頭の]執事(メリー)さんとか。

無かったし、居なかった、残念。

 

 

 取敢えず、地下駐車場を確認してっと。

例の物が来てるか、確認しないと。

偵察任務だし。

 

 

              ・・・            ・・・

 

 

ホテル・裏手付近

 

 こんな所、初めて。   あ、敵だ。

                        ・・・あ、こっち来た。

 

 自分の背丈と、同じ位のキャリー・カートを運んでいる子供を見て、気になったらしい。

目線を合わせる様に、屈み込んで来た。

カートの陰に隠れよう。

 それでも、そんな所に子供が居る事自体が不自然なのか、

 

「あっれぇ? どうしたのかな? 迷子?」

 

 フルフル!

 

「んー、恥ずかしいのかな?」

 

 そうしていると、もう一人が離れた所から声を掛けて来た。

 

「何か有ったの? スバル?」

「ア、ううん。何でも無い、この子が一人でいたから。迷子かと思ったんだけど、違うみたい」

「そう、気を抜かない様にね。

・・・その子も、こんな所に居ると何が有るか分からないわね」

「うん! じゃあ、ココは危ないから、お姉ちゃんと一緒に、皆が居る所にいこっか!

ティアー!

私、この子連れて、ロビーに行って来るね!」

 

 ティアナは周囲を警戒しつつ、応える。

 

「ああ、うん。早く戻って来るのよ!」

「わかったぁ!

じゃ、行こっか! あ、これは、お姉ちゃんが持ってあげるね!」

 

 フルフル!

 

「ん? 大丈夫! こう見えても、お姉ちゃん力持ちだから! それ!」

 

 そう言うと、易々と持ち上げて見せた。

 

「ん? 結構、重いね。 君、お父さんか、お母さんは?」

 

 そう言われ、正面入口の方を指さした。(管理局本局の方角と一致)

手を繋ぎ、ゆっくりと歩く速度を合わせて歩き出した。

 

「ああ、(親の)お仕事で来てるのかな?」

 

 コクコク!(自身の仕事)

 

 嘘は付いてない。

 

「それで、退屈したから、冒険に出たと」

 

 フルフル!

 

「え? 違うの?」

 

 コク!

 

「んー? 冒険が、お仕事?」

 

 コクコク!

 

「アハッ! そうなんだ!

でも、今日は一寸、お休みして貰っても良いかな?

一寸今日は、君みたいに小さな子がお外で遊ぶには向いてない日だから。

もう少し、大きくなったらね!」

 

 ・・・コク

 

「ん! じゃあ、約束ね!」

 

 コク!

 

 そうこうしている内に、正面ロビーに着いた。

 

「じゃあ、今日は中で遊んでいてね。退屈かもしれないけど、我慢してね!」

 

・・・コク

 

「それじゃ、またね!」

 

 そう言うと、元の所へと戻って行った。

それを見送りながら、手を振って見送った。

 

 また裏手に行ったら、見付かる。

だったら、アレを使おうかな?

 

試作デバイス   遠隔操作(リモート)型   = コットス

 

 自動で地下駐車場まで移動するよう設定し、そのまま走らせた。

 

 これで良し!

 

 

   ・・・    ・・・

 

 

ホテル・オークション会場

 

 

 偵察の為、オークション会場の下見。

 

 あ、一杯。人が!

 

あ、敵!

     あ、まおーだ!

              あ、豆狸だ!

                      あ、金色の鬼だ!

あ、覗き魔。

       あ、いんじゅーだ!!!

 

 インジューって、何だろ?  ま、いっか!

 

「あら? 如何したのかな?」

 

 金色の鬼が、こっちに!

傍に来てしゃがみ込んで来た!

 

「君、迷子・・・かな?」

 

 ・・・フルフル!

 

「お父さんか、お母さんは?」

 

 そう言われ、上を指さした。

保護者というか、護衛というか、身を守るモノは、部屋に置いて来た。

 

「ん? ああ、そっか、上の階に居るんだね?」

 

 コクコク!

気付いてはいない、よし!  大丈夫!

 

「フェイトちゃん? どないしたん?」

 

 あ、豆狸も来た!

 

 はやては少し離れた所で挨拶を終え、フェイトが居る所へ戻って来た。

 

「あ、ハヤテ。一寸、ちっちゃい子が居て。一人だったから、迷子かと思っちゃって」

「ふぅん、なら、ええんやけど。

それにしても、この間の新型。エライ凄かったらしいね」

 

 アレは自分がやった!   ドヤ!   ・・・見て無い。

 

「ああ、あれは、流石に対処は難しかったと思う」

「それで、アレ、何てするん?」

「うん、確認出来た映像から。一応、複数の目と言うか、カメラが確認できたんだ」

「ああ、後ろを向いたまま発砲して、魔力球を撃ち抜いたって奴?」

「うん、角みたいに見える所と、後頭部、耳の辺りにも。確認できただけでも、九個」

「正面にも有る言う話やったな。

それだと、もっと有ったとしても、おかしくはないんやな?」

「うん、だから、アレは百目鬼(ドウメキ)って仮称する事になったの。

多分、全方位を見渡せるようにしてあると思うから」

「アレが相手だと、流石に新人メンバーにはキツイかぁ。

・・・だとすると、ぶつけるとしたら、シグナムか、ヴィータ、ザフィーラかな?

イザとなったら、フェイトちゃんか、なのはちゃんに出張ってもらわな、アカンかな?」

 

 止(ヤ)めて、止(よ)して、オッカナイカラ!    アレを相手取る自信は、まだ無い!

 

「あ、いたいた! フェイトちゃん! はやてちゃん!」

 

 あ、まおー!

もう駄目かも!

 

 クイックイッ!

そっと両方のスカートの裾を引っ張って注意を引いた。

 

「ん? 如何したのかな?」

「ん? 何や、もう行ってしまうんか?

もっとゆっくりしてってもええんやで?

こないな美人に一遍に囲まれる機会なんて、滅多にあらへんで?」

 

 ハヤテはそう言いながら、屈みこんで来た。

お偉方や、大人ばかり相手にして来たので、一寸だけ休憩のつもりなのかもしれない。

大人を遠ざける意味も込めた防壁代わり?

 そうして何やら思い付いたのか、

 

「おお! そうや! 記念撮影してかんか?

ええ記念になると思うんやけどー、どうや? 自慢できると思わん?」

 

 フルフル!   カチャカチャカチャ   ピッ!

 

 手持ちの端末を操作し、言葉を紡ぎ出し、それを指し示した。

それを覘き込み、ハヤテは震えしだした!

 

「・・・な、何やて!? ソレ、嘘やないんか!?」

 

 ハヤテは子供の肩を、逃がすまい、逃がしてはなるまいと、ガッシリと掴む!

 

「?・・・如何したの、はやてちゃん?」

「あ、なのはちゃん!! 聞いてや!!

この子! こない美人な私達と同じ位、美人な親戚が!

十一人もおるんやって! 信じられへんやんか!?」

 

 周りの人も何事かと注目する中、ハヤテ絶叫す!!

 

「ハ、ハヤテ? そんな、大袈裟すぎるよ」

「そ、そうだよ。そんな興奮しなくても・・・」

「う、羨ましい! そんな、そないなハーレムじみた所に居るなんて!

はっ! という事は!?」

「ど、どうしたのかな?」

「どうしたの? ハヤテ」

 

 身悶えている、ハヤテ。

 

「この子のお母さんも含め! 12人姉妹!? それも、美人揃い!?

こ、これは是非確かめないと! 色々と! 主にチチを! (父? それとも別のチチ?)

是が非でも! お近付きになって、紹介して貰わんと!」

「は、はやてちゃん?」

「ハヤテ、一寸落ち着こうか」

 

 そう言いながら、そっと後ろに回り、絞め落とすフェイト。

そのまま、グッタリとしたままのハヤテと共に、皆で記念撮影。

 

「さて、これで証拠写真は撮れたし、もう大丈夫。はい、これ」

 

 写真は撮ったから、後で文句を言われても大丈夫!?   ・・・誤魔化せる?

目は虚ろで、何処を見て居るか分からないが・・・一応、立っているし、何とか?

記憶が飛んでいれば、なお良し! の様だ。

 

 ついでに端末に転送して貰った。

 

「さ、もう行った方が良いね」(また捕まると煩いから。捕まると、色々な意味で危険そうだから)

「一人で大丈夫かな? 一緒について行ってあげようか?」

 

 フルフル!

 

「そっか、気を付けてね?」

「見つかると大変だから、・・・主にコッチが」

 

 コク!  ブンブン!   トテテテッ!

 

 足早に去る事にした。

 

 怖かった!

まおーよりも、あの迫力が!

 

 一旦、会場から出て。静かな廊下へ向った。

 

 あ、確認しなきゃ。

あれ? あ、ルー姉からメール。

 

 

Mail

 

 対象は分割された模様。

片方は奪取する。

もう片方を競り落として。

 

 宝飾品として出品する為、外されたみたい。

後は、危険性を誤魔化す為に、そうした可能性も否定できない。

後付けで、付加価値を付け、値上げを行うという思惑らしい。

 

 

 向こうの方が早かったみたい。

 

 

以下、交信中・Text only

 

 

りょーかい!

あ、何か手伝う?

 

 

大丈夫、そっちは?

 

 

こっちは問題・・・ない!

 

 

何? その間は。

 

 

えっと、まおーよりコアソウなのが居た。

 

 

・・・どんな?

 

 

んっと、鼻息荒かった!

 

 

逃げろ、その場から。 《ゼットン》 (趣向が怪しい意味で)

・・・逃げなさい。 《ルーテシア》 (怪しすぎる為)

待ってろ、直に行くから! 《アギト》 (自分の様な眼に合うかと危惧)

 

 

でも、それじゃ、競り落とせない!

 

 

・・・分かった。今からそっちに行く! 《ゼットン》

・・・もう暫くの間、持ちこたえて! 《ルー姉》

今すぐ行くから、隠れてろ! 《アギト》

 

 

ガロー(ガリュー)とゼットン(ゼスト・グランガイツ)とアキト(アギト)は?

 

 

一緒に来て貰うから、大丈夫。

 

 

りょーかい! 待ってる!

 

 

直ぐ行くから、目立たない様に。

 

 

りょーかい! でも、もう色々有った!

 

 

何が?

 

 

えっと、裏手で、敵のホロトタイフ?(プロトタイプ)・セコンド?(セカンド)に、荷物運んで貰た。

あと、たいちょー達と記念撮影した!

 

 

・・・判った、後で再教育。 《ルー姉》

・・・そこから動くな! 《ゼットン》

まだ無事なのか!? 《アギト》

 

 

何で!?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

続く!




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話   中  ミッション・スタート!

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


ミッション・スタート!

 

 

 ルー姉とゼットンが来る前に、オークションが始まった!

取敢えず、そのまま席を用意して貰い、その席に着いた。

 そのままの椅子だと、流石に高さが合わないので、その辺はリストランテから子供用の椅子が運ばれてきた。

その場にそぐわないが、特別だって!

 

 あ、インジューの挨拶だ。

ふうぅん、ユーノって言うんだ。

 

 何だか場馴れしてるみたいだけど、チラチラ何かを気にしてる。

 

 その視線の先を辿ってみた。

 

 あ、まおーだ。

まおー、何で驚いてるんだろ?

あ、金色の鬼もだ。

 

 

    ・・・   ・・・

 

 

 オークションが始まり、次々に落札されたり、見送られて行く。

 

 あ、出て来た!

やっと目的の物が出て来た!

オー、たっけー! ゼロがイッパイ!

 

 取敢えず落としてぇ、難癖付けてきたら掻っ攫うと。

その場合は、手数料が掛るけど、仕方が無いよね?

こっちが受け取る前なら、微々たるモノになるし!

 

 でも、何々だろ、アレ?

レリックでもないし、ロストロギアでは有るみたいだけど・・・

変なの?

 

 あ、予想価格より下がってる?

今一なのかな?

 

 でも、下がってるなら、ウー姉も喜ぶ?

最近、ろーひ(浪費)が多いって、言ってるし。《主な原因1号》

 

 

 そうこうしている内に、置いて来たデバイスから、正面入り口からの映像が転送されて来た。

 

 

 あ、ルー姉!

あ、ゼットン揉めてる、入り口で。

 

 ルー姉は素通りなのに。

ドレス・コード?  汚い?   ボロイ?    怪しい!?

 

 追い出されてる?             あ、伸した!        大騒ぎになってる!?

オー、追っかけられてる。

 

 

 あ、落とさなきゃ!

・・・間に合った!

 

 

 カチャカチャカチャ  ピッ!

以下、交信中。

 

 

Text only   ウー姉へ

 

 

落とせた! 予算内!

 

 

上出来!

 

 

ルー姉とゼットン、追い出されちゃった。

 

 

・・・了解。確保でき次第、離脱と伝えて置く。

続行せよ。

 

 

りょーかい!

 

 

交信終了

 

 

 さて、後は受け取ってから、撤収する用意に移らないと。

・・・お?  地響き?

 

 急に、外に居る筈の職員が慌しく動き始めた。

 

 何だろ? 慌しい?

 

 壇上に、メモを受け取った司会者が、

「少々、外でトラブルが起きた様で、一時、オークションを中断させていただきます。

お客様は、席をお立ちにならない様、お願いします!

なお、警備に関しては、管理局から、選りすぐりの武装局員が警備に当たって頂いております!

ご安心ください!

なお、この会場にも、管理局のエースの方が、ご来場いただいております!」

 

 そう言うと、スポットライトが幾つかの場所を照らし出した。

それを後目に、撤収。

席を立ち、外へと繋がる扉へ。

 

 子供であるからか、体が小さく、見付かり辛かったからか、アッサリと通れた。

取り敢えずは、部屋に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

自分の部屋

 

 部屋の窓から外の様子を伺って見た。

 

 おー、良く見える。

ガジェット、不利かな?

あ、ルー姉のインセキ《インゼクト・ツーク》!

動きが良くなって来た! ・・・でも、アレだ、まかせっきりは良くないし・・・

 

 でも、コットスは駐車場に置いて来たし・・・動かそっかな?

回収は、ルー姉に任せて良いかな?

 

 良いよね?  退屈だし!

だったら、ブリアレオス・限定起動・SET UP!

 

 キャリー・カートが開き、ヘッド・マウント・ディスプレイとグローブが現れる。

それを装着し、コットス・起動。

 

 目に見える風景が替わる。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 薄暗い、無機質な空間、地下駐車。

誰も居ない筈のそこで、コンテナをゴソゴソと漁る人影。

 

【ア、ガロー!】

 

 その声に気付いたのか、こちらを振り返るガリュー。

 

【オ仕事?】

 

 ガリューは、ゆっくりとした肯きを返して来た。

 

【手伝ウ?】

 

 ゆっくりと、顔が横に振られた。

 

【ジャア、表ヲ手伝ウネ! ジャ、マタネ!】

 

 そう言うと、地上へと繋がる通路を走って行くが、途中気になるモノを見付け、それを拾い上げながら、坂を駆け上って行く。

視界が拓け、戦場が見える。

 最初に目に入ったのは、近くの少女が何がしかの魔法を行使しようとしていた。

 

 その傍に、跳び出して来たような格好になった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「!! きゃあ!」

クキューウ!

 

 咄嗟の事ながら、その場から離れ、距離をとるキャロとフリード。

 

「キャロ!」

 

 思いもしなかった所からの乱入に狼狽するが、直にその間に割って入るエリオ。

 

「ック! キャロは下がって! エリオはキャロを援護!」

「「はい!」」

 

 その驚きの声を聞き、驚きを隠せないが、どうするべきかを判断し、指示を飛ばすティアナ。

即応する二人!

 

「コイツは、私とスバルが相手をするから!

スバル! 行くわよ!」

「うん! 今度はそうは逃げられ・・・?

ねぇ、ティア? 何か、この間とは一寸違うみたい、だけど?」

 

 スバルは直に引き返し、その敵の様子を真近で確かめ、その事を伝えた。

 

 そこには、モスグリーンの単眼の長身痩躯が居た。

角と思しきモノが無くなり、全体的にすっきりした感じになっている。

 

【うん、多分。同系統の機体の筈。出来れば、壊さないで捕えて。

無理なら、壊したって構わないから!

行くわよ、スバル!】

【うん!】

 

 そのまま交戦状態に移るが、その動きに翻弄される二人。

 

 コイツ、素早い! 有り得ない速さで動いてる!

スバルでも、追い付いて行けてない!

 

 そんな事を考えながら、援護をしていると、スバルが突っ込む!

 

「クッソォオ! こ、れ、で、如何だっ!」

 

 ひょい! ひょい!  ッズア!

交わされた! 受け流されている!

 

【スバル! 後、もう少しだけ、下がって! それから、惹き付けて。合図したら、離れて!】

【ワ、判った!】

 

 その間も、応酬は続く。

カートリッジを連続して装填し、自分が制御できる、ギリギリの量を数を、制御しきる。

 

 今の私に、できる? イヤ! やらないと、駄目なんだ!

ランスターの弾丸は、外さない!

相手が避けても、その軌道上に、弾丸を配置するんだ!

そうすれば確実に、仕留められる!

 

 

【スバル、後10秒したら、離れて】

【・・・判った、ティア。信じてる!】

 

 

 ・・・5・4・3・2・1!

 

 

【スバル!】「クロスファイアシュート!」

「え!? な、何で!?」

 

 想定していなかった。

避ける所までは、想定していた。

だが、そこから、想定外な事が起きた。

 

 スバルが離脱しようとした瞬間。

その、ホンの少しの時間で、アッサリと立ち位置を入れ替えられるなんて!

さらに、スバルの足を掴み、逆さまにし、盾にするなんて!

 

 

「スバル!」

「ック! この! 放せ!」

 

 ガンガン! と相手を蹴り付けるが、ビクともしない!

 

 間に合わない!

逃げてスバル!

 

「逃げて!!」

「ぁぁぁぁぁああ! だりゃあぁ!」

 

 上空から、赤い塊が降って来て、スバルに当たる筈だったそれを、弾き飛ばした!

 

「ラケーテン・ハンマー!」

 

 そのまま、スバルを掴んでいる相手にジェット加速したそれを叩きつける!

 

 ゴギャ!

頭部を半分抉られながらも、その手に掴んだ相手を、叩きつける様に投げた!

 

「なっ!」「スバル!」

 

 咄嗟にヴィータが受け止め、相手を確認すると、既に逃走に入っていた!

直に森の奥深くにまで達し、見えなくなっていた。

 

 即座にスバルの許へ向かい、怪我の有無を確認するティアナ。

 

「ス、スバル! 無事!? 怪我は、無い?」

「う、うん。何とか」

「そ、そう。良かった!」

 

 安堵のため息を吐くと、怒気を帯びた罵声が周囲に響いた!

 

「良かった、じゃねぇ! 何だ! あの戦闘は!」

「あ、ヴィータ副隊長! アレは、自分が・・・」

 

 そう抗弁し様とするスバルを制し、

「スバル、お前は黙ってろ。

今、あたしはティアナに言ってるんだ。

味方を殺すかもしれない様な弾を撃った、コイツに言ってるんだ!」

「で、でも、私がちゃんと避けてさえ、いれば・・・」

「避けれなかった処(どころ)か、盾にされただろうが!

今は、それを指示したコイツに言ってるんだ! だから、下がってろ!」

「あ、はい・・・」

 

 その剣幕に圧(お)され、納得が行かないまま、頷いていた。

 

「スバル、良いから。私が、いけなかったんだ。そんな簡単な事も想定して無かった、私が」

「それに、お前も動けないだろ?」

「え? あ、あ、れ? ど、どう、して?」

「え? 何処か、怪我をしてるの!? キャロ! お願い!」

「あ! はい!」

 

 駆け寄ろうとするキャロを制し、

「ああ、違う。怖くなって、動けなくなってるだけだ。

もう暫く、じっとしていればまた動ける。それまではジッとしていろ、いいな。

・・・何せ、死に掛けたんだからな」

 

 そう言われ、なおさら、怖くなった。

 

 殺されかけた ・・・殺しかけた・・・

死にかけた ・・・死なせかけた・・・

 

 その恐怖が・・・徐々に、二人に押し寄せて来た。

 

「ティ、ティア。私、生きてるよね。まだ、生きてるよね?」

「スバル。うん、生きてる。まだ、生きてるよ」

 

 互いの身の安全を確かめ合い。抱き合い、震えている。

その様子を確かめたヴィータは、

 

「エリオ! キャロ! お前たちはこのまま、ここで警戒してろ!

スバルとティアナも、動ける様になり次第、二人をサポートするように!

いいな! ・・・返事!」

「「「「ハ、ハイ!」」」」

 

 それを聞くと、残りを掃討する為、上空へと飛びながら。

 

「あと、ティアナとスバルは、後で今回の事を報告書に書くように!」

「「ハイ!」」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

もう一話!




一応、アグスタ編自体はここまで、後は本当に思い浮かぶがままに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話   下  蛇足

余計なおまけの様な話です。
何となく、こうなったのではないかと、思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・



蛇足

 

 

 森の奥深くで、頭部を半壊させつつも、特に支障がない様子で動き回っているコットス。

 

【ア、居タァ!】

 

 ゼットンとルー姉が、こちらを見付け、手を振っているそこへ向かった。

 

「・・・ゴメンね。行ってあげられなくて」

【ダイジョーブ!】

 

 そこへ、ゼストが口を挟んで来た。

 

「・・・ソレで、無事なんだな?」

【・・・何ガ?】

「その、何だ、鼻息がどうとかいう相手は・・・」

【・・・絞メラレテタ!】

「は? それは?」

【グッタリ!】

 

 それを聞き、何となくだが理解が出来たらしいルーテシア。

 

「・・・多分、周りの人が、止めてくれたんだと思う」

「そ、そうか。なら、良いんだが・・・」

 

 釈然としないながらも、それならそれで良いかとゼストは考えた。

 

【ア、ソウソウ! コレ! 持ッテテ!】

「「???」」

【ジャジャァアン!】

 

 そう言って取り出したのは、競り落とした筈のロストロギア。

 

「・・・持って来たのか?」

【ウン! ウー姉ガ、最近ローヒガ多イッテ、言ッテタシ!】

「・・・そうか」

【後、別ノ所ニ置イテアッタ! ダカラ、取ッテ来タ!】

「・・・ならば、競りに掛けられていたのは、複製品(レプリカ)か?」

【ウゥン、本物ダッタ! 他ニモ、出テタノ山積ミダッタ!】

 

 その事を聞き、有る程度合点が行ったのか。

 

「だとすれば、掏り替えられた?」

「ステータスとしては、所持しているだけで良い訳だから。

偽物であっても、問題は無い?」

「・・・じゃあさぁ、何でそんな事を?」

「・・・資金調達の為に、金持ちを騙して、金を巻き上げ様としている可能性も、あるな」

 

 話に付いて行けなくなって、言われている事が判らなくなった。

だから、アギトに聞いて見る事に。

 

【??? ネェネェ、ドシタノ?】

「ああ? そりゃ、オークションにかこつけて、偽物を売りつけようって事だろ?」

【・・・オオッ! デモ良イノ?】

「そりゃ、ダメだろ?」

【ジャア、帰ル時ノハ、偽物? 偽物ニ、オ金、出スノ?】

「あー、ダメだろ。そりゃ」

 

 そう言われ、考え込む。頭部が破損した状態のまま。

 

 考えても、答えは出ない。

だとすれば、出せるであろう相手を頼る!

 

【ゼットォーン! 如何スレバ良イノ?】

「な、に? 今、何と?」

【? ゼットン?】

「何だ、その呼び方は!」

【ゼットンハ、ゼットンデショ?】

「私の名前はゼストだ。ゼスト・グランガイツだ!」

【ウン。ダカラ、ゼットン】

「ゼ・ス・ト!」

【ゼットン】

「ゼ・ス・ト」

【ゼットン】

 

 このやり取りがしばらく続き、終わりそうもなくなった。

 

「なぁ、ルールー。いい加減止めないと。ダンナも大人げないよなぁ」

「・・・うん」

 

 それを聞き咎め、折れた。

 

「・・・分かった。それで良い」

【ウン! ソレデ、ゼットン。如何スレバイイノ?】

「・・・そうだな。受け取ったら、直に鑑定して貰えれば、一番良いんだが。

・・・そう都合良くは、行かないだろう」

【分カッタ! ジャア、コレ、預カッテテ!】

 

 そう言うと、あっという間に長身痩躯の機体は、傷だらけのキャリー・バッグと化していた。

 

「・・・つまり、これを持って帰っておいて欲しかったと」

「多分」

「まぁ、引き上げて回収する訳にゃ、いかねぇよな」

 

そこへ、別の声が響く。

 

「なら、私が受け取っておくわ」

「・・・お前は?」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ヘッド・マウント・ディスプレイを外し、一息つくと。

一目散にオークション会場へと、引き返した。

 

 会場では、外が落ち着いた事と、オークションが再開された事により、再び活気に溢れだした!

次々に高値の物が競り落とされ、天井知らずの様に思われる程の盛況ぶりを見せている。

それも、もう直終わる。

 

 ほぼ全ての品が競り落とされ、残っているのは、最後の一つとなった様だ。

これが終われば、競り落とされた物は、それぞれの手元に渡る事になっている。

 

「さて、これは今回のオークションに置いて、最後の品となりました!

こちらになります! どうぞ!」

 

その合図と共に現れた物、それは、

「エー、説明させていただきます!

こちらは、と有る管理外世界から持ち込まれた物で、有る貴重な映像が収められたロストロギアだと言う事です!

内容に関しては、落札された方のみ、視聴できると言う事で、定かでは有りません。

エェト、題名に関しては、魔砲少女? リリカル・・・、すみません一寸失礼します」

 

 司会者が舞台袖に下がり、何やら話し合っている。

さらには、ユーノも呼び出され、協議を重ねている。

さらに長引く。

 

「えぇ、大変お待たせして申し訳ありません。今回、出品された方からの申し出で、この品は取り下げさせて貰うと言う事に、あいなりました!

大変失礼をいたしました!」

 

 ザワザワと会場中がざわめく中、傍にジィサンが来た。

 

「失礼いたします。お連れの方が、お見えになりましたので。ロビーまで、お越しください」

 

 コク!

そのまま一緒に付いて行き、会場を後にした。

 

 

 ロビーでは、金髪のサングラスを付けたグラマラスな女性が、似つかわしくない傷だらけのキャリー・カートを片手に立っていた。

その女性はこちらを見るなり、ツカツカと近付き、そっと抱き締められた。

 そのまま、耳元で囁(ささや)く。

 

「元気そうね。連絡では聞いていたけど、元気にしてた?」

 

 そう、優しく言われ。声が無いまま、泣き叫び始めた。

力の限り、抱きしめ返しながら、止めど無く、溢れる涙を堪え様ともせず。泣き続けた。

 

 その様子を、傍で見ていた者は、涙を誘うそれに、そっと背を向け、ハンカチを目に当てていた。

 

 そんな周囲の様子には目もくれず。

その背を、そっとさすりながら、優しく抱きあげられた。

そのまま泣くに任せ、そっと、抱き続けた。

 

数分ほど、経過しただろうか、厳(おごそ)かな声が、聞こえた。

 

「・・・失礼いたします、お部屋にご案内いたします」

 

 そう言って、手を振り。別の人間を呼び、両手が塞がっている相手の替わりに荷物を運ぶよう、指示を出した。

 

「では、よろしいですか?」

 

 そっと肯くのを見て取り、静かに歩きだした。

 

 

 その後、オークション会場では、匿名の情報が寄せられ、一部を除き、正当な持ち主の元へと、品が送られた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 朝起きると、その姿は無かった。

 

 それから直に、ジィサンが現れ。もう既に発った後だと言う事だった。

 引き留めてはくれた様だが、

「これ以上は、別れが辛くなってしまうから」と言われ、伝言だけ残し、去って行ったとの事だった。

 

伝言は、

「次に会う時は、ずっと一緒だから。もう、離さない」それだけだった。




私としては、こうなっていたのではないかと・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話   夜間哨戒任務! 《非道なる機動六課!》=主観

ティアナが反抗し、誤解を解く間もなく、緊急出動した頃、こうなったのではないかと・・・

勝手に捏造しております。


夜間哨戒任務! 《非道なる機動六課!》=主観

 

 

 ホテル・アグスタの一件から、数日が経ち。

次の任務に向け、訓練に励む事に・・・《特に任務のあては無い、暇を持て余しているだけ》

 

 

アジトから程近い山間部にて・・・

 

 荒れ地ではあるが、茂みが多く、かくれんぼに丁度良い隠れ場所が多い。

何時もの訓練場所?

 

 取り敢えずは、単独での行動が何処まで出来るか。

夜間人目に付かない森の中で、どれだけ動き回れるかの訓練。と言う名の夜のお散歩。

 

 ドクターから、今夜であれば、流星雨が見られるかもしれない、と聞いたカラでは、決してナイ。

ナイったらナイ!

 

 お伴は、ガジェットⅠ型一機。主に迷子にならない為に、なった時の道案内役。

 

 星がキレイ! でも、寒い!

時間が出来たら、クー姉も来るって言ってたけど、忙しそう。

他の姉達も、それぞれお仕事。邪魔したら何だし、黙って出て来た!

 

 

 お? 何だろ? 騒がしい?

あ、何か、赤いのが飛んで来た?

アレがリューセー? 赤いから、赤いリューセー?  ・・・ア、こっち来た!

 

 頭上を通り過ぎ・・・

 

        ・・・ゴガシャ!

 

何かを破砕する音が真後ろで聞こえた。

 

 え? 後ろに落ちた?

 

 振り返ってみると、後を付いてきている筈のガジェットに大穴が空き、煙を上げている。

 

 何? 何が起きたの?

兎に角、逃げなきゃ。ココに居たら、危ない!?

 

 そう思い、望遠鏡替わりに持ち出した、アーマード・デバイス = ブリアレオス = キャリー・モードを引き摺りつつ、その辺の茂みに隠れる。

 

 

 そして、少しすると遠くの方から声が聞こえて来た。

 

「ここね!? 通報が有った所は!?」

「うん! そう見たい! ガジェットに追われてる子供が居るって、連絡が有ったのは確かにここだよ!

!  ヴィータちゃん! 何か、有った?」

「ああ、確かに。ガジェットが子供の後を追い駆けてたから、取り敢えずは潰しておいたんだが・・・子供の方が、見えねぇ」

 

《それは私のお伴! 兼 道案内役! 兼 連絡手段!》

 

 

 そんなやり取りが聞こえた。

 

「オォーイ! 何処だぁ! もう大丈夫だから! 出てこぉーい!」

 

《イヤ! 出られない! 敵だもの!》

 

「急いで見付けてあげなきゃ、きっと怖くて隠れているんだと思うの」

「そうね、不安で一杯なのかも。一刻も早く、安心させてあげないと!」

「そうだな、じゃあ、手分けして探そう。取敢えず、十分したら、またココに集まろう」

「ええ」「分かったわ」

「じゃぁ、まだ居るかもしれねェし、気を付けろよ!」

 

 それぞれに散らばって行く。

 

 

 どーしよ!  帰れない!  出れない!    さむぅい!

 あ、そうだ!

ブリアレオス・SET UP!

 これで温(あった)か! 大丈夫!

 

 一寸だけ不安な気持ちが治まったから、一寸周囲を見回してみると・・・

え? 後ろに、ピンク色の光?

 

 急ぎ、飛び跳ねつつ、その場から離れた。

今居た処を、ピンクの光芒が抉り取って行った!?

 

 また直に、別の茂みへと逃れ、注意深く周囲を探ってみる。

 

 

集音・傍聴モード=ON

 

 

 カメラの死角になってて見えないが、相手の声が聞こえて来た。

顔を出したら、ズドン! と遣られそう!

 

「なのは!? 如何した!?」

「あ、うん。この間の新型が居たから、仕留めようとしたんだけど・・・

避けられちゃったみたい」

 

《問答無用で、消し飛ばされるかと思った!》

 

「なのは! 何事!?」

「フェイトちゃんも、気を付けて! この間の百目鬼(ドウメキ)が居たの!」

「・・・判ったわ。あの色だと、この暗闇では保護色になって見つけ辛いわね」

「おう、この間の隻目鬼(サイクロプス)も、居るかも知れねえし。気を付けねぇとな」

「じゃあ、警戒しながら、五分間隔で連絡を!」

「おう!」「うん!」

 

 

 ・・・ヨシ! 行った!  ・・・これで、大丈夫かな?

天体観測だったから、非武装だし・・・

まさか、アンナノ《機動六課》が出るなんて、思いもしなかった!

 

 えっと、こんな時は、相手の注意を惹きつけて、その反対の方に逃げれば良いんだよね?

ダカラ、それらしいモノを投げて、注意を引くと・・・この石が良いかな?

 

 手頃だと思われる、子供大の岩。

体格《アーマー》と比べ、大きな石位に見えるそれを持ち上げ、投げる!

 

 

 風を切り、遠くに飛んで行った!

 

「うお! アイゼン!」  ッゴ! ガッツ! バカン!   「イダッ!」

 

 え?  何でそこに居るの?   に、逃げなきゃ!

 

「ど、如何したの!? ヴィータちゃん!」

「アイツ、岩投げてきやがった! 絶対(ぜってぇ)、打っ潰す!」

「怪我は!?」

「ああ、当たる前に砕いたから。タン瘤が出来た位」

 

 

 

 背後に見えるのは・・・鬼だ!

 

「・・・見つけた! なのは、こっちは敵を見付けたから。そっちは子供の方をお願い!

 私はコイツをここから引き離しながら、引き付ける! だから、早く見つけて上げて!】

【判った!】

【了解! だけど、そいつは後で引き渡してくれよな。一発ブチ込まないと、気が治まらねぇ!」

「ヴィータちゃん、声に出てるよ?」

「あぁ? んなもん、かんけーねぇ!」

 

 

 恐ろしや! あんな物で殴られたら・・・どうなるか!

でも、Ⅰ型の敵(かたき)は取った!

 

 

「ック! 早いわね!

なら、これでどう!?」

 

 流れ弾による周囲の被害を気にしてか、射出系・大規模魔法を使って来ない。

それでも、押される。

 逃げの一手しか、ナイ!

 

 保護色で有る事も有り、視認し辛い。

チョコマカと、何とか逃げ切れては居る。

 

 取敢えず、このままだと、ヤラれる!?

この格好だから、狙われるのかなぁ?

だったら、除装して、そおっと、逃げよう!

 

 

 

 ア、見付かった!

 

「居た! こっちで見付けたわ!

あ! 待って! そっちは危ないから!」

 

 嫌! 敵だから! 逃げてるの!

 

 

 

 やっぱ寒い! ブリアレオス・SET UP!  ヌクヌク!

 

「・・・見付けたぜ。この野郎(ヤロー)!

手前(テメェ)はアイゼンの頑固な汚れにする!」

 

 ビシッ! とハンマーを突き付けられた!

 

 な、何で!?

逃げる! ただひたすらに逃げた! 逃げ切れた!

 

 やっぱ、命あってのモノ種だね。外しておこう。

 

 

 

「あ、いた! ほら、危なくないから、おいで?」

 

 ・・・嫌。あのピンクの光芒は、コアイ!

 

「え? な、何で!? 何でそんな怯えた目で?」

「なのは! 見付かった?」

「あ、フェイトちゃん! 居たよ!

でも、何だか怯えてて、こっちに来てくれないの」

「・・・なのは、私に代わって貰えるかな?」

「う、うん。・・・お願い」

「さ、もう大丈夫だから。こっち、おいで?」

 

 脳裏に映るは、あの綺麗な姿のまま、上司を絞め落とす姿・悪鬼の如き衣装(=そう見えた)を纏い、斬り掛かって来た姿。

 

 さらに怯えた様子で逃げ出す!

 

「・・・フェイトちゃん。大丈夫?」

 

 なのはは、一寸気落ちした様子の親友を慰めている。

 

「・・・うん。多分、大人を信用できないのかもしれない」

「・・・だったら、ヴィータちゃんなら!」

「そうね!」

【ヴィータちゃん! そっちに行ったから、お願い!】

【応! 任せとけ!】

 

 

「おい! こっちに来いよ! 危なくねぇから!」

 

 先ほどの件も有り、余計に怯え、逃げ出す!

 

「あ! 待て! ワリィ! 逃げられた!】

 

 

 

 やっぱり寒い!

かじかむ手足を擦りながら、再度纏う。

 

「見つけたぜ! この野郎!」

 

 さらに、逃げ出す!

 

 

 

 そんな逃走劇が、繰り返し、続いた。

 

 

 最終的に、管理局側が折れ(夜である事と、明るくなってから、再度捜索した方が無難との判断)、一時的に引き上げて行った。

 

 

 帰る為の道標を喪い。途方に暮れる。

アチコチ動き回り、今何処に居るのかも、判らなくなった。

 昼間見るのと夜見るのでは、全てが違って見える。

見えては居るが、別の物の様にしか、見えない。

 

 

 今は、高台にある木の根本に寄り掛りながら、星空を見上げていた。

 

 

 どうしようもない、夜が明けるまで、夜明ししよう。

一応、温(ぬく)いし、星が綺麗だし!          ・・・ZZZzzz

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

・・・十数分後

 

「お! 居たッス!」

「ええ? そっちだった?」

 

 ウェンディの声に応える様にセインが確認して来ると、

 

「無事か!?」

 

 チンクは緊張した声で更に問うた。

 

「怪我は・・・無いみたいッス! でも、傷だらけッス!」=デバイス

「・・・どっちだよ!」

 

 その答えに苛立ちを隠せないノーヴェ。

 

「あー、うん。無事だと思う! デバイスで守られてたから、中は無事な筈!」

「・・・そうか。じゃあ、連れて帰るぞ!」

 

 トーレも安堵したのか、これ以上は心配したくない様だ。

 

「あー! 見て見て! 星があんなに!」

 

 そこには、一面の星空に、無数の星が流れて行く。

 

「・・・そっか、これを見に来たかったんだ」

【フェ? オー! キレー!】

「あ、起こしちゃった?」

【起キタァ!】

 

 そうは言っても、まだ眠いのか、フラフラと覚束ない。

ディエチはそっと支えてやりながら、同じ空を見上げていた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 同じ空の元、無事を確認したウーノとクアットロ。

 

「・・・やっと見付けて帰ってきたみたいね」

「あら、そんなに心配だったの? クアットロ」

「そ、そんな事は・・・ドゥーエ姉様から預かってる子ですから!

その位は・・・」

 

 クアットロは、ほんのり顔が熱くなるのが判った為、そっぽを向きながら応えた。

その様子を見て、ウーノはこの妹は隠し事が上手いのか下手なのか、一寸解らなくなった。

 

「まぁ、いいわ。では、ドクターもお呼びしてお茶にしましょう」

「ウーノ姉様、本当に違いますからね!

勘違いしないでくださいね!」

「はいはい。でも、そろそろ準備しないと、皆ここに着いてしまうわね」

「そ、そうね、外は寒い訳だし。ブランケット《毛布》とお茶とお菓子が必要よね」

 

 いそいそとアジトへ引き返して行くクアットロ。

その後ろ姿を見ながら、

 

「ふふふ、誰の為なのかしら・・・」

 

 そう言いながら、テーブルと椅子を運び出すよう。ガジェットに指示を出すウーノであった・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、子供は無事に帰ったとの連絡と謝辞が管理局側に届く事に・・・

その事に、深くは追求しない事に・・・

 

 添付された子供の寝顔と共に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「・・・こ、これはぁ!」

「あー! いいなぁー」

 

 セインは指を咥えて羨ましがった。

 

「あら、良いわね」

 

 ウーノは微笑ましく見守っている。

 

「ふ、ふむ。そう言う事もあり得るのか・・・」

 

 一寸替わって欲しいと思っているチンク。

 

「か、可愛いッス!」

 

 ウェンディも替わって欲しそうだが、それよりも、この珍しい映像を残しておこうと・・・カメラを構えている。

 

「・・・ハン! それがどうしたってんだよ」

 

 一寸強がっているが、内心はいか程?

 

「う、羨ましくなんて・・・ねぇ!」

 

 それでも、小声で本音が出てしまうノーヴェ。

 

「・・・私が代わります」

「ディエチ!? ど、どうしちまったんだよ!?」

「え? どうもしないわ。ただ、して見たいから・・・」

「フハハハハ! ならば、私が所望しよう!」

「・・・ドクターは嫌です」

「な、何故・・・」

「重いから」

 

 即答され、項垂れるスカリエッティ。

重さは関係ないが、何となく・・・そう応えていたディエチ。

それを聞いて、同意する一同。

 

 されている当の本人は固まってしまっている。

 

「あー! トーレ姉様? そ、それは・・・」

 

 お茶とお菓子が切れそうだった為、中へ取りに行っていたクアットロ。

戻って早々目にしたのがそれだった・・・

 

「はっ! こ、これは・・・ど、どうしたら良いのだ!?」

 

 咄嗟に如何したら良いのかが判らず、混迷の極みに達したトーレで有ったとか・・・

 

 

 眠たくなり、うつらうつらして、睡魔に負けた・・・

その時、傍にはトーレが座っていて、そのまま枕に・・・

温かく、一寸硬めではあるが、弾性に富んだ枕で有ったそうな・・・

 

 

 その後、枕交換戦 勃発?

 

 

勝者!  ウーノ!

 

  勝因!

   長姉の強権!

 

 相争う中、風邪をひかせては何だと、そっと抱き上げてコッソリ・・・

その後、見付かるが、こんな所で喧嘩してと、お説教に・・・




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

最後は即興です。

アットホーム過ぎましたか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話   誤認  保護?or拉致?

ノリでポンポン書いていたので、今一判り辛いかもしれません。

それでもお楽しみ頂ければと考えます。


誤認  保護? or 拉致?

 

 

 あの恐怖の夜から数日・・・

 

 今日はお出かけ!

ルー姉とゼットン、アキト《アギト》と会う日!

ウー姉と一緒にお出かけ!

ゴエーニンム(護衛任務)! 武器は十分! 今度は負けない!

 

 

 とある、街角に有る喫茶店《バール》。

小さな声で、こんなやり取りが交わされる。

 

 

《聞き耳モード? でお楽しみを!》

 

 

「おい、来たぞ!」

「ああ、クソッ! 俺は外れだ!」

「やった! これでアレが買える!」

「ま、まぁ! あれが新しいママ(初見)なのね! くやしぃーい! でも、あの子が幸せなら!」《野太い声》

「ウゥ、今月苦しいのに! 畜生! 持ってけ!」

「それにしても、アイツ。何者だ?」

「それに、あの子供《ルーテシア》の父親《ゼスト》には見えないが。・・・どんな関係なんだ?」

「さぁな、取り敢えずは、アイツの一人勝ちって事だろ?」

「・・・そうだな、取り敢えずは、俺はあの子が幸せで居る事を、願おう」

「まあ、それ位が良いか。アイツ《野太い声》が母親になるよりかは、幸せそうだ」

「だな。おぉい!」

 

 店員を呼び付ける。

 

「はい、何でしょう」

「・・・これで、あの子に何か美味いモンでも」

 

 そう言って、小額紙幣を手渡す。

 

「イエ、それには及びません。もう既に、何名かの方が・・・」

 

 そこに示されたのは、テーブルの上に、所狭しと並べられた品々。

困惑した様子で、礼を言うウーノとゼスト。

目を輝かせながら、パクつくデュオ。その姿は、年相応に可愛らしい。

そのご相伴にあずかるルーテシアも、顔が綻んでいる。

 

「・・・なら、手土産に成りそうなモンを、見繕ってやってくれ」

「・・・では、そのように致します」

「あ、じゃあ、俺も!」

「よし、俺も!」

 それに釣られてか、他にも数名。

 

 そう言って押し付けられた紙幣。額は小さいが、それなりの額にはなった。

 

 

 

 テーブルを、食べ物と土産物に占拠され、移動せざるを得なくなったウーノとゼスト。

二人(+1)はそのままのテーブル(お土産の陰から)で、美味しく頂いている。

 

「まさか、こんな事になるなんて」

「ああ。だが、ああして見ると、良いモノだな」

 

 美味しそうに食べている様子を、何か眩しいモノでも見る様に眺める二人。

 

「・・・そうね。それには同意見ね。

それで、これからの事は、コレに」

 

 そう言って、手渡される封筒を受け取るゼスト。

 

「・・・了解した」

 

 

 その遣り取りを、遠目で見ていた別の客達の、小声での遣り取り。

 

 

「・・・おい、見たか?」

「ああ、ありゃあ。アレだな」

「そうだな、だが・・・」

「まぁ、なんだ。あの恰好じゃなぁ」

「確かに、だが・・・」

「みっともねぇ、なぁ」

「ああ、言える事じゃねえが」

「ああは、成りたくはないねぇ・・・」

「・・・そうならざるを得なかったって、事でも有るんだろうなぁ」

「それにしても、元カミさん《ウーノ》に、養われるとは・・・」

「絶対(ぜってえ)、浮気がバレて、勘当されて。着の身着のまま、放り出されたんだぜ・・・」

「それで、どうにもならなくなって、泣く泣くカミさんに泣き付いたと・・・」

「そう思うと、あの子も不憫だなぁ」

「だが、あの子供《デュオ》は、あの子供《ルーテシア》と中よくしてるって事は」

「蟠(わだかま)りは無いが、旦那《ゼスト》の行為は、許せないと言う事か!」

「だとすると、あの子は、あの旦那の犠牲になっているのか」

「・・・いや、あの子供《ルーテシア》の服装を見るに、それなりに良い物を着せてるって事だぜ。

オレは仕立て屋だからな。その辺は判るさ」

「だったら?」

「自分の事は棚上げしてでも、子供には、良い物を与えているって事さ!」

「・・・成程」

「そうだったのか!」

「見直したぜ! ダンナ!」

 

 ゼストに向かって、そんな尊敬の眼差しが送られているとは知らずに、更に話し込む二人。

その距離が僅かに近づく。

 

「おい! 旦那が、また口説き始めたぞ!」

「おお! 今度は裏切らないってか!」

「いやいや! 今度もそうなるとは、限らねえ!」

「いや、それはお前だろ!」

「そう言うなよ! 俺は何時でも本気なんだぜ!」

「そう言って、叩き出されたのは何度目だ?」

「・・・ふっ! 忘れた!」

「・・・忘れるほどに追い出され、また入れてもらってるのか」

「気の毒に」

「何だよ、その目は! 良いだろうが。カミさんは、俺に惚れてんだから!」

「・・・・・・」

「な、何だよその目は!」

「・・・・・・」

「だ、黙ってないで何とか言えよ! あん? 後ろ?」

 

 振り返ると、にっこり嗤(わら)ってはいるが、喜んでいる様には、決して見えない女性が居た。

 

「ひっ! な、何だ! 脅かすなよ! 心臓止まるかと思ったじゃないか!」

「・・・・・・」

 

 その女性は、ゆっくりとした動作で、男性の耳を掴むと。そのまま、笑顔のまま、無言で帰ろうとする。

 

「イダダダダッ! み、耳が!」

「ご愁傷さま!」

「お幸せにな!」

「この幸せ者が!」

「もう戻って来なくても良いぞ!」

「ひぃぃい! 出来心だったんだ! 許してくれ!」

「・・・・・・」

「あ、愛してるのは、母ちゃんだけだから!」

「・・・・・・」

「も、もうしません! もうしませんから、ご勘弁を!」

「・・・・・・」

 

 そう言って、消えた。

 

 見えなくなった所で、パパパパパパァァーン!

と、機銃の如き音が聴こえたのは、幻聴だろう!

その場にいた全員、そう思う事に、決めた!

その直後に、猛烈な暑さが訪れた事も、錯覚だろう!

何かが、物凄い勢いで、吸い取られる様な音も、誰も耳にはしていない!

バキューム音も、聴こえなかった!

 

 返って来た彼は、顔は真ん丸、唇は腫れ上がり、別人と化していた!

モザイクは、掛らなかった。

 

 それから、そいつの字名(あざな)は、(鱈子とタマゴみたいだから)タマゴ王(キング)と呼ばれたとか、呼ばれなかったとか?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それは兎も角、粗方食べ終え、一服していた二人(+1)。

大人組は、まだまだ話は長引きそう。

だから、邪魔にはならない様に、食後の散歩へと(気を利かせ、黙って)出る事に。

お土産は店員に頼み、預かって貰う。

 

 そんなこんなで、出歩く二人(+1)。

あっちを冷やかし、こっちを覗き。

幼い弟を連れた姉の様に、幼い弟を見守る姉の如く、当たり前に過ごしている。

そんな事には、終ぞ気付かずに居るルーテシア。

 

 自分が不完全だと、自身は思っていても、周囲の目にはそうは見えない。

弟思いの面倒見の良いお姉さんにしか見えていない。

 

 そんな時間も、終わりを迎える。

 

 

 つい先ほど、連絡が入った。

レリックを運搬中のトレーラーが、事故を起こしたと。

荷物を奪取する為、それぞれが、それぞれの目的とする場所へ・・・

 

 片や地下へと潜り、片や廃墟の街へ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

廃墟ビル・屋上

 

 

 そこには誰の姿も無いが、声だけが響く。

 

「・・・何か、来る」

「え? こんな所に?

一寸待って。今、連絡が入った。・・・はぁ? 判りました。

見付け次第、また連絡をします。

・・・デュオが、またどこかへ行ったって、ウー・・・」

 

 そう言いながら振り返ると、居ない筈の姿が目に飛び込んだ。

 

「・・・もうココに来てる」

【手伝ウ! コノ間ミタイニハ、行カナイ!】

 

 そこには、フル装備で立つ、アーマード・ブリアレオス。

重機関銃(ガトリング・ガン)とミサイル・ランチャー、ハンドガン、サブマシンガン、各種グレネード、発射筒(ランチャー)も・・・

 そんなモノ、持たせた覚えも無ければ、手配した覚えもないクアットロ。

 

「どこから、そんなモノを?」

【落チテタ!】

「・・・イヤ、そんなモノ、何処で拾ったの?」

 

 そう言われ、別のビルを指さす。

 

 良く見れば、骨董品の様なモノが多く、それでも、手入れがされている様子が窺える。

どうやら、何処かのビルの一角が、どこぞの組織か、金持ちの趣味の武器庫と化している様だった。

 

 黙っていたディエチは、その装備を見定め。親指を立てた!

手入れが良くされているのと、物のチョイスが良い、と言う事らしい!

 

 ヤル気満々で居る相手に、水を差すのも如何かと思い。参加する事は許可された。

その代り、危険な目に遭わない様に。十分注意する事と、イザとなったら形振(なりふ)りに構わず、逃げる事が条件とされた。

 

 

・・・数分後

 

「あぁ、そうなりましたか。では、ルーお嬢様。

こう、お伝え願えますか? ≪また、あの時の様に、アナタは守れない≫と。

そうお伝えして貰えれば、後は、こちらにお任せを。では」

「・・・どうなった?」

「どうもこうも、こっちも計画通りにアレを試す事にしましょう。

ドクターが言うには、アレが考え通りの物なら。これ位ではどうにもならないだろうと言う事ですわ」

 

 

 そんなやり取りの後、ターゲット接近!

 

「・・・イノーメス・カノン、へヴィ・バレル」

【発射ァー!】

 

ボソリと呟かれ、ヘリへと向かう橙色(オレンジ)の光芒。

同時に、複数のミサイルも、時間差で殺到!

 

 命中! 爆煙に包まれるヘリ。

 

「やった・・・かしら?」

「瓦礫が、無い。ダメ ! 来る!」

【オー! 出番!】

 

 足元を魔力で固形化、踏ん張りを効き易くし、ガトリング・ガンを構えるデュオ=ブリアレオス。

 

ヴォォォォオオオォォン!  ヴォォォォオオオオォォオオオォォォン!

 

 煙の向こう側へ向って、弾丸を撒き散らす!

 

 

 足元に転がる夥(おびただ)しいまでの薬莢。

周囲に広がる硝煙の匂い。

そう在る事が、自然に思えて来る姿。

 

 

 その煙の向こうから飛び出してきたモノを、それで足止めしている。

 

 それを見て取ったクアットロは、

「じゃあ、デュオ。後は任せても良いのね?」

「必ず帰る事」

【オォー!】

 

 そう言いながら、弾の尽きたソレを煙の向こうに投げつける!

 

 切り払われる!

追い撃ちとばかりに、グレネードも各種、魔力で一塊りにし、投げつける!

 

「なっ!」

 

 フェイトは切り払ったモノの陰から現れたソレを、まともに受ける事に!

 

 閃光・爆音、爆煙、火焔の順に炸裂した!

 

 それでもなお、無傷で向かって来るが、目眩ましにはなったようだ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 煙と、火焔が晴れ、視界が開けた。

 

「クッ! 何処に!?」

 

 すでに、ビルの上には誰も居らず、二手に別れ逃走中!

不可視・迷彩の状態で、ビルの隙間を縫いながら逃走するモノ。

ビルからビルへと、飛び移りながら逃走するモノ。

 

 どちらを追うべきか。この場合は逃がすリスクが少ない方を優先し、確保するべきと考え。

ビルの上を渡る方を優先した。

 

 

 

「待ちなさい! 貴方達には質量兵器の使用及び、不法所持、騒乱罪の現行犯で逮捕します!

無駄な抵抗は止めなさい!」

 

シュポン!   ジャカッ! キン!  ズッ!  ジャコ!  シュポン!

 

 間の抜けた音と共に、飛来する榴弾。

見当外れの方向だった為、無視して進む!

 

 だが、狙いが違った。

当たった先には大きな看板が有り、それが崩れて視界を塞ぐ!

 

 上昇し、回避!

 

「え?」

 

 さらに、頭上が陰り。上から別の瓦礫が降り注ぐ!

 

「クッ! こんな子供騙しに!」

 

 アッサリとそれらをかわし、後を追う!

 

 その間に、さらに離れた所を進む標的(ターゲット)=百目鬼。

 

「フォトン・ランサー!」

 

 複数の雷光の槍が標的に向かい、降り注ぐ!

ソレを、降り返りもしないで迎撃!

 

タァン! タン!  タタン!  シュポン!

 

 見当外れの方向に、又も榴弾を撃ち出す。

 

 先ほどの事も有り、警戒しつつ追い掛ける!

 

 速度的に、直ぐに追いつけるのだが、その目前に榴弾が落ちて来る!

 

「クッ! 厄介ね!」

【フェイトちゃん。今、何処に居るん?】

【あ、はやて、こっちは百目鬼を追い駆けてるわ】

【判った! じゃあこっちは、別口を殲滅するわ!】

【・・・ウン、お願い!】

 

 眼の端に、広範囲に亘って、殲滅魔法が広がって行くのを確認した。

 

「そっちがそうなら。こっちも、本気で行かないとね!」

 

 さらにスピードを上げ、追い詰める!

ビルとビルの間、行き止まりになる処へと追い詰めた。

 

「・・・もう、逃げ場は無いわよ! 抵抗は、諦めて!」

 

 そう言いながら、さらに追い詰める!

背を向け、こちらに正面を見せない相手。

 途中、バインドを掛けたが、直ぐに解かれ。足留めにもならない事から、直接的に取り押さえる事に。

その相手が、ゆっくりと振り返る。

 

 その腕の中には、まだ幼い、小さな子供が居た。

 

「なっ!」

 

 その子供の両手には、ピンが外された手榴弾が握られている。

 

「クッ! その子を! 放しなさい!」

 

 そう言いながら、斬り掛る!

が、その前に、子供を投げ付けて来る!

 

「あ!」

 

 フェイトは、咄嗟に子供を優先し、その手榴弾を手放させ、離脱する!

強く抱き抱える!

 

 直後、モクモクと立ち上る煙。爆発は無い。

 

「・・・え?」

 

 想定しない事態に驚くが、その直後に、それとは別の原因により周囲のビルが崩れて行く。

 

「え、ええっと。怪我は?」

「・・・・・・」

 

 ・・・返事は返って来ない。

 

「ど、何処か怪我を!?」

 

 外傷は無い、ただ、顔が真っ青になっていた。

意識は無い様子。

 急激な上昇に伴う、血液の移動に、血圧の低下、さらに窒息(何となく、察して頂きたい)。

・・・チアノーゼになっていた。

 

 その子供は、着古した感じの衣類を身につけ。所々、裂けている。

それなりに汚れが目立ち(武器の調達・移動の時の汚れ)。

何処かから逃げて来たようにも、見えなくは無かった。

 

 髪は白く長く、肌は浅黒い。

不衛生ではないが、かと言って、この幼さでこんな所に居る事は無さそうな感じでも有った。

 

「た、大変! 直ぐに、病院に連れて行ってあげるからね!」

 

 そんな感じに、連れて行かれる事に・・・

 

 

 計画に、狂いが生じた。

計画では、迷子を装い、巻き込まれた風に偽装。

管理局に保護され、直に迎えに来て貰う予定、だった。

 その為の、戸籍の偽造・改竄等は、依頼済みであったり。

まだ、実行されてはいないが・・・

 

 

   ・・・   ・・・




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

この様に、保護されました。
が、もう片方からしてみれば、拉致された様な感じかと・・・

実際にこの様な窒息騒ぎは有る様で・・・

羨ましいと感じるか、ザマァと思うかは、それぞれかと・・・

もう少し、続きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話   これは不幸で不運な・・・事故である

原作とは一寸だけ違いがあります。

コレを書いた時点では、どんなものか、どんな展開だったかを知らないままに書いていましたので・・・


これは不幸で不運な・・・事故である

 

 

これは、事故である。大変な不幸が重なった結果でも、ある。

 

 

 目が覚めると、何処とも判らない場所であった。

 

「あら? 目が覚めた?」

 

 枕元に、知らない女の人が立っていた。

 

「アナタ、大変な目に遭ったみたいね。でも、もう大丈夫!

ココは安全だから! 安心してね?」

 

 そう言いながら、何事か手元のボードに書き込んで行く。

 

「あ、そうそう。君のお名前、書けるかな?」

 

 そう言いながら、ペンを手渡された。

 

 コク!

その位なら、大丈夫だよね?

 

 ゆっくりと、ボードが見える位置に体を起こされた。

 

「じゃあ、書いて貰っても、良いかな?」

 

 一応、自分の名前位は書ける。下手っぴだが。

 

 デュオはそのペンを受け取り、そこにミミズがのたくっている様な字だが、自分の名前を書く。

 

「んー、デウス?」

 

 フルフル

 

「違った? じゃあ、デューク?」

 

 フルフル!

 

「・・・これも、違うか。・・・判った! デモン!」

 

 フルフルフル!

 

「え?  違ったかぁ。んー、デュラン?」

 

 ブルブル!

 

「んー?  デュオ?」

 

 コクコク!

 

「ちが・・・え? 合ってた!?」

 

 コクコク!

 

「そっかぁ。君は、デュオ君か!

私は、エミリア。ここで看護師(ナース)兼、修道女(シスター)として、働いているの!

よろしくね!」

 

 コク!

 

「じゃあ、先生を呼んで来るから、大人しくして居てね?」

 

 そう言うと、病室から去って行った。

 

 

 

 暫くしても、返って来る様子は無い。

怪我も無いし、寝ていただけだから、退屈!

一寸位、出歩いても・・・大丈夫! な筈!

 

 早速、冒険する事に決めた!

 

 そっと、病室を抜け出し、外へと向かう。

途中、敵(シスター)に遭遇!

 間髪! 発見されるには至らなかった!

 

 

 そうこうする内に、中庭に辿り着いた。

 

 すると、突如として、警報が響き亘る!

何処かに隠れた方が良さそう!?

 目前の茂みが丁度良さそうだ!

 

 ・・・先客が居た。突き飛ばされた!

 

 コロコロと転がされ、また道に出た。

 

 パリィィン! と、何かが割れる音がして、頭上から、大きな物が降って来る!

降って来た何かは、丁度、自分を跨ぐ感じに降り立った!

目の前、真っ暗!

 

 何やら外では騒がしい。・・・何か、揉めてる?

取敢えず、外を覗き込む。

 

 あ・・・まおー!

 

 目の前には、自分を突き飛ばした相手と、まおー(なのは)の姿。

 

 こっちは駄目!

反対から、逃げる!

 

 ガスッ!

!? 頭に凄い衝撃が! 来た!

 

 何かに縋り、何かを掴み。意識が遠くなって・・・

 

 

  ・・・   ・・・

 

 

 目の前の事が、信じられなかった。

 

 保護した子供《ヴィヴィオ》を見付けた所までは良かったのだが、シスター・シャッハが警戒し、飛び下りて来たその足元に・・・

兎に角、踏み付けてはいない様だし、先ずは目の前の子から落ち着かせたんだけど・・・

 

 シスター・シャッハのスカートが捲れたと思ったら、子供が顔を出し。

こっちを見て、驚いたと思ったら、引込んで。

それで、パニックになったシャッハが、咄嗟にスカートの布越しに、シャフトを叩き込んで・・・凄い音が!

 

 直に退いて貰って見ると。

気絶した子の手に、何だか紐の付いた黒い布が・・・見えたり、なかったり。

 

 ・・・即座に取り返された様だ。

 

 直に看護師が来て、処置がなされた。

幸い、分厚い布越しで有った事と、体重が軽く。押しやられた様子で、大分力が分散した様でもあった。

頭蓋が丈夫であった事も幸いし。大事には至らなかった。

 

・・・記憶は、飛んだ様だが。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

車での移動中

 

 シグナムに運転を任せ、なのははフェイトと通話中。

 

【ねぇ、なのは。あの子《デュオ》、どうだった?】

「にゃ!? ア、ウ、ウン。一寸した・・・事故が有って」

【! 何が!? 何が有ったの!?】

「ア、アー、んーと。何て言ったらいいのか・・・記憶が飛んでて、何も覚えてないみたい」

【そ、そう。余程、怖い思いをしてたんだね】

「う、うん。でも、もう少ししたら大丈夫だろうって!」

 

(言えない、あんな事が有って、頭を強打されたからなんて。

その原因が、あんな事だったなんて!)

 

【でも、あの子の親御さん、見付からないし。未登録者だったから・・・施設に送られるのかな?】

「ウン、そうなっちゃうのかな?」

【・・・私、決めた! なのは、あの子は、私が引き取る!】

「ウン、その方が良いかも!」

 

(シスターも、あんな事仕出かしちゃったら、顔を合わせ辛いだろうし・・・この方が、まだ・・・)

 

 横で聞いていたシグナムが、口を挟んだ。

 

「ならば、私も手伝おう。その位は、手伝えんでもない。

それに、私はあの子に武の片鱗を見た」

【シグナム? 協力してくれるの!?】

「ああ、あの位の子供の内に仕込めば、行く行くは・・・」

「シ、シグナム? ど、如何したのかな?」

「・・・こあいの」

【えっと、だったら、大丈夫かな?】

 

 

 そうして、素性が判らないまま、機動六課に引き取られる事と相成った。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

数日後・・・

 

 簡易検査は特に問題無く終わり、引き取られる事となった。

引き取られる前に、精密検査を終え、その結果を見た医師から、

 

「すみません。一寸」

「はい? 何か?」

「・・・これを、見て頂けますか?」

 

 担当医師から手渡されたソレを覗き込むフェイト。

 

「・・・これは?」

 

 一目見て在る程度は判ったが、確認する意味でフェイトは問うた。

 

「何らかの処置により、埋め込まれた異物かと・・・

確定は出来ませんが、取り出す事は・・・」

 

 そう言いながら、首を振る医師。

 

「・・・判りました。この件は・・・」

「判っています。ですが、覚悟は、されて置かれた方が良いかと・・・」

「ええ、でも、あんなに、元気なのに・・・」

 

 そう言いながら、外の様子を伺う。

そこには、元気に楽しげに過ごす姿しか、映らない。

 

「でも、何で、あの子が!」

「・・・お察しします。ですから、引き取る事は・・・」

 

 遠回しに、今からでも遅くは無い、引き取る事を諦める様、暗に勧められた。

それが個人のエゴで在ったとしても・・・それもまた一つの正しい選択肢でもある。

抱え込み、共倒れになるよりは・・・

少しでも、お互いの為に成る事を、との気持ちもあったのだろう。

 だが、選択した者にとっては、それをも呑み下すモノでしかなかった。

 

「・・・いいえ、それを聞いた以上、そう決めた以上。そうする事を、覚悟するつもりです」

「ですが・・・イエ、何でも。そこまで意志が固いのであれば、こちらも。

協力は惜しみません!」

 

 その目を見て、その意志の固さを確かめた。

これだけの意思を固めているのであれば、あるいは・・・

 

「・・・お願いします」

 

 フェイトは声が震えない様、その顔を見られない様、深々と頭を下げている。

 

「・・・では、私からは、以上です。

どうぞ、お会いになって上げてください」

 

 そう言いながら、背を向け、促した。

 

「・・・はい、ありがとうございました」

「・・・お大事に」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 目の前に、金色の人が居る!

 

「こんにちは! デュオ君、だよね?

私はフェイト。今日から、君のお母さんになったんだ。よろしくね!」

 

 そう言って、手を差し出される。

 

 じー。

 じー、じー。

 

 見詰めるデュオ。

 見詰められるフェイト。

 

 サッ!

エミリアの後ろに隠れる!

 

「え、ええっと!」

 

 エミリアとしては、その事に戸惑ってしまう。

 

「あはは、急に馴れ馴れしかったかな?」

 

 一寸頭に手をやりながら、どうしたモノかと・・・

 

「あ、いえ。その、何か美味しい物が有れば・・・その」

「え?」

「あ、いえ。結構、舌が肥えてて。美味しそうな物が有ると、そこに・・・

私もオヤツを食べている時に・・・そうだ!

何か、お菓子とか持ってますか?」

「ア、うん。一寸待っててね。・・・確か、ココに・・・あ、有った!」

 

 そう言って取り出されたのは、野菜が練り込まれたクッキー。

 

「ア、これは・・・駄目かな?」

 

 見た目、子供が苦手そうな色の野菜のクッキー。

 

「ああ、それ位なら。ほら、貰っておいで」

 

 そっと、背中を押され、押し出され。

 後ろを振り返りつつ、受け取りに行くデュオ。

特に抵抗なく受け取ると、

 

「えっと、よろしくね」

 

 そう言って、そっと抱き締められた。

何故か、涙が零れる。

忘れまいとした、何かが、脳裏を横切る。

 

「え? ええっと?」

 

 突然、泣き出され。途方に暮れるフェイトだが、抱き返されたその手は、離れない。

放すまい、放してなるモノかと、グイグイと力が込められる。

 

 声無き、泣き声が、漏れる。

 

「あ、そのままに。

今まで、泣いた事、無かったんですけどね。

・・・安心したんだと思います」

 

 その様子を見ていたエミリアは、それまでの様子を掻い摘んで説明した。

 

「え? そうだったの?」

「ええ、最初は、何か(精神的・肉体的な)異常が有るんじゃないかって、考えたんですけど。

特に、そんな様子も無いし。

・・・きっと何かを思い出したのかも・・・」

「そっか、ならこのままで、居てあげようか・・・」

「あ、それは・・・止めた方が・・・」

「? どうして?」

「イエ、結構体力が有って、一寸やそっとじゃぁ・・・」

「そんな事は、無いんじゃないかな?」

「・・・そうだと、良いんですが」

 

 

 

 しばらくして、その事を後悔する事に・・・

 

 何時までも、そのままで居る訳にも行かず、誰かに迎えに来て貰うまで、帰れなかった。

運転が出来なくなったため。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

機動六課宿舎

 

「えっと、この子が今日からココの一員になりました!

一応、デュオ・T・ハラオウンという事で、皆! よろしくね!」

 

 そこには隊長の威厳は皆無。

子供をぶら下げたまま、離れなくなった。

疲れて眠りはしたが、手だけは放さず、離れず。ガッチリと、序(ついで)に魔力を使っての固定。

抜くに抜けない、放すに離せない。

 

 目を覚ますまでは、決して放すまいとの意地が見える。

 

 もう片方も、放すまいと頑張っては居た。

 

「行っちゃ、ヤーダー!」

「あはは、ヴィヴィオ、ゴメンね。お仕事だから、連れてはいけないの。

だから、我慢してくれる?」

 

 一寸だけ、迷う素振りを見せたが、

「・・・駄目!」

「うーん、如何しようか?

じゃあ、帰ってきたら。思いっきり遊んであげるから!

それまでは、我慢して貰えるかな?」

「・・・ダーメ!」

「うー、フェイトちゃん。如何しようか?」

「・・・なのは、それはこっちのセリフでも有るの」

「・・・そうだね。そっちの方が、大変そうだね・・・」

 

 言い聞かせれば、こっちは何とか成るかも知れない。

が、無意識に、しかも魔法を使ってまで抵抗されたとなれば、手の打ち様が無い。

 

 

 それから暫くし、ヴィヴィオは疲れ切って寝てしまった。

もう一方は、一向に打つ手が無いまま、本局へ行く羽目になった。

 

 

 あの手この手を使い、如何にかしようとしたが、如何にもならなかった。

 

 

 一方、本局では、あの難攻不落の城が落ちた!?

イヤ、隠し子が居た! 相手は義理の兄だ! イヤ、性別を超越した愛の結晶だ!?

イヤ、あの胸に顔を埋め、窒息した勇者が居る!

 イヤ、首に抱きついて離れないらしい!

それは何処のどいつだ! 羨ましい! 妬ましい! 替われー!

 などと、デマだか真実だかが流れた?

さらに、もう一人の深窓が陥落したとも。 ソイツは何処だ! と大騒ぎになったりも!?

 

 

 会議までには何とか放たれ、とある職員の元に預けられた。

何でも、一言囁かれたらアッサリ取れたとか・・・

一部でフロスティと呼ばれる女性とか。その女性のおかげで、出れたしそっちもデレた!?

 

 

 その日の夜、とある家では、角が生えたとか、生えなかったとか?

ただ、眠れない夜を過ごしたとか・・・




シスター・シャッハは尼僧服のまま、デバイスのみの展開。
頭上から降り立ち、丁度スカートが覆いかぶさる様な感じだと、お思いください。
まぁ、運良く踏まれずに隠れる事が出来たと・・・


思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


次回 《第一次 Kids Hazard?》

貴方は何処まで大目に見ますか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話   故意ではない、人為的ミス? 《第一次 Kids Hazard?》

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


故意ではない、人為的ミス?

 

 

 デバイス調整室、そこで何やら作成中のシャーリー。

そこに呼ばれたデュオは少し待っていてくれと言われ、待つ事五分・・・

 

「・・・よっし! 出来たァ!

デューオ君! 一寸、良いかな? コレ、着けて見てくれる?」

 

 シャーリーが手にしているのは、首飾(チョーカー)と言われる。

首にピッタリするタイプの首飾りだ。

 

 それを手渡され、着けようとするが、中々上手くは行かない。

悪戦苦闘しながらも、留まらない。

 

「あー、一寸難しかったかな? ・・・手伝っても良いかな?」

 

 そう言うと、すんなり手渡されるソレを手に、

 

「ハァイ、後ろ向いててね。ヨォッと!

はい、出来た!」

 

【ソレデ、ナァニ?・・・!!】

 

「あはっ! やー出来てる出来てる!

それはね、君の念話を、声に変換してくれるものなの。

だから、今度はもっとお話しが出来ると思うよ!」

【アリガトー! チャーリー!!】 =誤変換?

 

 そう言うと、凄い勢いで外へと飛び出して行った。

 

「あ、あれ? 一寸ミスッたかな? バグが何処かにあったのかな?

でも、そんなに問題には成らないよね? ふぁー、流石に参轍は疲れるか。

一寸寝てから、原因を・・・ZZZzzz」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 アチコチに顔を出し、誰か居ないかと探すデュオ。

 

 最初の犠牲・生贄を探す。(=無意識)

 

 ・・・見付けた!

 

【エロオ《エリオ》ー! キャオ《キャロ》ー! クリーム《フリード》!】 =誤変換?

 

 ビキッとばかりに固まるエリオ。

 呼び方は違えど、自分が呼ばれた気がしたキャロ。

 何だか、食われそうな気がしたフリード。

 

「な、なぜ。その名を・・・」

 

 豪く落ち込むエリオ。

かつての寮生活で、そう呼ばれる事があった・・・

その事を知る者の無い場所であるはずが・・・

 

「え、えっと。私?」

 

 きゅー! キャロの帽子に隠れようとするフリード。

 

【オー!】

「あ! デュオ!? 如何したの、それ?」

【チャーリー、ツクッテクレルノ!】

「? ぁ、シャーリーが作ってくれたんだ。良かったね!」

【オー! 皆ニ見セウ!】

「そっか、がんばってね!」

 

 もう、既に居なくなっていた。

落ち込むエリオ。

 

「どうしたの? エロオ君?」

 

 キャロの口に染(うつ)っていた!

さらに落ち込むエリオ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【アー! エターナル・ロリータ!】 =事実?

 

ギッギギギギッギギィィィィイ!  ギィィン!

 

 そんな擬音が聞こえそうな、振り返り方だった。

 

「誰だ、そんな言葉を発したのは、頑固な汚れになりてぇって奴(ヤツ)ァァア! 私は、大人だぁああ!」

【・・・チャウノ? ジャ、レッド・ロリータ?】 =事実・・・

 

 辺りを見回すヴィータは、その場にデュオしか居ない事に気が付いた。

 

「アン? デュオか?」

【ソーダヨ?】

「・・・今のは、お前か?」

【オー!】

「・・・そうか、コレか」

 

 首に巻かれた見なれないモノを見て、ある程度察したようだ。

 

「なら、そう言って居たのが誰か、教えて貰っても、良いか?」

【オォウ。オ顔、コアァイ!】

「あー、悪かったな。これでもう、怖くは無いだろ?」

 

 口元が引き攣って、井桁はあるが一応? 笑顔。

 

【エットエット、ダイスト、クリプス?】

「・・・ヴァイスとグリフィスか?」

【オー、オハアシシテテ、キコエタ!】

「・・・そうか、ありがとうな」

 

 そう言うと、頭をクシャクシャと撫でて来た。

その脇の向こうに、ある後姿を見て、

 

【ア! 悪魔!】 =事実?

 

 ギ! 動きが止まった!

 

「・・・誰かな? そんな事を口にするのは?」

 

 なのはは、悪魔でニコヤカァぁに、こちらを振り返る。

 

【オォウ! オッカナイ! 大マオーニナッタ! タッケテー!】 =事実と認識!

 

 そう言うと、一目散に逃げ出した!

あとに残されたのは、ヴィータ。唯一人。

 

「ヴィータちゃん! 一寸、O・HA・NA・SHIしましょ?」

「な、何で!? あ! オイ! 逃げるな!

なのは、落ち着け! 今のはデュオだ!」

「何を言ってるのかな? デュオは、喋れないでしょ?」

「イ、イヤ! アレだ!」

「あんな可愛い子に、罪を擦り付けたらイケナイよ?」

 

 

 テテテテッ!   タタタタタッ!    トトトトトッ!

 

 急ぎ、安全と思われる場所へ避難を開始したデュオ。

その途中、声を掛け垂れて、

 

「あら? 如何したの、デュオ?」

【ア! テオ《ティア》! スパウ《スバル》! マオーガ召喚サレテ、ダイマオーニナッタ!】 =誤変換+事実!

「・・・え!?」

 

 スバルは、咄嗟に何を言われたのか判らず硬直する。

 

「・・・ああ、これね?」

 

 その様子を伺い、ティアナは冷静に判断を下した。

 

「多分、このチョーカーで念話を受信して、そのまま、と言うか。誤変換してる感じだけど、音声変換してるのね」

「そっかぁ、アー吃驚したぁ!」

「でも、あっちで何か起きた事は、確か見たいね。

デュオ、ココは危ないから、受付の方、判るよね。そこに行って避難していてね?

スバル! 行くわよ!」

「う、うん!」

【オー、行ッテラッサイ!】

 

 燃料投下?

 

「え? なのはさん? いったい、何が?」

「・・・えっと、何が?」

「あ! ティアにスバル! 手伝え! なのはを止めなきゃ、ならねぇ!」

「ふふふ、ティアナもスバルも、そっち側なんだね? だったら、手加減は、要らないかな? 全力全壊で逝っても、良いよね? フフフ」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【ア! 豆狸! リーン!】 =事実+上手く言えない?

「誰かな? そんな事言うんは? んー? どのお口かな?」

「はわわわ!」

 

 ハヤテはそう言いながら、口の端を釣り上げた。

リィンフォースは、そんな有る時の姿を見て慌てふためいた。

 

【チャウノ? 豆狸?】

「ほほぉう、まだ喋れるんか! ん?

デュオ? ソレ、どないしたん?」

 

 見慣れないモノを付けている事で、有る程度察し。

 

「・・・誰が言って居たか、教えて貰っても、エエか?」

【ント・・・ジッチャ!】

「・・・判った、ありがとぅな! それと、私は、ハ・ヤ・テな。ハヤテお姉ちゃんや。

次からは、綺麗で美人のハヤテお姉ちゃんって、呼んでな!」

「はぅわ!」

「あ、主?」

「ハ、ハヤテ、ちゃん?」

 

 その声を聞き、びくぅ! とばかりに、恐る恐る、振り返るハヤテ。

そこにはシグナムとシャマルの二人が立っていた。

 

【ア! シグママ! シャママ!】 =上手く言えない+誤認?

「主にそんな趣向が有ったとは、気付きませんで・・・」

「ハヤテちゃん、そんな小さな子にまで手を出すなんて!」

「シ、シグナムもシャマルも! シグママ! シャママ! なんて、呼ばせとるやないか!」

【シグママ、シャママ、イヤ?】 =確認

「ううん、イヤじゃ無いわよ? そう呼んでくれるのね。嬉しいわ!」

「わ、悪くは無いな! そう呼んでも構わん! むしろ、そう呼んでくれ!」

 

 ハヤテをじーっと見詰め。一言。

 

【・・・豆狸?】

「・・・駄目や!」

【・・・豆狸?】

「・・・駄目や!!」

【・・・豆狸?】

「・・・駄目や!!!」

【・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン?】 =認識

「・・・駄目や!!! え!?」

【・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン?】 =再確認

「あ!」

 

 そう言われ、段々と恥ずかしさが込み上げて来た!

ハヤテの頬が、顔が、額が真っ赤に染まる。

 

【・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン?】 =再々確認

「ううう!」

 

 ハヤテは大急ぎで部屋に籠り、出て来なくなった。

 

【・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン? ドッタノ!?】

 

 そう連呼しながら、不思議そうにドアを叩く幼子が居た。

その途中、ヴィヴィオ姉と合流。

 二重奏となる。

 

 周囲では何が起きたのか、人だかりが・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

受付

 

 そこには偶々近くまで来た為、ついでとばかりに集まった面々。

 

【アァ! インジューダ! ピーピング・トムダ! 悪人ダ!】 =認識?

「デュオ? 何それ?」

【何カ皆ソウ言ッテタノ】

 

 談笑していた筈が、一気に凍りついた三人!

 

「だ、誰が、インジュウかな?」

「そりゃ、お前だ。ユーノ、こんな小さな子にも認知されて・・・フッ」

 

 その様子を鼻で笑うクロノ。

 

「だが、だとすると悪人は?」

 

 ヴェロッサは自分の事は棚上げにし、気になる事を口にした。

 

「さあな。だが、覗き魔は判るぞ。ヴェロッサ」

「・・・ほほぉう、そう来たか。じゃあ、この子に聞いてみよう。

悪人が誰か、お兄さんに、教えて貰えるかな?」

 

 ビシッ!

示された先には、クロノしか居ない。

 

 クロノは、自分の後ろに誰かが居るのかと思い。移動する。

それに付いて行く様に、動く。

クロノは更に動く! それに伴い、動く! 更に動く! 伴い動く!

 

「・・・諦めなよ、クロノ」

 

 ユーノはそれを大人気ないと諌めてみるが、口元は笑っている。

 

「所で、如何して、クロノが悪人なんだい?」

 

 ヴェロッサも笑いつつ、どうしてそうなのかが気になったようだ。

 

【黒クテトゲトゲ! 悪ソウ!】 =黒くて肩の辺りに棘状の突起

 

 がっくりと項垂れるクロノ。

 

「ぷっ!」

「ク、クロノ!? プ、プププ!」

「ゴ、ゴメン! 聞いちゃった!」

「フェ、フェイト! 何時から、そこに!?」

「あ、うん。割と、最初から」

【ア! ヘイトママ!】 =誤変換+上手く言えない?

 

 ガックリとはしても、気丈に振舞うフェイト。

 

「ヘイト《=憎悪》・・・な、なぁに? デュオ?」

【ロシュツキョーッテ、何?】

「・・・フェイト! 気をシッカリ持つんだ! 子供が言った事だ、気にするな!」

 

 クロノは自分にも言い聞かせるように、力を込めている。

 

「う、うん。今のは一寸、挫けるかと思った。でも大丈夫!

何処でそんな言葉、覚えたのかな?」

【ンート、メット!】 =インター・ネット

 

 

 子供にはまだネットは速いと言う事で、プロテクトが強化されたとか・・・

それを掻い潜り、プロテクトを解除し、さらなる情報を手にするデュオ。

 

 末恐ろしい才能を見せた瞬間でも有ったと、皆が語り草に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 とある日、皆の手が放せない時が重なり、本局へと連れて行かれた。

 

 受付のソファで一人座っていると、目の前が陰った。

顔を上げると、大きな人がこちらを見ていた。

 

「君は、待ち合わせかい?」

 

 こんな幼い子供が一人で居る事に、疑問を持ったらしい。

待ち人が来るまで、少し話し相手になっても良いかと考えたらしい。

 

【オー! メタボノドンダ!】 =渾名を認識?

 

 周囲が一斉に凍りついた。

 

「だ、誰が、ソンナコト言って居たか。オジちゃんに、教えて貰えるかな?」

 

 出来るだけニコヤカァ(見た目、オットろしい)な、顔をして、聞いた。

 

「中将! こんな小さな子に、そんな顔をしても・・・(泣かせてしまうだけだと言いたい)」

 

 自分の親がどう認識されるか、何気に気にしている副官のオーリス女史。

 

【・・・オヒゲ、触ッテイイ?】

 

 顔より髭に興味津々! 周りは誰も生えて無いから。

 

「・・・ああ、良いぞ!」

 

 意外と上機嫌で、肩に抱き上げて触らせてくれた。

 

【オオ! ザックザク! スゴイスゴイ!】

「ハッハッハ! こんなので良かったら、もっと触っても良いぞ!」

「中将! そんな!」

【ジャリジャリスル!】

 

 周囲のザワメキを余所に、子供と戯れる中将。

それを周囲の人々は、記録として残そうと、次々に収める。

 

 

とあるモブ局員たちの、暴走した会話《聞き耳モード?》を、お楽しみください。

 

 

「お、おい! 見ろよ、あの子供!」

「お、オオ!」

「あの顔で、あんな!」

「・・・明日は、世界の終りが来るな!」

「あ、でも、副官のオーリスさん。長官の娘だろ?

だから、おかしくは無いのかも」

「・・・恐ろしや!」 =見た事が無かった、あんなデレデレな顔は・・・

「でも、あの顔は・・・」 =満面の笑み?

「・・・親だな、人の」 =人では無いと、思われていたようだ!

「だ、だれか! クマ(=渾名)が! 子供を!」 =襲っている様に見えるらしい?

「・・・誰だ、アレは!」

「・・・長官では、無いな」

「誰か、自然保護隊を呼んで来い!」 =半ば本気?

「麻酔銃を!」 =本気?

「オノレ不審者! 神妙にしろ!」

「長官に化けた不審者が現れた様だ!」

「・・・武装隊! 前へ!」

「イヤ、それより白い悪魔を!」

「いや、豆狸を!」

「それより、フェイト執務官を! あの子は、関係者だ!」

「何? それは本当か!?」

「た、確かに、最近見たぞ! 俺は!」

「お、おお! 仲睦まじく、アーン! をされていたのを!」

「イヤ、俺が見た時は、あの! フロスティ女史だった!」

「・・・だったら、それを助けたのであれば・・・」

「俺の!」

「いや、俺だ!」

「「「株が天井登りに!?」」」

「イ、イヤ待て。あの子を助け、印象付ければ」

「・・・おお! パパと呼ばれれば!」

「「「「「いや、呼ばせるんだ。俺の未来の為に!」」」」」

 

 一気にヒート・アップ!   一部、冷ややかぁな目。

 

「「「「「「うおぉぉおおおおぉぉおぉぉぉ!!!!」」」」」」×6?

 

 襲い来る人津波!

 

「はっはっはっ! ココは危ないな。オーリス、一寸抱いていてくれ。何、予行演習だ」 =何の?

「パパ! こんな所で!」

「何、ちょっと懲らしめて来るまでさ!」

【オー、パパ?】

 

 中将を指さし、言った。

 

「え? ええ、私の、パパなの」

【パパ、ガンパレー!】 =名前と勘違い

 

 双方に燃料投下。

 

「応! 見て居ろ! ワシの底力!」

 

 バリバリと、内側から弾け飛ぶ制服!

 その下からは隆々とした筋肉の束が!

 

「オオオオオォォォオオ! この子に会いたければ、ワシの屍を、越えて行けぇぇぇぇぇえええ!」

 

 雄叫びが上がった! それに応えんとする雄叫びも×36?

 その後は、無双。

 そうとしか、言い表せなかった。

 

 死屍累々とする中、呵々大笑とする中将。

その肩に乗り、同じく大笑するデュオ。

呆れ果てるオーリス女史。

 

 ご機嫌で、制服の替わりを取りに帰る中将。

それを、元気よく手を振り、見送るデュオ。

 

 聞く事を忘れる程、上機嫌だった!

 

 管理局員、謎の集団暴走として、内々に処理されたとか、されなかったとか?




まだもう少し続きます。

次回 《第二次 Kids Hazard?》


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話   マリー・ギンガとの出会い 《第二次 Kids Hazard?》

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

今回は一寸した番外編を二本立てでお送りいたします。

これなら、こうなったのではないか? それで、こうなったかも?
と言う思いから・・・


マリー・ギンガとの出会い?

 

 

 今日は、新しい人が来るって!

スパウ姉のお姉ちゃんと、マリーって人が来るんだって!

 

 だから、新しいお洋服?

緑色のスモッグ? =汚れる事が前提?

同じ色の二股に分かれたボンボンの着いた帽子!

 

 それを着て、ビビオ姉と会いに行って来た!

・・・疲れたから途中、ザフィーラに乗せて貰った!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「・・・あら? あの子は?」

「ああ! なのはさんとフェイトさんの子供ですよ。

名前は、ヴィヴィオちゃん」

「ふぅん・・・って! ええええ!?」

 

 そんな姉に遅れながら、何とか追い着いた。

乗り心地は悪くないが、しがみ付いてないと落っこちそうだった。

お陰でゆっくりとしか進めない!

 

「あら、ザフィーラ! 久しぶりぃ!」

【・・・?】

 

 しがみ付いていたデュオに気が付いたのか、

「ええええ!? も、もしかして! ザフィーラとアルフの仔!?」

「え? あ、言われて見れば・・・」

 

 似て居なくはないし、そう考えられない事もない。

 

 もし、人型になって並んでいたら・・・

そう考えられたようだ。

 

「ちょ、一寸だけ、調べさせてもらっても良いかな?」

 

 何となく、不穏な空気を感じ、サッと隠れるデュオ!

 

「マリエル、そんなに自分とデュオは似ているのか?」

「ええ! それに、この子が変身したらと思うと!」

「・・・残念だが、この子は・・・」

 

 ザフィーラが最後まで言う前に、タッタカ逃げ出した!

 

「あ! 待って! モフモフさせて!」

 

 それを見て、何やら直に追いかけられた!

技術者の割に脚は速い!?

 

 意味は判らないが、捕まったら不味い!?

取り敢えずは、逃げる!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「あ! デュオー! こっちこっち!」

 

 ビビオ姉が居る方へまっしぐら!

途中、躓いたが、それどころでは無い!

だから、たたらを踏みながらでも進む!

・・・お陰で大分目標から逸れた!

 

 ボフッと、何やら温かい・・・

 

「お! 大丈夫かな?」

 

 知らない人? でも、知ってる感じ? ・・・頼れる?

だから、その人の後ろにしがみ付いた!

 

「はぁ! はぁ! ギンガ! その仔! 抱っこさせて!」

 

 でも、体力は人並みの様だった・・・

 

「え? ええ!? ど、どうしたんですか? マリエルさん?」

「そ、その仔を、モフモフするの!

きっと可愛いんだろうなぁ!」

 

 ・・・一寸怖い!

 

「えっと、紹介するね。

こちらは、本局第四技術部のマリエル・アテンザ。

で、マリー。

こっちのこの子達がヴィヴィオとデュオね。

ほら、二人ともご挨拶して」

 

 なのはからそう促され、

「えっと、ヴィヴィオです!

この子は、デュオです!」

「あ、マリー。

デュオはお喋り出来ないけど、宜しくね」

 

 そうフェイトママが補足してくれた。

 

「ふぅん・・・ヴィヴィオちゃんが、なのはちゃんとフェイトちゃんの子供で、デュオ君がザフィーラとアルフの子供なんだね」

「「え!?」」

 

 なのはとフェイトはそれを聞き、驚きを隠せない。

 

「えっと・・・」

「は?」

「・・・何を?」

「何が?」

 

 他のメンバーも、何が何やら・・・

 

「何? 違ったの?

私てっきり、ザフィーラの子かと思ってた」

「そ、そう言えば・・・

髪とか、肌の色とか・・・」

 

 なのはは思い当たる節があるようだ。

 

「髪型は、アルフに似てるかな?」

 

 フェイトはそんな事を口にしている。

 

「??? 違った?

てっきり、そうなったのかと思ったんだけど・・・」

「言われて見れば、そんな感じもしないでは無いよな。

言われるまで、気が付かなかったけどさぁ」

 

 ヴィータは妥当だと思った事を口にする。

 

「「「「???」」」」

 

 判る相手には判るが、フォワード陣には意味が判らない様子。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、誤解は解けたモノの、一寸だけ苦手意識が現れた?

それでも、通じるものがある様で・・・

偶にデバイス調整室に妖精さんが踊っていたり、遊んでいたり・・・

そんな様子が垣間見られたとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 

泥棒!?

 

 

   とててててとてととてとてと!

       てててててとてとてととてと!

            とととととてとててとててと!

 

 そんな足音と共に、ヒラヒラと白いモノが裾をたなびかせながら、すっと曲がり角へと消えて行く・・・

 

「ん? ・・・気のせいか」

 

 ロビーへと向かう途中のヴァイスとエリオ。

急に足を止めたヴァイスを、不思議そうに見るエリオ。

 

「如何したんですか? ヴァイスさん」

「ああ、エリオ。

何か白いモンがソコを通った気がしてな・・・」

 

 そう言われ、通路を覗き込むエリオ。

 

「え? ・・・誰も居ませんよ?」

 

 そこには無人の通路が続いている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

その少し前・・・

 

機動六課・女性更衣室

 

 シャワーを浴びて来たのか、シットリと濡れそぼったフェイトが、有る事に気が付いた。

 

「ねぇ、なのは」

「何、フェイトちゃん?」

「えっと、私のワイシャツ見なかった?」

「え? 見てないよ。何か有ったの?」

「うん、一寸・・・一枚足らなくって。

洗濯に出そうと思ってたんだけど・・・」

「さぁー、誰かが持って行っちゃったとか?」

「え? 誰が?」

「え?」

 

 自分で言って見て、何やら雲行きが怪しいと感じたなのは。

 

「・・・一寸調べて見ようよ。フェイトちゃん」

「そうね、なのは」

 

 そんなこんなで大騒動に、繋がる?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

部隊長室

 

【あー、あー。

えー、全男性職員に告ぐ。全男性職員に告ぐ。

これから業務を一時停止し、一時ロビーに集まって下さい。

集まれない場合は、その旨を報告してください。

その場に向かい、確認します】

 

 そんな館内放送が流された。

 

「ハヤテ、大袈裟じゃない?」

「ん、そうかな?

でも、これ位はしておくべきかと思うんやけど・・・」

「でも、これは一寸やり過ぎだと思うの」

 

 これ位はしておくべきと考えるハヤテ。

 一寸やり過ぎだと感じるフェイトとなのは。

 

「なのはちゃん、こういう事はハッキリさせておいた方が良いと思うで?

もしもや、これがなのはちゃんのワイシャツやったら?」

「え? ・・・どうなるのかな?」

 

 今一ピンと来ない様子の高町教官。

 

「・・・直捕まえに行ってくるわ」

 

 直にピンと来たらしいハラオウン執務官。

 

「フェ、フェイトちゃん。これは例えや、例え。

必ずしもそうだとは限らないんやで?」

「え? どうなるの?」

「・・・ええか、なのはちゃん。

もし、ワイシャツやなくて、もっと身近なモノやったら?」

 

 そう言われ、想像してみた・・・???  !  ボンッ!

真っ赤になりながら、

 

「・・・わ、判った。一寸相手を消し飛ばして来る!」

「ちょ、チョイ待ち!

何も必ずしもそうだとは限らないんやから!」

 

 一寸揉めていると、呼び出されたティアナとスバル、キャロが隊長室を訪れた。

 

「あの、何か?」

「あ! 丁度えぇ所に!

三人にちょぉ調べて貰いたい事が有るんよ。

それも、内密に頼みたいんよ」

「な、何を?」

「あんな? フェイトちゃんのワイシャツが一枚、見当たらん様なんよ」

「! 判りました!」

「え!? な、何?」

「え? 何でですか?」

 

 察しの良いティアナ。

今一判らない様子のスバル。

全く判らない様子のキャロ。

 

「もう、察しなさい! スバル!」

「ええ!? 判らないよ!」

「な、何なんですか!?」

「だから・・・」

 

 詳しく説明するティアナ。

 

「あ! 成程!」

「・・・でも、それって、楽しいんですか?」

「まぁ、普通は楽しくはないんだけど・・・

普通じゃないって事だから・・・」

「・・・取敢えず、見付ければ良いと」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

???

 

 丁度その頃・・・

 

「あれ? 遊びに来てくれたんだ!

おお! 一丁前だね! ねぇ、見て見て!」

「ん? わぁ! うんうん!

似合ってるよ! これで仲間だね!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ザワザワとざわめくロビー。

 

「取敢えず、皆に集まってもろたんは他でもない。

ちょぉ調べなアカン事が出て来たんや。

だから、悪いけど協力してな?」

「あの、何か有ったんですか?」

 

 恐る恐るといった感じの一般男性職員。

 

「まぁ、一寸この対応は大袈裟過ぎるとは思うんやけど。

今後の事を考えて、今回は大目に見てやー。

あー、フェイトちゃんの《脱ぎたて》のワイシャツが何処かへ行ってもうたんよ」

 

 ザワメキが大きくなり、あらぬ妄想を駆り立てる。

 

「あ、あの、フェイトさんのワイシャツ!?」

「な、何!? そ、それは、是が非でも!」 =どうする!?

「そ、それが本当なら・・・奪い返すまで!」 =そして、私物化?

「・・・盗ったる!」 =蒐集?

「何!? 是非、私が!」 =どうなる?

 

 ・・・等々

 

 だが、それは一変した。

両脇に佇む二人によって。

 

 完全武装のなのはとフェイト。

事情を前もって知らされた女性職員の視線によって・・・凍結された。

 

「えー、取敢えず。

全員のアリバイと、持ち物検査・身体検査。行って見よか」

 

 ・・・全員の無実は証明された。

ただ、若干名。

別の疑いで質疑応答?

私物とは思えないモノが幾つか・・・

私物だと言い張っていたり・・・

それを聞き、興奮する者、引いてしまう者・・・多数?

 

 身に着けるモノでは有るが、していてはオカシイモノ?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

一方その頃・・・

 

 見付からず、当てもなく。

そんなこんなで、ロビーの方は隊長達に任せ、館内を捜索するティアナ達三人。

 

「しっかし、無いねー」

「うん、何処に行ったのかな?」

「風に飛ばされる・・・筈はないし。

誰かが間違って着て行ったって事は・・・ないよね」

 

 そうこうする内に、デバイス調整室に辿り着いた三人。

 

「こんにちはー!」

「お邪魔します」

「失礼します」

「あ! 丁度良かった! 見て見て!」

 

 一寸興奮気味のシャーリー?

 

「可愛いでしょ!」

 

 一緒に居たマリーも一寸興奮気味?

 

「「「ああ!!」」」

 

 ちんまい白衣を着た科学者(?)が居た。

何やら実験中(?)と言うか、実験の真似事をしていた。

 

「どう? 凄いでしょ!

デュオ君が遊びに来てくれて、当たり障りのないデータ処理を頼んで見たら結構適確なんだ」

「え、えっと・・・デュオ?」

【ナァニ?】

「その白衣、一寸見せて貰っても良いかな?」

【??? ヤー!】 =No!

 

 そう言いながら、その場から逃れようとするが・・・

 

「・・・スバル」

「うん」

 

 そっと後ろに回り込み、両脇から手を入れ捕まえるスバル。

 

「つーかまえた!」

【アー! 捕マッター!】

 

 捕まってもジタバタ!

余りジッとはしていない?

 

「はーい、一寸だけだから」

 

 そう言いつつ、襟と袖を確かめるティアナ。

そこに付いたタグを確認する・・・

 

「あー、やっぱり。

デュオ。これ、何処から持って来たのか、教えてくれる?」

【??? ンーット、シャワシャワ! 置イテアッタ!】

「・・・シャワー室だね。

キャロ、ロビーに連絡を入れて」

「あ、はい!」

 

 そんな騒動を見て、何があったのか判らない二人。

 

「え? 何々?」

「何か有ったの?」

「えっと、フェイトさんのワイシャツが消えてたんで、一寸・・・」

「あ! そう言えば見覚えが有った!」

「ああ! そう言えばコレ、ワイシャツだね!」

 

 更衣室に問題なく出入りでき、何となく置いてあり。

何となく着てみたら気に入ったという真相だった?

 

 大人用を子供が着たら、白衣に見えない事もない?

 

 

 その後、非常時の訓練と言う事で、一寸強引では有るが一件落着?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

数日後・更衣室

 

「あれ? 今度は私のが・・・」

「え、なのはのも?」

「・・・フェイトちゃんも?」

「うん」

 

 

十数分後・デバイス調整室

 

「わーい!」

【ワーイ!】

「あらら、今度は増えたね」

「あーあー、また怒られても知らないよ」

 

 お菓子をパクつく二人・・・

色々と汚れ、食べカスやらで凄い事に・・・

 

 一寸(?)怒られました。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

更に、数日後・・・

 

 ボッコボコ!  チュドン!  チュドドン!  バッサリ!  カッキーン!

 

 ・・・不埒者が捕らえられました。

 

「な、何だったんだ? この基地は・・・」

 

 本物の管理局の制服を纏った偽局員(?)が捕まりましたとさ・・・

調べて見ると、出るわ出るわ。わんさわんさと余罪が現れた?

 

「ご協力感謝します!」

「いやー、流石は本局の方。

我々もコイツには手を妬かされまして・・・」

「は、ははは。

イヤ、ちょぉ訓練していまして・・・」

「ほう、どの様な?」

「イヤ、それは・・・機密でして・・・」

 

 

【言えへん、イタズラ小僧に灸を据えようとしてたなんて・・・】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

そんな事が有ったとか無かったとか?




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

次回 《第三次 Kids Hazard?》


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話   本領発揮! 【別名=不運! ハヤテ城!】 《第惨事? Kids Hazard?》

えー、こちらの回は不運と書いて《ふううん》とお読みください。

楽しむがままに、思い付くがままに・・・


本領発揮! 【別名=不運《フウウン》! ハヤテ城!】

 

 

 とある部隊長の部屋に置かれていた、とある番組の記録映像を。

母親達の世界がどんな所なのかを教える為、借り出されたモノが原因だった!(=内容は知らず、読めず)

全くの善意で在り、咎められる事ではないが、借りたモノが、不味かった?

 

 それを見た子供は子供心に思った、こんな世界が有り、こんな事があるのならば、行く前に体験しても良いだろうと! =力瘤!

 そこで、とある大人の協力の元、実行する事に!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

機動六課宿舎・深夜

 

 コッソリ、小さな影がベッドから抜け出した。

皆眠っている。

 ヴィヴィオ姉を起こしてっと。

 

「ううっ、何?」

 

 眠い目を擦りながら起きてくれた。

 

 この間の一件《本局・謎の大暴走》で、首飾は調整中。声は出ない。

その代り、子供同士での会話に、言葉は要らない。

手振り身振りで伝える事、1分程。

 

「・・・ワカッタ! 直行く!」

 

 ヴィヴィオ姉が、仲間になった!

 

 何人かは、起きている様だが、見付からない様に移動。

 

 以前、マオーママがアレを使っているのは見てたし。大体判った!

 

 後は、簡単だった!

面白い事が好きそうな、とある大人《オオキナヒト》も、引き込む!

 同じ様に、手振り身振り+ヴィヴィオ姉も説得。

 

「なぁに? ソレ? ・・・判ったわ!」

 

 とある大人が、仲間になった!

 

 コッソリコソコソと、外に出て訓練場に・・・

 

 

 そこで三人で、アーでもナイ、コーでもナイと、議論を重ねる。

眠くなったら解散。(集中力が切れそうなら・・・)

 

 そんな事が、繰り返し行われた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ある日、全てが露見した!

特定のコマンドを打ち込まなければ、発動しない筈のソレを、シャマルの一寸した手違いから、打ち込まれた。

 

 阿鼻叫喚の坩堝と化した。

 

 

 分断された隊員達は、新しい訓練の一部だと思い込み続行!?

 隊長格は混乱の只中に! 余りの事態に、魔法を使う事も忘れた!?

 

 

 遠くに異界《=和》風の城が書き割りで建ち!

 

 

 突如として高い塀が現れ!

 

 

 平地だった所が坂道となり、滑り易くなった!

その坂の頂からは、巨大な大玉が転がり落ちる!

 

 

なのはSide

 

 なのはが巻込まれたのは、迷路と化した変な館。

その周囲には池が現れ、怪しい声が響く! ケバケバしいペイントのガジェットがうろつく!

壁はカラクリ仕掛けで、どんでん返し、落とし穴、見えない壁。突然、ガスが噴き出したり。

害意や危険は少ないモノの、神経を擦り減らされるモノが多かった。

 

 

 左右を壁に挟まれた平地では、アメフトっぽいペイントのガジェットが、ウロウロ。

稀に、廻しの様なモノを付けたモノも!

ソップ(Ⅰ)形、あんこ(Ⅲ)形も、それぞれ・・・

 

 

ティアナSide

 

 イキナリ池が現れ、一枚板の橋が掛る。正面からは、Ⅰ型のランチャーから、ゴム毬による砲撃!

周囲には、岩が所々顔を出していた。

 

 偶々、ティアナがその岩の上に居り、横手の岩に飛び移ろうとすると、動いた!

ただ浮いているだけの偽物(ダミー)であった!

別の岩にしがみ付くもソレも・・・

更に別の岩にしがみ付き、事無きを得たが、ゴム毬の集中砲火を浴びる事に!

さらに落とされた!

 

 

ギンガ・スバル ペアSide

 

 スバルとギンガは、イキナリ四枚の壁に囲まれた!

丁度、走っていた事もあり、制動が間に合わず、激突する事に!

 

 ブチ破って飛び出した!

呆気無くブチ破れたのが面白く思ったのか、再度別の壁に激突したが、跳ね返された!

ギンガは別の壁にブチアタリ! 跳ね返されそうになるが、強引にブチ抜く!

その先には、落とし穴が!

・・・穴からは、変な叫び声が聞こえて来た!?

後を追ったスバルも穴へ・・・二重奏に!

 

 

キャロSide

 

 キャロは、突然、盥に乗って坂を滑り落ちる事に!

ザンブと水の中に落ちたが、持ち前のバランス感覚で事無きを得た!

そのままドンブラコッコと流されて行く!

 偶に、銀色の大玉が右へ左へと宙吊りで振り子の様に襲い来るが、ギリギリ避けられている。

さらに、狙い澄ましてバレー・ボール大の銀色の弾も飛んで来る! 極稀に金色も!

それを全て避け、跳ね返していると、海へ。

 どれか一つでも取っていれば、何か・・・変ったかも?

 

 

エリオSide

 

 エリオは、巨大なローラーの上を、ひたすら走りながら次のローラーへと渡り、安全な地面を目指す!

下は、泥沼と化している!

 

 無事たどり着いた先では、イキナリバレー・ボールが物凄い勢いで飛んで来たから避けた!

避けた途端! 死角から柔らかい棒に突き落とされた!

 下は普通の地面に見えたが、直に穴が開き。下は滑り台と化していた!

その先は、海に通じていたとか・・・

 

 

フェイトSide

 

 ロデオ・マシンらしきモノには、フェイトが跨っている!

衣装はカウボーイ・スタイルに変わり、激しく動き回る!

そこをガジェットⅡ型らしき、小さな模型らしきモノが飛びまわる!

どうやら、全て撃墜しなければ解放されない様だ。

狙いは定まらないし、目が回るまで、暴れまわる!

 

 

ヴィータSide

 

 ヴィータは、呪いウサギの着ぐるみに包まれ、高い平均台の上に・・・

下は泥沼と化した!

 その前後には、巨大な鉄球が左右に行き来している。

それを交しながら、前へと進むが、着ぐるみの頭部が邪魔をし、挟まれ、落ちた!

ピンクの泥沼に・・・落ちた。

ピンクなウサギさんに成り、呪詛を・・・

これがホントの呪いウサギ?

 

 

ハヤテSide

 

 偶々、はやてが見学に来ていた時でも有り、巻き込まれた!

何故か、肉襦袢で、何十枚も重ねられた座布団の上に座っていた!

座布団自体が大き目であり、バランスは保てるが、崩れそうで崩れず、ドキドキハラハラ!

 命綱が付いてはいたが、肉襦袢に阻まれ、見えない!

・・・崩れ、そのまま、中吊りに・・・晒し物に!

 

 

シグナムSide

 

 シグナムは、何故か馬の被りモノで、前が見えているかは不明。

足元がローラー・スケートで、手が蹄と化し、何も掴めない!

 フラフラヨロヨロしながら、前に進もうとするが、周囲からはガジェットが小突き廻しに!(小突くだけ)

倒れても、起き上がるまでは待って貰えるが、起きた途端に小突かれる!

 何故か、その様子は日頃の恨みを晴らさんとしている様に見えたとか、見えなかったとか?

 それを見た者は、産まれ立ての仔馬の様だったと・・・

 

 

 偶々、シャマルに案内され、訓練場を取材に来ていた広報部隊は、その一部始終を記録に収めている。

一部、巻き込まれても居たが・・・楽しそう?

 

 シャマルは何とか元に戻そうとするが、更に酷く変更されて行く!

自分ではどうにも出来ないと感じ、シャーリーを呼び、収拾を図る!

 

 シャーリーも自分達しか知らない、稼働しない様になっていた筈のモノが、まさか稼働するとは思わずに居た為、呆気にとられる。

 

 

 一部、嬉々として参加し様とするモノ。救助と称し、あわよくば、良い目が見られるのではないかと、画策するモノも!?

 

 

主犯《?》Side

 

 そんな中、二人の小さな人影は、協力し合い、最初の壁を越えようと奮闘するが、高過ぎた!

仕方なく、ザフィーラの手を借り、乗り越え。

数々の難関を越えて行こうと・・・

 

 

 ・・・したのだが、桃色の光によって、阻まれた!

 

 

 ・・・これは後に、不運! ハヤテ城事件! として、極秘裏に出回る。

管理局の裏歴史・黒歴史として、厳重な管理体制の上、閲覧される事に!

マスター・テープは、複数に分散され、厳重に管理される事に。

 

 某教会の聖象の裏、秘密の物入れに・・・

とある提督の執務室の、鍵の掛る引き出しに・・・

とある管理外世界の、隠居老人宅と某喫茶店に・・・

無限書庫の、最重要区画=司書長以外、立入禁止・取扱注意・持ち出し厳禁の棚に・・・

とある監獄のベッドの下に!

 

 極稀に、その内容が流出し、その度に、桃色と金色とアイス・ブルーの光が舞ったとか・・・

閲覧したモノは、口を揃え。何が有ったのか、完全黙秘した!

 

 だが、無くなる事は無い!

マスターは、それぞれがそれぞれの善意の元、厳重に保管されている!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 結果としてバレ、怒られた!

だが、後悔は無い! 挑戦し続ければ、何時か! あの城に辿り着ける!

今回は、未完のまま、バレタが! 何時か、完成品を再現して見せる!

 

 そして、遊び倒す!(目的が替わった!)

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 原因は、外部からのハッキングによる、誤作動が疑われている。

 

 偶々、とあるモノの様子を伺う為、能力をフル稼働させ、全員集合(一人は仕事の都合上、折り合いがつかず欠席)の上、心配しているであろう相手は現地に見学に。

Live中継で、様子を伺っていた為・・・らしい!

 

 一応、ガラス越しに出会ってはいるが、まだ、そんなに言葉を交しても居らず。

カメラ越しに知っている甥の様子を、せめて現状だけでも知らせようとした結果である。

 

 感情を制限されている筈が、呵々大笑・笑渦(しょうか)に包まれていたとか!

 

 ・・・その事は、後に無かった事とされた・・・




次回 急転直下?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話   来るべき時

えー、シリアス展開に直行いたします。

暫くの間は、シリアスな展開が続きます。

これは原作を見ず、他の方のSSを見てこうなったのでは? などと想像の上で創られています。

私の中ではこうなったかと・・・


来るべき時

 

 

 その日は、朝から頭が痛む。

ただ、ズキズキするだけだと思い、何も伝えなかった。

 

 それが、こんな事になるなんて・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 最初に気付き、見付けたのは、ヴィヴィオだった。

 

「デュ、オ? 如何、したの?」

 

 返事は無い、動いてもいない・・・

力なく倒れたまま、ピクリともしなかった・・・

 

 

 直に、大人が呼ばれ、搬送された。

 

 

 特に異常は見られないが、意識が無い。

デュオはそれ以上の変化・悪化が起こらないか、確かめる為の機械に繋がれた。

 

 

 機動六課・医務室のソファーにて、

「わ、私、お姉ちゃんなのに。気、気付いて、あげられなかった!

だ、大、丈夫、だよね! 直、元気になる、よね!」

 

 そう言いながら、なのはに縋りついた。

なのははヴィヴィオを、ギュッと力強く抱き返す。

返す言葉は見付からない。だが、言うべき事は、あった。

 

「ヴィヴィオの所為じゃないの。

・・・何時か、こうなる事は、判ってたの。

それが、何時かは、判らなかっただけで。

・・・こんなに早くなるなんて、思っても居なかったの!」

 

 さらに、フェイトも抱きしめ、付け加える。

 

「・・・ヴィヴィオの所為じゃないのは、確かだよ。

私も、忘れ掛けてた。

・・・あんなに、元気だから。ずっと、先の事だとばっかり!」

 

 ハヤテはそんな三人を前に、時間が来た事を告げた。

 

「う、うん! 分かってる!」

「・・・分かった! じゃあ、ヴィヴィオ。

一寸、ママ達行って来るから、デュオと一緒に、居て貰っても、良いかな?」

「デュオの事、守ってあげてね・・・」

 

 戸惑いながら、その事を真剣に受け止めるヴィヴィオ。

 

「う、うん! 任せて! 私、絶対に守るから!」

 

 二人に心配を掛けまいと、気丈に答える。

それを見て、少し安心したのか、二人の足取りもしっかりとしたモノとなった。

 

「じゃあ、行ってきます!」

「行って来るね!」

「行ってらっしゃい!」

 

 そう言い残し、その場を後にする。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ある連絡が入った。

 

「な、に? それは・・・

・・・分かった。直に手配しよう。・・・ウーノ!」

「はい!」

 

 何時にない、緊迫した雰囲気のドクターに、気押されながらも応える。

 

「計画を・・・実行に移すぞ!」

「・・・ですが!」

「一刻の猶予もない! ・・・実行に、移すんだ!」

「・・・はい。ですが、急に何故?」

 

 訝りながら、何故、早めるかを聞いた。

 

「・・・時間が無い」

「!・・・それは」

 

 それだけで、察した。

それだけ急ぐと言う事は、あの子に何かが有った!

 

「そう言う事だ、全員に通達しろ。至急、奪還せよと!」

「はい!」

 

 そうこうする内に、何人かが、ドクターに詰めよった!

 

「おい! 大丈夫なのか!?」

「落ち付け!」

 

 詰め寄るノーヴェに、制止に入るチンク。

 

「こんな時に! 落ち着いていられるか!」

 

 バン!

ウェンディに突き飛ばされ、一瞬何をされたのか判らなかったノーヴェ。

 

「・・・こんな時だからこそッス! 暴れてどうにかなる位なら、私が!」

「・・・そうだね、どうにもならない。だから、私はドクターを信じる!」

 

 セインは、何時ものチャラ付いた態度で無く、一貫した態度を見せた。

 

「セイン、お前。・・・判った、ドクター、指示をくれ。

私達は、何をすればいいのか、如何したら良いのかを、示してくれ!」

 

 トーレの言葉に、皆が一丸となった!

 

「・・・分かった。ならば、計画はこうだ・・・」

 

 

 そうして、役割が振られ、それぞれが持ち場へと付いた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

六課宿舎

 

 外では、大規模な戦闘が起こり。度々、宿舎そのものが、揺れている。

 

「!・・・大丈夫! お姉ちゃんが、ついてるから!」

 

 ベッドの傍には、ヴィヴィオがしがみ付いている。

少しでも、揺れない様に、抱き締めて居れば大丈夫だと信じ、片時も離れようとはしない。

 

「皆も、頑張ってるんだから。・・・ここは、大丈夫!」

 

 震動が治まり。外が、静かになった。

 

「・・・終わった、のかな?」

 

 その時だった。外から、緊迫した声が聞こえたのは。

 

『だ、誰ですか! 貴方達は! キャァア!』  ダン!

 

 何かが、叩き付けられる音がして、静まり返った。

 

 ギッギッギィイィィ!

 

 震動により、扉が歪んだのか、軋む様な音を上げながら、扉が開かれた。

そこには、見知らぬ長身の女性《=トーレ》が現れた。

 

「お、お姉ちゃん、誰!?」

「ん? 私はその子の叔母に当たる。

・・・その子は、我々が連れていく」

「だ、ダメ! デュオは! 病気なの! だから、連れて行かないで!」

 

 そう言いつつ、立ち塞がった!

 

「・・・だが、ココでは、助ける事は出来ない。だから強引にでも、連れて行かせて貰おう」

 

 その静かな剣幕に圧されるヴィヴィオ!

それでも、負けじと退かない!

 

 それを見て取って、関心を示す。

 

「お前は、その子の、何だ?」

「わ、私は。ヴィヴィオは、デュオの、お姉ちゃんだから。

ママ達の分も、守らなきゃ、いけないの!」

「・・・そうか、この子は恵まれているな。

こんなに、思って貰える相手が居るなんて・・・

だが、それだけではこの子は、デュオは、助からない。

連れて行くぞ」

 

 そう言うと、軽く手を振り、押し退けた。

 

 軽く振った様な、たったそれだけで、弾かれ、叩きつけられた。

 

「かはっ!」

 

 肺から空気が押し出され、息が詰まる!

 

 それでもう良いとばかりに、ヴィヴィオを無視してベッドへと近付く。

その眠ったままの小さな体を、そっとシーツで包み。大事そうに抱きあげる。

 

 ヴィヴィオは叩きつけられたものの。それでも立ち上がり、その足を縋りつく様に掴む。

 

「・・・駄目! 連れて行かないで!」

「・・・なら、一緒に来るか?」

 

 そんな事を言われるとは、考えもしなかった。

 

「え? ・・・良いの?」

「その代り、お前には、やって貰う事が有るが、良いのか?」

 

 戸惑いながら。その事と、一緒に居る約束を守れない事とを、天秤にかけた。

・・・そして、答えを出した。

 

「う、うん! デュオが治るんだったら、行く!」

 

 その答えを聞き、その決意を目にし、トーレは言葉を繋いだ。

 

「・・・辛いぞ」

 

 ヴィヴィオはその言葉にたじろぐが、

 

「で、でも! ・・・それでも!」 

 

 その目に、確固たる意志を見出したトーレ。

その目は、自分達姉妹の目と似た、意志の硬さと同じに見えた。

 

「・・・分かった、連れて行くからには、後戻りは出来ないが、良いんだな?」

「・・・うん!」

「ならば、この子を抱いていてくれ」

「え? わっ!」

 

 強引に押し付け、もう一枚シーツを持って来ると、有無を言わさず纏めて包んだ!

 

「わっ! え?」

 

 蓑虫の様にされ、軽々と担がれる。

 

「・・・では、行くぞ!」

「わっわっ!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「・・・と言う訳で、一緒くたに連れて来た」

「・・・だからって、これは・・・」

 

 そのヴィヴィオとデュオを見て、一寸呆れた様子で妹を窘(たしな)めるウーノ。

 

「どうしてこうなったんだ?」

 

 結果的には万々歳なのだが、なぜこうなったのか、その経過が判らないスカリエッティ。

 

「だから・・・」

「・・・判った! それはそれで良いから、デュオを」

「はい」

 

 そう言って蓑虫状から解き放ったデュオを、診察台に寝かせる。

 

「・・・状態は? ウーノ」

 

 直に簡易検査に掛けられ、その結果を問い質した。

 

「・・・良くは、ありません。

・・・脳が、圧迫されています。

内部の異物が、活動し始めている様です」

 

 スカリエッティはその事を確認し、結論を出す。

 

「・・・だとすると。せめて、圧迫を緩め。それが外に出る様に、調整を・・・

クアットロ、用意していた物を!」

「はい!」

 

 ヴィヴィオはその様子を心配そうに見守る。

 

「おじちゃん、デュオは、助かる?」

「ああ、助けて見せるさ。この欲望が尽きぬ限りは、な」

「さ、こちらへ。ココでは、邪魔になってしまう」

「うん」

 

 チンクに促され、一緒に退出するヴィヴィオ。

そうして連れ出され、座らされると。緊張していたせいか、眠ってしまった。

 

「何だ、寝てしまったのか」

「ああ、そっとして置いてやろう」

 

 トーレが退出し、ソファを見ると、眠って居るヴィヴィオが見えた。

それにそっと、毛布を掛けてやるチンク。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「クソ! この私の頭脳を以てしても、これは!」

「ドクター!」

 

 声を荒げるドクターに、ウーノは心配そうに、声を掛ける。

イラつきながらも、それをどうするか、どうすればいいのかを考え続ける。

 

「・・・大丈夫だ。手はある!」

 

 それでも、最悪の結果が頭をチラつく。

そうしていると、クアットロが有るモノを手に、戻って来た。

 

「ドクター、用意が出来ました!

何時でも行けます!」

「! 間に有ったか!

良し! 術式を開始する!」

「「はい!」」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「・・・え! もう、大丈夫なの?」

「ああ、峠は越えた。会うだけなら、良いだろう」

「う、うん! ありがとう! おじちゃん!」

 

 そう言うと、一目散に居る場所へと走るヴィヴィオ。

 

「・・・良いのですか?」

「ああ、知っておいた方が、良いだろう」

「・・・そうですね。こちらにも、協力して貰う事になりますし」

 

 その事を思うと、少し気が咎めるが、こちらの事情からもそう成らざるを得ない事は承知している。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 シリンダーの前で、クアットロが何やら、端末に打ち込んでいる。

 

「あら? アナタは・・・」

「あ! お姉さん! デュオは!?」

「ああ、ココに居るわよ」

「ど、ドコに?」

「だから、ここ」

 

 そう言って、指し示した。

そこには、シリンダーに入った、黝い巨躯。

 

「え? ドコ? 居ないよ?」

「・・・だから、ココよ。ココ、この中で眠っているのが、そう」

「な、何で、そんな事、言うの?」

 

 状況が呑み込めないヴィヴィオ。

その事に特に頓着せず、事実のみを端的に伝えるクアットロ。

 

「こうでもしないと、この子の中の異物は落ち着かないの。

こうしなかったら。多分、明日には死んでしまうわね」

「何で? そういう風に、言うの?」

 

 ヴィヴィオには、淡々と事実のみを伝えて来るクアットロが冷酷に見える。

 

「・・・この子は、そうなる事が前提だったから。

それをどうにか出来ただけでも、良い方ね」

「で、でも!」

 

 それでも、納得が出来ない。

 

「黙りなさい」

 

 当たり前に、自然に心配出来る相手が居る事に、ついイラつきを隠せない。

 

「! ・・・でも!」

 

 バチン!  頬を引っ叩かれた!

ヴィヴィオは頬を抑え、見上げる。

 

「この子は、私達の子。だれにも、渡さない」

 

 何処か遠くを見る様に、陶然とした様子で話し続ける。

 

「で、でも!」

 

 バチン!  更に反対側も叩かれる!

 

「黙りなさい!」

 

 それでもなお、気にする相手が気に食わなくなってきた。

そして、クアットロは暫し考え、言った。

 

「・・・だったら、貴女も、コッチ側に来る?」

「え?」

 

 一瞬、何を言われたのか、判らなかった。

 

「貴女なら、コッチに来る事は出来るわよ?」

 

 ヴィヴィオはその事が、何を意味するのか判らないまま、ただ反射的に答えを出した。

 

「う、うん! 行く! だから!」

「・・・そう」

 

 クアットロは、にぃっと、両の口の端を釣り上げ、ニンマリ笑った。

悪い笑みを浮かべていた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 痛みが、薄れた。

 

 前が、見える?

 

 クー姉、悪い顔、してる?

 

 ビビオ姉、何か、言ってる?

 

 ・・・眠い。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 台の上に載せられ、上を見上げて居た。

誰かが、こちらを覗き込んでいる。

 

「気分は、如何だい?」

【・・・ドクタ?】

「ああ、思い出せたかい?」

【・・・ココハ?】

 

 ユックリと、体を起こし、周囲を確認する。

 

「君は捕まって、暫くの間は、向こうで生活していたんだ。

それから、色々あってね。

急遽、こっちに戻って来て貰った」

【・・・頭痛クテ、タオレテ、ワカンナクナッテ】

「ふむ、記憶は、元に戻ったか」

【・・・誰?】

 

 ドクターの隣には、見覚えのない、大人の女性。

 

「・・・デュオ、私は・・・」

「デュオ。こちらは、聖王ヴィヴィオ陛下だ」

【オー、陛下・・・ヨロシ、ク?】

 

 挨拶して見たが、何となく違和感が拭えない。

 

「デュオ? 覚えて、いないのか?」

「陛下、デュオは貴女が知っているデュオで在り。貴女を知らないデュオでも在る」

「・・・それは?」

「記憶を喪っている」

「! 何故!?」

 

 ドクターの襟首を掴み、持ち上げる!

 

「・・・こちらには、記憶を喪う前の、バックアップが有ったが、それ以後の物は、存在していない。

だから、曖昧な事しか、思い出す事が出来て居ない、可能性が高い」

「・・・だったら! どうにか出来ないのか!?」

 

 さらに掴みあげるが、太い腕に阻まれる。

 

【ヘーカ、ダメ!】

「放せ! こんな事になると、判っていたら!」

 

 前世の記憶も、こんな力も、求めはしなかった!

今の自分を知る者が居なくなる事、その事が怖かった。

自分と言うモノを保てる、縁(よすが)が欲しかったのに・・・

 

【ビビオ姉!】

 

 咄嗟に呼ばれたその名前、それは自分を呼ぶ物であり。

自分自身を含めた呼び方。

 

「! な! その名で、呼んで、くれるのか?

こんな、この姿であっても・・・」

 

 大人の姿になってしまった自分。

自分がどう言う存在だったのか、それすらも呑み込んで尚、自分をそう呼んで貰えた。

 

 自分が何者か、それがゆえに、人は態度を一変させる。

親しくしていた者も、その名によって、それまでの自分とは違うモノを見る様に接して来る。

 

 その記憶は、かつての、過去の、生前の記憶。

その記憶と、今の記憶が入り混じった自分。

自分がどちらなのか、オリヴィエなのか、ヴィヴィオなのか・・・

 

 立場や姿、そんな事は関係なく、自分を自分として見てくれる事・・・

 

 自身を肯定された気がした。

 

【???】

 

 読んだ本人は何故、その名前で呼んだか、判ってはいない様だ。

 

「ふむ。多少は、思い出せるようだな?」

「・・・デュオ、お前は、その名で、呼んでくれるのだな?」

 

 薄らと涙を浮かべ、こちらを見ている。

 

【・・・ナンデ?】

「イヤ、良い。お前には、そのままで、居てくれないか?」

【・・・ビビオ姉?】

 

 何となく、そう呼ぶ事が正しいと思った。

 

「そうだ、お前になら、そう呼ばれたい」

【オー、ワカッタ!】

 

 話が着いたと見るや、ドクターから忠告を受けた。

 

「デュオ。一応、言っておくが、当分の間。ブリアレオスから出てはいけない。

まだまだ安定したとは、言えない。何時どうなるか、判らないから。極力そのままで居なさい。

もし、外したいのであれば。私か、クアットロの元でだけにしておきなさい」

【・・・ハズレタラ?】

「・・・どうなるか、判らないな」

【ワカッタ!】

 

 

   ・・・   ・・・




まぁ、ヴィヴィオはイキナリ大人となりました。

レリックを埋め込まれた時点で、大人モードとなり、前生の記憶とが入り混じり、自身がどういった存在だったのかで不安な様です。

それを肯定する存在として、終始変わらない態度を見せる存在は支えになるかと・・・


次回 箱船襲来です。

話しとしては飛んでしまいますが、ご了承を・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話   至るべき道

えー、時間を大幅に飛び越えます。
あっちこっちへと・・・行ったり来たりと・・・

時間軸通りにはなっておりません。

私なりの解釈の元、こうなったのでは、こうであったのでは、これなら面白そうだと、勝手に捏造しております。

そこはご理解の程を・・・


武器に関しては、武器図書館と言うサイトをご参照願えれば判り易いかと・・・


至るべき道

 

 

 そこは、戦場と化した。

Cradle《クレードル》=揺り籠と呼ばれる船は、襲撃を受けている。

 

 ある人物達の奪還を目指し、激戦が繰り広げられる。

既に内部の奥深くにまで、入り込まれている。

 

 その行く手を阻む、最後の砦として。

一機、残されていた・・・

 

「クッ! テメェかっ! 一つ目ェ!」

 

 コットス = 隻眼鬼《サイクロプス》

金属の箱に腰掛け、長柄の得物を手にし、敵《ヴィータ》を正面から見据えている。

 

 そこで伝えられた事は、高町 なのはだけなら、通しても良いとの事。

 

「なのは、お前は先に行け。

私は、コイツとケリを着ける!」

「で、でも!」

「良いから、行け! 向こうも、それは認めてやがる」

 

 後ろ髪を引かれる思いであったが、今優先すべき事を決めたなのは。

 

「・・・判った。じゃあ、また後で!」

「応!」

 

 なのはは、その横を通り抜け、奥の扉へと向かう。

その後ろ姿を見送り、次の隔壁が閉まったのを確認し、

 

「・・・行ったな。だったら、おっ始(ぱじ)め様か!」

 

 コットスはゆっくりと立ち上がり、その得物を振り回す。

その腰には、更に別の武器が一つ、着けられている。

 

「へぇ、珍しいモン、使うんじゃねぇか!」

 

 

 フュスキーナ Fuscina

三つ又に分かれ、長さは2m程。かつて網闘士《レティアリイ》と呼ばれる剣闘士《グラディエーター》の得物。

 

 グラディウス Gladius

短剣と言えるほど短くもなく、長剣と言うには、長さが足りない、中間の両刃の剣。

 

 

「ソイツが上手く使えるのかは、知らねえが。

相手にとって、不足は無(ね)ぇ! 行くぜ!」

 

 向かって来る敵に、長柄のソレを、横薙ぎに叩(はた)き付ける!

 

その意外過ぎる大雑把な使い方に、怒る。

 

「な! 何だ! その使い方は! 普通、そんな風には使わねぇ!

大体そりゃ! 突き込む物(モン)で有って! 蠅叩き見てぇに使う物(モン)じゃねぇ!」

 

 激昂させた!

それでも、お構いなしに叩き付ける!

 

「・・・テメェ! 何なんだ! まるで、素人じゃねぇか!

・・・何とか言いやがれ!」

 

 それを交わしながらも、気が抜けない様子で、立ち合う。

 

【・・・コレ、ハジメテ!】

「は? 如何言う事だ!? ってか喋れるのか?」

 

 これまで一切喋らなかった事もあり、自律駆動の戦闘機械だとばかり思っていた。

その事に軽い驚きを覚えつつ、喋り方が幼い事が少し引っ掛かったが、続いた言葉に頭に血が上るのを抑えられない。

 

【時間カセギ!】

「・・・何、だって? 手前(てめぇ)、おちょくってるのか!」

 

 ガィイン!

 

 初めて、打ち合った!

柄と柄がぶつかり合い、押し合い、圧(へ)し合う。

 ヴィータはその体格差が有っても、力負けしていない。

お互いに押し、離れる!

 

「・・・手前、何者(なにもん)だ、名を名乗れ。

私(アタシ)は、雲の騎士団(ヴォルケン・リッター)の鉄騎、ヴィータ。

・・・お前は?」

 

 これだけ話せる事もあり、それなりの知性も備えているだろうと類推し、問うてみた。

 

【・・・ヘカトンケイル・シリーズ・コットス。

・・・デュオ・J・スカリエッティ】

 

 ヴィータはそれを聞き、軽い動揺を隠せない。

 

「な、に? ・・・オイ! もっぺん、言って見ろ!」

【???・・・ヘカトンケイル・シリーズ・コットス = デュオ・J・スカリエッティ】

「テメェ、嘗めてるのか? そりゃ、手前等が攫った、家の者(もん)の名前と、同じじゃねぇか!」

 

 連続して叩き付けられるそれを、機体性能だけで、見て、交す!

受けたら、飛ばされる!

 連撃が治まり、一寸だけ距離が取れた。

だから、聞いてみた。

 違和感を感じるそれについて・・・

 

【・・・誰?】

「はぁ? 手前が、それを言うか!?」

 

 ヴィータは息を整えながら、言い切った!

 

「ウチのデュオはな! そりゃ、小憎たらしいが、可愛い・・・私らの、子だ!」

 

 最後の言葉が、何かを揺さぶる。

 

【・・・誰?】

「何所へ・・・やったんだよ。・・・最後に、会った時なんて、急に、倒れやがって」

 

 何かが、頭をもたげるかの様に、蠢き始めた。

 

【・・・誰? ・・・誰?】

「スッとボケるのか? ヴィヴィオと一緒に、手前等が、攫って行ったんだろうがっ!」

 

 それが指し示すのは、大人な女性と、幼い少女。

何故、二人なのか、その事が判らない。

 

【・・・ヴィヴィオ陛下?】

「ああん!? 誰だ? そりゃ?

陛下なんて付く奴は、ウチには居ねぇ。高町 ヴィヴィオだ!」

 

 幼き姿と、大人な姿、どちらも同じモノとして認識できる。

だから、更に応えた。

 

【・・・ビビオ姉?】

「おい、そりゃ、如何言う事だ? その呼び方は・・・」

 

 ・・・ビクン!

 

 突然、コットスが身震いすると・・・動きが、声が、替わった。

仕草も、何処となく女性的な感じへと変化した。

 

「・・・おい、答えろ! 手前、何者だ?」

 

 その変化を見逃さず、更に問うた。

 

【あらあら、その位にして貰えないかしら?

この子、まだ病み上がりだから・・・無茶はさせたくは無いの】

「ああ゛? 何言ってるんだ?

・・・さっきの奴とは、違う?」

 

 ついさっきまで話していた相手とは、声も何もかも違う事だけは判った。

だが、それがそのまま相手が入れ替わったのか、体を乗っ取ったのか・・・

多分、後者だろう。

 

【でも、貴女には、消えて貰った方が良いのかしら?

この子を惑わせるモノには・・・サヨウナラ!】

 

 そのまま、腰に手を遣り、何かを投げ付けて来た!

それは、向かって来る先から、拡がった!

 

「な!? これは!?」

 

 脳裏に浮かんだのは、網闘士《レティアリイ》と言う名の意味。 =投網《レテ》

 

「クソ! そうだよな! 得物を見た時に、気付くべきだったんだ!」

 

 ヴィータは絡み付くそれを振り払おうと、足掻く!

だが、引き裂く事も、引き千切る事もかなわない。

その行動が、更に自身を束縛していく!

 

「クッ! こんなモン!」

【無駄よ? ソレは、そう簡単には、引き千切れない様に作られているしね?】

 

 ゆっくりと、確実に仕留める為、慣れないフュスキーナを手放し、腰に手を廻し、容易に扱えるだろうグラディウスに手を掛け、引き抜き、近付く。

 咄嗟に、その迂闊に近付いて来るそれを好機とも捉え、戦いで培ったソレが反射的に命じていた。

 

「クッ! アイゼン! ラケーテン!」

【Jawohl.】

 

 身動きが取れないまま、ジェットによる回転を始め。

コマの様に回転しながら、相手の足に叩き付ける!

 

 ガキョッ!  拉げる足!

 

【な!】

 

 それでも、回転が止まらず。

さらには、投網が相手にも絡み付き、更に叩き付ける!

 

 ガリガリガッギギキィィ!

 

「な! と、止まれ!」

 

 思わず口にするも、そう簡単には止まらず、止めを刺すに至った。

 

「あ・・・ああ! デュオ!」

 

 その、アイゼンの刺(とげ)が刺さった、胸の辺りからは、赤い液体が・・・流れ出ていた。

あり得ない程の量が、流れ出した。

 

「ああ・・・あ、ど、どうし、て?」

 

 唖然とし、呆けている。

自分が、何をしてしまったのか・・・考えるのが、怖かった・・・

 

 

 

 何時まで、そうして居たのか。

 自分が揺すられているのに、気付くのが遅れた。

 

「・・・タ! ・・・ヴィータ! ヴィータ!? どないしたんや!」

「ア、ハヤテ?」

 

 己を取り戻すと、ハヤテが、傍に居た。

 

「どっか・・・怪我ぁ、したんか!?」

「ア、アタシは、大丈夫・・・! デュオが!」

 

 自分が、何をしてしまったのかを、思い出した。

 

「! ・・・ヴィータ? 如何したか、判るか?」

「は、ハヤテ! アタシ、デュオを、手に・・・掛けちまった!」

 

 ハヤテにしがみ付き、縋り付きながら、言った!

 

「・・・ソレは、如何云う?」

「・・・デュオが、乗ってたかも知れない。アレに・・・」

 

 そう言って、指し示した。

 

 胸に、アイゼンが刺さり。

 

 赤い、何かを流し続ける、隻眼鬼を・・・。

それを見て、どうしてそうなったのかを理解した上で、

 

「・・・判った。でも、今はしっかりせな、アカン!」

「で、でも!」

 

 バシィン!

ヴィータはハヤテに頬を張られた!

 

 頬を抑え、呆気にとられながらハヤテを見ると、

 

「嘆くんは、後からでも出来る!

・・・今は、デュオをちゃんと、弔ってやれる様、連れて帰るんが、肝心や!」

 

 ハヤテは、その衝撃の事実が心を揺さぶられたのか、つっかえながらも言葉をつづける。

その顔を真っ赤に染めながら、目に涙を滲ませながら、今は悲しんでやる事も出来ない場であり、どうする事を優先すべきか、指揮官としての顔だった。

 

「・・・そうやないんか? それとも、このまま、野晒しにして。

また何処かの、実験材料か、標本にさせるんか! 晒しもんにするんか!」

 

 そう、一括された。

 

「・・・そう、だよな。せめて、そんな事には、絶対(ぜってぇ)させねぇ。何が有ろうと・・・連れて帰る」

 

 グシグシと、涙の跡を拭い、今だけでも立ち直ろうとするヴィータ。

 

「そうや、だったら。せめて、これを抜いて、痛ない様に、してやらんと」

 

 アイゼンを指し示して言った。

 

「あ、ああ。一寸、待って。せめて、何かで、覆ってから」

 

 そう言って、救急箱(レスキュー・キッド)から、大判の布を引き出す。

それを、そっと掛けてやり。目を逸らしながら、そっと、アイゼンを引き抜いた。

 

「よっと! これで、痛くは、ねぇ、よな。・・・ゴメンな、痛い思いさせて」

 

 そう言って、そっと体格に似合わない程の巨躯を、抱き上げた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 なのははヴィヴィオを救い、はやて達を見付けた。

 

「! ・・・はやてちゃん!」

「あ、なのはちゃん。そっちは・・・無事やったみたいやね」

 

 片腕に抱えられて居るヴィヴィオを見て、その無事を確かめた。

 

「? 何か、あったの?」

 

 ハヤテは、ヴィヴィオに聞かせるのは酷だと思い、今だけは後廻しにする事にした。

 

「あ、うん。後で、な。・・・ちゃんと、説明する。今は、帰る事を、優先しよう」

 

 その声色と、様子から、相当な事が有ったと察し。

 

「ウン。でも、話してくれるんだよね?」

「・・・うん」

 

 気が咎めるが、今は・・・

 

「・・・ワリィ。なのは、先に、謝っとく」

 

 なのはの方も、今は聞かない方が良いのだろうと解釈し、その先に続く言葉を遮って先延ばしにする事に・・・

 

「え? ・・・兎に角、後で話してくれるんだよね?」

「・・・ああ、絶対に、帰ろう」

 

 その事を、胸に秘め。

その背に背負ったモノと共に、帰ったら必ず、包み隠さずに伝える事を己に喫した。

その結果、いかなる咎を架せられるとしても・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




えー、気付いている方は、気が付いた通りです。

クアットロの洗脳(説得)から、デュオを守り《戦わせたくなければ》たくば、なのはを倒せと・・・倒す事が出来れば、何もさせないと・・・
そんなつもりはコレっぽっちもないが・・・その様に説得し、納得させた。


なのはは最初から大人なヴィヴィオと戦い、勝利。
クアットロも壁抜きで仕留める。


デュオも足止めとしての仕事を全う。


ハヤテはエンジン破壊。


閉じ込められる事はなかった。
そこまで知りませんでしたので・・・


では、次回 残された・還されたモノ達・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話   行き違う思い

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


行き違う思い

 

 

 本体に意識を引き戻された。

何かを、思い出せそうな気もしたのだが。

クー姉から、こっちが忙しいから、こっちを優先する為に言われた。

 

 侵入して来た敵の迎撃。

今はそれを優先する!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 今度は、出来れば捕獲する様に言われた。

だったら、何が良いのか?

射出系(ランチャー)? 投網(レテ)? = ・・・ネット・ランチャー?

 

 でも、相手は速過ぎる・・・

 

 ・・・ポン!  仕掛罠(トラップ)!

 

 ・・・餌は?  ・・・ポン!  ドクター!

 

 だったら、準備しないと!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 一番の玩具箱? =スクラップ置き場でゴソゴソと、使えそうなモノを漁る。

 

 ・・・確かココに・・・有った!

 

 ・・・それと、コレと・・・コレ!

 

十分後

 

 ガサゴソと、あり合せのソレを組み合わせて行く。

・・・出来た! 即席だけど、良い考え!

 これなら、ドクター。大満足な・・・筈!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【ドクタ! コレ!】

「・・・何だい? ・・・それは」

 

 防弾チョッキの様なそれ。ボディ・アーマーにも見える。

 

【捕マエル! 作ッタ! 着ケテ!】

 

 何を言われているのか、今一判らないが、言われるがまま、白衣を脱ぎ、それを身に着ける《注!=極一部に対し》心優しいスカリエッティ。

その上から白衣を着る。

見た目、そんなに変わらない。

 

【・・・OK】

 

 そんな様子を微笑ましく思いつつ、スカリエッティは優しく諭す。

 

「・・・何をするのか判らないが、お前は気を付けていなさい。

病み上がりなのだからな」

【ハァイ!】

「フ、返事は良いな。だが、当てにしているぞ」

【オー!! ・・・オ?】

 

 

 後ろに何かが、見えた!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 フェイトはスカリエッティを補足した。

 

 居た、相手は百目鬼(ドウメキ)。向こうには、死角が無い。

こちらが見付けたと言う事は、既にこちらの場所も捉えられている筈。

だったら、一瞬で回り込んで、仕留める!

 

 ヴェロッサや、シャッハと逸れたのは、不味かった。

せめて二手からなら、何とか、確実に仕留められるのに・・・

 

 もう、不意を突いてどうこうと言う訳にも、行かない。

 

 再度確かめると、スカリエッティと同行している。

・・・ならば、スカリエッティに、止めさせるまで!

 

【ソニック・ムーヴ】

 

 相手の不意を突き、スカリエッティの後ろを取り、バルディッシュを突き付ける!

 

「・・・オヤ、随分と手荒い侵入者だね」

 

 驚きはしても、まだまだ余裕を見せるスカリエッティ。

直に落ち着き払い、泰然とした態度を崩さない。

 

「貴方を、世界規模のテロリズム・違法医学の実行。その他多数で、逮捕します!

・・・あと、それに動かない様に命令しなさい!」

「オヤオヤ、随分と警戒されているね。

だが、あの子は下がらせて貰うよ?」

 

 その言葉に眉を顰(ひそ)めつつ、平然としながら、そんな事を言うスカリエッティ。

 

「! ・・・それは、どう言う事かしら?」

「なに、あの子は病み上がりでね。アレが壊れたら、一日と持たずに死んでしまうだろう。

そんな事になったとしたら。私は娘達に嫌われてしまうからね。

それだけは避けねばならないし。アレは、私の可愛い孫だからさ」

 

 そう言いながらデュオの方へ顔を向け、落ち着き払った様子で、

 

「ココは危ないから、向こうに下がっていなさい」

【・・・イイノ?】

 

 咄嗟に動く事が出来なかったが、如何にか出来る手は残っている。

ただ、そう言うのであれば、もう暫くしてからの方が良いのだろうか?

 

「今は私の身より。お前の身に何かが有った方が、心配だからな。

だから、下がらせても良いだろうか?」

 

 フェイトは逆に問われ、逡巡する。だが、出せる答えは決まっていた。

自分も、親である事から・・・

 そんな姿を見せたくは無い、と言うのであれば、聞いてやっても良いのではないかと考えた。

 

「判ったわ、その代り。見える範囲で端によって、座っていなさい」

「言われたとおりにしなさい。

そうすれば、暫くは大丈夫なはずだから」

 

 言われたとおり、部屋の隅に身を寄せ、蹲(うずくま)る。

 

 スカリエッティを椅子に座らせ、その辺りのコードを引き抜き、縛り付ける。

それから、尋問した。

 

「・・・随分、良く言う事を聞くのね」

「・・・そりゃ、私の可愛い孫だからさ」

 

 それを無視し、その巨躯に問いかけた。

 

「・・・名前は?」

【・・・】

 

 帰って来たのは、沈黙。

 

「答えて上げなさい」

 

 スカリエッティの一言で答えた。

 

【・・・デュオ・J・スカリエッティ】

「! ・・・幾つ、なのかな?」

 

 何となく、幼子に問う様に声を掛けるフェイト。

 

「さぁな、そればかりは、私にも判り兼ねる。多分・・・3~4歳かな?

判っているのはそれ位だ」

 

 それを聞き、思い浮かべる。では、この、中身は?

顔をきつく引き締め、さらに問うた!

 

「・・・じゃぁ、この間の襲撃で、貴方達が攫って行った、ヴィヴィオとデュオは・・・何処?」

「・・・ヴィヴィオ陛下に関しては、揺り籠だ」

「デュオは!?」

「目の前に、居るが?」

 

 そう言い、指し示した。

 

「そ、そんな!」

「あー、間違っていたらアレだが、デュオに関してはあのままであれば、死を免れなかった。

だから、連れ帰った。

今は、アレで症状を抑え込んでいるに過ぎない」

 

 そう言われ、最後に別れた時の事が、浮かんだ。

 

「・・・デュ・・オ?」

【ナァニ?】

「私の事、覚えて無い?」

【・・・敵! 夜叉! ロシュツキョー! 鬼!】

 

 グッサリ! バッサリ! ハキハキと答えられた!

 

「ハッハッハッ・・・! イダダダァア!」

 

 その答えにスカリエッティは大受けし、大笑いするが、フェイトにバルディッシュでゴリゴリと、コメカミを抉られた!

 

「・・・どう言う事か。応えて、貰えるかしら?」

 

 凄味が五割増しになった!

 

【・・・オオウ! オッカナイ!】

 

 更に倍に!

 

「! イダダダ! タンマ! タンマ!」

 

 更にゴリッ! ガリッ! と、抉らんとするフェイトに待ったを持ちかける。

 

「おう・・・イツツ! これは結果としては、まだ良い方だ!

そのままであれば、全てを喪い、戻らなかったはずだからな。

だが、此方には記憶のバックアップが有り、その分の記憶だけは取り戻せたんだ!」

「じゃぁ、それ以後は?」

「・・・多少であれば、思い出せるだろうが・・・

全てを思い出せるかは、判らない。

・・・それに、まだ予断を許さない状況でもある」

「そう、でも、あなたを捕まえておけるのであれば、それは防げるかもしれないと言う事でもあるわね」

「そう、上手くいくかな?」

「それは? ・・・!」

 

 

 目前に迫って来た巨大なブーメラン!

フェイトは咄嗟に避けた事で大事は無いが、デュオが居ない!

 

「こう言う事だ!」《トーレ》

 

 声がする方を見ると、離れた所で、抱き抱えられられた姿。逆の方が似合うだろう姿が、目に飛び込んできた!

俗に言う、お姫様抱っこされて離れて行くデュオ!

トーレに抱えられ、満更でもなさそう。《=楽が出来るから!》

 

「あ! 待ちなさい!」

「・・・おぉい、私は如何なるんだ?」

 

 置いてけぼりを食らうスカリエッティは、そんな事を小声で言う。

 

「そうだった!」

 

 フェイトは、スカリエッティをそのままにする事も出来ず、椅子ごと引き摺ってでも追おうとする!

 

「ギャヤアアァァァァァア!」

 

 後ろ向きに、猛スピードで椅子の足が削られて行く!

その事に、ある種の恐怖を覚えるスカリエッティ。

そのまま、引き摺られてしまうのではないか!?

そして、擦り下ろされてしまう!?

 

 だが、そうはならなかった。

代わりに椅子がバラけ、猛スピードで壁に激突!

 

 ドゴンッ!

 

 後頭部を抑え、ゴロゴロと転がるスカリエッティ。

頭部だけが痛み、体は痛くは無かった!

 孫から貰った初めてのプレゼント《?》に感謝していた。

だが、それも長くは続かない!

 

「ああ、有った有った!」《物扱い?》

 

 鬼《フェイト》が、還って来た!

 

「ふ! そんな事で、私をどうにか出来るのか?」

 

 そんな風に、一寸だけ強がって見た。

 

「してみせるわ! 私は、あの子の為なら、鬼にでも成って見せる!」(すでに鬼!)

 

 流石に頭部を強打した事もあり、直には動けないスカリエッティ。

傍まで来て掴み上げ、引き摺ろうとするフェイト。

そこへ、小さな声が聞こえて来た。

 

【・・・ポチットナ!】

 

 突如、スカリエッティの白衣が、ブッ飛んだ!

周囲にネットが張り巡らされ、スカリエッティを中心とした、クモの巣の様なモノが、形成された!

 

 それを真近で浴びた為、簀巻きにされたフェイト!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それを、離れた所で確認したセッテ。

ドクターは・・・無事そうだ。

怪我が無いと言う意味では・・・

 

「・・・それは?」

 

 そう、傍に居た甥っ子に尋ねた。

 

【敵サン・ホイホイ!】

「スゴイナ、それは・・・」

 

 棒読みになるトーレ。

流石に置き去りにする位で、ドクターがどうにかなるとは思わなかったが。

ドクターは自分を餌にする孫を、どう思うのかが心配になった。

イザと言う時には、自分たちが離反してでも守ろうと決めたとか、決定したとか?

 

 頼もしく、末恐ろしい甥っ子を撫でながら。

セッテは決めた、敵には回すまいと・・・

 

 ウーノは全てを見届け。そして、見なかった事にした!

 

 ドクターは、始めて貰ったプレゼントが爆発した時には、意識がぶっ飛んでいた!

・・・何も、覚えてはいなかった!

 

 ただ、孫のプレゼントが自分を救ってくれた事だけを、事実として受け止めた。

どんな方法で有ったかは、思い出せないし、思い出したくなかった?

 

 

   ・・・   ・・・




まぁ、こんな感じにフェイトは捕まり、ある程度の真相を知る事に・・・

次回 送迎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話   親として、子として

かなり分かり辛いかもしれません。

有り得ないと思われ、言われてしまうだろう事も・・・
実際に言われましたが、私の中ではこうなったかなと・・・


親として、子として

 

 

 敵《フェイト》も捕獲、揺り籠には、繋がらない。

・・・する事は無い。

 

 皆も、ソロソロ終わる頃だろうって、ドクターも言ってた!

だから、迎えに行く事にした!

 

 この日の為に、作って来た物もあるし!

 

追加装甲《ギュエス》

 

   多腕(×6)で、色々持てる!

   頭の放熱索がお洒落!

   超長距離移動も楽々!

   何より飛べる!!

 

 今でも飛べるけど、皆から飛んじゃ駄目って!

・・・一寸、天井が低くて、頭がメリ込むだけなのに!

 絶対に、ゼエェェッタイに、余程の事が無い限り、飛んじゃ駄目なんて、言い過ぎだと思う!

だから、コッソリ行く事にした!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 黙って見送ったドクターとウーノの会話

   《聞き耳モード?でお楽しみ・・・出来るかな?》

 

【ドクター、行かせてしまっても、良かったのですか?】

 

「なに、可愛い子には、旅をさせろと言うじゃないか。

アレだけ可愛いんだから、戦闘にも参加させたんだ」

 

【それは、今でも間違いかと、思うのですが】

 

「・・・ちゃんと、帰って来たぞ?」

 

【アレは、我々が取り返しに行ったのであって。

自分で帰っては来れなかったではないですか!】

 

「・・・まぁ、大丈夫だろう!」

 

【逸らしましたね?】

 

「・・・はっはっは! 何の事だね!」

 

【それに、あの追加装甲。ドクター、弄りましたね?】

 

「・・・さて、何の事やら・・・」

 

【アレ、有り得ない速度と航続距離を叩き出して、まだ余裕が有りました。

子供の作った物に手を加えるなんて、何を考えているんですか?】

 

「い、いや、その・・・! そう! 子供では無い! 孫なのだから!

問題は無い! ・・・筈だ!」

 

【余計に駄目ですね、嫌われますよ?】

 

「だ、だが! 喜んでいるのだし、構わないのでは?」

 

【・・・本音は?】

 

「いやぁ、巨大ロボとか、男のロマンだろう?

だから、せめてその手伝いでも出来ればと・・・」

 

【そうですか・・・!】

 

「ん? どうした? ウーノ? な! ・・・!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【ア、ゼットン! アキト!】

 

 ゼストとアギト、二人の傍を通りかかった。

向こうも気付いた!

 

「! おぉい!」

「む?」

【何シテル?】

 

 並んで見ると、自分が大きくなり、ゼットンが小さく見える!

並行飛行しながら聞いて見る。

 

「ああ、聞いてくれよ!

ダンナが、アン中に居る人と会いてぇってんだけど。

あの警戒網が邪魔してさぁ」

 

 言われた先には、地上本部。

首都に近く、少し離れた所で行われている戦闘も見える。

 

【ンット・・・ドカス! イイノ?】

「え? あ、まぁ、アッチに引き付けられるのなら・・・」

【ワカッタ! モスコシ、マッテテ!】

 

 そう言うと、上空高く舞い上がり、首都の方で行われている戦闘に、派手に突っ込む!

 

「な! 何やってんだ!」

「・・・だが、これでもう暫くしたら、奴らも移動せざるをえまい」

「・・・狙って、やってくれたのかな?」

「だとしたら、末恐ろしいな」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 最初に見掛けたのは、ゼロ・ファースト=ギンガ。

高速の高架上で、敵《スバル》と戦っていた。

 こちらを確認したのか、お互いに距離を取り、こちらを伺っている。

邪魔にならない様に、双方の上に浮かびながら、声を掛けて見た。

 

【・・・手伝ウ?】

「イラナイ・・・コレハ、ワタシガ相手ニスベキ相手」

【オー! ガンバレー!】

「・・・ソッチモ気ヲ付ケテ!」

【ジャ! コレ、差シ入レ!】

 

 そう言って、持ち出して来た携帯食料を、幾つか投下!

 

 風に流され、幾つかは敵の方にも・・・

 

「あ、え? これって・・・良いのかな?」

「・・・アノ子ノスル事ダカラ、構ワナイ。

勝ッタ方ガ総取リ・・・続キヲ!」

「・・・応!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 結界をこじ開けて、中へと入って声を掛けた。《閉じ方と開け方は知っている》

 

【ノー姉! ウェン姉! ディー姉! オト姉! ヤッホー!】

 

 イキナリ気の抜けた声を掛けられ、戦闘そのモノが中断してしまった。

 

「バ! バッカ野郎! 戦闘中に声なんか掛けんな!」

「おー! デュオッスか! カックイー! それ如何したッス!?」

「ココは危ないから。下がりなさい」

「・・・如何したの、ソレ?」

【作ッタ! 暇ダッタカラ来タ! 手伝ウ?】

「イラン! とっとと行っちまえ!」

「なはは! 流石に、甥っ子に手伝わせる訳にはいかねぇッス!」

「大丈夫。お嬢様の所へは、行った?」

「向こうの方が手薄だから、お願い」

【リョーカイ! ア、コレオ土産!】

 

 そう言うと、幾つか武器弾薬、補給物資を置いて、そっちへ向けて飛んで行った!

キチンと戸締りをして・・・

 

「・・・良いの? 折角の援軍だったのに・・・」

 

 ティアナはその様子を見て、呆気に取られながら、ついそんな事をこぼしていた。

 

「ああ、良いんだよ! ウチの甥っ子は病弱で虚弱でね!」

「そうッス! それに、頼りない所なんて!」

「見せたくは、無い」

「それに、不要!」

 

 戦闘は再開された。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ルーテシアが倒れている傍に、敵が居た。

だが、敵が介抱している?

 

【ルー姉? 元気ナイ?】

 

 唐突に聞こえて来た声に、驚くエリオとキャロ。

 

「だ! 誰だ!」

「え? キャア!」

【ルー姉、ルー姉? オッキスル?】

 

 ペチペチと叩くが、起きない。動かないルーテシア。

 傍には、ガリューも居て、向いている方向が違う。

巨大な黒い竜と、白天王。

白天王は唯、暴れている、偶にコッチに瓦礫も飛んでくる。

 それで、ある程度は判った。

 

【ガロー。敵、アレデ、イイ?】

 

 指し示すのは、白天王。

それに応えるかのごとく、ガリューがユックリと肯いた。

 

【・・・打ッ潰ス!!】

「え? ええ!?」

「えっと? 手伝って、くれるの?」

 

 オズオズと言った感じで、問い掛けて来る敵(キャロ)。

 

【???・・・何デ?】

「え、えっと? 倒すんでしょ? アレを」

【倒ス? 何デ? 敵ハ潰スモノ、身内ニ害ナスモノハ敵!

オ前《キャロ》、敵チガウ、ルー姉助ケタ。アレハ暴レテルダケ、ダカラ敵《白天王》。アレハ、エロオ】

 

 そう言って指し示すのは、エリオ。

 

「な、何で僕だけ!?」

【エッチィ目デ見ル、ルー姉】

「え? そ、そんな事は・・・」

 

 そう言いながら、後ずさるエリオ。

 

「エ、エリオ君?」

 

 キャロは無意識に疑いの目を向けながら、自分とルーテシアの衣服の乱れを直す。

 

「ち、違うんだ! キャロ! ぼ、僕は! う、うわぁあぁあん!」

 

 居た堪れなくなったのか、自分から戦場に飛び込んで行った!

後に続くガリュー!

 

【打ッ潰ス!!】

「キャア!」

クキュー!!

 

 一気に上空まで飛び、白天王に全火力をブチ込む!!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 首都の方が激戦区と化し、ぽつぽつと、本局警備の人数が、減って来た。

そちらの警備、避難誘導に当たる為、人員を割き始めた様だ。

 

「なぁ旦那? そろそろ、良いんじゃねぇ?」

「そう、だな。では、行くか」

「応!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 粗方片付き、白天王は沈静化した。《=クアットロによる制御から解かれた》

本来の目的を思い出した。

お迎えに来たんだった!

 

 ルー姉は、敵《キャロ》じゃないのに任せれば、良い?

お迎えに行ってから、皆を拾って帰れば良い!

 

 そう考え、キャロの元へ。

 

【ルー姉、預ケル。帰リ貰ッテ帰ル!】

「え? ええ!?」

【ジャ、マタ!】

 

 そう言うと、さっさと空高く飛んで行った!

 

「ど、如何しよう! エロオ君!」

 

 動揺し、言葉が変になっている!

 

「う、うう!」

 

 そんな何気ない追い撃ちに倒れ伏すエリオ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 どっこーに居ーるのーかなぁ?

 

 本局のビルから見渡し、捜す。

 

 見付からない、捜す。見付からない、捜す。見付からない、捜す。見付けた!

 ア、ゼットンだった!

 ア、見っけ!

 

 遠目に見ても、違う様に見えて、間違いそうだけど、間違いは無い!

 

 装甲付きでは、通れなさそう。

一旦降りて、飛んで行こう! 飛び込もう!

 

 残ってる武器は、ワイヤー・ガンとハンドガン一丁。あのガラスを割って入るのには丁度良い!

 

 先ず、ワイヤー・アンカーで、その上の階にワイヤーを打ち込み。

柵を切り取って滑車代わりに、後は滑りながら。

 

 カアァァァァァアアアァアァァ!! 《滑走音》

 

 よぉーく、狙って!  全弾射出!   ダダダンッ!!

満遍なく、罅が入り、脆くなったその窓に飛び込む!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 急に窓ガラスに、罅が入ったかと思ったら。

何か、大きな物が迫って来た!

 

「・・・な!」

「! オーリス!」

「キャァア!」

「・・・ム!」

 

 黝い巨躯が、飛びこんで来た!

ガラス片が降り注ぐ中、レジアス中将は咄嗟に割れたガラスから娘を庇い、上に覆い被さった!

治まったと見るや、振り返り、怒鳴った!

 

「・・・何事だ!」

 

 振り返れば、秘書だった筈の女の手には、鋭い爪が備わっていた。

娘を後ろに庇い、親として、最後に出来る事を為さんと、心に決めた!

 

「・・・何者だ! 貴様!」

 

 せめて、娘だけは、無事に逃がす!

例え、この身がどうなろうとしても!

 先ずは、如何にか出来そうな相手を倒してから、あのデカ物を相手に時間を稼げれば!

そう思い、抑え込もうと、低い体勢から相手に飛び掛かる!

 

 上手く、タックルが決まり、壁際にまで、追い詰める事が出来た!

 

「ック!」

「オーリス! お前は、生きろ!」

「あ、え!?」

 

 足掻く相手を、抑え込みは出来たが、背中に激痛が走る!

 

「・・・ガハッ!」

 

 ・・・力が、抜ける!

・・・このままでは、済まさん。・・・せめて、あの子の・・・無事・・・を・・・

 

 意識が途切れるまで・・・途切れても、そのまま抑え続けた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 嘗ての友に確認したい事が有り。それを問いただす前に、聞く事が出来なくなった。

 

 目の前が、赤く、染まった。

スカリエッティの部下で在ろう相手の武器が、レジアスの体を貫いていた。

床には、少なからぬ血が拡がっていく。

 

「・・・レジアス! ・・・アギト!」

「え!? ダ、旦那! もう、その体じゃァ!」

「構わん! 直にだ!」

「! 判った」

 

 言いたい事、伝えたい事、全て呑み込み。

望む事を、求められる事を。それに応えんとした。

 

「ユニゾン・イン!」「フル・ドライブ!!」

 

 目の前の敵を、かつての友の敵(かたき)を取らんと、突っ込む!!

 

 その前に、何が立ち塞がろうと、貫く構えで!!

 

 その前に、巨大なモノが、立ち塞がった。

右腕で、槍を正面から受け、その腕の先が裂け、砕け散ろうと、意に反(かえ)さず。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 目の前で、何が起きているのか、判らない。

ゼストが、ユニゾンしたかと思えば、こちらに向かって来るまでは見えた。

その直後から、黝い大きな背中しか、見えない。

 

 その向こうからは、何か、硬い物を砕きながら。撒き散らしながら、何かが向かって来る事しか、判らない!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 右腕が、裂けた。

もう直ぐ、肩に達する。

・・・このまま、抑え込めない!

胴に達しても、構わない!

 

 ここで、出来なければ、意味が無い。

 

 受け続け、出来るだけ、勢いを削り。せめて、守る。

それしか、出来ないのなら・・・それでも、構わない。

 

 返せる物が、それしか無いのであれば・・・せめて・・・

 

 胴まで達し、顔が、熱く・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 目の前で起きた事。

赤い、何かが、目の前の物を貫き、私の胸に刺さった。

 

 その、赤い、何かには、私以外の、血が・・・既に付いていた。

 

 目の前が、色が褪せた。

モノクロの世界に、映り込んで来たのは、右頬から額に掛け、裂傷を負った子供の顔。

意識は無いのか、眼は、開かれていない。

 

 あの日、別れてから、そう経ってもいない。

それ以外でも、遠目にだが、確認もして来た。

だから、間違い様もなかった!

 

「退けぇ!!」

 

 限りある時間。

既に、致命傷では有るが、己が能力で、己が性能で、知識で、まだ暫くは、持つ。

 

 己が胸に刺さったソレを引き抜き、ゼストを押し退け、砕けた甲冑を掻き分け。その小さな体を、抱き締め、抱(いだ)き。

・・・割れた窓から、外へと飛んだ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ・・・瓦礫で覆われ、人気も無く、何も無い所ではあるが。

返って都合が良かった。

 

 せめて、皆の所に戻れれば、良かったのだが・・・

それを、望むのは贅沢過ぎる気もした。

・・・今でさえ、この時が贅沢なのだから。

 

 ジッと、その顔を見詰め、異変に気付いた。

 

 顔の表面が、砂の様な物で覆われている。

最初は、砂が降り注いだのかとも思った。

だが、それにしては増えて行っているし、降り注いでも、いない。

 

 ふと、浮かんだ言葉。

この子に使われた、デバイスの銘 = 石毒竜《バジリスク》

 

 この現象は、それに由来するモノ?

だとすれば、このままでは、呼吸もままならず、死に至る事に・・・

 

 だったら、今できる事は・・・

・・・決まった、AMFで以て、この子の周りを、包み込む。

極小規模で有れば、私の能力を使えば、持たせられるかも知れない。

その間に、誰か。姉妹達の誰かに、託す事が出来れば、それで良い。

 

 だから、今この時だけは、ココでお休み・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、エメラルド色の水晶の如き塊が、その場で見付かった。

見付けた者達は、まるで、ピエタの様だとも、何処かの像の様であったとも・・・




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

余りに原作がアッサリ気味だったので、私の中ではこのように・・・

次回 最終話 終わりと始まり・・・
 ある物語が終わり、新たな形へと、変化を続けて行きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終話   終わりと始まり・・・

知らないままに、書き始め、知らないままに、書き終わり・・・

かなり変わったモノと相成りました。

他に無いモノを書こうとしていると非難された事も・・・
書きたいモノがこうだったから、こうなっただけだったのだが・・・

その事を楽しみ、思い浮かぶがままに、書き綴ったモノです。

偶に、これは何処へと向かっているのだろうか?
何処へと着地して行くのかが、見えなくなった事も・・・

何故こうなったのか、判らなかった事もあるが、それも湧くがままに任せ、汲み上げて見て、形へと・・・


最終話 終わりと始まり

 

 

 ハヤテ達は、帰りの目途が立ち、その帰る為の機内。

ヴィヴィオは、なのはとの激戦の疲れが出たのか、眠ってしまっている。

 

 目の前では、ヴィータが深々と頭を下げ、仕切りと謝っている。

 

「ワリィ、謝っても、如何にもならねェし。

謝り切れねぇんだけど。

だけど、ゴメン!」

「なのはちゃん、私からも、謝らせて。

結果として、こうなって、しもうたんやけど・・・

デュオが、こん中に、居ったかもしれへんの・・・

それを・・・」

「アタシが、殺しちまった!」

 

 何を言われたのか、判らなかった。

ヴィータちゃんが担いでいる、それに、デュオが・・・

 

「・・・うう?」

 

 ヴィヴィオが起きて来た様だ。

 

「・・・ア、起きた?

ゴメンね、もう少しだけ、寝ててね」

 

 ヴィヴィオの目に、ソレが触れない様に、映らない様に、覆い被さる様に抱き締め、隠した。

 

「・・・ムー! ムー!」

 

 強く抱きしめ過ぎ、苦しくなってしまった様だ。

 

「プハ!」

 

 もがき、何とかその束縛から逃れる事が出来たヴィヴィオ。

その目の端に、見覚えの有る、大きな足が見えた。

 

「あ! デュオ! アレ? また寝てるの? ソロソロ起きなきゃ!」

「ヴィヴィオ。デュオは、もう少し、寝かせてあげよ!」

「でも! もう大丈夫だって、言ってたモン!」

 

 その一言で、大人達は胸を突かれ、項垂れ沈黙が流れる。

 

「ドクターが! アレが壊れない限りは、大丈夫だって!」

 

 その言葉に反応し、ビクン! と、身を震わせるヴィータ。

 

「・・・ヴィヴィオ、ゴメン。アタシが・・・!」

 

 それを聞き、遮るハヤテ!

 

「ヴィータ! 止めるんや!」

「・・・良いんだ。どっちにしろ、何時までも、このままじゃ・・・」

「ヴィータちゃん・・・でも」

「あの、な。ヴィヴィオ」

 

 ヴィヴィオはその事を、信じたくない、知りたくない、そんな気持ちに満たされた。

 

「・・・嘘、嘘だもん! そんなの! 絶対に! 信じない!」

 

 そう言って、それが嘘で有ると思いたいが為に、その足の有る方へと、向かおうとするが、なのはが、放さない!

酷い事になっているだろう、それを。

せめて、きれいにしてからでも、遅くないと思い。決して、放さない。

 

「放して! ママ! 絶対に、そんな事は! 絶対に! ・・・う、うぁぁぁぁあああああ!」

 

 泣き崩れ、二人で抱き合い、その慟哭が、悲壮が、機内を満たした。

 

「ハン! 良い子ぶって! 何が正義よ! そんなの、悲しむ事?」

 

 それは、奥で拘束された、クアットロの口から放たれた。

 

「・・・おい。今、何て言った?」

 

 ヴィータは、その事を聞き咎め、詰め寄る。

その様を鼻で笑いながら、なお、相手の癇に障る事を言い放つクアットロ。

 

「ええ! 言ったわよ! そんなモノ。壊れただけで、また直せばいいのよ!」

 

 それを聞き、苛立ちを抑えられないヴィータ。

 

「テメェ!!」

「ヴィータ! 止めときぃ! そないな事しても! 返って来る訳でもない!」

 

 そんなヴィータを、ハヤテは怒りを抑え込んで言い放った!

 

「えぇーえ、言ったわよ? 何遍でも、言って上げる!

そんなモノ、また作れば良いって!」

「・・・ヴィータちゃん、退いて」

 

 機内から、なのはが顔を出し。無表情で、あの時の魔王発言の時の様に、感情が無い様に見えた。

 

「な、なのは?」

「なのは、ちゃん?」

「ナノハママ?」

 

 何と無く、何をしようとしているのか、気付き。

全員で、羽交い締めにして抑え込む!

 

「ダ、ダメだ! なのは! それをしたって! 如何にもならない!」

「そ、そうや! そんなんしても! 相手を喜ばすだけや!」

「でも、でも!」

「ナノハママ! 駄目!」

 

 訳も判らず、それでも、それをさせてはいけない気がし、ヴィヴィオも止めに入る!

 

「う、うぁぁぁっぁぁあああ!」

 

 何処にも、ぶつけられない怒りを、声に替えるかの如く、なのはは叫ぶ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 途中、スターズとライトニングの4人に合流し、あった事を説明する。

 

 泣き崩れはしないものの、涙を溜めたまま。

ジッと、その話を聞いていた。

聞き終えると、キャロは泣き出し、エリオと抱き合った。

スバルはティアと共に、声も無く泣いた。

 

 そんな場面でも、クアットロは高らかに笑い、反感を買う。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そして、最後。フェイト・シグナム・シャマルと合流した。

 

 その顛末を話すが、不思議に思った。

泣きもしない、喚きもしない。ただ、不安そうでは有った。

 

「そ、そう、判った。でも、そんなに嘆かなくても・・・」

「・・・そうだな、気にし過ぎるのも、如何かと思うぞ?」

「そうね、取敢えず、落ち着いてから。後の事を、話しましょ?」

 

 三者三様、曖昧であった。上からフェイト、シグナム、シャマル。(真相を知っている×3)

 

「何を、言ってるんだよ! デュオが、死んじまったんだぞ!」

 

 その様子に、憤るヴィータ。

 

「そうや! 何でこんな、冷静でおるんや!」

「ヴァァアァァァアア!」

 

 ハヤテもヴィヴィオも、その事を如何かと思い、泣き出しもした。

 

「フェイトちゃん、ショックなのは、判るけど。

・・・それは、親として、どうかと思うの」

 

 なのはは、そんな反応に憤りを隠せない。

 

「ゾ、ゾウでず! フェイドざん!」

「ナ゛、ナ゛ンデ、ぞんな風(ぶう)に!」

 

 涙声で、言葉に成らないライトニング。

 

「そうです! フェイトさんは、情に厚いと思っていたのに!」

「何で! そんなに冷静で居られるんですか!」

 

 憤るスターズ。

 

「イ、イヤ、そうじゃなくって!」

「皆、冷静に成れ!」

「そうよ! また、ヒョッコリ顔を出すかもしれないんだし!」

 

 そう言って落ち着かせようとする三人。焦る!

 

「シャマル(先生・さん)!」×8!

 

 その様子を見て、更に大笑いするクアットロ!

 

 それを見た、なのはは問答無用で終息《集束》砲を撃とうとする!

皆、流石にそれはやり過ぎだと、止めに入るが、有る報告がもたらされた。

 

 それをクアットロも聞き付け、目撃して、蒼白になった。

 

「ちょっと! それは!? どう言う事!?

・・・何で、それがココにあるのよ!」

 

 喚くクアットロの眼に、見覚えが有る部品の一部が、映った。

黝い、太い左腕。そこにある筈もなく、そう簡単には、外れない筈のモノ。

 

 暴れまわり、出来得る限り、近付き。

それが、有る筈の無い、ソレなのかを、確かめようとする。

 

 その剣幕に押された局員は、良く見える様にと、目の前に差し出されたそれに食い入るように見入るクアットロ。

 

「・・・間違い、無い。・・・コレ、何処に?

・・・アジトから、持って来たんでしょ? ねぇ、そう、でしょ?」(予備パーツだと、思いたい)

 

 一縷(いちる)の望みを掛け、問い質した。

 

 違った。

答えは、地上本部の長官室で、バラバラになって、発見されたと言う事だった。

それとは別に、本局にも、抜け殻じみた物が有ったと言われるが・・・

 耳には、入らない様だ・・・

 

「嘘、よ。ねえ、ウソって、言って! 嘘の筈よ! 言いなさい! 言いなさいよ!

・・・ねぇ、そうだって、言ってよ・・・」

 

 半狂乱になるクアットロ!

即座に抑え込まれるが、意に反さない。

 

「放せ! 私か! ドクターじゃなきゃ!」

 

腕の関節が外れ様が、抑え込まれ様が、気にしないで暴れまわる!

仕方なしに無理矢理拘束し、護送車に放り込まれるが、尚も暴れ、叫び続ける!

 

 それに不信感を持った皆が、その部品を見た。

 

 フェイトは卒倒し、シグナムに倒れ掛り。

シグナムは、何とか冷静を保とうとするが、足元が、覚束ない。

シャマルも、その意味を悟り、蒼白に成り、ヘタり込んだ。

 

 ヴィータとハヤテは、些かその事を不審に思うが、とくに何とも思わずに居た。

ライトニングとスターズも、特に、その事を不審に思いはしても、別段何とも考えなかった。

 

 ただ、一人、その事が理解出来てしまった。

ヴィヴィオは、それを見るなり、ヴィータが連れてきたモノを確かめ、確信した。

 

 ・・・デュオは・・・未だ・・・この近くに居ると。

 

 だから、走り出した!

何処かで、寂しい思いをして、誰かが来るのを、待っているのではないかと、考え!

 

「あ! ヴィヴィオ! 何処に行くの!?」

「あ! おい! あぶねぇぞ!」

「・・・・・・!!」

 

 そんな声も聞こえずに、瓦礫の中を走る。ただひたすらに、走る!

 

 唯、闇雲に走っていた。

何処へ行けばいいのかすら、判らず・・・

ただ、只管に、走り続け、見付けた・・・手掛かりかもしれない、何かを。

 

 そんな時に、ホンの少しだけ、何かが、詠われている様に、聴こえた。

 

 何処!?

 

 何処から、聴こえたの!?

 

 焦りに似た思いを募らせ、聴こえた所を探す!

 

 ! ・・・この、瓦礫の向こう!?

今にも崩れそうな瓦礫から、それが聞こえた気がした。

 

 足元には、自分一人なら、通れるかもしれない隙間が有った。

躊躇せず、入り込み、潜り込む!

 

「! ・・・アブねぇ!」

 

 傍を通り掛った局員が、ヴィヴィオの足を掴み、引き摺りだした!

 

「放して! この向こうに! デュオが居るかもしれないの! 放して!」

 

 そうこう言っている内に、瓦礫が崩れ出す!

 

「・・・ダメだ! 崩れる!」

「デュオ! 放して! あの中に!」

 

 羽交い締めにされ、尚も暴れるヴィヴィオ!

それでも、その様子に、尚更に放してはならじと、崩れ始めたそこから少しでも遠ざかる局員達。

そこへやっと追い付いて来た六課のメンバー。

 

 何が有ったのかは、判らないが、ただならぬ様子に、話を聞いた。

 

「うっ・・・ひっぐ、えぐ・・・あの、瓦礫の、下・・・歌が、聴こえ、たの!

デュオ、あ、れじゃ、無い!」

 

 その言葉を聞き、周囲の人々は一丸となった!

 

「! 急げ! まだ間に合うかもしれん!」

「死なせるな!」

「これ以上、死なせるんじゃないぞ!」

 

 何処からか、生存者がまだ居るかも知れないと、聞き付け。

集まる局員。

中には、局員ではなく、一般市民も混じり、瓦礫の撤去を手伝う!

・・・手伝いを申し出る!

 

 野太い女言葉の人も、喫茶店の店員も、その客達も、手伝い、撤去する!

 

 

 数時間後

 

 

 絶望感しか無い中、瓦礫が全て取り除かれた。

 

 残ったのは、大きな岩だけしか、残っておらず。

 

 その岩を中心に、ドーナッツ状に除けられた、瓦礫。

皆が、絶望しかけた。

 

 ポツポツと、雨が降り出し、瞬く間に、大降りになった。

埃を被り、灰色にしか、見えなかったそれが、洗い流された。

それは翡翠の如き緑色をしていて、透明度が高く、中が透けて見えた。

 

 その中に、子供を抱(いだ)く、母親が、見えた。

 

 それを見て、皆、間に合わなかったと、諦めた。

ただ一人だけ、諦めず。諦めきれず、傍に駆け寄り、叩く!

ただ、それだけで。

大して力が入らぬ、それだけの力で。それは、砂礫の如く、崩れた。

 

 足元に拡がるそれを、掻き分け、その母子の元へと、ヴィヴィオは急ぐ。

呆気に取られながら、確かめようとする、周囲の人々。

自分達のそれが、間に合わなかったのか、そうでは無いとしても、せめて、結末を見届けようと・・・

 

 何人かは、絶望した。

母親の胸に、赤い、血の跡を見て。

もう、流れてはおらず、少なからぬ量の血が出ている事が判って・・・

 

 何人かは、奇跡を願った。

せめて、子供だけでも、助からないかと。

有り得ないかもしれないが、せめて、それが、救いには成らないだろうかと。

 

 何人かは、何も出来なかった。

考えられず、如何すればいいのすら、分からず。

ただ見届ける事しか、出来ない。出来なかった、自分を呪う。

せめて、冥福を祈る事位しか、出来ない。自分を、恨んだ。

何か、出来たのではないか。

何か、出来る事が有るのではないか。

何か、何か・・・答えが、出ない。出せない、自身を、呪い、恨み、妬んだ。

 

 ただ、その母親の顔は、不思議と穏やかであった。

せめて、この子を守り切れた事を、そう有れた事を、誇りとしていた。

その事を、見てとれた者は居たであろうか?

居ないのかも、しれない。

それでも、その事を、その結果を、残す事が、出来た。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 風が・・・頬を撫でた。

頬が・・・濡れた。

・・・寒い。

     ・・・ココは、寒い。

           ・・・さっきまでは・・・温かった・・・筈なのに。

                ・・・急に・・・寒い。

 

何か・・・聴こえる。

      さっきまでは・・・何も・・・聞こえなかった。

 

・・・誰?   聴こえなかった   ・・・筈の声が       ・・・聞こえる。

 

呼ばれてる?

 

   呼んで・・・くれてる?

 

         その名前は・・・私のモノ。

 

               私の、名前。

 

だから、私は、貴女の、名前を、呼ぼう・・・【ビビオ姉】

 

「! デュオ!」

 

 その声が、聞こえた。

 

「まだ! 生きてる!」

 

 歓声が、喝采が、挙がった!

 

 ・・・その場に居る、全ての人が、聞いた。

 

 ・・・声鳴き声を、喪われたモノを、嘆く声を・・・

 

 ・・・鳴り止まぬ、その慟哭を・・・

 

 

【ただ、聞く事しか、出来ない。

 

 受け止める事しか、出来ない。

 

 喜びと共に、悲しみが有る。

 

 悲しみが有るからこそ、喜びも有る。

 

 悲しんで居るからこそ、次に喜びが訪れん事を、願わずには、居られない。

 

 喜べる事が有るからこそ、悲しみも、また、哀しい。

 

 出会いが有り、別れが有り、楽しみが有り、辛さが有る。

 

 それを、忘れたくは無い。

 

 どちらかしか、無いのではなく。どちらも、有るからこそ、それを、感じる事が出来る。

 

 だから、私は、まだ生きている事を喜び、その為、喪ったモノを、悲しむ】

 

 

 それを、その場に居た全員が、声無き声を、耳にした。

 

 それを、喜び、悲しみ。泣きながら、笑い。笑いながら、涙した。

 

 それは、その場に居た、全員の記憶に、刻まれた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「って、こんな事が有ったのに!

肝心の本人は、何も覚えて無い!」

 

 病室にて、大声を上げ、手振り身振りで説明する、ヴィヴィオ。

 

【ワッカンナーイ!】

「まぁまぁ、ヴィヴィオも落ち着いて!」

「そうよ、ヴィヴィオは、お姉ちゃんだから、もう少し落ちつこうね!」

 

 ヴィヴィオがその事に触れ、問い質すが、空と呆けるデュオ。

それを諌め様とする、なのはとフェイト。

 

「・・・でも、良かった。

そないに酷くも無いし、もうじき出られるんやろ?」

「まったく、アイツ(クアットロ)が、何であんなに減らず口が叩けるのか、合点(がてん)が行ったけどさぁ。

アレをやったのがお前だって事は、言い逃れは出来ねぇよな?」

【何(ナァニ)? ソレ?】

 

 ハヤテは、その事に安堵し、ヴィータは、それ以前の事を問い質す。

その事は覚えていないと、惚けるデュオ。

 

「まぁまぁ。それよりも、私達の事は覚えてるの?」

「そうだな、その事は、確かめておかないとな」

 

 そう聞いたのは、シャマルとシグナム。

呼ばれ方が気になる様だ。

 

【・・・敵! ・・・誰? ・・・バカ舌(じた)? ・・・爆ニューン?】

 

 愕然としながら、ヨロメク二人。

周囲は、笑いを堪えつつ、如何反応すれば良いのか、悩む。

 

「マァマァ、じゃあ、私は?」

「あ、私も!」

「じゃあ、アタシは?」

「私は?」

 

 なのは、フェイト、ヴィータ、ハヤテが問う。

 

【・・・悪魔? チガウ・・・マオー? ・・・! 大マオー!

・・・敵? ・・・夜叉!? ロシュツキョー? ・・・! 鬼!

・・・ビー? ・・・蜂(ハチ)? ・・・ロータリー? ・・・! ビータママ!

・・・豆狸? ・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン!】

 

 怒るに怒れなくなった、なのは。怒れば、それで確定するだろうから。

 ヘタり込むフェイト。

 一喜一憂し、思わぬ答えを貰い、感激するヴィータ!

 口の端が上がりかけたが、意外な答えに、顔を赤く染め、病室を飛び出すハヤテ!

 

【・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン? ・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャンハ、ドコイッタノ?】

 

 素の表情で、言ってのけた!

 

「じゃあ、私達は?」

 

 そう言う、ティアナとスバル、エリオとキャロとフリード。

 

【・・・ブランコ(ブラコン)? ・・・魔人? ・・・エロオ! キャオ! クリーム!】

 

 何だか判らない様子の二人、落ち込むエリオ、以前も呼ばれた事も有り、納得するキャロ。

フリードは・・・逃げた!

 

「・・・良い? 私は、ティアナ。で、こっちが・・・食欲魔人・・・でいっか!」

 

 スバルの顔を見て、何と無く、納得して言うティアナ。

 

「ひ、酷い! ティア! じゃあ、この人は! ・・・水色縞々!」(何が!?)

「へ?」

【オー、水色縞々?】

「何て事教えてるの! スバル!」

「えー? だって、今日それでしょ?」

「ち! 違わないけど・・・違うの! 良い! こっちは! 鉄拳! 鉄拳ね!」

 

 スバルの口を塞ぎつつ、訂正するティアナ!

 

【石鹸?】

「んー、一寸違うな、鉄拳ね、てっけん!」

【鉄拳?】

「そう、良く出来ました! じゃあ、私は、ティアナね!」

【オォウ! 水色縞々ト鉄拳!】

「「ち、違う!」」

 

 軽く落ち込むティアナとスバル。

 

「じゃあ、私は?」

「あ! ギン姉! ズルイ!」

【・・・キンカン? ・・・金貨? ・・・! 銀杏!】

 

 匂いが良くなり、近付き、綺麗になり、一気に臭う!

よよよ! っとばかりにふらつくギンガ。

 

 それを見て、それ見た事かと笑うが、人の事を言えない二人。

 

「まぁまぁ。私は、キャロ・ル・ルシエ、キャロって呼んでね!」

【オー! ・・・Karotte = カロッテ = 人参?】

 

 ビキッと固まるキャロ。

 

「アハハハッ! た、確かに、ニンジンだよね!」

「プッ! わ、笑っちゃ、ダメよ! スバル!」

「・・・良いです、縞々水色さん、鉄拳さん」

「じゃぁ、私の事、覚えてますか?」

 

 リィンも気になるのか、会話に参加して来た。

 

【・・・ツォイ? ・・・リー?】

「うーん、近いですけど、ハッキリして無いみたいですねぇ。

私は、リィン・フォース・Ⅱ《ツヴァイ》です! ヨロシク!」

 

 そう言って、小さな手を差し出す。

 

【オー、ヨワイ《ツヴァイ》! オボエタ!】 =誤認

 

 それを聞き、がっくりするリィン・フォース。

 

「じゃあ、私の事は、覚えてる?」

【・・・チャーリー!】

「あ、はははは・・・私はシャーリーね。よろしく」

 

 そう言って、そそくさと出て行く。これ以上、酷くはならない内に、出て行く事に決めたシャーリー。《賢明な判断?》

入れ違いに、リンディ提督が入って来て。何が有ったのかを聞いて、尋ねる事に。

 

「私は、誰だか判るかな?」

【・・・オバアチャン?】 =正答?

 

 ピキッ! 合ってはいるが、そう言われたくは、まだ無い。

周囲の温度が十度下がった!

 

「・・・私は、リンディ・ハラオウン。フェイトのママで、ママママって呼んで貰える?」

【オー、ママママ?】

「ウン♪ 良い子ね♪ 良い子にはお菓子を上げましょう♪」

 

 そう言うと、ドッサリと、大量のお菓子を手渡す。

大喜びする子供たち!

 

「・・・母さん、それはやり過ぎじゃあ」

 

 そう言って入って来たクロノ。

 

【アッ!】

「ん? 覚えてるのか?」

 

 一寸だけ期待するクロノ。

 

【悪人! 悪代官! 黒幕(ふぃくさー)!】

 

 悪化しただけだった!

 

「ク、クロノ。災難ね!」

 

 リンディが慰め様とするが、顔が笑っている!

 

 

≪ここからは甘ったるい、会話です。耐性が無い方は、飛ばして下さい! ・・・私も無いが・・・楽しみます!≫

 

 

「プッ! あははは! そんな風に呼ばれてたの? アナタ!」

「エ、エイミィ! 何で! !・・・まさか!」

「ああ、あの子達は、預けて来たから聞いてはいないわよ?」

「そ、そうか」

 

 それを聞き、あからさまにほっとするクロノ。

 

「でも、アナタ次第でね?」

「・・・何が、欲しいんだ?」

「ヤァネェ! そんなに物欲しげに見えた?」

「そ、そうか・・・」

「デ・モ・アナタの誠意しだい、かしら?」

「!・・・何が欲しいんだい、エイミィ?」

「ヤーネー、そんな他人行儀だ・か・ら!」

「・・・判った。・・・ハニー、何が、欲しいんだい?」

「んー、もう一声! ダーリン!」

「・・・ハニー、何が望みだい? 何でも言ってごらん?」

「うん、あのね? ゴニョゴニョゴニョ(ご想像にお任せ!)」

 

 耳元で囁く様に話す、周囲には、余り聞こえない! ったら聞こえない!

 

「・・・判った、努力しよう」

「じゃぁ、約束ね♪」

 

 

≪終了?≫

 

 

 置いてけ堀を食らった周囲を余所に一人、全てを聞きとっていた!

 

「私の事は、覚えてるかな? 一回位しか会った事は無かった筈だけど・・・」

【・・・オツトメ? モウ一人? 頑張ル?】

「え? ・・・キ、聞こえてた?」

 

 コク!   力強く頷いた!

 

「そ、そっか! じゃあ、今の事は内緒に、しててくれるかな?

・・・私は、エイミィ。君の伯母さんに当たるの。そ、それだけ、覚えててくれればいいから!」

 

 それだけ言うと、クロノを引っ攫って駆け出した!

 

『ちょ! 待て! エイミィ! まだ訂正が・・・』

 

 そんな声を残し、慌しく消えた!

 

「あらあら、行ってしまったわね。

じゃあ、私もソロソロ行くわね。あの子達を預からないといけないし♪」

 

 リンディ提督は逃げた、酷くなる事を恐れ。

 

「じゃ、じゃあ、コレは・・・覚えてる?」

「そ、そうだな! 我々だけでは無い筈だ!」

 

 シャマルとシグナムが、一人だけ逃げる事は許さんと、ザフィーラを強引に連れて来た!

廊下には、延々と爪跡が残っている!

 

 

『な、何だ!? この傷痕は!?』

 

 そんな叫びが廊下から聞こえて来るが、病室の皆は誰も気にしては居ない。

今はこちらが気になる様だ・・・

 

 

 ヴィータは感激の余り、未だ呆けている!

 

【・・・モフモフ? ワンワン?】

 

 ガーン! とは思ったが、まだ、平然としていられたザフィーラ。

 

【・・・サフーラ!】

 

 ふっ! とばかりに胸を張るザフィーラ。近いが、覚えて貰えたから満足げだ。

語彙がまだ、乏しいからと理由を付け、納得する。

 

「我が名は、盾の守護獣、ザフィーラ。以後、お見知り置きを」

【サフラ、デ良イ?】

「・・・結構」

 

 そう言うと、去って行った。足取りは軽かった!

 

 それでも納得が行かず。シャマルは旅の泉を発動!

アルフを召喚! 子供モードで有った!

 

「なら、こっちは!?」

「そ、そうだ!」

 

 イキナリ召喚され、何が何だか判らない様子のアルフ。

 

「な、なんだよ! イキナリ! お? デュオじゃねーか、元気?」

【アウフ!】

「オー、相変わらずだな! でも、元気そうでなにより!」

 

 そう言って、デュオの髪をクシャクシャとかき混ぜるアルフ。

それを見ていたフェイト。

 

「ア、アルフ? 何で、そんなに、親しげに?」

「え? だって、フェイトが忙しそうだったから、代わりに顔出してたんだけど?」

「ふ、ふふふ!」

「な、なんだよ! コエェよ! ・・・フェイト?」

「チョット、イイ?」

「コエェゾ!?」

【オー、鬼ダ!】

 

 フッと、我にかえり、静かに部屋を後にするフェイト。

 

「な、一体何が?」

 

 その後、直に帰って来た。

フェイトは、ある小動物を手に。

その手のモノを見て、なのはは、一言。

 

「・・・あ、そっか。私達だけじゃ、無いモンね!

グッド・アイデアだよ! フェイトちゃん!」

「・・・デュオ、コレは、判る?」

 

 その気勢いに圧され、ジッとしている小動物。

 

【・・・誰?】

「ははは! なのは!」

「う、うん! フェイトちゃん!」

 

 何となく、勝った気分になれたなのはとフェイト。

だが、デュオはじーっと見た挙句、抱き上げ、問い掛けた。

 

【オバーチャン、誰?】

「ははは・・・は?」

「ふふふ・・・え?」

「オ、オオ! その年で良くゾ、ワシの歳を当てられたナ! 褒美を取らソウ!」

 

 外から、急いで走る音が複数、聞こえて来た。

 

 ダダダッ! 『コラー! 廊下を走るな!』『済みません! 急ぎなんです!』

『長老(ちょうろー)! 何処ですかぁー!』『長老(ちょうろー)!』

 

 聞き覚えのある声と、違う声が幾つも・・・

 

「え、えっと」

「あ、え?」

 

 戸惑いを隠せない、なのはとフェイト。

 

「ア、長老じゃん! 如何したの? 今日は」

 

 アルフは、誰であるかを知っている様で、普通に会話をする。

 

「ウム、ユーノの奴が如何して居るか、見物に来たのじゃが。

ソコのに拾い上げられての。ココに、連れて来られたんじゃ」

 

 そう言ってフェイトを指し示す。

 

「・・・そっか、ユーノと毛並みが似ているモンね!」

「フォフォフォッ! そう言われると、まだまだ若い者(もん)には、負けてはおれんな!」

 

『こっちに反応が有る!』『者ども続け!』『長老を、奪還するんじゃァ!』

 

 そんな声が聞こえる!

 

【エット、デュオ、デス。・・・オバーチャン、オ名前ハ?】

「フォフォフォ! ワシか? ワシの名はナ、こうじゃ」

 

 そう言って、デュオの額に手を当てる。

そこに、名前が伝えられる。

みだりに、口にはしない事、口にするのであれば、呼び出す事になる事。

普段呼ぶ時は、長老(エルダー)と呼んで欲しい事が伝わる。

 

【オー! エルダー!】

「何じゃナ?」

【ヨンデミタァ!】

「そうかそうか! フォフォフォッ!

めんこい子ぉじゃナァ、母親に似ズ!」

 

 フェイトは、痛恨の一撃を受けた!

 

【・・・デモ、今ノ、ママ】

「そうかぁ、ええこじゃナァ」

「あ! こちらにいらっしゃいましたか! 長老!」

 

 そう言って、飛び込んできたユーノ。

 

「なのは! フェイト! ココに不審な奴が来なかった?

長老を誘拐した奴なんだけど!」

「にゃ、にゃははっは!」

「う!」

 

 なのはは、笑って誤魔化すしかないかと笑って見る。

フェイトは息を詰まらせ、どう弁解しようか戸惑っている。

救いの手は、斜め向こうからやって来た。

 

【ア! インジュー!】

 

 ビキッと固まるユーノ。

 

「ホォ、そんな呼ばれ方をしておったのカ。ユー坊」

「ちょ、長老? それより、犯人を!」

「もう、ええ。そんな事より。お主に躾をせなアカンからナ!」

 

 そう言うと変身し、真っ白な髪の絶世の美女と化し、ユーノの耳を引っ張り、退出して行こうとする。

 

【バイバーイ!】

「ああ、また、顔を見せておくれヤ」

 

 そう言って、引き返して来て、額に祝福を施し、出て行った。

 

『チョ、長老! それは!』『・・・黙っておレ!』 ゴン! と鈍い音も。

 

「スゲーよなぁ。アレでそーとー長生きしてんだって!

偶に顔出す位で、滅多に会えねぇし、会えても、フェレットのままだから。

あの姿が拝めるのは、極限られた人だけだから、見れたら幸運(ラッキー)だってさ!」

 

 そう語る、アルフ。

 

 その病室は、何時も、賑やかであり、笑顔が絶えない部屋で有った。

 

 ただ、夜になると、声なき泣き声が、その部屋を満たす。

喪われたモノを、嘆き、悲しみ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




これで、一応の終りとさせていただきます。

ENEMY Side は完結とさせていただきます。

一応、続きがございますので、継続してそちらも楽しんで頂ければと・・・


次回 Mimic!?


号外編へと、続きます。
小ネタや、短編じみたモノと相成ります。

Vivid編までのつなぎとして、空白期を便宜上、Mimic編とさせていただきます。
人を食った様なお話しで、良い子(?)に擬態した悪い子(?)なので・・・
子供らしく(?)、イタズラ三昧!

ワタグラVivid?に載せていたお話しを、こちらに統合する事も考えております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Mimic!? Side
保釈審査・面談


有っても無くても構わない様なお話ですが・・・

こうなったかなと、思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・
あくまで、想像上の出来事です。
書けたからには、出してみようかと・・・

実際に現物を目にしたモノも一つ・・・


保釈審査・面談

 

 

 そこには、伝説の三提督が揃っていた。

 

「さて、引き取り手や後見人がここまで豪華だと、凄い事だね」

「ふむ、引き取り手は、執務官のフェイト・テスタロッサ・ハラオウンか・・・

その後見人として、教導教官の高町 なのは、機動六課部隊長の八神 ハヤテ」

「リンディや、グレアムの名もあるな」

「さてさて、それだけの相手を魅了しつつ、これだけの事をしたんだ。

どれほどの相手だろうね」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そうそうたる面々に囲まれているデュオ。

退院を前に、面談する事が急遽決まった。

 

「良い? 変なことしたらダメだよ」

 

 クキュ?

首を傾げつつ、その変な事とはどんな事が該当するのか考えて見るが、答えは出ない。

 

「聞かれた事にはハッキリと応えるの」

 

 コクコク!

 

「取敢えず、そんなに怖い人達じゃないからね!」

「そうだぞ。気の良いジーちゃんバーちゃんだからな」

「失礼が無い様にな」

「そうや、イタズラしたらアカンよ!」

「ハヤテェ、流石にそれは無いんじゃないか?」

「そう断言、出来るか?」

「・・・ゴメン、出来ねぇ」

「兎も角、正直に応えれば変な事には成らない筈だからね!」

 

 そう言って送り出された・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「デュオ・ジェイル・スカリエッティ。入りなさい」

 

 厳かで、威厳のある声が扉からした。

言われたとおり、扉を開け様とするが・・・手が届かない。

 

 仕方なく、ドアノブに跳び付いて見た!

ドアノブには手が届いたが、今度は足が付かない・・・

壁を蹴って、開ける事は出来た。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「・・・如何したのかしら?」

「はて、何か有ったかな?」

「さてはて、如何したか?」

 

 一向に入って来る気配が無い事をいぶかしむ提督達。

ドアノブの位置が高過ぎるとか、その辺は考えが及ばなかった。

 

 審議をする場な為に、様々な所がローテクに設定されており、自動ドアにされていない事が原因。

盗聴・盗撮の予防の意味合いもある。

 

 そっと外から中を伺う小さな人影。

 

「あらあら、こっちへいらっしゃい」

 

 トテテテテトテト・・・じー、じー、じー!

 

 途中で歩みを止め、何やら見ている。

 

「如何した? 何か、怖いのかい?」

「ふむ、初めて見る人だから警戒しているのかな?」

「ほら、怖くないわよ」

 

 トタタトタトタトトタトタト・・・

 

 三人の机の前まで来て、立ち止まった。

 

「あらあら、可愛らしい子ね」

「ふむ。坊や、お名前は?」

【デュオ・ジェイル・スカリエッティ】

「・・・良い子じゃないか。

では、これから君の身柄をどうするか、話し合う事になっているんだが・・・

何か質問は?」

 

 じー、じー、じー!

 

【オジーチャンノオヒゲ、本物?】

「あらあら。ラルゴ、御指名よ」

「む? う、うむ! そ、それは・・・」

 

 じー、じー、じー!

期待に満ちた目に見つめられ、何と応えるべきか迷っている。

 

【ラルゴ、判っているだろうが、ここは子供の夢を壊すべきでは無いぞ】

【そうよ、ここで子供を泣かせては、後々まで言われてしまうわよ?

怖いお爺さんだったって】

【ええい! そんな事は言われんでも!

そうじゃ、本物じゃよ。

どうじゃ、触ってみるかい?」

 

 コクコク!

 

 えっちらおっちら机をよじ登り、膝に腰掛け髭に触る。

 

【・・・ファファ!】

「あらあら、気に入られたみたいね」

「はっはっは! そうじゃろそうじゃろ!」

「ふむ、悪い子ではない様だな」

 

 それを微笑ましく見るミゼット議長。

ご満悦なラルゴ元帥。

硬い表情だが、見るべき所を見ているレオーネ相談役。

 

【オジーチャンハ、サンタサンナノ?】

「む? そうじゃなぁ・・・そうとも言えるかのう」

「あらあら、すっかり好々爺ね」

「ラルゴ、骨抜きにされてどうする。

今は審議の場だぞ」

「何じゃ、レオーネ。

相手にされんと寂しいのか?」

 

 それに触発され、つい声を荒げてしまうレオーネ。

 

「な! 何を言う!」

「ふぉっふぉっふぉ! 悔しかったら、自分の所へも来て貰え。

お前の顔は険しいから、寄って貰えんかもしれんがなぁ」

「くっ! 言うに事欠いて・・・ならば。

ほら、こっちにもおいで、美味しいお菓子を上げよう」

 

 そう言ってお菓子をちらつかせ、呼んで見る。

 

【チョーダイ!】

 

 駆け寄るデュオに、お菓子を渡しつつ、頭を撫でるレオーネ。

 

「はっはっはっ! お前の魅力はそこまでの様だな」

「ぐぬぬ! なにおう! モノで釣るとは! お前はそれでも法務顧問か!」

「何を言う、この世は常に飴と鞭に決まっている」

「良し、ならば、お爺ちゃんとジャンケンをしようか。

じゃーん、けーん」

 

 そう言って、こちらに注意を引き、徐に口元へと手をやり、

 

「ぽん!」

 

 と、同時に、入れ歯を目の前に出して見せ、直に口へと戻して見せた!

 

【!? !? !!!】

 

 直に、ラルゴの元へと駆け寄るデュオ!

 

「な! 汚いぞ!」=衛生的に? それとも、手段が?

「あらあら!」

「ふぁふぁふぁ!」

 

 口をもごもごさせながら、得意げな顔をしているラルゴ。

その口に手をやり、どうやったのかを一生懸命に弄るデュオ。

 

「まぁまぁ、余りそんな事をしては駄目よ」

 

 そう言って、引き剥がされ、膝の上に載せられ、おしぼりで手を拭かれた。

 

「大人気が無いわよ二人とも」

「「だが!」」

「ふふふ、でも、もう意見は纏まったみたいね」

「む?」

「まぁ・・・問題は無いな。スカリエッティの奴も、全て自分が指示・誘導したと証言しておるし。

それを覆すには、余りにも証拠が足りなさすぎる」

 

 

《全て私が指示し、実行させた!

だから、責は私が全て引き受ける!

あの子には、何の咎も及ばない様にしてくれ!》

 

 スカリエッティはそう言い切り、一貫してそれを貫いた。

その後の事や、取引として使えるだろう事を並べ立ててでも、そうさせようとしていた。

 

 

「ああ、庇っている事は明白だが、あそこまでされたらな」

「じゃあ、決まりね」

「だが、大分時間が余ってしまったな。

短時間で決めては何だ、もう暫くこの爺婆と遊ぼうか」

【ワーイ! アソブノー!】

 

 そんなこんなで、審議は終わったものの、扉が開いたのは大分後だった・・・

 

 その審議の内容は、厳重に封印され、極秘書類として保管される事に・・・

時空管理局の面子に掛けても、表沙汰に出来ない?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それまで、ヤキモキしっぱなしの面々・・・

 

「やっぱり、私も付いて行くべきだったかしら・・・」

「フェイトちゃん。流石にそれは駄目だよ」

「信じて待つしかないんよ。ここで我慢せな、後々に響くで」

「・・・それにしても、長いな」

「ああ、長引く事は有ると思うが、それにしても・・・」

「信じましょう。あの子を・・・」

 

 実はとっくに審議は終わり、中で遊んでいるとは思いもしていない・・・

 

「あ!」

 

 そっと、扉が開き。

書記官が出て来た。

 

「あの・・・」

「審議は無事終了しました・・・ブフッ!」

 

 何やら思い出したのか、咽ている。

 

「し、失礼! 中々・・・時間が掛ってしまい。

途中で寝てしまったので、お引き取りを」

「あ、はい!」

「えっと・・・」

「取敢えず、デュオを連れて行かんと」

 

 中を伺うと、何やら腰を抑えている武装隊栄誉元帥。

肩を廻しつつ、草臥れた様子の法務顧問相談役。

微笑みながら、デュオを抱いている本局統幕議長。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

審査・面談後

 

「デュオ、何をしたのか、教えてくれるかな?」

 

 真剣な表情で、フェイトは尋ねた。

 

「うん、そうだね。どんな事を聞かれたのか、なのはママにも教えてくれる?」

「あー、これは・・・一寸菓子折りの一つでも持って行くべきやったか・・・」

「主、それでは収賄に当たってしまいます」

「うぉぉお、何が有ったんだよ・・・」

「ど、どうしましょう!?」

 

 中の様子が判らなかっただけに、結果が危ぶまれる。

 

【ンットネ、ジャンケンシテ、オ口ガポーン!】

 

 しばし沈黙が流れ、意味が判らなくなった。

 

「えっと、誰のお口が?」

 

 取敢えずは、混乱しつつも更に聞いて見るフェイト。

 

【オ髭ノジーチャン!】

「ラルゴ元帥やな、なんつう事をー!」

「他には?」

【オ馬サントー、高イ高イヒコーキ!】

「「「「「「・・・」」」」」」

 

 もう何をして来たのか、聞くのが怖くなったらしい。

 

【アトネ、アトネ、オバーチャンガ、面白イ顔シテクレタ!】

「ミ、ミゼットバーチャン! 何をしたんだ!?」

【クワァーッテ!】

 

 何があったのか、知らないままにしようと決めたとか・・・

 

 

 この後、正式に養子縁組が執り行なわれた・・・

デュオ・S《スカリエッティ》・ハラオウンと・・・




 ジャンケン入れ歯は、実際に行われた事がある。
今は亡き、私の祖父の必殺技だった・・・
生涯で一度だけ、繰り出された必殺技である。

 ジャンケンを覚え立ての私にのみ、繰り出された。
見たのもやってくれたのも、私にだけだった様なのだが、未だにハッキリと思いだせるほど、鮮明に焼き付けられた。
 私には到底真似できるモノでは無く、する事が出来るかすら不明な必殺技である!

 想像して欲しい、グーでもパーでもチョキでも無く、入れ歯が出て来たら、何を考えたらいいのかを・・・
勝ったかどうかすら吹き飛んだ!
驚いた時点で、こちらの負けな気もするが・・・


次回 美々雄君とイチゴちゃん? 登場?


出来れば、ENEMY Sideについて、一言お願いしたいのですが・・・
面白かったか、これはこれで有りだと考えるのかなど・・・

更新速度に関わります。

否定的だと、凹みます。
好意的だと、変わりません。

浮かぶモノは、浮かぶがままに・・・
沈む時は、沈むがままに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

初対面

こうなったのではないか、こうは成らないだろうかと、想像し、連想し、捏造しております。


 と有る儀式に参加する為。

部隊長、隊長×2は、ある管理外世界を訪れていた。

前回の様な事が有っても困る為、十二分以上に警備が厳しい場所へと連れられた二人。

 

 

 その儀式に参加する事を知った、現地の儀式参加者(モブキャラ)達の声。

 

「おい、聞いたか?」

「あん? 何を?」

「おお! 俺は聞いたぞ!」

「だから、なんだよ!」

「あの三人も、今回は参加するらしいぜ!」

「な! そ、それ! ガセじゃねえよな?」

「確かな筋からの情報らしいぜ」

「おお、あの二人からの情報だって言うのなら、信憑性は高いな」

「だけど、三人とも卒業してから滅多に見掛けなくなったよなぁ」

「ああ、俺も、居るかどうか確かめるのに結構、散財(カフェに入り浸り)したよな」

「だな。何度か勘違いして。

毎度、マスターに叩き出された事もあったっけ」

「・・・お前も?」

「何だよ、ワリィか? もって事は、お前達もそうじゃねぇのか?」

「・・・」×?

「・・・まぁ、間違えるよなぁ」

「・・・あぁ」×?

「・・・なぁ、じゃぁ、この噂は聞いたか?」

「どんな?」

「ああ、あの二人が結婚して、子供が出来てるって、話」

「・・・あり得ないだろ」

「だが、海外に出ていたのが、その為の準備だとしたら?」

「まっさかぁ!」

「ナイナイ!」

「ねぇ、聞いた?」

「え? 何を?」

「あの二人、ついに(性別の)壁を越えたらしいわよ!」

「・・・嘘でしょ?」

「でも、何でも子供がもう居るって話よ!」

「・・・だったら、どっちがどっちなんだろ?」

「そうよね、どっちもそれらしいし、どっちでも構わない気もする」

「でも、見てみたいかな?」

「どっちを?」

「・・・ん。二人の子供」

「あ、私はどっちがどう変わったのかを!」

 

 

 憶測は憶測を呼び、絶えず変化を繰り返す。

元の情報に、尾鰭が付き、背鰭が付き、鱗までもが付いた。

真実に近い情報のまま、何処までも変化を続ける。

 

 そんな憶測が流れる中、皆の心中は決まった。

 

「こうなったら。直接、問いただすまで」

「あの二人に、手を付けた奴が居るのなら、諸共に・・・」

「でも、あの二人なら、十二分に有り得るのかも・・・」

「・・・せめて、私達だけでも祝福して上げないとね」

「そうね、二親が同性なんだもの。

せめて、成り染めなり、どれだけ仲が良いのかは教えてあげないと!」

「そうよ! 壁をブチ抜いてまで、結ばれたんだって事を!」

 

 

 一人、途中から忘れられている存在《ハヤテ》も・・・

 

 

 

初対面

 

 

 

 何かを叩く、トントントントンという、断続的な響きで、目が覚めた。

目を覚ますと、見知らぬ天井が目に飛び込んできた。

 

 見覚えは無い。

だが、隣にはビビオ姉が寝て居る。

だから、大丈夫?

 

 まず起きたら、ママ達に挨拶。

目が覚めた事を知らせないと・・・

 

 音がする方の扉を開き、後姿からその音を立てているのが誰であるのかを見極めて、言った。

 

【・・・魔王ママ、オアオウ】

 

 まだ寝惚けている。

 

 聞こえている筈なのに、何時ものが来ない。

・・・アレ(最弱のアクセル・シューター)が来ない。

 

 今ではそれを避け切る事が、日課で課題だ。

(未だに避け切れてはいないが、幾つかはかわせるかな?

・・・次弾で撃墜される事が多い。

避けたら避けたでオヤツが増える! 次は、弾も増えるが・・・)

 

 アレ?

 

 偶々、聞こえて居なかったのか。

反応が無い。

 

 傍によって、スカートの裾を引っ張って見る。

そうすると、包丁を持つ手を止め、こちらを伺って来た。

 

「アラ? 起きたのね。

お早う、早いのね」

 

 一寸だけ体を屈め、目線を合わせてくれた。

 

【・・・ナノハママ?】

 

 何時もと調子が違う。

ほんのりと、甘い匂いが漂って来る。

何時もは、血と硝煙の如き匂いと雰囲気なのに。(注・あくまで印象として=悪戯をし続けた為、警戒されている)

 

 こちらの様子を見て、何か言いたげな事を見て取ったのか、

 

「あらあら、何が言いたいのかな?

ゴメンね。私じゃ、貴方が言いたい事は判らないの」

 

【・・・魔王ママ?】

「うーん、どうしよっか?」

 

 小首を傾げ、悩みながら鍋の火を止め、どうするべきかを思案している様だ。

 

「そうだ。まず、起きたら顔を洗わないとね。

こっちよ、洗面所は」

 

 そう言うと、手を引かれ、洗面所へと連れていかれた。

そこで、優しく洗顔して貰い、そっと水気を拭きとって貰う。

椅子に座り、優しく髪を梳(くしけず)る。

 

 段々と目が覚めて来た。

何時もと違う、朝の目覚め方だった。

 

 目が覚めて来る間に、長く白い髪は解き梳かれ、後ろに一纏めにし、三つ編みお下げに。

 

 だが、それはとても心地が良い目覚めだった。

何時ものアレだと、眠気が吹き飛ばされる様な刺激が有るが、これはコレで快適だ。

だが、これはまだ自分が眠っているからに違いない!《断言》

こんな事は、夢に違いない。

もう一度眠れば、何時もの様になる筈だ!

 

 そう思い、また布団に戻ろうとすると、ビビオ姉が起きて来た。

 

「ふぁ、おはよー。デュオ、なのはママ」

「あらあら、まだ寝惚けているのかしら?

洗面所は、判る?」

「うぅ・・・多分、大丈夫」

 

 そう言うと、一寸だけ決まり悪げに、まだ寝惚けた様子で目的地へと向かう。

その後について、ビビオ姉に話しかける。

 

【ビビオ姉! ナノハママガ変!】

「うぇ? あー、一寸、待って」

 

 そう言うと、顔をバシャバシャと洗い。

シャッキリとした様子で、こちらを見返して来た。

 

「で、何が?」

【ママ、何時モノ出サナカッタ!】

「ああ、私もさっきは間違えちゃったけど。

あの人は、なのはママじゃ無くて、なのはママのママなんだって。

だから・・・」

【フェートママノママ? =ママママ?】

「そうそう。昨日は、デュオが寝ちゃってたから、初めてだよね」

 

 コクコク!

 

「じゃ、もっかい挨拶にいこっか!」

 

 コクコク!

 

 

 

ヴィヴィオ姉 意訳

 

「えっと、初めまして、デュオです。

なのはママのママだから、ママママで良い? って言ってます」

 

 その聞き慣れぬ言葉に、疑問を持ち、聞き返す。

 

「その・・・ママママって?」

「えっと、フェイトママのママのリンディママが、自分の事はそう呼んでって、以前・・・」

「そっか。じゃあ、私もそう呼んで貰える?」

 

 即答だった。

 

【・・・ママママ?】

 

「なぁに?」

 

 ビクッ!

 

 聞こえない筈のそれに返事が返って来た事に驚き。

ビビオ姉の後ろに隠れる!

 

【ビビオ姉! 本当ニ聞コエテ無イノ!?】

「え!? 聞こえてたのかって?

えっと、聞こえました?」

 

 ビビオ姉に、その事について聞いて貰える様に言った。

 

「うぅん、聞こえてはいないわよ。

ただ、何か、言ってそうだったから」

「えっと、ママママって。呼んで見ただけだったんですけど。

まさか、返事が返って来るとは思って無くて・・・」

 

 それを聞き、大体の事態が呑み込めたようだ。

 

「そっかぁ、驚かせちゃったかな?

聞こえてはいないけど、貴方が言いたい事は、何となくなら、解るかな?」

【・・・本当ニ、魔王ママノママ?】

「・・・えぇ、私は、高町なのはのママよ」

 

 その様子を見て、

「スッゴイ! 合ってる!」

「あら、そうだったの?」

「ウン! ピッタリ! 一寸違ったけど、大体有ってる!」

「あら? どの辺りが?」

「・・・えっと」

 

 答え様としていたら、離れた所から聞き覚えのある声が、剣呑な響きで聞こえて来た。

 

「ヴィヴィオー、そこから先は言わなくても良いよねー!」

 

 その声は段々と近付き、その姿を見せた。

 

「あ! なのはママ! おはよー!」

【マオーママ、オハヨー!】

「はい、おはよう! 二人とも。

デュオもお早う。

何時もの《アクセル・シューター》、要る?」

 

 フルフル!

 

 大急ぎで否定する!

何時もの調子でつい。

折角、気持ちよく目が覚めたのに、寝起きならまだしも。

起きているのに、アレは辛い。

 

「アハハ、なのはママは厳し過ぎるよねー、デュオ」

「あ! フェイトママもおはよー!」

【オハヨー、フェートママ!

アレハ、目ハ覚メルケド、今ハ要ラナイ!】

「そうだよねぇ。ナノハママ、優しいんだけど、容赦が無い・・・事も無いから」

 

 ヴィヴィオ姉の言っている事が途中から変わった。

 

「そっかぁ、そんな風に見られてたんだね。・・・良く判ったよ」

「な、なのは、子供の言う事だから、ね?」

「うぅん、こういう所はしっかりしておかないと、後々に響いて来るんだよ、フェイトちゃん。

だから、キチンと、O・HA・NA・SHIしなきゃ」

 

 割と本気!

 

「だ、ダメ! 早まらないで! なのは!」

「・・・フェイトちゃん。そこを、退いてくれないかな?

一寸、デュオとO・HA・NA・SHIしなきゃ、いけないから。

直に終わるし、そしたら、良い子になるんだよ?」

(人はそれを砲撃洗脳、または洗脳光線・摺り込みと呼ぶ!)

 

 その場に居た、それぞれの顔が曇る。

一人、その言葉の意味を知らない人が、不思議そうにその様子を見詰めている。

 

 ど、如何したら!

そ、そうだ!

こういう時こそは、ママママを頼っても良いのかも!?

 

 そう思い立ち、ママママの顔をじっと見詰めた。

ついでに、【タッケテー! 魔王ノ手ノ届カナイ所二!】とも。

どこぞのお姫様の様な事も伝えて見る!

 

「あらあら、今度は何が言いたいのかしら?」

 

 そう言って、目線を合わせる様に屈んでくれた。

ジッと見つめ合う二人。

 

 二人掛りで、暴挙を食い止めようと奮闘するモノ達(フェイト、ヴィヴィオ)。

(流石に洒落にならないと、身をもって知る二人)

 

 一度はそうするべきだと感じているモノ(なのは)。

(何時ものは、挨拶変わりだと思い込んでいる様子。本気のアレ《スターライト・ブレイカー【リミッター・オール・リリース+フル・ドライブ】》で有れば流石に・・・更生の余地は、あるのかな?)

 

 その間、数秒・・・

 

「・・・かっわいー!」

 

 抱き締められた! 振り回された! 連れ去られた!

狙いとは違ったが、この場を逃れる事には成功した!

 

「お母さん! 何処へ連れて行くの!?

それじゃ、お話し(O・HA・NA・SHI=砲撃)できないよ!!」(な)

「そ、そのままで! 暫くお願いします!」(フェ)

「逃げてー!」(ヴィ)

 

 そんな言葉は耳には入らないとばかりに、抱き締めたまま、何処へと立ち去って行った。

 

 

 最初に立ち寄ったのは、道場。

扉は固く閉まっている。

 

 その扉を、中に居る人に気が付いて貰える位の力で叩く。

 

 

「ハァイ! 一寸、待ってて!」

 

 中から若い女性の声がして、

「・・・じゃあ、今日はこれまで」

それとは別の、男の声がした。

 

「はぁ。やっとか」

「なんなら、もう少しつづけるか?」

「うぅん、もう良い」

 

 そんな声と共に扉が開き、中から若い男女が出て来た。

 

「もー、汗びっしょりだし。なのは達も、もう起きたよね」

「ああ、あの子もソロソロ・・・」

「ねぇ、士朗さん、見て見て!」

「なんだい?」

 

 そう答えながら、目を向けると、そこには妻が幼子を抱き締めている姿が目に入った。

一寸窮屈そうに身動(みじろ)ぎしているが、イヤイヤという様子では無い。

 

「オヤ、目が覚めた様だね」

「わ! 如何したの、その髪!」

 

 緩く三つ編みにされたソレが気になったらしい。

 

「ね、似合うと思わない?」

「うんうん! 似合ってる! かわいいねぇ!」

「・・・男の子、だったと聞いていたんだが・・・」

「ええ、そうよ。でも似合うでしょ?」

「ウン、そうだね。でも、これはコレで」

「まぁ・・・似合ってはいるが、それで良いのか?」

「何を言ってるの、お父さん。可愛いは正義なんだよ!」

「そ、そうなのか?」

「ええ、それに、家の子同然ですし。折角、男の子が居るんだから、こういった楽しみも・・・」

「そうそう、これはこれで・・・キョウちゃんはその辺、判って無いし」

「・・・そういうものなのか?」

「「そういうものです」」

 

 二人で声を揃えて言い切った!

 言い切られた!

為すがまま、抱き締められるしか出来ないで居る。

 

「ねぇ、そろそろ私にも抱っこさせてよ、母さん」

「ええ、いいわよ」

「はぁい、今度は、お姉ちゃんの所にこようねぇー。

うわっ! 思ってたより重いね!」

「ね、なのはの時とは違うけど、子供って重いわね」

 

 そこへ、士朗はふと疑問に思った事を口に。

 

「なぁ、なのはの子供なら、美由紀は・・・」

「はいはぁい! お姉ちゃんね! 美・由・紀・オ・姉・チャン!」

 

 それを遮る様に捲し立てる美由紀。

 

「私はママママよぉ」

 

 それに負けじともう一声。

 

「え? なに? それ?」

「なのはママのママだから、ママママだって!」

 

 照れているのか、一寸顔を赤らめ、かなり嬉しそうだ。

 

「じゃあ、こっちの男の人が・・・士朗お爺ちゃんね!」

「な! 確かに、その通りなんだが・・・」

 

 釈然としない様子の士朗さん。

 

「いーからいーから! 孫なんだし、お爺ちゃんは大らかでないと!」

「むぅ。だったら、私にも抱かせて貰おうか?

ほぅら、こっちへおいで」

 

 そう言いながら、両手を伸ばすが、プイッと顔を疎向けられてしまった。

 

「な!? 何故?」

「んー? 如何したのかなぁ?」

 

 そこで、何かに気が付いた。

 

「あら? 士朗さん、今朝もコーヒー豆を?」

「ん? ああ、それが?」

「焙煎臭と、発酵臭と、汗の臭いで・・・」

 

 そう言われ、自分の匂いを嗅いでみる。

 

「・・・そんなに、臭うか? 自分では分からないが・・・」

「「うん」」 コクコク!

 

 三者三様、肯定した。

人は、自身の匂いについては鈍感である。

美由紀姉は慣れている為、気にはならなさそう?

 

「・・・判った。汗を流して来る」

 

 そう言って、その場を後にして行った。

その後姿が、もう見えなくなったのを確認した二人は、

「・・・行ったね」

「・・・行ったわね」

 

 同時に呟いた。

 

 良く見知った笑顔【注・クアットロ】を、浮かべていた。

逃げる為の対価はデカかった事を、この後、知る事となった。

 

 

 そんな事が展開されていた頃。

大分怒りも治まったのか、なのはも落ち着きを取り戻していた。

そんな時に、扉越しに聞こえて来た会話が耳に入った。

 

「ウンウン、良く似合ってる!」

「アラ、それよりこっちは?」

「それも捨てがたいけど。こっちの方が似合うんじゃない?」

「そうねぇ。でも、これも、良くない?」

「あぁー、それかぁー。でも、こっちも・・・良いと思うんだけど」

「良いわねぇ。それなら、ヴィヴィオちゃんにも合いそうかしら?」

「そうだね! 一寸捕まえて来る!」

(捕獲する事が前提らしい!)

 

 その会話に、何となく不穏なモノを感じたのか、何がどうなったのかを確認しようと、扉を開いて見た。

 

 ・・・知らない子供が居た。

その子供は、こちらを見ると、

【・・・ナノハママァー タッケテ!】

と、助けを求めて来た。

 

 ・・・黙って、戸を閉めた。

深呼吸して、今度はフェイトとヴィヴィオを呼んで、レイジングハートも待機させ。

再度、開いた。

 

 また、さっきとは違う、別の子供が居た。

その子供は、綺麗に着飾られ、薄っすらと化粧まで施され、フリフリで駆け出した。

 

【フェートママァ! ビビオ姉ェ! ココハコァイ!】

 

 そう言いながら、今度は半泣きで抱きついて来た!

フェイトは、赤いモノを撒き散らしながら、抱き締めつつ、倒れた!

ヴィヴィオは、捕まった!

なのはは、その様子をレイジングハートに記録させ続けた!

(後に、その様子が六課内で公開され、別の被害者《エリー=エリオ》が生まれたとか生まれなかったとか?)

デュオは、抱き締められた為、それ以上逃げられなくなった!

 

 汗を流し終え、さあ今度こそはと、探し求めるモノと対面した士朗は、硬直した。

着飾られた、壊れモノの人形の如き存在に、本来の目的(抱き上げる)が果たせなくなり、困惑した。

 

 着せ替え人形の如き扱いを受け、憔悴しきっていた。

 

「・・・あー、二人とも。程々にな」

 

 そう言うと、そっとその場を後にした。

その背中に、恨めしそうな、助けを求める視線を浴びつつ。

勝ち目が無いと、諦めた様だった。

インターホンが鳴っているからであって、見捨てた訳ではない! と、その背中は語っている・・・筈!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 玄関では、ある夫婦が、新しい姪と甥の顔を見に、実家を訪れていた。

 

「どんな子なんだろうね!」

「さぁな。それより、その格好」

「え? おかしい?」

「・・・いや。おかしくは無いんだが・・・どうして?」

「え! 初めてコッチに来るんだよ! 異文化に触れさせてあげるべきだよ!

・・・それに、あ・と・で、良い事もあるわよ?」

「・・・」

 

 そっと耳打ちされ、黙る事しか出来なかった。

 

 振り袖姿で、ピッチリと着こなされ、着飾られている。

・・・既婚なのに。

 

「それに、着付けも教えてあげないとね!」

「・・・まぁ、な」

「帯の締め上げは手伝ってあげてね!」

「な! 出来るか! そんな事!」

「あら、私のは手伝ってくれるじゃない」

「それとこれとは、別だ!」

「でも、緩いと途中で解けちゃうわよ?

それでも、いいの?」

「・・・判った。ただし、それだけだからな!」

「はいはい。じゃあ、初対面と行きましょうか!」

 

 そうこうしていると、奥から人影が見えて来た。

 

「おお、来たね。さぁ、上がっていきなさい」

「こんにちは!」

「・・・ただいま」

「二人とも、今は奥に居る筈だから。

・・・ただ、見ても驚かないでやってくれ」

 

 そう、意味深げな言葉を残し。一人、リビングのソファーに腰掛けた。

二人は、言われた事の意味が掴めないで居ると、小さな足音が此方へと向かって来た。

 

「あら?」

「お?」

「ん?」

 

 束縛を抜け出し、安全な場所へと逃げ出すデュオ。

ヴィヴィオ姉を尊い犠牲(または生贄)とし、何とか抜け出した。

服装までは変えられなかった!

 

「あらあら! かっわぃー!」

「へぇ」

「おぉ、抜け出せたのか。

こっちへおいで。二人を紹介しよう」

 

 恨めしそうな目で見ながら、言われたとおりにソファーへ。

 

「そんな目で見ないでくれ。

あれは流石に、私には対応できない」

 

 そんな風に攻める目線を、何とか避けようと弁明する士朗。

 

「えっと、ヴィヴィオちゃんで、良いのかな?

私は、忍。こっちの恭也の連れ合いね!

気軽に、忍お姉ちゃんって、呼んでね。こっちは恭哉伯父ちゃんで良いから」

「な! おい! 一人だけそんな・・・」

「い・い・で・しょ?」

 

 強い口調で言い切られた。

 

「・・・まぁ。あー、その、だな。

なのはの兄貴に当る、恭也だ。よろしくな」

 

 そこへ、気まずそうに、士朗が口を挟んだ。

 

「・・・まぁ、その、何だ。

勘違いしている様だから、言っておくんだが・・・」

 

 ドタドタと、小さな足音が響いて来た。

 

「デュオォー! よくも、私を置いて、逃げたわねぇ!」

 

 その叫び声と共に、飛び込んで来た相手を指さし、言った。

 

「その、な。

こっちが、ヴィヴィオちゃんだ。

こっちが、デュオ君だ」

「は?」

「え?」

 

 飛び込んで来たのは、ボーイッシュな格好となったヴィヴィオ。

対象的に、乙女チック(お姫様とも捉えられる)に着飾られたデュオ。

 

 その二人を見比べ、勘違いに気付いた二人。

 

「・・・そ、そうか。

こんにちは、なのはの兄の恭也だ。

こっちは、俺の連れ合いの忍だ。

忍伯母さんとでも、呼んでやってくれ、ヴィヴィオ。

ヨロシクな、デュオ。ここでは、男損女媛(だんそんじょひ) (×)で男の立場は弱い。・・・強くなれ、デュオ」 (【嘘】)

「恭也! なんて事を!

違うからね! 私は、忍お姉ちゃん! お姉ちゃんだから! まだ!」

 

 それを聞き、こう言う時はどう応えるべきか、教えられた通りに返すヴィヴィオ。

 

「えっと、高町 ヴィヴィオです!

こっちは、弟のデュオ・S・ハラオウンです!

弟は喋れませんので、代わりに宜しくお願いします!」

 

 そう言いながら、二人で頭を下げる。

 

「えっと・・・恭也伯父さんに、忍・・・」

「オ・姉・チャンって、呼んでくれると、お姉ちゃんは嬉しいなぁー」

 

 強い口調で押し切った!

 

「・・・忍・・お姉さん?」

「はぁい! んー、素直で宜しい!

お姉さんが抱きしめてあげる!」

「おいおい・・・それはやり過ぎじゃ」

「んー! 二人ともかわいいねー!」

「キャー!」

【キャー!】

 

 聞こえませんとばかりに、二人を抱き上げ、抱き締め、振り回す忍。

親子で、如何したモノかと途方に暮れる二人。

振り回され、目を回すヴィヴィオとデュオ。

 

「なぁ、恭也。こういう時、男は無力だな」

「ああ、如何したら、良いのかな?」

【タッケテー!】

 

 その二人に、目で助けを求めるも、伝わらないデュオ。

暫くの間、次なる来客が訪れるまで、そのまま振り回されたのだった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「で。これは如何言う事?」

 

 次なる来客の第一声が、これだった。

知り合いのお姉さんに抱き締められ、振り回される二人の子供達。

その様子を、遠目にハラハラと見詰める男性陣。

この子達が、なのはとフェイトの養子になったという子供達だろう事は、容易に想像が付いた。

 

「デュオ!? ブフワッ! な、何が有ったんや!」 

 

 こっちは、何時ものハヤテお姉ちゃん。

お腹を抱えつつ、何かを堪えつつ、尋ねて来た。

でも、何だか癇に障る!

 

「わぁ! 可愛らしい!

こんにちは。私は、なのはちゃんとフェイトちゃんのお友達で、月村 すずか。

そのお姉ちゃんの妹ね。

それで、こっちのお姉ちゃんが・・・」

「アリサ。アリサ・バニングスよ。

宜しくね」

「あ! ハイ!

高町 ヴィヴィオです!

こっちが弟の、デュオ・S・ハラオウンです!」

「・・・ああ、そう言う事」

「・・・そっか、それで・・・」

 

 二人は紹介され、何となく事情を察した様だ。

その顔が曇ったのは、次の一言からだった。

 

「・・・えっと、お話は、良く・・・」

「・・・なに?」

「えっと、怒らせると怖くて、犬で一杯な、アリサさん?

それと、ホンワカしてるけど意外と策士で、猫で一杯な、すずかさん?」

 

 それを聞き、間違ってるとは言えない二人。

 

「な! 間違ってはいないと思うけど・・・そっか、そんな風に思われてたんだ」

「ふぅん・・・そんな風に見られてたんだね、アリサちゃん」

 

 一寸だけ、影が差した様子で、報復に思いを馳せる二人。

 

「じゃあ、私達があなた達のママについては、教えてあげないとね。

ねぇ、すずか?」

「そうだね、アリサちゃん」

「そうね。なのはとフェイトがどんな感じの子供だったのかとか・・・色々ね」

「そうだね。ついでに、はやてちゃんの事も、教えてあげようよ」

「良いわね!」

「な! 何でウチの事まで!?」

「だって、一緒よねぇ? すずか?」

「そうだね。なのはちゃんとフェイトちゃんの事だけじゃ、不公平だよね。

ココは平等に、はやてちゃんの事も教えてあげないと、ねぇ?」

 

 二人とも、一寸だけ黒かった。

 

 そして、三人の恥ずかしい秘密が暴露されたとかされなかったとか?

 

 その話を聞いて、ニャー、キャー、ワー! とかの叫びが上がったとか上がらなかったとか?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




ヴィヴィオ =ビビオ =美々雄? =美しく、雄々しく育つ?
デュオ =二 =一の後 =一後 =イチゴ

とまぁ、遊んでおります。

男尊女卑(だんそんじょひ) ()
 =男を重んじ女を見くだす態度・思想。
男損女媛(だんそんじょひ) (×)
 =男が損をしても女性を(ひめ)の如く崇める態度・思想。

後々、エリーも登場します。
シロさんもシャルさんも・・・

美々雄君は・・・どうかな?

再登場は出来るだろうか?


次回 小ネタ・事実集?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

小ネタ 短編集?

話として膨らみ切らなかったモノなどです。

まぁ、私は楽しめるが、そこまで持って行けなかった。

それでも楽しんでは貰えるのでは? などと勝手に思ったりしたモノですので、余り期待はしないで頂きたい。

それでも良ければ、幸いかと・・・


「お付き合い?」を訳有って転載します。


子連(こづ)れには・・・手を出すな!

 

 とある関係者達の警句

 

 

子連れ魔王

 

 偶々、都合が付かず。

デュオを連れて、教導に出た高町教官。

 

「えー、今日は一寸都合が付かなかったので、このままやろうと思います」

 

 その姿は、おぶい(おんぶ)紐で縛られ、ジタバタと暴れる子供を背負っていた。

それを見た、数名は・・・

子連れだ =ハンディだ =コレは、日頃の成果を試すべきチャンス! と捉えた。

 

 日頃、叩き墜されていた事を恨みに思うモノと、この場で(子供に・教官に)良い所を見せ、好印象を与えようと考えるモノ。

・・・それぞれが居た。

 

 だが、結果は・・・

更に厳しかった! 芳しくは無かった!

 

 始まる頃には、幾分自体が呑み込めたのか、大人しくなった子供(デュオ)。

あやしながら、これから何をするのかを言い含める教官(なのは)。

 

 最初は、当たり前に、アクセル・シューターによる応酬。

それを、撃ち落とすなり、防ぎ切るなり、それぞれが対応。

更には、反撃に出るモノも多数。

この辺りは、熟練して来た者達であった。

 

 ただ、今回は違った。

反撃に対し、防ぐ高町教官で有ったが・・・

偶々近くを飛んでいた攻撃を、子供が・・・掴んだ!

 

「は!?」「え!?」「何!?」「・・・ウソだろ!?」ets ets・・・

 

 その手は、長く大きい。

黝い光沢を放つ、手甲(ガントレット)と化していた。

手にしているのは、反撃として放たれた魔法弾。

手の中で、バチバチと爆ぜているが、新しい玩具を見たかのような反応で有った!

 

「? 皆? ・・・どうかしたのかな?

そんな動きが止まっていたら、格好の的だって、教えたよね?

・・・私の教導、覚えて無いのかな?」

 

 それを聞き、慌てた様子で、

 

「イ、イイエ! そ、そんな事より!」

「ハイ! 覚えています! それよりも!」

「う、後ろを!」

「・・・そ、そんな事よりも!」

「??? ・・・後ろ?」

 

 なのははそう言いながら後ろを振り返るのだが、背中に背負われている為、視界には入らない。

ゆっくりと、振り返るその顔は、一変していた。

 

「・・・皆、私をからかっているのかな?

私、そんな風に教導したつもりは無いんだけど・・・

皆、頭冷そっか・・・

そうしたら、私のO・HA・NA・SHI・聞いてくれるよね?」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 即座に、全員撃墜された。

その後、延々と説教と言う名の折檻が続いたとか・・・《体罰では無い・・・筈!》

その背中で、その恐ろしさを心胆に刻み付けるデュオ・・・

一寸は、大人しくなった・・・かな?

 

 末後の言葉は、

「・・・子連れ魔王、強し!」

「魔王なのは、王子デュオ・・・」

「魔王の子供は、強し!」等々・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

子連れ大寅(狼に有らず)

 

 又、都合が付かず、今度はフェイト執政官が面倒をみる事に・・・

 

「デュオ、大人しく・・・出来るよね?」

フルフル! (ブルガリアでは逆の意味だが、ここではそうするつもりは無い様だ)

 

 その姿が可愛らしく映ったのか、

「もー、可愛いなぁ!」

 

 ギュッと抱きしめ、手早く背中に括るフェイト。

 

「あ、あの!」

 

 緊張した面持ちのシャーリーが声を掛けて来た。

 

「何(なぁに)? シャーリー?」

「・・・今日は、そのままで?」

「ええ、問題は無いわ。

寧ろ、今日はずっとこのままで居たい!」

 

 フェイトは拳(コブシ)を固め、力説した!

 

「そ、そうですか・・・

ですが、これから・・・」

 

 ティアナはこれから行う事を考え、そのままではどうかと思い、意見して見た。

 

「ええ、分かっているわ、ティアナ。

でも、大丈夫! この子には、指一本触れさせはしないから!」

 

 説得は・・・失敗した様だ。

 

 

 とある犯罪組織の見張り役、モブ構成員達の会話

 

「・・・おいおい!

あの姉(ネー)ちゃん、子供を背負ってるんじゃねぇか?」

「あん? そんな筈はねぇダ・・・背負ってんな?」

「だろ? 何しに来たんだ?」

「はぁ? 何寝惚けてんだ?

どれ? 背負ってんな・・・」

「あー、アレだ。

春になったから、頭がお花畑になったとか・・・」

「・・・有り得ねぇな」

「だな。それなら、何しに来たんだ?」

「・・・カチコミとか?」

「ブァッハッハハ!」

「あ、有りえねぇ! 子連れでカチコミとか、マジ有りえねぇ!」

「馬鹿か! そんな事するんなら、その子供っから狙うだろ!」

「・・・そんな事は、決してさせないわ」

 

 その声は、有り得ない筈の声だった。

 

「管理局、執政官 フェイト・T・ハラオウンです!

貴方達を逮捕します。貴方達の罪状は、追って通達します!

・・・だから、先ずは逮捕されなさい。

(この子への)脅迫罪と、(この子への)児童虐待の罪で・・・」

「な!? こ、この!」

「どっから湧きやがった!」

「か、カチコミだ! 管理局の!」

「子連れで来た!」

「ひぃ! ト、トラだ!」(金髪黒装束だった為、虎の様に見えた?)

「・・・背中の子供から狙え!」

「・・・そんな事は、させない!」

 

 ・・・等の言葉が飛び交う中、近付く強面を、怖いから近付くなとばかりに、黝い巨腕が振るわれる。

迫る魔法を鷲掴み、投げ返す!

 

 その度に飛びかう、魔法、怒号、悲鳴、嘆願・・・犯罪者共。

 

 

 その様は、双面四腕の鬼の如き姿だったと、後に関係者(シャーリー&ティアナ)の口から零れた・・・

 

 

「悪鬼が出た!」

「双面だった!」

「四本の腕だった!」

「虎が出た!」

「死神だった!」

「破壊神だ!」等々・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

子連れ副隊長

 

 今回は、丁度手が空いたとかで、子守りを買って出たシグナム。

 

「ふむ、コレも中々・・・」

 

 そう言って、姿見に映る、自分の姿を確認する事に余念が無いシグナム。

その姿は、背中に眠るデュオを背負い、ちゃんちゃんこを羽織っている姿だった。

 

 ふと、疑問を持ち、違う形へ・・・

向かい合う様に抱き、固定。

 

「フム、こっちの方が動き易いか?」

・・・む? 緩かったか?」

 

 少し紐が余っている。

 

「・・・フン!」

 

 バタバタと急に暴れ出すデュオ。

 

「ん? どうした? 急に暴れるとは・・・」

「な! 何やってるの、シグナム!」

 

 偶々様子を見に来たシャマルによって発見された。

 

「ああ、急に、な」

「窒息しそうなの!」

 

 その様子を見ていた男性職員は、

「くっ! 羨ましい!」

「自分が替わります!」

「むしろ、もっと締めて!」などと思っていた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

子連れ医務官(シロひげ)

 

 シグナムには任せられないからと、自分が引き取った。

向かい合う感じに抱き、おんぶ紐で固定。

 

 そこへ、話を聞いたヴィータが現れ・・・爆笑した!

正面から見て、髭が生えている様に見えたとの事。

三つ編みの白ひげだったと大騒ぎに!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

おままごと?

 

 笑われ、落ち込んだシャマルに替わり、ヴィータが面倒を見る事に・・・

 

 そこへ、事情を良く知らない外部関係者が現れた!

 

「坊や達、こんな所でどうしたんだい?

保護者は、何処に居るのかな?」

「迷子かい? じゃあ、迷子センターに連れていってあげないとね!」

「オー、えらいね! 弟の面倒を見て上げてるんだね。

頑張ってね! お姉ちゃん!」

「はぁ! はぁ! はぁ!」=鼻息が荒い不審者

 

 一人を除き、尽くが鉄槌と壁の頑固なシミと化した。

 

 その時、アタシは大人だ! 母親だ! 近寄んな! との叫びを耳にした者が多数いた。

 

 暫く落ち込む日々。

年相応の姿に成れる様、変身魔法の習得に励むが、相性は悪い様だ・・・

変身は出来たが、アンバランス(トランジスタ・グラマー)な感じに、バランスが悪い為、封印。

 

 決して練習中、はやてに見つかったからではないと、本人は言っている。

その割に、手形がハッキリと付いていたり・・・【何処に!?】

その事を、はやては覚えてはいない。大きなたんこぶは見えているのだが・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

一字違い

 

 あるTV番組を、士朗お爺ちゃんと見ていた。

その中のあるシーンが印象的であった。

 

 それを実践してみる事に・・・

 

 

生娘独楽回し

 

 

 丁度、着付けの練習をしている事も有り。

快く応じてくれた。

 

 

 

八神 ハヤテの場合

 

 ノリが良く、良く分かってくれた。

 

「あーれー! ご勘弁をー!」

 

 バタッ!

 

 よよよっと、泣き崩れるふりまで。

基本を忠実に再現。

 

 

 

フェイトママの場合

 

 別の意味で判ってくれた。

 

「ア-レー! ご勘弁をー!」

 

 バサッ!

 

 カッ! と光ったと同時に、黒装束《バリアジャケット》に早着替え!

高等技術!

 

 

 

ナノハママの場合

 

 余り理解出来る範疇には無かった様だ。

丁度、席を外していた事も有り、良くは判っていなかった。

 

「? なにかな?」

 

 問答無用で回してみる!

二人より凄い事になりそう!

 

「え!? きぃゃぁぁぁ!」

 

 

 ごん!!

 

 別の意味で・・・凄い事に!

 

 

 ・・・角が生えた!

生娘では無く、鬼娘と化した!

その後、暫くの間、壮絶な鬼ごっこと化した。

謝っても許しては貰えなかった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

大いなる疑問?

 

 

 ある日、デュオはふと、疑問を持った。

 

 にこぽ? なでぽ? そんな言葉を目にした。

 

 ・・・にこぽは、フェイトママ。

 ・・・なでぽは、ハヤテ姉。

 ・・・なのはママは?    ・・・チュドぽ?

 

 その事を確かめるべく、その辺りに詳しそうな相手を探してみる。

中々居ない、皆忙しそう。

だから、一番居所がハッキリしていて、詳しそうな人の元へ!

 

 

「は? 何や? なでぽ?

ああ、はいはい。なでぽな! それがどないしたん?

え? 私が? んー、どない何やろなぁ。

そんなら、ちょぉ試してみるか!

ホラ、おいでおいで」

 

 呼ばれたので行って見ると、抱え上げられ、膝の上に。

 

「んー、良い子良い子」

 

 余り良くは判らない。

 

「なぁ、ハヤテェー・・・何やってるんだ?」

 

 丁度、何がしかの用が有ったのか、部屋を訪れたヴィータ。

膝の上に子供を座らせ、かいぐりかいぐりと頭を撫でていた。

 

「んー? 一寸な。

あ、そーや! ヴィータ、ちょぉこっち来てくれん?」

「何だよ」

 

 そう言って、近付いて来たヴィータを傍らに、同じ様な事をする。

 

「な、何すんだよ!」

 

 顔を真っ赤にしながらも、されるがまま、なすがまま。

 

「これが、なでぽな。

で、他に聞きたいんは?

ん? にこぽ? フェイトちゃんかと思うて?」

 

 そう言われて思い浮かぶのは、あの笑顔。

 

「んー、妥当やな。

で、なのはちゃんは? なのはちゃんもにこぽ?

・・・は? チュドぽ?

何や!? その新語は!?

え? 根拠が有りそう?

・・・ふんふん!」

 

 一人、蚊帳の外におかれたヴィータ。

 

「・・・何話してんだよ!

なのはが如何したってんだ?」

 

 ジーっと見詰める二人。

見詰められるヴィータ。

 

「な、何だよ、二人して」

 

 一寸うろたえている所が怪しい?

 

「ヴィータ、大事なことや。

正直に応えてんか!」

 

 はやてにガッシリと肩を掴まれ、詰め寄られたヴィータ!

 

「わ、判ったけど。何だよ」

「・・・なのはちゃんの事、どない思ってるんや?」

「は? そりゃ、大切な仲間だし、守ってやらなきゃって考えてた事も有ったけど・・・」

「んー、これは、決まりやな!」

「何がだよ?」

「なのはちゃんは、チュドぽや!」

「・・・な、何なんだよ! それは!?」

 

 呆気に取られつつ、その意味を問うた。

 

「まぁ、新造語やな。

だけど、今思い返すと説得力が有るんやなぁ。

死の淵を垣間見た相手が、最後に見た相手を好きになるとかって、話も有るし」

「・・・成程、確かに、それは言えるのかもしれねぇ」

「だからヴィヴィオちゃんも・・・」

「フェイトも・・・」

「はっ! と言う事は! クアットロも!?」

「あ・・・でも、それは無さそうだったぜ?」

「何でや?」

「まぁ、その、な。

壁抜きして当てたって聞いたし、この間の取り調べの時は、一寸怯えてたぜ?」

「そ、そか。なら、大丈夫かな?」

 

 そんな会話が隊長室にて行われていた。

割と、その前を通った者には筒抜けで有った。

まぁ、重要な話ではないし、構わないかと思われたが・・・

 

 

「なのは隊長は、チュドぽ! らしい!」

と言う噂が、ミッドチルダ中に響き渡った!

 

「ど、何処からそんな噂が!」と、憤慨なされたとか・・・

 

「な、なのは。その、私は気にして無いから!」第一被験者?

 

「なのはママ、どうしたの?」現在・最大級の被験者?

 

「じゃあ、僕は?」何も被害を受けていないモノ

 

 

 ちゅどぽ! の噂を聞き付け、ご教授賜りたいと、何人もの女性隊員が詰め掛けたとか・・・

意中の相手をそれで射止め? たいとか・・・

 

 

 過激な告白と受け止められた為、被害届は出ていない・・・のかな?

 

 

 情報源は秘匿されました。

 

 

 今回は、お叱りは無い?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

他愛の無いイタズラ・・・の筈!

 

 

 恭也伯父さんの盆栽の鉢に、ビー玉状の【石化した魔力】モノを埋め込んで見た。

 

 

 結果

 

 ・・・デッカクナッタ!

盆栽自身が、自分の面倒を見られるようになった!

 

 伯父さん、泣いてた。

泣くほど嬉しかったのかと思ったら、怒られた!

 でも、忍お姉ちゃんには・・・褒められた!

どうしてって聞くと、自分より盆栽を見ている時間の方が長いとか?

 

 伯父さん、流石に凹んでた。

それを慰めて良い事して来るって、二人で行っちゃった!

 

 お菓子が一杯! 貰えたとさ・・・

 

 その後、そのお菓子の出所をナノハママに追及された・・・

怒られた! ・・・褒められたのに!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

私情最強の息子、デュオ

 

 ある歪曲された情報

 

 

「・・・」

「私の持てる技術の全てを、あの子につぎ込んだ」

「・・・」

「欲しければ、呉れてやる。お前達に分かるのであればな?」

「・・・」

「知りたくば、尋ねるが良い」

「・・・」

「私の全ては、あの子に託した!」

「・・・」

 

 

 その情報が何処から流れたのかは不明だ。

それにより、裏社会の間では、かなりの速度と信憑性を持って広がった。

 

 結果として、虎児を得んとするモノが続出した。

御大層な・・・の宝物として・・・

 

 ある者は、決行し、良い所までは行ったが、大魔神【なのは】と破壊神【フェイト】召喚により、組織ごと壊滅された。

 

 ある者は、大人になる幼子【ヴィヴィオ】の前に、潰えた。

 

 ある者は、赤い少女【ヴィータ】に、頑固な汚れへと変えられた。

 

 ある者は、がんじがらめに縛られ、別の趣味に目覚めた。【シャマル】

 

 ある者は、罵られ、叩きつけられ、焼かれ、別の趣味に・・・【シグナム】

 

 ある者は、虫に集られた。《トラウマ必須な状態に・・・》【メガーヌ・ルーテシア・コンビ】

 

 ある者は、全てを晒された。秘して置きたい全てを、白日の元に晒された。【クアットロ】

 

 ある者は、蹴り飛ばされ、撥ね飛ばされた。【ノーヴェ】

 

 ある者は、殴り飛ばされ、更に撥ね飛ばされた。【スバル】

 

 ある者は、余罪を調べ挙げられ、監獄へとブチ込まれた。【ティアナ】

 

 ある者は、爆破された、死んではいない。・・・一応?【チンク】

 

 ある者は、轢かれ、下敷きに・・・【ウェンディ】

 

 ある者は、目にも留まらぬ早業で半生半死に。【トーレ】

 

 ある者は、全ての記録を改竄・抹消された。【ウーノ】

 

 ある者は、とある科学者の被検体に。【スカリエッティ】

 

 ある者は、実行する直前に、巨大な刃物によって車を両断された。【セッテ】

 

 ある者は、閉じ込められた。【オットー】

 

 ある者は、滅多撃ちに。【ディエチ】

 

 ある者は、滅多打ちに。【ディード】

 

 ある者は、首以外を壁に埋められ、生首状態な所を発見された。【セイン】

 

 ある者は、どちらが多く、魔法を当てられるかの標的に。《軽度の熱傷・凍傷》【アギト・リィン・コンビ】

 

 ある者は、噛みつかれ、引っ掻かれ、それでも一寸幸せそうだった。【アルフ】

 

 ある者は、噛みつかれ、引っ掻かれ、それは野良犬に咬まれた様であった。【ザフィーラ】

 

 ある者は、連行され、強制労働へ。【ユーノ】

 

 ある者は、連行され、試し切りの的に。【士朗・美由紀コンビ】

 

 ある者は、フライパンで叩かれ、一番重傷!【桃子】

 

 ある者は、権力を行使し、見せしめに・・・【リンディ】

 

 

 その様な事が続いた。

流石に、全てを表沙汰にする訳にもいかず。(手段や、関わった人間についても物議を醸す事必須だった)

 

 最終的に、自力で何とか出来る様、色々仕込まれる事に。

 

 

逃げ足 =上々。

危機管理能力 =甘い! の一言、らしい。

戦闘力 =ほぼ皆無。《質量兵器の扱いは相当、生身では年相応》

守備力 =本当に危ない時は、ビクともしない。【デバイス展開時】

 

 そんな状態で有るから、オリジナルとなる様な魔法を仕込まれる事に・・・

惨劇はそこから始まった。

 

 

 

 最初は、射撃系魔法を仕込まれる事に・・・

見込みが余り無いとの事だった。

ちゃんと当たるし、飛びもする。

威力も相応。

ただ、飛ぶ速さが遅かった!

 

 その速さに苛立ち、掴んで投げた方が早かった!

それから、変換資質(石化)により固め、幾つかを常備し、投げ付ける事に。

放物線を描きながら、標的に向かって行く。

偶に壁にぶつかり、跳ね返る事も。

 

 形状は、刺々しい。

本人曰く、イガイガ。

それを見た者は例外なく。

 海胆だ。 雲丹・・・だよな? 海栗? これは・・・ウニね。 イタズラ小僧が、海のいたずらっこ《シー・アーチン》を手に・・・コレは・・・手に負えん。私は何も見てへん!

 

 どう見ても海に居るウニにしか見えなかったり。

群青色をした、刺々しい物体はウニに見えた。

 

 だが、本人は、イガ栗だと思っている。

喰らった者は、グッサリ! ザックリ! 痛々しい!

 

ある程度、効率的に良くなって行くと、フライング・ディスクに。

更に進化すると、手裏剣に。

良い手では有るが、法律に引っ掛かった。

残念ではあるが、禁じ手に・・・

 

 

 

ディバイン・バスター習得!

 

 速攻で禁止された!

理由 =イメージを著しく阻害すると、公式での使用を禁止された! 非常時には、その限りに・・・あらず?

 

 スバル姉の、リボルバー・ナックルを摸したグローブを変換資質によって形成。

上手くは飛ばないから、ロケット・パンチ風に改良!

後はそれを飛ばす!

速くは飛ばないから、後押しする感じに!

 

 飛距離・命中率・度肝を抜く事間違いなし!

小さい子供には大人気!?

 

 

 

ファランクス・シフト習得?

 

 フォトン・ランサーは難しいから、形を変えてファランクス・シフトを習った!

サンド・ブラストと化した!

段々と砂粒が大粒に、ビー玉大に。

ストーン・ブラストに!

 

殺傷力が強いとか・・・工作用に転用!

そのまま転がし、逃走用に!

 

 

 

間接系魔法?

 

 変換資質を活かした魔法として、はやて姉に師事。

 

 

結果

 完成・・・欠陥は有るが、大変良い出来だとか・・・

床面の摩擦係数をゼロに近くする魔法。

それで、逃げた後を滑り易くし、逃げるまでの時間稼ぎに・・・活用!

 

 ・・・イタズラに使ったのがバレタ!

空を飛びながら追い掛けられる事に!

結局、捕まった!

 

 

 だが、一部には好評だった!

スケートの様に滑って遊んでいた!

転んではいたが、至って好評!

 

 

 

使用武器(デバイス)選択

 

 何を使わせるのかで、大いに揉めた。

ミッド式かベルカ式か、長柄か刀剣か打撃か射出系か投躑系か。

紛糾し、収拾がつかなくもなった。

 

 

結果

 刃物は危険だという事で打撃系に・・・

 長柄は扱い易いが、体格が合わないだろう事と、携帯が難しい事から、短寸の物へ。

 射出系は、まだ早いと・・・

 投躑系は、もう少ししたらと。命中率は良いが、危ないと・・・イタズラに使う事を懸念。

 

 打撃系で色々と転用も効く釵(サイ)に。

先は尖らせず、丸く。十手の如き物に。

 

 紐付きで、投げたり引っ掛けたり。

紐を固めて即席の長柄にしたり。

 

 

 教師陣のやる気は否が応でも揚がった!

 

長柄・戦闘担当=フェイト・ヴィータ・エリオ

刀剣・戦闘担当=シグナム・フェイト

捕縛・縄術担当=シャマル・なのは・ユーノ

近接・戦闘担当=トーレ

格闘担当=ザフィーラ・スバル・ノーヴェ

広域戦闘担当=ハヤテ

射出系担当=なのは・フェイト・ティアナ

間接系担当=ハヤテ・シャマル・ユーノ・リィン・キャロ

休憩(サボリ)・逃走・脱走担当=セイン・ウェンディ

謀略・姦計担当=クアットロ

設計・技術担当=スカリエッティ・マリエル・シャーリー

破壊・工作担当=チンク

 

 

 噂を聞き付け、便乗するモノ多数。

 

 

・・・裏取引有り! 特例で認められた?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

特等席(トットーセキ)!?

 

 

 特別な席が有る!

 

 シロー爺ちゃん、硬いの! だけど、便利! 新聞読んで説明してくれるし、判らない事教えてくれる!

 

 なのはママだと、具合は良いけど、前のめりになる! ビビオ姉の特等席!

 

 フェイトママだと、頭が重い! それに、埋もれる!【何処に!?】

 

 ハヤテ姉、具合は良いんだけど、座りが悪いの!

 

 シグママ、埋もれる! 埋もれるの! 挟まれるの!【何所に!?】 何も聞こえなくなるの!

 

 シャママ、一番具合が良いの! 丁度良いの! 一番!

 

 ビータママ、・・・邪魔だって! ・・・前は乗せてくれたのに!(おっきくなったから?)

 

 美由紀姉も一番! でも、忙しそうだから、偶にしかしてくれない!

 

 (桃子)ママママも良いけど、忙しいって! なのはママ位? でも、トッテモ良い! シロー爺ちゃん、一寸コアくなる!

 

 (リンディ)ママママも! 偶にしてくれるけど・・・とられる!? 交代でしか出来ない!

 

 アルフも良いけど、交代で!

 

 それを見ていたビビオ姉もやってくれた! オッキクなって丁度良いの! でも、何だか硬め? 弾力が良い!

 

 キャロ姉もやって見るって! でも、何だかモゾモゾする? 動いちゃヤー! くすぐったいって!

やり慣れないからくすぐったい?

 

 

A=膝の上

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

特別?

 

 なのはママ、上手だけど一寸見辛そう・・・ 偶にガリッて・・・

 

 フェイトママ、見えないって!

 

 ハヤテ姉、上手! 一番!

 

 シグママ、・・・オッカナイ! 見えないから出来ないって!

 

 シャママ、オッカナイ!

 

 ビータママ、苦手だって! 怖いって!

 

 美由紀姉も一番! 上手!

 

 (桃子)ママママ、上手! 熟練? シロー爺ちゃんもやって欲しそうだった!

 

 (リンディ)ママママ、一寸下手! 偶に、奥にガリッとやられた! 一寸不慣れ?

 

 カレルとリエラは、エイミィ伯母さんが一番って言ってた!

フェイトママにもやって貰った事有るけど、一寸苦手だって!

見えてないから、ガリッて、ズボッて行きそうだって!

クロノ伯父さんも偶にやって貰ってるって!

 だけど、逃げ回ってる?

エイミィ伯母さん、それを捕まえて無理やりヤルんだって!

「恥ずかしい!」んだって!

 変なの? 気持ち良いのにねー!

「「ねー!」」

 

 アルフも上手!

 

 ビビオ姉、レンス? するって? ・・・痛いの! ヤーなの! 下手なの!

 

 キャロ姉、上手! 気持ち良いの! エリオ兄もやって貰ってたけど・・・真っ赤なの、血が止まらなくなったの! 何で?

 

 

「デュオ君、一寸・・・」

 

 アルトにお呼ばれ?

 

「チョット練習させて貰えるかな?」

 

 ・・・コク!

 

 ルキノにも・・・

 

「デュオくーん、またお願い・・・」

 

 ・・・コク!

 

 やって貰うんだけど、お菓子くれるの!

レンス?(練習)だって! 誰にするのかなー?

 

 でも、上手なの!

ヤワヤワなの! フカフカなの! 温(あった)かなの!

 

 それをバイス(ヴァイス)とクリプス(グリフィス)に話して見たの!

 

「へ、へぇー・・・そうなんだ」

「ふ、ふぅん・・・気持ち良いんだ。良かったね」

 

 二人とも一寸コアイの! 何で!?

 

 

 

A=耳掻き

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

勝手気侭に思い浮かぶがままに・・・

 

こうなのではないかと、想像した限りです。




笑って頂けましたか?
笑って頂けたなら、幸いかと・・・


次回 ハジメテ・シリーズ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、クリスマス・プレゼント!

とても子供っぽいです。
予想出来る方は有る意味、凄いかも?

季節外れではあるモノの、出来たのならばこれも有りかと。

子供のあ・の・ね? から着想。


   デュオのとっても欲しいモノ?

 

 クリスマスを目前に、あるモノを獲得すべく奮闘する者達?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

ヴィータside

 

「何だ! その気の抜けた様は! もっとシャキッとしろ! 堕とされたいのか!」

 

 いつにも増して声を荒げて叩き上げ、鍛え上げようと奮起するヴィータ。

 

「な、なぁ。何があったんだ?」

「さ、さぁ。クリスマスが近いからかな?」

「おい! 聞いたか!?」

「何が?」「何を?」

「ヴィータ教官、今年のクリスマスは何があろうと休みを取ったって!」

「へぇー」

「イヤ、普通だろ?」

「イヤイヤ、普通じゃないだろ。しかも、あのヴィータ教官がだぞ? 顔を真っ赤にしながらランジェリーショップから出て来たってんだから!」

「「・・・誰だ!?」」

「「俺だ!!」」

「「イヤイヤ、俺こそが!!」」

「・・・ほほぅ、誰がどうしただって?」

「「「「え?」」」」

 

 その声に恐る恐る振り返ると、ヴィータが別の意味で顔を真っ赤にしながら鬼教官に化けた。

 

・・・   ・・・   ・・・

 

フェイトside

 

「・・・うん、コレも行ってみようか」

 

 フェイトはティアナから提出された書類を熟読した上で、即座に判断を下した。

 

「ですが、まだ確証が・・・」

「うーん、私ももう少しだと思うんですが・・・」

 

 言い淀むティアナとその意見に賛同するシャーリー。

 

 その案件は、細かな証拠は大体掴み、ほぼ解決寸前ではあるが、決定的な証拠を掴みあぐね、泳がさざるを得ない。

 

「この件に関しては、私もそう考えるけど、大丈夫」

「ですが・・・」

 

 だが、それで言い(つの)っても判断が覆る事は無かった。

 

「ティアナちゃん、ティアナちゃん。フェイトさん、一寸焦ってるみたいだけど・・・」

「何か、そんな感じですね」

「何かあったのかな?」

「うーん、心当たりは無いんだけど・・・」

「なんだか、顔が赤いし、時々笑み崩れてたりする事と関係があるのかな?」

「・・・クリスマスも近いですし、何かあるのかもしれませんね」

「となると、異性の香り? ん~、となるとぉ、デュオ君にパパをプレゼント?」

「え!? フェイトさんに限って、そ、そんな!」

 

 

 後にこの判断は好機を掴み、決定的な場を掴む事にも繋がった。

 

 後に、この鬼気迫る仕事振りから、仕事の鬼との評判に?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

シグナムside

 

 一点を指し示し「・・・続け!」と一言。

それに応える様に「「「オッス!」」」と短く返す者達。

 

 それだけで、ミッドチルダに根を張る犯罪組織は根こそぎ一掃された。

 

・・・   ・・・   ・・・

 

シャマルside

 

 シャマルは年末忙しくなる前にと、前倒しで大掃除を始めた。

 

「ふぅ、これで大体片付いたわね」

 

 シャマルが後ろを振り返ると、空になったベッドと、綺麗に片づけられた病室がそこにはあった。

 

 何があったかというと?

 掃除を開始し始めた途端に、続々と退院申請をし始める大勢の軽症患者達。

 何がどうした事か、著しい回復力を見せる重症患者達。

 決して、逃げ出した訳ではなく、自主的に退院しても問題無いのだと主張していたり?

 決して、身の危険、生命の危機を感じてレミングスの鼠の如く、逃げ出したのではない?

 

 狙ったわけでも、意図したわけでもないが、結果的には良好だった?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

なのはside

 

「・・・ふふふっ」

 

 何かを思い出したのか、とても上機嫌で気も(そぞ)ろな高町教導教官。=注意散漫になっている

お花畑に居る様な幸せな笑顔を浮かべているが・・・

 

「し、死ぬ!」

「お、落ちるな! お前が落ちたら、次は俺達の番なんだぞ!」

「だ、誰か!」

「救護班を!」

「ふ、防げ! 次がく・・る・・・ぞ」

 

 なのはがふふっと笑顔を浮かべる度に、アクセル・シューターが無数に乱舞し、教導を受けに来た者達は撃墜されて行く。

 撃墜され、地に落ちたとしても安心している暇は無い。

笑顔が浮かぶ度、追い撃ちとばかりに無数に襲来する魔力弾。

 何時尽きるとも分からず、ただただ、逃げ惑う者達。

 そして、アクセル・シューターの有効範囲から逃げ切ったと思ったその時、超遠距離仕様の集束(終息)砲が止めとばかりに・・・刈り取って行く。

 

 なのはは花咲く様な笑顔のまま、最後までご機嫌で教導を終えたのであった。

後に語られたのは、地獄を見た、と一言。

 

 あの教導に比べたら、現場でなんぞ死ぬ筈が無い、と殉職率が大幅に減ったとか。

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 時は遡り、保釈面談審査前。

 デュオはようやく様々な検査を潜り抜け、日常生活には支障が無いまでに異能を制御する事が可能となり、退院する事が出来た頃。

 

 

ミッドチルダの高町・ハラオウン家 

 

「あ、そうだ、ヴィヴィオ」

 

 なのははキッチンで片付けモノをしながら何気なくといった風を装い、隣で手伝いをしているヴィヴィオに声を掛けた。

 

「なぁに? なのはママ」

「ヴィヴィオは今、何が欲しいのかな?」

「え? なのはママ、どうしたの?」

 

 ヴィヴィオは唐突だったからか、少し手が止まったが皿を割るといった事も無く手伝いをしながら会話を続けている。

 

「もうじきクリスマスが近くなってきたから、サンタさんがプレゼントを選び始めるころかなって」

 

 学校にも通い出し、色々な行事(イベント)にも興味を示して調べているヴィヴィオ。

当然、クリスマスもサンタクロースも調べていたり。

 

「えー! そうなの!? だったら、なにがいいかな~」

 

 そんな事を言いながら、アレが良いか、いやいやソレも捨てがたいかな~と悩んでいる。

 

 その聞こえそうで聞こえない呟きを傍で拾っているレイジング・ハート。

その結果は、なのはの手元で優先順位を付けられ、リスト化されて行っている。

 

「デュオ。デュオは何が欲しいのかな~?」

 

 それとなくその様子を伺っていたフェイトも、膝の上に座っているデュオに尋ねている。

制御できると言っても、まだまだ無茶はさせられないからと、捕まえていたり。

 

【フェートママー。サンタサンッテ、ナァニ~?】

 

 グリッと上を向いて見上げ様とするも、柔らかなモノに阻まれてずり落ちそうになったが、フェイトに横向きに抱え直された。

 

「え? そっか、そこからだね。ええっと、赤い服を着てて、大きな袋を担いだお髭のお爺さんが良い子の元にプレゼントを持って来てくれるんだよ。デュオは何か欲しいモノは有るのかな~?」

【ン~ット、エット・・・! アッタ~!

ンットネ、デュオネ! 『    』ガホシーノ!】

「「え!?」」

「あ、私もソレが欲しい~!」

 

 なのはとフェイトが驚き戸惑う中、ヴィヴィオもそれが欲しいと思った代物とは?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

八神家

 

【・・・・・・って事なんだけど、如何しよっか】

 

 ヴィヴィオとデュオが就寝後、なのはとフェイトは事と次第を八神家にも相談する事にした。

 

「「「え!?」」」

 

 余りにも意外な応えに、シグナム、シャマル、ヴィータは戸惑いつつも、顔を真っ赤にしながらアウアウと戸惑っている。

 

「ははぁ、ソレは・・・中々難儀やねー」

「わぁー! 素敵です~!」

「・・・ふーん。そっかー」

 

ハヤテはニマニマとした笑みを浮かべながら、脳裏ではその為の計画を練り上げ、リィンは両手を組んで目をキラキラさせながらその演算を助ける為にユニゾンまで敢行し、アギトはアギトで興味なさげだが、シッカリと聞き耳を立てている。

ザフィーラは、ほぅ、といった風情で感心していたり。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、嘆願書を(したた)め、サンタクロース(ラルゴ・キール)の元へ。

 

「ほっほっほ! 面白そうじゃな!」

「あらあら、まぁまぁ、とっても素敵ね!」

「ほぅ、それは良い事だな。応援させて貰うとしよう」

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 

 クリスマスの朝。

ヴィヴィオの枕元には、欲しかったプレゼントが置かれ、デュオの元には・・・?

 

 早起きをしたリィンは、窓辺に様々な雪の結晶の模様を描き続け。

 即席と思われる暖炉・・・に見える、段ボール仕立ての暖炉モドキの中で赤々としたアギトが寝ながら部屋を暖め。

 ハヤテは勝手知ったるキッチンで皆の代わりに朝食を。

 ザフィーラはずり落ちた毛布を掛け直したり。

 

 なのは、フェイト、シグナム、シャマル、ヴィータは、疲労困憊といった様子でリビングに布団を敷いて、子供達=ヴィヴィオ、デュオ、キャロと一緒に仲良く眠っていたとさ。

 

 

 デュオが何を欲しがったのかって?

 

【ママト一緒ノ時間ガ欲シー!】

 

 なのは、フェイト、シグナム、シャマル、ヴィータは、仕事仕事で一緒の時間が少なくなっていた事を痛感させられたのであった。

 

「「「「「プレゼントは、ワ・タ・シ♡」」」」」

 

 もちろん、玩具も貰っているけど、何よりもママはアナタと一緒の時間が何より大事! といった具合に遊んで貰ったり、構って貰ったり!

 

 クリスマスは丸一日、ヴィヴィオとデュオが疲れきって寝てしまうまで一緒に過ごしましたとさ。

 

 

 なのは達が何で疲労困憊なのかって?

留置場から脱走してでもプレゼントを用意しようとする某科学者をとっ捕まえる為である。

 

 ちなみにエリオは夜、眠れなかったとかで、ほてりを冷ましに眼を真っ赤にしながら外へ早朝マラソン?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

番外・ユーノside?

 

 クリスマスを目前に控えた無限書庫で、ユーノはいつもとは違った様子でなのはの前に立った。

 

「な、なのは、今年のクリスマスの予定は?」

「うん! 今年はお休みを貰ったの!」

 

 とてもウキウキした様子のなのは。

 

「へ、へぇ~、珍しいね」

 

 一寸予定とは違ったが、後ろ手に持ったシャンパン(ノンアルコール)とシャンパングラス×2は無駄にはしないぞ、と心に決めたユーノ。

 

「えへへぇ、プレゼントはワ・タ・シ♡ だからね~♡」

「え!?」

 

 ついに、十年越しの夢がここに!?

 

「デュオがね、クリスマスプレゼントに何が良い? って聞いたら、私達と一緒にいる時間って♡ ヴィヴィオもそっちが良いなぁって♡」

 

 と思っていたのも束の間、現実を突き付けられたユーノであった。

 

「そ、そうだったんだ・・・良かったね。なのは」

「うん! それで、ユーノ君は何の用だったの?」

「え? あー、その」

 

 そっと、壜を掴んでいる手()()を差し出す。

 

「子供でも飲めるシャンパンで良いのが手にはいったから、どうかなって」

「うわぁ! ありがとう! きっと二人も喜ぶと思うよ!」

 

 その笑顔に、ホント子供には敵わないなぁと思いつつ、クリスマスは涙酒になるのかなぁ・・・と落ち込んでいる。

 

「じゃあ、ユーノ君もこの時間に来てくれるよね」

「!? う、うん! 必ず行くよ!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

クリスマス前夜(イブ)

 

「うぅう~」

「泣くな、ユーノ」

「まぁまぁ、聖なる夜に涙は似合いませんよ」

 

 嘆くケダモノを宥めている着グルミーズ。

 

「・・・そう言うクロノはどうして外に?」

「この恰好を見れば分かるだろ」

「さぁー、如何してだい?」

「・・・サンタが家の中に居たらおかしいって、外に」

「はっはっは! それで時間を潰しにか!」

 

 片手で顔を覆う様に笑っているヴェロッサはトナカイの格好をしている。

 

「ヴェロッサ、お前は?」

「・・・犬ぞりです」

「サンタさんは?」

「・・・シャッハ」

 

 とそんな風に答えていると。

 

『・・・ロッサァー! 何処に行きましたか! 出てきなさぁーい!』

 

 と、クリスマス仕様なバリアジャケット=パレオサンタなシスター・シャッハがヴェロッサを捜していたり?

 

「「ここにいますよー!」」

「な!」

 

 声を揃えて外のシャッハに呼び掛けた二人。慌てふためくヴェロッサだった。

 

「呼んでますよ、ヴェロッサさん」

「ココにいましたか、ロッサ。院で私達を待ってる子供達が居るんです。行きますよ」

 

 そう言ってドナドナと引き連れて行かれたヴェロッサ。

 

「サボるな、仕事だ。さて、そろそろオレも帰って良いかな」

 

 クロノも後に続いて家路に付く事に。

 

 

 何故、ユーノが泣いていたかって?

 クリスマスプレゼントのぬいぐるみに紛れてフェレットモードでお泊まりするつもりだったユーノ・・・クリスマスパーティーが終わったら、フェイト、シグナム、シャマル、ヴィータ、ハヤテに「O・Ya・Su・Mi」とばかりに外に・・・摘まみだされた後だったから?

 

 

 その後?

 

「アレ? ユーノ君は?」

 

 なのははウトウトし始めた二人の歯磨きをしていた為、その場に居合わせなかった。

 

「ん~? 帰った」

「お仕事が残ってるからって」

「明日も早いからって」

「まぁ、無理してたみたいやったし、引き留めるんはなぁ?」

「うむ、赤い顔をしている様だったしな」

 

 そう言われ「う~ん、そっか」と納得した様子のなのはであった。

 

 エリオ?

真っ赤な顔をしながらアウアウとうろたえていた。




クリスマス休暇を獲得すべく奮闘するなのは達!

如何でしょうか?
大人向けなプレゼント。

 プレゼントは、ワ・タ・シ♡

でも、実は小さな子供向きのプレゼントでもあるのかなと。
好かれていないと通用しない・・・かもしれない?

親が働いてばかりで、子供が寂しい思いをしているのでは?
ならば、こんなプレゼントも素敵で良いのでははないだろうかなと。

お金で買える幸せもあるが、お金には替えられない一時こそが、子供にとって何よりの幸せでもあるかと。


そうであれば、余りの寂しさから不幸であると悲観し、自ら命を断つといった、防げる不幸もあったのではないのかなとの思いから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、お年玉?

これは、私が実際に毎年実行しているお年玉です。

アリサとスズカの呼び方を変更します。
流石に蟻と鱸じゃぁ何なので。
平凡ではありますが。


 今日はお正月というモノらしい。

ビビオ姉は、何だかとってもウキウキしてる。

 

「えへへー! 何を買おっかなー?」

「ヴィヴィオ、無駄遣いしちゃ駄目よ。はい、お年玉!」

 

 なのはママから、小さな封筒を渡され、大喜びのビビオ姉。

 

「はぁい! ありがとー! なのはママ!」

「はい、これは私からね」

「あ! フェイトママもありがとー!」

 

 フェイトママからも貰ってる?

 

「お? 皆揃ってるみたいやな? 明けまして、おめでとぅ!

はい、ヴィヴィオちゃん!」

「あ! 明けまして、おめでとうございます!

ありがとうございます!」

 

 ハヤテお姉ちゃんからも?

 

「ふふふ、かわえぇなぁー」

「ふふふ、子供の頃は、これが楽しみだったものね」

「そうね、何を買うのか、何に使うのかとか・・・

結構悩んだよね」

 

 クイクイ!

 

「ん? どないしたん?」

【ナァニ? アレ?】

「ああ、デュオは知らんかったんやな」

「そうだったね」

「そっか、じゃあ、はい! お年玉!」

 

 そう言って三人から渡されたのは、飴玉。

一人一個づつくれた。

それも、ただの飴玉では無く、口に入り切るかも判らない様な、巨大な飴玉が三つ!

 

 色とりどりで、砂糖が塗されていて甘そうだ!

 

【!? アイガトー!!】

「ふふ、ホントにかわえぇなぁ!

フェイトちゃん、連れて帰ってもえぇか?」

「ダーメ、ウチの子なんだから」

「でも、こんな事でも大喜びされるのも良いね」

「ホンマやねー。

それにしても、士郎さんはえぇ事教えてくれた」

「そうね、お年玉として、お金より喜んでくれるモノの方が良いとか・・・」

「あ、でも私の時は普通にお金だった気が・・・アレ? そう言えば、一緒にお菓子も付いてたかな?」

 

 その時には、既に金銭感覚がシッカリとしていたり・・・

だから敢えて金銭を? 精神的な成長が早過ぎた?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第97管理外世界・地球・日本・海鳴市

 

 

高町家・リビング

 

「さて、準備は良いか?」

「ええ! お年玉用のお菓子も出来てるわ」

「私も準備出来た!」

 

 其々が其々の装い。

羽織袴、紬、振り袖・・・

 

 その手には、一寸嵩張りそうな平たい包み。

大きな紙袋!? その袋にデカデカとお年玉と・・・巨大ぽち袋!?

=通常の三十倍位?の大きさ? 厚みであれば百倍を超す?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

月村家・一室

 

「ほらほら、恭也。

もう少し締めて!」

 

 帯を締めて貰っている忍と、締め上げている恭也。

 

「・・・あのな、一寸食べ過ぎた位だろうが、そんなに締め付けなくても・・・」

「まぁ! 何て事を!

私が太ったとでも言いたいの!?」

「イ、イヤ! そ、そんな事は・・・」

「なら、もう少し!」

「はぁ・・・」

 

 言われるがまま締め上げるも、一寸苦しそう?

その傍にも、普通のぽち袋と、大きな歪なぽち袋?が・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

???

 

「よいしょっと! これで良いかな?」

 

 何やら大きな包みを車に積み込んでいる。

 

「うん、きっと喜んでくれると思うよ。アリサちゃん」

「そう言うすずかも・・・」

 

 そこにも、大きなぽち袋・・・

 

「えへへ、一寸楽しみなんだ。アリサちゃんも、そうでしょ?」

「・・・まぁ、今までは貰う方だったから。上げるとなると、一寸緊張するね」

「そうだよね、貰うばっかりだったもんね。イザ、あげる立場になると、何を上げたら喜ぶのかとか、色々愉しいね」

「ふふふ、そうだね」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

八神家

 

「さて、準備は出来たか?」

「ええ、もっちろん!」

「ああ、何時でも来いってもんだ!」

 

 その背後にも、大小様々な・・・ぽち袋?

 

「・・・本当にこれで良いのか?」

「まぁ、聞き及んだ範囲では、これが良いそうだ」

「そうね、もう少し足しておこうかしら?」

「ん? ジーちゃん達にも聞いたけど、良いみたいだぜ?」

「・・・そうか、なら問題は無かろう」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そんなこんなで、一堂に会した。

「はい、お年玉!(と・し・だ・ま)

【!?】

「はい、コレもお年玉ね」

【!!?】

「ほら、気を付けて。はい、これもお年玉」

【!!!?】

 

 次から次へと・・・

三つ目の時点で既に抱えきれない!

 ビビオ姉も、幾つか大きな物を貰っている!

 

「ホラ、デュオ、お礼を言わないとね」

【! エットアット、ミウキ姉、ワンコ小母(オバ)チャン、ニャンコ叔母(オバ)チャン、キョーヤ伯父チャン、(シノノ)オ姉チャン。アイガトー!】

「へぇ、これが念話な・・・ん?」

「ふぅ・・・ん?」

 

 何となく違和感を覚えたらしいアリサとすずか。

 

「あ、正確には念話を機械に通して変換しているだけなんだけどね」

 

 そう補足するフェイト。

それでも、違和感が消えない。

 それに対し、

 

「うふふふ。いいのいいの、気にしなくても良いよ~♡」

「えへへへ~♡ や~、気分が良いね~。忍義姉さん」

 

 とても上機嫌な大人な二人。

 

「えっと、デュオ君。もう一度、私の事を呼んで見てくれるかな?」

「あ、私も良いかな?」

 

 改めてそう声を掛けようとするが、

 

「わぁ! スッゴイ大きいね! 中身は何だろ?」

【! 開ケテミルノ!】

 

 ガサゴソ! ビリッ! バリッ! ガササッ!

 

 それどころではなさそうだった。

 

「まぁ、後でも良いかな?」

「そうだね、楽しそうなのを邪魔したらなんだし」

 

 大人な二人は (今は?)気にしない?

 

「わ! お煎餅が一杯!」

「あ、奴凧だね」

「こっちは、独楽やね」

「こっちは双六と福笑いとか、玩具だね」

「ビー玉もあるね」

「おはじきもあるな」

「ん? へぇ、変わった紙風船じゃん。金魚と蛸と・・・ペンギン?」

 

 お正月遊びに使うモノが大体揃っていた。

 

「ふふふ、喜んで貰えたみたいね」

「ああ、日本らしさを味わって貰えたかな?」

「嬉しそうだね」

 

 もう一方も。

 

「わ! これ、貰っても良いんですか!?」

「うん、喜んでもらえた?」

「ハイ! 大事にします!」

 

 ビビオ姉は、おっきな(=自分よりデカイ!)ウサギのぬいぐるみを・・・

 

 

 後でアリサとスズカは、オバである事には変わりは無い事に気が付いて、事実の改竄に勤しんだとか?

 主にお菓子で釣って、事ある毎におねーちゃんと呼んでと・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い描けるがままに、思い浮かぶがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

お正月 二日目

 

初夢?

 

 

 なのはママ・・・お怒り?

不屈 =不死身? =富士山噴火?

 

 シグママ・・・弓矢?

シュトゥルム・ファルケン =嵐の鷹?

 

 ビータママ・・・鍬持ってザックザク?

 シャママ・・・水やり?

 フェイトママ・・・収穫?

畑仕事で、ナスビを収穫? 茄子のラザニア?

 

 

 

宝船?

 

 大黒天なチー姉? ・・・大黒柱的?

 毘沙門天なノー姉? ・・・キビシー?

 恵比寿なセイ姉? 何時もニコニコ恵比須顔?

 福禄寿なオト姉? 幸せそー! 充実した日々?

 寿老人なディー姉? ・・・同一?

 布袋なディエ姉? どっしりと落ち着いている?

 弁財天なウェン姉? ・・・歌って踊れる?

 

 それで、船に乗って帰って来る!?

 

 

・・・正夢となりまして・・・

 

 

罰ゲーム?

 

 

「じゃあ、久しぶりに皆揃った訳だし。

羽突きをしようよ!」

「あ、良いわね」

「うん、やろうやろう!」

「じゃぁ、罰ゲームはどうする?

やっぱり、顔に墨?」

「それだけじゃ何だから、デュオに書いて貰うとかは?」

「あ、面白そう!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 最初は普通にマルとバツ。

段々判って来たら、お髭に・・・更に、動物へ・・・

 

ハヤテ姉は・・・お髭を書いて、お鼻を黒く、目の周りをぐるりと一周?

 

「ぷっ!」×8?

「な、何や? 何を書かれたんや!?」

「駄目駄目、まだ暫くはそのままね?

確認するのも駄目だからね?」

 

 そう念押しするアリサ。

その顔には、お髭を書かれ、斑を書き込まれた? =ダルメシアン?

 

「そうだよ?」

 

 こちらも、お髭を書かれたすずか。 =白猫?

まだ負けが少ない?

 

「そうそう、私も判らないんだから」

 

 こちらは、お髭と虎縞が・・・ =虎?

 

「そうですよ? 私なんか、墨だらけなんですから。

でも、ヴィータちゃんは・・・」

 

 目の周りとお髭・・・更にはおでこに黒半月? =白黒大熊猫?

 

「・・・何だよ」

 

 何となく、書かれたモノから連想されるモノが判ってしまったヴィータ。

ただ、子供が書くモノだから、怒るに怒れない?

・・・お凸に三本線?

 

「私は如何なっているんだ?」

 

 そう尋ねるシグナムの顔は、隈取。・・・勇ましい?

 

「えー? 私は私は?」

「な、なのはは・・・似合ってるわよ。トッテモ」

 

 一寸棒読みで、笑いを堪える様に応えるアリサ。

 

「ア、アリサちゃん、確かにそうだけど・・・笑ってるよ」

 

 こちらも、一寸笑いを噛み殺し切れないすずか。

 

「何だよ、似合ってるんだから良いだろ? ・・・フッ」

 

 鼻で笑うヴィータ。

 

「ああ、確かに」

「そうね、トッテモにおうとるで、なのはちゃん」

「う、うぅん。なのはの事を良く表してると思うよ」

「・・・なのはママ・・・」

「なぁに、ヴィヴィオ?」

 

 ジッとその顔を見詰めるヴィヴィオだったが・・・

 

「・・・キャー!」

 

 ヴィヴィオは後退り、逃げ出した!

ウサ耳を付けて、お髭が描かれたまま・・・

 

「え!? ええ!? ど、如何して!?」

 

 不思議がるが、辺りの人は背をそむける?

 

 負けは少ない方なのだが、書き込まれたモノがモノだった・・・大変リアルな結果?

」L

]「×3?   井桁・怒筋が額に書き込まれていた! なのはママは鏡を片手に。

 

「デュオ。これは、何かな?」

 

 ハッ! イタズラがバレター!

羽突きで書き込んだ井桁だったが、本物の井桁が浮かび上がった!

 

 本物の方が凄かった!

 

 

「シュトゥルム・ファルケン!」

 

 シグママの活躍集を鑑賞中?

 

 

・・・春先

 

「なぁ、これは何なんだ?」

 

 訳が判らないまま、庭先に畑を耕し始めたヴィータ。

 

「さぁー、何ででしょうね?」

 

 その耕されたそこに種を撒き、水やりをするシャマル。

 

・・・夏頃

 

「何でかは判らないけど、こうするべきなのかな・・・?」

 

 立派なナスが出来たからと、お裾分けとして収穫を手伝い、その日の夕飯が決まったフェイト?

 

 初夢は意外と強制力が強い?

 

 

 

仮出所?

 

 

「デュオ、元気だったか?」

 

 そう言いながら、ギュッと抱き締めてくれるチンク。

 

「おう、久しぶりだな。これからは一緒だぞ」

 

 身を屈め、一寸照れくさそうにだが、目線を合わせてくれるノーヴェ。

 

「エヘヘー! どう? 似合う?」

 

 修道服に身を包み、クルクルと回るセイン。とってもニコニコしてる!

同じく、修道服に身を包むディード。とってもお似合い!

一寸変わって執事服を身に着けるオットー。とってもお似合い!

 

「デュオ、元気?」

「何か有ったら、尋ねて来てね」

 

 身を屈め、二人に優しく抱き寄せられた。

 

「ん、良い子良い子」

 

 そう言いながら、ディエチは頭を撫でてくれる。

 

「あ! デューオ! ソーレ! 高い高ーいッス!」

 

 頭上まで抱き上げクルクル回る。

 

【キャー!】

「あははは! ソーレソレ! まだまだッス!」

 

 そのまま頭上高く放り上げられた!

 

【キャー! アハハハハハ!】

「な! それは危ないだろ! ウェンディ!」

 

 そう言って止めに掛るノーヴェ。

一般社会の常識と照らし合わせた結果、危険行為と認識?

 

「えー? そんな事無いッス。

それに、喜んでるッス!」

 

 そう力説するウェンディ。

 

「はーい、こっちにおいで」

 

 そっと落下地点に待ち構えているディエチ。ボスンと、柔らかく受け止められた。

 

【マーダー!】

 

 まだまだやって欲しいご様子?

 

「デュオ、危ないからまた今度な?

ウェンディ、久しぶりで嬉しいのは判るが、やり過ぎは頂けないぞ」

「はーいッス! チンク姉には敵わないや。

デュオ、じゃぁ、また今度ね?」

【エー?】

「うーん、じゃあ、代わりに歌を歌って上げるッス」

 

 そう言って、そっと抱き上げ、子守唄を口遊《くちずさ》む。

ゆっくりと、踊る様にゆったりと・・・

 

 その温もりと、揺蕩《たゆた》う様な動きで、ふぅっと眠たくなった。

 

「あらら、寝ちゃったッス」

「興奮しすぎて疲れたかな?」

「まぁ、久しぶりだったしね」

 

 そんな声が聞こえた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

お正月 三日目?

 

 

初詣

 

 お正月三日目に入り、人出も落ち着いて来た事から、初詣とやらに行く事に・・・

まだ小さい事と、地球の環境に慣れて来てからでも遅くはないとの判断から、込み合っていない時に行く事に・・・

 

 

 視界が高い!

まだ人出も多く、手を繋いで行くと逸れるかもしれないとの判断から、肩車で訪れた。

 

【タッカァーイ!】

「お父さん、疲れない?」

 

 と、なのはが声を掛けた。

 

「ん? 何、軽いモンさ」

「デュオ、いいなぁー」

「あ、ヴィヴィオもして貰いたい?」

「う、うん。でも・・・」

「そうか、じゃぁ。恭也、デュオ君を頼む」

「ん? ああ、構わないぞ。

ほら、こっちへおいで、伯父さんと交代だ」

 

 そう言われ、恭也の肩へと移された。

 

「あらあら、恭也。お父さんになったみたいね」

「そ、そうか? まぁ、満更でもないかな?」

「わぁー! 高ーい!」

「ふふ、良かったわね」

「ウン!」

 

 そんなこんなで、お賽銭箱まで辿り着いた。

ただ、それでも混雑にまぎれ、散り散りに・・・

 

「さて、お賽銭だが、大体その時の志しで入れるモノなんだが、こんな話がある」

 

 そう言いながら、士郎お爺ちゃんは小銭《五円玉》を渡してくれた。

 

「五円玉を入れると、一年ご縁《五円》が有ります様にと言う。

十五円だと、《十》分にご縁が有ります様に。

二十五円だと、二重《二十》にご縁が有ります様に。

三十五円だと、三重《三十》に・・・

四十五円だと、始終《四十》ご縁が有ります様に。

五十五円だと、五重《五十》に・・・

但し、六十五円だと、碌《六》なご縁に巡り合えません、と言われていたりするんだ。

あんまり欲張り過ぎると、碌な目に遭いませんよ、という教訓だな。

だから、どれ位にする?」

 

 そう言いながら、手の平には十円玉が多数。

 

 そう尋ねられ、指折り数えて見る。

縁と言う概念は良く分からないが、多過ぎると良くないらしい。

でも、少ないのも・・・

それでも、今は十分?

 

 だから、今はこのまま!

 

「ん? それだけで良いのかい?」

 

 コクコク!

 

「そっか、十分幸せなのかな?

じゃあ、それをあそこに投げ込んでごらん」

 

 一寸高い所にある、箱の前で持ち上げて貰った。

 

 チャリン! と、金属音を立て、箱へと吸い込まれて行った。

それから降ろして貰い、手を合わせ、拝んで見る。

 ・・・何やら背後から冷たいモノが入ってきたりする。何だかモゾモゾする?

何となく、モゾモゾしていると・・・

 

「ん? どうした? トイレにでも行きたいのかな?

良し、一寸待ってなさい。

直に連れて行ってあげるからね?」

 

 急ぎ、列から離れ、列の外へと連れて行かれた。

取敢えず、頭と首の辺りが変?

 

 トイレに行くと・・・

小銭がバラバラと・・・

 

「あ・・・コレでか・・・」

 

 待ち切れなかった参拝客が投げたお賽銭が、あちこちに引っ掛かっていたようだった。

 

 その後、その小銭を拾い集め、改めて放る事に・・・

 

 ちなみにヴィヴィオ姉は、なのはママの分もと言う事で、百円玉を入れたとの事・・・

お賽銭の話は知らなかったらしいが、ヴィヴィオ姉は良縁に恵まれている模様。

なのはママとフェイトママは、十二分に縁があるらしい?

良縁も、悪縁も・・・どちらも忙しい?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




 私自身は、お金を貰うより、滅多に口にしない様なモノの方が嬉しかったり・・・
お節がメインだった・・・
 私が子供の頃は、お正月と言ったら、お店も何も開いてない事の方が多かったので、現金は使えぬ無用の長物だったり・・・
屋台のある所は一寸遠かったりするので・・・

 だから、一寸高めのお煎餅を買い求め、年に一度のお年玉大作戦を敢行して居たり・・・
即物的ですが・・・

 お陰で、年に一度行くだけのお店で顔を覚えられてしまったり・・・
一度に多種多様なお煎餅を、時間を掛けて選んでいたので・・・
お年玉としてあげる為のものだと話した事を覚えていてくれたり。

 まだ小さな子には、アラレや飴玉。お守りや千代紙なんかも・・・
歯がシッカリして来たら、ザラメ付きのモノや、甘めのお煎餅など・・・
 お金の価値が判って来たら、半々に・・・
または、今では珍しいと思われるモノを・・・お年玉として上げています。

 何時かは、現金の方が喜ばれるのだろうが、それでも喜んで貰える間は続けようかと思っていたり・・・
・・・そろそろ限界かな?
こっちの方がお金は掛っていますが・・・価値観的には、そろそろ?

 新たな相手も増えて来たが・・・
懐と時間と手間が許す限りは、続けようかと・・・


アリサは蟻さん、またはアリさん?

あと、鱸は実はオスがメス化する事によって繁殖するそうで・・・
女性らしいが、男顔負けな?


とまぁ、実は余り上手く浮かばなかったのが実情です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、節分!

 これは、我が家に実在した行事である。
それを、こちらで再現してみようかと・・・


ハジメテノ、節分!?

 

 

ミッドチルダ・管理局・体育室

 

『皆ぁー! 用意は良いかな!?』

 

 舞台の上、更に大きな台の上に乗り、何やら大きな籠を持ったリンディ提督。

その傍には、更に大きな籠が有り。

ロウラン提督と、騎士カリムの姿も!

手に手に、豆をテンコ盛りにした笊を手にしている!

 

 その下に、機動六課の前線メンバーと隊長陣・ロングアーチ陣も、バックヤードの方や年少組は前の方に集められた。

 

【???】

「???」

 

 何も解らず、戸惑うばかりの幼い姉弟。《ヴィヴィオ、デュオ》

その手には、なぜか、豆の詰まった大きな紙袋。

 

「おっしゃ! 今年こそ!」

「ウン! 今度こそだよ!」

 

 事情を知っているらしく、盛り上がるイトコ達!《カレル、リエラ》

 

 

「やー、これをするのも久しぶりやね!」

「そうね、あんまりやらなくなっちゃったし・・・」

「それは、仕方が無いと思うの」

 

 そんな事を口にする隊長陣。

 

「ああ、危険だからな」

「にゃ!? そ、そうかな?」

「そうね、結構、危険だった!」

「フェイトちゃんまで!?」

「あはは! まぁ、流石に、また出来るとは思わなかったしね」

「まぁ、またやれるなら、手加減はしねぇ!

ドンドン来やがれ!」

 

 最後尾で物騒な事を言いながら、盛り上がる隊長陣!

 

 

一方、ロングアーチ・来賓陣

 

「エット、何をするんでしょう?」

 

 それを聞きつけたアルトとルキノ。

 

「あ、シスター・シャッハは、初めての参加でしたね!」

「ええ、騎士カリムから、この行事に参加するようにって言われて・・・」

「その手に持った豆を、オニと呼ばれる相手にブツケテ追い払うんです!」

「え? そんな事を?」

「ええ! 日頃の鬱憤を! 苛立ちと共に! 全力で!」

「そ、そんな事をしても良いんですか!?」

「その為のオニです!」

「そうなんです! それを追い払ってこそ、福の神が呼べるんです!」

「・・・判りました! 全力で務めさせていただきます!

異教の行事とはいえ、その様な悪を滅する為の行事であれば!」

 

 ヒートアップ! ボルテージはウナギ登り! ・・・その後、有る鬼を見付け、更に!!

 

 

もう一方

 

「えっと、何が・・・」

「あ、あの! 何をするんですか?」

「えっと、セツブン・・・ですよね?」

「えっと、豆を鬼にぶつけるんだったっけ?」

「確か、そんな事が文献にあったわね・・・」

 

 年少組の次に、前へと集められた前線メンバー。

それを聞き咎めたヴィータ。

 

「ああ、オメェらは、まだ知らないんだったな。

確かに、鬼を、厄を追い払うんだが、もう一つ。

重要なモノが有る!」

「そ、それは?」

「・・・もうじき判る!

その前に、鬼を追いださないといけないんだ!」

「「「「は、はい!」」」」

「思いっきり! ぶつけて良い!

部隊隊長命令や!」

「「「「はい!」」」」

 

 ハヤテ部隊長も加わり、煽る!

 

 

舞台は整い、開催を宣言する!

 

『さぁ! 今年の鬼が入場します!

全力で、追い払ってね!

・・・悪い虫も』

 

 最後だけは、聞こえそうで聞こえない小声で有った。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ドアが開かれる少し前の廊下側・・・

 

「皆、覚悟は良いか!」

 

 真っ黒な衣装と共に、更にバリアジャケットで防備を固めている黒鬼。

 

「ああ、覚悟は出来ているよ!」

 

 負けず劣らず、防備を固めている黄鬼。

 

「・・・なぁ、そんなに防御を固めなくても・・・

豆をぶつけられるだけだろ?」

 

 そう気易く言う緑鬼。

その事を後悔するのは、意外と直で有ったり・・・

 

「甘いぞ! お前の作る菓子の数十倍は甘い!」

「そうだよ! それでも足らない位だよ!」

「ウム、それは同意する」

 

 それでも、自前の防御が軽装なので、一応厚手の上着を着込んだ暑そうな青鬼。

 

「ん? そんなに凄いのか? これじゃ不味かったかな?」

 

 割と軽装な銀鬼。

割と暖かかったから、薄手の制服と念の為にと、娘に持たされた腹巻《虎縞?》姿。

 

「えーっと、そこまでは流石に・・・」

 

 同じく、ツナギ姿の白鬼。

一寸汚れが目立つが、汚れても良いモノをと言われていた。少し縞々?

 

「え!? そうだったんですか?

てっきり、気楽な行事みたいに言われてたんで・・・」

 

 制服姿の茶鬼。

 

「ああ、だが、今からじゃ間に合わないか・・・」

「うん、出来れば厚着をして来るべきなんだけど・・・」

 

 そうこうしている内に、扉が開かれた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 大きなドアが開き、黒鬼《=クロノ》、緑鬼《=ヴェロッサ》、銀鬼《=ゲンヤ》、白鬼《=ヴァイス》、黄鬼《=ユーノ》、茶鬼《=グリフィス》、青鬼《=ザフィーラ》が登場した!

それぞれに、思い思いの服装をしている。

頭には、角が付いたカチューシャ。

ただ、黒鬼、黄鬼はバリアジャケット装着! 完全防備!

青鬼は、一寸暑いが、厚手のジャケット。

 

 参加する直前に、三人から防備を薦められはしたが、何も知らない他の鬼は、何故、そこまでするのかが判らない。

ただ豆をぶつけられて、豆が無くなる頃に退場すれば良いと言われていた。

 

 その事を理解した時には、後の祭りだった!

 

 

『『『鬼はぁー、外!』』』

 

【弾幕が薄いぞ!】

「まだまだ! 追い払えて無いぞ!」

『もっとだ! もっと弾を持ってこい!』

≪豆だけよ! 当てて良いのは!≫

《ソレソレ! まだ鬼が居るぞ!》

 

 豆の弾幕が張られ、鬼に向かって飛んで行く!

 

 それを、かろうじて防ぐ鬼達、防げていない鬼も居るが、そちらに対しては、相対して飛んではいない。

人徳がモノを言う様だ・・・

 

「ふ、ふふふ! ワレ、敵を見付けたり!」

 

 緑の鬼に向かって、シスターからの豪速球ならぬ、豪速豆!

高々と振り上げられた足、はしたないと言われ様が、今回ばかりは無礼講!

 

 投げた!  袋ごと!   次々と!

 

 皆中!

緑鬼は、一瞬で出口へと飛んでいった!

 更に、追い討ちとばかりに・・・追いかけられて行く?

廊下からは、

 

『ちょ! た、タンマ! こ、これは、行事だよね!?』

『ええ、貴方の中の、悪い鬼を追い出す行事だそうです。

覚悟は良いですね? 緑鬼?』

『そ、そんな! ま、豆だけの筈じゃ!』

『ええ、豆ですよ? 何を言ってるんですか?』

『ど、どう見ても、ヴィンデルシャフトにしか見えないが・・・』

『シッカリ豆が付いてるじゃないですか』

『それは! 袋が巻きつけてあるだけじゃ・・・ ギャー・・・』

 

 ・・・何か、濡れた重いモノを引き摺る音が聞こえて・・・来ない?

鬼は場外へと、追い出された様だ・・・更に、追い駆けられている?

 

 

それはさておき、場内は・・・

 

 黒鬼と黄鬼はシールドで防ぐが、魔法を乗せた《豆》弾【?】は流石に防ぎ難く、破られた様だ!

そこを猛烈な勢いで追い打ちされ、敢え無く退場。

 

 年少担当の銀鬼、白鬼、茶鬼、青鬼は、痛いが我慢でき、豆が尽きる頃に、やーらーれーたぁー! とばかりに退出して行った。

 

 

 豆も尽き、各々袋や笊が空になったのを確認し、第二幕が始まらんとした。

 

『さて! 皆ぁー! 袋や笊は、空になったかなぁー!』

『なったようだから、次を始めるわね!』

『じゃあ、始めます! 怪我をしない様に、気を付けてね!』

 

 

 その合図とともに、照明が消えた!

 

 舞台の上では薄暗い中、ガサガサと大きな籠を前に寄せ、中身を投げ始めた!

 

『『『福はぁー、内!』』』

 

 キャアキャアと薄闇の中、年少組がそれを拾い、空になった袋へと詰める。

それを年長組も拾う!

次から次へと、降り注ぐお菓子の雨!

 

 稀に、大物も降り注ぐ!

 

【アイタ!】

「ほら! 大丈夫!? こんな大きなのが拾えたよ!」

【オォ! デッカイ!】

「まだまだ降って来るから、ガンバロ!」

【オー!】

 

 箱モノが当たったようだ・・・

 

ゴチ!  ガチ!    むにゅ!   ゴン!    ガササ!   ぶちゅ!

 

「痛ぅう! ・・・誰だ!」

「アイタタ! ・・・誰よ!」

「キャァアッ! 誰!? 変な所を触るのは!」

「エヘヘ・・・ゴメーン!」

「スーバールー!」

「ギ、ギン姉!?」

「誰だ! 人の袋に手を突っ込むのは!」

「キャァ! 何か、踏んだ!」

 

 

 ・・・混沌としている。

 

 

 有る程度、手に触れるモノが無くなった頃、照明が復活した!

 

「「「「!!」」」」

 

 ・・・目に入るモノ目掛け!  つい、殺到する!

 

ゴ! ガ! ギ! グ!

 

「「「「!?」」」」

 

 声にならない悲鳴が上がる!

その様子を見つつ、小さな影がそれを拾って行く!

 

「「「「あ!」」」」

「わ! おっきいの取れたね!」

 

 コクコク!

戦利品を姉に見せ、ご満悦! 漁夫の利を得た!

 

「あ! ヴィヴィオ! デュオ! 怪我は無い?」

 

 フェイトが、そう尋ねると、サッと額を指し示すデュオ。

 

「だ、大丈夫なの!?」

 

 心配そうに詰め寄るが、

 

「んー? ・・・大丈夫、だね。 一寸赤くなってるけど、直治るよ。

フェイトちゃんは心配し過ぎだよ」

 

 なのはは、傍に居た為、すぐに確認して断言する。

 

「そんな事言っても、まだ病み上がりなんだよ?」

「それは、そうなんだけど・・・

何時までもって、訳にも行かないから」

「でも・・・」

 

 そう言っている間にも、何かに躓いたのか、小さな体が転んだ。

 

「ああ!」

「大丈夫、そんな心配・・・」

 

 その言葉が途中で途切れた・・・

小さな体の下から、夥しい赤いモノが、流れ出て来た・・・

 

「デュオ、大丈夫?」

 

 特に心配している様子も無いヴィヴィオ。

 

「だ、誰か!」

「病院へ!」

 

 相対的に、慌てふためく二人!

そんな二人を後目に、ムックリと起き上がるデュオ。

 

「は?」「へ?」

「あぁーあ! 潰れちゃったね」

【美味シソウダッタノニ・・・】

 

 服の胸ポケットに手を入れ、何かを引き出している。

その手には、潰れたザクロの実が有った。

 

「仕方が無いよ。それはもう諦めて、着替えに行こう」

 

 コク!

 

 そうして、袋一杯にお菓子を満載しつつ、手を引かれて着替えに去っていった。

 

「よ、良かった!」

「う、うん!」

 

 心配の余り、ついへたり込んでしまった二人。

 

「二人とも、心配し過ぎだぞ?」

「また二人に何かあったら、守り切れないぞ」

「そやな、いっその事、二人に護身術でも仕込む?」

 

 

 そんな話し合いがされていた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




 えー、以上が、ミッドチルダ・機動六課で行われた節分イベントです。
実際に、我が家では節分の時は、鬼を追い払い、福ノ神を呼び込むと言う意味で、お菓子撒きと言う行事があります。

 家長が福ノ神に扮し、富を、福を撒く。
その福を多く拾えれば、一様に笑顔に口福になれる!
少ないと、泣いてしまうかも、怒ってしまうかも・・・
でも、そんな時は、福のお裾分けとして、年長者が年少者に分け与えたりします。

 まぁ、良く有るのですが、つい見えないモノだから、踏み付けたり、掴んで握り締めてしまったり・・・
だから、子供と女性のみの場合が多かったですね。

 流石に現在は、そこまで子供でないので、お休みしています。
いずれ、自分に子供が出来た時、また行いたいと考えます。


次回  戦斗 馬連茶盗?

戦いの星の元に生まれ、馬を連れ立ち、お茶菓子を盗む・・・怪人?
ついでに、人の気持ちをも、盗みまくる?
盗まれる人も多数?
奪って行く輩も?
余裕を盗み、淡い期待をも盗みまくる?

とまぁ、ふざけ半分、羨ましいぞ! と言って見たいかな?


・・・読めますか? 意味は、通じますか?
答えは次回本編にて・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、戦斗・馬連茶盗? & 雪!

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

一寸量が足らないので二本立て。

ハジメテノ、雪! もお楽しみを!


ハジメテノ、戦斗・馬連茶盗《セント・バレンティヌス》?

 

 

 節分が終わり、十日程経った頃・・・

その日はなぜか、背中に籠を括りつけられた・・・

 

「じゃあ、今日はココを回って来るんだよ!」

「頑張って!」

 

 そう言って、なのはママとフェイトママに地図を渡された・・・

 

【???】

「なのはママ? フェイトママ? デュオは如何して籠を背負っているの?」

 

 そうビビオ姉は聞いてくれたが・・・

 

「ふふふ! Hi・Mi・Tu!」

「ふふふ! Na・I・Syo!」

 

 そう笑ってはぐらかされた?

 

「ああ、ヴィヴィオはお家で待っていようね?」

「そう、これは男の子の行事だからね?」

 

 そう言って、送り出された・・・

何故か、台所の方からは甘い匂いが漂って来る・・・

 

 

   ・・・    ・・・

 

 

最初のチェックポイント?

 

 

 職員宿舎ロビー

 

「あ! 来た来た!」

「お? 来たね!」

「・・・来たのね」

 

 上から、キャロ姉、スバル姉、ティアナ姉。

何故だか待ち受けていた?

 

【何々? 何ガ有ルノ?】

「今日は、バレンタインって言って、女の子から男の子にチョコレートとかお菓子を

贈る日なの」

 

 一寸大きなハァト型。

 

「だ・か・ら、はい! チョコレート!」

 

 大きな包みで袋入り! チョコポット?

 

「はい、食べたら歯磨きをするのよ!」

 

 二人に比べると一寸小さな感じがするが、手作り感が溢れてる?

チョコレートが一杯!

 

【アイガトー!】

「さ、次の場所へ行って来て!」

「迷わない様にね!」

「転ばない様に気を付けなさいよ!」

 

 手を振りながら、タッタカ、タッタター!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 機動六課・隊舎・受付

 

「あら? 来たのね。はい! コレ!」

【アイガトー!】

 

 受付のお姉さんから貰った!

 

 

 そのまま奥へ奥へ!

 

 

次のチェックポイントへ!

 

 オフィスへ・・・

 

「ん? おう! こっちだこっち!」

 

 机の陰から見えたのか、ビータママが呼んでいる。

 

【ナァニー?】

「おう、そ、その、な。・・・ホレ!」

 

 そう言って包みを投げ渡された!

 

【ワプッ!】

 

 何とか受け止めたが、かなり大きい!

 

「はい! これは私からね!」

 

 シャママからも受け取った!

一寸小振りで、見有った大きさ?

 

「おいおい、デュオになんてモン食わそうとするんだ!」

「まぁ、失礼ね! これはちゃんとお店で子供向けのを頼んだんだから!」

「そ、そっか・・・なら良いや」

「・・・一寸アレンジして見たけど」《=包装》

「デュオ! そいつを寄越せ! それは危険だ!」《=手作りと勘違い》

【???】

 

 事態を呑みこめないデュオ。

 

「な、何て事を!」

「そうだな、流石に・・・

デュオ、コレと交換しようか・・・」

 

 そう言って、シグママからデカイ包みを渡された!

受け取ったは良いが、ふらつく!

 

「シグナムも! 何でそんなにデカイんだよ!」

「む? おかしいか?」

「デカ過ぎだって!」

「・・・そうか」

 

 自分の半分位の包みであった!

 

「何や何や? そないに大騒ぎして・・・」

 

 それを目にしてガテンが行ったのか、

 

「デュオ、それは流石に持って帰れんやろ。

一旦ここに預けて、それからまた取りにおいで」

 

 じー! コクコク!

 

「ほな、これは私からな!」

「はい! リィンからは、コレです!」

 

 そう言って、大小の包みを受け取った!

 

【アイガトー!】

「ほな、次の所へ向わんとな!」

 

 ブンブン手を振りながら、次のチェックポイントへ・・・

 

「良し、次の所に連絡せなな」

「ハイです」

「で、これはどうする?」

「滅却だな」

「どうしてそうなるの!?」

「「「「シャマルだから」」」」

 

 一同声を揃えて言い切った!

 

 後に、誤解は解けたので、そのまま渡される事に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 格納庫

 

 

「あ! 来た来た! はい、これ!」

「えっと、はい!」

 

 アルトとルキノからも貰った!

 

「お? 良いなぁ、チョコレートを貰ったのか」

 

 それを見ていた男性陣。

 

「ヴァイス陸曹は、チョコレートはお嫌い?」

 

 アルトがそう言うと、ヴァイスからは、

 

「うぅん・・・貰えるのなら、欲しいかな?」

 

 かなり期待した様子のヴァイス。

それを見て、それならばと特大の大きな包みを取り出した!

 大きな期待に胸が膨らむ!

 

「じゃぁ、あげます! ハイ! 挙げた!」

 

 そうは問屋は卸さない!

高々と掲げられたチョコレートの大きな箱!

 それを見て、

 

「そ、それは無いだろ! 寄越せ! 俺にも!」

「まぁまぁ、冗談ですよ、じょ・う・だ・ん!」

「これは皆さんの分なので、分けてくださいね!」

 

 そう言ってその一際大きな箱が手渡された!

 

 ワァァァァァ! と、群がる男性陣!

ヴァイスはその人津波に揉まれ、呑まれた!

 

 デュオは人津波に呑まれる前に、アルトとルキノに抱えられ、いち早く離脱した!

 

 その後、伸びたヴァイスの懐には、そっと別のチョコレートが差しこまれていたり・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

次のチェックポイント・食堂

 

「あら? 来たわねぇ!

じゃぁ、よーく手を洗って来てね!」

【???】

 

 言われたとおりに良く手を洗い、また戻って見た。

 

「はい! これは私達からね!」

 

 大きなチョコ・パフェが姿を現した!

 

【!?!? ・・・アイガトー!】

「はい、どういたしまして!」

 

 丁度三時になった事も有り、そのままパクついて見たり・・・

持ち運びは出来ないし・・・ネ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 途中、ランドリーを通り掛った時にも、幾つか・・・

通り掛かりにも・・・

 

 地図を見ながらすべてを回り、帰り着いた頃には、籠は一杯に!

 

【タァダイマァー!】

「「「おかえりー!」」」

「わぁ! 一杯貰えたね!」

 

 三人でお出迎えしてくれた!

 

 その後は、チョコレート・ケーキで紅茶を飲んだ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「はい! 遅くなっちゃったけど、私からね」

 

 ママママからも貰った!

 

「はい、これは私から!」

 

 美由紀姉からも!

 

 

 士朗爺ちゃん、何だか美味しそうなの食べてる!

一寸チョーダイ!

パクリと一口!

 

 ・・・・・・辛ーい!?

口の中が焼けそう!?

 

「わ! だ、駄目だ! これは大人のチョコレートだから!

桃子さん! デュオがボンボンを!」

「まぁまぁ! 直に吐いて!」

「はい! お水! 口を濯いで!」

 

 ・・・辛かった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ちなみに、エリオ兄は食べ過ぎ、鼻血が止まらなかった・・・とは成らなかった。

体が火照って走りまわっていた。

 デュオはその背に掴まり、お馬さん・電車・自動車ごっこ?

 

 車より早かったとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ハジメテノ、雪!

 

 

 前の冬は、暖かい冬? とかで、雪は降らなかったらしい。

今年は寒ぅい!

 

 外を見ていたビビオ姉。

ビビオ姉は寒いのに元気?

 

「デュオ、外!

スッゴイよ!」

 

 寒いのはイヤ!

寒い寒い・・・

 

 寒がりながらも、暖か半纏(【桃子】ママママがくれた!)を着たまま外を見た。

 

 見慣れた筈のお庭が一面、真っ白く染まっていた!

 

【!!! キャァァァァ!】

「キャー!」

 

 そのままビビオ姉と共に外へと飛び出した!

 

 ・・・三分後

 

【ギャアアアアァ!】

 

 ただならぬ悲鳴に・・・

 

「な、何事!?」

「な、何々!?」

 

 遅れて飛び出す親二人。

二人が目にしたのは、手を真っ赤にした幼子だった!

 

 デュオは、その二人に向かって跳び付く!

フェイトママにやんわり受け止められ、抱き上げられた!

 

「如何したの?」

【チベタイ! 痛イ!】

 

 両手が真っ赤に霜焼けに・・・

 

「そりゃ、雪だもん。冷たいよ?」

 

 冷静に応えるヴィヴィオ。

手袋着用、マフラー完備、毛糸の帽子の完全防備!

 

 兎に角、思った事を伝えようと、

 

【フワフワ、モコモコ!】

「えっと、温かいと思ったの?」

 

 と尋ねるなのはママ。

 

 コクコク!

 

「えっとね、雪は氷の結晶で冷たいんだよ?

デュオは、雪を見るのは初めてだったかな?」

 

 フェイトママはそう応えてくれた。

 

 コクコク!

 

「そっか、冷たくて綺麗なのは判った?」

 

 コクコク!

 

【美味シクナイノモ!】

「えっと、食べて見た?」

【食ベタ! 味シナイノ!】

「あはは! 美味しそうに見えるよね」

「もー、しょうがないなー」

「なのはママ、フェイトママ、デュオ!

見て見て! 雪ダルマ!」

 

 ビビオ姉は雪ダルマ作りに夢中!

 

「よぉーし! じゃあ、もっと大きなのを作ろっか!」

「やったー!」

「もー、程々にね!

デュオも、もっと温かい格好してから外に出ようね」

 

 フルフル!

 

【寒イノハヤー!】

「駄目駄目、子供は風の子だからね。

元気に遊ばないと。

もっと楽しい事も教えて上げるからね」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、八神家に出向き、雪を増やし? 降らせて? 貰いに?

 

 雪ダルマ・雪ウサギ・カマクラ・犬ぞり・雪合戦・・・?

 

 コロ姉大活躍? =既に編入、親友。

 

 コッソリコソコソ・・・ライディング・ボードを借りだして、そり遊び?

皆で乗れば怖くない?

でも・・・怖かった! なのはママとフェイトママとハヤテ姉が!

 

「こらこら! 何処から持って来たのかな?」

「えっと、何でそれがココにあるのかな?」

「何でそないなモンが、ココに?」

 

 一寸、角が!

拘置所から持ち出してたのがバレタ!

 

【キャー! ハイヨー! アウフ、サフィラ!

鬼カラ逃ゲロー!】

「逃げろー!」

「行けー!」

 

 ノリノリな姉二人。

 

「え、ええ!?」

「む?」

 

 事態を把握しきれない使い魔コンビ!?

だが、取敢えずは言われたとおりに逃げ出してみたり?

 

 そんなこんなで、犬橇VS魔女?レースが開幕?

・・・直に捕まりました・・・

お陰でオヤツ抜きの刑に・・・ツラカッタ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ニ人羽織り?

 

 オヤツ無しで仕方が無いから、シグママと合体!?

シグママ、カマクラで座ってたから、膝の上に座ってぽかぽか!

イヤー・マフもあるよ? 何も聞こえなくなるけど・・・今はそれが丁度良い?

 それで、不貞寝!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

・・・数十分後

 

【・・・ュオ、デュオ、起きなさい】

 

 シャママの念話で目が覚めた。

 

【ゥイ?】

 

 起きて見ると、真っ暗?

でも、ホカホカ?

上の方がチョッピリ明るい?

 

 そんな事を考えていると、目の前に匙が・・・

何となく、パクリ!

 ・・・甘ーい!

次から次へと現れる!

 

【美味シー!】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 何となく、姿が見えないのを気にしてか、

 

「ん? シグナム、そんな羽織り着て寒いのか?」

 

 ヴィータがそう尋ねると、

 

「あ、ああ。一寸な・・・」

 

 一寸だけ気まずい雰囲気になるシグナムとシャマル。

 

「そ、そうそう、折角だから着て見たらって」

 

 シャマルが相槌を入れる。

 

「・・・にしても、着膨れ過ぎじゃないか?

特に腹とか・・・」

 

 随分とお腹が大きく見える?

 

「いや、これ位が丁度良いんだ!」

「そうなの! これで丁度良いのよ!」

 

 勢い良く反論を返すが、説得力は皆無。

 

 

「でも、さっきから見てたんだが、何で胸元にスプーンを持って行ってるんだ?」

「う・・・」

「そ、それは・・・」

【モット頂ー戴!】

 

 一寸した沈黙の後、

 

「・・・シグナム、それ一寸脱いでみてくれ」

「な、何を言う! ヴィータ!」

「そ、そうよ!

デュオがココに居る筈が「シャマル!」・・・あ!」

「まぁ、良いけど・・・デュオ、何処に居る?】

【ハァイ!】

 

 胸の辺りから返事と小さな手が・・・

 

「・・・シグナム」

「ス、スマン。一寸可哀想でな・・・」

「そ、そうなの。一寸した(?)イタズラだったし・・・」

「しゃあねーな。アタシは何も聞いてねぇ!

それで良いだろ?」

「済まない」

「ゴメンね」

 

 そんなこんなで、オヤツの善哉にあり付けたデュオであった・・・




まぁ、こうなったのではないかと、勝手に想像し、捏造しております。


次回 イチゴちゃん再登場!?
 シロさん? エリーちゃん? サフィーさん? リフィスさん? シャルさん? ユニさん? も登場予定?
 誰が誰だか、判ったらスゴイ・・・のかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、雛祭り?

ご想像のままに、連想できるがままに・・・

何となく、こうなったかなと・・・

悪乗りした揚句がこうなりました・・・


ハジメテノ、雛祭り?

 

 

 二月末。

何やらバタバタと忙しそう・・・

 

 宿舎のロビーの前に、階段?

段々が出来て、それを緋毛氈で覆い、何やら飾り付け?

 

 でも、そんなに忙しそうなのに、皆何でか楽しそう?

・・・女の人ばっか?

 

 男の人は遠巻きに見てるだけ?

だから、暇そうにしている相手に聞いて見た。

 

 クイクイ!

ズボンの裾を引っ張ってみた。

 

「ん? 如何した?」

【皆、ナニシテルノ?】

「ああ、俺達男には縁遠いお祭りの準備だ」

 

 そうヴァイスは応えてくれた。

 

「そうだね。ウチは、あんまりしないかな?」

 

 グリフィスはそう言っている。

自分が男だったから?

 

「我々は添え物にしかなれん」

 

 そう言うのは、ザフィーラ。

 

「うん、向こうでもほぼそんなだったね・・・」

 

 昔を思い出すかのように、遠い目をしているユーノ。

   カクカク・・・ フルフル・・・

だが、何かを思い出したのか、その体は小刻みに震えてる?

 

「え? 何が有るんですか?」

「ああ、エリオは知らないのか、雛祭り。

男そっちのけで、女の子の為のお祭りだ」

「へぇー、そう言うのもあるんですかー」

 

 初めてその存在を知った模様・・・

 

「あ、だから、エリオもデュオも迂闊に近寄ったらダメだからね?

近寄ると・・・」

 

   ・・・ガクガク! ・・・ブルブル!

 

「ど、どうしたんですか、ユーノ先生?」

「うぉ! ど、どうしたんだ?

ユーノ司書長!?」

「・・・ああ、あの時の事か・・・」

 

 そんな事を言いながら、クロノが寄って来た。

 

「え、クロノさん! 何か心当たりが!?」

「ああ、アレは、思い出すのもおぞましい体験だった・・・

だから、聞かないでやってくれ・・・

そして・・・一切聞くな」

 

 そう言って言葉を切った。

だが、時すでに遅し!

 

「あら、クロノ。丁度良かったわ」

 

 エイミィが現れた!!

何処かで見た様な衣装を手にしている。

 黒いフリフリフリル! 《=ゴスロリ?》

 

「それで、今回はこれなんだけど・・・」

 

 エイミィは、その衣装を確認しながら、クロノの方を振り返ったが、その姿は消えた・・・

 

「あれ? ・・・そっか、だったら・・・」

 

 唐突に、忙しく立ち働いている女性陣に向かって大声で、

 

「なのはちゃん! フェイトちゃん! ハヤテちゃん!

クロノが逃げたから捕まえて!」

 

 即座に返答が返って来る!

 

「「「はぁい!」」」

「制服はボロボロにしちゃっても良いからねー!」

 

 ・・・暫く後、何処かで激戦が繰り広げられ、激しい戦闘による破壊音が聞こえた!

流石に三対一では勝ち目が無いのか、何時もの制服がボロボロに・・・

 

「は、放せ! 憐れと思うなら、逃がしてくれ!」

 

 幾重にもバインドで拘束され、引き摺られて行くクロノ・・・

 

「はいはい、憐れと思うより滑稽だから。逃がしては上げない。

それに、その制服もボロボロだから、丁度これがあるし、着替えてね?」

 

 そう言いながら連れて行くエイミィ。確信犯?

 

「いい加減、大人なんだから似合う筈はない!」

 

 反論するクロノ!

 

「え? まだまだ大丈夫だと思うよ? ねー!」

 

 エイミィは賛同を得ようと、辺りに声を掛けてみる。

 

「お兄ちゃんなら、まだまだ大丈夫だと思うよ!」

「そんな事あるか! フェイト、騙されているぞ!」

 

 引き摺られながらも、足掻き続けるクロノ!

 

「は、放せー! 誰か! 助けてくれー!」 

「えー? そんな事あらへん、まだまだ行ける筈や!」

 

 ハヤテの言う事に、クロノは、

 

「ハヤテ! そんな事言って、あとで後悔するぞ!」

 

 更には、

 

「うーん、でも本当に、変わってないと思うよ?」

「なのは、君だけは判ってくれると思っていたのに・・・」

 

 そうしていると、横から相の手が入った。

 

「そうそう、クロノはあんまり変わってないし、まだまだ!」

「くっ! ユーノ、裏切ったな!」

「はて、何を言うのやら?」

 

 空惚けながらその場を離れようとするユーノ。

 

「そう来るのなら!

ユーノもまだまだ似合う筈だ!

ユーノにもさせるべきだ!」

 

 そう言われ、何となくユーノを凝視する女性陣。

 

 静かに、その姿を上から下まで、まるで嘗める様に、つぶさに観察して行く。

その視線は、肉食獣!?

 ユーノは捕食されるのを待つ小動物!?

 

 バインドは掛けられていないが、その視線で硬直してしまった様だ!

 

「・・・うん、一理あるね」

「・・・そうだね。似合いそうだね・・・ユーノ君」

「ほな、ユーノ君も・・・」

「じゃぁ、ユーノの分も・・・」

 

 上からエイミィ、なのは、ハヤテ、フェイト・・・

 

「は、謀ったな! クロノ!」

「こうなったなら、一蓮托生だ! 覚悟していろ!」

 

 逃げる暇もないままに、拿捕!

連行されて行く!

 

 ・・・何やら恐ろしくなって来た。

 

「えっと、デュオ。

ここは邪魔しちゃ駄目だから、あっちに行こうか」【=というより、お祭りが終わるまで何処かに避難!】

 

 そうエリオ兄は言ってくれた。

 

 コクコク! ブンブン!

 

「では、私もお供しよう」

 

 ザフィーラもその事には賛同してくれた。

 

「さって、俺も仕事の続きを・・・」

 

 さっきまで暇を持て余していた筈だったが、思い出したようだ。

 

「あ、そうそう。まだ未処理の書類が有ったっけ・・・」

 

 実は、既に終了し、存在しない筈の仕事を作り出す有能さ?

 

 そう言いながらその場を離れようとした男性陣・・・

 

 そこから離れ、数歩進んだ所で、足が止まった・・・

自分の意志では進む事が出来ない・・・

バインドで拘束されていた・・・

 

「逃がさないわよ」

 

 ティア姉は、一寸怖そう。

 

「エリオ君。エリオ君も参加するでしょ?」

 

 無邪気な笑顔で引き留めるキャロ。

 

「えー? 折角面白そうなんだから、皆で楽しもうよ!」

 

 実力行使で止めに掛るスバル。

 

「さぁ! 衣装はまだまだ色々あるから!」

「そうそう! 色々選んであげるから!」

 

 ・・・逃げられなかった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ただでさえ、男女比が偏った部隊であったが・・・

三月三日、この日は女性だけ《?》になった日・・・

ある意味、男は存在しない?

 

 既に自棄になり、大いに飲み食いしながら憂さを晴らす女性陣《?》

本物の女性陣は?

 

「かわえぇわ!」

 

 ハヤテ姉に抱き締められた。

 

「んー! お持ち帰りしたい!」

 

 レティ提督には、そう言いながら抱っこされた。

 

「だーめ! 私が先!」

 

 【リンディ】ママママも参加。

 

「ふむ、似合っているぞ」

 

 シグママはそう言って撫でてくれる。

 

「ふふふ、可愛い!」

 

 フェイトママ、赤いの出そう?

 

「ほら、不貞腐れてないで、アラレでも食べろ」

 

 呆気に取られつつ、そう言ってアラレが入れられた高杯(たかつき)を渡された。

 

「うん、良く似合ってるよ。エリー」

「そーそー、似合ってる似合ってる!」

「エリー君、似合ってるね!」

 

 ティアナ、スバル、キャロは口々に・・・

 

「は、ははは・・・」

 

 虚ろな笑いしか浮かばないエリーちゃん?

不貞腐れてアラレを食べるイチゴちゃん?

 

 一方フリードは、綺麗に房飾りを付けられていた。

クキュー! と、小さな牛車を引きながら練り歩く。

 その牛車には白酒の入った徳利を乗せ、あっちに行ったりこっちに来たり・・・

偶に、アラレを満載したり・・・

 

 

 一方・・・

 

「シロさん、似合って無いですね」

 

 辛うじて似合っている? (グ)リフィス女史?

既に諦めている様子。

 

「当たり前だ! 似合ってたまるか!」

 

 自棄になって胡坐を掻く女性(?)に、

 

「え・・・お兄ちゃんに、そんな趣味が・・・」

 

 ギ・・・ギギィィィイイ!

 

「ラ、ラグナ? どうして、ここへ?」

「あ、私が・・・」

 

 アルトが連絡を入れて居た?

 

「面白いモノが観れるって、連絡が・・・」

「んー、あんまり面白くなかったかな?」

 

 それを聞いて見るのだが、ラグナのその手に持ったカメラからは、カシャカシャとシャッター音が続けざまに・・・

 

「イエ、良いモノを・・・」

「や、止めてくれー!」

 

 ついには逃げ出す事に・・・だが、そうは問屋は卸さない!

シャルさんが、ユニさんが・・・

 

「一人だけ逃げるなんて、許さん!」

「逃がしてはなるものか!」

 

 と、バインドと共に、結界で覆った!

 

「後生です! ココは逃がしてください」

 

 そうは言うモノの、離しては貰えない様子・・・

拘束されたのを良い機会だと、姉妹《?》で記念撮影!

 姉妹の絆が深まった?

兄妹の溝は、逆に埋められた?

 

 

「ブハハハハ!」

「・・・」

 

 憮然としたまま、黙っている事しか出来ないサフィー?

 

「ヒーヒー!」

 

 それを、笑う事しか出来ないアルフ。

 

「・・・そこまでおかしいか?」

「アルフ、そんなに笑ったら・・・悪いわよ?」

 

 フェイトはそう言いはするものの、笑いは堪え切れない?

 

「だ、だって! 全然!」

「うーん、ホンマならもぉ一寸見れる様になる筈なんやけど・・・ぷっ!」

 

 ソレを幸い、

 

「では、主にお見苦しいモノをお見せする訳には、参りませぬゆえに・・・」

 

 そう言って逃げようとするのだが・・・

 

「イヤ、これはこれで!

・・・! よっしゃ、今日はもう少し見られる様にせんとアカンな!」

「フェイトちゃん! なのはちゃん! 手伝(てつどう)てなぁー!」

「あ! アタシも手伝うよ!」

 

 アルフも参加する模様・・・

ガックリと膝をつくサフィー。

 

 悪化《?》しただけに終わった・・・

女性陣からは、大好評?

 

 

 その日は疲れ果て、そのままに・・・だから遅れた?

一人だけ、気力を振り絞り着替えた兵《つわもの》が居た。

 そのお陰か、嫁(?)に・・・来た?

 

 後に、とある提督の家族が増えた?

その提督は、その日は虎に化けていた?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

どんな衣装だったのかは、各々のご想像にお任せ! ○投げします!

 

こんなんしか浮かばなかった・・・




ヴァイス =白 =シロ
エリオ =エリー
ザフィーラ =サフィー
グリフィス =リフィス

とまぁ、一寸弄って見ただけなのですが・・・
どんな衣装だったのかは、ご想像のままに。読み手の想像力に○投げします!

クロノ =シュヴァルツ =シャル?
ユーノ =ユニ?
虎になったのは、レティ提督?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、歩矮斗 出意?

出さない訳にも行かず、書かない訳にも行かず・・・

微妙なままに、書いて見た・・・

思い浮かんだがままに、微妙なる出来のまま・・・

こうなったかなと、思うがままに・・・


ハジメテノ、歩矮斗 出意? 《ホワイト ディ》

 

 

 小さな人が・・・歩いて出て行く!? 《太子さんとか? ビビオ姉の大人姿とか? =出費がかさむ》

風に吹かれたかの如く・・・次々と、飛び立った! 《=財布から・・・》

 

 あの、悪夢(?)の日から二日程経った、ある日。

 

 ・・・何だか、皆《男性陣》元気ない? 代わりに、何だかお姉チャン達《女性陣》ウキウキ?

 

【バイスー、クリプスー。ドッタノ?】

「ん? ああ、デュオか・・・

お返しの事を考えていてな」

「えぇ、こればっかりは、確りとしておかないと・・・

後が怖いですからね」

「え? そうなんですか?」

 

 エリオ兄は、そんなに気負っていない?

 

「エリオは、まだ大丈夫だろうが、これからかな?」

「そうですね。これから、どれだけ大変になるのかに、気が付くと思いますね」

「ど、どうなるんですか!?」

 

 何だか怖くなってきた!

 

「エリオ、女性からの贈り物に対してのお返しは、三倍返しが相場だそうだ」

「そう、貰ったモノの三倍のモノを、お返しするんですよ」

「さ、三倍ですか・・・」

【三倍?】

「そう、三倍」

「えっと、チョコレートを一枚貰ったら、三枚にして返すって言ったら分かるかな?」

 

 グリフィスが判り易く教えてくれた。

 

【???  ??  ? ・・・ !  !!  !!! スッゴイ一杯!?】

「あ、デュオは一杯貰ってたっけ・・・」

【籠一杯ト、特大!】

「ん? おお! そう言えば随分と沢山貰っていたな」

「あー、見ましたね。アレは流石に・・・」

【・・・キャー!】

 

 デュオは、事の大変さに気が付き、大慌てで外へと走る!

 

「あ、流石にデュオはそこまでしなくても・・・」

「・・・何か、凄い慌ててましたね」

「流石にそこまでは求められないだろ?

まぁ、取敢えずは、俺らの方が問題だな・・・」

「そうですね・・・」

「そうなんですよ・・・」

 

 エリオ、グリフィス、ヴァイスは其々が其々の問題解決に思いを馳せている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 今日はお返しをする日だって!

だから、ヴァイスとかグリフィス、六課男性陣にお呼ばれ!

 

 ポストマンに任命された!

 

「デュオ、頼んだぞ!」

「お願いするよ」

「渡して来てくれ!」

「ちゃんと渡してくれよ?」

「じゃあ、デュオ。行こうか」

 

 エリオ兄に手を引かれ、貰った相手の元へ!

 

 まずは、アルトとルキノの元へ・・・

 

「あれ? デュオ、どうしたの?

そんな大荷物で」

【オ届ケモノー! ハイ!】

 

 そう言いながら、エリオ兄に宛名を確認して貰い、その包みを手渡す。

 

「あら、ありがとう。

えっと、六課男性陣一同?」

「ええ、お返しです」

「そっか、ありがとう!」

 

 受け取り、笑顔を見せてくれる相手に、

 

【エットアット、ハイ!】

 

 それとは別に、小さなありふれた包装紙に包まれたそれを差し出すデュオ。

 

「え? コレも?」

 

 コクコク!

 

「・・・じゃぁ、貰うね」

「あ、いいなぁ!」

【ハイ!】

「え? 私も?」

 

 コクコク!

 

「ありがとうね!」

 

 バイバーイ、とばかりに手を振りながら、手を引かれその場を離れて行く。

 

 その後も、大きな包みと小さな包みを渡して行く。

中には、更に別の包みも有ったり?

大きかったり、ペラペラ《チケット》だったり?

 

 

 その姿が見えなくなった頃、

 

「ねぇねぇ、開けてみる?」

「そうだね」

 

 そう言って開けて見ると、そこには貝殻で作ったブローチの様なモノが・・・

きれいな貝殻を拾い集め、安全ピンを石化した魔力で固定しただけの、シンプルなモノ。

 

「へぇー」

「あ、こっちはまた違うね」

「どれどれ?」

「あぁ、こっちはペンダントみたいだね」

「こっちは、ストラップかな?」

「キーホルダーかな?」

 

 こちらも、綺麗な貝殻に小さな金具が付いているだけだが、ペンダントになる様に細工が施されていた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そんなこんなで配り終え、残るは三か所だけ残った。

 

「じゃぁ、デュオ。残りを頼んだよ」

【オー!】

 

 そう言いながら別れ、部屋へと戻る・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【ターダィマァー!】

「お帰り、デュオ。どうしたの、その格好は?」

 

 ヴァイス達に用意して貰ったポストマンの衣装を見たフェイト。

 

「あ、デュオ。何処に行って来てたの?」

「お帰りー。オヤツがあるから、手を洗っておいで」

 

 其々に帰って来た挨拶をして、集まって貰った。

 

【ハイ!】

 

 そう言って、それぞれにそれまで渡したモノよりも、少し大きな物を手渡す。

 

「あらあら、何だろうね」

「え、くれるの?」

「んー、何かな?」

 

 貝を繋げたネックレス・ブレスレット・バレッタ《髪飾り》。

 

「わ!」

「わぁ!」

「わぁあ!」

【オカエシ!】

 

 ドヤ! とばかりに胸を張っているデュオ。

 

「ありがとう!」

「デュオ! これを頑張ってたの?」

「・・・そっか、これだったんだね」

 

 キュウッと抱き寄せられ、抱き締められた。

 

【キュー!】

 

 そう言いながらも、抱き返して見た。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 三倍返しと言う言葉を聞いてから、日中は六課の傍の海岸で貝殻を拾い集め。

寒くなって来たら引き返し、それを細工・加工・石化によるコーティングも・・・

 マリーにスクラップの部品から、使えそうなモノを貰ったり。シャーリーに工作のやり方を教わったり、一寸(工作機械を)手伝って貰いながら、貰った時の思いを三倍にして返すつもりで作っていたり・・・

 

 その後、地球の方にも渡しに行ったり・・・

更にママママのお返しを貰って、困惑したり・・・

 

「あら、お返しは小まめに会いに来てくれれば、それで良いわよ」

【・・・イイノ?】

「そうだね。なのはは中々帰って来ないからねぇー」

「そ、そんな事は・・・」

 

 ・・・言い返せない?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ハジメテノ、学校?

 

 

 今日は、ビビオ姉の授業を見てみたいとの事。

だから、ビビオ姉の所に来て見た!

 なのはママとアルフとユー兄と一緒!

 

 教室? とか言う所の端っこで覗いて見た!

 

 あ! ビビオ姉! あ、コロ姉も!

手を挙げてる!

 

 教室の中程にいたヴィヴィオ姉と、窓際の一番後ろにコロナ姉が座ってる。

 

 あ! ビビオ姉、呼ばれた!

立った! ・・・何か読んでる?

 

 その様子をカメラで収めるアルフ。

そっと窺っているなのはママとユー兄。

 

 あ! 何か、後ろからヤナ予感?

・・・痛い? ・・・逃げるぅー!

 

 スタコラサッサと教室の中へと走り出す!

 

 一番後ろを音も無く気付かれない様に通り、そっと窓際に居たコロ姉の元へ!

そのすぐ後に・・・

 

「何をやってるんですか、なのはさん!」

 

 そんな声が聞こえて来た!

今は隠れるべき!

 

 だから、【コロ姉ェー!】

 

「え!? デュオ君?」

 

 教室は笑いに包まれている様子。

注目は反対側だから、こっちには気が付いてない?

 

【匿ッテ!】

「えっと・・・如何しよう」

【オ膝、載セテ?】

 

 一寸おねだりして見た!

 

「え? う、うん」

 

 ついつい頷いたコロ姉の膝の上に滑り込み、事無きを得た?

なのはママ達、連行されてった!

 ビビオ姉、頭痒い?

 

 そのまま授業に参加!

センセー、意外に気が付かない?

 

 十数分後   授業終盤に差し掛かった頃。

 

「あ! コロナさん、その子は?」

 

 先生が気が付いたらしい。

 

「え、えっと・・・」

【エット、アット、デュオデス!】

 

 そう応えて見たら、

 

「あー! デュオ、何でそこに居るの!?」

 

 ビビオ姉も気が付いた!

 

【ママト一緒ォー!】

「・・・ヴィヴィオさん、後でお話しがあります」

「はぃ!」

 

 ビビオ姉、しょげてる?

悪い事?

 

【コロ姉、コロ姉。ダメダッタ?】

「えっと、うぅん・・・ダメって事は無いんだけど、一寸やり過ぎだったかな?」

【オォウ、謝ル?】

「うん、そうだね。謝った方が良いかな?」

 

 一寸その事を考え、先生の元へ・・・

 

【エット、アット・・・】

「ん? どうしたのかな?」

 

 先生としては、小さな子が来た事で、怒るに怒れない様子。

 

【ゴメンナチャイ!】

 

 深々と頭を下げて見た。

 

「え!? えっと・・・もう良いよ」

 

 その事で、怒気が下がったのか、

 

「お母さんと一緒に居なくても大丈夫?」

 

 逆に、こんな幼い子が居る事が心配になって来たらしい。

 

【・・・ヘーキ? ・・・ママ、何処ニ居ルノ?】

 

 連れて行かれてしまい、何処に居るのか判らない!?

 

「あー、迷子になった感じかな?」

「あ、先生! デュオは私が連れて行きます!

多分、学園長先生の所だと思うので・・・」

「そう? じゃあ、お母さんに、今度は授業参観日か、保護者面談の時にって伝えておいてね?」

「は、はい! ほら行くよ、デュオ!」

「あ! ヴィヴィオちゃん、私も!」

 

 コロ姉も一緒に来てくれるらしい。

取敢えずは、うやむやにはなった?

 

 

 その後、中庭でお弁当を食べ、そのまま一緒に帰りましたとさ・・・

お弁当は自分で持っていた!




そろそろ、打ち止めに近くなってきました・・・
新たな話を考えないと・・・

まぁ、出せる所まで出したら、隔週か週一位の割合で出せたならと・・・

無理は出来ないので、また眠りにつく可能性も・・・
ただ、眠りは浅いので、ちょくちょくと・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、ポアソン・ダブリル?

四月をテーマにした大嘘集?  
お付き合い? はこちらに編集しました。


お付き合い?

 

 今日はママママ達と一緒に・・・研究?

 

 天然と養殖の比較?

鯛の天然と養殖を比較検討?

 

 だから、食べ比べ!

 

 

 お婆さんが焼いてる!

トッテモ長ーい! =行列

でも、進む時はずっと前まで! =中々進まないが、進む時は一度に進む。

 

「んー、ここのは・・・美味しいけど、養殖ね」

「そうね。でも、養殖だけど、味は良いわね」

【・・・羽付キ?】

「そうよ、コレを羽付きって言うの」

「んー。一寸見栄えが悪いって言う人も居るけど、これはこれで・・・」

「おいしー!」

「おいしいね!」

 

 一度に複数を焼き上げている。

ギュウッとしながら、一度に焼いてる!

 

 

 

 あんまり人が来ない所!

でも、長い! 待ちくたびれた! 寒い!

 

「・・・あっと、20匹下さい」

「箱詰めしますか?」

「お願いします」

 

 前の方のお客さんのそんな声が聞こえた・・・

 

【・・・ソンナニ買ワナイデ!】

「ふふふ、大丈夫。まだ一杯焼いてくれるから」

「あら、でも餡が無くなり次第でお終いみたいね」

「「【エェ!?】」」

「大丈夫、そう無くならないから・・・多分」

「ふふふ、そうよ。まだ大丈夫だと思うわ」

 

 四十分後・・・

 

「ココのも美味しいわね。ここは天然モノね!」

「そうね、一匹一匹を丁寧に焼いてて・・・

それで、ここのは中身は同じだけど、味が違うわね」

【・・・一寸違ウ?】

「何か、違うね」

「黒砂糖みたいな?」

「あら? 違いが判るのね」

「まぁ、将来有望ね!」

 

 一匹一匹を、確かめながら、丁寧に焼いている。

ガッコンガッコン五月蠅い!

 

 でも、良い匂い!

 

 

 

 ココも天然!

でも、割と早かった!

 

【餡子ノ味スルノ!】

「あら、本当! 小豆の味が濃いわね!」

「ええ、本当に。ビックリする位、小豆の甘みがあるわ!」

「ホントだ!」

「うん! アズキの味がするね!」

 

 

 

「ココは、値段は手ごろで・・・

でも、何だか良い雰囲気ね・・・」

 

 知らなければ、気が付かないだろう店構え・・・

丁度、お店の裏に旗があるだけで、地元の人だけが来るお店?

 

「そうね、子供が多いし、何よりこの値段で出してくれるのが嬉しいかな・・・」

【・・・養殖?】

「そうよ。でも、ワンコインで食べられるのよ!」

「ええ、でも、この値段に抑えるのは大変じゃないの?」

 

 その呼び掛けに店主も応えてくれた。

 

「そりゃ、前はもう少し安くやってたけど・・・流石にね・・・

原材料も最近上がっちゃって・・・

今はこれでやっとぐらいかな?」

「でも、良いわね」

「ええ、子供の笑顔が見れるのが良いわね」

「はは! そう言って貰えると、うれしいね!」

【・・・羽付キ!】

「ふわふわ!」

「ホットケーキみたい!」

「あら? 気に入ったみたいね」

「ふふふ、そうみたい。

フワフワしてるし、デュオ達には丁度良いのかな?」

「・・・もう一つ、頂けるかしら?」

「あー、結構お待ちいただく事になりますが・・・」

「それって、どの位?」

「あー、今から焼き始めて・・・二十分位掛ってしまいますね・・・」

「じゃあ、追加で十匹ほどお願いします」

「はい! 毎度! 千百円になります!」

「あら、沢山! そんなに食べれるかしら・・・」

「なのはにフェイトちゃん、ヴィヴィオちゃんに士朗さん、美由紀も食べるだろうし・・・」

「そうね、アルフも食べたいって言うだろうし。

丁度良いのかな?」

「デュオ、時間も有るし、お店の前の公園で遊んでらっしゃい」

【・・・ウン!】

「あそぼー!」

「遊ぶのー!」

「ふふふ! 桃子さん、本当に念話は聞こえて無いの?」

「え? ふふふ、聞こえないけど何となく、かな?」

 

 そのまま、お店の前の公園で言葉の無いまま、子供達に融け込み、遊び始めるデュオ達。

 

「・・・あの、あの子達のお母さんですか?」

 

 その子達の誰かのお母さんか、さっきのやり取りを見ていたのか話しかけて来た。

 

「はい、デュオのお婆ちゃんをしています」

「あ、私も、同じく三人のお婆ちゃんです!」

「え!? えっとお若い様ですが・・・」

「ふふふ、娘が親代わりをしていて・・・」

「私の息子の子供達です・・・」

「ああ、それで!?」

 

 納得出来た様子?

 

「でも、ママママって呼ばれてますね」

「私が呼ばせてたんですけどね」

「へぇ・・・」

 

 そんなこんなで、四方山話?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 頭から食べる人、尻尾から食べる人・・・

 

頭から派

なのはママ、シグママ、ビータママ、スバル姉・・・

 

尻尾から派

フェイトママ、ハヤテお姉ちゃん、シャママ、ティア姉、キャロ姉・・・

 

お腹から派

ビビオ姉、ニャンコ先生ズ?

 

 

 何を食べ比べているか、分かりますか?

鯛焼きです!

 

 実際のお店を参考に描いています。

 

 東京のお店ばかりなんですけどね・・・

 

 一度に複数を焼き上げる鯛焼きは養殖。

一匹一匹を、丁寧に焼き上げる鯛焼きは、天然だそうで・・・

 

 中には、魚拓を取られる方も・・・

本も出されていましたね・・・

 

 私は、お店ごとに様々な焼き方と、味の違いを楽しんでいます!

シンプルで、でも複雑なモノを・・・

 

 行動範囲は広いので、入り組んだ所へも・・・

知る事が出来れば、何処までも!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

研究成果?

 

 パイ生地を魚の形に切り出して、リンゴやオレンジ、アプリコット・ジャムを敷く。

それを包み込む様に更に生地を重ねる。

 特別に餡子を敷き詰めたモノも。

 

【オイシー!】

「おいしー!」

「うん! おいしいね!」

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 昔、テストで小豆を、おまめと読んだ学生が居たそうで・・・

先生が正解にするかどうか、大層迷われたそうな・・・

 

A.アズキ、と読みます・・・間違った読み方では無いし、読めなくは無いし・・・

 

 皆さんは、どちらで読みましたか?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

嘘か真か実かウソか?

 

 

【えー、緊急放送です。たった今、ジェイル・スカリエッティ容疑者が軌道留置衛星より脱走いたしました。

繰り返しお伝えします。昨年の揺り籠事件の首謀者、ジェイル・スカリエッティ容疑者が脱獄いたしました。

お見かけした方は、くれぐれも管理局への即時通報の程を、宜しくお願いします】

 

 そんな緊急放送がニュースに流された。

 

「へぇー・・・って! 誰や! こんなありえへん大嘘吐くんは!」

 

 時期が時期だけに、それをその手のモノだと捉えた様だ。

 

「あははは! 流石に今日は凄いね、ハヤテちゃん」

 

 機動六課で仕事中、咄嗟に突っ込みを入れるハヤテに対し、なのはも応じた。

 

「そやけど、まさか本当に脱獄とかしてへんよな?」

 

 外から戻って来たフェイトもそれを見ていたのか、

 

「ついさっき様子を見て来たけど、大人しくしているみたいよ」

「あ゛ーもう、心臓に悪いわぁ」

 

 そんな事を言い合っている頃・・・

 

トテトテトテテ、トテトテト、トタタタトトタトタトタトタト・・・

 

 コッソリと宿舎を抜け出す小さな影が・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「はい、管理局地上本部です。緊急ですか? 通報ですか?」

【あ! あの! 指名手配犯を見掛けたんですけど!】

「え? あの、画像などがあればこちらに転送して頂けますか?」

【は、はい!】

 

 送られた映像は、鼻髭瓶底眼鏡を付けた若い男性。幼い子供を肩車している。

 

「えっと、見掛けた場所と時間をお願いします」

 

 伝えられたのは、地上本部から程近い、大きな公園。

 

「では、そちらに陸士を派遣いたしますので、その場でお待ちいただく事は出来ますか?」

 

 その答えに、否と応えられ。

 

「判りました、至急駆け付けさせますので、ご安心を」

 

 通信が途切れ、現場に陸士を急行させる指示を出した。

今回、この手の通報は数多く、大概が勘違いや見間違いの類が多かった。

 この時期になると意外と多いモノだから、それでも念の為に派遣される。

万が一という事もあるが、派遣される方もまたかと言った思いも有る。

 一応は調べに行くが、そこまで念入りには調べ様も無い。

それが計略であったとしても・・・

 

「フム、これで良し」

 

 徐に端末で何やら確認していると、頭上から、

 

【ナニナニ? ドーシタノ?】

「ん? ああ、一応の義務をな。

さて、時間は限られている。何処へ行きたい?」

【オイシーモノ!】

「よし来た! 行くぞ!」

【オー!】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

行きつけのオープンカフェ?

 

「おや、お久しぶりです」

 

 顔見知りのギャルソンが出迎えてくれた。

 

「ああ、ここに来るのも何時ぶりだろうか・・・」

「何時ものでよろしいですか?」

「そうだな。あとは、何が良い?」

 

 そう言って、メニューと睨めっこしている相手に聞いた。

 

【コノケーキ!】

 

 メニューに乗っている写真を示した。

 

「それと、紅茶をミルクで」

「はい、以上で宜しいですか?」

「そうだな、取敢えずはこれで頼む」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その様子を遠目に見届けた面々の一人言。

 

「あらあら、久しぶりに」

「おお、元気そうだ」

「マァ! あの子!」

「随分と小ざっぱりしているな」=以前に比べ、着ているモノのランクが下がっている

「やっぱりアレだろ。前の事件で色々ゴタゴタして仕事が忙しかったとか・・・」

「お務めが厳しいってか?」

「まぁ、あれだ。人生色々あるからな」

「ちげぇねぇ」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「デュオー! どこ行ったのかしら?」

 

 フェイトが宿舎内を探していると、なのはもその様子に気が付いたのか、

 

「如何したの?」

「あ、なのは。お昼を一緒にって思ってたのに何処にも居ないの」

「え? 何処に行ったんだろ?」

「あ、なのはさーん、フェイトさーん」

 

 シャーリーは此方を見て、小走りに駆け寄って来た。

 

「デュオ君なら、さっきリュックを背負って何処かへ出かけて行きましたよ?」

「そう、何処へ行ったんだろ?」

「うーん、シャーリーは何か聞いてない?」

「あ、何だかお爺ちゃんに会いに行くって言ってましたけど・・・」

 

 それを聞き、思い浮かべるのは二人。

どちらも遠く離れた所に居る筈の存在。

 

「・・・それは、ないわよね?」

「・・・うん。それは無いと思うよ?」

「ですよねー」

【ターダィマァー!】

 

 聞き覚えのある念話と共に、その小さな姿が目に入った。

 

「あ、帰って来た?」

「もー、何処に行ってたのかな?」

「おかえりー。何処に行ってたの?」

【オジーチャント、ケーキ食ベテタ!】

 

 誰か顔見知りになった相手に食べさせて貰ったと解釈。

 

「そっかぁ。でも、黙って行ったら駄目だからね。今度は何処で誰と会うのかを前以って教えてね」

 

 

ポアソン・ダブリル

=《四月の魚》フランスのエイプリルフール。

魚の形の菓子を食べたり、魚の形の紙をこっそり相手の背中に貼るイタズラをしたり。




本編は暫く休止します。
暫くはハジメテ・シリーズの更新となるかと思われます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、遊園地?

何となく、思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

取敢えず、書けた、出来た。

だからそのまま・・・こうなったのではないか、こうなるのではないかと・・・


ハジメテノ、遊園地?

 

 

 今日は遊園地とか言う所に行く筈だった!

でも、急な任務が入ったとかで・・・中止!

 

 ヴィヴィオ姉は友達の所へ遊びに行っちゃった!

 

 イーモン、イーモン!

姉(ネェ)達の所に遊びに行くから!

 

 そんなこんなで、海上隔離施設へ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

海上隔離施設

 

 一寸、デュオに元気が無い様に見てとったウェンディ。

早速その事を聞いて見る事に・・・

 

「ん? どうしたッスか?」

【・・・遊園地ッテ何?】

「え!? ゆ、ゆうえんち?

ゆうえんち・・・さて、何だろ?」

 

 任務と戦闘と自分達の事以外は、特に関心も無く共有していない為、その手の事については疎かった。

 

「んー、私は知らないから、チンク姉に聞いて見よう!」

 

 そんなこんなで、ここに居て一番活動期間が長く、頼りになるだろう姉の元へ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「ああ、遊園地か、確か・・・」

 

 記憶の端から引っ張り出すかのように、思い出そうとするチンク。

 

「大人がヘトヘトになり、子供が絶叫する所だったかな?」 =間違ってはいない?

 

 うろ覚えな上、チラッと遠目に目にした時の状況を並べて見たらしい。

 

「えー? それじゃ分かんないッス!

もっと具体的に!」

「そうは言ってもだな・・・

行った事が無いモノには・・・」

 

 ジーッと、デュオから期待を込めた目で見られ、更なる記憶を掘り返す事に・・・

 

「確か、レールが有ってその上を高速で走るモノがあったな。

他にも、数十メートルから落下する装置だったか?」

「フンフン、他には?」

 

 それらをメモして行くウェンディ。

 

「あー、ゆっくりと回転する巨大な歯車があったかな?

遠心力で回る椅子が・・・」

「他には?」

「ん? 他か、後は・・・ああ、モグラ叩きとか言うモノが有ったか。

地面からピョコピョコ出て来るモノを叩くのだったか?

・・・そこまでかな?」

「うーん、兎に角。遊ぶ所だってのは判ったッス!

後はこれを実行出来れば・・・!

・・・えへへー!

良い事思い付いたッス!

ノーヴェ! 一寸こっちへ!」

「ん? 何だよそんな大声出して」

 

 一寸離れた所で、こちらの様子を伺っていたノーヴェは、何事かとこっちへ来た。

 

「デュオに遊園地なるモノを体験させてあげるッス!

その為には、ノーヴェの力が必要ッス!」

 

 そう力説するウェンディ。

 

「あ? あ、ああ」

 

 事態が呑み込めないが、取敢えず生返事を返すノーヴェ。

 

「で、何をすればいいんだ?」

「えっと、ジェットエッジは・・・流石に無理ッスね・・・何か代わりになるモノは・・・」

「だから、何を?」

「うーん、・・・台車なら?

でも、安全性が・・・イヤイヤ、ここは姉として私が身を張るべきッス!」 =本心は自分も楽しみたい?

「だから! 何をすればいいんだよ!」

「台車ッス! 台車を手に入れるッス!」

 

 そんなこんなで、急遽台車を借り受けた?

 

「えへへー! コレを使ってノーヴェのエア・ライナーを走るッス!」

「は? コレを?」

「私がデュオを抱えて台車に乗るから、それを押して走って欲しいッス!

全力で!」

「・・・今一、ワケがワカンネェんだけど」

「いーから、先ずは試してみるべきッス!」

 

 そんなこんなで、台車の上に胡坐をかいたウェンディの上に座らされ、抱えられた。

そのまま、全力で走り出す事に!

 

 作られたレールの上を、縦横無尽に全力で走り回るノーヴェ!

 

「うひゃー! 思ったより怖いッス!」

【キャー! ギャー! ・・・ワーイ!】

 

 デュオも、最初の内は楽しんでいたが、思わぬ角度で曲がったり、落ちたり、昇ったり・・・

途中、怖くもなったが、段々と慣れて来た?

 

「それソレそれー! まだまだ行けるぞー!」

 

 その事に気が付き、悪乗りするノーヴェ。

 

「ちょ、一寸、タンマー!」

 

 流石に、長い時間乗り続けるのは疲れたのか、ウェンディの方が音を上げた・・・

 

「あん? まだまだ行けるぞ? ソレー!」

「や! 流石に手が・・・あ!」

 

 丁度、上下が逆さまになり、手が外れたと同時に、落ちた。

 

「うわわ!」

「え!? ウェンディ!?」

【!?】

 

 そのまま走り続けるノーヴェを後目に、落ちるウェンディとデュオだったが、直にロープで捉えられた。

 

「た、助かったッス。ディード、サンキューッス!」

「うん、大丈夫? じゃぁ、今度は私が代わるから・・・」

「は?」

 

 そんな事を言い出すとは思いもしなかったが、更に・・・

 

「・・・ボクも」

 

 オットーも傍に控えている。

 

「アタシもー!」

 

 セインも現れた!

 

「あ、セイン姉には別の事をお願いしたいんだけど・・・」

「え、何々!? 何でも言って!」

「えっと、デュオを抱えて自由落下!」

「は!? ・・・ああ! そう言う事!

判ったよ!」

 

 次は上空からの自由落下を経験する事に?

途中、バンジージャンプ・モドキにも・・・

 

「な、何をしているんだ!」

 

 流石にそれは不味いと、チンクから一喝された!

 

「えー? 大丈夫だよ? 離さないから」

 

 と、セインが応えると、

 

「ま、まぁ、そうだろうが、万が一という事もある。

まずは私が検証してからだ! 良いな!」

 

 そうチンクは宣言をした。 =実は、自分もやってみたい?

 

「「「はい」」」「「はぁい!」」

 

 そんな風に気軽に返事を返すと、一人だけジーっと見てるだけの相手が・・・

 

【ディエ姉モ、スル?】

「え? ウウン、私は見てるだけで良いから、楽しんでおいで?」

 

 そう促すが、

 

【・・・ディエ姉、一緒! アソボ!】

「・・・良いよ、私は・・・」

 

 そう断ろうとするディエチ。

 

「えー? ディエチも一緒に楽しむッス!」

 

 ウェンディは更に誘いを掛ける。

 

「ソーソー、これからは色々と楽しまないと!」

 

 大いに楽しんでいる風情のセイン。

 

「ああ、これ、結構楽しいぜ!」

 

 ノーヴェは既に面白さに目覚めた?

 

「さ、先ずは試してみてからでも」「遅くはないかな?」

 

 ディードとオットーも勧めて来た。

 

【ジャ、ディエ姉! ヤッテ!】

 

 と、デュオが背中を押し、台車へ座らせ、その上に腰掛けた!

 

「え!?」

「じゃぁ、行くぞぉー!」

【オー!】

 

 一気に走り出すノーヴェ!

それに何とかしがみ付くディエチ! デュオをシッカリと抱えても居る!

更にディエチにしがみ付くデュオ!

 

【キャー!】

「キョワワ、ウェア!」

 

 つい、奇声を発してしまった・・・

スナイパーとして、発達したバランス感覚を持つディエチには、その揺れは致命的だった?

 

 酔ってしまった様だ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 横たわるディエチに対し、

 

「わ、悪かった!」

 

 ノーヴェが謝っている。

 

【ディエ姉、大丈夫?】

「うん、大丈夫。

一寸酔っただけだから。

落ちたり昇ったりするのは良いんだけど、あそこまで揺れちゃうと・・・流石にね」

 

 

 そんなこんなで、年齢制限が掛るであろうモノを、早くも体験したデュオであった・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、ゲンヤが現れ、一緒に帰りましたとさ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

後日、改めて遊園地へ!

 

 ライトニング分隊の任務として! =強引にこじつけた!

平日に付き、ヴィヴィオ姉は学校へ・・・なのはママはズル休みを認めず・・・

 

「さぁ、遊園地に着いたよ! 遊ぼうね!」

 

 そうフェイトが促すが、

 

【ワー?】

 

 そんなにテンションが上がらないデュオ。

その事を疑問に思うキャロとエリオ。

 

「? どうしたのかな?」

「えっと、遊園地だよ?」

【・・・アレガ?】

 

 指差す先は、ジェットコースター。

 

「えっと、何か、違った?」

【・・・オソイ】

「へ? ど、どうしたのかな?」

【モット早カッタ! ノー姉!】

「「「???」」」

 

 一寸意味が掴めなかった様子のライトニング。

 

【セイ姉ノ方ガモット、コワイノ!】

 

 デュオは、更に落下系の乗りモノを指差す!

 

「えっと、デュオ。

アレはまだデュオには乗れないから、もっと別のに乗ろうね!」

 

 何となく、スカリエッティの所に居た事で、それ以上のモノを体験しているのだと勘違いするフェイト。

可愛い系? のメリーゴーランドや、ティーカップなどの乗り物へ誘導し、大いに楽しませた。楽しんだ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ふと、係員が慌てた様子で周囲を走り始めた事に、フェイトは気が付いた。

 

「何か、有ったのかしら?」

「え? あ・・・」

「何でしょう?」

 

 エリオとキャロも、その不穏な雰囲気に気が付いた。

 

「何かが、起きているのかしら?

エリオとキャロは、デュオを見ていて貰える?

私が一寸、確認して来るから・・・お願いね?」

「「はい!」」

 

 その事を何となく察したのか、

 

【何々? 何カアッタノ?】

「あ、デュオ。何か有ったかもしれないから、一緒に居ようね」

「うん、大丈夫だよ」

【オー?】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

途中、職員を捕まえ、

 

「管理局・執務官のフェイト・T・ハラオウンです。

お話しを伺っても?」

「! あ、ああ! 丁度良かった!

先ほど、この園内に爆発物を仕掛けたと情報が・・・」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 取敢えず、お昼になっていたので、テーブルのあるベンチでお弁当を拡げていた三人。

 

「・・・フェイトさん、遅いね」

「うん、何か長引いてるのかな?」

【オナカスイター】

 

 その様子を見て、エリオから、

 

「うーん、取敢えず、先に食べてようか?」

「そうだね、何か有ったら連絡も入るだろうし。

さぁ、召し上がれ」

【イタダキマース!】

 

 両手にサンドイッチを持ち、交互にかぶり付くデュオ。

キャロは、その口の端から零れるものを拭う。

その様子を見ながら、何となく楽しそうにポットからお茶を入れるエリオ。

 

 兄姉が幼い弟の面倒を見ている様に、周囲の人は微笑ましく見守っている。

だが、そんな様子を邪な面持ちで見る者も・・・

 

 

    ・・・   ・・・

 

 

「・・・犯人からの、要求は?」

「誰も避難させるなと・・・黙って見ていろ、とだけ」

「それだけでは、如何にも防げない」

「! 新たなメッセージが、来ました! ・・・これは!」

「何と言ってきましたか?」

「そ、それが・・・フェイト執務官がその場を離れたら、爆発させると・・・」

「! 私を、知っている? それと、この場が監視されて?

・・・! だとすると、エリオ達が!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「ほらほら、そんなに零して・・・」

 

 デュオの頬にお弁当が付いているのに気が付き、そっと取って、自然に食べてしまうキャロ。

その様子に、一寸見惚れてしまったエリオ。

 

【? ! アリガトー!】

「うぅん、気にしなくても良いよ」

 

 して貰って、何となく気が付いた。

 

【ア! エリオ兄! ツイテル!】

「あ、ホント」

「え!? ど、何処に?」

 

 口の何処かについていると思い、エリオは口元を拭って見るが、特に何も見当たらない。

 

「ああ、一寸ジッとしてて。エリオ君」

「う、うん!」

 

 ジッとしているエリオの顔に、キャロの手が近付く。

ドキドキするのが治まらず、顔が熱くなるのが判る。

 その手が、直ぐ傍に・・・その匂いが、微かに感じられた時、その手は上に伸びた。

 

「・・・へ?」

「あ、獲れた!」

【見セテー!】

 

 そのキャロの指先には、テントウ虫が止まっていた。

 

「あ、テントウ虫?」

「うん、エリオ君の髪の毛に止まってたんだよ」

【キレー!】

「そ、そっか。はははぁ・・・」

 

 何となく、期待してしまったエリオであった。

 

【ア! 忘レ物?】

 

 隣に座っていた大人が荷物を置いて、席を立とうとした。

そのまま足早にその場を離れようとする。

 

「あの、すみません! 忘れ物ですよ!」

 

 そう、エリオが声を掛けるが、声を掛けられた途端に、更に足早に!

 

「・・・エリオ君、何だか怪しいかも」

「う、うん! デュオを連れてここを離れようか?」

「一応、結界を張れる様にしておいた方が良いのかも・・・」

 

 そんな事を話していると、爆弾発言が・・・

 

【エリオ兄、キャロ姉! バクダーン! 見ッケタ!】

「「デュオ!?」」

 

 振り返ると、その客が置いて行ったであろう荷物を覗き込むデュオ。

更に、手を突っ込み弄っていた!

 

【エット、アット・・・トメタ!】

 

 その発言と共に、ブチブチッと・・・何かを引き千切り、幾つかの色の付いたコードが掲げられた。

 

「ギャー!」「キャー!」「わー!」「ひー!」

 

 阿鼻叫喚の坩堝と化した。

 

「デュ、デュオ?」

「と、止まったの?」

【止メタラ、ダメ?】

 

 小首を傾げながら、尋ねるデュオ。

何やら弄っては駄目だったようで・・・

 

【・・・直スー!】

「ダ、ダメ! 直したら!」

「そ、そのままで良いから!」

【エェー?】

 

 心底残念そう?

 

 その後、犯人は直に捕まり、他にも爆発物が発見された。

地上本部から処理班が派遣され、その処理方法を聞き、それを確認された所・・・

 あと少しで爆発したであろうと・・・

 

 多少の混乱は避けられなかったが、ほぼ軽症で事足りた。

 

 

 クー姉とチー姉直伝の爆弾処理方法だとか・・・

複雑な爆弾の構造と、爆発するだろうモノに関しては、徹底的に仕込まれた。

 自分達のモノ以外のモノは全て、解体処理出来る位には?

パズル感覚で教え込まれた?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




まぁ、六課のメンバーが揃っていれば、遊園地もどきが出来そうだと考えていた筈が・・・
何故か、この流れに・・・

ナンデ?

考えていたのとちょっくら、と言うかかなり違った・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、端午の節句?

まぁ、こうなったかなと、思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

時期的にはこの頃に、トーマが登場してもおかしくはないかなと・・・


祖父達からの贈り物・・・

 

 

軌道拘置所の一角・・・

 

「これを、デュオに・・・

これが今の私からしてやれる贈り物だ」

 

 スカリエッティはそう言って、フェイトに小さなペンダント・トップを渡す。

 

「・・・判りました、確かにお預かりします」

 

 受け取り、直にバルディッシュに簡易検査をさせる。

 

【極当たり前のペンダント・トップの様です。

精緻である他は、特に問題は見付かりません】

「そう。一応、マリーにも調べてもらって」

【了解です】

 

 その様子を見て、

 

「信用が無いな」

「当たり前です。アナタを信用する人がどれだけ居るか・・・」

 

 そう、スカリエッティに言い渡すフェイト。

 

「ふははは! 確かに!

だが、これはデュオの為だけに作った。

それだけは、断言しよう」

「・・・では、その言葉を信じても良いんですね?」

「無論」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第1管理世界・ミッドチルダ・クラナガン市

 

 一軒家をシェア・ハウスとして、二人で購入した高町・ハラオウン家に、大きな荷物が届いた。

送り主は、良く知る相手からであった。

 

「あれ? お父さんからだ、何だろ?

・・・デュオに?」

「え? 士郎小父さんから?

・・・デュオに贈り物?」

 

 その包みを開けると・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「はぁい、デュオ。

来月は男の子の節句だよ。その準備をしようね」

 

 そう言って、その大きな包みを拡げた。

 

「わぁ! これ、どうするの!?」

これは鯉幟って言って、男の子の居る所では、コレを家に飾るんだよ」

【!? ・・・オサカナサン?】

「そうだよ、これは男の子が元気に、伸び伸び大きくなる事を祈って、高く掲げるんだよ」

 

 そう、なのはが説明していると、

 

「あ、そうそう、スカリエッティからも、コレを預かっていたんだった・・・

なのは、コレをどう思う?」

 

 そう言って、フェイトが取りだしたのは、三つ爪を象った精緻な細工が施されたペンダント・トップ。

なのはは、それを覗き込み、顔をしかめている。

 

「これを、スカリエッティから、デュオにって」

「フェイトちゃん、大丈夫なの?

特に問題は見付りそうもないけど・・・」

「うん、一応、マリーにもシャーリーにも検査して貰ったから。

・・・大丈夫なはず」

「・・・そうだね、そこまでしたんだったら、問題ないかな?」

「でも、トップだけじゃ何だから、鎖は後で丁度良さそうなのを見繕いに行きましょう」

 

 鯉幟を見て、口から体がスッポリと入る事を発見したヴィヴィオとデュオ!

 

「ママ! 見て見て! 人魚!」

【食ベラレタノ!】

 

 そこには、下半身をスッポリと入れたヴィヴィオと、全身スッポリと入れて顔だけ出しているデュオ。

 

「プッ! こ、こら!」

「プフ! だ、駄目だよ! そんな事に使ったら!」

 

 一寸厳しい顔をしているが、声は笑っている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

後日、クラナガン市・繁華街・宝飾店

 

 ペンダントを検めていた店員は、

 

「これは、中々に見事な出来で・・・

どちらで手に入れられたのか、お伺いしてもよろしいですか?」

「あ、これは、あの子の祖父の手作りなモノで・・・」

 

 フェイトは、一寸口篭りながらそう伝えた。

 

「左様ですか、素晴らしい出来です。

お守りとして最適ですね」

「え?」

 

 思いもしなかった答えから、少し驚いた。

 

「おや、ご存じでは無かったのですか?

この精緻な模様の中に、守護と加護の印が事細かに刻まれていますよ」

「そ、そうだったんですか!?

てっきり綺麗な模様だとしか・・・」

「そう思われても不思議では無い出来ですから・・・

それに、古き魔法に精通されているご様子ですね。この方は」

「そ、そうなんですか・・・」

 

 別の意味で感心する事に・・・

 

「では、こちらの品に合う、鎖か紐をお探しと言う事で・・・

・・・こちらでよろしいですか?」

 

 幾つものペンダント用のモノを取り出して見せ始めた。

 

 

 

 余り目にしない、珍しいモノが有るせいか、あちこち探索中の二人。

なのはは、その様子を付かず離れずに見守っている。

 

「デュオ、こっちにおいで」

 

 そう呼ばれ、フェイトの傍に行くデュオ。

 

「デュオ、これは、スカリエッティのお爺ちゃんからの贈り物ね」

 

 フェイトは一応、そう言った関係性には注意を払いつつも、便宜上そう呼ぶ事にした。

そう言いながら、首に掛けてくれた。

 

【・・・シテテモ、イイノ?】

「うん、良いよ。無くさない様にね」

【ウン!】

「わぁ! キレー! 如何したの?」

 

 ヴィヴィオも気になったのか、何事かと覗き込んで来た。

 

【爺チャンカラ!】

「そっか、良かったね!」

 

 なのはは、それを見て、

 

「ヴィヴィオも、欲しい?」

 

 それを聞いて、欲しそうな、欲しくないのか、今一判別が付かない顔をしていた。

 

「・・・うぅん。まだ、良いかな?」

「そっか、何時かは、欲しくなるのかな?」

「えー? まだ分かんないや」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その日の夜。

そのペンダントが薄く輝いた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

高町家・早朝

 

「な、何が!?」

「ええ!?」

 

 大人二人の声で目が覚めたのか、

 

「ふぁー、おは・・・!?」

 

 ヴィヴィオが目覚めて、最初に目に入ったものは、驚く大人と庭先に在る見慣れないモノ。

 

「如何して、これが?」

「・・・どうやって?」

「え? ええ!?」

 

 黝い装甲の全身甲冑、アーマード・デバイス・ブリアレオスが、そこに鎮座していた・・・

デュオはグッスリとベッドで寝ていた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

軌道拘置所・取調室

 

「如何言う事か、説明して貰いましょう」

「ん? 大層な剣幕で、何を言っているのかね?」

「惚けないで、あのデバイスが何故、家に在ったのかを・・・」

「ああ、もう届いたのか・・・」

「・・・今、何と?」

「ん? だから、地球の端午の節句には、鎧兜が欠かせないんだろう?

だから、それを送って貰ったんだ」

「誰にと聞いても良いのかしら?」

「ああ、それは言えないな。

未払いの報酬の代わりにしたから、もう向こうとも連絡はつかないだろう」

「・・・判りました。では、これから尋問を始めましょう」

「ま、待て! 一寸した茶目っ気じゃないか!

そんな風に育てた覚えはない!」

「私もアナタに育てられた覚えはありませんから」

 

 結局、口は割らず。

真相は闇の中へ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

???・ファミリー・翔艇

 

「あれ? 姉貴は?」

「ああ、未払いの報酬を払いにって、ミッドへ行ったぞ?」

「ふぅん、そっか」

「何でも、それまでの不足分の支払い報酬がそれでチャラだって、喜んでたな?」

「うっわー! 随分気前が良いんだな?」

「ああ、その代り、お得意さんが一人居なくなったってさ」

「へぇー、てっ! 大丈夫なのかよ!?」

「まぁ、それも時代の流れだからな」

「それもそうだな。で、その報酬ってどんな?」

「ああ、外殻甲冑式デバイスだったか・・・

それを届けに行ってるぞ」

「うっわー! アレって欠陥品の代名詞じゃなかったっけ?」

「それを使いこなせる相手からって事だろ? もしくは、それを承知した上での好事家だな」

「それもそうか。

ウチでも、盗ったは良いけど、持て余してたもんな・・・」

「ああ、場所を塞いでしょうがなかったしな」

「だけど、あんな骨董品、誰が使うんだか・・・」

 

 そんな会話が繰り広げられていた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 後々、これが原因かと、士郎・ジェイルに苦情が行った?

伸び伸びし過ぎ、イタズラで腕白に・・・元気で頑健に・・・

育ち過ぎましたとさ・・・手に負えない事はないが、流石に手を焼かされる?

 

 

 それとは別に、クラナガン市の夕方から夜にかけ、謎の騎士が稀に現れる?

 

 事件・事故の現場で救助作業を手伝ったり、湾岸の施設でストリート・ファイトを繰り広げたり・・・

管理局のとあるエース達と激戦を・・・連敗中・・・強制連行されて行ったり?

 それでも懲りずにまた現れる?

 

 

 管理局側からは、何の声明も出されず、説明もされず?

何時しか、それが当たり前に・・・

 

 その正体を探る者も、居たには居たが、煙に巻かれ、分厚い壁に阻まれ、撃ち落とされたとか・・・

 

 謎の騎士は謎のまま、何時しか有名無実な存在へ・・・

その事を知るモノは、口を閉ざして、黙して語らず・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

トニィとの出会い・・・

 

 

 今日は、ママ達もビビオ姉も忙しそう!

ママ達、オシゴト! ビビオ姉、学校の体験旅行だって!

八神のお家も忙しそう!

 

 だから、ナカジマのお家に預けられた!

 

「デュオ、行くぞ!」

【オー!】

 

 そんなこんなで、第3管理世界ヴァイゼンへ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「えっと、君がデュオ君? 話は聞いてるよ。

僕は、トーマ。トーマ・アヴェニール、宜しくね」

 

 そう言って手を差し出してきた。

 

【・・・デュオ・S・ハラオウン】

「うん、宜しく。

じゃぁ、こっちで皆と遊ぼうか!

皆を紹介するね!」

 

 そう言って手を引かれ、他の子達の元へ・・・

 

「ふ、良いモノだな。子供は・・・」

「ん? チンク姉、また子供達に怖がられたのか?」

「な! そ、そんな事は・・・ない、はずだ」

「そう言えば、この前、子供に好かれるって題名の本が・・・」

「な、何のことやら!?」

 

 慌てふためくチンク・・・バレバレである。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【・・・トーマ兄! ・・・トー兄! ・・・トニィ!】

 

 

【トニィニ、手紙出シテ来ル!】

「はい、気を付けて行ってらっしゃい!」

「ねぇ、なのは・・・ トニィって、誰? 最近良く聞くけど?」

「ああ、スバルが保護したって子供の名前がトーマって言うの。

この間遊びに行った時に仲良くなったみたいで、偶に手紙をやり取りしてるみたいなの。

それで、最初はトーマ兄って言ってたんだけど・・・

段々短くなって、トニィって呼ぶみたいだよ?」

「ふぅん、仲が良いんだね」

「うん」

 

 

 さてはて、手紙のやり取りと共に、魔法に関してもチョコチョコ・・・

開錠魔法を教わったりしていたり・・・

 

 更に侵入の速度、手口が増えていたり・・・

技術交換で、お互いに切磋琢磨し合ったり・・・

偶に、その事について相談したり・・・

 

 

 悪い兄貴分? イイエ、悪ガキなだけです・・・二人とも・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




また暫し間隔を空けての投稿になるかと・・・

地味にリアルが忙しい・・・

アレが抜けていると思われるかもしれませんが、今一浮かび辛く、中々に難しく・・・

もう暫しのお待ちを・・・何時になるかは、判りませんが・・・出来そうで出来ないので・・・先へ先へと進みます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、チョーカ! 《長靴・釣果》

六月を題材にしたお話です。

散歩の行に少し足しました。

一寸グロテスクな展開が有ります。

それが苦手な方は、ワイルドな昼食からはお読みにならない方がよろしいかと。


 ここ暫らくは雨の日が続いてる。

お外で遊べないからツマンナーイ!

 

 そんな事を考えていたら、お爺ちゃんがお出かけ? するって!

だから一緒に付いてくの!

 

「雨で運動不足になるからね。偶には雨の中を散歩しようか」

 

 そんなこんなで、商店街へ。

黄色い長靴とレインコート、買って貰った!

 

 これで、傘を差さなくても濡れないから大丈夫!

 

「ほらほら、そんなに走ったら意味がないぞ」

【ハァーイ!】

 

てくてく、てくてく・・・

   とてとててくてく・・・

      とたとたパタパタ・・・

         バチャバチャビチャビチャ・・・

 

 一寸したお散歩。

方角を決め、一時間ぐらい歩いたら、また方角を替える。

 途中、虫籠を買って貰い。蝸牛! 道々拾ってく!

 

 途中、雨が上がり、晴れ渡った。

疲れたら、来た道を引き返したり、途中の美味しそうな所に立ち寄る。

 

 

 途中、赤青白のクルクル回るモノに遭遇!

 

「アレは床屋さんの看板だよ。

あそこで髪を切って貰ったり、髭を剃って貰う事が出来るんだ。

赤は動脈、青は静脈、白は包帯を意味してるんだよ。

昔は床屋さんがお医者の代わりだった事が有ったから、その名残だよ」

 

 

 更に更に、虎さん発見!

ジャンジャカジャラジャラ・・・

ぺたぺた!   『がおぉぉーん!』咆えた!

 

【・・・ギャー!】

 

 シローお爺ちゃんの後ろに隠れた!

 

「ははは! 吃驚したな!」

【・・・生キテル? 怒ッテル?】

 

 聞こえはしないが、見上げながら聞いて見た。

 

「ん? 前を通るとそう啼く様に出来ているんだよ。

生きている訳じゃないから、大丈夫」

 

 そう言って跨らせてくれたから、そのまま記念撮影!

 

 

 そんなこんなで、小さな釣堀へ辿り着いた。

 

「ん? 釣り堀か・・・」

【ナァニ?】

「・・・一寸寄って行くか」

 

 子供向けにはザリガニ釣り、大人向けにはフナやコイ。

ザリガニ一杯釣れた!

 でも、放しちゃうの?

 

「ん? ああ、これは放生《=ほうじょう》 と言って、必要以上は獲りませんよ。

捕まっていたモノを逃がしてあげましたよって、良い事をしていますよ、とする事から始まったんだよ」

【フゥーン】

「それに、一杯だと喧嘩しちゃうからね。

貰って帰るのは、大きいのだけにしようか」

 

 コクコク!

 

 一番立派なハサミを持った、赤いのに!《=アメリカザリガニ》

白っぽくて小さい奴も居たけど、それはダメなんだって!《=日本ザリガニ》

 

 家に帰って、カタツムリは庭に放生・・・

数匹、観察用・・・

 

 後々、ミッドに持ち帰り、蝸牛レースに?

終わりの無い物語りの様なレースを展開?《知っている人は少ないかな?》

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

六月第一日曜日

 

 お爺ちゃん、お花の束を持って何だかもじもじ?

オヤツのシュークリームを作っていたママママの前に跪き、花束を差し出して、

 

「も、桃子さん。貴女の作るお菓子を、一生食べ続けたい」

 

 そんな事をしていた。

 

「はい。でも、これはデュオの分だから・・・」

【ヤー! ダメー! ボクノー!】

 

 お爺ちゃんの前に立ちはだかって見た。

 

「あ、う。や、そ、そうじゃなくて!」

「はい、判ってます。

でも、これはあげられませんからね。

それに、少し甘いモノは控えないと・・・」

「う・・・はい」

 

 一寸ションボリ?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

そんな事が有って、ミッドに帰ってから、ナカジマ家へ・・・

 

「さて、そろそろ行くか」

【ドコ行クノ?】

「ん? ああ、この日は特別でな」

 

 そう言って、遠い何かを見る様に空を見上げた。

 

「なんなら、一緒に来るか?」

【行クー!】

「はは。じゃあ、付き合って貰うか」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 幾つもの白い柱が立ち並ぶ芝生。雨に濡れ、青々と茂っている。

そこへ、花束を持って立ち並ぶ。

 

「今年も来たよ。今年は一寸報告する事が出来てな。

まぁ、照れ臭いが、娘が増えた。

孫と言っていいのかは、微妙なんだが孫みたいな子を連れて来たよ」

 

 そう言ってガシガシ頭を撫でられた。

撫でられながら、見上げて尋ねた。

 

【・・・ママママ?】

 

 チー姉達がパパと呼んでいるから、お爺ちゃんと解釈している。

 

「・・・まぁ、そう呼んでやってくれるか。

今日はプロポーズの日でな。

まぁ、改めてプロポーズを繰り返してみてるんだ。

それで如何なる訳でもないんだが、俺は、そうしたいんだろうな。惚れた弱みだ。

惚れ抜いて、その縁で娘が増えた。今度は息子が欲しいが、そうそう上手くはいかんだろうなぁ」

 

 そんな事を話しながら、花を手向け。手を合わせてそこを後にした。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

パジ登場?

 

【パパッテ、ナァニ?】

 

 幼稚園で父親と言う存在を知ったデュオ。

恐れていた(?)事が現実になった時?

 

「えっと。パパは、(ゲンヤ)おとーさんかな?」

 

 偶々迎えに来ていたノーヴェ。

 

【名前ジャナイノ?】

「うーん、名前じゃなくて、敬称。かな?

自分の親の片割れって事になるのかな?」

 

 そう言って、自分がおとーさんに居抱いた印象を並べてみる。

 

「おっきくて、あったかくて、一寸厳しい存在かな?」

 

 そう言われて考える。

 

【ソッカ! ナノハママ、ホントハパパナンダ!】

「そ、それは・・・ないぞ」

【エー? 《胸が》オッキクテ、《抱っこされると》アッタカクテ、《怒ると》キビシーヨ?】

「そ、それはデュオにとってであって、一般的には違うから!

う、何て説明したら・・・

と、兎に角、パパの実物を見ながら考えよう!」

 

 そう言って、第108陸士部隊へ連れて行かれた。

 

【オジーチャンガ、パパ?】

「ん? 何だ?」

「えっと、パパって存在について・・・」

 

 ノーヴェが話のいきさつを話した。

 

「ははぁ、それでか。

まぁ、俺はお前さんのパパでは無いな。

しいて言うなら、パパの様なお爺ちゃんって事で、どうだ?」

 

 ニカッと笑いながら応えてくれた。

 

【・・・パパジーチャン?】

「オウ!」

【パパジーチャーン!】

「ワハハ! くすぐったいな」

 

 そんなこんなで、パジと呼ぶ事に?

父親の様に頼りになり、お爺ちゃんの様に甘々に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

一寸した登山、ワイルドな昼食?

 

 偶々晴れた日。今日は男だけで山の田圃に魚釣り!

長靴、釣れた! 小さなお魚、一杯入ってた! 《=メダカ・泥鰌・タナゴ》

 

 小さな巻貝一杯!

まん丸は良いけど、長いのはあんまり良くないって。 《まん丸=田螺・タニシ、長いの=カワニナ=寄生虫がいる為》

 夏の夜に来たら、もっとキレーなんだって! 《=ホタル》

 

 一番おっきなのも獲れた! ザリガニで釣れた!

ママ達みたらビックリ間違い無し!?

 

 スッゴイ元気!

お爺ちゃん、食べられるから食べちゃおうって!

粉振って唐揚げ!

巻貝もバターでソテー!

カタツムリも、殻割って串に刺して、よーく炙ってお醤油!

ザリガニ、臭うー!

でも、オイシー!

 

「ん? なのは達にも? そ、それは・・・止めておいた方がいいな」

 

 えぇー?

 

「まぁ、どんなモノだったかを話す位にしておいた方がいいかな?」

 

 そう言って、持って帰らせてくれない?

だから、コッソリ包んで持って帰るー!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

帰宅後・・・

 

 美由紀姉

「あらあら、凄いのを・・・美味しいんだけどね・・・」

 

 一寸見慣れているらしい・・・でも、生きているのはあまり好きじゃない?

一寸腰が引けている。

 

 

 《リンディ》ママママ

「あら。ス、凄いのを・・・」

 

 ・・・遠巻き。

 

 

 エイミィ伯母さん

「えっと、こっちに持って来ないでね。カレル、ダメ!」

「スッゴーイ!」

「キャー!」

 

 遠巻きと言うか、寄りたくない?

興味深々!

驚きの余り、リエラはエイミィ伯母さんを盾に・・・

 

 

 《桃子》ママママ

「・・・」

 

 ・・・硬直。

 

 

 なのはママ・フェイトママ

「・・・」「・・・」

 

 無言のまま、レイジングハートとバルディッシュを構えている。

アクセル・シューターとフォトン・ランサーの乱舞?

実家だからか、遠慮がちに・・・

そのお陰か、上手く逃げ回っている?

 

 稀に反撃を喰らい、相手以上に飛び上がっていた!

 

 

 ビビオ姉

「わぁ! スッゴイ蛙さん!」

【釣レター!】

 

 

 牛蛙《=食用ガエル》が釣れました。

 

 

 シャママ・シグママ

「あらあら、こんな所に・・・」

 

 シャマルは鏡で囲う。跳びあがって逃げられる!

そこへ偶々通りかかったシグナムの背中へ・・・跳び移った!

 

 背後に何か来たのは分かった為、咄嗟に鷲掴み!

 

「・・・」

 

 何も言わずに固まった!

 

 

 ビータママ

「ウワァー! 何だ!?」

 

 吃驚!?

 

 ハヤテ姉

「な、何や? それは・・・」

 

 吃驚!?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

エリオ兄とキャロ姉のお土産

 

 二人とも、お休みが取れたから大荷物で帰って来た!

 

「こんに・・・」

「お邪・・・」

 

 と言いかけた処で遮る様に、小さなトタタタタ! と軽快な足音とと共に【エリオ兄、キャロ姉! オカエリー!】と念話が飛ばされ、飛び掛かられた!

 

「えっと・・・た、ただいま!」

 

 エリオは、ボスッと飛び込んで来た小さな体を受け止めた。

 

「ただいまぁ!」

 

 一寸戸惑いながら、二人はそう言い直し、家へと帰って来た。

それを見て、目をキラキラさせながらデュオは更に聞いた。

 

【オミヤゲ、何? チョーダイ!】

 

 何日か留守にして帰ってくる場合、大概はお土産が有る事が判っている。

ユー兄がそうだから、エリオ兄もそうだよね?

そんな期待を込めて見つめて見た!

 

「プッ!」

「ハイハイ、先ずはなのはさん達に挨拶してからね!」

 

 何となく、自分の家が有って、そこに帰って来たんだと実感する二人。

 

【オー!】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 エリオ兄は、おずおずと荷物を広げ、保温パックに包まれた物を取り出した。

 

「えっと、あの。これ、お土産です」

「はい! とっても美味しくて、良いのが獲れたんでおすそわけです!

今回は一杯獲れたんで、皆にも!」

 

 それをなのはは受け取りながら、

 

「あら、そんなに気を使わなくても良いよ。

ここは皆の家なんだから」

「そうだよ、家に帰って来るのにそんなに遠慮しないで」

 

 フェイトもそう追随して言った。

 

「あの、一応生モノで、お肉なんで早々に・・・」

 

 一寸遠慮がちに言うエリオ。

 

「あ、あと、果物等は干して、ドライ・フルーツにして持ってきました!」

「わぁ! 結構、量が多いね」

「うーん、これなら皆も呼んだ方がいいかな?」

 

 なのはは、渡されたお土産を持って、その重さからどれだけかを察した。

フェイトもそれに賛同した。

 

「そうだね! じゃぁ、ハヤテちゃん家に連絡入れてみるね」

「じゃあ、私はスバル達に・・・」

 

 

 そんなこんなで、皆でナカジマ家へ移動。

大量調理が出来るだけの鍋釜は、ナカジマ家との認識から。

 

 取敢えずは鍋物に入れられ、クツクツと・・・

 

 美味しい美味しいと食べられ、デザートにドライ・フルーツを摘まむ。

 

「ところで、このお肉ってどんなお肉なの?」

「さっぱりしてるし、筋肉質だったよね」

「骨は割とシッカリしている様だったな」

「味そのモノはそんなになかったね」

 

 あーだこーだと、それぞれ何の肉かを言い当てようと考えている。

その話を聞いたエリオは目を逸らし、何も聞いていないかの様子でそっぽを向いている。

 

「エリオ、これってなんの肉なの?」

「え、えっと・・・」

「あ、このお肉ですか? エレファントードのお肉です。

今年は大量発生してたみたいで、一杯釣れたんです!」

「ふぅん、珍しそうな名前だね」

「はい、固有種で、おっきいんです」

「へぇー、キャロがおっきいって言うんだから、相当にでっかいんだね」

「はい! フリード位に!」

「へ、えぇ・・・」

 

 正式名称 エレファント・トード   象ほどもある蛙・・・剥いてあって、先がなければ判らない?

 

 実物はここに居る誰も見た事が無い。

視界には入っても、意識的に認識外?

 

 

 知らぬが仏の出来事であった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

それから・・・

 

 偶々見付けて拾った綺麗な鳥の羽根・鱗・花びら・押し花など。

一寸変わった葉っぱなど、それらを何処のどんな動物の、植物のモノかをファイリングしてお土産に・・・

 

 稀に、綺麗な鉱石・宝石の原石を拾ったり、動植物や昆虫の画像であったり。

お金では手に入り辛いモノ、民芸品としての一寸した仮面や工芸品などが部屋を飾る。




ウチの近所のパチスロ屋には、虎のブロンズ像が看板になっている所が有ります。
その前を通ると、割と大きな音で『ガオォオン!』と叫びます。
そこを始めて通る幼い子供は大概泣きだします。
でも、二・三回通る頃には、ベシベシと叩いて行きます。
驚くから黙れと・・・五月蠅いと・・・
私も偶にそこを通ると咆えられます。驚きます。

嘗て小学生だった頃、田圃でタニシを捕ってきて水槽に放していました。
それを見て、友達も欲しいと言うので分けて上げたところ、数日後・・・
父親に食われたと言われた。
え!? と耳を疑ったが、事実食われて存在しない様だった。
まさか食べられているとは思いもしませんでした。

その友達はフランスからの帰国子女で、エスカルゴなどには抵抗が無かった為、美味しかったとのコメントだった・・・


蝸牛に関しては、実体験です。
山でカタツムリを一杯貰って庭に放していた時、ついうっかり踏み付けてしまい、殻が壊れました。
如何したら良いか、母に尋ねたら、串刺しにしてコンロでコンガリ・・・醤油を付けてはいっと手渡された。

美味しかった事だけは覚えている。

その後、姉にも持って行った。
知らずに食べて、美味しいねと・・・
その後、姉は貝が食べられなくなった。

これが原因ではない筈・・・体質がそうなったらしい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、バタバタ? 《七夕》

時期的に既に遅いのですが・・・
七月の出来事?
ほかに思い浮かべば追記します。


ハジメテノ、シグナム月間?

 

 七月七日 七夕 =シグママの日?

 

 八神のお家に遊びに行ったー!

笹に飾り付け!

色んなお願い、書いたー!

 

「どれどれ、どんなお願いをするんかなー?」

【ヤー! 見チャヤー!】

 

 その足にしがみ付き、それを妨害しようとするが、身長差には勝てなかったり。

 

「はっはっは! どれどれー?」

 

 ママがマオー=魔王=お怒りになりません様に!   《なのは》

 ママがモット一緒に遊んでくれます様に!   《フェイト》

 ママがモットお料理上手になります様に!   《シャマル》

 ママがモット大人になります様に!   《ヴィータ》

 ママはパパ? =男前だから   《シグナム?》

 

 ・・・ママ達に対しての切実なお願いごとで埋められていた。

 

「そか、そうやなぁー。でも、お姉ちゃんも良いと思うで?」

【エー?】

「まぁまぁ、そないに不思議がらんと一緒あそぼか!」

【ンー! アソブー!】

「ん、ええ子やな! 所で、デュオ? 今日は何でその髪型何や?」

【エ、チャウノ?】

「んー?」

今日(キョー)ハ、チョンマゲノ日ジャナイノ?】

「は? 何や、それは・・・ちょい待ってな」

 

 徐に端末を取り出し調べてみた。

 

「ああ、なるほど。ポニーテールの日なんか」

【チガウノー?】

「イヤ、違わへんよ。ただ、この髪型はちょんまげやないで、お馬さんの尻尾に見立てとるんよ」

 

 

 一方では・・・

 

 ・・・の悪戯が減ります様に・・・   不可能?

 ・・・のイタズラ心が治まります様に・・・   不可能?

 ・・・の探究心が変な方向に向きません様に・・・   不可能?

 ・・・の好奇心が良い事に向きます様に・・・   不可能?

 ・・・が腕白でも元気に逞しく育ちます様に・・・   可決!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 七月十日 =7・10 =納豆の日

 

 シグママが何やら一生懸命掻き混ぜているモノは、何やら糸を引いている。

それを不思議そうに見ていると、

 

「ん? 如何した?」

【クモサン、イッパイ?】

「ああ、これは納豆と言ってな、大豆を発酵させた食べ物だ。美味しいぞ」

 

 そう言って差し出されたが、得体のしれぬモノを見る目でしか見れない。

 

「ホラ、アーン」

【アーン!】

 

 釣られて開けた口に一口。

モグモグ、モグモグ・・・

 

【ヤー!】

「ん? 如何した?」

【オ鼻、ツーン!】

 

 ヴィータはそれを見聞きして、

 

「シグナム。それ、カラシ入れてなかったか?」

「ああ、そう言えば・・・」

 

 ついうっかり何時もの調子でカラシを入れていた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

デュオのオネダリ?

 

 なのは達は、月村家庭園で久しぶりに小学校からの友人同士で集まる事になった。

決して夜行なわれる花火大会の特等席だから、という事ではない! ・・・筈である。

 

 

 そんな中、デュオにとっては世にも珍しいモノを目にした。

炎天下の中、それをジッと見詰め続けていると、

 

「デューオ君! お外は暑いから、帽子を被っていようね」

 

 そうアリサお姉ちゃんが声を掛けて来た。

それで後ろを振り返り、帽子を被って再度向かって見たら、既に鳴いていない。

 

【オネーチャーン!】

 

 そう言いながら、その足に飛び付いた。

 

「ん? 如何したのかな?」

【アノ木ガ欲シイ!】

「え?」

 

 そこにそびえるのは、一本の大きな大木。

 

「えっと、流石にこれはおっきいから難しいかな? それで、どうして欲しいのかな?」

【アノネ、アノネ。コノ木、オ喋リ! オ喋リシテルノ!】

「そっかぁ」

 

 それで或る程度の事情が呑み込めたのか、

 

「そうだね、お喋りしてるみたいだね」

 

 その様子をいぶかしんだのか、すずかもやって来た。

 

「アリサちゃん、どうかしたの?」

「あ、すずか。デュオ君がこの木が欲しいって」

「え? この木を?」

「いやね、この木はお喋りするって事で欲しいと思った見たい」

「そっかぁ」

 

 すずかはそれで得心が行った。

 

「んー、でも似た様な事は昔にもあったみたいだね」

「それは?」

「えっとね、こんなお話があるの・・・

 

 

鳴く木が欲しい

 

 戦後、象・キリンと言う存在が日本に来た頃の事・・・

 

「これはこれは! 大層なモノを!

では返礼として、どんなモノでも揃えさせて頂きます!

何なりと、お申し付け願いたい!」

 

 それを通訳が大使へと伝える。

その返事として・・・

 

「では、大使はこの木が欲しいと仰られております」

 

 そこにあるのは、当たり前に存在する木・・・

 

「はい? この、何のへんてつもない木をですか?」

「・・・もっと珍しいモノもございますが・・・」

「いえ、こちらが良いそうです。

何でも、鳴く木と言う存在が珍しいそうで・・・」

 

 そう言われ、納得した。

大使は蝉と言う存在を知らないが為に「木」そのモノが鳴いていると思われたのだと・・・

 

 その後、その説明に大層苦労されたそうな・・・

 

 

とまぁ、こう言うお話もあるんだよ」

「へぇー、そうなんだ。あ、そう言えば、アメリカにも17年蝉って言うのが居るよ。

17年に一度、一斉に生まれて来るの!

もー、スッゴク五月蠅い位で、木にビッシリ集ってるの!」

 

 そんな話を聞き付けたのか、なのは達もやって来た。

 

「どないしたん?」

「あ、ハヤテちゃん。ミッドチルダには蝉は居ないの?」

「うん? 蝉? どやったか・・・確か、居らんかった気がするなぁ。

なのはちゃん、フェイトちゃんはどない?」

「え、蝉? ・・・どうだったかなぁ?」

「うぅん。居た様な、居なかった様な・・・」

 

 アリサはその様子を見て、一つの事に思い至った。

 

「・・・アンタ達、もしかしてずっと仕事漬けだったりするんじゃないわよね?」

「な、なははは!」

「そ、そんなことは!」

「そ、そこまでは!」

 

 そこですずかは良く知るであろう相手に尋ねる事にした。

 

「・・・デュオ君。お母さん達、遊んでくれてる?」

【イッツモイソガシーッテ! オ姉チャントコ(ナカジマ家・教会)行ッテルー!】

 

 それを聞き、

 

「その歳で仕事中毒(ワーカーホリック)なのはどうかと思うわよ」

「そうだね。忙しいのは判るけど、息抜きも大事だよ」

 

ミッドチルダには蝉は居なかったり?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

新装備!

 

 お爺ちゃんから、新しい玩具貰ったー! =虫取り網

しっかりしたモノは重たく、扱いが解っていないと壊してしまうといった思いから、取り回しが良く、多少壊れても良い様に竹製のモノ。

 

【ワーイ!】

「気を付けてねー!」

「怪我しない様にねー!」

 

 そう言って見送り、数時間後・・・

 

「・・・放して上げようね」

「・・・そうだね、これはまだ早いよね」

 

 後々、採集したモノは危険物認定?

獲り易く、そんなに技術を必要としないが、扱いが危うい獲物ばかり狩って来るようになったとさ・・・

 

 ブンブンと騒ぎ立てる獲物=蜂。

虫籠一杯《十数匹》に詰め込まれていたとか・・・

 

 事実、中々丁度良い狩り場と獲物に巡り合えなかったり・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

オジーチャンノ、手料理? =肴編

 

「お、丁度良いかな?」

 

 何やら冷凍庫から取り出した。

それをジッと見詰める小さな瞳。

 

「ん? どうした?」

【オイシーモノ?】

「・・・まぁ、美味しいモノだな」

【チョーダイ!】

「はは! まだこのままじゃ食べられないな。

もう少しだけ、待って貰えるか?」

【オー?】

 

 そう言って黙って見守っていると、その白い塊を細く削り出した。

その横では、何やら酸っぱい匂いが漂ってくる小鍋とグラグラと煮立った大鍋。

 片方の小鍋には砂糖・塩・酢・醤油が入れられ、更に胡椒などが加えられた。

煮立ったら火を止め、荒熱を取る様に放置。

 

もう片方の大鍋には、細く削られたモノが次々に入れられ、そのお湯が黄色く染め上げられた。

 それを確認し、ザルに中身が上げられた。

更に流水で洗い流し、新たに水を張った鍋にて軽く煮られた。

 それから更にそれをザル上げし、十二分に水を切り、水を切っている間にネギ・大葉・茗荷のミジンを用意。

 小鍋で煮られていたそれを、水が切れたソレと混ぜ合わせ、皿に盛ると更にその上から微塵に切ったソレをあしらった。

 

「さて、出来たぞ!」

【ワーイ!】

「わーい!」

 

 何時の間にやらヴィヴィオ姉も現れた。

 

【ヤー!】

「すっぱーい!」

 

 琥珀に泡立つ液体を満たしたグラスを片手に、

 

「ははは! 大人の味だからな」

【ビビオ姉ー!】

「? ! うん! 大人モード!」

 

 大きくなって、大人な味に挑む!

 

「・・・にがーい!」

「・・・ダメだぞ! 大人になってもこれはダメ!」

 

 琥珀な液体の元を手にしていたり?

その後、一寸味を直したモノをパクつく二人がいたとか・・・

 

 

鳥皮の酢のモノ

 

白い塊=鳥皮を凍結させたモノ

前以って水洗いし、羽・汚れを取っておき、凍結。

凍結し、硬くなって切り易くなったそれを千切りにし、塩茹で。

更に流水で洗い、再度塩茹で。

水切りし、調味料で和え、ネギなどでアクセント。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

もう一方? ハジメテノ、お使い?

 

「デュオ、お使い行ってくれるか?」

【オー!】

「ほな、コレを持って行ってな。お裾分けですって、伝えてくれればええからな」

 

 そう言って、卵型の植物を渡された。

 

【ワカッター! イッテキマース!】

 

 そして、その姿が見えなくなったのを確認すると、

 

「・・・よし。行ったな?

リィン、アギト、ルーテシア。準備はええな?】

 

 その呟きに、

 

【はぁい! 了解でーす!】 先行班

【おう! 感度良好! バッチリだ!】 尾行班

「ええ、問題はなさそう」 撮影班=インゼクト

 

 しっかりと安全・撮影班が組まれていた。

 

 多少のトラブルも何のその、多少時間は掛ったが言い付けられた場所へと辿り着いた。

 

【パージー!】

「ん? おう、来たな」

【コレ、煤ケダケ!】

「? ・・・ははぁ、だとしたら、良し。旨いモノを食わせてやろうか」

【オイシー?】

「・・・まぁ、一寸大人な味だな?」

 

 そう言って、ぺティナイフでヘタ周りに刃を入れヘタを取り、それを幾つも熱々の焼き網の上に。

 

 満遍なく真っ黒に煤け、表面が少しパリッとした頃、氷水の中へ投入!

ポロポロと皮が剥け、薄緑色に変化した。

 それをヘタを持ち、黒っぽい液体に浸し、更に皿に載せた。

 

「そら、出来たぞ」

【ワーイ!】

 

 面白そうに見ていたそれに齧り付く!

 

【アチ、熱ーイ!】

「ん? まだ早かったか?」

【デモ、甘ーイ?】

「そうか、甘かったか。なら、成功だな」

 

 そう言いつつ、ヘタを持ち、満遍なく浸されたソレを頭より上へ、下から齧り付いた。

 

「うん。旨いな」

【熱クナイ?】

「まぁ、熱いが食べられなくはないな。

お前さんにはチョイと早いか。どれ、ナイフとフォークでも持って来るか」

 

 そう言って家の中へと入って行き、戻ったらお客が増えていた。

 

「あの! 手伝います!」 冷却担当

「おう! だから!」 焼成担当

「はい! 追加ね!」 調理担当

 

 

何気に美味しく頂きました?

 

 

焼きナスです。

良く作ります。

意外に美味しいし甘いです。




とまぁ、足りない分は私の対夏バテ料理レシピとなりました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、嵐の夜? 【甥っ子は魔法使い?】

八月相当

一寸中途半端ですが・・・OZの魔法使い風です。

主要メンバーはあまり登場いたしませんので。

ドロシー =美由希
トト =デュオ

案山子 =ユーノ
鉄葉の樵 =クロノ
獅子 =ヴェロッサ

OZの魔法使い? =???


 今日はタイフー? っていうのが来てて、風がスゴクテお外、出られなーい!

 

「ほらほら、今日は台風が来てて危ないから、今日は早く寝ようね~」

 

 う~、まだ眠くないモン! とジタバタしがなら意思表示している犬耳尻尾な着グルミパジャマな甥っ子を抱き上げている美由希。

 

 なのはとフェイト、八神家はお仕事。

 ヴィヴィオはお友達とお泊まり会とかで、今日は一人で地球の高町家にお泊まり!

 

「うーん、お父さん達はもう少し掛るみたいだしなぁ」

 

 お店の台風対策にもう少し掛りそうと連絡があった。

いっそそのまま二人でお店に泊まったら? と言ったら、それもありかも、と返事が帰って来たから、もしかしたら帰って来ないかも?

 

「お布団も敷いてあるし、あとは何か出来る事は・・・わっ!?」

 

 フッと灯りを吹き消されたかのように真っ暗になった部屋。

 

「わっわっ! だ、大丈夫だからね! 多分!」

 

 急に暗くなったからか、大慌てな美由希。デュオは? 普通に見えているし問題無い! のだが、美由希にはそれを知る由も無く、ワタワタと片手で甥っ子を抱き抱えながら片手で辺りを探っていたが、ゴツンッ!

 

「アタッ!」

 

 テーブルの脚か何かにつまづいたらしい。それでも甥っ子は取り落とさなかった。

 

「う~、明かりが無いと危ないなぁ」

【??? ・・・!】

 

 ぼんやりと、辺りをぼんやりと照らす様に、青く薄い明かりが灯った。

 

「へ? あ、デュオ?」

 

 その灯りは、デュオの両手の間、フワリと浮かんだ水晶の様なモノからの明かり。

 

「そっか、明かりを作ってくれたんだね。ありがと~」

 

   ・・・   ・・・

 

 幾つもの青白い魔法の明かりが部屋中を照らす。

付近一帯が停電してしまったので、何もする事も出来ないし、する事もなくなってしまったから寝るしかない。

 

「ふふふ、台風が来てるのに、何だか楽しいなぁ~」

 

 コクコク!

 

「ん~じゃあ、今日は台風が関係するお話をしてあげよっか。

題名は、オズの魔法使い。

・・・ある所に、ドロシーという女の子がいました・・・」

 

 ・・・とろとろとした眠気に誘われ、まぶたが降りて・・・

 

/// /// /// ///

 

ドロシー =美由希

トト =犬耳尻尾の付いた着グルミな寝巻き姿のデュオ

 

・・・   ・・・   ・・・

 

「・・・ふぇ!?」

 

 うとうととして、ふと目が覚めた美由希。

 

「あ・・・え!?」

 

 体を起こして辺りを見回すと、大草原!? と、小さな家々?

その家々から続々とちっちゃな人々がこちらを指差して歓声を上げてるけど・・・何だか何処かで見た様な制服を着てるみたい。

 耳をすませば「東の悪しき魔 (砲少)女が倒されたぞー! バンザーイ!」とか聞こえて来た。

 

「え、えっと、台風が来てたから、早めに寝ようとしてて・・・って、デュオ?」

 

 美由希の膝の上でクースカ眠っている犬耳尻尾な着グルミパジャマな甥っ子。

甥っ子が無事な事を確認して一安心していると、布団の下から「う、ぅうん」と少し苦しげな声がして、恐る恐る視線を動かすと、布団の下から靴が脱げかけた二本の足。

 

「わ! 誰か居るの!?」

 

 咄嗟にデュオを抱き抱えてそこから退く様に起き上がる美由紀。

 

「なのはー!」

「って、フェイトちゃん!?」

 

 物凄い勢いで飛んで来た魔女の様な三角帽子を被ってバルディッシュに跨ったフェイト。

 

 何故かこちらが見えていないのか、気が付いていない。

 

 布団の下敷きになったなのはをキチンと布団に寝かせ、布団ごとなのはを抱えて飛び去っていった。

 

/// /// /// ///

 

 一方その頃、ミッドチルダでは・・・

 

 高町教官と連絡が取れないとの連絡がフェイトに行き、確認に行くと布団に突っ伏した状態のなのは。

 

「なのは! なのは? えっと、大丈夫?」

 

 前日から子供達も居ないし、天気が良いからお布団も干したし、久しぶりにゆっくりして居られるなぁ~と。

そう言えば、今日は教導の予定があったっけ、と思いながら布団のふかふか加減をみていたら、ついうとうとと寝入って寝過ごしていた。

 

「うぅん、むにゃむにゃ・・・zzz」

 

 日頃の疲労が頂点(ピーク)に達して居た模様。

そしてレイジングハートはそつなく主を休ませるべしと起こさなかったとか?

 

 そして、訓練場では、いつまでも現れない高町教導教官を待ち続け、ついには今日の訓練は中止という連絡を受けて歓声を上げている訓練生(小人)≪=未成年≫達が居たとか?

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

「え・・・何が? って、ここは何処なの~!?」

【ムィ? ミウキ姉~、ドッタノ?】

 

 まだ眠そうなまぶたをシパシパさせながらデュオが起きて来た、が・・・

 

【・・・メムィイ・・・zzz】 ・・・コテン

「っちょ! お、起きてぇ!」

 

 それからすぐに起きてはくれたが、途方に暮れてしまった美由希。

 

 取敢えずは、裸足では何なので、なのはだったと思わしき相手が残した白い半長靴(ショートブーツ)を履く事にした。

サイズ的には同じだったので、問題無く履く事が出来た。

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 取敢えずは、このままじっとしていても仕方がないと動き易い格好をと思っていたが、何故か有ったのは高校時代の制服。

 流石にコレは・・・と思ったのだが、まだ着れた。

 

「えっと、ここが何処なのか、デュオは分かるかな?」

 

 クキュ? という感じに首を傾げたかと思ったら、フルフルと顔を横に振られた。

 

「あぁ~、どうしよう。さっきのフェイトちゃんを意地でも止めておけば・・・」

 

 見慣れない風景にあっちにチョロチョロ、こっちにチョロチョロと動き回るデュオ。

小人達は東の魔女が倒れたのを機に、散り散りに散らばってあっと言う間に見えなくなったから、話を聞くどころではなかった。

 

「デュオ~、あんまり離れたらダメだよ~!」

【ハァ~イ!】

「うん、良いお返・・・事?」

 

 ・・・あれ?

 

「デュオ~! こっちにおいで~!」

【ハァ~イ!】

 

 てててっ! と駆け寄って、

 

【ミウキ姉、ナァニ~?】

「・・・え?」

 

 今回はまた調整中だとかで、首飾り(チョーカー)はしていなかった筈。

首を見ても何も無い。

 

「デュオ、何かこの辺で変わったモノは無かった?」

【??? ・・・! アッタァ! アッチ!】

 

 よし、コレは何か良く分からないけど、なのはが前に言ってた魔法の道具(ロストロギア)が関係してるみたいね。

なのは達も居たし、暫くしたら如何にかなるでしょ。

 

 とまぁ、楽観的に考えている美由希であった。

 

「・・・そっか、じゃぁ、そっちに向かって出発進行~!」

【オォ~!】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 デュオの言う変わったモノが見えて来た。

 

「お! アレかなぁ?」

【アレー!】

 

 そこに見えて来たのは、畑に佇むのは、案山子(スケアクロウ)・・・の格好をしたユーノ? 否、ユーノにそっくりな案山子。

 その背中には、二宮金治郎が背負っている様な背負子(しょいこ)に、これでもか、これでもかと山積みされた書物。その大荷物に押し潰されそうになっている。

 

「え、えっと、ユーノ・・・君? だ、大丈夫かな?」

「ど、どなたか知りませんが、た、助けてくださ~い!」

 

 どうにかこうにか、括られた山の様な本を抜き取って、軽くした背負子を下ろさせる事が出来た。

 

 

/// /// /// ///

 

一方、某書庫では・・・

 

「救助隊はまだか!」

「ユ、ユーノ司書長が、書崩(なだれ)の下敷きに!」

「あの仕事量は、流石に無理だったんだ!」

「あの人は、断る事が出来ないからって・・・」

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

「た、助かりました」

「え、えっと、ユーノ君だよね? どうしてこんな事に?」

「え? あの、どなたかと間違われているのでは?」

「え?」

「ボクはスケアクロウ(ユーノ)。この本の畑(無限書庫)の管理人です」

 

 そう言われ、ふと辺りを見回すと、植物に見えていた作物は枝豆で、無数の豆本がたわわに実っていた。

 

「ボクには脳みそ(断る事)がないことでばかにされて、いつも黒いカラスの兄妹と狸(クロノ・フェイト・ハヤテ)に仕事を押し付けられて悩まされてるんです」

 

 なのははって? 頼まれたら満更でもないので、意図的に除外されています?

 

「そ、そっか・・・」

「ところで、アナタは?」

「あ、えっと・・・」

 

 ここは初対面の振りをして情報を集めた方が良いのかな? と思い、素直にそうする事にした美由希。

 

「私は美由希。この子は私の甥っ子でデュオ」

【ミウキ姉ー、ユー兄、チャウノ?】

 

 美由希を見上げながら尋ねて来るデュオに、

 

「うーん。似てるけど違うみたいだねー」

「ところで、お二人はどうしたんですか?」

「あ、えっと、気が付いたらここで、元の所に戻るにはどうしたら良いのかなって・・・」

 

 取敢えず判っている事をユーノに伝えてみる事にした。

 

「そうだったんですか・・・だったら、翠の国に居られるというOZという魔法使いを頼るのは如何でしょう?」

「え!? オズの魔法使い!?」

「は、はい」

 

 その思わぬ反応に気圧されるユーノ。

 

「何でも、スゴイ魔法を使えるって話です。ボクも前々から魔法使いに会って、仕事を断る事が出来る脳みそが貰えたらって、思ってたんです!」

「そっかぁ~、苦労してるんだねー」

「そ、それで、あの・・・もし良かったら、ボクも一緒に連れて行って貰えませんか?」

「うん、良いよ~。デュオも良いよね」

【ウン!】

 

 即答。

 

「あぁ、やっぱり僕なんかじゃぁ・・・え!?」

 

 断られるとばかり思っていた?

 

「え? 一緒に来てくれないの?」

「は、はい! 是非お願いします! やったぁ! コレを理由に仕事を断る事が出来るぞ~!」

 

 

 こうして、美由紀とデュオは元の世界に戻る事を目指し、ユーノは脳みそを手に入れる為に、翠の国を目指し、旅を始める事になった?

 

 

/// /// /// ///

 

案山子 =ユーノ

 脳みそ(断る事)がないことでばかにされているユーノ?

 いつも黒いカラスの兄妹と狸(クロノ・フェイト・ハヤテ)に悩まされている?

どうやったら追い払え(断れ)るだろうかと、脳みそを欲している?

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 三人は翠の国を目指し、一路を進む。

その道の先には、鬱蒼とした森林が立ち塞がる。

 

「うぅ~ん、道沿いに進むと、この森の中を通らないといけないんだよね」

「はい、この森を抜け、その先にあるサバンナを通らないと翠の国にはたどり着けないとこの本には書かれています」

 

 デュオは? 断る理由が出来たので仕事を放り出したユーノの空になった背負子の上ではしゃいでる。

 

「よし、このまま森の前で迷ってても仕方がないし、先に進もう!」

「はい! そうしましょう!」

【イコ~!】

 

 ずんずん森の中を進む内に、木漏れ日が少なくなり、鬱蒼とした密林に変わって来た。

 

「うわぁ~、何か出て来そうで、ちょっと怖いかな~」

「そうですか? ボクにはそう感じる脳みそが無いからかな? 何とも無いかな?」

 

 道が途切れた辺りの切り倒し掛けた大木の前に、(にび)色の塊。

 

【! ミウキ姉~! アレ、ナンカ言ッテル!】

「え!? き、聞こえたぁ~!」

「えっと・・・体が動かない、かな?」

 

 デュオを抱き抱えて庇おうとする美由紀と平然としているユーノ。

 

【クルシー!】

 

 力強く抱き締め過ぎたらしい。

 

「だ、誰か、(時間)が切れて・・・仕事が多過ぎて、身動きが、取れ、ない・・・」

 

 よくよくその鈍色の存在を確かめると、鉞を振り上げた格好で固まっているクロノにそっくりな鉄葉(ブリキ)(きこり)。とっても堅苦しそうなカタブツ風です。

 

「そりゃ、ボクに仕事を回し過ぎてた罰じゃないのかな?」

 

 ここぞとばかりに口撃する案山子。

 

「て、その声はユーノか! くっ! 首が回らないから見えない!

頼む! 直・に油・・を・・・、でな・いと・・道がつ・く・・れ・・・な・・・・・・」

 

 言い切る前に動けなくなったのを確認すると、ユーノは徐に言った。

 

「・・・えっと、ほっといて先に進みましょう」

「え? そ、それは流石に不味いと思うよ。折角だし、油もここにあるみたいだし、注して上げようよ」

「・・・ちぃっ!」

「えっと、ドコに油をさせばいいのかな?」

 

 一寸だけ悪態を吐くユーノは放っておいて、美由希は側にあった油を何処に注したらいいモノかと思案している。

 

「ああ、それなら・・・口の周りに注して、それから聞くのが良いんじゃないですか?」

「そ、そうだね!」

 

 そこはかとなく悪意を込めて提案するユーノの言葉に同意する美由希。

 そそくさと口周りに油を注して、念の為にと口の中にも差し込んで、舌の回りも良くなる様にしてみようとの思惑。

 以前、エイミィは旦那が口下手な上に堅苦しく、話すと誤解を招く事もある、と口にしていた事を思い出していた所為も・・・ある?

 

「うぇ! おぇ! う゛ぁあぁ! なんて事してくれるんだ! 手足の関節で十分なんだ!」

「あらら、ゴメンゴメン」

 

 

/// /// /// ///

 

 一方、とあるマンションの一室では・・・

 

「おとーさん、あーそーぼー!」

「おとーさん、おままごとー!」

 

 眠っている所をドーン! ドーン! と子供達に圧し掛かられて「やーらーれーたー! おとーさんは死んでしまった。返事がない、屍の様だ」としわがれた声で呟いてまた冬眠中の熊の如く・・・動かなくなった。

 

「こら! パパはお休みしてるんだからダ~メ!」

「「は~い!」」

「もう」

 

 ぱたぱたとした足音が去っていくのを聞き、ゆっくりと体を起こしたクロノ。

 

「どう? 具合は」

「あ゛あ゛、ち゛ょッど楽に゛・・・」

「じゃあ、はい。お薬」

「あ゛~、苦いから良い」

「ダメダメ、苦くても呑んで元気になって」

 

 エイミィは吸い飲みを手に、嫌がっても薬をちゃんと飲むようにと、ぐいぐい押し込んでいる。

 季節外れのインフルエンザが艦内で蔓延したため、クロノはのどが涸れ、全身筋肉痛で余り動けなくなっている。

 

 その薬の副作用で、ヘンな夢も・・・?

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 事実だった?

何とか手に油を注して貰い、あとは自分でやるからと、自分で何とかしていたクロノ。

 

「で、ユーノはどうしてここに?」

「ボクはOZの魔法使いに脳みそを貰いに、翠の国へ行くんだ!」

「私達は元の所へ帰れる様に翠の国へ」

「へぇー、じゃあオレもそこに行ったら、このブリキで出来た体に♡を入れて貰えるかな?

・・・決めた、オレも一緒について行く事にする」

 

 そうしてブリキの樵が仲間に加わった。

 

 

/// /// /// ///

 

鉄葉(ブリキ)の樵 =クロノ

 ブリキでできているため心臓(ハート・愛)がない、だからつい心無い一言を口にしてしまうと悩んでいる?

その口が災いして、奥さんとケンカになったりする事を気にしていたり?

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 密林を抜け、眼前に広がるはサバンナ地帯。

 

「が、がおぉ~!」

 

 目の前を遮る様に現れた毛むくじゃら。

 

「き、きゃあぁぁぁぁ!」

「え!? わ、わわわっ!?」

「わぁー!」

【! ・・・zzz】 大きな声に、びくっ! とはしたが、眠気には勝てずにニ度寝中・・・

 

 咄嗟に、樵が手にしていた鉞を手に取ると、その(ツラ)目掛けて叩き込もうとする美由希!

 

「・・おぉおおお!?」

 

 迫る刃に咄嗟に後退した為、紙一重で真っ二つになる運命を免れたライオン(ヴェロッサ)

 

「ま、まだ居るわね!」

「わぁ!」

「ま、まった、まった!」

「ひぃ! お、お助けぇ~!」

 

 鉞の柄を握って、もう一度振り上げ様としている美由希を止めに入るユーノとクロノ。

 まさかの逆襲で腰が抜けたのか、()()うの体でその場から逃れようとするヴェロッサ。

 デュオ? また眠くなったからとユーノの背負子でうつらうつら。

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

「で、どういう事だったのかしら?」

 

 鉞片手に仁王立ちしている美由希。もし何かしようものなら、手にした鉞が唸る!?

その前には、正座を強いられたライオン(ヴェロッサ)

 

「は、はい、そ、そのぅ~、ワタシは臆病で勇気がないので、弱そうなアナタを驚かして度胸を付けようと・・・」

「そうだったの」

「したのですが、まさか子連れの方だったとは」

「私はまだ独身よ。この子は甥っ子だから」

「そ、そうだったんですか」

「それで、どうしてそんなに度胸を付けたいの?」

「そ、それが・・・雌ライオン(シャッハ)に仕事関係で追われ(迫られ)ていて・・・如何にか出来ないかと・・・」

 

 

/// /// /// ///

 

 一方その頃・・・

 

 仕事の合間にサボって昼寝中のヴェロッサは・・・

 

 どちらからも(夢の中でも現実でも)? ドコからともなく?

 

『「ロッサァ~! サボって何処に行きやがりましたかぁ~!」』

 

 そんな怒号が遠くから聞こえて来て『「ひ、ひぃぃ!」』双界のヴェロッサは怯えている?

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 本気で怯えて美由希の後ろに隠れるヴェロッサ。

怒号が自分を見付けたモノでない事を知ると、

 

「そ、それで、皆さんは何をしにここへ?」

 

 そうヴェロッサに問われ、お互いに顔を見合わせた。

 

「・・・私達はOZの魔法使いに元の所に帰れる様に」【ソーナノ!】

「ボクは脳みそを貰いに」

「オレは心臓♡を」

「なるほど、ならばワタシも一緒について行ってもよろしいですか?

ワタシは臆病なので、雌ライオン(シャッハ)に負けない勇気を得たいのです!」

 

 とても切実そうなお願いだったので、受け入れる事にした美由希達。

 

 

/// /// /// ///

 

ライオン =ヴェロッサ

 臆病で勇気(力)がほしいライオン、雌ライオン(シスター・シャッハ)に怯えて臆病に?

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

二人と三人(?)はエメラルドシティ=翠屋に無事に辿り着けるのだろうか?

 

てくてく(美由希)とことこ(ユーノ)がらがん(クロノ)ぷにぷに(ヴェロッサ)Zzzz(デュオ)

   とことこ、てくてく、ぷにぷに、がんがら、とてとて

      ぷにぷに、とてとて、がらがら、てくてく、とことこ

         とてとて、とことこ、てくてく、ぷにぷに、がんがん

 

 

 艱難辛苦? を乗り越えてどうにかこうにか・・・否、わりと途中をカッ飛ばし、エメラルドシティ? 否、翠屋に辿り着いた五人。

そこで、女王・桃子と王配・士朗に謁見を申し込み、食客・OZの魔法使いと面会を果たした。

 

「おや、君達が私に願い事とはな」

 

 ローブではなく、白衣を纏った魔法使いには見えない魔法使い。

 

「えっと、OZの魔法使い、ですよね?」と余りにも魔法使いらしからぬ魔法使いに美由紀が尋ねると。

「いかにも、私がO Zの魔法使いと呼ばれている者だ」

 

 ジッと魔法使いを見上げるトト=デュオ。

 

「それにしても、この子は可愛いなぁ。この子の願いだったら幾らでも何でも叶えてあげよう」

 

 子犬の着グルミを纏ったトト=デュオを慣れた様子で抱き上げて撫で撫でしている。トト=デュオも嫌がる様子もない

 

「で、では! ボクに脳みそを下さい!!」

「俺には、♡を!」

「私には、勇気を!」

 

 三人の勢いに気圧された美由希だったが、デュオの言う事なら何でも叶えて貰えそうだったため、様子を伺う事に。

 

「フム、では私に出来る範囲で願いを叶えてしんぜよう」

 

 そうして、断る事が出来ない案山子、心無い鉄葉の樵、臆病なライオンの為にO Zの魔法使いが用意した答は・・・

 

 

案山子 =ユーノ

 脳みそ(断る事)がないことでばかにされているユーノ?

 いつも黒いカラスの兄妹と狸(クロノ・フェイト・ハヤテ)に悩まされている?

どうやったら追い払え(依頼を断れ)るだろうかと、脳みそを欲している?

=脳みそにと差し出されたのは・・・最高評議会の三つの脳みそ?

 三つ添えて差し出せば・・・(≫u≪)b! と太鼓判?

 

鉄葉(ブリキ)の樵 =クロノ

 ブリキでできているため心臓(ハート・愛)がない、だからつい心無い一言を口にしてしまうと悩んでいる?

悪役風(ヒール)・・・マスク? 喋らなければ良い? 喋っても悪役だから! (≫u≪)b! と太鼓判?

 

ライオン =ヴェロッサ

 臆病で勇気(力)がほしいライオン、雌ライオン(シスター・シャッハ)に怯えて臆病に?

=サボらず仕事をしていれば大丈夫!  それか、押し倒しちゃえ! (≫u≪)b! と太鼓判?

 

 それらを貰い、orzとなってしまった三人・・・ご愁傷様?

 

 三人が唖然として呆けていると、突如としてorzな魔法使いにとっての悪しき魔女が三人乱入して来た!

 

「どこや!」

「あ! あそこ!」

 

 スタコラサッサと気球に乗り込んで脱走を始めたorzな魔法使い。

 

「絶対に、逃がさない!」と言った白き魔女の手によって、桜色の閃光でちゅど~ん! と・・・

 

 

/// /// /// ///

 

 

「・・・はぁ!?」

 

 余りの夢物語に跳ね起きた美由希。

 

【・・・zzZ】

 

 隣では何事もなかったように眠りこける甥っ子。

 

「ふぅ、夢だったのかなぁ・・・」

 

 玄関の方から「「ただいま」」と声が聞こえた。

 

「あ! おかえり~! そっちは台風、大丈夫だった?」

「ええ、雨宿りに来た白衣のお客さんと話し込んでて遅くなったけど何も問題は無かったわ」

「ああ。そのお客さんが途中でなのは達に連れて行かれた以外は・・・」

「え!?」




OZ =スカリエッティ 実は・・・OZではなくorzな魔法使いだった!?


微妙に現実とリンクした夢物語?

原作の後半とは上手く混ざり切らなかったので諦めました。


別バージョン ALL・ユーノ

案山子 =なのはに思いを伝える方法が思い付かないから脳味噌を欲した。
樵 =なのはに♡を奪われた。
獅子 =なのはに告白する勇気を欲した。

考えてみたが、何だかできなかったので保留・・・


笑って頂けましたでしょうか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、トリック・オア・トリート!?

まだ不完全ですが、挙げさせて頂きます。
後々になってしまいますが再編集させて頂きます。

時間が足りず、中途半端になってしまい申し訳ありません。


地球編 女性陣のイタズラ?

 

 微妙に日付がズレ、連日に渡ってハロウィン!

 

「今日はお菓子を一杯貰おー!」

「おー!」

【オー?】

 

 カレルとリエラと共に扮装(コスプレ)したデュオ。

デュオ=緑のレインコートに紺の長靴・ゴム手袋に三又の槍? =ミニ・デーモン?

カレル=黒装束でトゲトゲ! =悪い魔法使い? 

リエラ=三角帽子に黒マント、背中にキラキラした薄い羽根? 額に十字のお化粧 =ママママMix?

 

 それぞれ大きな袋と小さな袋を手にしている。大きな袋は空っぽだが、小さな袋は更に小さな包みで一杯で有る。

 

 槍の先には【Trick or Treat!?】と書かれた札が下がっている。

 

「あら、準備は万端みたいね。じゃあ、仕上げに魔法を掛けてあげるわね」と、魔女の格好をした桃子さん。

 

 何やら不思議な粉末を衣装に満遍なく振り掛けられた!

 

「みんなー! 準備はできたかな?」

 

 美由紀姉は何やら見慣れない姿だった。剣道着にギザギザの段だら模様の羽織り、背中に誠の一字。

 

「じゃあ、美由紀。皆をお願いね」

「はぁい! いっくよぉー!」

 

 

 そんなこんなで、先ず最初に向かったのは月村家。

 

「たのもー! さ、皆も!」

【「「たのもー!】」」

「はぁい、いらっしゃい!」

 

 扉の向こうからは、何やら姉達に似た雰囲気の女性がウサ耳を付けて現れた。

 

「さぁ、魔法の呪文は、トリック・オア・トリート!」

 

 美由紀のセリフに続き、同じ様に、

 

【「「トリック・オア・トリート!!】」」

「はい、用意してますよー! すずかお嬢様が中で待ってますから、どうぞ」

 

 ワァアアアーッ! とばかりに駆け込んで行く子供達!

 

「あらら、大丈夫かな?」

 

 口元をにんまりさせながら、袂からカメラを取り出す美由紀。

 

「仕掛けはばっちりです!」

 

 と自信満々なファリン。

 

 暫くすると・・・わぁ! きゃあ! ・・・! 吃驚した様子であるモノ達に追われて駆け戻って来た!

沢山の猫達に囲まれ、あちこちに猫をひっ付けて戻って来た!

 

 何時もは一寸遠巻きだったり離れていたりするのに、この日に限り思わぬ襲撃を受けて驚きを隠せない様子!

 仕掛けは出掛けに桃子さんが仕込んだマタタビの粉末。

 

「ふふふ、驚いたかにゃー?」

 

 猫耳と二又尻尾を付けたすずかが現れた!

 

【「「キャー!】」」と更に逃げ惑う! 親玉が現れたとパニックに陥った?

 

 その後、無事にお菓子をもらいご満悦な三人。

小さな袋から包みを一つ渡し、次の家へ!

 

「次は何処へ行くのかな?」

「バニングスさん家に向かうの!」

「そっかぁ。あ、待って! じゃあ、今度は私が魔法を掛けてあげるね?」

 

 そう言って、ぎゅうっ! と順番に抱き締められた!

 

 

 次は、バニングス家!

 

「ようこそいらっしゃいました。お嬢様は奥でお待ちしております」

 

 一寸警戒しつつ庭を通り抜け、玄関をくぐると、そこには大小様々な犬達が! 目を爛々と輝かせて待っていた!

 

【「「・・・?】」」

「来たわね? じゃあ、ここまでたどり着いて見せなさい!」

 

 と、正面の階段中程で犬耳を付け、両手に薄茶と黒の犬の頭を模した手袋に蛇皮のベルト?

 

「皆! 良し!」

 

 その掛け声を待ってましたとばかりに我先にと犬達が駆けだした!

向かってくる犬津波!

左右に前にと別れ、デュオ達も駆けだした!

 

 キャアキャア喚きながら逃げ回るが、流石に追い付かれてしまい舐め回された!

それでも何とか反撃に出る子供達!

 日頃から狼相手に遊んでいる訳でもなく、相手の気持ちが良いだろう所をおさえて撫で回す!

 

「あははははっ! 皆、もう良いよ!」

 

 そう言って手を打ち合せると、三々五々散らばっていた犬達は主の元に集まって来た。

 

「さぁ、お菓子を上げようね」

 

 

 そんなこんなで無事に終わった・・・かに思えたが、夜中に絹を裂くような悲鳴が幾つか、上がったとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ミッドチルダ編

 

 管理局地上本部・託児所にて、カレル・リエラのコンビと合流。

そのまま一緒にハロウィン!

 

 槍の先の立て札は、【Trick & Treat?】 =日本語からミッド語へ直す過程で間違えている。

トリック・&・トリート? =お菓子を呉れてもイタズラするぞ!?

お菓子を呉れてもイタズラしちゃう!?

イタズラしても、もてなして?

 

 

第一 リンディ提督

 

「あらあら、皆でどうしたの?」

「「「「「【トリック・&・トリート!」」」」」】

 

 その格好と札を見て、何となく察しが付いたからか、

 

「・・・うーん、手持ちのお菓子は、今何があったかなぁ?」

 

 ポケットの中などを漁って見るが、中々丁度良いモノは見付からない?

あったはあったが、一つだけ・・・

 

「さて、ココに一個の一口羊羹があります。先ずはコレをポッケにナイナイ!」

 

 洋服のポケットにしまい込み、

 

「それをポン! はい! ニ個になりました!」

 

 取り出してニ個になった様子を見せ、更にもう一度ポケットに!

 

「では更に増やしまぁーす! ポン! ハイ!」

 

 召喚魔法によって、デスクの引き出しから遠隔で取り寄せた。

 

「「【わぁ! ありがとー!」」】

「はぁい!」

 

 

第二・第三

 

 ヘリ・パイロット控室

 

「わ! ど、どうしたの!? その格好!」

「ん? アルト、どうかしたのか?」

「あ! ヴァイス先輩! その、デュオ君達が・・・」

「ブッ! そ、その格好は・・・」

 

 驚くヴァイスに向かって槍を突き出す。

 

「えっと、何々? ! そっか! お菓子だね! 一寸待っててね!」

 

 ロッカールームへと駆けて行くアルト。

 

「ははぁん、お菓子を貰いに来た訳か。生憎だったな、今さっき食べちゃったから、もう無いぞ」

 

 そう言って手を振り振り何も無いとジェスチャーをするヴァイス。

 

「そうなると、俺はイタズラされる側かな?」

 

 そんな事を、ついうっかり口にしたヴァイス。

子供達の目がキュピーン! とばかりに輝いた事に気付かなかった!

 

 ソレっとばかりにカレルとリエラが二人掛りで拙いバインドで拘束!

デュオは簀巻きとばかりに麻袋!《=高町家でコーヒー豆が入っていた袋を調達!》

 

 後で食べようと仕舞って置いたモノをロッカーから取って来たアルト。

 

「おまたせ! !? ど、どうなってるの!?」

 

 その目に映ったのは、蓑虫の様にされたヴァイス。驚きの余り事態を把握出来ない様だ。

 

【オ菓子ガ無イカライタズラスルノ!】

「そー!」

「かくほー!」

「わはははは! イタズラされちまった!」

 

 イタズラされても余り気にする様子も無いヴァイス。

 

「へ、へぇー。あ、じゃあ、はいこれ!」

【「「アリガトー!】」」

「なぁ、もう良いか?」

 

 お菓子を受け取ると、デュオとカレルは簀巻きにしたヴァイスを槍に括り、両端を肩に担いでえっちらおっちら移動を始めた。

 

 その様子が何とも面白かったのか、アルトは爆笑!

 

「ちょ、ちょっとま・・・」

「お、おいおい・・・」

 

 廊下を出て引き留めようとするもその姿は既に無く。

 

「ど、どうしよう」

 

 遠くの方からは、「誰ぁー! 止めてくれぇー!」と、悲壮な悲鳴が笑い声と共に・・・

途中、グリフィスが犠牲に・・・

 

「お前の尊い犠牲は忘れない・・・」 とヴァイスは呟いたとか・・・

 

 偶々通りかかり、書類しか持っていなかった為・・・

ついでに、いい加減飽きたから別の獲物を狙ってた?

 

 その後、何処へ行っても大急ぎでお菓子を用意してくれた?

 

 更に後、大魔王が現れ、お化けは退散を余儀なくされたと語り草に・・・

それまでの被害者は多かったとか。

 

トリック=イタズラ

 鏡の表面に凹凸加工=肥っている様にも、歪にゆがんだ様にも・・・

 体重計に増量細工=「いやぁぁぁっぁぁ!」と悲鳴が・・・

 トイレの蛇口を変化させて蛇の口に!=「うわわわぁああ!」と股間を直撃!?

 禿頭の方にモジャモジャ生やす=湿度が低いと・・・パリパリ? 湿度が高いとモジャモジャ?

若布が生える呪い? 被害者・ラルゴ?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

何となくの扮装連想

 

子供組

 

 ヴィヴィオ=白ウサ着グルミ・バニーさん

 

 デュオ=緑のレインコートに紺の長靴・ゴム手袋=ミニ・デーモン?

 

 リィン=赤い長靴に黒のハイソックス、白く真ん丸く着膨れした胴体に黒い長袖に赤い手袋、大きな白い蕪をくり抜いた被りモノに小さな赤いバケツ=ジェーン・フロスト?

 

 アギト=三角帽子に黒マント、白の手袋にオレンジの靴にカボチャの被りモノ=ジェーン・オー・ランターン?

 

 カレル=黒装束でトゲトゲ!=悪い魔法使い? 

 

 リエラ=三角帽子に黒マント、背中にキラキラ虫の羽根? 額に十字のお化粧=某提督Mix?

 

 コロナ=こめかみにボルト、青白いお化粧に額にサンマ傷=フランケン?

 

 キャロ=一風変わった文様の入った着物に大きな蕗の葉の傘?=言わずもがな

 

 エリオ=砂色のマントに薄茶の小さな獣耳、細めの先っちょが白い尻尾にオープングローブ?=二代目襲名!?

 

 ルーテシア=ガッチリと両目を覆う眼帯に鎖で繋がった大きな杭、脚の付け根近くまでの編上靴に長いレザーのドレスグローブとベアトップミニボディコンワンピース=メデューサ? 

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

大人組?

 

 なのは=山羊の様な立派な角が付いたカチューシャに毛皮

 

 フェイト=小振りな角の付いたカチューシャ、黒い蝙蝠の様な羽?

 

 アルフ=獣口マスク

 

 はやて=丸みを帯びた獣耳にまあるい感じの雫型縞尻尾

 

 ヴィータ=赤いウサギさん、網タイツ

 

 シグナム=こめかみを貫通する様に突き立つ矢に鎧

 

 ザフィーラ=獣口マスク

 

 シャマル=包帯グルグル巻き

 

教会編

 

 セイン=IS使用=天井下がり

 

 オットー=犬耳尻尾

 

 ディード=猫耳尻尾

 

ナカジマ家編

 

 チンク=海賊

 

 ノーヴェ=赤鬼

 

 ディエチ=テンガロンハットにガン・ベルト、皮のチョッキに拍車付きブーツ

 

 ウェンディ=ベリーダンスなアラビア風? ジーニー

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 

番外編 Track or Treat?

 

フッケバイン一家によるハロウィーン! デュオの初仕事?

 

 

 とある執務官補佐に届けられた報告書。

 

「えっと、なになに? 連続ハロウィン強盗? 狙われたのは・・・ぶっ!」

「シャーリー、どうしたの?」

「あ、ティアナ。コレ、見て貰っても良い?」

「えっと、コレって私達がこれから調べ様としてる、管理外世界と通じてるって組織の最高幹部の家だよね?」

「そう、そこが強盗に襲われたらしいの! それも、お化けの扮装をした相手に!」

「へぇー、って! だれが!?」

「それが分からなくて。そこと敵対している組織も、襲えるだろう程のトコは皆無なんだけどねー」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【Track or Treat?】 と書かれた立て札を持ち、お化けに扮装したデュオ。

 

 お目当てのウチ? =人相のワルソウナ大男が門前に待ち構えている。

ソコに正面から堂々と頼もう! とばかりにのりこんだ!

 

「ん? 何じゃワレェ。なんぞ用か?」

「んな訳あるけぇ! こんなガキンチョ。こないな所に居ってもなんぞおもろい事はあらへんで。

他所行きぃ他所」

「そじゃな。ここじゃ、やれるモンはあらへん。怪我せぇへん内に失せな」

「おう。なんぞ欲しいなら、豆=銃弾、呉れてやろうか?」

 

 チラリと黒光りするモノをチラつかせる。

 

「お、そうやな。ならウチはなんぞ持ってたか・・・

おお、ドスを新調したっけか・・・」

 

 スーツの裏地にズラリと並ぶ刃物。

 

 一寸怖くなって来たのか、お菓子が貰えないと分かったのか踵を返し、来た道を戻ろうとしている。

 

「ガハハ! ここいらは危ないけぇ、帰って母ちゃんのおっぱいでもしゃぶってな!」

「わはは! 怖ぇ思いしたくねぇだろ、もうくんじゃねぇぞ!」

 

 そんな事を口にしていると、子供は何やら道の向こうに向かって立て札を振っている。

ソレと時を同じくして、キュラキュラと独特の音が響き始めた。

徐々に音は近づいてくる。

 

「な、なぁ」

「んあ?」

「何か聞き覚えのある様な音が聞こえるんだが・・・」

「・・・ああ、聞き覚えはあるなぁ」

「この辺で、なんぞ工事は在ったか?」

「イヤ、無かった筈だが?」

「だよなぁ」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 目の前に止まった装軌式汎用輸送車(ユニバーサル・キャリア)から顔を出す《角付き》アルナージ。

 

「で、どうだった?」

 

 ブンブンと頭を横に振る事で応えた。

 

「ハン、そんな簡単なモンじゃないだろ」

 

 髪の色と同じ、尖った獣耳にふさふさ尻尾なヴェイロン。

 

「ヴェイ兄、そんな事言うなよ。夢がないなぁー」

 

 頭にボルトを生やしたドゥビルはデュオが一寸落ち込んでいる様子を見て、ポフポフと頭を撫でて慰めようとしている。

 

「なら、今度は姉ちゃんが一緒に付いて行って、一緒にお願い(脅か)してやるからな! だから安心しろ!」

 

 そう言うと、おもむろに抱き上げるとドゥビルの肩に乗せるアルナージ。

 

「じゃ、よぉーっく見える様に立て札を持ってな!」

 

 コクコク!

 

「行っくぞぉー!」

 

 思いっきりアクセルを踏み込み、ブレーキを解除した!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ギュララララ! とばかりに不吉な音が響く中。

 

「・・・な、なぁ」

「あんだ?」

「あのガキ。さっきのガキじゃないか?」

 

 遠目に見えるのは、大男の肩に跨るさっきのオバケらしき子供。

 

「・・・ああ」

「まさか、お菓子が無いからって、アレで突っ込んで来るとか?」

「・・・まさかぁ、ありえんだろ」

 

 そう思い込もうとするが、スピードを緩めるどころか、更に加速してこちらへ突っ込んで来る!

 

「お、おい!」

「お、おう!」

「こ、こっちに突っ込んでくるぞ!」

「よ、避けろ!」

 

 轟音と共にアッサリと鉄の門を踏み超え、奥の屋敷へと乗り込んで行く。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 門を乗り越え、大きな扉の玄関をブチ破りながら、

 

「たーのもー!」

 

 アルナージは胸を張り、大声で呼びかけた。

 

「何モンじゃ我!」

「こういうモンだよ!」

 

 積み込んでいた獲物をそれぞれが持ち、デュオは立て札を相手に見える様に掲げる。

 

「はぁ? そりゃ、トリックorトリートだろ?」

「いーや、違うな。ウチじゃトラックorトリート。

もてなす気が無いなら、トラック=Track=履帯で突っ込むって意味だぜ!

さぁ、もてなして貰おうか!」

「ったく、面倒だな!」

「・・・」

 

 その後は言わずと知れた展開に・・・

 

 

とまぁ、こんな事が興ったとさ・・・

 

 

 後に事の次第を知ったカレンは、

「あら、面白そうじゃない!」とばかりにノリノリで繰り出した!

 

 

 後に、ハロウィン・ギャングが来たらお菓子を渡せと、せっせとお菓子を揃える所が増えたそうな?

関係の無い子供達にもお菓子が配られたとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・




ここでのトラックはtruck=貨物自動車ではなくtrack=履帯です


魔法戦記リリカルなのはForce・ENEMY SIDE2? 戯れ編


 JS事件の全てが終わり、病院に監視付き検査入院をするデュオの病室。

「はぁい、久しぶりね」

 そう言って、黒髪で髪の長い看護師が入って来た。

【ダァレ?】
「あらら、覚えてないか。
ほら、管理局から連れ出してあげたでしょ?」

 一寸考えてみると思い出せた。

【! ホッケパンノ、カレー小母チャン!】

 それを聞き、カレンはベッドへ突っ伏してしまった。

「え、えっと・・・、私はカレン・フッケバインよ」
【??? ・・・カレーパン?】

 確かに、カレーパンを食べさせて貰った記憶がある。

「ち、違うわ、カ・レ・ン。カレンだからね?」
【カレー?】
「・・・分かった。じゃぁ、貴方は私が連れて行くから」

 そう言って目の前で何やら指を突き付けられたと思ったら、ふと眠くなって行った・・・




とまぁ、拉致されフッケバイン一家に仲間入り? 食客扱い?

ふと浮かんだモノで・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、秋見ーっけ!

秋にまつわるエピソード

小さい秋から、中位の秋、大きい秋まで捜しに行かせて見ました

「乙女心と秋の空」

女性の心も秋の空も、どちらも変わりやすいという意味です。
主に女性の心変わりに対して例えたりしますね。


上手くいったモノもあれば、一寸苦しいモノもありますが、それはそれで楽しんで頂ければと考えております。


2016・9・01 大きな秋の結末を変更しました。
有罪はギルティ
無罪はノット・ギルティ
デュオの下す判決は・・・如何に?

2017・2・15 乙女心・エイミィ編を追加・・・


小さい(あーきぃ)、見ぃー付けたぁー!

 

 今日は、カレルとリエルも一緒にお散歩!

士郎お爺ちゃんとクロノ伯父さんも一緒!

小さい秋、捜しに出かけたー!

 

 イッパイ見っけた!

ドングリ!=樫の実 真ん丸ドングリ!=クヌギ 大きなドングリ!=マテバ椎 曲がったドングリ!=椎の実 衣(?)が三つに分かれた歪なドングリ!=栃の実 真ん丸トゲトゲ!=毬栗 キレーな形のチクチク!=松ぼっくり

 

真っ赤な紅葉! 真っ黄色な銀杏の葉っぱ! 臭い銀杏の実! 大きな楓の葉っぱ! 色んな落ち葉! 緑色の《子供の》拳大の大きな木の実!=胡桃の実

 

たぁーっくさん! 拾ったー! 持って帰ったー!

 

 拾った落ち葉でぺたぺたお絵描きー! 楓の葉っぱでお面!

その間、クロノ伯父ちゃん、何やら工作?

士郎お爺ちゃんは近寄り難い!

 

「士郎さん、コレで良いんですか?」

 

 クロノ伯父さんは、おっかなびっくり慣れない大工道具を手にドングリと格闘中?

 

「ん? そうそう。シッカリと押さえて、真っ直ぐ小さくね」

「はい。・・・これで、どうですか?」

「ん。どれどれ?」

 

 そこにあるのは、ドングリから爪楊枝が生えた物体。

 

「ふむ、良いんじゃないかな?

よし、廻してみよう」

 

 そういうお爺ちゃんは、今は臭くて近寄り難い!

 何やら面白そうだが、近寄れないから遠巻きに見ている。=銀杏臭いから

暫くの間、近寄って見ては、逃げる! 近付いて見ては逃げる! の繰り返し。

銀杏の実を綺麗にしていた後だった。

 テーブルの上で何やらカラコロと音がする。

臭いのを我慢して、テーブルの上を覗き込んで見た。

 

 そこでは、様々なドングリが立ちあがり、ダンスを踊るかの如く回転していた!

 

「「【ワァ! 独楽だぁー!」」】

「そら!」

「どうだ!」

 

 次から次へと投入されるドングリの独楽!

 

「まだまだ!」

「これで、どうだ!」

 

 それだけではツマラナイと、逆さまに廻して行く二人。

子供達そっちのけで廻して熱くなっている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

真ん中なアキ? 見っけ!

 

 

 ママママ達が、三時のオヤツを作ってるって!

 

「「【ママママー! オヤツ、チョーダーイ!」」】

「はい、手を洗ってからねー」

「外から帰って来たら、うがいもしっかりねー」

 

 そんな声がキッチンから聞こえてきた。

 

「「【ハァーイ!」」】

 

 ガラガラ、ぺッ! ジャバジャバ! うがいをし、手を洗い、ダイニングへ突撃!

 

【「「オーヤーツーはー、なぁーにぃー?】」」

 

 何やらジュウジュウ音がする鍋から何かを引き上げている二人。

鍋を見ているせいか、背中越しに答えてくれた。

 

「真ん丸の穴が開いた」

「ドーナッツですよー」

「「【ワァーイ!」」】

 

 そう言って振り返る二人。

 

「おいくらですか?」

 

 とリエルは尋ねた。

 

「さぁ、お幾らでしょう?」

「お値段は幾ら付けてくれるのかな?」

 

 と、二人も乗って来た。

 

「えーっと・・・一億(いちょぉく)えん!」

 

 と声を上げるカレル。

 

「まぁまぁ、その位かしら?」

「あらあら、凄い値段ね」

 

 と驚く二人。

 

【ハイ! イチョォクエン!】

 

 と黄色く綺麗な公孫樹(イチョウ)の葉っぱの束をさしだすデュオ。

 

「あらあら!」

 

 一寸驚くリンディさん。対照的に、

 

「これは貰い過ぎかしら? じゃあ、お釣りを出すわね。

はい、イチゴさん」

 

 と、イチゴを三粒ずつ追加する桃子さん。

 

「「【頂きまぁーす!」」】

 

 砂糖やチョコがトッピングされた、揚げたてのドーナッツの皿をテーブルの上に置くと、ドーナッツはあっと言う間に消え去った!

 

「母さん、俺の分は?」

「あら、クロノ。オヤツは一人一億円よ」

「は!?」

「あの子達は用意して見せたわよ?」

「ええっ!?」

 

 美味しそうに満面の笑みを浮かべる三人を見て、

 

「まぁ、子供達の笑顔は百万ドルの笑顔ね」 =約一億相当

「あら、本当ね」

「ど、どうやって!?」

 

 一人だけワケが分からぬクロノであった・・・

 

 

真ん中な(アキ)は真ん中に穴が()きます。

 

 

 他にもカキやミカンを民家の庭に獲りに行ったり。というか、美味しそうだと見ていたら・・・

 

「坊や達、少し持って行くかい?」

「あらあら。一杯生っているから、少し持って行っても良いわよ」

「どれ、採り方を伝授しようかの」

「お爺さん、無理をしてはいけないわ」

「何を言うとる。ワシの若い頃の杵柄じゃて」

「おお、柿泥棒で慣らした腕は健在か」

 

 とばかりにお年寄りに囲まれ、アレもコレもと持たされた。

中位の秋、ゲット! 尖ったのは・・・渋かった! 酸っぱかった! 認識が甘かった!

 

「「【・・・ママママー! 舌、エガィー!」」】

「あらあら、どうしたら・・・」

「これは渋柿だったみたいね。じゃあ、コレを食べて口直しよ」

 

 そう言って冷蔵庫からヨーグルト出して来る桃子さん。

 

「それで治るの?」

 

 と、一寸懐疑的なリンディさん。

 

「ええ。柿渋はタンニンだから、タンパク質と一緒にすれば中和出来るわ」

 

 暫く後・・・

 

【「「・・・治ッタァー!】」」

 

 治ったら治ったでまた元気に遊び始めた子供達。

 

 尖った柿は剥いて吊るして干して、干し柿に・・・

食べられる様になるまで待てないだろうから、半分位はヨーグルト専用ジャムになったとさ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

大きな秋、見ぃーつぅーけぇーたぁー!!

 別名=四匹の子豚?

 

 

「「「【ブーブー!」」」】

 

 日本のハラオウン家のリビングで、盛大なブーイングの嵐を巻き起こす四匹の子豚達!

ブーイングを上げているのはヴィヴィオ、デュオ、カレル、リエラ。

その前で小さくなっているオーカミ(女将)さん達=エイミィ、なのは、フェイト、ハヤテ。

更にその炬燵の上には、紫色の残骸が・・・

 

「ゴ、ゴメンゴメン!」

「ゴメンね!」

「あははは、ゴメン! つい美味しくって・・・」

「ゴメンな。でも、美味しかったで!」

 

 ついついそれぞれが手を伸ばし、冷めてしまっては美味しくないからと? 食べ切ってしまったとか・・・

 

「「「【ブーブー!!」」」】

 

 

 その後、四匹の子豚は冬眠寸前の黒熊さんを叩き起こしては見たものの、冬の眠りは深かった?

久しぶりのオフを満喫中のクロノに跨り、どっか連れてけー! と・・・

 

 そこへ番犬さんと猫又さんが現れて、ある場所へと連れて行かれましたとさ

なのは達、皆が居ると聞いて顔を見に来たアリサとすずか

事の顛末を聞き、それなら丁度良い所《=634の村》があるとお呼ばれしてみた

 

 白熊さんはお仕事中・・・

士郎さんはお店をお休み出来ないとか・・・

 

 そこからそれぞれ散って行った?

 

 一人は藁束、沢山ある所へ

カレルは稲藁が積んである所で籾殻を沢山分けて貰い、担いで帰った

 

 一人は枯れ枝、沢山ある所へ

リエルは小枝を両手一杯に抱えて帰った

 

 一人は煉瓦色した塊を求め

ヴィヴィオは煉瓦色したお芋を沢山掘り返してきた

 

 一人は狼さんを引き連れて精霊探しの旅へ出た?

デュオは? (アギト)(リィン)の精霊達をザフィーラとアルフと共に一緒に呼びに行く

 途中、(チチ)牛さんと瓜坊さんと山羊さんもお仲間に

シグナム、ヴィータ、シャマルも合流

 

 お家で焚火中のカモシカさん、何だか泣く泣く燃やしてた?

美由紀姉が焚火中、目に煙がしみたらしい・・・決して薄い本とかでは無い・・・筈である

 

 その火に落ち葉を追加した、強火の炎に煙突立てまして、煙突の中に小枝を投げ込みます

薫炭用のトタンの煙突

 

 その煙突周りに籾殻山積みに

 乳牛さん瓜坊さん山羊さん、軍手で籾殻の中へと芋を埋め

 子豚達は周りで暖をとり、踊り踊って心待ち

 籾殻真っ黒、墨色に、全てが炭へと変わった頃に、スコップ片手にお芋掘り

 それぞれ大きな塊抱えて頬張った

 

「あちちち!」

「あっつい!」

「あったかいね!」

【アチュイ!】

「あつつ!」

「そんな熱いワケ・・・あっちっ!」

「ほらほら、そんなに慌てなくても」

「焼き芋は逃げてかないぞー」

「そんなに熱いなら牛乳に浸してはどうだ?」

 

 それは名案と、冷たい牛乳を貰いに行く年少組。

 

「あちっ! アチチッ! ホックホクだね!」

「あれ? なのは達は?」

「そう言えば、出て来ないね。なにかあったの?」

「えっと、なのはママ達、残さず食べちゃったから」

「「ぎるてぃ!」」

 

 それだけで大体の意味を察したらしい。

 

「あらら」

「まぁ。それなら仕方が無いかもね」

 

 窓からこちらを恨めしそうに見て来る四人を見て、見せ付ける様に食べている。

 

「で、デュオも怒ってるの?」

 

 ただ一人、窓辺を見上げ考え込んでいると・・・

 

【? ン~ト・・・ミルキィ~!】と判決?

 

 大きなお芋を手に取ると、フェイトの元へ。

 

「わぁ! デュオ、許してくれるの?」

【??? ン~ン、ミルキ~】

 

 そう宣言して、フェイトの膝の上に座ると、お芋を渡し、【ア~ン】と小さな口を大きく開けて、食べさせて~との事。

 

 流石に好きなモノを目の前にしつつ食べられない事と、甘えられて嬉しいやら悲しいやら葛藤しつつ、でも嬉しそうに小さな口に運ぶフェイト。

 それを見ていた三匹も、それぞれお芋を手にすると、

 

「「「・・・ミルキィ!」」」と一斉に宣言。

 

 それぞれお腹が一杯になるまで甘え倒したとか。

食べ物の恨みは怖いぞと、一層美味しく頂きましたとさ。

 

 なのは達はお腹が一杯になる前に、胸が一杯になったとさ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

秋の風情

 

 今日はゲンヤパジとお散歩!

さっきまで晴れてたのに・・・冷たい雨が降って来た!

急いで雨宿りとばかりに、近くの軒先に飛び込んだ!

 

「やれやれ、とんだ天気になったもんだな。乙女心と秋の空、か・・・」

 

 濡れた服から水を絞りながら空を見上げてそんな事を呟いている。

 

【??? ナァニ、ソレ?】

「ん? ああ、乙女の気持ちは、今の天気みたいに秋の空の様に急に変わり易い、て意味だな」

乙女(トトメ)心?】 =上手く言えない

「んー、若い譲ちゃんらの事を言うんだぞ」

【フーン、姉達モ?】

「ん? ・・・ああ、乙女だな」

【ジャ、ママ達モ?】

「そうだぞ」

【ソッカー!】

 

 

 それで済むかは、その時次第?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

管理局・地上本部・通路

 

 偶々見掛けたアルトとヴァイスの二人組。

 

アルト(アウト)姉ェー! 乙女心(オトトココロ)ッテ、何処アルノ?】

「ブフッ! ア、アウト」

「ア、アウト・・・」

 

 つい吹き出してしまったヴァイスと、ガックリと項垂れてしまうアルト。

兎に角、気を取り直し、

 

「デュオ君。ど、どうしたのかな?」

【オトトココロッテ、ドコアルノ?】

「オトト心? うーん・・・ああ! 解かった!

ヴァイス先輩、一寸協力して貰いますね!」

 

 ヴァイスはツボに嵌まったのか未だ笑い転げている。

 

「・・・な、何をだ?」

 

 何とか笑うのを堪え、振り返った。目元はまだ笑っているが・・・

 

「イエ、一寸・・・

デュオ君、男心っていうのはね・・・ココね!」

「ギャァッ! いだだだだっ!」

 

 唐突にヴァイスの鳩尾の下辺りに五指を突き立てているアルト。

 

「ココ、胃袋の辺りに男心は在るの! 胃袋を掴む事が男心を掴むって事だからね!」

「た、確かにそうとも言うが、物理的に掴むな!」

 

 アルト姉の乙女心はヴァイス兄の胃袋=男心を掴む所にあるらしい、と理解した。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ティアナとスバルの場合・・・

 

【テア姉ェー、スパム姉ェー】

「ス、スパム!?」 =迷惑メールorランチョンミート?

「う、うう・・・!」

 

 ちょっと吃驚した様子のティアナ。既に呼ばれ慣れたのか、自身の呼ばれ方に関しては慣れたが、意外な呼び方が誰を指すのかも予想できた。

 まさかそう呼ばれるとは思わず、意外にダメージが大きいスバル。

 

「ほ、ほら、スパム。呼ばれてるわよ」

 

 一寸笑いが込み上げてきたティアナ。

 

「ティアまでそう呼ばないで・・・」

乙女(オトト)ゴコロ、持ッテル?】

「え? オトト心?」

 

 疑問符しか出て来ないティアナ。

 

【ソー! 乙女心ト秋ノ空ッテ!】

「んー? あ! 解かった! 乙女心だ!」

 

 そのフレーズで何なのかが分かったスバル。

 

「乙女心?」

 

 そう問い返したティアナ。

 

【ソー、トトメゴコロ?】 =まだ言えない

「ティアは、持ってないよねー」

「何よスバル」

「だってスレちゃって、乙女って感じじゃなくなっちゃってるじゃん」

「あー! 言ったな! そう言うスバルだって、乙女というより邪な心持ちじゃない!

私の胸を良く揉むし!」

「だって、気持ち良いんだもーん!」

「それが邪なの!」

「ティアも、今日は横縞だったね!」

「な、何で、それを知ってる!」

 

 そんなこんなで揉めていると、新たな被害者が?

 

 

なのはの場合・・・

 

【ナノハママー!】

 

 タッタカ駆け寄ってくる幼いデュオの姿を目にし、身体をデュオの目線に合わせる様に屈むなのは。

 

「はぁい、何かな?」

【ナノハママ、ナノハママ、乙女(トドメ)心持ッテル?】 =言い間違い

「ブッ! そ、それは・・・持ってないかな?」

 

 周囲の人々は『イヤイヤ、絶対に持ってる!』とジェスチャーしている。特にティアナ&スバル。

 

 なのはママは持っているんだか持っていないんだか・・・

 

 

フェイトの場合・・・

 

 今度はそこから少し離れた場所に居合わせた、フェイトとハヤテ達の元に向かって行くデュオ!

 

【フェートママー!】

「はぁい」

 

 何があったのかは、近くで見ていたので薄々勘付いて警戒している。

 

【フェートママモ乙女(オトメ)心、持ッテル?】 =やっと言えた

「そ、それは流石に持って・・・るよ?」

 

 何とか気付く事が出来たフェイト。

 

「そ、それなら持ってるよ! 持ってるからね、デュオ!」

 

 すかさず訂正を入れるなのは。

だが、その時にはなのはさんには乙女心ではなく、止め心が搭載されていると、管理局内に実しやかな噂が流れたとか・・・

それを知った局員は尽く止めを刺されたとか・・・

 

 

ハヤテの場合・・・

 

【ジャア、ハヤテ姉ェー!】

「はぁい、何やろうねぇ?」 =気付いている

【ハヤテ姉ハ、親爺心?】

「そう・・・え!?」

「「「「「ブッ!」」」」」

 

 反射的に答え様としたのだが、引っ掛かる言葉を聞いた気がした。

咄嗟に思い当たる節を思い浮かべてしまった面々は、つい吹き出してしまった。

 

【・・・持ッテナイノ? 親爺心】

「そ、それは・・・」

 

 日頃の言動が邪魔をして、一概に否定できないでいるハヤテ。

 

「まぁまぁ、ハヤテちゃんは乙女心と共に親爺心も持ち合わせているのよ」

 

 そんな助け舟ならぬ泥船を差し向け、自分にも聞いて欲しそうなシャマル。

 

「シャ、シャマルー!」

「まぁ、否定できないな」

「ヴィータまで!」

「主よ、否定しきれないかと」

「う、うう! シグナム、お前もか!」

【ソッカァー!】

「デュオ、他に聞きたい人は?」

 

 そう言って水を差し向けて見る面々。

 

【ンー、シグママー! シグママハ、乙女心?】

「ん、私か? 私は、そうだな。乙女心というよりは騎士としての心を持っているな」

【オー! ビータママー! ビータママハ、鬼教官ノ心?】

「だ、誰がそんな事を吹き込んだんだ?」

【ンーット、ビータママノ生徒(セート)サン?】

「あ、アイツらぁ! 次は目にモノ見せてくれる!」

 

 訓練が三倍厳しくなったとか・・・

 

【オォウ! 鬼教官、持ッテタ! シャママー!】

 

 ちょっぴり怖くなったヴィータから離れ、うずうずして待っているシャマルの元へと駆けるデュオ。

 

「はぁい!」

 

 待ってましたとばかりに心待ちにしていたシャマル。

 

【シャママハ、オットット=ウッカリ心?】

 

 突っ伏してしまうシャマル。

納得して頷いてしまう周囲の人々。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

リンディ提督の場合・・・

 

【ママママー! ママママハ乙女心、持ッテル?】

「んー? 乙女心ね。乙女心はもう持ってないかな? ママママの旦那さんが持って行っちゃったのよ。

その代りにね、真心を持つ事は出来たかな?」

 

 ニコニコしながら答えてくれた。

 

 リンディママママの乙女心は遥か遠くの人が持って行ってしまったらしい。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

桃子さんの場合・・・

 

【ママママー! ママママハ乙女心、持ッテル?】

「そうね、私の乙女心は幾つになっても乙女心を忘れないのよ。

女の人は、何時までも乙女心を持ち続けるの。

で・も、私の乙女心は士郎さんだけのものよ☆

いっつも私の乙女心を奪って行っちゃうの」

 

 そう言ってウィンクしてた!

お爺ちゃん、真っ赤っ赤?

 

【オジーチャーン! ママママノ乙女心、返シテ上ゲテー!】

「そ、それは流石に返す事が出来ない!」

【・・・ナンデ?】

「・・・独り占めしたいから・・・」

【メー!】

 

 ぽかぽか叩くが始終笑って受け止める士郎さん。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

美由紀姉の場合・・・

 

 恭也おじちゃん、色々教えてくれた!

 

【ミウキ姉ェー!】

「はぁーい! 何かなぁ?」

 

 さっきまでの桃子さんとのやり取りを見ていて知っている。

 

【ミウキ姉ノ乙女心、(クサ)ッテ()クナッチャッタノ!?】

 

 ビキィッ! と固まり、ギ、ギ、ギィィィイ! っとばかりに恭也の方を伺う。

さて、何の事やらとそしらぬ顔をする恭也。

 

「・・・デュオ。そ、そんな事は、無いよ?」

【ソーナノ? ベットノ下ニ置キ忘レチャッタノ? ソレトモ、机ノ鍵ノ掛ル引キ出シノ中?】

 

 段々と顔が怖くなっていく美由紀姉。

 

「・・・キョーウーちゃーん? 何て事吹き込んでくれてるのー!」

 

 鬼の形相で小太刀=真剣を持ち出し、速攻で駆け出す美由紀姉!

流石にやり過ぎたと感じたのか、逃げ出す恭也伯父!

置いてけぼりを喰らって呆気にとられてしまうデュオ?

 

 それを見て聞いてた忍お姉ちゃんは笑い転げてた!

それから暫くし起き上がると笑いながら教えてくれた。

 

「あ、あのね、美由紀お姉ちゃんはね。明腐真道《=明快なる腐への真の道(勝手に捏造しています)》の修羅道へ踏み込んじゃったから・・・フフッ!」

「忍義姉(おねえちゃん)! デュオ、ち、違うのよ! 腐ってたりしないからね!」

 

 ボコボコになった恭哉伯父さんの襟首を掴んで引き摺りつつ帰って来ていた。

 

「ち・な・み・に、お兄ちゃんより強い男の子なら付き合うっていったら高嶺の花になっちゃって・・・言い寄る男の子を逆に倒したりしちゃったりしたから、男の子が寄り付かなくなっちゃって傷んじゃったんだよね?」

「そ、それは! 恭ちゃんが手加減しなかったからで・・・」

「そんな事は・・・」

 

 恭哉伯父さんは美由紀姉にギロリと睨まれ口篭った。

 

 原因はどちらにも有ったり無かったり?

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

エイミィ伯母さんの場合・・・

 

「ママ! ママ!」

「ママの乙女心、どこ?」

 

 カレルとリエラもデュオの真似して尋ねてみたらしい。

 

「え? 私の乙女心?

・・・私の乙女心はね~。クロノの浮気心と交換しちゃったの」

「ぶふっ! な、何を!」

 

 リビングでコーヒーを呑んでいたクロノは噎せ返った様だ。

 

「え~?」

「ど~して~?」

「そ・れ・はぁ~、私の事だけしか見えなくしちゃったから! きゃ~!」と、自分で言ってみて、ほんのり赤くなったエイミィ。

「きゃ~?」とカレルは首を傾げ。

「きゃ~!」とリエラはちょっぴり羨ましそう。

「ぎゃ~! エイミィ! そ、そこまでだ!」と耳まで赤くなったクロノが慌てている。

 

 そして、この日のクロノは一日アカノだったそうな。




大きな秋
ギルティ=有罪 ですが、ミルキー=乳化=柔和(にゅうわ)
ミルキィは執行猶予的に、甘やかしてくれたらユルシテあげる! といった意味を持たせて見ました。

乙女心
今回の一番の被害は美由紀に降りかかった様です。

元ナンバーズ編は上手くは思い付きませんので、出来上ればという事で・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

保護者呼び出し?

えー、ついに保護者の呼び出しをくらったら?

こんな事になるのでは、こうなったのではと、捏造して見ました!

後半は、暴走した結果なので・・・有り得ない事だと、捉えて頂きたい。


意外な一面?

 

 

マリアージュ事件時

 

 

PPP PPP PP!

 

「あ、ユーノ君?

今、大丈夫かな?」

 

 お互いにサウンド・オンリーでのやり取り。

周囲が殺伐としていたり、一寸身嗜みがアレだったり・・・な理由で・・・それが後の騒動に繋がった。

 

【何、なのは?】

「うん、一寸事件で手が放せなくなっちゃったから、デュオのお迎えと一寸だけ預かってもらえないかと思って・・・

他の皆も、今一緒に居て、誰も直に迎えに行けないの」

【えっと、迎えに行ってくれば良いんだね?

丁度、帰って来た所だし、良いよ。預かれば良いんだね】

「ウン、お願い!

園の方には連絡を入れて置くから!」

【じゃあ、気を付けてね】

「ありがとう!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 今日は、ユー兄が迎えに来てくれるって!

皆、何だかとっても忙しいみたい?

 色々事件が立て続けで、危ないからって!

 

 

 あ! ユー兄!

 

 門の所まで来たけど、何だか入れて貰えない?

 

「だから、僕はなのはに頼まれて!」

「・・・では、確認を取りますから、暫くお待ちください」

「お願いします」

 

 ・・・揉めてる? 怪しい?

今日は急に頼まれたから、身嗜みが間に合わなかった?

 

 一寸汚れてるけど、何時ものコートに鞄。

叩けば埃が出て来そう?

 お髭がボーボー! カックイー! ・・・と思っている。

≪某・山奥の少女のお爺さん風?≫

 

 センセー、何やらお話中?

 

「・・・あ、陸士隊の方ですか?

不審者が一名、ウチの園児を連れ去ろうと・・・

はい、迎えに来られる方のお写真と違っていたので・・・

えっと、髭モジャで、長髪。ボロボロのコートと鞄です。

・・・はい・・・はい。

名前は、デュオ・S・ハラオウン君で、保護者がフェイト・T・ハラオウンさんと、高町 なのはさんです。

では、お願いします!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後すぐに、陸士隊が駆けつけた。

叩けば埃が出るから? =現実的・物理的に?

 ユー兄、連れてかれはしなかったけど・・・凹んでた。

寒い所にある遺跡発掘の帰りで、身嗜みが間に合わなかったって!

 

 

「デュオ、この事は、なのはには内緒にしていてね」

 

 クキュ? フルフル!

 

「・・・美味しいモノを何でも御馳走するから、お願い!」

 

 そう手を合わされたら・・・断れないよね!

 

 コクコク!

 

買収されてみました! でも、その後でバレる事に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

保護者呼び出し?

 

 

 センセーから、なのはママにって!

はい!

 

「あら? はい、ありがとう」

 

 なのはは、渡された紙面に目を落とす。

 

「・・・え?

デュオ? 何か隠してない?」

 

 クキュ? フルフル!

 

「うーん、そっか・・・でも、隠してたらあとでO・HA・NA・SHIだからね?」

 

 フルフル! プルプル! ブルブル! ガクガク!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

幼稚園・園長室

 

「えっと、デュオ君の保護者の方で、宜しいですか?」

「あ、はい。

デュオの後見人の、高町 なのはです。

今日はどういったご用件でしょうか?

もしかして、デュオが何か・・・」

 

 イタズラをして、何か大変な事をしたのかと危惧?

 

「イエイエ、そう言った事はありませんよ。

至って良い子ですよ」

 

 初老の園長先生は、ニコニコ笑いながら気軽に答えてくれた。

 

「・・・えっと、正直に言って頂いても・・・」

 

 なのはは、沈痛な面持ちで尋ねた。

 

「何か、お心当たりが?」

「え? 違うんですか?」

 

 意外な反応に、驚きを隠せない。

 

「ええ、そんな事は全く。

良く言う事を聞いてくれますし、進んでお手伝いもしてくれます。

手も掛りませんし・・・」

 

 その様子を聞くと、別の子の様に思えて来た?

 

「えっと、何かの間違いの様な・・・

腕白で、ハチャメチャな事を仕出かしているんだと思ったんですけど・・・」

「まぁ、そこまではしていませんよ。

至って、普通の子供達と同じに見えますよ」

 

 そう言われて一寸だけ安心した。

 

「そ、そうですか・・・」

「それで、今回お呼びした事なんですが・・・」

「はい」

 

 真剣な顔をして問い掛けられた。

 

「お迎えに来られる方を、ハッキリさせて頂きたいかと・・・」

「は?」

 

 そんな事を言われるとは思わず、呆気に取られた。

 

「お姉さんが迎えに来られるのはよろしいのですが・・・

一体何人のお姉さんがいらっしゃるんですか?」

「え!?」

 

 驚きの新事実!? 実際は、姉と呼んでいるだけの叔母達・・・

 

「この間も、入れ替わり立ち替わり次々と・・・」

「えっと・・・娘のヴィヴィオが迎えに来た事はあったと思うんですけど・・・」

「ええ、ヴィヴィオさんは、礼儀正しくて良い子ですね」

「はい、ありがとうございます」

「ただ、他のお姉さんもいらっしゃる事が有って・・・」

 

 思い当たるのは、どうしても迎えに行くのに都合が付かず頼んだ相手。

 

「えっと・・・ヴィータちゃんに頼んだ事もあったっけ・・・」

「他にも何人か見えましたね。どんな繋がりなのかお伺いした所、皆さんバラバラで・・・」

「・・・済みません、誰が来たのか教えて貰っても、よろしいですか?」

「ええ、ご確認をお願いします」

 

 そう言って回された画像には、八神家メンバー《シグナム、シャマル、ヴィータ》、ナカジマ家メンバー《チンク、ノーヴェ、ディエチ、ウェンディ》、聖王教会のシスター達《セイン、オットー、ディード》・・・不審者?

 

 八神家の皆には、都合が合えば、迎えに行って貰う事もあるが・・・

その都合が悪くなると、盥回しに成り、次から次へと・・・

それで、教会にまで回ったり・・・

 

「え!? えっと、これは・・・誰?」

 

 見知らぬ相手を見て、つい固まってしまった。

 

「・・・何か不審な点でも?」

「あ、はい。これは、誰ですか?」

 

 そこに映るは、髭と前髪で顔が隠れた男。

 

「ああ、ユーノ・スクライアさんと名乗られていましたが?

・・・お知り合いでは?

デュオ君も普通に接していましたし・・・

一寸疑ってしまいましたが、身元は確かめさせて頂きました」

「ええ!? ユーノ君!?」

 

 その事に驚きを隠せないなのは。

 

「何でも、遺跡の発掘中に頼まれて、着の身着のままでいらっしゃったとか・・・」

 

 その声は、聞こえていない?

 

「わぁー、こんな風なんだ・・・

見た事無かったかも・・・」

「あの、高町さん?」

「す、済みません!」

 

 ハッとした様子で向き直った。

 

「そんなに気になる様でしたなら、お譲りしましょうか?」

「あ! はい! 是非お願いします!」

 

 その後、ユー兄のお部屋にお掃除しに行く事に?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

一寸浮かんだので、思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、その話を聞き付けた何者かは・・・連行されました。

 

「何故だ! 私はデュオの祖父なのだが・・・」

「そんなにお若いお爺さんが居るとは聞いていませんが?」

 

 一寸脱獄してでも、お迎えに来て見たかったらしい・・・

速攻で連行され、また放り込まれたとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 柵の向こう側から、

 

「はぁい、デュオー! 迎えに来たわよー!」

「・・・一寸こちらへ」

「はい? えっと、なんでしょう?」

「どういった間柄で?」

「えっと、デュオのママママを・・・」

「・・・こちらへ」

「え? ええ!?」

 

 別室へ連行されました・・・

その後、身元確認をされ・・・

 

「スミマセン、スミマセン・・・」

 

 平謝りに謝られたり?

 

「いえ、それも仕方が無いかと・・・」

「ですが、おばあ・・・」

 

 咄嗟に、その口を手で塞いでしまったリンディ提督・・・

 

「その、ママママで・・・」

「・・・判りました。フフフフ・・・」

「フフフフ・・・」

 

 お互いに思う所があり、それで通じた?

その後、チョコット流行ったり?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「あの・・・」

「ああ、高町さん。デュオくーん、お母さんがお迎えに来たわよー!」

【ハァーイ!】

 

 トテトテトテテッ!

小走りに走り、その相手を目にしたデュオ。

 

【ア! ママママー! ジッチャーン!】

「はぁい、迎えに来たわよー!」

「おお、元気そうだ」

 

 それを聞き、

 

「え!? もしかして・・・」

「はい、ママママです」

「祖父です」

「「「「え? ええぇー!?」」」」

 

 迎えに来た他の保護者達からも?

一寸遊びに来たらしい。

周囲を混乱に落とし込んだ・・・らしい!

 

 

《エー、久々の聞き耳モードで・・・暴走中?》

 

 

「オイ! 高町教官《=勘違い=桃子さん》と一緒に居る相手は誰だ!」

「見た事が無いぞ!」

「はぁ? 他人の空似じゃないのか?」

「だが、あの子も一緒だぞ!」

「何!? ならばソイツが!」

「高町教官とフェイト執務官の!?」

「イヤイヤ、それどころか・・・」

「あのシグナムさんや、シャマルさんを!」

「うぉぉおう、アレが・・・ヴィータたんを」

「イヤ待て! だとすると、ナカジマ家の面々の?」

「教会のシスター達も!?」

「ならば・・・」

「オウ!」

「ハーレム野郎がぁ!」

「犯罪者がぁ!」

「イヤ、合法では?」

「だが、羨まし過ぎる!」

「「「「「・・・ああ!」」」」」×10?

 

 その意見で全て一致したらしい!

行く手を遮る様に、ズラリと並び。

一団を代表し、一人進み出た。

 

 

「我々は、貴様に天誅を下す!」

 

 士郎さんは、そう言われてもピンと来ないらしい。

 

「えっと、あの・・・」

「我々は、管理局・タカマチ・親衛隊である!」

「我々は、管理局・フェイトたん・親衛隊である!」

「我々は、管理局・八神家・親衛隊である!」

「我々は、管理局・ナカジマ家・親衛隊である!」

「我々は、聖王教会・シスターズ・親衛隊である!」

「「「「我ら一堂、貴様に決闘を申し込む者である!」」」」」

 

 それを静かに聞いていた士郎さん。

 

「・・・ならば、一人の親として、なのはの父親として・・・」

 

 一部、気になる単語を聞き取った一堂。

 

「「「「「・・・は?」」」」」×10?

「貴様らを殲滅しよう・・・」

「待てよ、父さん」

 

 肩に手を置き、引き止めようとする相手に、

 

「止めるな恭也。父親としての、これは避けては通れぬ道なのだから・・・」

「イヤ、オレも参加する資格は有るよな?」

 

 一緒に来ていたらしい。

途中まで別行動だった?

・・・新婚旅行の・・・途中? 延々と続く・・・らしい?

 

「ふっ、手加減はするなよ?」

「当たり前だろ? ここで本気を出さないで、いつ本気を出すんだよ?」

「・・・そうだったな」

 

 それを聞き、納得する士郎さん。

だが、それを遮るモノが現れた!

 

「待て待て!」

「何だ?」

「何だよ?」

「俺も参加させて貰います」

 

《黒尽くめ》が参加されました。仲間に入れますか? ・・・一択で、即決だった!

 

「ああ、だったら・・・」

「徹底的にやらないとな?」

「ええ。但し、表沙汰になると、アレなんで・・・担当のモノを呼びます」

 

 直後、

 

「なんだい、クロノ?」

「ああ、一寸結界を張って欲しくてな・・・」

「・・・え?」

 

 今一意味が掴めず、唖然としてしまった司書長。

 

「何、五月蠅い奴らを蹴散らすだけだ」

 

 そう言い切る恭也。

 

「あ、恭也さん。来られていたんですか?」

 

 士郎夫妻が来ている事は知っていたユーノ。

パリッとした服装でお出迎えするつもりだったらしい。

だが、急に呼び出された為、以前と似た感じに・・・

 

「おいおい、そりゃ聞き捨てならないな」

 

 一寸通報があり、穏便に事を済ませようと、近くまで来ていた交渉人。

 

「まぁ、私闘であるのなら、オレも関係者だ。

見届ける義務があるな。

参加させて貰おうか」

 

 六人姉妹の父親が参加されます。

 

【フハハハハハ! ならば、私にも参加権は有る筈だ!】

 

 そこらのスピーカーから声が響く!

 

【だが、今からそちらに向かうのでは、間に合いそうもない。

なので! 出でよ!】

 

 その声と共に、ⅰ型ⅱ型《=通常の1/3に小型化した》が多数!?

 

【スカリエッティ、一寸お話しが・・・】 《=フェイト》

【な、何かな? アレはデュオの様子を伺う為に・・・ギャァ!】

 

 後にはノイズと共に、断末魔の悲鳴が・・・

デュオは天誅の辺りから、桃子さんに耳を塞がれていたり・・・

 

 その後、目も塞がれました。

そのまま一路、先に家路に・・・

 

 後には修羅と羅刹と親爺と兄貴が・・・無双?

ドサクサに紛れて、ヤラレそうになったケモノが一匹?

 

 後は宙を舞ったとか・・・ご想像のままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・暴走してしまいました・・・




面白半分に暴走して見た結果です。
思う様には中々に・・・

次回 布石

大変ツマラナイ物なのですが、これは布石だと、思って頂きたい。
別のサイトで挙げて見た所、大いに評価が下がりました・・・

その後、挽回できましたけど・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、お手紙?

本編をお望みの方には申し訳ない。
本編はまだまだ書けません。

こんな感じになるかな~と。
リハビリがてら書いています。


1月24日

 

 ある日の高町なのはとフェイト・T・ハラオウンの口元がマスクで覆い隠されていた。

 

「あれ? 高町教官、風邪でもひかれたんですか?」

 

 何時も元気はつらつとした様子で自分達を扱いているのにマスクで口元を覆っている。

さては、鬼の霍乱か!? と思うのも無理はないのだろう。ついでに、これは日頃の恨みを晴らすチャンスが訪れたのかもと思った者も居たとか?

 

「あ、ううん。何でもないの」

「で、ですが、もし何かあったりしたら・・・」

「そうですよ! 何かあってからじゃ手遅れです!」

 

 日頃のハードな訓練を免れるチャンス! と思っている者も、割と多かったり。

 

「私は大丈夫! じゃあ、皆。今日の訓練を始めようか!」

 

 と宣言すると、何時も通りに全員を撃ち落として訓練を終えるなのは。

 

「結局、あのマスクは何だったんだ?」

「さぁ・・・」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「フェイトさん。その、風邪でも引かれたんですか?」

「あ、ううん。一寸マスクが取れなくなっちゃって・・・」

 

 フェイトの何時もとは違う、歯切れの悪い言い様に、返って心配が増したティアナ。

 

「えっと、何か出来る事があれば言って下さい!」

「う~、ホントに何でもないの。心配しないでね」

 

 それでも心配は消えず、気が散りがちになってしまうティアナとシャーリー。

 

「何かあったのかな?」

「うーん、昨日は特に変わった様子もなかった筈なんだけど・・・」

 

 何気なく時間を確かめると、

 

「あ、そろそろお昼か」

「え、もうそんな時間?」

「フェイトさん、お昼はどうしますか?」

「え!? ど、如何しよう!」

 

 有り得ない位にうろたえるフェイト。

 

「えっと、先に食べて来てもらっても良いかな?」

「フェイトさんは?」

「一緒に食べにいきませんか。最近、美味しい所見付けたんです!」

「わ、私は・・・なのはと約束があるから! じゃぁ!」

 

 とばかりに大急ぎで外へと出て行くフェイト。

 

「い、一体」

「な、何が」

 

 呆気にとられ、執務室に取り残される事になったシャーリーとティアナ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

時空管理局本局 古代遺物管理部の一室

 

「で、二人ともここに来たんか」

「ゴメンね。ハヤテ」

「ゴメーン、ハヤテちゃん」

「まぁ、見れば理由は分かるんやけど・・・」

 

 そう言って、後ろを振り返ると他にもマスクを付けたシグナム、シャマル、ヴィータが居た。

 

「ん? ああ、なのはとフェイトか」

 

 何だか昔のレディースにしか見えないシグナム。

 

「あらあら」

 

 違和感は無いが、思わず口を抑えて逃げたくなるシャマル。

 

「あー、アレは・・・反則だな」

 

 ・・・まぁ、問題は何も無いが、庇護欲を誘うヴィータ。

 

 そんな事を言いながらもう誰も見ていないのだからとマスクを外した。

 全員の両の頬っぺたに小さな手形(モミジ)を付けたヴォルケン・リッターがそこに居た。

ついでにザフィーラは体中が手形(モミジ)だらけ。

アルフは頬っぺたにモミジが付いていたりするが、色が近い所為とパンク風のメイクにも見えなくは無い為、そのままだったり?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 事の始まりは、前日の幼稚園でのお遊戯?

 

「さぁ、今日は1月23日 文《23》=ふみの日です。

皆の家族にお手紙を出しましょう!」

 

 と言って、様々な紙と色々な絵具を溶いたお皿が並べられた机を示した。

 

「じゃあ、みんなー。手を洗ってお手紙を始めますよー!」

 

 手の平に絵具を付け、ペタペタと手形を付け始める園児達。

次第にエスカレートして、足形を付ける者あり、耳形を付ける者あり、鼻型を付けようとして顔中に塗りたくる者あり。

 

 余りの楽しさに時を忘れて大騒ぎになった頃、偶には揃ってお迎えに行こうと言う話になったなのは達が訪れた。

 

【! ママー!】

「「「「「はぁい♡」」」」」

【オテガミー!】 ペタペタペタペタペタ! と連続してタッチ!

 

 くっきりハッキリと手形が付いた。

ちょっと驚いたが、洗えば落ちるだろうと思っていたが、何がどう作用したモノか、魔法的に定着してしまった手形。

 

 取敢えずは、一日経てば消えるだろうと? それまで我慢を通す事になったとさ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 可愛い手紙を前に相好を崩すリンディ提督。

 厳しい顔を綻ばし、いそいそと手頃な写真立てに納めて、家族写真の隣に並べるナカジマ部隊長。

 喫茶翠屋の店主たちも、写真立てに納めて幸せそうに眺めている。

 ある手紙を手に入れる為だけに、画期的な発明を開発し始めるスカリエッティ。

 

 ヴィヴィオは?

 

「あ、ヴィヴィオちゃん。そのヘアバンド、似合ってていいなー」

「そ、そうかな? えへへー」

 

 コロナにそう言われ、一寸気にしているが、そう言われるとまんざらでもない様子なヴィヴィオ。

 

「私にも貸してもらっても良い?」

「ダ、ダメ! 今外せないの!」

 

 お凸にポン! と押された模様。

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 

お手紙=手形の意味?

 =デュオ()の大好きなモノ!

 

 ちなみに、元ナンバーズの面々は?

 

「・・・うらめしや」「この身体で無ければ・・・」「こんな事になるなんてぇ~!」

 

 と大いに嘆かれたとか?

AMF効果が作用してしまったとかで、表面でキャンセルされてしまった・・・とか?




また思い付いたらの更新になってしまうかと思われます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

バターロール中?

新聞のいわせてもらお、から応用・抜粋

極短い物となります。


 108部隊の隊長室。

部屋の主が時計を見上げ、

 

「おっと、もうこんな時間か」

【ナニナニー?】

 

 と部屋には似つかわしくない子供の姿。

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 幼稚園からの帰り道、一寸確認する事もあったのも有り、立ち寄った所、途中で事件発生、急遽出動が掛ってしまった。

さて、子供をどうするかと悩む前に、自分が子供を預かる事を買って出たナカジマ部隊長。

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 デュオは書き損じの書類≪=いらない紙≫を貰って落書きしたり、折り紙したり。

周りも慣れたもので、気晴らしがてら構ってもらったりしている。

 女性隊員は、これからの予行演習として。

 男性隊員は、部隊長の娘さん達に良い所を見せ様といった下心は・・・あるのかも?

 

「ん? ああ、ちょっくら見周り(パトロール)をして来るから、直ぐに戻るから、留守番を頼むな」

【ワカッター!】

 

 元気な返事を聞きながら、パトロール中の立て札を机の上に載せると外へ。

 

 デュオ一人残され、暫し。

 

PPP PPP PPP! 電話が鳴り出した。

 

 椅子をよじ登って上に立つと、テーブルの上に。

音と共に光るボタンをてしてしと押した。

 

 押されると同時に目の前一杯に知っている顔が現れた。

 

『あ、ナカジ・・・?』

 

  名前を呼び掛ける半ばで途切れ、どうやら向こうは掛け間違えたのだろうかと首をひねっている。

 

【ハヤテ姉ー! コンバンワ!】

『ハイ、今晩は。って、デュオ? ゲンヤさんはどないしたん?』

【ンットネー、エットネー。パジ、バターロールチュー!】

『ほうほう、バターロールチューな』

 

 聞いて何故? と疑問を感じてはてなと首を傾げている。

 

『バターロール・・・チュー?』

 

 と反芻してみるハヤテ。

脳裏では、業務用の窯でパンを焼くゲンヤの姿。

 

 そこから取り出したばかりの熱々のロールパンに熱いベーゼを・・・と思い浮かべ。

 

【ソー! バターロールチュー】

『えーと、チョイ待ち!』

 

 ハヤテは言われた事と、デュオの前にチラチラ見える物から推理して結論を出した。

 

『今は・・・パトロール中って事やな?』

 

 と確認の為にも言い方を変えて尋ねるハヤテ。

 

【ソー。今、バターロール中ダカラ。オ留守番!(バーン)

『そかそか、偉いなー』

 

 エッヘン! と胸を張るデュオに、

 

『ほな、また後でなー』

【ウン、アトデー!】

 

 画面の中から手を振るハヤテに手を振り返すデュオ。

 

「ん? どうした?」

 

 とようやく戻って来たらしい。

 

『あ! 丁度良かったぁ。ナカジマ部隊長にお話が有って・・・』

 

 と何やら話し始めたので、また落書き折り紙を再開するデュオだった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ナカジマ家では、当たり前に業務用の(オーブン)があったりするらしい?

人数も、量も、半端ないので当たり前?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハジメテノ、呪歌・てふてふ? 追記+ママのお味は?

一応、割とキレイに出来ました。
一寸物足らなくは有るのですが・・・それはまたの機会にでも。

かつては誰しも一度は口ずさんだ事は有るかと思われる歌から。


飛び火? ママのお味は? を追加しました。


 今日のお迎えは意外な組み合わせな二人。

 仮釈放中の定期審査の為、ミッドチルダに滞在中のルーテシア。

 その監視役という名の付き添いのキャロ。

 

 そんな二人との、幼稚園からの帰り道での会話。

 

「今日は幼稚園で何をしてきたの?」

 

 と右手のキャロが尋ねると。

 

【今日ハネ、オ歌。歌ッタノ!】

「どんなお歌だったのかな~。私にも教えてくれる?」

 

 幼稚園に行く事が無かった左手のルーテシアも聞きたがった。

 

 エリオは久しぶりにこっちに来たからと、母校の訓練に参加する事になっていたので別行動。

 

【ンーット、エットネ、エットネー。

テフテフ(チョウチョウ)ノウタ~!】

 

 デュオが力を込めて謳い始めると、繋いだ両手を通して魔力が循環し、意外な作用をもたらした?

 

「わぁ! キレイ!」

「ふわぁ! こんなに沢山!」

【ワァー!】

 

 大小様々な色とりどりの蝶々が周囲に現れ、群れとなって舞い踊り始めたかと思ったら、有る方向を目指して飛び立ち始めた。

 

【何処行クノー?】

「何処だろうね?」

「きっと、歌詞にあったお花の所に行くんだとおもうよ」

【ドコドコ!?】

「うーん、何処だろう? お花畑かな?」

「なら、追いかけてみよっか!」

【行クノー!】

 

 という事で、蝶々の行く先を確かめるべく、跡を辿って行く事に。

 

 

  ・・・   ・・・

 

 

 ルーテシアがインゼクトを召喚し、道を辿る様に飛ばし「何処に行ったかなぁ?」と言いながら【イタァ!】とデュオに探させながら跡を追った。

 

 追い掛けて、追い掛けて、辿り着いたのはとある広い敷地。

 

「えっと、ここは何処だろう?」

「んーっと、エリオの学校じゃないかな?」

【蝶々ハドーコー?】

「何処に行ったのかな?」

「んー、この辺りに来てるはずなんだけどー・・・あ!」

【蝶々イタァー!】

 

 ルーテシアが見付け、指差す先には大量の蝶に囲まれたらしき団子の様なモノが宙を漂っていた。

その周りを訓練生らしき生徒達が遠巻きに取り囲んでいる。

 

「なのはぁ! 無事かぁ!」

「な、なのはさ~ん! 大丈夫ですかぁ!?」

 

 その中に、ヴィータとエリオもいた。

 

「私は大丈夫なんだけど、真っ暗で如何なってるのかな?」

 

 そんな声が蝶々の団子から小さく聞こえて来たが、

 

【ア! ビータママー! エリオ兄ィー!】

 

 と呼ぶ声に掻き消されながら、そのままヴィータの元へと駆け、跳び付いたデュオ。

 

「って、デュオか、如何したんだ?」

【蝶々、追ッカケテ来タノ!】

「えっと、蝶を追い掛けてたらここに来たんだけど」

「ヴィータさん、エリオ君。何かあったの?」

「あ、キャロ。それが・・・なのはさんの元に沢山のチョウチョが飛んで来て」

「なのはの張ってたフィールド(シールド)に止まり始めたんだ」

 

 それを聞いたデュオは小首を傾げながら、

 

【・・・ナノハママ、甘々?】

「・・・イヤ、どっちかって言うとなのはは辛い方だな」=ツライでもカライでも可?

 

 ウンウンと頷き合うエリオと生徒達。

 

【チョウチョ!】

 

 蝶がふわりと一匹だけ、ちょこんと空中で翅を休ませる様に止まった。

 

「わ! こんなに沢山の蝶が私に!?」

「な!? なのはさんのWASか!」

「あ・・・今の、聞こえてたりは」

「え? 何かな?」

 

 ホッと胸を撫で下ろす面々。聞かれてはいなかった様だ。

 

 取敢えずの危険はなさそうだが、なのはから離れないので、一旦訓練を中断して様子を伺う事に。

 

・・・十数分後・・・

 

 暫く立つと、一匹、また一匹と、満足したのか空に帰って行く蝶達。

 

「わぁー! 綺麗だねー」

【チョウチョサン、マタネー!】

「うん、またこんなのが見れると良いね」

 

 やっと解放されたなのはも、

 

「わぁ、キレイ」

「だな。でも、何でなのはにだけあんなに集まったんだ?」

「どうしてでしょう?」

 

 デュオはデュオで、中から出て来たなのはに駆け寄ってよじ登って、特等席とばかりになのはの腕の中から見ている。

 

【! ナノハママ、甘々?】

 

 なのはが甘いから(たか)っていたのか、気になったらしい。

 

「えー? どうなのかな? デュオはどう思う?」

【ンー?】

 

 パクリ、ハムハム、ぺロリ

 

【・・・甘クナイ、塩(ツラ)カッタ?】

 

 それを見た周囲は、やはり、なのはさんは辛いのか!? と周知したらしい。

 

「あはは、それを言うなら塩辛いだよ」

 

 となのはは軽く訂正する。

 

「あは! 汗を掻いてるからかな?」

「なのはさん、中は大丈夫でしたか?」

「あ、私は大丈夫だよ。ちょっとだけ魔法力を吸われた感じがしたけど、そんなに変わりは無いみたいだし」=他人と比べると・・・いか程?

 

 真実を言い当てるルーテシアに、心配するキャロ。 

 勝手な事を言ってそれを聞かれていなかった事に安堵する面々。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

後日の無限書庫では・・・

 

「えっと、あの蝶はっと・・・」

「ルール―、この蝶が似てるんじゃないかな?」

 

 昆虫図鑑を積み上げ、調べものをしているルーテシアの元に、キャロが見付けたモノを持って来た。

 

「んー? どれどれ?

・・・似てるけど、ちょっと違うかな? 大きさもかなり違うみたいだし」

「そっかぁ」

 

 そんなこんなで更に本を積み上げて行く二人。

 

「何を調べてるんだい?」

「あ、ユーノ司書長。ちょっとね」

「この間見た蝶について調べてるんです」

「えっと、なのはに(たか)ってたっていう蝶かい?」

「そーなんだけど、何か引っ掛かってて」

「私も、何かで見た覚えは有るんですけど・・・思い出せなくて」

 

 ユーノはふむ、と片手で肘を持って顎に手をやると、

 

「じゃぁ、ボクも調べるのを手伝ってあげるよ」

「わぁ、助かります!」

「やった! これで何とか成りそう!」

 

 ユーノはふと辺りを見回すと言った。

 

「ところで・・・二人だけで調べて居たの?」

「あ、デュオは」

「えっと・・・あ、居た」

「ドコ?」

「シー」

 

 キャロが唇に手をやって静かにと教えると、本の影を指し示した。

 

 本を途中まで広げた所で力尽きたのか、突っ伏して眠っていたのを目にし、ユーノはそっと白衣を脱いでデュオの上に掛けてあげる。

 

「ふふふ、どんな夢を見てるのかな~?」

「きっと面白そうな夢だと思うの」

「さて、それでどんな蝶だったんだい? ここに載ってないなら、もしかしたらだけど、新種だったのかもね」

 

 

・・・   ・・・   ・・・

 

 

飛び火? ママのお味は?

 

【ビータママ~! ビータママハ、ナニ味?】

「うぇ!? ま、待ってろ!」

 

 咄嗟に持ち歩いている小さな小壜に人差し指を突込み、差し出した。

 

【ア~ン! ! !! アマ~イ!】

「・・・ヴィータちゃん」

「な、何だよ。何も問題は無いだろ?」

「甘々だね」

 

 ビータママは蜂蜜(ハニービー)味?

 

 

 

管理局内 喫茶・ニッケイ

 

【シ~グゥ~マァマァ~!】

 

 パタパタと駆け寄ってくるデュオ。

 

【シグママ! ナニ味?】

「ん? デュオ、どうした?」

 

 そっと間食のトーストを皿に戻して抱き上げようと手を伸ばすシグナムだったが、パクリとその指を咥えられた。

 

【ン~ット・・・アマ~イ! シシモン(シナモン)?】

 

 シグナムはシナモントーストに掛けられたシナモンシュガー味?

 

 

 

医務室

 

【シャママ~!】

 

 可愛い声と共に飛び込んだ!

 

「はぁい♡」

【シャママ、ナニ味?】

「え? ヴィータちゃん、シグナム、どういう事?」

 

 一緒に来たヴィータとシグナムに尋ねたシャマル。

 

「あ~、シャマルの味が知りたいってさ。

ちなみに私は蜂蜜味で、シグナムはシナモンシュガー味」

「う~、ズルイ」

「し、仕方がねーだろ! 咄嗟だったんだから!」

「軽食を摂っていた時だったからな」

 

 焦るヴィータに、何も憚る事は無いといった風情のシグナム。

 

「えっと、一寸待っててね! 手袋を外して手を洗ってからね~」

 

 そう言って何とか時間を稼ぎだした。

 

「えっと・・・何か甘いモノは無いかしら・・・!」

 

 そこに在ったのは黒い色をしたシュワシュワとした液体の詰まったペットボトル。

それを同僚の女性医務官の嗜好品。同僚がコップに移し替えているのを見るや。

 

「えい! はい、良いわよ~♡」

【ア~ン! ! !! ・・・ヴワァ~ン!】

 

 余りの味にビックリして逃げ出した!

 

「え!?」

「「シャ~マ~ル~!」」

「あー、子供にはコレはキツイわよ」

 

 黒い液体の正体は『胡椒博士』?

 

 

 

【フェートママ~!】

「ど、如何したの?」

【シャママ、ヘンナ味シタ~】

「そ、そう、ビックリしたね」

 

 何も分からないが、なだめて泣きやませることに専念するフェイト。

暫くすると落ち着いた。

 

「何があったのかな?」

【フェートママ、ナニ味?】

「ん~?」

【ナノハママ、塩辛ダッタ! ビータママ、甘々ダッタ! シグママ、シシモン! シャママ・・・ヘンナ味! フェートママハ?】

「そっかフェイトママの味はね~」

 

 きょときょとと辺りを見回して目的のモノを見付けそちらに歩いて行く。

 

「一つ下さい」

「はい、毎度あり」

 

 冷たくふんわりしたそれをデュオの口へ。

 

「こんな味かな?」

 

 デュオの口にクリーミーでミルキーな味が口に広がった!

 

【ツメタクテ、オイシー!】

 

 バニラなソフトクリーム。

些細な事は忘れてソフトクリームに夢中になった!

 

 

 

ヴィヴィオは?

【ナノハママ~! ビビオ姉、鮮烈(ビビット)ナ味ガシタ~!】

「わ、わぁ!」

「ヴィヴィオ~、何を食べて来たのかな~?」

「う、ノーヴェとス、スパイシーなカラ揚げを・・・」

「デュオ、ヴィヴィオのカラ揚げ貰っても良いわよ」

【ワーイ!】

「わーん!」




強力な召喚士二人を通じ、蝶々を召喚させてみました。

さて、古文ではてふてふとは、蝶々を意味します。
意外と共通点が多かったりしたので作成してみました。

良く分からなかった方は、童謡「ちょうちょう」で検索してみてください。
 なのはにたかった訳も分かる筈かと。

もし続きの三番も謳っていたら、トンボ(ドラゴンフライ)がエリオの元へと行ったかも?



最後に、腹痛を発生させたらしい呪歌を活動報告にて掲載中・・・
 他人に見せたら、腹筋が崩壊したらしい・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

・・・謎の絵画 & 人体実験!?

つまらないモノですが・・・
まぁ、次回を面白く出来るかなと・・・

分量が微妙なので、もう一話!
これは私の職場での問題でもあります。


 士朗爺ちゃんとお出かけ!

面白いモノを見せてくれるって!

 

 渋くない? 若者の街? なのに、谷間にある街へ!

道行く人は皆スッゴイ、カラフル!

 ツンツン(髪型)! キラキラ(服装)! きゃぴきゃぴ(死語)? プリプリ(死語)? にょきにょき【判るかな】?

 

 そんな人の中を、高見の見物! 肩車で移動!

はぐれたら大変だからって!

 

 なのはママ、フェイトママ、あんまり来た事ないって!

だから、一杯見て来るの!

 ビビオ姉、今日はシュギョー!

 

 

判じ絵・判じ物

 

 クモの巣に鎌?

 

 木の枝にクモの巣?

 

 鈴の成る木?

 

 赤い栄の字?

 

 白抜きの漢字の魚という字?

 

 蛙がお茶を点てている?

 

 目が平たいお茶碗の男性?

 

 鷲と田圃の絵?

 

 猿の絵に濁点?

 

 男の人が、女の人に何かの紙を差し出して。

女の人、それ見て泣いてる?

 

 鈴の下の方に目玉が書かれてる?

 

 鈴が蒸し器で蒸されてる?

 

 入れ歯と猫が寝転んでいる?

 

 俵? の絵の真ん中が消されてる?

 

 桜の花の絵の真ん中も消されてる?

 

 錐が二本とクモの巣

 

 

 そんな絵画を見て来た!

それぞれに意味があるって!

 

 でも、輪っかんなーい!(誤字にあらず)

 

 

 極めつけは、

 

 おならに火が点いて濁点が付いてる?

 

 頭が菜っ葉でオナラ゛してる?

 

 象さんと・・・金太郎さん?

 

 狐さんが台に載ってる?

 

 火の玉に濁点、下に○輪っか?

 

 春夏冬中?

 

 脚の絵に濁点?

 

 

 判っかんないから、聞いて見た! ・・・成程、読み方は判った!

帰ってママ達に聞いて見る!

 

 ママママ、割と即答! ほぼ正解!

 

 美由紀姉、戸惑いつつも幾つか正解!

 

 なのはママ、フェイトママ、判んないって!

で、アリサお姉ちゃんと、すずかお姉ちゃん、ハヤテお姉ちゃんは、三人揃えば文殊の知恵だって頑張ってる!

 

 

「あ、判ったかも」

「え? アリサちゃん判ったの?」

「フフーン! コレは先入観があると判り辛いわね」

「何やて? そうは言われても・・・判らん!」

「・・・あ、もしかしてこうかな?

これなら、意味が通じるね!」

 

 二人脱却!

 

「え? ええ!?」

「そ、そんな・・・」

「判らんなぁ・・・」

「まぁ、三人には難しいかな?」

「そうだね、コレは遊び心がものを言うから・・・」

 

 悩む三人。

 

「・・・ところで、今日は何処に行って来たの?」

【ンット・・・煙草ト酒ノ博物館!】

 

 ブフゥ!×8

 

 つい、噴き出してしまった。

 

「・・・アナタ」

「お父さん!」

「小父さん!」

 

 詰め寄る三人!

 

「ち、違う! 塩だ! 塩!」

 

 急ぎ訂正する中、また一人帰って来た。

 

「ただいまー! あ! デュオ! 如何だった?

たばこと塩の博物館!」

【面白カッタ! オ塩ノオ船ガ有ッタ!

ア、ビビオ姉! コレ、判ル?】

「んー? どれどれ?

・・・うわー! 判んないかも・・・

あ、でも、これなら分かるかな?」

 

 そう言って、指し示したのは、

 

 猿の絵に濁点?    =猿゛ =笊

 鈴が蒸し器で蒸されてる?   =鈴蒸し =鈴虫

 春夏冬中?    =秋無い中 =商い中

 狐さんが台に載ってる?   台・鳴き声(コン・本当はギャッギャッ!) =大根

 脚の絵に濁点?   =脚゛ =あじ =鯵

 

「・・・コレで、合ってるかな?」

「合ってるよ!」

「うん、それで良い筈だよ!」

「う、うう・・・如何しよう、ハヤテちゃん」

「あかん、このままじゃ・・・フェイトちゃんは?」

「・・・一寸解らない。なのはは、判らないの?」

「うーん、もうちょっとで判りそうなんだけど・・・」

 

 チリリィン!

 

「あ、いらっしゃいませ!」

「おーっす! ハヤテ、居ますか?」

「ええ、来てるわよ。今一寸悩んでるみたいだけど・・・」

 

 そう言って奥の方を指し示す。

その示された方へと進み、何やら悩んでいる所を覗き込む。

 

「んー? あ、これ? これなら、判るよ」

「な、何やって!?」

「ヴィータちゃん! ホント!?」

「え!? ええ!?」

「な、なんだよ!? そんなに詰め寄って来て!

あれだろ? 判じモンだろ?

それなら何度か見に行って来たさ」

(ゲート・ボ-ル仲間とちょくちょく?)

 

 クモの巣に鎌   =鎌巣 =魚のカマス

 木の枝にクモの巣   =木巣 =鱚

 鈴の成る木   =鈴木 =鱸

 赤い栄の字   =赤栄 =魚? のアカエイ

 白抜きの漢字の魚という字   =白魚

 蛙がお茶を点てている   =お茶+蝦蟇 =茶釜

 目が平たいお茶碗の男性   =平茶腕が目 =魚の平目

 鷲と田圃の絵   =田圃・鷲 =タワシ

 男の人が、女の人に紙(三行半)を差し出して。女の人が去る   =去る =猿

 入れ歯と猫が寝転んでいる   =歯・猫 =は・ねこ =はこね =箱根

 俵の絵の真ん中が消されてる   =俵 =たわら =た ら =鱈

 桜の花の絵の真ん中も消されてる   =桜 =サクラ =さ ら =皿

 錐が二本とクモの巣   =キリギリス

 おならに火が点いて濁点が付いてる   =屁火゛ =ヘビ =蛇

 頭が菜っ葉でオナラ゛してる   =菜屁゛ =なべ =鍋

 象さんと・・・金太郎さん?   =象金(太郎) =ぞうきん =雑巾

 火の玉に濁点、下に○輪っか   =火゛○ =びわ =枇杷

だろ?」

【スゴイスゴイ! ビータママ、スゴイ!】

「へへ! まぁ、色々行ってたからな!」

 

 大得意なヴィータ。

それに比べて三人は落ち込んでいるご様子。

 

「う、うう」

「ま、負けた」

「そっか! それで・・・」

 

 それでも納得した様子ではある。

 

「他にも、蟻が十匹で、ありがとう。

4649でヨロシクとか、釜をぶった切ってカマキリとか、棒が五本で牛蒡とか・・・

難しいのはかなり難しかったりするんだぜ」

 

 

 その後、6人で見物に行ったとか・・・

入り組んだ所の小さな博物館に辿り着くまで、幾多の障害(ナンパ・スカウト)が立ち塞がったとか・・・

尽く、薙ぎ倒したそうな・・・

 

 障害に対し、盾《ヴィヴィオ》は通用しなかったり?

子連れでもお構いなし?

親子だとは信じては貰えなかった様子?

 

「こうなるんやったら、デュオ《盾として》も連れて来るべきやったかな?」

「ユーノ君も連れて来た方が良かったかな? 興味が有りそうに思うけど・・・」

「なのは、それはどうかな?」

「うーん、信じては貰えないかも?」

 

 ・・・女顔だから?

 

「だったら、お父さんかお兄ちゃん(士朗・恭也)に来て貰う?」

「イヤイヤ、逆効果だと思うで?」

「そうかな?」

「え? どうなんだろ?」

 

 思い思いの事を口にしている。

それを、多少は慣れている二人はその話を聞いていた。

 

「まぁ、気にしてもしょうがないわよ?」

「そうだよね、軽くあしらえば良いんだけど・・・

この面子だと、一寸ね・・・」

 

 美女と美少女が揃い踏み。

こんな集団が居れば、声を掛ける方が当たり前?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

人体実験!?

 

 

「・・・はい、はい。では、その様に・・・」

 

 ママママ、何だか難しい顔してる。

 

「お母さん、如何したの?」

 

 その様子を気にしてか、美由紀姉が声を掛けてた。

 

「ええ、一寸難しい注文だったの・・・」

「へぇー、どんな?」

「うん、それがね・・・」

 

 ・・・専門的過ぎて判らない!

 

「うわぁー、それは難しいね」

「でしょ? 出来ない事は無いんだけど・・・」

 

 何やら悩ましげ?

 

「うーん、問題はそれで納得出来るかだね」

「そうなの」

「あ、なら・・・」

 

 何故かコッチを見ている美由紀姉。

 

「あら、それなら・・・」

 

 ・・・何だか、良い予感?

 

「じゃぁ、なのはに頼んで見たら?」

「・・・それもそうね」

 

 そんなこんなで、当分は地球でお泊り?

幼稚園はお休みだし、問題無い?

ヴィヴィオ姉は学校があるから駄目だって!

 

「ごめんね、デュオ。

代わりに美味しいモノを作って上げるからね?」

「ごめんねー。

デュオだけが頼りなの」

 

 ママママと美由紀姉から頼まれた。

何だか実験するから、その被検体?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「あらあら、これは今一だったかしら・・・」

「え、そう? そうは思えないけど・・・」

 

 一寸パサパサ?

 

 

「うーん、これも今一かな?」

「え、何処が!?」

 

 ・・・薄い?

 

 

「あら、良さそうね。でも、あと一息かしら」

「うーん、違いが・・・」

 

 一寸、物足りない・・・

 

 

「・・・これなら良さそうかしら?」

「・・・そうなの!?」

 

 満足!

 

「・・・お母さん、何処が違うの?」

「あら、見て判らなかった?」

 

 美由紀姉の問い掛けに、ママママは意外そうに応えてる。

 

「うん」

「微妙に違いが出ていたりするのよ?

つぶさに見るんじゃなくて、全体でみると一寸違ったりするのよ」

 

 美由紀姉とジッと見詰め合う・・・

 

「・・・ワッカンナーイ!」

 

 美由紀姉の方が折れた!

訳は判らないが、勝ったー?

 

「ふふふ、まだまだね」

 

 軽い笑みを浮かべる桃子さん?

 

 その後も、数々の試作品を・・・食べ続け・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そんなこんなで、数日が経った喫茶・翠屋の店内。

 

「あの! 本当にありがとうございました!」

 

 唐突に頭を下げて来る男性。

 

「いえいえ。こちらこそ、良い体験になりました」

「ですが、本当に・・・あの子のこんな笑顔が見れるとは・・・」

 

 そこには、満面の笑みを浮かべる女の子。

その母親らしき女性も、安心してその笑顔を見守っている。

 

「ありがとうございます。

この子の為に、無理を聞いていただけて・・・

小麦も卵も乳製品も無しのケーキを・・・

ありがとうございました!」

「いえ。そんなに畏まらないでください。

こちらが、このケーキのレシピになります。

他にもバリエーションを替えたモノもありますから。もしよろしかったら、お家でも作って上げて下さい」

 

 そう言って、簡単にまとめたレシピを渡している。

 

「そ、そんな・・・よろしいのですか?」

「はい」

「では、頂かせて貰います」

「はい、これからもご贔屓にしてくださいね」

「「はい!」」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その家族が帰った後。

じーっと、ママママの顔を見て見る。

 

「あら? どうしたの?」

【ドウシテ?】

「・・・うーん、デュオはまだ、知らないかな?」

「あ、さっきのケーキの事?」

 

 美由紀姉が気が付いた。

 

 コクコク!

 

「あれはね、アレルギー源の小麦粉・卵・牛乳を一切使わないケーキなの」

【???】

「それだと難しいわよ、美由紀。

あのケーキはね、小麦粉・卵・乳製品が食べられない人向けのお菓子よ。

どうしても食べられないから、別のモノにしたりするんだけど、どうしても同じモノが食べたい人も居るの。

だから、同じモノを食べられる様に、それでも美味しく出来る様に、色々工夫が要るのよ。

その為に、デュオに色々食べて貰ったの」

【??? ?? ? ・・・ !】

 

 一寸いつものじゃない、今一なモノが出て来たと思ったら、何かが足らないと思った。

それが無いから、違和感があった?

 

「そう、判ったかな?」

 

 コクコク!

 

「えっと・・・お母さん。本当に伝わってるの?」

「ええ、美由紀も慣れれば判って来ると思うわよ?

眼と顔は思った以上に雄弁なのよ」

 

 そう言われ、美由紀姉はこっちを覗き込んで来る。

 

「・・・うーん、まだ分かんないなぁー」

「ん、どうした?」

 

 休憩をとっていたマスターが奥から出て来た。

 

「あ、お父さん。

お父さんはデュオの言ってる事判る?」

「ん? それは・・・」

【オジーチャン、ノド渇イタ!】

 

 そんな風に訴えて見た!

 

「・・・判らん」

「あらあら、甘いモノばっかりだったから、喉が渇いたのね。

今お茶を入れて上げるわね」

 

 ママママはそう言って、奥へと引き上げて行った。

 

「・・・えっと、合ってる?」

 

 コクコク!

 

「流石だな」

「ホント、如何して分かるのかな?」

 

 謎は謎のまま、何故伝わるのかは判らない?

ただ、ニュアンスと子育ての経験から?

お菓子を通じて、子供と接する事が多いから?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ミッドチルダ・八神家

 

 仕事帰りのシャママを捕まえ、問うた。

 

【シャママ! アレルギーッテ、何?】

「あら? 随分難しい事を知ってるのね。

アレルギーと言うのはね、あるモノが多過ぎると起きてしまうの。

当たり前のモノでも、そうなってしまったりするし、まだまだ解らない事の方が多いのよ。

うーん、そうね・・・」

 

 そう言いながら、大小様々なコップを持って来た。

 

「普通の人がこれ位として・・・」 =一番大きなモノ。

 

「こっちが、比較的症状の軽い人」 =中位。

 

「これが重い人ね」 =お猪口位の小ささ。

 

「じゃあ、この急須に入っているモノが原因のモノ=アレルゲンだとすると」

 

 そう言って手にするのは、急須。

そのお茶を大きなコップに注ぐ。

 それは八分目位まで入った。

 

「この中に収まる分には大丈夫。だけど、」

 

 八分目位まで満たされたそれを手に、

 

「これを隣のコップに移します」

 

 ドンドン注がれ、溢れんばかりに・・・

 

「っと、これ以上は無理ね。

これ以上入れると、こぼれた分が悪さをしてしまうの。

コレを更に小さいモノに入れたら?」

【・・・コボレル!】

「はい、正解!」

 

 シャママはその答えに満足した様子で、話を続ける。

 

「こぼれた分だけ大変なの!

何が原因かにもよるんだけど、意外なモノだったりする事があるからね。

例えば、落花生、エビやカニ、イカ・タコも駄目だったりするわね。

キウイなんて例も在ったかしら・・・その中に入ってるモノが、悪さをさせてしまったりするの」

【小麦・卵・牛乳?】

「そうそう。他にも、大豆や動物の毛や虫なんかでも出る事があるのよ。

これには個人差も有って、一概にそうだとも言えないの。

だから、好き嫌いで食べないんじゃなくて、食べられなかったりするのよ。

触りたくても触れなかったりね。

知っておかないと、知らずに食べて具合が悪くなったりもするからね」

【???】

 

 何となく、分かる様な、分からない様な・・・

 

「まぁ、今直判らなくても良いから、そうしたくても出来ない事もある事は知っておいてね」

【・・・治セナイノ?】

「うーん、これはまだまだ解らない事の方が多いからね。

魔法でもまだ難しいかな?

それでも、少しずつ体を慣らしたり、代わりになるモノを作ってみたりはしているんだけどね」

 

 それでも魔法も万能ではないらしい。

 

「でも、これからは少しずつ、良く出来るように頑張るからね!」

 

 シャママの仕事は難しい上に、大変らしい。

 

【・・・シャママ、ガンパレー!】

「うん! 頑張っちゃう!」

 

 

 その後、

 

「なんや、これは!?」

 

 ハヤテが台所に駆けつけると、鍋から謎の七色の煙が出ていた。

 

「あ、そ、その・・・ゴメンなさい!

如何してもって・・・」

 

 台所から謎の物体Xが発見された?

それを一口食べ、倒れた。

 

 味は・・・甘勝った? 苦勝った? 辛勝った? 酢っぱ勝った? 塩辛勝った?

未知の味だった・・・らしい!




江戸の判じ絵を見に行って来たので・・・

この後、昔話や歴史を猛勉強したフェイトママ?

次回 反攻のフェイト!?

こちらは中々続きません・・・ただ、これは上手く行ったとだけ・・・


実は当方、給食のオジサンをしておりますので・・・何となく・・・
一応書いては見たモノの、その直後に痛ましい事故が・・・
ウチでは事故はまだ起きてはいないのですが・・・より一層、厳しくなりました。
気が抜けない。
でも、楽しくもある。
笑顔が観れる職場だから・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

フェイトママの反撃《ターン》!?

えー、ちょいと微妙なままですが、上手く出来たのはフェイト版だけなので・・・
なのは・ハヤテは今一出来が悪いので、暫くは・・・

一寸分量が足らないので、盛ります。

一寸気になる記事を見付けたのでチョコットだけ付け加えました。


 この間の事(判じ絵)で不覚を取り、様々な昔の事を学び直したフェイト。

 

【フェイトママー!】

「なぁに?」

【ニンジンサンハ、何デ赤イノ?

ダイコンサンハ、如何シテ白イノ?

ゴボウサンハ、如何シテ黒イノ?】

「それはねぇ・・・こんなお話が有るんだよ・・・」

 

 そう言って、寝物語りに昔話を語り始めた・・・

 

 

【注! ここから先は、デュオが勝手に連想した世界です。

・・・というか、その日見た夢?】

 

 

 昔々、大根さん【なのは】とニンジンさん【ヴィータ】、ゴボウさん【ハヤテ】がまだ揃って白かった頃?

とっても仲良しだったの。

 

 

 以下、メンドイので、名前で勝手に進めます!

着グルミな三人を勝手に連想してください!

 

 

 ある時、【ハヤテ】が三人で山登りに出かけようって言いだして、皆でお出かけをしたの。

それで、お山の頂上まで登り切った所で、へとへとに疲れちゃったの。

 

 日が暮れて来そうな時分。

どうやって帰るのかを思案している三人?

 

 取り合えずは、大きな木の根元で休憩していたら、農夫【ユーノ】がやって来て、これから山を降りようとして居たの。

そこで、【なのは・ヴィータ・ハヤテ】の三人? は、ユーノに自分達を連れて降りてもらえないかって頼んだの。

 

「何だい? どうかしたのかい?」

 

 これ幸いと、人が良さそうな感じであったから、

 

「下に降りるのなら、私達も連れて行って下さい!」

 

 と【なのは】は言った。

 

「頼む、一寸疲れちまって・・・」

 

 と【ヴィータ】も訴えた。

 

「後生や、一緒に連れて行ってもらえへん?」

 

 と【ハヤテ】もお願いした。

 

 ユーノは悩んだ。

自分が連れて行けるのは一人位だ・・・

だから、その事を告げた・・・

 

「連れて行くのは良いけど、一人だけになっちゃうけど・・・良い?」

 

 それを聞き、三人は考えてから答えた。

 

「まぁ、しょうがないよね」

 

 【なのは】がそう言うと、

 

「おう、そうだな。贅沢は言えないか」

 

 【ヴィータ】も答え、

 

「まぁ、しゃあないな」

 

 【ハヤテ】も納得した様だった。

 

「じゃぁ、誰を連れて行けばいいのかな?」

 

 そう言う【ユーノ】の顔を見て、三人はお互いの顔を見合わせた。

 

「うーん、どうしよっか?」

「まぁ、無理を言ってるのは承知だし・・・」

「どないしたら公平になるんかな?」

 

 あーだこーだと話し合う三人。

結果、結論が出た。

 

「じゃあ、貴方に選んで貰っても良いですか?」

 

 そう【なのは】は頼んだ。

 

「おう、それが良いな。お互いに恨みっこなしだ!」

 

 【ヴィータ】もそれに賛同した。

 

「そやね、それで選ばれたなら、仕方ないなぁー」

 

 【ハヤテ】もそれで納得した様子だった。

 

 だが内心は、

 

《ここは私が選ばれるべきなの!》と【なのは】

《ここはアタシが選ばれるだろう!》と【ヴィータ】

《イヤイヤ、ウチこそが選ばれるべきや!》と【ハヤテ】

 

 三人それぞれ裏腹な事を思っていたり?

 

 

 【ユーノ】視点 心の声?

 

《誰を選べばいいのかな?

【なのは】は、おっきいなぁ・・・≪どこが!?≫

【ヴィータ】は、小さいかなぁ・・・≪何が!?≫

【ハヤテ】は、細いなぁ・・・≪・・・妥当?≫

誰かを連れて行かなきゃいけない雰囲気だし・・・》

 

 

 ぐきゅるるるるぅ・・・

 

 

《ああ、お腹が空いて来た・・・

早く帰って夕飯を食べたいかも・・・シッカリと・・・!

よし、君に決めた!》

 

「じゃ、じゃあ、【なのは】

君を連れて行く事にするよ」

「え! やった! じゃあ、また後でね!」

 

 喜び勇んで【なのは】は【ユーノ】の背中に乗ると、さっさと連れられて降りて行った。

 

「な、何ぃ!」

 

 【ヴィータ】は真っ赤になって怒った!

 

「あ、ああ! な、何でや・・・」

 

 【ハヤテ】は膝を突き、崩れ落ちた。

そのままゴロゴロと転がり、土だらけに・・・

 

 

 そして、大根さんは白いまま・・・

ニンジンさんは赤くなり・・・

ゴボウさんは黒くなりました・・・

 

 

 そして、【ユーノ】に連れて行かれた【なのは】さんは・・・嬬琉璃【ジュルリ】と美味しく頂かれました?

 

 

 そして、三人が登った山は、大根下《=ダイコンオロシ》山と名付けられたとか・・・《実際にそうなのかは知りませんが、実際に在るそうです》

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

朝、目が覚めた。

 

 何となく、台所へと赴き。

そこで、朝食を作っている二人の元へ・・・

 

【・・・ダイコンサーン!】

 

 そのまま、ピッタリとした白いズボンを履いた足へと飛び付いた!

 

「ひゃわ!」

 

 なのはは驚きの声を上げた!

 

「え!? デュオ? 如何したの?」

 

 フェイトも驚きつつ、何が起きたのかは判った。

なのはは一寸驚きはしても、言われた事を思い出したのか・・・

 

「・・・ダ、ダイコン・・・」《何が?》

 

 ・・・精神的に大ダメージ!?

 

【大根サン、大根サン。

ユー兄二食ベラレチャッタンジャナイノ?】

「「え!?」」

 

 驚きを隠せない二人。

 

「おはよー!」

 

 前日、遅くなった為、そのまま泊り込んだヴィータ。

 

【ア! ニンジンサン! 今日モ赤イネ!】

 

 今日は赤い服だったヴィータ。

 

「はぁ!? どうかしたのか? デュオ?」

 

 急な事で、一寸事態が呑み込めていない様子。

 

「なんや? 何だか寝ぼけてるみたいやなぁ?」

 

 偶々遅くなった事から泊まり込んだ?

 

【ア、ゴボウサン! 今日モ・・・黒イ?】

 

 丁度、黒い服を着ていたハヤテ。

 

「ゴ、ゴボウ!?」

 

 ・・・精神的にダメージ!?

 

「おはよー! あ、デュオ。

目やにが付いたままになってるよ。

ほらほら、顔を洗って来ないと・・・」

 

 ヴィヴィオが起きて来て、その有様に気が付いた。

 

【・・・ウイ? ウン。

・・・洗ウ、ビビオ姉、メムイノ・・・】

「ほら、ちゃんと起きて。こっちだよ」

 

 寝惚けたままの様だ・・・

そのまま手を引かれ、洗面台へ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「で、如何して私は大根なのかな?」

 

 なのはは、返答次第では大魔王になりかねない!?

 

「おう、アタシがニンジンな理由もな」

 

 ヴィータも一寸憤慨?

 

「ウチがゴボウな理由も・・・」

 

 ハヤテは微妙な雰囲気?

 

 三者三様、一寸お怒り?

 

「な、何で僕まで・・・」

「・・・いいから、一寸居て貰うわね。デュオの答次第では・・・」《ドウナル!?》

 

 何故か、強制連行されたユーノ。

連行して来たフェイト。

 

「あ、そう言えば・・・」

 

 ふと、思い当たる事を思い出した。

 

「何? フェイトちゃん、心当たりが?」

「う、うん。

昨日、寝る前にお話しして上げた昔話の影響かな?」

 

 理由を聞き、デュオを問い。

とばっちりを受けたユーノ。

 

 

 

途っ品派羅李乃布雨《とっぴんぱらりのぷう》?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

夢は中々に理不尽なモノ、思い道理には・・・なりません。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

お相撲?

 

 

【フェイトママー!】

「ん? どうしたのかな?」

 

 トタトタと走って来るデュオを抱き上げ、顔を近付けるフェイト。

 

【オ相撲! オ相撲トロウ!】

「え? お相撲?」

「何々? どうかしたのフェイトちゃん?」

「あ、なのは。デュオがお相撲したいって・・・」

「あ! やろうやろう!」

 

 傍で聞いていたヴィヴィオも賛同して来た。

 

「「ヴィヴィオも!?」」

「え? しないの?」

「えっと。そ、それは・・・」

「・・・ど、如何しようか?」

 

 二人の脳裏には、一寸考えられない様な格好?

 

「えっと、お爺ちゃんとママママが教えてくれたの!」

「え!? お父さんとお母さんが!?」

「小父様と小母様が!?」

 

 またしても去来するイ・ケ・ナ・イ・イメージ?

 

「じゃ、私準備して来るね!」

【行クー!】

 

 二人して外へと飛び出して行った!

 

「ま、待って! 二人とも!」

「そ、そうだよ! 何処へ行くの!?」

 

 慌ててそれを引き止める二人。

 

「え? 公園だよ?」

【ソー、一杯! ビータママモー!】

「「え、えぇ!?」」

 

 訳は判らないモノの、取敢えずそのまま一緒に公園へ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

近所の公園

 

 その花壇の辺りや、足元に生えている草を物色するモノ。

木が生えている辺りで、何やら拾い上げているモノ。

 その中で、見知った相手が此方に気が付いた。

 

「ん? なのは、どうしたんだ?」

「あ! ヴィータちゃん!

デュオが相撲をとろうって、誘われたんだけど・・・」

「ああ、相撲な。とるよ?」

 

 そう言うものの、必要なモノが足らない様に思った。

 

「えっと・・・土俵とか、女人禁制じゃないの?」

「はぁ? 何言ってるんだよ?

草相撲だぞ?

オオバコや松葉でやるんだけど・・・何か勘違いしてないか?」

「「え!?」」

 

 意外な答えに驚いている。

 

「・・・その様子じゃ、知らなかったみたいだな。

オオバコの茎を絡めて引っ張り合って、切れた方が負けなんだ。

松葉も、又になってる所を、お互いに引っ掛けて引っ張るんだ」

「な、成程」

「そ、それで・・・」

「もしかして、二人ともまわしを付けてとる方の相撲だと思ってたのか?」

「う、うん」

「そ、そう思ってた」

「そんな筈ないだろ? こんな公衆の面前で・・・」

「そうだよね」

「そ、そうだね」

 

 その後、なのはとフェイトは意外に熱中してやる事になった・・・らしい?

どちらも負けず嫌い。

 

「・・・もう一回!」

「・・・もう一番!」

「・・・そろそろ、公園が禿げるぞ・・・」

 

 あらかた雑草が毟られてしまった模様・・・

 

【マーマー! カエロー?】

「ママ達、まだまだ終わらないのかな?」

 

 負けっぱなしでは終われない?




これは実際に在る昔話をアレンジしたモノです。
知っている方は知っている筈?

さて、皆さんはドンナ連想をされたのか・・・

【なのは】は、おっきいなぁ・・・≪どこが!?≫ =どこもかしこも!?
【ヴィータ】は、小さいかなぁ・・・≪何が!?≫ =あっちこっち!?
【ハヤテ】は、細いなぁ・・・≪・・・妥当?≫ =ほっそりと・・・でも、でるトコは?


食べられ方か?
=お風呂で炊かれて風呂吹きに?


私は私で勝手に想像して見ました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

したきりスズメ?≪リリカル風味≫

お婆・・・イエイエ、とあるママママがぶっこわれ気味です。

題名通り、舌切りスズメをリリカルに! 全力全壊!

お爺さんは慎み深く。
お婆・・・イエイエ、ママママはどちらでしょう?

果たして結末は如何に!?


したきりスズメ?

 

 いまか、いまかと?

 ある所にお爺さんと・・・お母さんのお母さんが居ました?

 

 お爺さんと、お母さんのお母さんの元には、喋れない【スズメ】? が行ったり来たり。

 

 今日はお爺さんのところで無邪気に遊び。

 

 次の日、お母さんのお母さんの所で無邪気に遊んでいたら、お仕事だからと追い出されてしまいました。

 スズメは【ム~!】と追い出されて怒っていたら、おいでおいでと手招きをするお爺さんと、山の手へお茶とお菓子をしばき(飲食)に行きました。

 

 また次の日、お母さんのお母さんの所に行ったら、またお仕事で追い出されてしまいました。

 お爺さんも、今日が山場だとかで悪い人をしばき(倒し)に行ってしまいました。

 

 そこで、スズメさんはお世話になってる恩返しをしようと考えました。

 そうと決まったら行動が早いスズメさん。

 家族の元へ、相談に行きました。

 

 相談したら、あ~でもない、こ~でもない・・・そ~でもない?

 

 ようやく話がまとまると、さっそく行動開始です。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 お爺さんが家に帰って早々、

 

「パパりん、パパりん。スズメのお宿はこちらッス!」

 

 見慣れぬ格好をした(スズメな)義娘に手を引かれ、何時もとは変わった山海の幸が並んだ我が家の食卓に、良く冷えたビール。

 

「こりゃあうまい、たまらんなあ」

「ささ、父上」

 

 スズメ義娘達に次から次へとお酌され、おじいさんが大喜びで食べていると、スズメ達は面白い踊りや歌を見せてくれます。その夜は一晩じゅう楽しく過ごしていると、

 

「お、おとーさん」

 

 真っ赤な髪に負けず劣らず真っ赤なお顔の義娘が「プ、プレゼントを貰って! 大きい包みと小さい包み、ど、どっちがいい!?」

 

 見ると、なるほど大きい包みと小さい包みが並んでいます。

 

 お爺さんは「おれは年寄りだ。こっちの小さい包みにするよ」といって、小さい方を嬉しそうに受け取っていました。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 翌朝、仕事場に向かったお爺さんは、≪スズメの≫お母さんのお母さんにスズメのお宿であった事を楽しげに話します。

 豪華な食事や楽しい踊りや歌で歓迎されたこと、大きな包みと小さな包みを選ばされて、小さな包みをもらってきたことを話します。

 

「ふ、ふ~ん」と興味深々にお母さんのお母さんは聞いていました。

「それで、その小さな包みには何が入っていたの?」と≪スズメ≫のお母さんのお母さんが包みが気になって気になって尋ねる事に。

 

「それはこれからのお楽しみだな」と言って、そこでパカッと開けてみると、大判小判がわっさわさ! 二人はたまげます。

 

「こ、こ、これは・・・なんちゅうことです!?」

 

 おばあさんは特に小判をじっくりと見ては、はぁ~、と物欲しげです。とてもとてもうらやましそうな顔をしています。

 

「お爺さん、大きい包みと小さい包みを出されて、小さいほうを選んだゆうとりましたな?」 =ちょっと気が高ぶってます!

「そうじゃよ。わしゃあ、年寄りだもの。これで十分」

「なんてバカなことを!!」

 

 ≪スズメ≫のお母さんのお母さんは真っ赤になって怒り狂います。小さい包みでこれだから大きい包みならどんなお宝が入っていたかと。さっきまでの羨ましげな雰囲気が一瞬で吹き飛びました。

 

 そして、お爺さんが止めるのも聞かず、まだ仕事中だというのに走っていきます。「お宝、お宝」と、欲のカタマリのようになって走っていきます。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

「スズメやスズメ、お宿はどこじゃ。

チュッチュクチュのチュンチュンチュン」

 

 ≪スズメ≫のお母さんのお母さんは呪文の様に呟きながら、頭の中は「お宝、お宝」です。途中でレティ提督に呼び止められました。でもそんなこと気にしません。聞こえてません。

 レティ提督はそれでもなお引き止めようとしましたが・・・

 

「スズメやスズメ、お宿はどこじゃ。

チュッチュクチュのチュンチュンチュン」

 

 レティ提督はその呟きを耳にして、英断です。

潔く身を引く事に決めました。

 

「スズメやスズメ、お宿はどこじゃ。

チュッチュクチュのチュンチュンチュン」

 

 ≪スズメ≫のお母さんのお母さんは唱えまくって進んでいきました。すると一羽の若い【ツバメ】が髪の毛に負けず劣らずの真っ赤な顔になりながら飛んできて「ツ、ツバメのお宿は・・・」と言い掛けて、チュン! という音を残してあっという間に飛び去りました!

 

 え!? 逃げちゃった!?

 恥ずかしかったみたいです。

 でも、

 

【コ~コッ!

 チュッチュクチュノチュンチュンチュン!】

 

 キッターーーー\(゚∀゚)/ーーーー !!!!!

 

 ≪スズメ≫のお母さんのお母さん、超大喜びです!

 見ると小さな段ボールの入口があるので、こじ開けてズカズカ上がりこみます。【=子供サイズで(つっ)かえました、主に腰回りが・・・なのでこじ開けざるを得ない?】

 

 そこには段ボールと色とりどりの折り紙で飾られたお部屋があり、運命の雷兎(サンダーバニ~)の若い【ツバメ】達が七羽、立っています。

 

「会いたかったよ~~! 私はお世話をしてあげたよね。恩人といってもいいくらいだよね? 恩は忘れてはいけないの! 恩は返さないといけないの!」と一息に言って「・・・わかるよね?」とにっこり。

 

「はい、ママママ。私もずっと会いたかったです。どうぞ上がってください。お食事の用意が」

「う、ぅうううう! 私は今、とっても忙しいの。そんな、食事なんて・・・いや、いらないとまで言わないけども、それは弁当箱につめて持って帰る。それよりおみやげ。おみやげを頂戴!」

 

「では、小さな包みと大きな包みのどちらが・・・」

 

 と言いかけると「こっち! 絶対こっち!」と≪スズメ≫のお母さんのお母さんは鼻息荒く大きな包みにガバッと飛びつくのでした。

 

≪スズメ≫のお母さんのお母さんは自分の背丈ほどもある包みを背負って、弁当を持って、帰っていきます。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 仕事の途中で抜けだした事をレティ提督に咎められて残業中。もう真夜中です。さすがに疲れてきました。

 リンディ提督はもらったお弁当を食べながら、しばらく休むことにします。

 

 大きな包みを前に、どんなお宝が入ってるのだろうとワクワクしているリンディ提督はにやにや笑っています。レティ提督は引いています。

 

 リンディ提督は、家に帰ってから開けようと思っているのですが、

 

「ねえ、リンディ。その包みは何なの?」

「えへへ~! 宝物がいっぱい入ってる筈なの!」

 

 と言い、どんな事があってその包みを手に入れたのかをレティ提督に話していると、話を聞いて段々顔が険しくなってきました。

 

「ふぅ~ん。ねぇ、ちょっと開けてみない?」

「え~! まだまだ!」

「危ないモノとかじゃないとは思うんだけど・・・気になる話があって」

 

 その話を聞くと、流石にリンディ提督も気にし始め、開ける気になってきました。

 

 ギイィーー、とつづらを開けます。すると・・・

 

 バアーーッ、とスゴイ煙がふきだしたと思うと、魔猫と雷兎と海狸と、妖精兎(ヴィヴィオ)妖精犬(リエラ)妖精竜(キャロ)白髭と黒髭なレプラコーンズ(デュオとカレル)と・・・出遅れた赤竜(エリオ)がワンサと飛び出します。

 

「ぎゃ、ぎゃぁぁぁーーー!!!」

「きゃ、きゃーーー\(゚∀゚)/ーーー !!!!!」

 

 レティ提督は大あわてで逃げていきました。

 リンディ提督は大慌てで主に可愛い妖精達を抱き締めに乗り出しました!

 

 欲張ったかい有り有りなリンディ提督でした。

 

 

  ・・・   ・・・   ・・・

 

 

でも、どうしてももう一匹が欲しかったそうな?

 抵抗激しく逃げられてしまった!




お爺さん =ゲンヤ・ナカジマ
お母さんのお母さん =リンディ・ハラオウン
スズメ =デュオ

 でお送りしました。

え? 他のキャスト?

魔猫 =NANOHA ほら、あくまで猫を被ってますよね?
雷兎 =運命 何で雷兎かって? 【若いツバメ】は平塚 雷鳥という方が始めたので、みんな運命に愛されてますよね?
海狸 =ビーバー(ハヤテ) ほら、言わずと知れた・・・(初めて知りました)


   ・・・   ・・・   ・・・


え? どうやって大きな包みに入ってたかって?
 それは~、妖精竜の魔法陣を箱の底に仕込んでたから!

え? 何でしたきりスズメかって?
 それは~、パーティを【したきり】まだ片付いてないままだから!

大判小判の謎?
 小判? =肩たたき券 ほら、小さな子供手形(はんこ)が押してあるから、リンディ提督が特に欲しかったらしい。
 大判? =お風呂で背中を流してくれるんだって! ≪大人、垂涎な券です≫でも、リンディ提督は要らないそうです。


楽しんで笑って頂けましたでしょうか?


   ・・・   ・・・   ・・・


After Side

「獲った~!」
「くっ! 放せ! エイミィ!」
「・・・え? 終わっちゃった? うん、うん。も~仕方が無いね。
折角・だ・か・ら、私が食べちゃう!」

 とアルテミスに捕食が決まったクロノであったとか。


   ・・・   ・・・   ・・・


ハジメテノ、秋見ーっけ! の大きな秋の結末を変更いたしました。
有罪はギルティ
無罪はノット・ギルティ
4匹目のデュオの下す判決は・・・如何に?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ウサギな使い魔?

何故こんな話になったかは、私にもワカリマセン。
何となく、こうなったのではないか、こうなるのではないかと・・・思うがままに形にして見たらこうなりました。

これはアリだと考えますか?


 ビビオ姉はウサギが大好き!

だから、おっきくなったらウサギさんが使い魔?

 

 ・・・どんなだろうか?

 

 ネットでウサギが使い魔な人を調べて見た。

・・・すぐ見付かった。

ウサギさんの会だとか・・・

割と良い人達で、会わせてくれるとか。

内輪のお祭り《オフ会》に参加決定!

 

 引率は、(ゲンヤ)お爺ちゃんにお願い!

 

 

 ・・・凄かった!

 

 

 うさぎさんて、実は凄いんだ!

 

 その事をビビオ姉に話したら、なのはママも会って見たいとか。

フェイトママとアルフも一緒!

ハヤテ姉も、何処から聞いたのか、すぐ駆けつけて来た!

 

 

 もっかいアポイントメントを取って、会いに行って見た!

 

 皆絶句!

 

 

 辺りはウサギさんだらけ!

半人型・原型 大小様々!

 

 格闘・陸上・毛並みコンテストなど、多数のイベントが行われている。

但し、概ね(使い魔が)男性の割合が多い。

 

 その中で、顔見知りになったウサギさんを見掛けたから、アレを頼む事に!

 

 ウサギさんウサギさん、アレを!

クイクイッと、厳つい逆三角のおっさんなウサギさんの手を掴んだ!

 

 傍目には、ウサ耳を付けた厳ついオッサン?

 

「ん? ああ、アレね!」(野太い声!)

「あー、またやるのか?」(男の声)

「今度は燃やすなよぉ!」(女性)

 

 そう言うと、徐に一升瓶の中身を口に含み。

松明から一本、薪を取り、前へ。

 

「バンニィー!」

 

 そう叫びながら、火を噴いた!

 

「「「「おー!」」」」

【エー、兎不動の火吹きが行われています。

周囲の方は、引火に気をつけましょう!

焼けたら、美味しく頂かれる事になるので、注意しましょう】

 

 たったそれだけのアナウンスで終わった。

・・・日常らしい。

 

「う、うう! ココでは我慢、我慢・・・うぅぅう!」

 

 アルフ、とっても苦しそう!

毛が逆立ってる!

よだれも止まらないみたい!

 

「こんなはずじゃ・・・こんなはずじゃあらへん!」

 

 ハヤテ姉は、想像していたモノとは違ったらしい。

 

「は、ははは! これは夢、だよね? そ、そうだよね?

ねぇ、そうだよね、なのは」

「う、うん。これは夢だよ。スターライト・ブレイカーで木っ端微塵に撃ち砕ける夢なんだよ!」

 

 ママ達は何だか硬直し、虚ろな目で見てる?

 

「えっと、これは・・・」

 

 ビビオ姉もビックリ!?

 

【ビビオ姉! ビビオ姉! コッチハモット凄イノ!】

 

 そう言って、硬直している大人は置いといて、ビビオ姉と共に最深部へ!

前来た時は囲まれ、美味しいモノが一杯出て来た!

今度もそれを期待!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【クラブ 《おじぎ草》】 <タッチ・ミー・ノット> ≪私に触らないで≫

 

 そこは、煌びやかな空間。

シャンデリアが吊るされ、様々な色の瓶が並び、ソファーに寛ぐ大人な男性陣。

 

 そこには、うら若き女性の使い魔《=兎娘》達が優雅にお酌をしたり、咥えた煙草に火を点けたり。

ある所から、ライターを取り出している!

 

 その様子を眺めていると、見知った顔が有った!

 

【アッ! バイス!】

「っと!? って、デュオ!?」

 

 慌てた様子でこちらを確かめる相手。

その傍に居た相手も、慌てた様子で振り向いた。

 

「ど、どうしてココに居るのかな?」

 

【ア、エリオ兄?】

 

 一緒に居た面子の顔色が変わった。

 

「ま、不味いぞ。どうしてこんな所に居るんだ?」(黒ずくめ)

「そ、そうだね。来ないとか思ってたのに」(白衣)

「あっちゃぁ! これは、逃げないとね!」(緑髪)

「はっはっは! 年貢の納め時かな?」(髭)

「提督は良いでしょうけど、俺は!」(黒ずくめ)

「そ、そんな。クロノ、僕を見捨てるのか!」(白衣)

「見捨てるも何も、関係は無い!」(黒ずくめ)

「取敢えず、まだ居る事はバレていなんだから、逃げよう!」(白衣)

「そ、そうだな! 良し、行くぞ、ユーノ! ヴェロッサ!」(黒ずくめ)

 

 コッソリ大声を上げ、そこに居るのが誰だか判る様にバラシタ!

 

「う、うん! 判ったよ、クロノ!」

「待てクロノ! そっちは・・・いっか」

 

 負けずに大声を張り上げる!

どちらも、相手を囮にその場から逃げようと画策していたようだった。

 

 

 どちらも偶々傍を通り掛った相手に見付かって、大変気まずい思いをしたとか?

自身は偵察し、難を逃れたと思われた緑髪。

 後に、店に忘れたモノを届けに訪れた、小さな善意《=デュオ》によって惨劇に!

仔細細かく語られたとか・・・

 

 

 三人が抜けた席へと案内され、前と同じく囲まれた!

 

「キャー! かっわぃい!」

「嬉しー! また来てくれたの?」

「私に会いに来てくれたんだよね?」

「私よね? 私!」

「あ! そうだ! はい、これ、あの時の写真ね!」

 

 次から次へと、膝の上を盥回しに移動させられる。

その度に、口へと美味しいモノが入る!

 

 オイシー!

 

 それとは別にヴィヴィオ姉も囲まれている。

 

「はい! コレも食べてね!」

「え、えっと。あ、ありがとうございます!」

「ねぇねぇ! どんな関係!?」

「は、はい! えっと、姉弟です!」

「へぇー。一寸、ジェラシー?」

「はい? あ、でも、何時もこんな感じだから」

 

 戸惑いながらも、聞かれた事には応えるヴィヴィオ。

綺麗なバニーさんに挟まれ、一寸嬉しそう!

 

「そっかぁ、何か慣れてる感じだし。でも、そこがかわいいのよねぇ」

「ねぇー!」

 

 其処とは一寸隔離された感じの一角。

 

「なんか、全部持ってかれましたね」

「そうだな。だが、見ている分には良いかな?」

「おや、大人だね」

「って言うか、提督も確か・・・」

「ああ、アレはアレ、コレはコレだ。

流石に、同じ様な事を頼むには、些かな」

 

 そう言って余裕ぶっていられたのはつかの間だった。

 

「・・・へぇー、だってさ、聞いた? ロッテ」

「えぇ、聞いたわ、アリア」

「ぐむッ!?」

 

 呑みかけのグラスを呷っていると、居ないと思った相手が後ろに居た!

 

「じゃあ、今度はそういった事もしますから」

「な、何を!?」

「何って、ココで見た様な?

取り敢えずは、もうお歳なんですから。お酒は控えて頂かないと」

「あ、お勘定をお願いします!」

「ま、待ってくれ! まだそんなに・・・」

 

 提督退場。両脇を抱えられ、引き摺る様に・・・

周囲は一寸羨ましそうだった?

 

「おお! 猫耳派のご隠居が!」

「なに! 何処だ!」

「是非、写真を!」

「まぁまぁ、お二人も、どうです?」

「そうですよ、ココは無礼講と言う事で!」

「またたび酒も、またたびの枝も、キウイなんかも揃ってます!」

「いかがです?」

 

 そう言って、現物を目の前に並べる。

 

「う! ・・・うう!」

「にゃ!? にゅぅう!」

 

 本能を刺激され、一寸だけ目がトロンとした様子だ。

そのまま、誘惑に負けた模様?

別テーブルにて、歓待を?

 

「は、ははは」

「・・・誰も居なくなっちゃいましたね」

「言うな、エリオ。

もー、こうなったら、向こうのテーブルにでも行こ・・・」

「??? どうかしたん・・・」

 

 視線の先に、誰かが居る事に気が付き、恐る恐る振り返るエリオ。

 

「・・・エリオ、ココで何をしてるのかな?

男の子だし、興味が有るのは判るけど・・・

こんな所に出入りするなんて」

 

 一寸困り顔なフェイトが立っていた。

 

「ど、どうして、ココに?」

 

 気不味そうな顔のエリオ。

 

「ヴィヴィオとデュオが見えなくなって、なのはのWAS《ワイド・エリア・サーチ》で調べて貰ったの。

そしたら、デュオがココに来てるって。

ついでに、他にも知り合いが来てたとか・・・

それで、気になったから・・・」

 

 あっちゃぁーと、その様子を見て居たヴァイスだったが、別の声が聞こえた時点で凍りついた!

 

「お、お兄ちゃん?」

「ラグナ!?

ど、どうして!?」

「えっと、偶々見掛けて・・・

入ろうか迷っていたら・・・」

「まぁ、気ぃなるだろうから、連れて来てみたんよ。

・・・私も興味あったし」

 

 後半は少し小声?

 

「八神部隊長まで!?」

「にしても、こないなところが有ったとはなぁ。

お!? これはコレは!

結構なモノをおもちなよう・・・へ?」

 

 その魔手は伸びたが、途中で遮られた。

黒服を着た男性によって、阻まれた。

 

「お客様、申し訳ありませんがご退席願います」

 

 その言葉と共に、外へと連れ出されそうになるハヤテ。

 

「ちょ、ちょお待ちい!

じゃあ、アレは!?」

 

 そう言って指し示されたのは、膝の上に載せられ、次から次へと食べさせて貰っている子供(デュオ)。

 

「あちらはこちらのルールに従っての行為に当たり、何ら問題は有りません」

「だけど! ・・・えっと、こっちから手を出さなければ?」

「はい、同性で有ろうと。ですが、すでに出され様となされたので」

「・・・再入場は?」

「認められておりません」

「ノー!」

 

 もう一人現れ、両脇を抱えられ、引き摺られて行った!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

バックヤード

 

「え゛! えっと・・・」

 

 ウサギさんは、ヤバイ相手に見付かった!

 

「はぁ! はぁ! はぁ!」

 

 一人、その相手を見て、硬直したウサギさん。

一人、鼻息荒く、そのウサギさんに詰めよるモノ。

 

「な、何で?」

 

 兎に角聞くべき事だと思い、聞いて見た。

 

「うん! 何となく!」

 

 即答だった!

 

「だから! 何でスバルがココに来てるの!?」

「えっと、仕事の打ち上げで、珍しい所にしようって、盛り上がって。

それで来て見たら、ティアが!」

「わ、私は・・・その」

「うんうん、判るよ! 着て見たかったんだよね?」

「違ーう! 仕事なの!」

「声が大きいよ」

「ヴ! だから、一寸調べたい事が有って・・・」

「えっと、だったら、私も手伝うよ!」

それなら、構わないよね!」

「・・・はぁ、そう簡単に成れ・・・

って! 何時の間に!?」

 

 そうこう言っている間に、すでに着替えて準備万端。バニーなスバル。

 

「え? 早着替えは基本だよ? レスキューの」

「・・・だからって、採用されるとは」

『誰か! 手が足りない!

誰でも良いから臨時で入ってくれ!』

「ハァイ! じゃ、行くよ! ティア!」

「ちょ! 待ちなさいよ! スバル! 全く、どうなっても知らないんだから」

 

 

 数分後、両者ともに後悔する事に・・・

とある一角を見据える二人。

 

 一時的では有るが、仕事と割り切れば大丈夫と考えていたティアナ。

知り合いで無ければ構わないと思っていたが、流石にあこがれの人の前では、恥ずかしさが込み上げて来たスバル。

 

「「何で、知り合いばっか・・・」」

「あ、あの! 知り合いと逸れてしまって・・・」

 

 何だか判らないが、一般の人が間違って入って来たらしい。

その相手は、二人をじっと見詰め、

 

「ティアナさん? スバルさん?」

 

 聞き覚えのある声から、先ず無いだろうと思うのだが、

 

「「キャロ?」」

「あ、はい、変った催しが有るって聞いて。エリオ君がそれを見て来るって・・・

私、一寸都合が付かなくって、来れない筈だったんですけど。

何とか、見に来れた物ですから・・・

所で、お二人の格好は?」

 

 バニー・スーツを纏い、言い訳しようが無い二人。

 

「えっと・・・民族衣装?」

【ちょ! スバル! そんな良い訳で誤魔化せる訳・・・】

「へぇー、そんな民族衣装が有ったんですね!

今度、調べて見ます!」

「そ、そうなの! エリオなら、あのテーブルに居たわよ」

「あ! はい! ありが・・・?」

 

 見付け、お礼を言おうと振り返るが二人はいない。

 

「えっと、忙しいのかな?」

 

 そう言って、目的の場所へと向かうキャロ。

それを隠れて見届ける二人。

 

「行った?」

「うん、行ったみたい」

「さって、どうしようか。・・・スバル?」

「ティアー、良いモノ見っけた!

これ如何? これ!」

「って、ウィッグ(かつら)? こっちはエクステ(つけ毛)ね。

・・・うん、これなら。多分、いけるわ!」

「じゃあ! これ何て、どお?」

 

 髪が長くなったスバル。

どう見てもギンガだ。

 

「まぁ、悪くないと思うけど、良いの?」

「んー、大丈夫かな?」(根拠はない)

「それなら良いけど・・・こっちは?」

 

 こちらは逆に、赤毛の三つ編みに。

一寸、オドオドとした感じに。

 

「うんうん! 多分ばれないと思うよ!

でも、そんなティアも良い!」

 

 そんなこんなで、渦中へと飛び込む二人。

即見破られた、デュオに・・・

 

 そんなこんなで調査は台無しになったが、有効な手掛かりが別の形でもたらされたり?

姉にバレ、ゴッツイ折檻を喰らったとか?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

数日後

 

 再度、潜入を試みる二人。

そこには職場の先輩が・・・

 

「あっれぇ? 何してるッスか?」

「ウェンディ!?」

「ウェンディこそ、どうしてココへ?」

「アタシッスか? 臨時のバイトッス!

いやー、今月一寸使い過ぎちゃってー。

ここの事、チンク姉には内緒ッスよ?」

「ほぉう、誰に内緒だって?」

 

 振り返れば、其処にチンクが立っていた。

 

「・・・えっと、その、ごめんなさいッス!」

「・・・何も、咎めている訳ではないが。

その、どんな事をしているのかだけは、確かめさせて貰うぞ!」

「だっ! 駄目ッス! 今日だけは!」

「ん? やましい事が無ければ、隠す必要はない筈だが?」

「そのー、そうなんだけど・・・」

 

 そうこうしている内に、アナウンスが入って来る。

 

『当店ナンバー1! その冷たい視線を融かしたい! ディエチ・バニーの登場です!』

「「「・・・」」」

『続きまして、ナンバー2! その荒くれだった心をデレさせたい! ノーヴェ・バニー登場!』

「「「・・・」」」

「おぉーい、ウェンディちゃん! 出番出番!

急がないと、遅れるよ!」

「あ、はぁーい! 今行くッス!

じゃ、そう言う事で!」

 

 そう言い置いて、行ってしまった。

 

『えー、遅ればせながら、ナンバー3! 何時もニコニコ。その笑顔を見んが為に訪れる客は数知れず!

人数だけなら、二人に引けを取らない!

ウェンディー・バニー!』

『うををおおぉぉぉぉ!!』×10?

『さてさて、今日はスペシャルな、特別な日!

本日、最強の幸運の持ち主を紹介しよう!

バニー達からの人気投票で、見事勝ち抜き、最終決戦にまで勝ち抜いた!

この三人の甥っ子であり、この店のバニー達からの、一番人気!

最強の武闘派の親を持つ、コノ人!

デュオ・S・ハラオウン!

本日は、お姉さんとご参加頂きました!

では、拍手でお迎えください!』

『『『『ワァー!』』』』

『羨ましいぞー! このー!』

『替われー!』

 

 そんな叫びが響く!

 

「な、何が!?」

「お! ココやな!

ヤレヤレ、やっと解放されたと思うたら。

今度は一転、手伝って欲しいとか・・・

ま、再入場出来たから、良しとしとこ・・・」

 

 独特の言い回し、良く知った声、その正体は!?

 

「「や、八神部隊長!?」」

「え? って! ティア!?

な、なんつう格好しとるんや!」

「・・・そう言う隊長も」

「し、仕方あらへんやん! ウサギさんにでも成らんと・・・」

「えっと、シグナム副隊長たちは・・・」

「アカン、言うたらアカンよ?」

 

 そう言いながら、賞品を抱えバック・ヤードを出て、今回の優勝者へと手渡そうとして、固まった。

 

『・・・何で、ヴィータが!?』

『ハ、ハヤテ!? どうしてこんなとこで、そんな恰好してんだよ!』

【皆、来レナイッテ! ダカラ、来テ貰ッタノ!】

『私は、兎のお店にお呼ばれしたって、聞いたから・・・

ハヤテは何で、そんな恰好なんだよ!』

『う、ちょお、手伝いを、な!』

『遅れました、デュオ。何処だ?』

『デュオー? 何処に居るのかしら?』

『シ、シグナムに、シャマルまで、何で!?』

『・・・何ですか主! その格好は!』

『まあ! ハヤテちゃんに、そんな趣味が有ったなんて!』

『コ、コレには、ちょぉ複雑な事情が有って・・・』

『判りました、主だけにその様な格好はさせられません。

行くぞ、シャマル!』

『え!? ええ!?

待って! どうしてそうなるの!」

 

 混迷を極めた!

 

 

バック・ヤード

 

「む! ココか! 頼もう! ん?」

「シグナム副隊長・・・」

「何だ、お前達も来ていたのか?

それで、何をどうしたらいいんだ?」

「あ、えっと、では、こちらに!」

 

 咄嗟に、マニュアルと制服を手渡してしまった。

シグナムは、それを一読すると、

「フム、コレをこうすれば良いんだな?」

 

 そう言って、ライター(アギト)を挟み、火を着けて見たり。【何処に!?】

 

 突如、現れた新人バニーに皆、大盛り上がり!

 

 対抗すべく、リィンを挟み、冷たい飲み物を作る部隊長!【何処に!?】

一寸落ちそう?【どっちが!?】

 

 記念にその時の制服を貰ったり。

 

 優勝賞品は、バニー達からの祝福と、記念撮影で有った。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

自宅のベッド脇

 

「ふふっ、疲れて寝ちゃったみたいね」

 

 ぐっすりと眠りこけてるその寝顔を見ながら、フェイトはふと呟いた。

 

「うん、ヴィータちゃんが遊んでくれてたみたいで、向こうもお疲れだったみたい」

 

 それを受け、なのはも見たままの事を伝えた。

 

「それで、何処に行って来たのかしら?」

「えっと、何か、そこでの催しに当選したとかで・・・

確か、写真が・・・」

 

 その写真を見て、固まる二人。

 

「ハ、ハヤテちゃん?」

「ハヤテ・・・」

 

 自棄な感じに写り込む親友の姿。

 

「あ、こっちは・・・」

「え!? こ、これは・・・」

 

 見なかった事にしたい気もするが、そうも言えない二人。

ウサギさんに囲まれ、満面の笑みで映る子供の姿があったとさ。




とまぁ、何となくで出来たお話です。

最初は真面目に、ウサギな使い魔はどんな感じかを書いていたのですが、段々こうなったか? ああなったか? と暴走した結果、こうなりました。


これはアリかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お出かけ・・・社会科見学?

まぁ、何となくで浮かんだモノで、こうなのではないか、こうなったのではないかと、思う事を捏造して見て居ます。


 今日は、エリオ兄とキャロ姉の所に一人でお出掛け!

 

 出発前に、フェイトママに捕まった・・・

 

「・・・良い? 知らない人には付いて行かない。判らない事が有ったら、近くの人に尋ねる事。

向こうで、エリオとキャロが待っていてくれるからね。

気を付けてね・・・」

 

 そんな事が延々と・・・

なのはママ、それを見かねたのか、

 

「フェイトちゃん、そんなに心配なら、一緒に行ってあげたら?」

「・・・そうね、それが良いかも!」

 

 妙案だと納得するも、それは即座に断たれた・・・

 

「駄目ですよ、フェイトさん。

これから会議や予定が詰まってるんですから」

「そうです。それに、デュオなら大概の事は何とか出来るでしょうし・・・」

 

 シャーリーとティアナが諌めるが・・・

 

「え・・・でも、こっちの方が重要だよ?」 

「駄目です」

「そうです。確かに大事ですが、可愛い子には旅をさせてあげるべきです」

「そ、そんな! こんなに可愛いと誰かに攫われちゃうんじゃないかって思わないの?」

「・・・確かに、否定は出来ませんね」

「・・・まぁ、否定できないかも」

「そうだね・・・」

 

 三者三様、否定されなかった。

 

「そうでしょ?」

「でも、それはソレ、これはコレです!」

「デュオ、気を付けてね。

良い人ばっかりじゃないから。危ないと思ったら、躊躇したらダメだからね?」

 

 コクコク!

 

 そんな事を言わなくても、陰から見守っている相手が躊躇なく対応するだろうが・・・

一寸離れた所から、見付からない様に窺っている新ナカジマ家の面々・・・

乗り込むまでは見て居て貰える?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第61管理世界スプールス・ターミナル

 

 エリオ兄とキャロ姉が迎えに来てくれる筈で・・・

 

 クキュー!

 

 その聞き慣れた叫びで、何処に居るのかが判った。

相手の方も、それで分かったようだ。

 

「あ! 居た居た! こっちこっち!」

 

 私服に着替え、皆でお迎えに来てくれた!

 

【エリオ兄! キャロ姉!】

「わぁ、迷わずに来れた?」

 

 コクコク!

 

「へぇー、この子がエリオとキャロの弟さんか。

私はタント。自然保護隊で、エリオとキャロの同僚だよ」

「私は、ミラ・バーレット。

同じく、エリオとキャロの同僚だから、宜しくね」

 

 ジー! サッ!

キャロ姉の後ろに隠れて見た!

・・・あんまり隠れられない? エリオ兄の方は細いから、余計に隠れられない。

キャロ姉の方は、スカートが広がっているから、面積広め?

 

「あら? 緊張してるのかな?」

「あはは、初めての人だからね」

「ほら、デュオ。怖くないよ」

「そうだよ、皆優しいよ」

 

 じー、じー、じー!

 

「うーん、どうしたら・・・

あ、じゃあ、これは如何?」

 

 そう言ってミラが取りだしたのは、美味しそうな果物。

 

「ほら、貰っておいで?」

 

 そうキャロ姉に背中を押された。

 

 トテテテテ?  ・・・じー?

 

「・・・はい!」

【・・・アイガトー!】

「わ! この子、とっても可愛い!」

 

 ガバッと捕獲された!?

自然動物を捕獲するのに慣れた相手には、子供の捕獲も造作ない!?

 

「お、おいおい! ミラ! ビックリしているぞ!」

「んー! 可愛い!」

 

 そう言いながら頬ずり・・・

 

【キャー! タッケテー!】

 

 聞こえていない?

聞こえる筈だが、放すつもりはない?

それでも、貰ったモノは離さない?

 

「ミ、ミラさん!?」

 

 エリオは突然の事で、どうしたらいいのかと慌てふためいている。

 

「ミラさん!」

 

 キャロも、何とか落ち着かせようとするも、如何にもならない・・・

 

「あちゃー、これじゃ暫くは無理かな?」

「・・・そう、ですね。いっそこのまま連れて行きましょう」

「え!? 良いの!?」

 

 そんな有様に、タントとキャロは当たり前に対応。

それに戸惑うエリオ。

 

「ああ、エリオは初めてだったか。

こうなったミラを引き剥がすのは、一寸やそっとじゃ無理なんだ」

「そうなの。以前、スッゴイ可愛いって大蜥蜴を締め上げちゃって・・・」

「そ、それは、危険なんじゃ・・・」

「ああ、でも怪我はさせていないし、してもいないから、そこは流石と言うべき所かな?」

「うん、デュオも・・・大丈夫だと思うよ?」

「で、でも・・・キャロ、そこは断言できないの!?」

「うふふ! スベスベ!

かわいー! ほらほら、暴れても無駄だよ!」

 

 ・・・上手くあしらわれている。

そのまま一緒に連れて行かれる事に・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

自然保護隊・ベースキャンプ

 

 そこでデュオはカメラを回しながら、

 

【エリオ兄ト、キャロ姉ハドンナオ仕事シテルノ?】

「えっと、密猟者を捕まえたり、保護動物の観察だね」

「密猟者って言うのはね。

捕まえて欲しくない動物や植物を持って行ってしまう人ね。

それを高いお金を出して欲しがる人が居たりするから、そう言った事をしないでって伝えるお仕事なの」

【フゥゥン】

 

 そんな話を聞き付けて、タントとミラも参加して来た。

 

「あとは、狩らないで欲しいモノと、狩っても良いモノかの選別も含まれるね。

どうしても増え過ぎてしまったり、減り過ぎてしまわない様に調整する事も仕事だよ。

面白半分で狩られたりしない様にする事も、仕事の内だよ」

「そうそう、ブッシュ・ミートや、野味って言って、一般に出回らないお肉やお魚なんかもあるからね」

「へぇー、そうだったんですか・・・」

「あれ? エリオ君も食べたりしてるよ?」

「え!? 何時!?」

 

 今明かされた真実?

 

「えっと、お昼とか夜とか・・・偶に食べてるよ?」

「ああ、調整しなきゃいけないのなんかは、偶に食べるね」

「そうだよ、キチンと最後までが基本だからね。

始末するだけじゃ、駄目なんだよ。

かと言って、市場に出す訳にもいかないし、だから出来るだけ内々に処理するの」

 

 タントはその様子を見て、ある事を決めた。

 

「エリオはまだ見た事が無かったかな?」

「は、はい!」

「いずれは、そっちも手伝って貰う事になるからね。覚えていてくれ」

「・・・はい!」

 

 一寸凛々しい?

こういうのは、納めるべき?

 

 カシャッ!

 

「え!? デュオ? 何してるの?」

【・・・エリオ兄ノ、雄姿?】

「わわ! そんなの撮らなくても・・・」

 

 一寸恥ずかしい?

でも、キャロ姉は見てみたいらしい。

 

「わぁ! 良く撮れてるね!」

「キャロも!」

 

 そんなこんなで、ベースキャンプには笑い声が響く。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その後、あちこち案内してもらったり、探検ごっことばかりに探索にも・・・

 

 そこは、森の奥深くの密林。

ふと、足を止め。地面を見定めるタント。

 

「・・・エリオ」

「はい、タントさん」

 

 その口調に、何か有る事と、ある事に気が付いた。

 

「気が付いたかい?」

「・・・ここだけ、草が踏まれてますね」

 

 不自然に踏まれた跡が有る草地。

点々と、ある方向へ向かっている・・・

 

「この時期は、登録された人も立ち入りを制限されている筈なんだが・・・」

「密猟者ですかね?」

「多分、そうだろう。

間違って入り込んだりするとは思えない」

「・・・だったら、キャロ達に連絡を」

「待て。もう少し様子を見よう。

それからでも遅くはない筈だ」

「はい!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ベースキャンプ

 

 何か、聞こえる?

クイックイッ! キャロ姉の袖をひっぱり、注意を引いて見た。

 

「ん? 如何したの?」

【キャロ姉、誰カ来タノ】

「・・・エリオ君達じゃない?」

 

 フルフル!

 

「そっか、今日は特に予定はなかった筈だし・・・

ミラさーん!

お客さんが見えたみたいでーす!」

 

 それに応えるかのように、

 

「あら、珍しい。

この間、あれだけ歓待してあげたのに、懲りてないのかしら・・・」

「どうなんでしょうね?」

 

 クイクイ!

 

【ドウスルノ?】

「ん? そうね・・・

皆捕まえちゃおっか!」

「え、良いんですか?」

「まぁ、男手が無いのを見計らって来たみたいだし。

手荒く扱っても構わないわよね?」

「はい。

じゃぁ、デュオ。

これからかくれんぼするから、知らない人が鬼で、鬼に捕まらない様に逃げてね。

逆に捕まえちゃうのは危ないから、出来るだけ逃げてね」

 

 クキュ? コクコク!

 

「んー! 可愛い! ねぇ、キャロ・・・」

「駄目です」

「えー? まだ何も言ってないけど・・・」

 

 ミラは一寸未練がある様子。

 

「それでも、この子をウチに・・・」

「まだまだ先ですよ。

それに、ここを気に入ってくれるのかは判りませんし」

「まぁ、仕方が無いかな?

じゃぁ、あっちの方にタントとエリオが居る筈だから、逃げるならあっちに向けて逃げてね!」

 

 コクコク!

 

 

十数分後

 

 足元には、数名の男達。

手に手に銃を持ち、武装していたが、二人の敵ではなかった・・・

 魔法を使わずして倒していた!

その男達をバインドで拘束し、更に物理的に拘束し直す二人。

 

「さて、デュオー! もう良いよー! 出ておいでー!」

 

 そのキャロの呼び掛けに対し、ヒョコッとばかりに、木の上から顔を出す。

 

【モウオ終イ?】

「うん、そんなに大した事が無かったからね」

「そうね、前に比べたら、大した事は無いわね」

【・・・ツマンナーイ!】

「じゃぁ、タントさんとエリオ君に知らせて来てくれる?」

「・・・そうだ、どっちが早く二人の元に着けるか。

オニゴッコしよっか!」

 

 そんな提案をするミラ。

 

【オー!】

「じゃぁ、私が鬼だからね! よーい! ドン!」

「ま、待ってください! ミラさん!」

 

 タッタカタッタッター!

 

「待て待てー! 捕まえちゃうぞー! 後はお願いねー!」

 

 既にその姿は遠くに消えていった・・・

 

「はぁ、念話で連絡すれば良いのに・・・」

 

 そう言いながらも、足元に転がる相手を見据える。

相手はこんな筈では・・・といった顔をしているが、コレだけで如何にか出来ると考える方がおかしかったり・・・

 

 見張りが一人になったのを知り、好機と見て動こうとするが、動けない。

動こうとすれば、呆気なく取り押さえられそうなほどの制圧力を感じた密猟者達・・・

 

 六課の修行の成果が今、発揮されている。

見る力によって、抑えつけられている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 ガサガサと茂みを掻き分け、小さなモノが飛び出した!

 

【エリオ兄!】

「! わっ! デュオ!?」

 

 驚きながらも、エリオはその体を受け止めた。

タントは、あちこちに葉っぱを付け、泥だらけになっているのを確認した。

 

「! 何か有ったかな?」

【鬼ニ追イカケラレテルノ!】

「え!?」

「ん?」

 

 その言葉に、違和感を覚えたが、直にそれは解決した。

 

「待て待てー! 捕まえちゃうぞー! あ、タント、エリオ」

 

 同じく、多少泥に塗れたり葉っぱが付いたりしているが、さほどではない様子のミラ。

流石に現役の保護観察官らしい。

 

「ミラさん!?」

「ミラ、そっちは?」

 

 結果は分かっているが、確認の為に尋ねる。

 

「うん、私とキャロで如何にか出来たから。

もう大丈夫みたい」

「そうか。でも、何で鬼が出たとか?」

「え? ああ! オニゴッコしててね。

でも、捕まえられかなかったか・・・残念!」

 

 本当に悔しそう?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

そんなこんなで、社会科見学?




とまぁ、こんな感じになったかなと、想像し、捏造して見ました。

何となく、キャロはかなり強いかなと・・・
一般人に比べて、自然保護・自然動物を相手取っているのだから、見た目以上の威圧も可能かなと・・・
そう考えて見た次第です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

使い魔(ザフィーラ)の受難?

本当はVivid編ですが、こっちの方が時間軸的には合うと考えたので、こちらにします。

コレはうちの職場(?)で遠足が行われていたので、それで浮かんだとかです。
行き先は、割と良く知る場所でした・・・
決してこの様な所ではない、平穏無事な所です!

あと、想像上の事なので、細かい点には目をつぶって頂きたい。


では、お二方にご登場願います。


 夏はあっつい!

だから、八神のお家に遊びに行くの!

 

 かき氷が何時でも!(=リィン)

涼しくて、あと花火が見放題!(=アギト)

 

 でも、最近は行って無かった!

ママ達が割と一緒だったから、寂しくなかった!

 

 で、行って見たら・・・

知らない子が一杯!

 

 何でも道場(ドージョー)?

始めたって!

 

「し、師匠のお子さんですか?

は、初めまして! ボクは、ミウラ・リナルディと申します!」 =勘違い

 

 クキュ?

 

 見た目が似ている事が多いが、そう言われたのは久しぶりだった?

 

「え、えっと、師匠には何時もお世話になっております!

はっ! だとすると、師匠の奥さんは!?」

 

 そんな話をしていると、

 

「ん? 来てたのか、ミウラ。

お? デュオ、今日は如何した?」

【ア! ビータママ! 遊ビニ来タノ!】

「え!? ええ!? ヴィータさんが、ママ?

って事は、師匠は・・・」

 

 よからぬ想像が頭をよぎる?

 

「はっ! だとすれば、自分にもチャンスが!? それか、師匠を更生するべきか?」

 

 つい、遠い目をしていたらしい。

 

「どーした、ミウラ?」

「い、いえ! 何も!

あ! シグナムさん! シャマル先生! おはようございます!」

「ああ、おはよう」

「あら、おはよう」

【オハヨー!】

 

 軽く持ち上げられ、挨拶とばかりに肩へと乗せるシグナム。

 

【シグママ! シャママ! アソボー!】

「ああ、今日はたっぷりと遊べるぞ!」

「うーん、残念! 今日はこれからお仕事なの、またね!」

 

 そう言って、シャマルは出掛けて行った。

 

「シ、シグナムさん! 師匠は、何人の奥さんが!?」

 

 そんな事を問われるとは思いもしなかったシグナム。

 

「な、何故、そんな事を?」

「え!? 違うんですか?

髪の色も、肌も、師匠と同じじゃないですか!?」

「ん? そう言えば・・・似ているな」

 

 そんな事を話していると、張本人が人型のまま現れた?

 

「何を話しているんだ?」

「ああ、デュオがザフィーラとよく似ているかもしれないと言われてな・・・」

「ん? そう言えば、マリエルも以前、そんな事を言っていたな・・・」

「・・・ザフィーラ、肩車をして見てくれ」

「? 構わないが?」

 

 そう言って、シグナムの肩からザフィーラへと移され。

 

「・・・似ている」

「師匠! 師匠のお子さんで、間違いはないんですか!?」

 

 それを聞き、何となく、

 

【ザフィーラ・・・パパサン?】

「ム? どうなんだろうな?」

【・・・パパァ!】

「・・・息子よ!」

 

 満更でもない様子? 一寸ふざけてみた?

但し、その様子はどこかしらへと流れていた?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

その映像を見たモブ達?

 

「おう、聞いたか?」

「ん? 如何した?」

「アレか?」

「そうそう!」

「・・・使い魔って、子供が作れたのか・・・」

「だとしたら、アイツを倒せば!」

「フェイトさんは!」

「なのはさんは!」

「ヴィータ教官は!」

「シグナム副隊長は!」

「シャマル先生は!」

「うぅぉぉぉおおお! アルフちゃんがぁぁぁぁあああ!」

「だが、考えてみればアイツにさえ勝てば!」

「そうすれば!」

「あの人はフリーに!?」

「「「「「「・・・ぶっ飛ばす!」」」」」」×9?

 

 ・・・ならないだろうが、そう考える?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 一寸飲み物が足りそうもないので、買い物を頼まれた二人。

 

 何となく、そのまま肩車の状態で外へ出た二人。

日差しがキツイからと、麦わらを被っているデュオ。

 

 途中、(俄=にわか)ストリート・ファイター達から、次々と挑戦を受けるザフィーラ!

何故か、相手は血の涙を流しながら襲いかかって来る?

 

「うおおぉぉぉぉお!」

 

 バコン?

 

「せりゃぁぁぁぁぁあ!」

 

 ベコン?

 

 ・・・そんな事が繰り返された?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 帰りは獣形態であった為、挑戦者は減った?

背中に乗っての移動を満喫するデュオであった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

遠足

 

 

 今日は遠足!

ミッドチルダの西部、山林へ遠足!

 

 色んな木の実や、落ち葉とか、虫とか! 一杯拾うの!

 

 ただ、持って帰ると、なのはママとビビオ姉が大騒ぎに・・・

フェイトママは割と平気? 一寸引き攣る事は有っても・・・

 だから、持って帰るのは気を付ける。

持って帰っても大丈夫そうなモノ? だけを厳選?

 

 今のお家には、男手が自分だけ・・・

夜中にGが出たら、寝ていても駆り出されるの・・・

眠いのに・・・

強いのに・・・

大声なの! 悲鳴なの!

でも、本気で対応されると・・・お家、無くなる?

 

 だから、お家を守る為にも、頑張るしかない!?

 

 今日も今日とて、大騒ぎ。

最近、エクスカリバー(蠅叩き)と、ホラーハウス(ゴキブリ収集箱)を(地球の)ママママから取り寄せた。

だから、多少は減ったかな?

 

 ホラーハウス、ちゃんと確認しないといけないって!

だから、この間見てみた!

・・・ビッチリ! ・・・凄かった!

 なのはママとビビオ姉の悲鳴が!

フェイトママ、出張中!

でも、偶々遊びに来てたキャロ姉、平気?

フリードに燃やしてって、普通に言ってた! でも、一寸お怒りモード?

・・・捨てた。

 

 こっち(ミッドチルダ)のは、意外とデカイ! 向こうに行った時に比べてみた!

ママママ、冷静に対処! 美由紀姉、逃げてた! 士朗爺ちゃん、投げた竹串で仕留めてた!

なのはママ、まおーなのに怖いんだって!

ビビオ姉も、体が竦むって!

 

 前に(JS)爺ちゃんの所で相談したけど、アレには爺ちゃんでも対処不能だって!

トッテモ大変な事になったから、どっかに捨てたって!

 

 ルー姉に聞いたら、あの時の事は思い出したくないって。

それに、アレは虫に非ず(=蜚蠊)だから、操れないって!

 

 姉達も、教えてくれなかった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 話は逸れたけど、遠足!

 

 

 人が倒れてた!

近くまで言って見ると・・・

 

《グウウウゥゥゥゥ?》

 

 ・・・お腹、減ってる?

 

 ・・・取敢えずお弁当、出して見る。

今日は、唐揚げ! 出汁巻き! お浸し! トマト! アスパラベーコン巻! タコさん・カニさんウインナー!

お握り! 中身は・・・梅干し・・・

 

 あ、動いた?

 

 手が伸びて来た!

 

 何か欲しそう!

・・・一番苦手な梅干し《だけ》を渡して見る!

 

 あ! 直に口に! プルプル震えてる?

 

「・・・酸っぱい! 何!? これは何なん!?」

【・・・オ姉ーチャン、大丈夫?】

「え? あ、れ? えっと・・・」

【倒レテタ。気分、悪イ?】

「あ、ううん。大丈夫、一寸お腹が空いててな・・・」

 

《グウウウゥゥゥゥ》

 

「えっと、君は?」

【デュオ! デュオ・S・ハラオウン!】

「そっか、ウチはジークリンデ。ジークリンデ・エレミア言うんよ。宜しゅうな」

 

 キョロキョロと辺りを見渡すと、

 

【・・・ココ、ドコ?】

「へ? えっと・・・迷子なん?」

 

 コク!

 

「う・・・困ったなぁ。私も、一寸迷ってるんよ・・・」

【・・・迷子?】

「う・・・ち、違うんよ! 一寸今居る場所と、キャンプしている場所が判らなくなってるだけで・・・決して迷子になってる訳では無いんよ?」

【ソレハ迷子ッテ言ウヨ?】

「ううっ! そ、そうだね!」

 

 そんなこんなで、一緒に行動する事に・・・

 

 一応、直にテントは見付かった・・・

だが、皆が見つからない・・・

ゴミは有ったが・・・

荒らされていた・・・

 

「えっと、一緒に探しにいこか?」

 

 ・・・コク!

 

《グウウウゥゥゥ》

 

「・・・あはは! ゴメン! 一寸お昼にしよかぁ?」

 

 コクコク!

 

 そのまま昼食に・・・

 

「えっと、食べる?」

 

 そう言って出されたのは、様々なジャンク・フードと言われるスナック菓子。

保存性は優れているから、早々食べられなくなるといった事はない・・・筈?

 

 コクコク!

 

 家に居る時は、余り出してはくれない!

ママママの所でも!

 

 どんな味なのか、興味深々!

 

 

   ・・・一寸辛い? ・・・辛い! ・・・辛過ぎる!

 

 

 慣れない味に大混乱!?

 

「だ、大丈夫!?」

 

 その様子から、味がおかしかったのかと味見するジーク。

限定モノのお菓子であって、特におかしな所はなかった・・・

 

 

 徐々に癖になる味  幅寝炉味で無ければ・・・

 

 

「お、おかしいなぁ? あ! はい! お水!」

 

 直に、水場から水を汲み、手渡す!

直に飲み干すと、

 

【・・・辛カッタ!】

「そ、そうかな? ゴメンね。

そんなに辛かったんだ」

【・・・辛イノ嫌イ!】

「そ、そうだったんだ。ゴメンね」

【ウウッ! マダ辛イ!】

「あ! そうだ! これなら、大丈夫かな?」

 

 そう言って手渡したのは、小振りなミカン。

 

 恐る恐る受け取り、剥いて食べてみた。

 

【・・・酸ッパイ】

「え!? そ、そっかぁー。まだ酸っぱかったんね」

 

 そう言って、自分用の食材を取り出し、調理を始めた。

 

 手慣れた様子で、テキパキと料理が作られる。

その食材に目を向ければ、割とその辺に居るであろうモノで有ったりするが・・・

 

 だから偶には、味の濃いモノが恋しくなる?

滅多に食べられないからこそ、執着したい?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「さて! あれ? 待ってくれてたん?」

 

 コクコク!

 

「あはは! ありがとう! じゃあ、一寸おかずを交換したりなんかするん?」

 

 コクコク!

 

「え? 良いん? ・・・そか。じゃあ、食べて見てな!

あんまり人に食べさせた事はなかったんよ。

だから、ちょぉ怖いんよ」

 

 パクパク、ボリボリ、ボォリボリ! ゴォリゴリ!

 

「す、すごいなぁ! そんな、躊躇せんで食べるんやね!」

【・・・? 美味シイヨ? キャロ姉トルー姉モ、偶ニ作ル!】

「そか! 気が合いそうなお姉さん達なんね」

 

 そんなこんなで、交換したり、御馳走になったり。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

一方その頃・・・

 

「・・・それで、生徒は!?」

「そ、それが・・・一人逸れてしまった様なんです!」

「・・・判りました! その子の特徴は!?」

「ええ、真っ白い髪で、活発な子で・・・喋れないんです!」

「アレが現れた時、皆逃げ出してしまって・・・

あの子だけ、置き去りに!」

 

 ワッと泣き出す引率者達!

 

「落ち着いて! ココで取り乱してもその子が如何なる訳でも有りません。

皆さんが不安だと、他の子まで不安になってしまいます。

ですから、落ち着いて下さい!

我々が必ずその子を救出しますから!」

「お、お願いします!」

 

 それ以上の情報を聞き出すには、もう少し落ち着いてからとの判断が下された。

 

 偶々、その近くでキャンプを設営していた湾岸特別救助隊《シルバー》隊員。 

自分だけでは、この集団を守る事しか出来ない為、様々な所へ助けを求める事に・・・

それが、さらなる大騒動を巻き起こすとは、思いもしなかった・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第108陸士隊・隊舎

 

「おう、聞いたぞ。取敢えず、動ける奴はそっちに向かわせる。

それでも、ほんの数名が限度だ。

他にも声を掛けてみるから待ってろ」

【うん、お願い、父さん。

こっちも一応落ち着いて来てるんだけど、人数が多くって】

「だそうだ、動けるか?」

「ああ、その位なら」

「そんなの、楽勝ッス!」

「そんな甘い事言っていると、大事になるわよ」

 

 その事が現実になるとは、言っている本人ですら、思いもしなかった。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

聖王教会・本部

 

【・・・そう言う訳だから、山狩りになりそうなんで、出来れば手を貸して貰いたい】

「判りました。そう言う事であるならば、喜んで手を御貸しします」

【おう、頼んだ】

 

 通信が切れ、共に聞いていた相手に尋ねる。

 

「じゃぁ、そう言う訳だから、動ける子は行って貰っても良い?」

【了解しました。では、ヴェロッサを・・・どこに行った!】

【あ、何か急用が出来たって・・・走って行きましたけど】

【ア、アイツはぁ!】

 

 怒り心頭なシャッハ。

 

「はぁ、仕方が無いわね。

シャンテ、セイン、オットー、ディード。

行って貰っても良い?」

「はぁーい! じゃあ! あの件は!」

「ええ、手伝って来てくれたなら、不問に」

「やった!」

「はぁい! それで、何を?」

 

 床から顔を出しながら、セインが現れた。

 

「何でも、猛獣が出たとかで、子供が一人、山に取り残されてしまったみたいなの」

「へぇー、そりゃ大変だ」

 

 余り大変そうには見えないが、心配そうなのは見てとれた。

 

「では、我々も」

「行ってまいります」

 

 オットーと、ディードのコンビも快諾し、既に行く準備が整っていた。

 

「ええ、お願いね」

【騎士カリム、私はヴェロッサを追います!】

「・・・判ったわ。そっちの方もお願いね」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 偶々、全員が同時に着く事となった。

 

「あ! アナタは!」

「あれ? えっと、デュオの担任の・・・」

「ハ、ハイ! デュオ君が!」

「「「「「「「!!!」」」」」」」

「逸れてしまい・・・」

「え!?」

 

 呆気に取られている引率を残し、ほぼ全員、山へと駆けだした!

 

「・・・えっと、デュオ君って、デュオ・S・ハラオウンって子ですか?」

「は、はい!」

「あっちゃー!」

「えっと、何か?」

「あ、いえ、駆けて行ったのはデュオの縁戚でして・・・」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 お腹も一杯になって、一寸休憩してから捜しに行こうという事に・・・

 

「じゃあ、一寸横になっても良いんよ?」

 

 お腹がくちくなり、一寸眠気が・・・

だから、枕になってくれるって・・・

 

【・・・オヤスミナサ・・・ZZZ】

「ふふふ、可愛ぇなぁ」

 

 ・・・膝枕。

 

 

 そうこうしていると、それは近付いて来た。

鼻息荒く、それに近付かんと・・・

 

「・・・無粋な輩は、近付いて欲しくないんよ。

だから、消えてくれへん?」

 

 それでも、こちらへ向って来る。

 

「・・・なら、仕方が無いね」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「! こっちだ!」

 

 そう声を掛け合い、一路ある場所へと向かうノーヴェ!

 

「デュオ! 無事か!? ・・・・! これは・・・」

 

 そこには、ひっくり返った虫熊《バグベア》と、そんなに離れていない所で寝ているデュオ。

更に、膝枕をしているジーク。

 

「あ、えっと、デュオ君の・・・」

「あ、ああ、叔母だ」

「え? えっと・・・」

「・・・似ていないだろうが、家族だ。

それで、これはアンタが?」

「あ、はい。一寸邪魔なんで・・・」

「そっか! ありがとうな!

ウチの甥っ子が世話になったみたいで」

「お! 居たッスね!」

「無事か」

「大事ないみたいね」

「良かった」

「うん、怪我もないみたい」

「あれ? 私が最後だったかぁ!

お! 良いのが居るじゃん!」

 

 熊が引っ繰り返っているのを確認し、セインはチンク・ディードに捌かせる事に・・・

シスターが殺生・・・

シスター・シャッハが知ったら激怒するだろう光景?

 

「良いの良いの。もう死ぬ運命だったし。

せめて、美味しく食べる事の方が大事だから!」

 

 そんな事を呟きながら、せっせと調理を開始!

 

 その辺に転がっている荷物から調味料を取り出し、テキパキと料理して行く。

 

「さぁ、出来た!

いっただっきまぁーす!」

【アフ・・・イタダキマス!】

「あ、起きた?」

「起こしてしまったか」

「おやおや、もう済んでしまったのかい?」

【ア! 覗キ魔! ドシタノ?】

「は、ははは・・・第一声が、それだとは・・・

まぁ、無事なら良いんだが・・・

 虫熊がこっちに持ち込まれ、それが逃げ出したと聞いてね、駆り出されたんだ」

 

 

 虫熊

=熊ほどの大きさの肉食昆虫。

成長速度が速く、繁殖力が強い為、危険指定されている。

持ち込み、持ち出しが禁止されている。

食べられる。癖は有るが・・・美味しいらしい?

 

 

「何だ、それならほぼ殲滅した」

「だと良いんだが、一応調べさせて貰うね」

 

 そう言うと、無限の猟犬を放ち、周囲を細かくサーチして行く。

 

「・・・大丈夫、みたいだね。

じゃあ、ご相伴に・・・」

「ロッサ・・・こんな所に・・・」

「シャ、シャッハ!? ど、どうしたんだい?」

 

 ゴス!

 

 問答無用で叩き、連れ去って行った・・・

 

「あーあ、ちゃんと言わないで出て来るから」

「ん? そうだったのか?

手は多い方が良いと思って、声を掛けたんだが・・・」

「それでか・・・」

「まぁ、自業自得なんじゃないかな?」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 特に心配される事もなく、恙無く・・・

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




他の登場人物は、Vivid?編にて


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?
リリカルわたグラVivid? & Mimic!?   DiaryNote.


こちらは完全にデュオの視点から見たモノとなります。


マリーの工房編を少し追加しました。


2017/4/21
わたしのかぞく/書き直し編
 ママママ達の至言? を追記


これは、ミッドチルダ聾唖学校、一年生学級で行われた、授業参観での一コマ。

 

 とある生徒の作文。

 

 

わたしのかぞく

      でゅお・S・はらおうん

 

(ここから先、全て平仮名・子供っぽいという設定でお読みください)

 

 私の祖父(おじいさん)は、囹圄/囹圉(レイゴ/レイギョ)【=牢屋】に居る。

おば達もまた、お星さまに居る。

帰って来た叔母たちも、別々の所で元気。

 

 私は、今はお母さんの所に居るが、その前は、別の母の所に居た。

沢山の親戚に囲まれ、幸せだった。でも、今も幸せ!

 

 本当のママは、知らない。

名前をくれた母が、本当の母だと思っている。

でも、その母も、今はお星さまになった。

私を助けて、行ってしまった。

 

 でも、私は今の生活も、気にいっている。

ヘイト(フェイト)ママと魔王(まおー)ママ、ビビオ(ヴィヴィオ)(ねぇ)と一緒。

 ビビオ姉は最近あんまり遊んでくれない。

 ヘイトママは、お仕事でアンマリ帰って来ない。

 マオーママは、怒ると大マオーに変身。

 

 そうなったら、八神のママ達の所に緊急(きんきゅー)避難。

シグママ、シャママ、ビータ(ヴィータ)ママ、ハヤテおばちゃんに、事情を話し、匿って貰う事も。

アキトとリーンと一緒に、嵐が過ぎるまで遊ぶ。偶にザフゥラ(ザフィーラ)を背もたれにも。

アルフも一緒!

 

 でも、最近は、行き先がバレタ!

キンキュー避難先として、もう一つ確保。

そこは、完全防備のシェルターとして、使ってる。

物理的にも情報的にも、隔離されるから安心安全。

偶にヘイトママが来るらしい。

でも、おじいちゃんが黙っていてくれるから大丈夫!

絶対にバレナイ・・・はず!

 

 でも、ソロソロ危ないから、余り頻繁に来ては駄目って言われた。何でだろ?

でも、偶には来てくれても良いと言ってくれた!

最近はそこで色々教えて貰う。

色々なモノの作り方とか! 面白い!

 

 だからもう一つ、物理的な避難先と、情報的な避難先を探す事になった。

物理的な避難先は、すぐに見つかった。おじーちゃんが居て、何時も一杯美味しい物がある所!

情報的な避難先は何か有りそうな時、すぐに教えて貰える! 綺麗な所! お茶が何時も出て来る!

何時でも余裕で、更に避難できる!

 

 でも、気が付くと、お家に居る事が多い。何でだろ?

 

 

・・・真相

 

 眠ってしまったからと連絡が行き、そのまま寝ている内に連れて帰られる?

 

 

と有る日記から抜粋

 

授業参観から数日後

 

 その後、お母さんは良く帰って来るようになり、ママは怒らなくなった。

お姉ちゃんも、偶には構ってくれる。主に・・・組み手だけど。

でも、最近、八神のママ達が良く来る。何でだろ?

叔母達も、良くおじいちゃんの話をしに来る。何でだろ?

 

おじいちゃんの所とおばちゃん、おねえちゃんの所は、行き辛くなった。

偶に見付かって、連れ戻される事が多くなった。

でもでも、偶にだから、まだ大丈夫!

 

 

さらに数日後

 

 今日、怪しい人が襲って来た。

きっとアレだ、辻撃ちとか云うのだ。

怪しいから、近付いちゃだめって言われてたから。

振り切って逃げた。

ずっと追いかけてくるけど、逃げ切れた。

 

 

真相・・・

 

 ノーヴェとの実戦的訓練。

アーマード・デバイスを使っての組み手。

 

 とあるストリート・ファイター達の間では、割と有名な対戦。

お互いに正体は判らない様にはしているが、バレバレで有ったりする。

 勘が鈍らない様に、保護者には内緒で繰り広げられていたり・・・

 

 日が暮れ、遅くなった時などは安全の為、そのまま帰る事も・・・

その時を狙われた。

 

「・・・貴方が、ミッド・ナイトと呼ばれるファイターですね。

我が流派と、一手お相手願いたい!」

 

 ・・・これが、辻討ち?

えっと、怪しい? 危ない? ・・・逃げろー!

 

 脇目もふらず、サッサと、タッタと逃げ出した!

 

「あ! 待って!」

 

 待てと言われて待つ事は出来なーい!

 

スタコラサッサ! トトトトテテテテ! トーン! トーン!

 何とか振りきって逃げ切りました。

その後、脱ぎそこねて見付かりお叱りを・・・

 

 

 

数日後

 

 ノー姉が、怪しいのが縮んだのを連れて来た。

ビビオ姉と練習試合とか。

 

 あ、ビビオ姉、負けた!

 

 次? やるの?

 

 ノーダメージ、硬いから大丈夫!

伊達に、あの虹色弾いてない。

最近はピンクも何とか。でも、足場ごと持ってかれるから、まだまだ。

え? 反則? ワッカンナーイ!

 

 あ、おじいちゃんから教わった事がバレタ!

バレたら即、撤収! 証拠はナイナイしたから大丈夫!

でも、最近行ってた事がバレタ!

 

 大魔王降臨した!

逃げなきゃ!

 

 捕まったら、O・HA・NA・SHIが待ってる!

安全な避難先は、何処!?

 

 八神家は、この事に関しては、逆効果!

物理的避難先は、この件には、当てに出来ない!

情報的避難先は、遠く、行く前にヤラれる!

最終は、完璧な所へ! GO! ・・・見付かった。

 

 ・・・何で居るの? フェイトママ。

 

 

 ・・・絞られた。怒られた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

アレは駄目だって言われた、だから書き直し。

 

わたしのかぞく

   でゅお・S・はらおうん

 

 私の家族は、大家族。

ママが六人に、ママママが二人、おば達が十一人、お姉ちゃんが三人+四人、お兄ちゃんが一人。

あと、おじちゃんとおばちゃんと、いとこが二人。

お爺ちゃんは、また隔離されちゃった。

この間、内緒で会ってたのがバレて、厳しくなった。

 

 

 ママママ達は、ホントはオバアチャンって言うみたい。でもそう言ったら・・・角生えた!

おじちゃん達から聞いたのに! って言ったら、矛先変わった!

もう言わないでおこう。 笑っているのに怖かった! アレはもう、大魔神! 大魔王より、怖い!

 

 あとね、ママママ達がね、言ってたの。

「私達は赤い糸()は繋がってないけど、黄色(気持ち)(意図)が結びついてるから、ずっと家族なんだよ」って!

 一緒に居たいって気持ちが繋がってる家族の方が、ずっとず~っと楽しいし寂しくないんだって!

 

 パパは居ない。でもパパパパが居る。甘いのに、苦い。ついでに渋い、偶に酸っぱい臭いも(発酵・焙煎臭)、何で?

 

 偶に、パパと呼んでくれって人も居る。でも何時も、暫くしたら、ボコボコ。

偶に、撃ち揚げられてたり。

ボロボロになって帰って来て、もう呼ばないでって、言って来る。

 

 その後は、見かけなかったり。

でも一人、未だに残っている、パパ候補が居る!

防御と治癒のエキスパートで、結界も張れるから、しぶといって。

 何時か仕留めるって、皆言ってた。

 

 何でも、ずっと前から好きだったとかで、未だに諦められないんだって。

あと一歩でのされるとか?

壁が分厚すぎたとか?

偶に、本人からそう聞く。

 

 でも、おじちゃん達から、アレは駄目だとか、ああなったらダメとか、言われてた。

インジューって、何?

 

 書く事は一杯ある。

 

 

 この間もマリーの工房で、クラブ・アイアン(グラーフ・アイゼン)が有ったから、お爺ちゃんジキデンのギジュツで弄って見た!

(その辺で)遊んで良いって、言われてたし、遊んだ!

似た様なのが有ったから、それ組み立てて、似た形にして出来たから、置いといた!

 オヤツ食べてたら【自作】クラブ・アイアン無くなってた。クラブ・アイアン(グラーフ・アイゼン)は有ったのに。

 

 ビータママ、そのまま使ったみたい。

何か単発だけど、えらい良く飛んだとか、コントロールが良くなったとか。(ゴルフクラブ・アイアン)

でも、あの形状は良くなかったとか。

何でも、赤鬼が出たって言われたって。(金砕棒)

非殺傷設定にしたら、(犯人)もっと大人しくなったとか。(狼牙棒=釘バットの原型)

 

 ビータママ、間違えたのは自分だけど、物の管理はしっかりするようにって、言われた。

角が残ってた!

 でも、役には立ったって、使えなくは無かったって、言ってくれた!

 

 

・・・真相、と言うか魔改造?

 

起動時の発言・・・

【ヴィッタンヴィタンニシテヤンヨ!】

 

 

 そんなこんなで、レイジングハートの定期メンテナンス時。

コアも含めての精密メンテナンスに掛けられる事になった時、ヴィータはそれを見付けた。

 どう見ても、レイジングハートを模したであろうソレを・・・

 

「・・・なぁ、なのは。代替機、これにして見ないか?」

「え、コレ?」

「ああ、きっと良いぜ・・・絶対ぇ!」

 

 力を込めて断言!

それを離れて見ていたマリーが口を挟もうとするが、

 

「え? ああ、コレ? コレは・・・」

「まぁまぁ。マリー、コレぜってぇに良いよな?」

 

 にんまり笑いながらそれを薦めるヴィータ。

その笑顔を見て、大体の事を察したマリー。

 

「・・・うん! イイと思うよ? ・・・なのはちゃんには」

「そ、そう? じゃぁ、コレを借りておこうかな?」

 

銘 レーシング・ハート   錫杖型

 

起動時には・・・

【ナッノナノニシテヤルノ!】

 

 

 製作者名を見て怒るに怒れず・・・次へと引き継がれ?

 

「あ! フェイトちゃん! バルディッシュの代替機、これが良いと思うよ!」

「え、そう? じゃぁ・・・」

 

 なのはとマリーはそれを見てほくそ笑む。

 

銘 ハル・デース   ツイン・ブロードソード型

 

起動時に・・・

【ビッリビリニシテヤルダッチャ!】

 

 

「・・・シグナム。これなんか、どうかな?」

「ふむ? ・・・よさげだな。では、コレを借りて行く事にしよう」

 

 ほくそ笑む二人。

 

銘 レバントオ   バスタードソード型

 

起動時には・・・

【メッラメラニシテヤンヨ!】

 

 

「シャマル、これが良いと思うぞ」

「そう? じゃぁ、コレを借りるわね」

「はいはーい。あ、これは一寸気を付けないと・・・」

「何か問題があるのか?」

「あー、問題はって言うか、癖が強いんだよね」

「あら、そうなの?」

 

 

銘 クール・ミント   ペンダント型

 ペンギンを象ったペンダントトップ。

メカニカルな皇帝ペンギンが現れ、大暴れ?

 

起動時に・・・

【クルックールにしてやるの!】

 

 包帯をグルグル巻きに・・・それで大概治ってる?

不埒者《=サボリ・仮病》にはフリッパー《=翼》による一撃が見舞われる?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 この間、シャママにお料理教わった!美味しく出来た!

でも、シャママのだけ、泡立ってた。ピンク色に。

同じ様にしてたのに、最後の一振りで、あんなに・・・あれだけは、真似できなかった!

手品みたいで、凄かった!

 

 紫色の煙まで出て、中から人が出て来た!

何でも三つ、お願い聞くから、これを何とかしてって。言ってた!

それで、シャママ。証拠隠滅と、現状回復と、今のを無かった事にしてって、言ってた!

それでその人、手を打ち合わせて消えちゃった!

誰も覚えて無かった!

 

 八神の家の皆、居たのに。 何で? 

 

 

 シグママ、(つお)い!

毎日、バッタバッタと男の人を斬り捨てるって!

何でも、軟弱者が多いって。中にはもっと罵って下さいってのも。

(ののし)るって、何?

 

 

 八神のお家は不思議が多い。

 

 

ウウゥ、眠いから、今日はこれまで・・・ZZZ

 

 

 

ここで途切れている。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

逆襲のチーム・魔王?

 

 

とある連休中の宿題から抜粋

 

 

 今日は、強化合宿と言う名の同窓会、みたい?

ルー姉の所に、遊びに行った!

遊べる所が多かった!

 

 エリオ兄とキャロ姉、フリードも来た! コロ姉とリオ姉も一緒!

アイハル(アインハルト)さんも来た。

皆で遊んだ!

 

 最後に、実戦訓練? とか言う、隠れ鬼(誤認)をする事になった。

去年もヤッタから、今年は秘策を思い付いてたから、実行に移す!

去年は、あっと言う間(開始直後)に捕まった!(まだ早いと隔離された)

今年は、去年までの様には行かない、セツジョク戦!

 

 

クー姉監修の元、計画された作戦

 

 先ずは、内緒でトーチカを建造。(コロ姉に教わった、ゴーレム魔法を応用、ガリューにも手伝って貰う)

 タコつぼを掘り、塹壕を形成。(同じく応用、手伝って貰う)

 同時に、抜け穴も、落とし穴も。

 チー姉から教わったトラップも設置。

 ディエ姉から、狙撃の手解きも受けた!

 後は、ウェン姉から借りて来た、ライディング・ボード(予備・非武装)を使う。

 

 ノー姉は敵だから内緒。(何かしている事位はバレている)

 

 最初に、遠距離狙撃で出来るだけポイントを削る。

(訓練用の弾は、バイス(ヴァイス)のオッちゃんに頼んで用意して貰った! 結構ノリノリだった!)

 

 メガー()のおばちゃんにも、協力してもらった。

主にトラップ用、落とし穴の足留め用の物を。

 

 オト姉には、ステルス・ジャケットを借りた。

 ディー姉には、二刀流の心得。

 トー姉には、模擬戦。

 ウー姉には、ブツの手配。

 セイ姉には、・・・何だろ、遊び方? 楽しみ方? オオ!(悪戯した時の)丸く治める方法!

 セッテ姉には、クビカリ・スプーン(勝手に命名=ブーメラン・ブレード)二本! 借りて来た!

 

 おじーちゃんには、りみったー? 設定の解錠を(解除では無い、切り替え可能に)して貰った!

 後は外れてはいない様に見える様にして貰った!

 

 後は、お守りが有る。ペンダントにして貰ったこれが有れば、コアイモノは無い!

 今年は粘って見せる!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

そろそろ終盤に近づいた頃

 

「さて、ソロソロ実戦訓練を始めよっか!」

「そうね、先ずは、皆に始める前に、やって貰う事が有ります。判りますか?」

「「「「「「はぁい!」」」」」」

 

 リオ、アインハルトを除く、皆の声が揃った。

 

「え? 何が始まるの?」「な、何を!?」

 

 戸惑う三人に助け船を出す、なのはとフェイト。

 

「あ、そっか。二人とも初めてだったよね」

「最後に、皆で一斉に総当たり戦するんだけど・・・一寸障害が有って、ネ」

「・・・うん、デュオが、やる気満々で。

危ないから、最初に捕まえる事になってるの」

「だから、協力してね?」

 

 そう言われ、戸惑う二人。

 

「あ、はい。でも・・・良いんですか?」

「そ、そんな、可哀想ですよ!」

 

 真面目に、そんな最初に潰す様な事をしなくても良いのでは無いかと、訴える。

 

「ウン、でも、最初にポイントが減る分には、判ってくれるし。後は、大人しく見ててくれるから」

「お願いね。怪我はさせたくないの」

 

 そう、なのはとフェイトからお願いされ、承諾した。

 

 

 

「じゃあ、ソロソロ始めよっか!

これが落ちたら、開始だから。皆、準備は良い?」

 

 

 元気良く返事が返って来たのを確かめ。

なのはは、合図としてのリボンを巻き付けた棒を、空高く投げた!        散った!

 

 タァァアン! 音は後から来た。

 

「え?」

 

 なのはが驚いている間に、リボンが落ちた。

 

 ビジャッ! タァァアン!  なのはの顔が驚いたまま。赤く、染まる。

ポイントが大きく減っている!

 

「ええ!?」

 

なのはが赤く染まったのを見て、駆け付けるフェイト。

 

「な! 何が!?」  ビジャッ! タァァアン!

 

 フェイトも、赤く染まった。

辺りが凍りつく中。

 

 一人、一目散に逃走を開始した!

ライディング・ボードに乗って!

 

「え? ええ!?」

「な、何が!?」

 

ビジャッ! タァァアン!  ビジャッ! タァァアン!  ビジャッ! タァァアン! ビジャッ! タァァアン! ビジャッ! タァァアン!   ビジャッ! タァァアン!  ビジャッ! タァァアン!  ビジャッ! タァァアン!    

ビジャッ! タァァアン!  ビジャッ! タァァアン!

 

 満遍なく、ほぼ全員が、赤く染まった。

その場から消えた一人を除き。

 

「ふ、ふふふ、あはは!」(な)

「そう、そう言う事なのね!」(フェ)

「あっちゃぁ。やられたね」(ス)

「ああ、もう!」(ティ)

「え? な、なにが?」(キャ)

「ああ! そう言う事だったのか!」(エ)

「あーあ。しーらないっと!」(ル)

「ね、ねえ。何か、怖くなってない?」(リ)

「う、うん。でも、去年の事は、気にしてたみたいだね」(コ)

「まさか、これを?」(ア)

「・・・うん。たぶん、考えてる通り」(ヴィ)

「な、なにぃ! こんな事、狙ってたのかよ!」(ノ)

 

 ただひたすら、目的地へと向かう、小さくなりつつある背中を見る。

 

「多分、悔しかったから。一矢報いるつもりかな?」

 

 何と無く、弟分の気持ちを察したヴィヴィオ。

 

「さて、皆! 取敢えず、試合再開は、あの子のポイントを削ってからね!」

「早速、お願いね!」

 

 若干、私怨が混じっていそうな声色だったが、逆らう気は、無かった。

 

「じゃ、お先!」

 

 そう言って、飛びだして逝ったスバル。まさに逝った。

数メートル先で、落ちた。

落とし穴だった。

 全くといった様子で、助けようとしたティアナだったが、動けなくなっていた。トラップ用に用意された物で。

小さな横穴から、召喚されたモノが多数。

 

二人脱落。

 

 

「じゃあ、行こうか」

「うん!」

クキュウ!

 

 フリードに乗り、後を追いかけ様とする二人。

何故か、正反対の方へ飛んで行く。

慌てる二人。だが、言う事を聞かない。何故か、嬉しそう。

裏取引(腿肉2本)、成功!

 

 さらに二人脱落?

 

 

「で、どうする?」

 

 ルーテシアは残ったメンバーに尋ねた。

 

「う、うん。取敢えず、追いかけないと」

「そうだね。あれだけ出来れば、満足だろうし・・・」

「・・・そうですね。怪我をしない内に、降ろして上げないと」

「うん。押さえが効かなくなったら、怖いモンね。・・・二人とも」

 

 そう言いつつ、ヒートアップしている様に見える大人達を見る、年少組。

 

「でも、なんで? 一緒に居た筈なのに」

 

 素朴な疑問を持った、リオ。

それに対し、ルーテシアは、

 

「ああ、アレ?」

「何か、知ってるんですか?」

「うん、リモート・デバイス =コットスの狙撃(スナイプ)ね」

「え?」

「あの子、ドクターから色々なノウハウを教わってるし、あの位は余技ね。

本気を出したら・・・」

 

 森の中から、巨大な多腕の人型が出て来た。

 

「・・・アレくらいよ。確かアレは、≪ギュエス≫・・・だったかしら?」

「な、なるほど」

「あ、あんなの、どこに!?」

「また、作ったんだ」

 

 その発言から、前回も作っていたらしい。

 

「え? ええ!?」

「多分、その時よりは、改造してるかも。何か解らない部品が、急に送られて来てたし。

母さんじゃなくて、ガリューがサイン(手形)して受け取ってた」

「・・・良いんですか?」

「ん? まあ、こっちは悪くないし。・・・頼まれてるし」

 

 

 そうこう言い合って居る内に、ピンクの光芒に包まれ。金色の大剣で砕かれた。

 

 中からは、黝い巨躯が出て来た。

≪く≫の字の武器(ブーメラン・ブレード)を振るい、応戦。

避けられる、受け止められる、ヒビ位は入った。

 

 勝ち目ナシと見るや、即座に武器を捨て、さらに逃走。

 

 タコつぼに籠る。

そこから横穴に入り、さらに逃げる。

高速戦闘に入られない様、ジグザグに作られている。

後は、砲撃対策。

 

 さらに、逃げ続け。高みの見物用に作ったトーチカへ。

そこで籠城しようとしたが、それをも飲み込むピンクの光芒に、呑み込まれた。

 

 

 愕然としながら、その様子を伺っていた年少組。

出来るだけ逆らうまいと、決めた瞬間でも有った。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 気が付いたら、全部終わってた!

でも、がんばってた!って、言ってくれた!

来年は、もっと頑張る!

 

 ア、レ? ハヤテおばちゃん?

 何?  ソレ?

え? また会いに行ったかって?

 アハハ! 行ける訳ないじゃん!

あんなに鍵が一杯で大変な・・・のに、ハッ!

 

 こんな時にこそ!

セイ姉の技術を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・治まらなかった!




こちらはちょこちょこ修正を入れております。
当時は気分的にそんな余裕がございませんでしたので・・・

実はこちらが先に浮かび、一番最初に着手したモノなので、かなり粗が目立つモノとなりました。


次回 秘め事?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   思いのカタチ

この回ではデュオは一切喋りません。

翻訳装置にはGPS的な装置が組み込まれている為、持ち出してはおりません。
身振り手振りで全てを通しております。
念話を使おうものなら、直に察知されるモノとしております。

何処で誰がどう喋っているのかは、各々方の想像のままに。


とある日記から抜粋

 

 

 今日は冒険!

 

 ママママには、頼んでおいたから大丈夫! 代返!

ビビオ姉も、最近は忙しそう! でも、貰うモノは貰った!

アイハルさんにも、言い含めたし。ルー姉にも、口裏合わせて貰った!

コロ姉とリオ姉、キャロ姉とエリオ兄にも、頼んだ!

ハヤテおばちゃんにも、お願い聞いて貰った!

アルフもお願い聞いてくれた!

ティー姉とスー姉にも、一応!

 

 準備は万端! レッツ・ゴー!

 

 

 その後、この日記が発見され大騒ぎ、大騒動に繋がる。

関係者各位、沈黙を守るも【お話光線】(O・HA・NA・SHI)の前に・・・破れた。

行き先だけ伝わる。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 第97管理外世界  通称  魔王達の棲家

 

 とある喫茶店に、その姿は有った。

店内奥、厨房の作業台にて作業していた。

 

「んー。もう少し、ね」

 

 そう言いながら、パティシエールが見本となるモノを手慣れた様子で作り上げている。

 

「・・・そうだな。ここら辺が、もう少し、こう・・・」

「え! そこはやっぱ、こうじゃない?」

 

 そんなやり取りが聞こえる中。

黙々と、作業を続ける子供。

 

「・・・イヤ、こうじゃないか?」

 

 そっと、それに触れるが、コキリという音と共にボダッ! と捥げた!

 

「あ・・・す、済まない!」

 

 冷たい一蔑。

 

「あぁあ! 何やってるの!」

「あらあら! 大変!」

 

 落ち拉がれるマスター。

一方はそれどころではないと作業を続けている。

並々ならぬ集中力で以て作ろうと頑張っている。

 

PPP! PPP! PPP!

 

 唐突に鳴り出す電話。

 

「はい、喫茶翠屋です! ・・・え? なのは? フェイトちゃんも? え?」

 

 電話を取った店員はそっとある方向へと目を向けると、懸命に両手でバッテンを作る姿が!

微笑みながらその意味を察し、

 

「うん、来てないわよ? ・・・え? ・・・お父さんに? ・・・判った! はい!」

 

 電話を替わる様に要求されたらしい。

 

「はい、もしもし? うん? は、はは。な、何のことやら!」

 

 片手で、ココは危ないと合図を出すマスター。(即バレタらしい!)

 

 それを見て、急ぎ片付けを始める。

周囲もそれを手伝う。

 

 荷造りを済ませ、タッタカ外へと走り出す!

だが、途中で引き返し。

 

 一本、上手く出来た物を差し出した。

口止め料らしい。

 

「まぁ! くれるの?」

 

コクコク!

 

「じゃあ、早速飾っておくわね!」

「はい、コレ」

 

 直に一輪差しが差し出され、そこに収まる。

 

「気を付けてね!」

 

 タッタカ、次の隠れ家へ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

大きなお屋敷

 

「お話は伺っております。どうぞ、中へ」

 

 かつて、何処かで見た事のある人物をほうふつとさせる人に案内され、奥へ。

 

「ア、来たのね。

ここなら大丈夫。

万が一、バレたとしても直にはこれない筈だから。

・・・え? もう? ・・・そう、早いわね。

 分かった、だったら。こっちも本気で当らないと!

一寸待っててね。 ああ、ここで始めてても良いわよ。

 手を打って来るから!」

 

 そう言うと、電話の元へ。

 

「もしもし? そう、こっちに。もう来ているみたい。

 ・・・うん。 だから、前倒しして。 うん、じゃ!」

 

 戻って来て、手元を伺う。

 

「ふうぅん。 中々、上手いじゃない。 ん? 慣れて来たの? そう。 でも、これ、中々のモノね」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 必要な数が揃い、予備として幾つか余分に出来た。

 

 遠くから、微かに遠吠えらしきものが・・・

それに呼応するかの如く、外の犬達が騒がしくなった!

 

 そろそろ、ココも危ない!

一応頼んでおいた警告が来た!

 

「え? もう行くの?

 ・・・そう。だったら足留め位はしておくから」

 

 そっと差し出されたそれを見て。

 

「・・・え? これを?

・・・貰っても、良いの? ・・・分かった!

じゃぁ、頑張ってね!」

 

 そう言うと、外の車に乗せて貰った。

上から一寸タオルケットを被せて偽装。運転席に座る相手に、

 

「いい、見付からない様に、見付かっても誤魔化して!」

「はい、承りました」

 

 車は静かに、ある処へと向かった。

 

「さて、私は迎え討たないとね!」

 

 そう言って、腕捲りをしながら戻って行った。

 

 

 追手は、犬達の大歓迎で迎え討たれた!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

和風のお屋敷

 

「・・・はい。承りました。では、こちらへどうぞ」

 

 嘗て、居ないか探した人物が待っており。

その人に案内され、大きな門を潜り、中へ。

中では、女性が待っており。足元には大小様々な猫達が居る。

 その人はこちらを見ると、

 

「わぁ! 綺麗! それで、これを? ・・・そう。 分かった! じゃあ、こっちね」

 

 そう言って中へと、案内された。

 

「じゃあ、頼まれてたのはコレね」

 

 そこに広げられたのは、色とりどりな包装紙と様々なリボン

 

「数は如何? 足りそう?」

 

 コクコク!

 

「そう、じゃあ。頑張ってね!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「どう? 順調? え? そう、出来たんだ! ・・・え? コレ、貰っても良いの?

・・・うん。 ありがとう! 大事にするね!

 え? 次の場所? ココもソロソロ?」

 

 コクコク!

 

「そっか。

 え? お庭? ・・・判った! 良いわよ!

こっちよ!」

 

 

 庭先で何やら円を書き、さらに一寸変わった文字を書き込む。

その中心に立ち、バイバーイ! とばかりに手を振る。

 

「じゃあ、またね! 後は、こっちで何とかしておくから!」

 

 その後、パッと光ったと思うと。そこには、誰も居なくなった。

その後ろには、箒を持った女中(メイド)さんが控えていた。

 

 即座にその円が消され、何事もなかったかの様に偽装された。

 

 

 追手は、お茶攻めで、お茶漬けに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある隠居の庵

 

「お? 来た?」

「ええ、来たみたい」

「ほぅ、見事なモノだな」

 

 そこには、一抱えもある、あるモノを抱えた子供が居た。

 

「おー、ひっさしぶりぃー!」

「元気だった?」

 

 顔見知りの二人とハイ・ロータッチ? を交わし、再会を祝った。 

 

「さて、こちらも、久しぶりに腕を振るうか」

 

 久しぶりのお客に、歓迎されている。

一応、ココで連絡を入れ、無事な事と現在位置を知らせた。

向こうも混乱はあったようだが、概ね秘密は守られている。

 

 一度、ここで休憩を取り。

さらなる移動に備える。

 

「え? なに?」

「・・・うん。 良いの?」

「ん? どうした?」

 

 エプロンを付け、フライパン片手に老年の男性が顔を出す。

 

「あ、父さま!」

「これを・・・頂いて」

「・・・そうか、良いのかい?

 ・・・そうか。では、余計に腕を振わなければな!

それに値するモノを出さねばな。 手伝って貰えるか? 二人とも」

「「はい!」」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 美味しい物を頂き、ゆっくりと休み、予定されている連絡が来た!

お迎えも!

 

「では、提督。後を頼むぞ!」

「はい、承りました!」

 

 お互いにかしこまった挨拶を交し。

お互いの健勝を願い。別れた。

 

「また、偶には来いよ!」

「そうね、寂しい思いをするのも居る事だし!」

「なっ! それはお互い様だろ!」

「わ、私はそんな・・・」

 

 誰に向けられた言葉かは判らない。

多分、両方に向けられての言葉なのだろう。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「さて、母さんから聞いてはいるが、良いのか? ・・・そうか。なら、何も言うまい。

・・・どうなるかは、覚悟しているんだな?」

 

 コクコク! ガクガク! ブルブル!

 

「・・・判っては居ても、そうしたいんだな?  なら、あえて何も言わないでおこう。

・・・健闘を祈る!」

 

 震えが止まらない。

それでも、足にした代わりに対価とはならないかもしれないが、気持ちを渡す。

 

「ん? ・・・良いのか? ・・・そうか。では、受け取っておこう」

 

 

 その後、提督は押し倒された・・・らしい!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある場所?

 

「さて、何時まで隠れるんだい? え? もう少し?」

 

 コクコク!

 

「・・・判った。ココが何時バレるかは判らないけど。・・・協力しよう」

 

 そう言って、本が沢山ある場所で時間稼ぎ。

 

「?・・・はい? え!? 判った! もう少しだけ、引き延ばして!」

 

 急に押し黙り、何らかの報告を聞いている様だ。

 

「・・・ココも、もうバレタ!

え? あ、これは? 貰っても、良いのかい? ・・・そうか、じゃぁ、健闘を祈る!

足留めはしておくから、急いで!」

 

 

 その場を後にして、暫く後。

多重結界がそこに張られたが、とある言葉と共に、ぶち破られた!(×5!)

 

 

 南無参  貴方の犠牲は、決して無駄にはしない!

涙は湧いては来ないが、それに報いられる様、がんばろう!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある駅のホーム?

 

 尊い犠牲の元、逃げ切る事は出来た!

更に追い付かれる速度が上がり、追い詰められている!

 

 追手の数も増えている様だ。

散開して捜していたのが、段々集結し場所を特定されて来た事もあるのだろう!

 

 何処へ逃げれば!?

その時までは、まだまだ掛りそうなのに。

 

「お? 居た居た! こっちだ、こっち!」

 

 振り返ると、見覚えが有る人物が手招きしている。

 

「追われてるんだって? 今度は何をしで・・・」

 

 その出で立ちを見て、大体悟ってくれたのか・・・

 

「・・・判った。俺も、協力しよう! だったら、他も巻き込んでやるか!」

 

 そう言うなり、アチコチに連絡をつけ始める。

 

「・・・ああ、だから協力してくれ! ・・・お? だから! ・・・そう! オウ!」

 

 手を曳かれ歩きながら話しだした。

暫くはそのまま話し続けていたが、

 

「・・・よっしゃ! これで少しは時間が稼げる! 喜べ! この作戦は絶対に成功させる!

だから、安心していろ!」

 

 そう言いながらヘルメットを手渡し、バイクに跨った。

サイドカーに乗せられ、外へと走り出した。

 

「何所へ行きたい? ・・・へ? そりゃ、難しいな。

だが、お前さんなら・・・行けるか? ・・・判った じゃあ、その近くまでなら・・・」

 

 

「わぁ! 見て見て!」

「何?」

「ほら!」

「ワァ! 凄いわ! あんなの、何処に行ったら・・・」

「・・・あら、あの人って」

「知ってる人?」

「え? ええ。一寸」

「アラ?」

「かっわいー!」

 

 

 そんな声がちらほら聞こえた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある場所へと通じるターミナル

 

「・・・本当に、ココで良いのか? ああ、何も言うな、聞かねぇ事にすっから! じゃあ、健闘を祈る!

は? 良いのか? そりゃ、貰えるのなら、貰うが・・・ 判った!」

 

 そう言うと、颯爽と去って行った。

 

 

 

十分後

 

「へ! そいつぁ言えねぇ! 例え、アンタで有ったとしても! 口が裂けても言えねぇ!

へ? そ、それは! アアァァァァア!」

 

 ・・・チラッと時計を見て、

「・・・判りました。何処で降ろしたかだけで、勘弁して下さい! それ以上は!」

 

 

 へ、俺も口ほどにもネェな。 俺は、ココまでだ。 健闘を、祈る!  ガクッ!

そこには綺麗な花が一輪。たむけられていた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある厳重管理された一区画

 

「・・・なるほど。それで、ここへ・・・判った」

 

 そこは、殺風景な場所。

狭く、最低限のスペースしか無いが、隠れ家としては持ってこいでは有った。

 

「ん? ・・・そうか。 では、頂こう。 何、これ位は、許されるだろう。

・・・イザとなったら、幾つか呑めばいいのだから。 それ位、何ともないさ!

他ならぬ、お前の願いなら。幾らでもな!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 暫く、そこで他愛のない話をし、

「・・・逝くのか? そうか、ならば! 止めはすまい! ・・・だが、偶にはまた、顔を見せておくれ?

・・・そうか、ありがとう。 気を付けてな!」

 

 

 暫らく後。

そこに、複数の来客が来たが、知らぬ存ぜぬを貫き通した。

・・・有るモノも、守り通した。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある陸戦部隊基地?

 

 そのオフィスに不釣り合いな姿があった。

 

「・・・それで、ここへは何をしに? は? 匿まえ? フン? ほぉう!

・・・判った!

オイ! 野郎共! ここへは誰も来ていねぇ! そうだな!」

「「「「「ヘイ! オヤッさん!」」」」」×10

「・・・来たら、全力で守りきれ!」

「「「「「へ、へ!?」」」」」×10

「・・・返事は! 如何した!! こんな子供が、俺達を頼って来てくれてんだぞ!

・・・しかも、アレを敵に回してでもだ! それに応えられねぇってヤツァ! 居るか!?」

 

 

 円陣を組み、その事を話し合う大人達。

 

 

「「「「・・・ワッカリやしたっ! オヤッさん! 第108部隊! 屍と化してでも、死守して見せます!!」」」」」×10

「・・・良し! それでこそ、俺の部隊だ! ギンガ!」

「はい!」

「お前ぇは、コイツ連れて。先回りしてろ」

「で、でも!」

「オイオイ、俺達にも格好つけさせろ。

いいんだ。俺も、あいつ等も、足留めにすら成れんが、時間を稼ぐ位は、やって見せるさ!」

 

 その目に、硬い意志を感じ取り、

「分かった。じゃあ、行くわね! しっかり捕まっていてね!」

「応! 見付かるんじゃねぇぞ!」

 

 

 その言葉を背に、背負われて移動を始めた。

 

 

 その後、無数の隊員が、幾度も宙を舞った!

皆、満身創痍と化したが、隊長以下誰一人、倒れ伏す者は居なかった!

仁王立ちのまま、逝った!

 

 それに敬意の念を評し、最敬礼が送られた!×5

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある波止場

 

 そこで有る人物と待ち合せており、そこまで送って貰った。

 

「・・・ヨシ! ココまで来れば・・・もう大丈夫かな? え? ・・・コレ、貰って良いの?

・・・でも、これって。 ・・・分かったわ。貰っておくね!

・・・じゃあ、気を付けてね!」

 

 そう言って、別れた。

待ち合わせの場所へと赴くと、

 

「お? やっと来たん? で、首尾は? ・・・おお! これは、見事やなぁ! うん? 呉れるん?

迷惑料? ・・・うん。そか! なら、貰っとくな! じゃあ、送ってこか!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

自宅近く

 ヴィヴィオ姉がこちらを見付けてくれた。

 

「あ! お帰り! 如何だった!? うん、うん! ワァア! これなら、上出来!」

 

 そう言って、迎えられた。

 

「じゃあ、まだ何とか見付かってはいないの? ・・・うん、そっ・・・!」

 

 急に言葉に詰まるヴィヴィオ。

それに不信を持つが、理由は判った。

急に五つの人影が足元を陰らせたから。

 ユックリと振り返れば、息切れしつつ、目はランランと輝き、鬼気迫る様子であった!

 

「み、見付けた!」

「・・・居たな!」

「・・・見つけたわよ!」

「・・・何所へ、行っていたのかな?」

「O・HA・NA・SHIしなきゃ、ダメかな?」

 

 一寸怖いが、それでもそれぞれの元へ、一束づつ、手渡す。

 

「は?」

「へ?」

「ぬ?」

「え?」

「にゃ?」

 

 訳が判らず、硬直する五人。

それには、色とりどりの石の花束。

 

「あー。えっと、もう言っても良いよね?」

 

コクコク!

 

「それね、贈り物だって。

今日、何の日か。覚えてる?」

 

 そう言われて、思い出す。

 

 ミッドチルダに伝わる、感謝の日。

 

 日頃の感謝を、形に代える日。

 

 お金には換えられない、何かを送る日。

 

 それを、自分の持てる能力を駆使し、実現した。

この世で一つだけの。同じモノは作り出せないだろう、花束。

 

「それで、花の作り方は、製菓と同じ手法で作ったって!」

「え? それって」

「そう! 魔法の石化! まだ上手く出来てないけど、有る程度固めて、保存して、混ぜたりして!」

「そ、そんな!」

「で、色々手配して。行ったり来たりしながら作ったのがソレ! ・・・どう!?」

 

 説明して様子を伺うと、ギュウギュウに締め付けられていた!×5

感極まって、外聞も気にせずに、ただ締め上げる!  逝った!

 

「あー、聞こえて無い、かな?」

 

 

 怒られはしたが、思ったほどには怒られなかった。

ただ、心配した事だけは伝わって来た。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それぞれ、協力して貰った所にも1本づつ送られた。

それでも一束だけ、手元に残った。

それを持ち、有る処へ。

 

 

再開発地区・廃棄都市

 

 

 未だ、激戦の爪跡の残るそこに、誰にも知られない、見られない所に、手向けられた。

 

 ・・・何時しか、其処は、無名の華の花園と呼ばれる事に・・・

人知れず、誰かが、そこに花を手向ける様になったとか・・・

 

 

 朽ち果てぬ思いを、そこに残すように・・・

 

 

 時折、その華に手を出す不心得者も居る。

咎めるモノもない筈のそこで、何を見たのか。それが減る事は、無かった・・・




召喚・送還術に関しては一瞬であり、入口と出口と言う形で作用している為、感知され辛いモノとしております。

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   男の痕・勲章

これは地球で過ごした時の、世代を超えた会話?
魔法での筆談は、一定時間で消失します。
多分に勘違いも含まれます。

Vividな登場人物との出会いもどうぞ。


風呂場にて

 

 シロー爺ちゃんの背中はおっきい!

アチコチ、色んな傷痕が有る!

 

 だから、聞いて見た!

≪筆談=タイルに石化した魔力(群青色)で文字を書く=平仮名で≫

 

【如何してそんなに怪我したの?】

 

「ん? ああ、それは色んな人を守ったり。色んな所へ行って、色々な体験をしたから、こうなったんだよ」

 

【その傷痕は消さないの?】

 

「・・・そうだね。消そうと思えば、消せなくはないかな・・・

でも、今まで有った事もそこに残っているから、消そうとは思わないかな?」

 

【ふーん。

じゃあ、シロー爺ちゃんは脛に傷持つ男なの?】

 

「うーん、・・・確かに、脛にも傷が有るね。

でも、そう言った意味では、一寸違うかな?」

 

【じゃあ、なのはママに齧られちゃった?

だから、傷だらけ?】

 

「ははは! まぁ、そう言う事にでもしておこうかな?」

 

【・・・爺ちゃんは、(脛)ツルツルだった。

ママ達、ハヤテお姉ちゃん、羨ましい?

ガシガシ蹴ってた? でも、ツルツル?】

 

「ん? もう一人の?」

 

 コクコク!

 

【えっと、12人の娘だから、脚無くなる?

・・・齧られなかったの?】

 

「・・・齧る程でもなかったのかな?(早くに一人立ちしたという意味で)

それか、逆に齧る方だったのかな?」

 

 ・・・ポン! 納得!

 

 嘗て、とある画像を見た時の事を思い出した。それは出会ってから割と最初の頃・・・

 

   ・・・

 

【ドクタ! コレハ何?】

「ん? ああ、この画像かい?」

 

 そこには有る灰色の三つの物体を映し出していた。

 

「これは私を創造したモノ達だよ」

【???】

「一寸難しいかな? では言い変えよう。

これが私の親に当たる存在だ」

 

   ・・・

 

【齧られたから、脳みそ(=最高評議会)だけだったんだ!】

 

「えっと・・・それは、無いと思うんだが・・・」

 

 

 そんな会話(片や筆談)が繰り広げられた?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

魔法の匙?

 

 

 イギリスのお爺さん(グレアム元提督)の所に遊びに行った!

向こうでは、ナイフ一本で木の匙を作る風習が有る。

装飾過多なモノから、簡単な仕様の実用的なモノまで多種多様。

 

 年頃になると、男はそれを作り、女性にプレゼントする習わしがあるそうだ。

だから、挑戦!

 

 ・・・出来たけど、びみょー?

 

 一寸歪みが・・・

実用には耐えるけど、装飾品としては今一?

数をこなし、それなりに形になった・・・

でも、今一?

 

 だからそれは一旦諦めて、お土産品として売られているモノを見本に買って帰る事に・・・

 

 

 お手頃な値段の、一寸変わった風の匙。

金色で、小さくて、鎖が付いていた!

 

 お店の人、こんなの在ったかなって?

でも、置いてたし、格安?で売ってくれた?

 

 それは、桃子ママママのお土産用!

・・・喜んでくれるよね?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

高町家・リビング

 

「あら? コレを私に?

ありがとう! 大切にするわね」

 

 早速、身に着けてくれた!

 

 それで、紅茶とケーキを御馳走に・・・

 

「はい、これはお礼ね。

なのはとフェイトちゃんとヴィヴィオちゃんは、もう少ししたら帰って来ると思うから、それまでは我慢しててね」

 

 一寸模擬戦をしてくるとかで、公園へと出向いている三人。

普通に組み手をする位で、魔法は使わない?

 

 コクコク!

 

 早速、ケーキと紅茶の攻略に取り掛る!

 

 

 

「あらあら、よごれちゃったわね。

ほらほら、こっちを向いて」

 

 中腰になり、口の周りを拭ってくれた。

すると、その手が段々遠ざかる。

 

「あら? あらら? まぁまぁ!」

 

 ママママ、段々小さくなって行く?

最終的に、あげたスプーンと同当位?

洋服や、身に付けたモノはほぼ、同じサイズへと・・・

スプーンだけは、元の大きさ。

 

【ママママ? ドシタノ?】

「あら? これは、デュオの声?」

【! ・・・聞コエルノ?】

「ええ、ハッキリ聞こえるわよ」

【ママママ!】

「はぁい!」

 

 小さくなった事は、余り気にならない様だ。

それよりもお話しが出来る事の方が重要?

 

 スプーンは背中に回し背負っている。

 

「うーん、どうしましょうか?

お店は、定休日だから問題はないんだけど・・・

お夕飯が・・・

何が有ったかしら・・・」

【ママママ、肩乗ル?】

「・・・そうね、このまま動き回るよりは、その方が良いかしら。

あ、でもそれよりは、その胸のポケットに居させて貰える?」

 

 今日の服装は、デニムのオーバーオールにティーシャツ。

胸の辺りに、大きなポケットが設えられていた。

そこになら、スッポリと納まるかな?

 

【・・・オオ! スッポリ!】

「じゃぁ、先ずは冷蔵庫からね!」

【オー!】

 

 冷蔵庫を開け、中を確かめ。

上の方が見えないから、引き出す冷凍を踏み台に、上も確認。

 

「うーん、一寸物足りないかしら・・・

お買い物に行かないと駄目かしら?」

【オ買イ物? ・・・行ク!】

「あらあら、じゃあ一緒に行きましょうか。

先ずは、冷蔵庫を元に戻してね」

【ハァイ!】

 

 えっちらおっちら元に戻し、買い物袋を装備!

お財布も装備!

 

「じゃあ、行きましょう!」

【オー!】

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

魚屋の前にて・・・

 

「おう! 今日は一人でお使いか?

今日は良い魚が入荷っているぞ!

見て行かないか?」

【・・・ドースル?】

「そうねぇ・・・寄って見ましょうか」

 

 コク!

 

「おう! そう来なくっちゃ!

今日は、鯵の良いのが入荷っているから、見て行きな!

へい! 何をお求めで?」

 

 主は買い物客に呼ばれ、そちらへと行ってしまった。

 

「何が良いかしら?」

【アジガ良イッテ!】

「そうね、じゃあ鯵の南蛮漬けにでもしようかしら?」

【辛クシナイデネ?】

「はいはい、一寸甘辛くしましょうね」

【オー!】

「おう! 坊主! どうするか決まったか?

ん? 鯵だな? ほうほう、それを・・・これだけだな!

毎度有り! おう、そう言えばお使いだったな。なら、これはおまけだ、持ってけ!」

 

 追加で小鯵も入れて貰った!

 

「気を付けてな!」

 

 手を振り、見送られ、隣のお店へと・・・

 

「あら、お使い?」

 

 コクコク!

 

「あらー、可愛い! コレ、持って行きなさい」

 

 コロッケを貰った!

 

 ブンブン手を振りながら、お店を後に・・・

 

 公園に近付き、人影が見えなくなった頃に、コロッケを半分、更に半分。

そっと、ポケットへ・・・

 

「ふふふ、何だか夢みたい。

こんなに大きなコロッケを食べるなんて」

 

 両手で抱える様なコロッケの欠片。

それを二人して、ハフハフしながらパクついた!

 

「あー! デュオ! それ、如何したの?」

【ビビオ姉! オ使イ! 貰ッタ!】

「ふぅん、一口貰うね!」

 

 パクっと一口だが・・・結構持ってかれた!

 

【・・・ア、アアア!】

「んー! 美味しい!」

「ヴィヴィオー? どうかしたの?

あれ? デュオ、来てたの?

あ、美味しそう! 一寸貰うね!」

「あら、じゃあ私も貰うね」

 

 パクパクっと・・・無くなった。

 

【ママママー! 食ベラレチャッタ!】

「あらあら、なのは。

子供のモノに手を出したらいけないわよ」

「え? お母さん? どこに?」

「ココよ、コーコ!」

「え? 桃子ママ?」

「お母さん?」

「桃子さん?」

「ココよ、デュオの胸ポケットに居るの」

「「「ええ!?」」」

 

 そう驚いて覗き込む三人!

 

「ふふふ、何だか判らないけど、急にこうなっちゃって・・・

でも、デュオとお話しできて楽しいわ」

 

 そんなに気にしていない様な姿を見せる。

その姿は、普段着に背中に背負った小さなスプーン。

さながら、一寸法師の様にも・・・

 

「えっと、なのはママ、フェイトママ。

これって・・・」

「うぅーん、何かのロストロギアかな?

こんなのは聞いた事が無いんだけど・・・

もしかして、そのスプーン?」

「お母さん、そのスプーン見せて貰っても良い?」

「アラ? そうなの? 良いわよ。はい」

 

 そう言って手渡す。

 

「・・・レイジング・ハート、バルディッシュ。何か判る?」

《・・・特には何も。専門外なので、何とも申し上げる事は出来ません》

《同上》

「そうだよね・・・」

「桃子ママ、大丈夫なの?」

「ええ、何ともないし、デュオとお話しが出来て、返って楽しい位よ。

・・・あら?」

 

 一寸だけ、その身が膨れた。

 

「アラ? アラアラ?」

 

 ドンドン大きくなり、ポケットから飛び出してしまった!

 

「あら? 元に戻っちゃったみたいね?」

【ママママ? オ話シハ?】

「あらあら、もうお話しは出来ないみたいね?」

【ママママ!】

 

 はっしと抱き付くデュオ!

 

「お話しは出来なくなっちゃったけど、アナタが言いたい事は、伝わるわよ」

【・・・ママママ、オ腹スイタ!】

「はいはい、帰ってお夕飯にしましょうね」

 

 そう言って、手を繋いで家路へと・・・後に続く三人。

 

「・・・桃子さん。念話聞こえてないんだよね?」

「う、うん。その筈なんだけど・・・」

 

 そんな事を話していると、

 

「あ、そう言えば・・・なのは、あなたマオーなんて呼ばれてるの?」

「え!? あ、如何してその事を!?」

「ふふふ、小さくなってる間、念話? 聞こえる様になっていたの」

「ふ、ふうん」

「そ、そうなんだ・・・」

 

 

 その後、原因究明の為、無限書庫へとそのスプーンは送られた。

 

 検査結果としては、それは在るレアスキルの所持者が愛用していた物で、何故かそれを身につけると体が小さくなると言う曰く付きの代物であったとか・・・

魔力の供給が有れば発動するだけのモノだとか・・・

一般の人が持つ分には、何の意味も無い装飾品だったとか・・・

 

 一応、ロストロギアとして取り扱われる事に・・・

在る時、空管理局本局・ 総務統括官の元へと貸し出されたり・・・

 

「これが夢だったの!」

 

 自分の背丈以上のケーキや、シュークリームに囲まれてご満悦?

 

 

 

 その事を知った、某陸士隊隊長・・・

レンタルし、それを娘達に使って見たとか・・・

 

 大盛況!?

 

 お財布的にもかなり余裕?

娘の誕生日ごとに借り出される事に・・・

 

 

 

 某教会にも・・・

貸し出されたり?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

散髪・理髪・調髪   ・・・明かされた新たな事実?

 

 

 公共魔法練習場《ストライクアーツ練習場》にて、各々が自主練習をしている傍にデュオは居た。

その様子を見て、リオはふと疑問を持った。

 

「・・・ねぇ、ヴィヴィオ」

「ん? 何、リオ?」

「んー、デュオ君。髪長いけど、切らないの?」

「・・・そう言えば、男の子にしては随分と長いですね」

 

 アインハルトも気になったのか、話に加わって来た。

 

「あー、切らないって言うか・・・」

「切れないんだよ」

 

 傍で聞いていたコロナが応えた。

 

「え? ・・・何で?」

「なぜ?」

「あー、うん。

最初の頃は、切ろうとしたんだけど、鋏がね」

「ボロボロになっちゃって・・・」

 

 美容師ごっこをするとかで色々された。

普段の髪型は、その時によって様々。

サイドポニー、ツインテール、ポニーテール、後ろ一括り、三つ編みおさげ・・・朝方、誰と居るかによる。

 

 今日の髪型 =緩い三つ編み?

 

「ふぅん・・・へ?」

「はぁ?」

「えっと、口で説明するより、見て貰った方が良いと思うよ?」

「んー、そうだね!」

「え? え? 何か有るの?」

「デュオー! こっちおいでー!」

 

 一寸退屈気味だったのか、トットコやって来た。

 

【ナァニ?】

「ちょっと髪を切らせてね」

 

 コク!

 

 その手に一房髪を持ち、鋏でもって、エイヤッと力を入れるが、一向に進まない。

 

「え? 冗談?」

「んー、やって見ると判るんだけど・・・」

 

 そう言って鋏を手渡す。

 

「んじゃ・・・え?」

 

 刃は通らない。

 

「では、私が・・・」

 

 アインハルトが代わりに切ろうと試みるが・・・

全く切れない。鋏の方が駄目になった。

 

 その様子を見て、ノーヴェも傍に来た。

 

「・・・何やってるんだ?」

「あ、デュオの髪型について・・・」

「ああ、コツが要るからなぁ・・・

まともに切ろうとしたら、相当掛るし・・・

切れたのは、ウーノ姉だけだったな」

「「「え!?」」」

「え? そうなんですか?」

 

 その言葉に驚きを隠せない三人!

 

「まぁ、無理に切る事は出来たけど・・・後がな」

「ど、如何なったんですか?」

「・・・知りたいかも」

「えっと・・・アレを?」

「な、何が有ったんですか?」

 

 リオ、コロナ、ヴィヴィオ、アインハルトは其々の反応を示す中。

 

「あー、聞かなかった事にしろ」

 

 そう言って話を打ち切ろうとするノーヴェ。

だが、それを許さぬ雰囲気で在った事から、重い口を開いた。

 

「・・・まぁ、髪の毛がのたうつんだ・・・生きてるみたいに」

「う、うん! アレは凄かった!」

「へ、へぇー」

「そ、そんな事が・・・」

「その様な事が・・・」

 

 其々がその様を想像したのだろうか、一寸顔色がよろしくない。

 

「まぁ、それからだな。

無理に切らない様になったのは」

「あ、でも・・・髪型は割とキチンと整ってますけど?」

「あ、そう言えば・・・」

「・・・言われて見れば」

「・・・そうなんですか?」

 

 コロナ、ヴィヴィオ、リオ、アインハルトは思った事を口にする。

 

【切ッテ貰イニ行ッテル!】

「まぁ、何だ。

定期的にだけど、切って貰ってるみたいだな」

【内緒デ!】

 

 そんな事を話している。

 

「あ、そう言えば・・・

何時の間にか切ってたね」

「へぇー、その人って腕が良いんですね!」

「ふぅーん。今度、私も切って貰おうかな?」

 

 さぞ有名なスタイリストの方なのだろうと、勝手に想像する二人。

 

「そんな方がいらしたんですか・・・」

 

 余り興味が無い様で、無頓着なアインハルト。

 

「まぁ、何だ。

切って貰うのは構わないけど、そこに行き着ければな・・・」

 

 そんな風に話しに水を差すノーヴェ。

 

「え? えっと、その方は何処に?」

「良いじゃん! 教えてよ!」

「えっと・・・コロナもリオも、止めておいた方が良いよ・・・」

 

 ヴィヴィオも、余り勧められないと。

 

「え? 何で?」

「如何してさ!」

「・・・まぁ、行けたとしても。会えないからな・・・」

「え? でも、デュオ君は会いに行ってるんでしょ?」

【オー! 会エルヨ? 簡単!】

「そりゃ、デュオの場合は潜入だからな」

「「「え!?」」」

「あっと・・・忘れてくれ」

「え? でも、潜入って・・・」

「うん! 確かに!」

「えっと・・・それって」

「えっと、あのね! 一寸複雑で・・・」

「ああ、そう簡単に行ける所じゃないんだ。

何せ、隔離された無人世界だからな」

 

 もう隠しておく必要も無いと腹を括ったのか、ノーヴェは明らかにする。

 

「まぁ、そんな所で世捨て人みたいにしてるから・・・」

「そっかぁー」

「じゃあ、仕方が無いね」

「そんな所で、何を?」

 

 何となく突っ込んだ事を聞いてしまうアインハルト。

 

「えっと・・・色々有って・・・」

「あー、色々有ってな。揉めてるんだ」

「ふぅーん」

「そっかぁ」

「そうなのですか・・・」

 

 喧嘩でもして気不味いのかと思ったのか、何とか納得して貰えた様だ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

ファビア・クロゼルグとの出会い?

 

 

 じー、じー、じー。

 

 公園で瞑想していると、視線を感じた。

ふと顔を挙げると、そこには一人の子供が居た。

 

「・・・何?」

【・・・魔女?】

「・・・そうだけど?」

【箒(ホーキ)デ飛ベル?】

「・・・まぁ、飛べるけど?」

【乗セテ!】

「駄目」

 

 即答!

 

【・・・駄目?】

「駄目」

【ブー!】

「そんな事しても駄目」

【・・・コレハ?】

 

 その手には、悪魔が摘ままれていた。

 

「あ・・・駄目!」

 

 そう言われ、パッと手を放すデュオ。

 

「何とも無い!?」

 

 子供に対して心配する様子を見せる。

悪魔に関しては、特に心配していない。

 

【??? 何トモ無イ!】

「そ、そう・・・でも、気を付けてね。

この子達は、ファビアが使役している悪魔だから」

【悪魔?】

「そう、悪魔。・・・解る?」

【オー! オ家二モ、一人!】

「え!?」

 

 意外な答えに驚きを隠せない!

 

【白キ魔王(マオー)ガ居ルノ!】

「えええ!?」

 

 驚愕するしかない!

 

【アト、破壊神モ!】

「ええええ!?」

【ア! 魔王(マオー)ダケド、怒ルト大魔王(マオー)二変身!

ママママ達ハ、大魔神二変身!】

「え!? それって!?」

 

 何となく言っている意味が食い違っている事に気が付いた。

 

「デュオー! 何処行ったのー?」

 

 少し離れた所から、子供を呼んでいるであろう母親らしき女性が見えた。

 

【アッ! マオーママ!】

「え!? 魔王魔魔(ママ)?」

【ウン! ナノハママ、白キ悪魔ッテ呼バレテルノ!

ダケド、マオーナノ!】

「そ、そうなんだ・・・

ほら、呼んでるから行った方が良いよ」

【ウン! ジャ、今度乗セテネ!】

 

 ブンブンと手を振りながら、母親らしき相手に走って行くデュオを見続けるファビア。

こちらを見て、軽く会釈をするなのはに対し、

 

「ふふふ、そんな風には見えないよね」

 

 優しそうな顔をしている相手を見て、そう感じた。

更に手を振って来る様子を見て、微笑みながら軽く手を振り返すファビア。

 

 

 そんなこんなで、出会った。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

誤解の多い《=甥》紹介

 

 

 オットーとディードが、ミカヤと共に再開発地区を歩いていると、オットーがある人影を見付けた。

 

「あ・・・」

 

 ふと、足を止めたオットーに、ディードは声を掛けた。

 

「如何した?」

「うん、デュオが・・・」

 

 ミカヤは、それを耳にして、

 

「うん? 誰か知っている人が?」

「あ、はい。ウチの甥っ子が・・・」

「そう、可愛い甥です」

 

 知らず知らずに、握り拳で力説する二人。

 

「・・・では、ご挨拶をした方が」

 

 それを聞き、声を掛ける事にした二人。

 

「「デュオー!」」

 

 その二つの掛け声に気が付いたのか、段々とこちらへと近付いて来る!

 

「え? あ、れが?」

「「はい」」

 

 どう見ても、巨大な甲冑が、こちらへと走って来ている・・・ドスドスと・・・

 

【ナァニ? オト姉! ディー姉!】

 

 聞こえて来るのは、幼い感じの念話で有るが、見た目はどう見ても巨大な甲冑である・・・

戦闘機人であるとは聞いていたが、その甥っ子は・・・ロボ?

 

 どう見ても、可愛いとは言い難い・・・様な?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「デュオ、何をしていたの?」

【アルバイト!】

「そう、でも何で?」

【・・・材料、足ラナイ! ダカラ、スクラップ集メ?

ツイデニ、資金調達?】

「そっか、じゃあ頑張って!」

【オー! オト姉、ディー姉。

何シニ来タノ?】

「ああ、何でも試し切りをするって聞いて、それを見学に来たの」

【・・・見テモ、良イ?】

「ええ、構いませんよ」

【オオ! オッチャン! 休憩! イイ?】

 

 遠くに居る、クレーンを操作している相手に向かって声を掛ける。

 

「おおう! 良いぞ!」

 

 快諾された!

 

【ンット! 降リタ方ガ良イ?】

「まぁ、そのままの方が良いのかな?」

「そうだね。

・・・所で、何を斬るんですか?」

 

 ミカヤは、一寸呆気に取られたが、直に我に帰った。

 

「え!? ああ、あの吊るされたバスを・・・」

【アレ! 掘リ出シタ!】

 

 エッヘン! 胸を張る巨大甲冑。

 

「そ、そうなのか・・・

アレを、試し切りに・・・

ディード、出来そう?】

【イヤ、光剣ならともかく、実剣ともなれば・・・】

 

 両端を持ち上げ、片方を放す事により。

振り子の様に迫りくるバスを刀で以て縦に両断すると言う事らしい。

 

【・・・斬ッチャウノ?】

「ええ、家の流儀では、アレくらいは斬ります」

【スゴイスゴイ! 見シテ!】

「ええ、一寸待っていてくださいね」

 

 準備を整え、念入りに具合を確かめ、

「では、お願いします!」

 

 振り子の如く、猛スピードで迫るバス!

それを居会い斬りの構えで待ち構え、

 

 

 ・・・ギ・ィ・・ン!

 

 

 轟音の中、微かな金属音が鳴り・・・

バスが左右に分かたれ、そのまま後ろへと飛んで行く!

 

 その様を、離れた所から見ていた。

 

「す、すごいな」

「あ、ああ、あんな事が出来るだなんて・・・」

【スゴーイ! スゴイスゴイ!

・・・出来ルカナ?】

 

 その感想を聞き、

 

「まぁ、修練次第かと思いますよ」

「イヤ、修練だけであそこまでは行かないかな?」

「そうだね、それだけ息が合って、尚且つ、そう出来る自信が無いと・・・」

 

 それを聞き、出来るかを試すべく、セツ姉のブーメラン・ブレードを取り出すデュオ。

 

「わ! コ、コラ! それは・・・」

「だ、駄目! どっから持って来たの!?」

【・・・秘密?】

「もう、また会いに行ってたの?」

「この間みたいに怒られても知らないからね。

それで、如何だった?」

 

 ミカヤは一人、話しについて行けなかった。

 

「え? 如何かなされたんですか?」

「ああ、一寸行き辛い所に居る姉に会いに行ってたらしくって・・・」

「ええ、そう簡単には会えない筈なんですけど・・・」

【オー! 元気ダッタァ!】

「そっか・・・良かった」

「もう、今度は行く前に声を掛けてね。渡したいモノも有るし・・・」

「・・・所で、どちらにいらっしゃるのですか?」

 

 そう聞かれると返って言葉に詰まる二人。

 

「えっと・・・」

「あっと・・・」

【ンット、軌道拘置所!】

「「コラ! 駄目! 言・行っちゃ!」」

「は? え?」

「あ、あの・・・気にしないでください!」

「そ、そう! 子供の言う事ですから!」

「え!? 子供!?」

 

 混乱し、戸惑っていると、さっさと子供が甲冑から出て来た。

 

【・・・ナァニ?】

「え!? ええ!?」

「あの、改めて・・・」

「ウチの甥っ子です・・・」

【デュオ・S・ハラオウン! 初等部1年生デス!】

 

 

 そんなこんなで、出会った。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

危険《ダーティー?》な、挑戦《トライ》でっか?

 

 

 姉から遊んでくれると連絡が有った!

だから、近くまで来て見た!

 

 ・・・見っけ!

 

【オ姉ェチャーン!】

 

 そのオープンな念話を聞き付けた複数の女性、思い当たる相手はそちらの方を向く。

その中で、その念話そのモノに聞き覚えがある相手が居た。

 

「え? デュオ?」

「あれ? デュオ君、こっちに来てるのかな?」

「デュオ君、だったね」

「うん、どうかしたのかな?」

「あ! 居た居た! デュオー! ココだよー!」

 

 そう声を掛けるが、聞こえて居なかったのか、斜めに駆け抜けて行く!

 

「あ、れ?」

「えっと、人違いだったのかな?」

「んー、アレはデュオだったのは確かだけど・・・」

「そうだよね、見間違いじゃ無かったと思う」

 

 そう言いながら、その行く先を見ると・・・

一寸怖そうな相手に向かって、飛び掛かった!

 

「なっ!」

「あっ!」

「わっ!?」

「えっ!?」

 

 一息に飛び掛かり、その背中に飛びつく!

 

「ウォワ! 驚いたなぁ!

よく分かったな!」

「コ、コラ! ヘッドに何て事を!」

「そ、そうだ! そ、そんな・・・う、羨ましい!」

「わ、私も!」

 

 思って居た様な事には成らず、そのまま背中に乗せられたままクルクルと楽しげに回る女性。

 

「えっと、あ! ハリー・トライベッカ!?」

「あ! ホントだ!」

 

 その声で気が付いたのか、背中に乗ったままこちらを見ながら声を掛けて来る。

 

【ア、ビビオ姉! ヤホー!】

「・・・デュオ? 如何したの?」

【エ? トラ姉ガ遊ンデクレルッテ!」

「ん? おお、デュオのお姉ちゃん?」

【ソー! ボラテアン(ボランティア)? デ遊ンデ貰ッタ!

ダーティー・ハリーナノ!】

「ちょ! その事はもう・・・」

【エットネ、遊ンデクレルンダケド、全力過ギテ遊具ガ壊レタカラ、ダーティーナノ!】

 

真相 =寿命が来て居そうだったから、先に安全性を確かめる為、力を込めてみたら壊れた・・・次々と・・・

決して、力が強過ぎたという事では無く。未然に防がれた為の事故?

だが、子供からしたら破壊王!?

 

「わー!」

 

 真っ赤になりながら否定し様とするが、大声で念話がどうにかなる訳では無く、周囲に知れ渡った!

 

「ヘッド、そんな事が・・・」

「あ、そう言えば、この間も・・・」

「言われて見れば・・・」

 

 偶にプライベートで何処かへ向っていた様子を思い出したらしい。

 

「あ、あの! サイン下さい!」

「あ! 私も!」

 

 リオとコロナは、そんな事とは思いもせず、憧れの選手に出会えた事を喜ぶ。

 

「オ、応! サインな、その代り、今のやり取りは・・・」

 

 そう言って、辺りを見ると、既に取り返しがつかないと察する事に・・・

 

「はぁ・・・まぁ、いっか!」

 

 サラサラとサインとイラストを書き込み、さっさとその場を離れる事にしたようだ。

・・・だが、そうは問屋は卸さない!

 

「お待ちなさい! 貴女、その子供をどうするつもりなの!

・・・ま、まさか! 年端もいかない子に、あんな事《?》や、こんな事《?》を!?」=ご想像のままに・・・

 

 呼び止めたのは、お嬢様然とした女性《ヴィクトーリア・ダールグリュン》であった。

何を想像したのか、顔が真っ赤だ!

 

「はぁ!? な、何を考えてやがる!

そ、そんな事は・・・無いぞ!

そ、その・・・一寸動物園へ連れて行ってやろうかと・・・一人だと入り辛くて・・・」

 

 顔を真っ赤にしながら反論するが、後半は小声で有り、傍に居ないと聞こえない位だった。

が、誤解は誤解を生み易い。

 

「まぁ! そんな、誘拐するのですか!」

 

 ダダダッ! とヴィクトーリアは走り寄り、ペイ! と、その背中から引き剥がされた!

その子を抱き抱え、ケダモノ《?》から守ろうと?

 

「だ、駄目よ! こんなに可愛い子を、毒牙に掛けるなんて!」

「だ、誰が毒牙に掛けるんだ!」

「貴女が!」

「しねぇ! そ、その、な。

親が忙しいって聞くし、姉に至っては、遊んでくれねぇって聞いて・・・不憫で」

「まぁ! そうだったの!?

だったら、家へおいでなさい! お茶もお菓子も御馳走しますわ!」

 

 そんな事を言って誘おうとする。こっちの方が怪しい!?

その様子をどう見てとったのか、

 

『コラー! そこの二人! その子を放しなさーい!』

 

 遠くの方から、何やら不穏な空気を感じ取ったのか、エルス・タスミンが止めに入って来た。

そのまま近くまで来ると、ヴィクトーリアからさらに引き剥がし、そっと立たせてくれた。

 

「遠くから見ていたら、何をしているの!

こんな小さな子を怯えさせて!」

 

 全然怯えもしないし、逆に楽しんでいた?

傍目からはそう見えたらしい・・・

 

「あ、あのぉー」

「ん? 何だ?」

「アラ? 貴女は?」

「誰?」

【ビビオ姉!】

「えっと、デュオの義姉の、高町 ヴィヴィオです・・・」

「は? デュオは確か・・・

デュオ・S・ハラオウンだった筈じゃあ?」

「あら? その名前は、確か執務官の方で、ハラオウンと言う方が居た筈では?

所で、貴方のご両親のお名前は? お父さんかお母さんのお名前は?」

【ママハ、フェート(フェイト)・テスタロッタ(テスタロッサ)・ハラオウン!

高町 マオー(なのは)ママ! 八神 シグママ・シャママ・ビータママ!】

 

 一息に伝えられ、混乱する人々。

 

「・・・えっと、ママが五人?」

【ママママ二人! グランパ二人! パジ一人!《=ゲンヤ》】

「御爺様と御婆様かしら?」

「えっと、デュオ君。

身分証は、持ってる?」

 

 そう助け船を出すアインハルト。

ゴソゴソとポケットから身分証を出し、手渡す。

 

「えっとこれで証明できると思います」

 

 そう言って、写真付きの証明書を提示する。

未成年である事から、その保護者の欄に、それぞれの顔写真も掲載されている。

 

「うお! 管理局の白い悪魔!」

「こちらは、破壊神と言われる・・・」

「えっと、シグナムさんは首都防衛隊の副隊長を務められていますし」

「ヴィータさんは戦技教官です!」

「シャマル先生は医務官でした!」

 

 ヴィヴィオはそれを補足する様に、

 

「それに、デュオに何か有ったら、先ず親戚のお姉さんが大暴れしてます」

「ああ、凄いモンね!」

「ウンウン! 初めて会った時なんか凄かったよね!」

「うん、あの時は・・・本当に・・・」

 

 ヴィヴィオが口ごもる程の事が・・・

 

「え!? 何があったの!?」

「え? 如何なったの?」

 

 リオとアインハルトは一寸興味が湧いて来た様だ。

 

「えっと、あの時は、犯罪組織に狙われた時だっけ?」

「う、うん。デュオのお爺さんの発明が狙われてて・・・」

「組織ごと壊滅してたよね」

「う、うん。やり過ぎだって・・・問題になってた」

「そ、そうだったんだ・・・」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そんなこんなで、動物園には連れて行って貰えた。

何故か皆で・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

かくれんぼ?

 

 

 セーオー(聖王)教会のお茶会にお呼ばれ!

ビビオ姉! アイハルさんも一緒!

 でも、何だか難しそうなお話し・・・つまんない!

 

 だから、シャン姉と隠れんぼ!

 

「じゃあ、いっくよー!」

 

 ドンドンその姿が増える!

最初は二人から始め、三人、四人と増えて行き。

現在、十七人!

その中から、どれか一人に飛びつくの!

合ってたら、オニ交代!

 

 合ってた! 今度は隠れる番!

 

「あっちゃぁー! 見つかっちゃった!

じゃぁ、100数えるから、それまでの間に隠れてね!

いーち、にーい、さーん、・・・」

 

 どこに隠れようか・・・

結構、隠れられそうな所が無い!

 

 ドコが良いかな? 見付からない所は・・・有った?

取敢えず、この籠の中に・・・

 

 上手く隠れる事は出来たかな?

そう考えていたら、向こうから大量の洗濯物を持ったシスター・シャッハ。

・・・前が見えていない?

 

「よぃっしょ! さて、これで良いかな?」

 

 ワプッ! 上から洗濯物が・・・

洗濯籠の中? でも、丁度良いカムフラージュ?

 

「あ! シスター・ディード! コレを干すのを手伝って貰っても良いかしら」

「はい、オットーも手が空くそうなので、一緒にやっておきます」

「そう? じゃあ、お願いしても良いかしら」

「はい」

 

 そう言って行ってしまうと、今度は持ち上げられた。

 

【ディー姉、ディー姉!】

「? ・・・デュオ? 何処から・・・」

【籠ノ中!】

「・・・洗濯籠の?」

【ソー! カクレンボ!】

「そう、じゃあ、知らんぷりするわね」

「あ、ディード。手伝いに来たよ」

「オットー! ディード! デュオ君、見なかった?」

「・・・イイエ、見ては居ないわ」

「? 何か有ったの?」

「あ、見てないなら良いんだけど・・・

今、かくれんぼしてて・・・」

「あ! シャンテ! お客様の相手は如何したの!」

「今してまぁーす! かくれんぼをしていて、今鬼です!

でも、今のシスター・シャッハの方がお似合いですかね?」

「・・・それは、こういう意味かしら?」

 

 角が生えて来た!

 

【キャー! 鬼ガ出タ!】

「お! この近くに居るんだな! 何処だぁ!」

 

 捜しながら、その場を離れて行くシャンテ。

 

「まちなさーい!」

 

 そして、それを追い掛けるシャッハ!

二人が居なくなったのを確認し、ディードは笑いだした。

 

「・・・フフフ」

「何がおかしいの?」

「これ」

 

 そう言って、洗濯籠を降ろし、洗濯物を捲り上げる。

そこにはすっぽりと収まった子どもの姿があった。

 

【オト姉、シー!】

「ああ、ココに隠れていたんだね」

「そうなの。でも、次の隠れる場所を見付けないと・・・」

「そうだね・・・厨房は、どうだろ?」

「セインも居るから安心かしら?」

 

 そんなこんなで、厨房へと運ばれた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「で、ココに隠れるの?」

「そう、お願い出来るかな?」

「そりゃ、構わないけど・・・

手伝ってく?

イモの皮むきとか、ニンジンの皮むきとか・・・」

 

 コクコク!

 

「じゃあ、決まりだね!

ほい! これ(ピーラー)を使って!

怪我をしない様にね!」

 

 ピーラー装備! ジャガイモどっさり! ニンジンどっさり!

 

 何とか終わった!

その頃になると、厨房を探しに来た?

 

「あ! セイン! デュオ君見なかった?

かくれんぼしてて、まだ見付からなくって!」

「んー? 見たよ?」

「何所で!?」

「・・・今?

・・・向こう側かな?」

 

 そう行った先には、腕が壁向こうまで埋まっていた!

 

「あ! 逃がしたな!」

「そりゃ、逃がして欲しいって頼まれたら、是が非でも逃がして上げるよ? 私らは」

「もー! シスター・シャッハから怒られるー!」

「はいはい、早く追わないと、また逃げられちゃうぞー」

「すぐ捕まると思ってたのにー!」

「あの子が本気で隠れ出したら、何処までも行っちゃうからねぇ」

「そっか、じゃあもっと本気で!

行ってきまーす!」

「はいはい、行ってらっしゃい」

 

 足音が遠ざかるのを確認し、徐に腕を壁から引き抜いた。

デュオはぶら下がったまま・・・

 

「じゃぁ、ここまでね」

【セイ姉、アリガトー!】

「はい、見付からない様にねー!」

 

 手を振りながらそこを出て、反対方向へと逃げて行く!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 途中、いっちゃん(イクスヴェリア)のとこにも顔を出す。

 

 施錠されていたが、合鍵合成!

勝手に入れるの!

 

 いっちゃん、ずぅーっと寝たまんま!

前も寝てたけど、それから寝っぱなし!

 

 あふ・・・眠い。

遊んでたから眠い。

えっと・・・ここ、隠れる。

 

 そのまま足元の方の余ってるベッドの上でゴロンと・・・ZZZ

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 暫くするとシャンテが現れ、

 

「あ! やっと見付けたと思ったら・・・

ふふ、カッワイー!」

 

 ツンツクツンと突かれた。

 

「あ! デュオ! こんな所に居た!」

「えっと、この方が・・・」

 

 ヴィヴィオもアインハルトも現れた。

 

「あ、見付かった?

あーあー、遊び疲れちゃったんだね」

「無理も無い、アレだけ走り回ってたんだから」

「トイレの天井にも隠れていたね。

両手両足で突っ張って張り付いてた」

 

 セイン、ディード、オットーも続いて。

 

「そ、そんな所にも!?」

「ど、道理で・・・」

「す、すごい事を!」

「うわー、またそれやったんだ・・・

前の時は、力尽きて落っこちてたけど・・・」

「そ、その時は?」

「あ、うん。なのはママか、フェイトママが丁度下に居て、受け止めてた。

上がれるんだけど、下りれなくなったりもしてたし・・・」

 

 行動力が有り過ぎて、有り得ない様な所にも隠れているデュオ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




実際、トイレの天井に張り付いて隠れていた従兄が居ました。
何遍探しても見つからなかった・・・
自分もやってみたが、案外見付からないモノで・・・

但し、一度でもやると二度と使えない。
先ずはそこから捜される事に・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   秘密の遊戯

えー、ヴィヴィオ達だけ面白そうな事をさせるのも何なので、こちらはこちらでこんな事が出来るのではないかと・・・捏造して見ました。

インターミドル・チャンピオンシップの人気に対抗し、将来の管理局局員確保の為の大会を、管理局広報部が企画運営する。といった形にしております。


時空管理局本局・ 総務統括官室

 

 そこには三つの小さな人影が存在した。

 

「アラ? 如何したの?」

 

 そっと、ある紙を差し出す。

それをシッカリと読んでから、

 

「・・・そう、これに出てみたいの? ・・・判ったわ。

じゃあ、参加条件を満たせたら、サインしてあげる」

 

 理解ある大人の承諾?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

管理局・第四技術部

 

「え? うんうん。

それで、コレを作って欲しいと・・・判った! 任せて!

もう一人声を掛けるから!」

 

 二人向けのデバイス作成依頼! 完了!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第97管理外世界・地球・イギリス

 

「ふぇ?」

「私達に?」

「そりゃ、黒助に教えたのは私達だけど・・・」

「え? 内緒?」

「ふんふん。驚かすんだ・・・」

「そうだね、それなら協力しない手はないわね」

「ははは、二人とも程々にな」

「「はぁい! 父様!」」

 

 技術協力・戦闘教官役・作戦監修役を雇用!

雇用報酬は、またたびの枝・またたび酒・キウイ(またたび科)をふんだんに使ったスイーツ!

要望・条件も・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第9無人世界・グリューエン軌道拘置所第1監房

 

 そこには、一つの小さな影が・・・

 

「・・・それで、何が望みだ?

・・・ふむ、なるほど・・・それで、アレを改造するのだな?

フハハハハッ! 任せろ!

どんなモノになるか、楽しみにしていなさい!」

 

 不安は残るが、これ以上は無い人選? の筈・・・後で後悔?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 三人が集まり、各々が各々の仕事の結果を報告し合う。

 

「で、どうだった?」

【・・・大丈夫ソウ】

「じゃあ間に合いそうだね!」

「目指せ! 優勝!」

「【オー!】」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 インターミドル・チャンピオンシップ大会は、人気の有る競技大会では有るが、年齢制限が有る。

その人気によって、年々管理局への就職が減少しつつある。

それを憂えた某提督は、勝負へと出た!

 

 その年齢制限を一部、別の大会によって緩和・吸収し、さらなる出場者・管理局職員の増加を求め、ある企画を実行した。

 

 

 それは、Battle(バトル)・Royal(ロイヤル)・管理局大会(?)

技術革新と安全性の考慮から、今回初の試みとして、施行された。

 

 元機動六課の陸戦シミュレーターを再現させ、会場としている。

その際、様々な改良が加えられている。

 

 年齢は、大会に参加できない6才から9才までに制限されている。

クラッシュ・エミュレートに関しては、低刺激に設定されている。

後々、年齢制限や、規模は拡大していく予定?

 

 応募してきた子供達をランダムに選別し、一定の人数(48人)ごとに開始される。

制限時間は30分、得点が高い選手から、勝ち抜き。

間、休憩を挟み、複数回繰り返される。

 

 ダメージを受けたとしても、ライフの制限等は無く、ポイント加算のみとされ、一定時間内に如何に好敵手(ライバル)を攻撃できたかによる得点制。

 連続しての攻撃を防ぐため、一定時間以上の攻撃は無効とされるシステム。

一応、ライフも表示される。

そのライフを基準とし、危ないと判断される場合は、即転送し休息を取らせる事に・・・

 

 

 得点に関しては、年少者が年長者を攻撃し、有効で有れば、二~三点。

年長者から年少者への攻撃で有れば、一点のみ加算される。

同年代同士で有れば、三点加算される。

 

 偶に、ガジェット(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型)が出現し、ボーナス・ポイントとして扱われる。

稀に、管理局員・武装隊員も・・・

子供達の攻撃が当たれば・決まれば、ビッグ・ボーナス間違いなし?

子供達の攻撃に当たれば、減棒・教導送りは間違いなし!?

 

 個人参加、複数名によるチーム参加制。

二通りあり、どちらも問わずに参加する事が出来る。

個人で有れば、全て個人のポイントとして計測される。

チーム戦で有れば、そのチームの人数で分割される。

 

 どちらが有利であるかは、それぞれ。

 

 何らかの突発的事故(アクシデント)による負傷・失神の場合は、即座に大会側から強制召喚による救急・救命処置が施される。

 

 CLASS 3(第三世代型)以上のインテリジェンス・デバイスの使用が条件。

【不正防止・やり過ぎ防止の意味も込められる】

 

 大会成績優秀者・チームには、景品としてミッドチルダ遊園地の年間パスポートが贈呈される!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【チーム・ハラオウン】

 

 カレル・リエラ兄妹 

 

  魔法術式・Magic :ミッドチルダ・おにゃんこ式! 登録申請中・・・

  戦闘仕様・Style :空戦C ・・・成長著しい!

  能力・Skill :万能・多様性 ・・・何でも来い!

  デバイス :S2U・R(=Replica=レプリカ) デュランダル・R

  バリア・ジャケット【外観】 :黒衣=猫耳・尻尾付き・・・師匠達からの熱望・条件!

  武装・魔法媒体 :杖型デバイス

 

 

≪ここでの空戦ランクに関して・・・

   RANK=D  時速15kmまでの飛行が可能

   RANK=C  時速15km以上 40kmまで出せる

   RANK=B  時速100kmを超える事が出来る

   RANK=A  時速150kmを超える事が出来る

   RANK=S  オッツケナイ?  ・・・この様にさせて頂きます≫

 

 

 デュオ

 

  魔法術式・Magic :ミッドチルダ&ベルカ魔王式・魔王流? J・S式? 登録申請中・・・

  戦闘仕様・Style :陸戦C? ・・・疑惑付き?

  能力・Skill :石化・重火力? ・・・チート?

  デバイス :アーマード・デバイス【大会用・簡略型?】=スプリガン ・・・秘密ときめき機構満載!

  展開時・外観 :外殻甲冑=軽装鎧・大き目の手甲足甲・額当て≪山羊に似た角=アンテナ≫・補助肢

  武装・魔法媒体 :コンバット・ライフル、フュスキーナ

 

チームでの主な役割分担

 

  カレル・・・フロントアタッカー&ガードウィング担当

 

  リエラ・・・ウィングバック&フルバック担当

 

  デュオ・・・フロントアタッカー&センターガード担当

 

 その都度、入れ替わり立ち替わり。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

問題発生!?

 

 連携調整中に、それは判明した・・・

 

《ふははははは!》

「・・・なぁ。それ、黙らせられないのか?」

【・・・無理、ドウヤッテモ黙ラナイ】

「えっと・・・お爺さんの声だよね?」

 

 ・・・コク

 

《何、私が付いている限り、優勝に間違いはない!》

 

 人選を誤った・・・

 

《この≪無限の機器【アンリミテッド・デバイス】≫に敵うモノ無し!》

 

 

 A.I=《人工知能》が搭載されていないインテリジェンス・デバイスでは出場出来ない規定だった為、母親達に相談・・・即却下!

 

 イタズラが酷くなる事を懸念? =ヴィヴィオが大きくなってからなのに対し、贔屓は出来ないとの見解。

だから、内緒で作ってくれる相手に頼んで見た・・・

 

 

 超・高性能! 超・無駄な機能性付き!

=自我を持ち、自己修復・自己改造・自己進化? 自律可能? な状態になった・・・

人格に関しては、自身をコピーした様だ・・・

 

 

 本人【デバイス】曰く、コアを破壊されない限りは大体大丈夫?

 一応、7.5世代型? と言っている。

その位は進んでいると・・・

 目的として設定されたのは、どのデバイスよりも優れて在り続ける事?

そして、何よりデュオを守り続ける事?

 

 

 既にO・HA・NA・SHIを通り越し、最上級O・HA・NA・SHI = O・SHI・O・KI必須かと思われる。

現在・・・移行中? 進行中!?

 

 それで防げるか、守りきれるかは・・・神のみぞ知る? =多分、不可能?

 

 

 待機状態は、Ⅰ型《省スペース》?  変形《=Ⅱ型》・合体《=Ⅲ型》機能付き?  最終合体形態は・・・秘密?

・・・持ち歩く事が既に不可能なレベルの大きさ。

だから、勝手に付いて来る? 無駄に隠蔽《ステルス》能力が高い!?

 時たま、その辺りに放置されているバイクなどが消えたりするが・・・気にしてはならない・・・

あっと言う間に、別の何かへと変貌しているに過ぎなかったり?

 

 超高性能へと・・・有難迷惑な代物へと・・・乗り手を選ぶ、超我が儘仕様?

その餌食と化した赤いバイク・・・

 持ち主《ヴァイス》、泣いた・・・だが、挫けずに調教《テイム》? 今は、良き相棒? 尻に敷く?

だが、実はアルトの尻に敷かれてる?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

初回大会が開催された!

 

 コッソリ様子を伺う関係者達・・・

 

 

 この日の為に、グルグル瓶底鼻髭メガネで変装している白衣の男性?

白髪、お髭のダンディズム溢れる老紳士?

その二人が何故か、司会を務めている?

 

【いやー、急遽この大会の司会を務めさせていただきます。

ジェイク・スケイルフット《偽名》と申します】

【訳有って司会を務めさせて頂くが、名前を出す事は控えさせて頂く為に、G3と名乗らせて頂きます】

 

 そのすぐ傍には、瓶底眼鏡を掛けた似た女性が・・・

機器の設定から、お茶汲みまで、あらゆる雑務をこなしている。

 

 

 何故か、ミニスカ・セーラー服がトッテモお似合いの、おにゃんこ先生ズ(・・・古い?)

 

 

 お酒を売る格好をしたガール?

売るのはそっちのけ、試合にしか目が向いてない?

 

「おーい、こっちに二つ頼む! うお!」

 

 声を掛けた途端に酒が現れた!

 

「・・・お代を頂こう」

 

 すぐ傍に居た! 結構離れていた筈が・・・

 

「あ、ああ!」

 

 急ぎ、代金を払うお客。

更に離れた所からも、

 

「こっちにも一つ! うわ!」

「・・・早くして」

「は、はひ!」

 

 おっかなビックリ! 唐突に目の前に現れた!

 

「お姉さん、綺麗だね。アドレス交換しない?」

 

 そんな事にもめげずに声を掛ける猛者=ナンパに対しては、

 

PPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPP!

 

「うおおおおお! 何じゃ! これはああああぁ!」

 

 端末は異様な発信音と共に、送られた情報量により、破壊された・・・

 

 

「ふん、そんな所からじゃなくて、もっと悠々と見れば良いのよ」

 

 そんな声だけが、誰も居ない芝生の上で響く。

空中には、スクリーンも無いのに、試合の様子が映し出されている。

何故か、一組のチームがメインに映されている?

他は一寸おざなり?

一番目立ち、見栄えがするから、運営的にはOK?

 

 

 この日の為に、お店をお休みに決めたご家族。

 

「あら? ここの席かしら?」

「何所だろうな? 一寸解り辛いな」

「あー、こんな事なら、なのはに声を掛けとくべきだったかな?」

「あ! 高町さーん! こっちこっち!」

 

 一寸離れた所から、エイミィが手を振っている。

傍には、バズーカ砲の如きカメラを携えたディエチ。

 

「おまたせッス!」

 

 何やら大荷物のウェンディ。

直にその荷物を拡げると、テーブル、椅子が人数分・・・

 

「まだ始まってはいないな!」

 

 ビデオを構えてうずうずしているチンク!

 

 他のメンバーもチラホラ見掛けられる。

 

「あ! セッ・・・っと! いけないいけない」

「・・・姉さん、大丈夫なの?」

「大丈夫。まだバレてない。問題ない」

 

 コッソリ脱獄中? ちゃんと戻るから問題は無い?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 その初回大会に置いて、二つ名を獲得したチームが居た。

 

【チーム・ハラオウン】

 

 従兄弟同士で有り、その戦術・戦技は、他の追随を許さないモノが有った。

 

 

付いた二つ名

 

【ブラック・ウィングス】

=黒衣の空戦魔導師兄妹

 

【角持つ悪夢(ホーン・ド・ナイトメア)】

=三人の合体技から・・・

二人掛りでデュオを抱え、上空から地上へと絨毯爆撃を敢行!

 

【魔王達の落胤】

=強力無比な戦闘系魔導師が親として名を連ねている事から・・・

 

【エネミー・ゼロ】

=完膚なきまでに倒す事から・・・親・師匠の教育の賜物?

目的の為には、手段を選ばず?

 

【対空陸士】

=空戦を仕掛けて来た相手を撃ち落とした・・・通常、空からの攻撃は、圧倒的に空が有利であった。

それを覆し、的確に対空戦を敢行。

その場を動かずに落とし続けた・・・

カレルによる斥候、リエラによる情報サポート、デュオの射撃能力、デバイスの性能!?

 

 

 

 初回大会において、ブッ千切りのトップを獲得した!




・・・続くかな?

次回 妬真《=心》竜・キャオーン 炎誕!?   ・・・デュオ視点・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   夏休みの宿題!?

こちらは夏休みの宿題の絵日記で、何が描かれたのかを書かせて頂きます。

確か、大会が始まる頃は夏の様な?
曖昧で申し訳ないが、夏休みと言う事で!

三・四日分位だった記憶しかない・・・


妬真《=心》竜キャオー!?   炎誕!?

 

 

 今日は、エリオ兄とキャロ姉が帰って来る! 合宿以来、久しぶり!

ルー姉も一緒だって!

だから、お出迎えに行くの!

フェイトママ、しょっちゅう出張行くからお見送りしてるし、大体行き方は判ってる!

 

 

空港

 

「ふ、クラナガンよ! 私は帰って来た!」

 

 堂々とした態度で胸を張るルーテシア。

 

「え、えっと、ルールー。

そんなに大声を出さなくても・・・」

 

 一寸周囲の目が気になるキャロ。

 

「そ、そうだよ。

それじゃ、怪し過ぎるよ・・・」

 

 エリオも、控えめながらもそう言って見る。

 

【オカエリー!】

「「「え!?」」」

 

 返事が返ってくるとは思っても居なかった三人。

 

【??? チャウノ?】

「え、えっと・・・デュオ、その手にあるのは?」

 

 見慣れないモノを手に構えているデュオ。

ルーテシアはそれが気になったらしい。

 

【??? ・・・ビデオ!】

「えっと、どうするの?」

【・・・ホーコクスルノ!】

「えっと、誰に?」

【メガーネ《メガーヌ》ノ小母チャン!】

「・・・一寸、貸して?」

 

 ツツツッと近寄り、カメラへ手を伸ばすルーテシア。証拠の陰滅・改竄を試みる?

 

【駄目】

 

 近付いた分、ルー姉がフレームからはみ出ない様に注意しながら下がるデュオ。

 

「何で? 一寸位良いじゃない」

【エット、一部始終ホーコク?

向コウニ・・・繋ガッテル?】

「! それって、ドクターの技術?」

 

 コクコク!

 

PPPP!

 

 携帯が鳴りだしたので、直に手に取るデュオ。

 

 特に確認しないで出て、コクコク! 頷きながら、ずい! そのままルーテシアの方へ差し出す。

 

「・・・えっと、私に?」

 

 コク!

 

「・・・はい?」

【ルーテシア、もう少しお淑やかに出来ないの?】

「マ、ママ! えっと、一寸久しぶり過ぎて・・・テンションが・・・」

【まぁ、それも仕方がないと思うけど、羽目は外し過ぎない様にね】

「はぁい」

 

 釘が刺された。

 

「はぁ・・・はい」

 

 携帯を返してくれた。

 

「で、デュオは?」

【オ出迎エ!

キャロ姉、エリオ兄、ルー姉ヲ迎エニ来タノ!】

「そっか! ありがとー!」

 

 ギュウッと首っ丈に抱きしめられたから、抱きしめ返した!

 

【キュー!】

 

 二人掛りで、キャロ姉も!

 

「キャロも、ぎゅー!」   ・・・ぎゅー!

【キュウゥー!】   ・・・きゅー!

「ひゃわわ!」

 

 驚きの余り、奇声を挙げてしまったキャロ。

 

「エリオも、ぎゅ!」   ・・・ムミュ?

【キュ!】   ・・・キュッ!

「え!? あ・・・」

 

 一寸遠慮して短めに? エリオ兄は何だかトッテモ名残惜しそう?

 

 ・・・ピキ?

 

「・・・コホン! じゃあ、そろそろ行こっか!」

 

 ルーテシアはその様を確かめて、高らかに言った!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 エリオ兄とキャロ姉と一緒に、ビビオ姉達の予選会の応援!

多くの人が集まり、その様を見学している。

 

「へぇー! 皆凄いね!」

「う、うん! って、デュオ? 前が見えないよ?」

 

 丁度エリオの目を塞ぐように手が被さっている?

普通に見えないから、エリオ兄の肩車!

 

【見エルー!】

「違う違う、僕が見えないから!」

「ふふふ!」

 

 キャロは、その様子を微笑ましく見ている。

 

 よーく見えるの!

・・・エリオ兄が観てるモノが!

 

 特に良く見てるのが、激戦の所!

・・・アチコチ破れたりしてる?

 

 

 ルー姉が出て来た!

 

【・・・キャロ姉、キャロ姉】

「ん? 何?」

【ルー姉、何デアンナ?】

 

 B・Jのレオタード姿らしいが、一寸そうは見えない様な・・・

 

「え!?」

 

 キャロ姉、硬直! 顔が赤い?

 

「えっと・・・バリアジャケットだから、恥しくないのかな?」

 

 代わりにエロオ兄が応えてくれた。

 

 エリオ兄は、変身してた・・・   ・・・ピキキ?

・・・鼻の下が伸びてる? 一寸顔が熱い? 密着してるから良く分かる?

 

【ソッカァー!】

 

 納得! 見えるモノだから、見えて恥ずかしいモノではないから、恥ずかしくはない?

ママ達もそうだもんね!

 

【エリオ君、それじゃダメだよ!】

「痛い!」

 

 お尻を抑えるエリオ兄?

 

 

 皆、順調に勝ち進んでた!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 座席の関係で、ビビオ姉達とは別々に帰る事になった!

エリオ兄、キャロ姉、ルー姉と一緒!

 

 帰りの電車の中、ふと思い出したのか、ルー姉から、

 

「そう言えば、デュオも大会に出てるんだって?」

【シー! シー! 内緒!】

「へぇー、内緒だったんだ?」

「あはは、もうばれちゃったし良いんじゃないかな?

それで、どんな大会なの?」

 

 エリオ兄とキャロ姉にもバレタ!

 

「あ、内緒だったの? ゴメンね?」

【・・・ウゥー!】

「ふふ、内緒にしておいてあげるから、どんな大会?」

「そうだね、どんな大会なんだい?」

【エット、バトル・ロイヤル・管理局大会!

昨日一日目ガ終ワッテ。今度、二日目!】

「へぇー、交互にやってるんだ!」

「でも、一寸名前が過激かな?」

「え? そうなのかな?

どんな事をしているの?」

【エット、総当タリ戦! ドレダケポイントヲ獲得出来ルカ!】

「・・・えっと、倒せば倒すほど?」

 

 コク!

 

【Ⅰ型トカ、ライバルトカ・・・一杯倒シタノ!】

「ふぅん。じゃあ、明日はお弁当持って、応援に行くね!」

 

 キャロ姉のお弁当! 特殊食材満載!

 

【オー!】

「じゃぁ、私もそのお弁当手伝うわ!」

 

 ルー姉も! 更に珍しい食材も!

 

「・・・は、ははは。じゃぁ、僕は留守番して居ようかな?」

 

 弁当の中身を心配?

・・・見慣れた食材かもしれないから?

 

【??? 何デ?】

「そうだよ? エリオ君も一緒に応援してあげようよ!」

「そうよ? デュオもエリオに応援して貰いたいよね?」

【ウン! エリオ兄! 応援シテクレル?】

「え!? う、うん! 良いよ!」

 

 可愛い弟分には負けてしまうらしい。

 

「・・・所で、エリオ君。

さっき会場で何を見ていたの?」

 

 キャロはふと思い出したのか、どの試合を熱心に見ていたのかが気になったらしい。

 

「え!? な、何でもないよ!」

「あ、そう言えば、エリオが向いてた方、結構接戦だったよね!」

「そ、そうそう! 結構激しかったからつい!」

【オー! ビリビリ!】

「「え?」」「わー!」

 

 それを聞き、雷気変換資質を持った相手の試合かと思ったが、思い当たる相手が出て来なかった二人。

話しだけで、何を言っているのか理解出来たエリオ。

 

【ビリビリ二破ケテタノ!】

「わー!」

 

 そのままばらすデュオ!

 

「アハハッ! エリオ、そんなに見てたの? 言ってくれれば・・・」

「え!?」

 

 一寸期待のエロオ兄《・・・変身し掛け》?

チラッとキャロ姉の方を見るルー姉?

真っ赤になりながら反対しようとしているキャロ姉?

 

「・・・見せて上げなーい!」

「ルールー! そんな事言って、挑発しないで!」   パリン!?   ・・・キャオー炎誕!?

「キャー! キャロに怒られちゃったー!」

【キャー! キャロ姉怒ッター!】

「キャ、キャロ! そ、そんな事はな・・・痛ダダダッ!」

 

 エリオ兄はお尻を抑えて飛び上がった!

 

 

 暫くキャロ姉お冠?

エリオ兄、謝ってる?

ルー姉、笑ってる?

ルー姉に抱っこされてるし、一緒に笑っとく!

 

 

 

キャオーは、嫉妬の炎によって誕生します。

実害は主にエロオと化したモノにだけ? 向けられる。

 

主に、ルー姉が面白がって薪をくべ、焚き付け、燃料を投入・・・

デュオはそれを煽いでメラメラに? 沸点は低いがそんじょそこらじゃ焼けません。

 

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

アサ・ガオーの観察日記?

 

 

七月 ?日 

 

 芽が出た。

 

 

七月 十?日

 

 葉っぱが大きくなって来た。

 

 

七月 二十?日

 

 蔓が伸びた。

 

 

八月 ?日

 

 蔓がもっと伸びた!

 屋根まで伸びた!

 

 

八月 十?日

 

 蕾が出来た!

 もう直ぐ咲くかな?

 

 

八月 十?日

 

 ・・・咲いた・・・でも、朝になると、ガオー、ギャオーって叫んでた・・・

 

 なのはママ、焼却するって!

 フェイトママも、伐採するって!

 ビビオ姉、これは違うって!?

 ハヤテ姉、隔離?

 新種? 突然変異? じゃあ、これは何?

 

 

数日後  原因究明の為、最も理解力の有る者の元へ。

 

 

監獄内・面会室?

 

 

 余り頻繁に出入りされると困る為、定期的に特別に面会が許される様になった。

 

「クックッ! クハハハハッ!

それは、それは災難だったね!

たぶん、高魔法力の何がしかの影響を受け、それで変異したのかもしれないね。

一概に、全てがそうなるとは限らないが、偶々そうなるモノが混じっていたのかもしれないね。

ん? 地球から持って来た?

なら、尚更、そうなるモノが有っても、おかしくはないのかもな。

ん? どうした?」

 

【・・・宿題ダッタ】

 

「ほう、それはそれは。

だったら、今回は仕方が無い、諦めなさい。

その代りと言っては、何だが。

私が、その・・・

手伝おうじゃないか」

 

【! ホント?】

 

「何、こちらも退屈していた所だ、工作の類なら、手伝ってやれない事はない。

どうだ?」

 

【・・・イイノ?】

 

 そう言いながら、後ろに控えていたフェイトの方を伺う。

 

「・・・まぁ、今回は、仕方が無いのかな?

でも、作るモノに関しては、こちらで調べさせて貰います」

 

【ヤッタ! ジッチャ! アレガ良イ!】

 

「はっはっはっ! 何でも作ってやるぞ!」

 

【コノ間、壊サレタ≪ギュエス≫!

今度ハ負ケナイノヲ!】

 

「はっは・・・

そ、それは・・・」

 

 そう言いながら、デュオの後ろに控えるフェイトの方を伺う。

険しい顔で、両手でバツを作っている!

 

「難しい、かなぁ・・・

他のはどうだ? たとえば、そうだな・・・

ガジェットなんかは?

今、V型の開発を画策しているんだが・・・」

 

 ゴスッ!

 

「グワッ!」

「デュオにそんなモノは必要ありません!」

 

 ど突かれた!

 

「デュオ、そう言った工作なら、私からマリーかシャーリーに頼んであげるから。

今回は、良いよね? ・・・ね?」

 

 一寸、顔と言うか、雰囲気が怖かった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

皆で海へ!!

 

 

七月 二十?日

 

 久しぶりに、皆の都合が合った!

だから皆で海へ行こうって!

 

 海、前居た所は、すぐ傍が海だった!

 

 ・・・人で一杯!

何だか、周りに人が集まって来る。

男の人ばっかり・・・

何でだろう?

 

 周りは空いてるのに・・・

あ、あの人抓られてる?

あ、こっちは耳引っ張られてる?

 

 

海モブ達の声

 

「おぉう! グレイト!」

「やった! 今日来てよかった!」

「隙あらば・・・」

「・・・あそこは、要注意だぞ」

「は? ああ、あれだけ美人が揃ってるからな!」=盗撮・痴漢など・・・

「違う、相手が不味い。・・・下手すると海岸線が減る」

「な、何言ってるんだ!?」

「そうだな、夏場に流氷だとか、見たいか?」

「え゛? そ、それって!」

「ああ、魔王様降臨だ!」

「あ、あの・・・」

「そうだ」

「あの時は、何だった?」

「あー。覗き、だったか・・・」

「ああ、哀れだったな・・・」

「その現場を見た相手が・・・」

「ど、どうなった?」

「・・・女性恐怖症に」

「なまじ、魔法の腕が有ったから・・・」

「ああ、強制転送(無限書庫)されて、未だに・・・」

「ど、どうなった?」

「消えたな・・・」

「ああ、子供の方も、気を付けろ」

「・・・聞いても?」

「ああ見えて、かなりの実力者らしい」

「え? あの姿で?」

「ああ、オレが見たのは、十年前からあの姿だった・・・」

「・・・えっと、その時からって・・・」

「まぁ、幼く見積もっても、16以上か?」

【ビータママー!】

「おう! 今行く!」

「「「「・・・幾つなんだ!?」」」」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「なのは、ココで良いかな?」

「うん、後はコレとこれで・・・」

 

 場所を決め、レジャー・シートを拡げる二人。

 

「ハヤテー、ココに刺す?」

 

 ビーチ・パラソルの柄を持って、アイゼン片手に刺す場所を探すヴィータ。

 

「そやな、深こう埋めといてなぁ」

「そりゃ!」  ガスッ!

 

 一撃で、半ばまで刺さった!

 

「主ハヤテ、こちらはどの辺りに?」

 

 クーラー・ボックスを両脇に抱えたシグナム。

 

「ああ、日陰になる所なら、どこでも・・・

シャマル、ソレ取ってぇな」

「はぁい、これね」

 

 そう言って、日焼け止めを渡すシャマル。

 

「えっと、他の皆は?」

 

 辺りを見回しながら聞くフェイト。

それに応えるアルフ。

 

「ああ、もう少し遅れるって!」

 

 アルフは、小さいまま、胸に【あるふ】と書かれた紺の水着で有った。

近くでは、浮輪を膨らませようと、悪戦苦闘するデュオ。

 

「ああ、ホラ貸してごらん。

やってあげる!」

 

 そう言って、浮輪を取り、膨らます。

 

【アリガトー!】

 

 そのまま海へ駆けて行こうとするデュオ。

 

「あ! 沖の方に行ったら、危ないからね!」

「こらー! 準備運動が先でしょ!」

【ハァイ!】

 

 そのまま、その場でストレッチを始めるデュオ。

教え込まれているせいか、かなり念入りにしている。

 

「えっと、デュオは泳げるの?」

「あ、大丈夫・・・かな?

水面を走ってた位だし・・・」

「・・・それって、泳げてるの?」

「・・・でも、平気そうだったかな?」

 

 

《こらー! そこ! 海面は走らない!》

 

 監視台から怒られた!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

お盆

 

 

野菜で乗り物を作る。

来る時は、早く。

帰る時は、ゆっくりと帰れる様に・・・

 

その様な願いを込めて作る。

 

 

「デュオ。今年も作るの?」

 

 何やら細工中のデュオ。

その手元を覗き込みながら、ヴィヴィオは問う。

 

 コク!

 

「で、今年は、ソレ?」

 

 コク!

 

「それは良いけど、それは・・・何?」

 

 見るからに大きく、丸い。

緑の地に、黒い縞々が描かれている。

 

【・・・西瓜!】

「で、帰りは?」

【唐辛子!(ナス科)】

「・・・その意味は?」

【スイカデ速ク!

唐辛子デユックリ!】

 

 何となく、言いたい事は解るが、念の為に聞いて見た。

 

「・・・えっと、聞いても良い?」

【スイカ《=切符要らず》デ、スイスイ!

唐辛子《=ナス科》ナラ、途中デ潰レナイカナ?

潰レタラ、ソノママ居残リ?】

 

 そうしたらまだまだ一緒だと考える。

 

「えっと・・・なのはママ! フェイトママ! これは合ってるの?」

 

 大人で、そういった事に詳しいだろう二人に問うヴィヴィオ。

 

「えっと・・・どうなんだろうね? なのはママは?」

 

 フェイトは、何とも言えないから○投げする事に・・・

 

「えっと、本式は、胡瓜の馬で速く来て、茄子の牛でゆっくりと帰るんだけど・・・

帰る期限は決まってるから・・・

潰れちゃったら、次は来れないかな?」

 

 なのはは、一寸機転を利かせて応えてみる。

 

【! ・・・ナラ、茄子! 頂戴! デップリシタノ!】

「・・・えっと、米ナスかな?」

 

 子供の表現から妥当と思われる答えを見つけ出すフェイト。

 

「多分、それだと思う・・・」

「それで、何を象るの?」

【象サン! アレナラ、ユックリ? 安全?】

「・・・確かに、ユックリだね。

でも、西瓜は変えないの?」

【何デ? スイカデスイスイ、来レナイ?】

「えっと・・・流石に、どうなんだろうね?

フェイトちゃんは、如何?」

 

 なのはは、流石にそれはどうかと思い。今度はフェイトに○投げする。

 

「え!? ま、まぁ、それで来てくれるのなら・・・楽だとは思うけど・・・

電車は、通ってるのかな?」

「・・・如何だろう?」

【・・・ナラ、糸瓜《ヘチマ》! アレデ八足《=スレイプニール》ニシテ、高速デ来ルノ! スイカハ馬車?】

「は、ははは・・・ヘちまって売ってたっけ? フェイトちゃん」

「え? えっと・・・苗なら有ったかな? でも、今から育てるには・・・」

【八神ノオ家ニアル!】

 

 食用、化粧水として、栽培中?

 

「それと、おがらを燃やして迎え火をして、帰って貰う時は、送り火で帰って貰うけど・・・

それは?」

 

 ・・・チラ!

 

「おーう! 来たぞー! で、何を燃やすんだ?」

 

 アギトが現れた! ライター代わり?

 

「・・・火に関しては良いけど、ちゃんと責任持って消してね?」

【ハァイ! 大丈夫! 消火器モ呼ンダノ!】

「ああ、リィンの奴なら、一寸遅れるってさ!」

 

 ・・・消火器扱い?

 

「それで、何を燃やすんだ?」

「あ、それは、おがらって言って、麻の皮を剥いだモノを乾かしたモノで、地球の日本の行事の時に使うの」

「あ、それ知ってるかも。

アレだろ? 死んだ人が帰って来るから、ここに居ますよって、知らせるんだろ?」

「そうそう、ハヤテちゃんもやってた?」

「応! 何でも、両親とかを呼ぶって。去年はダンナも呼んで貰えたっけ・・・」

「そうだったんだ・・・

その時は、乗りモノは?」

「え? ああ、何か丁度良いのが見つからなかったとかで、ズッキーニだった。

帰りは、長細いトマト(赤茄子)だったかな?」

「・・・そうだったんだ」

「へ、へぇー」

「あ、そう言えば、あん時来てたよな?」

 

 コク!

 

「「それで・・・」」

 

 色々と納得が行った二人。




ここでの大会は、一日おきに開催され、間一日は休憩とさせていただきます。
大会は交互に行われ、場合によっては数日の間隔が有るとお思いください。

えー、アサ・ガオーには続編が有りますが、そちらはD・S Sts編にて公開予定です。
こちらでやるには一寸舞台が足らないので・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   夏休みの宿題2!?

竜玉系のお話を混ぜております。
多分、判って頂けるだろうかと・・・

ミッドの聾唖学校には音楽が無い代わりに「表現」という授業があり、魔法を使った課題もチラホラ?
手に職を! と言ったテーマで様々な美術・芸術などの表現方法を学ぶ。とさせていただきます。


即興で作れた為、何分粗が目立ちます。
後々修正を加えます。


お気に入りが200名を突破したのでテンションが・・・勢いのままに、思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


デュオの自由研究? を追加しました。
更に思い浮かべば追加いたします。

大人魔法習得失敗・・・ 追加


デュオ・オリジナル飛行魔法

 

 ある日、変換資質=石化を応用して糸を作ってみた。

軽いながらも丈夫に出来た。

それを丸めてみると、フワフワ~っと浮かび上がった!

それを右に左に、上へ下へ・・・ゆっくりながらも自由自在。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

とある場所へ開発会議?

 

「・・・フム、成る程。ではこうしてみては?」

【あら、それならこうするべきでは?】

《えー? こっちだと思うけど?》

 

 三人寄れば文殊の知恵?

縁戚者が一堂に会す事は出来ないながらも、中継して相談に乗って貰った。

 

一人からは、その為に必要な技術を提供して貰う。

 

一人からは、それを実行する為の計算と計画。

 

一人からは、その計画のシミュレーションを見せて貰った!

 

 実行・・・こんがらがった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「それで、どうしてココへ?」

 

 不意の訪問で驚きはしたが、概ね歓迎されている。

 

【コレ、編メル?】

 

 幾つもの糸玉と、その概略設計図を見せてみた。

 

「・・・やってみよう。ライドインパルス!」

 

 目にも留まらぬ早業で編み上げられるソレ!

複雑に絡み合い、それでも徐々にしか、形成されない。

 

 ・・・十五分後

 

「・・・ふむ? こんな感じで良いのかな?」

【! アリガトー!】

 

 フワフワでモコモコ! 上手く行った!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「! デュオ? それ、如何したの!?」

 

 ヴィヴィオはそれを目にして驚いた!

 

「うっわぁー! スッゴイ!」

「わぁー! スゴイスゴイ!」

「・・・こ、これは・・・何と言ったモノなんでしょう」

 

 リオは、純粋に驚きを隠せない!

その夢の様な光景に感激しているコロナ!

キツネにつままれた様に呆気にとられているアインハルト!

 

 一寸いつもの目線より高い。 エッヘン!

フワフワした雨雲の如きモノが編み上がった!

 それを上へ下へ、右へ左へ・・・

 

 サイズが一寸小さい、ゆっくりとしか動かないが、それで十分?

 

「デュオ、私も乗らせて!」

「あ! 私も!」

「私も良いよね?」

「・・・私も、乗らせて貰っても良いですか?」

 

 小さいから、代わり番こに順番に・・・

 

 帰りは、糸を伸ばしてビビオ姉に風船みたいに引っ張って貰うー!

 

「あははっ!」

【キャー!】

 

 走られると一寸怖いが楽しー!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 お家に帰って、ママ達にもお披露目!

 

「わぁ!」

「きゃぁ!」

「うお!」

「ふむ!」

「まぁ!」

「おおっ!」

 

 皆ビックリ! エッヘン!

 

 

 金斗雲《?》モドキが出来ました。 =フローティング・クラウド =浮雲

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

十数分後・・・

 

「あいたた!」

「つつつ!」

「・・・なぁ、大丈夫か?」

「・・・!」

「うぅーん!」

「う、うう! こ、こないなはずは・・・」

 

 それを見て一言。

 

【ビビオ姉、皆悪イコダッタノ?】

「えっ! そ、そんな事はない筈だよ! ねぇ、なのはママ? フェイトママ?」

 

 何も言えない二人。黙ってしまった?

 

「はぁ? 何処でそんな事を?」

 

 一人だけ無事に済ます事の出来たヴィータ。一寸得意気?

 

【テレビー!】

「・・・ああ、アレを見たのか」

「でも、それならデュオとか私は?」

 

 そう言われて見て気が付いた。

 

【! ソッカ!《=自覚はある?》】

「だとすると・・・」

『ただいまぁー!』

『ただいま帰りましたぁ!』

 

 玄関の方から話し声が聞こえた。

 

【オカエリー! エリオ兄! キャロ姉!】

 

 デュオはそのまま玄関の方へと、トテトテトテテ、トテテテテトテッ! と突進して行く!

その後を追う様に雲の如きモノも付いて行く!

 

『あれ? デュオ、それ如何したの?』

 

 キャロの話し声が聞こえて来た。

 

【作ッテミタ!】 エッヘン!

「わぁ! ふわふわ! 乗ってみても良い?」

【ウン!】

「えっと、わぁ! エリオ君と同じになった!」

 

 上手く乗り、一寸だけ高く浮かべた様だ。更に少しづつゆっくりと上昇を続けて行く。

 

「え? わぁ! キャ、キャロ!?」

 

 目線が同じ高さだったから驚いたエリオ。

それが何故かは直に気が付いた。

 

「あ! その雲みたいなの?」

【ソー! 作ッタ!】

「わぁ! キャロ、僕も乗らせて!」

「ウン! とっても気持ちが良いよ!」

「へぇー・・・!!」

「はい、エリオ君!」

 

 一寸上に昇って来た雲に触って、見上げてしまった?

更には、サッと飛び降りた為、翻った!?

顔が赤い! =邪な気持ちに?

 

「う、うん! えっと、よっと!」

 

 高さはそのままにひらりと飛び上がり、その雲の上に飛び乗って見せた!

竜騎士の名にし負う乗り方ではあったが、いかんせん、勝手が違った。

 

「え!?」

 

 ドスン!

お尻から落ちてしまった!

 デュオはそれを見て、冷静に状況を分析してみる。

 

【・・・エリオ兄ハ、エロオ兄ニ変身中ダッタカラ?】

 

 そんな結論が出たのでそのままに呟いて見た。

 

「え!? ち、違うから! そ、そんな事は・・・」

「エ・リ・オ・君。一寸、オ・ハ・ナ・シ・しましょうか・・・」 

 

キャオオォーン!! 降臨!

 

《=師匠直伝? まだまだ本家には及びませんが、特定の相手になら、本家をも凌ぐ?》

 

 そんな修羅場をいとも簡単に潜り抜け。

 

「ハァーイ! デュオ! 元気?」

【ルー姉ェー!】

 

 ハグ! はぐはぐ!

一寸したスキンシップの後、デュオの頭を撫でながら聞いた。

 

「面白そうな事してるんだって?」

【アレ! 作ッタ!】

「へぇー! 面白そう!

で、エリオはどうかしたの?」

「や、一寸それに乗ろうとして・・・」

【ヨコシマ《=横縞?》ダッタカラ落ッコチタノ!】

 

 それを聞いて、ふと思い当る事が有ったのか、

 

「! そっかぁ・・・青色だったからねぇー」

「! ルールー! 変な事、言わないで!」

 

 キャロは咄嗟にスカートを抑えつつ、叫ぶ!

 

「で、エリオはそれを見ちゃったから・・・」

「ち、違う! 桃い・・・あ!」

「エリオ君。オ・ハ・ナ・シ、途中だったよね?」

「ち、ちが・・・! ハイ・・・」

 

 連行されました。

 

「で、これって、何か注意事項とかって、あるの?」

【??? エット、ヨコシマダト、乗レナイ?

良イ子ダケ?】

「え!? そ、そうなの?」

 

 ルーテシアは、日頃の行いを顧みた。

色々と引っ掛かる所が出て来てしまった。

 

「う、うう! こ、こんな事なら・・・あんな事やこんな事、しなければ!」

「あ! ルールー、いらっしゃい!」

 

 ヴィヴィオはデュオ達があんまりにも遅いから様子を見に来たらしい。

玄関で打ちひしがれたルーテシアを見てびっくり!

 

「えっと、どうかしたんですか?」

「あ! 聞いて! ヴィヴィオ!

私、悪い子だから、雲に乗れないみたい!」

「ふぇ!? えっと、乗れると思うけど・・・」

「ヴィヴィオォー! こんな私を慰めてくれるなんて!

ヴィヴィオはきっと乗れるんだろうなぁー」

「え? 普通に乗れますけど・・・はい!」

 

 そう言って、ヴィヴィオは雲の上にすっくと立って見せた。

 

「わぁー! って、あれ?

ヴィヴィオは、平気なの?」

「え? 特に何も?」

「じゃ、じゃあ、私も試してみる!」

 

 ・・・無事に乗れた。

 

「乗れた・・・て事は、他に原因が有るのかな?」

【???】

 

 ・・・ポン!

 

【エット、計算ダト、??kg位ッテ!】

「へ、へぇー、その計算は誰にやって貰ったの?」

【ウー姉!】

 

 

結論

 

 雲の大きさと体格・体重制限が有った為、引っ繰り返りました。

決して悪い子だからと言った事はありません。

魔法技術の限界です。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

デュオの自由研究? 様々な使い魔? 働く使い魔?

 

 自由研究で使い魔について調べてみた!

 

 

亀な使い魔?

 

 武闘派? 様々な武器を使いこなし、その見た目の印象に似合わない身のこなし!

 

 主に、無限書庫で働いているらしい。

時々、助けてー! と声を掛け、助けてくれそうな人を書庫へと案内するらしい・・・

 その後、少しの筈が・・・

お礼を貰い、外へと赴くと・・・髭茫々に・・・稀に真っ白!?

日付が変更されている事が多いらしい・・・

 

 鯛も平目も舞い踊らないが・・・

乙姫様は居るらしい・・・ =エルダー?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

羊な使い魔?

 

 執事喫茶に一杯いるらしい。

ジーヴス、セバスチャン等々・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

バッタな使い魔?

 

 野球場に居るらしい。=ボール・ボーイ?

 

殿様バッター!

=ヒッティングが凄い!

魔法のバットで物理攻撃は打ち返す!

魔法は受け止め、バットで吸収! それでもって乱闘!

大きな籠手に腕を二本差し!

 

稀に偽物も出るらしい?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

大人魔法習得失敗・・・

 

【ハル姉!】

 

 アインハルトは目の前の子供が自分を呼んだ事に気付くまで時間が掛った。

 

「・・・私、ですか?」

【ハル姉ジャ、ダメ?】

 

 小首を傾げながら聞いて見た。

 

「駄目って事は有りませんが、どうしてですか?」

【ダッテ、アイハルサンダト何カ変? アイハル姉?】

「そうでもないと思いますが、その呼び方が良いのでしたなら、どうぞそう呼んでください」

 

 何となく、自分にも弟が出来た様で嬉しげなアインハルト。

一寸だけその言葉が優しげに聞こえた。

 

【ハル姉、ハル姉!

大人魔法? 教エテ!】

「・・・武装形態ですか?」

【ソートモ言ウ!】

「これはまだ一寸早いと思うので、もう暫くしたら」

【モー暫クッテ、何時頃?】

 

 その問いに、一寸考え込みながら応えを出すアインハルト。

 

「そうですね。後・・・数年でしょうか?」

【・・・ブーブー!】

 

 その答えを聞いてブー垂れるが、それでどうなる訳でもない。

ぶれる事無く返すアインハルト。

 

「これはこれで割と難しいですから」

【ビビオ姉、トックニソウナレタ!】

「それはそれで、デュオ君にはまだ早いかと思いますよ?」

【エェー、リオ姉モシテルノニ?】

「それも、その資質があるからですよ」

【資質、アル?】

「さぁ、どうでしょうね?

でも、変換資質で石化がある事の方が、私は羨ましいですよ」

【・・・ソォ?】

 

 一寸だけ、得意気な様子?

 

「はい、私では大変な事なのに、羨ましい位です」

【エヘヘー!】

 

 一寸得意げ?

習得失敗、でも気にならない。




どんなモノを作るのかは割と自由。
自分の手に負えない様な物は手伝って貰うのも可。
基本、自分の手が加わっている事が重要。

なので、親族・友人・知り合いに手伝って貰う事自体は問題無い。
お金を掛けて、であれば却下。

??kgには、子供以上・大人未満の体重かな?


楽しんで頂けていますか?
私は遊んでおります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   管理局・地上本部を来襲せよ!?

えー、白い人に一寸だけ大変な目(?)に遇って頂きます。


不運《フウゥン》な白い魔銃使いの・・・城?

 

 

「フム、これは中々・・・」

 

 その手には、無駄な善意で守られた、ある極秘データが・・・

それを参考に、ある計画がなされた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 地上本部・一室

 

 広報課・企画部の一室、そこに呼び出された女性。

 

「・・・を君に頼みたいのだが」

「え!? 何故ですか?

私より相応しい人は他にも居る筈ですが・・・」

「だが、その相手は相応しいと言い切れるのかね?

それに、君の挙げる相手は、既に三人とも子育てに忙しい様だ・・・」

「ですが・・・」

「では、君には・・・を決める権利を」

「やります! 是非!」

 

 そんなこんなで、トントン拍子?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第二回戦  管理局・地上本部を来襲せよ!?

 

管理局・地上本部

 

「フハハハハハ! 姫は預かった!

返して欲しくば、ここまで取り戻しに来い!

待っているぞ!」

 

 良く知った相手の声と共に、トンデモナイセリフが繰り出された!

 

「キャー! 誰か、助けてー!

襲われるー!」

「オ、オイ!? そんなセリフは何処にも・・・ブヅッ!」

 

 そんなナレーションと共に、試合は開始された!

 

 

 地上本部内では、緊急時非常事態訓練が行われるという事で連絡がされている。

実際に、異常な事態でも冷静に対処する事が求められる為の訓練。

 

 

 立ちはだかるは、 本局を取り囲む高い壁!

それを制限時間内に乗り越えなければ、実際に拘束される?

 

「行くぞー!」

「【オー!】」

「やったれ!」

「何くそ!」

「こんな壁なんか!」

「姫! 今助けに!」

 

 そんなこんなで、ノリノリに・・・?

出場者全員参加でその難関? に挑む!

 

 AMF【強】発生中!

という看板があるが、何それ美味しいの?

ワッカンナーイとばかりに気にせずに、周囲に配置された道具類を用いて乗り越えて行く小さな挑戦者たち!

 

 

 大きな箱や、中途半端なハシゴ。

ガッチリ纏められている縄と《船の》錨。

竹竿、釘、角材、工具・・・

 機転を利かせてそれらを組み合わせ、協力し合って乗り越えろという暗喩。

 

 

 あるグループは、箱を積み上げ階段状に・・・箱の取り合いで喧嘩に発展。

積み方が悪く、偶々通りかかった局員に抑えて貰ったり。

 

 梯子を掛けるが届かず、梯子を繋げて伸ばしたり。

角材を用いて踏み台を作ろうとする者も。

 

 チーム・ハラオウンは、二人が壁の傍で手を組み、ジャンプ台に。

一人がその組んだ手を踏み台に高く放り上げ、跳び上がり、塀の上に居た局員をロープで捕まえた!

・・・後は綱引き。

塀の下に落ちるか、自分達を引き上げるか・・・

一人ずつ登って行った。

 

 壁を越えた先は、坂になっており。

そこを滑り降りるが、そのまま滑りっぱななしだと拘束必須!?

局員が待ち構える!

 

 その局員の向こうの滑り易い上り坂を目指し、邁進!

その坂を登り切った所には、事務員が待ち構えており。

そこで出題される書類を、キチンと記入すれば鍵となるモノが貰える?

それを三つ集め、所定の受付へ?

 

 正しく提出し、次の関門へ!

間違ったら、また書類から?

・・・お役所仕事?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

正面ロビー

 

 そこでは、頭上に的を掲げた局員。

その的を射抜かれれば、一定時間《1分間》は抵抗・攻撃禁止。

 挑戦者は三発目の被弾までは許されるが、四発目には強制送還。

また最初の地点からの再出発!

 

 それを最短でクリアするチーム・ハラオウン。

目が合うと同時に撃ち抜き、沈黙させる!

 

「よっしゃ! 一番《いっちばーん》!」

「やった!」

【ヤー!】

 

 それに続く者達も居たが、復活した局員に撃ち据えられていた?

自力で乗り越えなければ駄目らしい。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第二層=二十階

 

 迷路の如き部屋を潜り抜け、次の階層へ・・・

その行く手を阻む局員多数!

 

 背の小ささを利点とし、机の下から、相手の死角から・・・スニーキング?

捕まらない様に、逃げ続ける! 逃げ回る!

ここでは反撃禁止! 振り切る分には構わない!

反撃したら、減点ペナルティ?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第三層=三十階・渡り廊下

 

 途中途中に待ち受ける局員を振り切り、ゴールを目指す!

局員は、スタート地点から途中、自分の前までなら攻撃が可能。

 

 遠距離攻撃禁止で、近接攻撃のみで切り抜ける!

捕まらなければ構わない!

捕まったなら、また第三層のスタート地点から再挑戦!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

第四層=四十階

 

 三十階から、上の階段から転がって来る柔らか大玉? を避けて、四十階まで登る!

途中、訓練内容を良く知らされていなかった局員《グリフィス》が巻き添えに・・・他にも、多数?

 

 その局員達を盾にしつつ、上り詰めるチーム・ハラオウン?

他も真似して上り詰める?

 

 なお、全員プロテクター・ヘルメット着用!

その後方には、局員が待ち構え、落ちて来たら保護と言う名の拘束?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

最終層・魔王討伐!?

 

 一番乗りで到達したチーム・ハラオウン!

 

「フハハハハハ!

良くぞ来た! だが、姫はまだ我が手中にある!

それをお前達に取り返せるのかな?」

 

 やや、やけっぱちながら、そんなセリフを述べる魔王役。

 

「キャー! タースーケーテー!」

 

 若干、棒読みな気がするが、ノリノリな姫役。

その姫のタスキには、ミス・管理局の文字が・・・

 

「っく! どうする?」

「助けなきゃ!」

 

 コクコク!

 

 ピッピッピ!

 

 徐に携帯を操作し、ある相手を呼び出すデュオ。

 

「え? 何してるんだ?」

 

 そうカイルに尋ねられ、一寸考えてから応えるデュオ。

 

【・・・天敵? 会心ノ一撃?】

 

「それで、どうするの?」

 

 リエラも不思議そうにその様子を伺う。

 

【はい、グランセニックですが・・・デュオ君?】

 

 そこに映し出されたのは、ラグナ・グランセニック。

手振り身振りで伝えて見た。

 

【え? 見て貰いたいモノ? 何々?】

「な! ヤ、止めてくれぇー!」

 

 それを聞き、大いに狼狽する魔王役。

 

【・・・お、お兄ちゃん?】

 

 そこに映し出されたのは、黒装束に角の付いた飾り物を被ったヴァイス。

お姫様チックな衣装に身を包んだアルト。

 

 何となく、結婚式っぽい?

 

【そっか! やっと一緒になるんだ!

アルトさん! 今日から義姉ちゃんと呼んでも良いですか!】

「え!? えっと・・・良いわ!

私も、ラグナちゃんを義妹だと思っても良いかな?」

 

 状況に流されつつ、ついそんな事を・・・

魔王は精神的に会心の一撃なダメージ?

 

【はい! 義姉ちゃん!】

 

 外堀を埋められ、止めを刺された魔王=ヴァイス?

打ちひしがれてる?

 だが、なお立ち上がり、

 

「・・・うう、だが、まだまだだ!

オレは、魔王の中ではまだ下っ端!

更に上位の魔王が数知れず!

オレを踏み台に、更なる高見を目指しやがれ!」

 

 そのセリフと共に、ナレーションが流れた。

 

【かくして魔王は倒された・・・

その代償として、姫は姫では無くなってしまったが・・・

 その尊い犠牲を乗り越えて、勇者は先へと進む?

次なる魔王は・・・何処に?】

 

 

 一応、クリア?

姫からクリアした証を受け取り、第三回戦への切符を手に入れた。

 

 

 その後、魔王は復活し。

次の挑戦者に対し、奮戦?

姫は姫でクリアした証を渡したり・・・

 

 到着順でポイントが割り振られた・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 とある一室。

偶々バッタリ会い、そのまま三人でお茶会に。

 

「ふぇっくち!」

「クシュン!」

「ん? なのはちゃん、風邪でも引いたん?」

「そう言うハヤテちゃんも」

「二人とも、誰かに噂されてるんじゃないかな?」

「あー、かもしれへんな」

「うう、フェイトちゃんは何とも無いの?」

「え、私? ・・・何とも無いけど?」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「でも、如何して私がミス・管理局に?」

「何、高町教導教官とフェイト執務官と八神捜査官は、其々子供(?)がいるだろう?

それに、君の同僚だったリリエくんは、ロウラン君と婚約中だと聞いたのでね。

次なる組合せとして、管理局離れを防ぐ意味も込め、君に白羽の矢が立ったのだよ」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

クーネェ・モード?

 

 第二回戦、開始前日・・・

 

【クー姉ェー!】

 

 そんな声と共に、通風孔を突き破ってデュオが現れた!

 

「わぁ! デュオ?

どうしたの、そんなに慌てて」

【タッケテ!】

「・・・取敢えず。訳を話してみなさい」

 

 コクコク!

 

 説明する事、数分。

 

「・・・つまり、ドクターに頼んだらトンデモナイ事になって、手に負えなくなったと」

 

 コクコク!

 

「で、それを如何にか出来るだろう相手として、私を選んだ訳ね?」

 

 コクコク!

 

「・・・そう、じゃあ、対価を支払って貰ってからね!」

 

 ・・・クキュ?

首を傾げながら、何を支払えば良いのかを考えて見る。

 

「ああ、そんなに考え込まなくても良いのよ。・・・体で払って貰うから」

 

 そんな事を言いながら、怪しく迫るクアットロ!

 

【キャー!?】

 

 絹を裂くような悲念(?)が上がった?

 

 ・・・数分後

 

「んー! 可愛いぃー!

スリスリしたい!」

 

 そう言いながら、デュオを抱きしめ、既に頬をスリスリするクアットロ!

流石にグッタリとしているデュオ・・・

 

「はふぅ・・・堪能したわ」

【クー姉、変ニナッタ?】

「え? 失礼ね、私は変わってないわよ?

ただ、そうね。ふっきれたからかしら。

生死の狭間を彷徨った時から、もっと早くこうしておくべきだったと実感したの!

で、依頼の件ね。

・・・まぁ、ドクターの発明品だから、ある程度は干渉する事で抑えて見るけど・・・コレを組み込んで見なさい」

 

 そう言って、二つの三角形をした部品を渡された。

 

「それをデバイスに取り付けなさい。

一寸したジャミングだから、それで何とか成るでしょ?」

【クー姉! アリガトー!】

 

 そのままその胸に跳び込む!

 

「キャアッ! もー、可愛いんだから!」

 

 そのままクルクルと回る二人!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 スプリガンに渡された部品を搭載!

・・・何となく猫耳?

 

【クーネェ・モードに移行しました】

「それで、どうなるんだ?」

 

 カレルが何となく問うと、

 

【・・・特大のネコを被ります】

 

 リエラも気になるのか、

 

「えっと、大人しくなるの?」

【はい。・・・その代り、反動がキツクなりますが・・・】

 

 返事はハッキリと聞こえたが、肝心の所は聞き取れないほど、早く小さかった?

 

「良かった!」

「良かったね!」

 

 ・・・コク?

一寸腑に落ちないが、問題は解決?

 

 

原因・・・人格のコピーと共に、デバイスとの精神リンクが為されている為。

 

スカリエッティとクアットロの回線の取り合いになる事間違いなし?

 

 

 後に・・・スンゴイ事に!? ・・・決定!?




取敢えず、そのスンゴイ事だけ先に出来ています。
あとは、それをどう繋げられるのかに掛っておりますが、あと何回戦位が妥当か考え中・・・

四回戦で終えるか、五回戦までで終了とするのか・・・

思い浮かべば良いのですが、中々に。
筆が止まっております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Vivid? & Mimic!?   Spiegel Miroir Specchio?

大変長らくお待たせしておりました。

第三戦は個人戦となりました。

色々と混ぜ過ぎな感もございます。
連想したらこうなりました。


リエラ編 =ハヤテが・・・全力熱演壊になりました。

Spiegel(シュピーゲル) Miroir(ミロワール) Specchio(スペッキオ)


シュピーゲル(鏡よ)ミロワール()スペッキオ(鏡さん)

この子達に一番似合うのは、なぁに?」

 

【それは・・・】

 

 子供たち一人一人の前に、鏡の様なゲートが現れた。

 

   ///   ///   ///

 

シュピーゲル(鏡よ)ミロワール()スペッキオ(鏡さん)

この遊戯に参加してくれるのは、(だぁれ)?」

 

   ///   ///   ///

 

≪この度、管理局では、子供達と一緒にゲームを盛り上げて頂ける方を募集しております。

奮ってご参加下さい≫

 

 というアナウンスが流れ、参加を希望したそれぞれが、最寄りの端末に参加登録を申請していった。

 

 そして、そのアナウンスを聞いていた者は・・・

 偶々? デバイス免許の更新に来ていたインターミドル・チャンピオンシップの選手も含まれ、なのはやハヤテ、エリオとキャロも含まれた。

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

大参加異変(第三回篇)!? ~エクストラ(臨時)カオス(混沌)ウォー(戦争)!?】

 =観客参加動員式? ・・・望む方は勝手に参加可能!? ただし、何に為るかはその場次第!

 

管理局・各部署がそれぞれに出題。   =通称・ドラフト会議?

・パズル系 =無限書庫・整備部・情報部~

・アクション系 =地上本部~

・RPG系 =情報部~

・音楽系 =情報部~

・シューティング系 =空戦部隊・地上部隊~

・レース系 =陸海空・各方面~

・アドベンチャー系 =自然保護部隊~

・シミュレーション系 =陸海空・各参謀部~

 ~などなど~

 

 子供達、一人一人の資質を見極める為、バラバラに配置されて行った。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

カレル編

  乱世シミュレーション・ターン制

 

三極師(さんごくし)

 ・柳眉倒豎(りゅうびとうじゅ)のミゼット

 ・あらゆる事柄を早々(そうそう)に処理する能力者、レオーネ

 ・尊厳(そんげん)をゆうした豪傑、ラルゴ

 

【この三極師が並び立つ乱世で、君は第四の勢力として、見事に生き残り、存在を示せるか!?】

 というテロップと共に、協力者(エクストラ)を集め、自分を示す為の行動を開始する!

 

 序盤サポーター

 ・エイミィ

 ・アルフ

 ・林日(リンディ?)

 

 

・結果

 可もなく不可もなく・・・辛くも生き延びる事は・・・出来た?

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

リエラ編

  空戦(フライト)シューティング  =通称・弾幕系

 

超・鮠帝罰(ハヤテイバチ)

【管理局・魔導騎士コンテストで10連覇した鮠帝は、近隣の管理局組織名簿に無差別侵入(ハッキング)し、人材発掘(恐喝)プランを強行。】

マジカル資源(有能管理局員)を乱獲!】

 

【鬼働禄課を設立。】

 

【兎にも角にも、補獲されたマジカル資源を取り戻すため、鮠帝の設立した鬼働禄課(キドウロクカ)に勝負を挑む!】

 

 ~緊急指令! ハヤテニウム(内部情報)を収集せよ!~

 

 ・・・その情報から、労務局に業務実態が知れ渡り・・・

 

【全てを知られたからには、証拠ごと身内に取り込んでしまえばよい(ユニゾン・イン)! とばかりに猛反撃を始め、証拠隠滅が図られて・・・いる?】

 

///   ///   ///

 

 ハヤテ自身の身体能力が著しく低いため、範囲(弾幕)攻撃の命中率と弾速、命中判定がとてつもなく甘いお陰で成り立っている!?

 

・協力サポーター?

 ヴァイス副官(サポーター)

 ヴィクトーリ()副官(サポーター)

 

///   ///   ///

 

第一面   ・・・CLEAR時 テロップ

 某大佐をアレンジ・・・熱演

 

≪ようここまできたんやな~。

 リエラちゃんが、私の全てを持ってくつもりやなんて。

 これは、許せん反逆行為やで。

 この最終駆逐兵装でもってリエラちゃんの罪に、私自らお尻ペンペンや。

 だから、 (恥ずいんは)消してぇな。≫

 

///   ///   ///

 

第二面   ・・・CLEAR時 テロップ

 

≪ご苦労やった・・・と言いたいんやけど、リエラちゃんにはまだまだこういうんは早過ぎるんや。

 リエラちゃんは知らんやろうけど、この魔典の書の千年の闘争はここで勝利いう終焉を迎えるんや。

 こっからリエラちゃんには手助けはあらへん、Endless(えんどれす)お尻ペンペンや。

 どこまで足掻き逆らうか、見せてもらおか。

 証拠の品(ハヤテニウム)を消しいや。≫

 

///

 

第三面   ・・・CLEAR時 テロップ

 

≪あかんなぁ、ここまで来よったんか。

 腹立つくらいに優秀やったんやな。

 だけど、最も望ましい(なり)に進んできたんはとっても愉快や。

 私の未来改変素適計画は、うち等の強い野望を持って、ついに完遂するんや!

 

 いよいよ実行やから、 (黒歴史は)消してぇな!

 ほな、サイナラ。≫

 

///   ///   ///

 

第四面   ・・・CLEAR時 テロップ

 

≪しぶといやん・・・・・・・終わりや、実力行使や!?(Wユニゾンイン)

 

 虚構鏡(ゲーム)の世界が連鎖崩壊を起こす切っ掛け・・・の一つ、となった・・・

 

///   ///   ///

 

 鬼働禄課 =鬼の様に働かせる割に・・・ (アァ~!) ・・・プッ、ツー、ツー、ツー? ・・・返事(休む間)は無い?

 

 鬼働禄課は、止駆室課(とくむろっか)へと特化した模様・・・

 止駆室課 =止まる事なく働き続け・・・ (ワーカーホリック?)

 

 

 そして、リエラには新たなる伝説と共に語り継がれる、管理局の少女は・・・事如くエース・ストライカー化する・・・リエラ(ιょぅι゛ょ)戦記と?

 

 

 え? 内部情報(ハヤテニウム)がどんなかって?

 それは・・・ハヤテとモリのクマさんが出合った・・・悪話(おはなし)

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 ハヤテは第四技術部・デバイス調整室のマリエルの元へ、眠気醒ましに訪れた。

ちょっと(JS比較)したゴタゴタを立て続けに解決した為、徹夜が続き気味。

 

「ぁふ、ぉはょぅ。マリー、シャーリー」

「あ、ハヤテ。おはよう、凄い眠そうだけど・・・」

「おはようございます、ハヤテさん。・・・大丈夫ですか?」

 

 丁度、シャーリーもデバイスの調整を終えた所だった。

 

「マリー、眠気の覚める何か、あらへん? あとちょっとで、全部終わるとこなんよ」

「え? 眠気が吹っ飛ばせる・・・のは有るには在るんだけど・・・」

 

 お薦め出来ないな~、と腕組みしながら考え込んでしまった。

 

「え? 在るん?」

 

 何気なく言っただけで、濃い目のコーヒーがあれば貰おうと思っていただけだった筈が、あるのなら試してみたい! という気にさせた。

 

「うん・・・ただ、とってもお薦めは出来ないかな~」=実験済み

「もしかして、アレ・・・ですか? 確かに眠気は飛ぶんですけど、お薦めは・・・」=実体験済み

「それなら、試してみたいんよ」

 

 そして、ハヤテの眠気がデバイスによって吹き飛ばされると同時に・・・

 

///   ///   ///

 

ハヤテとモリのクマさん?

 

 或るぅ日 文里(モリ)の中 (クマ)さんにぃ 出合ぁた~♪

 【ある日 無限書庫の中 寝不足気味のユーノに 出会った】

   (頭に)花咲く文里の中 隈さんにぃ 出会ぁた~♪

  【無限書庫の中でフラフラとする頭を抱え ユーノに頼みごとをしようと思っていた】

   隈さんの言う事にゃ、お嬢さん お止めなさい

   【ユーノがいう事には ハヤテ 休んだら?】

    それから 散々~なのさ~♪

    【それから 色々立て続けに事件が~】

     それから 散々~な~の~さ~♪

     【それから 色々立て続けに~事~件~が~】

 

 ところが 隈さんが 真後ろに 居たん

 【心配になった ユーノが見舞いに 来ると】

  トコトコ 寝床

  【もう 寝ないと】

   寝床 トコトコ 言い~なが~ら~

   【流石に 危ないよ と言っている】

 

 お嬢さん お待ちなさい

 【ハヤテ 待って】

  流石に 落ち着かないと

  【流石に これ以上は】

   白い 顔色の 軽い 身柄

   【顔色も 白いし 何だか痩せて来てない?】

 

 あら 隈さん 心配してくれてありがとう

 【そう? ユーノ 心配してくれてありがとう】

  お陰で  (眠気に)耐えて 見せましょう!

  【これで大丈夫! まだまだ頑張れる所を 見せたる!】

   ははは ははははは~!

   【ハハハ ハハハハハ~♪】

    ははは ははははは~!

    【ハハハ ハハハハハ~♪】

 

 

 という夢を見ながら、ハヤテは某デバイスを片手に持って、暴走を開始した・・・

 

///   ///   ///

 

「ハヤテェ~! もう、辞めてくれ!」

 

 少しでも気を抜けば、ピクピクと引き攣ろうとする口角を、引き攣る様な痛みを訴える腹筋を無理矢理に抑え込み、ヴィータは叫ぶ。

 

 ぽ~っと立ち尽くすハヤテが、ゆっくりとヴィータの方を振り返った。

 

「・・・己酔(こょ)ぃの小徹でなぁ・・・()ぃに飢ぇてぃるんょ。もはゃ、私は止まらんにゃ~?」

 

 色々と立て込んでいた徹夜明け、仕事上がりに一杯の・・・コーヒーの筈が・・・箍が外された模様?

 

 ハヤテの周囲は、死屍累々の惨状と化していた。 (注・未だ死んでません)

ピクピクとした(笑い過ぎで)痙攣を繰り返し、引き攣った様な青白い(笑い過ぎて酸欠な)笑顔を貼り付け、 (笑い過ぎて)苦しくて腹を抱えて蹲る負笑者達。

 

「ハヤテェ、もう話も出来なくなってんのか・・・そこまで逝っちまったのなら、せめて私が、引導を渡す!

・・・覚悟してくれ、ハヤテェ~!」

 

 その手に持つは、真っ赤で蛇腹な槌頭を持つ、ブラ~フ・マイセン?

 

 銘  飛己非虚(ピコピコ)反摩(ハンマ) ()

  作  デュオ

   =叩かれた者は・・・社会的・芸能的に死す?

    意識が飛んだり、夢だと思っていた事が・・・実は夢で無くなったり(覚醒)

 

 ヴィータも・・・徹夜明けからの出動にハイに・・・

 

 

 ハヤテ専用!? 呪われたデバイス?

 

  銘  破理専本(ハリセンボン)

   作  デュオ

    参考原型・・・夜天の書・蒼天の書?

     = (眠気)大量破壊兵器・認定?

      突っ込まれた者は負笑者状態(ワラワレルモノ)と化す?

      理性を、精神の箍を大量破壊!?

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

デュオ編

  ビジュアルノベル・アドベンチャー   (通称・ギャルゲー?)  (注・一部TS表現なり?)

 

 Meganee(メガ姉)/Misty night(ミスティ ナイト)

 =メガ姉と霞掛った夜?

 

   ///   ///   ///

 

「ん、うん?」

 

 強制参加プログラムとやらで招集され、気が付くと和風の土間に座りこんでいた所、目の前で魔法陣らしき物が光った。

 

「問おう、君が私の御主人様(マスター)か!」

 

 白いホワイトプリムと編み上げた黒髪に眼鏡を掛け、クラシカルなメイド服に剣道の胴・籠手・竹光(たけみつ)を身に付け、編み上げブーツ・・・

 

「え? ええ!? ・・・え~っと、美由希さん?」

 

 状況が呑み込めないながらも、赤毛の少年はそう返す事となった。

 

「あ、え~っと、なのはのとこの・・・エリオ君?」

「は、はい! その、デュオ()がいつもお世話になってます」

「そっか、じゃあ、今の私はセイバー(剣士)って事で♡ よろしくね!」

「は、はぁ・・・」

 

 エリオが理解しきれずに間の抜けた返事を返した時、締め切られていた雨戸を突き破り、血涙を流しながら槍を手に襲い掛かって来た者がいた。

 

「わ!? わっわ!」

 

 咄嗟に手元に在った竹筒で振り下ろされた槍を受け止めたエリオは、相手の顔を見て驚いた。

 

「グ、グリフィスさん!?」

「・・・エリオ君、何も聞かずに、何も見ずに、やられてはくれないだろうか」

 

 幾分、無理に押し潰した様なくぐもった声で語り掛けて来た。

 

「ど、どうして!?」

「どうしてもこうしても、さ・・・」

 

 何となく、実力的に問題なさそうだからか傍観していたセイバーが口を開いた。

 

「えっと、お知り合い?」

「は、はい。でも、どうして・・・」

「う~ん。えっと、貴女はランサー、で良いんですよね?」

 

 グリフィスと呼ばれた相手は、黙って頷きを持って返した。

 

「て事は、貴女のマスターがそうしろと強制されたという事で間違いはありませんね?」

「ああ、でないと、元には・・・戻れない」

 

 悲痛な思いを打ち明けられていると、

 

「え~り~お~! お腹空いたから、何か食~べ~さ~せ~て~!」

 

 と、藤色の髪をした少女が飛び込んできた!?

 

「あ、グリ・・・フィス? えっと、どう・・・しちゃったの? その胸」

 

 バッ! と両腕で胸を庇い、真っ赤な顔のランサー。

 とあるワードに反応したエリオ。

 

「え? 胸?」

「・・・こ、この事は・・・他言無用で・・・お願いします。特に・・・妻には!」

 

 と土下座して頼みこまれた。

 

   ///   ///   ///

 

『あはははハハハハハ!』

『ちょ、ちょっと、ルキノ。そんな事しても良いの? ・・・プフッ』

『うぅ~ん、(やり)過ぎたかな?』

『ちょっとじゃないと思うんだけど・・・』

『大丈夫、無礼講だから!』 (それに、夜は鬼畜眼鏡風だし・・・)偶には、イイヨね!

『って、それで良いのかなぁ・・・』

 

 という様な会話が会場オペレータールームで囁かれている事は・・・当事者しか知らない?

 

   ///   ///   ///

 

 擦ったもんだの末、ここに居るのはグリフィスではなく、別人の ()リフィス・・・さん? という事になった時、庭にある池に水柱が立った。

 

「エリオ! 無・・・事か!?」

 

 その場に飛び込んで来たは、濡れた赤毛の三つ編みおさげから雫を滴らせた、すらりと肢体の伸びた大人な女性。

だが、どう見てもサイズの小さい衣類(チャイナ)がはち切れそう・・・に?

 

「え、え~と、どなたでしょう?」

「ふぇっ、クシュッ! ・・・アーチャー」

 

 ふっ、と女性の側に何処から現れたのか、赤い外套を纏った別の女性が現れた。

 

「はいはぁ~い。身分は資格で維持してるアーチャー(シャーリー)で~す♡」

 

 と現れたアーチャー。

 

「えっと、ちょっと混乱してると思うんだけど、ここは(ひいらぎ)市って言う虚構都市。

これから七人のメガ姉を掛けて成敗戦争を開始する事になったの。

それぞれ、剣の騎士(セイバー)弓の騎士(アーチャー)槍の騎士(ランサー)騎乗兵(ライダー)魔術師(キャスター)狂戦士(バーサーカー)暗殺者(アサシン)が戦う事になってるの。

それぞれの御主人様(マスター)とメガ姉が最後の一組になるまで終わらないみたいだから、奮って競い合ってね!」

 

 唖然としたエリオを差し置いて、

 

「という訳だから。エリオ君、ここでヤラレてくれ」

 

 にっこりと、壊れた笑顔を向ける ()リフィスと名乗るメガ(ねぇ)

 

「やらせねぇっ! てか、お前は誰だ!」

 

 エリオに迫る槍を、物干し(だい)で弾く赤毛の女性。

クルクルと物干し台を振り回し、身構える様は扱い慣れた様子だ。

 

 え? 何で物干し台かって?

 アーチャー曰く、物干し竿だと軽過ぎて振るだけで折れるって、マスターが言ってました! との事。

 

「マスター。えっと、多分、グリフィス・・・だよね?」

 

 なにげな~く、一眼レフカメラを構えるアーチャー。決定的瞬間を写撃する!?

 

 撮られた事に、しおしお~っと萎えて今にも逃げたそうなランサーは、これ幸いと逃げ出した。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 一方その頃・・・葉桜(はおう)神社、境内

 

「え、えっと・・・キャスター(マリエル)さん」

「ん~? 一寸待っててね~」

 

 そう言ってから三十分ほど経過・・・

 

「よ~し、出来た! 出てこい出てこ~い!」

 

 鳥居の下に描かれた魔法陣からは、ん~っと、伸びをしながらアサシン(レティ提督)が召喚された。

 

「ふぅ。やっと出られた」

「えっと、ここで門番をお願いしますね~」

「ええ、ここでゆっくり皆の様子を見させてもらうわ」

 

 くるりとキャスターが振り返り、

 

「それでマスター。何かな?」

「え、えぇっと、これは何なんでしょう!?」

 

 オロオロとうろたえつつ、アインハルトは尋ねた。

 

「ん~。なんて言ったらいいのかな~、一種の虚構現実なゲームなんだけど・・・そうゆうのって経験ない?」

「・・・う、な、無いです・・・」

 

 強くなるため一辺倒だった為、一般的な ()ゲームの類いには疎かったり。

 

「そっかそっか。でも、コレがそれだから、貴重な経験だね~」

「! そ、それで、一緒に居た筈のヴィヴィオさんは何処に!?」

「あ~、多分、どっかで誰かと一緒かな~」

「そ、そんな! 直に探しに行かないと!」

 

 と慌ててヴィヴィオを探しに行こうとしている。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 ランサーが逃げ出した頃、ひょっこりと白い頭が壁の上から覗いていた。

その顔は、ア~! という顔をしたと思ったら、てしてしと下に居る相手に何かを伝えている。

 

 何々? と白い頭巾を被った者が、壁からこちらを伺っている。

 

【・・・ヤッチャエ、キャロサ~カ~!】 (嘘・冗談)

 

 とエリオの方を指差したら、

 

「・・・ウン、えりお君ヲ、ヤッチャウンダネ!」

 

 と、キャロが素手で壁をブチ抜き「えりお君ノ、浮気者!」と叫びながら、ドンドンと・・・

 デュオはキャロの恋心を・・・凶化できちゃった!?Σ(ノ≧ڡ≦)(てへぺろ☆)

 

「しくしく、私との事は、遊びだったのね!? うわぁ~ん!」(笑) (嘘泣きルーテシア)

「ルール―!? キャロ!? ち、違うんだ! これは・・・ (あぁ~!)

 

 エリオは恋する狂戦士(ヤンデレ)と化したキャロ? に一方的にケリュケイオン真拳を撃ち込まれている!

咄嗟に手が出て反撃してしまうエリオだが、躊躇した所為で (微妙な所に)事如く当たってしまう!?

 

 そんな様子を呆気に取られながら、

 

「デュオ、違うでしょ?」

 

 と白いメイド服に身を包んだヴィヴィオが諭しているが、

 

【エ~? コッチガ面白イ!】

「そうよ、こっちの方が良いわよね~♡」

 

 と甘やかす重厚な甲冑(アーマードデバイス)に身を包まれたバーサーカーと、そのバーサーカーに肩車されているデュオ。

 

「あ! 居た居た」

 

 ほわわん、とした笑顔を携えつつ、キリリとした(笑っていない)眼差しをした女子校生(二十三歳)が・・・現れた!?

 

「デュオ、見ぃつけたぁ~」

 

 その声を聞いた途端、さぁ~っとデュオとバーサーカーの血の気が引いた音が、隣に居たヴィヴィオには聞こえた。

 

・・・凶化!(メガネがキラ~ン☆) ・・・凶化!(口角が吊り上がった笑み) ・・・凶化!(カチャカチャと震えだした)《=武者震い?》 逃ゲチャエ、バーサーカー!】

 

 ダッシュで逃げ出すデュオ付きバーサーカー!

 

「・・・ふふふ、ライダー(エルスちゃん)。二人を捕まえて」

「は、はひ! 直ちに!」

 

 憧れの人からの一言に、ぷひ~! と今にも蒸気を噴きそうな位真っ赤になったライダーだった。

 

違反封縛!(ルールマスター)

 

 次々と繰り出される手錠で封縛されるデュオとバーサーカー(クアットロ)

 

「ふふふ、二人ともゆっくりと、O・HA・NA・SHI、しようね♡」

 

 

 ・・・こうして、柊市の成敗戦争は幕を閉じたのであった・・・

 

 

 それから、少し経ってから、桜色の光の柱が徐々に黒化した・・・という目撃証言があったとか?

 

 

 虚構鏡(ゲーム)の世界が連鎖崩壊を起こす切っ掛け・・・の一つ、となった・・・筈!

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

え? 主犯がどうなってるかって?

 

 

 白のワインが入ったグラスを揺らし、悦に入っていた男は、唐突に笑い出した。

 

「フ、フフハハ、ッグ!?」

 

 綺麗な囚人服を着た男を、か細い手で後ろから締め上げているセクシーな衣装に身を包んだ女性。

 

「で、これはどういう事か、説明してもらえるのかしら?」

「ギ、ギブギブ! こ、これには深い訳が!」

 

 と言い訳をしようとするが、問答無用で締め落とされ・・・とっくに脱落していた?




シュピーゲル(ドイツ語)ミロワール(フランス語)スぺッキオ(イタリア語)で鏡です。

なので、これはシュピーゲル・ミロワール・スぺッキオという名の魔鏡。
・スカリエッティが色々な素材(ロストロギア)を用いて作り出した極安全な ()遊具・・・の筈・・・です。
 耐え切れなくなる様な過負荷が掛らない限りは・・・ね?

カレル編
 連想・・・上手くいきませんでした・・・

リエラ編
 超兄者?【未経験】 ℃℃ンバチ?【未経験】 幼女戦争モノ?【既読】
 そして、ハヤテニウムを組み込んだハヤテニウム弐拾参債とかいう力関係を歪める独立魔導部隊装置(ハヤテコントローラー)が存在するとか・・・

デュオ編
Cast
1.高町 美由希 =セイバー?
 「問おう、君が私のマスターか?」
2.マリエル・アテンザ =キャスター?
 「検査するよ~?」
3.シャリオ・フィニーノ =アーチャー?
 「身分は資格から出来ている!」
4. ()リフィス・ロウラン? =ランサー?
 「な、何で僕が・・・こんな目に?」 = (鬼畜)眼鏡攻め派だから?
5.レティ・ロウラン =アサシン?
 「門は私が守る!」
 不確かながら、休みの【朝死ん】だ様に眠っているらしい・・・二日酔いで?
6.クアットロ =バーサーカー?
 「・・・うふふふふ♡」
7.エルス・タスミン =ライダー?
 「え? ええ!?」
8.メガー()・アルビーノ =ライダー?
 「・・・zzzZZZ」=睡眠中? 定期健診中に接続した?
・共通点はメガネの有無で!

藤姉? =ルーテシア ・ほら、藤色の髪でしょう?
衛宮 士朗 =エリオ ・ほら、赤毛少年でしょう? 
遠坂 =ヴィータ ・ほら、赤いでしょう?
 アゾット剣ならぬアインス() (協力)付きで?
 =水を被って大人化? お湯を被って元に戻る?
桜 =なのは? ・ほら、魔力が桜色で影がある所とか?
 間桐の家? あっという間に悲鳴と共に壊滅させられました・・・
言峰 綺麗 =スカリエッティ? ・イメージ?
葛木 宗一郎 =一 春兎 ・拳系?
イリヤ =デュオ? ・クアットロが言う事を聞きそう?
 セラ =ヴィヴィオ? ・面倒見が良い? 発育(大人化)が良い?
 リーゼリット =キャロ? ・甘々?

/// /// ///

Rider版 キャロ (ナイナイ)
 彼女はライダーですか?
 はい、彼女はKnight(ナイト)・ライダーです。
 =ほら、初登場時にエリオに乗っかってたでしょう?

/// /// ///

メガ姉という旧名(nee)を見捨てていれば・・・もしかしたら?

そして、クアットロは多分、こんな顔=((☀ ()☀))をして震えていたのかも?


次回は・・・
 不運(ふうぅん)? HAYATE帝王国(ハヤテエンパイア)!?
  =ハヤテニア物語?

全力全壊の鏡典に取り込まれてしまった魔王・HAYA帝と・・・子供(選手)達!?
  (円満に)消失した筈の魔化囲(まかい)=職業病に染まる鬼働禄課を復活させよう!?

鏡典に取り込まれたハヤ帝を、みんなで復活させてあげよう! =協同協力回!
 =ハヤ帝の指示に従い、他魔王の拠点(他所の管轄)を攻略・侵略・占拠!?
  ()力を分捕ろう! そして、その暁にエリートコース!(通称・鬼働禄魔課異)に配属されよう!?

 ・・・ができたらいいなぁ~と。

あ、ちなみに子供達は憑衣!(コンファイン)ではなく、斉昌・融合!(ユニゾンイン)でもなく、配役!(キャストイン)です。

人間でないモンスターにも着包身(キグルミ)で変身!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

運命を信じる? =Fate/Believe?

お待たせしておりました、フェイト編です。
Fate(フェイト)/Believe(ビリーブ)

別なFateとは異なりますので、ご了承ください。
こちらは、幽鬼な勇気編です。

イメージしてみたら、なぜか・・・こうなりました。


『フェイト執務官。至急・・・』

 

 緊急連絡を受け、管理局・広報部へと出向いたフェイト。

 

「フェイト執務官、誠に遺憾ながら緊急事態となった。

 だが、君が来てくれたのなら万事良好な方向へと進むだろう。

 だから、決して怒らずに、こちらから全ての説明を聞き届けて対処してくれたまえ」

 

 そう広報課課長が告げると、一目散にその場から立ち去った課長。

 

 そこに残されたのは、某指令の如く、組んだ手によって口元を隠したスカリエッティ´の映し出されたディスプレイ。

 そう、その直後に荒れ狂うであろう嵐を避けんが為に・・・

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 荒れはしたが、比較的落ち着いているのは、子供達の無事は確保しているというスカリエッティからの伝言。

 なのは達の発した魔力が強大過ぎて、遊具(ゲーム)=シュピーゲル・ミロワール・スぺッキオが制御不能に陥ってしまった事。

 

「それで、コレを被ればいいのね?」

「はい。あとは、こちらから誘導するので、それに従っていただければ完了です!」

 

 アーマードデバイスと接続されたヘッドセットを被り、リクライニング・ソファに身を任せたフェイトは、瞬く間に電脳世界へと意識を移された。

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

「う・・・」

 

 フェイトは意識転移による目眩(めまい)の様な、未知の感覚に思わず砂浜に俯いてしゃがみ込んでいると、不意に声を掛けられた。

 

「お、お姉ちゃん、大丈夫ですか?」

「え、ええ。ちょっとビックリしたみたいで・・・え?」

 

 どことなく聞き覚えのある声にふと振り返れば、素朴な民族衣装に包まれた幼き日(9歳頃)のなのはそっくりの女の子が、こちらを気遣わしげに伺っている。

 

「え、ええっと、なのは?」

「??? あの、私。ナノ~ハって言います。お姉ちゃんは?」

 

 そっか、ここはゲームの世界で、似た姿であっても不思議は無いのかもと考え、意識を切り換えて対応する事を決めた。

 

「・・・私は・・・フェイト。フェイト・T・ハラオウンって言うの。

えっと、よかったらここが何処なのか、教えてもらえるかな?」

「はい! ここはIf World(イフワールド)のオマケ島っていう島です!」

「・・・そう」

 

 聞いた事もない所だけど・・・ここに何か、問題解決の手掛かり(ヒント)がある筈なのよね、と考えに耽っていると。

 

「えっと、お姉さんは、何処から来たんですか?」

「私は、ミッドチルダっていう所から。あ、そう言えば、この島にはほかに誰か居るのかしら?」

「はい! ついこの間から、邪霊さんが!」

「・・・邪霊、さん?」

「ええ! とっても気持ちよさそうにいつも笑ってるんです! こう、お腹の底から」

 

 そう言っている内に聞こえて来た。

 

『ク、ククク、ハァ~ッハッハッハ!』

「・・・えっと、あんな感じに」

 

 (くだん)の邪霊が海に向かって高笑いしている。

 そこにはフヨふよとしたどこか不確かな、スカリエッティの顔を嵌め込まれた・・・様な存在が居た。

 

「うん、よ~く分かった、わ!」

 

 手にしていたバルディッシュを展開し、問答無用で邪霊に一撃。

 

『ぐわっ! 何をするんだ! 死んだらどうしてくれる!』

「えっと・・・フェイトお姉ちゃん。大丈夫ですよ、私もこの間、うるさかったからつい、やり過ぎて・・・」

「え?」

『ウム! 絞められたな』

「でも、暫くしたらまた元気になってましたから」

『そして復活して高笑いしてたら、また絞められ掛けたぞ』

「え? そうなの? じゃぁ・・・」

 

 

 ・・・見るに堪えないシーン・・・敢えて言うなら・・・フルボッコ!

   ・・・フェイトは・・・Lv.が1上がった!?

      スカリエッティらしきものに・・・モザイクが掛った・・・

 

 

「ふぅ、スッキリした」

 

 ・・・フェイトはLv.が1上がった!

 体力が?上がった! 力が?上がった! 素早さが?上がった! ほか諸々が上がった!

 スカリエッティに対して情け容赦が・・・無くなった!? =元から無かったと言う話もある?

 

「ふぇ、フェイトお姉ちゃん・・・」

 

 チョットと言うより、かなりビックリした様子のナノ~ハの隣に不思議な葉っぱの帽子を被った幼精。

 

【???・・・!】

 

 幼精は何処からともなく現れ何事か納得した様子で、テシッ! と手を打つと、テシテシ・・・ヌリヌリ・・・ペタペタ・・・モザイクの掛ったモノに触れていくこと3分。

 

『ふぅ、酷い目にあった。デュオのお陰でまた助かったよ』

 

 子供が捏ねて作った様な・・・歪さではあるが、ある程度は元に戻った。

 

【♪~♡?】

『ハァ~ッハッハッハ! 何のこれしき!』

 

 邪霊はその幼精を、抱き上げようとするが、持ち上がらず手を繋いでクルクルと一緒に回っている。

 

「デュ、オ? デュオなの?」

 

 呼ばれて何々? と振り返る幼精。

 

【? ! ♡♡♡!】(エ~? ア! ママダ~)

 

 ぴょん、と邪霊の元から飛び出して飛び付いてくる幼精をフェイトは抱きしめた・・・が、見た目に反してかなり違和感のある重量がズシッと来た。

 

「デュオ! も~、心配したんだから」

【? ♪~♡~♪】

 

 愛さえあれば・・・その位は誤差の範疇?

 

「あ~、バディだ!」

「え? バディ?」

「はい、イタズラ好きで、色んなモノを色んな所に隠しちゃったりする幼精なんです」

「デュオ、そうなの?」

【? !!(コクコク)

「か、可愛いから赦しちゃう!」

 

 ぎゅ~! っと胸元(・・)に抱きしめる!

 

【!! ♣♠♦!! (うずまき) ミ☆!?】

 

 クテッと目を回してしまった。

 流石にやり過ぎだと思うのだが、ご満悦でいる様子に誰も何も言えない。

 

『おいおい・・・取敢えず、フェイトがここに来れたという事は、外界との連絡は上手く行ったという事か』

「それで、私に何をさせるつもりなの。スカリエッティ(邪霊)

『なに、大した事ではないさ。千々(ちぢ)に砕け乱れた管制権を集めれば良いだけの話さ』

「そ・れ・が、どうして大した事でないのかしら?」

 

 デュオを大事そうに抱きながら凄むフェイト。

 

『なに、小さな欠片は大きな破片に集まるからさ。この大きな破片こそが、管制権という事になるからな』

「それで、それがどんなものなのかは、分かっているの?」

『さぁ、元々が鏡の様なものだったから、今は何かの姿を映し取っているかもな』

「・・・それは、手がかりなしって事じゃないのかしら」

『ま、待て! 全くの手がかり無しって事は無い! この虚構世界の何処かには有る筈なんだ!』

「それで、私だけでそれを探せと・・・」

『そ、そうではない! ちゃんと頼りになるだろう仲間も用意しているぞ!

()でよ! 協力者(えきすとら)よ!』

 

 そして・・・三名の協力者が現れた。

 

『ん、ん~! ・・・アレ、フェイト!?』

 

 寝起きっぽいアリサが・・・

 

『ん、ふぇ? ・・・アリサちゃんと・・・フェイトちゃん、ぉはよぅzzz』

 

 寝ぼけ眼な・・・しどけない姿のすずかが・・・

 

『ボクはモブ(MOB)男士(だんし)。しぶといのと、割と何処にでも居られる事が取り柄の・・・男士さ』

 

 フッ、とそっぽを向く擦れた様子の・・・何処となく見覚えはあるが、どうしても名前の出て来ない男士が・・・ジッとガン見する先は・・・

 

 ハッ!? と何かに気付いたアリサ『・・・きゃ~!』 ずどむっ!

 

 アリサは胸元を隠しながらのスキル・札束護拳(ナックル)が炸裂!

 モブ男士は・・・100万$(ミリオンダラー)ジ!? モブ男子はオーバーキルで倒された!

 アリサのステータスに腹黒さが・・・1UP!?

 

「・・・ス~カ~リ~エッティ!!」

『お、おかしいな? ここは商人と治癒士(ヒーラー)と兵士が呼び出されるはずだったが・・・』

 

 怒れるフェイトの剣幕に押され、ジリジリと引き下がる邪霊。

 

   ///   ///   ///

 

 原因?

  =デュオの石花が某かの影響をもたらしている・・・のかも?

   =影響は通称・orzな魔法使異()にて!?

 

   ///   ///   ///

 

 え? えぇ!? ど、どうなってるの!? と慌てふためくアリサはフェイトに助けを求める事に。

 

『えっと、フェイト。何がどうなってるの?』

「ゴ、ゴメン! アリサ! 何だかよく分からない事に巻き込んじゃったみたいで!」

『zzz・・・ン、ん~!』

 

 と目覚めたらしいすずかが伸びをしただけだが・・・ブチッ! と、胸元で音がした途端。バチ~ン! とスキル・釦=ボタン(ショック)! が発動!?

 

 フッ、コレに倒されるなら悔いは無いぜ! とばかりに清々しく親指を立てたモブ男士は・・・消滅して逝く=魂滅?

 

『モ、モブ男士~!』

 

 折角の味方ユニットが昇天してしまった事に驚きを隠せないスカリエッティ。

 唖然とした面持ちから立ち直ったアリサは、

 

『・・・ス~ズ~カ~!』

『え? わ、私・・・な、何かしちゃった?』

「・・・あ、ははは・・・はぁ」

 

 これからどうなるのかしら? と笑うしかないフェイト。

 

「え!? ええ!?」

 

 何が何だか分からない様子のナノ~ハ。

 

【@@@・・・zzz ! ・・・?】

 

 何とか目覚めたバディ・デュオは辺りの事態を察し、すずかの元へ行くと、クイクイっと手振り身振りで何かを伝えている。

 

「え? 何々? うん、こう? それで、きゃろ・る・るしえ!」

 

 すずかがモブ男士の居た所へ手を向け、不思議な呪文を唱えるとモブ男士(魂滅) (A)の居た所から、色違いのモブ男士(別個体) (B)が現れた!

 

   ///   ///   ///

 

 一方その頃、地球の日本・市立海鳴総合病院では・・・

 

 幾度立ち合おうとも慣れる事のない鬱屈とした場面。

 

「・・・ご臨終です」

 

 遺族がお別れを告げられるようにと、静かに退出した石田医師。

 

 ・・・十五分後

 

「せ、先生! か、患者さんが! い、息を!」

 

 急ぎ、立ち去ったばかりの病室へ訪れると、確かに見取ったばかりの患者が何事もなかったかのように起き上がっていた。

 

「え!? ど、どうして・・・」

 

 原因は全く解明されないまま、奇跡的な回復が・・・次々と起こる始まりでしかなかった。 

 

 ちなみにその患者の名はAから始まる名前だったり。

 その後、Bで始まる名前の患者が運び込まれて・・・

 

   ///   ///   ///

 

『・・・え~?』

 

 殺っちゃった事は仕方が無いけど・・・コレはどうか・・・と思わない事もないアリサ。

 

『ま、まぁ、一応の危機は免れた様だ。

 では、これからの事を説明しよう。

 これから、力あるモノを集めていけば・・・』

 

 

 

 そんな話し合いを大人組がしている中、デュオはと言うと、玄関付近の花壇の辺りを跳び跳ねてみたり、裏山を駆け昇って頂きで跳び上がってみたり、勢い余って崖から海へ飛び込んでしまったり。

 ナノ~ハと遊んで貰っていた。

 

 そして、ついにはお家の屋根の上。

 ハタと事態に気付いてしまったフェイト。

 

「そ、そこから動いちゃダメだからね!」とフェイト。

『危ないから! そっちに行くから!』とアリサ。

『わぁ~! すごいね~!』

『ハッハッハ! 何か良い物は見えるか~!』

 

 余りの事態にビックリしているフェイト、アリサ、すずか。

 元気な様子に、笑顔で手を振るスカリエッティ。

 と言った端からバランスを崩しそうなのか、単にスカリエッティに手を振り返しただけなのかは不明なまま、両手をバタつかせているバディ・デュオ。

 

「い、今行くから!」

 

 フェイトは何をはやとちりしたのか、咄嗟に近くに居る者を掴み上げると、投げた!

 

『あ~!』

 

 びった~ん! ガッシ! と屋根の頂きに掴まり、落下する事は免れた邪霊。

 咄嗟にバディ・デュオに手を差し伸べて支えるナノ~ハだったが、邪霊が屋根に激突した振動でナノ~ハの方が危うい! と思ったら、次々に何処からか現れたバディ達がぞろぞろと屋根に集結。

 ナノ~ハをワッショイ! わ~っしょい! と担いで、何故か上へ上へ。

 

「え!? ええ!?」

『だ、誰か~! 助けて~!』と、か細い声がナノ~ハにだけ聞こえた。

「わ! は、はい!」

 

 見えないながらも、咄嗟に声がしたと思われる所に手を伸ばすナノ~ハの手に、何か、硬い物が触れた。

それを如何にか引き寄せようと手を伸ばした所・・・

 

 手元が、足元が滑って、スキル・スパイク7-8(なのは)! 発動! 手の触れた何かを、海へと叩き込んでしまった!?

 

 とててとてとてととてとてと、と屋根からスルスルと降り立った身軽なバディ・デュオ。

ナノ~ハが叩き落としたちゃぷちゃぷと漂う小樽を、とった~! と掲げている。

 

『う、うう~、た、助かったぁ』

 

 と言う声と共に、ポコン! と樽のフタが開き、みょろ~んとした体が伸びて来た。

 

『あ、デュオ? 何がどうなってるか判る? 気が付いたら樽に入ってたんだけど・・・えっと、あ、レ? 足の方が・・・ん~!』

 

 ぱきゃっ! 樽の底が抜け、下半身が飛び出した。

 

『え? ええ!?』

 

 樽が腹巻状に巻き付く事になった川獺(カワウソ)・ユーノ。【=共にイタチ科です】

この後、何をどうしても樽が取れる事は無かった・・・【=運動不足で太ったとかではありません】

 

   ///   ///   ///

 

遡る事、1時間程前・・・

 

「ユーノ先生、取材と原稿を頂きにまいりました~」

 

 ハッ! と、管理局・無限書庫の紹介文の依頼を忙しさにかまけて執筆出来ていなかったユーノ。

 論文や書類などはお手のモノだが、紹介文となるとどうしても勝手が違い、中々に≪OK≫が出なかった。

 

「う゛・・・も、もう少し待ってもらっても・・・」

「ダメです。流石に待ちきれないので、出来るまで缶詰ですね~」

 

 と、管理局・広報部に強制連行されたユーノ。

 ずっと仕事漬けだったろうし、気分転換にでもと、無駄な善意で・・・巻き込まれた?

 

   ///   ///   ///

 

 何故か、カメの如く樽に収まる事が出来る様にはなっていたとか・・・

 大人に戻れば如何にかなる気もするのだが・・・樽がコルセット化してしまうのではないかと、怖くて戻れないとか。

 

 

 バディ・デュオは、ドリフ(た~る)・ユーノを保護者(仲間)にした!

 

 

   ・・・   ・・・   ・・・

 

 

 なんだかんだで、みんなでナノ~ハのお家に居候。

 ナノ~ハのお仕事を手伝いながら、砕けた魔鏡の欠片を集める事に。

 

 え? 食料事情? み~んな自給自足です。

 お魚釣ったり、木の実を取ったり、畑でお野菜作ったり!

 アリサお姉ちゃんトコに卸して、交換してもらったり!




漂泊な状況に流されやすいので・・・漂流者(ドリフター)的に。
瓶詰お手紙ではなく、缶詰ならぬ樽詰めなユーノ・ドリフ(漂流)(た~る)

え? 何でフェレットではなく川獺かって?
 ホラ、人の言葉を話したり化かしていたり、18~19歳でも女に見えたりしてるでしょう?


え? ヴィヴィオ達の今はって?
 正式参加選手(Lv.一桁代)達はまだ未熟、分化前のバディ。
 年齢二桁(Lv.10代)を迎えた協力者(エキストラ)は、分化?
  バディ・モンク =ヴィヴィオ・アインハルト ・・・拳系!
  バディ・メイジ =リオ ・・・ほら、炎雷スキル持ってるし!
  バディ・スミス =コロナ ・・・クラフト系スキル?
 現在、仲間と共に・・・不死戯(ふしぎ)なダンジョンを踏破中・・・

もう少し上がる(Lv.14~)と自由度が上がって配役(キャストイン)! する予定です。


最初の仲間達?

 アリサ 商人
  財閥の娘
   スキル 札束ナックル!?  金の力で解決!?
 すずか ヒーラー
  癒し系ですが、デュオ曰く平たくないよ!?(ボン!キュ!ボン!)
   スキル 一目惚れ(ショック)? 失恋!(超ショック)=立ち直れない?
 ・
 ・
 ・
 ・・・モブ男士(だんし)
   (なのは達に)名前も顔も覚えて貰えなかった男士(MOB)達・・・ (通称・ABC)
   スキル ・・・割とどこにでも存在出来る?

次回は、また暫く先と思われますので、その点はご了承ください。
ハヤテ編が出来あがったらそちらが先になるやもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。