魔法国の危機 (ほたるまんさー)
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魔法国の危機

ーー

ナバル国フーミア森

 

 

「風よ切り裂け!!」

 

とある世界、とある場所。

少女が叫んだ。

名をミーナ、歳は14といったところか。

 

「グルルル…」

 

少女が戦っていた。

4匹の狼、3匹は倒したようだ。

 

ガブッ…

「……ッ!」

シャッ…

「あぶな……!」

ガキンッ!

「ふう…おいミーナ。一人で森に出るなって言ったろ?」

「ソル…!ごめんね…ありがと」

 

少年の名はソル。

彼女の同級生、いや、幼馴染と言った方がいいだろう。

彼女は彼に助けられた。

 

「さぁ帰るぞ」

「うん!」

 

この世界は魔法世界だ。

二人がいる国、アヴァント・ヘイムは、魔法の最先端都市と言われている。

電気ガス水道は全て魔法エネルギーに切り替わった。

二人はこの国にあるノワール魔法学園の2年生だ。まだまだ未熟な、所謂《魔道士のタマゴ》である。

 

 

※この物語は《ーー》で分けられています。

※全て作者の妄想です。初小説です。

※ものすごく短編です。ごめんなさい

 

 

ーニーナ視点ー

 

「おっはよー!」

 

私は朝が好きだ。

朝ってすごい。何をかも綺麗って思えるし、何よりテンションが上がる。

 

「おはようミーナ。朝ごはん出来てるわよ」

「いただきます…ハムッ…モグモグ…ンキュ」

「ゆっくり食べなさい。喉詰めるわよ」

 

これが私のお母さん。お母さんの料理はいつも美味しい。

私は料理上手じゃないから凄く羨ましい。

昔は有名な魔道士だったらしいけど、今は面影もない。ただのおばちゃんだ。

 

「ほら、いつまでもゲームしてないで行きなさい!」

「あ!ほんとだ!いってきまーす!!」

 

学園 教室

 

「おはよー!」

「ミーナちゃんおはよ。京も元気だねぇ」

「朝は、元気なんだよなぁ〜」

「ちょ、何その言い方!!」

「あははは」

「そういえば、今日って段位試験だっけ?」

「ニーナのペアってソルくんだったよね?いいなぁ」

「そんなことないよ…あいつったら馬鹿にするし、変わってほしいくらいだよ!」

「こっちから願いたいよ…」

 

この学園…いや、この世界には、5つの段位がある。

魔道士のタマゴ、魔道士 、中魔道士、大魔道士、魔王。

世界の約60%は魔道士とタマゴだ。中魔道士は約35%、大魔道士は約3%らしい。

魔王はこの世に3人しない。一人はマナという女性。一人はカイという男性。一人は謎だ。

もう1つ、大魔道士以上には序列というのがある。3人の魔王はそれぞれ、マナが3位、カイが2位、1位は謎の1人だ。

 

私たちは今日、合格率2%の《卵から魔道士になる試験》を受けるのだが、この時はまだ、平和に終わると思っていた…

 

 

ーソル視点ー

 

「ほら!起きなさい!遅刻するよ!」

「…あぁ…あと少し…」

 

俺は朝が嫌いだ。

理由?そんなの眠いからに決まってる。

 

「ほら、遅刻するよ〜早くいけ〜♪」

 

これが俺の母親。口調で分かるが軽い。この世が終わると告げられても「そっかー仕方ないねー」って言いそうなくらい。

 

って、早く行かなきゃ遅刻じゃねぇか!!

 

「いってきまーす!!」

「はいはい、いってらーん。…私も行かなきゃなぁ」

 

学園 教室

 

「セーフ…」

「アウトだよ」

「うっ……まじか」

「お前、今日なんの日か分かってる?」

「今日は……やっべ、段位試験じゃねぇか…」

「早く魔法具に着替えてグラウンド行けよ、先行っとくわ。じゃあな」

 

……いそがなければ。

 

 

ーニーナ視点ー

「ソルおそい!みんな出発したよ!?」

「あぁ、ごめん。まじごめん。」

「早く行くよ!!」

 

ああ、もう。ソルほんと遅い。

この試験は日没までに敵を倒してポイントを稼ぎ、ポイントで順位が決まる試験だ。今回は約300チームが参加している。《羽化》するのはたった5組だ。

もちろんチームで参加してない人もいる。むしろそっちの方が多い。大抵は自分の腕に自信があったり、チームが苦手な人たちだ。ただし、それも組としてカウントされるため組=2人ではない。

私たちは海岸にいた。

ソルの得意属性は水、私は風。どちらも海岸では強くなる属性だからだ。敵が見えやすいから、というのもある。

 

「ふう、なかなか倒したね!今30ぐらい?」

「それぐらいじゃない?」

「よし!この調子でがんば…」

頑張ろう。と言おうとした瞬間、

 

 

森から爆発音がした。

 

 

ーソル視点ー

 

「あぁ、ごめん。まじごめん。」

五分遅刻した。ミーナが怒ってる。俺は悪くない。悪いのは朝だ。

 

「とりあえず海岸いこうぜ。あそこなら敵も見やすいし自分たちが戦いやすい環境だし」

「いいね!賛成!」

 

ニーナは相当楽しそうだった。敵と遭遇した時も、普段よりモチベーションが高かったのだろう、精度が上がっていた。

俺達は楽しかった。このまま試験が終わるんだろう。と思っていた。その時、森が爆発した。

 

爆発源は森の中にある泉。

半径500mは地面が抉れてクレーターみたいになっていた。

その時。通信が来た。

 

ー緊急、緊急、早急ニ学園ニ帰還セヨ。大魔道士レベルノ未確認生物ガ森ニ出現。現在解析中ー

 

「ニーナ!急いで帰るぞ!!」

「う…うん…急ごう!」

胸騒ぎがした。この世界が終わりそうな、そんな予感がした。

 

 

ーー

学園 グラウンド

 

そこには150名ほどがいた。

誰もが顔を俯かせていた。

 

 

さっき解析が終わったらしい。

 

死者は約350名。爆心地からは高度な魔法痕があったそうだ。

国は爆発源の人物を大魔道士《UNKNOWN》とし、国全域に警戒するように、と放送した。

 

この事件はこんなものでは終わらなかった。

2日後、遠くにあるグルーゼの街が破滅

その5時間後にはグルーゼの隣町、サンドラが破滅した。

 

 

 

ーニーナ視点ー

 

「ソル…私怖いよ…」

「ごめん、俺も怖い」

「そこは俺が守るからとか言うんじゃないの!?」

「守れるレベルならな…ごめん。」

 

私は不安だった。

街が一瞬で滅亡する魔法を扱える人間が暴走してるというのが怖かった。

ソルも同じだとおもう。震えを我慢しながら私の隣を歩いている。

 

「私たちの街も、ああなるのかな」

「大丈夫だ、安心しろ。ここには結界がある…!」

「そうだよね、そうだよね、、」

 

私はそれでも不安だった

 

 

ーソル視点ー

 

俺は戸惑っていた。

なぜ大魔道士達が動かないのか。そもそもこれは《大魔道士》ですらどうしようもできない、《魔王》レベルの問題なのではないか。そう思っていた。

 

「ソル…私怖いよ…」

 

ニーナはずっと震えていた。

 

「ここには結界がある…!」

 

そんなのすぐ破られてしまうだろう。そんなの分かっていた。

それしか励ます言葉が見つからなかった。

 

 

2日後、奴が結界を破ってこの街に来た。

 

 

 

ーー

 

「私が誰かわかるかい?」

 

奴は一言、そう発した。

その言葉のひとつひとつに重みがあった。

 

「僕は魔王の1人。《カイ》って言えばわかるかな?」

 

みんなの顔が引きつった。

その言葉だけで震えが止まらず、倒れる人まで現れた。

 

ーー待て!!

 

「私は序列7位、大魔道士ルーシア!大魔道士50人で貴様を倒す!」

 

みんなの目に希望が宿った。

 

 

ーソル視点ー

 

「「「ライトニング」」」

 

激しい電撃が魔王 カイを襲った。

 

「まだまだ続けろ!」

 

このあと2発、3発と続き、約一時間が経過した所で

 

魔道士が3人切断された。

その三分後。約20人がいる地面が何かに押し潰されるように陥没。そこに水が現れ瞬時に凍りついた。

 

「昼寝してたらまだ続けてたの、無駄なのにね」

「とりあえず潰させて貰うよ?メテオ」

空からありえない大きさの隕石が落ちてきた。まるでこの街だけじゃなく国も終わるような。そんな隕石が。

 

その刹那、隕石が消えた。

 

「カイ、やっぱり君だったんだね。」

「マナ…とレン…!?なぜお前達が…」

「いや、戻ってきたらあんたが暴走してたんじゃないの、理由説明してくれる?」

 

俺には、レンという名前は聞き覚えがなかった。が、カイはびっくりしていた。

 

「序列TOP3が対立するって、思いもしなかったなぁ。」

 

俺は全身が凍った。

《TOP3》が対立した。ってことは…この、レンというやつが…《事実上の最強》…!?

 

レンが口を開いた。

「カイ、お前を《マナと俺のペア》で永遠に葬る。なんでお前が2位かわかるか?1位と差があるからだよ」

「お前、1位だからって舐めすぎだろ!!!」

カイがレンに殴りかかった。

その瞬間レンの周りにバリア。防御した後そのバリアをレンが《破片》にして、カイに襲いかかった。

カイはバリアを張ったが、一瞬で破壊され、身体中に切り傷を負った。

 

「私、防御に特化した魔王だよ?攻撃に特化したレン以外には破ることも出来ないしそれを攻撃に使うと防御も出来ないよ?」

「っ……!ふざけんな…」

「カイ、俺は辛いよ。お前が裏切るなんてな…」

 

カイの身体に突然出てきた赤い鎖が絡まった。その瞬間何かを察したのかカイの身体が震えだした。

 

「やめ……やめろ……それだけはやめてくれ…なんでもするから…」

「もう遅いよ…いままでありがとうな、カイ。」

「ア……ヤメ…………ガ…ヤメロ……」

 

カイが消滅した。跡形もなく。一瞬で消えた。

 

「ふう、終わった。マナ、帰ろう。デートの続き。」

「そういやそうだったね、クレープたべたいな♪」

 

終わった……のか?

俺は助かったのか?

そう思うほどにあっさり。だが記憶に残るであろう出来事だった。

 

この日までに出た死者の数は、国の全人口の2割であった。

 

 

ーニーナ視点ー

 

「終わったの、、?」

 

まだ信じられなかった。

あまりにもあっさりすぎる展開に、しばらく口が開いて思考が止まった。

大魔道士の大敗。序列1位の出現。そして3位と1位はペアだったこと。全てが衝撃だった。

 

 

あれから3年が経ち、私とソルは《中魔道士》になっていた。

 

「ソル!遅いよ!ホント朝弱いんだから…」

「遅れてごめん!!今日はクレープだっけ?」

「そうそう!いいクレープ屋さん見つけたの!」

「そっか、行こう。俺はお惣菜系のクレープだけどな」

 

私たちは幼馴染からカップルになっていた。きっかけは中魔道士の試験の時にソルが街中で告白した事。断れないよあんなの…

 

「あれ、あそこに座ってるのって、、」

 

見覚えのあるふたりがベンチでクレープを一口ずつ交換していた。

 

「普通のカップルみたいなのに序列1と2なんてびっくりするよね」

「あれ?マナさんって3位じゃなかった?」

「2位消えたじゃん。アホなのソル♪」

「あ、そっか……ってアホじゃねぇし!」

「はいはい、わかりましたよー!」

 

今日も私達の一日がはじまる。

 



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