地上を這う男 (ぽけてぃ)
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プロローグ

初めまして、ハーメルン初投稿です
ぱっと閃いたので頑張って書きました
ご都合主義かも知れませんが楽しい作品になるよう頑張りたいです




城郭都市の外縁地区ウォール・マリア南端より突出したシガンシナ区

そこに1人の少年が住んでいる

 

彼の名はアレク・チプス

 

歳は10才

父のイアン・チプスと

母のマーナ・チプスの間に産まれた子供だ

 

その日も3人はいつも通りの生活を送っていた

 

 

 

「お父さん、」

朝、朝食を食べているイアンにアレクは問いかけた

 

「ん?どうしたアレク?」

パンを一気に飲み込んでこっちを向く

 

「今日もお父さんの職場でお手伝いしてもいいですか?」

 

「ただ接客するだけだぞ、いいのか?」

 

「はい、街の人と話すのはとっても楽しいです」

イアンの職業は農家から仕入れた野菜を売る俗に言う八百屋みたいなものだ

 

「でも、子供なんだから外で遊んできたらどうだ?ほら、エレン君なんかと」

 

「エレン達と遊ぶのも楽しいけど、今日はお店を手伝いたい!」

アレクは精一杯の念を父に送る

 

「分かった、分かった…それじゃあもう少しで食べ終わるから準備しておきなさい」

 

「はい!」

元気の良い返事をして自分の部屋に向かう

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

夕方になり次第に太陽が隠れてくる

 

アレクは父の手伝いを終えて帰路に就く

 

(あぁ~、今日も楽しかったな)

ニコニコ顔で歩くアレク

 

(明日もお手伝いしたいな)

今日を振り返り、明日の事を考える

 

 

 

だがそんなの日常に終わりの鐘が告げられる

 

 

 

ピギャァァァァー

 

雷が轟くような音が壁の外から聞こえる

 

アレクは振り返り音のした方を向く

 

 

そこにいたのは

ーーーーーーーーー巨人だった

 

その巨人は五十メートルもある壁から顔をすっぽりと出していた

 

 

一瞬の静寂

 

次の瞬間

 

ドゴオォーーン!

 

巨人が壁に唯一ある扉を蹴って破壊した

 

物凄い暴風が押し寄せる

咄嗟に近くの建物にしがみつき瞼を閉じるアレク

 

 

風が止み、目を開ける

そんな彼が目にしたのは 破壊された門から沢山の巨人が街の中に侵入している光景だった

 

アレクはすぐさま今来た道を引き返す

再び父の店に帰ってくるがそこには何もなかった

否、そこには門の瓦礫によって潰され父の店があった

 

「・・・・・・・・」

何も声が出なかった

 

絶望する自分がそこにはいた。

でも、もしかしたら……

と考えるが

その希望はすぐに打ちのめされる

 

瓦礫の下から人の体の下半身が見えていた

 

(父さんだ……)

アレクは直観した

 

“父さんは死んだ”その事実を受け入れられない

 

 

アレクは呆然とそこに立ち尽くしていた

どれくらい経っただろうか

不意に後ろから声が聞こえた、それはいつも聞いていたお母さんの声だった

 

「アレクッ!良かった無事で……」ギュ

抱き締められてお母さんの温もりを感じる

 

「お母さん…お父さんがっ……」

アレクは瓦礫に埋まった体を指差してそう言う

 

「っ、!…………お父さんは死んじゃったのね…

アレク、いいからここから逃げるわよ!」

そう言うとお母さんは僕の手をしっかりと握って走り始める

 

「この先に船があって逃げ遅れた人をウォール・ローゼの中まで運んでいってくれるらしいわ」

アレクに向けてマーナは言ったがアレクはどこか上の空だった

 

(父さんが死んだのになんでお母さんはそんなに元気にしてられるの?)

別にマーナは元気なわけでわない、そもそも、自分の最愛の人が死んで元気にする方が無理な話だ

 

だがマーナにはアレクを救わなければいけなかった

それがイアンと自分を繋ぐ唯一の“もの”だったから

 

 

徐々に川が近づいてくる

だが、その時はとことん運がなかったと言えよう

 

まさか曲がり角で巨人とでくわすなんて………

 

「あ…あぁ…」

お母さんの顔が絶望の色に変わる

 

ゆっくりと近づいてくる巨人の手

 

バンッ!

お母さんが俺を突き飛ばす

 

「お…母さん…?」

尻餅をつく、すぐさま上を見上げると……

 

そこには巨人に体を掴まれるお母さんがいた

 

「逃げ…て…アレクゥゥ」

 

 

「お母さん!」

すぐに立ち上がり叫ぶ

 

「来ちゃダ…メ……、逃げて…そして生きて…アレク」

 

 

それがお母さんの最後の言葉だった

お母さんは巨人に喰われて死んだ

 

 

「・・・・・・・・うっ、うわあああぁぁぁぁぁぁ」

 

それから僕は走った

ただ、ただ走った

何も考えずに何もかもが分からなくなって

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

気づいたら僕は船の上で寝ていた、どうやら無事に船着き場に着いたらしい

 

 

お父さん……お母さん……

この二人はもういない、これからは独りで生きていかなければならない

 

 

「・・・・ひっ、うぅ……ぁぁぁぁぁ」

そこでアレクはようやく涙を流した

何時間も流した、枯れるまで泣いた

 

 

そして決めたのだ、巨人を駆逐してお父さんとお母さんの敵を討つ!

 

 

 

 

これがアレク・チプスの物語の始まりだった

 

 

 

 

 

 



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1話

なんと、昼に投稿するはずが……一回作った文を全消ししてしまうという凡ミスを犯す作者はダメダメです。

クリスタ初登場の回です






巨人の襲撃から2年がたった

 

あれからアレクは体を鍛えるようになった

毎日、腹筋、背筋、腕立て伏せの基礎鍛練をして

朝は走り込みをして昼からは独学で体術を学んだ

 

 

そして12歳になったアレクは訓練兵になった

 

 

そして今訓練兵最初の行事?という通過儀礼が行われている

 

「おい貴様ッ!!貴様は何者だ!!」

 

「シガンシナ区出身、アルミン・アルベルトです!」

 

「そうか、バカみてえな名前だな!親がつけてくれたのか!」

 

「祖父がつけてくれました!」

 

「アベレルト、貴様は何しにここに来た」

 

「人類の役に立つためにきました!」

 

「そうか、それは素晴らしいな!貴様には巨人の餌になってもらおう!三列目、後ろを向け!」

 

通過儀礼とは1度今までの自分を否定することで、まっさらの状態から兵士に育てるためのものだ

アレクは2年前の事ですでに心から兵士になっていると判断されたらしく通過儀礼を受けずに済んだ

他にも何人か通過儀礼をスルー出来た奴がいるらしい

エレンとミカサもそのうちの1人だった

 

「トロスト区出身、ジャン・キルシュタインです!」

 

そんな事を言っているとキース教官が次の訓練兵へと移った

 

「貴様はここに何しにきた!!」

 

「憲兵団に入って内地で暮らすためです」

 

(内地か…俺には関係ないな)

 

それは当然である、アレクが目指すのは巨人の駆逐、憲兵団なんて巨人から一番遠退く所にわざわざ行くわけがない

アレクが目指すのは調査兵団だった

 

 

 

キース教官が頭突きをする

 

(そこまですんのかよ、)

 

「この程度でへこたれるような奴が憲兵団になどなれるものか!」

 

そう言って教官は次の訓練兵に歩いて行く。

 

「貴様は何者だ!何しにここに来た!」

 

「コニー・スプリンガー、ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身です!」

 

「逆だコニー・スプリンガー。最初に教えたはずだ。この敬礼は公の場に心臓を捧げる決意だと。貴様の心臓は右にあるのか?」

 

そう言いながら教官はコニーという奴の頭を引っ張り上げる。

 

(あぁー、暇だな早く通過儀礼おわんねーかな)

 

そんな事を考えるアレクはその時凄い光景を目にした

いや、全員が見ていた、勿論キース教官も

 

コニーの隣の少女が芋を食べていた

 

「おい貴様…何をやっている」

 

教官が声をかけるが少女は誰に言っているのか理解できてないらしく周りに視線を向ける。

 

「貴様だ貴様に言っているんだ!!何者なんだお前は!」

 

「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身、サシャ・ブラウスです」

 

「サシャ・ブラウス、貴様が右手に持っているものはなんだ?」

 

「蒸かした芋です。調理場にちょうど頃合いのものがあったので、つい」

 

「貴様、盗んだのか…?何故だ…何故今芋を食べ出した」

 

「覚めてしまっては元も子もないので。今食べるべきだと判断しました」

 

「いや…わからないな。何故貴様は芋を食べた」

 

「それは何故、人は芋を食べるのか…ということでしょうか」

 

(何故あの二人はこんなどうでも良いことを真剣に話しているのだろか)

そう思うアレクであった

 

そこで少女は何か閃いたの感じの顔をした

 

「半分、どうぞ」

そう言って芋を半分にして教官に渡す

 

「半……分…」

 

 

 

サシャの死刑が確定した瞬間だった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

夕方になり日が沈みかける頃

通過儀礼を終えてアレクは食堂に来ていた

 

理由は通過儀礼の後に鍛練し過ぎて疲れたのでご飯を食ってさっさと寝ようという考えたからだ

 

ここの食事はパンとスープなのだが、2年間ずっと森の中の木の実や動物の肉を食べていたアレクにはとんでもないご飯だった

 

 

「隣…いいかな…」

いきなりそんな声がして驚きそっちの方を向いた

そこには金髪に整った顔をした美少女が立っていた

 

「……えっ、」

ワンテンポ遅れて反応するアレク

 

「あ、嫌ならいいんだよ、一人で食べるのが寂しかっただけだし……」

俺の反応に何を勘違いしたのかその少女は少し悲しい表情を作り俯いてしまう

 

 

(これもまたこれで可愛いな……………じゃなくて!)

 

「うん、いいよ、俺も一人で寂しかったんだ」

二つ返事で答えるアレク

 

「本当に!ありがとう!」パァー

一気に機嫌が良くなる少女はすぐさま俺の隣に座った

 

「私、クリスタ・レイズ。クリスタって呼んでくれたら嬉しいな」

 

「俺はアレク・チプス、アレクって呼んでくれ、よろしくクリスタ」

 

「よろしくね、アレク!」

 

 

 

これが二人の出会いだった

 

 

 

それから俺とクリスタはずっと話をした

それはもうご飯に全く手を付けないほどに

 

ただただクリスタとの会話が楽しかった

 

 

気づけばいつのまにか食堂は沢山の人で溢れていた

時計を見ると6時過ぎをさしている

 

 

とそこで時計から目を落とすと懐かしい顔があるのに気づく

 

ーーーーーーーーーーエレン・イェガーだった

 

 

なんだか人と言い争いしている感じだ……大丈夫かな、エレンはいっつもトラブルばっかり持ってきたからな、まぁ、アルミンとミカサがいるんだし大丈夫だろう

 

「・・・・・・・」ジィー

 

とそこで隣からする視線に気がつく

 

「ん、どうしたのクリスタ?」

 

「アレク、さっきから私の話を聞いてなかったでしょ」

 

「うぅっ、すいません」

 

「正直に答えてくれたから許してあげる♪、所で誰を見ていたのかな?」

上目遣いで質問してくるクリスタ

 

 

(なにこれ、超可愛いんですけど!)

 

「えっーと、昔の知り合いがいたから見てたんだ」

 

「知り合い?」

 

その3人に目をやると、どうやら言い争いは終わったらしく仲良くご飯を食べていた

 

「あのさ、クリスタ」

 

「なに?」

 

「ちょっと知り合いに挨拶に行きたいんだけど、いいかな?」

 

「うん、わかった、待ってるから早く帰ってきてね、」

 

「分かったよ」

そう言ってアレクは立ち上がりエレン達の方に歩いていく

 

 

 

 

少ししたとことでエレンと目が合う

 

エレンは俺が誰か分かったようだ、大きく目を開く

 

「アレク…アレクじゃねーか!久し振りだな」

エレンは元気よく俺に挨拶する

 

「よお、久し振りだなエレン、それにアルミンとミカサも」

 

よし、出だしは上々!

 

「やっぱりアレクもいたんだね、通過儀礼の時に似た顔の人がいたからもしかしてって思ってたんだよ、久し振りだね。」

 

「アレク、久し振り…元気にしてた?」

 

アルミンとミカサが順に挨拶してくる

 

 

 

それからは四人で昔の話をした

楽しかった、また昔に戻ったみたいだった

 

 

 

ん、何か忘れてるような………………クリスタ!

 

「悪い、俺そろそろ行くわ」

そう言って足早に席をたつ

 

「もうかい?まだ話したいことは沢山あるのに」

アルミンが不思議そうにこっちを向く

 

「いや、人を待たせてたんだ、すっかり忘れてたよ。また明日にでも話そうぜ」

 

「おう、そうだなまた明日」

エレンの言葉を聞いて

手を振ってクリスタの所に向かう

 

 

案の定クリスタは一人で食べていた

 

すぐさま、隣に座って謝罪する

 

「ごめん、クリスタ!ちょっと話が長引いちゃって…」

 

「酷いよアレク、もう知らない!」

プイッと俺から目をそらす

こんな状況でなければつくづく可愛いと思ってしまう仕草だ

 

「ごめんって、どうしたら許してくれる?」

 

「う~ん、」

悩むクリスタ

 

「あ、そうだ」

何かを閃いたのらしい

閃いたのといったら今日の芋女を連想させてあまりいい気がしないが………

 

「じゃあアレク、お友達になったら許してあげる」

 

アレクの予想はある意味当たっていた

だがその言葉があまりにも斜め上のものだったので

少しの間に呆然としてしまった

 

「えーっと、い、嫌なら別にいいんだよ……」シュン

アレクの沈黙に戸惑う

 

「いや、俺はてっきりもう友達だと思っていたんだが……」

 

「ええ!ほんとに!」

凄い勢いで喜ぶ

 

「うん、だから“お友達”じゃなくて“親友”にならないかなクリスタ?」

 

「親友………うん、なる!アレクと親友になる」

心のそこから喜ぶクリスタを微笑ましく思うアレクがそこにはいた

 

 

「ってことでクリスタ、親友になったんだから1つ答えてくれるかな」

 

(親友になっていきなり親友の特権を使うなんて卑怯かな)

 

「うん、いいよ、」

その言葉に安堵するアレク

 

「えっとね、その懐に何を隠してるのか教えてほしいな?」

 

その瞬間クリスタの体が硬直する

 

「えっ、えっ、なんで分かったの?」

質問したのに逆に質問されるという状況に陥るアレク

 

「なんでって、さっきよりも懐のあたりが異様に膨らんでいたからね」

でもそこはアレクなんなく答えてしまう

 

「うぅ~、笑わない?」

上目遣いでの言ってくるからズルいよな~

 

「うん、笑わない、笑わない」

 

「えーっとね、昼の通過儀礼で芋を食べていた人がいたでしょ、」

 

「ああ、サシャ・ブラウスたっけか?」

 

「うん、その子あれからずっと走りっぱなしだから、お腹空いてるんじゃないかなって思ったの」

そして懐からパンを取り出す

 

「クリスタは優しいな、でもそれだとクリスタの分のパンがないんじゃないのか?」

 

「そ…それは……そうなんだけど………」

クリスタは俯いてしまった

 

「ほれ、」

そんなクリスタにアレクは自分のパンを半分にちぎって渡す

 

「えっ、・・・・・いいよ、」

 

「いいから食え、」

遠慮するのを押しきってパンをあげる

 

「あ…ありがとう」

 

「それじゃあとっととサシャ・ブラウスの所に行くか」

そう言うとアレクは冷めきったスープをお腹に流し込んで外に出た

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

外はもう、すっかり暗くなっていた

そして俺とクリスタは地面に倒れている少女を見つけた

明らかに昼の芋女だった

 

「「・・・・・・・・」」

絶句する二人

 

 

(もう遅かったか………)

そう思いアレクは振り返ろうとすると

 

 

 

 

 

 

「パアァァーン‼」

おおよそ人間の不可能な体制からこちらに、もっと詳しく言えばクリスタの持っているパンに突撃してきた

 

「キャアッ!」

あまりの勢いにクリスタは尻餅をつく

 

サシャは奪ったパンに必死に食らいついている

 

「大丈夫か、」

アレクがクリスタに手を差し伸べる

 

「うん、ありがとう」ニギッ

 

アレクの手を握り立ち上がる

 

その時パンを食べ終わったサシャがこちらに這って来た

 

「パンを恵んでくれるなんてあなたがたは神様ですか?」

 

「いや、俺達はーーーーーーー」

 

「・・・・・・・・」スースー

 

(いや、寝んのかよ!人の話は最後まで聞けよ!

どこまでマイペースなんだよ!)

 

 

「「・・・・・・・」」

再び呆然とする二人がいた、後ろから気配を感じるまでは

 

すぐさま後ろを振り返る

 

「えっ、どうしたのアレク?」

どうやらクリスタは気づいてない様子だ

 

「なにしてんだ、あんたたち」

そこにいたのはそばかすが印象的な女だった

 

「えっと…この子はずっと走りってぱなしで」

 

「お前、いいことしようとしてるだろ」

それは明らかにクリスタに対して言った言葉だった

 

「当然だろ、クリスタは女神なんだから」

女がクリスタに向けて言った言葉に俺が反論の言葉を言う。

 

「め、女神………/////」

クリスタは少し顔を赤らめて俯く

 

「…まあいい。とりあえずこいつをベットまで運ぶぞ」

 

 

「お前も…いいことをするのか?」

 

「こいつに借りをつくって恩をきせるためだこいつのバカさには期待できる。おい、お前も男なら手伝え」

 

「ああ。…俺はアレクだ。お前は?」

 

「ユミルだ」

 

「ユミルか。よろしく」

 

そう言ってもう片方の肩を担いで運びにかかる。

 

 

 

 

その後はサシャを3人で宿屋まで運んでいって時間が時間なので俺も宿屋に戻ろうとするところをクリスタに止められた

 

「アレク、」

 

「ん、どうした?」

 

「女神って言ってくれて…あ、ありがとう////」

 

「お、おおう、そうか、喜んでもらえて良かったよ」

 

「うん!お休みアレク!」

そう言ってクリスタは自分の宿屋に戻る

 

 

『お休み』……か、それはもう2年も言ってない言葉だった

 

だからなのだろうか、それとも社交辞令としてなのだろうか、おれはクリスタが行った方に向かって言った

 

 

 

 

 

 

「お休み、クリスタ」

 

 

 

 




楽しんでくれたらよかったです。コメント待ってます
誤字脱字がありましたら、すいません

次回が運命の立体起動の素質をはかる試験
はたしてアレクの結果はーーーーー?



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2話


今回と次回は作者的に重要回です
では、どうぞ!( ゚д゚)ノ


 

 

 

 

クリスタと親友になった次の日の朝、俺はエレン達と一緒に食堂でご飯を食べていた。

クリスタも誘ったのだが、

“アレク達との会話に水を指すのは嫌だ”と言うことでクリスタはユミルと食べるらしい

 

 

「エレン、ちゃんと食べて…じゃないと育たない…」

 

「分かった、分かったってミカサ!だからパンを押し付けるな!」

 

「はははっ、相変わらずだなエレンとミカサは」

 

「笑い事じゃねーぞ、アレク」

 

「あんまり怒んなよエレン……アルミン、二人はずっと変わらずこうなのか?」

 

「うん、なんにも変わってないよ」

 

「エレン、私の分も」

 

「やめてぇぇぇぇーーーーーーー」

 

 

中のいいエレンとミカサの二人

それを見守るアルミン

なんにも変わってない、昔と……俺達四人で遊んでいたときと

嬉しかった…ただ、ただ楽しかった…

昔に戻ったみたいだ

 

 

「アレク、今日は何をするか知ってる?」

アルミンが不意にそんな事を尋ねてきた

 

「いいや、なにするんだ?」

 

「噂では立体起動の素質をテストするんだって」

 

立体起動のテスト?なんだそりゃ?

 

「どうやってそんなの見極めるんだよ」

 

「確か、2本のロープで吊らされたベルトを腰に巻いてぶら下がるってやつらしいよ」

 

「へぇー、」

素っ気ない変事で返すアレク、どこか上の空だ

 

「やっぱり兵団っていったら立体起動だよな!」

いつのまにかご飯を食べ終えたエレンが話に入ってくる

 

「そうだな」

 

「立体起動で飛びながら巨人を斬り倒すとか」

 

「…うん…」ポケー

 

「リヴァイ兵長とか凄いんだろうなぁ」

 

「だな…」ポケー

 

「・・・・・・・・・・おい、アレク話聞いてっか?」

 

「えっ、…………あ、あぁエレンとミカサが同棲してんのに賛成か反対かって事だろ、俺は賛成だぜ」

 

「そんな話微塵もしてねーよ」

 

「エレン…私も賛成……」

 

「俺は反対だ!」

 

「僕も賛成…かな」

 

「3対1で同棲決定だな!」

 

「お前らぁぁぁ!」

 

やっぱエレンにちょっかいかけるのは楽しいな

 

「さっきは何を考えていたの?」

アルミンが俺に質問してくる

 

一番聞かれたくない質問だ

 

「ん、あぁ…ちょっと昨日読んだ本の事を考えてて」

ごめんなアルミン、嘘ついた

 

「そうなんだ、読み終わったら僕にも貸してくれないかな?」

 

「勿論いいぜ」

 

「ありがとう、アレク!」

笑顔で微笑むアルミン

 

うぅ~罪悪感がぁ~~

 

 

でも言えるわけないじゃん!

 

 

『クリスタが今どうしているか考えてた』なんて……

 

 

 

絶対いえねぇー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

朝食を食べ終わり、少しすると中庭(通過儀礼をしたところ)に集合がかかった

 

 

中庭に行くと結構な人数の人が集まっていた

 

 

「おっ、クリスタじゃん!……………それとユミル…」

クリスタを発見して気分上々のアレク、ユミルは二の次

 

あいつ等っていつのまに仲良くなったんだ……

 

「よお、クリスタ!今朝ぶりだな、そらにユミルも」

元気よく挨拶する

 

「あ、アレク!うん、今朝ぶりだね」

クリスタルはアレクに気づいて笑顔で挨拶する

 

「“それに”ってなんだよ、“それに”って、けっ、どうせ私はクリスタのオマケですよ」

ユミルも皮肉混じりだが返してはくれている

 

あれ………全部が皮肉じゃねーか……

 

「そんなことないよ、そんなことないよねアレク!」

 

「う、うん。」

 

「クリスタが言うんだったら良いけどよ」

 

なんだよユミル、お前はクリスタ大好きっ子かよ!

 

 

 

「今日って、なにするんだろーね」

クリスタが問いかけてくる

 

「アルミンが立体起動のテストをするって言ってたぞ」

 

「へぇー、楽しみだね」

笑顔で返す

 

クリスタの笑顔って、マジで女神のそれだよな

 

「アレク、お前だけ失格したりしてな」

 

なんちゅう縁起でもないこと言いやがるんだよ

 

「そんなことないよ、アレクならきっと大丈夫だよ」

 

「ありがとうなクリスタ」

 

 

 

それからキース教官がきて立体起動のテストの詳しく内容が発表された

 

 

テストは立体起動の素質をはかるためのものらしい

ダメダメな奴は次の日の馬車で開拓地に送られるらしいその時点で訓練生の身分を剥奪される

 

テストは前半組と後半組の2回に分けられる

クリスタとユミルは前半組で俺は後半組だった、エレンとミカサも後半らしい

 

 

 

 

 

 

テストが始まった

前半組の人が全員吊るされる

 

 

クリスタは・・・・・・よし、大丈夫だな、良かった

 

ユミルは・・・・・・余裕そうだな……心配して損したか…

 

アルミンも大丈夫そうだな

 

後は俺とエレンとミカサだけか

 

 

やってやるぜ

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ここからしばしばキース教官目線でお送りします

 

 

前半組が終わり、後半組が始まった

今年は優秀な訓練生が多いようだな

ミカサ・アッカーマンやアニ・レオンハート、ライナー・ブラウンは全くブレを感じさせない

まるでどうすればいいのかを体が知っていると言った感じだ

他にもベルトルト・フバーやジャン・キルシュタイン

コニー・スプリンガー、サシャ・ブラウスなどが上手いと言ったところか

何故あの通過儀礼の時に芋を食べていた奴がこんなに優れているのか疑問に思うがな

 

それより大変にダメダメな奴が二人もいるな

 

 

1人はエレン・イェーガー

あの、超大型巨人の襲撃を受けた中の1人らしいが

全くダメだな

始まって2秒でひっくり返りって宙ぶらりんだ

これはこれで驚きだった

まさかあんなにもすぐにひっくり返る奴がいたとは……

逆に凄いともいえる位だ

何故だと疑問に思ってしまう

 

 

そしてもう1人はーーーーーーーアレク・チプスだ

彼も超大型巨人の襲撃を受けたと聞いたが

こっちは言うなれば普通だった

普通にダメダメだった

全く安定感がない、ずっと前後左右に大きく揺れている

エレン・イェーガーのようにひっくり返りはしないものの立体起動は無理だろうな、あれでは巨人の囮にもならん

 

明日やってダメだったらかえってもらうしかないな

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夕食

 

俺、アレク・チプスは絶望していた

 

まさか失格するとは思わなかったからだ

まるで、ご飯はあるのにご飯の食べ方が分からないみたいな………そんな感じだ

 

 

明日また試験があるらしい

そこに懸けるしかない

 

 

 

 

そこで誰かの足音が聞こえる

 

誰だろう?クリスタかな?

クリスタにはこんな恥ずかしい姿は見せたくなかったな

 

そう思い顔をあげるとそこにいたのはアルミンだった

 

「アル…ミン…?」

 

「やあアレク、実は昼間のことで……」

 

「アルミンも俺を笑いに来たのか?」

 

「えっ、」

 

「正直俺のこと見下してるんだろ」

 

「違うよ!明日もう一度あるんだから上手かったライナーやベルトルトにコツを教えてもらおうと思って」

 

「っ!・・・・・・・・・悪い、俺少しピリピリしてたな」

 

「いいよ、それより行く?」

 

「ああ、いかせてもらうよ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「「立体起動のコツを教えてください‼‼」」

夜になり俺とエレンはライナーとベルトルトの所に出向いた。親友のアルミンを連れて

 

 

最初に口を開いたのはライナーだった

「すまんがぶら下がるのにコツがいるとは思えん、

期待しているような助言は出来そうにないな」

 

 

「そうか……」

エレンがそう呟く

 

「3人はシガンシナ区出身なんだよね」

次に口を開いたのはベルトルトだった

 

「うん、そうだよ」

アルミンが答える

 

「ってことはやっぱり、巨人の襲撃を受けたんだよね、なのにどうして兵士になろうと思ったの?」

 

 

「僕はエレンやアレクと違って実際に巨人の恐怖を目の当たりにしたわけじゃないんだけど、ただあんな滅茶苦茶な奪還作戦を決行した王政があると考えるとじっとしてられなかっただけで……」

アルミンが最初に口を開いた

 

「エレンはどうなの?」

ベルトルトがエレンにふる

 

「俺は………根絶やしにしないといけないと思った、あんなバケモノに好き勝手させてたまるかって……そう思ったんだ…」

 

エレンが言い終わると皆の目線がアレクに移る

 

 

「俺は・・・・・・・親の敵をうつ為だ」

 

「そんな理由か」

ライナーが言う

 

「ああ、それだけだ実際、親が死んでなかったら俺は兵団を目指さなかっただろうからな

それでも巨人に対する思いは誰にも負けないつもりだ

勿論エレンにもだ」

 

「そうか」

納得したようにライナーは頷いた

 

 

 

 

それからは5人であの巨人に襲撃された日の話をした

 

 

時間になり3人はライナーとベルトルトの宿屋を後にした

出るときにライナーが言った

「エレン、それにアレク!明日は頑張れよ」

 

その言葉が何故か俺の気を楽にしてくれた気がした

 

 

 

 

自分のベッドに潜り、眠りにつこうとする

 

 

 

なかなか寝付けない

 

クリスタの事を考えてしまう

何故クリスタはテスト後に俺に会わなくなったのだろうか、

 

そんなの分かりきったことなのに認めたくない

クリスタに見捨てられたなんて考えたくなかった

 

アレクはその日、涙を流しながら眠りについた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時間はその日の昼に戻る

丁度アレクがテストを受けている時間だ

 

「……アレク」

 

「こりゃあダメだな、」

 

そこにいたのはクリスタとユミルだった

アレクのテストの様子を見てそう呟く

 

「明日またあるらしいが……どうだろうな」

 

「・・・・・私、アレクを元気づけてくる!」

そう言ってアレクのところに向かおうとするクリスタをユミルが腕をつかみ止める

 

「止めとけ」

 

「なんで止めるの、アレクを励ましに行くの!」

 

「それは今のアレクには逆効果だ、自分の事を惨めに感じて一生苦しむぞ」

 

「でも」

 

「今日は止めとけ、まだ明日があるんだ。明日の結果がどうだろうと、明日は声をかけよう」

 

「…………分かった」

 

そう言って二人は自分達の部屋に戻るのだった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

次の日の昼になる

 

中庭には104期訓練生の皆が集まってる

 

 

「覚悟はいいか!エレン・イェーガー!」

 

順番はエレンが先にやると自ら立候補した

 

 

ロープが上にあがる

 

エレンは少しぐらつきながらも立派にたっていた

 

「「「「「うおおぉぉぉぉ」」」」」

 

周りから歓声が響き渡る

 

 

さすがエレンだ自力でやりやがった

 

と、思った瞬間ーーーーー

 

エレンは態勢を崩し頭から地面に激突した

 

 

 

「俺は……まだ…まだやれます!」

必死に足掻くエレンだが結果は変わらない

 

「おろせ」

教官の冷たい声が聞こえる

 

「エレン・イェーガーのベルトを交換しろ」

教官から予想外の声が聞こえる

 

 

 

その後のエレンは見違えるようだった

 

ブレないーーーとはいかないまでにも綺麗に乗りこなしていた

 

「整備の欠陥だ」

 

「ってことは俺は」

 

「合格だ、訓練に勤しむように」

 

「やったぁぁぁぁ」

両腕を高らかにあげて喜ぶエレン

 

 

そこには静かに1人拍手するアレクがいた

 

 

 

 

 

そんな興奮覚めやらんままに俺のテストとなった

 

 

大丈夫だ!エレンも出来たんだ、俺もやらないでどうする!

 

自分に言い聞かせアレク

 

「覚悟はいいか、アレク・チプス!」

 

「はい!」

元気に返事するアレク

さすが、やる気は人一倍あると自負しただけはある

 

 

ロープがあがる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果は最悪だった

体は大きく揺れて腕をバタバタさせる始末

見ていて滑稽ともいえる光景だった

周りの目は笑わないにしろ冷ややかな目でアレクを見ていた

 

そして最終的にはエレンと同じように頭から地面に激突した

 

 

 

 

 

それはアレクテスト・チプスの開拓地行きが決まった瞬間だった

 

 




キース教官の視点が難しいぃ~~

書き終わって本文の字数を見たら4444でした
なんとゾロ目ですよ、少しだけハッピーになった作者がそこにはいました

さてテストを不合格に終ったアレクはこの後どうするのか!?
次回に期待です


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3話



前書きって余り書くことが無いですね
ではどうぞ( ゚д゚)ノ


 

 

 

アレクの開拓地行きが決まった日の夜

明日の朝に開拓地行きの馬車にのるので今は食堂で最期の飯を食べている

 

そんなアレクは眼から光が消えて

顔は今にも崩れ落ちそうな程だった

 

 

 

 

「おい、彼奴だよ彼奴、今回の立体起動のテストで唯一失敗した奴」ヒソヒソ

 

笑いたきゃ笑えよ、どうせ俺には才能がないんだよ

 

「動きが凄かったよね、どうしてあんな動きが出来るんだろう」ヒソヒソ

 

そんなの俺が聞きてーよ

 

「開拓地行きだなんて可哀想だよね」ヒソヒソ

 

何が可哀想だよ、同情するふりはやめてくれ

 

「まぁでも、兵士になるより開拓地で暮らすほうが安全だからな良かったんじゃねーの」ヒソヒソ

 

分かったよーな事言ってんじゃねぇよ、俺の唯一の生きる希望だったんだぞ、親の仇を討つ事が唯一の………

 

 

 

頭が冷えていて周りの声が良く聞こえた。その憐れみの声を聞くたびにアレクの心は虚しくなっていくばかりであった

 

実はテストが終った直後にエレン、アルミン、ミカサの3人が励ましに来たのだが、その時のアレクに届く筈もなく

アレクは3人が正直なんて言ったのかさえも覚えていなかった

 

 

 

 

「……アレク」

不意にそんな声が目の前から聞こえて顔をあげる

 

そこにいたのはクリスタとユミルだった

 

「ははっ、クリスタにはこんな情けない姿は見せたくなかったな」

アレクは心なしか笑った、その顔は全くと言っていいほど笑ってなかった

 

「だろうな、今のお前の顔は笑える程に醜いぞ」

ユミルが俺を嘲笑うかのようにそう言った

 

「・・・・・、ありがとうなユミル、下手に同情されるよりもそっちの方が何倍も気が楽だ」

俺はそう言って少し笑顔を作る

少し気が楽になった気がした

 

「あの……アレク、話したい事があるから食事が終ったら会えないかな?」

クリスタが俺にそう言った

 

話………なんなのだろうか?

親友の事は無しにしてくれ…とかだろうか?

 

「・・・・・分かった」

少し間を置いて返事する

 

「うん、それじゃあ外で待ってるね」

そう言うとクリスタとユミルは食堂から速やかに出ていった

 

 

 

 

 

 

ご飯を食べ終わり食堂を出る

 

そこにいたのはクリスタ1人だった

 

「・・・・・・・ユミルは?」

 

「ユミルはいないよ、私がアレクと話したかっただけだから」

 

「・・・・・・そうか」

 

「・・・アレク・・・少し歩かない?」

 

「・・・・・いいよ」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

外は既に日が沈み真っ暗だった

外灯や建物からの光があり、ようやく辺りが見えるくらいだ

 

月が雲に隠れている

 

 

「ユミルがさ、“私はもう言いたい事を言ったから後はクリスタに任した”だって。本当にユミルらしいよね」

 

「そうだな……」

確かにアイツらしいな

 

「………あの…昨日はゴメンね、励ましに行こうと思ったんだけど、ユミルに止められて……」

 

そういう事か………なんか少しだけ安心したな

 

「そうか……クリスタが俺の事を嫌いになったんじゃなくて良かったよ」

 

「ふふっ、アレク変なの、親友を嫌いになるわけないでしょ」

そんな事を平然と言い放つ

 

「っ、!……ありがとな」

 

「へへっ、どういたしまして」

満面の笑顔のクリスタ、やはりこんな時でも女神の笑顔は健在だ

 

「本当にありがとう……最後にクリスタと話せて良かったよ」

 

「最…後……」

と、そこでクリスタが歩みを止める

 

「どうした……?」

必然的にアレクも足を止める

 

「本当に…最後なの?」

クリスタは上目遣いでそう言う、見れば目に涙を溜めている

 

「・・・・・・」

俺は何も言えなくなる

 

「本当にこのまま開拓地に行くの?それでいいの?アレクは兵士になるんじゃなかったの?」

 

「でも……」

 

「でもじゃない!」

いきなり叫ぶ

 

「アレクには目標があるんでしょ!私には分かるの……昨日今日の付き合いだけどアレクがどれだけ兵士になりたいか、どれだけ巨人を憎んでいるか痛いほどに分かった………なのにこんなところで躓いた位で諦めるの?それともアレクにとって家族はそんなものだったの?」

今にも泣きそうなのを必死に抑えて叫ぶ

 

「違う……俺にとって家族は世界で一番大切なものだ…だからそれを奪った巨人は許さない」

ようやくアレクは自分の気持ちを言った

 

「だったら……だったら、こんなところで諦めないでよ」

そう言って俺の胸に顔を押さえる

 

何故だろうクリスタの言葉はアレクの心の一番奥にまで響いてくる

凄く短い付き合いなのにエレン達の言葉よりも心に突き刺さる

 

アレクにとってクリスタはそこまで大きな存在になっていた

 

「………………そうだな…俺、もう少しだけ足掻いてみるよ」

クリスタの頭に手をのせる

 

「…うん」

クリスタも胸にうずくまったまま頷く

 

「ありがとうなクリスタ」

 

 

そのまま動かない二人、この光景はあと10分は続いた

 

いつの間にか月は雲から出ていた

 

綺麗な満月だった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「お願いします、このまま兵士として此処に居させてください!」

 

クリスタと別れたあと俺はキース教官の自室に赴いた

 

「お前は立体起動が出来ないだろ、そんな奴は囮にも使えん!明日の馬車で開拓地に行ってもらう」

だが突きつけられたのは無慈悲な事実だった

 

「………なれます…」ボソッ

 

「なんだ?」

 

「なれます!なってみせます、立体起動を使わなくても囮に!」

 

「それは地面を走って巨人と対峙するということか?」

 

「はい、それでも構いません!だから……だからお願です、兵士としてやらせてください!」

アレクは誠心誠意の土下座をする

 

「そこまでしてか…」

教官の目がアレクを真っ直ぐにとらえる

 

「そこまでしてもです!」

アレクも教官の目を見つめ返す

 

俺は今、試されている……覚悟を…本気を示さないと!

 

「なぜそこまでする」

 

「親の仇です」

 

「親の仇…チプス……あの立体起動の素質……やはりお前はイアンの子供か!」

唐突に出て来た父親の名前に驚く

 

「何故…父の名前を?」

アレクはただ疑問に思った

 

「そうか……イアンは私と同期で入った奴でな一緒に兵士になる筈だった」

 

「えっ、父は兵士を目指したのですか」

新しい事実だった

 

「ああ、だが彼奴は立体起動のテストで落第した…それからマーナと出会い商売をやり始めたとか……」

 

そうだったのか……

 

「そうか、お前がイアンの息子か、彼奴はここで諦めたがお前は諦めないのか?」

 

父は諦めた、でも俺は違う!俺を応援してくれてる人がいるんだ、それに答えないでどうする!

 

「はい、諦めません!覚悟は出来てます」

力強く言った

 

「…………分かった、特別だがお前はこのまま残って訓練に勤しめ」

 

その言葉が聞こえた時

アレクは心の底から嬉しかった

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「だが1つだけ言っておく、あくまでお前は巨人の囮だ、餌だ、そこだけは忘れるんじゃないぞ」

 

「はい!なってみせます、最強の囮に!」

そう言ってアレクは教官の部屋を出ていった

 

 

 

「最強の囮……か、面白いやつだなお前の息子は」

1人で笑うキース教官がそこにはいた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

アレクは走っていた

この気持ちを誰に伝えようと考えた時に、真っ先に思い付いたあの少女の所に向かっていた

 

クリスタは自分を待っていたのだろうか、教官の部屋を出たすぐ突き当たりの廊下にいた

 

「クリスタ!」

大声でそう叫ぶ

 

「えっ、アレク!?」

いきなり態度が豹変したアレクに戸惑うクリスタ

 

「やったよ俺!此処に残れるようになった!」

前置きもなく真っ先に結果を報告する

 

「えっ、本当に!」

 

「うん、本当に本当!」

 

「やったぁぁぁぁ」

そ言うってクリスタはアレクに飛び付く

 

「ふげえっ、」

 

クリスタに押し倒される

 

「あっ…そ、そのごめん…/////」

自分が何をしたか自覚して顔を赤くしてすぐさまどく

 

「いいよ、それより俺エレン達に伝えに行くから」

 

「うん、分かった。また明日ねアレク!」

 

「おう、また明日なクリスタ!」

 

 

そう言って二人は別れていった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ユミル~♪」

 

クリスタはアレクと別れた後にユミルと自分の宿屋にはいる

 

「お、偉く上機嫌だな」

(こりぁ、遂にくっついたかこの二人、私のお陰だね)

 

「えっとね、アレクが此処に残れるんだって!」

 

「……………で、」

 

「でって、それだけだよ」

 

「………………はあぁ!?」

 

「!?」

 

「それって、お前!告らなかったのか!?」

 

「えっ、当然だけど……」

 

「はぁぁぁ、マジかよ」

 

「ん?どうしたのユミル?」

 

「なんでもねぇよ、けっ、人がせっかく絶好の機会を与えてあげたっていうのに………なんか馬鹿馬鹿しくなったな、寝るわ」

 

「う、うん?お休みユミル」

 

 

 

こうしてアレクの開拓地行きの取り止めが決まったのだった

 

 

 

 

 





『最強の囮』です、ハイキューの日向の事ですが
アレクにピッタシだと思い使わせてもらいました

あと、この二次小説ではユミルはアレクとクリスタルがくっつくのを応援している設定です

コメント待ってます


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4話




最近めっきり寒くなって来ましたね。インフルエンザに気を付けたいと思います


 

 

 

 

 

シュン

 

…シュン、シュン…

 

 

ここはウォール・ローゼの南に位置する大森林

殆どの木は全長30メートル越え、樹齢百年を越えている

そのため、動物も多く生息していて熊や猪などは、さほど珍しくない程度だ

 

そんな木々の間をすり抜ける幾つもの人影

 

その動きは下から上に、上から下に、はたまた横から横へと似て非なるもののであったが、全ての物に共通するのがそのワイヤーが擦りきれるような機械音だ

 

ーーーーーーーーーー立体起動

腰に装着しているそれは巨人と戦うなら必ずしも必要な装備である、詳しい原理を説明すると長くなるので端的に言うと“立体起動装置から出るワイヤーを使い建物からの建物へ移動する機械”である同伴の強硬質スチールで出来たブレードにあるスイッチでワイヤーが飛び出す仕組みになっている。

何故このような装備がいるのかと聞くと兵団の人々は口を揃えてこう言う『屋根から屋根へ移動するため』

 

そのため立体起動装置は兵団に無くてはならない物となっていた。そんな中、今この大森林で行われているのは立体起動の訓練である

 

大森林の中にあるいくつもの巨人のレプリカを倒すという訓練だ

 

 

 

その中に1人立体起動装置を着けていない者がいる

 

ーーーーーーーーーーアレク・チプス

 

ただ大森林の中を駆け巡り巨人を見つけたと思ったら、もうやられているという状況がずっと続いていた

もし仮に見つかったとしても高さが高さだけにアレクには到底やれることはない

なら何故、立体起動の素質がない彼がどうして此処にいるのか

 

キース教官曰く『お前は巨人の囮になるのだから先ずは立体起動の動きを知り、それを生かすような役回りをしろ』とのことだ

 

そんなことでアレクは今、森の中を走っている

 

「はぁ…はぁはぁ……」

 

ひたすら巨人を追うが全く見つからない

 

 

「頑張れよ、我らの囮君……きゃはっはっはっ」

 

「もっと早くしろよ、俺の立体起動装置貸してやろうか?あ、使えないんだから無理だったな」

 

「「はははっ」」

 

アレクの上を二人の男子が通り過ぎる

 

 

全くもって不愉快だ……

 

アレクには憎悪だけが増していく訓練であった

 

 

アレクが開拓地行きを取り止めになった日から皆の反応は大きく2つに別れていた

 

1つ目は俺の諦めない姿に感動して凄いと思うと奴だ

ライナーやベルトルトがその類だ、今では仲良く話もする

 

そして2つ目が俺の事を馬鹿だと笑う奴だ

こっちの方が圧倒的に多く、全体の約8割を占めている

男子だけで考えたら9割を軽く越えているだろう

 

そんなやつらはところ構わず俺の事をからかってくる

 

 

 

 

 

立体起動の訓練が終わり、森の正面?に集合する

 

 

「マジかよ俺一体しか倒せなかったし…」

 

「大丈夫だろ、どうせ何処かの馬鹿は一体も倒しちゃいねぇよ」

 

「それもそうだな、ぷっははは」

 

またしてもこれだ本当に嫌になる

 

 

 

「アレク!」

後ろからそんな声が聞こえて俺は後ろを振り向く

すると

 

「えいっ!」プニッ

 

いきなり俺の頬を突つかれた

 

「…………えっ?」

 

「アレク引っ掛かったぁ~」

そこにいたのは笑顔で微笑むクリスタであった

 

「クリスタ?」

 

「アレク元気ない様子だったから元気づけようと思って」

 

アレクはクリスタのその行為にどう反応していいか戸惑う

「あ、ありがとう」

結局出たのはそんな単純な言葉だった

 

「えっとねアレク、私今日の立体起動の訓練で9体倒せたよ」

クリスタはえへへっと自慢気に語る

 

「そっか…クリスタは凄いな」

アレクもその笑顔に返す

 

「アレクに褒めてもらうと照れるなぁ~/////」

にやけるクリスタ

 

そんな会話をしていると

 

「ちっ、」

 

多分さっきの奴等だろう、凄い形相で俺の方を睨んでいる

 

「でもさ、なんで立体起動も出来ない馬鹿がこんなとこに居るんだろうな」

結局そいつ等がとった行動は今までと同じで俺への侮辱だった

 

「むぅ~」

その声が聞こえたのかクリスタは顔を歪める

 

「アレク…」

 

「大丈夫だ」

 

「でもっ、」

 

「大丈夫だって心配性だなクリスタ」

そう言って頭を撫でる

 

「うぅ~/////」

 

こうすればクリスタは大体反論しなくなる

と、最近気付いた

 

 

あれ、俺って確信犯?

 

「おうおう、見せ付けてくれるねぇ、お二人さん」

ユミルがクリスタの後ろから出てくる

 

「別にそんなんじゃねーよ」

その言葉に異議を唱える

 

「まぁそんなの、どうでもいいんだけどな」

 

「いいのかよ…」

やっぱりユミルのキャラは掴めないな

 

「それより帰ろうぜ、こんなところにいても意味ねーだろ」

 

「いや、教官が帰ってよしって言うまで帰れねーんじゃねーの?」

それを聞いた瞬間にユミルの顔が、だるいなぁ~という顔になる

 

それはユミルが顔を変えたのと同時だった

 

「これで今日の訓練を修了する!各自食事前までに帰ること、それとアレク訓練生はこのあと私の部屋に来るように、以上解散!」

 

「お、噂をすればなんとやら…だな」

そしてまたしてもユミルの顔が変わる

 

「だな、呼ばれたけどどういう要件だろう?」

 

「なんだろうね?」

 

「まあ、行かねぇことには分からんからな…悪いけど夕食先に食べといてくれ」

 

「うん!」

 

「私とクリスタだけで十分だからもう帰ってこなくていいぞ」

 

「……絶対に帰ってくるからな!」

 

そういい放ちアレクは教官の部屋に向かった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

キース教官の部屋の前に立ち、扉をノックする

 

コンコン、

「訓練生のアレク・チプスです」

 

「うむ、入っていいぞ」

 

中から教官の声がする、一旦深呼吸をして扉に手をかける

 

ガチャ

「失礼します」

 

中には勿論の事、キース教官が正面の椅子に座っていた

1つ驚きだったのは机の前にもう1人いたことだ

 

「やあ、君が変人君かい?」

最初に口を開いたのはその女の人だった

 

「立体起動が出来ないのに巨人を倒すって面白い事を考えるよね」

その女性は眼鏡の中の瞳をキラキラと輝かせてこっちのことを見ている

 

「……は、はぁ…」

ただ、ただ唖然するだけのアレク

 

「こらハンジ、お前が話し出したら進む話も進まんだろうが」

やっと口を開いたキース教官がその女性(ハンジと言うらしいが)に釘をさす

 

「はあ、私としてはもう少しこの子とお話がしたいんだけどな」

 

「それでは本題に入るぞアレク訓練生」

 

「無視!」

その二人のやり取りは見ていてとても滑稽だった

 

「アレク訓練生!君は立体起動が出来ないな」

 

「はい!」

 

「うむ、よい返事だ…」

少し微笑み頷く教官

 

「君が立体起動を出来ない事で、他の訓練生に一歩遅れを取ることになる」

 

「一歩どころか百歩は遅れてくるんじゃない」

ハンジという女は無駄にどうでもいい所を修正してきた

 

「そこでだ、そこの変わり者に協力を頼んで君への特注品を作ったわけだ」

 

「はーい、分隊長のハンジ・ゾエです。よろしくねアレク訓練生」

陽気な声で話かけてくる

 

なるほど分隊長だったわけか……ハンジ・ゾエ覚えておこう

 

「最初は何を作ればいいか迷ったんだけど、立体起動の素質がないんだからバランスの用いられるものはダメだと思って、だったら腕から伸る立体起動はどうだと考えたんだけど、それだと下半身の重心が重くなりすぎてまともに動けないと分かってね、ならばry」

ハンジ・ゾエの説明は長々と続いた

 

なるほど、変わり者と言われるわけだ

 

この時にはハンジの言葉はアレクには9割頭に入っていなかった

 

「もういい、ハンジ分隊長」

あまりにも長い説明に教官がそれを遮る

 

「え、何故だい?まだ3割も喋り終わってないのに」

 

あれで3割なのかよ……

アレクは驚愕すると共に、それを止めてくれたキース教官に感謝の念を唱えた

 

「君がそれ以上話したらアレク訓練生の夕食がなくなってしまうだろ」

 

「はあ、分かったよ」

何とか妥協してくれたハンジ分隊長

 

「つまりだアレク訓練生、君にこの変わり者が作ったブーツを差し上げよう」

 

そうしてハンジが机の死角から普通となんら変わらないブーツを取り出した

 

「ブーツ…」

状況が読めないのでブーツとおうむ返しに言ってしまった

 

「そうだよ、でもただのブーツじゃないんだ、なんとこのブーツは人のジャンプ力を3倍にできる代物なんだよ」

 

「3倍…」

 

「そうそう、靴裏には特殊なバネが入っていて人の力を底上げさせてくれるようになっているんだよ!」

えっへん、と言いたげにハンジがブーツの説明をする

 

「扱いは立体起動の何百倍も難しいから、最初は気をつけて使わないといけないよ。飛びたい時に飛べずに飛びたくない時、飛んでしまう可能性があるからね」

 

「そういうことだ、どうするアレク訓練生?欲しくないと言ったら即刻藻って帰させるが……」

最後にキース教官がそんなことを問うた

 

 

立体起動の何百倍も難しい…………だけどそれくらいしないと家族の仇をとれない

なにより難しくても使える、ただ難しいだけなら俺ならやれる!

 

「はい!有り難く貰います!」

 

 

「分かった、これからも訓練に励むように」

 

「はい!失礼しました。」

 

そう言って俺はキース教官の部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、変わった子だったね」

 

「それをお前が言うのか?」

 

「あぁ、あの子の将来が楽しみだよ」

 

「そうだな」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その次の日からアレクの立体起動の訓練が変わった

遅くなったか、速くなったかと、問われれば遅くなったのだが、動きが今まで以上に良くなった

なんと言ってもやっぱりジャンプ力だ、上に飛んだら足元が2メートルは飛び、横に助走をつけて飛んだなら軽く7、8メートルは行くだろう

まあその分沢山の木にぶつかった。とにかくコントロールが難しいのだ、いきなり前におもいっきり跳んだと思ったら次の踏み込みでは全然翔ばなかったり

ブーツに踊らせれているような感じだ

 

だけれども、もしこのブーツをアレクが使いこなせるようになったら、それはきっとアレクにとって大きな糧となるだろう。

それだけは断言できた

 

 

 

 

 

 

 





アレクにオリジナルの装備を着けさせてもらいました。
流石に人間の身体能力だと限界があるので仕方なくつけさせました
名付けるなら『キッ○力増強シューズ』なんてどうでしょう
あ、シューズじゃないじゃないですか!

あと、地味にハンジさんと初対面を果たしたアレクでした
次回は二年位いっきに進むと思います


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5話



進撃の巨人の二次小説を読んでると二年後の休みの日の話が多いですね、何故でしょう?

ってことで僕も書いてみようと思います

次回に!!!


今回は対人格闘技のあたりです

遂にクリスタの気持ちが明らかに!



 

時が過ぎるのも早いもので、アレク達が訓練生になってから二年が過ぎた

 

これまでの二年間はとても充実したものだった

朝はクリスタと皆とご飯を食べて、その後にクリスタと一緒に巨人の事につい学ぶか、対人格闘技の練習をして、

昼からは立体起動の訓練をして、夜にまたご飯を勿論クリスタと一緒に食べて…………

 

 

あれ、俺って殆どクリスタと一緒にいねーか?

いや、そんな事はない!………………はずだ……

 

 

 

 

その日もいつも通りだった

 

 

「とりやゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」

叫びなから突っ込んでくるのはライナー

 

「ほいっと、」ヒョイ

 

「なっ!」

 

それを華麗に躱すのはアレク・チプス

 

アレクはそのままライナーの足を引っ掻けて転ばす

 

「うわっ!」

盛大に転んだライナーは顔から地面に激突した

 

 

今は午前11時頃、俺達、第104期訓練生は中庭で対人格闘技の練習をしている

 

今はライナーに頼まれて勝負をしている(何故かライナーはクリスタを賭けるとか訳の分からない事を言っている)

 

 

「よっし!これで6戦6勝だな」

ニッシッシとアレクは不気味に笑った

 

「くっそう!また負けた。なんで勝てねぇんだよ!」

 

「当然だろ、ライナーは相手に突っ込む時、大股過ぎるんだよ」

 

「んじゃ、そこを直したらアレクに勝てるのか」

 

「うーん、多分無理だな」

アレクはスッパリとそう告げた

 

「だよな、何でお前はそんなに強ぇんだよ、もはやチートだろ」

 

「そんなことねーよ、俺は独学で体術を学んだからな…間合いやテンポが掴みにくいんだろ、」

 

「だからって化け物みたいなアニやミカサより断然強いだろ」

 

「いや、俺はミカサには勝ったけども、アニとは一度も戦ってないよ」

 

実は何度か勝負を挑んでいるのだが全て無視されたのはまた別の話だ

 

「そんなのか!」

アニとアレクの戦いに興味津々な感じだ

 

「まぁな」

 

「なら、今から勝負をしろ!ちょうどアイツは怠けてる最中だから」

 

「はぁ~、分かったよ」

ここで抵抗しても意味ないと思い渋々承諾する

 

「よし、そうと決まれば早速行くぞ」

そう言ってアニがいる方へと歩くライナー……についていく俺

 

 

 

 

「おい、怠けるのは感心せんな」

無口なアニにライナーはそう切り出した

 

アニは鋭い横目で俺達を睨む

「だったらなに?」

 

「なら俺と勝負しろ!」

 

・・・・・・・・・・・・はっ!?

 

あれ、俺が勝負するんじゃねーの?地味にワクワクしてたのに、なんか痛々しい奴じゃん俺!

 

「いいよ」

 

アニは短くそう言うと静かに構えをとる

 

独特の構えだな……

アレクはアニの構えを見たとき最初にそう感じた

 

「行くぞ!とりゃぁぁぁ!」

ライナーはさっきと同じ様にアニに突っ込む

 

1つ違うのはアレクの助言の通りにさっきより歩幅を縮めて突撃したことだ

 

 

だがライナーはあっさりとアニに肩を掴まれて後ろに背負い投げされてしまった

 

「げほっ、」

 

「これで終わりね」

 

「いや…まだだ……」

そこでライナーは食い下がる

 

「まだやるの?」

アニはライナーを見下した状態でそう告げる

 

「次はアレクが俺の仇をうぅぅぅつっ!」

 

ここで俺かよ……

 

「次はあんたがやるの?」

アニは俺の方を向く

 

「んじゃ、そうさせてもらおうかな」

そう言って俺は構えをとる

 

必然的にアニも構える

 

 

 

 

 

 

 

 

先に動き出したのはアレクだった

 

 

 

「・・・・・!!」

これにはライナーもビックリした、今まで6回アレクと戦ったがアレクは動かずライナーが動くのを待っていた。

 

 

アニの足に力が入る

 

次の瞬間、飛び出したのはアニの足蹴りだった

物凄く速いスピードだった……ライナーも目で追えるのがやっと位だ

 

アレクの顔にアニの脚が当たるのが恐ろしくライナーは目を閉じる

 

 

バチィン!

 

 

 

その音が聞こえるのを待っていたライナーだったがいつまで経っても音がしない

その変わりにドスッという何かが地面に倒れる音が聞こえる

違和感を覚え目をゆっくりと開ける

 

 

そこにはアニを押し倒して(変な意味じゃないよ)馬乗りになるアレクがいた

 

 

「っ!!!!」

その光景にはライナーの開いたの口も閉じることはなかった

 

「なにをしたの?」

アレクに押し倒されたアニがそう質問する

技を喰らったアニも何が起こったのか把握仕切れてないようだ

 

「何って、ただアニの蹴りを腕で流して軸となる足を引っ掻けて倒して、跨がっただけ……だけど?」

アレクは笑顔でそう答える

 

「分かったから、そろそろ退いてくれない?」

いつまでも跨がっているアレクにしびれを切らした様子のアニ

 

「あぁ、ゴメンね」

それに気づいたのかアレクはすぐに退いた

 

起き上がったアニは

「あんた強いね、また勝負をしよう」

そう言って去っていった

 

「よくやった、アレク」

近づいてきたライナーがそういった

 

「なんでお前が上から目線なんだよ、」

 

「まあ、小さいことは気にするな」

はっはッは、とライナーは笑った

 

「それより、はどうやってアニの蹴りを躱したんだ?」

 

「さっき言っただろ、躱したんじゃなくて流したんだよ」

 

「流す……?」

 

「あぁ、元々俺の体術は相手の攻撃を流してその隙に自分の渾身の一撃を喰らわすっていうスタイルなんだよ」

 

「そうか、だからさっきはアニの蹴りを流してその隙をついたのか」

 

「そんな所だ、この武術に名前を付けるなら『流水岩砕拳』なんてのはどうだ」

 

「流石、俺のベストフレンドだな」

 

「なに言ってんだよ、俺のベストフレンドはクリーーー」

 

「……アレク」

そのライナーと全くもって似ていない声に俺の声は遮られる

 

アレクは声の方向に顔を向ける

 

「んっ、クリスタ?」

 

そこにいたのはクリスタだった

 

手を胸の前でモジモジさせて上目遣いでアレクを見つめていた

 

(結婚したい)

その光景にライナーは奇しくもそう思うのであった

 

「どうしたの?」

アレクはクリスタにそう問いかける

 

「あの……」

 

「うん、」

 

「次は私と対人格闘技の訓練しない?…」

 

ピキッ

 

それはライナーの体にヒビが入る音だった

 

「うん、いいよ」

 

「本当に!ありがとう!」

クリスタは喜んでアレクの手をとって連れ出した

 

ピキッ……ピキピキッ………

 

そこはライナーのヒビの音だけが響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃアレク行くよ!」

木で出来た短剣を構えるクリスタ

 

「いつでもいいよ」

 

「やぁ!」

そう言ってクリスタは俺に剣を振ってくる

 

「・・・・・・・・」

アレクはそれを巧みに避け、クリスタの姿勢、剣の振り方、俊敏性を見ている

 

そして一通り見たところでクリスタの剣を奪おうとする

 

 

「きゃっ!」

その瞬間クリスタは石に躓いて倒れそうになる

 

「危ないっ!」

アレクは咄嗟にクリスタの方に飛んでクリスタを抱き締める

 

「んっ、あれ?」

怖さに目を閉じていたクリスタが目を開けると、そこには鼻先まで接近していた目を閉じたアレクの顔があった

 

それはさながキスでもするような状況だった

 

「ふぇっ!//////////」

顔を耳まで赤くしクリスタは固まってしまった

 

まぁ実際、アレクが抱き締めているので動けないのだが

 

「いったたっ……」

アレクも目を開ける

 

アレクも凄い近いクリスタに気づいたようだ

 

「クリスタ、大丈夫?」

だがアレクはそんな状況でも照れることなくクリスタに問いかけた

 

「う、うん!大丈夫だよ。助けてくれてありがとう」

顔を赤くしてまでそう言ったクリスタは尊敬に値すると言えるであろう

 

だがクリスタは少し切なかった、アレクがこの状況で平然としていられることに

 

アレクはクリスタを離して立つ

そして、まだ座っているクリスタに手を伸ばす

 

クリスタもその手を掴んで起き上がる

 

「クリスタどうする?続きする?」

 

「うんうん、アレクには勝てないって分かったからもう大丈夫」

 

「そっか良かったよ、俺も何か気分じゃなくて……」

 

「分かった、私そろそろ行くね」

クリスタは最後まで笑顔を振る舞ってアレクのいたところを後にした、その笑顔は少しだけ悲しい顔をしていた

 

 

実はアレクはクリスタと凄く接近したとき

物凄く驚き、興奮した、でもそれを顔に出したらクリスタに嫌われるという思いが頭を通りすぎたことによりあくまでも平然を装った

 

その仕草によりクリスタに“アレクは私の事を友達としか見てない”と勘違いさせるはめになってしまった

 

アレクは元々クリスタが自分の事を好きなわけないと思い込んでいるので

 

奇しくも二人は少しだけ食い違う事になる

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁーー、アレクのバガ」

対人格闘技の訓練を終えて、自分のベットで体育座りで枕を抱えるクリスタがそこにはいた

 

クリスタはもう一度あの状況を思い出す

 

「~~~っ///////////////」

 

やはり照れてしまう

それと同時にアレクの反応に切なさを感じる自分がいるのがわかる

 

 

やっぱり私ってアレクの事を…………………ってそんなわけないでしょ!私はアレクの親友なんだから!

 

でもやっぱり胸の中がモヤモヤする、アレクとアニが戦っていたときも凄く自分の心が不機嫌だったのを思い出す

でもダメなんだよね、無理なんだよね……

 

そう、私はアレクの…親…yーーーー

 

「クリスター」バタン

いきなりユミルが扉を開けて入ってくる

 

「っ、!!!!!!!!……ユ、ユミル!入るときはノックしてよ!」

クリスタは目に溜まった涙をふいてユミルに言う

 

「お、わりぃ、わりぃ。それよりクリスタ今から女共でトークしようだってよ、どうする?行くか?」

 

「う、うん行く」

 

「オッケー、んじゃ行くか!」

 

良かった……泣いてたの気づいてないみたい……

 

 

クリスタは安堵して部屋を後にした

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「「第一回男子禁制ガールズトーク!」」

 

そう叫ぶのはサシャとミーナだった

 

メンバー私クリスタとユミル、ミカサ、アニ、サシャ、ミーナというメンツだ

 

「今回の議題は104期生の中で好きな人です!」

 

「エレン以上!」

 

「ミカサは即答だね…」

ミーナは苦笑いする

 

「エレン以外に考えられない」

それでもキッパリというミカサ

 

「あははっミカサらしいね」

クリスタも笑顔でそう答える

 

「じゃあクリスタは誰がいいですか?」

サシャはここでクリスタにふる

 

「えっ!私は…」

 

「ばっか、クリスタはもう決まってんだろ」

ユミルはニヤッと笑う

 

「「「「「アレク!」」」」」

クリスタ以外の全員がそう叫ぶ

 

「いや、私はアレクとは親友なだけだよ」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「まあ、それはどうでもいいが……もしアレクを狙ってるなら早くしないとヤバいぞクリスタ」

ユミルはそんなことを言う

 

「えっ、どういうこと?」

 

「クリスタは知らねーがアレクは男子には嫌われてるが、女子には結構人気があるんだよ」

 

「そ、そうなの!」

 

「あぁ、アレクは顔は結構整ってるし、性格は優しい、それに兵団を諦めなかった強いこころがあるからな。私も104期生の中で選べと言われたら一番中のいいアレクを選ぶな」

ユミルはとんでもない事をクリスタに告げた

 

「あぁ、私も選べと言われたらアレクを選ぶね」

続けてアニも

 

「私も!パンをくれるからアレクがいいです!」

それにサシャも

 

「だ……ダメ!」

皆のカミングアウトを聞いてクリスタは叫ぶ

 

「ダメってなにがだ?」

ユミルが悪魔の笑みを浮かべて聞いてくる

 

「うっ……ア、アレクは私の……」

 

「私のなんだよ、親友なのか?」

ユミルの真剣な声にクリスタはここでようやく決意を固める

 

「アレクは私のもの!誰にも渡さないんだから!」

 

「でも親友なんだろ?」

 

「違う!私はアレクの事が好き!大好き!」

 

「「「「「・・・・・・・」」」」」

 

「あ……あっ……あぅ~///////////////」

いきなり皆が静かになり自分の言ったことを思い返して顔を赤くするクリスタ

 

 

すると…………

 

「よく言った!」

最初に口を開いたのはユミルだった

 

「私、応援します!」

次にサシャ

 

「エレンじゃなくてよかった」

次にミカサの声援?

 

「まあ頑張りなよ」

 

「青春はいいなぁ~」

 

アニ、ミーナの順に言う

 

「うぅ~、皆ありがとう」

クリスタも嬉しすぎて涙を溢す

 

 

 

こうして第一回男子禁制ガールズトークは幕を閉じたのだった

 

 

 





でました!『水流岩砕拳』!ワンパンマン好きの作者としてはどうしても書きたかったところです

因みにアレクのレベルはパングには遠く及ばないです
後、タグに『流水岩砕拳』を追加したいと思います


なんか自分の思った通りに書けてない気がする………何故だろう?
やっぱり文才が全てなのか……

うぉぉぉー、皆!オラに文才を分けてくれぇぇぇ!

次回はアレクとクリスタのデート?にしてみようかなと考えています

因みにアレクはクリスタが異性として好きです。
でも自分で片想いと決めつけています。
今のところはね………


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6話




英語の成績がぁぁぁぁぁ
頑張ったのにぃぃぃぃい

全く変わってないよぉぉぉ

ということで二学期の成績が散々だったので投稿遅れました
(上手く誤魔化せたかな…アセアセ)

今回はデート回です、少し長くなったので前後編に分けました
ではどうぞ( ゚д゚)ノ




 

 

 

 

夏の暑さが過ぎ去り、秋になりかけの丁度いい季節

気温は申し分なく、窓の外からは鳥の囀ずりも聞こえる

 

「んっ、」

カーテンの隙間から差す陽の光にアレクはようやく目を覚ます

 

「ふぁ~~」

大きく欠伸をして頭を掻く

寝癖が酷く、服もだらしない。訓練日の起床時間を大幅に過ぎている

 

いつもなら教官に怒鳴られるところだが今日は違う、

 

そう今日はオフなのだ

 

約4、5ヶ月ぶりの休日

久々の休みになにをして過ごすか考える

 

「街に買い物にでも行くか?それとも図書館に行き読書?いつも通り筋トレして後は睡眠という手も……」

色々思考を巡らせるが、どれもぱっとしない

なんせ前回の休日では、前の日の訓練が厳しすぎて寝て、起きたら夕方の4時というオチだった

 

「…………とりあえず飯でも食うか」

後はそれからだ、と考えて一先ず食堂に向かった

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

 

食堂はご飯時を過ぎたのだろう、人がポツポツと何人かいるぐらいだった

 

「お~い、アレク~!」

聞き慣れた声で名前を呼ばれて声のする方を向くと案の定クリスタとユミルがいて、手を振って招いている

 

それに従いクリスタの隣に座る

 

「おはようアレク」

クリスタが笑顔で挨拶する

朝っぱらからこんな笑顔を見せられたら不思議と元気になるなぁ、うん

 

「あはようクリスタ、ユミルも」

 

「おう、」

ユミルも素っ気ない返事で返す

 

 

「アレクまた寝癖が出来てる、直してあげるね♪」

そう言うと、どこから取り出したのか櫛で俺の髪をとき始めた

 

「うん、ありがとう」

 

「えへへっ、どういたしまして」

照れ臭そうにしながらも髪をときつづける

最近、クリスタが俺の髪を手入れするのが日課に成りつつある

 

「本当にお前ら仲がいいよな、まるで夫婦みたいだぞ」

ユミルの唐突過ぎる発言にクリスタの手が止まる、表情は見えないので、何を思っているか分からない

 

「そ、そ、そんなことないよ、ね!アレク!」

前言撤回、凄く戸惑っていた

 

なので一応、俺も同意する事にした

内心めっちゃ嬉しかったのは内緒である

 

「そうだぞーユミル、クリスタには俺よりも素晴らしい人がきっといる筈だ………多分」

だいぶ棒読みになってしまった、だって自分で言ってると虚しくなってくるんだもん!

 

「……………そうだよね…………寝癖直ったよ」

そう言って俺の隣に戻るクリスタ、その声はさっきより元気がなかった

 

「??……ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?男だけで買い物に?」

食事を食べている途中にいきなりアルミンが現れてそんなことを聞いてきた

 

「うん、僕とエレン、ジャン、ライナー、ベルトルトで街に出掛けようって事になったんだけど……どう?アレクも来ない?」

 

ん~、買い物か~、暇だしな

 

「うん、暇だし、俺もいkーーー」

そこまで言ったところで服の裾が引っ張られたのに気がつく

 

引っ張っていたのはクリスタだった、

 

「ん?クリスタ?」

どうしたの?と聞くと、クリスタは何かを決意したような目で俺を見つめる

 

「ア、アレク!」

 

「は、はい!?」

 

「今日……ふ、二人で何処かに出掛けない/////」

上目遣いのクリスタ、顔が少し赤くなっている

 

「えーっと……」

俺は困ってアルミンを見る

 

「いいよ、クリスタの方を優先したら、」

状況を察したアルミンが快く引いてくれた

アルミン……お前ってやっぱり良い奴だ……

 

「………じゃあ行こうかクリスタ」

 

「うん!」

 

 

 

それから俺とクリスタは10時に街の噴水前で待ち合わせる事にして各自の部屋に戻った

 

 

「…………………あれ?今回、私なんか空気じゃね?………」

一人食堂に取り残されたユミルは静かに呟いた

 

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

 

 

「ごめん、待った?」

小走りで近づいてくるクリスタ

 

予定より10分早く来てしまい、暇潰しにと、持ってきた本を開いたのとほぼ同時だった

 

俺は開いた本を閉じて鞄に閉まった

「ううん、待ってないよ」

俺もデートの待ち合わせでの定番の台詞を言う、まぁ本当に待っていなかったし

 

「そっか……なら良かったぁ」

クリスタは少し息を切らしている

そんなに急いで来なくても良かったのに……

 

「そ、それより…………ど、どうかなこの服/////」

そう言って体をクルリと回転させ、少し照れ臭そうに聞く。白いワンピースがふわりと浮き上がる

 

「……………」

 

「………アレク?」

 

「……………あ、あぁ似合ってる!似合ってるよ!」

はっと意識を取り戻し、テンパりながらも感想を述べる

 

「本当に?」

 

「うん、本当に本当!」

 

「……分かった………えへへ、ありがとう///」

クリスタはなんとか納得してくれたようだ、

ってか“クリスタのワンピース姿に見惚れてた”なんて恥ずかしくて絶対に言えねぇ

 

 

 

「とりあえず、行こうか、」

このまま停滞してても意味がないので一先ず街に向かおうと提案する

 

「うん!」

 

クリスタの元気な声が聞こえたので街の方に体を向けて歩きだそうとすると

 

ギュッ

 

クリスタが俺の手を握ってくる

 

「えっ?」

俺は少し困惑する

 

「あ、えっーと、これは…その……は、はぐれたらいけないかなと思って…べ、別に好きでやってるんじゃなくって!………嫌でもないんだけど………うん……はい/////////」

喋っていく程に声が小さくなっていく、自分からやったのに凄く戸惑っているクリスタ、

 

「…………やっぱり迷惑だったよね……ご、ごめんね」

そう言って手を離そうとする

 

俺はその手を逃がさないようにしっかりと握り返す

 

「ふぇっ!?」

予想外の行動にクリスタは変な声が出る

 

「はぐれたらいけないしね、このままでいようか」

 

「うぅ~~、はい/////」

耳元まで真っ赤にしてる

 

 

 

その後、クリスタがようやく落ち着いた所で街に向かって歩き始めた

 

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

俺達は先ずクリスタの希望だった服屋に来ている

 

 

「ねぇ、ねぇ、アレク!この服どうかな?」

クリスタは俺にピンクのスカートを取り出して見せてくる

 

「いいんじゃない、クリスタに似合うと思うよ」

素直な気持ちを伝える

 

「もう、アレクってばさっきから、そればっか!」

その感想がお気に召さなかったのか、少し不機嫌になる

 

それもそのはず、俺はかれこれ5回も同じことを言っているのだから

 

「仕方無いよ、クリスタは可愛いから何を着ても似合うもん、」

 

「か、かわぁ……/////」

クリスタは俺の可愛いという言葉に過剰に反応する

 

「うん、クリスタはとっても可愛いからね」

 

「………………」

遂に何も言わなくなってしまった、

その代わりにプシュゥーーーという風船から空気が漏れるような音が聞こえた

 

「クリスタ、大丈夫?」

 

「………………はっ、だ、だだ、大丈夫だから!」

そう言って物凄い速さで首を横に振る

 

「なら良いんだけど……………あ、こっちのスカートもクリスタに似合いそう!」

 

「本当だ!可愛いねこのスカート」

 

「ふふっ、」

「はははっ、」

 

何故か分からないが二人で笑ってしまう、その空間だけ凄く甘いオーラが漂っていた

 

 

 

その後も何枚か服を見て、最終的に最初の2枚を買ってお店を出た

 

 

 

「そういえばクリスタ、俺達って兵団であんまり私服なんて着ないと思うけど、なんで服を?」

俺は疑問に思ったことを聞いてみる

 

「えっ……………それは……アレクが気に入るような服が欲しいなぁ~って思って」

 

「それって男子の意見が欲しかったってこと?」

わざと少し的外れな事を言ってみる

 

「えっ………まぁそんなとこかな」

クリスタも少し唖然としたが直ぐに相づちを打つ

何か気まずい空気になってしまった事に今更後悔するアレクだった

 

 

 

 

 

 

グゥー、グゥー

 

それから少し経つと俺のお腹の虫が鳴り始めた

 

時計を見ると針は11時30分辺りをを指している

 

まあまあ良い時間帯だな

 

「そろそろ、昼御飯にする?」

 

「うん、そうする」

俺の質問にクリスタも賛成する

 

 

俺達は近くにあったパスタの店に入ることにした

 

 

 

「ご注文はお決まりですか?」

店員の女性が水を持ってきた次いでに聞いてくる

 

「じゃ、俺はミートソーススパゲッティで」

 

「かしこまりました、彼女さんは何になさいますか?」

 

「か、彼女……/////」

店員の言葉に固まってしまった

 

「あ、カルボナーラでお願いします」

このままじゃ埒が開かないと思い、俺が適当に美味しそうなのを選ぶ

 

「かしこまりました、ミートソーススパゲッティが一点、カルボナーラが一点でよろしいですね。少々お待ち下さい」

そう言って店員は厨房の方へと行ってしまった

去り際に俺達を見て少し微笑んだのは気のせいだろうか

 

 

 

その後、10分もしない内に料理は出てきた

 

「お、思った以上に美味しい!」

 

「だね、」

 

「…クリスタはカルボナーラで良かったのか?」

 

「うん、すっごく美味しいよ」

 

「そっか、良かった」

クリスタの言葉に俺は安堵する

 

「でも、アレクのも食べてみたいな」

そう言うと羨ましそうに俺のミートソーススパゲッティを見る

 

「それなら、少しずつシェアしようか」

 

「うん!…………じゃあ先ずアレクから」

 

そう言ってカルボナーラをフォークに巻き付けて俺の目の前に差し出す

 

「はい、あーん」

 

「えぇ!」

 

「いいから、早く!………恥ずかしいよぉ……/////」

 

「………分かった…あーん、パクっ」

 

「どうかな?」

 

「うん、凄く美味しいよ」

 

「そっか、良かった」

 

「じゃあ次はクリスタの番だね」

そして俺はさっきのクリスタと同じ行動をとる

 

「ふぇ!」

クリスタは意味が分からず、変な声を漏らす

 

「はいクリスタ、あーん」

そこまで言うとクリスタは少し恥ずかしそうにしながらも口を近づける

ってかこれ、やられる方も恥ずかしいけど、やる方も恥ずかしいな

 

「あーん、パクっ」

 

「どう?」

 

「はい……美味しいです…」

 

「それなら良かった」

 

 

 

それからも二人はお互いにパスタを食べさせ続けて

その店はだけが、なんとも居た堪れない空気が広がっていた

 

 

 

 





はい、なんか良い感じに書けた感じがしないのですが、まぁ次回に期待です


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7話




今年最後の投稿です。
頑張りました、色々なコメント待ってます

ではどうぞ( ゚д゚)ノ


 

 

 

 

 

お昼を食べ終えた俺達は又も街を歩いていた

 

「で、次は何処に行くの?」

 

「ん~、………………」

 

「あぁ~、もう分かった」

その顔見ればプランが無かった事くらい直ぐに分かるよ…

 

「だって………普通ならこういうのは男の子がリードするものだって……」

いや、そんなモジモジとした感じで言われても……俺が悪いみたいになるから、ってか今朝に約束したのにリードは難しい気が………

 

「一応だけどそれって誰に言われた?」

 

「えっ、ユミルだけど」

 

「でしょうね、」

やっぱりあの女か、毎度のこと俺の心を弄ぶよな

 

「…………………じゃあ次は俺に付き合ってくれる?」

一応クリスタに確認をとる

 

「ふえっ!つ、付き合う………/////」

“付き合う”という言葉に過剰に反応する。なんか噛み合ってないような

 

「クリスタ、俺の付き添いにだからね!」

 

「う、うん分かってるよ!…………本当は付き合ってもいいのに………」

 

なんとか誤解が解けたみたいだ、最後のほうは何言ってるか聞こえなかったけど……まぁいいか

 

「それじゃあ行こっか!」

そう言って強引にクリスタの腕を引っ張る

 

「あ、早いよアレク!」

クリスタには少しばかり早かったみたいだ、ちゃんとクリスタのことを考えないとな

 

「ゴメン、ゴメン。ゆっくり進もう」

 

「うん、私の為にありがとう、…………でも強引なアレクも良かったかも////」

 

又も最後らへんのクリスタの声が聞こえなかった

最近、俺にもクリスタの考えてる事が分からない時がある

例えば今、……分かるとすれば、顔が少し赤いことから照れてることくらいかな

いや、それは誰でも分かるわ!

 

 

 

 

 

 

俺の目指した場所は10分程度で着いた

 

「…………此処なの?」

クリスタは少し不思議そうな物を見る目で辺りを見渡している、俺的にもチョイスは最悪だと思う

 

「まぁ………墓地は無いよな」

 

そう俺達は今、墓地に居る

 

「アレク、なんで墓地なの?」

いきなり墓地なんて連れて来られたら誰だってそうなるよな、うん。

 

「う~ん……実は今日、俺の父親と母親の死んだ日なんだよ」

 

「えっ……」

 

「俺も朝食後に気付いたんだけど、どうしてもお参りに行きたくて……ほら、去年は訓練で忙しかったから」

 

「そうなんだ……」

心なしかクリスタの顔も暗い。やっぱり墓地は不味かったかな

 

「クリスタが暗くなる必要はないよ、もう受け止めてる。それにクリスタには付き添ってくれただけでも感謝してるんだから」

 

「うん、そうだよね!」

何を理解したか分からないが、とりあえず元気になって良かった

 

 

そんなことを話しているとある墓石の前で足を止める

名前にはイアン・チプスとマーナ・チプスと彫られている

紛れもなく俺の父と母の墓石だ

 

「ここにアレクのお父さんとお母さんの……えっと、その……」

クリスタは口をゴニョゴニョとぼかす

それがクリスタなりの配慮なのだろう

 

「いいや、父と母の遺体は無いよ。たぶん巨人に喰われたから」

 

「そうなんだ」

 

 

 

「供物は無いからごめん、」

俺はしゃがんで手を合わせる

 

「これからも見守ってね。お父さん、お母さん」

 

 

数秒の沈黙

 

「よし、家族に顔も見せたし、行こうか」

その沈黙を破り、俺は立って歩き出す

 

クリスタも墓石に一礼をしてその場を後にした

 

 

 

 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 

墓地を出た俺とクリスタは何とも居たたまれない雰囲気の中でノープランだったのを思いだし、とりあえず近くの公園のベンチで一休みしている

やっぱ、墓地は無かったかぁ、途中からクリスタがどんどん暗くなっていくんだもん

 

「アレク」

はぁ、とため息を漏らした俺にの名前をクリスタが呼ぶ

 

「ん、どうした?」

 

「あのね、………あそこ!」

そう言ってクリスタが指さしたのは俺達の向かって左斜め前にあるクレープ屋さんだった

 

「クレープが食べたいの?」と質問すると

 

「うん!」

という元気な声が返ってくる

 

 

そんな声を聞いてクリスタが元気なのが分かり、少しホッとする

 

「じゃあ、俺が買ってくるからクリスタは此処で待ってて」

クリスタの返事も聞かずに俺はクレープ屋に向かった

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

「はぁ、行っちゃった…」

アレクが一人でクレープ屋に向かった事に私は少し不機嫌になる

 

「アレクがリードしてくれるって言った時は凄くワクワクしたけど、まさか墓地に行くなんてびっくりだったな、私的にはもっと強気なアレクに………//////」

そんな愚痴を吐き捨て、一人の妄想タイムに入る

 

「きゃ!」

ところで誰かに腕を掴まれ邪魔をされる

折角アレクが抱き締めてくれて良い展開になる筈だったのに

 

「嬢ちゃん可愛いね、俺達と一緒に遊ばない?」

 

「楽しいことしようよ~」

 

そこに居たのは明らかに下心丸出しの二人の男だった

 

「あの、離してください!連れがいるんです」

必死に抵抗するが抗えない

訓練で鍛えたクリスタの体も男女の差は簡単には覆せなかった

 

「綺麗な金髪だねぇ」

左の男が髪をねっとりと触ってくる

私はそれに恐怖を覚える

 

「離してください!」

叫ぶ声も掠れていて、あまり響かない

 

「えへへへ、」

そう言って右の男も腰回りを触ろうとしてくる

 

助けてアレク!

 

目を閉じて、私が心の中で叫んだ瞬間だった

 

 

 

 

「やめろよ」

そんな怒りを剥き出しの低い声が聞こえて私は目を開ける

 

そこに居たのは男の手を握り締めているアレクだったのだが、その表情は今までに見たことのないくらい怒っていた

 

「クリスタから離れろよ」

 

殺気さえも纏ったような声にビビったのか男二人はアレクから少し距離をとる

 

「お前、その女の彼氏か?」

 

「あぁ、そうだけど何?」

 

「彼氏…彼女……こ…い……び………」

 

そこで私の脳がオーバーヒートする。

こんな状況なのに顔が耳まで赤くなるのを感じる

 

 

「…………ちっ、彼氏持ちかよ…しらけたわ、行くぞ」

 

「お、おう…」

 

右の男が諦めてクルリと後ろを向いて何事もなく立ち去る

それにつられてもう一人の男もその場を後にした

 

「クリスタ大丈夫?」

アレクが私のほうに駆け寄る

 

大丈夫っと言おうとしたが、地面に座り込む

どうやら私は自分でも気づかぬ内に腰を抜かしていたらしい

 

「大丈夫じゃないみたいだね、ほら手を貸して」

伸ばしてきた手に掴まって立ち上がりベンチに再度座る

 

「ゴメンねクリスタ、怖い思いしたんじゃないかな……一緒に行けば良かったね」

アレクが謝罪してくるが正直アレクは全く悪くない

 

「こっちも……なんかゴメンね」

悪いのはアレクじゃないと思い、私も謝罪する

 

「それじゃあ俺の気が収まらない、何かして欲しいことはない?」

 

して欲しいこと……して欲しいことは山程ある、キスしてほしい、抱き締めてほしい、撫でてほしい…………

 

でも今はーーーー

「肩を貸してくれないかな?少し緊張が緩んで眠くなった」

そう、これで充分だ

 

「分かった」

そう言ってアレクは私の隣に座る

 

そんなアレクの肩に顔をのせて私は静かに眠りについた

 

 

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

クリスタはどれくらい寝ただろうか

いつの間にか俺も寝ていて起きたときには夕方だった

 

横を見ると相も変わらずクリスタの寝顔がある。

凄く可愛い、本当に女神みたいだ

 

俺はクリスタの金髪をそっと撫でてみる。本人はむず痒いのか「うぅっ、」という声を漏らしている

これまた凄くサラサラで綺麗だった

ただその行為は昼間の柄の悪い奴等を彷彿とさせて少し苛立つ

 

「やっぱりクリスタが他の男にとられるのは嫌だなぁ」

自分でも再確認する、自分がクリスタを好きということを

 

「んっ………アレク?」

そこでようやく起きたクリスタは一度辺りを見渡して大きく目を開けた

 

「あぁ!もうこんなに時間が経ってる!折角のアレクとの………」

 

「俺は別に気にしてないよ」

 

「私は気にするの!……あぁ…」

 

明らかにテンションの低いクリスタを元気づけようと髪を撫でる

 

「うぅ~////」

よほど恥ずかしかったのか直ぐに俯いてしまった

 

だから俺も心の準備に入った

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、クリスタの事が好きだ」

クリスタが落ち着いたと思われたときに俺は覚悟を決めて言った

 

「えっ?」

クリスタも当然の反応をとる

 

「昼に男にクリスタがナンパされているのを見て、凄く腹立たしい気持ちになったんだ。それで再確認した、他の男にクリスタを渡したくないって。だ、だからクリスタが良ければ俺と付き合ってくれないかな?」

 

一世一代の大勝負

 

俺は固唾を飲んでクリスタの返事を待つ

 

 

 

 

 

「嬉しい……/////」

クリスタの声から聞こえたのはそんな声だった

 

「私もアレクの事が大好き!だから……アレクから告白されて……凄く幸せな気持ち///////」

 

「本当に?」

 

「うん!本当に本当だよ!」

 

「やったぁぁぁ!」

 

嬉しさのあまり、ついクリスタに抱きついてしまった

クリスタも俺の背中に手を回す

それから10分はそのまま抱き合っていた

 

 

 

 

 

「アレク」

 

「ん~何?」

 

少し冷静さを取り戻してきた俺にクリスタは問いかける

 

「あの……その………恋人の証拠が欲しいなぁ~って////////」

恋人の証拠?それって………

そんなことを考えていると

いつの間にかクリスタは目を閉じて唇を徐々に近づけていた

 

俺も唇を近づける

 

 

チュッ

 

俺の唇がクリスタの頬っぺたに当たる

 

「ふぇっ!?////」

予期せぬ事態にクリスタは混乱の様子だ

 

「今日はこれくらいで……ね?」

 

「うぅ~~//////////」

照れて顔を俯けるが耳が凄く赤いのが見えて満足な感じになる

ってかキスは恥ずかしくなくて、頬っぺにチューは恥ずかしいって……

 

「今日は帰ろうか」

 

「う、うん」

 

 

 

 

 

こうして俺とクリスタは付き合うことになった。デートも完璧で………えっ?墓場はダメだったって?…………終わり良ければ全て良しですよ

 

とにかく!俺はこの日のことを胸に刻み付けて一生忘れないだろう

 

 

 

 

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

 

 

その夜のクリスタとユミルの部屋では

 

「ユミル~♪」

そんな浮かれた声で入っていたのは紛れまなくクリスタだった

それなのに顔は今までにないほどに弛みきっている

 

「ようクリスタ、えらく上機嫌だな。さてはアレクと何かあったな」

そんなクリスタの態度にいち早く察知するユミル。この辺りは流石ユミルと言ったところだろう

 

「うん!」

 

「(まぁあの二人だから手を繋いだや頭を撫でられた、抱きついたってところかな) んで、何があったんだ?」

ユミルは自分の推理のが当たっていると確信してお茶を飲む

 

「うん!アレクと付き合うことになった!」

 

「ブフゥゥーー」

 

思いっきり飲んでいたお茶を撒き散らしましたとさ

 

 

 

 

 






流石に作者も墓地は無いと思います

デートの日が巨人に襲われた日というのは後付けです。
すいません

ご都合主義ですがこれからも宜しくお願いします



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