ガールズ&パンツァー アライアンス (生駒柊)
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隊長就任
隊長、就任です!


 高校生になって二年目のとある日。喉が渇いたので二階にある自室から出て、階段を降り、台所に向かおうとすると、なにやら母と父が居間で盛り上がっていた。

 何があったのかと思い、居間に入るとテレビから轟音が響いた。それに驚いていると、私に気がついたのか母が

 「今ね、西住流の娘さんとアンタが昔、門下生だった島田流の娘さんが戦ってるわよ」

 そう解説してくれた。どうやら、島田流と西住流が試合をしているらしい。

 「ふぅん…今どんな感じなの?」

 「見たら解るって、ほら」

 私が聞くと、母はそう言って無理矢理隣に座らせてきた。

 見てみると、西住側のⅣ号戦車とティーガー戦車二両と島田側のセンチュリオンが目にも止まらないような速さで戦いを繰り広げていた。ものすごい高度な戦いで頭がついていかない。

 それに見入っていると父が

 「なぁ…お前も戦車道、もう一回やってみたらどうだ?」

 そんなことを言ってきた。

 私は暫く考えてから

 「うーん…考えとく」

 と答えた

 実は私も昔…小中学校では戦車道をずっとやっていて、一時は島田流の門下生だったこともある。腕も悪くなかったし、試合でもなんども勝ったことがあり、嫌で戦車道をやめたわけではない。

 中3のある日、戦車道の試合中に怪我を負ってその治療やらなんやらに一年以上もかかり、そのまま高校2年生になって、やらず仕舞いになっていたのだ。

 うん、今行ってる白山女子学園にも戦車道があったはずだ、今からでも遅くないだろうからまたはじめてみよう。そんな風に考えていた。

 

 その時はまさか学校側から声がかかるとは思っていなかった。

 

 

 

 私の実家は学園艦にある。居酒屋を営んでいて、しかもけっこう人気なのでたまに私も手伝わされる。大体の客は私目当てだったりすることがおおいからだ。

 その日は遅くまで手伝いをしていたため、起きるのが少し遅くなってしまい。走って学校に行く羽目になった。

 始業ギリギリに教室に着き、息を切らしていると、一人の少女が話しかけてきた。

 「おー、しずっちー!」

 茶髪で眼鏡をかけた少女は私の友人である笠間 皐(かさま さつき)。(意外と胸がでかい)たしか彼女は戦車道をやっていたはずだ。

 「ん?どったの?」

 「あんねー、なんか生徒会の人らが話があるから昼休みに生徒会室に来いってさー」

 そんなことを言われた。

 「え?私なんかやったけ…?」

 私は思いっきり狼狽えた。

 「さぁ…あっ、先生来た!じゃあ伝えたからねー」

 そう言ってさっさと席に戻ってしまった。勿論、それから昼休みまで私は授業に集中することは出来なかった。

 

 そして昼休み

 私は生徒会室の扉の前で怖気づいていた。もしかして退学させられるんじゃ...なんて考えが脳内を埋め尽くしている。

 「もぉ...さっさと行きなよ!」

 ここまで着いてきてくれた皐がそう言って、背中を思いっきり押してきた。

 私は考え事をしていてぼーっとしてたせいでバランスを崩し、生徒会室の扉に顔面から突っ込んだ。しかも生徒会の人がそれをノックだと思って扉を開けてきたので、私は廊下に仰向けに倒れる羽目になった。

 「え...あ、すまん!大丈夫か!?」

 生徒会の人は察しがいいらしい。自分のせいで私がこんなことになってしまったと気が付いてくれたのだろう、駆け寄ってきて助け起こしてくれた。そして私の顔を見ると

 「ええと、君が峰山志津さんかな?」

 そう問いかけてきた。

 「あ...はい、そうです」

 「やっぱりそうか、私は三年の大河望(おおかわ のぞみ)。生徒会の副会長だ、今日からよろしく」

 そう自己紹介すると、大河先輩は私の腕を引いて生徒会室に無理矢理連れ込まれた。それと、副会長は今日からよろしくと言ったが、どういう意味なのかは私は理解できなかった。

 「会長、峰山さんが来ましたよ」

 「ん、ご苦労様だね」

 会長と呼ばれた人物がそう受け答えする。

 「じゃ、早速だけどさ」

 「は、はい!」

 あぁ...とうとう私の学園生活も終わるのか...最後にもう一度戦車に乗りたかったな...

  会長の口がゆっくり開く。

 明日から学校来なくていいよ。

 

 

 なんて言葉は出てこず、予想外の言葉が出てきた

 

 「今日からうちの戦車道チームの隊長よろしくね!」

 

 ...................................

 「...え?」

 今何て言った? 

 「いやー、うちの戦車道チームは装備はいいのに隊長が駄目で練度も低いから弱小弱小いわれまくっててさ!そこで、経験者で元島田流門下生だった峰山さんに隊長になって立て直してほしいわけなんだよ」

 うん、なんか戦車道チームの隊長とか言ってる。あと隊長が云々のとこで大河先輩の顔が赤くなった気がするが気のせいだろう。

 「あの...隊長...ですか...?」

 「うん、そう!」

 「で...でも一年はやってないですし...」

 「知ってるよ、君の経歴は調べさせてもらったから!小中では結構優秀な選手だったみたいだからさ、やってくれるかな?」

 なんだろう、拒否権はないきがする。

 ともあれ退学ではなかったし、再開しようと思っていた戦車道ができるわけだ。

 「はい、ちょうどまた始めようかと思っていたので。やらせていただきます」

 「そっか、ありがと!んじゃあ今日の戦車道の授業から早速するからね、格納庫の前に来てよ」

 今日って...とういうことは午後の授業全部戦車か...

 「書類やらはこっちでやっとくから、よろしくねー」

 そうして、私は退学にはならず、それどころか戦車道チームの隊長になってしまった。

 

 

 「しずっちって島田流門下生だったの!?島田流ってあの島田流よね!!」

 生徒会室から出ると、皐が食いついてきた。

 「元、ね。小学生の時の話だよ」

 私と皐は昔一緒に中学生の頃戦車道をやっていた。

 私は自分の昔のことは余り話さないタイプだったので、皐は私が島田流だったことは知らない。

 「それでもスゴいよ!あ、今日からまたよろしくね、隊長さん!」

 そう皐は敬礼しながら言ってきた。

 隊長...か。悪くない。

 「うん、よろしく。そういえば戦車は何があるの?」

 「え...えっとね、あんま覚えてないんだけど...たしか十一両あったはずだよ」

 十一両...決して多くはないが、少ないわけでもない。問題は数ではなく戦車の質だ。

 「まさか、豆戦車が十一両とかないよね?」

 「大丈夫だって!多分...あ、そろそろ授業始まるよ!」

 時計を見ると、もう次の授業まで五分しかない。

 「ほんとだ、急ごっか」

 私達はグラウンドに面している格納庫に急いだ。

 

 私たちが格納庫に着くと、既に全員集まっていたようだ。

 「おー、峰山くん!逃げずにちゃんと来たねー」

 会長が私の名を呼ぶと、自然と私に視線が集まる。

 「みんなー、この人が新しい隊長だからねー。適当に挨拶しといてよー」

 「では、時間も無いことだし…まずは戦車の振り分けをしないとですね」

 大河先輩がそう言った。

 「え、振り分けって?」

 「ん?あぁ、ここにいる8割がたはみんな初心者なんだよ。こないだの西住流と島田流の試合を見て、影響されたのが多いみたいだね」

 大河先輩が大雑把に説明してくれた。じゃあ経験者は?ざっと見ても三十人はいるように見えるが、八割が初心者ということは経験者は五、六人しかいないということになる。

 「あの…本気ですか…?」

 「うん、マジ、大マジだよ」

 大河先輩があっけらかんとした様子で返してくる。大丈夫だろうか、このチーム…。

 「そうだ、戦車新しく何両か買ったからさ!新入りたちのチーム、振り分けないとね!」

 「わ…わかりました」

 そうだ、まだ練度は低いと言っていたが、戦車はいいものを揃えていると言っていたはずだ。それならばまだ、なんとかなるだろう......

 「ほい、この子たちだよ」

 格納庫の扉が開くとそこには十一両ほどの戦車が並んでいた。

 「おぉ…ほんとにいいものば…っか…り?」

 そこにあったのは五式中戦車、三式砲戦車、巡航戦車クロムウェルMk.IV、四号突撃砲、特三式内火艇、四式軽戦車、ビショップ自走砲、アーチャー対戦車自走砲、巡航戦車カヴェナンター、T-29中戦車、シャール2C重戦車だった。

 いい戦車があると聞いたがそんなのは二両ほどしかない。後半に行くにつれて最悪なものになっていってる気がする。

 「どう?いいやつばっかでしょ?」

 はい、敵にとって都合のイイやつばっかです。流石に皐も気がついたのか微妙な顔をしている。

 「えっとですね、会長」

 「ん?なに?」

 「これダメかもしれません」

 「…………だよねー…これさぁ…学園長が適当に買ったもんだからさ…」

 会長が項垂れる。

 「ま…まぁ…使いようによってはなんとかなるかもしれませんよ。ほら!大洗という例がありますし!」

 大河先輩がそんなフォローをする。すみません、私にはあんな戦略思いつきません。

 「えっと、新しく買ったのはどれなんですか?」

 「えっとね…三式砲戦車とクロムウェル…それと特三式内火艇にビショップ、アーチャー、カヴェナンター、T-29、シャール2Cだよ…買ったの三式とクロムウェルしかいいのないよねー…」

 また会長が項垂れた。つまり元々五式と四式、四突があってそこにあのポンコツズが入ってきたわけだ。

 「え…でもあの戦車とか大砲いっぱいあって強そうですよ?」

 戦車を眺めていた一年生がT-29を指差してそういう。

 「いやー、あれは砲塔が多くて指揮が執りづらい、装甲が薄いわで駄目だよ…でも履帯なしでも走行できるのが唯一の長所だね...」

 「じゃあこっちはどうなんだ?」

 シャール2Cの前にいた同学年らしい生徒が装甲を叩きながら聞いてきた。

 「それはデカイ、遅い、薄いの三拍子そろったただの的。ロレーヌ仕様だったらまだ使えたと思うんですけど…まぁ…人数的にコイツは無しですね」

 「先輩、それってどういう…?」

 一年生の集団が聞いてくる。

 「んっとね…ここにいるのは三十人、この人数じゃここにある戦車全部は運用できないんだよ」

 「じゃあ、どれを使うんだ?隊長」

 そうさっきの同学年の娘に聞かれて暫く考えていると

 「せいぜい八両しか運用できないから...火力支援は三式とビショップか四号突撃砲、偵察に四式は外せない...」

 「主力は五式とクロムウェル、特三式、T-29が性能を考えると妥当だね」

 「特三式と四号突撃砲は奇襲に使えるぞ」

 という提案が出た。誰かと思って見てみると皐が三人の見知らぬ同級生を連れてきていた。

 「皐、その人達は?」

 「私と五式に乗ってる娘達だよ。えっと、この人が新しい隊長さんで私の友達の峰山志津、しずっちってよんであげてね!」

 そう皐が私を紹介した。

 「えっと、しずっち、こっちがね...」

 「私は木俣昌子、操縦士をやっています。よろしくお願いしますね」

 最初に長身で黒髪和風美人な木俣さんが自己紹介してくれた。私がしゃっべてるのにぃ...とむくれている皐をおいて残りの二人が自己紹介する。

 「大隅栄、砲手やってるよ。腕はいいほうだから宜しくね!」

 大隅さんはボーイッシュな感じで身長は私と同じくらい。それと胸がおっきい。

 ちなみに五式中戦車は自動装填装置があるので主砲の装填手が必要ない。

 「副砲手兼ね副砲装填手兼ね通信手の飯沼京、よろしくたのむぞ隊長!」

 飯沼さんは少し威厳がある感じの喋り方で大隅さんと同じく私と同じくらいの身長。

 「んで、私が車長兼ね装填手の笠間皐!」

 はい、知ってます。

 「で、私達四人で動かしてんだけど、本来五人乗りじゃんか?」

 「そこで、峰山隊長に車長を頼みたいんだよ」

 「皐ちゃんじゃ頼りないですものね」

 「あぁ、いつもパニックになるからな」

 「皆酷くない!?」

 そういうことらしい。

 「じゃあ皐はなにするの?」

 「私は装填手と栄ちゃんが掛け持ちしてる通信手とやるから!まぁそんなこんなでよろしくね!」

 また拒否権は無いらしい。

 「わかったよ...そうだ、他の戦車の乗員は決まったんですか?」

 振り向いて、全員に問いかける。

 「もう済ませたよ、隊長さん」

 そう近くにいた同級生が伝えてくれた。

 「私は四号突撃砲の車長、二年の伊吹志野だ。乗員は四名」

 四号突撃砲チーム車長が各戦車長が自己紹介をする流れを作った

 「四式軽戦車車長、生徒会会長の市川八重だよー。乗員は私と大河~」

 「クロムウェル車長、三年の渋谷紅葉。乗員は四人よ」

 「特三式内火艇車長、一年の内田纏です!人数は四名です!」

 「T-29車長、一年の菊地蛍でーす。人数は内田ちゃんとことおなじでーす」

 「三式砲車長の二年の前田七瀬であります!乗員は五名、誠心誠意頑張る覚悟であります!」

 「ビショップリーダー、二年の氷上巴...乗員は三人だが全員選ばれし者だ、安心するといい」

 次々に車長の人達が自己紹介をしていった。

 「ほら、しずっちも」

 「うん、えっと...五式車長で隊長の峰山志津です。一年ほどのブランクがありますが、頑張りますので、よろしくお願いします!」

 そう自己紹介を終え、頭を下げると周りから拍手が鳴り響いた。

 

 ここに、峰山志津率いる新生白山学園戦車道チームが誕生した。




ここまでお読みくださって有り難うございます。
ご感想、ご指摘などがありましたらよろしくお願いします。



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紹介します!(学園と戦車編)

この回は本編とは一切関係のない、ただの学園と登場戦車の解説です。


白山学園

1920年代に創立した学園。

創立者である初代学園長はイギリス出身で日本文化が好きだったため、校舎の作りや調度品は英日のものが入り乱れてかなりカオスな状態、漢字Tシャツが壁に掛かってたり、洋室に床の間があり意味不明な単語の掛け軸が掛けてあったりする。(例えば洗濯機とか吉田とか)今の学園長の趣味だったりする(イギリス人、現在五代目)

学食は日本食とイギリス食が日替わりででる。日本食の日は食堂がごったがえすのに(寿司やすき焼きの日は特に)、イギリス食の日は食堂を利用する人が人が少なく、ほとんどが弁当かコンビニのおにぎりとかなのはデザートに必ずうなぎゼリーがでるから。でもメインのフィッシュアンドチップスは美味しいと評判。

地味に金持ちで毎月何かしらの調度品が増えたりしている。

学園艦はイギリスの空母イラストリアスと日本の空母加賀を合体させたような感じ。ちょっとずんぐりしている。

全長は約10000m全幅約1200m艦底部から甲板上まで約750m住民は中高合わせ生徒が20000人全体で約40000人が艦上又は艦内に居住している。

石川県に母港がある。(モチーフは石川県白山市とイギリス·ボストン町)

 

戦車

名前

装甲

主な武装

最大速度(全て時速表記)

重量(トン表記)

 

五式中戦車チリ

主人公である峰山志津が乗り込む戦車

最大装甲厚75mm

主砲75mm長砲身

副砲37mm砲

最大速度45km

重量35t

半自動装填装置搭載型

 

クロムウェルMk.lV

最大装甲厚76.7mm(スペースドアーマー)

主砲40口径75mmQF砲

最大速度64km

重量27.5t

 

Ⅳ号突撃砲(作中は四号突撃砲表記)

最大装甲厚80mm

主砲49口径75mm StuK 40 L/48

最大速度40km

重量23t

 

四式軽戦車ケヌ

最大装甲厚25mm

主砲57mm戦車砲

最大速度40km

重量8.5t

ループアンテナ装備型

 

特三式内火艇カチ車

最大装甲厚50mm

主砲47mm戦車砲

最大速度32km(地上)10km(水上)

重量28.5t

 

T-29中戦車

最大装甲厚30mm

主砲16.5口径76.2mm戦車砲KT-28

最大速度50km

重量28.9t

履帯無しでの走行が可能

 

三式砲戦車ホニⅢ

最大装甲厚25mm

主砲75mm戦車砲

最大速度38km

重量17t

 

ビショップ自走砲

最大装甲厚60mm

主砲QF25ポンド砲(87.6mm)

最大速度24km

重量17.5t

作中のビショップ自走砲は戦闘室の長さが延長され、砲撃の際に後部ハッチを開けなくてもよい仕様になっている

 




他に気になること等がございましたら、感想のほうでお願いします。

T-29の緒言性能を訂正しました


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友人です!

三話ですが二話なんです!


車長用のハッチを開け、五式中戦車に乗り込む。やはり戦車の中は暑い、この感覚は一年ぶりだ。私は先程渡された真新しい無線機のスイッチを入れた。 

 「皆さん、無線の調子はどうですか?」

 無線に問いかけると様々な答えが返ってきた。 

 

 『四号突撃砲、問題ないぞ』

 『クロムウェル、聞こえてるわ』

 『こちら四式軽、きこえてるよ〜』

 『カチ車、問題なし!です!』

 『T-29、上に同じでぇす』

 『こちら三式砲戦車、問題なしであります!』

 『ビショップ、問題なし』

 

 全車、問題が無いようだ。

 「では、これから基本的な移動訓練を兼ねて演習場に向かいます。車内に操縦のマニュアルが有ると思いますので、私たちの後に続いてください。木俣さん、出してください」

 「はい」

 木俣さんが慣れた手つきでイグニッションを入れ、ギアを入れる。

 すると五式中戦車のエンジンが動き出す。

 「では前進します」

 五式中戦車が動きだし、格納庫から出る。車長用ハッチから身を乗り出し、後続を確認すると四式軽戦車、クロムウェル、四突、カチ車、ビショップ、三式砲、T-29の順で続いてくる。 

 「操縦の方にはあまり問題が無いみたいだねー」

 大隅さんが車内から声を掛けてくる。

 「ん、初めてにしては皆さん上手いですね...とくにクロムウェルが」

 まるで熟練の戦車乗りが操縦しているかのように、ピッタリ後を着いてくる。

 格納庫からでてしばらく進むと、グラウンドの端に戦車道演習場入り口という看板が立っていた。だが、その先は山道だ。

 「これから不整地に侵入します」

 グラウンドから演習場に行くまでには山道の様なところを通らないといけない。不整地での操縦は整地に比べるとかなり難しくなる。そうこう言ってる間に五式中戦車が山道に侵入すると、車体が大きく揺れはじめる。

 

 「あ、やばっ…お昼のうなぎゼリー吐きそう…」

 突然、飯沼さんが口元を抑えそんなことを言い出した。

 「京、あんたうなぎゼリーなんか食べたの!?」

 皐が驚いた様に言う。

 「うん…3つ…」

 「はぁ!?3つとか正気?あんな不味いもの」

 うなぎゼリー×3という恐ろしい数字に大隅さんが驚愕の声を上げる。

 「だって、美味しかったんだもん…」

 「あ…あれ美味しいんですか…?」

 木俣さんが若干引いているような気がする......

 「けっこう美味しいですよ、あれ」

 私が飯沼さんに同調すると、車内の飯沼さんを除く全員が驚愕の顔でこちらを見てくる。あぁ!木俣さんは前向いてください前!

 「だよね!美味しいよねうなぎゼr…へぐっ!?」 

 案の定、木俣さんが余所見をして操縦してたため、木に衝突してしまった。そのはずみで飯沼さんが頭をぶつける。うわぁ痛そう...

 「昌子ぉ!ちゃんと前見てよぉ!」

 「す…すみません」

 皐もぶつけたらしく、頭を抱えている。

 

 『おぉ〜い、なんかあったの〜?』

 先頭車がいきなり木に衝突したせいか、驚いたような感じで会長が無線を寄越す。

 「すみません、問題ありません!」

 『そう?ならいいけど〜』

 まさかうなぎゼリーが原因とは言えまい。でもホントに美味しいんだけどなぁ......

 そうこうしているうちに、山道を抜けて演習場に到着した。

 

 

 

 「ふぅ...」

 久しぶりに戦車に乗ったせいか、座っているだけでも疲れる。

 「では皆さん、これから砲撃訓練を開始します。全車五式を基準に一列横隊に。それと車長、砲手、装填手は準備してください」 

 そう指示すると、各車両がゆっくり五式中戦車の横におよそ5m感覚で並ぶ。正面1000m程には小さな盛り土、弓道でいう安土のような小さい丘がある。そこに木工製の戦車型デコイが置いてあり、真ん中辺りに十字マークが赤いペンキで描かれている。

 『いきなり1,000mは難度高いんじゃないの〜?峰山くーん』

 会長が苦情じみたことを言ってくる。

 「何事も経験です」

 『あははー、言うねぇ。りょうか〜い』

 

 「では、全車撃ち方用意!」

 皐が砲弾を自動装填装置の装填用トレイに乗せ、装置を作動させると主砲に75mm砲弾が装填される。

 各車両の砲身が少し動き、照準がデコイに合わさるとその動きを止める。

 「撃てっ!」

 直後に、バラバラではあるが砲撃音が演習場に響く。砲身が後退し、砲口から砲弾を撃ち出した。

 五式中戦車が撃った砲弾は、戦車型デコイに吸い込まれるように飛んでいきデコイに大穴を開ける。

 「凄い、綺麗に当たりますね…」

 「だっから腕は良いほうだって言ったでしょ?」

 砲手である大隅さんが胸を張って自慢気に言う。

 「はい、えぇと他のは…クロムウェルの砲手さんも真ん中に当たってますね」

 クロムウェル前方のデコイにも、真ん中に大穴が空いていた。

 「おー、ホントだ、さっすが射撃部の大塚先輩だねー」

 「そういや、大塚先輩は昔、趣味で戦車道やってたらしいよ?それに操縦士は自動車部のひとだってさ」

 意外と情報通な皐が補足説明をしてくれる。なにその強そうな組み合わせ。

 「な…なるほど…」

 「それに比べると、ビショップの方はあまり芳しく無いみたいだな」

 他の車輌の砲弾は、デコイの端っこか盛り土に当たるか少し手前に落ちるかしていた。たが、ビショップの撃った砲弾は、飯沼さんが指摘したようにデコイのかなり手前に落ちていた。

 『隊長…我々の自走砲は、この中で最大の火力と射程を持つはずなのだが…全然飛ばないぞ…何故だ......』

 氷上さんが絶望したような感じで質問してきた。

 「えぇと…ビショップの主砲は野戦砲ですので、もう少し仰角を付けて撃ってみてください。そうすれば当たるはずです。」

 横目で少し見た程度だが、砲撃時にビショップの砲は少し附角がついていた気がする。

 『わ…わかった、やってみる』

 言われたとおりにビショップが仰角を付ける。

 「よし、ビショップ、撃ってください」

 ビショップの砲が火を吹いた。そして数秒後にデコイが木端微塵になった。

 『隊長!当たった!当たったぞ!!』

 氷上さんと、他のメンバーの喜ぶ声が聴こえる。

 なんか可愛い......

 「はい、綺麗に当たりましたね!」

 『よし、この調子でどんどん当てるぞ!』

 その日私達は、授業が終わるまで砲撃訓練をして過ごした。

 

 

 

 

 訓練が終わる頃には、すっかり周りは夕日で赤く染まっていた。

 「ふぁあ…つっかれたぁああああああ!!」

 放課後の下足箱にて、隣にいた皐が思いっきり伸びをした。

 「だらしないぞ、皐」

 後ろから声がする、振り返るとそこには見覚えのある三人がいた。

 「あ、飯沼さん…に木俣さんと大隅さん」

 三人の名前を呼ぶと、何故か全員微妙な顔をした。

 「あ…あのさ、その…苗字で呼ぶのやめてくれないかな…?」

 いきなり大隅さんにそんな事を言われ、私は戸惑った。

 「え…えと…それってどういう…?」

 なにか嫌われるようなことしたっけ……何故か無性に泣きたくなってきた。

 「私たちのこと、今度から名前で呼んでくださりません?」

 「え…名前…で…ですか?」

 「うん、名前!僕のことは栄って呼んでよ!」

 大隅さんが何故か胸を張って言った。ていうか僕っ子だったんですね。

 「私は昌子と呼んでください」

 木俣さんが穏やかな笑みを浮かべる。

 「私は京って呼んでくれ、志津」 

 飯沼さんに唐突に名前を呼ばれ、何故か頬が紅潮する。

 隣では皐が私の顔をニヤニヤしながら見ていた。ていうか結構イケメンだなぁ…飯沼さん…。

 「わ、わかりました…えっと…栄さん…昌子さん……京さん」

 何故か京さんの名前を呼ぶ時は顔が紅くなる。やはり皐はそれをニヤニヤしながら見てくる。

 「じゃあ名前で呼んでくれたし、今日から友達ってことで!」

 栄さんが手を取ってブンブンと振ってきた。

 「と…友達…ですか?」

 「うん、友達。よろしくね!志津ちゃん!」

 そう言って、栄さんは人懐っこい笑みを浮かべる。

 「はい、よろしくお願いしますね」

 私も自然と笑顔になった。何時以来だろう、こうして新しい友達が出来たのは。なんだかとても嬉しい。

 「あ、それと志津」

 「今日から私達に敬語禁止だからな」

 「え.....えぇ!?」

 たしかに私は家族と幼馴染みである皐にしかため口で話さない。

 「き、急に敬語を止めろと言われても言われても......昌子さんだって敬語じゃないですか」

 今日初めてあってから、ずっと会話を聞いたりしていたが、昌子さんはずっと敬語だった。

 「いや、昌子ちゃん家でもずっと敬語だよ?」

 「うん、昌子ちゃんって地味にお嬢様なんだよね」

 え...そうだったんですか。ていうかお嬢様だから敬語というわけがあるはずがない......!

 「ま、そういうことだ。友達なんだし、な?」

 京さんが私の肩に手を置き、笑顔でそう言ってくる。なんだろう、今日の私には本当に拒否権がないきがする。

 「わ、わかりまし.....わかったよ....」

 私は観念して、これからはため口で話すことにした。

 皆何故か嬉しそうな顔をしていた。

 「よーし、じゃ皆で一緒に帰ろ!」

 皐がそう提案する。勿論私を含め、皆一緒に帰ることに賛成した。

 

 

 五人で世間話やテレビ、戦車の話をしながら歩いていると、あっという間に実家兼ね居酒屋である「えげれす」の前に来ていた。

 「じゃあ、私ここだから」

 私は立ち止まって、四人に「また明日ね」と言うと、

 「へぇ、志津さんの家って此処だったんですね」

 と昌子さんが、この居酒屋をずっと前から知っていたような言い方をした。京さんと栄さんも同じようなことを言う。

 「私の家、直ぐ近くなんですよ」

 「私も彼処のアパートにすんでる、栄もな」

 そう言って、京さんが向かいのアパートを指差す。

 「へぇ、意外と皆近くに住んでたんだ」

 「こういうのって、意外と気が付かないものだよねー」

 栄さんが「よくあることだよー」と言った。

 「んじゃあ、明日の朝も一緒に登校しよっか?」

 京さんの提案に、

 「そーしよそーしよー!」

 と皐が一番に食い付く。

 「では、明日の朝に志津さんの家の前に集合で」

 そう約束して皆と別れる。

 友達とこんな約束をしたのは久しぶりだし、明日が楽しみだ。 




今回も戦車成分少なめです(´・ω・`)
次回からはガンガン試合をします!(予定)


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練習試合です!前編

第三話です!
先程第三話の方を間違って違う話を投稿をしてしまいました...大変申し訳ありません。


 今日の空は雲ひとつない晴天、青い空が地平線まで永遠と続いている。時折吹くそよ風が心地いい日だった。回りには青々と繁る木々、そして小鳥のさえずりが聞こえる。このままこの丘に寝転がって昼寝でもしたらさぞ心地いいだろう。

 ぼーっと双眼鏡で鳥を眺めながら、そんなことを考えていると、風の音や鳥のさえずりに混じって微かな機械音が聞こえてきた。それは段々と大きくなってくる。

 そういや今はチーム内で練習試合中だったっけ。副会長曰く少しでも早く強くなるために、基礎練などは最小限にし、後の技術は試合などで身につければいい、と言っていた。私もそれが良いと思う。

 辺りを暫く見回してみると、音の発生源が見つかった。

 「こちら一号車、敵車両を二両発見。三番高地西側を南に向かって約15kmで移動中。どうぞ」

 『こちら三号車、敵目視及び有効射程に入った。いつでも撃てる』

 丘の麓の茂みに陣取っている四突から応答がある。

 「了解です、二号車と四号車、そちらはどうですか?」

 『二号車の四式ー、えっとねーなんか敵に見つかっちたー。こっちが主力みたいだねー』

 『こちら四号車の特三式内火艇!今敵に追われて...わぁ!追い付かれましたぁ!!』

 無線ごしに焦りの声と砲撃音が聴こえる。四式軽と特三式の人達には万が一に備え、私たちの約2km後方の林で偵察偵察及び主力とは別の別動隊が来る可能性があったので、アンブッシュをしてもらっていたのだが、どうやらこっちに囮部隊、向こうに敵主力が行ったらしい。読みが外れたみたいだ。

 「了解です、こちらの敵を殲滅次第応援に向かいますので、何とか持ちこたえておいてください」

 『うん、頑張ってみるよーって特三式がやられた!やっぱクロムウェルは早い上に攻撃力たっかいねぇ』

 それと同時に特三式内火艇から撃破されたとの報告が入る。

 まずい、このままだと四式軽も撃破されて囲まれるのも時間の問題だ。初心者ばかりだからと油断したのが間違いだったみたいだ。

 「三号車、まず私たち五式がビショップを叩きますので、ビショップを撃破後に先行しているT-29を叩いてください」

 『三号車、了解』

 四突車長の伊吹さんが了解する。

 「栄さん、ビショップの砲塔部か後部のスリットを狙ってください。五式の砲ならこの距離でも抜けます」

 目標との距離は約1000m、75mm戦車砲ならば75mm厚の装甲を貫通できる。

 「了解、任せといてよ!」

 砲塔が旋回してビショップの方向を向く。それと同時に何時でも撃てるという合図が送られる。驚くほど標準をつけるのが早く、少し驚いた。だが同時に頼もしくもあった。

 「はい…撃て!」

 号令と同時に五式の主砲が後退しながら火を吹いた。その一瞬後、ビショップ自走砲に砲弾が命中した。ゆっくりと動きを止め、砲塔上部から白旗が飛び出す。

 「いよぉし!撃破ぁ!」

 「さっすが栄ちゃん!」

 車内のメンバーが歓喜の声を上げる、だが今は悠長に喜んでいる暇はない。

 「三号車、撃って下さい!」

 『三号車了解、撃てっ!』

 丘の麓から砲弾が飛んでいき、ビショップが撃たれた方向を警戒していたT-29の横っ腹に砲弾が突き刺さ、らなかった。偶然、後退して運良く回避したのである。そしてそのまま、四突がいる茂みに向かって全速力で突っ込んでいき、100m程手前で急停止、そして砲撃した。

 

 四号突撃砲の車長である伊吹志野は焦っていた。敵に砲撃をかわされ、いまその敵が突っ込んできているのだ。

 「まずい、装填急げ!敵きてるぞ!」

 「わかってるよ!今やってる!」

 装填手である親友の向井紀子が砲弾をとり、主砲後部に突っ込む。

 「綾野!装填終わったよ!撃っちゃって!」

 紀子が砲手である佐渡綾野に言う。

 「了解って...うわっちっか!」

 「急げ、撃ってく...撃ってきたぁ!」

 T-29の主砲から砲弾が飛び出す。

 「もうだめだ!やられたー!」

 次の瞬間四突が爆発...せずに装甲が砲弾を弾き返した。命中角度の問題か、それともT-29の主砲の威力の問題か。よくわからないが、窮地を脱したのには間違いない。

 「綾野ぉ!」

 「あいよぉ!!」

 志野が叫び綾野が引き金を引くと四突の主砲が火を吹いた。その砲口から75mm砲弾が飛び出し、真っ直ぐ進んでいく。今度は避けられること無くT-29の正面装甲に突き刺さり、T-29を行動不能に陥れる。砲塔上部から白旗が飛び出した。

 「よぉし!撃破ぁ!!」

 「やったな綾野!」

 初撃破に車内全員が喜びの声をあげる、しかしそれが運の尽きだった。

 『三号車、後方にちゅうい……』

 隊長の声は砲弾が四突の後部装甲を突き破った音のせいで殆ど聞き取れなかった。

 

 



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練習試合です!後編

 四号突撃砲の車体が大きく揺れる。

 「な…なんだ!?」

 ペリスコープから後方を確認すると、三式砲戦車が300メートル程後方に見えた。その砲口からは煙があがっている。

 「後方に三式砲戦車だ!信地旋回!!」

 車内無線に叫びながら、操縦手である赤麻浅葱の背中を蹴る。

 「わかってる!そんな急かすな!!」

 浅葱が操縦桿を操作すると、車体が揺れ旋回を始めた……と思ったら急に動かなくなってしまった。

 「ん、動かない!?」

 「履帯がやられてるぞ!」

 四突の履帯は先ほどの三式砲戦車の砲撃で破壊されてしまったみたいだ。

 履帯がやられたのでは後方にいる三式砲戦車に攻撃することができない。これは非常にまずい状況だ。

 「くっそぉ回る砲塔が欲しい!!」

 綾野が悔しそうに叫ぶ。

 「四号突撃砲は三号突撃砲と同じようにアンブッシュが得意だが、包囲戦となると弱いからな」

 「ここは潔く諦めよう…な?」

 紀子が冷静な分析をし、浅葱がさわやかな笑顔で諦めるように言ってきた。

 「な?じゃないわぁあああああああああああああああああ!!」

 その叫びを最後に私たちの四号突撃砲は三式砲戦車の砲撃をまともに喰らい、煙と白旗を上げ行動不能になった。

 

 

 「あっちゃー…四突、やられちゃってるねぇ」

 四式軽戦車を操縦する私の後ろで、会長が呑気にそんなことを言う。

 「あっちゃーじゃありませんよ!こっちもやられそうなんですよ!」

 先程から私たちの乗る四式軽戦車はクロムウェルMk.Ⅳに追い回されていた。

 四式とクロムウェルでは最大速度の差は23km/hとクロムウェルの方が速いが、こっちは年季が違う。

 なんせ私、大河望は小学生のころからこうした戦車を乗り回しているのだ。昨日始めたやつなんかより年季が違う……はずなんだが。

 「大河ー、横につかれたよー」

 クロムウェルの操縦手…自動車部の香坂彩芽とかいったか。最初こそついてくるのがやっとという感じだったが、たった数分で操縦に完全に慣れたようで、普通に私たちに追いついて並走してくるほどになった。

 「くるよぉ……今!」

 会長の合図と同時に速度を緩め、クロムウェルの後方に下がる。次の瞬間、クロムウェルの主砲から放たれた75mm砲弾が、風を切り唸りをあげて四式軽戦車の目の前を通過する。

 「くっ…それにしても……あの砲手も中々の腕ですね!」

 「だねぇ、行進間射撃であそこまで正確に撃てるとは......ねっ!」

 会長がこちらも負けじと主砲を放つ。だがクロムウェルはそこそこ装甲が厚いうえに、こいつはスペースドアーマーを装着している。ただでさえ貫通力の低い四式軽戦車の57mm戦車砲では、貫通させることなんぞできるはずがない。装甲に傷をつけるか、へこませるのが関の山だ。

 『会長!敵をこちらに誘導することって可能ですか?』

 そこで隊長から無線が入る。

 「おー、峰山くんらがこの子ら撃破してくれんの?」

 どうやら私たちが敵を隊長…峰山の前まで誘導して撃破する作戦らしい。たしかにクロムウェルの装甲も側面なら75mmで貫通できるだろう。多分。

 『はい!』

 「おっけー!まっかせな………って……あー、ごめん無理っぽい」

 次の瞬間、私達が乗る四式軽戦車は真横からの砲撃で吹っ飛んだ。

 

 

 『よし、計画道理ね』

 クロムウェルの車長、渋谷先輩から無線が飛ぶ。

 「はい!次は五式中戦車でありますね!」

 『ええ、私達が敵を引き付けるから、よろしくね』

 「了解であります!」

 私達三式砲戦車はクロムウェルと別れ、横転して白旗をあげた四式軽戦車を横目に、狙撃地点へと向かう。五式中戦車…隊長たちが丘の上にいるということは既に把握済みだ。

 「よぉし!いざ203高地へ!」

 「でも相手はロシアじゃなくて日本戦車ですよ?」

 同級の砲手がそう言ってくる。

 「じゃあなんでありますか?」

 「んー、わからん!考えてもしょうがない!」

 同じく同級の装填手が言った。

 「そうでありますね!なんでもいいであります!」

 「「車長!友軍が戦闘に入りました!」」

 操縦手と通信士が同時に報告をする。この二人は幼い頃から一緒だったようで、非常に仲がよく息もぴったりで、よく同時に同じことを言う。

 私がその報告を聞いて車長ハッチから身を乗り出し状況を確認した時には、既にクロムウェルは黒煙を吹いて白旗を上げていた。

 

 

 「くっそぉ!やられたぁ!!」

 操縦手の香坂彩芽(こうさかあやめ)が頭を抱えて叫ぶと、行動不能になったクロムウェルの車内に声が響く。

 「まっさかこっちがドリフトをかますことを読んでたとは…」

 香坂と同じく自動車部の通信士の八代萩乃(やしろはぎの)が項垂れる。

 「やっぱ経験の差かねぇ…?」

 私と同じく射撃部である柊朱里(ひいらぎあかり)が言う。

 「ま…あとは三式砲戦車に期待ね…って、あの娘ら突っ込んでない?」

 見ると三式砲戦車が五式中戦車のいる丘に全速力で突っ込んでいくのが見えた。なんか無線から「ばんざぁぁぁぁああああああああああい!!」とか「お国のためにぃ!」とか「仇はとるぞぉおお!!」って聞こえる。正直怖い。

 そして呆気無く75mm砲の餌食になった。

 

 

 練習試合終了後、私たちが練習試合で唯一生き残った五式中戦車で回収車両を先導しながら演習場から学校のグラウンドへと戻ると、そこには大勢の生徒と大きなモニターがあった。戦車道の試合で使うようなやつより一回り小さいやつだ。

 そのモニターには先程まで私たちが練習試合をおこなっていた演習場が写し出されており、公式戦で見るような画面構成だった。私たちの練習試合を観戦していたのだろうか...?

 そう考えていると、こちらに気がついた大勢の生徒が、拍手で私たちを迎えてくる。これには流石に怯んだ。

 「な、なにこれ....皐、わかる?」

 「聞かれてもわかんないよ...いったいなにこれ...」

 聞いてみたが、情報通の皐も知らないらしい。

 「すごいな、高校の生徒全員はいそうだな」

 「おおいですねぇ」

 京さんと昌子さんがそんな感想を言う。もしかして二人はこういうの慣れてるのか?

 「あれ、学園長じゃない?」

 栄さんが指を指す。その方向を見てみるとそこには一人の背の高い壮年と思われる男性が立っていた。

 後ろに流したオールバック風の頭は金髪で目が青く、顔は堀が深くて鼻も高い。いかにも英国出身デースといったような感じだった。この男性が白山学園の学園長だ。

 すると学園長がこちらに歩み寄ってきて「キミが新しい隊長さんデスカ?」と私に問い掛けてきた。私が「はい」と答えるといきなり学園長が、

 「excellent!」

 と言って、いきなり抱きついてきた。

 「えっ?うえぇぇぇえええええええええ!?」

 思わず変な叫びかたをしてしまった。やっばい学園長結構イケメンじゃ!?ていうか変な噂たちそうなんでやめてください!!

 「おっと、sorry」

 私の心中を察したのか、離してそう詫びてきた。

 「つい興奮してしまいましてね、素晴らしい試合だったもので」

 「そんな、素晴らしいだなんて...」

 あれは練習試合だったし、私自身上手い指示が出せなかった。やはり一年もやっていないと勘が鈍る。

 「そんなことありません、とてもよかったデスヨ。これなら今度の大会も大丈夫そうデスネ」

 学園長はそう誉めてくれ...え?大会??

 「あの、大会って...?」

 そんな話は聞いてない。ふりかえると、皆も知らないって顔を......会長と副会長が忘れてたという顔をしていた。

 「まだしてないンデスカ?おーい、会長サン?」

 そう学園長が呼ぶと、会長がすっ飛んできた。

 「すまない皆、すっかり言うのを忘れてたが......私たちは来月に行われる戦車道の大会に出場することになってる」 いきなり会長がそんなことを言い出した。

 「えっと、大会ってまだこのチームには早いのでは?」

 「そうですよー、皆まだ始めたばかりですよ?」

 皆口々にそんなこと言う。私も同意件だ、このチームじゃ大会どころか他校との練習試合でも負けそうだ。

 「まーまー、これはもう決まっちゃったことだからさ!それにちまちま練習するより先輩方の胸を借りるつもりでいこう!じゃー解散!!」

 会長がそう強引に締めくくった。

 そんなこんなで私たちは、いきなり戦車道の大会に出場することになってしまった。

 




新キャラが一気に出てきました。
大変ごちゃごちゃしておりますが、そこは何卒よしなにに......
ご感想、ご指摘がありましたらよろしくお願いいたします。
ご指摘をうけ、大幅な変更を行いました。
乗員全ての名前をだすのは五式中戦車と四式軽戦車、クロムウェル、四号突撃砲に絞ることにしました。


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識別名です!

 高校生戦車道公式大会、日英杯

 この大会の開催目的は、イギリスとの交流。戦車道を通じて海外との交流を深めるというのが目的で、イギリスからも戦車道チームがやってくる。 

 計十六チームが参加し、準決勝以降はイギリスで行われる。

 参加チームは、英国側はチームは招待されたチームで日本側のチームも招待されたチームである。そして私たちの学園も毎年招待されているらしいのだが......

 

 「今年こそはやられ役の汚名を返上するぞ!」

 

 そう、大河副会長が戦車道チーム専用の教室の中心で叫んだ。先日の練習試合のお陰で私たちは学園長に大変気に入られたらしく、こうして私たち専用の部屋が与えられていた。

 

 「あのー、やられ役ってどういうことですか...?」

 一年生の内田さんが、手を挙げてそう質問する。

 「よくぞ聞いてくれた、今から説明しよう」

 そう言って、副会長が全員の前に出た。

 「いいか?私たちの戦車道チームはこの一年、お前たちが来るまでたったの六人だった」

 「そして去年やってた先輩も、たったの四人だったんだよねー」

 そう市川会長が捕捉する。先輩世代も少なかったのか。

 「そして戦車の所有台数は三両、毎年出場している日英杯では毎回初戦負け....峰山、どういうことかわかるな?」

 副会長がいきなり私に会話を振ってきた。

 「えっと、つまりたった三両...五式中戦車と四式軽戦車、四号突撃砲で三倍以上の相手に挑まされたあげく、毎回ぼろ負してきた...ということですか?」

 私が冷静に分析すると副会長は、そうだ!といった感じでグットのハンドサインをしてきた。なんだかよくわかんない人だな......

 「つまりだ、私たちは負けすぎたせいで、世間からやられ役のレッテルを張られているというわけだ。それで、今回の大会ではなんとしても勝ち、その汚名を返上したいのだ。そのためには厳しい特訓を...」

 「まぁ勝つためにはまず仲間意識を高めないといけないからねー」

 副会長が熱弁を始めようとしたところに会長がわってはいった。副会長はちょっとしょぼーんってなった。かわいい。

 「それはもう十分あると…」

 「識別名でも決めよっか!」

 無視だ。

 そう会長が私のほうを見て言ってきた。これは私に名付けろということだろうか......

 「峰山くん考えてー」

 やっぱりかー...やっぱり私に押し付けちゃうかー...

 「えっと、私ネーミングセンスないですし....」

 「いいじゃーん、別にかっこよくなくてもいいからさぁああー?」

 会長は簡単には諦めてくれないようだ。

 「無理ですって!」

 「いいじゃーん、やってよぉお」

 私が何度無理だと言っても聞いてくれない。そして、そのやりとりを五分ほど繰り返して、私がそろそろ泣き出しそうになったところに助け船が入った。

 「ならば私たちが付けよう」

 そう言って手を挙げたのはビショップチームだった。彼女たちは多少痛い娘の集まりだが...砲撃時に「鉄槌」とか「神の裁き」とか言ってるが、痛い娘なりにネーミングセンスはいいだろう。多分、きっと、恐らく...

 「まぁ、私達の知っている英単語で付けさせてもらう」

 お、これはちょっと嫌な予感が……まさかデバステーターとかターミネーターとか言わないよねぇ!?

 「では...まず隊長車から順につけていこう...」

 そうして、氷上さんがたちが識別名を考えはじめた

 

 

 三分後

 

 

 全車両の識別名が決まった。

 まずは隊長車の五式中戦車が「コマンディング・オフィサー」、英語で隊長を意味する。

 四式軽戦車は「スカウト」、斥候を意味する。

 クロムウェルは「キャバルリ」、騎兵を意味する。

 四号突撃砲は「イエガー」、猟兵の意味。

 特三式内火艇は「セーラー」、これは水兵。

 三式砲戦車は「スナイパー」、狙撃兵。

 ビショップ自走砲は「アーティラリ」、砲兵。

 T-29中戦車は「アサルト」、強襲の意味だ。

 これは結構いいかもしれない。隊長車はそのままだが、四式軽戦車は確かに斥候的な役割をチームで担っているし、クロムウェルは偵察にも主力にも使える。四号突撃砲は待ち伏せが得意なところが狩人らしい。 

 特三式内火艇は水上を移動できるし、元は海軍の戦車で的を射ている。

 三式砲戦車は用途は四号突撃砲と同じなため、似たような単語にしたらしいが、これも三式砲戦車らしい。

 ビショップ自走砲はもろだ、主砲が砲兵部隊が使っていたものだからだ。

 T-29は少し微妙だが、この中では一番の脚の速さを誇っているし、主砲も短砲身ながら76.5mmと強力なものだ。クロムウェルや四式軽戦車と組ませて強襲などもできるだろう。

 「うん、けっこういいかんじじゃーん」

 市川会長がそう誉める。

 「じゃああとは...そういや峰山くんから話があったんだよね?」

 「あ、はい」

 「じゃあ、よろしくー」

 そう言って会長が私に教室備え付けのモニターの前に出るようにすすめたので、モニターの前にたつ。つくづく思うけど、こんなにお金があるのになんで今まで戦車道の試合が勝てなかったんだろう。

 それは置いといて、本題に入ることにする。

 「先日行われた練習試合の内容ですが、四号突撃砲は三式砲戦車に後方からの砲撃で撃破されましたよね?」

 「あ、あぁ…そうだな」

 伊吹さんが頷いて肯定する。

 「このチームは突撃砲や自走砲が多いです。今回は砲塔が無いという弱点を突かれ撃破されたのは四突だけでしたが、今後の試合で他の自走砲や突撃砲も後方を狙われる可能性があります」

 突撃砲や自走砲は近距離での戦闘には向かない。ましてや包囲戦になると尚更だ。

 突撃砲は装甲がそこそこ厚い傾斜装甲だが、ビショップは垂直装甲で装甲は厚いものの頼りない。しかも他と比べるとビショップの動きは遅いので機動戦には向かない。

 「これらのことから基本戦術は開始地点から素早く移動し、素早く陣地を構築してからの防御戦がメインとなりますが…」 

 「それを敵が予測していた場合、また包囲される可能性がある…と?」 

 大河先輩の予測に、私は頷く。

 「はい、そうなった場合は敵中を突破することになりますが、突破した場合後方からの追撃が脅威となります。それに毎回防御戦だと攻略法を練られるかもしれません」

 戦車は後部装甲は薄いため、後方からの砲撃は脅威だ。

 「そこで、対追撃として皆さんにはあの技を習得してもらおうかと」

 「あの技?」

 全員が同じような疑問を口にした。

 「はい、特に自走砲や突撃砲の方々にです。これに関しては特別講師をお呼びしてるらしいのですが…」

 「どーしたの?」

 「いや、実は誰が来るかは知らなくて…会長が呼んだみたいだからさ」

 皐の質問にそう答える。

 「まー、そのことに関してはお楽しみってことで、ね!」

 「では会長、格納庫の方に行きましょうか」

 「そうだねー。じゃみんないこっかー!」

 会長の仕切りで、私達は格納庫に向かった。

 

 

 私達が格納庫に着くと、見慣れない格好をした三人がテーブルを囲んで雑談をしながらピザを食べていた。大きなツインテールの女性とボーイッシュな感じの女性、そして金髪の大人しそうな女性だ。

 そのうちの一人……大きなツインテールの女性が私たちに気がついて立ち上がる。あれウィッグかな?

 「やっときたか、客人をあんまり待たせるものじゃないぞ」

 「いやーごめんごめん、あとでうなぎゼリーとうなぎパスタ用意するからさー」

 会長が前に出て手を振りながらそんなことをいった。

 「う…うなぎゼリーはちょっと…ってパスタ!?」

 「やりましたねドゥーチェ!」

 大きなツインテールの女性とボーイッシュな女性が興奮気味に話す。パスタ好きなんだなぁ。ていうかこの三人、見覚えがあるような…。

 「なぁ志津、あの人達って…」

 京さんが耳打ちをしてくる。

 「ええ、恐らく……」

 すると会長が大きなツインテールの女性にむかって。

 「じゃあ自己紹介よろしくー!」

 といった。するとその女性はわかったと言うようにうなずき、こちらを向いて声高々に名乗った。

 「私がアンツィオ校の戦車道チーム隊長、ドゥーチェアンチョビだ!」




ピッツァです!


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日英杯一回戦
三次戦です!


 今日の天気は快晴そのもの。

 雲ひとつ無く、青空を飛んでいる鳥がよく見える。

 そして、そののどかな風景に似合わないものが突然私の視界にフレームインする。

 『だんちゃーく……いまっ!』

 氷上さんのその声と同時に、爆音が空に響く。

 やはり25ポンド砲は最高だ。とても気持ちがいい。

 着弾地点の近くに居たM4A2E4はその衝撃で一瞬怯んだ。

 私達は今、日英杯初戦の相手である三次学園の戦車小隊と対峙していた。

 配置は四号突撃砲、三式砲戦車が前衛で五式中戦車とクロムウェルがその援護としてその後方500mに待機し、ビショップは1000m後方から支援砲撃をしている。

 四式軽戦車とT-29は二両で分隊を組み特三式内火艇は単独で河を航行し、敵のフラッグ車を探している。

 そして現在の敵小隊との距離は約800m。

 「イエガー、A2E4を攻撃」

 『了解!』

 私の淡々とした命令に伊吹さんは喜々として答える。

 ドンッ…という音と共に空気が振動し、四号突撃砲の48口径75mm StuK 40 L/48から砲弾が飛び出す。しかしそれはシャーマンには命中せずにその横を通りすぎて行った。

 『すみません、外しました!』

 「大丈夫、何発も撃って徐々に照準を修正すれば当たるはずです。敵に反撃の隙を与えないようにしてください」

 『了解!』

 その命令どうり、四号突撃砲は草木の生い茂った場所から怒涛の連射を敵に浴びせる。

 ちなみに三式砲戦車は敵の側面右側に潜伏し、敵が横っ腹を晒すのを今か今かと待ち構えている。これは三式砲戦車の三式七糎半戦車砲II型ではシャーマンの正面装甲を抜けるかどうか若干の不安があるためだ。

 それに装甲も薄いので、一発でも喰らえばアウトだ。ぶっちゃけ流れ弾でも死ねるし、下手すりゃ50口径の重機関銃で側面貫通できるくらいだ。

 それを考慮し、確実に敵の装甲を貫通できて尚且つ敵の対応が遅れそうな側面に配置しているわけだ。

 相手はこちらの正確な数を把握出来ておらず、アーティラリとイエガーの砲撃もあってかそこで動きが止まっている……これはまとめて四両を叩き潰すことが出来るかもしれない。

 そう考えながら、私は急にここまでに至る経緯を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 試合の1週間ほど前だった。

 「今日はそこにいる会長の頼みでお前たちに戦車道の何たるかを教えにきてやったぞ!」

 そうアンチョビさんは胸をそらして言う。

 「私達のノリと勢いの戦闘スタイルをかくとくすれば最強になれるっすよー!」

 それに続いて、ボーイッシュな感じの女性もそんなことを言う。この人はたしか...ペパロニさんだ。全国大会で派手に吹っ飛んだ人だ。

 「よろしくおねがいしますね?」

 そしてその隣に立っている金髪の大人しそうな人はたしかカルパッチョさんだ。

 「今回はこの人達に機動戦のなんたるかと、あの技を教えてもらうからねー!」

 そう会長が言う。

 「会長、あの技って…?」

 私が質問すると、会長は

 「あれって…あの技だよ…」

 と手で何かを表現しながらニヤリと笑った。

 「あの技って…まさか…?」

 「おい待て!あれは簡単には教えれんぞ!」

 そこでアンチョビさんが割って入る。まぁたしかにあれは敵に教えると脅威になるから簡単には教えてくれないだろう。

 「まーまー...これとパスタでなんとか...ね?」

 そう言って会長は長方形の紙のような物を取りだし、アンチョビさんに見せた。 

 「ま…まぁ、今回だけはいいだろう!」

 アンチョビさんがそれを見て一瞬で折れた。

 「姐さん…」

 「ドゥーチェ…」

 ほかの二人はなにか絶望的な顔をしている。

 「し、しかたないだろう!パスタだぞ!?コレだぞ!!??」

 そう言ってアンチョビさんが紙を二人に見せた。

 すると、

 「これは仕方がないっすね!!」

 「やるしかないですねドゥーチェ!」

 二人共こうなった。

 いやー…手のひら返し早いなー。

 まぁそんなこんなで一週間の特訓が始まった。

 いやぁ、何回履帯が千切れたり脱輪したっけなぁ…

 修理費等をまとめた用紙を見た時の会長の顔は今でも忘れられない……

 

 

 

 そんなこんながあって現在に至る。

 

 『峰山くーん、敵の本隊っぽいの見つけたよー』

 『でもフラッグ車はいませーん』

 偵察に出ていた四式軽戦車とT-29から敵発見の報が入る。

 あの二両は西側を偵察していた。フラッグ車はその後方か東側にいるのか。

 「了解、足止めは可能ですか?」

 敵本隊が到着するまでにここを突破しておく必要がある、そのためには足止めをしておいてもらわなければ、押し負ける可能性があるからだ。

 『うん、10分なら持たせられるかなー』

 「十分ですお願いしま…」

 そこで言いかけた時、後方から爆音が響いた。

 「な、なに!?」

 後方を見ると、ビショップのいた丘から煙があがっている。

 「しずっち!ビショップが…やられたって……!」

 通信手である皐が焦ったように叫ぶ。

 「そんな…敵の本隊はまだ…」

 『隊長、こっち四両しかいません!』

 なるほど、本隊とは別に行動しているのが一両いたのか…しかし、かなり脚が速い…

 しかし、これはかなりまずい状態だ。正面にはシャーマンが四両…後方の丘には速くて火力もそこそこ高いと思える戦車が一両……私達は挟まれたことになる……

 なるほど、ほんとうに……

 

 「まずい状態だな……」

 

 私は笑いながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅くなったし文も荒いという惨事……ちょくちょく修正はいるかもです!


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正面突破です!

 偵察小隊隊長車のM4E2A4の車長であるクロエは、混乱していた。

 例年道理ならこの偵察小隊四両だけでも全滅させることができた相手にあろうことか苦戦を強いられている。

 そりゃあ今年から車両数が増えたということは周知のことだ、だがここまで出来るようになっているとは思わなかった。

 「ちょと、援軍は?本隊はまだなの...うわ!?」

 無線機に叫んでいると、近くに砲弾が落ちその爆発の衝撃で車体が大きく揺れる。

 『クロエー、なんか本隊さぁ足止め喰らってて遅れてるってー』

 M4A1の車長からそう通信が入る。

 「何両に?それならここにいるやつらの数が大方予測できる!」

 『えっと...四式軽戦車に....うっわ珍し、T-29各一両ずつだってさ。計二両』

 「はぁ?冗談でしょ!?」

 思わず声を荒げる。

 「なんであんなド素人集団にうちの精鋭たちがやられてるわけ!?」

 『いや、四式はちっこくて速いしT-29にかぎっては履帯時でも結構はや....え、隊長車履帯破損にシャーマン一両撃破!?』

 なんということだ、私達の...私達の精鋭部隊が精々一週間前に創られた寄せ集めの集団にやられている。

 「あぁもう!応援に行きたくてもあの向こうからの砲撃が邪魔で行けないし!どうすりゃいいのよぉお!!」

 そう叫んだ瞬間、砲撃音が聞こえた。それも二つ。

 あの私達を足止めしていた砲の音と、それに一瞬遅れ、我が親友カミラが指揮する部隊最速韋駄天野郎の40口径75mm戦車砲M6の音が。

 

 

 

 『白山学園ビショップ自走砲、行動不能!』

 

 

 クロエには神の言葉にも思えるアナウンスだった。

 「本隊を囮にこいつを丘に先行させたのね!さっすが隊長!」

 隊長はきっと足止めをされることを予測して、あらかじめこいつを先行させていたのだろう。

 「よし!この機を逃すほかないわ!奴等をはさみうt……」

 そう言いかけた瞬間、右側から砲撃音が鳴り響いた。

 着弾音がする、見ると右側にいたM4の転輪が破壊されていた。

 『右に敵戦車!』

 「突撃砲か?撃て!撃ち返せ!」

 『駄目です、どこにいるかわかりません!』

 「じゃあ茂みに向かって機銃掃射!音でわかるでしょ.......いた!」

 敵の突撃砲とおぼしき物が茂みから出てきた。三式砲戦車だ。

 「突撃してくるつもり?馬鹿ねぇそのまま大人しくしていれば助かったかもしれないのに....撃ちなさい」

 そう右側のM4に指示する、そのM4の砲塔が三式砲戦車に旋回を始めると同時に、三式砲戦車は私達を無視するように方向を変え、側面を通り過ぎていった。

 「なんなの...?無視して......え!?」

 その三式砲戦車を罵倒しようとした瞬間、クロエ車のM4に砲弾が命中する。だが運よく弾きかえしたようだ。

 「くそっ、キューポラからじゃあ状況が把握しずらい!!」

 そう怒鳴ってハッチを開けて上半身を外に出す。狭苦しい車内とは違い開放的だ。

 そして正面からは五式中戦車を先頭とした敵部隊が此方に迫ってき、私達の間をそのまま通りすぎた。

 「.......なっ!彼奴は.....!!」

 その時にクロエは、中学時代の戦車道の試合で辛酸を舐めさせられた奴の顔を見た。

 あの時と全く同じ不気味な笑顔、まるで闘いに快楽を得る狂人のような笑顔を....。

 そしてその口は何かを私に問ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「主砲はー、正面M4のキャタピラ狙ってー、機銃は砲塔の防盾狙ってー」

 「なんで砲塔ねらうのー?蛍ちゃーん」

 車長である菊池蛍が指示をすると、副操縦手がなぜ防楯を狙うのかといったふうに聞き返してきた。

 「えっとねー、装甲を貫通できなくても防盾を狙うことで照準を逸らす?ことができるんだってー。ですよね会長ー」

 『うーん、戦車の照準器は砲身近くにあるからねぇ。近くに弾が連続して当たりゃぁびびるっしょー?』

 「そーゆことー…うぉっとぉ」

 M4の放った砲弾が近くに着弾し、車体が揺れる。今現在相対している敵の数は五両、こちらは二両だ。

 「よぉっしあの二両の正面装甲を零距離で抜くよー、突撃ぃー」

 その合図と同時に、T-29の500馬力M17M V型12気筒4ストローク液冷ガソリンエンジンが唸りをあげ、車体が前進しそのスピードを徐々に上げていく。

 「機銃、撃てぇ」

 車体正面の7.62mm機銃DT二門が火を吹く。その弾丸にはM4の装甲に傷を着ける程度の力しかないが、照準をぶらすのには十分役に立っていた。正面から向かっているT-29に向けて発射したつもりが、相手の直ぐ脇を通り抜けて地面に落ちる。

 「停車っ」

 T-29がM4と衝突寸前でとまる。他のM4は履帯が切られ、満足に動けずに射撃が行えない、しかもT-29の正面にいるM4が邪魔をしている。それにもう一両のシャーマンは四式が邪魔をしていた。

 「って!」

 そう合図すると、短砲身76.2mm砲が火を吹く。

 ガンッと鈍い音が響いたかと思うと、そのM4から白旗があがる。

 「おっしゃー、次いこ次ー」

 「どれ狙うー?」

 「会長が邪魔してるやつー、他のに狙われないように正面っかわいくよー」

 会長達の操る四式が邪魔をしているM4の正面に素早く移動する。砲は機銃等で挑発をしている四式の方に向いていた。

 「よーし二両目ー、ってー」

 合図の一瞬後、砲が火を吹いてその砲口から砲弾が飛び出しM4の砲塔正面装甲を撃ち破....らなかった。

 正確には貫通できずに、跳ね返った。そしてその数秒後には跳ね返った砲弾が後方に落ち、そのM4の砲口がこちらを向いていた。

 

 

 「あれぇ.....?」

 

 

 蛍がその間の抜けた感じの疑問符を口にすると同時に、周囲に爆発音と煙が充満する。車体が大きく揺れて、後方に吹っ飛ぶ。

 10m程地面を滑って停止し、暫くするとシュパッという白旗が飛び出した音がした。

 『白山学園T-29、行動不能!!』

 アナウンスがなり響いた。

 「......なぁにあのM4ー、堅くないー?」

 「防盾も厚く見えますね、どうします?」

 大河の言うとおり、砲塔正面が異常に分厚い。

 「三十六計逃げるにしかず、峰山くんら本隊と合流するよー」

 「了解!」

 四式軽戦車の車体が揺れる。そしてそのままM4達の間をくぐり抜け、森へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わー、派手にやられたわねー...」

 三次学園隊長のアガサは散々に千切られたM4の履帯を眺めてそう呟いた。

 クロエらの斥候に索敵、及び足止めをさせそちらに気をとられている間に本隊が裏に回り込み、挟み撃ちにする作戦だった。

 だが、先程撃破したTー29と逃走した四式軽戦車のお陰で足止めを喰らった挙げ句、一両のM4が撃破されそれ以外のM4も隊長車のジャンボ以外はすべて履帯が切断ないし転輪破壊という大損害をうけていた。

 「応急処置急いで!クロエやカミラが足止めしているだろうけど、向こうの数は六両はいる。多分そう長くは持たないわ」

 クロエ達は過去の試合内容から油断していたせいか、野原の中心で敵の猛攻を受けるという状態だったが、先程厄介な自走砲を撃破したという情報が入った。

 しかし相手にはまだこちらの正面装甲を貫通可能な車両が何両もいたはずだ。

 「クロエは油断しやすいから.....自走砲が撃破出来たからって突っ込んでないといいけど...大丈夫かしら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「スナイパー、撃て!」

 無線機に向かって叫ぶ、するとM4共の側面にある茂みから75mm砲弾が飛び出した。

 その砲弾は私達から見て一番左にいたM4の転輪を打ち砕きその動きを止める。

 「よし、そのまま前進して奴等の後方に迎え、我らも後を追う」

 『り、了解であります!』

 三式砲戦車が敵の側面を抜けていく。

 其れを確認したのち、私はハッチを開けて上半身を外に乗り出させる。

 「キャバルリ、イエガーの順で我の後に続け!敵を突破する!」

 『了解!』

 『承知した』

 各車から了解の返答が届く。

 それを聞いたのち車内無線に切り替え指示を出す。

 「昌子、全速力でぶっ飛ばすぞ」

 『え、あ、はい!』

 昌子は戸惑いつつもエンジンの出力を上げる。

 「栄、京は何時でも撃てるようにしといてくれ」

 『了解、なんか性格変わってるけど気にしないでおくよ』

 『此方も了解、志津って二重人格だったのか?』

 二人とも私の態度が急変したことに疑問を抱きつつも素直に従う。

 「皐、昔のようにやるぞ」

 『了解、久し振りだね!』

 皐は嬉々とした感じで了解し、砲弾を装填した。

 皐は昔、中学で戦車道をしていた時に同じ車両に乗っていた。久しぶりに一緒に闘えて嬉しいのだろう。

 私も久しぶりに一緒に闘えることに興奮している。そのせいで口の端がつり上がり、中学時代に狂人と呼ばれたような笑顔になってしまう。私だってこんな顔はしたくないが、仕方ないのだ、闘いで興奮するとこのような顔になってしまう。ただの悪い癖だ。

 だが、この顔になり性格が急変することで仲間の士気があがり雄叫びを上げた。その雄叫びに敵が恐怖したのも事実だ。だからこれも悪くない。今回も狂人の名を引っ提げて戦場を駆け回ろう。

 「此より正面の敵を突破するぞ、準備はいいかぁ!!」

 周囲の二両と自分の乗員に無線で叫ぶ。

 『『『おぉ!!』』』

 全車両から雄叫びがあがる。

 「よし....行くぞぉ!」

 その合図と共にコマンディング·オフィサーの五式中戦車の550馬力ガソリンエンジンが唸りをあげ、転輪が回転し何枚も連結した轍の草鞋を回転させる。木々を避け、薙ぎ倒しながら林の外へ勢いよく飛び出す。

 それに続きキャバルリ、クロムウェルが600馬力ロールスロイスミーティアエンジンをフル回転させ追従する。そしてその後方を守るように、イエガー、四号突撃砲が300馬力マイバッハHL120TRM12気筒ガソリンエンジンを唸らせフラッグ車に続く。

 「さぁ....どう駆けようか」

 そう私は敵の間を通り抜ける際に、砲塔から身を乗り出していた敵のM4E2A4の車長に問かけた。




約2ヶ月ぶりの更新です。しかも文が荒いです。
投稿が遅れた理由はWoTが楽しすぎたからです。言い訳はそれだけです!
後半は変なテンションで書きました。


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三次戦です!後編

 現在の速度は凡そ30km/h、敵の偵察小隊を突破し五式中戦車、フラッグであるクロムウェル、四号突撃砲三両の縦隊形の横に三式砲戦車が合流する。この時点で敵小隊との距離は100m、当てるには十分だ。

 「キャバルリ、部隊前方に出て蛇行しろ。スナイパー、イエガーは10m間隔でコマンディングオフィサーを中心に楔隊形をとれ...栄、砲搭を後方へ旋回」

 『『『『了解!』』』』

 私が指示すると各車が動き配置に着き、五式中戦車も砲搭が後ろに向く。

 「各車徹甲弾装填」

 皐が75mm砲弾を装填トレーに置き、装置を作動させる。装置が動作し、主砲弾を装填した。

 敵の様子を見ると、敵は転輪がやられた車両以外の三両は車体を此方へ向けようとしている途中で、転輪がやられた車両は砲搭を此方に旋回させている。逃走する此方の背後を狙い撃つつもりだろう....

 「だが、そうはいかんよ.....スナイパー、イエガー!準備はいいか?」

 『いつでもいけるであります!』

 『準備万端!』

 呼び掛けた車両からそれぞれの答えが返ってくる。

 「よし...敵の奴等に目にもの魅せてやれ!」

 そこで一旦言葉を切り、息を吸い込んだ。そして無線に叫ぶ。

 「revolve!!」

 その合図と共に三式砲戦車と四号突撃砲が片側の履帯を固定させる。物凄い勢いで二両の履帯が地面を抉り、車体の向きを強引に変える。信地旋回の応用(?)だ。

 

 アンツィオ高校の秘技であり大洗の三突の秘技でもあるCV33ターン...別名ナポリターン。試合前日にパスタとアレで強引に教えてもらったものだ。

 まぁ向こうも「これならP40を修理してもおつりがくるぞー!」と大喜びしていたから大丈夫だろう...

 

 M4達の砲搭は此方を指向中...奴等に一発かませるチャンスだ。

 「撃ち方始めぇ!」

 五式中戦車の53口径75mm戦車砲、三式砲戦車の38.4口径75mm戦車砲、四号突撃砲の75mm Stuk 40 L/48がそれぞれ一斉に火を吹く。轟音、そして空気を切り裂き徹甲弾が敵に向かって飛翔する。

 一瞬後、三発の砲弾の内一発が転輪が故障したM4の背面に命中、行動不能にする。残りに二発は見当違いの所に着弾する。

 「よし、イエガーとスナイパーは車体の向きを戻せ。全速力でずらかるぞ!」

 四号突撃砲と三式砲戦車が先ほどと同じ動きをして車体の向きを戻す。それと同時にエンジンをフル回転させ速度を上げる。敵が反撃に砲を撃ってきたが全て後方に落ちるか横を通り抜けていった。

 「このまま前進し、敵フラッグの捜索を....なっ!?」

 通信機に向かって次の作戦の行動を指示していると、突然三式砲戦車の車体後面が炎上し、固定戦闘室上面から白旗が飛び出す。

 「スナイパー、怪我人は!」

 すかさず安全確認を行う。

 『全員無事であります!それと隊長殿、チャーフィーに注意を...』

 そこまでいいかけた瞬間、五式中戦車の側面を砲弾が掠めた。

 風圧で髪が舞い上がる。それと同時に口角がつり上がる、また悪い癖だ。

 チャーフィーはそのまま速度を上げて五式を追い抜こうとする。

 「栄、チャーフィーの動きを砲搭を旋回させてゆっくり追いかけろ。京、副砲を何時でも撃てる状態にしろ。」

 「おっけー、でも当てるのはちょっと難しいかなー、近すぎてー」

 「了解、こいつで仕留めるんだな?」

 栄が砲搭を旋回させ、京が副砲に砲弾を装填する。

 砲塔を後方に向けると、チャーフィーは逃れるように動き、側面に着く。栄は砲塔はすぐさま向きを変え、撃つ。しかし向こうはかなりの手練れのようで、それをかわして五式中戦車の前に出た。

 「かかったな!撃て!」

 その瞬間、37mm副砲が火を吹く。砲口から飛び出した砲弾は、そのままチャーフィーの後面を貫く。

 『三次学園、M24チャーフィー、走行不能!』

 「よしっ....このまま逃げ切るぞ....なっ!?」

 突然目の前の森から四式軽戦車が現れた。そしてそのまま私の五式中戦車に衝突し、行動不能になった。

 「か、会長!大丈夫ですか!?」

 『だ、大丈夫だよー...それよりこっから先は行かないほうがいいかも...』

 会長に何故か聞こうとした、が、その理由はすぐにわかった。目の前からシャーマンが四両...いや五両此方に迫ってきていた。

 「くっ...イエガー!キャバルリの後方を守れ!私達は前方を....ぐっ!?」

 そこまでいいかけた瞬間に目の前のシャーマンが発砲、砲弾が五式に突き刺さる。狙いの甘い弾は弾いたが、五式の装甲は薄い。そう時間もたたずにすぐ白旗が飛び出した。

 クロムウェルの後方を守っていた四突も白旗が上がる。クロムウェルはその場から逃げ出そうとするが、逃げ道を塞がれてしまって身動きが取れないでいた。

 ああ...終わった、負けた....そう思った瞬間、試合終了の合図が鳴り響いた。

 『三次学園フラッグ車、走行不能!白山学園の勝利!』

 「ホワァアアアアアアアイ!?」

 三次学園の隊長らしき人物が絶叫した。他のメンバーもなんでだ?という顔をしている。私達のチームメンバーもだ。そのなかで私は一人

 「間に合ったか...」

 と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合会場の東側。

 そこに位置する河を内田纏が車長を務めるの特三式内火艇ことセーラーは航行していた。何故河なのかというと河の両側は丘になっており、遠くからでは見えないからである。

 河を航行して二時間ほどたっただろうか、味方が撃破されたという報告がどんどん入ってくる。

 「内田ちゃん...そろそろ不味いんじゃないかなー...」

 通信手がそう言う。

 「そうだね....そろそろ河を出て稜線越えるよ」

 セーラーは河岸にあがり坂を登り始める。

 「近くにフラッグ車がいればいいけど....」

 セーラーが丘の頂点に差し掛かった、丘の頂点に達し、そのまま平野に出て走り始める....そのはずが、ガンッと何かにぶつかったような音がした。そして、バキンッと、それが折れるような音がした。

 何事かと思いキューポラから顔を出すと、三式内火艇が乗り掛かったせいで主砲が折れてしまった三次学園のフラッグ車のM3軽戦車が白旗をあげていた。

 

 かくして私達は日英杯第一回戦を突破したのである。




うわあああああああ雑だぁあああああああ!
という訳で二ヶ月振りの更新です。
新しいネタは思い付くのに試合を終わらせられない、無理やり終わらせてる....ってなってしまった今回です。
ご容赦くださいまし。


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