やはり彼の学校生活は間違っている。 (材木島)
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プロローグ

東京武偵高校。そこは武力を行使する探偵、通称「武偵」を育成する特殊な学校。

強襲学科(アサルト)諜報学科(レザド)探偵学科(インケスタ)兵站学科(ロジ)通信学科(コネクト)衛生学科(メディカ)研究科(リサーチ)など学部が別れている。

 

 

〜4月下旬〜

「比企谷、ちょっと用があるんだが」

「俺はない、じゃーな」

「まーてって、お前本当に人間嫌いだな、武偵殺しの事についてだよ」

遠山金次。Eランク武偵。家系が正義の味方で彼も正義の道を志し、武偵高へと進学した。

「ヒステリアモード」(HSS)と呼ばれる特殊な能力を有しており、その能力は性的興奮で発動するという条件が難問な能力。強襲学科(アサルト)にいた時代もあったが、本人の希望で探偵学科(インケスタ)に移動した。尚、HSSを使い、入学直後の試験で他の生徒と教師全員を捕縛したという伝説を持つ(そのため1年時のランクはS)。

そして金次が話しかけている青年は比企谷八幡。元総武高校2年。現在は探偵学科(インケスタ)所属2年生。

何故彼が今こうして武偵高にいるかと言うと

時は1ヶ月前に遡る……。

 

 

〜総武高校職員室〜

「比企谷、今日君がここに呼ばれた意味を分かっているのかね?」

平塚静先生、国語の教師であり、生活指導部。

30代なのに割と美人な方だ。

「いえわかりません、何の事でしょう?」

「惚けるな、進路の事をこの間聞いたであろう?これは何だ?」

 

希望する職業:専業主夫

希望する職場:自宅

古人曰く、働いたら負けである。

労働とはリスクを払い、リターンを得る行為である。

畢竟、より少ないリスクで最大限のリターンを

得ることこそが労働の最大の目的であると言える。

小さい女の子、つまり幼女が「将来の夢はお嫁さん」と言い出すのは可愛さのせいではなく、寧ろ生物的な本能にのっとっているといえるだろう。よって、俺の「働かずに家庭に入る」という選択肢は妥当であり、かつまったくもって正当なものである。

従って、今回の職場見学においては

専業主夫にとっての職場である、自宅を希望する。

 

「いやだって働いて社畜になるくらいなら…って先生拳が出てます、怖いですよ」

平塚先生が拳を立ててボキボキと鳴らして此方を見ている。怖いからやめてください、先生。

「はぁ…お前は何でそんなに捻くれて違う方向の思考に走るんだ全く、まあいい、そんな事よりここの白い枠にお前の名前を書け」

「なんですか?悪徳商法ですか?それとも婚姻届ですか?」

そう言うと平塚先生から渡されたものは

2枚のプリントがあり、1枚が下にあり、それを覆い隠すように1枚プリントが重ねてある。あからさまに怪しんだけど…

「書けました、これがなんなんですか?」

ニコッと平塚先生が笑うととんでもない一言が飛んでくる。

「よし、これで転入決定だな」

「……は?」

何が起こったか状況が理解出来ない。

え?転校?天候じゃなくて?俺の心が雨模様じゃなくて?

「武偵高校を知っているか?」

「犯罪が増加するにつれ、警察の数が少数だからか知りませんけど、武装が許可され防弾制服を着て事件を解決する。そんな高校生を育成する学校ですよね」

「よく知っているじゃないか、そこの強襲学科(アサルト)の知り合いがいてね、君の話をしたら根性を叩き直すという事で転入させるという話題になったんだ」

え?俺の意見は?無視?まだ何が起こったかわからないんだけど。

「いやでも親が許すかわからないので」

「もう親御さんの了承は貰ってあるぞ、就職に有利などと話したら快く承諾された、ほれ、書類もある」

親父…母ちゃん…あんたら何してんの、子供の将来考えての事なの?それとも適当なの?え?俺見捨てられてるの?うぉぉぉぉい!

泣いちゃうまであるぞ!

「まあ君も承諾してくれたわけだし、3日後には君は武偵高生だ、私も挨拶しに行くぞ」

神様、なんでこんな事になってるの、俺に拒否権ないの?え?まじ?

「先生俺が行きたくないって言ったらどうなるんですか?正直俺は合ってないと思うんですけど」

「君が転入するのは強襲学科(アサルト)ではなく探偵学科(インケスタ)だよ、クラスは2年A組だな」

探偵学科か、悪くないな。俺インケスタ。ちょー響きいい。寧ろ陰険と間違えられるまであるからな。

「いやまず転入ってのが嫌なんです「半年だ」

平塚先生が話の途中で割って話す。

「半年で無理だったら総武高校に戻す、だから半年我慢して色々と学んでこい」

俺は何も言えなかった。全てを見透かされているようで。何も言えなかったのだ、

そしてここから俺の武偵高での生活が始まる。




八幡が武偵高に入ったらどうなるのか!?といことを思い経ったのでクロスオーバー書いてみました。
時系列とか確認しながらやらなければいけないから大変ですねw
何か気になる点などあったら指摘お願いします。
感想お待ちしてます!ではではー!


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母校へ

まあなんやかんやあって今俺はここ武偵高校にいるわけだが…

「なんだよ、武偵殺しって」

金次の問いかけに八幡が反応する。

「武偵を狙った殺人事件みたいなものだよ、お前も気をつけろよな」

「わかったよ、じゃーな」

 

武偵殺し…?なんだよそれ、まあぼっちの俺は狙われる事は無いし大丈夫だなうん。

さて俺は地味にクエストをクリアするかな

 

〜掲示板前〜

 

簡単で割と単位取れるやつーっと…お?

 

『ランクE 近隣学校の手伝い 単位認定4.0

尚、その場の仕事の出来により単位認定度合いを上げる。』

……これは受けよう。俺単位欲しいし選り好みできないしな。

教務部(マスターズ)に提出しに行こう。

 

「2年の比企谷八幡さんですね、クエスト受注完了しました。ついてはこの資料をご覧になった後、蘭豹先生の所に伺ってください。」

「あ、はい、わかりました」

 

なんだ?なんであの年齢詐称(いい意味で)してそうで俺と最も縁が無い人の所にに行かなきゃ行けないんだ…俺食われちゃうのかな、助けて小町…、てかこの資料なんだ?

 

資料は驚きの内容だった。

 

〜蘭豹先生の教室〜

コンコン…

「はい、どうぞ〜」

「どうも、こんにちは」

 

見た目は平塚先生と変わらないのに俺の2.3個?上だもんな、すげーなこの人。

 

「資料は見たか?そう言う事だ」

「そう言う事って…なんでまた総武高校に行かなければいけないんですか、それと依頼主が平塚先生なのも気になりますし」

「まあそれは静ちゃんに聞いてくれ、私の口で言うよりあの人から聞いたほうがいいだろう」

 

そんなに重要な事なのか?えー、めんどくさいクエスト受けたな、近隣っていうから東京の何処かと思ったのにまさかの総武高校かよ。全然近隣じゃないですよね!!

 

「詳しくは明日授業が終わり次第総武高校に迎え、話はそれからだ、それと武装して行くのを忘れるなよ」

彼女はそれだけ言うと仕事を続けていた。

彼は教室を去り、校門を出て考え出す。

 

総武高校を指定してきたのはなぜか。平塚先生が武偵にまで依頼するお願いとはなんなのか、まあいい明日聞けるし今日はもう帰ろう。

 

「やったーやった!アリア先輩に認めてもらえた!」

彼のそばで喜んでいる少女がいる、見るところ武偵の学生らしき子がはしゃいでいる。

 

……見なかった事にしよう。見られたくないよなそりゃうん。

 

だが、彼の思いは虚しく、目が合ってしまったのだ。

「え、え、っと…」

あわわと言う感じであたふたしている彼女を見て彼は見てないフリをしてその場を去ろうとした。

 

うんうん、1人で喜びたい時もあるよねわかるよ、だから見て見ぬ振りするのが一番なのは俺が一番知っている。俺も1人でモンハンでリオレウス倒した日には笑って声が出たからな。

というわけで帰り道を変更するかな。

 

「あ、あの!!」

「ぅえ!?」

 

し、しまった、女子というか人と話し慣れてないせいで声が裏返ってしまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、八幡、死にたい。

 

「い、今の見なかった事にしてくださいーーーーーーーーーーーー!」

そう言って不思議な女の子は立ち去っていった。

「な、なんだったんだ?」

八幡は不思議そうに彼女の後を見つめていた。

 

 

〜次の日〜

 

あれ?朝教室に遠山がいないなんて珍しいな、何かあったのか?まあ俺には関係ないが。

 

少し金次の事を気にかけつつ自分の席に座った。そして4限が終わる頃……

 

プルルルルル…

なんだ?俺の電話が鳴るなんて珍しすぎだし、嬉しくて泣けるまであるぞ?

 

「もしもし?」

「もしもし、俺だ、遠山だ」

そこには聞き慣れた声が流れ込んできた。

どうやら心配してると思って八幡にかけてきたらしい。

「なんでお前俺の番号知ってるんだよ、何俺の番号流出してるの?」

「そんな事いいから、とりあえず俺は無事だ。

何故俺が今日欠席なのかは聞いたか?」

「いや全く」

興味を全く示さず、どうでもいいような素振りを見せる八幡。

「俺は今日チャリジャックにあった、武偵殺しの標的に俺がなったんだ、まあ一応生きてるからって事を言いたかったのと、お前も十分に気をつけろよって事を伝えたかったんだ」

「わかってるよ、その…ありがとよ」

「なんだよ気持ち悪い、俺はとりあえず寮に帰って休むよ」

金次はそう言うと電話を切った。何か急いでるようにも感じたが八幡は気に留めなかった。

 

チャリジャック…武偵殺し…まだ情報が少なすぎる中で動くのは危険すぎる。

クエストの事もあるし、とりあえず今日総武高校に行かなきゃな。はぁ…めんどい

 

そうこうしている内に放課後になっていた。

八幡は総武高校で成績は悪くはなく、どちらかと言うといい方であったので武偵高校にきても勉学には困らない、が、射撃ともなると元々入っていた武偵生には劣る。

 

「さて、行くか、1ヶ月ぶりの母校へ」

春の風の中にも暖かさを感じる中、彼の本当の物語が今始まる。

 




更新相当遅れてすいません!!!!
テスト勉強やら風邪やらで書けなくて……言い訳ですよねw
八幡に武偵高校はとても合ってると思うんですよね、個人的に。
少し原作を忘れがちなんで、自分でも読み直しますが何か間違いや違和感があったら教えてください!


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彼は再び帰ってくる。

「よく来たな、比企谷」

「まあ…仕事なんで」

「君に仕事という言葉は似合わないな」

クスッと笑い、コーヒーを一杯飲む彼の別の意味の恩師。

「俺だって働きたくて働いてるんじゃないんですよ、クエストってやつですよ、モンハンかよったく」

「であるならばこれから狩りに行くのはジンオウガレベルかな?」

 

いやあんたモンハン知ってるのかよ!!!!

何だよ、モンハン一人でやっているなら言っくれれば良いのに、俺もソロプレイヤーなんで。一緒に楽しくプレイできたのに…

早く誰かもらってあげてこの人。

 

「冗談はともかく、だ。本題に入ろうか比企谷」

本題、とはクエストの内容についてだ。

蘭豹が平塚静に詳しくは聞いてくれと言われたから八幡はまだ何も知らない。

「なにがあったんすか、俺じゃなくても出来る仕事ですよね」

「いや人気も無く、友達もいなかったお前にだからこそ出来る仕事がある」

 

先生、それをハッキリ言うのは酷ってやつですよ。間違ってないんだけどね。

 

「はぁ…それで?内容は?」

「イ・ウーを知っているか?」

「はい?なんですかそれ?」

八幡が聞き直すが静はあまり進んで答えようとはしない。

「まあ知る余地もないよな。私の手に入れた情報だと武偵殺し等、何かを企んでる巨大な勢力らしい。詳しい事はまだなにもわかってないからな」

「いやというか先生が何で知ってるかの方が俺としては気になるんですけどねえ…」

細かい疑問は華麗にスルーされ、概要について説明され、八幡はそれを耳にした時驚いていた。

「つまり…総武高校にその勢力の幹部がいるかもしれない…と?」

「そうだ。だから君を呼んだんだよ比企谷。誰にも認識されず、誰も知り合いがいない君だからこそここに潜入し、詮索ができるだろ?」

笑顔で肩を叩き、優しい眼差しで見てくる静。

 

いや先生、言ってる事とやってる事の差が激しすぎるんですがそれは…

お、俺だって友達くらいいるし!!

トモちゃんとか!!

 

「……。つまり拒否権は?」

「ないな。あるわけないであろうが。というわけで比企谷、呉々も慎重に頼むぞ」

さっきの和んだ雰囲気とは一転、殺伐とした雰囲気が彼らを包む。

 

俺にやれるのか…いややれるはずがないんだよな。人と関わるの面倒臭いし。

クエストだから仕方なくやるけど、多分無理、働きたくない、助けて小町。

 

「でも先生、探すって言ったってどうやって?」

「君はここの奉仕部として加入してもらい、詮索をしてくれたまえ」

 

は?奉仕部…?なんだそれ、人の奉仕なんて俺が出来るわけないだろ。自分をご奉仕するだけで精一杯だ、全く。

 

「いやでも高校が違いますし、他校の部活に参加するというのはですね…責任問題というかそれ以前に無理なんじゃ」

「いやできる。奉仕部と言っても正式な部活でもなければ他校と競い合ってるわけでもないからな。校長には話を通してある、何そうでなくとも私は黙認しよう。ほれっ」

そういい静が渡した物は総武高校の制服だった。

「久しぶりだろう?これを着て毎日とは言わんが、平日だけでいいから来てくれ。放課後でいいぞ」

彼女は彼を信頼している。だからこそこの依頼を彼に頼んだのだ。

躊躇している彼を見て静は微笑んでその姿を見ていた。

「若いと言うものは色々な葛藤があって見てるだけで微笑ましいな」

「…。わかりましたよ。その仲間を見つけて平塚先生に報告、随時蘭豹先生にも報告すればいいんですね、そしてそいつと司法取引を行い、武偵校に入学させる」

「流石私の教え子だ、よくわかっている。じゃあ頼んだぞ」

 

えぇ…面倒くさいよぉぉぉ

なんでこんなクエスト受けたの俺…

 

そんな事を思い総武高校を後にした。

「ヒッキー…???」

か細い声で彼の名前を呼ぶ女子生徒がいた。

勿論、彼にはその声が全く聞こえていなかった。

 

その帰り道、彼は顔覚えのある男性と遭遇した。

「比企谷、おい」

八幡は話しかけられてから反応するか迷ったが普通に対応した。

「なんだよ、遠山か」

「いや絶対気づいてただろ」

遠山金次は何やら制服や髪の毛がボサボサのボロボロであった。

 

?なんかこいつ顔が窶れてる?いやまあ知らんが。

 

「お前なんか…声が疲れてるぞ」

「いやまあ今日中学生くらいのチビな女の子と色々あって追いかけられてな…」

金次はとても落胆した感じで話す。

話の内容を聞くとSランク武偵の女の子から後を付けられクエストにまでついてこられたとかなんとかで大変だったらしい。

まあ俺には縁のない主人公体質ですね、わかります。

 

「まあ俺には関係ないからなんとも言えんが頑張れ」

「そういうお前はどうなんだ?今クエストの帰りなんだろ?」

一瞬クエストの事を話そうが躊躇ったが彼になら話しても別に広まらないと思い軽く説明した。

「その組織の幹部がお前の元いた学校に潜入してるっていうのか??」

「まあざっくり言うとそうだな、じゃ俺はこれで。帰って1人でモンハンやらなきゃだからな」

「お、おう。まあなんかあったら連絡くらいしろよ、同じ探偵科なんだから」

彼はその言葉を聞くと何も言わずに背後を向いたまま手を挙げていた。

 

…人を信用するという事は騙されたがっているという事だ、ってどっかの小説読んだな。

 

彼はこの時まだ知らなかった。

このクエストがどれだけ苦労がかかるか、人との関わりが嫌いな彼が人という生き物と関係を持たなければいけない辛さを。

帰り道彼はマックスコーヒーを買って夕日を見ながら帰って行った。




すいません!とても久しぶりの更新となってしまいました!
八幡と金次の絡みをこれからもっと増やしていこうと思いますw
両作品のヒロインを入れるって結構難しいですね。
でも読みやすいよう配慮して書いていきますのでよろしくお願いします。
また誤字脱字、助言など頂けたら嬉しいです!
ではでは〜!


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奉仕部

毎度毎度言ってるんですが、時系列と話の内容が少し違うと思うんですがご了承ください。


八幡家

「…あーあ、やだ始まっちゃったよ今日。やーだーずっと休みがいいー」

腐敗しているのか、ただ単に目付きが鋭いのか。そして性根が腐っているのか。そう言うと比企谷八幡は体を起こした。

「……これを着るのか」

彼が見ている物、総武高校の制服である。平塚静によるクエストの内容によりこれをもう一度羽織らなければならない。

「とりあえず学校の用意をするか」

バタン!!!の音と同時にその声は掻き消された。

「お兄ちゃん!起きて!朝だよ!何してるの!?!?」

「おう、マイエンジェル小町、今起きた」

そろそろ何回もやっているやり取りなので小町も飽き飽きしているらしい。

「そんな事言ってるから恋人は愚か、友達も出来ないんだよ?」

小町は実の兄を蔑んだ目で見ている。

流石の八幡も妹に不意をつかれ、驚いているが

「ふっ、友達を作ると人間強度が下がるからな、俺の愛読してる本の主人公の阿良々木さんが仰っていたんだ」

「またまたゴミィちゃん、あ、失礼かみまみた!てへぺろっ☆」

小町は舌を出して自分の頭をコツンと叩いた。

その姿はとても愛くるしい。

「小町…てか、阿良〇木さん知ってるのかよ!」

「知らないよ?知ってる事だけ♪」

 

知ってるのかよぉぉぉぉぉぉぉ!!

小町お前本当に可愛いなぁぁぁぁ!!!

〇川さんより可愛いよお前はぁぁぁ!

 

彼と彼女はそんなやり取りをして和んでいるが、時間が無いと焦り八幡は支度をしてすぐに家を出た。小町も朝ごはんを食べ、学校へ向かった。

 

間宮家〜

 

「お姉ちゃん、今日からアリア先輩に稽古つけてもらうんでしょー?起きなよー」

「やったぁぁ〜アリア先輩に初めて褒めてもらったぁ〜ムニャムニャ…」

間宮あかり、身長139cmと低身長、天然で天真爛漫の強襲学科の1年生。そしてそのランクはEでありながらも内に何かを秘めている。神崎・H・アリアの戦妹(アミカ)に志願し、この間その座を勝ち取った。言い方に語弊があるが、正式な戦妹になったわけではなく、見習いとしてアリアの側にいる。

 

間宮ののか、あかりの2個下の妹。その性格は姉よりしっかりしており、何処か抜けているあかりを助けるしっかり者。

この2人が何故今この暮らしになっているかと言うのは後に語る事になるであろう。

 

アリア先輩、という言葉に反射的に反応し飛び起きて支度をしている。

「もー!ののかー!何で起こしてくれなかったの!」

アホ毛を直しつつ、ののかに文句を言っているこのダメ姉。制服に着替え食卓に付いたら

「私何回も起こしたよ、そしたらお姉ちゃんに蹴飛ばされたんだよー?」

そう言うとののかの顔に仄かに蹴りの跡が伺える。

「ご、ごめん…」

あかりは落胆し、反省した。これが彼女達の日常だ。

「もー、お姉ちゃんはー」

「あははー、ってもうこんな時間!!私行くね!いってきます!」

そう言うと、朝ごはんのパンを口に加え颯爽と出ていった。妹はそんな姉の姿を見て微笑んでいた。

 

 

自動販売機の前でMAXコーヒーを買って海辺を背に歩いている高校生がいた。そしてとても膨らんだ鞄を持っている。

 

これ遠山に見つかったらなんて言えばいいんだ、コスプレ?いやいや、元自分のいた高校の制服なんて持たないよなあ…まあ別に無視すればいいだけだし!俺に友達いねーし!

…小町…お兄ちゃん悲しいな。

 

彼が一人でそんな事を考えていると目の前にパンが落ちてきた。というよりバタン!という人が転ぶ音と同時にこれが落ちてきたのだ。

「いたた…」

「あ…」

ド派手にすっ転んだ彼女の顔を見て八幡は思わず声が出てしまった。

彼が蘭豹先生にクエストの内容を伝えられた帰り道に海辺に向かって何かを叫んでいた女の子である。

 

…何この青春ラブコメでありそうな展開。俺主人公体質じゃないよね?寧ろクラスの人間から認識されないまである。

まあ一応女の子だし、助けてあげなきゃ母ちゃんに怒られるしな。

 

「お、おい、大丈夫か?」

手を差し伸べ、体勢を起こした。そして恐る恐る話しかける彼に対して、

「大丈夫で…あーーーーー!!!!!この前の見てた人ーーー!!!」

 

そゆこと学校の近くで叫ぶのやめようね、盗撮したとか襲ってるとか思われちゃうから。

 

「見てたんじゃねーよ、見ちゃったんだ語弊がありすぎだろ」

少し強めに言うつもりもなく睨んだわけでもないが元の眼が腐敗しているので相手に不快感を与えるのは当然と言えば当然かもしれないが

「す、すいません、私の声人より大きいんです」

こうも素直に謝られた事が無い彼はなんて返していいか分からずに戸惑った。

「私、1年A組の間宮あかりです、すいません!助けてもらって!」

「お、おう。別に助けたくて助けたわけじゃないけどな」

と言って背を向けその場を立ち去ろうとしたが

「多分先輩ですよね?何組なんですか?」

 

ちょっと、俺なんかと関わったら拙いと思ったから立ち去ろうと思ったのに何?俺のこと好きなの?勘違いしちゃうよ?

 

「…2年A組だ」

八幡がそう言うと彼女はニコッと笑顔を浮かべてた。

「そうなんですか!よろしくお願いします!ご迷惑をおかけしてすいません!それでは!」

少し強ばった表情を見せたと思ったが、気にも止めず、二人ともその場を立ち去った。

 

嵐のようなやつだな、もう会うことも無いだろうけどな。じゃあな間宮あかり。

 

彼はそう思い、自分の教室に足を運んだ。

 

 

時は過ぎ、帰宅時刻。八幡が帰ろうとした時誰かに肩を叩かれた。

「比企谷、話がある」

「俺はないから帰るわ」

「そういうな、すぐ終わるから聞け」

二人は教室から出て、昇降口へ向かった。

「お前、神崎アリアを知ってるか?」

 

アリア…確かあの時、間宮なんとかが叫んでいた名前じゃなかったか?まあ知らんが。

 

「いや知らん、そいつがどうした?」

「いや…最近そいつが俺の周りにいるヤツに俺の事を嗅ぎ回ってるから来てないかと思ってな」

「いや俺お前の周りにいるやつの一部じゃねーだろ、とりあえず俺はこの後千葉に行かなきゃだからな」

八幡は金次を突き放すように歩き出した。

金次はその姿を見て何かを告げようとしたが、言い出せずにその姿を見ていた。

 

「やあ、来たか比企谷。もう着替えは済ませたのか」

「まあ」

「うむ、よく似合っている」

約1時間ほど経過して4時過ぎには総武高校に足を運んだ彼。平塚先生の元を訪れ奉仕部の旨を伝えられる。

 

雪ノ下雪乃…雪が多すぎだろ、どんだけ雪好きなんだよ、氷の女王かよ。

 

「先生、俺はそこで助けを求めて来るやつの手伝いをすると?出来るわけないんですけど」

八幡の意見に平塚先生はすぐ笑った答えた。

「大丈夫だ、私が責任を持とう、雪ノ下と協力して頑張ってくれたまえ」

話している内に部室と呼ばれる所に着いた。

コンコン、と平塚先生がノックする。

「はい」

静けさの中にボソッと呟かれるその綺麗な声。

容姿はJKの中でも郡を抜いていると言える美貌とその美しさを象徴する髪。その姿に八幡は一瞬見とれていた。

「雪ノ下、こいつが比企谷八幡だ。前々から言ってあったろう?」

「えぇ、存じ上げてます」

「というわけで後は2人で頑張りたまえ。じゃ、私は用があるので失礼するよ」

「え、ちょっ先せ…」

先生がそんな言葉を残し、背を向け手を挙げている。

 

え、なんでこんな投げやり!?コミュ力マイナス8万の俺に何が出来るのこれ…

ほら…この人も引いてるよ…

 

「平塚先生も勝手ね、私1人で十分なのに」

「俺もやりたくてやってる訳じゃないんでね、つか、初対面でこれかよお前友達いねーだろ」

雪ノ下が気まずい空気を破り、もっと気まずい方向へ持っていってしまった八幡。

だが彼女はそんな事を気にも止めず、

「友達?そうね、小学校の頃、毎日上履きやリコーダーを持って帰るハメになった挙句、女子からの嫉妬や批判を受けて尚且あの方々を友達と言うならそれは違うわね」

「それは友達って言わねーし、というかお前大変な人生歩んでんのな」

「大変よ、私可愛いから。完璧な人間なんてこの世に存在しないのよ。弱くて醜くて嫉妬し、人を欺き蹴落とす事しか考えていない。能力が高い人間ほど生き辛い世の中になっているのよ」

雪ノ下が何かを思い出しながら語っている。その姿からは雪ノ下雪乃と言う人間が周りへの関心や興味を無くし、自分に決して嘘をつかないという人となりが分かる。

雪ノ下は生まれ持ったその才能に頭を抱えている。だが、俺はもうこの学校の住民でなければこいつの友達でもない。ただ俺が彼女にしてやれる事は…

「雪ノ下、お前俺と友達に「ごめん、それは無理」

彼が話を続けようとした瞬間に雪ノ下がそれを遮った。

「貴方と友達になれるわけないでしょ」

「はいはい、悪かったよ」

「本当よ、その腐った目と根性を叩き直してきなさい」

「お前が友達できない理由がわかる気がするわ」

互いを貶しあい、言い合った所で平塚先生が現れた。

「あのなぁ…君達は協力という概念ははないのかね、ではこうしよう。君達2人で勝負をして貰おう。人の役に立てるか、依頼を解決できるか、だ。負けたら勝った方のいうことを聞く。それでどうだ?」

平塚先生が2人に意見を出して目を配っている。

「何でそんなこと…私は「百戦錬磨の雪ノ下でもこれは無理か?」

平塚先生は雪ノ下を煽るように挑発をした。彼女はその容姿からそのような挑発に乗らなそうに見えるが、

「いいでしょう、その安い挑発に乗ってあげます」

「よし、比企谷もいいな?」

笑顔で八幡を平塚先生。

「え、先生でも俺…「比企谷、いいな?では、私はこれで失礼するよ」

そう言うと先生は部屋から出ていった。

彼女が八幡に目で訴えた事。潜入中だからこそ色々な人を見ろという事であろう。

「先生が言うならば仕方ないわね」

「はぁ…」

八幡が溜息を着いた束の間に再度扉が開かれた。

「あの奉仕部ってここであってる?平塚先生に言われたんだけど、あ!」

その女の子は何かに気づいたように八幡を指さして声を上げた。

「ヒッキーだ!今、休学してるって平塚先生に聞いたよ!何でいるの?」

 

えぇ…ヒッキーって影で呼ばれてるのかよ俺、まんま引き篭もりじゃねーか。俺の名前でそこまでバレてるの?ていうか転校扱いにしてないのかよあの先生は…。

 

 

「お、おう。平塚先生に呼び出されてな」

人に慣れしていないせいか受け答えもままならい八幡。そして雪ノ下が突然話し出した。

「2年F組の由比ヶ浜さんよね、とりあえず此処に入る時はノックしてもらえるかしら?私は雪ノ下雪乃よ」

その冷徹な目は由比ヶ浜を怖がらせている。

雪ノ下に見られるとなると蛇に睨まれた蛙くらいの勢いはある。

「ご、ごめんなさい。それでね、依頼の事なんだけどクッキーを食べて欲しい人がいてつくり方を教えて欲しいだー…」

「ええ、話は聞いているわ」

雪ノ下は事前に平塚先生に聞いていたのか、だが八幡はそこで面倒くさそうな表情を浮かべて

「……そーゆー事は友達聞けよ」

「で、でも!友達に聞けないっていうか…そこを何とかお願い!!」

沈黙の空気の中、最初に言葉を発したのは

「いいんじゃね?とりあえず家庭科室行っててくれ、ちょっと俺は外に出てくる」

そう言って立ち上がり、教室から出ると八幡は周りを詮索し始めた。

 

俺のぼっちスキルが高いだけあって誰かの視線を感じる事には長けている。多分だが、今盗み聴きされていた気がする。イ・ウーとやらの内通者か又は武偵高の生徒か、面倒くさそうな相手だ。

 

「……まあもう大丈夫だろう、さて家庭科室だったか」

彼は、デザートイーグルに手を伸ばしていたが手を離し、その場を後にした。

 

「やるわね、私の尾行に気付くなんて。金次の仲間だけあるわ」

ピンク色の髪を靡かせ、目を輝かせてる1人の女の子がそこにはいた。

 

 

〜家庭科室〜

「んで…何でこんなに失敗作が並んでるんだよ、雪ノ下お前料理得意云々って言ってなかったか?」

雪ノ下も頭を抱えて悩んでいる。

「どう教えればこうなるのか私にもわからないのよ…とりあえずもう1回やりましょう」

「もういいよ、才能ってやつ?が私にはないんだよ、ていうか最近みんなもやってないって言うしね」

そう言うと一瞬にして空気が凍った、主に雪ノ下の周りが。

「解決方法は努力あるのみよ、貴方才能がない

って言ったわね?その認識を改めなさい。最低限の努力もしない人が人を羨む資格はないわ」

その話を遮って由比ヶ浜は

「で、でも最近みんなやらないっていうし、いいんだよもう」

「その一々周囲に合わせようとする考えやめてもらえる?酷く不愉快だわ」

雪ノ下が器具を置き、由比ヶ浜に訴えかける。

「自分の愚かさ、無様さ、不器用さを他人に擦り付けるなんて、貴方に羞恥心ってものはないの?」

八幡は黙ってそれに納得し、由比ヶ浜は傷ついてるように見えた、が

「…かっこいい…」

「「はぁ!?」」

雪ノ下と八幡の声が揃ってしまった。

2人とも由比ヶ浜の呟いた言葉に驚きを隠せなかった。

「建前とか全然ないんだ!そーゆーのすごいかっこいい!」

雪ノ下はそう言われると一歩引き下がってしまっている。

「話聞いてた?割と厳しい事言ったつもりだったんだけれど」

「でも本音って気がして!かっこいいし、私人に合わせてばっかだっから…ごめん!次はちゃんとできるようにする!」

由比ヶ浜が何かを決心したようにやる気を出して雪ノ下も驚いている。

「まああれだ雪ノ下、ちゃんと教えてやれよ」

「はぁ……もう1度お手本見せるからその通りにやって見て頂戴」

「うん!」

 

30分後…

 

由比ヶ浜の丸焦げのクッキーと形も匂いも全て完璧な雪ノ下のクッキーが出来上がった。

2人は顔を伏せている。

「雪ノ下さんのと全然違うなー、何でだろう」

「どう教えれば伝わるの…」

と落胆してしまっている雪ノ下。

「お前ら別に美味しいクッキー作らなくてもいいんじゃね?男子は単純だから、作ってもらっただけで嬉しいと思うぞ」

「目は腐っているのに口ではまともな事を言うのね」

「ヒッキー…うん!じゃー頑張って作ってみるよ!」

その後、雪ノ下が小一時間レクチャーし、それを由比ヶ浜は家で実践するらしい。

何はともあれ初依頼は何とか解決の方向に向かった。

 

そして部活が終わり、夕方17時30分。

「今日はありがとう!また来るね!」

「別に来なくてもいいのだけれど、解決してよかったわ」

「雪ノ下さんなんかひどい!ヒッキーも一応ありがとう、って言うかなんでヒッキー休学してるの?」

由比ヶ浜の単純な突っ込みを笑っていたのが束の間、痛い事を聞かれた。

 

これって子供に「赤ちゃんってどこから生まれてくるの?」って聞かれる並に難解な事案ですよね、わかります。

 

「別にお前に関係ないだろ、強いて言うなら予備校みたいなところ行ってるんだよ、精神的にも肉体的にも辛いとこに…」

「へー、意味わかんな!とりあえずありがとうね!バイバイー!」

人の話に全く興味を示さずに走って帰ってしまった。だが、笑顔で帰っていったから2人も満足だろう。

「じゃー、また来週。さようなら」

そう言うと雪ノ下も自分の家の方向へ向かっていった。

「さて俺も帰るか」

正門を出て懐かしの帰宅路を歩いていた時、目の前に身長150cmあるかどうか分からないくらいの女の子が目の前に現れた。ピンク色の髪が特徴で赤い角の様なものを生やしている。

神崎・H・アリア。

遠山金次が「武偵殺し」に巻き込まれた際に空から降りてきた少女。イギリス出身。

ピンク髪のツインテールと、赤紫(カメリア)色の瞳を持つ。ツンデレ。二つ名は「双剣双銃(カドラ)のアリア」と呼ばれている。

今はその遠山金次をパートナーにするために色々と嗅ぎまわっている。

「比企谷八幡ね?」

 

この服は武偵…しかも女の子ときたか。あれ?この子って遠山が言ってた子じゃ…

 

「そうだが?誰だお前、っていうか何歳?」

「神崎アリアよ、16歳の高校2年生よ!何?文句あるの!!」

いきなり地団駄を踏み出し、暴れ始めた。

「風穴開けるわよ!」

「ちょ!まて!俺は今防弾制服着てないんだ!」

それはそうだ。今は総武高校の制服を着ているわけであって武偵の服ではない。

「単刀直入に聞くわね。遠山金次ってどんなやつ?強襲科時代Sランクの実績もあったのよね?なんで今探偵科にいるの?」

「俺も最近転校してきたばかりであいつの事は何も知らないんだ。というか俺別にあいつと仲良くないしな」

目線を逸らしその腐った目の方向を変えて話している。アリアにはその瞳がどう映っているのか。

「…そう。じゃー最後に。あかりがこの前迷惑をかけてたわね。助けてくれてありがとう」

「なんだ見てたのか、お前の戦妹?って奴なんだろ?」

それを聞くと少し沈黙があったが、すぐにアリアは答えた。

「まだまだよ、戦妹って認めたわけじゃないけど見習いってところね。とりあえずお礼は言ったわ。私はこれから金次の所にまた行かなきゃだから」

そう言うとアリアは車に乗って何処かへ言ってしまった。

「遠山も大変だな、って俺も大変だった…雪ノ下や由比ヶ浜に聞いてみるか」

そうだ、彼にはクエストがある。それも結構重要な任務でもある。

「今日も疲れたし、マッ缶買って帰るか」

彼の姿は夕焼けとともに見えなくなっていった。

 

 

〜〜???〜〜

「いやー今更だけどキーくんやっぱり生き残るねー!そうじゃなきゃ楽しくないぞ☆ガオー!

アリアもこっちの尾行に気付かないんてダメだねー」

金髪で金色の瞳をしている童顔で低身長だが、スタイルは良く、クラスの人気者であろう女の子がそんな事を話している。

「まあアリアがなんであんたの学校行ったのかは皆目検討がつかないけど、次の手は打ってあるしねー♪」

武偵の防弾制服を改造し、可愛く仕上げている彼女がアリアが訪れた学校の制服を着ている人に話を振っている。

「理子先輩〜、総武高校の方は任せてそっちはそっちでやってくださいよ〜♪

私は1人でも大丈夫です!」

理子先輩、と呼ばれる女の子と同じキャラなのか、低身長でありながらあざと可愛い感を出しているその子はビシッと笑顔で敬礼をしている。

「比企谷…八幡…か」

彼の写真を見ながらそう呟き笑った。その笑顔は何を考えているか全くわからなかった。

 

 




更新毎度毎度遅くなって申し訳ありません。閲覧してくれている皆さんに本当に感謝です。
今回は少し長くなってしまったんですが、あかりもののかも出せたし、奉仕部の最初のやり取りも書けたので自分的には満足です、この後AAのキャラを結構絡ませるつもりなので!
書き方や時系列がおかしかったら教えて頂けると幸いです。
アドバイスも頂けると嬉しいです!
次の更新は1週間以内にやります!
ではではー☆


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夜道

〜金次サイド〜

 

「金次!あんた私の奴隷になりなさい!」

思考が停止しかけたが、金次はすぐ様反論した。何故このようなことになっているのかと言うと…

八幡の元を訪れたアリアはすぐに金次の元に向かい、自分を家に泊めろと押し掛けてきた。

渋々了承した金次だったが、そう思ったのも束の間、あの様な発言をしたのである。

「はぁ!?何言ってんだよ」

「この前の戦闘からして何であんたが探偵科にいるのか謎だわ。それで私のパートナーに見合うのはあんただって思ったの」

この前の戦闘とはチャリジャックされた際の事を指している。

「…あれはたまたまだ」

自分の持って生まれた能力とでも言うのだろうか、才能、秘められた力。物は言いようだが

彼のヒステリア・サヴァン・シンドローム、通称ヒステリアモードは本来の30倍もの力を出せる。「子孫を残す」という本能が発動の根幹にあり、この能力を有している男性は性的に興奮する事によって身体能力、思考能力、思考速度などを著しく向上させる事が可能で、例えば複数の銃から発射された弾丸の軌道を一瞬で予測し、それを避けるなどの人間離れした行動すらこなせる。だが「女性を護る」事が主になり、身に危機が迫るので遠山家の男にしかこの能力を発動できない。故に金次はヒステリアモードになり、1年の入学してからのテストで試験官全員と生徒を捕まえ、ランクをSと認定された。

 

そんな事があり、今に至る遠山金次。その能力を、その並外れた戦闘力を彼女の前で故意的ではないとしても披露してしまったのが事の発端だと言える。

「俺本来にそんな力はない、悪いが他を当たってくれ。大体俺にお前のパートナーなんか務まるか、Eランク風情に何が出来ると思ってる」

「うるさい!私が決めたんだから従うの!だから強襲科に戻ってもらうわ」

二人の声がどんどんヒートアップしていく。

そしてアリアが強襲科に戻れと言い始めたので、金次の顔はより一層険しくなった。

「俺は絶対戻らないし、お前のパートナーにもならない」

「うるさい!うるさい!本当わからずやね!」

そう言うとアリアが金次に飛び付き、取っ組み合いになった。

アリアはその身軽な体を利用して蹴りを一発入れようとしたが金次も一応は武偵だ。受身には慣れていた。

 

本当に女かこいつ、Sランク武偵ってのは分かるがここまで男と対等かそれ以上の力が…

 

金次の部屋のリビングは割と狭い。狭い中で取っ組み合いなんかしてしまうとソファ等がズレる。金次が受身をとった時、ソファがズレて

アリアが金次の上に乗る形で崩れた。

「いっ…たいわね!」

彼女の匂いや感触が直に伝わる。

カァーーーーーーーーー…

自分の中の血の流れが変化していくのがわかる。

「くっ…」

アリアから離れる形でヒスりそうなのを回避した。

「…わかったよ、戻ってやる。だが1回限りだ。1つの事件を解決するまで協力する」

「言ったわね、あんたの実力見せてみなさい」

指を金次に向けて立てる。

アリアは高揚している感じを抑えきれずに顔が笑っていた。

 

 

〜八幡サイド〜

 

事は帰り道に起きた。夜道を歩く黒い影に何かが忍び寄る。

咄嗟に受身を取ったが、それも遅かった。

彼の懐に蹴りがいれられ、吹き飛んだ。

「ってえ……誰だ!?」

八幡が質問をした時には迫りこんでいた。

次の蹴りを躱して相手の背後に回り込み、ハンドガンを突き付けた。

「俺は接近戦は得意じゃないんだけどな…

…誰だよお前」

「俺が誰だろうが、お前には関係ない」

そう言うと手の甲をボールペンのようなもので押さえ付けられ、八幡は銃を手放してしまう。そしてその銃を奪い、体を投げ飛ばした。見る限り戦闘力では謎の男の方が遥かに上だ。CQCや銃の扱い、体格差を見なくても上の存在だ。

壁を蹴ってダメージを軽減させ、すぐ様距離を取った。距離を取らなければすぐに殺られる。

本能的にそう悟ったのだ。

「やるな、本当に2ヶ月前に……高校にいたヒキタニか?」

……の部分は聞き取れなかったが確かに八幡の名前を呼んだ。但し、読み方を間違っているが。

 

誰だよ、俺影でどんだけ噂されてんの?人気者?芸能界デビューできる?

 

「お前は総武高校の生徒か、何で俺なんかの事知ってるんだよ」

「さあな?今日は忠告をしに来ただけだ、・・・・俺達には関わるな」

その「俺達」が何を指すかは八幡には心当たりがあった。総武高校、あそこにはどれだけの人間がこの件に関わっているのだろうか。

「……」

静寂が包む中、その空気を割いたのは謎の男だった。

「……忘れるな、俺達はいつも見ている」

その声と共に暗闇に姿を消していった。

初めての戦闘だったが、初心者という感じもせずにやり過ごせた八幡。

「はぁ、くそ……」

自分の心の内が漏れてしまった。悔しさからなのか面倒くささからなのか。どちらにしろ彼の選択肢は1つしかなかった。

 

「あの……比企谷先輩ですよね?」

 

その声はとても高く幼く、何処か天然そうな聞き覚えのある声がした。

「ど、どうしたんですか!大丈夫ですか?!」

 

いやいやいやお前がどうしたんですか、間宮あかりさん?何で貴方が此処にいるの?何で俺身バレしてるの?個人情報保護法は?

 

「平気だ、お前はなんでここにいる」

と言いつつ、膝が笑っている。少し壁に寄りかかった。

「アリア先輩から住所と名前教えてもらいました!今日のお礼をと思って……」

いつもの天真爛漫な笑顔とは裏腹に心配そうな表情を浮かべている。

だが、彼はは立ち上がり、話を続けた。

「もう大丈夫だから、ありがとな。それとお礼なんてされる事してねーよ」

「いやいや!少しの事でも助けてくださった恩は忘れちゃいけないと思いまして!」

 

この子天然なの?何なの?可愛い天然記念物なの?

 

そんな事を思っていると見知った顔がそこに現れる。

「お、お兄ちゃんが……女の人といる、小町こんなに嬉しいことないよ……」

少し泣き目で震えた声を出しているのは八幡の妹の比企谷小町。

「小町違うぞ……こいつは学校の後輩ってだけで何にもないんだぞ」

「だよねー、可愛くてお兄ちゃんには勿体ないよね!兄がお世話になってます!妹の小町です!」

二人の兄妹のやり取りを見て微笑んでいたあかりに小町が話を振った。

「間宮あかりです!比企谷先輩とは今日の朝顔見知りになったばっかですけど!」

いつもの天真爛漫な笑顔に戻り、ハキハキと答える。

「とりあえず私はお礼しに来ただけですので、ありがとうございました!」

深々とお辞儀をするあかりをみて小町が手で口を塞いでいる。

「お兄ちゃん……あかりさんいい人だね、本当に!!ほら、駅まで送ってあげる!男でしょ!!」

妹に喝を入れられ、だがちょっと誇らしげにしている配慮が効かないお兄ちゃん。

 

お兄ちゃん、そこまで頭回らないのよ。

駄目なお兄ちゃんでごめんな小町……

お前もそこまで育ったんだな。お兄ちゃん嬉しいいいい。

 

「じゃー小町は先帰るね、あかりさん!さようなら!」

笑顔で2人を見て手を振っている小町。

「んじゃまあ、駅まで送るわ」

「いやそんないいですって!」

「いやいやこれで早く帰ったらあいつに怒られちまうし、気にすんな」

最早色々ありすぎて疲れきってしまっている八幡。そして彼は気付いているが何かがずっとこちらに視線を向けている。謎の男の様な感じだが何かが違う。

「比企谷先輩は妹さんが大好きなんですね!」

「ああ、あいつが励ましてくれれば大抵何とかなるまであるからな」

こんなシスコン発言にもあかりは動じずに笑っていた。やはり天然である。

あかりと八幡の姿を殺気丸出しで負のオーラを纏って眺めている人影がある。

 

「私のあかりちゃんが……あの男……誰?許さない……」

小さな声でブツブツと呟いてその2人を追っていく。

 

とりあえず八幡は無事にあかりを駅まで送り届けて駅の近くのベンチで一息ついている。

 

あのの殺気は何だったんだ……?

あの男がまた戻ってきたと思えない。まさか仲間か?でもそんな感じじゃなかったしな。

何でこんなに俺狙われるの……神様、俺誰にも迷惑かけてこなかったよね?善い行いばっかりだよね?

 

色々考え過ぎて溜息が漏れる。

そして立ち上がり元来た道を戻っていく。

彼へ試練は此処が山場ではない、まだまだ大変な事件に巻き込まれていくなど、想像もできなかったであろう。

 

 

翌日の朝、登校途中に遠山金次と遭遇する。

いつも通りの道を歩いていたら1人で歩いている背中を見て遠山金次と分かった。そして金次もその姿がわかったらしく、八幡に話かけた。

「よ、比企谷」

「おう、じゃーな」

いつもの挨拶で躱そうとするがそうはいかなかった。

「あのな、俺探偵科から強襲科行く事になったんだ」

「は?なんでまたあんな自分痛めつける所に行くんだ、お前どMかよ」

八幡が受け答えしたのが珍しいのか少し言葉が出てこなかったが

「いやこの間話した神崎アリアっていただろ、あいつと約束してだな」

「そうか、俺には関係ないな。精々頑張れ」

「本当に興味無いよな、お前も何か危ないクエスト受けてそうだし、気を付けて頑張れ」

2人は同じクラスにも関わらず、互いに1人で歩き出し、歩幅は金次の方が速く先に行ってしまった。

 

放課後になるまで八幡はずっと総武高校について考えていた。と言うよりはあの謎の男の事を気にかけていた。武偵校に在籍せずにあそこまで近接戦闘に長けている奴が存在するということ。それが一般の高校にいると言うのが不可思議である。だが当面の目標は決まった。

この事を蘭豹先生と平塚先生に報告し、対策を練る事。今は早く総武高校に行かなくてはならない。そしていつもより気持ち速めに総武高校に向かった。

 

「……んでなんでこいつがいるんだよ」

「さあ……何故かしらね……」

「ヒッキーヤッハロー!」

平塚先生の所に顔を出す前に荷物を置きに奉仕部の部室に来たのだが、そこには昨日クッキーを焦がし、雪ノ下に罵られていた由比ヶ浜の姿が伺えた。

「私この部活に入部するって決めたから!ね!ゆきのん!それと2人ともこの前のお礼にクッキー作ってきたんだ!」

星や水玉の模様がついた可愛い袋をバックから取り上げ、2人に渡した。

「いや俺食欲がないわ」

「私も食欲がないわ……」

「2人ともなんか酷い!」

と言いつつも受け取ってその手に持っている。

「それとゆきのんって気持ち悪いからやめ「でさ!ゆきのん!今度部室でお昼食べようよ!」

雪ノ下が話しているのを遮って話をもってくる由比ヶ浜を見て八幡は失笑していた。

「ねえ話聞いてる?由比ヶ浜さん?」

「いやこれもお礼として部活に入るということで!放課後私暇だからさーほら……」

その後の言葉は聞こえなくなっていた。

2人のそのやり取りを見て彼はその場を抜け出したのだ。珍しく気を使っているのか、元々空気だからという理由なのか、その場を抜けても2人は何も言わない。

「ヒッキー!」

教室から出てきた由比ヶ浜が彼の名前を大きな声で呼ぶ。

「今回は……まあありがとう、クッキー食べてね、じゃーまた!」

彼女は笑顔を振る舞いまた部室へ戻って行った。

「さて、俺もやる事やるか」

その禍々しくも心が込められていそうなハート?型のクッキーを口にし、変な汗をかき始めながらも平塚先生の元へ向かった。

 

 

〜昨夜、総武高校グラウンド〜

「せんぱーい、何で銃奪って戻ってきてるんですかー?殺っちゃえば良かったのに♪」

「そーゆーのは理子の仕事だろ、俺は手を汚したくないんだよ」

グラウンドで物騒な話をしている3人組がいる。その姿は月夜に照らされ、格好よく見える。

「ふふ♪りっこりーんは別の仕事で忙しいんだぞー!アリアの戦妹、間宮あかりって子が面白くてさー♪今夾竹桃に任せてるんだけど」

不敵に笑うその笑みからは悪意が感じられる。

「理子先輩、私も混ぜてくださいよ♪学校だけじゃ暇で暇で」

理子より1つ下くらいの顔をした女の子が協力というか、参戦したがっている。その顔からは考えられない。

「次は私が仕掛けますよ、比企谷八幡先輩♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうもみなさんおはこんばんにちは!!
文章力と語彙力が全くないですねw
読みずらい文で申し訳ないですw
今回は少ししか進みませんでしたが、やはりあかりのキャラ好きですねー、まだまだAAのキャラ出てきませんが早くゆきのんやガハマと絡ませたいですね!
次はいつの更新かわかりませんが、なるべく早く投稿します!
ではでは〜!


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始まり

〜次の日、八幡サイド〜

 

放課後

 

「比企谷先輩、どこいくんですかー!!」

「何故だ、何故こうなった……」

そこには間宮あかりが比企谷八幡を追う姿が見えた。八幡はまるで何かに怯えるように逃げている。

昨日、平塚先生に近状報告をした後、雑談も交えながら対策を練っていた。

そして昨日の出来事を蘭豹先生に報告しようとしたところ彼女に見つかり、訳もわからず追いかけられている。そして袋小路まで追い詰められた。

「なんだよ……なんか用かよ……」

「あ、あの……えっと……」

2人とも息切れが激しく言葉が発せていない。

「昨日大丈夫だったんですか!?」

どうやら昨日の出来事を気にかけてくれたらしい。だが、その事でここまで追ってくるのも必死過ぎだ。

「あぁ、もう平気だ。じゃーな」

「ちょっと、待ってください!」

思いっきり手を引っ張られ体勢が崩れる。

「なんだよ、これで倒れてラブコメの主人公みたいな展開になっても知らないぞ」

「比企谷先輩は遠山金次と仲がいいんですか?!」

どうやらその事を八幡に聞きたかったらしい。

昨日の出来事は前置きとして本題は遠山金次の事だったのだ。

「仲良くねーよ、一緒のクラスってだけだ」

「そ、そうなんですか……遠山金次はアリア先輩と付き合ってるんですか!!」

「い、いやそこまで知らんが少なくともあいつは付き合うとかそういうのじゃないと思うが……確かパートナーだとかなんとか言ってたような」

獣のように八幡に食いつく。アリアの事になると見境が無いようだ。

「女ったらしなのに……なんでアリア先輩。

わかりました!ありがとうございます!」

そう言うと何処か行ってしまった。その背中から脱力感が伝わる。あかりはとてもアリアを尊敬して崇拝とまでは行かないがそれくらいの気持ちはあるだろう。金次の事をアリアの周りを彷徨く害虫と思っているのだろうか。

「まったくなんなんだ……」

コツコツ……と足音がする。

「お、いたいた比企谷」

そこへ蘭豹がやってきた。

「比企谷、話があるんやけど、立ち話であれやが、昨日の事だ。静ちゃん曰くやはり巨大な組織の手の者で間違えないだろうということや。お前そんな大変なクエスト選んじまったのか、大変やなあ……」

「絶対思ってないですよね、とりあえず平塚先生何者なんだよ……」

本当に教師か?という顔をしてるが本当に教師である。30の土台に乗ってるか乗ってないかの瀬戸際にいる教師だ。

「はっはっは。まあとりあえず、だ。お前強襲科に来い」

「は?」

唐突すぎて蘭豹の言った言葉が理解出来なかった。

「昨日みたいなことがあると怖いやろ?」

「いや全然。俺人との関わりなんてないし、もうあんな事もないですよ」

と言ってその場を立ち去ろうとするが首根っこを掴まれた。そして壁に押し付けられて蘭豹は笑顔を浮かべて彼に言った。

「手続きは済ませてあるからな。ん?いくよな?」

「は……はい。行きます……」

「それでいいんだよ、じゃ、今日から頑張りたまえ!」

蘭豹はそれを告げるとその場を立ち去った。

八幡はただただ立ち竦んでいた。

 

〜金次サイド〜

 

放課後

 

「はぁ……」

「どうしたのよ、金次」

今、隣にいるのは一時的に遠山金次とパーティを組んでいる緋色の髪をしている中学生の様な高校2年生、Sランク武偵、神崎アリア。

「いやもう今更だがなんで俺なんだよ、強襲科にだって戻りたくない」

「太陽はなんで昇る?月はなぜ輝く?金次はいつも質問ばかり。武偵らしく自分で考えなさい」

嫌々ながら彼は今日から強襲科に戻るのである。

「あんたが昨日誰に調べてもらったかわからないけど、私の事を調べるって事は少しは興味があるのよね?」

「ちげーよ、どんな奴か知りたかっただけだ」

ふてぶてしくそう答えるとアリアは殴りにかかった。それも凄い顔をして。

「金次のくせに生意気!奴隷は奴隷らしくしてればいいのよ!」

蹴り殴り蹴り殴りと食う!寝る!遊ぶ!の3連コンボのようにまともに食らっている金次。

「いてーよ!やめろバカ!」

アリアを振り払おうとしても軽いので離れない。

「みゃー!みゃー!」

猫の鳴き声のように喚くアリアは金次から離れようとしない。

 

でもこいつ……すごいいい匂いするんだな……

ドクッドク……

ま、まずい!!!

 

ヒステリアモードになりそうだった金次はアリアを無理矢理振り払い、ヒスりそうなのを回避した。

「ほら、さっさと強襲科いくぞ」

「金次のくせにー!風穴開けるー!!」

アリアの声が廊下に鳴り響いた。

 

〜強襲科〜

 

「おーい!比企谷!なんでお前がいるんだ?」

「いや、お前こそ何でいるんだよ」

「八幡ね、どうしてここにいるの?あなたは探偵科じゃなかった?」

2人からの質問に答えずに下を向いて溜息を付いている。

 

不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

なんだよこの学校!もうええい!不幸すぎますーー!!!

ってツンツン頭の高校生やってる場合じゃなかった。俺の場合、ツンツンしてるのは性格かな?

 

「俺は蘭豹先生に無理矢理連れてこられてだな」

「俺もだ、無理矢理強襲科に戻されてな……」

2人とも顔を合わせて溜息をつき、再度向き合うと少し表情が柔らかくなっていた。

「お互い面倒な事に巻き込まれてるな」

「遠山、色々言ってるようだがそっちの子が鬼になってるぞ」

八幡にそう言われてアリアを見てみるとガバメントを構えて怒りを露にしている。

「金次、風穴開けるってことでいいのね……?」

 

「わかったわかった!ちゃんと訓練するよ。だけどお前は俺が終わるまで違う所で訓練してろ。俺は比企谷とやる」

勝手に決められてしまって八幡がそれについて反論しようと

「いや俺別に1人で訓練するからいいし、寧ろサボりたいくらいで「俺じゃお前のレベルにはついていけないからとりあえずは比企谷とやってるから!終わったら校門集合でいいだろ?」

「まあいいわ、好きにしなさい」

と勝手に話が纏まってしまった。そしてアリアは自分の訓練へと何処かへ行ってしまった。

強襲科はクエストで敵のアジトへの突入など危険な事をすることが多い。なので銃撃戦、肉弾戦になった場合の訓練をする必要がある。

「的を射抜く射撃訓練や、CQCの実践訓練もペアでならできる」

「俺は完全にそのタイプじゃないんだけどな……」

確かに八幡は接近戦は不慣れというか、似合っていない。どちらかと言うとスナイパーや諜報員である。なのに蘭豹は何故彼を強襲科に入れたのだろうか。

「まあ俺も強襲科が嫌で探偵科行ったんだけどな。少しは居た時期もあったが、まあいい。とりあえず基本的なことを教えるぞ」

「はいはい、お手柔らかに。遠山先生」

そして2人の特訓が1〜2時間くらい続き、八幡も珍しくちゃんとやっているようで、ただやはりその動きは近接戦闘型ではない。

銃の扱いには慣れているが、CQCともなると元々の知識がない分不利になる。金次はそこを踏まえて1から教えている。

 

 

 

「お疲れさん、銃の扱いは慣れてきたな。後は肉弾戦の時か……俺も嫌いだけどさ」

「まあ少しは分かったわ、さんきゅ」

2人とも結構な量の汗をかいている。

なんやかんや言って2人は似ている所があるのかもしれない。文句を言いつつやり遂げる精神力。それは武偵に取って大切な物である。

「とりあえず俺はもう行くな、アリアが待ってるだろうし」

「おう、大変だなお前も」

金次から何かを感じ取ったのか、そんな言葉が出てきてしまった。

そして金次がその場から立ち去り、八幡も帰り支度をして行こうとしたところにとても小柄で

アリアと金次の後をつけているうさ耳をしてる感じの女の子がいた。

「……おい」

「はぅぅぅ!?」

突然声を掛けられて驚き変な声が出てしまっている。

「比企谷先輩!?なんで!?」

「いや俺実習の帰りだけど、なにしてんだ」

「遠山金次がアリア先輩に何かしないように尾行してるんです!」

 

どこまでアリアが好きなんだ、ストーカーだぞ。でもこんな可愛い後輩にされるならいいもんかもな。俺がやったら速攻で手錠出てテレビに名前のって人気者になるまであるからな……

 

そんな事を思いつつ、八幡は何事もないように

その場を過ぎようとあかりの前を通りすぎようとしたが、服を引っ張られてそこに座り込んでしまった。

「なんだよ、俺は帰るんだって「先輩も一緒に尾行しましょ!手伝ってくださいよー」

次は袖を引っ張り駄々をこねてくる。

 

くっ……かわいい……だと!?

そんな事は無い。俺は小町以外可愛いと思ったことがない、筈だ!!!!!

 

「わかったから離せ……」

そう言うとニコッと笑顔になるあかり。

天然記念物並のど天然のあかり。八幡をも虜?にしてしまうのか。

「あの二人何やってんだ?」

「何でしょうかね、2人でゲームセンター入っていきましたよ」

 

〜10分後〜

2人が出てきた。そしてアリアが何かを抱きしめて笑みを浮かべている。

「うわーレオポンだー!」

子供のように無邪気に笑顔ではしゃぐ彼女を見て金次は頬を染めて彼女を見ている。

 

コイツ……こんな表情も見せるんだな。

割と可愛いのかもな、アリアは。

 

アリアはそのレオポンと呼ばれるぬいぐるみの2つのうち1つを金次に渡した。

「あんたの手柄だし、これはあんたにあげるわ」

見たこともないような笑顔で金次にそれを渡すと彼は返す言葉を失っている。

「なによ、何か言いなさいよ」

「お、おう。ありがとう」

「それでいいのよ♪流石私の奴隷」

女王様気分でるんるんなアリアはまるでと言っていいほど2人の尾行に気づいていない。

 

「……今日は何も無かったけど、いつかは尻尾つかんでやるーーー!」

「なんだ、ただのリア充か」

次こそは!と意気込むあかりとリア充爆発しろ、と睨みをきかす八幡。

「先輩、付き合わせてすいませんでした!」

「気にすんな、どうせこの後……ってやばい、用事があるんだ」

そう、平塚先生の元に行くのと奉仕部に顔を出さなければならない。だが時刻は17時。

今行ったても平塚先生には会えるが奉仕部には顔を出せない。

「……まあいいか。とりあえずじゃーな」

「はい!またなんかあったらよろしくお願いします!」

行儀よくお辞儀をして笑顔で八幡を送る。

その時、彼は気付いていた。彼等の後をつける1つの影を。

 

 

「ここまで来ればいいだろ、出てこいよ」

1つの影が姿を表した。それは女の子だった、とても綺麗な髪をして巫女の様な顔立ち。そして腰には日本刀。

「な、なんでバレたんですか、すごいですね、比企谷先輩」

「ふ、ぼっちスキル熟練度MAXだからな。人の視線には敏感なんだよ。つか何で俺の名前知ってんだよ」

確かに、ストーカーをされる覚えもないし、面識もないこの女の子と八幡は何も接点がない。

だが臨戦態勢にあるこの中、八幡は懐の銃に手を伸ばした。

「あかりちゃんが笑顔で話してたんです!あかりちゃんは……あかりちゃんは!私のものなんですー!いいですね!あかりちゃんに手を出したらただじゃおきませんからね!!」

名前のわからないその子はその捨て台詞を吐いて何処かへ行ってしまった。

「な、何だったんだあの女の子。というか何なんだよこの学校は」

彼の周りでこの短期間色々あり過ぎた。

少しあの先生を恨んでやろう、愚痴を言いまくってやろうと思ったところで彼はそこから離れた。

 

 

「ふむ、君も退屈しないな。良かったじゃないか」

「いや全然良くないんですがそれは……」

武偵高校の生活、蘭豹に無理矢理強襲科に転科させられたこと、謎の男の襲撃、そしてイ・ウー。彼が転校してからというもの、色々な事件に巻き込まれている。

「とりあえず近状報告は以上です。もうこの時間だし、由比ヶ浜も雪ノ下も帰りましたよね」

「あー、確かあの2人一緒に帰っていったな。そう言えば今日珍しく依頼が来てだな。クラスが一緒だった葉山隼人って覚えてるか?」

 

サッカー部でイケメンで勉強も出来てスクールカーストトップでリア王の名にふさわしい彼の事なんて全く知りませんね、はい。

 

「まあ一応は」

「彼が来てだな、君と話したいと来たそうだ」

彼はキョトンとした表情をしてしまっている。

葉山隼人も彼に全く接点がない。ないどころか認識されてるかさえ危うい。

「なんでまた俺なんですかねえ……」

「知らんな、君も知られていたんだな、良かったじゃないか!」

 

その言い方だとクラスで空気でまるでいなかったような言い方ですね!俺一応1年間いましたよ!4月も少しはいたよ!

 

「まあまた明日来ますよ、あいつらにもそう言っておいてください」

「あぁ、わかった。比企谷、頑張りたまえ」

ポンポンと背中を押され職員室を出る。

まだ入学して1ヵ月くらいだと言うのに相当疲れが見える。そして彼の人格も少しは変わっているように思える。どっちの意味でも。

学校から出ていく彼のその背中はいつもより小さく見えた。

 

〜エピローグ〜

総武高校を出たのが19時。校門から出ていつもの帰り道でマックスコーヒーを買って今までの起こったことを考えていた。

 

俺がここに入学させられた理由は定かではない。だが推測されるのは平塚先生は俺をイ・ウーの魔の手が迫る前に逃がしたのか、それとも

また別の理由があるのか。何はともあれ、まずあの謎の男。それと今日の間宮あかりの知り合いみたいなヤツ。前者はとても危険だ、後者はまあ放っておいてもいいだろう。次現れた時どうするべきかなあ……

 

そんな事を考えながら夜道を歩いていると聞き覚えのある声が聞こえた。

「比企谷先輩♪こんばんは♪」

八幡がその声に反応して振り向いたその先には全く別の人物がいた。

 




どうも、食う寝る遊ぶの三連コンボがしたい作者です……
そんな事はどうでもいいとして、やっと志乃ちゃんを出せました。
少し無理矢理感ありますけどw
次回はライカと麒麟を出すつもりです!
雪ノ下と由比ヶ浜もの出番もあるので楽しみにしててください!
アドバイスや誤字脱字があったら教えてください。
ではではー!


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