オールマイトは砕けない (アルパカの孫)
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1. プロローグ
ーーーーーー
事の始まりは中国の
発光する赤子が生まれたというニュースだった
以降各地で「
原因も判然としないまま時は流れる
いつしか「
「
世界総人口の約八割が何らかの"特異体質"である超人社会となった現在!
混乱渦巻く世の中で!
かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が
脚光を浴びていた!!
ーーーーーー
...
......
.........
周囲が少しずつ賑やかになってきた。
そろそろ始まる時間なのだろうか?彼は目を少しずつ、ゆっくりと開いていく。
少し意識が飛んでいたみたいだ。早く来すぎても暇なだけだな、もうしない。
などと考えながら、窓枠におしつける形になっていたせいで少しぺちゃんこになった左側の髪をいじる。
しばらくすると先生がやってきた。プリントを大量に持っていて大変そうだ。
「おらおら、席つけ席ぃーー!9時から朝礼だから、ぱっぱとホームルームはじめるぞ!配るもんもたくさんあるんだからなー!」
全員席に着き、ホームルームが始まる。
担任のご高説を経て、プリントが配られた後、廊下側から一人一人自己紹介がされていく。と言っても、もうこの学校も3年目となる。部活もあるだろうし、友人や顔くらい知っている人が半分以上だ。緊張した空気もなく、自己紹介が進んでいく。
彼の席は窓側の前から3番目だった。当分順番は来ない。
暇そうに彼は目を外に向ける。
ーーーーー眠い。
「おお!」やら「すげぇ!」などと声が上がるので目を向けると、教室中央にいる女の子が立って自己紹介をしていた。
黒髪ポニーテールで若干目がきつめだが元気そうな印象を受ける。きっとモテるだろう。
そんな彼女の周りを手のひらサイズのウサギが飛び回っていた。どうやら、自己紹介のついでに自分の"個性"自慢をしているようだ。
"個性"は原則として校内では使用禁止となっていたはずだ。だがまあ、どこの学校でも同じだろうに、この折寺中学もその辺はとてもルーズだ。担任の英語教師も持ってきた本をに目を落としており、注意などする気もなさそうだ。見ていなかったということにするつもりだろうか。それよりちゃんと自己紹介きけよと内心思う。
すぐに興味をなくし、外に視線を戻す。
ーーーーー"個性"か。
個性と聞いて兄のことを思い出す。
頼りなくみえる兄だ。身長も自分よりもかなり低い。いろいろとダメなところを上げることができる兄だが、コンプレックスを強く持ちすぎだと思う。
新しいクラスはどうなっただろうか。同じクラスにはなっていないところを見ると、2組か、3組か。どちらにしても
兄はあまり人付き合いが得意ではないのかもしれない。あまり友達とつるんでいるところを見かけない。
まあ、誰とつるもうがつるまかろうが本人の勝手だろう。口を挟むことじゃあない。
それに彼もあまり人のことを言える立場ではない。そこまで考えて、彼は自分に自分で言い訳をする。
何となく左耳の上らへん、髪の生え際にある傷を上から下に撫でる。
ーーーーーいや、あれはおれのせいじゃないな。
彼は昔、中学1年の時に、ある生徒と殴り合いの喧嘩をした。
放課後だったこともあり、目撃者もそう多くはなかった。しかし、ゼロでもなかった。
幸運なことに警察沙汰まではいかなかったが、彼にとっては不幸なことに1週間ほどで彼らは有名人となる。
その噂によって彼は、その体の大きさや体格もあって初対面の多くの生徒たちから恐れられることとなったのだった。
現に、周りを見てみると少しだけ自分の席だけ距離をとられている気がする。
気がつかれないとでも思っているのだろうか?バレバレだ。
前を見る。ちょうど前の男が座るところだ。
自己紹介が終わったようで、次は自分の番だった。
椅子を引き、立ち上がる。
自分のイメージを変えるのも面倒だ。そのうちなんとかなるだろう。
去年は全員が怖がらなくなるまでに半年近くかかったが、今年はもう少し早いだろう。去年のクラスメイトもいる。
全体を見渡せるように右側に視線を移す。
そして口を開く。
「緑谷
今年のクラスは可愛い子が多いな。などと考えながら彼は自己紹介続けるのだったーーーー。
緑谷八草(15)
Birthday : 7/15
Height : 185cm
好きなもの : 白米、鮪の赤身
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2. 緑谷出久
「なんで"無個性"じゃあいけないの?」
そう言われたのは僕がまだ4歳の時、おおよそ10年前。
それでも鮮明に覚えている。
これは僕の人生に最も影響を与えた言葉の一つに数えられるだろう。
けれどもこの言葉を発したのは歴史上の偉人でも、長い間生きた老人でもなく、僕と同じ日に生まれたはずの男の子。
それは僕の双子の弟である緑谷
...
......
.........
これは夢だ。
昔を思い出すような、過去をテレビ画面からダイジェストで見ていくような、そんな感覚。
ああ、病院の診察室に4.5歳の子供が青い顔をして医者の話を聞いている。
あれは僕だ。
遠い昔のようで、実はそんなに昔ではなかったようにも思えるけれど、ちょうど10年前くらいの話。
人間は4歳で脳の構造が変わるから、4歳までの記憶は覚えてはいないってどこかで聞いたような気がするけれど、そんなのは嘘っぱちだ。
だってこんなにも覚えている。
そして、よく夢にも出てくる。
僕はオールマイトみたいにみんなを助けることができるヒーローになりたかった。
けれどもそんな僕に対して無慈悲にも発せられたのは、
「諦めた方が良いね」
という言葉だった。
僕は足の小指に関節があるかないかというたったそれだけのことで"無個性"の烙印が押され、夢を諦めろと迫られたわけだ。
これが、そうだね、今んところは僕の人生で最初で最期の挫折だ。
4歳の時から僕は、パソコンである動画を見るのが好きだった。
昔起きた大災害、その後にナンバー1ヒーローとなるオールマイトのデビュー動画だ。毎日毎日来る日も来る日も見続け、母には僕だけで再生回数を1万も増やしていると言われたほどだ。
それほど僕の心を支配していた。
もちろん
出久という名前は母が、
母から望む応えをもらえなかった僕は、僕よりもほんの少し後に"無個性"判定を受けた
当時はまだ僕よりも体が小さかった
泣きついたというのも少し格好つけているかもしれない。
あれは
もしくは少しだけ僕よりも理知的に見えた
はずかし話だ。
何と言っても
そんな彼に対して、自分は"無個性"なんだと。"無個性"はヒーローにはなれないんだと。
そういう話をした。
大丈夫。出久はヒーローになれるよって言ってもらいたかった。
そんな僕に対して彼が言った言葉は僕の求めていた言葉ではなく、けれどもそれ以上に僕に必要だった言葉だった。
「なんで"無個性"じゃあいけないの?」
「なんでヒーローにはなれないの?」
「僕はヒーローになるよ。"無個性"でも。」
この言葉を聞いたのが小学校高学年や、中学生になってからだったなら、もしかしたら戯言だと断じたかもしれない。
それでも無理だと言い切ったかもしれない。
けれど、当時の僕にとってそれは、下を向いた僕を前に向かせるのには十分すぎるものだった。
彼の言葉だけでなんとかやっていけるような気持ちになれたのである。
それから僕は、すごいと思ったヒーローのすごいと思った点、自分ならこうすると思った点、個性の使い方などをノートにまとめるようになった。初めは母に手伝ってもらいながら。
それは「将来の為のヒーロー分析」というノートとして、今でも続けていることだ。
.........
......
...
「・・く、い・く!、出久!」
なんとなく懐かしい夢を見ていた気がする。
時計を見るとまだ朝の5時半だ。
「ランニング行くから、一緒に行こう。」
これが平日の僕たちの日課だ。
10歳を超えたらへんから彼が始めて、それに付き合う形で僕も続けていることだった。
「うん。すぐ着替えるから、待ってて。10分後に玄関ね。」
「うい。水軽く飲んできなよ。」
早く着替えなきゃ。
◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯
ランニングが終わって、出久は家の近くの公園で一息つく。
2人はおおよそ10kmのロードワークを40分ほどで走りきっていた。出久の調子が悪い時はもう少しかかる事もあるが。逆に
けれども
以前、出久がペースを合わせてくれなくてもいいと言った時も、
少しの水分補給のための休憩をとった後、彼らは組手をしていた。組手を行うのは学校のない休日だけ。
個性が広まった現代において、人間のもつ体型の拡大、関節の有無などの差により既存の武術と言われるものは一部、意味を持たないものとなった
ヒーローとなるには何ものとも敵対する可能性をもつ
無個性と断じられたのち、
僕が出来る限りのヒーローの情報を集めたのに対して、
彼は古今東西の武術の知識、型を集め、自分の身体、運動能力に合わせて使用出来るようにした。
さらに、僕が集めた情報から彼自身ならその個性をもつ相手とどう戦うかというのを模索し、イメージトレーニングまで行っている
彼は全く考えていないけれど、天賦の超人だ。
後天的な
もしくは潜在していた個性とまで言えるかもしれない。
僕がヒーローの情報を集めたものを彼に渡すように、彼のトレーニングに戦い方というものを教えてもらっている
事件
褒める
◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯
オールマイトとワンフォーオール
彼に嫉妬していたかもしれない
◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯
はちくさ
ファイトいん試験
落ちた
◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯
はちくさ死の報告
緑谷出久(15)
Birthday : 7/15
Height : 169cm
好きなもの : カツ丼
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