【一発ネタ】DIOさんは人道を踏破したそうです (白虎野の息子)
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【一発ネタ】DIOさんは人道を踏破したそうです

とんでもない駄文ですが、続かないので安心してください。
でも、誰かが書いたのを読んでみたい←


「懐かしい臭いだ」

 

 かつて、己の野望を阻止した男の血族が間近に迫っているのを感じ呟く。そこに込められた感情は忌避と歓喜が入り混じった、渇望にも似た何かであった。

 

 エンヤの配したスタンド使い達との闘争を経て尚、輝きを増し続ける彼らの気配に肩を震わせ、ただ嗤う。その様はどこまでも優雅で、威風堂々としていながら、また、何とも無様で、滑稽であった。

 

 己がこの様に至った経緯を思い返し、何故こうも高揚するのかを考え、思い当たるのは現状である。宿敵の肉体で命を繋ぎ、暗い海の底で100年耐え忍んできた。屈辱と優越が、ない交ぜになり狂気を加速させて得た答えは、至極シンプルなものだった。

 

「戦争だ」

 

 決闘は勝者の無いまま終わった。これから開幕するのは己と、あの血族との、情け容赦の無い、一心不乱の大戦争だ。

 

「そうだ、それが良い。それじゃないと駄目だ。このDIOの齎す膨大な過去と、奴らの目指す膨大な未来との決着にはそれこそが相応しい」 

 

 自らの渇望を自覚した途端、声を上げて笑う。100年の思索には終止符が打たれた。だが、それは帝王ディオ・ブランドーの死と一匹の化け物の誕生を意味していた。

 

 斯くして、逢魔が時に惨劇の幕が上がる。

 

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「DIOぉ……」

 

 気炎を上げ、吐き出される己の名前には隠し切れぬ憤怒と、懐かしくも感じる確固とした意志が混在していた。

 

「どうした、空条承太郎。仲間が死に、肉親は倒れた。お前はどうする? 挑むのか、この私に? 勝機はあるのか? それはどれ程のモノだ、億か、兆か、それとも京か? 」

 

「ごちゃごちゃ言うなよ、DIO。それがほんの小さな可能性だとしても、確実に言えることが一つある。恥ずかしい話だがよ、俺は今日、このどす黒い感情に従って、てめーを殺す」

 

 その宣言と共に、承太郎の背後にスタンドが現れる。かつてとは舞台も役者も違うが、確かに受け継がれてきたその面影に思わず目を細める。

 

「やはり、ジョースターは素晴らしい」

 

 そう呟き、両腕を大きく広げ、空を仰ぐ。現れたのは赤い霧を纏い、黒い全身鎧を着込んだスタンド。顔は明らかにされておらず、髑髏のような兜に覆われていた。本来であれば、此処で現れるのは世界をも支配する存在だったのであろうが、大きく歪んでしまった精神が呼び出したのは全くの別物であった。しかし、その悍ましさは決して劣るモノではなかった。

 

「voodoo kingdom!! 」

 

 瞬間、世界は塗り替わる。景色が変わった訳ではない、それでも此処が先程までとは全く違う、異界であることを認識せざるを得なかった。

 

「なんだよ……こりゃぁ」

 

 承太郎の目の前に広がるのは人の群れ、それもすべて死人だと一目でわかるような存在だ。数も尋常ではない。そのはるか向こうに、DIOは佇んでいる。

 

「どうした、空条承太郎!! 私は、化け物は此処に居るぞ!! さぁ、来い。来て、我々の因果を断ち切って見せろ!! 」

 

 遥か遠くに佇みながら、朗朗と歌うように声を響かせる化け物(DIO)。言われるまでもないと承太郎は駆けだすが、その疾走は早々と中断することになる。原因は、迫ってきた炎と砂。

 

「何故、てめーらが……」

 

 味方として、慣れ親しんだ能力を自分に向けられた事に絶句しながらも彼は一つの結論に達する。そして、それは仲間の死以上に看過できるモノでは無かった。

 

「DIOおおおおおおおおおおおおおお!! 」

 

「気付いたか、承太郎」

 

 voodoo kingdomの能力は単純にして明快。直接・間接を問わず、己が原因で死んだ存在を戦奴として呼び出すものだ。正しく、このDIOに相応しい力であり、業だ。

 

「スタープラチナ!! 」

 

 承太郎が咆哮し、一足跳びに向かってくる。傷つく事も躊躇わず、愚直なまでに向かってくる様は、やはり、美しかった。

 

「ジョジョ、我が青春よ」

 

 この夢も、ようやく終わるかもしれない。そんな予感を抱えながら、目の前の若人に拳を突き出す。

 

 夜は明け、惨劇は終わりを告げようとしていた。

 

【not continue】

 

 

 

 

 

 

 

 



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