転生特典は持ってないです(仮) (刀花子爵)
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まだお兄ちゃん

ー体は剣で出来ている。

ー俺は刀だ。

ーunlimited blade works!

ー虚刀流奥義!

 

なぜ俺は転生をしたのだろうか。

 

今となっては若さゆえの過ちとしか言いようがない過去を振り返り何故あの二つの世界を選んだのか。

 

一度は正義の味方に憧れ最終的には斬首された英雄のなりそこないになった。

 

二度目は完全に刀となるために惚れた持ち主を目の前で殺された主人公となり。

 

こうして3度目の転生で俺は、ようやくまともな職につき落ち着いた人生を送っていた。

 

ー今日は姫島さんの家に行く日だったか。

昔を思い出し懐かしむ俺に声がかかった。

 

「おーい。天城、今日空いてるか?」

俺に声をかけてきたのは俺よりも2歳年上の兵藤さん。

住んでいる場所が近く所詮幼馴染みというやつだ。

「すいません。兵藤さん、今日は用事が」

「いや、気にするな。まあ空いていたらまた家に来てくれないか?君が来ると一誠が喜ぶんでな」

そう言って兵藤さんはカバンを持って早足で帰っていった。

・・・・相変わらず親ばかだな。

最近、息子が釣り竿を壊してしまって責任を感じているだのなんだの飲みに付き合わされたがどうやら中は戻ったようである。

 

俺は姫島さんの家へと急ぐため少し早歩きで向かった。

 

「運動不足かな?」

神社の階段を登り終わった俺は軽く息が上がっていた。

日頃の運動不足のせいだろうか?

かいた汗をタオルで吹きつつ溶けてねぇたろうなぁと右手に持った箱を見て俺は、居るであろう巫女さんを探す。

 

「そんなにキョロキョロして何を探しているのかしら?」

真横から声をかけられ俺は手に持っていた荷物を落としそうになる。

「っ!」

俺を驚かせた本人姫島朱璃さんは、いたずらが成功した子供のような笑顔になる。

 

「いきなり、驚かせないでくださいよ」

「ごめんなさいね」

悪びれない彼女に俺は頭を抑える。

「ったく、子供も出来ていい年だってのに」

ザクッ!

俺の足元に姫島さんが、持っていた箒が刺さった。

「何か言ったかしら?」

「イイエナニモ」

怖い笑顔を浮かべられてはこちらが折れるしかない。

 

「姫島さん。これどうぞ」

俺は持ってきた物を姫島さんに渡す。

「あら?何かしら?」

「ケーキアイスってやつです。この前朱乃ちゃんとテレビを見た時に食べたそうにしてましたので」

「あら、悪いわね」

「いえいえ、こちらもバラキエルさんからいい釣り場の情報を貰ったりしているので」

本当にあの人にはいい釣り場を教えて貰っている。

最近は会えていないが仕事が忙しいのだろう。

「貴方今年で何歳だったかしら?」

「25ですけど?」

それが何か?と言おうとしたら腰あたりに軽く衝撃が走った。

「兄様!」

衝撃の招待は姫島朱璃さんとバラキエルさんの子供の朱乃ちゃんだった。今日は赤色の着物を着ている。

「久しぶりだね朱乃ちゃん」

「うん!」

向日葵のように明るい笑顔を見せる朱乃ちゃん。

最近家からいなくなってしまった猫たちに寂しさを覚えていた心が癒されるな。

 

「今日はお泊まりしていくの?」

「いや、知り合いが家に来るから無理かな」

「えー」

俺が泊まらせたかったのか頬をふぐのようにふくらませる朱乃ちゃん。

「こら、朱乃。無理は言っちゃだめよ七花君だって予定があるんだから」

「わかってるもん」

だけど納得がいかないのか頬を未だに膨らませている。

「また近いうちに来るからさ。今日は勘弁してくれないかな?朱乃ちゃん。アイスケーキも持ってきたしさ」

 

アイスケーキという単語にピクッと朱乃ちゃんは反応した。

やはり女の子甘いものには弱いな。

「し、仕方ないよね。兄様にも予定があるんだもんね」

ふふっ、ちょろい。

 



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もう一度

ー助けて!

 

突然聞き覚えのある声が頭にがひびいた。

ー朱乃ちゃん?

 

いや予感がする。

職場に向かっていた俺は車体を真逆にある姫島さんの家の方向に向けてアクセルを回す。

 

激しいエンジン音があたりに鳴り響く。

 

何だこの胸騒ぎは。

何なんだこの感覚は。

 

階段をバイクで飛ばす。

 

バリンと何かが割る音が響き俺は目の前の後景に絶句した。

 

刀を持った複数の男が姫島さんに切りかかろうとしていた。

そこからは自分が驚くほど流れる様に俺の腕が動いた。

 

腰に付いている拳銃で刀を狙い撃ち、すぐに男と姫島さんの間にバイクを滑り込ませる。

「殺人未遂に銃刀法違反その他もろもろで逮捕な」

 

男達に銃を向けて俺はあくまで冷静に告げる。

 

だが、銃は1丁しか持っていない。

しかもこれは総監殿に無理を言って使っている六連式リボルバー。

 

予備の弾も持ってきていないので残り五発が俺のハッタリで使える武器。

 

ーヤベェ。

相手はパッと見10人以上。

完全にやばい。

あと5発撃ってしまったら俺はその場で負ける。

せめて警棒でも持っておけば何とかなったかもしれないが今となってはなんとやら。

 

「結界を張ってあったはずだがどうやった」

「わからぬ、だがあの男からはただならぬ気配と少しだが神気を感じる」

 

何を話しているかは解らないが大方どうやって俺を倒すかだろう。

クソ!武器はすくねぇし隙を見て姫島さん達をに逃がそうにも。

いや、行けるかもしれねぇ。

頭に思い付いた事を近くにいた姫島さんに耳打ちする。

「それでは貴方が!」

「いいから走れ、そのような事聞く耳持たねぇよ」

第一にこの歳で母親を失うなんて可哀想だろ。

「朱乃ちゃん!」

俺は姫島さんを抱えて賽銭箱の陰に隠れていた朱乃ちゃんに声をかけアクセルを回す。

タイヤがその場で周り砂利を男達に掛けながら俺は走り出す。

「お兄ちゃん!」

賽銭箱の陰から出てきた朱乃ちゃんを空いた手でつかむ。

既に姫島さんはハンドルを握っている。

 

「手を絶対に離すなよ」

朱乃ちゃんを後座席にのせて姫島さんの腰に手を回させてから俺はバイクから転げ落ちる。

その時に受身を取るのも忘れない。

 

まあ、20年も鍛えた体には擦り傷ぐらいしか付かないが。

「時間稼ぎにもなるし俺が勝てばそれで終わるよな 」

「貴様!」

ギリっと目の前でたっている男が歯ぎしりをする。

 

さあ、相手が使うのは刀だ。

 

それもなんの特徴もなく何の長所も短所もないただの刀。

 

体が覚えているかは解らないが使わせてもらおう。

俺もまだ死ぬわけには行かないし結婚したいし。

 

別に之を使うのに躊躇いが無いわけではないが自分の命には変えられない。

 

ーゴメンなとがめ。

ー又使わせてもらうよ姉ちゃん。

 

「虚刀流壱の構え鈴蘭」

 

俺は今だけは刀となろう。

一度は錆、そして折れた刀(自分)を抜く。



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縁側での出会い

仕事がが終わり明日は非番。

 

そんな訳で庭にある物置から七輪を取り出し炭を入れて火をつける。

 

既に縁側には金属トレーに入っている焼き鳥(生)がありその横には氷の入った桶が冷気を漏らしながらも涼を出すべく励んでいた。

その中にはいくつかのビールが冷やされている。

 

既に網は熱くなっており何時でも行ける!

 

ジュッ

 

網の上に3本の焼き鳥を置いて俺は今のうちにと思い台所から予め作っておいた甘だれと塩を持ってくる。

 

火を見るとやはり少し弱いのかもしれない。

近くにあったうちわを手に取り七輪の排気口に風を軽く入れる。

 

今まで少し弱かった火が目に見える速度で炭に入る。

ジュゥゥッ

鳥肉から出た脂が炭に落ちてお決まりの音を出す。

 

ぐギュルルル。

 

「ん?」

俺以外の腹の虫が鳴り響くのを聞き俺は音のした方向に顔を向けると。

 

「「……………」」

 

そこには紅い髪の女の子と眼鏡をかけた女の子がこちらを見ていた。

 

「ふむ」

まあ、予備のために幾つか多めにあるし。

「食うか?」

俺は二人の女の子に焼き鳥を見せながら声をかける。

 

少し少しこちらに歩み寄ってくる二人の女の子に俺は心の中で苦笑しつつ今焼いている焼き鳥に甘だれをはけで塗っていく。

ジュゥゥゥと熱されたあみに甘だれが付着し水分をはじこうとする火が強くなる。

 

こんな時間にそれも女の子2人が普通外にいるわけがない。

見たところ外人さんの子かハーフだろう。

多分親と喧嘩したか道に迷ったかのどちらかだし職業上無視はできん。

 

「ほれ」

焼けた二本の焼き鳥を二人に手渡す。

「あ、ありがとうございます」

「あ、ありがと」

ちゃんとお礼が言えるんだな。

 

そのまま物珍しそうに焼き鳥を見ているふたりに話しかける。

 

「こうやって、食べるものだよ」

俺は焼けている焼き鳥を食べながら説明した。

「立って食うと行儀が悪いしそこで座って待ってな。飲み物でも持ってきてやるよ」

 

生の焼き鳥を3本のほど網の上に置いて俺は冷蔵庫にまだあったであろう果汁100パーセントのりんごジュースを取り出して戻る、その時に冷やしておいた水を忘れない。

 

「焼き鳥だけじや喉が乾くだろ?」

 

透明のグラスに3つ程氷を入れて俺はジュース6分目まで注いだ後8分目まで冷やしておいた水を注ぐ。

 

あっと紅い髪の女の子が声を漏らすがまあ、いいだろう。

 

「100パーセントのままだとあまり飲みやすくなくてな、少し水で薄めると喉越しが良くなるんだよ」

子供に分からない単語で説明した後に渡してやる。

「美味しい」

「だろ?」

「うん!」

笑顔でジュースを飲む女の子を見ながら俺は、置いてあるさらに幾つかの焼き鳥を入れる。

「話は後でいいから先に食べな」

「「うん」」

 

焼き鳥にを頬張る二人を見ながら俺はこりゃあ今日は飲めねぇなと少し残念に思いお茶をすする。

 

「あっ、そうだ名前だけは教えてくれよ」

でないと呼べねぇからな。

「リアス・グレモリーです」

「ソ、ソーナ・シトリーです」

「シトリーちゃんとグレモリーちゃんね。まずは、腹いっぱい食べな」

 

 

 

少し焦げた焼き鳥を齧りながら俺は二人の子を見る。

二人とも顔も整ってるし着ている服も高そうだ。

ただ、靴はかなり汚れていた。

なにかから逃げていたのか?

 

まさか、どこかのおえらいさんの子供じゃねぇだろうな。

 

どっか外国の貴族とか王族に焼き鳥食わしてるってなったら色々とめんどいぞ。

 

主に俺の精神衛生的に宜しくない。

 

「…ん…」

満腹にったせいか瞼が下がってきている眼鏡をかけた女の子。

その横で紅い髪の女の子は、既におねむだ。

「はぁ」

いま、警察に渡しても仕方ないし、このまま放しておくのも何だし。

 

あーあと思う。

敷布団を持ってきて2人をその上に寝かす。

タオルケットを掛けているので大丈夫だろ。

 

ザリ、普通の足音ではない。

 

カタギではない足音が俺の耳に入る。

全くもう仕事は終わったってのによ。

 

溜息をつきながらも仕方ねぇなと思い庭から玄関先に向かう。

 

「はい、どちら様で?」

居たのはスーツ姿の紅い髪の青年と銀髪の女性と黒髪の女性。

 

両手に花かこの野郎?

「この当たりで紅い髪の女の子と眼鏡をかけた女の子を見なかったですか?」

 

どうやら面倒ことらしい。

「いや、見なかったね」

バレないように嘘を吐く。

「そうですか。晩酌時失礼しました」

後ろを向く青年。

もう終わったかと思い俺も後ろを向いた。

 

「待って!」

黒髪の女性に呼び止められる。

「何ですか?」

すっと黒髪の女性の手が俺の肩に付いていた何かをつまみとる。

 

それは紅の髪。

「これは?」

やべ。

「がっ!」

強いケリが俺の溝に入る。

急な事だったから後ろに飛んで衝撃を和らげることしか出来ないか。

 

「今は十分だ!」

蹴ってきた青年の足をつかんでそのまま寝技に持ち込む!

「貴様!リアスとソーナをどこにやった!」

口振りからするに親か?いやそれにしては若過ぎる年が離れた兄か?

迎えに来るには可笑しいだろう。

 

敵だな。

すぐに判断を下して戦闘に移るがために俺は唱える。

正義の味方の成れの果て、理想を追いかけその果に得たものは何も無い。

故にその生涯に意味はなく。

ただ1人で戦い続けてきた!

「投影開始!」

結界は張られているようだから心配はない。

 

「すみませんでした!」

 

3人を天の鎖で動けなくした後話を聞くと喧嘩して家出してしまった二人の妹を探していたらしい。

 

それで俺の肩にについている髪を見て3人は最悪の事を想像したみたいです。

 

「いえ、いきなり蹴った私にも非はあるので顔を上げてくれませんか?」

紅い髪の青年、サーゼクス・グレモリーは声をかける。

 

人間相手と油断したとはいえ彼は自分と本気であったであろうセラフォールそして、こちらも本気であったグレイフィアを傷一つ負うことなく捕まえた。

 

自分は消滅の魔力も使った。

なのに傷一つ負うことなく我々を捕まえたのだ。

「彼は、本当に人間なのでしょうか?」

流石にグレイフィアも驚いているようだ。

 

欲しい。

切実にそう思った。

1人でこの戦力、他の勢力が知ったら取り合いになるのはわかっている。

だからこそいま一番弱いであろう悪魔にしたい。

 

「それでは、代わりと言ってはなんですが之を持ってもらえませんか?」

心の中でにやりと笑いながら私は悪魔の駒を渡した。

「ええ、別にいいですが」

だが、次に目のするものに私は目を見開いた。

 

「なぜ・・!」

「でも、なんですこれ?チェスのコマ?」

悪魔の駒は一切反応しなかった。

 

なぜだ・・・私の実力が足りないとでも言うのか?

それでも、一切反応がないのはおかしすぎる。

 

ここで反応してはまずい。

「いえ得には何もないのですが」

「そうですか。これお返ししますね」

彼は私に悪魔の駒を返した。

 

 

 

「いや、いろいろとご迷惑ををおかけしました」

「いえいえ、こちらこそ久々に数人での食事は楽しかったですよ」

にこやかに笑う彼の瞳には悲しさが感じられたが今私はそれどころではなかった。

 

「それでわ」

「はい、またご縁があったら」

お互いに会釈をして私はグレイフィアたちと冥界に帰る準備をする。

 

「アジュカに話すことができたな」



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其方に

ーわたしに惚れてもよいぞ!

 

 

 

ーわたしはそなたに惚れてもいいか?

 

噫、この1年で大切な人を姉を殺した俺に1人じゃないと言ってくれたじゃないか。

 

この旅か終わったら一緒に地図でも作ろうと誘ってくれたじゃないか。

 

この旅が終われば俺はあんたに。

 

「あんたに好きって伝えたかったのに」

七花は子供のように涙を流しながら倒れているとがめをだき抱える。

 

「ようやく、そなたから好きと言ってくれたな」

嬉しそうに。だが、悲しそうにとがめは微笑む。

 

きれいな白髪は血の色に染まり弾に貫通されたであろう腹部からは止まることなく血が出ている。

このままではとがめは死ぬ

 

・・・また、俺のせいで人が死ぬ。

おれの大切な人が目の前で消えてゆく。

 

「否面白。その変わることの無かった表情がここまで変わるとはそれほど奇策士殿お前にとっては大切なものだったという事か」

 

 

「七花、わたしはなこの旅が終わればそなたを殺すつもりであったよ」

冷たくそう告るとがめ。

「だから、どうしたよ!それでも俺は良かったよ!持ち主のあんたに捨てられるのもそれは俺という刀がいらなくなったからだ!」

あんたに殺されるならそれでもいい!

「甘いな。だがわたしは幸せだ」

七花は唇を噛み締める。

「これで、そなたを殺さずに済んだのだから」

こんなに嬉しいことは無いと。

奇策士とがめはそんなことを言った。

 

「これですべてを辞めることが出来る」

「死ぬ事でないとやめれなかったのかよ」

「そうだよ」

 

「最後に言いたいことがある」

「なんだ?」

 

「そなたは、もうわたしに惚れずともよい。私に縛られる必要は無い」

「あ、ああ」

「そなたほどの刀を使いこなせなかった事を許してくれ」

「そんな事ない。あんたがいてくれたからこそ俺は勝てた!あんたがいるってことが分かってたから。あんたがここまでつかってくれたから 」

とがめのために戦っていたからだ。

そうでなければ俺は戦う前に死んでいた。

錆びて曲がって折れていた。

「もうわたしのために戦わずとも良い」

 

 

「なぁ、七花」

とがめは弱々しい声でだがはっきりと聞こえる声で七花に言う。

 

「わたしはそなたに、惚れてもいいか? 」

 

 

 

とがめは死んだ。

 

ならば生きている意味はあるのか?

ならばこの時に意味はあるのか?

 

刀となろうとした。

 

惚れた相手を!

好きになった持ち主を守る為に!

 

最強の刀になろうとした!

 

「否解、理解出来んな虚刀流。せっかく見逃してやった命だというのに奇策士殿の敵を打ちに来たのか?」

右門左衛門

「違うよ。俺は死ににきたんだ」

 

ー絶刀『鉋』

ー虚刀流最終奥義『七花八裂(改)』

 

1本目

ー斬刀『鈍』

ー虚刀流三の奥義『百花繚乱』

 

2本目

ー千刀 「鎩」

ー虚刀流一の奥義『鏡花水月』

 

3本目

ー薄刀『針』

ー虚刀二の奥義『花鳥風月』

 

4本目

ー賊刀『鎧』

ー虚刀流四の奥義『柳緑花紅』

 

5本目

ー双刀 「鎚」

ー虚刀流一の奥義『鏡花水月』

 

6本目

ー悪刀「鐚」

ー虚刀流―『雛罌粟』から『沈丁花』まで打撃混成接続

 

7本目

ー微刀「釵」

ー虚刀流最終奥義―七花八裂、応用編

 

8本目

ー王刀 『鋸』

ー虚刀流六の奥義『錦上添花』

 

9本目

ー誠刀「銓」

ー虚刀流五の奥義『飛花落葉』

 

10本目

ー毒刀「鍍」

ー虚刀流七の奥義『落花狼藉』

 

11本目

 

残るは炎刀 『銃』のみ。



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英雄は憧れた

「全く、仕事だからと言ってもいきなりこれは無いだろう」

 

霧がかかっている森の中にいる俺はポツリと呟いた。

仕事と言っても犯人の逃走中にこの森に逃げんこだと他の奴らから連絡が入り近くにいた俺が追うことになったんだが。

 

霧が濃すぎて一m先も見えやしない。

 

そして迷った、なにこれ泣けるぞおい!

 

しかもこの森何故かは知らないが磁石で調べても針がくるくると回るだけで方向がわからない。

 

富士の樹海かよ!

 

「クソッタレめ」

お決まりのリボルバーの弾の数を確認して腰に下げている少し眺めの警棒を掴む。

 

視界が悪いのなら銃は使わない方がいいだろうと判断して接近戦ための警棒を左手に握る。

 

 

相手は連続殺人犯。

 

その凶器である鉈はかなり肉厚で首を一刀両断して殺していたらしい。

全く嫌な時代だねぇ。

 

転生前まで多くの人間を殺した俺が言うのもなんだけどさ。

 

 

俺が殺さなくても誰かが殺しちまうんだよな。

 

それをさせない為に警察になったってのに殺されないと犯人を逮捕出来ないとは。

「世の中うまくは行かないもんだよなぁ」

少し鬱になりそうだ。

 

「ぎゃぁぁぁぁ!!」

男の叫び声か響いた。

 

なんだ?

誰かが落ちたのか?

この森には谷や崖はないはずだが。

 

声のした方に走る。

 

「おいおい、勘弁してくれよ」

頭が牛で体が人のような生き物が犯人を上半身と下半身にちぎりその内臓であろうピンク色の物体を旨そうに食っていた。

常人ならこの光景を見ただけで吐き気を催すだろうがあいにく俺は常人ではない。

 

この身は英雄と祀られ人を殺しすぎた身。

故に、こんなものには慣れている。

怪物を見ると前の時の知識かふと心当たりがあった。

 

こいつは確か、ミノタウロスか?

元はどっかの国の王子だったがその父親が神の怒りを買い呪われてしまった子供。

 

こんなことを考えるのは場違いだと思うが、頭は牛なんだから、何で草食じゃないんだろう?

 

いや、あの顔が狼やらライオンなら、まだ肉食だなってわかるんだが。

 

牛だぞ?あの牧場で草食ったりしている牛だぞ?

犬歯よりも臼歯が発達した草食動物の牛が何で肉をかみちぎりムシャムシャと食っているのかが謎だ。

 

閑話休題

食べることに夢中でミノタウロスは、まだ俺には気付いていないらしい。

ならば好都合だ。

 

あいつの足元にはガタガタと震えている子供がいる。

多分あれを食べ終わった後に食べるんだろう。

 

死徒とは戦ったことはあったがコイツには通用するだろうか?

 

落ち着け俺。

 

焦ったらすべて失敗する。

 

ガっ

 

木の根元を蹴り陸上選手の様にスタートダッシュを決めた俺はミノタウロスの股下を走りながら子供を抱き上げてそのまま走る。

 

「ブモォッ!」

やべバレた。

 

直ぐに地面を力いっぱい蹴る。

飛び上がりそのまま手頃な枝を掴んで上に行く力がなくならないうちに体を持ち上げて俺は枝に乗っかった。

 

これで一時しのぎにはなるだろう。

 

俺は下にいるミノタウロスをどうしようかと思い頭を働かせた。



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その二

少女は英雄に憧れた。

 

自分が英雄の子孫であるという事実と自分が持っている神器『黄昏の聖槍』は神滅具は13個ある中でも最強の神器。

 

その最強という言葉が少女にとってはとてもたまらなかった。

一族の中でも体が弱く周りから見下されていた彼女にとって最強とは憧れていたものだったから。

 

 

だが、誰かに言われた。

 

神器が最強でも女のお前が持っていてもどうにもならないと。

 

そこからは簡単だった。

そんなことは無いと少女は叫び。

その誰かは、ならば証拠を見せろと言った。

 

そして、この辺にいるはぐれ悪魔を全て討伐してみせると少女は宣言した。

 

この辺にはそこまで強いはぐれ悪魔や悪霊は居なかった。

 

居たとしても聖なるオーラを使えるようになっている少女の敵ではなかった。

 

だから、油断した。

最後のはぐれ悪魔を見つけた時こいつもすぐに倒せると踏んでいた。

 

だが相手がいや、相性が悪かった。

ミノタウロスは怪物ではあるが、伝承通り人を殺しすぎて神格がほんの少しが持っていたのだ。

神格を持っているものには聖なるオーラは効きにくい。

 

そのために聖なるオーラの攻撃は効かず槍で殺そうとした。

 

だが、今までオーラで倒してきた少女には戦い方などわからなかった。

 

間合いのとり方、抄きの見つけ方。

 

それが解らずただ槍を刺せばいいだろうと。

 

だが相手は怪物であり考えるケモノであり化物であった。

 

少女が近づいた事をすぐに認識してその手に持っている棍棒で少女の槍を弾き腕をつかみ頭から食べようとした。

 

少女は思った。

私は強くないと。

今まで勝てたのは神器のおかげであって自分の実力ではなかったと。

このままでは死ぬ。

恐怖が体を支配してガタガタと震える。

歯が噛み合わずカチカチと音が出る。

 

涙が出る。

「うっ、うわぁぁぁぁあ!」

何処からか人間が現れた。

その手には肉厚な鉈を持っている。

この化物を殺しに来たのだろうか?

 

急に腕を離されて地面に落ちた。

腰に痛みが走る。

 

希望が見えた。今なら逃げれるかもと。

あの鉈でこいつの頭をたたき割ってくれ私をここから開放してくれ!

 

心の中で叫ぶが現実は非情だった。

 

人間が持っていた鉈は根元からポキリと折られ人間は上半身と下半身を握られ引きちぎられた。

 

生暖かい血が少女の頬にべちゃりとついた。

目の前で人間が殺されて恐怖が加速しまた体が震え出す。

 

クチャクチャと肉が咀嚼されている。

 

その時だった俺は急に誰かにだき抱えられた。

「ブモォッ!」

それを逃す化け物ではなくすぐにバレてしまう。

「ふっ」

 

誰かは地面を蹴り自分を抱えたまま大きな木の枝に飛び上がった。

 

 

こんなところに子供とは迷い込んだのか?

 

まあそれよりも下にいるミノタウロスをどうにかしないといけないな。

 

正直勝てるが方法が面倒だ。

 

「この木に捕まっていろよ」

子供に言うとその子はこくりと頷いた。

 

よし。

相手は化け物。

ならば、化物を倒すのは英雄だ。

 

木から少し離れた場所に飛び降りる。

「ブモォッ!」

「ミノタウロスよ、その心臓」

ーIam the bone of my sword

「もらい受ける!」

 

あの、聖杯戦争で俺のライバルのような存在であったあの男の真紅の槍。

 

「刺し穿つ(ゲイ)!」

右手に握られているのがわかり闘気ではなく魔力が俺の体に溢れ小さな魔力の奔流ができる。

狙うは相手の心臓。

 

既に心臓を貫いたという結果は出ている。

 

後はこの槍を放ち、名前を開放するだけ。

「死棘の槍(ボルグ)!!」

 

バシュン!

槍は真っ直ぐミノタウロスの心臓を貫いた。

 

ドサりと倒れたのを見届けると俺は先ほど子供を置いていた木まで飛んだ。

 

綺麗な槍だった。

 

自分のやりとは違う輝きを放つ槍とそれを扱う男に少女の心は奪われた。

 

この子供の名前は曹操、別の世界では我が道を歩こうとした者である



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