レッドが鎮守府に着任しました。 (真紅マフラー)
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伝説のポケモントレーナー
ポケモントレーナー最年少でリーグチャンピオンとなり、幾度の大会を制覇しポケモン図鑑カントー地方を完成させて名を世界に轟かせた男・レッド。彼は今、ピジョットの背に乗り、ナナシマに向かって飛んでいた。
彼はチャンピオンになって暫くしてリーグチャンピオンの座を返上してバトルの世界から引退していた。その後の活動は殆ど世間には知られていない。
あまりにも強すぎてバトルのさいに相手のポケモンを殺してしまったため引退した説。ロケット団を壊滅したのがレッドで残党に命を狙われて身を隠した説。あまりにもレッドが強すぎて他のトレーナーが弱すぎるように感じてしまい飽きてしまった説、などと色々な憶測が飛び交っていた。
真実は本人とその家族。ライバルのグリーンと、グリーンの祖父であり、ポケモン博士でもあるオーキド博士しか知らない。
ライバルのグリーンに勝ち、リーグチャンピオンになったあの日からもう8年。16歳だった少年は、24歳の青年となっていた。ポケモンマスターと呼ばれる彼は、ポケモンと人間がより良い生活が出来るように活動を始めようとしていた。
ポケモンに使う『きずぐすり』を自分で作れるよう、薬剤師の資格を取り、ロケット団壊滅した功績を称えられて、ポケモン犯罪を取り締まるレンジャーの資格を特別に貰ったりとレッド失踪に世間が騒いでいる間、レッドは自分の理想の世界を作るため準備をしてきた。
もうロケット団のような存在を作らない。今のようにポケモンと、人間が共存した世界を残せるように最善を尽くす。これがレッドが思い描く理想で、その理想を実現させるためチャンピオンの座を返上した理由だ。
レッドはナナシマに向かっていた理由は、リーグ四天王の一人のカンナに世話になったお礼を言いに向かっていた。カンナに会うのはチャンピオン返上したいざこざ以来だから8年ぶり、レッドが苦手とする女性の一人で、何度貞操の危機を感じたか分からない。それを除けば尊敬できる人物なのだが。
「なぁ、『
レッドは跨ったいる
『知らないわよ、そんなの。自分でなんとかしてよね』
ピジョットに『へんしん』している幻のポケモンのミュウはテレパシーで言った。
『だいたいレッドが蒔いた種でしょ、私は知らないんだから!』
「はぁ!?俺が何かしたってのか?何もしてないぜ!!」
『あんた本気で言ってるの?』
「ナンパとかしてないでしょっての、18年一緒にいてそんなことしたことあるか?」
『はぁ……』
「おい、なんだその溜息」
『もういいわ……この鈍感』
幻のポケモン ミュウ
全世界にどこかにいるといわれているポケモンで、すべてのポケモンの遺伝子を持ち、ポケモンが使う技をすべて使えると言われるポケモン。その幻のポケモンがレッドの初めてゲットしたポケモンである。
と言っても、出会いはレッドがトレーナになる前、6歳の時。レッドがマサラタウンでおもちゃで遊んでいたとき、ふとした拍子に無くしてしまった。レッドがおもちゃを探していたら、そのおもちゃで遊ぶポケモンがいた。そのポケモンこそがミュウである。
「それ、僕のおもちゃだよ、返してよ」
「ミュ~」
いやだとミュウは首を横に振る。
「そんなに首を横に振っても僕のだよ」
「ミュウ~!」
大切そうにおもちゃを抱え首を横に振る。
「もしかしてそれ気に入ったの?」
「ミュウ!」
うん!と言わんばかり頷くミュウを見てレッドは少し悩んで言った。
「う~ん、分かった!いいよ、それあげる!!」
「ミュウ!?」
レッドの一言で驚くミュウ。
「いいよいいよ、僕には友達のグリーンがいるもん。グリーンと遊べばおもちゃなんていらないもん!」
「それじゃあね、それあげる!大切にしてよね!」
バイバイと手を振ってその場を去ろうとするレッドを見て驚いた。人間は欲深い生き物ではないのかと。ミュウが知っている人間はミュウを研究材料としか見なかった。自分の体毛からクローンを作って壊滅した人間を見て愚かな生き物だと思っていた。しかし、この人間の子は欲などなく笑顔でこれを置いていく非常に興味が湧いてきた。
『ねぇ、待って!』
「ふぇ!?だ、誰!?」
『私よ、君の目の前にいるでしょ』
「君喋れるの?喋れるポケモンもいるんだね」
『ねぇ、友だちのグリーンってどこにあるの?』
「僕のお家の隣の家がグリーン君の家なんだよ。僕と同い年で、一緒に遊ぶ友達なんだ。君にもいるんだろ?」
『友だち……。ミュウいつもひとり。友だちいない』
「ふ~ん、それじゃあちょっと寂しいね」
『君は友だちいっぱいいるの?』
「うん、いるよ!グリーン君でしょ、リーフちゃんでしょ、あとはブルー君も友だちだしあとは……」
『ミュウ、君と友だちなりたい』
「うんいいよ!僕はレッドって言うんだ」
『レッド。私ミュウ』
「ミュウか、かわいい名前だね。僕はまだポケモントレーナになれないから、ポケモン持っていたらお父さんやお母さんに怒られるからほかの皆には内緒だよ」
『うん!ミュウも秘密にする!ミュウは秘密するの得意』
レッドが図鑑を完成させて151番目のポケモンとしてミュウを登録してオーキド博士に提出した際はあまりの驚きで3日間熱を出して寝込んでしまった。ちなみにミュウの遺伝子から生まれたミュウツーは、ミュウがマサラタウンにいると知り、復讐心に駆られてレッドの家に襲撃をしたが、レッドのママにフライパンでぶっ叩かれて気絶したところをママの投げたモンスターボールで捕まった。そのおかげでポケモン図鑑が完成したのだから何とも言えない話である。ちなみにミュウツーはママのありがたい説教のおかげで改心して今ではマサラタウンでママと家事炊飯をこなしている。レッドとミュウは世界で一番強いのはママだと思っている。
『えへへへ(でも小さいころのレッド可愛かったなぁ)』
「なに笑ってんだよ、気色悪いな」
『あら失礼、もうすこしでナナシマ諸島よ(でも今のレッドもかっこいいわぁ)』
「はいはい。っておい、進行方向に雷雲だぜ」
『わかっているわ、でもちょっと待って』
ミュウは雲の中に何かの気配を感じて様子を見る。雷雲の中にポケモンの気配を感じたからだ。
『(雷雲にポケモンと言ったらサンダーかしら?でもレッドが仲間にしているから別個体?それとも別な伝説ポケモンかしら?)』
「どうした?」
『レッド!気を付けて何か来る!?』
ミュウがそう伝えると同時に二体のポケモンが現れた。
「ルギア!!」
『ギラティナ!!』
どちらも伝説ポケモンと扱われるポケモンである。その二体が激しくぶつかり合い戦っていた。
「おい、ルギアの様子がおかしいぞ!!」
『体色が黒に近い色をしているわ!レッド近づくわよ!!』
「どうやって!?」
『ギラティナがいるからあいつの十八番、『シャドーダイブ』を使うわよ!!』
ミュウはピジョットからギラティナへと『へんしん』して、シャドーダイブを発動。ギラティナの首筋に噛みつくルギア目がけてやぶれた世界を通って奇襲をかける。ルギアは
「ギラティナ、大丈夫か?」
『おお、これはレッドさんに姉御さん、お久しぶりです。ありがとうございます助かりました』
『ギンガ団の事件以来ね、どうしたのよカントーで暴れるなんて』
「ダメージ受けてるな、『すごいきずぐすり』使うからじっとしなよ」
『すんませんレッドさん、面目ないです。姉御さんあいつはただのルギアでは無いです。ルギアのコピーとでも言いましょうか、別世界からやってきたポケモンです』
『ポケモンのコピーですって!?』
「おい、何か来るぞ!!」
レッドが叫ぶと目の前の空間が歪む。黒いルギアがやぶれた世界へと侵入してきた。
「馬鹿な!!なんでこいつが!!」
『姉御にレッドさん!!こいつはあなた方が知っているポケモンのルギアではございません!!』
『レッド!戦うわよ!!』
「ああ、リザードン君に決めたァ!!」
レッドはモンスターボールを投げて今手持ちで一番早いリザードンを出す。
「グガァァアア!!」
「リザードンすまんバケモン相手だ、俺を乗せてあいつの攻撃をよけてくれ、戦闘はギラティナとミュウギラティナの二体に任せる。頼むぞ!!」
「グォアウ!」
『レッドさん、姉御さん行きますよ!!』
「ギッッシャァアアア!!!!」
ルギアの咆哮、どこか機械音が混ざっている。
「リザードン『えんまく』!ギラティナとミュウはリザードンの後ろに『飛べ』!!」
リザードンが口から煙幕を張り、ルギアの視界を奪う。その隙に二体はリザードンの後ろにシャドーダイブで移動する。
「お前らァ『りゅうのはどう』!!準備!!」
ギラティナとミュウギラティナとリザードンは口を開いて青いエネルギーを圧縮し発射体制に突入する。
「######################!!」
もはやポケモンの咆哮とは言えない叫びをあげながら、煙幕を掃ってルギアが現れた。
「ってぇええ!!」
『『『りゅうのはどう』』』!!!
レッドの号令に合わせて三体の『りゅうのはどう』を発射する。攻撃はルギアの頭部に直撃した。轟音と共に大爆発が起こる。
『やったわ!!』
「ミュウの馬鹿、フラグ立てんじゃねぇ!!」
爆発した空間が歪みミュウとレッドを引きずり込む。それを見たレッドはリザードンをボールに戻す。
『姉御、レッドさん!!』
ギラティナがミュウとレッドを歪んだ空間から助けようとするが、ミュウとレッドは歪んだ空間に吸い込まれていった。
残されたギラティナはただやぶれた世界を漂うしかなかった。
作者はポケモンはプラチナまででしかやったことがありません。ポケモンも敵として出そうか考えていますがのんびりやっていきたいと思います。
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別世界
大本営では新たな『深海棲艦』が現れたという情報で緊急会議を開いていた。世界は20年ほど前に突然『深海棲艦』と呼ばれる兵器ような生き物が世界中の海域を暴れまわり、船という船を沈め占拠してしまった。これに対し各国は軍事兵器を使って戦ったがまるで効果がなかった。この時指揮をしていた大将はこう呟いた。「まるでゲンガーに対してラッタがとっしんを繰り出しているようなものだ」と。この時海軍大将が言った言葉の意味を理解できる者が誰一人いなかった。その男の名前は庄城戸しょうきど。のちに大本営にて元帥となる男の名前だ。
軍事兵器が通用しない相手を倒すただ一つの道が人類の前に現れた。世界大戦時に沈んだ戦艦の魂を持つ少女たち。艦娘かんむす。彼女らの力で深海棲艦に対応できるようになった人類は反撃の狼煙を上げた。日本本土近くの海域は何とか取り戻したと思ったら、今度は新しい深海棲艦の登場である。
大本営の会議室にて、投影機に映し出された写真を見て元帥は驚いて呟いた。
「これは……伝説のポ……モ……のル、…アか?」
「元帥?」
元帥の一言に気が付いた秘書官を務めている大和型一番艦・大和は元帥の変化に気が付いて声をかけた。
「いや、こんなものも敵にはいるのかとね」
大和は元帥がここまで動揺しているのを初めて見た。どんな状況でも冷静に対応してきた元帥が動揺しているのを見て集まったかく鎮守府の提督も動揺を隠せない。
投影機に映し出さてた写真には龍のような深海棲艦が写っていた。
「元帥が驚くのも無理はないかと、報告によれば大きさは約6メートルほど今までの深海棲艦とは違い自ら飛行でき、艦載機などを撃破するとのことです。口からは砲身が確認され砲撃を行ってきます。わかっているのがここまでです」
舞鶴鎮守府提督が書類を持って報告した。たったこれだけの情報か、と他の鎮守府の提督は彼を責める気にはなれなかった。そもそも彼の情報は彼が遠征に艦隊を出撃した際にたまたま新たな深海棲艦と出会ってしまった。
駆逐艦と軽巡には満足な対空装備などなく、駆逐艦の一隻が轟沈する被害を受けた。一番辛いのは彼と彼の艦娘たちだろう。
「うむ、報告ありがとう。尊い犠牲を払って得た情報だ、十二分に活用せねばな」
床城戸元帥はそう言って腕を組んだ。
「ふむ、まずはこの化け物を名前を付けねばなるまい。これからの戦いでまた相見えるかもしれん」
会議室にいた一同は頷いた。
「これからこやつを『ルギア』と称し戦うことにする」
元帥は今まで敵につけてきた『イロハニホヘト』を付けずにまるで物語に出てくる龍の名前を付けた。
「『ルギア』ですか?」
舞鶴鎮守府提督が訪ねた。
「うむ、『ルギア』とは昔、母からよく聞かされたおとぎ話に出てきた龍の名よ。これから我々の戦いはもっと過激なものになるだろう、みな心してかかれ」
「「「御意」」」
「これにて会議は終いじゃ、情報が少ない何かあったら報告せよ」
こうして緊急会議は終わった。
『レッド!!』
歪んだ空間に巻き込まれたミュウとレッドは巻き込まれる瞬間に『シャドーダイブ』を使ってやぶれた世界から脱出を図った。
表の世界へと現れたミュウは『へんしん』を解いて本来の姿に戻った。レッドとミュウが現れた場所は上空。レッドとミュウは重力に従って海面へと落ちていく。
ミュウは『ねんりき』を使ってレッドを支える。
『レッド!大丈夫!?』
「っ、ああ、なんとかな」
『近くのポケモンセンターにテレポートするわよ』
「ああ」
ミュウはレッドごとテレポートを実行する。しかし、テレポートした場所は赤レンガの大きな建物の前だった。
『な、何ここ?私どこにテレポートしたの?』
「おい、こんな場所見たことねぇぞ。どこだここ?」
レッドは帽子を被り直して建物を見る。今まで旅をしてきたレッドたちには見覚えがない場所だった。レッドはポケモン図鑑を取り出してマップを開く。
【居場所を特定できません】
電子音声がそう伝えた。
『どこなのここは!?』
ミュウが慌てた声を伝えてくる。レッドは落ち着いて言った。
「ミュウ、落ち着け。お前らしくもない」
『っ!……ええごめんなさい』
「人に聞けば分かるだろう。丁度迎えが来たみたいだしな。ミュウお前は姿を隠せ」
『わかったわ』
ミュウは『へんしん』を使ってモンスターボールのバッチになってレッドの帽子にくっついた。
「おい、お前ここは一般人は立ち入り禁止だぞ」
軍服を着た男が駆け寄ってきた。
「すみません、私は旅のトレーナーですが、道を間違えてしまいました」
「何ぃ、なんだって!?貴様何と言った」
敵意むき出しの反応に思わずたじろぐレッド。嫌な考えが一つ浮かぶ。
「自分はポケモントレーナーのレッドという者です」
「ポケモントレーナー?なんだそれは、貴様ふざけているのか!?ここは大本営、一般人が入れる場所ではないぞ!どうやって厳重警備された門を越えてきた!!」
『レッド、もしかして』
(ああ、俺たちの世界とは別の世界に来たのかもしれん)
ミュウがテレパシーで伝えてきた。しかし、まだ確証が足りない。
「落ち着いてください、自分はマサラタウン出身のレッドと申します。一人旅をして道に迷いここまでやってきました。大きな建物故、誰かに道を尋ねようと思い入りましたが人に出会えず、ここまで来てしまったのです。勝手に侵入したことは詫びます。申し訳ありませんでした」
『レッド、まずいわ、逃げるわよ』
(待て!ここはどこか場所を確認してから逃げるべきだ)
テレパシー作戦会議を開き、高速で相談する。
「ふむ、マサラタウン出身といったな、どこにある街だ?」
この男の一言でほぼ分かった。ここは本来いた場所ではないと。
「カントー地方です」
「関東地方の何県だ?」
なにけん?何それ?レッドの中に疑問が生まれた。
「何県だと聞いている、言え!!言えないのか!?」
「えっと、t「何を騒いでおる?」……ん?」
テレポートと言おうとしたとき建物から声がかかった。男は振り返って敬礼をする。
白い軍服を着た初老の男が歩いてきた。隣には美しい女性が立っている。
「何事だ、と聞いておる」
「はっ、一般市民が侵入していましたのでどこのものかと尋ねておりました」
「ふむ、ここは大本営だ。一般市民の立ち入りは禁止しておるが……」
初老の男はここまで言うと言葉が止まった。またレッドも初老の男を見て呟いた。
「オーキド博士?」
『レ、レッドこの人、オーキド博士にそっくりじゃない?』
ミュウもそう思うほど、初老の男はオーキド博士に似ていた。
「オーキド……だと?……きみは……どこから来たのかね?」
「元帥殿?知り合いでございますか?」
「自分はマサラタウンから来ました」
「マサラタウン…………か」
「元帥どうしたんですか?」
女性が不安そうに訪ねた。初老の男は右手を挙げて伝えた。すこし黙ってくれと。
「ふむ、マサラタウンか。……身分証明書のたぐいはあるかね?」
「ハイあります」
レッドはトレーナーカードを取り出した。初老の男はジムバッチが施されたトレーナーカードを見ると、目を大きく見開いてしばらく黙ったかと思うとトレーナーカードをレッドに返すと帽子を取って頭を下げた。
「リーグチャンピオンとは知らずに失礼いたしました。どうぞお許しください」
突然の謝罪にレッドも女性も男も固まってしまった。
『何?何!?何があったっていうの!?』
ミュウも困惑している。
「えっ、いや、自分こそ失礼いたしました」
レッドも訳も分からずとりあえず頭を下げる。初老の男は言った。
「ささっ旅の疲れもありましょう、ここで少し休んでください」
そういうと女性に向かって「大和、この方を客間に招待しなさい」というとレッドのバックを持って案内を始めた。
『あ、ありのままのことを話すわ』
(話さんでいい)
ミュウがテレパシーで謎の説明を開始しようとするのでレッドはそれを止めた。簡単に言うと目つきの鋭いオーキド博士のそっくりさんに豪勢な客間に通された。この緊張はグリーンに勝って殿堂入りするときにポケモンを登録するマシーンの前に立った時と同じものだ。胃が痛くて死にそう。
大和と呼ばれた女性は笑顔でコーヒーを差し出すが、目が笑っていない。なんだろう、マジ切れしたシロナさんみたいだ。
「初めまして、私は庄城戸元帥の秘書官を務めております、大和型一番艦の大和と申します」
「マサラタウンのレッドです」
聞いたことの無い単語がいくつかあってレッドは混乱状態に陥っていた。レッドはなんでもなおしを飲み込みたい衝動に駆られながら何とか答えた。
「ふむ、申し訳ないが大和。私はこの方と二人きりで話をしたい。少し席を外してくれるか?」
「はい、わかりました」
女性は返事をすると一礼をして部屋から出て行った。
初老の男はそれを確認すると話を切り出した。
「君はマサラタウンの出身だと言ったね」
「はい」
「では、オーキドという者を知っておろう」
「はい、私にポケモンをくれた人です」
レッドの一言を聞くと初老の男は頷いて言った。
「うむ、では単刀直入にいうと私はオーキドの兄のショーキドと言う。マサラタウン出身じゃ」
レッドは、あたまのなかがまっしろになった。
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ショーキドの話
オーキド博士の兄というひと言でレットのみならず思考は停止した。そして次々と疑問が湧いてきた。それを見通してショーキドは話始めた。
「突然言い出して信用できないだろうが証拠はある。マサラタウン住民票だ」
ショーキドはポケットから1枚のカードを取り出した。マサラタウンに住む者が持つ身分証明書。随分汚れているが、本物だった。
「ふむ、まずはどこから話そうか?聞きたいことはあるかね?」
レッドはいろいろと思い浮かんだが取り敢えず1番気になっている事を聞いた。
「オーキド博士のお兄さんが何故この世界にいるのかが気になります」
「この世界、か。レッド君は、ここがマサラタウンが無い世界だと理解しているのかね?」
「いいえ、よく分かっておりませんが?情報が少ないです」
「そうだな、まずはこの世界から説明しよう。今我々が居る世界はポケモンと人間が共存している世界ではない。いろいろと言い方があるだろうが、別世界、パラレルワールドと呼ばれるものだ。同じ地球だが、地理歴史、文化に言葉が変わっている。その別世界に我々は何らかの力によって来てしまったということだ。ここまではわかったかな?」
「ええ」
「うむ、そしてわしが何故ここで暮らしておるかと言うとな、ロケット団がとある研究データを盗んだからじゃ。それをわしは追っていたらこの世界にいた」
----40年前グレン島ポケモン屋敷
7月グレン島にあるポケモン研究所。一人の最高顧問とその助手二人が話し合いをしていた。一匹のポケモンのコピーについて。
ポケモンの名前は『ミュウ』。太古の昔、どこかに存在したといわれた『最果ての孤島』に住むと呼ばれる幻のポケモン。そのポケモンの遺伝子情報を持った化石が見つかったのだ。
グレン島のポケモン研究所はロケット団が裏で援助をしていた。当時のロケット団ボスであり、サカキの母は遺伝子情報を使ってポケモンのクローンを作ろうとしていた。遺伝子があれば、メタモンの遺伝子情報と掛け合わせれば、ポケモンのクローンが作り出すことができる。これで、幻のポケモンを作ろうとしていた。
この研究の最高顧問のフジ博士は日記にこう綴っていた。
『7月5日、南米のギアナにて『ミュウの遺伝子』を発見』
研究はフジ博士と助手のショーキドとオーキドの三人がロケット団に利用されているのを知らずに「ポケモンが進化するわけ、ポケモンの誕生の秘密」を暴くため、日夜研究を続けた。
『2月6日ミュウの卵が完成』
メタモンの卵に注射でミュウのDNAを入れたところメタモンのDNAが変化が確認された。実験は成功、後は卵が孵化するのを見守ることだけだった。ところが次の日研究所にロケット団が現れた。
ロケット団は『ミュウ』をロケット団の世界征服の道具とするため研究所からミュウの卵を奪いにきたのだ。ロケット団の下っ端はスリープやユンゲラーを使い、フジ博士と助手のオーキドを「さいみんじゅつ」で眠らせ、記憶の改ざんを行い、ミュウの遺伝子実験に関する記憶を封印した。
「ユンゲラー!スリープ!さいみんじゅつだ!!」
「ショーキド君!!これを持って逃げなさい!」
「兄さん早く!!ロケット団にこの化石と実験データを渡してはいけない!!」
「フジ博士!!オーキドォ!!」
ショーキドは必死に逃げた。ポケモンの背中に飛び乗り空を飛び回り追っ手を振り払おうとしたがトキワの森で捕まった。
「ったく手間取らせやがって」
白衣を着たロケット団の研究員がショーキドを蹴り飛ばした。
「げほっ、博士とオーキドはどうした!?」
「安心しな命はとってねぇ。今まで研究してもらったんだ、命だけは助けてやったさ。ただし、記憶を消してやったがなぁ!ギャハハ!!」
「ぐっ、貴様ぁ!!」
「おっと、早くボスにこれを渡さねば。ケーシィ、『テレポート』」
「させるかぁ!!」
ショーキドは逃げようとする研究員とケーシィに向かってタックルをかました。その瞬間世界が歪み空間にヒビが入る。空間が割れたと思うと、二人と一匹は空間に飲まれていった。
「気がついたらこの世界の海辺にいて、化石も研究員もいなかった。わしは、弟と博士が守ろうとしたものを守れなかった。わしはすべてを失った」
ショーキドは涙を流しながら言った。
ミュウのこども事件。レッドは脳内で思い出していた。
研究所でミュウのクローンを作ったら「ミュウツー」が生まれ、研究所や実験に関わった人物がミュウツーに殺された事件。ほとんどの関係者が殺されたため詳しい真相は迷宮入りとなったが、レッドがグレン島のポケモン屋敷でフジ博士の日記を発見。ミュウの遺伝子の事件なので、ミュウと一緒に調べていた。チャンピオンとなった後、グレンジムのカツラに聞いて当時の研究顧問の名前など訪ねたり、ロケット団アジトを調べまわり、フジ博士は、シオンタウンに住んでいるフジろうじんと同一人物と判明。ミュウとレッドがフジろうじんに詳しい話を聞きに尋ねたら、フジろうじんはミュウの姿を見て昔の実験記憶を思い出し、自分の犯した罪をミュウに告白して謝罪した。
ミュウはいつもレッドにしか見えないように姿を隠していたため、初めてレッドたちに会ったときにフジろうじんはミュウに気がつかなかった。その際、ミュウはフジろうじんを「やさしいおじいちゃん」と評していたため、フジろうじんの謝罪にも怒ることなく許した。ミュウ曰く「これからもポケモンにやさしくしてくれればそれでいいよ」とのこと。その後オーキド博士にミュウは姿を現し、記憶を取り戻させ、極秘にミュウツーの居場所を特定することを条件に過去の過ちを水に流した。その後、ミュウツーがオリジナルのミュウが自分を探していることを知り、オリジナルを殺し自分がオリジナルになろうとマサラタウンのレッド宅を襲撃。そして、レッドのママにフライパンでぶっ飛ばされ、ママがレッドのバックからモンスターボールを取り出し投げつけゲットして事件は解決した。
「ショーキドさん、ロケット団はミュウと私が壊滅しました」
レッドはハンカチをショーキドに渡しながら言った。
「なんと、今なんと言った?」
「ロケット団は壊滅しました、といいましたが?」
「いや、そこではない『ミュウ』といったかね?」
「ええ、……ミュウ出てきてやれ」
『……しょうがないわね』
ミュウは『へんしん』を解いてバッジから元の姿へと戻る。ショーキドは驚いた表情を隠せない。
「わたしは、夢を見ているのか?」
『夢じゃないわ、現実よ。私はポケモンのミュウ、レッドの友達よ』
テレパシーでショーキドに伝えるミュウ、ショーキドは涙を流して言った。
「すまないっ!本当にすまないことをした!!」
『いいの、私の先祖の化石だものあまり気にしてはいないわ。オーキド博士にもフジおじいちゃんにも言ったけど、怒っていないから謝罪なんていらないわ。悪いのはロケット団だからね』
ミュウはショーキドの肩をたたいて言った。ショーキドは声を殺して泣いていた。
「それで、ショーキドさんはどうして暮らしていたのですか?」
「ああ、この世界に来てとにかく実験データがなくなったのをひたすら探していたんじゃ、自分と一緒にこの世界に来たはずだからな。だが探しても探しても見つからなくってな、諦めていたときある異変が起こったのじゃ。『深海棲艦』とよばれる化け物が生まれたんじゃ」
『しんかいせいかん?』
「うむ、この世界では昔、世界大戦が起こっての、その際に沈んだ大砲を積んで武装した船の魂が具現化してこの世界の海を占拠したのじゃ。わしは思った。もしかして実験データを悪用して作ったポケモンなのかもしれんと。しかし、調べようにもポケモンはこの世界におらんし、何もできずにいた。その時『艦娘』と呼ばれる存在が生まれた。さっき出て行った彼女も『艦娘』の一人じゃ。彼女らの力を利用して『深海棲艦』からこの国をまもっておったのだよ、そう、ポケモントレーナーのようにな。ところが、この前新たな『深海棲艦』が発見された、それがこれじゃ」
ショーキドは一枚の写真を取り出して見せた。
「おい、これは!」
『……ルギア!』
ギラティナと戦っていたあの黒いルギアが写っていた。
「ふむ、やはりそうか。どうやら実験データがこの世界に影響しているようだな」
「ショーキドさん私たちはこいつに襲われて戦ったらこの世界に飛ばされたんです」
「なんと!そうだったのか!!」
ショーキドは腕を組み呟いた。
「そうなると、まずいの。下手をすれば世界が崩壊することになる。どうしたものかの」
『あら、何も悩む必要はないわ。私とレッドがその『しんかいせいかん』をぶっ飛ばすの手伝うわよ』
ミュウが言った。
「ミュウ!?」
『レッド何驚いているの?私の先祖の遺伝子で世界が狂っているのよ、知らない顔して帰るわけにもいかないでしょ?』
レッドは真剣な顔をして言った。
「そうだな、ポケモンが無いショーキドさんだけじゃルギアに勝てないし、他のポケモンもいるのかもしれない。ショーキドさん、僕たちにできることは無いですか?」
「君たち……協力してくれるのかね?」
『ええ、他人事じゃないもの、頼まれなくても勝手にやるわ』
「むしろお願いします、協力してください」
レッドが頭を下げてお願いする。ショーキドはレッドの両肩を掴んで言った。
「すまない、君たちには迷惑をかけてばかりだ。こんな私に力を貸してくれないか?」
「ええ、かまいません」
『まかせてよ』
ミュウとレッドの言葉に感動してショーキドは涙が流れてしまう、今まで生きてきてよかったと。
「レッド君、君にお願いがある!!『艦娘』を率いる提督になってもらいたい!!」
次回、レッド着任する。
秘書艦とかどうしようかな?
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レッドが着任しました
ショーキドに言われてレッドは鎮守府にやってきた。しばらく大本営でショーキドの艦娘に世話になりながら数日過ごしてこの世界に慣れていった。レッドが鎮守府に着任するにあたり、ショーキドの艦娘を預かることになった。
駆逐艦の吹雪、睦月、夕立。軽巡の川内、那珂、神通。 空母の翔鶴、瑞鶴。あとは大淀と明石がレッドの慣れない提督業のサポートを手伝ってくれて間宮さんが彼女たちのご飯を作ってくれている。
レッドが一番心配したのがポケモンを受け入れてくれるかどうか。最初は戸惑っていた彼女たちだが、今では一緒に遊んだりする仲になっていた。
『レッド、瑞鶴がお願いがあるそうよ』
ミュウがテレパシーで言ってきた。今ではミュウも彼女たちと仲良くやっている。テレパシーが使えるため、他のポケモンたちと艦娘の通訳をやってたりしている。また、明石と妖精さんがレッドのパソコンを改造してポケモン管理システムを改造。マサキのポケモン預かりシステムを通信できるようにしたため、手持ちのポケモンを入れ替えるようになっていた。明石曰く「レッドさんの道具は面白いものばかりで勉強になります」とのこと。いつの間にか自転車が電動アシスト付になったりと変化していっている。マサキにはメールで状況を報告した。とりあえず、シロナさんとグリーンに現状を報告してもらい、オーキド博士とフジろうじんにショーキドさんが生きていたことを報告した。マサキからの返信にはオーキド博士はただ泣いて喜んでいたとのこと、いつかフジろうじんと3人で会おうと言ってた事を書いてあった。
また、ミュウと一緒にやぶれたせかいに飛んでギラティナに安全を報告した。ギラティナは「お二人がご無事で何よりです」と泣いて喜んでいた。また、他の伝説ポケモンたちにも協力を仰いでもしものときは力を貸してほしいことを頼んだ。ディアルガ、パルキア、グラードン、カイオーガ、レックウザ。ルギア、ホウオウ。他にもサンダーフリーザーファイヤーなどなど、快く引き受けてくれた。「レッドとミュウの姉御の頼みならばいつでも駆けつけよう」とのこと、本当にありがたい。
「トレーナーさん、私空を飛びたい!!」
「瑞鶴、レッドさんが困るでしょ。レッドさん、すみませんうちの瑞鶴がわがままを言って」
レッドはチャンピオンになって、デスクワークをやったことがあるので、ほとんどの書類整理は午前中に終わらせることができた。大淀はピカチュウをひざに乗せていろいろと話をしている。妖精さんが通訳できるのでなんら支障は無い。レッドはポケモンたちのご飯を作ろうかと思っていたときにミュウと翔鶴と瑞鶴がやってきていった。
「空を飛びたい?ヘリコプターでも手配しろってか?」
レッドはあえてボケてみせた。
「ちーがーうーよー、トレーナーさんはリザードンの背中に乗って移動したりしてたんでしょ、私も飛んでみたいなぁ~って」
この鎮守府ではレッドを提督と呼ぶ艦娘は少ない。提督と呼ばれるのをレッドが嫌ったため名前で呼ぶか、トレーナーと呼ばれていた。ちなみに制服は着ていない。理由はミュウに似合っていないと笑われたから。ただし、ここではリーグチャンピオンのバッチは価値が無いので代わりに海軍大佐のバッチを着けている。
「もうっ、瑞鶴!だめでしょわがまま言っちゃ」
「でも、艦載機と一緒に空飛んでみたいじゃない。翔鶴ねぇだって思うでしょ」
つまり瑞鶴は『そらをとぶ』で移動してみたいということだろう。べつにレッドは構わないが、ポケモンがなんと言うか分からないので聞いてみることにした。別に断るやつなんていないが、ポケモンはレッドの奴隷ではないので、対等に話し合って相談する。
「別に俺はいいけどさ、リザードンがなんと言うかねぇ。あいつらだって自分の意思を持っているから、断られるかも知れないよ?」
「うん、それならいいよ。あきらめるから」
瑞鶴はまっすぐ正直に答えた。その答えに満足したレッドはモンスターボールを取り出して窓の外に投げた。リザードンが出てきて空中に滞空する。
「なぁリザードン、瑞鶴がお前にお願いがあるってよ。……ほら、瑞鶴」
「ねぇリザードン、私を乗せて空を飛んで欲しいのだけど、いいかな?」
「ごあう」
「お安い御用だってよ」
レッドが通訳した。瑞鶴がキラキラした顔で「ありがとっ!」と言った。
「よしっ表に行こうか」
鎮守府前にはリザードンが待っていた。よくよく考えればリザードンと空を飛ぶのは久方ぶりである。リザードンは喜んでいるようだ。
「よし、瑞鶴おいで」
レッドがリザードンにまたがり目の前に瑞鶴を乗せる。
「リザードン、GO!」
「ガアア!」
リザードンはレッドの指示に答えると翼を羽ばたかせどんどん空高く飛んでいく。
「わっ、わわっ、ふわぁ~~!!」
瑞鶴の上半身が揺れるので、レッドは瑞鶴の腰を両手で支えてあげる。
「と、トレーナーさん、こ、怖くないの?」
「ん、全然?何だ怖いのか?」
「だって、支えが無いもん!!」
「いいか、瑞鶴。バイクと同じで太ももでリザードンを挟めばどんなに揺れても落ちやしないよ」
「私バイク乗ったこと無いもん!!」
「ほぉら、鎮守府あんなに小さいよ。翔鶴とかありんこみたいだな」
「下とか怖くて見れない!!」
瑞鶴はもはや半泣き状態である。
「トレーナーさんの背中にいたほうがいい!」
「分かった、んじゃポジションチェンジ」
そういうとレッドは後ろから瑞鶴を抱きかかえリザードンから飛び降りた。
「いやぁああああ!!トレーナーさんなにするのぉ!!」
レッドは空中で瑞鶴を背負う間、リザードンは旋回して二人を背中に乗せる。
「はいポジション交換完了」
「ふぇぇ~……」
「まぁ、しばらく俺の背中につかまってな」
「トレーナーさんのいじわるぅ」
しばらく瑞鶴はレッドの背中にぎゅっと密着していたが、しばらくすると恐怖心が無くなったのか、はしゃぎ始めた。
「ねぇトレーナーさん、水面ぎりぎり飛べたりできるかな」
「そのくらい簡単だよな。なぁリザードン?」
「グァウ」
リザードンは急降下すると水面から2センチほどまで急降下、そして急上昇。ありとあらゆる挙動を披露した。
「ねぇ、トレーナーさん、ひとつ聞いていい?」
「ん、どうした?」
「どうやったらここまでポケモンと意思疎通できるようになるの?」
「なんだ、急に?」
「私と翔鶴ねぇは妖精さんに艦載機に乗ってもらって戦ってもらうけど、トレーナーさんみたいにこう思い道理に指示して動かすことができていないなぁと思ってね」
「ふうん、なるほどねぇ」
「ね、教えて」
「ひとつ勘違いしているけど、俺はリザードンを思い道理に動かしてはいないよ?一度もそんな風に操ったことは無いよ?」
「えっ、だって何も言わないで自由に右に旋回したり左に旋回したりしたじゃん」
「いいか、覚えておけよ。『ポケモンの心を知り、ポケモンを慈しみ、己に威厳なければポケモンは従わず!』ってね」
「『ポケモンの心を知り、ポケモンを慈しみ、己に威厳なければポケモンは従わず!』?」
「そう。今のせりふのポケモンを人に変えていってごらん?」
「人の心を知り、人を慈しみ、己に威厳無ければ人は従わず」
「つまり、そういうことだ。常日頃から周りを気遣い、慈しみ、しっかりとした姿勢や意気込みが無ければどんなに優秀で恵まれていてもダメなリーダーや、指揮官になってしまうんだよ。俺はいつもポケモンを見ているから、リザードンが羽ばたいたときの様子で『今日の調子や体調』が分かるんだ。だから瑞鶴も艦載機を飛ばす際に妖精さんたちのことを気にかけたりできるようになれば自然と妖精さんたちも瑞鶴の思うように動いてくれると思うよ」
「……すごいね、トレーナーさんは。そこまで考えられるなんて」
「まぁポケモンリーグチャンピオンだからな」
そのくらいはできないとな、ミュウの相棒なんてやってられんのよ。と笑うレッドの背中がとても広くて大きいものに瑞鶴は感じた。
「トレーナーさん、これからもいろいろ教えてね」
「ん?ああ、いいよ」
『なに私のレッドに色目使ってんのよ』
「瑞鶴ったらレッドさんにくっつきすぎじゃないかしら、あとでO☆HA☆NA☆SHIしないといけないわね」
リザードンは背中の二人がいい感じになっているのにホッコリしながら地上から向けられる殺気におびえてなかなか地上に戻れなかったとか。
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