絶望に生きた覚悟の戦士が幻想入り (高月 弾)
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第0話 未来悟飯が幻想入り


この話は未来悟飯がもし幻想入りしたらを考えてみた。
いわばIFストーリーです。
ド素人の作品なので色々とおかしなところもあると思います。
それでもよいと言うかたは見てみてください。


「俺は死なない!例えこの肉体は滅んでも!俺の意思を継ぐ者が必ず立ち上がり!そして…!お前達人造人間を倒す!!!」

 

これは とある青年が発した最後の台詞だ。

そしてその青年はある二人の人物と睨み合っていた。

青年は髪を金色に輝かせ逆立てていた。

そして碧色の瞳をしていた。

が、何よりも一番目がいくのはその体に左腕がないことだ。

つまり右手のみの隻腕なのだ。

そしてもう二人の人物は男女の兄弟のようだ。

黒髪の男と金髪の女、どちらも青年より幼いように見えた。そして青年の台詞からするに、どうやらこの二人が人造人間らしい。

そして青年と人造人間達が醸し出す雰囲気とそこに降りしきる雨、そしてそれを作り出している分厚い雲によってそこはまるで世界のすべてをかけた戦いを見ているかのようなものだった。

そして、ついに動き出す。

二人の人造人間は青年に向かって重なるように走り出す。

そして女の方が青年に向かって攻撃を仕掛けた。

青年はそれを躱すが、後ろを走る男が時間差攻撃を仕掛けてくる。

しかし青年はそれよりも先に男の顔に蹴りを打ち込んだ。その隙に女が再び攻撃を仕掛けてきた。

青年はガードが間に合わずに攻撃を喰らってしまった。そして、人造人間は激しい拳の連撃を青年にあびせる。青年はそれを片手で受け流したり防いだりして攻撃をしのいでいた。

それは外から見れば互角に戦っているようだった。

 

「す、すごい…あ、あの人造人間達と…互角に戦ってる…?こ、これなら…もしかしたら…あの青年が…人造人間を倒して…俺たちを…救ってくれるかもしれない…」

 

その男はその戦いに目を奪われていた。

そして僅かなその光に大きな希望…いや、僅かに残された希望をすべて託したのだった。

暗闇しか残されていなかったその男の心に一筋の、僅かだが光を感じたのだ。

この男は運良く人造人間の攻撃の中なんとか無事に逃げることができた人のようだ。

その30代の男はそのすさまじい戦いを瓦礫の中から見ていた。そして青年に希望を託していた。

が、その希望もすぐに断たれることとなる。

青年と人造人間は互角の攻防を繰り広げていたが、それも崩れた。

男の人造人間が青年の足を払いバランスを崩す。

青年はすぐさま体制を立て直し一度距離をおこうと飛び立った。人造人間達もそれを追っていった。

 

(た…頼む…人造人間達を…倒してくれ…!)

 

男は見えなくなる青年と人造人間の方を見ながら心で叫んだ。

青年を追っている人造人間達は青年の前に向かってエネルギー波を撃ちだした。

エネルギー波は青年の前でぶつかり合い爆発した。

そしてそこには大量の粉塵と爆風が巻き起こる。

青年はそれから体を守るように体を僅かに丸める。

そしてその間に人造人間達が青年に追いつきタックルをする。

青年は吹き飛ばされ壁に激突し、地面に落ちていく。

それを見ながら人造人間達はその青年の真上に飛んでいき、やがて止まる。

そして、二人はてを青年の方に向け…大量の光の玉…大量のエネルギー弾を飛ばしていく。

そしてそれは青年をめざして一直線に進んでいく。連続して聞こえてくる爆発音。

その光はどんどん大きくなっていき次第に青年の体を飲み込む。

 

「あっ…あぁ…あ………。」

 

そして、その光は青年の体だけでなく辺り一体を光で飲み込んでいった。

空には分厚い雲が覆っていてとても暗いはずなのに、そこは、まるで昼のような明るさになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅ…。」

 

少し時間がたち別の場所で一人の少年が目を覚ます。

その少年は意識をはっきりさせようと首をふる。

そして目を見開き突然なにかを思い出したかのように街を見る。不安と恐怖にかられながらも。

するとそこには以前あったような高いビルなどがあった都市はなく、黒い戦塵が上がり少し遠くから見てもビルが破壊され、倒れ、粉々になっている様子が見えた。が、少年が驚き不安になっているのはそれではなかった。

 

「か、感じられない…悟飯さんの気が…!」

 

そう言うと少年はすぐに飛び上がり破壊された都市…いや、廃都市に向かって飛んでいった。

なんとその少年も空を飛ぶことができたのだ。

それも鳥なんかよりも断然に速く。

少年は白い炎のようなオーラを纏いながらすごい速さで飛んでいった。

 

 

少年は廃都市にたどり着くと速度を落とし誰かを探すようにゆっくりと飛び始めた。

少年は雨の中傘もささずにひたすら飛んでいた。

ある人物を探し出すために。

しばらく飛んでいると少年はあるものを見つけた。

 

「…はっ…!」

 

それを見つけたとき少年は思わず声を出す…そしてその見つけたものとはある人物だった。

 

「…悟飯さん……。」

 

そう、少年が探していたのは先程まで人造人間達と激しい戦いを繰り広げていたこの青年だった。

そしてこの青年こそ少年の言う悟飯という人物なのだ。が、青年は人造人間と戦っていた時とは少し変わっていた。

髪は黒色になっており逆立ってもいなかった。

それに筋肉も僅かばかり減っているようにも見えた。

…が、その左腕はないままだった。少年が地面に降りてきて青年に向かって歩き始める。

 

「…悟飯さん……悟飯さん…悟飯さん…悟飯さん…!」

 

少年は悟飯の前につくと悟飯の体を持ち上げ必死に呼び掛ける。

 

「悟飯さん!…悟飯さん!!」

 

その体を揺さぶるがその体は傷だらけで全く動きもせず、返事も返ってこなかった。

悟飯は死んでいたのだ。

少年はその真実を信じられないと言わんばかりに、悟飯の体を腕から落とし、

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

大きな声を上げ泣き叫んだ。

廃都市一体に響くような大きな声で。

自分が守れなかった存在に対して、自分への怒り、悟飯を殺した人造人間達に対しての怒り、そして悟飯を失ったことへの悲しみに泣いた。

己の爪で自分の手から血が出るほど強く握りしめて。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!」

 

【ボオォォォォオ‼】

 

すると突然少年に変化が起こる。

突然髪は金色に代わり逆立ちそして瞳は碧色に変わる。

それはまるで今倒れている悟飯が人造人間と戦っていた時のように。そして金色に耀くオーラを纏った。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!」

 

少年は泣きながら思いきり地面を両手で殴り付ける。

 

【ドガアァァァァァン‼】

 

地面は大きな音をたてながら少年を中心に大きく割れた。

少年は泣いた。ひたすらに泣いた。

涙が枯れ果ててしまうほどに、もうにどと泣けないほどに…。

 

「うっ…うぅ…くっ…うっ、あぁ…あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

どれだけの時が立っただろうか。

少年はとても長い間泣いていたようだ。

少年はゆっくりと立ち上がる。

まだその顔から涙がこぼれ落ちているが少年はゆっくりとだが動き出す。

いつまでも立ち止まっててはいけない、動き出さなくては…と言うように重いからだを動かす。

そして悟飯の方に目を向けたとき、ありえないものを目にする。

 

「な!?ご、悟飯さん!?」

 

それは悟飯の体が透明に透けているのことだった。

しかもそれはもうすでに地面が透けて見えるレベルとかではなくまるで幽霊でも見ているかのレベルの透明度だった。

 

「そ、そんな!?なんで!?悟飯さん!悟飯さん!!?」

 

少年は必死に呼び掛けるが意味はなくさらに悟飯の体は透明になり消えそうになっていく。

 

「ご、悟飯さーーーーん!!!」

 

少年は悟飯に飛び付く。

しかしそれも非情なことに間に合わず、悟飯の体はなにもなかったかのように消えてしまったのだった。

 

「そ、んな…、どう…して、こんなこと…が…。」

 

少年はその場に膝をつき座り込む。

その場には恐らく悟飯のものであろう血が付着している。

悟飯がここにいたのは間違いないのだ。

それが、目の前で消えた。

なんの予兆もなしに。

少年はただただうなだれることしかできなかった。

 

 

(うぅ、こ、ここは…?)

 

ある人物が目を開ける。

するとそこはなにもないただただ黒い世界が広がっているだけと空間だった。

 

(お、俺は…確か…人造人間と戦って…そして…)

 

そう考えているとき突然激しい頭痛が襲う。

 

「ぐっ!!あぁ!?」

 

あまりの痛さにそのまま気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ、めんどくさいわねぇ。」

 

そう言いながらその人物は目の前の化け物を吹き飛ばす。

 

「ギャアオォォォォォォォオ!!!」

 

化け物は大きな雄叫びを上げるとその人物に突撃してきた。

するとその人物は札を取り出して、

 

「だから…めんどくさいって言ってるでしょ!」

 

「スペルカード発動!!」

 

【霊符 夢想封印】

 

札が光りだす。

そしてその人物はその札を放ち化け物にぶつけようとするが、化け物はそれを躱す。

 

「ギャオォォォォォォォオ!!!」

 

化け物は再び雄叫びを上げてその人物を襲う。が、

 

「終わりよ…。」

 

【ドガガガガガァァァァン!】

 

「!!?」

 

なんと化け物に先程の札が当たったのだ。

それも横から。

なんとさっきの攻撃は先読みして躱した相手のことを追尾して攻撃するホーミング性が高い攻撃だったのだ。

しかもそれを受けた化け物はたった一度攻撃を受けただけなのに倒れて気絶してしまったのだ。

 

「ふぅ、…にしてもこれだけ大きな妖怪がこんなことをするなんて、何かの予兆かしらね?…正直言いたくないけど…嫌な予感もするし。はぁ、博麗の勘かしらねぇ?」

 

そう、この人物は幻想郷の中心人物でありパワーバランスのトップクラスに存在する博麗の巫女、博麗霊夢である。

そしてこの世界は幻想郷と言う。

ここは一言で言うなら隔離された世界。

少年や悟飯が住んでいた世界や、界王様の住む界王星、ナメック星人の住むナメック星とも交わることのない孤立した世界だ。

そして先程少女、博麗霊夢が言ったようにこの世界には妖怪が存在するのだ。

霊夢は妖怪を倒すと歩き出した。

どうやら家に帰るようだ。

しかしその途中…

 

【ガサガサガサッ】

 

「!!」

 

霊夢は物音を聞くとすぐに札を取り出して構えをとった。

どうやらかなり戦いなれているようだ。

そしてゆっくりと物音のした方に歩き出す。

 

(はぁ、今度はなにかしら?めんどくさいことにならなきゃいいのだけれども…)

 

そう思いながら物音のした茂みに近づき、そして近くで止まった。

警戒心を強めながら霊夢はその茂みを覗きこむ、すると

 

「ひ、人?」

 

霊夢はそれを見ると少し警戒心を解きその人に近寄った。が、警戒心を完全に解いたりはしなかった。

 

(人の容姿にそっくりな妖怪もいるからもしかするとこいつも…でも見た感じ妖怪ではないわね。)

 

そう思いながらその人が倒れているようなので肩に手を当てて声をかける。

 

「ねぇ、あなた大丈夫?こんな夜にここに来るなんて危険だって思わなかったのかしら?」

 

そう言いながら手を離すがその時驚きの物を目にした。

 

「え!ち、血!?そ、それに手一面に!?」

 

霊夢は自分の手の一面が血に染まっていることに気づき驚く。

そして、それは自分の血ではなくこの倒れている人物の血であることもすぐに理解した。

すぐに倒れてる人の体を確認する。

するとその体は傷だらけで体中に血が付着していた。

しかもその傷はつい最近…いや、まるで今さっきつけられたかのような傷だったのだ。

 

「ちょっと!あなた!!しっかりして!!大丈夫なの!?」

 

そう叫びながら体を大きく揺さぶる。

すると、

 

「……うっ、……うぅ………。」

 

「!?よかったぁ…まだ生きてるみたいね。それに意識もなんとか戻せそうかしら?」

 

その人物が僅かに声を漏らす。

それを聞いた霊夢は安心して彼女も安堵のため息を漏らした。

 

「見たところ18~9に見えるけど…いったい何をしにここに来たの?妖怪がいることぐらいわかってたわよね?」

 

そう言いながらその青年の肩を持つ。

すると、青年が目を覚ます。

 

「うっ、…あぁ……あ。」

 

「あら?目が覚めたかしら?大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年は目を覚ました。

 

(あ、あれ?こ、ここは?どこ?)

 

そして誰かに肩を持たれてることに気づく。

 

(ん?だ、誰が肩を?)

 

そう思いながら隣を見ると見覚えのない顔がすぐそばにあった。

しかもその顔は女性だった。

それも青年よりも少し幼く見える。

 

(こ、この子が俺の体を支えてくれてるのか?)

 

そう考えているなら恐ろしいことに気づく。

 

「うっ、…あぁ……あ。」

 

(こ、こいつ…)

 

「あら?目が覚めたかしら?大丈夫?」

 

(こいつから…気を感じない!?ってことは!!?)

 

その青年は最悪の状況を想像する。

 

「ねぇ?大丈夫?あなた意識ある?」

 

「…れろ…。」

 

「え?」

 

あまりにも声が小さかったので霊夢がもう一度耳をすませる。

すると次に驚くことが起こる。

 

「は、はなれろおぉぉぉぉ!!!」

 

突然青年が荒々しい声を上げたかと思えば、次の瞬間衝撃波のようなものが霊夢を襲った。

あまりに突然のとこだったので霊夢はなにもできずに吹き飛ばされてしまった。

 

「キャアァァ!!?」

 

霊夢は吹き飛ばされて木に激突する。

そして体をうちつけた。

体が木にぶつかる激しい音が辺りに響く。

 

「ちょっと!!なにするのよ!?」

 

霊夢はいきなり飛ばされたことに怒りながらも札を構え始め、青年と対峙する。

青年はふらふらと立ち上がり構えをとる。

 

(あれは…武術の構え。と言うとこは…武闘家!)

 

「お、お前も…人造人間達の…仲間だな!もう…お前達の好きにさせて…好きにさせて……たまるかぁ!!」

 

そう叫びながら霊夢を睨み付ける。

その鋭く強みのある眼光に霊夢は一瞬怯む。

が、霊夢はすぐに、

 

「何をいっているの!私は人造人間なんかじゃないわ!ちゃんとした人間よ!」

 

と青年に向かって叫ぶ。

霊夢は警戒心を最大にして今青年と対峙している。

なぜなら不意打ちとはいえ彼女自身を吹き飛ばす相手など幻想郷の中でも決して多くはないだろう。

その霊夢が吹き飛ばされるだけでなくその眼光のみで一瞬怯まされたのだ。

それほどの相手は幻想郷にそうそういない。

 

「はぁ…はぁ……貴様からは気を感じない…!つまりは人造人間だろう!隠しても無駄だぞ!人造人間がどんなことをしようが気は使えない!」

 

そう叫ぶと青年は霊夢に向かって突撃してくる。

霊夢はそれを躱しながら光の弾を青年に向かって放つ。

 

「私は人造人間じゃないわよ!あなたの言う気がなんなのかは知らないけど攻撃してくるようなら私も容赦はしないわよ!」

 

そう言いながら距離を置く。

 

(まぁ今の通常の弾幕…いや、弾幕とも言えないわね。あれだけで十分だわ。あれだけ傷だらけなのだから。)

 

そう思っていたがその予想は大きく外れることになる。

 

「…は、はあぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

【バチッ!】

 

「な!?」

 

なんとその青年はその光の弾を素手で弾いてしまったのだ。

その目の前の出来事を信じられないと言わんばかりに目を見開いている霊夢に青年がすぐに、

 

「はぁ!」

 

拳を振るう。

それは油断…いや、立ち尽くしていた霊夢はそれの反応が遅れて直撃してしまう。

 

「キャア!!」

 

そして再び吹き飛ばされてしまう。

しかもさっきよりも遠くへ。

 

(い、一撃が思っていたよりも重い…これはそう何発もまともに受けてたらもたない…)

 

そう思った霊夢はスペルカードを手に構える。

 

【霊符 夢想封印】

 

霊夢がスペルカードを発動させるとそこには広範囲に広がる弾幕が展開された。

その弾幕は青年へと迫っていく。

青年はその範囲から逃れようと一度距離をとるため弾幕の迫る方向とは垂直の方向に飛び始めた。

そのスピードは速く、夢想封印のスピードよりも速かった。

そのため夢想封印の弾幕の範囲外に逃がしてしまった。

 

「こ、これで終わりだぁぁぁ!!!」

 

青年が拳を握る。

その時、

 

【ドガガガガガァァァァン】

 

「ガハッ!なっ!?」

 

「その弾幕はホーミングに優れてるのよ。甘く見たわね!」

 

そう言いながら青年との距離を詰める。

至近距離で攻撃を仕掛ける気だ。

霊夢のスピードも速く、すぐに青年との距離は縮んだ。

 

「これで終わりよ!」

 

霊夢が札を構える。

これで決まると思った瞬間、またも驚きのことが起こる。

 

「なめるなよ?人造人間…!」

 

「え?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

青年が雄叫びを上げると青年の体からは炎のような白色のオーラが溢れ出してきた。

直後に霊夢は至近距離で通常の弾幕を展開し青年に直撃した。

終わった…はずだった。

 

「終わったわね…。」

 

霊夢が煙の方を見ると驚いたことが起こっていた。

煙が渦を巻いているのだ。

先程攻撃したところを中心として、そしてその中心には人影がはっきりと写し出されてした。

 

(そ、そんな!?)

 

煙が吹き飛ぶ。

するとそこにいたのは白色のオーラを纏った青年の姿だった。

それもほとんどダメージを受けてないかと疑うほどだった。

そして青年は霊夢に攻撃を仕掛ける。

霊夢もすぐに防御の構えをとる。

霊夢も多少なり武術は習得しているため近接の戦闘が全くできないわけではない。

青年の攻撃はとてつもなく速い連撃だった。

霊夢はそれをガードするだけで手一杯だった。

 

(は、はやい!…これだけの技術があってなぜこんなところでボロボロで倒れていたのかしら?)

 

そして青年の蹴りが霊夢の腹にはいる。

 

「ぐはぁ!」

 

霊夢は吹き飛ばされるもののなんとか地面に足をつけ踏ん張る。

 

【ズザアァァァァァ】

 

地面になんとかとどまる。そしてすぐに、

 

【霊符 夢想封印 集】

 

先程よりも密度のある弾幕を展開する。

青年との距離も近く広範囲に広がる弾幕よりも範囲を狭くして確実にダメージを与えられる一手を選んだのだ。

そして青年は回避が間に合わず、

 

【ドガガガガガァァァァン!!!】

 

直撃した。

そして再び粉塵が舞い上がる。

霊夢は少し息を切らせてその場所に歩いていく。

もちろん警戒心は解かずにだ。

 

「はぁ、はぁ、…この人はいったい…何者?」

 

これだけの力を持つものならここら辺の妖怪に負けることなどありえないだろう。

が、この青年はボロボロの状態でここにいた。

それが霊夢にとって一番の疑問だった。

そう考えていたその時、

 

「はぁ、…あぁあぁぁ…!」

 

「う、うそ!?」

 

霊夢は青年が立ち上がる瞬間を見た。

 

(あ、あれを喰らってまだ立てるの!?)

 

すると青年は拳を握りして思いきり力を込める。

 

「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

大地が揺れる…いや、大気が揺れると言った方がいいだろう。

どちらにせよ霊夢のいるところは揺れていたのだ。

 

「な、何が起こっているの!!?」

 

霊夢はただただ戸惑うことしかできなかった。

なぜならこんなこと今まで見たことないどこらか聞いたことすらなかったのだ。

 

「はあぁぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁああ!!!!!」

 

すると青年の纏うオーラが白から黄色に変わり始めた。

そして変わるとさらに揺れが大きくなる。

 

「い、いったい何が…!?」

 

青年が手を頭の前で構える。

それと同時に霊夢がなにかを悟る。

 

(あ、あれを喰らったらダメ!!!)

 

「魔閃光ーーーー!!!!!」

 

【夢符 二重結界】

 

【ドガアァァァァァァァアン!!!】

 

激しい轟音をあげながら辺りは光に包まれた。

そして煙に包まれた。

 

 

やがて煙が晴れていく。

するとそこにはところどころ服の破れた霊夢が立っていた。

 

「はぁ、はぁ、まさか…二重結界でここまでダメージを受けるなんて…これは不味いわね…」

 

そう言いながら息を整える。

 

「これはもう…【異変】ね!」

 

 

「はぁ、はぁ…。」

 

青年はふらふらと木を伝いながら歩いていた。

 

「これであいつは倒せた…。もう、誰も殺させるもんか…人造人間は…俺が倒すんだ…!」

 

そう言いながら森のなかを進むが。

 

【ズシャ】

 

倒れ込んでしまう。

それもそのはず元々ボロボロだった上に霊夢との戦いがあったのだ、むしろ今までたっていられた方が奇跡なのだ。

 

「はぁ、はぁ…す、少し休もう…。人造人間達を倒すのは…それからに…しよ…お……。」

 

そして青年は眠りについた。

 

 

・第1話 終

 




・どうも弾(作者)です。
 始めてだったので感覚わからずに長くなってしまいました。
 不定期更新+遅すぎる更新だと思います。
 次回からは少し短くなると思いますが、
 これからよろしくお願いします。


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第1章 青年異変
第1話 主犯は外来人!?巻き起こる青年異変


どうも、弾です。
投稿ペースなんですが、俺の時間が取れ次第製作に取りかかるので遅い更新+不定期更新です。申し訳ありません。
あと東方は原作プレイしたことないので東方に関しては誤った解釈があると思いますがご了承ください。

今さらですが、「」=セリフ
       【】=スペルや、技 (強調等も)
        () =心の声、感情
を表しています。


「あ、あやや…まさかこれほどまでとは…」

 

手に持ったカメラのシャッターをきりながらその人物は驚き目を大きく開いていた。

その人物は黒い羽を持ち空を飛んでいた。

その人物が撮っていたもの、それは、この大きく焼け焦げた大地だった。

 

(それにしても、これほどまでに大きく地面を焼くほどの強さとなると幻想郷にさえそう多くなはないはずですが…それに誰かが異変を起こそうとするような予兆はありませんでしたしねぇ…)

 

そう考えながらさらにもう数枚撮ったのちに地面に降りる。

そしてその焦げ目に触れる。

そしてその地面の臭いを嗅いだり辺りを見回してみたりする。

 

(…火で焼いたとは思えないですね…臭いが炎の焦げ臭さとは違いますからね。

ここまで広くに焦げ跡が、ただの弾幕ではありませんね…いいえ、弾幕ですらないかもしれませんね。

爆発は絶対にここが中心ですね。)

 

そう言いながら再び写真を撮り始める。

真剣な声とは裏腹にその人物の顔は口を緩ませ、目は輝いていた。

そして様々な角度からその場所の写真を撮ると、満足げな笑顔を見せてその人物は飛んでいってしまった。

 

【ガラガラッ‼】

 

別の場所、とある神社では誰かが荒々しく扉を開く。

そしてすぐに倒れこむように座ってしまう。

その人の息はかなり荒れていて肩で息しているのがわかった。

月光がその人の顔を照らす。

その倒れこんだ人とは博麗霊夢だった。

霊夢はしばらくその場に座り込んでいたが息を整えるように深呼吸する。

そして少し時間がたつと立ち上がる。

 

「…ふぅ、どうしようかしらねぇ。」

 

霊夢は立ち上がるとすぐに壁に寄りかかりすぐになにかを考え始めた。

 

(あいつの力は私一人でどうにか出来るものではないわ…魔理沙に協力を頼もうかしら?

けれど…正直魔理沙一人が手伝ってくれたとしてもあれだけの力に対抗できるかどうか…)

 

と深く考え始めた。

体をかなり傷ついているはずなのに霊夢は決して考えるのをやめたり休もうとしたりはしなかった。

やがて霊夢は少しやけになったかのようなため息をつく。

 

「やっぱりこうするしかないかもしれないわねぇ…不本意ではあるけれども…」

 

そう言いながら頭をかく。

するとそのタイミングで翼を羽ばたかせるような音が聞こえてくる。

その後地面に降りるような音も聞こえた。

 

「はぁ、タイミングがいいというか悪いというか…」

 

そう言いながら霊夢は音のした方に歩いていった。そしてその人物の前にたった。

 

「あやや?今回は霊夢さんの方から来るとは意外ですね。」

 

明るくいいながらも目は鋭くなりその視線はボロボロになっている霊夢の体をとらえていた。

 

「文。あんたに頼みたいことがあるのよ。

どうせもう戦闘のあった場所には行ったんでしょ。」

 

「はい、行きましたよ。

やはり霊夢さんでしたかあそこで戦闘を行ったのは。

それにその様子だと相手もかなりの強者のようですね。」

 

文はそう言いながら霊夢の体をまじまじと見る。

霊夢の体と顔にはいくつのもアザと傷ができていた。

戦闘がどれほど激しいものだったかがうかがえる。

霊夢ほどの人物がここまで追い込まれるとなると相手もかなりの人物である。

 

「でもそれほどの傷を負うとなると誰にやられたんですか?

霊夢さんをここまでにするとはかなりの妖怪だと思いますが…」

 

「わからないわ…」

 

霊夢の返答に文は驚く。

 

「わ、わからない?」

 

「えぇ、私が今まで一度も目にしたことのない生き物だったわ…妖怪なのか人間なのかもわからないし、私たちとはなにか違うものを感じたわ。」

 

「霊夢さんと相対できるほどの強さを持つ人間なんていないと思いますけど…違う力ってまさか!?」

 

「えぇ、…あくまで可能性だけど。

私が戦ったやつは…外来人の可能性がある。」

 

「!!?」

 

文は驚きを隠せない。

信じられないとばかりに首を降る。

そして目を見開きながらもすぐにメモ帳をとりだし書き込んでいった。

言った本人である霊夢も自分の言ったことが信じられないようだった。

そして霊夢は文にあることを頼んだ。

 

「…私の新聞で人里の人々に警告してほしい?」

 

「えぇ、そうよ。

文の新聞にこの異変のことをかいて人里の人たちに夜は出歩かないようにしてほしいの。

大人も人間も。

そして、妖怪の山の妖怪たちにも伝えてくれないかしら?

あと爆発は異変であることとそれは私たちが解決すると。」

 

「私【たち】ですか?」

 

文はその言葉に疑問を抱いた。

確かに異変を解決するときは魔理沙と解決することがよくあるがそれは霊夢がそう望んだわけではないし【私】という単体での活動だが今回は【たち】という複数形の言い方をしたからだ。

つまりこれの意味することは、

 

(…霊夢さん一人では解決できないレベルの異変…ってことですか。)

 

「わかりました。

ではこの異変のことを人里や妖怪の山の妖怪たちに危険かつ関わるなと伝える条件付きで新聞を出す許可を出していただけるのですね?」

 

「…えぇ、それをしてくれればね。」

 

そう言いながら霊夢は文に背を向けた。

そして神社の中へと戻っていった。

そして扉を閉めた。

文もすぐに飛び立ち山の方へ飛んでいき夜の闇に姿を消した。

その二人の顔はお互いにとても真剣な顔をしていてお互いにどこか不安な表情をしていた。

 

その頃焼け跡のある地点には二人の女性が向かっていた。

 

「あれほど大きな爆発があったなんてなにがあったんだ?

あれほどの爆発、そうそう起こるものじゃないんだぜ。」

 

「そうね…それに空があれほど明るくなるほどの光ってそうそうないわよ。」

 

そう言いながら二人の女性は戦闘のあった焼け地にたどり着く。

そしてその焼け跡を見た二人は絶句した。

そのあまりの酷さに二人は言葉を失っていたのだ。

そして二人は少し時間を置きやっと口を開く。

が、しゃべり方はまだ安定してはいなかった。

 

「なっなんだよこれ…こ、こんなに…焼け焦げた土地…になる…なるんて…いったい…なにが…」

 

「こ、こんな…大きな…どうやって…」

 

二人とも驚きを隠せないようだった。

が、しばらくそれを見ていたあと、長い金髪の少女から話始めた。

 

「れ、霊夢のところにいくぜ…そっ…そうすれば…何かわかるはずなんだぜ…」

 

そう言いながら手に持っていた箒にまたがる。

するともう一人の肩ぐらいの髪の長さでその方に人形を乗っけた金髪の女性が、

 

「私もいくわ…さすがにここまでのことを知らずに帰るのは嫌だからね。」

 

そう言いながら魔法使いの箒の後ろに乗った。

それを見た魔法使いの少女は女性を降ろそうとしたが降りる様子がないのを見るとため息をつきながら、が少し笑いながら

「振り落とされるなよ!」と一声かけると速いスピードで空を飛んでいった。

そしてその焼け跡を別の人物も見に来ていたりしていた。

その瞳を赤く光らせその手にある爪が鋭く光る。

そしてそのとなりにメイド服を着た女性が立っていた。

そしてその場所を真剣に見てその状況を目に焼き付けるように睨むとすぐに振り返り闇のなかに消えていった。

そしてこの異変はすでに数々の妖怪と幻想郷の住民たちに知られた。

文はこの話を新聞にするために、霊夢は決戦までに体調を整えるために…各々は自分自身のやるべきことをやろうとしていたのだった。

そしてそれは、この異変がそれほど大きな異変であることを指し示していたのだった。

そして金髪の少女達が霊夢の神社にたどり着く。

 

「おーい!霊夢ー!!」

 

金髪の少女が大きな声をあげた。

すると扉がゆっくりと開いてなかから霊夢が出てきた。

しかし霊夢は扉にもたれ掛かりながら出てきたのだ。

 

「魔理沙、でかい声出さないでよ…あっ、それにアリスが来るなんて珍しいわね。どうかしたの?」

 

霊夢はまるでなにもわかってないかのような明るい声で話すが魔理沙とアリスは二人とも真剣かつ心配するような目で霊夢を見つめていた。

それもそのはずいくら暗かろうが霊夢の体に傷があるのは目で見てわかるものだったからだ。

そして暗くてよく見えないものの霊夢の声は明るく聞こえたがその顔はどこか辛そうに見えたのだった。

 

「霊夢…魔法の森でなにがあったんだ!教えてくれ!!」

 

「そうよ、あの森で異変が起きたならあの森に住んでる私たちにも知る権利はあるわ。」

 

魔理沙とアリスは霊夢に詰め寄るように自分達の言いたいことを述べた。

そしてそれを聞いた霊夢は諦めたようにため息をつく。

そして、

 

「わかったわよ、話すわ。

ただし私もまだ全部を理解している訳じゃないからこれを全部信じるなんてことはしないでよね。」

 

魔理沙とアリスが頷くのを見ると霊夢は話始めた。

霊夢がある青年と戦ったこと、その青年と強さ、そして文に頼んだこと、そして自分の予想を。

それを聞いた魔理沙とアリスはまるで信じられないとばかりに首を横に降ったり目を見開いたりしていた。

が、霊夢の顔を見ていた二人はそれを真実として語っているのだと分かっていた。

が、それでもなお驚きは隠せなかった。

そしてこの場にいる三人は理解していた。

この三人は少なくともこの異変を解決することに力を注ぐだろうと…

 

 

 

 

 

そしてそれぞれがやることを決め、そして夜が明けた。

その日の朝は驚くほどに静かなものだった。

静かに、だが誰もがその顔に覚悟を浮かばせるようにして日光が大地を照らした。

それはまさに【嵐の前の静けさ】という言葉がぴったりと当てはまるようにして。

霊夢は普段よりも早く神社から出てきて顔を洗ったりと身支度を整えていた。

魔理沙も霊夢と同じように普段よりも早く起き上がり何やら液体の入った瓶を持ちなにかをしていた。

それは霊夢達だけではない、戦闘痕の残された場所を見たものたちは普段よりも早く目覚め準備を整えていたのだ。

まるで決戦を行うかのように。

そんな中文はすごいスピードで幻想郷中を飛び回っていた。

それは今文の手にある新聞を幻想郷の全員に配るためである。

まだこんな時間では起きているはずもない人里里にも配っていた。

が、そんな中に一人だけ起きて外で箒を使いごみを掃いている人がいた。

 

「あ!慧音さん!おはようございます。」

 

文は空から慧音と呼ぶ人物のもとに降りてきた。

するとその人物は箒で掃くのをやめて少し小さなため息をつきながら文の方を振り向いた。

 

「おぉ文屋か、おはよう。新聞の押し売りなら要らないぞ。」

 

そう言いながら慧音は箒を再び動かそうとする。しかし文はそれを止めて、

 

「慧音さん。今回はこの新聞を人里の皆さんに見せてください。お願いします。」

 

文のいつになく真剣な顔と声なので慧音は少し驚いたように文を見た。

そしてその手に持っている新聞を受け取り目を通した。

タイトルには【危なすぎる異変。青年異変】とかかれていることから異変だということはすぐにわかった。

するとすぐに驚いたような表情になり手が震え始め、新聞がカサカサと音をたて始めた。

 

「ぶっ文屋…これは本当なのか?」

 

慧音が震える声で聞く。

すると文は無言でうなずき真実であることを告げた。

すると慧音は一度大きく深呼吸して、

 

「ふうぅ~…わかった。人里の皆には私からも伝えておくよ。」

 

と優しくだがしっかりと答えた。

すると文は「ありがとう」と答えるとすぐにまた飛んでいってしまった。それは本当に焦っているように見えた。

 

「…ほ、本当にこんなことがあるのか…まさか…そんな…」

 

文が飛んでいったあと慧音は密かにその新聞への不安と恐怖を感じ怯えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…うぅっ!!!」

 

全く別の場所ではある人物が苦しそうに傷口を押さえながら気に寄りかかる形で座っていた。

その人物の顔に日の光があたりその輪郭や目、口髪型などがはっきりと浮かび上がる。

孫悟飯だ。

 

「はぁ…はぁ…ど、どこからも…気を…感じない…はぁ…くっ!…この町の人たちももうすでに人造人間達に殺られたのか…!!」

 

そう言うと悟飯は悔しそうに拳を強く握りしめる。

その拳には腕や方の傷から血が流れ出てしまっていたのが流れ着く。

それだけでなく強く握りしめた拳からは自分の爪が食い込んでさらに血を流してしまっていた。

それほど強く握りしめるほど悟飯にとって人造人間というやつらは憎い相手なのだろう。

それもそうだ、何せ自分を殺しかけた相手なのだから憎むのも無理はないだろう。

 

「まだ、人造人間達は見ていないが仲間が俺に気づいたということはいずれ人造人間達からやって来るだろう…その時だ…そのときに…俺が人造人間を倒してやる…!」

 

そう言いながら足に力を込め立ち上がる。

が、その様子はフラフラしていてとても戦えるようには見えなかった。

が悟飯は立ち上がると顔をあげ前を見つめた。

その目はすべてを次の戦いに捧げるような覚悟が伝わるほど強いものが込められていた。

その体からは血が滴り落ち傷もまだ癒えていないボロボロでとても戦えるものではないはずだが、その悟飯の背中はまるでいつでも戦い、いや、戦い抜いてくれるような…そんな背中をしていた。

 

「来るなら来い…!人造人間!!!!」

 

 

 

 

 

そして日は丁度頂点に上がった。

博麗神社には、霊夢、魔理沙、アリスが来ていた。

それぞれができる最高の装備を備えて。

 

「よしっ!」

 

霊夢が一声あげる。

そして隣におる二人に顔を合わせる。

すると魔理沙とアリスは霊夢と顔が合うとお互いに強くうなずいた。

まるでいうことがわかっているかのように。

そして霊夢は一度目を閉じ大きく深呼吸を一回つく。

もう一度目を開けたとき、その瞳には強い覚悟が込められていた。

 

「…行くわよ!!」

 

「おう!!「えぇ!!」」

 

霊夢の掛け声に二人が力強く答え空に飛び上がった。

時は12時丁度を指していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~第1話 終~




どうも。投稿者の弾です。第1話完成しました。
ペース遅くてすみません。
ついに始まった異変。青年異変。
正直名前はセンスないと思います…はい…
でもこれしか浮かばなかったので勘弁してくださいね?
あと誤字があったら指摘してくれるとありがたいです。
確認はしてますがミスが多いので指摘してくれると助かります。
次回がいつになるかは分かりませんが次回もよろしくお願いします❗


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第2話、史上最大決戦!圧倒的な力!!

とうとう幻想郷で未来悟飯と幻想郷の人達との戦闘が巻き起きる。
はたして霊夢達は圧倒的な力をもつ未来悟飯に対してどのような戦闘をするのでしょうか?



 

霊夢達は霊夢が昨夜戦った跡地に着いた。しかしそこにはあの青年の姿はなかった。

 

「…いないわね。まさかあの傷でまだ歩けたの!?」

 

「霊夢。本当にそんなにひどい傷を負ってたのか?そいつは。」

 

魔理沙が半信半疑で霊夢に質問する。

アリスも同じことが言いたかったようで魔理沙が霊夢に聞くのと同時に霊夢の方を向いた。

霊夢は目を険しくしながら、

 

「えぇ…私と戦えたのが不思議なほどの大ケガよ。左腕もなかったしね。」

 

そういいながら霊夢の顔は少し暗くなっていた。

魔理沙とアリスはそのあまりの事実に固まってしまった。

なんとか口を動かすもその喉からは声は出てこない。

魔理沙とアリスはその現実に恐怖していたのだった。

霊夢もその二人の様子に気づかずに先に歩いていってしまう。

すると魔理沙は、

 

「…まっ…待ってくれ…!」

 

と声を絞りだしなんとか歩き始めた。

アリスもなんとか足を動かし始め歩いて霊夢たちのところに向かった。

 

三人が少し歩いていたとき、アリスがあるものに気づく。

 

「あれ?これって…」

 

そういいながらアリスは地面に落ちている…いや、付着しているなにかに触れた。

 

「アリス?どうしたんだ?」

 

魔理沙がそれに気づき立ち止まる。

すると霊夢も立ち止まり二人のことを見た。

 

「何かあったの?」

 

霊夢がアリスに問う。

すると、アリスは少し驚きながら、

 

「霊夢…血がここら辺に付着してるわ。」

 

「「血が?」」

 

アリスがそう答えると魔理沙と霊夢はすぐにその場所に駆けてきてその場所を見る。

するとそこには確かに血痕があった。それもまだ新しい。

 

「こ、これは恐らくあの青年の血ね。あれだけの怪我をしていたんだからすぐに血が止まるとは思えないわ。…だとしたら…」

 

そういいながら霊夢は別の地面に目を凝らす。

そしてなにかを探すように歩き始めた。

アリスは何を探してるのかすぐにわかった。

が、

 

「霊夢?なにしてるんだぜ?」

 

魔理沙はわかっていない様子で霊夢に聞く。

しかし霊夢はそれを聞かずに探すのを続けていた。

魔理沙は少しムッとしたがすぐに、

 

「……っ!…やっぱり…あったわ。」

 

そういいながら地面を撫でる。

アリス達もそこに移動する。

するとそこにはさっきの場所と同じように血痕があった。そして霊夢はあるところを見つめ始めた。

その理由は魔理沙にもわかった。

 

「…やっぱり…血の跡が点々と続いているわね…この先に、恐らくあの青年は居るわ…!」

 

そういうと霊夢の顔は今まで以上に険しく緊張し顔つきになった。

それを見た魔理沙達も顔を険しくさせさらに緊張し始めた。アリスと魔理沙は、

 

(…こ、この先に…)

 

(あの霊夢をここまで警戒させる相手が…)

 

そのような感情を持ちながら、霊夢の後ろについていく。

霊夢はその血の跡を辿りながら、

 

(…今度こそ…あの青年を倒さないと、幻想郷が危険だわ!)

 

そう決意しながら進んでいっていた。

そして少し広いところにたどり着く。

そしてそこには背の高くとても肩幅のある男の人がたっていた。

そしてその体は、至るところに傷がありそして血まみれだった。

が青年はその足でしっかりと立っていた。

 

「あ、あの人よ。」

 

霊夢がそういうと魔理沙とアリスは今までで一番緊張した顔つきになり青年の方を見た。

 

「あっ…あれが…」

 

「この…異変の、主犯…」

 

「そうよ。あの人が…とてつもない強さを持ったやつよ。」

 

そういいながら霊夢は一度目をつむり、深呼吸をする。そして再び目を開けたときその目には今まで以上の覚悟が秘められていた。

それを見た魔理沙とアリスも気持ちを入れ直し鋭い目付きで青年を見る。

すると、

 

【ヨロッ】

 

「え?」

 

青年がよろけた。

霊夢達はまだなにもしていない。

青年がなにもなしによろけたのだ。

それを見た魔理沙とアリスは驚く。

そしてなぜそうなったのか考え始めた。

 

(なんで霊夢をここまで動かすことのできるほどのやつがあんなにフラフラなんだ?)

 

(…なにか、違和感があるわね。霊夢の話を聞くととてつもなく強い相手のはずだけれど…なんでなんなによろけてるのかしら?)

 

そう思っている二人をよそに霊夢は札を構え始めた。

そして札に霊力を込め始めた。

それを見た二人は少し驚き、魔理沙はそれを少し信じられないと言う目で見ていた。

 

「れ、霊夢。まさか不意打ちから始める気か?」

 

魔理沙は霊夢がそんなことをするわけがないと思いながらも霊夢に問う。

すると霊夢の回答は二人の想像とは違うものだった。

 

「えぇ、そうよ。まともに正面から向かっていっても…あいつには勝てないわ…。」

 

それを聞いた二人は驚き思わず後ずさる。

無理もない。

幻想郷の中でもトップクラスの霊夢が3人がかりでも正面から当たったら勝てないといったのだ。

それもボロボロの相手に。

それほど相手の実力は圧倒的なものだと言うことなのだ。

魔理沙とアリスはあまりの真実に固まってしまう。

 

「魔理沙!アリス!

合図したら一斉にスペルを発動させるわよ!

準備しなさい!」

 

そういうと霊夢はスペルカードを取り出した。

それを見た魔理沙達は慌ててぎこちない様子でスペルカードを取り出した。

そして二人も力を込め始めた。

3人がスペルカードに力を込め始め、攻撃できる準備が整った。

そして…

 

「……いくわよ…!」

 

霊夢が集中力を最大にまで引き上げる。

それに合わせて二人も集中力を最大にまで引き上げた。

そして放とうとした。

そのとき、

 

「!?誰だ!!」

 

そう言いながら青年が振り返る。

それに驚いた霊夢達は瞬時に近くの木へと姿を隠した。

青年はそこに誰かがいたと言うことに気づくとゆっくりと構えをとる。

そして、

 

「はぁ…はぁ…そこにいることは、分かっているぞ…!…はぁ…出てこい!人造人間!!!」

 

そう言いながら一歩前へと足を踏み出す。

霊夢達は木の裏に身を隠したまま動かない。

傷だらけの青年はゆっくりと、一歩ずつ霊夢たちの方へと近づいてきた。

魔理沙とアリスが霊夢の方を見ると霊夢はあの青年に聞こえない、二人にギリギリ聞こえるぐらいの小さな声で、

 

「私が合図したらあいつに一斉にスペルを発動させるわよ。絶対に当てるのよ。」

 

そう言いうと霊夢は青年の方を向く。

そして左手を頭の高さまであげて…止める。

恐らくこれが合図をする用意なのだろうと二人はすぐに理解してその左手に意識を集中させる。

一歩…また一歩と、青年との距離は近づいていく。

青年がまた一歩踏み出した瞬間、霊夢の左手は降り下ろされた。

次の瞬間木の裏から霊夢が姿を表し、青年の正面にたつ。

そして、大きな声で叫びをあげる。

 

【宝具 陰陽鬼神玉】

 

霊夢がスペルの名前を叫ぶ。すると正面に大量の弾幕が展開される。

 

「!!!?」

 

青年はいきなりのことで反応しきれない。

すると、魔理沙達も遅れをとらないと言わんばかりに、

 

【魔符 スターダストレヴァリエ】

 

【蒼符 博愛のオルレアン人形】

 

木の裏から飛び出し青年の正面に出るとすぐにスペルを発動させた。

先程まで力を溜めていた分威力も通常時よりも高くなっていた。

その弾幕は真っ先に青年に向かっていきそこには大量の爆発が巻き起こる。

そしてその場所は戦塵でなにも見えなくなっていた。

 

「はぁ…はぁ。やったかしら…?」

 

そう言いながら煙の立つその場所に目を凝らして確認する霊夢。

 

「れ、霊夢?そんなに確認する必要ないんじゃないか?だって私たちのこれだけの弾幕を受けたんだぜ?これを食らって立っていられるやつはいないと思うぜ?」

 

そう言いながら霊夢の肩を叩く。

 

「そうね…少しやり過ぎた感じもあるしね。」

 

そう言いながらアリスは煙の方をチラッと確認する。

そのとき、霊夢とアリスは目の前の状況に釘付けになる。

二人の体は固まり動かなくなる。

魔理沙がその異変に気づき、

 

「お、おい!?霊夢!アリス!どうしたんだよ!?」

 

そういう魔理沙もなにかゾワッとするような恐怖を感じた。

そしてゆっくりと振り返る。

するとそこには…、

 

「ぐっ…はぁ!はぁ…ま、まだだぁ…」

 

青年の姿があった。

しかも倒れている姿ではなく立ち上がっていたのだった。

 

「そ、そんな…スペルは完全に決まってたはずだぞ!!なのに…なんで立っていられるんだよ!!?」

 

そう叫びながら一歩後ずさる。

 

「これで…おわりだ…人造人間!!」

 

そう言いながら青年は魔理沙に向かって飛び出していく。

魔理沙は驚きながらもギリギリのところでその突撃を回避する。

 

「霊夢!!アリス!!とにかくいまは戦うしかないんだぜ!!しっかりするんだぜ、!!二人とも!!!」

 

その声にはっとする霊夢とアリス。

意識を青年に集中させる。

そしてスペルカードを構えようとするがその前に、

 

「人造人間!!お前達はここで破壊する!!!」

 

青年が大きく叫びながらスゴいスピードで霊夢達に迫り来る。

アリスと魔理沙はそのあまりのスピードに反応が遅れてしまう。

が、霊夢はすぐに青年の方に構えた。

青年が霊夢に右手で早い連撃を仕掛ける。

霊夢はそれに反応しなんとかその攻撃を受けとめたり受け流していた。

その格闘は霊夢の普段の動きよりも確実に速いものだった。

魔理沙がそれに驚いている中、アリスは次の行動に移っていた。

 

【白符 白亜の露西亜人形】

 

青年に向かってスペルを放つ。

青年はそれに気づきすぐに攻撃をやめ後ろにとんでスペルを回避した。

 

(は、はやい!?)

 

魔理沙とアリスはそのスピードに驚き、慌てて青年の姿を目で追う。

が、魔理沙は青年のスピードを目で追うことすら難しいように見えた。

人間である魔理沙には青年のスピードはあまりにも速すぎるのだ。

アリスでも目で追うのが精一杯のようだ。

霊夢はなんとか青年の動きを目で追い、タイミングを計り通常弾幕を放っていた。

青年はそれを躱し、もう一度霊夢に向かって突撃していく。

再び青年が右手で乱撃を霊夢に繰り出す。

霊夢はそれを再び防御し受けたり受け流したりしてダメージを回避していた。

が、次の瞬間霊夢は予想外のことに驚いた。

 

【ドスッ】

 

「あぐっ!?」

 

霊夢の腹に一撃が入る。

霊夢はすぐに自分を攻撃したものに目を向ける。

それは…青年の足だった。

 

「くっ!」

 

いままでとは違う攻撃にすぐに反応できなかった霊夢は一度離れて距離をおこうとする。

しかし霊夢が離れようとするよりも青年が霊夢に迫るスピードの方が速かった。

霊夢はスペルを瞬時に発動させる。

 

【夢符 二重結界】

 

霊夢は前に結界を展開し防御する。

しかし青年は構わずに結界に向かって拳を突き立てた。

そして結界を何度も殴り付ける。

が、霊夢は結界でその身を守っていてダメージはなかった。

青年が攻撃に集中している間に魔理沙達はスペルの準備をしていた。

 

「くらえーーー!!!」

 

【魔符 ミルキーウェイ】

 

【操符 乙女文楽】

 

二人がスペルを発動させる。

そのスペルは真っ先に青年に向かって突き進んでいく。

青年はその攻撃に気づきすぐに霊夢から離れそのスペルを躱す。

そして青年は二人のいる方を睨む。

そして二人の方に手を向けた。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

青年の手のひらにエネルギーの塊が出てくる。

そしてそれを二人に向けて放つ。

そのエネルギー弾はスピードがとても速かった。

 

「なっ!?」

 

「し、しまっ…」

 

二人が躱そうとすぐに動き始めるが、少し走り出したタイミングでエネルギー弾が地面に辺り爆発を起こす。

 

「うっうわぁぁーーーー!!!」

 

「きゃあぁーーーーーー!!!」

 

二人が爆風で吹き飛ばされる。

そして木に激突しその場に落ちてしまう。

エネルギー弾の当たった場所は大きな焦げ跡が残っていた。

 

「魔理沙!!アリス!!」

 

霊夢が二人に叫ぶ。

すると、

 

「な…なんとか大丈夫だぜ…!」

 

「わっ私も…大丈夫よ。」

 

そう言いながら二人ともよろよろと立ち上がる。

いまの一撃でかなりダメージを受けたようだ。

そう思っている霊夢だが、そんな中でも一人だけ次の行動に移っている人物がいた。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

青年が拳を振り上げる。

 

「しっしまった…!?」

 

霊夢は反応が遅れる。

結界も一度解いてしまっている。

それに、もう一度発動する時間もない、そして躱せる距離でもない。

 

(くっ!!)

 

霊夢は思わず目をつむる。

…痛くない。

なにも、どこにも痛みを感じない、そして、霊夢は目を開ける。

するとそこには見覚えのある顔があった。

肩にかかるくらいの白銀の髪、頭につけた白い冠のようなもの、そしてメイド服を身につけていた。

霊夢は目を大きく見開く。

 

「さ、咲夜!?なっなんでここに!?」

 

霊夢は驚いたように咲夜という人物に質問した。

 

「あれほどの爆発と焼け跡を見たら犯人を捕まえなければならないのは当たり前でしょ?それにお嬢様もそうしろといっていたのだから。」

 

そう言われ霊夢は咲夜の手から離れ咲夜の後ろに目を移す。するとそこにはかなり幼いが羽を生やした少女が立っていた。

 

「れ、レミリア!あなたも来てたのね。」

 

そう言いながら咲夜の方に向き直りお礼をいった。

 

「当たり前よ。あれほどの焼け跡を見たらほおっておけないわよ。」

 

そう言いながらレミリアは青年の方を睨む。

 

「あれは孫悟飯という外来人よ。」

 

その言葉に霊夢は少し驚く。

自分で外来人の可能性があるとは言ったものの実際にそう言われると驚き、信じられないようだった。

それもそうだ。

外来人がこれほどの力を持っているなんて普通ならばあり得ないことなのだから。

そんなことを考えていたが、その時、

 

「くるわよ!!」

 

レミリアの叫びに全員が反応し、構え直す。

すると孫悟飯は大きな声をあげながら右手にエネルギーをためていた。

そして、

 

「だあぁぁぁぉぁぁぁぁああ!!!!」

 

右手からエネルギー弾をそこにいるレミリア達に向かって放つ。

全員がそれにすぐに反応しその場から離れ攻撃を回避する。

 

「レミリア!!はじめから全力で行きなさい!!」

 

「そんなこと言われなくても分かってるわよ!!」

 

そう言いながら孫悟飯よりも高い位置から二人がスペルを構える。

孫悟飯は声のした方を振り向く。

すると霊夢とレミリアがスペルを発動させる瞬間だった。

 

【霊符 夢想封印】

 

【紅符 スカーレットシュート】

 

二人のスペルは孫悟飯のことを完璧にとらえていた。

普通ならば完璧に直撃している弾幕だ。

そしてその弾幕は孫悟飯に直撃した、

となるはずだった。

が現実はそうはならなかった。

 

「はあぁぁ!!!」

 

孫悟飯は右手に瞬時にエネルギーをためて放った。

孫悟飯の放ったエネルギー波はその弾幕を突き破っていく。

 

 

「「なっ!!?」」

 

二人は驚いて目を大きく見開く。

が、エネルギー波は途中で弾幕と相殺した。

しかしエネルギー波は確実にその弾幕に大きな逃げ道を作っていた…いや、霊夢とレミリアに続く攻撃の道といった方が正しいだろう。

孫悟飯はそのエネルギー波でできた弾幕の穴をすごいスピードで突き進んでいく。

霊夢達は驚いたせいで隙ができてしまう。

 

「お嬢様!!」

 

「霊夢!!」

 

咲夜と魔理沙が二人に向かって叫ぶ。

その声で二人は我に帰り目の前をすぐに確認する。

しかし、先程まで弾幕で狙っていたところに孫悟飯の姿はすでになかった。

すると真後ろに何者かの気配を感じる。

とっさに二人とも振り返るが孫悟飯はすでにその右手を振りかぶっていた。

 

(ま、まずい…)

 

(ここままじゃ…霊夢ともどもやられる!?)

 

そう思った次の瞬間。

 

【開海 モーゼの奇跡】

 

どこからかスペル発動を宣言する声が聞こえてくる。

すると、弾幕がそこに展開されて孫悟飯に襲いかかる。

孫悟飯はそれにすぐに気づきその場から離れる。

 

「お二人とも大丈夫でしたか?」

 

そう言いながら白い巫女服をまとった緑色の髪をなびかせる少女が降りていた。

 

「さ、早苗も来たのね。」

 

「はい。加奈子様と諏訪子様に行けと言われてしましまして…それに、あれだけのことが起きているのにじっとなんかしていられませんよ。」

 

そう言いながらお払い棒を構える。

 

「そうね…まぁ人が増えてくれることは嬉しいけれどもね。」

 

霊夢がそう言いながら札を構える。

その台詞に少しキョトンとした様子で早苗とレミリアが霊夢を見る。

 

「ちょっと…なによ?」

 

「い、いえ…あの霊夢さんが…」

 

「そんなことを言うなんて少し驚いたわ…」

 

レミリアと早苗は本当にそれを珍しそうな目で見ていた。

 

 

「そ、そんなにかしら?

…まぁどうにせよ…相手がそれほど手強いってことでしょうね。」

 

そしてさらに上を見つめる。

その視線の先には孫悟飯が空を飛んでいた。

霊夢達は一度地面に戻った。

すると孫悟飯もゆっくりと降りてきて、地面に片足ずつ着地した。

お互いが対峙するかたちになる。

お互いに動かずに静寂が続く。

………どれだけの時が経つだろう、さほど長くたっていないはずの時が異常に長く感じられた。

 

 

 

突然静寂は破られる。

 

【奇術 ミスディレクション】

 

咲夜がスペルを発動する。

孫悟飯の前には突然何百もの数のナイフが展開される。

そしてそれは一斉に孫悟飯にを貫こうと迫ってきた。

が、

 

「でやあぁぁぁぁぁ!!!」

 

孫悟飯は思いきり力を込めた叫びをあげると孫悟飯の体からとても強い風が巻き起こり、ナイフを全て弾き飛ばした。

そしてその風は霊夢達のところにもすごい勢いで到達した。

 

【ゴオォォォォォォオオ!!!】

 

おもすごい轟音をたてながら風は孫悟飯を中心に全方向へとはなたれた。

 

「なっ…何て風なの…これが彼の能力?」

 

「そんなことはいいわ!それよりも…この風…強すぎて行動しにくい!!」

 

そう言いながら全員の顔を見る。

 

「れ、霊夢!前!」

 

魔理沙の言葉にすぐ前を向く霊夢。

するとすぐ目の前にまで孫悟飯が迫ってきていた。

霊夢はすぐに札をつきだし、

 

【夢符 二重結界】

 

霊夢はすぐにスペルを発動させて防御の体制をとる。

が、青年は前から姿を消した。

そして風が収まる。

 

「え!?」

 

霊夢達は驚き辺りを見回す。

そして霊夢達は自分達より5mほ後ろにど離れたところに孫悟飯を見つけた。

孫悟飯は拳を握りしめてなにかをするような様子だった。

 

「!?皆!何かする気よ!!いつでも逃げれる準備と守る準備をしなさい!!!」

 

そう叫びながらすぐにスペルと札に霊力を込め始める霊夢。

それを見た他の全員がスペルや自分の武器に力を込め始めた。

そして、孫悟飯も動いた。

拳を握る手にさらに力が入る。

 

「はあぁぁぁぁ……」

 

孫悟飯がどんどん力を高め始める。

すると、大地が…揺れ始めた。

 

「な、なんで地震がこんなタイミングの悪いときに!?」

 

「小さいから問題ないんだぜ。」

 

そう言いながら力を込めていくが、段々その揺れは大きくなっていく。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」

 

孫悟飯の声も段々と大きくなっていく。

そして、孫悟飯の体から白色の炎のようなオーラが出てきはじめた。

 

「な、なんなんですか!この揺れは!?」

 

「こ、この揺れ大きすぎないかしら!?」

 

咲夜とアリスが段々と不安にかられていく。

無理もない。

この地震はすでにかなりの大きさになっているのだから。

早苗も不安にかられそれが思いきり顔に現れていた。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」

 

孫悟飯の出す白色のオーラがどんどん荒々しく、大きくなっていく。

それと比例するように大地の揺れがどんどん大きさを増していく。

そして、孫悟飯の立っているところの大地が壊れ始めた。

 

【バキバキバキッ!】

 

「「「!!!??」」」

 

その場の全員が驚き、驚愕する。

孫悟飯の足が大地にめり込みその分足の周りの大地が飛び出てくる。

 

「しっ…信じられないわ…本当に人間なのかしら…?」

 

レミリアも少し恐怖を感じながら言葉を漏らした。

霊夢も顔に恐怖を浮かべながら、

 

「だっ大地だけじゃないわ…」

 

空を見上げながらそういう。

 

「大地だけじゃない?どういうことですか?」

 

早苗が質問すると霊夢は小さい声で答えた。

 

「…大地だけが揺れてるんじゃなくて…大気すらが…孫悟飯によって揺るがされてるのよ…」

 

その真実に全員が思わず声を失う。

そんなとき、

 

「はああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

なにかが爆発したような音と同時にさっきとは比べ物にならない風が霊夢達を襲う。

恐怖に飲み込まれていた霊夢達はそれを受け止めることができずに吹き飛ばされる。

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!」

 

全員が木に激突する。

少しよろけながら立ち上がり孫悟飯の方を見る。

するとそこには白色のオーラを荒々しい炎のように纏う孫悟飯の姿があった。

 

「…仲間をいくら増やそうがもう負けはしない…!」

 

そう言いながら霊夢達を睨み付ける。

 

「これで終わりだ!人造人間達!!!!!」

 

 

 




どうも、作者の弾です。ついに本格的な未来悟飯と霊夢達の戦いが始まりました。
当初は一話で終わらせようかと思っていたんですが予想よりも文が必要でしたw
まぁ一話で終わるよりもそっちの方が良さそうなのでそうしました。
恐らく次回で決着がつきます。
また遅い更新となると思いますが、次回もよろしくお願いします❗


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第3話 圧倒的すぎる力 逆らえぬ力

どうも弾です。

圧倒的な力を誇る未来悟飯に霊夢達の力は通用するのか!

幻想郷での大異変。

さぁ、未来悟飯と霊夢達の勝敗の行方は!?

第3話。始まります❗


「…もう…終わりだ!人造人間!!!」

 

孫悟飯はそう大きな声でそう言った。

揺れはおさまり霊夢達もしっかりと立っていられるが先程までの現実を認めることが出来ないようだった。

木に激突した全員がゆっくりと立ち上がる。

そして孫悟飯と対峙する。

お互いに向かい合いまるで時が止まったかのように動かなくなる。

その時間はまるでとてつもなく長い時間が流れているようだった。

そして、静寂はひとつの動きによって破られるのだ。

 

【奇術 幻惑ミスディレクション】

 

咲夜がスペルを発動させる。

孫悟飯の周りには大量のナイフが展開される。

ナイフは孫悟飯を取り囲むように配置されていて、その全てが孫悟飯に向かって貫こうとした。

が、孫悟飯は再びなにかを爆発させたような衝撃波を放ちナイフを全て紙のように弾き飛ばす。

そしてその衝撃波は霊夢達にも到達し全員を襲う。

いつでも防御できるように警戒し構えていたためすぐに堪えることができた。

が、すぐに孫悟飯は距離を詰めて攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「はあぁ!!!」

 

「ぐっ!」

 

孫悟飯が標的にしたのは、レミリアだ。

レミリアは胸の前で手をクロスさせ孫悟飯の右手の攻撃をガードする。

が、あまりの威力にレミリアが力を受け止めきれずにそのまま吹き飛ばされてしまった。

レミリアは木にすごい勢いで激突する。

 

「きゃあぁ!!」

 

「お、お嬢さま!?」

 

レミリアが吹き飛ばされたことに驚く咲夜。

咲夜がなにかをするよりも先に孫悟飯は次の行動をとっていた。

孫悟飯が右手にエネルギーを集める。

それを見た霊夢達は瞬時にその場から立ち去るように空を飛んだり、回避行動をする。

孫悟飯が地面にエネルギー弾をぶつける。

すると地面で爆発して辺りを爆風が襲うが、全員回避行動をとっていたため無傷だった。

そんなとき戦場に響き渡るほどの大きな叫び声が聞こえてくる。

 

「貴様ぁぁぁぁぁ!!!!」

 

【奇術 ミスディレクション】

 

【幻在 クロックコープス】

 

咲夜が今までに見たことのないほどの怒りの形相で孫悟飯にむかって二つのスペルを同時に放つ。

それは孫悟飯を正確にとらえていて高密度の弾幕は何とも躱しづらいものだ。

それに二つの弾幕を同時にしようしているため、逃げ道などこのわずかな時間で見つけるなどほとんど無理に等しかった。

その場にいた全員はそう思っていたのだ。

が、その考えは次の光景を見た瞬間全て覆された。

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!」

 

孫悟飯の体からまるでなにかが爆発したかのような衝撃波が発生する。

その衝撃波は孫悟飯の周りに配置されていたナイフを全てさっきのように吹き飛ばされる。

その衝撃波は咲夜のもとにも届き吹き飛ばされそうになる。

咲夜はそれをすぐにこらえるが、そのタイミングで孫悟飯は咲夜との距離を一気につめてきた。

そのスピードはあまりにも速く、咲夜が気づいたときには孫悟飯はすでに懐まで迫っていた。

咲夜はなんとか後方に飛びながら防御しようとするが、それよりも早く孫悟飯の拳が咲夜の体をとらえた。

 

「ぐはぁ!!」

 

咲夜の腹に孫悟飯の拳が入る。

咲夜はその攻撃をまともに食らい、吹き飛ばされる。

咲夜の体は木に激突し、咲夜自身は口から血を吐く。

あまりのダメージに吐血してしまったのだ。

そして咲夜は力なく木の足元に落ち、倒れてしまう。

そしてそのぶつかった木は咲夜とは反対の方にミシミシと音を立てて折れてしまった。

 

「さ…咲夜ぁぁーーーー!!!!」

 

レミリアがとてつもない大きな声で叫ぶ。

が、咲夜はそれに一切反応を見せずにぐったりと倒れてしまっていた。

 

「きっ貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

レミリアの目付きが今までよりも鋭くなり殺意のこもった瞳になる。

レミリアがすごい形相で孫悟飯に突っ込んでいく。

孫悟飯はすぐそれに気づきレミリアの方に構えをとる。

レミリアはすごいスピードで孫悟飯との距離を詰め、その右手の爪で孫悟飯の体を引き裂こうと降り下ろす。

孫悟飯はレミリアの腕を降り下ろされる前に右腕で受け止める。

そして、そのレミリアの腕を振り払い右手でレミリアの腹に拳を入れようとする。

が、レミリアはそれを紙一重で躱し左手で孫悟飯の顔を貫こうとする。

それを孫悟飯がレミリアの左手に踏み込みながら紙一重で躱す。

そして左膝でレミリアの胸を蹴りあげる。

 

「ぐうっ!!」

 

レミリアの体がふらつく。

しかし孫悟飯は攻撃の手を休めることなく右足でレミリアの腹に回し蹴りを加えた。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!?」

 

レミリアの体は速いスピードで木に激突した。

それだけでなくその木はへし折れ、レミリアはそれでも勢い余って木を押し退けながらその場に倒れこむ。

 

「レミリアーーーーー!!!」

 

霊夢が叫ぶとレミリア体は小さく動いた。

そして、なんとか立ち上がろうとするようなそぶりも見えた。

どうやら意識はあるようだがもう戦える状況ではなさそうだ。

霊夢はすぐに魔理沙のそばに行き構えをとりながら札に霊力を込め始めた。

魔理沙は一瞬霊夢のことを見たがすぐに視線を孫悟飯に戻し、八卦炉とスペルカードに魔力を込め始めた。

その様子を見たアリスと早苗も、空中に飛びながらそれぞれのスペルカードと武器に霊力、魔力を込め始めた。

四人はそれぞれ孫悟飯を見る。

四人とも孫悟飯を見る目は先程とは違いその圧倒的な力の差に恐怖を感じ、そして絶望している。

それが四人の瞳からは見てとれた。

そんなとき、四人はあることに気づく。

それは、孫悟飯が大きく肩で呼吸ををしていることだった。

呼吸はとても早く大きく肩が動いていた。

つまり、孫悟飯はかなりの体力を消耗していたのだ。

この戦いで孫悟飯は体力を消耗しもう肩で息をするレベルにまでなっていたのだ。

四人の瞳にわずかだが光が戻る。

わずかだが確かな希望の光が灯った。

そして、四人は同時にスペルを発動した。

 

【霊符 夢想封印】

 

【魔符 スターダストレヴァリエ】

 

【闇符 霧の倫敦人形】

 

【秘術 一子相伝の弾幕】

 

四人のスペルは全て孫悟飯に向けて放たれてすごい密度の弾幕になる。

弾幕はまるでその場所の色すらも変えてしまうような光、そしてその場所がまるで弾幕に飲み込まれるかのような量の弾幕が孫悟飯に襲いかかる。

孫悟飯は右手を後ろに少し引く構えをとる。

すると再び孫悟飯の体から白い炎の様なオーラが纏われる。

そして引いた右手にエネルギーをため始めた。

弾幕が孫悟飯の目の前まで迫る。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

孫悟飯は右手を前につきだしながら状態も前に乗り出す。

孫悟飯は右手からエネルギー波を放つ。

そのエネルギー波は正面の弾幕を消し飛ばしていき、高密度の弾幕のなかに穴を作っていく。

そして高密度の弾幕をエネルギー波が貫いた。

そのときには弾幕には孫悟飯が突破するだけの道ができてしまっていた。

 

「…あ、あれほどの弾幕をもってしても…」

 

「あてることすら…できないのか…?」

 

「さ、さすがに…」

 

「冗談…きついですよぉ…」

 

四人はまるで力が抜けてしまったかのように肩を落とす。

孫悟飯はそのエネルギー波で作った道をすり抜けてきてすごいスピードで早苗たちの方へと飛んできた。

早苗たちは力が抜けてしまっていたせいで反応が遅れる。

 

「しまっ…!」

 

気づいたときにはすでに遅い。

早苗はすでに後ろをとられており振り向こうとしたが振り向く前に孫悟飯の肘が早苗の後頭部に直撃する。

 

「あぁ…」

 

早苗は攻撃を受けると力なく落ちていった。

アリスは振り返り後ろに飛び、距離を離そうとする。

が、孫悟飯はそれを上回る早さで蹴りを加えようとする。

これでは確実にアリスまでもがやられてしまう。

そうなってはもう勝ち目など完璧になくなってしまう。

 

(ま、まずい!この距離じゃ助けるのも間に合わない!)

 

「あ、アリスーーーー!!!」

 

霊夢は結界を張ろうとするがこの時間じゃ間に合わない。

魔理沙が大きな声で叫んだ。

その時、

 

【ピタッ】

 

「!!?」

 

孫悟飯の動きが止まる。

それも蹴ろうとした足をあげた状態で。

 

「「…え??」」

 

霊夢と魔理沙も状況が理解できないようで訳がわからないと言うような目でその状況を見つめていた。

すると、

 

「引っ掛かったわね…とうとう。孫悟飯さん!!」

 

アリスが勝ち誇ったような顔でそう叫んだ。

 

「今あなたの体は糸で拘束されているのよ。

まぁ、糸といっても魔力が練り込まれているし、その上からも魔力をまとわせているけれどもね。」

 

そう説明しながらアリスは再びスペルカードに魔力を込め始めた。

その顔はまるで次に全てをかけているような覚悟をした表情だった。

 

「魔理沙!!霊夢!!あなたたちもスペルカードの準備をして!!次で決めなきゃ…恐らくダメだわ!!!」

 

そう大きく叫ぶ。

それを聞いた魔理沙たちもすぐにスペルカードを取り出して、魔力と霊力を込め始めた。

孫悟飯はその糸から抜けだそうを白いオーラを纏い力ずくで抜け出そうとする。

が、その糸は中々切れない。

 

「無駄よ!」

 

アリスが孫悟飯に向かって叫ぶ。

 

「それは魔力が練り込まれているのよ?そう簡単にきれるわけがないわ!そう!例えそれがあなたほどの力を有していてもよ!!!」

 

そう叫びながらスペルカードに今までのなかでいちばんのスピードで魔力を込めていく。

霊夢達もそれに負けないようにとスペルカードに力を注ぎ込むことだけに集中して力を込めていた。

孫悟飯はそこから逃げ出そうともがくが抜け出せる様子はない。

そして三人のスペルカードに力が込め終わった。

霊夢と魔理沙はアリスのいるところまで飛んできて、アリスの横に並んだ。

 

「行くわよ…アリス…魔理沙…!」

 

そう言いながら札を構える。

放とうと全員が構えたとき、

 

「待ちなさい!」

 

どこからか声が聞こえてきた。

霊夢達はその声の主を探すように辺りを見回す。

すると、なにかがこちらへとゆっくり飛んできた。

レミリアだ。

 

「…私にも殺らせなさい…!」

 

そう言いながらスペルカードを発動させるように構えた。

霊夢達はそれに返答せずに孫悟飯に向き合う。

そして、

 

【霊符 夢想封印 集】

 

【魔符 マスタースパーク】

 

【咒詛 魔彩光の上海人形】

 

【神槍 スピア・ザ・グングニル】

 

四人の弾幕が孫悟飯を捉える。

それで避けられるはずがない。

四人はそう確信していた。

しかし、現実は少し違った。

 

「ぐっ!うっうわぁ…うぉあああああああ!!!!!」

 

孫悟飯から再びなにかが爆発したような衝撃波が周りに放たれる。

霊夢達はそれを喰らって少し飛ばされそうになるが、弾幕は軌道を変えずに孫悟飯を襲う。

が、その直前で霊夢は最悪の状況を目にしてしまう。

 

(!?…そ、孫悟飯の拘束が…解かれてる!?)

 

【どっがぁぁぁぁぁぉぁ!!!】

 

すべての弾幕が孫悟飯に直撃する。

そこには大きな粉塵が舞い上がり視界を曇らせる。

魔理沙とアリス、レミリアは攻撃を当てたと感覚を得られていたようで三人の目は輝いていた。

が、霊夢だけはまだ真剣かつ警戒した目付きでその粉塵の中を見つめていた。

 

「霊夢?どうしたんだ?そんなに険しい顔して。

まさかこれを喰らってまだ立っていられると思ってるのか?

まさか、さすがにあの外来人でもこれだけ喰らって立っていられるやつは居ないんだぜ。

…それどころかこれだけやっちまったんだから…下手すれば…死んじゃってるかも知れないんだぜ…」

 

そう言いながら少し顔を暗くする。

そして段々と粉塵が晴れていく。

霊夢と魔理沙はその場所を確認するように見つめる。

すると、その場には…

 

「!!?」

 

「う、嘘だろぉ…な、何で立っていられるんだよぉ…」

 

そこには孫悟飯が立っていた。

孫悟飯の周りにはバリヤーの様なものが展開されていた。

それで弾幕を防いだのだろう。

それにアリスとレミリアも気づく。

それと同時に四人は恐怖に震え始める。

 

(な、何をやっても…こいつには勝てない。)

 

そんな考えが四人の頭の中を駆け巡る。

孫悟飯がバリヤーを解く。

すると次の瞬間、孫悟飯の体はよろめき力を失ったように落ちていく。

霊夢達はそれに驚いたように目を見開き孫悟飯を凝視する。

 

「あ、あいつも…あれだけの弾幕はバリヤーでも守りきれなかったんだぜ!きっと!」

 

そう言いながら魔理沙は落ちていく孫悟飯を追う。

霊夢達はそれのあとをすぐに追いかけた。

孫悟飯が地面に落ちる。

その数秒後に魔理沙達の足が地面につく。

そして孫悟飯の様子を見た。

すると孫悟飯は再び、ゆっくりとだが立ち上がった。

 

「ま、 まだ立ち上がれるの…」

 

「そ、そんなぁ…」

 

アリスとレミリアが一歩後ずさる。

レミリアはその事実にすぐに気づき自分の足を睨むとすぐに一歩前に戻る。

そしてすぐに構える。

レミリアが構えたのを見て、霊夢と魔理沙もすぐに構えをとった。

孫悟飯は構えをとらずにフラフラと立っているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(はぁ…はぁ…はぁ……くっ、ここまでダメージを食らうなんて…まさか、あんなことになるなんて…)

 

孫悟飯はそう考えながら前にいる四人に目を向ける。

 

(くっそぉ…まだ人造人間は四人も残っているのに…こ、このままじゃあ…や、やるしかない…)

 

そう言うと孫悟飯は不安定な体に力を込める。

すると白いオーラがまとわれた。

 

(やっやるしかないんだぁ!!!)

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

再び地面が激しく揺れ出す。

霊夢達は今度はバランスを取るだけで精いっぱいのようだ。

孫悟飯のオーラが白いオーラから黄色いオーラ、そしてまた白いオーラと何度も何度も色を変化させてきた。

そして髪をさっきよりも逆立っているように見えた。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

孫悟飯が右手をあげる。

それは霊夢達に向けられていた。

 

(こ、これで終わりだ…!)

 

孫悟飯は右手からエネルギー弾を放とうとエネルギーをためる。

霊夢達はその目の前の状況に完璧に戦意を失ってしまっていた。

そして孫悟飯が霊夢達に止めを差そうした。

その時、

 

(!?な、なんだこれは…)

 

孫悟飯がなにか違和感を感じる。

それはすぐになんだかわかった。

 

(あ、あいつ達に…僅かだけど…気を感じる!!?)

 

それに驚いた孫悟飯はエネルギー弾を放つのを一時止め、それを右手にとどめた。

 

(と、ということは…か、彼女達は…本当に人造人間じゃなかったのか!?)

 

孫悟飯の頭に色々な情報が流れ込み必死に考える。

が、なぜか頭は働かない。

考えているならもうひとつの気を感じた。

 

(こ、これは…邪悪な気…霊夢とか言っていた言っていた人の後ろに!?)

 

孫悟飯が霊夢の後ろに目を向けると、そこには大きな化け物の姿があった。

 

(ま、まずい!!)

 

孫悟飯は右手にとどめたエネルギー弾を後ろの化け物めがけて放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢達はその恐ろしいほどの力に完璧に戦意を喪失していた。

孫悟飯が右手にエネルギーをためる。

 

(あぁ、あれで私達に止めをさすきなのね…)

 

霊夢達はもうすでに諦めていた。

この戦いに勝つことを。

勝てるわけがないと、もう戦っても無駄だと…

孫悟飯の右手からエネルギー弾が放たれる。それはまっすぐに霊夢に向かって飛んでくる。

レミリアと魔理沙がそれに気づきはっとする。

 

「れ、霊夢!!!」

 

二人が同時に叫び、霊夢のもとへと駆け出す。

が、間に合わないのは誰が見てもあからさまだった。

エネルギー弾は霊夢を襲った…と思った。

しかしエネルギー弾は霊夢のすぐ横を通り抜けていった。

 

「え?」

 

すぐ後ろで大きな爆発音が聞こえる。

そして大型の妖怪の悲鳴が聞こえてきた。

 

(れ、霊夢を…)

 

(守ったの?)

 

そう考えながら四人は孫悟飯の方を見た。

すると孫悟飯はまるでいまので力を使い果たしたかのように倒れこもうとしていた。

その時、小さな声だったがはっきりとした声が聞こえてきた。

 

「ご、ごめん…なさい…皆さん…」

 

それが言い終わると同時に孫悟飯は倒れて、動かなくなった。

 




青年異変これにて解決。
果たして本当に解決したのでしょうか?
幻想郷に来て早々異変の元凶になった未来悟飯は幻想郷の人々にどのように接するのか。
異変のあとの後処理は果たしてどうなるのかななど問題は山ずみですねぇ。
それでは今回も見てくださった方々、
次回もよろしくお願いします❗
それでは第3話終了!


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第4話 救われた命。別の世界【幻想郷】

どうも弾です。

未来悟飯「あ、こんにちは作者さん。」

「おう。いやぁいよいよ第4話ですねぇ。」

未来悟飯「投稿ペースが遅すぎやしませんか?」

「す、すみません…課題研究やらロードレースやらでた大変だったんです…」

未来悟飯「結果は?」

「…聞かないでくれ…ロードレースは死んだよ…課題研究はまだ発表が先だから準備を頑張らなきゃ。」


伝説の未来悟飯「成功するといいなぁ」

「ゑゑ!?」

(作中で未来悟飯は伝説化しません。)

話すネタないから茶番になることが多々あります。
(今回みたいに)


孫悟飯は意識が遠のくなかでひたすらに心で叫んでいた。

 

(ご、ごめんなさい…ピッコロさん…ベジータさん…クリリンさん…皆さん…か、仇を…うてませんでした…本当に、ごめんなさい。)

 

孫悟飯は心のなかでかつての仲間、戦友達に謝っていた。

この人達は孫悟飯がまだ幼かったときに人造人間達に殺された仲間達だ。

孫悟飯は人造人間に殺された皆の仇をとるため…そして、これ以上犠牲者を増やさないために戦っていた。

その仲間達の仇をとれなかったのが孫悟飯にとってとてつもなく辛く、悔しい事だったのだろう。

しかし、孫悟飯はあとにこう謝った。

 

(す、すみませんでした…レイムさん達…お、俺の…勝手な勘違いのせいで…傷つけてしまって…すみませんでした…)

 

意識が消えていくなかで孫悟飯は仲間達だけでなく今戦っていた霊夢達にも謝っていた。

孫悟飯は先程の一瞬の間に霊夢達が人造人間ではないことに気づいた。

しかし、それは孫悟飯が気を失うわずか十数秒前だ。

謝ったりなにかをする時間はなかっただろう。

が、その意識が少しでもあるこの瞬間、相手には決して聞こえなくても孫悟飯は霊夢達に向かって謝罪していた。

決して聞き取ることのできない心の中の声で。

意識が完全に消える瞬間まで孫悟飯は言い続けた。

 

(すみませんでした…ごめんなさい…)

 

と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

誰もなにも喋らない。

まるでなにかがこの空間を支配してしまったかのように誰も口を開こうとはしなかった。

いや、できなかったといった方が正しいのかもしれない。

戦いは終わった。

しかしその終わりはあまりにも突然で、あまりにも急な展開に誰もが言葉を失っていたのだ。

少し時間がたち、やっと一人が言葉を発し始めた。

 

「お、終わった…んだよな?」

 

魔理沙が倒れている孫悟飯の方を見ながら少し怯えたように話始めた。

すると少し間をおいて、

 

「…えぇ…終わったわ。この戦い…いや、この異変、青年異変が。」

 

霊夢がそう言うと魔理沙がため息をつきながら力が抜けたように座り込む。

それは魔理沙だけでなくアリスも同じように座り込んでしまった。

普段の魔理沙ならここで(おわったぁぁぁ!)等と声をあげるのだろうが決してそんなことはせずに静かに座り込んでいた。

それほど今回の異変はとてつもなく苦しかったものだったのだ。

すると霊夢が孫悟飯のところに近づいていく。

それを見た魔理沙は驚いて、

 

「れ、霊夢!?なんでそいつに近づくんだぜ!?危ないって!!」

 

そう叫ぶ。

しかしその声も力なく響くほどか弱い声だった。

霊夢はその声に気づき魔理沙の方を見ながら、

 

「大丈夫よ。完璧に意識を失っているみたいだし、それに…異変の後始末もやらなきゃならないからね。私が…」

 

そう言いながら孫悟飯の体のそばに来た。

間近で見ると孫悟飯の体はどこも傷だらけで見る人が普通ならば死体じゃないかと勘違いするほどだった。

霊夢が孫悟飯の体に触れようとしたとき、なにかが飛んできた。

霊夢はそれに気づきすぐに振り向く。

するとレミリアが霊夢の目の前まで飛んできて、降りた。

 

「そいつの処分は私に殺らせなさい。」

 

レミリアは紅霧異変の時など比にならないほどの凄まじい殺気を霊夢に向けながらいった。

しかし霊夢はそれを一切気にせずに、

 

「そんなことはできないわ。これは博麗の巫女として私が解決しなければならないのよ。例え誰だろうとこれを譲るわけにはいかないわ…」

 

そう言いながら孫悟飯の体を引き上げ持ち上げる。

レミリアはそれにたいしてなにか言おうとしたが、言う直前になにかを考え、

 

「…分かったわ。今はあなたに任せるわ。必ず咲夜の借りは返さえてもらうわよ、そいつに。」

 

そう言いながらもう一度霊夢と孫悟飯を睨み付ける。

そしてレミリアは咲夜の元に飛んでいき、咲夜を抱き抱えると空へと飛んでいった。

 

「お、恐ろしいぐらい怒ってたな…レミリアのやつ。」

 

魔理沙が驚きと呆れの二つを込め愚痴りながら霊夢の元へと近づいてきた。

後ろからアリスが早苗のことを抱えながら歩いてきていた。

 

「魔理沙…あんた手伝ってやりなさいよ…アリスのこと。」

 

霊夢が本当に呆れたように魔理沙に言う。

すると魔理沙は慌てたようにアリスのそばに行き早苗を運ぶのを手伝っていた。

その時、霊夢の耳には確かになにかが聞こえてきた。

 

「……ご……な………ピ……ん…」

 

「え?」

 

それはすぐそばから聞こえたようで驚きながら霊夢は振り返った。

一分後霊夢達はレミリアと同じ方向に飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……うっうぅ…な、なんだ?俺はどうなったんだ?死んだのか?生きてるのか?)

 

今の状況はまるでわからない。

暗闇の世界にまるで意識だけが浮遊しているかのようだった。

しばらくの間自分がどんな状況にいるのかもわからないまま半ば放心状態でいた。

が、ふとあることに気がつく。

 

(…あれ?瞼を開ける?)

 

この暗闇の中で感覚が無くなっていたが僅かにだが瞼の感覚が戻っていることに気づく。

そして力を込めて瞼を開く。

が、ほんと少ししか瞼は開かなかった。

その少しの得た視界はぼやけていてとても見辛かった。

が、自分の目の前に人と思われる物の影か見えた。

細部まではわからないが少なくとも一人は頭からなにかを生やしていうように見えた。

なにやら二人で話しておるようだが声は聞こえない。

そこで再び瞼が重くなる。

その重さに耐えきれずに再び瞼を閉じ意識が闇に沈んだ。

 

 

 

 

再び目覚めたときは意識もそれなりにはっきりしていた。

 

「こ、ここは…?」

 

孫悟飯は辺りを見回しながらボソッと呟く。

辺りを見るとどうやら少なくとも地獄や天国ではなく、あの世にいるわけではないようだった。

 

「こ、ここは…どこかの部屋なのか?」

 

今孫悟飯のいるところはどこを見ても和風の作りで天井も木でできていた。

どうやら孫悟飯がいた世界の都市とは違うようだ。

孫悟飯は起き上がろうとする。

その時、

 

「うっ…!」

 

体を起こそうとすると体に痛みが走る。

そして孫悟飯は人造人間との戦いに敗北したこと、そしてレイムと呼ばれていた人物達のと戦ったことを思い出す。

痛む体を我慢して上体を起こす。

起きたときに自分の体の上にあったものが落ちたのを感じた。

落ちたものを確認しようと見てみると、それはかけ布団だった。

それに驚いて思考を巡らせて考えた。

そして自分が布団の上で寝ていたこと、そして自分の体が治療され包帯が巻かれていることに気がついた。

どうやら孫悟飯は生きていて誰かが治療をしてくれていたようだ。

 

(だ…誰が治療してくれたんだ?…まさか、レイムさん達の誰かが?いや、そんなはずがないな。あれだけの攻撃をしちゃったんだ。助けてくれるはずがない。)

 

そう考えながら再び部屋に目を移す。

自身の回りには誰の姿もなく、特にこれといったものもなかった。

あるとすれば布団のとなりに水のはいったコップが御盆の上に置かれていることぐらいだろう。

色々考えてみるが納得のいく答えは見つからない。

立ち上がろうと足に力をいれて立ち上がろうとする。

が、先程よりも強い痛みが孫悟飯を襲う。

孫悟飯は思わず尻餅をつく。

どうやら傷は決して全部なおったわけではないようで立てるほどの治療はできていないようだ。

少し落ち込んでいた中、扉が

【ガラガラッ】

、と音をたてて開かれる。

孫悟飯はすぐに音のなった扉の方を振り向く。

するとそこからは、一人の人物が出てきた。

 

「あっ!目が覚めたんですね!よかったぁ~。」

 

少女の声だ。

が、レイムやレミリアと呼ばれていた人達のどの声にも当てはまらない、初めて聞く声だった。

その人物をよく見ると頭からはウサギの耳を生やしていた。

そして制服のような格好をしていた。

そのうさみみの少女は孫悟飯に近づいていき、持ってきたお盆をすぐそばにおいた。

そこには飲み薬は塗り薬のようなものとおそらく新しい水のはいったコップが置いてあった。

孫悟飯はそれを見て、

 

「君が治療してくれたのか?」

 

と問う。

すると少女は少し笑って。

 

「いえ、大きな治療は全て師匠がやってくれました。私はこのような小さな治療しかしていませんよ。」

 

そういいながら孫悟飯の体に巻かれている包帯をほどいていく。

少し体に痛みが走ったが、そのあとに少女が塗ってくれた薬のお陰で痛みがだいぶ楽になった。

治療が終わると、孫悟飯は少女に渡された飲み薬を水と一緒に飲み込んだ。

そして、孫悟飯は

 

「治療をしてくれてありがとうございます。」

 

とお礼をいった。

すると少女は少し驚いたような表情を見せて、

 

「え、あぁ、お礼なら師匠にお願いしますよ。」

 

と答えた。

それを聞いた孫悟飯は、はい。っと返事してから、質問をした。

 

「あなたの名前は何て言うのですか?妖怪ですか?」

 

そう質問すると、少女はよりいっそう驚いたような顔をして、

 

「わ、私は鈴仙・優曇華院・因幡(れいせん・うどんげいん・いなば)といいます。鈴仙って呼んでください。私は妖怪ではなくて…まぁ見てわかると思いますが、ウサギです。」

 

そう答えた。

孫悟飯は鈴仙という人物が妖怪ではなくてウサギ、といったことに驚いていた。

孫悟飯は少年の時から妖怪やら猛獣やら恐竜やらをたくさん見てきたが、ウサギが人の姿になっている生き物はいままで見たことがなかったからだ。

孫悟飯が驚いているときに鈴仙が質問をした。

 

「あなたは…幻想郷の住人なんですか?」

 

鈴仙が聞いたことのない名前を口にする。

孫悟飯はその聞いたことのない名前に呆気に取られる。

 

(そ、そんな国名あったかなぁ?なかった気がするけど…あるのかなぁ?)

 

そういった疑問を抱きながらも孫悟飯は答える。

 

「いいや、俺はそんな国には住んでいないよ。それにそれはどこにあるんだい?」

 

それを聞いた鈴仙は少し安心したかのように安堵のため息をつく。

そして一度息を大きく吸い込んでから答えた。

 

「落ち着いて聞いてください。孫悟飯さん。あなたが今いるこの世界は【幻想郷】といっていわば隔離された世界です。この世界はどの世界とも関わりを持たずに孤立している世界です。あなたは幻想入りという現象でおそらくこの世界に来てしまったのだと思われます。」

 

孫悟飯はそれを聞いて目を見開く。

自分がまさか別の国とかではなく別の世界に飛んでしまったなんて、そんなことが正直に受け入れられるはずがない。

信じられないとばかりに首を降る。

が、少女が嘘をいっているようには見えない。

孫悟飯はその真実を信じられないと思いながらも受け入れるしかなかった…が、

 

「な、なにかそれを証明できるものはありませんか?それがあれば俺もその言葉を信じます。」

 

そういうと鈴仙は自分の頭にあるウサギの耳を指差しながら答えた。

 

「普通なら妖怪の存在を話さえすれば別世界だってほとんどの人は信じるんですが…どうやらあなたは違うようですね…」

 

少し苦笑いをしながら言う。

すると孫悟飯がさらに驚くことをいった。

 

「あぁ、俺の世界にも妖怪はいたからなぁ。だから妖怪だと言われても別世界にいったことの証明にはならないんだ…だけど…」

 

孫悟飯は1度言葉を切ってから考える。

そして少ししてから、

 

「あなたたちから【気】以外の別のなにかも感じる。これは俺の世界では感じたことのない力だよ。」

 

孫悟飯はそう言った。

鈴仙はその言葉の意味がいまいち理解できなかった。

そもそも鈴仙達は【気】というものを知らないのだ。

幻想郷で【気】というものを詳しく知ってる者はほとんどいないだろう。

 

「な、ならそれが証明になるのでは?」

 

鈴仙がそう言うと、孫悟飯は少し黙りこんでしまう。

そして再び口を開く。

 

「…そう、だね。君の言う通りだ。君の言うことを信じるよ。時間をかけさせてごめん。」

 

そう言いながら孫悟飯は少し肩を落とす。

それを見た鈴仙は少し安心したように微笑む。

すると後ろの扉が再び音をたてる。

二人がそれに気づき振り返る。

すると、鈴仙がすぐに、

 

「あっ師匠!」

 

っと声をあげた。

どうやらこの女性が孫悟飯のことを治療してくれた先生のようだ。

服は赤と青で半分に別れていて、髪は腰よりも長くみつあみでまとめてあり白銀の色をしていた。

実年齢はわからないものの本当の年齢よりも若々しく見える気がした。

 

 

「あら。目が覚めたのね?気分はどうかしら?」

 

先生は部屋にはいってすぐに孫悟飯に近づきそう質問した。

孫悟飯はそれにすぐ反応して、

 

「あ、はい。気分は大丈夫です。えっと…治療してくださってありがとうございます。」

 

孫悟飯は礼儀正しくお辞儀をした。

すると先生は少し目を開いて。

 

「あら。ずいぶんと礼儀正しいのね。暴れてたときいたからこっちでもすぐに暴れるんじゃないかと思ってたのに。」

 

それに対して孫悟飯の胸は罪悪感で満たされる。

それに気づいたように先生がすぐに話を変える。

 

「それにしてもやっと目覚めてくれたわねぇ。あなたが目覚めるまでに1週間もかかるなんてねぇ。」

 

「いっ!1週間!?本当にそんなに寝てたんですか!えっと…先生!!」

 

孫悟飯は1週間も寝ていたという事実に一番驚いたように大声をあげる。

鈴仙と先生の二人が少し驚いてから答える。

二人の話を聞くとどうやら孫悟飯の体の傷はあまりにも酷くて先生でも直せるかわからないほどの傷であったらしい。

しかもとっくに死んでいてもおかしくない傷に加えて、レイム達の戦いの傷が加わり、治療何てまるで意味がないと思わせるほどだった。

その後治療すると驚くほどに治るスピードが早かったらしく、数日後にはすでに安定した状態にはなっていたという。

 

「まぁ、気分もよくて体を動かせるようなら問題はなさそうね。あと私の名前は永琳、八意永琳(やごころ えいりん)よ。」

 

と自己紹介をしてくれた。

その時、孫悟飯はあること気づく。

 

「俺は孫悟飯です。…けれども、なぜ俺の名前を知ってるんですか?」

 

「あぁ、それは…少し待ちなさい。今から説明する人をつれてくるわ。」

 

「説明する人を?」

 

そう言うと永琳は扉から部屋の外に出ていった。

孫悟飯は鈴仙と共に部屋で待つことになった。

 

 

 




どうも、弾です。
いやぁ…日常編は苦手だ!(きっぱり)
題名も中々いいのが浮かびませんねぇw
自分の文章力のなさが怨めしいです。
そしてバレンタインデーどうでしたか?
もう過ぎましたが俺は…特にイベントもなく過ぎていきましたw
その内イベント篇などの話も投稿できる余裕ができるといいと思ってます。
が、俺は今年で高3になります。
なので受験勉強なので投稿できなくなる可能性があります。
この一年の投稿ペースはどうか目をつむっていただきたいです。
上記のこともふまえて、これからもよろしくお願いします❗
次回もゆっくり待っててくださいねぇ。


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第5話 未来悟飯復活?博麗の巫女との接触

前置きの話がないぃ!
という感じなので今回は早速本編に入ろうと思いますが、設定をここで話しておきます。

・未来悟飯

幻想入りする前に人造人間と戦い倒されるが、その際のダメージがあまりにも大きく、攻撃力、スピードが大幅にダウンしていました。
そして、幻想入りの際にわずかに弱体化しています。

と、こんな感じです。
それでは本編いきます!



「孫悟飯さん…」

 

鈴仙が孫悟飯のことを呼ぶ。

孫悟飯はそれに気づいて鈴仙の方を向く。

すると鈴仙は興味深そうな顔を孫悟飯に向けながら色々な質問をして来た。

 

「孫悟飯さんは、どんな世界にいたんですか?妖怪が人に認識されている世界を私は幻想郷しかしりません。なのですごく興味があるんですが…」

 

と鈴仙が期待して聞いてくる。

孫悟飯は答えようとするが疑問がいくつか浮かんでくる。

が、それは答えたあとに質問しようと判断し、質問に答えた。

 

「どんな世界…って言われても普通の世界?ですかね?地球と呼ばれる星に住んでました。都市の方はすごく発展していましたよ。妖怪は…基本的には田舎の方に住んでいたよ。」

 

と答えた。

すると鈴仙は納得したかのようなそぶりを見せた。

そして孫悟飯も自分の感じた疑問について質問する。

 

「ここが本当に隔離された世界ならなんでまるで様々な世界を知ってるけれど妖怪を認知されているのが珍しい、というような言い方をしたんですか?」

 

それを聞くと鈴仙は少し驚いた様子になるがすぐに落ち着いて。

 

「す、スゴいですね…まだ起きて時間もたっていないのにここまで状況を整理して、なおかつ一言一言を聞き逃さないでここまで考えを働かせるなんて…今までの人たちでそんな冷静でいた人はいませんでしたよ?」

 

と言った。

詳しく聞くと、幻想入りは度々起こる現象らしいが、そのほとんどが妖怪食べられたり襲われたりして命を落とすもので、運よく霊夢や妹紅と呼ばれる人に見つかり保護されても説明を受けて混乱してしまう人がほとんどだと言う。

だから、孫悟飯のように落ち着いて話を聞き、会話ができる人など今までいなかったようだ。

それを聞いた孫悟飯も納得した。

そして、孫悟飯の中である考えも浮かんだ。

 

(そうか…幻想入りは度々起こるのか。つまり、こちらの世界に確実ではないとはいえ入ることができる。ならこの世界から俺の世界に戻る方法もあるはずだ!)

 

そう思っていたとき、扉の開く音が聞こえる。

どうやら永琳が先程言った【説明する人】をつれてきたのだろう。

その永琳の連れてきた人物の姿を見たとき、孫悟飯は目を見開く。

その人は一人ではなく複数人だった。

 

「レッ…レイム……さん…。」

 

そう、永琳と共にいたのはレイムと呼ばれていた人物だった。

その姿を見た孫悟飯は固まってしまう。

同じように霊夢も動きがとてもぎこちない。

お互いに気まずい印象を持っていてるようだった。

そして、霊夢の後ろから更に二人の人物が出てきた。

 

「えっと…あなた達は、確か…。」

 

言葉が止まってしまう。

どうやら記憶のなかにはあるようだが完全には思い出せないらしい。

 

「あぁ、私は魔理沙。【霧雨 魔理沙】だ!普通の魔法使いだぜ!」

 

金髪の魔法使いのような格好をした女の子が、それに気づいたようで自己紹介をしてくれた。

それを見たもう一人の緑色の長い髪に辺に蛇のようなものを巻き付けている巫女のような人物が自己紹介をした。

 

「私は、【東風谷 早苗】といいます。よろしくお願いします。」

 

二人が自己紹介したのを見て、孫悟飯も自己紹介をする。

 

「ど、どうも。俺は【孫 悟飯】と言います。よろしくお願いします。魔理沙さん。早苗さん。」

 

と言った。

二人は少し驚きながらも少し安心したように安堵のため息をつきながら少し笑った。

すると、三人の様子を見ていた霊夢が少し間をおいてから、

 

「…私は、博麗の巫女 【博麗 霊夢】よ。」

 

と自分の紹介もした。

孫悟飯はそれに気づき、少し安心しながら、

 

「はい、霊夢さん、よろしくお願いします。」

 

と答えた。

そして少し空気が緩んだところで永琳が本題に入り始めた。

永琳が霊夢になぜ、孫悟飯をここに連れてきて治療させたかの説明を求めた。

すると霊夢は一度大きく深呼吸をしてから話始めた。

 

「あなたとの戦闘が終わったあと、私はあなたを神社に運ぼうとしたわ。…理由は、あなたを助けるつもりはなかったからよ。」

 

霊夢は相手のことを気にせずにあったことをそのまま話す。

魔理沙は呆れ顔で霊夢を見る。

そして少し心配そうな目で孫悟飯の方を見るが、孫悟飯はその話を目を瞑って聞いていた。

その光景に魔理沙は少しばかり驚いた。

 

「けれどもそのあと、あなたの記憶にあるかはわからないけれども、あなたはピッコロ?だったかしら?そのような人物に謝っていたわ。意識がなかったのに。他の人にも謝っていたようだけれども聞き取れなかったわ。」

 

「ピッコロさんに?」

 

「えぇ、…そして私に…私達にも謝っていたわ。ひたすらにすみませんでしたと。」

 

「……」

 

「…だから、私はあなたを一度治療してから話を聞こうと思ったのよ。これでいいかしら?」

 

霊夢は話を終えると手を上にあげ大きくのびをした。

すると孫悟飯も話を始めた。

 

「俺は…謝っていたのは…よく覚えていません。それどころか霊夢さん達と戦っていたときでさえはっきりとした記憶がないんです…かろうじて少しだけ覚えているだけで…」

 

「…つまり、戦っていたときも意識がはっきりとはなかったの!?」

 

霊夢が驚いたように声をあげる。

魔理沙と早苗も声まではあげていないが驚いているようだった。

 

「は、はい…そうでした…」

 

いきなり大きな声をあげたのに孫悟飯は少し驚きながら答える。

すると三人は信じられないとばりに首を左右にふる。

そして少し時間が流れてから霊夢が質問をする。

 

「…孫悟飯さん、どうしてあなたが幻想入りしたか…心当たりはありませんか?それとも…あなたに初めからあったあのひどい傷。…あれが関係しているんですか?」

 

霊夢はこの質問が孫悟飯に対して一二を争うほど重要な質問だと考えていた。

傷だらけであれほどの強さを持つものはあり得ないといってもいいだろう。

が、その圧倒的な力を持つ孫悟飯が初めて見つけたときから死んでいるのではないかと思うほどの重症をおっていた。

それが霊夢にとって恐怖でもあり最大の疑問でもあった。

その質問を受けた孫悟飯は顔をしかめ、拳を握るのが見えた。

それを見た早苗が、

 

「あ、あの…もしご都合は悪いようでしたら無理してお答えにならなくてもいいんですよ?」

 

と優しく言う。

が、孫悟飯は少し間を置くと、

 

「いいや…心当たりはあるから答えるよ…それが正しいかはわからないけど。」

 

と答えた。

がそれを言う前に孫悟飯はあることを述べた。

 

「あの…皆さん。意識が曖昧だったとはいえ皆さんのことをよく理解もせずにいきなり攻撃を仕掛けてしまってすみませんでした。」

 

孫悟飯は心から謝罪をした。

それを聞いた霊夢達はなにも言わずにただうなずいた。

それだけで孫悟飯には十分だった。

そして話そうと息を深く吸う。

その場にいる全員がその話を聞き逃さんと、集中する。

そして孫悟飯は話始めた。

 

「…俺の心当たりって言うのは…人造人間達との戦闘です。俺はその戦闘で戦って…負け、倒されました…。おそらくその時に受けた連続エネルギー弾が幻想入りの原因じゃないかと思います。」

 

そう話した。

霊夢達はその話を聞くと驚きを通り越して唖然とするしかなかった。

孫悟飯は強かった。

それも霊夢達5人がかりで挑んでもやっと勝てた、というレベルだ。

その孫悟飯が負けた。

複数人であったとは言え、あれほどの強さを持つ孫悟飯が負ける相手が彼の世界にはいるのだ。

それだけでも彼女達には衝撃的な言葉だった。

そして同時に幻想入りの理由も理解した。

 

「悟飯さん。おそらくそれが幻想入りの原因で間違えないと思うわ。」

 

「やっぱりですか。」

 

孫悟飯はうなずく。

そして霊夢は帰るために必要なことを話した。

結界をいじって元の世界に戻す必要があること、とりあえずその怪我を治すことを優先させること、そして怪我がある程度なおったらしばらくの間は霊夢の家である【博麗神社】に預かるということ、そして、

 

「怪我が治っても結界が直るまでは帰れない?」

 

孫悟飯はその部分だけ聞き直す。

 

「えぇ、あなたがこの世界に来た原因が負けた時に受けた攻撃なら、おそらく結界が不安定になってるわ。それを直すまでは元の世界には戻せないわ。」

 

その返答に孫悟飯はうつむいて拳を握る。

人造人間達との戦いがどれ程孫悟飯にとって辛いものだったか、早苗や魔理沙達にも痛いほど伝わってきた。

そんな時、魔理沙が発言をする。

 

「なぁなぁ、悟飯。もう体は大丈夫なのか?」

 

「あぁ、はい。鈴仙さんが薬を塗ってくれたお陰でかなり楽になりました。」

 

そういいながら鈴仙の方を見る。

すると鈴仙はあたふたとしながら、

 

「あれは、師匠が作ってくださった薬ですし私は塗っただけですよ。…あ、あと、鈴仙だと他のウサギ達と勘違いしてしまうので、やっぱり…【優曇華】と呼んでくれませんか?」

 

と答えた。

孫悟飯は、わかった、と答えると、優曇華は少し笑った。

その会話が終わるのを確認した魔理沙は、再び孫悟飯に向かって話始めた。

 

「もし、動ける余裕があるなら…悟飯…さんの実力を見てみたいんだぜ…!」

 

その台詞に霊夢と早苗が驚いて声をあげる。

孫悟飯もその台詞は予想していなかったようで声はあげないもののかなり驚いておるようだった。

 

「何をいってるの!そんなこと許せるはずないわ!!」

 

霊夢が声を大きく張り上げる。

怪我をした状態であれだけ大地を揺るがし、地面を砕くほどの力を見せたのだ、怪我を治しているいま、本当の力を見せたらどうなるかわかったものではない。

それを霊夢は警戒しているのだ。

早苗も一度孫悟飯に倒されている。

その恐怖をそんなにすぐ…いや、もしかしたら二度と忘れることはできないかもしれない。

 

「だけど…私は…見たいんだぜ…悟飯の…悟飯さんの力を!」

 

魔理沙はその意思を曲げるつもりはないらしい。

すると後ろから声が聞こえてきた。

 

「私も見たいわ。」

 

その声に振り向くとそれを言ったのは永琳だった。

永琳がそんな台詞を言うなど誰も想像していなかったようでその場の全員は驚いた。

霊夢がなにかを言おうとするがその前に永琳が、

 

「もし孫悟飯さんを幻想郷で過ごさせるなら本当の力を理解しておくべきじゃないの?」

 

「…っ」

 

永琳の台詞に霊夢は詰まる。

そして少し考えてから、

 

「はぁ…分かったわよ。ただし確認だけよ。あ、一応弾幕ごっこの説明もしておきましょう。相手は魔理沙がやりなさい。」

 

「なっ!?何で私が!?」

 

「あなたが言い出したのだから当たり前でしょ?」

 

霊夢の台詞に言い返せなくなる魔理沙。

悟飯はなにかを言おうとしたが、この世界に早く馴染むことを優先させようとあえて口を出さないようにした。

すぐにこの世界から元の世界に戻るつもりなのだが、悟飯は

 

(どうしてだろう…そしてなんだろう…この胸騒ぎは。)

 

なにかをこの世界で感じているようだ。

そして、魔理沙の提案を霊夢が承認してから数分が経過していた。

 

「孫悟飯さんはどのくらい動けるのかしら?」

 

霊夢が悟飯にいきなり話をふってきたので反応が少し遅れる。

 

「え?あぁ、まぁ全力は無理だけど7~8割のスピードなら出せると思います。」

 

(7~8割…それなら実力を見る分にも問題はないわね。)

 

「なら早速表に出て始めましょう。」

 

「れ、霊夢さんちょっと待ってください。」

 

悟飯がそれを止める。

霊夢は少し不機嫌そうにこちらを見るが悟飯の様子を見るとそれも消えたようだ。

回りも何となく察しがついたようだ。

 

「お、俺…服が、無いんですが…」

 

そう、悟飯の元々着ていた胴着はあまりにもボロボロで血にぬれていた。

そんな服を着続けるのは永琳達は許さないだろうことも。

もしかしたら捨てられてしまっているかもしれないことも。

 

「あ、悟飯さん。」

 

優曇華が悟飯に声をかける。

振り向くとそこには見覚えのある色が視界に飛び込んでくる。

 

「あ、あのインナー(?)とズボンだけですが姫様が直してくださいましたよ?」

 

それを見た悟飯は驚いて優曇華を見る。

そしていままでで見せなかった笑顔を向けて、

 

「ありがとう!本当にありがとう!」

 

そう言いながら優曇華と握手をする。

その様子を優曇華を含む全員が驚いていた。

 

((((あ、あんな笑顔見せる(んだな)((ですね))のね…))))

(ひ、姫が…働いただと…!?)

 

一人だけ別のことで驚愕しているようだったが。

悟飯は本体の上からその胴着を着る。

その色は誰が見ても派手と感じるものだった。

山吹色のズボンに、藍色に近い青のシャツ。

こんな服装は幻想郷で見たことない。

いままで幻想入りしてきた人たちでもこんな服は着ていなかった。

それを見ただけでも悟飯がいままでの人達とは違うことがわかった。

悟飯は立ち上がると、大きく深呼吸をした。

立ち上がった悟飯の体はいくらか大きく見えた。

 

「さぁ、お願いします。霊夢さん、魔理沙さん。」

 

 




どうも高月 弾です。
いやぁ、詳細を今ごろですみません。
もっと早めに出しておくべきでしたね…
他にもわからないとこらや説明が必要なんじゃないか?と思うところがありましたら教えてください。
分からないところはものによっては教えかねますが、説明が必要なところは前置きなどで説明させていただきます。
とうとう、魔理沙と未来悟飯の弾幕バトルですね!
個人的には幻想入りして初めての弾幕ごっこが一番好きなんですよね。
まぁ余談なんですけどね。
では次回もよろしくお願いします❗


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第6話 さぁ、始めようぜ!

弾 「はっはー!テストが死んだぜぇ!」
魔理沙 「へぇ、まぁドンマイ。正直お前のことなんてどうでもいいんだぜ。」
弾 「ガハ!(弾に精神的318のダメージ)弾は力尽きた。」
魔理沙 「あっ…死んだぜ…まぁこれなら本当の意味で死んでることになるし作者のいってることがちゃんと現実になったな!おっと茶番はここらへんにしといて、次はいよいよ私と悟飯が戦うぜ!さぁ!悟飯…さんの実力を見せてもらうんだぜ!」

では、どうぞ!



魔理沙、霊夢、早苗、永琳、優曇華、そして、悟飯は永遠亭の庭に出てきた。

魔理沙と悟飯を除く霊夢たちは永遠亭の縁側のすぐそばに止まる。

魔理沙と悟飯はちょうど庭の真ん中の辺りまで歩いていき、お互いに対峙するように向かい合った。

庭といってもとても広く、自然公園等と言われても疑わないようなレベルの広さだった。

悟飯は久しぶりの外の空気を感じるように何回か大きく深呼吸をする。

その様子を見ていた霊夢達は、あのとき暴れていたことがまるで嘘のように見えてくるほどに感じた。

目を閉じていた悟飯が、やがてゆっくりと目を開く。

そしてストレッチを始めた。

すぐに戦い始めると思っていた霊夢は悟飯のその行動に思い描いていた予定とのずれを感じてペースが崩れていることに少しムッとしているようだ。

悟飯はかなり念入りにストレッチをしているようだが、魔理沙が少ししびれを切らしたように、

 

「な、なぁ悟飯…さん。ストレッチはまだかかりそうなのか?」

 

と質問してきた。

悟飯はそれを聞くとストレッチを続けながらすぐに、

 

「え?当たり前じゃないか、久しぶりに体を動かすんだからストレッチは入念にやらないと。魔理沙はもうストレッチとかは大丈夫なのかい?」

 

「あ、あぁ。私は魔法を使って戦うからストレッチとかは必要ないんだぜ。」

 

「へぇ~、魔法かぁ…俺は魔法とか見たことないからそれは楽しみだなぁ。少しワクワクしてきたよ。」

 

そう言いながら少し笑顔を見せる悟飯。

やはり霊夢達は、あの時暴れていた悟飯が本当に同一人物だとは思えなかった。

そう思いながらも悟飯がストレッチを終えるのを待っていると、ようやくストレッチをやめて魔理沙の方を向く。

そして深く頭を下げた。

 

「え?」

 

魔理沙達が少し驚いて声を漏らすがそのあとに悟飯は、こういった。

 

「よろしくお願いします!」

 

そういい終えたら頭をあげた。

少し遅れて魔理沙が慌てて頭を下げながら、

 

「こ、こっちこそよろしくなんだぜ!」

 

悟飯に返答した。

そして悟飯は武術の構えをとった。

魔理沙もスペルカードを構える。

が、その時、

 

「待ちなさい!」

 

霊夢が大きな声をあげる。

それに気づいた魔理沙と悟飯が霊夢の方を向く。

 

「なんだよ霊夢…これからってときに、」

 

「なんだよじゃないわよ。これは悟飯さんの力の確認と、スペルカードルールの説明よ?今は悟飯さんの力を確認する方が先決よ。」

 

そう言いながら悟飯の方を向いて、

 

「悟飯さん。力を解放した状態になってもらえるかしら?」

 

「…はい。分かりました。」

 

悟飯は返事をすると構えを解き、正面を向き拳を腰の高さに持ってくるように構えた。

そして一度大きく息を吐いた。

悟飯の目付きがいままでよりも鋭くなる。

その場の全員が、

 

(本気が来る!)

 

と確信した。

それほど目付きの変わった悟飯から放たれる雰囲気は変わり、回りに緊張と威圧感を与えるものにあっていた。

悟飯が拳強く握りしめる。

 

「はあぁぁぁぁぁぁ……」

 

悟飯が力を込める。

すると地面が大きく揺れ始めた。

まるで、青年異変の時に悟飯が力を解放した時のように。

そこで全員は改めて気づかされた。

 

(ご、悟飯さんが本気を出したら…本当に危険だ!それも私たちとかではなく幻想郷そのものが…!!)

 

大地そのものが、そして大気が悟飯の圧倒的な力によって揺るがされる。

その揺れはどんどん大きくなっていき、数秒でものに捕まっていないと立つことが難しいほどになっていた。

魔理沙も立っていられずに地面に手をつけていた。

 

「はあぁぁ!!!」

 

悟飯の叫びと共にかなり強い風が霊夢達に放たれた。

霊夢達はそれを受けるがなんとか踏ん張りその場に留まった。

悟飯の方を全員が見る。

するとあの時のように悟飯の体には白い炎のようなオーラが纏われていた。

が、青年異変の時よりもそのオーラは激しく、まさに燃え上がるような炎に見えるオーラだった。

その時、なぜか悟飯がわずかに顔をしかめる。

が、すぐにもとに戻り霊夢の方を向いた。

 

「これが俺の本気だよ。霊夢。そうしたらどうすればいいんだ?」

 

そう聞くと、霊夢が少し考えるように腕をくみ、右手を顎のしたに添え少し下を向いた。

 

「霊夢さん?何を考えているんですか?」

 

考える霊夢に疑問を抱いた早苗が霊夢に質問をした。

が、霊夢はそれが聞こえないのか返答せずに顔を少ししたに向けたまま黙っていた。

それから少しして、

 

「ねぇ悟飯さん。あなたまだ力を隠してるわよね?」

 

その台詞に悟飯を含む全員が驚く。

 

「…え?」

 

悟飯が思わず聞き直すが、

 

「私達と戦ったとき、あなたは最後に金色のオーラを纏っていたわ。それも最終局面のようなタイミングで。ということはあなたの本当の本気はあの時の金色のオーラじゃないのかしら?」

 

そう言いながら悟飯の方を少し睨む。

すると悟飯は右手で頭をかきながら、

 

「参ったなぁ、そこまで知られてたなんて。まぁそれなら見せないわけにはいかないなぁ。」

 

そういうと再び拳を腰の高さに持ってくる。

そしてわずかに重心を低くして力を込めるような体制をとる。

そして強く握りしめる。

すると、悟飯の回りの風が先程とはわずかに変わった。

先程までは殆んどなく、あってもわずかな風が悟飯を中心に回りに放たれるような風だった。

が、今度は風が先程よりも少し強く、悟飯の髪が風になびくように逆立つ。

それを見た霊夢、魔理沙の顔がこわばり、体がわずかに震え始める。

異変の最後の、悟飯のオーラが変わっていたときと同じような感覚になる。

二人は大きな絶望を思い出し、震えていた。

早苗もそのとき起きていなかったもののその様子に怯え始め、優曇華も同じように震えていた。

永琳は悟飯のことを警戒しながら庭を覆うように結界を張る。

悟飯の目付きが今までよりもより鋭いものに変わる。

 

「くっ…かっ…はぁぁぁぁぁあ…」

 

再び大地が、そして大気が震え始める。

が、先程や異変の時よりも激しくなっていた。

霊夢たちは永遠亭のどこかに捕まり何とか立っているが、魔理沙はあまりの揺れに立っていられなくなり片手を地面についてバランスをとっていた。

悟飯の方を見ると先程までの白いオーラが金色のオーラに変わっていた。

そして瞳の色が黒から碧に変わっていた。

全員がその様子に言葉を失っていたが、その時

 

【ズキンッ!!】

 

「ぐっ!?」

 

悟飯がふらつき、右手と右膝を地面につきしゃがみこむ。

それにあわてて霊夢達が悟飯の元に寄ろうとするが、足がすくんで動かなかった。

やっとのことで魔理沙が歩き始めた。

 

「どっどうしたんだ?悟飯さん…大丈夫か?」

 

すると、

 

「あぁ、大丈夫だよ。けど超サイヤ人になるのはちょっと無理そうだ。」

 

そういいながら立ち上がる。

まだわずかに痛みが残っているようで顔をわずかに歪めながらもう一度体制を立て直す。

そして、再び白いオーラを纏った。

 

「超サイヤ人になれないってどういうことかしら?それに超サイヤ人って…貴方はどこの国の人なの?」

 

霊夢が質問すると、悟飯すぐに

 

「あぁ、俺は一度だけ変身できるんだ。超サイヤ人ってのになるといまよりもスゴくパワーアップするんだ。どこの国って…パオズ山って所に住んでて、途中から町に移り住んだことしか分からないや…ごめんな?」

 

「そう…変身して、まだ強くなれるのね…」

 

そう呟くようにいいながらわずかに顔をうつ向かせる。

震えていた。

霊夢の体はその真実を受け入れたくないかのように体は小刻みに震えていた。

いくらやめろと訴えても言うことを聞かずに震えるばかりだ。

あれだけの力を持つ悟飯にはまだこれよりも上があるのだ。

そして霊夢にとっての一番の絶望はこの事だった。

(かなりパワーアップ…つまりまだ本当の力の50%ほどの力しか使っていないのだろう…いや、下手したら30%なのかしら…?)

 

この強さでさえ霊夢たちは圧倒された。

なのに悟飯まだかなりのパワーアップができるといったのだ。その計り知れない力に8割の力という予想など立たなかった…出てくるのは…その規格外の強さに見合う、絶望的なパワーアップだけだった。

が、たとえその超サイヤ人がどうであろうといまはいま見れる力を確認すべきだと判断した霊夢は顔をあげ悟飯に言った。

 

「…ふぅ…わかったわ。ならいまから弾幕ごっこを始めるわ!まず簡単なルールから説明するわ。」

 

霊夢が大きく声をあげた。

悟飯と魔理沙は霊夢の方を見つめ、早苗達も霊夢の方を向いた。

 

「まずスペルカードは三枚!そして、弾幕に三回当たったら敗け!または相手がスペルカードを使いきったら勝ち!」

 

「まっ待ってくれ!」

 

悟飯が待ったをかける。

 

「すっスペルカードってなんだい?そんなもの持ってないよ?」

 

「だから悟飯さんは自由に戦っていいわ。魔理沙に三回攻撃を当てたら…連撃はなしよ?計三回攻撃を当てたら勝ちと言うことでいいわ。」

 

「…わかった…。俺は弾幕に当たらずに三回攻撃を当てれば勝ちなんだね?」

 

「そうよ。魔理沙もそれでいいわね?」

 

「あぁ、大丈夫だせ!」

 

「ならルール説明は以上よ。なにか質問はある?」

 

悟飯と魔理沙の両者は共に無言で対峙する。

それを見た霊夢は足元の小石を拾い上げそれを顔の前の高さまで持ってくる。

 

「これが地面に落ちるのと同時に開始するわ。いいわね?」

 

静寂が流れる。

返答はないがそれはお互いに集中しているサインだ。

霊夢が石を手から離す。

早苗、鈴仙、永琳がその様子を見守る。

石が落ちるまでは短いはずなのだがそれが長く感じられた。

そして、石が…

 

【ザッ】

 

若葉に落ちる。

それの直後に魔理沙は箒にまたがり空中へと舞い上がる。

悟飯は白いオーラをさらに強め、まるで炎が燃え上がるかのような激しいオーラに変わった。

 

(この前みたいな強さ…いや、それより強いかもしれないなら…手加減なんてしてられない!)

 

すると魔理沙は服の中から一枚のカードを取り出した。

 

【魔符 スターダストレヴァリエ】

 

魔理沙が星形の弾幕を悟飯に向けて上から発射する。

どうやらこれがスペルカードというものらしい。

悟飯はそれをすごいスピードで上に躱した。

 

(やっぱり躱されるか……後のこと何て考えてられないぜ!始めから全力でいくぜ!!)

 

魔理沙がカードを悟飯の方に向けた。

カードから弾幕はまだ継続して出ている。

 

(スペルカードって言うのは発動したらしばらくの間弾幕がで続けるってことなんだな…)

 

そう思いながら迫り来る弾幕を紙一重で躱していく悟飯だが、徐々に逃げるタイミングがわずかに遅くなっていく。

なぜなら魔理沙が弾幕のスピードと密度を上げたからだ。

始めに躱されたあとのスペルカードは魔理沙の全力だ。威力なども上がっているため避けるのがだんだん難しくなってくる。

が、理由はそれだけでない。

 

(くっ…俺の世界じゃこんなに複雑で避けることの難しい気功波はないぞ!?すっすごい技術だ…)

 

そう思いながらなんとか躱していく。

が、少しして弾幕が悟飯の肩を掠める。

 

「くっ!?」

 

「!…捉えたぜ!!」

 

魔理沙のスペルが悟飯を捉えたようで弾幕が襲いかかっている。

タイミングもよく、悟飯のスピードでも躱せないはずだった。

が、目の前で驚くべきことが起こる。

 

【シャッ!】

 

悟飯が視界から消える。

 

「なっ!!?」

 

その事にその場に居た全員が驚き思わず声を漏らした。

辺りを見回すと先程とは全く別の場所に悟飯は飛んでいた。

始めに見つけたのは永琳だった。

 

「…っ!…あそこよ。」

 

永琳が悟飯のいる場所を指差す。

すると全員がその場所を見る。

そして、魔理沙はその場所に向かってスペルカードを向けた。

そしてまた驚くべきことが目の前で起こった。

悟飯はその弾幕に自ら突っ込んでいったのだ。

普通ならば当たってすぐ決着がつくのだが、悟飯は魔理沙に向かいながらも弾幕を正面から、しかも躱しながら突っ込んできたのだ。

その光景に全員は言葉を失った。

魔理沙だけはなんとか戦いの中で集中していたがそれでも動揺は隠せなかった。

どんどん迫り来る悟飯に対して逃げるように後ろに飛びながらスペルを発動し続ける魔理沙。

が、その速さは悟飯の方が圧倒的に速かった。

そして、

 

【バキッ!!】

 

悟飯は追いつき、魔理沙の箒の先端を下に向かって蹴りつける。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

魔理沙は前回転をしながら箒と一緒に落ちていく。

なんとかふみとどまり地面に墜落せずに体制を立て直す。

が、スペルカードはいまの攻撃で効果を失ってしまったようだった。

 

「さっ…流石だぜ…私の全力の弾幕をこうも早い段階で攻略されちまうなんて…なら次はもっと別の戦い方を見せてやるぜ!!」

 

そういうと箒の後ろ部分が虹色の光を放つ。

 

【彗星 ブレイジングスター】

 

第2ラウンドが始まった。

 

 

 




どうも弾です。
もう一言です。3月18日(サイヤ)の日に投稿できてよかったぁ!
なんとか投稿できました。
特に言うこともないので、次回もよろしくお願いしますで終わらせていただきます。


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第7話 動き始める実力者達

魔理沙と悟飯の対決がいよいよ盛り上がってきました!
魔理沙は早くも二つ目のスペルを発動。
果たして悟飯に勝つことができるのか?
それでは本編をどうぞ!


「さぁ!これならどうだぜ!」

 

そう叫びながら魔力を纏いながら悟飯に向かって突っ込んでくる。

スピードはさっき逃げていたときよりも数倍速かった。

 

(スゴい気を纏ってる…いや、俺がいままでに感じたことのない特殊な気…恐らく気とは違うなにかだろう。なんにしても強い力だ…)

 

「スゴいスピードね。」

 

霊夢が魔理沙のスペルを見ながら呟くように言った。

 

「た、確かにスゴいです。あれだけのスピードを出せるなんて…それに纏っている魔力もスゴい強いですしかなりの量ですよ!?」

 

早苗も目を丸くしながら興奮ぎみに答えた。

いままで見てきた魔理沙のスペルにこんなものはなかった、つまり新しく完成させたスペルだろう。

いままでのスペルとは大きくことなり、弾幕を張り相手を追い詰める形ではなく、スピードで相手を翻弄するタイプだった。

その自慢のスピードで悟飯に突撃するが、悟飯はそれを紙一重で躱した。

悟飯のすぐ横をブレイジングスターを発動している魔理沙が通りすぎる。

 

(スゴいスピードだ、まさかここまで速く動けるなんて…っ!?)

 

【ドガガガガガッ‼】

 

悟飯の体なにかが当たる。

驚いたように正面を見るとその理由がすぐにわかった。

それは魔理沙の箒の後ろから放たれている弾幕だった。

魔理沙のスペル【ブレイジングスター】はただスピードをあげて突撃する技ではなく後ろに弾幕を放ちながら突撃する技だったのだ。

それを予測できなかった悟飯に弾幕が直撃する。

 

「…っ!!」

 

空中で少しよろけながら顔をしかめる悟飯。

これでお互いに攻撃を受けた回数は1だ。

悟飯はふらつきながらも体制を立て直し、気弾を魔理沙に向かって放った。

気弾は真っ先に魔理沙に向かって飛んでいき、着弾する。

爆発が起こり、魔理沙は煙に飲まれていった。

 

(まずい、少し力を入れすぎたかな?)

 

そう思いながら悟飯は煙の方へと飛んでいく。

その時、大きな煙の中から一筋の煙がすごい速さで伸びていった。

やがて煙が晴れていく。

その伸びていた一筋の煙の正体は煙を纏っていた魔理沙だった。

しかもまだ魔力を自身に纏っているためスペルもまだ継続していたのだ。

 

「あっあれをうけても無事だったのか?」

 

「直撃していなかったからよ。」

 

霊夢が悟飯に向かって話始めた。

悟飯もそれに気づき霊夢の方を向いた。

 

「あのスペルは大量の魔力を纏って飛んでいるわ。その魔力は攻撃にもなるしバリアの役割もはたしているのよ。」

 

「じゃああれに当たっても当たったと言う判定にはならないってことか?」

 

「そう言うことよ。」

 

「攻撃が効かないうえにあれほどのスピードで飛べるのかぁ…」

 

悟飯が魔理沙を見ながら呟くように言う。

それを見た霊夢達は悟飯が悩んだりすこし困っているものだと思った。

が、悟飯の次の様子に霊夢は意表を突かれる。

 

(…久しぶりだなぁ…こんな感覚。あんな世界になってからは一度のなかったからなあ。)

 

「少しだけ…ワクワクしてきた!」

 

頬にえくぼを作りながら楽しそうな顔をする悟飯。

それを見た霊夢達は驚き、そして再び迷っていた。

異変の時と、現在の悟飯の様子が違いすぎてどちらが本当の姿なのかわからなくなっているのだ。

 

(こっち…それともあのときの?…いや、もしかしたら)

 

(どちらも本当の悟飯さんなのかもしれませんね…)

 

霊夢と早苗はお互いに全く同じことを考えていた。

そんなことを全く気にせずに悟飯が行動に出た。

悟飯がオーラを纏い、魔理沙に向かって速いスピードで飛んでいった。

魔理沙もそれに瞬時に気づき、悟飯から逃げるように飛んでいく。

魔理沙の後ろから悟飯が追いかける。

スピードはほとんど互角に見える。

つまり二人の距離はほとんど縮まっていなかった。

端から見たらそれはただ単に二人のスピードが同じに見えるだろう。

しかしそれは違う。

魔理沙のスペル【ブレイジングスター】は後ろに弾幕を張りながら超スピードで飛行する技だ。

後ろから追いかける悟飯はその弾幕を躱しながらだ。

つまり弾幕を躱す悟飯の方が魔理沙よりもわずかに長い距離を飛んでいるのだ。

しかもその状態で魔理沙との距離は変わらない。

悟飯は魔理沙よりわずかに速いスピードで飛んでいるのだ。

しかし距離を積めることができなければ悟飯も追跡する意味がない。

悟飯は魔理沙にめがけてエネルギー弾を放つ。

が、魔理沙に届く前に魔理沙の弾幕と相殺してしまう。

そこで悟飯は魔理沙を後ろから追うのを止め、魔理沙よりも高い上空に飛び上がった。

そして弾幕の効果範囲を抜けたところから、エネルギー弾を魔理沙に向かって数発放った。

それは直撃する、が今度は煙が舞い上がることはなかった。

まるで光のみが爆発したかのように大きく光った。

魔理沙の魔力の装甲はいくらか削り取られる。

しかしそれをすぐに魔力が注入され修復されていまった。

 

(…すぐに修復できるのか、なら削り取った直後に攻撃を当てる必要があるな。)

 

そう考える悟飯に魔理沙が突撃してくる。

とっさのことに悟飯はわずかに反応が遅れる。

なんとか紙一重で躱すがその後ろの弾幕が悟飯に襲いかかってきた。

 

「くっ…!」

 

悟飯は右腕を付きだしエネルギー波を弾幕とは垂直に放った。

その反動で悟飯の体は弾幕の正面から移動することができた。

が、まだ弾幕の範囲内にいる悟飯は弾幕を躱しながら効果範囲から抜け出した。

 

「あの弾幕からよく抜け出せたな。悟飯。次はそうはいかないぜ!」

 

「ずいぶんと焦っているみたいだな。それもそうか、その技は魔理沙の気を相当に消費する短期決戦ようの技みたいだからな。」

 

「なっ…!?分かってたのか?」

 

魔理沙が驚くがすぐに冷静になり聞き返す。

 

「あぁ、途中からだけど魔理沙の気が速いペースで減っていってることに気づいたんだ。そしてそれはその技のせいだってこともすぐにわかったさ。」

 

その説明を聞いた魔理沙と観戦していた全員が驚いたように目を見開いていた。

 

「…まさかそこまで見抜かれるなんてな…やっぱスゴいぜ。悟飯!だけどそれがばれたところで悟飯!あんたはまだこの技を突破できないだろ!!」

 

そういいながら再び突撃してくる魔理沙。

それをスゴいスピードで躱す悟飯。

そして悟飯はすこし笑いながら魔理沙にこういった。

 

「残念だけど…もう突破させてもらうよ!」

 

そういいながら腰を落とす悟飯。

そして右手の人差し指と中指以外を握るようにし、その指2本をおでこの辺りに持ってきた。

すると指に電撃のようなものが溜まり始めた。

そして、

 

「いくぞー!!魔理沙!!!【魔貫光殺砲】!!!!」

 

叫びながら悟飯はその右手を前につきだした。

すると指からまるでレーザーのようなものが速いスピードで魔理沙の背中に向かって放たれた。

 

「魔理沙!!!!」

 

霊夢が叫ぶ。

すると魔理沙はその攻撃に気づき回避行動をとる。

しかしわずかに間に合わず、魔理沙の体にはギリギリ当たらなかったものの、纏っていた魔力がレーザーの当たったところだけ消し飛んでしまった。

 

「なっ…何て破壊力だぜ…こんなの直撃してたら体が持っていかれてたぜ…」

 

魔理沙がその圧倒的な破壊力に唖然としているとき、大きな声が聞こえてくる。

 

「魔理沙!!悟飯さんから意識を離したら…!!!」

 

その声にはっとしすぐに意識を向ける。

が、遅かった。

悟飯はすでに先程の魔貫光殺砲で消滅した魔力の装甲の空いているすぐそばへと来ていた。

そしてそこにエネルギー波を撃ち込んだ。

大きな爆発が起こる。

 

「うわあぁぁぉぁぁ!!!!」

 

魔理沙が吹き飛ばされる。

纏っていた魔力は拡散してしまい、スペルも効力を失ってしまった。

そして地面に落ちる。

 

「ごっごめん魔理沙。大丈夫か?」

 

悟飯がすぐにかけよって心配してきた。

が、魔理沙はすぐに悟飯から離れる。

 

「はぁ、はぁ…まだ勝負はついてないんだ。情けは無用だぜ!」

 

そして通常弾幕を悟飯に向かって放った。

悟飯は一瞬気を許していたので反応が遅れるがすぐに躱し距離をとった。

これで魔理沙は残り1、悟飯は残り2と魔理沙が追い詰められる状況になってしまった。

 

「…悟飯。お前の技は一点集中の技が多いよな?それを踏まえてひとつ提案…というか頼みがあるんだ。」

 

魔理沙がいままでよりも深刻そうな顔になり問う。

 

「…どうしたんだ?」

 

「次のスペルで…お互いの最高の技をぶつけ合ってくれないか!!」

 

そう言いながら悟飯をまっすぐな目で見つめる。

悟飯はすこし考えたあとに、

 

「なぁ、霊夢。この勝負、この撃ち合いで撃ち負かした方が勝ち…でいいかな?」

 

霊夢はすこし考える。

そして、

 

「悟飯さんがそれでいいなら構わないわよ。」

 

そう答えた。それを聞いた魔理沙と悟飯すこし笑顔になる。

 

「そうか…なら…」

 

「あぁ、これが…」

 

「「最後だ!!!!」」

 

魔理沙は箒で空中へと飛び上がり、悟飯は地上で魔理沙を見上げお互いに対峙する空間を作った。

 

「「いくぞ(ぜ)!!!!」」

 

魔理沙は八卦炉を取りだした。

悟飯は白いオーラを炎のように荒々しく纏う。

八卦炉を前につきだし魔力を込め始める。

悟飯は右手を前につきだし、

 

「か~…め~…」

 

そう言いながら手を腰の辺りまで引いてくる。

魔理沙はスペルカードを取りだし、八卦炉に込める魔力をどんどんあげていく。

 

「恋符…」

 

「は~…め~…!」

 

悟飯の手の中に青白いエネルギーが出てきはじめる。

そしてついに!

 

「マスタースパーク!!!!!」

 

「波ーーーーーーー!!!!!」

 

魔理沙は八卦炉から、悟飯はつきだした右手から凄まじい勢いでエネルギーが放たれる。

そして、衝突する。

 

【ドカアァァァァァァン!!!!】

 

凄まじいエネルギーの衝突で辺りにはスゴい衝撃波と爆風が巻き起こる。

 

「うさぁ!?」

 

てゐはそれに耐えられずに尻餅をつく。

他のウサギたちも尻餅どころかその衝撃波と爆風によって吹き飛ばされてしまう。

霊夢達も柱に捕まって飛ばされないようにしていた。

 

        「マスタースパーク」

「なっ、俺の(私の)         と似ている!?        「かめはめ波」

 

 

お互いの攻撃は全く互角の戦いをしているようだった。

 

「す、スゴいわね。魔理沙のマスタースパークってかなりの威力なはずよ?なのにそれを片腕ひとつの撃で受け止めるなんて悟飯さんはやっぱりスゴいわね。」

 

永琳がそういうと、

 

「スゴいなんてもんじゃないわよ…!」

 

霊夢が目を見開きながら答える。

 

「魔理沙のマスタースパークは火力なら幻想郷の中でもトップクラスといっても過言じゃないわ。そのマスタースパークをあなたもいったように片手のエネルギーだけで受け止めてるのだからとんでもないわよ…本当に。」

 

そう怯えた様子でいった。

が、すぐにすこし笑ったような表情になり。

 

「…だからこそあんなに楽しそうなのかしらね。」

 

そう言った霊夢を見た永琳達はすぐにその言葉を疑ったが次に魔理沙に目を移したときにはその言葉の意味が理解できた。

魔理沙は笑っていたのだ。

霊夢の言う通りなら魔理沙のマスタースパークを正面から受けるやつらはいないだろう。

だからこそいまみたいに全力をぶつけることができなかった。

けれどもいまはそれができる、それだけでも魔理沙はとても気が高まっていたのだろう。その証拠に魔理沙はこんなに激しい衝突をしておるのに顔は笑っていたのだ。

 

「くっ…くくっ…さすがだぜ悟飯。私のマスタースパークと全く互角なんて驚いたぜ。」

 

「俺もだよ。まさかかめはめ波と同じような技でしかも威力もそっくりなんて、信じられないよ。」

 

二つの大技は全くの互角でお互いに威力を落とさなかった。

が、どんな勝負もいつかは終わりが来るもの、それはこの勝負も例外ではない。

 

「確かにスゴいよ。魔理沙さん。だけど、俺だって負けられないんだ!!!」

 

悟飯の放つかめはめ波の威力がわずかに上がる。

魔理沙も威力をあげようとするがもうすでに限界まで魔力を使っている。

これ以上はどうあがいてもあげられない。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

さらに威力が上がる。

魔理沙のマスタースパークはどんどんかめはめ波に押し返されていき、やがて魔理沙目の前まで迫っていた。

 

「うっうぅ…ま、だだ…!」

 

が、最後の抵抗もむなしく、悟飯のかめはめ波は魔理沙の体を飲み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚める。

すると見たことのある天井が見えた。

そして自分が寝ていたこと、敗北したことを思い出す。

そしてゆっくりと起き上がった。

 

「ごめん。魔理沙さん。大丈夫かい?」

 

悟飯が心配そうに魔理沙を見つめる。

すると魔理沙は

 

「あぁ、大丈夫だぜ。悪いな、怪我してるのに弾幕ごっこなんかやらせちまって。」

 

と謝った。

すると悟飯は大丈夫、と一言返して笑って見せた。

すると霊夢が魔理沙のそばに来て、

 

「ちょっと前まで悟飯が眠っていて魔理沙が見ていた側なのにすぐに入れ替わったわね。」

 

いたずらに笑いながら魔理沙に話しかける。

すると魔理沙はすこし怒ったように、

 

「こんな展開作った原因は霊夢だろ?しっかりと責任はとってもらうぜ!」

 

「はぁ?あんたが弾幕ごっこを教えろっていったんでしょうが。責任はあんたにあるわよ!」

 

「普通なら博麗の巫女である霊夢が確かめるべきだろ!」

 

「なによ、楽しんでたくせに言ってくれるわね。楽しんだのならいいじゃない。」

 

「それとこれとは話が別なんだぜ!!」

 

「あっあの…これはほおっておいて大丈夫なんですか?」

 

見かねた悟飯が永琳に問う。

すると永琳の様子はあきれているようで、

 

「いつものことよ、ほおっておきなさい。」

 

とそっけなく答えた。

 

そしてあることを聞いてきた。

 

「悟飯さん。あなたはこれからどうするの?元の世界に帰れないけれど、何かすることは決まってるのかしら?」

 

そういわれた悟飯はすこし考えてから、

 

「金髪の女の人…髪の短い女の人に謝りに行きたいですね。あの人が一番記憶に残っている。確か…アリス…さんでしたっけ?」

 

「あぁ、アリスね。なら明日にするといいわ。あなたも疲れたでしょうし、あの人形使いなら魔理沙が案内してくれるわ。その魔理沙も明日までは安静だから今日は此処に泊まりなさい。」

 

そう言われた悟飯。

するとそれにすぐ霊夢が反応する。

 

「悟飯さんは私が預かった方が…いや、怪我があるならこっちの方がいいわね。」

 

そう言いながら部屋を出ようとする。

 

「なら、全員に謝罪が終わったら博麗神社に来なさい。私はそこにいるから。私は帰るわね。」

 

「分かりました。ありがとうございます。霊夢さん。」

 

「霊夢でいいわよ。悟飯さん。」

 

そう言いながら霊夢は玄関の方に歩いていった。

 

「さぁ、来なさい悟飯さん。あなたさっきすこし無理したでしょ?」

 

「えっ?…バレましたか?」

 

「私をあまり甘く見ない方がいいわよ。」

 

「ははっ…すみません。」

 

謝りながら、悟飯は永琳につれられ治療してもらう。

魔理沙は優曇華に治療してもらっていた。

その後、明日になる前に悟飯は此処にいるウサギ全員に謝って体力を消耗したのはここだけの話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…スゴい力ねぇ…全く、この戦いのせいで花が吹き飛んだ落とし前はつけてくれるわよね?外来人…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「これほどの力を感じるなんていつぶりだろうね?」

 

「分かんないぞぉ…でも久々に血が騒いできたよ!!」

 

「二人じゃダメだ!じゃんけんでどっちが先に戦うか決めようじゃないか!」

 

「いいぞぉ!いくぞぉ~、じゃあ~んけ~ん…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんか地上の方が騒がしいわねえ…なにも起きていなければいいのだけれども、この様子だとなにかが起きてあるのは確かね…まぁそんなことより…妖夢~お腹へって死にそうよぉ~」

 

「はぁ…幽々子様はもう死んでるじゃないですか…」

 

 

 

 

 

 

 

「あれほどの力とはね、早苗が歯が立たないなんて驚いたよ。」

 

「こりゃあ私たちももしかしたら戦わなくちゃならないかもね。」

 

「ははっ!そうかもしれないねえ。冗談であってほしいけれどね。」

 

 

 

 

 

「…紫様が寝ている間にまさかこんなことが起こるなんて…早く起きていただかねば…!!」

 

 

 

 

 

幻想郷の様々な場所で色々な者達が悟飯の存在に気づき様々な考えをたてていた。

 

 




どうも、弾です。
いやぁ、魔理沙と未来悟飯の対決はやっぱりマスタースパークVSかめはめ波やりたかったです!!!
この二つの技は龍球伝の中でも多く使われるものですよね。
やはり弾幕を張るタイプの東方と一点集中の多いドラゴンボールの中でぶつかり合うことができるのはこの二つですね。
個人的にはここがとても好きですね。
これから弾幕勝負が増えていきます。
なのでしばらくマスタースパークVSかめはめ波の復活はないかな?
まぁなんにせよ、今回も見ていただきありがとうございます❗
次回もよろしくお願いいたします❗


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第二章 幻想郷という世界
第8話 お互いに常識はずれた物


常識はずれとは果たしてどこからどこまでの事なのだろうか…


 

「んっ…!」

 

一人の女性が布団から起き上がり、腕を上に伸ばしながら大きく伸びをする。

そしてそれを終えると近くにある赤と青の服に着替えた。

それは永琳だった。

普段よく目にする赤と青の服を着て、まだ朝早い時間だが活動を始めようとしていた。

まずは姫と呼ばれる人のようすを確認。

次に患者の確認をしに行った。

魔理沙の部屋にはいると、魔理沙はまだ寝ているようで、特に怪我などを苦しんでいる様子はなかった。

それを確認した永琳は悟飯の部屋に向かい扉を開けた。

が、そこの布団は畳まれていて、すでに悟飯の姿もなかった。

 

「…まさかもうアリスに謝りに行ったのかしら?」

 

そう考えたが、そうではないのだとすぐに推測する。

 

(いや、家を知らないのだから行けるはずがないわね。悟飯さんはなにか力を感じることができるようだけれどもあれだけ記憶が曖昧ならその力を覚えてるとは考えにくいし…)

 

永琳は月の頭脳と呼ばれるほど頭が回る。

こういう問題に直面してもすぐに冷静に対処することができる。

 

(…とりあえず、この中を探せば会えるでしょう。)

 

そう考えた永琳は残りの確認をすると共に悟飯を探すことも始めた。

永遠亭内を全て確認したが悟飯の姿はどこにも見当たらなかった。

 

(…どこに行ったのかしら?…外の空気でも吸っているのかしら?)

 

そう思いながら魔理沙と悟飯が戦った庭へと歩いていった。

庭の扉を開けると眩しい朝日と同時にある光景が目に入ってきた。

それは悟飯がトレーニングをしている光景だった。

あの山吹色のズボンに青色のインナーを来ている状態で、腕立て伏せをしていた。

悟飯は片腕がないため右腕だけの腕立てになる。

それを早いスピードでやっていた。

それを見た永琳は声をかけようとしたがそれをやめ、悟飯の様子を眺めていた。

1分ほど過ぎただろう。

一人の少女が永琳のもとにやって来た。

優曇華だ。

 

「おはようございます、師匠。」

 

優曇華が永琳に挨拶をする。

すると永琳はおはようと返したあとに優曇華の耳元でなにかを伝える。

すると優曇華は驚くのと同時に真っ青になりどこかに走っていった。

するとそのとき、

 

「やぁ、永琳。おはよう。」

 

と、悟飯が永琳の近くにやって来た挨拶をした。

 

「あら。おはよう。怪我をしているに精が出るわね。」

 

と皮肉混じりに挨拶を返す。

 

「は、ははっ…もう傷は大分よくなったよ。普通のトレーニングならほら、さっき見ていたように完璧さ。」

 

「あら?気づいていたのね?」

 

「当たり前だよ。さっき永琳のところに来ていたのは優曇華かい?」

 

「そうよ。優曇華のことがわかったのもあなたの言う【気】ってやつかしら?」

 

「あぁ、そうだよ。それのことは朝ごはんのときに話すよ。」

 

「えぇ、そうしてもらうわね。それで、まだ続けるのかしら?」

 

「あぁ、もちろん。もしかして相手してくれるのかい?」

 

 

「私なんかに頼むのかしら?」

 

と永琳は笑いながら答える。

しかし次の言葉に表情が固まる。

 

「だって…力を隠しているようだけど、永琳さん。あなたかなりの強さを隠してますよね?」

 

その言葉を聞いた永琳は目を鋭くさせ、悟飯を睨む。

が、その目は相手を威圧するようなものではなく相手を見定めるかのような目付きだった。

 

「…そうね…確かに力は出していないけれども強くなんてないわよ。」

 

そう言いながら永遠亭の中に戻り歩いていく。

 

「あまり無理してトレーニングしちゃダメよ?」

 

「わかってるよ。ありがとう。」

 

そう言いながら悟飯は格闘の空動きを始めた。

数分後、優曇華は永遠亭内を駆け回っていた。

 

「起きなさい!!てゐ!!」

 

優曇華が寝ているてゐの耳元で大きな声をあげる。

てゐはそれに気づいてゆっくりと優曇華の方に目を向ける。

 

「…うるさいうさ…まだ朝早いのになんで起こすんだうさ…」

 

そう言いながらまた眠ろうとする。

それを揺らしてやめさせる優曇華。

さらにそうしながら大声でてゐに言った。

 

「もう悟飯さんが起きてるのよ!!!早くしないと間に合わなくなるわよ!!!」

 

その言葉を聞いたてゐの目がだんだんと大きくなっていく。

そして飛び起きながら、

 

「もっもう悟飯が起きてるうさ!?まだこんな時間なのにうさ!?」

 

「そうよ!!だから急いで!!」

 

それを聞いたてゐは先程の優曇華のように永遠亭の中を駆け出していった。

優曇華はてゐとは別の方向に走っていった。

そんな中、永琳は研究室(?)ような場所に入り薬の調合などをしていた。

そして悟飯は、トレーニングを続けていた。

そして、てゐと優曇華は多くの兎(鈴仙)達をつれてある場所に集まっていた。

そして慌ただしく走り回っていた。

 

「早くするうさ!!昨日みたいなことになったらまたとんでもないことになるうさ!!急ぐうさ!!」

 

「はいぃ~い!!」(不特定多数)

 

「まさか悟飯さんがこんなに朝早く起きるなんて思わなかった…」

 

兎達がここまで焦っているのは理由がある。

それは昨日の夜に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迷惑をかけてごめんなさい。」

 

悟飯は鈴仙達にも謝っていた。

マスタースパークとかめはめ波のぶつかり合いの時に、鈴仙達は吹き飛ばされてしまった。

それの謝罪をしていたのだ。

鈴仙達は初めは険悪な雰囲気だったが真剣に謝る悟飯を見て許す気になったようで、悟飯を攻めたり愚痴を言ったりすることはなかった。

ここまでは問題ではなかったのだ。

問題はその少しあとに起きたのだ。

 

「悟飯さん。魔理沙。夕御飯にするからいらっしゃい。」

 

「分かりました。いまいきます!」

 

「おっ、了解だぜ。」

 

二人は待っていたかのようにすぐに部屋に向かった。

そして、

 

「「「いただきます!!」」」

 

これが悲劇の始まりだった。

 

【ガツガツガツガツガツガツガツ】

 

「………。」

 

「………。」

 

永琳と魔理沙は御飯を食べていた手が止まる。

そして二人の視線の先には、圧倒的な早さで御飯が無くなっていく光景が目に写っていた。

しかも一人の手によって。

 

「永琳さん。この御飯本当においしいですね!!」

 

悟飯が顔に満面の笑みを浮かべながらそう言う。

 

「えっえぇ…それならよかったわ。其れを作ってるのは優曇華だから後で優曇華に言った方がいいと思うわよ。…おかわりしたかったらいってね…」

 

「本当ですか?ならおかわりお願いします!」

 

そう言いながら茶碗を差し出す。

永琳はそれを受け取り御飯を盛る。

すると悟飯はまたとても早いスピードで食べ始めた。

永琳もそれを見ながら飯を食べ始めた。

魔理沙もその後にゆっくりと食べ始めた。

数分後、すでに始めに出された食べ物はすでになくなりかけていた。

魔理沙と永琳はすでに食事を終えているが悟飯のスピードは全く落ちない。

すると永琳が調理場に行き、

 

「優曇華。もっと料理作ってちょうだい。」

 

「えっ、大分作ったんですけど足りませんでしたか?」

 

「えぇ、かなり余るようにつくっていいわよ。」

 

「??分かりました。」

 

そう言うと優曇華は追加の料理を作り始めた。

永琳が戻ってくるとすでにテーブルの上にあった食べ物はなくなっていた。

 

「二人はもう食べないんですか?」

 

「わ、私は大丈夫だぜ。」

 

「私ももう十分だわ。」

 

「そうなんですか?なら俺もここら辺でやめといた方がいいかな。」

 

そう言いながら箸を置こうとする悟飯に永琳が少し厳しい目付きで、

 

「なに言ってるの?患者が遠慮なんかするものじゃないわ。それに早く治さなきゃいけないのにそんなことしてたら余計に長引くわよ。」

 

それを言われ少し考えた悟飯は、まだ食べることにした。

が、その一言が永遠亭に最大の悲劇をもたらせた。

 

【ガツガツガツガツガツガツガツ】

 

すでに食べはじめて20分位が経過していた。

が、悟飯の食べるペースは一向に落ちることを知らない。

優曇華が必死に作った大量の料理をあっという間にたいらげてしまう。

それも、おいしい!おいしい!っと言われるものだから作るのをやめるわけにもいかない。

他の兎達にも手伝わせているがそれでもやっと悟飯のスピードと五分五分だった。

さすがに見かねた永琳が、

 

「悟飯さん。それぐらいにしておいたら?明日の文の食べ物がなくなっちゃうわよ。」

 

となだめた。

すると悟飯は、

 

「…【ゴックン】そうですね。腹八分目と言いますし、これぐらいにしておきます。」

 

(こ、これでもまだ八分目なの!?)

 

兎達は衝撃の事実に腰を抜かすしかなかった。

優曇華はその真実を受け入れる余裕すらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていま。調理場にはすごい人数が入っていた。

優曇華を中心に急ピッチで料理が作られていた。

 

「こら!そこ!サボるんじゃないうさ!!」

 

てゐは兎(鈴仙)達に指示を出しながら回りを確認していた。

この料理の数は、調理場の1/3を占めていた。

が、このタイミングで悪夢のような台詞が優曇華とてゐの耳にはいる。

 

「大変です!!食物庫の中の食料が全てなくなっていまいました!!」

 

「「なっ!!?」」

 

まさか、この二回の食事の準備で食物庫の食べ物がなくなるなど全く考えていなかった。

いや、普通ならばあり得ないことだろう。

なんにしてももう料理を作ることはできない。いまある分で満足してもらうしかないのだ。

 

(…なんとかなるわよね?)

 

悟飯はトレーニングが終わったようで永遠亭を歩き回っていた。

するとまた永琳と会う。

 

「あっ、永琳さん。どこかへいくんですか?」

 

「薬の調合も終わったし食卓に向かおうかと思っていたところよ。」

 

「あっ、なら俺もいいですか?」

 

永琳はそっけなく返事を返すと先に歩き出す。

それを悟飯は追いかけていった。

食卓に行くまでに永琳から今の悟飯の体の傷の状況や、魔理沙の体の具合などを聞くことができた。

悟飯の傷はほとんど完治しているようであとは多少の痛みが少しの間残っているだけだろうと言った。

魔理沙の方もダメージはだいぶよくなったそうだ。

そうこう話しているうちに食卓につく。

永琳は魔理沙を呼んでくると言って部屋に向かおうとするが、

 

「おはようなんだぜ~。」

 

魔理沙があくびをしながら入ってきた。

 

「あぁ、おはよう。」

 

「あっ、悟飯…さん。ずいぶんと早いんだな。」

 

「あぁ、朝は早く起きてトレーニングをしているんだ。…あと悟飯でいいよ。呼びづらいだろ?」

 

と魔理沙が敬語を使うのが苦手そうなのに気がついた悟飯はそういった。

すると魔理沙は少し明るくなり、

 

「そ、そうか?ならそうさせてもらうぜ!」

 

と答えた。

そしてテーブルに魔理沙、永琳、悟飯、優曇華、てゐがつく。

そして、

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

そして食事が始まった。

テーブルにあった料理が次々と消えていく。

(主に一人の腹の中へと消えていく。)

朝だからと言って食欲がないと言うわけではないようだ。

 

「おっ起きてすぐによくそんなに食べれるなぁ…」

 

魔理沙がお皿を片付けながら呟く。

すると永琳が、

 

「あら。悟飯さんは起きたばかりではないわよ。」

 

「え?」

 

「もう一時間ぐらい前には起きていてトレーニングをしていたわよ。」

 

「そ、そんな朝早くに!?」

 

魔理沙はその時間に驚いた。

魔理沙自身は決して遅く起きるわけでなく、むしろ幻想郷の中では早起きな方であると言えるだろう。

それよりも一時間も早く起きていたのだから驚くしかない。

そして30分たち悟飯が食事を終えた。

今回は料理が足りたようで優曇華達が食べる料理が少しだけ余っていた。

するとお皿を片付けた悟飯がすぐに、

 

「魔理沙。早速なんだけど、アリスさんのところに連れていってくれないか?」

 

と聞いてきた。

どうやらすぐにでも謝りたいらしい。

すると少し考えた魔理沙がこういった。

 

「いいけど、1つだけ条件をつけていいか?」

 

「条件?」

 

「あぁ…私を弟子にしてほしいんだ!!」

 

「でっ弟子に?」

 

あまりに唐突なことなので悟飯はあっけにとられている様子だった。

が、その魔理沙の瞳はまっすぐで真剣だった。

そしてその雰囲気に重なったものがあった。

 

(トランクス…)

 

悟飯の頭にはある少年の顔が浮かぶ。

 

「悟飯さん。僕にもっと厳しい修行をつけてください!」

 

その少年はいまの魔理沙と同じように強い覚悟を秘めた瞳で悟飯に話していた。

 

(………)

 

悟飯は何かに思いふけるように少し目が虚ろになる。

しかし、少しして悟飯が目を一度閉じて、開く。

その瞳にはすでに覚悟が決まっていた。

 

「俺の修行は少し厳しいぞ?それでもついてくるな?」

 

悟飯が少し笑みを浮かべながらそう言った。

それを聞いた魔理沙が嬉しそうに顔を輝かせながら、

 

「もちろんだぜ!」

 

と、大きく答えた。

悟飯もそれに小さく頷き答えると、魔理沙に

 

「まぁ修行は明日からだ。今日はアリスさんのところにいかないとならないからね。」

 

と言う。

魔理沙はわかったぜ、と答えると準備するために自分の部屋に走っていった。

悟飯も準備のために永琳のもとに向かった。

そして永琳を見つけると悟飯が、

 

「なぁ、永琳。俺の道着の上持ってないか?」

 

「道着?あぁ、それなら姫様が直してくれたのがここにあるわよ。」

 

そういいながら山吹色の派手な服を悟飯に投げ渡す。

それを受けとると悟飯は嬉しそうに永琳に向かって、

 

「ありがとう!うわぁ、スゴいよ。完璧になおってる。」

 

と感嘆の声を漏らしながら感謝の気持ちを伝えた。

すると永琳は、

 

「直したのは姫様なんだから姫様に言いなさいよ。多分もう食卓にいるんじゃないかしら?」

 

そう言いながら歩いていった。

が、悟飯がそれを呼び止めて、

 

「ちょっちょっと待ってくれよ。俺、姫様なんて人にまだあったことないから誰だかわからないぞ?」

 

そう言って止めようとするが永琳は全く振り返りもせずに、

 

「多分みればすぐにわかるわよ。」

 

と答えてどこかにいってしまった。

悟飯はそれに戸惑い不安を感じながらも食堂へ向かった。

そして食堂についた悟飯。

そしてその場所をみると一人の女性が座っていた。

そしてその人の回りの空間だけがなにか別のものなのかと疑うようなものだった。

 

「あ、あなたが姫様ですか?」

 

悟飯が恐る恐る聞く。

それに気づいた女性が悟飯の方に振り向く。

その姿をみた瞬間、悟飯はこの女性が姫様と呼ばれている人なのだと確信した。

まるで吸い込まれるかのような赤い瞳。

風になびく宝石のような黒髪。

そして誰もが目を奪われるようなその姿。

まさに姫と呼ばれるにふさわしい美しさだった。

悟飯もその美しさに一瞬目を奪われる。

 

「そうよ。私が蓬莱山 輝夜よ。」

 

その言葉にはっとして、用件を思いだす。

 

「ど、どうも。輝夜さん。この青いインナーと山吹色の道着を直してくれてありがとうございます!本当に助かりました。」

 

「いいのよ。私の気まぐれだし。」

 

そう言いながら優しく微笑む。

悟飯はその姿に再び目を奪われる。

 

「それに…あなたからはなにか特別なものを感じるから私も興味が湧いたのよねぇ。」

 

そう言いながらいたずらに笑う。

が、悟飯はその中に自分になにかを向けられているのを感じた。

 

「今度は私のところに一人できてくださいな。是非とも話をうかがいたいわ。」

 

「…わかりました。用事がすんだらまた来ます。」

 

そう言いながら一礼して食卓を後にした。

輝夜も少し見送ってから食事を再び始めた。

 

(…あんな感じは初めてだな。この世界はやっぱり俺のいた世界と違うのか…)

 

そう思いながら永遠亭の出口へと歩いていった。

 

 

 

 




どうも、弾です。
いやぁ、もしかして進展遅いですかね?
多分少し早めるかもしれませんね。
果たして魔理沙は悟飯の修行についていけるのでしょうかね?
そして超サイヤ人の解放はいつになるのか?
それでは次回もよろしくお願いします❗


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第9話 和解

「なんなんだこれは!!」
未来悟飯「どうしたんですか?」
「体育祭と部活の大会とテストがほとんど被ってあるじゃんか!!こんなの辛すぎるわ!!」
未来悟飯「で、でも頑張ってくださいよ。僕たちも応援しますから。」
「だが断る!」
未来悟飯「聞こえなかったのでもう一度いってくれる?」
「精一杯やらせていた宅所存です…」
未来悟飯「それならいいんだよ。」
茶番はさておき本編入ります。


 

 

「よし!悟飯!準備ができたならいこうぜ。」

 

「わかった。それじゃあいこうか。」

 

玄関まで出てきていた悟飯と魔理沙が準備を終えてアリスのもとへ向かおうとしていた。

悟飯は空中に浮くように飛び始め、魔理沙は箒をまたいで空に飛び上がる。

悟飯は迷いの竹林の竹よりも高い位置に飛んでいく。

永遠亭を振り返る。

するとそこには手を振る優曇華と鈴仙達、そしてこちらを見つめる永琳と輝夜がいた。

手を振る優曇華と鈴仙達に手を振り返すと悟飯と魔理沙はアリスの元へと飛んでいった。

 

「姫様。珍しいですね。自ら何か行動するなんて。熱でもあるんじゃないですか?」

 

そういいながら自分のでこと輝夜のでこの温度を比べる。

すると輝夜は少し怒ったようで永琳の手を強く払い、一瞬だけ睨む。

 

「バカにするのはやめなさい。永琳。」

 

そういうが、すぐにいたずらっぽく笑みを見せながら、

 

「あの人を見たときからなにか不思議なものを感じてるのよ。なにか面白いなにかをね。いままでの外来人とは違うのは誰もがわかってると思うけどあの人自体があの人のいた世界でも特別だったんじゃないかと思うのよね。だからめんどくさいけれどもわざわざかりを作ったのよ。」

 

「そうですか…(だから姫がとてつもなく珍しく自ら行動なさったのね。)」

 

そう思いながら永琳はもうひとつ思った。

 

(…あれほどの怪我をおうなんて…人造人間…何者なのかしら。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、悟飯。悟飯はどうして人造人間ってやつと戦ってたんだ?」

 

魔理沙が空を飛びながら悟飯に質問をした。

 

「なぜ?それは…奴らが悪魔みたいなやつらだからだよ…」

 

「悪魔?」

 

魔理沙はそれを聞いたときある人物(?)を思い出した。

それはレミリアの妹であるフランだ。

フランも悪魔の妹と言われ、破壊を楽しむことがあった。

そのようなものなのだろうと魔理沙は予想した。

 

「やつらは破壊を楽しむんだ。人を殺したり町を破壊することをひとつの楽しみとしか見ていないんだ…!」

 

話を聞く限りやはりフランと同じように聞こえる。

が、悟飯をあそこまでボロボロにするのならその力はフランの数倍はあるのだろうと推測していた。

 

「…やつらは…俺の友人達や仲間…ピッ…師匠まで殺したんだ!」

 

悟飯の声が徐々に大きくなる。

魔理沙が悟飯の目を見るとその瞳には憎しみが込み上げてきていた。

それを見た魔理沙は初めて悟飯と戦ったあの時を思い出す。

あの時のような憎しみをわずかだが悟飯から感じたのだ。

それに恐怖を感じる。

が、その悟飯から感じる憎しみはすぐに小さくなり、

 

「まぁ、いまそれを言っても仕方ないね。アリスって人の家までは結構距離があるのか?」

 

と悟飯は問う。

魔理沙は悟飯の怒りが消えたことに安堵しながら、

 

「う~ん、別にそんなに遠くないと思うぜ。やっぱり速い方がいいか?」

 

「ああ。できればその方がいいよ。」

 

「わかったぜ。なら全力で飛ばすからついてこいよ。」

 

「わかった。」

 

魔理沙はその返事を聞くとすぐにスピードを大きくあげて飛び始めた。

悟飯もそれに合わせるようにスピードを上げた。

飛んでから数分がたつと何やら村のようなものが目に写った。

悟飯はその村をみて少し笑みをこぼした。

そして、

 

「この幻想郷にも村があるんだね。」

 

「そりぁそうだぜ。ここだって子どもや大人だっているし、村ぐらいできるぜ。…まぁ村と言ってもここしかないけれどな。」

 

「…そっか…。」

 

そう言った悟飯はどこか懐かしそうな、羨ましそうな目で村を眺めながら魔理沙を追って飛んでいた。

そしてまたしばらく飛んでから次に悟飯が謎を感じたのは森だった。

 

(…なっなんなんだ、この森は。なにか…気持ちの悪いなにかを感じるな…)

 

「なぁ、魔理沙。」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「いったいこの森はなんなんだ?なにかスゴく気持ちの悪いもの感じるんだ。」

 

「あぁ、それは多分瘴気(しょうき)だな。この森は魔法の森っていってな色々な薬草やキノコやら魔法に必要な素材がとれるんだけど瘴気って言う少し危険なものが充満してるんだぜ。」

 

「瘴気?それがこの…ヘンな気の原因なのか…というよりそのものなのかな。」

 

「そうだぜ。」

 

そう答えると魔理沙が少しスピードを落とした。

魔理沙はあるところを指差しながら少しずつ下降していく。

その指の先を見ると森のなかにひとつだけポツンと家が建っていた。

そこに向かって降りていく魔理沙をみて悟飯もその家に向かって下降していく。

悟飯はこの家がアリスと言う人物の家なのだろうと確信した。

魔理沙は扉の前までいくと大きな声をあげ、

 

「おーーーい!!アリス~~!!」

 

いきなりのことで悟飯が少し驚いて魔理沙を見る。

すると魔理沙は、

 

「幻想郷ではこうやってやれば基本的に出てきてくれるんだぜ。」

 

といいながらウインクをする。

悟飯はそうなのか、と納得したように頷く。

すると扉が開きなかから見覚えのある人が出てくる。

金髪のショートの髪に青を主体とした服に、白い肩掛けのようなものを来た少女がいた。

 

「あれ?魔理沙、どうしたのかしら?珍しいわね。」

 

「おう、実はこいつが用があるっていってな。」

 

そういいながら悟飯をアリスの前にたたせた。

 

「あっアリスさん。」

 

悟飯がアリスの名を呼ぶ。

すると悟飯の姿を見たアリスは目付きを鋭くして警戒心を最大にして半歩下がる。

が、その警戒心をむき出しにした瞳の奥からは恐怖がわずかに感じ取れた。

それが悟飯にはとても辛かった。

自分自身が植え付けてしまった自分に対する恐怖心と警戒心に強い悔しさと悲しみを感じていた。

悟飯があの時に早とちりをしていなければアリスは傷つかなかった。

そして余計な恐怖を与えることはなかった。

そう悔やんでいたのだ。

と、そんな中魔理沙が、

 

「悟飯は別に悪いやつじゃなかったぜ。話を聞けばわかるって。」

 

明るくアリスに向かって話始めた。

 

「悟飯の話を聞けばどういうやつかわかる。それから色々考えたらどうだぜ?まぁそれは二人でな。」

 

魔理沙の台詞に悟飯が少し驚く。

 

「え?二人で?じゃあ魔理沙は!?」

 

「私はそこら辺でキノコでも採ってくるぜ。ほら、二人は家の中で話でもしろって。」

 

そう言いながら悟飯を家の中に押し込み扉を少し乱暴に閉めた。

魔理沙はすぐにどこかに走っていってしまった。

見えたわけではないが魔理沙の気が遠くにいくのを悟飯は感じたのだ。

すると悟飯の背後で椅子を引きずる音が聞こえてきた。

振り返るとアリスが椅子を引いて座れるようにしてくれていた。

 

「…とりあえず話すのなら座った方がいいでしょう?」

 

「あっ…ありがとうございます。」

 

そう言いながら椅子に座る。

すると正面に対峙するようにアリスが椅子に腰を掛けた。

すると少し悟飯を睨みながら。

 

「早速だけれども用っていったいなにかしら?」

 

アリスが冷たい声で言う。

その声に少し不安を感じたが、悟飯は話始めた。

 

「アリスさん。この間…俺があなたに見境なく攻撃をしてしまいすみませんでした!」

 

と頭を深く下げながら大きく言った。

するとアリスはまだ冷たい口調で、

 

「なぜあの時私たちを攻撃したの?」

 

と問うてきた。

 

「あの時俺は…正気ではありませんでした。俺は…あの時の記憶も曖昧であまり覚えていないんです。それぐらい意識が朦朧としてました。」

 

「嘘をいわないで。あんな動きができて、あれほどの力を出せていたのに意識が朦朧としていた?嘘も大概にしてほしいわね。」

 

「うっ嘘じゃないんです!本当なんです…いや、いまはそれを信じてもらえなくても構いません。いま俺がここに来たのはあなたに…アリスさんに直接謝りたかったんです。本当にすみませんでした。」

 

もう一度深々と頭を下げる。

それを見たアリスの目が少しだけ緩くなる。

 

(…あの時のこの人とは全く違う人に見えるわね…あの時は錯乱していたのは事実でしょうね。けれども…本当に信じて大丈夫なのかまだ確証がないわね。)

 

「わかったわ…けれども謝罪だけでどうにかなるものじゃないわよ?これだけのことをしたのだから。」

 

「分かってます。だから、俺にできることなら何でもやります!俺にできることなら!」

 

そう言いながら真剣な目でアリスを見つめる。

アリスもそのまっすぐな瞳を見つめる。

わずかな時間だがまるでその空間だけ時が遅くなったかのように長く感じた。

 

「分かったわ。…ならまずここら辺の片付けを手伝ってもらおうかしら?」

 

「分かりました!」

 

悟飯は勢いよく立ち上がり、アリスの指示に従い本や人形を整理し始めた。

悟飯の整理する手際はとてもよく、整頓も速いペースで進んでいった。

 

(…スゴいわね、魔理沙や霊夢じゃ絶対こんなにきれいにかつ早くなんてできないわね。)

 

と霊夢と魔理沙に対する皮肉と悟飯のことを少しだけ見直したようだった。

そして少しして全部の整頓が終わる。

 

「ありがとう。まさかここまで早く終わるとは思わなかったわ。」

 

アリスは目を合わせずに言った。

すると悟飯は、

 

「力になれたならよかったよ。」

 

と笑みをこぼしながら答えた。

 

(…信じても…いいのかしら?)

 

まだ確信を得ることができないアリスは心の中で疑っていた。

また悟飯があの時のように暴れてしまうのではないかと。

その時、アリスの背中から何かの影が出てくる。

それは悟飯のもとに突っ込んでいく。

 

【ボスッ】

 

「ん?」

 

「!!?」

 

悟飯の胸になにかがぶつかる。

それを確認しようとしたときに大きな声が聞こえてくる。

 

「上海!!?今すぐ離れなさい!!」

 

すると、悟飯の顔のそばになにか小さなものが飛んできた。

それは…人形だった。

しかしその人形は動いていた。

 

「シャンハーイ。」

 

そう言いながら悟飯の顔のそばを飛んでいる。

悟飯が人形のそばに手を持ってくる。

 

「逃げなさい!上海ーー!!!」

 

【ナデナデ】

 

「…え?」

 

アリスは目の前の行動に目を疑う。

悟飯は上海の頭をなで始めた。

それもわずかに顔を微笑ませながら。

 

「シャンハーイ♪」

 

上海は初めは驚いたもののすぐに気持ち良さそうに悟飯の手に自分から向かい始めた。

その様子を見たアリスは少し安心したようで、顔が揺るやかになりわずかに微笑む。

 

「スゴくかわいいね。この子は何て言うんだい?」

 

悟飯が上海の頭をなでながら問う。

 

「その子は上海って言うのよ。」

 

「上海か…よろしくな、上海。」

 

「シャンハーイ♪」

 

そう言いながら悟飯は上海の頭をなで続ける。

上海も気持ち良さそうに笑っていた。

 

「そういえば俺もまだ自己紹介をしていなかったね。俺は孫 悟飯っていうんだ。」

 

そう言いながらアリスの方を見る。

するとアリスは少し合間をおいてから胸に右手を当てて、

 

「私はアリス・マーガトロイド。アリスでいいわ。よろしくね。悟飯さん。」

 

「こちらこそよろしく。俺は悟飯でいいよ。」

 

「分かったわ。悟飯。」

 

そう言いながら悟飯のそばによる。

すると上海はアリスの手に戻っていく。

 

「この子が人形なのに動いて不思議に思わなかったの?」

 

とアリスが不思議そうに聞いてきた。

 

「あぁ、確かに始めは驚いたけど特に違和感は感じなかったよ。それに可愛かったからね。」

 

といいながら笑う。

それを見たアリスもつられて笑う。

するとアリスが少し寂しそうな顔をして、

 

「これからも上海と話したり遊んだりしてくれるかしら?あなたみたいに動く人形を好く人はあまり多くないのよ。」

 

そう言った。

悟飯はゆっくりと答える。

 

「俺にできるならやるよ。ちゃんとね。」

 

そう言った。

アリスは安心したようにありがとう。と答えると悟飯と色々な話をし始めた。

悟飯の世界のことやこの幻想郷のこと、上海のことや部屋にある様々な人形たちのことなどを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてとっ…そろそろアリスたちのところにいくかな。」

 

と魔理沙が袋一杯にキノコをもってアリスの家までやって来た。

そして扉を思い切り開いてなかに入ってくる。

 

「よお!大丈夫か?悟飯!」

 

と元気よく言うが、目の前には紅茶をのみながら何やら雑談をしているアリスと悟飯の姿があった。

アリスはとても楽しそうに笑っていて、悟飯も笑顔になりながら話していた。

が、扉の開いた音を聴いた瞬間アリスの顔が少し険しくなり、

 

「魔理沙…少しは静かに開け閉めしてくれないかしら?」

 

と呆れ半分に聞く。

すると、

 

「おう、次からは気を付けるぜ!」

 

と返ってきた。

 

「本当かしら…」

 

と言いながらため息をつくアリス。

その横で苦笑いをする悟飯。

そしてアリスが時計を見ながら、

 

「もうこんな時間なのね、話していたら時間なんてすっかり忘れていたわ。」

 

「本当だ、もうこんな時間なんですね。そろそろ戻らないと。」

 

「そうね。また話したりできると嬉しいわ。今度はさっき話した人形劇を見せてあげるわよ。」

 

「それは嬉しいな。ありがとう。アリス。」

 

「こちらこそありがとうね。」

 

そう言いながら手を降る。

上海も悟飯に向かって手を降る。

アリスと上海に悟飯も手を降り返す。

魔理沙と悟飯はアリスの家を出て夜の空へと消えていった。

 

「…悟飯…さんか…。」

 

アリスはそう呟きながら上海を手にのせる。

そして夜の空を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?こっちは永遠亭じゃないけどなんで?」

 

悟飯は永遠亭ではない方向に先導して飛ぶ魔理沙に疑問を抱いた。

すると魔理沙が、

 

「あぁ、悟飯が幻想郷で早く慣れるように私の家に泊まらせることにしたんだ。そうすれば色々なところにいきやすいしな!」

 

「えっ!でもこの傷は?」

 

「それも大丈夫だぜ!ちゃんと永琳から薬を預かってるからな。それに私も悟飯もほとんど傷はなおってるからあとは薬をつけてればなおるっていってたぜ。」

 

「そ、そうなんだ…」

 

悟飯は魔理沙の用意周到さに驚いていた…というより唖然としていた。

そんなことお構いなしに魔理沙は続ける。

 

「だから少しの間は私の家で生活だぜ!それにそうすれば…修行だって受けやすいだろ?」

 

そういう魔理沙に悟飯は少し感心する。

修行にこれだけ期待してやる気があるのならできるかぎり協力したいと思ったのだ。

 

「そうだな…なら少しお世話になるよ。よろしくな。」

 

「おう!こちらこそだぜ!!」

 

(アリスに聞いたけど、悟飯は整理整頓がうまいらしいからそれも手伝ってもらうぜ。)

 

のち魔理沙の家についてからまず家の中の整理を手伝わされたのはここだけの話。

 

 

 

 

 




どうも!弾です。
さぁこれからの章は幻想郷を回っての謝罪やらなんやらの後始末ですね。
果たして悟飯は全員から疑いを晴らすことができるのか?
あと投稿ペースですが…今年大学受験です。
ペースはかなり遅くなりますが、そこはよろしくお願いします。
それでは次回もよろしくお願いします❗


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第10話 恐るべきサイヤ人の力

なぜか最近モチベーションあるのに疲れて進められない弾です。
疲れをとりたいのですがなかなかとれませんね。
とまぁ個人的な問題はさておき、これから幻想郷の人達に謝罪をする未来悟飯ですが、果たしてすんなりといくのでしょうかね?



 

「おーい、悟飯!風呂沸いたから先に入ってくれるかぁ~?」

 

魔理沙がどこからか大きな声をあげて悟飯を呼ぶ。

悟飯はそれに気づき返事をする。

 

「俺から?魔理沙が先じゃなくてもいいの?」

 

と聞く。

すると魔理沙は、いまは研究が忙しい!

という感じのことを言ったので、悟飯は先に風呂にはいることにした。

悟飯が服を脱いで風呂場にはいる。

すると風呂はそれなりに広く、余裕のあるものだった。

 

(…割りと広いんだなぁ。こんな感じのお風呂にはいるのなんて久しぶり…というより初めてかもしれないなぁ。)

 

そう思いながら体を洗い、そして風呂に浸かる。

風呂からは大量のお湯がこぼれる。

そして大きく息を吐き、体の力を抜いていった。

目をつむり、いい湯加減の風呂に微笑みながら気持ち良さそうに浸かる。

そして十数分が経過していたが悟飯は全く動いていなかった。

が、目をゆっくりと開けてすこしだけ上体を起こした。

 

(…本当に久しぶりだ。こんなにゆっくりとお風呂に浸かるなんて。なにも考えずにこんなにリラックスできるのは…。地球では人造人間達がいつ来てもおかしくなかったし、それに人造人間の不安でゆっくりなんて入ることができなかった…。もしかしたら…もう、14~5ぶりかもしれないなぁ。)

 

そう思いながら風呂のお湯を手ですくい顔に浴びせる。

そしてまた大きく息を吐くと風呂から出て頭を洗い、風呂場から出てきた。

そしてすぐに着替えを済ませると、魔理沙のところに向かった。

 

「魔理沙~、あがったよ。」

 

すると魔理沙が返事を返しながらこちらを振り向くと何やら驚いたような顔をしてからすぐに顔を赤くして、

 

「おっおう…分かったけど、何で上裸なんだよ…」

 

「えっ、あぁ上がったばかりで熱かったから…」

 

そう言いながら暗い青色のインナーを着る。

魔理沙の周りには三角フラスコやら試験管やらになにか不思議な液体の入ったものが大量にあった。

これが魔理沙のやっていたことなのだろうかと不思議に思いながらそれらを興味本意に見ていた。

魔理沙はそれを見るとすこしいたずらを考えたのかなにかをたくらんだ顔をする。

そしてその液体の入った試験管を悟飯のそばに持ってきた。

 

「これは魔法薬の研究をしているんだぜ。ここら辺のはそれのもとみたいなものなんだぜ。一応これだけでも効果はあるけどすごい小さいからこれを大きくするために色々混ぜたりしてるんだぜ。」

 

と言いながら悟飯にその液体を渡す。

悟飯は興味深そうにその試験管を受け取り、その液体を眺め始めた。

試験管を正面から見たりすこし傾けたりして。

そして手であおぎ臭いを嗅いだ、その時。

 

「うわっ!なんだこの臭い!?」

 

悟飯の鼻の中にまるで食べ物を腐らせたときのような酸っぱさのあるきつい臭いが広がる。

思わず試験管を鼻から遠ざける。

すると魔理沙がいたずらっぽい笑みを浮かべながらクスッと笑う。

 

「あははっ!ひっかかったな!さっき上裸なんかでこっちに来たお返しだぜ。…といっても直接嗅がなかったのが意外だったな。普通なら直接嗅いでもっときつくなるはずなんだけどなぁ。」

 

と笑いながら言うが後半はすこし期待はずれだったようで声の大きさがすこしだけ落ちていた。

 

「直接嗅がなくて良かったよ…そうじゃなきゃ魔理沙の言う通りもっときつかったな。(一応科学者を目指していたから薬品とかの取り扱いはお母さんに徹底的に教えられたからなぁ…)」

 

と苦笑いをしながら答えた。

魔理沙も一度魔法薬の調合を中断して風呂に入っていった。

悟飯はその間に魔理沙の部屋の本をすこし読んでいた。

 

(…へぇ、この世界にはこんなに特殊な植物があるのか。魔力強化…魔力増幅…傷薬…睡眠薬…本当に色々あるんだなぁ。)

 

そう思いながら魔理沙の作っていた魔法薬を見始める。

 

「…とするとこれが…この薬品かな?」

 

っと本の情報と実物を比較してそれがなんなのかを探り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~悟飯ーあがったぜ~。」

 

そう言いながらさっきのところに行ってみる。

すると悟飯が何やら色々と混ぜていた。

 

「おっおい!?なにやったんだ!?適当に混ぜたりしてないだろうな!?」

 

魔理沙が悟飯のそばにある試験管へと急ぐ。

しかし三角フラスコの中の様子を見た瞬間魔理沙が動きを止めた。

悟飯が魔理沙の方を向きながら三角フラスコを魔理沙に持ってくる。

魔理沙がその三角フラスコの中の薬をまじまじと見る。

中の薬は緑とピンクの液体が混ざらずにお互いを侵食し合うかのような動きが見えた。

そしてその薬はにわかにだが光を放っていた。

 

「こっ…これをどうしたんだ?悟飯…」

 

魔理沙が呆気にとられながら聞く。

すると悟飯がすぐ横においてあった本を見ながら、

 

「この本に書いてあった情報をもとに自分で作ってみたんだけどどうかな?」

 

そう言いながら魔理沙に薬わ渡す。

魔理沙はそれを受けとるとすぐに三角フラスコを蓋で閉じた。

 

「悟飯…これどうやって作ったんだ?」

 

魔理沙が目を見開きながら質問する。

どうやら魔法薬として完成していたようだ。

 

(…この薬には魔力がこもっている。つまり魔法薬として完成している証拠だ。それに色や様子から見たら魔力増幅と魔力強化の2つの効果がある薬だぞ…そんなの私だって中々作れないのに悟飯はこの本を見ただけでつくったって言うのか!?)

 

「あっ…これ実はたまたまなんだ。」

 

「…え?たまたま?」

 

魔理沙があまりにも想定外な返答が来たので目を丸くする。

 

「まぁそれなりに考えてやってはいたんだけどあくまでわかっている理論だけでやったから完成したのはあくまでたまたまなんだ。」

 

そう言いながら頭の後ろに手を持ってきながら笑う悟飯。

それにつられて魔理沙も苦笑い浮かべた。

たまたまこんなものができるなんてあまりにも予想外すぎて笑うしかなかったのだ。

その後魔理沙はその調合した素材を悟飯に聞き、薬の再調合に成功したのだった。

その日はそれをやってお互いに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙の目に朝日が差し込んでくる。

魔理沙が眩しそうに目を開けてグッと伸びをする。

そして大きなあくびをしながら辺りを見回す。

すると魔理沙が目を丸くする。

昨日まで薬の調合やら研究やらで物置のようになっていた部屋がきれいに片付いていたのだ。

恐らく悟飯がやったのでと思い魔理沙は辺りを見回すが悟飯の姿はなかった。

永遠亭に居たときに永琳が、魔理沙の起きる一時間前には悟飯が起きてトレーニングをしていたと言う話をしていたのを思い出す。

 

(…そっか、悟飯はもう起きてトレーニングをしてるのか。)

 

魔理沙はすぐに着替えると家の外に飛び出した。

すると、魔理沙の予想通り悟飯は表に出てトレーニングをしていた。

右手で空に向かって素早い連続のパンチ、次にそれを正面に向けて続ける。

そしてそれからすぐに背後に向かって左足で腰の高さほどの蹴りを一撃、そしてすぐに反転して右足での連続蹴りをした。

どうやら空動きをやっているようだった。

悟飯のじゃまをしないために魔理沙は区切りの良いところまで待つことにする。

1分後に悟飯が正面に正拳を放つ。

すると悟飯がゆっくりと姿勢を伸ばし武術の体制から普通の体制に戻る。

魔理沙が悟飯に声をかけようとすると、

 

「おはよう、魔理沙。」

 

と悟飯が始めに挨拶をして来た。

魔理沙はそれにすぐに、

 

「あぁ、おはようなんだぜ!」

 

と元気に返した。

すると悟飯が少し笑いながら

 

「そしたら、修行始めるか?」

 

「もちろんだぜ!!」

 

悟飯がその言葉を言い終わるか否かの時点で魔理沙からの返事が返ってきた。

すると悟飯が

 

「よし!先ずは腕立てを片方ずつ一万回をやろうか。」

 

「いっ…一万回!?ほ、本気か!?できるわけないぜ!?」

 

魔理沙が信じられないとばかりに声を張り上げる。

悟飯も少し驚いたように目を開くと、それならと

 

「5000回ならどうだい?」

 

「それも無理なんだぜ!?」

 

またも否定されてしまう。

悟飯は少し困ったような顔をしてしまう。

 

「ご、悟飯…基準を悟飯にしないでくれ…」

 

魔理沙が気を重くしながらそう頼む。

すると悟飯が苦笑いをしながら、

 

「ご、ごめんごめん。それな、100回ずつで良いよ。これならできるだろ?」

 

「分かったぜ…それならなんとかなると思うからな。」

 

そう言いながら先ず右手から腕立て伏せを始めた。

魔理沙は全力でやっているが悟飯はその横でそれを遥かに上回るスピードで腕立て伏せをやる悟飯がいた。

 

(…なっ何て早さだぜ…本当に人間なのか?)

 

(…あれだけの気功波が使えるのに近接戦闘なはあまり慣れてない…というよりもそれように体を作っていないんだなぁ。)

 

とお互いのことを考えながらトレーニングをしていた。

その後100を目前とした時に体を持ち上げることができなくなった魔理沙が腕立てを終えたのは午前10時を過ぎたところだった。

 

「もっ…もう腕が上がらないんだぜ…」

 

腕をダランとしながらフラフラと歩く魔理沙。

それを苦笑いをしながら支える悟飯。

ようやく朝御飯(?)が食べれるとなったのだが魔理沙は疲れすぎて作る気力がでなかった。

その様子を見た悟飯は、少し待ってて、と言って森のなかに走っていってしまった。

魔理沙は不思議に思いながらも家の中にはいって待っていた。

少しすると外から悟飯の声が聞こえてきた。

魔理沙はそれに気づき外に出ると目の前には驚くべき光景があった。

 

「…なっなんなんだぜ…それは?」

 

「これかい?そこら辺にいた食べれそうな妖怪とトカゲだったり、木の実とキノコを集めてきたんだよ。」

 

魔理沙はすぐに悟飯のもとへいきキノコをみて二つに分け始めた。

それはものの一分ほどで終わり、

 

「こっちが食べれるやつ、でこの少ない方が毒のあるやつだぜ。」

 

とそれだけ伝えた。

すると魔理沙は疲れたように座り込んでしまい、悟飯に調理は任せるぜ、といいうつ向いてしまった。

 

(…これでもキツすぎたかな?今度はもっと優しくしてみるか…いや、これを続けさせよう。)

 

そう思うとキノコなどを調理し始めた。

また少し経つと魔理沙の鼻に美味しそうな臭いが立ち込めてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、魔理沙の口にあっていたみたいで良かったよ!」

 

「あっあぁ、確かに美味しかったぜ。」

 

魔理沙たちは空を飛びながら話していた。

 

(まさか妖怪を丸焼きにしたやつがそれなりに美味しいなんて思わなかったぜ…でもさすがにトカゲは食べれないぜ…)

 

とまだ自分が妖怪を食べたことに不安を感じながら飛んでいた。

少し飛んでいるうちに悟飯は質問をして来た。

 

「ねぇ、そのさっき言ってたレミリアって人と咲夜って人はこっちにいるんだろ?でもどんなとこにいるのか聞いてないぞ?」

 

「ん?それは紅魔館って所に住んでるぜ。まぁ見た目通りって感じだから行けばわかるぜ。」

 

そう言いながらスピードをあげながら飛んでいく。

どうやら、腕はさっきよりも大分ましになったようだ。

悟飯もそれに合わせて飛んでいくとしばらくして、綺麗な向日葵のたくさん咲いている花畑に出た。

それは太陽の方を向いてサンサンと輝いているようにも見えた。

 

「うわあ…。」

 

悟飯は思わず感嘆の声を漏らす。

そして空中で止まってしまう。

魔理沙が先に飛んでいたがそれに気づき魔理沙も止まった。

 

「どうしたんだ?こんなところで止まって?」

 

魔理沙がなぜ悟飯が止まったのが全くわからないでいた。

 

「………」

 

悟飯はそのどこまでも広がるかのような向日葵畑に目を奪われていた。

 

(…この世界は…幻想郷はいいなあ。こんなにも綺麗な場所が残っているなんて…)

 

悟飯の世界はすでに人造人間によって地獄となってしまっている。

生きていても人造人間がきていずれ殺されてしまう。

まるで虫けらのように。

生き地獄のような世界だった。

だから悟飯にはこの花畑がとても心に響くものだったのだ。

しばらく悟飯は動けずにいた。

魔理沙は少ししびれを切らし、

 

「おい悟飯!そろそろいこうぜ。あんまり長く居るとめんどくさいやつに絡まれるぜ!」

 

「そのめんどくさいやつって誰かしら?」

 

背筋の凍るようなゾワッとする声が聞こえてくる。

魔理沙はどこにいるかを探し始めるが、悟飯はある一点だけを見つめていた。

向日葵畑の中に一ヶ所だけ赤いものが見える。

それは風にあおられてゆらゆらと揺れていた。

魔理沙はまだその存在に気づいていないが悟飯はその声の主がその赤い人物だと気づいていた。

そして、

 

【元祖 マスタースパーク】

 

その赤い人物から特大のレーザーが放たれる。

 

(こ…これは!?)

 

悟飯はすぐに右手を大きく引きエネルギーを手に集める。

 

「はあぁぁぁぁあ!!!!」

 

悟飯が右手を前につきだすと黄色いエネルギー波が放たれ赤い人物の放った【元祖 マスタースパーク】と衝突する。

 

【ドガァァァァァァン!!!】

 

大きな音をたてながら二つの攻撃はお互いに衝突し合う。

その音に魔理沙が気づき悟飯がエネルギー波を特大のレーザーとぶつけ合っていることを理解した。

魔理沙がなにかを叫んだようだが音にかき消されて聞こえなかった。

エネルギー波とレーザーが衝突しているが徐々に悟飯のエネルギー波が押されていく。

 

「くっ…ぐぐっ…。」

 

悟飯のエネルギー波はどんどん押し込まれていきやがて1mほどの距離になっていた。

 

「くっ!」

 

悟飯がエネルギー波を放つのをやめ、すぐに回避行動に移る。

衝突しあっていたエネルギー波が消えたレーザーは一気に加速して悟飯を襲う。

悟飯はなんとか紙一重でそのレーザーを躱した。

レーザーが空を裂くような勢いで空へ消えていった。

 

(何て威力だ…相殺が間に合わなかった。)

 

悟飯は驚いたようすでその人物を見た。

すると魔理沙も悟飯のもとにきてレーザーの飛んできた方向を見る。

すると、悟飯にあることを話始めた。

 

「あれだぜ…さっき言ってたやつは。あの赤い服に緑色の髪、そして手に持っている傘。間違いないぜ。めんどくさくなっちまったぜ。あれが【風見幽香】、この花畑にいる凶悪な妖怪だぜ。」

 

そう言いながら戦う構えをとる。

そういわれた悟飯はその人物をよく見つめ始める。

 

(さっきの気(?)はスゴく大きかった。かなり強いな…この人…じゃなくて妖怪か。)

 

悟飯は構えを取りながらゆっくりと幽香に向かって降りていく。

 

「悟飯?」

 

「魔理沙は手を出さないでくれるな?」

 

そして幽香と同じ目線に来るまで降りてきた。

お互いに対峙すると、まるで互いに見定め合うかのような雰囲気になる。

始めに話始めたのは悟飯だった。

 

「なぜいきなり攻撃をしてきたのですか?」

 

そう質問した。

すると幽香は見るものを恐怖させるような笑みを浮かべながら、

 

「なぜって、あなたこの前に異変を起こした外来人でしょ?服もここら辺じゃ見ないし、なにより初めて見る顔だからねぇ。」

 

そう語っている声にも恐ろしい気を感じていた悟飯はけっして話のなかでも油断せずに常に警戒していた。

 

「あなたがあの爆発を起こしたのでしょ?あの爆発でどれ程の植物が、花たちが吹き飛んだと思っているのかしら?」

 

それを言われた悟飯は少し戸惑いながら、

 

「す、すみません。わからないです。」

 

そう答えた。

すると幽香の傘から突然レーザーのようなものが放たれる。

警戒していた悟飯はとっさの判断でそれに飛び上がりそれを躱す。

 

「花たちを吹き飛ばして責任をどうってもらおうかしらねぇ?」

 

そう言いながら冷ややかな笑みを浮かべる。

その笑みは顔こそ笑っているものの心のそこでは激しい怒りと憎しみがこもっていることがすぐにわかった。

悟飯は飛び上がるとすぐに構えを取りながら叫び始めた。

 

「確かにそれは俺が悪いです!けれどもいまはそれどころじゃないんだ!お願いだ!ここを通してくれ!!」

 

「そんなこと聞くわけないでしょ?」

 

そう言いながら幽香も飛び上がり悟飯と同じ高さに来る。

悟飯は防御の構えをとる。

悟飯はこの距離での弾幕が来ると予測していた。

しかし予測とは違うことが起こった。

 

【バキッ】

 

「ぐはっ!?」

 

悟飯は顔に強い衝撃を受けて地面に叩きつけられる。

がすぐに起き上がると自分の口を手の甲で拭う。

そして手の甲を見るとそこには血が付着していた。

悟飯は弾幕を喰らったのではなく物理的に殴られていたのだ。

悟飯は驚きながらもすぐに幽香に集中する。

 

「あら?この世界の全員が弾幕だけで戦うとでも思っていたのかしら?」

 

そう笑いながら悟飯に追撃を仕掛けてくる。

悟飯は幽香の右拳を右手で受け止めて反対方向に投げ飛ばした。

幽香は地面に着地すると傘をつきだしてそこからレーザーを発射した。

悟飯は瞬時に躱し、距離をおいた。

 

「…あれだけの焼き跡を残すのだからどれだけの強者かと思ったら、」

 

そう言いながらため息をつく。

 

「始めのマスタースパークを相殺することもできずに、それにいまの戦いでも簡単に一撃を喰らうなんて…思っていたほど強くないただの弱者のようね。」

 

そう言いながら首をならす。

その言葉に悟飯が少し反応する。

すると魔理沙が、

 

「なにいってるんだぜ!悟飯は弱くなんかないぜ!!まだ本気を見せていな…「魔理沙!黙ってろ!」…え!?」

 

魔理沙が叫んでいる途中に悟飯が大きな声をあげる。

すると悟飯は少しうつむきながら、

 

「あぁ、俺は確かに弱い。弱いから戦いに負けてこの世界にきた。けれど!まだすべてを見せていない相手のことを見切れずしてそんなことを言われるのは少し気にくわないぞ!」

 

そう言いながら幽香を睨む。

 

「だったら見せてやるよ。魔理沙!さっきいった通り手は出すな!」

 

「わっわかったぜ…」

 

いままでにない気迫に魔理沙が少し押される。

 

「なら見せてみなさいよ。その力を。」

 

「あぁ、そのつもりだ。」

 

悟飯は今度は攻撃の構えをとる。

幽香もそれに対峙する。

お互いの間に静かな風が通る。

そして動き出す。

悟飯が一気に幽香との距離を縮めて自分の範囲内に迫ってきた。

重心を深くしている悟飯は右手の肘で幽香の顎を狙う。

が、幽香はそれを躱し悟飯の腹に右拳を振りかぶった。

それを右足を軸に180゜左に回転し躱しながら左足でかかとで回し蹴りを繰り出す。

それを幽香はしゃがんで躱し、悟飯の軸足に向かって右足で蹴りつける。

それを飛んで躱し今度は空中で体を反転させながら軸足に使っていた右足で幽香の顔めがけて回り蹴りを繰り出す。

幽香は両手を顔の前に持ってきて、それをガードする。

が、その威力が強く幽香は地面を両足で削るように飛ばされる。

5mほど飛ばされて幽香は止まる。

悟飯は地面に着地して幽香の方を見る。

幽香もガードした腕を下げて悟飯を睨む。

するとお互いに鋭い目付きのままだが頬に笑みを浮かべた。

魔理沙はその攻防を唖然として見つめるしかなかった。

 

(は…速い!いまの戦いだって悟飯のスピードはスゴいけどそれについていった幽香だって普通じゃないぜ!?)

 

「…確かに少しはできるみたいね。期待はずれにならなくてよかったわよ。」

 

「へぇ、それはよかったじゃないか。」

 

今度は幽香から攻めてきた。

右拳を悟飯の顔に向かって思いきり振り上げる。

悟飯はそれを右手で受け止めるとその手をつかんだまま右足で幽香の顔に向けて蹴りあげる。

幽香は左腕でそれを受け止めて右手を振りほどきながら右足で悟飯の腹に蹴りをいれようとする。

それを左足をあげて受け止め、振り払いながら右拳で幽香の右肩を狙う。

それを幽香は右手で受け止める。

そのような攻防がスゴいスピードで繰り広げられていた。

さっきの躱し合っていた静かな戦いとは違い今度はお互いがぶつかり合う激しい戦いになっていた。

 

(…こ、ここまでスゴかったのか…)

 

魔理沙はそれを目で追っていたが、その中から自分に取り入れられそうななにかを探していた。

 

(…悟飯の強さはとてつもないものだぜ!なら…そこから奪えるものは奪わないと損だぜ!)

 

そしてお互いの右拳がぶつかり合い辺りに衝撃が広がった。

 

 

 

 




さぁ始まってしまった風見幽香vs未来悟飯の決戦。
果たして悟飯は幽香を倒すことができるのでしょうかね?
この作品では未来悟飯がよく過去に思い更けることがありますがそれは俺のイメージなのであしからず。
今回はここで終わりです。
次回もよろしくお願いします!
あ~、早くある人と悟飯の決戦にすすみたいなぁ…


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第11話 際限なき力

いやぁ、頭のなかに弾幕バトルではなく近接戦闘の様子しか出てこない…まずいぞ…このままだと弾幕がきえる…


激しい力の衝突に辺りには衝撃波が広がる。

二人はお互いにその衝撃を利用して後ろに飛んで距離をおいた。

二人の顔はどこかこの戦いを楽しんでいるように見えた。

すると悟飯が睨みをきかせながら笑みを浮かべて、

 

「確かにスゴいね、パワーは認めるよ。」

 

そう言いながら重心を低くして構えを深くする。

幽香はクスッと笑うが、その笑みはやはり相手の背筋を凍らせるよのな恐怖があった。

 

「その言い方だとまるでパワーだけは、と言っているように聞こえるわよ?」

 

「…そう聞こえたかい?」

 

悟飯は力を込める。

すると、幽香も構えをとりいつでもぶつかり合える状態になる。

すこしの間、静かな空気が流れる。

そして悟飯が一歩踏み出し、距離を詰めようとする。

次の瞬間、

 

【ビシュン!】

 

「なっ!?」

 

「なんだ!?」

 

幽香と魔理沙が驚く。

何故なら先程までいた悟飯が消えたのだ。

 

「きっ、消えた!?」

 

幽香が目を見開く、するとすぐそばになにかを感じ、自分足下を見るかのように眼を下に向ける。

すると幽香のすぐそば、数センチほどの距離にすでに悟飯はいた。

悟飯は幽香の腹に向かってエルボーを繰り出す。

幽香はとっさに左手でその右肘を受け止める。

 

「くっ!!」

 

幽香が右腕を振り上げ、悟飯にむかって思いきり殴り付ける。

しかし、

 

【ビッ!】

 

「!!?」

 

また悟飯の姿が消え、幽香の拳は空を裂いた。

 

(いま、私が拳を降り下ろすよりも先に消えた!?そんな馬鹿な…当たる直前ならまだしも、私よりも何手先も早く動いたというの!?)

 

【シャッ!】

 

幽香の背後でなにか風を切るような音が聞こえた。

幽香は振り返り確認をしようとするが、それよりも先に頭に大きな衝撃と激痛が走った。

そして吹き飛ばされていった。

近くにあった向日葵を吹き飛ばしながら大地を滑り、そして止まった。

幽香はゆっくりと起き上がり先程までいた場所をみると、そこには悟飯が立っていた。

 

「チッ!」

 

舌打ちをしながら左手首を回し動作確認をする。

 

(くそっ…!全くあいつの動きが見えなかったわ。それに早いだけじゃなくて何手先も先を見てるみたいじゃない…それにこの力…受けた左手まだしびれてるわよ…!久しぶりねぇ、こんな血が騒ぐのわ…)

 

そう言いながら狂気の笑みを浮かべて悟飯を睨む。

すると悟飯もほんのわずかだが顔をしかめて、

 

(…あれを食らってもふらついてる様子はないか…。くそ、今のやつならかなり効いただろうと思ったのに。こうなったら一瞬で終わらせてやる!!)

 

悟飯が正面を向きなおし腰を落とす。

そして右腕を腰の辺りに持ってきて力をこめ始める。

すると周りの風の様子が変わり始める。

 

「こんなとこで時間なんかかかけてられないんだ!一気にけりつけさせてもらうぞ!」

 

そう叫ぶと悟飯は白いオーラを纏い始めた。

様子が変わったのを見ると幽香がそれをにらむ。

まるでその力を見極めるかのような目付きになる。

がすぐに狂気の笑みを浮かべると、

 

「…それは楽しみねぇ?」

 

そういって幽香も体に力をこめ始める。

魔理沙はその悟飯の様子を見て、あることを思い出していた。

 

(「あぁ、俺は一度だけ変身できるんだ。超サイヤ人ってのになるといまよりもスゴくパワーアップするんだ。」)

 

そう、悟飯がかつて言っていたこの台詞だ。

 

(…あの幽香を一瞬で終わらせる。確かに普通の状態でも幽香を倒せると思うぜ。けれど、悟飯は一気にけりをつけると言っていた…たぶん、変身する!)

 

その瞬間を逃さないために魔理沙は悟飯にのみ集中していた。

悟飯はさらに力をこめる。

その手からは血管が浮き出るほどに、

 

「はあぁぁぁぁあぁぁああ!!!」

 

どんどんオーラが大きくなる。

そして、

 

「はあぁあ!!!!!」

 

なにか爆発のようなものが起こる。

それは木よりも1mほど上にいる魔理沙にも届いた。

悟飯の目付きはさらに鋭くなりオーラは荒々しく、さらに激しくなっていた。

悟飯は仁王立ちで構えながら幽香を睨む。

が、そのすぐあとに自分の手のひらを見つめる。

その目はまるで信じられないとでも言うかのように、

 

(こ、これほどまでの力を隠していたなんて…全く想像以上としか言えないわね。)

 

幽香がはじめて冷や汗をかきながら悟飯に対峙する。

魔理沙は少しがっかりとしながら、

 

(ふぅ、なんだ変身しなかったんだぜ。…まぁ変身して化け物みたいになられても困るからそれはそれでいいような気もするぜ。)

 

と、少し安堵のため息をつく。

そして悟飯たちを見つめ直す。

悟飯も幽香の方を向くが、今度は重心を下げずにまるで待ち構えるかのように構えた。

幽香は傘を悟飯に向ける。

そして傘から大きなレーザーを放ってきた。

なんの前触れもなかったその攻撃に魔理沙は驚き悟飯にむかって叫ぼうとする。

が、今叫んだら悟飯は自分を叱るだろうと咄嗟に判断しその叫びを飲み込んだ。

そして悟飯の体をレーザーが貫こうとする…

その刹那の瞬間、悟飯の体は消えた。

 

「また消え…【ドゴォン!!】ぐはぁ!!?」

 

幽香が言葉を言い終わる前に重い音が響きそして幽香の幽香の苦痛の声が聞こえてきた。

魔理沙と幽香は驚きながら幽香の腹をすぐに見る。

するとそこには悟飯の姿と悟飯の右肘がめり込んでいる幽香の腹があった。

 

「がっ…はっ…あ…」

 

幽香はふらつきながらもなんとか倒れるのをこらえる。

 

(…なるほど、もうフルスピードで動いても傷は痛まないな。)

 

そう思いながら幽香の腹から腕を離そうとする。

しかし、なにかにがっしりとつかまれ離れなかった。

悟飯ははっとして自分の腕を見る、するとその腕は幽香の両手によってがっしりとつかまれていた。

 

「逃がすわけないでしょ…?」

 

「…ずいぶんと頑丈だな。」

 

幽香は悟飯を思いきり自分を軸に180゜反転させて投げ飛ばす。

悟飯は投げ飛ばされるがすぐに空中で体制を立て直し、数メートル飛ばされて止まる。

幽香を見ると再び傘を取り出してなにかを仕掛けてくるようだった。

不気味な、そして憎しみと怒りの笑みを浮かべながら、

 

「これでもくらいなさい…!!!!」

 

【元祖 マスタースパーク】

 

一番始めに悟飯を襲ったスペルが再び悟飯に襲いかかる。

しかし、今度のスペルははじめの時よりもさらに大きく強力になっているのがすぐにわかった。

 

「不味いんだぜ!悟飯が止まるのが早すぎて避けようにも距離が足らない!!」

 

 

魔理沙が思わず叫ぶが、レーザーの激しい轟音に掻き消されて悟飯には届かない。

が、悟飯はそのマスタースパークを睨みながら…いや、僅かに見下しながら睨むようにして、

 

「べつに、避ける必要もない…!」

 

そう言いながら瞬時に手のひらを頭の上に持ってきて気を溜め始める。

気を溜めるスピードは異常に早くマスタースパークが悟飯に届くよりも先に体制が整った。

そして、マスタースパークがついにすぐそばまで迫ってきた。

 

「【魔閃光!!!!!】」

 

悟飯が大きく叫びをあげながら手を前につきだし、強力な気功波を打ち出した。

そして激しい衝突が巻き起こる。

 

【ドッガァァァァァァアン!!!!!】

 

二つの強大な攻撃は辺りに衝撃を撒き散らしながら激しくぶつかり合う。

魔閃光がマスタースパークを押し返し、二つのちょうど中間の辺りで均衡状態になる。

 

(チッ!あの状況からまさか互角まで持ち返すのね!あいつがスペルを発動したのなんてほとんどゼロ距離よ!?)

 

そう思いながらも傘を持つ手にさらに力をこめ、より大きな妖力を注ぎ込む。

悟飯もまるでそれに合わせるようにして力を上げる。

二つの強大な力は均衡状態から変わらずにいた。

が、次の瞬間に大きく変化する。

 

「…はぁあ!!」

 

悟飯が瞬時に力を上げる。

するとあげたエネルギーがマスタースパークと衝突した瞬間、二つのエネルギーは激しく荒ぶりを見せてから大きな爆発を起こした。

激しい爆風が幽香と魔理沙、そして悟飯に襲いかかる。

あまりに強い爆風に吹き飛ばされそうになる魔理沙だが、なんとか箒にしがみつき飛ばされないように空中で必死に耐える。

幽香もその爆風に吹き飛ばされようになるが自慢の力で飛ばされないように耐えていた。

がそんな風のなかで一人だけ行動を始めている人物がいた。

 

【ゴォオ!!】

 

爆風を腕で防ぎながら幽香の所へとすごいスピードで迫る。

そしてすぐにたどり着き、幽香の首後ろの襟をつかみ思いきり投げ飛ばす。

 

「ぐあ!?」

 

完全に不意を疲れた幽香は抵抗することができずにあっさりと投げ飛ばされる。

空中でなんとか体制を立て直そうにも爆風が強すぎて立て直せない。

そんな幽香に悟飯がすぐに追い付いてくる。

しかし、悟飯はそのときにはオーラは纏っていなかった。

すごいスピードで先回りした悟飯は飛んでくる幽香を右足で蹴り上げる。

幽香から声が漏れるがあまりにも一瞬の苦しい声は誰にも聞こえない。

蹴りあげられた幽香にも追い付いていく悟飯。

その圧倒的なスピードで先程同様に幽香のさらに先を行き止まる。

そして幽香に向けて手を向ける。

飛んでくる幽香に向けてまるでターゲットを絞るかのように手をあわせて動かす。

そして悟飯の真横わずか下に来たとき、

 

「はあぁあ!!!」

 

気合いのようなものをぶつける。

 

「ぐあ…がはぁ!!」

 

幽香はそれに直撃して思いきり吹き飛ばされていく。

そしてやがて畑からわずかに外れた所に墜落する。

そこに悟飯が手を向けて気を高めるが、それをすぐにやめていきなり目を閉じた。

そしてまるでなにかを探るかのように首を回すと目を開けて、

 

「魔理沙!!!すぐにここから逃げるぞ!!俺についてくるんだ!!」

 

再び悟飯がオーラを纏うとすごいスピードである方向へと飛んでいってしまった。

 

「えっ!?ちょっ、待てよ悟飯!!」

 

【彗星 ブレイジングスター】

 

魔理沙はいきなりのことに訳もわからない様子だったがスペルを発動してすぐに悟飯をおっていった。

幽香がふらふらと立ち上がるがすぐに目を大きく見開き、その狂気に染まった瞳で悟飯を見る。

しかし、先程まで悟飯がいた場所にはすでに姿がなく白いオーラが尾を引いているだけだった。

 

「なっ…まさか!?」

 

幽香はすぐにその尾の続いている先を見る。

すると悟飯(と魔理沙)がすごいスピードで逃げていくのが見える。

それを見た幽香の目はさらに激しい憎悪と狂気を宿しながら、傘を二人に向ける。

 

「逃がすわけが…」

 

傘の先端にとてつもない妖気が集められていく。

 

「ないわいよねぇ!!!?」

 

【元祖 マスタースパーク】

 

幽香は特大のマスタースパークを悟飯達に放つ。

が、もうすでにかなりの距離にいるため幽香の放ったマスタースパークはすぐに気づかれ簡単に躱されてしまった。

そして、それを躱した悟飯達はもう見えなくなってしまっていた。

幽香は悟飯達の消えた虚空を見つめながらやがてうつむき、

 

【ギリッ】

 

大きな歯軋りをする。

そして大きな舌打ちをする。

拳を強く握りしめ、今までのなかで一番激しい憎悪をこめながら空を睨み付ける。

 

「ははっ…やってくれるじゃない…」

 

口元が力なく上がる。

次の瞬間、

 

「ふざけるんじゃないじゃないわよ!!!!!」

 

【ドゴオォォォォン!!!!!】

 

その握りしめた拳を地面に叩きつけた。

地面は砕かれ、陥没し、隆起し、そして、原型を忘れた。

幽香は拳を震わせていた。

悟飯達を仕留めることのできなかった自分に対する怒り、憎しみ、失望。

そして、悟飯達に対する怒りや憎しみ、いや、そんな言葉では言い表せないほどの激しいなにかによって。

幽香はしばらくその拳を引き上げることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある館の門の前で一人の女性が寝ていた。

が、なにかに気づいたかのようにいきなり飛び起きる。

 

「なっ、このとてつもない気は!!?」

 

すぐに向日葵畑の方を向き険しい顔つきになる。

 

(…こっ、この気は…あのときの異変と同じ気だ…!)

 

どうやらこの人物も気を感じとることができるようだった。

その気を感じた女性はそこから離れているのにも関わらずに武道の構えをとっていた。

どうやら武道家のようだ。

 

(けれど、あの時とは違い荒々しいだけのものではなく、落ち着き、安定感のある気になっている。それに…気の大きさも異変の時よりもさらに大きい…!!)

 

そう感じる女性の頬からは冷や汗が流れていた。

そんな時、どこからか声が聞こえてくる。

 

「美鈴。どうやら感じたようね。どうかしら、やつの強さは。」

 

その声は柔らかな、どこか寒気のするような声だった。

美鈴はその声に構えを解き、

 

「…はい。この人の気の強さは異常です。私はもちろん、あの太陽の畑の妖怪、風見幽香でさえ、圧倒する気を見せつけられました。本当に恐ろしい気です。」

 

そう伝えると再び太陽の畑に目を移す。

そして拳を握る。

するとまた声が聞こえてくる。

 

「…分かったわ。やつがここに来たらこう伝えなさい。…………………、………………。」

 

「分かりました。」

 

そう返事すると、その声はもう話さなかった。

一方女性の方は激しい気の感じる方をずっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ…やっぱりおっかないなぁ。これだけ離れていても幽香のあの雰囲気が感じられるぜ。」

 

魔理沙が驚きながら向日葵畑の方を見る。

 

「…あぁ、すごい狂気と憎悪を感じたよ。それにとても強かった。魔理沙の使う【気】ともまた別のものを感じたよ。」

 

「あ、そういえば悟飯は魔力も妖力も知らないのぜ?」

 

「いや、魔力って言うのは本で読んだからそれなりには、ただ妖力って言うのは全く知らないよ。」

 

「そっか…それなら話した方が良さそうだな。」

 

魔理沙は空を飛びながら悟飯に妖力のこと、ついでに霊力のことを悟飯に伝えた。

悟飯はそれを聞いたあと、そっか、っと少し反応を見せるとなにかを考えるかのように黙り混んでしまった。

魔理沙は邪魔するとは悪いと悟飯に話したりせずに静かに飛んでいた。

が、ある疑問が魔理沙の頭をひとたびよぎる。

どうしても気になった魔理沙は沈黙を破った。

 

「なぁ、悟飯。」

 

魔理沙が呼んだことに気づき、顔を魔理沙の方に向けて聞く体制をとる。

 

「なんで紅魔館がこっちだってわかったんだ?私教えてないし、戦ってたんだから方向なんて狂ってるはずなのに。」

 

「あぁ、簡単だよ。魔法の森の瘴気と人里の気を結んだんだ。来るときに通ったのだからその紅魔館って場所はその延長線上にあると思ったのさ。」

 

魔理沙はなるほど、と納得したような声を漏らすと今度は別の質問をして来た。

 

「なんでさっき幽香にとどめをささなかったんだ?弾幕(?)みたいなのを放とうとして途中でやめてたし、それに超サイヤ人ってのになればもっと簡単にけりがついたんじゃないか?」

 

魔理沙にとってこれが一番気になっていたことだった。

超サイヤ人の存在。

これは魔理沙…いや、この幻想郷にとってとてつもなく重要なことだろう。

それにあのタイミングで弾幕をはなっていたのなら幽香は倒せていただろうに悟飯は攻撃せずに多少のリスクを負う逃走を選んだのだ。

勝負から逃げることは決して誇れることではない。

悟飯がそれを理解していないはずがない。

だからこそ魔理沙はその答えが聞きたかったのだ。

すると悟飯はすぐにそれに答えた。

 

「…だって、俺達の本当の目的は別に幽香さんと戦うためにここまで飛んできた訳じゃないからな。もっと大切なことのためにそこに向かってたんだからな。」

 

それを聞いた魔理沙は悟飯のことを尊敬するかのように見つめる。

始めの異変から見てきた魔理沙にとって、今の悟飯の印象はとてつもなく変わって見えるものだった。

なぜあんな異変が起きたのかがわからないくらいに。

そして、やがて大きな湖が見えてきた。

そこは今までの場所よりも温度が低く、肌寒く感じるぐらいだった。

魔理沙に聞くと、どうやらこの場所は【霧の湖】といって普段から寒い場所のようだ。

そして、湖を少し飛ぶと

 

「おっ、あれだぜ。あそこに見える真っ赤な建物が紅魔館だぜ。」

 

そういいながらある場所を指差す。

するとそこには言葉の通り、まさにすべてが真っ赤に染められた館があった。

 

「…なるほど、確かに見るからに【紅魔館】って所だな。確かにこれならすぐわかる。けれど大分目が疲れそうだな…」

 

そういいながら苦笑いをする。

しかし魔理沙はもう見慣れてしまっているようで全然目につかれを感じなかった。

そして魔理沙と悟飯は門の前に降りてくる。

するとその門の前には一人の女性が立っていた。

緑の服に腰よりも長い紅の髪の毛、そして行く手を遮るかのような立ち方だった。

 

(…あの服装…そしてこの感じ、武道家か…!)

 

悟飯が相手の様子を察してから話を切り出す。

 

「あの、俺は孫 悟飯と言います。この館の主、【レミリア】とそのメイド長【十六夜 咲夜】さんに大切な要件があるんですが。」

 

「アポイントはお取りですか?」

 

「すみません。取っていません。ですが、本当に大切なことなんです。どうか通していただけませんか?」

 

そう必死に頼み込む悟飯。

すると門番が少し黙ってから。

 

「今日はもうダメです。明日の夜。明日の夜にもう一度訪ねてきてください。私が頼んでみますので。」

 

それを聞いた悟飯が少し安心したように、

 

「ありがとうございます。わかりました。そしたら明日の夜にまた来ます。」

 

そう言いながら頭を下げる。

そして、頭をあげると魔理沙と共に再び空へと飛び上がっていった。

そして門番から二人の姿が見えなくなると、再びあの声が聞こえてきた。

 

「ありがとう、美鈴。これでいいわ。これで…」

 

「お嬢様…これでよかったんですよね?」

 

「えぇ、よかったのよ。約束通りあなたは明日の夜、あいつと戦っていいわよ。あの孫 悟飯ってやつにこれで…!!!」

 

最後の言葉には怒りのような感情が見えた。

そして声は消えていった。

美鈴は自分の拳を見つめながら、

 

(悟飯って言う方と…どれだけ戦えるだろうか…)

 

不安になりながらも青く広がる空を何となく眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、悟飯。どこに向かってるのぜ?」

 

魔理沙が悟飯のスピードについて行きながら聞く。

すると悟飯は、

 

「あぁ、今から永遠亭に向かおうと思ってね。怪我とかじゃないんだけど、聞きたいことができたんだ。」

 

そう言いながら白いオーラを纏う。

 

「魔理沙、さっきのスペルカードでついてこれるか?」

 

「え?あぁ、大丈夫だけど、道わかるのか?」

 

「あぁ、あのお姫様の気でわかる!」

 

そういうとすぐにスピードをあげて飛び出していった。

 

「!!?」

 

【彗星 ブレイジングスター】

 

魔理沙も出遅れたがすぐにスペルを発動して追いかけていった。

二人はものすごいスピードで幻想郷の空を飛んでいっていた。

悟飯に追い付こうと必死にスピードをあげるが、悟飯のスピードがあまりにも速くてとても追い付けそうになかった。

 

(は、速すぎるんだぜ…追い付くどころか離されないようにするので精一杯だ。)

 

二人の飛んだあとの空には轟音が響いていた。

そして10分後には永遠亭が見えていた。

永遠亭の入り口に降り扉をノックする。

しばらくすると扉を開けて永琳が出てきた。

 

「どうしましたか…ってあら、悟飯さん、ついでに魔理沙もずいぶんと早い再会ね?」

 

(ついで扱いかよ…)

 

「あぁ、またすぐに悪いな。ただ、今回は怪我とかじゃなくて、聞きたいことがあってきたんだ。」

 

「…そう、ちょうど患者さんもいないからなかで詳しく聞かせてもらうわ。」

 

そう言いながら二人を広間へと連れていく。

二人が座ると、優曇華がお茶を出してくれた。

悟飯がお礼を言うと優曇華が少し照れたようにしながら笑顔で返し、奥の部屋へと消えていった。

 

「じゃあ早速なんだけど、聞かせてもらえるかしら?」

 

「…はい。実は聞きたいことって言うのは…」

 

魔理沙と永琳が息をのみ、言葉に集中する。

そして、悟飯の口から話されたことは、

 

「超サイヤ人に変身が出来なくなってしまったんだ。」

 

「「…えっ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「れ~む~。」

 

博麗神社で、誰か子供のようなほんわかとした声で霊夢を呼ぶ。

すると霊夢が神社の中から出てきて、

 

「はい?あら、萃香じゃない。…またお酒でものみに来たの?もうふらついてるくせして。」

 

とため息をつきながらその人物と話始める。

どうやらその人物は萃香と言うらしいが、見た目は6、7ぐらいに見えるのにお酒でも飲む、いや、飲んだらしく少しふらふらしている。

が、それよりも大切なことがあった。

その幼女には、自分の顔よりも大きな角を2本頭の横から生やしていたのだ。

そう、それはまさに…

 

「残念だけれど今回は違うんだよ~。いくら鬼だからって来たとき絶対にお酒しか用がないなんてことはないぞ~。」

 

そう、まさに鬼の角だった。

霊夢がまたため息をつきながら、

 

「…あんたが来たときそれぐらいしかないでしょ。」

 

「あれ?そうだっけ?まぁそんなことは気にするな~。」

 

霊夢とは反対にとても気楽に話す萃香。

しかし次の言葉がそれを変えた。

 

「ちょっと、話題になっている外来人。そいつに会いに来たんだぞ~。」

 

その言葉に霊夢の目が鋭く光った。

 

 




どうも、弾です。
もう勉強したくないっす…勉強疲れて色々とやる気でなくてさらにペースが落ちそうで怖いです。
そうなったとしても、更新はしていくつもりなので待っていていただけると嬉しいです。
最近龍球伝の動画をみて、やっぱり龍球伝はすごい面白いと思いました。
動画の龍球伝も一度目を通してみることをおすすめします。
個人的な話はこれぐらいにしましょう。
それでは次回もよろしくお願いします。


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第12話 封じられし金色の力とマスゴミ

どうも、弾です。
テストを終えて絶望している最中(さなか)です。
あ、今さらですが私はこれが初めての作品なので色々アドバイスいただけると嬉しいです。
さぁ、超サイヤ人になれなくなった悟飯。
その理由となんなのでしょうかね?
それでは本編をどうぞ!


悟飯の口から出てきた言葉は魔理沙と永琳の思考を一時的に止めた。

それもそのはずだ。

この幻想郷を脅かす存在である超サイヤ人の力は一度確認するべきだった。

それがいきなり使えなくなったのだ。

使えないうちは安全だと言えるが、いつその力が暴走するかもわからない状況になったことを考えればいまの状況は恐ろしいものなのだ。

 

「なっなんで…ってまぁそうなってもおかしくないわよねぇ…」

 

すぐに意識を悟飯に戻した永琳が一瞬驚くがすぐに呆れたように手を額に当てながらため息を漏らす。

悟飯はその言葉に驚いてすぐに聞き直す。

すると、

 

「考えてもみなさいよ。あなたは本来死ぬようなほどのダメージを負った状態で幻想入りしてきたうえに霊夢との戦闘、そして霊夢、魔理沙を含めた六人との戦闘となれば体へのダメージなんて人智を越えるわよ。それほどのダメージを受けてまともでいられると思うの?」

 

そういわれた悟飯はなにも言い返すことができなくなってしまう。

魔理沙もなにかを言おうとするが悟飯と同じように永琳の言うことがあまりにも正論であるために、言葉につまっていた。

それをみた永琳が再びため息を漏らし、

 

「恐らく原因は、そのダメージよ。あまりのダメージに無意識の内に体が制御を効かせてるんだと思うわ。」

 

「せ、制御を?」

 

悟飯がよく理解できていないようで聞き直す。

 

「ダメージが大きすぎたことによって体にはその傷や記憶が残るわ。それらが無意識の内に体への負担を減らすためにリミッターをかけてるのよ。きっとね。」

 

そういわれた悟飯はなるほど、と相づちをうちながら考え込むように少しうつむいた。

魔理沙も納得したようだが、半ば納得できないことがあるようで、

 

「…けど、悟飯は以前にも…その…ひ、左腕失うほどの大ケガをしたのに…」

 

「確かにそうね。悟飯さんの怪我を見た感じ、あの左腕の傷は幻想入りするよりも前につけられた傷みたいね。左腕を失うほどの大ケガをしたけれどもそのあとの処置も早かったし、命に別状はなかったそうよ。けれども今回は…」

 

そう言いながら悟飯を見る。

悟飯は申し訳なさそうに視線をそらした。

魔理沙はその視線が言いたいことを察して同じく視線を落とした。

悟飯が頭をかきながら、立ち上がりありがとうと永琳に言うと魔理沙に目で合図すると出口に向かおうとする。

すると、永琳が悟飯に向かってなにかを下投げで渡す。

それを受け取り何かと質問すると、

 

「傷薬よ。あなた理由はわからないけれどまた戦ったみたいだからね。だから前にもいったでしょ?全く少しはこっちの身にもなってもらいたいわねぇ。」

 

と言いながら悟飯を睨む。

悟飯は申し訳なさそうに苦笑いする。

そして魔理沙と共に永琳にお礼をいってから永遠亭から出ていった。

それを見送った永琳は再び永遠亭に戻ると、調薬室に入っていき、

 

(…悟飯さんってなんかまたここに来そうな気がするわねぇ…いくらか準備をしておきましょうか。)

 

そう考えると、薬の調合を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方魔理沙たちは、悟飯が人里を見ておきたい、と言ったので人里に向かって飛んできていた。

そして人里の入り口に降りると、悟飯の目が僅かに輝いているように見えた。

魔理沙達は人造人間の存在は悟飯から聞いた。

しかし、その存在がどんなことをしていたのかまではしらない。

唯一知っていることとすればピッコロと呼ばれる人物とその仲間達が殺されてしまったことだけだ。

この悟飯の目の輝きはその世界ではもう人がいないことでも表しているのだろうか。

 

「行こうか。魔理沙。」

 

悟飯はそう言うと魔理沙の返事を待たずに歩き始めた。

魔理沙もすぐにそのあとに続いた。

魔理沙は悟飯に聞かなかった。

いや、怖くて聞くことができなかったのだ。

悟飯の恐ろしい世界をさらに知ることともし自分がそうなったら、そしてあの憎しみが宿る悟飯の顔をもう見たくはなかったのだ。

人里を歩いていると悟飯は子供を見守る母親のような顔になる。

まるで見守るような瞳にどこか、安心したかのような感じもした。

しかし、そんな悟飯とは別に里の人たちの悟飯を見る目はどこか警戒しているような瞳だった。

悟飯のそばを通る子供も悟飯を見た瞬間にすぐに離れて去っていく。

魔理沙は少し戸惑いを感じながら悟飯に、

 

「なぁ、あそこの和菓子屋に行こうぜ!味は保証するからさ!」

 

そう言いながら走っていく。

悟飯は少し間を置いてから、

 

「…ん、わかった。」

 

とついてきた。

魔理沙が和菓子屋のおじさんに注文をする。

すると和菓子屋のおじさんは少し悟飯を怯えた目で見てから和菓子を取りに行ってきた。

それも誰もがわかるように。

そしてとってきた和菓子を魔理沙に渡し勘定を貰うと魔理沙にしか聞こえないように、

 

「なんであんなやつと一緒にいるんだい?危ないだけじゃないのか?」

 

と言った。

魔理沙がなにかを言おうとするが、それを言う前に店の中に消えていった。

魔理沙はそれを勘づかれまいと笑顔を作りながら和菓子を手渡した。

 

「ん、確かにすごく美味しいよ。」

 

「当たり前だぜ!私が選んだ店なんだからな!」

 

そう言いながら大きく頬張る。

悟飯と魔理沙が和菓子を食べ終わると、悟飯が和菓子屋に歩いていく。

魔理沙が驚いて、

 

「待てよ悟飯!早く次行こうぜ!!」

 

と止めるが悟飯はそれを聞かずに、

 

「ごちそうさまでした。とても美味しかったです。」

 

「………」

 

中から声は帰ってこない。

が、悟飯は店を出て魔理沙の前に来る。

すると、

 

「それじゃあ、魔理沙の家に帰ろうか。」

 

「えっ…もういいのか?」

 

そう聞かれると悟飯は少し悲しそうに笑いながら、

 

「うん。俺はここにいたら迷惑みたいだからね。」

 

そう言いながらゆっくりと飛び上がる。

その顔を見た魔理沙は心が痛くなる。

 

(確かにはじめの異変はとてつもないものだった…けれど悟飯本人はすごいいいやつなのに!…こんなの…)

 

そう思い拳を握るがすぐに力なく拳を開き箒にまたがり飛び始める。

そんなとき、

 

「まて!そこのハデな男!!」

 

大きな声が響いてくる。

その声の聞こえた方を見ると全身の青い大人の女性が立っていた。

その女性の後ろには子供が隠れており、その表情を見るとこちらのことをにらんでいるようだった。

 

「お前はこの前の異変の主犯だな…!」

 

そう言った。

魔理沙がなにかを言おうとしたが悟飯がそれを手で制しゆっくりと降りていき地面に着地する。

そして女性に向かって歩いていき、正面に立つ。

 

「はい。俺が異変を起こした本人です。」

 

と、まっすぐにそう答えた。

すると女性はさらに睨みを効かせながら口調を強めた。

 

「なぜそんなことをしたんだ!!」

 

「誤って霊夢達を敵と認識してしまったからです。」

 

悟飯が丁寧な口調でそう答えた。

すると女性が新聞を悟飯の目の前につき出してきた。

悟飯はそれを受け取り目を通す。

後ろの魔理沙も気になったようでそれを見るが、見た瞬間すぐに目を離す。

するとそこには驚くべきことがかかれていた。

 

  【慈悲のない最凶の外来人!!】

 

(文々。新聞記者の射命丸 文は今回とてつもないものを目撃しました!それは霊夢さんや魔理沙さんそして吸血鬼のレミリアさんとその他3人が異変の主犯と戦い、圧倒的な力の差で追い詰められると言う異常事態が起こったのです!その主犯は山吹色のハデな服を来ていて、19~21ほどの青年のようでした。その青年が勝つかと思いきや、途中で力尽きて倒れたそうです。しかし、事態は急展開を迎えます!なんと永遠亭にその青年を運び、治療を始めたのです!果たしてこれは永遠亭の異変が再来なのか!それとも別の理由があるのか!!この射命丸 文が全力で解明していきます!!今わかっていることはその青年には左腕がなく、名前は孫 悟飯と言うということ、そして彼が戦っているときに、貴様らこれで終わりだ!のようなことをいっていたと言うことですが、彼がどれだけ危険なのかをこれから解明していきます!!!)

 

「………っ」

 

悟飯は言葉を失う。

この新聞にかかれていることはあまりにもひどすぎる。

確かに全く知らない人が見たらそう見えるかもしれない。

が、ジャーナリストと言うのは真実を皆に言うべき存在であるはずだ。

こんな偏見だらけの記事を出されたのではこちらの立場がたまったものではない。

そう考えているとき声が聞こえる。

 

「ここにかかれていることは事実なのか?」

 

女性が質問をして来る。

悟飯はそれに答えるのを躊躇った。

なぜなら確かに酷い書かれ方をされているが決してデマを流しているわけではなかったからだ。

デマならば嘘と言えるが、実際に悟飯は終わりだ!や、霊夢達を圧倒した。

その分さらにたちが悪かった。

悟飯が一度深呼吸をする。

そして、

 

「…はい。ここにかかれていることは事実です。」

 

と答えた。

魔理沙がそれは違うと声をあげるが女性が魔理沙を睨み付けると一瞬怯む。

しかし誤解を解こうとするかのように話そうとするが悟飯がそれを再び手で制する。

 

「なんでだよ!悟飯!お前今…!」

 

「しょうがないよ。それにこれは俺の問題だからね。」

 

女性に聞こえないように小さな声で話す悟飯と魔理沙。

すると、女性は悟飯の左肩に右手をのせる。

 

「なるほど、事実なのだな。」

 

そう言うと女性の右手に力がこもる。

そして女性はその右手で体を支えるかのように飛び上がった。

あまりに突然の行動に悟飯は眼を見開き、魔理沙はあっと声をあげる。

女性の後ろにいた子供達も驚いたようにだが、どこか恐怖を感じたような顔になる。

そして、

 

【ゴツーーーン!!!】

 

「「!!!?」」

 

女性の頭突きが悟飯に炸裂する。

悟飯はいきなりのこと、そしてその威力に一瞬よろめき頭を押さえる。

女性も着地すると頭を押さえる。

魔理沙は悟飯にかけより心配するが大丈夫、と言いながら笑って返す悟飯に苦笑いしながらも安心の笑みを見せた。

 

「あの、本当にごめんなさい!後ろの二人も本当にすみませんでした。」

 

そう言いながら頭を下げる。

すると子供達が、

 

「えっ、いや…大丈夫…ですよ?」

 

とぎこちなく返事をした。

それを見ていた女性が、

 

「…謝罪の意はあるようだな。よし、私はこれで許そうじゃないか。」

 

そう言うと右手を差し出してくる。

 

「私は上白沢 慧音。この人里にある寺子屋の先生をやっているんだ。よろしく頼むよ。」

 

「はい!よろしくお願いします、慧音さん!」

 

悟飯は笑顔で答えると差し出された右手に握手をする。

どうやらお互いに和解が出来たらしい。

が、それでも回りからの視線にはわずかな変化しか見られなかった。

 

「大丈夫だ、この里の皆はいいやつだからきっとすぐに認めてくれるさ。」

 

それを聞かずとも悟飯は決して変な顔をしていなかった。

そしてアリスと同じように自分のできることを聞くと、慧音が寺子屋の子供達にはせめて謝っておいてほしい、と言われたので寺子屋へ謝りにいった。

 

「本当にすみませんでした。」

 

そう言いながら頭を下げる。

寺子屋の生徒達は年齢に大きくばらつきがあり、ちゃんと聞いてくれてるか心配になるくらいの小学1年生位の子もいた。

すると案の定、

 

「ねぇねぇ!その力見せてよ!」

 

「見たい見たい!」

 

とその力にばかり興味を持ってしまった。

慧音がダメだ!といくら言ってもおさまる様子がない。

そこで悟飯は少しだけ気を見せることにした。

始めは慧音も魔理沙を大反論をしてきたが、大きな力を使わないという条件で許可を得た。

悟飯が子供達を集めて右手を見せる。

すると、右手から白い光のたまが出てくる。

子供達からは感嘆の声が聞こえてくる。

慧音も物珍しそうにそれを眺める。

 

「この力だよ。これは気って言うんだけど俺はそれを使って色々やるんだ。」

 

すると子供達はもっと見せて!と行ってきたが、それはさすがにダメだと慧音達でなんとかなだめた。

 

「いやぁ…すまなかったなぁ。まさかあそこまで食いつくとは思ってもいなかったんだ。」

 

慧音が謝るが、

 

「大丈夫だよ、むしろ怒られたりとかしなかったから助かったよ。」

 

そう笑いながら軽く返す。

すると慧音がなにかを悟飯の手に渡した。

それを確認すると、それはお守りだった。

 

「すまなかった、悟飯くん。私は君のことを誤解していたよ。こんなに優しい君が故意にあんなことをするわけがないな。」

 

そう言いながら謝るが、悟飯が慌てながらそんなことはないという。

しかし、自分の偏見で悟飯に強く当たったことがどうしても許せないらしい。

そこで悟飯は、

 

「なら、このお守りを僕がしっかりともらいます。それでチャラでいいですよね?」

 

その意見に慧音も納得したらしく微笑みながらあぁ、と答えた。

人里である程度時間を潰せた悟飯と魔理沙は空を飛んで魔法の森へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、魔法の森につくと悟飯は魔理沙と修行を始めようと提案した。

それに気合いを込めた返事で返す魔理沙。

悟飯は少し笑みを浮かべながらこう指示した。

 

「俺が弾幕をはるから、それを躱し続けてくれ。魔理沙は空を飛んで、俺はそれを打ち落とすつもりで撃つから。」

 

「おっ、実戦だな!いいぜ!!」

 

魔理沙は空へと飛び上がり悟飯の方を向く。

悟飯も魔理沙の方を向き、魔理沙に右手を向ける。

そして右の手のひらに気をため始める。

 

「いくぞ!」

 

悟飯は連続で気弾を放ち始めた。

かなりの数だが魔理沙はそれを空で大きく躱す。

それを見た悟飯が大きな声をあげる。

 

「魔理沙!もっと小さな動きで躱すんだ!紙一重で!」

 

魔理沙はその声をしっかりと聞き取り、返事は返さなかったものの先程よりも小さな動きで弾幕を躱し始めた。

紙一重とはいかないもののやはり弾幕を使う動きは幻想郷の住民である魔理沙の方が慣れを感じる。

魔理沙の顔には余裕が見てとれた。

幻想郷の弾幕は相手に魅せるためそして、相手の逃げにくいように放つものだ。

いまの悟飯の連続気弾は確かに量はかなりのものだがその弾道は直線的で予測のしやすいものだった。

幻想郷の住民にとってこのくらいの弾幕は訳がないのだろう。

すると、悟飯がわずかに顔を険しくする。

次の瞬間連続気弾の様子が変わった。

魔理沙もそれに気づきすぐに対応する。

が、先程よりも余裕がなくなっておるような顔つきになった。

先程とは違い気弾が直線的でなく、放物線を描いたり等の曲線を描く気弾が急に含まれたのだ。

曲線を描く気弾だけならそれも対処が簡単だ。

だが、悟飯は器用なことに曲線、そして直線的な気弾の両方を織り混ぜた攻撃をして来ていたのだ。

が、それでも魔理沙はどこか余裕のある表情をしていた。

が、

 

「魔理沙!また大きく動いて避けているぞ!もっと小さな動きで躱すんだ!!」

 

気を抜いてしまうと、小さく躱すことを忘れてつい大きな動きで躱してしまっていた。

注意してからはなるべく小さな動きで避けるように挑戦しているのが見てとれた。

すると悟飯はある行動に出た。

悟飯は高速移動で瞬時に魔理沙の頭上10mほどの高さに移動する。

すると右手にいままでの気弾よりも大きな直径50cmほどの気弾を作り出す。

そして、

 

「魔理沙ーーー!!!!」

 

大きな声をあげるとその気弾を魔理沙に向けて放つ。

魔理沙はその声に驚き、上を見上げる。

すると頭上からいきなりかなり大きな弾幕いや、気弾がこちらに向かっていた。

急いで躱そうとするが頭上の気弾に意識が向いてしまったため、先程まで躱していた弾幕の存在を忘れていた。

弾幕が魔理沙に襲いかかり直撃する。

 

【ドゴゴゴゴーン】

 

「うわぁあ!?」

 

弾幕を受けた魔理沙はバランスを崩しよろける。

しかしそんなこと関係なしに気弾は魔理沙に襲いかかってきた。

 

「くっ!!」

 

魔理沙はとっさにスペルを唱えた。

 

【恋符 ノンディレクショナルレーザー】

 

レーザーは気弾に直撃し炸裂する。

すると驚くべきことに気弾の真ん中をぶち抜いてきたのだ。

気弾を貫通したレーザーは悟飯へと襲いかかる。

魔理沙はその事が予想外だったようで、慌ててスペルを中断する。

が、すでに発動してしまった分のレーザーは消えることはなくすでに悟飯の目の前に来ていた。

 

(…まずい!いくら悟飯でもこんなに不意を突かれたら対処しきれないんだぜ!!ま、まさか気弾があんなにも簡単に貫けるなんて思ってもいなかったんだぜ!)

 

そう思った。

が、次に目にしたものがさらに魔理沙を驚かせる。

悟飯が瞬時に右手を左肩の辺りまで上げて、

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

思いきりレーザーに向かって手刀をぶつけた。

するとレーザーは悟飯の手刀に弾かれて空の彼方へと飛ばされていった。

魔理沙はあまりの現実に眼を見開いてレーザーの飛んでいった空を見つめて固まっていた。

が、それはいままでとは少し違った驚きだった。

 

(な、マジかよ…悟飯のやつスペルを手で弾くなんて…反則くさいぜ。けど…悟飯だからなんでも納得しちまいそうだな。)

 

そう思いながら笑っていた。

そんななか、

 

「何してるんだ!魔理沙!!」

 

悟飯がいきなり魔理沙に大声で叫ぶ。

魔理沙は驚いて悟飯の方を見上げる。

すると悟飯はどこか怒っているように見えた。

 

「俺は小さな動きで躱せ、と言ったんだぞ!誰もスペルを使っていいなんていってないぞ!!」

 

「い、いや。あんなのいきなりされたらそりゃあ躱しきれないぜ…」

 

そういいわけをした魔理沙に悟飯がより大きな声で怒る。

 

「そんなことをしたら修行にならないだろう!!言ったはずだ!俺の修行は厳しいと!それにいまの気弾だって、弾幕を躱しながら相手の動きをよく見ていたら気づいたはずだ。だけど、魔理沙は俺が声をあげるまで気づかなかった。弾幕を小さく躱すことを意識しすぎていた証拠だ!」

 

「そ、そんなにいっぺんになんかできないぜ!」

 

さすがの難題に魔理沙も思わず声を荒くした。

そんな魔理沙の様子を見た悟飯は小さなため息をついてから、

 

「俺は厳しく修行をつけるが、その人にできないことはやらせないさ。」

 

そう言いながら魔理沙に背を向ける。

その言葉を聞いた魔理沙は悟飯を引き留める。

 

「悟飯…やってやるさ。私に、できるんだろ…!」

 

魔理沙の瞳には以前見せたときと同じ覚悟と決意の秘めたものだった。

悟飯はそれを見て、再び魔理沙の方を向き、

 

「あぁ、しっかりと修行をこなせばね。」

 

そう言うと、再び手を前につきだし気を手のひらに集める。

魔理沙も再び箒に乗ると空へと飛び上がった。

悟飯が激しい連続気弾を放つ。

そして魔理沙がそれを見極め最小限の動きで躱そうとギリギリまで引き付けて躱す。

そして30秒位たったタイミングで悟飯が大きな気弾を魔理沙に放つ。

それは紙一重では躱せなかったが、他の気弾に当たることもなくしっかりと躱した。

 

「よし!いいぞ!その調子だ!」

 

そう叫びながら再び弾幕のような気弾を放った。

そんな修行を一時間ほど続けた。

魔理沙の体力もギリギリになっていたので家に帰って休むことにした。

そして明日また紅魔館に行くため今日辿った道を思い出してから個人の修行をする悟飯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだぁ、夜になっても外来人来なかったなぁ~。」

 

萃香が大きなため息をつきながら神社の縁側に座って足をプランプランさせていた。

するとそれに呆れたように霊夢もため息をつく。

 

「だからしばらくは来ないわよって言ったじゃない。なのにいつまでも待ってるからでしょ。」

 

それを聞いた萃香が少しムスッとしながら、

 

「しばらくってどれぐらいなんだ~?私は数時間だと思ってたぞ~?」

 

「えっ…そんなんじゃないわよ。もう何日もって意味のしばらくよ。」

 

それを聞いた萃香が少し怒ったように顔を膨らませる。

 

「れ~む~。そんなわかんない~!もっとしっかりいってくれなきゃわかんないぞぉ~!!」

 

そう言いながら手足をばたつかせる。

様子だけ見ていたら本当にただの子供にしか見えない。

が、本人も言った通り本当の角のある鬼なのだろうが…威厳と言うものが全くもって見えない。

 

「そ、それは悪かったわよ…。でも数日は来ないことわかったんだから早く帰りなさいよ。」

 

「いやだ…」

 

「えっ?」

 

あまりに予想外の台詞が来たもので霊夢が自分の聞き間違えなのではないかと思い聞き直す。

しかし帰ってきた言葉はさっきの同じものだった。

なぜかと霊夢が聞こうとするがそれを言葉に出す前に萃香から答えが返ってきた。

 

「だってそいつと戦いたいからねぇ~。」

 

「…は?」

 

霊夢はその最悪の言葉を信じることができなかった。

なぜなら鬼と言う種族はかつて幻想郷を支配していた種族だ。

それだけの力を保持している鬼とあれだけの力を持っている悟飯が戦うとなればこのこの幻想郷そのものが危険にさらされる可能性が高い…いや、間違いなく天災レベルの戦いとなるだろう。

そんなこと避けるべきだ。

 

「そんなこと許せるわけないでしょ!?それにあんたたちのことだから弾幕ルールなんか使おうとしないでしょ!!」

 

「そうだよ~。けど…今回ばかりはれ~むだろうと言うことを聞くことはできないよ。それだけ強い相手なんだからねぇ。」

 

そう言いながら鋭い眼光を霊夢に向ける。

今まで見せたことのないその真剣な表情とその鋭い目付きに思わず怯んでしまう。

いまの萃香にはどんな言葉も通用しない。

そう判断した霊夢は、条件付きで許可を出した。

 

「分かったわ。戦うことは許してあげる。けれど条件が三つあるわよ!1つ、幻想郷そのものや生き物たちに大きな被害を与えるようなら即時に止めさせるわ!二つ、絶対に殺したりしないこと、死なないこと!三つ、私が結界を作るからその中で戦うこと!!これが守れないなら戦い何てさせないわよ!!」

 

そう大きな声で告げる。

それを聞いた萃香が満面の笑みを浮かべながら、

 

「れ~む~!さすがだぞぉ~!やっぱりれ~むは最高なんだぞぉ~!」

 

そう言いながら抱きつく。

霊夢は一瞬驚き顔を赤くしながら、

 

「ど、どきなさいよ暑苦しいわね…(まったく…萃香にはかなわないわねぇ。)」

 

そう言いながら(思いながら)倒れてしまった。

 

 

 

 

 




どうも弾です!
いやぁ…ドッカンフェスなんてありませんでしたね!
超ベジットなんていなかった…いいね?
まぁそんなこと置いといて、とうとうドラゴンボール超未来編ですね!
トランクスがSS2になったのは嬉しいですし、ブラック悟空はカッコいいですねぇ。
そして未来悟飯の登場!
この作品の作者として…個人的にはあまりいいと思いません。
悟飯は死んでるわけですし、登場させる意味がないと思うんですよねぇ…
まぁ上の文見ていただければわかると思いますが、この作品はいくらドラゴンボール超が未来編と関わろうとも、超のキャラクターは一切だしません。
(仮にトランクスが出たとしてもそのトランクスはSSJの第4段階までが限界とします。)
未来悟飯の作画…ちゃんとしてるといいなぁ…
おっとこんな愚痴はさておき、さぁ、次回はとうとう紅魔館に悟飯が突入。
果たして悟飯にはどんなことが待っているのか?
それでは次回もよろしくお願いします!


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第13話 この世界の神様

夏休みだぁ!
受験生にとっては地獄だぁ!
(話すことないのでそのまま本編へどうぞ)


 

朝日が上ってくる。

まだ、森も静かに寝ている。

その森のなかである人物二人がすでに活動を始めていた。

それは孫悟飯と霧雨魔理沙だった。

昨日と同じように筋トレから始めているようだが、もうすでに魔理沙の腕がプルプルと震えてしまっていた。

その横で悟飯が右腕のみの状態ですごい速さで腕立て伏せをしていた。

それを見ている魔理沙も負けない!といわんばかりに力を振り絞り、自分の上体を自分の腕の力で持ち上げる。

それを横目で見ていた悟飯が少し笑いながら腕を止める。

 

(昨日とは気合いの入り方が違うな…よりいっそうやる気になってくれたみたいだな…!)

 

そして腕立て、腹筋、スクワットをそれぞれ100回をこなした魔理沙とそれ以上の数(回数が多すぎる+速すぎて詳しい回数がわからない)をこなした悟飯はそれに加えてある修行を提案した。

それは、

 

「ご、悟飯格闘攻撃を避けろ!?」

 

予想外の台詞に魔理沙が目を丸くする。

悟飯は真剣な目付きで、

 

「あぁ、弾幕の方はやっぱり流石と言うべき動きだったからね。紙一重で躱せるようになるなら多分こっちの方が早い。」

 

格闘なんてやったことのない魔理沙からしてみればそんなことやりたくはないし、やったところで一撃喰らって終わりだ。

が、出そうになった声を一度止めて飲み込む。

そして大きく息を吐くと、

 

「分かったぜ…その修行…やるぜ…!」

 

そう答えた。

悟飯が少し笑みを作りながら構えをとる。

魔理沙もそれに対峙し、重心を落としすぐに動ける体制をとる。

 

「力をいれずに攻撃する。いまは受け止めてもいいしガードしてもいい。だか、躱せると思った攻撃は迷わずに躱せ!いいな?」

 

魔理沙は無言でうなずく。

悟飯も無言でうなずいて返すと、距離をゆっくりと詰めていき、悟飯の攻撃範囲に届かせる。

そして右腕を右から左に振りかぶる。

魔理沙はそれにすぐ反応して左腕と右の手でガードする。

すると、すぐにガードされた右手を引き、再び右手を振り上げるが今度は頭上よりも高い位置に手を持ってくる。

そして降り下ろすが魔理沙はすぐに反応し、両手をクロスさせ受け止める。

その時魔理沙のお腹に悟飯の左足がめり込む。

 

「ガハアッ!!」

 

魔理沙がお腹を押さえて数歩後ずさる。

悟飯が少し厳しい目付きになり、

 

「魔理沙、君はどうやら1つのことに集中する癖があるみたいだね。1つのことに関する集中力はすごいけれどもそれを回りに向けられていないよ。いや、もっと考えないとな。攻撃は右腕だけじゃない。常に相手のすべてに意識を向けるんだ。」

 

魔理沙は無言のまま全神経を悟飯のすべてに向けていた。

その修行もすぐに感覚をつかんだようで何度か手や腕でガードするものもあったがなんとか躱し続けることができていた。

その後も一時間ほど色々な修行をこなし朝食をとることにした。

魔理沙は再び疲れすぎて動けないようだったようで悟飯が調達してこようとしたがそれを魔理沙が止めた。

 

「少し休んでから私が料理するから、悟飯は少し待っててくれ。」

 

そう言いながら笑う(苦笑い)ので悟飯はその言葉に甘えることにした。

 

(…またトカゲとか持ってこられても困るからなぁ…)

 

これが本音である。

そして少し休んでからいざキノコを取りに行こうとするとある声が聞こえてきた。

 

「あっ、悟飯さん、魔理沙~!二人とも朝からずいぶん運動をしているみたいね。」

 

アリスだ。

バケットを持ってるのを見る限り、どうやら差し入れを持ってきてくれたようだ。

それを見た魔理沙が満面の笑みを浮かべて、

 

「おぉ、アリス!ナイスタイミングだぜ!」

 

と手を振る。

悟飯もアリスのことを呼びながら手を振る。

それを見たアリスは二人に手を振り返し、そばにいた上海も両手を大きく振っていた。

アリスが持ってきた二つのバケットの中身を見るとそこにはぎっしりとサンドイッチが入っていた。

 

「アリス、ありがとなぁ…助かったぜ。」

 

魔理沙が疲れはてたように、そして安心したようにそういう。

アリスが疑問に思い質問すると、魔理沙は昨日の朝の出来事を話した。

アリスはそれを聞くと苦笑いしながらサンドイッチを魔理沙に渡した。

魔理沙も苦笑いしながらそのサンドイッチを受け取って頬張った。

 

「んん!?おいしいんだぜ!しかも私の好きな味なんだぜ!」

 

どうやら魔理沙の好きな味だったようでかなり元気な声をあげる。

悟飯もそれを見てサンドイッチをひとつ手に取り食べる。

悟飯が食べたのはハムとレタスのサンドイッチだったらしく、シャキシャキといい音をたてながら飲み込む。

 

「確かに、とても美味しいよ。アリス。」

 

そう言いながら次のサンドイッチに手を伸ばす。

それを見たアリスが嬉しそうに笑みを浮かべながら、どんどん食べて、と悟飯の手に紅茶を差し出した。

それを受け取りゆっくりと飲むと、深い息をはきアリスにお礼をいった。

 

(へぇ、アリスってあんな笑い方するんだなぁ。)

 

そう思いながら横目に二人を見ながらサンドイッチと紅茶を美味しそうに食べていた。

アリスが持ってきたバケット二つ分のサンドイッチと多めにあった紅茶はあっという間になくなった。

もちろん悟飯が大部分を食べていることは言うまでもない。

その後は魔理沙が食後の休憩をとるので悟飯個人の修行をやっていた。

アリスと魔理沙はその様子を観察していた。

悟飯の修行は基本的に空動きが多い。

誰もいないがその空間に向かって拳や裏拳、そして蹴りなどの格闘攻撃の動きを繰り返す。

そのスピードはアリスと魔理沙の目には追いきれないほどのスピードだった。

魔理沙はまだ悟飯の本気の相手になれない現実を突きつけられた気がした。

アリスもその修行に驚きを隠せずに目を見開くことしかできなかった。

そして魔理沙の食休みが終わると、アリスは人里にようがあるといって帰っていった。

次の修行は先程同様悟飯の攻撃を躱し続ける修行だった。

が、あまり長い時間はやらずに一時間ほどやったら悟飯が、

 

「なぁ、魔理沙。すこしこの世界を案内してほしいんだ。まだわからないことがありすぎるからさ。」

 

と言ってきた。

悟飯はこの幻想郷に幻想入りしてきた外来人だ。

この世界のことをまだほとんど知らない。

魔理沙はわかったぜ!と元気に返事をすると、早速箒を取りだし空へと飛び上がる。

悟飯もそれを追うように空へ飛び上がる。

そして山のある方向に飛び始めた。

その山は普段は青々しい木々に埋め尽くされているようだが季節が季節なので木の葉はすべて落ちていた。

そしてしばらく飛んでいるとひときわ大きい山の前に出る。

 

「すごいなぁ…ここの山だけ他の山より数段大きい。」

 

悟飯が珍しそうに言うと、魔理沙が説明を始めた。

 

「ここら辺が【妖怪の山】って言う場所なんだけど、そのなかでも一番の山がここなんだぜ。まぁ妖怪の山なんて名前だけで実際は天狗が支配してるんだぜ。…」

 

説明していた魔理沙が突然説明をやめる。

悟飯が不思議に思い顔を向けると魔理沙がうつ向き、箒を握る拳に力がこもる。

悟飯はその理由がわからずに黙っていた。

が、すぐに魔理沙は話はじめて、

 

「あの新聞を作った文ってやつもここにいるぜ…」

 

「…っ!」

 

悟空が僅かに顔を驚かせるがすぐに真剣な目付きになり、山の頂上へと目を向ける。

魔理沙もすぐに頂上に向き直り、

 

「でもここに来た理由はそれじゃなくて、早苗とその神社の神様達に会うためなんだぜ。」

 

「この幻想郷の神様にかぁ…確かに挨拶をしなくちゃならないね。」

 

そう言いながら頂上に飛んでいく。

魔理沙は悟飯が驚かなかったことに疑問を抱いたが悟飯のことなのだからなんでもあり得る、っと個人で納得し悟飯よりも前に行き案内を始めた。

途中なにやら妖怪に山に入っておることにたいしての警告を言われたり、山にはいった理由の回答を求められたりしたが、魔理沙が理由を話すとその妖怪はその場を立ち去っていった。

どうやらそれが天狗らしくなんでも縄張り意識が強く妖怪の中でももっとも規則厳しい社会性のある妖怪らしい。

 

(規則厳しい天狗からなんであんなことを書く天狗が生まれるんだろうか…)

 

そうしてしばらく飛んで頂上付近に到達する。

するとそこにはひとつの神社がたっていた。

よく見るとその神社の敷地内を誰かが箒で掃いて掃除をしているのが見えた。

その人物に悟飯は見覚えがあった。

 

「あっ、早苗さん!」

 

悟飯が大きく声をあげた。

早苗もそれに気づいたようでこちらに振り向き大きく右手を振ってで迎えてくれた。

二人は早苗のそばに降りてきて今日の要件を話始めた。

 

「よぉ早苗。今日もお疲れだぜ!」

 

「はい、ありがとうございます魔理沙さん。それに悟飯さんもお久しぶりですね。」

 

「あぁ、久しぶり。といっても3日位しかたっていないけど…」

 

悟飯が苦笑いをしながらそう答えると、早苗が確かにそうですね、と笑いながら返した。

少しお互いに最近のことを話してから魔理沙は本題にはいった。

 

「なぁなぁ、神奈子と諏訪子はいるか?悟飯を二人に会わせたいんだ。」

 

「ま、魔理沙さん…御二方は神様なんですからしっかりと敬語にしてくださいよ。二人ともいらっしゃいますよ。それじゃあ呼んできますね。」

 

そう言うと早苗は神社の中に入っていった。

少し待っていると早苗が神社から出てきた。

後ろには悟飯と同じ身長かかそれよりやや高いぐらいの女性と、小学生~中学生位の少女がついてきていた。

 

「紹介します。こちらが神奈子さま、そしてこちらの方が諏訪子様です。」

 

そう言いながら二人を紹介する。

 

「どうも、孫 悟飯といいます。最近この幻想郷に来ました。よろしくお願いします。」

 

礼儀正しくお辞儀をしながらそう自己紹介をした。

すると二人の神様はお互いに顔を見合わせながら目を丸くする。

が、すぐにそれぞれ自己紹介をした。

 

「こちらこそ、私の名前は八坂 神奈子(やさか かなこ)という。この神社の神だ。いや、この空を統べる神だといってもいいだろう。そしてこっちが…」

 

「私は洩矢 諏訪子(もりや すわこ)っていうんだ。よろしくね~。神奈子が空なら私は地を統べる神様かな?」

 

自己紹介を済ませると神奈子様が右手を差し出してきた。

悟飯はその差し出された右手と握手を交わす。

すると神奈子が真剣な目付きで目をつむり悟飯と交わす手に力がこもる。

少しすると目を開きながら手を離す。

そして少し笑みを作りながら、

 

「確かに早苗のいう通り悪いやつじゃないみたいだな。」

 

と言ってきた。

なぜそんなことがわかるのか、と疑問を抱いた悟飯がそれを聞こうとする前に、

 

「私は神だ。相手が善人かそうでないかぐらいそいつの魂を覗けばわかるし、雰囲気でわかるさ。」

 

と先に答えを言ってきた。

悟飯は驚いて言葉を失ってしまう。

すると諏訪子が、

 

「あはは、神様をなめちゃいけないよ。それだけ長く生きてきているし、色々なものを見てきたんだ。それぐらいのことはわかるよ。」

 

と笑いながら言ってきた。

恐らく口調からして見た目よりも遥かに長く生きてきているのだろう。

そしてこの諏訪子様(少女)がそれほど長く生きているのなら神奈子様(年増)はさらに長く世界を見ているのだろう。

 

「…そういっていただけると嬉しいです。」

 

悟飯はそう言いながら軽く礼をする。

それを神奈子と諏訪子は笑みで返す。

そして今度は諏訪子様が話始めた。

 

「ねぇ、私たちはあなたから聞きたいことがあるんだ。」

 

「聞きたいこと…ですか?」

 

「うん。貴方の口から直接、貴方のその左腕のことと人造人間についてを…ね。」

 

悟飯の表情が固くなる。

魔理沙もそれを聞いて気まずい表情になり、早苗も同じような表情になる。

が、諏訪子様と神奈子様は真剣かつ少し厳しい表情で悟飯を見つめる。

沈黙が空間を支配する。

僅かだった時の流れだがそれはとても長く感じられた。

そして悟飯が口を開く。

 

「…分かりました。話します。この左腕と、その原因である人造人間についてを…」

 

悟飯はすべてを話した。

二人の人造人間、悟飯がまだ8歳にも満たなかったときの戦い、それにより殺されたピッコロ達の話。

そして、それにより消えてしまったドラゴンボールの存在。

悟飯が大人になってからの人造人間との数々の戦い、その中で失われた左腕、最後の希望であるトランクス、そして、この世界に来た原因である最後の死闘。

すべてを話した。

中でも神達は…いや、その場の全員はその願いを叶えるというその珠の存在に驚くしかなかった。

もちろんは回りはいくつもの質問をした。

それに悟飯は丁寧に答えていった。

それにはかなりの時間がかかってしまったため、昼を大きく過ぎてしまった。

そこで神二人と、早苗は一緒に昼御飯を食べることを提案した。

魔理沙と悟飯は満面の笑みを浮かべてその提案に乗った。

 

「片方は男なんだから普段の三倍くらいはつくっていいかもしれないねぇ!」

 

「余るくらいに作っちゃいなよ。早苗。」

 

「あはは、分かりましたよ。神奈子様、諏訪子様。それじゃあ悟飯さんも魔理沙さんもテーブルに先についていてください。」

 

…この提案をしたのが守矢神社に最悪な出来事をもたらせたことはいうまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ガツガツガツガツガツ!】

 

「あっはっは!いい食べっぷりじゃないか!ますます気に入ったよ!」

 

「うわぁ、すごいなぁ。こんなに食べる人なんて聞いたこともないよ。とゆうよりサイヤ人だからこれだけ食べるって考えた方がいいのかな?」

 

「さ、サイヤ人…こんなに…食べ…食べ物が…」

 

「やっぱり悟飯が本気で食べたりすると絶対にその地の食べ物は消失するみたいだな…」

 

その食べっぷりに神二人は感心しているようだが、作っている早苗にとっては悪夢でしかなかった。

が、

 

【ガツガツガツガツガツ!】

 

「……」

 

悟飯の姿を見ていて浅くため息をつき、

 

(ふぅ…まさかここまで食べるなんて想像してませんでしたが、ここまで美味しそうに食べていただけると作ってる身として嬉しいですね。)

 

と少し笑いながらそう心で感じていた。

が、このあと守矢神社は間違いなく食糧難になるであろう。

その後は神奈子と諏訪子から様々な話を聞いた。

魔理沙から話されなかった幻想郷の話や、早苗もこの世界に幻想入りしたということ、そしてその理由や方法などを。

 

「あの、じゃあその奇跡の力で俺も元の世界に戻せないか?」

 

悟飯が希望にすがる目で早苗を見つめる。

 

「ごめんなさい。それは無理です。霊夢さんにそれは止められていますし、貴方の世界の存在は私たちの知る世界と大きくことなっていますから探し出すことすらままならないと思います。」

 

「そ、そうか…変なことを聞いてごめん。」

 

少し肩を落としながらそう返事をした。

早苗も力になれなかったと言うが、悟飯が首を振りその気持ちだけで嬉しいと答えながら少し笑った。

時間はかなり経過していた。

すでに空は茜色に染まり、そろそろ日は沈もうとしていた。

夜になろうとしているのだ。

夜には昨日約束したことがある。

そう、紅魔館にいかなければならないのだ。

悟飯は立ち上がると魔理沙に目線を送る。

すると魔理沙も何かを思い出したようにハッとして立ち上がる。

 

「おや?もう行ってしまうのかい?別に泊まっていけばいいのになぁ。なぁ?諏訪子。」

 

「そうだよ。もっといろんなこと聞きたいし。」

 

「すみません。大切な約束があるので失礼させていただきます。」

 

そう言いながら飛んでいった。

魔理沙もそれについて行くように飛んでいった。

 

「…あっちは…吸血鬼の館の方だね。そうか…今日はきれいな月がよく見えそうだねぇ。」

 

そう呟きながら神奈子は茜色に染まる空を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯は紅魔館の前に降りてきた。

そこには以前と同じように一人の女性がたっていた。

その女性はまるで待ち構えていたかのように立っていた。

 

「約束通り来ました。えっと…そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね。俺は孫 悟飯って言います。」

 

そういうと相手の返答を待つ。

するとその返事はすぐに返ってきた。

 

「紅魔館門番、紅 美鈴といいます。あなたに1つ言わなければならないことがあります。」

 

そう言いながら武術の構えをとる。

悟飯と魔理沙はそれに少し驚く。

 

「この館の主、レミリア・スカーレットお嬢様に会いたいのならば…まず私に勝ってからにしなさい!でなければこの館に入れさせません!」

 

そう叫ぶと、美鈴の体からは白い炎のようなオーラが溢れ出てくる。

それを見た悟飯は目を丸くし、魔理沙は驚いて声をあげる。

 

「あ、あれは悟飯と同じオーラ!?やっぱり同じような能力だから同じような力が使えるのか!」

 

「同じような能力?どういうことだ?」

 

「あいつは【気を操る程度の能力】を持ってるんだ!だからあいつはこの幻想郷の中で唯一気を使って戦うんだぜ!」

 

「へぇ、そうなのかぁ…」

 

そう呟きながら物珍しそうな、そしてどこか期待を込めた眼差しで美鈴を見つめる。

悟飯が魔理沙に下がっていろと指示を出す。

魔理沙は後ろに下がって巻き込まれない距離に移動した。

そして悟飯が美鈴に対峙するように構える。

 

「俺たちはその主と咲夜さんに謝りたいんだ。戦いたいわけじゃない!」

 

そう叫ぶが美鈴の次の台詞が悟飯に覚悟を決めさせた。

 

「これはレミリアお嬢様の指示でもあり…私の意思でもあります!」

 

そう叫ぶ美鈴の瞳には何か強いものがが秘められているのがわかった。

悟飯もその瞳に答えるように白いオーラを纏う。

 

「なら、俺は美鈴。君を倒してレミリアさんに会わせてもらうぞ。」

 

そう言った次の瞬間美鈴が視界から消える。

 

「…!?」

 

悟飯は自分の右手を腹の辺りに持ってきた。

するとそこに美鈴の拳が突きつけられてきた。

が、すでに悟飯は右手を構えていたためそれを受け止める。

 

「…よく弾幕ごっこではなく格闘戦(こちら)だと分かりましたね?」

 

美鈴が挑戦的な目で悟飯を見つめる。

 

「つい最近同じようなことをやられたからねえ。」

 

悟飯も同じ目付きで返す。

美鈴は後ろに飛び上がり距離をおく。

お互いに深く構えをとった。

 

「…次は今ほど甘くはいきませんよ…!」

 

「あぁ、本気で来い!でなきゃ終わるのは一瞬さ!!」

 

幻想郷でも見ることはないであろう超ハイレベルな決闘が今始まろうとしている。

 

 

 

 




話すことはないといったなぁ、あれは嘘だ。
ドラゴンボール超め…やはりやらかしたな!
未来悟飯の顔に傷を忘れやがった!!
許さんぞ…絶対にだぁ!!!
まぁ怒っても仕方がないですね…愚痴はここまでにします。
さぁ、皆さんお待ちかねであろう紅魔館編(本当にそうなのだろうか?)に話が進みました。
果たして紅魔館は爆発するのか?それともしないのか?
あっ、そこじゃない?
とにかく、超サイヤ人になれない悟飯ですが、果たして美鈴の強さは悟飯の通常を越えるのでしょうかね?
それは次回でわかるかもしれませんね。
それでは次回もよろしくお願いします!


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第三章 新・紅霧異変
第14話 幻想郷最高峰の格闘戦だ!!


前書きを書くのを忘れてました…

未来悟飯「貴様ー!!死ねえ!!!」

弾「お、お待ちくだ…(ピチューン)」

未来悟飯「所詮素人、無様なものだ…」

本当にすみません。
今回は戦闘回です。


「はあぁぁぁぁぁぁああ!!!!」

 

再び美鈴が悟飯に向かって突撃してくる。

瞬時に悟飯は左足を引き美鈴に右手が近くなるような体制になる。

美鈴が右の拳を悟飯に突き出す。

悟飯はそれを右手の甲で受け流すが、すぐに左手の追い討ちが迫ってくる。

悟飯は上体をのけ反らせて紙一重で躱す。

しかし、美鈴は左手で攻撃する間に右手を引き戻していたらしくすぐに再び右拳が悟飯の顔に襲いかかる。

悟飯は僅かに顔をしかめながら、右手で拳を自分よりも外へと弾く。

次に左拳が迫るがそれを前腕で受け止める。

そのように、美鈴は左と右手の乱撃を仕掛けてきた。

悟飯はそれを躱したり、防御をしたりと一つ一つ的確に処理していた。

そのすさまじいほどの攻防は魔理沙を魅了していた。

 

(め…美鈴があれほどの攻撃を仕掛けることができたなんて…弾幕と格闘とではこんなにも変わるものなのぜ!?でもさすが悟飯だ…全くひけをとらないぜ!)

 

その均衡はすぐに崩れ去る。

いままで互角だった悟飯が僅かに後退しながらの防戦へと変わっていく。

美鈴が押し始めたのだ。

悟飯はそれまで全ての攻撃を躱すかガードしていたがその攻撃が少しずつだが悟飯の体を掠め始めていた。

 

「くっ!」

 

悟飯が美鈴の右拳を受け止めた直後に右足の回し蹴りでカウンターを仕掛けてきた。

が、美鈴はその蹴りを飛び上がり足を曲げて当たらないギリギリの高さに上がり左手を悟飯の右足にのせ、まるで受け流すかのように躱す。

そして右足で思いきり悟飯の顔に向かって蹴りあげようとする。

悟飯はそれを右手でガードしようとするが美鈴が拳を開き悟飯の手を握り動かせないようにする。

右手の自由を失った悟飯はその蹴りに対処できずに、

 

【ブワンッ!】

 

魔理沙が眼を見開く。

魔理沙の目には悟飯が美鈴の蹴りあげが顎に入り、体が僅かに浮き上がりながら後ろに飛ばされているのが見えた。

 

「ご、悟飯!!!」

 

思わず叫ぶ魔理沙。

しかしそんな心配など必要のなかったようで悟飯は後ろに飛ばされながらも地面に右手をつき、バク転をして地面に着地する。

そして頬を伝う冷や汗を手の甲でぬぐった。

そして僅かに笑みを見せながら美鈴を見る。

すると美鈴が一瞬だけ魔理沙のことを見ていた。

悟飯もそれが気になり魔理沙の方を見ると魔理沙が心配そうな顔でこちらを見ていた。

すると悟飯は美鈴は真剣な顔でお互いに見合わせる。

次の瞬間美鈴が再び突撃してくる。

そして右足で蹴りあげようとしてくる。

がその蹴りは先程よりも少し遅くなっていた。

 

(なるほど、そういうことか…)

 

悟飯は何かを察したような顔をするとガードせずにその蹴りを受けた。

ように見えた。

魔理沙も驚くが先程よりも遅くなっていたため今度は見間違えなかった。

悟飯は蹴りを受けて飛ばされたわけではなく受ける瞬間に自ら後ろに飛ぶことによってその攻撃を躱したのだ。

それを見た魔理沙はほっとしたように肩を落とす。

先程のようにバク転して右足から地面に着地するが、着地したその右足で地面を蹴りだし間髪を入れずに美鈴に接近する。

美鈴はまだ構えを直すことができずにいたため、悟飯の接近に対して大きな隙ができる。

悟飯は右足で回し蹴りを仕掛ける。

美鈴は右手をなんとか胸の前に持ってきて、ガードするが悟飯の回し蹴りの威力が大きすぎて衝撃を受けきれずに吹き飛ばされる。

 

「ぐっ!」

 

美鈴はバク宙を数回転して地面を擦りながら着地する。

すぐに美鈴は悟飯に突撃していき、悟飯も美鈴に向かって突っ込んでいく。

そしてお互いの右腕をぶつけ合う。

 

【ガッ!!!】

 

辺りに衝撃波が放たれる。

お互いに踏ん張り、力は互角のように見える。

 

「わざわざ魔理沙にさっきのことを説明するために遅めのリプレイをしてくれたんだろ?」

 

悟飯が力のこもっている笑みを見せながら、美鈴にそういった。

 

「さぁ?どうですかね?まぁもうあんなことは起きませんよ!」

 

そういいながら美鈴も力を込めた笑みを見せる。

お互いに一歩も譲らず、全く動かなかった。

が、次の瞬間二人は同時に腕を振り払い均衡を解いた。

始めに攻撃を仕掛けたのは悟飯だった。

左回し蹴りを美鈴の顔に向かって繰り出す。

美鈴はそれをしゃがんで躱し、左の裏拳を顔に向かって繰り出す。

それを悟飯もしゃがんで躱しながら右後ろ回し蹴りを再び顔に向かって繰り出す。

それを後方に退いて躱すとすぐに距離を戻し左手の拳を突き出す。

悟飯はそれを右手で受け止め、払いのける。

そして悟飯も右拳を美鈴に突き出そうとするが、それよりも速く美鈴の左拳が悟飯の腹を狙っていた。

それに反射的に右足をあげ、膝でガードする。

しかし、片足をあげてしまったことで次の行動が遅れた悟飯は美鈴の更なる攻撃を守らざるを得なくなり、再び防戦へとなってしまった。

美鈴は悟飯に向かって容赦なく左右の拳での連撃を仕掛けていく。

悟飯はそれを全て的確に捌いていく、が、

 

(まずいな…このままじゃ防戦一方だ…仕方ない!)

 

悟飯は美鈴の拳を大きく弾くと後方に飛んだ。

美鈴は弾かれた方とは逆の手で悟飯に攻撃を仕掛けた。

すると悟飯は白いオーラを爆発させて回りに爆風を巻き起こした。

美鈴はそれをまともに喰らい吹き飛ばされる。

吹き飛ぶ美鈴にすぐに追い付き、思いきり右手で殴り飛ばした。

美鈴は受け身をとることができずに門に思いきり頭から激突する。

 

(しまった!少し力を入れすぎたか!?)

 

悟飯がすぐに美鈴のもとに駆け寄ろうとするが、それよりも先に美鈴の体が僅かに動く。

悟飯はそれ見ると立ち止まり、美鈴のことを見つめる。

すると美鈴はゆっくりと後頭部を押さえながら立ち上がり口から流れる血を手の甲で拭う。

 

(流石の力ですね…恐らく現状は…一つ一つの技の技術やスピードは私ですが…)

 

(一撃の重さや瞬発力は俺の方が上…って感じか。)

 

悟飯は構えをとり、それを見た美鈴は普段よりも深く構えをとった。

悟飯はすぐに美鈴に突撃し、一気に距離をつめようとするが、その時異様な光景を目にする。

 

(なんだ…目をつむっているだと!?何をする気だ…)

 

悟飯はカウンターを警戒しながらスピードを落とさずに接近する。

すごい速さで迫る悟飯を一切見ずに目を閉じたまま小さく息をはく。

 

(ふぅ~…確か、悟飯さんは…こうやっていた…!)

 

「いつまで目を瞑っているんだ!」

 

悟飯が右拳で美鈴の腹を狙う。

が、次の瞬間!

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

美鈴はなにかを解き放ったかのように体を大きく展開させ、その体からはまるでなにかが爆発したかのような衝撃波が放たれる。

 

「なっ!!」

 

悟飯は完全に不意を突かれて、その衝撃波によって吹き飛ばされる。

魔理沙も驚いたように目を見開き、そして言葉を放った。

 

「あっ…あれって、悟飯がさっきやった技なんだぜ!?美鈴も使えたのぜ!?」

 

悟飯は左膝を右手と右足の三点を地面につきながらブレーキを掛けて止まる。

そして美鈴の方を見る。

すると悟飯は驚き目を見開いた。

美鈴は先程よりも大きな気を身に纏っていた。

先程の何倍も大きい気だった。

が、美鈴自身も自分の手を見つめ、まるで信じられないかのようだった。

 

「ご、悟飯さんの時は気の上昇なんてしなかった…ただ衝撃波を生んだだけだったのに…な、なんなんでしょう、その沸き上がるような力は…わ、私のいままでの本気を凌駕している…これは…一体…」

 

「あ…やっぱりそうか!俺の気爆破を見て一瞬で真似たんだ!それにただ真似ただけじゃない!気を爆発させて解放させるやり方までいっきに使ってる!!」

 

悟飯は苦笑いを見せながら、どこか楽しそうな瞳をして、

 

(くっそぉ~…何て人だ。俺だって気を爆発させて解放させるのをコントロールするのに何ヵ月もかかったのに。恐ろしいなぁ…)

 

そう思いながら美鈴に近づく。

すると美鈴もそれに気づき構えをとる。

 

「驚いたよ。まさかここまでスゴいなんてね。正直恐れ入るよ。」

 

「なら諦めますか?」

 

そう言われた悟飯は大きな笑い声をあげた。

 

「あっはっはっはっは!そんなわけないだろ?それよりも今なら君の全力が見れそうだ。さぁ、見せてくれよ。美鈴!君の本気を!!」

 

「…そうですね…このままでは勝負はつきませんし、この…悟飯さん、あなたから奪ったこの力を全力で使わせていただきますよ…!」

 

美鈴の目付きが鋭くなり、再び爆発のようなものが起こる。

今度は悟飯もそれを理解していたので飛ばされなかった。

美鈴の気がさらに大きくなり纏うオーラも荒々しい大きな炎のようなものに変わった。

それを見た悟飯が笑みを作りながら、

 

「楽しみだ。」

 

そういいながら同じようなオーラを纏う。

一瞬の合間、しかしそれは本当に一瞬だった。

 

【ドゴォン!!!!】

 

「ゴフッ!」

 

美鈴の拳が悟飯の腹に深く突き刺さる。

悟飯がバランスを崩し前のめりになる。

がそれを許さないかのように美鈴は腹から拳を抜くと、右と左でそれぞれ一発ずつ悟飯の殴り付ける。

顔を殴られた悟飯は後ろに体制を崩し完全な隙になる。

それを美鈴は見逃さずに1mほど飛び上がると大きく叫びながら左回し蹴りで悟飯の顔を思いきり蹴り飛ばした。

悟飯は周りにある木に激突し、木を何本もへし折りやっと止まった。

 

「ご…悟飯…!」

 

魔理沙は心配で飛び出しそうになるがそれをグッとこらえた。

 

(悟飯がこんなんで死ぬわけないぜ…!でも…不安しかないぜ…)

 

そう思っていたが、草木を掻き分ける音が聞こえてきて安心した。

悟飯が鋭い目付きで美鈴に向かって歩いてきていた。

しかも全くふらつかずにまるで何もなかったかのように。

そして美鈴の前に立つ。

 

「…結構強くいったのですが、効いていないですかね?」

 

「そんなわけないさ、いい攻撃だったよ。それなりに効いたさ。」

 

そういいながら口の血を拭う。

今度はなんの前触れもなしにお互いの拳がお互いの顔を仕留めあった。

辺りに大きな音を響かせていて、その一撃の重さを物語る。

 

(ぐぐっ…これが本気の美鈴の力か…やっぱりスゴいな。)

 

(くっ…悟飯さんはまだ【本気】ではないのにこの力…【あれ】を使っても勝てるかどうか…)

 

お互いに右手を引き、美鈴は左拳を突き出し、悟飯は右手でその拳を防ぐ。

次に右手が襲いかかるがそれを紙一重で躱し、左足回し蹴りで腹を狙うが、それを美鈴は右足をあげて受け止める。

そこからすさまじい攻防が始まった。お互いの攻撃をガードし、躱し、カウンターで返し、それを再びガードする。

そのすさまじい攻防は魔理沙にはもはや見えるものではなかった。

もうすでにそこは二人だけの世界だった。

美鈴の左拳が悟飯の顔をめがけて突き出されてくる。

悟飯はその左手の内側に自分の右拳を入り込ませ、この拳を外に追い出しながら美鈴の顔を殴り付ける。

予想外のことに、とっさに後ろに飛んで回避するが、すぐに追い討ちが迫ってきていた。

なんとかガードするも美鈴は防戦一方になってしまった。

悟飯の攻撃は先程よりもスピードが上がっていた。

 

(くっ!スピードを上げて攻撃をヒットさせる方を優先させましたか…一度当たればそのあとに大きな一撃を入れることができる…そういう考えですね!でもやらせませんよ!!)

 

美鈴は深くしゃがみこみ悟飯の攻撃を躱す。

悟飯はすぐに右足で蹴りあげようとする。

が、そこで。

 

「はあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

【爆符 気爆破】

 

「ぐわぁ!!」

 

悟飯は吹き飛ばされる。

美鈴は気爆破でいまの防戦からいっきに優位な状況になった。

はずだった。

 

【ヒュン!】

 

悟飯が吹き飛ばされている途中に姿を消した。

美鈴は驚き目を見開く。

すると後ろに悟飯の気を感じる。

振り返ろうとするがそれよりも早く、

 

「でやあぁぁぁぁあ!!!」

 

悟飯の右足の蹴りが美鈴の背中をしっかりととらえた。

 

「ぐあぁ!!?」

 

美鈴は吹き飛ばされて門に激突する。

門にはヒビが入り崩れそうになる。

が、悟飯がそこに…

 

「はぁ!!!」

 

右手を突きだし気合い砲をぶつける。

門はその威力に耐えきれずに壊れ、美鈴もその気合い砲を直に喰らい、さらに吹き飛ばされた。

門が音をたてながらゆっくりと崩れていく。

まだその音が消えない間に、美鈴は姿を表した。

 

「美鈴。ひとつ助言をしてあげるよ。その気爆破は使ったあとに大きな隙ができるんだ。気を大きく爆発させた反動でね。だから読まれているのに気爆破は使わない方がいい。」

 

「………助言をありがとうございます。ですがそんな余裕があなたにあるんですか?」

 

「お互い本気でなくちゃつまらないだろ?」

 

「!?」

 

今悟飯はつまらないといった。

つまりこの戦いを楽しんでいるのだ。

その言葉を聞いた美鈴が拳を強く握りその顔には強く噛み締めた歯が見えた。

 

「そうですか…楽しんでるのですか。」

 

突然美鈴が悟飯に向かって突撃していく。

大きく拳を振りかぶって悟飯に向かって振り回す。

が、先程よりもフリが大きく一つ一つの攻撃の時間がより長く、隙の大きいものになってしまっていた。

悟飯は美鈴の拳をしゃがんで躱すと腹に向かって拳を突き立てた。

美鈴はまた吹き飛び門に激突した。

 

「がふっ!がっ…はぁ…」

 

少しふらつきながら立ち上がる。

そして大きく深呼吸をする。

 

(落ち着け…今感情的になるのはダメですね。正直悟飯さんにあんなことを言われたのは予想外でしたが、嬉しかった。あれだけの気を持つ人が私を認めてくれたことが…それにこれだって悟飯さんがいなければつかめなかったことです。…感情的になってはいけない…わかってるけど…!)

 

美鈴が悟飯のことをまっすぐに見つめる。

そして大きく息をはくと、深く構えをとった。

先程までとは違う感情が表にあらわになっていた。

 

「いきますよ…!」

 

「あぁ、こい!」

 

再び二つの拳がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…美鈴、全く何をあんなに楽しそうに戦っているのかしら…私は戦うことは許可したけれどもそれは体力を削るためであって楽しむためではないのだけれどねぇ?」

 

暗がりの中で、昨日美鈴に話していた冷たい声が二人の戦いの様子を眺めていた。

 

「はい、お嬢様。しかし、あれならば美鈴も本来の力を出せているようですしうまく削れるのではないかと。」

 

そしてその横にはもう一人従者がいるようで、主の言葉に素早く返した。

 

「…そうね…あれが本来の力はどうかは別だけれどね。」

 

「??別…ですか?」

 

従者が全くわからないようで、疑問を抱く。

が、次の主の言葉は答えだろがとても理解できない答えだった。

 

「そう…いままでとは別の力ね。」

 

そういいながら紅魔館の窓ガラス赤く光りを放つ瞳を覗かせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!」

 

お煎餅を食べていた萃香が、まるで何かを感じたかのように食べるのをやめて空を見つめる。

霊夢はお煎餅を食べながらもその様子に気づき、

 

「ハニハッテルノヨ。訳(なにやってるのよ。)」

 

すると萃香の目が僅かに鋭くなっていることに気づく。

 

「なにか…なにか向こうで戦ってるのを感じるぞぉ。それもかなり強い力だぞ。」

 

それを言われた霊夢は食べていた煎餅を急いで飲み込む。

が、それが喉につっかえたようで急いで胸を叩きながら手探りでお茶を探し、飲み始めた。

 

「れ~む?大丈夫か~?」

 

萃香が心配そうにこちらを見てきた。

すると霊夢は、

 

「ぷはぁ~~~~~~!!助かったぁ…」

 

そういいながら喉をさする。

が、それをしながら霊夢は萃香に、

 

「ねぇ、それってどっちの方向?」

 

と聞いてきた。

萃香はあっち、といいながらある方角を指差す。

それを確認して少し考えると、霊夢は小さなため息をつきながら、

 

「あぁ、たぶんそれが悟飯よ。外来人の。」

 

「あの力がかぁ?すごいなぁ、人じゃないみたいだよ。」

 

萃香が目を丸くして驚く。

霊夢は悟飯がサイヤ人であることと、超サイヤ人のことも話した。

すると萃香は目を輝かせて

 

「今すぐいくぞぉ~!」

 

「何いってんのよ!そんなこと許せるわけないでしょ!」

 

もちろん却下されて、霊夢が説得したため萃香はまだ神社にとどまることにした。

 

(…いや、神社に留まるんじゃなくて帰って欲しいんだけれど…)

 

博麗神社のほうでも悟飯の力を感じていた。

もちろん博麗神社で感じられるほどの力ならば他の場所でも感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…幽々子様~おやつできましたよ~。」

 

剣を持つ少女がお盆の上に和菓子を押せながら誰かの名前を呼ぶ。

 

「…ねぇ、妖夢。すこし、準備を早めましょうか。」

 

どこからか大人の女性の声が聞こえてくる。

どこかに美しさを感じるような声が。

 

「早める?」

 

「えぇ、集める準備を…」

 

それを聞いた妖夢と呼ばれた少女が、目を鋭くして

 

「はいわかりました!」

 

そう返事をしながら、お盆の上のお菓子に手を伸ばす。

しかし、そのお盆の上にはどこにもお菓子が見当たらなかった。

 

「あ~あ!幽々子様~全部食べないでくださいよー!」

 

すべてはすでに幽々子と呼ばれた人物の口の中だった。

美味しそうに食べながら妖夢に謝るが口に含んでしゃべっているため何をいっているのかわからない。

そして飲み込むと妖夢が幽々子の背中をポカポカと叩いていた。

それを笑いながらも目はその力の感じる方向をしっかりと確認していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【バチッ!!!】

 

お互いの拳がぶつかり合い、そして弾き合う。

一定の距離をおいて二人が対峙する。

一見互角の戦いに見えるが先程から美鈴は全力で戦っているが悟飯はまだ全力ではない。

その肉体的な、そして精神的な違いが体力の消耗にも現れていた。

 

「……ふぅ…。」

 

「どうしたんだ?もう疲れたのか?」

 

美鈴がゆっくりと大きく息をはく。

対する悟飯は息をきらすどころか、大きく一息つく様子もない。

 

(これは…賭けに出ますかね。)

 

「悟飯さん!」

 

美鈴が突然大きな声をあげる。

悟飯と魔理沙は次の言葉が来るのを黙って待つ。

すると美鈴が大きく深呼吸をしてから、

 

「全力を出してください!私もすべてを出します!なので!悟飯さんも、本気でお願いします!!!」

 

そう言いながらスペルカードを取り出す。

悟飯はその言葉を待っていたと言わんばかりに気を最大にまで解放する。

 

「あぁ!!!お互いに悔いの残らないように全力でぶつかろう!!!!」

 

悟飯の気がいままでで一番大きく荒々しい気に変わる。

纏うオーラをより一段と大きくなった。

 

(これが悟飯の本気…あの異変の時よりも、大きい気だ…体が震える…けれど!)

 

美鈴がスペルカード発動を宣言する。

 

「スペルカード発動!!【彩華 虹色太極拳】!!!」

 

スペルカード発動と同時に美鈴の体に虹色の気が纏われる。

そのオーラも悟飯とは違い炎のような荒々しいオーラではなく落ち着いた体になぞられるようなオーラだった。

 

「それじゃあ、」

 

悟飯が早速構えるが、

 

「まだです!!」

 

美鈴がそれを叫んで制止させる。

悟飯はそれを不意を喰らってキョトンとしてしまう。

 

「これが…本当の…!!」

 

(まさか!?)

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

大きな爆発が巻き起こり辺りには大きい爆風が巻き起こる。

悟飯も吹き飛ばされないようにしっかりとこらえ、魔理沙必死に気にしがみついた。

そして風がやがて静まる。

悟飯が爆風を受けないようにと閉じていた目を開く。

するとそこには驚きの光景があった。

悟飯のように荒々しく燃え上がる炎のような虹色のオーラ。

そして、その圧倒的に大きな気。

そして何よりもその目付きはいままでとは全く別のものだった。

 

「…っ!(これは参ったなぁ…想像を遥かに越えてるよ。まさかあの状態でさらに気爆での解放なんて…そんなにすぐにできる技じゃないぞ…でも、それが楽しみだ!)」

 

悟飯も美鈴に正面から対峙する。

 

「いきますよ。悟飯さん?」

 

「あぁ、こい!」

 

【ビシュン!】

 

悟飯の視界から美鈴が消える。

左に存在を感じたがそれを確認する前に何かの攻撃を受けて思いきり飛ばされた。

少し飛ばされたがすぐに舞空術でブレーキを掛けた。

悟飯は痛む顎に顔を僅かに歪めながら美鈴を睨む。

すると美鈴がこちらを始めに見せたような挑戦的な目を向ける。

そして、それに答えるように悟飯も笑みを見せた。

 

 

 




はい!美鈴vs未来悟飯、どんどんヒートアップしていきますねぇ。
ここまでほとんど互角の戦い、果たしてどっちに勝利の女神がほほ笑むのか!?

あ、自分ツイッターやってます。
小説を投稿したことをそちらでいってますのでもしよければフォローお願いします。

これは余談ですが、回りの龍球伝の作者様は早いですね(焦)
受験のためペースあげられませんが正直作品も面白いですし早いので焦りますw
まぁ回りより遅いですが次回もよろしくお願いします!


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第15話 紅き月の下の決戦

「DAN DAN心砕けてく、その果てない課題に
果てない勉強から逃げ出したい。
Help me~♪」

伝説の未来悟飯「黙って勉強しろットーー!!!!!」

弾「お、お助けを…!」

伝説の未来悟飯「無視☆」

弾「アハァ☆」


勉強ばっかで本当に死にそうです…
受験生の夏…なめてました…
そ、そんなことより!ついに未来悟飯VS美鈴の対決も本気の本気に、果して決着はどうなるのか!?
その目でお確かめください。
それでは本編どうぞ!


「「はあぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」」

 

お互いの右拳がぶつかり合い、辺りに衝撃波が走る。

衝撃波を受けた木々は大きく揺れ、ミシミシと音をたてる。

そして、魔理沙も同じように衝撃波を受けて、吹き飛ばされそうになっていたが、なんとか魔法を使ってブレーキを掛けていた。

美鈴と悟飯はお互いに全く互角の力で拳をぶつけたためお互いに動かずに力を加え続けた均衡状況で止まっていた。

数秒後、お互いに拳を引き戻し行動に出た。

まず、悟飯が右拳を再び美鈴の顔に向かって突き出す。

美鈴はそれを紙一重で躱し、左拳で悟飯の腹に向かって突き立てる。

悟飯はそれを右拳を引きながら後ろに小さく飛び躱すと、すさまじい早さの拳で作った空気の塊を美鈴の腹にぶつけた。

美鈴はその攻撃を受けて一瞬の隙を作った。

もちろん悟飯はその一瞬の隙を見逃さずに右肘を美鈴の腹に突き立てた。

 

「がはぁ…!!」

 

美鈴はバランスを崩しながらもすぐに悟飯に左拳を降り下ろした。

悟飯はそれに反応しきれずに頭にまともに食らう。

 

「くっ!」

 

しかし、体制を建て直しながら左足を軸に右後ろ回し蹴りを美鈴の顔に叩き込んだ。

美鈴はそれに耐えきれずに大きく飛ばされる。

すぐにそれに追い付き追撃を仕掛けようとする悟飯だが、美鈴はすぐにバク転をして体制を直し悟飯に対して隙の少ない構えで対峙することができていた。

それほどまでの一瞬の出来事のなかではその僅かな隙をお互いにしっかりと見極められた方の勝ちだ。

 

((次の一撃で隙をとった方に大きな流れが来る!))

 

悟飯は右肘を突き立てて突撃してくる。

それを見極めた美鈴が悟飯の額に向かって右拳を叩きつけた!

はずだった。

しかし、悟飯の体はその拳を、いや、美鈴の体すらも通り抜けていった。

 

(こ、これは…残像!?)

 

攻撃を行った美鈴には隙ができる、そこに向かって悟飯が突撃してきた。

 

「この読み合いは俺の勝ちだ!!」

 

そういいながら左から右に手刀を振りかぶった。

が、そこから美鈴の姿が消える。

 

「なに!?」

 

「お忘れですか?私も気を感じることができるんですよ?」

 

悟飯はすぐに美鈴の居場所、そして何が起きたのかを理解した。

悟飯が自分の下を見ようとするがそれよりも先に美鈴の蹴りが悟飯の顎を完璧にとらえる。

 

【バキッ!!!】

 

「ぐっ!!」

 

悟飯の体は大きくのけ反り、完全に無防備な状況になる。

そこに対して美鈴は右拳を悟飯の腹に向かって思いきり重い一撃を叩き込む。

その拳は悟飯の腹深くに食い込む。

 

「悟飯!!?」

 

魔理沙がそれに驚きと不安が爆発してとうとう押さえきれなくなる。

が、その声も戦場の二人には届かない。

美鈴は悟飯に反撃の隙を与えないように右手を引くとすぐに左拳を叩き込む。

そして徐々にスピードをあげていき、激しい乱撃を悟飯の腹に向かって繰り出した。

その乱撃のスピードは一度に大量の拳が叩き込まれているように見えるほどのスピードだった。

悟飯もその乱撃の威力に反撃ができずにいた。

 

「はあぁぁぁ…あぁぁあ……あああ!!!」

 

美鈴の体力がつきない限り続くかのような勢いで美鈴は拳を振るい続ける。

悟飯もこれ以上受けたら不味いと、なんとか右腕を腹も前に持ってきてガードする。

それでも美鈴は攻撃の手を休めようとはしない。

悟飯の腕は徐々にダメージが蓄積されていく。

 

「くっ…!でやあぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

悟飯がガードをしながら美鈴の左こめかみに右膝をぶつける。

美鈴はガードすることができずにふらつき、大きく体制を崩した。

乱撃の止んだその隙を決して見逃さない悟飯は左足で思いきり美鈴の体を蹴りあげ、吹き飛ばした。

そして森の木々に激突し、何本も木を折りながら突き進んでいった。

 

「はぁ…はぁ…くっ!」

 

悟飯は息を切らしながら腹に手を当てる。

 

(思いの外ダメージが大きい…まさか、あのタイミングでしゃがんで躱されるなんて想像してなかった…あまり長く戦ってるわけにもいかないのになぁ…)

 

【ドガァァァァン!!!】

 

「!!」

 

森から爆発に似た音が響いてくると同時に巻き上がった煙の中から美鈴がすごいスピードで突撃してくる。

悟飯もすぐに構え直し美鈴の拳を受け止める。

すぐに美鈴は左手を右に向かって振りかぶる、それを悟飯はしゃがんで躱し美鈴の右拳を払って体に向かって空気の塊を放つ。

美鈴はそれに気をぶつけて相殺すると悟飯の顔に右回し蹴りを叩き込んだ。

悟飯は躱しきれずに頭に攻撃を食らった。

が、すぐに反撃の裏拳を繰り出し美鈴の右頬に直撃させた。

それに怯まずに美鈴も右拳を突きだし悟飯の顔に殴りつけた。

お互いに攻撃をガードしながら、しかしそのガードを打ち抜き攻撃を食らわせながらの戦いが繰り広げられた。

お互いに攻撃を仕掛ければもちもんそれをガードする。

しかし、その攻撃力はお互いの防御の技量を遥かに越えていた。

そのために、ガードしているもののダメージの少ない戦いではなく、まるでほとんど殴りあっているような戦闘になっていた。

しかもその場でとどまりながらではなくお互いに大きく移動しながらぶつかり合っていた。

人の眼には全く見えるものではなかった。

それは魔理沙も例外ではないようで、

 

「な、なんだ!?二人がどこで戦ってるのか全くわからないぜ!?たまになにかが高速で動いてるのが見えるけど、ほとんど音しか聞こえてこないのぜ!?」

 

そう、いまわかることはただその衝突が巻き起こす激しい衝撃とその音だけだった。

 

【ドオォォォォン!】

 

【ドオォォォォン!】

 

【ドオォォォォン!】

 

【シュン! シュン! ピシュン!!】

 

「はぁぁぁああ!!」

 

悟飯の右拳が美鈴の顔に直撃する。

さらに追い討ちを仕掛けられるが、美鈴はそれを右腕でガードして左足でカウンターをしかけた。

それを悟飯が紙一重で躱す。

そして右膝を美鈴の腹に突き上げる。

バランスを崩すがすぐに右手を地面につけて悟飯から距離をとる。

もちろん悟飯はそうさせないために距離を詰めてきた。

美鈴はその悟飯の足を払い体制を崩させた。

悟飯も美鈴と同じように片手をつき距離をとろうとするが、それよりも先に美鈴の肘が悟飯の脇腹に入る。

悟飯がその攻撃によろけながらも美鈴の胸ぐらをつかみ、

 

「だあぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」

 

【ドォォォォオン】

 

地面に思いきり叩きつけた。

地面には叩きつけられた美鈴を中心に大きなクレーターができた。

そして、悟飯はそのクレーターから一度距離をとった。

 

「…な、なんだよあれ…と、とても人間業じゃないぜ…!?く、クレーターができるって…っ!超サイヤ…人。そうだ!まだサイヤ人ってことには詳しく聞いてなかった!戦闘民族とは言ってたけど、霊夢はそんな民族があるなんていってなかったし…今度聞いてみようかな。」

 

そう言ったすぐあとにクレーターの中からガラガラと音が聞こえてきたことに驚く魔理沙。

そしてそのクレーターの中心を見るとそこには美鈴が立っていた。

少しふらつきながらも両足でしっかりと立っていた。

そして口に含まれた血を地面に飛ばし、血の跡のついた口を拭う。

 

「…まだまだ、戦えますよ…!!」

 

「そうでなきゃガッカリするところさ。」

 

まだお互いに熱は入ったままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、レミィ?」

 

ふと後ろから声が聞こえてきたので振り向く紅き目の少女とメイド。

そこには腰に僅かに届かない位の長さの紫色の髪、赤と青の小さなリボンで三つ編みに止めていた。

まるで寝巻きに近いような服装でカーディガンを羽織っているが、それもすべて紫色主体の物だった。

その紫色の瞳はレミィと呼ばれた人物を少し睨んでいるように見える。

 

「昼間からドカドカとうるさいのだけれど?うるさすぎて落ち着いて本も読めやしないわ…。」

 

と少女はため息をつきながら言った。

どうやら本を読んでいたようでその腕には一冊の厚い本があった。

するとレミィと呼ばれた紅き目の少女は

 

「フフッ…ごめんなさい。パチェ。けれどもう少しだけ待ってちょうだい。そうすればすぐに終わるわ。」

 

 

と笑みを浮かべながらそういった。

その笑みを見たメイドは背筋が冷たくなるのを感じ、震えた。

パチェと呼ばれた人物はレミィを少し調べるかのような視線を送るが、息をつくとすぐに闇の中へと消えていった。

 

「レミリアお嬢様。美鈴が孫 悟飯から大きなダメージを受けました。そろそろかと…」

 

「えぇ、わかったわ。ありがとう咲夜。さぁ、早く来なさい。そしてよくこの館を覚えておくことね…。ここが貴方の墓場となるのだからね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はあぁぁぁぁああ!!!!」

 

美鈴のすさまじい連撃が悟飯に襲いかかってくる。

悟飯はそれに自ら同じ連撃で迎え撃つ。

お互いの拳がぶつかり合い、相手をとらえたと思っても相手の拳や腕がその軌道を変えるようにこちらに振るってくる。

お互いに攻撃を決して緩めはしない。

が、その状況は今までと違ったものだった。

美鈴が後ろに下がりながら連撃を繰り出すのに対し、悟飯は美鈴相手にどんどん押していく。

少しずつ美鈴は悟飯の攻撃を処理できなくなっていく。

 

「くっ…!【ビッ!】!!?」

 

悟飯の拳が美鈴の顔を掠める。

すぐにカウンターを仕掛けるが悟飯はそれに的確に対処する。

 

(ま、まずい…攻撃に反応できなくなってきている。このままじゃ…)

 

その時、悟飯の拳が美鈴の顔に思いきりはいる。

 

【バキッ!!!】

 

美鈴はバランスを崩しふらつくが、なんとか足でこらえてカウンターを仕掛けようとする。

が、そこには悟飯の姿がなかった。

 

(後ろか!!)

 

振り向こうとするが後ろへ向ききる前に腹部に激しい一撃が入った。

 

「がはぁあ!!?」

 

あまりに思いその一撃に美鈴は一瞬意識が飛び、たっていられずに前に倒れこむ。

がそれを許さないように悟飯が顔を思いきり殴り付けた。

美鈴は耐えきれずに思いきり飛ばされる。

美鈴に追い付いた悟飯は裏拳で思いきり美鈴を地面に叩きつけた。

地面をえぐるようにして突き進む美鈴は徐々にスピードを落として制止した。

悟飯は荒れた息を整えながら纏っていた白い炎のようなオーラを解いた。

そして魔理沙の隠れている木へと歩いていく。

 

「魔理沙。終わったからレミリアのところに…【ガラッ】!!?」

 

話している途中に予想外の音が聞こえてきたことに驚きながら振り返る。

するとそこには虹色のオーラを纏っているままの美鈴が立っていた。

悟飯は目を見開きながらそれを見つめていた。

そしてとっさに悟る。

 

(…く、くる!!)

 

悟飯は再び気を解放すると構えをとる。

が、そうしようとした時にはすでに美鈴はそこには立っていなかった。

 

(き、きえ!?いや、これは!!)

 

悟飯はすぐに自分の胸の前を右腕でかばうような構えをとる。

そのわずか前に美鈴は右手にとてつもなく大きな虹色の気を集めて目の前に来ていた。

 

(これで仕留められなければ………!!!)

 

「うわあぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

「ぐっ!!!」

 

【虹符 超烈虹真拳】

 

美鈴は大きな気を纏った拳を振り下ろした。

そして、辺り一帯にとてつもない衝撃波と、目が眩むほどの虹色の光が放たれた。

 

【バキバキバキ!!!】

 

「ご!ごはーーーーーん!!!!!」

 

魔理沙はその眩しさに目をやられないようにと、腕で目に影を作りながらその光のなかを確かめようとするが、中の様子はまったく見えなかった。

スゴい音と戦塵を巻き上げながら光は広がっていった。

その光と音はもちろんその館の主と従者のメイドにも届く。

 

「…!!ま、まさか…美鈴にこれほどまでの力があったなんて!し、信じられません…」

 

メイドは呆気にとられているようだったが、主は

 

「美鈴の本領は弾幕による中距離又は遠距離戦ではなく、格闘戦により近接戦闘があの子本来闘い方よ。」

 

そう笑みを見せながら言った。

メイドは驚きを隠せずにまだ目を見開いていた。

そして主の表情もわずかに固いものになる。

 

(それだとしても…あの力はあり得ないわね…あの孫 悟飯なにかをさせたのかしらね…?)

 

「咲夜、勝負はついたのだから案内しなさい。」

 

「え?美鈴をですか?」

 

「何言ってるの?孫 悟飯に決まっているでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光は収まり辺りには土煙が舞っていて状況がよく確認できなかった。

魔理沙はそんな中に駆け出していった。

煙を少し進むと僅かに晴れているところがあり、そこには美鈴が立っていた。

そしてその足元には悟飯が美鈴を叩きつけた時よりもさらに大きいクレーターが出来ていた。

魔理沙は目を見開きながら、

 

「美鈴!悟飯はどうしたんだ!!!」

 

そう叫ぶ。

が、美鈴はふらついていて中々答えそうにない。

そんな時、クレーターの中心付近から何かが崩れる音がした。

魔理沙はすぐにそちらに振り向く。

するとそこには悟飯がクレーターの中から起き上がろうとしていた。

魔理沙はあっと叫ぶと、すぐに悟飯のそばによるが悟飯は魔理沙が来る前に一人でしっかりと立ち上がった。

 

「お、お前これを喰らって無事なのかよ…」

 

魔理沙が驚きを越えて呆れたように言うと、悟飯が真剣な顔で、

 

「いや、あの時とっさのガードが間に合ってなかったら危なかったよ。あれだけの大きな気なんだ。」

 

そう言いながら美鈴のそばまで歩いていく。

美鈴はフラフラでもう力の残っていない自分とは反対にまだふらつくことなく、しっかりと歩みを刻むその姿にちからなく笑いながら、

 

「あ…ははっ……敗けです…私の敗けですよ。」

 

そう言いながら体に痛みが走っているはずだが敗北を認め、諦めたように笑った。

 

(やっぱり…この人には勝てませんね…)

 

「いや、もし君が本当の全力を出せていたなら俺が負けていたかもしれないよ。」

 

その言葉に魔理沙と美鈴が驚く。

 

「どういうことなんだぜ?」

 

「美鈴はこの戦いで初めて気爆による気の増加をしただろ?あれって実は慣れるまでかなりの疲労感があるのと気の大幅な摩耗をしてしまうんだ。それを知らずにやった美鈴は戦いを続けるにつれて動きが鈍くなって、本来の動きから遠ざかっていった。これが今回の敗因だと思うよ。」

 

そう言いながら手をさしのべる。

美鈴はその手と悟飯が教えてくれたアドバイスに目を見開き、驚きながらも自身のワガママで戦闘を開始した相手に対しても敬意を忘れないどころかヒントすらも与えてくれるその器の大きさに自然と笑みと瞳からわずから光が零れた。

 

「…ありが…とう……ござ…い……ま………ス……」

 

最後の声があまりにも小さくて誰にも聞き取れなかったが、美鈴は確かに感謝の言葉をいいながら倒れこむ。

が、それを悟飯が支えて止めるとおんぶして運び始めた。

そして門の前に立ち、いよいよ中に入ろうとしたとき、目の前に行きなり人が現れた。

 

「ようこそおいでなさいました。悟飯さん。どうぞこちらへ。」

 

「!?」

 

悟飯は驚いて思わず美鈴を落としそうになる。

いきなり現れた、これは表現でいっているのではない。

本当になにもない空間に突如として人が現れたのだ。

 

「ちょ、私はないのかよ!」

 

「あなたにはパチュリー様がさんざん怒っていらっしゃるので招待はしません。が、また不法侵入されても困るので…」

 

今度はいきなりメイドの人が消えた。

悟飯は驚いて魔理沙と顔を見合わせる。

そうしようとはずなのに、悟飯の隣にいたはずの魔理沙はまるで消えたようにいなくなっていた。

 

(なっ!なんなんだ…瞬間移動なのか?…いや、でもお父さんの瞬間移動とは少し違う…一瞬たりともこの【空間】から抜けている気がしない。)

 

そして再び目の前にメイドが現れる。

悟飯はまた驚くがさすがに少しなれたようでその反応は先程よりも小さい。

 

「悟飯さん。こちらへ。」

 

そう言うと紅魔館に向かって歩き始める。

が、

 

「さ、咲夜さん!!」

 

悟飯がそれを呼び止めるように大きな声をあげる。

咲夜はそれに気づくが振り返らずに足を止める。

 

「あの…この前の異変…あなたに大ケガを負わせてしまって本当にすみませんでした!!!」

 

悟飯は頭を深々と下げる。

咲夜はその声にわずかな反応を見せてから振り返る。

そしてその頭を下げた悟飯の姿をまるで見定めるかのような目付きで見ると、一度目を閉じて再び前に向き直る。

 

「悟飯さん。別に私は気にしていません。ですからそんなに頭を下げないでください。この通り怪我も治っていますので…」

 

「でも…咲夜さん。あなたはあの時一歩間違えば死んでしまったかもしれないほどの重傷を負わせてしまいました…俺は…それが自分で許せないんだ!!!だから…咲夜さんのために俺になにかをさせてくれ!!いや、させてください!!そうでないと…俺は…あなたに対する償いができない!!!」

 

悟飯は頭を深々と下げたままそう言った。

咲夜はあまりに真剣なその言葉と行動に逆にどうすればよいか迷いが生まれてしまう。

そして少し考えてから、

 

「…なら、レミリアお嬢様の館の手伝いをしてもらいたいですね。妖精がいても私の仕事量が多いから大変なので。まぁ、そんなことは今はいいので紅魔館に入りましょう。レミリアお嬢様が待っています。」

 

そう言いながら歩き出す咲夜。

悟飯はそれを聞くと顔をあげて、もちろん!っと大きく答えた。

そして少し離れた咲夜に少し駆け足で追いつくと紅魔館の中に入れてもらった。

紅魔館の中は…真っ赤だった。

外も中も至るところが紅く、ずっと見ていれば目が疲れてしまいそうだった。

玄関を入って少し歩くとそこには大広間があった。

そして2階に続く階段の一番上に…誰かが立っていた。

 

「レミリアお嬢様。孫 悟飯が参りました。」

 

咲夜が深く頭を下げながら説明する。

するとレミリアは相手を見下すように顔を少しあげる。

そして影から左目が見える。

それを見た悟飯は背筋が凍るような感覚に襲われ、瞬時に自分の置かれている状況を察する。

 

(す、スゴい殺気だ…一瞬本当に自分の死を覚悟しそうになった。咲夜さんの時は殺気がなかったから魔理沙は大丈夫だと思ってたけど…)

 

「ど、どうもこんにちわ。孫悟飯です。」

 

そう言いながら深く頭を下げる。

そして、レミリアに聞こえない大きさで咲夜に話始めた。

 

(あの、咲夜さん。魔理沙は無事なんですか?)

 

咲夜はすぐには答えず、頭をあげてから小声で

 

(命に関わるようなことはしません。)

 

と答えた。

悟飯は安心してから顔をあげて再びレミリアをみるとレミリア眼は影に隠れて見えなくなっていたが、殺気は変わらずに緊張は解けそうになかった。

するとレミリアが右手をあげて何かの合図をする。

すると咲夜は姿を消し、再び現れた時には美鈴をことを背負っていた。

そして再び姿を消すと次は広間の端の方に現れた。

どうやら離れるための合図だったようだ。

 

「あの、レミリアさん。この間の異変…あなたたちを攻撃してしまって、大ケガを負わせてしまって本当にすみませんでした!!!」

 

悟飯は大きな声でそう言うと頭を下げた。

レミリアはそれを聞くと少し笑みを作りながら、

 

「ふふっ、いいのよ。謝らなくて、その必要はないわ。」

 

そう言いながら悟飯の側へと歩み寄ってくる。

 

「け、けれど!俺はあなたに!」

 

「謝罪なんて要らないわ…欲しいのは…」

 

レミリアが悟飯の目の前まで迫ってくる。

すぐそばで感じられる恐ろしいほどの殺気。

それがこの小さな、小学生低学年~中学年ほどの体から出ているとは思えなかった。

そしてその声は言葉を発するごとにどんどん恐怖を感じる低い声に変わっていく。

 

「【あ な た の い の ち よ 】!」

 

レミリアの拳が悟飯の腹へと直撃に大きくめり込む。

完全に不意を突かれた悟飯は口から血を溢しながらその一撃大きく吹き飛ばされるが、すぐに両足を床につけブレーキをかける。

数メートル飛ばされたところで止まり、口の血拭ってから攻撃を受けた腹の部分を押さえる。

レミリアの方をもう一度向く。

するとレミリアはすでに自分の目の前に迫っていた。

大きくその腕を振りかぶりながら、

 

「それ以外はなにも要らないわ!!!」

 

 

 




どうも、久しぶりです皆様。
最近どうも勉強が苦しくて小説にさく時間がかなり少なくなってきました。
なので更新速度は上がることはありません。
恐らく落ちていきます。
私の受験が終わればその時はお詫びとするのはどうかとは思いますが、更新速度を格段にあげたいと思います。
それまではどうかよろしくお願いします。


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第16話 運命と破壊の吸血鬼達。

 

「んっ…ん~!はあぁ~~。」

 

ある人物が眠りから覚めたようで手を思いきり上へと伸ばし大きく伸びをする。

そして近くに人がいることに気づく。

しかしそのそばにいる人物はただの人ではなく、頭に獣の…黄色い猫耳のようなものをつけており、9本ものとても気持ち良さそうな黄色い尻尾を持っていた。

 

「あら?籃。どうしたのかしら?そんなに険しい顔をして、せっかくの綺麗な顔が台無しよ?」

 

そう言いながら肩に手を乗せる。

すると籃と呼ばれた人物ははっとして振り向き自分を呼んだ人物を見るやいなや、

 

「ゆ、紫さま!やっと目覚められたのですね!」

 

籃は目を輝かせながら紫のもとへと走りよる。

紫は籃にお疲れ様と声をかけながら頭を撫でる。

すると少し頬を赤くしながらうつ向く。

が、すぐに真剣な顔になり紫を見つめる。

 

「そ、そんなことより紫さま!大変なことが!!…そ、そういえばなぜ私が切羽詰まっていたのがわかったのですか?顔が見えなかったはずですが…」

 

籃は再び焦ったように話始めるが、疑問を思い出したように話のペースをゆっくりにした。

 

「そんなこと貴女から出ている雰囲気でわかるわよ。それで、大変なことってなに?」

 

籃はすぐに紫に話した。

少し前に起こった大きな異変を、そして今現在幻想郷がどういう状況になっているかを…

紫は始めこそあまり気にしていないような素振りだったが、とある人物が幻想入りした話になった辺りから紫の目は鋭くなる。

そして籃が話を終えると紫は顎を親指と人差し指で挟み考え込む。

 

「ねぇ、籃。その人物は本当に戦闘民族サイヤ人なの?」

 

「え?は、はい。本人はそう言ってました。」

 

紫はそれを聞くとまた深く考え込む。

冷静さを装っているが、その額からは冷や汗が流れていて、顔はわずかに険しくなっていた。

籃はそれを心配そうに見つめる。

その視線に気づいた紫はすぐに険しくなっていた顔を緩くして籃に少し笑みを見せる。

 

「ごめんなさい。こんなタイミングで冬眠なんかしちゃって。」

 

(なんで戦闘民族なんかが幻想入りを?いくら戦闘民族と言えど話通りの力ならこちらにこれるはずはない…それ以前にサイヤ人はあのクッソヤロウのフリーザに絶滅させられたはず。本当にサイヤ人なのかしら…)

 

「籃。今のサイヤ人の居場所は?」

 

紫がいきなり質問をしたので籃は少し反応が遅れる。

すこし慌てながらなにかを確認すると、

 

「今は、紅魔館で吸血鬼と接触、及び戦闘をしています。」

 

と答えた。それを聞いた紫は少し笑みを浮かべながら、

 

「さすが戦闘民族ね…籃!準備をしなさい!入念に…ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~いてぇ~。たっく、咲夜のやつ、もうちょっと丁寧に運べよな~。にしてもなんで私が本を盗り…じゃなくて借りやすい図書館なんかに運んだんだろう?まぁ私にしてれば嬉しい限りだぜ。」

 

そう言いながら近くにある本をひとつ盗ろうとする。

しかし、触れようとしたその瞬間、なにか手に電気のようなものが走り身体中に流れる。

魔理沙は驚きと痺れでひっくり返って倒れる。

意識をはっきりさせるように頭を左右に振り、もう一度立ち上がる。

そして再び本に触れようと…いや、先程のがなんなのかを確認する。

ゆっくりと本に指を近づける。

そして、触れる。

やはり先程と同じように電気が流れたような感覚になる。

よく見るとなにか特殊な力が本を…いや、本棚を守っているようだった。

魔理沙は触れた指の感覚を確かめると、

 

「これは魔法の結界じゃんか。パチュリーのやつなんで今日に限って結界を?」

 

「あなたが来るのがわかっていたからよ。」

 

どこからか人の声が聞こえてくる。

魔理沙は一瞬驚いたものの、その声の主がわかったようで声のした方を向きながら不満の声を垂らす。

 

「なんでだよ。今日悟飯が来るからか?」

 

やがて暗闇の中から一人の少女が出てきた。

レミリアにパチェと呼ばれていた人物だ。

どうやらこの人物がパチュリーと言うらしい。

 

「そうよ。だから貴方に盗まれないように結界を作っておいたのよ。」

 

「だから盗ってないっていってるのぜ!私は死ぬまで借りてるだけだぜ!」

 

「何をいってるんです!!それが盗みなんでしょうが!!」

 

パチュリーの横からもう一人の少女が出てきた。

その少女は頭に小さな黒い羽、背中に大きな黒い羽を生やしていた。

髪は赤みの強いピンク色で腰まで延びるまっすぐだった。

とても怒っているようだが全く怖さがなく、むしろ怒っている姿が可愛らしいと思えるほど威圧感がなかった。

 

「そんなに怒るなよ小悪魔。こんちわ~。」

 

「あ、こんにちわ…ってあなたなんかに挨拶は必要ありませんよ!この泥棒ネズミ!!!」

 

「それは言い過ぎなんだぜ!」

 

二人の言い争いが始まってしまい一人取り残されたパチュリーはため息を吐きながら、近くの椅子に上って本を読み始めた。

 

(…レミィ、本当に彼を殺すつもりなのかしらね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【バキッ!!!】

 

レミリアの拳が悟飯の顔を完璧に捉えた。

悟飯はその威力に吹き飛ばされていき、地面に転がりながらゆっくりと止まる。

そして立ち上がるがその様子はとてもふらついていて、体もボロボロだった。

そこに追い討ちをかけるようにレミリアの手刀が悟飯の肩に槍のように突き刺さる。

レミリアはすぐに悟飯から離れる。

悟飯は小さな呻き声を上げながら片膝を付く形で傷口を押さえながら座り込んでしまう。

 

「フフッ…あなたなんて所詮こんなものよ。あのときは侮っていたけれども今度はそうはいかないわよ。さぁ、早く絶望に歪む顔を見せなさい!」

 

レミリアはそう言いながら悟飯の顔をみる。

しかしその顔には一切の闇がなかった。

ただひたすらに、レミリアだけをみていた。

レミリアにはそれが気に入らなかった。

心の底から憎しみが湧いてきた。

 

「孫悟飯!!なぜこの状況でまだそんな顔をする!!なぜ諦めない!なぜ絶望をしない!!いまのあなたに勝ち目なんてないはずよ!!!」

 

レミリアが怒りに声を荒上げながら悟飯を指差し問いかける。

すると悟飯は傷口を押さえたまま再び立ち上がる。

そして、

 

「レミリア。君が本当に俺の命を望むなら俺はそれを受け入れる。好きなだけ殺ればいいですよ。だけど、こんなことでは絶望なんてしません。俺は…これ以上の地獄を見てきました。そんな世界を生きてきたからこそ、本当の絶望を知りました。それほどでなければこれは絶望でもなんでもない。」

 

そう言った。

が、その言葉はさらにレミリアの怒りに火をつけた。

 

「ほざくなあぁぁぁああ!!!!!」

 

激しい怒号とともにすごい速さでレミリアは悟飯に接近し右拳を振りかぶり、全力で振り切る。

悟飯はそれをまともに喰らい吹き飛ばされて壁に激突する。

ズルズルと音をたてながら壁に寄りかかるように倒れるとも座るとも言いがたい体制になる。

そこにレミリアが追い討ちを仕掛ける。

すごいスピードであっという間に悟飯の目の前へと迫り来る。

悟飯はそれに一切の抵抗を見せず迫り来るレミリアを瞼を半分ほど開いた状態で見つめる。

レミリアの手から自身の身長よりも大きく見える真っ赤な槍が出てくる。

その槍で悟飯を貫くつもりなのだろう。

槍が悟飯の目の前に迫る。

その瞬間いきなり目の前に咲夜が姿を表す。

あまりに唐突なことに悟飯は目を見開き、咲夜を見つめる。

レミリアも目を見開き、槍を止めようとするがあまりにも唐突かつもう止めを差すつもりで振りかぶったためもう止められない。

咲夜もろとも貫かれる!誰もがそう思った。

 

【ドガアァァァァアアン!!!】

 

激しい音をたてながらレミリアの槍は壁を貫いた。

そのあまりの威力に壁は耐えきれずに槍を受けたところを中心に直径50cmほどの穴が開けられていた。

が、その槍には血が一滴もついておらず、レミリアの周辺にも二人の死体はなかった。

レミリアが自分の背後に目を向ける。

すると数メートル離れたところに咲夜と悟飯がいた。

咲夜が…従者である咲夜が自身の主であるレミリアの行動に逆らったのだ。

しかしレミリアはそれにからに怒りをたてるわけではなく信じられないと言わんばかりに咲夜を見つめる。

 

「…なぜその男を守った。その男は私に傷を負わせ!貴方を殺そうとしたのよ!!なのになぜ今その男をかばったの!」

 

レミリアが手にした槍を消してから咲夜に問いかける。

 

「レミリアお嬢様。確かにこの男、孫悟飯はお嬢様に傷を負わせ、私は殺されかけました。」

 

「なら!「しかし!」!?」

 

レミリアがなにかを言う前に咲夜がそれを遮り言葉を発する。

 

「いえ、だからこそ私は孫悟飯にこの紅魔館で働かせたいのです。それこそが償いだと思います…」

 

咲夜のその信じられない言葉にレミリアは一瞬唖然とするが再び悟飯を見るとその顔に憎しみが戻る。

咲夜が主であるレミリア自身に意見を述べたことは決して怒ってはいなかった。

が、孫悟飯を生かしておくことはレミリアにとっては屈辱そのものだった。

レミリアは頭の中で必死に整理した。

自身の考えと、咲夜の考え、そして、どうあるべきかを…

そして答えは出た。

 

「失望したわ、咲夜。確かに以前から自分で思ったことをしなさい。自身の思ったことを言いなさい。と言ってきたけれど、まさかその初めての言葉が他人のために、それもこんな男のために発言をするなんてね。以前のあなたならそんな甘さはなかったと思うところよ。」

 

それを言われた咲夜は僅かに顔を濁らせる。

そしてなにかを喋ろうとしたがそれよりも先にレミリアが言葉を発した。

 

「わかったわ。そこまであなたがその男になにかを感じるのなら…生かしたいのなら、孫悟飯を殺さないであげるわ。」

 

「お、お嬢様!「けれども!」!?」

 

「少しでも私たちに害を及ぼすのならすぐに殺すわよ。」

 

そう言いながら咲夜と悟飯に背を向ける。

咲夜に人差し指を向けた。

咲夜はそれを見るとなにかを理解したかのように頷き、悟飯の方に視線を戻した。

 

「悟飯さん。すこし手をあげてください。座ったままで大丈夫なので。」

 

そういわれたので言われた通りに腕を上にあげてバンザイの体制になる。

すると気づいたときには体には包帯が巻かれていた。

悟飯は突然の出来事に驚いて後ろに倒れて頭を打つ。

咲夜は逆にそれに驚きながら悟飯を起こし、手当てをする。

悟飯が咲夜にその瞬間移動のような力について聞くと、咲夜は時を操ることができるのだといった。

どうやら時を操るといっても時を止めたり、すこしだけ戻したりすると言うようで、未来にいったり、過去にあった出来事に干渉できるわけではなかった。

時を止めて治療してくれたようで痛みとかはほとんどなかった。

治療が終わったところで丁度レミリアが戻ってきた。

それを確認するとその目からは憎しみが完全ではないが消えていた。

とりあえずは安心しても良さそうだった。

 

「レミリアさん。今回のことは本当にすみませんでした。咲夜さんにはここで働くと言いました…レミリアさんにもなにかさせてください。お願いします!」

 

そう頭を下げるがレミリアは言葉を発することはなく、小さくため息をつく。

そして、

 

【ドゴォ!!!】

 

悟飯の腹に拳を突き立てた。

深くめり込み悟飯はその痛みに目を丸くして座り込む。

咲夜が慌ててそばにより驚きながらレミリアをみる。

 

「これで済ませてあげるわ。もうこれ以降は一切気にしないわ。私は…誇り高き吸血鬼なのだからね。」

 

そう言いながら目を強く瞑ってから瞼を開く。

するとその目からは憎しみが消えていた。

悟飯は腹を押さえながらあることを考えていた。

 

(…誇り高き吸血鬼か…まるで、「ベジータ(さん)みたいだですって?」!!?)

 

悟飯の心で考えていたことを当てられて思わずレミリアを見る。

するとレミリアは笑いながら、

 

「あら、図星だったようね。」

 

「な、なんで…まさか心を読む程度の能力を?」

 

そう悟飯が言うとさらにレミリアが笑い声をあげる。

 

「フフフッ!そんなんじゃないわ。私は【運命を操る程度の能力】を持ってるの。と言っても血を飲んで相手の過去を探ったりたまに未来が見える程度の力だけれどね。初めの異変のときに付着した血を飲んであなたの過去をすべて知ってるわよ。」

 

そう言いながら自身の親指をなめるレミリア。

悟飯はその能力に驚きながら、そして自身の考えを見抜いたレミリアの賢さに目を丸くしていた。

その時、

紅魔館の床が大きく音をたてながら壊れた。

いや、下からなにか強い力を着けて貫かれたといった方が正しいだろう。

貫かれた床からは大量の粉塵が舞っていて何が起きたかわからなかった。

はずだった。

が、その煙のなかには何者かがいることがその場にいるレミリア、悟飯、咲夜にはわかった。

そこから放たれる圧倒的な威圧感。

そして全身の肌が感じ取っている凄まじい殺気、そして背筋が凍るような怒り。

それを放つ誰かがそこにいるのは明確だった。

やがて煙が晴れていき、そこにいる人物の姿が露になる。

金色の髪に、赤を主体としたフリルのついたスカートと白い襟と袖に黄色いネクタイのようなものをつけた紅い服、そしてまるで太い木の枝に無数のカラフルな宝石をつけたかのような羽。

その姿を見たレミリアが震える声で名前を呼ぶ。

 

「ふ、フラン…どうして…」

 

その声に気づき、悟飯はレミリアの方を見る。

するとレミリアの瞳には僅かだが恐怖が見てとれた。

再びフランと呼ばれた人物に目を戻す。

するとフランが被っている帽子にはどこか見覚えがあった。

雰囲気も僅かだが誰かに似ている気がする。

 

「レミリアさん。あの子はいったい何者なんだ?」

 

悟飯がフランのことを見ながら質問をする。

しかしそれに答えたのはレミリアではなく咲夜だった。

 

「あの方は…レミリアお嬢様の妹様です。」

 

咲夜の声も震えていた。

フランに対して恐怖を覚えているのだ。

妹?ならばなぜこれほどのことをしているのか、なぜいきなり床を吹き飛ばすなんてことをやったのか。

悟飯は訳がわからなかった。

するとゆっくりとフランの口が動き出す。

 

「ズルいよ…私が部屋にこもってるなかお姉さま達は上でスゴく楽しそう。下の部屋まで聞こえてきたわよ。とても楽しそうな音と声が…」

 

(楽しそうな?壁を突き破る音だったりレミリアのあげた怒号が楽しそう?何を考えているんだ。)

 

「ふ、フラン!そうではないの!これは遊んでいたわけではないのよ!」

 

レミリアが必死に否定し、咲夜もその台詞に重ねてフランをなだめようとする。

しかし、フランの瞳の憎しみは決して消える様子を見せない。

なぜこれほどの怒りを秘めているのか悟飯には全く見当がつかなかった。

次の瞬間フランが目の前から消える。

悟飯ははっとしてすぐに気を探る。

すると気とはまた違うなにかとてつもなく大きな力をすぐそばで感じる。

すぐにそちらに目を向けると、そこには危険を察知して1歩後ろにステップをとるレミリアとそれに対して正面から手刀を突き刺そうとするフランがいた。咲夜はあまりのスピードにまだフランを見つけられずに振り向こうとしない。

悟飯自身もそのスピードついていけたが、それもギリギリついていけた程度だったためレミリアの救済に行けなかった。

レミリアはステップをとったことによりフランから距離を離し手刀を避けるが、フランはそこに無理やり深い1歩を踏み出してきた。

無理やり踏み出したため軸が大きくふらつき、全体重がその1歩にかかっているためかわされたら確実に反撃を受けるであろう。

が、レミリアは完全に不意を突かれた中咄嗟の判断で初撃を回避した。

そのギリギリの中でまさか捨て身で攻撃に来るなど予想していなかった。

そして、フランの手刀はレミリアの腹深くに突き刺さる。

レミリアは口から血を溢しながら、フランの勢いに押されて思いきり吹き飛んでいく。

そこにはじめて気がついた咲夜が振り向き、レミリアの名前を叫ぶ。

悟飯も大声でレミリアの名を叫ぶとすぐにレミリアからフランを引き剥がそうとする。

しかし、

 

(な、なんだこの力!?こんな小さい体のどこにこんな力が!?それよりもこのままじゃレミリアが壁に激突する!)

 

なんとか力を込めてフランをレミリアから引き剥がす。

引き剥がされたフランは血のついた手をなめながらその憎悪に飲まれた瞳をレミリアに向けていた。

なんとか引き剥がすことに成功したが勢いを殺すことができずにレミリアと悟飯は壁に激突した。

大きな音をたてながら壁は砕けた。

完全には壊れなかったがもう使い物にはならないようだった。

すぐに咲夜が時を止めてレミリアのもとに急ぐ。

レミリアの傷は想像以上に深く、すぐに治るような傷ではなかった。

しかし、

 

「ふ、フランは…私が止めるわ。手を出さないでちょうだい…」

 

そう言いながらフラフラと立ち上がる。

それを悟飯は全力で止める。

 

「ダメだ!そんな傷を負ったまま戦ったら殺されるぞ!あいつは本気でレミリアを殺しにかかってきたんだぞ!」

 

そう叫ぶがレミリアは、

 

「これは私の問題よ。外の人間が口を挟まないで。」

 

そう言いながらフランに向かって飛んでいく。

しかしその途中でフランが弾幕をはり、レミリアのことを撃墜する。

悟飯と咲夜はすぐにレミリアのもとにいくが、すぐそこに向かってフランが飛んでくる。

フランは回りには目もくれずレミリアだけを狙って手刀を振りかぶる。

レミリアはやはり初めの一撃があまりにも重かったようで弾幕を1度受けただけでもう虫の息だった。

それをかわそうとするが、レミリアは自身の体を思うように動かせない。

フランの手刀がレミリアの体を切り裂こうとした瞬間、フランの視界からレミリアが姿を消す。

手刀は虚しくも空を裂き、音のみが響いた。

ゆっくりとフランが気配の感じる方へと目を向ける。

するとそこにはレミリアを抱えた悟飯が左膝をつく形で軽く座りこんでいた。

 

「な、何をするの…孫悟飯…これは私たち姉妹の問題よ…!」

 

レミリアは痛みに我慢しながら必死に体を起こそうとする。が、無情にも体は力なく膝から倒れる。

すると悟飯が咲夜にレミリアのことを守るように指示をする。

すぐに咲夜は飛んできてレミリアの体を支える。

レミリアはまだフランを何とかしようともがく。

が、咲夜に押さえられて全く動けない。

 

「私に…やらせなさい…!私の問題なのよ!」

 

声に力がこもる。

しかし、悟飯の返答はレミリアの期待していたものとは全く違ったものだった。

 

「目の前で誰かが殺されそうになってるのを、そのまま見ていることなんてできない。それがあなたの意思に背こうとも、見殺しになんかしません。」

 

そう言いながらフランのいる高さまでゆっくりと飛び上がった。

二人の高さが同じになる。

するとフランが狂気に満ちた笑顔を見せながら、

 

「なに?今度はあなたが私のおもちゃになってくれるの?簡単に壊れたりしないでね?けど、壊すのも楽しいからそれでもいいけど。」

 

そう言いながら鋭い八重歯を光らせる。

悟飯は構えをとりながら、

 

「壊す?そんなことさせるわけないだろ…ふざけるな!」

 

気を解放した。

その様子にはなにかを隠しているようにも見えた。

そして、怒りがこみ上げていることもわかった。

 

「…お嬢様。無理をなさらないでください。」

 

そう言いながら手当てをする咲夜。

レミリアは悟飯をすこし興味があるかのような目で見つめていた。

先程までの憎しみのみの目とも、あまり興味を示さないものとも違った。

まるで新たな発見をしたかのような目だった。

 

「あの悟飯でも怒りを感じることがあるのね。けど私は殺されたわけでもないのに何故怒ってるのかしら?」

 

その時、レミリアはなにかを思い出したかのような声をあげる。

咲夜はそれにすこし驚いてレミリアを見ると、

 

「咲夜…よく見ておきなさい。孫悟飯の怒りのパワーを…」

 

咲夜も悟飯に目を向ける。

空中で対峙する炎のような白いオーラを纏う悟飯と狂気を撒き散らしながら紅き目を光らせるフラン。

その二人の様子はまるでそこだけ別空間に取り残されたかのような雰囲気だった。

 

 




ついに初めて本当の怒りを見せた悟飯。
しかし、怒りではフランも全くひけをとらないほどのものだ。
それに怒りだけでなく狂気すらも持ち合わせるフランに悟飯はどう対抗するのか?
次回をお楽しみに!








【作者の泣き言】
見てもいいものじゃないからブラウザバックした方がいいですよ。


















なんかいつもみたいに想像が膨らみませんでした…話が引き延ばしっぽくなってしまってるかもしれません。勉強の疲れからか前ほど頭にアイデアが上ってこない…自身が情けない…やっぱり休載にするべきなのかな…


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第17話 破滅へのカウントダウン、負の連鎖

お久しぶりです。
弾です。
今回は後書きに大切な話を用意していますので最後までしっかりと見てください。
よろしくお願いします。


「な、なんだなんだ!?地震か!?」

 

いきなりの揺れに魔理沙は少し驚いたようで慌てる。

パチュリーも始めは地震かと思って本を読もうとするが何か背筋の凍るようなものを感じて眼を見開く。

そして頭の中には最悪のシナリオが描かれる。

 

「ま、まさか!?」

 

パチュリーはすぐに何かを確認するかのように魔法陣を展開させまるで何かを探索するかの様子を見せる。

魔理沙にもその様子が焦っているように見えたのでさっきのがただの地震でないことを悟る。

すぐにパチュリーのそばに行き事情を聞く。

するとパチュリーは恐怖に顔をひきつらせてこう答えた。

 

「ふ、フランが地下から出てきたのよ…それも、とてつもないほどの魔力を放ちながら…」

 

それを聞いた魔理沙がまたかよ、というように頭をかく。

実はフランがこのような問題を起こしたのは過去にも一度あったのだ。

前回は霊夢と魔理沙の活躍で暴れていた狂気に染まるフランを押さえて異変を解決した。

それにフラン自身も魔理沙という遊び相手ができたことに喜び狂気は完全ではないが以前に比べて弱くなっていた。

が、

 

「あなたが私の図書館に来てもフランに会いに行かないからあの子も相当フラストレーションが貯まってたのよ?今度こそしっかりと遊んできなさいよ。貴方の責任でもあるんだから。」

 

パチュリーがそう言うと後ろの小悪魔も、そーだぞーだー!賛同していた。

自身に責任をたしょうなり感じていた魔理沙はそれに言い返せずに、

 

「ちぇ、わかったよ。またあいつのことを止めてやるよ。確かに私の責任でもあるわけだしな。」

 

そう言いながら箒にまたがり、飛び上がった。

その時、今まで寝ていた美鈴が目を覚ました。

そしてゆっくりと起き上がるがすぐに目を見開きある場所に目線を送った。

 

「どうしたんだ美鈴?起きてすぐに怯えたみたいに。」

 

そう聞く魔理沙。すると美鈴から驚くべき言葉が聞こえてきた。

 

「ご、悟飯さんと妹様が…戦って…悟飯さんの気が…小さくなってる…」

 

「「え?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、やることも終わったし久しぶりにパチュリーのところにでもいってみようかしら。私の見たい魔導書があったしそうしましょう。」

 

「シャンハーイ!」

 

あるところではある女性が紅魔館に向かって歩き始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ば、バカな…孫悟飯がここまで追い込まれるなんて…」

 

「悟飯さん!大丈夫ですか!?」

 

「はぁ…はぁ…。」

 

「なに?もうおしまいなの?そんなわけないよね?」

 

悟飯はフランに対して悪戦苦闘を強いられていた。

それは少し前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対峙するフランと悟飯。

先に動き始めたのはフランだった。

フランは高速で悟飯の懐まで侵入する。

そして右拳を思いきり振りかぶり腹を貫くかのような勢いでつきだした。

激しい音が辺りに撒き散らされる。

悟飯はこの拳を右手で受け止める。

そしてその拳を掴み思いきり投げ飛ばした。

そしてそこに向かって気功波を打ち出して追い討ちを仕掛ける。

しかし、フランはそれを先程のスピードでかわし、今度は悟飯の背中へと回り込んだ。

そして今度は手刀で悟飯の背中を貫こうとする。

それを悟飯は後ろへと振り返りながら紙一重でかわした。

 

「へぇ、お兄さん結構強いんだね。驚いたよ。」

 

フランが狂気の笑みを見せながら悟飯を軽く睨む。

すると、

 

「君もだよ。予想よりも全然強かった。」

 

そう言いながら挑戦的な笑みを浮かべる。

が、レミリアはその笑みの中にまた別の何かが潜んでいることを感じた。

 

(…やはり、怒りね…)

 

二人はスピードをいかした勝負へと切り替えた。

お互いに拳を振るい合うがお互いの拳や蹴りをガードしながらの全く互角のように見える戦闘だった。

悟飯が右足を蹴り出すが、フランはそれを高速でかわし回り込んでから手刀を振り下ろす。

悟飯はそれにすぐに反応して紙一重でかわしてから回し蹴りを繰り出すとフランはそれをかわすことができないと判断し両手を胸の前でクロスしてガードする。

悟飯はそこに対してすぐに距離を積めて追い討ちを仕掛ける。

が、フランは高速で動き悟飯との距離を離そうとする。

悟飯もスピードをあげてそれに追い付こうとするがスピードはほとんど互角のため追い付けない。

フランはその間に体制を建て直し再び攻撃を仕掛けた。

このように二人の攻防には全く差など無かった。

あるときまでは、

 

【禁忌 スターボウブレイク】

 

「なに!?」

 

突然のスペル発動に悟飯は反応に遅れた。

ただでさえこちらの世界の戦闘にまだ慣れていないのだ。

弾幕ルールを承知した上ならまだしもこんなに唐突にスペルを発動されたらさすがの悟飯も経験がない分対処しきれなかった。

フランのスペルは悟飯の体を完全に捕らえた。

悟飯はスペルをまともに喰らって地面へと叩きつけられる。

悟飯はそのダメージに僅かに吐血してしまう。

そして起き上がろうとするが痛みで閉じていた目を開くと、

 

「まだまだ壊れないよね?お兄さん?」

 

「なっ!?」

 

すでにフランは目の前まで迫っていた。

悟飯はすぐに右手を胸の前に持ってきてガードしようとするが、

 

【禁忌 レーヴァテイン】

 

フランの手から炎を纏った剣が出現する。

そしてそれを全力で振り下ろすフラン。

炎と炎の斬撃、そして弾幕が同時に展開される。

悟飯はそれをかわしきれずに直撃を受けてしまった。

悟飯は激しい弾幕と炎に呑み込まれながら地面に激突した。

いや、地面を突き抜けてクレーターの中に埋もれてしまった。

フランが狂気の笑みを浮かべながらその状況を見下ろしていた。

が、悟飯は気を解放して瓦礫を吹き飛ばしながらゆっくりとクレーターの中から上がってきた。

が、かなりのダメージを受けたようで肩で息をしているのが見てわかった。

そしてさっきの場面へと繋がるのだ。

 

「お兄さんならそんなにすぐ壊れないよね?壊れたら壊れたでおもちゃはまだあるからいいけど。」

 

フランはまるで相手を殺すことになんのためらいがないかのような笑みを見せる。

その笑みに悟飯の怒りはさらにボルテージがあがっていく。

悟飯は気を解放したままフランに突っ込んでいく。

フランはそれに合わせてレーヴァテインを振り下ろした。

悟飯はそれを紙一重でかわす。

そしてフランの腹に拳を叩き込んだ。

 

「あ…ぐっ…っ!」

 

フランは空中でバランスを崩して落ちそうになる、そこに悟飯はさらに顔を蹴り飛ばす追い討ちをかけた。

フランは吹き飛ばされて壁に激突した。

が、すぐに飛び上がり悟飯に向かって再び弾幕を展開した。

 

【禁忌 スターボウブレイク】

 

悟飯はそれを右手を胸の前に持ってきてガードする。

弾幕は悟飯をとらえるが悟飯それをしっかりとガードする。

が、その威力は大きく徐々にだが悟飯は後退していた。

そこへ、

 

「はあぁぁぁぁぁああああ!!!」

 

フランが弾幕の中になりふり構わずに突っ込んできたのだ。

いくら自分の弾幕とはいえその中へ突っ込んできたら自分にも被弾しダメージを食らう。

しかし、フランはそんなことを全く気にせずに突っ込んできた。

悟飯はそれに驚き一瞬だがガードが緩くなる。

そしてそこに向かって、フランはレーヴァテインを振り下ろした。

 

「あぐああぁぁぁぁぁああ!!!」

 

悟飯はその一撃でガードを完璧に崩され、弾幕をもろに食らった。

そしてそのまま壁を突き破り庭まで吹き飛ばされてしまった。

悟飯は地面に倒れこみ、苦しそうな呻き声をあげながら体を起こそうとしていた。

レミリアと咲夜は時を止めてすぐに悟飯の下へと移動した。

悟飯のそばによるが悟飯はすぐに手で離れろと指示をする。

咲夜は思わず、

 

「けれど!このままでは悟飯さんもフラン様には勝てないわよ!?」

 

と叫んでしまった。

すると悟飯は無理矢理笑みを作ると、

 

「大丈夫ですよ。このくらいなんてことありませんから。早く離れてください!」

 

とすぐにフランに向かって飛んでいってしまった。

それを見たレミリアが、

 

「咲夜、悟飯の援護に行きなさい。」

 

その言葉に驚いてレミリアの体を見る。

確かにもう傷の手当てなどは終わっている。

が、いくら吸血鬼といえども傷は癒えてもダメージは残るもの。

そんなダメージを負っている主から離れるわけにはいかない。

が、レミリアはこう続けた。

 

「以前にも言ったはずよ。自分の意思でも動きなさいと。」

 

それを聞いた咲夜は小さくうなずくと時を止めた。

悟飯とフランはお互いの拳をぶつけ合っている時だった。

悟飯は右拳をフランの右拳にぶつける。

そしてフランは左拳を振り上げていた。

そこに向かって咲夜はナイフをいくつも設置する。

そして、時は動き出す。

フランの拳が悟飯の顔に向かって振り下ろされると同時に数十本ものナイフがフランのすぐそばから襲ってくる。

悟飯は拳を紙一重でかわしながら、その光景に目を疑った。

それはフランも同じようで完全に不意を突かれたフランはそのナイフをかわしきれずに何本か直撃した。

悟飯はすぐに誰の仕業かわかった。

そして咲夜の方を向くと、咲夜は悟飯に向かって大きく頷く素振りを見せた。

どうやら援護をしてくれるようだと悟飯にはわかった。

それを考えているのもつかの間。

フランはすぐに咲夜に向かってスゴいスピードで突撃してくる。

 

「咲夜もオモチャになってくれるんだね!!けど咲夜は人間だしすぐに壊しちゃうよ!!!ううん、壊すよ!!」

 

そう叫びながら咲夜に向かって爪を思いきり突き立てる。

しかし、フランの手は咲夜の目の前で止まる。

悟飯がフランの手首をつかみそれを受け止めたのだ。

 

「フラン…勘違いをするな?お前の相手は俺だ。」

 

そう言い終わるとフランの腹を思いきり蹴り飛ばした。

フランはガードできずに思いきり吹き飛ばされて門に激突した。

フラフラと…いや、ゆらゆらと立ち上がるとさらに狂気に染まる瞳をこちらに向けながら、

 

「アハッ…アハハハハハハハハハハハハ!!」

 

満面の笑みを浮かべながら悟飯へと超スピードで迫っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美鈴は悟飯の気を感じてからすぐに走り出していた。図書館から玄関までは少し距離がある。

すぐに出たところでそれなりに距離があるのだ。

そして美鈴とともに魔理沙も箒にのって後を追いかけていた。

 

「なぁ美鈴。何でそんなに焦ってるんだよ?気が小さいっていってたのとなにか関係があるのか?」

 

魔理沙があまりにも様子のおかしい美鈴を見て質問をした。

すると美鈴は走りながらそれに答えた。

 

「魔理沙さん、一度しか言わないのでしっかりと聞いてくださいね。【気】と言うのは言わば生命エネルギーそのもののことなんです。なので霊力、魔力、妖力のどれよりもエネルギー密度が高いんです。ですが気と言うのは生命エネルギー、つまり使いきれば死んでしまうんです!気って言うのはすべての人間が持っています。そしてその気って言うのは悟飯さんの場合、攻撃するのにも、空を飛ぶのにも使用します。そして、ダメージを受けることによっても消費してしまいます。」

 

そこまで聞いた魔理沙が目を丸くしながら、

 

「じゃ、じゃあ気が小さくなったってことは!」

 

「…はい、悟飯さんが気を使いすぎたか…又は、それだけのダメージを負ってしまっておるかの…どちらかです。」

 

そう言いながら美鈴は気を解放してどんどんスピードをあげていった。

魔理沙も魔力をあげて速度をあげた。

そして玄関の大広間へとたどり着いたとき、二人は絶句した。

ホールだった場所は無惨な姿へと変貌を遂げていた。

大きなクレーターと下から貫かれたかのような穴、そして所々にできている地面の削られた場所。

さらに壁には何ヵ所も大きな穴が開いていた。

いったいどんな戦闘があったのか、それはまるでわからないものだった。

そんな言葉もう失っている中、外からなにかが激突するような大きな音が聞こえてきた。

二人は驚いてすぐに音の聞こえた外へと急ぐ。

そして、庭に出ると目の前には恐ろしい光景が広がっていた。

 

「きゃぁああああああ!!」

 

咲夜が炎の剣によって切り裂かれていた。

咲夜はまるで物のように地面へと落下していく。

魔理沙はあまりの出来事に悲鳴をあげようとするがそれすらも許されないような恐怖に襲われていた。

が、一人は違った。

フランのすぐ後ろに誰かが拳を振り上げて回り込む。

フランはそれに気づいて振り返ろうとする。

が、それよりも早く拳は振り下ろされていた。

フランの顔に拳がめり込む。

思いきり殴られたフランは地面へと吹き飛ばされて思いきり激突した。

そこには大きなクレーターができていた。

殴った人物が着地すると少し顔をしかめながら腹部を押さえた。

美鈴だった。

先程の悟飯との戦闘のダメージが完全に治っていない状態での全力の拳だ。

体がその負荷に耐えられなかったのだ。

美鈴ははっとしたように咲夜の方へと振り返り、名前を何度も叫びながら走りよった。

体を抱き抱えると、左のあばらから右足の付け根までが斬撃によって深く傷ついていた。

血が止まらずにすでに意識がなかった。

すると誰かがこちらによってくるのが美鈴は気を感じ取ってわかった。

そしてその気に美鈴は思わず涙をこぼした。

 

「レ…レミリアお嬢様……」

 

美鈴は両目からボロボロと涙を流しながらレミリアを見つめる。

そして咲夜の体を支える手に力がこもる。

レミリアは美鈴の手の上に自分の手のひらをのせると、

 

「大丈夫よ、咲夜は死なせはしないわ…誰一人と…!」

 

そう言いながら咲夜のポケットの中からほんのりと黄色く色づいた包帯を取り出した。

 

「お嬢様それは?」

 

「これはね…【ドガァァアアン!!】!!?」

 

瓦礫を吹き飛ばしたような音が聞こえてくる。

そちらを振り向くとそこにはフランが立っていた。

 

「ふふっ…美鈴なら少しは楽しませてくれるよね?できればお兄ちゃんより楽しませてくれるといいんだけどなぁ。」

 

「フ…フラン様…!!」

 

美鈴の拳が怒りに震える。

するとレミリアが、

 

「美鈴!時間をちょうだい!この包帯を使えば咲夜の命を繋ぎ止めることができる!だから…お願い!!!」

 

「…!わかりました…何とかして見せます!」

 

そう言いながら美鈴は構えを取りながら気を爆発させ開放する。

フランは狂気に染まる笑い声をあげながら突っ込んできた。

そして消えた。

美鈴はすぐに居場所を突き止めて左を向くがすでに拳は目の前へと迫っていた。

それをかわせずに直接受ける。

その威力に大きく吹き飛ばされるがすぐに空中でバク中をしながら着地する。

そしてフランに目を向けるがそのフランは恐ろしいスピードですでに目の前に来ていた。

そのスピードはまるで…

 

(あ、あのとき戦っていた悟飯さんレベルのスピード!?)

 

美鈴は何とかして腕を持ってきてガードしようとするが先程の傷に鈍痛が走り、怯んでしまう。

そしてフランのレーヴァテインが美鈴の右腕へと振り下ろされた。

はずだった、その刹那。

 

「はあぁぁぁぁああ!!!」

 

悟飯の拳がフランの左頬にはいる。

フランはそのまま吹き飛ばされるが羽を使って空中でブレーキを掛け、体制を建て直した。

 

「くっそぉ…戦闘が長引けば長引くほどあいつは戦いに慣れていってるのか!」

 

悔しそうに悟飯が言葉を漏らしながら美鈴の方を向く。

そして手を差し出した。

その手を美鈴は掴みながらゆっくりと立ち上がる。

そしてフランの方を向く。

構えを取り直したとき、悟飯から驚きの言葉が発せられた。

 

「美鈴。お前は手を出すな。その傷じゃフランのスピードについていけてない。危険すぎる。」

 

まさか悟飯にこんなことを言われるなどと思っていなかった。

悟飯ならばついてこい、援護をしてくれ、等と言うと思っていた分その言葉に少し怒りを覚えた美鈴は少し強い口調で、

 

「な、なんでですか!?まだ大丈夫です!それにレミリアお嬢様から時間を稼げと!!」

 

「なら俺がやる。理由は言ったはずだぞ。こいつは…俺が殺る。」

 

そう言った悟飯に美鈴は少しだが恐怖を覚えた。

先程の戦闘で悟飯がどんな人物なのかはわかったつもりでいた。

戦闘の中でさえも相手に優しさを掛けてしまう人。

美鈴が感じた印象はそんなものだった。

先程フランに攻撃させそうなところを助けたり、倒れた美鈴に手をさしのべたりしてくれるような人だ。

初めの戦闘の時も、意識してか無意識かまではわからないが美鈴に攻撃する瞬間に僅かだが力を緩めていた。

そのせいで決定打を何度も逃していた。

どんな戦闘の中でも甘さを捨てられない強い戦士。

そう思っていたのだ。

しかし、今の言葉は違った。

【やる】この言葉は今の状況ならばどうにかする、食い止める、倒す、とここら辺の意味を持つはずだった。

だが、悟飯の全く違うことが肌で感じられた。

声のトーンや、雰囲気、そして何よりも悟飯の目付きがいままでに見たことがないほど鋭く厳しいものへと変わっていた。

そして悟飯の発した【やる】の意味は恐らく…

 

(…殺す、という意味の…殺る…!)

 

まさにそれだった。

美鈴は悟飯になにか落ち着かせるような言葉を掛けようとするが、その悟飯の雰囲気にのまれて全く言葉を発することができなくなっていた。

悟飯はゆっくりと飛び上がるとフランと対峙する。

フランはまだ狂気の笑みを浮かべて笑っていた…いや、どんどん狂気が強くなっていくのがわかる。

魔理沙かやっとのことでレミリアの下にたどり着く。

そしてレミリアとなにかを話したようですぐに咲夜に向かってなにかを掛け始めた。

 

(恐らく治癒魔法の類いだろう。これなら咲夜さんの心配はいらないな。…さて…俺はこいつをどうにかするか。)

 

そう思いながら悟飯はフランに向かって鋭い睨みを効かせた。

フランはいままでにない殺気に一瞬怯んでしまう。

悟飯はその一瞬を見逃さずにすぐに後ろへと回り込み、気功波を直撃させた。

フランはまともに受けたため地面へと墜落していく。

が、悟飯は攻撃の手を休めなかった。

落ちていくフランに向かって何発もの気弾を放つ。

それはフランを的確に捕らえていった。

気弾はフランにぶつかると爆発した。

その爆風でさらに加速したフランが地面に激突する。

地面は大きく陥没して回りは地面が隆起する。

しかし悟飯の攻撃はまだ終わりではなかった。

フランの足をつかむと上へと投げ飛ばす。

さすがにこれ以上は攻撃を受けまいとフランは空中で受け身をとる。

そして悟飯に向かってスペル【スターボウブレイク】を発動する。

が、悟飯はそれを右手で弾きながらフランとの距離を縮めていく。

そして悟飯が目の前に迫った、拳を振り上げてフランに向かって思いきり振り下ろす。

しかし、フランはそこから姿を消し去り代わりに小さなコウモリが大量に舞っていた。

 

「ふ、フラン!まだあんなこと教えていないのに…まさか本能だけでやったというの!?」

 

レミリアはその状況に対してなにやら意味のありそうな反応を見せていた。

が、悟飯にそんなことを気にしている余裕はない。

すぐに気を探る。

するととんでもないことに気がついてしまった。

 

(こ、このコウモリ達…まるでフランが分散したかのように気を持っている!?)

 

その事実に行動を一時的に止めた悟飯の目の前にコウモリ達が集まっていき、徐々に形を成していった。

そしてそこにはフランがいた。

 

「オニイチャンハスゴいよ。ワタシスゴくタノシカッタ。デモモウコレデコワシチャウネ。」

 

そう言いながらフランを中心に真っ赤に染まる霧が展開された。

悟飯はそれにすくに気がつくとフランに向かって気弾を放つ。

しかし、フランはそれを超スピードでかわすとそのスピードで飛び回りながら紅い霧を辺りに撒き散らしていった。

悟飯は途中までは気弾を放つのをやめてしまった。

いや、放てなくなったと言った方が正しいだろう。

やがて紅魔館一帯は紅い霧に包まれてしまった。

しかもそれはただの紅い霧ではなかった。

 

「こ、これは…フラン様の魔力を込められた霧…」

 

「フラン…あなた本当に私たちを殺す気なのね…」

 

美鈴とレミリアはその霧を見ながらうなだれる。

この霧はどうやら魔力が込められているようだった。

そしてそれは魔力を主力として戦う吸血鬼と魔法使いにとっては最高の状態であった。

が、この霧はそれだけではなかった。

この霧は魔力だけでなく霧そのものからフランの放つ狂気が含まれているのだ。

そこにいるだけで気が狂いそうなほどの雰囲気だった。

そして悟飯はその霧のど真ん中にいた。

フランの気を探ろうとするが、一面の霧の魔力が妨害して一切わからなかった。

それは目を瞑り集中しても同じだった。

そして、

 

【ザクッ!】

 

「ぐっ!?」

 

悟飯の肩に激痛が走る。

肩に手を当てると手には血が一面に付着していた。

どうやらなにかで切られたようだ。

いや、十中八九フランのスペルレーヴァテインであろう。

フランはこの霧の中でも悟飯のことをはっきりと認識できるようだった。

 

(くっ、霧の魔力で気を探れない上に…この霧…いるだけで気分が悪くなる。もう少しいただけでフラフラになりそうだ…)

 

悟飯はそんな気持ちを振り払うかのように頭を横に振ると真剣な目付きに戻る。

そして霧の中を鋭い目付きで睨む。

そしてある一点になにかをみつけ、そして僅かに体を傾けた。

するとなにかがその横をスゴいスピードで通りすぎていった。

その瞬間悟飯は僅かに笑みを浮かべたように見えた。

そして次に悟飯はしゃがみこむ、すると悟飯の上をまたなにかが通過した。

そして悟飯な体制を直すとこう叫んだ。

 

「フラン!俺は元の世界でも気を持たないやつと戦ってて目で追うのは得意な方だ!!こんなことは無意味だから諦めろ!!」

 

そう。

悟飯は自分の世界では人造人間と戦っていた。

人造人間達はいわば機械のようなものなので気を持たなかったのだ。

そのため気を探ることができない悟飯は目で相手を追う戦いかたが染み付いていたのだ。

がフランは再び悟飯に向かって突っ込んでくる。

悟飯は拳を思いきり握りしめて、迫り来るフランに向かって思いきり振り抜いた。

フランの顔を確実に捉えて拳を思いきり振り切り、吹き飛ばした。

悟飯は今殴った相手がフランだと確信を持てていた、そして完全に悟飯のペースで戦闘を進めることができていた。

が、次の瞬間。

すべてが変わった。

 

【ドゴゴゴゴゴオォォォォオン!!】

 

「!!?」

 

悟飯は背中になにかの爆発を受ける。

悟飯は慌てて後ろへ振り返る。

するところには信じられないものがあった。

それは…

 

「ふ、フランだと!?」

 

そう。フランドールだったのだ。

先程殴り飛ばしたはずのフランドールが目の前に拳を振り上げて迫っていたのだ。

悟飯はなんとかガードをしようと右手を構えようとするがそれよりも早くフランの拳が悟飯の顔を捉えた。

悟飯は大きくのけ反りながら飛ばされるがすぐに体制を建て直す。

が、その背中はなにか壁のようなものとぶつかった。

しかしそれはあり得ないことだった。

悟飯の飛ぶ高さには塀などよりも遥かに高みだ。

紅魔館もすでに大きく破壊されているせいで悟飯に届く高さではなかった。

悟飯は恐る恐る振り返ろうとする、がそれよりも先に右頬に激しい衝撃を受けて吹き飛ばされる。

もう悟飯には何が起こっているのかわからなかった。

なぜ自分が飛ばされているのか、何が起きてるのか…

しかし、少しして答えが見つかった。

が、それはとても信じがたいものだった。

悟飯の見つめる先には…フランドールが二人いたのだ。

二人のフランはレーヴァテインをそれぞれ持ち同時に振り下ろす。

悟飯はなんとか体を回転させてそれをかわしたが、そのあとの弾幕に反応しきれずに被弾してしまった。

 

「がぁっ…はぁ…はぁ…なんで、二人もいるんだ!!!」

 

「「フタリジャナイヨ?」」

 

フランが狂気に飲まれた笑みを見せながらそう答えた。

そして悟飯の背後を指差した。

悟飯は恐る恐る振り返る。

するとそこには…別のフランが二人いた。

悟飯は信じられないと目を見開いて首を横に振る。

しかしそんなことを意に介さず、四人のフランは同時に攻撃を仕掛けてきた。

悟飯は気を解放して、必死に防御をする。

そしてわかった。

四人が決して幻覚などではなく、本当に四人存在しているのだということが…

なんとか防御を続ける悟飯だが、いっぺんに四人を相手にすることなどできるわけもなく、隙を突かれて一方的な展開へと変わってしまった。

悟飯がフラン四人に対して反撃をする。

正面と後ろにいるフランに向かって右拳と左足での蹴りを叩き込む、しかしその無防備な腹に向かって横にいたフランが右膝で蹴りあげる。

そしてその攻撃に怯んだ悟飯に向かって両手を重ねて思いきり振り下ろす。

が、悟飯はそれをなんとか回転してかわすとそのままの勢いを利用して左後ろ回し蹴りをフランに叩き込んだ。

そして四人目を仕留めようとするが、すでに始めに飛ばされた二人が戻ってきて悟飯に弾幕を展開した。

悟飯はなんとか回避するが徐々にその動きは鈍くなっていく。

 

(くっ…この霧、やっぱりスゴく気持ちが悪くなる…まずい、このままここで戦ったらこれ以上は!!)

 

そう感じた悟飯はなんとか霧から抜け出そうとするがフランたちの攻撃の嵐の中霧から抜け出すことは不可能だった。

そしてやがて悟飯の動きは安定しなくなり、そして。

 

【495年の波紋】

 

四人の同時にスペルを発動し、悟飯はそれに反応すらできずに完全に喰らってしまった。

 

「ぐああぁぁぁぁぁああ!!!」

 

大きな叫びをあげたがそれは弾幕の爆発音に飲まれて小さく響くだけたった。

そして悟飯は力なく地面へと落下した。

それはレミリア、魔理沙、美鈴たちにはっきりと見られていた。

 

「「「ご、悟飯(さん)!!!?」」」

 

魔理沙はすぐに悟飯のそばに駆けてくる。

そして様子を確かめると、まだ意識はあるようだったがもう戦えるような状態ではなかった。

フランは狂気の笑みを浮かべながら悟飯に向かって止めを刺そうとする。

魔理沙がポケットから八卦炉を取り出すとフランに向けた。

 

「魔理…沙…君の…勝てる相手じゃ…ない…」

 

悟飯が朦朧とする意識の中でそう言った。

が、魔理沙は笑みを浮かべながら

 

「なに言ってんだぜ。もう以前と私じゃないぜ!なんせ私は悟飯から修行を受けたんだ。フラン位一気に片付けてやるぜ!!」

 

そう言いながら箒にまたがった。

魔理沙は笑っていたがその笑みには緊張が隠されていることが見てわかった。いや、隠しきれていないといった方が正しいだろう。

すると美鈴も魔理沙のそばにやって来た。

魔理沙が美鈴を一瞬見るがすぐに視線をフランに戻した。

 

「美鈴。お前怪我してんだから無理して私の足手まといになるなよ?」

 

そう終われた美鈴は魔理沙と全く同じ笑みを見せながら、

 

「ふふっ…大丈夫ですよ。悟飯さんは私と同じくらいの怪我をした状態であれほどの戦いをしたんですよ?紅魔館の門番である私がここを守らなきゃ悟飯さんにも、お嬢様にも合わせる顔がありませんから。」

 

そう言った。

その直後、フランが二人に向かって突撃してきた。

美鈴はフランの攻撃を両手で受け止める。

そして両手首をガッチリとつかみ反撃をできないようにした。

そして動きを封じたところに向かって魔理沙が八卦炉を向けた。

そして、スペルを宣言した。

 

【恋符 マスタースパーク】

 

八卦炉から超極太のレーザーが放たれる。

これこそ魔理沙が最も得意とし、最も愛用するスペルだ。

その威力はすさまじく地面を削りながらフランに向かって突き進む。

が、予想外のことが起こった。

 

「なっ!?ぐわぁ!!?」

 

魔理沙はそのあまりの威力にバランスを崩しマスタースパークのターゲットが逸れてしまったのだ。

が、フランはまだ射程の中だった。

そしてその光はフランと美鈴の体を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 




皆さん久しぶりです。弾です。
今回も見ていただいてありがとうございます❗
今回は重要なお知らせがあります。
それは、受験勉強が本格的に忙しくなりすぎて小説に回す時間がなくなりました。
なので、受験が終わるまで…と言うよりも大学が決まるまでは小説を一時休載と言うことにしたいと思います。
これを見てくださっている方々には申し訳ありませんが真剣に考えた上での決断です。
どうか受け入れていただきたく思います。
それでは、それまでお別れです。
必ず大学に合格してここに戻ってきます!


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第18話 破壊を楽しんでんじゃねえぞ!悟飯怒りの咆哮

皆さんお久しぶりです!
受験も無事(?)終わってここに帰ってくることができました!!
正直戻ってくるのに大変苦労しました…
まぁそれに関してはあとがきで説明させていただきます!
やっと投稿を再開できますことをとても嬉しく思います!
待っていてくださった皆様、大変遅くなりましたがこれからもよろしくお願いします!
それでは本編を…どうぞ!


「…なっ、何よ今の光と爆発音は!?さっきから紅魔館の方から爆発音が聞こえてるけれど…何があったのかしら?」

 

「シャンハーイ…」

 

アリスは不安に煽られながら、走って紅魔館へと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…何て威力なんだぜ…わっ、私自身がマスパの威力でコントロールを失うなんて…」

 

魔理沙は信じられないとばかりに自分の手を見つめる。

それもそのはず、マスパは魔理沙がもっとも愛用するスペルでありそれだけあって他のスペルよりも繊細なコントロールが可能だった。

がそのスペルのあまりの威力のせいで自身が吹き飛ばされそうになるなど魔理沙のもっとも火力のあるスペルであってもないことだった。

つまり

 

(悟飯との修行で自分が想像してるよりも鍛えられたってことなのか?そんな…あくまで基本的なことばかりやっていたはずなのに…!)

 

そう思いながら正面を見る。

すると正面の大地は大きく削られてまるで悟飯が霊夢と戦った初めの大地の抉られた場所のようになっていた。

魔理沙が半ば放心状態でそれを眺めているとどこからか声が聞こえてきた。

 

「魔理沙!美鈴は!?」

 

その声の主はレミリアだった。

レミリアは不安に染まる顔を魔理沙に向けながらそう叫んでいた。

魔理沙も先程フランを捕らえたままだった美鈴のことを思い出す。

慌て手当たりを見回すがどこにも美鈴の姿は見当たらなかった。

が、空から何かが羽ばたくような音が聞こえてきた。

その音にその場にいる全員の背筋が凍りつく。

恐る恐る上を見上げるとそこには…ぐったりとする美鈴の襟を掴みながら飛んでいるフランがいた。

襟を捕まれた美鈴はピクリとも動く様子はなかった。

それに全員が驚いているとゾッとするような声が聞こえてきた。

 

「あ~あ…魔理沙があんな変なスペル撃つから美鈴が遊ぶ前に壊れちゃったじゃん。」

 

そう言いながら美鈴を自分の前へとまるで捨てるように放り投げる。

すぐに魔理沙が箒に乗って美鈴が地面に激突する前に受け止める。

すぐに安否を確認するがどうやら息はあるようでダメージを受けすぎて気絶してしまったようたった。

 

「め、美鈴…ごめんな。私がもっとちゃんと自分の力を把握していればこんなことには…っ!」

 

唇を噛み締めながら美鈴を地面に寝かせて立ちあがり、フランを睨み付ける。

そして左拳を握りしめながら八卦炉をフランに突きつける。

それでもなおフランは狂気の笑みを見せながら魔理沙を見下す。

魔理沙の瞳にも怒りが宿る。

以前の異変の敵だった程度の関係でしかなかったはずの魔理沙だがその心には確かに美鈴の敵を討つと言う使命感が沸き上がっていた。

異変を起こした敵でも宴会を通して水に流すのが幻想郷のやり方だった。

それでも仲良くなるなど中々ないことだった、魔理沙と美鈴も例外ではなかった。

しかし今のたった僅かな共闘の意志が二人の関係を変えていた。

魔理沙は大きな叫び声をあげながら箒に股がりフランに向かってフルスピードで突撃していく。

 

【彗星 ブレイジングスター】

 

魔理沙のスピードはからに加速し、一瞬のうちにフランとの距離をつめる。

フランはその恐ろしいスピードに反応が遅れて回避行動をとるが…

 

【ガスッ!!!】

 

「いだ!!」

 

回避が間に合わず攻撃を掠めてしまう、しかもその威力はすさまじく僅かに吹き飛ばされる。

フランはすぐに体制を立て直し、魔理沙を睨み付ける、

すると魔理沙は大きく旋回をしていた。

なぜそこまで大きく旋回するのか疑問に思うほど大きく。

 

(ぐっ!ブレイジングスターもスピードもパワーも跳ね上がってるけど…やっぱり異常なほど制御が効きにくい!!こ、ここまで強くなるなんて…っ!)

 

そう思いながら全身の力を込めて箒を傾けて目標をフランにセットする。

かなりの距離が開いてしまっていたが今の魔理沙のブレイジングスターならばそれも短時間で接近することが可能だった。

再びブレイジングスターがフランへと襲いかかる。

が、今度は魔理沙のブレイジングスターをこちらに迫るまで観察してタイミングを計っていたフランは当たる直前に先程のように無数のコウモリとなり躱した。

さらに無数のコウモリとなることで魔理沙の視界を一瞬だが隠した。

これが最悪の結末を導きだした。

視界を奪われた魔理沙は眼下に広がる大地に気づくのがわずかに遅れ対応するのもそれにつられてわずかに遅れてしまう。

急いで上昇しようと箒を上に向けて傾けるが無情にも箒地面に激突してしまい魔理沙も地面に大きくバウンドしてしまう。

箒の先端は折れてしまい魔理沙自身も地面への衝突で大きなダメージを負ってしまった。

うつ伏せに倒れる魔理沙のもとにフランが降り立つ。

魔理沙はなんとかフランと戦おうと体制を立て直そうとするが、全身を打ち付けてしまったせいで全身に痛みが走り動けない。

 

「なぁ~んだ。せっかく楽しめそうだったのに魔理沙も簡単に壊れちゃうんだ。ダッタラモウイラナイヤ。」

 

そう言いながら手刀を自分の上へ掲げる。

 

「やめてフラン!!お願いだから!!」

 

レミリアの悲痛な叫びも今のフランにはまるで聞こえていないようだった。

魔理沙の耳にはレミリアの声や、悟飯の叫びも聞こえていた。

が、体の痛みで本当になにもできなかった。

それが死ぬほど悔しかった。

 

(せっかく悟飯に修行をしてもらって…せっかく強くなったってのに…こんな…使いこなせないで、自分の力に振り回されて負けて…挙げ句の果てにフランに殺されるなんて…)

 

動けぬ魔理沙を見つめながらフランは手刀を突きつけた。

はずだったが、そこには魔理沙の姿はなくフランの手は地面に突き刺さっていた。

フランが顔をしかめながら辺りを見回す、すると空を飛んでいる魔理沙を見つけた。

いや、空中に浮かんでいるといった方が正しいだろう。

なぜなら…

 

「こ、これは人形?…ってことは!!」

 

すぐに辺りを見回すとやはり魔理沙の予想した人物がいた。

それはアリスだった。アリスの回りにはいくつもの人形が浮いていてその手には小さな槍が握られていた。

魔理沙が空中に浮かんでいるのもアリスの小さな人形たちが魔理沙を抱えながら飛んでいるからだった。

 

「アナタモアソンデクレルノ?デモヨワソウダカラスグコワレチャッテモショウガナイヨネ?」

 

背筋が凍りつくかのような恐ろしい声でフラン話しかける。

アリスはあまりの恐ろしさに身震いをするがすぐに笑みを作り、

 

「あまり甘く見ない方がいいわよ?」

 

そう言いながら手をフランに向けて伸ばすと回りの人形たちが一斉にフランに向かって突撃していった。

フランは狂気の笑みを浮かべながらその人形たちに突撃していく。

人形が槍を振りかぶるがそれよりも早くにフランが人形の首を切り裂き、二つに分断してしまう。

中にはフランに向かって降り下ろせるもの、突きだすことのできたものもいるがそれでも躱されてしまい首を的確に切り裂かれていた。

アリスはフランに対して当然逃げにくいように人形を使っているのだが、それに関わらずにフランはすべての人形を的確に…いや、力任せに躱していくだけでなく確実に再起不能にして行く。

フランはその圧倒的な身体能力で技能を補い、アリスに対して圧倒的なほどの力のさをうみ出していた。

 

「なっ、速すぎる!?」

 

フランはたった数秒で30M(㍍)ほど離れたアリスに接近してしまう。

上海がすぐにアリスをフランから守るために間にはいるが、すぐにフランに弾き飛ばされてしまう。

そしてフランの手がアリスの懐へと迫り来る。

 

「やめろーー!!!!フラーーーーーーン!!!!!」

 

【ドスッ‼】

 

悟飯の叫びも虚しく、アリスの腹部にフランの爪が突き刺さる。

魔理沙やレミリアの悲鳴が辺りにこだまする。

が、その声は全く悟飯の耳には届いていなかった。

悟飯には目の前に起こっている視覚による情報しか入ってこなかった。

フランの攻撃を受けてお腹から血を流しながら倒れるアリス、それにより魔理沙を支えていた人形が力をなくし地面に落ちおぼつかない足取りでアリスへと向かう魔理沙、倒れたままの美鈴、目を覚まさない咲夜とそれを抱き抱えるレミリア。

そして、大きな風穴の空いてしまった紅魔館。

全ての映像が悟飯の中である映像と重なりあう。

掌からエネルギー波を放ち建物を次々と破壊していき、また時には車にのって人を轢き殺すというゲームをして遊んだり、時にはピストルで相手が動かなくなるまであえて急所を撃ち抜かずに嬲り殺しにする。

そんなような彼の最も許しがたい人物が作り出した世界と重なって見えたのだ。

そう、あの【人造人間】達の地獄のような世界と…

悟飯はゆっくりと立ち上がる。

レミリアはその様子に気がついたが魔理沙は見えていないようだった。

魔理沙はフランの足元で倒れるアリスの下へとフラフラになりながらも歩いていく。

レミリアはその立ち上がる悟飯の様子が先程と明らかに違うことに驚きと恐怖を感じていた。

まるで本能が全身に逃げろと警告しているかのようなものだった。

 

「…破壊を…」

 

その声に気づきフランも振り返る、が悟飯を見た瞬間全身に鳥肌がたつ。

そしてすぐに悟飯に向かって弾幕を放った。

 

「破壊を楽しんでんじゃねえぞおおーーー!!!!!

うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!」

 

悟飯の激しい叫びと共に金色のオーラとまるで嵐のような爆風が巻き起こる。

爆風によってフランの弾幕は掻き消され、悟飯の立っていた地面は悟飯を中心にヒビが伸びていた。

その爆風はフランのみならず辺りにいた人(?)達全員を吹き飛ばした。

全員が悟飯の方を見つめる。

悟飯の姿は今までとは全く違うものになっていた。

髪は逆立ち金色へと変化し、瞳の色も碧へと変わりオーラも金色になっていた。

そしてなによりレミリア達が驚いていたのは目付きだった。

とてもあの甘さのある【あの悟飯】だとは思えないほど鋭く殺気のある目付きになっていたからだ。

そしてその悟飯を見た魔理沙はあることを確信した。

 

(そうか、あれが超サイヤ人なんだ。悟飯の言っていた…ま、まさか変身しただけで永遠亭で見せた本気なんかよりも遥かに強い風が巻き起こるなんて…それに…怖い。【あれ】には絶対に勝てない…それほどの強さと…殺気を感じる…)

 

フランが吹き飛ばされて激突した木から飛び出して悟飯にすごいスピードで迫り来る。

そして悟飯の顔に向かって思いきり手刀を突き出した。

が、そこには悟飯の姿がなく手刀もただ空を裂くだけだった。

思わず目を見開くフラン辺りを見回して探すとアリスの倒れている場所に悟飯が立っていた。

一瞬驚きはしたもののすぐに狂気の笑みを浮かべると再び悟飯に向かって飛び出していき手刀を降り下ろす。

 

【ビシュッ‼】

 

先程と同じようにフランの目の前で悟飯の姿は消えてフランの手には全く手応えがなかった。

フランの表情には怒りが表れ強く歯軋りをする。

次に悟飯はレミリアの前に表れていた。

腕には、アリス、魔理沙、美鈴を抱えながら。

 

「えっ…あ…」

 

「皆を頼む。魔理沙も、もしできるならレミリアを手伝って。」

 

そう要件だけを伝えてその場から消えてしまった。

レミリアは悟飯を止めたかった、手を伸ばした。

けれど、その手の先には誰もいなかった。

なぜなら、

 

(ダメ…そっちに行ったらもう戻ってこれない…そんな気がする…!)

 

今度はフランの目の前に悟飯から現れた。

フランは悟飯に対して恐怖を覚えていた。

悟飯の全身から感じられる殺気はフランの生きてきた中でそれと比較できるものなど存在しないほどのものだった。

今までにないほどの恐怖、しかしそれと同時に今までに体験したことのない感覚にフランの感性は大きな刺激を受けていた。

怖い、壊したい、殺したい、戦いたい。

様々な感情が流れる中で、フランは狂気に満ちた満面の笑みを浮かべながら悟飯に対峙する。

それがさらに悟飯の怒りを加速された。

 

「貴様だけはもう許さないぞ!!」

 

「ヤットタノシメルネ、ゴハンオニイチャン!」

 

フランがそう言いながら右手を振り上げる。

 

【ガシッ!!!】

 

「なっ!!?」

 

悟飯はすでにフランの正面には居ず、フランの背後に回って振り上げた右手をつかんでいた。

 

「いい加減にしろよ?いったいどれだけ破壊を繰り返せば気がすむんだ…!」

 

フランはすぐに手を振り払い、左手を胸に向かって突き立てる。

が、その爪は全く体に突き刺さっていなかった。

 

「俺は怒ったぞお!!!!!フラーーーーーーン!!!!」

 

悟飯が気を解放する。

その気の爆発力にフランが吹き飛ばされる。

それにすぐさま追い付いた悟飯がフランの足を使い思いきり地面に投げ飛ばす。

フランはそのあまりの風圧に体制を立て直すことができずに、地面に思いきり叩きつけられ大きなクレーターができる。

その様子をレミリアと魔理沙は言葉を失ってただただ眺めることしかできなかった。

フランが地面から無数の小さなコウモリとなってで来る、そして悟飯の目の前でフランの形になった。

フランが両手の手刀で高速の突き、斬撃を繰り出してくる。

が悟飯はそれを全て紙一重で躱していく。

フランの攻撃はレミリアや魔理沙にとってもはや対応できないほどの速度になっていた。

しかし、それを悟飯は完全に躱すことができていた。

 

「…スゴイネ、デモマダダヨ!!」

 

【禁忌 レーヴァテイン】

 

フランがスペルを発動して手に炎の剣が出現する。

それを悟飯に向かって振り回す。

剣の斬撃だけでなく振り下ろされたあとに繰り出される弾幕によって先程よりも躱すことが難しくなっていたのだが、それさえも悟飯は全くダメージを受けないで紙一重で躱し続けていた。

レミリア達がその光景を見て唖然としていると、どこからか呻き声のようなものが聞こえてきた。

急いで声の方を振り向くとそこには意識を取り戻した美鈴が頭を押さえながら四つん這いになっていた。

 

「美鈴!!」

 

レミリアはすぐに美鈴の下へ行き、咲夜の隣に座らせた。

 

「あ、ありがとうございますお嬢様。すみません。私の不甲斐ないばかりに妹様を止めることができなくて…」

 

そう言いながら俯く美鈴にレミリアは

 

「いいえ、よくやったわ。あなたは十分役割を果たしてくれたわ。美鈴。」

 

と言って美鈴の手に自身の手を添えた。

美鈴はその事に驚きながらもすぐに笑みがこぼれた。

その直後目を見開き空を見る。

その目線の先にはフランと悟飯が激しい…いや、フランの激しい猛攻に対して恐ろしいほど落ち着いた様子で攻撃を躱す悟飯の姿があった。

 

「なっ…!?」

 

「すげぇよな…超サイヤ人って言うらしいんだが、あのフランの攻撃が一切当たらないなんて反則もいいところだぜ。」

 

そう魔理沙が言っているが美鈴の耳には届いていなかった。

そして美鈴は呟くようにこう言った。

 

「ご…悟飯さんの気が…私と戦ったときの…さらに…【数倍】の大きさがある…」

 

「「なっ…!!?」」

 

【禁忌 フォーオブアカインド】

 

今度はレーヴァテインをもったフランが四人に分裂する。

先程のフランとの戦いで悟飯を追い詰めたスペルだった。

さらに四人に増えたフランは一斉に紅い霧を作り出し、辺り一面を覆い尽くした。

先程悟飯が負けたときと同じ状況だった。

それを見た誰しもが先程の末路が脳内でフラッシュバックされる。

が、次の瞬間それは全く意味がないと思い知らされる。

 

「そんな子供だましが二度も通じると思うのか?」

 

気爆破を使って辺りを覆い尽くす紅い霧を吹き飛ばし四人のフランがあらわになる。

フランは一瞬こそ怯んだもののすぐに四人一斉に悟飯に向かって飛んでいき一斉に剣を振り下ろした。

 

【ビシュッ‼!】

 

消えた。

これでフランの目の前から消えたのは三度目だ。

これまでこの現象がわかるものはいなかった…が、今は一人、一人だがそれを解明することができたものがいた。

 

「こ、高速移動!?じゃああれはただ高速で動いて私たちから消えているように見せてるってことか!!?」

 

驚く魔理沙に美鈴が落ち着いて答える。

 

「はい。私達の目で追えるスピードを遥かに越えたスピードで移動してるんですよ。私でさえあれほどの大きな気を一瞬見失っているんですから本当に恐ろしいほどのスピードで動いているんだと思います。」

 

そう、それはただの移動だった。

周りには消えたようにしか見えないほどの速度で移動していたのだ。

が、そんなことはフランにはわからない。

見失ったフランは悟飯を探すがその隙にも悟飯はフランの背後に一瞬で回り込み、気合砲をぶつける。

四人は一斉に吹き飛ばされる。

なんとか体制を立て直すが、すぐ後ろに何かの気配を感じた。

恐る恐る振り返るとそこには悟飯の背中があった。

フランは思わず後退り、体が震えてしまった。

が、それでも悟飯に向かって攻撃を仕掛けていく。

四人一斉にレーヴァテインを振り回す。

 

【ビュン‼!】

 

消えたが今度は遠くではなくてフランのすぐ真横にまるで瞬間移動したかのように現れた。

フランはすぐにそちらに向かって剣を振るが今度は背後に現れた。

何度も何度もレーヴァテインを振り回し悟飯に向かって攻撃をするがその悟飯は一度たりとも当たらなかった。

やがてレーヴァテインもフォーオブアカインドも効果が切れてフランは一人になってしまった。

圧倒的な悟飯の力に対してフランはもう怯えることしかできなかった。

徐々にフランとの距離をつめてゆく悟飯。

 

「破壊を楽しむような貴様は絶対に許せない…!」

 

そう言いながら右拳に力を込める。

 

「止めて!!悟飯!!!もうフランに戦う意思はないわ!!!」

 

レミリアが悲痛な叫び声をあげる。

が、それに周りは驚く。

 

「な、何言ってんだぜ!?お前だって私だって咲夜だって美鈴だってあいつに殺されそうになったんだぞ!それなのに何言ってんだよ!!」

 

「お、お嬢様。いくら妹様でも今回ばかりはお嬢様自身も大ケガをなされています。それでも…」

 

「それでもよ…例え破壊の能力があって、狂気を秘めていたとしても…たった一人の妹なのよ…たった一人の…お願い!助けて!!悟飯!!!」

 

その声が悟飯の耳に届く。

が、それでも悟飯の胸で煮えたぎる怒りは静まらなかった。

 

「破壊を…殺すことを楽しむんだぞ…!!そんなの地獄そのものだ!!!」

 

再びフランを睨み付ける。

するとそこには涙を浮かべた少女の姿があった。

狂気に呑まれた少女はどこにも姿はなくそこにはただ涙を浮かべて恐怖に怯えている少女の姿しかなかった。

悟飯はその姿に怯む。

 

(こっ…これは!)

 

脳裏に写るもうひとつのものがあった。

 

(お父さん…お母さん……)

 

泣きながら燃え上がる町の中一人でさまよう少女の姿だ。

人形を片手に、泣きながら両親を探してその小さな足で歩き続ける少女の姿があった。

 

「………。」

 

悟飯は右手に気を集める。

そしてフランの目の前に来るとその右手を頭上へと掲げた。

フランは思わず目をつむり、レミリアは大きな叫び声をあげた。

 

「フラーーーーーーン!!!!!」

 

【ポスッ】

 

「「…え?」」

 

ゆっくりとフランが目を開けると自分が頭を撫でられていることに気がついた。

 

「えっ…えっ?」

 

「怖かったか?フラン。でもあれだけ悪いことをしたんだ。怒られたり罰を受けるのは当たり前なんだぞ。」

 

そう言いながらも少し力強く頭を撫でる。

そんなことに馴れていないフランはどうすればいいのか分からずにただ困惑していた。

 

「フラン、悪いことをすればこうなるんだよ。破壊なんか楽しんじゃいけない、殺すことを楽しんだりしちゃいけないんだ。分かったかい?」(きっとお父さんならこうしてた。)

 

そう言いながらフランから手を離す。

するとフランは涙で濡れて赤く晴れた目を拭いながら、

 

「は…はい。」

 

と答えた。

がそのあとにこう続けた。

 

「なんで遊んじゃいけないの…お姉さまはアンナニタノシソウニアソンデタノニ私はいつも一人…」

 

「フラン…」

 

なぜこんなことを言うのか悟飯には分からない。

だけれどもその辛さはわかった。

なぜなら悟飯も幼少期の頃から母親の影響で遊ぶ時間などほとんどなく、友達も山の動物達以外はいなかったのだ。

 

「なら俺が友達になって遊んであげるよ。」

 

その言葉を聞いたフランが目を輝かせる。

 

「ほ、本当!!?」

 

「あぁ、本当だよ。だけど、その代わりもう破壊とかしちゃいけないよ?」

 

「う…うん。頑張るよ!」

 

そう言って満面の笑みを浮かべた。

つられて悟飯の顔にも笑みが浮かぶ。

悟飯の変身が解けてフランと一緒にレミリアの下へと降りてきた。

 

「ふ…フラン…っ」

 

「お姉さま!!」

 

フランからレミリアに抱きつき泣きながら謝った。

レミリアも今までフランにしてきたことに謝りながら涙を流していた。

その言葉の中に監禁やら隔離やら危ない言葉も聞こえてきたが身内の問題ならば悟飯があまり関わるのもよくないと思い、触れないことにした。

すぐにパチュリーと小悪魔がきて咲夜の応急処置を始めた。

レミリア曰くこれで一命は大丈夫らしい。

 

「それにしても悟飯。超サイヤ人ってやつちょいと強すぎやしねぇか?あれは反則だぜ。」

 

「まぁなんにせよフランさんも悟飯さんも無事で良かったですよ。」

 

と口々に話しているなか、聞いたことのない声がひとつだけ混じって聞こえてきた。

 

「そうね、本当に良かったわ。吸血鬼が死なずにすんで。」

 

「「「!!?」」」

 

辺りを見回すが人の姿などどこにもなかった。

が、次の瞬間悟飯の目の前に謎の裂け目が現れる。

そしてそこから弾幕が展開される。

 

「なっ!!?」

 

その弾幕は悟飯に直撃に地面に倒れ込んでしまった。

 

「「「悟飯((さん))!?」」」

 

急いで駆け寄る魔理沙と美鈴、そしてアリス。

レミリア、パチュリー、小悪魔、は咲夜を抱えてすぐに距離を離した。

そしてその怪しげな裂け目からなんと人が姿を現した。

そしてその姿を見た咲夜と悟飯を除く全員が名をこう呼んだ。

 

「八雲 紫…!!」

 

 

 




はい、ここではもう本題に入りましょう。
実は入試自体は3月の上旬に終わってたんです。
が、スマホを機種変更した結果、メモ帳のバックアップをとっていたのにも関わらずこの小説に関するメモの全て(というよりメモの全て)が消えてしまったのです!
それが原因でキャラ設定や戦闘力バランス、今後の展開などが全て消し飛んでしまったのです…おぉ…(泣)
正直続けようか迷いすらしました。
けれど失踪だけはしたくないとその一心で帰ってくることができました。
設定が消えてしまった分作品を読み直してはいますが立てていた布石を回収することなく話が完結する可能性があります。
そこで皆さんにお願いがあります。疑問に思ったことはなるべく質問してください。
それで私自身が何かを思い出すかもしれません。
誠に身勝手ではありますがどうかよろしくお願いします。
次回はなるべく早く出そうと思います。
(気分転換用の二次創作も作るつもりなのでもし良ければそちらもよろしくお願いします)


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第19話 賢者の判決

遅くなって大変申し訳ありません!
遅れた理由などは最後に言います。
紫の攻撃を受け気絶してしまった悟飯。
果たして紫の目的と悟飯の運命は?
それでは第19話をどうぞ!


「紫!あんた何やってんのよ!!」

 

どこからか聞き覚えのある声がした。

そして声の方を振り向くと風に揺れる紅白を纏う人物がいた。

それを見た魔理沙は目を輝かせながら叫んだ。

 

「霊夢!!来るのが遅いぜ…!」

 

霊夢は魔理沙を見つけると苦笑いを浮かべながら目をそらして、

 

「こ、こっちも色々あったのよ…。」

 

と曖昧な返答をする。

が、すぐに真剣な目つきに戻り紫をまっすぐに見つめる。

 

「どういう事か説明してもらおうかしら、紫。一体何のつもり?」

 

そう言われた紫は扇子を手に取り口元を隠すように広げた。

そしてその紫の瞳を鋭くして同じく霊夢に視線を返す。

 

「誤解よ、霊夢。悟飯をここまで追い詰めたのは私じゃなくてそこにいる吸血鬼の妹よ。私がここに来たときには既に悟飯はボロボロだったわよ。」

 

「ふざけたことを言わないでください!!!」

 

辺りに響き渡るほどの大きな声が聞こえてくる。

その場にいる全員が驚いて声の聞こえた方を振り返るとそこには美鈴の姿があった。

しかしそれはただの美鈴の姿ではなかった。

 

「…私は事実を言っただけよ。」

 

「だからふざけたことを言うのはやめろと言っているんです!!!」

 

美鈴の声がさらに大きくなる。

美鈴の顔は怒りに歪んでいた。

紅魔館のメンバーでさえあれほどの怒りを露わにする美鈴を見るのは初めてだった。

 

「確かに悟飯さんは私やお嬢様…そして妹様との連戦でかなり傷ついていました!それでも倒れることありませんでした!そこにあなたが現れて追い打ちをかけたんじゃないですか!!!」

 

さらに大きくなるその声に紫を除く全員が動揺を隠せなかった。

…いや、この表現は間違いだろう。

正確には紫も動揺していた。

が、その動揺を決して表に出すことはなかった。

その代わりに美鈴を鋭くにらみ付ける。

 

「あなた達がそこにいるサイヤ人を攻撃しなければたとえ私が不意打ちで攻撃したとしても決して倒れることはなかったはずよ。」

 

その台詞に美鈴は一瞬たじろぐ。

それを追い打ちをかけるように紫は続けた。

 

「あなたと吸血鬼の姉、そしてその妹がサイヤ人と戦わなければ倒れなかったのよ。それに、私が与えたダメージよりも紅魔館のあなた達が与えたダメージの方が圧倒的に多い気がするけれど…」

 

「…あなたが不意打ちをしたことが問題なんです…」

 

「そんなことはないわ。あのサイヤ人ならばあの程度の攻撃挨拶代わりにしかならないわ。いえ、実際にその予定でしたしね。それの何が問題なのかしら?」

 

美鈴が強く拳を握り締める。

何かを言おうとするが口を開いてもそこから言葉が発せられることはなかった。

いや、できなかったといった方が正しいだろう。

ただただ事実を言っていた。

フランも美鈴のそばで同じように何かを言おうとするが唇を強くかみしめていた。

フランにもその言葉が真実であることを理解しているのだろう。

そしてその原因を作ったのが紛れもなくフラン自身であることも…

フランの瞳が潤いを見せ始めた。

それを見た美鈴はさらに自身の情けなさに怒りがこみ上げていた。

 

「だからと言ってあな「そうゆうけどあんた、」…!!」

 

美鈴の言葉を遮るようにして霊夢が話を始める。

 

「悟飯さんがこの世界にきてから初めて姿を見せたわね?あんたが幻想入りに対して反応を見せないことなんて別に珍しいことでもないわ。…けれど今回は別よ。普段結界を管理している私とあなたなら幻想入りに対してはその場でその人物と接触した人には劣るけれどそれなりに早くに反応することができる。今回も気づいていたはずよ。なのに始めのタイミングで紫…あんたは【その戦いに来なかった】。それはどうしてかしら?」

 

霊夢の言葉に紫が目を細め、少し睨み付けるように霊夢を見つめる。

しかし霊夢はそれに全く反応を見せずに紫の返答を待っていた。

すると紫もすぐに言葉を発し始めた。

 

「私はあの時、休養をとっていたのよ。いくら私でも年中無休で幻想郷を見てるなんて事はできないわ。だから私も休養の時期があるのよ。今回そのサイヤ人が幻想郷に来たときも丁度休養を取っていた。基本私が休んでいるときは藍に管理を任せているから藍はその事をしっかりと把握していたわよ。私は休養を終えたタイミングで藍から話を聞いてここに来たのよ。これでいいかしら?

 

「そう、それについては分かったわ。なら悟飯さんが今ここで戦闘を行っていたのは分かっていたはずよ。なんでこのタイミングで、そしてなんで攻撃を仕掛けたのかしら?」

 

霊夢の次の質問に対して紫はすぐには返答しなかった。

そして少し思考を巡らせた結果、小さなため息を一つついてから語り始めた。

 

「…あなた、この孫 悟飯がサイヤ人であることは知ってるわよね?」

 

霊夢が小さく頷くのを確認してから紫は言葉を続けた。

 

「サイヤ人って言うのは数々の星を占領し、支配し、その星の先住人達を滅ぼしてきた民族よ。そんな民族を野放しにできるわけないでしょ?」

 

紫が自身の目的をあまりにあっさりと言ってしまったことに驚く全員を想像していた紫はその周りの様子に戸惑いを隠しきれなかった。

 

「ほ、星…?滅ぼす?」

 

霊夢がまるで話が分からないト言いたげな様子で紫を見つめていた。

紫は大きなため息をつきながら話し始めた。

 

「はぁ…あのね、そこにいるサイヤ人は戦闘民族と言って高い戦闘能力を持った民族なのよ。サイヤ人はツフル人と言って知能の高い民族と共存して星から星への移動方法を作らせ星々を制圧していた。やがて、サイヤ人は共存していたツフル人さえも滅ぼして、自分達だけで宇宙を支配していったのよ。」

 

その言葉にその場にいる全員は唖然とするしかなかった。

 

「ご、悟飯さんが…本当に戦闘民族なの?」

 

霊夢でさえ戸惑いを隠せなかった。

確かに悟飯の力は想像を遙かに超えるものであったしその力は例え霊夢達が束になってもそう簡単には倒せないだろう。

それだけを見れば戦闘民族と言われても納得ができる。

しかし、その戦闘民族であるサイヤ人はその星の先住民を滅ぼして占領してきたというのだ。

もしもそれが本当ならば悟飯はその圧倒的な力を使い、この幻想郷を支配するつもりだったと言うことになるのだ。

悟飯の性格からしてそんなことはあり得ない。

それはここにいるパチュリーと小悪魔を除く全員が思っていたことだった。

しかし、

 

「そんなことありません!もしそうならお嬢様や私達を今ここで見逃す意味がありません!!それにあんなに武闘家としての誇りを持った方がそんなことをするはずがありません!!!」

 

「あなたは始めの異変に居合わせなかったからそんなことが言えるのよ。」

 

紫の言葉に全員の肩が震える。

そうだ、悟飯が幻想入りしたときに起こったあの異変。

あれは全員に悟飯の…サイヤ人の強さと恐怖を植え付けるには十分すぎるほどのものだった。

圧倒的な力の差を前に霊夢達は為す術が無いところまで追い込まれていた。

紫にその事を指摘されてあの場にいた全員の頭にその記憶が鮮明に蘇る。

そして記憶と同時に恐怖が溢れてくる。

全員の体は震え始めて抑えられなくなっていた。

美鈴はその様子を見て全員とは違う戸惑いを感じていた。

 

(た、確かに悟飯さんの力はすごかった…それに超サイヤ人の力はとても凄まじかったけれど…あの時の気よりもさっきの超サイヤ人の気の方が圧倒的に強いはずなのに…)

 

「だから…こいつはここで殺すべきなのよ。」

 

そう言いながら紫は悟飯にスペルカードを向ける。

美鈴はすぐに悟飯を庇うように紫と悟飯の間に割って入る。

霊夢もほぼ同時に紫と悟飯の間に入った。

 

「…何のつもりかしら?紅魔館の門番はまだしも、霊夢、あなたには幻想郷を管理するという使命があるわ。その行為はその使命とかけ離れている気がするのだけれど。」

 

「いいえ、決してかけ離れてはいないわ。確かに悟飯さんの力、そしてサイヤ人の凶暴性は幻想郷にあってはならないものよ。けれどそれなら元の世界に返せば良いだけよ。幸い悟飯は怪我をしているから暴れる心配は無いし、それまでは私が見張るわ。」

 

「怪我をしていると油断した結果があの異変じゃないのかしら?」

 

霊夢の案を紫はたった一言で否定した。

現に霊夢はその言葉に対して言い返すことができなかった。

次に言葉を発したのは霊夢ではなかった。

 

「今の悟飯さんに対して油断する人なんていないわよ。」

 

紫と霊夢は驚いて声の方を振り返る。

そしてその声の主がアリスであることにさらに驚いた。

 

「悟飯さんの強さは私達は身にしみて分かっているわ。だからこそ油断せずに悟飯と対峙することができるわ。」

 

アリスが悟飯を庇うなんて誰も思わなかったため全員が目を丸くする。

特に紫は霊夢さえ説得すれば悟飯を始末できると思っていたため余計に驚いていた。

 

「…そうよ。だから悟飯は私が責任を持って必ず元の世界に送り返すわ。」

 

そう言いながら紫の正面に向き直ってスペルカードを構える。

どうやら何を言っても霊夢は意見を変えないようだった。

それを見た紫の顔には僅かながらも怒りがこもっている事が分かった。

 

「そういうのは既に結界の修理を終えて安全にかつすぐにでも送り返せる状況が作れてる者が言う台詞よ。」

 

「………。」

 

「はぁ、まぁ良いわ。今回は見逃しましょう。ただし今回だけよ。今度少しでもそのサイヤ人が幻想郷にとって悪となるようなことをしたら…その時は殺すわよ。」

 

最後の【殺す】と言う言葉にはかつて無いほどの静けさと殺気が込められていた。

本気だ。

全員がその殺気にたじろいでしまう。

そしてその場の全員が再認識せざるを得なかった。

紫が【妖怪の賢者】と呼ばれるほど賢く、さらに実力を兼ね備えていることを…

紫の一番の警戒すべき力は【境界を操る能力】によって創り出される隙間はそこから繰り出される弾幕(こうげき)だった。

が、今は違う。

これほどまでにはっきりとした殺気など霊夢は感じたことがなかった。

確かに紫は幻想郷のためならばどんなことでもする非情な面はいままでにも見たことはあった。

しかし、今回の様子だけはいままでも見たことがないほどのものだった。

 

「霊夢。」

 

「!!」

 

紫が静かに霊夢の名前を呼ぶ。

その紫の様子に驚き、少し考え込んでいた霊夢は咄嗟のことにさらに驚く。

 

「覚えておきなさい。幻想郷を守るためならばこの覚悟を必要だと言うことを。」

 

「…この覚悟?何の事よ。」

 

そう返答する霊夢にため息をつきながら…

 

「分かってるくせに…それは相手を殺す覚悟よ。」

 

「!!?な…何言ってるの!そうならないための弾幕ごっこじゃない!!」

 

「そうね、けれどそれは幻想郷の民しか知らない。このサイヤ人みたいな外来人は知らないし、そんなことが通用しないこともあるわ。その時に必要なのが殺す覚悟なのよ。」

 

「…っ!!」

 

そう言い残して紫は再び隙間を開いてその中へと消えていった。

美鈴達は紫が消えたことに安堵しながらもすぐに悟飯の容態を確認する。

アリスが悟飯の名前を呼びかけながら悟飯の体を揺らす。

すると悟飯はうめき声を上げながら僅かに顔をしかめた。

どうやら気を失っているだけだった。

それを見たアリス達は安心したようなため息をつく。

が、その後すぐに驚くべき光景に目を疑った。

 

「くっ…うっ…つっ~。あ、あれ?アリス?あれ?それにさっきの人は?」

 

「「えっ!?ご、悟飯さん!大丈夫(ですか)!!?」」

 

気絶していたはずの悟飯が目を覚ましたことに動揺を隠せない全員だが美鈴とアリス、そしてフランはその顔に喜びが溢れていた。

が、あれだけの攻撃を受けてこの短時間で目を覚ますなどつくづくサイヤ人の恐ろしさを感じる事になってしまった。

 

「あ…あぁ、体中が痛いけどなんとか歩けるよ。心配かけてごめ…「お兄ちゃーーーーーん!!!」…!?」

 

【ドスッ!!!】

 

「ぐはぅ!!」

 

フランは目の覚めた悟飯に満面の笑みを浮かべながら抱きついて(突撃)来た。

突然のことだったため、悟飯は受け止めきれずに倒れてしまう。

 

「フラン!!悟飯さんは怪我してるんだからそんなことしないで!!?」

 

あまりに突然かつ予想外の行動に姉のレミリアでさえ、戸惑いを隠せなかった。

フランは悟飯が苦しんでいる姿を見て慌てて離れる。

アリス達もすぐに悟飯の心配をするが悟飯は苦笑いを浮かべながら「大丈夫」と返事をした。

するとそこにパチュリーと小悪魔が歩いてきた。

するとレミリアはアリス達に悟飯から離れるように指示をした。

美鈴とフランはすぐに離れたが、アリスは少しレミリアを見定めるかのように睨んだ後にその場から離れた。

 

「あら、そんな目で見ておきながら悟飯からはちゃんと離れるのね。」

 

レミリアは皮肉混じりに意外そうな目をしながらアリスを見ていた。

するとアリスは、

 

「あなただけなら信用はしないわ。けれどこの様子から察するにパチュリーが悟飯さんに治癒魔法をかけるのでしょ?なら私はパチュリーの補助に回った方が良いわ。」

 

そう言いながら今度は悟飯の横に座るパチュリーの元に近づき座った。

するとパチュリーは一瞬だけアリスを見るとすぐに視線を悟飯へと戻してから魔法をかけ始めた。

悟飯の座る地面には紫色の魔方陣が展開され光を放ち始める。

パチュリーは魔力を高めながら小悪魔とアリスに対して指示を出す。

小悪魔はパチュリーが指示した道具を手渡したり悟飯のそばに配置し、アリスはパチュリーに指示された魔法を唱えていた。

すると魔方陣の光は紫から白へと変わっていき放つ光もどんどん強くなっていった。

魔理沙もその魔法に加わると言ったが魔理沙もかなりの大ケガをしていたことから魔理沙は魔法を受ける側になっていた。

もちろん咲夜も同じように魔法を受けていた。

本来ならば一人一人魔法をかけた方が良いのだが咲夜と悟飯はとても危険な状況に見える。

だから今回は全員まとめての治癒魔法にせざるを得なかったのだ。

やがてその魔法の光は直視できないほどの光を放ち始める。

 

(こ、これは…、まさか!?)

 

時間にして数分間。

だが周りの者たちはそれよりも短く感じていた。

輝きは次第に弱くなっていき、最後には輝きを失った。

魔方陣も既にその場からは姿が消えいて、パチュリー、アリス、そして小悪魔も大きく息をはき、文字通り一息ついていた。

 

「パチェ、ありがとう。それで咲夜は大丈夫なの?」

 

レミリアは魔法が終わったことを確認するとすぐにパチュリーに咲夜のことを聞いた。

この中で悟飯を除けば一番の大ケガをしているのは咲夜だろう。

フランの一撃は咲夜の体を深く切りつけていた。

それこそ命が危なくなってしまうほどの重傷だった。

だからこそ咲夜の容態を確認したのであり、そしてその救命を聞いたときには心から安心したのである。

それはレミリアだけでない。

美鈴も涙ぐみながら咲夜の一命が取り留められたことに安心したような笑みを浮かべていた。

そんな中一人の少女がパチュリーに抱きついてきた。

 

「あう…ぐすっ…ありがとう…パチュ…パチェ…う…うわあぁぁぁぁぁぁあああん!!!!」

 

フランがパチュリーに抱きつきながらお礼を言おうとするが途中で涙がこらえきれなくなりパチュリーの名前を呼ぶ前に涙があふれ出てしまった。

するとパチュリーは少し驚いたと言いたげな顔をしながらフランの頭をなでる。

 

「大丈夫よ。もう咲夜も安心して良いのだから怖い事なんて無いでしょ?悟飯も無事なんだから。」

 

そう言いながら悟飯の名前を出したタイミングでレミリアに視線を向けた。

レミリアはそれにすぐに気づき同じような視線を向ける。

アイコンタクトだ。

周りには気づかれないように二人だけで合図を取り合ったのだ。

悟飯と魔理沙も起き上がって体の動きを確認する。

その様子を見たアリス、美鈴、そして霊夢は安心してすぐに二人の下へと駆け寄った。

 

「命に別状がなかった…?」

 

レミリアが目を丸くしながらパチュリーに言われた言葉をそのまま復唱する。

パチュリーも唖然とした様子で語り始めた。

 

「そうなのよ。あれほどの攻撃を受けて気絶もしていたって言うのに、彼の体の傷は外傷だけだったのよ。魔理沙の方が重傷なくらいだったわ。魔理沙は魔法の制御ミスで地面にスゴい勢いで激突したから全身打撲だったけれど一部の骨にヒビが入っていたのよ。だからそれも治したけれど…彼は、内臓にダメージを受けるどころか骨にこれっぽっちの損傷も見られなかったわ。あれだけの攻撃を受けても…恐らく今治療をしなかったとしても死ぬ危険性は皆無だったと言えるわ。」

 

その言葉に言葉を失って立ちすくむレミリア。

一番最初の異変の時、そして今回のフランの暴走。

2回悟飯の力を見てきたがそれを見たからこそ今の恐怖を感じることができていた。

紫の攻撃を受けて倒れたのは蓄積されたダメージが大きかったから意識が飛んだのであり、死にかけたというわけではない。恐らくフランとの戦いで倒れたのもそれが原因だろう。

レミリアとパチュリーは悟飯の方へ視線を向ける。

悟飯はアリスや魔理沙、霊夢、そしてフラン達と楽しそうに会話をしていた。

が咲夜はまだ目覚めるほどの元気はない。

パチュリーの言ってることを信じざるを得なかった。

悟飯は怪我の大きさで言えば一番軽度なものだったのだ。

その現実に頭を混乱させながらもレミリアはやっとの事で口を開くことができた。

 

「霊夢、アリス、魔理沙。そして…悟飯さん。あなたたちには迷惑をかけてすまなかったわ。お詫びといっちゃなんだけれどもうちで夕食をごちそうするわ。」

 

「あら?なら遠慮無く食べさせてもらうわよ。」

 

「私はほとんど何もしてないけど…どうせだからそうさせて貰うわ。」

 

「本当かい!?やったぁ!!ありがとう!レミリア!!」

 

「あ、ありがとうなんだぜ…レミリア。」

 

「あら?どうしたのかしら?魔理沙は不安でもあるの?」

 

魔理沙がどうも苦笑いのような笑みを浮かべていたことを気にするレミリアだが魔理沙は「大丈夫」と返すと一番に館に入っていった。

その後紅魔館の食物庫に致命的なダメージが与えられるとは誰も(魔理沙を除く)思いもしていなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ガツガツガツガツ】

 

「………」

 

【ガツガツガツガツ】

 

「………」

 

【ガツガツガツガツ】

 

「こ…これは…」

 

【ガツガツガツガツ】

 

「小悪魔…す、すぐに追加の食べ物をお願いできるかしら?」

 

「…は、はい…」

 

目の前には既にお皿の山が築かれていた。

それは全員の前にまんべんなくではなく、たった一人の人物の前にその者の身長以上の高さにまで積み上げられていたのだ。

魔理沙を除く全員がその光景に言葉を失ってただただ眺めていた。

全員の手が止まっていることに気づいた悟飯が、

 

「あれ?皆は食べないの?」

 

と質問をする。

全員が慌てて「食べるよ」と返事をして食べ始めると悟飯も安心したように満面の笑みを浮かべながら再びご馳走を食べ始めた。

 

「咲夜さん!ここら辺の料理全部おいしいですね!!」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

咲夜も妖精メイド達が料理をしている間に目を覚まし、体の傷もまだ完治はしていないためレミリアが静止したのにもかかわらず料理の手伝いをしていたのだ。

今こそテーブルでともに食事をしているため休んではいるが、先ほどまで働いていたのだ。

が、それでもなお咲夜の料理は絶品だった。

その場にいる全員がそう思った。

秒単位で消えていく目の前の食べ物達。

すぐに小悪魔は妖精メイド達に追加分を作らせに行ったがそれでも余裕の無い状態だった。

その後、紅魔館の食物庫から半分近くの食料が消えてることを知ったレミリアはその日、頭を抱えながら自室に暫くの間籠もっていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯と魔理沙は一応怪我のことがあるので一夜を紅魔館で過ごしたのだが、悟飯自身は全く怪我を気にしていないようで修行をしては咲夜に見つかり注意を受けると言うことを繰り返していた。

次の日と朝、悟飯と魔理沙は紅魔館の朝ご飯を食べ終えた(食べ尽くした)後紅魔館を出ようとしていた。

悟飯は元の世界に帰るため霊夢のところに向かうつもりなのだ。

 

「短い間だったけどありがとうレミリア。咲夜もありがとう。あんなにおいしい料理を食べたのは久しぶりだったよ。」

 

「そう言っていただけると嬉しいです。悟飯様。」

 

と深く頭を下げる。

それを見た悟飯は戸惑いながら右手を小さく左右に振りながら、

 

「そ、そんな様なんてつけないでくれよ。普通に呼び捨てで良いからさ。」

 

そう言うが咲夜は首を横に振りながら何かを言おうとするがそれよりも先にレミリアが話し始めた。

 

「諦めた方が良いわよ。悟飯お兄様。」

 

それに言い終わった後に合わせて咲夜が、

 

「そうですよ。お嬢様があなた様の事を悟飯お兄様とお呼びするならば私は悟飯様とお呼びするべきですからね。」

 

そう言いながら悟飯に優しくほほえみかけた。

こりゃあダメだと思った悟飯はそれを諦め紅魔館を出た。

目指すは博霊神社。

 

「「悟飯お兄様~!!」」

 

門を出て少しした後に二人の声が重なって聞こえてきた。

声のした方を振り返ると美鈴とフランがこちらに走ってきていた。

吸血鬼は日光が弱点のため、フランは日傘をさしながら飛んできていた。

 

「悟飯さん!また今度悟飯さんに修行をつけてくださいね!!よろしくお願いします!!!」

 

「悟飯お兄様!!また一緒に遊んでくれなきゃ絶っっっっっ対にダメなんだからね!!!」

 

二人ともまるで子どもの姉妹のような満面の笑みを浮かべながら辺りに響くような大きな声でそう叫んだ。

その様子は本当に姉妹のように見えて悟飯も思わず笑みをこぼしてしまう。

魔理沙もあきれ顔で二人のことを眺めていた。

悟飯はあえて言葉で返事はせずに大きく手を振って二人に返事をした。

二それを見ると満足したようにフランは空を飛んで、美鈴は走って紅魔館に戻っていった。

 

「…今度があるなら舞空術を教えるべきかな。」

 

そう言いながら悟飯もまるで遊びに行くのをワクワクしながら待つ子どものような表情になっていた。

魔理沙はそんな悟飯を見て思わず笑ってしまった。

きょとんとした顔をして悟飯がこちらを見るのでそれもおかしくて笑いそうになるのをこらえた。

 

(まったく…悟飯って精神年齢いくつなんだよ。)

 

悟飯が魔理沙に何度も笑っている理由を質問するが魔理沙は満面の笑みを浮かべながら、知らない、と答えをはぐらかすだけだった。

この先にまたやっかいごとがあるとも知らずに…

 

 

 




改めて、更新が大変遅くなってしまって申し訳ありませんでした!
良いわけにしかなりませんが理由を言いますと…
1大学が想像より忙しい
2バイトがさらに忙しい
です。
大学の課題が予想より難しくてどうしても時間がかかってしまってます。
そしてバイトなんですが初めて一ヶ月してないのに基本残業という悲しい現実に直面しています…
それが原因で時間がとれず、小説どころかゲームのイベントすらまともにできない状況…なんとも泣けてきます。
と言うことなので遅れてしまいました。
これから時間内なら作れば良い!!と言うことで一日24時間あるわけですし、24時間フル活動するのが一日くらい合っても大丈夫理論で進めていきます。

次回予告
魔理沙ともに博霊神社へと向かう悟飯。
しかしそこで待っていたのは霊夢だけではなかった。
次回【戦闘終わってまた戦闘?鬼VS宇宙人】
次回もよろしくお願いします!


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第20話 戦闘終わってまた戦闘?鬼VS宇宙人

遅くなりました。
大学に入りバイトが忙しく時間が割けません。
本当に申し訳ありません。
ですが失踪する気は毛頭ありませんので完結は必ずさせます!
それまで遅くなるとは思いますがよろしくお願いします!


 悟飯と魔理沙は空を飛んでいかずに歩きで博霊神社を目指していた。

これは悟飯ご希望でゆっくりと風景を見ながら行きたいとのことだった。

幻想郷はまさに自然と共存している世界と言えるような世界だったことに悟飯は感心していた。

元の世界では人造人間のせいでほとんど意識されてはいなかったが、急速な都市発展のせいで自然に残された場所が失われていっていたのだ。

悟飯は幼い頃こそは山にすんでいたものの、ある日を境に都市に住むようになってからは山とのその差に驚きを隠せなかった。

が、ここならばどちらかと言えばパオズ山に近い雰囲気を感じていた。

だからこそこの今の状況にも何処か懐かしさすら感じていた。

その時、悟飯の足下を五人の小さな子どもたちが走り抜けていった。

その子供たちは一見普通に見えるがそのうちの三人は背中から鳥の羽や氷の羽を生やしており、また一人は触角のようなものが生えていた。

 

「なぁ魔理沙。あれも妖怪なのかい?特にあの青い子と緑色の髪の子は珍しい…というか初めて感じる気だけど…」

 

と魔理沙に質問をする悟飯。

魔理沙はその質問を意外そうな目を向けながら返答した。

 

「あぁ、あいつらは妖精って言うんだぜ。ほかの三人は妖怪だが…悟飯の言う気ってやつは相手の種族の違いさえ分かっちまうのか?」

 

「まぁある程度ならね。それに妖精の二人の気は特に特徴的だったから。なんか…自然と同調してるみたいな。」

 

 

間違っていない。

妖精は自然がなければ生きていけない。

そういった存在であり妖精は自然その物と言っても過言ではなかった。

悟飯の言う気、便利すぎて少し悟飯や美鈴を羨ましいと思った魔理沙。

まだ午前中だからか道ですれ違うのは小さな妖怪や妖精ばかりでいたずらこそするもののほとんど害はなかった。

そうこうしているうちに悟飯と魔理沙は人里に着いた。

悟飯は人里に入るときまた安心したような笑みを見せていた。

魔理沙にはそれが人造人間達に破壊された街しかほとんど見ることが出来なかった悟飯がこの景色にそれほどの安心感を秘めているのが理解できていた。

が、

 

(悟飯が普段から嘘をついているようには見えないけど…まだ数回しか見ていないこの人里にはいる瞬間のこの顔が…これが唯一悟飯の心の底からの感情だって思えるぜ。サイヤ人が本当に紫の言う通りなら、きっとこんな顔はしない…絶対にあいつの嘘に違いないぜ…!)

 

そう思いながら悟飯と人里を歩いて行く。

するとなにやら人だかりの出来ている場所が合った。

それも店に並んでいるのではなくなにかを囲うように集まっているように見えた。

 

「あそこに少し行ってみても良いかな?」

 

悟飯が魔理沙にそう聞くが、魔理沙はむしろなぜ聞くのかと質問を返してきた。

よくよく考えれば魔理沙と悟飯なら本来立場が上なのは師匠である悟飯だ。

が、悟飯の性格上他人を第一に考えるためどうしても他人優先の行動になってしまうのだ。

そうこうしながらも人だまりの方に歩み寄っていき何が原因なのかを確かめる。

するとその中からは聞き覚えのある声が聞こえていた。

 

「すると浦島太郎の前に鯛やいろいろなお魚さん達が出てきて踊りを踊って見せてくれました。」

 

「あっ、アリス!」

 

その声に驚いたようにアリスは視線を向けるとそこには悟飯がいた。

アリスは軽く会釈をするとすぐに手元の作業に戻ってしまった。

 

「浦島太郎はそれを見ながらとてもおいしい豪華な食事を楽しんでいました。」

 

と語り始めていた。

それをよく見るとアリスは人形を使って小さな劇を行っていたのだ。

いわゆる人形劇という物だ。

それを見た悟飯も子どもたちと同じように人形劇を見始めた。

魔理沙も悟飯が止まってしまったため仕方なく人形劇の干渉を始めた。

話の内容は【浦島太郎】と言う物語で多くの人が知っている物語だった。

子どもたちも全員がその物語を知っていたらしくこの後の物語を予測させるクイズもほとんど全員が正解していた。

演劇が終わると子供たちはアリスにお礼を言ってからそれぞれ解散していった。

悟飯と魔理沙はアリスの元へと近づいていった。

 

「アリス。これが前に言っていた人形劇だね?」

 

「えぇ、まさか悟飯さんが来るとは思ってなかったけどそれより驚いたのは魔理沙ね。魔理沙はこういった物は興味がなさそうだから。」

 

アリスは少し意地悪そうな笑みを浮かべながら魔理沙にそう言った。

アリスの言葉に少しむっとしながら、

 

「私だって別見ようと思って止まったわけじゃないぜ。悟飯が止まったから仕方なく私も止まっただけだ。」

 

と返した。

するとアリスの後ろから上海が出てきて悟飯の胸に飛び込む。

すると上海は悟飯の胸に頬を擦りつけてくる。

悟飯はそれに笑みを見せながら上海の頭を優しくなでる。

すると上海は気持ちよさそうにさらに悟飯に甘えるように密着する。

すると魔理沙は物珍しそうに上海を見ながら、

 

「へぇ、珍しいじゃないか。上海が人に懐くなんて。それもかなり仲が良いみたいじゃないか。何かあったのか?なぁアリス。」

 

そう言うが最後の方は意地悪そうな笑みをアリスに向けながら話していた。

 

「そうね。確かに上海がここまで人に懐くなんて珍しいのよ。その理由が分かると助かるんだけど、上海は悟飯さんのことを聞くと楽しみとか会いたいとか、そんなことしか言わなくなるのよ。」

 

そう言いながら困ったように二人を眺める。

どうやらアリスにも上海があそこまで悟飯に懐く理由が分からないらしい。

魔理沙はがっかりしたようなそぶりを見せてからつまらなそうにその光景眺めていた。

すると悟飯は上海の頭をなでながらアリス達の元に歩いてきた。

そして先ほどの人形劇の話をし始めた。

悟飯ももちろんその話は知っている。

その簡単な話を聞きながらある人物のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟飯ちゃん。えれえ(偉い)学者さんになるためにはしっかりと読書もしなきゃならんべ。」

 

「はい!お母さん!」

 

「んだ。それじゃあ今日はこの【浦島太郎】を読むだ。しっかりと聞くんだぞ?」

 

そう言いながら女性は浦島太郎を読み始めた。

これは過去の記憶、悟飯のまだ幼き頃の記憶の片鱗だった。

悟飯は小さい頃は母親であるチチが学者にするべく様々な勉強をしていたのだ。

それは悟飯がまだ4、5歳だった頃からスパルタに教えてきたのだ。

だが、悟飯はある時を境にその母親とも会わなくなってしまった。

 

「くっ…うっ…うわあぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

【ボオォォォォオ!!!】

 

超サイヤ人への覚醒。

人造人間達が現れて次々と仲間が殺されていってしまった。

それはまさに地獄のような世界、人造人間達はその悪夢から逃げることも許さない。

しかし悟飯は逃げることが出来た。

超サイヤ人への変身を果たしたベジータは、人造人間達との戦いの末命を落とす。

しかし、その時にベジータは自身は一人で戦うと言い残し生き残ったクリリンとヤジロベー、そして悟飯を遠ざけた。

結果としてその三人は生き残ることが出来たのだ。

悟飯は師のピッコロが死んだことに絶望した、そしてベジータの気が消えたことにも…。

クリリンも圧倒的な実力を持っていた二人が殺された事に絶望していた。

が、諦めなかった。

唯一残った悟飯とともに修行をした。

チチが何度も戦う事なんてやめてくれと悟飯に泣いて頼み込む。

しかし、悟飯はそれに頷かなかった。

いや、頷くなんて出来るわけが無かった。

師匠や仲間達を殺した人造人間達を許せるはずが無かった。

それにクリリンがチチに向かって土下座をしながら頼み込んでいたのを悟飯は物陰から見ていたのだ。

 

「チチさん!!お願いします!俺に悟飯の修行を続けさせてください!!!悟飯は…あいつは【俺たち】の最後の希望なんです!あの悟空の血を引く…最強の血を受け継ぐサイヤ人の戦士なんです!!!」

 

「ダメだダメだ!!!悟飯ちゃんをそんな人殺しの前に出すわけにはいかねぇだ!!!悟飯ちゃんは私の大切な…悟空さの残した息子なんだ!!!絶対にそんなことはさせられねえ!!」

 

そのあと二人が何を言ったのかは覚えていない。

けれど、二人の言葉が自分の中で激しく衝突し合っていたのは覚えていた。

けれど彼は戦うことを選んだ。

その後人造人間達によってクリリンさんが殺された。

クリリンさんは人造人間達が暴れてるのに気づいた僕を気絶させヤジロベーさんに遠くに運ばせたのだ。

クリリンさんは一人で人造人間達に挑んでいき…殺された。

目の前が真っ白になった。目が覚めたらそこにはヤジロベーさんしかいなかった。ヤジロベーさんに何を聞いてもただうつむくだけだった。

すぐに探しに行った…けれど何も見つからなかった。

死体すらも…

泣いた。

ひたすらに泣いた。

それだけしか覚えていない。

あの時間違いなく悟飯自身の何かが変わっているのは覚えていた。

そして、目覚めたのだ。

悟飯の中の【超サイヤ人】が…

そしてその日から悟飯は家に帰らなくなった。

超サイヤ人になってすぐに人造人間達に立ち向かったが歯が立たなかった。

だからこそ自分を鍛えるために、お母さんに甘えないために、自ら戦場に生きることを決意したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…母さんは…無事だろうか…牛魔王おじいちゃんも…生きているだろうか…。)

 

「…ん……………は……ん……悟飯さん!」

 

突然の声にはっとして目を向ける。

するとそこにはアリスと魔理沙が心配そうにこちらのことを見つめていた。

どうやら昔のことを思い出している間にアリスの話が終わってしまっていたようだった。

 

「ご、ごめん二人とも。少し考え事をしちゃってたよ。」

 

そう言いながら笑みを作る。

分かりやすかった、あまりにも分かりやすかったのだ。

アリスと魔理沙にもそれが作り笑いであることはすぐに分かった。

だからこそ黙ってはいられなかった。

 

「何かあったの?」

 

「そうだぜ。何かあったなら話せば少し楽になるかもしれないぜ?」

 

そう言われた悟飯の顔が僅かにこわばる。

少し考えてからこう話し始めた。

 

「実は…今日元の世界に帰ろうと思っているんだ。まだ…紅魔館の手伝いとか、皆への償いだったりとか…まだ足りないかもしれないけど、僕は帰らなきゃいけないんだ、人造人間達を倒すために…あいつらを破壊するために…!」

 

その悟飯の顔に二人は恐怖を感じる。

あの顔だった。

初めて悟飯の対峙したときのあの怒りの顔だった。

あの時よりは激しくない物のそれでも恐怖を感じるくらいには怒りを感じることが出来た。

がすぐに少し寂しそうな顔になり、

 

「だから、アリスや魔理沙達にもまだ全然お詫びとか出来てないのが悔しくさ…本当にごめん。」

 

そう言いながら謝る。

それを聞いた二人は少し焦りながら、

 

「そ、そんなことで謝らなくても良いわよ。家の片付けとかも手伝ってもらっちゃったし…」

 

「そうだぜ!私の家なんてかなり散らかってたから本当に助かったんだぜ!おっと、でも帰る前に修行の計画とか教えてくれよ。自分なりに続けたいからさ。」

 

二人の反応は悟飯は戸惑っていた。

二人のことだから直接的には嫌みを言わないとは思っていたがまさか逆にここまで謙虚に、魔理沙に至っては本当に十分だと言っているようにも聞こえるほどに言われるとは思っていなかったのだ。

 

「ご、ごめん。ありがとう…っ!」

 

そう言いながら深く頭を下げた。

二人の前で初めて嘘をついた。

いや、嘘とまでは言い切れないのかもしれないが悟飯は確かにその思いがあるのも事実だ。

しかし、本当に心に秘めていたのは元の世界に対する感情が大半だった。

その後悟飯達は今までの数日のことを振り返りはなしながら博霊神社へと向かった。

そしてたどり着いた悟飯達だったが霊夢が何処にも見当たらずに悟飯は困ってしまっていた。

すると魔理沙が懐から1円玉を取り出した。

悟飯はそれに対して問をかけるが魔理沙は「まぁ見てろ。」と返すとそれを賽銭箱に向けて投げた。

 

【チャリーン!】

 

小さな音が響くと同時にドタドタと何かが走ってくるような音が聞こえる。

そして音がしてから僅か1秒ほどで神社の扉が大きな音を立てながら開かれ中がから霊夢が飛び出してきた。

悟飯はその様子を見て目を丸くする。

アリスと魔理沙はまるで見慣れているかのように軽く挨拶をする。

すると霊夢は少し睨み付けるように魔理沙を見た後に悟飯を見つけるやいなや大きなため息をつく。

そしてアリスと魔理沙、そして悟飯を小さく睨み付けるとまた大きなため息をついた。

 

(…俺は何もやってないんだけどなあ…)

 

心でそう呟く悟飯をよそに魔理沙は霊夢に向かって元気に挨拶をする。

アリスも軽く挨拶をする。

悟飯も霊夢に対して礼儀正しく挨拶をする。

そんな三人を見て3度目の大きなため息をつくと頭をかきながら神社の方に向かって誰かを呼ぶような手招きをした。

 

(…そろそろ来るとは思っていたけど…面倒くさいわねぇ…)

 

「れ、霊夢さん。実は…」

 

「あぁ、分かってるから言わなくて良いわ。元の世界に戻りたいんでしょ?それについても話があるけれどその前にちょっとあんたに会いたいってやつがいるのよ。」

 

悟飯は少し驚いた表情を見せる。

霊夢は恐ろしいほど勘が鋭い…いや、悪い予感だけならば下手をすれば1種の未来予知とも言えるほどに鋭いのだ。

霊夢に呼ばれたであろう人物が扉から出てくるが、その姿を見た悟飯は思わず首をかしげた。

が、魔理沙とアリスは目を丸くしていた。

 

「レイム~?」

 

とても小さな子どもだった。

が、見た目には似合わない大きな角の生えた子どもだった。

するとその子どもは悟飯を見ると目を輝かせながら走り寄ってきた。

その子どもは物珍しそうに悟飯を眺めながらぐるぐるとその周りを回り始めた。

その様子を少し困ったような様子を見せながらも微笑む悟飯。

しかし次の瞬間悟飯の顔は一気に変わった。

即座に後方に飛び退くとその女の子から距離を離した。

すると霊夢、アリス、魔理沙の三人は少し驚いたような様子を見せ、女の子は瞳を怪しく光らせた。

少ししてから悟飯は自分のしたことに気づく。

 

「…ご、ごめんよ!き、君がいやだとかそういうわけじゃ無かったんだ!!」

 

必死に謝る。

が、周りの人たちはどうも悟飯の想像していた様子とはかなり違った。

 

「いや~こりゃあ随分な実力を持った人みたいだねぇ。」

 

女の子は大きく笑い声を上げるとすぐに霊夢に目線を向ける。

すると霊夢はため息をつきながらこう説明した。

どうやらこの子は【萃香】と言うらしくこの幻想郷に住む鬼の種族のうちの一人らしい。

鬼はかつてこの幻想郷を支配するほどの実力持っており、その力は未だ衰えていないという話も聞いた。

そして肝心な部分がここである。

 

「お、俺と戦いたい?」

 

萃香は悟飯と弾幕勝負ではなく肉弾戦で戦いと申し出てきたのだ。

幻想郷のルール、弾幕ごっことは一体何処へ行ったのやら…。

もちろん悟飯は始めは拒否をした。

これから元の世界に戻り、人造人間達と戦わなければならないのに少しでも無駄な力の浪費は控えたかった。

だが…

 

(あれほどの気…この幻想郷に来て…いままでで1番大きな力を隠している気だった…。この人(鬼)は…かなり強い…!)

 

大きな力を隠しているであろう萃香を前に悟飯は興味を持ってしまっていた。

結局、萃香の勢いに負けて悟飯は霊夢の創り出した結界の中で対決をすることになってしまった。

 

「ルールは単純。相手を殺したら負け、戦闘不能になったら負け、降参したら負け、結界を破壊しても負け。この四つのうちのどれかでも相手に取らせれば勝ちよ。」

 

霊夢の言葉に無言で頷く悟飯とは対照的に、元気に返事をする萃香。

やはりどう見てもただの小さい子どもだった。

が、悟飯の先ほど感じた気は間違いなく本物だったことは理解していた。

二人は静かに霊夢の創り出した結界の中に入っていく。

それを外から心配そうに見つめるアリスと霊夢。

しかし魔理沙の様子だけは違い、何処か楽しそうな期待を込めた目をしていた。

 

「…あなた、なんで楽しそうにしてるのよ…」

 

あきれ顔でそう聞く霊夢に魔理沙は笑みを見せながら、

見れば分かると答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いに結界内に入り正面を向き合い対峙する。

悟飯は挨拶を済ませると、すぐに構えを取る。

萃香は挨拶を言われたことに少し戸惑いながらもそれにおう!と返事をしてから悟飯に対峙し直した。

 

(構えないのか…?)

 

「それじゃあ…始め~。」

 

霊夢のかけ声(やる気なし)が神社にこだまする。

次の瞬間、萃香はスゴいスピードで悟飯に急接近する。

予想を超えるスピードに悟飯は僅かに反応が遅れる。

萃香は拳を力一杯振り上げて悟飯の顔めがけて振り下ろした。

が、悟飯はなんとかそれを紙一重で躱す。

萃香は大きな音を立てながらゆっくりと静止する。

すると先ほどとは全く違う笑みを悟飯達に見せた。

その笑みは…

 

「よく躱したなぁ。あれでも私の中でのかなりのスピードを出したつもりなんだけどねぇ。」

 

(…戦いを楽しんでいるときの父さんと同じ眼だ…)

 

そう思いながら再び構え直す。

萃香も八重歯を見せながら笑うと再び突撃体制を取る。

一瞬の沈黙。

またもそれは萃香によって破られる。

萃香はさっきとまるっきり同じように突撃してきた。

一度そのスピードを躱されてる相手に同じ攻撃を二度続けて行うのは愚策だった。

悟飯は紙一重で躱すと萃香の手首を掴み思い切り投げ飛ばす。

そしてそこに向かって気合い砲を放った。

空中で体制を立て直そうとした萃香だがそれよりも先に悟飯の気合い砲が直撃し、そのまま結界の壁に激突した。

が萃香は少し後頭部を押さえるだけでほとんどダメージは無いように見えた。

そして悟飯の方を見ると再び笑みを見せる。

次の瞬間萃香から醸し出す雰囲気が一気に変わった。

悟飯もその様子に思わず身震いをしてしまった。

結界の外にいる霊夢達にはいまいち感じられないが同じ空間にいる悟飯はビリビリと伝わってくる萃香の威圧感に驚きを隠せなかった。

咄嗟に悟飯は飛び出した。

攻撃させてはならない、と悟飯の勘がそう言っていたのだ。

悟飯は右腕を振りかぶるとそのまま思い切り萃香に向かって突き出した。

萃香もそれに対して左拳を力一杯ぶつける。

結界の外に響き渡るほどの轟音と結界を揺るがすほどの強力な衝撃波が二人の拳から放たれる。

二人はお互いに笑みを見せながら力勝負へと持ち込んだ。

 

「…な、なんてでかい轟音だよ…。結界の外までこんなでかい音が届くなんて、中じゃ一体どうなってんだよ…。」

 

魔理沙が驚愕しながら呟くようにそう言うと、霊夢が

 

「音は別に遮るようにはしてないわよ。その方が二人の実力をより正確に見極められるから。」

 

と結界を見ながら答えた。

 

(それよりも…結界が揺さぶられるほどの威力がこんな始めの方で出せるなんて…。いくら私が割と本気で結界を作ってると言ってもこんな馬鹿みたいな力そう何発も受けてられないわよ!!)

 

お互いに互角の力で均衡が続く。

が、悟飯は自分の手を引き萃香の体勢を崩す。

そして再び手首を掴もうとするが、萃香は体勢を崩しながらも無理やり悟飯に一歩踏み込み右手を大きく振り回した。

悟飯はそれに反応できずにモロに左頬に喰らい、大きく吹き飛ばされる。

萃香は体勢を立て直すと吹き飛ばされている悟飯に向かって地面を一蹴りして超低空の跳躍をして突撃する。

悟飯も体勢を立て直して地面に足をつけてブレーキをかける。

すぐに視線を萃香に戻すが萃香は既にすぐ目の前に迫っていた。

萃香は右拳を悟飯の腹に向かって思い切り突き出す。

悟飯は辛うじて右手で受け止めようとする。

が、攻撃が思っていたよりも重く受けきれないと判断した悟飯は辛うじてその攻撃をいなした。

萃香は壁に大きな音を立てながら着地すると、すぐさま壁を蹴り出して悟飯に迫り来る。

悟飯は一度距離を取って体勢を立て直すため、空中へと飛び上がる。

萃香の拳は初めて悟飯をとらえることなく空を裂く。

萃香は止まるとゆっくりと悟飯を見上げる。

悟飯はゆっくりと降りてきて地上に足をつける。

想像以上だった。

萃香が強い者だと分かってはいた。

だがこれほどまでの力を有しているとは思っていなかったのだ。

だが悟飯の顔は困惑するような様子はなく、むしろ…

 

「萃香。君は実力をまだまだ隠してるだろ?俺に見せてくれよ。君の力を!」

 

そう言いながら楽しそうな笑みを浮かべる。

萃香もそれにつられて笑みを見せる。

 

「そういうことは今のあたしの力に圧倒してからにしな!!!」

 

そう言いながら真っ正面から突撃してくる。

今度は悟飯もしっかりと構えた状態で立ち塞がる。

 

「そうだね。ならまず…!」

 

そう言いながら悟飯は萃香の目の前から消えた。

萃香は驚きながら周りを見渡すが悟飯の姿は見当たらない。

すると自分の頭上から声が聞こえてきた。

 

「その恐ろしいスピードから攻略するよ。」

 

そう言いながら萃香の後頭部を思い切り殴りつけた。

 




鬼VS宇宙人ですが…あれ?悟飯が弾幕勝負するのいつ?


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第21話 変幻自在の身体。悟飯起死回生の一手

お久しぶりです…
今回は後書きに今後のことが書いてあるので確認お願いします。


萃香は地面にたたきつけられる。

すぐに起き上がり頭上を確認するが既に悟飯の姿は見当たらない。

が、萃香はすぐに自身の右の頬に手の甲を向けて持ってくる。

すると次の瞬間恐ろしい速度で悟飯の拳が萃香の右の手のひらへと叩きつけられた。

萃香の表情は先ほどの攻撃を受けてから険しいものへと変わっていた。

すぐに悟飯に向けて右拳を構えるが再び萃香の視界から悟飯が消える。

咄嗟に顔の横に左腕を構えるとそこに悟飯の鋭い突きがとんできた。

片手では押さえきれないと判断した萃香は右手で左腕を内側から押さえて防ぎきる。

萃香が反撃しようとしても悟飯はすぐに消えてしまい、早く鋭い一撃が萃香をとらえてしまう。

萃香はそれに対して防御することで精一杯の状況になっていた。

 

「ちっ!!」

 

萃香は悟飯の攻撃を防御してすぐに反撃をせずに一度スゴいスピードで距離を取る。

しかし悟飯の姿が見えない以上距離を取ったところで反撃のチャンスにはならなかった。

萃香が着地して構え直した瞬間背後から何かの気配を感じ取る。

振り向こうとするがそれよりも先に、

 

「遅いぞ!!はぁ!!!」

 

悟飯の蹴りが炸裂する。

蹴り飛ばされた萃香はそのダメージに怯むかと思いきや、すぐに結界を強く蹴り出して悟飯の方へと超スピードで突撃してくる。

右拳を高く振り上げ、そして強く振り下ろす。

悟飯はそれを紙一重で躱す。

が、その凄まじい一撃は結界全体を揺るがすほどのエネルギーを持っていた。

その衝撃に悟飯は僅かに怯む。

その一瞬を萃香が見逃すはずもなく、すぐさま鋭い蹴りを突き出す。

悟飯は右手でそれを受け流すが先ほど同様凄まじい力が結界を揺るがし、悟飯自身にもその衝撃が伝わる。

 

(直接受け止めてないっていうのに、ここまでの衝撃が伝わってくるなんて…なんてパワーだ…っ!)

 

悟飯はすぐさま萃香と距離を取り離れる。

が、萃香も逃がすまいと一瞬にして距離を詰める。

萃香が再び拳を振り下ろすがそこには悟飯の姿はなく、萃香の視界にもとらえることが出来なかった。

悟飯が萃香から10㍍ほど離れた場所に現れる。

萃香はゆっくりと悟飯の方へと振り返る。

悟飯もゆっくりと構え直す。

先ほどまでの激しい攻防から一転、お互いに動き出さない静かな状態へと変わる。

お互いの頬に汗が伝う。

その静寂がある言葉によって破られる。

 

「本質は…強大な力…。」

 

それに反応した萃香はすぐさま悟飯に突撃する。

右拳を突き出すが悟飯はそれをしゃがんで回避する。

が、それを読んでいたのか萃香は既に左拳を振り上げていた。

悟飯も素早く反応し、右側へと数㍍ほど跳躍して回避する。

萃香の拳は結界へと直撃し、全体にスゴい衝撃を与える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…なんてパワーだよ…。ここまで衝撃が伝わるなんて普通じゃないぜ…。」

 

魔理沙がそのあまりの凄まじさに信じられナイトばかりに首を横に振っていた。

それはアリスも似たような様子でただただ呆然と結界内を見つめるだけだった。

霊夢は結界を少しでも強固にするため霊力を結界に流し込んでいた。

が、結界の強度は生成時にほとんど決まる。

生成時の霊力が強く結界のレベルが高ければ高いほど強度は増すが、あとからの補強は生成時と比較して半分ほどにしか強度を上げることが出来ない。

 

(…あいつら…少しは手加減ってものを知りなさいよ!!にしても…)

 

霊力を込めながら霊夢は結界内の二人の戦いに目をこらす。

 

(あれが鬼の本気の戦闘…いや、本来の姿というべきかしら。そして、それと互角【以上】の戦いが出来るサイヤ人。)

 

そして紫との会話を思い出す。

 

(相手を殺せる覚悟よ。)

 

今の萃香と悟飯の戦いを見ているとそれを実感せざるを得なかった。

 

(あれほどの相手を私は殺せるの?いや、そんな必要なんてない…悟飯さんはそんなことをしなくても…)

 

【甘えてる。】

 

(!!?)

 

その声に驚く。

自身の耳ではなく心に直接響いてくるその声。

その正体は分からなかった。

が、その声はひたすらに霊夢に話しかけてくる。

 

【あいつの力を目の当たりにして、力が及ばないと確信したから殺す必要がないと思い込みたいだけでしょ?】

 

(そ、そんなことないわ!!)

 

そんな声をかき消すように叫ぶ。

が、その声は決して消えることはない。

 

【目の前にいるのはサイヤ人。数々の星を滅ぼしてきた戦闘民族よ?なら警戒しなければならない相手。そしてそう言ったのは他でもないあなた自身よ?】

 

(だから警戒を…!【今していたかしら?】っ!!!)

 

 その言葉に霊夢の言葉は止まってしまう。

 

【今あなたは孫悟飯なら殺さなくても大丈夫と思ったわね?それこそがあなたの油断よ。いえ、正確に言えば悟飯は殺せないから敵対したくない、って事を自分の都合のいいようにねじ曲げたものかしらね?】

 

(い…いい加減にして!!!)

 

そう叫んだ瞬間意識が心から現実へと一気に引き戻される。

そして結界内の衝撃や音が一気に霊夢に伝わってくる。

再び意識を結界の補強へと集中させる。

 

(…そんなこと…)

 

が、その心での会話を拭いきれているわけではなくどこか不安のある状態が続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右に躱した悟飯に対してすぐに距離を詰めて接近する萃香。

しかしそんな萃香に対して悟飯はある言葉を放った。

 

「確かに君のスピードは凄まじい。だけどそれは純粋に速度があるだけで、真のスピードじゃないよ。」

 

萃香が接近するのに合わせて悟飯も距離を詰める。

萃香は左足で回し蹴りを繰り出すが悟飯はそれを受け流すと右肘で萃香の左脇腹を捉える。

萃香は一瞬怯むがすぐに右拳で反撃しようとする。

が、その怯みを悟飯が見逃すはずもなく、左足で足払いをする。

完全に体制を崩してしまった萃香。

 

「確かにスゴいスピードだけどその本質はその恐ろしいほどのパワーだ。なら、君は細やかな動きにスピードを加えることが出来ない。」

 

悟飯はさらに体制の崩れた萃香の背後へと回り右拳を振り上げた。

体制の崩した上でのさらに無防備の背後からの攻撃。

萃香には躱せる方法などなかった。

はずだった。

悟飯が拳を振り下ろすとそこから萃香の姿はまるで消滅でもするかのように消えてしまった。

 

「なっ!!?」

 

悟飯の拳は結界へとたたきつけられる。

そのパワーは凄まじく結界全体がミシミシと音を立てる。

 

「あのバカっ!!補強してなかった結界なら下手すりゃ壊れてたわよ!!」

 

と怒り狂ったような叫び声を上げる霊夢だがそれは悟飯には届かない。

悟飯はある場所を向く。

するとそこにいなかったはずの萃香が突然現れる。

 

「今のは躱せないはずだ。一体どうやって躱したんだ?」

 

悟飯は萃香を睨み付けながらそう質問した。

萃香は挑発的な笑みを浮かべながら、

 

「この幻想郷には能力を持ったやつがうじゃうじゃといるんだよ。私の今の力も能力さ。まぁ教えやしないけどね。」

 

そう言いながら再び萃香の姿が消える。

悟飯はすぐに気を探り始める。

が、結界内にいるせいか中々見つけることが出来ない。

そう探っている時、背後に何かの気配を感じる。

すぐにすぐに左足で後ろ回し蹴りを繰り出すがそこにあったはずの気配は消え、蹴りは空を裂くだけだった。

が、そこである物を目にする。

 

(…霧か?)

 

悟飯が蹴りを繰り出した場所には気配のあった物の代わりに霧のような何かが立ちこめていた。

がそれはすぐに消えしまう。

元々悟飯達は気で相手の居場所は行動だったりを探ることが出来る。

が、悟飯は気を持たない人造人間達と戦っていたため通常の戦士達よりも視力と動体視力が段違いに高くなっていた。

そのため僅かなその霧も見逃さなかった。

再び姿が消えたため気を探る。

すると今度は自身の右側により鮮明に気を感じることが出来た。

 

「そこだあ!!!」

 

悟飯が鋭い正拳突きを、突き出すがそこにはまた先ほど同様に霧があるだけだった。

そして逆に左側から強い衝撃を受ける。

悟飯は大きく吹き飛ばされて結界の壁に激突する。

頭を抑えながら立ち上がり、確認するとそこには萃香の姿があった。

悟飯はそれを見てなぜか笑みを浮かべた。

そして萃香の前まで歩いて行くと、

 

「来いよ。」

 

そう言った。

萃香はそのセリフに驚いたように目を丸くするがすぐに先ほどの挑戦的な笑みを浮かべると、

 

「当たり前だよ。」

 

そう言って再び姿を消した…いや、霧になって消えた。

そう、悟飯はこの仕組みに感づいたのだ。

 

(萃香さんの能力は恐らく自身の姿を霧のように分散させることが出来る能力。恐らく能力その物がそれというわけではないだろうが少なくとも自身を霧にする事が出来る能力であることは確かだ。ならば…)

 

先ほどと同じ状況になる。

再び悟飯の背後に気が現れる。

悟飯はそれにすぐさま反応し振り向くのその霧に向かって気合い砲を放った。

今度の霧は散乱することなく結界の底へとたたきつけられる。

悟飯はすぐに振り向くともう一度気合い砲を放った。

 

「はあぁ!!!」

 

「なっ!?」

 

霧になっていた萃香は気合い砲で散乱することなく壁に叩きつけられる。

そして霧から元の身体へと治る。

が、その萃香には左腕だけがなかった。

 

「やはり、身体を霧にするだけでなく一部を切り離して使えたみたいだな。」

 

「気づくのが少し早すぎるよ戦闘民族。」

 

そう言いながら身体のほこりを払う。

そして始めの一撃で結界の底に叩きつけられた霧を自身の左腕に集めるとそれが腕に変わった。

そしてまるで独り言のような小さな声で話し始めた。

 

「私の能力は【密と疎を操る程度の能力】って言ってね、中々面白い能力なんだよね…。」

 

そう言うと萃香の身体はどんどん巨大化していく。

その光景には流石の悟飯を驚きを隠せるはずもなく目を見開いてそれを見つめるしかなかった。

結界の半分を占めるほどの大きさになると巨大化が止まる。

そして底にいる悟飯を萃香が睨み付けると恐ろしく思えるほどの笑みを浮かべるとその巨大な足を持ち上げて悟飯を踏みつぶそうとする。

悟飯はすぐさま離れるが何しろ元々さほど広くはない結界をさらに半分まで制限されてしまったのだから悟飯の行動できる範囲が異常に狭くなってしまう。

さらに巨大化した分破壊力も上がっており、拳一発で結界全体が音を立てているのが分かった。

 

「まさかこんなことが出来るなんて…本当に幻想郷の人たちはスゴいな…!!」

 

「そりゃあそうさ!なんてったってここは幻想郷!あらゆる種族が共存する理想郷と言って良いんだからね!」

 

そう言いながら拳を振り回す。

一振りで辺りに凄まじい風を巻き起こし、悟飯の行動を制限する。

その風圧は悟飯でさえも油断すれば吹き飛ばされそうになるほどだ。

再び萃香の拳が悟飯へと迫る。

先ほどのように躱すがその悟飯の表情からは余裕を一切感じられなかった。

その恐ろしい風圧は悟飯の身体を強く押さえつけて自由に行動できなくしていた。

なんとか躱すことが出来たものの、その凄まじい風圧に吹き飛ばされる。

すぐに空中で受け身を取るが、何度も拳を振るわれただに結界内では凄まじい乱気流のようになってしまっていた。

そんな中でもまるで何も感じないかのように萃香の拳が悟飯に向かってから振り下ろされる。

凄まじい風圧に動けなくなってしまった悟飯は躱せないと判断するとすぐに腕を自身の前に持ってきてガードをする。

が、その凄まじい拳は悟飯を捉えると結界へと叩きけた。

 

「ぐっ!!」

 

悟飯の背中で結界がミシミシと音を立てているのが分かった。

とてつもなく重い一撃だった。

その一撃は悟飯に確実なダメージを与えていた。

萃香が拳を上げると解放された悟飯は片膝をつきそのダメージに顔をしかめる。

 

「確かにあんたの言う通り、鬼の本質は力だよ。だけどね、それだけじゃ幻想郷(ここ)を支配するなんてとても出来やしないさ。いくら力が強くても相手に当たらなきゃ意味ないし、ましてや弾幕が存在する以上接近戦ってのはふりでねえ。馬鹿正直なだけじゃ恐れられたりはしないよ。」

 

そう言いながら鋭い目を悟飯に向ける。

悟飯はその視線に対して笑みをこぼす。

先ほどまでとは違い、今度は挑戦的な笑みだった。

 

「確かに…ただでたらめに拳を振るってたわけじゃないようだし、今の一撃でその乱気流さえ消し飛ばしてた。」

 

そう言われた萃香は少し驚いたように目を丸くするがすぐに声を上げて大笑いし始めた。

 

「アハッハッハッハッハ!流石だよ!こんな早くに見抜かれるなんてさ!!」

 

「あぁ、これでも小さい頃は色々と親に勉強を教わってたからね!分析だったりは得意なんだよ。」

 

そう言いながら気を解放して白い炎のようなオーラを纏う。

悟飯は萃香に向かって飛び出していき、萃香は悟飯に向かって一歩踏み出す。

 

「「はあぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」」

 

互いが互いに向かって全力の拳をぶつけ合う。

辺りに凄まじいぶつかり合いは強力な衝撃を放ち、結界の外にいる霊夢達にも伝わってくる。

 

「なっ!結界からこんなところまで衝撃が伝わってくるのかよ!?」

 

「そ、そういう問題じゃないと思うわよ!」

 

魔理沙とアリスがその衝撃にふらつきながらそう言うと霊夢が、

 

「そうよ!結界は音は通すけれども衝撃やダメージを通さないようにしてるはずなのにそれを越えてくるって事は完全にもう私の許容範囲じゃないって事よ!!」

 

霊夢の悲痛な叫び声…いや、確かに悲痛な部分もあるのだが霊夢の顔を見る限り悲痛と言うよりは…

 

「…お、鬼もう一人いるんだぜ…。」

 

最早怒りで我を忘れそうなほどの怒号にも感じられた。

 

「ぐあ!!」

 

「うおっと!!」

 

悟飯はその衝撃に大きく吹き飛ばされて壁に激突する。

一方萃香は後ろに大きく一歩後ずさっただけだった。

それを見た魔理沙達は改めて鬼の恐ろしさを痛感していた。

言葉にこそ表さないものの三人の身体は小刻みに震えていた。

悟飯が立ち上がると萃香はまだまだ楽しそうな笑みを浮かべながら拳を振り上げる。

 

「そろそろ力の差が出てきたんじゃないか?でもこれだけ楽しめるなんて思ってすらいなかったよ!!次はもっと楽しませてくれよ!!!」

 

そして拳を振りかざすが狙いを定める悟飯の顔を見た萃香の目は見開かれる。

 

(父さんみたいな事も言うんだな…。戦いが好きで…強いなんて…。)

 

悟飯は笑みを浮かべていた。

瞳こそは影で隠れて見えなかったがその頬にはえくぼがくっきりと見えていた。

 

「【オラ】に二度同じ手は通用しないよ。」

 

そう言った悟飯が萃香の視界から消える。

萃香の拳は空を裂き、標的を見失ってしまう。

萃香はすぐに悟飯を探し出そうとするがそんな時後ろから大きな叫び声が聞こえてくる。

 

「はあぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」

 

次の瞬間、大きな音とともに萃香は右膝の後ろにとてつもない衝撃を受ける。

悟飯が右の膝裏を蹴り飛ばしたのだ。

バランスを崩すまいとなんとかこらえようとする萃香だがすぐに悟飯は左脚にも回り込み同じように左の膝裏に回し蹴りをたたき込む。

両足を崩された萃香はもちろん耐えられるはずもなく地面に尻餅をついてしまう。

すぐに萃香は自身の背後を確認するがそこに悟飯の姿はなかった。

 

【バチバチッ!!】

 

萃香の頭上からなにやら火花のような電気のはじける音のような何かが聞こえてくる。

すぐさま振り向く。

右手の掌をデコのまえに持っていき、その掌には強力なエネルギーが込められているのが分かった。

悟飯だった。

萃香が何か行動を取ろうとするがそれよりも先に大きな叫びが辺りにこだまする。

 

「魔閃光!!!!!」

 

萃香の身体すらも覆い隠すほどに巨大なエネルギー波が無防備な萃香に襲いかかる。

その凄まじいほどの大きさのであるため光も恐ろしく強く、結界内はまばゆい光で最早見ることが出来なくなっていた。

 

「けっ…結界の中が何も見えないぜ!!」

 

「あれほどの強大なエネルギー波をまともに受けたらいくら鬼でも…!」

 

全身に魔閃光を喰らう萃香は直撃であるがためか、全く抵抗できないほどに追い込まれつつあった。

 

(…マズい…。このままじゃあ完全にやられる…!!)

 

力を振り絞り自信の巨大化させていた身体を元の大きさに戻す。

すると萃香へのダメージは確実に軽減されていることが自身にも手に取るように分かった。

 

(魔閃光を受ける面積を減らしてダメージの軽減か?だけど魔閃光の威力は変わらない以上萃香さんは動けない!!)

 

が悟飯は萃香の変化を気にとめることなく魔閃光を放ち続ける。

結界にも限界が近いようでいやな音が徐々に大きくなっていく。

次の瞬間結界内に強い衝撃が走る。

驚いてすぐに萃香の気を確認する。

すると萃香は右拳を前につい出した状態になっていた。

凄まじい拳圧で魔閃光を押し返したのだ。

とはいえ流石に1発では完全に推し勝つことは出来ずに再び魔閃光が萃香へと迫り来る。

萃香は次に左拳を握り締めてめいっぱいの力を込める。

結界に足の指の力だけで傷が入るほどのパワーを全身から奮い立たせる。

 

「うっ…らあぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

 

凄まじい一撃が先ほどの一撃で不安定になった魔閃光を貫き結界へと叩きつけられる。

凄まじい轟音が辺りに響き渡り、霊夢達は流石にこれ以上は危ないと判断してすぐさま結界に向かって走り始める。

萃香は拳圧をぶつけた場所を確認するがその視界に悟飯を捉えることは出来なかった。

目を見開く萃香だがそのすぐ真下に何かの存在を感じる。

もう目で見る必要すらもなかった。

 

(孫悟飯か!!?)

 

魔閃光と拳圧のぶつかり合いによって二人の間に生じた力でお互いの姿は確認できなくなっていた。

それを利用して拳圧が魔閃光を貫くタイミングに合わせて萃香の懐へと高速移動したのだ。

萃香は悟飯を確認するよりも先に反射的に右拳を突き出した。

萃香は何をするよりも先に反射的に悟飯に対して反撃しようとしたのだ。

しかし悟飯はそれを左に紙一重で躱す。

右頬をギリギリで掠めずに完全に躱した悟飯はそのまま萃香の頭をわしづかみにする。

そして悟飯は気を解放し、そのまま力一杯に結界の底へと萃香を叩きつける。

 

「あっ…ぐがぁ…っ。」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」

 

萃香は悟飯の手首を掴んで引きはがそうとするが、悟飯の腕は全く動かない。

 

【ゴシャッ!】

 

「「!!?」」

 

次の瞬間結界に嫌な音が響く。

ついに結界が二人の戦闘についてこれなくなり、致命的な傷が入ってしまう。

それに驚いた悟飯の手から力が抜ける。

その一瞬の好期を萃香は見逃さなかった。

すぐに右手の手刀で悟飯の肘窩(ちゅうか)を叩き悟飯のバランスを崩す。

がそれでもまだ悟飯の手は萃香の顔を離さなかった。

すぐに萃香は左手で悟飯の右手首を思い切り握り締める。

その力は凄まじく悟飯がその痛みに怯み掴んでいた手の力が緩む。

そのまま左手で悟飯の右手を顔から離すと同時に悟飯の胸ぐらを右手で掴む。

悟飯も体勢を立て直そうとするがそれよりも僅かに萃香の方が早かった。

 

「おらあぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」

 

今度は萃香が悟飯を結界の底に叩きつける。

それと同時に結界に響き渡る嫌な音。

そしてついに、

 

【バキバキバキッ!!!】

 

結界が音を立てて崩れる。

結界が崩れたことで体勢を崩した二人はすぐに互いに手を離して空中で回転し、体勢を立て直してから地面へと着地した。

悟飯は少し驚いたような顔をしながら萃香の方へと振り返る。

 

「萃香…なんで……、」

 

そう言いかけた悟飯だがとある怒号がそれをかき消す。

 

「何やってんのよあんた達はー!!!!!」

 

そのあまりの大きさに悟飯も萃香も唖然として霊夢を見つめることしか出来なかった。

その霊夢の表情はまさに鬼とも言えるようなほどに鬼気迫るものだった。

それを追うように後ろから魔理沙とアリスが追いかけてくるがそんなことは悟飯と萃香は気づかない。

 

「結界を壊すな…壊したら負けだっていったのに、そんなものお構いなしに馬鹿みたいに力思い切り奮って!!!あんた達には自重って言葉がないのかしら!!?」

 

と怒り狂ったように叫ぶ霊夢。

悟飯は何も言い返せずに目をそらし、萃香は俯く。

後ろからやってきた魔理沙とアリスがようやく追いついて霊夢をなだめるも、その怒りは凄まじいようで全く収まる気配はない。

そんな中である人物が話し始める。

 

「悟飯…!」

 

その言葉に気がつき振り向くと真剣な顔つきの萃香が悟飯のことをまっすぐに見つめていた。

悟飯もそれに返すように真剣な目つきになる。

 

「この勝負はお前の勝ちだ。結界を壊したのはあたしだからね。」

 

「なっ!?それは違う!結界に最初に壊れるほどの致命傷を与えたのは俺…「だが壊したのはあたしだ!!」…!?」

 

悟飯の言葉を遮るように萃香が強めに言い放つ。

 

(もしあの時結界が壊れてなくてもあの状況から逆転する手立てなんてなかった…!)

 

萃香は拳を握り締める。

弾幕勝負ではなく純粋な拳の、近接戦闘での勝負に鬼である萃香が負けを認めざるを得ない状況にまで追い込まれたのだ。

鬼としてのプライドがそれを許そうとは出来なかったが、それを認めないほど愚かではないと自身に言い聞かせる。

 

「あんたの勝ちだ…結界を壊したやつの負けなんだから、最後に壊したやつの負けなのさ…。」

 

萃香の顔は俯いてしまい悟飯には表情がよく見えない。

だが、萃香が何を思っているのか全く分からないわけではなかった。

 

「分かった…この【勝負】は俺の勝ちにさせてもらうよ。」

 

そう言いながら萃香に背を向ける。

一歩歩き出そうとしたとき、まるで何かを思い出したかのように少しだけ振り向く。

 

「でも【次は勝つ】よ。」

 

そう萃香に言った。

萃香は目を見開いて悟飯を見る。

悟飯は一切振り返ることなく霊夢のところへ行っていた。

なぜ悟飯が萃香に対して勝ったはずなのに次も勝つ、と言ったのかは萃香には完全には理解できなかった。

しかし、

 

「ははっ…おかしなやつだなぁ…。勝ったって言ってたのに次は勝つとか、お前面白いな!!!」

 

そう言いながら悟飯の背中に突撃していく。

突然のことに悟飯も対応しきれるわけもなく霊夢達に倒れ込む。

 

「次はあたしが勝つ!!悟飯にはもう二度と負けないよ!!!」

 

そう言いながら満面の笑みを見せる。

それを見た悟飯もつられて笑みを浮かべる。

 

(まぁ、次戦うときはあたしじゃなくて勇儀だから正確に言えば次の次か。)

 

その後萃香と悟飯は下敷きとなった3人にこっぴどくしかられたことは言うまでもない。

 

 

 

 

 




どうも!弾です!
前書きでも話しましたが、今回は今後のことについて少しお話が。
投稿ペースが酷い遅さであることは自覚しています。
大変申し訳ありません。
なんでこれを少しでも解消するべく、1話分の文字数を減らそうと思っています。
1話の内容がかなり薄くなりかねませんが投稿ペースを少しでも上げるつもりです。
これでペースやモチベが上がらないと…中々にこちらのメンタルやらがキツいので…
下手をすれば失踪とかも視野に入ってきます。
もちろんするつもりなどありませんが状況によってはせざるをえないことも事実です。
少しでもモチベーションやリアルの時間などが取れるように頑張りますので待ってていただけると幸いです。
これからも本作品をよろしく願いします。


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