短編集 (りょと)
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ランク4の住まう地に 《遊戯王OCG》

どうも、《平凡なデュエリスト》です。

今回は私がTwitterをやっている時に、ふと思い浮かんだネタ、《遊戯王モンスターによる会話》についてやっていこうかと思います。

なお、今回の話で完結となりますので、続編は恐らくありません。

まあ、本編の気分転換って所です。なお台本形式となっておりますので、苦手な方はご了承下さい。

では、短いですがお楽しみ下さい。


《遊戯王デュエルモンスターズ》、カードゲームの中でもかなりの売り上げを誇るそれは、プレイヤーが魔法使いとしてモンスターを戦わせ勝敗を決めるというものであり、古くから物事の解決策とされて採用され続けていた。

今回皆さんがご覧になりますのは、彼らが繰るモンスター、その中でも最高クラスの性能を持つ《ランク4エクシーズモンスター》が住まう不思議な村、その日常について────


ライトニング「……眠い」

 

フレシア「奇遇ね……私もよ」

 

カステル「お前らちゃんと休めよ~

倒れたら元も子も無いんだぞ」

 

ライトニング「そうだな。

ルーラーみたいに働きすぎて倒れたら意味無いし」

 

フレシア「かと言って働かな過ぎても私達の給料が下がっちゃうもの……」

 

ビュート「確かに、流石にあれはちょっと……な」

 

イルミネーター「やべぇわ、手札交換超楽しい、流石三体も使って出てくるだけあるわ俺。

しかもこの強さでストレージに置いてあるから格安、まさに強さと手に入れやすさを両立させた完璧なモンスター、それが俺!」

 

101「昔は一応正気を保ててたんだがな……安いのに慣れるとこうなるのか……」

 

ホープ「ここはまだいいんじゃないかの。」

 

ライトニング「爺さん!?」

 

ホープ「他のランクも競争が激しい。そもそも環境クラスでは採用すら危ういランクだってあるそうじゃの。

儂と同期のガンテツ爺とグレンのがそう言ってたから多分本当じゃろ。

グレンのがいるランク3は最近儂と同じニーゴー打点に変われるモンスターとかが出てきて更に競争が激化してるらしいのぅ。

ガンテツ爺のランク2に至っては寧ろ競争を止め縁側でお茶を飲むような所になってるそうじゃ」

 

フレシア「凄い所ね……」

 

ライトニング「そう言えば俺は追い出される前元々ランク5の所にいたけど、丁度プトレがぶっ倒れる前だったからかな、凄く荒れてたぜ」

 

ビュート&カステル「そのランク5から追い出されるほどなのかお前……

おっと、出勤命令が出たからちょっくら行ってくるわ。」

 

101「お、がんばれよ~」

 

ビュート「おう、『全て壊すんだ』してくるぜ」

 

カステル「デッキに戻りたいのは誰かなァ!

裏側になりたいのは誰かなァ!」

 

フレシア「彼、出番になると性格変わるわね……」

 

ライトニング「敵として当たりたくないな……」

 

マエストローク「……カステル、居なくなりましたか?」

 

101「マエストロ、どうかしたか?」

 

マエストローク「いや、私の能力も裏側にするだけじゃないですか。

だから私の能力に加えてデッキバウンスまで持ってる彼が怖くて……」

 

ホープ「ふむ……お主確かお主を含めた《魔人》Xモンスターを守れるんじゃ無かったか?」

 

マエストローク「一応持ってます……

でも! 他の魔人とはランクも違うし、悪魔ランク3は今優遇され始めてるし──」

 

ジェムナイト・パール「甘ったれるな!」

 

マエストローク「パール兄貴……」

 

パール「お前はまだ二体だからいいだろうけどなぁ、三体の4エクシーズになると余程の効果じゃなければ見向きもされなくなるんだ!

ホープ村長、貴方はこのランクはまだいいと言いましたが、それは間違いです。

今の環境じゃ、何処も……変わらねぇ!」

 

ホープ「……そうか。

すまなかったの……パール、マエストロ。

儂も子孫が活躍してたから、ついその程度かと思ってしまった。」

 

マエストローク「いえ、私も少し弱気過ぎました……

私にはまだ《魔人》という居場所がある。

それを忘れてしまっていた様です。」

 

パール「私も最近は活躍の場が少なくなったが、諦めんぞ!」

 

ダークリベリオン「そうだな、頑張れよのーきん。俺に勝てれば良いけどな!」

 

パール「スキドレで。

……何か言ったか?」

 

ダークリベリオン「卑怯だぞてめぇ!」

 

パール「カードのコンボ次第でお前にだって勝てるって事を証明しただけだ。」

 

マエストローク「パールの兄貴……格好いい!」

 

パール「はは、そうかそうか。」

 

ビュート「ただいまぁ……今回酷かったぜ。『俺に任せときな!伏せまで纏めて吹き飛ばしてやるぜ!いっくぜぇ!

全てこわ────『神通で。』

────え?』ってさ。

あんときゃ泣けたよ……」

 

カステル「うわぁぁぁあ!!」

 

フレシア「キャア!

……カステルさんですか。

一体そんなに叫んでどうしたんですか?」

 

カステル「……ジャイアントキラーに細切れにされて蘇生させられて細切れにされ蘇生さ細切れ蘇生細切れ蘇生細切蘇生細蘇生細生……」

 

101「一体どうなったらこんなになるんだよ」

 

ブリキの大公「たまたま最後だけ聞こえてきたが……あれはあかんやつや」




ホープ・ザ・ライトニングは強すぎるのと実質ランク4って事なのでランク5から追放されました。

少し解説

この世界における《倒れる》は禁止、出勤は召喚



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すり抜ける想い 《遊戯王ARC-V》

この話は《遊☆戯☆王ARC-V》第89話にて遊矢が零羅達の元に追い付く場面からのif展開を描いた小説となっております、本編と違うところがありますのでご了承下さい。

因みにとある方からのリクエストでもあります。(多少内容は変わっておりますが)

セルゲイとバレットなんていなかった。


 ──私は何をやっているのだろうか。

 

 セキュリティに弛緩ガスを嗅がされ、あまつさえ本来守るべきであるはずの零羅に守られる始末。

 

「私を──置いて先に行ってくれ……」

 

 こうして惨めに守られるままならいっそ、ここで倒れた方がましだ。

 ましてや──零羅や月影を巻き添えにするなど考えられない。

 

 だが、月影はオベリスク・フォースを撹乱する為にと飛び出し、零羅は私を守るためにオベリスク・フォースと単身戦い始める。

 あの忍者の考えた事だ、勝算は少なからずあるのだろうが辛い事に変わりはないはず。幼い神経を磨り減らしている零羅はとてつもない苦痛を相手にしているのだろう──今すぐにでも逃げたしたい程に。それなのにオベリスク・フォースを迎え撃っている幼き体躯には『私を見捨てて逃げる』と言う考えは微塵も浮かんではいない。

 

「零、羅……私はいい。お前は逃げてくれ……」

 

「大丈夫だよ、さっき言った通り……セレナは誰にも──渡さない」

 

 私の懇願の声さえ、零羅の意思を固くしてしまうだけである。

 

 一体、どうすれば──

 

「──レディース……エンド、ジェントルメン……」

 

 今になって思い出すのはユーゴとの試合で思わず叫んだ言葉。フレンドシップカップの観客、トップスコモンズ関係無く全てを虜にした魔法の言葉も、今は何も意味を持たない。

 

「僕は《CCC 鎧重化身ロックアーマー》で直接攻撃!」

 

 オベリスク・フォース

 LP 4000→0

 

「ぐわぁぁぁ!!?」

 

 零羅がシンクロ、エクシーズ、融合のループを駆使し三人のオベリスク・フォースを仕留める──もうこれも何回目なのだろうか。

 

 倒れたオベリスク・フォースが細かい粒子となって消える──恐らくアカデミアに戻ったのだろう。

 

 だが同時に零羅も膝を付く。いくら勝っていると言えども細いバーンダメージは何度も受けており、ダメージが実体化するリアルソリッドビジョンでは心身ともに消耗が激しいのだろう、息は荒く、今にも倒れそうである。

 しかし身体の所有権を奪おうと襲い掛かる疲労に抗うかの様に再び立ち上がり、更なるオベリスク・フォースの増援へ備える。

 

「もういい……もう止めてくれ……」

 

 私の為に零羅や月影、そして彼らを指揮する零児にも負担がかかっている。

 

 誰か……助けてくれ……。

 

 絶望に打ちひしがれ、もう現実から逃げてしまおうかと零羅の健闘をも無視し意識を手放そうとする──が、その時私の頭の中に一人の顔が浮かぶ。

 先程の魔法の言葉を言った奴であり、あの相手に対する甘さは気に入らないが、エンタメデュエルと言うもので鮮やかに私を魅了した奴。今までデュエルとは勝つ事が全てであり《殺し合い》であった私にデュエルの楽しさを教えてくれた奴。

 

 そして、助けを乞う者がいるなら──絶対に救おうとする男、榊遊矢。

 

 あいつならあるいは…………いや、いくらなんでも、今はデュエル中だろう。もし終わっていたとしても、来るなんて事は絶対に有り得ない。第一どうやってここに来るというのだ。

 アカデミアで培ってきた、培ってしまったデュエル戦士としての理性が私の直感を否定する。

 奇跡を信じ偶然を願う、そのような戦い方は──アカデミアに埋めて来た。

 ……この状況ならばたとえ私でなかろうと、諦めるだろう。

 

 

 

 だが、切り捨てた筈の考えは未だに頭の片隅に残り続け、諦めない事を諦めさせない。

 

 果たして。

 

「零羅ぁぁぁぁ!!」

 

 オベリスク・フォースの増援の前に怯み、屈しかけた零羅の前に突如として遊矢がDホイールと共に現れ、オベリスク・フォースと零羅の前に着地する。そしてヘルメットを外し、零羅に話しかけた。

 

「零羅……大丈夫か?」

 

「遊矢、僕は大丈夫。それよりセレ──うっ……」

 

 遊矢が助けに来たことに安堵したのか、零羅がバランスを崩し倒れかける。それを遊矢が慌てて支え、零羅を座らせる。

 

「……零羅、オベリスク・フォースと対等に戦った零羅は、もう弱くなんかないさ。だから後は俺に……任せてくれ」

 

 慈愛に満ちた言葉を零羅にかける。だが、語尾に僅かだが強く、怒りを滲ませている。

 

「っ──オベリスク・フォース。仲間を傷つけ笑顔を奪い、柚子を連れ去ろうとする……そしてそれすらも愉しむお前らを俺は──

 

              ──絶対に許さない」

 

「「そして、もう瑠璃の様な事は二度と──起こさせはしない!」」

 

 最後の一言を言った際、ほんの一瞬だが遊矢の声が重なって聞こえた気がした。

 強い意志を持ち、しかしそれと等分の後悔を含む声。

 

 僅かに見える遊矢の目は怒りを写し赤く染まり、髪は逆鱗の如く大きく逆立っている。

 

「ふ、いい度胸だが、すぐに痛い目に合わせてやるぜ」

 

「だが安心しな、すぐにそのお仲間と再会させてあげるさ」

 

「精々足掻いて見るんだな、いくぞ……」

 

 オベリスク・フォース三人が次々と乱入者に向かって挑発の言葉を吐く。その言葉に対し遊矢も、

 

「仲間を傷つけさせはしない。

 俺は柚子を、そして仲間を守るんだ……!」

 

 と、強い決意を露にする言葉で返す。

 

「──だからお前らはここで倒す」

 

 

 

「「──デュエル!!」」

 

 

 

 ***

 

 

 

「くっ、なんだこいつは……」

 

「強すぎる……」

 

「あ、諦めるなお前ら!?」

 

「──覇王黒龍 オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンで三人へ直接攻撃。【反旗の逆鱗、ストライク・ディスオベイ】!」

 

 オベリスク・フォース1

 LP 2200→0

 

「ぐわぁぁぁ!!?」

 

「もう一度だ、《覇王黒龍》で直接攻撃。

【反旗の逆鱗、ストライクディスオベイ】!」

 

 オベリスク・フォース2

 LP 2200→0

 

「ぐはっ!!」

 

「──これで最後だ、直接攻撃。さあ、終わりにしよう。【反旗の逆鱗、ストライク・ディスオベイ】!」

 

 オベリスク・フォース3

 LP 2200→0

 

「だぁぁぁ!?」

 

 遊矢が一瞬の内に三人を仕留め、同時に立っていた髪がフッと降りる。

 

「……零羅、怪我は?」

 

「僕は大丈夫、だけど──」

 

 と、不意に零羅が此方を向く、恐らく私が動けない事を伝えようとしたのだろう、零羅の視線に沿うように遊矢もそちらを向いた。

 

「──僕と合流する前に弛緩ガスを嗅がされて、セレナが──」

 

「ゆ、ず…………?」

 

「えっ……?」

 

 零羅が困惑した声を出す。遊矢が何を言っているのか分かっていないようだ。とは言え私も遊矢が何を言っているか理解出来ていない。柚子、と言ったのか……?

 

「柚子……やっと会えた、……俺はやっと、柚子を守る事が……出来たんだ……!」

 

 まさか、私を柚子と勘違いしているのか? 元々私と柚子は似ており間違えられるのも何回があったが、遊矢に間違えられたのは今回が初めてである。それほど迄に()()()()()()()()()に驚いているのか。

 

「待て、私は柚子では──ぐっ……ゆう、や……?」

 

 慌てて訂正の言葉を口にしようとしたが、途中で強い衝撃が走り、言葉を最後まで言うことは出来なかった。

 だが、その身体的な衝撃は対した事ではない──遊矢が、いきなり私を抱き締めたと言う精神的な衝撃に比べれば。

 

「──柚子、ごめん」

 

「…………」

 

 余りにいきなりすぎて、返す言葉が見つからない。

 押し返そうにも、私を縛り付けるガスは消えておらず未だに私の身体に力は入らない、辛うじて腕をゆっくり動かせる程度だ。そして私を柚子だと思っている遊矢は私の心中など気が付くはずも無い。遊矢は、更に言葉を紡ぐ。

 

「俺、皆を守ろうと思ってた。そして、皆にエンタメデュエルの素晴らしさを伝えようとしてた……。

 でも、上手くいかなくて、しかも、皆を……柚子も守ることも出来なくて、何も笑顔にさせることが出来なくて、なにがランサーズだ、なにがエンタメデュエリストだと……思ってた……こんなんじゃ、父さんのエンタメを伝えられないって……」

 

 最後の言葉が僅かに震え、僅かに嗚咽も聞こえる。

 

 ……遊矢が、泣いている? エンタメを伝える事を1回たりとも諦めていない──少なくとも私が見ている時はだが──あの遊矢が……?

 

 後ろ向きの事を決して言わない仲間が自分を大切な人と勘違いし涙する。こんな状況にあった事など無いので、何も言えずただ遊矢の懺悔を聞く。

 

「セルゲイとの試合の時も、俺は何も出来なくて、柚子が、吹き飛ばされた時も……俺は見てるだけで……。

 クロウと黒咲の試合の時だって、柚子がいたのを分かっていたのに、動けなかった…………」

 

「っ……遊矢、それはお前のせいじゃ──」

 

 その殆どが遊矢の意思ではなんともならなかった事であり、その事に対して遊矢が自分を責めることは無い。

 それを伝えようとするが、遊矢の言葉がそれを遮る。

 

「でも、クロウが、オベリスク・フォースがシンクロ次元に来ている事を教えてくれて、その前にあんだけ酷いことをしたのに……それで寧ろ俺が助けてもらっている事に気が付いて……それだけじゃない、ジャックも、俺の為を思ってああ言ってくれたし、月影にも色々助けてもらってる……。

 皆に助けてもらってるからこそ、俺は零羅を、そして柚子を助けてられた。

 今度は……俺が皆を、皆で守る」

 

 嗚咽混じりの声ではあるが、その言葉からは確かに遊矢の意志が見える。そして──

 

「俺は俺のエンタメでみんなを……、そして今度こそ俺は……柚子を……柚子を、絶対に守る。

 守りきってみせる。柚、ず……」

 

 徐々に嗚咽が小さくなり、次第にそれが寝息となっていった。どうやら、泣きじゃくって落ち着いたのか、眠ってしまったようだ。

 

「……どうすればよいのだ」

 

 抱き付いた体勢のまま遊矢が眠りこけてしまったので若干重い。そして直視こそしてないが少し見えている零羅の視線が痛い。

 

 漸く少しづつ動かせるようになった身体をゆっくりと動かし、遊矢の頭を私の太股の辺りに下ろす、所謂膝枕というやつだ。中々に恥ずかしいが、ゴツゴツした床に転がす訳にもいかないだろう……。

 

「……零羅、いつオベリスク・フォースが来るか分からない、外の様子を見ていてくれないか」

 

 先程より私達から目をそらしていた零羅が此方を向き、言葉に含んだ意味を察したように入り口へ向かう。

 先程遊矢が倒したオベリスク・フォースが最後なら良いが、月影も戻ってくる頃だろう、大丈夫だと思われる。出来れば何も起こらないで欲しいが──今日は、今日だけは……今日だけは? 私は一体何を考えている……?

 

「榊、遊矢……」

 

 私にデュエルの楽しさを教えてくれた奴であり、どこか気になる奴。

 そして……どこか脆いところのある少年。

 

「先程から良く分からぬ、感情とも言えないものが私の頭の中を埋めている……なんなのだこれは……」

 

 これが、いつだか聞いた──というものなのだろうか。

 

 遊矢を守りたい。

 甘さ、脆さが遊矢を追い詰めない様に、私があらゆるものから守りきってみせたい。

 そして……守られたい、アカデミアからの追手やセキュリティ、あらゆる脅威から私を守り抜いて欲しい。

 

 だが、これがもしも──なのだとしたら、この思慕は……沈めなければ。

 

 私が遊矢を守り守られたいのと同様に、遊矢も柚子を守りたいと思っている、恐らく柚子も。それも、私よりずっと前から。

 

 その二人に割って入ることなど、私には出来ないし、したくもない。柚子は大切な仲間であり、戦友だ。そもそもこの戦争が終わったのならば私は融合次元、遊矢はスタンダードへと帰っていく。どうして共にいる事が出来ようか。

 

 だから、この想いは深く沈める。

 

 私は陰ながら、遊矢と柚子を迫り来る悪意から守る事にしよう。

 

 だから、今だけは隣に居させてくれ──

 

 

 ***

 

 

 

「……ん」

 

 うう、良く寝た……と、ここは何処なんだっけ?

 俺は確か……、クロウとのデュエルの後、オベリスク・フォースの迎撃の為に外に出て、零羅の所まで行き、相手を殲滅した。仲間を守る為とは言えエンタメを捨て、勝ちだけを求めて。

 

 その後……そう、何か素晴らしい事があったはずなのだが……ここから記憶が途切れている。どうしてこんな所で俺は寝てるんだ? こんな所なのに何故か枕は柔らかいし……。と、周囲の状況を把握する為に目を開く──

 

「……えっ、せ、セレナ!?」

 

 目を開けると何故かセレナの顔が目の前にある。

 どうやらセレナも寝ている様だ。恐らく俯いた体勢で座って寝ているのだろう。

 

 と言うことはこれ……膝枕って奴じゃ……。

 って事は柔らかい枕ってセレナの足……。

 

「…………」

 

 なんとも言えないものが俺を沈黙させる。恐らく俺は赤面しているのだろう。そして段々と昨日のその後の事も思い出して来た……。まさか俺、柚子とセレナを間違えて……?

 は、恥ずかしいと言うよりもうセレナの顔を直視出来ないよなこれ……。

 

 しかもさんざん泣いた後の事についての記憶も途切れている。

 

 恥ずかしさを振り払う様に勢い良く飛び起きようとする。

 だが、その方向が問題だった。

 

「っ痛ったぁ!?」

 

 俺の頭とセレナの頭が思いっきりぶつかった。

 

 余りに痛さに飛び起きた勢いと同じ勢いで倒れこむ。

 

「いたた……敵襲か?」

 

 その衝撃でセレナも起きる。

 

「お、遊矢。漸く起きたのか。

 それにしてもなんだったのだ今の衝撃は?」

 

「な、なんでもない……。

 それより、昨日は……ごめん。

 俺、柚子とセレナを間違えてて……」

 

 セレナから目を逸らし、おもむろに起き上がる。

 

「そんな顔をするな……、私に抱き付いて散々泣きじゃくったお前は、泣き疲れ寝ていたぞ。ふふ、中々可愛らしい寝顔だったじゃないか」

 

「こ、これ以上は俺のメンタルが持たないから止めて欲しいな……」

 

 随分前──具体的に言えばセレナの膝枕で寝ていた事に気が付いた頃から、既にいっぱいいっぱいなんだけど……。正直何が嘘で何が本当か分からない……少なくとも日曜の夕方に放映出来なくなる様な事はしていないと……信じたい。

 

 

 会話が止まり、ふと目線を上げると、セレナと目が合った。

 ──その時のセレナの顔が、一瞬歪んでいる様に見えたのは、気のせいなのだろうか。

 

「……遊矢」

 

「お、おう。」

 

 先程とはうって変わって真剣な口調に、意識を集中させる。

 

「遊矢……昨日私に……正確に言えば柚子と間違えて私に言った言葉……。

 『俺が皆を、皆で守る。

   そして今度こそ俺は柚子を、絶対に守る』

 ……この言葉は、柚子に言ってやれ。

 間違えたままではなく、しっかりと本人に、直接。

 

 その言葉を一番聞きたいのは……柚子、なのだからな……」

 

「セレナ……?」

 

 これまでの会話が嘘のように、語り始めるセレナ。

 その言葉はすんなりと俺の心へと届き、やるべき事となり留まった。

 

「なあに、私の事は気にしなくても良い、私が柚子に似ていたのが原因なのだからな。間違いは誰にでもある、さ……」

 

「セレ──」

 

 ──そしてセレナが、何かを堪えて絞り出す様に言葉を紡いでいる事も。 

 

「だが、お前の言いたい事、皆を守ると言う意志は私にも伝わった。

 私も遊矢を……いや、遊矢達を守ってやろう。無論、皆でな」

 

 ここまでしてもらって、立ち直れない様では次元戦争を終わらせる所かデュエリストとしても失格だ。

 

「……ああ。俺は柚子に自分の意志を直接伝えてみせる。そして皆を……守る。

 エンタメデュエリストとして、皆を笑顔にしてみせる!」

 

「……それでこそ、榊遊矢だ」

 

 と同時に、結局気がついて無いようだがな、と呟いたのを聞いた──気がした。

 

「セレナ、色々と謝りたい事はある──」

 

「心配するな、私は傷ついてなどいない」

 

「……ごめん」

 

「何を謝る、私達は仲間だろう、こんな事でいちいち謝る必要などない。さあ、零羅を連れて皆の元へいくぞ」

 

 それと同時にセレナの瞳から一粒の涙が流れた……あるいはここで慰めの言葉を口にするべきなのかもしれないが、これ以上何かを言えばそちらの方がセレナを傷つける気がしたため、思いとどまる。代わりにいつものあのセリフをセレナの分まで声高々に叫ぶ。

 

「ああ。お楽しみは──これからだ!!」

 




何故今さらになって投稿したかと言いますと、現在ゆやゆずの方の短編も書いており、この作品とリンクする予定なので先にあげておこう、という訳でございます。

……あくまで予定。


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喪失 《遊戯王ARC-V》

今回の話は遊戯王ARC-V141話の前日譚となっております、自身の考察によるオリジナル設定が含まれておりますのでご了承ください。

それでは、お楽しみください。


「……ふぁぁ」

 朝日が部屋に差し、その光で目を覚ます。いつもと変わらない朝、何も変わらない部屋。

「っ……」

 ぼんやりと頭が重く、まるで長い夢を見ていたかの様な感覚に遊矢は思わず目をパチパチと瞬かせる。

「かーさん、おはよー……」

 ぼんやりとしたままゆっくりとポールを降り、遊矢は自身の母──榊洋子に挨拶をする。

「随分と眠そうだね、顔でも洗ってきたらどうだい?」

「ふぁい……」

 夢うつつの状態で洗面所まで歩き顔を洗う、冷たい水はそれと共に眠気を流し、遊矢の意識をハッキリとさせた──リビングへと戻る遊矢は見ていたはずの長い長い夢の事など考えもせず。

 

 

 

「おはよう権現坂、それと……猿渡?」

「沢渡だ!」

「あ、そういえばそうだったな、おはよう沢渡」

 自宅にて朝食を食べた遊矢は予定も無いので、とカードショップに向おうとし、その途中の公園にて二人の友人、正確には一人の親友と一人の知人と出会った。片方はフルモンスターを基本とした高テクニックを要されるデッキ、超重武者を使いこなす不動のデュエリストこと権現坂昇、そしてもう片方は沢渡シンゴ。紹介の長さから察される通り前者が親友である。

「遊矢よ、今日は空いてい──」

「お前もどうせ暇だろ? 今日は機嫌が良いからな、特別にこの俺とデュエルさせてやってもいいぜ!」

 権現坂が予定を聞いているにも関わらず沢渡が横から勝手に予定を取り付ける、当然遊矢の意思など聞いてはいない。だが遊矢も特に予定は無かったので快く了承した。そして遊矢が二人をみて話す。

「──よし、この人数なら丁度タッグデュエルが出来るかな?」

 瞬間、空気が凍りつく。権現坂が目を丸くし、沢渡が二人の反応を不思議に思っている遊矢に対し呆れるように指摘する。

「おいおい、今ここにはどうみてもお前、権現坂、そして俺の三人しか見当たらないぜ? 公園内ならもう一人くらい捕まえられるかもしれないが、それを探すのか?」

 その指摘に対し、お前こそ何を言っている、といった口調で反論する。

「そんな訳ないだろ沢渡、現にここに柚子が────ここに……?」

 遊矢が後ろを向く、そこには確かに一人の姿が──存在してはいなかった。

「え……あれ、俺……?」

「誤りは誰にでもあるぞ遊矢。柚子、と言うのが誰の事かは分からぬが、間違いを素直に認めるのも又強さだ。そしてそもそもこのデッキはタッグデュエルは不向きなのでな、三人ならばバトルロイヤルはどうだろうか?」

 権現坂が窘める様な口調で遊矢を諭す、遊矢も未だ戸惑ってはいるが自身の誤りを認める。

「あ、ああ……まだ寝惚けてるのかな、はは……。分かった、俺はそれでいいよ」

「まあ、俺もそれでいいぜ?」

「分かった。それでは公園の中でやるとするか」

 権現坂の提案の通り三人は公園へ入りある程度の間隔をとって立つ。

「流石に他の人がいる中でアクションデュエルは危ないか、この俺のスーパーアクションが見せられないのは少しもったいない気がするけどな」

「ならその分、しっかりとデュエルで魅せればいいんじゃないか?」

「それもそうだな、この俺のデュエルにアクションかノーマルかなんて大した差じゃないってことをみせてやるぜ!」

 沢渡がアクションデュエルができない事に対し不満気な顔を見せるが、遊矢の言葉で再びやる気を出す。

「それじゃ始めるぞ、ライフは4000、一巡目はドロー無しだ。」

「──デュエル!」

 

 

 

「うわぁぁぁ!」

 奮戦こそしたものの、攻撃を通し油断した一瞬の隙をつかれ逆転敗北を喫した沢渡が気の抜けた声を出す。

「結局権現坂の勝ちか、やっぱり安定感が違うな……っと、塾長から連絡だ──《明日は朝から熱血指導だ!》ってさ」

「ほう、なら今日はゆっくり休んで、次の日に備えた方がいいんじゃないか?」

「それもそうだな、軽くカードショップ見たら、家でゆっくりすることにしたよ」

 と言った話をし、遊矢は権現坂達と分かれ──彼らは自身らの塾へと戻るらしい──カードショップへ向かった。その道すがら、なんとは無しにデッキケースを開いた遊矢は仕切りで分けられた内の小さい方、デッキとは別の所に一枚だけ入っていたカードに気が付いた。

「デッキのカードか、それとも前抜き忘れたカードかな……──ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン? いやそれより……こんな色のカード、見た事なんか……っ!」

 遊矢の見た事のない──本来ペンデュラム次元にあるはずのない紫のカードのテキスト欄、そこに書かれた()()の文字を見た瞬間、遊矢の頭に激痛が走る。そして脳裏にグレーの色で纏められた風景が浮かぶ。

「ルーンアイズ……俺の切り札、オッドアイズを《融合》したモンスター……? いや、融合なんてカード、俺は持っていない……っぁ!」

 場面はルーンアイズを融合召喚した時から巻き戻る。その先は、《融合》が紛れ込んだその場面。

「──柚子……?」

 遊矢がカードを拾い集め持ち主に返した時、拾いそびれた一枚、それが融合だった。そしてその持ち主の顔を見た瞬間、どうしようもない衝動に駆られる。懐かしく、そして狂おしい程の感情を呼び覚ます。

 途端、頭の中が真っ白に染まる。その光が収まった時、遊矢はその名前がどうしても、どうしても思い出せなくなった。

「っ……く……そ、お前は誰なんだ……」

 強くなる頭痛に耐えきれず、脇の建物に寄りかかり、頭を抑える。

「まるで幼馴染の様に近くに感じられて、その存在も思い出す事は出来るのに……なんで……なんでその名前が思い出せない!」

 その瞬間再び遊矢の頭の中に閃光が走った。そして──

「──誰だ? 俺は誰の融合を預かっていた……? ──思い出せない……?」

 そのシーン、カードを渡した相手の姿がぼやけ、その姿すらかろうじて同年代の女子という程度まで不明瞭になってしまっていた。

「……痛みが止んだ。それにしても、今のは一体……」

 痛みが引き、それと同時に謎の場面描写も終了する。残ったのはルーンアイズと、《融合》というカードを預かったその相手への強い感情、そしてその相手が分からないという違和感。

「っ……もしかしたら、遊勝塾になら何か……?」

 その考えに理論的な思考なんてものは無く、ほぼ直感のまま来た道を引き返し遊勝塾に向かう。奇しくもその直感は最も正答に近く、その先にその答えは確かにあった。ただし、この次元では決して見つかることは無いのだが。

 

 

 

「──塾長。」

「おお、どうした遊矢。塾は明日からなはずだが、今日から来るとは随分と熱心じゃないか!」

「違うんだ」

 来た理由を勘違いしている塾長──柊修造に対し、遊矢は静かな口調で質問をする。

「塾長……《融合》って何なの?」

「ゆう、ごう?」

 元プロデュエリストでもある塾長が知り得ない用語、それを自分が持っているという違和感を堪えつつ、次の質問をする。

「それじゃあ……俺に、女子の幼馴染って……いた?」

「少なくとも……俺の知ってる限りではいないな?」

 頼みの綱の塾長すらも全く分からないとなれば、もはや手詰まりに近い。

「──分かった。塾長、また明日」

 塾長の返事も待たず、顔を隠しつつ立ち去る遊矢。その真意に気が付いていない塾長は不思議そうに眺めていた。

 

 

 

「……どうして」

 自らの直感に従うがままに街中を探し、家に戻ってきてから部屋を引っくり返しても手がかりは殆ど見つからなかった。新たに見つかったのは、服のポケットに仕舞われていた、書き損じたと見れる手紙だけだった。そしてその手紙も又、その少女に向ける想いの強さが感じられるものであった。

「なんで……!」

 暑さから窓を開き、疲れ果てて布団に倒れ込み、それでなお考えても、その少女の存在は確かにあるのに思い出す事は出来ない。

「……君は」

 なら忘れてしまえるかと言うとそれも否、その少女を忘れようとしても、暇を持った途端無意識にいるはずの無い彼女に向けて話しかけようとしてしまう。デュエルディスクで彼女にメール、電話をかけようとしたのも一度では無い。勿論その連絡先も抹消されていたが。

「一体──」

 隣にいるのが当たり前で、居なくなった時その大切さに人は気が付く、と言うがまさか居なくなった時でさえ隣にいると思い込んでしまう程、隣にいたのが当たり前で、何より隣にいて欲しかった相手を。

「──誰なんだ」

 俺は忘れてしまった。

「……っ……!」

 大切な事を思い出せないもどかしさ、何も出来ない無力さ、その他ありとあらゆる感情がごちゃ混ぜとなって涙となり頬を伝う。ゴーグルを付ける気力すらなく、無言で遊矢は泣き続けた。開けた窓から吹かれた風が、ベッドボードの上のルーンアイズをふわりと浮かせ、涙を拭う様に顔を覆う遊矢の手の上に落ちる。その風は、慰めるかの様に柑橘類の匂いがした様だった。

 




今回のオリジナル設定としては
・スタンダード→ペンデュラム次元への変更によるペンデュラム次元での他召喚法の消滅
・記憶改変の進行途中での行動だったため、一時的に柚子を覚えている(ARC-V141話では完全に完了している)




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ログレス王国軍の日常風景 《剣と魔法のログレス》

一体いつから遊戯王しか投稿しないと錯覚していた?

と言うことでスマートフォン用MMORPG、剣と魔法のログレスーいにしえの女神ーを原作として投稿します。

とは言え剣による白兵戦はありませんが……。更に言えばオリジナル要素も世界観をくずさない程度にありますので注意をお願いします。


 梅雨が明けかけの曇りの日、ログレス王国演習場では二人の魔術師が向かい合っていた。ナジルとレイヴ、どちらも王国トップクラスの魔術師であり、またレイヴに至ってはその膨大な魔力と実力から《英傑》とも呼ばれている。そしてナジルはその第一の弟子である。

 

「久しぶりだね、今日こそはあなたに勝ってみせるさ──レイヴ」

 

 いつに無くやる気のある顔をしたナジルがレイヴを睨む様に見る。それもそのはず、今日は訓練の一環として月に数回行われる《部隊内模擬戦闘》の日であり、普段は王国内には滅多に姿を現さず、自前の研究室に篭もりきりであるログレス王国トップの魔導師、英傑レイヴが参加している。

 

直接の弟子であるナジルはこの日の為に一週間も前から対策を講じていた、とも噂されており、それに向ける熱は魔法部隊全体に知れ渡っていた。

 

「ふん、そこまでの大口を叩くか。もし口だけならば容赦無く天錘の魔力にでもしてやろうか……」

 

「口だけじゃないし、魔力になる気も無いさ──こっちから行くよ……! 来い、ダークオシリスフォリア」

 

 ナジルが先制の宣言と共に呼び出し握った──戦闘時にはいくつか武器を予め自身の魔力による空間へと納めることができ、適時それを交換し戦う、というのが一般的な戦闘スタイルである──武器は、王国内でもトップクラスのレアリティと性能を誇る六属性の《オシリス》種の一つ、闇を統べるダークオシリスであり、周囲の観客兼魔法部隊員からもざわめきの声が出る。

 

オシリス種の武器は太古の光と闇、混沌の力の残滓とも呼ばれており、王国最高の鍛冶屋をもってしても製作は不可能とされている。その武器をナジルが使用、さらには開始直後に出したというのは、周りにとってもかなりの衝撃となった。

 

「いくよ、《ペルセポネフリューゲル》」

 

 握った杖から闇属性の魔力が急激に高まり、溢れた魔力が翼となりナジルの背中へ具現化、地面を軽く蹴りふわりとバックジャンプをし翼を広げる。その翼から魔弾がいくつも形成され──杖の一振りで一斉に放たれた。

 

一点を集中的に狙うのでは無く広範囲を均等に狙う事により確実なダメージを与える作戦。しかし──

 

「博打の高ダメージより堅実な低ダメージを狙ったか……そんな教えをした覚えは無いのだがな。この程度、容易に散らして見せよう。《滅亡の闇》」

 

天錘から闇属性の魔力、ナジルのとは違い、波のような魔力がナジルの魔弾と衝突する──と同時にナジルの魔弾が呆気なく掻き消され、その勢いのままナジル自身を襲う。

 

「ぐっ……相変わらず下級魔術とは思えない威力だね……」

 

「貴様が弱いだけだろう。圧倒し、全てを殲滅するのがネクロマンサーのポテンシャルだと言ったはずだ。……教えてやる、この一撃で沈むがいい、《ダークソウルブラスター》」

 

 武器にはそれぞれ二つの魔術の素因が埋め込まれており、レイヴの天錘の場合《滅亡の闇》が低魔力消費の低威力、《ダークソウルブラスター》が高魔力消費の高威力となっている。

 

 先程の《滅亡の闇》が波紋だとすれば、《ダークソウルブラスター》は大波。波紋ですら津波クラスとなりうるレイヴの力で大波を受けたならば、例えログレス王国に巣食う危険種と呼ばれしモンスターもただではすまない、そのレベルの魔力を漂わせレイヴが僅かに体を浮かす。

 

「終わりだ、行け」

 

 闇の魔力がレーザーとなってナジルを貫く。地面への着弾の衝撃による爆風でナジルを砂埃が隠したが、誰もが彼の敗北を確信した……しかし。

 

 ──その攻撃は読んでたさ。

 

「《輪廻転生》」

 

 輪廻転生、自身の耐久を無視して文字通り全ての攻撃から術者を隔離する魔術であり、術者の手にはネクロマンサーの主武器とも言える天錘、《ラビスフォート》が握られていた。

 

「ほう、貴様が天錘を使うか。魔力消費が激しいと日頃から言っていたので使わないと思っていたがな」

 

「流石に貴方のように三本も四本も振り回せはしないけど、一本、二本だけなら使い方とタイミングさえ気をつければ使えなくもないさ。最もあれくらいなら受けてもまだ何とかなったけどね」

 

 でも──とナジルは言葉を続ける。

 

「──これで得た時間、今の大技のチャージ、そしてショット後の隙は大きい。利用させてもらうよ、《ホーリーポリューション》」

 

 光属性の魔弾がナジルから放たれ、レイヴの周囲を囲むように舞う。散らさんと放つ魔導波を回避しその魔弾がレイヴへと打ち込まれる。咄嗟に左腕で魔弾をガード、大きく後ろにジャンプしダメージを最小限に抑える。

 

「──効かんな、《ダークユニヴァース》」

 

 左腕を振り上げふわり、と右腕の天錘を浮かし術式を唱える。平均的な詠唱より遥かに速く術が組み上がり、それにつれナジルの周囲に魔法陣が展開、唱え終わり手を振りかざすと共にナジルを闇の魔力による爆発が襲う。

 

「手応えが薄い……? 輪廻転生の効果は切れているはず……魔弾に何か仕込まれていたか」

 

「術式から手応えを感じられるとは……流石だね、考察通りだ。あなたの闇魔術は脅威だから、少し細工させて貰ったよ」

 

 ほぼ無傷のナジルが爆風から現れ、服に着いた砂埃を払う。

 

「僕は闇属性の才能があなたほどない代わりに他の属性はあなたより使えるからね、闇魔術を光魔術で相殺……とは行かなくても軽減くらいなら出来るさ」

 

 少し得意気になったナジル

 

「《ベルセルクレイジ》」

 

 

「……ほう。それなら少し、本気で行こう」

 

 目を開きナジルを睨む英傑。その威圧感と魔力は先程までとは比べものにならず、地面が恐怖するかの様に軋む。しかしその弟子はその魔力に怯む事なくニヤリと笑う。

 

「やっとあなたを本気にさせる事が出来たかい。それにしても軽減してこれか、直撃したらタダじゃすまなそうだね……。」

 

「これが本気? 笑わせ……る────っ!」

 

 こちらに向かう魔力を感じ頭を左に傾けるレイヴの右頬を魔弾が掠める。ナジルの方を見るが──既にナジルの姿は無く、()()場所に置かれた数発の魔弾が時間差で撃ち込まれる。すかさず命中弾のみを見切り左腕を振る。スイングの軌跡に合わせ空間が歪み、そこを通った魔弾が掻き消される。

 

「小賢しい……」

 

 周囲ごと薙ぎ払わんと左腕に魔力を集中させ──再び数発の魔弾が撃ち込まれ、その魔力を防御に使う事を強いられる。発射元を見るがやはりその場所にナジルの姿は無い。

 

「──遅い!」

 

 背後からの声、闇の魔力を帯びさせた拳を振り向きつつ払う。ナジルは既に大きく距離を取り、レイヴの頭上に光の魔力で形成された玉が浮いており────

 

「くっ──!」

 

 ナジルが唱えると共に光の玉が破裂、レイヴの視界を白色に染める。目を覆うレイヴに対しナジルが話す。

 

「ようやく焦ってくれたね……この勝負、貰ったよ!」

 

 碧色を薄めた色を基調とし、羽のような意匠を施した天錘を構え、勝利を確信した笑みを浮かべつつ術式を唱える。レイヴは未だ視力を奪われその術に対応する事は出来ない。

 

「──《ダークスターフォール》」

 

 流星群の様に闇魔力の塊がレイヴへ降り注ぐ。その塊一つ一つが必殺の威力を持っている事を着弾した地面を大きく抉っている事が証明する。その大多数が命中するであろうレイヴが無事では無いだろう──命中したならば。

 

「……無傷だって……!?」

 

──ダークオシリスの加護を受けた最高火力なんだけどね……。

 

 レイヴの居た場所を囲うように灰色の剣が地面から飛び出ている。ダークスターフォールの直撃を喰らったのにも関わらず傷一つ無い事に驚愕する。

 

「やれやれ、まだ調整が済んでいなかったので使いたくは無かったのだがな。成長している、という訳か……認めよう。それを称し……奥の手だ」

 

 剣が地面から次々と抜け、レイヴの姿が現れる。横に出した左腕の先には見覚えのない武器が浮遊している。黒の刀身に橙の線が入ったそれは魔術師、ネクロマンサーが持つはずのない武器、《剣》だ。

 

「その剣に籠る意味不明な魔力はともかくとして……調整が終わってない?」

 

「ああ、その通りだ。」

 

「って事は────」

 

「安全圏内で制御しきれるとは限らんな、せいぜい死なない事だ」

 

 その台詞と共に浮いていた剣が一斉にナジルへ刃を向ける、そして。

 

「《ダークオブエンド》」

 

 剣が放たれる。必殺の威力を持つはずの魔弾さえ無傷で受け止めた剣の一撃は、輪廻転生をもってすら耐えられるか定かでは無い。

 

 ──けど、制御しきれてないのは本当みたいだ、狙いに剣が収束しきれてない。これなら手はある。だが……。

 

 万が一直撃したら。反撃に意識を集中している分防御する場合と比べてダメージは差が出る。下手をすると大惨事さえ招きかねない選択を取るよりは、堅実に輪廻で耐えるべきでは無いか。

 

 ──堅実な低ダメージを狙う教え方はしていないのだがな──圧倒し、殲滅するのがネクロマンサーのポテンシャルだ。レイヴの言葉が頭によぎる。

 

 ここで耐えてもジリ貧か、ならば──

 

「「死なない事だ」だって? 舐めないでくれ。この程度……無傷で超えてみせる。来い、アビスカーム」

 

天錘──ウルメネスを消し、新たなロッドを呼び出す。その間にも魔剣は近付いてくる。その距離、5m。

 

「《ダーク──キーパー》!」

 

術式を完成させるとほぼ同時に魔剣が着弾、地面を放射状に消し飛ばしていくが──その中心にナジルは立っていた。魔剣の全てがギリギリでナジルを捉えきれておらず、その周りへと深々と突き刺さっている。

 

避けることはできた……だがここからレイヴ相手に有効打となる技をどうやって出そうか。

 

──大技を出すには時間不足、完全に優位に立っての最大火力でさえ防がれたんだ、この状況から放った所で難なく無力化されるだろうね。とはいえほぼノーモーションで出せる技じゃ英傑クラスの魔力を前にろくなダメージを与えられるわけもない……せめて物理ダメージなら不意を付けば可能性はあるんだけど──

 

刹那の間に思考を巡らせ、逆転への一撃を模索する。だが周囲を見回しても辺りにはレイヴが操る魔剣から呼び出された剣が刺さっているのみで、起死回生の手段は見つからないまま回避で得た貴重な隙を消費していってしまう。しかし。

 

──レイヴが操る……? いや、レイヴは魔剣を操りきれてはいない。ならその不安定な魔剣の産物である剣ならばもっと不安定、場合によってはこちらの魔力で制御権を奪えるくらいには──ならこれしか────

 

「──ない!」

 

ナジルは手を伸ばしレイヴが操る剣、その刃を掴む。とナジルが放った黒い魔力が魔剣を包み、その剣を別の形へと形成し直した。その形はレイヴの魔剣と酷似しているが、レイヴの魔剣が黒の刀身に灰色の線が入っているのに対して、ナジルの魔剣は黒の刀身に黄金の線が入っている。

 

──これ、なら……行ける!

 

「う……ぉぉぉ!」

 

ナジルが一歩踏み出し魔剣をレイヴへ突き出す。そのモーションに合わせ地面から一本の剣が、技の反動で動けない獲物の首元へ突き出る。

 

「剣の制御権を強奪し、それで新たに魔剣を生成した……?」

 

「まあ、試製──狂劇の獄剣、とも言ったところかな?」

 

「……降参だ、お前に()()()事は何も無い」

 

「嬉しいね、これからはあなたの技を()()事としようか」

 

レイヴの魔剣、そしてナジルの魔剣とそれぞれが操る剣が消えたのを引き金に観戦者から大きな歓声が上がる、この瞬間に演習とはいえ弟子が師匠を、それもかの《英傑》を越えたのだ。弟子(ナジル)の部下を始めとして、会場全体が盛り上がっている。

 

「最後の技は……正直想定外だ。回避するか防ぎきるかしてくるとは思っていたが、そこからまさか俺の武器を奪うなどと言う奇策を取ってくるとはな」

 

「正直成功するといいかな、程度だったけどね。制御しきれてないって事は、魔力でのコントロール、権限認証も上手くいってないって事だから、自分から離して攻撃した瞬間、コントロールを解いた瞬間を狙えば操作権限を一時的に奪い取れるかも──って訳さ」

 

まあ成功こそしたけど、魔剣によって呼び出された剣の権限を奪い取って魔剣に上書きしたから、当然限界火力は小さいし出せる剣も一本か二本が限界だろうけど──と続ける。

 

「とはいえ、いくらネクロマンサーが物理攻撃に弱いと言えど、あの攻撃でダメージを負うとも思えないけどね」

 

いくら不意を突いた、そしてレイヴに効果的な物理攻撃だったとはいえ、あれが勝負をひっくり返すほどのダメージを与えられはしないだろう。あの時、ナジルはそう判断し、咄嗟に剣を寸止めにしたのだ。

 

技を当てると言うのは、決して攻め手だけに有利な事ではない。その軌道、威力、スピード。そして対応可能かという情報を守り手に与えてしまう。見た目と動きばかり派手で、実際に喰らってみれば大した事はないと判断されてしまえば、ダメージ覚悟でカウンターを仕掛けられてしまう事もあるだろう。

 

「もしも実際に当ててきたならば、その時はそれに対応する。だがあの大きさ、加えて詳しい性能が不明の刃物を当てることなく首に突きつけられる感覚、圧迫感は時として本来その武器が与えられるダメージを超える事もある。その辺りの駆け引きで負けは認めた」

 

まあ──とレイヴは繋げる。

 

「それが偶然か、必然かは置いといて、だ」

 

「…………」

 

──完全にバレていたか。

 

あの瞬間、ナジルは意図的に寸止めにした訳では無い。寸止めにしか出来なかったのだ。コントロールを奪い生成した魔剣はオリジナルの分身とは言え、そのじゃじゃ馬っぷりはオリジナルと大差ない程だった。

 

あれ以上剣を伸ばしたならばコントロールを失いレイヴを捉えきれず、下手すると消滅しかねない。自身の残り魔力的にもあの長さが限界だったのだ。

 

「ともあれ、お前の実力は本物だ。勿論驕るなど以ての外だが……誇っていい」

 

盛り上がる観衆の中心で、レイヴが小さく呟いた。周囲の声と比べれば無いにも等しい程の声だったが、ナジルにとってのそれは、何よりも嬉しい言葉だった。

 

***

 

草木も眠る丑三つ時、とまではいかないものの大体の生物は活動を止め、魔法生物やゴースト系が動き始める時刻の雪山某所、一人の死霊術師が祠のようなものの前で座っている。

 

「久しぶりだな、────。お前が逝ってから随分と時間が経ったな……お前の息子も一人前となった。俺もそろそろ引退を考えるべき、か……」

 

祠の前で一人語る男、その言葉には悔いの感情が微かに混ざっているようにも聞こえた。

 

「──また来る。次はあいつも連れてこようか……?」

 

返事の無い問いかけを行い、男はその祠を去っていった。

 

「……頼みます」

 

誰もいない筈の石碑から返事が届いた事に、気が付いたものは誰もいない。




雪山某所の祠はレイヴの親友、恋人等の近しい人の墓と推測。この小説ではそのキャラがナジルの親となっています。




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六章ガウェイン戦リプレイ 《Fate/Grand Order》

遊戯王→艦これ→FGOと言うムーヴ。

と言うことでFate/Grand Orderより、六章ガウェイン戦(最終戦)のリプレイです。自カルデアのエースの活躍をご覧下さい。

又、六章終盤のネタバレが含まれるのでお気を付け下さい。


白と衝突する黒ずんだ青と赤の剣戟、銃弾とそれを弾く剣の音が響き、振り下ろされる剣を黒き弓兵が両手の銃──かつて夫婦の剣だったモノで受け止める。

 

「この剣──通させて頂く!」

 

騎士が雄々しく吠え、増した剣圧に圧され弓兵が体勢を崩す。続く次撃が体制を整えるより速く逆袈裟に裂く。目で捉えるのが精一杯なスピードで打ち合わせられる剣と剣、銃弾と刃が高い音を響かせる。

 

「手応えが浅い──見た目や得物に反して太刀筋には芯が通っていますし、このような時でなければ、是非試合として打ち合いたいものです──が、刃が通らない理由はそれだけでは無さそうですね」

 

「太刀筋の賞賛、お褒めにに預り光栄だが──生憎こっちは只の人殺しでね。殺す為には自分が殺されない為に最善を尽くす、例えば自分の装備に細工を施したりだ。ただそれでもこのザマという訳さ……全く、流石は円卓の騎士と言った所か」

 

太陽の騎士の猛攻の前にこちらの英霊はことごとく倒され、ただ一人残ったのは崩れ腐った正義の味方と言った状況。それも防弾加工によるダメージカットで辛うじて繋いでいるだけの状況だ。

 

「正直ギフトに手を焼くのは予想できてたけど、ここまで規格外とはね……」

 

暫く前に門前で戦った時と比べ攻撃こそ激化しているが、逆にギフトによる耐性はかなり軟化していた。とは言え激化した攻撃を耐えられなければ耐性が軟化していようが意味は無い。防弾加工もそう何度も持つ筈はなく、いずれ効力を失うだろう。更に悪い事に──

 

「相手もさすがに満身創痍だろうけど、次のターンにはまた宝具が打たれる。こっちにそれを耐える手段は無い……正直絶体絶命って奴かな?」

 

弓兵の主がおどけるかの様に独りごちる──ガウェインのギフトには全攻撃に対する耐性の他にも、宝具を放つ為の魔力を補助する効果もあり、攻撃の激しさに拍車をかけていた。後半には自身のスキルでも魔力を供給し始め、ほぼ三ターンに一度放たれる形となっていた。猶予はこの一撃のみ、と言った状況に隣の悪人は愉しげに嗤う。

 

「それならば、いっそ勝負を投げてみようじゃないか。案外お前だけなら、助けてもらえるかもしれないがな?」

 

そんな事を嘯く弓兵。真面目なのか冗談なのか、あるいはオルタ化と嗤う鉄心により本人すら分かっていないのかも知れないが、この時この場面に限って言うならば、本気で言うはずが無いことは分かりきっている。

 

「冗談。城門でどんな目にあったか──それに一度反旗を翻したんだ、こいつらの策略全てぶち壊すか、醜く全滅かの未来しか有り得ないだろうよ」

 

一つの国家の転覆を図ったからには、首謀者一人の命では安すぎる位だろう。まともな死にざまが許される訳が無い。そもそも彼の──彼らのやっている事を阻止できなければ人理が崩壊してしまう。

仮に生き延びた所で待つのは世界諸共死ぬか、人類が存在していた証拠としての標本のどちらかだ。そしてそのどちらも望んではいない。円卓が円卓の正義を執行するなら、こっちはこっちの正義を以て崩すだけだ。

 

主の物言いに唯一立っている弓兵が音もなく嗤う。そして気分良さげに主に言葉をかける。

 

「ほう、よく分かってるじゃないか。それでこそ私のマスターだ。それではお見せしようじゃないか、私たち正義の味方が、悪の策略を全て呆気なく壊す様を。さあ──

 

──魔力を回せ、すぐに終わらせてやる」

 

「正義の味方ねぇ……相手は騎士様、どう見てもこっちが悪者だけどね。ま、どちらが正義なんて勝った方が正しく正義に決まってるか──よし、準備完了。宝具解放──目標は目の前だ、終わらせろ!」

 

投影魔術、嗤う鉄心。残っていたスキルを全て使い、宝具解放を含めたブレイブチェイン。火力的にも戦況的にも、必殺であり、必殺でなければならない技。

 

「I am the bone of my sword──」

 

とうの昔に腐り果てた彼の心。それでもなお残り、変わる事の無い「せいぎのみかた」だった物をかき集め、一発の銃弾に込め、放つ──その弾丸は狙い違わずガウェインへと命中する。

 

「くっ……だがこの程度で倒れは──」

 

銃弾自体のダメージは大したこと無いだろう。しかしこの宝具はこれで終わりではない。

 

「騎士とは違って勝ち方に美しさを求める必要は無いのでね──最小限の魔力で、そして俺に残った剣の残滓で効率良く標的を始末するなら、簡単な事だ。世界を変えるよりも、銃弾を世界に変えてしまえばいい」

 

「So as I pray──」

 

世界を全て変える力は無い。世界を救う力は無い。己の中にあったはずの剣は銃弾一つ分を残し腐り果てた。それでも、腐り果ててもなお弓兵は──無銘の英霊(エミヤ)は己の中にあった何かを懐かしみ戦う。殺す為ではなく守る為の戦いの中にあった何かを、崩れ落ちた自分を造りなおす最初の芯として魂に刻んだ。

 

「──Unlimited lost works」

 

その体は、かつて剣で出来ていた。

 

銃弾が撃ち込まれた左肩から、突如刃が発生する。当然刃が発生した部分は切り裂かれ、多量の血液が辺りを赤く染める。

 

「ぐっぁ!?」

 

銃弾から次々と伸びる剣。騎士の体内に忍び込む銃弾の周りには空間など無く、伸びる剣は当然騎士を引き裂き、穿ち、貫く。

 

「ぐ……まだ……倒れる訳には──」

 

幾本もの剣に貫かれ肉は体外に抉り出され、血は池のように流れ出てもなお膝をつくのみで倒れない騎士、その前には弓兵が銃を構え立っている。そして彼はニヒルな笑いを浮かべ最後の一言を投げる。

 

「残念だが、こちらも倒れる訳にはいかないのでね、倒れてくれ」

 

銃声が一つ鳴り響き、太陽の騎士はその体を漸く地に倒した。

 

VSガヴェイン BATTLE FINISH────




ネロ祭で正義の者では無いことが証明されて大変辛い。エミヤや切嗣が正義判定だったのに彼は正義ではない……「残るものは、人殺しが上手いという事実だけだろう」


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