オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY  (オウガ・Ω)
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after:ASTRAY after・ASTRAY:母子 

「かあさん!」

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

「えとね、今日ね学校で宿題出されたんだ………お父さんはどんな人って……」

 

 

…お父さんはどんな人って聞かれて胸が痛むんだ。ザフトと地球との戦いから六年、あたしの息子は火星ですくすく育って学校にかよってて、昔のあたしとちがって勉強に熱心で科学…技術にすごく興味深々で熱中するトコなのはホントそっくりだってわかる

 

「ねえ、クリスかあさん…おとうさん、どんな人だったの?」

 

 

 

「……どんな人って……あんまりしゃべらない無愛想な時もあったけど、天然でよくコケて。押し倒されたりしたけど。すごく優しくてあたしを見守ってくれて助けてくれたんだ…」

 

 

 

「わあ、じゃあおとうさんってヒーローみたいだね」

 

 

 

「ああ…あたしたちや火星の皆にとってヒーローだ……」

 

 

そう、あたしたち火星圏の皆にとってヒーロー……でも地球には《地球を滅ぼしかけた悪魔》《プレシアの懐刀》《漆黒の悪魔》《厄祭の王》《漆黒の魔人》って尾鰭がついてつきまとっている

 

あの日、本当の…あたしの兄貴としての記憶を取り戻して…敵になってから、ずっと、ずっとつらかった……涼子、アインハルト、ノーヴェ、千冬も……あの最期の戦いで翔真と大東のおっちゃんがもぎ取られたエクシェスの腕を……

 

 

 

「おかあさん?」

 

 

 

 

「あ、ああ……すこしぼ~っとしてた」

 

 

 

「…ねえ、おかあさん。おとうさんって今どこにいるの?」

 

 

 

「………おとうさんは……遠いところに行ってるんだ……」

 

 

 

「じゃあ帰ってくるの?」

 

 

 

「ああ……おまえがいい子にしてたらな」

 

 

 

「うん、じゃあボクいい子にして待って…」

 

 

 

『ハロ!ハロ!レオン、いい子、レオン、いい子』

 

 

 

「ぎん、からかわないでったら……おかあさんもわらわないでったら」

 

 

 

ぷく~って頬を膨らませて飛び跳ねる銀色のハロを追いかけていく。その後ろ姿が重なって見える……最後に見たアニキと……目から涙が溢れて止まらない

 

 

アレスアニキ……マルス……あたしの子、レオンは五歳になったんだ…涼子、アインハルト、ノーヴェ、千冬もいまでも生きてるって信じて気づかれないように探してんだ。

 

 

 

『本日未明、三ヶ月前から音信不通になった木星圏GNドライブ製造施設へ火星圏防衛第808哨戒艦隊が到着しました…ですが、こちらからの呼びかけに対し返答が無く何らかの事故が発生したとの見解がされているみたいです』

 

 

 

『…全員の安否が気にかかります……続いては地球圏において親プレシア派施設が壊滅。その裏ではソレスタルビーイングが活動再開したのではないかと憶測が流れています……しかしソレスタルビーイングではない、ガンダム?らしき機体の目撃情報があり、現在調査しています…』

 

 

 

 

 

最近、地球や火星で変な事件が起きてるから何かが起きる前触れじゃないかって噂も流れてて、レオンがたまに空をじっと見てて不安でしかたないんだ

 

 

 

だから、アニキ……生きてるなら…あたしたちの所に帰ってきて…

 

 

 

 

after:ASTRAYー???ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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after・ASTRAY:比翼の大罪者

…過去の大戦より時が過ぎザフト、連合は新たな条約を締結、新たな統一国家設立に向け歩み始めていた

 

 

しかし、それを良しとしない者達もいる…双方の組織に兵器を売りつけ莫大な利潤を得て戦争をコントロールする選民思想に染まる特権階級ロゴス残党、亡きザフト議長プレシア・テスタロッサの思想を信じるプレシア派…

 

 

火種はまだ微かにくすぶり続けていた…しかし、それは何者かの手により防がれていた事を人々は知らない

 

 

………先の大戦、綾崎翔真を中心に結成された施設武装組織《ソレスタルビーイング》、管理局提督大東貴一率いるG-spirits隊、天の軍神、テイワズ、アルケミスターズと共にザフト、連合の戦いに介入し集結に導いた

 

 

今は彼らはいない…しかしソレスタルビーイングは人々の目にふれることなく活動をしていた

 

 

そして、彼らに気づかれぬように動く者も……

 

 

 

after・ASTRAY??? 比翼の大罪者  

 

 

 

長く薄暗い通路にかすかに歩く音が響く…照明がギリギリまで落とされた暗闇に浮かんだのは黒い影…無機質でかつ鋭角的なマスクを頭からかぶり、瞳にあたる部分が赤く光り、何よりノースリーブのジャケット姿の18~20前後の男が歩いている。しかし腕は生身ではない。鎧にもにた機械義肢が取り付けられ微かな駆動音が漏れてる

 

 

マスクから漏れる呼吸音と共に歩きやがて扉の前にたち電子錠へ手を伸ばしロックを解き入ろうとした

 

 

「まて、どこにいく気だ」

 

薄暗い通路の反対側から響いた声に振り返った彼の目には長い金髪を三つ編みにし、白衣に黒のワンピース姿の20前後の女性が睨むように彼と向かいあうよう立っているのをみて背を向けながら足を止めた

 

 

 

『………………』

 

 

「罪滅ぼしのつもりか?マ…」

 

 

 

『……そいつはもう死んだ………』

 

 

「…なら、オレの目の前にいる、あの女《プレシア・テスタロッサ》に利用され踊らされ、挙げ句の果てには世界を滅ぼしかけたバカに聞こう……今でればどうなるかわかってるはず。オレの苦労を台無しにするのか?」

 

 

『…………あの時のことは感謝している……』

 

 

「……ったら、だったら!」

 

声を荒げ三つ編みを振り乱しとびかかるよう抱きつかれ、反応が遅れたたらを踏みながらも耐え彼は受け止めた

 

 

「だったらいくな!お前はもう充分戦った、たくさん傷ついた!そして両腕を……両腕を…オレたちが見つけなかったら死んでいたんだぞ!お前は!!」

 

 

『…………』

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

「もういいだろ……ココで《チフォージュ・シャトー》で穏やかに過ごしたっていいだろ……オレやエルフナインと一緒に!!」

 

 

 

『………オレは自分が生み出した災いを絶たなければならないんだ……だから……』

 

 

 

「え?」

 

 

『……オレはいくよ…』

 

 

優しく金髪を撫でると首筋に微かな空気音が響く…指先から麻酔薬が撃たれた音だと気づいたキャロル、すでに全身に周りまぶたが落ちていく

 

 

「こ、この……バ…カ……マ………」

 

 

『だから、幸せになってくれ……オレなんかといるより断然いいから…キャロル、幸せに』

 

 

 

優しく抱き上げるとドアの向こうへと踏み出す、灯りがつき見えたのは様々なMSパーツを組み込まれた漆黒の機体を一別し、備え付けの居住スペースにはいりキャロルを寝かせつけ、軽く頬を撫でる

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

ドアをロックしキャットウォークへと跳躍、そのままコックピットに張り付きハッチを開き、身体を潜り込ませシートに身を任せたキーボードを展開、起動OSを調整していく

 

 

『………流体アクチュエータ反応速度調整、重心バランサーは動かさないとわからないか、ジオン系OSマッチング…ニューロンシナプシスミラーリンク接続………』

 

 

キーボードを閉じ操縦桿…いや窪みへ手を差し入れる。モニターに光がはいり各種データが流れ静かな駆動音と共に漆黒の機体のツインアイに光が宿る。固定台のロックが解除され中間ハッチへむかう

 

コックピット内にいる彼の表情はマスクで隠されているからわからない…しかしここに運び込まれ機体修復とリハビリを手伝うキャロル、エルフナインと共にここで過ごした日々、そして今は会えない彼女たちの事、宇宙へのハッチが解放されていく中、爆発に包まれる巨大構造施設内で蒼白い焔を纏うMSと切り結んでた時に聞いた声が響いた

 

 

ー君がやっていることは地球蒼生軍、その残党とまったく変わらない!君と同じ境遇を持つ人達をただ悪戯に増やし、第二、第三の君を……………・……………を生み出すだけだ!!ー

 

 

『…(……あんたの言うとおりだったよ。オレはアイツ等と変わんなかった。それに気づくのが遅すぎたんだ大東…だからオレはすべてのケリをつける…たとえ偽善だとしても………)…いくぞリペア……』

 

 

静かにつぶやくと、リニアカタパルトで勢いよく漆黒の宇宙へと吸い込まれるよう飛び出した

 

 

 

数日後、プレシア派の残存勢力が立てこもるコロニーに偽装した衛星砲が跡形もなく破壊された

 

 

捕らえられた残存勢力はこう言ったという

 

 

 

《片方しか翼が無い《黒いMS》が現れたと想ったらやられてたんだ》

 

 

……それ以降、片翼の黒いMSは過激思想をもつプレシア派の関連施設に現れる姿をたびたび目撃されるようになった

 

 

 

自らの罪を償い続けるかのように

 

 

 

 



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after:ASTRAY─花言葉─

今回は方言にチャレンジ……自分の祖母がよく使っていた方言ですが




「かっさ!」

 

 

「どうしたのかな?いきなり?」

 

 

「ないごわっに、ててごがおいやらんのですか!」

 

 

……あの大戦が終わり、ここキュウシュウ、カゴシマに居を構えて数年経って学校から帰ってきて直ぐに開口一番に聞いてくるのは父親のことだ

 

 

父親がどんな人かを物心ついてからはずっとはぐらかして来たけど、もうごまかしきれない…私は久しぶりに箪笥の奥に隠していた写真を取り出した…あの日、あの生と死が交錯する戦場で最期の舞台になった宇宙で撮った一枚の写真を

 

 

 

after:ASTRAY─花言葉─

 

 

「かっさ、こっは?」

 

「コレがお父さん…私が世界で一番愛した人だ」

 

 

「わ、わっのて(父)?……こっが…」

 

 

MSデッキの前に黒く塗られたガンダム、私の愛機《ウーンドウォート・ラーⅡ》を背にして私が腕に抱きついてあわてたふためく表情。白い髪に真っ赤なメッシュが目立つ彼《アレス・ルセディス》との最期の日の思い出…

 

 

「わっのてごは『よかにせ』やっどんなあ……」

 

 

「ふふ、そうだろ《よかにせ》だな。真面目で無口だけど、周りを見ていて、あと可愛い所もあったよ」

 

「まこっですか?」

 

「ああ…」

 

目を輝かせてみてる。娘はキュウシュウに来てしばらくして妊娠が解ってから生まれてスクスクと育った、カゴシマコトバは、近所のトウゴウのオババと呼ばれる婦人に仕事で離れなければならなくなったとき預けたのもあり覚えてしまった

 

私が住んでる場所は昔訛りのサツマコトバが根付いてるから、覚えるのと意味を理解するまで苦労したね…トウゴウのオババは娘を孫みたいに可愛がってくれたのもあるけど、ジゲンタイシャリュウという剣術の達人で娘も学んでいる。佇まいから箒を思いだしたけど…あの戦いからどうしてるのだろうか?

 

マリア、切歌、調は今でも戦いの傷跡が残る中でチャリティーワールドツアーで世界を駆け回ってるのはこんな田舎でも届いてるから心配は無いけど

 

私は色んな理由が重なり重罪は免れた、かわりにオランダ国籍を剥奪された…でも何故か知らないウチに日本国籍が取得されていたんだ。日本在住権をもつ日蘭クォーターで身に覚えのない口座には一生楽して暮らせるほどの信じられない金額が振り込まれていたんだ

 

もしかしたら…でも彼はあの日、機体にダメージを受け戦線を離れていくなかで─────。公式発表では死亡したと報道され、不名誉極まりない字がついた

 

─地球を滅ぼしかけた悪魔─、─プレシア議長の懐刀─、─漆黒の魔神─と。そんな人じゃ無いのに、優しい人だ。

 

 

そして、死んだとは信じられないんだ。理由は一つだ

 

 

『ハロ、ハロ♪アンナ、アソボ、アソボ』

 

 

「ハロ、ん、おもっであそ!」

 

跳ねながら娘…アンナの周りを跳ねる白色のハロに応えて。私に写真を返してかけていく姿を見送りだした。あのハロは口座と一緒に預けられていた…もう一つも

 

ふわぁとカーテンが風にたなびき見えたのは白、ピンク、黒の花々が広がるチューリップ園…保存されていた球根を植えて花開いた時にわかったんだ。コレは私にあてたメッセージだと

 

 

白は優しさ、思いやり、愛情、幸福、ピンクは許しを請う、純粋、黒は……私のことを忘れて欲しい……

 

 

私に幸せになって欲しい、自分のことは忘れてくれを意味するメッセージだって……まったくキミはバカだよ、そして優し過ぎる

 

 

…でもね、アレス。キミは死んでない…だってね

 

 

『速報です、本日未明に旧プレシア派による月面マスドライバー占拠されましたが特務隊を向かわせましたが、内部に犯人らしき複数名が全員拘束され、MSも行動不能なまでに破壊されたとの情報があり真相究明が急がれてます……プレシア派はまだ根っこが深いとみますね』

 

『一体何が…ん?新たな情報が入りました…唯一生きていた監視映像が何かを記録していた模様です。独自に入手たモノを他の局より先に公開します』

 

 

流されたのはノイズ混じり、画質も悪すぎる…でも映されたのはジャンクの寄せ集めた体に光の翼をもつ黒い機体…ここ数ヶ月、プレシア派のテロ現場に現れては叩き潰していく機体…あの動きは間違いなく彼だ。携帯端末が震え手に取った

 

 

『ロラン、今のニュース、みたわね?』

 

 

「ああ、間違いなくエクシェスだ……彼は生きてる…生きてた。リョウコ。ノーヴェ、クリス、千冬、アインハルトには連絡は?」

 

 

『もうしたわ。ったく生きてたなら連絡を…しなさいよ…ホント』

 

 

「泣くのはあとにとっておくんだ……さんざん心配させた分はしっかりと払って貰わなきゃね…」

 

 

『ええ、絶対に逃がさないんだからティワズの力を甘く見ないでね……じゃあまたあとで。あの子が帰ってきたから』

 

 

「うん、わかったよ」

 

 

通話を切りふうっといきをはいた…さあ、もう逃げられないからねアレス、皆を待たせて心配させた分はきっちりと愛して貰うからね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Misshing:link《アレス・ルセディス》 Misshing-link:新暦68年ーA-RESUー

新暦68年 某日

 

無人世界に置かれた数ある違法研究所の一つ…ここで今までとは違ったアプローチから新たな戦闘機人開発が進められ遂に《type0-third》が完成した

 

先に開発したfirst、secondとは違いベースとなった遺伝子は闇の書事件に現れ、忽然と姿を消した《綾崎翔真》のを用い、さらにイオリア博士の理論を併せ持つ最高の戦闘機人。開発コード《A-RESU》、そしてインヒュレート・スキル《VEDA》

 

 

全てを超える到達点の完成の喜びに包まれた…しかし、その日のうちに研究所から爆発音が起き、断続的に警報が鳴り響く中、一人の男性が小さな子の手を引き喧騒に包まれ人が溢れる通路を走り抜けていく

 

 

向かうは転送ポートがある部屋…ようやく辿り着いた彼は素早く転移座標を入力、小さな男の子に手書きのメモ、お金、データ端末を手渡した

 

 

「いいか、コレをカイジ・ルセディス博士に渡すんだ………必ずお前を守ってくれる…」

 

 

「い、いおり、あ…はかせは?」

 

 

 

「私にはやることがある………すまないがここまでだ………A-……アレス」

 

 

優しく頬を撫でるイオリアと呼ばれた男性は転送ポートに入れ閉じ部屋を後にする…彼が向かうのはA-RESU開発の全データが収められたらメインフレームがある場所…データ端末、書類が散らばり誰も居なくなった室内へたどりついた

 

 

「………今すぐ消さなければ……」

 

 

パスワードを打ち込み開かれたファイルにはA-RESU…彼が転送ポートに押し込んだ小さな男の子の全身データ。削除していく彼の手が止まる…背中に冷たい感触と落胆した声が響いた

 

 

「そこまでだイオリア博士。A-RESU開発データ削除を止めていただこうか?」

 

 

「断る……私はこんな事の為に協力したわけでは無い…」

 

 

「何をいまさら?善人にでもなるつもりですか?我々の誘いに乗ったあなたが?」

 

 

 

「いや、科学者としての信念、人としての尊厳を裏切りたくないだけだ……」

 

 

「止めろと言っている!さあ、A-RESUを《Veda》どこに隠した!!」

 

 

 

「あの子の名はA-RESUではない。アレスだ……《Veda》はお前たちの手に届かない場所にある……P.Tにも」

 

 

「貴様あ!」

 

 

 

指を動かすのを止めないイオリア博士へ背中へ向け数発撃ち込む…白衣が血で染まり倒れ伏すが、指は止まらず顔を必死に上げ最後のデータを消したと同時に眉間に押し当てられた銃口が火を噴く。血がコンソールを赤く染め上げていく

 

 

「はあ、はあ、何がアレスだ!たかが戦闘機人に肩入れしやがっ…」

 

 

カチリと小さな音が足元に響いた。肩で息をする彼がみたのは違法研究所で開発していた新型爆弾…威力は半径250メートルを跡形もなく消し飛ばすモノだとしり駆け出すも遅く、眩い閃光が室内に広がりイオリア博士の遺体と彼を飲み込み間をおかずに爆発の嵐が巻き起こりA-RESUのデータは全て消滅した

 

 

 

「い、いおり、あ……るせでぃす………いく…いかな…きゃ」

 

 

街中に転移した男の子…アレスはボロで身体を隠すように人ごみを避けるように歩き出す

 

 

すべてはココから始まる

 



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Missing-link:新暦71年 家族

新暦71年………次世代エネルギー開発研究所。ありと未知のエネルギー発見、それを動力とした新型機関開発を主とし《夢》を追い求める天才たちが集うこの場所。その中央研究室で大人たちを前に熱心に数式を構築する少年の姿

 

「このように光も届く範囲に限りがある。つまり僕が言いたいのはエネルギーにも当てはまるんです。距離が離れれば離れるほど純度の高いエネルギーも徐々に減退、結果としてゼロになる……それをどう解決するか……コレです」

 

 

少年が一心不乱に数式を書き上げ同時に現れたのは一種の空間干渉力場…生み出された膨大なエネルギーが力場に包まれ減退する事もなく一つの基点から無数に枝分かれし暗かった部分に光が満ちる。その光景に息をのむ研究室メンバー

 

 

「……これなら無駄なくすべての地域をカバーできる」

 

 

「受信機は……こんなにまで小型化も」

 

 

ざわめく中、静かに一礼しそそくさと研究室を後にしその足で研究所にある小さな広場へ早歩きから一気に駆けそのまま宙返りし芝生の上に大の字に転がる少年の顔は無邪気で仕事をやりきった満足した表情を見せる

 

 

「はあ~~緊張したあああ。じいちゃんやお母さんみたいにできたかな~」

 

 

フにゃ~っとタレパンダみたいに芝生の匂いと太陽の光を身体一杯に感じ立とうとした時、顔面いっぱいに甘い匂いとふっくらとした感覚。そのまま押し倒された

 

 

「アルちゃん、見てたわよ~堅物のおじいちゃんの友達も大満足してたわ~えらい、えらいわあ~」

 

 

「の、ノイン姉さん?やめてよ~もう~みんな見てるから!?」

 

 

「別にいいもん。私のかわいい弟君とのスキンシップ、スキンシップ♪」

 

 

ゴロゴロと猫みたいに抱きつく義姉ノインに嫌がる素振りを見せるも顔は嫌がってはいない……ルセディス家に引き取られ二年。少年《アレス・ルセディス》は姉と…

 

 

「アルにいに~」

 

 

「うわ?ハーティ、そんなに走ったら」

 

 

「っつ!?…………ふぇ~~ん」

 

 

「ほら、じってして…うん、コレでよし」

 

 

 

つまづき勢いよく芝生に倒れる義妹ハーティが大粒の涙を流し泣きじゃくる…それを優しく抱き起こすアレスとノイン。そのやりとりは研究所につとめる職員には見慣れたモノで癒やしにもなっていた

 

 

「お義父さん、アレスの論文発表どうだたかしら?」

 

 

「ん~及第点かの。じゃが着目点も含め発想はなかなかじゃ……最初の頃よりずいぶん明るくなったのアレスは」

 

 

 

「はい……最初は心配してたけど娘たちもすっかり懐いて、ノインはすっかり夢中で、引きこもりにならないようにストライクアーツまで教えてるし、ハーティも「にいにもやるならわたしもする」って。ふふ」

 

 

 

「………確かにの。次の定期検診はいつぐらいかの」

 

 

「ひと月後よ……」

 

 

「……そうか……出来ればこのまま普通の人生を歩んで欲しいの……今度の検診で結果がわかるんじゃ。それまでの辛抱じゃよ」

 

 

「ハーティ、アルちゃんは私がハグハグするの」

 

「むう~ハーティもハグハグするの~」

 

 

「ふ、二人とも落ち着いて~いたたた!?」

 

 

姉と妹に両腕を思いっきり引っ張られ、いわゆる大岡裁きされてアレスの悲鳴が青空に響き渡った

 

 

コレはある少年の幸せな日々の記憶……取り戻すことのできない大事な家族との色褪せぬ記憶

 

 

悲劇まであと3年……

 

 

Missing-link:新暦71年

 

 

 

 

 

 



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Missing-link:新暦74年……破滅へのカウントダウン

新暦74年、次世代エネルギー開発研究所《低軌道ラボ》


「あの光は……GN粒子?なんて密度…それにここまで粒子を目視でみれるなんて」


地球蒼生軍と管理局、機動六課の戦いの最中に生まれた光、00ライザーのトランザムバースト…高密度GN粒子の奔流が低軌道ラボにも届き青みかかったGN粒子がキラキラと室内に浮遊している光景に驚いている少年…若き天才《アレス・ルセディス》は手に触れてみる

重さは感じない、ただ不思議な…まるで肉体よりも精神…すべてを見通せるような感覚…何かが繋がる氣がしながら溢れ返るGN粒子を採集していく

(このGN粒子、じいちゃんが見せてくれたGNドライブの粒子の色と全然違う…毒性はないし、それどころか何か聞こえる……)



GNドライブから生まれたモノとは違うGN粒子…興味を持ったアレスは研究所職員に呼ばれるまでの間、集められる限りのGN粒子を採集した



コレがやがて《ある動力機関の理論》へ繋がり、人々の生活はさらに豊かになるはずだった


しかしそれは発表されなかった…












 

新暦74年 ミッドチルダ南部

 

 

ルセディス家

 

 

 

「ん~このGN粒子…トリボロジカルエフェクトは同じハズなのに、粒子の色と性質が違うし純度も違う………むううう…わ~か~ん~な~い」

 

 

頭を抱える少年…アレスが頭を抱えると、ばさあっと無数の手書きのメモが紙吹雪のように舞う。あの日、採集したGN粒子を様々な視点から解析をするもまったくわからない。自室は様々な乱雑に走り書きされたメモや写真だらけ、アイデアが閃いたらところかまわず書き出すクセゆえんに散らかり放題。ふらりと立ち上がりベッドへとポフンと倒れ込んだ

 

 

「………ナニが違うんだろ………」

 

 

目を向けた先には無数のシリンダーに収められた半年前に集めた《蒼く輝くGN粒子》…くしゃくしゃになった髪に手をあてながらぷく~と頬を膨らませたれぱんだみたいにむくれるアレスの背後に影が近づいてくる

 

 

 

Missing-link:新暦74年……破滅へのカウントダウン

 

 

 

「ア~ル~ちゃん♪」

 

 

「うわあ!?………ってノインお姉ちゃん!?」

 

 

アレスに多い被さるよう抱きついてきたのは義姉ノイン・ルセディス。義弟のアレスをこれでもかといわんばかりにからみつくよう抱きつき頬ずりする。なんとか逃げ出そうとするもストライクアーツ有段者から逃れられず為すがままにされ十分後…

 

 

「ん~アルちゃん成分補充完~~了」

 

 

「も~う部屋に入るときはノックしてっていってるよね?ノインお姉ちゃん……」

 

 

 

「ごめん、ごめん……アルちゃん、明後日は暇?」

 

 

「な、なに、いきなり……明後日は研究所にいって新しい動力機関の理論をじいちゃんに見てもらうけど…」

 

 

 

「そうなんだ……ならいいか……じゃあ明後日に私の友達が研究所に遊びに来たいっていってるんだけど案内してくれないかな?アルちゃんと同じストライクアーツ有段者なんだけど、すごく動きが似てるのよ」

 

 

「僕と?……どんな人?」

 

 

 

「ん~そうね~ケンカっぱやくて、負けず嫌いで素直じゃない……いわゆるツンデレ突撃娘かな?」

 

 

 

「な、なんか怖そうな人なんだね………」

 

 

「ノンノン、怖そうな人じゃないわよ~れっきとした女の子だから。でもでも♪すごく優しくて真っ直ぐな部分は身体の動きでわかるのよ。この私から一本とるくらいだから……どう会ってみない?」

 

 

 

「…………………うん…でも発表が終わってからなら

いいよ」

 

 

 

「オッケ~んじゃ、私はコレから《ノンちゃん》に連絡するから部屋に戻るわね~それと、早く寝るのよ?最近ねてないんだから」

 

 

「わかっ………」

 

 

「アレスおにいちゃん!」

 

 

言葉を遮るように扉が思いっきり開かれ、黒い影が起き上がったアレスの腹部にダイレクトアタックする…

 

 

「うわ?は、ハーティ?いきなり全力タックルは…や、やめて」

 

 

「あ、ごめんなさい……それより聞いてよ。ワタシ今度のインターミドルに出ることが決まったんだよ。スゴいでしょ♪♪」

 

 

えっへんと黒髪をアップテールにし胸をはる女の子…二つ下の義妹ハーティ・ルセディスが華のような笑顔をみせ自慢してくる姿に痛みを忘れポンポンと頭を撫で笑顔になる…義姉ノインと自分がストライクアーツを学ぶ姿に触発されたのか一緒に習い始め最初は覚束なかったが今はノイン指導の下でメキメキと上達する姿をみてきたから自分の事のように喜んでる

 

 

「そっか、じゃあ応援にいかなきゃね……」

 

 

「うん!おにいちゃんが応援してくれるならひゃくにんりきだよ」

 

 

 

「ハーティ、そろそろ寝ないと明日学院でしょ?」

 

 

「あ、いっけない……じゃ、また明日ねアレスおにいちゃん」

 

 

笑顔を向けノインと共に出て行く姿を見届けベッドに大の字になり天上をみる…この家にきて養子に迎えられてから今まで灰色だった日々が様々な彩りに変わった…イオリア博士が自分を逃がしてくれたから得られた家族の温もりは研究よりも代え難い大事で、何より一番守りたいモノだった

 

 

「ずっとみんなで仲良く過ごしたいな……」

 

 

 

うとうとしながら呟いたのを最後に深い眠りについたアレス……その頃、ノインは自室で友人と話に花を咲かせ…いや口げんかに近い

 

 

 

『ば、バカ!なんでアタシが明後日にお前の弟と会うこと勝手に決めてんだよノイン!?』

 

 

「べつにいいじゃない?それに前に私に負けたとき『なんでも言うこと聞いてやるよ』って約束したの忘れた訳なのかな~ノンちゃん♪」

 

 

『そ、それは……』

 

 

「どうなの?アナタだって興味あるでしょ………同じストライクアーツを嗜む者として」

 

 

 

約束を盾に言うノインにウィンドウの向こうにいるノンちゃん……赤髪につり目の金眼が目立つ少女も少し頬をかき観念したように口を開いた

 

 

『わかったよ…あってやんよ!ただし!一回だけだからな!』

 

 

「ソレでこそ私の親友ノンちゃんね~♪でもアルちゃんをおそったらダメよ♪」

 

 

『誰が襲うか!それとノンちゃんいうなあ!アタシはノーヴェ、ノーヴェ・ナカジマだ!!じゃあ切るからな!!』

 

 

 

乱暴に通信を切ったノンちゃん…ノーヴェ。やや顔が赤かったのしっかりと見て笑みを浮かべるノイン…その視線は机にある一枚の写真に向けられる

 

 

自分たちとアレスが《家族》になった日に撮られたモノ…今と違い無表情のアレス、祖父カイジ、母リナ、自分と妹ハーティがその手をつないでいる

 

 

「………明後日で六年目……家族記念日は盛大にやらなきゃね……」

 

 

写真の隣にある、丁寧にラッピングされたアレスにわたすプレゼントににっこり笑いながら部屋の明かりを消し横になった

 

 

明後日は研究所のみんなと親友と一緒にアレスと楽しく過ごし、親友を焚き付けながらハーティと一緒にあそんで明後日がアレスにとって最高の《家族記念日》になることを願って瞳を閉じた

 

 

 

コレから三日後……悲劇の幕が開く

 

 

 

Missing-link:新暦74年……カウントダウン

 

 

 

 

 




少し先の未来


「どんな気分だ?神宮寺和馬?」


『く、な、なんで動かない!?』


真っ黒な機体…《ガンダム・エクシェス》に片手で頭を捕まれ持ち上げられる《Hi-νガンダムヴレイヴ・リベレイター》、そのコックピットに座りアームレイカーを動かすGspirit隊所属《神宮寺和馬》は必死に機体コントロール回復を試みる。全天周モニターは映るも一切機体が反応しない


「オレのエクシェスの前ではすべてのMSは無力なんだよ。そういや、あんたミッドチルダで見え見えの芝居をうってクァンタ譲渡していた時に格納庫で面白い事言っていたよな『ーーーーーーーーーー』って………オレのーーーーーーーーも無い、ーーーーーーーって思ってんだよな?だから五年前にーーーーたんだな!!」


『……っ!!』


「なんで知ってるって顔だな?脳量子波を通してオレだけの《ヴェーダ》が教えてくれたんだよ!!」


言葉が詰まる和馬をよそにギンっと赤くツインアイを光らせながら、リベレイターの左腕を掴みメキメキと軋ませ力任せに引きちぎった…オイルが血のように吹き出し装甲とフレームがバラバラに落ち、左腕を叩きつけるよう投げ捨てた。頭を掴むマニュピレータに力がこもり、リベレイターの頭部に亀裂が走り出した



「今のは研究所の皆が感じた恐怖のぶんだ。あの日、もつとーーーーーしていたら。カイジじいちゃんは!リナ母さんは!ノイン姉さんは!ハーティは!…………全部、全部おまえたち、Gspirit隊……大東のせいだああああああ!!」


エクシェスのフェイスに亀裂が走り、大きく裂け放熱、金色の翼を輝かせ叫ぶ漆黒の姿は悪魔としか言えなかった


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ASTRAY:六番目の蛇《マルス・レディーレ》 PHASE-00 「復讐者が生まれた日」side:ASTRAY

新暦75年、クラナガン南部《次世代エネルギー開発研究所》

「ちくしょう!俺達の要求に飲まないだと!!」


「………俺達をテロリスト?そのような要求に屈しないだと?ふざけるな大東!!」


声を荒げるのは顔をマスクで隠した男達、そのうちひとりがいらだち紛れに近くにある椅子を蹴り飛ばし壁に勢いよくぶつかりけたましい音と共に壊れた。彼等はGspirits隊、綾崎翔真たちとの戦いに敗れた地球蒼生軍の残党。彼らはGspirits隊の追跡から逃れるためにクラナガン南部にある《次世代エネルギー開発研究所》になだれ込み施設を制圧、職員百人余りを人質に取り半日が過ぎていた

次世代エネルギー開発研究所は鉄壁の守りに加え外部と独立したセキュリティーが完備されていた為にまさに要塞と化していたのもありGspirits隊は突入手段をどうするか考えあぐねていた時、彼等…地球蒼生軍の残党は人質解放の条件として捕らえられ投獄されたメンバーの釈放、さらには逃走経路、現、管理局地上本部提督《大東貴一》の即時退陣を要求。もし飲まなければ人質を30分ごとに五人ずつ射殺すると宣言した

しかし、管理局地上本部提督《大東貴一》は『テロリストのいかなる要求には屈しない』と要求を突き放し今に至る…ようやく研究所の見取り図とセキュリティーフレームへアクセスに成功し、突入の準備が整おうとしたとき、悲劇は起こった


研究所の内部LIVE映像がクラナガン中のありとあらゆる報道機関へ流れ、五人の人質がテロリストの前に引き出された。


『大東貴一!我々をテロリストよわばりし要求に屈しないと言ったな…その結果を今から見せてやる!!』


乾いた音が響く…頭を撃ち抜かれ倒れる老人、さらに三回鳴り響いた…三十代前半の女性、十四歳前後の少女、九歳ぐらいの女の子が額を撃ち抜かれ血を辺りに撒き散らし倒れていく…

『あ、ああ……うわあああああああああ!!』

あまりの惨状に最後に残された少年の叫び声が響いた。あばれ回る少年を強引に押さえつけゴリッと銃口が眉間に押し付けられた

『安心しろよ?寂しくないようあとを追わせてやるよ。恨むなら大東貴一、Gspirits隊を恨めよ?さあ死にな…』

引き金に掛けられた指に力が入ろうとした瞬間、犯人の動きが止まる、いや胸を撃ち抜かれ倒れた。それが合図のように扉が開き突入部隊がなだれ込んだ。
射殺された犯人以外はすべて拘束され捕らえられていた人質は解放された

ただ少年だけはふらふらと立ち上がり、射殺された四人に近寄り膝をついた…瞳孔は刻みに震えかすかに言葉が漏れた


「母さん、じいちゃん、ハーティ、ノイン姉さん………う、うう、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア…ッ!?」

血に汚れながら四人の前で過呼吸状態になりながら止め止め無く溢れ出す涙、ついに糸が切れたように倒れそうになった少年を誰かが抱き留めた。突入部隊として参加していたGspirits隊メンバー《スタニック・デュノア》は少年の前に血だまりに倒れた4人を見て否が応でも悟ってしまう

「…………まさか、この四人は…この子の家族…もっと早く突入していれば……医療班、早く来てくれ!!急いでくれ!!」


地球蒼生軍残党による次世代エネルギー開発研究所立てこもり事件…これを最後に徹底したローラー作戦で地球蒼生軍残党は完全に壊滅した


この時、新たな火種が生まれたことをニックはおろか、大東貴一提督はまだ知るよしもなかった




宇宙…ありとあらゆる生を拒絶する空間に二つの光が見える。光の正体はMS…ザフト正式採用機ザクファントム、背中には長距離移動と高機動を目的としたウィザードパック装備しているが目を引くのが所々に赤い装甲が目立つ機体の後ろに追従する機体はさらに異様だった

 

全身を黒く塗られ連合、オーブ…様々なMSのパーツが組み込まれ、さらに特徴的なのは連合のGATシリーズと似た頭部、背中には小型の翼が二対ある機体はザクファントムと共に少しずつ減速を始めた

 

 

『マルス、もうじきしたらアジトにつくぞ』

 

 

『……了解。着陸シークエンスに入ります』

 

 

二機が向かうのは小規模の資源衛星、その表面が動き上下に分かれMSが入れるくらいのゲートが開かれ、そのまま滑り込む。内部に並べられたらMSデッキへザクファントム、黒く塗られた機体が慣れたように着地、各種ブームが機体を固定されハッチが開いた

 

ザフトのノーマルスーツに身を包んだ銀髪に顔に傷がある美青年、そして黒塗りの機体から連合のノーマルスーツ姿の黒髪に前髪あたりに赤いメッシュが目立つ年の頃、十五歳前後の少年がふわりと降りた

 

 

「よう、イライジャ、マルス。無事かえってこれたみたいだな」

 

「リード、おまえまた飲んでるのかよ……ああ、ミッションコンプリートだ」

 

 

「はい、無事に帰ってきました。リードさん、昼間からまた飲んで……また風花さんに怒られますよ?」

 

 

「ははは、まあ固いこというなって…おまえも酒の味を知ればわかるからな…っとマルスは未成年だったな……ん、ん……くぅ~たまんないな」

 

 

ぐいっと酒を飲むリードに少しため息を二人はついた

。だがこうみえてもリードは連合に独自の人脈を持ち戦闘に参加はしないモノの培った人脈と情報網、高い交渉術を駆使し様々なミッションを支えるメンバーだ。ふとイライジャはナニかを思い出したようにリードに訪ねた

 

「そういえば劾はドコにいるんだ?」

 

 

「劾か?今、別な依頼を受けてココにはいねえな…っと忘れてたマルス、お前に依頼だ。しかもクライアントが直々にお前を指名してきた、ほらよ」

 

「わわっと?僕に依頼ですか…」

 

 

思い出したようにリードが機体の整備に向かおうとしたマルスにデータ端末を軽く投げる。それを慌てて受け取る。傭兵になってから初めて名指しでの依頼に驚きながらデータ端末に目を通す。内容と共にクライアントの動画データも張りつけてあるのを確認して開いた

 

 

ー私はP・T。傭兵部隊サーペントテール、マルス・レディーレ。アナタに依頼を頼みたいの………この世界とは違う世界《ミッドチルダ》にある管理局地上本部《大東貫一》提督直属部隊Gspirits隊に関しての動向および戦力調査。そしてソコに現れるだろうMSウイングガンダム滷獲もしくは破壊。ただ破壊および滷獲に関してはアナタに一任します。Gspirits隊に関しては彼等が私たちの世界に驚異となるかを見極めて貰いたい。別世界へ行く手立ては同封したプログラムをインストールすれば転移可能になりますー

 

 

動画データには緩やかなウェーブが目立つサングラスをかけた黒髪の女性。彼女の言葉からは自分に対しての信頼を感じる。それ以上にGspirits隊、大東という固有名詞にマルスの心に響いた。

 

マルスは二年前に火星圏のデブリヘルトで半壊したMSのコックピットに冷凍睡眠し漂っていた所をジャンク屋に拾われた。目を覚ました時、過去の記憶が喪われてて唯一おぼえていたのは《エクシェス》という名前だけだった。生きる術を得るためにジャンク屋で働いていた時、ジャンク屋の知り合いである傭兵部隊と出会った瞬間、管理局、Gspirits隊、大東貫一と頭に浮かんだ。もしかしたら失った記憶を取り戻せるのではないかと考え傭兵部隊のリーダーに自分を入れてくれとジャンク屋と共に頼み込んだ。ジッとサングラス越しにしばらくマルスと向き合ったリーダーは静かに告げた

 

 

ー………いいだろうー

 

 

そして、傭兵部隊サーペントテールの六人目のメンバーとなったマルスはジャンク屋から餞別に自身がのっていたMSの残骸に連合、オーブのパーツを組み込み再生されたMS《アストレイ・エクシェス》を手渡され以降は愛機として自身が何者かを模索していた

。しかし記憶が戻る気配もなく二年間過ぎてしまったときに来た依頼…意図的なモノかソレとも偶然かと悩むマルス。本来なら個人の感情を仕事に持ち込んではいけないのだが、依頼人のP・Tの言葉に心が動いた、静かに端末を閉じた

 

 

 

「リードさん、この依頼を引き受けます…」

 

「そういうと思ったぜ。んじゃ必要なモンは揃えておくから休んでな。クライアントには俺からメールで伝えておくからな」

 

手をひらひら返しリードはクライアントへと連絡を取りに通信室に向かう。機体の整備を終えたのかイライジャの姿は無い。マルスはゆっくりと床を蹴り自分の愛機《アストレイ・エクシェス》の顔に手を添える

 

 

「………この依頼を引き受ける事にしたよエクシェス…初めてのクライアントからの指名されたからにはかならず成功させよう」

 

 

マルスの言葉にエクシェスはなにも答えない。それでも心はあると信じ相棒から離れると自室へ任務に向けての用意をするべくMSハンガーから出て行った

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「……システムチェックOK、次元転移マーカー正常…光圧推進システム連動開始……」

 

 

すべての用意を終えマルスは機体状況、次元転移システムと光圧推進システムの最終調整を進めていく。アストレイ・エクシェスが居るのは宇宙空間。近くにはイライジャ専用ザクファントムが控え眼下には地球が見える

 

『マルス。準備はできたか?』

 

 

『…問題ない。次元転移マーカーおよびシステム起動…ヴォワチュール・リュミエール!!』

 

 

アストレイ・エクシェスの左右に伸びた小型のウイングが展開、同時に金色の翼《ヴォワチュールリュミエール》が起動し加速、マルスのノーマルスーツに対Gアーマシステムが装着。モニターに現在の加速速度、次元転移までのカウントが刻まれ機体正面に幾重の幾何学的紋様《魔法陣》が現れ迷わずスロットルを全開にし飛び込んだ、瞬く間にアストレイ・エクシェスはその場から消え去る

 

 

 

「システムチェック…空間変動値、転移マーカー正常稼動確認……カウントダウン開始」

 

 

不可思議な空間を光に限りなく近い速さで駆けるエクシェス。マルスはシステムチェックと同時平行で操縦に集中する、一つ間違えば永遠にこの空間をさまよう可能性がある。いかに科学が発展しようとも完璧な技術は存在しない…コントロールスティックを握る手に力がこもる。やがて新たな魔法陣が現れ通り抜けた先には何処までも広がる海面、空には二つの月が浮かんでいる

 

「転移完了…ヴォワチュールリュミエール解除……現在位地確認……第一管理世界ミッドチルダ、クラナガン湾岸部と照合確認。現時刻よりサーペントテール《6》マルス・レディーレ、ミッションを開始する」

 

 

レーダーに引っかからない為に海面すれすれを飛行するエクシェス…向かうは管理局地上本部《大東貫一》提督直属部隊《Gspirits隊》基地がある湾岸部…水しぶきを上げながら向かった頃、マルスに依頼したクライアント《P・T》…彼女は薄暗い部屋で報告を受けていた…

 

 

「わかったわ、報告ありがとう。さがっていいわ」

 

「では失礼します。テスタロッサ議長」

 

敬礼し部屋をあとにしたのを確認した彼女は空間投影モニターを開く。ソコにはマルスとよく似た少年の顔写真、過去、経歴が詳細に映し出されジッと眺め少しだけ笑みを浮かべた…その笑みからは妖艶さがかもしだされている

 

 

(……綾崎翔真、織斑一夏、篠ノ之箒、サーペントテール《6》マルス・レディーレ…役者が揃うまであと少し…さあ、世界はどう動くかしら)

 

 

笑みをたたえたまま、静かに椅子から立ちモニターを閉じた彼女…ザフト最高評議会議長《プレシア・テスタロッサ》は自らの理想を想い描き、次の一手をうつべく思考する

 

 

……傭兵部隊サーペントテール、六人目のメンバー《マルス・レディーレ》にクライアントとして接触し任務を依頼したのか?それは彼女に胸の内しかわからない

 

 

 

 

 

 



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PHASE-24「二人の少年と翔真達の休日 」side:ASTRAY

新暦75年、クラナガン中央区コースト総合病院、同病室



「………………」


薄暗い室内で微かに何かが動いた。頭から布団をかぶり体育座りした少年の姿。研究所立てこもり事件から一週間が過ぎ病院へ運ばれ目を覚ました彼は心を閉ざしてしまった

それ以上に連日連夜のマスコミが押しかけテロリストに射殺された家族の唯一の生き残りの彼に取材をしようとし、今はあてがわれた個室に身を潜め外界から身を守るように閉じこもっていた

胸にあるのは生前の家族の暖かで楽しく過ごした日々…祖父、母、姉、妹と他愛ない会話やストライクアーツを妹と一緒に学んだ、姉から身体を鍛えろよと、祖父と母からは研究テーマを互いに論議していた

何時までも続くと思った日々はもう二度と帰らない…あの笑顔と声も温もりも


激しい絶望が心を深い闇へとおとしこむ…しかし扉の向こうから声が掛けられる

「………☆☆☆☆。起きてるか……あ、眠ってるよな…もし起きてたら聞いてくれ」


遠慮しがちな声に意識を向ける、声の主はニックと言う人物…病院の医師なんだろうと思いながら目を閉じ耳を押さえる

誰の声も聞きたくない。意識が目覚めた彼に待ちかまえていたマスコミが押しかけインタビューをしてきた。中には失礼きわまりない内容《今の気持ちはどうですか?》《答えてくださいよ》《あなたが生き残れたのは何故なんですか?》

家族を失った彼の心に突き刺さる刃のような言葉から逃げた…なんで、なんでこんな事にと何度も何度も自問自答した


「………すまなかった。俺たちが早く突入していれば……すまない……☆☆☆☆☆」


扉の向こうからの謝罪の言葉はもう届かない。布団にくるまろうとした時、堅い何かに足があたり空間投影モニターが開き映し出されたのは会見場、たくさんの報道機関関係者が管理局地上本部提督《大東貴一》に質問を投げかけていた


「では、先日の立てこもり事件ででた犠牲者はアナタの判断ミスでは無いのですね?」


「テロリストからの要求、地球蒼生軍幹部の釈放と逃走経路の確保、そして大東提督の退陣要求があったと聞きますが。もし飲んでいれば犠牲者を出すことは無かったのでは?」


「飲めば彼らは大人しく人質を解放すると本気で皆様は思っているのですか?もし私が要求をのみ逃走し合流すればさらなる混乱が起こるでしょう。まだ残党は地下に潜み今回のようなテロよりもはるかに最悪な事件が起こりうる可能性があるのです」


……大東貴一提督のインタビューが流れていく。しかし彼の瞳には微かな怒りの火が見えた。要求をのめば自分の家族は助かったんじゃないのか?さらに驚くべき言葉を耳にした


「……テロリストと戦う以上避けられないやむおえない犠牲だったのです。今回の事件の犠牲となった四人に誓います。私は必ず地球蒼生軍残党、テロリストを廃し平和を取り戻すことを…」


「ふ、ふざけるなああああ!くそ!くそ!……帰せよ、母さんを、じいちゃんを、ノイン姉さんを、ハーティを………返せよう……」


モニターめがけ殴り抜く、しかし実体の無いモニターをすり抜け壁に拳がぶつかる。しかし何度も、何度も殴りつけ皮膚がさけ血が滴り落ちる…その瞳には怒りの炎が満ち鬼のような形相を浮かべ再び殴りつけようとした時、誰かに腕を握られた彼の目に映ったのはややウェーブがかかった黒髪にサングラス、黒のスーツにタイトスカートに身を包んだ女性のすがた


「……誰だよあんたは……」


「私はP・T。アナタに力を与える者…………復讐をしたいのでしょう?家族を奪った大東に……」


「……なら力を寄越せよ。アイツラに復讐するための力を!!」


「ええ、もちろんあげるわよ……来なさい。アナタの望む力を得られる場所に案内してあげる………《軍神の星》…火星に」


妖艶な笑みを浮かべ少年の手を取るP・T。数十分後、巡回の看護婦が来た時には二人の姿は無かった。そのことを知ったニックはつてを頼り探したが行方はようとして分からなかった



復讐の炎に身を焦がす少年はP・Tに誘われ向かうは軍神の星《火星》…大東貴一。Gspirits隊の首もとに突き立てる復讐の牙は確実に研がれ始めた






翔真が久しぶりにニャル子とのデートにイギリスの街を散策し、黒いオーラをあふれ出させるヒロインズに尾行されていた頃………

 

 

 

 

 

 

「マルス、スラスター出力スロットをあげてくれ」

 

 

「うん。いくよ……ん~やっぱり転移した時に基部に異常な応力がかかったかもね。じゃ、ここをこうしてバイパスを繋ぎ直して……」

 

 

小島に降りてから1日、ナガスミとマルスは互いの機体の整備をしている。次元転移の際に起きた重力変動で異常がないかと調べたのだが、案の定問題が発生していた

 

ナガスミのウイングガンダムもだがマルスのエクシェスも関節部と一部管制OSにもダメージが見受けられ、このまま移動し戦闘状態になれば不測の事態に陥ると判断し今に至る

 

間接周りにかかる負荷を減らすためにOS調整するマルス。モニターに流れるデータ羅列から視線を離さず片手で手慣れたように高速タイピングしていく

 

 

「すごいな~まるでコーディネーターみたいだな?」

 

 

「……そうかな?でもナガスミくんもスゴいよ。このウイングガンダム、普通の人間なら気絶するGに加えて、ビームを弾く特性をもつガンダニュウム合金、このバスターライフル…ビーム収束帯から生まれる高出力のプラズマと電磁波の奔流……」

 

 

ナガスミのウイングガンダムに関しての考察を言いながらOS調整を進める…やがて手がとまりキーボードを左へ収納した

 

 

「コレでよし。ナガスミくん実際に動かしてみて」

 

 

「お、おう」

 

 

パイロットシートからでるマルスと入れ替わり深く身を任せるように座るとコントロールスティックを握り動かす。ウイングバインダー基部が先程と違い滑らかに展開、バーニアノズル方向転換もだか自分の身体のように動く事に驚いていたのもだがウイングガンダムを短期間で機体、武装特性を理解していることに驚いていた

 

 

「どうかな?何か違和感はない?」

 

 

「いや寧ろ前よりも反応がいいな。サンキューなマルス」

 

 

「良かった。でも長時間の戦闘は無理かも…万全にするにはせめてMSが整備出来る施設が近くに…」

 

 

言いかけた言葉を遮るようにエクシェスのコックピットから音が鳴り、ウイングガンダムから離れ素早くシートに身体を滑らせ座るとモニターに見覚えがある反応が示されている

 

スパナが三角形状に組み合わさったシンボルマーク…もしかしたらと思いマルスは現在位地座標を照合すると完全一致。みるみるうちに笑顔に変わる

 

「ナガスミくん!今から僕について来て!!」

 

 

「え?な、なんだよ。今でて誰かにみっかったりしたら…ってかドコにいくんだ?」

 

 

「大丈夫。今からいく場所はジャンク屋さんがいる場所だから」

 

 

矢継ぎ早に言われ困惑しながらもOSを立ち上げ、ウイングガンダムは機体を起こしウイングバインダーを開き先に飛翔したエクシェスについていった

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「よう!久しぶりだなマルス」

 

 

「ロウさん?いつ地球に?」

 

 

「ああ、ついさっきな。それよりエクシェスのとなりのMSはなんだ?見たこと無い奴だな~連合のGにも似てるしザフト?火星のとも違うし…まあいっか。みた感じかなりガタガタだなぁ~よし、メンテナンスしてやるからハンガーに固定してくれ」

 

 

「あ、あの今、持ち合わせが…」

 

 

「いいって、いいって、珍しい機体を整備できるなら代金はいらないさ。お~い樹里も手伝ってくれ~」

 

 

「わかったから、ロウも手伝いなさいよ~ソレスタルビーイングが近くに現れたから、連合とザフトが調査に来るみたいだよ」

 

 

「わかってるって、それにギガフロートは移動するしな大丈夫だって。さあってと気合い入れてやるか」

 

エクシェスに先導されウイングガンダムと共にナガスミが来たのは海上に浮かぶマスドライバー施設を備えた人工島…ギガフロート。二年前、アーモリーワンとは別に作られIS運用と軌道エレベーター開発および建築資材を打ち出すためにIS学園、連合が建設していたモノだったが情勢悪化に伴い計画は白紙にされ放棄されていたギガフロートをジャンク屋組合が完成させ組合本部へ生まれ変わった。当然、MS整備および解体プラントも備えた最大の移動拠点…そこに着陸しハンガーに固定したマルスは意外な人物《ロウ・ギュール》と再会し、しかもタダで整備してくれる事になった

 

今、マルスとナガスミの前でロウの指示に従い整備が始まるのを見届け外…ギガフロート上層へでる。

 

 

「ん~やっぱり海はひろいや。ってナガスミくん、なにしてんの?」

 

 

「何って釣りをすんだよ。整備終わるまで暇だし…やるか?」

 

 

「そうだね…」

 

 

渡された釣り竿を使い軽くスナップを効かし海へ釣り針を投げる。それを見ながらマルスも同じ風にやる…穏やかな風と潮騒、太陽が照らしていく

 

 

「お~い、マルス、ナガスミ、整備終わったぜ………おいおい、なんだ?コレは??」

 

 

やがて整備が終わった事を知らせに来たロウが見たもの…マグロ、カツオ、ブリ、鯛などなどが山のように積まれ夢中になって魚を釣り上げる二人の姿だった

 

……その日は新鮮な海の幸満載の夕食だったと記しておこう○♪

 

 

 

 

 



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PHASE-28.5「揺れる旋律の大地」 side:ASTRAY

(ココまできたよ。じいちゃん、母さん、ノイン姉、ハーティ………)


薄暗い通路を漆黒のパイロットスーツ姿の少年がゆっくりと歩く…謎の女性P.Tに誘われた場所に来て二年…家族の仇、管理局地上本部《大東貴一》への復讐を糧にココでの力を得るために血の滲むような努力をし続けた。もともとのMSパイロットの才能もあったが自らが研究していた技術の提供が上に認められたからだ


火星、マーシャン急進派…地球と縁を斬るべきと唱える彼らに協力し遂に力の象徴を作り出した……


(……ぼくは…オレは力を得たよ……大東貴一、Gspirits隊……おまえたちに復讐してやる)


長い通路をぬけた眼前に黒く塗りつぶされたMSが現れる……DSSD、オーストレルコロニーから盗み出した《Δ》のデータ、少年の研究を用いて生み出した復讐の形…


      ーエクシェスー


急進派が推し進める《軍神の矢》計画の要でありフラッグシップ機を見上げ搭乗用タラップに乗り上昇、ハッチに手を触れる。瞬く間に上下に解放、セーフティーシャッターが収納。パイロットシートがせり出すと身体を滑り込ませた。各種点検項目に目を通した

Gunnery

United

Nuclear

Deuterion

Advanced

Maneuver


盗用技術で作られたエクシェスはザフトの最新鋭機のを改良したOS積まれている、それを最適化、モニターが展開しデッキが映し出され静かにリニアカタパルトへハンガーごと移動を始めた





(……………エクシェス…まずはアキダリアを落とす……アグニス・ブラーエ、急進派にとってお前は邪魔なんだよ………それが終われば次は大東貴一、Gspirits隊。お前たちだ)


ーエクシェス、発進スタンバイ。リニアボルテージ上昇……ー


アナウンスが響く中、最終チェックを終えコントロールスティックを握りしめる少年…もう迷いはない…復讐の為に情けは捨てた…大東貴一への復讐が終われば死んでも構わない。みんなのいない世界に生きていたって仕方ないから…その揺るがない決意に応えるように発進スタンバイ完了の電光掲示が光る



「………アレス・ルセディス、エクシェス…でる!」


復讐の翼が今、羽ばたいた






 

「……じゃあ始めるかマルス」

 

 

「わかった……」

 

 

朝靄の中に佇む二体のMS…マルスが駆るアストレイ・エクシェス、対するのはナガスミのウイングガンダム、バスターライフルの砲身に長い開放型のバレルが三機囲むよう装着され外観を別なモノと変えている。エクシェスは左手にシュベルトゲベール《グラム》、右腕に《ドラグ・リム》と呼ばれる楯?を装備してる

 

 

「とった!いくぜ!!」

 

まず、動いたのがナガスミ。互いに距離を取りながら飛翔。照準マーカーが動き重なるとバスターライフルを構え引き金を引く。凄まじいまでの高エネルギー収束帯であるビームがそのままエクシェスを飲み込もうとする

 

PHASE-28.5「揺れる旋律の大地」side:ASTRAY

 

「くっ!」

 

コントロールスティックを傾けギリギリで回避しながら反撃に移るべく加速。瞬く間に間合いがつまりグラムの刀身基部が稼働、カートリッジが二回吐き出されレーザーの刃が輝きをまし横へ凪払うように斬りつけるもかわされ、再び距離が開く

 

 

「今までのバスターライフルと威力が桁違い過ぎるだろ……」

 

 

「……あと二発…バスターライフルへの新装備、威力は計測値を予想値を上回ることを確認……性能テスト及び完熟訓練継続……いくぞエクシェス」

 

 

あまりの威力に声を漏らすナガスミ、先日ロウに整備してもらったウイングガンダムを見にきてバスターライフルに追加装備されていた

 

 

ーん?これは宇宙で拾ったんだけどさ~オレのレッドや連合、ザフトの規格に合わなくてな。お前のウイング整備してたら似た規格だらけでさ、もしかしてと思って組んでみたんだ…まあ、試しに使ってみてくれよ。使いづらかったら外すけどさ、名前はドライツバークだー

 

 

バスターライフルのバレルに追加されたドライツバークのカタログスペックとロウの腕に驚きを隠せなかった…が、すぐに気を引き締め目の前にいる相手、マルスが駆るエクシェスに集中する

 

 

(………コレがあのマルスかよ?)

 

 

シュベルトゲベールを持ち滞空しながらこちらを見るエクシェスとマルスの鋭い眼がツインアイと重なる…傭兵とは聞いていたがこうして対峙すればいやでも事実だとわかる……知り合いになって間もないが、普段のほんわか天然さが抜け落ちている。余りにも落差がありすぎるMSに乗ると人が変わるというのを初めてみた気がしてた

 

 

「……コレが傭兵…なのか」

 

 

「……」

 

 

コントロールスティックを握る手に汗がにじむ。今二人は模擬弾は使わず実弾、バスターライフルもリミッターを付けていない。模擬戦の名を借りた実戦…何故こうなったのか?当初ナガスミはシュミレータでトライツバークのテストをするはずだったのだが

 

 

ーシュミレータだけじゃ咄嗟の判断が遅れるぜ?オレもレッドに持たせてるガーベラを使いこなすのに爺さんに習って身体に覚え込ませたからな。そうだ!お~いマルス。依頼うけてくれないか?ー

 

 

ー……別にいいですけど…ー

 

 

……ロウからのトライツバークを実戦形式で使いこなせるよう訓練をつけてくれと依頼を受けたマルスとの訓練という名の実戦…装甲越しにでも感じる殺気に否が応でも理解する

 

本気だと…再び構え引き金を絞る。だが射線を読み再び接近するエクシェス。ナガスミは覚悟を決め叫んだ

 

 

「……でもな、オレは負けるわけにはいかないんだよ!勝負だマルス!!」

 

 

 

「……くる……エクシェス、ヴォワチュール・リュミエール起動!!」

 

 

ギンっとウイングガンダム、エクシェスの瞳が輝く…ヴォワチュール・リュミエールを展開、ウイングガンダムもバスターライフル《トライツバーク》を構える…いまナガスミはZero.systemを使っていない。何故ならば模擬戦前に聞いたロウの言葉があったからだ

 

 

ーナガスミ、お前の機体に積んであるZero、やばいシステムだな……パイロットに勝つ未來を無理強いする奴だ……でもなコイツがお前を乗り手に選んだんなら何時かは使いこなせるだろ。ただ、あんまりシステムに頼るのは良くないな。それに頼るのが当たり前になっちまう…そこでだトライツバークを使いこなすと同時にシステムに頼らずマルスに一撃当てるんだ、ここぞって時は最後にモノをいうのは……ー

 

 

「……オレ自身の力だ!!」

 

 

ナガスミの言葉に応えるようにバスターライフルが再び構えられ引き金が絞られる、再び回避行動をとろうとした…が、ビームの射角が追尾するように迫りマルスのエクシェスを飲み込み爆発が起きた

 

 

「や、やったのか?…………ってヤバいだろ!?」

 

 

当てた事に喜んだのもつかの間、冷や汗をだらだら流しながらエクシェスの姿を探す…煙が晴れ見えたのは光の翼…右腕のシールドを失いながらグラムを構える姿。ゆっくりと下げると同時に通信が入った

 

 

「トライツバーク慣熟訓練終了…キガフロートに帰投する……」

 

 

「…ああ(や、やっぱり変わりすぎたろ!傭兵モード・マルスって………もし翔真先輩がみたら驚くのが目に見えてるし……)」

 

 

はああとため息をつきながらも一路、ギガフロートへ向け飛翔しながら、胸の内に確かな手応えを感じていた

 

 

 

 

 



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PHASE-30「シュミレーションとソーナ・シトリー」 side:ASTRAY

煌めく星々の海に浮かぶ赤い星…《火星》。火星開拓者達がすまうオーストレルコロニー群か一隻の船、惑星間航行ユニット兼コンテナを装備し星の海原を進む船《アキダリア》。向かうのはDSSD《バウトロヤ》へ火星で採掘されたレアメタル輸送…それは表向きの事であり、真の目的を知るものは誰も知らない

いや知る者がいる


「…………」


微かな呼吸が狭いコクピットに響く。漆黒のパイロットスーツに身を包んだ十三歳ぐらいの少年がモニターに映るアキダリアをみている。その瞳には暗い炎が見える

「目標確認……オーストレルコロニー政府特務艦アキダリアへ攻撃を開始する………アレス・リアクター、最大稼働……ドラゴン・ファング展開」

両肩に装備されたドラゴン・ファング…その血のような赤い爪が開く。中心部分にパルスレーザが照射、太陽黒点にも似たエネルギー球を形成、放電現象が機体の周囲に発生、やがて結晶化寸前までに高められる


「地球…テラーナ。コレが火星…マーシャンの意志だ…オレの復讐の生贄になれ!ラグナロク!!」


トリガーを引いたアレスの声に答えるように極限までに高められ半ば結晶化した真紅のエネルギー弾が解放され、エクシェスが身を隠すデブリ帯を消し去りアキダリアを飲み込んだ…いや何かに防がれた

この任務は極秘のはず、情報が漏れた事を疑うが有り得ない。急進派の結束は固いからだ…なら誰がと思った時、激しく機体が揺れた。ダメージチェックすると両肩ドラゴンファングが赤く表示され使用不可になっている



「…ドラゴンファング使用不可……あれか!」


モニターに映された機影…自らのエクシェスと同じ漆黒に塗られた連合のG系列の特徴を持つ頭部、躯体はどの陣営のMSの流れを汲まないやや流線型の装甲に包まれている…未知の機体の登場に驚きながらサブモニターに移るアキダリアが離れていくのが見える


「(…どの陣営のだ…連合、ザフト、DSSD、オーブのpシリーズとも違う。コイツは任務遂行の障害になる)………ならば破壊するまでだ」


「………………」


両機のツインアイに光が走る、ヴォワチュールリュミエールを起動し黒いGへ対艦刀を構え切りかかる、相手もビームサーベルを抜き防ぎ切り払う。何度もぶつかり距離をとり再び切り結ぶ

「………貴様の所属を答えろ……オーストレルコロニー政府の手の者か!!」


「………」


「答える気はないか……ソコだ!ドラグ・ファング!噛み砕け!!」


左右腰部に残されたドラグ・ファングが乾いた音と共に離れ、相手に迫る…が意に介さないように左右に構えたビームサーベルで切り払った時、微かに隙が生まれる。ヴォワチュール・リュミエールで瞬く間に懐に潜り込んで対艦刀をコックピットめがけ突き刺す…


「……はあ、はあ……」


ゆっくりとビームサーベルを手放した宇宙に漂う機体には生体反応が消えている事を確認し、アレスはエクシェスの向きをかえアキダリアへ追撃すべく向かおうとした…しかし沈黙したハズの黒いGの瞳に光が蘇る。ゆっくりと離れていく姿を捉え両肩にある脚の爪先まで伸びたユニットを真正面まで可動、固定と同時に凄まじいエネルギーの奔流が溢れさせながら胸に突き刺さった対艦刀をメリメリと抜き、大きく構えエクシェスめがけ投げつけた


「動体センサーに反応!?まさか!!」


機体を反転しアレスが捉えたのは先ほどの所属不明機に突き刺した対艦刀、とっさに振り払った…この時回避していれば運命は変わったのかもしれない。凄まじいまでの高出力ビームがエクシェスの両腕、両脚を飲み込む。いくらビーム耐性が向上したVPS装甲は溶け四肢に内蔵されたアレス・リアクターが誘爆し爆炎に包まれた

「リアクター…消失……ぐあっ!?」

当然、コックピット内も各種モニター、計器から火が吹き小規模の爆発が起きた…四肢を失ったエクシェスはゆっくりとデブリ帯へ向かうのを見届けるように黒い機体はまるで陽炎のように消えていく


「し、死んでたまるか……まだ大東に…Gspirits隊に……復讐……を………復讐するまで死ねるか………」


コックピット内には血が水しぶきのように溢れひび割れたヘルメットが浮かぶ中、アレスは頭から血を流しながらノーマルスーツに空いた穴を補修材でふさぎ内部温度を生命維持ギリギリまで下げ、骨折した右腕の痛みに耐えながら手のひらに新陳代謝を抑制、強制的に睡眠へといざなう効果をもつ注射をした…軽く息をはき予備のヘルメットをかぶった。


「救難信号…発信……冷凍睡眠起動。生きてやる、絶対に生きて…復讐…復讐…復讐するまで……お、おれは………母さん、じいちゃん、ノイン姉さん、ハーティ……かな…ら……ず……」

頭部からの大量出血、加えて鎖骨および右腕上腕骨骨折、内臓にダメージ…普通なら死んでもおかしくないケガ…機体の損傷も激しく任務遂行は困難と判断したアレスが取ったのは自らを仮死にし生き延び救難信号を急進派へ届くようにすること

回収に来る可能性は低い…しかし僅かな可能性と燃え盛る復讐の炎が死ぬ事を許さない


「……かならず……生きて……やる…」


激しい頭の痛みを最後にアレス・ルセディスの意識は深い深い闇へと落ちていく……エクシェスはゆっくりとデブリ帯へ流れていった


半年後……オーストレルコロニー付近

「ひさしぶりの火星だな~」


「ロウ~もうじきしたらオーストレルコロニーに入航準備しないとダメだよ」


「わかってるって……ん?なんだアレは…ジョージ、進路上に何か見えるか?」


『キャプテンだ!ふむ、どれどれ~あれはMSの残骸みたいだな……ちょっと待て!微弱な生体反応を確認した』


「……ジョージ、舵を任せるぜ。樹里、ちょっくらレッドででるわ」


「え?まってよロウったら~んもう……」


樹里の声を背に俺は愛機のレッドへ乗り込むとそのまま宇宙に出た…たしかここらへんだったなとセンサーを生体反応に切り替え探すと直ぐにヒット。モニターに映し出されたのは頭部と胴体だけ残されたMS…とにかく近づいて触れてみて息をのんだ

両脚、両腕を高出力ビームで跡形もなく吹き飛ばされてるのもなんだが俺が手伝ったΔ、アウトフレームと似てる。興味は沸くか今は生体反応を調べるためジョージに調べてもらっている


『まずいなロウ、接触回線経由でアクセスしたんだがかなり重傷だ…冷凍睡眠状態がかなり劣悪だ。コックピット内映像をまわすがかまわないか?』


「ああ、見せてくれ…その前に樹里にメディカルポットを使えるよう伝えてくれ」


『わかったよ』


ジョージの通信が消えるのと入れ替わりに映されたのは乾いた血に空になった注射器、うっすらと霜が降りてるパイロットはぐったりとしてる…やばいな。とにかく急いで《リ・ホーム》へバーニアをふかし向かった


★★★★★★★


「………ん」


「よう、気がついたか?」


「………」


「お前、危なかったんだぞコックピットハッチ開いたら血塗れで樹里が気絶しちまうし、ノーマルスーツ脱がしたらヒドいケガだし…まあ助かったからいいか。あ、俺の名はロウ・ギュール、宇宙最強のジャンク屋だ。名前なんて言うんだ?」

「……か…ない…」

ギプスに固められた右腕に頭に巻かれた包帯が目立つ少年の唇が微かに震えゆっくりと顔を上げた。前髪に赤いメッシュに黒い髪、瞳からは困惑の色が見える


「わからない……なにも……ボクは誰なんですか」


「ジョージ、コレはいったいどうなってんだ?」


『キャプテンだ。ん~いまあらためて詳しく診てみたんだが……どうやら不完全な冷凍睡眠状態が原因で記憶喪失状態になっているようだ』


「だれなんだ……ボクは……思い出せない……」


…復讐鬼アレス・ルセディスとしての記憶は彼岸の彼方へ消えた。ロウから《マルス・レディーレ》と名付けられ、傭兵部隊サーペントテール《六人目》の傭兵となった少年は《王道でないーASTRAYー》と共に喪われた過去を知るため、《力無きものの剣となる》傭兵として戦いを始める


……………そして現在(いま)へ舞台を移す


星々が煌めく宇宙…あらゆる生を拒絶する空間に幾つもの光の軌跡がぶつかり合う

 

翔真が駆るXXXG-00W0ウイングガンダムゼロ(EW)、リンネの駆るRX-0ユニコーンガンダム、一夏の駆るZGMF-X10Aフリーダム。三機のガンダムが狙うのはたった一機の漆黒のMSアストレイ・エクシェス

 

 

「………」

 

 

それを操るのは傭兵部隊サーペントテール、サーペントテール《6》マルス・レディーレ。パラエーナビーム砲、ビームマグナムのビームを紙一重でかわす技量はサーペントテール《1》叢雲劾、サーペントテール《2》イライジャ・キールと共に任務で培われたモノだ

 

「…………」

 

背後から切りかかるゼロ《EW》のビームサーベルを振り返りざまにシュベルトゲベール《グラム》で受け何度も切り結び、ユニコーンのビームトンファー、フリーダムのビームライフルによる攻撃回避、攻撃に転じながらマルスの意識は別方向に向けられている…

 

 

(………ウイングガンダムゼロ(EW)、RX-0ユニコーンガンダム、ZGMF-X10Aフリーダム…高機動性を確立しながら高火力のビーム兵器で搭載。格闘戦においても油断はできない……だが強いて言うなら弱点がある…それは)

 

 

パラエーナビーム砲、ビームマグナムのビーム我入り乱れるなかを加速…マルスが狙うのはウイングゼロ。こちらに照準を合わせツインバスターライフルの引き金を絞る。すさまじいまでの破壊力を伴ったビームを避けようとせずに飲み込まれた…だが異変が起きる

 

 

ビームの奔流の中に見える金色の二つの光…それが真っ直ぐ迫り、ゼロの前に姿を見せた

 

漆黒のMS…エクシェスの無傷な姿に驚く。よく見ると翼から光の膜みたいなモノが機体を包み込んでいる…ビームサーベルを抜き切りかかるゼロ。その攻撃をあらかじめ読んでいたように僅かにコントロールスティックを傾けかわしていく

 

「………相手MSの関節、武器、センサーを破壊する無力化攻撃。それを貫くのは個々の自由、否定はしない……だが戦場で敵への情けは……」

 

 

ビームサーベルの切っ先をかわし、マシンキヤノンの攻撃を上方にジャンプ。アクロバティックに弧を描きながら回避。エクシェスの瞳に光が走り一気に加速。グラムでビームサーベルを持つ腕を上へと逆手に握りゼロのコックピットに深々と突き刺しレーザーブレードで切り払った

 

 

「………いつか自身の死を招く…」

 

 

…爆発するゼロの姿を見た二機は示し合わせたように再び攻撃を仕掛ける…ビームマグナムを構えたユニコーンの手が結晶化、最大出力のビーム砲撃が襲いかかる。触れただけでVPS装甲は溶解、爆散するビームを前にして怯むどころか真っ直ぐ加速。光の翼の輝きが激しさを増したとき、右腕のシールドが外れ先端のクローが左右に開く。その中心から限りなく長く分厚いビームの刃が生まれ基部から握り手が飛び出した。エクシェスのもう一つの武器、超高出力ビーム剣を迷わずつかみ大きく振りかぶり斬りつけた

 

刃が当たるもサイコフレームから生まれるサイコフィールドがバリアとなり防ぐ…力は互角、だが背後からフリーダムが迫るのを気づいていない。最大加速しラケルタビームサーベルを抜き放ち切りかかる

 

 

「…………サイコフィールドを使って自らを囮にして相手を撃つ連携も含め、短時間で作戦立案したユニコーンのパイロット、それに応えるフリーダムのパイロットも優秀だ…」

 

思わず笑みを浮かべるマルス。フリーダムの身体が震える…コックピットいやハッチの隙間めがけアーマシュナイダーが突き刺さり、エクシェスの右肩にビームサーベルの刃が深々と切り裂き止まりフリーダムの瞳から光が消え力なく漂う

 

 

(……ゼロのバスターライフルでヴォワチュール・リュミエール・シールド使用でパワーエクステンダー八割消費。右肩稼働不能…ソレスタルビーイングのエースは伊達じゃない。データとは言っても手強い)

 

 

そう、今までの戦闘は先の戦闘で大破したウィンダムのコクピットを改造したシュミレーションバトル…これはソレスタルビーイングのエースにして中心的メンバー綾崎翔真がナガスミ、マルスと共に作り出した体感型シュミレーションシステム。仮想敵には翔真、リンネ、一夏の最新戦闘データと乗機がインストールされ、なおかつ実際に受けた攻撃などの衝撃やGなども完全に再現している

 

ようやく完成し、誰が試しにと話になった時に翔真がマルスを推薦し今に至る…翔真もマルスのパイロットとしての技量をみたかったのもあったりする

 

 

 

「んだよアレ……無茶苦茶すぎだろ?」

 

 

そう口にするのはソレスタルビーイングメンバーのノーヴェ。大画面に映されたエクシェス、ゼロ、ユニコーン、フリーダムの戦いに唖然となりながら、エクシェスの一挙手一投足に見覚えがあった

 

(あたし、あの動きをどこかで…いや気のせいだよな)

 

 

エクシェスの機動パターンに懐かしさを感じるノーヴェをよそに画面の向こうでエクシェスとユニコーンの一騎打ちが繰り広げられている

 

 

(……さすがはソレスタルビーイングのメンバーだけはある……エクシェスの動きについてこれるのは劾、もしくはバリー・ホーだけだ………) 

 

 

ユニコーンはNT-Dを発動しビームトンファー部が結晶化、ビーム収束が激しさを増し身の丈を遥かに超えるビーム刃がエクシェスの装甲表面をかすめ白熱化する。圧倒的に不利な状況なのにヴォワチュール・リュミエールを使っていない。ウイングゼロ、フリーダムには使用したのに何故か?

 

(…………エクシェスの機体データも完全に再現されている…)

 

 

ヴォワチュール・リュミエールはエネルギーをかなり消費する。例え新型パワーエクステンダーを装備しているとはいえ最大10分が使用限界、マルスの機体にはアクタイオンのエネルギーカートリッジを武装に採用しているため消費はかなり押さえられても変わりはしない

 

シュミレーターのエクシェスも実機と同じデータを入れているために現在、バッテリー残量は四割を切っていた…

 

(…………武装確認。アーマシュナイダーが一振り、グラムのカートリッジは残り3、ライオットザンバー用カートリッジ、15秒分が一発。リュミエールシールド展開時間10秒に設定、チャンスは一度のみ……)

 

 

驚くほどに冷静に戦術を組み立て、背後から迫るユニコーンに向き直り加速。まさに的になってくれといわんばかりにつっこんでくる。ビームトンファーを収めビームマグナムを構え再び銃身から手首まで結晶化、圧倒的破壊力を秘めたビームが襲いかかり飲み込まれるエクシェス…やがて射線上に爆発が起きる。誰もがユニコーンの勝利だと確信した

 

一つの影がユニコーンの背後に現れ、気配に気づいた時すでに遅く、グラムでビームマグナムごと右腕が切られ、左肩駆動部にアーマシュナイダーがサイコフレームを砕き穿ち、逆手に構えたグラムで頭部を切り払った

 

「はあ、はあ、はあ………ミッションコンプリート…」

 

各関節から火花を散らしながら立つエクシェス…観戦していたメンバーは一言も声を出せなかった。ソレスタルビーイングメンバーをダメージを受けながら下したエクシェス、マルスの操縦テクニックに誰もが息をするのも忘れていた

 

しかし疑問も残った。何故最大出力のビームマグナムの直撃をうけたのに関わらず、あのダメージですんだのか。その疑問に答えるように翔真が静かに口を開いた

 

「……マルスはあの時、ビームマグナムの射線にわざと入った。同時にリュミエールシールドを展開し、マグナムのビームの上を波乗り、ビーム粒子の加速を利用して亜光速でユニコーンの背後へ回り込んだんだ」

 

 

マルスが取った策に皆が驚きながら、画面へ再び目を向けた時、システムが新たな相手を出現を警告。エクシェスは満身創痍ながら右手に構えたグラムの切っ先を向けた。その先には白を基調としながら右手に構えた巨大なメイス、特徴的な頭部に剥き出しのフレームが目立つ機体

 

マルスのシュミレーターシートのサイドモニターに相手の機体名称が流れた

 

 

   ーGANDAM・BARBATOSー

 

 

「…………バルバトス…ソロモン72柱、序列八位の悪魔…白い悪魔か。いくぞエクシェス」

 

 

 

ソロモン72柱序列八位《バルバトス》、《王道でない》アストレイの名を冠する《アストレイ・エクシェス》…ガンダムの名を持つ機体は互いの武器を、グラムとメイスが激しくぶつけあう!

 

 

 

次回に続く!

 

 







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PHASE-30/31「新たな出逢い、欠けた断片ーキオクー 」side:ASTRAY


ーギガフロートー

「ん~コレならどうだ…」

テスターを差し込みグローブをつけた手を動かす。テスターいや検査機器から伸びたケーブルの先には連合系MSの装甲が外された腕がメンテナンスベッドにおかれ動きにあわせて連動するのを見る青年…ロウ・ギュールは満足そうに顔をしながら見る先にあるのはどの系統に属さないMSの片腕と両脚、周りには組み立て途中のアーマが無造作におかれてる


《ロウ、装甲の予想形状データと《上》で制作しているパーツのマッチングやってみたぞ》

「サンキュー《8》(はち)……ん~コレは結構難物だな………一応、連絡だけはしておくか。ユンにコイツのデータを送ってくれ」

《了解》

ロウとはなしていたのはアタッシュケースに液晶画面がついたコンピューター《8》。宇宙を浮遊していた戦闘機?のコンピューターらしいが人間と変わらないパーソナリティをもち、ともに笑い、たまに喧嘩したりもするロウの相棒。彼が組み上げた図面はエクシェスのコンピューターからサルベージした本来の手足の概念図

手足だけならギガフロートの設備でも出来るのだが、武装に関しては《8》が言う「上」……アメノミハシラの設備でしか製作および調整が難しい。ジャンク矢組合のユンにパーツに関してのデータを送り終えロウはアストレアF2と並ぶエクシェスを見上げる

「…8、エクシェスのヴォワチュールリュミエールと各関節周りのチェック頼む」


《了解だ………あの手足がいつでもつけられるようにOSの更新もやっとくぞ。ロウはなにすんだ?》


「オレか?エクシェスの隣にあるアストレアF2をみとく……なかなか面白い動力を積んでるみたいだからな~」


《┓( ̄∇ ̄;)┏、ハラバラニするなよ?》


「わかってる、わかってるって……さて、この前拾ったコレがあいそうだ……モノは試しにつけてみるかな」


楽しそうに笑うロウの背後には青を基調とした増加装甲一式が並んでいた


「ふう………はあっ!」

 

朝靄の中、拳を撃ち、肘撃ち、ギガフロートの床を抜かんばかりに揺るがしながら踏み込む姿…

 

「…ふううう……」

 

朝日を前に深く呼吸するのはサーペントテール《6》マルス・レディーレ。傭兵たるもの常に鍛え何時でも戦えるように今は亡き拳神バリー・ホー。またの名を《神無手》に師事し覚えた八極拳と自らの身体が覚えていた武術?の稽古を終え、軽く一礼する。近く掛けてあったタオルを手にし汗を拭きながら昨日の事を思い出していた

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

「くっ!」

 

 

激しく揺れるコックピット。操縦桿を握るマルスの瞳はモニターに注がれる…無骨で鉄塊と見間違えるほど巨大なメイスをグラムで受けるエクシェスの関節が軋み悲鳴を上げている

 

 

(……今まで遭遇したMSとは違う…パワーもだが機動性もエクシェスより上だ……)

 

 

操縦桿越しに伝わる重さから力量を悟るマルス…グラムのカートリッジは無い、ヴォワチュールリュミエール、リュミエールシールドも使えない。エネルギーもレッドゾーン…VPS装甲もバイタルエリアと関節周りのみ起動しているか危機的状況は変わらない

 

 

相手は機体コンディションは万全。それにメイスにまだ何かあると長年の経験が訴えている

 

 

(……恐ろしく頑丈なフレームで構成されているだけじゃない…それに装甲もVPS装甲に近い特性。それにあの動きは普通のOSじゃむりだ)

 

 

何度となく打ち合う中でわかった事を頭で整理し目の前のガンダムに集中する。宇宙で対峙する二機…互いに動かない。一つの流れ星が空をかけた。それが合図と言わんばかりに互いにバーニア全開でせまりグラムとメイスが激しくぶつかり合う。徐々に押され始めるエクシェス…とっさにバーニアを軽く上方へ噴かす。そのままの勢いで懐に潜り込み胴めがけ蹴りを入れた

 

わずかに距離が離れエネルギーがなくレーザーブレード無しのグラムを構え切っ先を突きの要領で胴へ打ち込む…バルバトスはそれを狙っていたかのようにメイスを突きつけ突っ込むグラムとメイスがこすれ火花が散り鈍い音が響く

 

メイスがエクシェスのコックピットに当たるも止まり、グラムもバルバトスのコックピットを捉えた状態で止まっている。引き分けかと誰もが思った次の瞬間、メイス先端から杭がエクシェスのコックピット付近に穿たれ相貌から光が消えた

 

 

「……負けたか……」

 

 

赤く染まったコックピットでつぶやき、シュミレーターのハッチを開いたマルス…相手の武器を見抜けていればと感じていた。しかし最大の敗因は自身の焦りだと気づき、次からはエネルギーカートリッジの予備とさらなる操縦テクニック向上を課題にきめ外へでた

 

 

「………ハーティ…アレス……誰なんだろ…ぼくの記憶に関係があるのかな…」

 

 

碧銀の髪の少女、赤い髪の女の人…アインハルト、ノーヴェとあった時に浮かんだ断片的な記憶…すごく懐かしく何故か胸の奥が苦しくなった。今までになかった事もだがメディカルルームで診てもらってすぐに出逢ったソーナ・シトリーと言う女性に可愛い。さらにはお母さん宣言されるまえに抱きしめられた

 

鼻血が出しながら、凄く安らいだ気分になっていたのを思い出して顔が真っ赤になるのを感じながらシャワールームへと入る…すでに誰かがいるみたいだ

 

 

(………誰かな…たぶんナガスミくんや翔真くんかな?とにかくさっぱりしよう)

 

汗だくになった服を脱ぎ、パネルに軽く手を触れる。暖かい水滴が肌にあたり落ちていく…気持ちよさそうにしていた表情が引き締まる。背後に気配を感じ何気ない感覚でバスタオルをつかみ振り返りざまに後ろにいた人物に投げた、シャンプー、ボディソープのボトルが舞い落ち視界を奪い素早く馬乗りになるような形で組み敷いた…がマルスの顔から血の気が引いていく

 

「………な、なんでマルス、おまえがここにいんだよ!」

 

 

赤い髪にピンっと立った癖毛、金色の瞳を向ける自分よりも年上の女性…ノーヴェに馬乗りに両手首をつかんでいる姿は端から見れば誤解を招く姿勢…バスタオルで身体は隠れているモノの布越しにでもわかる二つの大きな膨らみ、柔らかさに動転し勢いよく離れうわずった声を上げた

 

 

「ご、ごめんなさい!まさっ……うわあ!?」

 

勢いよく飛び退いた足元にはボディソープのボトル。それを踏みバランスをあわわと崩し再びノーヴェに倒れ込んだ。マルスの手にふかふかした弾力、顔にさわさわとした何かと甘酸っぱい女の子特有の匂いと鼻先に濡れた?感触…まさかとキギギと油が切れたロボットのように顔を上げた

 

顔を真っ赤にし豊かな胸を鷲掴み、おなか辺りには飛び散ったであろう白濁したボディソープ?がたぱたぱ落ち濡らし、トドメにマルスの眼前には楽園ならぬ赤く薄いKe 

 

 

「あ、あ、あ、う、うわああああああ!!」

 

 

「ぶはっ!?」

 

 

いつの間にか展開したガンナックルで鼻血を盛大に噴くマルスの顔を全力全開で殴り抜いた、ぎゅるぎゅるとシャワールームの中で身体が舞いベチャと落ちた

 

 

「ナニがあったの!………………………ノーヴェちゃん、ナニを」

 

 

「そんな関係にいつの間に……お母さん悲しいわ…知らないうちに、お、大人の……」

 

 

「あ、あ、コレは、その、違いいますから!なのはさん、ソーナさん。あたし、マルスとはそんな関係じ…」

 

 

 

慌てふためきながら駆けつけたネプテューヌ、なのは、ソーナたちに説明するノーヴェ。マルスは鼻血をダクダク流しながら気絶しているのに気づきまだ寝ているツバサを起こしメディカルルームへ急行、輸血により命を取り留めたそうな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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PHASE-32「翔真からの依頼と飛び立つ翼」side:ASTRAY

「よし、8(ハチ)火を入れてくれ」


《がってん承知!》


ロウの前に置かれたトランクケースから伸びたケーブルの先には二体のMS。一つはノーヴェのガンダムアストレアF2、隣には装甲が外されむき出し状態のウイングガンダムが固定されている。しかしアストレアF2はみたことのないパーツが取り付けられ以前の姿とは全くの別物へ変わっている


「GNバーニアとスラスター連動を確認、コンマ01で許容範囲だな…つぎはGUNナックルだ」


あらゆる方向に稼働しバーニアを開くGNバーニアに満足しながら8がアストレアF2?を遠隔操作、右腕を突き出し追加されたGUNナックルを稼働させるとGN粒子が溢れ出す


「ん~まだまだ収束率がいまいちかな~」


《ロウ、このアストレアFの改造だが、あの赤髪ツンデレっ娘に許可はもらったのか?》


「………いっけね機体調べてる内にやっちまったぜ。まあ悪いようには改造してないから問題ないだろ。トレミーはあと数日いるし戻せっていわれたら戻せばいいし」


《そういうもんか?》



「それよりだアストレアF2の方はコレで完成だ。ナガスミのウイングガンダム改造に必要なガンダニュウム合金も《上》から届くしすぐに取り付けられるようにパーツも作るぞ」


《わかったよ。ナガスミの機体に必要なパーツを製造プラントに回すぞ》


アストレアF2改……ロウの手で魔改造された機体がマルスのエクシェスとの痴話喧嘩ならぬ模擬戦で御披露目になり、追い詰める事になることを脳天気にナガスミのウイングガンダムのカスタムパーツ製作に入ったロウ、8は思いもしなかった


「ハアアア~」

 

 

プトレマイオスⅡの艦内通路をため息をつき歩いているのは傭兵部隊サーペントテール《6》マルス・レディーレ。ため息の原因は先日のシャワールームでの出来事…いつものように鍛錬を終え汗を流すために入った時、背後に気配を感じ傭兵としての感でとっさにバスタオルを投げ組み敷いた…しかし相手が敵ではなくノーヴェ

 

「……っ!?」

 

 

濡れた赤い髪に金色のつり目、水が滴り落ちる肌に女の子特有の柔らかさ…そのあとのアレを思い出し鼻血がでそうになった…さっきも翔真、リンネにからかわれ、シュテルからの助言を受け謝るべくノーヴェを探していた…そのとき前から本人が歩いてきた

 

 

「あ、あのノーヴェさん……昨日は…」

 

 

「………………」

 

 

一瞬、目をあわせるもギラッと睨みつけ歩き出したノーヴェを追う。それから何度も謝ろうとするどもマルスを見たら足早に立ち去る。食堂、MSデッキ、ブリッジ、プトレマイオスⅡの上甲板……何度も姿を見かけ声をかける前に立ち去るを繰り返し一日、夕日を見ながら落ち込んでいるマルス

 

伝説の傭兵部隊サーペントテールの傭兵と言えど女の子にはかなわない。どうすればいいのか迷っていたとき気配を感じる…もしかしたらノーヴェさんかなと思い振り返ると……

 

「マルス。どうかしたのですか?」

 

 

PHASE-32「翔真からの依頼と飛び立つ翼」side:ASTRAY

 

 

 

 

「い、いやシトリーさ「お母さん」………ソ、ソーナお母さん…実は…」

 

 

お母さんと恥ずかしげに言いながら説明していくマルスの話に耳を傾ける。マルスはワザと組み敷いた訳じゃないのとシャワールームの男性用、女性用の時間帯が変わるのを教えていなかった事、何より不用意に傭兵であるマルスの背後にたった……

 

傭兵と言う職業柄、何時ドコで顔の知らない誰かに恨みを買われ命を狙われているかわからない。そのため無意識的に防衛行動を取るのは目に見えている

 

ただ、一つ気になることもあった…何故ノーヴェが、傭兵であるマルスの背後に近づいたのか?下手をすれば組み敷いた瞬間、命のやりとりをしかねないとわかっているはず…ソーナはある仮定を導き出し軽くマルスの肩に手を置いた

 

 

「……アナタが悪いわね…時間帯や不用意に後ろに立ったのを差し引いても」

 

 

「…うん」

 

 

シュンとうなだれるマルスの頭に力なく垂れる犬耳が見えた…

 

 

「………(ああ~もう可愛らしい~でも今はお母さんとしてアドバイスしないと…)…マルス。今の時間帯ならノーヴェは食堂にいるはずよ…見かけたらすぐ隣に座りなさい、そしてこういうのーーーーーーーーーーーーって」

 

 

「…………………本当にうまくいくんですか?」

 

 

「あの子の性格ならね。それにアナタから逃げたのは何か後ろめたい事があるからかもしれないし。それに」

 

 

「…それに?……」

 

 

「ココから先はマルス次第。さあがんばりなさい」

 

 

「……ありがとう……シトリー「お母さん」………ソーナお母さん」

 

 

照れながらソーナな頭を下げてから、足早にプトレマイオスⅡの食堂へ向かう。すぐに周りをみるとノーヴェとアインハルト、なのは、ネプテューヌの姿。迷わず四人が座る席に近づく。気づいたのか慌てて席を立とうとするノーヴェの前に立つ。ゆっくりと息を吸い真っ直ぐ瞳を見た

 

 

 

「な、何だよ……っうか、あたしコレからMSデッキに行くんだけど…」

 

 

「…ノーヴェさん……僕と勝負してください!あの事で腹を立ててるのはわかります……もしノーヴェさんが勝ったら何でも言うことを聞きます!」

 

 

「ち、ちょ…マルスくん?なにを言ってるの?」

 

 

「…何でも……へえ~おもしろいじゃないか…受けてやんよ。あとで後悔すんなよ?傭兵だからって手加減しないからな」

 

 

「はい、でも僕が勝ったらどうしますか?」

 

 

「アタシも何でも言うことを聞いてやるよ……で勝負内容は…面倒だからMSでやっからな」

 

 

「………ねぇナノナノ、面白い展開になってきたね♪」

 

 

「ネプテューヌさん、もしかして楽しんでませんか?」

 

 

 

「ま・さ・か♪それじゃギャラリーも集めて準備、準備だよ」

 

 

やたら張り切るネプテューヌにため息をつくなのは、アインハルト……実はノーヴェのあの事件でマルスを避けていた事を突き詰めていた時に降って湧いたMSでの勝負。シュミレーターではなく実機を使った模擬戦に沸き立つメンバー

 

 

果たして勝負の行方はいかに?

 

 

 

その頃……

 

 

「まいったわねぇ~ザフト主催のパーティーに出席しないといけないなんて…仕方ないわね、サーペントテールに依頼してみるかしら」

 

 

豪奢な趣を醸し出す室内でザフト主催のパーティーに招待された彼…マティアスはため息をつきながら古風ながら芸術品価値を感じさせる電話を手にした

 

 

 

PHASE-32「翔真からの依頼と飛び立つ翼」side:ASTRAY

 

 

 



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PHASE-32.5「生まれ変わった女神、黒き騎士…蘇る断片-キオク-」side:ASTRAY

「な、なんだこれ!あたしのアストレアにナニしたんだ!ロウ!!」


「わりぃ、少しやりすぎた…まあ悪いようにはなってないから使ってみてくれよ。明日、マルスと模擬戦やるんだろ?」


「う?そうだけど…何なんだよ背中のあれは…動きづらい感じがするんだけど」


「まあ、色んなモノを加えた高機動ユニットだと考えてくれ。マルスのヴォワチュールリュミエールに匹敵する加速だぜ?もちろんトランザムにも対応してあるからな」


MSデッキに固定され魔改造された自身のMSアストレアF改に憤慨するのを気にせずロウはあるマニュアルを手渡した

「まあ、試合まで時間はあるからみてみなよ。マルスに勝ちたいんならな」

「はなっから、そのつもりだ!……勝つのはあたしだかんな!」



マニュアルを片手に歩き出すノーヴェ。ふかいため息をつきながらアストレアF改の隣にあるエクシェスを見上げた


「なあ、エクシェス。お前とあの嬢ちゃんのアストレア、パートナーになったらスゴいこと出来るんだろうな…アストレイはパイロット、もしくは背中を守れるパイロットとMSでもっと進化すると思うんだなあ。マルスとあの嬢ちゃん、きっかけがあれば」


《ロウ、「上」からガンダニュウム合金が届くみたいだ。あと武装も三割できてるみたいだ》


「まじか!なら先にコイツの腕をつけるかな…っと明日の試合がおわってからな」

エクシェスの隣にあるハンガーに両腕、両足のみが固定されたデッキ。エクシェスの復元された姿に想いを馳せながら細かな調整を進めるロウ


そして試合当日。果たして勝者はいかに?




ギガフロートから少し離れた小島…鬱蒼とした森を抜け少し奥に二つの影。黒く塗られたマルスが駆るアストレイ・エクシェス、そしてノーヴェが駆るアストレアF2改……アストレアF-Dashが向き合うように対峙している

 

 

『あ、あ~テステス。トレミーのみんな~今から傭兵部隊サーペントテール、サーペントテール《6》マルス・レディーレちゃんと、トレミーMS隊のツンデレっ娘ノーヴェちゃんの模擬戦は~じ~ま~る~よ。司会はわ・た・し・セラフォルー・レヴィアタン♪そして可愛い可愛い妹のソーナたんでお送りします』

 

 

『な、なんで姉さんがここに……』

 

 

『だって、だってお姉ちゃんの知らないうちに可愛い甥っ子が出来たなんて知らされてないんだもん……マ~ちゃん、がんばってね☆』

 

 

『うう~』

 

 

司会席…いやトレミー上甲板に設けられた席にはマルスのお義母さんソーナ・シトリー、隣にはカレイドステッキ(!)を構え黒髪ツインテールに身体のラインがはっきりと見える服に白いミニスカートをひらりと揺らし純白のショーツをのぞかせながらキラッ!と決めポーズをする魔法少女マジカル☆レヴィアたん、いなセラフォール・レヴィアタン(旧姓シトリー)。妹である愛しいソーナを驚かせようとこっそり来たのだが、知らないうちにお母さんになり義息子(マルスのこと)が出来てた事に驚くどころか感極まり喜びながら事態を把握、早速今回のセットもろもろを用意し今に至る

 

「おお~白………ったたたた!ナニするんだフェイト、それになのはまで!」

 

 

「翔くん、浮気はダメだよ……いつも見てるよね?」

 

 

「そうだよ…なんなら真・ソニックフォームで夜に」

 

 

「いやいや!待てったら……そ、それより試合はじまるぞ…」

 

 

嫉妬に燃える二人を宥める翔真をよそにアストレアF-Dashのコックピットに座るノーヴェはロウに渡された仕様マニュアルに目を通している。

 

 

PHASE-32.5「生まれ変わった女神と黒き騎士。蘇る断片-キオク-」side:ASTRAY

 

 

(……大型可変GNバーニアにGUNナックル…あたしにぴったりな武器ばかりだ……マルスのアストレイ・

エクシェスは何時もの装備。でも油断は出来ないか……でも勝つのはあたしだ!)

 

 

新しい装備に目を輝かせるノーヴェ、それに対してマルスは静かに操縦桿下のキーボードを出し周囲に合わせたOS設定を始める

 

 

(………接地圧よし、減衰率クリア、対GN粒子用VPS電圧および硬度設定クリア……Eカートリッジ確認)

 

データ羅列が流れるモニター、指が激しく動きカタンとキーをたたくと設定完了のアイコンが示され、サイドボードを格納。小さくつぶやいた

 

「必ず勝つ………」

 

 

 

『ではでは、時間もあまりないし……用意はいい?』

 

 

『あたしは何時でもいける』

 

 

『……はい』

 

 

『それじゃあ~マジカルガンダムファイト~レディィゴオ☆』

 

カレイドステッキを手にクルリと一回転、華麗に可愛らしくツインテールを揺らし笑顔で宣言する姉に恥ずかしがるソーナ…エクシェス、アストレアF-dashは地を蹴り一気に間合いを詰める

 

 

『オラアアアア!』

 

 

『……っ!』

 

 

先制を仕掛けたのはノーヴェが駆るアストレアF-dash。背中から左右に配置された大型可変GNバーニアが展開、加速。右腕を覆うアーマーが上部が開きGNバーニアから粒子があふれ、エクシェスの頭部を捉えた。とっさに身体を沈めブレードアンテナをかする

 

 

(GNバーニアによる二段加速!)

 

 

(スゴいな、あたしの反応にバッチリついてきてる……)

 

 

ロウがアストレアF2に施した改造。背部スリースラスターを通常コーンへ変更し、アームを追加大型可変GNバーニアを装備、それにより粒子生産量増加、ガンナックルの強化版《GUNナックル》は肘から手甲を覆う装甲にGNバーニア、さらに内部装甲は空洞になっているが其処にGN粒子を充填、防御力向上、さらには瞬間的に粒子圧縮する事で面による破壊力をも獲られた

 

(奇しくもプルトーネに採用されていたGNアーマー、ラジエルのGNバーニアとコンセプトを併せ持った)

 

 

(……流石だロウさん。そしてソレを使いこなす彼じ……ノーヴェ・ナカジマさんも……気を引き締めないと負ける……)

 

 

思考しながらアストレアF-Dashの機動性に翻弄されエクシェスの装甲表面に微かな削り後が見える。VPS装甲はビームに対して耐性は若干あるモノのベースとなったPS装甲と変わらない…切り札であるヴォワチュール・リュミエールを使えば勝つ。しかしマルスの心はもう少し長く戦ってみたいという気持ちが占めていた

 

 

(あたしの攻撃をかわすなんて、さすがは傭兵部隊サーペントテールメンバーだけはあるな……それにアイツ…ノイン・ルセディスとうごきが似てる……)

 

 

ーなんで、ルセディスはそんなにあたしの動きをよめんだよー

 

 

ーなんでって?ん~私のラブリーチャ~ミングな弟アルちゃんと似てるのよ動きが……ん?興味ある?ー

 

 

 

ーべ、別に……っうか!妹がいるっての聞いてたけど弟がいるなんて聞いたことないんだけどー

 

 

 

ーん~アルちゃん天然でぼ~としてるけどおじいちゃんとお母さんと互角にはなせて、転けると女の子にえっちい事になる変わった体質持ちだし…それにノンノンが見らアルちゃんに欲情して既成事実まで超特急でいくの見えてるしー

 

 

ーだ、だれが欲情するだ!あたしはショタコンじゃねぇ!!ー

 

 

ーんふふ。照れない、照れない……じゃあ今度、ハーティの誕生日にノンノンを招待するから、その時に生アルちゃんと会わせてあげる……襲っちゃダメよー

 

 

ーだ、だから!おそわねぇったら!ー

 

 

………んなやり取りをした3日後に《あの事件》が起き。あたしの親友ノイン・ルセディスは死んだ。ただ一人生き残った弟アル?がコースト病院にいる事を聞いて、家で引き取るって決め訪ねた時は姿を消したあとだった。あたしの目の前にいるMSエクシェスのパイロット、マルスの動きはルセディスの動きと似すぎてた

 

 

あの日、シャワールームでシャワーを浴びるアイツを見て叫ぶより…水滴を弾く肌に無数の傷跡、細い身体に絞り込まれた筋肉…体躯に思わずゴクリと喉を鳴らした。どストライクゾーン…

 

それに顔をあわせづらかったのは……組み敷かれた時、みてしまった男の《アレ》が浮かぶから……い、今は集中、集中しろ!あたし!?

 

 

 

「く…」

 

 

ノーヴェ・ナカジマ。ソレスタルビーイング、プトレマイオスⅡMS隊パイロット…直接的な模擬戦は初めてになる。パイロットとして思いっきりがいいし操縦技術も荒削りな部分も含め光るモノを感じる

 

彼女の動きはどこかでみたことがある……ずっと昔に……

 

 

ーア……ちゃん……踏み込み遅…よ……ほら………にあわせ……ストライ…アーツ…ー

 

 

ー…ア……お…ちゃん……スゴいでしょ!来年は…………してね♪ー

 

 

……誰だ…わからない……でも懐かしい…と感じた時、アストレアF-Dashの拳が迫る。とっさにグラムで受けるカートリッジが四回排莢された。レーザー刃の出力が増したのに関わらず押されている…やはり使おう。傭兵としてではなく《人間》としてノーヴェ・ナカジマの全力に応える

 

「……エクシェス、ヴォワチュール・リュミエール起動!」

 

 

対Gシステム起動と同時に凄まじいGがかかる。グラムを構え超至近距離で旋回、カートリッジ二発排莢と同時に肩口から右斜め下…袈裟切りする瞬間、姿が消えたと思った瞬間、左腕に握られたグラムか粉みじんに砕け破片が舞う中、赤い光が見える

 

 

「あ、あれはトランザム?ノーヴェの奴、マジで決める気だ」

 

 

トランザム…機体に高密度に蓄えられたGN粒子を爆発的に全面開放、通常の三倍の機動力と攻撃力を発揮するソレスタルビーイングのオリジナル太陽炉に搭載されてる機能だ、トランザム化したアストレアF2-Dashの動きにエクシェスはヴォワチュール・リュミエールで辛うじて反応回避を行うも手持ちの武器グラム、さらにドラグ・リムも砕かれ森に破片が散乱していく。エクシェスにはビームサーベル、イーゲルシュテルンは搭載されていない。丸裸にされ抵抗する手段もない

 

 

「コレであたしの勝ちだ!マルス!!」

 

 

「……………」

 

二人の戦いを見守る誰もがノーヴェの勝利を確信した。しかしエクシェスがとった行動に息を呑んだ。大地に降り拳法の型をとる姿に翔真、リンネ、ツバサ、ソーナとセラフォール、その場にいる全員がマルスの行動が無謀だと感じた

 

赤く輝くアストレアF-dashが迫る中、静かに心を落ち着けるマルス…操縦桿を握りエクシェスを動かす…徐々に迫るノーヴェの気配を感じ、トランザム・GUNナックルを構え殴りあと50センチの所でエクシェスの姿が消えた。あまりの事にその姿を探すノーヴェの背後に影…エクシェスがまるで緩やかな清流と激しい激流を思わせる歩法を踏み込み、一気にアストレアF-dashのコックピットへ拳を突き出した。激しく揺れるのを最後にノーヴェは意識を刈り取られると同時にトランザムが解除、ゆっくりと倒れそうになるアストレアを抱き上げるエクシェス。しかし右腕は肘から下があらぬ方向へ間接ごとひしゃげている

 

VPS装甲なのに何故と感じている全員にツバサが静かに語り始めた

 

 

「マルスは、あの一撃がコックピットに当たる寸前で右腕のVPS装甲を解除したんだ…」

 

 

「なんでなのツバサ?」

 

 

「………VPS装甲は硬い、つまりはVPS装甲装備の機体そのものが武器そのものといっていい、もし解除しなかったら…それより今は病人を診るのが最優先だ。ネプテューヌ、ストレッチャーとベッドの用意をたのむ」

 

 

「うん!」

 

 

(…………傭兵部隊サーペントテール。任務成功率100%を誇る最強の傭兵部隊。その六人目のメンバー《マルス・レディーレ》…もし敵だったら最悪、味方ならここまで心強いモノはない……ただ、MSに乗った時と乗らない時の性格に落差がありすぎる。記憶がないことと何かしら関係があるかもしれないか、まあ翔真が探りを入れてるみたいだから任せてみるか)

 

 

トレミーMSデッキに入るエクシェス、アストレアFを見ながら、医者として患者の容態を診るべく白衣を翻した

 

 

 

 

 

 

 



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PHASE-32.9「依頼と告白?」 side:ASTRAY

ギガフロート。海上移動拠点であるココにはジャンク屋組合の本部がおかれ、破壊され野ざらしにされた回MS、戦艦などのジャンクを回収、解体および再生するプラントを有する。その特殊鍛造プラントで金属を叩くような音が響く


『はあっ!』


MSサイズの槌を振りかぶり真っ赤に灼熱化した刀へ叩きつけ、相打つように槌が振るわれ火花が飛ぶ中、再び槌を振り上げるのはマルスのアストレイ・エクシェス、相方はアストレイ・レッドフレーム、コックピットにはロウが座り水でなまし、火入れし鍛えるを繰り返していく


『よし、マルス、仕上げやるぞ』

『了解…研ぎに入ります』


打ち終えた刀を巨大な砥石に起きシャ、シャ、と一定方向にとぎあげる。なぜ二人が刀を打っているのか。それは数日前にマルスが行ったシュミレータで現れたガンダムバルバトスと対峙した際に小回りが効く武器があればいいんじゃないかと思い立ち、ギガフロート《特殊鍛造プラント》にある「たたら」で様々な材質を溶かし込み作り出した特殊金属を作り、製作に入った。もちろんガーベラストレートの修繕、グレイブヤードの失われた技術を継承したロウ協力のもと古来の鍛造工程を二人でおこなっていたのだ

『ん~まだ鍛えが足りないな』


『なら、焼き入れの温度を下げますか?』


『そうたな。オレなりのアレンジも入れようか』


『じゃあ、二度入れで』


『いいねぇ~ならオレのガーベラ以上に仕上げてみようぜ』


意見を出しながら刀を打つアストレイs…トレミーがギガフロートから離れる前に打ちあがった一振りの太刀

稲妻のような波紋、ロウが持つガーベラストレート、タイガーピアスと同じ拵えの太刀…

その名も《雷斬》


抜けば雷を呼び、真っ直ぐに振ればオルトロスのビームすらも断ち切る伝説のジャンク屋《ロウ・ギュール》、サーペントテール《マルス・レディーレ》が打ち上げた名刀


ツバサが駆るガンダムバルバトスの新たな武器は世界に光をもたらすのかはツバサ次第。振るわれる時を静かに待つ


「ん…ココは…あたし……ッタタ~」

 

「気がついたノーヴェ?ツバサ~目を覚ましたよ」

 

 

首と頭に軽い痛みを感じながら、トレミーのメディカルルームだと気づいた。マルスのエクシェスと模擬戦して勝ったと思った瞬間に姿が消えたと思ったエクシェスが姿を見せ、コックピットに拳を打ち込まれたあとが思い出せない

 

 

「………まけちゃったんだ…あたし」

 

 

「具合はどうだ?…脈も正常だし軽い脳震盪を起こしただけだ。ま、今日はゆっくり休むことだな」

 

 

「あ、あの…マルスは」

 

 

「ん?マルスならお前をさっき運び込んで来てからしばらくはいたけど、なんか依頼を受けたらしくてMSデッキにいるぞ?」

 

 

「運び込んだって、マルスがですか?」

 

 

「模擬戦のあとMSデッキに固定したアストレアに真っ先にハッチに駆け寄って開くなり、お姫様抱っこして通路を走ってメディカルルームに飛び込んできたんだ。ストレッチャー用意したのにな……どうした別な所が痛むのか?」

 

 

「…………………な、何でもないです」

 

 

ツバサの問いに答えず毛布を頭からかぶるノーヴェ…顔が真っ赤になりドキドキしっぱなしの胸を押さえる

 

(お、お姫様抱っこ!?あたしがマルスに!?落ち着け、ただ抱っこされただけ、そうされただけだかんな!?)

 

 

ベッドの上で軽く悶えるノーヴェ。普段なら強きで言葉使いも少し荒い彼女の新たな面に着替えをわたしにきたネプテューヌは

 

(フフフ~ノーヴェったらマルスくん意識しちゃってるなあ~まあ、お姫様抱っこは女の子の憧れだもんね)

 

 

と、カーテンの隙間からニッコリ笑いながら覗き見していた

 

 

PHASE-32.9「依頼と告白?」 side:ASTRAY

 

 

『…………どうかしら引き受けてくれるかしら』

 

 

「何故、僕を指名したのですか?」

 

 

『そうねぇ~端的に言うと、アナタはサーペントテールに入ってまだ日が浅いのと、顔を知られてはいないからかしら?』

 

 

「……確かに利に叶っていますね…パートナーは僕に一任してもらえるなら」

 

 

『ええ、その条件で構わないわよ。報酬はすでに振り込ませてもらったわ…場所と日時は追って連絡するわね』

 

 

「わかりました。サーペントテール《6》マルス・レディーレ。依頼を引き受けます」

 

 

 

『たのむわね』

 

 

エクシェスのコックピットのメインモニターから依頼主の姿が消え、軽く息を吸うと依頼を受けた事を告げにハッチを開放し昇降ワイヤーに足をかけ降り、エクシェスから離れトレミーの通路を歩き向かったのはシュテルのいるBAR。自動扉がスライドし中に入ると奥のカウンターに座る翔真、なのはとフェイトに両脇から挟まれる形で座っている。マルスに気がついたのか手招きしてきた

 

「どうしたマルス?こんなところにきて」

 

 

「……実は依頼を受けたので報告に…」

 

 

「そっか…内容は……っと依頼人との間にかわされたやりとりは守秘義務に当たるんだったな。じゃあどれくらいトレミーを離れるんだ?」

 

 

「二日間です。あとお願いがあるんです……今度の依頼に実は、そのう……出来れば少し年上の女の人を連れて行きたいんです…」

 

 

「……(どんな依頼なんだ?まあ、あえて聞かないことにするか)……わかった、なんとなくあたってみよう。それより聞いたぞ?ノーヴェをお姫様抱っこして艦内通路をメディカルルームまで駆け抜けたって」

 

 

「そ、それは…そのう……ノーヴェさん気絶していたから…僕が原因だから…あう……もし怪我していたら…いても立ってもいられなくて」

 

 

しどろもどろになるマルスに、翔真は面白そうにし、なのはとフェイトは翔真に「私たちもお姫様抱っこしてくれないかな?」という想いが宿る目でみている

 

 

「で、ノーヴェを抱いた感想は?」

 

 

「意外に重くて、それに柔らかかっ……ってナニいわせるんですか!?」

 

 

「別~にぃ。まあ、ノーヴェもケガなくてよかったな?そうだろ?」

 

 

翔真の言葉にまさかと感じ振り返るとワナワナ身体を震わせ少し睨むようにマルスをみるノーヴェの姿に慌てだした

 

「あ、あの今のは違いますから、重くないですから!」

 

 

「……………」

 

 

「気絶してるのにいきなり、お姫様抱っこなんかしてごめんなさい!あの本当に」

 

 

「べ、別にいいから……(少しうれしかったし)。それより約束覚えてよな?この模擬戦で勝った方の言うことを聞くって!あたしは負けたんだから、なんでも言えよ!!」

 

 

「え、で、でも」

 

 

「ああ~でももへったくれも無いんだよ!」

 

ずいっと、顔を近づけ覗きこむノーヴェ…鋭い金色の瞳に睨まれたじたじになるマルスは有ることを思い出した…そして意を決して口を開いた

 

 

「じゃあ、ノーヴェさん…………」

 

 

「お、おう、さっさといいなよ」

 

 

「ノーヴェさん………付き合ってください!」

 

 

「……………え、え、ええええ!!」

 

 

 

PHASE-32.8「依頼と告白?」 side:ASTRAY

 

 

 

 

 

 



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PHASE-32.9-PHASE-33「護衛」 side:ASTRAY

「あら、よくにあってるじゃない」


「あ、あの…あたしはこんなの似合わないです」


「そうかしら、自身をもちなさいノーヴェ。あなたはこんなに綺麗で可愛いのだから」


「で、でも」


「さあ、そろそろ行くわよ…マルスが待っているわ」


「うう~(コレも全部マルスのせいだあ)」


オネェ言葉を使う男性と共に扉の向こうで待つマルスの元へ歩き出した


それは護衛任務開始の合図…果たしてうまく行くのだろうか?


ディオキア基地近くにある迎賓館にザフト高官、各界の有力者、政治家の子息、子女たちがきらきら輝くシャンデリアの下で食事し談笑し、静かで華やかな曲が中に溢れかえる中、静かに豪奢な造りの扉が開かれた

 

赤地に様々な刺繍が施されたふかふかな絨毯を歩くささやかな装飾がめだつスーツ姿の男性。その後ろを家族なのだろうか二人の男女が歩いてくる

 

 

爽やかかつシンプルなスーツに身を包んだ少年、隣には薄桃色の生地に様々な華が刺繍されたチャイナドレスに腰まで伸ばした赤い髪が目立つ少女の歩く姿に華やぐ皆の視線が集まる

 

「ノー……ノゥエム姉さん、もう少し柔らくして」

 

 

「………こ、こうか…マ…フォシン」

 

「うん、それでいいよ」

 

 

……ぎこちない笑顔に少しだけため息をつくフォシン…サーペントテール《6》マルス・レディーレはノゥエム…ノーヴェ・ナカジマと共に先を歩く男性と共に招かれた貴賓席へ座る

 

「ありがとうねフォシン、ノゥエム。今日は無理をいってごめんなさいね」

 

 

「そ、そんな事ないですよ…マティアスおじさ……「お姉さまよ」……マティアスお姉さま」

 

 

「ふふふ、よろしいわよ…さあ楽しみましょう」

 

 

PHASE-32.9-PHASE-33「護衛」 side:ASTRAY

 

 

柔らかだけど含みのある笑顔を見せるのは今回のクライアント《サー・マティアス》さん。ザフト主催のパーティー出席するため万が一に備えて護衛を依頼されたんだ…リードさんから聞いた話によると連合、ザフトに太いパイプを持ってて強い影響力を持つから命を狙われる危険がある。そこで親戚という形で気づかれないように護衛するため同席する事になったんだ

 

少し横をみるとザフト高官、それに意外な人物を見つけた…ザフトが建造した新型戦艦ミネルバ艦長、それに黒いスーツ姿の女性と黒髪を白いリボンで結びつけポニーテールが目立つ少し年上の女の人が歩いてきた…赤い軍服からエリートだってわかる

 

「ひさしぶりね。サー・マティアス」

 

 

「こちらこそ何年ぶりかしらね?スコール・ミューゼル…今日はパーティーへお招きありがとうね…あら、その子がインパルスのパイロットかしら」

 

 

「は、はい…遅れましたミネルバ所属の篠ノ之箒であります」

 

「ふふ、あまり気を使わなくていいわよ。アナタの活躍は聞いているわよ?」

 

 

「え、はあ……あの其方の二人は」

 

 

僕らの方を見て尋ねてきた、挨拶はしないといけないかな…

 

 

「はじめまして。僕はフォシン・リーです」

 

 

「あた…わたしはノゥエム・ユィリィって言います」

 

 

……やっぱり緊張してる。まあいきなりザフト政財界トップクラスのパーティー会場で僕たちが戦う相手のミネルバの艦長に会えばそうなるかな…って考えたとき視線を感じる。さりげなく気配をたどると黒いスーツ姿の女の人の姿、わずかに視線が合ってしまった

 

 

「あ、あのう。僕に何かようですか」

  

「いや、ああ紹介が遅れてすまない。私は織斑千冬。ミネルバ所属のMS隊隊長を務めさせてもらっている…少年、いやフォシンと言ったな。少し失礼な事を聞くがかまわないか」

 

 

「なんでしょうか?」

 

 

「……以前、どこかで会わなかったか?」

 

 

「い、いえ。織斑さんと会うのは今日が初めてですけど」

 

 

「そうか…失礼な事を聞いてすまなかった」

 

 

それだけいうと離れていくのをみてホッとする。でもわき腹を小突かれた…みるとノゥエム、ナカジマさんが少し睨んでる

 

何かと思いながら談笑するマティアスさん、スコールさんから少し離れ飲み物を取りに席を立つ。ナカジマさんも無言でついてくる

 

何かしたのかな

 

 

 

 

 

 

(ああ~苛つくなあ…付き合ってくれってこういう意味だったのかよ……)

 

 

イライラの元凶、マルスの後を歩きながら心の中で盛大にため息をつく…あの時『僕と付き合ってください』って言われた時、頭んなか真っ白になったまま頷いたのあたしになのはさんやフェイトさん、ネプテューヌ、ソーナさん、セラフォールさんが嬉しそうな笑顔をむけられ慌ててマルスが説明したのを聞いて一気にテンションダウンした

 

まぎわらしすぎんだよ。で話を聞いたら護衛任務をするのに依頼人の家族を装うためにあたしを選んだとか……ったく、ふざけんな

 

 

あの時感じた、あたしの胸のドキドキを返しやがれ!

 

 

「あの、そこの麗しいお嬢さん。私と一曲舞いませんか?」

 

我に返ったあたしの前には如何にもチャラそうな坊ちゃんが手を出している。その目は身体をなめるように見てるのがわかる。マルスの姿も無い

 

「い、いえ私は踊れませんから…」

 

「なら、なおさら。この私めがエスコートさしあげますよ。手取り足取り…さあ」

 

 

しびれを切らしたのか強引に手を握り引っ張ってきた…しっこく迫るコイツにもう頭にきて拳を堅く握りしめた時、手が別な方向から伸びグイッと抱き寄せられた。誰だと顔を見たらマルスだった

 

 

「探したよノゥエム。マティアスさんが待ってるからいこうか?」

 

 

「待ちたまえ、彼女はこの私と一曲踊るのだが?」

 

 

「僕には無理強いしてるように見えましたが、あなたもこの場に招かれた紳士の一人であるならば見苦しい所業は控えることを提言します」

 

 

「ぬ、ぬぎぎ…そ、そもそも君は何なんだ!彼女のナイト気取りか何かか!?」

 

 

「………ナイト気取りではありません…彼女と私は将来を誓った仲です…」

 

 

な、なにいってんだ!し、し、将来を誓った仲って…パニクってるあたしの前でチャラそうな坊ちゃんがトンでもない事を言い出した

 

 

「じ、じゃあ証拠、証拠を見せろ!」

 

 

「騒がしいわね。何かしらコレは?」

 

 

「……マ、マティアスさん」

 

 

「……証拠を見せろですって……今の二人を見なさいな。守るような抱きしめるフォシン、そしてノゥエムの顔を。コレを見てわからなければ紳士とも言えないわね。カチュクム卿?(アナタ、連合の高官と裏でつながっているらしいわね?大人しく引いてくれないかしら?アナタ自身の英断に任せるわ)」

 

 

笑顔だけど目が笑っていないマティアスがゆっくりと耳に口を近づけなんか言ってる……やっぱりオネェなのか?ソレよりも気になるのは今のあたしはマルスの胸に身を任せてる。離れようにも腰に回された手が邪魔で離れない…でも何だろう。なんか落ちつくっうか安らぐな

 

服越しでも感じる筋肉に男の匂いがなんかこう、う、またドキドキしてきた…あたしなんか変だ

 

 

「ちっ、今回はアナタの顔に免じて引かせてもらう…」

 

「ふう、コレで大丈夫よ……フォシン。コレからダンスがはじまるわ。しっかりノゥエムをエスコートしてあげないな」

 

 

「え、でも」

 

「女を待たせるのは紳士としてあるまじきことよ?さあ楽しみましょう」

 

 

柔らかな笑みで僕とナカジマさんをホールの中心へ導くと、静かに去るのが合図のように曲が流れ出した

 

 

「……あ、あのな…あたしさ、こういうの苦手でさ」

 

 

「ノゥエム……ナカジマさん、僕の動きにあわせて…まずは」

 

 

「うあ?っと…え」

 

「最初はゆっくりと、そこで身を任せて」

 

繋がれた手と手をあわせ軽やかにしっかりと腰に手を添えエスコートされてく…マルスはどこでこんな事をって思う。傭兵って戦うのが仕事のはずなのに…さっきの相手にも萎縮せず堂々とした振る舞い

 

それに初めてのダンスなのにだんだん楽しくなってきた。それにもっとコイツ、マルスの事が知りたい

 

 

「あらあら、あの子ったらすっかり夢中になっちゃって……まだ《記憶》は戻ってないみたいだから安心したわ」

 

 

やがて二人のダンスが終わり、周りの貴賓達から拍手が上がる中で少し安心したように笑みを浮かべるマティアス。今回の依頼の本当の目的はマルスに会う事、そして彼が連れてきたパートナーを直に見定めるのがあった

 

(あの子が記憶を取り戻したら、さらなる混乱が起こるわね…でも《ノーヴェ・ナカジマ》、綾崎翔真なら気づかせてくれるはず……P・T、いえザフト最高評議会議長プレシア・テスタロッサ。アナタは駒として選んだでしょうけど。そうはうまくはいかないわよ)

 

 

やがて華やかなパーティーは終わり貴賓達は帰って行く。その中にマティアス、ノーヴェ、マルスもあった

 

 

「今日はありがとうね…ノゥエム。少しいいかしら」

 

 

「は、はい」

 

 

「マルスの事、お願いね…ナニがあっても彼を信じておあげなさい。あとその服はアナタにあげるわ」

 

 

「え?ちょ…」

 

 

「自家用機を待たせているから失礼するわね…マルス、ノーヴェ、またいつか会いましょう」

 

 

軽く手を振りながらマティアスは待たせていた自家用機に乗り空のかなたへ消えた。残されたマルス、ノーヴェはバイクに乗り移動コンテナがある森へ走らせた

 

(………うわ、すごい鍛え込んでるな…なんかいいな)

 

 

(む、胸があたってる!?や、柔らかま……考えるな僕、そうだ素数を数えるんだ!)

 

筋肉の感触に呆けるノーヴェの押し当てられた柔らかな胸の感触に耐えながら移動コンテナに着くと一路、トレミーがいる海域へ合流するためた飛翔した

 

 

奇しくも連合、ザフトの海戦が始まる2日前の出来事だった

 

 




キャラクター紹介

サー・マティアス

年齢不詳


性別:男性



ある地域に構えられた広大な屋敷に住む男性。年齢不詳であり人によっては”サー・マティアス”とも呼んでいる。女言葉が特徴。子供時代にある理由で女性として育てられたらしい

世界中のありとあらゆる情報をにぎっており、連合、ザフトからもっとも敵に回してはいけない人物として認識されている


プレシアの最終目的、プレシアしか知らないハズの《マルス》の過去と身体の秘密を知る人物。


傭兵部隊サーペントテール


叢雲劾が率いる傭兵部隊。イライジャ・キール(パイロット)、リード・ウェーラ(情報および交渉担当)、ロレッタ・アジャー(爆発物のスペシャリスト)、風花・アジャー(オペレーター)、マルス・レディーレ(パイロット)を加えた六名で構成されている

普段は一人一人で任務を行うが、必要に応じメンバーを集め任務に挑む。その成功率は100%、サーペントテールに頼みたいとの依頼が絶えない


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PHASE-36「新たな翼。死を呼ぶ凶鳥ーマルスー」side:ASTRAY   

????


「なるほどな、わかった」


「リード、何かわかったか?」


「ああ、マルスが受けた依頼なんだが何やら裏がありそうだ。まだ裏はとれてないがな」


「劾、どうする?」


「………イライジャ、これはマルスが自分で考えた上で引き受けた依頼だ。オレは最後まで任せてみようと思う。クライアントはマルスを裏切った訳ではないからな」


顔に傷が目立つ美青年…イライジャ・キールにそう応えたのは傭兵部隊サーペントテールリーダー、最強の傭兵《叢雲劾》。彼の言葉に酒瓶を片手にしたリードも頷く

クライアントは裏切っていない。つまりはマルスは今の依頼を継続して行う義務があることを意味するからだ


「そうだった、劾。依頼が来ているんだが受けてみるか?」


「誰からだ?」


「ああ、依頼人は大東貴一。肩書きを調べたんだが管理局地上本部提督でGspirit隊隊長を兼任しているようだ、詳しい依頼内容は直に会って話したいそうだ」


「管理局?地上本部…………まさかマルスの依頼と関係あるのか?」


「良い線いってるなイライジャ。俺もそれなりには探りは入れておいたんたが中々の狸だって噂だ。劾、引き受けてみたらどうだ?」

リード、イライジャの視線が集まる中、劾は静かに口を開いた


「わかった。会ってみよう……引き受けるか、引き受けないかはオレ自身が決める」


「なら、早速連絡を入れるぜ。俺とイライジャ、ロレッタと風花にも立ち会ってもらうがかまわないな?」


「問題ない」


ニカッと笑いながら早速連絡するリード…果たして大東貴一からサーペントテールに頼む依頼内容はまだ誰も知らない


翔真がミネルバのタンホイザーを打ち抜く数時間前…ギガフロート。そこにあるMSデッキで新たな機体が仕上がった

 

 

「こ、コレが俺のウィングガンダム?」

 

 

「ああ、《上》から送られてきたガンダニュウム合金とオレが作ったパーツを組み込んだんだ。詳細はコイツに載ってるからみてくれ」

 

 

いままでの姿とは大きく様変わりした愛機に驚きながら手渡された端末に目を通し唖然となり落としそうになった

 

バスターライフルは出力は1.5倍、旋回およびスラスター最大出力向上、反応速度も…なによりバスターライフルは分割でき三種類の武器へ変わるのもだが両肩に備え付けられたビームマント発生器。新規製造されたパーツが高次元に組み合わされ、もはや別モノともいえる機体にナガスミは震えていた

 

 

「………ロウさん、俺に使いこなせるかな」

 

 

「ソイツはナガスミ次第だ。形は違っても元はお前のウィングガンダムなんだ。機体を全力で信じてやれ。マルスもエクシェスを信じて駆っているからな……」

 

 

「……機体を信じる……名前は?」

 

 

「名前か?……ウィングガンダムフェニーチェ・リナーシタだ。あとコイツもつけてやるよ」

 

 

「こ、コレってブースタ?」

 

 

「ん~少し違うか。《VLブースタ》だ…コイツならトレミーに早く合流出来るだろ?マスドライバーの射角調整すればもっと早くつけるぜ」

 

 

明るく笑うロウの隣のメンテナンスベッドには機体をつつほどのブースタが置かれている。ナガスミはもう一度ウィングガンダム…ウィングガンダムフェニーチェ・リナーシタを見上げる

 

(リナーシタ、俺はお前を使いこなしてみせる……だから力を貸してくれ)

 

 

PHASE-36「新たな翼。死を呼ぶ凶鳥ーマルスー」side:ASTRAY   

 

 

…一時間後、ナガスミはバードモードに変形させたリナーシタ追加ブースタ装備のコックピットに座っている

 

 

『悪いなナガスミ、トレミーの食料、日用品、MS補給パーツのコンテナまで追加させてしまって』

 

 

「別にいいよ。こっちこそ色々してもらってばかりで…」

 

 

『気にすんなって…それより8をマルスに渡してくれよ…ジョージ!カウントダウン頼むぜ』

 

 

『キャプテンだ!ナガスミくん、大舟に乗ったつもりで安心してくれたまえ!』

 

 

「は、はい……(ジョージ・グレンってこんなにはっちゃけてたのか?)」

 

《気にしない方がいいぞ?》

 

 

冷や汗を流すその隣には液晶がついたアタッシュケース…8(ハチ)の姿。今後の補給をやりやすくするためマルスに預けるよう頼まれたのだ

 

「そうか?じゃ翔真先輩がいる場所までひとっ飛びしてくるか」

 

 

ーリニアカタパルト展開。目的地までの射角算出、障害有無確認……VLブースタ、アッセンブリ完了ー

 

リナーシタ《VLブースタ》装備が可変マスドライバーレールに固定。チェック項目を確認し操縦桿を握るナガスミの表情に緊張感が走り、待機を示すランプがすべて緑に変わった瞬間、すさまじい加速と共にリナーシタは打ち出された

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

 

「………連合のウィンダム部隊確認。フリーダム、織斑一夏とインパルス、篠ノ之箒、戦闘行動継続確認…」

 

エクシェスのグラムが深々とウィンダムのコックピットを貫き通す、その背後からビームライフル、トーデスシュレッケンが迫るが振り返りざまに撃破したウィンダムをそのまま射線状に投げ、ビームと実体弾が貫き火花を散らしながら爆散。それにより視界が閉ざされ慌てて姿を探す二機のダガーLが震える。みるとコックピットに深々とアーマシュナイダーが突き刺さっている。パイロットが最後にみたのはモニターを貫く厚く冷たいアーマシュナイダーの刃…微かに血らしきモノが刃を伝い垂れてきた

 

 

「…………三機撃破…残り十五機…」

 

静かに抜くと力無く落ちていく二機に小さく呟くと次のターゲットへと向かいながら、ウィンダム、ダガーLを次々とグラムで袈裟切り、アーマシュナイダーでコックピットを穿たて抜くとオイルが血のように吹き出させ装甲についた、気にもとめず背後から来たダガーLの胴体へ潜り込みドラグ・リムで腹部を鋏む。

 

 

『い、いやだ!たすけ………グビアッ!?』

 

 

泣き叫ぶ連合兵士のコックピットがグシャリと押しつぶされる。挟みきられ泣き別れになりダガーLは落ちていく。次の相手は誰だと言わんばかりにメインカメラを向ける。一切の躊躇も見せず情け容赦なく撃破していくエクシェスに連合兵士たちに恐怖心を植え付けるのに十分すぎた

 

 

 

『く、来るなああ!?』

 

 

『ち、ちくしょおおお』

 

 

『………い、やだああああ!』

 

 

何よりも彼らを最も恐れさせたのはエクシェスの左肩にあるマーク。口を大きく開け稲妻を模した蛇の口に《SERPENTTAIL》の文字と《6》の数字…生きた伝説でもあり最強の傭兵《叢雲劾》が率いる傭兵部隊サーペントテールの六人目のメンバーの搭乗機《アストレイ・エクシェス》

 

 

《最強の傭兵》叢雲劾、《英雄殺し》イライジャに並ぶ傭兵……マルス・レディーレ、またの名を《死を呼ぶ凶鳥》マルス。味方であれば確実な勝利を呼ぶ軍神(マルス)、敵になれば相対したMS乗りすべて死へと導く凶鳥(エクシェス)

 

 

連合兵士、ザフト兵士の間でも彼と相対し生き延びたパイロットはいない…例え生き残ったとしても恐怖のあまりに二度とMS乗りとして再起できない

 

 

「サ、サーペントテール《6》!し、《死を呼ぶ凶鳥》がソレスタルビーイングにいるだと!?MS全機、奴を近寄せるなあああ!!」

 

 

「……後続部隊到着まで数を減らす。エクシェス、VL起動………すべて斬り伏せる」

 

 

今、彼等の前に《死を呼ぶ凶鳥》が羽ばたく……金色に輝く光の翼…VLを起動したエクシェスの超加速に付いてこれずMS(ウィンダム、ダガーL)だったモノが次々と切り裂かれ、爆発散乱していく、爆発の中から腕が弧を描き船のブリッジに勢いよく深々と突き刺さる。

 

 

「…………連合護衛艦の戦闘継続不可能確認。旗艦タケミカヅチ周辺の護衛艦およびMS排除任務に移る…」

 

 

VLを解除し向かうは連合旗艦タケミカヅチ護衛艦隊。まっすぐ突き進んでいくエクシェスの行く手を阻むように空からビームが降り注ぐ、軽く舌打ちしコントロールスティックを傾けスロットルを踏み素早く回避行動をとり上昇したマルスは相手の姿を捕らえた

 

 

PHASE-36「新たな翼。死を呼ぶ凶鳥ーマルスー」side:ASTRAY

 

 

 

 

続きは超電磁砲さんの本編で!

 

 




マルス・レディーレ

性別:男

身長:160㎝

体重:52Kg


年齢:14~15歳ぐらい(外見年齢から判断)

髪の色:黒に前髪に赤いメッシュ

瞳の色:黒

出身地:不明


職業:フリーランスの傭兵


若干15歳にして傭兵業を営む少年。一年前、火星圏のデブリベルトを胴体以外を破壊されたMSごと漂っていた所をジャンク屋に拾われた。意識を取り戻すも過去の記憶が無く、唯一覚えていたのはMSの名前「エクシェス」だけ、しばらくジャンク屋に身を寄せ生きる術を探していた時、ジャンク屋の知り合いの傭兵と出会った際、記憶の断片が蘇る


《管理局》《Gspirits隊》《大東貫一》のワード……失った自らの記憶を思い出す鍵になるのではないかと思い、ジャンク屋の仲介を経てついて行く事に

その際、ジャンク屋から餞別がわりに様々なパーツを組み込み修復した《アストレイ・エクシェス》を受け取り、名前がないと不便だろという理由でロウから《マルス・レディーレ》と名付けられた(意味はラテン語でマルス《火星》・レディーレ《戻る叉は来る》)




普段は純粋で無垢…いわゆる天然で女性に対して免疫が無い。ラッキースケベ体質(結城リト並み)もち。料理が得意だが見た目が壊滅的で味は最高。一人称は《僕》。ただMS、特にエクシェスに乗ると一変、冷静かつ大胆、奇抜な戦法で敵を撃破していく。



趣味:料理(創作!?) 読書(主に歴史書)、刀剣鍛造(ジャンク屋の影響で)

好きなモノ、海、風



嫌いなモノ

地球の雷、オバケ


搭乗機:アストレイ・エクシェス



アストレイ・エクシェス


形式番号:JGMWF-00X


全高:17m

重量:58t

装甲材質:発砲金属+VPS


動力源:パワーエクステンダー+デュートリオン


特殊装備:ヴォルチュワル・リュミュエール


武装

対ビームコーティング・アーマシュナイダー×4



量子通信誘導浮遊破砕爪《ドラグ・リム》


カートリッジ式ビーム発生器内蔵実体剣シュベルトゲベール《グラム》


超高出力ビーム斬撃剣《ライオットザンバー》


特殊機能:V・T(Vampire・Territory)



機体解説


火星圏に再び訪れたロウが同圏内にあるデブリベルトを航行中に両腕、両足、装甲を損壊させたMSの胴体と武装らしき残骸を見つけ中に冷凍睡眠されていたマルスと共に回収、マルスが記憶をとりもどすために傭兵部隊サーペントテールについていく事を決めた時に餞別替わりに修復し手渡した機体

喪われた両腕は連合系いわゆるX105系列と200系を、両足はアメノミシハラで天ミナをメンテしたさいにでた余剰パーツを組み、唯一無事だったボディフレームに発泡金属とVPS装甲をあわせ機体データにあった外観とほぼ同じに仕上げる一方で背部に105系のストライカープラグを組み込みと同時に武装の修復時に《グラム》にエネルギー消費を押さえるためアクタイオンが保有するEカートリッジ技術、量子通信誘導破砕爪《ドラグ・リム》にも組み込まれV・Lの稼働時間延長に貢献している


しかし特殊機能《V・T(Vampire・Territory)》の仕様はロウ、《8》でも解析およびプロテクト解除が出来なかった……解禁はマルスの記憶がよみがえった時かもしれない


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Martian:00「兄貴を探して」

「マルスさんにはコレが似合いますね」


「いいや、マルスにはコレが似合う!」


「あ、あの二人とも…僕は着れれば何でも」


「「よくない!!」」


「ひう!?」


「いつも同じ服ばかり着てますよね!それに少し匂います」


「それにお前の部屋には飾りっけもナニもないんだよ!この際、お前の生活観念とか服装関係をコーディネートしてやる!!」

「で、でも」


「い・い・/です/な!!」


ノーヴェ、アインハルトの強気な目と言葉に詰め寄られ、冷や汗混じりでうなずくマルス…現在、三人がいるのは南極にある海底都市《リディアン》のショッピングモール。トレミー買い出し班として翔真たちと別行動……またの名をデートをしていた


「なあ、やっぱりタペストリーもいるよな」


「ベッドも少し大きめにしましょうか?あ、絨毯もふかふかに」


「テーブルも、あとデスクも……カーテンも」


《あと、照明もそろえた方がいいぞ》


(あう?なんか僕の部屋の改造計画が進んでるし!?)


もちろん、ロウから預けられた8(ハチ)からもだめ押しされ困惑するマルス…その後ろには


(ふふふ~ねえねえソーナちゃん。ノンノンとハルにゃんってマ~ちゃんのこと)


(姉さん。さすがに重婚は……でも魔界なら……早くにおばあちゃんになるかも)






三人の楽しいデート?が続いていた頃、新たな脅威がソレスタルビーイング、トレミーⅡに迫りつつ在ることに誰も知る由もなかった


「ここが地球……ホントに居んのかよ…」

 

氷に包まれた大地《南極》に赤と白の塗装が目立つ猫?、そのコクピットに座るのは白銀の髪を首あたりでむすび、やや強気な目、特に胸を強調させるパイロットスーツ姿の少女

 

生きてて地球にいると聞きある人物の力を借りきたがはいいがどこにいるか解らず途方にくれていた

 

 

「生きてたんなら連絡よこせよ。《兄貴》…」

 

 

Martian:00「兄貴を探して」

 

 

8年前、火星のコロニー建設中の事故で両親を失ってから、あたし《雪音クリス》はストリートチルドレンに身をやつし荒れていた、三年と半年まえの《ある日》アタシと仲間はヘマをやって豚おやじに娼館に売り飛ばされそうになった。《ヘヘヘ~コレからタップリ身体で稼いで貰うからな。特にお前はその手の奴らににんきでそうだな》って舐めるような目でみていってた時、その豚おやじの顔面に拳がめり込んでた

 

 

ー失せろゲス………ー

 

 

…倒れた豚おやじを見下ろし立つ少し年が上の野郎がいた。ソイツは豚おやじを警察に引き渡してすぐにあたしたちの身元引受人になった。他の奴らは何でかわからないけどなついていやがる……あたしはだまされねぇ、隙あらば生活に必要な金を奪い取って逃げようと寝込みを襲ったら逆に組み伏せられた

 

 

ーく、離せよ!?他のヤツは騙せてもあたしは信じないからな!!ー

 

 

ー信じる信じないは自由だ…学も無く、こうして組み伏せられ返せす力もない。ならば力を手に入れろ…オレを見返せるぐらいのなー

 

 

淡々と告げるコイツの言葉に頭にきた……やってやらあって…その日からあたしとコイツとの戦い?は始まった

 

 

ー………まだまだダメだ。動きに無駄があるー

 

 

ーく、くそ……みてろ次はあたしが勝つー

 

 

 

ー………期待しないで待っておく……次の組み手で負けたらオーストレルコロニーの学院に入学して貰おうか。さあ来いクリスー

 

 

……カチンと頭に血が上って結局、負けちまった…オーストレルコロニーの学院に入った…でも気に居らねぇ、アイツの思い通りってのが

 

何度か喧嘩をして先公を困らせ、授業をサボった…誰も関わってこないし……まあ清々したな。街へ繰り出し遊びまわり路地裏に入る、あたしにとって庭みたいなものって油断していた。首筋に電気が流れ地面に崩れ落ちた。あの豚おやじがゲヒた笑みを浮かべている

 

 

ーぐへ、くへへ……あのガキのせいで俺はおわりだあああ…最後にお前でたのしませて貰おうかあああー

 

 

身動きができない…あたしの身体をいやらしく触り制服に手をかけいきいよく引きちぎられた…いやだ、さわるな

 

 

ーああ、最高だあ~瑞々しいなあー

 

 

さわるな…いや…痺れて声も出ないあたしをオモチャのように撫で回していく手が下半身で止まる…太ももに手を添え開こうとする…必死に抵抗するけど無理…いや、やめて

 

 

ーはあ、はあ、こんな下着をつけていつでもいいってか……なら遠慮なくー

 

 

ーた…助けてー

 

 

ーはあ、はあ、た、誰も来ないよお?お前を助けるヤツなんか《この世》居ないんだよおー

 

もう居ないんだ。あたしを助けてくれる人は…一瞬だけアイツの顔が浮かぶ。手がスカートに触れ一気におろそうとする…いや手がとまっている…豚おやじがガタガタと震え一点をみている。かろうじて目を向けた先には顔をうつみかせたアイツがゆっくりとあげた時にみえたのは極寒の嵐が渦巻く目

 

ー……どけ…ー

 

 

ーぐぺら!?ー

 

 

紡がれた言葉と共に風がなる…豚おやじの顎へ拳が決まり鈍い音が響く。骨が砕け散った音…数分後、顎を砕かれた豚おやじは病院へ運ばれ、あたしとアイツだけ少し離れた車の中に座っている

 

ナニも話さないアイツの拳から血がにじんでいる…

 

 

ーな、なんで助けに来たんだよ……あたしなんかどうなったって…ー

 

 

頬に痛みを感じる…はたかれたって気づいた。アイツの目があたしを見ていた

 

 

ー…………自分を軽々しく扱うなクリス……二度というなー

 

 

はたかれた痛みでハッとなる。アイツの服や髪は汚れ乱れほうだい、それに汗の匂いが凄い…家に帰ったあたしは、みんなからすごく心配されてた事もだけど。それより驚いたのは、学院から連絡がきて、仕事を放り投げオーストレルコロニー中を探しまわったって

 

…シャワーを浴びながら、叩かれた頬に手を触れる…こんな風に怒られたのはひさしぶりだ…ただ怒り任せに殴ったものじゃない

 

本当にあたしを心配してくれたお父さんと、お母さんと、同じ暖かさだ

 

 

な、なんだ胸がドキドキしてきた…変だ……こんなの。ノズルを止めバスルームからあがると仕事中で力尽きたのかソファーに突っ伏し眠るアイツの姿…見たことの無いMSの概念図…

 

 

ーごめん…心配かけて……アレス……兄貴ー  

 

 

今までいえなかった名前を小さくつぶやくとソファーに眠るアイツ、《アレスにぃに》に毛布をかけ部屋に戻った

 

 

みんなはそれぞれ子供のいない夫婦の養子として引き取られていった。でもあたしだけは引き取り手が見つからなかったから、《アル兄貴》とくらし始めた仕事が忙しくてあまり家にはいなかったけど二人で食卓を囲んで学院で会ったことを話すんだけど《わかった》《そうか》《ああ》しか返さなかったけど少しだけ笑みを浮かべてたっけ

 

でも、《見た目はアレだけど激うま混ぜご飯》はさすがに……体重が、それに胸が……体育の時に着替える度にダチに羨ましがられてもまれてマジで困ったし。でもコレが兄貴だったら……いやいや!ナニ考えてんだあたしは!

 

 

でも、そんな日は長く続かなかったんだ…兄貴が行方不明になった…それに捜索願いを統制局に出したら「その様な人物は存在しない」って門前払いされた

 

何度も行ったけど門前払いの繰り返し………ざけんな!じゃあ、あたしと一年間暮らしていた兄貴は幻だっていうのかよ!

 

学院に通いながら、昔の仲間たちと一緒に探したけど足取りも掴めなかった…そんなときだった

 

 

ーあなたかしら、アレス・ルセディスを探しているのはー

 

 

ーだれだ?……兄貴を知ってるみたいだな!!ー

 

 

ーええ、知ってるわ……アナタ以上にねー

 

 

サングラスに濃い紫の髪を腰まで伸ばしたスーツ姿のみたからに怪しい…でも兄貴を知っているなら、少しでも手がかりが掴めるなら…無言でついていった

 

 

ーあなたの義兄はこの火星に圧政をしいる連合に反旗を翻しエクシェスで仲間たちと共に行おうとした、でもソレはソレスタルビーイングのせいで費え、エクシェスは破壊されアナタの義兄《アレス・ルセディス》は洗脳され今は《マルス・レディーレ》と言う名前と記憶を与えられ尖兵として使われているわー

 

 

ーな、なんだよ!それ……じゃあ兄貴はソレスタルビーイングに利用されて……ふざけんな!!ー

 

 

ー義兄さんを助けたい?…今の彼はすごく不安定。アナタの助けを待っているわ……あなたに力をあげるわ《ニャイアアストレイ・イチイバル》。コレでソレスタルビーイングから義兄さんを……貴女だけの義兄さんを助け出すのー

 

 

何度もあたしの耳元でささやく……アタシだけの兄貴…誰にも渡さない。他の女にも指一本触れさせない…あたしだけ、兄貴の匂い、皮膚、髪の毛一本すらも渡さない……ワタスモノカ……

 

ーさあ、いきなさい。地球へ…《雪音クリス》ー

 

 

目の前に白銀に赤に染まった機体に呼ばれるように近づくとハッチが開く…コレで兄貴がいる地球に行くんだ。ソレスタルビーイングから助け出す

 

ー……まってろ兄貴……今、行くから……ソレスタルビーイング…兄貴を利用する悪党……首洗って待ってろよー

 

 

あたしの意思に応えるように瞳に光が走り、不思議な空間を抜け、こうして地球についた……兄貴、あたしだけの兄貴……カナラズタスケルカラ

 

 

アニキをアイシテイイノハ、アタシダケダカラ

 

 

 

ーーーー

 

 

「………ふふふ、さあソレスタルビーイング。いえ綾崎翔真はどうでるかしら?災いの軍神《アレス・ルセディス》《マルス・レディーレ》という《爆弾》を抱え、《雪音クリス》期待しているわよ」

 

 

サングラスを外し無人のMSデッキに立つP・T…最高評議会議長プレシア・テスタロッサの新たに投じた波紋はさらなる混沌を招きソレスタルビーイングに襲いかかろうとしていた

 

 

 

 




キャラクター紹介(三)


雪音クリス


ザフト、連合、オーブにも名を知られた音楽家の両親との間に生まれ、幼い頃から世界を巡る生活を送っていた。しかし招かれた火星圏で建設中のコロニーで起きた事故に巻き込まれ両親を失い天涯孤独の身に。以降は貧民階層でその日を生きるために同じ境遇の子たちと共に生活していた。心無い大人から浴びせられた言葉、汚い部分をみてきた為か人を信用できなくなってた故に、《誰か(大人)に頼る》ことに臆病になり、それを悟られないよう気をはりつづけていた

しかし仲間たちと共に捕まり、娼館へ売り飛ばされそうになったところを《アレス・ルセディス》に助けられた。しかし信用できず反抗していたが、かつて娼館に売り飛ばそうとしたした男に捕まり危うい所で再びアレスに助けられてから、ぎこちないながらも心を開き一緒に生活するうち改善、アレスを義兄としてではなく《一人の異性》として見るようになっていった

二年前にアレスが姿を消し、その行方を探していた時に出会った、謎の女性に導かれMS《ニャイアアストレイ・イチイバル》を与えられ地球へと向かった



誕生日:12月28日

血液型:A

身長:153cm

BWH:90/57/85

年齢:15


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PHASE-38.5「ハイペリオンー天高く往くものー、黒ーノワールー再び」side:ASTRAY★

「ロアノーク大佐、コレは?」


「俺も詳しいことはわからないんだけど、コイツが連合の開発した機体では無いとだけ確かだ……一年前にヘブンズベース基地近海に落ちてきたらしい」


ザフトとの戦いで介入したソレスタルビーイングにより痛手を受け南米で補給と修理を受ける連合旗艦タケミカヅチの隣に浮かぶコンテナ内であるものを見つめる黒塗りの連合軍制服に頭を完全に覆う仮面が目立つ青年と士官。その前には大小さまざまな色違いのケーブルに繋がれた黒く巨大な円錐形状の体躯の左右に鋏にも似たユニットと思しきモノがついた異様な物体…カブトガニにも似たナニかが固定されている


「……んで技術開発部門が調べたんだが装甲はVPS、エネルギー反応からみて動力は核エンジン?らしい事、そして最近見つけたコックピットからデータを吸い出し解析したらMAだとわかった」



「MA?」


「しかも宇宙から地上、水中戦もこなせる破格のMAだ……んで、コイツが俺の部隊に配備されることが決まったんだが…怪しさ満載なMAよりウィンダムを十五機送れよな~」


「名前はなんなんですか?大佐」


「……………データ解析した時、度々《エクシェス》、《アレス》と言う単語が出てきた……まあ《エクシェス》でいいんじゃないの?」


「いいんですかそれで?大佐」


「まあ名前がないと不便だろ?とりあえず、あの三人の誰かを乗せてみるかな……まあ、ありがたく使わせてもらうか」


再び目を向けるロアノークと技術士官…一年前に空から墜ちてきた正体不明の80メートル級MA《エクシェス》のカタログスペックに目を通していく。目覚の時は近いと言うように微かに目に当たる部分が光った


『………ノーヴェ・ナカジマ。任せます』

 

 

無機質で感情と言えるモノを削ぎ落とした声が響く。モニターには二つの黒…二日前にあたしたちが戦った連合所属のMS《GAT-X105E》ストライクノワール。フラガラッハを両手に構えマルスのエクシェスに襲いかかる。寸前で防ぎ切り結びながら離れてく

 

 

……任せるって何をなんだよ?まったくわかんねぇ!?

 

 

PHASE-38.5「天高く往くものーハイペリオンー、黒ーノワールー再び」

 

 

「マルス、あたしに用って何だ?」

 

 

「依頼受けたんですけど……手が足りなくて……疲れてるところ悪いんですけど…今出られるのがアストレアF-Dashしかなくて」

 

 

二日前の海戦であたしたちの機体は少なからずダメージを受けた。とくにウィングゼロ、フリーダム、バルバトスはマルスがハロ達を使ってフルメンテナンス中。今動かせるのはあたしのしかないらしい

 

 

「あ、無理ならいいんです…やっぱりまだ疲れてますよね。ナカジマさん女の子なんですし…」

 

「………な、なにいってやがる!あたしをそこらへんの女と一緒にすんな!……それに疲れてなんかいねぇし、どうしてもっていうならついていってやるよ!」

 

「え、え、で、でも今回の依頼は…」

 

 

「あ?んなこと関係ねぇんだよ!とにかくだ、あたしのアストレアしかないんだろ?ならマイスターのあたしが行くしかないだろ」

 

「で、でも」

 

 

「でももへったくれももないんだろ?とにかく連れてけ。いいな!!」

 

 

「は、はい……」

 

 

(ねぇねぇソーナたん。マ~ちゃんとノンノンにあたまがあがらないみたいだね?)

 

 

(そ、そうですね…少し将来が心配です……傭兵なんて危なっかしい仕事を止めて騎王学園に来て普通の学生生活をおくって欲しいんですけど)

 

 

……とまあ、こんなやりとりが聞こえた気がしたけど気のせいか。先日、ナガスミがギガフロートから持ってきた補給コンテナのリストをチェックしてエールストライカーと布に包まれたでっかい剣(?)を装備したエクシェス、アストレアF-dashの調整を終えて軽いミーティングをマルスの部屋で始める。男の部屋は初めて入るけど日用品ってのがない。あるのは端末と作りかけの赤いボール?みたいなのが一つだけ、それより依頼内容、いや依頼人を聞いて驚いた

 

 

「今回は連合から…正確に言えばある将校の依頼です。アクタイオン社が開発した《CAT-X1/3》ハイペリオンを載せた輸送機が南米上空で行方を断ちました。依頼内容はハイペリオンの捜索もしくは破壊です。後者は敵に奪われた場合のみ適用されます」

 

 

「まて!なんで連合から依頼を受けるんだよ?この前あたしたちは、やりあったばかりだぞ!依頼人がやれば片づくだろ」

 

 

「……はい、でも依頼人は自分たちの部隊に配備する予定の機体が行方不明になった事で危うい状況におかれ部隊も動かせないんです。もし何者かの手でハイペリオンが起動し南米の森林地帯が焼き払われるとなったら地球環境をも狂わせる可能性がある。彼の言葉からは強い後悔と必死な姿勢からウソ偽わりないと判断し依頼を引き受けることにしました」

 

 

「………わかったよ…ただし、そのハイペリオンをどうにかしたらさっさと引き上げるからな」

 

 

「はい、ありがとうナカジマさ「ノーヴェ」…え?」

 

 

「ノーヴェでいい。あたしもマルスの名前よんでんだからさ。じゃさっさといくぞ」

 

 

「はい……ノ、ノーヴェさん」

 

 

照れながら目をそらす…なんか真面目なのも良いけど今の仕草はマジ可愛い。しばらくして武装コンテナにあたしのアストレアF-Dash、マルスのエクシェスと追加装備を載せトレミーから切り離し海中を潜行しながら南米へと向かいながら隣で赤いボール?を組むマルスをみている。何作ってんだろ

 

 

「よし、出来た」

 

 

 

『ハロ、ハロハロ!?マルス、マルス』

 

 

「な、なんだコレ?」

 

 

「この子はハロ。8さんが設計してくれたんです。ソーナ義母さんやセラさん、アインハルトや翔真さん、ツバサさん、ナガスミくんにも色違いだけど何個かあげたんです。それに簡単な整備から機体OSの更新やリアルタイム通信もできるんですよ」

 

 

「へえ~こんなにちっこいのが?」

 

 

『チッコくない、チッコくない……ぷんぷん』

 

 

ん~なんか愛らしいなあって手にもってたら懐かれたみたいでマルスが「ノーヴェさんに赤ハロあげます。言うことよく聞くんだよ」って手渡された。そうしている内に南米アマゾン川河口に到着。武装コンテナに偽装システムを起動させハッチを開く。マルスのエクシェスとあたしのアストレアF-Dashが水中をすすみコンテナから離れたのを確認して浮上、レーダーに引っかからない高度スレスレで飛行する

 

『ノーヴェ・ナカジマ。識別が途絶えた地点につく…周辺索敵と警戒怠るな』

 

……やっぱり変わりすぎた。ツバサやナガスミ、翔真が言う傭兵モードのマルスは。

 

一切の無駄を省いて必要最低限な言葉しか喋らない。普段のおどおどして、ボケッとして天然でよく転けるマルスと違う。まったくの別人だ

 

どっちが本当のマルスなんだろ……そんな時、熱源反応を知らせるアラートに我に返る。黄色い閃光が迫る。操縦桿を傾けGNバーニアで回避……いまのビームは?

 

 

『ノーヴェ・ナカジマ、ハイペリオンを確認……ハイペリオンのパイロット、当機は攻撃の意志はな…』

 

 

呼びかけるけど、返答代わりに肩にかけ現れた砲塔から極太のビーム二発がマルスのエクシェスに襲いかかる。ひらりひらりとかわしていくけど微かに装甲に跡がついてく

 

エクシェスはなぜかわからないけどエールストライカーを装備、さらに手にはデカい剣を持ってる。なぜって出撃前に聞いたら「もしハイペリオンと戦うのならコッチの方が役に立ちます」っていってた

 

でも今は目の前のハイペリオンが呼びかけに応じない。それに迂闊に攻撃が仕掛けられねぇし。なぜなら下には緑一色の絨毯…アマゾン熱帯雨林が広がっている。ここはザフトも連合も非戦闘地域にして《地球の三分の一の酸素を生み出す》場所。

 

ハイペリオンはあたしやマルスの下に配置している。つまりは迂闊にビームを撃ち外れたら森が焼き払われてしまう。それに対してハイペリオンは撃ちほうだい

 

あたしのアストレアF-DashはGNカノン、GNライフル以外にGNナックルがある。なら接近戦で仕掛ける!

 

「おらあああ!GNナックル!!」

 

 

一気にスロットルを最大にし二段加速、同時に殴りかかる、入ったと思った瞬間何かに阻まれた。バリアーみたいなのがハイペリオンの全方位をすっぽり覆ってる。驚くあたしに向けビームマシンガンを構え撃ち放つ咄嗟に避けたけど数発がかする

 

なんで内側からの攻撃は通るんだ?

 

 

『………アルミューレリュミエール、モノフェーズ機能を持つから内側から攻撃が可能な光波防御帯か。だが破る方法はある………ノーヴェ・ナカジマ。牽制を頼む』

 

「な?もう!しゃあねえな!攻撃がとおんねぇけどやってやらあ!!」

 

再びアストレアFDashをハイペリオンに近づけ殴りかかる。でも固いアルミューレリュミエールには傷一つつかないどころかGNナックルにもミシミシと悲鳴があがる。そのときマルス、いやエクシェスがバーニア全開で接近。極太のビームをかわしながら布に巻かれた剣を両手に握り大きく振り上げ突き刺した…通らないと思った。でも切っ先が吸いこまれるように深々とアルミューレリュミエールを貫き布が燃え現れたのは青い大剣。柄にあるバーニアから勢いよく放熱してる

 

 

『アルミューレリュミエールの弱点は対ビームコーティングされた武器を通しやすい。それはラミネート装甲でも同じだ……お前の敗因は一つ。性能に頼り過ぎた事だ』

 

 

静かにまるで死刑宣告を告げるのと同時に大剣の中心が開き、四門のガトリング砲が回転し実体弾とビームの雨がハイペリオンに降り注ぎ風穴だらけにしていく。マルスはまさか弱点がわかってたから装備を変更したのかよ…弾丸の雨がやむと同時にアルミューレリュミエールが消えそのままアマゾン川に水しぶきをあげ落ちた

 

 

『……ミッションコンプリート……』

 

 

大剣を軽く振るうエクシェスから通信越しに抑揚もない声が響く。任務は終わり、さあ帰ろうとしたとき熱源反応。あたしとマルスはかわしながらみたのは連合のMSの姿…2日前に交戦した機体GAT-X105E《ストライクノワール》。今のマルスの装備…エールストライカーにあのデカい剣、アーマーシュナイダーじゃ勝てない

 

加勢しようとしたら、来るのを拒むように通信越しに聞こえた『任せる』って意味わかんねぇ…弾もバッテリーも余り無…………まさか、そういうことかよ

 

 

あたしはアストレアF-Dashを二人に背を向ける形で加速し離れていく…任されたからにはしっかりやらないとな

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「まさか、こんなところでまた出逢えるとは。目的は同じ様だな」

 

 

「……………そのようだ、このまま見逃してくれると助かる」

 

 

「それは出来ない…ザフトも手を出さない中立地帯で起きた不祥事を目撃したのが例えソレスタルビーイングでも見逃せない!」

 

 

通信を切りフラガラッハを構え加速、勢いをつけて切りかかるのをタクティカルアームズ(ラミネート装甲仕様)で受ける。このパイロットと剣を交えるのは二度目、機体もGAT-X105をカスタムしたモノだ。おそらくパイロットの意見と実働データを基に改修されている。

 

繰り出された蹴りに楯代わりにタクティカルアームズで防ぎながらバッテリー残量をみる。すでに二割を切ってるか…エネルギーを喰う武器は使えない。タクティカルアームズを川へ落とし変わりにアーマーシュナイダーを両手に構える

 

 

『何のつもりか知らないが、決めさせてもらう!』

 

 

腰にマウンドされたバレルが短いビームライフルを撃ってくる。目の前に迫るビーム弾をアーマーシュナイダーで次々と切り払う。それを見ておどろいているみたいだ

 

 

『ビームを切り払った!?面白い…ならコレならどうだ!』

 

 

「くっ!」

 

 

ビームライフルをしまうとフラガラッハを切りかかってきた。アーマーシュナイダーでビーム刃を防ぎ断片的に接触回線が開く…声の感じからして同年代か。それに的確に急所を狙い切りつけてくる。脇腹、肩、袈裟切りに来るビーム刃、実体刃が触れるたびに火花が散る、逆手に構えたビームコーティングされた刃が悲鳴をあげ折れ新緑の絨毯に落ちていく。

 

 

『俺の勝ちだ…サーペントテール、いや《死を呼ぶ凶鳥》…』

 

 

コックピット近くに刃が当てられ、ゆっくりと突き立てられようとした時、動きが止まる……

 

 

『…………ち、わかった。悪いが今日は引き上げさせてもらう。《女神》に感謝するんだな。オレは地球連合軍第81独立機動群ファントムペイン所属《ルウェン・カル・バヤン》だ』

 

 

「…………マルス・レディーレ」

 

 

名前を告げたルウェン・カル・バヤンのストライクノワールは踵を返し飛去った……連合にまだあんなパイロットがいる。もしエースを投入してきた場合、少数精鋭のトレミーが…いや、今考えても仕方ない。タクティカルアームズを回収しノーヴェ・ナカジマとの合流点へと向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

「あの~ノーヴェさん?」

 

 

「べつにぃ~」

 

 

あうう~怒ってる……間違いなく《あの時の僕》に対してだ。エクシェスに乗るとあんな風になる僕を風花さんやイライジャさんが注意していたのを思い出す。何度も直そうと努力したけと無理だった

 

赤ハロをぷ~と頬を膨らませ小突きながらそっぽ向いてるし…確かにあの状況じゃ相手に会話からナニが目的か悟られるし…やむなくああ言ったけど。素直に謝ろう

 

 

「あの~ごめんなさい!あの時は相手にノーヴェさんがやることを悟られないようにするためで……」

 

 

 

「……………」

 

 

「…………それに、ノーヴェさんならわかってくれるって信じてたから」

 

 

「あ?あんなんで解れっうのか!?ちったあ、あたしにでもわかりやすいようにいいやがれ!!」

 

 

「ふみん、ふみん、ぬうぃむさん!?」

 

 

おらあああ!って僕の頬をつまみ伸ばすノーヴェさん。あの時、任せるって言った意味は詳しく言うと

 

 

『近くにあの機体の母艦、もしくは輸送機があるから押さえるのを任せます』

 

 

って意味。どんなに強力なMSでも補給、整備が出来る場所がなければ意味をなさない。あのGAT-X105の母艦が帰投出来るギリギリの場所にいるはず。アストレアFDashなら見つけだし抑える事が出来る

 

あの時、ルウェンさんが退いたのはノーヴェさんが母艦を抑えたからだ。レーダー索敵範囲から離れたのを見計らい武装コンテナに帰投出来た

 

 

「ま、このぐらいで勘弁してやるよ。でも次からは赤ハロを通してやれよな」

 

 

「は、はい」

 

 

「じゃあ、さっさとトレミーに帰るぞ……あとで赤ハロの使い方教えろよな…二人っきりでさ」

 

 

それっきり言葉はなかったけど、今度は僕のハロと赤ハロのプライベートコードを教えようと決め、一路トレミーに向かおうとした時、熱源反応を捉えスクリーンに映されたガンカメラに肩にpressと書かれた機体に驚くと同時に通信が入った

 

 

『あんた達、ソレスタルビーイングだろ?オレはジェス・リブル。フォトジャーナリストだ!ぜひ取材の為に同行させてくれ!!』

 

 

「ジ、ジェスさん!?なんでここに!?」

 

 

『その声は……お前、マルスか!!』

 

 

この日、僕とノーヴェさんはアストレイ…アストレイ・アウトフレームを駆るジャーナリスト《ジェス・リブル》さんと出会いを果たした

 

PHASE-38.5「ハイペリオン(天高く往くもの)、ノワール再び」side:ASTRAY

 

 

 

 

 

 

 

続きは超電磁砲さんの本編で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




機体解説(二)


アストレアF-Dash


型式番号:GNY-01F-Dash


【挿絵表示】



【挿絵表示】




ノーヴェのアストレアF2をギガフロートで宇宙一のジャンク屋《ロウ・ギュール》が海底で拾ったパーツを組み込み完成させた機体

最大の特徴はスリースラスターからコーン型に変更、追加アームに装着された大型GNバーニア、腕部を覆うGNバーニア内蔵GNナックルが追加されている

GNバーニアは可変し進行方向を変更、瞬間的加速をも可能とし、さらに変形するとGNカノンへ形態移行し中、長距離戦にも対応可能

GNナックルは内部装甲に圧縮されたGN粒子を満たすことで強度を増し、インパクトの瞬間に相手の堅い装甲すらもいとも簡単に砕く。内蔵GNバーニア、背部GNバーニアを合わせた場合は破壊力は戦艦の装甲すらも粉砕する


ノーヴェの戦闘スタイルにあわせ、一度手合わせしたマルスの意見を盛り込み極めて高い完成度を獲得。粒子制御率向上、トランザムの稼働時間も改善されている


武装

GNバルカン×2

GNダガー×2

GNナックル×2

GNカノン×2



特殊機能

トランザム・システム










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PHASE-42.5「深まる謎、過去を知る者の望み」side:ASTRAY

新暦6x年…


「おかあさん、お帰りなさ~い……その子は?」


「ただいまノイン、ハーティ。え、えとね、この子は………アナタの弟よ。実は内緒にしていたんだけど病気でずっと入院してて……(……や、やっぱり無理あるわよね~いきなり弟がいたなんて……)」


白衣姿の女性の背中には恐る恐るノインと呼ばれた女の子をみる前髪に赤いメッシュが入った黒髪が目立つ男の子がみている。じぃっとみる女の子と視線が合いサッと後ろに隠れようとする前にノインが回り込んだ


「お名前教えて?」


「……」


「あ、まずはわたしからだね。ノイン・ルセディスだよ」


「あ……あれす……」


「アレス……うん!よろしくねアルちゃん、あとこの子は妹のハーティ。あなたはこの子のお兄さんになるんだよ」



「はーてぃ……おにい……さん……ぼく…が」


ノインが抱く小さな子…ハーティに片言で喋りながら手を伸ばすアレス…その小さな手にふれるとキュッと握り返されビクッとした姿に笑みを浮かべる女性。違法研究所で人体実験《戦闘機人》として生まれた子は初めて家族を知った







ニャイアアストレイ、雪音クリスと翔真、翼の戦いにマルスが割って入るも《アレス・ルセディス》と呼ばれた瞬間激しい頭痛が襲いかかる。その様に激情したクリスをナガスミがおさえてから二時間後。海中を航行するトレミーⅡ、そのメディカルルームでツバサは帰還するなり意識を失ったマルスの診察と検査結果に目を通していた

 

 

(…………海馬の脳電位とニューロンシナプシスに異常な活性化…記憶が蘇りはじめてるのに間違いないか)

 

 

脳波活動電位値は以前に診察したものより大きく異なる。雪音クリスがマルスに《アレス・ルセディス》と呼んだ事に起因していると睨みながら、それ以上に気になることが

 

 

(……マルスの身体は極めて強靭かつしなやかに鍛え抜かれている。持って生まれた才能と傭兵としての経験からくるモノも含めて最初は想っていた、8を経由してロウから渡された《データ》をみるまでは………)

 

 

目を向けた先にあるのはマルスのレントゲン写真…様々なエネルギーケーブル、さらに機械的なシリンダーが神経、筋肉にまでナノレベルで高度に融合している。過去にこの身体に似たモノをみていた…

 

 

(…………間違いない戦闘機人と同じだ。エネルギー伝達経路から肉体との融合値基準と基本的な設計思想はノーヴェや他の子と同じだ。まさか記憶を無くす前のマルスはミッドチルダにいたのか?……嫌な予感がするな)

 

 

いまだに眠りつづけるマルス…その隣に心配そうに座り見守るアインハルト、ノーヴェをみて今は医者として出来うる限りの手を尽くさないといけないなと決め8(ハチ)と共にカウセリングを含めた治療方針を検討し始めた

 

 

……深い意識の闇へ落ちていくマルス、ぼうっとする意識の中で漂いながら声が耳にはいる

 

 

ー大…と……G…隊…ふ………ゅ……して…る…ー

 

 

ノイズ混じりの顔、かろうじて血よりも赤い瞳を輝かせ呪詛のように声を呟く少年の姿。やがて闇に紛れるように消えていった

 

 

 

PHASE-42.5「深まる謎、過去を知る者の望み」side:ASTRAY

 

 

 

「兄貴……」

 

 

トレミーⅡ内に独房が無いため割り当てられた個室の天井をぼうっとしながらみるのはパイロットスーツ姿の少女…仰向けになりながら呟き思い出すのは二年ぶりに会う義兄の顔と声…しかし現実は違った

 

自分の事すらも忘れ偽りの名前を本当の名前だと信じ切る姿…

 

 

「………あいつのいった通りだ………ソレスタルビーイング……兄貴を……アタシのアレス兄貴を洗脳しやがったんだ……ゆるさねぇ」

 

 

口数は少なかったが、自分の話をしっかりと聞き笑みを返してくれた。忙しいのに関わらず勉強を見てくれた…いつも側に居てくれなかったがクリスにとって頼れる人。荒みきった自分が忘れかけていた《ぬくもり》を思い出させてくれた

 

 

「………それに何なんだよ…あの二人はアタシの兄貴にベタベタしゃがって。まさか……そうか、そういうことかよ……」

 

 

義兄アレスを抱き抱えるよう歩くアインハルト、ノーヴェがメディカルルームへ向かう姿…クリスはある答えに辿り着く。義兄アレスを洗脳し、偽りの名前を信じ込ませたのがアインハルト、ノーヴェだと言う間違った答えに

 

 

「兄貴、待ってろよ。アタシが必ず助けるから…また二人で暮らすんだ……仲間のみんなと一緒に誰にも邪魔されずに…余計な事をフキコンダアノオンナ………フタリニハワタサナイ……ゼッタイに」

 

 

チャンスがくるまでは辛抱する。大事な義兄アレス・ルセディスを助け出し火星で暮らすと決め目を閉じた。義兄と仲間たちと共に過ごす穏やかな日々を夢見ながら

 

 

PHASE-42.5「深まる謎、過去を知る者の望み」side:ASTRAY

 

 

 

 

 

 



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PHASE-43.5「葛藤するクリス」side:ASTRAY

トレミーⅡ内にあるカフェテラス…意識を取り戻したマルスと拘束されるも尋問(またの名をHな声を聞かせる)を受け誤解だとわかったニャイアアストレイ・イチイバルのパイロットでマルスを義兄アレス・ルセディスと呼ぶ《雪音クリス》が互いに向き合う形で座っている。少し離れた場所にはソレスタルビーイングの医師にしてガンダムバルバトスのパイロットのツバサがいすに座りコーヒー豆を挽いている

 

 

「………………」

 

 

「………………」

 

 

二人の間には気まずい空気が流れる…記憶を失う前の自分の名前と過去を知る《雪音クリス》が俯かせがちに膝を抱きかかえ遠慮がちに視線を向けてる。その空気を破ったのはマルスだった

 

 

「あ、あの……雪音クリス…さんでいいかな」

 

 

「っ!?………」

 

 

「…僕はマルス…マルス・レディーレ…あ、さっきも言ったけ…」

 

 

どぎまぎしながらも話しかけていくマルス、それに対してクリスの反応は薄い…

 

 

「………僕の事を知っているんだよね…

翔真さんや翼さんから聞いたけど。僕を探しに来てくれたのは間違いないかな?」

 

 

「………そうだ…そうだよ!……あたし、ずっと探してた!火星のコロニー全部を昔の仲間たちと一緒に!兄貴をずっと、ずっと探してたんだからな!やっと会えたと思ったらなんだよ?あんな態度は!ひどすぎっだろ!」

 

 

だんっ!と机を叩きつけ立ち上がり肩を掴むとグイッと顔を寄せる。目に一杯の涙をためみている…微かにズキっと胸の奥が痛む…何故かはわからない。いつの間にか手を伸ばし抱きしめていた

 

 

「ごめん…僕は二年前からの記憶がないんだ。でも……解らないけど…」

 

 

「わ、わからないけどなんだよ……」

 

 

「………凄く胸がいたいんだ……泣いてるのをみると記憶を失う前の僕はキミを大事にしてたんだってわかるんだ。ごめんね、ここまで来るまで辛かったよね……今だけは思いっきり泣いていいから」

 

 

「……っ!?」

 

 

 

ー……今だけは思いっきり泣いていい…ー

 

 

一瞬、マルスとクリスがしる義兄アレスの言葉と表情が重なる。それ以上にこうして抱き締められた感覚は全く変わらない…安らぎと大きな優しい温もり、変わらない匂いにドキドキしはじめる

 

 

(………兄貴だ………この感覚は間違いない……)

 

 

「あ、あの雪音クリスさ……」

 

 

「クリス…」

 

 

「え?」

 

 

「クリスって呼んでいいってんだよバカ兄貴……決めた。あたしもココにいる……記憶を取り戻すのにここに残って協力してやる!ずっと傍にいてやっからな!いっとくけどバカ兄貴に拒否権はないからな!」

 

 

 

「え?ええ~!?まさか僕の部屋に住む気なの?本気でいってるの!?」

 

 

「「ダメ/~/だ!」」

 

 

クリスの言葉に反応するように二つの影がカフェテラスのカウンターから躍り出てきたノーヴェ、アインハルト

 

 

「いくら義妹でも、同じ部屋はまずいだろうが!マルスもなんか言えよ!」

 

 

「そうです!義理と言っても女の子です。もし、そのマルスさんと間違いがあったら……」

 

 

「間違い?ふ~ん……その間違いってのは…」

 

 

「え?うむっ!?」

 

 

「ん………ん……ちゅる……っ……ハア…こういうことだよな?」

 

 

いきなり頭をつかみ強引に唇を合わせるクリス…舌を入れ絡め唾液を味わいながら離すとつぅ~っと銀の糸が伸びる…マルス、いやアレスは渡さないと言わんばかりに見せつける姿に身体を震わせどす黒いオーラを沸かせる二人に平然とするクリス、だがマルスはガタガタと震える

 

 

「…………ふう、コレは修羅場だな……マルス、あとはお前次第だ……翔真に似てきてるかもな」

 

 

「た、助けてツバ………」

 

 

助けを呼ぶ声は無情にもツバサが退出した扉に遮られ、間をおかず破壊音と振動。悲痛な叫びがトレミーⅡに響き渡ったそうな………

 

 

 

 

PHASE-43.5「葛藤するクリス」side:ASTRAY

 

 

 

 

 



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PHASE-43.7~44「再会する白と紅」-45「虚無の申し子 バンシィノルン 前編」side:ASTRAY

ギガフロート

同ファクトリー


「よし、ゼロフレームのストレスチェック終わり。あとは電装系とマッチングテストだけだな~お~い千夏。昼飯にしようぜ」


 
「はい。でも短期間でゼロフレームの総メンテを終わらせるなんてすごいですよ」


「そうか?まあ、オレは宇宙一のジャンク屋だからな~装甲やエネルギーバイパスは昼飯終わってからにしようぜ」


肩を叩きながらジャンク屋組合食堂へ歩き出す二人。数日前、限界寸前の翔真のウイングゼロカスタムをトレミーから《ギガフロート》へ運び込んだ千夏。仕事ぶりをみたロウにすっかり気に入られたみたいだ


「なあ、いっその事ジャンク屋やってみないか?」


「あはは、まあ、考えておきます」

と誘われるも本当の目的があるため首を縦に振れなかった。


夜も明け切らない朝。南極海に浮かぶソレスタルビーィングの母艦《プトレマイオスⅡ》のMSデッキでは機体の整備を整備主任兼MSパイロットのマルスがオレンジ色のつなぎを着て並べられた各MSの整備状態をハロたちと、8(ハチ)と共に確認しながら指示をとばしている

 

 

「オレンジくんはエイハブリアクターの同調調整、パープルくんはユニコーンの肩の動作チェックと五番と二番のサイコミュを、イエローちゃんはニャイアの腕を、僕はアストレアのグラビカルアンテナ交換、8(ハチ)さんはみんなの機体のOSのチェックをお願いできますか?」

 

 

《リョウカイ、リョウカ~イ×2》

 

 

《まかせておけ。しかしこのニャイア?はミラージュサードイシューにコンセプトは似てるなあ》

 

「確かに似てるかも……クリスちゃんのアストレイか……なんかアストレイと縁があるかな」

 

 

《お~い感慨にふけってる場合じゃないぞマルス、ニャイアの修理はオレとハロたちと進めておく。早くしないと《あの子》が怒るぞ》

 

「え?も、もうそんな時間?……8さん、ハロのみんなゴメン!行かなきゃ…じ、じゃあとはお願いします!!」

 

 

ぺこりと頭を下げその場を後にするマルスをハロたちは跳ねながら見送る中、8も液晶パネルで《頑張れ》と返しカレル数台にみこしに担がれるように移動しながら整備に戻っていった

 

 

PHASE-43.7~44「再会する白と紅」-45「虚無の申し子 バンシィノルン 前編」

 

「……どうしたんでしょうマルスさん…今日は私と鍛錬の日なのに…」

 

 

「ご、ごめん!アインハルトさん遅れてごめんなさい!」

 

 

「だいじょうぶです。マルスさんも皆さんのMS整備担当してるの大変だってわかってますから…今日は何を?」

 

 

「今日は次の馬歩から震脚…構えてみて馬歩から一気に前へと踏み込む!」

 

 

馬歩の構えから一気に踏み込む。トレミーの特殊装甲が軋み、微かに空気が震え風が起こり髪を押さえるアインハルトの瞳はしっかりと動きみていた…いや見ほれていた

 

微かに湯気立つ身体に真剣な眼差し、ただ前に進み踏み込むまでの無駄ない動き。肘打ち、相手の頭を掴み体勢を崩すまでの流れは武術をたしなむ者として見入るのは仕方なかった

 

 

「今のが震脚。まずはゆっくりやってみようか?」

 

 

「は、はい……(たしか力を貯めて)」

 

 

馬歩の構えから一気に前へ踏み込むアインハルト…その動きを真剣に見るマルスを意識してかなかなか上手くいかない…何度目かの踏み込みをしようとした時、背後から手を添えられた

 

 

「マ、マルスさん?一体なにを!?」

 

 

「僕と動きを、呼吸をあわせて……そうゆっくり…」

 

 

(ま、マルスさんの手が私の手に!?身体が息づかいがいろいろ密着してます!?)

 

 

いきなりのことにトランザムバースト並みにドギマギ

しながらマルスに身を任せるように踏み込んだ瞬間、あたりの空気が大きく震える。呆けるも少しずつ明るい笑みを浮かべる

 

「で、できました……」

 

 

「よくできました。アインハルトはやっぱり筋がいいね。今の感覚を忘れたらだめだよ」

 

 

「は、はい!ありがとうございます。あの……その……もういいですよね」

 

 

「え?あ、ご、ごめん!いきなりこんなことして」

 

「あっ……」

 

 

パッと離れる。少し残念そうな顔になったことにマルスは気づいていない…

 

 

「あ、そろそろ一夏さんと買い物の約束の時間近いんじゃないかな?」

 

 

「そうですね…マルスさん。明日は?」

 

 

「ごめん、明日は僕の機体のメンテンスなんだ……それにナガスミくんが届けてくれた《本来のエクシェスの手足》を組み込もうかなって……ごめんね」

 

 

「い、いえ、いいんです……じゃあ私はここで」

 

 

「うん、楽しんできてねアインハルト」

 

 

「はい。またあとで」

 

 

軽く頭を下げトレミーのシャワールームに向かうのを見届け自室に戻ろうとした…

 

 

「あ~に~き」

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

響いた声に振り返り見えたのは銀色の髪…たたらを踏みながら背中から倒れたマルスが目をあけ息が止まる。白のフリルが目立つシャツに紺色のタイトスカート、膝上まで白のオーバーニー姿の義妹?《雪音クリス》が馬乗りになり笑顔で見下ろしている。しかも体勢的に色々とまずい

 

「く、クリス?はやく退いて…いろいろとその」

 

 

「色々ってなんだよ兄貴……(うわあ~顔真っ赤にしてんな~セラさんのコーディネートの効果ぐんばつだ)」

 

 

「だ、たから…その……それに汗かいててよごれてるし…っ!?」

 

 

 

「汚れてなんかねえし…」

 

 

身体をぴたりとあわせ首筋に顔を近づけ息を吸う…それ以上に90センチの二つの膨らみが否応無しに胸板に押し付けられバクンバクンと、心臓が鼓動し女特有の甘い匂いにクラクラしている

 

 

(ダメだ、クリスは記憶を失う前の僕の義妹、そう義妹だ……で、でもこの柔らかさ、なんか懐かしい気が……だ、だめだ流されるな僕!)

 

 

(無愛想な兄貴もいいけど、こっちのアニキもいいなあ。よし、このまま一気にしかけっか……他の二人には悪いけど次を貰ってやる………)

 

 

逃げようと身をよじるマルス…しかしマウントを取られ猫みたいにじゃれつくのを力ずくでのかすのも出来るのだけど、傭兵モードなら排除できるが今は素の状態。なすがままにされるかと思った時、セブンソードが突き刺さる様な凄まじい怒気に震えた

 

もしやと思い首だけを器用に目を向ける…そこにいたのはソレスタルビーィングの制式制服に身を包んだノーヴェがハイライトが消えた瞳で笑顔を浮かべ手にはスポーツドリンクに青いタオルがギリギリと握りしめられている

 

 

「の、ノーヴェさん!な、なんでここに」

 

 

「……朝からがんばってんなあ~と思ってしかも来てみたんだけどさあ~義妹とそんなにイチャイチャしやがって妹萌え属性でも持ってんのか?それとも疑似近親相姦願望もってんのか?マルス!!」

 

 

「い、いや違うから!ク、クリスも何か言って!?」

 

 

「……ナニ勘違いしてんだよ。そんなことするわけないだろ」

 

 

クリスの言葉にほっとする…だが次の言葉がまずかった

 

 

「今からアニキとわたしの愛の結晶を作るんだから邪魔するなよ。そこでみてなよ」

 

 

ビキキ……手に持ったスポーツドリンクの容器が爆ぜ、おどろおどろしい怒気が登りセットアップしたのを目にしたマルスは詰みだと悟った

 

 

「こ、このケダモノおおおお!!」

 

 

 

「ふ、不幸だあああああああああああ!!」

 

 

トレミーⅡ甲板で爆発音と悲鳴が南極海に響き渡るもフリーダムの発進アナウンスでかき消された…数分後、ひさしぶりにネプテューヌと二人っきりで過ごしていたツバサがいるメディカルルームに運び込まれた

 

 

「せっかくの二人っきりがああああ」

 

 

「やれやれ…ここはマルスの部屋じゃないんだがな…」

 

 

「ゴメン、兄貴」

 

 

「わりぃ少しやりすぎた……っうか離れろよ!」

 

 

「ああ?悪いけど兄貴の看護は私がするから暴力女は視界から消えろよ?」

 

 

ギスギスした空間に変貌するメディカルルーム…しかしツバサからの雷でなんとかその場は収まったらしい

 

 

PHASE-43.7~44「再会する白と紅」-45「虚無の申し子 バンシィノルン 前編」

 

 




この世界に来るのは二度め、でも何だろう…………すごく懐かしい

二つの月、海……それに街並みは…ダメだ。思い出せない

この世界を僕は知ってい…



《集中しろマルス!今は戦闘中だ》


「了解。これより綾崎翔真の援護およびGspirits隊と戦闘行動に入る…8(ハチ)、サポートを頼む」

《了解!》

今は作戦を成功させる…そのための露払いを僕はする為にエクシェスの装備を追加している…


「……照合確認、M1アストレイ複数確認。道を切り開く…いくぞエクシェス」


強く操縦桿を握り翔真さんの道を切り開くために敵陣ど真ん中へ突入する…Gspirits隊…戦力調査依頼を遂行する機会に恵まれたんだ

ならば全力でいく





……………この時に気づけばよかったんだ。僕がこの世界で生まれて、Gspirits隊に大事なモノを奪われた記憶を思い出すキッカケになることを


僕………俺、アレス・ルセディスの憎悪の炎(記憶)が燃えあがる事を


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PHASE-44.5「天使湯での秘め事」side:ASTRAY

「ツバサさん、ハロにはどんな機能をつけたいですか?」

 

 

「そうだね。医療関連のデータベースを閲覧できるようにしてもらえるか」

 

 

「リンネさんは?」

 

 

「ん?特にないけど……色は空みたいな蒼で」

 

 

「大和さんは?」

 

 

「そうだな。メール機能と画像保存をつけれるか?」

 

 

「はい、それぐらいなら大丈夫ですよ……翔真さんは?」

 

 

トレミーⅡメディカルルームに集まったメンバーのハロ制作にあたりリクエストを聞き最後に翔真の番になった。しかし真剣な表情で悩んでいる

 

(すごく悩んでる……ゼロにあわせたハロにするのかな?)

 

 

「なあ、マルス。ハロって動画を取れる機能ってあるか?」

 

 

「え?ありますけどフォルダーや時間は短いですけ…」

 

「なら、フォルダーを三倍にして時間を延長できるか?」

 

 

真剣な目で聞いてくる翔真にびくつきながらコクコク頷くルス。その後ろでリンネ、ツバサ、大和は悟った

 

絶対、ハロをよからぬ事に使う気だ。と肩を落としていた

 

 

PHASE-44.5「天使湯での秘め事」side:ASTRAY

 

 

そんなやりとりがメディカルルールであったことを知らず天使湯では束達のガールズトークは盛り上がりを見せていた。そんなときセラフォールがシュテルと話すクリスに声をかけた

 

 

「ねえねえクリスちゃん、マ~ちゃんとはドコで会ったの?」

 

 

「え?あ、兄貴と……っうか、なんでそんな事を」

 

 

「まあソーナちゃんの義息子だし、聞きたいなあ~きかせて?クリスちゃん。お・ね・が・い♪♪またスゴい服をあげるから」

 

 

「(あ、アレよりもスゴい服!?)…………絶対だからな………あたしが兄貴と出会ったのは四年前。火星にあるオーストレルコロニーの貧民街で会った…」

 

 

「火星!?(やっぱり私の世界のクリスとは違うのか。……)」

 

 

「じゃあマ~ちゃんを男として意識し始めたのは?」

 

 

「兄貴があたしを助けてくれ……あっ!?」

 

 

しまったと慌て口を押さえるクリス。しかしもう遅い…皆の目がキラ~ンと光る。いつの間に近づいたノーヴェが真剣な眼差しを向けている。記憶を失ったとはいえ同じ男(義兄)を好きになったライバル

 

 

「そうなんだ~四年前と言うことは記憶を無くす前のマ~ちゃんともしかして一緒に暮らしていたのかな?」

 

 

「………そうだよ。パパとママが八年前に火星で死んで荒れてたあたしを兄貴が引き取ってくれた…今の兄貴みたいに笑ったりはしなかった。いつも無愛想で《ああ》《わかった》《そうか》ってしか言ってくんなかった…でもあたしの話には真剣に聞いてくれた」

 

 

もう隠しきれないと観念し話し始めた記憶を失う前の火星でのマルス、義兄《アレス》のことを…そして話し終えた時、ソーナが優しく頭をなでた

 

 

「な、なにすんだよ…なでるなったら!やめ」

 

 

「……大好きなお義兄さんを探して火星から追いかけてきた…がんばったわね」

 

 

「………」

 

 

顔を俯かせるクリス…こうして撫でられることは亡くなった両親、そして義兄アレスが一度だけだった。しんみりした空気が広がるもすぐに破られた

 

 

「それにしてもクリスちゃん、胸大きいね~サイズはいくつあるの?ねえねえ触っていい!?」

 

 

「な、なに言ってんだよ!」

 

 

「そうですね~ねえクリス、揉んでいいかな」

 

 

胸を押さえ湯船から出ようとスバル、セラフォールから逃げるクリス。助けを求めようとソーナ、翼へ視線を向けるも

 

 

「…………負けた」

 

 

「私の世界のクリスに負けないぐらいだとは…」

 

どんよりと黒いオーラを溢れさせる…まさに孤立無援。目をキランと輝かせ男にとって夢と希望が詰まった母性の象徴、タオルに隠れた柔らかな二つの膨らみに手を伸ばそうとする

 

 

「い、いやだ!あたしの胸に触っていいのは兄貴だけだあああああ!?」

 

 

カミングアウトな叫びが木霊し手が触れようとした瞬間、巨大なハリセンが二人の顔面を捕らえ勢いよく湯船へ沈む。

 

 

「たく、いやがってんだろうが……悪かったなウチの姉貴が変なことしてさ」

 

 

「べ、べつに、あたしは助けてくれって言ってねぇからな……それとだ兄貴は渡さないからな」

 

 

「……アタシもだ、マルスはわたさねぇ……」

 

 

ズイズイと互いにガンを決める二人…ムニイイイっと形を変え豊満な膨らみがくっつきあい宣戦布告するノーヴェ、クリス。

 

 

「うっ!?な、なんだろ風邪かな」

 

 

頼まれたハロの制作しているマルスは大きく身震いしたとかしてないとか

 

 

 



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PHASE-46「虚無の申し子 バンシィノルン 中編」side:ASTRAY



アストレイ・エクシェス《アメイジング・ウェポンバインダー装備》


ミッドへ向かった際、エクシェスに追加された装備(ロウ制作)。


両足に設けれたらコネクター、ヴォワチュールリュミエールユニットへ接続されている《アメイジングウェポンバインダー》。その内部には状況に合わせた武器が多数収納、バインダー自体にバーニアとして機能するため機動性は落ちない。さらにバッテリーとして機能するため長時間の戦闘。ヴォワチュールリュミエールの連続使用も可能になる

内蔵された武器とバッテリー、推進剤を使い切れば切り離すことも可能


ある意味、エクシェス版フルウェポン



この世界に来るのは二度め、でも何だろう…………すごく懐かしい

 

二つの月、海……それに街並みは…ダメだ。思い出せない

 

この世界を僕は知ってい…

 

 

 

《集中しろマルス!今は戦闘中だ》

 

 

「了解。これより綾崎翔真の援護およびGspirits隊と戦闘行動に入る…8(ハチ)、サポートを頼む」

 

《了解!》

 

今は作戦を成功させる…そのための露払いを僕はする為に動く

 

PHASE-46「虚無の申し子 バンシィノルン 中編」side:ASTRAY

 

 

「……照合確認、M1アストレイ複数確認。道を切り開く…いくぞエクシェス」

 

 

強く操縦桿を握り翔真さんの道を切り開くために敵陣ど真ん中へ突入する…Gspirits隊…戦力調査依頼を遂行する機会に恵まれたんだ

 

ならば全力でいく…グラムからカートリッジを二回排夾、レーザーの出力を上げ左右からきM1アストレイを逆袈裟で真っ二つに断ち、勢いをつけたままコックピットへ突き刺し、足蹴にし海面へと落ちながら爆発したとき新たな機影を確認した

 

 

(Gspirits隊第一小隊隊長 ヴェルンハルデ・アドラーのサザビー。…バンシィと戦闘するのか)

 

 

バンシィへドラグーン?を複数飛ばす。が瞬く間にコントロールを奪われ無数の球体が展開、周りのM1アストレイ複数を撃破、緑の輝きが赤へ変わったバンシィが赤い機体を撃破した

 

綾崎翔真はミッドへ向かう前にバンシィを虚無の申し子と言った…明らかに現在のMS技術では有り得ない性能を獲得している。それ以上にこの力は…いや、一傭兵が考える事じゃない

 

 

《マルス!まだまだくるぞ》

 

 

「了解、8(ハチ)。アメイジングピストル!」

 

 

《了解!アメイジングピストルいくぞ!》

 

 

両足に設置されたコンテナ…アメイジングウェポンバインダーが開き、二丁の拳銃がとびたし手にするエクシェス。交差しながらもM1アストレイの編隊へ突貫、ビームをかわし、サーベルの切っ先をすれすれですり抜けざまに正確にコックピットを撃ち抜いていく

 

また1機、また1機、海面へと落ちていく…Gspirits隊第一小隊メンバーの瞳に映るのは黒い凶鳥、それ以上に左肩のマークに震撼し身をこわばらせた

 

 

地を這いながら牙を開いた蛇の口にサーペント・テールのロゴに《6》…生きた伝説、最強の傭兵部隊サーペントテールのシンボルマーク

 

 

『サ、サーペントテール……』

 

 

『……確か前にも海上基地を襲撃した片割れだ……』

 

 

動揺は広がる…Gspirits隊第1小隊隊長 ヴェルンハルデ・アドラーを落とした翔真のバンシィ、さらにはマルスのエクシェスは呼び水…コレで引いてくれると感じた時、ビームがエクシェスの左足のアメイジングウェポンバインダーを貫いた

 

 

「くっ!今のビームは」

 

 

《気をつけろ!本命がお出ましだ!!》

 

 

モニターに映るのは蒼いガンダムタイプ、機体照合は《ガンダムレギルス》…ズキリと頭に痛みが走る。機体のパイロットを僕は知っている

 

 

ータイプ・ゼロ《サード》………完成だ!…ー

 

 

ーなぜだ!ファースト、セカンドとこうも性能差がある!ー

 

 

ーISにも覚醒しない。やはりサードは失敗作だ!ー

 

 

ーまってください!この子は生まれたばかりだー

 

 

ーDr.イオリア。君の意見は聞いてはいない……さあサードのIS《VEDA》を強制解放する手段を見つけろー

 

 

ー……すまない、本当にすまない。私たちの欲で君を産み出したことを。ア…ス……私は今から償いをする………キミは生き延……び……ろ……カ☆ジ義父さん、…リ☆を…ノイ☆を守ってくれ……ー

 

 

 

 

(な、なんだ……い、今は目の前の敵に集中する……)

 

 

断片的に浮かんだ言葉と光景に痛む頭を押さえながら操縦桿を強く握りしめた

 

 

PHASE-46「虚無の申し子 バンシィノルン 中編」side:ASTRAY

 

 

 

 



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PHASE-47.5~48.5「ツインドライブー繋がる断片(ピース)ー」

プトレマイオスⅡ、同MSデッキ

 

 

 

「……ふう、エイハブリアクター調整終わりと」

 

 

カレルと一体化したハロが機体整備の為、せわしく動きまわる。そんな中でマルスは数時間前にミッドチルダ、Gspirits隊が拠点をおく海上基地から強奪いやそうするように偽装し受領されたイノベイター専用機《ダブルオークアンタ》、ユニコーンガンダム二号機《バンシィノルン》を見上げていた

 

「バンシィノルン……整備をしたいけどツバサくんに触るなって言われてるし」

 

 

「兄貴~フリーダムのPS装甲のチェックおわったんだけど」  

 

 

「ありがとクリス。休憩してきていいよ」

 

 

「え?兄貴は」

 

 

「ん~僕はクアンタの太陽炉、ツインドライブシステムをチェックするから…そうかからないから先いってて」

 

 

「………やっぱりあたしも手伝う。まだ来たばかりだし、この船の連中に借りがあっからさ……それに…」

 

 

マルスとお揃いのオレンジのつなぎを着たクリスが目を向けた先には      

 

 

「え、えとVPSの電圧調整は……き、きゃ!?」

 

 

「………パワーシリンダーの交換とエレクトロニックレコジロイドは……」

 

 

同じようにつなぎを着たアインハルト、ノーヴェ。その手つきは危なっかしい。最近クリスが整備副主任になったと聞き二人も見習いで参加しているが、まだまだ不慣れ感満載…まあ好きな人のそばに居たいのもあったからだ

 

それに好意オーラ全開のクリスに危機感を覚えてもあるが

 

 

「アインハルト、ノーヴェさん。バルバトスとウイングゼロは後で出来るからクアンタのセッティングをてっだって」

 

 

「は、はい!が、がんばりまひゅ………」

 

 

「あ、ああ、仕方ねぇな…どうしてもっていうなら手伝ってやんよ」

 

 

かたや舌をかみ、ツンデレ全開な二人に笑みを浮かべるマルスをじと~っとクリスがみていたのはさておいて、四人で整備を始める…マルスがクアンタのコックピットにはいりシステムを立ち上げる

 

 

PHASE-47.5~48.5「ツインドライブー繋がる断片(ピース)ー」

 

 

 

 

 

「………太陽炉の調整が終わっていないのに粒子生成量はダブルオーライザーを超えている………いまは考える事じゃないか……」

 

 

「兄貴~ソードビットはドコにおいとくんだ?」

 

 

「ソードビットは調整はあとでやるよ……ってノ、ノーヴェさん!?」

 

 

「アストレアと違うんだな…ああ、整備わかんないとこあってさ……前いいか?」

 

 

「は、はう?(うわ。すごく柔らかいし暖かい…それにいい匂いがする)」

 

マルスが座る前に滑り込むノーヴェの身体の柔らか、さらに微かに揺れる髪から甘い匂いにくらくらする…それはノーヴェも同じだった

 

(マ、マルスに抱かれてる…なんかあん時以来だ……)

 

たがいの体温、さらに吐息を間近に感じながらもシステム周りの調整を始める中、マルスはミッドチルダでの戦闘中に浮かんだ記憶の断片。そして翔真の強い後悔、悲しみ…痛み

 

 

大事な何かを失う痛み……この痛みを自分は知っている…それが何かを思い出せない。

 

 

それに蒼いガンダムと交戦した時に感じた何か…失った記憶と関係あるのかと考えながら操作をしていたのがいけなかったのだろう、太陽炉…ツインドライブの出力スロットルを一気におしてしまった

 

「うわ?ま、マルスなにしてんだ!?」

 

 

「ご、ごめん今止め……」

 

 

ツインドライブの出力スロットルを戻そうとした時、青みががった翠色の粒子があふれ、コックピット内にまで届いた瞬間、マルスの瞳が黒から赤みかがった金へ変わるとみたこと無い風景、そして声

 

 

ーサードとDr イオリアをにがすな!ー

 

 

ー…………ーーー、ここにいくんだ…そこには私の義父と妻がいる……必ずたすけてくれるー

 

 

血まみれの白衣姿の男性から紙を握らされた少年。人目を避けながら逃げる姿…再び場面は変わる。ボロボロの布をかぶりある研究所の前に立つ少年、入り口が開き現れたのは黒髪を三つ編みにした女性。怯えながら一枚のボロボロの紙を手渡した

 

 

ー………アナタがーーーー……さあ、入りなさい……私が…ううん私たちが守ってあげる……ー

 

 

ー………にぃに~ー

 

 

ー…………ちゃん。エライエライ♪♪さすがはワタシの弟ね~ー

 

 

(な、なに……コレは…ぼくは知ってる……の、のいんお姉ちゃん……は、は~てぃ……)

 

 

ノイズ混じりの顔、声を最後にマルスの意識は途絶え、異変を感じとった翔真が束に肩を貸されMSデッキに来てみたのは

 

 

「目をあけろったら…なあ兄貴!」

 

 

「目を覚ませよ……バカ…」

 

 

「マルスさん、きこえてますか?こたえてください」

 

 

意識を失ったマルスを抱きかかえ必死にクリス、ノーヴェ、アインハルト。目に一杯の涙をため何度も呼びかけていた。急を擁すると判断しツバサはすぐさまメディカルルームへ連れて行くように伝え診察しながら移動しはじめた

 

 

 

 

PHASE-47.5~48.5「ツインドライブー繋がる断片(ピース)ー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》前編

コレはマルスがアマゾンでのミッションを終えた直後の数日間の記録

 

いつものように依頼を受けクライアントが指定したポイントへ向かうマルス。今回はエクシェスを使っていない

 

 

「………ここかな」

 

 

Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》前編

 

 

 

 

スカイグラスパーを操り降りたったのは小さな島。しかし中央には軍の施設とビル群か並ぶ敷地が見え、ゆっくりと旋回しランディングアプローチに従い滑走路へ降りエンジンを斬り目に入ったのはMS指揮車両と布が掛けられたらMSトレーラが二台。タラップから降りると同時に指揮車両のハッチが開き初老の白衣姿の青年が降りてきた

 

 

「僕はティワズの《F》計画主任アランだ。わざわざ遠路はるばる来てくれて感謝するホワシン・リー、マクマード会長から色々聞いてるよ」

 

「いえ、こちらこそ今日はよろしくお願いします」

 

 

「AEの開発した機体とMSでの最終試験を行うことになっている。すでに相手も来ている。顔合わせはするかい?」

 

 

「……いえ、あまり時間が無いので機体のカタログスペックを」

 

 

 

「そうかい。なら実際にみた方が早いかも………紹介しょう。我がサの現時点における最高性能にして到達点………ファントムだ」

 

バサッとシートがはがされあらわれたのは新緑の装甲、顔はガンダムタイプだがアンテナがないし胸周りを中心に補強フレームが設置された機体がキャリアが立ち上がり姿があらわになる

 

 

「どうたい。スゴいだろ。実は異世界にある部隊に売り込もうとしたらしいけど断られてね…でも我が社の最新技術が盛り込まれた自信作だ」

 

 

「…………ファントム………もしかして変形機構をもりこんでませんか?」

 

 

「!?」

 

アランの顔が驚きの色に染まる…ファントムはある画期的な推進システムを装備している事もだが変形機構を持っている…ただ構造上の欠陥が露呈しやむなくMSとして完成させたモノだ、それを一目みただけで見抜いた事に技術者として感嘆していた

 

 

「スゴいよ君は………さあ、時間もあまりないから軽くミーティングをやろう。相手もなかなかの強敵たからね」

 

手を軽く叩き、指揮車両へマルス…ホアシン・リーて共に歩き出した。時同じくしてAE社指揮車両では銀髪が目立つ青年がグレーに黒のカラーリングが施されたMS《Hi-νガンダムインフラックス》を見上げ眺めている

 

(…………Hi-νガンダムヴレイヴの別な可能性を示した最高傑作機《インフラックス》か……)

 

 

 

背中のバックパックに目が向く…ファンネルを廃した変わりに作戦に応じて様々な武装を収納出来るバインダー兼スラスターとして機能するインフラックスウェポンバインダーは愛機であるストライクノワールともに似たコンセプト。今回は第81独立機動群《ファントムペイン》の次期主力機候補を選定の為にルウェンはテストパイロットとして抜擢されここに来ていた

 

相手のパイロットもだが機体に関しては詳細は知らされていない。しかしルウェンにとっては余り意に介していない

 

 

「………」

 

 

「お前がルウェンか」

 

 

「は、ルウェン・エル・バヤン少尉であります」

 

 

「私はモーゼスだ……今回の次期主力機候補選定計画はお前にかかっている……インフラックスのベースはヴレイヴが使われている。NT専用機としてフレームも含め高い完成度を誇るがニュータイプにしか扱えん」

 

 

「…………」

 

 

「インフラックスは対NT戦を想定した装備をインフラックスウェポンバインダーに盛り込んである。使いこなせるかはおまえ次第だ。ブリーフィングは10分後、それまで機体に関してのマニュアルに目を通せ。以上だ」

 

 

言いたいだけ言うとモーゼスは足早に指揮車両へ歩いていく。それを目でおいながらルウェンはしばらく機体を眺め歩き出した

 

 

奇しき縁か、偶然か戦場で刃を交えた二人は再び刃を交える事になろうと気づいてはいない。ルウェン、マルスが再び刃を交える時まであとわずか

 

Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》前編

 

 

 



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Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》後編

薄暗い室内に無数の投影モニターの光と音に支配される中、一人の少年が流れる様々な羅列を眺め手元にあるキーを軽快にまるで曲を奏でるように滑らせる。指が止まると羅列は消え代わりに黒く塗られたMSを取り囲むようジン、ゲイツ、シグーが展開する様が映る



「………………★月◐日。VTの最終起動テストを始める…エクシェスとリンク開始」

様々なケーブルが繋がれたHUDをかぶり小さく呟く…瞳が赤みを帯びた金色の虹彩に輝いた瞬間、エクシェスの瞳が赤く輝く


ーリンク成功………各部異常なし、量子波伝達速度およびヴォワチュール・リュミエール展開………ウィルス散布開始ー


一際強く双眸が輝くと背中にある二対の翼が開き金色の光があふれ粒子にも似た何かが舞う。それは取り囲むよう並ぶジン、ゲイツ、シグーに吸い込まれた……

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー


数分後、黒塗りのMSの周りには泣き別れになったシグー、互いのコックピットを貫き通し立つゲイツ、ジン…各々が大破しあたりに残骸が撒き散りおちている。その中を無傷で立つ黒塗りのMSは光の翼を閉じゆっくりとその場から飛翔する


「リンク解除……エクシェス、自律機動帰投モード………vampire・territory……………コレでアイツを、大東。いやGspirits隊を…」


椅子から立ち上がりHUDを脱ぐ少年の赤みがかった金色の瞳からどす黒く渦巻く憎悪の炎が揺らめく…自らの持つ知識と理論、そして自ら設計に携わったMS《ガンダム・エクシェス》…家族を奪った《Gspirits隊》へ突き立てる牙。形を為した写し身が帰還しハンガーに固定される…


「………復讐してやる…この力で………復讐してやる……ハーティ、ノインお姉ちゃん、リナ母さん、カイジじいちゃん……仇はとるから必ず。大東、あんたを、いやGspirits隊は皆殺しにしてやる」


…薄暗い室内からMSデッキへ出て、軽く床を蹴りハッチにふれ開放されたコックピットへ身を滑り込ませ目を閉じる少年《アレス・ルセディス》の脳裏にはエクシェスでGspirits隊を一方的に蹂躙する己の姿、……泣き別れになったエピオン、深々とコックピットに大穴が穿たれたHiνガンダムヴレイヴ、なにかに握りつぶされオイルとリフレクターの破片を撒き散らすダブルエックス、左半分が高出力のビームで完全に溶解、蒸発したラファエル…その夥しい躯のうえに立つエクシェス


「………もう少しだエクシェス……ククク…あはははははははははは!!」



復讐の炎が猛り狂い心を焦がすアレスの笑いが木霊する……数日後にストリートチルドレン達を率いる雪音クリスと出会った事で、その運命が流転する事を知らずに


…空に二条の光、一つは黒にグレーの塗装が施された機体《Hiνガンダムインフラックス》、緑の塗装が目を引く《ファントム》に両手に握られたアメイジングピストルの引き金を引く。

 

「くっ!」

 

 

「さすがに速い…だがインフラックスをなめて貰っては困るな。そこだ!」

 

 

「ファントム!?接近戦に持ち込めれば……」

 

 

回避するも、ソレを予想し撃たれた弾が数発当たるも致命傷を避けながらバレルロールするファントム…それを操るマルスこと《ホアシン・リー》はモニターこしに軽く舌打ちする

 

 

(あのパイロット、こちらの動きを読んで状況にあわせて武器を変えて対応している……あの戦い方どこかで…)

 

 

(……致命傷を避けるように回避した!?……まて、あの動きは…まさかな)

 

 

苛烈な戦闘の最中の錯綜する意志…次期主力機最終選考をかけ始まった模擬戦という名の実戦。互いに相手の出方を探り合う二人の戦いにティワズ主任アラン、そしてAE主任のモーゼスも息をのみ手に汗を握りながら見守っている

 

 

傭兵部隊サーペントテール、六人目のメンバー《アマルス・レディーレ》

 

 

第81独立機動群《ファントムペイン》所属《ルウェン・エル・バヤン》

 

 

あの三つ巴の海戦での出会いを経て南米アマゾン、そしてココでの戦いで三度目

 

 

(……劾さんやイライジャさんと任務で戦ってきた相手とは違う…間違いない。あの時のストライクのカスタム機の)

 

 

(連合にもここまでオレと戦える相手はいない……こんなに熱くなるのは……間違いない、あの時のパイロットだ!)

 

 

 

Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》後編

 

 

 

バーニアを全開にし接近、背部のブレードを両手に構え切りかかる。とっさにフレイムソードで防ぐファントムのコックピットに声が響いた

 

 

「まさか、こんな所であうとはな」 

 

 

「やっぱり、あの時のパイロット……ルウェンさん」

 

 

「ホアシン・リー……いやマルス・レディーレ。火星(マルス)と火星(ホアシン)。わかりやすい名前だ」

 

 

 

「そうですね…でも、今回は勝たせて貰います…」

 

 

「どうやってだ?」

 

 

 

逆手に構えたブレードがファントムのフレイムソードを切り払い、弾き飛ばし無防備状態になる。まさに絶好の機を逃さず逆袈裟からの斬撃、迫る刃を前にファントムは微動だにしない。その意図に気づきアランはインカムをつかみ取り慌ててさけんだ

 

 

「だ、ダメだ!ホアシン!!あれはまだ未完成……」

 

 

「ファントム、僕に力を…………」

 

 

制止の言葉と共にファントムの瞳が輝く、身体から炎が揺らめき、ブレードをつかみ取るやいなや力任せにインフラックスを投げ飛ばす。バーニアをふかし体勢を整えたインフラックス、ルウェンかみたのは全身から炎、いや高出力のメガ粒子を背中からあふれさせる

姿

 

 

ティワズ主任アランはF99「レコードブレイカー」とティワズ第二MS開発部門の木星圏運用を目指した「アマクサ」の開発データを掛け合わせて生み出した

。F99で初採用となった小型化ミノフスキードライブは理論上、亜光速にまで達する最高傑作機になるはずだった

 

 

しかし光の翼の制御と発動時に生まれる放熱に機体が耐えきれず封印した機能《ファントムライト》…その封印が解かれた事に驚きながらアランは端末を操作し目を見開いた

 

 

(バ、バイオコンピューターが起動している?………彼は一体。まさか会長はこうなることを予想していた?)

 

 

「ミノフスキードライブだと……ティワズめ小型化に成功していたのか……ルウェン少尉、インフラックスのFCSを切れ。奴に対抗するなからこちらも手加減はいらん」

 

 

「了解した……」

 

 

FCSをカットしたインフラックス。不安定になるも圧倒的な機動力を得てファントムに迫る。向き直りざま炎のように揺らめく剣《フレイムソード》のビームの刃を紙一重でかわしながら背中に備え付けられたキヤノン砲を前面に展開、ビームを撃つも当たる寸前でかき消された

 

「……ビームが効かない……ミノフスキードライブを制御する為に強力なIフィールドで押さえ込んでいるのか…」

 

 

「バイオコンピューター強制冷却続行、機体の放熱…間に合わない……動けるのはあと一分…」

 

 

FCSを切り不安定な機動を卓越した操縦でカバーし、マルス…ホアシンも機体状況に目を向けながら意識は眼前のインフラックスを捉えるフレイムソードを大きく振りかぶり、インフラックスもブレードを構え片方で受け右肩を切り払い片腕が空を舞う、しかしフレイムソードも不規則に変化し左バインダーを切り払いバランスが崩れ、見逃さずまま胴を凪ごうとするファントムの刃がせまる。勝った…アラン率いるチームの誰もがおもった

 

しかし、ファントムの身体から炎が消え力なく墜ちていく。放熱がまにあわずオーバーロードを起こしたのだ。インフラックスはそのままブレードを収めライフルでロックオンし静かに引き金を引く真っ直ぐにビームが落ち行くファントムの体を捉えた飲み込む。爆発はしないビームを訓練レベルにまで下げた結果だった

 

 

「さ、最終選考テスト………勝者、AEのHiνガンダムインフラックス!!」

 

 

AE陣営の指揮車両内が歓声に包まれ、モーゼスの表情も緩み笑みを浮かべている、しかしティワズ陣営はただ静かだった

 

ただアランは次こそは必ずと胸の奥で誓いを立てながらある決意をした

 

★★★★★★★★

 

 

「ファントムを僕にですか!?ティワズの試作機ですよね?」

 

 

「まあ聞いてくれないかな。今回は負けたけど君はファントムの力を十分、いや十二分に引き出した。今までのパイロットは八割ぐらいが限度だった…ファントムを譲渡するのはマクマード会長からも承認は貰っているからね……ですよね?会長」

 

 

『久しぶりだな。若いの……うちのファントムを任せる。アランから《ファントムライト》まで稼働させたって聞いた時は驚いたな』

 

 

「マクマードさん?ですが僕は……」

 

 

『まあ、こん前の借りを少し返すだけだ。ファントムの補修と予備パーツも纏めて送る』

 

 

有無を言わさない初老の男性、ティワズ会長《マクマード・バリストン》の口から出た「借り」とは、以前に護衛した時にマクマードの乗るシャトルを身を呈して守り、襲いかかってきた連合崩れの愚連隊のデュエルダガー、ストライクダガー三個中隊をすべて返り討ちにした時の事。マクマードはマルスを気に入りなにかに付けては援助、もしくはティワズへ勧誘してきていたが傭兵であるのもあって断り「なら借りにしておこう」となった

 

 

「………………わかりました。ファントムありがたく使わせていただきます」

 

 

『ああ、頼むぞ……あとファントムのバイオコンピューター開発責任者も補修パーツと一緒に送ろう。なかなか優秀だ。まあ何かあれば何時でもいってくれ』

 

ニヤリと笑いながらモニターが消え、ため息をつきながらファントムをアランに任せ外へでたときだ。背後に気配を感じ振り返ると銀髪に連合軍制服に身を包んだ青年がつかつかと歩いてきた

 

 

「……こうして顔をあわせるのは初めてだな……

マルス・レディーレ」

 

 

「ルウェン・エル・バヤン……」

 

 

「身構えなくていい。すぐここで決着をつける気はない…オレたちが戦う場所は戦場だ。次に会うときは互いの乗り慣れた機体で会おう……言いたいのはそれだけだ」

 

「はい」

 

 

「ふ、オレは敵だぞ?まあ、今回だけは見逃してやる」

 

 

言いたいことは言った。そうとれる会話を切り上げ背を向け歩き出したルウェン…命のやりとりをした相手とは何度か生身で会ったことはあるが面と向かって話しかけてきたのは初めてだった

 

 

一人残されたマルスはしばらく空を見上げ星を見てるとアランから準備ができたと連絡を受け、MS輸送機にファントム、スカイグラスパーを積み込み島をあとにした

 

Mission:《ファントム》VS《Hi-νガンダム・インフラックス》後編

 

 

 

 




機体名称:ファントム


型式番号:TXMS-00《Phantom》


装甲材質:不明(後にガンダニュウム合金に変更)

全高:16M

本体重量:不明

主動力:熱核融合炉

出力:不明

推力:不明

センサー有効半径:不明


開発組織:テイワズMS開発第一室


推進システム:ミノフスキードライブ


特殊機能:ファントムライト


搭載コンピューター:バイオコンピューター


武装


フレイムソード


バタフライバスター


テイワズで開発された試作可変モビルスーツ

外観はガンダムに非常に似ているがガンダムではないが数多くの新技術が盛り込まれている。最大の特徴は理論上《亜光速》に到達可能なミノフスキー・ドライブ、そしてパイロットの操縦および認識(曖昧なモノまで)し反映するバイオコンピューター搭載されている。さらに長距離を移動する関係上、機体を構成する四つのブロックの位置を入れ替え、長距離を移動する為の巡航形態「蜃気楼鳥(ミラージュ・ワゾー)」への可変機構を備える。

ただ搭載されているミノフスキー・ドライブは技術的に未成熟であり、完成度は50%程度。余剰エネルギーとして放出される「光の翼」も出力が安定せず、苦肉の策として複数の《Iフィールド・ジェネレーター》を外装し無理やり安定させることに。それでも排熱の問題もあって稼働時間は短く、非常に扱い辛いものになってしまっている。


……悪いことばかりに見えるが搭載されたミノフスキー・ドライブ、外装したIフィールド・ジェネレーターの効果によって「ファントム・ライト」と呼ばれるIフィールドバリアと光の翼双方の利点を持った現象を引き起こす事も出来るとテイワズMS開発第一室主任アランは導き出していたが、今までのテストパイロットには無理だった

初のミノフスキー・ドライブ搭載機というその性質上、推力・機動力に秀でており、特に蜃気楼鳥形態時の加速力・巡航能力は既存のモビルスーツ、モビルアーマーのそれを上回る。しかし、リニアシートを用いてもその加速Gは完全に相殺する事が出来ず、加速中に急旋回を行った場合はパイロットはおろか機体の耐久力をも上回るため危険がつきまとう為、卓越した操縦技術もつパイロット、もしくは強化処置をされたパイロットに限定されつつある



強制放熱モード時、ミノフスキー・ドライブの発する熱に対応する為に機体の出力に応じて第一段階と第二段階に分けられ、第二段階になるとフェイス部分に加え頬のパーツが展開し放熱され外観はまさに鬼のように見える


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Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《前編》★

劇中内で使われたエクシェスの装備



アストレイ・エクシェス《エールストライカー+タクティカルアームズ》


【挿絵表示】





南米経由で輸送中のハイペリオンを謎の集団にうばわれ、回収もしくは破壊ミッションを連合に依頼された時の装備



エネルギー消費(長時間の探索および飛行、作戦行動に適している為)を抑えるためにストライクの《エールストライカー》、そしてブルーフレーム・セカンドLのタクティカルアームズ(対アルミューレリュミエール用にラミネート装甲、刃に強力な対ビームコーティングが施してある)。


過去に劾がカナードが駆るハイペリオン一号機と戦い、アルミューレリュミエールの弱点に気づいた。 後に有効なラミネート装甲+刃に対ビームコーティングを施したタクティカルアームズで三号機を撃破した事を聞いていたマルスはナガスミがギガフロートから持ってきた補給物資の中にあったコレを装備、呼びかけに応じず回収は困難と判断し撃破に使われた






アストレイ・エクシェス《アメイジングウェポンバインダー》



【挿絵表示】



【挿絵表示】





マルスが翔真達と共にミッドチルダへ向かう際に装備された武装収納コンテナ兼スラスター。それを背中のVLユニット、両脚の左右外側脹ら脛に設けられたアタッチメントで固定され一見、動き辛そうに見えるが各バインダーにはパワーエクステンダーとスラスターが内蔵され稼動時間と機動性は向上、用途に合わせた武装を多数収納し状況に合わせ武器を選択できパワーエクステンダーと武器を使い切れば切り捨て本来のノーマル状態に戻すことができる


また、その質量を利用し急激な方向転換で加速。重い蹴りなどを繰り出せる他にパワーエクステンダーが残った状態で投げつけビームで撃ち抜くと簡易的なビーム爆弾にも使える


ただ、製作コストはMS一機分に当たるため必ず無傷で持ち帰ること……




北極海を潜航するトレミーⅡ…その背後から一つの影。テイワズが有する巨大輸送潜水艦が接近、輸送ゲートが延びドッキングした

 

 

「ドッキング完了……搬入を始めるよハロ、クリス、ノーヴェさん、アインハルト」

 

 

『了解、了解♪♪』

 

 

「まかせな兄貴♪」

 

 

「は、はい!精一杯がんばります!」

 

 

「ああ、あたしにまかせな」

 

 

マルスの声に頷きゲートからMS用補給物資、日用品、食料が収められたコンテナが列を運び込まれていく。手分けしていると、ひときわ大きなコンテナ、いやMS用ハンガーかデッキへ収められ覆われていた布がノーヴェ、アインハルト、クリスの手で挽きはがされ見えたのは銀色の装甲に骨をも思わせる装飾が目立つMSの姿に作業の手が止まる中、リナーシタの整備をしていたナガスミが、マルスに声をかけた

 

 

「マルス?コレは」

 

 

「ん?ナガスミくんか。コレはテイワズから貰った機体でファント…」

 

 

「違うわよ。この機体はXM-XX…ゴーストガンダム。マクマード会長とアラン主任……テイワズがアナタのタメだけに改修したスペシャル機よ」

 

 

「………そ、その声は………ま、ましゃか」

 

 

背後から聞こえた声、油が切れたロボットみたいにキギギと振り返る。声の主は《この世界》にはいないはずの人間…ややウェーブがかった髪に悪戯っぽい笑み、白衣に胸元が開いたブラウスからこぼれ落ちそうな胸にタイトスカートから覗くムチムチとした太もも…魅力的な大人の女性に身を強ばらせる

 

「ミ、御門先生!?な、なぜここに」

 

 

「あら、私はこの子…ゴーストガンダムのバイオコンピューターの開発者よ?ひさしぶりねマルス……」

 

 

「ひゃう!?」

 

 

「あら、あいかわらずココが弱いのは変わらないわね…」

 

 

「そ、そんなことす、する……痛!?」

 

 

「………(またこんなにキズを増やして、傭兵なんて危ない仕事やめさせたいわね)…さて、バイオコンピューターのフィッティングの前にアナタと重病患者の治療をするわよ…じゃ、マルスを借りていくわね♪」

 

 

「ちょ?待ってまだリストチェックが?ひ、引きずらないで!?」

 

 

マルスの首をロックしメディカルルームへと歩き出す御門先生…ぽかんとしながらみるナガスミは突然身震いする…

 

(………またかよ。兄貴……勝負決めねえとな)

 

 

(ふふふ…マルスさん。あとでゆっくりときかせてもらいますよ)

 

 

(……なんなんだよ!あんなに馴れ馴れしくしやがって…でも女として…いや!若さでしょうぶだ!)

 

光が消えた瞳を向ける3人から沸き立つ怒気に当てられハロ達も震えていたとかないとか…

 

 

Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《前編》

 

 

「……ナノマテリアル、バイタル安定、もう大丈夫。明日、明後日あたりに傷も治るし意識も目覚めるわよ」

 

 

「ほんと!ミカミカありがとう…本当に」

 

 

メディカルルールにマルスを伴い来た御門は意識不明のツバサを診るや、運び込んでいたメディカルシリンダーへ寝かしつけ治療に適した医療用ナノマシンセッティングを終わらせ告げられた言葉に涙ぐむネプテューヌに笑顔を見せながら翔真に向く。

 

 

「いいのよ。あなたがこのトレミーの責任者?」

 

「ああ、そうだけど…」

 

 

「テイワズMS第一開発室《御門涼子》。XM-XX《ゴーストガンダム》バイオコンピューター開発主任兼医師としてここに居させて貰うわね」

 

 

「こ、こっちこそよろしくな」

 

 

握手する二人にじと~っと視線を送るなのは達に気づいたのか

 

 

「大丈夫、あなたたちの彼氏には手は出さないわよ。まあマルスにしか興味ないから安心しなさい」

 

 

 

笑顔を向けられホッとした時、艦内にアラートが鳴り響く。急ぎブリッジにあがるメンバーがみたのは中国、オーストラリア、ヨーロッパの各都市で原因不明の病気で苦しみ倒れていく人々、そして病院でも患者受け入れが許容を超え屋外に仮設病棟を作り治療にあたるも回復の兆しすら見えない。患者たちは全員高熱をはつし咳き込み体力を消耗するのを家族たちはただ手を握りしめ見守るしかできない映像をみたマルスはある病気と似ていることに気づき食い入るように見ながら端末を操作、御門も無言で現在までわかった症状と病原菌に関する情報を集めている

 

 

「マルス、あの病気知ってるのか?」

 

 

「うん…この症状は………S2型インフルエンザだ」

 

 

「S2型インフルエンザ!?なんでそれがこの世界に!?」

 

 

 

マルスの口からでた言葉に驚きを隠せない翔真。ガンダムSEED世界で蔓延したS型インフルエンザの突然変異し、従来のワクチンが効かないS2型インフルエンザ…しかしワクチン開発に成功し完全根絶されたはずのそれが蔓延している現実が思考を引き戻した。治療には発症して三時間以内にワクチンを投与するしかない。しかし《IS世界》にはS2型インフルエンザの流行した事はなく、ワクチンを大量に精製できる施設はおろか医学者はいない、例え二つがそろっても三時間以内に感染者すべてに与えるワクチンがそろえられない

 

どうすればいい、どうしたら…思考がループし始める翔真に声が届いた

 

 

「…………ワクチンなら作れるわよ」

 

 

「本当か!なら急いでくれ!!」

 

 

「少し落ちつきなさい、今回テイワズから持ち込んだ私の機器を使えば一時間、いえ三十分以内に数は揃えることはできる。でも問題が二つあるの」

 

 

「一つは中国、オーストラリア、ヨーロッパに向かうにはザフト、連合の勢力圏を抜け、なおかつ時間内にマッハを超える加速と飛行可能な機体が三機必要になってる」

 

「今の俺たちの情勢を考えてみて、ザフト、連合の部隊に遭遇する可能性がある…戦闘は避け確実にワクチンを届ける………マルス、機体の候補は?」

 

 

「候補はナガスミくんのリナーシタ、翔真さんのウイングゼロ、そして僕のゴーストガンダムだけ……僕の知り合いからの情報だと連合、ザフトに妙な動きがあるみたい……」

 

 

「今回は戦闘がメインじゃないが、不測の事態が起こるって事か?」

 

 

「こうして話している時じゃない。マルス、すぐに機体の発進準備を。御門先生はワクチンを必要数用意してくれ!!」

 

 

「うん、まかせて」

 

 

「わかったわ。ネプテューヌちゃん、さっきS2型インフルエンザウィルスのサンプルデータも集めたから作るのを手伝って」

 

 

「まかせて!」

 

 

それぞれ、自分の出来ることをするためにブリッジから離れ三十分後に必要数のワクチンを製作し終え流線型のコンテナへと入れられリナーシタ《VLブースター》、スーパーバーニアを四基ウイングバインダに固定されたウイングゼロ《バードモード》、銀色の体躯を輝かせるXM-XXゴーストガンダム《ミラージュ・ワゾー》へ懸架ジョイントで固定された

 

 

「ミッションの説明を始める。俺とウイングゼロはオーストラリア、ナガスミは中国、マルスはヨーロッパへS2型インフルエンザのワクチン輸送をする。連合、ザフトの勢力圏を抜け必ず届けるんだ。もし両陣営の部隊にあった場合は無視しするんだ」

 

 

 

「………了解」

 

 

「わかった」

 

 

モニター越しに頷くマルス、ナガスミに力強く返すと同時にカタパルトが開く…海面に出たトレミーⅡの発進口に夕日が入り込む。カウントタウンが始まる

 

 

「綾崎翔真、ウイングガンダムゼロ《スーパーバーニア》でる!!」

 

 

「ウイングガンダムフェニーチェ・リナーシタ、任務を開始する!」

 

 

「ゴーストガンダム《ミラージュワゾー》。いきます!!」

 

 

翔真のウイングゼロ《スーパーバーニア装備》が弾かれたように飛び出し、続けざまナガスミのリナーシタ《VLブースター》、マルスのゴーストガンダム《ミラージュワゾー》が続きやがて三方向へと別れた

 

同じ頃、南米にあるサー・マティアスの屋敷Ⅱあるゲストルームで黒く絹のような長い髪を揺らす長身の女性が様々な装飾がめだつ椅子に座り香り高い紅茶の薫りを楽しみながら見るのは一人の男性、連合軍制服に身を包んだ彼の内面を見透かすようにしながらも静かにティーカップをソーサに置いた姿からは優雅で高貴な気品が醸し出された

 

 

「私に話があると聞きおよび地上へ降りてみたが。なにようだ…」

 

 

「いや~今この世界で起きている戦争を裏から操る存在…それについてだよロンド・ミナ・サハク」

 

「……………ほう?」

 

 

天の軍神…アメノミハシラの主《ロンド・ミナ・サハク》の瞳に鋭い光が見えた…自分の前に座る男《大東貴一》の言葉にわずかながらに興味を抱いた

 

 

 

 

Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《前編》

 

 

 



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Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《中編》

 

 

 

 

「く!」

 

凄まじいまでの加速Gが襲いかかる中、必死に操縦桿を握りしめる翔真…耐Gシステムをフル稼働、リニアシートをもってしても防ぎきれない

 

思わず意識が遠のき、手から操縦桿が離れそうになるのに気づき握りしめる…スーパーバーニア四基が生み出す加速はウイングガンダムゼロに音速の壁を超えさせ砲弾のようにまっすぐ空を飛ぶ

 

 

ー所属不明機につぐ!ここは我が連合制空域だ!直ちに止まれ!ー

 

 

「と、止まれるか!悪いけど相手してるヒマはないんだよ!!」

 

 

流れゆく風景と共に通信と接近する機影…スローターダガー、ウィンダムが前に回り込み立ちはだかろうとする刹那、マッハを超え生まれた衝撃波に弾かれ下へ落ちていくのに見向きもせずGに耐えながら通信を開いた

 

 

「マ、マルス!聞こえるか!?」

 

 

ー………聞こえる…よ……な、何かあったのー

 

 

「いま……連合制空権に……あと数分で……そっちはどうだっ!?…」

 

 

 

ーコッチは…ザフトの勢力圏だ………ナガスミくん…もあと少しで……中国に…ー

 

 

 

「そ、そうか………速く届けてやろうぜ……これ以上…病気で苦しむ人たち………ために!」

 

 

ーう、うん……じゃあ…届け終わったらトレミーで……ー

 

 

「ああ、あとでっ!御門先生との馴れ初め……を…聞かせてもらうからな!」

 

 

ーえ?ー

 

 

呆けた声と共に通信を切り操縦桿を強く握りしめる翔真…音速を超えるなか、目的地へ向け更に加速させようとした

 

その時、未確認機接近を告げるアラートが鳴る。この機体においつける機体は連合はおろかザフトには無いはず。サブウィンドウに映された機影、ダークグレーと白に塗り分けられたらHi-νガンダム・ヴレイヴ…よく見ると細部が違う上にファンネルが無く変わりにアメイジングウェポンバインダー、左右の腕には《アメイジングレヴ》が装着され迫る姿。そのコックピットには先日マルスと次期主力MS選定最終試験を戦ったパイロット、ルウェン・エル・バヤンがモニターに移されたウイングガンダムゼロをとらえる

 

 

「テスト中にまさかソレスタルビーイングとあうとはな………いくぞインフラックス・アメイジング」

 

 

アメイジングレヴのバーニアノズルの光が増し徐々に距離をつめる……

 

 

 

 

 

Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《中編》

 

 

同時刻:サー・マティアス邸

 

 

「…この戦争の裏で暗躍するモノ……?」

 

 

「まあ、本来なら関与することではないんだけどね。現在…この世界での戦争は《私たちがいる世界》の人間が深く関わっている事を掴んだのさ…」

 

 

「………」

 

 

そう告げ区切りをつけるようにティーカップの紅茶を含む男性《大東貴一》…数日前、アメノミハシラにいた彼女のもとにマティアスを通じ会談の申し出があった。名も聞いたことの無い人物だがわざわざ自分をなさししたことに軽い興味を持ち会うことにしたミナは会話の中から現在の戦争の裏で暗躍するものがいる。それは知ってはいたが何者かまでは掴めきれなかった(マティアスは知っていたが、それを市井の人間が知ることで最悪な事態になるのを知っていたため)。《私たちがいる世界の人間》…その言葉《断片的なピース》がカチリとはまり導きだされた

 

 

 

「それで、その戦争を起こす者をどうするつもりだ?」

 

 

「もちろん捕まえるさ……この世界をこれ以上好きにはさせたくないからね」

 

 

「そのためには、わたしの力が必要になった。そういうわけだな(……まだ何かを隠しているようだな…

この世界に新たな勢力が現れたことも関係しているようだな)………大東貴一といったな。一つ私から聞きたいことがある。ソレスタルビーイングを知っているな」

 

 

「ソレスタルビーイング…まあ、知ってるよ…彼らの事は」

 

 

「……そうか……ならあの少年…マルス・レディーレを監視していたのは何故だ?」

 

 

静かに大東に向けられた瞳、すべてを見透かすような声がゲストルームに響き肩をすくめ静かに語り出したのは過去に起きた悲劇で運命を狂わせてしまった少年の地獄と今を。会談は始まったばかり。どう転ぶかはこの場にいる二人にしかわからない

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「ぐ、ぐうう…………は、ハチさん!目的地まではっ!?」

 

 

 

ーあと30分強だー

 

 

「………ミラージュ・ワゾー……冷却カートリッジはあと何発あ……るッ!」

 

 

ーあと予備弾倉含めて25発。次の冷却カートリッジ装填まで5分だー

 

 

銀色の体躯に異様なシルエット、さらには光の翼が煌めき空を駆けるのはゴーストガンダム《ミラージュワゾー》。ミノフスキードライブ搭載機であるこの機体に誰も追従できる機体は無い…同じ光の翼《ミノフスキードライブ》機だけ

 

 

「ん?あ、あれは!?」

 

 

ー照合確認、特務艦ミネルバだ。こっちに気づいたみたいだー

 

 

ぐんぐん遠ざかるミネルバからスクランブル発進する機影を見るものの追いつけない。気づいたのはいいが刹那な邂逅にすぎない…わずかに緊張が緩みカートリッジ装填のために一時的に減速した時、光がかすめた。周囲に荒れ狂うIフィールドにより偏向、拡散するも衝撃が伝わる

 

 

「い、いまのは」

 

ー気をつけろマルス!どうやらザフトも本腰いれたみたいだぞ?ー

 

 

「あ、あれはまさか……インパルス!光の翼を装備してる!?」

 

 

「………みつけたぞソレスタルビーイング!わたしが、このデスティニーインパルスで引導を渡してやる!!」

 

フラッシュエッジビームブーメランを構え投げつけるインパルス…いやデスティニーインパルス。しかし強力なIフィールドに阻まれる。機体が揺れるのを耐えながらワクチンが収められたコンテナにダメージが無いことをチェック、同時に全周波チャンネルで呼びかけた

 

 

「やめてください!僕はワクチンを届けないといけないんだ!!」

 

 

『そ、その声は………ホアシン?ホアシン・リーか!!』

 

 

「!?あなたは篠ノ之箒さん?…お願いです!ワクチンを」

 

 

『………そうか、そういうことか!おまえ達がこの事態を!!』

 

 

戸惑いながら加速させるもデスティニーインパルスも光の翼を広げ迫り背中にマウンドされた対艦刀エクスカリバーを抜き構え切りかかる。レーザーの刃はIフィールドでも防げない。とっさにミラージュワゾーからゴーストガンダムへ変形、飛行機雲が身体に流れワクチンコンテナを背中に固定しムラマサブラスターと非常に似た外観を持つ大剣《クジャク》を構えた。若干速度は落ちるも減速せず目的地へ螺旋飛行しながら斬り結んでいく

 

 

「話を、聞いてください!」

 

 

 

『くどい!ホアシン・リー………いやソレスタルビーイング!!』

 

 

力任せに切りかかるデスティニーインパルス、箒に言葉は通じない。さらに進行方向上に敵影が多数捉えた

…前と後ろに迫る驚異、迫る時間に焦り始め接近するグフのスレイヤーウィップ、エクスカリバーの攻撃があたる寸前、見慣れたビーム砲撃が阻んだ

 

 

『兄貴!大丈夫か!』

 

 

『ココはあたし達に任せて先に!!』

 

 

「ノ、ノーヴェさん!クリス!……なんでここに………早くココから離れるんだ!!」

 

 

『逃がすか!!ホアシン・リー!!』

 

 

ココにはいないはずのニャイアアストレイ、アストレアF-dash…クリスとノーヴェが武装コンテナと共に現れた事に驚き気を取られたのを見逃さずエクスカリバーを構えたデスティニーインパルスの刃が背後から迫る。ワクチンコンテナを守るためには…わずかな逡巡、光の翼を広げるやクジャクで刃を受けながらワクチンコンテナをつかみとる

 

 

「クリス!ノーヴェさん!コレを!!」

 

二人に向けワクチンが収められたらコンテナを投げわたし切りびながら二人から離れていく中、通信がコックピットにクリスの驚く声が届いた

 

 

「コレってワクチンコンテナ?」

 

「二人はコレをヨーロッパ……AEU総合病院にとどけるんだ!!」

 

 

「でも…マルス一人でこいつらを相手には……」

 

 

 

「急げ!こうしてる間にも病気で苦しむ人が増えていく、今ソレが出来るのはクリスとノーヴェさんだけなんだ!」

 

 

いつになく声をあげるマルスの言葉にうなづくと武装コンテナは方向転換、粒子バーニア全開にし最大加速で戦闘空域から離れていくのをゴーストガンダムのセンサーで確認しデスティニーインパルスの胴へ蹴りを入れ吹き飛ばし、すぐさま追撃に向かおうとするグフに向け飛翔する

 

 

「うわっ!」

 

 

「8さん!冷却カートリッジ装填………バイオコンピューター最大稼働…………ファントムライト、最・大・出・力ッ!うわああああ!!」

 

 

『了解!二段強制冷却開始………ミノフスキードライブ最大稼働!!』

 

 

 

「二人をやらせない…………ミラージュファントム!!」

 

 

激しく燃え盛る炎のように光の翼が煌めいた瞬間、無数の幻影が現れクジャクで切り裂き、胴をなぎはらう。距離の離れた相手にクジャクを投擲しコックピットをつぶす…その光景にデスティニーインパルスのモニターを通し見る箒は息をのんだ

 

「な、何なんだ…コレがあのホアシンなのか!?」

 

 

洗練された操縦と超高機動で相手を翻弄、懐に潜り込み容赦なく切り捨て、穿つ度に強制放熱するフェイスはさながら悪魔を思わせた

 

 

「……………残存機は一機……」

 

 

はあはあと肩で呼吸しながら傭兵モードへ切り替わったマルス。ゴーストガンダムがデスティニーインパルスをファントムライトを揺らめかせながら見据えクジャクを向け構えた

 

 

「はあああ!」

 

 

「……………」

 

 

 

胸の内に沸き起こる恐れを振り払い箒はスロットル全開にし加速と同時に突きの構えをとり光の翼をひろげ大ぶりに振りかぶったエクスカリバーの刃、無言でクジャクで受け止めるホアシン…マルス

 

空に無数の光の軌跡が描かれたぶつかり合う

 

 

 

Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《中編》

 

 

 

 

 

 

 



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Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《後輩》

二年と数ヶ月前


火星コロニー


同、アレス・ルセディス宅


「でさ、今日は後輩があたしに歌を一緒にって……上手いのを聞いたらしいんだ……しっこくてさ」


「そうか」


「………なあ、兄貴。あたしの歌ってそんなにいいかな…」


「……なんでそう思う」


「ママやパパは上手だって言ってくれたけど、正直、自信ないんだ……あたしにみんなの前で」



「俺が聞いてやる………クリス、お前の歌を……」


「あ、兄貴が!?………わかった……で、でも、絶ッッッ対にッ笑うなよ…………♪~」


軽く目を伏せ、大きく息を吸い歌い始めたクリスの歌がリビングに広がる…無表情だが真剣に聞き入るアレスの目か微かに光が宿りある少女と重なる


(ハーティ?…………そうだな生きていたらクリスと同じぐらい……)


『お兄ちゃん』


「兄貴?やっぱりうまくなかったよな?あたしの歌…」


「そんなコト無い」


「でも…」


「……クリス、自信を持て。お前の歌。オレは好きだ…」


「そ、そうか、なら、今度さ学祭やるからソレにでるから観に来て…でも、仕事があるよな……だったら」



「……必ずあけておく……」



「本当に本当だな!う、うそつくなよな!!」


いいたいことだけ言うとソファーに倒れ込み足を可愛らしくパタパタさせるクリスに少しだけ笑みを浮かべたアレス…粘りつくようなどす黒い闇、憎悪にかすかな光が差した瞬間だった






「なんてスピードだ!さっきとはまるで動きが違う!」

 

 

「………(二段放熱…バイオコンピューター冷却…さすがはミカドだ。オレにあわせてくれている……)8、冷却カートリッジ残りは?」

 

 

『……残量8だ…さっきザフトのデータベースにアクセスしてわかったぞ。ZGMF-X56S/θ、インパルスに《デスティニーシルエット》装備させた機体だ』

 

 

クジャクとエクスカリバーの刃がぶつかり合い、切り払うも寸前で回避するマルスの耳に届くと表情が険しいモノに変わる、前々から懸念していた戦力強化が現実のモノになったこと、そしてその力を目の前でモニター越しに嫌でも感じながら光の翼を広げ、肩に装備されたフラッシュエッジビームブーメランを構え投げつけてくる、たがゴーストガンダムの周囲に荒れ狂うIフィールドの前で霧散し虚しくかわされクジャクで切り払われた

 

 

「ビームが効かないか.………なら!」

 

 

「……くっ!まだまだだ!」

 

 

「やるな!ホァシン!!(………この機体越しから感じる気迫は一夏、翔真と同じだ!油断したらやられる)」

 

 

「………(荒削りだが、間違いなく強い。このまま成長したら……いや、今はクリス、ナカジマから注意をそらさなければ!)」

 

再びエクスカリバーを構え頭から切りかかるデスティニーインパルス…それをクジャクで防ぐゴーストガンダム…超音速で切り結び、弾き鍔ぜりあう二機の戦いは永遠に続くように見えた時、ゴーストガンダムの光の翼《ファントムライト》がかき消すように消え去った

 

「8?コレは!?」

 

 

『すまない!冷却カートリッジすべて使い切った!』

 

 

コックピットに篭もる熱にフラフラし始めるマルスの目には、間隙を見逃さないと言わんばかりに光の翼を広げ両手にエクスカリバーを二刀流に構え迫るインパルス。機体を動かそうとするもオーバーヒートにより動きが鈍い

 

 

(コレが最後か………死ぬのか……)

 

 

すべてが遅くなり頭にはジャンク屋に拾われた頃の日々、そして劾と出会いサーペートテールに所属してから様々な任務を行い、その中で出会ったたくさんの人たちの顔が浮かんでは消えていく中、ノイズが走る

 

 

ー……してやる…復………してや…生きて……や……る……ー

 

 

かすかに浮かんだ言葉、そして赤みを帯びた金の瞳を向ける子供をみた瞬間、マルスの瞳が変化し流れるようにエクスカリバーをかわし、潜り込みと同時にクジャクで下から上へ凪ぎ払う…マニュピレータからエクスカリバーが弧を描き海へ落ちる。さらに大きく身体を捻りそのまま切りつけてくるのを寸前でかわしていく中、何ともいえない違和感を箒は感じた

 

 

「な、なんだ!いまのは!だが私は負けるわけに……なに」

 

 

コックピットにアラートが鳴る…モニターにバッテリー残量警告の表示。このままでは戦闘続行は出来ないどころか帰投もできない。操縦桿を強く握り一瞥し光の翼を広げゴーストガンダムから離れていく

 

 

(ホァシン……次に戦場で会うときは私がお前を撃つ…)

 

 

心の中で小さく呟き遠くなる機影を見ながら加速し離れていく箒。デスティニーインパルスがレーダー察知圏内から離れたのをぼうっとしながら確認した時、電子音が鳴る

 

『こちらに接近する機影確認…マルス、どうした?マルス?』

 

 

「……うん大丈夫…8、ファントムライトは?」

 

 

『ダメだ、あと五分通常冷却が必要だ……マルス?』

 

 

「………敵じゃない……」

 

 

小さく呟くマルス。モニター最大望遠に写るHi-νガンダム・リヴェレーター、ガンダム・レギルスを見る瞳は赤みを帯びた金の瞳を輝かくも、瞬く間に黒へと戻った事に8は気づかなかった

 

 

 

 

Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《後編》

 

 

 

同時刻、マティアス邸

 

 

 

「……なるほどな。マルスに監視を付けていた理由か」

 

 

「まあね。四年前の私の判断ミスと状況判断が甘かったのが原因で運命を狂わせてしまった…彼女は彼の復讐心に目を付け利用し目的を達そうとしている。それはこの世界に取って害しかなさない。何より私は本当の敵は誰か、守るべきモノは何かはわかっている。ぐんじんとして、そしていつか報いを受けることも」

 

 

「………」

 

 

 

僅かな沈黙が支配する中、ミナは目を閉じ数秒たたずに静かに開けた

 

 

 

「………わかった。出来うる限り力は貸そう。ただ条件がある…」

 

 

「条件?」

 

 

「この戦いが終わりを迎えるまで、マルス・レディーレを見極める事……ASTRAYの乗り手はASTRAYと共に成長する…危険だと早計に決めつけるのは良い判断とはいえないし、他者への干渉は避けるべきなのだ。真に彼の少年を心配するのであるならは、討たれるコトを望むな。死を選ぶ事は逃げにしかなら無い。生きて向き合うことも含めてだ」

 

 

「………わかった。アナタの条件を呑もう」

 

 

「良い話ができて良かったよ。大東貴一…私はコレからやることがある。しばらく此処にとどまると良い……」

 

 

静かに立つと今までとは違う笑みを向けそのまま部屋を出たミナ…扉が閉じ暫くして緊張の糸が切れたように椅子に深く座り込んだ

 

 

「ふう~緊張した……とりあえずはよしかな……」

 

 

この世界で強い影響力を持つ影の軍神こと、ロンド・ミナ・サハクからの協力を取り付ける事が出来た事に満足し天井を見上げた

 

 

同時刻、オーストラリア

 

トリントン総合病院

 

 

「ありがとう、ありがとうございます!コレでみんなを」

 

 

「い、いや、オレはただ……とにかく早くワクチンを」

 

 

 

リナーシタからはずされたワクチンコンテナの前で医師たちに何度も頭を下げられ慌てるナガスミ。その近くにはGspirits隊の機体もある…輸送中に連合MSに追われていたところを援護しに現れ予定時刻通りに届けられたのも彼等のおかげだった

 

 

「礼なら、彼等……アレ?いないな」

 

 

感謝攻めから解放され振り返った時にはもう姿はなく、少し手伝いをしてからリナーシタと共にトレミーへと病院関係者(特に看護婦さん)に見送られ帰路へとついた

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「見えた、AEU総合病院……クリスとノーヴェさんもいる……」

 

 

 

『あとは大丈夫だな。俺達はココまでだ……』

 

 

 

「いえ、途中まで送ってくれてありがとうございます。えと…ボクはマルス・レディーレって言います」

 

 

『!……そうか、俺は………悪い、帰投命令が出たから………じゃあ気を抜くなよ………』

 

 

『……マルスくん、今度はゆっくり話せるといいわね……またね』

 

 

短い通信を終え、軽く手を振りながら機体を反転、そのまま離れていくのを見送りAEU総合病院へと向かうマルス…少し疲れを感じながらもまっすぐに飛翔していった

 

 

中国上空

 

 

「なんでGspirits隊が……」

 

 

ウイングゼロのコックピットで一人つぶやく翔真…インフラックスとの交戦中に、現れたGspirits隊の面々、もし現れ援護してくれなかったらワクチンは定刻通りに届ける事が出来なかった

 

 

その事実に悩みながら気になったのはインフラックスから感じた気配…どこかで、いやよく知る感覚だった。気になるがわからないが

 

 

「……あの機体、間違いなくオレに殺意を持っていた……とにかく、帰るか…マルス、ナガスミもトレミーに向かっている…」

 

 

 

操縦桿を、傾け加速させトレミーがある海域へとウイングゼロを向かわせた

 

 

翔真たちが届けたワクチン、Gspirits隊のワクチンに加えミカドが提示し医療機関へ流された対症療法のおかげでS2型インフルエンザは終息を迎えた

 

 

 

 

 

 

Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《後編》

 

 

 

 

 

 

 



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PHASE-51.5「生まれ変わる72柱ーバルバトスー」

「兄貴~休んだらどうだ?」

 

 

「ん~まだいいや…それよりバルバトスの脚部サスの調整は終わった?」

 

 

「あ…わりぃまだ……」

 

 

「この前、無断で出撃したペナルティなんだからしっかりやる…貸してみてクリス……接地圧調整うまいじゃないか」

 

 

「そ、そうか?」

 

 

「うん、エラいエラい」

 

 

「こ、子供扱いするなよバカ兄貴!?なでるなったら……うう~」

 

 

さらさらした銀髪をすくよう撫でるマルスに嫌がりながらもそっぽ向くも顔は赤く、なぜか嬉しそうにも見える。あのワクチン輸送ミッションから3日、現在トレミーは南極海を抜け地中海へ向け航行している

 

前回の無断出撃のペナルティーとしてクリスはマルスの手伝い、ノーヴェは御門先生の助手をしているのだが

 

 

「……ち、ちゅかコレ短すぎだろ!!」

 

 

「あら、似合ってるじゃない。コレならマルスも落とせるかもね。そのときは私と一緒におとしましょ♪」

 

 

「お、お、お、落とすって?こんな色仕掛けやったら逆効果だかんな!!」

 

 

「あら、そうかしら?」

 

顔を真っ赤にし声を上げるミニスカナース姿のノーヴェに悪戯っぽく笑みを浮かべる御門先生…その日なぜか翔真のハロがいたのは気のせいだろうか?数時間後に黒こげになり運び込まれたらしい…話は逸れたがマルスとクリスは今、ツバサの機体の修復と同時にテイワズからジャンク屋経由でゴーストの予備パーツと以前にマルスが製作依頼したバルバトス用パーツ一式の入ったコンテナを開いていた

 

前回のデスティニーインパルスとの戦闘でゴーストはダメージを受けた。あのまま戦っていたら確実な死が待っていた。傭兵として戦ってきて初めて感じたモノを。デスティニーインパルスのパイロット…ミネルバのエースとなりつつある《篠ノ之箒》は確実に強くなりつつある

 

それに知り合いの情報屋から連合とザフトが水面下で何らかの動きを見せつつあるのと、直後にミッドチルダで出会ったヴレイヴのカスタム機とレギルスと邂逅し身構えるも、攻撃の意思は感じられなかった、明らかに支援しようとする姿勢に警戒を解き共に輸送ミッションをおこなった。無事届け終えると二機はそのままとびさっていった

 

……しかし、長い目で見ればいずれは戦力的に不利に陥ると感じマルスは今回送られてきたパーツを使いバルバトスをはじめとした機体の改修、新武装開発を行おうと考えまずはバルバトスから着手した

 

フレーム状態にされたバルバトスの足まわりのサスペンス、接地面調整と水上での戦闘も視野に入れホバリンク強化。そして両腕に追撃砲、少し離れた場所にあるハンガーに懸架された新武装《大型特殊メイス》を装備。この装備は打撃、先端部分が開閉しパワーシリンダーの強力なパワーで挟み、開閉武チェンソー(特殊鍛造金属製の刃)で切断する機能を持つ

 

 

「胸部装甲はガンダニュウム合金と特殊塗料を塗布して終わり。あとは新しいフレームとのマッチング作業かな?」

 

 

「なあ兄貴。機体の修理してもアイツが目を覚まさないと無駄じゃないのか?、だったら他のヤツを優先したらどうだよ」

 

 

「……クリスの言うことも正しいけど、もしツバサさんが目を覚ましたら自分の機体がすぐに必要になる………それに壊れたままにするのはほうっておけないんだ」

 

 

「……わかったよ。でもバルバトスって他のガンダムとは違うっうかフレームから共通点がないし…」

 

 

「ガンダムフレームって呼ばれてるんだ。技術的にはAEのムーバーブルフレーム、モルゲンレーテのpシリーズ《ASTRAY》にコンセプトが似てるかも。でもエイハブリアクターは初めてみる技術だし、しかも並列稼働はツインドライブ調整データが生かせる上に、胸になぜ収められてるのはコックピット内のパイロット保護も兼ねた対G緩和のためにエイハブ粒子が持つ重量軽減作用を生かされてて、装甲に塗布された特殊塗料と反応することで硬化、それも塗料によってバラつきが……」

 

 

目を輝かせながらバルバトスの説明をするマルス。クリスは記憶を失う前のアレスが通信でMSに関する解釈とフレーム設計者との話を嬉しそうにも話していた姿を見たことがあったのを思い出した。しかも三時間休みなしで

 

 

「兄貴。手が止まってっから。集中してやんねえとケガすっから」

 

 

「……あ?ご、ごめん…外装取り付けはハロに任せて休憩しようか?」

 

 

「ああ、じゃさっそくいこうぜ兄貴。今日はアタシがおやつ用意してるからさ」

 

 

「もしかして、あんパン?」

 

 

「そうだけど…イヤかな《あんパン》」

 

 

「いやじゃないから、飲み物はクリスは牛乳でよかったかな?」

 

 

「うん!」

 

 

元気に笑顔で頷いたのをみて少しほっこりするマルス…それになんか懐かしさを感じながらハロ達に装甲のアッセンブリーを任せてMSデッキから離れた頃、メディカルルームでも御門とノーヴェが休憩に入っていた

 

 

「な、なあ、御門先生」

 

 

「なにかしら?」

 

 

「マ、マルスとはどんな関係なんだよ……直接マルスに聞いたら逃げ出すし…」

 

 

「ん~お互いのすべてを見せ合った関係かしら…あ、

まだそこまで行ってないから安心しなさい」

 

 

「そ、そうか?じゃあドコで知り合ったんだ?」

 

 

ノーヴェの問いに軽く紅茶を口に付け飲むと静かに、ソーサにおいた御門が語り出したのは、二年前のテイワズで開発したバイオセンサー搭載試験機《シビリアンアストレイ》を輸送する際に護衛として雇われた傭兵としてマルスと出会った日のことを

 

 

「クリスとアインハルトは右腕と肩周りのトルクとアクチュエータ調整はパワシリンダーのデータを参考にして。ハロ達はツバサさんのモーションデータとのOSすりあわせ、誤差0.5に納めて」

 

 

「まかせろ兄貴。ちゃっちゃとすませるぞストラトス」

 

 

「はい、雪音さん………ハロさんも一緒にがんばりましょうね」

 

 

『『『『『了解、了解!』』』』』

 

 

 

外装と開発された新武装の腕周りのトルク調整を休憩を終えたマルス、クリス、遅れてきたアインハルトと共に進められていくバルバトス。主であるツバサの目覚めを静かにその時を待つ

 

 

そして……………

 

 

 

 

 

「バカな!?キマリスの腕が」

 

「マルス、後は任せてもらうよ。そして・・・・・相棒(バルバトス)を強化してくれてありがとう」

 

通信で簡単な礼を告げツバサはボバリングし、構えた大型特殊メイスで再び攻撃をキマリスへと仕掛ける…

 

 

「………ありがとうツバサ……残存敵機排除行動に移行する…行くぞエクシェス……」

 

 

キマリス、バルバトスから離れ残存敵機排除行動に移るマルス……少しだけ笑みを浮かべていた

 

 

 

 

 



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PHASE-51.5(裏)「御門とマルスの出逢い」side:ASTRAY

「マルスさん?」


「どうしたのアインハルト?わからないところがあるの?」



「いえ……あの御門先生とはどこで出会ったんですか?」


その問いに身を強ばらせるマルス…背後からも興味津々な視線を向けるクリスに気づくが、話せば間違いなく修羅場になることを本能的に察した


「み、御門先生とは任務であったんだ…」


「そうですか……どんな任務でですか?」


「あたしも聞きたいなア~ニ~キ?」


作業を終えたのか二人がズイズイっと前から後ろから迫りアインハルトの顔か間近に近づく…クリスも首に手を回し胸を押しつけて耳元に唇が触れる位置にあるし、それに女の子の、甘い香りにふらふらしてくる


「わ、わかったから二人とも落ち着いて~~」


観念したのか二人に話すことを決め、なんとか離れた事にホッとしながら語り始めた……二年前の銀世界での出来ことを



「私がマルスとあったのは二年前の冬かしら…テイワズのMS開発部第二課に配属されてしばらくたってからシビリアンアストレイ製造ラインライセンスを取得して、それをベースに現行のM1を上回る機体を開発したのだけど搭載したバイオセンサーが過敏すぎて誰にも扱いきれなかったの。結局、開発中止になって機体を封印施設に輸送することになったの。その時の護衛に会長が指名して寄越したのがマルスだったの」

 

 

『あら、あなたは誰?何でこんなところにいるのかしら?』

 

 

『あの…テイワズMS開発部第二課の御門涼子さんで間違いないですよね。サーペントテール《6》、マルス・レディーレ。シビリアンアストレイ封印施設への移送任務の護衛としてマクマード・バリストン会長から指名を受け任務につかせていただきます』

 

 

幼さが残る少年、マルス・レディーレの言葉に驚く御門…会長に確認すると告げ聞くと本当だった。しかし、若すぎる…普通なら学生と変わらない年齢なのに傭兵としてのキャリアも送られてきた経歴をみて納得したが気になることがあった

 

 

『あなたのMSが無いみたいだけど?』

 

 

『……前の任務で傷ついてしまって今はテイワズでフルメンテナンスしてるんです……今回の依頼料金なんです』

 

 

ばつが悪そうに頬をかくのをみて、本当に経歴どおりの傭兵なのかと疑問をもちながらMS輸送トレーラ、数台の無人MWを護衛に雪が降る中を走り出した。運転席に運転手、助手席にマルス、そして後部席には御門が座り距離にして100キロ先にあるテイワズ試作MS封印施設へと走り出した

 

 

 

PHASE-51.5(裏)「御門とマルスの出逢い」

 

(マルス・レディーレ………三日前に会長がアメノミハシラの建設視察から帰還する際に現れ襲撃してきた連合軍崩れのMSデュエルダガー3、105ダガー6からなる部隊をたった一機のカスタムアストレイでわずか数分で壊滅させた傭兵……しんじられないわね。でも三日前に運び込まれたMSと色も一致してる)

 

 

端末から少し視線を外し向けた先には先行する無人MW隊のモニターとセンサーからもたらされた周囲の索敵データに目を落とすマルスの横顔、自己紹介の時とは違い真剣な表情に少しドキリとした

 

 

(こんな顔もするのね…私より年下なのに《男》の顔を………)

 

頬が熱くなるのを感じ慌てて端末に目を向けようとした時、爆発音が鳴り響く。目を向けると先行していた無人MW隊の一機が爆発炎上している

 

 

「運転手さん!止めて!次の攻撃が来る!!」

 

 

マルスが叫ぶと閃光が再びMWを貫き火球へ変わると爆風が運転席に襲いかかる。ガラスが割れ無数の金属片が運転手と御門に襲いかかる。が、寸前で影が二人を後部席へ押し込んだ

 

 

「ぐっ!」

 

 

くぐもった声が聞こえ顔を上げた御門と運転手がみたのは二人を守るように覆い被さるマルス。パラパラと破片が身体を叩きおちていく。微かな振動音か複数響き外をみるとM1アストレイ、そして青く塗装されたM1アストレイ上位機種《M1Aアストレイ》が立つ姿

 

 

『あ~ああ~聞こえますか?テイワズ。我々は反連合組織だ。君たちが運んでいるMSシビリアンアストレイを渡して貰おうか?』

 

 

外部音声全開で呼びかけてくる反連合を名乗る部隊。狙いはトレーラに積まれたシビリアンアストレイ。だが運ばれているのがなぜシビリアンアストレイと気づいたのか、それ以上に移送ルートは秘匿されているのになぜ居るのか気になるも状況が最悪な方へと向かっているのがわかる

 

 

『今から十秒数える。それまでにトレーラから降りれば命だけは助けよう………』

 

 

「無理ね…扉が開かない……どうしたら」

 

 

「御門さん、シビリアンアストレイ使わせてもらいます…僕が引きつけている間に封印施設とテイワズに連絡を…」

 

 

「ま、まってシビリアンアストレイには武器が…」

 

 

御門が言い切る前にコックピットへ続く通路を駆け素早くハッチを開き身体を潜り込ませ火を入れOSを起動させ同時にサイドボードを引き出し自分に合わせたOSへ調整していく。滑らかにそして目にも止まらぬ速さで打ち終えた時シビリアンアストレイの相貌に光が灯る

 

 

「……………いくぞシビリアンアストレイ……」

 

 

「動いただと!ち、トレーラを狙……」

 

 

静かに呟くマルス…すべての感情を削ぎ落とし鋭い眼差しをモニターに映るM1Aアストレイ、M1アストレイ部隊に向けると機体を立ち上げシートをマントのように靡かせ跳躍、雪が舞い白銀の世界へ降り真っ先にイーゲルシュテルンをトレーラにビームライフルを向けるM1アストレイの足元に掃射、雪煙が上がり視界が阻まれすぐさま赤外線センサーに切り替える反連合の兵士。しかしモニターが消え砕け血に染めながら押しつぶされた

 

 

「まずは一機……残存数三機…こっちの武装はイーゲルシュテルンのみ…ならコイツのビームサーベルを使わせて貰う」

 

 

『よくもジーンを!』

 

 

コックピットから拳を引き抜こうとするシビリアンアストレイの背後からビームサーベルを抜きはなったM1アストレイの灼熱の刃が迫る。それを撃破したM1アストレイを楯代わりに防ぎ、逆手に構えたビームサーベルで腹部を突き刺しパイロットを焼き沈黙させた

 

『な、何だよアレ?聞いてないぞ!!』

 

 

『俺たちの武器を使いやがった……』

 

 

「…………次は誰だ?」

 

 

地の底から響くような冷たい声にM1Aアストレイ、M1アストレイのパイロットに届く。MSを爆発させず戦うシビリアンアストレイから発せられる殺気に当てられ身がすくむ反連合兵士…しかし退くという言葉は消え去り死ぬという言葉がよぎる…三日前にも宇宙に居た仲間がテイワズ会長を拉致しようとしてたった一機のカスタムアストレイに全滅させられた事を思い出しはっとなる、今、自分たちが相手にしているのはそいつかも知れないと

 

 

『た、隊長……まさかアイツが………』

 

 

『まさか、そんな訳ねぇ…たかが民生品にこのM1Aアストレイが負ける分けねえんだ!両方から挟み撃ちにするぞ。俺たちが生き残るには勝つしかねぇんだ!!』

 

 

一気にスラスター全開で叫びながら迫る二機に対し、マルスの心は冷え切っていた。負けるとわかってなぜ向かってくるのか?命をムダにするMSパイロットは二流以下だ。無駄に命を消耗する戦い方をする二機のパイロットの気持ちが分からない

 

 

「な、なんなの……マルスなの?シビリアンアストレイを使いこなしている?軍用のM1を圧倒するなんて」

 

トレーラから這い出した御門の目にビームサーベルを紙一重で交わし足を払い、前のめりに倒れるM1アストレイの背中へビームサーベルを突き刺しコックピットを焼ききり立つ…しかしビームサーベルの刃が消えモニターにバッテリー残量が警告域に達した事を示すアラートが鳴る

 

もともと動かす事を想定していなかった為、必要最低限の充電しかされていなかった、エネルギー消費の激しいビームサーベル使用はさらに拍車をかけたのだ。それをみてM1Aアストレイのパイロットは勝ち誇ったように笑い出した

 

 

『へ、へへ……エネルギー切れか……こっちはエネルギーはまだある……イーゲルシュテルンしかねぇお前に勝ち目はねえええ!!』

 

 

「…………」

 

 

ビームサーベルを両手に構え迫るM1Aアストレイ…軽くバックステップを取りかわすも刃がマルスのシビリアンアストレイの装甲に微かに切り傷が出来ていく

 

 

「なんで攻撃しないの?え?」

 

 

端末が震え慌ててみる御門の目に写るのは《そこから離れろ》と短い文面で悟った…自分を守るためにマルスが全力を出せないでいる事に気づき気絶した運転手を引きずりながら離れていくのをモニター越しに見届け距離を離し拳法の型をとる

 

 

『なんだ?カラテかよ?んなのでビームサーベルにかてるわけねえだろ!!』

 

 

苛立ちビームサーベルを構え迫るM1Aアストレイ…あと数メートルで刃が胴を凪ぎ切り払う距離へ迫ろうとした時、シビリアンアストレイの双眸が一際輝き、力一杯踏み込み流れるように迫る灼熱の刃をかわし懐へ潜り込ませ、そのまま拳をコックピットめがけ叩き込む。モニターか砕けM1Aアストレイのパイロットが最後にみたのは自身の血とマニュピレータ…反対側まで貫き通した拳はオイルにまみれ雪化粧が染まっていく。ゆっくりと引き抜かれ穿たれた穴が見えゆっくりと地面へ倒れた

 

「な、なんなのこの子……」

 

五機のMSをたった一機で沈黙させた光景に驚いた時、シビリアンアストレイがゆっくりと膝をついた。どうやらバッテリーがそこをついたらしい。恐る恐る近づいた時、バッチが開いた

 

 

「大丈夫ですか?御門さん…運転手さんは」

 

 

「え、ええ…軽いケガですんだわ…」

 

 

「良かっ……た……」

 

 

「マルス?どうした……!?」

 

 

声が途切れ、胸騒ぎがしコックピットを覗いた御門の目には血まみれになりながら操縦桿を握るマルスの痛々しい姿。あの時、二人を爆風から庇った際に負った傷だと気づき慎重に運び出し簡易テントを二つ立て運転手を寝かせ、もう一つのテントで手当てを始めた。背中から腹部に深い傷が見え破片がギリギリのところで止まってる。医者の資格を持っていたため御門は破片を取り除いた時、信じられないモノを目にした

 

(な、なにコレ……機械?いえ組織と融合している……今は縫合しないと)

 

 

ケーブルとシリンダーににたモノが見えているも今は縫合しなければと、手早く動かし処置を終えるも血を失いすぎているためと寒さで冷え切っている…身体を温めなければ命に関わる…御門は服に手をかけ脱ぎ、やがてブラのホックをプツンと外しショーツ一枚、ほぼ裸になると意識の無いマルスに寄り添い毛布をかぶり肌を合わせ暖め始めた

 

(冷え切っている……それにすごい傷だらけ……どんな風にしたらこんなに……今は)

 

 

豊満な胸を押し付け温める御門…知らないうちにうとうとし始めるが我慢する。医者として眠るわけにはいかない、それ以上に傷を負いながらも自分たちを守ってくれたマルスを死なせたくない。なぜ傭兵の世界に入ったのか、時折見せる少年らしい表情をみてみたい

 

もっと知りたい。その想いだけがあった

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「……それから朝になるまで暖めていたらテイワズから救援隊が来て、マルスはなんとか助かったんだけど、怪我も直ってからお礼を言おうとしたらなぜか避けられちゃったのよ。でもなんとか捕まえて聞いたんだけど、なんて言ったと想う?『傭兵の力は力なき者を守るためにあります…』って生真面目なのはいいけど、その時は顔を真っ赤にしてて可愛かったわね……今もだけど」

 

 

「そ、そんなことが(……………なんだよソレ!羨まし……そ、そんなの医者として温めただけだし……それにえ、エッチなことやってないし!)」

 

 

言葉とは裏腹に悩むノーヴェをみて少し笑みを浮かべながら少し冷めた紅茶を飲む御門……しかし実は言ってない事があった…

 

 

ーや、そんなに吸わないで……ダメ…ー

 

 

ーん、さくらんぼ……ちゅ…んん~~ちゅ…ー

 

 

ーそ、そこはやああー

 

 

胸に顔をうずめながら吸い舌先で器用に転がし絡め腹部を手で滑らせるように撫で更に一番敏感な部分を…

 

 

(マルスのって身体に似合わずスゴいのよね……初めてみたけど……でも寝ぼけてたくさん揉まれて、たくさん吸われ続けた時はもう一線超えていいかなって想ったし……いまは外堀をしっかり埋めなきゃ、あの子たちと一緒に)

 

 

あの時の感覚に身体の奥がうずくのを感じながらいまだに眠り続けるツバサの容態に注意しながら、次の手を考えた

 

 

「クシュン。風邪かな」

 

 

そんな思惑に気づかずバルバトスの改修を進めるマルス……徐々に外堀が埋められているのを知らずに

 

 

 




「という感じで御門先生とは知り合ったんだ………どうしたの二人とも?アインハルト?それにクリスもなんでデバイス展開してるのさ!?」


「なあ、アニキ……アタシニハカクシゴトハシナイッテイッタヨナ……」


「……マルスさんは胸が大きい人が好きなんですね……」


「い、いやいや……別に御門先生の胸が大きいのが好きだ………はっ!?」



「「問答無用!!」」



「ふ、不幸だああああああああああ!?」


爆発音がMSデッキに響き数分後にボロボロになったマルスが運び込まれたそうな




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PHASE-57.5「再会」side:ASTRAY

「……………」


『マルス、そろそろトレミーだ着艦シークエンスにはいれ』


「……了解」


クレタ沖から離れた空域を飛ぶ四機…その一機、黒塗りのアストレイ《エクシェス》のコックピットに座るマルスは先ほどのガンダムキマリスとの戦闘で気になることがあった

接触回線できこえた声…ずっと昔に聞いた気がしていたからだ。もしかしたら記憶を失う前の自分を知っているのかもしれないと何故かわからないが確信していた。次に戦うときには何かを思い出せるかもとも感じている

だが、それ以上に相手の動きにエクシェスが自分の動きに反応しきれなくなってきている…ザフト、連合も新型機を投入してくる可能性が大きくなっている中でこの問題は無視できない


(やはり、あのパーツを組み込むしか手はないか……ソレまではゴーストガンダムで戦う。ミカドにバイオコンピューターマッチングを依頼しないと)


ロウから送られてきたエクシェス本来の両腕と両足の組み込みを決め、トレミーへ着艦するエクシェスとマルス…本来の手足がもたらす危険性と、自身の記憶が災いとなることを気づかずにいた















「フリーダム、ウィングゼロ、バルバトス、エクシェス全機帰投完了、ハンガーに固定します……」

 

 

「……今回もボロボロ……ハロs!カレルに乗ってメンテ急ぐぞ!」

 

 

『了解、了解』

 

 

「翔くん!おかえり~」

 

 

「お疲れ様、翔真」

 

 

「ツバサ~もう、なおったばかりなのに無茶したらだめだめだよう。心配したんだから」

 

 

「お、お疲れ…汗かいて喉乾いてるだろ。ほらタオルと水飲むよな」

 

 

クレタ沖での介入を終えた30分後、海底を潜航するトレミーのMSデッキではカレルに乗り込むハロ達はパタパタと耳を動かしながら、固定された機体へと群がっていく。それを指示を出すのはパイロット兼整備副主任《雪音クリス》、ハンガーへの固定と誘導をアインハルト・ストラトスが的確に指示を伝えていく中、ハッチが開きタラップへてパイロットスーツに身を包んだ4人…翔真、ツバサ、一夏、マルスがヘルメットを脱いで手すりにもたれ掛かってると束、なのは、フェイト、ネプテューヌ、シャルロット、ノーヴェ達が駆け寄り無事に帰ってきた事を喜んでいる中、一夏だけは心ここに非ずという感じにぼうっとしている

 

 

PHASE-57,5「再会」side:ASTRAY

 

 

 

 

「……………」

 

 

「一夏くん、なにかあったのかな?」

 

 

「…今はソッとしてやろう……(たぶん篠ノ之と千冬さんと戦ってしまったのがあるかもな…コレばかりは自分自身が解決するしかないんだよな)……ん?あれは」

 

 

翔真が何気なく目を向けた先…トレミーの二人目のドクターにしてテイワズMS開発部門二課、バイオコンピューター開発責任者の御門涼子が投降したストライクノワール、インフラックスのパイロットの一人、腰まで伸びた金髪、豊かな胸に絞られたウェストから肉付きの良さが目立つ女性と話している

 

 

「み、ミカドなの?」

 

 

「ひさしぶりねティア」

 

 

「あなた、何でソレスタルビーイングの艦にいるの?」

 

 

「私こそビックリしたわよ。アナタがMSに乗ってるなんて。学生のころ実習の時なんかよくこけてグラウンドに大きなヒトガタ作ったのに、それに隣のカ・レ・シ・いつ作ったの?」

 

 

「か、彼氏!?ル、ルウェンは……その、あの…あう……」

 

 

「何人か紹介してもMSのタクティカルハザード関連OS、ニューロンリンク、リアクターのマニアックな話しか興味なかったアナタがね~」

 

 

「だ、だって、楽しかったから……でもルウェンはちゃんと答えてくれたし、私の知らない事もいろいろ………そういうミカドはいるの?」

 

 

 

「いるわよ?アソコにいる子、マルスっていうの傭兵部隊サーペートテールの六人目のメンバー…」

 

 

「マルス・レディーレ……ティア、少し用事ができた…」

 

 

「ま、まってルウェン?きゃっ!?」

 

 

マルスの姿をとらえたデッキへ向かおうとするルウェンをおおうとする…が、ナニもないはずなのにツルッと滑り盛大に巻き込みながらもティアを庇うように倒れた…目を開けた視界にははだけたパイロットスーツに黒のレース柄のフロントブラが開き、隠すように両手に柔らかく破壊力抜群な胸に指が食い込み手のひらにかすかに、くりっとした固い突起を感じる

 

 

「ル、ルウェン………い、いきなり、こんな所で………その、雰囲気を……それに私たちまだ……」

 

 

「……………すまんティア……」

 

 

「あいかわらずねティアは……ルウェン、少し目を閉じてなさい……あと、翔真。ハロに撮ったの削除なさいね」

 

 

にっこりと笑みを浮かべるミカドに気圧されながら整備を終えたクリス、アインハルト、他の女性陣と共に天使湯へと向かうのを見届けるもルウェンもマルスと共に翔真に、半ば強引に天使湯(イケメン湯)へと連れて行かれた

 

 

続きはPHASE-58で明らかに!

 

 

 

 

PHASE-57.5「再会」side:ASTRAY

 

 

 




次回はマティアス邸での、会談です


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閑話 蠢くもの………御門先生の治療♡

「…間違いないのね」

 

「うん。この機体に使われているのボディ、そしてパイロットの戦術的機動パターンは100%一致してる」

 

 

「……クリス姉様が火星から姿を消されてしまわれたのは《ある部隊》が関わっていると《P・T》が言っていたです」

 

 

薄暗い室内に響く声と動く影…黒塗りのパイロットスーツに身を包んだ三人の少女がみるのはクレタ沖でウィンダムを切り裂き、挟みきるエクシェス…ある部隊とのワードにわずかに瞳の色が変わる

 

 

「アレス隊長からすべてを奪ったGspirits隊………エクシェスは今どこに?」

 

 

「ソレスタルビーイングの母艦…プトレマイオスⅡにあるです……にいに…アレス隊長も」

 

 

「……行方しれずになったアレはGspirits隊の手にあるわ………調、切歌、行きましょう……アレス隊長の為に」

 

 

少女の一人が振り返りみるのは覆いに包まれた三体のMS…布越しでもあまりの異形さと異質さすら醸し出すソレを見上げる

 

 

「……………私たちアレス隊長直属特殊サイコミュ兵器殲滅隊《サーカス》、アレス隊長の剣(つるぎ)としてGspirits隊を殲滅する事を………」

 

 

 

閑話 蠢くもの……御門先生の治療♡

 

 

トレミー内、メディカルルーム…ウイングゼロ、エクシェス、ノワールの整備が一段落し御門は天使湯から上がったマルスを呼び出していた

 

 

「み、御門先生、コレどうしてもやらないとダメなの?」

 

 

 

「ええ。アナタ最近というかワクチン輸送任務の時に

無茶したでしょ?ひさしぶりに《調整》しないと」

 

 

 

「だからって…コレは…!?」

 

 

「いいから、横になりなさい……コレも治療よ♪」

 

 

「ん~わ、わかりました………でも、ぜっっっったい変なことしないでくださいよ?」

 

 

 

「はい、はい」

 

 

御門の前で脱ぎだすマルス…露わになったすらっとしながらも筋肉質な身体にうっすらと傷が見える…おもわず見とれるも気づかれないようにしながらも服に手をかけると面積の少ない白のビキニに豊かな胸をプルンと揺らし、手にぬるりとした液体を軽く暖め横になったマルスの背に擦り込んでいく

 

 

「ん……」

 

 

「こんなに凝って……マルス、力を抜いて…そう、私に全部をゆだねて」

 

 

「は、はい………」

 

 

滑らかな指先が肩甲骨から背筋を滑る…あまりの気持ちよさにうとうと船をこぎ始め眠ってしまうマルスをみて、その背に寄り添うよう身体をぴたりとくっつけ、固い身体を柔らかな胸で包むよう滑らせていく

 

 

「ん、んん……やっぱりマルスのからだ固いわ…ココも」

 

 

白魚のように華奢な指が触れ熱く火傷しそうなソレにふれヌルリとすりこむ。くぐもった声を出すのを耳にして少し熱の籠もった瞳を向けさらにやや透けたビキニ越しの胸を密着させ動く

 

御門がマルスの身体の秘密をしってから度々するコレは機械と生身の神経伝達物質、エネルギー効率向上を目的としたジェルを擦り込む行為は建て前…

 

本当の目的は治療と言う大義名分で一歩手前までをするため。まあ、効果はあるから仕方ないのだが身体…豊かな胸を使っての擬似ローションプレイは高ぶりを押さえ切れない

 

「ん~ましゅまろ」

 

 

「や、マルス…やめ…なめない…で」

 

 

「甘い……」

 

寝ぼけながら組み敷かれた御門の首に、ツウウと舌さきを這わせ吸うように舐め、右手で面積が、少ない胸ビキニの中へ滑らせつまみしごく。何度も焦らされ身体を振るわせるのもお構いなしにネチっこくいじり倒し腹部を指が滑り一番敏感な場所へと潜り込み

 

 

「やぁ♡そこ…こすっちゃらめ…ん、んん~~/////」

 

 

ジェルに混じり別なモノが混じりクチュクチュと指が動く度、背をそらせ目を見開くもなすがままにむさぼられていく

 

 

「らめ、らめなの~やあ……」

 

 

「ん~奥に…こりって…」

 

 

「ーーーーーーーーーーーー!?」

 

 

指が最奥に入り、さらに形が変わるほどに揉まれ抓られこすりあげらる胸の快感に声にならない嬌声がメディカルルームに響く……まだ、勢いは収まらない。御門はただなすがままに寝ぼけマルスに弄ばれるしかなかった

 

 

一時間後、何食わぬ顔で礼をいい出て行くマルスに収まらぬ情欲の炎を宿した瞳と、疼きを向けていたことを気づかなかった

 

 

閑話 蠢くもの…………御門先生の治療♡

 

 



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Return.Mission:02《幽霊(ゴースト)と翔真》side:ASTRAY

現代

「……見えたです!」


「あれがラー・グスタ………切歌、調……いくわよ」


「うん………アレスにいにの家族を奪った偽善者に刃を」


「……武力を振りかざし争いの火種を巻くだけしかできない軍隊を」



「「「…………殲滅する……私たち、アレス隊長直属部隊《サーカス》が」」」



…ラー・グスタに迫るマントに身を包んだ三機…哨戒に当たっていたジェガン二小隊ををすり抜けざまに切り刻み、握りつぶし、巨大な槍で焼き鳥の身のようにコックピットを貫き海面に叩きつけた


「…………さあ、出て来るです……リベレータ、タキオン…アレス隊長の家族を奪った事を後悔させてあげるです!」



マントを脱ぎ捨て、巨大な鉤爪がついた鎌を構え、トランプのジョーカを模した緑の装甲を持つガンダムが姿を見せ他の二機と共にラーグスタへと迫る




 

「………くっ!8、耐ショック、閃光フィルター展開!」

 

 

《フィルター展開!、耐ショックアブソーバ最大!………やばいぞ、耐えきれるかぎりぎりだぞ》

 

 

(マズい、このままだと…三機とも……な?)

 

 

「あたしに任せろ!GNフィールド……全ッッ開ッ!!」

 

 

 

return・mission:02《幽霊(ゴースト)と翔真》side:ASTRAY

 

 

 

ノーヴェのアストレアFdashがまえへと出るや否やGNバーニアを前に展開しニャイア、ゴーストを守るようにフィールドで包み込んだ。爆発の余波でギシギシ軋みアストレアFの各部に火が吹き、GN粒子が漏れ出す

 

 

「ノーヴェ!やめるんだ!!今のアストレアFにGNフィールドは」

 

 

「大丈夫………耐えてやるから……マルスもクリスも守るからさ!!」

 

 

サブウィンドウにサムズアップするノーヴェが映るのを見て、無理やり納得させ耐える…やがて爆風が収まり見えたのは島が大きく抉れ、熱く熱せられた風が乱気流を巻き起こす中、墜ちていくストライクを目にし近くに降り立つとアストレアFのGNバーニアが火花を散らしたのを見て切り離したノーヴェの前で爆発、破片が装甲を叩きながらも収まる

 

 

「ノーヴェさん、大丈夫?」

 

 

「あ、ああ……けどアストレア、動けないみたいだ」

 

 

「………き、機体のことより自分を心配してよ。ノーヴェさんに何かあったら誰か悲しむから…」

 

 

 

「わ、わかった………」

 

 

普段なら見せない様相を見せたマルス。傭兵らしからない心配の言葉に思わずドキリとするノーヴェ…マルスはすこし涙目になりながらストライクに目を向けた時、何かを感じ取り瞳が赤みがかった金に染まる

 

 

(なんだ………ストライクから………まだ生きてる……でも、この感覚は………まさか!)

 

 

 

「どうしたマルス!?」

 

 

 

「……ストライク…呼んでる………クリス、ノーヴェさんを頼むよ……」

 

 

そう告げるや否やコックピットハッチをあけ降りる。パイロットスーツ越しでも感じる熱に耐えながらクレータにひざを突き横になるストライクに近寄る。フェイスシフトは生きている。しかし中のパイロットは…最悪な予感が的中しないように祈りながらコックピットハッチによじ登った。切り裂かれたハッチにはエマージェンシーシャッターが見えたが急ぎ開くと熱気が漏れ出し中にはぐったりとしたパイロット。慌てて引きずり出すとストライクから離れた時、火を噴いた

 

 

もし遅れていたらと想うと寒気がした。急ぎ機体から離れゴースト、ニャイア、アストレアがある場所へパイロットを担ぎ歩き出す

 

 

「……骨折はしていないけど脱水症状に打撲……確かゴーストに医療パックがあったはず」

 

 

 

「兄貴!ソイツは?」

 

 

 

「クリス、ゴーストから簡易医療パックを急いで出すんだ……ノーヴェさんは?」

 

 

「ノーヴェなら、水をアストレアから取り出してるけど、アタシに何か出来ることある?」

 

 

「……クリスは簡易ベッドを用意して……応急処置をするからお湯を沸かして!」

 

 

「わかった!」

 

 

簡易ベッドを広げたクリスが湯を沸かしに向かったのを見届け、メットのアタッチメントを解き脱がせた驚愕した……なぜなら此処には居ないハズの人物、プレトレマイオスⅡの中心的人物で雇い主《綾崎翔真》の疲れ果て傷ついた姿

 

 

「な、なんで翔真君がストライクに?……何がどうなってるんだ…………此処はいったい」

 

 

困惑するマルス…しかし今は治療に専念するしかなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Return.Mission:01《…過去へ》side:ASTRAY

「………」


「どうしたのクリス?」


「ソ、ソーナマ……義母…さん…………なんで兄貴をさ…養子にしたの…」


「………………かわいいかったからかな。それに……………良ければはなしてくれない?クリスの知っているマルスを」


クリスの長く絹のような銀髪を櫛でとかすソーナの手から母リネットと同じ温もりを感じている…いや、この暖かさは義兄であるアレスからも感じていたモノと同じと想いながらこたえた


「…………アレス兄貴は今と違ってあんなに笑ったり、焦ったりしなかった……すっっっごい無表情で……でも」



銀髪をクルクルと指先でいじりながら話したのは火星での生活。げひた糞オヤジに娼館に売り飛ばされそうになった時に助けてくれた事。冷たいように見えてしっかり見てくれて学院(オーストレルコロニーのお嬢様学校)に通わせてくれたことを話し始めた…


(……………マルス、アナタこんなにクリスに想われてるのね。御門にノーヴェにアインハルト、戦いが終わったら四人と挙式をあげる場所を考えないと。そして、四人に似た可愛い孫を私にみせて)



すでに先まで考えてるソーナ(義母)でした(笑





「うわっ!8さん、コレは………」

 

 

 

《空間に直接干渉して局地的な歪み…ワームホールを開いたんだ。あんな機体は連合、ザフトにもないぞ………まずいぞノーヴェとクリスが別な方に流されていくぞ!》

 

 

上も下もわからない不思議な空間を落ちていく感覚にとらわれながら《8》の叫びにモニターをみる。クリスのニャイアアストレイ・イチイバル、アストレアF-dashを捕らえる…このままだといけない。そう何か分からない、漠然とした感覚に促されるようにアームレイカーを引き、一気に半回転し押し込む

 

 

「8さん!ゴーストガンダム、ミラージュワゾー!!」

 

 

《がってん承知!》

 

 

Return.Mission:01《……過去へ》side:ASTRAY

 

 

 

 

「な、なんなんだよ!センサーがひっちゃかめっちゃかだろ!?」

 

 

 

「上も下もわかんねぇ!動け、動けったらニャイア!!」

 

 

ハルフォスの生み出した空間…まるで無重力の宇宙に近いもABAC機動も出来ない。水中に溺れるようにもたつく二人の目に光が広がり吸い込んでいく。必死にもがき逃れようとするが逆らえない。その時コックピットに声が響いた

 

 

「ノーヴェさん!クリス!!ゴーストガンダムに捕まるんだ!!」

 

 

「マルス!/兄貴!!」

 

 

炎のように揺らめく光の翼を広げ接近するゴーストガンダム《ミラージュワゾー》…下部に増設されジョイントアームをニャイア、アストレアFは迷わずつかむのを感じ加速する…しかし

 

 

「な、急に吸い込む力が…………ノーヴェさん、クリス、しっかり捕まってて!!」

 

 

 

「わかった兄貴!」

 

 

「ああ…わかった!」

 

 

開かれた穴へ飲み込まれた三機…光に包まれ見えたのは曇天の空の下に広がる海。しかし空に火線、ビームとミサイルが撃ち落とされる光景、戦場の空気にマルスの目つきが傭兵としてのモノへと変わる

 

 

(………機体チェック、ゴースト、アストレア、ニャイアのダメージは……大きすぎる……この場で行われている戦闘状況の情報が圧倒的に少なすぎる…あのガンダムタイプは何が目的でオレたちをこんな場所に転移させた?)

 

 

「8、この戦場すべての通信波傍受頼む……」

 

《了解!》

 

『翔真アアアアアッ!!!』

 

『アァスゥナアアアアア!!』

 

 

全周波域通信傍受モードに切り替えた瞬間コックピットに響いた声はマルス、接触回線を通してクリス、ノーヴェの耳に届く…発信源を捉え見たのはGAT-X105《ストライク》とGAT-X303AA《ロッソイージス》がビームサーベルで切り結び、激しくぶつかり合う光景、ビームサーベルの刃がロッソイージスの右肩を大きく凪ぎ、反撃と言わんばかりに左足…つま先から生まれたビームサーベルがストライクのコックピットを切り払い、モニターが砕けパイロットの姿が露わになる

 

 

「な、なんっう戦いだよ……」

 

 

「…あ、兄貴…どうすんだよ……」

 

 

「………」

 

 

白と赤の影が曇天をすさまじい速さで駆け、何度もぶつかり合う…今の状態のコンディションでは間に入った瞬間、切り刻まれ逃れようがない《死》が待つ。ノーヴェはともかくクリスは戦場の恐ろしさを知らないし二人を守りきれる状態ではない。自分ひとりならと考えたとき、ロッソイージスが変形し多脚アームを大きく開きストライクを絡め取るようしがみついた。中心にある砲に光があつまるスキュラを撃つ気だとわかった。しかし光がきえる装甲が赤から灰色、フェイズシフトダウンしたと気づいた

 

『ち!パワー切れ!!』

 

 

 

『まだやれる!アスナ…恨むなら恨んでくれて構わない!」

 

ストライクはロッソに拘束されたまま、右の両腰ホルダーからアーマーシュナイダーを取り出しコクピットに突き刺そうと構えた…

 

『く!まだ私は!』

 

迫る刃を前に右操縦桿付近からキーボードを出し素早く番号を打ち、ハッチを開くや否や飛び出し離れた

 

『……まさか、自爆!!』

 

 

引きはがそうともがくも間をおかずに空中でストライクを拘束するロッソイージスの身体から光があふれ瞬く間に二機は凄まじい爆発、閃光に包まれ呑み込まれ、その衝撃波は空中にいるゴーストガンダム、ニャイア、アストレアを巻き込んだ

 

 

Return.Mission:01《過去へ……》side:ASTRAY

 

 

 




閃光はすべてを飲み込んだ

幽霊を駆る少年とストライクのパイロットと出逢いは何をもたらすのか?


Return.Mission:02《幽霊(ゴースト)と翔真》side:ASTRAY


この世界に来た意味は?



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report:ソレスタルビーイング

ソレスタルビーイング…天上人の意味を持つのは知っているだろうか。

 

 

現在、この世界には二大勢力が存在する。一つはIS学園を母体とし様々な研究機関、支援者により生まれた《ザフト》、そしてザフトに対して危機感を覚え各国(経済産業および軍需関係)が集まり生み出した《地球連合》

 

両者は互いを牽制しながら大規模な戦闘行動を継続している。戦火は拡大し連合、ザフトに帰属しない国家などでは政治、経済的に不安定になり紛争が勃発するのが当たり前になっている

 

連合、ザフト両者はそのような状況に他国が陥る中でも戦いを止めない

 

 

……この戦いは両陣営どちらかが滅ぶまで終わらないのか?

 

 

しかし、そのような状況にくびきを撃つモノが現れた

 

 

     ーソレスタルビーイングー

 

 

先に述べたこの言葉は組織の名前でありザフト、連合

の戦いが行われる場への武力介入、そして人命救助まで行う彼らに対しての世論および一般人からは『戦闘状況を混乱させるテロリスト』、『自らの行いを正当化するための売名行為』だの誹謗中傷が流れている

 

しかし、果たして彼らは世間、世論がいうよう行動しているのだろうか?

 

 

私、ジェス・リブルはアマゾンで連合との戦闘から帰還中の《ソレスタルビーイング》所属機に接触し同行取材を申し込んだ

 

 

これは、私自身の目からみた彼らの同行取材の記録である

 

 

 

report:ソレスタルビーイング

 

 

 

「………すげぇな。コレがトレミーか…」

 

 

 

「あ、あのジェスさん。あまり見たりさわったりは…」

 

 

「あ、悪かったな。しかしマルスがこの世界に来てるなんて本当に驚いたな~」

 

 

茶髪の少年…マルスの肩を叩きながら歩くカメラを片手に歩く青年《ジェス・リブル》が懐かしそうに話しかけながらトレミーの艦内通路を抜けブリッジに入る

 

 

「ココがブリッジか~」

 

 

「マルス?ソイツは?」

 

 

「ああ、翔真さん。彼は」

 

 

「あんたがこの艦のリーダーか?あ、俺はジェス・リブル。フォトジャーナリストだ」

 

 

「……あ、あ…よろしく。俺は綾崎翔真だ(ジェス・リブル……な、なんでこの世界に?)」

 

 

「早速何だけど。俺にソレスタルビーイングの密着取材をさせてくれ!頼む!!」

 

 

挨拶を終えるといきなりの取材申し込をんできた。なぜジェスがいるのか困惑しながらもうなずくと好奇心いっぱいの瞳を向け笑顔を向けてきた

 

 

「ありがとうなショウマ。じゃあさっそく一枚いいかな?」

 

 

ニカッと笑いかけるジェス。ブリッジにいるメンバーと翔真、同伴してきたマルスと共に並んだのをみてカメラを構えた

 

「よし、とるぞ」

 

 

乾いた音とまばゆいフラッシュが輝く…それからしばらく会話し、ブリッジをでて食堂へと歩き出したジェス、マルス、翔真

 

 

「なあ、翔真。マルスってもてるのか?」

 

 

 

「ああ、実は…」

 

 

「し、翔真さん!プライベートなことは!ジェスさんも聞かないでください?ノーヴェさんとアインハルトの……はっ!?」

 

 

「自分で暴露するなよマルス…」

 

 

「なるほど、なるほど二人もいるのか~」

 

 

 

慌てふためくマルスをからかう翔真、それを面白そうにメモするジェス。この時の出会いがソレスタルビーイングに希望をもたらすことになるのは少し先の話だ

 

 

report:ソレスタルビーイング

 

 

 

 

 

 



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Return:Mission03《動き出す幽霊(ゴースト)、そして接触する者》

ラー・グスタ襲撃から半日過ぎた。襲撃した三機のMSはある小島、正確には偽装した秘密ドッグ兼拠点にいた


「切歌、機体はどうかしら?」


「さっきパーツ交換は終わったです。あのジェガンE…アレス隊長の設計した機体に傷をつけたこと後悔させてあげるです!」



「落ち着いて切ちゃん……でもアレスにぃのMAを確認できなかったのが問題…でも無事で良かった」


ジェガンEの攻撃で潰された右腕とマニュピュレーター修理と交換を終えた機体の前で憤る切歌をなだめる調をみながらマリアは自身の専用機に手を触れる…マントに身を隠した機体は隊長であるアレスが設計した


「切歌、調、まだ機会はある。ソレまで地球の重力に馴れてる必要があることを忘れてはいけないの………それに万が一に備えたアレス隊長に託された《アレ》を渡すのが使命であることを忘れてはいけないわ」



「わかってるです。私たちの機体にあるアレを」


「………アレス隊長が開発した《アレス・リアクター》を必ず」



三人は顔をあわせ頷き機体を見上げ浮かぶのは初めてアレスと出逢った日の記憶



爆発の炎に焼かれる建設中のコロニーにある一画にある崩壊寸前の街、穴だらけで焼け焦げた服に身を包んだ少女マリア、切歌、調の前にフレームがむき出しの黒いMS…その手に守られる三人に黒塗りのパイロットスーツに身を包んだアレス、赤金に輝く瞳を向けていた


ー…………生きろ…頼む、生きてくれ…ー



「必ず届ける………次はプトレマイオスへ向かうわ…アレス隊長、必ずお助けいたします」


力強く誓って数日後、準備を終えた三人は複数ある拠点の一つであるココを破壊し後にし飛翔した






「……何で翔真さんが?……でも機体はストライクなんておかしい。それにロッソイージス……」

 

 

《……マルス、わかったぞ……落ち着いて聞くんだぞ?さっきデータリンクを介しわかったことがある…俺たちは今、二年前の時代に居るんだ》

 

 

「に、二年前の世界!?……まさかここは」

 

 

《そうだ。二年前のIS世界で起きた戦いの待ったただ中にいるんだ…》

 

 

8から告げられた言葉に驚くと、背後に何かが落ちる音が響く…あわてて振り返るとクリス、ノーヴェがいて足下には薬と包帯が収められたらサバイバルキット、お湯がこぼれ地面を濡らしてる

 

二人の表情からみて、8の言葉を聞いてしまったのと、さらに簡易ベッドに寝かされている翔真をみて困惑しているのがわかる

 

 

「に、二年前ってマジなのかよ」

 

 

 

「あ、兄貴…」

 

 

 

「すこし静かに…治療が終わってから考えようか……」

 

 

 

困惑しながらもマルスの言葉に従う二人と共に治療を始める…捻挫と打ち身、高温にさらされたせいか脱水症状もあり軽傷にみえるも油断はできない。それ以上にココが二年前の世界ならば未来からきた自分やノーヴェ、クリスが居ることで後々の時代に大きな悪影響を与えてしまう可能性がある

 

 

今の時代は愚か、自分たち三人は存在していない…つまりはイレギュラーだ。もしかしたら歴史を変えてしまったんじゃないかと感じながら治療をつづけ、様々な判断を繰り返しなから元の世界に帰る方法、ソレまでの自分たち三人の身の振り方をどうすればと思った時、ゴーストガンダムのコックピットから通信を知らせるアラートが鳴り響いた

 

 

 

 

Return:Mission03《動き出す幽霊(ゴースト)、そして接触する者》

 

 

「兄貴?通信なってるけど……」

 

 

 

「………………クリス、ノーヴェさんと一緒に彼を…翔真さんを看てて」

 

 

「なら、アタシも…」

 

 

 

 

呼び止めるノーヴェの声を背に受けながらゴーストガンダムのコックピットへ入りハッチを閉じるマルス。発信者は不明…この時代には自分たちを知る人間はいないはずなのにと想いながら開く

 

 

ー魔法少女レヴィアたん♪言うこと聞かないとお仕置きしち・ゃ・う・ぞ♪♪ー

 

 

(セラお、おばさ……ん?)

 

可愛らしくポーズを決めるセラフォールの映像にずっこける……………改めて注意深くみると映像に高度に暗号化された文章が断片的、いや明らかに 意図的に組み込まれていると感じた。8に頼んでバイオコンピューターでフィルターをかけ解析しでたのはあるメッセージ

 

『………この暗号を解き、このメッセージを聞いている方へお願いします。彼を…綾崎翔真を助けてください……』

 

 

 

言葉の端々から切実な願い。マルスは驚きながらもシートに座り響く声に耳を傾け目を閉じた…誰が聞くか知らないのに関わらず危険を承知で翔真を助けたいと願うメッセージはある決意をさせるのに充分、やがてゆっくりと目を開きメッセージに対し短い文章を送った

 

 

    ーわかりました………、依頼を引き受けますー

 

 

と。返信後にすぐに合流の座標を示すデータが送られてきた…メッセージの主は待っていたのだとわかった、映像に隠された真実に気づく誰かを。自分に不利益になる人物がみているかもしれないというのに

 

 

ー傭兵とは牙無き依頼者、力があれど振るえない者の想いに応え、その者の剣となり戦える者だー

 

 

 

傭兵となって最初に劾から聞いた言葉を胸にし、ゴーストガンダムのコックピットからおりて翔真の容体を観るノーヴェ、クリスも気付いたのか駆け寄ってきた

 

 

「アニキ。通信って誰からなんだ?」

 

 

 

「もしかしてあたし達以外に」

 

 

 

「…通信は僕たち以外に来た訳じゃないんだ…………実は依頼だったんだ…翔真さんを助けてほしいって」

 

 

「翔真を?でも今の時代でなにかしたら…」

 

 

「大丈夫…いい方法を思いついたから。もちろん帰る方法も必ず見つける。安心してノーヴェさん、クリス」

 

 

「う、うん、わ、わかったから…離せよ」

 

 

 

「あ、ご、ごめん……イタッ!?クリスなんでつまむのさ!?」

 

 

 

「べつに…(ずりぃ、アニキから抱きしめられるなんて……べ、べつにうらやましいからじゃないし……でも……ああ~こ、今回はゆずってやんよ!でも次はあたしのばんだかんな!)」

 

 

いきなり抱きしめられ顔を髪と同じぐらいに真っ赤にするノーヴェ、ぷく~と頬を膨らませ肘うちするクリスを必死になだめながら先の通信内容を教え、今後の自分たちがどう動くかの方針を話し始めた頃

 

 

 

「翔真は無事か………でも暗号解読してわたしのところにメッセージを送るなんてただ者じゃないか」

 

 

少女の前にある画面にはあるメッセージと共に送られてきたモノ…添付されたデータ解凍し見えたのはメガネをかけたマルス、ノーヴェ、クリスの紹介文

 

 

 

ー…………わかりました、僕たち…海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》はあなたからの依頼を引き受け必ず彼、綾崎翔真を送り届けます。その際には医療スタッフを手配を、報酬に関しては依頼者であるあなたにじかにあって話し合いたいと思います……海賊傭兵《クロスボーンバンガード》リーダー、フォント・ボー、同メンバーユキカゼ・パートネート、レオン・ミシェリー

 

 

 

「海賊傭兵……クロスボーンバンガード?初めて聞く名前だけど信頼していいよね(……フォント・ボー?フランス料理の調理方フォンドボーのもじりよね?でも信じるしかないか)」

 

 

端末を閉じた少女…アリサの後ろには海賊の名を、そして自由の名を持つ機体が二機ハンガーに固定されている…海賊の名を持つ機体、XM-01《クロスボーンガンダム・フルクロス》は同じ血を受け継ぐ機体《幽霊ーゴーストー》がくることを待ち望むよう双眸が微かに輝いた

 

 

 

海賊傭兵ークロスボーンバンガードー…果たしてこの世界から元の時代へ帰る手段をみつけられるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Parts:00『新たなアストレイ』side:ASTRAY★

コレは護衛任務を終え、トレミーに帰投した翌日の事。誰も居ないMSデッキで一人、何かをいじっている。柔らかい材質で出来た色違いの丸い球体が五、六個ある。慣れた手つきで工具を使い最後に回路を接続すると丸い球体達が一斉に動き出した

《ハロ!マルス!!》


《マルス、整備ありがとう。ありがとう》


「どういたしまして、みんなドコも異常は無かったよ。でも《ピンクちゃん》と《イエローくん》は少しおとなしくしてね」

《わかりましたわ~》


《いぇっさ~》


丸い球体達に囲われ笑みを浮かべるマルス、足元から緑に銀が混じったカラーのハロが転がっていくのを見て振り返ると碧銀の髪を揺らし学生服姿の女の子が足下ではねるハロにあたふたしている

《ハロハロ!?マルス、お客さん、お客さん》

「グリーンくん?……はい大人くして、困ってるだろ」

「い、いえ困ってないですし…あの、この子ハロっていうんですか」

「うん、ここのMSの整備を手伝う仲間だよ…確か君はナカジマさんと一緒にいた……」


「あ、申し遅れました。私はアインハルト・ストラトスです。えとマルスさん?」


「い、いや。女の子が朝早くに何しに来たの?あんまり面白くない場所かも……ストラトスさん」

MSデッキはパイロット、整備に関わる人間が集まる場所。年頃の女の子には面白いとは思えないと素直に言ったマルスに少しだけ笑みを返した


「そんなことありません。ハロがたくさんいて、色違いの子達も個性的で…それに可愛いです」


「じゃあ、ストラトスさんに懐いてるグリーンをあげるよ」


「え?良いんですか?」


「うん、それにストラトスさんが使うデバイスと同じ機能も持ってるし、それに自己学習型だからどんどん賢くなるんだ……」


《ハロ、アインハルト。よろしく、よろしく》

《ハロハロ!友達、アインハルト友達、友達》



《マルス、友達。アインハルト、友達♪》

「こ。こらみんないっぺんに来たら………うわあ!?」


「きゃ!?」


足下ではねるハロを思わず踏み大勢が崩れた二人、そのままもつれ合うように倒れた

「た、たたた…ストラトスさん?だ、だいじょ……はう!?」


「あの?マルスさ……………………!?」


顔を起こしたマルスが見たもの…魅惑の緑と白のストライブ、そしてまだ肉付きが少ない太もも、甘い匂い…紐縞パンが後数センチすれば触れるぐらいの顔面に跨がれるような位置、対するアインハルトはマルスの股間に手をおき軽く握った状態……僅かな逡巡


「き、きゃあああああああ!?」


「ブ、ブウウウウウウァ」

アインハルトの叫びと共に体勢を直した瞬間、顔面を思いっきり殴られ鼻血を吹き出しながら弧を描き冷たい床に落ちた

それから医務室で意識を取り戻したマルスはノーヴェとソーナ、セラフォールの力を借りて何度も頭を下げた末、ようやく許してもらえた


ただし許す条件にマルスが今は亡き拳神バリー・ホーから学んだ格闘術を教えるということで………


一年半年前

 

リ・ホーム

 

 

「ん~ボディは使えるか……しかし何なんだコレはΔ、連合のG系X105に似てるし…8はどう思う?」

 

 

《わからない。装甲はVPSってのは解るがメインフレームにアクセスしようにもプロテクトが堅すぎるぞ?》

 

 

「やっぱりか……マルスが劾のとこ行く前に詳しく調べたかったんだけどな…しゃあない。プロテクト解除はあとにして機体を復元するぞ」

 

 

《了解~ならアメノミハシラでミナの機体の余剰パーツで脚と拾ったパーツで腕が作れるぞ?》

 

 

「おし、なら善は急げだ」

 

 

8の言葉に頷くロウ、大小様々なクレーンアームがジャンク品から腕?らしきものを引きずり出し装甲を取り外し、様々なケーブルにつなぎ動作チェック、隣のベッドに一人歩き出したロウはかけられていたシートを引き剥がす。その下には金属色の塗装すら施されていない完成品の脚部がさらされる

 

 

「待ってろよ、完璧に仕上げてやるからな……エクシェスいや《アストレイ・エクシェス》」

 

 

脚部が置かれた先にあるケージに固定された胴体…殆どの装甲が外された《エクシェス》。ロウの言葉に応えるかのように双眸に光を見せた

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

すべて(記憶)を失った復讐鬼《アレス・ルセディス》の愛機《エクシェス》はASTRAYー王道でないーを駆る者《ロウ・ギュール》、《8》の手で新たな手足を得て生まれ変わる…

 

 

Parts:00《新たなアストレイ》side:ASTRAY

 

 

「手と脚の接続とパワーシリンダーアッセンブリよしっと。装甲は発砲金属にVPSハイブリッドになるか…8~武装のレストアはどうだ?」

 

 

《基礎部分は終わったぞ。ただエネルギー食いだなコレは》

 

 

「…どれどれ………ん~確かにな……ならコイツはどうだ?」

 

8のディスプレイにカタカタと打ち込むのはあるシステム。エネルギーカートリッジを装填、必要なエネルギーを基部に備え付けられたらエネルギーチャンバーへEカートリッジを送り使うモノ

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

これなら本体からのエネルギー供給を無くし、稼働時間を大幅に伸ばせる。それにEカートリッジはユーラシア連邦とアクタイオン社が開発したCAT-X《ハイペリオン》シリーズの武装にも採用されているし、カートリッジ自体容易に手に入るためコストも供給も安くすむ。8はロウのアイデアに賛成し早速製作に入る。もう一つの修復武器ドラグ・リムにも組み込んだ

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ドラグ・リムは量子通信を使った浮遊砲台のみならず、相手をつかみ挟みきり更には変形し身の丈を超える超高出力ビーム剣《ライオットザンバー》へ変わるマルチウェポンとしての姿を持つ。当然エネルギーを喰うためだ。固定されたライオットザンバーモードを起動。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「マジでエネルギーくいだな」

 

 

凄まじいまでのエネルギーが溢れた極厚のビームの刃でジャンクとして置いてあったコロニーシャフトを切ってみたら手応えを感じさせずに溶断、威力に満足しながらエネルギー供給を止めドラグ・リムへともどす

 

 

 

 

 

《ロウ、あとはVLの調整だけだな?》

 

 

「ああ、実はソレなんだけどさ。ストライカーパックをつけられるようにしたいんだ。マルスも傭兵になるんなら状況にあわせた装備が劾みたいに必要になると思うからさ…」

 

 

《まあ可能だぞ?ストライカーパックは優秀だからな》

 

 

「よし、じゃあ早速プラグをつけてみるか」

 

 

《もう作ってたのかよ?》

 

 

「まあな。んじゃ手伝ってくれよ」

  

 

《┓( ̄∇ ̄;)┏》

 

 

…文句をいいながらも背部VLユニットを取り外し、露わになったフレームにストライカーパック装備用プラグを組み込み調整するロウ、もちろん連合系ストライカーのほかにザフトのニューミレミアムシリーズのウィザードと(こっそりシルエットもつけられるようにしていたのは秘密だが)装着可能な追加改造も

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

そして、マルスが劾達の元へ向かう日がきた

 

 

「ロウさん、樹里さん、8さん、ジョージさん、プロフェッサーさん、リアームさん、今日までいろいろありがとうございました」

 

 

「マルス、身体には気をつけてくださいね」

 

 

「傭兵が嫌になったらギルドにいらっしゃい。仕事なら幾らでも斡旋するわよ」

 

 

『キャプテンだ……なにかあったら何時でも呼びたまえ!星の海の果てからでも駆けつけるぞ!!』

 

 

《向こうでも元気でやれよマルス》

 

 

「え~ん。もうマルスの《見た目はアレだけど激ウマ混ぜご飯》が食べられなくなるよお~」

 

 

別れを惜しみながらも新しい門出を祝うリアーム、プロフェッサー、ジョージ、8、樹里…半年間、一緒にお宝を探したり、150ガーベラでシャフト袈裟切りするのをみたり、初めて任されたMSがキチンと修理出来た時はすごく嬉しかった

 

でも、自分の中で何かが噛み合わない…叢雲劾と出逢った時に浮かんだ言葉がまるで《お前の居場所はここじゃない》と囁いた

 

でもジャンク屋をやるのも悪くないし、嫌いじゃない…悩みに悩み抜いた末に出した答え《サーペントテールに入る事》だった

 

 

長いようで短かったジャンク屋生活も終わり、傭兵としての新たな道が開く

 

「マルス、劾達の所に行く前に渡したいモノがあるんだ」

 

 

ロウに手招きされ向かったのはMS格納デッキ。レッドフレームがあるハンガーの隣にはシートに包まれたMSハンガー。ニヤリと笑いながらシートを一気に引っ張る。その下から現れたのは一体のMSが姿を見せる

 

蒼みかかった黒地の装甲、脚部は天ミナ、両腕はX105、200系。胴体は自身が半年間冷凍睡眠していたMSのボディーだとわかった。さらに特徴的なのは背中にある翼…VLユニット装備した姿に言葉を失うマルスにイタズラが成功したような笑顔を見せた

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「どうだ、すごいだろ。俺からの餞別だ。名前はアストレイ・エクシェスだ」

 

 

 

「………ロ、ロウさん?いくら何でもMSまで…」

 

 

「コイツはお前と共にあった。マルスの命を半年も守っていたんだ……つまりはお前に取って半身だ。一緒につれていきなよ」

 

 

少し考え込み、やがて黒いMS…アストレイ・エクシェスの足下へ歩き出した。そして昇降床に乗りコックピット近くに上昇、ゆっくりと手を添えた

 

 

「………アストレイ・エクシェス。僕の命を守っていたんだ…と一緒に来てくれるかな?」

 

 

マルスが声をかける、しかしMSであるエクシェスは答えない…しかし連れていってくれと声が聞こえた気がした

 

「ロウさん、アストレイ・エクシェス。ありがたく使わせて貰います」

 

 

「いいって、それより機体もだが《身体》に何かあったらすぐに連絡しろよ?火星にいても、すぐに駆けつけてやるぜ」

 

 

「何から何まで、本当にありがとうございます…皆、本当に、ありがと…ございます」

 

 

涙声で礼をいうマルス…それから数時間後、劾が用意した輸送船にエクシェスを積み込みアジトへ向かうマルスをレッドフレームで見送った

 

 

アストレイはパイロットと共に成長する…新たなアストレイ《エクシェス》はマルスと共に戦場を駆けながら自身のルーツを探す。その果てに待つのは本人はおろか誰も知らない

 

 

 

 

 





現在より少し先の未来……



「そこをどけよ……仇を討たせろ、母さんとじいちゃん、ハーティ、ノイン姉さんの仇を……」



『止めろマルス!んなことやってもノインは喜ばねぇってわかんなぇのか!!馬鹿マルス!!』



『やめて、復讐なんて馬鹿げてます!マルスさん…何時もの優しくて天然でコケたら押し倒すアナタに戻ってください!!』



「ナカジマ、ストラトス……………俺はマルスじゃない……俺は」


光の翼を輝かせるアストレイ・エクシェス…完全形態となったエクシェスに必死に呼びかけるアストレアF-Dash…ノーヴェ、アディナルガンダム…アインハルト。背後には推進力を失ったトレミー。無情に両肩のドラグ・ファングが上下に開く、パルスレーザーが照射。プラズマが収束と圧縮、結晶化寸前まで高まり周囲に凄まじいまでの放電現象が荒れ狂う


「………俺はアレス・ルセディスだ!!」








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Return:Mission04《接触と極寒の空を舞う蜃気楼鳥ーミラージュ・ワゾーー》(前編)side・ASTRAY:副題第一期《第111話「幻想殺し対超能力兵士」》

コレは戦場に存在したモノの話だ

…戦場に胸元に骨を交差し髑髏のマークをつけ全身から紅蓮の火を吹くMSが現れるという噂を


ある者は怒り狂うMSに命を助けられ


ある者は怒りの炎に触れ燃やし尽くされた


ある者は幽霊に付き従う赤いMSと猫みたいなMSをみたという


現れるのと同じように瞬く間に姿を消すMS…戦場で出会ったモノたちから《ゴーストー幽霊ー》、胸元にある骨を交差した髑髏から《クロスボーン・バンガード》と呼ばれ恐れられるも、ある時期を境にその姿を消した


コレは全身に炎を燃え上がらせる幽霊ーゴーストーが姿を消すまでの物語




今回はオリ主が……第一期の第111話「幻想殺し対超能力兵士」の事件の裏での物語ーside:ASTRAYー



「…………ん~パワーシリンダーは……ハイドロの質が低いか…この時代に純度の高いハイドロは無いか。ニャイアは変形時のOSを変更すれば問題なしか」

 

 

「アニキ、ニャイア動かせないのか?」

 

 

「いや、変形したときに関節にかかる負荷ががね…ハイドロが交換できれば問題ないけど。でも」

 

 

ニャイアから目を離し向けた先にはGNバーニア、スラスターかボロボロになったアストレアF-dash…その足元に佇むつなぎ姿のノーヴェ…そっと傷ついた装甲に手をふれている

 

 

「どうしたの?」

 

 

「……ゴメンなアストレアをボロボロにして…あたしがあの時無茶しなければ…」

 

 

「……でも、あの時の判断がなかったら、こうしてココにはいられなかったし…それにアストレアも僕たちを守り切れてうれしいって思ってるよ。昔さ、ある人が言ったんだ『メカには意志がある』って…アストレアは想いに応えてくれたんだ……だから落ち込まないで」

 

 

「う、うん…ありがと」

 

 

ゆっくりと諭すように話しかけながら肩にそっと手をおくとゴシゴシ目をこすりながら手を重ねる…言葉よりも手と手を重ね伝わる鼓動とぬくもりは落ち着かせるのに充分。素直な自分をさらけ出しうなずくのをみてドキリとなる、どことなくいい感じな雰囲気になった時、整備端末が鳴るとあわてて離した

 

 

「………あっ」

 

名残惜しそうにふれていた手の温もりをかんじながら正面モニターに背中まで伸びた金髪、アメジストを思わせる色の瞳に優しい顔立ちの女性が映し出された

 

 

 

 

Return:Mission04《接触と極寒の空を舞う蜃気楼鳥ーミラージュ・ワゾーー》(前編)side・ASTRAY(オリ主が第一期、第111話)

 

 

 

 

 

 

ー聞こえてるフォントくん、ユキカゼちゃん、レオちゃん。少しあなた達の力を貸してくれないかしら?ー

 

 

「力?……………もしかして依頼ですか?」

 

 

ーええ、今から数時間前、篠ノ之束さんがIS学園から失踪したらしいの…わたしのほうで知り合いに頼んでみたら………ー

 

 

 

 

『篠ノ之束ならロシアにいる………あと昔のよしみだから教えてやるがロシアはMS技術を喉から手がでるほと欲しがってた、だから誘拐したのさ…あとロシア暗部組織が所有する基地は一定の連絡が途絶え20分したら、襲撃されたと判断し証拠隠滅の為に核ミサイルを撃ちこみ木っ端微塵にする算段だ。まあ篠ノ之束を助けに向かう奴がいるはずがいないだろうが………なんだデュノア?急に黙り込んで……………まさかそんなバカがいるのか!?』

 

 

 

「ま、まさか……翔真さんは篠ノ之さんが捕らえられている基地に」

 

 

ー残念ながらそうなの。助け出せたとしても20分じゃ基地から脱出は愚か安全圏へ逃げ切れないし周囲にある都市に新型ハイドロ開発をしている学者たちがいるし、その事実を知らず過ごしている街の人々がいる。核ミサイル迎撃ミッションをフォントくん、海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》に依頼したいんだけどー

 

 

 

「わかりました。海賊傭兵《クロスボーンバンガード》、マリアさんの依頼を引き受けます」

 

 

 

ーいつもこんな事頼んでごめんね。報酬なんだけど新型ハイドロでどうかしら?あと、こもりっきりもなんだし私のコテージ貸してあげるわー

 

 

「え、でも……新型ハイドロはありがたいですけど、さすがにソコまでしてもらうわけには…」

 

 

 

ーいいのよ。若いのに地下にこもりっぱなしは身体に悪いし、ユキカゼちゃんとレオちゃんはわたしと一緒に海水浴楽しんでるから……じゃ頑張ってねー

 

 

笑顔で手をヒラヒラさせると通信が閉じた…フォント、いやマルスは眼鏡越に鋭いまなざしを見せた

 

 

「………ユキカゼさん、レオ、マリアさんから依頼だ…僕はロシアに向かう」

 

 

「え?じゃアニキ一人で任務に?無茶だろ!!」

 

 

「無茶だよ!アタシ等の機体のコンディションだってギリギリだしまともに動けんのがゴーストだけだって知ってるけど…」

 

 

「僕なら大丈夫。傭兵だし…それに、この時代の翔真さんや一夏さんを死なせるわけにはいかない……ここが手薄になるからマリアさんの護衛を頼むよ。またあとで」

 

 

「ま、まってアニキ…」

 

 

レオ……クリスの言葉を背に受けながら昇降台に乗りゴーストガンダムのコックピットに近づく。音もなく開くハッチの中へ滑り込むように座りながらアタッシュケースに話しかけた

 

 

「八さん、起きてる?」

 

 

ーああ、起きてるぞ?もしかして任務か?ー

 

 

「うん。核ミサイル迎撃ミッションを依頼されたんだ…ミラージュワゾー使えるかな?」

 

 

ー使えるぞ。ただし30分が限界だー

 

 

「それだけあれば充分かな…‥」

 

 

話しながら各部チェックをする…コンディションはギリギリでグリーン。発進シークエンスに入りリニアカタパルトが無人島の地表に展開しガイドが輝く中、サブモニターに心配そうに見守るユキカゼ…ノーヴェ、レオ…クリスの姿をみてゴーストガンダムの腕が動きサムズアップするのをみて少しだけ笑みを浮かべるのをみてから目を閉じる

 

 

ーマルス、スタンバイOKだ!ー

 

 

「…………フォント・ボー、ゴーストガンダム……ミッション開始する!!」

 

 

電磁反発により勢いよく打ち出されるゴースト…向かうはロシアの暗部組織にとらわれた束を助けに向かった翔真、周辺都市を核ミサイルの驚異から護るために一条の光となり凄まじい加速に耐えながら、二週間前、翔真をアリサとマリアのもとへ送り届けた際に聞いた翔真の過去を思い浮かべていた

 

 

 

Return:Mission04《接触と極寒の空を舞う蜃気楼鳥ーミラージュ・ワゾーー》(前編)

 

 

 

 



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Return:Mission04《接触と極寒の空を舞う蜃気楼鳥ーミラージュ・ワゾーー》(後編)side・ASTRAY:副題第一期《第111話「幻想殺し対超能力兵士」》

「劾、どうだった?大東との交渉は」


「………依頼を引き受けることにした…」


「そうか……もしかしたらマルスとやり合う……厄介な事になるかもな」



「劾!マルスと戦うのか!!」



二人の会話に割って入るのはサーペントテール2…イライジャ・キール。彼にとってマルスは戦友であり弟分として共に任務に当たり兄弟のように仲が良かった。だからこそ感情的になってしまうのも無理はない


「待てよイライジャ、何もマルスと真っ向から戦う訳じゃない。それにだ依頼内容には戦う事は含まれてないんだ」


「でもなあ…劾はどうなんだよ」


「………依頼を引き受けることには変わらない。イライジャ、この依頼から降りてもかまない」


「…………………オレは降りない。依頼人とじかにあってから決める…ロレッタや風花は知ってるのかよ」


「ああ」


そっけなく言う劾…しかしイライジャは無理やり納得するしかなかった、劾もマルスのことには目をかけていたのを知っていたからだ


「わかった。じゃあ機体の整備やるからいくからな……………なあ、劾」


「なんだ」


「………なんでもない……」


それだけいうとMSデッキへと向かうイライジャを無言で見送る劾、リード……サーペントテール同士の戦いが現実になる日がこないことを祈るしかなかった


「8さん!核ミサイル発射予測地点は!?」

 

 

ー今、予測発射地点検索中………絞り込んだが大きく分けて四つだー

 

 

赤い炎…ファントムライトを揺らめかせながら全天周モニターには連合ロシア暗部組織が所有する衛星からから核ミサイルが撃たれるであろう弾道予測データ。しかも四方向。その中から一つを確実に選ばなければならない事実に焦りの色が見えた

 

翔真がクロスボーンガンダムX1・フルクロスで束が捕らわれた基地へ強襲をかけて15分、ミサイル発射まで5分…一刻も早く絞り込まなければならない

 

 

(…………どうする…8さんのおかげで四つにまで絞り込めたけど綱渡りな状況、ミサイル発射から着弾まで予測時間は五分。四方向とも距離は変わらない、もし間違えたら翔真さんはおろか周辺都市が…どうすれば……考えるんだ……でも時間が)

 

 

成層圏すれすれで滞空するゴースト…眼下にはロシアの大地、そして連合暗部組織の基地が米粒のよう見える。四方向のうち一つが間違いなく核ミサイルが発射される衛星…弾道予測、迎撃可能な時間、成功率を何度も繰り返し判断するも絞り込めない。傭兵になってからこんな状況に置かれたことは多々あったが、一人で行うのは初めて。フォントことマルスの思考速度はすでに限界を超えようとした時、何かとつながる感覚にとらわれた

 

 

(な、なんだ………核ミサイル……アソコから?…)

 

 

赤金に瞳を輝かせながら様々な情報が堰を切ったような溢れかえり四方向のうち一つから何かを強く感じる……理屈じゃない何かに引き寄せられるようアームレイカーを勢いよく引き伸ばし左右勝手反対に回し込み押し込み叫んだ

 

 

「8さん!ゴーストをミラージュ・ワ……っ!?」

 

 

鼻に違和感を感じ手で拭うと真っ赤に手の甲がそまる…鼻血がでている、しかし今はそんなことは気にしてはいられなかった。再びアームレイカーを押し込むとゴーストに変化が起きる。頭とバックパックが90度後ろへ、胸から下が二つに別れ両脚が左右に開きロック、最後に両腕が顔を隠すように背中へ向く

 

 

「………フ、ファントムライト展開!ミラージュ・ワゾー……いくよ!!」

 

 

 

ーサポートは任せろ!!ー

 

 

赤い炎、ファントムライトが展開と同時に加速し瞬く間にマッハ15を超え激しいGが全身に襲いかかった

 

 

 

 

Return:Mission04《接触と極寒の空を舞う蜃気楼鳥ーミラージュ・ワゾーー》(後編)side・ASTRAY:副題第一期《第111話「幻想殺し対超能力兵士」》

 

 

 

同時刻、マリア・デュノア所有の島

 

 

さんさんと太陽の日差しが白い砂を照らし、波が押し寄せる海岸におかれたビーチパラソル。その下に座るユキカゼ、レオがジッと空を見上げている

 

 

「ユキカゼちゃん、レオちゃん、なにたそがれて~る~の~♪♪」

 

 

「うわっ!」

 

 

「ひゃあ!?」

 

 

頬にいきなり冷たい感触に軽く声を上げる二人の背後にはこの島の持ち主でありフォントことマルスを匿っているマリア・デュノア、その手にはトロピカルジュース二つ握られ、イタズラが成功した子供のような笑顔をみせながら間に座り手渡した

 

 

「お、おどろかせるなって毎回言ってるだろ!?」

 

 

「そうだ!アニキから任務ってきいて来てみたら海水浴って……あたしたちはマリアさんと遊んでるヒマは」

 

 

「ノンノン、あんな暗い場所に籠もりっきりより、たまには外にでて太陽を一杯浴びなきゃだめよ~♪……女の子なんだし偶には私と話しをしましょ♪」

 

 

「い、いま、そんな気分じゃ」

 

 

「フォントくん……マルスくんの事が心配?」

 

何気なく、さも当たり前のようにでた言葉に二人は顔をふせ小さくうなづいたのをみて軽いため息をついた。二週間前にマリアとアリサがいる孤島に傷ついた翔真を連れ現れた傷だらけのMSから降りてきた三人はアリサに翔真を預け連れて行ったのを見計らって二人を残しマルスはマリアに報酬に関しての交渉を始めた

 

しかし交渉よりも海賊傭兵《クロスボーンバンガード》のリーダーを名乗るマルス達の機体もみたこともない。ただゴーストと呼ばれる機体がアリサが作ったクロスボーンガンダム・X1《フルクロス》と似ている。必要以上に素性を隠そうとする態度を言葉の節々から疑問を持ち思った踏み込んでみた

 

 

『もし間違えていたらゴメンね………あなた達は《この世界の先》から来たの?』

 

 

『……………!』

 

 

ほんの一瞬、身体が震えたのをみてマリアは悟った…わずかな間をあけサングラスを外したマルスは語り始めた。その事実に驚きながらも交渉し決まったのは大きく分け、

 

 

一、海賊傭兵《クロスボーンバンガード》をマリアが個人的に雇う(またの名をかくまう)。そして、この時代の翔真、一夏とは接触をせずに二人の行動を気づかれないよう影からサポートする(帰還するまで)

 

 

二、もし帰る手段が見つかり帰還した場合は自分たちがいた痕跡を完全に消し去る(不慮の事故等で目撃された場合は除く)

 

 

 

三、自分たちのことは偽名で呼ぶこと

 

 

そして四番めの条件…それを思い出しながら二人の頭を優しく手をおき撫で始めた

 

 

「な、なんで撫でるんだよ!やめろったら!?」

 

 

 

「も、もう子供じゃないんだから……なでるな~」

 

 

 

「てれない、てれない……安心なさいフォントくんは必ず帰ってくるわよ。あなた達を誰よりも大事にしているんだから」

 

 

「あ、当たり前だろう。アニキは約束を必ず守るからさ」

 

 

「そうだな。帰ってくるまで楽しませてもらうかな」

 

 

顔を見合わせ笑顔になり海へ羽織っていたパーカーを脱ぎ捨て駆け出すのを笑顔で見送るマリアの脳裏には自分の娘シャルロットと面影が重なって見えながら、四番目の条件をおもう

 

 

『最後にコレだけ……もし僕に何かがあって連絡が一週間途絶えたら、クリス、ノーヴェさんを僕たちが跳ばされた時間まで保護してください……二人には待っている人がいるから』

 

 

 

(………フォントくん、いえマルスくん。アナタは優しすぎる、やっぱり翔真の過去を話すべきじゃなかったかも…)

 

 

翔真の過去を話してしまった事を後悔するマリア。ユキカゼ、レオは境遇に憤りを感じていた。しかしマルス…フォントは何も答えなかった

 

フォントが席から離れたのを見計らい、二人からマルスが二年前以前の記憶が無いことをしり迂闊だった事に気づくも遅かった。それに、この二週間すぎたあたりであることにも気づいた…異性から好意を寄せられていてもナニかしらのハプニングで台無しになる《To LOVEる体質》。コレには喪われた記憶、もしくは深層心理に深い傷を持ってて《大好きな人もしくは異性》に何かがあって、遠ざけようと嫌われるような事を無意識的していることに

 

 

「(…………ユキカゼちゃん、レオちゃんの恋の行く末が心配かな、まああと二人いるみたいだけど。でも記憶を喪う前の彼に《アフターケア》をしなかった誰かが大きな原因ね。もし私が知ってる人だったなら力いっぱいひっぱたいてあげる…必ず)…………ユキカゼちゃん、レオちゃん、今日はめいいっぱい遊ぼ~よ♪♪」

 

 

心の中で強く決め、マリアもどこから取り出したのか巨大なウォーターガンを構え二人がいる波打ち際へ駆け出した

 

 

 

 

 

 

「……ん、ぐ、ぐぐ……8さん!核ミサイルとのランデブーまでの時間は!?」

 

 

ーあと二分、目的地に着弾まで二分七秒………本気でこの作戦でやるのか?ー

 

 

「……う、うん………コレしか方法がないんだ!冷却カートリッジ装填!!」

 

 

凄まじい速さで雲が流れ、強烈なGでシートに押しつけられながらフォントは操縦に集中しながらマリアから語られた翔真の過去を思い出す。大事な人たちを喪いながらも、友を、自分を想う人を守るために傷つきながら、歯を食いしばり必死に戦い続けて、二週間前の戦いでもまた《大事な人》を失い、それでも戦う姿勢は普段の姿とは違いすぎた…二年前以前の記憶が無い自分には大事な人はいない

 

傭兵になったのも喪われた記憶を探す為だ…利己的な理由…過去もあやふやな自分に誰かを守る資格はあるのか、この二週間ずっと考えていた

 

 

答えは見つからない…でも今はこの任務をと悩みを振り払うと同時に熱源反応。映されたのはマッハ34で連合暗部組織基地へ向かう核ミサイルが接近してくる…

 

 

(………核ミサイルを撃ち落とす作戦はクジャクは転移時のショックで大破したからつかえない、今のゴーストにあるのはフレイムソードのみ……考えられる作戦はひとつ…核ミサイルに接近と同時に変形も兼ねた減速、ファントムライトで再加速して速度を合わせ弾頭をヒートモードのフレイムソードで切り払う……併走可能時間は七秒……出来るのか…僕に)

 

 

守るべきモノなんか…と言いかけて飲み込んだ。核ミサイルとゴーストが交差、僅かに距離が開く

 

 

「……い、いややってみせる!げ、減速ッ!ゴーストに変っつ形ッ!」

 

 

ー了解!ゴーストガンダムに変形!ファントムライト稼働と冷却!ー

 

 

パシュっとカートリッジが勢いよく飛び出し、ゴーストガンダムのファントムライトが炎のように燃え盛り加速、徐々に併走し遂に同期する…タイムリミットは七秒。ターゲットロックカーソルが定まらない中、腰部スラスターからフレイムソードを引き抜き加熱し赤く刃が輝く

 

 

「………ゴ、ゴースト……誰かを守る資格が…ぼ、僕に、な、無くても……今だけは……」

 

 

ターゲットロックカーソルが重なろうとするもぶれる、それでも必死にアームレイカーを操作しつぶやく…瞳の色が再び赤金に輝き、それに反応するようバイオコンピューターが最大稼働を始めマスクが開き放熱し始める

 

 

「……今だけは……僕に…傭兵としてではない僕に力を貸してくれ!ゴオォォストッ!ガンダアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

ーバイオコンピューター最大稼働!二段階強制放熱モード起動!!ー

 

 

フォント、マルスの叫びに応えるようフェイスカバー、さらに頬が大きく裂け叫びにも似た雄叫びを上げながら身体をひねり一気に横凪に核ミサイル…弾頭を赤熱化した刃が溶かしミサイル部分を切り落とした。泣き別れになったミサイルは爆発、弾頭は近くの山脈に落ちていくのを呆然とみていた

 

 

ー成功したぞマルス……どうした機体を立て直せ!!ー

 

 

「あ、頭が痛い………それに腕があがらない……」

 

 

激しい頭痛と脱力感に意識が朦朧としていくマルス…限界を超えた思考と過度のGが精神的、肉体的に蝕んでいた

 

ファントムライトの勢いもなく錐揉み状態になりながら落ちていくのを感じていた時、声が響きわたった

 

 

ーアニキ!ー

 

 

ーマルス!ー

 

 

ーマルスさんー

 

 

ーマ~ル~ス♪ー

 

 

クリス、ノーヴェ、アインハルト、御門…四人の声と顔が見えた瞬間、アームレイカーから離れかけていた指が動き力強く握りしめ、スロットルペダルを力いっぱい踏み込む…ファントムライト、いやミノフスキードライブから光の翼が強く輝くと再び最大稼働状態、

二段階強制放熱モードへ移行し再び空を駆け出した

 

 

「ま、まだ……死ぬわけには……死ぬわけにはいかない!!」

 

 

雄叫びが夜の帳が落ち始めた空に響きわたった

 

 

 

 

「おやじ、ナニみてんだよ」

 

 

「名瀬か。あれをみてみろ…」

 

 

「ん?コイツは今開発中のファントムに似てんな。確か御門が担当してんだよな」

 

 

「ああ、しかも光の翼…うちでもまだ開発中のミノフスキードライブを積んでやがる…」

 

 

ロシア、ティワズ支社のロビーにいる老人を親父と呼ぶ白のスーツ姿に帽子をかぶった男性、名瀬にみせたのはロシア上空を駆けるファントムライトを展開したゴーストガンダム。ニヤリと不敵な笑みに鋭いまなざしを見せた

 

 

「F97は売れなくなっちまったが、F99は開発中………負けてられねぇな。人員を補強して完成を急がせるぞ名瀬」

 

 

「わかったよ。親父」

 

 

手をヒラヒラさせ部屋を後にする名瀬を見送る初老の男性…ティワズ会長《マクマード・バリストン》は後にこう記している

 

 

ーこの幽霊を目にしなければ最高の義息子にあうことにならなかったかもしれないなー

 

 

と……幽霊ーゴーストーが繋いだ奇妙な縁はここから始まった

 

 

 

 

Return:Mission04《接触と極寒の空を舞う蜃気楼鳥ーミラージュ・ワゾーー》(後編)side・ASTRAY:副題第一期《第111話「幻想殺し対超能力兵士」》

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はエロ回……


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Extra・Mission:4.5『…初めて♡』

新歴73年、某月某日


次世代エネルギー研究所


同研究セクション



「ん~エネルギーを無駄なく伝播するのはうまくできたけど…まだ無駄があるかな……爺ちゃんは出張中たし」


無数の空間モニターを前にし悩む少年…目の前には次元世界を超えエネルギーを送る為のシュミレート結果…まだ5%の無駄がある事にため息をついていた。エネルギー送受信機は完成しているが、このままだと完璧に無駄なく送れない


どうしたらと、おもった時だ。少年の背後から手か伸びピアノを引くようにある数式が打ち込まれ再シュミレートが始まる。誰だと思い振り返るとサングラスにやや紫にウェーブがかかった髪に白衣姿の男性がいた


「あ、あのアナタは?」



「黙ってみたまえ…」


「え?コレは………すごい、エネルギー減衰率ゼロ、それに受信エリアも広くなってる……そうか、AMF対策の弾殻形成を応用して、受信エリアを送受信システムにして拡大してる。そうですよね」


「…ふむ、なかなか鋭いな……さすがはカイジ・ルセディス博士の孫だ」



「あ、あの……爺ちゃんを知ってるんですか?」



「ああ、有名だからね…次代のエネルギー開発の権威であるからね……君も科学者としていつか名を馳せるだろう……期待しているよ」


「あ、あなたの名前は」



「……さあ、誰でしょう?まあ、いつか会える日は来るだろうし、それまでのお楽しみにしよう。アレス・ルセディスくん…」



軽く肩を叩くと研究セクションを後にする青年を見続けていた、しかし今はこの理論を実用化に向ける事を優先した


「………いつかまた会えるかな…その時はお礼を言わなきゃ」


小さくつぶやき端末を操作する少年…アレス・ルセディス…この日の誓いは果たすことは出来なること、自分の運命がどうなるかをまだ知らなかった


「ん………」

 

ぼうっとしながら身体を起こすフォント…マルスはここがマリアの所有する孤島。その地下ドックにある海賊傭兵の拠点にある自分の私室だと気づいた

 

 

「……なんでここに……」

 

 

ゴーストガンダムで核ミサイルの迎撃ミッションをおこなって成功してから…オートに切り替えてから意識がない…たどり着く答えは一つ。オートで帰還して意識の無い自分をノーヴェ、クリス、マリアがコックピットからおろしたんだと

 

 

「………クリスとノーヴェさん、マリアさん……どこにい……」

 

 

軽い頭痛と共にナニかと繋がり瞳が赤金へ変化すると声が、クリスとノーヴェの意識を外から強く感じ導かれるように扉を開き歩き出した。赤金に輝く瞳は何を意味するのか……《革新》せし《復讐鬼》が目覚める時だかもしれない

 

 

 

 

Extra・Mission:4.5『………初めて♡』

 

 

 

「………もう夜なんだ……」

 

 

森を抜けた先にある砂浜に出たマルスの目には星々が煌めく夜空、波の音と風が身体を流れていく感覚に心地よさを感じ自然に座り込む

 

こんな風にゆっくりしたのは何時以来だろう。傭兵となってから命のやりとりを繰り返しながら任務を遂行していく日々…記憶を取り戻すための手段として身を投じ傭兵として戦う事に疑問をもたなかった

 

 

(僕は…何のために戦うんだろう…翔真さんみたいに誰かを守る為に戦うため?…わからない……戦う理由が……)

 

 

ーマルス、他者の戦う理由はお前自身のモノにはならない……お前自身で見つけろ…ー

 

 

かつて劾から言われた事がよぎる…

 

 

(………わからない……記憶を取り戻すため?…記憶を取り戻したら僕は…何が残るん…)

 

 

背後に二つの意思を感じ振り返るとパーカーを羽織ったノーヴェ、クリスの姿…少し驚いていた瞳が涙目に変わるのをみて慌てて立ち上がろうとしたが砂に足が取られ倒れそうになる

 

 

「アニキ!/マルス!!」

 

 

砂浜に倒れそうになるマルスを寸前で抱き抱えるも、勢い余ってそのまま倒れてしまう…少し砂が口に入るのと柔らかい何かを手、顔に感じながら恐る恐る目をあけた先には

 

 

「は、ばか動くな、息があた……ん♡」

 

 

「そんなに強く揉むなったら…二人っきりならたくさんしていいから」

 

 

 

「う、うわあ!?ご、ゴメン!!」

 

 

クリスの胸を鷲掴みにし、ノーヴェの胸の谷間に顔を埋めている。慌てて離れ謝るマルス…それに対して顔を髪と同じぐらい真っ赤にするノーヴェ、少し上目使いで見るクリスにどぎまぎしながらなぜココにきたのかと聞くと…

 

 

「アニキの様子を見に行ったら部屋から居なくなってるし!探し回ったんだからな!バカ、バカ、バカ、バカ、アニキのバカ!!」

 

 

「…ゴーストガンダムがオートパイロットで帰ってきてコックピットをみたら死んだように意識を無くして……すごく心配したんだからな…バカ!!」

 

 

「あ、あう……ご、ごめん…心配させちゃって……もう大丈夫だから……その……二人とも離れて……い、色々あたってるから」

 

 

頭から湯気をだしながら言うマルス…二人の格好は水着。クリスは健康的な白のティアードビキニ、豊かな胸が震え腕を挟み込んでいる、対するノーヴェは黒のスポーティーな水着でマルスの身体にひしっといつの間にかに抱きついてる。女の子特有の甘い匂いにくらくらしながら離れるようたのむと離れてくれた。それからしばらくゆっくりとして夜もふけてきた

 

 

「そろそろ帰ろうか?二人とも風邪を引くといけないし」

 

 

「ああ…(気合いいれて恥ずかしいの我慢してこんな水着着たのにのにナニもなしかよ……)」

 

 

「……わかったよアニキ(……マリアの男の子の落とし方48を使ったのに……どうしたらいいんだよ)」

 

 

機嫌が悪くなる二人をよそに先を歩くマルスの足が止まる…何事かと思い二人が肩越しに見えたモノに一気に赤面する。なぜならば

 

 

 

「や、やあショウくん。そんなに吸っちゃやらあ……んんっ♡」

 

 

「あんまり声を出すとアリサたちに聞こえるぞ?それとも聞かれた方が興奮するか?束?」

 

 

「し、ショウくんのいじわ…る…やあ、そこは…弄らないで…指を入れ………んんんっ~んん~♡」

 

 

 

………茂みの隙間から見えたのは、翔真が束を責める姿。スカートは乱れショーツが足首に見え首筋に舌をそわせ強めのキスをし後を付ける光景…乙女な二人にとって刺激的、しかも息が荒くなっている…熱を帯び奥が疼き止まらないノーヴェ、クリスの視線は石のように固まるマルスに向けられている…好きな異性が近くにいる

 

何よりも、この疼きを止めたい…それ以上の感情が沸き起こるのを押さえきれない。自然とマルスに手が伸び押し倒した。むせかえる草の匂いと背中に伝わる衝撃で我に帰るマルスの目に映るのは顔を赤くし息が荒いクリス、ノーヴェ…

 

 

「………んんんっ!?」

 

 

「ちゅ…ちゅる………ん…」

 

 

いきなりノーヴェと唇が重なり、強引に舌が割り込まれ絡ませながら服に強引に手を滑り込ませ、クリスは胸を押し付けながらキスを胸板へ落としていく度、身体を震わせ漸く互いの唇が離れて銀の糸が伸びた

 

 

「ノ、ノーヴェさん、な、ナニを」

 

 

「マルス、あたしもう我慢できない……だから…しよ」

 

 

「え、ええ!?なんで……ク、クリス助け…」

 

 

「アニキ…あたし、あたしたちはアニキのことが好き……いや愛してんだ……ホントは御門とアインハルトも一緒にって考えてたんだからな」

 

 

「で、でも僕は……」

 

 

「大丈夫……あたしとクリスが優しくしてやるから」

 

 

「だ、だからって……んんんっ!?」

 

 

 

「アニキは黙って気持ちよくなれよ……あたしたちの初めてもらってくれよ」

 

 

妖艶で熱の籠もり期待に満ちた瞳にナニもいえず、なすがままに服を脱がされていく……水着をずらし豊かな胸を揺らし迫るノーヴェ、クリス。やがて間を置いてから嬌声が森に響いた

 

「ん、アニキの……熱い………ーーーちゃんのーーーいっぱい♡」

 

 

「クリス、次はあたしだ……びくびくしてんな……それにすごく……っ痛……は、ーーーーた…ほら胸好きにしていいから」

 

 

 

「うわ、締め……うっ!?」

 

 

 

 

次の日、妙にやつれカサカサになったマルス、肌を艶々させデレデレしたクリス、ノーヴェに両腕を抱かれていたのをみたマリアは

 

 

 

「あら、うまくいったみたいねぇ~ねえどうだった?」

 

 

と、一部始終聞いていたとかいないとか

 

 

 

 

取りあえず、卒業おめでとう!!

 

 

 

「作者さあああんのバカああああ!?」

 

 

 

 

 

Extra・Mission:4.5『…初めて♡』

 

 

 

 

 




次回 PHASE-68.5「天の宣史、酒宴」




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PHASE-68~70.5「天空の宣史、酒宴」

「ん、朝か……」


寝ぼけながらも何時ものようにゆっくりと身体を起こそうとする…が、下半身に違和感とぞくりとしつつ気持ちいい感覚に恐る恐る毛布をのかしたマルスの目に映るのは銀髪の髪…ゆっくりと顔を上げ見つめてくる
のは義妹であり肉体関係を持ってしまった雪音クリスの姿


「んん?んふんゆうんにき…ん」


「うわ!や、やめてクリス…」


「ん、ん、ん……」


やめてと懇願するも止めず、ついに我慢できず腰が動き倦怠感と共に仰向けになった


「はあ、はあ……」


「おはよアニキ♡…すごく元気なんだな…おさまりつかないよな…」


「や、やめ……」


「だ~め……悪いもんは出さないと身体にいけないんだからな…あたしにまかせて」


………一線を越えたクリスはもう止まらない…朝の爽やかさは気だるさへ一気に変わる。とちゅうで起こしに来たノーヴェも交えて




マルス、ノーヴェ、クリスが過去、翔真とフェイトたちが別世界に飛ばされ数週間。姿を消した彼らの行方を世界中から情報を集めトレミーに残っていた一夏を始めとしたメンバーは必死に探していた

 

 

しかし、一向に手がかりが掴めない。同行取材をするジェス・リブルも自身の持つ情報網を駆使しハロを使い僅かな手がかりをと探していた

 

 

『よう、久しぶりだなジェス』

 

 

「ルキーニ!?なんでココへ」

 

 

『俺の手に掛かれば造作ない。今、マルスと翔真を探しているんだな……』

 

 

「知ってるのか!」

 

 

『…《海賊傭兵》《蒼弓》この二つを調べればわかるぜ…あと、プレシアには気をつけろ。妙な動きを……』

 

 

「ルキーニ!?おいルキーニ!?」

 

 

通信越しに聞こえてきた銃声、ノイズがながれブツリと途絶え、何度も呼びかけるジェスの声が虚しく自室に響いたと同時刻、ザフト最高評議会議長《プレシア・テスタロッサ》の全世界に向けての声明発表が始まっていた

 

 

 

『こんな事が許されるでしょうか?連合軍は人の命を玩具のように扱い、簡単に奪います。連合軍の背後には旧亡国企業のメンバー、女性ばかりで結成された秘密結社《ロゴス》がいます。すべてはロゴスが元凶なのです!だから私はここに誓います。ロゴスを、地球連合軍を倒すと!!』

 

 

「………ふ~なかなかの遣り手みたいだな」

 

 

古風な作りの執務室のモニターで全世界に向け声明発表するザフト最高評議会議長《プレシア・テスタロッサ》に盆栽をいじりながら目を向けるのは世界中に支社を置くテイワズ会長《マクマード・バリストン》。内容から危険なものを感じ取っていた

 

 

『ロゴスが動く中で関係のない組織も動いております。戦争根絶を掲げる《ソレスタルビーイング》、その意思に賛同し協力する《二つの組織》、私はソレスタルビーイングや地球連合、それに組するものも含めて存在を認めません』

 

 

 

「…名瀬はどうみるプレシア・テスタロッサを?」

 

 

「ん~聞けば聞くほど、怪しさ満載って感じだな……自分の正しさを全面に出して巧みにザフトに義ありって誘導しているのはな」

 

 

 

「……ならやることは一つだ……名瀬、ウチの者(モン)に通達しとけ《喧嘩は買う》とな」

 

 

「わかったぜ……親父、そろそろ時間じゃないのか」

 

 

「そうだったな…少しいってくる……」

 

 

手をひらひらさせ山高帽をかぶり名瀬を残し執務室を後にするマクマード。彼が向かうのは本社に併設された自宅…いや和を強調させる屋敷が鎮座し分厚い木の扉を開いた

 

 

 

そして…

 

 

 

「では、はじめよう……」

 

 

地球の衛星軌道上にある軌道エレベーター《アメノミハシラ》…黒く絹のような髪をなびかせ歩く長身の女性………《天の軍神》ロンド・ミナ・サハクが赤い絨毯を歩き出す

 

 

自身の想いを明日をも見えぬ混迷に染まる世界に向け伝えるために

 

 

PHASE-68~70.5「天空の宣史、酒宴」

 

 

 

 

 

 

テイワズ本社。会長宅

 

 

 

シシオドシが鳴る庭園に敷かれた畳。赤い敷物の上に座すのは管理局本局提督《大東貴一》。静かな佇まいで正座しながら桜を見ていた

 

 

「気に入ったみたいだな?ウチの桜を」

 

 

「確かにこれだけ見事な桜は見たことないかな……」

 

 

「そうか…ワシはテイワズのマクマード・バリストン。まあ楽にしろや……」

 

 

 

「お言葉に甘えようかな。私は大東貴一、地球圏統一連合軍大佐でミッドチルダ時空管理局本局提督および独立愚連隊Gspirits隊の指揮をしている」

 

 

「ほう。なかなかそうは見えないがな…まずは軽く飲むか」

 

 

「よろこんで…」

 

 

手を軽く叩くと着物を着た女性が黒い徳利に黒杯を台にのせ二人の前に出す。まずはマクマードから杯に酒を入れ、貴一へと注ぎ軽く目を合わせ飲み干す

 

「……なかなかの逸品ですね…コレは春にしかでないと言われる生搾り原酒……ニイガタの新発田の酒かな」

 

 

 

「わかるか?ならもう一献いくか?」

 

 

「ではいただくかな…」

 

 

酒を注ぎ交わし飲む二人…徳利の数は20を超えたあたりからマクマードの瞳が厳しいモノへ変わった

 

 

 

「……………大東貴一、オレに会いに来た用件はなんだ?」

 

 

 

「(本題に入ってきたか)………この世界で争いの火種を撒こうとする存在を逮捕する。そのためにはアナタの…地球圏に支社を置き《ザフト》、《連合》に対して唯一対等に渡り合える企業《テイワズ》の力を貸して欲しいんだ」

 

 

 

「………なるほどな……逮捕したい相手というのは《プレシア・テスタロッサ》だな」

 

 

鋭い眼光を向けながら発せられた言葉に驚く大東…マクマードは静かに杯に酒をそそぎ入れた

 

 

「オレの耳は地獄耳でな…ザフト、連合とは商売上の付き合いもあるし、裏の顔も嫌でも耳に入る……四年前に突然現れ瞬く間にザフト最高評議会議長の座に就いた才媛。公表されているデータは真っ白だ。怪しいところは無い…まあ、普通の人間なら騙せる隙も無いほどの完璧な経歴にしては余計に怪しすぎだ」

 

 

 

(………ここまで調べていたとはね。マクマード・バリストン、かなりの傑物だ……民間企業だった《テイワズ》を僅か三年で地球圏に影響を与えるほどに成長させただけはあるか)

 

 

くいっと杯を飲み干すマクマードに続いて飲む大東…鮎鮓(鮎を米、鮎、米の順番で漬け発酵させたモノ)を抓む。日本酒と相性が良い摘みは酒を勧めさせ更に徳利の数を増やしていくも酔っているようには見えない

 

 

「……私は彼女、プレシアの最終的な目的は知っている…」

 

 

「最終的な目的………聞かせてもらおう……安心しろ人払いはすませてある」

 

 

「………彼女、プレシアはーーーーーーー」

 

 

風が舞い、桜の花が流れ枝を揺らす音に言葉はかき消される。だがマクマードの耳にはしっかりと届いていたのか考え込むように軽く目を閉じゆっくりと開いた

 

 

「………それが目的か………大東、俺んとこのファクトリーとFシリーズ、開発中の《V》を貸してやる……」

 

 

 

「いいのかい?連合やザフトに敵対する事になるんだが…」

 

 

「ふ、喧嘩を売ってきたのは向こうだ…それにザフトの奴ら《阿羅耶織システム》に手を出したからな…連合も《エクステンデッド》施術を年端もいかねぇ戦災孤児に使ってやがる………人が人にこんな事をしていい訳ねぇんだ……」

 

 

くいっと杯を飲み干し息を吐くマクマードに、無言で酒をそそぎ入れた大東は静かに口を開いた

 

 

「………確かに、人が人にこんな事をしていい訳がない……私たち大人は何時も未来を担うべきまだ見ぬ我が子達に背負わせてしまう…大人が取るべき責任を次へと押しつけてしまうのが今の世界の構図なのかもしれない………」

 

 

 

「それに気づいたから《ソレスタルビーイング》は生まれたのかもな。やり方はどうアレ自分(てめぇ)の確固たる信念で動いている、しがらみに縛られたオレらに変わってな。大東、オレらが《大人が取るべき責任》を果たすべき事を代弁しているんだ。…オレらは責任をとらないといけねぇ。世界は違えど一度でもこの世界に関わったのならな。さて、ここからテイワズのマクマードバリストンとしてではなく私事だ……」

 

 

言いたいことは言ったと区切りをつけるよう飲み干すマクマード…大東も遅れて空にし待った

 

 

「……ソレスタルビーイングにいるサーペントテール《6》マルス・レディーレとウチのテイワズの開発室二課の御門涼子との仲を取り持ってくれ」

 

 

「はぁ!?」

 

いきなりの事に抜けた声を上げる大東の前でばつが悪そうに理由を話し出した…テイワズを立ち上げる前YAKUZAな道を進んでいた時につきあっていた女性と親密な仲になり所帯を持とうとしたら女性の親に反対され引き離されてしまったらしい

 

YAKUZAな道から足を洗いカタギとなり会いに行くも引っ越ししてて行方も掴めなかった…がむしゃらになって働き仲間を集めて小さな会社を立ち上げ、連合の戦車の部品を収める事から始まってからMSの有用性に気づき様々な分野から人材を集めていたマクマードの目に止まった履歴書…自分が愛した女性と瓜二つ、さらに名字まで同じ

 

まさかと思い調べたら予想通りだった…別れた直後に妊娠がわかりおろすよういわれたが拒否し、女手ひとりで育て上げた直後に亡くなった事を

 

 

 

「………オレは女一人幸せに出来なかった因果がめぐって娘がオレんとこに来た…面接の時、アイツとよく似た目でオレをみていた……はなしてみると父親の事は教えてくれなかったらしい……性格は違うが………いまさら父親なんて名乗れねぇ、だから惚れた相手と一緒にさせてやりてぇんだ」

 

 

 

(……………テイワズの結束力の高さがわかったかな。この人柄だからこそだね………仕方ないか)

 

 

マクマードの言葉に頷くと軽く頭を下げ酒を進めてきた…酒宴は明け方まで続き名瀬が来たときには完璧に出来上がった二人がいたのは言うまでもない

 

 

 

そして……

 

 

 

「私はロンド・ミナ・サハク。現在はどこの国家にも属してはいない。私はこれからある計画を全世界に向け発信する。それについてどう判断しどう行動するかは個人の自由だ」

 

 

光が照らすのは黒く長い髪を揺らし立つ女性…彼女は静かに、澄んだ声を響かせる。一夏が撃墜されトレミーが攻撃を受けた直後、全世界に向け発信され連合、ザフト加盟国、非加盟国の全映像回線を通し流されている

 

 

「先日の宣言。ザフトは連合を強く非難している。

その矛先はソレスタルビーイング、それに協力する者へと向けられた。だが果たして本当にその非難は正しいものなのか?」

 

 

世界中に混迷ので闇が広がっている、その中で人々はおびえている。闇に踊らされていると告げると目を閉じる

 

「だがその闇を指揮している者がいるのだとしたら?

これが今日の政治であり国家だ。闇を敵を作ることで市民をコントロールする。だが聞いてほしい。私はこれからまったく新しい世界の可能性を提唱する。世界には自らの曲を奏でる者たちがいる。彼らは自分の信念を真実を持つ」

 

 

 

ただ自分の曲で踊る。自らのリズムをメロディを持てたのなら、もう今のような国家としての枠組みは必要ない。故に闇の中でも己をもてるのだ。そう区切りゆっくりと開いた彼女の瞳は確固たる信念を映像を通し見ていた人々の心に染み渡る

 

 

「政治もその役割を大きく変えるだろう。もちろん彼らは一部の特殊な存在だとも言えるだろう。私もそう思っていた。だが、そうではないことをは知った。

ジェス・リブル。このジャーナリストを知る者は少ないだろう。そう、特別な存在でなくても誰もがそのように生きてさえいれば、世界は変わるのだ」

 

 

光の中で黒髪をなびかせる彼女の姿を見る一人の女性…ザフト最高評議会議長《ブレシア・テスタロッサ》。対ソレスタルビーイングに対しての会議中に流れたそれを穏やかに柔らかな笑みを浮かべるも瞳は極寒の冬をも思わせるモノが見えた

 

 

 

ー人は他者の理想を妨げない限り己の信念に従うべきなのだ………ー

 

 

「ぎ、議長?」

 

 

「………何でもないわ…今日はここまでにしましょう…再開は明日でかまわないわね」

 

 

 

「は、はい!失礼しました」

 

 

頭を下げ退室していくメンバーがいなくなって、ダンッと鈍い音が響いた

 

 

 

「………まさかこうくるとはね…ロンド・ミナ・サハク…」

 

 

 

感情を押さえきれずロンド・ミナ・サハクに対し怒りとも取れる言葉を漏らすプレシア…この宣言は明らかに自分、ザフト加盟国、連合加盟国…世界に向けおこなわれたモノだと気づくも遅かった

 

 

数日後、連合加盟国、ザフト加盟国、非加盟国から賛同する国家、企業(テイワズはソレスタルビーイングへの支援を明言)が先のロンド・ミナ・サハクの宣言に賛同を表明(一部は黙認)。この全世界へと向けられ発信された言葉は後に《天空の宣言》と呼ばれるようになった

 

 

 

 

 

 

PHASE-68~70.5「天空の宣史、酒宴」

 

 

 

 

 

 



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Return:Mission・Final《幽霊はあるべき場所へ還る》(第一期三部:第140~144話)

「……みんな、用意はいいかな?」

 

 

「何時でもいいぜアニキ」

 

 

「各部オールグリーン、ミノフスキードライブも正常だ」

 

 

薄暗いドッグに固定された白に濃紺のカラーリングに帆船を想わせる船体の艦首には腕を組んだ女性の象が埋め込まれている…注水が始まりやがてすべてが海水に満たされると正面ゲートが地響きと共にひらき、ブリッジに光が灯る。正面左側に舵をとるノーヴェ、索敵手にクリス、そしてキャプテンシートに座る中世の海軍の将校がまとっていた上着姿のマルスが腕を大きく正面にかざした

 

 

 

「……………海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》旗艦《バビロニア・バンガード》、出航する!」

 

 

 

「「了解!/アニキ」」

 

 

 

海底へと繋がるゲートが開き、ガイドレーザーが伸び海面で光が途絶えたさきへ向けてエンジン出力全開で海底から海面へと一気に飛び出しセイルから船体に光の翼《ミノフスキードライブ》が輝き一気に加速する

 

 

海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》が向かうはレクイエム発射阻止作戦を展開する戦場…マリアからのエターナル防衛任務および増援部隊の排除依頼を受け報酬代わりに譲渡された《バビロニアバンガード》で影からの人知れずにサポートに回るために飛びたつ

 

 

……コレが、《この時代》での海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》、そして幽霊《ゴースト》の最後の目撃となるのを誰も知らない

 

 

Return:Mission・Final《幽霊ーゴーストーは在るべき場所へ還る》第一期三部:第140~144話「狂いだす戦闘」~

 

 

「来る……」

 

 

南アメリカ上空でエターナル防衛の為に単騎で出撃し滞空するマルス…フォントの前には百を超えるザフトの別導部隊がまさに襲いかかろうとしている。それを前にして冷静になりながら戦況を分析する

 

 

(………レクイエム、ミラー破壊に二手に別れてる今、無防備のエターナルを狙う指揮官の判断は正しい…母艦をやられれば瓦解する……翔真に気づかれないようにサポートするしかないか)

 

 

 

すうっと目を鋭くし部隊を率いる指揮官機を探すも見つからない…軽くアームレイカーを動かしファントム…ゴーストガンダムの瞳が光と全身から炎、ミノフスキードライブから生まれる光の翼《ファントムライト》を展開し瞬く間に加速しすり抜け敵中心部へたどり着く

 

 

 

「………悪いけど邪魔をさせてもらう…8!ゴーストのIフィールド最大、全身のビーム放出口をヴェスバーにして全方位砲撃!!」

 

 

 

《了解!二段階強制放熱開始!Iフィールド最大出力……いまだ!》

 

 

強制冷却カートリッジが廃挟した瞬間。ファントムライトが消える…それを好機と判断したザフト別導部隊のMSが雪崩のように襲いかかろうとした時、再びファントムライトが激しく燃え盛り輝き…全身に配置されたビーム放出口を中心に絞り込まれ貫通力を極限までに圧縮したビームの雨が蛇行しながら容赦なく胴を貫き、腕を溶かし、切り裂かれ爆発し無数の閃光が絶え間なく煌めいた

 

 

『な、なんだあのMSは!』

 

 

『ま、まて……あの胸にある髑髏と炎は……ゴースト………海賊傭兵《クロスボーンバンガード》!?』

 

 

かろうじて被弾を免れた機体のザフトパイロット達は身体を強ばらせた。ゆっくりと此方へ顔を向け放熱するゴーストの顔はまさに悪魔のような形相は恐怖を抱かせるのに十分すぎた

 

海賊傭兵《クロスボーンバンガード》ゴースト…戦場に現れては怒りの炎を燃やすように機体を燃え上がらせる姿を見たものは生きてかえって来れない。

 

噂話だといわれるも翔真たちが戦う場に現れては敵を駆逐し、瞬く間に消え去る姿が幽霊のように見えた事。胸にある髑髏と骨を組んだように見えるフレームからクロスボーンバンガード、ゴーストといつの間にか呼ばれ恐れられていた

 

 

「……(このまま退いてくれると助かるけど)…8さん。ゴーストは?」

 

 

《……大丈夫だ!この前マリアから報酬代わりに貰ったX1のパーツと新しい冷却カートリッジがかなり相性がいいぞ》

 

 

 

「X1、ゴーストは基本的なフレームやエネルギーバイパスは同じだからかな…………クリス、ノーヴェさん。状況を」

 

 

 

『ヤバいぞマルス!レクイエムがチャージに入った

!ミラー破壊チームも苦戦しているってマリアが秘匿通信で言ってんだ!どうする!!』

 

 

 

『でも、今はアタシ等動けねぇだろうが!おらおら!とっととおちやがれ!!』

 

 

バビロニアバンガードの艦首で巨大なガトリングガンを両腕に構え弾丸を撃ちまくり増援部隊を落とすのはようやく修繕を終えたニャイアアストレイ・イチイバル。そのコックピットでクリスが叫ぶ。背後からディンの編隊がアサルトライフルを向けた瞬間、バビロニアバンガードの後部から放たれた極太の桃色の閃光2つが瞬く間に飲み込み消滅させた

 

 

 

『ったく、数がおおすぎなんだよ!!』

 

 

 

ビームが撃たれた場所…後部甲板には真紅の影…アストレアF-dashが大型GNバスターキャノンをGNバーニアへ変えながらGNハンマーを構え大きく降り回しディンへぶつけ、そのまま勢いを殺さずに編隊へなげつける、巻き込まれた数機が粉々に砕け爆散する…修繕を終えたばかりとはいえ数が多すぎる

 

 

(どうする……バビロニアバンガードはハロたちに任せれば大丈夫……レクイエムが置かれている施設には翔真さん達が向かっている。迂闊にこの時代の翔真さんへの接触は避けるべきだ。ならミラー破壊チームに手助けにゴーストで僕がむかうしかない……)

 

 

 

『ノーヴェさん。クリスはエターナル防衛を引き続き継続。僕はミラー破壊チームのサポートにむかう』

 

 

 

『わかった!クリス、気合いいれてやるぞ!!』

 

 

『誰に向かって言ってんだよ……兄貴、帰ってきたら……一緒にシャワー浴びような!!』

 

 

『どさくさに紛れてナニ言ってんだ!あたしも一緒だかんな………』

 

 

『ふ、二人とも………と、とにかく行きます!!』

 

 

 

クリス、ノーヴェ、バビロニアバンガードを残し瞬く間にミラージュワゾーへ変形、最大加速で向かう…しかし警報がコックピットに鳴り響く…サブモニターに映されたのは眩い閃光…レクイエムからの超高出力ビームがゴーストを追い抜く、その先にあるミラーへ向かっている

 

 

《マルス!ミラー付近にMS反応多数……機種判明!Zガンダム、ストライク、ストライクルージュがこのままだと巻き込まれるぞ!!》

 

 

その声に応えるように力強くスロットルを引き上げるゴースト…ビームがZガンダムを飲み込もうとした時、何かが来ると感じた次の瞬間、レクイエムの超高出力ビームの前に二つのアンノウン反応を捕らえた。直後に信じられない光景を目にした

 

 

「ビ、ビームが消えた?いや拡散された………アレは!?」

 

 

 

《……何でユニコーンとバンシィがいるんだ?》

 

 

8も驚きを隠せないでいると二機が一瞬だけこちらを見た…マルスは何かを見透かされているような。まるで本質を覗かれているようなモノを感じた時、声が響いた

 

 

ー復讐してやる!大……貴…………Gsーーーtをこ……ー

 

 

四発の銃声、真っ赤な血…血溜まりに倒れている四人の男女……押し付けられた銃口

 

 

 

ー恨むならーー貴●、G◐☆★◑を恨めよーー

 

 

 

 

 

《……ルス!………おいマルス!どうした!?》

 

 

「…は!?………い、いまのは……!?」

 

 

ノイズ混じりの声、イメージに呑まれそうになるマルスは8の声に我に帰るとユニコーン、バンシィの姿はない…地上へ降りていく二機を見ているマルスの耳にロックオン警告。みるとストライク、ストライクルージュがいつの間にか肩を掴んでいる

 

 

『動かないでもらおうか?お前はどこの所属か?』

 

 

直接に触れたことで通信回線が開き見えたのはパイロットスーツ姿の千冬、そして千冬を幼くしたようなパイロットがジッと見ている

 

……余計なことに気を取られて警戒をしていなかった自分に後悔しながらどうするか考え、通信回線を開いた

 

 

『!?(子供だと?見たところ翔真と年があまり変わらない…)…もう一度いう。所属はどこだ?』

 

 

「………所属は無い…海賊傭兵《クロスボーンバンガード》だ」

 

 

 

『クロスボーンバンガード……ならお前がゴーストなのか?』

 

 

「ああ………すまないが失礼する!」

 

 

『な、待て!ゴースト!!』

 

 

 

二人を振り払いそのままファントムライトを展開。あっという間に加速する。向かうはエターナル防衛をするクリス、ノーヴェ、バビロニアバンガードがいる戦闘空域へ向かうマルスが見たのは火を噴くレクイエム。そして揺らぎ始める空間に既視感…まさかと思い急ぎ秘匿通信をエターナルにいるマリアにつなぐ

 

 

『どうしたのフォントくん?』

 

 

「マリアさんすいません。僕たちは今からこの空間を利用して本来の時間に帰ります…」

 

 

 

『そっか…なんか淋しいわね……』

 

 

通信越しに寂しさを感じる…実際、マリアが自分たちを匿まってくれなかったら、こうしてこの場には居られなかった。任務を依頼された事もあるが、それいじに楽しい日々を一緒に過ごせた…在る意味《家族》みたいで別れるのが辛い

 

 

「いえ、会えますよ……必ず……その時はみんなで遊びに行きます」

 

 

『わかったわ。またねフォントくん……それと二人を泣かしたらダメよ?じゃなきゃお姉さん怒っちゃうぞ♪♪』

 

 

 

「き、肝に銘じます………」

 

 

冷や汗をかきながら約束するとバビロニアバンガードへ着艦、MSデッキに固定するとブリッジに上がり先に戻っていたクリス、ノーヴェの姿もそこにあった

 

 

「ノーヴェ、クリス。今からこの歪みを利用して元の時代に帰るよ…」

 

 

「帰れるのか?」

 

 

「マジなのか!」

 

 

「うん。今からバビロニアバンガードにビームシールド展開!8さん、座標軸と時間合わせを!!」

 

 

《がってん承知!ゴーストのバイオコンピューター接続。あの黒いガンダムが使った空間転移事象を観測と同時に突っ込むぞ!!》

 

 

 

「取り舵一杯、機関最大戰速用意……」

 

 

《………観測完了!今から六秒後……カウント開始!5、4、3、2…………いまだ!》

 

 

 

「ミノフスキードライブ全開!最大戰速!!」

 

 

光の翼が瞬き、空間転移事象の中心へとまるで矢のように突き進む…その速さは誰の目にも止まらない。それはエターナルにいる翔真達も気づかない。明滅する不思議な光がみち上も下もわからない空間を突き進むバビロニアバンガード…その先に微かな光が見えた瞬間、曇天の空が雷を光らせ雨が激しく海面を叩く光景が広がる

 

 

「こ、ここは…8さん!?」

 

 

 

《…………成功だマルス!俺たちの時代に帰って来れたぞ!!》

 

 

「や、やったな兄貴!」

 

 

「ああ早くトレミーに連絡しょうぜ…」

 

 

 

「ち、ちょ!?ノーヴェ、クリス離れて!?む、胸が当たって」

 

 

喜びの余りマルスに抱きつく二人の豊かで暖かく甘い胸に挟まれ顔を真っ赤にした時、警報が鳴る…慌てて持ち場に戻り見たものは

 

 

 

蒼いグフが光の翼を広げるガンダムから攻撃を受ける光景…何故かわからないが蒼いグフから何かを感じとる…まるで

 

 

「クリス、ノーヴェ…今すぐトレミーに連絡を…」

 

 

「兄貴、どこに」

 

 

「あの蒼い機体……何かを感じる………いかなきゃ」

 

 

「まて!マルス………?」

 

 

呼び止めようとたノーヴェは息をのんだ…マルスの赤金に輝く瞳…その瞳とよく似たものを以前にも見たことがあった

 

 

翔真が純粋種《イノベイター》として覚醒した際の瞳。それとよく似ていると気づくも、瞳の色は元の黒に戻っていた

 

 

「……ごめん、どうしても行かなきゃ………」

 

 

ゆっくりとノーヴェ、クリスを残し離れていく…ブリッジからMSデッキに降りゴーストのコックピットに体を滑り込ませ起動させカタパルトに乗る

 

 

「ゴーストガンダム。フォント・ボー……いやマルス・レディーレ出る!」

 

 

 

勢いよく撃ち出されたゴーストガンダム…向かうは蒼いグフ、光の翼を輝かせる新しいガンダムがいる戦場……

 

 

幽霊《ゴースト》、運命《デスティニー》、伝説《レジェンド》を駆るモノは再び合間見える

 

 

 

 

 

Return:Mission・Final《幽霊はあるべき場所へ還る》(第一期三部:第140~144話)

 

 

 

 

 

 

続きは超電磁砲さんの最新話で!!



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PHASE-70~74 傷ついた天上人の艦、蘇る復讐鬼の半身、動き出すサーカス :side・ASTRAY★

「……トレミーの被害状況は?」

 

 

「はい、第一、第二エンジンは中破、対衛星光学迷彩は生きてますけど、GNフィールド長時間の使用不可能……各ブロックの浸水はさっきカレルとハロが頑張ってくれてやっと止まりました…でも火器管制プログラムと物資が」

 

 

「状況は最悪か…こんな時にあやつ…マルスがいれば」

 

「………」

 

 

「すまん……心配するでない翔真もマルスも必ず帰ってくる……それまで我らが帰ってくる場所を守ろうではないか……一夏も御門とツバサが必ず」

 

 

「わかってます。艦内環境管制プログラムのチェック終わりました…通常照明に切り替えます」

 

 

非常灯から通常照明に切り替わったトレミーブリッジでミネルバのタンホイザーによるダメージによる各ブロックの被害状況を報告するアインハルト。現在トレミーは通常潜行でイギリスに向け進路を取っている

 

そしてメディカルルームでは先の戦いで撃墜され重傷を負った一夏の治療が御門とツバサの手で続けられていた……現在トレミーにはバルバトス、リナーシタ、エクシア、ダブルオーダークライザー、現在改修中のエクシェスしかいない。クアンタは風鳴翼が翔真たちを探している為ココにはいないし、マルス、ノーヴェ、クリスはいまだに行方不明…

 

もし今の状況でザフト、連合に見つかれば…ブリッジにいるディアーチェ達は今まで以上の危険なイギリスへの航海になると感じた時、Eセンサーが接近する艦影を捉え緊張が走ると同時に通信が入った

 

 

『あんた達がソレスタルビーイングだな?おっと自己紹介がまだだったなオレはタービンズの名瀬・タービンっていうもんだ。オヤジからアンタらをイギリスまで道案内と必要な物資を運んできた…』

 

 

「タービンズ?…(確かテイワズ輸送部門に同じ名前があったな………)」

 

 

『そう警戒するなって嬢ちゃん……『六番目の蛇に届け物』……意味わかるよな』

 

 

『六番目の蛇に届け物』…以前、行方不明になる前にマルスから自身に充てた依頼や報酬を受け取る為の合い言葉…信頼に足る人物にだけ教える言葉をトレミークルーは知っている…つまりは敵ではない事を示していた

 

 

「わかった……艦と速度をあわせよ」

 

 

『わかったぜ……んじゃ手早く物資を搬入させてもらうぜ?』

 

 

トレミーとテイワズ輸送部門タービンズの艦《ハンマーヘッド》が接近、ゆっくりと資材搬入ゲートを接続し微かに揺れた

 

 

 

PHASE-70~74 傷ついた天上人の艦、蘇る復讐鬼の半身、動き出すサーカス

 

 

 

 

 

 

「装甲やGNファイバーは丁寧にとりあつかって!補修パーツとのマッチングも同時進行でやるわよ!!」

 

 

 

「はい!エーコさん」

 

 

『『『『リョウカイ、リョウカイ』』』』

 

 

「ずいぶん手ひどくやられたわね~御門」

 

 

「御門姉さん、お久しぶりです」

 

 

「そうね。でもアミダ姉さんやアジー、ラフタが来てくれたから安心ね。頼りにしてるわよ」

 

 

「任せてよ御門姉さん……ところで噂の傭兵くんは?」

 

 

 

「………まだ見つからないの。でもマルスなら笑顔で帰ってくるから」

 

 

 

「ずいぶんゾッコンね~ダ~リンも義兄弟の杯かわしたいっていうも~ん……あの改修してる機体って」

 

 

 

「マルスの機体よ。でも……」

 

 

 

「でも?どうしたの御門姉さん……彼氏の機体何でしょ?強くなるなら問題ないじゃない?」

 

 

 

首を傾げ聞いてくるラフタに一瞬表情に影が落ちる。がすぐに消える…御門もロウから送られてきたパーツと武装に関してのデータを閲覧して紅茶のカップを落としかけた

 

 

(…なんなのコレ……コレがエクシェスの本来の姿なの!?)

 

 

何度見直してもコレがエクシェス本来のパーツであり、常軌を逸した武装群に背筋が震えた…これはまるで「たった一機で多数の相手を殲滅、全戦闘領域制圧」を目的に作られていると 

 

 

しかもソレが…三年前、瀕死の状態のマルスが発見されたMS《エクシェス》本来のパーツ。強くなるのは嬉しい反面、マルスが自分やアインハルト、クリス、ノーヴェから遠く離れてしまうのではないかと言う不安で一杯になるのを隠しひさしぶりに会うアジー、ラフタ、エーコ、アミダ達に笑顔で話に花を咲かす一方でマルスのエクシェスの改修作業をハロwithカレルと共に進めているアインハルトは本来のパーツが組み込まれていく姿から得体のしれないナニかを感じ端末を動かす手を止めている

 

 

(…………この機体、なぜかわからないですけど怖いです…外観が変わったからでしょうか?)

 

 

グレーのVPS装甲製の異形の手足を組み込まれたエクシェスから感じる何か…すでに各ブロックとの物理、パラレル回線は繋がれた最終的な調整を残すだけになった。ハンガーに固定された姿はまるで封印にも見えると感じた時、エクシェスのツインアイに光が灯った

 

 

「!?……気のせいですよね。それに動力源が無いんですから……」

 

 

みられた気がしたアインハルトはそれを有り得ないと判断し作業を再開する。改修前のエクシェスはパワーエクステンダーで動いていた、しかし送られてきたパーツ両腕(肩)、両脚(膝部)には動力源となるリアクターが積まれるようになっているが空のまま。ロウですらも本来のリアクターがどういうものかはわからず。核融合炉を積むにしても起動し武装に回す出力が得られないし、何より核融合炉をさらに小型化しなおかつ高出力化は不可能に近かったのだ。どうするか迷いなが出た答えは

 

 

「………このままでは動けませんね…GNドライブは数がかぎられてます。なら粒子貯蔵タンクを仮に搭載してみましょう。ハロさん、みんなを呼んでください」

 

 

『『『『『アインハルト、ドウシタ?』』』』』

 

 

 

「実はエクシェスの動力源にGN粒子貯蔵タンクを搭載をお願いできますか?マルスさんが何時でもつかえるように」

 

 

 

『『『『リョウカイ、アインハルト』』』』』

 

 

ビシッと敬礼したハロwithカレル,sは粒子貯蔵タンクを運びアームを使いエクシェスに搭載、ダブルオーダークライザーから粒子供給ケーブルを接続する。GN粒子が送られ起動に必要な量を確認しアインハルトはVPS装甲を活性化させた

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

グレーから白…いや瞬く間に青みがかった黒へ染まり、赤い装甲が展開。その瞳が輝くのを見て安堵するアインハルトは出来うる限り武装を含めたセッティングをカレルsと始めた

 

 

………記憶無き変革せし復讐鬼、本来の姿を取り戻しつつある愛機ーエクシェスーとの邂逅の時は近い

 

 

 

そして…

 

 

 

「トレミーの所在がわかった?」

 

 

「ハイです!エクシェスの反応をさっきとらえたです」

 

 

「……距離も近い。でもテイワズがいるから迂闊には出だしが出来ない」

 

 

 

トレミーから少し離れた場所にある孤島の森にマントで機体全体を覆い隠したMSが複数のMSの残骸をまえにしたたずんでいる。恐ろしく高出力のビームで真っ二つに泣き別れになったバビ、全身を細切れにされたグフ、そして何かに握りつぶされ内側から爆ぜたように破片を撒き散らしたゲイツR…死屍累々のMSをまえにコックピットで会話するのはリーダーのマリア、そして切歌、調…地球の重力になれ機体のOSも更新し終えトレミーを探していたがザフトに見つかりやむなく交戦し壊滅させた時に現れたエクシェスの反応を関知した

 

 

なぜわかるのか?それは彼女達の乗る機体の動力源《アレス・リアクター》とエクシェスは特殊な量子通信で繋がっている…ただ、機体のメイン動力源が切られたりすればリンクは断絶してしまう。エクシェスの反応を掴めたのは、アインハルトがVPS装甲起動の為にエクシェスの動力を立ち上げたからだ

 

 

「しばらく監視を続けましょう。進路からみるとイギリスへ向かってることがわかるわ……調、切歌…それまでは」

 

 

「邪魔な捜索隊をわたしと」

 

 

「キリちゃんが足止めする………マリアはアレス兄にに」

 

 

 

「わかっているわ……私たち《サーカス》はアレス隊長の剣なのだから…」

 

 

 

その言葉に頷くと三機は周囲に溶け込むようにその場から消え去った…後には無数のMSの残骸が残されるだけだった

 

 

 

 

PHASE-70~74 傷ついた天上人の艦、蘇る復讐鬼の半身、動き出すサーカス

 

 

 

 




機体設定


ガンダム・エクシェス

型式番号:GSF-YAM00X



【挿絵表示】






【挿絵表示】




全高:19,3メートル

総重量:47トン

動力源:アレス.リアクター×4

O.S:G.A.N.D.A.M・type

装甲材質:VPS装甲


武装


ビームソード《スケレトゥス》×2

粒子鋼対艦刀《ハゥルス》


量子通信浮遊攻撃砲台《ドラグ・ファング》×2

両肩内蔵型高密度固体プラズマ砲《ラグナロク》×2

腰部広範囲電磁衝撃破砕波《シュツルム・インパクト》×2


指向性中性子過活性システム《N・スタンビート》



特殊機能:ヴォワチュール・リュミエール

秘匿機能:V.T《vampire.territory》


特殊機動兵装:??????


火星急進派閥が地球と決別すべく《軍神の矢》計画の中枢を担う機体。製作にあたりアレスの研究、DSSD経由でアクタイオン社、ザフトのMSおよびオーストレルで開発されていた《Δ》のデータを盗用し産み出された

本機の四肢には《P・T》を通じ手渡されたロストロギア《ジュエルシード》をコアに、火星で発見された稀少マテリアルに魔力を注ぎ開発した《アレス式リアクター》が一基ずつ搭載、これにより常にエネルギー供給され超出力破壊兵器の運用を可能としている


ヴォワチュール・リュミエールで亜光速まで加速し敵大部隊および艦隊に接近、両腰部装甲に内蔵された電磁的衝撃破砕波を産み出しMSの外装および電装系を破壊、もしくは溶融させる破壊兵器《シュツルム・インパクト》、両肩ドラゴン・ファングで太陽黒点並みに収束、結晶化寸前のエネルギー砲弾を形成発射する《ラグナロク》(威力は一門だけでツインバスターライフル最大出力と同じ)。中性子の運動を暴走させ強制的に核分裂を誘発、核エンジン搭載MSの原子炉および融合炉を暴走、自爆へ追い込む《N・スタンビーター》、小型軽量化し、ターゲットをロックオンしMSおよび艦、艦隊の人間だけを弾けさせる《指向性サイクロプス》を搭載する事で非核、核エンジン搭載MS殲滅強襲用MSとして完成した


秘匿機能であるV.T(vampire.territory)の詳細は専属操縦者であるアレスしか起動、閲覧できないようプロテクトがかけられているため不明


地球へ向かうオーストレルコロニーのアキダリアへ攻撃を仕掛けるためMS形態でテストもかね出撃したが謎のガンダム《ハルフォスガンダム》に胴体以外を破壊された


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PHASE-76「雷鳴の闇 後編」side・ASTRAY副題《繋がる想い、滅びの力》

「・・・・やらせない!」

 

「ッ!」

 

光の翼を広げるガンダムタイプがレーザー刃を輝かせ振り下ろしたシュベルトゲベール?が蒼いMSに迫ろうとする寸前に間にはいり両手で挟み防いだ…何だろう。何かざわざわするけど今は蒼いMSを助けなきゃいけない気がする。バビロニアバンガードの位置座標と味方識別コードを素早く転送し向かうように言った

 

 

 

『ッ!・・・・感謝する………(ま、まさかゴースト?なぜ今になって)』

 

戸惑いにも似た何かを蒼いMSから感じながら機影が離れていくのをサブモニターで確認しながら追撃行動に移ろうとする前に立ちふさがる。目の前の二機はデータがない。ならバビロニアバンガードに辿り着いて潜行するまでの時間を稼ぐしかない

 

 

《気をつけろマルス。ザフトのデータベースにハッキングしたんだが、あの二機は最新鋭機だ!機体名称は……》

 

 

 

「…光の翼を広げているのはデスティニー、パイロットは篠ノ之さん、あと一体、多分誘導兵器搭載機はレジェンド……乗っているのは……」

 

 

 

《マ、マルス?》

 

 

『邪魔をするなァァァァ!』

 

 

「っ………考えてる暇はないか…8さん!アレの用意を!!」

 

 

色んな情報が何処からか流れてくるのを遮るように聞こえた声にハッとなる。光の翼を広げたガンダムタイプ…こちらに向けて突き出したデスティニーの左手…掌部分から高エネルギー反応…パルマフィオキーナを撃ち込もうとしているのを右に交わすと同時に膝蹴りを決め、反動を利用して反転。背後から接近する機体にバーニア全開で接近しようとスロットルペダルを踏み込んだ時だ

 

 

ーこの感じ・・・・・なるほど、貴方も私と同じ類いで

すか、なら仕留める!ー

 

 

いまの声は…あの機体を操るパイロットのモノだとわかったけど、ビームサーベルを抜きはなち横凪に切りかかってくる。とっさに僕…オレは両腰に収納されたフレイムソードを引き抜き振り下ろされた刃を防いだ時、またざらつく感覚がした

 

 

(な、なんだ……この感覚は?頭に響く………それに同じ類って何なんだ……それに乗っているのは女の子?)

 

 

 

『やりますね…ゴースト、いえサーペントテール《6》マルス・レディーレ……』

 

 

「……戦闘中にお喋りとは余裕だな」

 

 

フレイムソードとビームサーベルをぶつけ合うなか疑問が浮かぶ…エクシェスならわかるがゴーストに乗っているオレをサーペントテール、名前まで知っている?今は蒼いMS…グフイグナィテッドを逃がす時間稼ぎと新型機の性能を確認する

 

 

今後、もし戦うことになれば必ず役に立つはずだ……少数精鋭のトレミーにとっても

 

 

 

(………サーペントテール《6》…此方の機体の性能を把握しようとしてますね…)

 

 

ー奏!援護する!!ー

 

 

また声が?アラートがなる前にもう一つのフレイムソードを逆手に取り迫るパルマフィオキーナを防ぎつつ捻らせ下へずらし、反動を利用し距離を取った

 

 

『ホァシン・リー、何故お前が此処にいる!!』

 

 

「………篠ノ之箒……」

 

 

ザフト公用回線から怒りにも苛立ちにも似た声が届く…レジェンド、デスティニー両機の完成度は高い。デスティニーは以前、S2型インフルエンザのワクチン輸送時に戦った際につけられていたシルエットと似通っている…おそらくは遠中近にも対応した万能機として開発されている。レジェンドは外観から判断してプロヴィデンスの後継機だ

 

背中、両腰にあるのは量子通信誘導兵器に間違いない

 

 

 

『私もいることも忘れるなホァシン!!はあああ!!』

 

 

 

「くっ!」

 

 

『よそ見はいけませんよ?』

 

 

シュベルトゲベール?を大きく振りかざし光の翼を広げ加速して切りかかるデスティニーの斬撃をスレスレで回避し、致命傷になる攻撃をフレイムソードで受ける一方で間隙を縫いながら撃たれたビームを切り払う度に表面に施した耐ビームコーティングが剥がれはじめてる。レジェンドからの隙の無いビーム砲撃は脅威だ

 

 

 

(…………グフイグナィテッドは戦闘空域から離れた……なら此処に止まる必要は無い)

 

 

 

「8!ファントムライト起動!!」

 

 

《合点承知!ファントムライト起動!!》

 

 

 

ゴーストの身体から炎があがる…いやミノフスキードライブ《光の翼》が全身に配置されたIフィールドにより激しく波打つ姿に箒はぎりっと操縦慣を握りしめアロンダイトを構え切りかかる一方、奏は驚きの表情を見せた

 

 

 

「光の翼、そして銀色の装甲に胸の髑髏……二年前に突然現れ、レクイエム戦を最後に姿を消した海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》………再び現れるとは」

 

 

 

ー…………議長が言っていたのは《彼》でしたか………ー

 

 

まただ……レジェンドのパイロットの声が聞こえる…それに攻撃の手を緩めず、シュベルトゲベールの斬撃を超高速で動きかわしていくゴーストを操縦するオレを見定めている気がする

 

 

何なんだ。レジェンドの女パイロットは……今は戦闘領域から撤退を優先する。スロットルペダルを踏み込み凄まじい加速でぐんっとシートに押し付けられるも一気に間合いをつめレジェンドへ逆手に構えたクジャク…十六基のビームエミッターを解放、超高圧ビームの刃が生まれそのまま切りつける、ビームライフルを持つ腕を溶かし切断する

 

 

『やりますね!ゴースト!………でも相手は私だけではないですよ』

 

 

『……そこだ!ホァシン・リー!!』

 

 

 

「くっ!」

 

 

 

背後からの接近警報がなる前に振り返りみたのは光の翼を広げ残像を残しながシュベルトゲベール、アロンダイトを正面に構え切りかかってきたのをかわす…クジャクで受けようとした…しかし相手の姿が消えナニカを感じ本能的に機体を後ろへ下げようとした瞬間、正面モニターにアロンダイトの刃が映り迫るモニターが消え、変わりに灼熱のレーザーが溶かしきっている

 

 

 

「う、うああああああ!?」

 

 

砕け散る全天周モニターからビーム刃を避けるた機体を右後ろへ下げつつアロンダイトを握る手ごと切り払い、海面へ落ちるののも気にせずコントロールステックを倒すと同時に蹴りを胴へ叩き込んだ

 

 

篠ノ之箒、やはり化けたか………それにデスティニーは彼女自身に合わせて開発されている事がわかる…

 

 

「8、粒子グレネードを……同時に離脱する」

 

 

 

《了解!》

 

 

 

大きく切り裂かれたコックピットからこちらを伺うデスティニー、レジェンドに向けてグレネードを投げると煙幕が吹き出しあたりを真っ白に染め上げる…

 

 

『く、どこだ!……どこにいるホァシン!!』

 

 

 

『センサーが阻害されている?………』

 

 

ノイズ混じりの通信が響く…粒子グレネード、高密度に圧縮したGN粒子と煙幕を内蔵した特殊装備。GN粒子がもつ通信阻害する特性に有視界戦を妨害する為に自作したものだ。このすきにミラージュワゾーへ変形をファントムライトを展開と同時に加速、二機を残して離脱した

 

 

 

ー……………次はにがしませんよゴースト………マルス・レディーレー

 

 

レジェンドのパイロットの声が頭に響く…セーフティーシャッターが8の操作で降りた…サブモニターに暗号通信通知を朦朧とする意識の中でひらく

 

 

ー織斑千冬、スコール・ミューゼル保護、トレミーとの接触成功、ポイントTJM・198325で合流されたしー

 

 

「は、8さん。このポイントにゴーストを向かわせて……」

 

 

《了解?……マルス!どうした。マルス!!》

 

 

それを最後に僕の意識は深い闇に落ちた

 

 

 

 

 

PHASE-76「雷鳴の闇 後編」side:ASTRAY《繋がる想い、滅びの力》

 

 

 

「そう、わかったわ………」

 

 

『……議長、私に干渉してきたのは』

 

 

「……アナタの推測通りよ、次に出逢うときは彼は生かして捕らえなさい……」

 

 

『生かしてですか?』

 

 

 

「ええ、私の、いえ私たちの望みを叶える為の鍵を持っているから………頼むわよ奏」

 

 

 

『わかりました、近海の捜索後に箒と共に帰投します』

 

 

奏からの秘匿通信を閉じ椅子に深く座り込む…あの子に干渉してきたのはマルス・レディーレいえ、アレス・ルセディスに間違いない。奏と干渉できたのは脳量子波が無意識的に強くなっている証、つまりは純粋種《イノベイター》に覚醒しつつあること

 

プトレマイオスⅡ艦載機には太陽炉搭載MS数機、艦内航行推進およびフィールドにGN粒子が使われている事がわかる。マルス・レディーレはジャンク屋組合にいたこともあり太陽炉搭載MSの整備する機会が多々あるから当然ね

 

ミッドチルダにいる工作員がGspirits隊から強奪、そう見せかけ譲渡した新型機《00クァンタ》には新型粒子発生機関が二基搭載されている。おそらくプトレマイオスⅡで調整にも参加し高純度のGN粒子を浴びているはず

 

もし記憶が戻り純粋種へと覚醒したら、アレを手にすることが出来る、《Gspirits隊のいた世界》に失望しミッドチルダに訪れたイオリア博士が再び《人に革新をもたらすため》に産み出した《アレ》を使わないことには私の望みが叶わない

 

 

今度こそ手にしてみせる。五年前は残党を利用しても不完全な覚醒を促すしか出来なかった……でも私が植え付けた偽りの復讐の炎はアレス・ルセディスのISは完全な覚醒を導くだろう

 

 

「A-RESUのインヒュレート・スキル…………光量子演算処理システム《VEDA》を………」

 

 

 

コレで役者は揃った……さあ、踊りなさい…私が演出した復讐の舞台の幕を開くのはアナタなのだから

 

 

 

 

★★★★★★★★★

 

 

三日後、イギリス到着まであと五日日となった、プトレマイオスⅡはティワズ輸送部門《タービンズ》の護衛と同時に修復作業を進めていた…しかしもう一隻の船…マルスがこちらの世界に帰還したさい搭乗していた戦艦《バビロニア・バンガード》が併走している

 

 

「よし、外装の修理は終わりと……ナガスミくん、そっちの第四砲門はどうかな?」

 

 

「こっちはGNファイバーとコンデンサーを交換したら終わりだ……って大丈夫かよマルス?」

 

 

「大丈夫、涼子とアインの看病が…………効いたから……うん……」

 

 

 

「ん??」

 

 

 

「と、とにかくカレル達をフル動員して修復を急がせようか…浮上しているとザフトに見つかるから」

 

 

 

「そうだな………(はは~ん、そういうことか……なんか翔真先輩にますます似てきてるな)」

 

 

頭から湯気を出すマルスを見て何となくさとるナガスミ…三日前、突然通信を寄越してきた未確認戦艦、通信回線がひらくと行方不明になっていたノーヴェとクリスの姿

 

 

『聞こえるかトレミー!兄貴が、兄貴が!御門とツバサを早く!!』

 

 

 

切羽詰まった声にすぐさま椄舷、再会を喜ぶまもなくMSデッキに連れてこられたツバサ、リンネ、ネプテューヌ、アインハルト、御門がみたのは胸…コックピットハッチを大きく切り裂かれたゴーストガンダム、ミラージュワゾーがメンテナンスベッドに置かれている。複数のカレル達がコックピットハッチを切開している間に、ツバサと御門はナノマシンベッドの用意と各種点滴、アインハルトはカレル達にゴーストガンダムの冷却とハッチ解放とセーフティーシャッターを開くよう指示をとばしていく中でハッチが音を立て落ちシャッターが解放、籠もった熱気があふれ返るコックピットを覗いたツバサ、御門がみたのはぐったりとしたマルス、そして耐熱シールドに包まれた8の姿

 

 

「早くナノマシンベッドに寝かせるんだ!御門、早くパイロットスーツを脱がせろ」

 

 

 

「え、ええ!わかったわ…ノーヴェ、クリスも手伝って!!」

 

 

「「わかってる!!」」

 

 

我に返った御門の声が届く前にコックピットからマルスを引きずり出し、手早くバイザーを外しパイロットスーツを手慣れた様子で脱がしていく…至る所に火傷がめだつ身体がみえる。インナーだけになったマルスをナノマシンベッドへ横たわらせバビロニアバンガードのメディカルルームへ運び入れた…しかし驚くべき事が起きていた

 

 

 

「ウソ……身体の火傷が…」

 

 

「御門、今は治療に集中して(おかしい、短期間でこの治癒力は有り得ない……戦闘機人だというのはわかるけどあり得なさすぎる)」

 

 

ナノマシンベッド内で驚異的な回復力を見せるマルスを目にしたツバサ、御門は驚きながら治療を進めて半日後…交代でみていた御門がチェックした時、微かにまぶたが動いた

 

 

『ん……ここは』

 

 

 

「ま、マルス…もう、アナタったらこんなに心配させて…バカ」

 

 

『ご、ごめん……御門がいるってことはトレミーにいるの?』

 

 

少しだけ涙目になった御門から説明を受けてトレミーに無事合流出来たこと、そしてイギリスまでの安全な進路をティワズ輸送部門《タービンズ》が護衛兼、道案内を会長から指示されてることを知り頭が上がらないと感じる一方でトレミーの現状を知り可能な限り修理を航行しながら行うことを告げ指示をとるべくナノマシンベッドから出ようとしたが、

 

 

「マルス、火傷に打撲はまだ治りきっていない。今、無理をすれば身体に障るよ」

 

 

「そうよ!少しは自分の身体を大事にして。いくら私やツバサがいるからって……ナニカあったら」

 

 

 

「わ、わかったから………じゃあ休ませてもらうかな……8さんは?」

 

 

 

「アインハルトちゃんと一緒にいるわよ。クリスとノーヴェも艦内航行システム周りの調整しているから…少しは頼りなさい」

 

 

「うん…あ、銀ハロにトレミーの修復状き…」

 

 

 

「「いいから休め/やすみなさい!!」」

 

 

 

 

ツバサと御門にあと3日の休養をとるよう言われ、大事を取りメディカルルームで御門、アインハルトが付き添う形で泊まることになった。クリスとノーヴェもつきそうと言いいだしたが御門に耳元でナニカ言われ引き下がった…何を言われたんだろうと考えながら、ナノマシンベッドから出てきたマルスは病院着に着替え横になりうとうとしていた時だ

 

 

 

「……マルス、おきてるかしら?」

 

 

 

ひかえめな静かな声…御門だとわかる。うすぬのごしに見える影は二つ見える。誰かわからないけど気にせず話しかけてみた

 

 

「どうしたの御門さん?」

 

 

「………………傭兵、やめる気はないの?あなたぐらいの年だったら普通に暮らして、学校に通って、友達に囲まれて可笑しくないのよ」

 

 

「……そうだね…ソーナ義母さん、セラ叔さ……姉さんにも言われたよ…そういうのも悪くないって」

 

 

「だったら……」

 

 

「………でも、それじゃ《何か》から逃げたことになる。傭兵になったのも《僕自身》が何者かと知るためだ…三年前以前の記憶が無い。《今の僕》になる前の僕を知りたい……でもサーペントテールに入っても思い出せなかった。わかったのはMS操縦が出来てみんなの機体や艦のフルメンテナンス出来る事。それにクリスが僕をアレス・ルセディスって名前が本当の名前だっていったんだ」

 

 

「……アレス・ルセディス?」

 

 

「………それからなんだ、おかしな感覚がするようはなったのは。過去の世界で翔真さんのサポートをしている時に戦闘中、ノイズ混じりの声が聞こえてナニカとつながる感覚がたびたび起きるんだ…帰ってきてすぐに戦ったザフトの新型機…とくにレジェンドのパイロットの声がはっきりと聞こえたんだ……僕は……」

 

 

 

『誰なんだ』と出かけた言葉を飲み込んだマルスは膝を抱えうつむいた時だ。カーテンが開き誰かが優しく抱きしめた…顔をあげると御門が少し照れながら包み込むよう抱いている

 

 

「大丈夫、アナタはマルス・レディーレ…今こうして依頼が無くても皆がいるトレミーのために頑張ってる少し天然で転けると私たちにエッチな体勢で押し倒す優しい人………どんなことがあってもわたし…私たちは信じるから。記憶が戻ってもね…だから安心しなさい」

 

 

「…うん………」

 

 

 

「じゃあ、ひさしぶりに身体の調整をしましょうか。今日はもう一人てつだって貰うから」

 

 

「え?な、なんかいきなりじゃ……」

 

 

 

「いいから、いいから………今日はしっかり起きていてね」

 

 

耳元で囁く御門が静かにカーテンを開く。ソコには何時も身体機能調整(!)に使うピンク色のマット、特殊ジェルの容器が二つ並びに何より驚いたのが

 

 

「き、今日は精一杯頑張らせていただきます!」

 

 

アインハルトが顔を真っ赤にしながらこちらをみている…なぜか競泳水着姿でいることに困惑するマルスをうつ伏せに寝かせると特殊ジェルを手すると軽く温めると背中へと落とし伸ばしていく…柔らかな指が肌を滑る度にピリピリと火照る感覚に襲われる

 

 

「アインハルトちゃんは腰から下をお願いね」

 

 

「は、はい頑張ります………」

 

 

 

ヌルリと特殊ジェルを手のひらで温め落とし塗り込む…やや小さな瑞々しい手と相手の身体を知り尽くした手が心地よさを与える反面、マルスは焦っていた

 

 

(ま、まずい……いろいろと…)

 

 

普段なら眠ってしまうのに今日は目がさえ、胸がバクバクし下半身に血が集中していく…必死に落ち着かせようとするも肌を滑る手、御門とアインハルトの息づかいと甘い匂いに目が回り始めた時、背中に手とは違う柔らかなふっくらした二つのナニカが密着し滑る…まさかこの感覚はと思い立ち上がろうと身を起こすもぬるりと手を取られ倒れたマルスの目に映るのは大きく二つ実る魅惑の果実。それを食い込むほど手がわしづかみし柔らかさの中にかたくなる部分を指がこすりあげられビクンと身体を震わす御門。しかも馬乗りになり色々とヤバい部分に触れている

 

 

「あばれちゃだめよ…んっ…」

 

 

「あ、あ、あ、御門さ、さん?な、なにおぅ」

 

 

「ナニって調整よ?……ねぇマルス、ノーヴェとクリスとHしたでしょ。なんでって顔してるわね…二人の態度を見ればわかるわよ……」

 

 

「それとコレがなんで」

 

 

「………私とアインハルトはねマルスの事が好き…likeじゃなくloveのほうよ。知らなかっただろうけど」

 

 

「え?ええ!?」

 

 

「わ、私は答えが聞きたいんです………私と御門先生をどうおもっているのかを…」

 

 

顔を近づけ潤んだ瞳、やや赤みを帯びた肌…心なしか息づかいも妖しく手が腹筋を滑り胸板で止まり、指先で円を描きながら聞いてくる。特殊ジェルで肌は艶やかに濡れ、競泳水着は身体のラインをはっきりと魅せる…なぜか大人の姿、御門に負けるも豊かな膨らみが強調された魅惑の果実が揺れるのをみて心臓が高鳴りながら思った

 

 

御門は自分の身体を調整し、何かと相談に乗ってくれる誰からみても魅力的女性。アインハルトは礼儀正しく何事にもまっすぐで、可愛いモノが好き…そんな二人からの好意。真剣な目に自然と自らの想いも言葉になる

 

 

「………僕は…御門先生、アインハルトが好きだ……でもクリスとノーヴェが…」

 

 

「大丈夫よ。ノーヴェは『アタシ等以外の女とつきあうより御門やアインハルトと付き合う方がましだし』、クリスちゃんは『兄貴はノーヴェとアインハルト、御門、んでアタシらと付き合った方がいいにきまってんだからな』………って了解は得てるわよ。だから…」

 

 

「わ、私達もですね。平等に……その……え、Hして欲しいんです!」

 

 

 

「ア、アインハルト!?……うわっ!?」

 

 

 

「女の子にここまで言わせるなんて罪づくりね~さ、あの子たちよりスゴいことを…し・て・あ・げ・る♡」

 

 

組み敷かれたマルス之唇を柔らかくふさぎ舌を割り込ませ味わい尽くす御門、頑張りますと拳を握りしめ恐る恐る手を伸ばしたのを目にしてからぷつりと意識が落ち、軽い腰の痛みとけだるさで目を覚ましたマルスの隣には

 

 

 

「あ、あ……はぁ、激し過ぎ…もういっぱあい♡」

 

 

「まだ、中があったかいです…あ、あふれて」

 

 

 

乱れたシーツ、白く白濁したナニカをゴポリとあふれさせながら震わす二人を前に「またやってしまった」と頭を抱えるマルス…以前(過去の世界で)クリス、ノーヴェをここまでしてしまった事があったからだ……この3日間、本当に色々な事があった。

 

 

トレミーの修復具合を銀ハロ(マルス専用ハロ。様々な整備端末と常にリンクしており異常があれば知らせる機能とMS用OS最新バージョン構築、GNドライブ、エイハヴリアクター、核エンジン、武装に関しての調整もこなす)を通しみてて、芳しくない事を知って気づかれないように抜け出したが

 

 

 

ー……どこにいくんですかマルス?ー

 

 

「ソ、ソーナ義母さん!?」

 

 

笑顔だが背後に鬼のオーラならぬ悪魔の翼を広げ立ちはだかる義母のソーナ・シトリー…抵抗する間もなされたお仕置きを思い出し身震いする。あれはまさに悪夢としかいえない……叔母にあたるセラフォールは

 

 

ーねぇねぇ、ウチの番組《サタンレンジャー》に出てみない?謎の美人傭兵って役でー

 

 

ーぜ、全力でお断りしますー

 

 

ーええ~でてほしいよ~う。こんなに可愛いんだからバレないからー

 

 

 

天使に見えていたセラフォールのキラキラした目に負け収録回になったらでることを契約してしまった………昨日の時点で身体のやけどと打撲は治ったのだが、さすがに四人を相手にしているせいか少し目の下に隈が出来、腰も痛い…

 

 

「………ははは、身体持つかな」

 

 

 

「マルス、今度いい薬(精力剤)を処方しておくけど」

 

 

「い、今はまだね…それより一夏くんは?」

 

 

 

「まだ完治には遠いかな…それに」

 

 

「一夏の看病はわたしがやる」

 

 

「いいえ私がやるから」

 

 

「わたしがやる」

 

 

休憩もかね診察に来たマルスとツバサ、ネプテューヌの前で千冬と一夏が撃墜されたとはやて経由で聞き、飛んできたメガーヌ、簪が火花を散らしている。ベッドにいる一夏は冷や汗を流していた時、艦内に警報が鳴り響いた

 

 

『現在、トレミーよりハンマーベッド、バビロニアバンガードへ、Eセンサーが連合、ザフトのMS部隊を確認捉えた!二方向から我らを挟み撃ちにする腹積もりわかろうて。修理を一時中断して防衛行動に入る!!』

 

 

 

「敵が………く」

 

 

「一夏、まだ動いたらダメよ」

 

 

「でも…このままじゃ」

 

 

 

「………一夏さん、僕とナガスミくん、ツバサくんに任せて…今は身体を直して」

 

 

「でも…」

 

 

「今無理して出てナニカあったら…メガーヌさんや、簪さん……それにアイン……アインハルトが泣くから……」

 

 

 

強い意志の光を瞳に宿らせ見せるマルスをじっとみて、しばらくして肩を落とした

 

 

「わかったよ………トレミーを…みんなを守ってくれ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「よし、じゃあいこうか…ネプテューヌ、まかせたよ」

 

 

 

「まっかせなさ~い♪ミカミカもいるから安心して」

 

 

明るく答えるネプテューヌに笑みを返しツバサがメディカルルームから足早にでる。マルスも続いてでようとした

 

 

 

「マルス、あとでアインハルトと何があったか詳しく聴かせてもらうからな」

 

 

「は、はい」

 

 

 

笑顔だか黒い笑みを浮かべる一夏…ぞくりとしながらトレミーのMSデッキへ続く通路を通り抜けた…ナガスミとツバサはすでにリニアカタパルトへ機体を固定し発進体勢に、ゴーストはまだ修理が終わっていない。ひさしぶりに愛機があるデッキへ来て思わず息をのんだ

 

 

「こ、コレは」

 

 

 

「ロウさんから送られてきたエクシェス本来のパーツを組み込んだんです……名前は《ガンダム・エクシェス》。本来のジェネレータが無くて粒子貯蔵タンクを搭載しても三割しか出力をキープ出来なくて」

 

 

 

驚くマルスの前でアインハルトが説明する中、本来の姿となったエクシェスに懐かしさを強く感じていた

 

 

 

 

「アインハルト、ありがとうエクシェスを整備してくれて………じゃあいってきます」

 

 

 

「はい…いってらっしゃいマルス」

 

 

 

 

少し照れ混じりの声を聞きながらキャットウォークを上昇させハッチにたどり着きひらくと身体を滑り込ませ火を入れる。モニターに光が灯りエクシェスのツインアイが捉えたデッキ内映像が映されアインハルトが真剣な面もちで発進シークェンスをサポート、リニアカタパルト射出位置へ固定されリニアボルテージが上昇していく

 

 

『エクシェス、発進準備完了。コントロールをマルスさんに委譲します』

 

 

 

「了解。マルス・レディーレ…………ガンダムエクシェス、戦場へ飛翔する!!」

 

 

 

 

ギンッとツインアイが光り、凄まじい加速と共に空へと弾き出されると同時に状況を確認する…現在、連合のウィンダム部隊をナガスミがかるウィングガンダム・フェニーチェ/リナーシタ

 

 

 

『圧倒させてもらうぜ!いくぞリナーシタ!!』

 

 

構えたバスターライフル(トライツバーク装備)の砲口から生まれた凄まじいまでの極太のビームから生まれる圧倒的火力でウィンダムを飲み込み火球が生まれ連携を寸断、混乱状態に陥る中でビームサーベルが切り裂いていくたび光が何度も瞬いている

 

 

 

 

「しっこいな………空を飛ぶ相手は苦手だな」

 

 

 

バビとグーン、ゾノで編成された部隊をツバサがかるガンダムバルバトス《第六形態》が滑空砲を構え撃ち落としていく…が海面からゾノ、グーンが背後から迫ってきているのをみたマルスはリュミェールを展開、海面スレスレを飛行し接近するや否やゾノ、グーンのコックピットめがけ手刀を打ち込み沈黙させた

 

 

 

『マルスか!?』

 

 

「はい、ツバサ君は海中にいる部隊を…バルバトスにスケイルモーターをつけてあるから」

 

 

 

『わかった海中にいる敵は俺がやるよ…空の敵はまかせたよ』

 

 

 

「うん」

 

 

 

軽く拳をぶつけ離れ海中へ潜るバルバトス…瞬く間に無数の水柱が上がる中、上昇しながら妙に落ち着いているなと感じている。バビ、シグー、ゲイツRのリニアガン、ビームをバレルロールしながら武器を選択。両肩装甲が展開、三つの球状クリスタルが覗くとリュミェールが強く輝く

 

 

この武装を自分は知っている…出力スロットを最大にしていくとクリスタル部に光が走り放電現象が起こり始めたのと同時に暗い闇に墜ちていく感覚に捕らわれていくマルス…傭兵モードとは違う

 

 

もっと、深いところからナニかがまとわりつき脳裏に声が響く

 

 

 

ー……………シュウ…テヤル………チリアクタノコラズ………ダイト……ー

 

 

 

出力が上がる中でGN粒子がコックピット内に溢れかえる中で微かに唇が動いた

 

 

 

「…………する………」

 

 

 

『な、なんだ!あれは!!』

 

 

 

『とにかく攻撃だ!ソレスタルビーイングを殲滅するんだ!!』

 

 

 

放電現象に驚くバビ、シグー、ゲイツR…エクシェスの肩装甲に収められたクリスタル部に超高出力レーザーが照射、やがて太陽黒点に匹敵するほどのエネルギーから発生しているからだ

 

 

 

「………つする………めつす………」

 

 

俯きながら呟くマルスの耳には戦場にいるすべての声が響く中でゆっくりと顔をあげた見えた瞳は赤みを帯びた金の虹彩に輝いている

 

 

「…………する……………殲滅する…ドラグファング、敵を噛み砕け…」

 

 

トリガーを引いた瞬間、両肩装甲内に蓄積された圧倒的破壊力を秘めた光が溢れ瞬く間にバビ、シグー、ゲイツRを飲み込んだ

 

 

『うわ、うわあああああああああーーーーーーーーーーー』

 

 

 

 

光の中で蒸発していくシグー、ゲイツR、バビのパイロットの断末魔の叫びはむなしく消え止まることなく突き進む光は無人島を半分削り取るように蒸発、海面は煮え返り雲が生まれ雨が降り始め、肩装甲内の光が消え閉じると同時に警報がなる

 

機体に装備されていた四基の粒子貯蔵タンク残量がレッドゾーンになっている…しかしマルスの様子がおかしい。アームレイカーを握る手が震えている

 

 

「……な、なんなんだコレは………なんでこんな武器がついているんだ…………」

 

 

 

『マルス、こっちのほうは片づいたよ…どうした?』

 

 

「な、なんでもないよ……帰ろうトレミーに」

 

 

 

『ああ、早く帰ってメシにしようぜ』

 

 

 

 

冷静さを装い、ナガスミとツバサに答えながら震える手を抑え、トレミーへと進路をとった

 

 

 

 

………エクシェスの力に呑まれそうになる不安に耐えながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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PHASE-77.5 変革する者、真の速さとは?side・ASTRAY

PHASE-77.5 変革する者、真の速さとは?side・ASTRAY

 

 

 

○月×日

 

今まで行方不明だったマルス、クリス、ノーヴェがみたことの無い戦艦とザフトにいたスコール・ミューゼル、織斑千冬を伴い帰ってきた

 

 

でも二人を逃がすためにザフトの新型と交戦し負傷したマルスを急ぎメディカルルームへと運び治療をしておどろいた

 

全身に負った火傷、打撲が信じられない速さで治癒していっていた

 

 

前に定期検診でCTスキャンでみてみたけど全身に走るエネルギー伝達回路、アクチュエータ、シリンダー…ナノレベルで生体と機械との融合が極めて高次元でなされているし、施術方式に僅かな差違があるけど間違いない。マルスはノーヴェ達と同じ設計思想を持つ《戦闘機人》だとわかっていたけど、ここまでの治癒力は無いはず

 

 

でも目の前で起きてる事は紛れもなく真実だ。しばらくは経過をみようと思う…多分マルスの事だからトレミーの修復に参加するだろうけど万が一に備え休ませることにしよう

 

 

 

○月×日

 

 

あれから3日が過ぎた…トレミーの修復状況はメカニックとして復帰したマルスの指示でカレル達、タービンズのエーコ、アインハルト、ノーヴェ、クリスが進めたお陰で火器管制、艦内環境は八割がた終わった時にザフト、連合混成部隊に見つかった

 

 

オレのバルバトス、ナガスミのリナーシタ、完全な姿を取り戻したエクシェスとマルスが迎撃、撃退し帰投した…ただ

 

 

 

ーマルスの様子がおかしい?ー

 

 

 

ーええ、ワタシとアインハルトちゃんが調整(またの名をローションプレイ)していたらなんだけど…たまに瞳の色がかわってるの。それに部屋にいって扉をひらこうとしたら先に開いて『涼子、それにアインもどうしたの?』って私たちが来ることをわかっていたみたい……同じことが何度かあったってクリスもノーヴェも言っててー

 

 

 

 

 

艦内の医療データを整理していた御門が言うにはマルスの瞳が《赤みがかった金の虹彩》への変化、来る のを先読みする……戦闘機人には有り得ない治癒速度、空間認識能力、瞳の色の変化………もしかしたらマルスは翔真と同じ《変革》をイノベイターへなろうとしているのか?

 

 

 

クアンタ調整中に誤ってトランザムを起動して《超高純度のGN粒子》を浴びたことがあるのは知ってるけど《変革に必要な《因子》》を持ってなければ不可能のハズ

 

 

 

ん~明日あたりに以前に受けたキズの経過を見てみるから詳細な検査を御門と共にやろう

 

 

 

 

 

PHASE-77.5 変革する者、真の速さとは?side・ASTRAY

 

 

 

あけて翌日、テイワズ所有資源衛星《アルセイム》…無数のデブリが浮かぶ中に二つの機影が見える。ガンダムグリープを強化改修したグリープタキオン、青地に黄色の塗装が目立つテイワズが開発したミノフスキードライブ搭載機F-99《レコードブレイカー》が相対している

 

 

『コレよりレコードブレイカー、タキオンとの実戦形式の模擬戦闘を行う。両機のどちらかが行動不能にする事が勝利条件だ……』

 

 

 

「問題ない…」

 

 

「こちらも……私の速さを見せつけてあげますよサーペントテール、叢雲劾…」

 

 

「……」

 

 

やる気満々なミィリスに対し、無言で返す劾…僅かな間を起き二機は示し合わせたように離れたるとまずはタキオンがプラズマジェットをフルスロットルで加速

、劾のレコードブレイカーへビームランサーを手に切りかかる。その模擬戦を見守るGspirit隊のカズマ、傭兵部隊サーペントテールのメンバーであるイライジャ、ロレッタ、風花もじっとみている

 

 

「私の速さについてこれますか?」

 

 

「…………」

 

 

ミイリスの言葉に答えることなく、じっとモニター越しでタキオンを見る。瞬く間に接近を許してしまいビームランサーの刃が横凪に胴を切り払うべく振るわれた…誰もがミイリスの勝利を確信していた、が次の瞬間。レコードブレイカーの姿が消え虚しく空を切る

 

 

「き、消えた!いえ………はっ!?」

 

 

 

「………」

 

 

背後からの接近をしめすアラートがなりとっさにビームランサーを振るうと姿を消したはずのレコードブレイカーがビームザンバー…いや無骨な造りのブレイド

を打ち付けビームと実体刃がぶつかりあわせなが光の軌跡が無重力の海に煌めいた

 

 

「あのブレイド…耐ビームコーティングがされてるのか?」

 

 

 

「うん、劾はエネルギーを使う武器はよほどのことが無い限りは使わないんだよ」

 

 

 

「でもビーム兵器の方が威力があるにきまってるんじゃ…」

 

 

「確かにな。でも俺たちは傭兵は受けた依頼によって長時間の戦闘行動をとる場合がある。ビーム兵器は強力な分エネルギーを食うし精密機器の集合体だ。つまり」

 

 

「そうか!MSは稼働時間に限りがあるのと同じでビーム兵器も長時間の使用は…」

 

 

「そういうことだよ。それに今回の模擬戦はミィリスって人に気づかせるために劾は挑戦を受けたんだよ」

 

 

数分前、MSデッキ…テイワズから搬入されたF-99《レコードブレイカー》のコックピットで調整を終えた劾がキャットウォークへ降り立った時、ミイリスが歩み寄り声をかけた

 

 

 

 

『サーペントテール、叢雲劾ですね?』

 

 

『…そうだ』

 

 

『今日より仲間になるのですけど、その前にアナタの実力をみさせていただきませんか?』

 

 

 

『………』

 

 

僅かに間をあけ頷くのをみて、そのまま低軌道ステーションへ機体を積んだシャトルと共に向かい今に至る…カズマはなぜ劾が勝負を引きうけたかの理由が朧気に浮かび始めた時、劾のレコードブレイカーが最大加速でタキオンから距離をおきながら離れていく

 

 

『逃がしませんよ!叢雲劾!!』

 

 

 

『…………』

 

 

 

ビームランサーをおさめレコードブレイカーを追うタキオン…しかし眼前に大小無数のデブリが道を遮る…華麗に回避するもソレを操るミィリスに急加速、急加速方向転換によるGが容赦なく襲いかかる

 

 

『う、うぅ…』

 

 

それに対して劾はデブリを蹴り、必要最低限な加速でどんどん距離を離していく…しかし光が先ほどまでいた場所を飲み込む…ハイパーバスターメガ粒子砲のビームが掠め装甲が赤熱化するも冷静に続けて放たれるビームを回避していく

 

 

(なぜ当たらないの?ゼロシステム、PXシステムを使っているはずなのに)

 

 

ゼロシステム、PXシステムを用いた砲撃が紙一重でかわされていることにコンソールを握る手に汗がにじませ、何故回避されるのかを考えた時だ。劾が資源衛星《アルセイム》…その資源採掘抗へ入ったのをみてミィリスもその後を追う

 

 

抗道内部は狭く、加速もできないタキオンは通常バーニアへと切り替え索敵をする…Gに耐え、攻撃をこなしたミィリスには限界が来ていた。しかしそれ以上に疑問があった

 

劾のレコードブレイカーもタキオンと同じGがかかるはずなのに、そのそぶりすら機動時に全く見せない。ナニかが違うのかと思考の海に沈んでいこうとした時、センサーが上方抗道に熱源を捉え迷わずバスターメガ粒子砲の砲口を向け引き金を引き絞った

 

しかし…ソコにはレコードブレイカーではなく廃棄された作業用MS。ビームが直撃するや否や爆発、すさまじい光が生まれモニターが真っ白に染まる。サブモニターに切り替えみえたのは青く塗装されたレコードブレイカーがコックピットに耐ビームコーティングされた剣を突きつける姿だった

 

 

(そ、そんな私が負けた?)

 

 

 

『勝負はついたな…現時刻でミッションコンプリートだ……』

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

今日、マルスの受けた傷の経過をみるために診察した…血液採取はオレが、脳量子波測定を別室にいるミカドに頼んだ

 

 

傷はやはり完全にふさがっている、ひどかった火傷も痕すら残していないイノベイター特有の体質と非常に似かよる部分も見受けられた

 

 

『ツバサくん、もう大丈夫かな?』

 

 

『うん、傷は完治しているね。でも無理だけはしないように』

 

 

それを聞いてかマルスは笑顔を向けありがとうといってから自室に向かったのをみて採取した血液を解析機にかけ、別室にいるミカドに脳量子波測定の結果を聴いてみた

 

 

 

『………脳量子波測定したんだけど……翔真のと同等の波形を検知したわ……やっぱりマルスは』

 

 

不安そうにつぶやくミカドを帰すと転送されたデータをみた。まだ判断材料が足りないけど間違いなくマルスは純粋種に変革しようとしている

 

 

純粋種独特の脳量子波パターン、微弱だけどソレとは別のもある…この微弱な脳波を以前に管理局の医療データアーカイブで見たことがある

 

 

でも今はGspirits隊、管理局とは決別した状態だから閲覧はできない…あとは血液からDNAを取り出し調べることしかできない

 

 

それにイヤな予感がする。でも今はイギリスに向かうことを優先するしかない

 

 

 

翔真、早く戻ってこい……みんな待っているんだからな

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

ー私は彼の世界に失望した……オリジナルGNドライヴから産まれるGN粒子を封じ兵器として転用した彼等にー

 

 

 

(な、なにコレは…誰の声だ……いや知っている気がする)

 

 

 

ー世界は確かに一つになった…しかし未だに争いの芽は消えず、互いに否定し一部の者達の台頭し《平和のため》といい非加盟国に軍を派遣、鎮圧と言う名の虐殺を行う………与えられた知性を間違えて使い無駄で不毛な愚かな行為、真実を見失う者達を私は嫌悪しているー

 

 

 

声が響く…なぜかわからないけど懐かしさを感じる…ナニカと繋がる感覚した時、目の前が明るくなり無数のフローティングウィンドウを前にした人の背中、ウィンドウにはGNドライヴの概念図…?なんで知っているんだ?実物は見たことがあるけど…わからない

 

 

ーこのままでは人はどこにも行けない…正しく知性を用い進化しなければならない………その為に生み出したモノだった。しかし誤った方向に使う《彼の世界》はいずれ来る《対話》の時を迎えられないー

 

 

 

なんだろう、この声からは悲しみと絶望しか感じない…でも優しい人だってのはわかった

 

 

 

ー《彼の世界》からこの世界◐★♪チル◑に来て、同じようにならないように私は★☆◑◐、GNドライヴを再び建造するためにある研究機関に入るも限界があった頃、別な研究機関にスカウトされた…私は過ちを犯した。この研究機関は科学がもつ負の側面とも言える場所だった……◑◐★☆、そしてある少年の遺伝子を用いA-◑◐★☆を生み出してしまった。この子には罪はない。私は彼を家族の下に逃がすことを決めたー

 

 

 

声が途切れ、ノイズが走るのを最後に僕は意識を失った

 

 

 

 

「い、いまのは夢?」

 

 

「兄貴?どうしたんだ?あせすごいな?」

 

 

 

「あ、ごめんクリス、起こしちゃって…」

 

 

「別にいい……それよりすごく元気じゃねぇか…このままじゃ練れねぇだろ?あたしが抜いてやるから」

 

 

 

「ち、ちょ待ってクリ……んぁ!?」

 

 

 

クリスがもぞもぞと毛布に潜り込んでくる……さっきの夢はなんなんだろうと思いながらなすがままに搾られた…無論反撃して一杯にしたけど

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー新暦6?年○月×日………◑☆ーダの演算予測によると、私が失望した《彼の世界》に《彼等》が十数年前後に来訪する可能性が100%と出た。彼等との《対話》を為せる《変革せし者》無き《彼の世界》は間違いなく《滅び》を迎えるのが予想できる。しかし《最後の希望》を…ヴ☆◑☆、G◑ドラ☆ヴの《真の機能》をミッ★◐◑☆ルダにいずれ顕れるであろう《変革せし者》達に《彼の世界の運命》を私は託してみようと想う………ー

 

 

 

 

またあの夢………聞いたことの無い声。わからない…でも人を信じたい強い願いが込められた言葉はずっと頭に響いていた

 

 

 

 

 

ー…………年、私はある計画を行った。G◑粒子を発生する半永久的機関《◑Nドライブ》開発。この機関が発生する《ーー粒子》は高密度、高純度で広域に、もしくは戦場に伝播する事で《人》と《人》の意識を深い部分で繋げ相互理解を促す。この機関を友人が所属するーー圏ーー連◑に提供した、未完成のヴ◑ー◑が予見した《対話の刻》を迎えるため、対話を☆♡★とするイ◑ベ◑◑ーを………促さなければ………残された時間はー

 

 

 

途切れ途切れでわからない。わざと隠してるのがわかる…

 

 

ー……年、私はこの世界に失望した……友人が属するーーーー連合はG◑ドライブから生み出される粒子を完全に閉じ込め純粋な兵器として運用を始めてしまった事に激しく後悔を覚えた。このままでは人は《変◑》を迎えられない。何よりも◑◑◑一連◑が争いの火種を抱えたまま《外宇宙》もしくは《平行世界》へ進出する可能性が現実のモノとなりつつある事が露見した……G◑ドライ◑、真のツ◑ンドラ◑◑システム、それらに纏わるすべての研究資料を破棄しこの世界より去ることを決めたー

 

 

 

……失望の想い、苦しみながら出した答えだってわかる……本当はまだ信じたいって気持ちが痛いほど伝わってきた

 

 

 

ーコレから数時間後に私は未完成のヴ◑ーダと共に新たな世界へ向かう……おそらく彼がそれを止めようと来る事は予見している……しかし私は年が離れた友人の彼に僅かな《希望》を残そうと思う。コレで世界が私の望み描いたモノへと変わるのならば、友人がこの世界を変えられるのならば《希望》を見いだせる………ー

 

 

 

声が途絶え、薄暗い中を漂いながらボクは目を閉じた…

 

「ん、ああ~寝ちゃったんだ…これは」

 

 

目を擦りながら肩をコキコキ鳴らすと何かが落ちた。みると一枚の毛布、そして椅子には涼子とノーヴェが眠ってる姿…風邪を引かないようにかけてくれて目を覚ますのを待っていたら眠ってしまったんだと気づいたマルスは二人に毛布をかけ静かにエンジン制御室からでてMS格納庫へ歩いてく。しばらくして漆黒の機体《ガンダム・エクシェス》が視界にとらえ足を止めた

 

 

 

(……………エクシェス。僕の記憶の手掛かりに繋がる機体…でも)

 

 

なにもいわぬ愛機エクシェス…自身の過去の手がかり、本来の手足に搭載されていた常軌を逸した超兵器群。記憶を喪う前の自分に対しての恐れをいだくも振り払い隣のMSデッキへと目をむけた

 

 

テイワズ、ロウを通じて譲られた装甲が外され剥き出しのアストレイのボディに連合とザフト系列とは違う両脚が取り付けられた組み立て途中のMSを静かに見上げ組み立て作業を始めた

 

 

エクシェスはもう使わない。はやく僕の新しいアストレイを完成させなき……

 

 

 

ー完成した……アイツに、Gspirits隊に復讐するための機体が……エク☆☆スがー

 

 

まただ、あの声が聞こえる……僕は自分が怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、テイワズ本社。同MSデッキ

 

 

 

「タキオンのプラズマジェットを取り外して。四番テーブルに、各部関節周りのストレスチェックを急げよ」

 

 

「了解!柳田班長!!」

 

 

 

「プラズマジェットの連結解除、取り外すぞ。ら~い、ら~い」

 

 

誘導灯を頭上で交差する整備士の指示に従いプラズマジェットが四番テーブルへ降ろされ微かな振動と共に置かれるとテイワズ、Gspirits隊の整備班が集まり各部パーツのチェックを始める様相を柳田班長はじっと見てる

 

 

「なかなかやるじゃねぇか。テイワズの連中も…さてとタキオンの各部関節周りの調整をやるか……ん?」

 

 

 

タキオンの各部関節周りをみようとした柳田の目にミィリスの姿を捉えた…じっと愛機であるタキオン、そして隣に固定されている蒼く塗られたF-99《レコードブレイカー》を交互に見つめている

 

 

「どうしたミィリス、やけにくらいじゃねぇか?」

 

 

「…ああ柳田班長…何でもないです」

 

 

柳田の声にやや元気なく答えるミィリス…その原因はおそらく数時間前に行われたサーペントテール、叢雲劾との実戦形式での宇宙での模擬戦…

 

 

サーペントテールメンバーと共にカズマも同行し帰還して来たが大東へ模擬戦の報告をする為この場にはいないから結果は分からない。しかし柳田は機体のダメージから判断してミィリスは負けたのだと悟った

 

 

「…なあ、叢雲劾と戦って何か感じたか?」

 

 

「え?」

 

 

 

「サーペントテール…劾の乗っていたレコードブレイカーな。整備が早くに片付いた…なぜかわかるか」

 

 

 

「いえ…それが私となんの関係が?」

 

 

「劾って奴はな、機体の構造を把握して尚且つ周囲の環境を利用して機体にかかるダメージを少なくして戦ってるのがわかる……俺の言ってることはわかるな?」

 

 

 

「……ま、まさか、私が負けた理由は」

 

 

「……気づいたようだな。ミィリスは全力全開の超高機動戦が得意だってのは整備してるわかる…劾は傭兵として常に変化する戦場の場数を踏んでいる、即座に状況判断し必要な時にのみ全力を出して戦う……」

 

 

 

「私とは真逆……だから」

 

 

ー負けたんですねーとか細い声が漏れる…しかしその瞳は逆に強い意志の光を見て、軽く肩を叩いた

 

 

「そう落ち込むな。今回の負けは糧になったんだ。まだ若いんだ、たくさんの事を盗んで自分のモノにすればいい」

 

 

 

「そうですね…ありがとう柳田班長」

 

 

 

「それはそうと、早く報告書を書かないといけないんじゃないのか?」

 

 

その言葉にはっとなり、あわてて駆けだしていくミィリスを見送る柳田はタキオンの整備をするべく端末を手にし各部関節周りストレスチェックを始めるも手が止まる

 

 

 

「…………なあ、いい加減出て来たらどうだ?」

 

 

 

「…………」

 

 

柳田の声が資材コンテナの影になげかける…静かに音もなく茶色がかったウェーブが目立つ黒髪、オレンジ色のサングラスをかけた連合軍軍服姿の青年…生ける伝説にして最強の傭兵部隊《サーペントテール》を率いるリーダー。叢雲劾が姿を見せた

 

 

 

「………あんたが叢雲劾か。まずは礼を言わせてもらうか」

 

 

 

「………柳田班長か」

 

 

 

「ミィリスに欠点を気づかせるために模擬戦を引き受けたんだろ?」

 

 

 

「………ああ」

 

 

 

「……アイツの戦いは身体にムチャクチャな負担をかける超高機動戦だ…レコードブレイカーも同じカテゴリーにあたる。あんたは自分との戦いで力を出すべきところを教えるために引き受けた。違うか?今回は負けたが次は負けないぜ?」

 

 

「ああ」

 

 

柳田の言葉に微かな笑みを無言で浮かべ、静かに歩み寄りデータ端末を取り出し整備モニターへ繋げる。その内容に驚く

 

 

「………ミィリス小尉の機体に必要な機能だ。搭載するか否かは相談して決めてくれ…」

 

 

 

それだけ言うと背を向け歩き出した劾。柳田は示されたデータに息をのんだ

 

 

開示されたデータには《特殊液体をコックピットに満たし激しいGに対し瞬間的に性質を変化し緩和するシステム》が示されていたからだ

 

 

「こ、コイツは……少し時間がかかるがやってみる価値があるな」

 

 

そう呟きながら、タキオンへ新システム搭載を検討しはじめながら整備を再開した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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閑話 平穏、静かに迫る一騎当千

今回は彼氏自慢?


「うわぁ~これって本当に戦艦の中なの?」

 

 

「すごいだろ~これ兄貴が作ってくれたんだ。あたし等の為にさ」

 

 

 

「土も芝生も全部本物か……それに風が気持ちいいな。いい鍛錬ができそうだ」

 

 

 

「ちょっとシグシグ?今日は鍛錬はなしだから!?」

 

 

「ふ、冗談だ」

 

慌てふためく束に笑顔で言うシグナム…少し目が本気だった。今皆がいるのはバビロニアヴァンガードにある特殊区画。芝生が広がりやや丈は低い樹木と芝生が風に揺れ広がる光景に海の上で生活してきた束を始めとしたメンバーの心がすぅっと癒されていく

 

なぜ女性陣がここにいるのかというと、バビロニアヴァンガードに興味を持った束が見学したいと言ったのがきっかけ。気分転換も兼ね艦をよくしるクリス、ノーヴェと共に来ていたのだった

 

 

「日射しもちょうどいいね…ん~いい気持ち」

 

 

「はい、艦内なのに陽が柔らかくてぽかぽかして………なんか落ちつきます」

 

 

 

「マ~くんってスゴいだね。でも翔くんほどじゃないけど……」

 

 

「へん、そんなことねぇよ…兄貴はな《火星で一番》優しくて、暖かくて、すっごく大きくて何時も沢山一杯にしてくれるんだ。スケベな翔真よりもスゴいんだからな!!」

 

 

 

「ほう…言うな雪音。確かにスケベだがマルスよりも優しく、包み込む海のように広く私やテスタロッサ、シャルロット、束、大和を深く愛してくれるが?」

 

 

 

「ふ、んなのより兄貴はもっとアタシの深い所(!?)まで愛してくれるんだぜ。なあノーヴェ、御門、アインハルト…今朝なんかずっと休ませてくれないし、まだ体の奥で感じるぐらい暖かいんだからな」

 

 

 

「ク、クリスさん!いくなんでもソレは言ったらダメデス!恥ずかしい!!」

 

 

「ゆ、雪音!?これ以上言うな!っうかシグナムも張り合うなったら。御門もなんか言えたら!!」

 

 

 

「あら、いっていいの?じゃあマルスってスッゴく逞しくて気絶しても逃がさないってぐらい離さないのよ?そこまでされたこと束やシグナムはあるかしら(笑」

 

 

 

「気絶するまでだと……うらやま…し、翔真も負けてはいない!!」

 

 

 

「そうだ!そうだ!、翔くんはマ~くんよりもすごく激しいんだから!!」

 

 

 

穏やかな空気が互いの彼氏自慢に代わりヒートアップしていく中

 

 

 

「シャルロットママ、なんでわたしの耳を押さえてるの?」

 

 

「つ、椿にはまだ早いから(も~う、椿がいるのに~////だ、誰かはやく止めて~)」

 

 

 

可愛らしく訪ねる娘の耳を押さえながら顔を真っ赤にするシャルロット…コレから数分後に来たティアーュがその内容を聞いて顔を真っ赤にして倒れてしまってようやくおさまった

 

 

 

閑話 平穏、静かに迫る一騎当千(サーカス)

 

 

 

 

同時刻、トレミー、バビロニアバンガード、ハンマーヘッドが航行する海域から少し離れた無人島…しかしそれは少しずつ三隻を追尾するようにつかず離れず移動している

 

 

その内部はMS整備および、長期の滞在を可能とする居住スペースが完備されている…そのMSデッキに三機の黒い布に包まれたMSが固定されている、その傍らで金髪の少女がライブラリー画像と音声を食い入るようにみている

 

 

「…………この声はまちがいないです……」

 

 

 

その瞳には激しい怒りと憎悪が渦巻く…自らの愛機を腕を切り落とした特務仕様のジェガンを通じ接触回線越しに聞いた声はマリア、切歌、調にとって仇と同じ声だったからだ

 

 

 

「地球圏統一連合内に秘匿され存在すらない特務部隊《Ghost隊》。まさか私たちの前に現れるなんて…」

 

 

 

「………P・Tの情報通り。マリア、切ちゃん。Ghost隊はGspirits隊の隊長《大東貴一》と繋がっているのは間違いない」

 

 

 

「ならば急がないといけないわね。彼らは間違いなくアレス隊長を…」

 

 

 

拳を握りしめるマリアの瞳には《あの日》の記憶が蘇った…火星圏コロニー群との交渉を独自におこなっていた統一連合政府議員《スティル・カデンッヴァナ》卿。しかし用途不明な金の流れをつきつけられた。身に覚えがないと訴えるも聞き入れられず、カデンッヴァナ家は断絶と資産没収された。交渉をおこなっていた人物《A》はすぐさま火星への亡命を進めた。幾つのもコロニーを経由しあと僅かというところで、両親と恩師、妹を乗せたシャトルが撃ち落とされ火に包まれ爆散、マリア、切歌、調は未完成の都市に身を寄せ姿を隠し助けを待っていた…しかしあらわれたのは黒ぬりのMS部隊。逃げるも人の足とMSとでは違う瞬く間に追いつかれ、ビームライフルの照準にはいった

 

 

『っ!』

 

 

 

このまま、原子のチリまで焼き尽くされ死ぬのだと悟るマリア、切歌、調は互いに身を守るように抱き合った…しかしその時は来なかった。代わりに現れたのは剥き出しのフレームを晒し、千切れとぶ羽を思わせる《光の翼》を広げコックピットを刺し貫くMSの姿…炎に照らされながら瞬く間に三小隊を駆逐していく様は鬼、いや修羅をも凌駕した

 

 

すべてが終わりハッチを開き降りてきた漆黒のパイロットスーツに身を包んだパイロットがバイザーを開く。あらわになった顔から自分より年が下であることに驚く三人に静かに近づき声をかけた

 

 

 

ー………たのむ、生きてくれ……おねがいだー

 

 

 

怒り、悲しみ、苦痛、悲しみが綯い交ぜになりこもった瞳と声が彼女たちの心にしっかりと刻みついた。命を救った恩人である復讐の炎に身を焦がす彼《アレス・ルセディス》との炎の中での出会い

 

 

 

急進派閥が瓦解してから、アレスが行方知れずになってから彼女たちは残された資産、未完成のVS/GSシリーズ三機を調整しながら失踪したクリス、エクシェスを捜索しながら転移し今に至る

 

 

彼女たちに生きる目的をくれた彼に……隊長であるアレスの力となるためにP・Tから情報をもらいようやくココまで来た。

 

 

「………アレス隊長の剣として、このVS/GS-01ガンダム・ガングニール。マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

 

 

 

「…VS/GS-02シュルシャガナ……月読調」

 

 

 

「…VS/GS-03イガリマ、暁切歌……」

 

 

 

 

「「「アレス隊長/にいに/兄様の御身と義妹クリス様を御守りする事を誓います/です/……」」」

 

 

 

黒い布が滑り落ち、三機の姿があらわになる…その機体は火星でレアメタル鉱床で見つけた《動力源がぬかれた三体のMS?》をアレスが極秘裏に復元した機体。その瞳に光が宿った

 

 

 

閑話 平穏、静かに迫る一騎当千(サーカス)

 

 

 

 

 

 



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PHASE-81「STRIKE」ーLUPUSーside:ASTRAY

00ライザーが自称翔真の嫁を名乗る《切姫夜架》束、シャルロット、なのは、大和、麻耶、シグナムに宣戦布告ととも取れる言葉を残し強奪?し姿を消してから数時間後…

 

 

「ふふふ、君の居場所になるから…‥へえ翔真って誰にでも言うんだね…」

 

 

 

「悪い冗談だよね、帰ってきたら、ちゃ~んとお話ししないとね……じっくりと」

 

 

 

「ええ、ゆっくりと…」

 

 

 

「ふふふ、そうだな……知らないうちに別は女を作るとは」

 

 

 

「私たちだけって言ったのに………」

 

 

黒い笑みを浮かべるシャル、なのは、シグナム、大和、真耶…束は翔真の名前がでたことで帰ってきたと勘違いし泣き始めた椿とヴィヴィオをあやし寝かしつけながら、00ライザーを奪った切姫夜架の言葉を思い出していた

 

 

ー心配しなくても奪おうという考えはありません。

翔真様を連れ戻して来ますわー

 

 

(……あの子が言った事が本当なら、ショウくんは近い内に帰ってくることは間違いない。今は信じるしかないよね)

 

 

八方手を尽くしても手掛かりが掴めなかった翔真の行方を切姫夜架は知っている。ならばその言葉を信じると決め眠ってしまった椿、ヴィヴィオからそっと離れ黒い笑みを浮かべるシャル、なのは、大和、麻耶、シグナムを落ち着かせるため歩き出した

 

 

PHASE-81「STRIKE」ーLUPUSーside:ASTRAY

 

 

 

イギリス、テイワズが開発中の湾岸都市エリア……ザフトと連合の戦いが激化し遅れていた。しかしそれは表向きの姿…その最下層にあるのはハンマーヘッド級からトレミー級を最大四隻収容可能な秘密ドッグが置かれており、そのうち一区画は先の戦いでのダメージを未だに残したトレミーⅡの姿。そのエンジンブロックは現在テイワズのエーコとハロwithカレル達がフル動員で修理に当たっていた

 

 

そんな中、00ライザーが切姫夜架により強奪?されMSの数が足りなくなってしまい戦力不足に陥りかけていた

 

 

 

「………やっぱりX105系とASTRAYのフレームが相性がいいか…8さん、銀ハロはみんなと肩、腕、膝フレームに新型パワーシリンダー組み込み作業を」

 

 

 

『『『『『『了解、了解♪』』』』』』』

 

 

ーまかせとけ!ー

 

 

 

パタパタと耳を動かし、8を御輿のように担ぐハロ達が向かうのはフレーム同然のバルバトス、そしてASTRAYとX105、見たことのない脚が組み込まれたMSが二体ならんでいる。ジャンク屋組合からテイワズを経由して送られてきた補給物質にはマルスが以前から頼んでいたバルバトスの強化パーツ《LUPUS》、アストレイ・エクシェスの予備パーツとX105のリペアパーツ一式があった

 

 

そこでアストレイエクシェスの予備パーツ、X105系のパーツを使い新たなMS建造とバルバトスをLUPUSへオーバーホールを同時並行で進めることをマルスは決めたのだった

 

 

 

幸い、LUPUSのパーツはツバサが今までバルバトスに蓄積してきた戦闘データを基に最適化、再構築した装甲と武装だったのもあり数日あれば仕上がる。しかし新たに組み立ててる機体は誰でも乗れるように作る必要があった

 

 

「…………ストライカープラグのマッチングをパラレル回路経由でA25、X48を接続して、シナプシス反応係数をパイロット毎にオートアジャスタ、パワーハイドロは0,5に……ニューロンワークは………………」

 

 

目にも止まらぬ速さでOSを組み上げていたマルスの指が止まる。その目に映るのはガンダム・エクシェス…VPSは起動していない。いわゆる不活性状態で灰色だ

 

しかしマルスの胸のうちには愛機に対する恐怖があった…初めて使う武装の詳細を知らないはずなのに知っていた。その時に感じた一体感に加えて、自分が何かに飲み込まれる…いや塗りつぶされて上書きされていく感じに寧ろ懐かしさ、心地よさを感じ戸惑う事なく引き金を引いた

 

 

ーい、いやだああああ!ー

 

 

ーし、しにたくない!うわああああああ!!ー

 

 

ーお、お母さ………ー

 

 

MSを巻き込み聞こえるパイロットの断末魔、さらに小さな無人島が光に飲まれ消滅していき海面が沸騰していく惨状を目にして悪寒に震え吐き気を覚えた。傭兵になってから一度も感じた事が無かった感情が溢れかえった…イギリスにつくまでずっと胸の内に抱え込み今に至る

 

 

 

(……ロウさんは二年前に胴体だけのエクシェスのコックピットで冷凍睡眠していた僕を見つけたって聞いた…………このエクシェスは一体何なんだ?僕は何の目的で乗っていたんだ?……僕は、僕は……だれなんだ?)

 

 

 

愛機を見上げ問うも答えてくれない……その時、背後に微かな気配。傭兵モードに切り替わり振り返りざまに拳を振るう…しかし払われた。マルスの目がとらえたのはYシャツにタイトスカート姿の千冬に驚き体勢を崩し巻き込む形で倒れ込んだ。端末がキャットウォークを滑りメモリが空をまい乾いた音と鈍い音が響いた

 

 

「たたっ………ご、ごめんなさい一夏くんのお姉さ……っ!?」

 

 

 

「あ、はぁ………んっっ??」

 

 

 

メモリが散乱するキャットウォーク上には千冬を抱きしめ抱える形で受け止めるマルスの姿…しかし耳を甘噛みし口に含み、Yシャツ越しでもわかる柔らかで豊かな胸を鷲掴みしブラに滑り込んだ指が桜色の部分をクリっと押し込み、極めつけはスカートがめくれ黒のレース柄のひもパンの片方がほどけ引っ張り上げ食い込ませるようにしている

 

熱を帯び、女性特有の甘い匂いと柔らかさ…あわてて身体を起こし離れた

 

 

「あ、あの、こ、コレはその……」

 

 

「…………こ、こ」

 

 

「え?」

 

 

 

「こ、こ、この痴れ者がああああああ!!」

 

 

 

「アビゴ…ルっ!?」

 

 

 

胸元を抑え、顔を俯かせたまま素早く懐に入り懇親のフリッカーが顔面に決まりキャットウォークをぎゅるる!と身体を回転させながら跳ね回りやがて落ちた

 

 

 

………………………

 

…………………

 

……………

 

 

 

「はっ!?ここは………」

 

 

「…………ようやく気がついたようだな」

 

 

 

声と同時に身体を起こすマルスの目には千冬の姿が入る。なぜかわからないがジィィっと睨み付け少し離れたキャットウォーク上に備え付けられていた椅子に座っている

 

 

「あ、あの……さっきはわざとじゃないんです!一夏くんのお姉さん……つい何時もの癖で……で、でも本当にごめんなさい!(気配なく後ろに立たれたりすると問答無用で排除する癖が)」

 

 

 

「……………何時ものクセだと?(あんないかがわしく破廉恥な事を何時もだと!?…………一夏が言うには私の姪を含めて四人も彼女がいると聞いてるが………)」

 

 

 

千冬の目に映るのはひたすらにあやまるマルス…そんな姿をみてふうっとため息をついた

 

 

 

「……反省したならばいい。男がそう何度もあやまるな」

 

 

「でも……」

 

 

 

「いいから謝るのをやめろ……」

 

 

 

「……は、はい………」

 

 

 

それっきり言葉は絶えハロ達がバルバトスをLUPUS用装甲を取り付けていく音が響く…気まずいなと感じたマルスは散乱したデータスティックを拾い始めた時だった

 

 

「………マルス・レディーレ、お前に聞きたいことがあるがいいか?」

 

 

 

「え?な、なんですか?僕に聞きたいことって?」

 

 

「………お前は二年前、私たちの前に現れた《ゴースト》なのか?」

 

 

……過去の世界に飛ばされ、帰還する直前に偶発的にミラー破壊作戦を進める千冬達の前に現れ援護をした時、図らずも接触回線で会話した、なるべく自分たちの証拠を残さないようにしていたのに何故気づいたのかわからないマルス、千冬は確信したようにさらに続ける

 

 

「……やっぱりか…なぜわかったって顔をしているな?アレを見たらわかる…」

 

 

 

千冬が目を向けた先、そこには修理パーツがいまだに届かずアロンダイトで切り裂かれたまま置かれているゴーストガンダムの姿。もう隠せないなと思い話し始めた…千冬は静かに話を聞いていく

 

 

 

「そうだったのか……あの時はすまなかったな」

 

 

「あ、いえ…僕の方こそ……あんな事しか言えなくて…一夏くんのお姉さ……」

 

 

「お姉さんはやめてもらおうか?私の名前は織斑千冬だ……好きな方で呼んでいい」

 

 

 

「じ、じゃあ…千冬さんでいいですか?あ、あの何でココに来たんですか?MSハンガーって面白くないんじゃ」

 

 

 

「………理由か?お前に礼を言いにきた…それとマルス…何か悩んでいるのか?」

 

 

「………え?」

 

 

 

「顔に書いてあるが?」

 

 

 

悩んでいるといわれ驚き、慌てながら近くにあったディスプレイに移し見るマルス…しかしナニも書いてない…すると背後で押し殺したような笑い声があがるのを耳にはいり、振り返ると顔を俯かせ肩をふるわす千冬の姿。やがて耐えきれずに笑い声を上げた

 

 

「う、嘘つきましたね千冬さん!?何も書いて無いですよ!?」

 

 

「あはは、まさか、引っかかるとは思わなかったんだ……」

 

 

 

「むう~千冬さんは意地悪だ……」

 

 

 

ぷく~とむくれるマルスを見ながら笑いをこらえる千冬…ただマルスは少しだけ気分が軽くなったのと、妙な懐かしさを感じていた。昔、誰かにこうしてからかわれたような懐かしさを

 

 

しばらくして笑い終えた千冬と会話をしながら新しい機体とLUPUSの組み上げ作業を進めていった……ただ、MSハンガー入り口に笑顔の御門、ノーヴェ、クリス、アインハルトがハイライトが消えた瞳でジッと見ていたことに気づかないまま…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーー

 

 

 

『さあ、皆様。大変ながらくお待たせしました………我がイギリスに流星のごとく現れ、瞬く間に高みへと上り詰めた彼女達《ディーヴァ》の登場です!』

 

 

タキシード姿の司会者の言葉に、スタジアムすべての席に座る人々の熱狂的な声があたりに木霊する…ライトアップされたステージに緩やかなウェーブがかった美しく長い髪を揺らし立つ少女…力強い眼差しと纏う黒のフリルがあしらわれたドレスは彼女の強い意志を体現している戦装束とも見えた。そして隣に控えるように緑を基調とした妖精のような衣装姿の金髪少女と絹のような黒髪ツインテールにした少女が静かに歩み寄り両隣に立ちすっと目を開いた

 

 

 

「いくわよ切歌、調………………聞け!私たちの歌を!!」

 

 

 

力強さに満ち溢れた声が響くと舞台照明が様々な彩りを演出しながら、力強く動く姿はまさに演武とま見紛うほどだ。観客たちは一挙一動に目を奪われ酔いしれる中、彼女達は違う想いを歌に乗せていた

 

 

(アレス隊長、あなたは今どこにいますか?)

 

 

 

(兄に、私たちはココにいるデス)

 

 

(だから、この歌に気づいて………)

 

 

 

イギリスに現れた歌姫達の正体がアレス・ルセディスが火星で発掘したガンダムフレーム三機からなる対Gspirits隊部隊《サーカス》メンバー、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、月読調、暁切歌である事を知らない

 

 

観客たちのボルテージは最高潮に達する中、彼女達の想いが込められた歌はイギリスの空へと響いた

 

 

 

 

 

 

PHASE-81「STRIKE」ーLUPUSーside:ASTRAY

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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閑話 祝福ーチルドレンー

「よし、スラスター展開…反応を0.2secに銀ハロ、8さん、お願い」

 

 

ー了解♪了解♪ー

 

 

テイワズ秘密ドッグでエンジン修復真っ最中のトレミーⅡのMSハンガーで銀ハロの口から無数のケーブルが伸びている。蒼と金の装甲に彩られたMS…ウイングガンダムフェニーチェ・リナーシタが翼を広げ内部スラスターを閉じ角度、最大に開くと数秒で閉じた

 

 

 

『どうだマルス?』

 

 

「うん新しいOSとZEROシステムとの連動も問題ないか。最終調整はナガスミ君に乗って貰って…次はバルバトスか」

 

 

『マルス~前のバルバトス用装甲はどうすんだ?』

 

 

 

「う~ん予備装甲に回そうかな」

 

 

 

少し悩んで伝えるのはトレミーⅡMS整備主任兼サーペントテールに所属する傭兵《マルス・レディーレ》。8を担ぎ上げる銀ハロ達はウイングガンダムフェニーチェリナーシタをMSハンガーへと移動させていき一人残されたマルスの前に濃紺の装甲が取り付けられたバルバトスに近づく

 

普段ならばアインハルト、ノーヴェ、クリスが整備を手伝っているのだが、アインハルトは叔母に当たる千冬にトレミー、ハンマーヘッド内を案内、クリス、ノーヴェ、御門は数日前から体調を崩しツバサの診察を受けてていない

 

結果、バルバトスルプスへの改修、新たなASTRAY制作をマルスはひとりでこなしていた……

 

 

(……大丈夫かなクリス、ノーヴェ…それに涼子も具合が悪いみたいだったし………ソーナ義母さん、セラさんに元気が出る料理を教えてもらおうかな)

 

 

ルプスの装甲取り付けに加えリアクター調整を進めながら心の中で呟くマルス。その隣にあるハンガー…無数のケーブルに繋がれ固定された白銀に真紅の装甲を持つASTRAY《ファングアストレイ》が新たな目覚めの時を待つ

 

 

 

 

 

 

閑話 祝福ーチルドレンー

 

 

 

同時刻、テイワズ秘密ドッグ。同居住エリアにあるメディカルルーム…椅子に座るのはトレミーの医師であり、バルバトスのパイロットのツバサ。その前にはテイワズから派遣されてきたバイオコンピューター権威にしてドクター《御門涼子》、同トレミー所属パイロット《ノーヴェ・ナカジマ》、火星からアレスことマルスを探しに来た義妹《雪音クリス》がジッとして座っている。三人の胸の内は様々な想いがみちる中で静かにフローティングウィンドウから目を離した

 

 

 

「……じゃあ三人の検査結果なんだけど……おめでとう」

 

 

 

「おっめでとう~ミカミカ♪ノンノン♪ゆっきー♪」

 

 

ツバサとネプテューヌからの祝福に三人とも顔を見合わせソッと手をあてる…薄々もしかしたらと思っていた御門はうれしそうに、隣に座るクリス、ノーヴェも中で育まれる《新しい命》の母になることに驚いているのがわかる

 

 

 

(あ、アタシの中にマルスとの赤ちゃんがいるんだ……しんじられねぇけど……なんかうれしいな)

 

 

(……アニキとあたしの赤ちゃん…ママになるんだ……火星のみんなが知ったらおどろくかな……)

 

 

 

(ふふ……あれだけしてたら出来ちゃうのは間違いないわね………ハルちゃんになんて言おうかしら?)

 

 

 

 

「ねえねえ♪ミカミカ、ノンノン、ゆっきー…少しいい?」

 

 

 

「ナニかしらネプテューヌ?」

 

 

 

「えっとね……みんなのおなか少しだけさわっていいかな?あ、いやだったらいいけど…」

 

 

 

「ん~いいわよ♪ノーヴェもクリスちゃんもいいかしら?」

 

 

 

「べ、別にいいけどさ…あんまり強くするなよ」

 

 

「アタシもべつにいいけど」

 

 

 

「やった~♪じゃあ、その前に………女神ネプテューヌとして新しい命に祝福を…」

 

 

 

まばゆい光と共に女神化したネプテューヌは御門、ノーヴェ、クリスの前にたつとゆっくりとお腹に手を伸ばし優しく触れるようにかざし瞳を閉じたネプテューヌ…

 

 

 

(……命の鼓動を感じる…ミカドからは新しい未来を希望と共に切り開く命、ノーヴェからは困難な道を信念と共に貫き通し道標を作る命……クリスは?)

 

 

御門、ノーヴェに宿る命を見たネプテューヌがクリスに宿る命を見た瞬間、脳裏に強いイメージか流れ込んできた……

 

 

(な、ナニこれ?……)

 

 

 

ネプテューヌの目に映るのは闇よりも黒く、金色の翼を広げる悪魔のような機体、眼下にはトレミー、大破したエンジンブロックから煙が立ち上っている

 

 

 

ーいくな!アニキ!!ー

 

 

 

ーやめろ!マルス……いやアレス!ノインはお前にそんな事望んでなんかないんだ!!ー

 

 

 

ーもうやめてマルス!アナタはー

 

 

 

ーマルスさん!!ー

 

 

 

 

ー……ねぷ……ぱぁぱ………まぁまたち…たすけて…ー

 

 

 

 

 

 

強く純粋な願いが込められた言葉を最後に現実に引き戻されたネプテューヌを心配そうに見るツバサ、特に御門、ノーヴェ、クリスもじっとみていた。女神化をといて笑みを浮かべた

 

 

 

「ごめん、ごめん心配かけたみたいだね~みんなの赤ちゃんだけどスゴく元気だよ♪」

 

 

 

「そ、そうか…」

 

 

 

「ふふ、そうなんだ♪」

 

 

 

「あ、ありがと……」

 

 

 

安堵の表情を浮かべる3人…やがて妊娠初期の注意点を事細かく伝えると嬉しそうにメディカルルームをあとにしツバサとネプテューヌだけが残された

 

 

 

「ツバサ……みちゃったわたし」

 

 

 

「………いいたい事はわかってる。でもコレはまだ話すべき事じゃない…」

 

 

 

「わかってるよ、わたしだって……このまま《思い出さなければいい》って事も………」

 

 

 

 

顔を俯かせるネプテューヌの肩を抱き寄せ頭を撫で髪を鋤いていくツバサ…数日前、ようやくハッキングできた管理局のアーカイブズで記憶を失う前のマルスの身に降りかかった《地獄》、そして《本当の名前》と《出生の秘密》を知ってしまった

 

 

 

 

(………もしかしたらコレは運命かもしれない。オレたちとマルスが出逢ったのも……コレが四年前から何者かに仕組まれたモノだとしても)

 

 

 

「ツバサ?」

 

 

 

「何でもないよ…」

 

 

 

「うん…でも、後少しだけこうして欲しいかな…」

 

 

 

ネプテューヌの言葉にただ無言で抱きしめるツバサ…

 

 

しかし動き出した時はもう止まらない

 

 

 

目覚めの時は近い

 

 

 

 



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真紅の笑い/護衛 前編

「護衛ですか?」

 

 

 

「ああ、俺んとこのオヤジがココ、イギリスで様々な組織の面子を集めた会合を開くんで出席するんだ。本当なら俺がついていくんだがな、どうしてもお前をと言ってきたんだ。直々にな」

 

 

「…………でも、なぜ涼……御門先生まで同伴で?」

 

 

 

「(まあ、そこらへんは聞かないでくれると助かるんだがな。オヤジはお前を婿養子に迎える気満々なんだけどな)…さあな。んでお前はどうするマルス?」

 

 

 

飄々としながら話しかけるの白いスーツに帽子をかぶった長髪長身の男…テイワズ輸送部門を預かる名瀬・タービン、肩にもたれ掛かるように褐色の肌に腰まで伸びた髪に胸元から腹部に傷跡がめだつ名瀬の第一婦人アミダ、その前にはソレスタルビーイングに雇われたサーペントテール所属の傭兵にしてトレミー主任整備士兼パイロットのマルスがハンマーヘッドの応接間のソファーに座る姿

 

 

バルバトス、ファング、リナーシタ・シェルの整備を終えた時にエクシェスのコクピットから依頼を知らせる音を耳にしやや躊躇しながらハッチを開き滑り込ませ暗号化通信解除しみたのはテイワズ輸送部門の名瀬・タービンの名前。内容はイギリスで開かれる反プレシア連盟に極秘出席するテイワズの長《マクマード・バリストン》の護衛とある人物を同伴するようにとあったのだ

 

 

マルスは内容詳細を確認する為にエクシェスから降りタービンズの船《ハンマーヘッド》へ向かい今に至る

 

 

「…………わかりました。サーペントテール6、マルス・レディーレ依頼を引き受けます」

 

 

 

 

「そうか、んじゃオヤジに伝えておくぜ」

 

 

 

「少し待ちなマルス、護衛っていってもお偉いさんの集まりだよ。失礼な服装は不味いからコレをきていきな」

 

 

 

「え?アミダ姉さん、コレ…でも」

 

 

 

「いいから、あと涼子の分もあるからしっかり渡しな」

 

 

 

 

「……あ、ありがとうございますアミダ姉さん。じゃ……」

 

 

「マルス、護衛もだけど涼子をしっかりエスコートしてやりな」

 

 

 

「は、はい」

 

 

 

アミダから手渡された衣装ケースを受け取りながら照れるマルスを悪戯っぼく笑う名瀬に見送られ扉をあけ部屋をあとにして暫くしてアミダが名瀬の隣に座ると艶っぽい笑みを浮かべ首に腕を回した

 

 

 

「ずいぶん変わったじゃないかマルス」

 

 

 

「ん、そうだな……初めてあった時にくらべると表情が豊かになったな。それに彼女がたくさんいるみたいだな」

 

 

 

「ふふ、マルスの愛が大きいからじゃないかい?あんたと同じで」

 

 

 

「………そういうもんかね~」

 

 

「そうさ…ん」

 

 

 

自然と唇が重なりやがて明かりが消えた…

 

 

 

PHASE-84.5 深紅の笑い/護衛 side:ASTRAY《前編》

 

 

 

 

 

数時間後、イギリスの首都《ロンドン》郊外にある古城。ヴィクトリア王朝時代に建てられ様々な貴族、有力諸侯たちが訪れ余暇を過ごした《タントテンポ》城

…城内へ繋がる道は対岸にかけられた橋のみ。その上を一台の高級リムジンが走り大きく頑丈な木材と鉄がくまれた巨大な扉の前で静かに止まった

 

 

『……失礼ですがどなたからの紹介でしようか?』

 

 

 

「…………マルス・レディーレ、そして御…「涼子・M・レディーレよ」………マクマード・バリストン会長の紹介で」

 

 

 

『…………確認しました。ではお入りください』

 

 

静かに扉が開くと同時に車からタキシードに身を包みオールバックにしたマルス、そして薄桃色の生地にフリルがあしらわれたパーティードレスに身を包んだ御門涼子。悪戯っぽい笑みを見せ左腕に抱きついた

 

 

「り、涼子?その……今日は」

 

 

 

「わかってるわよ。さあいきましょう?ア・ナ・タ♡」

 

 

 

「あ、あのう……あまり」

 

 

 

「♪♪~」

 

 

 

嬉しさ一杯に抱きつく涼子…最近、よく僕のそばから離れない。ノーヴェやアインハルト、クリス、千冬さんも……完全体になったエクシェスに乗ってからだ

 

 

あの武装を迷わず使った時、モニターに映り込んだ僕は顔は笑ってた

 

 

……アレ以来、エクシェスを動かしてはいない。でも夢に見てしまう

 

 

爆発の煙をあげ沈んでいくトレミー、力任せに引き裂かれたようにパーツらしいモノが散らばり墓標のように並ぶ無数のMS…バルバトス、ウイングガンダム、00ライザー、ニャイア、トライオン、ファング、ノワール

 

 

そしてエクシェスの手から滴る赤い液体。ゆっくり開かれた手には………手には!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

「マルス、どうしたの?」

 

 

「な、なんでもないです……じゃあマクマードさんのところにいきましょうか………御Ka…」

 

 

 

「涼子《り・ょ・う・こ》♪」

 

 

 

「ん、り、涼子」

 

 

 

「ふふ、じゃあいきましょうか。ア・ナ・タ」

 

 

 

さらにギュッと腕を抱きつく度にイヤでも柔らかさを感じる……今日はテイワズの会長マクマード・バリストンさんの護衛がメインなわけなんだけど…実はマクマードさんに直前になってから夫婦って設定で来てくれてと言われていて、それを僕を通じて聞いた涼子はのんでくれたというか

 

 

と、とにかく護衛とアミダ姉さんの言葉通りエスコートしてあげないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりエクシェス……完全体のエクシェスに乗ってから不安定になっている

 

 

あの日、初めて出会った時と再会して感じた違和感…

 

 

マルスの心は……いまだに癒えない傷を抱えている。それも記憶を失う前に、いえ身を焦がすほどの何かが起因しているんだと思う

 

 

ノーヴェ、ハルちゃん、クリスちゃん……あと千冬も薄々気づいている

 

 

 

「涼子…」

 

 

 

「な、ナニかしら?」

 

 

 

「ついたよ…」

 

 

 

「ん、来たかマルス。それに……御門主任もひさしぶりだな」

 

 

 

ニヤリと笑いながら歩いてくるマクマード会長は普段と違う黒を基調とした紋付き袴姿。それだけ重要な会合だってのはわかる。あたりをみると欧州連合の代表たちの中にはウォーレン卿、ファントムハイヴ卿、アジア連合からは龍財閥の龍老師、それにテイワズと肩を並べる大企業タントテンポのテッド・モルガトン…そしてロンド・ミナ・サハクさんまでいた

 

 

天空の宣言以降、ミナさんは支持する国家と人々を護るためにアストレイ・ゴールドフレーム天ミナを駆り戦っている……その姿は戦争で疲弊しきった人々に焼き付いている

 

 

ここにいるメンバーが今日の会合にでるのかと思った時、肩をたたかれた

 

 

 

 

「よ、マルス」

 

 

 

「ジェスさん?トレミーにいたんじゃ?」

 

 

 

「ああ、マティアスに頼まれたんだ。いちおう非公式取材になるから公開は先になるけどな」

 

 

 

「そうなんですか……(!?誰かに見られている)」

 

 

 

「っと、コレから龍老師に取材しにいかないと……じゃああとでな」

 

 

「はい、またあとで」

 

 

 

「ほう、アレがフォトジャーナリストのジェス・リブルか。いい面構えだな…」

 

 

 

「会長、スカウトはダメですよ」

 

 

 

 

「冗談だ、気にするな御門………どうしたマルス?」

 

 

 

「な、なんでもないです」

 

 

 

 

 

 

マクマードさんの質問に内心慌てながら答え慎重に気配を探る……さっき何者かがコッチを見ていた

 

気配がした方を何気なく悟られないように見た。そこには金髪に鋭い真紅の瞳、それに首にキズが目立つ男性、隣には小さな短くも不思議な色の髪をした制服姿の女の子

 

 

わずかに目があった。不敵そうな笑みを浮かべジッと見ている…

 

 

「どうかしたのマルス?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「どこか具合悪いの?」

 

 

 

 

「い、いや…」

 

 

 

言葉を濁しながら再び視線を戻した時には二人の姿はなかった……敵意は一切感じなかったかわりに、面白いナニかを見つけたというか………と、とにかく今は集中しなきゃ

 

 

「あ、マクマードさん、そろそろ時間じゃ」

 

 

 

「ん?そうなんだがな。一人まだ来ていないんだ…………今日の会合に出席するって言ってたんだがな」

 

 

 

「あと一人?」

 

 

 

「いやあ~ごめんごめん、遅れてすまないね。アタタ」

 

 

背中から間延びした謝罪の声が響く、振り返ると着崩した軍服?に似た上着をきた黒髪に白髪が目立つ40手前ぐらいの男の人が軽く頭を押さえる姿。なぜかわからないけどサンダルを履いてるし

 

 

 

「時間ギリギリだぞ?昨日はあまり飲まなかっただろ?」

 

 

 

「いやあ、昨日は少しハメをはずしすぎたかな~もう若くもないからね~」

 

 

 

「まだワシよりも若いだろうが。っとマルス、御門、紹介がまだだったな…今日の会合に出る管理局地上本局《Gspirits》隊を率いる大東貴一だ」

 

 

「はじめましてだ。私は大東貴一だ。今日の護衛をしてくれる……えとサーペントテールの」

 

 

 

「……あ、マ、マルス・レディーレです。今日はしっかりと務めさせていただきます(……………大東貴一、確かP・Tさんからの依頼にあった部隊の指揮官で提督。実際に会えるなんて………見極めをするには丁度いいかな)…大東貴一提督」

 

 

 

「ああ、肩苦しいのは抜きでいいよ…いちおうはお忍びだからね(こんな所で会うとはね…奇妙な星の巡り合わせとでもいうかな……アレス・ルセディスくん)……で、隣のお嬢さんは?」

 

 

 

「マルスの妻の涼子・M・レディーレです♪」

 

 

 

「ち、ちょ!涼子!?まだ僕ら、け、け、け、結婚は」

 

 

 

「おやおや?式をあげてないのかな?ならおじさんがいいチャペルを紹介しょう。なら私の世界にある聖王教会がオススメだよ~歴史を感じさせる造りと…」

 

 

 

「待て貴一、式をあげるならテイワズの教会でだ……御門はウチんとこの人間、いわば家族だからな。いいだろマルス?」

 

 

 

「い、いや……まだ戦争が終わっては」

 

 

 

「いいじゃない。ならクリスちゃん、ハルちゃん、ノーヴェも一緒に式あげちゃいましよ」

 

 

 

「涼子!?ていうか!時間がないから!?マクマードさん、大東さんも早く会合会場に急いで~」

 

 

 

 

………結局、なんとか二人を会合会場に時間ギリギリで入らせたんだけど、クリス、アインハルト、ノーヴェの名前を聞いたマクマードさんが「名瀬と同じだな、ならばお前の義母のソーナ・シトリー、叔母セラフォールと話しをつけないとな」って耳打ちされた

 

 

 

……とにかく、涼子と一緒に護衛を頑張ろう…うん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「平行世界のイオリアの爺の遺産か………あげゃあげゃあげゃあげゃ!マルス・レディーレ……いやアレス・ルセディス。オレにお前のすべてをみせてみろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後編に続く

 

 

 



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真紅の笑い/護衛 後編

イギリス…そのとある地方にある湖に浮かぶ古城…端から見れば歴史的観点から見れば価値ある世界遺産に数えられるココにある大広間には各国の政財界を仕切る面々が円卓に座り待つ彼らの前に紋付き袴の初老の男性と着崩した軍服にサンダルという出で立ちの男性が入ってきた

 

 

 

「いや~待たせてすまないね……さて、皆揃ったところで先ずは私の自己紹介かな…管理局本局所属、大東貴一《一佐》だ」

 

 

 

管理局…聞き慣れない言葉に疑問を持つ面々…しかしそれはある人物の声が消した

 

 

「まあ落ち着きな。せっかくの会合なんだからよ本題に入ろ……」

 

 

「待てよバリストン、なんでココなんだ?堅気の有名所、筋モンまで集めてよう?もしや怖じ気ついてザフト、連合に手前の身可愛さにオレらを売ろうって算段か?」

 

 

深々と葉巻を吸いバリストンとよぶのはテイワズと肩を並べる規模を有する企業タント・テンポの会長《テッド・モルガルトン》。鋭い眼光を向け大東をみているのが誰の目から見てわかる

 

 

その問いに答えるように頭を掻きながらゆっくりと口を開いた

 

 

 

「まあ、今回この場所で会合を開く理由は二つあるんだ。一つはザフトの諜報員の目を欺く事もある、彼らにとって反プレシア…ATAGを結成した私も含めあなた方は邪魔な存在である我々を一刻も早く排除しなければならないと議長は考えているのは明白の利ってやつさ。現に数日前からザフトの諜報員が動いているのを掴んだからこそ、私は万全を期すために場所を変える必要があると考えたんだ」

 

 

「なるほどな、まあ確かにやっこさんにとっては目の上んタンコブだからな………悪かったな時間とらせたみたいでな」

 

 

大東貴一の人となりを言葉から察しニヤリと笑みを浮かべ葉巻を消すテッド・モルガルトンに軽く頷くマクマード、招かれた政財界の面々も納得したみたいだ

 

 

 

「さて、少し話はそれたが本題に入るか……まずはATAGの戦力だがウチのテイワズで開発している獅電を50体提供する用意がある、メインリアクターと装甲は」

 

 

 

「我々、龍財団のプラントが執り行おう……リアクターは儂らの得意分野だからな」

 

 

 

「んじゃ、装甲素材に関してはタント・テンポが精製してやる…バリストン、あとでウチの技術チームを派遣してやる。ウチの金属精錬技術は一流だぞ」

 

 

 

「なら、任せるするか。輸送はウチのタービンズが仕切らせてもらうぜ」

 

 

 

先ほどまでの空気は消え、それぞれの代表とトップが意見を出していく…そんな中、マルスは各カメラの映像データをチェックしていた

 

 

(おかしい……さっきの二人がどこにもいない)

 

 

……マルスが探しているのは先ほどの金髪に赤い目、首に大きな傷跡が目立つ男性、そして不思議な髪型の少女。様々な角度から捉え、先ほど二人が居た場所からの監視カメラの映像データから姿が消えている事に。警備体制万全のココから二人の人間が突然に姿を消すという有り得ないこともだが、それ以上にナニかが漠然としたモノが心を揺さぶり警鐘を鳴らしていた

 

 

 

(会合に招かれた人数と合わない。それにあの人は僕を見ていた…わからないけど嫌な予感がす……)

 

 

思考の渦に飲まれそうになった時、頬に冷たいものが当てられ思わずびくりと体を震わし振り返ると少し驚きつつも悪戯が成功した笑みを浮かべる大東貴一がグラスを手に立っている

 

 

「あ~すまないね。何度も呼んだんだけど気づいてくれなかったみたいだから……わるかったね?マルス・レディーレくん」

 

 

 

「あ、いえ。声をかけてくれたのに気づかなくてすいません…えと大東貴一提督」

 

 

「ははは、そう固くならないでくれると助かるんだけどなぁ」

 

 

「で、でも」

 

 

 

「いいから、いいから…気軽に呼んでみて?」

 

 

 

 

「じ、じゃあ大東さん」

 

 

 

「じゃあ改めてよろしくだねマルスくん」

 

 

 

気さくに話しかけてくる大東に少し遠慮しがちに名前で呼ぶマルスは差し出されたオレンジジュースが入ったグラスを手にし口にする

 

 

 

「あの、話し合いは?」

 

 

 

「ん?まあ大筋はまとまったからね。今から軽い立食パーティーになる所かな?」

 

 

 

 

「パーティーですか……まあ、流れ的にそうなりますね。マクマードさんなんか酒盛りが好きですから」

 

 

 

 

「ん~もしかしてマクマードと飲んだことあるのかな?いけないなあ~未成年が飲んじゃ。薦められても飲むなと言われてるだろ?」

 

 

「確かにそうですけど、韓国式を勧められたら飲まないわけには。それに任務で飲んだりしないとまずくて…」

 

 

 

「ふふ、冗談だよ。私のいる世界じゃ15で成人だからね…まあ酒は飲んでも呑まれるなとあるからほどほどにした方がいいかな?」

 

 

 

 

「(なんか大東さんって、リードさんに似てるかも)…まあ、ほどほどにします…」

 

 

 

「うんうん、お酒ってのは怖いからね…それはそうとマルスくんは傭兵だと聞いたけどなぜ傭兵になったのかな?ああ、無理ならいいんだ?」

 

 

「傭兵になった理由…ですか?…………あんまり面白くないかもしれませんよ」

 

 

 

マルスと大東はしばらく話に花を咲かせる。傭兵になるまでの経緯、そして今に至るまでの出来事を話し始めた。もちろん守秘義務にあたる任務はぼかしながら話しながらマルスは思ったのは

 

 

(………大東さんは脅威というか、この世界での災厄をなんとかしようとしている。ザフト最高評議会議長《プレシア・テスタロッサ》、彼女の思惑を知り最善の手を打つ人だ………)

 

 

話して人柄とこの世界に対する想いを知りP・Tから依頼された任務が総てが完遂したと確信した安心した顔を見て大東はいぶかしげに声をかけた

 

 

 

「ん?私の顔に何かついてるかな?」

 

 

 

 

「い、いえ……」

 

 

 

「マ~ル~ス。つかまえた♪」

 

 

 

「ミ、ミカド!?な、な、な、な、なにおう!?」

 

 

 

「ん~わかんない?ハグし・て・る・の」

 

 

 

明るい声と同時に背後から抱きしめるミカドに慌てふためく…背中には特大級のバストが押し付けられ否応がなしに柔らかさがつたわり甘い吐息が首筋に吹きつけられゾクリとする…よくみると顔がほんのり赤い

 

 

「ミ、ミカド、まさかお酒のんだの?」

 

 

 

「だってマルス、ワタシをほったらかしにしてかまってくれないんだから…あと、涼子ってよんで?じゃないと」

 

 

 

「ま、まって中に手を入れない……ひゃう!?」

 

 

「呼んでくれないとやめないわよ……」

 

 

 

涼子の白魚のような指がマルスのスーツへ潜り込み肌を滑らせていく…なんとか逃げようとするも逃がさないといわんばかりに抱きしめる腕に力が込められ逃げることができない

 

 

 

「た、助けて大東さん!?マクマードさんも!?」

 

 

 

「え?さすがにコレはねえ……おじさんはまだ馬に蹴られたくないし」

 

 

「悪いがマルス、一度酔ったミカドは離さないぞ」

 

 

 

すでに宴会とかした会場の面々も面白そうにみている。誰も助けてくれないと悟りなすがままにされたマルス。結局酔いが醒めるまで抱きしめられ続けたのだった

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

テイワズ、秘密ドッグ

 

 

同居住区

 

 

 

「クリスちゃ~ん、ノーヴェちゃん、ハルにゃんはっけ~ん♪♪」

 

 

 

「う、うわ!セラ?なにすんだよ?」

 

 

 

「セラさん?あのどうしたんですか?」

 

 

「つうか!離れろよ~」

 

 

 

「あ、ごめんね~実は明日何だけど、外でディーヴァがライブをやるから皆で行かない?」

 

 

 

 

ギュッとアインハルト、ノーヴェ、クリスを抱きしめながらセラフォールが取り出したのはイギリスの歌姫姉妹《ディーヴァ》のライブチケット。しかも先行予約限定のプラチナチケットに三人揃って驚いている

 

 

 

「ディーヴァって今、世界で有名な歌姫三姉妹のじゃねぇか!」

 

 

 

「よ、よく手に入れましたねセラフォールさん」

 

 

 

「スゴいな…ていうか高かったんじゃ」

 

 

 

「のんのん、コレはソーナたんが外に出て歌を聴こうって考えてくれたんだ~」

 

 

 

「ね、姉さん………たまには外にでて気分転換しましょ♪って言ったの姉さんじゃないですか」

 

 

 

「あらあら、ソーナたんったら素直じゃないなあ~ねぇみんなはどうかな?」

 

 

 

「たまには外もいいかな…」

 

 

 

「仕方ないなあ……」

 

 

 

「わ、わたしもいっていいのでしょうか?」

 

 

 

 

「いいに決まってるじゃない。じゃあ明日の08:00にいくよ」

 

 

 

 

セラフォールの言葉に頷く三人…もちろんマルスが御門とともに来ることも言うとひさしぶりのデートに胸をときめかせるようすにソーナも笑みを浮かべていた

 

 

 

 

 

同時刻、ある古びた倉庫に灯りが灯った

 

 

 

 

「ブラボー1から6、無事上陸完了」

 

 

 

『ごくろう、では詳細について説明するわ☆☆☆☆☆☆、ーーーーーーーーー…………以上が概要よ。確認したら破棄しなさい」

 

 

 

「了解、当該対象がそろい次第行動に移します」

 

 

 

 

『期待しているわ…すべてはザフトのために』

 

 

 

「ザフトのために」

 

 

 

声が幾重に木霊しやがて、倉庫から灯りが消えさった

 

 

 

悪夢は再び繰り返される

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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新たなる鼓動……クアンタ

ギガフロート

 

 

ジャンク屋組合が有する移動拠点、ココにあるMS工廠の際奥で、剥き出しのフレーム姿のMSが固定された姿。その前で髪を逆立たせた作業着姿の青年が複数のモニターを開きキーを叩きながら睨めっこしている

 

 

 

「ん~新型粒子発生機関から生成される粒子量なら……予測値を遥かに超える粒子量が必要か……」

 

 

 

「ロウさん、どうしたんですか?」

 

 

 

「ん?ああ千夏か……実はこのクアンタの外装と装備を考えてんだけどさ……なかなか纏まらないんだ……」

 

 

 

「こいつのですか?普通にクアンタの外装をつければ……」

 

 

 

「そうはいかないんだ……動かすにはツインドライヴじゃまともに立ち上がれない。んでだ、思い切って太陽炉…あくまでデータ上で三基同時に相乗稼働させて起動に必要な粒子量を生成までは上手くいったんだけど各部GNコンデンサーが耐えきれない事がわかってな………コンデンサーを新規で作るとなると木星にいかないと」

 

 

「太陽炉三期同時に相乗稼働?むちゃくちゃですよ。ほうっておいてもいいんじゃ…」

 

 

 

「あのなあ~目の前に未完成の機体があるんなら放っておけないだろうが?ジャンク屋魂がソレを許さねえし、それにコイツを必要とするパイロットがいるってセツナに聞いたからさ…ああ~こんな時にマルスが居たらなあ…あ!そうだ!確か……」

 

 

 

「え?ロウさん?」

 

 

 

「確か、ココのドライブに…………あったあ!!」

 

 

 

無数に浮かぶ空間投影モニターをスライド、すごい早さで開いていくロウに戸惑う千夏に見せたのはマルスから届いた複数のメール、迷わず開くとGN粒子に関する様々な視点からの考察、そしてツインドライヴから生成される粒子特性と理論式を含めたタイトルがぎっしりと圧縮されたデータ…それから一つを開いてみる

 

 

ー●月×日、任務と依頼がないので前々から調べてみたかったGN粒子圧縮と特定環境下における性質実験をしてみた。GN粒子には特定環境下では粒子色が変わること、そして毒性を持つことが知られている。トランザムバースト時には超高密度GN粒子広域散布、イノベイターの脳量子波がさらに高次に純度を上げ意識共有空間形成維持を各段に上げ相互理解を可能とするのは知ってるとは思います。でも今日の実験でGN粒子の新たな性質変化を目にしたんですー

 

 

データファイルに添付されていたのはきらきらと蒼く輝くGN粒子…瞬く間に青みがかった緑色の透き通った物質へ変わるのを見た千夏は驚きを隠せない…ロウは真剣にモニターを見つめている

 

 

ーGN粒子結合物質…GN粒子を粒子、反粒子に生成することで自然結合し生まれるコレを《GNマテリアル》と仮に名称します。強度はガンダニュウム合金と同等、それ以上で重量は半分以下になる…刃などに加工すればGNソード、ブレイドを上回る切れ味をもつ武器、それ以外の用途としてはGNコンデンサーとして装備しつトランザム終了後、瞬間的に粒子に戻すことで粒子チャージを短期間ですませること、さらに瞬間的出力を向上も可能になると考えてる……現在、コレが可能な機体候補はクアンタ、三基の粒子発生機関を搭載可能な新たな機体を製作する事が望ましいって考えてます。三基の粒子発生機関は新規に製造、制御には独自構築したOSの基礎を送りますー

 

 

 

淡々と語るも声から驚きと歓喜にも似た想いが溢れているのを感じながらもロウは提示されたデータに目を通していくのを隣でみる千夏の胸中は穏やかでない……表向きはジャンク屋として来ているが実はGspirits隊メンバーでマルス・レディーレ…アレス・ルセディスの調査するために赴いていた

 

 

マルスのメールを見て感じたのは、MS理論と実証データは明らかに先を行き過ぎてる。かつてGspirits隊に協力していた技術者にして博士、ディートリッヒと同じ類…天才だと感じ取っていた

 

 

 

ー今回、生成出来た《GNマテリアル》の試片を送ります。ロウさんからみてどうでしょうか?僕もできる限り協力したいので連絡をお願いしますー

 

 

 

ソレを最後に映像は消えロウは千夏と共にマルスから送られてきたコンテナがある場所へ向かうと暗証コードを入力、ロックがひらく

 

 

「コレがGNマテリアルか………うんうん…確かに軽いし強度もある………」

 

 

「金属の質感もあるし、でも透き通ってる……」

 

 

 

「コレなら出来るぜ!クアンタの装甲をこうして、GNマテリアルを新武器を………」

 

 

「あ?間ってくださいロウさん?………ほんとジャンク屋ってスゴいや」

 

 

 

座り込むと凄い勢いでキーを叩くロウに呆れながらもGNマテリアル生成に必要な機材を揃えていく……千夏はマルス・レディーレが送られてきたデータを手早くコピーしGspirits隊メンバー……chameleon隊へと転送しながら作業を見守る

 

 

やがてモニターに映されたのは新たなクアンタ、三基の粒子発生機関の内一基ずつを刀身部に内蔵したGNブレイド、脹ら脛にはGNカタール兼バーニアが配置されている

 

 

 

「こんなもんかな。あとはGNマテリアル発生機関のシステム構築と粒子発生機関だな~《上》に頼むしかないかな。でもマルスと連絡取れないし…ま、出来る範囲はやっとくか」

 

 

そう言葉にしながらモニターに示された新たなクアンタを見ながらロウは千夏と共に作業をはじめる

 

 

………天上人に相応しき力を持ち変革者である刹那・F・セイエイに託された機体は静かに完成の時を待つ

…いずれ相対する魔女により演出された復讐鬼が駆る《漆黒の悪魔《エクシェス》》との刃を交える時を……

 

 

 

 

 

parts:02  新たなる鼓動………クアンタ

 

 

 

 

 

 

 



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閑話 錬金術師ーアルケミストー

ラスベガスへ向かう数日前

 

テイワズ、イギリス支社。同地下秘密ドッグ居住エリア

 

 

マルス・レディーレ私室。ここで今、マルスはある人物達と通信回線を開き話をしている

 

 

 

「ひさしぶりです。キャロル教授、エルフナインちゃん、ウェル博士。前に送ったデータをみてもらいましたか?」

 

 

 

空間モニターに独特なメガネをかけた銀髪の白衣姿の青年、くるくると緩やか波立つような金髪に豊かな胸、流れるようなウェスト、ヒップラインが巻頭衣にも似た服からでもわかるやや不機嫌な目を向ける女性、その隣には彼女を一回り幼くしたような少女がおどおどしながら挨拶してきた。隣にいる女性…キャロルが口を開いた

 

 

 

 

『ああ、ったくなんだあのOS概念は?EXAMかHADESUと同じモノ以上に扱いに困難だ…しかもコアに使うコレはなんだ?乗り手の歌に反応しエネルギーを生み出し物質再構成し搭載MSに特化した武装構築と表面装甲再構築強化…は、まるで錬金術だな、いや歌に関係するのはアレだな?』

 

 

 

『き、キャロル、すいませんマルスさん。でもボクもびっくりです。まさか応用してるなんて。少しききたいですけど…コアに使われている素材はどこで手に入れたんですか?』

 

 

 

『僕も興味あるねぇ…コアとなるコイツはキミが送ってきたOSとの高い親和性に加え!さ~~らにっ!歌に反応する事を考えて推測するに………あの20世紀最高の頭脳といわれ櫻井女史の櫻井理論が関係してること間違いな~~い!この天才、ドクターウェルにわからぬモノなんてないね!!』

 

 

 

「あはは、さすがアルケミスターズ最高の頭脳でエネルギー問題を解決した英雄ですね……キャロル教授、エルフナインちゃんのいうとおり櫻井了子さんの櫻井理論を参考にしてあります……」

 

 

手早く指を動かすマルス…20世紀、あるものを使いエネルギーおよび物質再構成、構築を太古のオーパーツ《聖遺物》が歌に反応する事で様々なエネルギー問題を解決できると提唱した稀代の女傑の顔写真と理論が複数のウィンドウに表示され転送されていく

 

しかし不慮の事故で亡くなった彼女の死後、資料は世界中へ開示されるも聖遺物を起動させるための歌い手が居なかった事から無用の技術として忘れ去られたものだった

 

 

 

『で、僕が聞きたいのは聖遺物、イチイバル、ガングニール、アマハバキリ、ザババ、シュルシャガナ、アガートラームをどうやって手に入れたのかね?知りたいなあ~だってこれらの聖遺物は櫻井女史が亡くなってから行方知れずになっていたハズだ』

 

 

 

『オレもいきさつはパパから聞いてるがな…それにだマルス。コレを作る必要があるのか?ザフト、連合に対してのモノだと言うのはわかるが。過剰戦力はさらなる災いを呼ぶぞ?』

 

 

 

『ボクもそうおもいます…でも起動出来る人間は限られてます…搭載しても少し動きがよくなるだけだとみた限りおもいます…なにか思い当たることがあるんですか?』

 

 

 

「………この世界のMS技術と生産性は四年前までは微々たるものだったんです…それが今じゃ考えられない生産性と保有数に推移している……明らかにおかしいんです。まるで何者かが気づかれないように操作し世界を導くように企んでる………ザフト、連合の戦いはもしかしたら……」

 

 

 

『……何者かが介在してる。そう言いたいんだな……悪い冗談だ…ばかばかしい』

 

 

 

『待ってくださいキャロル、いまボクも調べてはみたんですけど……なにかおかしいです……』

 

 

 

『よこせ…………確かに変だな……』

 

 

 

『僕にも見せてくれるかな…………………ん?んんんんんん?く、ハハハハハ!なんだこれは?ためにためためためためのため~~!MS技術が微々たるレベルで拡散されているちまちまプチプチプチ~!っと!!世界中の銀行からも円以下の銭端数を集め一定にした時点でコレもビビビとぶんぶん拡散してる………いやあこんな天文学的な事をこなしている輩がいること間違いないね………気づかれないように干渉しているソイツの顔がみてみたいものだよ』

 

 

 

テンションマックスなウェル博士に方や涙目、方や深いため息をつく…これさえ《性格》なければ最高なのにと誰もが思った

 

 

『あ、あの話を戻しますけど……マルスさん、私たちにコレを見せたのは何でですか?起動出来る可能性は限りなくゼロです…それに現状じゃアマハバキリ、イチイバルしか出来ないです』

 

 

「エルフナインちゃんも同じ考えなんだね…現状を考えたら二つ、ガングニールをあわせつて三つは出来上がる。でもコレは…」

 

 

 

『ふん、その介在してる輩に対抗するためもあるわけか。だからオレやウェル、エルフナインにデータを見せた訳か……まあ、いまちょうどヒマだしな……今度、買い物に付き合うなら手伝ってもかまわないが?』

 

 

『キャロルがきめたならボクもいいです…あと今度、遊園地に連れて行ってください……ふ、二人っきりで』

 

 

 

『キミがこの特盛りてんこ盛りの大天才の僕に頼るとはね~いいだろ~協力させてもらうよ。最高に生かしたケーキを報酬にね~』

 

 

 

「あ、はい、キャロル教じ…「キャロルと呼べ」キャロルさん、エルフナインちゃん、ウェル博士……聖遺物は数日中にテイワズ経由で送ります」

 

 

 

話はまとまりキャロル、エルフナイン、ウェル博士の頼みを聞く事を条件に取り付けモニターがきえしばらくして椅子にもたれかかった…その頃

 

 

 

 

「…やった!やっと約束を取り付けたぞパパ!!」

 

 

 

「やったなキャロル、エルフナイン、偉いぞ~傭兵だけどマルスくんなら二人を任せられる…」

 

 

「まかせてくださいパパ……ボクとキャロルが必ずマルスさんをゲットしてきます」

 

 

などと娘バカな父親とやっとデートの約束を取り付けられた娘二人に祝福の声をかけていた事に、当人はわずかに身震いしながらデスクの電子キーをたたきアタッシュケースを取り出し開いた

 

 

聖遺物イチイバル、アマハバキリ、ザババ、シュルシャガナ、アガートラーム、ガングニールの破片。コレは数日前。依頼完了をP.Tへ報告した際に報酬と同時に受け取ったモノ……テイワズライブラリでヒマを潰していた時に閲覧していた櫻井理論を思い出し、慌てて照合すると本物だとわかり聖遺物を用いた新MSOSの概念構築を組み上げたのだ

 

 

なぜ報酬に聖遺物を渡したのか?P.Tの意図がわからない…しかし世界へ介入する存在の備えとして使うことを決めマルスは護衛任務で知り合ったキャロル、エルフナイン、ウェル博士の力をかりることにしたのだった

 

 

「……完成が間に合えばいいけど……エクシェスをコレ以上使うわけにはいかないし…翔真さん達が帰ってくるまでに……」

 

 

 

微かな不安を胸にしながらアタッシュケースをテイワズ経由で輸送手はずを整え、自室をあとにした

 

 

この聖遺物を用いた新MsOSがさらなる混沌を招く結果になるとはマルスは知る由もなかった

 

 

 

閑話 アルケミストー錬金術師ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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閑話 目覚める悪魔

ATAGの極秘会合の翌日……管理局地上本部大佐《大東貴一》はある場所へと訪れていた。いくつのリニアを乗り換えをし、ようやく降りてすぐに長く薄暗いエスカレーターで下へとおり歩きだし数分、目の前に扉がみえ指紋認証装置、複数のカメラが壁の向こうから現れ眼前でピタリと止まる

 

 

 

『氏名と所属をどうぞ』

 

 

 

「大東貴一、ATAG……あとはコレでいいかな?」

 

 

所属、姓名を告げ指紋認証システムへ手を起き網膜認証スキャンの光が走り僅かな間が空く

 

 

 

『……………登録された所属、姓名、網膜および指紋認証確認、ようこそ大東貴一、テイワズ・イギリスへ』

 

 

歓迎を告げる音声メッセージと共に指紋認証システム、カメラが壁の向こうに消え静かに扉がひらいた

 

 

 

閑話 名瀬・タービンー目覚める悪魔ー

 

 

 

「ん、遅かったじゃないか」

 

 

 

「いやあ~最近起きるのがつらくてね~年甲斐もなく飲み過ぎたからからな?」

 

 

 

「そりゃそうだ。ウチのオヤジとダディ・テッドはザルだからな。え~と提督?」

 

 

 

 

「し~それはココでは内緒で……大東でかまわないから名瀬・タービンくん?」

 

 

 

「おっとそうだったな。じゃキイチで。俺は名瀬でもタービンでも好きな方で呼んでくれ」

 

 

白のスーツに帽子姿の青年…テイワズ輸送部門を任され《タービンズ》を率いる名瀬・タービンが笑いながら肩を叩く

 

ココ、テイワズ・イギリス支社が保有する秘密ドッグで大東はATAGに配備予定の獅電を輸送するルートと各財団との繋ぎを話し合うために極秘に来ていた

 

何故ならばソレスタルビーイングの旗艦トレミーⅡが居るため、大東貴一が率いる部隊Gspirits隊とは敵対関係(あくまで表向き)にあるため、迂闊に素性がバレたら色々と不味いからだ

 

 

「しかし、バレない格好で来てくれと言ったんだが、まさかそれで来るなんてな」

 

 

「ん?まあ怪しまれない格好にしたんだけどめだつかな?」

 

 

 

口元を押さえる名瀬…眼前にいる大東の格好はと言うとビル掃除の清掃員の制服にサンダル、首には何かのロゴいりのタオルがかけられ帽子を軽く被る容姿は似合いすぎていたからもある

 

 

「い、いや問題ないんだけどな。ウチの清掃員と間違えられても仕方ないんじゃないか?」

 

 

 

「ははは、まあテイワズ謹製のだからね……で、さっきのアレは何かな?」

 

 

 

「アレか?今度開発1課で作った機体……戦術機のテストを俺の彼女たちとトレミーの…綾崎翔真の彼女たちと模擬戦やってたんだ。出来れば発表までは内緒にしてくれ」

 

 

 

「(戦術機か、見た感じMSとは設計概念が違うか……シゲさんみたら喜ぶかな)……わかってるよ。じゃ本題に入るか」

 

 

 

「そうだな……じゃまずは搬入スケジュールを」

 

 

それから一時間あまり、名瀬と大東は搬入スケジュール、各財団との連携、組み立て工場との円滑な航路を打ち合わせをしようやく話が纏まった。今回の話し合いで決まった事をタービンズに伝えにいくと告げ名瀬は部屋を後にし、一人残された大東は首をコキキと鳴らしながらソファーから立ち上がった

 

 

 

「ん~暇だね………少し散歩するか」

 

 

ゆっくりと扉を明け歩き出す……しかし数分後…

 

 

「あっちゃ~迷った……えとコッチかな」

 

 

 

ん~と唸りながら広い通路を歩く。しかしさらに迷い込んだ貴一…やがて見えてきた光…やがてMSデッキにでた

 

 

そこに無数のケーブルに繋がれ拘束ロックされた灰色の装甲、特徴的なブレードアンテナにツインアイを持つMS…ガンダム・エクシェス

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

異様な空気を醸し出すエクシェスを前にただジッと見つめている大東…この機体が作られた目的を知るからこそただ静かに見ていた。その時だったMSデッキに警報が鳴り響いた

 

 

「な、なにが!?」

 

 

激しく揺れ出すMSデッキ…いやその揺れの源はエクシェスから起きている。近くの手すりをつかむ大東の前でエクシェスの瞳に光が宿りVPSが展開、漆黒に

変わった

 

 

   

 

  ー来い!エクシェス!!

 

   

 

 

怒りにも似た叫びが木霊し、機体の周りに転移魔法陣が幾重に重なり輝くと光と共に、最初からそこに居なかったかのように消え去った

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーー

 

 

 

 

遡ること数分前……

 

 

 

 

「やめろ!やめてくれ!!狙いは僕なんだろ!だった……う!?」

 

 

「……黙って見てろ」

 

 

組み敷かれ叫ぶ少年の顔面が殴られる。血を額から流すマルスの前にクリス、御門、ノーヴェ、アインハルト、千冬が後ろ手に縛られ膝をついたように座らせられ一人の男がアインハルトに銃口を向ける、マルスは何度もふりほどこうと力を込めるも動かない…いや身体が震えている、それ以上に頭の奥が激しい痛みが襲いかかる

 

 

銃を突きつけられる四人の男女、鳴り響く銃声、血まみれの男女……その前で叫ぶ誰か…断片的にノイズ混じりに浮かぶ度、押さえつけられた痛みより激しく痛み出してきた

 

 

 

 

「やめろ……やめろ……や…」

 

 

 

引き金がゆっくりと沈むテロリストの指、身体を震わせるアインハルトを目にした時、何かが音を立て溢れ出した……コレを待っていたと言わんばかりのどす黒い感情にマルスは呑まれながら叫んだ

 

 

 

 

「…い、シェ……ス…い……オレはここだ………来い!エクシェス!!

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

空に無数の転移魔法陣が浮かび、中心から現れたのは漆黒のMS…その指が光った瞬間、アインハルトに銃口を向けたテロリストの身体…上半身が消え去った

 

 

ベガスにあるカジノ内に四年前に喪われた悪魔(エクシェス)が主の叫びに応え降臨した姿は皆の目に焼き付いた

 

 

 

 

「…コレで(ピース)は揃ったわね……ふふふ」

 

 

 

 

 

送り込んだ工作員のインカムを介し妖しい笑みを浮かべ、漆黒のMS《ガンダム・エクシェス》、完全に記憶を取り戻した《アレス・ルセディス》の帰還を喜ぶプレシア…チェス盤のキングを手にし動かしさらなる一手を模索しはじめる

 

 

 

すべては終局に向かい進み加速を始め、忘却の彼方から帰還した復讐者(アレス・ルセディス)は何を与えるのか

 

 

 

 

 

「マリア、あれは間違いなくエクシェスです!」

 

 

 

「切ちゃん、落ち着いて………アレス兄にが帰ってきた……どうするマリア?」

 

 

 

「……切歌、調、そうね…行きましょうアレス隊長の剣として…」

 

 

 

歌姫たちも絶望の淵にあった自分たちを救い出したアレスのもとへ参じる為、動き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話 名瀬・タービンー目覚める悪魔ー

 

 

 

 

 

 

続きはシャルロッ党さんの最新話で!

 

 

 



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PHASE-90.5 悲劇の悪魔 ー集う歌乙女、残された刻ー

????







「調、どうしたですか?整備が上手くいかないんですか?」


「ううん。整備は完璧だよ…さっきP・Tから通信が来て、マリアが話をしてる」


「P・Tデスか!?もしかしてアレス隊長の居場所が掴めたんですか!!」


「多分だけど…あ、マリア」


「切歌、調、聞いてくれるかしら…コレから私たちはラスベガスへいくわ」


「「ラスベガス!?」」


「ええ、そこに現れると情報を得たわ…ちょうど《DiVA》のライブ最終公演地はココ、ラスベガス。ライブ開始と同時に協力者と合流、隊長をソレスタルビーイングから奪還するわ」


「…アレス隊長をアイツらより先に見つけて奪還…」


「でもライブしながらってどうしてデスか?」

切歌、少しは考えないと…アレス隊長からも言われてたのに『もう少し考えれば解るはずだ』って…わたしは作戦の概要をホロモニターに映し説明していく

P・Tから渡されたライブ会場と隊長が現れるであろうポイントを絞り込んだ関連施設にマーカーしていく


「わたしたちのガンダムをアトラクション用にもちこむ舞台装置として配置。現地協力者から隊長の所在情報が入るまでライブを続行、確定次第に搭乗して隊長がいる場所へ向かい奪還する…コレがわたしたちと協力者の作戦よ」


「…私たちのガンダムをライブを盛り上げる演出として使えば怪しまれない…」


「ま、まさに一石二鳥デスで~す!流石はマリアです!!」



やっとわかったみたいね…でもコレが最期のライブになる…少し寂しい気分だ

私たちの身分を偽り、アレス隊長の所在を見つけるために始めたアーティスト活動…マネージメント、プロデュースはP・Tのバックアップもあって瞬く間にアーティストの高みに至った


…セレナがまだ生きていた頃、お父様が戦争孤児になって養子に迎えた切歌、調の緊張を解すために一緒に歌ったのが懐かしい

歌は私たちの絆だ


そして、あの日…セレナとお父様を失い、命を奪われかけた私たちを助けに現れたアレス隊長


…火星へ招かれたけど、絶望していた私と切歌と調に生きる力と術をくれた…


あの人の生きる力、根底にあるモノが家族を奪われ、奪った要因を生みだした者達への復讐で在ることもP・Tを通して知った


私たちは、あの人に命を救われた…ならばこの命は槍であり戦刃として奮おうと誓った


でも、突然アレス隊長は姿を消した。直後にジェダ同志を含めた急進派閥の主要メンバーが拘束された…


幸い私たちには手は及ばなかった…残されたのは未調整のガンダム…ガングニール、シュルシャガナ、イガリマ、艤装艦《ミストルティン》、偽造個人ID、膨大な資産


何故、アレス隊長は姿を消したのかわからない…でもなにかに巻き込まれたのだとわかった。P・Tからある情報がもたらされた


アレス隊長が生きている、そして在る組織に記憶を消され傭兵《マルス・レディーレ》を名乗っていること、その組織Gspirit隊に命を狙われていること


私たちは直ぐさま行動に移した、PTから齎された次元転移システムを使いミストルティンで地球へと転移し降下、アレス隊長の居場所を探し、命を狙うGspirit隊へと攻撃を仕掛けた



未調整のガングニール、イガリマ、シュルシャガナで斬り伏せながら、あと僅かで旗艦を墜とせたのだけど現れた特務部隊?に切歌のイガリマが損傷、馴れない重力下でのこれ以上の戦闘継続不可能と判断し離脱した…お父様の仇だと知り歯がみした


…重力下に馴らしながら、情報を精査、ガンダムの調整、アーティスト活動を続けてきたけど。ソレも今日でおしまい


アレス隊長、必ずあなたを助けだします…ですから少しだけ辛抱を…









「……………ふう」

 

シャワーを浴びながらため息をつく…ツバサ君から旅行の話を聴いてからぼうっとしながらも肌にあたる湯の感覚に身をまかせながら今に至るまでの事を整理していた

 

 

あの日、トレミーと合流した僕とノーヴェ、クリスはイギリスのテイワズが所有している秘密ドックに身を寄せていた。トレミーの修復と改修はあと2割で終わる

 

 

でも、トレミー…ソレスタルビーイングの中心的存在で雇い主の《綾崎翔真》さん。フェイトさん、翼さん達がいない現状で離れていいのかなと想う

 

 

あの時現れた《夜架》って女の子は翔真さんの無事を告げてから整備していた機体を強奪に近い形で乗って姿を消した

 

なのはさんや、シグナムさんがスゴく怖かったけど…その間にも世界の情勢がめぐるましく変化していってた

 

 

ザフト、連合…そしてロンド・ミナ・サハクさんの天空の宣言、そして反ザフト現議長プレシア・テスタロッサに対抗する軍事同盟結成…様々な勢力が均衡を保つことで安定した世界になってる

 

 

でもコレは砂上の楼閣。すこしでも傾けば世界は前大戦以上の災禍に見舞われてしまうのが解る

 

 

この状況を打破するかを、僕はなやんでいた…傭兵は主義主張、大義名分は関係ない

 

 

誰かの想いを感じ、誰かの力となるために力を振るうだけなんだ

 

でも…

 

PHASE-90.5 悲劇の悪魔 ー集う歌乙女、残された刻ー

 

 

 

「ア~ニ~キ」

 

 

「うわ?ク、クリス?なんでココに!ていうか男性用だよね?」

 

 

「別にいいじゃねえかよ…それにアタシだけじゃないんだけどな…ん」

 

 

「ひゃおう~~!?」

 

 

背中から抱きかれて、現実に無理矢理引き戻された。僕の過去を知ってる義妹《いもうと》だっていう雪音クリス…いや大事な人になったクリスののスゴく柔らかなの二つの膨らみを押し当て熱っぽく囁いて、首筋を舐めて笑みを浮かべてる。ふと誰かの手が添えられて腰が引けてしまう

 

 

「ふふ、あいかわらずココが弱いのね…」

 

 

「り、涼子?な、なにを…っあ!?」

 

 

 

「なにって、久しぶりに調整しないと駄目でしょう?ほらこんなになって…今日は念入りにしないと…」

 

 

膝をついて僕を見上げているのは御門涼…涼子。僕の恋人…柔らかですべすべした指が撫でて、悪戯っぽく笑いながら挟んで《ナノリキッド》を垂らして動いた

 

 

「う、うわ?り、涼子っ?」

 

 

「ま、前より良くなってるわよ……(スゴいわ…コレが何時も私の…ダメ。我慢しなきゃ)」

 

 

「(アニキ。気持ちよさそうだ…あ、アタシも)…アニキ。ん、ちゅ…はぁ…ど、どうだ?…ん。はあ!?」

 

 

「ク、クリ?!?!…」

 

 

思わずへたり込んだらクリスが手を吸って引っぱった…あたたかくて包みこむ感覚。指がかたいのに微かに触れた。ビクッと震わせながら抱きついてきた。それにシャワーと別な暖かいなにかで濡れてる

 

 

「ア、ニキ…いきなりや…んな…ふ、ふう…ふう」

 

 

「マルスったらいけないわね…ねえクリス。少しお仕置きしない?」

 

 

「いいな、じゃお仕置きしないとな~」

 

 

熱っぽい声と潤んだ瞳…なんとか逃げようとしたけどがっつり挟まれてるから動けないし力が入らない…それに躰の一部が焼けるように熱い

 

 

「…アタシのお仕置き覚悟しろよアニキ」

 

 

「わたしのお仕置きはスゴいから覚悟してね」

 

 

シャワー浴び続けてぼうっとしながら頷いたのを最期に意識が途絶えた…目が覚めた自分のベッドにいてクリスと涼子が抱きつくように眠っていた

 

 

起きようとしたけと腰が痛いし、スゴくだるい…涼子とクリスはなんでだろう、肌がツヤツヤしてる…ああ~またやってしまった

 

最近、まあ迫られると。その…スイッチが入って前は三人同時に朝までしてしまった事が何回もある…

 

 

とにかく旅行の準備は明日の朝にしよう。そう決めて目を閉じた…なんか解らないけどよく眠れる気がした…

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

 

………………て…やる…

 

 

ふく……しゅ……忘れ……

 

 

 

……アイツらを…………大………と…sp………t…いを

 

 

 

 

血に濡れた白衣、顔を俯かせた小さな子が赤金に耀く瞳を向けなにか呟いてる。何時もの夢…完全に修復したエクシェスに乗って、あの武器を使ってから頻繁に見るようになった

 

でも、今回は違っていた。ゆっくりとこちらに歩いてくる…

 

 

ーき、きみは誰なんだ?ー

 

 

絞り出すように声をかけてみた…ゆっくりと歩みを止めた髪で顔を隠しているからよく解らない。微かに声が耳に届いた

 

 

…………は、………ス・ル…………………おまえは…ふく………抹殺……

 

 

ノイズが混じりの声を聞いた僕の頭に痛みが走る…聞くなと言わんばかりの切り揉まれるような激しさにうずくまった

 

 

 

ーーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

ーーー

 

 

「!?………はあ、はあ、はあ………ゆ、ゆめ………」

 

 

痛む頭を押さえながら時計を見ると深夜二時を回ってる…隣で穏やかな顔で眠る涼子、クリス、いつの間にか寝ていたノーヴェを起こさないように部屋をあとにした

 

頭が痛い…それに汗でシャツが重い…ふらふら歩いていると少しずつ痛みが治まった…ふと目線をあげた僕は息を呑んだ

 

「…………エクシェス………」

 

 

様々なケーブルが伸び、ハンガーに拘束されたVPS不活性化状態のグレーに彩られたMS…《ガンダム・エクシェス》の姿、まるで僕が来るのを待ってたかのように見下ろしていた

 

 

エクシェス…僕の喪われた記憶を知る機体。完全体の武装を見て恐怖を感じた…何故コレに乗って宇宙を漂っていて、搭載武装の殆どは余りにも過ぎた威力、エクシェスを作ったのは誰なんだ?と考えながらソファーにすわりこんだ時、声が響いた

 

 

「…マルスさん」

 

 

「ア、アインハルト?どうしてココに、それにもう夜遅いよ」

 

 

「じつは眠れなくて…歩いてたらマルスさんが歩いてるのをみて…」

 

 

「そうなんだ……」

 

 

「あの、隣いいでしょうか?」

 

 

アインハルトにいいよと手招きしたら、怖ず怖ずと隣座ってきた…何も話さないまま数分過ぎた時、眠気がしてうつらうつらし始めた…最近、余り寝れてないのもあって力が抜け横に倒れた。柔らかな温もりが頭を包んだ。なんか気持ちいい

 

 

「マルスさん!?」

 

上擦った声で目が少し覚めた。真上に顔を真っ赤にしたアインハルトの顔でようやくわかった…柔らかいのは太股を枕がわりしてるんだって…離れようとするけど気持ちよさが眠気を誘ってくる

 

 

「ご、ごめ……すぐにど…」

 

 

「いいですよ。迷惑してませんから…むしろこのままでかまいませんから…マルスさん、最近疲れてますよね…だから」

 

 

「……じゃあ…お言葉に甘えて……重かったら退かし…て…い…」

 

 

「おもくなんてありません。何時も頑張ってるのを見てますから……おやすみなさい…マルスさん………わたしは…あなたが」

 

 

最期まで聞き取れなかっ炊けど。深い眠りに落ちていく…少し頬になにか触れたのを感じながら意識を手放した

 

 

夢を見たきがするけど、なんか楽しくて懐かしい夢を見た気がした

 

 

次に目を覚ました僕の前には部屋から居なくなった僕を探していたクリス、ノーヴェ、涼子がいて、少し拗ねてて、アインハルトは顔を真っ赤にして見ていた

 

 

そして、ラスベガスへ旅行当日。現地に向かうには距離があるし、MS単体では人目に付く理由と万が一に備えてMS搭載可能な武装コンテナで向かうことになった。キャリアでカーゴに運ばれているにはMSの中にエクシェスは無い…変わりにゴーストガンダム《ファントム》の姿がある。

 

 

 

現在トレミーのMSの中で最も火力が高く破壊力を有するエクシェスは強力すぎる…搭載武装にある《アレ》を使ったらラスベガスが焦土と化してしまう。あくまで自衛的な力を持ち離脱可能なゴーストガンダムを持って行くことにしたんだ

 

 

 

「アニキ~早くしないと出発だって~ソーナ義母(ママ)とセラ義姉も待ってんだからさ」

 

 

「わかった~じゃいこうか」

 

 

「はい、マルスさん」

 

「余り待たせるのは失礼だからな」

 

機体整備マニュアルとバルバトス用の新しい装甲データ、キャロルちゃん達と共同開発している新型MSOS理論《シンフォギア》をハロにインストールし終え、作業を手伝ってくれたアインハルト、千冬さんと一緒にツバサ君やネプテューヌさん、ソーナ義母さん、セラ義姉さんがいる輸送コンテナに歩き出した。途中で厳重にロックされたエクシェスの前で止まる

 

 

無機質なツインアイが僕を見ているような気がしたけど、振り切るように駆け出し、みんなのところへ向かった…

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は知らなかったんだ。この旅行が《マルス・レディーレ》の最期の日

 

 

 

 

そして、憎悪の炎と共に《オレ》の止まった刻が再び動き始める…

 

 

 

 

 

PHASE-90.5 悲劇の悪魔《side:ASTRAY》 了

 

 

続きは、どこかのシャルロッ党さんの最新話で

 

 



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PHASE-94「蘇る悪魔の騎士」《裏》ー集うオルフェンズー

背後から鳴り響いた銃声と衝撃にアインハルトは固く目を閉じた…しかし痛みは来ない。代わりに暖かいナニカが頬に落ちてくる…ゆっくりと目を開けた


「……!?」


まず目に入ったのは自分を守るように立つマルス・レディーレ、そして血にまみれた手を見て悟った。顔に落ちていたのは血だと。慌ててアインハルトは血を止めようと傷口を見て固まる

色とりどりの配線から生まれる火花、血に染まる金属的なフレームが顔をのぞかせていた事もだが、顔を俯かせるマルス・レディーレの赤いメッシュを残し艶がある黒髪が真っ白に染まっていくのと同時にイメージが流れ込んできた


ー……っぐ……っ……ぐー



(マルス……さん?)



血塗れになった老人、女性、アインハルトと年の変わらない女の子と小さな女の子を前に泣きじゃくる小さな男の子をマルスだと感じた




「そこでターン、切り返して…3、2、1」

 

 

「♪~~」

 

 

色とりどりの光に照らされ。ステップを踏みながら歌うのは三人の少女…その動きはキレがあり、まるで武術のような演武をも思わせながら、可憐さをも醸し出している

 

 

三人がステージの中央に滑るように集まり、マイクを得物のように突き出した所で音楽と照明がきえた

 

 

「はあ、はあ…切歌、調、リハーサル終わりにしましょう」

 

「ふ~やっと終わったデスで~す!」

 

 

「切ちゃん。気を抜きすぎ…はいマリアも」

 

 

 

へたり込むのは世界中が注目する超人気アーティストグループ《DiVA》メンバー、暁切歌に水を渡す《月読調》、タオルを手に汗を拭くのはリーダー《マリア・カデンッヴアナ・イブ》…ザフト、連合の戦いが激化していく中、彼女達の歌は度重なる戦乱で疲れ切り、明日へ希望を見いだせなかった人々の心を強く勇気づけた

 

 

世界中の人々が注目するDiVAー歌姫ー……しかし彼女達はただの歌姫でない事を誰が知るだろうか?クールダウンし終えマリアは軽くメロディを口ずさんだ

 

 

 

「♪~♪♪~♪♪~~…」

 

 

「…………♪♪」

 

 

「♪~~」

 

 

真っ青な空に響いていく、ソレにつられるように切歌、調もメロディーを重なっていく…その音色は哀しみをにじませている

 

 

四年前、火星への援助をしていた実父であり養父カデンツヴアナ卿、実妹であり義妹セレナを眼前で失ったマリア達…そして厳しくも生きる希望、術を与えてくれた《アレス・ルセディス》へ向けられていた事をライブの準備を進めるスタッフは耳を傾けながら手を動かしていく

 

 

彼らは知らない…彼女達が火星圏急進派閥所属アレス・ルセディスが編成した対《Gspirits隊》特化MS部隊《サーカス》のMSパイロットだと言う事実を

 

そして今日がDiVAのラストコンサートになる

 

 

 

 

PHASE-94「蘇る悪魔の騎士」《裏》ー集うオルフェンズー

 

 

真っ暗なライブ会場に無数のサイリウムの耀きが揺らめく…静かにステージ中央にライトが照らされた

 

黒を基調とし、まるで騎士を連想するようなデザインのステージ衣装に包まれたマリアが顔を俯かせ立つ姿…

 

 

「…DiVAの歌に魅せられ、遠くより参じたこと感謝するわ……」

 

 

静かにマリアの澄んだ声が響く…別方向から月明かりのような光が見え、薄いピンクにフリル、黒髪をアップテイルにした少女《月読調》、反対からの光に照らされサーカスのピエロ?にも似た衣装姿の《暁切歌》の二人がステージを滑りながらマリアの近くに背を向けるように立つ

 

 

「…………さあ、今宵もDiVAの歌に酔いしれなさい!!」

 

 

 

「いくよマリア、切ちゃん」

 

 

「わかったデス!調。マリア」

 

 

静など旋律が流れ一気に曲調が、荒々しくなる…会場一杯にマリア、切歌、調の歌声が木霊し観客達のサイリウムが波のようにうねる

 

軽やかに舞うように踊り、歌う彼女たちに誰もが目を奪われる、力強く羽ばたくかのようにステージを飛翔するマリアの耳に填められたインカムがふるえた、間奏のタイミングに合わせたかのように。気取られぬように開いた

 

 

《……………マリア・カデンツァヴァナ・イヴだな》

 

(…アナタは?)

 

 

《……P・Tのエージェントだ。探しモノをみつけた…データをそちらの機材に送る…》

 

 

P.Tのエージェントを名乗る人物が協力者だと気付き、マリアはステージに舞い降りながら歌い続ける二人の手をとり布がかけられた巨大なナニカの前で止まった

 

曲がやみ、全ての照明が落とされた事に、観客席からざわめきが響く、しかしスタッフはあわてる様子がなく再び照明がステージを照らし出し見えたモノに息をのんだ

 

 

「モ、MS?」

 

 

「え、うそ!……」

 

 

「なんで、DiVAのコンサートに」

 

「みて!MSの手に誰かいるわ!!」

 

布に包まれた三体のMSに混乱する観客席の一人が、指さした先にはマリア、切歌、調がそれぞれ手の上にこちらを見ていた。観客とスタッフの困惑し動揺の声が上がりはじめた

 

 

「うろたえるな!」

 

マリアの凜とした声が観客席に響く…水を打ったかのように静まりかえった

 

 

「まだ、ライブは終わっていないわ。私たちDiVAの新しい舞台装置に驚かせてしまったわね」

 

 

「そうです!これはライブをもりもりあげあげしていくためのMSデスよ」

 

 

「みんな…不安にさせてごめんなさい…」

 

 

マリア達の言葉を聞き観客達はようやく席に座っていく…しかしマリア達の心には謝罪の気持ちに満ち満ちていた

 

真剣に歌を聞きに来てくれたファン達から姿を消すのだから…

 

 

《……速くしろ。Gspirits隊が動き出している…》

 

 

協力者からでたGspirits隊のワードに身を震わした…自分たちがなぜ火星から地球に来たのか、ソレスタルビーイングに洗脳され、命をGspirits隊に狙われている隊長であるアレス・ルセディス助け出すため

 

先の言葉は彼女たちから迷いを完全に振り払った

 

 

「さあ、コレから私たちDiVAの新たなライブに刮目しなさい!」

 

 

「目を離したら承知しないですデスよ」

 

 

「ちゃんと見てね」

 

 

 

布を抜けマリア、切歌、調は衣装を脱ぎ捨てる…全身にフィットするようなパイロットスーツになるとコックピットに身を滑らせ、シートに深々と座り身をあづける。首の後ろにナニカの機械が張り付いた

 

「………網膜投影、疑似阿頼耶識システム接続…」

 

 

微かな違和感と同時にはステージ全体が映り、隣にいる切歌、調も起動した事を確認し外部マイクを繋ぎ新曲をながしステージから離れ飛翔する。観客達のまわりにはシールドを張っているのをみてほっと胸を撫で下ろした時、接近アラートがなる

 

 

「黒塗りの機体は…まさか」

 

「マリアあの時のヤツデスよ!」

 

「……展開が速い…アレスにいに…隊長が…」

 

 

『……待ちなさい!マリア・カデンツァヴァナ・ イヴ!』

 

 

 

複数の黒塗りの機体…ジェガン系を乗せたドダイ改が呼びかけながら三人に迫ろうとする…あの時、シャトルを撃った時に聞こえてきた同じ声にマリアは身体を震わせる。しかし一刻も早くアレスを助け出さないといけない…二者一択を取れない現状に焦りの色を見せた時だ

 

 

《……………ココはオレに任せろ》

 

 

協力者の声と共に1機の赤く塗られた戦闘機が追撃をかけようとするジェガン系の前を遮るようにバルカンを撃ち牽制してくる

 

 

《早く行け……マリア・カデンツァヴァナ・イヴ……》

 

 

「……わかったわ…」

 

 

《待つんだ!私の話を………》

 

 

協力者が乗る赤い戦闘機?に礼を告げ離れていく…ジェガン系?のビームライフルの射程から離れた事を確認した小さく息を吐いた協力者にミサイルが迫る急降下、加速し振り払おうとするが食いついてくる。さらにジェガン系からのビームライフルにロックオンされた

 

まさに絶対絶命…僅かにスピードが落ちミサイルとビームが直撃、爆発の閃光に包まれた。確認をしようとジェガン系の1機が近づいた

 

《………まさか、この姿を晒すことになるとはな》

 

 

静な声と同時に煙から現れたモノ…分厚く鉄塊にも似たハンマーが迫るのを、ジェガン系はシールドを構えるも圧倒的質量と加速した質量攻撃を前に亀裂が広がり腕ごと粉砕、勢いついて胴体をも潰しパイロットは絶命。力無く落ちていく

 

 

指揮官機らしい機体のパイロットが見たのは黒く分厚く

鉄塊にも似たハンマーを両手にかまえ、巨大なバーニア3基、クリスタルセンサーを全身に配置し真紅の装甲を持つガンダムタイプが爆発の煙を振り払うかのように佇んでいた

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

《いくぞ……ガンダムアスタロト・ブレイジング…潰し斬る》

 

 

バーニアから生まれた光と共に加速し鉄塊《スレッジハンマー》を構えアスタロト・ブレイジングが加速しジェガンの部隊へとなぐりこんだ

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

 

 

 

「マリア、あそこですか?」

 

 

 

「ええ、指定座標は間違いないわ……でもザフトも展開してるわね…」

 

 

「…ソレにザフト以外も……」

 

 

ラスベガスへあと僅かと迫るマリア、切歌、調…ザフトが展開し、さらに第三者が介入した形跡に悩んでいた…しかし…ソレはある声と共に吹き飛ばされた

 

 

 

 

ー…い、シェ……ス…い……オレはここだ………来い!エクシェス!!

 

 

怒りにも似た声が全通信回線に響く中、三人は見た…魔方陣をつきねけ現れた機体を…かつて自分たちを救ったガンダムエクシェス、そしてアレス・ルセディスの声を

 

 

【挿絵表示】

 

 

「マリア、あれは間違いなくエクシェスです!」

 

 

 

「切ちゃん、落ち着いて………アレス兄にが帰ってきた……どうするマリア?」

 

 

 

「……切歌、調、そうね…行きましょうアレス隊長の剣として…」

 

 

 

 

PHASE-94「蘇る悪魔の騎士」《裏》ー集うオルフェンズー

 

 

 

 

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忘却の彼方より戻るモノ PHASE-97.X 交差する者達 ー復讐者の帰還ー

…忘却の彼方より、憎悪の炎を燃やす変革せし者《アレス・ルセディス》帰還…


「………!…マ、マルスさ……」

 

 

声が響き目を向けた先には碧銀の髪の少女…名前はアインハルト・O・ストラトス…血が滴るオレの手を見てる

 

…なんとなく理由はわかった。傷口から見える有機金属フレーム、バイオアクチュエートパッケージが火花をあげているからだ

 

 

でも、そんなことはドウデモイイ。ヴェーダからオレじゃ無かった頃の記憶が流れ込んだ…そして吐き気がした

 

 

四年前のあの日、オレから全てを奪ったGspirits隊、管理局提督大東貴一と会話したこと。あの場にいて何もしなかったミッドチルダを救った英雄《綾崎翔真》率いるソレスタルビーイングと共に戦っていた記憶全てを

 

 

……反吐が出る。記憶を失っていたオレ《マルス・レディーレ》に…だがソレも終わりだ

 

 

「……消えろ」

 

 

小さく呟き、アインハルトを残して地をける…武装したテロリストの一人が再び銃を乱射。確実な殺意を肌で感じながら、躰を僅かに捻り躱しつつ踏み込み、首を掴み上げ力任せに床へ叩きつけた

 

 

「…………ぐばっ?」

 

鈍い音と同時に首が折れた、つかんだまま…ホルスターから銃を引き抜きセーフティを解除…

 

 

「う、うわああ!?コ、コイツ!!」

 

 

「き、きゃあああ!!」

 

 

「に、逃げろ!!」

 

 

人質に取られていた奴らが逃げ出していく中、別なテロリストがナイフを片手にし大きく振りかぶる…ソレをさっき殺したテロリストを首を掴んだまま前に出した。

 

鈍い音と共にナイフが肉の壁と化した死体に深々と突き刺さる。仲間を射した事で気を取られたソイツの顎に抜き取った銃を突きつけ脳幹へ二発撃ち込む。鼻血と脳漿がぶちまけ、床を崩れ落ちたヤツの血が真っ赤に染めていく。

 

 

「ダメッ!マルス・・・・ダメッ!」

 

 

ソーナ・シトリーがやめるように声を上げる…ふん、やめるわけないだろ。あの時と同じ事をした奴ら全員……殺す

 

PHASE-97.X 交差する者達 ー復讐者の帰還ー

 

 

 

 

「よ、よくも仲間を!!死にやがれええええ!!」

 

 

アサルトライフルを構え叫びながら撃つ姿はまるで素人マインドスイッチが出来てない証拠だ…無数の弾丸が襲うがジグザグに回避し射線から逃げ、奪ったナイフを逆手に握り走り抜けざまに首を薙ぎ、防弾ジャケットの隙間めがけ心臓を貫く。数秒遅れて首、胸から血が噴き出しスーツを赤く染まっていき重くなる、乱暴に脱ぎ捨て逃げ惑う人質の中に紛れ逆へと走る

 

 

オレの本当の目的を、復讐を果たすため、イノベイターとしての力を解放し、魔法世界ミッドチルダの魔導技術、ロストロギア《ジュエルシード》、火星で産み出した復讐を成すための半身に呼びかける。オレはここにいると…強く念じ叫ぶ!

 

 

 

 

来い!エクシェス!!

 

 

 

オレの叫びに応えるように無数の転移魔方陣が天井に広がり、真ん中からヒビがはいりガラスを砕くように力任せに引き裂き現れたのは漆黒の機体…ガンダム・エクシェスだ

 

ふわりと膝をつき手を差し伸べてくる…迷わずのるとハッチが解放、滑り込ませシートに身を任せアームシリンダーに腕をいれる。モニター起動画面から赤外線スキャナが虹彩を読み取った

 

 

ー虹彩および脳量子パターン認証。マイスター《アレス・ルセディス》搭乗確認、各種プロテクト解除しますー

 

 

脳量子接続、機体コンディションチェック…機体構成パーツは《あのガンダム》と戦った時より遙かに性能が上がっている。ち、アレスリアクターまではロウ・ギュールでも作れなかったみたいだな。代わりにGN粒子貯蔵タンクで稼働している

 

ドラグ・ファング、指向性電磁破砕衝撃波サイクロプス《シュツルム・ウント・ドランク》が使用が難しくなってる…カジノの構造物を破壊しながら外へ出た。闇夜の空へ躍り出たと同時に接近反応アラート。モニターに映るのはGNX-604…アドヴァンスドジンクス…そのうち1機から知っている脳量子波、似たものを感じた

 

一つはアイツ…オレの仇の一人《綾崎翔真》。迷わずアームシリンダーを引き加速、間合いを詰めビームソード《スケレトゥス》を手にし斬りつける。寸前で交わしランスで受け防ぐなか回線が開いた

 

 

『俺だマルス!翔真だ・・・・綾崎翔真だ!』

 

 

「・・・・だからなんだ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

『・・・ッ!?』

 

エクシェスの蹴りが胴を捉え吹き飛ばし、立て直す暇も与えるモノか…スケレトゥスで邪魔なGNランスを貫き溶断、勢いをつけ下からレフトアームを切り払う。孤を描いて落ちていく。GNビームサーベルを手にし何度も刃をぶつけながら接触回線が開いた

 

『マルスわからないのか!?俺だ!』

 

「綾崎翔真・・・・知ってるさ。だが・・・・」

 

何をいってる…スロットを最大まで上げ、ジンクスの眼前で急旋回、背後からスケレトゥスの刃を振り下ろす…刃が届く寸前でアラートと気配に振り返る

 

アドヴァンスドジンクスがビームライフルを構え撃ってくる…邪魔をするな!粒子ビームを回避、攪乱しながら翔真のジンクスの首をはねるように切り払う。サブカメラに切り替えたみたいだが動きが鈍い

 

 

「お前も許さない。俺は奪われたんだ・・・・全てを。あの日から誓ったんだ」

 

 

『な、なにを・・・・マルス』

 

 

「俺はマルスじゃない。アレスだ。マルス・レディーレはいない。これが本当のオレさ・・・・はああァァ!!!」

 

 

 

(アレス・・・・?それにエクシェスが変わっている?)

 

 

 

《翔真様ッ!攻撃が来ますわ!》

 

 

さっきのジンクスから女の声が響く…スケレトゥスの刃は装甲を舐めるようにかわされ、粒子ビームが雨のように降りかかるのを躱しつつスケレトゥスで弾く。なんだ、オレの動きを読んだような射撃…まさか

 

 

 

『・・・・』

 

「・・・・貴様も、俺と同類か?」

 

 

『……なんのことでしょうか?』

 

 

「俺にはわかるさ」

 

 

軽く目を閉じる…間違いない…ならコイツを躱せるかな?腰部アーマーから量子通信浮遊砲台《 ドラグ・ファング》を分離し飛ばす。さあどうでる?

 

 

(誘導兵器?ドラグーンの類いですわね)

 

 

アドヴァンスドジンクスはファングを交わしながら、手にしたGNロングライフルから粒子ビーム弾が撃ち込んでくる中、翔真のアドヴァンスドジンクスが居ない。サブモニターをみるとこちらの戦闘域から離れていくのがみえた

 

(ち、ヤツを逃がす為に囮になっただと……逃が…な!、アレは)

 

 

翔真のアドヴァンスドジンクスの前にマントで隠した3機MSが迫っている…ソレにエクシェスが反応している?このエネルギー波動は…まさかと思いヴェーダと繋ぐ。様々な意志と声が木霊する中信じられない声を、この世界にはいないはずの声が国際救難チャンネルを傍受したオレの頭に響いた

 

 

 

 

ーそちらのジンクス。動くな・・・・貴方に問うことがあるわー

 

ーなんだ?ー

 

 

ーソレスタルビーイング所属の・・・・綾崎翔真ね?ー

 

 

なぜだ、なぜココにいる……

 

 

ーだとしたら?ー

 

 

ーそう、どうやら正解のようね。調、切歌行くわよー

 

マリア・カデンツヴアナ・イブ…

 

ーうんー

 

………月読調

 

 

ーアレス隊長を、返してもらうデース!ー

 

 

………暁切歌

 

「マジかよッ!」

 

 

なぜココにVS/GS-01《ガングニール》、VS/GS-02《シュルシャガナ》、VS/GS-03《イガリマ》が?…

 

『私を前に余所見なんて。余裕ですわね』

 

 

「ちぃ!」

 

 

ロングライフルの粒子ビームを咄嗟に躱す舌打ちする。マリア達をみると綾崎翔真のアドヴァンスドジンクスに迫りマントを脱ぎ捨てる。なぜ完成している!?

 

 

ー逃がすもんデスか!呪リエッ刃を喰らうデ~ス!!ー

 

両肩バーニア全開にした切歌のイガリマ。その手にした大鎌の刃が振り下ろそうとした。緑のビーム弾が二機の間に割り込むように穿たれた。新たな接近反応と同時に切り替わったモニターに映るのは真紅の装甲を持つ機影

 

 

ー翔真には、指一本触れさせないよー

 

「ジャスティス・・・・それにその声・・・・シャル?」

 

 

あのMSは四年前、綾崎翔真が乗っていた機体…ZGMF-09A……ジャスティスガンダム。あの声はシャルロット・デュノア…封印していたのを持ち出してきた…か…ヴェーダから女の素性に関して情報が開示された

 

 

「くくく…そうか…」

 

 

『何が可笑しいのですか?…』

 

 

「切姫……いや《羽々斬夜架》……弟はどうした?……」

 

 

『………ッ!』

 

 

ロングライフルの砲撃が止まる。一気に加速…スケレトゥスの刃で両肩間接、膝から下を斬り捨て眼下の地上へ蹴り落とし、マリア達と翔真がいる場へとエクシェスを飛ばした

 

 

 




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PHASE:98.5 困惑、そして……side:ASTRAY

『待てよアニキ、アニキーーーーー』


呼び止めるクリスの声がエクシェスのコックピットに響く…オレはアームシリンダーを強く握りしめ離脱しながら思うのはクリスのことだ


記憶を失った オレ(アレス・ルセディス)、マルス・レディーレを追って火星から来た…軍神の矢計画は失敗するもプロジェクト・エデンがまだある

「何故だ…クリス…なんで火星からオレなんかをさがしにきたんだ…お前には火星で幸せになって欲しかった…なのに」


歯をギリッギリ鳴らし…記憶を無くしていたとはいえクリスと関係を持ってしまった、何れ死ぬオレと…御門了子、アインハルト・O・ストラトス、ノーヴェ・ナカジマも……


最悪な事に綾崎翔真が率いるソレスタルビーイング、プトレマイオス2にいる。オレの仇がいる船に…ある意味人質に取られたと同じだ


「………く…」


…答えはでないままエクシェスと共に真っ暗な海上へと出た





「……?」

 

「…………マリア、調、切歌、なぜここにいる」

 

乾いた音と一緒に右頬に痛みを感じる…数時間前、ラスベガスから離れた私《マリア・カデンッヴァナ・イブ》は、暁切歌、月読調、そしてあの赤い機体のパイロットに誘導されザフトのボスコロフ級潜水艦へ着艦し機体を固定しコックピットから降りた

 

潮風の匂いと海のうねりを感じながら、私達の前に隊長のMS…ガンダム・エクシェスが膝をつくように甲板に着地、ハッチが開く

 

 

「アレスにい……アレス隊長です」

 

 

「…隊長、よかった」

 

 

真っ白な髪に赤いメッシュが入った髪がなびき、赤金に輝く瞳、血で染まったYシャツを無造作に脱ぎながら機体から降り私達の方に歩いてきた

 

 

四年前より少しだけ変わってたけど、隊長を利用していたソレスタルビーイング、未だに命を狙う私達のお父様の仇がいるGspirits隊から助け出せた…

 

 

「アレス隊長、よく無事……ッ?!」

 

 

風を切る音と頬に微かな痛みが走る…目の前には腕を振り抜いたまま隊長が無表情で立つ姿。でも赤金に輝く瞳から怒り、困惑の色が見えた気がしたのは気のせいかしら

 

 

PHASE:98.5 困惑、そして…side:ASTRAY

 

 

「アレス、隊長?……私達はアナタを探して…」

 

 

「……お前達にはガングニール、シュルシャガナ、イガリマの調整が終わるまでヘルヘイムコロニーに繋留してある偽装艦《ミストルティン》で待機を命じていたハズだ…」

 

 

「ソレは隊長が計画発動時に行方不明と急進派派閥メンバーが一斉検挙されて行き場がなくなった私達は逃げるしかなかった」

 

 

「…で、でも機体の調整も終わったデス!隊長の力になるため、マリアも調、私も一生懸命やったデスです!!」

 

 

「OSも阿頼耶識システムも完璧、リアクターも安定稼働してる…タスクが穏健派に捕まって身動き取れなかった」

 

 

…信じられん…リアクター調整、阿頼耶識システム・ORIGINを仕上げただと?バカなオレはあの時確かに…それより気になるのはマリア達がどうやって来たかだ

 

 

この世界に来るには魔法世界の魔導技術が必要になるはず。可能性は三つ、偶然に開いた時空の歪みに飲まれたか、流出した魔導技術によるものか、ソレか此方の事を知る第三者の介入だ

 

前者は無い、あるとしたら第二、第三だ。あの忌々しいGspirits隊率いる大東貴一が所属する地球圏統一連合が存在するならば魔導技術で転移可能だ

 

しかし地球圏にソレを行う施設がある為に消去、残るのは一つだけだ

 

 

此方の事を知る人物は一人だけだ。 オレ(アレス・ルセディス)を火星圏に導き、かつ記憶を失ったオレ(マルス・レディーレ)を此方の世界に行く術を与えたアイツだけだ

 

 

「………マリア、調、切歌、…お前達がここに来れたのはP.Tか?」

 

 

「た、隊長…P.Tを知ってるのですか?」

 

マリア、切歌、調の反応をみてわかった…P.Tが此方の世界に送り込んだのか。余計な事を…しかしかえって好都合だ。今の火星圏にいるのは危険すぎる。ならばやることは一つだ

 

 

「……一つ聞く、いつ此方に来た?」

 

 

「え、は、半年前…あの隊長?なぜそんなことを」

 

 

「……無断で動いたことは本来なら重罪だが、半年前まで火星圏にいた。オレがいなくなってからの火星圏の状況を報告と引き換えに不問にする」

 

 

「つまり半年前の火星圏の事を話せば無罪判決、勝訴にするデスか?」

 

 

「切ちゃん……意味違うからね」

 

 

「あ、あの隊長…「マリア、今のも含めて不問にする」……ではさっそくですが…」

 

 

 

「ホワシン・リー!なぜここに、ザフトの艆にいる!!」

 

 

マリアの声をかき消するよう響いた声…振り返ると髪を揺らし此方へ迫るドレス姿の女…何度か刃を交えたザフト、特務艦ミネルバのエースパイロット《篠ノ之箒》がズカズカと間合いを詰め勢いよく顔面へ殴りかかる、見えやすい動きだ、拳をすっと手を添えるように受け止めた

 

 

「………な?」

 

 

「……篠ノ之箒…オレはアレス・ルセディスだ……ホワシン・リーじゃない」

 

 

「何を?」

 

 

「ソレに…いきなり殴るか…ならば」

 

 

「うわ?」

 

 

止めた拳ごと此方に引き、体勢が崩れたのを見逃さずに首を腕で捉え、ナイフを胸元付近に突き立てるよう紙一重で止める…篠ノ之箒が動きを止めるわけなくもがいた時、別な方から乾いた音が響いた

 

 

「箒を、箒を離して!」

 

 

「私も同感だねアリシア…さあどうするかい?女の子を撃つのは趣味じゃないけど、男である君は別だ」

 

 

銃口を向ける金髪の少女、そして背後から銃を向けている女、ロラン…いつの間にかマリア達も銃を向けている。数では有利だがザフトの艆にいる時点で不利だ

 

 

「く、離せ!ホワシン・リー!!」

 

未だにもがくのを止めない篠ノ之箒を解放すれば間違いなく此方に牙を剝くのは間違いない…

 

 

「ソコまでです。双方銃をおろして。彼と彼女たちは客人ですよ…議長が是非にお会いになりたいと招いたんですけど」

 

 

「湊?議長がコイツらを……だが!」

 

 

「箒、議長には考えがあるみたいです……ソレに先ほどのやりとりから見る限りどう見ても…アナタのせいじゃないですか?」

 

 

「…わかった。私に非があるようだ……で、何時までこうしてるつもりだホワシン・リー」

 

 

「……アレス・ルセディスだ。ホワシン・リーを名乗っていたヤツは消えた…マリア、切歌、調、銃を下げろ……」

 

 

「は、はい……切歌、調」

 

「うん」

 

 

「わかったデス」

 

 

オレが篠ノ之を離すと金髪の少女、背後の女も銃を降ろしたのをみてマリア達もホルスターに収めた…奏、たしかあの時、過去の世界から帰還してすぐ、織斑千冬を追っていたプロヴィデンスの後継機に乗っていた女だったな

 

 

(私の声が聞こえてますね…アナタの部下の安全は保証します…)

 

 

(かわり議長に会えと……いいだろう。ただしオレのエクシェス、マリア達のガングニール、イガリマ、シュルシャガナに触れるな。ソレを飲むならば。のまないならば)

 

 

(かまいませんよ…では、少し長旅になりますがゆっくり休まれてください……アレス・ルセディス)

 

 

それっきり声は止んだ。奏と言う女は此方に敵意を向ける篠ノ之を伴い離れていく…金髪の少女がこちらを一瞥し追いかけデッキから離れた

 

 

「ねえ。君もしかしてDiVAの娘かな?私と付き合わないか?甘い御菓子と紅茶をごちそうするよ」

 

 

「つきあうです!……って調、マリアどうしたデス?なんで止めるのデスか?」

 

 

「悪いけど切歌と調にはタスクがいるから無駄よ…」

 

 

「なら、君は?」

 

 

「え?わ、私……け、結構よ!」

 

 

 

……………色々と不安だが。ザフト評議会議長プレシア・テスタロッサがオレに会いたいか…まあいい、ソレまでは火星圏の状況を知る時間が出来た。確認次第、機を見てキアラ、エッちゃんに《プロジェクト・エデン》遂行を令呪を通じ命じるだけだ

 

 

この計画だけは成功させる。オレの復讐もな……ふふふ、あははっあははははは

 

 

 

 

 

PHASE:98.5 困惑、そして……side:ASTRAY

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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PHASE:98.8 Revengerー悪魔と契約せしモノーside:ASTRAY NEW!!

「………以上が隊長が不在の間の火星圏の状況です」

 

 

「………マリア、タスクは穏健派に拘束されているのは事実か?」

 

 

「はい。私たちを匿ってオーストレル統政局に…あの隊長?」

 

 

「なんでもない…切歌、調は?」

 

 

「……あの、それがロランが……甘い御菓子や食べ物で……二人を食堂に」

 

 

「………オレがむかえにいく。マリア、報告たしかに受け取った…」

 

 

「あの隊長、コレから私たちはどうしますか?」

 

 

四年間の火星圏の現状報告を受け取り切歌、調を迎えにいこうとする足が止まる…コレからどう動くか。思考を分離、ヴェーダからアップされた此方の世界状況を整理していく

 

現在の情勢…連合、ロゴスは先のへヴンズベース攻略戦で敗退してから弱体化。世論もザフト支持に回っている

 

天の軍神ロンド・ミナ・サハクの《天空の宣言》がきっかけとなり、天空の宣言を支持する国家、ザフト同盟国、連合支配下にある一部の国家が独立を声明。さらにはザフトの最高評議会議長を脅威と考える龍財団、タントテンポ、テイワズを含めた一部政財界の重鎮が反ザフトを掲げる組織ATAGを結成…

 

 

しかも組織の立役者はアイツ…オレの二人の仇の一人《大東貴一》……余計な事を。イギリスにあるテイワズの秘密ドックにはソレスタルビーイングのプトレマイオス2が修復作業中…もう一人の仇《綾崎翔真》が帰還したことから再び動き出すのは間違いない

 

 

軍神の矢計画は失敗したがソレも織り込み済みだ。マリア達の報告から判断しプロジェクト・エデンは第三段階に移行した

 

この世界にはあの日、オレからすべてを奪った綾崎翔真、大東貴一、Gspirits隊がいる…ならば

 

 

 

 

「……まずはザフト最高評議会議長とあってからだ…そして…」

 

 

「私たちのガングニール、イガリマ、シュルシャガナからリアクター移植作業は何時でも可能。復元したエイハヴリアクターは偽装艦に」

 

 

「…わかった。ソレまで機体を守っていろ…すぐに戻る」

 

 

 

ソレだけ告げ、オレはMSハンガーから離れた…だが途中で違和感を感じ顔をあげた。ソコには真紅に白に塗り分けられた装甲を持つMS…細部が違うが、間違いない。この機体は火星で見つけたVS/GSシリーズのベースとなった悪魔の名を持つ機体

  

 

「………ガンダム・フレーム……」

 

 

 

「あんた、オレの機体になんの用だ」 

 

 

PHASE:98.8 Revengerー悪魔と契約せしモノー

 

 

 

赤い髪を無造作に伸ばし、鋭い目を向ける男が機体から降りオレを睨むように見て歩いてきた

 

 

「オマエがこの機体にパイロットか?ずいぶんとやられたみたいだな」

 

 

「ち、見ていたのか…」

 

 

吐き捨てるように言葉を吐き背を向けた。機体ダメージを見るからにナノラミネート装甲の弱点を突かれた、そして阿頼耶識システムに何らかの干渉があったかだ

 

背中にある膨らみ。かつて火星圏にあったとされる先史文明期、PD時代に存在した言われるMS操縦、空間認識能力を拡大をもたらす有機デバイス《阿頼耶識システム》。本来ならばこのように体外にピアスは出ない。恐らく非合法に流出した《不完全な阿頼耶識》施術を受けたとわかる。この場合はピアスが三つあってようやく普通にMSを動かせる

 

 

下手をすれば半身不随になる危険性をもつ不完全な阿頼耶識施術を五回も受けたとわかる膨らみ…なぜ目の前にいるコイツが危険極まりない死と紙一重かつ激痛を伴う不完全な施術に挑んだかが気にかかった

 

 

「……あんた、あの子らの知り合いかよ」

 

 

「そうだ…と言っ……?」

 

 

風斬る音に反射的に体を捻る…拳が右頬を掠めた

 

 

「あんな子に、年端もいかない子に阿頼耶識施術したのか!こんな体になるってのを知ってるだろうが!!」

 

 

何度も殴りかかる。当たれば間違いなくオレでもただ者すまない。だが次の言葉が動きをとめた

 

 

「まだ、まだ……俺の妹と歳が変わらねえだろ!!」

 

 

     ーアレスにいにー

 

 

妹……ハーティの顔と声が浮かび聞こえた時、左頬に鈍痛が走る。半ば閉じかけた瞳に見えたのは拳を叩きこんだヤツの怒り、哀しみ、痛み、憎悪の炎を燃やす瞳だ

 

 

「……あんな子に、阿頼耶識なんてやんなよ……くそ、全部、アイツらが居なくなってからだ。世界がこんなにおかしくなったのは……」

 

 

「…アイツら?オマエ…」

 

 

「オマエじゃない、オレは五反……アレックス・ウォーレンだ……」

 

 

コイツ…アレックス・ウォーレンは拳を下げた…

 

 

ヴェーダにアクセス、キーワードはウォーレン。

 

 

この世界に古くからつづく名門貴族ウォーレン家の落胤、不祥事で没落する寸前に執事だった五反田巌に生まれてすぐに代々受け継がれてきたMSと共に孫として引き取られ、以降《五反田弾》として育つ

 

しかしISが生まれてから女性至上主義団体、地球蒼生軍により戦火に見舞われ、終戦後に祖父、父、母を喪い妹と生き別れ連合の非合法研究施設に拉致同然で監禁された

 

世界でISを動かした男達…綾崎翔真、織斑一夏といた人物ならばISを動かせるはず、長年にわたる人体実験の果てに不適格と判断、MS台頭により不完全な阿頼耶識施術を受けさせられ、接収されたガンダムフレームを改造した機体に乗ってここにいる理由は……

 

 

「……復讐か…」

 

 

「!!」

 

 

瞳に軽い動揺が見え、機体にもたれかかりながら

 

 

「…爺さんと親父、お袋を殺された…妹もゴタゴタではぐれたっきりわかんねぇ。連合の奴等にこんな体にされた……こんな世界に変えちまった姿をくらましたアイツら…一夏と翔真がこんな世界にしたんだ!だからオレは復讐する、このガンダムアスタロト・ブレイジングで!」

 

 

「………だから連合の極秘研究施設から脱走し、あのガンダムフレームと共にザフトにか」

 

 

「……なんの後ろ盾もない、人ですらなくなったオレにが生きていけると思うか?」

 

 

「……思わない…」

 

 

コイツは、 アレックス・ウォーレン(五反田弾)はオレと同じだ…あたりまえのモノを酷たらしく奪われた。大事な家族を

 

織斑一夏(かつての親友) 綾崎翔真(オレの仇)に……

 

 

「………ならば強くなれ…」

 

 

「いわれずともなってやるさ……」

 

 

「………少し借りるぞ…」

 

 

「な、待て…あんた!俺の機体は……」

 

 

アレックス・ウォーレンの声を背にしながらアスタロトの整備端末を開く…見るのは先の戦闘データ

 

ナノラミネートを焼き払う弾頭使用、さらにはエイハヴリアクターより生まれる波動を照射し阿頼耶識システムを受けたパイロットの脳へ負荷を与え焼き切るエイハヴウェーブ照射兵装《スティング》…

 

 

コレを使ったのはGspirits隊と繋がりを持ち、マリア達と交戦したghost隊隊長機……

 

 

スティングはマリア達の機体に残され復元した戦闘データにもあるモノだ…コレを再現でき詳細を知るのはオレを含めて二人だけ

 

 

元・火星圏急進派派閥幹部ジェダ・パパスィ。ヤツが連合に寝返ったか、いや拉致したのか

 

 

…ジェダの持つ技術は火星圏の未来に必要不可欠…寝返りはしないはず。ならば拉致されたと判断する

 

 

拉致した相手の目的は知らないが……相応の報いは受けてもらう。ジェダも同時に奪還し火星圏へ強制送還する

 

 

さて、余計な思考はここまでにして、スティングの対策を考える

 

エイハヴリアクターから生まれるウェーブには個性がある。太陽炉同様に…ならばこのアスタロトのリアクターから生まれるウェーブでスティングから照射されるウェーブを相殺する

 

「おい……」

 

このガンダムフレーム、アスタロトには特殊兵装があるのが武装を閲覧してわかる…相反するエイハヴウェーブをぶつければ相殺可能だ。その為にはコイツにかけられたプロテクトを解除、偽装艦ミストルティンにアクセス。ビルダー起動……

 

 

アレックス・ウォーレンの戦闘データを参考に対スティング用専用特殊武装データ入力…作成完了には10時間か、妥当だな

 

「おい、聞いてんのかよ」

 

 

……ふう、うるさいな野良犬か」

 

 

「な、誰が野良犬だ!オレはアレックス・ウォーレンだ、名乗っただろうが!なら名乗り返すのが礼儀だろ」

 

ったく、よく噛みつく犬だ……いやたしかに礼儀がなってないか

 

 

「………アレスだ、アレス・ルセディスだ…これでいいか野良犬、いや飼い犬」

 

 

「く、この……アレス…オマ「この機体、碌な整備がされていない、OSも各出力調整も無茶苦茶だ……」……ああ、たしかに整備出来てねぇよ…ザフトのやつらは触りたくないんだろうな」

 

 

「……あとでコイツの整備を暇つぶしやってやる。ソレまでにコレをこなせ」

 

 

 

ディーンから半透明のメモリーバーを投げ渡す。コレにはマリア達の訓練に使ったメニュー…ソレより効率的かつ効果あるモノだ

 

この野良犬…飼い…ウォーレンがやりこなせるかだ。少しやる気を起こさせてやるか

 

「オマエの妹…五反田蘭……オレはその居場所を知ってる」

 

「な、ドコにいる!おしえてくれ…頼む!!」

 

 

「……知りたければさっき渡したのをこなしてみろ…期限は議長とやらがいるミネルバと合流するまでだ……」

 

 

「ち、わかったよ……あとで必ず聞かせろよ!!」

 

 

……そのまま踵を返して、ガンダムフレームのコックピットにかけだしていく…妹か…情に流されてしまったか…

 

 

さて当初の目的に戻るか…

 

 

「な、なんだ!コレ?MA1000体、アムロ・レイ?シャア?ハマーン・カーン……ま、までファンネルはヤメロ!!」

 

 

 

………オレ用のを間違えて渡したみたいだな…まあいいか。艦内の狭い通路を歩いてると声がひびいてきた。調と切歌か…何やら焦ってるみたいだ歩を早め食堂入ったオレは見たのは

 

 

 

 

「い、イヤです。私にはタスクがいるです!?」

 

 

「また、タスクかい?今はいないんだから少しぐらいは…」

 

 

切歌を壁にし顔の横にまるで逃げないように手を置くロラン…調が引き剥がそうとしている姿にため息をついた

 

「何をしている」

 

 

「アレスにい…隊長!」

 

 

「あ、隊長、これは……」

 

 

「おやおや、邪魔が入ったみたいだね……」

 

 

やれやれと離れるロラン…切歌と調がオレに駆けてくる…静かに目を細めた

 

 

「………オレの部下にちょっかいを出さないで貰いたいが…」

 

「いや、こんな可愛い女の子がいたら、彼女にしたいってね…」

 

 

「悪いが二人には付き合っているヤツがいる…諦めろ」

 

 

「ふふ、そうかい。ならますます欲しくなったよ…男より女の子同士がいい、楽しめるからね」

 

 

………火星にもこの手合いはいたが、イノベイターの直感が危険だと警告している…特に彼氏がいる相手に露骨なモーションをかける輩は碌なヤツがいない

 

 

「……これ以上部下に手を出すならば、それ以上やるならば」

 

 

「やる気かい。なら私が勝ったら二人を貰うけど。まあ君がどんなヤツか知らないけど負ける気は無いよ。MSだとしてもね」

 

 

……自信満々に此方を見てくる…明らかに下に見ているとわかる…なによりオレでなく、切歌、調を見ながら話していることからわかる

 

 

「いいだろう…その勝負、受けよう」

 

 

「いいよ。じゃあミネルバに寄航する前にある島でやろうか。私が勝ったら二人をもらうよ」

 

 

勝利宣言とも取れる言葉を残し食堂を軽やかに出て行く…姿が消えたのをみて調、切歌が不安そうな眼差しを向けている

 

 

「アレス隊長…どうしてあんな事を」

 

 

「……あの手の輩は中々諦めない。ならば実力で黙らせればいい…ソレにタスクだったらオレと同じようにする」

 

 

「そうデスよ!ソレにアレス隊長は負けるはず無いで~す!タスクも何時も《火星圏最強のパイロット》って。だから信じるデス!」

 

 

切歌、調が力強く肯く…タスク、そんなこといったのか…しばらく当たり障りもない話をして切歌、調をマリアのもとへ連れて行き、ロランとの切歌、調を護るために使用可能なMSを探しにデッキへ向かった

 

 

エクシェスは今の状態じゃ使えない…ならば

 

 

「コイツは使えるな」

 

 

見上げた先にあるのは、ザフトニューミレニアムシリーズ、ザク《ホスピタル》仕様を前に断りを入れて作業に取りかかった

 

 

 

 

 

 

PHASE:98.8 Revengerー悪魔と契約せしモノー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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 PHASE:98.9 Duelー王子VS復讐鬼ー side:ASTRAY NEW!! 

「だああ!また、負けた!無理ゲーだろが!!」


がンッとサブアームレイカーを殴るアレックス…正面モニターには無残な姿を晒すアスタロト・ブレイジング、回りにはHiν、ナイチンゲール、クスィー、デストロイ、ディビニダド、コルグニス………歴代最強。最悪のMSが取り囲むよう立っている


「負け犬の遠吠えか?アレックス」


「ルセディス、こんな奴等に勝てるかよ!!」


「オレなら勝てる……阿頼耶識を使わないと勝てないのか?」



そう、アレックスが負けた原因…阿頼耶識システムとの接続をカットしていたからだ。アレスいわくシステムに頼れば楽にはなる。しかし頼り切ることは己自身の技量を著しく落とすことになる

最初は渋っていたが…


ー阿頼耶識システムに頼り負けたのは誰だ、野良…アレックスー


ー野良犬じゃない!ああ、やってやるよ!阿頼耶識システムに頼らなくても勝ってやるから見てろ!!ー


……等々があり今にいたる。しかし少しずつだかアレックスの技量はあがりつつあるのがログで知っていた


(アレックス・ウォーレン、五反田弾か……これならばアレを使いこなせるか)


再びシミュレーターに熱を上げるアレックスから視線を外し見たモニターにはアスタロトのプロテクトを一部解除したた映像データ


瞳を赤く輝かせ、無数の巨大MAから撃たれた誘導兵器を残像を残し躱し、悪魔のようにねじ伏せ。潰しまわる姿


「悪魔の力……つかいこなしてみせろ……アレックス・ウォーレン」












ボスコロフ級潜水艦…ザフトが誇る高深度潜水艦。現在、ラスベガスを離れ一路ミネルバが寄航しているへヴンズベースへと進路を取り深海を進む

 

 

「ハイドリックシール、クリア。組成式構築、クリア、ミラーリンク……0.2″Sec……オペレーティングシステム、マッチング…」

 

 

薄暗い格納庫に声が響く…辿る先には黒みががった濃紺に彩られたワークス・ザクウォーリア。そのコックピットには本来の記憶を取り戻した復讐鬼《アレス・ルセディス》の姿

 

サイドボードを指がせわしくキーを叩く音と共にMS用OSの最適化、指が止まるとOS起動画面がモニターに映る

 

「……最終調整完了」

 

サイドボードを収納し、ハッチをあけ懸架ワイヤーを使い降り、ふと隣を見るオレンジ色の装甲をもつザクファントム…ロランツィーネ・ローランディフィルネィ専用ザクファントムが固定され整備の真っ最中

 

明日、このボスコロフ級潜水艦が補給のため明朝08:00に小さな島へ浮上する…半日擁する補給の合間に、そしてアレスの部下である月読調、暁切歌をロランから守るために模擬戦形式の決闘をする事になったからだ

 

 

もちろん艦長には許可を貰った。時計を見ると02:00を廻っている。ここに来てからアレスは余り眠っていない…火星圏のプロジェクト・エデンの最終PHASE時期。リアクターの移植及びエクシェスとの同調、出力調整、マリア達のVS/GSの改修、アスタロトブレイジングの新武装マッチングと機体のプロテクト解除、アレックスの教練、不完全な偽装艦ミストルティンの火器管制プログラム作成等々があった

 

 

(ロランツィーネ・ローランディフィルネィ…オランダ出身、ミネルバに新たに補充されたパイロット…パイロットとしての技能、体力、戦術は高い水準を収めている…しかし)

 

 

「君、一緒に紅茶でもどうだい?」

 

 

「あ、あの困ります。まだ整備が…」

 

 

「心配ないさ。勝つのはこの私だからね」

 

 

 

(……これさえなければ優秀な人材か……………)

 

 

 

整備中なのにかかわらず女性メカニックを腰に腕を回し絡め取るように頬に手を添える姿…軽いため息をついて格納庫の脇に備えていた寝袋に潜り込み目を閉じた…宛がわれた自室はあるが火星にいた頃から泊まり込みの時はこうして眠っている。もちろん拳銃をすぐ抜けるようにして

 

 

PHASE:98.9 Duelー王子VS復讐鬼ー side:ASTRAY

 

 

 

朝日が昇り、豊かな森を暖かく染める…しかし少し離れた場所には不釣り合いな二体の巨人、いやMS…ザクファントム《》、暗めの色に塗られたワークスザクウォーリアが対峙している

 

 

「ふふ、逃げずに来たみたいだね。麗しき二姫を悪しき魔王から救ってみせよう」

 

 

 

自信満々の声が朝焼けに染まる中で響く…対するアレスはただ静かに口を開いた

 

 

「……魔王…か……ならばどうする?」

 

 

「きまってるさ!」

 

 

ソレを合図と言わんばかりにロランツィーネ・ローランディフィルネィのザクファントムが加速、距離を取りつつ手にしたビール突撃銃の砲口からビーム弾が浴びせられる。が、ソレを左右へと躱し迫るワークスザクウォーリア…機体性能的な差は無い、しかし武装が取り外されているアレスが不利だと、ソレを観戦する者たちは感じていた

 

 

 

「湊、なぜここに私とアリシアを…」

 

「彼の実力を見るいい機会だと思って。ソレに興味ありますよね」

 

 

「でも、彼って…ソレスタルビーィングにいたんだよね?」

 

「ああ……だからといって、コイツらまで来る必要ないだろ」

 

チラリと目を向けた箒…世界的トップアーティスト《DiVA》にして対Gspirit隊用に生み出されたVS/GSシリーズを駆る《サーカス》、マリア、切歌、調の姿

 

 

ただ無言でアレス、ロランのMS戦に意識を向ける彼女たちに箒の言葉に気づいていない。ただわかるのは勝利を信じて疑わない絶対的な信頼の眼差し

 

それに気圧されたのが気に入らないように、不満げにプイっと視線を背けた。ビーム弾を慣性機動とバーニアによる最小限な動きで躱し、迫るアレスにただ者でないことをMSのハッチにいるロランは肌で感じ取る

 

 

「なかなかの動きだね!でもコレならどうだい!!」

 

 

「……………!」

 

 

ザクファントムのバックパックにあるファイヤビーのコンテナが一斉解放、蜘蛛の子を散らすようにミサイルがワークスザクウォーリアに肉迫する…武装の無いザクウォーリアが防ぐ手だては無い。例え抜けれたとしてもダメージを受けてしまえば負けは確実。二段構えの布陣だ

 

 

「これで終わりだ!」

 

しかし、ザクウォーリアのコックピットに俯き加減に座るアレスの口が微かに動き、スロットペダルを一気に踏み込んだ。迫るミサイルの雨の中へと加速した事に箒、アリシアは明らかに無謀だと息をのんだ時だ

 

「いい腕だ…ロランツィーネ・ローランディフィルネィ………ミサイルによる前方位からの足止め、例え攻撃を抜けたとしても、間隙を縫っての追撃で撃破される。こちらの機体に武器が搭載されていない事を踏まえた戦術だ。しかしオレには通用しない」

 

 

サイドボードを引き出し高速タイピング、サブモニターに機体ディスプレイが開き、バックパックが赤い表示しキー強く叩いた

 

「な、なに!」

 

ガクンとザクウォーリアのバックパックが動きだし見えたのは巨大なアームマニピュレータ。ソレが大地を殴ると瓦礫と土煙が巻いあがりロランのザクファントムのモニターから姿が2機を飲み込んだ。ミサイルが爆発し轟音がひびく

 

 

「く、消えた……高速接近反応、熱源も!?」

 

 

無数の熱源、高速接近反応、さっきまで対峙していた相手が増えたかのような錯覚にとらわれるロラン、しかし冷静さを取り戻し神経を研ぎ澄ませ、装甲越しに相手の気配を探る。鋭いナイフのような殺気を感じビームトマホークを抜きはなつと何かに防がれた

 

 

「………やるな」

 

 

煙が晴れていき見えたモノ…ザクファントムのビームトマホークをワークスアームマニピュレータで受け止めるワークスザクウォーリア…ビームの刃を無傷で防いでる

 

 

「これは対ビームコーティングしたワークスアームマニピュレータ!?」

 

 

「…さすがだなロランツィーネ・ローランディフィルネィ……ふふふ、あははっ…」

 

 

接触回線こしにコックピットにひびくアレスの笑い声…ソレは二人の戦いを観戦している箒、湊、アリシア、マリア、調、切歌にも届いていた

 

 

「な、なにを笑って……ん?」

 

 

思わず声を漏らす箒…しかしマリアたちは何故か呆れてるようにも見えた。アリシアは恐る恐る一番話しやすそうな切歌にたずねてみることにした

 

 

「あ、あの……あの人。あなた達の隊長なんで笑ってるの?」

 

 

「あ、アレはデスね…アレス隊長の悪い癖です!とにかく聞いたらダメでデ~~ス!!」

 

「え?ちょっと…」

 

「アリシアにさわるな!」

 

 

耳を押さえようとする切歌、しかし箒がアリシアの前に出た。時すでに遅かった…

 

 

 

「あははっ…気に入ったぞロランツィーネ・ローランディフィルネィ、オマエが欲しい」

 

 

「はあ!?な、なにを言うんだキミはぁ!?」

 

 

「いった通りだ、オマエの全てが欲しいと…」

 

 

あまりの発言にしどろもどろになるロラン。もちろんMSで戦うのを止めずに…ビームトマホークをワークスアームで受け止め、ソレを軸し回転まわし蹴りでビームトマホークを蹴り上げた

 

 

「私は、女の子しか……」

 

 

「そんなのはどうでもいい。オレはオマエの血、肉、魂の全てが欲しいんだ、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ」

 

 

「な、な、な、……そ、そんなこといきなり、私のこと知らないだろ!」

 

 

「答えはすぐ出さなくていい、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ、オマエの返事を部屋で待っている…全てを知るのはソレからだ」

 

 

「き、きみは……そんなこと言われても!」

 

 

直球かつドストレートな言葉の数々に色んな意味で翻弄され力任せに殴りかかる…が、ソレを右へ躱し腕を掴むと一本背負いし、ザクファントムはそのまま地面へと叩きつけられ、コックピットにいるロランを激しく揺らした

 

「く、は…」

 

 

意識がもうろうとする中、ロランが見たのは逆行を背にし膝をつくワークスザクウォーリア…そのハッチから出たアレスがこちらを見る姿、ソレを目にしたのを最後に意識を失った

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

 

「な、なんなんだアイツは!?」

 

 

いきなりの決着にアリシアは顔を真っ赤にし「告白だよ。あれ」、湊は「議長、彼は貴女の必要なピースなのですか」等々、その空気を振り払うかのよう上擦った声を上げる箒に答えるようマリアたちは口を開いた

 

「私たちの隊長、気に入った相手にはあんな風にかんゆうするの……敵であっても有能ならば男性なら問題ないんだけど…女の人が聞いたら」

 

 

 

「タチの悪い口説き文句にしか聞こえない…これもキアラって歩く快楽天のせい……」

 

 

「海賊の女の子もこれで落としたはず………あとでスゴく落ち込んでましたデ~ス……」

 

 

 

「つまり、アイツはスカウトしてるのか!あんな言葉で!!まさかお前達も…」

 

 

「違うわ、勘違いしてるようだから教えてあげる………アレス隊長は生きる目的を無くした私たちに生きる力をくれた恩人で家族よ………さあ、いくわよ調、切歌」

 

 

「うん」

 

「ハイです!」

 

 

ソレだけ言うとマリアたちは箒たちから離れていく…そんな中、アレスはザクファントムのコックピットを解放。ぐったりとしたロランを抱きかかえた。いわゆるお姫様抱っこで器用におり、艦長に機体回収を要請を告げ停泊しているボスコロフ級へ歩き出した

 

 

「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ………オマエが欲しいのは本当だ……オレにはオマエが必要だ」

 

 

と駆けながらもらした言葉、しっかりとロランがきいていた事を知らずに…

 

 

 

PHASE:98.9 Duelー王子VS復讐鬼ー side:ASTRAY

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きはシャルロッ党さんの最新話で!


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キャクラクター紹介 アレス・ルセディス

アレス・ルセディス

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

出身世界:第一管理世界ミッドチルダ

 

性別:男(イノベイター)

 

年齢:18歳?(外見は14歳、理由は後ほど)

 

 

髪型。色:ダブルウルフカットで白髪に赤いメッシュ

 

瞳の色:赤みが混じった金眼

 

 

 

性格:無口で必要最低限の会話しかしない…家族を喪う前はやや人見知りで、穏やかだった

 

 

趣味:MS最新構造躯体研究、新兵器開発、ハロ、内政

 

 

特技:高速タイピング、バジルパセリと《ぷりぷりのエビピラフ風味混ぜご飯

 

IS(インヒュレートスキル):光量子演算処理システム《Veda》

 

 

家族構成

 

祖父カイジ(80)、母リナ(39)、姉ノイン(15)、妹ハーティ(9)……すべて故人。現在は雪音クリス(アレスが保護したストリートチルドレンたちのリーダー、のちに義妹として暮らすようになる)がいる

 

 

概要

 

祖父、母が研究していた《超々距離魔法エネルギー伝播送受信システム》開発に携わっていた。エネルギー工学博士号をもち、ストライクアーツ有段者にしてイノベイター(火星で自身の秘密に気づいた)

 

 

新暦75年、地球蒼生軍残党が研究所になだれ込み占拠。その時に義祖父、義母、義姉、義妹を失い、事件に対しての大東貴一の言葉がきっかけとなり。大東貴一をはじめとしたGspirits隊、管理局、その場にいて何もしなかったミッドチルダの英雄《綾崎翔真》と地球連合政府への復讐を誓い、謎の女性《P・T》と共に別世界にある地球に招かれ火星にすむ《マーシャン急進派》が主導する《軍神の矢》計画に参加。自身の研究を提供し《軍神の矢》計画の中核を担う《ガンダム・エクシェス》開発主任兼パイロットへと登りつめる。

 

しかし機体テスト中に一時的に音信不通になり、通信回復し帰還してから今まで見向きもしなかった内政問題へ参加、新型食料生産コロニー建造計画、レアメタル、ハーフメタルを用い生み出した新型エネルギー《フォトン・バッテリー》、同製造プラント建造計画を立案、さらに就労規定を引き上げ未就学児童に対して資金援助と就学援助、さらに無料での給食配給を短期間で成し遂げた

 

 

四年後に軍神の矢計画発動。ミッドチルダへ《ジェネシス級ガンマ線レーザー砲》攻撃を敢行する直前。突然のオーストレルコロニー政府による地球連合政府への特使派遣。ソレを阻止するために単身出撃するも謎のガンダムタイプと交戦により自機の四肢をリアクター諸共吹き飛ばされ重傷を負い《アレス・ルセディス》は眠りにつき《マルス・レディーれ》として生きる中、火星で義妹だった雪音クリスと再会した時から記憶が甦りはじめ、ラスベガスの事件で遂に記憶を取り戻し彼は自身の復讐を果たし極秘計画《プロジェクト・エデン》を遂行するためにザフトに直属部隊サーカスと共に参加する

 

 

なお成長が止まっているのは義理とはいえ愛、人の温もりを教えてくれた家族を喪った際の深い心の傷が原因である…

 

 

 

 

 

 

戦闘機人《ARES》

 

 

製造年月日:新暦68~69年頃

 

 

闇の書事件解決に協力した綾崎翔真から採取した遺伝子をもとにし稀代の天才《イオリア・シュヘンベルク》博士がType-ZERO-Ⅰ、Ⅱの基礎設計データを独自改良し量子演算処理システム《Veda》とのリンクを可能とした戦闘機人。開発コード名はType-ZERO-Ⅲ、もしくはARES

 

 

肺核培養段階で何度ともなく失敗を繰り返し漸く完成するも、自らの過ちに気づいたイオリア博士の手で逃がされた…過酷な運命が待ち受けていることを知らずに

 

 

IS《Veda》

 

イオリア博士が考案した光量子による演算処理システム…様々な世界の歴史、喪われた偉業、発明技術…様々な情報が蓄積。特に魔法技術、MS、兵器、コロニー建造技術…ありとあらゆる情報が常にアップされ、あらゆるネットワークに接続し理論上いかなる防壁が張り巡らせられようと数秒で突破、制御下に置く事を可能とし使い方次第では次元世界を掌握することも可能としている

 

ネットワークによる情報以外に各次元世界の政府主要機関、軍務機関から民間のあらゆる場所に潜ませている生体情報端末《イノベイド》を送り込んでおり、脳量子通信により様々な情報のアップロードが常に為されている

 

 

現在。アレスはヴェーダ全ての領域(level:Ⅰ~level:XXX)へのアクセス権限を有している(一部のイノベイドにはlevel:Ⅴまでのアクセス権限を与えてる)

 

 

 



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PHASE-101~???シナンジュ・スタイン NEW!! 

「兄貴………なんでだよ」

悲哀にも似た声が薄暗い室内に響く…部屋の主、雪音クリスは何度も口にしたことだろう。薄手の毛布を頭からかぶり横になったまま

数日前、クリスはツバサのバルバトスでその場から去ろうとしたアレスを呼び止めた

サブモニターに映る義兄は髪の色、口調も火星にいた時と同じになっていた…マルス・レディーレの面影は一切消えていた

火星で自分を救い暮らす内に愛するようになった義兄との再会。しかしクリスとは一切会話を交わさずに去った


「兄貴……あたし…」

気持ちが暗くなり沈んでいこうとした時、部屋の扉が開いた…体を起こしみたのは御門涼子の姿。ゆっくりと近づきベットへ腰掛けた


「クリス、あんまり引きこもってると体に悪いわよ…お腹の子にも」


「………」


「マルスが記憶を取り戻したのは知ってるわ…アナタと私たちの前から消えたことも……ショックなのはわかるわよ…でも、私はまだ諦めてないわ」


「なんでだよ。兄貴は何もいわずに…」


「あの時、何故とどまったかわかる?クリス、アナタがいたからよ…何よりテロリストを排除した……記憶が戻ったならすぐに去るはずよね」

「ま。まさか」


「そう、私たちを守ってくれたの……最期にアナタの顔をみるために…ふふ、やけるわね…もしかしたら」


「兄貴がトレミーに来る。そうだな!そうだよな」


毛布がおち元気を取り戻したクリスは気づいた。御門の目もとが赤く泣き腫らした痕がみえた…


「ええ、間違いなくね。だから待ちましょ?」


「へ、目が兎みたいになってるのに。それだけ言いに来たのかよ。まあ兄貴が来るってんなら待ちうけてやるよ。どうせみんなには言っんだろ?」


「あら、バレた?でもその前に……ツバサから真実を聞かなきゃね…洗いざらい」



「そうだな。洗いざらいまな板でこすりながら聞かせてもらうか」


「「ふふふふふふふふ」」


ーーーーーー
ーーー



「ん?風邪かな?」


カルテを見ながら体を震わすツバサ…二人、いやマルスラバーズからの追求が迫りつつあることにまだ気づいてなかった


「……………」

 

 

「アレス隊長?」

 

 

無言で正面スクリーンを観ている隊長を呼んでみるけど反応がない。映し出された二体のMS、シナンジュ・スタイン、ギャプランの動きを目だけ動かし観ている

 

わたしの目から観ても先の二人、ショウマ・バジーナとリィズ・ホーエンシュタインはMS技量が極めて高いのがわかるわ

 

調も切歌も目を離してないし、アレックス・ウォーレン、シノノノ・ホウキ?も…ロランは……

 

 

「………」

 

何故かわからないけど隊長をさっきからスクリーンから何度も視線を離してチラチラ見てる

 

はああ~先の口説き文句まがいの勧誘から数日間、隊長が近くにいるとこんな感じになるし、もうあんな勧誘まがいの口説き文句をアレス隊長に教えたのは一体だれなのよ!

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

 

火星圏、ヘルヘイムコロニー……

 

 

「あら、誰か私の噂をしていますわね………」

 

 

「キアラ先生、授業がはじまりますよ~」

 

 

「ふふふ。今日は火星の淑女教育でしたわね…迷える乙女全てに救いの御手と智賢を……さあ、参りましょう」

 

 

ヘルヘイムコロニーにある全寮制ハルート女学院、将来火星圏を担う人材育成と教育による淑女育成を目的とした学び舎。ココの主任教諭でありアレスのサーヴァント殺生院キアラ。

 

アレスに様々な技(?)と口説き文句まがいの勧誘方法を教えた張本人だったりする。今日も淑女育成《肉食系女子》と言う名の指導がはじまる………大丈夫か?火星圏!?

 

 

 

PHASE-101~???シナンジュ・スタイン

 

 

ミネルバ。同MSデッキ…先の出撃から戻ったショウマ、リィズがハッチから姿を見せる…機体を固定しメカニック達が張り付き整備をはじめる

 

 

「リィズ、お疲れさま」

 

 

「うん、でもあまり疲れてないかも……あれ?」

 

 

下降するキャットウォーク上でドリンクを受け取り飲む二人の手が止まる。白く染まった髪に赤のメッシュが入った少年《アレス・ルセディス》が近づいくる。やがて歩みを止め二人に向き合う

 

 

「ショウマ・バジーナ、リィズ・ホーエンシュタイン……いい腕だな。ソレによく整備されていなければあの動きは出来ないだろう」

 

 

「え。あ、ありがとう…」

 

「それはどうも…しかしここに来たのはそれだけでを言いに来た訳では無いのだろう?」

 

 

「……ある作戦に参加して貰う。すでに許可は取ってある……コレより12時間後の08:45にブリーヒィングルームへ集合しろ」

 

 

用件だけを告げ、背を向け歩き出す…その背中に浮かぶドス黒いモノ…怒り、哀しみ、そして歓喜、全てが内包した感情が絡みついてくる…

 

 

(な、なんだ…コレは憎悪と歓喜……彼は一体?)

 

 

「ショウマさん、大丈夫?」

 

 

「ん、いやなんでも無い。さあ軽くシャワー浴びて休むか」

 

「そうだね。じゃあいこっか」

 

 

「あ?リィズ、押すなったら?」

 

 

リィズに背を押されるよう歩き出すショウマ…その視線があるものを捉える。まるで拘束されるようにケージに固定、様々なケーブルが伸びるMS…ガンダム・エクシェスから異質な力を感じ取りながらMSデッキをあとにした

 

 

同日、深夜…特務艦ミネルバ…海上を航行する中、少し離れた海面が盛りあがり巨大な何かが浮上、着水する…しかしミネルバ側は警戒態勢を取っていないしブリッジクルーも普通にしている。それもそのはず事前にプレシア・テスタロッサ議長から『新たに進水した新型艦をミネルバ隊へ配備する』との通達されていたからだ

 

「……アレが議長が言われていた艦ね…」

 

 

「あんな型式の艦ってあったのかしら?なんかクレーンみたいなブームが周りにあるんだけど」

 

 

「ミネルバとは別の開発局が作り上げたみたい正式名称はミストルティン、あ、カタログスペック来たわね………………………単独で大気圏突破と再突入、ソレに深度800まで潜水可能でワークス艦としての機能とGNフィールドまで装備?な、なんなのこの艦、どんな馬鹿が作ったのよ!!ウチの開発局、おかしすぎるわよ!!」

 

思わず声を張り上げるのはミネルバの艦長代理…白服へ最近昇進したばかりの新人で前任の艦長の背任により空席となったこの艦へと配属へとなったばかりだ

 

経験も浅く指揮能力は平均。しかしプレシアからの任官により張り切るも空回り気味な彼女に、ブリッジクルーの面々も隣を曳航する艦のスペックには驚きを隠せない。そんな中、牽引クレーンが接続し誰にも知られないように通路が開いた

 

 

「……来たか…ミストルティン」

 

 

無表情だが微かに口角をつり上げ、内部へ入り向かうのはMSを優に七機搭載可能なMS整備区画兼工廠。ゆっくりと抜けた先には布がかけられた二機分のMSハンガー、そして巨大な高速成形機《ビルダー》が置かれ。隣のメンテナンスベッドに置かれた分厚い巨大な刃がついた異形の剣二振り、さらにギャプランのシールドバインダーを一回り大きくした指向性クレイモア内蔵シールドブースター、ロングヒートブレードが組み上げられていた

 

「野良い……アレックス・ウォーレンのアスタロト用装備は完成、ギャプラン用指向性クレイモア内蔵シールドブースター、ロングヒートブレードは三時間以内に仕上がる…あとは」

 

 

タブレット端末を手にしながらシートがかけられたMSハンガーの前に立ち、画面上を操作。乾いた音と共にシートが落ちた。眼前に現れたのは様々なケーブルに繋がれたザフト、連合系等技術が用いられていない純白のMSが固定された姿…

 

 

「…ウーンドウォート、お前に相応しい乗り手が見つかった…」

 

 

ウーンドウォート…そう呼び、MSの固定解除と同時に背部デッキパネルが開きブームに固定された白黒に彩られたパーツが両肩、両脚外部に接続され、右手に巨大なブレードが握らされ再固定された

 

 

「ウーンドウォート・ラーのセッティングは本人に任せるか…」

 

 

作業進捗状況管理を終え、アレスはMSハンガーをあとにする。道すがらに作戦概要を再確認しながら

 

 

(今回の作戦はMA奪還、そしてーーーーーだ。こちらが派手に暴れれば奴等の注意はこちらへと向く。まさかあんなのを隠していたとはな……)

 

 

この世界に配置していたイノベイドからヴェーダを通じ得た情報…間違いなくザフトの正当性を示すモノとなり、『切り札』。そして自身の計画を最終段階へ移行させ成功させるために、必要不可欠なモノが二つ手に入る。しかし不確定要素があった

 

(ショウマ・バジーナ…オレの機体をみていたようだな……どうでるか)

 

 

ミストルティンから降り、ミネルバに宛がわれた自室へ歩く。しかし扉の前に誰かいるのを捉える

 

 

「ロランツィーネ、なにをしている?」

 

 

「キミに会いに来た…それだけじゃだめかい?」

 

 

「…………………ココにいると冷える、入れ」

 

 

軍艦内で男女と二人きりでいる構図はさすがに不味い、アレスはロックを解除し部屋へと招き入れる。ロランが目にしたのはドイツ製コーヒーメーカー。焙煎した豆が入った麻袋、ベッド、データ端末しかない飾り気のない殺風景さ。椅子を出し座るように促される目の前で湯をわかしミルを使い豆を挽き始めた

 

 

「……こんな夜遅くに何か用か?」

 

 

「いや、まえ、キミに言われた答えを…い、言いに来たんだ」

 

 

「……そうか……ロランツィーネ。コーヒーはブラックでかまわないか?」

 

 

「え。ああ……ずいぶん手慣れてるね」

 

 

「……昔、少しな……」

 

 

ミルを引きおえ、ドリッパーへ豆をしく。それを見計らったかのように湯が沸いた…独特な形の口から少しずつ湿らせるよう注ぐとコーヒーの雫と共に薫りが漂う…互いに無言。真剣な眼差しと微かに頬が緩んでいるアレスから目を離せなかった

 

 

「出来たぞ……」

 

 

「いただくよ……え?美味しい。コレは甘みがある。砂糖を入れてないのになんで?」

 

 

「……コーヒーは湯の入れ方と焙煎、挽き方で味が変わる…苦いだけがコーヒーじゃ無い。何故こんな時間に来た?」

 

 

「あまりみられたくなかったからね…彼女達が嫉妬してしまうからね……で、コレからが本題。前に言ったことは本気なのかな」

 

 

「…ああ、お前が欲しい」

 

自分用のコーヒーを手に目を向け発せられた言葉に顔を俯かせる…よくわからないがほんのり顔が朱に染まっている。ソレに気づかないのかさらに、とんでもない行動を取らせた

 

 

「オレにお前が必要だ……ロランツィーネ(たしか。こうすればいいとキアラは言ってたな)」

 

軽く右頬に手を添え、耳元で囁く…身長もあり男形として凛々しく振る舞ってきた彼女が普段する事を逆にされるのは生まれて初めての経験。胸の奥が先の模擬戦での時のように高鳴るも、ひとつだけ気に入らないことがあった

 

 

「そんなに私が必要で欲しいのならば、何故、私の目を見ないのかな?」

 

「………」

 

僅かに表情が変わる…あの日から数日間。彼をみてきたロランが感じていた微かな違和感がわかった…相手の目を見ているように見えるが視線を外して話していると。そして普段の会話でも「人と親しくなるのを避けるよう」に振る舞われていると確信した

 

「(私を欲しい、オレには必要、どんな事情を抱えていても人と話すときは最低限の礼儀じゃ無いかな。よし決めた)…………いいよ。キミがそこまで言うならキミのモノになろう。ただし」

 

 

「?」

 

 

「視線を外すをキミの瞳を、私に釘付けにさせると誓うよ。覚悟するんだね」

 

 

「あ、ああ…」

 

 

軽く笑みを浮かべるコーヒーを飲み終えると部屋を後にしたロラン…何故こんな事を口にしたのかがわからない。ただ胸の奥が少しだけ不思議な気持ちが満たしていた…

 

 

同早朝、08:45

 

特務艦ミネルバ、ブリーヒィングルームには箒、湊、ショウマ、リィズ、マリア、調、切歌、アレックス、ロランが一同に介していた。自動扉が開き現れたのはパイロットスーツに身を包んだアレスが壇上に立つ

 

 

「アレス・ルセディス、何故お前がソコに!!」

 

「…篠ノ之箒、席に戻れ……プレシア・テスタロッサ議長から許可を貰いここにいる…今作戦の指揮を含めてな」

 

椅子から立ち上がり声を上げる箒に対し、どこ吹く風とも知らぬように冷静さを見せる…

 

「議長が!何故お前に!?」

 

 

「……正式な指令書ある…端末をみろ」

 

 

「あ?……っく」

 

端末には正式な指令書と作戦参加への要請もあり。大人しく椅子へ座り不満げな眼差しを向ける。フローティングウィンドウを展開。海に浮かぶ三日月のような島がうつされた

 

 

「……数ヶ月前、ザフトのアプリウス開発局主導で開発された新型MAが試験運用中に墜落、連合の特殊部隊に拿捕された…この新型は我々ザフトの力となるべくして産みだされたモノであり、現在の戦況を覆しうる力を秘めている。この島にある新型MA奪還作戦を遂行が今回の任務だ」

 

「新型MA?そんなのいつ作ったんですか?今さらそんなの必要な…」

 

 

「…デスティニー、レジェンドに先駆け完成した…ザフトの正義を示すためにな」

 

箒の声を遮るアレス、フローティングウィンドウを指で弾くとMAの詳細なスペックが開示され。皆が息をのんだ。ただマリア、切歌、調はわざとらしく驚く様子に少しだけ頭を押さえた時、恐る恐る手が伸ばされた

 

「あ、あの、質問いいですか?どうやってここまで…ミネルバが行くには距離が離れてるけど」

 

 

「それに関しては、コレから配る作戦概要に目を通して貰おう……」

 

 

「………な、なんだこれはむちゃくちゃだ!」

 

各自の端末に作戦概要書を開き、内容に声を上げるアレックス。ショウマ、リイズ、ロラン、箒は目を見開き檀上にいるアレスへと視線を向ける中。表情を変えずに語りはじめた

 

 

「当作線は大気圏上層からMAを拿捕した連合所有の島へ加速降下、海面衝突時に起きる津波と巻き上げられた海水と、アンチビーム兵器と併用してビーム減衰効果を増し、GN爆雷で通信阻害。混乱状況を利用し各MS発進迎撃、目標を奪還し速やかに離脱する…以上が概要だ」

 

 

「これは無謀な策だな…第一に大気圏上層から降下し、海面への衝突に耐えうるのはソレスタルビーイングが所有する艦しか無い。このミネルバでも不可能だ。机上の空論では無いのかね?」

 

「問題ない」

 

無謀だと難色を示すショウマ、しかし別なフローティングウィンドウを展開し現れたのは一つの艦に目を奪われた

 

 

「当作戦に使用する船は議長が手配してくれた。新機軸の技術を搭載した最新鋭艦だ…名前はミストルティン、見ての通り外装にある八基のクレーンコンテナは小規模ながら工廠として機能、最大MS搭載数は8機、GNフィールド完備に加え大気圏突破と突入から潜水も可能だ。当作戦完了後もミネルバの僚艦として配備される。作戦決行は明朝04:30だ。質問はあるか?無ければブリーヒィングを終了する」

 

 

カタログスペックを説明していくアレスに質問はこれ以上無く、解散した作戦参加メンバーはそれぞれの機体搬出。ミストルティンへ搬入を急がせるため乗艦していく

 

 

そんな中、ロラン、リィズ、アレックスはミストルティンMSハンガーへと先にはいっている…機体固定をミネルバ整備チームが執り行うのを立ち会う中、アレスが姿をとらえた

 

 

「呼び出してすまない……まずリィズ・ホーエンシュタイン、アレック・スウォーレン、お前達の機体を今作戦にあわせた装備へと換装した…」

 

 

「こ。これって私のギャプラン?」

 

 

「アプリウス開発局で試作生産されていたシールドブースターに指向性クレイモア、サイドスカートに強化形バーニア、センサー系もG系列に近い。機体全体のポテンシャルが飛躍的に向上している。武装はシールドブースターに装備された指向性クレイモア、ロングヒートブレードだ………機体名称はファイバーだ」

 

 

「ファイバー……」

 

 

純白に濃紫に塗り分けられ、両腕に指向性クレイモア内蔵シールドブースター。ロングヒートブレードを装備した限定仕様に息をのむリイズにタブレット端末を渡した

 

 

「え?ルセディスさん、コレは」

 

「よく整備された機体だからこそ短期間でのカスタマイズが完了した、微調整は任せる、何か問題があればこの端末でよべ。ては野良い…アレックス・ウォーレンのアスタロトだ」

 

 

「お前、また……く、さっさと説明しろよ」

 

「まず機体全体の損耗パーツ交換、阿頼耶識システム再フォーマット。各部アーマーとフレームセッティングを重ね本来の性能になった。そして追加武装だ」

 

 

「な、なんだよコレは!メイスか?」

 

 

「いや、火薬炸裂式杭打ち機を組み込みガンマナノラミネートブレイドを組み合わせた…バンカーブレイドだ…」

 

 

真紅の真新しいナノラミネート塗料に彩られたアスタロトブレイジング。今までのくたびれた感が消え去り荒々しい伊吹を感じさせ、両手には異形の大剣バンカーブレイドが二振り握らされている

 

 

「スティングに対しエイハヴウェーブを相殺する機能もふずいしてあるが万が一に備え、阿頼耶識システムは任意でオンオフ可能にしてある。状況に合わせ使いこなせ」

 

「ああ、もちろんだ………(蘭の居場所を教えて貰った借りがあるしな)」

 

 

背を向け歩き出すアレックス…生まれ変わった愛機へ向かう様に妹の居場所を教えたせいかと感じながら、最期にロランへと顔を向ける

 

 

「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ、お前には新たな機体受領をする、付いてこい」

 

そう告げ歩き出した…少し離れたMSハンガーにシートで覆われている前で足を止めた、端末を操作と同時にシートが下へ落ち露わになった機体に息をのんだ

 

「こ、これは……新型?」

 

 

「そうだ。これもアプリウス開発局で生まれた試作機だ、名前はウーンドウォート・ラー。両肩、両脚にあるバーニアには新型のパワーエクステンダーが搭載されている。機体重量はザクよりも軽く小型だ…武装はロングヒートブレード、特殊鍛造鋼彈を打ちだすライフル。今回の電撃作戦にコレほど適役な機体は無い」

 

 

純白に染め上げられ、バイザーに隠されたツインアイとブレードアンテナ、華奢な外観ながら強固なフレームを持つ機体に手を振れながら見上げた

 

手にしたロングヒートブレードを持つ姿ははさながら騎士のようにもみえる

 

 

「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ、視線を釘付けにすると言ったな…この機体を使いこなして見せろ。お前なら出来る」

 

 

「いいよ。ならば期待に応えるさ…キミの剣として必ず魅せると」

 

 

「…期待している」

 

 

視線を釘付けにしてみせる。そう言わんばかりの笑みを浮かべウーンドウォート・ラーのコックピットへ駆けていくのを見届け、エクシェスのリアクター調整作業へと向かう

 

 

『マリア、アレってどうおもいますデス?』

 

『まだわからないわ…デモなんかキラキラしてたわね』

 

『アレス隊長。ジゴロ…』

 

二人のやりとりを、サーカスメンバーに見られていたことに気づいてもいなかったのだ

 

 

そして数時間後。全ての準備を終えたミストルティンはマリア達を始めとしたサーカスメンバーによる操艦で自力での大気圏突破を敢行した

 

 

FACE:101 シナンジュスタイン~???

 




次回

少年は自らの目的を果たすために動き出す


内に秘めた憎悪に身を焦がし、向かうは半身が捕らわれた島。


そこで出逢う仇の一人はなにを齎す


次回、ExtraMission:MA奪還作戦


強き声が復讐を阻む



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Extra.Mission:MA奪還作戦 NEW!!

作戦開始、29時間前……

『……たしかにコレならばイギリスにたいしての介入が可能ね』


「……この二年間、よく隠し通していたがな…今回の作戦で目立てば必然的にこちらの動きに気を取られ、情報を集めようと必死になる…」


『その間隙を縫って、もう一つの矢を放つ……アナタ、いつから戦術家になったの?』


「……火星で学んだからな……オレのミストルティンと搭載MSに関しての偽装操作を頼む…アプリウス開発局辺りが有力だ。調べたらかなり際物がいるみたいだが?」


その問いに僅かに表情を変え、柔らかな笑みを浮かべるのはザフト最高評議会議長プレシア・テスタロッサ。MA奪還作戦前に様々な障害を取り除くために極秘通信でのやりとりを交わしていたのだ


『気になるかしら?』


「あとで詳細を頼めるか」


『ええ、さっきの件も含めてやっておくわ…あとアリシアのことも』


「……資料は見たが、実際にみてみないとわからない。オレのエクシェスに乗せて判断する。コレならば問題は無いはずだ」


『そうね…じゃあ手続きはこちらで』


「セカンドプランは任せた」


『もちろんよ。なにせアナタが考案したプランは間違いなく成功する…戦果を期待するわ』


それっきり通信は切れた…席から離れコーヒーを飲む。冷めたくなっているが甘みと微かな酸味を味わうと頭がスッキリと覚醒するが眠気は消えない。微かにふらついた


「……あとは出方次第。アリシア・テスタロッサの才能と判断に委ねるしかないか…いや、必ず成功させる」


それだけ口にし、ベッドへ倒れ込んだ…










「KからP5、B2、R3、Q4、N1は概要は理解したな」

 

『ああ』

 

『ついたよ』

 

『いつでも』

 

『全部』

 

 

薄暗いモニターに映る光点、音声…黒地に赤に染められたパイロットスーツに身を包む白髪に赤いメッシュの少年がキーボードを操作する

 

 

「コレより、クルダ島に駐留しているシルヴァグスタ旗艦 ラーグスタに秘匿しているMA奪還ミッションを開始する、各機データリンクを密に行動しろ………アリシア・テスタロッサ、戦況変異をリアルタイムで観測、プランに合わせ指示を」

 

 

「う、うん……」

 

 

「アリシア・テスタロッサ、不安なのはわかる…オマエの戦況変異を見定める目が必要だ…」

 

 

「でも、なんで…あなたの機体に」

 

 

金髪をおろした少女…アリシア・テスタロッサの問い…今、オレは彼女とエクシェスのコックピットにいる

 

 

「戦場の空気を知ってもらう為だ…シミュレータでいくら敵を倒せてもソレは仮想敵にすぎない…今回の作戦参加はパイロット適性を見るよう議長からの命令だ」

 

 

「は、はい…(箒と一緒が良かったのに)」

 

 

「…篠ノ之箒の隣に居たいのであれば任務を全うしろ…このエクシェスにいる限りは身の安全は保証する……」

 

 

少し落ち込みながら作戦内容に目を通しはじめた…あとは開始まで各員の配置状況をヴェーダとリンク…オレのエクシェスと合体するために生み出したMA《ルシファー》は間違いなくシルヴァグスタにある。丁寧にAMFを配置し、牽引ワイヤーで動かぬように封印してるのが視えた(・・・)

 

 

こちらからの《召喚》に応じないわけか…

 

 

「時間だ……ミッション・スタート」

 

 

待っていろ。必ずオマエを取り戻す……オレの計画を進める為に。だが不確定要素P5(ショウマ・バジーナ)P3(リィズ・ホーエンシュタイン)。もしオレの障害となるならばシュツルム・ウント・ドランク(指向性サイクロプス)で塵一つ肉片すら残さず消滅させてやる

 

 

 

 

Extra・Mission MA奪還作戦

 

 

同時刻、様々な船外作業及び補修クレーンが花びらのように船体を包むような形状を持つ…多機能強襲艦《ミストルティン》が作戦エリアの遙か上層、衛星軌道上を航行する、そのブリッジは緊張の空気に満ちている

 

 

「仰角、突入角クリア…調、切歌!」

 

 

「いつでもいけるよマリア」

 

「盛大にぶちかますですデ~ス!!」

 

 

キャプテンシートに座るマリアの号令に顔を見合わせ舵を取る…ミストルティンの船体が傾き、蒼い地球へゆっくりと先端が赤く染めながら加速降下する…

 

 

「侵入角問題なし、GNフィールドを電離層突破と同時に最大出力展開!」

 

 

「電離層突破で~す!」

 

 

「GNフィールド最大出力、このまま加速降下!!」

 

 

摩擦熱で紅く染まるブリッジに座るマリア、切歌、調がみたのは眼下に広がる真っ青な海、小さな三日月型の島《クレタ島》を捉えた、GNフィールドがミストルティンを強固につつむ

 

 

「クレタ島近海到達まで、あと90second。マリア、守備隊が発進、艦砲射撃確認」

 

 

「……予想通りね。切歌、舵はこのまま、調!」

 

 

「GN爆雷、アンチビームミサイル装填、エクシェス、シナンジュ・スタイン、デスティニー、レジェンドは正面リニアカタパルト配置、ギャプラン・ファイバー仕様、ウーンドウォート・ラー、外部カタパルトより発進どうぞ」

 

 

「ア、アイハヴ、コントロール。リイズ・ホーエンシュタイン、ギャプラン・ファイバー仕様、いきます!」

 

 

「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ…ウーンドウォート・ラー。新しい剣、白兎と共にゆくよ」

 

 

 

後部ガントリーカタパルトからギャプラン・ファイバー仕様、そして白兎を想わせる小柄なMS…両肩、両脚に強化ジェネレーター兼スラスターを装備、まるで騎士が持つ槍にも見えるライフルを手にしたウーンドウォート・ラーがミストルティンより発進、空を舞いながら迫る迎撃部隊と交戦開始、同時にミサイルコンテナ、爆雷投下ハッチ開放される

 

 

「GN爆雷、アンチビームミサイル発射!!各機発進!! 」

 

 

勢いよくミサイル、爆雷の嵐が眼下に広がるクレタ島へ落ち爆発、艦砲射撃が霧散しさらに通信が阻害されていく。司令部との通信途絶により展開した部隊は混乱状況に陥る中…ミストルティンがクレタ島近海へ恐竜の時代を終わらせるキッカケとなった隕石落着を再現するかのように海面へ激突、GNフィールドで護られた船体は軋みもせず海面がせり上がり20㎞を超える大津波が押し寄せ空母が木の葉のように揺れ発進準備中の艦載MSがバラバラと落ちていく

 

 

「つ、津波だと!?総員、何かにつかまれ!」

 

 

「……通信が阻害!スクランブル発進中の艦艇被害甚大!!」

 

 

クレタ島湾内施設に停泊していたシルヴァ・グスタ、ラー・グスタを大きく揺らす…牽引アンカーが軋み船体を揺らすダメージコントロール、ラー・グスタ艦橋には被害報告が絶え間なく入る。艦内では散乱したMS部材がMS発進口を塞ぎ、けが人が搬送されていく中メカニック達は作業用MSで撤去を開始している、和馬とギンガは運良く機体に乗り込んでいたのもあり難を逃れるも惨状に肩をふるわせていた

 

「く、なんだ……一体何が」

 

 

「和馬、コレをみて!」

 

艦橋から届いた映像に息をのんだ…漆黒に染め上げられたMS《ガンダム・エクシェス》が飛翔し迫り、立ちはだかるMS部隊を歯牙にもかけず、紅く耀く手刀で胴を穿ち、真っ二つに斬り捨て、背後から迫るのを漆黒のマントに身を包んだ四機が露払いするように撃破していく様を

 

 

「あれって…まさかエクシェス!?」

 

 

「やっぱりこっちに来たか…しかも大東さんが居ないときに(読み通りに来たのか、アレス・ルセディス)…柳田さん、まだでられないのか!」

 

 

『あと五分、いや二分くれ!それまでは動けねぇ。外の事が気になるのはわかるが絶えるんだ和馬!!』

 

 

 

…歯がみする和馬、しかし耐えるしか無い…クレタ島湾内施設には波に打ち付けられ大破したMSが散乱し、辛うじて逃れたMS部隊がエクシェスをはじめとした四機のMSを阻むべくビームライフルを撃つもアンチビームミサイルでビームは霧散、さらにはミストルティン衝突で巻き上げられた海水が阻み効果が無い、通信も先のGN爆雷でほぼ途絶状態。目と耳、決定的な攻撃手段を喪われたに等しい。アサルトライフル、100ミリライフル、180㎜対物ライフルで応戦するしかなかった

 

「うわああ!来るなああ!!」

 

 

「オラアアアアア!!」

 

 

真紅の機体…アスタロト・ブレイジングのバンカーブレードがコックピットを貫き潰し、火薬炸裂式ダインスレイヴが貫き通す様に僚機がやられた事に恐怖する…阿頼耶識システムを通し感じる

 

「こ、このお!!……がベアーーーーー」

 

 

「この武器、かなり使えるな………」

 

 

死角から潜り込み対艦刀で斬りかかるM1アストレイA2の胴を横薙ぎに潰しきり言葉を漏らした。アスタロトとの一体感が増してる

 

「アイツの整備と訓練のお陰って訳か…」

 

今まで碌な整備をされておらず、阿頼耶識システムで無理に動かしていた彈…アレックス。しかしアレスが課した阿頼耶識システム無しでの訓練がさらなる飛躍的向上見せていた事を実感していた

 

 

「大気圏から海面へ激突で生まれた津波、海水、GN爆雷とアンチビームミサイルで敵の目と耳、武器を半減させるか…恐ろしいな彼は」

 

自由落下とバーニアで滑空、迫る敵機を特殊鍛造鋼彈ライフルで撃ち落としながらショウマ・バジーナは戦慄した…戦略家としての才能は、コレからの戦局を左右しかね無いと理解したからだ。しかしうかつな行動すれば彼に疑いの目を向けられる

 

今は動くときでは無いと判断し、向かってくる敵機を排除するべくバーニアをふかし、実体サーベルを抜きはなち斬り捨てていく

 

 

「エクシェス、クレタ島湾内施設に到達。シナンジュスタイン、アスタロト、デスティニー、レジェンドは各機撃破行動開始、ビーム及び通信阻害タイムリミットまであと240second切った」

 

 

「切歌、ミストルティン海面浮上」

 

 

「デスで~す。海賊ビックリするぐらいにいくデスよ~」

 

 

波を切るよう半分だけ海面へ浮上し、プラズマジェットで加速するミストルティン。その艦へ空母艦隊からMS部隊が接近する…が、強力な鋼彈の雨《クレイモア》が降り足を阻む…刹那、白い影が過り敵機の上半身が泣き別れになり落ち爆発していく

 

 

「ミストルティンには触れさせないから!」

 

 

「いい腕だリィズ…このウーンドウォート・ラー、私にぴったりだ!!」

 

 

純白の装甲を爆発の光が染めながらヒートブレードを構え飛翔するウーンドウォート・ラー。火星時代にアレスがミストルティンで製作していた新機軸のMS…《ウーンドウォート》をコアユニットとし様々なオプションパーツを組み込むことで様々な戦況に対応可能なMSシステム。今回の作戦にあわせ完成させ(入念な調整を施して)ロランへと与えたのだ

 

 

「……私のコトを欲しい………この気持ちを抱かせたからには覚悟して貰うよ」

 

決意を込めたヒートブレードを振るうウーンドウォート・ラー、リィズもギャプラン・ファイバー仕様のシールドブースター改《指向性クレイモア》のカートリッジを装填。加速し変形しロングヒートブレードで敵機装甲を溶かしきりながら、左右から迫る敵には鋼彈を浴びせ怯ませ切り払っていく

 

 

「この戦況にあわせた武装、戦術…もし敵にまわったら…」

 

 

作戦立案した際のアレスから感じたドス黒い狂気…ソレを思い出す、振り払いミストルティン防衛に集中する…クレタ島湾内へ入り、シナンジュスタイン。アスタロトと別れ、アレスのエクシェス、箒のデスティニー、湊のレジェンドはラーグスタへ到着する

 

 

「…………(感じる、ココだ)…篠ノ之箒、湊、両名はココでプラン、D24を実行しろ………エクシェス、アリシア・テスタロッサのバイオメトリクス仮登録」

 

 

ーラジャー

 

 

「え、あの…」

 

 

『な、オマエ、ドコに』

 

 

「決まっている、MAを奪還する…プランD24を忘れるな…まさか、ソレすらも出来ないのではないだろうな。ザフトの赤服の意味を忘れてるのか?」

 

 

やや侮蔑気味に浴びせられ。カチンときた

 

 

『く、おまえ………ああ、わかった、やってみせますよ!その代わり、ちゃんとやれよな!!』

 

 

「……無論だ。アリシア・テスタロッサ、プランD24が不安ならば、ソレ以外を試してみろ……篠ノ之箒を生き残らせたいならばな…まかせた」

 

 

ソレだけ告げ、エクシェスから降りかけだす。津波が起き通信網はズタズタ、混乱状態まっただ中を走る。少しだけ傾いたラー・グスタのタラップを駆け上がる

 

 

「おまえ!誰だ!!」

 

 

「……邪魔だ…」

 

 

銃を手にした歩哨が叫び撃つ、地をけり回避と同時に回し蹴りを頭へ決め意識を刈り取り狭い通路を走る中。微かな違和感を覚えた、警備にまわす人員もだが手薄すぎる…オレのMAを確保したならば守りを固めるはず

 

クレタ島、ラーグスタの所在情報はヴェーダからあげられたモノ…実際に『感じる』からニセモノである可能性は薄い。幾つもの戦術的要素を思考分離し艦内通路を抜け巨大な区間へ躍り出た。牽引アンカーに動きを封じ込められるよう固定された巨軀、漆黒にいろどられた異形のMA《ルシファー》…四年ぶりだ。同時に思考分離した戦術的思考結果が導き出た

 

「くくく……アハ、アハハハハハ………そうか、やってくれたな……………」

 

 

これはワナだ…オレを誘い出すために仕組まれた、ヴェーダとイノベイド達の目を逃れて巧妙かつ気づかれないように自然にMAの情報を流した。コレが出来るのは大東貴一だけだ。怒りがこみ上げた時、頭に声が過る

 

 

ー坊や、相手の策に嵌まった時、怒りや苛立ちは禁物。こんな時に必要なのはクールかつ先を見据えた戦術的思考…端的に言うと相手の思考を読むの。よろしくて坊やー

 

……………そうだな悠那・クロスハート。オレはまだまだ甘いな。ビーム及び通信阻害も顕界だな。ルシファーのコックピットへ手を当てインカムを開いた

 

 

 

「……各機へ…今作戦の目的は達成した、アリシア・テスタロッサ、プランI52を発動しろ」

 

 

『え?は、はい…プランI52発動…』

 

 

プランI52…戦闘領域より撤退を意味する。敵はこう想うだろう…眼前に目的のMAがあるのに撤退行動を取るのか?を。もし策ならば、想定すらしていない行動に慎重になるか、何らかのアクションを見せる

 

さあ、どうでるか………ルシファーの制御系へアクセス、コンディションチェック…次元転移による損耗は五割、通常稼働には問題ない。ならば

 

「……ルシファー、起動しろ」

 

 

と呼びかけと同時に船体が揺れ動く…とっさにワイヤーガンを射出。ルシファー起動にあわせ上部ハッチへ大型クローを突き立てビームを浴びせる。ドロリととけおちた。バーニア全開でラー・グスタを出た時、気配を感じる

 

『ソコまでだ、アレス・ルセディス!大人しく従って貰おうか?』

 

 

ルシファー直上からビームライフルを向け外部マイクから呼びかける機体…Hiνガンダムのカスタム機。隣には蒼く塗られたレギルスが滞空している

 

Hiνガンダムのカスタム機……ヴェーダからのデータによればHiνガンダム・ヴレイヴ・リベレーターから感じたのは逃さないという強い意志。ただレギルスからは戸惑いを感じた…この場にいるのはオレとMAだけだ、こうして仇の一人と巡り合わせた事は…運命か

 

 

「…………神宮寺和馬……オレをどうする気だ」

 

 

『く、止めるに決まってる、大東さんは、四年前のあのコトををいまでも』

 

 

「だまれ…」

 

 

冷静になりなさい…ああ、そうだな悠那・クロスハート。でも四年前のあの日、力がありながらオレの家族を助けもせず見殺しにした、なにより地球蒼生軍を野放しにしてミッドチルダにMSを持ち込むきっかけを作った地球統合政府より派遣されたG-spirits隊、大東貴一。そして大戦の英雄、綾崎翔真への怒りを静かに秘め、ゆっくりと顔をあげた

 

 

「……オレを止めるか…ならば止めて見せろ…エクシェス、不可視モード解除…」

 

 

ーラジャー

 

 

オレの声に、MAから離れた空間が歪み剥がれ落ちた。漆黒のMS《ガンダム・エクシェス》が片膝をつく姿、そしてインカムに通信が届く

 

『ルセディスさん、プランI52完了です。でもどうやってここから離脱を?』

 

 

「問題ない……ルシファー、エクシェスとエンゲージ、エクシェスを残し。搭乗者アリシア・テスタロッサと共にミストルティンへ帰投しろ」

 

 

ルシファーをホバリングさせ、エクシェスとエンゲージと同時にアリシア・テスタロッサと入れ替わりでコックピットへと躰を滑り込ませマスターアームへ両腕を差し込み脳量子波を跳ばす。ルシファーの口?に該当する部分が開きコックピットシートが伸びる

 

「ルセディスさん?私MAの操縦は……」

 

 

「アリシア・テスタロッサ…操縦はAIキアラがやる……早くしろ」

 

 

「わ、わかったよ…わかりました」

 

 

シートに座るとMA内部へ格納と同時にハッチが閉じる、ゆっくりと浮上とともにバーニアノズルに火がつき加速離れていく…メンテナンス用コックピットだが耐Gシステムは万全だ

 

『逃がすかよ!』

 

 

 

ビームライフルをルシファーへ狙いをさだめ撃つ…ムダだ。バーニアノズルを穿とうとしたビーム彈はIフィールドに阻まれ霧散、エクシェスを飛翔、光翼《ヴォワチュール・リュミエール》により加速、瞬く間に肉迫しビームライフルを掴む。振り払おうと力を込めてくるのをマスターアーム越しに感じる

 

 

『な、お前…』

 

 

「これ以上、ルシファーを傷つけさせるわけにはいかない…」

 

 

マスターアームを強く握る、エクシェスの手《ヒートグロウヴ》が赤熱化、掴むムライフル基部を溶かす様に手放し軽くスパークした瞬間爆発と閃光がモニターを染め上げるなか、煙を抜け光刃がエクシェスに迫るのをみた

 

 

『ハアア!』

 

「………」

 

 

粒子鋼刀スケトゥルスを展開、何度となく斬りつけ撃つ…こちらのスピードに肉薄し距離を取れば背部にある誘導兵装、いやファンネルの高出力ビームが機体表面を何度も掠めスジが浮かぶ。耐ビーム性が向上したとはいえ直撃受ければVPS装甲といえどひとたまりも無い。ビームの嵐をバレルロールと急加速、減速機動で再び刃を振るい撃つ

 

『アレス・ルセディス、オレの話を聞け!四年前の立て篭もり事件で、家族をテロリストに殺された気持ちはわかる!!』

 

 

……刃を受ける度に繋がる接触回線越しに声が響く…わかる…だって?

 

 

『お前が、大東さんと俺たちGspirits隊を憎む気持ちもわかる、あのガンダムを作り上げたのも。でも、あの時は四年前のあの日、俺たちは…』

 

 

 

「……れ、…まれ…………黙れエエエエ!!あの日、お前達が犯人の要求を蹴り、突入が遅れたせいで…遅れなければ……じいちゃん、マヤ義母さん ノイン義姉さん、ハーティが死ぬこともなかったんだ!!」

 

 

刃をぶつけ叫びながら、脳量子波をメインフレームに接続…もう終わらせてやる……最終コード解除を念じる。モニターが上から降り虹彩認証完了と同時にジュエルシードの出力があがり翼から金色の粒子が溢れ出していく

 

 

「エクシェス、その力を解放しろ……」

 

 

ーRoger・Vampire・Territoryー

 

 

金色の粒子が輝きを増し、斬りかかろうとする神宮寺和馬のHiνガンダムリベレータの装甲の隙間へ入った。機体のデュアルアイが明滅しバーニアから光が消えビームサーベルも輝きを喪う

 

 

『く、な、なんで動かない!?予備回線も…』

 

 

堕ちそうになるのをガンダム・エクシェスで頭をつかんだ。まるで糸が切れたようにだらりとぶら下がる《Hi-νガンダムヴレイヴ・リベレイター》。今頃、コックピットで慌てふためいてるな。接触回線を開いた

 

 

「無駄だ。オレのエクシェスの前ではすべてのMSは無力化する。神官寺和馬、ミッドチルダで見え見えの芝居をうってクァンタ譲渡した時、格納庫で面白い事言っていたな」

 

マスターアームに力がはいり、全身から沸々とドス黒いマグマが溢れ出してくる感覚と共に絞り出した

 

 

「『そもそも俺は管理局員じゃないからミッドチルダを守る必要は無いだろう』って……四年前のあの日、オレの家族なんか守る必要ない、見殺しにしてもかまわないって思ってんだよな!!」

 

『……っ!!』

 

 

「なんで知ってるって顔だな?脳量子波を通してオレだけの《ヴェーダ》が教えてくれたんだ!!」

 

 

言葉が詰まる和馬。ギンっと赤くツインアイを光らせながら、リベレイターの左腕を掴みメキメキと軋ませ力任せに引きちぎった…オイルが血のように吹き出し装甲とフレームがバラバラに落ち、左腕を叩きつけるよう投げ捨てた。頭を掴むマニュピレータに力がこもり、リベレイターの頭部に亀裂が走り出した

 

 

「今のは研究所の皆が感じた恐怖のぶんだ。あの日、もつと早く突入していたら。カイジじいちゃんは!リナ母さんは!ノイン姉さんは!ハーティは!…………全部、全部おまえたち、Gspirit隊……大東のせいだああああああ!!」

 

 

エクシェスのフェイスに亀裂が走り、大きく裂け放熱、金色の翼を輝かせ叫んだ…

 

 

「……次は右だと左だ!!」

 

 

『うわっ!ぐああ!』

 

 

脳量子波コントロールし、腰部ヒートディル右脚を溶かし貫き砕く。苦悶の叫びが響いた。サイコフレーム搭載機と感応しやすいから起こるみたいだな。左脚もヒートディルのビーム刃で輪切りにした。バラバラと地表に堕ちていく

 

「次で終わりだ………」

 

 

右手…ヒートグロウヴを赤熱化、そのままコックピットへ突き立てるよう振り抜いた…しかし声と共に何かに遮られた

 

 

『やめてええええええ!!』

 

 

青い影にヒートグロウヴを掴みあげられた…機体称号、ガンダムレギルスのカスタム機か

 

「邪魔をするな…」

 

『いや、和馬をアナタに殺させない、ソレにアナタにこれ以上罪を背負わせるわけにはいかないの!!』

 

 

誰だ、あの時のミッドチルダで交戦したパイロットだというのはわかる……なんだ。この感覚はノーヴェ・ナカジマと同じ?まさか…まさか

 

 

『ギンガ、やめろ!このままだと……はやくはなれるんだ!!』

 

 

ギンガ……ナカジマ…ナカジマ……ヴェーダから情報が流れてきた…な、なんでだ…姉さんと……ウソだ。だがオレの仇だ…はあ、はあ、はあ

 

 

「離れないと言うなら……纏めて塵にしてやる……シュツルムウント・ドランク・インパク……」

 

 

どうしても離れないレギルス、Hiνガンダムリベレータのコックピットへロック、指向性サイクロプス《シュツルム・ウント・ドランク・インパクト》を起動させようとした

 

     だめ!ぱぁぱ

 

 

「う、うわっ!なんだ!コレは脳量子波だと?……」

 

 

ー警告!リアクター同調率低下!速やかに戦線離脱を推奨しますー

 

 

強力な脳量子波に頭が痛み、機体コンディション異常…リアクター同調率が低下だと?ココは引くしか無いか。

 

「……命拾いしたな……」

 

 

V・T解除と同時にレギルスを引き離すと同時にリベレータを投げた。レギルスは落下していくリベレータを地表すれすれで掴んだ。エクシェスを合流ポイントへと向かわせる、通信が入る。痛む頭を押さえながら暗号通信を開く。内容は…

 

 

「………作戦は成功したか……なら次のステップへいくか」

 

 

 

今回、オレは作戦を二つ展開していた…ひとつはMAルシファー奪還作戦、そして………

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

 

 

 

『番組の途中ですが、緊急速報です……先ほどザフトのカルガナン基地、そしてオーストラリア海洋基地が攻撃を受け消失した模様です。生存者の安否確認がいまだ続けられています』

 

 

直径100キロの大穴が穿たれた大地…カルガナン基地が文字通り消滅、オーストラリア海洋基地があった場所も資材が海面を漂う現場映像が世界中に流れた

 

「ザフトの基地が?」

 

「一体何があったのかしら?」

 

一体ダレがと人々が思った時、情報を集めている放送局から、衝撃の言葉が告げられたのだ

 

 

『たった今、情報が入りました……ザフトのカルガナン基地およびオーストラリア海洋基地はイギリスが所有する超高出力レーザー砲搭載衛星《エクスカリバー》よるものだと判明しました。宣戦布告および勧告も無しに砲撃が行われたモノとの情報もあり、現在イギリス政府およびイギリス王室に説明を求めていますが返答がありません』

 

 

「イギリスがザフトの基地を?信じられない」

 

 

「これって虐殺よね…勧告も無しに…イギリスはなにを」

 

 

……世界に再び大きな波紋が波立つ

 

 

 

Extra.mission:MA奪還作戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きはシャルロッ党さんの最新話で!


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閑話 フェスタ《NEW!》







「……さあ、皆様ながらくおまたせしました~今日はミネルバへ新たに派遣された戦艦ミストルティン、そしてミネルバクルーとの親睦パーティーを始めるわよ~~」

 

パンパン、パパン!クラッカーの音が青空に響き、特設ステージで開催を元気よく宣言するのは更識楯無…その眼下に広がるのは様々な料理が並べられたテーブル、ソフトドリンク。ミネルバクルーとミストルティンクルーのメンバーが一斉に手にしたコップを高らかに空へ掲げ。歓声が空に響き渡った

 

閑話 フェスタ

 

 

「わ──スゴいデス!このケーキの高さはエッフェル塔に負けないデスよ~」

 

 

「き、切ちゃん、あまりはしゃいだらダメだよ」

 

 

「うふふ。たまには良いじゃない…作戦も無事に成功したし皆が無事に戻ってこれたから」

 

「デスよ~調もたくさん、た~くさんたべて!大きくならないとデス!」

 

 

皿にこれでもかとモンブラン、ガトーショコラ、オレンジピールを生地に練り込んだフルーツケーキが溢れんばかりに山積みされ、ほっぺに生クリームをつけ調にうながす切歌…しかしながら調の視線は豊かに揺れる胸に小さく「くっ」と言葉が漏れたのは気にしない。

 

 

MA奪還作戦の成功し、帰還したアレスをはじめとしたメンバーが見たのはミネルバの甲板に増設されたステージ、そして国際色豊かな料理の数々をせわしくテーブルへと準備するミネルバクルーに固まる

 

 

─あ、おかえりなさい皆~─

 

─タテナシ・サラシキ…なんだコレは?─

 

 

─作戦成功兼新メンバー懇親歓迎パーティーに決まってるじゃない。どうしたのルセディスくん?─

 

 

─…………悪いがオレは参加しない。議長に報告をし…─

 

─あら、それなら議長から明日でかまわないって聞いてるんだけど?ソレにあなたたちもだけどショウマ、リィズちゃんも参加したばかりで互いの事を知らないし、だから交流も兼ねてね♪ダメかしら?─

 

 

─………マリア、切歌、調、レポート提出は明日21:00までにだせ…ソレまでは自由行動とする─

 

 

─じ、じゃあ今日はお休みって事ですか!?─

 

─………ああ─

 

 

やったあデスよ!と喜びを隠すこと無く笑顔を向ける切歌、ただマリア、調は少しだけ驚いていた。レポート提出を明日に延期するなんて事は今まで無かったからだ…記憶を失っていた《マルス・レディーレ》頃の影響をアレスが受けていたのもあるかもしれないが実際には

 

 

(上手くいけば火星圏に必要な人材を確保できるかもしれないからな………)

 

と考えていたりもする

 

──あの、隊長……っ!?─

 

 

──マリア、調、はやく行くデスよ!─

 

マリア訊ねようとするも切歌に引っぱられるようシャワールームへ向かうのを見送った時、楯無のもとにブリッジクルーが息をきらしかけて来るや否や耳打ちした

 

─更識さん、厨房スタッフが足りません…─

 

 

─え?まいったわね…コレじゃ…─

 

 

─……………タテナシ、厨房はどこだ?─

 

 

─え?─

 

 

─手が足りないのだろ?─

 

 

─でも、あなた料理できるの?─

 

 

─問題ない………─

 

 

ソレだけ呟き、背を向けスタスタ歩き出す…向かうは厨房という名の戦場。何故か赤い外套をたなびかせる某正義の味方と楯無の目に映り重ねみた

 

一時間後、厨房から凄まじいまでの覇気が溢れだし瞬く間に野菜、肉、香辛料が舞い光が煌めく

 

 

─肉は隠し包丁を入れミディアムレアに。味付けは好みに合わせてソースを作れ!スープから目を離すな、料理は生きている事をわすれるな─

 

─は、はいチーフ!─

 

 

─出汁はこがれ節とさば節で…フォンは………これでいい─

 

 

喧騒飛び交う中、包丁を手にしたコックコート姿のアレスの指示が飛び交う。一時間後にはステージ設置も終わると同時に全ての料理が完成した。そして今、その味にミネルバクルーは酔いしれていた

 

「こ、この鱧、骨がない!?普通ならば骨きりし食するモノなのに…舌で踊るような弾力に儚くほどけ旨味が広がる……!?」

 

 

「箒?そ。そんなに美味しいの?ハモって」

 

「アリシアも食べてみればわかる…京料理の至高の一品だ」

 

 

「ん………ほんと!スゴく美味しいよ!」

 

 

薄味ながら鱧の柔らかな身がスウッとほどけていくのを舌で味わい、おもわず手に頬を当てながら目を輝かせるアリシア…京料理にすっかり魅了され、隣では

 

 

「ショウマさ~ん、コレ食べて食べて~スッゴく美味しいよ。はい、あ~~ん♪」

 

「リィズ、流石にコレはだな……」

 

 

「あ~~~ん♪」

 

「っ……あ、あ~~ん。トマトとチーズ?…………っ!?コレは!!」

 

 

有無を言わせないリィズの笑顔と共にトマトとチーズを照れ隠しに一気に食べたショウマの躰に衝撃が走った…バジルとオリーブオイルのソース、新鮮なトマトの瑞々しさと風味、モッツァレラチーズのしっとりとした舌触りと未知の味に我を忘れてしまうには充分だった

 

 

「う、美味い……」

 

「でしょ♪でも誰が作ったのかな…」

 

「インサラータ・カプレーゼ(カプリ島のサラダ)は口にあったようだな」

 

リィズの問いに応えるような声にショウマが振り返ると漆黒のエプロン姿のアレス…その手にした大皿に盛られたピザをスッとテーブルへ置いた

 

 

「じゃあ、今日のお料理はルセディスさんが全部?」

 

 

「いや、半分だけだ……イタリア料理、オランダ料理、京料理、フランス料理だけな……さあピッツア・マルゲリータは熱いウチが旬だ。ショウマ・バジーナ、どうした?」

 

「君はパイロットではなく料理人に向いてるかもなしれないな…しかしドコで料理を」

 

「……シロ…エミヤに教わった…口直しにエスプレッソもある飲むか?」

 

「ああ、いただく。ルセディス君は食べないのかね?(エミヤ?日本人か?……だが前に比べて話しかけてくるのは此方を信頼してると捉えていいか)」

 

 

「…そうだな…」

 

エプロンを外し、椅子にかけピッツア・マルゲリータを切り分け食べる生地とチーズ、ボルチーニ茸の風味と食感に微かながら頬が緩ませた

 

 

(………エミヤが今のオレをみたら笑うだろうな…だが悪くない。畜産、水産資源のSEEDはすでに揃った海の組成値も……あとは最終PHASEの頃合をどう見極めるかか…)

 

 

「や、やあルセディス」

 

「…ロラン、どうした?」

 

「い、いや……楽しんでるかな?って」

 

 

「…………ああ………どうした?」

 

 

「な、なんでもないよ(……あいかわらず私を観ないんだね…)」

 

 

「?…そうか…」

 

 

それっきり黙り混んだ。周りの賑やかさが包む。ショウマとリィズはなんとなく様子を察し離れてく。いたたまれなくなったのか口を開いた

 

「ルセディス、さっき聞いたんだけど今日の料理はキミが作ったって本当かな?」

 

 

「…ああ」

 

「じ、じゃあコレもかな」

 

 

ドギマギしながら手にしたのは緑色のスープ…それを見て微かに頬を緩めた。懐かしさ、喪失がない交ぜになったような感情と共に紡がれた

 

 

「エルテンスープ(空豆と玉ねぎ、豚肉、セロリのスープ)…作るのは久しぶりだったから味の保障は出来ない」

 

 

「そんなことない!この味は私の国オランダ…エルテンスープはスプーンが立つほど美味といわれてる。もしかして隠し味に甘口のショウユを入れてないか?」 

 

 

「!……」

 

 

農業王国オランダの伝統的なスープ。乾燥したエンドウ豆をメインにペーストにしてタマネギ、ジャガイモ、セロリ、豚肉、ソーセージなどを入れて、豆と野菜が煮崩れるまで煮込んで仕上げたソレはポタージュよりもかなり濃く、スプーンを真っ直ぐ立てられる位の濃さがベストだといわれている…アレスはショウユと聞いてはっとなる

 

 

─マヤかあさん、このスープって不思議な味がするね─

 

 

─あら、わかる?……私の友達に教わったのよ。さあおあがりなさい─

 

 

「………よくわかったな」

 

 

「日本とオランダは昔から親交があるからね。ショウユはやはりカゴシマのが甘味とコクがあるから私は好きだね」

 

「!?…そうか……」

 

柔らかな笑みにドキリとした…ソレを無理矢理押し隠し誤魔化すよう近くにあったグラスを手にし飲み干した。

 

 

「ど、どうしたんだ?ルセディス」

 

 

アレスの様子がおかしい…フラフラと身体を揺らし視線がおぼつかないのをみてロランは慌てて肩を掴むと信じられない言葉を耳にした

 

 

「ロラン?ん~ロランが──二人いる~ヒック……ま、いいや……」

 

 

「ルセディス?な、なにがあった??」

 

 

くらんくらんとしながら呂律も回らない口調で話す姿は色んな意味でロランが知るアレスじゃないから仕方ない。しかしなぜこうなったと思い原因を探し見たのは空になったワイングラスを目にしたのと同時に焦りにも似た顔でマリアが叫んだ

 

「ロラン、アレス隊長から離れて!今すぐに!!」

 

 

「え?なんでだ……うわ?」

 

 

「ロ~ラ~ン~前にさ……たしか、ヒック!『私に視線を釘付けにする』いうたなあ~~」

 

 

「あ、そういったよ……す、少し落ちついて…ルセディス」

 

 

「じゃぁ~ヒック………こうする」

 

 

「え?え、ちょ!──────っ!」

 

 

ロランの瑞々しい唇がアレスの唇が重なる…腰に手をまわされた上に頭をぐいっと抱き寄せられては逃げる事すら出来ないロランは抵抗するも徐々に弱々しくなる。舌と舌が絡み合い唾液が流し込まれてく感覚が思考を痺れさせてく

 

 

「ん…ん──んっ──」

 

 

「う、うわ……スゴっ…ねえショウマさん、ルセディスさんって大胆だよ!」

 

 

「……コレが若さか」

 

 

「だから離れないって言ったのに……」

 

 

「ね、ねえカデンッヴァナさん。何か知ってるの?」

 

未だにキスを続けるアレス、ロラン…ミネルバクルーが注目する中、アリシアが恐る恐る尋ねた

 

「アレス隊長は……ワインを飲むとああなるの…食糧生産コロニーが完成してはじめて果実、葡萄の生産に成功して試しに農業総合研究所がワインを作ったのよ…その時に送られたのをアンとボニーと飲んで……そしたら酔っ払ってキスを…」

 

「ええ!ルセディスさんアルコール飲めないの?」

 

 

「いいえ、ワイン以外は大丈夫……でも今の隊長は、かなりヤバいわ…アン、ボニーはアレス隊長と距離を取るようになったけど…」

 

 

遠くを見るようなマリアから哀愁にもにたモノを感じたアリシアはふと二人に視線を移すとまだやっているがやがてゆっくりと銀の糸を引きながら離れた

 

 

「───っ────っつ……はぁ♡」

 

 

「ふぅ──」

 

 

片や惚けた眼差しを向けるロランに対してやりきった感のアレスはゆっくりと抱き寄せ耳に口を近づけた

 

「ロラン…ヒック」

 

 

「はあっ、はあっ♡な、なに……」

 

 

「……ロラン、部屋に行こう…ヒック…もっと釘付けにしてみる…ヒック」

 

 

「───うん」

 

 

キュッと服を掴み顔を俯かせるロランと共にスタスタと歩き出すアレス…その姿が見えなくなるまで呆然と立ち尽くしたミネルバクルーは思った

 

 

「「「「「「「な、なんでさ!」」」」」」」

 

 

月夜の空に声が木霊し、気を取り直した楯無の再度乾杯により親睦パーティーは再開した

 

 

 

なお後日、目を覚ましたアレスが見たのは生まれたままの姿で胸元に抱きつくロラン、乱れたシーツ、赤いシミと乾いた何かと腰の痛みで全てを悟り、目を覚ましたロランに見事なまでのDO・GE・ZAをしたと言う

 

 

閑話 フェスタ

 

 

 



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PHASE-107/108 終焉序曲

MA奪還作戦、レーザー砲擊によるカルガナン基地およびオーストラリア深海基地壊滅数日前、イギリス《ロンドン市内》

晴れた日は滅多に無いココ、イギリスは珍しく晴れ渡り石畳が目立つココ、ベーカー街に軒先並ぶ店はティータイムを楽しむ人々が目立つ中、オープンテラスに一人の女性が座ってる

やや不機嫌そうな眼差しに、クセのある金髪を首のあたりで三つ編みにし、整った顔に翆碧眼、豊かな膨らみたに腰のくびれから緩やかなヒップライン、太股は長袖のワンピースにカーディガンの上からでもわかる

しかし誰一人声をかけようとしない。なぜなら滲み出る苛立ちと怒気に気圧されていたからだ…そんな時だった


「あ、ああ~すまないね。抜け出すのに苦労してね」


ややくたびれたジャケット?に、首にかけたタオルとズボン、サンダルの出で立ちの中年男性が手をひらひらさ椅子を率き座る


「お前がマルスの知り合い大東貴一か……ふん、まあいい。今日は前から渡すように頼まれていたものだ」


すっとアタッシュケースを取り手渡した…指紋認証と音声コマンドを解除してある。開けてみると不思議な輝きを秘めた小石を組み合わせた棒状の物体が並んでいる


「これはなにかな?ペンダントにしか見えないんだけどね」


「知らないのは無理もないか。これはMSに新たな力を付与させる新型OS…FG回天式天翔機甲シンフォギアシステムだ……」 


「シンフォギアシステム?コレがマルスくんに頼まれていたのかい?えとキャロル.マールス.ディーンハイム女史」


「ああ、先行して完成したら送ってくれと言われてたからな。詳しくはテキストを入れてある。よく読んで使うように。ところで」


「なにかな?おじさんあまりお金無いんだけどね」


「……お金はいいっ。この国に最高の歌唱力を持つ女がいるなら持たせてみろ、コイツの力を引き出したいならばな」


「歌かい………(風鳴翼くんぐらいしか知らないな…)ま、心当たりはあるからやってみるさ」


「じゃ、たしかに渡したからな………最期にひとつだけマルスに伝えろ。約束は必ず守れよと…」


いいたいことは告げ、身を翻し歩き出したキャロルを見送り気が抜けたのか椅子に身を任せた大東。ふとアタッシュケースを見る


「シンフォギアシステムね……マルスくんはなんでコレを私に渡すようにしたんだろうかね。彼ががいなくなった事を話すべきだったかな……たたっ」


Nitroの副作用からくる激しい頭痛に顔をしかめる大東、ラスベガスで姿を消して二日、イヤな予感を感じながらやや冷めた紅茶を口にし風味を味わった


キャロルから渡されたシンフォギアシステム、アマハバキリ、イチイバル。コレが戦局に大きな影響を与え復讐者を救うきっかけになることをまだ知らない








「皆様、本日は哀しい報告をさせていただきます。先日未明、我々Z.A.F.Tが有するカルガナン基地およびオーストラリア深海基地が壊滅したとの報を受けました」

 

 

檀上に立つのはZ.A.F.T最高評議会議長プレシア・テスタロッサ議長。軽く間を置きゆっくりと皆を見た

 

 

「当時、両基地にて働いていた職員および軍関係者は500人あまり、その全てとの連絡も無く僅かに遺体の一部を回収出来たに過ぎません。しかし我々はこの惨状を引き起こした存在を掴みました………かつて連合参加国であった《イギリス》です。彼らは衛星軌道上に極秘裏に建造した軍事衛星《エクスカリバー》に搭載された超高出力レーザー砲で両基地へ砲擊を敢行したのです。ソレも一切の警告もなく一方的に…これはもはや虐殺としか言えません、そしてさらなる事も判明したのです」

 

 

世界中の主要都市の大型スクリーンに映されたのは衛星軌道上に浮かぶ剣にもにた構造を持つ構造体…軍事衛星《エクスカリバー》がその異様なまでに長い砲口を直下にある地球に向け浮かぶ様、そして次に映されたモノに街ゆく人々、誰もが息をのんだ

 

 

「イギリス政府、イギリス王室はエクスカリバー建造にあたりIS技術を用い、そのコアにこの少女《エクシア・カリバーン》を制御用生体融合型ユニットとして組み込んだのです…これは人として許される行為でしょうか?断じて否です!!ロゴス、いえ連合と変わらないではないでしょうか!!」

 

 

強い眼差しと共に断じたプレシアの声明に世界各国の政府。市民は聞き入り始めた…

 

 

「私はコレを見ている全世界の市民へ問います。このような悪魔のような所業を平然と行い剰え、我々への攻撃に使った事実はもはや周知の事。何度も我々はイギリス王室および政府関係者へ問いましたが未だに返答が無いのが現状で………失礼……ソレは事実かしら?」

 

 

「はい、たしかな筋から───」

 

 

現れた男から告げられた言葉に面微かに見開き、再び視線を戻した

 

「………………新たな事実が判明しました…イギリス政府及び王室はソレスタルビーイングを匿っているとな情報を掴みました…彼らは悪戯に戦火を広げ多くの人命を奪ってきた…こちらからの返答に応じなかったのはコレだったのです。我々Z.A.F.Tは最後通告として軍事衛星エクスカリバー及びエクシア・カリバーンの開放、ソレスタルビーイング引き渡しをイギリス政府へ要請します……もし応えなければ我々は世界の平和を脅かす存在としてイギリスへ宣戦布告を告げるものとします」

 

 

 

PHASE-107/108 終焉序曲 

 

 

数時間後、ドイツ

 

デストロイガンダムにより多くの人々がなくなり、街が灰燼と化したベルリン。今はジャンク屋組合、ZAFTの支援により復興が進みようやく都市として住めるぐらいになった

 

賑わいも戻った…そんな中、再建したばかりの無人ケーキ店にサングラスに灰色の髪に赤のメッシュが目立つコート姿の少年が入る

 

 

「やっと来たか…待たせすぎだマルス」

 

 

「キャ、キャロル、すいませんボク達も、さっき来たばかりなんですから」

 

 

「あ、ごめんね……キャロル、エルフナイン、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス博士」

 

 

「(!?)……ふん、別にかまわんが。わざわざドイツまで来たのだからな」

 

「そうとも!この地球最高の生化学者である僕を待たせるなんて、チクタクチクタク世界は分刻みで動く、その貴重な時間を無駄にはしたくないんだけどね~」

 

 

「あはは……すいません………出来たんですか?」

 

 

「持ちのロンロンだよ!君が渡してくれた聖遺物を桜井理論にパッチとワークして、キャロル女史とエルフナイン女史のシステム開発……いや以外と楽しくてね~」

 

「無駄口叩くなバカウェル!半分はオレとエルフナインが聖遺物に合わせアゥヴバッヘン波形抽出と聖永、フォニックゲイン組んだの誰だか忘れたか!ケーキばかり食べてないでさっさと見せろ!!」

 

「まったくセッカチだね~ほら、コレが君が求めていたモノだよ」

 

 

キャロルの剣幕を軽く聞き流しケーキを食べるのを止めた…別世界じゃ楽器をぶっさされてもおかしくないのに。取り出したのは黒のアタッシュケース、指紋認証、網膜スキャナが読み取り乾いた音と共にひらいた

 

 

「コレが聖遺物を組み込んだOS…シンフォギアシステム」

 

 

ケースの中には赤い小石を棒状に組み合わせたモノがが五個並んでいる…手に取るもただのペンダントにしか見えない

 

 

「ふう。説明するぞ、ソレはMSに差し込むいわゆるキーだ…普通に起動すれば限定的なアームドギアが形成されるぐらいなモノだ…」

 

 

「ですが、桜井理論によると聖遺物を手にした人間は胸に言葉が浮かび歌と共に紡がれエネルギーを生み出すそうです。生まれたエネルギー《フォニックゲイン》を物質化しつつMS全体を再構築、形成する事で真価を発揮します。適合者がいればの話ですけど。あ、テキストはこちらに入れてますね」

 

 

「………そうか……キャロル、エルフナイン、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス博士、ありがとう……」

 

ゆっくりとアタッシュケースを閉じたマルス、しかしキャロルは違和感を感じていた…何かが引っかかっている。何がともう一度マルスを見る。普段と変わらない何時もと同じだ…はっと気がつく

 

 

「待てマルス、なんでサングラスを外さない?」

 

「………え?変装も兼ねててなんですけど…あのキャロル?」

 

 

「馬脚を晒したな…………お前は誰だ?」

 

 

「キャロル、どう見てもマルスさんじゃないですか?」

 

「忘れたかエルフナイン、マルスはオレやお前を何度注意しても「《ちゃん》付け、さらにこのお菓子ばかり食うバカウェルをフルネームでは呼んだりはしない」

 

有無を言わさないとばかりに詰め寄るキャロル…静けさが無人の店内に漂う中、マルスはゆっくりとサングラスに手をかけ外した。赤みをおびた金眼にある虚無の眼差しを見てエルフナインも気づいた

 

「……………キャロル・マルス・ディーンハイム。アルケミスターズの一人だけはあるな」

 

 

「最初は確信はなかった…だがハッキリした!マルスの名を語るニセモノが!本物はドコにいる!!」

 

 

「………本物だと、笑わせるなヤツ《マルス・レディーレ》こそ偽物。オレの名はアレス・ルセディス、それが本当の名前だ……」

 

 

「な?……」

 

 

「半年前、イザーク・マールス・ディーンハイムを護衛していた時、やたらオレをアルケミスターズに勧誘していたことも……こちら側の人間、ゆくゆくは人類史に残る稀代の科学者となると」

 

 

キャロルは唖然となった…半年前、父イザークを狙う科学結社から守るために雇われ出会い、しばらくして優秀な頭脳を持つ彼を最期まで勧誘し続けた事はマルス、キャロル、エルフナインしか知らない事実だ。キッと顔を俯かせながら叫ぶよう問いかけた

 

「…マルスじゃないといったな…ならアレス・ルセディスなぜ私たちの所に来た!答えろ!!」

 

「オレの目的は一つ、完成したシンフォギアシステムを手に入れ、キャロル・マールス・ディーンハイム、エルフナイン・マールス・ディーンハイム、お前達の技術が他に渡らないためにな……」

 

 

すっと手をあげる。瞬く間にキャロル、エルフナイン、ウェル博士の躰をバインドが拘束、突然身動きを封じられもがくも逃げられない。だが二人の視線はマルス、いやアレスに向いていた

 

 

「じ、じゅあ、私たちの作ったシンフォギアシステムを手に入れるために……ウソですよね」

 

「オレやエルフナイン、バカウェルの技術を利用するためだけに、パパに近づいたのか!!」

 

 

涙を目にためアレスにぶつけたキャロル、エルフナイン…ウソであって欲しいの想いがこめられた言葉は

 

「……………そうだ。オレが必要としたのはアルケミスターズの持つ異端技術だけだ…」

 

しかし淡い期待にも満ちたソレは砕かれた…キャロル、エルフナインの胸中にあるのは哀しみ。裏切られたという想いだ。そしてさらに追い打ちがかかる

 

「ふ~ソロソロ外してくれないかなあ、アレス・ルセディス?」

 

反対側の席に座るウェル博士のバインドが解かれ、肩をコキコキ鳴らしながらアタッシュケースを手にし立ち上がった。その顔は狂気に満ちてる

 

 

「バ、バカウェル?お前まさか…最初から」

 

「ん~ん~♪まさか裏切ったのかブルータスって言いたいのかね~キャロル女史、エルフナイン女史。そう僕はハナっからアルケミスターズには興味が失せてたんだよ。一時的な名声よりも世界中から賞賛され脚光を浴びるため、アレス・ルセディスのもとについたのさ!!稀代の英雄を誕生を間近で見るためにね~♪英雄メーカーに僕はなる!!」

 

 

くるくる回りビシッと左手で顔半分隠したウェル博士、それが合図と言わんばかりにZ・A・F・T特務部隊がなだれ込んできた。銃を構え二人に無数のレーザポインターが突き刺さる

 

 

「そ、そんな、じゃあドイツを待ち合わせ場所にしたのはこのため……」

 

 

「そうだよ。知っての通りZAFTは数日以内にイギリスへ宣戦布告をする。何かと都合がよかったのさ…なあアレス」

 

 

「そうだな。さてこれ以上長居は無用だ…キャロル、エルフナイン来て貰うぞ……ミストルティンへ帰投する」

 

「ハッ!」

 

敬礼し特務部隊は撤収開始し、黒塗りのメルセデスベンツへキャロル、エルフナイン、ウェル博士、アレスが乗り込み走り出した

 

終始無言で睨むようにアレスをキャロルが、今にも泣き出しそうなエルフナインが眼差しを向ける中アタッシュケースを再び開いた。ふとイチイバル、アマハバキリ、手に取ろうとしたがすり抜けノイズ交じりに消えた

 

 

「これは……」

 

「やっと気づいたか。アレス」

 

「キャロル、イチイバルとアマハバキリ、何処へ隠した……-」

 

アレスの虚無に染まる瞳に怯むことなく不敵に笑うキャロル…

 

 

「あの二つはイギリスにある……シンフォギアシステム適合者らしいアゥフヴァッヘン波形を検出したからな…二人もだ……完成した分をティワズに送るよう指示したのはお前だろうが!アレス・ルセディス!!」

 

 

「………(マルス・レディーレ、手を打っていたのか…記憶を消した上でか!)…………まあ、いい取り戻せばいいだけだ……」

 

 

「出来るモノならやってみろ!アレス・ルセディス!!」

 

 

失われたマルスが記憶を改竄していた事に苛立ちを覚えるも取り戻す事を決め、待機していたミストルティンへ乗艦、車から降りキャロル、エルフナインを伴い艦内を歩いて行く。互いに終始無言のまま…そしてある一室の扉の前に止まる

 

 

「……入れキャロル、エルフナイン」

 

 

「………」

 

 

薄暗い室内へ入る二人、やがて空気が抜けるような音と共に閉まり眩い光が包んだ。目が慣れ見えたモノに息をのんだ

 

鳥のさえずり、豊かな森林の映像が流れ柔らかなベッドに加えシャワールーム、キッチン、ふかふかのベッドまで柔らかくも明るい室内灯が完備されていたのだから。ふと足下に何かがぶつかる。目を向けると赤い丸い球体がコロコロ回り羽根みたいなモノをばたつかせた

 

 

《ハロ、ハロ、キャロル、エルフナイン、ハロ》

 

 

「こ、これって…まさか前にボクとエルフナインがねだったハロですよね?」

 

赤い球体…ハロを手にしたエルフナイン。かつてマルスがハロを作っていたのを知りねだったもの。カラーリングも二人のオーダー通りで音声と思考パターンもマルスからサンプリングしたものだった

 

「……い、いまさらこんなモノで許せ…と……う、うく」

 

『ハロ、キャロル、泣カナイデ、大丈夫ダカラ…傭兵ダシネ……ハロ、ハロ』

 

 

─泣かないでキャロル、僕なら平気だから。傭兵だしね─

 

 

エルフナインの手にしたハロに手を添えポタポタと赤い表面に涙が落ちた…ミストルティンはミネルバとの合流点へ向け進路を取りドイツの空へ上がる

 

 

夕焼けに染まるドイツの空はこれから流される血のように赤かった

 

 

 

 

 

 




イギリスからの再三に渡り返答を求めるZAFT

しかし時は無情に過ぎ、遂に動き出す


互いに引けぬ想いの中。遂に彼は引き金をひく


   PHASE-108/111.X  荒れ狂う死の嵐


もはや後戻りは出来ない…



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PHASE-108.5/111.X 荒れ狂う死嵐 挿絵あり!

イギリスへ最後通告タイムリミットまで1時間


イギリス、ティワズ支社

同地下ドック…

「MS用パーツと補給物資搬入急いで!!ハロ、カレルたちはトレミーの機密チェックを急いで!」

「「「「「「「了解、了解!」」」」」」」

喧騒に満ちたドック内でトレミーの機密チェック、MS用パーツと機体搬入の指示をタービンズのメカニック主任エーコが飛ばす…その近くには逆立った髪にパンダナ、スパナを組み合わせた《ジャンク屋組合》のエンブレムを胸につけた青年《ロウ・ギュール》も手を休めずに二体のガンダム、ウィングガンダム・フェニーチェ、バルバトス・ルプスの整備を進めている

「ナガスミ、ツバサの機体はフルメンテ終わったぜ!次はアヴァランチエクシアとニャイアアストレイ・イチイバルだ。8、ハロ達と一緒にアッセンブリ…」

「あの~ちょっといいかな?」


後から声をかけられ振り返る。そこには首からタオルを掛け着崩した軍服、サンダルをはいた中年男性…大東貴一が何かアタッシュケースを手にし立っている

「大東のおっちゃんじゃないか。こんな時にどうしたんだ?」

「いや、忙しそうだから中々声をかけられなくてね」


「別にいいさ、おっちゃんの口添えがなきゃハロ達の使用制限解除出来なかったからさ。別にかまわないさ」


エクシアにアヴァランチユニットを装着していくクレーンマニピュレータを操りながら答えたロウ…半月前、マルスがアレスとしての記憶を取り戻し、皆の前から姿を消してから、前々から調べていたツバサにノーヴェ等が詰めより全て話して貰った(この時、なぜかツバサはぐるぐる巻きに縛られていた)。凄惨な過去を知り唖然とする中、マルスのハロ達が何らかの仕掛けが施されてるのではと疑いの目を向けていた。しかしハロ達がなければ機体OS更新、整備、艦内環境コントロール迄になっていたのもあり使用制限するか否かを迷っていた


─たぶん何も仕掛けてないと想うぜ?マルスはメカに対して絶対にウソをつかないしな。アイツの作ったハロが整備した機体を見た、おかしな部分はなかった、むしろ人に合わせた細かなセッティングが出来るのはマルスぐらいだ─


─たしかにね。彼の人となりはマルス君の時しか知らないけど、私としては彼の師であるロウ・ギュール君が言うなら間違いはないね─


ジャンク屋組合から物質搬入に来たロウ、そして翔真と和解したGspirits隊の大東貴一准将の口添えもあり、マルスならそんなことはしないと普段から整備する彼を見てきた翔真らは思いだし、使用制限は解除され今にいたる(…なおマルスが使っていた銀ハロはクリスが大事に預かっている…)


「あ、そうだ君にコレを渡そう…マルス君から頼まれていたモノらしいんだ」


「コレは?キーか何かか?」


アタッシュケースを開き手にしたのは細かな小石を組み合わせた棒状の赤緋色の石を興味深そうに見た。大東は少し言いづらそうに頭を掻きながら説明を始めた


「実はコレはマルス君がアルケミスターズに依頼して作り上げたモノらしいんだ。シンフォギア・システムらしいんだ。詳しくはコレを見てくれるとたすかるんだな」


「……桜井理論、歌で起動させ生まれたフォニックゲインを機体に纏わせMSを形状変化強化、さらには武装をも形成顕現させる……なんっうもんを。理屈はだいたいわかったけどさ。歌で起動するってなあ~スッゴいな」


起動キーであるアメノハバキリ、イチイバルをまじまじとキラキラと目を輝かせ興味深そうに見るロウ…貴一も半ば信じられなかったのだが


─この国で最高の歌唱力を持つ奴に持たせてみろ…それがカギだ─


去り際にキャロルが言い残した言葉がひっかかる…しかし今はイギリスへ迫るZAFT艦隊への備えをすべくロウに軽く挨拶を交わし離れた。向かうはATAGとGspirits隊の面々が待機するドックへ歩を進めていく


「…先のレーザー砲撃の一件、ZAFTの宣戦布告…気になるな…何か裏があるんだろうね。chameleon隊に動いて貰うかね…」


思考を切り替え、大東貴一准将は歩き出した…この一連の事件の裏に潜む陰謀を暴くために











イギリス領海より250㎞離れた海上…二隻の戦艦《特務艦ミネルバ》《特務艦ミストルティン》を中心に空母数隻、レセップス級五隻、ボスコロルフ級十隻の姿がある

 

ミネルバブリッジに座るのは新たにミネルバ新艦長として赴任した篁唯依が静かにキャプテンシートにすわる。数日前、イギリスが保有する軍事衛星超高出力レーザー砲《エクスカリバー》によりカルガナン基地、オーストラリア深海基地が文字通り壊滅、それに対して抗議声明をイギリス政府、王室へ問いただした

 

しかし返答は知らないの一言で片付けられた、だがその軍事衛星に生体融合制御ユニットとして年端もいかない少女《エクシア・ガリバーン》が組み込まれた事実、そしてあろう事か連合とZAFTの戦いに介入し戦禍を悪戯に広げたソレスタルビーイングを匿っていたのだ

 

 

プレシアは全世界に向けて英国政府とイギリス王室を批判し、軍事衛星超高出力レーザー砲《エクスカリバー》を破棄と組み込まれた少女エクシア・カリバーンの開放、ソレスタルビーイングの引き渡しを要求、期日内に受け入れなければ世界の敵として撃つと宣言したのだ

 

 

そして、いまその期日が終わろうとしていた

 

「イギリス政府、イギリス王室より今だ返答はありません」

 

「繰り返し呼びかけろ………」

 

 

静かに告げる唯依に管制官は再び呼びかけた…艦長として抜擢され日も浅い。しかし英国に速くの返答を待っていた。彼女の母国日本は連合により焼かれ沢山の大事なモノを失ったからだ。一瞬、紅蓮に焼かれるロンドン市内を幻視した

 

(はやく返答しろ、英国を焦土と化すは我が故国の二の舞だ……)

 

 

「篁艦長、期限を過ぎました………英国政府から未だに返答はありません」

 

 

「……全艦に通達、ミネルバをイギリスへ回頭進路を取れ!コンディションレッド発動!!」

 

 

「了解!進路をイギリスへ…MS隊は発進準備を!」

 

 

(何故だ、国が焼かれるというのに愚かな選択を…)

 

 

キャプテンシートの手すりを強く握り締め指示を飛ばす。英国とZAFTはもはや引く事は出来なかった…

 

 

PHASE-108.5/111.X 荒れ狂う死嵐

 

 

ミストルティン、MSリニアカタパルトデッキ

 

「特務部隊フィーネか……(いつの間に用意したプレシア・テスタロッサ、ヴェーダにも情報があがっていない?…)」

 

『アレス隊長、そろそろ時間です』

 

「わかった……マリア、切歌、調、シンフォギアシステムはどうだ?」

 

 

『問題は無いわね。でもこれならば今まで以上に戦えるわ』

 

『私もデス!どんな敵でも真っ二つデ~ス!』

 

 

『でも、これスゴく馴染むけど切れすぎて怖いかも』

 

 

「あくまで、ここぞと言うときに使え…わかったな」

 

 

「「「はい、アレス隊長!」」」

 

三者三様の意見を聞き考える…シンフォギアシステムは桜井理論とアルケミスターズの技術を用い完成させたFG式回天特機装具、まさかと思い三人に持たせてみたら聖詠が浮かび試しに起動させたのが先日、通常スペックを遙かに上回るモノだった

 

しかしイギリスに渡ったアマハバキリ、イチイバルな事も気に掛かる。念のためにウェル博士はイギリスからはアゥフヴァッヘン波形を探っていたが関知出来なかった。キャロルとエルフナインがウソをつくはずは無い

 

一応、警戒をすると決めた時。通信が入る、開くとロランだった

 

「どうしたロラン?」

 

『ああ、ウーンドウォート・ラーⅡのセッティングが終わったよ……君…ア、アレスが作っただけのことはある反応がいいよ』

 

 

「そうか。今回は乱戦になる。拡散ビームシールドブースターを…」

 

『もう装備したよ…アレスがウーンドウォートのことをしっかりレクチャーしてくれたお陰さ。朝までね』

 

 

悪戯っぽく笑うロランにドキリとなる…あの日、関係を持ってからよくアレスの私室に来るようになった。自身の機体についてのレクチャーもだが、若い男女が二人きりだとなし崩し的にそうなるのは仕方ない。実際今朝もだったりする

 

 

「……そ、そうだな……」

 

『(私を深い部分まで満たして、プレスして今日は本当に危ない日だったのに何度も)…じ、じゃあ待機に戻るよ』

 

 

顔を真っ赤にし通信が消えた…イギリス領海へ入った事を告げるアラートが鳴る…軽く息を吸い込みバイザーを閉じた

 

 

《ミストルティン、リニアカタパルトオープン!外部コンテナカタパルトオープン!》

 

ミストルティン中央が上下に開き、外側にあるコンテナカタパルトが四つ開く…一部改修した外装は《JewelSeeddrive》同調率を上げるために追加されたモノだ。不活性状態のガンダムエクシェスの瞳に光が宿りVPS装甲が活性化し、各部リニアカタパルトボルテージが上昇、カウントが鳴りやがてゼロになった

 

 

「ガンダム・エクシェス、アレス・ルセディス、殲滅する!!」

 

「VS/GS-01《ガングニール》。マリア・カデンッヴァナ・イヴ、貫く!!」

 

「VS/GS-02《イガリマ》、暁切歌、みんなシチュー引き回して真っ二つですデス!!」

 

 

「VS/GS-03《シュルシャガナ》………月読調、行きます」

 

 

「XGMF-124《ウーンドウォート》、ロランツィーネ・ローランデルフィニ、蒼穹を突き抜ける!」

 

 

エクシェス、ガングニール、イガリマ、シュルシャガナ、ウーンドウォートが電磁加速反発力でイギリス領空へと飛翔する、そして中央カタパルトに新たな機体が姿を見せた…水色の装甲を持ち端から見たらΖ系の特徴を持ち、そのコックピットには一人の少女が座っている

 

 

《ハロ、アリシア、カタパルトオープン……いつでもイケル、イケル》

 

左側モニターには水色のハロが羽?をパタパタさせ励ましてくる。緊張感が和らぎその頭を撫でた

 

 

「うん、ありがとハロ…………落ちつくんだ私…箒は私が守るんだ…すぅ────ZGMF-X007A、アメイジングΖガンダム。アリシア・テスタロッサ、行きます!!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

リニアカタパルトから勢いよく打ち出され、Gに躰がシートに押しつけられる。耐え抜くとフワッと開放される。イギリス領空へ向けバーニアを全開にして飛翔、先行する箒、湊、楯無、少し離れてアレス、マリア、調、切歌と合流する

 

─これより"フィーネ"所属のパイロットは私の指示で動いてください。箒さん、楯無さんは私と共に前衛にいるリゼルを一掃。アレスさん、マリアさん達はそのまま私達に続いてイギリス本部を攻めてください─

 

 

『……聞いたな、これよりイギリス防衛部隊の排除を開始する。戦況にあわせ援護行動を忘れるな…各機散開!!』

 

 

アレスの号令のもと散開、それぞれの持ち場へとついたのを確認する…センサーが捉えた向かうのは火線と抵抗が激しいエリア…リゼル十数機、デュエルダガー十六機からなる部隊にザクウォーリア、ザクファントムがそこを抜けようとするも阻まれ撃墜されていく。突撃をしようとした一機のザクファントムが両脚を撃ち抜かれ落ち、ビームがコックピットを捉えた

 

『う、うわ!お母さ………え?』

 

しかし。身を焼く事なかった…漆黒のガンダムがリュミエールシールドで防いだからだ

 

 

「……そこの部隊、直ぐに引け」

 

『な、何を言う?』

 

「……死にたくなければ速くしろ…………」

 

 

抑揚無く暗い感情が込められた声に気圧され撤退していく…ゆっくりとエクシェスは背部の翼《ヴォワチュール・リュミエール》展開、加速し分暑いビームとミサイルの火線を潜り抜けど真ん中へ降り立ち翼を閉じた

 

 

『な、なんだコイツ、自殺する気か?』

 

 

『Z・A・F・Tの新型か?…』

 

 

ど真ん中に降り立つエクシェスへ攻撃を集中し始めた…が、リュミエールシールドに守られ傷一つ負わせられない…破壊の嵐の中、エクシェスの両腰アーマーの一部が展開開放、バチバチと放電現象が周囲に溢れかえるも誰一人気づかない

 

 

「……JewelSeeddrive同調率上昇………脳量子式敵性対象マルチロック開始…」

 

 

正面モニターがガシャッと開き、無数のターゲットカーソルが攻撃を加えるMS…そのコックピットを捉え、全てがロックされアレスの瞳が赤金に輝いた

 

 

「最終ロック解除…………受けろ死の嵐を!!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

エクシェスの瞳が真紅に染まり腕を前にかざし広げ放電現象が激しく光った瞬間。近くにいたパイロットは異変を感じる。躰の奥が滾るように熱いと喉が激しく渇いた

 

 

「な、なんだ……う、ううう………ああ──────────!!」

 

 

熱さとこみ上げる乾きに躰をかがめた瞬間、パイロットスーツが膨張し内側から爆発するようパンッ!と弾け内臓が飛び散りコックピットを血に染め上げた

 

 

「う、うわあ────────!」

 

「ぁあっ───────!」

 

 

それは他のリゼル、デュエルダガーのコックピット内でも起きた骨がモニターを突き刺さり、脳漿がべっとりと濡らして霧散、苦悶に満ちた叫びと共に命が爆ぜていく…やがて全てのMSの攻撃が止み石像のように佇んだ。両腰アーマーの放電が止まり収納され放熱がはじまる

 

 

「く、く……」

 

そのコックピット内に座るアレスは躰を震わしていた…散る間際に感じたパイロット達の意識が断末魔の叫びと共に爆ぜ消える瞬間を感じていたからだ…エクシェスが使った武装、かつて連合が使った最悪の兵器サイクロプス、それを応用し指向性を持たせ敵味方を識別可能な兵器《シュツルム・ウント・ドランク・インパクト》だ

 

 

─坊や、アナタがこの機体。ガンダム・エクシェスの武装を使うならば引き返すことは出来ないわ………人々から悪魔と指さされる覚悟があるならば何も言わなくてよ─

 

 

「……(ユーナ・クロスハート、オレはもう後戻りは出来ないな)………くっ…あは…あははは」

 

 

赤金の瞳を見開き笑いエクシェスは飛翔、別エリアへ向かわせた……あとに残されたMSはまるで墓標のようにも見えた

 

 

 

PHASE-108.5/111.X 荒れ狂う死嵐

 

 

 

 

 

 




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PHASE-113 イギリス防衛戦 6《side:ARES》 

あらゆる生を拒絶する深遠なる宇宙《そら》に暗き体躯をもつ大いなるモノが身をまかせていた

その下には蒼く命溢れる惑星を単眼が捉え映り込むも微動すらしない。巨大な体躯を持つソレは自らの主からの命を待つ…


主、アレス・ルセディスの復讐を為すがために、ただ待つ…


その時、世界の憎悪は彼に釘付けとなる
















『っ!』

 

 

肩から蒼白い炎を立ち上らせ、風を切り振り下ろされ鉄塊、ソードメイスをヒートグロゥヴで掴み止めた…バル漆黒に赤にいろどれたバルバトスルプスのデュアルアイが爛々と輝き押し切ろうと力を増していくのをアームレイカー越しでも感じ悟った

 

「……阿頼耶識システムのリミッターを外したのか……」

 

 

『まあね……っ!!』

 

 

接触回線越しに響く声から判断しても間違いない…掴み止めた手を振り払い何度か潰しきるようにソードメイスが振るわれる。VPS装甲といえど当たれば衝撃で内部機構にダメージがくる。こうして刃を交えたのは初めてだが気を抜く事を許さないほどの気迫をMSの装甲越しにイノベイターとしての直感が捉えた。ソードメイスの乱撃を交わし、受け手流した

 

 

「……やるなツバサ…」

 

 

『余裕だね……でもキミをここから先に通すわけにはいかないよ』

 

 

「……そうか。なら通させてもらう…いけ」

 

ギンッと赤みがかった金眼が輝く…金色の翼が輝きを増した時、接近を示すアラートがなり響き複数のMS反応、モニターには自軍の識別を出して迫る姿、しかしどこか動きがぎこちない

 

 

『味方?鹵獲されたのか…べつにいいか』

 

 

ソードメイスがデュエルダガーのコックピットを穿ち潰す、だが動きは止まらず逃がさないとばかりにしがみついてきた、それも1機だけではなくワラワラと近づくや否や、構えたビームライフル、リニアカノン、トーデスシュレッケンが火を噴く

 

 

『く、しっこい…』

 

力任せにデュエルダガーを引き剥がしぶつけ火線に投げた。たちまち蜂の巣になり爆発、その間隙を抜いソードメイスを振るい横薙ぎにコックピットを潰しきり、ビームサーベルを振るうダガーの胴を抜き手で穿つ。しかし微かな違和感に眉をひそめた

 

阿頼耶識システムと完全な同調、自身の手のように貫いたコックピットブロックから感じるのはすでに息絶えた人のなれの果て…肉塊の感覚にようやく悟る。このパイロットはすでに死んでいたのだと

 

 

『このMSは…パイロットが死んでるのに動いてる?………まさかアレス、キミがこのMSを!?』

 

 

「そうだ、オレのガンダム….エクシェスの力…《vampire・territory》だ……ちょうど使えるMSが出来た、ソレを使ったまでだ」

 

 

瓦礫の上に腕を組み立つ金色の翼を広げる悪魔…エクシェス、感情全てをそぎ落としたアレスの声が這い寄るMSを払いのけ潰すツバサにも届く。いかにリミッター解除したバルバトスといえど主なきMSに群がられては機動力を封じられてしまう。ギンッとデュアルアイを輝かせ両肩の装甲を展開、バチバチと放電現象が辺りに巻き起こりクリスタル部に光が溢れ、太陽黒点並みの半固体化し形成されていく

 

「……せめてもの情けだ……痛み無く死ね……吹き荒れろドラグ・インパク……高エネルギー反応?」

 

僅かな逡巡を経てトリガーを引こうとした時、高エネルギー反応、極太のビームがエクシェスを飲み込もうとせまる、ドラグインパクトをやむなく中断しリュミエールシールド最大展開でしのぎ防いだ

 

 

PHASE-113 イギリス防衛戦 6《side:ARES》

 

 

 

「く、これはバスターライフル?まさか」

 

『やめろ、マルス!』

 

 

オープン通信回線と共に響いた声、エクシェスのデュアルアイが捉えたのは青い装甲に翼を持つ機体…ウイングガンダム・フェニーチェ《リナーシタ》がトライツバーク装備バスターライフルを構え接近、ビームサーベルを抜いた

 

「ナガスミか………(トライツバーク、完成したのか…)」

 

『こんなことして何にもならないだろ!マルス!!』

 

 

振り下ろされた灼熱のビームの刃をヒートグロゥヴで受け、抜き手で逆袈裟に振るう。ナガスミは操縦幹を傾け紙一重で回避し何度となく打ち付けながら呼びかけた

 

 

「オレはアレス・ルセディスだ……マルスは死んだ!!」

 

『ざけるなよ!お前が居なくなってから御門先生や雪音さん、アインハルト、ノーヴェ、千冬さんがどんな気持ちだったのかわかるのかよ!!』

 

ナガスミの言葉が突き刺さる…一瞬、御門、クリス、ノーヴェ、アインハルト、千冬の顔が浮かぶ。どれも哀しみに彩られていた。ソレを振り払うようにアームレイカーを握り締め、リナーシタの胴へケリを入れ距離を取ろうとした時、接近反応と同時に背後に影が浮かぶ

 

 

「くっ!」

 

ソードメイスがエクシェスの胴を袈裟に殴りつけた。激しい衝撃がコックピットを揺らしながらも耐え体勢を立て直した…2対1の状況、周囲にはさきほどまであやっつていたMSの残骸、全てがバルバトスに駆逐されたモノを見ながら冷静に状況確認する

 

(…ツバサ、バルバトスのリミッター解除による機動性向上に加えてエイハヴリアクターのパワー、ナガスミのリナーシタのトライツバーク……オレが整備し改良しただけはあるか………予定通り戦線は分散、各戦線は膠着状態、全てミッションプラン通りだ。あとは…)

 

 

『アレス……もう一度いうよ…復讐なんてやめるんだ』

 

 

『マルス!こんなことしても何一つ救われない…何も変わらないんだ!!』

 

 

ビルの瓦礫にバルバトス、空にリナーシタの呼びかけに無言で佇むエクシェス…しかし3機のコックピットに高熱原体反応を示すアラートが鳴る、反応は自分達の真上からだ

 

『ツバサ!アレは!!』

 

 

『…ひくよ!』

 

 

雲一つない蒼空から目映い光、極太のレーザー光線が着弾。3機が離脱する中、ビルの瓦礫や無傷だった建造物を融かし蒸発、光に飲まれながら消えていく。熱と破壊の嵐が収まり見えたのは巨大なクレーター。ソレを目にし二人は冷や汗を流した

 

『これは…レーザー攻撃……まさか!!』

 

 

『エクスカリバーがイギリスに攻撃を?……』

 

 

「敵を倒すために自らの国を灼くか…民が住まう街ごと、コレがイギリス政府のザフトへの答えか?ツバサ、ナガスミ……(ち、出力を落とし切れなかったか…次の第二射までは10分かかるか。さあどう出るGspirit隊、ATAG、大東貴一?綾崎翔真?…《第三の矢》を撃つ頃合か)」

 

 

唖然とするツバサ、ナガスミを俯瞰し腕組む復讐の悪魔エクシェス、アレス・ルセディス。イギリスを追い詰め未だ姿を見せない大東貴一、ATAG、戦場にいるであろう綾崎翔真へと問うも答えはない

 

 

「………ツバサ、ナガスミ、お前達はコレを見てなにも感じないのか。ソレスタルビーイングは一個人。一国家を守るためにあるのか?あの少女《エクシア・カリバーン》の命を弄び兵器に組み込み道具として使う国家《イギリス》は紛争幇助対象ではないのか?お前達のCBの掲げる理念は所詮は借り物だ」

 

 

かつての友の言葉が響いた

 

────────

──────

 

 

「く、ここまで私を!」

 

 

「ふふ、どうしたのかしら?貴女の力はその程度かしら?ツバサ・カザナリ!!」

 

 

「巫山戯るな!防人たる私の刃を舐めるな!!」

 

 

アヴァランチエクシア、ガンダムガングニール、槍と刃がぶつかりしのぎを削る…その様はまるで剣舞とも言える。何合か撃ちあい斬りつける。しかし槍に受け流された刃は決定打を与えることが無い。間合いを取る翼は想う

 

 

「(く、ここまで私の世界のマリアと同じ声と打とは…ふふ昂ぶらせてくれる)……」

 

 

「防人の刃、その程度かしら?買いかぶったみたいね…」

 

 

「まだだ!私の刃は折れてはおらず、全て見せてはいない!」

 

 

「そう、ならば………貴女の防人たる刃、折らせてもらうわ……………(隊長、使わせて頂きます)」

 

 

ガングニールのコックピット、マリアは胸元にあるペンダントを手にし、正面コンソールが半分開き現れた差し込み口に迷わず入れ、胸に浮かぶ言葉を紡ぐGNソードを振るあえ繋がれた接触回線越しに聞いた翼は目を見開いた

 

「せ、聖詠っ!まさか!?」

 

 

「《─Granzizel bilfen gungnir zizzl……………─》」

 

 

目映い光に弾かれたアヴァランチエクシア…そのコックピット内で翼は見た…ガンダムガングニールの装甲がマリアの歌声が響く中で分解、漆黒とオレンジのラインが目立つ装甲へ再構築、手にした槍も分割再構築し電光を纏い漆黒のマントがたなびく姿におもわず声が漏れた

 

 

「シ、シンフォギアだと!?」

 

僅かに剣先が鈍る。その隙を見逃さずアームドギア化した漆黒の槍がGNソードを弾き肩部GNバーニアを貫き、右腕が吹き飛んだ

 

 

「ぐ、まだ私は折れてはいない!」

 

「そう。ならば私の歌で折らせてもらうわ!!」

 

 

響いた歌と共に槍の応酬が迫る、左腕にGNブレイドを構えるアヴァランチエクシアの躰を刺し貫き横薙ぎに切り払われ右脚部アーマーが切り裂かれ吹き飛ぶ。機体フレームとバーニアが悲鳴を上げながら踏みとどまるも、追加されたアヴァランチユニットは半数喪失、吹き飛んだ肩口からはGN粒子が漏れ出し、GNブレイドも刃毀れしている

 

「く、ここまで力量の差が…」

 

「楽しかったわ。でも貴女の刃は私には届かない……これで終わりにしましょう!!」

 

 

槍を天にかざす。各パーツが展開し回転し金色のエネルギーが歌、いやフォニックゲインの高まりと共に溢れ荒ぶる光が穂先に集まる

 

 

      ─HORIZON†SPEAR─

 

「塵芥となってきえなさい!!」

 

「………く!」

 

フォニックゲインによりました極光がアヴァランチエクシアを飲み込み装甲を融かし。瞬く間に爆発した…いや手応えが無い、舞い散る破片を見て気づいた

 

 

「装甲を囮にした……やるわね」

 

 

光に飲まれた瞬間、翼は残ったアヴァランチユニットをパージし内部に蓄積されたGN粒子を自爆させ離脱したのだと。しかもGN粒子の電波阻害によるセンサー類の撹乱も兼ねた策に賞賛の気持ちを抱いていた

 

 

「次に会うときこそ、決着をつけましょう……ツバサ・カザナリ」

 

排熱を終え各部が閉じたアームドギアである槍を振るい、再戦を期待する自分の心を落ち着け、膠着している戦線へとG・ガングニールを飛翔させた

 

 

 

PHASE-113 イギリス防衛戦 6《side:ARES》

 

 

 




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PHASE123? イギリス防衛戦7~8・5─Tiefschwarz・Teufel(漆黒の魔人・序章)─side:ARES─

歌姫の声が戦場に木霊する


「………(予定通り食いついたか)」

 

瞳を赤金に輝かせながらナガスミ、ツバサいやバルバトスルプス、リナーシタと距離を取りながら内心で呟いた…思考を分離し接続したヴェーダ、衛星軌道上にある全ての監視衛星から送られてきたのは最大望遠で捉えられた高出力レーザ砲内蔵軍事衛星エクスカリバー。その周りに展開する部隊のヴィジョンが脳裏に投影された

 

(………別働隊を率いてエクスカリバーを制圧するために大東は宇宙に上がったわけか…………コレで《全てのピース》が揃った)

 

 

幾つも分離した思考を一つに戻し、赤金の瞳が一際輝かせヒートグロゥヴを構える…エクスカリバー制圧は予想していたからだ。ヴェーダを使わず自身の魔術回路(サーキット)を使い分離した思考人格を霊子化(プログラム)、各種衛星を掌握(ハッキング)しおのが目とし監視のみに務めていた。まさか、あの世界で学んだ魔術知識(メイガス/ウィザード)を使うとは誰が予想できただろうか?

 

オカルトであろうと使えるモノは使う、そう彼女から学んでいたのもある

 

 

 

─坊や、相手が様々な手練手管を使うのを得意とするならば、その相手が取るべきであろう戦術、戦略を予想し逆手に取り利用できるように組み上げなさいな─

 

 

─逆手にとり利用出来るように……か?─

 

 

─ええ、さあコレも課題にしますわ。坊や?─

 

 

 

 

自分にとって師とも言えるユーナ・クロスハートとのやりとりを思いだしながら、最期のピースを嵌める時を伺う

 

 

後に《漆黒の魔人》と畏怖され、憎悪の目を集めることになるまで、あと僅かな時を擁する

 

 

 

 

PHASE1??イギリス防衛戦XX─Tiefschwarz・Teufel(漆黒の魔人・序章)─side:ARES

 

 

ビームと実弾、ミサイルがイギリスの空を彩り街が火に包まれMSが無残な骸をさらす中、白と黒が空を駆ける

 

 

「やるね!」

 

 

「…ち、速い」

 

 

純白の機影はZGMF-124《ウーンドウォート》、対するは漆黒、GAT-X105E《ストライクノワール》だ。コンポジットシールドブースターを構えメガ粒子砲を三度撃つもバレルロールし回避、フラガラッハビームサーベルを抜きはなつも、ヒートブーレド(耐ビームコーティング済み)で防ぎ鍔迫り合い、何度も刃を打ち付けるロラン、スゥエン

 

 

「細身でこのパワーとビーム出力。化け物か!!」

 

 

「さすがは大戦の英雄が駆った機体の後継機なだけはあるね…でもまだだ!!」

 

 

軽くコンソールを叩く。右手に構えたコンポジットシールドブースターが瞬く間に変形、ウサギにも似た小型MAが二方向から迫る

 

 

「っ!MA型の誘導兵器だと!?」

 

 

ビームライフルショーティを構えリニアカノン展開、同時に一斉射でMAを牽制、接近するウーンドウォート・ラーのヒートブーレドをフラガラッハビームブレイドで防ぐ、接触回線がひらいた

 

 

「やるじゃないか…彼と戦った時以来だよ」

 

「彼?こんな時に惚け話か!!」

 

 

「そうとも言えるかな…この機体は私の初めての彼氏…アレスが作り上げたモノだからね」

 

 

「アレス……奴が作った…だと!?」

 

 

ヒートブーレドをバーニアを全開にフラガラッハビームブレイドで打ちつけ離れたルウェン。じわりと汗が頬を伝う

 

「(マルス……いやアレスが作った機体だと?MS設計が出来るのは知っていた…それより戦ってみてわかったが……この機体から何かを、まるで…いや今はトレミーに近づけるわけにはいかない)」

 

 

「へえ、まだやるんだね……」

 

 

声で笑いながらも鋭い眼差しを向けるロラン、しかしルウェンは内心焦る。ウーンドウォートを駆る彼女が口にした言葉が真実で、もし万が一にトレミーに近づいて戦い、音声を拾われたらどうなるか…

 

「ああ……(…雪音、御門、ナカジマ、ストラトス、織斑が鬼になる、ソレだけは避けなければ)」

 

 

ルウェンの脳裏に浮かぶのは、簀巻きにされ吊され冷や汗をだらだら流すツバサ、鬼のようなオーラを浮かばせながら笑顔でオハナシする五人…

 

その空気に耐えられず涙目になるティアーユを必死になだめていた。これ以上火に油を注げばとんでもないことになると、マルスことアレスを軽く恨みながらフラガラッハビームブレイドを構えた

 

─────────

────

 

イギリス防衛戦、湾岸部…ザフトとイギリス防衛軍による戦闘は苛烈さをましていた。ビームサーベルが煌めきミサイルとビーム弾の交錯し一進一退の様相を見せていた

 

その中に巨大な鎌を振り回し、機体を覆うほどの回転円刃で防衛軍を撫で斬る二体のMS…VS/GS-02《イガリマ》、VS/GS-03《シュルシャガナ》の姿があった

 

「もう~うじゃうじゃ大盛り団体さんデスよ!!」

 

 

「切ちゃん…落ち着いて……でも数が多い」

 

 

うんざりとしながらM1アストレイ3体を纏めて巨大鎌を振るい真っ二つに斬り捨てる切歌、背中をあわせるように調もキンゲツリンを解除し見るのは、新たな増援を知らせるアラートに二人は首に掛かるペンダント、シンフォギアシステムを手にした

 

「ならば勿体ぶらずお披露目するデスよ!」

 

 

「うん…いくよ」

 

 

─Zeios igalima raizen tron………─

 

─Various shul shagana tron……─

 

 

聖詠が戦場に木霊し、赤と緑の光がイガリマ、シュルシャガナを包む…光の中で各部装甲が分解、再構築され現れたのは戦女神ザババの刃が一振り《紅刃シュルシャガナ》の名を冠するVS/GS-03EX《シュルシャガナ》、そして二振り《碧刃イガリマ》VS/GS-02EX《イガリマ》が姿を現す

 

 

「行くですよ調!」

 

 

「うん、切ちゃん」

 

 

『危険信号点滅、地獄極楽どっちがいいDeath─』

 

 

『二つ結びの輪廻、お仕置きのスタート─』

 

 

「な、なんだ!これは歌?(痛みが無い?)」

 

 

「こ、これってDiVAの……(なんだろ力が湧いてくる)」

 

 

疲弊したザフトMS部隊の躰に染み渡る歌声…戦陣を切り翆刃の大鎌を振るイガリマ、禁月輪を駆り駆逐するシュルシャガナ…常軌を逸した戦闘力と二人のフォニックゲインが重なり戦場に響く。その姿に鼓舞され再び立ち上がった

 

 

「DiVAが、俺達の為に戦ってるんだ!気合いいれて行くぞ!」

 

 

「胸が熱くなる歌を聞いたならやるしかないでしょう!」

 

 

世界規模のアイドルグループ《DiVA》、その歌と戦う姿はザフト兵の士気を高めていく。アイドルとしてステージに立った二人にとってフォニックゲイン増幅相乗効果となり現れた

 

 

(ち、力が上がって行くデス!)

 

 

(まるでステージに立った時と同じ…ううんこれはあの時と…)

 

 

 

─切歌、調、スゴく上手いよ─

 

 

はにかんだ笑顔で褒めるタスクの姿が浮かぶ…コレが二人がタスクを好きになったきっかけ…その時の想いがアームドギアに変化をもたらし歌に想いが込められ、イガリマの肩部バーニアとアームドギアである碧刃の鎌、シュルシャガナの禁月輪が巨大化、構えた

 

 

「コレでぇ決めるデェス!(タスクといちゃLOVEするために!)」

 

 

「うん、いこ切ちゃん!(一番は切ちゃんに。私は二番目でいいよ)」

 

─災輪・TぃN渦ぁBェル《さいりん・ティンカーベル》!!─

 

 

 

─β式 獄糸乱舞─

 

歌と共に放たれた深緑の独楽、禁月輪から繰り出された必殺の一撃がはイギリス防衛軍MS十数体を切り刻み、断罪していく様は疾風怒涛の嵐でしかない。反面ザフト兵の目には戦場に舞う歌姫と誰の目からでも映る

 

「隊長、このままでは前線が維持できません!」

 

「な、なんてMSを作り上げたんだ……まさに一騎当千だ!!」

 

 

悲鳴にも似た叫びを上げるイギリス防衛軍MS部隊はATAGの面々の増援をくるのを待つしか無い。シンフォギアシステムの恐るべき力には、まだ底をあることすら知らないままに…

 

 

「……この歌?まさか暁、月読までいるのか?」

 

 

新型機を受領した防人とザババの双刃が出会うまであと僅か……

 

 

PHASE1??イギリス防衛戦XX─Tiefschwarz・Teufel(漆黒の魔人・序章)─side:ARES

 

 

 

 

 




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PHASE123? イギリス防衛戦XX─Tiefschwarz・Teufel(漆黒の魔人・顕界)─side:ARES─

漆黒の魔人、顕現…


全てを覆す魔人…アレスの狂気を知れ


やり過ぎてしまいましたので改訂版と差し替えました


「何が言いたい!」

 

『私に復讐すると誓った癖にこの程度なのか?ヴェーダを取られたらはいお終いなのか?もしそうなら期待外れだよ』

 

「っ!言わせておけば!」

 

粒子鋼刀ハウルスブレードを構え斬りかかるが、蹴りで刃の側面を蹴りつけられ。弾かれるがなんとか踏みこたえた…各部サーキットの反応が鈍い。ち、別なバイパスに繋ぐ

 

気づけば綾崎翔真のダブルオーライザーの姿が無い…ツバサのバルバトスも……オレの仇の一人がいない

 

 

『戦略とは頭で考えるものだ。君ならヴェーダに頼らず、私の予想外な策を一つや二つ隠している事は分かっている。だが、其れをしても無意味だ。君は無駄な努力をしているに過ぎない事を気付くべきだよ』

 

「巫山戯るな!お前とGspirits隊に復讐するためにに今まで準備をして来たんだ!」

 

『無意味だと言ったのが分からないかい?我々に精神攻撃をしても無駄だよ。少なくとも復讐だけが行動原理で、プレシアに利用されている今の君如きじゃあ私を殺せないよ』

 

耳障りな声がコックピットに響く中、怒りを静め深呼吸する……グングニルを使うのは想定していなかったが