魔法少女リリカルなのは 愚王と転生者 (ニーガタの英霊)
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落ちこぼれだからと言って家を追い出されるとか現実に考えてあるわけないだろ

 クリスマス短編だ! 一日早い? 知るか関係ねぇ!
 時間設定はA´sとStsの間ぐらいだ! コメディかシリアスかはわからん!


 

「くそっ! なんでだ!? デバイスが・・・・・・!」

 

 ミッドチルダの路地裏を進んだその先、いわゆるスラム街と言われるその場所の一角にて、そのテロ組織があった。いわゆる反社会組織であり、スラム街では薬物売買や、デバイスの横流し等を行ってきたそこに今、地上本部の手が伸びた、ただそれだけのこと。

 

 しかし、テロ組織も馬鹿ではない、こういったときの為にデバイスを抱え込み、捜査と同時に破壊活動を起こすことで混乱に際し組織重役が生き延びる配慮をしていたのだ。

 しかし、何ということか、そのデバイスが何ら反応を示さない。別段偽物をつかまされたわけではない、なぜならこれは彼らが普段使っているデバイスなのだ。別段壊れている訳ではないし、構成員の中にはエンジニアとしての技能を持つ者もいる。

 

「当たり前だ、糞ども。何せそういう風にしているからな」

 

 突如として現れた男、制服を見るに地上本部の部隊だ。

 

「お前ら、まさか・・・・・・!?」

 

「ご明察、地上本部、テロ対策実働隊だ。神妙にお縄に着きな」

 

 対テロ対策基本部、裏に通じている者ならまず知っている地上本部で新たに作られたミッド周辺で起こるテロ行為を取り締まる新規部隊であり、目の前のそれはそこの実働部隊と言うことになる。

 目の前の男はおそらくその部隊の隊長であろう。

 黒髪碧眼の鋭い目つきの青年、テオドール・ケスラーはテロリストを嘲笑するかのように睨み嗤う。

 

「くそッ!」

 

 瞬間、自棄になったテロリストがデバイスを鈍器として迫りくるも、テオドールは極めて冷静に対処にあたる。

 腕をつかみ、ひねり、ねじり、ゴキッっという鈍い音を響かせテロリストの腕を折る。しかもご丁寧に驚くべき速さでその他四肢の関節を外してテロリストの無力化に成功した。

 

「さて、総員突撃。場合によって抵抗すれば殺して構わん。何せ我々は弱いのだからな」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 実働部隊で目を見張るのはその装備だろう、何せ彼らの武装はすべてが魔法、リンカーコアに頼らない科学兵器であるのだから。

 勿論、隊員はデバイスも所持しているが、それは一応という護身が主であった。

 

『ケスラー隊長、内部の制圧を完了、主犯の取り押さえに成功いたしました』

 

「了解した、すぐさま戻ってこい。護送車の配備を急がせろ!」

 

 こうして、テオドール・ケスラーの職務はつつがなく進行させられる。

 

『やれやれ、まだ荒事は苦手かテオ』

 

「当たり前だ、そもそもお前と出会うことが無ければ今頃は評議員目指して頑張っていたところだよコルネリウス」

 

 己のネックレスから漏れ出す若い男性の声、彼のデバイスとされるコルネリウスである。しかし、ただのデバイスと驚くなかれ、そのデバイスは古代ベルカ諸王時代の記憶を受け継ぐとある王の記憶を映したロストロギアであった。

 

『ははは、愚王程度の出会いで変わるものかよ。その地位は自らの手で得たものだよテオ。謙遜も過ぎればと言うぞ』

 

「毎度思うが、お前が愚王など信じられんよ。全く」

 

 ケスラーとコルネリウスの出会いは実家の倉庫でのこと。現代日本から転生したテオドールはいわゆる名家の一角で、地元では文字通り地主であり名士であった。

 父は教会に勤めるベルカの騎士であり、母もまた優秀な魔導士であった。

 しかし、己は魔法という物に対してんで駄目な人間で、魔法を使えない文字通りの落ちこぼれであった。しかし、その程度で父母の愛情が薄れるわけではなく、生来頭の良かったテオドールは評議会議員を目指しての勉学に励んでいたころ、書斎の書物で満足できなくなったテオドールは倉庫であるネックレスを見つけた。

 

 そう、それこそが古代ベルカ諸王時代において実在したリヒトラウム王国の『愚王』コルネリウス・グロスハイムの記憶を封じられたロストロギアとの出会いであった。

 

 彼との出会いによって判明した己の本当の能力である希少技能『リンカーコアの無効化』という反則もいいところの能力によって、テオドールは一転、士官学校へと進み、現在20という年齢で地上本部テロ対策基本部実働部隊部隊長テオドール・ケスラー一等陸尉という大層な肩書きを背負ってしまったのだ。

 

『まあいいだろう。今回の電撃作戦によってレジアスの覚えも目出度くなるぞ。昇進もあり得るな、テオドール・ケスラー三等陸尉』

 

「からかうなコルネリウス」

 

 そう、彼こそが地上本部レジアス・ゲイズの懐刀であり、次元管理局の中でも知る人ぞ知る人間『封魔』テオドール・ケスラーである。

 

「そもそも、地上本部なんて、唯一俺が力を発揮できる場所だぞ。高ランクの魔導士がいないなんてだけで相手の長所を潰すことも無いからな。海なんてうっかり船で能力使ったら次元の波に飲み込まれてお陀仏だ」

 

『まあ、それが俺の悪いところだな。おかげで専守防衛には強かったが、攻め込むのは苦手だったしな。おとなしく内政してみれば、周りはどんどん兵器開発、戦争なんてどんどん旗色が悪くなっていったんだ』

 

「だからって、わざわざ『愚王』のなじりを受けることはなかったんじゃないのか?」

 

『いいや、あれが一番国を守るための最善だったんだ。まさか、残した弟妹があんな馬鹿をやるなんてな。だが、そのおかげでお前がこうして生きているなら感無量さ。セルジュークは本当に俺に過ぎた男だよ』

 

「アーデルハイトは?」

 

『黙秘権を使わせてもらうぜ。いやさ、俺もドン引きだよ。あの計画だけはさ』

 

 若かりし少年のように笑うコルネリウス。

 過酷な運命を背負い、最期まで最善を思い行動し、そして死んだ王。

 後世にてどれ程のなじりを受けようと民にとって、そして家族にとっての幸福を第一に考えた王。

 

 そんな彼とテオドールは歩む、この人生を。

 きっと大丈夫、コイツがいるから俺は大丈夫だと、どんな困難も乗り越えていけると信じて歩み続ける。

 

 このミッドで起こるどんな悪意だろうと跳ね返して、最高の結末を掴んでやると信じて戦うのだ。

 




テオドール「海? 本局? いや、高ランクの魔導士の能力を無効化するのはちょっと・・・・・・」
レジアス「本人もこういっているから仕方ありませんよね、何せそっちは優秀な魔導士が多いんですから? 教会? 彼を無能扱いしたのはどこの誰でしょうかねぇ?」

 なおレジアス本人はテオドールを後継と定めてロックオンしてる模様。本来なら政治に関与する仕事を目指していたため腹芸や事務に関しても優秀、実働部隊にいるのは伯付けのため。


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設定資料集

 足りないところは設定資料で補う。これが短編にのみ許された業・・・・・・!


 愚王

 コルネリウス・グロスハイム

 古代ベルカ緒王時代の王であり、ベルカでも小国であるリヒトラウム王国の王。

 通称『愚王』。諸王時代中期に国家を滅ぼしたいわゆる袁術ポジ。

 しかし本来は計算高く狡猾な謀略家であり、国に対しては善政を敷いていた王であり、本来は王国の次男であり皇位継承権を持たない落ちこぼれ。

 しかし彼の持つ希少技能はリンカーコアの無効化という凶悪なものであり、あらゆる魔術に対するアンチスキルであった。後に先王である兄の死後、兄妹たちを退け王位に立つ。

 自身が信頼した宰相アーデルハイト・ゼールバッハの助力もあったが、それ以上にただの愚者に出来る所業ではないだろう。

 彼の功績は彼の国を滅ぼした国の正統性と彼の兄弟たちによって捻じ曲げられ愚王のなじりを受けることになった。

 性格は極めて善良であり、皇位継承に負けた兄弟たちに対しても命は奪わなかった。その点敵に対しては容赦なく立ち回る当たり、随分と敵のヘイトを買う人間。

 諸王時代にあっても外敵に対し矛先をやんわりと別方向に向けさせるなど粘り強い外交交渉を行ってきたが、聖王オリヴィエや覇王イングヴァルドなど早々たる面々に対しては最終勝利者が聖王家であると予測し、自身の首を差し出すことによって領土を侵されることなく守り抜いた。

 俗説では最期まで命乞いをした等言われているが、これは宰相との密接な打ち合わせの結果彼は愚王に、王の首を差し出した宰相は卑怯者のなじりを受けながら後世を生き抜いた。

 後に彼の遺児はリヒトラウムの近衛騎士であり、戦争を最前線にて戦ったセルジューク・ケスラーの下で養育され現代にいたる。

 金髪碧眼であり、見目の整った男性であり、リンカーコアが使えない代わりにそれを補って余る体術・武術センスを持ち、どのような相手であろうと技を通す日本でいう骨法や柔術等を独自で作り上げた。魔法を基本的に扱えない弱者故に剛よく柔を制すといったところであるが、その気になればバリアジャケット展開時であろうと殺すことも可能であり、殺さずに止めようと思えば腕の一本や二本を折ったり関節を外したり、場合によっては二度と使い物にならないようにする。

 しかし、本業はもっぱら謀略と内政であり、のちに故国は彼の兄妹とそれを征討する覇王や聖王に蹂躙されることになる。このときに活躍したのが、唯一王と宰相の命によりテオドールの祖先である愚王の血筋を密かに預かったセルジュークであり、リヒトラウム一帯を治める地主として聖王に仕えることになった。

 なお、嫁さんは後に雷帝を排出するダールグリュン家から迎えており、ヴィクトーリアとは遠縁であったりする。

 清濁飲み合わせるレジアスを個人的に気に入っている。

 

 

 転生者

 テオドール・ケスラー

 ベルカのリヒトラウムに住む地主でそれなりの資産を持つ家系に生まれたケスラー家の嫡男。

 実際はリヒトラウム一帯を治める愚王グロスハイムの血筋であり、正統な当主である。

 しかし、その事実は諸王時代の騎士セルジューク・ケスラーが口を固く閉ざしたことにより失われた真実となったが、ある日倉庫の奥から見つけたネックレスを見つけたことにより彼の生涯は変化する。

 それは特殊な条件下でのみ発動する愚王コルネリウスの記憶が封じられたネックレスであった。

 そしてその特殊条件下とは

 ①グロスハイムの血筋であること

 ②コルネリウスと同じ希少技能保持者であること

 ③愚王コルネリウス・グロスハイムの記憶継承者であること

 の三つであり、本来は愚王コルネリウス再誕の為の道具であり、宰相アーデルハイトがつくりあげた保持者の肉体を乗っ取り愚王コルネリウスを現代へと蘇らせるロストロギアであった。

 しかし、実際のところテオドールは記憶継承者ではなく、転生者であったため③の認識が微妙にずれたことによってその支配から抜け出すことに成功。

 ご先祖様である愚王コルネリウスと共にいろいろな難解な事件に挑む物語となった。

 なお、このネックレスはコルネリウスの記憶が封じているだけではなく、生前コルネリウスが叶わなかったバリアジャケットの展開が可能であるという代物。(無効化と無効化を合わせて互いに能力を打ち消し合った結果、自身にのみ魔術の使用が可能という鬼畜性能)作者の愛が感じられる一品である。

 見た目は黒髪に碧眼であり整っているが、目つきが悪くどこのヤクザの家かと呼ばれることもある。

 騎士である父からは息子に騎士としての才能がないと分かっておりひたすら勉強させているが、コルネリウスのネックレスを持ったことにより生活が激変した人。なんか最終的に地上本部の一尉になっていた。

 




アーデルハイト「できたわよセルジューク! あのお方を取り戻すための力よ!」
セルジューク「はいはい、しまっちゃおうねー」


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