境界線のサタン「あるいは、身近な大切な人~」 (宍戸靱)
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悲劇

1995年1月17日午前5時46分

兵庫県神戸市

このとき世界が停止した。

 

瓦礫の中少年はつぶれた自分の家の下敷きの中思った。

 

「これは何の冗談だ、、、」

 

自分の置かれてる状況、突然の地震。

 

「僕が何か悪いことをしたのか?

それとも別な何かなのか僕があんなことを願ったせいなのかな?」

 

少年は潰れた屋根の中で過去の記憶が次々と呼び起こされていた。

少年の歳は5歳。

 

もうそろそろ小学生になる歳。

 

保育所では先生に虐待を受け、

それに支配される自分と同い年の子供たち。

 

昼寝ができないから頭を殴られたり、

自分が気に食わないと思ったら腕をつかまれ

裏に連れていかれて蹴られて痣をつけられる始末。

 

家に帰れば自分の親は父が会社のストレスを母親にぶつける毎日。

そんな日常的に暴力が絶えない毎日の中に少年は居た。

 

そのとき少年の心の願いは、

 

「こんな毎日潰れてしまえばいいのに」

 

それから三日後、

歴史に残る大地震が起こった。

少年の願いが届くように。

毎日は崩壊した。

 

ふと少年は、

 

過酷な保育所で自分のたった一人の親友のことを思い出し。

大丈夫かなと薄れゆく意識の中思っていた。

この時はまだ明け方1月の寒さが少年に必要な体力をどんどん奪っていく。

 

ねえ、ねえ、大丈夫?

 

誰かの声がする

 

「ねえ、答えてよ!ねえ!」

 

すがるような声、

そして少年はまどろみから救われるように目を開けその声のする女の子の姿を見た、

自分と年はさほど変わらない少し彼女のほうが年上に見えた。

 

「よかった~、待ってて、今助けを呼んでくる」

 

すぐさま少女は、

生きてる人に助けを呼び大人を二人呼んでくることに成功して瓦礫をどかして少年を救助した。

一人は30代前半の男の人で、

もう一人は40代のこちらも男の人だ。

 

幸いに少年は自分のベットが瓦礫を支える形で崩れたせいでその隙間に挟まる形になっていたのだ。

 

「お父さんとお母さんはがまだ中に、」

 

そういわれ二人はまた中をのぞいて

 

「駄目だ!柱につぶされているもう助からない!」

 

普通なら掴み掛ってでも説得してあるいは自分で助けようとする所。

 

少年は、

 

「そうですか、」

 

と自分でも驚くぐらい冷めた声で言葉を吐き出した。

 

そんな時少女は、

 

「一緒に安全な場所に行こう」

 

少年はしぶしぶうなずいて、二人の大人も

 

「そうだな、ここにいたら危ない。

あっちこっちで火災が起きている。」

 

そういわれあたりを見回すとあっちこっちで火の手が上がっており遠くから悲鳴と爆発音まで聞こえてくる。

 

もう一人の40代の男の人は思考をめぐらしている様子。

 

「確か、ここから近い避難所だと公民館がある。

あそこは耐震工事がされていたはずだ。」

 

そう言って大人の二人に避難所の公民館のほうへと連れていってもらい無事保護されました。

 

これは、一人の少年と少女が幸せになり、

 

そして、

 

復讐の野望を持った者の

 

命がけの恋愛ドラマである…

 

 



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2話出会い

・・

 

・・・

 

近くの公民館に避難して来た。

自分たちと同じように。避難して来た人たちも10数人は超えていたこれからもっと増えていくのだろう。

 

先ほど自分の家から助けてくれた少女と大人二人の名前を少年は、手をつないだ形で紹介された40代の人は大野哲也(おおのてつや)さん。

 

眼鏡をかけていて顔にはちょっと皺が出ていた。

独身である。

 

話を聞くと新聞配達をしている最中に地震にあったんだとか。

 

もう一人の30代の人は鍋島博一(なべしまひろかず)さん。

こちらのほうは、会社員で凛とした顔立ち幸いにもトイレにいて助かったと本人は言う。

 

妻と息子は丁度福岡に言っており明日帰る予定だったんだとか。

 

助けてくれた少女の名前は、

「私の名前は宇佐美晴(ハレ)よ、気軽に晴って読んでね。あなたの名前は?」

彼女は微笑みながら自己紹介をした。髪は肩口まで伸びており、左の耳には髪飾りをつけていた。

見てくれは結構可愛い。

妙に馴れ馴れしいと感じた僕だが、

一応自己紹介を渋々する「サ・ト・ウ、、、カズトシ、おっと」

 

手をつないで歩かないと足元がおぼつかないきっとさっき寝てるときに体温を奪われたせいだと気付く、靴は家出を勝手にできるようにベットの下にもう一足隠してあるのを履いた。

 

僕の倒れそうな体を宇佐美さんは支えてくれた「ありがとう、」

そんなやり取りをしている間に公民館が見えてきた。

そして大野さんが「ついたぞ。」と一声それから鍋島さんが「もう結構人きてるな~」

大野「こりゃもっといっぱい来るぞー、怪我人も沢山」

鍋島「忙しくなりますね。」

大野「ああ」、

公民館に避難して、僕は過酷な保育所で親友だった男の子のことが心配だった。

・・

・・・

名前は鮫島真君、

 

自分よりも行動力が人一倍遅く弱くて先生の虐めの標的にされていた。

 

先生の名前は久美京子

大学卒業後保育免許をとってここ神戸市にやってきた。

最初はいい先生だと思っていた。

 

美人だし年齢もまだ30歳入っていなかった。

が本当の目的は日常的なストレスの解消だった。

 

自分より弱い者を支配して教育した気になってそれでお金をもらっている屑人間だった。

 

チクろうとする奴は片っ端から、暴力の限りを尽くされた。あるものは指揮棒で腕を叩かれあるものは壁を蹴っ飛ばして強制的に黙らせるなど。

 

人間とは思えない行動を次々ととるようになった。

何故警察に捕まらないのか不思議でしょうがなかった。

 

特に真君はひどかった、一回僕はその仕打ちに耐えられなくて自分の母親に真実を打ち明けて何とかしてもらうように呼びかけた、

 

だが「他人の心配なんてしてる場合じゃないでしょう。私だって生きるか死ぬか大変なんだし」

と身体があざだらけの母親は死んだ魚のような眼をしてそう言った。

 

それがどういうわけかどこから情報が漏れたか分からず。

次の日先生は朝から不機嫌で。

僕と、誠君を裏に呼びつけた、

何故誠君も呼ばれたのかな僕は不思議だった。

 

そしてタバコに火をつけて煙を吹かすと。

 

「お前私のこと親にチクろうとしなかったか?」

 

と背筋も凍るような声と眼で質問されて。

 

「いいえ」

 

と答えると、

 

「嘘はいけないねえ、嘘は」

といいつつ僕の隣の誠君を捕まえて。

 

「嘘をつく子には、おしおきをしなくちゃねえ」

 

といい誠君の服を捲し上げて「やめてください!どうして誠君なんですか!?」

 

と言って掴み掛ったが大人の力は凄まじく僕は先生に蹴っ飛ばされ。

 

そして、

「あなたを痛めつけてもしょうがないから今度私のことを誰かに言おうとしたらどうなるのかを教えないと、ククク、痛いわよぉ~自分のせいで誰かが傷つくのは」と言いつつ誠君のおなかに煙草を押し付けた。

 

「うわあああん!うわあああん!」

「泣いたって無駄なんだよ、ここはね防音工事が施されてるから簡単には叫び声もきこえないの。ザーンネンははは!!」

そんな親友の鳴き声を僕は黙って聞くしかなかった。

泣きながら、ただただ泣きながら壁にもたれるような形で、

(なんだよこれ)、(なんなんだよこれ!!ふざけんなよ!!!)

・・

・・・

「おーい」

目の前で誰かが手を振っている

「おーい」

「…っわあ!」

気が付いたら目の前に宇佐美さんがいた。

少女は不思議そうな顔でやや控え気味に。

 

「どうしたのさっきからボーっとして怖そうな顔して?もしかして言いたくないけどさっきの両親のこと?」

 

彼女は心配そうな顔をして問うてきた?

「ん、ああ、そんなとこ」

そっけなく答える。

 

「ごめん」

と何故か少女が謝る。

「どうして君が謝るの?」

「いや、触れちゃいけないことだと思って、私って嫌な奴だよね。」

という彼女に僕は、

 

「そんなことないよ心配してくれたんでしょ?」

ふと僕は、少女のことが気になった、

「ねぇ、君の両親は?」

尋ねると、

 

「お父さんは韓国にバイオリンの演奏しにコンサートに行ってる。

 

何かのアレンジ楽曲を弾いてるんだけど今は母親と二人暮らしなんだけど母は、私をかばってそのまま下敷きに…」

 

ふと少女の瞳から一筋の涙が、

「ごめんなさい。」

 

僕はどうしたらいいかわからずうつむいていると、

「ねぇ、せっかくだし遊ぼうよ」

 

と少女は言い出した。

 

僕はどうしてこの少女はこんなに強いのだろうかと不思議に思っていた。

そして僕は少女に手を引かれて公民館の中を散策することにした。

 

 

・・・

ラジオ番組

「今日午前5時46分に淡路島北部の明石海峡(あかしかいきょう)を震源とするマ巨大地震が発生しました。

震源の深さは16Km地震の規模を示すマグニチュードは7・3、震度は7強この地震で現在確認されている死者数は100人です」

 

死者の名前を読み上げるキャスター、「佐藤実さん、鈴木信利さん、鮫島真さん・・・」

 

後日、僕の親友の死が伝わったのは僕が避難所生活5日目を迎えた時であった。

 

第3話に続く。

 

 

 



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3別れ

公民館内は、

見た目によらず意外と広かった、

玄関から入って渡り廊下の右にはキッチンがあったあれだけ揺れたにもかかわらず。

 

食器の中身はさほど割れていなかった。

 

その次の部屋には畳六畳の広さで入ると壁と壁の隙間にテレビがあった。

 

つけてみる、

 

反応なし。

 

テレビ画面から反対には、

公民館の中で一番広い、

宴会とかに使う広場があった長机が廊下から左手側の舞台に見える。

 

結構人がいる。

 

でも子供は、

僕たちしかいない、

 

ひととおり探索を終えた僕たちは広場の隅で腰を下ろして体育座りをして話していると大野さんが現れて、

「君たちこんなところにいたのかい、あんまりうろつかないでよこっちも心配するからな。」

 

「はーい」返事をしたのは宇佐美さんで僕は黙ってこくりとうなずいた。

 

すると大野さんは、

「わずかではあるけど食べなさい」

と言って差し出したのはコッペパンだった。

 

イチゴジャムもちゃんとついている。

 

それから水を与えてくださった。

 

それから宇佐美さんは、「もう一人の方は?」鍋島さんのことを言っているのだろう。

 

すると、大野さんは「ああ。彼は他にも助かる人が居ないか探しに行ったよ」そう言って大野さんも、

「また私もいろいろとやらねばならないことが出来たから行くけどあまりうろつかないようにな」

 

と言ってその場を後にした。

 

僕と宇佐美さんは食べ終わった後もしばらく話をして、

 

それから僕たちは公民館で遊んだり手伝いをするようになったほとんど宇佐美さんが手伝って僕はその後ろをてくてくついていく形になった。

 

その後は二人で遊んだ、

かくれんぼをした、

鬼ごっこもしようとしたけれど大人の人に止められた。

 

そんなことをして4日過ぎたあたりにその知らせが届いた、

 

僕の保育所で共に地獄の中でもがきながらの毎日をともに過ごした親友、

 

鮫島真君が死亡した知らせが届いた。

僕はその人に「どんな死に方だったんですか?」と尋ねると。

 

「真君の家は全て焼けて、家族は焼死体だったそうだ。」

 

焼けた跡には家族はすでに死んでいて天井に潰されていた誠君は痕跡もないくらいに焼けていたという。

 

その事実に僕は信じられなくなり錯乱した状態で「嘘だ!真君が死ぬはずない!だって、何も悪いことはしてないじゃないか!何のために生まれてきたんだよ!」

 

様々な思いが稲妻のように浮かんでる中でそう言葉をぶつけるとその人はただ顔を伏せて涙声で、

 

「おくやみもうしあげます。」

 

そう言って逃げるように次の人に関係者の死を知らせに言ったのである。

 

彼は首にカメラを下げていたカメラマンである。

 

公民館にたどり着いたのは住所を割り出して関係のある人物を探り出してここに来たのだろう。

 

そして、

僕は公民館の裏で、泣きじゃくっていた。

やがて誰かの声がかかった。

 

「大丈夫?」

 

上から声がかかってきた宇佐美さんの声だった、僕はしばらく発作みたいな涙が止まらなかった。

 

やがて落ち着いてくると「ひぅ、僕の、ひぅ、、親友が死んじゃったんだ」そう答えまた泣いた。

 

やがて僕はいっぱいになって抱え込んでいたことを彼女に話していた保育所での出来事から家庭環境それから、その中で出会えた親友のことも。

 

それを言い終え彼女は黙って全部訊き終えた後おもむろに僕を抱きしめていた。

 

「辛かったね、、苦しかったね、、酷すぎるよね」きずいたら彼女も泣いていた。

 

彼女は同じ目にあったこともないのになぜこんなにも優しいのだろう。

 

そして僕は彼女のことが気になりだして次第に好きになっていった。

 

それから、

震災から1週間が過ぎた時、

 

彼女の引き取り手先が見つかった。

 

当分は父親と韓国で暮らすことになった。

 

僕は分かれる知らせを鍋島さんから聞かされた。

僕は彼女のもとに行き「嫌だ嫌だ、晴と別れたくない!」

泣きながらそういうと。

「大丈夫だよきっとまた会えるよ」と泣きそうな顔で言っていた僕が泣いているから彼女は泣かないと強がっているのが見え見えだ。

 

それでも僕は、

「ずっとそばにいて!もうひとりにしないで!」と彼女にすがろうとする「もう、泣き虫ねぇ、、、分かったじゃあ約束!私が生きてる間は絶対に会いに行くためにこれを持っていて」そう言って彼女は左につけていた物を渡した。それは、彼女がいつも左耳につけている綺麗なリボンの髪飾りだった。

 

「これを持っている限りあなたは、ひとりじゃない!」

それを僕に渡して「それじゃ、私はここを離れるけど頑張ってね、私も頑張るから、もう男の子なんだからそんな顔しないの。シャキッとしなさい!あなたなら大丈夫だから。」

 

そう勇気づけられて、

鍋島さんが「そろそろ時間だ」そう言い連れていこうとして僕は、

 

「待って!」と言って「また会えるよね!?絶対、絶対会おうね!」

 

そして気が付いた今まで笑ったことがそんなにないのに自分が笑顔で泣きながら心から言葉を発していることに、

 

対して彼女は、「うん!」と涙を流しながら同じように笑顔で去っていった。

 

…それから、1週間後僕はご両親の関係者の叔母の家にひきとられるようになり。

 

そこで、小学校、中学校、高校まで面倒を見てもらうようになり。

そしてお世話になった人たちに恩返しをしたいと思い。

 

今では大学に通いマンションに移り住んで通っていた。

 

第4話へつづく、




どうも、宍戸靱と申します。
過去の話がやっと終わっていよいよ本編の方に入っていきます。過去話があと一話で完結するかと思いきや3話で完結するとは、
まあそんなもんだと思ってこれからも頑張って話を書いていきますのでよろしくお願いします。


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4話

朝が来た、

 

寝ぼけ眼でやかましく鳴り響く目覚まし時計の音に目が覚めた俺は目覚まし時計を止めると起き上がろうとして肌寒い12月の気温にやられてまた布団に着いた。

それから誰かがチャイムを鳴らしに来た。

ピーンポーン

軽快なチャイムが鳴る中俺事佐藤一利はうんざり気味で布団から顔を出し。

「げっ、あいつだ」

と布団の中の天国に潜り両耳をふさいだ俺は暫くすると。

ガチャ←ロックを勝手に外す音を聞いて

ずかずか家に上がるや部屋のカーテンを思いっきり指揮でも降るようにフルオープンにしてそれから

「起きろー!!」

と人様の安眠を邪魔され肌寒い中薄着の状態の俺を起こしに来た。

「高坂~今日は学校行かなくても良いだろう。もう少し寝かしてくれよう。」

高坂に強制的に起こされる俺半イラ

「何言ってんのあんたのおばさんに頼まれてるんだからささ起きた起きた。」

「おやすー。」

布団を横取りして夢の中へ行く前にごつっと頭を殴られ体罰だと心の中の自分が裁判を勝手に展開して訴えようと考え気味で布団から顔をのぞかせると。

「少年。行くわよー」

顔は笑顔で声は低くして言う高坂を前に震え気味な俺。

ただでさえも寒くて震えているのにこれ以上余計なものが入ってこないことを祈りたい。

 

学校に行く。寒い

神戸の街は9月を過ぎると気温が徐々に下がり10月下旬には急激に寒くなっていく町である。

朝は比較的に穏やかで町の綺麗さでは日本一観光客も多く来る場所である。

あの震災の日から16年でこんなにも変わる物なのかと感じるしだいだ。

そんなこんなで今はここ尼埼北大学という学校に通っている。

まあ大してやりたいこともなくてプラプラしていきたいという本音があるんだけど。

高校時代の友達と同じところに行きたいからという理由で入った。

小学校から一緒の高坂も何故だか知らないが心配だからついていくと言い出して同じ大学に通っている。

心配とか言っときながら本当は自分がわがままなだけだろう。

そんな思いを巡らせながら学校に着くと。

 

「よおカズ、おはようさん!」

元気よく挨拶してきた小坂と合流

俺は小坂に

「今日は来る気じゃあなかったんだよ、うざい奴が起こしに来たせいで。」

カバンを机の前においてぐったりとしながら言うと。

「何言ってんだよ高坂さんと一緒になって。

あんなに可愛い子に起こしに行ってもらえるなんて羨ましいな」

自分の思いを伝える小坂に対して俺は、

「お前はあいつの事を知らないからそんなことが言えるんだ。いいか、女は顔じゃなく中身だ。例えば人様の安眠をむやみに邪魔をしないように気を使ってやらないと、こう思う心だ。お前にもそのうちわかる。」

「それお前がただ学校サボりたかっただけの我がままじゃね。

まあ、頑張んなー」

 

小坂はねぎらいの言葉を投げつけてからそろそろ時間になる。

先生が入ってきて「皆さーん、おはようございます。」

朝の定例の挨拶をした後「今日は転入生が入ります。」

クラスの皆に言い次に入ってきたのが髪をポニーテールにして少し髪を茶髪に染めたおしゃれなメガネをかけた女性いや少女、と言った方がいいのか位の背である160㎝位初見大学生かわからない気がする。

とか下らないことを考えていると先生が黒板に転校生の名前を黒板に書いて「今日からみんなと一緒のクラスになった朝倉唯さんです。皆さん仲良くしてやってください。」

先生が話すと転校生は服の裾を掴んで顔を半分下げ気味な格好で「どうも初めまして朝倉唯と言いますよろしくお願いします。」

結構な早口でだけど声は緊張気味で自己紹介してきた。

 

1限目が終わると早速彼女の周りには取り巻きがたくさんやってきた。

「ねぇねぇ、朝倉さんは何処から引っ越してきたの?」

と聞かれておずおずと「えっと東京からです。高校まで東京に住んでいて神戸の尼埼北大学にきた。」

集まってきた女子大生たちの問いかけに答えていくと「それじゃあ、東京より前はどこに住んでいたの?」

一人が聞くと「韓国に住んでいた。」

「えー!、凄い。まさかの帰国子女!」一同騒然

「ハングル語とか話せるの?」と言われ彼女はたどたどしく女子たちにハングル語を話して見せてちょっとした人気者になっていた。

 

その事が一利の耳にも入り一瞬彼女を見てしばらく女子の会話の方に目と意識を向けていると。

「カズどうした?」

小坂が席に戻ってきて様子が変な感じに見えたのか話しかけてきた。

カズは転校生から目を離すと。

「いやっ、何でもない」女子たちの会話から意識をそらし小坂との無駄話をして次の授業に備えることにした。

(まさかな)

心の中の引っ掛かりを特に気にしないでもなくその日は過ごした。



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