バトルスピリッツ ソウルコロシアム (アポロ雄将)
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プロローグ

注意!
 この小説ではカードゲームのバトスピをお題にしてますが以下の要素が含まれております。
 ・駄文
 ・誤字
 ・リアルファイトのみ
 ・原作ブレイカー
 ・原作のイメージ崩壊
 ・オリキャラあり
 ・パロディあり
 ・その他諸々



 

 毎日が暇すぎて生きる意味がわからなったよ全く。

 

 俺?俺は火野紅汰(ひのこうた)。19歳の無職だ。え?なんで無職なのかって?気にするな!

 

 とにかく、バトル系が大好きな二十歳を迎える社会人だ!

 

 で、どういう状況かって話すところだったな。まず場所は東京で……え?今何してるかを話せだって?わかった。俺は今、ガラクタを漁ってる。これを使って動物像を作るんだ。主に竜とか。

 

 ゴミ箱を漁ってる中、俺はあるものを見つけた。

 

 「なんだこれ?」

 

 俺は赤く光る謎の石を手に取った。綺麗だ……。

 

 ま、ゴミ箱に入ってたし、盗みの内に入らないよな。そう思った俺は石をポケットに入れて帰った。

 

――――――――――――――――

 

 俺の家は少しボロくさいが住み心地は個人的にいい。家賃はなんと毎月8000円!安いだろ?

 

 

 「たっだいま~!」

 帰宅したのはいいけど部屋の中はガラクタだらけ。まぁすぐ作るからいいけど。

 さて、今日のMVPはこの石!でも使うの勿体ないな。

 

 そんなわけで、引き出しに入れることにした。

 「よし、作るか」

 

 俺が今作ろうとしてるのはこの赤い竜の像。名前は龍皇ジークフリード!

 

 え?日本人なのに東洋にいそうなネーミングだって?いやぁ、外国から輸入された伝説とか読んだらこんなネーミングになってな。近所から「変な名前」ってよくいわれるんだよな~。

 

 っと、そう語ってるうちにもう両腕が出来た。これは結構出来がいい。さ、このまま体と足を作っちまおう。

 

―――――――――――――

 

 現在時刻、フタサンマルマル。もうこんな時間だ。予定通り足と体が出来た。おまけに尻尾も。

 

 最後は頭だ。これをくっつければ完成だ。

 

 慎重に頭をくっつけた瞬間、引き出しが光った。

 「な、なんだ!?」

 

 引き出しを引いたら、あれ?光ってるの石だった。

 

 でもさっきのと光が強い。

 

 さらに石は強く光だし、意識を失った。

 

―――――――――――――

 

 目を覚ませば真っ白な空間。間違いなく俺の家じゃない。ここどこだ?

 

 「気が付いたようだな」

 

 なんだ?だれかいるのか?

 

 「ここはどこだ!教えてくれ!誰でもいい!」

 

 そう叫んだとき、後ろに大きな影が俺を包んだ。

 

 「落ち着け。見苦しいぜ」

 

 後ろ振り向けばでっかい赤い龍がいた。

【挿絵表示】

 

 

 「うわあああぁぁぁぁ!!」

 

  なんだこの怪物!?でっか!

 

 「おいおい初対面で怪物なんてお前ひどいな。俺には名前があるんだぜ?」

 

 何故読めた!?てか名前?

 

 「だって、ここはお前の心の中だぜ?読めるも何も、ここではお前の心の声が聞こえるからな」

 

 嘘!?ここ俺の心の中なの!?

 「まぁ、自己紹介といくか。俺は龍皇ジークフリード。古き龍の王だ」

 

 ジークフリード!?あの竜の像が俺の目の前に!?

 

 「これからよろしく頼むぜ。相棒」

 

 そう告げた時、赤い竜ジークフリードは一枚の紙切れになった。

 

 「おい待てよ!どういうことだよ!」

 

 一枚の紙切れを手にした瞬間、いつも見る天井が視界に写った。

 

 「……夢か」

 

 辺りを見渡せば、そこら辺に置いてたガラクタと赤い竜の像が消えていた。

 

 「え、嘘。ない」

 

 代わりに机の上には紙切れ黒い紙切れの束と赤い石が置いていた。

 

 「なんだ?この紙切れ」

 

 裏を返せば怪物の絵が描かれている。その絵には一枚一枚名前がある。

 

 ゴラドン、ロクケラトプス、アイバーン。色んな怪物の絵が40枚もある。その中で目に止まったのは――――――――――――――――――

 

 「ジークフリード……」

 夢に出た赤い竜、龍皇ジークフリード。恐らくあの像がこの紙切れになったと考えられる。まさかだが、夢じゃないのか?

 

 ガララッ鳴り響く音、誰か入って来た。

 

 「お邪魔しまーす」

 

 来たよ。うるさい人。

 

 「今日こそ片づけて……あれ?すでに片付いてる?」

 

 この娘がうるさい人、蛇草絵理(はぐさえり)。俺より二つ年下の幼馴染。潔癖症。

 

 「なんだ。やれば出来るじゃん。あれ?それなに?」

 

 なんだろう。さっきの夢でなにか嫌な予感がする。

 

 「ちょっと聞いてるの?ねぇってば!!」

 

 




まず、世界観についてですが現実的な世界で、時刻的に昭和中期ぐらいです。
バトルは本編で解説しようと思います。
キャラクターについては次回更新します。


カードについてはバトスピが始まったばかりの環境になります。当然リバイバルしてません。


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キャラクター設定part1(2016/02/10時点)


 今作では原作のカード全てが出るわけではありません。ですがなにか出して欲しいカードをコメントに書いてくれれば希望したカードが出演するかもしれません。ただし、リクエストカードはBS01~BS05【皇騎】のカードのみです。

 追記
 
 演出事情でカード能力を変更する場合があります。


 今作のキャラクター

 火野紅汰 (ひのこうた)

 

 性別 男

 

 年齢 19歳

 

 身長165cm

 

 体重 53kg

 

 誕生日 07/01

 

 出身地 日本

 

 好きな物 架空動物 主に竜

 

 嫌いな物 人の努力を侮辱する奴

 

 

 容姿

 

 橙髪に緑眼の三白眼、上半身に赤い国民服にランニングシャツ、下半身にはジーパンを刷いてる。

 国民服は父親に譲って貰った物。本人はこれを気に入ってる。

 ジーパンは3年前親戚から貰ったものの当時足の長さが足りなかったが、現在十分の長さに達したため、それを着用してる。

 

 

 今作の主人公。

 「努力は人を裏切らない」という言葉を信じて毎日を生きる社会人。ある日に赤の輝石を手に入れ、龍皇ジークフリードと出会いがきっかけで様々な戦いを繰り広げる。

 

 

 近所のガラクタを集め、毎日動物の像を作ってる。完成度はプロ並み。だが謎の夢のあと、像と工具が消えてしまい、牛乳瓶で稼いでる

 

 人の努力を侮辱する奴は許さない概念があり、侮辱発言を耳にしたら誰であろうが説教タイムが発生し、説教が理解されなかったら武力行使で理解させる。

 

 

使用するデッキ

龍皇ジークフリードをベースにした覚醒ビート

 

デッキレシピ

 

ゴラドン×3

ロクケラトプス×3 

ドラグノ偵察兵×3 

アイバーン×3

ドラグザウルス×2 

タウロスナイト×2

ドラグノ祈祷師×3

スピノアックス×3

スケルトンジョウ×3

龍皇ジークフリード×1

バスタースピア×2

オフェンシブオーラ×2

ダブルドロー×3

コールオブロスト×3

フレイムテンペスト×1

 

 

蛇草絵理(はぐさえり)

 

性別 女

 

年齢 16歳

 

身長161cm

 

体重 45㎏

 

誕生日 12/20

 

出身地 日本

 

好きな物 甘いもの

 

嫌いな物 苦いもの

 

スリーサイズ

 

B 78

W 59

H 75

 

容姿

 

青眼のつり目で黒髪の腰まで長いポニーテール。セーラー服に安っぽいバックを肩にかけてる。

バックの中に子猫を飼ってる。

 

紅汰の幼馴染。

 「部屋がガラクタだらけで汚いから」という理由で毎日のように紅汰の家を出入りし、家に来る度に掃除を行ってる学生。そのせいでいつも遅刻してる。

 紅汰から「潔癖症」と呼ばれてる。本人は「潔癖症じゃない、ただ気になるから掃除を済ませるだけ」と主張している。

 また、「ド」が付くほど甘党。1日5回甘いものを補給しなければ掃除が捗れないらしい。

 

使用するデッキ

 

現時点ではデッキがない。

 

 

 

 

 鞄(ハク)

 

絵理に拾われた三毛猫

バックからいない時がしょっちゅう多い。帰ってくる度にカードを拾ってくる。

 

 

 

 セシル・アドラム

 

 性別 男

 

 年齢17歳

 

 身長 178cm

 

 体重 59㎏

 

 誕生日 02/27

 

 出身地 アメリカ

 

 赤の守護者が目覚めたことに気づき、日本へ入国したさわやかなアメリカ人。母国ではマスコミをしており、日本へ滞在してる間に紅汰と激闘すると同時にネタになりそうな事件を報道し、時には報道済みの日本人が書いた新聞を翻訳して母国に出してる。勿論許可は取っている。

 

 紅汰自身には敵意はないがバトスピになれば別。鉄壁の守りと背中の大砲を駆使して戦う。

 

 

 使用デッキ

 オーディーンを中心にしたデッキ

 

 

 




次回の投稿から前書きを利用してルールを少しずつ公開します。


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龍皇の誕生
第一ターン「伝説の始まりを告げる男!その名は火野紅汰」




 ソウルコロシアム式バトルルールpart1 公開可能情報

バトルを開始する際、とあるキーワードを唱えなければ開始しない。


 

 「えッ、どうしたんだよ。でかい声だしてさ」

 

 そう言い放つと絵理は怒り出して―――

 

 「もう!なんども聞いてるじゃない!!その紙切れはなに!?」

 

 絵理は謎にあふれた黒い紙切れの束に指を指した。

 「俺もこの紙切れの事はよくわからない」と、返したら残念そうな顔をした。

 

 「なによ、使い物になるのか知らないのに拾ったの?でも今回にしては迫力のある拾いものじゃん」

 

 確かに。40枚の内10枚のカードはなにかを表してるように見える。例えばバスタースピアは炎に包まれた槍が書かれている。それが二枚ある。

 

 「どうせならこの絵を物好きに売りつければ?きっと高く売れるはずよ!」

 

 まぁ、こんな物を家に置いても仕方ないし。絵理の言う通り物好きに売ってみるか。

 

 『それを手放すなよ、特に俺のはな』

 

 突如夢で聞いたことがあるドスの聞いた声に警告された。

 

 「なぁ今聞こえなかった?」

 

 誰にも聞こえてもおかしくないの声だった。だけど周りは聞こえてない感じだった。いくらそんな事があってもおかしい。そう思って近くにいた絵理に聞いた。

 

 「え?聞こえるって……あっ!もしかして気付いた?」

 

 絵理の肩掛けバックの中から三毛の子猫が飛び出した。

 

 「かわいいでしょ?じつはさっき拾ったんだ。それでさ、この子このバック気に入ってるの!」

 

 やっぱりさっきの声は絵理には聞こえなかったようだ。

 どういうことだ?「手放すな」って、なにかあるのか?

 考えごとをしてたらふと気が付いたことがある。それは―――

 

 「絵理、今日学校休むのか?」

 

絵理はちゃんとした学生だ。遅刻させる訳にはいかない。最悪一日中この家にいることもある。そのせいで誘拐したって思われて警察が家に訪問してきたこともある。あの時の対応が大変だった。

 

 「あっ!」

 

 どうやら学校に行く途中だったようだ。まぁこれも日常茶飯事の内だ。

 

 「悪いけどこの子の面倒見てて!んじゃ行ってくる!」

 断る時間も与られずに去ってしまった。まぁ猫を預かるくらいならなんも問題ない。

 

 ニャー。

 

 子猫が昨日拾った石を銜えてどこかへ行ってしまった。

 って軽々しく言ってる場合じゃない!子供が親なしで外へ出てるんだ!俺はすぐに子猫の後に続いた。

 

―――――――

 

 尾行して5分。まだそんなに遠くへ行ってない。とにかく隙があればすぐに家に連れ戻さないと後が怖い。

 

 『あの女が怖いのか?』

 

 さっきからドスの聞いた声が聞こえるんだが。

 俺、疲れてるのか?

 

 『言っておくがお前は健康だ』

 

 イラって来た。もう限界だ!

 

 「うるせぇ!さっきから周りには聞こえない声で俺に話しかけてんじゃねぇ!!」

 

 俺は怒りに満ち溢れた声で夢に出てきた龍に向かって言った。ただし、その龍は未だ現実世界から姿を現してない。

 

 『全く、さっきまでの冷静さはどうしたんだ。それに俺に声に出して話したら変人だと思われるぜ?』

 

 言われてみればそうだ。そういえば夢で心の中に話かけてるって言ってたな。

 

 「じゃあ……『こんな感じに話しかければいいんだな』

 

 さっきから心の声が聞こえてるようだから心の声で話すことにした。

 

 『やっとコツが掴めたか。全く、不器用な人間だぜ』

 

 『うるせぇよ。大体お前なんなんだよ。さっきから手放すなとか』

 

 俺が最も疑問に思った事だ。手放したら死ぬ訳じゃないし。

 

 『そっちから説明するのか。まぁいい。さっきの言葉の意味はな』

 

 ジークフリードは言葉を止めた。なんだよ急に黙りやがって。

 ニャー!

 

 子猫が石を落としてこっちに逃げてきた。逃げた方の反対を見れば生物が目の前に現れた。

 

 グオォォォォ!!

 

 その姿は赤い鱗で覆い、その上には黒い角があり、胸と両腕には赤い宝玉が埋められてる恐竜だ。奴は当然この世の生物ではないことは確かだ。

 

 『ジュラシックル、早速狙いに来たか。輝石を』

 

 輝石?もしかして昨日拾った石のことか?

 

 『説明はこいつと戦いながらだ。さっさと構えろ』

 

 「構えろって、こいつとタイマンで殴り合えってことかよ!無理に決まってるだろ!」

 

 こんな奴と戦えば絶対に命を落とす。何言ってるんだよこいつは!

 

 『こいつ呼ばわりをするな。俺にはジークフリードという名がある。生身で戦えとは言ってねぇ』

 

 「じゃあどうやって戦うんだよ!銃なんか持ってねぇぞ!」

 

 そう言いあう途中、ジュラシックルって奴が俺を爪で攻撃した。素早い攻撃だがうまく避けることが出来た。

 

 『ほう、戦いのセンスあるんじゃねぇか?お前。さて、戦い方だがお前のポケットに黒い紙切れ、カードがあるだろ?そいつを使って戦うんだ』

 

 「カード?これか!」

 

 俺のポケットからそのカードって奴を取り出した。実は家を出る前にカードをポケットに入れてたんだ。高く売るためにな!

 

 ジ『俺を売るな!』

 

 「うるせぇ!これを投げればいいんだな!」

 

 カードを手裏剣のように投げ飛ばそうとした瞬間、「違う、そうじゃねぇ」って言われ、投げるのをやめた。

 

 『輝石とカードの束、デッキを持って「ゲートオープン界放!」と叫べ』

 

 長いな……。言ってる間に攻撃されそうだ。

 

 「変身じゃダメ?」

 

 『……まぁダメでもないな。』

 

 少し引き気味で許可を出してくれた。まぁそれは置いておいて、俺は右手に輝石を持ち、左手のデッキを持った。

 

 「行くぜ。変身!」

 

 その言葉と同時に輝石が強く光る!

 

 「ゲートオープン界放!」

 

 その言葉に続き、今度はデッキが光出した。

 その瞬間、俺は炎に包まれた。

 その炎は、ジークフリードのカラーリングに似たボリューム少なめの一式の鎧に変化した。

 

 「すげぇ、生まれて初めて変身出来た……!」

 

 俺は感動して服装のチェックをした。こんな事、普通の人間じゃ出来ない技だ。

 

 「感動してる場合か!来るぞ!」

 

 変身と同時に首飾りに変化した輝石がジークフリードの声と合わせて点滅した。

 

 「さぁ、おっぱじめようか!」

 

 




登場人物はほとんど人間(の予定)なので変身は必要です。


~おまけ~

作者「さぁ始まったぜ!紅汰のファーストバトル!」

紅汰「おい作者!これからだってのに途中で区切るんじゃねぇよ!つか、さっきまでの堅さどうした!?」

作者「え?そりゃあいつまでも堅い口調が続くと疲れるからさ!」

ジークフリード「で、決まってるのか?」

作者「完成次第」

紅汰・ジークフリード「ふざけるなあぁぁぁ!!」

作者「落ち着けって。定期的に投稿するからさ!ってもうそろそろ時間だ。おい主人公!なんか一言!」

紅汰「え!?た、楽しみにしろよな!」


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第二ターン「赤の守護者」

いやぁ~1からストーリーを考えるって難しいものですね。
もう三日もかかったわけですし。


公開可能情報
ソウルコロシアム式ルールpart2 (ルール訂正 2016/01/20)

輝石と同じ色のカードなら軽減を全て満たして使用、召喚出来る。


 「さぁ、おっぱじめようか!」

 

 グオォォォォ!!

 

 その咆哮と共に、火花が散る戦いが始まった。

 ジュラシックルは蟷螂のように切り裂く攻撃を行ったがその攻撃は飛んで避け、後ろへ回った。

 

 「次は俺から行かせてもらおう!」

 

 拳に力を込めた瞬間、腕に炎が噴き出す。

 ……? 熱さ感じない。そんな事はどうでもいい!

 

 シュンッ!ドゴォ!

 

 俺はその拳で振り向いたジュラシックルの顔面にぶつけた。

 

 グオオォォ!?

 

 この攻撃でジュラシックルは怯んだ。正直、俺でもこの力には驚いた。

 

 「今の炎で驚いてるだろう。お前が炎に触れても無傷でいられるのは俺の力のおかげだ。感謝しろよ。」

 

 「意味が分かんねぇよ!もっと詳しく説明しろ!」

 

 「ハァ……要するに俺をベースに変身した影響により、お前の体は変化してる」

 

 ベース?変化?なにがなんだかさっぱり分からねぇ。

 

 ジークフリード「細かい説明はあとだ」

 

 ジュラシックルが立て直した瞬間、不思議なことが起きた。

 

 「てめえが赤の守護者なのか?俺は認めねぇ!力のねぇ愚かな人間が輝石を持つなんてよぉ!」

 

 ここで二つ、驚くことがあった。この輝石にはなにかを守る権利があるみたいだ。そしてもう一つは――――――――

 

 恐竜が喋ったことだ。 恐竜が喋ったことに驚くことは無理はない。だって人間以外日本語喋る生物なんてありえないし……。

 

 「わかってねぇなぁ……確かに人間は力が貧しく、愚かだ。だが今の人間は一味違うぜ?」

 

 「どういう意味だ?」

 

 「力がないのは今でも変わらねぇ。だが時が流れる度に人間は増えてゆき、考え方もそれぞれ違くなった。そんな時代に人間に力を与えたらこの世界はどうなるんだろうな」

 

 この状況を見れば賛成派と反対派がいるようだな。

 

 「全く好き放題言いやがって。人間は日々進化してんだ!ご先祖様のことは知らねぇがそれだけは確かだ!この町に被害を起こすなら恐竜だろうが悪魔だろうが関係ない!お前を倒す!」

 

 「その言葉、そのまんま返してやるわ!!」

 

 再び火花が散る戦いが始まる。ジュラシックルは同じ攻撃を繰り返すが当たり前のように避け続ける。だが―――――

 

 ガジッ

 

 痛えぇぇぇ!左腕が噛まれた!その激痛は愛犬に噛まれた時以上に痛い!さすが恐竜!だが感心してる場合じゃない!くそッ振り払おうとしても力が入らない!!なんとしても放してもらわないと!!

 

 「カードを引け」

 

 「バカ!こんな状況で引けるわけじゃないだろ!!」

 

 「いいから引け!」

 

 「わかったよ!引けばいいだろ!」とやけくそで返した後、右ももに付けられてるデッキからカードを4枚引いた。引いたカードはスケルトンジョウ、バスタースピア、ゴラドン、ドラグノ偵察兵の4枚だ。これでなにをする気なんだ!?

 

 「バスタースピアを輝石に翳すんだ」

 

 「うるせぇな!それでこの状況が変わらなかったら川へ捨てんぞ!!」

 

 言われた通り、バスタースピアを輝石に翳した。

 

 「Flash!(フラッシュ)

 

 なんか呪文みたいなのが急に唱え始めた!?それと同時にバスタースピアのカードが謎の青い結晶1つと共に消滅した。

 また熱い……今度はなんだ?

 右手を見れば炎に包まれた槍が俺の手にある。

 

 「なんかわかんないけど、てぇい!」

 

 その槍をジュラシックルの背に刺した。

 

 ギャアァァァ!!

 

 ジュラシックルは悲鳴を上げて俺の腕を放した。それと同時に槍も放した。

 

 「うぐっ!竜人の武器か!」

 

 バスタースピア……まさかこんな力があるなんてな……!

 

 「そろそろ片づけるぞ。輝石を右の籠手に填めろ」

 

 籠手?確かに籠手に輝石が入りそうな窪みがある。首飾りの輝石を外してその窪みに填めた。

 

 「power explosion!!(パワーイクスプロージョン)

 

 槍がさらに燃え盛り、力も増してくる。その槍を投げ飛ばした。

 

 ザクッ!

 

 その槍はジュラシックルを侵食し、その体は炎に焼かれてる。

 

 「ぐあぁぁぁぁ……!ば、バカな……!!たかが人間に……!!」

 

 俺は右の拳に力を込めて――――――

 

 ドゴォッッッ!!

 

 ジュラシックルの顔面に右の拳を抉りこませた。

 

 ドカーン!

 

 ジュラシックルは爆発と共に姿を消した。

 

 「か……勝ったよな?」

 

 今までの出来事が信じられなくて戸惑った。だってあんな出来事、少年向けの漫画でしか起きないことだし……。

 

 「ああ、当然だ。さて、回収作業だ。相棒」

 

 「回収!?恐竜の遺体を持って町の中歩きたくないし……」

 

 「安心しろ。遺体の代わりにあるものが落ちてる」

 

 あるもの?気になるな。俺はそのあるものを探すため、炎へ飛び込んだ。

 

 足元に違和感がある。カードだ。さっきの奴と同じ絵が描かれてる。

 それと輝石とは違う青い結晶が散らばってる。これも一様持っていくか。

 

 「回収したぞ。もう離れていいよな?」

 

 「あぁ。もういいぜ。」

 

 俺は目立たないようにその場を離れ、変身を解除した。

 

――――――――――――――――

 

 気付けばもう夕方だ。

 

 「ふぅ……疲れた……」

 

 あんな非日常的な出来事、疲れなかったらおかしい。

 ちなみにここは自宅だ。

 

 『にしてもお前、大胆な行動を取るもんだな』

 

 「どういう意味だ?」

 

 『あのカードは地に落とすと村一つ焼ける力を持ってるんだ。それをまさか投げ飛ばすなんてな』

 

 ええぇぇ!!それってもし外したら町が燃えてたってこと?だとしたらあれは危険だ。あんまり使わないでおこう。

 そういえばさっき消えたバスタースピアのカードは元に戻ってる。どうやら変身解除したらまた使えるようにしてるようだな。

 それに守護者ってなんだ?この輝石が関係あるみたいだが。

 

 『どうやらそっちの方が興味あるみてぇだな。なんなら俺の相棒として説明しねーとな』

 

 「知ってるのか?守護者のことを!」

 

 『あぁ知ってるとも。元々は俺が持ってたもんだからな』

 

 お前が持ってたのかよ。まぁ、持ち主が説明してくれたほうが説明がつくし、多分信用も出来る。

 

 『そいつは紅蓮の輝石。赤の世界の守護者の証だ』 

 

 そのことはさっきの会話で知ってる。

 

 『ったく。注文が多いぜ。じゃあどっから話せばいいんだ?』

 

 どっから知りたいって……そりゃあ山ほどある。そうだな……じゃあ――――――

 

 「お前ら何者だ?まずそこからだ」

 

 ジ『俺たちか?俺たちはスピリットだ』

 

 スピリット?なんぞそれ?

 

 『お前らの言葉でいう「魂」だ』

 

 「あぁ。そういうこと。って、お前ら、幽霊!?」

 

 嘘だろ!?あの戦い確か感触あったよな!?それで答えが幽霊!?俺は幽霊とあんな死闘を繰り広げてたのかよ!!

 

 『まぁ一部の奴らはそうだな。だが俺達赤のスピリットは違う』

 

 デスヨネー。お前らどう見ても絶滅した生物や架空生物にしか見えないもんなー。

 ん?赤のスピリット?

 

 『そうだ。この世界じゃあ絶滅した恐竜や元から存在しない竜が多い弱肉強食な世界からやって来た生き物だ。攻撃的なのはそのせいだ』 

 

 実際の話になると怖いな……。だがそこがいい。

 

 『で、その世界を守るのがお前って訳』 

 

 ……え?俺?

 

 「すみません、住む世界が違います。」

 

 『言っておくが、輝石がお前を選んだ以上死ぬまでこの役目を果たさなけりゃならねぇ』

 

 マジかよ。俺の寿命あといくつだろうな。

 

 『それともうひとつ、これからお前は今日のようにスピリットに襲われたり、お前と同じ役目を持つ人間と戦うことになる』

 

 俺と同じ役目……?そいつも大変だな……。

 

 「ま、輝石と俺達の事をまとめて話したし、次は―――――――」

 

 ガララッガシャン!!

 

 ドアの音がいつも以上にでかい。

 あ、やべぇ。子猫忘れてた。

 

 「ちょっと!面倒見ててって言ったはずよ!もうこの嘘吐き!!」

 

 ニャーニャー

 

 良かった。猫は無事だった。だけど――――――――

 

 「いや、お前が勝手に預けただけだろ。それに「うん」なんて一言も言ってないぞ」

 

 「言い訳無用!私!今夜はここに泊まる!」

 

 いやそんな理屈はおかしい。

 

 「バカなこと言ってないで、子猫を連れて帰」

 

 『まぁいいじゃねぇか。こんないい女、滅多に会えねぇぜ?』

 

 俺が言いきる前にジークフリードがそう言った。

 てかお前わかるのかよ。絵理がこんなに美女だってことをよ。

 

 『ったく。ウヨウヨすんなっての!』

 

全く、わかったよ。泊めればいいんだろ。泊めれば。

 

 「今夜だけだからな。次はこの家に寝泊まりはなしだからな」

 

 俺は呆れた顔で言った。

 それにこんな暗い中、一人で歩いてたら危険だからな。

 

 「始めっからそう言えばいいのに。あ!もしかして一人で寝るの寂しいからホントはここで寝てほしかったのぉ?ねぇ?」

 

 うぜぇ。それに俺、今年二十歳だし、もう子供じゃないっての

 はぁ……後で絵理の親に電話しとこっと。

 




 ついにコモンカードのジュラシックルを倒せました。雑魚なのに倒し方が思いつかなくて…え?バスタースピアの使い方がおかしい?気にすん(ドゴォ
 すんません。ちゃんと説明します。やっぱり接近型の武器は銃弾のように使い切りじゃあ恰好がつかないので結果的にこうなりました。
 マジックに描かれている武器は専用サポートじゃない限り誰でも使えます。
 それで必殺技のイメージですが仮面ライダー電王ロッドフォームの必殺技「ソリッドアタック」のパンチ版をイメージしてます。
 ちなみに主人公の紅汰は童貞です。

 追記(01/20)
やっぱりノーコスト召喚、使用はおかしいので守護者限定でフル軽減に修正しました。
 


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白き要塞、襲来
第三ターン「ナゾオトナの正体、暴くべし! 上」


公開可能情報

ソウルコロシアム式ルールpart3

・デッキ
バトルを行うには必要な物。カードを40枚以上の一つの束にする。
1分毎にデッキからドローを任意で出来る。




 

 あの摩訶不思議なことが起きてから一夜過ぎた……。いや、摩訶不思議以上な出来事だた。

 

 「紅汰紅汰!今日の新聞見た?」

 それどころじゃない。あらゆる体全体が痛い。筋肉痛とか噛まれた腕じゃなくて、目が覚めたらすごいことが起きた。絵理の隣に寝た人物は寝相の悪さにより、関節技をかけられる。その技はとても痛い。その痛みの代わりに、純白のパンツを見る事ができた。俺はその事に喜びを感じている。

 

 絵理はその事には気付かず、普通に接してる。この事を言うべきだろうか。いや、言わないでおこう。

 

 「見てないし、読む気なんてないし」

 

 俺は新聞を読む主義はない。何故って?それは金がかかるからだ。あんな物に金出す気はない。

 

 「ふ~ん。じゃあ見てよ!ほら!」

 

 絵理は興奮した顔で今日の新聞を床に広げた。

 内容は路上での恐竜の出現、さらに謎の男による爆発の事だ。

 

 4月○×日 12時55分 東京都A市に謎の恐竜が出現。謎の恐竜は一人の謎の男、通称「ナゾオトナ」によって消滅。その後もナゾオトナは姿を消した。

 

 謎の恐竜の出現は現在も原因不明でナゾオトナの行方も不明。

 

 目撃者の証言によるとナゾオトナは謎の恐竜と普通に喋っていたそうだ。

 

 ――――――――って、それまるっきり俺の事じゃん!俺、完全にナゾオトナ扱いされてるじゃないかァァァ!!てかナゾオトナって何!?俺、変人なの!?

 

 「すごいよ!ナゾオトナ!もしそのナゾオトナが世界大戦に加わっていたらアメリカなんてケチョンケチョンよ!あ~会ってみたいな~」

 

 すいません。ナゾオトナは俺の事です。と心の中でツッコミを入れた。ここで暴露すると騒ぎが激しくなる。

 

 「てか、お前そろそろ行かないと遅刻するぞ」

 

 「あ、そうだった!んじゃ行ってくる!」

 

 絵理は今日も元気よく学校に向かって走って行った。 

 

 ニャー

 

 子猫が何かを求めるように俺を呼びかけた。そうだ、子猫のエサを与えてやんないと。カツオでいいかな?確か冷蔵庫にあったっけ。

 

 俺はカツオを食いやすいように三枚に下ろし、子猫にエサを与えた。

 

 モグモグ

 

 美味そうに食ってる。どうやら気に入ってくれたようだ。

 

 『恐竜と喋る変人……ププッ』

 

 この野郎笑ったな!お前のせいで俺、変人扱いされてるんだぞ!あとで水に浸けてやる。

 

 『やめろ。紙は水が天敵だということはわかってるだろ?』 

 

 「うるせぇ。今のは冗談だ。で、昨日の話の続きをしろよ」

 

 昨日、絵理が家に入って来たから次の話が聞きそびれたんだ。少しでも情報を集めなきゃ今後の生活が不安だ。

 

 『あぁ。そうだな。じゃあ昨日の戦い覚えてるか?』

 昨日の事なんざ衝撃的すぎて忘れたくても忘れられないよ。

 

 『お前は、スピリットの力を使えてもスピリットは活動限界がある』

 

 活動限界?そんなもん感じたことないな。

 

 

 『昨日のは雑魚だったから活動限界時間までには至らなかったが、強敵と戦うことになると時間切れになる可能性があり、変身は強制解除される』

 

 え、じゃあ活動時間までに倒さなきゃ不利になるってこと?要するにスピード勝負って事か……。

 

 『ただし、活動時間内に倒せとは言わねぇ。ベーススピリットを一時的に変えて、スピリットを休ませることで活動時間を延長が出来る』

 

 なるほど、引っ込めとけば時間延長ができるのか。って――――――

 

 「休ませるって、お前らって実体ないのに疲れるの?」

 

 

 『当然だ。俺達は元々生き物だ。ちなみにこの状態を疲労状態って呼んでるぜ』

 

 初めて知った。いや、こいつらのこと知らないから当然か。

 

 『あともう一つ、この世にはお前と同じ役目を持つ奴はお前と同様カードの力を使って戦うことも忘れるな』

 

 「あぁその忠告、ありがたく受けておく。んじゃ、俺は稼ぎに行くか」

 

 いくら無職とはいえ金ないと生きてはいけない世の中だからな。

 

 

 

 絵理side

 

 私、蛇草絵理!高校2年の普通の女の子!ってもう知ってるね。今、私は学校へ向かう途中なの。

 

 私の通る道は両サイドで賑わう商店街。ホントは通る道は違うけど。

 

 じゃあなんでそんなところを通るかっていうのは、私の気分で来てるの。時間ない時は本当の道を通るけど

 辺りを見回していたら、背が高くて笠をかぶった白い軍服を着てる男の人がいる。変わった服装ね。目を合わせると白い軍服の男の人が私の方へ歩いてきた。

 

 「ねぇ、この町にナゾオトナっていう人知らないかな?僕はその人に会いたいんだ」

 

 ちょっと喋り方が変ね……。外国の方かしら?

 

 「残念だけど、そのナゾオトナっていう人まだ知らないの。ごめんなさいね」

 

 「そうか……どうやらこの近くにはいないのか……。行こう、オーディーン」

 

 オーディーン?この人の名前?でも他の人の名前を呼んだ様子だったわ。

 

 白い軍服の男の人はそのまま立ち去った。その一瞬、左腕に白く輝く宝石の腕輪がチラリと見えた。

 

 確か、紅汰も同じ石を昨日見たわ。なんだろう、あの人とそのナゾオトナっていう人が関係するように感じるわ。こうなったらナゾオトナに会うために、あの人を尾行するしかないわね!

 

 私は、白い軍服の男の人に気づかれないように後を追うことにした。 

 

 ~5分後~

 

 今、さっきの白い軍服の男の人を尾行してるんだけど今は特に変わった動きはない。男の人はひたすらナゾオトナのことについてを聞いてるわ。男の人の質問された人々は「今日初めて報道されたばかりだからナゾオトナの正体はまだわからない」って言ってる。

 

 あの人、どうしてナゾオトナに会いたがるんだろう。

 

 突然、白い軍服の男の人は歩くのを止めてなにかを警戒するように回りを見回した。

 まさか、ナゾオトナを見つけた!?これはチャンスね!

 

 「誰かに付けられてるね」

 ……あれ?もしかして気付かれてる?嘘よ、ちゃんと変装までしたんだから。

 

 オーディーン……そうか。わかった」

 公衆電話なんてないのに誰かと話してる。でも手元を見れば紅汰が拾った物と同じ紙切れを持ってる。でも紅汰が拾った紙切れと感じが違う。

 

 白い軍服の男の人は再び歩き出した。一体、あの黒い紙切れはなんだろう……。

 

 

 絵理sideend

 

 




 今回は話を三つに分けました。

~おまけ~

第二ターン終了後の話 就寝前

 絵理「ねぇ紅汰」
 紅汰「うん?なんだ?」
 絵理「今日、すごい爆発音が響いたけどなにか知ってる?」
 紅汰「……いや、知らないな……」
 絵理「へぇ~。なんだ。おやすみ」
 絵理はすぐに寝てしまった。
 紅汰「やっと寝たか」
 ジークフリード『紅汰!チャンスだ!寝込みを襲え!』
 紅汰「子供相手に寝込みを襲うなんて大人がやってはいけない行為だっての!」
 ドガッ
 絵理が急に俺のうなじを蹴られた。
 そうだった……。絵理は寝相が悪いんだった……。
 俺は急な衝撃で意識と視界が消えてしまった。
 ジークフリード『……俺が悪かった』
 
 おわり
 


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第四ターン「ナゾオトナの正体、暴くべし! 中」

公開可能情報

ソウルコロシアム式用語part1

 Power Add(パワーアード)

スピリットカードの能力を一時的に加える。
カードによって効果が違う


 のらりぶらりと仕事を探してるわけだが、未だに仕事が見つからない。その為、道端に落ちてる牛乳瓶でも集めて稼いでる。

 

 『趣味はどうした?』

 

 「あんたが現れたせいで、趣味なんてやる余裕すらないよ」

 

 あいつが夢に出た後、ガラクタ以外にも接着剤やハサミ、その他諸々消えたからな。

もう趣味で稼ぐことは諦めて仕事を探すことにした。

 

 『そりゃあ悪かった。まさかあんな物が役に立つなんて思わないから俺のエネルギーの吸収原にしちまった』 

 

 「ふざけんな!あれ高かったんだぞ!!特にペンチは有名な会社が高価格で売られてるものなんだ!!」

 

 そうだ、あの工具はひと眠りもせずに牛乳瓶を集めて稼いだ誰にも負けないくらいの努力で買った物だ。

 

 「ちょっとうるさいよ!」

 

 今年で20になっておばさんに怒られる俺……。

 

 「……全く、今までの努力が水の泡だこれ……」

 

 そんな物が摩訶不思議な出来事によって突然消えたら落ち込んでしまうのは誰でも同じのはずだ。

 

 『こんな事で落ち込んでちゃあこれから生きていけねぇぜ』

 

 はぁ……言ってることは正論っちゃあ正論だけどなぁ……。

 

 すみません、ちょっといいですか?」

 

 突然、白い軍服の男が話しかけてきた。顔が笠で隠れてて見えないが金髪が一瞬だけ見えた。この感じ、外国のマスコミか?悪いけどマスコミは苦手なんだよな。ま、テキトーなことでも言えばなんとかなるだろう。

 

 視界を男に映した瞬間、首にぶら下げていた輝石は赤く輝いてる。変身する時とはまだ弱い光だけどなにかに反応してるのはわかる。

 

 「この町にナゾオトナがいるって聞いたけどあなたは知っていますか?」

 

 うわっ嫌な質問が来た。とにかく話を振り切らないと。

 

  「知らん。俺は世間話とかは話さない主義だからさ」

 

 てかナゾオトナの情報外国に必要か?俺の判断じゃいらないと思うんだが。

 

 男は「そうか……」と言って残念そうな顔をした。どうやら諦めて帰ってくれるようだ。全く、マスコミと話してるだけで疲れる。

 

 「じゃあ次は魂の取り合いはどう?」

 

 さっきまでとは優しそうな声とは違うナイフのような鋭い声に変わった。背中に濡れたタオルを押し付けられたような冷たさを感じた。

 

 絶対気のせいだろう。こんな奴なんかに構うより、さっさと奴に渡して報酬貰わないと。

 

 「僕の輝石は白く輝いていて、君の場合は赤く輝く。これも何かの縁だ」

 

 え……なに言ってんだよこいつ。大体なんで輝石の事知ってんだ?

 

 『ったく、他の守護者と戦いを交える時が来たみてぇだな』

 

  守護者!?まさか――――――――

 

 「君の察し通り、僕は白の世界の守護者。名はセシル!」

 

 名乗ると同時に軍服と笠を脱ぎ捨て、スーツ姿になり、左手首には白の輝石を填めた腕輪が付けており、手には俺と同じ、黒いカードのデッキを持ってる。

 

 「さぁ!決着の時だ。オーディーン!僕に力を貸してくれ!Change(チェンジ)

 

 その言葉の後に腕輪が光出す!

 

 「ゲートオープン界放!」

 

 謎の機械音とともにデッキが光出し、さっきまでの春風が冷たい風に変わり、セシルの体に氷を纏う

 その氷はすぐに砕け散り、服装がさっきまでのスーツ姿じゃなく、機械を体に纏った姿に変身した。

 

 「どうした?Changeしないのかい?」

 

 セシルが余裕そうに俺を挑発してくる。

 

 『構えろ、殺されるぜ』

  

 「そんなことわかってる!変身!」

 

 「ゲートオープン界放!」

 

 その言葉と共に、俺の体は炎に包まれ、鎧に変化した。

 

 「殺られる前に、殺る!」

 

 

 絵理side

 

 私は今、気付かれないようにゴミ箱の中に隠れて見てるんだけどフタを持ち上げる腕が少しだけ震えてる。

 

 私には理解できないことが次々と起きてる。

 

 守護者?ゲートオープン界放?変身?なにがなんだかさっぱりわからないわ。

 

 「殺られる前に、殺る!」

 

 紅汰は真っ正面からセシルって名乗った人に殴り込みに行った。

 

 ガンッ!

 

 でもその拳はまるでベーゴマのようにはじき返された。

 

 「こいつ……戦艦大和みたいに硬い……!」

 

 その衝撃に驚いたか、紅汰はあとさずりしていった。

 

 「今度はこっちの番だね」

 

 セシルは光を集めた背中の大砲を紅汰の方へ向けて光線を放った。その光線は芝生さえ凍結させてしまう冷気が放ってる。これをまともに受けたら普通の人間なら体が凍って身動きが出来ず、最悪の場合、命を落とすこともある。でも紅汰は――――――――

 

 紅汰side

 

 「まずい!あんな光線避けなかったら死んでしまうし避けても町に被害が!」

 

 「落ち着け、こういう時こそカードを使うんだ」

 

 カード……でもあの光線を防ぐ策なんてないはず。そう思いながら4枚のカードを引いた。

 

 引いたカードはゴラドン二枚、ジュラシックルとフレイムテンペスト1枚ずつ。

 

 「残念だがこいつは避けるしか方法はないようだな」

 

 そうだろうか?俺の本能はまだ諦めてはいない!ゴラドンのカードは火を吹く怪獣の絵が描かれている。俺はこのカードに賭ける!俺は本能に従い、ゴラドンのカードを輝石に翳した。

 

 「Power Add!(パワーアード)

 

 カードが消滅すると同時に胸が熱く感じる。

 

 「俺は、カードを信じる!」

 

 深く息を吸い、力強く息を吐くと口から真っ赤に燃え盛る炎を吹きだした。その炎は光線と鍔競り合い、いずれと光線と炎は共に消滅した。

 

 「くっレベルが足りなかったか」

 

 セシルはそう呟いたが俺には聞こえなかった。

 

 「ったく、お前のやることは一々ヒヤヒヤするぜ」

 

 だろうな。まぁ、それが弱肉強食の世界の生物の戦い方だろう。

 

 「さすがにここまで互角に戦えるとは思わなかったよ。さすが赤の守護者だ。他のソウルバトラーとは違う」

 

 ソウルバトラー?聞き慣れない言葉だな。まぁ、昨日から聞き慣れない言葉が散々聞いてるけど。

 

 「その様子じゃあ君はバトルスピリッツに参加したばかりのようだね」

 

 セシルが俺の思った事を見通してるように話してる。

 

 その通りだ。俺は訳のわからない戦いに身を投げたんだ。知らないことも聞きたいことも山ほどある。

 

 「この戦い、バトルスピリッツはその黒いカードを所持してる参加者はソウルバトラーと言われ、未知なるカードを求め、そのカードはやがて力となり、ソウルバトラー同士が戦う儀式なんだ」

 

 なんだよそれ。未来の中学生が考えそうな設定は。

 

 「正直僕も、バトルスピリッツについては理解してない。ただ言えることは、この戦いは僕ら人間を試してることだ!」

 

 人間を確かめる……余計に訳が分からなくなってきたな。ただこれだけは言える。

 

 「バトルスピリッツとかいうけど、それじゃ長いから俺はバトスピと縮める!」

 

 そう言葉にした瞬間、沈黙が続いた。……え?俺、今なにか変なこと言った?

 

 「バトスピ……なるほど。確かにこれの方が言いやすいな」

 

 「だな」とジークフリードは返した。

 

 「君は面白いね。いいよ、君に時間を与えよう。1か月後、またここで会おう。その時はお互いに強くなってるはずだからね」

 

 セシルはそう言い伝え、デッキからカードを引いた。

 

 「マジック、サイレントウォール」

 

 オーディーン「Flash(フラッシュ)

 

 セシルが輝石に翳したカードは消滅したと同時に聳える三枚の白い壁が俺の前に立ちふさがった。それと共にとてつもない吐き気が俺を襲う。

 

 「うっ吐き気が……」

 

 「サイレントウォールはスピリットの拒絶反応を起こす壁を召喚するカード。近づこうと思っても近づけない厄介なカードだ。うっ俺もまずい……」

 

 スピリットにも拒絶反応があるのかよ……。まずい、まず変身解かないと……。

 

 俺は腿に付けてるデッキを外し、鎧は真っ白な灰に変化して鎧の重みから解放された。

 

 その瞬間、さっきまでの吐き気がまるで嘘だったかのように解消された。 どうやらサイレントウォールから発生する拒絶反応は変身中のみに効果があるようだ。

 

 「そうだ!セシルって奴は!?」

 

 壁の向こうを確認すべく、後ろへ回ろうとしたが壁に触れてみようとすればその感覚がなく、体が壁を越える事が出来た。壁の向こうを確認するとセシルの姿はない。

 

 あいつにはまだまだ聞きたいことがある。今度会ったら知ってる事全部話してもらおう。

 

 「ソウルバトラーか……ナゾオトナって呼ばれるよりいいな」

 

 ソウルバトラー=ナゾオトナっていうことにすれば丸く収まるだろう。

 

 さて、ここにいたら後で厄介になる。とっとと離れるべきだと判断し、この場を去った。

 

 

 




 ~おまけ~
 作者「最近リアルが忙しい+ストーリーのアイデイアが思いつかない……。ちょっと出掛け」

 ゴッド・ゼクス「させん!六天連鎖発揮!!」

 作者「うわ!なんだこの鎖!?つか六天連鎖まだはえーから!そもそもあんた今作出演予定ないから!」

 ゴッド・ゼクス「ならば早く進めるがいい。我の出番のために」

 作者「うわーん!ゴッド・ゼクスの鬼!」


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第五ターン「ナゾオトナの正体、暴くべし! 下」

 公開可能情報

 原作との繫がりpart1
 
 少年突破バシン、少年撃破ダン同様、カードの世界が存在する

 


 絵理side in

 

 

 な、なによこれ……。さっきの笠を被ってた外人は大砲を背負ってSF映画のような光線を発射してきたし、紅汰は怪獣映画のような感じに火を吹いて光線と鍔競り合いをしてたわ。

 

 ……謎が深くなったわね。これもナゾオトナについてのヒントかしら?だとすれば紅汰もなにか知ってるはず。

 

 こんな狭い場所で考え込んでもなにも始まらないわ。とにかくあの外人を探さないと謎が解明されない気がするわ。とっ捕まえて詳しく聞かないとね。

 

 

――――――――――――――――――

 

 やっぱりダメね。いくら探しても見つからない。あの人が一番のヒントになるはずなのに。せめてあの笠被っていれば……。

 

 そう思った次の瞬間、スーツ姿の金髪の男の人の姿が見えた。

 さっきの男ね。さっきは質問に答える立場だけど、今度はこっちから質問するわ。

 

 「あの、さっきの人ですよね?」

 

 私が声をかけると同時に、金髪の男の人はさわやかな顔でこっちに振り向いた。

 

 「あぁ、また会ったね。学校は?」

 

 あ、すっかり忘れてた。でも、もうこの時間帯は校門は閉まってるから行っても無駄よね。

 

 「なるほど。君の学校は厳しいんだね。ははっ僕の学生時代も同じだ」

 

 「どうして心を読めた?」

 

 「いやいや、顔に出ていたからさ。それで?僕に聞きたいことがあるんだろう?」

 

 「えぇ、セシルと言ったわね。あなたに聞きたいことが山ほどあるわ。あなたがその黒い紙切れについて聞きだせばナゾオトナの正体がわかるはずだから」 

 

 「だったら話す必要はないね。君には関係ないことだから」

 

 ここで諦めたらナゾオトナを逃がす事と同じ。なんとしても聞きださないと。

 

 「そこをなんとか!紅汰にも話さないから!お願い!!」

 

 私は死に物狂いでセシルに頼んだ。これで断られたらもう去るつもりでいるわ。

 

 「全く、君はしつこい女の子だ。もう一度言うよ。話すつもりは」

 

 次の瞬間、セシルの言葉が止まった。まるで誰かに止められたかのように。でも周りには私以外誰もいないし、その上声の主がわからない。いや、むしろ私には聞こえない。

 

 「オーディーン……でも……そうか。わかった」

 

 セシルは誰もいないのに誰かに話しをしている。一体、誰と話してるのだろう。

 

 「いいよ。その代わり、その紅汰という人はどんな人なのか話してもらうよ」

 

 紅汰の事を知ってなにをするつもりかしら?いや、むしろこれはチャンスね。

 

 「いいわ。紅汰の事、正直に話すからあなたも正直に話しなさい」

 

 私が条件を飲み込んだことで、お互い要求された情報を交換した。これでナゾオトナについて一歩近づいたわ。

 

 絵理side end

 

―――――――――――――――――

 

 とりあえず現場から逃げてきたわけだが実はその先のことは考えてない。これからどうすればいい?身を潜めて戦うのは無理そうだしな。

 

  とにかく、あいつが使うサイレントウォールをどうにか出来ないのやら……。これからどうすればいいかも悩みながら俺は41枚のカードを一枚一枚確認する。

 ……ダメだ。サイレントウォールを防ぐ策がない。もしこのまま戦いを続けていたら負けは確定だった。

 

「ニャー」

 

 そういえばまだ名前決めてなかったな。そうだな……出会った時はバックから出たから鞄と書いてハクでいいな。

 

 ん?カードを銜えてる。拾ってきたのか?子供なのにそれなりの行動力があるよな。

 

 ハクはカードを俺の手に渡した。そのカードは鎖の絵がかかれている白のカード、ディバインチェインのカードだった。この色はセシルと名乗ってた奴が使ってた色だ。

 

 とにかく、目には目を。白には白ってことか。現状ではこれしか倒す方法しかない。そう感じた。

 

 『お前、赤の守護者が他色のカードを使うか?』

 

 ジークフリードが嫌そうに言った。

 

 「どうして赤のカードにそんなにこだわる必要があるんだ?」

 

 『お前が紅蓮の輝石の持ち主であることで召喚、マジックのコストがフル軽減が出来るだぜ?それなのに白のカードを使うなんてよ』

 

 ジークフリードが言った言葉の中で一つ疑問を感じた。

 

 「軽減ってなんだよ」

 

 『軽減ってのはカードが使うエネルギーを文字通り使用エネルギーを軽くするんだ』

 

 なるほどな。少し理解が出来ない所があったけど大体わかった。

 

 『んだよ。何処が理解できねぇんだ』

 

 「それはあとで話す。それでいいな」

 

 ジークフリードは呆れながらも「わーったよ」と返した。

 

 次会う時は一ヶ月後……。あの余裕っぷりをぶち壊してやるからな!

 

 

 




 いや~活動報告でも書いたけど最近スランプで間に合わないと思って思いついた事を全部打ち出したらなんとか間に合いました!しかし、今後もスランプ続きが長くなりそうです。
 


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打倒セシル!修行編
第六ターン「季節外れの甲虫」


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 ソウルコロシアム式用語part2

 属性
 
 カードには様々な属性があり、属性ごとに特徴がある

 

 


 セシルと奮闘するまであと27日。約束の日までデッキを知り、強くならないと奴いは勝てない。そう思った直後、呼び鈴が鳴った。もし絵理ならすぐに家へ帰さないとな。俺は呆れながらドアを開けた次の瞬間、見慣れた顔が俺の視界に写った。

 

 「よっコウ!お前最近顔見せにこねーからこっちから来たぜ」

 

 見事な巨体と陽気な喋り方、こいつは俺の小学時代の仲間の一人、青木雄次(ゆうじ)だ。俺はユウと呼んでる

 

 「ユウじゃないか!しっかし相変わらずのゴリマッチョっぷりだな」

 

 「あぁ。ゴリマッチョは俺のトレードマークだからな!筋肉がなかったらもうなにもない!」

 

 さすが筋肉バカだ。昔はよく人気のプロレスラーの技のモノマネの的にされて痛い目に散々遭ったが、問題が起きた時、犯人を捜して、見つければ俺が説教して、相手が武力行使で来るならユウが相手になる。クラスじゃ名コンビと称されたくらいだ。

 

 「なぁ、久しぶりにキャンプ行かねーか?カレー食おーぜ!カレー!」

 

 誘ってくれるのはありがたいけど今はそのどころじゃないんだよな。悪いけど今回ばかりは断らせてもらうか。断ろうと言葉にしようとした時、次の言葉が頭に流れた。

 

 『あの猫がカードを拾って帰ってくるんだったら外にカードが落ちてるかもな』

 

 これは俺が散々悩んでる時に与えられたヒントだ。俺はこの言葉を耳にした時、どうもパッとしなかった。何故ならここは町の中。不審物が道端に落ちていたらすぐに回収される。だが町以外の場所なら落ちている可能性がある。そうと考えれば誘いに乗ることにした。

 

 「その誘いに乗った。じゃあキャンプする場所はいつもの森で」

 

 「おう、わかった!んじゃ明日な!」

 

 ユウはそう言い伝え、目の前から立ち去った。急な予定が入ってしまったがなにも用意しないという訳にはいかない。出来るだけ早く準備を済まさないと。

 

―――――――――――――――――

 

 新たな朝を迎え、ユウと共にキャンプ場へと足を運ぶ。

 

 すごく懐かしく感じる。この草木に囲まれた森の中で友人とキャンプは滅多にない。

 

 「悪いな。俺、収入良くないから良い肉買えなかったよ」

 

 最も、ジークフリード(こいつ)のせいで食生活も変わってしまった。最近はもやししか食ってない。

 

 『何度も言うが、俺には名前がある。こいつ呼ばわりしてもらっちゃぁ龍皇の名が廃るぜ』

 

 うるせぇ。てめぇは龍皇もクソもないんだよ。今日は口出しすんなよな。

 

 「心配すんなって!あの頃のようになんか拾えば具も足りる!」

 

 さすがユウ。お前ならアマゾンで1週間サバイバルしても生き残れそうだ。

 

 「お前、さっきから足元ばっか見てんだけど一体なにを探してんだ?」

 

 ユウが俺に不思議そうに言った。俺が足元を見る理由はただひとつ、カードが落ちてないか確認する為だ。カードはどこに落ちてるかは俺にも分からないからな。

 

 俺が質問に答えないせいか、賑やかな会話は沈黙に飲まれ、ただ草木の揺れる音と小鳥が囀りしか響かなかった。

 

 次の瞬間、ほんの一瞬だが俺たちは謎の巨大な影に覆われた。飛行物体なのは間違いないが羽音は鳥でもなく飛行機でもない。その羽音は短く風を叩く虫のような羽音だった。

 

 「今の……虫?」

 

 「お前知らねーのか?近頃、この森じゃあでけー甲虫がいんだぜ?」

 

 甲虫って……今春だぞ?この時期はカブトやクワガタはまだ蛹にもなってないじゃないか。そんなこと言ったら話が進まない。なんか適当に返さないと。

 

 「マジかよ!てかカブトムシは気が荒いから襲われる可能性あるぞ」

 

 畜生、俺がこの森に行くって言わなきゃこんなことに……。

 

 『落ち着け。青木はまだ死んじゃいねぇ。んなことより、あの虫は人間が知ってる虫じゃねぇ』

 

 ¨俺たちが知ってる虫じゃない¨?俺はその言葉の意味に困惑した。

 

 『さっきのはビートビートルという緑属性のスピリットだ』

 

 なんか新しい専門用語が出来たんだが。そんなことよりも黒い影の正体はスピリットだというのはわかった。

 

 『そいつは緑属性の中で雑魚中の雑魚だ。そんなに手間はかからない』

 

 手間がかからなくても、スピリットならユウを同行させるのは危険だ。今すぐ避難してもらわないと。

 

 「ユウ、虫捕り網がなきゃ今夜虫捕りできないよな?」

 

 「そーだな」と謎に思いながらユウは言う。

 

 ユウはタダでは離れてくれない。だからこそ、虫捕りという話題を使ってある買い物をしてもらう。

 

 「虫捕り網と籠を買ってきてくれ」

 

 千円札を渡しながら俺は言った。これくらいなら普通に行ってくれるはずだ。虫捕りセットでそんなに時間がかからないが相手が雑魚なら短時間で済ませることが可能なはずだ。

 

 「お、おう。でもこんな時期カブトムシは成虫になってねーぜ?」

 

 「ならこう言い換える。スコップ買ってきてくれ」

 

 「わかった。んじゃ行ってくる!」

 

 ユウは本来の目的も知らずまま、ユウの姿は遠ざかっていた。

 

 『行くぜ紅汰。虫狩りだ』

 

 「あぁ」と返し、ビートビートルの後を追った。

 

 

 




 ~おまけ~

 ユウ「おっ作者!遅かったじゃん!」

 作者「ユウ!?ホームセンターに行ったんじゃ!?」

 ユウ「残念だったなぁ、トリックだよ。そんなことより、おまけは相変わらず台本形式なんだな」

 作者「ここじゃあ口調被るかもしれないしな」

 ユウ「なるほど。で、ネタ探しは順調?」

 作者「いや、そんなに……」

 ユウ「じゃあ、やってもいーよな?」

 紅汰「あぁ、やれ」

 作者「えっ、ちょっ待っt」



 ユウがさくしゃによんのじがためをはっきした!
 さくしゃに83のダメージ!         
 さくしゃはきぜつした!                           ▼



 紅汰「次週から通常投稿だからな!」

 作者「た……ぶんな……」
                 おわり


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第七ターン「お前のものは俺のもの。俺のものも俺のもの」

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 ソウルコロシアム式用語part2

 神速

 
 緑専用特殊能力の一つ
 召喚直後に攻撃することが出来るが、そのカードのほとんどはパワーが弱い。


 ビートビートルの後を追って気が付けば森が霧によって包まれてる。

 どういうことだ?俺の記憶じゃあこんな事なかったぞ?

 

 後ろから槍を振り下ろす音が聞こえ、すぐさま回避行動をとった。

 

 「うわっ!いきなりなんだ!?」

 

 このまま背を向ければ俺は死んでいた。

 正体を見破ろうとしたが霧のせいで影しか見えない。その後も影は俺に殺意があるかのように槍で突き続けた。

 

 『紅汰、奴はスピリットの力でお前を殺す気だ。このままじゃお前が狩られるぜ』

 

 確かにジークフリードの言う通りだ。さっさと変身しないと、俺が狩られる!

 

 俺はすぐさま変身の構えを取った。

 

 「変身!」

 

 ジークフリードは俺に続くように「ゲートオープン界放!」と叫び、鎧を体に纏い、影による攻撃を備えた。

 

その瞬間、影は驚き戸惑ったか槍を振るうのをやめた。

 

 「お前、ここえ来て、何しにきた?」

 

 突然、影が生まれてやっと喋れる低い声で俺に問いかけに来た。どうやら人間のようだ。

 

 「てめぇこそ、いきなり仕掛けるのは一体なんなんだ?」

 

 「オレはこの森の住人、住処お荒らすヤツ、許さない」

 

 影は再び槍を振り回し始め、俺に襲い掛かった。

 

 この様子じゃ話しても無駄だ。反撃をしたいところだが、まずこの霧をどうにかしないと。

 

 「お前、まだ気づかないのか?この霧はネクサスによる影響のものだ」

 

 『ネクサス』という単語を耳にした瞬間、二日前に遡り、ネクサスについてジークフリードから説明を受けたのだ。

 

 『カードには属性以外にカテゴリがある。カテゴリは現在三種類あり、スピリットとマジックはお前がほぼ体験した通りの効果だ』

 

 ほぼってことは他にも色んな使い方があるのか。世界が広いのは嘘じゃないんだな。

 

 『現在お前のデッキには入ってないが、第三のカード『ネクサス』は戦況をガラリと変わる生きるマジックだ』

 

 生きるマジック?どういうことだ?

 

 『ネクサスは使用した時からフィールドに居座る。破壊されない限り効力が発揮し続け、その効力は互いに影響する』

 

 要するにネクサスは互いを有利にしたり不利にもする天秤ってことか。

 

 『わかってんじゃねぇか。それと破壊するにはそれを目的にしたカードじゃなきゃ破壊出来ねぇからな』

 

 この説明が脳内に浮かび、すぐカードを手に取った。俺の手札には『バスタースピア』『ゴラドン』『オフェンシブオーラ』『スピノアックス』がある。

 

 その中で俺は直ぐにマジックカード『バスタースピア』を輝石に翳した。

 

 『Flash(フラッシュ)!』

 

 その言葉と共にバスタースピアが召喚され、それを手に取る。

 

 ジークフリードの証言によればバスタースピアは村一つ焼けるくらいの威力らしい。それならネクサスを破壊出来るはずだ。だが問題が一つ、いくらネクサスの存在がわかったとしても、それがどこにあるか分からなければこれを召喚した意味はない。

 

 「なにおする気だ?貴様、この森お燃やす気か?」

 

 影はバスタースピアに怯え、何かがあるかのように後ろを振り向いた。影が振り向いた先には不思議な光がある。

 

 ネクサスはそれだな!俺は俺の勘を信じて、微かに見える不思議な光に向けて力一杯、槍を放った。それを放った直後、ジークフリードを含めて3人しか存在しないはずが聞き覚えのない声が聞こえた。

 

 「バカ!見てる暇があるならさっさと止めに行け!!」

 

 その声は野太く、とても焦ってるようだ。影はふと気がついたかのようにバスタースピアの後を追った。だが、止めに行こうとしたときはもう遅かった。

 

 不思議な光は炎に飲まれ、メラメラと燃え盛ってた。それと共に、霧が薄くなり、影の正体が見えた。見た目は緑がベースで全身鎧に覆われてるが俺よりも遥かにボリュームがあり、兜の方は世界最大の甲虫の角ような特徴がある。

 

 「チィ、姿を見せちまったな。おいアキラ!奴らを出せ!」

 

 アキラと呼ばれる鎧の男はデッキからカードを出し、鎧の中心部にある輝石に二枚翳した。その二枚は草に覆われた狼、『リーヴォルフ』と、巨体の緑の蜂、『ジガ・ワスプ』のカードだ。あいつ、守護者だったのか!

 

 「Flash(フラッシュ)!」

 

 カードからスピリットが召喚され、目に追えない速さで俺に襲い掛かった。俺は抵抗するものの攻撃が全く当たらず、じわじわと痛みを与えられてゆく。

 

 「ふはははは!どうだ!これこそ緑属性専売特許特殊能力の一つ、『神速』だ!!」

 

 笑い声と合わせて点滅する輝石と共にアキラも勝利を確信したかのように高笑いが起きた。

 

 確かに、この速さは神が持つ速さだ。攻撃が当たらなきゃ埒が明かない。そう思った次の瞬間、カードから声が聞こえた。

 

 『『神速』が使えるスピリットに困ってるようだな。こういう時こそ俺を使え!』

 

 その声の主は『スピノアックス』だった。カードには背びれに斧が生えてる恐竜の絵がある。これでこいつらを倒せるのか?そう疑問に思いながらカードを輝石に翳した。

 

 「Power Add(パワーアード)!」

 

 『スピノアックス』のカードが消え、背びれに三枚の刃が生えた。だが特に力が増幅された感覚がない。

 

 ちくしょう!騙された!こうなれば奴に直接殴りこむしかない!俺はアキラに向かって大地を蹴った。

 

 「無駄だ!神速が使えるスピリットに逃れることは出来ないんだよ!!」

 

 『ジガ・ワスプ』と『リーヴォルフ』が俺を止めに立ちはだかるが、攻撃を弾き、二体は動揺した。

 

 「なに!?アキラ!もう一体出せ!」

 

 アキラがカードを手に取り、体の一部に草木が生え、額と二の腕と二の足に緑の鉱石が填められてる虎のスピリット、『風虎ティガルド』のカードを召喚した。

 

 ティガルドも俺に立ちはだかるが先ほどと同じく攻撃を弾いた。

 

 「どういうことだ!?『神速』を持つスピリットの攻撃が無力化してやがる!」

 

 動揺した野太い声にジークフリードが答えた。

 

 「悪いな。『スピノアックス』は『神速』持ちのスピリットの攻撃は受け付けないんだ。喧嘩を売る相手を間違えたな。『キングタウロス大公』」

 

 俺は『オフェンシブオーラ』のカードを輝石に翳した。力が漲る……!このカードは力を増幅させるカードだったか!

 

 力を拳に集中させ、アキラの顔面に拳をめり込んだ。アキラの頭は兜に覆われてるがそれを凹ませたからダメージは通ってるはず。アキラは衝撃に耐えられず、森の奥へ吹っ飛んでいった。

 

 「これで安全にキャンプが出来るな」

 

 「そうだな」と俺は返した。さて、勝ったのはいいけどこれだけは言わないとな。 

 

 「アキラとキングタウロスとか言ったな!俺が勝ったから虫飛ばしたり逆恨みで襲ったりすんなよな!」

 

 あいつ、意識を失ってなきゃいいんだがな。いや、意識失っちゃあ困る。これからキャンプだし、ユウに見せたらどう言い訳すればいいか考えるの面倒だから。な?頼むから。

 

「紅汰、今のうちにカードを回収しろ」

 

 「『人のもの奪ったら泥棒』という言葉知ってるか?」

 

 「知るか。お前のものは俺のもの。俺のものも俺のものだ」

 

 なにそのジャイアニズム。まぁ取っても多分そこら辺に落ちてるもんだから怒ったりしないだろ。俺はさっきの焼け跡の中をカードがあると勘付いて探した。そうしたら『隠されたる賢者の樹』のカードが焦げ臭い木に挟まっていた。

 

 「なるほど、ネクサスの正体がこれか。厄介なもん出しやがって」

 

 いくらジークフリードでもネクサスの詳細がカードを見るまでわからないようだ。

 

 おっと、そろそろ戻らないとまずいな。俺は全力ダッシュで辿った道を逆走した。

 

 

  




 アイディアが思い浮かばなくて完成がギリギリになってしまう作者です。
 今回は事情により、少し省略してる部分があります。それとラストが投げやりになってすいません。

 
 ~おまけ~

 作者「やべぇ、キングタウロスの出番が少ないし、問題なのは絵理が出てねぇ!これがバレたらさらn」

 絵理「見つけたわよ作者!」

 キングタウロス「おいどういうことだ!?原作じゃ俺はパワーキャラなのに肉弾戦が少ねぇんだよ!?」

 作者「いや……キングタウロスは少年突破バシンじゃ第一弾で出たXレアで出番が遅かったじゃねぇか……」

 絵理「それよりも!私の出番増やしなさいよ!作者なんだから!」

 作者「絵理のキャラまだ安定してないし……それに『白き要塞、襲来』で絵理視点でやったじゃん……」

 絵理・キングタウロス「いいから無理やりでもどうにかしなさい(しろ)!!」

 作者「……はい(´・ω・`)」


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第八ターン「森に潜む虫から紅汰を救出せよ」

 
 今回短いです。4週間休んだにも関わらず、楽しみにしてた方、すみません。


~数分前~ 雄次side in

 

 霧に包まれた森から火の柱が空を貫くのを俺はこの目で見た。見たところ噴火じゃなさそーだ。ってあの森は……!

 

 「おいおい、あの森ってコウがいる森じゃねーか!まずい!あいつ、怪我を負わなきゃいーんだが!」

 

 急いで森に足を運ぶがその途中、コウの幼馴染の絵理ちゃんがいた。

 

 「あれ、雄次じゃん。こんな季節にタンクトップって寒くないの?」

 

 え?もしかしてこの季節、タンクオップ一枚は寒いのか?

 

 「それどころじゃねー!今コウが大変なんだ!山火事に巻き込まれたんだ!早く現場に行かないとコウが死んじまう!」

 

 「嘘!?あいつが山火事に巻き込まれたの!?よし、わたしが紅汰が無事かどうか確認するからあなたは119番通報ね」

 

 「わかった。って、え!?絵理ちゃんが行くのか!?君じゃとても危険だ!」

 

 絵理ちゃんは聞く耳も持たずに森へ走って行った。本当は連れ戻すべきだろうけど、絵理ちゃんのほうがコウのことを俺よりもよく知ってる。ここは絵理ちゃんに任せて俺が119番通報をしなければ。

 

 

 

 ――――――――もう今日のキャンプは中止だな。

 

 雄次side end

 

             ○

 数分後 絵理side in

 

 周りを目に映しても、火はまだ広がってないしそんなに被害はなさそうに見えるけどこの森になにかあったことは感じるわ。

 そういえばこの森は最近妙な出来事が起きるって聞いたことがあるわね。なんか西洋の鎧男が森をうろついてるとか聞いたこともあるし。

 

足元に違和感がある。足元を見れば紅汰が持ってた一枚の黒い紙切れが落ちていた。

 これと何か関係あるだろう?そう思いながら私は落ちてた紙切れに手を伸ばし、詳しく調べるため、紙切れを裏返した。

 紙切れのイラストは骸骨の悪魔騎士って感じで人の顔に似た盾を持っている。名前はボーン・グラディエイターというらしい。

 まさか紅汰はこの悪霊に襲われたんじゃ……。

 

 そんな被害妄想的なことを考えてたら見覚えのある姿がこっちに近づいてくる。橙髪のツンツンに緑の三白眼……間違いないわ!紅汰は傷一つもなく無事だった。

 

 「絵理!また抜け出してきたのかよ……って、うわ!追手だ!」

 

 紅汰はなにかを恐れてるかように焦りを見せ、わたしの腕を掴んでついさっき進んだ道へ逆走した。

 

 「ど、どうしたのよ!一体何が追ってきてるのよ!?」

 

 わたしは振り向き、あってはならないものを見てしまった。8本足、二本の触覚、本来なら踏み潰すことが出来る大きさなのに、その数百倍。わたしはとんでもない¨アリ¨を見てしまった。

 

 「キャアァァァ!!虫が!虫がでかい!!」

 

 断末魔の叫び、わたしの逃げ足が拒絶反応に応え、紅汰の速力を遥かに超えた。超えたせいで引っ張る方と引っ張られる方が逆転した。

 

 「おまっ腕が!腕!」

 

 紅汰が痛みを訴えるにも関わらず、わたしは逃げ続ける。アリから逃れるために。

 そもそもあのアリ、黒でもなきゃ赤でもない!新種?そんなバカなことがありえない!追ってきてるアリの体の色がエメラルドのように輝いてるなんて!!

 

 「逃がすかコノヤロー!ワンパンで死ぬかと思ったら大間違いだ!虫はしぶといってことを思い知らせろアキラ!!」

 

 突然、鎧を纏った男がわたしたちの前に立ちふさがり、大量の虫をぞろぞろ召喚した。これは絶望としか言えない。

 

 「紅汰!フレイムテンペストを使え!」

 

 今の声は一体……?紅汰が謎の声に応えるかのように一枚のカードを取り出し、首飾りに翳した。その瞬間、『Flash(フラッシュ)!』という声が森に響き、炎の竜巻が絶望に覆った虫を襲う。

 

 「がああぁぁぁ!!しまったああぁぁぁ!!」

 

 「タウロス、『しまった』ってなにをしまった?」

 

 鎧の男はなにかを疑問に思ってる。もしかしてこの状況をわからないの?

 そんなことを思ってる場合じゃない!今の内に逃げなきゃ!

 

 「紅汰!早く!」

 

 紅汰とわたしはすぐこの場を離れ、この森を出た。

 あの声は、まさか神の声……?

 

 




 
 おまけ

 絵理「わたしたちが休んでる間に番外編出来たらしいよ」

 紅汰「あぁ、知ってる。Dimensionepisode of Neptunia(ディメンションエピソードオブネプテューヌ)って奴だろ?」 
 
 絵理「違うわよ、超次元ソードアイズ ネプテューヌBSってやつよ。なんか女神様が十二本のソードブレイヴを集める旅に出るっていう物語らしいよ」

 紅汰「……え?いつの間にタイトル変わった?ってかあらすじにそんなこと書いてなかったはずだけど」

 絵理「書き換えたらしいわ。作者が」

 紅汰「……その番外編、次話のおまけで知り合いと一緒にカチコミに行ってくる」

 絵理「……作者も命知らずね」

                                 おわり


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