やはり俺の脳内選択肢は青春ラブコメに波乱をもたらす (こうけー)
しおりを挟む

比企谷八幡と脳内選択肢
この時から彼の道は突如として変わる


皆さんどうもこうけーです。
初の俺ガイルSSで至らないところ多々あるでしょうが宜しくお願いします。

では、どうぞ。


「それで、あたしが勝ったら全部もらう…」

由比ヶ浜が俺と雪ノ下に言う。けれど、それは俺には言っていないことくらい分かっている。これは彼女達…つまり、由比ヶ浜と雪ノ下の会話だ。

そして、初めてでもあった。由比ヶ浜がこんなにも自分の感情を表に出しているのは。そして、初めてでもあった。雪ノ下が由比ヶ浜にここまで怯んでいるのは。

 

由比ヶ浜結衣は優しい女の子だと勝手に決めつけていた。

 

雪ノ下雪乃は強い女の子だと勝手に理想を押しつけていた。

 

だが、違うのだ。有ってはならないのだ。優しい女の子だとしても怖い女の子だとしても、強い女の子だとしても弱い女の子だとしても有ってはならないのだ。

 

自分の意思を通さずに他人の作ったレールを歩くことは…

 

雪ノ下は悩んでいる。家の事を、陽乃との関係を、奉仕部の存在を。

 

由比ヶ浜は欲している。新たな関係を、今までの関係を、奉仕部の真にあるべき形を。

 

雪ノ下は自分の意思で変わらなければいけないのだ。由比ヶ浜の望みを言い訳にして今のままで停滞するのはこれから先の雪ノ下が何も変わらなくなる。

 

だから…俺は…………

 

 

「わたしは…それでも…」

 

雪ノ下…やめろ。言うな…言えば何も変わらない…!

 

自然と口は雪ノ下が最後まで言おうとしたところで動き、雪ノ下の言葉を遮った。

 

「構わな……「いや、その提案には乗れない。雪ノ下の問題は雪ノ下が解決するべきだ」」

 

二人の視線が当たり前のごとく此方に向く。それでも、俺は怯む事は無く、言葉を続けた。

 

「それに、そんなのただの欺瞞だろ。曖昧な関係とか慣れ合いの関係とかそういうのはいらない」

 

『本物』。俺が…比企谷八幡が手に入れたいものはそんな『偽者』からは生まれない。

 

「だから…それでもちゃんと考えて…苦しんで…足掻いて…俺は…!」

 

その言葉を聞いた二人の表情は違っていた。

由比ヶ浜はこの言葉を待っていたかの様な…

雪ノ下は何かを理解したかの様な…

 

「ヒッキーならそう言うと思った」

 

由比ヶ浜の口からはやはり俺が思った表情と同じ様な言葉が出てきた。

由比ヶ浜は…彼女は賢かった。俺や雪ノ下よりも遥か何倍も…。考えていたのだ、ここまでを。あえて自分をヒールにして雪ノ下が強く、自分の足で前に進めるようにする為に。

 

「あたしの気持ちを勝手に決めないで…それに最後じゃないわ…比企谷君…あなたの依頼が残ってる」

 

その雪ノ下当人がそう言った。これで由比ヶ浜が考えたシナリオと俺が望んだ雪ノ下の答が完成した。

これで良いのだ。雪ノ下は強くなんてない…普通の女の子なんだ。痛ければ痛いと言い、泣きたい時は泣く。当たり前の事だ…普通の女の子なのだから。

だから、彼女が助けを求めるなら俺は由比ヶ浜は手を差し出さなければならない。それが、俺と由比ヶ浜の責任だ。

 

「あともう一つ…私の依頼を聞いてもらえるかしら…?」

 

雪ノ下の目は強く未来を見ている。そして、由比ヶ浜は…

 

「うん…聞かせて?」

 

 

ここから俺達の『本物』が始まるのだ。

 

ーーー

ーー

 

 

ザクザク

今、俺達は帰路についている。あれから程なくして解散することにした。先程まで雪が降っていた為、地面に雪が積もっていた。千葉に雪が積もるなんて珍しいことだ。これも今日の出来事と関係があるのかもしれない…と俺に思わせていた。

もうすぐで三人の家への分岐点だ。ここで俺達は本当の意味で解散する。次会うのは明日の学校…奉仕部、でだ。

 

「それじゃあ、ここでバイバイだね。ヒッキー、ゆきのん」

分岐点につくと由比ヶ浜が最初にそう言った。今日の出来事に置いて今日の彼女はやはり自分でもやり過ぎたと思っているのだろうか…少し、早く帰りたがっているようにも見える。

 

「えぇ…そうね…それじゃあまた明日。比企谷君、由比ヶ浜さん」

雪ノ下も由比ヶ浜の気持ちに気付いているのか少し笑うと直ぐに自分の家のある方へと足を向けた。

 

今日はこれでお仕舞いだ。明日から普段通りの学校があって奉仕部としての時間がある。それに今は、雪ノ下にも由比ヶ浜にも近づいてはいけない。今日のあの出来事は同時にこう言う意味も持っているのだ。

 

今まで通りでありながらもこれからは三人で…

 

これが今日の出来事の結果論だ。だから、今は雪ノ下と由比ヶ浜。二人には平等に接しなければならない。今までもそうしてきたつもりだからこの点に置いては大丈夫だろう。問題はその後だ…

 

もし『本物』を見つけて全てに片が付いた時、俺は一体誰を選ぶのだろう。雪ノ下雪乃か由比ヶ浜結衣か…それともまた別の誰かか…

 

(それはこれから決めていけば良い。今はとりあえず…)

 

そう思った瞬間だった。

 

【選べ】

 

何処からか声が聞こえた。でも、外からの声でないのは直ぐに分かった。それは俺の頭に直接に聞こえてくる。そして、目の前に二つの言葉が並べられていた。

 

【①雪ノ下雪乃を家まで送る】

【②由比ヶ浜結衣を家まで送る】

 

(なんだよ…これ…)

 

 

意味が分からなかった。理解の仕様がないのだ。

だって、今は二人に平等に接しなければならないと分かって決めた瞬間にこんな訳の分からないものが目の前に出てきたのだ。

 

(疲れてるのか…?とりあえず早く帰ろ……ッ!?)

 

自分も家の方に向かって歩き出した瞬間、突如として激しい頭痛が走った。しかも段々と痛くなるのがはっきりと分かる。

 

(っ…痛ててててててて……!!!」

 

その場に座り込む。しかも、途中で余りの痛さに声が出てしまっていた。

「ヒッキー!?」

「…比企谷君!?」

由比ヶ浜と雪ノ下が俺の余りの声の大きさに少し驚いて振り向くと彼女達は更に大きく驚いて俺の元へと駆け寄ってきた。

 

「痛ててて!」

「ヒ、ヒッキー大丈夫!?」

「待ってて!今救急車を呼ぶわ!えっと…110だったかしら?」

俺が余りにも痛がるので雪ノ下が救急車を呼ぼうとする。だが、119じゃなかった。

「雪…ノ下!お前、110じゃなくて119だぞ!」

 

(内心は、いつも警察を呼んだ方が…等と罵倒されていたのでここでもまだ引っ張るのかと少し苛立っていた。しかし、雪ノ下がこんな状況になってもそんな事をするとは思えない。かなり焦っていたのだろう)

 

だが、俺が雪ノ下に指摘した瞬間に痛みは何処かへと消えてしまった。

 

「…あれ?痛くない…」

「え?本当に?」

由比ヶ浜が目を点にしながら俺に問いてくる。それもそうだろう。今まで超痛がってた人間が急に痛くないなんて言ったら誰もがそうなるに決まっている。

「あぁ…本当に大丈夫だ。済まないな」

「いいよそんなの!でも、本当に大丈夫?病院行った方が…」

由比ヶ浜はそれでも信じられないのだろう、俺の事を心配してくれるが今は本当に痛くないので俺は「大丈夫だ」と言った。

「本当に大丈夫なの?比企谷君?あんなに痛そうにしていたけれど…」

「本当に大丈夫だ。心配掛けたな」

雪ノ下も心配してくれる。やはりさっきの間違えは業とじゃないだろう。由比ヶ浜同様に大丈夫だの一点張りだがこれしか今は言えなかった。

 

でも、分かっている。痛みが消えた理由くらい。

俺は選んでしまったのだ。

【①雪ノ下雪乃を家まで送る】を…

 

理由は簡単だ。さっきの雪ノ下への指摘をしたときの110、119を口に出して言ってしまったからだ。

 

1と。

 

そして、思い出した。これが何なのかを。

前にパソコンで2ちゃんねるを見たときに今の俺と同じ様な現象がおこるライトノベルを見つけた。タイトルは思い出せないが間違いない。

 

選べ!と言われて選択肢を脳内に出される。それに早く答えないと頭痛が激しくなっていき、答えると必ずそれをしなければならない。

しかも確かパターンがあったよな?

自分がしなければならないものと、相手がやってくるものと、不自然なものと。

 

「ま、まさかな……」

 

額に変な汗が流れているのが分かる。俺は必死になって家への帰路を走った。だが、途中で見えない壁に行く手を阻まれる。そして、尻から地面に落ちる。

 

(ま、間違いねぇ…これは…絶対選択肢だ…!)

 

主人公が変なタイミングで選択肢が出されていつもいつも「何で今なんだよ」と言っていたのを俺は面白可笑しく見ていたが自分がその番になると心の底から思う。

 

 

「何で今このタイミングでこの選択肢なんだよ……」

 

だが、選んだ選択肢通りに動かなければならない。だかそれは、これからの俺達の『本物』を早速壊すことになってしまう。

 

(だが……それでも俺はやらなくちゃいけないんだ…許してくれ由比ヶ浜。雪ノ下。)

 

 

「雪ノ下」

 

俺は雪ノ下の名前を呼ぶ。いつも通りに呼んでいるのに今日ほどこの名前を呼ぶのを嫌と思った日はない。

 

「何かしら比企谷君?」

雪ノ下が俺をジト目で見てくる。それもそうだ。いきなり走り去っていった俺が見えないところでぶつかって転けているところを見たのだから…因みに、由比ヶ浜も口を開けて立ち尽くしている。ついさっきの水族館での凛々しい由比ヶ浜はどこに行ったんだよ……

 

そして幾ら、雪ノ下がジト目で見ていても憐れんでいても、ナイフを持っていても、隣に彼氏がいても俺は言わなくてはいけないのだ。だから…言うぞ俺は……!

 

 

「雪ノ下…家まで送るわ」

 

 

もしかしたらここから俺の青春ラブコメは間違えながらも ハッピーエンドに向かっていたのかも知れない。

 

 

【①2話を待つ】

【②次話を待つ】

 

 




はい。記念すべき1話です。
何故この俺ガイルと脳コメをクロスさせたのかは活動報告を是非ご覧になってください。
ここから頑張ります。
では2話で会いましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雪ノ下雪乃と脳内選択肢
比企谷八幡は雪ノ下雪乃の気持ちを知る


2話いくお!



「雪ノ下…家まで送るわ」

 

言ってしまった……さよなら、俺の『本物』…

 

「……比企谷くん?どういう事かしら?」

 

雪ノ下は笑顔でいるものの明らかに怒っていらっしゃる。

それもそうだ。『本物』が欲しいと言いながらたったの数分後に言った本人自ら壊しに掛かってきたのだから…

 

「い…いや…その……少し暗いからさ…送ろうかな~……なんて?」

 

いや…無茶苦茶すぎるだろ…俺。じゃあ、由比ヶ浜はどうなんだよ!ってなっちゃうよ…

 

「なら由比ヶ浜さんはどうなるのかしら?その心遣いは有り難いけど由比ヶ浜さんに向けてあげるべきよ」

「そ…そうだよな…!じゃあ、由比ヶ浜送るわ!」

 

そう言って俺は由比ヶ浜を見る。

やばい……泣きそうだよガハマさん。やめてよ…その顔。いや、ね?分かるよその気持ち。折角自分が勇気を出して表に出たのに直ぐに壊されたらそりゃあ泣きたくなるよね…?ごめんね?呪うなら俺のこのイカれた頭を恨んでね!?

 

「…あの?由比ヶ浜??」

俺はあたかも由比ヶ浜が泣いてる理由が解らない素振りを見せながら声を掛ける。

「……な…ぃ……」

「え?」

何やらボソッと由比ヶ浜が呟いたが何を言ってるのか全然聞き取れない。

「…もう知らない!ヒッキーなんて!」

「あ、おい!由比ヶ浜!!」

由比ヶ浜が泣きそうな顔でそう俺に吐くと俺に背を向けて走り去っていく…

「ち、ちょっと待てよ!おい!!」

俺も少し追いかけて呼び止めようとするが由比ヶ浜は勿論立ち止まったりなんてしなかった……

「もういいよ!ヒッキーはゆきのんと帰れば良いんだよ!ヒッキーのバカ!アホ!間抜け!おたんこなすのシスコン!」

「いや……!シスコンは今関係ないだろ!?」ゼェゼェ!

俺はほんの少し走っただけで少しスタミナが切れてしまい小さくなっていく由比ヶ浜を見ていることしかできなくなってしまった。

ーーー

ーー

 

「はぁ……」

結局、その後は由比ヶ浜を追いかけようとしてももう追い付けないと確信した俺は明日、謝る事を決めて再び分岐点に戻ってきた。

すると、雪ノ下はその場に未だ残っており戻ってきた俺を見つけるや否や俺のところまで走って駆け寄ってきた。

「どうなったの由比ヶ浜さんは?」

俺は首を横に振った。雪ノ下は「そう…」と少し残念な顔をして俯いた。

正直に言ってやばい。この後、どうすれば良いのだろう…?雪ノ下を家まで送ること事態には抵抗はない。しかし雪ノ下が俺に家まで送られる事を抵抗されたらどうしようもないのだ…。

「ま、まぁ…由比ヶ浜には明日ちゃんと謝るし今日はマジで暗くなってきたから家まで送るよ…」

俺はそう言って雪ノ下の家の方へと歩みを進める。すると、勿論……

 

「結構よ。貴方に送って貰いたくないわ…今は特にね…」

それはそうだ。ここで「ええ…ありがとう」と言う奴が何処にいるんだ。雪ノ下の言っていることは至極当然だった。

だが…待てよ…じゃあどうすれば良いんだよ!こいつを家に送らねぇと俺が帰れねぇじゃねぇか…!

 

そんな事を考えている間にも雪ノ下は俺の前を足早に歩いていく。このままじゃマズイ…!そう思った瞬間だった…

 

【選べ】

え?ここで来るの?何…変なのはやめてよ!?

 

 

【①チンピラに絡まれる雪ノ下雪乃を助ける(命の保証なし)】

【②禿げた中年太りの50歳のおじさんに絡まれる雪ノ下雪乃を助ける(命の保証なし)(ボーナス有り)】

 

……どっちも…命の保証が………ない………だと!?

 

 

どうする!?どうする!?やばいぞこのままじゃ雪ノ下がチンピラに絡まれるかハゲデブ親父に絡まれちまう!

でもチンピラなんて何してくるか分かんねぇし………ハゲデブ親父は触りたくないし…ボーナスってなんだよ!………って!?痛てて!?

 

時間が経つに連れて頭の痛みは増していく。それに更に雪ノ下との距離が離れてしまう。

 

(えぇい…②だ!!)

 

心の中でそう叫んだ俺は痛みを耐えるために下を向いていた顔を上げて雪ノ下を見る。すると………

 

「ね…ねぇ?君今暇かな…?よ、良かったらおじさんと遊ばない?」ハァハァ…

「………け、結構です。今は急ぎの用があるので…」

雪ノ下が更にペースを早めてハゲデブ親父から離れる。しかし、ハゲデブ親父は雪ノ下の腕を確りと掴んで逃がさなかった。

「………っ!?離して…下さい!」

「へへへ……それで離すと思う…?」ハァハァ…

 

何で瞬時にこんなシチュエーションを完成させちまうんだよ…絶対選択肢は…!てか、やばいぞ……あのままじゃ雪ノ下が!だ、誰か!助けてやってくれ!………いや、行けよ俺

 

「…へへ…じゃあおじさんと今から大人の遊びを………!」

ハゲデブ親父が腕を雪ノ下の体に巻き付けようとする。

「いや…やめて……!」

雪ノ下も必死に抵抗はしているが男と女の差はやはり大きくて何の意味もなしてなかった。

そして、完全に雪ノ下の体に腕が巻き付こうとした瞬間…

 

「ちょっと待ってくださいよ」

 

俺の手がハゲデブ親父の腕を掴んでいた。

「ひ、比企谷君!?」

「…なんだね君は…!」

ハゲデブ親父が俺を睨み付けて手を振り払おうとする。しかし、男子高校生と中年親父となると先程まで女子高校生に優勢だったとしても男子高校生には勝てやしない。ハゲデブ親父は必死に手を振り払おうとするが俺の手はまったく離れない。

「この糞ガキ…!」

痺れを切らしたのか中年親父の怒りはMAXまで来たらしく俺の顔面目掛けてパンチが飛んできた。

 

しかし、何故だろう何時もならビビるところが今日は全く怖くない。これは脳内選択肢が俺に加護でもしてくれているのだろうか…?それとも、俺が強いのか?いや、相手が中年親父だからだ………。

 

俺はそのパンチを目の前で受け止めて睨み付ける。生憎にも目が腐っているせいか睨み付けたりすることには使えるらしくて他人曰く『冷酷さがある』らしい。

「…ひっ…!」

俺の目を見たハゲデブ親父は少し腰を抜かして一歩下がる。それでも俺はハゲデブ親父が下がった一歩分だけ距離を詰める。

「おっさん………あんなことして只で済むと思ってるんすか?」

じりじりとハゲデブ親父に近づいていく。それに連れてハゲデブ親父も離れていくがやがて背中が壁とくっつく。

「…あ…!………君!こんなことして只で済むと思ってるのかね!?」

「いやいや、それ俺が今言った言葉っすよ…それに、女の子を無理矢理連れていこうとする奴に誰も慈悲なんてしねぇよ!」

俺は何故だろう。穏便に済ませようとしたにも関わらず拳を握りしめてハゲデブ親父に飛ばしていた。理由は何故だろう…

殴られかけたからか?違う。

自分より弱いからか?違う。

多分、雪ノ下が傷付いたからだ…

 

バキッ!ガン!!

 

俺のパンチは見事にハゲデブ親父の顔面にヒットする。更にハゲデブ親父の頭が後ろのコンクリートの壁と勢い良くぶつかる。少し、気持ちが良かった…しかし、俺は余計なことをするだけでなく余計なことまで言ってしまった…

 

「雪ノ下に手ぇ出したら許さねぇぞ…覚えとけ」

 

…ん?待てよ。今の台詞じゃまるで…「俺の好きな雪ノ下に手を出したら俺が黙ってないぞ」と言う意味になっちゃうんじゃ……いやいや、流石に雪ノ下も分かってくれるよな。もしこれが由比ヶ浜がやられてても俺が「由比ヶ浜に手ぇ出したら許さねぇぞ」と言うだろうって事くらい…

 

 

………え?………分かってくれるよな?

 

ーーー

ーー

 

「大丈夫か雪ノ下?」

俺達は俺がハゲデブ親父をノックアウトさせてしまったらしくてその場にハゲデブ親父は放置してその場を去った。

そして、少し歩いたところで俺は雪ノ下にそう言った。

「え、えぇ…大丈夫よ…」

心無しか顔も赤い。この寒さで風邪でも引いたのだろうか…いや、まさかな…?

「いや~…まさかあんな中年親父にまで絡まれるなんて雪ノ下さんは凄いですね~…うんうん」

「それは馬鹿にしているのかしら?」

雪ノ下が少しギロッと睨み付けてくる。それでも顔は赤いままだ。まじで風邪だよな?…え…風邪じゃなきゃ困るよ。

「まぁ…とりあえず無事で良かったよ」

「え、えぇ…ありがとう…そ、その…助けてくれて」

雪ノ下の顔が更に赤くなる。

…ヤバイ…マジでヤバイぞ

「べ、別にあんなくらいで礼を言われる筋合いなんてねぇよ…当たり前の事をしたまでだ」

「ふふ…優しいのね比企谷君は…」

雪ノ下の笑顔が俺の頬を赤く染めていくのがハッキリと分かる。そして……

「……ねぇ比企谷君?」

「ん、何だ?」

雪ノ下が俺に問いてきた…それは…

 

「あの最後の言葉はどう言うことかしら?」

 

……来たか…来ることは分かっていたから何て言うかはある程度決めている。雪ノ下はまだ言いたいことがあるのだろう…唇がフルフルと揺れている。

「何か言いたいことがまだあるのか?」

俺は雪ノ下が言いやすいように少し手助けをした。…流石俺だ。良くできる男だぜ…!

だが…雪ノ下から飛んできた言葉は俺の思っていた言葉と大きく変わっていた。俺の予想では「気持ち悪いことを言わないで欲しかったのだけれど…」と言うと思ってた。しかし、現実は大きく違ったのだ…

 

「比企谷君は私の事を好きなのかしら?」

 

「……え?」

 

全く予想してなかった…雪ノ下は恋愛事情には疎いか自分から離れていく…俺みたいな考え方を少なくともしていると思っていた。それがそれが…こんなにもダイレクトに言われるなんて…えっとどうしよう…

だが、雪ノ下は追い討ちをかけるかのように……

 

 

 

「私は比企谷君の事が好きよ」

 

 

 

……何だよこれ…あの氷の女王がこんなに素直になるだと…。まさか…ボーナスって…『雪ノ下がデレる』って意味かよ…意味が分からねぇよ…俺は何て返事すれば良いんだよ

 

「比企谷君は私の事………どう思ってる?」

 

 

………言葉が出てこない。確かに雪ノ下の事は大事だと思ってる。それでも何か違う……俺は…俺の『大事』は雪ノ下の『好き』とは違う。

…だから…俺は何て言えば良いんだよ………!

 

 

【選べ】

 

……ここで来るのかよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【①「俺も雪ノ下の事が好きだ」と言う】

【②「俺は由比ヶ浜の事が好きだ」と言う】

 

………おいおい…マジで勘弁してくれよ

 

 

【①3話を待つ】

【②次話を待つ】

 

 




2話終了です。どうですか?面白かったなら幸いです。
明日からは学校があるので投稿が不定期になるのでご理解の方を宜しくお願いします…すいません…

さて、主な流れとしては今は【雪ノ下雪乃編】をしておりますがだいたい3~4話で一つの編は終わらせるつもりです。

これからの主な流れの詳細は活動報告をご覧下さい。

では、3話で会いましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そして比企谷八幡は選ぶ

3話いくお!




【①「俺も雪ノ下の事が好きだ」と言う】

【②「俺は由比ヶ浜の事が好きだ」と言う】

 

俺に下された二つの選択肢。似た意味でありながらもこれから先の未来が大きく変わる…そんな選択肢に俺は悩まされていた。

 

どうする…?ここを凌ぎきるならば①を選ぶのは当然だ。でも、①を選べば由比ヶ浜はどうなる?この関係はどうする?上手くいくのか?行くわけがない…

なら、②を選ぶか?そんな事をしたら雪ノ下がどうなる?

結局はどちらを選んでも変わらないのだ。ならば、今こそ俺のぼっちスキルが輝くときだ…どちらにもつかず。更にどちらにも嫌われない。そんな方法を…

 

 

「俺も雪ノ下の事が好きだ」

 

そして、俺は雪ノ下にそう告げる。途端に雪ノ下の顔は笑顔をへと変わっていく。だから雪ノ下が「本当?」と言う前に言わなければならない。

 

「でも…俺の『好き』はお前の『好き』とは…違う!」

 

俺の声はやっとの思いで振り絞ったかの様な声になっていた。雪ノ下は何て言うだろうか…怒るのだろうか?

 

「…そう。そう言うと思ったわ…相変わらず逃げるのだけは立派ね」

 

だが、雪ノ下から帰って来たのはそんな言葉。正直、意外だった。

 

…いや…そんな事無い。本当は俺に理由を問い詰めたい所だろう。けど、それは駄目なのだ。そこまでしたら完全に由比ヶ浜に顔を会わせられなくなる。これが抜け駆けしようとした雪ノ下自身のせめてもの償いなのだろう…

 

「…悪いな」

 

…言葉だけだ。俺のこの謝罪に心なんて籠ってない…

 

「えぇ…全くよ。ハッキリと好き嫌いを告げてくれたらどれだけ楽だったか…」

 

雪ノ下も呆れ顔になっている。こういうところが俺の変わらなくてはならない所だと改めて思い知らされた…

 

そんな日に今日はなってしまったのだった……

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

朝がやって来る…

昨日は良く眠れなかった。色々なことが頭の中で動きまくり…それを処理するのに時間を掛けすぎたのだ…

それでも、何一つ処理する事は出来なかったのだが。

ーーー

ーー

 

学校に来てもいつも通りで何も変わったことは起きなかった。言うならば由比ヶ浜が遠くなってしまったことくらいだろう。あんなに俺の事を思ってくれていたのに冷たく返したあのときの俺に言ってやりたい…

 

もっと甘えておけ…と

 

それほどまでに由比ヶ浜の優しさは自分にとって大きすぎたようだ。たまに由比ヶ浜が何時もの癖なのか、また別の意味でなのか俺の方を向き、俺と偶々目があった時なんて正直言って嬉しかった。距離は遠くなったが思いは変わらずであったことに…

ーーー

ーー

 

放課後は勿論の事、奉仕部に俺と雪ノ下と由比ヶ浜は集まる。ここだけは変わらない。俺は本を読み、雪ノ下は紅茶を飲み、由比ヶ浜は携帯を弄る。ここだけがやはり俺の『本物』に一番近い場所なのだろう…

 

【選べ】

 

…このタイミングで来る選択肢が分からない。

……頼むから…頼むからマシなやつを……

 

 

【①雪ノ下雪乃に「お前の淹れてくれたお茶は誰のお茶よりも美味しいな…お前の紅茶専用の口になっちまった…責任…取ってくれるよな?」と言う】

【②由比ヶ浜結衣に「昨日はごめん…実は俺…お前の事が好きなんだ。ほら?言うだろ?『男は好きな女を苛めたがる』って…だから昨日はお前を一人で帰らせて、苛めてやろうと思ったんだ…だから、傷つけた分だけ可愛がってやるよ」と最後のところは耳元で囁きながら言う】

 

……orz。

 

……いや、可笑しいだろ。俺いきなりどうしちゃったんだよ…ってなるよ?俺としては②を選んで由比ヶ浜に謝りたいよ!?けどさ!その後のやつはなんなのさ!?

だからって①選んでも同じじゃねぇか!結局は昨日の夜の選択肢を遠回しに言ってるだけだろ!?…って!痛てて!?

 

安定の頭痛が来る。…何だろう…俺が絶対にツッコムような選択肢にして頭痛にさせたいのかな?

悩んでたら悩むほど頭痛は悪化していく。ここは昨日の事もあるから②にしとこうかな!?

選んだ瞬間に頭痛は消えていく。幸いにも雪ノ下と由比ヶ浜には痛がっているところを見られてはいないようだ。もし見られていたらまた変に心配される可能性がある。だが今は、心配してくれる人がいることを感謝しなければならない気もしてくる。昨日からこんな風に人への感謝を強く感じるようにもなってしまった。まぁ、これは別に悪いわけではないが…

 

「なぁ由比ヶ浜…」

「な、何?ヒッキー?」

 

俺が由比ヶ浜に呼び掛けると彼女は少し焦ってる様な態度をとる。恐らく接し方が分からないのだろう。昨日の去り際にあんな暴言(?)を俺に吐いたのだから。昨日のは俺が完全に悪いから由比ヶ浜が後ろめたく思う必要は無いのだがここが彼女の良さなのだろう…『人の事を人並み以上に思う優しさ』というものが。

 

だからこそ、抵抗感がますます増えてくる。こんな優しい女の子に嘘を言うなんて…!…それでも言わなければならないのだ!覚悟を決めろ俺!

そして…一つ深呼吸を吐いた俺は…

 

「昨日はごめん…実は俺…お前の事が好きなんだ。ほら?言うだろ?『男は好きな女を苛めたがる』って…だから昨日はお前を一人で帰らせて、苛めてやろうと思ったんだ…」

そう言いながら俺は自分の席を立って由比ヶ浜の元へと近づく。

「え!?ヒ、ヒッキー!?」

由比ヶ浜も慌てふためいている…それもそうだろう。俺がこんなになってしまったら…

そして、由比ヶ浜に完全に近づいた俺は顔を由比ヶ浜の耳元に寄せて…

「だから、傷つけた分だけ可愛がってやるよ」ボソッ

 

…言ってしまった…この後どうしようかな…。てか、こいつ滅茶苦茶良い匂いがするんだが…。ヤバ…今の謎のキャラを演じた恥ずかしさと混じりあって変に理性が壊れそうだ…!

 

「ヒ、ヒッキー…今のほんと?」

由比ヶ浜が涙目の上目遣いになってこっちを見てくる。

…何?この可愛い生き物は…抱きしめたい…!

「あ、あぁ…本当だ…」

…あ、ヤバ。肯定しちゃった!!つい可愛さに見とれてて適当に返事しちゃった!

「…比企谷君?それはどういうことかしら?」

声のする方へと顔を向ける。勿論そこにいるのは、俺と由比ヶ浜を抜いた残り一人の雪ノ下だ。

…うわぁ…顔がヤバイぞ…完全にお怒りモードだ。顔も今回は笑ってないよ…

「比企谷君。貴方、昨日私の告白をうやむやにして返ったのにこのタイミング…私が目の前にいるなかで由比ヶ浜さんに告白するなんて…とんだゴミクズ男ね!」

「え?ヒッキー!ゆきのんに告白されたの!?」

…おいおい?事態が大きくなってきてないか?

「そうよ由比ヶ浜さん。私は昨日彼に告白したのよ…なのに、彼は『俺の好きはお前の好きとは違う!』と言って逃げて帰ったのよ」

…いやいや、逃げて帰ってないよね?一緒に帰りましたよね?

「ヒッキー!!最低だよ!見損なった!!」

「い、いやいや!俺の話を…「ヒッキーの馬鹿!!!」あ、おい由比ヶ浜!」

俺が弁明しようとしたところで由比ヶ浜が走ってどっかに行ってしまった。追いかけようにも雪ノ下を放って置くわけにもいかないしな…

「比企谷君…さっきのは本気で言ってるの?」

そんな時に雪ノ下が俺に話し掛けてくる。

「いやいや、あんなのう…」

『嘘に決まってんだろ』と言いたかったのだが、そんなことを言ったら『由比ヶ浜さんの事を騙したのね!』と怒られるし…けど『あぁ…本気だ』と言ったら『なら昨日、何故俺は由比ヶ浜が好きだと言わなかったの!』と怒られるに違いない。…どっちも怒られるじゃねぇか…

 

「う?」

雪ノ下が少し睨み付けてくる。俺が『嘘』と言わないための威圧だろう。

「う、嘘に聞こえるか?あんな心の底から言った言葉をだぞ?」

…あれ?これって…『あぁ…本気だ』じゃねぇの?何やってんだよ俺…上手いこと他にも手があっただろ!

「…………そう…」

雪ノ下は俺に背を向けてそう言った。

「お、おい雪ノ下?」

俺の呼び掛けに雪ノ下は…

「行ってあげなさい」

「…は?」

「由比ヶ浜さんの元へ行ってあげなさいと言ったのよ…聞こえなかったの?」

そうは言うものの雪ノ下は俺に顔を見せない。

「あ、あぁそうだな…行ってくる…」

俺はこのままでは埒が明かないと思い、由比ヶ浜を追いかける為に教室を出ようとする。その時に何故か足が止まってしまった。そして雪ノ下の方を振り向く。しかし、雪ノ下は変わらずに窓を見ている。そして俺はそのまま教室を出た。

 

ーーー

ーー

 

比企谷君の足音が遠くなっていく。本当に由比ヶ浜さんを追いかけに行ったのね…

馬鹿ね私は…私が行けって行ったのに…それを今更後悔してる…本当は、彼に『好きだ』と言って貰いたかった。それが無理でもせめて由比ヶ浜さんに向けて言った言葉を『嘘だ』と言って欲しかった。比企谷君を睨み付けて威圧して『嘘だ』と言わせようとしたのだが彼は『本気だ』と言った。彼の本心が私の威圧に勝ったのだろう…そうなると私は比企谷君に完全敗北…いえ、由比ヶ浜さんに負けたのね…

 

「…ぅう…」グス…

 

そう完全に思い知ると涙が流れてくる。彼に…比企谷君には見せたくなかった涙が…

よっぽど由比ヶ浜さんに比企谷君を取られたのを悔しいと思っているのか私の涙は止まらなかった…

 

「……こうなると奉仕部は必要ないわね…だって比企谷君と由比ヶ浜さん…貴方たち二人が…いえ…二人で『本物』なのだから…」

 

そして彼女は鞄に荷物を入れて此処を…『奉仕部』を去る準備を始めた。

 

ーーー

ーー

 

「おいおい…何処に行ったんだ由比ヶ浜の奴は?」

俺は奉仕部の部屋を出た後、辺りを探したが何処にも由比ヶ浜の姿は見つけるかとが出来なかった。

「それに…雪ノ下への誤解も解かねぇといけねぇのに…!」

焦りが大きくなっていく。俺のペースもその分だけ早くなる。そんな時に、ふと思った。

もし、ここで由比ヶ浜を見つけ出して弁明して許してもらってもそれからどうするのだ?

もし、雪ノ下の誤解を解いてもその後はどうするのだ?

 

俺はどちらかを選ばなければならない。いや、そんな偉そうには言えない。俺は雪ノ下か由比ヶ浜。どちらかを選びたいのだ。

けれど、それはまだ先だと思ってた。まだ、雪ノ下も由比ヶ浜も俺に気持ちは伝えてこない…そして、俺もあいつらに気持ちを伝えるのはまだ先だと思っていたから。

けど、絶対選択肢のせいで昨日の今日でこうなってしまった。けど、それを悪いとは自然と思えないでいた。

恐らく、何時かはこうなる日が来ると分かったからなのかもしれない。いくら『本物』を見つけてもどちらかを俺は捨てなければならない。そうすれば、『本物』は崩れる。三人がいて『本物』なのだとしたら…それはほんの一瞬で壊れて直せなくなる。ならば…俺の彼女達への情が深くなる前にカタをつけるべきなのだろう。

だから、これは最後の『本物探し』だ。俺は分かったのだ。『本物』とは何かを…

それはーーーだろう?

 

【選べ】

 

 

なぁ、絶対選択肢さんよぉ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【①雪ノ下雪乃を選ぶ】

【②由比ヶ浜結衣を選ぶ】

【③どちらも選ばない】

 

 

 

……答えはもう決まってる。

 

沢山、迷惑掛けたし、傷付けもした…だから…今度はお前の悩みを俺が横で聞いてやる。助けてやる。守ってやる。

 

 

良く聞けよ絶対選択肢…俺の答えは…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①だ……

 

【①4話を待つ】

【②次話を待つ】

【③『雪ノ下雪乃編』最終話を待つ】

 

 




3話終了です。今のところはコメディはあまり入ってきてませんが4話もあまり入ってこないと思っておいてください。
けど、安心してください。5話のエピローグはコメディばかりですよ!
後、この3話。少し飛ばし気味だったのでお詫び申し上げます…納得のいかないストーリーかもしれませんがお許しください
なので、とりあえずは4話をお楽しみに…雪乃√の最後はどんなものですかね?書いてる自分も楽しみです!

では!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

氷と雪と涙

4話いくお!


もう後戻りは出来ない。

俺は①を選んだのだ。由比ヶ浜ではなくて雪ノ下を…

だから、どうしようもない。絶対選択肢というものが俺の中に有り続ける限りは俺は従わなくてはならないのだから。でも、不思議と後悔はしてない。いずれ来る筈だった出来事が今来たから仕方がないとかそういうのじゃないと思う。自分でも分かってはいないが恐らく、やっと『本物』を得られる喜びなのかもしれない。

雪ノ下と由比ヶ浜の3人で得る『本物』、由比ヶ浜としか得られない『本物』、そして雪ノ下としか得られない『本物』。雪ノ下を選べば由比ヶ浜との『本物』は二度と得ることは出来ない。それでも構わない。

俺は雪ノ下とーーー

 

そんな事を考えているといつの間にか奉仕部の前まで来ていた。ここに雪ノ下がいる。いつもの事なのに今は新しい気分だった。

「………」

俺は無言のまま扉を開ける。今俺はどんな顔をしているのだろう。自分では無表情をしているつもりだがもしかしたら気持ち悪い笑顔を浮かべてるかもしれないし、もしかしたらパニクって目が回ってるかもしれない。

「……あれ?」

 

いない。雪ノ下がいない。

 

俺は奉仕部の部屋を見渡す。しかし、いない。その代わり見つけたのは雪ノ下の物が全て無くなっていること。それは、たった一つの答えしか導き出さなかった。

「…っ!あの馬鹿!」

俺は奉仕部を走って出ていく。時間にしてみたら俺が奉仕部を出て戻ってくるのに凡そ10分くらい。そして、今から俺が雪ノ下の家まで走ったら100%帰路の途中で雪ノ下に会える。もし、雪ノ下が走って帰ってもあいつの体力じゃ持つわけがない。

昇降口の下駄箱のところまで来る。靴を履き替える時間がもったいない。しかし、スリッパのような走りにくいもので走っても走りにくいだけだ。

 

あれ?俺も結構本気で走ってるから途中でガス欠するんじゃ……

 

ーーー

ーー

 

「……はぁ」

ため息混じりに私は白い息を吐く。季節は冬だからいつも以上に息は白い。

今頃、比企谷君は由比ヶ浜さんとイチャコラしてるのかしら……いえ、無いわねあの男に限って……

「……はぁ」

二回目のため息。恐らく学校からここまでで数えきれないほどのため息を吐いているだろう。

よっぽど比企谷君が由比ヶ浜さんを選んだことを悔しく思っているのかしら……いえいえ、私なんかより由比ヶ浜さんの方が女の子らしくて優しくて彼の事を理解してあげてるわ。私なんかじゃ足元にも及ばないほど…

「……っ…でも……!」

やっぱり彼には私を選んで欲しかった。その気持ちは由比ヶ浜さんよりも大きいと思う。そんな事を考えていると涙が零れてくる。こんな大通りの公の場所で……恥ずかしい…

 

私は全てを失った。

生まれたときから何一つ不自由無く生きてきた。でも、人間として大事なものを私は何一つ持ってなかった。お金や美貌は有っても友達と居場所はなかった。家族はいても愛情はなかった。

そんな私にできた唯一の居場所。それが『奉仕部』。

彼処は私に色んな事を教えてくれて与えてくれた。私になかったもの全てを…だからこそ失いたくなかった。けどそうはいかない。

由比ヶ浜さんには黙ってフライングしたのだから…比企谷君に気持ちを伝えることを…だからこそ彼が由比ヶ浜さんを選んだならば私はフライングした償いとして奉仕部を去る義務があるのだ。だから、私は………………

 

「……どこ行く気だよ」

 

空を眺めて呆けてる私の耳に聞き覚えしかない声が入ってくる。今、私が一番会いたくない人の声が…

 

「…比企谷…君…」

 

まだ、私の目からは涙が流れたままだった。しかし、彼は表情一つ変えず私に近づいてくる。彼をよく見ると汗をかいて息も荒い。恐らく走って追いかけてきたのだろう。『由比ヶ浜さんと付き合うことになった』なんていう私が今一番聞きたくない事を報告するためだけに…彼は変に律儀なところがあるから、こういう時は本当に迷惑でもある。

 

「どうしたの?比企谷君?」

私は何も分からない振りをして頑張って笑顔を作る。この笑顔は見えないが自分史上最も不細工な笑顔になっているだろう。

彼はこうやって色々と考えて悩んでいる私の事なんて考えずに近づいてきて遂に私の目の前まで来る。やっぱり汗と息が荒い。

「お前何がしたいんだよ」

彼はそう言って私の目を少し睨み付けるようにしながら言ってくる。でも全然怖くない。だって彼の誰にも負けない優しさを私は知っているから。

「見て分からない?帰宅途中よ?」

「…なら、何で何時もみたいに『今日はここまでにしましょう』って俺達に言わなかった?」

「言わなくても貴方は帰るでしょ?由比ヶ浜さんとね」

相変わらず私は格好悪い。皮肉っぽく言ったって所詮は負け犬の遠吠えだ。これ以上彼と今話していると更に自分が嫌になってくる気がしたので私は何も言わずに彼に背中を向けて再び帰路につく。

しかし、それで離してくれる比企谷君ではなかった。「待てよ」と言い私の肩を掴む。その力は強く、そして力のない私には痛い。

「痛いわ。離してくれないかしら?」

そんな事で彼は当然離してくれない。更に彼は私の目から視線を逸らさずにずっと見つめてくる。すこし彼にここまでじっと見られると恥ずかしい。

「雪ノ下」

「なに?」

そして彼は一拍置いて…

 

「好きだ」

 

それだけを言うと私の肩を離す。でもその肩を離す時の感覚を私は全く感じられなかった。だってその前の言葉が衝撃的だったから。

「何を言っているのかしら?意味が分からないのだけれど…」

何せ今の言葉は由比ヶ浜さんに本来は告げなければいけない言葉だ。彼は人を間違えてる。しかし、彼が由比ヶ浜さんと私を間違えるなんて事は人間が魔法を使えるようになる可能性よりも遥かに低い。なら、何故私に言うのか…

「なら分かるまで言ってやるよ。好きだ雪ノ下」

「貴方頭が可笑しくなったの?それは私に言う言葉じゃないわ」

「………」

私がそう言うと彼はすこし口ごもりながら黙り込む。それでも彼は意を決したかの様に…

 

「俺は由比ヶ浜も雪ノ下も両方好きだ。けどな、俺が大切にしたいと思うのは…一緒に居たいと、一緒に居て落ち着くのと、一緒に居て幸せなのは雪ノ下。お前なんだよ。俺の言葉が信じられないのは分かる。昨日今日で俺はお前も由比ヶ浜も傷つけた。でも、それには理由があるんだ。訳は話せないけどそれは信じてくれ。そして、出来るのなら…まだお前が俺の事を好きでいてくれているのならーー

 

俺に触れてくれ」

 

全くもって理解不能だ。彼の意図が分からない。けど、それを悪いとは思わない私がいる。喜んでいる私がいる。

出来るものなら触れたい。それでも私の手は動かない。彼の手に触れれば全てが変わる。彼が由比ヶ浜さんを選ぶことによって私が消えるように、彼が私を選んで応えると由比ヶ浜さんが居なくなる。この恋はそういう恋なのだ。一つを選べば一つが消える。元のままではいられない。

なら、ここで彼の手に触れなければどうなる?比企谷君は由比ヶ浜さんを選んだりなんてしない。彼はそんな屑じゃない。ここで彼の手に触れなければ一番最悪な未来が訪れる。きっと比企谷君は私から離れる。由比ヶ浜さんは私と距離を置く。そして、奉仕部は消える。

そんな事はあってはならない。私の唯一の居場所。そこを守るために彼の手に触れるのは彼に失礼だ。自分の欲のために彼の決死の告白を利用するなど言語道断だ。

でも、私もそろそろ素直になってもいいのではないか?と思う。さんざん遠回りをしてきた。だからこそ本来見るはずの無かった景色も見れた。それはとても良い景色だった。だからこそ、その景色を忘れたくないし彼等に忘れさせたくないーー

 

「…ねぇ比企谷君?」

 

私の声は少し上ずったような声になっていた。彼は気づいているのかどうか分からないが「何だ?」と言う。

言いたいことは決まってる。けど、怖くて言えない。言えば何が起こるか分からないから…

そんな時に私は視線を少し下に反らして彼の手を見た。すると、彼の手は小刻みに震えていた。

彼も怖いのだ。私と同じように悩み苦しみ、そして私と違って覚悟を決めた。その覚悟の言葉は私に届いた。ならば私もちゃんと覚悟を決めなくてはいけないーー

 

息を吸って少し長く深呼吸をする。その間に言いたいことの全てを考える。でも、中々纏まらない。ふふ…こういう時の私はやっぱり弱いわね…

でも、これだけは絶対に言わなくてはいけないと思ってるから先に言わしてもらうわーー

 

私は彼の私に延びている手に触れてーーー

 

「私も貴方の事が好きよ。この世の何よりも、誰よりも何倍も何万倍も好き。私も貴方と一緒に居たい、貴方と一緒に居て幸せと思える。でもね?一つだけ言わせて頂戴」

 

私はもう一度深呼吸をする。そしてーー

 

「『まだお前が俺の事を好きでいてくれているのなら…』ですって?馬鹿にしないで欲しいわね…私が貴方の事を忘れる日が来るとしたらそれは私が死ぬときよ?」

 

そう言って私の手は彼の頬に触れる。

 

「…おいおい、そんな言葉が氷の女王から出るとは思わなかったぜ。それに…女王とは言えど涙は氷じゃなくて水なんだな」

そう言い、彼は私の目から未だに流れている涙を拭く。

「こ、これは…その…汗よ…!」

「誰がそんな言葉で納得するんだよ」

「ふふ…そうね。八幡」

「…!お前…」

彼に聞きたい事や聞いて欲しい事は沢山あるし、やりたい事も沢山ある。それはこれからの長い人生で二人でゆっくりとやっていけばいいと思う。とりあえずはーー

 

ーーー

ーー

 

これで良かったのだろうか…と思っていたが雪ノ下に八幡と呼ばれた瞬間に悪くないと思ってしまった。

まぁ、これから何かと厄介な事もあると思うが二人で頑張っていこうと思う。

 

「ねぇ…八幡?」

 

俺の名を呼んだ雪ノ下はさっきまで泣いていたとは思えない笑顔でーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子供は何人欲しい?」

 

「……え?」

 

【選べ】

 

え…?ちょっと、え?

雪ノ下さん?絶対選択肢さん?

 

 

【①野球チームが作れるくらいかな!】

【②八幡に因んで8人かな!】

 

 

……………はいはい。分りましたよ。言えばいいんでしょ言えば!もう頭痛は勘弁だからな!もう言うぞ!?言っちゃうぞ!?本当に言うからね!?あんなに良い雰囲気だったのに絶対選択肢のせいで台無しなるじゃねぇかよ!ちくしょぉぉぉぉぉ!

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

 

 

 

「八幡に因んで8人かな!!」

 

 

 

【①5話を待つ】

【②次話を待つ】

【③雪ノ下編後日談を待つ】

 

 




………終わり方、コメディにしなかったら良かった。

さて、4話終了です。次は後日談ですが、かなりブッ飛んでます。お許しください。活動報告にも書きましたが大分忙しくなってたここ最近ですが落ち着いてきたのでまた再開していきたいと思います。では!5話で会いましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

小さな、そして大きな幸せ

五話編集したお!!


俺と雪乃が恋人になった日。

 

あれから10年程の月日が過ぎた。

この10年は自分達にとって今までの人生で一番濃い時間だったに違いない。

 

あの日、恋人になった次の日に俺達は由比ヶ浜に報告をした。由比ヶ浜は喜びと悔しさが半分半分になった顔をしていたが『おめでとう』と言ってくれた。

一番の良かったのは奉仕部が無くならなかったことだった。由比ヶ浜はそれからも奉仕部に毎日来てくれた。だからこそ俺達は真の意味で高校生活を充実することが出来たのかもしれない。俺と雪乃と由比ヶ浜。この三人だったからこそ…

 

それから、小町が総武高に入学した。無事に入試を合格したのだ。流石、俺の妹。小町も結局、奉仕部に入部した。すると、邪魔者が一人入ってきた。

川崎大志

あいつも総武高に入学するだけでなく奉仕部にまで入部してきたのだ。くそ…!何処までも小町を追いかけてきやがって!

 

ーーーーーーーーー

 

そんなこんなで俺達は高校を卒業。そしてここで俺と雪乃の人生は大きく変わった。

雪乃の家からの独立。俺はこれを手助けした。始めは親を説得させるつもりだったがそう易々と行くはずがないのは 目に見えていた。だから、俺と雪乃は賭けに出た。それが…結婚。

正直言って俺たちが別れる可能性は0%に近いと俺は確信していた。だからこそ何時かは結婚だってすると思ってたし、将来働く時の為に大学で勉強をバリバリするつもりだった。だから、中々手こずった。俺も雪乃も収入は0。バイトだけじゃやっていける自信もなかった。それでも雪乃の望みは叶えてやりたかった。だから、俺は大学を辞めた。後悔はしてない。と言ったら嘘になるかも知れない。実際、何のために受験勉強してたんだ。と思ったしこれで働き手が無かったら終わりだ。とも思った。でも、案外あっさりと就職先は決まった。なんとなんとの雪ノ下建設だった。

 

ーーーーーーーーー

雪乃の親父さんは俺のその行動を天晴れと思ったのか知らないが何だか気に入られた見たいで雪乃との結婚も雪ノ下建設での就職もすんなりOKを出してくれた。

後に雪乃に聞いた話だと、決定打は行動力でも雪乃への愛情の大きさでもなくて、『若気の至り』らしい。今のゆとり世代でデメリットも考えずに好きな人のために自分を犠牲にする覚悟のある所を気に入ってくれたらしい。まぁ、そんな感じで俺達は結婚。仕事は鰻登りで今では専務である。まぁ、雪乃の親父さんの力があってこそだが…

 

ーーーーーーーーー

一番は子供が生まれた事だ。結婚2年目で男。5年目で女。8年目で男。だから男3人、女2人の家族だ。正直言ってヤバイ。八幡ちょー幸せ。

小町が世界一可愛いと思ってたが並ぶ。下手したら小町よりも可愛い。

え?我が子が一番じゃねぇのかって?何言ってるんだ。小町が一番に決まってるだろ?

 

と昔、雪乃に言ったら怒られた。『何故、私が一番じゃないの!』と…。だから、今は雪乃が一番だ。いや、ホントだよ?ほんとほんと!

 

昔、子供は八幡に因んで8人かな!!と雪乃に行ったが下手したらマジで行くかも…だって、今、3年おきに生まれてるんだよ?だから、このままいくと…19、22、25、28、31、34、37、40。ほらね?

 

ーーーーーーーーー

さて、そんなこんなで幸せ真っ只中の俺こと八幡。一つ忘れてることがあるんじゃないかって?分かってるよ…

 

絶対選択肢だろ?

 

まぁ、どうなったかはこれから見てもらう。俺の日常で分かるからさ…じゃあ、行くぞ…

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

チュンチュン…ミーンミーン

 

鳥の囀りと蝉の鳴き声が俺の耳に入ってくる。あー、そう言えば昨日は焼き鳥だったな…ごめんよ、鳥さん。仲間を食べちゃった。蝉は…キエロ。ウルサイヨ

「…起きるか…」

季節は夏。冬みたいに布団から出たくない!なんて思うことが無いから助かる。

今は一軒家に住んでいる。雪ノ下建設専務ともなるとお金はガッポガッ…沢山頂ける。なので、八幡奮発しちゃった!てへ☆

…うん。男のてへ☆は需要ないな。

ギャギャー!

子供達の声が聞こえてくる。日曜なのに元気だな。俺があいつ等の年の時なんて現実に飽き飽きしてたのにな…幸せなこった。

「おいーっす…」

俺は階段を降りてリビングのドアを開けて特に誰かに向けたわけでもない挨拶をする。すると、キッチンの方に立っている雪乃が俺の声に気づく。

「あら、起きたのね。おはよう」

「あぁ、おはよう」

そんな何時もの挨拶を交わす。だが、これだけでは俺と雪乃の挨拶は終わらない。そう…だって…

 

【選べ】

 

ね?終わらないんだよ。

 

【①おはようのキスを雪ノ下雪乃にする】

【②子供達におはようのキスをして嫌がられる】

 

ふっ……こんなの何時ものことだ。もう馴れたぜ…

そして、俺は雪乃にキスをする。すると、結構強く押されて引き剥がされた。

「え?」

俺は少し困惑気味に声を漏らす。すると、

「朝から恥ずかしいわ…子供が見ているのよ?」

 

あれー?絶対選択肢さん?これってどちらを選んでも嫌がられるんじゃないですか?ちょっとー、勘弁してよー…

 

「あ、あぁそうだな…悪い」

「い、いえ…その…嫌と言うわけではなくて…その…」

「悪かったよ…その夜にな?」

「……!そうね……」

 

思い出したら昨日の夜もドッキングしたような…あれ?

 

ーーーーーーーーー

そう…絶対選択肢はあれからも消えることなく、俺の中に有り続けているのだ。全然消える気配もないし…昔よりも1日に現れる回数が倍になっているのだ。高校生の時みたいなえげつない選択肢は殆ど無くなったが今でも嫌なものは多々現れる。まぁ、さっきも言ったが…馴れた。

10年も絶対選択肢に振り回されたらなぁ…誰だって馴れるよ。

ーーーーーーーーー

「八丞[やすけ]。雪葉[ゆきは]。雪斗[ゆきと]。ご飯よ。こっちに来なさい」

雪乃が子供達を呼ぶ、テーブルを見ると朝ご飯が五人分ある。今日の朝は目玉焼きのようだ。

「あ、目玉焼きだ。俺、完熟だよね?」

「私は?雪葉のは?」

「ちゃんと分けてるわよ」

八丞と雪葉が各々勝手な注文をする。八丞は完熟派で雪葉は半熟派だ。雪斗はまだ2歳だから完熟、半熟どちらでも行けるのだろう。そんな俺は因みに半熟。雪乃は完熟だ。つまり完熟2人に半熟2人どちらでもが1人。そんなめんどくさい注文を雪乃は何時も作ってくれるのだ。優しい。優し過ぎるよゆきのん…

「じゃあ頂きましょうか。頂きます」

「「「頂きます」」」

雪乃の言葉に合わせて俺達は続いて言う。

え?こういうのは父親がやるもんだって?おいおい…この家の大黒柱はゆきのんだぞ?俺は違うよ?

「ねぇねぇ」

雪葉が食事中に俺の服の裾を摘まんで引っ張ってくる。

「なんだ雪葉?」

雪葉は俺にの遺伝子を受け継いでいるのか心配になるほど俺に似ていない。美貌は雪乃。性格は正直言って由比ヶ浜みたいだ。正直言って不安だ。こんな可愛くて優しい女の子だから変な虫がくっつかないかどうかが…

「雪葉ね?小町お姉ちゃんと遊びたい!」

雪葉は小町が大好きだ。まぁ、小町の事を好きじゃない人間なんてこの世に居る筈がないがな。

今日は休みの日。平日、八丞と雪葉は学校があるから昔みたいに小町と遊べる機会がかなり減ってしまっていた。それに愛する娘の願いと聞いちゃ叶えない訳にはいかない。

「じゃあ、小町がOK出してくれたらな?」

「うん!」

あぁ…可愛い。抱き締めたい。こんな可愛い子が娘なんて…この娘は将来世界の美人ランキング1位になるに違いない。ならなかったらこの世界は俺が滅ぼしてやる…

ーーー

ーー

プルルルル…プルルルル

 

朝御飯を食べ終えた俺は早速小町に電話を掛ける。ガチャと向こうが受話器を取ってくれて俺が『もしもし』と言うと聞こえてきたのは…

 

『あ、もしもしお兄さんっすか?』

 

……………おい。

『すいません。間違えました』

『ちょっ………!それは酷いっすよ!?』

『何でお前が小町の携帯に出てるんだよ』

『いや、別に理由はないっすけど…』

 

そう。このゴミくずの川崎大志は小町と未だに縁があるのだ。全くもって不快だ。本当に殺してしまうかもしれない。だが、小町とは付き合ってるようには見えないし友達とも見えない。世間で言う『友達以上恋人未満』というやつなのか?

 

『まぁ、いい。小町いるか?』

『あ、居ますよ。代わりますね』

そう言って聞きたくない声が微かに「小町」と呼んでるのが聞こえた。野郎…とりあえずボコボコにしなくては…

『もしもしお兄ちゃん?どったの?』

『おう小町。雪葉がお前と遊びーー』

『良いよ~、今すぐ来てね~!』

早いなおい…

小町も雪葉の事を我が娘のように可愛がってくれてるからか雪葉にはとことん甘い。だからこそ雪葉も小町が好きなのかもしれんが…

ーーー

ーー

 

あれから30分程して小町の家についた。我ながら早いと思う。

「よし、着いたぞ。お前ら」

後ろに乗せている八丞と雪葉が言うと同時に車のドアを開けて飛び出していく。

「ふぅ…元気なことだな」

「えぇ…けど子供は元気が一番よ」

俺と雪乃はゆっくりと車から降りて玄関へと歩く。見るともう雪葉が小町に抱きついてる。

「おう…悪いな急に言っちまって…」

「全然良いよお兄ちゃん。じゃまた後でね!」

「え?」

俺はこのまま小町の家でゆっくりするものだと思ってたのだが…どうやら違うらしい。

「小町さん?俺はどうしたら…」

「そんなの雪乃さんとデートしたら良いじゃんか!久しぶりに二人で楽しんできなよ!」

「そうだよそうだよ!」

小町と雪葉が声を揃えて言ってくる。なるほどな…どうやら、これが狙いのようだな。

子供達は俺達を二人にするために今日を選び、小町のところに来たわけか…

「しかし、雪斗が…」

「それなら大丈夫ですよ雪乃さん!私が世話しておきますんで!」

まぁ、折角なので今日は小町の計画に乗らせてもらおうか…

「じゃあ、言葉に甘えさせてもらうか」

昔の俺なら嫌がってただろう。時間は人を変えるようだ。この10年は俺を色々と変えた。このデートを俺は嬉しく思うようになってしまった。

「じゃあ楽しんできてね~!」

俺と雪乃が車に乗ろうとした瞬間に後ろから小町の声が聞こえてくる。そして、俺と雪乃のデートがここから始まった。

ーーー

ーー

 

「さて、どうしたものか…」

勢いのままに車を走らせたのは良いが素晴らしいほどのノープランだ。でも、仕方ないでしょ…?いきなりだったんだもん。デートするなんて思ってもなかったんだもん。

「とりあえずドライブという形で良いのではないかしら?」

雪乃が優しい口調でそう言ってくれる。何時もなら『ノープラン?前々からデートだと分かっていたのだからせめてプランの一つくらいは立てるものでしょう?』と怒るのだが流石に雪乃も今回ばかりは事情を分かってくれてるみたいだ。

 

【選べ】

 

あ、来た。でも、この状況で何をさせるつもりだ?

 

【①映画など色々と楽しんでからホテルへと向かう】

【②絶景の見れる場所で景色を見てからホテルへと向かう】

【③ダイレクトにホテルへと向かう】

 

どれも結局一緒じゃねぇかよ。まぁこの中で妥当なものと言えば…

 

「景色の良いところでも行くか」

「そうね。そうしましょうか」

 

ーーー

ーー

 

俺と雪乃にとって一番の絶景は千葉にある某ランドのナイトパレードだがあそこは子供達を連れて行かないと後で何を言われるかたまったもんじゃない。

それに、雪乃の大好きなパンさんはここには無い。その時点で、雪乃の候補からは外れているだろう…

そんな訳で結局辿り着くのは昔俺がプロポーズをした家の近くの高台。

夜はかなり綺麗な夜景が見えるんだぜ?…まぁ、俺が言ったのは昼だがな……

 

「何か…2人だと特にする事も無いな」

「えぇ…逆に言えばいつも私達は子供達を中心に考えているという事よ?」

「あ、本当だ…じゃあ俺達って親の鏡だな」

「貴方の目は人類の汚点だけどね」

「いや、それもう国家問題にして手術したらよくね?」

 

雪乃には相変わらずこの目で罵倒される事が多い。でも、これも俺たちの大切なコミュニケーションだ。逆に無かったら悲しくなる……あれ?俺ってMの素質あるっけ?

 

「でも貴方の目とは裏腹に中身を知っているのは私だけで十分よ」

「はは…素直に喜べねぇな」

「今私は凄く幸せ…壊れたら死んでしまいそうになるくらい…」

「……雪乃…お前……」

 

ヤンデレか??って言おうとしたけど止めておく。まぁ、気持ちは分かるからな。

とりあえず立つの疲れたし、どこか休むところをーーー

 

【選べ】

 

…………

 

【➀ここでする】

【➁hereでする】

 

いや、変わんねぇじゃん。無理やりすぎて英語になっちゃってるよ…

それにホテルは…?どこ行ったの?ねぇ…ねぇってば!

…って、いてててて!!分かった分かったよ!!➀だ➀!

 

「雪乃…」

「何……って、きゃ…!」

 

でもこれって公共猥褻罪じゃ………

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

この後、八幡は無事に8人の子供を育てたそうな。

 

めでたしめでたーーしじゃねぇよ。

 

これ後何回するの?

え?次は由比ヶ浜?え…陽乃さん……??

ちょ、待って。いや俺そんなの絶対いyーーー

 

 

 

~雪ノ下雪乃編・完~

 

 




皆様、こんにちはこうけーです。
久しぶりの投稿はまさかのただの編集…申し訳ございません

さて、雪乃編はこれで終わり。変態でしたが由比ヶ浜は純粋な恋物語にしたいですね…

さて、選択肢でのネタがない哀れな作者の為にネタを作ってやるよ!と言う方がいます。
有難うございます。有難いです。
なので何時でもこれどう?って言うネタがございましたらお教えください!
教えて下さった物は全て使いたいと思います!!

今回は最後の選択肢をkk2さんから頂きました!有難うございました!!
お待ちしております!!!
てなわけでまた!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

由比ヶ浜結衣と脳内選択肢
チョコみたいなう○ことう○こみたいなチョコ


由比ヶ浜編、始まるよ!

因みにご都合主義で行くので八幡は選択肢の存在は既知として進めます。


こんにちは!僕の名前は比企ヶ谷八幡!!

ひょんな事から絶対選択肢に悩まされ始めた普通の友達の少ない高校生さ!!

選択肢はいつも変な物しか出してこないけど僕にとっては大切な存在さ!!

 

……とかまぁ言ってみたいもんだねぇ。うんマジで…

 

さて、お馴染。雪ノ下編で色々屑っぷりを発揮していた比企ヶ谷八幡です。

まぁ、由比ヶ浜編もどうせ似た様な感じになるんだろうな…別に慣れた訳じゃ無いけどやらなくちゃいけないんでやりますよ…(どうか普通であるように……)

 

ーーー

ーー

 

季節は冬。

 

世間でいえばクリスマス、正月、バレンタイン等がある。

まぁ、俺にはあまり関係ない話だがな……別に悲しくなんてないよ?

 

今日は2月14日の金曜日。今日は俺には無縁のバレンタインだ。

小町からは貰えるだろうし…あ、でも受験だもんな。無理させたくねぇな。でも、ちょっと…ちょっとだけ欲しい気もするな~…なんて?

 

ふと、雪ノ下と由比ヶ浜の顔が浮かんだ……いやいや、それはありえねぇよ俺。

考えてみろ、雪ノ下なんてどうせ「あら?貴方如きにあげるとでも思ったのかしら勘違谷君」っ言われるのがオチだろうし。由比ヶ浜は手作りだと死ぬし…う~ん…今回は0かな?

 

「ま、仕方ねぇか…」

 

そんなこんなで校門を潜り下駄箱に着く。

「…………」

少し…ほんの少しだけ期待をして箱を開けようとしたその瞬間ーーー

 

【選べ】

 

マジか…何?このタイミングで何を出すの…?

 

【➀普通に美味しいブランドチョコが入っていてこの場で食べる(味は良いが超下痢になる←救急車レベル)】

【➁由比ヶ浜結衣の手作りチョコを貰ったその場で食べる(味も悪く、下痢にもなる←まだマシ)】

【➂チョコみたいなう○こを食べる(何も起こらない)】

 

……どれもヤベェじゃねぇか。マジか…どれにする……!

結果論を見れば良いのは➂だ…しかし途中論で➂は終わりだ…!

とはいえ、➀も結果がシャレにならねぇ…けど➁は一番微妙だ…悪いものずくしだよ……

どうする……あ、いた、いててて!やば、ヤバいって!

……っくそ野郎!こうなったらーーー

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「あ、ヒッキーおはよう!!」

「ーー!?あ、あぁ…おはよう……」

「どうしたの?なんか変だよ?」

「え?い、いや昔からだよ…生まれる前から…うん。1万年と2千年前くらいから…」

「いやいや言い過ぎだし……あ、そうだ!ヒッキーはいこれ!!」

 

……遂にこの時がきたか。さて…

 

「おぉ…チョコか有難よ」

俺は由比ヶ浜が差し出してきたチョコを素直に受け取った。何時もなら少し抵抗するが今はそんな流暢な事は言ってられない。すぐに包装を外してチョコを口に入れる。

それを見た由比ヶ浜は心配そうに俺を見つめてくる。くっ…そんな顔されたら不味い何て言えなーーー…あれ…あれれ?イケるぞ…?

 

お世辞でも何でもなくて本当に美味しかった。チョコの味がする…

 

(何でだ?選択肢では味も不味いって…)

 

「あ、それ他の子にあげるやつだった!!ヒッキーのはこっち!」

「え…?」

 

見れば、包装紙がスーパーで見かける市販のものだった。逆に今度渡されたものは如何にも手作りの包装の仕方に外せば歪な形のチョコだった。…見た目は悪くない。

俺はもう一度口に入れようとしたが手が動かない…先程のフェイクのチョコに俺の覚悟の全てを持っていかれたのだ。

手が、口が、終いには体が震えだす…感じがした。流石に俺もそこまで露骨に表しなんてしない。だが、いつまでも口に入れなければあの頭痛が俺を襲うからな…

(えぇい…成るがままよ!!)

そして俺はそれを口に入れた…

 

ーーー

ーー

 

「…はぁはぁ……」

 

俺は今トイレに籠っている。理由はご察しの通りだ…

簡単に結果を説明しよう。

味は俺の味覚を崩壊させる勢いの味だった。問題はそこからだった…選択肢が来たのだ。内容は…

 

【➀「美味しいよ」と言いながらゲロを吐く】

【➁「まっじ…!こんなの食えるかよ」と言いながら全部食べる(食べた分だけ下痢が酷くなる)】

 

というものだった。

俺が今トイレに入って約1時間だ…分かっただろう?

➁を選んだのさ…ふふ、褒めるなよ…照れるだろ?

まぁ、由比ヶ浜もすげぇ喜んでたから良かったかな?

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「えへへ…ヒッキー全部食べてくれた!」

 

夜、私は自分の部屋で今朝のヒッキーの事を思い返していた。

自信はあまり無かったけど全部食べてくれたし、何より「まぁ…悪くはないんじゃね?」って言ってくれたのが一番嬉しかった。夜遅くまで頑張った甲斐があった。

 

「そうだ…!明日全部食べてくれたお礼に何か渡さなきゃ…!」

 

何が良いだろう…?ここは大胆にテーマパークのチケットとか?

それでヒッキーと一緒にデート……うんうん!それで行こう!!

 

ーーー

ーー

【選べ】

 

【➀比企ヶ谷小町からバレンタインを貰う代わりに嫌な事が起こる】

【➁比企ヶ谷小町からバレンタインを貰わない代わりに良い事が起こる】

 

……➀➀➀➀➀➀!!!!

 

嫌な事なんて小町チョコに比べれば痛くも痒くもねぇってんだ!

ぐへへへへへ…………

 

「こ~~ま~~~ち~~~~~~~!!!!!」

 

夜の住宅街に俺の声が響き渡った。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

【➀7話を待つ】

【➁次話を待つ】

【➂チョコみたいなう○こを食べる】

 

 




こうけーです。

今回は文字数が少ないですがご了承ください…
さて、今回から由比ヶ浜編です。純粋な恋物語を書きたいです。
前回のような2人から選ぶのもありですが今回は別パターンからお互いの愛を感じる形にします。涙腺崩壊並みのラストを書けるように頑張ります!!

あと、選択肢の提案も待ってますからね!!

では、また!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

明日は…

7話いくお!


あの後、マイスイートエンジェル小町ちゃんからしっかりとバレンタインチョコレートを頂いた。やべぇ…何時もの事ながら嬉しすぎて涙が出ちゃうぜ……

「今日は快眠だな…まぁいつもしっかり寝てるけど」

 

そういえば、さっきの選択肢の嫌な事って何なんだ…?まぁ、いいか別に。変なことが起きても何か慣れたし…慣れって怖いね~うん。

 

ーーー

ーー

 

朝。俺の嫌いなものの一つだ。

「…今何時だ?」

目を目覚まし時計の方にやると一気に目が覚める。

(8時18分……だ…と?)

 

説明しよう!

八幡の通う総武高校は8時30分には席に着かなくてはならないのだ!←まぁ、ここは皆同じだろ?

問題はここから…八幡の通学時間はおよそ10分…今から起きて着替え、必要最低限の顔を洗う事と歯磨きを入れればおよそ3分。鍵を閉めて、自転車を出すのに30秒…この時点で8時22分だ。ここから本気で行くと6,7分で着く。これで8時29分…自転車を止めて下駄箱で靴を履き替え、3階の教室に走っていく。

これが1分で終わる訳が無い。

 

(しかし、ここで諦めたら平塚先生の鉄鎚が待ってる…!諦めようにも諦められない!!)

 

俺は今までで一番早く布団から飛び出て、服を取り出し、着替え、洗面所へ向かい、綺麗にして、玄関の鍵を閉めて、自転車を出した。

携帯の時計を見ると21分…いける!!

 

俺は勢い良くサドルに尻を置くと一気に足に力を入れるーーーー所で止まった…

 

何か…何かを忘れている気がする……決定的な何かを…

 

そして、思い出した。それはーーーー

 

 

今日は土曜日だ。

 

(嫌な事ってこれかよ……)

 

ーーー

ーー

 

俺はその後、もう一度寝ようにもその気になれず。結局、朝食を軽く取ってから外に出かけた。何時も外を嫌う俺がなぜ外に出てるかって?自分でも分からん…体が勝手に動くんだよ。

 

そしてこれが俺の過ちだったーーー

 

ーーー

ーー

 

「さて…何しようか……」

 

外には出てきたもののやる事も特に無いし、したい事も無い。お金は一応それなりには持ってきたがあまり使う気にもなれない。

適当にショッピングセンターでも行って時間を潰そうと思いそちらの方角へ足を向けた途端ーー

 

【選べ】

 

はい出た。何?結構朝のあれが陰湿で腹立ってるんですけど…?

 

【➀良いことが起こる代わりに悪いことも起こる】

【➁悪いことが起きて更に悪いことが起きる】

【➂死ぬ】

 

いや、雑だな。本当に…てか嫌な事絶対に起きちゃうんだね。

 

「➀しかねぇじゃん」

 

でも良い事って何だ?お金拾うとか?別にお金には困って無いからな…

 

そこで俺の耳に話し声が聞こえた…俺のボッチスキルの一つ地獄耳。

 

「あの人かっこよくない?」「本当だ…!凄い!!」

 

…誰か有名人でも居るのか?

辺りを見渡すが特に目立った人もましてや人だかりもできていない。

だが、気のせいだろうか…皆が俺の方を見ている気がする。いやいや、こういう勘違いって恥ずかしいからしたくないんだけど…これは少しそう思わざるを得ない。

 

そして近くにあった展示ガラスが鏡の様に俺の顔を反射させた時に俺は気づいたーー

 

(目が腐って…無い…!?)

 

そう。俺の目はまるで少女漫画に出て来そうな潤いを含んだ眼をしていたのだ。

しかも、自分の顔には少しながら自信はあった。そしてそれは今、自信から確信へと変わったーーーー

 

今の俺、超かっこいい…

 

少しの間、鏡に映った自分に見惚れていたが横に居た女子の声で気が付いた。

「あ、あの…」

この制服は…確か隣町の……

その子の顔は知らないが今見た瞬間に思った事は一つ。

(か、かわいぃ……)

かなりかわいい子だった。例えるなら君たちの学年にも一人、頭一つ抜けたかわいい子って居るだろ?そんな感じだ。

髪はポニー、整った顔立ちに、優しそうな雰囲気。これは間違いなくモテる女の子だ。

「は、はい…?」

少し声が上ずってしまった…恥ずかしい……。それにしても俺に何の用が…?

道を尋ねてくるのかと思ったら、それは遥かに俺の予想を超えるものだった…

 

「え…えっと…その…一目惚れしましたっ…!私とお付き合いしてください……!!」

 

………………。…………。……。…?

一瞬、思考回路が止まってしまった。何だと?こんなかわいい子が俺に告白だと…!?

いやいやこれは妄想だ。いったんマジで精神科に行きべきか?

いや…まてよ…これって絶対に選択肢の効果だよな…今は幸せで後で叩き落す。そうに決まっている。なら付き合っちゃおうかな…?どうせ今だけだし嫌な事って後でビンタされるとかそんなんだろ?

答えが決まった俺…軽く咳払いすると格好良くーー

「本当に僕なんかでいいのかい…?」

…決まった。これは自分でも惚れ惚れしてしまうぞ…

 

「は、はい…!勿論です…というか私には勿体無いくらいです……!」

謙虚な子だな…どこかの氷の女王に見習わせたいものだ。

「なら…こちらこそよろしく」

俺は最高の笑顔を作る。どんな顔かは分からないが何か素敵な気しかしない…

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「ふんふふん♪」

私は今、今度ヒッキーを遊園地に誘う為のチケットを買ってきたところだった。

月曜日に渡すが今から少し緊張し始めている。渡す時なんてどうなるんだろう…

そう思いながらもテンションは高く、鼻歌を交えながら帰路についていた。

しかし、少しお腹が空いた…

(もうすぐ12時だし軽くフードコートで食べて帰ろっと…)

 

私はさっき買ったチケットの入ったカバンを大事に抱きしめながらフードコートに向かった。

 

ーーー

ーー

 

先程、俺の彼女になった今俺の腕に抱き着いてる女の子の名は紗羅(さら)と言う。

先程、ショッピングセンターのゲーセンで取ってあげた可愛い猫の人形を大事に抱えながら嬉しそうにしている。

(絵になるなぁ…)

この子が今日中には赤の他人に戻ってしまう事を考えると少し悲しくなる。

この世界の可愛い子は皆性格が悪いというのは嘘のようだ。ここに滅茶苦茶良い子が居ました。

「あ、そろそろお昼ですよ八幡さん。ご飯にしますか?」

言われて時間を見ると確かにもう12時だ。お腹も少し減った。

「そうだな…お昼にしようか」

ショッピングセンターでの高校生の昼ごはんの味方と言えばフードコートだろう。

俺たちはそっちに向かったーーー

 

「じゃあ私は並んでおくので席を確保していて下さい」

紗羅が言うがままに俺は空いている席を捜す。意外と捜す事無く空席を見つける事が出来た。そして俺は確保のために席に寄り座った。

その間も今日の終わりが来ないことを少し願いながら待つと直ぐに料理を持った紗羅が来た。

「じゃあ、頂きましょう!」

紗羅が合掌するのに連れて俺も手を合わせた。

 

ーーー

ーー

 

「えぇっと…」

フードコートに来たのは良いが、席が見たところ空いていなかった。

(う~ん…とりあえず一周回ろうかな?)

 

回ってみたがやはりどこも空いていない…

最後にもう一度だけ空席が有るか辺りを見渡すと見覚えのある姿があったーー

「ヒッキー?」

確信は持てないがどう見ても彼にしか見えなかった。顔が見える方へ回ってみると少し…いやかなり目が今日は綺麗だが確かにヒッキーだった。

(今日のヒッキーいつもよりもカッコいいかも……//)

 

そこで一つの考えが浮かんだ。

ここで彼と一緒にショッピング出来たらほぼデートだし、月曜日に誘う遊園地も今日のデートの雰囲気が良かったらきっとOKを出してくれる…まさに一石二鳥だ。

覚悟を決めてーーー

 

「あ、ヒッキー!こんな所で会うなんて奇遇だーーー」

 

だがそこで彼女は言葉が詰まった。

 

理由は簡単。彼が…比企ヶ谷八幡が自分の知らない女子と居たからだ。

楽しそうに…今まで見た事の無い笑顔をその女子に見せて、その娘から[あ~ん]をして貰っている。何時もの彼なら抵抗するのに笑顔でそれを頬張り楽しそうにしている…

 

(あんな顔もするんだ…)

 

1年程、一緒に居たのに見た事の無い笑顔が他の娘に見せているのが自分の心を更に抉った…

 

そして、自分の存在に気付いた彼と目があったーーー

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「ーーん?」

 

何か視線を感じた俺はその方へと目を向けた。

するとそこには泣きかけの顔をした由比ヶ浜が立っていたーー

「おぉ…由比ヶーー」

そこで俺の言葉は遮られた………

 

「あは、は…ごめんねヒッキー…邪魔しちゃったみたいで…」

「由比ヶ浜?」

 

席を立ち、彼女に近づこうとすると同じタイミングで俺から距離を取る。

見ると、体を小刻みに震えさせている。

「おい大丈夫か?」

更に一歩踏み出すと一歩引き下がられる。

「う…うん!だ、大丈夫だよ!ごめんね邪魔しちゃって…お幸せに!!!」

そう言って走り去っていく由比ヶ浜。「おい」と叫ぶが立ち止まらなかった。

追いかけようとしたところで紗羅の存在を思い出した。紗羅はいまいち状況を呑み込めていない様だった。

(どうする…由比ヶ浜を追いかけるか、このまま紗羅と居るか……)

悩んだが答えはすぐに出た。紗羅とは今日で終わるのは目に見えている。それに対して由比ヶ浜は明日でも月曜日でも理由は説明できる。

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「はぁ……」

 

溜息を吐く。もう何度目だろうか…

確かにあの場でショックを食らったのは本当だがいくらなんでも近づいて来てくれた彼を露骨に避けるような行動をしてしまったのは間違いだった。

更に逃げ出してしまったのもあれだがデートの時にもし自分が彼の横にいた女の子なら知らない女の子と彼が話していると少し関係を考えてしまう…デートの場合だがーー

(デートか……)

鞄から先程購入した遊園地のチケットを取り出して眺める。

本当は行きたくてたまらないが彼には彼女が居る。今まで私もゆきのんも知らなかったヒッキーの彼女が…

(もし今日までに気持ちを伝えてたらなぁ……)

もしかしたら彼の横に居れたのは私だったかもしれない。

だが今更悩んでも、うじうじしても何も始まらない。

(とりあえず明日にでもちゃんと今日の事謝らないと……)

 

ぼぉっとしていた彼女の手からチケットが風で少し前に落ちると慌ててチケットの落ちた道路へ駆け寄り拾い上げる…

そして、彼女の耳に低い車のクラクションの音が聞こえたーー

振り向くと、目の前には大きなトラックがこちらに進んできていた……

 

「ーーぇ…?」

 

避けられない。そう感じた瞬間ーートラックが・時間が・世界がもの凄く遅く感じた。

周りにいる人達の悲鳴や「危ない」と叫ぶ声がしっかりと聞こえたーー

目を瞑るーーー

 

 

ちゃんと謝らないと…【明日】………ヒッキーにーー

 

 

そしてそこで私の意識は世界との繋がりを遮断したーーー

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

【明日】が来るのを当たり前だと思っていた…同じ日は2度と来ない…だがそれ以上に今日を以てーー

 

俺はーー

私はーー

 

 

 

 

 

 

今まで通り(今日までの関係)から大きく変わることを強いられたーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

【➀8話を待つ】

【➁次話を待つ】

【➂良い事が起こる代わりに悪い事が起こる】

 

 




どうもこうけーです。
さて、いつの間にかシリアスになってました。
でもこういう展開も嫌いじゃないので頑張ります!!

P.s.最後の選択肢の3は決して選ばないでください。ネタです。
本当に起きても責任は負いません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

償い

お久しぶりぶりだいこんぷれっくすーぱーふぁみこんぷれっくすーぱーふぁmーーー


息を切らしながら、走る俺。

どれだけの距離を走ったのだろうか………肺が痛み、走るのをやめたい気持ちにはとっくになっている。それでも走ることを止めなかった。

「院内で走らないでください」

横を通り過ぎる際に病院のナースの人に注意された。

そう。ここは病院―—―とは言ってもただの病院では無い。千葉の中でもトップクラスの総合病院だ。

「すいません!」

俺は、謝りはするがそれでも走り続けた。

 

由比ヶ浜が俺たちの前から去っていった後、俺は平然と紗羅とのデートを続けていた。

それから数時間して、俺の携帯が震えた。俺の携帯には極めて僅かな人数しか登録されていない。家族、平塚先生、戸塚、材木座―――そして、奉仕部。

画面に目をやると、映し出されていたのは「雪ノ下雪乃」の名前だった。

 

通話に切り替え、耳に当てると聞こえてきたのは雪ノ下の焦った声だった。

通話としては1~2分。その内ちゃんと聞いたのは「由比ヶ浜が事故に遭った」という雪ノ下の第一声だけだった。

 

ーーー

ーー

 

冬なのに俺の服は汗でびしょ濡れになっていた。やっと着いた病室の前で止まり、一回深呼吸をして扉に手をやった。

だが、なかなか手に力を入れられない…中に入って彼女の安否を知りたいがその気持ち以上に俺は責任を感じていた。

【良い事が起こる代わりに悪いことも起こる】

あの選択肢が今の状況を起こしているのでは無いか?と。

紗羅を手にする代わりに由比ヶ浜を失う―――。俺が原因だとしか思えなかった。

数秒間、手を扉にやったまま立ち尽くしていると扉が勝手に開いた。すると目の前には由比ヶ浜の母親が居た。

「―—―ぁ…」

いきなりの事で言葉が出てこなかった。だが、向こうは逆に笑顔で俺を部屋の中に通してくれた。中には、電話をくれた雪ノ下と先生が居た。

そして、眠ったままの由比ヶ浜も―――

「今はまだ眠っているそうだがとりあえずは無事なようだ…」

「…そうですか」

平塚先生が俺にそう言う目は決して喜の目では無かった。それは当然、雪ノ下も由比ヶ浜の親も。そして、俺自身も―――――

由比ヶ浜は静かに酸素呼吸器を付けて眠っている。その顔に傷はついていないし、外傷部分は見受けられない。女にとって顔の傷は命取りだ。俺はある意味では安堵した―――が、すぐに目を疑った。傷が無い彼女の唯一のして最悪の姿。

何故傷が無いか―――――取り除いたからだ。

 

「由比ヶ浜…お前…………足が…」

 

そう。無かったのだ。彼女の足が―――膝より下が綺麗に。

「轢かれる寸前に転倒したのか上半身は無事だったが…下半身の、特に足の骨が綺麗に砕かれていたようだ…」

「……」

無言のままただ彼女の無くなった足の部分を見ているだけの俺。

「確かに足は失ったが死んだ訳ではない…彼女はちゃんとここにいるよ比企ヶ谷?」

平塚先生のその言葉は彼女なりの俺への励ましだったのかも知れない。先生もまた嘆きたかったに違いないにも関わらず、必死に教師であり大人であり続けた。

「何がここにいるですか……」

「比企谷?」

「こいつは…!由比ヶ浜は足がなくなったんですよ!これから何年もある人生を自分の足で歩けなくなったんですよ!これからは走ることもできないし、階段も一人では登れない……一番は周りから好奇の目で見られることになる!」

先生に対しての俺はお子様だった。

「その時傷つくのは俺達じゃない!由比ヶ浜なんですよ……!」

「比企ヶ谷君……」

ずっと無言だった雪ノ下が口を開き、視線をやると目は潤んでいた。それが俺の言葉を聞いてなのか、俺がくる以前からだったのかは分からない。けれども、雪ノ下は由比ヶ浜にいつも優しく接していた。そして、この前の水族館での一件でよりお互いを信頼できるようになっただろう。だからこそ、俺なんかよりよっぽど辛いはずだ。それでも必死に涙を流さないように…自分を潰さないようにしてる雪ノ下も先生と同様に強い。

「…比企ヶ谷」

先生が俺の肩に手を置いて、優しい口調で語りかけてきた。

「君の言ってる事は事実だ。由比ヶ浜は苦しむだろう…身体的にも精神的にも……。だがな比企ヶ谷?それらに耐えられなくなるのは一人になってしまった人間だよ。親の支えだけじゃ耐えられないものもある。でも…彼女は一人じゃないだろ?」

「……ぁ…」

「雪ノ下や戸塚に一色、葉山達に私もだ。彼女には仲間がいる…どんな事になっても変わらない関係でいてくれる仲間が……勿論、君もだろう?」

「……っ…!」

その言葉に俺は感情を隠せなかった。

「友達のいない俺にそんな事を言われても分かりません…」

「ふふっ…君はとことん意固地なやつだな。なら君が一番彼女を助けてやれ…」

「ならって…理由になってませんよ」

俺の言葉を無視して笑いながら先生は雪ノ下を連れて教室を出ようとする。

「あ、帰るなら俺も―――」

俺も便乗して帰ろうとした。実際、帰りたかったのだ…俺には今の由比ヶ浜の姿は余計に自分を責めたくなるだけだから―――

「私たちは君より早く来たから帰るだけだ。君はもう少し彼女の傍に居てあげなさい」

2人は由比ヶ浜の親に頭を下げて部屋を後にした。

 

―――

――

 

2人が帰った後の病室には俺と由比ヶ浜の母親だけが残った。

数分間の沈黙の後に母親は俺に声をかけてきた。

「今日はきてくれてありがとね…結衣もきっと喜んでいるわ」

「いえ…こちらこそ遅れてしまって申し訳ないです……」

「走ってきてくれたんでしょ…?会った時、汗と息の切らし方が凄かったから…」

「それは…まぁ俺の数少ない―――」

そこで口が止まった。

 

あいつは俺にとっての何なんだ?

友達??いやそんな関係じゃ無いと思う。なら知り合い??それも浅い気がする……

じゃあ、何なんだ?俺にとってあいつは一体…

 

俺の口が止まってるのに気づくと母親はある物に手を伸ばした。

「それって…」

彼女が持っていたのは由比ヶ浜のカバン。それも今日持ってた物だ。

「中のこれ。貴方に…って結衣が買って来たものなの」

「これって……」

渡されたのは遊園地のチケット。俺には身に覚えが無いが彼女が言う通りなら俺へのプレゼントか何かだったのだろうか…

「それを買うって決めた時の結衣はすごく嬉しそうだったわ。貴方の事をどれほど好いてるか分かっちゃうくらい…」

「そんな…あいつはいつもそんな感じじゃないですか…?」

「そうね…貴方が言う通りだと思うけど。女の子は複雑なのよ?」

そう言って笑う母親の目元は腫れていて充血していた。

(まぁ…そりゃ、そうだよな)

 

俺だけだった。あの場で感情的になったのは…。

俺だけだった。あの場で由比ヶ浜が傷つく事を想像し、助ける事を考えなかったのは…。

俺だけだった。俺だけが 幼ないまま だったのだ。

(こいつは…目が覚めて足が無いのを見たらどう思うのだろうか…?助かってよかったと思えるのだろうか…)

 

優しい由比ヶ浜が傷つき、汚い俺が無傷なのはこの世の中間違ってる証拠だ。

そして、その間違えを起こしてるのは俺と選択肢だ。

 

(…っ!?)

いきなりだった。いつもの選択肢。そして恨み殺してやりたいほど憎い選択肢の出現の頭痛が俺を襲った―――

 

【①由比ヶ浜結衣に優しくキスをする(その後、目がさめる)】

【②由比ヶ浜結衣の「足」となる】

【③由比ヶ浜結衣の記憶から比企谷八幡が消える代わりに事故を無かったことにする】

 

……。不思議と驚きは無いな。今までで一番まともと言えばまともかも知らない。

①は論外。俺にとっても由比ヶ浜にとってもメリットが無い。却下。

②は良く分からん。足になるってどういう事だ?俺の足を移植か??

③は俺に一番見合った選択肢だな。良いじゃないか…彼女を傷つけた分の代償として俺と関わってくれる数少ない人間から忘れられる。中々の選択肢だ。

 

(じゃあ…さ―――「いつか…結衣が元気になったら一緒に此処に行ってあげてね?」

そう言って、彼女は今日泊まる分の服を取りに帰ってしまった。

完全に部屋には俺と由比ヶ浜しか居なくなってしまった。

そこで俺はある事に気付いた―――そう。頭痛が続かないのだ。一瞬だけ来たままその後から一度も。まだ完全に③とは言ってないし、その前から頭痛が来てない。

(…んだよ。考える時間でもくれてんのか?)

とことん腹が立つ。変なところで空気を読みやがって…。

「なぁ…由比ヶ浜どうしたら良いと思う?」

問い掛けるが当然返事は返って来ない。当たり前のことだが俺は何故か1人でクスッと笑っていた。

俺はさっき先生に言われた事を思い出していた。

「1人じゃない…か…」

先生の言ってる事を否定はしない。実際、由比ヶ浜は友達に助けられると申し訳ないと思うだろうが嬉しく思うだろう。

だが、それなら俺は必要あるのだろうか?

俺なんかより他のやつの方がよっぽど相手を気遣えるに違いない…それなら、選択肢は③を選べば良い話だ。俺は傷つき、由比ヶ浜は助かる。win-winの関係だ。

だが何故かさっきまでの勢いは無くなり、③を選ぶのを躊躇ってる自分がいる。

それが由比ヶ浜の母親に最後に言われた事が俺を躊躇わしているのか、それとも由比ヶ浜が自分の足が治る代わりに俺を忘れる事を嫌がると思っている俺の勝手な理由からなのかは分からない。

 

俺にはこの選択肢があまりにも重たすぎる……

 

さっき渡されたチケット。由比ヶ浜の好意には気付いていたがあえて分からないフリをしてきた。俺が彼女の事をどう思ってるのか分からないからだ…そして、由比ヶ浜の母親のさっきの言葉が俺の頭の中でリピートされ続けている。するといつの間にか握っていたチケットを強く握り過ぎてくしゃくしゃにしてしまっていた。どれだけ悩んでるのかが伺えた。

 

悩む俺に対して、不意にリピートされ続ける言葉と先生に最後に言われた言葉が噛み合って聞こえた。

 

【いつか結衣が元気になったら一緒に此処に行ってあげてね…?】

【君はとことん意固地な奴だな…なら君が一番彼女を助けてやれ】

 

(そうか…そういうことか)

 

簡単な話だったのだ。俺が選ぶべき選択肢はたった1つだけだった。

先生の言葉を守り、由比ヶ浜の母親の言葉を守り、由比ヶ浜を助けてあげる事が出来る。そして、何よりも俺が彼女の為に償える方法。

 

「俺が由比ヶ浜の【足】になれば良いんだ…」

 

俺の人生の全てを捧げてでも俺は彼女の為に生きて、彼女の為に死ぬんだ。

 

例えそこに恋愛感情が無くても…これはあくまでも【償い】なのだから―――

 

 

【①9話を待つ】

【②次話を待つ】

【③明日好きな人のおっぱ―――】

 




どうも半年以上ぶりです。こうけーです。
無事大学に入れて、ひとまず忙しい日々を抜け出してようやく執筆出来ました。また、ゆっくり始めていきたいなと思います。

さて、今回は八幡がまだ恋愛感情を持ってません。このままなのか…それともハッピーエンドなのかはこれからの楽しみという事で!
さてさて、感想もたくさんお待ちしておりますがとりあえずは皆さんに楽しんで頂ける様に頑張りますので応援よろしくお願いします。
選択肢の提供お願いしますね!
ではまた!次話で!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。