「旅は道連れ世は情け」 (釜飯ウーマン)
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世界がおかしいのか、僕がおかしいのかーー
設定なし、アイデアなし、根性なし、完結させる気全くなし。
全てを許してくださる観音菩薩並みの心の広さを持つ人向け。
※訳がわからなさすぎて頭がおかしくなる可能性があります。
用法用量を守っての黙読、または音読をよろしくお願いいたします。
「我々人間の特色は、神の決して犯さない過失を犯すということであるーー芥川龍之介」
静寂、今の僕にこれほど相応しき言葉は存在しない。
危機、今の僕にこれほど相応しき言葉は存在しない。
…そしてーー
???「旅は道連れ世は情け…だ。
ま、恨むなら己の運の悪さを恨みな。」
日常、今の僕にこれほど不釣り合いな言葉は存在しない。
コンクリートで固められた壁と床、目の前には頑丈そうな鉄格子、その向こう側にいるのは気味の悪い笑みを浮かべている知らない男。
そして、自分の首に付いているのは鉄製の首輪と重く、太く、そして長い鎖。
ーー何故、こんな状況になっているのか…
一言で説明するにはあまりにも膨大で、到底理解できるものではない「あの一日」
そう、全ては「あの一日」から始まったのだ…
僕の名前は浅井間宮(あさいまみや)今年で高校二年生になる。
成績は平凡、運動も平凡で特に秀でた才能もないどこにでもいる普通の高校生だ。
…いや、ひとつ普通じゃないことがあった。
それは僕の学校生活についてだ。
長ったらしく語るような内容でもないため簡潔に言おう、僕はいじめを受けている。
それもクラス規模ではない、殆どの2年生からだ。
そんなばかな、と思ったこの画面の前にいる読者の方。
残念ながら真実だ。
…そうだね、話を信じてもらうために「僕の学校の一日」について少しだけ語ることにしよう。
AM8:45 学校に到着、上履きがなくなっている(いつものこと)その代わりに大量のゴミが突っ込んである。
家から予め持ってきたスリッパを履いて学校の中へ入る。
↓
AM8:47 教室前に到着、既に何人かクラスメイトが登校しており周りの友達と楽しそうに雑談している。
しかし僕が教室に入るや否や打って変わった静けさとなり、一部のクラスメイトがチラチラ僕を見ながら内緒話をする。
↓
AM9:10 授業開始、先生の目を盗んでクラスメイト達が手紙を回し合っている。
いつもの光景なので特に気にせず授業を受けていると前の席の子から手紙が回ってくる。
それを受け取り、珍しいこともあるものだと思い読んでみると大部分が黒く塗りつぶされていた。
辛うじて読める文章は「間宮まじ意味不明、存在感パない、怖い。」の三文だった。
余計なお世話だ。
↓
PM12:30 みんな大好き昼放課。
誰にも邪魔されず一人で食べようと弁当を持ち、教室を出ると各クラスから集まった大量の生徒(何故先生も混じっている)が廊下で僕を出待ちしていた。
いつも通りの光景なので特に気にせず廊下を歩くと何故か後ろから付いてくる。
僕はいつも通り学校のありとあらゆる死角を使い、追ってから逃げる。
運良く扉が開いていた近くの空き部屋に身を隠すと廊下の方から「間宮を探せ! 探せーーー!」という声と大量の足音が聞こえてくる。
昼ごはんを食べろよ。
↓
PM13:10 昼放課が終わり教室へ戻るとクラスメイト達が僕を凝視する。
中には舌打ちする奴やこっちを睨んでいる奴なんかもいる。
昼放課にいじめられなかったのがそんなに悔しいか。
↓
PM15:20 学校終了、教科書を持って(最初は教室においていたが毎回なくなるので持ち帰ることにしている。)教室を出る。
廊下には昼放課の時と同様に各クラスから集まった大量の生徒(やはり先生もいる)が僕を出待ちしている。
一斉に「一緒に帰ろう」だの「荷物持つよ」だの言ってくるが正直言って邪魔でしかない。
放課後まで僕をいじめようだなんてどうしようもないな。
僕は耳にイヤホンをはめ、音楽を聞きながらいじめの集団から全力疾走で逃げ出した。
↓
PM15:25 集団を撒くのが大変だった。
校門から出ると流石に諦めたのかもう誰も追っては来なかった。
僕は乱れた息を整えながら帰路についた。
これが「僕の学校の一日」だ、酷いだろ?
これが毎日続くんだよ、もういい加減にしてほしい。
いじめそのものは一年の頃からされてたんだ、最初の頃は少しでも改善しようと色々努力したけど良くなるどころか悪化していく一方…半年後にはもう全て諦めたよ。
もうなるようになれって。
そしてなった結果がこれだよ。
…さてと、僕の学校生活についてはこんな所でいいかな正直これ以上話が脱線してしまうと戻すのも大変だしね。
例の「あの日」僕は学校帰り、気まぐれに図書館に寄っていた。
特に意味はない、ただなんとなく本が読みたくなったのだ。
もっと限定すると山田舶来という小説家が書いた「金剛の囁き」というサスペンスホラー小説が読みたくなったのである。
ちなみに読者の皆さんは図書館にはよく行かれますか?
僕はよく行きます。
あの図書館の静まり返った空間、微かに漂う古びた紙の匂い、パラパラと本をめくる音だけが辺りに伝わり、嫌なことや落ち込んだ事など忘れて心の底からリラックスできる…
あぁ、好きだ。
思い出しただけで気分が落ち着く。
…え? 脱線してますって? すみません、本題に戻ります。
最寄りの図書館に行き、中に入って小説を探す。
席は決まって窓の近く、日が一番入ってきやすそうな所。
太陽の光で体を暖めながら大好きな書物に目を通す…この時間、この瞬間だけが僕の人生の楽しみだ、そう言っても過言じゃない。
この時の為だけにこの世に生まれてきたと言ってもおかしくない。
ーーあぁ…日々の疲れが癒やされていく…
この時が一生続けばいいのに…
そう感じてしまうほどの至福の時を僕は過ごしていた。
…その時だった、よりによってこの時に来やがった。
あの男は僕の「人生の楽しみ」をさも平然と、どうでもいい、気にしていないと言わんばかりのふてぶてしい態度で僕に話しかけてきた。
???「ガキ、魔具という言葉を聞いたことはあるか?」
その言葉に何故か僕は反応してしまい、男のほうを向いた。
黒い短髪、彫りの深い顔、すぅっと伸びた鼻筋、アイスブルーの瞳。
どれもこれも日本人には存在しない顔の特徴だった。
男の僕から見ても中々整った顔立ちをしており、世の女性達なら猫の発情期の如く身体を滾らせ、ロックオンしているだろう。
しかしそれより、僕が一番印象に残っていたのはその男の顔立ちではなかった。
…その男の表情、正確には口元だった。
(なんて気味の悪い笑みを浮かべているのだろう。)
その口元は歪んだ月のように釣り上がっており、思わず顔の整い具合と見比べてしまい酷く不完全に感じた。
(こんなにイケメンなのに勿体無い)(もう少しまともな笑みはできないのだろうか)と思うよりも先に(こいつには関わらないほうがいい、危険だ)と思った。
…今考えるとこれは自分の脳がこの先の未来を忌諱していたに違いない。
衰退していた危機回避能力をフルに使い僕に警告していたのだ。
しかしこんなことに気がついたのはこの男に捕まった後の話で、この時の僕は一瞬男の存在感に気圧されながらも「人生の楽しみ、至福の時」を邪魔されたことを思い出しフツフツと怒りを沸き立たせ、男に食ってかかった。
「話しかけないでくださいよ、邪魔。」
見知らぬ奴に気安く話しかけられる事ほど不愉快なことはない。
僕は怒りを込めながらそう吐き捨てた。
…今でも思う、もう少し冷静に考える頭があの時あれば…と。
まさかそんな反応を返されると思っていなかったのか、男は一瞬目を丸くした。
その後、先程の気味の悪い笑みとは打って変わり、何の感情も感じさせない無表情となった。
(すごい変わり様だ。)
あの笑みがあまりにも印象に残っていたせいか、まるで顔だけ似せた別人を見た気分になった。
そんなことを考えながら男の顔を見ていると、男は突然僕の胸ぐらをつかんで思いっきり引き寄せてきた。
お互いの顔の間は10cm程しかなかっただろうか、男の生温い吐息が自分の顔に当たりとても不快だったのは覚えている。
怒りが深く、熱く、濃厚となっていく…
「何をするんですか? 気安く触らないでください。」
怒りを込め、男を睨みつけながらそう吐き捨てる。
当然だ、この人は僕の「人生の楽しみ、至福の時」を邪魔したのだ。
その上訳のわからない言葉を吐き、挙句の果てに僕の胸ぐらをいきなり掴んだ。
憤る、憤慨する、激憤する、激怒する、全て今の僕の心を表した言葉だ。
ーーこれ以上何かするようなら警察を呼びますよ。
そう言おうとした時だった。
???「いい、面白い…「合格」だ。」
男がそう言ったのと同時に。
突然僕の体に衝撃が走り、2Mも先にある本棚まで吹っ飛ばされていた。
まるで車にでもぶつけられたような衝撃だった。
体中が痛み、頭が上手く働かない、そして少しずつ意識が薄れていったのを覚えている。
ーー何故こんなことになってしまったのか、一体僕の身に何が起こったのか?
せめてそれだけでも知ろうと、垂れた頭を必死に持ち上げ、先程まで自分がいた場書に目を向ける。
???『やはり、こんなやり方…ちょっと、』
???「いいから運べ、迅速にだ。
…そろそろ「魔具」の効果が切れる、周りの人間達に気づかれるぞ。
いいな? これは「命令」だ。」
???『…yes my load.』
そこにいたのは例の男と、妙に機械的な声をした幼い少女だった。
第一話終了。
ぜんっっっぜんギャグ色ねえ!
なんだこれ! よくわからない状態で終わったよ!
主人公の個人情報晒しただけで終わったよ!
という訳で次回からはちゃんとしたギャグ小説で進めていきます。
皆様、長いお付き合いになるかと思いますがどうぞよろしくお願いいたします!
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