とある時空の世界大戦 (委員長@バカ犬)
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「序章」編
プロローグ「欠けたカケラ」
ある日の朝、彼はいつもより少し遅く起きた。
学校が休みなのでのんびり眠っていられたためである。
「ん~…まだ眠いかも…」
休みだからって夜更かししてテレビなんか見るんじゃなかったなぁ…と彼、前原圭一は寝ぼけ眼を擦りながら布団をたたみ、自室を出ると階段を駆け下りて急いで居間へと向かった。
「ハラ減ったー!飯まだー?」
ドアを開けてすぐに、圭一はいつもなら台所で朝食を作っているであろう母親に向かって声をかけた…つもりだった。
「あれ…いないのか。」
特に疑問に思う事もなく、圭一はテーブルの上にも朝食らしき物がない事を確認すると、キッチンの下のドアを開けて中を漁りだした。
「確か買いだめしたカップめんがあったはず…」
と呟きながら漁っていると、ようやく目的の品物が見つかった。
しかしその途端、圭一の嗅覚に凄まじい悪臭が襲いかかった。
(く…腐ってる!?)
圭一は鼻を摘みながらカップめんのパッケージを覗く、賞味期限は切れていないし、カップめんが腐るなんてどんなに放置していたんだ…と疑問を感じ始め、ふとカレンダーに目を向けた。
そこには、圭一の知らない「平成」と言う年号が記されていた…
圭一は赤いタンクトップに茶色の短パンという圭一にとっての普段着に着替え、家の外に飛び出し、自転車を持ってくるとそれに乗って雛見沢村中を駆け回った。
雛見沢村は人口2000人に満たない寒村であるが、道行く先々には田んぼや畑があるため、必ず農作業をしている農家の方々がいるはずである。
しかし、今日は誰一人として人がいなかった。まるで消されてしまったかのように…
だが圭一は自転車を走らせた。
彼が絶対の信頼を寄せる仲間達が集まるであろう場所、雛見沢村の中心にある「古手神社」へと向かって…
圭一は自転車から降り、神社の石段を駆け上がった。
その先には、圭一が予期していた通り、彼が見知っている仲間達が待っていた。
「レナ!魅音!沙都子!梨花ちゃん!!」
圭一はその4人の名前をそれぞれ叫び、彼女達の下に走りながら手を振った。
「圭一君!圭一君も無事だったんだね!?良かったぁ…」
「圭ちゃん!外の様子見て来たよね?」
レナと魅音が交互に圭一に問いかけてくる。
「あぁ、一体どういう事なんだ…人1人いやしない!」
「圭一さんも居なくなったんじゃないかと心配していたんでございますわよ?無事で何よりですけど…」
「みぃ、圭一が無事でボク達は安心したのですよ♪」
さらに沙都子と梨花も圭一の無事を喜ぶ。
どうやら今の雛見沢に残っているのはこの5人だけのようである。
「まさか…みんな鬼隠しにあったんじゃ…」
魅音がふと呟くと、圭一は今朝自宅で見たカレンダーの記憶がさっと思い出された。
因みに鬼隠しというのは、世間一般でいう神隠しの雛見沢での言い回しである。
「魅音…鬼隠しにあったのは俺達みたいだぞ…」
「え?それってどういう事なのかな?かな?」
圭一が手に顎を乗せて呟くとレナが圭一に問いかけた。
「いいか、よく聞いてくれ。
俺達は今ここにいる時代は昭和58年の6月じゃないんだ…。
俺達は今、平成っていう昭和の次の時代に着てしまった…。
少なくとも…俺達が過ごしていた時代から30年近くが経過してるんだ!」
圭一はいつになく真剣な表情で、彼女達に信じがたい推測を述べた。
今回の登場人物(☆は今回初登場)
▼ひぐらしのなく頃に解
☆前原圭一
☆竜空レナ
☆園崎魅音
☆古手梨花
☆北条沙都子
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第1話「幻想と現世の境界」
「…あーもー!!」
私、上条当麻は夏休みも最後の日だと言うのに未だに不幸に愛された青春を送っております。
電撃ビリビリ中学生に恋人役を頼まれたり、アステカの魔術師に命を狙われたりと…
よって、夏休みの宿題は全くと言って良いほど終わっていないのであった。
「…不幸だ…」
机の前に並べられた宿題の山を見て、俺はただ自らの運命に嘆くしかなかった。
幻想殺し(イマジンブレイカー)…俺の右手に宿っているこの力は、右手に触れた物が異能の力であれば何であろうと破壊することが出来る。
どうやら、神様の御加護も打ち消してしまっているようで、こいつが原因で俺は不幸に愛されているらしい。
だが、この力も今は全く役に立たないのであった。
「こんな問題、レベル0の上条さんに解る訳ないでしょうが…」
宿題の中の一枚のプリントを眺めていると、今の状態の俺にとってはとても耳障りなテレビの音が聞こえてきた。
「あの…インデックスさん?テレビを見るなとは言いませんから…ボリュームの方を…」
俺はテレビで魔法少女もののアニメに釘付けな少女に向かい声をかけたのだが、それに気付いた彼女はムッとした表情で俺に向かってすり寄ってきた。
「あの…インデックス…さん?」
「とうまが遊んでくれないから!私は仕方なくテレビと言う空間に逃げてるんだよ!?」
白い修道女のような格好をした彼女、インデックスは俺に向かって殺気を放ちながら近付いてくる。
俺は咄嗟に後ろに下がったのだが、その拍子に背後にあった本棚にぶつかってしまい、上に積んであった様々な本が俺に向かって降り注いできた。
「いたたたた!?…お前!今という時に限ってやること増やすなよな!!
って…あれ?書きかけのプリントは!?数学の参考書は!?」
落ちてきた本の中に宿題が混ざってしまい、俺は焦って宿題を探し出した。
「とうま!」
「おお!見つかったか!?」
珍しくインデックスが気をきかしてくれたと思い、俺はインデックスの顔を見たが、彼女が放った一言は本当に突拍子もない事だった。
「もう3時過ぎなんだよ!」
「…は?」
「おやつ、食べたいな♪」
まるで天使のような笑顔を浮かんでインデックスは俺に対して悪魔のような言葉を何の悪気もなく言ってきた。
「…不幸だ…」
「じゃあ、何か適当なモン買ってくるから待ってろよ?」
「えー?私もとうまと一緒に行くー!」
「ダメだ。万が一外に出て他の魔術師に狙われたりしたら面倒だし。」
そう、インデックスはその名の通り103000冊もの魔導書を持つ魔導書図書館なのである。
どこに持っているかって?
103000冊の魔導書の原典は、インデックスの持つ「完全記憶能力」により彼女の頭の中に原典の状態のまま記憶されているのである。
そのため、その魔導書を狙う魔術師などが後を絶たないのである。
俺は魔術師じゃないから詳しい事はよく解らないのだが、知り合いの魔術師が家の前に防衛用のルーンを設置しているらしく、もし魔術師が近付けばそれが作動する仕組みになっているため、ここにいる事が最も安全ではあるのだ。
だがこれは上辺だけの理由だ。
本当は彼女を外に出せば次々と食べ物をねだり出すから面倒なのであり、宿題を一刻も早く終わらせる為にはこうするのが一番なのである。
「ちゃんと留守番してるんだぞー!」
玄関のドアを開け、靴を履くと俺は後ろを振り向いてインデックスに再度忠告しておいた。
インデックスside
結局とうまは私に構ってくれず、私は家で留守番をすることになった。
「むー…私の気持ちを解ってくれるのはスフィンクスだけだもんねー」
私はベッドに寝転がりながらスフィンクスを抱きかかえて問いかける。
スフィンクスというのは私が名付けた猫であり、野良猫だったのを私がとうまに必死にお願いして飼う事になった猫なんだよ。
その時もとうまはグチグチグチグチ文句ばっかり言ってたんだよ?酷いよね。
「スフィンクス聞いてる?」
再度問いただすとスフィンクスはにゃあと一言鳴いて私の鼻を舐めた。
「ひゃあ!?くすぐったいよスフィンクス~!」
とうまを待つ間が退屈なのでスフィンクスと遊ぶ事にしよう。
そう思い立つと私もスフィンクスの喉をゴロゴロしたりとじゃれ合い始めた。
拾った時と比べると毛並みもようやく揃ってふかふかになっている。
なので私はそのふかふかなスフィンクスを堪能する事にしよう。
「うぅーん!ふかふかで気持ちいいんだよスフィンクスー!」
「あら、それなら私もその猫をもふもふしてやりたいわぁ」
スフィンクスに頬擦りしていると、私の背後から突然聞き覚えの無い女性の声が聞こえてきた。
その声に気付き、私はすぐさま背後に振り返った。
肩口を開いた紫と白の洋風の服、フリースのついた帽子を被り、髪は金色で後ろの髪は数本ごとにリボンで止めている女性。
少なくとも、私はいままで出会った事は無い。
そして、彼女を見た途端私が思った事は…
「…胡散臭い」
「なっ!?初対面の人に対してその第一声って何!?」
「…信用できないかも」
そう、彼女は胡散臭い、そして信用できない。私はそう直感出来た。
だって彼女の顔は何かを企んでいるようにしか見えないから。
「ぐっ…流石に許可もなく侵入した事は謝るわ。
でも、最初に言う言葉って「あなた誰?」とか「何者?」とかじゃないかしら…!」
女性は私の予想外の反応に戸惑っているようで、どこか慣れているような表情で返してきた。
「どうせ教えてくれないんじゃないかな?」
「ご名答。じゃあ私の目的も解ってるかな?」
余裕しゃくしゃくに女性は私に問いかけてくる。
もういい加減飽きてきたぐらいだから良く解ってるよ。
「魔導書は人間が読める代物じゃないよ」
「んー…私は魔導書に興味は無いかな…
私が興味があるのは…上条当麻よ」
と…とうま!?
ニヤリと笑みを浮かべて女性は私に向かって言い放った。
「どうしてとうまに興味があるのに私に…?」
「ふふふ…そりゃ簡単よ。上条当麻をおびき寄せるにはあなたを攫うのが一番効率がいいじゃない?」
どうしよう…このままじゃとうまがまた何かに巻き込まれる!
「嫌だと言ったら…?」
「強引にでも連れて行くわ♪」
すると女性は机の上にある書き置きを残すと私の修道服を掴んだ。
「一つだけ教えてあげる。私は人間じゃないわ。妖怪よ」
そう言うと突然彼女の足下の空間がねじ曲がり、そこには奥に目玉や手が蠢く空間が現れていた。
「じゃあ行きましょう。しっかり捕まってなさい」
「ちょ…ちょっと待って…!?」
言い切る間もなく、私は彼女に空間の中へと引きずり込まれてしまった。
そして、まるで口を閉じるようにその空間は閉ざされ、消滅した。
今回の登場人物(☆は今回初登場)
▼とある魔術の禁書目録
☆上条当麻
☆禁書目録(インデックス)
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第2話「幻想殺し(イマジンブレイカー)」
上条side
なんて事だ…
インデックスのおやつを買いに行っている間に何があった…
家に帰るとすぐに俺はインデックスを呼んだ。どうせお腹がすいてくたびれているだろうと直感したからだ。
だがインデックスが俺の下にマッハのごとき速度でやってくる事はなかった。
再度俺はインデックスを呼ぶのだが、インデックスが現れる気配はない。
念のため拗ねてどこかに隠れているんじゃないかと思ってあちこち探してみる。
でも彼女は見つからなかった。
耐えきれずに出て行ったのかと思ったが、あいつがスフィンクスを置いて外出するとは到底思えなかった。
そして何よりも、インデックスを探す途中に見つけたこの手紙の中にインデックス失踪の答えが記されていた。
『上条当麻へ
禁書目録(インデックス)はこちらで預かっている。
身柄を返して欲しくば、私が指定した場所に独りで来るように。
誘拐犯より♪』
「…不幸だ」
本当にツイてない。しかもなんでまともな脅迫状に見せかけて最後だけ「♪」が付いてるんだよ…
って、そんな事はどうでもいい。
とにかく、例のごとくインデックスは何者かに誘拐されてしまったようだ。
目的は恐らく魔導書なのだろうが、それならなぜわざわざ俺を呼び寄せる?
それとも、本当の目的は俺…?
それなら上等だ。
関係ないインデックスを巻き込みやがって、絶対インデックスは助け出すし、誘拐犯の思い通りになんかなるつもりなんか全くねぇ。
俺は弱い。だが、俺には唯一宿った力、幻想殺し(イマジンブレイカー)がある。
ステイルの設置していたルーンが作動していない所、家が荒らされた後がない所から、誘拐犯は瞬間移動系の能力者。
ならやることはただ1つ、誘拐犯が考えてるふざけた幻想をぶち殺す!
そう思い立つと俺は封筒の中に手紙とは別に入っていた地図を取り出した。
「…雛見沢村…古手神社?」
そこは学園都市から出て結構近くにある山地の中の集落であった。
こんな村があるなんて初めて聞いたなぁ…
「…とにかく動かないと始まらねぇだろうが上条当麻!!」
そう自分に言い聞かせると、俺はマンションを出た。
学園都市は学園都市内外の行き来の規制がかなり厳しいとされている。
だけど、今まで結構な数の魔術師の侵入を許してしまっている限り、その規制の真偽は疑わしい。
まあそんな事は今はどうでもよく、俺は学園都市内でのIDを持っているため、それを使って学園都市の外へ出た。
雛見沢村は学園都市から出てすぐ、山地の中の舗装道路を登った先にあるらしい。
「ちくしょー…思ってた以上に長いな…」
しかも今は夏真っ盛りな8月、太陽の光に当てられ俺の体力は凄まじい勢いで削られていた。
そんな時、後ろから車のエンジン音が聞こえてきた。
気になって振り返ると、そこにはまあ古臭いリムジンが雛見沢を目指して山を登る光景があった。
「なんだなんだ…金持ちが小さな村に用でもあるのか?」
リムジンを見て俺はふと思った事をぼそっと口に出してしまった。
するとリムジンは俺のそばまで来た所でピタッと止まった。
え…なんて地獄耳なリムジン?
「はろろ~ん♪雛見沢じゃ見ない顔ですね。雛見沢に何かご用でしょうか?」
リムジンの後部座席のドアの1つが開くと、中から緑色の長い髪の中学生くらいの少女が出て来た。
「あ、申し遅れましたね。私、園崎詩音と言います。あなたは?」
「か…上条当麻…
って、名乗ってる暇なかった!!」
インデックスが攫われてるんだ!早く行かないと!!
「あ、待ってください!」
そんな俺を詩音と名乗った少女は俺に対して叫んだ。
「俺急いでるんだ!ごめん!!」
「だから待ってくださいってば!急いでいるのなら乗ってください!!」
「えっ…?」
俺は詩音の言葉を聞いた途端、体がピタッと停止した。
「えと…その…助かりました」
「あはは、私より年上みたいなんですからそんな敬語で話さなくても構わないですよー♪」
詩音はそう言うのだが、俺はどうしても縮こまってしまう。なぜなら…
「……」
運転手が怖い!怖すぎる!!
どこの組のヤクザの方ですか一体!?
後ろ姿だけでもよく解る!あれは絶対幾多もの修羅場を乗り越えた漢(おとこ)だ!!
「あ、なるほど…安心してください当麻さん。彼は葛西辰吉と言いまして、私のボディーガードみたいな事をしてくださる人ですよ」
「上条さん…でしたか?よろしくお願いします」
運転中なので葛西さんは俺に背を向けたまま話しているが、彼に先ほどまで感じていた恐怖心は不思議と去って行ってしまった。
「こ、こちらこそ…あの、詩音と葛西さんは雛見沢の住民なのか?」
「うーん…はっきり答えると、違います。でも、半分雛見沢の住民みたいなものです」
詩音は俺の問いにすぐに答えてくれたが、まだ話が続きそうなので俺は黙っていた。
「私達は雛見沢の下にある興宮(おきのみや)という町に住んでいます。まあ、今では学園都市の一部でしょうが」
「はあ?」
彼女の言った台詞の意味が解らない。
今では学園都市の一部?学園都市は確かに出来て歴史は浅いだろう。だが、彼女が生まれた時にはもう学園都市は出来ていたはずだ。
「言った所で、信じて貰える話ではないと思いますが…」
どうやら訳ありのようだ。
つくづく俺は変な事に巻き込まれてしまう体質のようだ。
「実は、私達は今日、つい先ほど…30年前の世界からここに来てしまったんです…」
「30年前から…!?」
にわかには信じがたい……が、ひとまず信じてみようと思う。彼女の言った興宮という場所は確かに今では学園都市の一部に組み込まれている。
「所で、どうしてお前達は雛見沢に行くんだ?」
「えぇ、私の仲間達ももしかしたらこの異変に巻き込まれてしまったんじゃないかと心配で…だから向かっているんです」
仲間…つまり友達を遥かに越えた絆を持っている人達がいるって事か…
「そういう事です。あ、ついたみたいですよ?」
リムジンはいつの間にか神社の境内の前に止まっていた。目の前には石段が神社までそびえ立っていた。
「あぁ!詩音!葛西さん!どうもありがとう!!」
「当麻さん!?私達も行きますよ!」
「すまん!神社には1人でって言われてるんだ!!」
そう言って俺は詩音や葛西さんを置いて真っ先に石段を駆け上がっていった。
当麻がインデックス失踪に気付く前、古手神社ではまだ圭一達部活メンバーが話し合いをしていた。
「とにかく…これからどうする?」
「そうだね…圭一君の言う通り、どうしてこの世界に来てしまったかを考える前に何か行動しないといけないよ!」
「みぃ…ボクはお腹がすいたのですよ」
圭一の話題にレナと梨花が答えるなか、その梨花の言葉に魅音が反応した。
「梨花ちゃんの言う通り、私達は朝ご飯を食べていない。なぜならほとんど腐ってたからね…てなわけで、部長、園崎魅音には提案がある!」
「提案?いったいなんなんですの?」
「先ずは興宮(おきのみや)に降りるのが一番手っ取り早いんじゃない?」
沙都子が問いかけてきたのを待ってましたと言わんばかりに自身の提案を打ち明けた。
因みに興宮とは雛見沢から舗装道路の下り坂を下った先にある小さな町である。
小さな町とは言っても雛見沢とは違い、スーパーやその他様々な店が揃っているため、雛見沢の住民は大体がこの興宮で買い出しなどを済ませているし、部活メンバーも暇な時はよく興宮まで自転車で降りておもちゃ屋などで遊んでいた物である。
「そりゃ名案だぜ魅音!ここで空腹で倒れてしまうよりはマシだ!」
圭一が答えると、部活メンバー達は自分の自転車を取りに行くため、神社の鳥居をくぐろうとした。
するとその時、鳥居の間の空間が裂けるように開いた。
「なっ!?なんなんですの!?」
真っ先に沙都子が驚きの声を上げる。
「目…目玉や手がいっぱい出てるよ…!?」
敢えて「すきま」と表現するその空間の中からは沢山の目玉や手がこちらを覗いていた。
「しっ…誰か出てくるよ!隠れて!!」
魅音は他の四人に対し人差し指を口元に当てて見せると四人に身を隠す事を急かせた。
「そ…そうだな!よし、みんな隠れるぞ!!」
そうして5人はそれぞれ思い思いの場所に身を潜め、すきまの様子を覗く事にした。
「さてと…そろそろやってくる時間ね」
すきまからはインデックスを連れた誘拐犯の女性が出て来た。
「(妖怪って言ってたけど…これは魔術ではないみたいだね)」
インデックスは出て来たすきまを見て自らの脳内の魔導書を検索するが、それに一致する魔術は存在しなかったようである。
「何か考えるみたいだけど、私の考えでも読んでるのかしら?」
「読めるならとっくに読んでるよ…」
そう、彼女の考えはインデックスには一切理解出来なかったのだ。
目的は上条当麻だと言うのだが、殺す気は無いらしく、むしろ何かに利用させるつもりらしいが…それが何なのかが解らないのである。
「インデックス!」
そんな時、石段を駆け上がって当麻が姿を現した。
「とうま!」
「あら、意外と早かったわね」
インデックスと女性も当麻に気付き、それぞれ当麻に対して反応を示した。
さらに、女性はインデックスを連れ、神社の入り口の後ろにまで下がった。
「お前!インデックスから離れろ!!」
「残念だけどそうはいかないわね!」
怒りを露わにする当麻に対し、あくまで余裕しゃくしゃくに女性は対応する。
「一応名前を名乗っておこうかしら。私は八雲(やくも)紫(ゆかり)。妖怪よ」
妖怪?と今までの魔術師とは異なる敵に当麻は焦りを見せた。
「さてと…あなたの幻想殺し(イマジンブレイカー)は私の存在も打ち消せるかしら?」
「…舐めてんじゃねぇぞ!」
紫の挑発的な口調に対し、迫る宿題の期限に焦っていた当麻は右手に拳を作り、振りかぶったまま紫目掛けて走り出した。
「お前が幻想の存在なんだとしたら…その存在ごと、お前の幻想をぶち殺す!!」
当麻がその拳を振りかざした時、紫は不適な笑みを浮かべ、ただ一言「始まるわ」と述べた。
「っ!?とうま!ダメーっ!!」
紫の目的に気付いたインデックスは当麻に対し必死に叫んだ。
しかしその言葉の意味を当麻が考える暇はなく、当麻が振りかざした拳は賽銭箱の手前で何かを壊すような音と共に弾き飛ばされた。
これは当麻の右手が異能の力に触れた時に現れる物であり、それは即ち当麻は紫が仕組んでいた「何か」を壊してしまったと言う事になるのである。
「なっ…!?」
「ご苦労様、この子はお返しするわ♪」
上機嫌な様子で当麻に言った後、インデックスを解放した紫はすきまの中へと姿を消してしまった。
「な…俺は何を壊したんだ?」
「結界だよ」
ただ呆然としていた当麻に対し、インデックスは深刻そうな表情でそう言った。
「何の結界かは解らないけど、多分…本来なら壊してはいけない結界だと思う」
「結界を壊してしまったらどうなるんだ?」
「この世界から隔離されていた空間がこの世界に現れる…って言うのが一番簡単かな」
紫が何の為に当麻に壊させたのかは解らないが、これから何かが起こるのだけは確か…とインデックスは自分の予測を述べた。
「な…何が起きたんだ?」
物影から当麻達のやり取りを見ていた圭一は彼らのやり取りが全く理解出来ず、ついて行けなかったようだ。もちろん、魅音達他の部活メンバーも同様の心境なのだろう。
圭一は少し離れた場所で見ていた魅音に、これからどうするかをジェスチャーで問いかけてみた。
魅音からの返事は「とにかく様子を見よう」と言う物であり、それを理解した圭一も今しばらく様子を物影から観察する事にした。
しかし、そんな彼らの前に予想もしなかった人物が現れ、その人物に真っ先に魅音が反応してしまったのである。
「当麻さん!何かあったんですか!?何か凄い音がしましたが…」
当麻をここまで連れてきてくれた詩音が、当麻の様子を見る為にやってきていたのだ。
その後ろには詩音の警護の為にライフル銃を構えながら葛西が控えていた。
「あ、いや…別に何も?」
「し…詩音!?アンタどうしてここに……あっ」
当麻が詩音に返事するのと同時に魅音が物影から姿を現し、詩音に叫んでしまった。
その直後、魅音はしまったと言いたげな顔で両手で口を塞いだのだった。
「お姉!みんなもやはりいたんですね!!」
結局、魅音の行動により隠れる事を諦めた部活メンバー達も姿を現し、詩音との再会を互いに喜び合っていた。
因みに、詩音は魅音の双子の妹である為、髪型と服装以外は二人は非常にそっくりで、服装などを取り替えれば区別が着かなくなってしまう程である。
「とうま…この女の子達は誰なのかな?」
「へっ…俺だって詩音以外は解らない…って何ですかその黒いオーラは!?」
目の前のやり取りに呆然としていた当麻はインデックスに振り返った途端、一瞬で正気に戻った。なぜならインデックスの体からは黒いオーラと計り知れない殺意が感じられたからである。
「とうまーっ!!」
嫉妬の塊と化したインデックスはそのまま当麻の頭に向けて牙を向いた。
「ギャーーーッ!?不幸だぁーーーっ!!」
当麻の虚しい叫び声と、ひぐらしの鳴き声が雛見沢で見事なハーモニーを奏でていた。
今回の登場人物(☆は今回初登場)
▼とある魔術の禁書目録
・上条当麻
・禁書目録(インデックス)
▼ひぐらしのなく頃に
・前原圭一
・竜宮レナ
・園崎魅音
☆園崎詩音
・古手梨花
・北条沙都子
☆葛西辰吉
▼東方project
☆八雲紫
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第3話「楽園の素敵な巫女」
色々な事態が立て続けに起きたため始終騒がしかった雛見沢も今はひぐらしの鳴き声だけがカナカナと響くのみと静けさを取り戻していた。
そして、その中の古手神社には圭一達部活メンバーと当麻とインデックス、そしてリムジンでやってきた詩音と葛西が集まり、お互いの自己紹介を初めていた。
「俺は上条当麻、でこっちのちっこいシスターさんがインデックスだ」
「むっ!その言い方は失礼なんだよとうま!」
「本当の事なんだからいいじゃねぇか!」
「はいはい落ち着いて落ち着いて、夫婦漫才はそこまでねー」
このままだと喧嘩になりかねないと判断した魅音は二人の間に割って入って二人を仲裁をした。
「んじゃこっちの自己紹介ね、私達はこの雛見沢の住民で、私は園崎魅音。
学校では部活の部長を勤めてるから「部長」って読んでもいいよー」
部活って何の部活だ…?と思っているであろう当麻の思考は完全無視で魅音は話を進めた。
「俺は前原圭一。ここらじゃ「口先の魔術師」なんてあだ名で呼ばれてるぜ!」
「え!?魔術師!?」
圭一の「魔術師」という単語に当麻も身体だけ僅かに反応したものの、インデックスは声まで上げて反応を示してしまった。
「そして私はトラップマスターこと北条沙都子と申しますわ!」
魅音の自己紹介から徐々に部活メンバー達の自己紹介が変な方向へと傾いているような気がするが、そこは気にしないでおこう。
「………」
沙都子の隣で、梨花は1人何かを考えるような仕草をしてボーっとしていた。
「梨花、梨花も挨拶しないといけませんわよ?」
「えっ?…あ、ボクは古手梨花と申しますですよ♪にぱ~♪」
沙都子の言葉ではっと我に帰った梨花は瞬時に先ほどまでの強張った顔から朗らかな表情へと変わり、天使のような笑みで当麻達に挨拶した。
「フレデリカ…?」
「古手(ふるで)梨花なのですよ?」
「あ、ごめんね。聞き違いみたいだったよ」
梨花の名前にインデックスはふと別人の名前が出てしまったようだ。
「か……か…かかか…」
「おい、レナ。お前も何ボーっとして…って…」
圭一はその隣でプルプル震えていたレナを見て驚愕した。
レナはインデックスをその眼中に捉え、まるで獲物を狙うかのような視線をインデックスに向けていたのだ。
圭一はそのレナを見た瞬間に「マズい」と感じた。だが…
「はうぅ!インデックスちゃんかぁいいよぉー!お持ち帰りぃーっ!!」
レナは興奮状態、俗にいう「かぁいいモード」でインデックスに向かって突進を繰り出してきた。
「インデックス!危ない!!」
レナの豹変に気付いた当麻は咄嗟にインデックスの前に立ち、レナに対して右手を突き出した。
その様子を見た魅音達は思わず目を閉じた。
かぁいいモードを発動したレナは戦闘力が通常の3倍以上に跳ね上がり、「かぁいいもの」の前に立ちはだかる障害は残さず排除しようとしてくるのだ。
それを知っていた部活メンバーは「これは血が見れる」と直感して目を閉じたのだった。
しかし、恐る恐る瞳を開けた部活メンバーが見た光景はあまりにも意外な物であった。
「はうぅ?」
レナが繰り出す音速の拳「レナぱん」はなんと当麻の右手により受けとめられていたのだった。
その後、レナの両手両足を拘束する事によってなんとかかぁいいモードを封じる事に成功した。
「はうぅ…お持ち帰りしたいよぉ…」
「アイツは竜宮レナ、ご覧の通りあんな奴だ…」
悲しげに泣くレナの隣で圭一はレナを紹介してやっていた。
「あぁ…何かおんなじ感じの奴を見たことあるから慣れてるよ」
当麻はどこぞの変態テレポーターを思い出して圭一に返した。
「しっかしさぁ…レナのかぁいいモードをああやって止める人なんて、おじさん初めて見たよ~。
どうやって止めたの?」
そこに当麻に興味を持った魅音が当麻に問いかけた。
「あぁ、それはこの右手が…」
「ちょっとあなた達!!」
当麻が魅音に答えようとした時、突如聞き覚えのない少女の声が響き、当麻達は一斉にその声の元に振り返った。
そこには紅白の巫女服を纏った巫女さんらしき少女がいかにも機嫌が悪い様子で当麻達を睨んでいた。
「なあ園崎、誰だあいつ?」
「おじさん達も知らないよー?」
巫女さんを見た当麻は魅音に聞くのだが、ここにいる人達は誰も知らないようだ。
「どこの神社の巫女さんなのですか?ここは古手神社なのですよ?」
そんな時、梨花が巫女さんに対し話し掛けた。
「はぁ?何言ってんのよ。ここは博麗(はくれい)神社、そして私はここで巫女をやってる博麗霊夢(れいむ)よ!
それよりあなた達、賽銭入れないんならとっととここから出て行きなさい!!」
霊夢と名乗る巫女さんは不機嫌そうな表情のまま当麻達に向かって叫んだ。
「博麗霊夢さん…でしたわね?あれを良く見てくださいな」
沙都子は神社の境内を指差しながら霊夢に向かって言った。
そこには堂々と「古手神社」とはっきり彫り込まれていたのだった。
「えっ…何よこれ、どういう事ーっ!?
あ、そう言えば…博麗大結界が誰かに壊されて…」
独り言のようにボソボソと頭を抱えながら呟く霊夢の近くで、霊夢の独り言が聞こえた当麻とインデックスは「しまった」と感じた。
「なあインデックス…もしかして博麗大結界とかいう奴って…」
「うん…多分とうまが壊した結界の事だよ」
二人も霊夢のように小声で話し合うが、霊夢の独り言が聞こえていたように、彼らの話も霊夢の耳へと入ってしまった。
「ほほう?あなた達が結界を壊した犯人って訳かしら?」
霊夢の背後からは凄まじきどす黒いオーラが放たれている。
このままではマズい、そう感じた当麻は霊夢に対して必死に弁明の言葉を模索した。
「違うんです違うんです!!何か妖怪だとか名乗ってた女に謀られたっつーか…!!」
「妖怪…?名前とか聞いてない?」
当麻の弁明の一つに心当たりを感じた霊夢は当麻に詳しく問いかけた。
「あぁ…確か…八雲紫って言ってたはずだ!」
「なんですって?…はぁ…一体何の目的でこんな事したかな…」
困ったような表情を見せる霊夢を見た当麻は霊夢に気になる事を問いかけた。
「なあ、その博麗大結界ってのは直す事は出来ないのか?」
「そうねぇ…出来ない事はないけど、今は出来ないわ」
「どういう事だ?」
「…まずは幻想郷から話す必要があるわね…」
霊夢の話を纏めるとこのようになる。
遥か昔、この世界には様々な魑魅魍魎(ちみもうりょう)や神々などのような人の域を超えた存在が世界中で溢れかえっていた。
そんな時、霊夢の先祖に当たる魔術師がその魑魅魍魎や神々を一カ所へと集め、それを異世界へと封印した。
その異世界の名が「幻想郷」であり、その世界とこの世界を隔離するための大規模魔術の名称が「博麗大結界」であり、博麗の巫女が代々その結界を守っていた…という内容である。
「はあ…未来に来てしまったと思えば今度は異世界からの来訪者…こんなので俺達は元の雛見沢に帰れるのか…?」
「はうぅ…みんなと学校で部活したいよ…」
圭一達はこの変わってしまった運命をそれぞれ嘆いていた。
「まだ話は終わってないから黙ってなさい。
その博麗大結界なんだけど、もう一度幻想郷に妖怪や神とかを戻してから結界を張らないと意味が無いの。
そのためには、この場所に幻想郷の住人達を集める必要があるわ。
でも、多分住人達は世界中に散り散りになってしまってると思う。
だから、あなた達に頼みがあるわ。」
霊夢は当麻達だけでなく、圭一達にまでその頼み事をするらしい。
「そこのツンツン頭は結界を壊したから当たり前よね?
で、あなた達は多分紫が境界をいじった影響でここに来たんだと思うから、紫さえ見つければ帰れるかもしれないわ」
ツンツン頭とはどうも当麻の事らしい。
「それなら私達も協力いたしますわ!」
「絶対にいつもの雛見沢に帰るのです!」
沙都子と梨花、もちろん他の部活メンバー達も元の世界に戻るという目的のため、霊夢への協力を承諾した。
「あなたは強制だから、異論は認めないわよ?」
ギロッと当麻を睨みながら霊夢は当麻に告げた。
「ちくしょう…またも不幸だ…」
「仕方ないよとうま」
インデックスもうんうんと頷きながら今回ばかりは当麻を慰める事にした。
「さて、決まった所で早速出発よ!」
そう言って霊夢は独り神社の石段を降り始め、それに続くように当麻達や部活メンバーも続いていった。
今回の登場人物(☆は初登場)
▼とある魔術の禁書目録
・上条当麻
・禁書目録(インデックス)
▼ひぐらしのなく頃に解
・前原圭一
・竜宮レナ
・園崎魅音
・園崎詩音
・古手梨花
・北条沙都子
・葛西辰吉
▼東方project
☆博麗霊夢
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第4話「雛見沢症候群」
それでも構わないという心の広い方はどうぞ!!
古手神社で起きた様々な騒動もようやく全て収まった後、霊夢を筆頭に当麻達や部活メンバーは古手神社の石段を一つ一つ降りていた。
「あら?梨花、何を持っていますの?」
その時、梨花を見た沙都子は梨花の手に握られた見覚えのない物を見て梨花にそう問いかけた。
「あ、これは物陰に隠れていた時に祭具殿から持ってきた物なのです。
ボクも見覚えが無かったので、怪しいと思って持ってきたのですよー」
梨花は手に握っている農具の鍬にも似ている子供のおもちゃのようなデザインをした杖を見せながら沙都子に答えた。
因みに、祭具殿というのは古手神社から少し離れた先にある倉庫のような場所であり、儀式に用いる道具や、雛見沢の守り神「オヤシロ様」の仏像があるとされ、中に入れるのは代々オヤシロ様の生まれ変わりとされている古手家一族のみとされている神聖な場所である。
「はうぅ!何だかかぁいいなぁ~♪お持ち帰りしたいよぉ!」
レナもそのデザインが気に入ったのか、物欲しそうに梨花に言う。
「ダメなのですよレナ、何であれ、祭具殿の中にある物はボクにしか持つ事は許されていないのです」
「はうぅ…残念だよ…」
それを聞いたレナは珍しくあっさりと諦めてしまった。
「なんだなんだ?インデックスの時はあんなに物欲しそうな姿勢を崩さなかったのに偉くあっさり諦めるんだな?」
「ここ、雛見沢の守り神「オヤシロ様」は雛見沢では凄く祀られてるんだよ。
オヤシロ様の許可なく触れればオヤシロ様の祟りにあう…って雛見沢では言われてるんだよ」
レナの様子に気付いた当麻の問いに魅音が答えた。
「へー…俺は神様なんてモンは信じないなー…なんせ神のご加護が俺に降りた事なんて一度も無いし…」
半ば自嘲気味に当麻は魅音に言う。
なんせ神のご加護も異能の力であるのだから、当麻の幻想殺しはそれすらも打ち消してしまっているのだ。
「そういや良く「不幸だ」って言ってるよね~」
ケラケラと笑いながら魅音はそう返した。
「神様は信じないなんて下手に言うモンじゃないわ、幻想郷には神様だっていたんだからこの世界にも神様がやってきてるはず。
下手に言うとキレてどんな目にあうか知らないわよ」
その話を聞いていた霊夢は当麻に対しそう忠告しておいた。
「わ、解ったよ…そういやさ霊夢、どこに行くかあてはあるのか?」
当麻は念のために聞いたのだが、案の定霊夢からは「無いに決まってるじゃない」という返事が返ってきたため、当麻は深く溜め息をつくとこう提案した。
「学園都市に一旦戻りたいんだ。
宿題を一刻も早く終わらせたいんだよー!」
そう、結局の所宿題はほとんど手付かず、それに、今にも日が暮れようとしていたのだった。
「学園都市?」
「何ですの?学園都市って…」
過去の平行世界から来た圭一達や幻想郷からの来訪者である霊夢は案の定学園都市の存在を知っているはずも無かった。
「仕方ない…一から説明しないとな…」
学園都市…東京西部と山梨県、神奈川県、埼玉県に誇る巨大都市で、その面積は東京の3分の1、人口は230万人、そしてその8割を学生が占めるという。
さらに、ありとあらゆる教育機関や研究機関の最先端であり、科学的分野では学園都市の外部と30年以上の進歩の差があるとされる。
そして、圭一達や霊夢の興味を最も惹かせた学園都市の特色は…
「超能力開発…って、何だそりゃあ?」
「学園都市の学生達はその超能力開発のカリキュラムを学校で受けてるんだ」
学園都市が世界を二分出来る規模を持つ程の勢力である由縁がその「超能力開発」である。
能力の素質はほとんどの人間に宿っており、その力を発現させるためには「自分だけの現実」を自分の中に作る事が必要とされている。
また、その能力にもほとんど効果の無いレベル1(小能力者)から学園都市に7人しかいないレベル5(超能力者)までが存在しているというのだ。
「すごーい!レナも超能力者になりたいな~♪」
「おじさんも結構興味あるかも!」
レナや魅音もまるで幼い子供のように興味を惹かれていた。
「あ、でも…学園都市に入るには許可証が必要だしな…」
「その心配はありませんよ上条さん」
「うおっ!?なんだ…葛西さんか…どういう事ですか?」
当麻の背後からぬっと姿を現した葛西は自身の懐から数枚の紙切れを取り出した。
「実は、葛西が何故か私と葛西を含む圭ちゃん達の許可証を持っていたんです」
その葛西の隣で詩音がみんなに説明を入れた。
「すごく不思議だね…とうま」
「そうだな…平行世界と過去の人間の分の許可証が存在しているなんて…」
当麻とインデックスもさすがにこれには驚きを隠せないでいた。
「上条さんの言う通り、まずは学園都市に向かうのが一番かも知れませんよ。
学園都市がそこまで発展しているようなら、幻想郷の住人達に関する情報も入ってくるかもしれません。
それに、住まう場所も必要ですから、活動の拠点とするならいいかもしれません」
葛西も当麻の意見に賛成し(最も、当麻とは理由が全く異なっているが)、石段を降り終えるとその先に停めていたリムジンに皆を誘導した。
「そうと決まれば早速よ!こんな異変とっとと解決して帰るわよ!」
霊夢がやはり最後は仕切る形で一同はリムジンへと乗り込み、全員が乗り終えた後、リムジンはエンジンを吹かせて動き出した。
「葛西…実は寄って貰いたい場所があるんです…」
「診療所ですね?」
「はい…」
リムジンの中では一同がそれぞれの世界の色んな話をしていた。
その中で、詩音と葛西は誰にも聞こえないような小声で会話をし、葛西はハンドルをきった。
その後、リムジンはとある場所で一旦停止した。
「ん?もう着いたのか?」
「あるぇ?ここ診療所じゃん?」
当麻や魅音達は予想外に早く止まった事に気になり、窓の外を覗いた。
入江診療所、雛見沢の施設にしてはとても真新しい雰囲気があり、設備も結構充実しているため、雛見沢の住人達にはとても頼りになる場所である。
「すみません、私と葛西はここで少し用事がありますので皆さんはしばらく待っていてください」
詩音はそう一同に告げると、葛西と共にリムジンから降りて診療所へと向かっていった。
「悟史君…」
詩音は診療所の中へと入る前に心配そうに1人の少年の名を呟いた。
その後、詩音と葛西は診療所の入り口を開けたのだが、その時見た光景に二人は驚愕した。
診療所の受付がある窓口は散々に荒らされていたのだ。
それも銃器による弾痕が多く残っていたのだ。
「詩音さん、少し急いでみましょう」
そう言って葛西はある場所へと向かう。
そこは診療所の地下、そして入江診療所の裏の顔と呼べる場所への入り口であった。
葛西はライフル銃を手に入り口へと向かう。
すると驚いた事に、その入り口もやはり何者かの手によりこじ開けられていたのだった。
「嫌な予感がします…的中しなければいいのですが…」
そう言って葛西は詩音を誘導しながら慎重に地下に入っていった。
入江診療所の裏の顔、それは雛見沢のみに存在する病気「雛見沢症候群」の研究機関であった。
雛見沢症候群、それは寄生虫の一種であるらしく、人間の脳に侵入し、症状が悪化するにつれて他人への疑心暗鬼と被害妄想に捕らわれるようになり、ストレスが最高潮に達すると他人に暴力を振るい凶暴化し、最も重い症状のレベル5に達すると、リンパ腺の痒みに耐えきれなくなり、自身で喉をかきむしり、最悪死に至るという恐ろしい病気であった。
入江診療所こと入江機関の目的はこの雛見沢症候群を兵器として利用する事だったようだが、奇跡が起きた後の現在では雛見沢症候群の症状を抑え、最終的には克服するための研究を続けていた。
その裏の顔に潜入したという事は、侵入者は雛見沢症候群の存在を知っていたと言う事である事と同意義であった。
「悟史君…」
そして詩音が呟いている少年、北条悟史は沙都子の兄であるが、一年前に叔母を殺して行方不明となっていた。
その実態は、叔母と叔父の虐待に耐えきれなくなった悟史が雛見沢症候群の末期症状であるレベル5に至り、叔母を殺してしまったという内容であり、その後悟史はこの入江機関で雛見沢症候群の克服のために治療を受けていたのであった。
そして、詩音と葛西はようやくその悟史が治療を受けているはずの病室へとやってきていた。
しかし、そこには悟史の姿は無く、そこには代わりに…
「あ…イヤァーーーッ!?」
血を流しながら倒れていたこの診療所の所長、入江京介の姿があった。
その後、悲鳴を聞きつけてリムジンで待機していた他の一同も詩音の下へとやってきた。
その後、辺りを捜索していた途中にも別の部屋で眼鏡を掛けた筋骨隆々な男性も見つけ、入江所長共々葛西の応急処置を受けていた。
「監督と富竹さんがどうしてこんな事に…」
圭一が呟く、監督とは入江の事であり、少年草野球チーム「雛見沢ファイターズ」の監督を勤めているためにつけられたあだ名のようなものである。
そして眼鏡の男性の名は富竹ジロウ、毎年雛見沢に野鳥を撮影するために現れるカメラマンらしい。
しかしそれは表の顔であり、裏の顔は入江機関のメンバーであり、雛見沢症候群の研究を共に続けている人物でもあった。
「うっ…圭一君…かい?」
そしていち早く目を覚ましたのは富竹であった。
「富竹さん!一体ここで何があったんですか!?」
「…突然…武器を持った連中が現れて…雛見沢症候群の資料と…鷹…………さんを…」
「え?」
「鷹野さんを攫って行ったんだ…」
富竹は圭一に苦しそうな声でそう告げた。
本名は鷹野三四(みよ)、入江診療所で看護婦を勤めている。
その裏の顔は雛見沢症候群を軍事利用する為の研究を始め、最終的には雛見沢症候群を世に知らしめるために雛見沢の人間全てを殺す「終末作戦」を目論んだ女性であり、奇跡が起きた物語においては部活メンバーに敗れ、ある1人の少女に「この世界に敗者はいらない」と全ての罪を許され、それ以後は雛見沢症候群の治療のため入江に協力を続けてきた女性であり、雛見沢症候群の事なら入江以上の知識を持つ人物でもあった。
「鷹野さんが…!?」
「あぁ…僕達も阻止しようとしたが…結果はこの様さ…」
富竹は悔しそうに拳を作って圭一に言った。
「葛西さん、一刻も早く学園都市に行きましょう。
学園都市の病院なら、彼らを救えます!」
当麻は富竹と未だ意識が戻らない入江を見て葛西にそう言った。
当麻には心当たりがあった。どんなに死にかけの人間だろうが助けてみせる1人の医者がいる事を……
「ん…ここは…?」
入江はようやく意識を取り戻した。
どうやら天井からしてどこかの病院、そして自分は医療用ベッドに寝かされているらしい。
「おっと、ようやくお目覚めかね?」
するとそんな入江のそばで彼の面倒を見ていたカエル顔の医者が話しかけてきた。
「まさか医者が医者の世話になるとは思わなかっただろうね?」
「ははは…全くですよ」
カエル顔の医者に対して入江は苦笑いしながら返事した。
「まあしばらくは安静にする事、分かったね?」
「あ、はい…」
「あ、そうそう、面会をしたがっている人がいるから会ってやってくれるかね?」
「え?わかりました…お願いします」
その後、医者は部屋を出た、そしてそれに代わって今度は詩音が部屋に入ってきたのだった。
「詩音さん…」
「監督!悟史君は!?悟史君は一体どうなったんですか!?」
詩音は必死な表情で入江に問いかけてきた。
どうやら、悟史は詩音の想い人のようである。
「詩音さん…悟史君が治療を受けていたことも含めてですが…沙都子ちゃんには絶対に伝えないと約束出来ますね?」
入江は詩音にそう忠告しておいた。
雛見沢症候群は雛見沢の住人なら誰にでも存在しており、沙都子も例外ではなく、かつて沙都子はレベル5を発症して両親を崖から突き落とした過去を持っているのである。
それでもし悟史の事情を知ればショックでレベル5を発症しかねないために沙都子にだけは絶対伝えないように、必ず悟史を元気にして沙都子の元へ返そうと入江はそう考えていたのだった。
もちろんその話も理解出来ている詩音は入江に頷くと、入江は重い口を開いた。
「悟史君は…恐らく雛見沢症候群の研究の為の材料として拉致された可能性が高いです…」
「そんな…!?」
「詩音さん、お願いします!悟史君と鷹野さんをどうか助け出してください!
私と鷹野さんはようやく治療の糸口を見つけたんです!
雛見沢症候群が悪用されてしまう前に、2人を助け出してください!!」
入江は詩音の手を掴み、詩音にそう頼み込んだ。
「…解りました!必ず2人を助け出してみせます!!だから私からもお願いです、雛見沢症候群の完全な治療法を完成させていてください!」
「…えぇ、解りました!」
そう約束をしあうと詩音は部屋を後にした。
すると再び先ほどのカエル顔の医者が入江の下にやってきた。
「すまないけど僅かながら聞かせて貰ったよ。
何か僕に手伝える事は無いかね?」
「え…?あなたが?」
「僕を誰だと思っているんだね?」
カエル顔の医者、冥土返し(ヘヴンキャンセラー)は入江にそう告げた。
「監督が意識を取り戻したって!」
「学園都市の病院ってのはすごいねぇ!」
「まあな、俺のかかりつけ医みたいな人に頼んだからさ。命に別状は無いだろうな。」
入江の無事の報告を受けた圭一やレナ達が喜び合う中、当麻は当たり前のように微笑した。
すると当麻は気になる事を圭一達に聞いた。
「そういやお前達ってこれからどうやって生活するんだ?」
「私と詩音さんのマンションは狭いですから流石に全員は泊められませんしね…」
葛西も困ったように呟くと…
「とうま!家にも泊めてあげてもいいかな?」
「ん?そうだな…じゃあ前原はまずこっちに来いよ。それと…」
「私もお願い出来る?」
インデックスの提案により当麻は圭一を指名し、さらに霊夢も願い出てきた。
「これでもまだ多いな…仕方ない、先生に電話してみるか。」
当麻はそう言うと梨花と沙都子をチラッと見ると携帯電話を取り出し、ある人物に電話をかけた。
「あーもしもし先生?…あの実は…「置き去り」の子供達を見つけて…はい、家じゃ無理なんで、ちょっと預かって欲しいんですが…」
そう言うと当麻は電話を沙都子に手渡した。
「うぅ…えっぐ…お母さんに捨てられたんでございますの…っ」
「みぃ…お家に帰りたいのです…」
と沙都子と梨花は迫真の演技をやってのけた後、携帯電話を当麻の下に戻した。
「はい…そういう事なんで、今から連れて行きますんで、お願いします…」
どうやら電話の相手の先生なる人物はあっさりと当麻の話を信じたようで、当麻は電話を切ると沙都子と梨花に親指を立てた。
「ではレナさんと魅音さんは私達の所にしましょうか」
葛西はレナと魅音にそう言うと、2人はコクリと頷いた。
「じゃあ今日はここで解散しようぜ、じゃあな~」
当麻はそう言うと梨花と沙都子、圭一と霊夢を連れて病院を後にした。
彼らは知らない。これらの出来事がまだ序章にしか過ぎない事を……
今回の登場人物(☆は今回初登場)
▼とある魔術の禁書目録
・上条当麻
・禁書目録(インデックス)
☆冥土帰し(ヘブンキャンセラー)
▼ひぐらしのなく頃に解
・前原圭一
・竜宮レナ
・園崎魅音
・園崎詩音
・北条沙都子
・古手梨花
・葛西辰吉
☆富竹ジロウ
☆入江京介
▼東方project
・博麗霊夢
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お疲れ様会(その1)
竜宮レナ
「この度はとある時空の世界大戦の序章編全5話を読んでくださり、誠にありがとうございます!」
園崎魅音
「今回のお話は序章編のお疲れ様会というわけで序章編までの登場キャラクターを使って序章編の振り返りを行うよー!」
北条沙都子
「お疲れ様会の元である「ひぐらしのなく頃に」のお疲れ様会も地の文一切なしの会話だけのお話ですので、今回は台本形式にて進行させていただきますわ!」
古手梨花
「では振り返りの始まり始まりなのですよ♪」
「欠けたカケラ」
魅音
「プロローグのお話だね」
前原圭一
「俺達部活メンバー5人が初登場だな」
沙都子
「この時点では私達も何が何だか全く解らない状況でしたわね…」
レナ
「確かに謎だらけだよね。どうして未来、それも平行世界のものに来ちゃったのかさっぱりだよー…」
梨花
「ボクも理解出来ないのですよ~…」
「幻想と現世の境界」
上条当麻
「俺とインデックスが初登場する話だな」
インデックス
「とうまが遊んでくれなかったから私は誘拐されちゃったんだよ?」
当麻
「だからあれは宿題が溜まっててだなぁ…ってしまったぁーっ!!宿題終わってねーよ!」
圭一
「そりゃあお疲れ様会してる暇ないじゃんかよー」
沙都子
「そう言えばこの時点ではインデックスさんの誘拐犯は不明でしたわね」
魅音
「名前を伏せてたけどやっぱり解る人には解っちゃったみたいだったね~」
「幻想殺し(イマジンブレイカー)」
園崎詩音
「前半パートでは私と葛西が初登場でしたね!」
当麻
「そういやあのリムジンってどっから持ってきたんだ?」
葛西辰吉
「それは聞かないのがお約束です、上条さん」
八雲紫
「そして後半パートでは私が満を持して名前が明かされたわ!」
圭一
「あっ!あの時の婆さん!」
紫
「誰が婆さんよ!本当に二度と帰れない場所に鬼隠ししてやろうかしら!?」
当麻
「お前のせいで宿題が終わらないじゃねーかよ!」
紫
「そんな事私が知った話じゃないわよ!」
インデックス
「そもそもあなたがこんな所にいていいのかな?」
紫
「いいじゃないの別に、せっかくのお疲れ様会なんだし私にだって楽しむ権利はあるわ!!」
沙都子
「さっさと私達を元の世界に返してくださいまし!!」
紫
「そうはいかないわ、私には目的が……っと、これ以上は黙っていた方が面白そうね。それじゃあねー♪」
梨花
「すきまの中に逃げちゃったのですよ…」
魅音
「何考えてるのかさっぱり解らないね…」
レナ
「今回の話で私達を鬼隠しした犯人があの人な事は明らかになったけど、目的がとにかく不明だもんね?」
詩音
「それに当麻さんが破壊した結界は一体何なのでしょうか?」
圭一
「謎が解かれるとまた新しい謎が出て来るよなー…」
「楽園の素敵な巫女」
博麗霊夢
「…てなわけで博麗大結界が壊れたせいでこちらの世界に来てしまった博麗霊夢です」
当麻
「いやホントに悪かったって…だからそんなに睨まないでくれ!」
魅音
「今回の話で結界の正体が解ったねー」
レナ
「それでも紫さんの目的はまだよくわからないままだよね…」
圭一
「推理しようにも情報が足りないしなー…」
「雛見沢症候群」
圭一
「今回はひぐらし系中心な話だよな」
魅音
「ただしひぐらしをちゃんと見ていないと解らないような内容になっちゃったけどねー…」
レナ
「説明し忘れていたけど、この物語での私達は原作の祭囃し編の後の設定になっているから原作のネタバレが多く含まれていて、今回は原作の確信の「雛見沢症候群」と鷹野さんの「終末作戦」、そして沙都子の……っとと」
沙都子
「私がどうかしたんですの?」
詩音
「何も無いですよ沙都子っ!」
沙都子
「むう…何だか除け者にされた気分ですわ!」
梨花
「沙都子にはボクがいるのですよー♪」
沙都子
「あ、そう言えば梨花、結局梨花が持っていたあの杖みたいな物は何でしたの?」
梨花
「みぃ?これは……これからの秘密、なのですよ♪」
沙都子
「むぅ……思わせぶりですわね」
富竹ジロウ
「そして今回は僕達が初登場さ!」
入江京介
「沙都子ちゃんをお持ち帰りするのはこの私!」
圭一
「なっ!?…トミー!イリー!」
富竹(トミー)
「久し振りだね!K!!」
入江(イリー)
「我々萌えを貫く漢達がついに初登場ですよ!K!!」
圭一(K)
「トミー…イリー…!!あれ、だけどあの人はいないんだな」
トミー
「彼は次の出番に先駆けて待機中さ!」
K
「そういう事かよ!ならようやく雛見沢暗黒四天王がこの小説にも揃いそうだぜ!!」
魅音
「くっ…圭ちゃん達がこれまでになく輝いてるよ!!」
レナ
「レナが止めてくる!」
「この先の展開について」
圭一(フルボッコ)
「もうじわげございまぜんでじだ…」
入江(フルボッコ)
「にどどごんなごどじまぜん…」
富竹(時報)
「………」
魅音
「レナ、さすがにやり過ぎ…」
レナ
「えへへ♪とにかくこの先の展開で解っている事を話し合おうよ!」
霊夢
「まず解っている事は、これから私と圭一は当麻の家に泊まるって事ね」
梨花
「ボクと沙都子は当麻が勧めてくれた「先生」の所なのですよ♪」
沙都子
「あの先生を始めてみた時はさすがの私もびっくりしましたわ…」
魅音
「で、私とレナは詩音達のマンションだね」
冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)
「そして僕は彼らと雛見沢症候群に関する研究を始める訳だが、私は絶対にこれをどうにかしてみせるよ」
入江
「先生…すみません」
当麻
「で、次から「法の書」編に入るわけだが、また新しい作品のキャラクターが増えるらしいな」
インデックス
「どれが出てくるか楽しみだね!」
「終幕」
魅音
「という訳で、急遽始まったお疲れ様会もこれにて閉幕だよ!」
レナ
「次回から始まる「法の書」編も是非読んでくださいね!」
一同
『よろしくお願いします!』
~終劇~
これから先のストーリーは、pixivやフォレストページで連載していた物と大きく変わる部分があります!!
是非お楽しみください!!
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「法の書」編
第5話「ロストグラウンド」
とても激しく、雄々しく、荒々しい夢を……
嗚呼、私は……見続けていたんです……
※注……今回から特に強い独自解釈、設定レベルでのクロスオーバーが始まります。
時系列がズレることがありますが、その点に関しては生暖かい目で見守ってあげてください。
イギリス、ロンドンのとある街中…
一般人で賑わうこの地に、妙に風貌の違う男女が歩いていた。
「最大主教(アークビショップ)!護衛も無しで街中を彷徨くとはどのようなお考えなのですか!」
その男女の内の、身長は180cmを優に越える長身で黒い修道服を纏い、髪は赤く染め上げられた肩まで届くほどの長髪、そして目の下にはバーコードのような刺青、耳にはピアス、両手の全て指には指輪をはめている「不良神父」とでも表現できる男性が片方の女性の背後に控えながら問いかけた。
「だから、その名前で呼ぶべからずなのよ」
こちらの女性は洋風の服に日傘と西洋人らしい格好をしているが、彼女の髪は伸ばせば自身の身長の2.5倍はあるそうである。
「話なら聖(セント)ジョージ大聖堂で済むものを…」
「年がら年中あんな古めかしい聖堂にこもっているのは嫌だわ。それに、歩みつつも語れるのよ」
「まあ…構いませんが」
男性と古語が混ざった話し方をする女性は日本語で会話をしているようである。
「小さき男なのねステイル、むしろこの私と2人きりで歩ける状況を堪楽せんとはできないの?」
「…ローラ・スチュアート、1つお聞きしてもよろしいですか?」
「難きことね、何?」
ローラと呼ばれた女性の方はステイルと呼んだ男性の質問の許可を下した。するとステイルから飛んできた質問はローラが思っていたこととは全く違っていた。
「どうしてあなたはそんなバカな喋り方をしているんですか?」
「えっ…えっ?」
ステイルの問いに激しく動揺しながらローラはステイルに振り返った。
「えっ?おかしいの?本物の日本人にもチェックをいれて貰ってるのに!?」
「それは一体誰なんですか…」
「土御門(つちみかど)元春(もとはる)の奴なのよ」
「…奴を日本人の基準にしないでください」
どうやらローラは土御門という男に古語混じりな話し方を教えて貰ったようである。
するとローラは突然手元から手帳を取り出し、何かを書き込むとそれをステイルに手渡した。
「通信用の護符…」
どうやらこれを持っていれば声を出す事もなく会話が出来る、といった道具のようで、それはこれからは誰にも聞かれてはならない会話になる事を意味していた。
「(あなたは、「法の書」の名は知りたるわね?)」
「(魔導書の名ですか?
著者は確か、エドワード・アレクサンダー。原典はバチカン図書館に保管されており、誰にも解読不可能な魔導書だと…)」
「(そう、かの103000冊の魔導書を記録している禁書目録であってもね)」
「(っ…)」
禁書目録、つまりインデックスの名を聞いた時、ステイルは懐疑的でかつ怒りを含んだ視線をローラに向けた。
「(その魔導書を、解読出来る人間がいたとしたら?)」
「なんですって!?」
思わず声が出てしまい、周りの人々がざわざわとしているなかで、ローラは人差し指を口の前に置いてそれをステイルに見せた後、再び歩き出した。
「(その者はローマ正教の修道女で、名はオルソラ=アクィナスというそうよ)」
「(まさか…法の書を勢力争いの道具に?)」
科学の街、学園都市には広まっていないのだが、世界には十字教、俗にいうキリスト教が布教しており、その十字教の宗派により、それぞれが同じイエス=キリストを信仰していながら敵対関係を気付いてしまっている。
ステイルやローラが所属するのはその十字教の中ではイギリスを中心に広まった「イギリス清教」であり、俗にいうプロテスタントと呼ばれる者達である。
そして彼らの話の中に出たローマ正教は、その十字教の中でも最大の勢力の宗派であり、ローマ教皇傘下とバチカンを中心に広まった宗派である。
「(今のところそれはないわ、なぜならその法の書とオルソラ=アクィナスは盗まれてしまったのだから)」
「(えっ?)」
「さて、ここからは中で話しましょうかしら」
会話している間に、2人はある協会の前に辿り着いていた。
舞台は変わり、ここは学園都市第7学区のとある高校、ここには臨時処置として新たな学級が作られる事になった。
「ったくよー…なんで未来に来てまで勉強なんかしなきゃならねーんだよー!」
「仕方ないよ圭一君、便宜上は私達、ここの住人で学生なんだから」
「そうそう、まあ私もどっちかっていうと圭ちゃんと同意だったり…」
「魅音さんも圭一さんもだらしないですわよ!これからホームルームだと言うのに!」
「お姉も圭ちゃんも勉強は苦手ですもんねー♪」
「ボクはお勉強大好きなのですよ♪」
その臨時学級はどうやら圭一達部活メンバーの為に作られていたようだ。
「とりあえず当分の生活の補償のためには仕方ないわよ…まったく…」
霊夢はだるそうに呟いた。
部活メンバーだけではなく、霊夢もここの学生という扱いになっていたようである。
「あれ?前原さん達じゃないですか!」
「ホントだ~!」
すると教室の外から圭一達にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「冨田くん!岡村くん!久しぶりだなー!!」
小学生くらいの外見の男の子達はどちらもかつて雛見沢の学校で共に暮らしていた生徒達であった。
どうやら、雛見沢の様々な住人達がこの世界へと来てしまっていたらしく、彼らだけでなく他の生徒達も雛見沢で見覚えのある顔ぶれ揃いだったのである。
ただ、その中に1人だけ見覚えの無い人物がいた。
背丈は梨花や沙都子と大差なく、髪はピンク色の短髪の女子が、何故か教卓の前に立っていた。
「はーい!ホームルーム始めますよー!」
なんとその女子はまるで自分が先生であるかのように振る舞いだした。
「え?まだ先生来てないじゃーん」
「私が先生ですよー!!」
魅音がそう聞いた時、女子がそう返してきたため、圭一と霊夢、沙都子と梨花を除いた全員が唖然とした。
「魅音、この人が昨日当麻が言ってた「先生」だよ」
「小萌はボク達の学校の先生なのですよ♪」
昨日当麻に連れられた圭一達はそれを知っていたため、驚く事はなかったのだ。
「その通り、私はこの学校の教師、月詠(つくよみ)小萌(こもえ)です♪皆さんよろしくですよ♪
ですが、皆さんの担任は残念ながら私じゃないんです…」
小萌先生は本当に残念そうに告げたため、思わず圭一達も残念な気持ちになってしまっていた。
「それではお呼びしましょう!
皆さんの担任をしてくださる教師はこの方ですよ!」
小萌先生はそう言って教室の扉の方を向いた。
すると扉から開き、そこから圭一達の担任となる教師がやってきた。
青い髪で白いワンピースを着た女性…その女性の名を雛見沢の生徒達は知っていた。
「皆さんお久しぶりです♪はじめましての方もいるようですが、知恵(ちえ)留美子(るみこ)と言います♪」
雛見沢分校のたった1人の教師、知恵先生の姿がそこにはあった。
「二学期と言うのは忙しいんだぞー?
大覇星祭(だいはせいさい)に一端覽祭(いちはならんさい)、芸術鑑賞祭に社会科見学祭とお祭り尽くしなんだからなー」
当麻とインデックス、そして現在は圭一と霊夢も暮らしている学生寮、その当麻達の暮らしている部屋の前で清掃ロボットの上に乗ってクルクルと回りながらメイド服を着た少女、土御門舞夏(まいか)は独り留守番をしていたインデックスに対して言う。
インデックスの上には彼女が飼っている猫、スフィンクスが乗っていたが、クルクルと回る舞夏を見ていたスフィンクスは遂には目を回して倒れてしまった。
「とうまもけいいちもれいむも全然遊んでくれないんだよ!!」
「とは言ってもなー、上条当麻達も好きで学校に縛られている訳じゃないんだぞー?」
「まいかはどうして学校に縛られていないの?」
「そりゃあ、メイドは実地研修が基本だからなー」
「じゃあ私もメイドになる!そしてとうま達の学校に遊びにいく!!」
インデックスは頭の中で自身がメイド服を着ている姿を想像しながら舞夏に言う。
「うーん…メイドになるには料理とか色々勉強しなきゃならないからなー。
家庭的能力ゼロなお前には向いていないと思うぞー…」
「じゃあとうまをメイドにする!!」
「うん、それは上条当麻の前では絶対に言うなよ」
インデックスの後先を考えない言動に舞夏はそう突っ込んだ。
すると、2人の近くにあったエレベーターが開き、中から先ほど学園都市の街中を歩いていたステイルが出てきた。
「悪いが…君がメイドになる時間も、奴をメイドにする時間も無いんだ」
ステイルはそう言いながらインデックスの口を塞いだ。
端から見れば確実に誘拐現場である事は間違いないだろう。
「大覇星祭…二学期に行われる全学校参加の大規模な体育祭…なお、今大会では能力の使用を推奨する…か…」
とある高校の渡り廊下にて、当麻は大覇星祭に関するパンフレットを読みながら歩いていた。
「よー当麻!そっちも終わったみたいだな!!」
「あー終わった終わった…っと…」
するとそこに臨時学級にての授業を終えた圭一とかったるそうな様子の霊夢が彼の側にやってきた。
「お、来たか。初めての学園都市での授業はどうだ?」
「とりあえず色々とびっくりしたぜ!すげーな学園都市って!!」
今日の授業は校内見学だったらしい。
「何が何だか…まったくついていけなかったわ…」
「流石に昭和っ子が学園都市に1日で慣れるのは無理があったみたいだな」
圭一と霊夢の感想に当麻は苦笑いしながら返した。
「さて、それじゃあ帰るとするか」
そして彼らは学生寮へと帰る事になる…
三人はしばらく歩いた後に学生寮の前へと辿り着いた。
「さってと…今日の晩ごはんは何にすっかなー…」
「カレーにしようぜ!!」
「何言ってんの圭一!ここは鯖の塩焼きよ!!」
何だかんだで圭一と霊夢は妙に中が良くなっているようだ。
「か…上条当麻ーっ!!」
「んっ?」
すると上から聞き覚えのある声がした為当麻は上を見た。
そこには自分の部屋がある階で深刻そうな表情で手を振っている舞夏の姿があった。
「大変だよー!緊急事態だよー!銀髪シスターが何者かに攫われちゃったー!!」
「何だって?」
「誘拐だよー!人攫いだよー!!」
当麻は念のためもう一度聞き直すが、どうやらまたインデックスが何者かに攫われてしまったらしい。
「犯人が去る前にこれを…」
舞夏はそう言って当麻に書き置きされていた手紙を渡した。
「まさかまた紫じゃないでしょうね?」
「だったら今度の目的は何なんだよ!!」
「ちょっと待ってくれ…」
当麻はそう言って霊夢と圭一を黙らせ、手紙を読んだ。
「『上条当麻、彼女の命が惜しくば今夜7時に学園都市の外にある廃劇場、薄明座跡地まで来い』……ちょっと待て!薄明座ってことは……『ロストグラウンド』に行けってことか!?」
「ん?当麻、その『ロストグラウンド』ってなんだ?」
「そういや、話してなかったな。ロストグラウンドってのは……そうだな、一言で言えば学園都市が出来るきっかけになった土地って感じか」
「それが何で「失われた大地」なんて呼ばれてるのよ?」
「それは……三十年前のことだ」
三十年前、かつて「神奈川県」と呼ばれていた土地が大隆起現象を起こした。この大隆起現象の影響で雛見沢村に毒性ガスが溢れ、住人がみな死んでしまったと言われる。このことは後に「雛見沢大災害」と呼ばれた。
そして、隆起した土地は特殊な事象を引き起こした。
「アルター能力」正式名称「精神感応性物質変換能力」の出現である。ロストグラウンドで産まれた新生児の数パーセントに生まれつき備わっており、自分の意志で周辺のあらゆる物質を原子レベルで分解、アルターという物質に再構成することができる能力だ。
再構成されるアルターも使用者の信念や欲望により、様々な姿が存在するため、アルター能力者といっても無数の種類が分けられている。
ロストグラウンドの大隆起、アルター能力者の出現。どちらも原因は未だに解明しきっていない。
しかし、判明した事実もある。アルター能力の発生要因の一つに「人間の脳に何かしらの影響が及んだ」ことがわかっている。生まれつきアルター能力を持つ新生児達にとって、アルター能力とは手足と同じように意識して操作することができる。
一般の人間とは異なる「認識のズレ」、即ち「自分だけの現実(パーソナルリアリティ)」を確立することが出来れば後天的でもアルター能力に似た超常現象を発現することができるのではないか?
これから始まったのが「能力開発」そして学園都市が成り立つことになった。
「……っと、学校では教えてもらった」
「ぱーそな……あぁもう、全然理解出来ないわ」
「俺も同じく……」
「まあおおざっぱに説明すれば、ロストグラウンドにはアルター能力者がいるから危険ってことだ」
「アルター能力者が危険……?野放しにされてんのか?」
「そんな感じだ。さっき説明した通り、ロストグラウンドは突然隆起して生まれた土地だ。それまでそこに存在してた建造物は隆起の影響でほぼ全滅。
生き残った人も少なかったし、本土との交通網は空しかないしで、復興に時間がかかってるんだよ。」
三十年経過した今でも、ロストグラウンドは復興を果たし、治安や経済が安定し、それこそ学園都市にも並ぶ新鋭都市「市街(シティ)」と、未だ復興を果たせず、隆起現象の爪痕が残り、さらには「ネイティブアルター」と呼ばれる市街側に属さないアルター能力者やインナーと呼ばれる一般人が暮らしている「外界(崩壊地区)」に別れている。
「さっき、薄明座『跡地』って言ってたわよね……もしかしてそこって……」
「……残念なことに崩壊地区の方だ」
「マジかよ…!?」
「困ったなぁ…よりにもよってあんな所へ呼びつけやがって……で、そのバカ野郎はどんな感じだった!?」
当麻は舞夏にそう問いかけた。
「えっと…確か身長が180cmを越えてて、赤い髪で右目の下にバーコードみたいな刺青があって、耳にピアスがいっぱいあった!」
「あぁ…それなら大丈夫だ。そいつは俺やインデックスの知り合いだ」
どうやら当麻はステイルと面識があるらしい。
「犯人は知り合い!?動機は歪んだラブなのか!?」
「当麻…あなたってそんな罪深い男だったのね」
「すげー昼ドラ展開!!」
すると三人は当麻に問い詰めるように当麻に詰め寄った。
「待て待て!誤解だ!!」
当麻が弁明すると、書き置きの手紙が入っていた封筒の中から何かが落ちてきた。
「外出許可証…と、航空券?」
件のロストグラウンド、『薄明座』跡地では既にステイルとインデックスが話し合いをしていた。
「状況は解ってくれたかね?」
「法の書が盗まれ、それを解読出来る存在、オルソラ=アクィナスも誘拐されたって…犯人はネイティブアルターらしいって……」
「そうだ」
そう言ってステイルはローラと話し合った内容を語り出した。
「あの厳重なバチカン図書館からどうやって法の書を持ち去るのです…?」
「ローマ正教は、法の書を日本の博物館に移送する途中だったそうよ」
ステイルの問いにローラは紅茶を飲みながら答えた。
彼女のテーブルには紅茶だけでなく、様々なケーキ等の洋菓子が並んでいた。
「ステイル、これを持って行きなさい」
そう言ってローラはステイルに十字架のペンダントを渡した。
「これは…?」
「オルソラへのささやかなるプレゼント…といった所かしら」
「はぁ?」
「禁書目録…専門家の協力は必要でしょう?」
「…くっ」
そして、現在のこの状況に至る訳なのだが…
「それでどうしてとうまを巻き込むの?」
「解らないよ…僕だってどうしてあんな奴と…っ!」
インデックスの問いにも上手くこたえられないステイル。
するとそこに1人の少女が薄明座のホールの扉の一つを開けて入ってきた。
「状況はどうなっている?」
ステイルは少女に問いかけた。
どうやら少女はステイルと協力関係になる人物らしい。
「状況は滅茶苦茶…情報が錯綜しちまって…法の書が確保できたかどうかも………っと、申し遅れました。
ローマ正教のアニェーゼ=サンクティスと申します」
アニェーゼと名乗る少女は凄まじく下の丈が短い修道服に超厚底の靴を履いているというまたかなり風変わりな格好をしていた。
場所は変わり、当麻は無事ロストグラウンドへと到達し、薄明座跡地を目指していた。
「なんかデジャヴ…」
「もしかしてこないだインデックスが攫われた時もこんな感じだったのか?」
「あんたもつくづくツイてないわねー」
「って!なんでお前らまでついて来てんだよ!?」
外出許可証と航空券も手紙で呼ばれたのも当麻1人だったはずなのに、いつの間にか圭一と霊夢までもが当麻について来ていた。
「インデックスは俺達の友達だし、仲間じゃねーか!何か事情があってインデックスが攫われたんなら黙ってられねーよ!!」
「実は私、空が飛べるのよ。それで圭一も一緒に連れてきたわけ」
「全く…なんかありがてえよお前ら…」
深い溜め息をつきながら当麻は2人にそう言った。
すると、彼らは近くにあったバス停……の跡地で立ち止まっている1人の女性の姿に気付いた。
「シスターさん?」
まず圭一が気付き、
「どうしてあんな所に…」
霊夢が考え出し、
「またインデックスの知り合いかなんかじゃないだろうな…」
当麻が予測を述べた。
結局当麻が「関わるとロクな事にならない」と言い出したため、女性を無視していこうとした所で…
「あの…」
なんとシスターさんの方から話しかけられてしまった。
「あ、はい…?」
「学園都市に行くには、どのバスに乗ればいいのでしょうか?」
「あーダメダメ、ここはバス来ないし、そもそも学園都市に行くにはまずここ(ロストグラウンド)から出なきゃ。それも飛行機しか使えないし……」
シスターの問いに当麻はそう答えた。
「あ、それはどうもありがとうございました♪」
そう言ってシスターは……立ち止まったままだ。
「って!だからバスはこないんだってば!!」
そこに当麻が咄嗟にツッコミを入れた。
「あ、そうでしたね。それでは、ありがとうございました♪」
当麻に再び礼を述べた後、シスターはやっぱりバスを待ち続け……
「「「ってお前絶対爽やかな笑顔で人の言葉聞き流してんだろ!?」」」
咄嗟に当麻、圭一、霊夢の三人はツッコミを入れた。
「全く…それで?あなたはどうして学園都市に行きたいんです?」
なんか気疲れしながら圭一はシスターに聞いた。
「実は私…追われているんでございます」
「追われている…?」
当麻も含め、三人は首を傾げた。
今回の登場人物(初登場は☆)
▼とある魔術の禁書目録
・上条当麻
・禁書目録(インデックス)
☆土御門舞夏
☆月詠小萌
☆ステイル=マグヌス
☆ローラ=スチュアート
☆アニェーゼ=サンクティス
▼ひぐらしのなく頃に解
・前原圭一
・竜宮レナ
・園崎魅音
・園崎詩音
・北条沙都子
・古手梨花
☆冨田
☆岡村
☆知恵留美子
▼東方project
・博麗霊夢
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