やはりこの素晴らしい世界は間違っている。 (ALQ)
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プロローグ

八幡のキャラが少し違うかもしれません。
こうしたらもっと八幡らしいみたいなご指摘がありましたら
コメントでどんどん言ってご指摘ください。


「比企谷八幡さん、ようこそ死後の世界へあなたはつい先ほど、不幸にも無くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです。」

 

真っ白な部屋の中で突然そんなことを言い出す、可愛い女の子が俺の目の前にいた…。

 

しかし突然あなたは死にましたと言われてもなかなか信用できない。

 

というか、ここに来る前俺はなにをしていたんだ…?

 

俺は先ほどまでなにをしていたか思い出そうとした。

…そうだ今日は高校入学初日、いつもより1時間も早く家を出て学校に向かっていたのだ。

その登校途中、高校付近で犬の散歩をしていた女の子のてからリードが離れ、そこへ金持ちが持ってそうなリムジンが来たのだ、そして俺はその犬を助けようとして…

 

「ひとつ質問してもいいか…?」

 

俺の質問に美少女が頷く

 

「えぇ、どうぞ?」

 

「…あの犬は助かったのか?」

 

命がけ…というか命を張って助けたのだ、助かってないと俺はなんのためにあんなことをしたのかわからなくなる。

 

「はい、あなたのおかげであの犬は怪我をすることもなく、助かりました。あなたはとてもお優しいんですね、なかなか犬を助けるために身を投げ出すというのは難しいことなんですよ?」

 

パァァァア…という効果音がなりそうな笑顔でその女の言った。

 

えっ?なにこの天使、俺の天使はマイスイートシスター小町だけかと思ってたのに、天使すぎる…いやここは死後の世界だから天使であってるのか…?

 

「…それでは、話を戻しましょうか。初めまして、比企谷八幡さん。私はエリス。日本において若くして死んだ方を導く女神です。」

 

ME-GA-MI!女神…だと…そうかこれなら天使が2人いる矛盾も解決だね、やったね八幡!(錯乱)

 

「み、導くって言うとあれか?天国に行くか、地獄に行くか的な?」

 

「えぇ、まぁ地獄にはいきませんが、一つは生まれ変わりとして新たな生を受けるか、もう一つは天国のようなところでおじいちゃん様に暮らすかですね」

 

おじいちゃんの様な暮らしか…養ってもらわずとも悠々と働かずに暮らせるのはいいなぁ…古人曰く、働いたら負けである。

 

「なるほど、それなら俺は天ご…」

 

「ですが、天国とは、あなた方が考えてる様なところではないんです。亡くなってしまったら食べる必要は無くなりますし、そのためものは産まれません、作ろうにも材料もないため天国にはなにもないのです。

それに体がないためその…え、えっちいことだってできませんし、天国では、彼らと一緒におしゃべりをすることぐらいしかやることがないのです。」

 

えっ、なにそれ地獄じゃん娯楽もなにもない出来ることと言ったらお喋りとかぼっちにとってきつすぎる…選択肢としては生まれ変わりしかないか。

 

そんな俺を見たエリスはにこやかにこう言った。

 

「比企谷八幡さん、あなたはゲームはお好きですか?」

 

エリスが説明した話を要約するとこうだ。

 

俺たちの世界とは別の世界には魔王がいてその魔王の所為で世界がピンチという某ド○クエ、FFの様なファンタジー世界があるらしい、

しかしその世界で死んだ人たちはモンスターなどに殺されたトラウマから生まれ変わりを拒否してしまうらしい、そこで俺たちの様な異世界人?をそのまま転生させてしまおうということらしい。

 

なんという移民政策…

 

「ですが、そのまま転生させてもすぐ死んでしまってはいけないので、何か一つだけあちらの世界に好きなものを持っていける様にしているのです。例えば強力な武器や、凄い能力などですね、最近では女神を持って行ってしまう方もいましたね…」

 

と、イタズラっぽく笑うエリス

 

しかし転生か…悪くないというかむしろテンションが上がる話である。

 

男の子なら誰しも通る道と言っても過言ではない、ある日突然特殊能力に目覚めて世界を救ったり、異世界に転生したりする想像は誰だってするだろう?しないか…

 

「まぁ、なんだ…転生するのはいいんだが、向こうで俺の言葉は通じるのか?まさかその言葉を持っていかなきゃいけないとかはないよな?」

 

「はい、それは問題ないです。私達神々のサポートによって異世界の言葉を一瞬で習得させることができます。」

 

なにそれ、すげぇ…女神まじスゲェ…、てかそんなことできるなら魔王を女神が倒しちゃえばいいのにと思っているとエリスがカタログ的なものを出してきた。

 

「では、この中から選んでください。あなたにたったひとつだけ何者にも負けない力を授けます。例えばそれは伝説級の武器や、強力な能力。どんなものでもひとつだけ。異世界へ持っていく権利を差し上げます。」

 

エリスの言葉に俺はそのカタログを受け取ると、それをパラパラと読み始める。

 

えぇ、なになに、『怪力』『超魔力』『聖槍アクアハーティア』『女神の祝福』『爆裂魔法』etc…この中から一つか…参ったなこれだけあるとどれを選ぶか目移りしてしまう。

 

「すまないが、少し考えてもいいか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。じっくりお考えください。」

 

まぁ別に本気で魔王を倒したいわけでもないからあちらの世界で楽しめる様な能力の方がいいかもしれない。

 

そう考えると武器系はいらないし、あちら世界での魔法はどこまで自由なのかもよくわからんから超魔力も無視。

 

うーんそうするとなんだろうなぁ、どこぞの一方通行さんみたいにベクトル操作とかそういうかっこいいのないのかな…

 

とここで俺は一つの能力を発見した。

 

「なぁ、このレベルブーストってなんだ…?」

 

「あぁ、それですか?それはあらゆるもののレベルを上げます。例えばファイアーボールという魔法があるのですがそれにレベルブーストの能力を使うと爆裂魔法になったり爆発魔法になったりするというものです。」

 

「ということはただの剣にこの能力を使えば魔剣にでも変身するのか?」

 

「はい、そういうことになりますね。」

 

なんだこの能力、チートすぎるだろ、ベクトル操作なんて比じゃないな…

 

「…それじゃあこの能力で。」

 

「受け賜わりました。では、この魔法陣の中央からでないでくださいね。」

 

すると、突然俺の下に青く光る魔法陣が現れた。

 

「比企谷八幡さん。あなたをこれから異世界へと送ります。魔王討伐の勇者の1人として。魔王を倒した暁には神々から一つのどんな願いでも叶えてあげましょう。」

 

「願い…?」

 

それはあれかもう一度あちらの世界に生き返らせてくれーとかもありということか?どこぞのドラゴンボ○ルの神龍みたく一度生き返った人間を再び生き返らせることはできない。とか言い出すのなしだからな。

 

「さぁ!勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中からあなたが魔王を打ち倒すことを祈っています。…さあ、旅立ちなさい!」

 

 

そうして俺は明るい光に包まれた…

 

 

 



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第1章
そうして、比企谷八幡はギルドの扉を開く


目を開けるとそこには石造りの街中が広がっており、俺の目の前を馬車が音を立てながら進んでいった。

 

「す、すげぇ、本当に異世界に来たのか俺…」

 

あまりの興奮に声が震える。

 

「しかし、この後どうするかな…、ゲームならまずは村長を探したりギルドを探したりするもんだが、まず自分がどこにいるかすらわからん状態だからな」

 

街の人たちに声をかけてギルドがどこか聞くべきか、しかしいきなり知らん人に声をかけるのはハードルが高い、仕方ない適当に歩くか…

 

1時間ぐらい歩いたのだろうか、少し疲れたので、休憩しようとした時だった。

 

ドーンッッッ!

 

いきなりとんでもない爆音が聞こえた。

 

な、な、な、な、なんだよこの爆音ビビって「デュフェ!」っていう変な声出たじゃないかよ…。誰にも聞かれてないよな…。

 

しかし周りの人達はさも当たり前のように過ごしている。一体あの爆音はなんだったのか…

てか本当にギルド見つからんなもしかしてこの村にはギルドはないのか?

 

そんなことを考えているとTHE・冒険者みたいなやつが通ったので勇気を出して話しかけてみる。

 

「あ、あのすいましぇん」

 

くそ、いきなり噛んだ恥ずかしい

 

「ん?なんだどうした?」

 

「え、いや、あのこの街ってギルドとかって無いんですかね…?」

 

「ギルド?お前冒険者か?ギルドを探して迷った口か、ギルドならなあそこの道を…」

 

なるほど、俺は全く反対方向に進んでいたらしい、そりゃあギルドなんてたどり着かないわな、そんなことを考えていると後ろにいた他のメンバーがこの男を呼ぶ。

 

「おーい!ダスト!道教えたなら早くクエスト行こうぜ!」

 

「あぁ!今行く!それじゃあな、新入りまたギルドで会うだろうしその時はよろしく!」

 

そう言って冒険者は去っていた。

さて、日が暮れる前にギルドに向かいますかね。

 

 

 

 

『ギルド』それは生前あまり縁の無い言葉だった、モ○ハンとかは、やる友達が居ないからひたすら街クエばっかやってたし、オンラインゲームなんてまずリアルに友達が居ないやつがゲームの中で友達なんて作れるわけもなくソロプレイをして1人レアアイテムを取りに行ったものだ。

 

それを思い出すと少しづつ目の前のギルドに入りずらくなっていく、てかギルドに入って冒険者になったとしてもどこかしらのパーティーには入らないとクエストに行くのなんて無理な話だ。

 

だいたい俺は子供の頃から「いーれーて」という言葉が言えない子供だったもんだからなおさらだ。小学校のサッカーの時にクラスの中心人物2人がじゃんけんして勝ったら自分のチームに入れたいやつを先に選んでいいっていうルールがあった。

あれ、俺いつも最後まで残ってたんだぜ?

「僕はいつ選ばれるのかなードキドキ」とか思ってた10歳の俺可哀想すぎて泣けてくんだろ。

 

駄目だこれ以上思い出すとドアを開けづらくなる。

開けてしまえ大丈夫だ。多分なんとかなる。

そうして覚悟を決めた俺がが中に入ると…

 

「あ、いらっしゃいませー。お仕事案内なら奥の、ひっ!」

 

えっ、なにいまの悲鳴…俺のこと見て悲鳴をあげるなんてどういうことよ…。

 

すると周りの冒険者もなんだ、どうした、と声を上げ始める。すると青い髪の綺麗な少女が声を上げた。

 

「なんでこんなとこにグールがいるのよ。」

 

はぁ?いや待てグール何を言ってるんだこいつは。

 

「いや待て、俺はグールなんかじゃなくて普通の人げn」

 

「ターンアンデット!」

 

いきなり魔法を打ってきた。いや話は最後まで聞きなさいって、母親に言われなかったのかよ。

 

「効いてない?まさかあなたが最近ここにやってきた魔王の幹部とかいうやつなの?」

 

いきなり魔王の幹部扱いされた件について。

いや、ほんとどうなってんの八幡意味わかんない…

 

「いや、俺は魔王の幹部とかじゃないから…」

 

すると他の冒険者たちが、

 

「あれが魔王の幹部なのか…?」

 

「でもよく見ろよあの目の濁りよう…あの目はかなりの人間を殺った奴の目だぜ。」

 

「あの目の濁りようからおそらくグールでしょう。しかしアークプリーストの魔法を食らっても倒れないとは、あのグール相当やばいですよ…」

 

なんて言われてる。いくらなんでも俺の目、腐りすぎだろ。

 

するとそこに金髪の女騎士見たいのが来て青髪の少女に話しかける。

 

「おい、アクアほんとにこいつは魔王の幹部なのか?目の腐りようはすごいがあまり強そうに見えないのだが」

 

「確かに今は全然力を感じられないわ。ただあの目の腐り方は尋常じゃないわ、とにかく魔王の幹部にしろ、グールにしろ、ここで倒すに越したことは無いわ。さぁ!覚悟はいいかしら!アンデット!」

 

駄目だ。全然話が通じない。もういっそギルドから出て行ってしまおうか、と考えている時に俺の後ろでギルドのドアが開いた。

 

「いやーしかし今日の爆裂魔法は音色こそ悪かったが音量はすばらしかったな!ナイス爆裂!」

 

「フフフ、カズマも爆裂魔法とはなんたるかが、わかってきたようですね。」

 

なんか女の子を背負ったジャージ姿の男がそこにいた。

 

 

 

 

カズマ視点

 

 

なんかギルドの扉を開いたら目の腐った学生服姿の男が立っていた。

 

「カズマ、気をつけて!そいつは!魔王の幹部よ!」

 

アクアが真面目な顔で注意してくる。

 

いやお前何言ってんだよ…こいつどう見ても…

 

「おい、アクア何言ってんだよ。こいつが魔王の幹部なわけないだろ?」

 

「えっ?!カズマこそ何言ってんのこんな目が腐ってるやつが人間なわけないじゃない!」

 

こいつ、学生服のこと忘れてるのか…ほんと俺なんでこんなやつ連れてきちゃったんだろ。

めぐみんをそこらへんの椅子に下ろしつつアクアを近くに呼ぶ。

 

「アクア、あいつはどう見ても日本からきた転生者だろ。あの洋服を見ろ日本の学生服だろ。何を勘違いしてるんだお前は」

 

「でもでも、あの目の腐り方は尋常じゃないわ。確かに全然邪悪な気を感じないけど、どう考えてもあれは異常よ!」

 

「アホか!」

 

馬小屋に行かずにギルドに来て正解だった。

危うく1人の駄女神のせいで転生者が1人冤罪によって天に召されてしまうところだった。

 

「なによもう、私だけじゃなくてダクネスや、みんなもあいつは魔王の幹部じゃないかって思ってたわよ。」

 

「ま、待て、私はちゃんとあいつは魔王の幹部じゃないのではと否定したぞ?ほんとだぞ?」

 

そんなやり取りをしているあいだにギルドの奴もなんだ違うのか、人騒がせな奴だなと言いながら解散していく。

 

「はぁ、とりあえず、このアホのせいで変なことになった事を謝らなきゃなぁ」

 

俺は全く状況が理解できていない男

に話しかけた。

 

「あー、なんだこのバカが変な事言いだしたせいでこんな事になって悪かったな。」

 

「いや、それはいいんだが、その洋服ジャージだよな。という事はお前ももしかして転生者なのか?」

 

「あぁ俺は佐藤和真だ。よろしくな。」

 

「え、あ、俺は比企谷八幡だよろしく。」

 

比企谷と名乗った男は、俺と同い年ぐらいだろうか…?

そいつを一言で表すなら、

まぁ、ちょっとボッチっぽい腐った目の男だろうか。

確実にラノベの主人公にはなれなさそうな奴だった。

 

 

 

 

 




キャラに合わせて会話を作るのがこんなに難しいとは…!


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かくして、比企谷八幡は冒険者になった

『アクセルの街』

 

それが、この街の名前なのだそうだ。

俺がグールと見間違えられた事件から30分ほどカズマにここがどういったところかを説明してもらった。

 

「で、ギルドに入るには登録手数料が必要になる。」

 

「手数料と言っても俺はなにも渡されてないから払えないぞ?」

 

先ほどポケット中を見たら財布も携帯も無くなっていた。エリスの言う通り持ってこれるのは一つだけつまりあの能力しかこの世界にもってこれていないらしい

 

「そうなんだよなぁ、普通はこういうのって初期装備とお金を渡されるべきだと思うんだよ。」

 

じゃあ、まず登録手数料を手に入れるためにお金を稼がなきゃならないわけか、しかし冒険者になれないわけだから金を稼ぐ方法がない。あれ?これ詰んでね?

 

「カズマは、どうやってその金を手に入れたんだ?」

 

「知らない人からお金を借りた…」

 

とても暗い顔でカズマが答える。

 

俺も養われるのはいいが施しは受けないを信条に生きて来ているので気持ちはわからなくもない。

 

「はぁ、仕方ない洋服でも売ってとりあえず金を作るか。」

 

「えっ?いや金なら貸すぞ?手数料ぐらいなら、大した額じゃないんだし」

 

俺は養われ(ry

 

「いや、いろいろ情報まで教えてもらったのにそこまでしてもらうのは悪いしいいよ」

 

てか、変な事要求されそうで怖い。

 

「いやいや遠慮すんなよ、気にすんなって」

 

カズマがにこやかにそんな事を言ってくる。

その後ろで女の子達がなにやらこそこそと話をしているようだ。

 

「カズマがあんなに親切なわけありません。あれは絶対裏で何かを企んでますよ。」

 

「クズマさんならありえそうね」

 

「おい、お前ら全部聞こえてるからな、それにアクアそのクズマさんってのはなんだよ?」

 

カズマ達があーだ、こーだ、言っている隣で金髪女騎士がこっちを見ながらハァハァ言っている。

 

えっ、なにこれ妙にエロいんですけど、彼女いない歴=年齢の俺には刺激が強すぎるんですけど、なんって事を思いながら金髪女騎士を見ていると

 

「んんっ…!?くっ…!」

 

なんかいきなり金髪女騎士が頬を赤らめてブルッと身を震わせた。

なんかわからんけど直感的にわかる。この人絶対ダメな人だ…

 

するとこちらのやりとり(?)を見ていたカズマが慌てたように話しかけてくる。

 

「ともかく!金は貸してやるよ、冒険者になれば登録料ぐらいすぐに稼げるんだ。その時に返してくれればいい。とりあえずこれお金な、はやく受付いって、冒険者になってこいよ!」

 

貸し借りは好きじゃないんだが、まぁここで意地を貼る必要も特にないしな。

 

「あー、それじゃあ、とりあえずこれはありがたく借りさせてもらうわ」

 

そうして俺はギルドの受付に向かっていった。

なんか、少しわくわくしてきたな、この高揚感は駅前の蕎麦屋に1人で入るときのようなワクワク、わざわざ千葉市から少し離れた四街道市の本屋さんで、えっちぃ本を買うときのようなドキドキ感に少し似ている。

 

「あの、冒険者になりたいんですが。」

 

「はい、えっと、では登録料として1千エリスになります…」

 

俺が話しかけた受付のお姉さんはギルドに入った時に悲鳴をあげた人だった。

 

やばいな、失敗した空いているからってこっちに来るんじゃなかったな。完全に怯えられてしまっている。

まぁいいか、人に嫌われるのには慣れてる、むしろ嫌われすぎて、俺の菌だけ、バリアを溶かすレベル。どうでもいいけど、小学生のときの〇〇菌ブームってなんなのあれ、「比企谷菌タッチ」「比企谷菌には、バリアは効きませーん」って、どんだけ比企谷菌強力なんだよ…

 

「では、冒険者についての簡単な説明をさていただきますね。

…まず、冒険者とは、街の外に生息するモンスター…。人に害を与えるモノの討伐を請け負う人の事です。とはいえ、基本的には何でも屋みたいなものですね。

…冒険者とはそれらの仕事を生業にしている人たちの総称。そして、冒険者には各職業というものがございます。」

 

おぉ、職業か、俺的には魔法使い系より騎士とか、侍みたいなのが好みなんだが、まぁ流石に侍はないか。

 

すると、受付のお姉さんが俺に免許証ぐらいの大きさのカードを差し出してくる。

 

「こちらに、レベルという項目がありますね?ご存知の通りこの世のあらゆるモノには魂があり、どの様な存在も生き物を食べたりもしくは殺したり。他の何かの生命活動にとどめをさす事でその存在の一部を吸収できます。通称『経験値』と呼ばれるものですね。それらは普通目で見る事はできません。しかし…」

 

そして、受付のお姉さんがカードの一部を指差した。

 

「このカードを持っていると、冒険者が吸収した経験値が表示されます。それに応じてレベルというものが表示されます。このレベルが冒険者の強さの目安になりどれだけの討伐を行ったのかも表示されます。そうして、経験値を貯めていくとあらゆる生物はある日突然強くなります。俗に、レベルアップだの壁を超えただのと呼ばれていますが…。まぁ要約すると、このレベルが上がると新スキルを覚えるためのポイントなど、様々な特典が与えられるので、是非頑張ってレベルを上げでくださいね。」

 

その言葉でエリスの

「比企谷八幡さん、あなたはゲームはお好きですか?」

と聞かれた意味がわかった。

確かにこのシステムはゲームとほぼ一緒だ。

 

「まずはお名前と身長、体重、年齢、身体的特徴等の記入をお願いします。」

 

えーと年齢は15歳、髪は黒で、目は腐ってて…って書いてて悲しなってくるな。

 

「はい、ありがとうございます。それではこちらの機械に手を触れてください。それであなたのステータスがわかります。

そのステータスによってなれる職業が決まります。経験を積む事により選んだ職業の専用スキルを取得できる様になるのでその辺も踏まえて職業を選んでくださいね。」

 

なるほどステータスね、もしかしなくともそのステータスにぼっちなんて特性が加わったりはしませんよね?

 

と、緊張を、ほぐすためにくだらない事を考えながら俺は機械に触れた。

 

「…はい、ありがとうございます。ヒキガヤハチマンさん、ですね。

ええと…筋力、生命力、敏捷性は、普通ですね。魔力、知力、器用度がそこそこ高いですね、ん?幸運も、かなり高めですね。まぁ、幸運って冒険者にはあんまり必要ないんですけど…これですとなれるのは見習い魔法使いと、冒険者ですかね、もう少しレベルが上がれば弓使いや、盗賊にもなれますが、どうなさいますか?」

 

剣士職は、全部ダメか、しかし幸運が高めな奴がぼっちだったり死んだりしてる時点でこのステータスあてにならないんじゃ…

 

「魔法使いはなんとなくわかるんですけど冒険者には専用スキルはどんなのがあるんですかね?」

 

「冒険者には、専用スキルはありません。ただし全職業のスキルを使う事ができます。その代わり職業補正がないため専門職の方と比べるとレベルが落ちますが…」

 

なるほど、全部使えるけど職業補正がないから、そこまで強くないと、でもまぁ、冒険者になっていろんなスキルを使ってどの職業にするのか選ぶのもいいかもしれないな。それに俺には女神からもらった能力もあることだし。

 

「それじゃあ、とりあえず冒険者で、レベルが上がってから職業をどうするか決めます。」

 

「わかりました。それでは冒険者ギルドへようこそ、スタッフ一同、今後の活躍をきたしています。」

 

かくして、俺は冒険者になった。

 

 

 

 




比企谷八幡
レベル1
スキルポイント5
取得スキル なし


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そして比企谷八幡はパーティに入る。

このお話での時系列的には
カズマ、アクアアクセルの街へ

めぐみん、ダクネスパーティに加入

キャベツ狩り

魔王軍の幹部が来たせいでクエストが無くなる。
カズマ、めぐみんは爆裂魔法を廃城に打ちまくる

っといった感じです。

ウィズとの出会いが、まだ起こっておらず、カズマは装備を新しくしてないのでジャージのままの状態です。
ただ、カズマは初級魔法はすでに取得済みです。


比企谷八幡が、冒険者になるために受付に向かった後めぐみんが俺に向かって話しかけてくる。

 

「カズマが、人を無償で助けるなんてどんな風の吹き回しですか?」

 

こいつ、俺をなんだと思ってるんだ。

 

「いいかめぐみんこのパーティの現状をよく見てみろ」

 

1日に一度しか魔法が使えないアークウィザードに、攻撃が全く当たらないクルセイダー、今の所全く役に立っていないというかむしろ邪魔ばかりしているアークプリースト、こんな欠陥だらけのパーティーは、アクセルの街を探してもこのパーティだけだろう。

 

「ふむ、紅魔族随一のアークウィザードの私がいる時点で完璧ですね!」

 

こいつ…

 

「いいか、お前らが変なことばかりしているせいでこのパーティに入ろうというやつなんてこのギルドを探しても1人もいない、あぁ、誰 1 人 も だ 」

 

目の前の変態クルセイダーが今の言葉で興奮しているのはもうスルーしてもいいだろう。

 

「すなわち、今日ギルドに来たばかりでなおかつ冒険者になりたてのためパーティも決まっていない今が引き入れるチャンスなんだよ」

 

「しかしカズマ、彼はまだレベル1だろ?そんなすぐに戦力になる様には思えないが」

 

そこは心配いらないだろう。俺と違って女神からチート武器かチート能力を貰ってきているはずだ。むしろその辺の冒険者よりも強いだろう。これはチャンスだ、俺たちのパーティが少しでもまともになるための最後のチャンスかもしれない。これを逃す手はない。

 

「ダクネス、心配するな、大船に乗った気でいろよ、あいつを引き入れて魔王の幹部なんてかるーく倒せるぐらいのパーティにしてやるよ」

 

いけるこれは運がついてきている。めぐみんからのダクネス加入でどうなることかと思ったがこれは俺に運が回ってきたな。

 

「しかし、あそこまで自信満々だとむしろ嫌な予感がしてきますね。」

 

「うむ、なんだかとても残念になる未来が見える」

 

「カズマさん、カズマさんその船は大船じゃなくて泥舟の間違いなんじゃないの?」

 

こいつら自分のことは棚に上げやがって…

 

 

 

 

 

 

ハチマン視点

 

 

 

 

 

とりあえず、冒険者になった俺は、再びお礼をするために佐藤達がいるテーブルに戻った。

すると待ってましたと言わんばかりに佐藤が席を空けてここに座れというジェスチャーを送ってくる。

 

なんというかフレンドリーだなてっきり友達かと思っちゃうんでやめてもらいたい。

 

「登録料ありがとな、とりあえず冒険者になることができた。」

 

「あぁ、気にすんなよ、そういえばこいつらとは自己紹介がまだだったろ?とりあえず飯でも食って、それから自己紹介から始めようぜ」

 

飯か…そういえば朝から何も食べていなかったな、流石に腹が減ってきた。なんか今日は自分の信条を何度も破っているがまぁ仕方あるまい緊急事態だし、ありがたく頂戴しよう。しかし、自己紹介か…嫌な響きだ。中学の頃少しでも目立とうと変な自己紹介をしたせいで一か月ほどあだ名がヲタ企谷くんだったのは、忘れることができない。

 

とりあえず佐藤を筆頭にみんなが思い思いに料理を注文していく、その数分後早速料理が到着した。

ある程度食べ終わった頃に自己紹介を始める。

 

 

「あー、比企谷八幡だ、よろしく」

 

ここはシンプルにあまりひねりを入れずに行くべきだと判断した俺は簡潔に自己紹介をしたのだがロリっ子が、何をお気に召したのか、興奮した様に話しかけてきた。

 

「は、ハチマン!?なかなかカッコイイ名前を持っているじゃないか!」

 

八幡がかっこいいなんて言われたの初めてだよ、なんかちょっと嬉しいな。

 

そしてロリっ子は急に椅子の上に立ちマントをバサッと翻し

 

「我が名は、めぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操るもの…!」

 

「…急にどうした。頭でもぶつけたのか?」

 

「ち、ちがわい!」

 

あれか、この子もしかして中二病なのか、ちょっと頭が緩い子なのか、いやそれにしてもめぐみんってなんだよ、俺こんな名前のやつに自分の名前褒められて喜んでたのか…

 

とりあえず、そのめぐみんって名前が本物なのかだけ気になるな、聞いてみるか。

 

「その、めぐみんってのは本名なのか?二つ名とかじゃなくて?」

 

「本名ですが?ちなみに私の二つ名は絶対破壊神です。」

 

「…」

 

「おい、私の名前に文句あるなら聞こうじゃないか」

 

「まぁ、そんな変な名前でも強く生きようとする心意気は俺はすごいと思うぞ。」

 

切れためぐみんを佐藤が、取り押さえつつ隣にいた金髪女騎士が俺に自己紹介をしてくる。

 

「では、次は私だな。名はダクネス。職業はクルセイダーだ。よろしく。」

 

やだ、この女騎士頼れる大人感が出てこの中で一番真面目に見える。先ほどの奇行が嘘の様だ。

 

「よろしく、ダクネスでいいのか?」

 

「あぁ、構わんダクネスでも雌ブタでも、なんと呼んでもらっても構わない。むしろ、むしろその腐った目で雌ブタと罵ってくれ。ハァハァハァ…」

 

…ちょっとこの方も頭が緩いみたいですね。

どうなってんのこのパーティ。

 

「それじゃあ、最後は私ね。私は女神アクア!アークプリーストよ!とりあえずその美味しそうな唐揚げを私に捧げてもいいのよ!」

 

取りあえず、欲しいと言われたのでお兄ちゃんスキル(オート)が、発動する。

 

「ん、ほらよ」

 

「カズマさん!カズマさん!この人いい人だわ!文句も言わずに唐揚げをくれるなんて!」

 

唐揚げ一つでここまで喜ばれるとむしろ心配になるな、女神ってのはみんなこんななのだろうか…?いや、エリスは全然まともそうだったし、このアクアだけだろう。そう信じとかないと俺の女神像崩れちゃいそうだよ…

 

佐藤は呆れた様に

 

「お前一応女神なんだからさ、餌付けされてんじゃねぇよ…」

 

そしてめぐみんを押さえつけた佐藤がこちらを向いて再び自己紹介をしてくる

 

「じゃあ、まぁ改めて俺は佐藤和真、カズマって呼んでくれて構わない。クラスは冒険者。よろしくな。

ところで、ハチマンはまだパーティは決まってないんだろう?それなら俺たちのパーティに入らないか?」

 

やっぱりそうきたか、まぁ、パーティに誘われるのではないかとは思ってはいた。登録料を貸してくれたり、飯をおごってくれたりしたりとただの他人なのにやりすぎだ。

 

「断る」

 

もし俺が異世界にいなかったら上の一言でバッサリっと切り捨てていただろう。だが現状はそうもいかないこの世界は、モンスターや、魔王がいる世界だ。どう考えても1人でなんで生きてはいけない。元の世界とは違うのだ。冒険者として生きるのなら、パーティに入ることは必須だろう。

 

俺が悩んでることを不安に思ったのかカズマが心配そうにこちらを見てくる。それはもうすがる様な目だ。

 

まぁ、わからなくもないこのパーティは正直、いやちょっと個性が強いやつが多すぎる、カズマもこいつらをまとめるのが大変なんだろう。

 

「…はぁ、まぁレベル1の冒険者なんて誰もパーティに入れてくれないだろうしな。ありがたく入らせてもらう。」

 

とりあえず異世界に来て1日目、冒険者になりパーティに加入というなかなか順調なスタートを切ることに成功した。

 

 

 

 

 

 



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突然のことに、比企谷八幡は驚き戸惑う

このすばアニメ4話も安定の面白さでしたね!
デュラハンの不遇さにいくらなんでも同情してしまいます。
早く八幡たちにも、デュラハンと出会わせたいなぁ…


「ふぅ、腰が痛い…。」

 

あのあと、カズマ達のパーティに加わり寝るところがないだろうからといった理由でカズマの寝床に案内してもらったまでは良かったんだが、そこはまさかの馬小屋、しかもさっき会ったばかりの男と、頭が少し緩いとはいえ美少女がいる屋根の下、気を遣ってそう簡単に眠れるわけもなく、しかも馬小屋なので寝にくいしで全く休むことができなかった。

 

そしてカズマ達が今何をやってるかというとクエストを探しているらしい、俺の実力を見るためだそうだ。

そんなに期待されても困るんだがな。

 

しかしさっきから「カエルは嫌ぁぁぁあ」とか、「文句を言うなこの駄女神!」とか聞こえてくるんですけど大丈夫ですかね。カエルそんなやばいの…帰りたくなってきちゃった。

 

すると、カズマ達がテーブルに戻ってきた。

 

「ハチマン、とりあえずクエストが決まった。ジャイアントトードっていうモンスターなんだが、ここらへんだと一番弱くて狩りやすい。」

 

「あぁ、わかった。だが…後ろの三人は大丈夫なのか…?」

 

なんか後ろの女性陣三人が明らかにおかしいんですけど

 

めぐみんは目を虚ろにしながら

 

「カエルのあの生臭さを思い出してきました。やはりやめましょうカエルなんて他の冒険者が倒してくれますよ。それよりもっと雑魚がたくさんいて一撃が爽快そうなクエストに行きましょうよ。」

 

なんって言ってる。

 

ダクネスに至っては、

 

「粘液塗れ…ハァハァ…想像するだけで…んんっ…!」

 

いや、こいつはこれが普通なのかもな…

 

「カズマさん、カズマさん、もっと稼ぎの良いクエストにいきましょうよ、カエルなんてやめてほら、これなんてどう?グリフォンとマンティコアが喧嘩をしているので仕留めてください。って、クエスト」

「アホか!」

 

「でもでも、二匹まとまってるところにめぐみんが爆裂魔法を食らわせれば一撃じゃないの。」

 

「お前はその危険な魔獣をどうやって一箇所にまとめるつもりだよ…」

 

っと、カズマはアクアの提案に頭を抱えている

 

しかしあれだクエスト行くだけでここまでグダグダになるとは本当にこのパーティまとまりがないな…この先大丈夫なのか…。

 

 

 

 

 

まぁ、とにかくジャイアントトードのいるところについたわけなんだが、予想外にカエルがデカい。確かにこれはアクアや、めぐみんが気持ち悪がっても仕方ない気がするな。

 

そんなことを思っていると、カズマがアクアに話しかける。

 

「おい、駄女神、今日はお前本当に何もしなくても良いからな」

 

「カズマさん安心してそう何度も食われるほど女神は、バカじゃないわ、前回も前々回も打撃攻撃だったからダメなのよ。今回は、魔法で行くわ、見てなさいカズマさん!今日こそはっ!活躍して見せるわ!」

 

「おいっ!待て!アクア!まずお前攻撃魔法覚えてないだろ!」

 

しかしカズマの叫びは届かずアクアはカエルに突撃し…食われた。アクアの咀嚼に忙しいのかそのカエルは動かなくなった。

 

流石女神、身を挺して時間を稼いでくれるなんて。

 

「はぁ、まぁあのバカはあとで助けるとしてダクネスはめぐみんが、爆裂魔法を打つ間の援護を…って、おいダクネスはどこに行った?」

 

俺がカエルの群れが集まってるところを指差す。

 

「いや、アクアが走るのと同時にあの群れに突っ込んでいったが」

 

「なにしちゃってんのぉぉぉ!」

 

カズマが思いっきり空に向かって叫び始める。

 

いや、うん、気持ちはわかる。俺はぼっちだが、周りに合わせるのは得意だ、むしろもう空気に溶け込みすぎで空気扱いされちゃうレベル。

 

ただ、このメンバーは強調性というものがなさすぎる。自分の欲望に忠実というか、いやそれは悪いことじゃないんだけどね?

 

「か、カズマ、そろそろ私も爆裂魔法を打ちたくなってきてしまいました。ダクネスのいるところは無理ですがほら、あそこをみてくださいあんなにいっぱいいます。今なら一匹残さず消し去れますよ。」

 

その言葉を聞いたカズマがすぐさまめぐみんを止めようとするがすでに詠唱を終えようとしていて

 

「おい、めぐみん今はまだやめろその爆裂魔法の音で他の奴らがこちらに寄ってく「『エクスプロージョン』ッ!」

 

めぐみんの杖の先から放たれたその光は、遠くにいたカエルの集団の真ん中に吸い込まれるように突き刺さると…!

 

その直後、目も眩むよな強烈な光、そしてあたりの空気を震わせる轟音とともに、カエル達は爆散した。

カエルのいた場所にはとんでもない大きさのクレーターができておりその爆発の凄まじさが、わかる。

 

「これが…爆裂魔法か…すごい…」

 

俺が爆裂魔法の凄さに驚いているとカズマが、

 

「おい!なにやってんだ、ハチマン!今の音を聞いたカエルがこっちによってくるぞ!」

 

確かに、ダクネスが突っ込んでいったカエル集団がこちらに気づいたのか向かってくる。

 

「いや、めぐみんにもう一度爆裂魔法を打って貰えばいいだろ」

 

そういえば、めぐみんさっきまでそこにいたのにどこに消えたんだ…?

 

すると俺の足元から声が聞こえてきた。

 

「ふ…。ハチマン残念ながら我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえ、消費魔力もまた絶大。つまり一度打ったらその日はもう打つことができません。」

 

本当になぜこの子達ってこんな残念なのかしらん?

 

仕方ない、ここはカッコよく決めてしまおう。

 

「はぁ…仕方ないこの力を試してみたかったからな…ちょうどいいか…」

 

「おぉ!ハチマンの隠された力が解放されるんですね!」

 

めぐみんにそう言われ急激に恥ずかしくなってくる。

 

い、いやあれだから、中二病の頃の俺を目の当たりにしてるみたいで恥ずかしいだけだから!そういう厨二ぽっいことは、もう卒業してるから!なんか、雰囲気に飲まれて口走ったとかじゃないから!

 

などとくだらない言い訳を頭の中で考えつつ先ほどカズマから習得した。初級魔法を思い出す。

 

「『ティンダー』ッ!」

 

ティンダーとは、火の初級魔法で火を出すのだがまぁぶっちゃけ攻撃には使えない。ライターの役割になるぐらいだ。

 

しかし俺の能力があればできるはずエリスも可能だと言っていた。

 

「『レベルブースト』ッ!」

 

力が溢れるような感覚に襲われる。早く放てと言われてるようだ。

 

「うお、うぉぉぉ!喰らえ!」

 

俺は全部の力を出し切るかのように叫ぶ。

 

「『エクスプロージョン』ッッッ!」

 

そして、めぐみんの時と同様に目も眩むような光の後にとんでもない轟音が鳴り響く。

 

あっ…思わず打ってしまったがダクネスは巻き込まれてないよな…

 

そんな心配を知らぬかのように後ろのめぐみんが

 

「ナイス爆裂!ナイス爆裂ですよハチマン!まさかハチマンも爆裂道を歩む同士だったとは!」

 

と興奮していてカズマは、

 

「なんで、初級魔法しか覚えてないのに爆裂魔法を?」

 

と驚愕している。なんか少しいい気分だな。チートに憧れる若者の気持ちがわかるぜなんてことを思いながら後ろを振り返り、めぐみん、カズマに返事を返そうと思ったら

 

目の前が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が醒めるとまた白い部屋にいた。

 

「は?」

 

すると目の前にはエリスがいる。

 

そんな困惑している俺を見てエリスが一言

 

「えーと、比企谷八幡さん。あなたは死んでしまいました。」

 

 

 

 

…は?

 

 

 

 




比企谷八幡
レベル1
スキルポイント4
習得スキル 初級魔法


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たまに女神だって失敗したりする

い、今ありのまま起こったことを話すぜ。俺は魔法を打っただけなのに気付いたら死んでいた。なにを言ってるかわからねーと思うが、俺もなぜ死んだのかわからない…

 

とりあえずどこぞのポルポル君の名台詞を思い出しながら現状の把握を試みる。

 

うん、さっぱりわからんな、なぜ俺は死んでるのん?

 

そんな俺を申し訳なさそうにエリスが見てくる。

 

「あの…ハチマンさん落ち着きましたか…?」

 

「あ、あぁ、落ち着いた。」

 

というか、まさか異世界に転生して2日で死ぬなんて…いくらなんでも笑えないな。どこの世界にチート能力を貰っておきながらたったの2日で死ぬような奴がいるのか、恐らく俺ぐらいのものだろう。

しかし一度死んでしまったということはもう、転生は無理だろう。

今後一生小町や、母、父に会えないと思うとさすがに心にくるものがある。確かに魔王を倒せるなんて最初から思ってはいなかった。ただほんの少しもしかしたら魔王を倒せるかもと思っていた自分がいたのもまた事実だった。

 

ふぅ…と今の感情全てを吐き出すようなため息を吐く。

 

そんな俺を見て悲しそうにエリスが言う。

 

「すいません。今回のハチマンさんの死因は私にあるんです。私の説明不足がもたらした結果なんです。本当にすいませんでした。」

 

エリスが俺に謝ってくる。

…説明不足?一体なんの説明が不足していたというのか、きちんと転生についてや異世界の現状についても聞いたはずだ。それ以外に何かあったか?と思っていると自分が死ぬ前どんな行動を取ったかを思い出した。

 

「まさか、その説明不足っていうのは、俺の能力のことか?」

 

「はい」

 

当たっていたようだ。

 

「一体なにが不足していたんだ?能力は、きちんと発動したしなんの問題もなかったが?」

 

「はい、能力自体にはなんの問題もありません。問題はそこではないのです。ハチマンさんは、ティンダーを使ってからレベルブーストの能力を使い爆裂魔法を発動させましたね?基本的に爆裂魔法とは、とんでもない魔力を使います。熟練の魔法使いでも一撃打てればいい方で、ほとんどの魔法使いは打つことすらできない強大な威力を持った魔法なのです。」

 

爆裂魔法ってそんなすごい魔法だったのか、めぐみんが使ってたからぶっちゃけそこまででもないのかとばかり思っていたが、というか、今の話を聞くとめぐみんって実はすげぇ魔法使いなんじゃないのか?なのにあの痛い行動…見た目よし、実力よし、頭おかし、神様ってほんと理不尽。

 

「では、なぜ爆裂魔法を打てない魔法使いがいるかというとそれは魔力の量の多さの違いです。基本的には魔力の量が足りてない場合は、魔法が発動することはありません。ただ一つ例外があって、魔力が足りなくても自分の生命力を削れば魔法を使うことができるのです。ただ、それはとてつもない苦痛を伴うので、死ぬ寸前まで生命力を使って魔法を使うだなんてことは、普通は起きないのです。」

 

今度はエリスがふぅ…とため息をついて、その後を俺の目をしっかりと見てくる。恐らくその続きが重要なのだろう。ちなみに、エリスに目を見つめられてすぐにそらしたことは言うまでもないだろう。いや無理だからこんな王道ヒロインみたいな見た目の子に見つめられるとかぼっち力53万の俺には荷が重すぎる。ちなみにあと三回も変身を残していたりする。そして、最終変身まですると、みんなが俺の姿を認識できなくなる。なにそれちょー強い。

 

「しかし、ハチマンさん。あなたの能力は違います。あなたの能力レベルブーストというのは、一つの要素からその要素を含むものに変化させるという能力なのです。例えば剣があったとして、剣という要素を変化せると、それを、魔「剣」であったり、ボロい「剣」であったり、聖「剣」などに、変化させるものなのです。そしてその変化するはずもないものに変化させる過程を吹っ飛ばし再現できるのがレベルブーストです。つまり、ハチマンさんは、ティンダーという魔法から「火」という要素を変化させ爆裂魔法にしたのです。しかしここで問題が発生します。このレベルブーストは、変化させる過程を吹き飛ばすだけの能力なので、例えばただの剣を魔剣に変化させ相手の魔剣と戦うとします。すると一度は撃ち合うことができますが、二度目の撃ち合いではレベルブーストを使った剣が折れます。これは、元がただの剣なため、魔剣と撃ち合ったせいで耐久力がなくなってしまったのです。つまりこの能力再現できるのは力だけそれ以外はなにも変わらないんです。」

 

お、おう、つまりあれだな女性のメイクみたいな、全然可愛くない子もメイクの力で可愛くなれるけどそれにも限度というものがあって元が悪ければあまり意味はない的な…違うか…

 

「ここからが本題です。ではなぜハチマンさんが死んでしまったか、それは魔力の量が足りなかったからです。普通魔法は、魔力を込めてから発動します。そのため魔力が足りない場合は先ほど説明したように魔法は、発動しません。しかしハチマンさんの場合は【魔力を込める→ティンダーを使う→レベルブーストを使う→爆裂魔法に、変化させる→爆裂魔法分の魔力が吸収される】というプロセスになるので魔力が足りていなくても発動できてしまうのです。では、足りてない分はどうするのか、これはもうおわかりですよね。」

 

つまり、俺は自動的に生命力を、吸い取られそのせいで死んでしまったと、なにそれ間抜けすぎる。

 

「本当に申し訳ございません。こんな重要なことを説明し忘れるなんてそのせいでハチマンさんが死んでしまうなんて女神失格です…。」

 

エリスがほぼ半泣きで、そんなことを言う、いや別に俺はそんな怒ってないし、そんな顔されると困るっていうか、なんというか…

お兄ちゃん的に年下(見た目的に)涙は弱いのでやめてもらいたいというか、

 

「あー、俺はそんな怒ってないし、それに誰にだってミスはある、俺なんて人生の歩み方すらミスってるまであるくらいだし、なんていうか、あーそのあれだ、とりあえずそんな泣きそうな顔しないでくれよ」

 

俺のその言葉にエリスがキョトンとしたあとクスリと笑い

 

「ふふ、まさか慰められるとは思いませんでした。やはりあなたは優しいお方ですね」

 

そんなやり取りをしていると急に上から声がした。

 

《ハチマン?ハチマン?聞こえてる?あなたの体に『リザレクション』って魔法をかけたからもうこっちに戻ってこれるわよ、そこにいる女神にこちら行きの門を開けてもらいなさい》

 

とアクアの声が聞こえた。

 

「あれでも、俺は一度蘇ってるからこういうのって無理なんじゃないのか?」

 

「まぁ、そうなんですけど、今回は私の説明不足が原因ですし…」

 

と悩むように頬をポリポリと掻く。

 

するとまた上から声がして

 

《なにしてんのよ、早く戻ってきなさいよー!》

 

とアクアが急かしてくる。これあっちには声聞こえてるのかな…、一応試しとくか。

 

「おーい!なんか俺は一度死んでるからなんか蘇るのが難しいらしい!」

 

《はぁ?誰よそんなこと言ってるやつ、ちょっとあんた名乗りなさいよ!このエリートな、私の話が聞けない女神はどこのどいつよ!》

 

自称エリート女神(笑)がそんなことを言ってくる。

おいやめろ、エリス顔引きつってるから…

 

「あー、エリスって女神様なんだが…」

 

《エリス!?この国でちょっと国教として崇拝されてるからって、調子こいてお金の単位にまでなった、上げ底エリス!?ハチマン、エリスがゴタゴタ言うようなら、その子の胸パッドとりあげてや》

 

「わーーーー!わ、わかりました!今回のことは私の説明不足が原因ですし!今門を開けますから!」

 

顔を真っ赤にした、エリスがアクアの声を遮る。

 

女神も、大変なんだなぁ先輩関係とか、身体関係とか、でも、胸の大きさなんて気にする必要はない、むしろ胸が小さい方が可愛いブラジャーが多いって貧乳の妹が言ってた。

 

「全くアクア先輩はいつも余計なことばかり言って…ぶつぶつ」

 

そんなことを言いながらエリスが指を鳴らすと目の前に白い門現れる。

 

「さぁ、これで現世とつながりました。ハチマンさん今回は本当に申し訳ございませんでした。」

 

「いや、本当に気にしてないから全く、だからエリスも気にしなくていい」

 

てか、今更だがエリスを呼び捨てで呼んでいいものか普通は相手は女神なんだし、エリス様って呼ぶべきだよな…まぁ、アクアは呼び捨てだし、あんまり気にしてる様子もないしこのままでいいか。

 

「ふふ、わかりました。…あとそれとさっきの胸パッドの事は忘れてください…。」

 

と顔を少し赤らめてそんなことを言うエリス。いやなんか、むしろ気になってしまうんでやめてもらいたい。なんで顔を赤くするんだよぅ。

 

そんな空気に耐えきれなくなった俺は、早足で門まで向かう。

そして振り返って、

 

「それじゃあ、戻るは、ありがとな本当は生き返れないとこを、生き返られせてもらって」

 

エリスはそんな俺の言葉に、いたずらぽっく片目をつぶり、少しだけ嬉しそうに囁いてきた。

 

「いえそんな、あっ、このことは他の女神にバレるとまずいで内緒ですよ?」

 

俺はその少しあざとい動きに苦笑しつつ、門をあけた。

 

 




ちょっと説明が長くてわかりづらいです。
すいません…。

ここどいうこと?とかこれっておかしくね?っていう質問があればお願いします。


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いつだって、ダクネスはブレることを知らない

お気に入り100件突破ありがとございます!
これを励みにさらに頑張っていきます。

これを読んでくださってる皆さんに祝福を!


-------遠くから声が聞こえる。

 

「お……きろ、おい、……マン、起きろ!ハチマン!」

 

俺の頬を叩きながらカズマが声をかけてくる。

 

すると、全身にヌメっとした感覚が襲ってくる。

 

「うわ!なんだこれ、臭いしぬめぬめするし!気持ちわりぃ」

 

「あのあと、気絶したハチマンはカエルに食われてしまったんです。」

 

俺の隣でこちらも同様に全身をぬめぬめにした、めぐみんが答えてくる。

 

しかし気絶?俺は死んだはずだが…?

 

そんなことを考えているとカズマ(こちらは全身が綺麗)が、俺に小声で説明してくる。

 

「いや、一応死んだって、めぐみんに伝えようとしたんだが、めぐみんはお前の爆裂魔法を気に入ったみたいで、少し言い出しづらくてさ、なんかアクアなら、生き返らすことができるみたいなこと言ってたから、なら、気絶ってことにしとくかってことになったんだよ」

 

なるほど、まぁ、そんなポンポン人が簡単に生き返るのも変な話だしな。

 

と思いながら周りを見渡すとダクネスの姿が一向に見えない。いや、まさか、俺の爆裂魔法に巻き込まれて…?

 

「…なぁ、…そのダクネスは…?」

 

そんなのことを俺が聞くと、めぐみんとカズマは、2人とも俯いてしまう。

 

まさか…まさか…本当に俺の爆裂魔法に巻き込まれて生き返ることもできないぐらいに粉々になってしまったのか…?嘘だろ。

 

するとアクアが俺の後ろを指差してくる。

 

「ダクネスなら後ろにいるわよ」

 

そう言われ後ろを振り返ってみると…

 

カエルに粘液まみれにされて喜んでいる女騎士がそこにいた。

 

「ハァハァ…さあこい!もっとこい!お前らの本気はその程度か!ハァハァ…んっっ!いいぞ!そのヌメヌメをもっと私に!…カズマぁ!私は!私は!この快感に溺れてしまいそうだ!」

 

この騎士は、なんでこう、なんでこう残念なんだろうか…?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「はぁ…、生き返るー」

 

あのあとは、ダクネスが相手をしていたカエルをカズマが倒し、その後、モンスターに遭遇することもなく街へ帰還し、異世界に来てから初めての風呂に入っている。

 

「つまり、ハチマンの能力『レベルブースト』は、なんちゃってチートだったのか?」

 

「なんちゃってというか、凄まじく使い方が制限されるというか、今のところはうまい使い道が思い浮かばないな…。」

 

俺は先ほど、エリスから聞いた話をそのままカズマに話していた。

 

カズマはぶつぶつと「なんで俺のパーティはこんなに残念になってしまうんだ。」なんでつぶやいている。それを言うならカズマもチート能力じゃなくて駄女神を連れてきちゃうあたりかなり残念だと思うのだが。

 

だが、まぁ、爆裂魔法が使えないのであって、別に上級魔法や中級魔法は使えるのでどこぞのロリっ子よりは役に立てるだろう。先ほど聞いた話だとめぐみんは、爆裂魔法しかし使えないらしい。先ほどのあれ?めぐみんって実はすごいんじゃね?っていう評価を返してもらいたい。

そんなことを思いつつ俺は異世界に来て初めての風呂を堪能した。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

風呂から上がった俺たちはとりあえず報酬を受け取り兼腹ごしらえをするためにギルドに向かった。

 

俺の初めての給料(報酬は)、10万だった。爆裂魔法でカエルを粉々にしていなかったら、さらに高かったらしい。惜しい事をした。と思いつつ、カズマに登録料を返し、料理を注文する。

 

そうして、アクアは宴会芸をギルドのメンバーに見せ、カズマとダクネスは、白い髪の盗賊の子と話をしていて、俺はというとめぐみんの、爆裂魔法の素晴らしさの講義を適当にあしらいながら、料理が来るのを待っていた。

 

すると、ギルドの人がこちらに向かってくる。

何かあったのだろうか…と思っているとカズマに何やら話しているようだ。聞き耳を立ててると「プリーストが必要」とか、「教会が忙しい」とか、断片的に聞こえてくる。そんな会話に、聞き耳を立てつつなんだが嫌な仕事を任されそうだなぁ…と、疲れた社畜並みに目を腐らせながら思った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

カズマ視点

 

俺とダクネス、クリスが話をしていると、ギルドの人が慌てたようにこちらに来た。

 

「カズマさん!お話中にすいません。少しお話大丈夫ですか?」

 

俺とダクネス、クリスは何かあったのだろうかと三人で目を合わせる。

 

「実は最近、街に外れた丘の上にある共同墓地があるのですが、そこでゾンビが沢山出るそうなんです。ゾンビならプリーストがいれば簡単に倒すことができるのですが、今この街の冒険者のプリーストはアクアさん以外でてしまっていて、街の教会の人たちも忙しいから討伐できないと、そこでお願いなのですが、特別報酬を出すので、カズマさんたちに討伐をお願いできないかと」

 

ゾンビ討伐か、特別報酬が出るなら言ってもいいけど、ただ今日はカエルを倒したばかりだし、カエルの粘液のせいでダクネスの鎧がダメになってしまった。

さすがにダクネスも、鎧なしで戦うのも厳しいだろう。と悩んでいると

 

「カズマ、このクエストを受けたらどうだ?このクエストならアクアのレベル上げも簡単に行うことができるだろうし」

 

と、ダクネスがそんな事を言ってきた。

 

そしてクリスも、

 

「そうだね、プリーストは一般的にレベル上げが難しいとされてるんだ、だけど、ゾンビは、不死という神の理に反したモンスターなんだ、だからプリーストの、神の力が聞くから回復魔法を受けると体が崩れてしまうんだよ」

 

あぁ、なんかその話は聞いたことがある。なんかのゲームで回復魔法はアンデットへの攻撃魔法になるみたいな…でもなぁ、あの駄女神を鍛えても意味はない気がするんだよなぁ…。ん?いや待てよ。

 

俺は先ほどカエルを倒したおかげでレベルが上がったカードを見る。そこには先ほどのレベルアップで上がった様々なステータスがあった。

 

そう、レベルが上がるとステーテスも上がる。じゃあアクアは?あちらで、宴会芸を披露しているバカのレベルが上がり、知力が上がれば何よりの戦力アップだ。

 

「うん、悪くないな、特別報酬も出ることだし。ただ問題は、ハチマン、めぐみんが魔力切れでダクネスの鎧が粘液のせいで使えないということだが…」

 

それを聞いて、ダクネスは腕を組み得意げに言ってくる。

 

「うむ、ハチマンと、めぐみんは今回は、相手がゾンビだから、特にやることもないし平気だろう、それに私なら問題ない。伊達に防御スキルに特化しているわけではない。鎧なしでも、アダンマイマイより硬い自信がある。それに殴られたとき、鎧がない方が気持ちいいしな」

 

「お前今殴られると気持ちいいって言わなかったか」

 

「……言ってない」

 

「言ったろ」

 

とそんなやり取りを後ろで、はははとクリスが笑う。

 

「ふぅ、とりあえず、アクアやハチマンに話して伝えなきゃな」

 

そうして、宴会芸を披露していたアクアに先ほどの話を話すと嫌がるかと思ったが、むしろ行く気満々だった。しかし問題はハチマンの方だった。

 

「俺は行かない。俺の信条の一つに働いたら負けというのがある。それにもう今日はカエルを倒して、風呂入って飯も食ったから早く馬小屋でもなんでもいいから、帰って寝たい。」

 

という、元ニートの俺の生前のようなことを言っている。

 

すると、クリスがハチマンに向かって何かを言うとハチマンが「はぁ…なんで俺は」なんて呟きつつ、俺に向かって

 

「…わかった。俺もついて行くよ」

 

こうして俺たちのゾンビ討伐クエストが始まった。

 

 

 

 

 




この作品のダクネスは作者の意向によりさらに変態度が上がっている可能性がありますが、気にしないでください。

それと、明日はワンフェスに行くのでもしかしたら明日は投稿できないかもしれません。
すいません。







比企谷八幡
レベル 4
スキルポイント 7
習得スキル 初級魔法


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常に、アクアは自由奔放である。

ワンフェスのせいで投稿できないと言ったな。

あれは、嘘だ。

そして話は変わりますが、ガハマさんのフィギュア可愛い。
しかしこの作品、まず八幡がガハマさんの事を知らないので、ガハマさん出すことできないんですよね…


俺たちは今、街のはずれにある共同墓地でキャンプをしている。ゾンビを狩るにしてもゾンビは真夜中になるまで出ることがないらしい。なので俺たちはゾンビが出てくるまでの間、キャンプをすることになった。

 

キャンプといえばカレーだ。

将来の夢は専業主夫(だった。)たるもの、カレーの一つや二つ、作れて当たり前だ。むしろ、なにを作っても気づけばカレーになるまである。

実際ルーを入れたらカレーになるあたり、すべての料理がカレーの材料なんじゃないかと錯覚するレベル。しかしこの異世界にはカレーと呼ばれるものがないらしい。まず、米がない時点でうすうすと気付いてはいたが…

 

「ちょっと、カズマ、その肉は私が目をつけていたヤツよ!ほら、こっちの野菜が焼けてるんだからこっちを食べなさいよ!」

 

「俺、キャベツ狩り以来どうも野菜が苦手なんだよ、焼いてる途中に飛んだり跳ねたりしないか心配になるから。」

 

結局、ギルドでご飯をたべれなかった俺たちは墓地から少し離れたところで鉄板を敷き、バーベキューをしながらのんびりと、夜を待っていた。

ちなみにこの世界、キャベツが空を飛ぶし、サンマは畑で採れるし、野菜スティックは取ろうとすると手から逃げ出すらしい。一体どうゆう原理で動いてるのか調べてみたいもんだ。

 

そうして、ある程度お腹がいっぱいになったとき、カズマが、人数分のコップにコーヒーの粉を入れ、『クリエイト・ウォーター』と言う水の初級魔法で水を注ぎ、マグカップの下を『ティンダー』の魔法で炙っている。なるほど、初級魔法の使い道としてはかなりうまい使い方だ。

それを見ていためぐみんが、複雑そうな顔でコーヒーを受け取りつつカズマに話しかける。

 

「カズマは魔法使いの私より魔法を使いこなしていますね。初級魔法なんてほとんど誰も使わないものなのですが、カズマを見ているとなんか便利そうです。」

 

「いや、元々こういう使い方じゃないのか?初級魔法って、あ、そうそう『クリエイト・アース』!…なぁ、これってなにに使うんだ?」

 

カズマは土の初級魔法で作り出した。粉状のサラサラした土をめぐみんに見せる。

 

「えっと…、その魔法で創った土は、畑などに使用するといい作物が取れるそうです。…それだけです。」

 

その、説明を聞きアクアがコーヒを吹き出した。

ねぇ?アクアさん?あなたのコーヒーが少し俺の服にかかったんですが、これどうしてくれんの…

コーヒーがかかったことに気づいていないのか、それとも気づいてて無視しているのか、後者だったらかなり凹むが、アクアの様子を見るに気づいていないのだろう。しかし一体なにがおかしかったのか俺はこの女神のツボがわからん…

 

「何々、カズマさん畑作るんですか!農家に転向ですか!土も作れるし、『クリエイト・ウォーター』で水も撒ける!カズマさん転職じゃないですかやだー!プークスクス!」

 

次に吹き出すのは俺とめぐみん、ダクネスの番だった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

その後、カズマが握っていた土を『ウィンド・ブレス』と言う風の初級魔法を使って、アクアの目に吹き飛ばして、アクアが擬似バルス状態になるなどの問題はあったものの、やっと月が昇って深夜を回りゾンビが現れる頃合いになったので、俺たちは移動することにした。

 

「しかし冷えてきたな、この時間帯になるとますます、ハチマンがグールにしか見えなくなってくる。」

 

「おい…俺の腐った目とか、DHA豊富そうに見えて少し賢そうだろうが…」

 

「あ、ああ、言ってることはわからんが、腐った目であることは認めるのだな…」

 

若干引き気味でそんなことを言ってくるダクネス、ダクネスに引かれるとか少し傷つくんですが…

 

そんな俺たちの前で敵感知をしながら歩くカズマにアクアが声をかける。

 

「ねえ、カズマ、引き受けたクエストってゾンビメーカの討伐よね?私、そんな小物じゃなくて大物のアンデットがでそうな予感がするんですけど」

 

アクアがそんなことをポツリと言った。

そういえば来る前にクリスも同じようなことを言っていた。なんだか、共同墓地の近くは大物のアンデットの目撃情報がある。カズマたちだけじゃ心配だがら、付いて行って欲しいと、別に俺なんていてもいなくても変わらんから行かなくてもいいだろと言うと、クリスが、じゃあもしカズマたちに付いて行ってくれるなら、魔王すら倒せる可能性があるかもしれないスキルを教えてくれるというから、今回仕方なくついてきたわけだ。べ、べつに、カズマ達が心配だったとかじゃないんだからね!魔王すら倒せるスキルが、気になるだけなんだから!

 

アクアの言葉にカズマは顔をしかめつつ

 

「おい…そういうこと言うなよ。それがフラグになったらどうすんだ。今日はゾンビメーカを一体討伐。そして取り巻きのゾンビも倒して、そしてとっとと帰って馬小屋で寝る。計画以外のイレギュラーが起こったら即刻帰る。いいな?」

 

まぁ、妥当な判断だな、危ないことはしないほうがいい、命は大事だ。むしろ命は大事にしなきゃならないのでゾンビを狩らずに家に帰るまである。

 

するとカズマが俺たちを制止させる

 

「なんだろう、ピリピリ感じる。敵感知に引っかかったな。いるぞ、一体、二体…三体、四体…あれ、多いな…」

 

確かに、先ほどめぐみんに聞いた話ではせいぜいニ、三体と聞いたはずだが、でも、この程度なら誤差の範囲だろう。すると突然、墓場の中央で青白い光が走る。

それは怪しくも幻想的な青い光でよく見るとその青い光は大きな円形の魔方陣が出しているようだ。そしてなにやらその横に黒いローブ姿の人影が見える。

それを見てめぐみんが

 

「あれ、ゾンビメーカー…ではない…気が…するのですが…」

 

と自信なさげに呟く。

 

「突っ込むか?ゾンビメーカーじゃないにしても、こんな時間に墓場にいる以上、アンデットに違いないだろう。こちらにはアークプリーストがいるから問題ない。」

 

ダクネスが大剣を構えつつそわそわしている。

 

変態(ダクネス)、お前は少し落ち着け。

カズマの先ほどの指示を聞いてなかったのかよ、これは、イレギュラーだ。即刻馬小屋に帰って寝ることを要求する!

その時、アクアがとんでもない行動に出た。

 

「あっーーーーーー!」

 

と叫びつつ黒いローブの人影に向かって走り出す。

 

「ちょっ、おい待て!アクア!」

 

カズマの制止を聞かずに飛び出していったアクアは、黒いローブの人影にビシッと、指をさしながら

 

「リッチーがのこのことこんなところに現れるとは不届きな、成敗してくれる!」

 

リッチー

 

リッチーとは、アンデットモンスターの中でヴァンパイアに並ぶモンスターの1人で、魔法を極めた大魔法使いが、魔導の奥義で人の体を捨て去った。ノーライフキングと言われるアンデットの王である。そのため、モンスターと違い意思疎通ができる。だが、基本的にはゲームなのでは悪役ポジなので、「はっはっはっ!そんな攻撃では我を殺せんぞ!」みたいなことを言ったりするモンスターであるが、そんな大物モンスターが…

 

「や、やめやめ、やめてええええええ!誰なの?!いきなり現れて、なぜ、私の魔方陣を壊そうとするの?!やめて!やめてください!」

 

そんな、大物モンスターがグリグリと魔方陣を踏みにじるアクアの腰に、泣きながらしがみつき食い止めていた。そんなリッチー?(本当にリッチーなのだろうか)の取り巻きであるアンデットはそんな2人を止めることもなくボーッと眺めている。

 

ふむ…どうしたものか…

 

俺と同じ考えなのかカズマもどうするべきか悩んでいるようだった。

 

しかしあれだな、この絵面だとアクアが、チンピラでリッチーがそのチンピラに因縁つけられていじめられてる、いじめられっ子にしか見えない。

 

「やめてー!やめてください!この魔方陣は未だ成仏できない迷える魂たちを天に返しているだけなんです!ほら!たくさんの魂たちが魔方陣から昇って行くでしょう!?」

 

確かにリッチーの言う通り、青白い人魂のような物がふよふよと魔方陣に入るとそのまま青白い光とともに、天へと吸い込まれていく。

そんなリッチーにアクアがどこぞのガキ大将よろしく

 

「リッチーのくせに生意気よ!そんな善行はアークプリーストであるこの私がやるから、あんたは引っ込んでなさい!見てなさい、そんなちんたらやってないでこの共同墓地まとめて浄化してあげるわ!」

 

なんって言っている。その言葉に慌てるリッチー

 

「ええ!?ちょ、やめっ!?」

 

「『ターンアンデット』ッ!」

 

アクアが大声で呪文を叫ぶと墓地全体が。アクアを中心に白い光に包まれた。

 

アクアから湧き出す白い光はリッチーの取り巻きに触れるやいなや、ゾンビの存在を消滅させる。そしてリッチーの作った魔方陣に集まっていた人魂すらも消し去っていく。まぁ、当たり前だが、その光はリッチーにも及び…

 

「きゃー!か、体が消えるっ!止めて止めて、私の体が無くなっちゃう!!成仏しちゃう!」

 

「あはははは、愚かなリッチーよ!自然の原理に反するもの、神の意に背くアンデットよ!さあ、私の力で欠片もなく消滅するといいわ!」

 

と、もう既にガン泣きしてる、リッチーに向かってそう言い放つアクア。

 

いや、なんかもういくらなんでもかわいそうになってきたな。

 

「おい、アクアその辺にしておいてあげろよ。その…人?はここの魂を浄化してくれてたんだろ?」

 

「な、なによハチマン、相手はリッチーなのよ?このままにしておくわけにはいかないわ!」

 

と俺の制止を聞かないアクア。そんなアクアにカズマが

 

「おい、やめてやれ」

 

と、剣の柄でアクアをごすっと小突く。

 

「ッ!?い、痛、痛いじゃなの!あんた何してくれてんのよ!」

 

剣で小突かれたから、集中力が切れたのか白い光が放たれるのが止まる。

するとめぐみんや、ダクネスも、

 

「そうだぞ、アクア、少しぐらい話を聞いてやったらどうだ。」

 

「そうです。一応ここにいたのは、悪いことをするためではなく、魂を浄化してくれていたわけですし。話ぐらいは聞いてあげましょうよ。」

 

と、リッチーをかばう。

 

そして、カズマが掴みかかってきた、アクアの相手をしている隣でリッチーに声をかける。

 

「えーと、大丈夫…ですか?…リッチー…でいいん…ですよね?」

 

見ると、リッチーの足元は半透明になっていて、軽く消えかけている。

やがて、徐々に半透明だった足がくっきりと戻っていき、涙目のリッチーがフラフラしながら立ち上がった。

 

「だ、だ、だ、大丈夫です…。あ、危ないとこを助けていただき、ありがとうございました…っ!えっと、おっしゃる通り、リッチーです。リッチーのウィズと申します。」

 

と言って目深に被っていたフードをあげると、現れたのは、骸骨…ではなく20歳くらいの人間にしか見えない、茶色い髪の美女だった。



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きっと、誰しもに事情がある。

もう既に、深夜を回り午後の26時、俺たちは、アンデットの王であるリッチーと対面していた。

 

「えっと…ウィズ…さん?あんた、こんな墓場で何をしてるんだ?魂を天に還すとか。言ってたけど、アクアじゃないが、リッチーのあなたがやる事じゃないんじゃないのか?」

 

「ちょっと!ハチマン!こんな腐ったみかんみたいのと喋ったら、あなたのその腐った目がさらに腐るわよ!ちょっとそこをどいて、ターンアンデットをかけさせなさい!」

俺の言葉にアクアがいきりたち、ウィズに魔法をかけようとする。どうでもいいが、みんな俺の腐った目についてのコメントが辛辣すぎやしませんかね。

その言葉にウィズが俺の背後に隠れる。

ちか、近い近い近い!柔らかい!いい匂い!リッチーなのにいい匂いがする!

ウィズの匂いにテンパってる俺の後ろでウィズが怯えたような困った顔をしながら、

 

「そ、その…。私は見ての通りリッチー、ノーライフキングなんてやってます。アンデッドの王なんて呼ばれるくらいですから、私には迷える魂の話が聞けるんです。この共同墓地の魂の多くはお金がないためロクに葬式すらしてもらえず、天に還る事なく毎晩墓地を彷徨っています。それで、一応は、アンデッドの王な私としては定期的にここを訪れ、天に還りたがっている子達を送ってあげているんです。」

 

…いい人だ。

アークプリーストを名乗る女神(笑)のアクアよりいい人じゃないかおい、女神お前もこの人を少しは見習えよ…

 

「それは立派な事だし良い行いだと思うんだが、そういうのは町のプリーストに任せれば良いだろう、それが仕事なわけだし」

 

俺の疑問に、ウィズが言いにくそうにアクアをチラチラと見ながら

 

「そ、その…。この町のプリーストさん達は拝金主義…いえば、お金が無い人たちは後回し…と言いますか…」

 

なるほど、一応アークプリーストのアクアがいるから言いにくいのか、その話を聞いたカズマが

 

「つまり、この町のプリーストは、拝金主義で、金の無い奴が埋葬されてる共同墓地になんて供養にこないってことか?」

 

「え…えと、そ、そうです…」

 

しかしそれは、町のプリーストを責めるわけにはいかないな、誰だって金の出ない仕事はやりたくないし、めんどくさい事は他人に押し付けるのが人間だ。上司に仕事を押し付けられて死んだ目をしながらその事を親父が言っていた。やっぱり死んでも働きたく無い…

 

「事情はわかった。でも、それならゾンビを呼び起こすのはどうにかならないか?俺たちがここに来たのって、ゾンビメーカーを討伐してくれってクエストを受けたからなんだが…」

 

俺の言葉にウィズが困ったように

 

「あ…そうでしたか…。その呼び起こしているわけではなく、私がここに来ると私の魔力に反応して勝手に目覚めちゃうんです。その、私としてはこの墓地に埋葬される人たちが、迷わず天に還ってくれさえすれば、ここにくる理由はなくなるんですが…。えっと、どうしましょうか?」

 

なるほど、ある程度の、力があって暇で時間を持て余しているプリーストがここにたまに来て供養してあげればいいわけか…その条件に当てはまりそうなプリーストねぇ…いや待てよ…

 

みんな、同じ事を思ったのか視線がアクアに集まる。

おい…目をそらすな目を…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

墓地からの帰り道

時刻は、そろそろ空に白みがかかってくる時間帯

 

「納得いかないわ!」

 

と墓地にアクアの怒り声が聞こえる。その声にカズマがめんどくさそうに

 

「しょうがないだろ。つか、あんな良い人討伐する気になれないだろうに」

 

俺たちは、ウィズと名乗るリッチーを見逃す事にした。

そして、これからは毎日暇を持て余しているアクアが、定期的にあの墓場への浄化しにいく事で折り合いがついた。そこの部分はやはり女神、アンデッドや迷える魂の浄化は自分の仕事だと理解しているのか、睡眠時間が減ると文句を言いながらも引き受けた。しかし、リッチーを逃すという事に今でも納得いかないのかこのように怒っているわけだ。

 

俺は先ほどウィズから貰った一枚の紙切れを眺めながら呟く

 

「しかし、リッチーが街に普通に住んでるとはなぁ…」

 

そこには、ウィズの住んでいる住所が書かれており、しかもそこはウィズの魔法具店という名前のマジックアイテムの店らしい。俺の中では、リッチーってアンデッドの王って、言うぐらいだからダンジョンの奥深くに住んでいるイメージがあったんだが、ウィズは生活が不便なダンジョンにわざわざ住む必要はありませんよと、笑いながら言われた。まぁ、言ってる事はわかるんだがなんだろう…この、遊園地などの着ぐるみの中身は実はおっさんなんだよとか、サンタの正体は実は親父なんだぜって言われた時のなんとも言えない失望感が俺を襲ってくる。

 

「でも、穏便に済んで良かったですね。いくらアクアがいると言っても相手はリッチーですから、魔力切れをしている私やハチマン、それにカズマはもし戦闘になったらなす術もなく死んでいましたよ。」

 

と、何気なくいうめぐみんの言葉に俺とカズマが驚く。そしてカズマが

 

「げ、リッチーってそんなに危険なモンスターなのか?ひょっとしてやばかった?」

 

「ヤバイなんてものじゃないですよ、リッチーは強力な魔法防御、そして魔法のかかった武器以外の攻撃の無効化。相手に触れるだけでさまざまな状態異常を引き起こし、その魔力や生命力を吸収する伝説級のアンデッドモンスターです。ハチマンやカズマが普通に話しているときですら、私は怖くて…ごほん、武者震いで足が震えていましたよ。」

 

そんなにヤバイモンスターだったのか、あの見かけだし、やってる事は良い人そうだったから全く気にしてなかったが、よく考えたらアンデッドモンスターの元締めだもんな…、俺とカズマにリッチーのスキルを教えてくれるという事だから名刺をもらったが、スキルを習いに行くときは一応アクアを連れて行こう。

 

「ねぇ、ハチマンその貰った名刺、渡しなさいよ。今からあの女より先に家に行って家の周りに神聖な結界を張って涙目にしてくるから」

 

うん、やっぱり連れて行くのはやめよう。

 

そんな事を考えていると、ギルドが見えてきた。

はぁ、クエストも終わったしあとは報酬を貰って寝るだけだな、昨日から全然寝てないし馬小屋でも良いから早く寝たい…と思っているとダクネスが

 

「そういえば、ゾンビメーカーの討伐ってことだったが、ゾンビは倒したがゾンビメーカーを倒していない場合はどうなるのだ?」

 

とポツリと言うとめぐみんが、

 

「それは、ゾンビメーカーを倒していないから、クエスト失敗になるの…で…は」

 

「「「「あっ」」」」

 

こうして俺たちのゾンビメーカー討伐は睡眠時間だけが削れられ、クエスト失敗という結果になった。

 

 

 




ドラマCD版ではウィズの声優さんは、はやみんだったのですが、アニメ版では変わるそうですね。少し残念です。


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そうして、比企谷八幡は自分の考えの甘さを知る。

今回は能力についての説明回なので、文章が長ったらしいです。
もうちょっと上手く説明できるようになりたい…


ゾンビメーカー討伐のクエストを行った日のお昼、少しの仮眠をとった俺はまたカエルのいる草原に1人立っていた。

 

「ふぅ…、やはり1人はいいな…」

 

思うと、この世界に来てからというものカズマたちとずっと行動していたため全然1人の時間がなかった。生前ぼっちだった俺としてはずっと集団行動で、しかもその輪の中に入らなきゃいけないというのはなかなかに精神力を使うものだ。

 

そんな彼らは今どうしているかというと、カズマとめぐみんは1日1爆裂がどうとか言って出かけて行き、アクアはお金がないからという事で日雇いのバイトを、ダクネスは筋トレをしに一時的に家に帰ると言っていた。そして、見事ぼっちになった俺はとりあえず自分の能力をもっと詳しく知ろうと思い、この草原に来たわけだ。

 

「さぁ、いっちょやりますかね…」

 

正直、俺はこの世界に来た時魔王に侵略されててやばいという話を聞いていたため、もっとやばい世界だと思っていた。だから俺はカズマ達のパーティーに加入したわけで、しかし蓋を開ければ、出会ったのは飲み込むしか能のないカエルと戦闘意識のないアンデッドの王だ、何が世界の危機だ舐めてんのかって話だ。

 

おそらくこの世界なら、俺の能力があれば生きていけると感じた俺は、この草原でレベル上げをしてカズマ達のパーティーを抜けて、次の街へ行こうと考えたわけだ。

 

まぁ、あれだ強い獣は群れたりしない。一匹狼という言葉があるぐらいだからな。つまり群れないぼっちは必然的に強いということになる。

 

そんなくだらないことを考えつつ俺はカエルに向かって魔法を打つ用意をし始めた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

人間、1人で生きていくことはとても難しい。

 

「うぉぉぉおぉお!」

 

カエルから全力ダッシュで逃げながらそんなことを頭の片隅で思った。

 

一体なぜこんな状態になっているかというと、あの後とりあえず近くのあのカエルに向かって中級魔法でも打ってみるかと思い、『ティンダー』を使った、あと『レベルブースト』を使ったものの中級魔法が出ず、戸惑っているところ近くにいたカエルが、俺の存在に気付き今の状態に至ったわけだ。

 

「くそっ!なんででないんだ!『ティンダー』ッ!『レベルブースト』ッ!」

 

「くそ、いったいどうなっ…「パク」

 

魔法を打とうと振り向いたのがいけなかったのか案外近くまで近づいていたカエルに食べられてしまった。

 

カエルに飲み込まれる中で「あっ、カエルの中っていい感じにあったかいな」という現実逃避した考えが浮かんできた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

死にもの狂いでカエルから脱出した俺は、現在アクアに回復魔法をかけてもらっていた。

 

「いったい、カエルと戦って何をしたら火傷なんてするのかしら」

 

「おっしゃる通りです…」

 

俺はカエルに飲み込まれた後、どうにかして脱出しようとカエルの中でティンダーを唱えてレベルブーストを使いまくっていたところいきなりティンダーの火がライターレベルの火ではなくカエル一匹を、飲み込むほどの大きさになりそれのおかげで腹から脱出できたのはいいものの、右半分がほぼ火傷状態になり、近くにいた冒険者に助けてもらって、ギルドまで運んでもらい今に至る。

 

ちなみに制服は燃えてしまったので、今はカズマが使っていたという作業着を借りている。そろそろ装備も買わなくちゃな。

 

そうして俺はアクアに火傷を直してもらいつつ、今日わかった能力についての情報を整理してみる。

 

まず1、なぜ、中級魔法が使えなかったか、これはおそらく俺がこの世界の中級魔法を知らなかったからではないかと思う。爆裂魔法が使えた時の状況と、中級魔法が使えなかった状況を比べるとこのぐらいしか考えられない。俺は爆裂魔法を使う前に一度めぐみんの、爆裂魔法を見ている。しかし今回の中級魔法に至ってはまずどんな魔法があるのかも知らない状態で使おうとした、そのせいで魔法が発動しなかったのだと思う。

 

その2、急にティンダーの威力が上がったこと。考えてみると俺の能力『レベルブースト』は、ある要素からその要素を含むものに変化させる能力だと、エリスは言っていた。つまり剣を変化させて聖剣や、魔剣、ボロい剣に出来るという話だったが、ならなぜレベルブーストという名前なのか、それなら物質変化とかの方がしっくりくる気がする。つまりこのレベルブーストという能力の本来の使い方は剣を聖剣などに変えるのではなく、魔法などの威力をあげるのが本来の使い方と考えると、ティンダーの威力が急に上がったのも納得がいく…気がする。

 

まぁ、とにかく今日のことでわかった。人間1人で生きていくのは存外に難しい、とりあえずあとでめぐみんに中級魔法と、上級魔法について聞いておこう…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

カエルに食われ大火傷を負ったあの日から3日ほど経った日のお昼過ぎ、俺はギルドで羊皮紙を見つめながらこの3日間ダクネスにカエル狩りを手伝ってもらいつつ、わかった自分の能力についてまとめていた。

 

レベルブースト

 

能力1、ある一つの要素の強化。例えば耐久性をあげたり、剣の鋭さをあげたり、爆発の威力を高めたりなど、この強化には制限が無いが、どれぐらい威力を上げるかは自分で調節しなくてはいけないため、注意が必要。一度調節に失敗してダクネスの剣の鋭さを上げすぎて鞘に収まらなくなってしまったという事件が起こった。

 

能力2、ある一つの要素から、その要素を持つものに変化させる。これは自信が想像できるものまたは、知識があるものに限る。しかし想像さえ出来ればどんなものにも変化が可能。エクスカリバーを再現できた時は心が躍ったが、エクスカリバーを打つととんでもない魔力消費に加え、たった一発で剣が耐えきれず折れてしまうというとんでもないコスパの悪さでエクスカリバーはお蔵入りになった。そして、上記の知識があるものとは、文献や人から聞いたものでもその知識があれば再現可能。

 

能力3、この能力は生物には効かない。

 

能力4、体の一部が触れない限り能力は、発動しない。

大火傷を負った次の日に、クリスに魔王を倒せる可能性があるとかいうスキルを教えてもらった時(ちなみにこのスキルとはスティールという、相手の持ち物を奪う魔法でクリス曰く、これを使えば魔王の武器を奪える可能性があるからもしかしたら魔王を倒せる【かも】しれないねなんていう屁理屈を言われた。)ついでに潜伏と、敵感知というスキルを教わったのだが、このスキルの強化を行うことができなかったこと、それと、めぐみんの杖を借りて魔法を打った時に中級魔法や、上級魔法を打てなかったことから俺の能力は強化する対象に直接体に触れなければならないということがわかる。

 

能力5、重ねがけはできない。

つまり、耐久性を上げた剣を聖剣に変えることはできない。逆も然り。

 

能力6、変化させた物は壊れなかったとしても24時間で元に戻る。

 

「っと、これぐらいかな」

 

羊皮紙に能力についてまとめ終わった俺はコーヒーを飲みつつ今まで書いたことを見直す。

 

「もしかしたらまだあるのかもしれないが、とりあえずこれぐらい分かれば十分だろう。」

 

と呟きつつ俺は今日は体を休めるために銭湯に行ってゆったりするかな…と考えているといきなり町中にアナウンスがなった。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で町の正門に集まってください!』

 

この世界に来てから全然ゆっくりできてないな…と思いつつ俺は、やる気の出ない自分に鞭打って町の正門へ向かった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

町の正門についた俺は、カズマ達の姿を見つけ歩み寄る。

 

「おい…カズマこれはどういうことだ…」

 

と、俺の質問に真剣な顔でカズマが答えてくる。

 

「さっきのは緊急アナウンスっていて町の危機の時に使われるんだ。つまりこの町にヤバイのが来てるってこと」

 

その言葉に返事をする前に俺はカズマのいう意味を理解した。

 

ドーン!という雷の音と共にこんなことになっている元凶が現れる。

 

 

デュラハン

 

 

それは人の死を宣告し、絶望を与えるとされる騎士で言わずと知れたアンデッドモンスターだ。

 

俺や他の冒険者達はその凄まじい威圧感に呆然と立ち尽くした。

 

すると、デュラハンは左脇に抱えた自分の首を俺たち冒険者に差し出した。

 

差し出された首からくぐもった声が放たれる

 

「…俺は、つい先日この近くの城に越してきた魔王の幹部のものだが…」

 

すると鎧全体がプルプルと震えだすと

 

「まままままま、毎日毎日毎日毎日っっ!おお、俺の城に、毎日欠かさず爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿は、誰だぁぁぁぁー!!」

 

魔王の幹部は、今まで我慢していたものが切れたかのようにとんでもない怒りを爆発させた。

 

 

 

 




比企谷八幡

レベル7
スキルポイント7
取得スキル 初級魔法、潜伏、敵感知、窃盗(スティール)


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いつだって、このパーティーは残念である。

おそらく明日は、私用で投稿できないので、今日は長めです。
それでは11話をお楽しみください!


いきなり現れた魔王の幹部の怒りの叫び声に、俺の周りの冒険者ざわつきだした。というか、その場の誰もが俺も含めていったいどういう状況なのかわかっていないようだ。とりあえず俺たちがここに呼ばれたのはこの魔王の幹部のせいらしいが…

 

すると数人の冒険者がポツリと呟く

 

「…爆裂魔法って言ったら…」

「爆裂魔法を使えるやつといえば…」

「爆裂魔法といえば…」

 

そうして、その冒険者たちの視線がカズマの隣にいるめぐみんへと集まっていく。するとめぐみんはフイッと自分の隣にいた魔法使いの女の子を見る。それにつられて周りのみんなの視線もその女の子へ…。

 

「えぇ!?あ、あたしっ!?何で私が見られてんのっ!私爆裂魔法なんて使えないよ!最近魔法使いになったばかりでまだ中級魔法しか使えないんだよっ!?」

 

っと、突然濡れ衣をなすりつけられた女の子は涙声で否定する…。

 

そんな女の子の様子を見つつ、チラッとカズマや、めぐみんたちを見ると2人とも冷や汗を流している。

 

「おい…まさか、あの魔王の幹部が言ってる毎日爆裂魔法を撃ってくるやつってもしかしておまえらなのか…?」

 

するとその言葉に答えるように、めぐみんは溜息を吐きつつ嫌そうな顔でデュラハンの前に1人でていく。

 

「お前が…!お前が、毎日毎日毎日毎日俺の城に爆烈魔法を打ち込んでくる大馬鹿ものか!俺が魔王軍幹部だと知っていて喧嘩を売っているなら、堂々と城に攻めてくるがいい!その気がないなら、街で震えて待っているがいい!ねぇ?なんでこんな陰湿な嫌がらせをするの?!どうせ雑魚しかいない街だと放置していれば、調子に乗って毎日毎日ポンポンポンポン打ち込んできおって…ッ!頭おかしいんじゃないのか、貴様っ!」

 

確かに…まだなにもしていないのに毎日爆裂魔法なんて城に打ち込まれたらストレスも溜まるわな…

 

と、デュラハンの境遇に同情していると、めぐみんが肩のマントを、バサっとひるがえし…!

 

「我が名はめぐみん。アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者…!」

 

「…めぐみんってなんだ。馬鹿にしてるのかお前?」

 

「ち、違わい!」

 

名乗りを受けたデュラハンが思わずめぐみんの名前に突っ込む。

 

「我は紅魔族の者にして、この街随一の魔法使い。我が爆裂魔法を放ち続けていたのは、魔王軍の幹部のあなたをおびき出すための作戦…!こうしてまんまんとこの街に1人で出てきたのが運の尽きです!」

 

その言葉に周りの冒険者が

 

「おぉ!やるな!」

「あの爆裂魔法の女の子そんな作戦を立てるなんてやるじゃねぇか…」

 

などと、めぐみんを褒め始めるそれを聞いたカズマが俺たちに聞こえるぐらいにボソボソと呟く。

 

「おい…あいつあんなこと言ってるが、毎日爆裂魔法を撃たないと死ぬとか駄々こねるからあの城まで連れて言ってやってたのに、いつの間に作戦になってたんだ。」

 

「ばっか、それはお前あれだろ、あぁ言っておかないとこんなたくさんの冒険者の前で恥をかくことになるからだろ。」

 

「…うむ、しかもさらっと、この街随一の魔法使いとか言い張っているな。」

 

「しーっ!そこは黙っておいてあげなさいよ!今日はまだ、爆裂魔法を使ってないし、後ろにたくさんの冒険者が控えてるから強気なのよ!今いいところなんだからこのまま見守るのよ!」

 

などと、俺たちが話しているとデュラハンは納得したように

 

「…ほう、紅魔の者か。なるほど、なるほど。そのいかれた名前は、別に俺を馬鹿にしていたわけじゃないらしいな。」

 

「おい、両親からもらった私の名前に文句があるなら聞こうじゃないか」

 

「…フン、まあいい。俺はこの地にある調査に来ただけだ。お前らのような雑魚に構っている暇はない。しばらくはあの城に滞在するが、これからは爆裂魔法を使うな。いいな?」

 

「それは、私に死ねと言ってるも同然なのですが、紅魔族は日に一度、爆裂魔法を撃たないと死ぬんです。」

 

「お、おい!そんな事聞いた事ないぞ!適当な嘘をつくな!」

 

と、完全にデュラハンがめぐみんのペースに飲み込まれてしまっていた。

てか、あの魔王の幹部、もう爆裂魔法を撃たないんだったらこの件をなかった事にしてくれるとか実はいい奴なんじゃないだろうか。

 

「どうあっても、爆裂魔法は止める気はないと?俺は魔に身を落とした者ではあるが元は騎士だ。弱者を刈り取る趣味はないのだが、これ以上城の付近であの迷惑行為をするのなら、こちらにも考えがあるぞ?」

 

そんなのんきな事を考えていると急にデュラハンが剣呑な気配を漂わせ始める。その気配のヤバさに気づいたのかめぐみんがピクリとあとずさる。

 

「おい…あのデュラハンやる気だが、大丈夫なのか?」

 

デュラハンのただならぬ気配を感じた俺が誰言うでもなく呟くと。

 

「しょうがないわねーここは女神である私の出番かしら」

 

と俺の言葉を聞いていたアクアが凄まじいスピードで走り出しデュラハンの前に出る。

 

「魔王の幹部だかなんだか知らないけど!この私がいるときに来るとは運が悪いわね!アンデットのくせに力が弱まるこんな明るいうちに外に出てきちゃうなんて浄化してくださいっていってるようなものだわ!あんたのせいでこの街にはジャイアントトードの討伐ばかりがクエストに出てくるのよ!そのせいで全然お金は入ってこないし…、さぁ!覚悟はいいかしらっ!?」

 

そのアクアのやる気満々の様子を固唾を飲んで見守る冒険者の視線を浴びながらアクアが魔法を打つためにデュラハンに向かって腕を突き出す。しかしあいつ、アンデットに対してだけは随分と強気だよな。

 

それを見たデュラハンが興味深そうに自分の首をアクアに向かって差し出しつつアクアに話しかける。

 

「ほう、これはこれは。こんな街にアークプリーストがいるとは、だが残念だったな俺は魔王軍の幹部の1人。アークプリースト対策などしてきておるわっ!!しかしそうだな…ここはひとつ紅魔の娘を苦しませてやろうかっ!」

 

デュラハンはアクアが魔法を唱える前にめぐみんへと左手の人差し指を突き出し呪いを叫ぶ。

 

「汝に!死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」

 

デュラハンが呪いをかけるのと、いつの間に走り出していたのかわからないダクネスがめぐみんの前に飛び出すのは同時だった。

 

「ダ、ダクネス!あなたなぜ!」

 

めぐみんが叫ぶ中、ダクネスの体が一瞬だけ黒く光る。あれが、死の宣告という奴なのだろうか。あんな簡単に人を呪う事ができるのが魔王の幹部なのかよ、とビビりつつも俺とカズマもダクネスの元に駆け寄る。

 

「おい!ダクネス大丈夫かっ!痛いところは無いか!?」

 

とカズマが慌ててダクネスに聞く、俺もそれに続いて、

 

「なんで、あんな自分を犠牲にするような事なんてしたんだ。」

 

ダクネスは、俺たちの言葉を聞きつつ自分の両手を確認するかのように何度かワキワキと握り。

 

「…ふむ、カズマ安心してくれなんともない。そうしてなぜかと聞かれればそれが仲間を守るクルセイダーとしての役割だろう?」

 

と、至って当たり前のように言ってのける。

…くそ、カッコいいな、なんでこいつはこういう時ににこんなことを言うんだ。こんなこと言われたら俺も何かしなきゃならないだろと頭をガシガシと掻きながらデュラハンに向かって叫ぶ

 

「おい、デュラハン!ダクネスの呪いをどうしたら解いてくれる。土下座でもすればいいか。自慢じゃないが俺の土下座はすごいぜ。」

 

この言葉を聞いたデュラハンは勝ち誇ったようにそして実に楽しそうに宣言する。

 

「ククッ、いいぞその反応。冒険者とは、仲間を大切にする奴らばかりだからな。むしろ自分のせいで仲間が苦しむ方が応えるようだな。そうだなぁ、我は土下座などされてもなんとも思わん。紅魔族の娘よ!これに懲りたら俺の城に爆裂魔法を放つのをやめろ!そして城の最上階の俺の部屋に来る事が出来たら、その呪いを解いてやろう!まぁ、ひよっこ冒険者のお前達に果たして俺の所に辿り着ける事が出来たらだがな?クククククッ、クハハハハッ!」

 

デュラハンの言葉にめぐみんが青ざめる。やはり土下座ぐらいじゃ許してくれないぐらいにお怒りのようだ。するとダクネスが急に立ち上がりデュラハンの前に向かう。

 

「お、おい、ダクネス!」

 

カズマがダクネスを止めようとするがその制止を聞かずダクネスは、デュラハンの前に着くと

 

「つまり貴様はこう言いたいのだな?この私に呪いをかけその呪いを解いて欲しくば、俺の言うことを聞けとそういうことだろう!」

 

「「「「えっ?」」」」

 

俺とカズマ、めぐみんそして、ダクネスの言ったことを理解できていないデュラハンの声が揃う。

 

俺だって理解したくはない。さっきのあのかっこよさはどこへ行ってしまったんだ…。

 

「くっ…!呪いぐらいでこの私は屈しない…!屈しはしないが…っ!ど、どうしようカズマ!見るがいい、あのデュラハンの兜の下のいやらしい目を!あれは私をこのまま城へと連れ帰り、奴らが来るまで黙って俺の言うことを聞けと、凄まじいハードコア変態プレーを要求する、変質者の目だっ!」

 

っと、実に嬉しそうに変態(ダクネス)が言う。

 

大衆の前で突然変質者呼ばわりされたかわいそうなデュラハンはぽつりと言った。

 

「…えっ」

 

なんかもうこのデュラハンが本当気の毒に思えてきた。

 

「この私の体は好きにできても心まで思うなよ!」

 

「…えっ、いや」

 

と戸惑うデュラハンの前で1人妄想を膨らませるダクネス。はいはい、くっ殺、くっ殺。

 

「城にとらわれ魔王の手先に理不尽な要求をされる女騎士とかっ!あぁどうしようっ!予想外に燃えるシチュエーションだ!行きたくはない…行きたくはないが仕方ない!ギリギリまで抵抗してみるが邪魔はしないでくれ!では!行ってくりゅ!」

 

「ええっ!?」

 

「おい!やめろ!さっきまでのかっこいいお前はどこに行ったんだ!」

 

「やめろ!行くな!デュラハンの人が困ってるだろ!」

 

とノコノコとついていこうするダクネスをカズマと俺の2人で引き止めると、デュラハンがホッとしている姿が見えた。本当になんかすいません。

 

「と、とにかく!我はあの城で待つ!そのクルセイダーを助けて欲しければ我が城にくるがいい!」

 

デュラハンはそう宣言すると哄笑しながら城へと去っていった。

 

 

 

 

カズマ視点

 

もう何が何だかよくわからない展開に集められた冒険者達は呆然と立ち尽くしていた。それは俺も同じだ。

俺の隣ではハチマンがじっと下を見ながら考え事をしている。そしてめぐみんは青い顔でわなわなと震え、杖をぎゅっと握りなおす。そして1人で街へ出ていこうとする。

 

「おい、めぐみん。どこへ行く気だ。なにしようってんだよ。」

 

めぐみんはこちらを振り向きませずに言ってくる。

 

「今回のことは私の責任です。ちょっと城まで言ってデュラハンに爆裂魔法を直接打ち込んできます。」

 

めぐみん一人が言ったところで相手は魔王の幹部だどうにかなるわけがない。

 

…と言うか。

 

「俺も行くに決まってるだろうが。お前一人じゃ雑魚相手に魔法を使って終わりだろ。そもそも俺も毎日毎日一緒に行きながら幹部の城だって気付かなかった間抜けだからな。」

 

俺の言葉を聞いためぐみんは渋い表情をして

 

「ですが…カズマが来たところで雑魚がどうにかなるわけでもないですし…」

 

それを言われるとなんとも言えない…

 

するとハチマンが、

 

「あー、まぁなんだ。別にめぐみんが心配とかじゃないが、ダクネスにはカエル狩りを手伝ってもらった借りがあるからな。借りを返す前に死んでもらったら後味悪いしな。俺もついてく…」

 

その言葉を聞いて、俺とめぐみんが顔を合わせ微かに笑う。なんというかハチマンはひねデレてるというか素直じゃないというか、でもハチマンが来てくれれば俺が敵感知を使って敵を見つけてハチマンが攻撃、デュラハンをめぐみんが対応すればもしかしたらいけるんじゃないだろうか。

 

「ハチマンが居てくれれば雑魚はハチマンに任せればいいし。それに一週間の期限があるなら毎日一階づつ爆裂魔法で潰していくという作戦も使えるしな。」

 

俺の提案にハチマン、めぐみんも真剣な顔で頷く。

俺達はダクネスの方を振り返ると

 

「おい!ダクネス!呪いは俺たちがなんとかしてやるならな!だから安心して…」

 

「『セイクリッド・ブレイクスキル』!」

 

俺の言葉を遮るようにアクアが唱えた魔法を受けてダクネスの体が一瞬淡く光る。

 

そしてどことなくと言うか確実に残念そうなダクネスと対照的に、アクアが嬉々として言ってきた。

 

「この私にかかれば、デュラハンの呪いの解除なんて楽勝よ!どう、どう?私だってたまにはプリーストっぽいでしょう?」

 

「「…えっ?」」

 

と俺とめぐみんが驚き

 

「はぁ…」

 

と疲れたように目を抑えるハチマン

 

…勝手に盛り上がってた、俺たちのやる気を返せ。

 

 

 

 

 

 



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唐突に、戦いは始まる

長らくお待たせしました!
12話です。12話でまだハチマンのヒロインが出てきてないけどいいんだろうかと不安になってきますが、おそらくデュラハン倒したところぐらいで出てくると思います。多分。


デュラハンがこの街に訪れた次の日、俺は一人である店の前に来ていた。店の名前は「ウィズの魔法具店」言わずもがなこの前会ったウィズの店である。

 

なぜ一人でウィズの魔法具店に来ているかというと、デュラハンのせいで高難易度クエストかカエル狩りぐらいしかないせいでお金を稼げていないアクアの借金がひどいことになってしまったらしい。そこでギルドに出ていた湖の浄化のクエストならアクアの力を使えば簡単に浄化できてしかも30万エリスとお得なクエストということでアクア達は湖に向かったのだが、俺は必要なさそうだったのでこの隙に衣類や武器などを揃えておくことにした。その買い物ついでに俺はウィズの魔法具店に来たというわけだ。

 

ちなみにいまの格好は、こちらの世界の服に、紺色のローブ、腰に短剣といった格好だ。俺には剣士適正があまりないようなので魔法使いぽっくローブを着て、ちょっと格好つけて短剣を買ってみた。片手剣スキルは持っていないが、まぁあとでカズマにでも教えて貰えばいいだろう。

 

カズマ達がクエストから帰ってきたら片手剣スキルをまず教えてもらおうと考えつつウィズの店のドアを開け中に入る。ドアを開けると上についていたベルが鳴り客の来訪を店の奥にいる店主に知らせる。

 

「はーい、いらっしゃいませー」

 

「…うっす」

 

「ああっ!ハチマンさんお久しぶりです。」

 

とウィズがにこやかに挨拶してくる。本当にこの人がリッチーだなんてなかなか信じられないものがある。

 

ウィズがお茶の用意をしてくるということなので、手持ち無沙汰になった俺は、店内にある魔法具を見て回った。そういえば俺の能力を魔法具に使うとどうなるんだろうかと考えているとお茶を持ってきたウィズが

 

「あっ、それは強い衝撃を与えると爆発するので気をつけてくださいね」

 

それを聞いてスッと棚に戻し隣のポーションを手に取る

 

「あっ、それは水に触れると爆発します。」

 

「おい…ここ魔法具店だよな?爆薬しかないじゃないか!」

 

「ちちち、違いますよ!そこは爆発シリーズが置いてある棚なだけです!」

 

魔法具店に爆発シリーズなるものがあっていいのかと思いつつ、お茶が置かれている席に座る。

 

「まぁ、いいやとりあえずこの前言っていた。リッチーのスキルというのを教わりに来たんだが」

 

「えっと、この前の恩返しとしてスキルを教えて差し上げたいのですが、えーと、私のスキルって相手がいないと使えないものばかりで私のスキルを受けてくれる相手がいないと教えられないんですよね…」

 

と、困ったように笑うウィズ。

 

くっ、まさか今日一人で行動していたことが裏目にでるとは…ってよく考えたら大体一人でしたね。

 

「まぁ…それなら仕方ないか…今度またカズマ達とくるわ」

 

「はい、お待ちしてますね?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あの後1時間ぐらい魔法具についての話を聞きながらお茶を飲んだ後、銭湯に一人ゆったり浸かった俺はギルドに向かっていた。

 

やっぱり銭湯は、一人で入るに限るな。修学旅行とかだと周りのテンションが上がりまくってゆっくり入るなんてことができやしないからな。まぁ俺ぐらいのボッチになると部屋にある風呂で済ませてしまうのだが。

 

と修学旅行の嫌な思い出を思い出していると、カズマ達の姿が見えた。何か言い争っているようだ。

 

「……カな!……連れ込んで?!…閉じ……漬けた!?」

 

なんだか鎧を着た男がカズマに突っかかている。それを見た俺は面倒くさそうな案件だったので見なかったことにしてギルドへ向かう。触らぬ神に祟りなしってな。

 

「あっ、ハチマン!おーいハチマン!ちょっとこっちに来てください!」

 

しかし現実は非情だった。通り過ぎようとした俺を見つけためぐみんに話しかけられた俺は仕方なくめぐみん達のところに向かう。

 

「なんだよ…今日は飯食ってゆっくり寝ようと思ったのになんでこんな面倒くさそうなことに巻き込まれなきゃいけないんだよ…」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!なんかカズマとあのいけ好かないエリート野郎が勝負することになりそうなんです!」

 

「…勝負?」

 

と俺の疑問にダクネスが答える。

 

「あぁ一対一の勝負だ。カズマが負けたら私たちがあの男のパーティーには入らなきゃいけないらしい」

 

「でもまぁそれならいいんじゃないか?あんな高レベルそうな冒険者についていけるんだ。カズマが負けたとしてもお前達からしたらラッキーだろ」

 

と俺の発言にダクネス、めぐみんが嫌そうな顔をする。

 

「ハチマン…それを本気で言ってるならあなたの神経を疑いますよ…あいつはですね…」

 

とめぐみんが続きを言う前にカズマとイケメン男の勝負が始まる。

 

「先手必勝!」

 

とおそらく会話中に突然攻撃したのだろうカズマがイケメン男に急接近する。

 

「いや、ちょっ!くっ…!?」

 

しかしおそらくかなりの高レベル冒険者なのだろう。カズマの動きにすぐさま反応して腰の剣を抜きカズマの小剣を受け止めようとする。その動きにカズマが左手を突き出し魔法を使う。

 

「『スティール』ッ!」

 

その言葉と同時にカズマの左手にイケメン男がしていた小手がいつの間にか出現する。

 

「ちっ!」

 

カズマがその舌打ちを打つのと同じぐらいにカズマの小剣とイケメン男の剣がぶつかりカズマの小剣が折れる。

 

「なっ…!」

 

「勝負あったようだね。やはり卑怯なことをしても、最弱職の君じゃ僕には勝てないんだよ。所詮君はパーティーメンバーに恵まれていただけというわけさ。」

 

その言葉を聞いた俺はなぜだかイラッときた。おそらくこの男がすごく俺の声に似ているせいで、なんだか俺が言ってるみたいに感じて心底気持ち悪くなってくるのだろう。それに俺はこういうリア充オーラを出したイケメンが大っ嫌いなのだ。

 

「ほー、卑怯ねそれなら、その最弱職に絶対勝ち目のない一対一を申し込むあんたも卑怯なんじゃないのか?」

 

その言葉にやっと俺の存在に気づいたイケメン男とカズマがこちらを振り向く。

 

「えーと、失礼だが君は誰だい?それに僕が卑怯だって?」

 

「俺はヒキガヤ ハチマンだ。一応このカズマ達のパーティメンバーの一人だ。」

 

「そうか、君も彼の仲間だったのか、僕はミツルギ キョウヤ。君もアクア様と一緒に僕たちのパーティーに来るといい。サトウカズマと違って僕なら君にあう高い武器だって買ってあげられるよ。。」

 

「確かに…カズマのパーティーはひどいもんだ。その点お金をたくさん持ってそうでしかも高レベル冒険者らしいお前のパーティーは素晴らしいもんなんだろう。」

 

「ああ!そうだよ、だからアクアさん達と一緒に君も!」

 

「そんないろいろ持っているお前が!最弱職のカズマの唯一の取り柄であるパーティーメンバーすら奪う気なの?人として恥ずかしくないの?」

 

「…おい、ハチマン…」

 

とカズマが俺の言葉に傷ついたような顔で話しかけてくるが無視だ。

 

「お前がやっていることは人倫に触れる行為だ。最弱職の人間に一対一の勝負をしかけてそのパーティーメンバーを奪っていくなんて、それが人間のやることかよ!」

 

「うっ…まぁそれを言われると確かに…」

 

その言葉を聞き俺はかすかに笑みを浮かべる。

 

このまま押し切って今回の話を無しにしてしまおう。

 

「それじゃ…先ほどの戦いは無しにしよう。確かにソードマスターの僕が冒険者に対して一対一を申し込むのは卑怯な方法だったね。」

 

よし、これで今回の話はなしに…

 

「だからハンデとして君とサトウカズマ二人がかりでかかってくるといい。」

 

「…は?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「おい、ハチマン…どうすんだよこれ…」

 

「どうすると言われてもなぁ…」

 

俺の言葉が逆効果だったのか今度は二人がかりでこいつを倒さなくてはならなくなってしまった。しかも先ほどカズマから聞いたのだがこいつ俺たちと同じ転生者で魔剣を特典としてもらっているらしい。

 

「とりあえず俺があいつを抑えるから、カズマはどうにかしてあいつに一撃を食らわしてやれ。」

 

「どうにかして…ねぇ…」

 

「あぁ…頼んだぞ」

 

俺たちの作戦会議とも言えない話し合いが終わり俺たちは魔剣使いに向き合う。

 

「話し合いは終わったのかい。それじゃさっきみたいな卑怯な手を使われないように今回はこのコインが地面に落ちた瞬間に戦うというルールをつけよう。」

 

「ああ、わかった。」

 

そうしてミツルギがコインを上に投げる。そうして魔剣使いは腰の魔剣を抜き、カズマも俺が渡した短剣を構える。

 

「ちゃりん」

 

とコインが地面に着いた瞬間ミツルギはすごいスピードでこちらに走ってくる。

 

「ちっ!『クリエイト・アース』!『レベルブースト』ッ!」

 

「『ボトムレス・スワンプ』ッ!」

 

俺は土の初級魔法を土の上級魔法のである泥沼を作り出す魔法に変化させる。

 

「なっ…!ふんっ!』

 

いきなり足元に泥沼ができたミツルギは一瞬体の体勢を崩すがすぐさま立て直し泥沼から抜け出す。

やはりこの程度じゃ足止めはできないらしい。

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッッ!」

 

あの程度じゃ足止めにならないと予想していた俺は、光の初級魔法を光の上級魔法に変化させ泥沼から抜け出したばかりの魔剣使いに光の光線を放つ。

 

「はぁ…ッ!」

 

その言葉とともにミツルギの魔剣と俺の魔法がぶつかり…魔剣が魔法を弾く。いったい剣が魔法を弾くなんてどういう原理なんだ。

 

「ちっ!」

 

思わず舌打ちを吐きつつすぐさまつぎの魔法を放つ準備をする。

 

「『フリーズ』ッ!『レベルブースト』ッ!」

 

「『フリーズバインド』!」

 

次は氷の上級魔法で相手を氷の縄で拘束する魔法を放つが氷の縄がミツルギを捕らえる前にミツルギはそれをすぐさま跳躍して躱す。俺はその行動の迅速さに驚きほんの少し対応が遅れ、すぐさま距離を詰められる。

 

「ちっ!はや…ガハッ!」

 

そして、目にも留まらぬ速さで俺の鳩尾を柄で殴られる。

 

「ハァハァ…君なかなかやるね。油断していたら負けていたところだった。」

 

その言葉に鳩尾の痛みも忘れてニヤリと笑ってしまう。

 

「ん…なんで君は笑って…いや!そういえば君との戦いに夢中で気付かなかったがサトウカズマは一体どこに消えっ…」

 

「ふっ…!」

 

潜伏で隠れて背後に回っていたカズマが短剣を魔剣使いに振り下ろそうとするがこれも見事に反応した魔剣使いは振り向きざまに魔剣を横にしてその短剣を受け止めようとする。その行動に俺は右手を突き出し

 

「『スティール』ッ!『レベルブースト』ッ!」

 

「『強奪』!」

 

その叫びと同時に右手に剣の重みを感じる。

今使った『強奪』というスキルは海賊という特殊な職業が使えるスキルだ。この強奪は窃盗と違い盗むものを指定して盗み取ることができる。まぁ、盗めるかどうかは自分の幸運のステータスによるのだが今回はうまくいったようだ。

 

俺の前ではカズマの振り下ろす短剣を受け止めようとした魔剣使いの手から魔剣が消える。

 

「「「は?」」」

 

と魔剣使いやめぐみんたちがいきなりのことに驚く。

 

しかしカズマは、そのことに驚きもせず魔剣使いへ容赦なく短剣を振り下ろし魔剣使いの頭を強打した。

 

 

 



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ご覧の通り、借金は減ることを知らない

危うくエタってしまうところでした。
がんばります。


バタリと、頭を強打されたマツルギ(多分)が白目をむいて地面に倒れた。

 

「ひ、卑怯者!卑怯者!卑怯者!」

「魔法で相手の武器を奪うなんて反則よ!!」

 

ハチミツ(多分)の仲間である2人の少女が、俺たちに向かって卑怯だなんだと言ってくるが、俺はそれを無視してカズマに話しかける。

 

「んで、勝負には勝ったわけだけどどうすんの。」

 

その言葉にカズマは思い出したようにニヤリと笑い

 

「そういえば俺が勝ったらなんでも一つ言うこと聞くって言ってたよなぁ?それじゃ、この魔剣でももらって行きますかね。」

 

その言葉に取り巻きの片方が慌てて、

 

「バカ言わ無いで!その魔剣はキョウヤにしか使いこなせないわ!魔剣は持ち主を選ぶの!だからあなたがその魔剣を使っても魔剣の加護は受けられないわ!」

 

カズマはその言葉に驚いたように

 

「…マジで?この魔剣俺には使えないの?せっかく異世界に来てチートできると思ったのに…」

 

俺はそんな落胆したカズマに向かって一つの提案をする。

 

「まぁ、ミツ…ラギ(多分)もパーティーメンバーの引き抜きを望んだんなら俺たちもあいつのパーティーメンバーを貰えばいいんじゃねぇの?」

 

 

その言葉にめぐみんとアクアはドン引きし変態(ダクネス)は興奮し、取り巻きの少女たちは武器をとっさに構えた。

 

「アクア…、ハチマンは少し鬼畜というか変だとは思っていましたがまさかあのスカしたエリート野郎と同じ思考とは思いませんでした。」

 

「まさかハチマンがクズマさんと同じくらいクズだなんて、今度からはクズガヤさんと呼ばしてもらうわ…」

 

「ふふふ、やはり私の目に狂いはなかった!」

 

ちょっと…聞こえてますよ?

内心パーティーメンバーに言われたことにきずつきながら俺は取り巻きの少女たちに向き直る。

 

「とりあえずそういうことで文句ないよな?話的にお前らのリーダーが持ちかけてきた勝負なようだし。」

 

それにまともなメンバーが増えることはとてもありがたい。パーティーがパーティだし

その言葉に取り巻きの少女はさらに武器を深く構え

 

「そ、そんなこと認めるわけないでしょ!」

「無効よ!無効!あんな勝ち方私たちは認めない!」

 

その言葉に俺は苦笑しつつ

 

「あんな勝ち方なんて言うがまず2人同時にかかってきていいと言ったのはそっちだし、相手から武器を奪ってはいけないというルールはないんだ。ルール違反をしたつもりは一切ないが?」

 

そこにショックから、復活したカズマが手を見せつけるように手をわきわきさせ

 

「おっと、そっちがやる気なら構わないが俺は男女平等を信条に生きているから女だろうが平気でドロップキックを食らわせられる男だぜ、それに、俺のスティールが炸裂すると女性はとても痛い目を見るぞ」

 

その言葉に取り巻きの少女が別の意味で身の危険を感じて後ずさる

 

「「「「う、うわぁ…」」」」

 

そして俺たちや、めぐみん達もその言葉にドン引きすると、

 

「ちょっ!お前らひどくない!?てかこの提案したのハチマンだろ!なんで引いてんだよ!」

 

「いや、確かに提案したが今の発言はちょっと…引くわ」

 

「今のカズマの発言でとっさにスカートを押さえてしまいましたよ。さすがですね。ドン引きしました」

 

とめぐみんがスカートを抑えながらカズマを見る

 

「あぁもういいよ!とりあえずこの魔剣はもらって行くから!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

借りていた檻を引きずり(強制的に手伝わされた)なんとかギルドについた俺たちは少し遅めの昼食を取っていた。

 

「次あったら絶対あの男にゴットブロー食らわせてやるわ!そして檻の弁償代の30万エリス分捕ってやるんだから!」

 

あれ?アクアさん?檻の弁償代って20万エリスじゃなかったっけ?と内心でツッコミを入れつつ先ほどあったことを思い出す。

 

俺たちはあの後武器屋に寄ってカズマが戦利品の魔剣を速攻でお金に変えた後、ギルドへクエスト攻略の報告に行ったのだがヤツルギ(おそらく)が壊した檻の弁償代として報酬金額30万エリスのところから20万エリスを弁償代として取られてしまったらしい。流石にこの時ばかりはアクアに同情した。

 

そんなアクアは現在昼間からお酒を飲みつつずっとミタラシ(Probably)に対しての恨み辛みをぐちぐち言っているというわけだ。

 

「見つけたぞ!佐藤カズマ!比企谷八幡!」

 

話をすればなんとやら絶賛話題のゲス極ってるゲスルギ(違う)が俺たちのテーブルに近づきテーブルにバンッ!と手を叩きつける。

ていうか一度名乗っただけなのに名前を覚えてるとかなんなの?俺のこと好きなの?

 

「佐藤カズマ!君のことは他の冒険者に話を聞いたらすぐに教えてくれたよ!なぜか比企谷八幡のことを聞いてもわからない様子だったがね!」

 

うわぁ、その追加情報いらねぇ…。なんでそんな的確に人の弱いところを撃ち抜けるの?異次元の狙撃手なの?コナンくんもこの精度にはびっくりだよ。

 

「佐藤カズマ!君の噂は聞かせてもらったよ!パンツ脱がせm『ゴットブローッ!』

 

その続きを言い終える前にムツラギ(適当」は白目をむきつつ吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 



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