ヤンデレ系短編集。 (異論反論は許すが無言低評価は許さん!)
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ヤンデレキに監禁されたけど逃げられないし逃げる気もしない。(緋弾のアリア、レキ)

ヤンデレキって語呂合わせいいよね!(錯乱)


 

「○○さん、貴方が悪いんですよ?」

 

「私は貴方を見ているのに」

 

「貴方は私を見なくなった」

 

「あぁ…もしかして、私以外に好きな女が出来たとでも?」

 

「それならご安心を。名前さえ言ってくれれば…」

 

「すぐにその女を消してあげます」

 

「そうすればまた」

 

「私が貴方に誰よりも愛してもらえますよね」

 

 

 

 

 

………唐突ではあるが、今ピンチの可能性がある俺の自己紹介をしよう。

俺の名前は○○。まぁ名字は言わないが気にしないでくれ。

面白味も無い上にバラしたって損しかないからな。

この国はスパイ天国だし、個人情報を守れるのはやっぱり自分なんだよ。

さて、自己紹介もほどほどに俺の現状と俺の持つ手札を紹介しよう。

 

まず現状。

俺と相思相愛(だよな?)で最愛の人、レキに監禁されている。以上だ。

ただレキの瞳のハイライトが光が当たっていても見えない事からもはやヤンデレキと呼んでも差し支えないな。

まぁそれでもレキは最高に美しくて可愛くて愛らしいのだが。

ノロケはいい?そうか。

それでは俺の持つ手札………まぁいわゆる頭おかしい能力を紹介しよう。

 

【あとで壁に頭を打ち付けたくなるほど恥ずかしい台詞を製造する能力】

【勘違いを巻き起こす能力】

【キックに属性を付加出来る能力】

 

の3つだ。なお、先の2つはただの遺伝する病だ。

死んでも直らんとは兄の言。

まぁ、それでも3つ目は使い方を選べば大丈夫………じゃない。うっかりレキを傷付けてしまったら自殺物だぞこれ。

「○○さん?」

 

おっと、レキが困ったような声を出してるな…あぁ可愛い。

ってそんな事言っている場合じゃないな。まぁレキに関する事は『そんなこと』に含まれるとは思わないが気にしない事にしよう。

今はいかにして俺が浮気したと勘違いしているレキを納得させ、ここを脱し、そしてレキを喜ばせるかが重要だ。

 

レキを喜ばせるなら簡単だ。ただ一緒に居てくれればいいと前にレキが言っていたし、とにかく一緒に居ることがレキを喜ばせる事に繋がるのだろう。

って………それじゃ俺は逃げられねぇじゃねぇか!

ダメだ………俺にはレキを悲しませる様な事は出来ない………ぐぬぬ…

俺は滅茶苦茶葛藤した。もうなんだか色々ゲシュタっちゃうくらいに葛藤した。

その結果………

 

 

 

ごめんなさい無理ですすいませんでしたぁ!

うん、レキが愛しすぎて思わず真実を語ってしまいそうだ。

あん?真実って何かって?

いや、つい先日な?

 

友人『レキってさ、ずっとお前にべったりだよな』

 

俺『それが?俺困ってないし何か文句でも?え?』

 

友人『まぁ落ち着けって。いや、何も他意は無いんだが…流石に依存しすぎじゃねーかなって。お前離れもある程度させといた方が良いぞ?俺らの職業柄…』

 

俺『まぁ事故死率ぶっちぎりトップの職業だしな………』

 

ってなってつい出来心だったんです。

「へぇ…でも、私は○○さんを死なせませんし、死んでも後を追うだけですから問題はありませんね」

 

あるぇ?なんで俺の心が読まれて………まぁレキになら読まれても良いかなとは思うけど。

「顔に書いてあっただけですよ」

 

マジか。

………ってそれ俺の心を読んでるのと変わらなくないか?

ほら、どうせ顔に書いてあっただけと言ってもそれは慣用句みたいな物だろうし。

そう思っていると、レキが俺の顔を写した写真を見せてきた。

 

あー、本当に書いてやがる。

俺すげぇな。ある意味。人間じゃねぇよ。

「私は○○さんが人間じゃなくても大好きですよ?」

 

レキが愛しすぎてもう色々抑えられなくなって抱き付いた。ただしそこにR-18的要素は無い。

 

ーside友人…ことキンジー

 

丘目八木?という言葉をご存じだろうか。

まぁまとめて言うと………端から見ると全体を見通せるという事で良いだろう。

まぁ、余談だが聞いてくれ。

俺の友人がヤンデレ気味の彼女とのノロケを聞かせてきていい加減ストレスフルなんだが………そこに俺は一言物申したい。

 

まずだな…お前の彼女よりお前自身が一番ヤンデレな事に気付いてくれ。人の振り見て我が振り直せとは言わん。だが………せめて『ヤンデレは大変だな!(喜色満面)』だけはやめてくれ。

色々見ててイライラするんだよ………

 

以上!完!(やっつけ)




主人公がヤンデレじゃないなんて誰も言ってないからOKだよねってわけ。
とりあえず続かない。いつか似たようなのを投下する可能性は………微レ存。


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妹とたった二人だけどそれで何か?(ノゲノラ、白)

短編1つから突然短編集に変更。
とりあえずジャンルは問わずやっていこうと思う。
ちなみに希望とかがあれば感想書くついでにプラスで付け加えてくれれば書くやもしれぬ。

今回はノゲノラの白。
説明はあとがき。


俺は空。

いや、本名は違ったりするんだが、今のところ空である。

突然で悪いが、軽く最初のうちに俺の身の上を説明しよう。

なぁに、難しい事じゃないさ。

だってよ?

どういう訳か昔から暴走するタクシーに牽かれた挙げ句動けなくなって上から落ちてきた鉄骨に埋まりその末に餓死するって最悪すぎる光景を何故か知ってることと知識だけなら中年並みはのと引き込もってる事を除けば普通の18歳なんだからな。

 

だがまぁ、そんなよく分からん前世っぽいもんを知ってる俺にも、どうしても敵わん物がある。

つーか基本的に器用でもなんでもない俺にはただ1つしか誇れる事はないんだがな。

敵わない物ってのは愛しの妹である白。

5年近く前に親がくたばって以来世話になりまくってる辺り、俺も兄貴失格だと言わざるをえない。

ただ白いわく『にぃはただそこに居てくれるだけでもいい』だそうだ。

これ、遠回しの無能宣言かと思ってたがただ単に本当に近くに居るだけでも白的には良いらしい。

前にうっかり風呂を掃除してる時に足を滑らせて気絶してそれで復活したときには白がマジ泣きしてたなんて事がある。

白いわく『にぃが死んだならしろも一緒』だそうで。

こりゃ下手に頭も打てねーなって思った。

 

あと、前に少しだけ高校に通ってた時期があったんだが、どういう風の吹き回しか俺に彼女が出来た事があった。

デートの約束で1日家を開けたら………白が死体のようになっていた。

ただ、あの時は白に『別れた方が絶対に良い』とか言われてキレて大喧嘩になったが、後日白が例の彼女がとんでもない女であったことを証明する書類をどこからか持ってきたのでそのあと全力で土下座しようとしたんだが………3日間ずっと白の側に居ることを条件に許してもらった。

だがまぁ、それ以来ズルズルとこうなってんだよなぁ………

俺自身の魂か何かはそれで良しとしているんだが、良く分からん前世の何かはそれはダメだと叫んでる。

あぁ、今日もまた俺達二人だけしか居ない閉じた世界での1日が廻る。

 

「にぃ…?」

 

「なんだ?白」

 

「にぃは…ずっと…しろ…と……一緒?」

 

「当たり前だろ?俺はお前の兄貴だからな」

 

「変な…女に釣…られて…居なくなっ………たり…しない?」

 

「んなわけねーだろ…もう懲りた。それに………」

 

そもそも俺を釣る余裕があるほど人類は残っちゃいねーよ。

俺がそう、白に伝えると、白は何かをボソボソと言っていたが………俺には聞こえなかった。

 

 

 

 

 

「この…クソゲーも……にぃと…ずっと居られ……るなら……悪くない…」

 

 




今回のスタイルは主人公が既に洗脳されているパターン。
ちょっと話が分からないだろうからこれに至るまでを纏めるとこう。

1.ディスボードに召喚される二人
2.白『この世界滅ぼしちゃえばずっと一緒』
3.主人公を誘導しつつひっそりディスボードを滅ぼす算段を立てる。
4.テトくんヤンデレに完全敗北。
5.ディスボード滅ぶ

訳わかんない?
大丈夫さ、俺も分からん!
いつかこれのリメイク的な物を書けたら書いてもっとマトモにしたいと思うよ。切実に。


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歪んだ精霊の5年越しの愛(デアラ、11巻verの折紙)

どういう訳か三人称だぜ………しかも良く分からん終わり方してるぜ………
もうしばらく三人称はやらねぇ………しばらくな………
あ、ちなみに今回の折紙は一人称でまたいつか別ストーリーで書いてみます。


あるところに、五河士道と言う少年がいた。

彼はかつて○○と言う名を持っていたが、不幸な事故により命を失い、そして前世の記憶を保持したまま別の世界へと生まれ変わっていた。

いわゆる神様転生というヤツだ。

ただ、彼には何1つ特別な力も、特別な体質も、特別な経験も無いので、それはそれである意味特別だと言える物であったが。

そしてどこまでも凡人で、誇れることなど多少頭が良くて未来を少し知っていることくらいであった彼には、自分の持つ原作と言うアドバンテージを捨ててまで何かをするという事は出来なかった。

故に彼は16になった今、この世界が自分の知る原作と寸分の狂いなく進んでいると確信していた。

 

だが、彼は2つ、大きな勘違いをしていたのだ。

1つは…自分が何一つ特別な力を持っていないと思っていたこと。

そしてもう1つは………今現在、原作が寸分の狂いなく進んでいると思っていたことだ。

それはとても大きな勘違いであったが、それがあまりに大きすぎて彼は気付いていなかったのだ。

 

それが彼自身にとって最大最悪の出来事を引き起こすとは微塵も思っていなかった………

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

場所は変わり、ここは天宮市来禅町。

ここに彼…五河士道こと、○○は住んでいた。

今はすぐ近所にある来禅高校への通学中だ。しかもそれがしばらくぶりと言う事もあり、その間会えなかった友人と仲良さげにしている者たちも多々存在していた。

そんな中、彼は誰かと共に居る訳でもなければ、別に孤立している訳でも無いように歩いていた。

彼の持つ知識においてはここで一人で登校するのは少し間違っている気がしていたが、その程度の違いは話の大筋を変えるまでには至らないだろうと思い、無視していた。

まぁ、実際は去年は大抵共に登校していた友人が揃いも揃って原因不明の偏頭痛で『脳をフォークで抉られてる感じがする』とまで答えていたので割と凹んで居たりするのだが、今は関係無いので割愛する。

そんな具合で学校まで辿り着いた彼は、ふとこう感じていた。

『あれ?何かおかしくないか?』と。

だが、その原因が朝存在する筈だった鳶一折紙との会話であることを思い出すと、『まぁ、朝は原作と違うからな』と一人で納得するとすぐに忘れてしまった。

もしここで彼が、すでにこの世界は“原作”とはまったくの別物である。と正しく認識出来ていたのであれば…いや、ここで語ってしまうのは不粋であろう。

だが1つ言える事は“臭いものに蓋をして現実から目を背けてばかりではいつかその反動がくる”と言うことだ。

 

ー教室にてー

 

(お、座席は原作通り左斜め後ろの角か…ただ、折紙が今日休みなのかどこにも見当たらないし、席がまったく違う場所になっちまってるっぽいのは気掛かりだな…)

 

五河士道こと○○は、自分が今座っている座席の位置が原作通りであることに何故だか分からないまま謎の安堵感を得ていた。

それもそうだろう。原作知識を持っていることくらいしか取り柄のない彼に取って、世界が原作と乖離してしまうのは唯一のアドバンテージを失ってしまうことになるからだ。

故に彼は気付かない。いや、気付こうとしない。

気付いてしまえば自分の唯一の武器を失うから。

自分のたった1つの長所が無くなるから。

そして、残酷にも時間は過ぎていく。

一時限目、二時限目、三時限目、四時限目と順調に過ぎて行き、帰宅時間になる。

「さて…琴里を迎えに行きますかね」

 

彼はわざとらしくそう言うと、席から素早く離れて学校の外、とあるレストランへと向かう。

その途中で警報が鳴り響いたが、数秒シェルターに向かうそぶりを見せてから携帯ですでに知っている妹の位置を確認すると、やはり原作通りの位置にいることを確認してから妹の携帯がそこにあると示されているレストランへと走り出す。

行ったところで妹が居ないのを知っているのに。だ。

「無事で居ろよ…琴里………!」

 

ご丁寧なことに台詞まで付いている。

そんなことを言わずとも妹は絶対に無事だと言うのに。

やはり、彼に取って原作とは、何物にも変えがたい大切なプライドなのである。

 

…そして、彼は数十秒ほどの疾走の末に携帯のGPSが示す位置にまでやってきた。

レストランに着いた彼は妹の名前を叫んで探す素振りを見せると、『携帯を落としただけか…?』などと呟き、そしてもと来た道を全力でダッシュし始めた。

やはり彼も死ぬのは怖いらしい。

だが………この時すでに決定されていたのだ。運命は。

○○が来た道を辿って走り始めて数秒としない内に、彼の後ろの空間にヒビが入って割れ、破壊が撒き散らされる。

それにより民家も、電信柱も、レストランも、ガソリンスタンドも、何もかもが消滅する。まるで消しゴムを掛けたかのように。

そして街の様々な物を消し去った空間震は、○○のすぐ後ろで止まり、辛うじて○○自身が空間震に当たってしまうことは無かった。

それを見て○○は本日何度目かになる安堵の表情を見せると、空間震の震源と思われる場所に一人の………“白い”少女が立っているのを認識した。

それを見て彼は強い驚愕に襲われる。

 

空間震の震源に少女が居たことにではない。その少女が、白い事にだ。

その少女を良く見ると、まだこの時期では人間であるはずの鳶一折紙以外の何者でもないのが確認出来る。

だが何故彼女がすでに精霊となっているのか?

そんな考えは、幸運にも…否、運悪くすぐに答えが出ることとなった。

「………オイオイ、まさかこういう展開かよ!」

 

○○は嘆き九割驚き一割の叫びを揚げると、再び全力で走り出す。

走る目的は明確だ。逃げるためである。

何からか?それは…彼がたまたまある少女達がどのあたりから登場するのかを考え、空から来るのでは無いかと思って見ていた空中から、8つ程の小さな飛翔する何か、からである。

「絶滅天使にゃ1年近くはえーっての!」

 

彼はそう叫びながらも逃げる。

彼の知る原作通りに妹達の組織に回収されるのを待ち望みながら。

だが考えてもみて欲しい。

相手は精霊、人知を越え、人類は魔法というファンタジーな力を持ってしてもまともに相対するのが難しい存在である。

そんな存在が持つ力から、普通の人間が逃げられるだろうか。答えは否だ。

それでも、彼は人間にしてはよく逃げた。それこそ世界記録を越える勢いで。

 

ただ、それであっても精霊からは逃げられなかったのだ。

彼の右足から鮮血が飛び散る。

追っていた何かの1つが足を貫いたのだ。

その痛みにより彼は転んでしまうが………それが不味かった。

8つほどの何かは、彼の四肢を上下から挟み込むと持ち上げ、何処かへと連れていこうとする。

無論彼は抵抗したが、そのサイズからはありえない程の力で固定されている上に、足を負傷していて満足に身動きが取れない。

故にその肉体は彼を持ち上げている何かの主…精霊が存在する場所へと連れて行かれてしまった。

「民間人!?というかなんで浮いて………」

 

その姿を見て、精霊と戦っていた少女達は驚きの声を上げる。

「ASTか…頼む!助けてくれ!あとコイツの欠片が円を作ったら絶対に逃げろ!」

 

それを見ると、○○は大声でこう叫び、とにかく生きる為に足掻こうとした。

だがこの時はこの台詞が駄目だった。

いや、それを彼の失敗としてしまうのは酷だろう。何せこれを言わなければ彼は“事故として処理すればいい”といった程度の扱いになっていただろうから。

現にASTと呼ばれた集団も彼の言った事から保護する価値を見出だし、助けようとしたのだ。

だが、そこに関しては精霊が一枚上手だった。

「【絶滅天使(メタトロン)】………【砲冠(アーティリフ)】!」

 

精霊が、彼がたった今警告した行動を始めたのだ。

そう、ASTも所詮人間、自分の命が惜しい。ゆえに彼女等はそれを見ると一目散に逃げ出したのだ。

このあと、彼女たちの活動記録にはこう刻まれるだろう。

『民間人一名が居たが、精霊の天使により死亡、なおこの件は不幸な事故により空間震に巻き込まれたものとして処理』と。

それを見た○○は、最後の望みとも言えたASTが逃げていった事に自らの人生の終わりを感じていた。

「フフ………やっと会えた………士道くん………」

 

だが、現実は最後の最後で彼に生きる事を強いた。

彼は自分が殺されると感じていたところを、過去にどこかで聞いたような、だが少し違うような印象を受ける声を聞き、そしてその中に好意的な物を感じたのだ。

「お前は………」

 

「うん、そう…5年ぶり、折紙だよ?覚えてる?」

 

精霊………折紙は、○○に対し久しぶりだと言うと、自らの天使で身体を拘束したまま強く抱き締めた。

「会いたかった…この5年間、ずっと探してた………それだけが、私をこの世界に呼び出してた………」

 

折紙は聞く物を魅了するような声でそう言った。

だが、○○は困惑の表情を浮かべていた。

それもそうだろう、彼には彼女との面識が無いのだから。彼が彼女について知っているのも、あくまで知識としてのみである。

だからこそ彼は思考を混乱させていた。

原作の通りなら折紙はこんな喋り方ではなかった、いや、この喋り方をするにはしていたがそれも特殊な状況下のものだったはず。だが何故………

だが、そんな風に何かに気付いてしまいかけていた彼の思考は、唐突に中断されることとなる。

 

「あ、でも士道くん?あのとき約束してくれてた筈なのに………ずっと来てくれなかったよね?ここに来たのだって私じゃなくて琴里ちゃんだっけ?まぁ妹を探してだし………」

 

折紙のその台詞に、彼は戦慄した。

折紙のいうことが真実であるならば、五年前………そう、彼の知る原作通り妹が精霊になり、そして火事が起きた日に自分が彼女と会っているということになったからだ。

だが、先程までの混乱から脱し、ほぼまっさらな状態となっていた彼の頭は、何故思い出せなかったのかをすぐに導き出した。

そう、原作通りであったが故の失態だ。

五年前の彼の記憶は、原作知識があることで忘れがちだが、封印されているのである。

もしその記憶の中に、折紙とのそれがあったとすれば………

 

「ねぇ、なんで?私とまた会ってくれる言ったよね?もしかして私より琴里ちゃんの方が大切だったりしたの?ねぇ、なんで?答えてよ、ねぇ!」

 

彼は、折紙の問い掛けに対して答えなければ殺されると思い、原作知識が役に立たなくなることを覚悟して折紙に記憶が封印されている事を伝えようとした。

だが、人間の身体とは案外脆い物である。

彼の身体は幸いにも大怪我を負おうと宿している力で回復出来るのだが、それは肉体だけの話………

脳が強烈に揺さぶられようものならいくら彼でも意識を失ってしまうのだ。

「あれ…?士道くん………?あぁ、もしかして嬉しすぎて気絶しちゃった?うん、きっとそうだよねそうだ…」

 

それを見た折紙は、独り言のようにそう言うと、自らの天使の欠片で○○を包み込み、そして体を少しずつ薄れさせていった。

いわゆる消失(ロスト)と呼ばれる、精霊が隣界へ戻るためのプロセスだ。

だが今回は、それに○○も巻き込まれていた。どうやら折紙の天使に包まれている物も同時に隣界へと消えて行くらしい。

 

そして、折紙と○○の姿は少しずつ希薄になっていき…ついには完全に掻き消えた。

 

 

 

ー隣界ー

 

微睡むような感覚の中、○○は目を覚ました。

そして、同時に驚愕した。

気絶して目が覚めたら別の世界に居るのだから当然だろう。

だが、それよりも彼を驚愕させるものが目の前に存在していた。

それは、全身を黒い霊装に包まれた折紙の存在である。

反転体、と呼ばれる姿であった。

その姿になった精霊が振るう力は強力無比であり、さらに反転体と通常の精霊は記憶が共有されない。

つまり、それは彼の命の危険を表していたのだ。

しかも、不幸な事にまるで眠っているように見えた折紙が突如目を覚ました事だ。

「ひっ………」

 

「あ、士道くん、おはよう。びっくりした?」

 

○○は、びっくりしたも何もない。と答えた。

すると、彼女はこんな返答をした。

「そうだよね…でも、別にここには士道くんを傷付けたりするものは何もないよ?ほら、だから安心して…」

 

 

 

 

 

「愛し合おう?」



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俺の嫁の寝言と愛が重いんだが。(東方、大妖精)

どもどもー。
今回は大ちゃんです。
東方キャラの中でも結構好きな大ちゃんです。
イメージは良妻賢母です。

でも今回は………事実が見えて来るといつも通りです。
ヒントは『名前』ですね。


俺の人生、あんま良い事ねーよなー。

そう呟いてみた。

そしたら友人はこういった『テメーにだけは言われたくない』とな。

まったく、『本気を出せば何でも出来る程度の能力』、略して『HDND程度の能力』なんて持ってるから基本的に幸運も何もかも引き寄せるお前にだけは言われたくないね。と俺は返した。

 

そしたら何故か呆れられた。

いや何でだ?そんな事を思い浮かべていたら友人は、『帰る家があって、帰宅を待つ人が居て、可愛い嫁が居て、収入が安定してて定住が出来るなら十分幸せだろ?』だなんて言ってきた。

まったく、お前はいつも変なところで………

微妙に酒が入ってるせいか軽い口論になりかけた所で、友人は突如脱兎の如く駆け出して行った。

アイツ逃げやがったな。チクショー次はぜってーに何か言い返してやる。

そんな決意を固めていると、我が家の屋根を突き破って一人の少女が入って来た。

「せめて玄関から入れよ霊夢」

 

「あら、すまないわね…ところで彼は居ないの?」

 

彼女は霊夢。ここ…幻想郷でかなりの実力者であり、ここと外界を隔てる結界の管理者である。

で、そんな彼女が家を訪ねてくる理由は1つ、友人を捕まえるためだ。

まったく、何故いつもいつも屋根を突き破って登場するやら。

最近は屋根が突き破られないように頑張っているんだが、それでも破られる。

「それについては我慢しなさい、今度酒奢ってあげるから」

 

ただまぁ、これのお陰でそれなりに悪くない生活と最高に可愛い嫁を手に入れる事が出来たので感謝しなくもない。だが受け入れない。

俺は霊夢に『次こそは玄関から入れよ!』と行って友人の逃げた方向を教えて送り出した。

アイツら、昔からあぁなんだよなぁ…まったく、友人のやつも俺の嫁に勝る訳ではないが十分美少女な霊夢から何故逃げるのやら。

いやまぁ、確かに霊夢も少しだらしないところがあるしそれが欠点と言えなくもないだろうが…友人のやつ、家事全部出来るんだよなぁ。

だからあそこまでして逃げる事も無かろうに。

 

俺がよくあるパターン(嫁いわく何か考えていると周りが見えなくなっているんだと)で考え込んでいると俺の嫁………大妖精が二階から降りて来た。

「新一さーん?また霊夢さんが落ちて来たんですかー?」

 

大妖精はさっきまで寝ていた(基本的に日が沈んだら割と直ぐに眠くなるんだと。いやまたこの寝顔が堪ら(以下略))からか少し間延びした声で聞いてきた。

俺がそれを『いつも通り、な』と返すと大妖精は『まぁ、家にあんな強烈な登場をする人なんて霊夢さんくらいしか居ませんし、それに幻想郷中探しても屋根を突き破って登場するのは霊夢さんだけですもんねー』と言ってきた。

やっぱり寝惚けた感じの大妖精はいつにも増して可愛いなぁ…

この事について語ると友人は爆発しやがれとか言ってくるんだが、でも可愛いんだよなぁ…………

 

俺は大妖精と二人でしばらく駄弁っていた。

くだらないこと、今日あったこと、先の事とか。

途中で大妖精が嫉妬というかなんとやらで黒いオーラを放出してたけど、十分に楽しい会話だったと思うよ。

それに、そうなっちまったのは今日世話になったからって上白沢先生のことばっかり話してたからだしな。

大妖精は随分と昔に(俺が生まれるずっとずっと前らしい)ある男に恋をしたらしいんだが、その時に捨てられて以来ちょっと異性関係に敏感だ。

 

別に世間話だとか友人関係だとかなら良いっぽいんだが………基準は俺にも良く分からん。

でも最近はなんとなく、自分じゃなくて誰か他の女性のことばかり話題にしてしまったりするとそうなるってのを理解し始めてたんだけどな………しくじった。

ただそれで今日は添い寝してやるとかそういう事言っちまったからなぁ…………ちょっと気が重い。

大妖精って、いつもは寝相が良いのにどうしてか添い寝した時に限って朝目が覚めると服を着てなかったり(いや、まぁ夫婦ではあるから“そういうこと”もしてたりするわけなんだが…)全力で抱き締められてて離してくれなかったりするんだよなぁ…てか俺一般ピーポーだから大妖精に抱き締められただけでも加減が間違ってただけで骨折ものだもんな………

でも目が覚めた時の反応も可愛いし別にされても嫌な訳じゃないんだけども。

 

ただちょっと、寝言が重いんだ………。

その内容?

まぁ…どうせすぐ寝るし(もう日が暮れてから随分と経ってる)俺が説明するまでもないよね。

「おやすみなさい、新一さん」

 

「おやすみ、大妖精」

 

俺たちはおたがいにおやすみと言うと、大妖精はわずか数秒で寝息を立て始める。

ほんの少し前に実は狸寝入りなんじゃないかと思った事があったが、寝言の途中で変な物が入ったりしてくる事から本当にここまで寝付きがいいのだ…と思う。大妖精が俺を騙してるとか思えないし。

まぁ本人は添い寝されてると安心出来るだとか言ってたから、それもあるかもしれないけどな。俺程度で安心出来るのかはともかく。

ちなみに前置きをしておくと、大妖精の寝言は大体2パターンに分けられる。

まずはどういうわけか俺が浮気してるだなんてありえない夢を見ているのか魘されたあとひたすら俺の名前を呼んでくるパターン。正直かなり精神的にキツいというか変な罪悪感がものすごい。

もう1つは、なんと言ったら良いのか分からないが、とにかく重い。

話が重すぎるんだ。どういうわけかそれに至るまでは違うっぽいんだが結論が同じになってる。

実を言うとこっちの方がちょっと精神的に堪える。

「新一さん………なんで何処にも居ないんですか………」

 

あぁ、始まった。

凄く優しそうな寝顔のまま重い寝言だもんな…

しかも重い方だよ。

「私に何か言えない事でもあるんですか?大丈夫ですよ…?貴方がきちんと反省してくれるなら許しますし、貴方がここに居づらくなって居なくなってもいつまでも………それこそ千年でも二千年でも待ちますから…だから帰ってきてくださいよ………じゃないと私、ずっとここで貴方を待ち続けちゃいますよ………」

 

なんだろうな………後ろめたいことが何1つ無くてもかなり精神に堪える。

というか夢の中の俺よ、大妖精を一人にさせるとかどういう了見だ。今すぐ俺式六法全書(笑)に則って処刑するぞ。

俺式六法全書によれば大妖精を極度に悲しませた奴⇒無条件で問答無用に極刑。であるのだ。

「ねぇ…お願いですから私を一人にしないで下さい…私の何が悪かったんですか…?貴方が望むならなんでもしてあげますから…お願いだから戻ってきて下さいよ…………」

 

あぁ………なんかもう大妖精がここまで俺を想ってくれていると思うとちょっと重すぎやしないかなとは思うけども嬉しいものだね………

でもまぁ、ちょっとこれ以上大妖精の悲しそうな声を聞いているのも嫌なので少しでも安心してもらおう。

 

そんな事を考えて、ちょっと強めに抱き締めて眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぷはぁ………あっちょっ死ぬって!俺人間だから!大妖精と違って人間だから!か弱いから!

ただこっちが抱き締めたから無意識で抱き締められ返されたけど肋骨が………ぐはっ。

 

※翌日えーりんに診てもらったところ肋骨が数本折れて居たそうな。でも治りかけだったんだって。不思議だな?

 




あとがきの前に1つ。

今回出て来た友人くんの本名は達田友人。読みはたつだゆうと。

というどうでもいいことをわさわざ携帯版にして約三行からそこらを使って書きました誠にすいません。

それはともかく本編の内容ですねー。
前書きと同じ感じでヒントをいくつか書きましょう。それを見ればある程度分かるかも………?
まぁ後日談的に今回の答えみたいなものをやるかもしれませんが。

ヒント

何故大妖精はタイミングよく霊夢が帰った瞬間に現れた?

そもそも霊夢に捕まるかもしれないのに何故友人はこの家に居た?

寝言の内容について新一はなんと言っていた?



以上3つがヒント。正直これで当てられたら凄いとは思う。でも答えを知ってる身からすれば結局一番分かりやすい感じがするヒントが前書きのってのは…

ちなみに次回は一旦別の娘挟んでDie妖精もとい大妖精編答え会わせ的回になります。


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監禁されちゃった現代っ子提督の話(艦これ、時雨)

予告通り答え合わせ編の前の前座だ!
正直暗い話のつもりが提督が現代っ子っつーか変な具合のテンションで暗く無いぞ!

誰か俺の『暗い話を書こうとすると主人公のテンションが増加する病』治してくれないかなぁ。
そのせいでシリアスを書くつもりがコメディの雰囲気になっちゃうことが多々。
まぁ愚痴ってても仕方ないし本編どぞー。






………体が動かない。そして何かに座っているっぽい…………椅子に縛られてるか?

まぁ、とりあえず簡単な確認も込めて自己紹介でも。

 

俺は○○。四国の方でも割と立場が高い…ちなみに県で言うと徳島の方の鎮守府の提督だ。

よし、とりあえず自己紹介を淀みなく言えるから何か薬物を投与されてる可能性は低いな。少し安心した。

しっかし、なんでこんなことになったやら。

何も悪いことはしてないし、実はちょっと問題があるような事をいくつかしちゃいるが致命的な物は無いし、春雨とその………まぁ”経験”があったりするわけだが、それで嫉妬されて監禁かれるような覚えもない。てかそれほど人望もない。

あとは…………あぁ、香川の方の提督くんかね?彼、ちょっと嫉妬深いし、ウチがちょっと強いからよく突っ掛かって来るんだよね。

とはいえ彼も立派な大人だし、こんなことしたらタダじゃ済まないのも理解してるよな………うむ…りか不能だ。

 

確か俺は時雨がここの鎮守府に何故か設計図では存在しない部屋があるのを見付けたと言うから着いていって………明らかにそれじゃないか。

原因はきっとそこに何かがあったって事だが………うむ分からん。

これが自動式のトラップだとしたら何を守って居るのか不明だし、俺を意図的に罠に填めても得するやつなんて居ないぞ?

 

いやまぁ、訓練中の提督たちに取っちゃ現役が一人減れば深海棲鬼とか深海棲姫出たんじゃないかって事で念のためここらに数人の提督が配置されることになるけど…………わざわざリスクを負ってまでやるかね?

現状鎮守府はいつもいつも人手不足ってか提督不足なのによ。

ん?何やら錆びた金属を擦り会わせるような音………入る時に通った金属扉か。

と、なると来客って事だな。鎮守府に軍関係じゃないやつが来訪することなんてないから………この場所に来たって事は金剛辺りか?

 

「おーい、誰か居るなら来てくれー!なんか縛られてるんだー!」

 

俺は日頃声をあまり出さないので若干裏返った声でやってきた誰かを呼んだ。

その人物は十歩ほどの足音の後何かのスイッチを押したようなカチッという音を響かせると、姿を見せた。

「やぁ、提督。目が覚めた?」

 

それは時雨だった。

確かこの部屋に案内したのは時雨だったな。もしかしたら事前に調査していたのかもしれない。

だが、何故目が覚めた?と聞くんだ?

普通は平気か…みたいな感じだと思うんだが。

っておかしいだろ。

つーか俺のよく読む某サイトの小説によればこの台詞は………ヤバい。

ついでに言うとそれなりの場数を踏んでる俺の勘からも『恥も外聞もプライドも一切合切投げ捨てて一目散に逃げろ』と告げられてるし。

ここは一回、テンプレに沿って会話してみるかね。

「あぁ、よかった。とりあえずこれを解いてくれないか?」

 

「ダメ。解いたら提督は逃げちゃうでしょ?」

 

はいアウト!もうすでにスリーアウト!病んでる!

あー、もうこうなりゃなんとかするには………どうにもならんわ。お手上げ。

前に読んだ小説によればこういうときの正しい対応は…どうにかしようと考えず言いなりになって好機を伺うこと。

出来るだけ言いなりになっていればこっちに隙を晒してくれるかもしれないからな。

まぁその時は捕まったらヤバいが、こっちは外に出れば転属という名の切り札がある。

具体的には俺の執務室で時雨を横須賀辺りに転属するのだ!

ファイトだ俺。しばらく耐えるんだ俺。少し言いなりになるだけでどうにかなるぞ。

「でさ、提督…ボクはずっと提督の事を想い続けてたんだよ?それこそ春雨なんかよりずっとさ………でもナンで提督はボクを愛してくれないの?ねぇ、ナンで?」

 

時雨の日本語が一部カクカクになってる。

これはマズい。俺の良く読んだヤンデレ小説においてこれは…嫌な事が起こる前兆だ。

ここでうっかり答えを間違えたら死ぬ…どうすればいい?

あ、いやよく考えりゃ春雨の方から夜這って来た…って俺は春雨を殺す気なのか?ヴァカなのか?ヤンデレにそれ言ったら春雨死ぬじゃん。

そんな俺の葛藤を見かねたのか、時雨がこんな事を言ってきた。

「まぁ、提督がちょっとどころじゃなく鈍感なのも、押しに弱いのも、浮気が出来ない性格なのも知ってるよ?だからボクの気持ちに答えられないんだよね?そうだよね?」

 

「…………」

 

俺が鈍感?いやいや、まさかそんな事は無いって。

流石に俺だってラノベみたいに間接的すぎて分からない好意の伝え方はまだしもある程度知識はあるから他人の好意には気付く方だぞ?

これでも友人には『高感度遠距離対応センサー』と呼ばれるほどだ。

つまり俺は鈍感じゃない。多分っつーか絶対。

「提督、今自分が鈍感じゃないと思ったでしょ………この鎮守府に提督の事が好きな娘が何人居るか分かる?」

 

「お前を入れて二人だろう?人望の無さにはいささか定評がある俺だぞ?」

 

時雨が不思議な質問をしてきたので、淀みなく返す。

少しこっちのペースに引きずり込めたか?いやまだあっちのペースか。

まぁこんな感じでペースを掴んで隙を作るか説得したい。

交渉と話術は少し苦手だが、それでも提督としてやっていけるだけの社交力はあるんだ。

「はぁ………まぁ、本題に戻るよ?提督は春雨と関係を持っちゃってるからボクの気持ちに答えられないんでしょ?だからさ、ボクがその原因を取り除いてあげるからさ………ボクの気持ちに答えてよ」

 

ってオイ。やべーよやべーよ。もうすでにヤンデレの進行度合いが殺人すらいとわないレベルになっちまってる。

こうなると俺に出来る事は…………あー、そういや前にお母さ………コホン、大鳳母さんが教えてくれたんだが、女とは好きな男に自分の事を第一に考えた言葉を言われちゃ逆らえないって言ってたよな………いや、まぁ割と前の事だから少し違うけど、確かそんな事を言ってた。

ならば………

「やめてくれ…」

 

「やだよ。じゃないと提督はボクを見てくれないでしょ?」

 

「違う、俺はお前に殺人鬼になって欲しくない」

 

俺氏、一世一代の黒歴史確定台詞!

これなら行ける!やったか!?

あ、やべっこれフラグ。

 

ちなみにフラグってうっかり立てて少しあとに気付くと効果が高くなるっぽいよ?

つまるところこれは最大効果が出るって事で………

「えへへ………提督はボクの事を心配してくれるんだね……でも大丈夫だよ、これからやるのはただのゴミ処理だから、さ」

 

うわーい終わったー。

てかヤンデレ怖すぎだよ姉妹をゴミ扱いとか…

こりゃお手上げかな…春雨逃げて超逃げて。具体的には香川の方まで。

あっちなら俺の親友っつーか悪友みたいな提督が居るから安心だろうし。

頼むから逃げててくれよ?

「血の雨を降らせて来るよ………そして帰ったら、たくさん愛し合おう?ボクは提督が望む事はなんだってやってあげるからさ」

 

時雨は、最後にそんな恐ろしい事を言い残すと部屋から出て行った。

もちろん鍵を掛けて。

うわ………これ俺も死ぬんじゃないかな………これじゃ殺伐提督ライフが開始していつか怪死しちゃうねー。って全然笑えねぇ。




さぁ、次回は大ちゃん編答え合わせだ。
読者のみんなよ、『これは酷い(ガチ)』とコメントする用意は良いか?
俺のシリアスは………高確率(FGOで☆5鯖が出ない確率と同じくらい)でシリアルだぜ?

いや、まぁ最大限の努力はするけども。


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絶対に失わない。(東方、大妖精)

滅茶苦茶珍しくシリアスちっくなお話。
まぁそれでも大ちゃんは可愛いしDieちゃんだとしてもとても可愛いのに変わりはないってことだよ。

ついでにいうと…ね、いつもと違う感じのヤンデレが書きたかった。後悔はしていない。


『大妖精へ

 

きっとこれを読んでいる頃俺は霊夢に頼んで外界に帰る準備をしていると思う。

お前を置いて帰ってしまうことについてはすまないと思っている。

だが追わないでくれ。

恐らく俺の一族はお前を見付けたら確実に殺すだろう。出来るだけアイツらにバレないよう散々誤魔化して来たが限界みたいだ。

そして、多分俺がここに居ても奴等は俺ごとお前を殺しに来る。

だから絶対に幻想郷を出て俺を追ったりするな。

 

○○より。』

 

ある日の朝、いつも隣で寝ていた筈の○○が忽然と消えている事に気付いた少女…大妖精が家の一階に降りるとこんな手紙が置かれていた。

この手紙を書いた本人は、よほど別れるのが辛かったのだろうか、所々文字が乱れていて読みづらい。

しかし、その文面は『大妖精を死なせたくない』という強い想いが伝わってくるかのような迫力を備えている。

 

そして、それを見た大妖精は両目から大粒の涙をボロボロと流していた。

 

何故自分のそばから彼は居なくなったのか。

何故何よりも幸せだった日常は崩れたのか。

何故再び自分が幸せを奪われなければいけないのか。

何故ただ好きな人と居ることすら許されないのか。

何故自分は幸せを掴めないのか。

何故、何故、何故、何故、何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故?

 

そんな無限に続く思考が少しの間続いたが、不意に大妖精の頭にこんな考えが浮かんだ。

 

誰が○○を自分から奪う?

…彼の家族だ。

彼は何故自分から離れていく?

…自分を殺させないためだ。

 

そして結論に至った。『ならば、彼の家族を皆殺しにすればいい』と。

………いつもの彼女であれば自分が絶対に死ななければいいだとか、そんな穏便な手段も思い付いていたかもしれない。

だが、少し前に何より大切な友人を失った彼女は、大切な人を失う事に過敏になっていた。

それに、今回はまだ間に合うかもしれないという考えが彼女を狂わせていたのだ。

 

そんな狂っていた彼女の行動は迅速だった。

まず○○がここ…幻想郷から出ていかないよう自身の能力で外界と幻想郷を繋ぐための術式を刻んだ札を一枚を除いて全て封印、使用不能に。

そして残した一枚で自分は外界へと出た。

そして『○○が書き残した通りであれば自分がこの世界に居ることをしれば彼の家族は自分を殺しに来るだろう』という発想から目に入った人々を次々と封印していった。

そんな事をくりかえしていること1日。

彼女はとうとう自分に対して殺意を抱く数名の男女を発見した。

その男女は体の各所に様々な暗器を隠し持っており、手には札を持っている。

その目は自身に満ち溢れておりながら油断は一切存在しないことから、彼らが歴戦の猛者であることが伺える。

だが今回ばかりは運が悪かった。

彼らが相手にした大妖精が持つ能力の名は『封印を操る程度の能力』。

視界に入っており、なおかつ自分より何かが劣っている物を封印出来る能力だ。

そんな能力を持つ彼女に彼らが所持していた暗器は一切通用しなかった。全てスペックを封印されていたためだ。

術式に至っては部分的に封印されたせいで暴発した。

それでも彼らの中のリーダーと思われる男は生きていたが、最後は大妖精により心臓の機能と脳に保存された記憶を全て封印され記憶を失って死んでいった。

 

大妖精はそのリーダーであろう男を殺すと、誰もが見惚れるような笑みを浮かべた。

 

なにせ、自分から一番大切な人を奪おうとした奴等を無くせたのだから。

もう大切な人を失わなくて済むのだから。

そして彼女は、所持していた幻想郷と外界を繋ぐ札を使うと幻想郷へと戻っていった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇■◇◆◇◆

 

「あら?おかしいわね…」

 

俺が大妖精を守るために幻想郷から外界に帰る事を決意し、決行しようとしたその日、幻想郷と外界を繋ぐ巫女である霊夢はその術式を刻んだ札を持ってそう言った。

どうやらこの札が発動しないらしい。

まぁ、予備もあることだし…と予備の札を持ってきた霊夢だが、それらも全て使えない。

しかも一枚足りないらしい……………ッ!

俺は霊夢のこの台詞を聞くと同時、突然に大妖精の能力を思い出して戦慄した。

彼女の能力であればこの状況を作り出せることに。

札に付いては全て封印すれば良いし、セキュリティは解除出来る。

 

俺はそれはありえない。とその考えをすぐに捨て去ろうとしたがどうしても頭から離れない。

この日は霊夢も『代わりの札を用意しようにも1日は掛かる』と言っていたので俺は一度家に帰る事にした。

 

だが…………そこに大妖精はいなかった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆□◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

大妖精は、札を使って幻想郷に戻ると出せる限りの速さで家へと飛んだ。

そこに彼が戻っていると思ったから。

 

彼女が家に到着すると、何よりも大切な人である○○が自分を待っていたことに歓喜した。

今度は失わずに済んだ。と。

だが彼は、帰った大妖精におかえりと言うでもなくこう聞いてきた。

『昨日居なかったけど、何をしていた?』と。

彼女は、自分がやったことは間違った事でもなんでもないと思っていたので彼に、自分が何をしてきたのかを詳細に語った。

 

「○○さん、私頑張ったんですよ?貴方を奪わせないために外界に行きましたし、よく分からないですけど貴方が言っていた私を殺そうとしてくるであろう人たちも皆殺しにしました。ですから………もう二度と私から離れたりしないでください」

 

その言葉は、彼女にとってはただ懇願であった。

だが、○○にとっては自分の家族を自分の愛する人が殺した、という事後報告であった。

 

さて、たとえ自分を殺していたかもしれないと言えど、自分の家族を殺されてなお冷静で居られる人間が居るであろうか。

 

 

その答えは…NOだ。

「なんでだ…なんで殺したんだ!」

 

○○は溢れ出る怒りを精一杯に抑えながら叫んだ。

普段の彼なら考えられないほどの豹変ぶりであった。

それほどまでに家族を殺されたのがショックだったのであろう。

彼は、溢れ出る怒りのままに大妖精の胸ぐらを掴むと、その体を持ち上げた。

「苦しいじゃないですか…なんでこんなことをするんですか?○○さん。私はなにも悪いことはしてませんよ?ただ私からあなたを奪おうとする奴等を排除しただけです。ほら、いつもみたいに私を抱き締めてくださいよ。肯定してくださいよ………○○さん」

 

大妖精は、彼が自分の胸ぐらを掴んでいることの意味が分からないとでもいうかのように呟いた。

すると○○はそのまま大妖精の体を、壁へと投げ付けた。

「お前は………お前は俺が知ってる大妖精じゃねぇ!」

 

その言葉は大妖精の心を粉々に砕いた。

彼はそのあとに『いつものお前に戻ってくれよ…』と呟いていたが、その言葉は大妖精に届かなかった。

自分はただ○○のためにやったはずなのに。彼は自分を否定する。

その現実がすでに狂っていた大妖精を寸でのところで引き留めていた何かを破壊した。

 

大妖精は、幻想郷全体に対して能力を使った。

自分の望む幸せな日々を送るために。

自分の望まない現実を否定するために。

彼女はここに存在する全員の脳内から………そう、かの賢者の脳内からさえもこの幻想郷の外に外界が存在するという知識を封印したのだ。

そして、一番大切な人である○○の記憶も封印した。

外来人のためかほとんどの記憶を封印しなければならなかったし大きく封印したので簡単にそれを思い出してしまったが、最後に彼女がとある記憶を封印する事により全てはうまくまとまった。

 

そう、彼女は彼に残っていた最後の外界の記憶………名前を消したのだ。

これにより彼は自分が外来人だということも、外界があることも思い出せない。

ただ、それでは矛盾が生まれてしまうので、大妖精は彼に新しい名前を付けた。

 

それは“新一”。『もう一度、新しく一からやりなおす』という意味を込めて。




前回の大ちゃん編におけるヒントをいくつか回収するコーナー。

名前⇒本編であったように“新”しく“一”からやりなおすから。
寝言の内容⇒今回の内容を大妖精だけは覚えていたため無意識に。
霊夢のやつ⇒彼女の勘に手助けされてうっかり思い出されては困るため自分で起きてきてしっかりと記憶を封印しなおしたため。

あと気になる点とかあればどーぞ。
でもいつもこんなことやらずに行き当たりばったりで書くからね。矛盾とかあるかもしれぬ。


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感染性の不死と救済する少年(感染性ナイトメア、ヘレン)

さて、どうでもいい事を言おう。
作者の運の無さは世界一ィィィィィィィィ!!!
なんだよ!パズドラのゴッドフェスで四神出るからって引いたら…メイメイだよ!好きだけど!そして四神系初入手だけど!
七回分貯めてたんだけどな………

まぁ作者の話は置いておくとして、この話の原作はフリーゲームの『感染性ナイトメア』。作者はこのゲームのグラフィックが好きだったりする。
で、ここからはこの話の登場人物の説明。

○○
もちろん主人公。転生者。
特典は本編で語られるがとりあえず原作を知らない。
フラグに敏感で直感的に死亡フラグに気付くタイプ。
死因はクラスメイトの女子がトラックに牽かれそうになって『これを助けりゃ吊り橋効果でワンチャン!』と考えた末に運悪く死亡。クラスメイトについてはそもそも隠してたものの彼氏持ちな上トラックはその場に居ただけでそもそも避けてたらしい。

ヘレン
原作である『感染性ナイトメア』の主人公。
金髪オッドアイ。淡い色が似合う。
実は………(ネタバレのため削除)



登場人物については以上。
そして最後に1つ。
今回は後書きまで読んで貰わないと作者が困るパターンです。


やぁ、おはこんばんにちは?

いやまぁこれを見ているここでない世界の誰かさんか今朝昼夜どの時間で読んでいるのかは分からないからこう言わせてもらうけども。

 

ん?なんでそんなことを考えているかって?

いや、そりゃ簡単だ。俺、転生者だもん。

特典は『18で不老不死化』、『俺が18になるまで原作等の面倒事が起こらない』、『かなりレベルの高い才色兼備』というどこまでも自己中過ぎるもので、だけど生まれつき重度の花粉症を患ってる。3月は病院から出られないくらいに酷いんだが………いやーイケメンってお得だね。

クラスメイトがお見舞いに来てくれるんだよ。正直怖いくらいに。

それと来る比率は女子が多かったりする。まぁ仕方ない。転生イケメンだしな(嫌味)。そう…………イケメンだ。

 

だが時々男友達が来てくれると女子とは話せない話とかが出来るからな………やっぱ転生って最高。

ただ、そんな俺だが時には暇をもて余すんだ。

仕方ないだろ?病院だし。その上まだまだティーンも半ばに満たない14。

つまり学校の勉強がある。ただつまらない。

つまるところあれだ、やはり俺が特典に才色兼備を望んだのと前世の知識が混ざりあって謎の相乗効果で学校が死ぬほどつまらない。

いや、その分良く分からない技術が磨かれたけどさ。

具体的には視線の動きを悟られずに授業中本を読む技術とか、脳内でひたすら時間を潰すようなくだらないことを考える技術とか、突然の質問に対しボケをかます技術とかな。

あとは…前世の格好いいと思ったセリフを言うタイミングを考えて時間を潰す技術。

ただ…どれもこれもなんの得にもなりはしない。断言しよう。

 

 

さて、とりあえず俺の自己紹介はここらで終わりにさせてもらっても良いかな?

いや返事を求めている訳じゃないから終了させてもらうんだけども。

とりあえず話を変えよう。

 

なぁ、病院内を散歩してて目の前の病室のドアがたまたま開いてて、おあつらえ向きにもそこに今にも自殺してしまいそうな美少女が居たらどうするよよ?

あ、これマジの話な?今現在形で起こってる実状。多分俺の行動次第じゃこの子の未来が変わるんじゃないかなーと思う感じの。

 

え?俺の解答をさっさと出せよ。だって?

そりゃキツいこった…まぁ、俺の解答はこうだ。

 

俺はドアが開いていた病室へと踏み込むと、中に居た………金髪美少女?に声を掛ける。

最初に掛ける言葉をどうするかは決めてある。とりあえず思考を死ぬことから完全に切り離させるために話題をズラす。

「やぁ、初めまして、俺は○○。ところで今の気分はどうよ?」

 

「………」

 

ありゃ、駄目だ。じいちゃんはとりあえずこんな状態の奴は今の気分はどうかと聞いてみるのが一番だと言ってたんだがな…

こうなれば近くでウザったく話を続けてみよう。そこで『ウザい』とかリアクションしてくれたらこっちの勝ちだ。

「あー、そうそう。俺はここの近所の◇□中ってとこに通ってんだけどさ、君はどこに通ってる?よかったら教えてよ」

 

「………誰?」

 

まさか俺って今の今まで認識もされてなかったりした?

ショックだわ。うん。

いやでもそれだけ追い詰められてるって訳で………今の状態に持ち込めたんならどうにか救えるんじゃねーかな?

どうしてか目前に回収寸前の死亡フラグを感じるけどな…

まさかとは思うがこの子が俺を巻き込んで心中とか…考えたくもない。

とりあえず今はこの子をどうにか自殺寸前?って感じから平常時まで戻そう。

平常時でこんな感じだったりしたらどうにもならんがな!

「…もしかして俺が来た事に今気付いた?」

 

「あ…すみません」

 

「いや、まぁ気にしなくて良いよ。勝手に入ってきたの俺だし」

 

よし、掴みは順調とは言いがたいが及第点か。

まずここで他愛ない日常会話まで持っていけたら良いんだが、多分こんなとき一般の感覚じゃなんで入ってきたのか聞いてくるだろうな…

まぁここで正直に答えるかは意見が分かれそうだが、俺はその質問が来たら正直に答えようと思う。

最悪自殺を止める(物理)すれば良いのだろうけど、俺の個人的意見では言葉での解決が第一だ。

 

その後、俺はこの金髪の子に再度自己紹介をした。

すると彼女め名乗り返してくれた。どうやらヘレンと言う名前のようだ。

姓の方は分からないが、なんとなくハーフっぽい感じがする。

日本人にしちゃ髪色が自然すぎるし外国人にしちゃ日本語が自然すぎる。

まぁ、在日で二歳くらいから居るとかかも知れんが…そういうのは聞かんでおこう。嫌な予感がする。

そして俺とヘレンは何度か他愛ない会話を交わしたのち、ヘレンの方から予想通りの質問を投げ掛けて来た。

「で………なんで○○さんはここに来たんですか?」

 

さて、ここであらかじめ言わせてもらうけどちょっとこのあと用意してある台詞は言った後一人になったら即頭カチ割りたくなるような台詞なんだ…

頼むから笑うなよ?事前予告だ。

笑うなよ?大事だから二度言っておく。

「そりゃ、病気だからね」

 

「そういうことじゃなくて…!」

 

でも少しだけ心の準備をしよう。

うんなんかこれ言ったら本当に命の危機を感じる。

不老不死を選んだ事を思わず後悔する気がする。

ただまぁ………流石に目の前で自殺されるのはそれより胸糞が悪いから言おうじゃないか。

「そりゃさ、目の前で自殺しそうな可愛い女の子が居たら男として止めない訳にはいかないだろう?」

 

フラグが1つ折れて、1つ回収された気がした。

俺、死んだ。社会的に死んだ。ぜってー死んだ。でもきっとこの年代の自殺理由は大抵が誰にも必要とされてないとの思い込みとかが原因だからこれでどうにかなるはずさ。うん。でも俺は死んだ。

ただまぁ、今はこのヘレンちゃんの命が救われた事を喜ぶべきかと思うよ……ってあるぇ?

なんかいまだに思い詰めてる感じが戻ってない。やべーどーしよー。

もしかして問題はもっと根深かったりした?

マジか…社会的に盛大に爆死したの無駄だったじゃん。普通に話を聞いた方が良かったんじゃん。

 

ええぃ、こうなりゃ普通に話を聞いて対応しよう。

幸いにも前世でカウンセリングのプロな友人が居たからこういうのは出来なくもないからな。うん。

「でも…私はもう…一人ぼっち…………」

 

ただ流石に人間関係で何かあった場合で家族とか親類とかの物が原因だとちょっとキツいかもしれない。プロじゃないし。

「あー、その事なんだけどさ…良かったらおにーさんに話してみないかい?」

 

でも最善は尽くそう。

まず、カウンセリングのプロ…いわゆるカウンセラーだった友人によれば話を聞いてやる事が大事だそうだ。

その時も話させるのではなく話してみないか?と言った具合で相手に選択権を持たせないと駄目だとか。

詳しいことは良く分からんが警察の尋問みたいにするとストレスを与えてしまうということだろう。

「………別に…信じられやしないですよ…」

 

「そうかい?」

 

ただまぁ、今回は少しそのセオリーに反してでも止めたいところだが。

ついでに言えば俺なら多分どんな突飛で普通なら冗談だと思うような話でも信じられるんだよなぁ…俺が一番のファンタジーだからね。これはきっとこの状況において一番の強みじゃないかなと思う。

「まぁ、実を言うと俺は自分自身が一番信じられない体験をしてるからさ、多分君の話も信じられると思うよ?」

 

まずはその事をある程度隠しつつ開示して俺が信頼出来ると思わせる。

出来ればここで信じて貰えれば楽なんだけどね…

最悪もう一度俺が社会的に死ねば良いか。どうせ一度死んだら二度も三度も一緒さ。

物理での死は絶対にお断りだけどな。

まだセーフラインの18歳に3年と少しほど足りてない。

「ほんと…?」

 

ほんとほんと。

俺はそう言うと、病室のベッドに腰掛けた。

するとそこでついさっきまで誰かが寝ていたような暖かみを感じた。

まさか俺が通り掛かる寸前まで気絶か昏睡か睡眠のどれかだったとか?

もしそうだとしたら…俺が奇跡的にあのタイミングで通り掛かってなかったらやばかったじゃないか。

 

そんな事を考えている間に、ヘレンは話を始めていた。

その話は少々長くなったが、確かに普通は信じられないだろうと思った。

彼女の話を纏めるとこうだ。

 

突然目が覚めたと思えばそこは血の痕が目立つ病院のような所で、多くの記憶を失っていた。

そしてそこで自分の双子の妹と名乗る『クリュー』という少女に出会った。

そしてその病院のような所を出るとそこは先の見えない迷宮で、クリューと共に進んで行くと結晶のような物が見つかり、それに触れたらよく分からない学校に居た。

 

そこでは…色々あるので省略するが、先日に校長が自殺、死体が消失したという事件が発生していたという。

そしてそこの卒業写真を見て、ヘレンがそこに通っていたという記憶を取り戻した。

 

そしてその学校を出て迷宮のような場所に戻ると新たな結晶が現れており、それはなんらかの家であった。

するとそこでヘレンは酷い頭痛と共に意識を失い、その家の二階にあるベッドで寝ていたらしい。

その後一階に降りてクリューを探すとナイフによって殺害されそうになるが、その時その家にあった写真でクリューが実際は存在しない人物であることが判明。そしてその場所がヘレンの記憶を取り戻すための場所であることを知らされた。

 

そして3つ目の場所。それは観測所にカモフラージュされたヤバい研究所だったらしい。

しかもそこで研究していたのはヘレンの両親。そこで両親は不死の薬の研究をしていたらしい。

その発端は死への強い恐怖だとか。

だがある日そこにヘレンが侵入、様々なヤバい研究の内容を見てしまったようだ。

それを見た当時のヘレンは両親の研究を真っ向から完全に否定。

だがその時度重なる研究での心労により精神が壊れかけていた母親はその言葉で精神が崩壊。完成していたらしい不死の薬を服用した。

 

で、この不死の薬なんだがヘレンの言葉と推測を混ぜてみると『細胞の変化を止めるのではなく、その意思によって細胞を自由に変化させられるように出来る薬』だったらしい。つまり、望めばそのままの姿を維持できるって奴だな。

 

ただ、その薬を飲んだヘレンの母親の精神はボロボロだった。そのせいで細胞を自由に変化させられるという効果で怪物になってしまい、ヘレンは負傷。

父親はヘレンを逃がして近くにあった薬品で怪物になった母親ごと死亡したらしい。

そのショッキングすぎる記憶を取り戻した事でヘレンの記憶を取り戻す………有り体に言うとヘレンの精神世界が崩壊し出し、ヘレンはクリューにその正体?を教えられて脱出。

そして先程の自殺寸前と言った瞬間になっていたらしい。

 

なるほど。両親は片や怪物化の後死亡、片やヘレンを守るために死亡、唯一の家族だと思っていたクリューすらもこの世界には居ない。

それで絶望してたのか。

 

俺に今の事を全て話し終わると、ヘレンは少しだけ楽になったような顔をしていた。

そして俺に『ありがとう』といって別れの言葉を………

いやちょっと待て。

さっきの話を聞いて今更思い付いたんだが、まずあの不死の薬は母親の怪物に噛まれた腕から感染しているらしい。

さらに、その薬は人間が巨大な怪物になれるほどに細胞を増やせる。

そしてヘレンの精神世界には、多分クリューの意識が存在している可能性がある。

なら…もしかしたら、存在はしていない筈のクリューを産み出す事が出来るかもしれない。

 

俺は、その考えを頭の中に描くと同時、病室から出ていこうとしていた自分の体を反転させてヘレンのところに歩み寄った。

「なぁ………これは俺の突飛な考えなんだけどさ、かなり確率の低い懸けではあるがクリューを復活させられるかもしれない」

 

俺がヘレンにそう言うと、ヘレンは恐ろしい早さで駆け寄って来ると俺にその方法を教えるよう懇願してきた。

「お願いです…私にその方法を教えてください!何でもしますから!」

 

「いや、まぁ普通に教えるけどさ、まず期待しすぎるなよ?もしかしたらそのクリューって子が精神世界の崩壊に巻き込まれている可能性がある。あと………何でもするってのはあんまし言っちゃダメだ。相手が俺みたいな奴じゃなきゃ酷い事に…」

 

俺はその懇願に対しなんの見返りもなく教えてやるつもりなのだが、なんか美少女が『何でもする』って言ったときに男がどれだけ下心を働かせるか分かってない感じのヘレンに説教でもしようかと思ったが、早く教えて欲しいと願うようなヘレンの視線に耐えきれずすぐに教えることにした。

 

ただ、あとで今の事についてはしっかりと言い聞かせるつもりである。

「…良いか?まずお前の体は今、ある程度強く思い描いたなら肉体をその願い通りに変質させられるという事は分かるな?だから『クリューにまた会いたい』だとかを強く思い描けば肉体を変質させ、クリューの肉体を造りだし、お前の中に存在するクリューの意識をそこに入れることが出来る可能性がある…だがあまり期待しないでおいた方が良いぞ」

 

俺は最後に期待しすぎないように付け加えると、ヘレンにやってみるよう促した。

すると彼女は目を閉じて何かを願うように手を合わせている。

するとどうだろうか、その体のすぐ横に別の何者かの体が構築されていくのが見えた。

なので俺は一分ほど目を瞑っておくことにした。流石に内蔵は見たくない。

 

そして一分が経過したころ。

ヘレンはいまだ一心に願い続けていた。

そしてその横には…髪の色が銀色なこと以外はヘレンとまったく同じ少女が立っていた。

その少女…クリュー?は目をぱちくりとさせている。

まぁヘレンの話いわく精神世界の崩壊に巻き込まれかけた可能性があるからな、突然ヘレンと再会すりゃ驚くか。

 

なら、双子揃って驚かせてやるとしますかね。

「…ヘレン、もう良いぞ」

 

「はい…」

 

ヘレンは祈るのをやめて目を開けた。

そしてクリューの居る方向を自然に向きかけるが、あえてここで水を刺させてもらおう。

「回れ~~~~、右っ!」

 

前世じゃ言った経験のない台詞を言ってみる。

ヘレンは見た目的にはまだ中学生、だとすればきっと反射的に…

素直に右に半回転した。

だがしかしそこにクリューは居ない。

そして俺は今だ目をぱちくりとさせているクリューの手を掴むとヘレンの肩を持たせてみた。

 

さて、と。

とりあえずここで双子の感動の再会でもさせてやりますかね。

「ひぐ………うぅ………」

 

「さて、俺が回れ右と言って後ろにクリューが居るんじゃないかと思ってたら居なくて泣き出してるところ悪いが…お前の肩を持っている手の主を見てみろ」

 

俺がそう指示すると、ヘレンは期待していないような素振りを見せながらも手の主を見た。

さぁ、感動の再会だ。

ちなみに俺はあとで殴られる覚悟をすでに決めている。

仕方ないだろ?感動の再会に全力で水を刺しちまったんだからな。

ただ言い訳もある。

『何でもするって言っただろ?』ってな。感動の再会に全力で水を刺しておちょくりたくなったとでも言うつもりだ。

まぁ殴られる覚悟はしてるさ。当然な。

 

さて、そんな姉妹の再会に水を刺したクズは退散するとしますかねー。

俺は、後ろで抱き合いながら号泣している二人を置いて、病室から去っていくのであった。

 

 

 

それにしても…なんかまだ時間差で回収寸前の死亡フラグがどこかにある気がするんだよな………気のせいか。

どうせ今は自室に戻って頭を打ち付けないと。壁に。





さて、お分かり頂けただろうか。
今回、作者にしては滅茶苦茶長い事に。
そしてお分かり頂けただろうか。
将来的なヤンデレの素質はありまくってもヤンデレ要素が0なことに。

まぁ正直に言うと今回は導入編。次回の話はこの話を前提にやるのだよ…
ちなみに一部キャラ改変する予定なので原作好きは回避推奨。


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感染性の不死と病愛の始まり(感染性ナイトメア、ヘレン)

まず最初に。

すみませんでしたぁっ!(アカムのソニックブラストを受けながら溶岩の上で土下座)

クソ………回想ネタがここまで長くなるなんて…
ホントは1話に纏めたいけど万を越えたら正直読みにくい気がするので一旦投稿。
とりあえず、ここで言っておこう。

回想というネタからは逃げられなかったよ………てか主人公の不老不死化を遅くしすぎたよ………


あれから4年の月日が流れた。

その間に起きたことは多分、俺の人生でも刺激が強すぎる出来事トップ10をかなり長いこと明け渡してくれないと思う。

いや、流石にこれから無限に続く人生、それ以上の事が起きても不思議じゃないけどな………

 

まずあの件の数ヵ月後ヘレンとクリューが俺の学校に転校してきた。

しかも狙ったように同じクラスで。

で、かなりの美少女である二人は数日後には校内全域に噂が伝わり、その翌日にはラブレターやらポエム(笑)(笑)(笑)やら告白やら親衛隊結成やらがあったらしい。

 

ただそれらは全て断っていた。

その理由は校内に居るある程度そう言う事が得意な人間はこう考えた。俺も当然そう考えた。

『いや、この学校に慣れていない状況で告白しても普通断られるだろJK(JKは常識的に考えての意)』と。

ちなみにネットスラングを使ったのはそれを言った友人のものをそのまま言ったから。

ちなみにソイツはある程度二人が慣れたであろう時期を見計らって周到なリサーチで趣味を分析、好きな色だとかも調べあげて徹底的に情報で自分を強化、ヘレンに告白した。

結果?まぁお察しとだけ言おう。

いや、流石にヘレンも微妙に心動かされたのかきっぱりと断られるのではなく保留にしたようなのだが、帰宅後クリューに相談してアドバイスをもらったらしい。

そう、いまだ俺くらいしか知らない(本人は隠しているが俺はヘレンの話を通じて知っている)が、筋金入りどころか鉄筋コンクリート入りのシスコンであるあのクリューにだ。

案の定彼女はこう言った。

『そこまでヘレン好みの演出をしてくるとか逆に怪しいよ。多分ストーカーまがいの事をしたんじゃないかな………それにさ、本当に好きだと思えるのならその場で迷いなく答えが出る。とボクは思うんだよねぇ………』と。

俺は思った。

『もうやめて!友人氏のライフはもうゼロよ!』と。ホントに思った。

で、男女の関係とかにとんでもなく…それこそ漫画のように疎いヘレンは翌日、素直に断り、しかもその理由を言ってしまった。

それ以来友人氏は『三次元とかもう良いわ…二次元の方が可愛い子は一杯居るし』とか言ってこれまで築いてきたイメージを自分で盛大にぶっ壊した。

ちなみに友人氏はそれまで『割と顔も性格も家柄も頭も良くてスポーツの出来る上の下』という認識だったのだが………

そのイメージが完全にぶっ壊れると逆に一部の人達から熱狂的な人気が出た。しかもファンの奴等美少女率多め。

そういうキャラにチェンジしてモテるとかマジふぁっきんである。

 

え?俺?特典の顔の良さでウハウハですよ。どういう訳か告白されないけど。

いやあれか?もしかして俺が告白したら100%受けるけど自分から告白するととかちょっと断られそうで怖いとか?

うん、ありえそうだ。俺イケメンだし…イケメンだし!

そう思ってたら例の友人氏に『なら告白してみろよ………そして俺みたいに失敗しろ………くくく』と半ば願望が混じってる意見を貰ったので実践してみた。

とりあえず対象は容姿が完全に某問題児が異世界から来る小説の黒ウサギから耳を取った感じの子。

結果?聞くなよ。不明だ。

理由は簡単、告白して成功はしたけど次の日に来なかったから家を訪れてみたら『来ないでぇ!』と言われたから。

なんかあったんだろうかね。

 

これが一年目。

そして二年目のこと。

その年は受験シーズン………と書いて俺のイケメン力アップのボーナスタイムと読む。であった。

何故受験がイケメン力アップに繋がるかって?

いやいや、俺の頭って元々前世からそれなりに良くて1.5流大学を首席から十番以内で出られるくらいなんだよ。

それで特典による頭脳強化………正直高校の受験問題くらい間違う方が難しいですハイ。

 

だからそれで男女問わず分からん奴にそれとなく教えたり先生でも正直理解出来てないらしい(結構重大な問題な気がしたが俺もちょっとめんどくさかった)部分を補足したり………これだけで俺の株は上がる。

人に教えるのは苦手じゃないんでね。

ちなみにその際ちょっとだけ抜けている期間のあったヘレンに家庭教師もどきをしたことがある。

クリュー?彼女はなんか独学でパッと終わらせてた。

でも教えるのは苦手だから俺に頼んだんだと。

正直教えてる最中にどこかから視線を感じたのは気のせいか?

そんな二年目。

そして三年目………の前に二年目の最後辺りで俺、告白されました。

そして学校全体から『ばーくはつ!ばーくはつ!』って言われました。えぇ。

 

誰にって?ヘレンにだよ。

どういう訳かいまだ誰からの告白も断り続けていたヘレンが(クリューの場合はヘレンの事を優先してそうだから別問題)何故俺に告白したかは謎………というよりほぼ確実にあの時の一件が切っ掛けだろうな。

ほら、最後の希望な仮面ライダーのごとく絶望から救っちゃったじゃない?

その時に俺に好印象を抱き、その上俺の顔と性格が手助けした………と。

 

どっかにありそうな三流以下の物語だな。まぁ俺クソゲーもクソ小説も好きだけど。そう言うのって『こりゃひでぇww』と笑うもんだろ?だから好きなんだよ。

 

話が逸れた。

それで、そのあと俺はヘレンからの告白を受けた。というかNOの選択肢は無かった。

俺って、あの『来ないでぇ!』と言われた時以来、友人氏程では無いにせよ女子を避けてた節があったらしいからな。

そういう意味では良い機会だったんだろ。

前世でのカウンセラーやってた友人いわく、異性から受けた精神的ショックを打ち消すのに一番なのは異性と言う話があった。

ざっくり言うとラノベとかギャルゲにある、主人公に振られた弟持ちの美少女が帰ってきて弟に泣き付くのと同じ様なものだと考えて良い。

確かにその話、一理どころか何理もあるんだよな…まず友人氏はその二次元好きという性質は変わらないがほんの少しだけマシになっている気がしなくもない。

そして俺は………分からん。

そういうのはハタから見ると分かるんだが主観だと分からないんだよな………

まぁ、とにかくあの告白は俺の無意識に異性を避ける癖みたいな物を直すのに丁度いい機会だったし、何よりヘレンほどの美少女の告白を断ったら男として死んでるも同然だからな。

 

コラ、何故かはしらんが俺を哀れみを込めた眼で見るな。そんな呼ばれは無いぞ。

 

とりあえず三年目に入ろう。

この年はなんと進学先でたまたまヘレンと同じクラスになった。

そして再びの爆発コール。尚それはヘレンと共に居る時は発生しなかった。どうやら爆発コールの主たちはイケメンの俺に嫉妬してるみたいだったね。ざまぁ。

まぁ?俺転生者ですし?才色兼備の完璧イケメンですし?

とりあえず来年の俺の誕生日過ぎたら殺しに来て良いぞ。死なないから。

そんなことを思ってたらガチで殺されかけた。

いや、前世の友人の一人がほとんどの格闘技を極めてる変人で良かったよ。

アイツが護身用と教えてくれた良く分からん格闘技術で生き残れた。

あぶねーあぶねー。1年早く来るとは思わないわ。

ちなみにそれをヘレンに報告したら翌日から授業中とかを除きずっと一緒に居るとか言い出した。

遠慮しようとしたがこう言うときのヘレンは止められないとクリューが言っていたのを思い出してやめた。

 

すると実際に俺から離れなかった。

というか時々家まで来た。でも可愛いし普通に帰ってはいたので許す。

いや、本当は一人で居ると襲撃(物理)でKILLされかけるからな………ヤクザの組長の孫のヤツが組員連れて殴り込んできた時は流石にヤバかったけども。

 

その時はヘレンと途中で別れて帰宅して数分後襲撃され、警察を呼ぶ間もなく捕まって、銃を頭に突き付けられてヘレンを呼べとか言われたから仕方なく呼んで………キレたヘレンが例の薬の力を使って大惨事になりかけた。

それ以来俺はその界隈で『龍の逆鱗』とか呼ばれちゃってるらしいぜ。

え?なんでその事が分かったかって?

いや、その際俺が本当に奇跡的に最速でヘレンを宥めて組長の孫の奴とか全員の命を救ったんだけどさ、そのお陰で今の俺は組長さんと個人的な深い繋がりがあるんだよね………

 

それが故に俺がどう呼ばれてるかとかを教えてもらったりして、一度色んな事がありすぎてストレスで倒れた。

幸いにも組長さんがすぐに救急搬送(組員による威圧で車を蹴散らし高速搬送)してくれたから特に何も無かったから良いけど、医者いわく『アンタが常人とか何それ酷いジョーク?』と言われるくらいに普通はもう寝たきりでもおかしくなかったらしい。

流石転生スペック。

 

ちなみにその時はしばらく通院で済んだけど次はもう寝たきり確定だそうだ。

いや、まぁあと1年耐えれば良いのさ………と思ってたけどヘレンに心配されて今度はもう何かあってもどうにか出来る(ヘレンが薬の効果を俺に感染させるという一撃不死化)ようにと家に住み着いた。

そしておまけのようにクリューも着いてきた。

親?転生テンプレで昔は居たけど今は海外に出張中です。ほぼ永遠に帰ってくる予定は不明。ちなみに生活費等は神がプラスで振り込んでくれてるからまったく問題ない。

 

故に俺含め三人を養えたんだが、正直問題はそこじゃなかった。

俺も特典と慣れでそこそこ出来る筈なのにヘレンの家事能力が凄すぎて俺のプライドがグチャグチャかつ俺の将来にヒモ疑惑が掛かった。

いや、良く考えりゃ俺が生きてく長い長い時間の上でヒモと言うのも味わってみたいけど。

ただそれにはまだ早い…そんな言葉は言えず届かず俺はヘレンの圧倒的家事力に頼る事になるのである。

ちなみにそこまでされると俺としても何もしないわけにはいかないと言ったら『1日一緒に居て?』と常日頃からそうじゃねーかとしか言い様のない事を言われて『結局俺、何もやってねーなー』って本気で思った。

 

どうでも良い事だけど、この辺りからクリューが朝起きる度にどこで仕入れたのかは分からないが『昨夜はオタノシミでしたね(棒読み)』と言ってきてそのたび俺のHPが削られていくようになる。誰だクリューにこんなこと教えたやつ………友人氏か。なら仕方ない。

なお、ここから1月まで特に何も無かったのでしばらく飛ばそうと思う。

 

なのでいきなり正月の話だ。

この時は二人が押し入れから埃を被った着物を見付けてきて埃を払って着てたんだが………その値札を見て一回気が遠くなった。

てか値札外せよ母さん………30000000円とか本気で倒れるかと思ったぞ…

ただその後押し入れを探したところもう良く分からないオーラを纏ってる着物もあった。

一体なんなんだ。とりあえずそれは封印した。

なお、着物を着た二人はとても可愛らしかったと言っておこう。

 

そして正月…が過ぎ2月。別名大爆散の2月。DEATH・2月。

そう、バレンタインデーだ。このイケメンな俺の家がチョコだらけでカオスな事になる日だ。

そして時々劇物だとか爆竹だとかが入ってくるバレンタインだ。

まずその時の戦果…100とかは越えてた。詳しくは数えとらん。

そしてその中の本命チョコと思われる物の数…82個。

俺への殺意を感じる物、12個。

友人などから、6個。

ちなみに殺意を感じる物の中に賞味期限が五年前で所々凹んだドクターペッパーって奴があった。

嫌な予感がして庭に置いて石を遠くから当てると大爆発した。

炭酸の力ってすげー。

とりあえずこれを送ったやつは特定し次第プレゼントで意図的に調理し精製した暗黒物質を送ろうと思う。

あれは嗅いだだけで死ぬほど嫌な予感がするヤツだ。嫌がらせには最適だろう。

 

ついでに言うとヘレンとクリューは群がる男子がめんどくさいからとわざわざ手作りチョコを作ってた。

案の定群がってたがクリューの投げたチョコを争奪すべく血みどろ一歩手前の争いが展開されてた。

そして何故かヘレンに下校中チョコをもらい二度ほど襲撃を喰らう。

どれだけ俺に爆発して欲しいんだ………

ちなみにその時はそんなこともあろうかとあらかじめ用意しておいた既製品だがラッピングで手作りに見えるし有名じゃないとこのバレンタイン限定商品の奴をヘレン経由で渡させてことなきを得た。

なおヘレンによれば『○○の分以外は実は砂糖の代わりにカレー粉入れてるんだよ』だと。カレーチョコとか想像出来ない。

 

次は3月………何かあると思った?残念、何もない。

せいぜいホワイトデーだから分身する勢いでクッキー造りに明け暮れた思い出はくらい。

いやぁ、イケメンは辛いねぇ(笑)

 

 

で、この4年間でもっとも問題がありまくった4年目4月。

ヘレンとクリューの二人が成長してないのを中学時代からずっと同じ学校に通う奴に怪しまれた。

しかもそいつが人気者で発言力があり、新聞部という最悪の組み合わせ。

中学時代の身長データと現在の身長データを大体で照合してみると一切成長していない事がバレた。

いや、これはまだ問題じゃないな。うん。

これよりヤバいのは………その新聞部の奴がバカでアホで愚かで死ぬほど駄目な奴だったと言うことだ。

ソイツはヘレンの身長だけでなく体重まで記載した。

それはやはり変化が無かったが、それによりヘレンとクリューが二人ともキレた。

そして次の日から新聞部の奴は学校に来なくなった。

どうやら姿を変えて目の前に現れ、一生消えぬレベルの恐怖を焼き付けてやったらしい。

何をやったかは分からないが本当に末恐ろしい事だ。

 

少し飛んで六月。最近友人氏がクリューに吹き込んだ知識がちょっとヤバい。正直俺は七回ほどゾッとした。

ヤンデレの基本について叩き込んだらしい。

しかもそれを意図してか意図せずかクリューがヘレンに伝えて………

ヘレンのハイライトがたまにだけど退場するようになったぜ!やったな!

とりあえず友人氏にはちょっとしたデマを流してやった。

どんなやつかって?

いや、クリューもヘレンと同じでかなりモテるんだけど、デマで『クリューと友人氏が最近良い感じらしいぜww』と適当な新聞部の近くで言ってやったらなんと次の日には手を繋いで顔を赤くしながら帰宅している二人の写真が載っていた。

もちろん、友人氏は『おま殺(お前殺すの意)』と言ってきたがクリューに友人氏がこの前ヤンデレについて吹き込んだのはそれが好きだから…だなんて嘘を言ってやろうかと言ってみたら『今回の事は水に流してやる…』と言われた。

だが翌日、俺が以前暇潰しに工作で作った盗聴電波盗聴機(ややこしいがキットの方にそう書いてあった)をクリューがなんとなく使ってみたらを我が家が盗聴されているのが判明した。

そしてもしやと思いクリューのカバンを漁ってみると………電波を発さない記録式の盗聴機が入っていた。

で、その後たまたま思い出したんだが、俺は前に一度新聞部の知り合いを招いて勉強会開いたんだよな………実はその際使ったのがあの部屋。

その頃はまだクリューとかが家に住み着いて無かったが………まさかとは思うがあれが撮影されたのってそれが原因か?

ただ二人にそれをバラすとその知り合いの命が危ないと思ったので翌日新聞部を尋問しようと考えた。

すると案の定、知らんぷりだったので『とりあえず答えないようなら明日から掲示板にお前らが先日書いたスクープは仕込まれていた盗聴機がネタ元だったと張り出すけどいい?』と聞いたら、なんと家に入れた覚えのない奴が付けたと言い出した。

ヤバいじゃん。それじゃ盗聴だけじゃなく住居侵入付くじゃん。

そういやあの部屋の窓、鍵壊れてたよな…器物破損。

最低でも1年は少年院行き確定。最悪数年入ってるだろうな。

ちなみにそのあと部員たちに泣きつかれたのでこれまで得た情報全部寄越せと言ったら素直に提供してくれた。

だから許した。ただし金は取った。修繕費である。

え?なんで許したかって?

いや、友人氏をからかうネタとかあんまり無いからこちらとしては万々歳な訳よ。だからさ。

 

五月………を飛ばして六月。

ここで俺の不老不死化スタート。

晴れて18になりましたーパチパチ。

ただ正直特典の使い方がショボすぎた気がしなくもないんだよな。

でも気にしなーい。

 

7月。

なんか高飛車(決して某ハイランドのジェットコースターではない)なお嬢様ちゃんが転校してきた。

しかも性格酷いわ。人のモノ奪うの大好きっ子。

つまりは寝取るの大好きっ子でもある。

で、イケメン(ここ大事)な俺はそのお嬢様ちゃんのターゲットにされちまったんだ。俺がイケメンだから。

だが………思い出してほしい。

友人氏がクリュー経由でヘレンにヤンデレの基礎を教え込んでいたのを。

しかも割と普通にヘレンがヤンデレ化していたのを。

答えは簡単だ。

 

さぁ、長い長い前置きを終え、現在の物語に戻ろうじゃないか。

 




さて、前書きで書いた事と同じように何か1つ言わせてもらおう。

この話の本編は、これからだ!(俺たちの冒険はこれからだ!的な。別に打ち切りじゃない)

とりあえず、反省のため今回こうなった理由を自分で考えてまとめてみた。

主人公の不死化が遅すぎた件。
正直時系列的には14からのスタートだしそもそも主人公を最初から18にしときゃ良かった気がしなくもない。

作者が回想好きだった件。
もうこれは作者の趣味なので出来るだけ繰り返さないようにするしかない。

おまけ
感想で『これを連載にして欲しい』的な事を言われた件についての裏話。

実はこの話は元々感染性ナイトメア(実況動画だったが)のバッドエンドの1つを見てすぐに思い付いたが抱える連載数が多かったためお蔵入りしていたものをヤンデレ短編用に書き換えたもの。
その為いつもは書いてないプロットなんて物が存在した。
ただ中途半端にしか無かったため今回の回想が7月で終わっている。

さて、実はこの話、ここまで前置きだ。
なんとこの物語、作者にしては珍しくプロットが無くはないんだ。
だからこの先作者が抱えている連載が1つでも片付いたり行き詰まったり(多分こっちになるだろうが)したら連載する可能性が………滅茶苦茶ある。

あと、連載して欲しいとか言われて内心『イィィィィィヤッフゥゥゥゥゥ!!!』となっていたりする。
要約すると連載が詰まったら多分これの連載バージョン書く。あと感想くれると作者が狂喜乱舞するってこと。


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感染性の不死と束縛と歪んだ愛(感染性ナイトメア、ヘレン)

今回はいわゆる、意味が分かるとちょっと怖いけど分からないと普通のヤンデレかちょっと変な子にしか感じなくなる話。
主人公爆発しろー!で終わりたい方は後書きを読まないこと推奨。


さて、前回までのあらすじを説明しよう。

 

寝取るの大好きお嬢様、来る⇒俺、狙われる。

 

はい終了。まぁこれくらいだな。

ただ正直まさか初手ブッパとか考えて無かったんだけど。

いきなり目覚めたら知らない天井(目隠しされてるけどな)だぜ!?

いくら俺がイケメンだからってやるか普通!?

つーかよ、俺も正面から来たなら常識的な対応をしてあげなくも無いけどさ?

いきなり寝込みを襲われて監禁とかあれだよ?ヘレン呼ぶよ?

ヒモと笑いたければ笑え、人に頼らなきゃ何も出来ないと言いたきゃ言え。

だが………こんな時はとりあえず俺から報告して俺が少しも寝返ってない事を証明した方が良い気がするんだよな。

俺のサイドエ………コホン、直感がそう言ってるんだ。

とにかく今はこの状況をどうにかするしかないね。

まず俺を拘束しているのは………多分良く分からん縄っぽいもの。

あと椅子に座ってるのか?それにしても座り心地は中々だ。まぁ椅子にしちゃ低いから座椅子に近いのかもしれないが。

ついでに言うとなんか足元に体温ほどの暖かさを感じる。

あれか、逃げられないようにしがみついてるとかか。

だが残念、こういう状況は………って解決手段ねぇなぁ。

とりあえず一応足元のコイツを足をぶらんぶらんさせて叩き起こすとしよう。

なに、前世で良く分からんけど足の指の握力と足だけでドミノを並べる行為の世界記録を持ってたんだ。この程度容易としか言い様がないね!

俺が足を激しく振り回し、服と思われるものを足の指で引っ張っていると、足元にしがみついている奴は少し反応を見せた。

叩き起こすのには成功したみたいだな。

さて、じゃあ次は…どうしてこうなったかを聞こう。

なーに、まだ正直に吐けばすぐ終わるから問題ないさ。

1日程度の失踪であれば俺の精神値が削られる代わりに不問に出来るからな。

「………なんで俺はこんな事になっている」

 

とりあえずさっさと質問を始める。

まずはなんのリスクも教えずにやろう。

最初はなんのリスクも知らず、気付いたら俺の質問に答えないとヤバい状況になっているパターンさ。

「ふぇ………?あぁ…○○が私以外のモノになりそうだったから、つい」

 

ブフォッ!?

おいちょっと待てぇい。

今の完全にヘレンだったよな!ヘレンだったよな!?

だとしたら俺を監禁する理由とか無いよな!

俺ってこれまで数十程度では足りない人数に告白されたけど一度も心動かされてないよ!?ヤンデレ染みたことされる覚え…………あるよ…

あるじゃん………クソッ、友人氏め…後で絶対しばこう。

とにかく今はヘレンを安心させて解放されることを第一に考えるか。

「ヘレン?俺は別にお前以外に恋愛感情を抱いたことは無いぞ?浮気なんて微塵も無いぞ?ほら、大丈夫だから。俺を解放してくれ」

 

「…駄目?」

 

なんで疑問形なんですかねあざとい。

なまじいつもとは違う雰囲気がしてるし俺的に滅茶苦茶タイプです。

てか友人氏、どうせ『監禁をするときは気を付けろ、絶対に解放しちゃ駄目だ。少なくとも自分に依存させるか精神を壊すまでは』とか言ったんだろうなぁ………

はぁ…こうなったら依存したふりをして(既に私生活において依存度は十分に高いけどな)耐え忍ぶしかないな。

精神崩壊?それってある意味死だよな。

確か神は転生の時に『君の不老不死はとりあえず死んだような状態になったらその原因を取り除いたりその原因が起こる前の状態にしたりと色んな奴のものを合わせてるから』と言われてたんだよ。つまり崩壊してもそれはすぐに治る。

流石は特典だね。

「とにかく、○○には私が居なくちゃ生きてられないってくらいになってもらうから」

 

俺が現実逃避をしていると、ヘレンがそう言って俺の体を寝かせて、膝枕をしてきた。

あ、やべぇ正直この感覚嫌いじゃないですわ。あれだ、この優越感と満足感が堪らねぇ。

でもさ………やっぱヤンデレってリアルだと怖いもんだね。ハイライトさんカムバック。この優越感が恐怖と混ざって変な感じになっちゃってるよ。

え?有給?残念、ハイライトには有給なんて………サボるなぁぁぁ!!!

 

あ、そうそう、この時ヘレンが笑みを浮かべてたんだけどあとあと思えばその笑顔は素敵()だったしそれを写真にして親衛隊かなんかのメンバーに送り付けて『似たようなもんがある。欲しけりゃ来い。場所?気合いで探せ』とメールしてやれば案外簡単に脱出出来たかもしれない。

ただし撮る道具はない。つまり無理。

アハハ………やっぱこれって完全に俺が墜ちるまで監禁だよな…

うん、まぁ俺って元々ヘレンへの依存度(食事とか食事とか食事とか)高いし案外すぐ解放されるかもな。希望的観測だけど。

 

ー監禁3日目ー

 

監禁3日目。何故飛んだかって?

なに、簡単な事さ。監禁開始から数日の間ヘレンがやってきたのは寝て起きたらいつの間にか謎のイヤフォン装着されていたり膝枕されたりと大して何も無いどころか一部の奴からすれば羨まけしからん事しかなかったからな。

そして今日。今日は出てきた夕飯にほんの少しの違和感を感じた。

なんと言うかあれだ。微妙に鉄臭い?いや、出てきたのレバーだからそう感じるのもおかしくはないが、それでも何か違和感…よく分からんがそんな物を感じた。

あと本日はヘレンが1日中離してくれない。歩きにくい。

この日はとりあえず風呂入って寝た。

 

翌日。

なんか朝から全身が痛い。

なんか…体の内側が燃えてるみたいな感じがする。

なんだ?何か体にあたったか?

一応微妙に無くもない知識で簡単なチェックもしてみたが何かしらの病気の兆候は見られない。

そしてその程度のレベルでないなら問題ない。基本俺が死ぬことはない………植物人間状態も広義では死んでると言えるよな。から逆に辛いだけの軽い病気が一番キツい。

熱でガンガン頭は痛いわ席で喉は痛いわ鼻水は止まらないわ…さんざんである。

この日の飯はレバーとかでもないのに血のような鉄臭さを感じた。

まさかとは思うが、飯に血が混ぜられてるとか………?

でもまぁ普通に美味いし気にしない。

どうせ死なないし。

 

更に翌日。

朝起きたらヘレンが半裸で俺のベッドにいた。

しかも寝言が物騒すぎます。

幸いにして血の跡や布団が濡れた様子はないからそういう事になったわけではないが…

正直ヘレンの姿が煽情的過ぎてそういう事になりかけた。事案モノである。

俺肉体年齢18、ヘレン肉体年齢14…多分アウト!

「んぁ………おはよ…」

 

そんなことを考えていると、ヘレンが目覚めた。

それにしてもなんか半裸って個人的に全裸よりエロく思うんだけど、どう?

いやだってさ、見た目は14(俺からすれば4つ下ほど)の美少女が同じ布団で下着丸見え………

 

ってオイ、俺なんか変じゃない?

ロリコンかっての。まぁ同い年だけどさ。

そう心の中で言いつつもチラチラと見てしまう………俺ってこんなだっけ?

なんか違うような気がしてならない。

「それじゃ、朝ごはん作るから待っててね」

 

その一方でヘレンは、俺の視線も気にならないのか服装を整えるとキッチンへと行ってしまった。

まぁ、さっきみたいな事は考えていても無駄だろうし、いつか答えが出るまで保留しときますかね。

本日の飯はいつもより血の味がした。だがなんでか美味いように感じる………俺の味覚は変なのか?

 

翌日。

なんかいい加減この生活に順応しまくってる俺がおかしい気がしてきた。

それにしても………今思えばヘレンが俺を監禁する意味なんて、1つも無いんだよな…

まずそもそも俺とヘレンは恋人同士だったし、小心者で小市民で甲斐性なし(こればかりはイケメンでも解決出来ません)の俺に浮気なんて出来ない。

いや、まぁヘレンにそれを理解しろってのはちょっと無理があるけど。

てか普通に考えて寝取りなんてよっぽど何らかのヤバい手段に訴えない限り成功しないだろうし(特に俺の場合はその小市民っぷりのせいで余計に)監禁をする意味は無いんだよな………

 

分からん。一体何があったんだ?

俺はもうなんか最近俺の布団で寝るのが普通に(以前も時々あったけどな)なって居るヘレンを見ながら、思索する。

何故俺は監禁されているのか。

その理由は?

もしかしたら俺が監禁されているのはヘレンが俺に何かをするとき、それに余計な邪魔が入ると面倒だからか?

しかし、そんなもの心当たりが………

 

その後、しばし考えたものの思い付かず、ついでにヘレンが目覚めたためその思考はすっぱりとやめた。

あと、かなり変な事を言うが、どうにも血のような味に慣れてきたみたいだ。普通の味にしか感じない。

なんだ?俺の味覚がおかしくなったのか?

それにしても、なんかこれで思い出しそうな気はするんだがどうにもな………

あ、そうだヤンデレテンプレに自分の血を混ぜて食事に出すってのがあったな。

まぁ別に何が起きても死にはしないから気にしない事にしよう。

それにもう慣れた。この程度気にしてちゃ駄目だろう。

この他に語ることは………そうだ、最近ちょっと室内で運動してみることにした。

幸いこの家は狭い訳じゃないし、というか部屋がいくつもあって廊下も広くて…豪邸である。

まぁ窓もないから地下だとして、この階から出られないのが残念だがきっと上の方もかなり広いんだろう。

で、この家が広いことによる恩恵は………この階の廊下が繋がっていて無限に走れるため運動するのも難しくないことだ。

一周辺りの距離もそんなにないから量の調整も楽チン。そんな感じだ。

 

ただ、こんな事をしていると自分が慣れすぎた気がしなくもない。

いや別に逃げたいと思った事は今のところ無いけど。

 

翌日。

近頃は1日が過ぎるのが早い。情報が限られているせいだろうか。

幸いにしてこの階にはパソコンがあったので情報を得てみた。

俺の事は地方のニュースにも書いていない。まぁ、18の男の誘拐なんて誰も見向きもしないだろうし、俺ってば男子から微妙に敵対されてたから余計に誰も気にしないだろう。いやー、イケメンは辛いよ(キリッ

ただまぁ、近所で連続通り魔が起きてるのには驚いたな。一瞬それを見てヘレンの犯行かと思い訪ねてみたが、『○○以外の血とか浴びたくないし、面倒事を起こしてバレたら嫌だから』と返された。

なんかこれが普通の答えに感じる………俺って最近染められてきてる?

今日は先日より少し1日が長かったような。

 

さらに翌日。

この日は目覚めたときにヘレンが俺の上に乗っかっていた。血の跡は無いが正直動けなくて困った。

なので二度寝しようとするも…ヘレンがそのタイミングで起きたので寝る理由が無くなって起きた。

料理に血の味がしなくなった。

………だが、何か違和感を感じる。なんだ?何がおかしい?

もしかしたらこれをおかしいと思う俺がおかしいのかも知れない。

だが何かがおかしい。そう理解できた。

しばらくは飯を食べる度にこの違和感を感じるのだろうか。

今日はなんだかヘレンが何時もより機嫌が良かった気がする。

 

なんだ?もしかして俺、今夜襲われる?

ただこれで来なかったら正直『自意識過剰乙ww』と言われかねないので期待はしないでおこう。

とりあえずこの日は微妙に期待して寝た。

 

 

 

翌日………予想通り夜這いなーし。

期待しなくて良かったと思う。

とりあえずはまだ何かしらの準備中なんだろう。

今思えばヘレンって中々に策士だよな。ひたすら俺を落とすべく様々な策を講じて………

可愛くて家庭的で一途で策士…ねぇ。

なんかもうここらで俺から襲いに行かないと男として駄目な気が…

 

って、イカンイカン。

俺はこういうのはこっちが折れて襲いに行ったら負けなんだよ。

あぁあぶねぇ。

でも今日はいつもより誘ってる感が………

そのあと、一日中性的に襲うか襲わないか悩んでいた。壮絶に末期過ぎる気がしなくもない。

今日の夕飯はほんの少し違和感が強かった。

 

そして、その翌日。

朝起きたら隣でヘレンが心底幸せそうに眠っていた。

ベッドには血の痕が………ってWhy?

もしかして俺、無意識…は無いよな。うん今思い返したら普通に記憶あったわ。

どうやら俺は昨日の夜に夜這いを掛けられ寝惚けて判断力の鈍った所をやられたらしい。

しかもベッドの惨状を見ると………うん、まぁお察しって事で。

俺、寝惚けたままDT失ってた。

そして目覚めたヘレンのしてやったり的な顔に不覚にも可愛いと思ってしまった。

完全に、典型的なパターンだなぁ………

 

 

まぁ………良いか。

 




さて、ここからあとがきだ………ここからはヤンデレ大好きで美少女に束縛されちゃいたい系の奴向けだ………心の準備は良いな?
今から10行空ける。その間に気が変わったら容赦なくプラウザバックしてくれ。










それではここからは作者による分かりそうで分からない答えのようなもの。

まず、ヘレンの作る食事で血の味がしたこと。これ自体は普通のヤンデレ(ヤンデレが普通かどうかは置いておく)だが、まず彼女の体質を思い出すと、その能力の中に肉体を変質させられるという物がある。
ならば、自分の血液を自分の望む効果を得られる薬にすることも可能なのではないか…という妄想が元ネタ。
そういうこと。どんな薬を作ったかは想像にお任せしますが、幻覚を見せる類いの物ではないのは確定です。

あとは、主人公が消えたことが報道されていなかったこと。
これについてはあまり難しいことではないですね。
主人公に個人的に連絡を取るような相手が居なければ、あとは『親戚の介護のため出掛けた』とでも言えばどうにでもなるもの。
ちなみにクリューについては………まぁ、お察しの通りあっちもヤンデレなので………ね?

家が地下なのに広い件。
完全に原作で研究所に使われていたものを改装した家。
愛の力ってすげーくらいの認識でいい。この辺はあやふやというか話に関係はない。

以上………気になる点などあれば質問どぞー。そして評価や感想もドシドシどぞー。


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世話焼きと偶然とハッピーエンド(緋弾のアリア、アリア)

なんか疲れて気が迷ったのかこんな物を書いてしまった。
まぁ久しぶりに書いた緋アリだし何より微妙にヤンデレ要素が薄く薄ーく混ざっているのであえて投稿。
このヤンデレ要素を後書き抜きで見抜けたあなたはヤンデレ大好き人間。

あ、ちなみにこの話は最初に投稿したレキの奴とほぼ同じ世界線なんですよ。実は。まぁ意味は無いけれども。


なぁ、吊り橋効果って知ってるか?

まぁ要約すると極限状態を共にすると惚れやすいって効果なんだがな?

俺はつい先日、その吊り橋効果の典型例とも取れるような事件に逢ってしまった。

俺の一時的相棒が乗ってる飛行機が爆破されかけたので救いにいって、どうにかこうにか今まで生きてる。

まぁその代わりなのかは知らんが足の骨を折って全治1年弱…

お陰で治るまで武偵活動停止で通院生活だよ。

ただまぁ、その時の一時的相棒が時々やってくるから退屈はしてない。そして幸いにして手はなんともないので簡単なアルバイト程度は出来る。

だが………ちょっと流石に一時的相棒…アリアが過保護気味なのはちょっとなぁ。

理由は知らんが世話を焼いてくれるし、家事能力も中々に悪くないから困ってる訳じゃ無いが少し女性関係に過敏というかなんと言うか。

正直面倒になって散歩とアルバイトと買い出し以外は外に出ない生活になっちまったほどだしな。

 

さて、そんな俺なのだが別にこの状況を嫌と思っている訳ではない。

何故かって?簡単さ、例えビジネスパートナーのような関係だとしても美少女との半ば同棲生活を嫌がる男がどこにいるだろうか。居たとしたらそれはホモか人間嫌いか奇特な趣味の持ち主だ。

そして確実に奇特な趣味のない俺はこの生活を楽しんでいるのだが、正直周りが囃し立ててくることもあって最近はちょっと様子がおかしい。

アリアはこれまで淀みなく家事をこなしていたのだが、時々ボーッとして居ることが多くなり、大丈夫かと思って声を掛けると顔を真っ赤にし、時には気絶することも。

一体何があったんだろうか?

そう思って聞いてみてもアリアは答えない。ただ『やっぱ遺伝なのかしらね』と言われたりしたが………なんだ?じいさん辺りとの共通点でもあるのか?

いや、だとしたらじいさんから『孫の顔は早く見たい』的な内容の電話が掛かってきてもおかしくはないよな。あのじいさんだし。

だとしたら誰だ?兄さん…は怪しいな。可能性としては同じSランク武偵だからありえなくもないけど。

 

あぁ、話が逸れたな。

とにかく最近のアリアはちょっと変なんだ。それがどういうものか良く分からなくて女性の心の機微に詳しそうな知り合いに聞いても『それは自分で気づかないとダメな物だよ?』と言われて取りつく島もない。

 

しかも時々車を借りる(一応免許は持ってる。いや、そもそも武偵免許を見せればこの近辺では警官も顔パス出来るけどな)もう一人の知り合いには『末永く爆発しろよ。末代まで祝ってやる』とよくわからんコメントをもらう始末…………一体なんだ?

こうなってくるとこういう事に詳しくて俺が話を聞けるような奴なんて俺の知る限りじゃもう弟だけなんだが…アイツはアイツで『農家に弟子入りするわ』とか言ってたからな。うん。

だから下手に電話を掛けて迷惑を掛けるわけにもいかない。

 

ならばどうするべきかね?

兄貴と俺が共通してて、自分で気付かなきゃいけなくて、爆発して祝われる………うーむ…

本当に分からん。

こうなりゃヤホー辺りで聞いてみるかね?流石にノーヒントだと分からん。

一般教科に関しちゃ知り合いでも一番だったのに負けてるからもうなりふり構っていられない。

俺はパソコンを開き、ヤホーをごーgぇ(何故かこんな名前なんだ。おかしくないか?言葉として)で検索して起動。

そして知恵袋にこう書き込んだ。

『なんか最近同居人の様子がおかしいです。急にボーッとすることがあったり声を掛けると気絶したり。

諸事情で家事を任せているため同居人が怪我などをすれば不味いため、誰かどうすれば良いのか教えてください』と。

ちなみに全部ホントの事である。嘘は言ってない。

 

なお、この日はアリアが久しぶりに平常運転だったため飯が美味い。

ちなみに車を借りてる方の知り合いからは『蟲毒と丑の刻参り、どっちが良い?』なんてメールが来たが人を呪わば穴二つとだけ言って返信してやったらしばらくして大量のムカデの画像を送られた。『んじゃ、精神攻撃にしとく』とかマジふざけんな。吐きかけたぞゴルァ。

 

 

 

んで、翌日。

とりあえず今日は朝からアリアが平常運転ではなかったため調子悪い?と聞いてみた。

何故か盛大に溜め息。ダメだ理由が分からん。

一応朝食はいつも通りのものだったので問題は無いだろう。

だがやはり心配なので『無理はするなよ』と言い含めてから送り出した。

さて、そのあとの俺の行動は単純だ。

室内での移動は足を引き摺って腕で移動するしか無いため床を清潔にしておかないと服が簡単に汚れていくので清掃をしたり、武偵校のレベルはそれほどでも無いとは言え勉強に送れないように一人で勉強したり、趣味から始めた小物作りをしたり、ネットを適当に回って時間を潰したりだ。

これに時々アルバイトが三、四時間ほど入るのが俺の生活である。

ただ、やはりどうしても足で移動できないと行動範囲を縛られてしまうので生活はインドアになる。

だから基本的に何かを楽しみにするなんて事は少なくなってしまうのだ。

 

だがしかし、今日は違う。

昨日知恵袋に上げた例の質問に対する解答があるかもしれないのだ。しばらくアリアの様子が変だった理由が分かるとなってワクワクが止まらない。

どれ………お、解答が3つも。

ちょい長いから要約すると…

『いや、アンタラノベの主人公?(笑)その子絶対惚れてるよ』

 

『え?これ釣り?まぁ真面目に答えるならその同居人はアンタに惚れてるね逆に気付かないアンタを尊敬するよ。とりあえずアンタから告ってみりゃ治るんじゃね?』

 

『盛大に爆発しろ。末代まで祝ってやる。これしか言えんぞ。てかアンタ鈍感って言われたことない?』

 

だそうだ。

感想?聞くなよ。マジか。の一言に尽くすしかないさ。

確かに吊り橋効果の典型例をやった上一年弱世話してもらってるけどさ…まさかアリアが俺に惚れるなんて………

しかも厨坊の頃に罰ゲームで告白された俺がだ。

あー、でも今アリアが俺に惚れていた前提で自惚れも含めまくって考えればアリアがボーッとしてたのは俺の事を考えてたからで俺が話し掛けると顔を真っ赤にして倒れてたのは何か考え込んでた時不意にその内容に関わる俺に突如声を掛けられたからで、今朝呆れてたのは俺の鈍感さに対して………

 

うわぁ、気付けば完全に俺ラノベの主人公じゃん。どっからどう見ても鈍感だ。

い、いや言い訳をさせてもらうと今年は色々あってだね………って言い訳にもならん!

てか俺、めっちゃ恵まれてるよな…普通の武偵なら世話焼いてくれるやつなんて居ないだろうし、それが美少女とか………

これは完全に俺がダメなやつだわ…なんか自分を嫌いになりそう。

俺はとりあえず、具体的な解決法を書いてくれた二番目のやつをベストアンサーに選び、ヤホー知恵袋を閉じた。

 

………よし、じゃあ今日はアリアが帰ってきたら明日に重要な仕事があるなんて事じゃなければ告白しよう。

なに、俺もアリアの事は好きだし、アイツが本調子じゃないのが俺のせいならどうにかしてやらないとな。

よし、決めた。明日アリアに重要な仕事がなけりゃ告白。もう確定。覆さない。

俺は覚悟を決めて告白することにした。

だとしたらまず、ジャージ姿じゃ駄目だよな…まぁせめて普通の服にしておくか。

変にカッコつけすぎるのもあれだし………

結果的にこの服選びには数時間は掛かったため、ようやく服を決めた時にはいつもアリアが帰宅する時間のちょっと前になっていた。

アイツ、しょっちゅう日帰りでやれるからとか言って銀行強盗潰して来るんだよな…ちなみに潰してというのは間違った表現ではない。主にシモの方で。

そんな訳でアリアの帰宅時間は5時~6時くらいと言った具合になるのだが、疲れている筈なのに帰宅してから料理までしてくれるのだ。

まったく持って感謝する他ない。

これも、今思えば俺を想って故の………てかこんな事言っているとナルシストにしか見えないので自重。

 

ガチャ

 

お、そんなこんなしている内にアリアが帰ってきたみたいだな。

とりあえず玄関まで行くとしよう。

俺は腕の力で足を引き摺りながら無理矢理玄関の方まで行こうとする。

だがしかし、ここはあくまで学校の寮。そもそも健常者の利用を考えているため………

「あがっ」

 

そんな移動をしていれば当然のごとく体のどこかをしこたま打ち付ける。

やべぇ。ドジ踏んだ。

しかも今回は打ち所が悪い。肩を打った。

俺の移動法では肩に負担が掛かるからこれはキツい。

「ただいま………ってキンジ!?何してるのよアンタ!自分の状態分かってるの!?」

 

あ、まずった。

どうやら玄関に迎えに行くつもりが逆に廊下で無様な状態で見られてしまったようだ。

しかもアリアに心配かけちまったなぁ………

「いや、すまん。ちょっと大事な話があるからさ、玄関まで迎えに行こうと」

 

とりあえずこの状況をどうにかするため話題を変えようと、ひとまず謝って本題への道筋を作る。

「だからって無茶な事して良いわけが無いでしょ!もしもアンタが怪我したりしたら私がどれだけ心配するか分かってるの!?」

 

だが失敗した。どうやらアリアの気分は収まりきらないらしい。

まぁいつもは基本的に慎重に動いてるからな。いつもより急ぎすぎてしまった。と反省する。

とりあえずここは素直に謝るべきだろう。どうせ慣れない事をした俺が悪いんだし。

俺はすぐに平謝りし、事なきを得た。というか基本俺達の場合喧嘩が大きくなりはしないんだがな。主にコミュニティが狭くて頼る相手が居ないとか物理的に移動が大変だとか。

お互いにお互いが欠かせないってのがある。

うーむ、俺はアリアに頼りすぎなのか?

いや、ここで考えても仕方ないか。とりあえず告白………って、アリアはもう料理に取り掛かってるな。

流石に料理中は駄目か。常識的に。

ならいつ言うか………俺の場合いつって決めとかないとすぐに先送りしそうだし、決めておこう…………夕食の途中にするか?

適度にリラックスしてて、特に忙しい訳でもないタイミング。

俺はひとまずいつ告白するかを確実に定めると、その時を待つことにした。

 

 

 

と、言うわけで約45分後。

なんか今日のアリアの料理はいつもより気合い入ってるように感じる。

なんだろう。見た目に変わりは無いのに良く分からない………想い?的な物が伝わってくる。

もしかしてアリアから告白する予定だったりするのかもな…まぁこっちからさせてもらうが。

告白なんて男子からするものと相場が決まってるからな!女子から?二次元の中だけだろ?

「ほら、早く食べなさいよ。冷めちゃうでしょ?」

 

おっと、アリアから早く食べるよう催促が来た。

ならちょっと心の準備が終わってないが言ってしまおうか。

これで玉砕したらこの1年近い関係がぶっ壊れるだろうが…それでも言おうじゃないか。

「あぁ、そうだな…と言いたい所だが、その前にアリア…お前に話がある」

 

「何?」

 

あぁ、なんか言う直前だってのに緊張してきた………こんな時あのモードならなぁ………

ってアホか俺!告白は自分自身でやらなきゃ駄目だろうが!んなモンに頼ってどうする!

そう心中で叫んで己を鼓舞する。

そして、意を決し言葉を紡いだ。

「お前が好きだ。俺と…付き合ってくれ」

 

緊張のあまりうっかり声が裏返り掛け、とてもマトモな告白とは言えなかったが、それでも想いは伝えた。

あとはアリアの反応を待つのみ………どうだ?

「……………………………………………………良いわよ」

 

長い沈黙の末のアリアの返答を聞いて、一気に緊張が解け、安堵のあまり体の体勢を崩してしまった。

まったく、我ながら情けない………そう言えば何かを忘れているような気が。

 

そうだ。飯を食うのを忘れていた。最初に告白しようと決めてからついさっきまで完全に意識から消えていたな。

アリアの作る料理は美味いんだし、冷めてしまったら損だ。

そう思って冷めない内に食べようと料理に橋を付け、少し食べた。

やはり今日の夕食はいつもより美味いように感じる。作る相手の想いによってここまで味が変わる物なのか?

まぁ、美味いことに越した事はないが。

「相変わらず美味しそうに食べるわねぇ。作った方としては嬉しい限りよ?」

 

不意にアリアがそんな事を言ってきた。

その時はたまたま飯を口に入れていたので『そりゃどうも』。と視線で返す。

あぁ、これが幸せってやつなんだろうか?

日常を謳歌して、可愛い彼女が居て同居(同棲?)してて食事に困ってない。恵まれてるなぁ。

こんな生活がずっと続けば良いんだ………














今回の後書きはあえて十行隙間を空ける。
ちなみにこの話は個人的分類では『ほのぼのミラクルハッピーエンドヤンデレ』という分類になる。
ほのぼの?まぁ普段のやつに比べマトモだよね。相手方の思考回路が。
ミラクル?まぁ後述の部分で分かるね。
ハッピーエンド………は言うまでもなし。主人公さえ幸せだと感じていればそれはハッピーエンド。
と、いう訳でこの話の微妙なヤンデレ要素を紹介。

・1年も世話を焼く
ヤンデレには何もかも相手に捧げてしまうタイプの献身型が存在する。アリアはそれの初期状態。もちろん引き返せるが他タイプの危険性から考えて引き返さないのが妥当。

・コミュニティが狭い
基本ヤンデレ化するのは他人との関わりが少なく、数少ないそのチャンスを逃がさないようにと独占欲を募らせていくため。という論があるため。

・ツンデレ
メチャクチャ好きなのにどうしても想いを伝えられない、ずっと近くに居るが故にそのモヤモヤが肥大していき変な方向で放出されるとヤンデレになるパターンがある。
今回はそのパターンによるヤンデレ化寸前で主人公側から告白したためある意味凄くミラクル。

この3つがこの作品におけるヤンデレ要素。意外と簡単なことからー人はヤンデレとなるのだ。
ちなみに次回投稿は未定。誰を書くかはいまだに決めかねている。


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ぽいぬと勘違い提督(艦これ、夕立)

なんか最近ヤンデレよりもちょっと愛が重いくらいの子が好きになってきてる。
てな訳でヤンデレもどきを投下。



「提督さん!夕立、一人で強いの倒せたっぽい!」

 

「ゆ、夕立…嬉しいのは分かったからほぼ半裸で抱き付くな!」

 

他の同僚達が夕立をぽいぬと呼ぶ理由が分かった気がする。

俺としちゃぽいぽいと可愛らしくてなんと言うか近くに居ると自然に撫でてしまう感じの艦なのだが………最近は姫とか鬼を一人で蹴散らして帰ってきては半裸で(大破はしてないんだがセーラー服は紙一重避けるとき破れるらしいんだ)フリスビーを持ってきた犬のごとく『褒めて褒めて』と視線で伝えて来るのだ。

正直滅茶苦茶可愛いですけど。本当にワンコ可愛いですけど。

でも多分夕立が俺に抱いてる感情は『好き』は『好き』でも、Likeの方の『好き』であって、Loveの方の『好き』では無いんだろうしなぁ。

なんだろ、このモヤモヤ感。

夕立の頭を撫でながらそんなことを考えていた。

とりあえず、入渠させて帰ってきたらロテ通りに回して次の出撃までのんびりとさせよう。まぁ秘書艦としての作業が多少あるけど、幸いにして俺の書類処理能力はかなり高い。同期に『お前が提督になれたのはそれのお陰だな』と言われるくらいには。

だから次の出撃までは夕立はしばらくのんびり出来るって訳だなー。

俺は何故か書類が他の鎮守府の数倍速く増えていくから休めそうにも無いけど。というかそれにも時々確実に俺に回す必要のない書類が混ざってたりするけど。

あーあ、ここに来てから俺、ろくに休んで無いよなぁ。風邪でも引きたいけど風邪引いたらどう考えても倍々ゲームで書類が増えるぞ………とりあえず最後に難度か撫で回してから書類仕事に移った。

 

 

 

「本部め………俺の書類処理能力が高いと言っても流石に限度が………」

 

夜。確か仕事を始めたのは午後の2時くらいだった筈なのだが、もう10時である。

八時間もぶっ続けで仕事をして、ちょっと意識が朦朧としてきた。流石は俺の体。貧弱極まりない。スライムもびっくりの弱さだ。

そんな俺でも優しく迎えてくれるのは自分のベッド………あとお気に入りの抱き枕。誰が用意したのだか分からないがちょうど良いサイズで今や俺も抱き枕愛用者だ。

ちなみに中に湯たんぽを仕込めるので冬場はかなり重宝する。

それを抱きながら無駄に貯まっていく金を使って(鎮守府から出られないのが良く分かる)手に入れた職人が一針一針魂を込めて丁寧に縫った布団(寝心地は最高。約20万もするだけはある)にくるまって寝るのが最近の楽しみの1つ………うーん、なんか俺、疲れてんのかなぁ。

明日、書類が片付いたら認め印自動押し機………は作ったから、速読術を………とっくのとうに覚えてるな。

んじゃ、関係各所への報復代わりの嫌がらせでもしますかね………とりあえず『救援求ム』を切羽詰まったかのようにして送ろう。もちろん伝書鳩(嫌がらせに重宝しますよ?えぇ)で。

その上で書類仕事を押し付けてやろうじゃないか。

そんな真っ黒な事を考えながら眠りについた。

 

 

 

「うぁ………」

 

朝。午前5時頃の事。書類が溜まりに溜まるせいでこの時間から働かないといけない事が多くてつい起きてしまう。

あーダリぃ。普通提督ってこんなに書類に悩まされるか………?

なんか朝だからかテンションがマイナス方向でスーパーハイだ。

とりあえず起き上がって飯でも食うかな………ってそういや食堂は7時からだ。

と、なるともう書類しか何もない………マジでこれ全部燃やせたらスッキリすんだろーなーとか不毛な事を考えるほどの量あるけど。

何これ?殺人的な物量ってのはこの事?え?もしかして本部は俺を殺しに来てるの?新手の暗殺なの?

うんざりしつつも俺はベッドから立ち上がって制服に着替え、机に向かう。

そこにお誂え向きにおかれていたポット(私物。俺的には昨日晩に温めたお湯が翌日朝に飲みやすい温度になっているのでお気に入り)とインスタントコーヒーのパック+愛用のコーヒーカップで眠気覚ましに一杯淹れて飲み、目が覚めたところで机と言う名の現実を直視し、一瞬色々な意味で眠りそうになる。

なんか昨日より増えてるんですが………正直近場の提督たちからのパワハラ(俺ってば割と若いのに艦娘たちが揃ってるしそれなりに練度は高いんだよね。嫉妬されててもおかしくないぜ)を疑ってしまいそうだ。

まぁ、増えていると言っても高さが俺の背を越えないし床に侵食してないからまだマシか………よし、じゃあまずこの資料は………俺に押し付けんなぁ!これ絶対俺がやっちゃ駄目なやつ!間違えて紛れ込んでるよね!

しかもこっちは本部行きのやつ!あれなの!?俺になんとかペン先生よろしく採点しろと!?よろしい、ならば俺に押し付けてる時点で0点じゃあ!

 

無意味に心の中で叫びながら大量の書類を消化していく。

途中で夕立が自然に俺の所へ来たので休憩がてら撫で回したり抱き締めてほっこりしたり………あれ?これ完全に犬の立ち位置に夕立が………気にしない。

そして妖精さんよ、資材の発注はね?確かに俺に回しても良いんだよ?でもね?資材班をわざわざ作ったんだからそっちに回してくれないかなぁ………

いつもお世話になっている(主に栄養ドリンク的な意味で)妖精さんからの書類が来たので適当に流すわけにもいかずしっかりと確認して資材班へ送る。

そのあと下らない書類を大量に処理し、インターバルに夕立を撫でてほっこりし、例のごとくなんとかペン先生のように採点して欲しそうな提督から送られてきた書類にはぽいぽい語(夕立のテンションが上がると発せられる言語。少なくとも普通分からない)で採点してやった。もちろん0点。

 

そして、起床から六時間経過した11時、届いていた書類を全て片付けた。

「終わったぁぁぁぁぁぁぁ!!!俺は自由だぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

思わずこう叫んだけど許してくれよ?俺でも飯を食わずに六時間は堪えるんだ。

そしてここで、何故かタイミング良くやってきた夕立を抱き締めて疲れを癒す。いやー、もう完全に夕立=癒しの式が成り立ってるね。働きすぎだからさっさと休みたいですよ。

「ぽい?」

 

あ~……癒されるんじゃぁ~。

もう当分は働きたくねーな~。具体的にはあと1ヶ月くらい。有給は………溜まってるしまとめて消化するかな。

うん、まぁ良いよね。きっと戻ったらこの部屋が書類で地獄絵図をそのまま出したかのような光景になっていること間違い無しだけど。

どうせそれ、いつもの事だし。あとそれくらいやったら少しは反省してくれるかもしれんし。

 

と、言う訳で有給を取りました俺氏。だがメチャクチャ久しぶりに帰った家(鎮守府から徒歩十分の一軒家)は埃にまみれていた。

そしてついうっかりこんなことを口走った。

「はぁ、家の家具でもこんなに埃があるのになんで多くの提督は誇りを持って書類仕事をしないんでしょうかねぇ!?」と。

良く考えたらすごく失礼だったと思う。家具にだが。

とりあえず最初にやることが掃除になってしまった。

あぁ貴重な有給がががががが。

でも実際はなんか数日は休みがある夕立がトコトコ付いてきて力仕事(家具の移動とか)を任されてくれたお陰で大した時間は掛かっとらんけど。

ただ俺としても夕立の休みを使っちまうのは………え?あ、うん。なるほど。

むしろドンドン頼ってくれだと。言葉に変換しない理由は察してくれ。ぽいぽい語だ。いくら俺でも意味をほぼ100%の確率で察する事が出来るだけだし。

ならまずは、食材の買い出しにでも付き合ってもらうかね………ドドッと2週間分ほど。商店街はそんな近くないし往復も面倒だからまとめて買いたい。

「よし、ちょっと休んだら買い物行くか。重くなると思うが大丈夫か?」

 

「ぽい、ぽいぽい!(意訳:了解っ!夕立は問題ないっぽい!)」

 

ー数日後ー

 

やぁおはよう。溜まりに溜まった有給を消化中の提督だぜ。

それにしてもサ、毎朝毎朝鎮守府から暗号でタスケテタスケテ送られてくるの不気味なんですけど。なんなの?ヤバい奴らが襲来したのなら普通に警報が鳴るだろうし、鬼とかじゃない限りは練度が高いから問題なく相手取れる………じゃあ一体なんだ?

 

あ、はい現実に目を向けますね。

モチのロンタスケテは(書類が殺人的な量になってきた、)タスケテの意である。というか俺に送ってくるタスケテなんてそんなもんだろ。どうせ俺、書類仕事以外取り柄無いし。

まぁ、可愛い部下を見捨てるのも忍びないから助け船を出してやろう。

「夕立ー、頼みが有るんだが良いかー?」

 

「?」

 

ところで余談だが、最近夕立は家に泊まっている。どうやら夕立は編制に入りすぎていたからバランス調整も兼ねてるんだとか。

確かにそういや練度が高くて強いから夕立を高確率で起用してたもんな…

とりあえず話を戻そう。

俺は部屋の戸棚から、きっと休みの間に何度か使うと思って買っておいた封筒と紙を取り出す。

そして、慣れた手付きでウチに書類を押し付けに来る鎮守府の提督の名前を書いていき、1つだけ本文も付ける。

「んじゃ、この紙に書いたのと同じ内容をこっちの方にも写してくれ」

 

「了解っぽい!」

 

クレーム作成である。有給取ってる俺が言うことじゃ無いが、流石に書類が鎮守府の通常業務を妨害しているからな。

ついでにこれ以上続くようなら上層部に判断を仰いだ上で適切に処置する。と付けておこう。幸いにして俺には士官学校の頃の先輩に偉い人が何人か居る。学校の時とここらに来たときに何度か貸しを作ってあるからそれを利用出来る。

そんな事を思いながらクレーム作成を続ける事数十分。

全員分を書き終え、あとは切手を貼って郵送するだけとなった瞬間、ドアベルが鳴った。

何が来たのかと思って開けて見ると、門の前に明らかに積載過剰なトラックが置いてあった。

「お届け物ぷぎゃぁ!」

 

………しかも配達員がバランスを崩したトラックに潰された。ここの地域の配達員異常に耐久が高いから良いけど、普通なら死………乗ってんの書類じゃないですかやだぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

書類を見て、しばらく働きたくなかった俺のソウルが一気に死にかけ、なんか泣き付きたくなって夕立に泣き付いた。

冷静になった今考えると中学生くらいの少女に泣き付く大人(俺)とか誰得だっての………今現在進行形でしがみついてグロッキーだけど。ingな形でグロッキーだけど。

「提督さん、もうあれは無理っぽい?」

 

無理だわ………いくら俺でも無理だわ………死ぬわ………

「なら、しばらくはこうして夕立に甘えてれば良いっぽい」

 

そりゃありがたいね。

ホントあれは殺意を感じるよ。なんなんだろ。

「夕立は、提督さんがしてほしい事は、何でもやる…」

 

おっと、語尾がぽいじゃなくなったか。

と、なれば相当に真剣な話だね。

まぁ俺はいつでも真剣だけどさ。命懸かってるし。

「だから………提督さんは夕立に全部任せて?」

 

全部任せる………ね………

マジで願ったり叶ったりだよ…むしろお願いしたいくらい。

でもまあ、正直なところ俺、元々肉体労働かは誰かに任せて書類ばかり

見てるのが基本スタンスだったからねぇ………これは遠回しで現状維持ってことか。

なら、今は夕立に甘えよう。家だけを真っ暗にしている良く分からない狂気に満ちた山から目を背けて。

どうせ、有給が終わったら向き合わなきゃいけないんだしさ。ね?




さて、今回はヤンデレもどきだが、ここのタイトル上ヤンデレは不可避。

なので次回はほぼ確定でちょっとキチガイ注意かグロ注意、原作崩壊注意と言わざるをえなくなってくると思うレベルの物を投下する予定。

きっと次回の俺はこう言うね………「原作?なんのことやら」と。


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ゲームの終わり(ノゲノラ、フィー)

タイトルが無駄に意味深ですがとりあえず深い意味は無いです。
あと原作崩壊してるように見えるので注意。


ここはディスボード。

全てがゲームで決定される世界。

そこにある日召喚された“最強”のゲーマー兄妹である『  』。

『  』の二人はまず人類の国を手に入れ、そしてディスボードを征服してやろうと息巻いていた。

だが………

「いや~、助かりましたよ~?勝手に私が自分に魔法を掛けていると思い込んでくれて」

 

今回のゲームは、どうやっても勝てなかった。

ゲームの内容は簡単だ。

ただのポーカーなのだから。

だが、そこにエルフである対戦者…フィールの魔法によるイカサマが入った事で最強のはずの『  』が敗北してしまったのだ。

フィールがやったことは至極簡単な物だ。

ただ二人にお互いが認識出来なくなるようにしたのだから。

それはとある理由から二人を調べあげていた彼女だからこそ取れた戦術。

そう、『  』は二人揃って初めて最強であり、欠けてしまえば勝ち目はあったのだ。

それに来る札を調整して不幸による敗北を封じ、一方的に勝ちを奪い取ったのである。

 

そして、このゲームにおいて、二人が賭けていた物とはなんだろうか。

それは、二人の内兄の方である空の所有権だ。

そう、彼女は、フィールは、ただ空を奪うためにこのゲームをしていたのだ。

「それじゃ、盟約の通り…空は頂いて行きますね~」

 

フィールは、勝ち誇った顔でそう言って空の体を掴み、魔法で眠らせた。

そして魔法で強化した肉体で空を背負うと空の妹の白に背を向ける。

「やめ、て………」

 

白はフィールにそう懇願したが、フィールは聞く耳を持たずにこう言った。

「ダメですよ~。空はもう、私のモノなんですから~」

 

その瞳は………一切の光を映していなかった。

 

 

 

ーside空ー

 

ここはどこだ?視界が何かに塞がれている………

確か俺はフィールとのゲームに負けて………そうか、俺は自分をチップにしていたんだった。

ならばここはフィールの家か何かだろうか。

それにしても何故フィールは白ではなく俺を要求したんだ?俺なんか奪っても意味は無いだろうに。

「空、やっと起きましたね~。気分はどうですか~?」

 

間延びした声でフィールが言う。

気分、ねぇ。正直何も見えないから良いとも悪いとも言えねぇや。

てか、俺の体は拘束されてんのか?もしかして目隠しだけなんて事は………無いか。なんと丁寧にも足枷まで付いた状態だ。完全に拘束されている。

「それじゃ~、自分の事を言ってみてくださ~い」

 

自分の事?

名前は空、歳は18、出身は日本で親は居ない。特技は相手の思考を読むこと…こんなことをして何があるんだ?

まさか異世界人について研究するとかじゃねーよな。

するとしたら是非R-18待った無しな研究を…

ヤバい。本音が漏れた。

「そ~ですか~。じゃあ、今日はもう良いですよ~」

 

良かった。最後のは聞かれてなかった。ラッキー。

でも“今日は”って言ったってことは、明日もあったりするのか?

なら変なこと言わないように気を着けるか………

その後は、出された飯を食わされたり(目隠しされてて食えないからな)、目隠ししたままチェスをしたりしたが、特に何事も無く一日が過ぎた。

 

 

俺がここに来てから数日の事。この日は早朝一番から窒息死しかけた。

何やらフィールが俺の寝てる間に同じベッドに来ていて、俺を抱き枕代わりにしていたらしい。

朝一番に死にかけるとかな…死んだら死んだで嬉しい死に方だけど。

あ、でもこの世界じゃそれで死ぬことは無いか。なら安心安心。てかもっと楽しめば良かった。

 

そして今日も自分の事を言ってみてと言われた。

毎日言っているが、何か意味があるのか?俺にも分からない。情報が少なすぎる。

まぁ、名前は空、歳は18、親は居なくて特技は相手の思考を読むこと。

数日前とまったく変わりない自己紹介だ。

こんな事をして本当になんの意味があるんだろうか。

俺が知った所で不毛なだけだがな。

「そうですよ~、空はただ私の言う通りにしててくれれば良いだけですから~」

 

ナチュラルに心を読まれた気がする。

 

 

更に数日後のこと。

今日は起きた時に膝枕をされていた。クソッ、目隠しさえ無ければなぁ…目隠しさえ無ければなぁ………

そう願って透けないかと思うも、目隠しが透ける事はない。

「おはよ~ですよ~空」

 

おはよう。

ところで目隠し外してくれない?今外さなきゃ色々勿体ないし多大な損失な気がするから。

「ダメですよ~?少なくとも今はまだ」

 

ダメなのか。でも今はまだという事はいずれ……おっと。

フィールが動いたから残念ながら目隠しが外れてもなんの特も無さそうだ。

R-15とかでも少しくらいサービスシーンがあっても良いと思うんだがな………ネ○テューヌとかみたいに。

そして本日の朝食は…フランスパンか。

でも良く考えれば今俺がされてるのっていわゆる『あーん』な訳で、男子の多くが夢想するすんばらしい物な訳で………今考えると、俺って恵まれてんなぁ。

ただ毎日変わり映えしない自己紹介を言ったらあとは手枷足枷目隠し付きただの軟禁………楽っちゃ楽だな。

「それじゃ空、自分について~、言ってみてくださ~い」

 

これも最近慣れてきたな。

名前はソラ。歳は18で、家族は居ない。特技は相手の思考を読むこと。

やっぱり何も変わらないが………一体何が面白いって言うんだ?

毎日同じものを聞かされたって面白くも無いだろうに。

「愛があればなんでも楽しいんですよ~?」

 

………あっそ。俺には良く分からないね。フィーが楽しそうなこと以外。

それに愛って言っても………お前のは親愛の方であくまでlikeだろ?

まぁあれだ、こんな時はしれーっと流しておけば良いよな。フィーがこんななのはいつもの事だし。

どうせしばらく放っておけば気付いたときにはマトモに………なんねぇか。

 

あれ?フィーっていつ仕事してるんだ?

いまだに俺から一定以上離れた覚えが無いんだが………いや、まぁ何かを書いているような音はしてたし、きっと書類だけで済むんだろ。

別に俺を四六時中見ていなきゃいけない用があるわけでも無いだろうし。

 

 

さらに数日後の事。今日はかなり珍しくフィーが居ない。

何かあったのかと不安になったが、どうやら誰かとゲームをしているらしい。

対戦相手は………子供?良く分からないが二人…語尾が全部『です』なのが特徴的なのと言葉が全部切れ切れの奴。

前者は…どこかで聞いたような感じがする。確か獣人種の奴がこんな口調だと思った。

後者は…………誰だ?まったく分からん。

まぁ、ずっとここに居りゃそうなるよな。

「私の勝ち、なのですよ~」

 

お、どうやらフィーが勝ったみたいだな。

まぁフィーは俺と違って世紀の天才だし、心配するまでもなかったか。

いや、そもそもゲームの内容は眠ってたし目隠しされてるから分からんけどな。

とりあえず俺は起き上がってフィーを迎え入れるとしよう。

俺はベッドの上で何度か一定方向に転がり、ベッドから落ちそうなところで足を降ろして立つ。

初めは立ち上がるのも一苦労だったが、今ではもう慣れてしまった。

あれ?そういや俺がこんなことになってる理由って………

「ただいまですよ~、空」

 

おっと、フィーが帰ってきたみたいだ。

と、なれば一分とせずにフィーはいつも通りここまで来るだろう。

だから俺はここでいつものようにフィーを迎えて、フィーと二人で過ごす。

それはとても幸せな事だ。多少動きにくいし何も見えないが、飢えもしない寂しくもない。

「空、寂しかったりしましたか~?」

 

正直なところ割りと。朝起きて居ないからビックリした。

「私もです~。急に人類種と獣人種が戦いを挑んで来て~」

 

そうか………そりゃ大変だ。

「でしょ~?」

 

あぁ、やっぱり幸せだ。

でも何でだろうか。

どうしてか………涙が出て止まりそうにない。




今回は終わり方が変だと思った人、誰も何も言わないんで挙手!

とりあえず今回の解説。
まず『  』が負けた理由。
ゲーム内容は至って単純なポーカー。
ただトランプに魔法を掛けてこっそり操作しただけ。
ちなみにフィーは万全を期すためにわざわざこの3ステップも入れた。

1.とりあえず二人の間に結界設置。

2.光の動きを操作してお互いが視界に入らないようにする。

3.お互いが認識出来なくなり、大パニック。

つまりは二人が別々になるとポンコツ化する特性を利用した頭脳プレー。

次はフィーが空を監禁した際に目隠し等をした理由とか。

目隠しは記憶を改変する際に自分の姿を見られると本来の記憶との矛盾が生まれてバレる可能性が僅かにあったから。
毎日自己紹介させてたのは記憶の改変具合の確認と改変した記憶の定着のため。

おまけ。
記憶の改変が盟約で無効化されなかった理由。

そもそも空は白と引き離されると精神弱い⇒引き離してボロボロに⇒精神崩壊寸前であくまで“処置”として記憶改変を行ったため。
つまりは害をなす(これが害をなすかは置いといて)記憶改変ではなくあくまで精神崩壊寸前の空を救うための処置として行ったためキャンセルされなかった。

おまけ2
タイトルの意味はこう。
ゲームという物はある程度の制約があって機能する物なので、つまるところ隙を突いてしっちゃかめっちゃかにしたならばそれはゲームではない⇒終わり。ということ。


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先輩の娘の様子がおかしい。(ごちうさ、チノ)

あえて言うのなら、どこまでも普通で普通な普通の子に異常な精神性を持たせず強すぎる愛だけを持たせたなら………なんて話(意訳:一般ピーポーな女の子が普通に節度や自重、その他一般ヤンデレが持たない物を持ったままヤンデレしたパターンだぜ!って話)


俺の先輩…の娘の様子が最近おかしい。

それが始まったのはこの前からだ。

確かほぼ同時期にココアちゃん(先輩の経営するカフェ兼バーでカフェの方のバイト&居候)が来たんだっけ。

あれか、百合百合しぃあれなのか。

まぁチノちゃん………あぁ、先輩の娘な?ってば昔から変な男に付きまとわれる傾向にあるっぽくて、前に世話になった上泊めて貰ってる手前手を出すにも出せない俺と先輩以外に対しての軽い男性恐怖症を患ってるもんなー。

正直チノちゃんを学校からの帰り道路地裏で無理矢理○そうとしたした奴には死んでなお苦しめと言う他ない。

ただソイツは現在一向に回復の兆しが見えない四肢の痛み、定期的な激しい吐き気、幻覚に苦しんでるようだけど。

 

そんな訳なのだが、俺としてはチノちゃんも安心できる相手が一人二人居ても良いかなーとは思うわけよ。

それに俺が居ちゃココアちゃんとイチャコラするわけにもいかんだろうしさ。

その上俺は無駄に痩せの大食い(先輩談。俺とどこかで飯を食うときはバイキング形式のとこか会計を別々にしないと絶対に割が合わないとよ)………いや、いつもはセーブしてるよ?だ。

んで、後押しのごとく最長で一月ほど全国を回る大食い全国大会がある。

さらにダメ押しで貯蓄も十分です。

「と、言う訳でちょい明日予選参加して来ますわ、先輩」

 

「………(大会の運営大丈夫か!?)」

 

これが予選前夜。どういう訳か女より女子力が高く、見た目も女っぽいと言われ密かに男女問わず人気のある先輩(男)に高確率で一月近く休む事になりそうな旨を伝えた。

ただちょっとテレビに出るかもしれないから宣伝よろしくだってさ。

流石は先輩。断らせない方法は熟知してるね。喋り方を変えて『お願いできるかな?』と声優顔負けの美少女声で頼まれると断れません。

故に俺は明日から本気で食う必要がある………ただ正直俺としても、昔うっかりセーブ出来ずにバイキングで出禁喰らった経験あるからな………ハハ………大会出禁とかなったら前代未聞だぜ。

この日はそのあと軽く雑談してから寝た。

 

 

 

やぁおはよう。

いや、午前10時だけど。しかも現在大会予選ちょい前だけど。

今日の朝、飯は食ったが微妙に腹が減って堪らない。

うん、久し振りに大量に食うから正直どれくらいでセーブすれば良いのか分からん。

まぁ大会だし、食い過ぎで出禁はねーだろ。

安心して食おう。

お、料理が運ばれてきたな………今回は近所のレストラン自慢の餃子(手書きのサイドメニューの中でもかなり雑に書いてあるが味は天下一品)じゃないか。

っておい、店主のおっちゃん!目が死んでる目が死んでる!

「それでは、予選開始前のインタビューをさせて頂きます………それではエントリーNo.1の○○さん!」

 

え?マジ?もしかしてこれキョドっちゃ駄目なやつ?

オワタ。俺大勢の前で喋るの苦手よ?

「あ、その、実はこの町にあるバイキング形式の店で出禁喰らってます」

 

俺は何を言ったものかと悩んだすえ、大食い自慢でもすれば良いのかと思いそう答えた。

だが………

「「「………」」」

 

チキショー時間が凍り付いたよザ・ワールド!ずっと俺のターン!

ねぇ、もういい?もうインタビュー終わってもらっていい?

 

………その後、インタビューは俺以外何事もなく終わった。回りからの視線が痛い。

なんかストレスで腹が減ってきた。空腹で死ぬ。

そう思っていると、先程までインタビューをしていた男性が俺たちの前に立って太鼓を叩きそうな棒を持っていた。

「そ、それでは予選、餃子30分大食い勝負………開始ぃ!」

 

俺の戦争(デート、だなんて読まないぞ)が始まった。

 

 

 

ー一月後ー

 

あー、なんかこの一月、数日ごとに大観衆の前で飯を食うとかちょっとストレスキツかったぜ………全力出せんかった。優勝したけど不完全燃焼って奴だわ………

まぁ、初期ミッションであった宣伝はしたし、とりあえずトロフィー持って帰りますかね………ってウェイ!?

なんかラビットハウス(先輩の経営するカフェ兼バーのこと)から黒いオーラが立ち上ってやがる。

なんかあったか?もしかしてココアちゃんとチノちゃんが喧嘩したとか?

ヤバい………二人が喧嘩すると仲裁に入れるの俺とリゼちゃん(バイトの子です)しか居ないし、リゼちゃんってば女なのに男らしすぎて『時には全力でぶつかりあった方が良いだろう』とか言ってるから………

俺は、立ち上る黒いオーラにビクビクしながらラビットハウスへ入った。

今は深夜だからバーで、幸いにしてオーラの真下である。

「な、なんかあったんですかね、先輩」

 

「ハハハ………まさか全て裏目に出るとはね………というか○○。今すぐ炎上爆発して死ね」

 

先輩がバグったぁ!こんなん高校ぶりだぞ!俺その時小学生だったけど!

てか先輩を先輩と呼んでるのって実は人生の先輩的な意味で………って今はそんな場合じゃない。

ヤバいぞ、先輩がこうなってるってことは相当に事態は深刻だ………

俺は、嫌な予感を覚えながらラビットハウスの二階へ進む。さて、正直言って出来ればオーラの発信源がティッピー(ウサギ)であって欲しいね。

ほら、目の前で甘いオーラ出されてキレたとかさ………うわぁ。

ダメだこりゃ。オーラはチノちゃんの部屋から発信されてるぜ。

ココアちゃんと喧嘩でもした…あ、でも部屋の前に死体が転がってるや。

えーと?血文字で『ヤンデ』と書いてある。なんだこれ?訳ワカメ。

まぁ、ココアちゃん時々錯乱するし?(現実逃避)きっとこれもそれさ。そうだそのはずだ。

 

よし、それじゃチノちゃんがうっかりココアちゃんと喧嘩して自己嫌悪モードだという前提の心構えで部屋に入ろう。

「チノちゃーん、入るぜー」

 

と、言いながら侵入。あえて言うとこれが俺のスタイルである。断りながら相手の意思は尊重しない。先輩になんどキレられたことか。

まぁ正確には断りを入れて不良の溜まり場へ不法侵入⇒やられて帰る⇒先輩キレるだけど。

さーて、チノちゃんはどこに………おや?何やら部屋の隅に青い塊が。

ってこれ俺の布団やん。

どうしてチノちゃんの部屋に。

いや待てよ?もしかしてチノちゃん、これにくるまってたり………

「な訳ないよな」

 

自分で下らない事を考えて自分で否定して塊の布団を剥いでみた。

するとなんという事でしょう。クールないつもの様子はどこへやら、目の光が無いチノちゃんが。

うぇ?なんかあった?

「おーい、チノちゃーん?帰ったぜー」

 

とりあえず意味もなくしゃがんで揺さぶってみる。

無反応………ならばっ!

いつものチノちゃんなら恥ずかしいのか子供扱いされるのが嫌なのか基本的に言葉の刃が飛来するような事をしてみよう(外道)

んじゃ、頭を撫でる………無反応?

えっちょっ、いつもこれで『ロ、ロリコンですか………』とか言われるのに。何故今日は無いの!?俺ちょっと心配になってきたよ!?

 

ぬぁ………なれば抱き寄せてよしよししよう。

これなら流石に反応するはずさ!(フラグ)

 

 

結論。チノちゃんによしよししたら『もっと…』とか言われたし抱き付かれたよ!うわぁい巷のロリコン達に殺されかねないや!

それはともかく、なんかチノちゃん顔真っ赤。

まぁ、こういう時ラノベの主人公とかなら『あぁ、少し体調でも崩したんだろうな』とか思うんだろうけど、俺は違うぜ?

これは………俺に惚れてるな(ドヤァ)

つまりチノちゃんが俺の布団にくるまってたのはいわゆる………あ、ココアちゃんのダイイングメッセージはあれだ、『ヤンデレ』と書こうとしたんだろ。

いやー、まさかチノちゃんが百合百合しぃのではなくて俺に惚れてたなんてねー。思わなかったわー。

「で、ちょっと腕疲れて来たから止めていい?」

 

「………駄目です。しばらくはこうしてて下さい」

 

だってさ。

アハハ、ヤンデレってこえー。逆らえねー。だがまぁ…悪くはねーか。




チノちゃんが病んでた理由。
実は主人公君は転生者だが転生したことを忘れたドアホ。
なんと常時弱いニコポを使っている(笑顔で悪印象を持たれず、かなり好印象を持たれるタイプのもの)上に近所の転生者仲間くんたちが『チノを誰かとくっ付ければココアとかリゼルートの開拓楽になるんじゃね?』とか考えた結果、転生者さんたちによるちょっとした薬物投与(弱い惚れ薬)、しれーっと『恋ってもんはな、それに気付いた時に行動に移さねぇととダメなもんだよ』とか言って思考を誘導したため。
予定では主人公くんを襲っちゃうくらいにするつもりだったらしいがチノちゃんが想像以上に自制心が高い子だったためお布団hshsしてたり若干ツンデレっぽくなった程度だった。
だが溢れる思い故に障気まで出してたのはご愛嬌。



ちなみにお父さんが男の娘なのは作者の趣味。


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俺だけデスゲームのルールが違うんだが(SAO、ユウキ)

今回はいつもよりクオリティ低い気がする。
ちなみにユウキがSAOに居るのはゲーム版的な仕様。



ある日、世界最初にして最大のVRゲーム、ソードアート・オンラインをテキトーにやってみることにした俺。

だがどうにも様子がおかしいぜ?

おや、GMからの説明だ………ダニィ!?デスゲームだって!?

つまりはこういうこと。

このゲーム(以下、SAO)で死ぬと現実で死ぬ。

ナーヴギア(VRゲーをするための機器)を外されても死ぬ。

一定時間電源を抜かれても死ぬ。

一定時間回線を切断されても死ぬ。

ただし災害等により続行困難の場合は例外。

なお、死ぬのはナーヴギアが脳を読み取るためのものとそっくりなよー分からん電磁波を頭に流し、脳ミソを電子レンジ状態になるから。

もち、現実で死んでもこっちでも死にます。

 

てな訳。

そして解放される条件はSAOの舞台、アインクラッドの頂上…100層を攻略すること。

よし、これくらいで説明はオーケー?

じゃあここからは俺について説明しよう。

俺は(プレイヤーネームで、だが)ユウト。

ちなみに仲間は一人。遠縁の親戚であるユウキのみ。

そんな二人所帯で攻略に望んでるのだがまぁ、どういうわけか俺だけデスゲームのルールが違う。

まず、俺自身は随分前にえげつない装備とスキルを手に入れたため、死ぬ要素が無い。

具体的には斬ったその場に攻撃判定がしばらく残る剣、切っ先を向けた相手をビームで貫くスキル、そんな感じだ。

しかもどちらも防御無視効果。これじゃある意味で名作過ぎるバランスと呼ばれたSAOの名折れだ。

んで、もう1つが………俺が死なないためには間違ってもユウキの機嫌を損ねず、損ねてもすぐリカバリー出来るようにしなくちゃいけないんだよ。

 

あぁ………攻略組では強いし中々のルックスだからっておにゃのこに人気あるのに!

ユウキが俺とおにゃのこが話してると機嫌悪くするからね!もう冷たい奴を演じる他無いわけよ!

あぁ、うん。きっとユウキは俺に好意を持ってるんだろうね。割と度を越えた物を。

でも別に嬉しくない訳じゃないんだよな。てか男として美少女に好かれて嬉しくなかったら病気だ。

だけどさ、やっぱ男だしね?一度は憧れちゃう訳よ。ハーレムってもんに。

「………」ジャキッ

 

………ア、ハイすみません。

アハハ…女の子の前で別の女の子の事を考えちゃダメだってお祖父ちゃんも言ってたなーとは思うけどマジだね。

今も片手剣向けられて若干ピンチだぜ。

とりあえずここは新しく来た層だ、なーに、話を逸らす話題には事欠かないさ。

「なぁユウキ、今日はあれに泊まらないか?部屋多そうだし…ユウキだって一人で居たい時もあ「無いよ?ユウトと居るのは楽しいもん」るわけないよなーアハハ……」

 

あー、駄目だ。話は逸らせたけど俺氏、絶賛微妙に背中から冷や汗出てます。

なんだか純粋無垢に見える目で見られてるのに滅茶苦茶冷や汗が。

あぁこれは俺が邪な奴だからだな………ふむ、この案ならユウキと一緒に泊まる事を逃れられるか?

我ながら名案中の名案を思い付いた。

「ほ、ほら、俺だって男だし?もしかしたらユウキを襲「そういうことなら安心して?倫理コードは切っておくから。ユウトならむしろウェルカムだよ」…俺はお前の将来が気になって仕方ない」

 

「ユウトのお嫁さん?」

 

なんで恥ずかしげもなくそういう事が言えちゃうかなこの子。

てか倫理コード切るとか大通りで言うなよ。上手いこと侵入してくる奴が居るかもしれないだろ。

俺にも出来ちゃうんだぞ、扉抜け。

まぁ結構怠いけど。

そして俺達はそのまま、この層の宿屋に向かった。

 

………俺はまだ知らない。数日後、この宿屋に泊まった事を全力で後悔することを。

 

 

 

「お二人様で一泊300コルになります」

 

うわっ安っ。

見た目は豪華なのにこの値段とか裏があるんじゃないかと疑うばかりの物件だ。

深夜に幽霊出たりしないよな?いや、出てもワンパンだけどさ。

でも俺怖いよこの物件。だからさ………

「ユウキ、お願いだから首を掴んで部屋まで連れていこうとしないでくれ」

 

「やだ」

 

うわぁん俺の渾身のお願いが却下されちったぜ☆

てかユウキ、端から見たら180近い男を150かそこらのユウキが運んでるって相当にシュールだからな。

あ、あと出来れば俺の腕を掴んでメニューを操作しないでくださ………ガハッ。

 

 

 

翌日。目が覚めたらなんか太陽が青い。なんだろーなー。うん。

昨日の記憶が無いんだが。てか思い出そうとするたびに微妙に体がブルブル震えて………思い出さん方がいいな。

それに隣でユウキが幸せそうに寝てるんだし、別に体が震えるのは怖い夢を見たからさー。

べ、別に隣で寝てるユウキは服を着てるぜ、つまり昨日は何事も無かった。

大丈夫、どうせこの宿『昨日はオタノシミでしたね』という名言を言うみたいだぜ、きっとそれで確認出来るさ。フハハ。

あれ?嫌な予感しかしないなぁ………

そんな時。宿の従業員が部屋にやってきた。そうそう、この宿ってベッドメイキングのためにここまでやってくるだよな。そうパンフに書いてあったと思う。

いやー、従業員さん、お疲れ様でs…

「昨日はオタノシミでしたね

 

うわぁぁぁん!

それは言わんといてよぉ………どう考えても朝起きて普段寝相が悪い筈の俺がベッドの上で寝てること自体おかしいことさら目を必死で逸らしてたのにぃ………

マジ泣きたい。

だけど今従業員さんがソファに移動させた折りに起きたユウキが無駄に可愛くて『爆発しろ!』『ただ今すぐにこの世から失ね!』『末長く祝ってやる』とか聞こえてきた気がして泣けない………ってか前に現実を見て泣いたらユウキが浮気を問い詰めて来て知り合いの女性プレイヤー(確かグリセルダとか言う名前だったな)が殺されかけた覚えがある。

その時はギリギリで後ろから全力で拘束して動けなくしたから死人は出てないが、つまるところ………

今泣くとマジで誰かが死ぬかもしれんが、どうにもさっきのショックで涙を堪えられそうにない。

どうしよう。

………そうだ。ここはあえて寝惚けたフリしてしれっとユウキに抱き付こう。

浮気と判断すると悪即斬と言わんばかりに殺害へ走るほど愛の重いユウキだが、意外とこういうことをすると顔を真っ赤にして口をパクパクとさせる分かりやすい反応が帰ってくるのだ。

 

つまりは寝惚けたフリをしてればあくびして涙が出たように見せかけられるししかもバレてもユウキを動けなくさせる事が出来る………我ながら名案だ。

ただ野郎共に見られると『お前たちが天寿を全うし、曾孫の顔を見てから死ぬように呪ってやる!』とか言われるがな。ははは………しかもそれを言ったの攻略組最強プレイヤーの一角と言われるやつだし。命がマジでヤバいわ。

って、それよか拘束拘束。思い込みの激しいコイツには軽くこうしてやるだけで下手な麻痺毒より強い効果を得られるのだ。

 

てかよ、正直言ってR-18展開までしてるのに………ねぇ?

ただ個人的に一言言うならば『可愛いから許す』である。




今回の話はどうだったか?
そりゃどう考えても酷かったよな。
だが、次回はちったぁマシになるはずさ………
何せ良くあるパターン、ヤンデレの最強テンプレをやるんだからな。
え?何が言いたいかって?

次 回 予 告 さ !

ちなみに構想的な物を友人氏に話して見たところ、『お前がそれをやるのは初だなw』と言われたのは微妙な思い出。


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吸血鬼(妹分)に愛され過ぎて動けない(物理)(東方、フラン)

本当にどこかで聞いたようなシチュエーションで書いてみた。
ただまぁ………作者クオリティじゃこうなるよなってのは多分慣れてきて読める人も居るんじゃないかとは思う。


「お兄様…なんで帰ってしまうの?」

 

あはは………いや、なんかちょっと実家で妹が危篤らしくて………いや、戻っては来るよ?

だからその手を納めて。マジで死んじゃう。俺人間だし。

ってうぉぉぉい!何『きゅっとして…』とか言ってんの!?ドカーンしちゃダメだよ!?

「………お兄様の妹は私だけなの」

 

い、いや確かにこっちに居た間ずっと兄みたいに接してたけどさ、それでも一応妹分的な感覚というかなんと言うか………い、いや確かにフランも大事だぜ?

でも血の繋がった肉親が危篤となると一応行ってあげない訳にはいかな………

えっちょっ、なんで虚空に向かって手を向けてるの!?何する気だよ!

「だってお兄様、血が繋がってるからその女に会いに行くんでしょ?だったらそれを壊しちゃえばいいじゃない?」

 

良くねぇから!全然良くねぇから!

血の繋がり壊したらダメだって!多分DNAとかその辺り破綻しちゃう気がしてならない!

こ、こうなれば背に腹は変えられん…半ば詐欺みたいな方法になるけどあぁすれば………

 

ね、ねぇフラン!?確かレミリアが言ってたけど吸血鬼に噛まれたら吸血鬼になるらしいぜ!?

「うん、そうだよ?」

 

いや、そうすりゃ人間じゃないから血の繋がりもへったくれも無………ゴファッ!?

フラン………いくらそのアイディアが素晴らしいからって急に押し倒すな………俺人間だってば…今は。

なんか良く分からん内に首筋に牙が刺さり、血が抜けていく気がする。

俺は数分間血を吸われたあと急にクラッとして、倒れかけた。

あ、そういや俺銀製のナイフ持ってたんだった(主にフランの暴走対策である)。

吸血鬼になったらそらクラッとするわな。ポケットから取り出して壁に投げつけた。

回転が掛かっていて刺さらず、地面に落ちた。咲夜のナイフ投げはどうやってやっているのか分からないがすごいと思う。

ただ、正直自分がいきなり人間じゃなくなったのを自覚すると多少ショックを受けざるを得ないね。

だって20年近く人間として生きてきたのに。

いや、別に吸血鬼だからって見た目が変わったわけでも無いから人間として生きるのは訳無いんだけどさ。

 

つまり一旦外に出て妹を見舞うのも出来ない訳じゃないんだ。

流石は俺、頭脳プレーだぜ。

「はい、これでお兄様が外に出る理由も無くなったよね?」

 

だがいくら頭脳プレーをしたところで強大すぎる力には敵わないようだ。

金髪幼女×上目遣い=俺に10倍ダメージだぞ。主に理性に。

俺が突然お前を襲ったらどうする気だ。

「おとなしく受け入れるだけ。そうすればお兄様は私から離れられないよね?」

 

やだこの子策士過ぎる。

確かに俺としては襲った相手に○り捨てみたいな事は出来んぞ。というか人間として…ねぇ?

そういう事だからさ、とりあえずそれはやめてくれ、マジで可愛すぎて色々辛い。

ほら、外に出る気力が奪われ………ってアホかぁ!

せっかく境界を越えてまで危篤の連絡が来たんだぞ!行かなくてどうする!

さぁレッツゴーだぜ俺!家から出r………

「お兄様?」

 

あ、ハイすみません嘘です。だからその手を納めてねー?

クッ…こうなれば最後の手段に訴えるか…?

俺の能力、【進める程度の能力】【戻す程度の能力】を使えば移動しながら10歩進んだ未来とかに移動出来る。

つまり擬似的な瞬間移動が出来る。

それを使ってフランをこの部屋に閉じ込め、一人ここから脱出すれば………

帰ってきた時強襲されて少なくとも五体満足でいられないのは自明の利ですねこりゃ。

どーしよ。理性では家族だったんだし一応行ってあげないといけないと考えているのに本能の部分で『フランから逃げるのは諦めようぜ?』と理性に訴えてくる。

というか理性でも諦めろコールが………

 

って、良く考えりゃ戻らなきゃ良いじゃん。

でも駄目じゃん。俺きっとフランが『戻ってきてね?』とか言うから『あぁ、戻るさ』とか言うんだろうし。

………そうだ、進める時と戻す時を釣り合わせて時間を止めてしまえば逃げられるや。

やり方分からんけど。

あー、こうすりゃ良いのか?

能力を使って動かす時間を進退ともに同じ時間にすれば止まったり………しねぇ!

「ん?お兄様?もしかしてここに居てくれる気になったかしら?」

 

しかもこの子全てを理解した上で最後通帳突き付けて来てる。

ならば………三十六計逃げるが勝ち、という事で全力でドロンさせてもらおう。

俺はフランとは正反対の方向にあるドアへ向かってダッシュを開始した。

そしてすぐに時間を進め、15秒先へ………え?

おいちょっと待て、確か俺ここのドアを1秒以内で開けられた筈なのにドアを通り抜けられてない?

「どかーん」

 

俺が能力を発動しても部屋から出られていない事に驚いていると、後ろから絶望の宣告が聞こえる。

「お兄様の記憶から、その女についての事を消したよ?」

 

フランの言葉の通り、どうにも今何かが抜け落ちたような気がする。

名前すら思い出せない。

「もう一回。きゅっとして………どかーん」

 

次にフランがその言葉を呟く………が、何も起こらない。

なんだ?何をしたんだ?

そんな疑問が頭をよぎるが、とりあえずここに居てはいずれ死ぬことになる。

だから今すぐ逃げる………ドアが開けられない。

いや、どういう訳かこのドアを開ける方法が分からない。

いつもなら確かこっちから押せば出られた筈なのに出ることが出来ない。しかも引いても無理だ。

まさか………俺の記憶を破壊した?

「お兄様、分かった?お兄様がここから出るにはそこを通るよね。だからそこの開け方の記憶を壊したの。凄いでしょ?ねぇ、褒めてよお兄様」

 

そう言って無邪気そうに俺に近付いてくる。

俺にはそれが、どうにも死神の足音に聞こえて仕方ない。

「あ、そうだ!」

 

俺が謎の戦慄を覚えていると、フランが俺に近づく途中で止まり、再び手を広げて閉じた。

「今度は、お兄様が私以外と関わった記憶を全部壊したよ?ね?これで………私以外誰も頼れない」

 

俺の中の記憶が壊れていくのが分かる。

恐らく、壊れた物が大きすぎて多少残留しているのだろう。

恐ろしいものだ。

だが、それより他に今の俺の思考を支配しているものがあった。

何故この純粋な少女がここまで狂ってしまったのか………

きっと俺のせいだろうか?

いや、分からない。

だがきっと俺のせいだろう。

だったら、俺も一緒に狂ってしまえば良いのかもしれない。

狂った奴同士なら、きっと上手くやっていける筈だ。

 

俺の意識はその思考を最後に、暗闇へ沈んでいった。

 

 

 

 

どれくらいの時が経ったんだろう?

3年?30年?もしかしたら300年?

いや、知らんがなとか悲しい事言わないで考えてくれ。今日はなんと俺が被介護者生活を始めてから丁度それくらいなんだ。

いやー、時が経つと基本的に年を数えるのがめんどくさくなってきてやだねー。人間ならもうとっくに死んでる歳………あ、思い出した300年目だ。

 

うんうん、今思えばあの時普通にフランを連れて行きゃ良かったなーって思うよ。

別にロリコン扱いされようと割りと昔からその気があると妹からも言われてたし。

今となれば妹の死後300年でもあるんだけどさ。

いやー、ほんとに時が経つのは早いや。

だってほら、あの時は18くらいだった見た目も21くらいになってるし。

あと足が動かないからって車椅子だし。

あぁそうそう、今俺はフランと二人暮らしだ。

あのあと咲夜が一応ただの人間だったから死んで、それを境に紅魔館の住人は離れ離れになった。

中国こと美鈴(コイツ歳とって無い。何故に?)は武者修行とか言って幻想郷最強を目指しているらしい。

レミリアはまぁ、その圧倒的カリスマで会社を作り、トップに立つと同時に下手な事をするか何か会社の価値そのものを下げる事が無い限り基本的に無限に廻せるシステムを作ってポストだけ残し隠居したらしい。

今は悠々自適な隠居生活だと。

あぁ、俺?俺はそうだね、まぁ離れ離れになってから幻想郷を抜けて、紆余曲折の末専業主夫。こう見えて紅魔館でも割とメシウマランキング的な物の上位に居たんだぜ。

そしてフランは…うん、なんか道端でぶつかった893さんを素手で半殺しにして以来893さんから定期的な献金を送られるようになっちゃった。

ただそれだけじゃ駄目な気がすると言ってたら気が付いた時には家に芸能事務所のFAXが。

本人いわく歩いてたら気持ち悪いくらい尾行してきた奴が居たらしいので軽くおねんねしてもらったとか。

それで一応フランに話を受けるか聞いてみて、受けないと答えたのでしばらくのんびり暮らして、今は人外の体力でスポーツとかやってたり色々人らしからぬ事をやってる。

アハハ、うんまぁ正直言ってあの時に考えてたこと、まったく無意味だったどころか俺が馬鹿なだけだったね。

そのあとのフランも俺が幻想郷から外に出るのをあきらめたらあっさり元に戻ったし。

ただ俺も逃げるに逃げられない理由を作らされたが………

 

まぁ、とにかくあれだよ。

終わりよければすべてよし。

例え足を動かせなくなり吸血鬼になりその上893さんとの関わりを持つ上端から見ればロリコンの変態にしか見えずとも、問題ないんだ!




ちなみに紅魔館組のその後的なあれは適当ですし、紫もやしと小悪魔がいないのは仕様です。
つまりは図書館から出なさすぎて忘れられていたという事に他ならな………

まぁ、おぜうについせはあれだよ。一人になってヤケクソでやってたらカリスマモード入って、『そうだ、楽して暮らすなら現代に行こう』とか思い至った上見た目だけ成長させて色々イカサマ的な手段も使って超お金持ちになった。

なおフランは書いた通りで。


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ヤンデレ響(Lv3200)と提督(艦これ、響)

どうでもいいですがこの話は中途半端に終わります。(ダメージ軽減策)

あ、ついでに後書きはしっかり読みましょうね。


あらどうも、こんにちは。

私は妖精。正式名は無いけれどとりあえずは妖精でおkです。

何せ私はただ、この鎮守府に住み着いて艦を造り(未経験)、艦を見守り(練度四桁で死ぬとは微塵も思いませんが)、提督たちの日常を語るだけですので。

さて、ここの提督について紹介でもしましょうか。

彼は提督。名前は聞いてません。

ですがなんとたったの3ヶ月前に着任した新人提督だったりします。

そして秘書艦は響さん。初期艦で選んだのは電さんだったそうですが何故か手違いで配属されたそうです。ちなみに結婚済みだそうで。

そんな彼ですが、なんと響さん以外の艦を一隻も保有してないんですね。

私達がいくら『艦を増やしましょうよ』とか言っても響以外はいらないの一点張り………いや、まぁ響さん一人だけならバケツの消費もほぼプラスに向きますし、響さんってなにげに艦娘の限界を余裕で突破してるので長門型の数十倍では利かない火力を持ってたり夜戦でなくとも水鬼を一撃で数体消し飛ばしたりとスペックおかしいですからね。

それに提督さん、『響が死んだら俺も死ぬわけだし』とかめちゃくちゃ危ない事を口走ってるんですよ。

私達妖精としては提督さんに死なれたくはないんですよねー。

まぁ響さんが死ぬなんて全世界を敵に回してもあり得ないような物ですけども。

「響ー、どこだー?」

 

おっと失礼。ちょっと隠れさせていただきます。

提督さんがゾンビモードに入りましたね。響さんが出撃してて一人で居ると大抵こうです。

この状態で見付かると出撃してるのも忘れてて『響はどこだ…』とか言って殺しに来るので、ほんと危険です。クレイジーです。

その上響さんが帰って来ると………ってちょうど良いところに。

説明するよりも見ていただいた方が早いでしょう。

提督さんに続いてゲートの方に行きましょうか。

って提督、嬉しいからって犬耳生やしちゃ駄目です。ここには居ないどこぞの白露型駆逐艦さんのお株を奪わないであげて。あとどういう訳か無駄に似合ってるとかちょっとイラッとするからさっさとしまってください(スパナ用意)。

 

 

 

さて、なんか良く分からない内にゲートまで来た私と提督ですが、さっきからちょっと吐き気がします。

え?まぁそりゃ目の前で大の大人がいたいけな(ただし下手なゴ○ラより強い)少女にダイビングしてるんですよ?ちなみに響さんはそんな提督を受け止めたあと『うんうん、提督、寂しかったよね?大丈夫、殺気を飛ばしたから当分は誰もここに来ないよ』とか言ってます。妖精的にはなんというか響さんを艦娘にカウントして良いのか悩むところです。

それでも響さんは艦娘なんですけどね。

とりあえず私は響さんが横に置いていた艤装を整備の方の仲間に連絡して引き取ってもらいますかね………

「………」

 

ダメだこりゃ。目の前で樽一杯のガムシロップ煮詰めてそこに蜂蜜を加え角砂糖と混ぜ合わせたような甘い雰囲気にやられてる。

私は慣れたからもう大丈夫なのですが、どうにもこの二人は一緒に居るだけでとてつもなく甘い雰囲気になるんですよね。

ってなんで提督さん響さんに押し倒されちゃってるんですか!?もしかして青○するつもりじゃ!?

うわぁぁ提督の目がトロンとしてますよ!?これ完全に受け入れてる感じですか!?

でも他の鎮守府の知り合いいわく、幼女に逆レされるのは男の夢だろ?とか血迷ったこと言ってましたし、あれですかね、男の本能って奴でしょうか。

あ、なんだか知り合いの言葉とアホ面思い出したら落ち着いて来ました。

とりあえずここはアレですね、【自主規制】なシーンはアレしてしまうに限ります。

さぁ皆さんご唱和ください。

 

 

 

………ハイパークロックアップ!(時を越える)

 

 

 

よし、終了。

いや、正確にはただ私の語りを一旦停止しただけですがね?

でもまぁ、ちょっと私のプライド的に語りを止めるのって嫌いなんですよ。だからギリギリ【自主規制】を掛ける必要のない部分なら語っちゃいます。

それが例え目の前でハイライトの無い目で提督を見つめ、妖しく微笑む響さんであっても。

というかどっからどう見ても響さんのアレな本の表紙ににありがちな状態になってゲフンゲフン(詳しくは描写しません。ご想像にお任せします)。

まぁ、つまるところ今の状況だけパパッと説明しちゃうと、提督が響さんに○られて膝の上にあられもない姿の響さんを乗せて寝ていて、その響さんがいかにも悪いことを考えていそうな怪しい微笑みを浮かべているって事です。

一言で言うと………響さんマジプロの手際過ぎぃ!って事です。

いやー、どこでこんな知識覚えたんでしょうね?

一応私も基本的な部分であれば知り合いに聞かされた事があって知ってますが、響さんはどこでその方法を知ったやら。

知り合いの方もちょっとお偉方の方からこっそり入手してきたとか言う方法ですけど………なんなのでしょうね?

 

まぁ、とりあえず私はちょっとだけ語りを止めますかね。

現在提督さんは目の前で寝てますし、響さんも満足気に悪人な微笑みを浮かべてます。

そんな状況を延々と語ってもキリは無いですから。

さぁ、それでは皆さんごいっしょに。

 

 

 

暗!転!(舞台風)

 

 

 

そして再び舞台は鎮守府へ。

二人は鎮守府内でも割と無駄に広い食堂に居ました。

まぁ、今はサマータイム換算で20時くらいですからね。

確か提督は響さんが居ない間あまり食べていなかったですし、さぞ美味しいでしょうね。

私ご飯食べられないですけど。というか人間の一口で一人前分になるんですから、ほとんど要らないんです。しかも妖精の体って無駄に燃費が良くて、その気になれば30日くらいぶっ続けで作業出来るんですよ。

凄いでしょう?まぁ、それが活かされた時は一切無いですけど。響さんって九割九部九輪で無傷ですし。

 

いやー、それにしても話は変わりますが響さんは凄いですよね。

水鬼(敵の中でもトップクラスに強い)を数体相手に一人で圧勝しますし。

その上料理も出来るんですよ。ここで妖精の分まで(五、六人分ですが)用意してくれる辺り根はいい人なんでしょうね。提督が絡むとキチガイ染みてると言うしか無いですが。

しかも提督の料理だけ何か混ぜられてる形跡が(妖精は仕事上かなり高感度のセンサー的な物が目に備わっています)ありますし。

いやー、もうなんというかアレですね。色々献身的ですねぇ。アハハ。

確か前回混入させた薬はちょっと体が火照る物でしたが、今回はどうやらちょっと効果が3日くらい続く筋弛緩薬。

何でしたっけ、響さんの不在の間に ……そう、士官学校の同期の女性が来てましたが、もしかしてそれを嗅ぎ付けたんですかね?

流石は響さん、艦娘とかその辺色々超越しちゃってますよ。

でも私としてはちょっと世間話しただけで筋弛緩薬って、ちょっと容赦無さすぎじゃ………ってジロジロ見ないでください命の危機を感じちゃうでしょう。

「じゃあ、消えて?」

 

あっはいそうですねー。

私はどうせお邪魔虫ですし、退散するとしましょうか。ドロンさせていただきますよ。

 

この先どうなってもしりませんからね!







さ、さて、前書きで言った通り中途半端に終わったしいつもと様子が違う今回の話………察しの良い人が見れば一目瞭然だが、続くのだ。
誰がなんと言おうと続く。というか続き含めて響編なんだよぉ!

ちなみに作者が艦これで一番好きな艦は雷です。ダメ人間にされたいです。


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響(ヤンデレの原因は提督)と提督(実は様々な原因)

短いが前回の答えみたいな。
ちなみに、妖精さんが言っていた意味深なアレ、実はさ………ほぼ関係ないんだ。

ちなみにモチのロン提督さんは転生者ですがなにか。


うぃー。なんか生きてるのってだりぃけど死んだら死んだでよー分からん神様のオモチャ(主に色々な意味で)にされるから死ぬのもだりぃ。

そんな訳なんだが、どーやらさ、転生者の運命って基本この世界じゃどう足掻いても提督になるしかないみたいなんだよね。あーだりぃ。

つーか一番だりぃのは士官学校。正直艦娘の建造についてご高説垂れてるオッサンの理論ってバカなんだよなー。

駆逐艦を狙って建造するなら最低値が良いとか言ってるが、まぁそれは良いんだ。第六も全員そこから引けるし。

だけどさ、潜水艦を狙うためのレシピはないとかふざけんな。

250:30:200:30のレア駆逐レシピで改の方が基準となっているこの世界換算の2日で建築できる奴が出るまで繰り返せばほぼ六割以上の確率で潜水艦だからな?

しかも島風とかも引けるし。

何故誰も知らんのだ………

 

てな具合で士官学校の間てきとーに座学実技含め身体スペックと予備知識と義務教育の三段コンボによりよゆーで過ごしきった俺氏だが、どうにも俺の配属先がおかしい。

この国の北端だ。確かに俺、暑いとこより寒いとこが好きだと言ったが行き過ぎやで。

まぁ別に困るわけでもないがな。

ただ、なんの因果か通常初期艦は選べる所を俺のだけ何故か響確定だった。

あれか、ロシア近いからか。

でもさ、1つ言っていい?

何故にこの響ちゃんのっけから無駄に好感度高い上に日本語オンリーの話し方なんですかねぇ………

嫌いじゃないよ?うん、嫌いじゃないんだ。だけど微妙に違和感が………

あ、分かった。これ前に酔って特典の王の財宝から意味も無く北の方に宝具撃ち込んだんだった。

まさかそれがロシアに賠償艦として渡されかけた響ちゃんの近くの奴に命中して、その宝具が変に作用して俺に惹かれるようになったと?俺は誘蛾灯か。

でもまぁ、この響ちゃん普通に練度高いし心強い………のだが。

なんか響ちゃんが鎮守府に来て以来時々危ない目をするようになったんだけどどうしよう。

俺原因分からないけどこれはヤバい。

どういう訳か新しく艦を造れないし響ちゃんはドンドンハイライトが消えていく、その上強くなっていくし何故か俺を介護するようになった。

………個人的には超ウェルカムです。幼女に介護されるとか本望。てか楽して生きられるならまったく困らん。最高すぎる。

基本任務に出てたりしなけりゃ呼べばすぐそこに居るし、可愛くて家事が出来て一途で幼女。

まぁ俺の要望を全部揃えちゃってくれてる。

欠点と言えば………最近洗脳っぽい何かを掛けられてる感じがすることかね?

俺がそれを喰らっても効果はないが、とりあえず少しずつ洗脳されているように演じよう。

なーに、演技は得意なのさー。

主になされるがままな感じの演技(素)はね。例えば一人の時誰かしらに見られている気がしたので気が触れたような行動を取り、不意に響の名前を読んでみたり。

そして帰ってきたら幽鬼のごとき動きで迎えに行き、とりあえず押し倒してみた。

まぁ、俺の思うキチガイを見事に再現してみてる訳だ。

ちなみに本日士官学校時代の同期くん(見た目は女だが男。いわゆるアレ)が来たので王の財宝こっそり展開して時間を切り取る宝具などで長話を瞬間的にした。

主にこの世界、初期艦がヤンデレ気味になりやすすぎじゃね?とか。

まぁね?同期くんの方もおかしい初期艦で、何故か雷らしい。現在は絶賛ダメ男化してると。

家と違ってレベルが天元突破もしてないし他の艦も居る辺り、むしろ羨ま………あ、でも響だと一緒に居て浮気さえしなければ献身的に支えてくれるし可愛いし何より楽できるから良いか。

そんな事を言ったら、『やっぱ変わらんの』だとね。そりゃ数年じゃ変わらんとも。俺の場合は転生前含め数十年単位だが。

まぁ、積もる話もあったんだがちょい宝具の効果も二時間が精々だったんで、その後初期位置に戻って雑談したように見せ掛けて(もち俺は気の触れた演技で)から帰ってもらった。

………で、響が帰って来て演技の一貫として(ただまぁ三割ほどの本気も含めてるが)押し倒して、しばらくののち響が作った料理を食ったら………

バタッ。

倒れちった(笑)

どうやら筋弛緩薬を盛られたぽい。

いやはや、困ったもんだね。

別に王の財宝からちょっとした安い万能薬を一滴喉に垂らせば治るとは言え、動けないのは大変だ。

しかも都合が良いのか悪いのか這いつくばって寝るくらいなら大丈夫みたいだ。

だとしたら治るまでは介護生活かー。

介護生活。あー、夢はあるし希望もある、なんて最高の言葉なんだー。

何せただなされるがままで良いんだ。

ちょっと自由に動けないとは言え布団の上で転がってりゃ良いだけとはもうすんばらしぃとしか言い様がない。

さぁ響、俺を介護してくれ。

少々洗脳みたいなのをしてくれても構わんぜ。どうせ俺だって随分前に故意ではないといえど洗脳もどきをしてるんだしな。

ただ俺にはいくらやっても効果は無いが。

薬物?効果ありましぇん。猛毒すら余裕です。

催眠?いや、俺元来そういうの効かんし。

物理?防御は測定不能クラスですが。

依存?すでに手遅れさ。

そういうことだ。一方的に洗脳している感があって微妙だが、まぁ響本人が喜んでやってるぽいしいいだろ。

俺にも響にも得しかない、こんな関係こそが男女の関係の理想型じゃないかと思う。

俺の意見でしかないが。




今回の提督さんは有数のチート転生者かつ謎のラックを持っているダメ人間です。
雷と組ませちゃダメ、ゼッタイだと言えばお分かり頂けるだろうか。
ちなみに士官学校はサボり魔だったので特典でイカサマして卒業した。
そして以下が今回の原因となった宝具。スペックは決めていないが具体的な能力のみで。

【狂気の鮮血(ブラッディ・ブラッド)】
対人~対界宝具。ランクB~SSS。
投げる事で使用。命中した相手の能力を数十倍にするが理性の一部を失う。
そして投げた主への忠誠を植え付ける。
ただし、この宝具の効果は対象のスペックとその時の状況、適合率より効力が変動するためランクも変動する。
響はなんと適合率300%オーバー。今のところ全力全開までやったことが無いがまだまだ強くなれちゃう。
ただしその分奪われる理性も大きく、忠誠心が変に働いてヤンデレ化したのが事の真相。


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俺と妹の化かし合い一夜(デアラ、琴里)

今回はネタ+ヤンデレ(ただしこれまでとは違うタイプの)+騙し合い。

単に普通のヤンデレとか書いててHPがえげつないくらい削られるんだよね。
なんでだろ。


「あなたの事がす……」ドグシャア!

 

「つ、付き…」ズドン!

 

「あの、良ければ今度で」ドルフィン!

 

俺、五河士道は呪われている。

それも気付いたのは最近だが、どうにも厄介な呪いだ。

いやまぁ、話は変わるが俺も顔は良い方だと思ってるし、モテたくてちょっとどころじゃないくらい頑張ってみた。

得意じゃねぇ勉強も『教えよっか?』と颯爽と言えるくらいに得意にして、運動部も真っ青の身体能力を手に入れ、いわゆるリア充ともタメ張れるコミュ力もある。

だが………俺の呪い、『誰かに告白されたり告白すると突然爆音が鳴ってそれを妨害し、翌日にはその相手が俺を見ると逃げるようになってる』呪いだ。

なんだろ、俺の10年近くが否定されたような呪いだよねこれ。

それに、前に一度それでもめげずやってきた娘も居たんだけど、その子は気付いたらトラックに牽かれて死んだらしい………ほんと不可解な呪いだ。というかお願いだから俺が疫病神扱いだけはされないようにしてくれ。

これじゃいつか妹しか俺を避けない異性が居なくなっちまう。

いくら妹が血が繋がってなくて可愛くて俺を慕っているとはいえ、妹を口説くのは………うん。

ゆえに、俺としてはこの呪いを一刻もはやく解きたい訳なのだが………俺の長年の調査により、ようやく呪いの解除方法がなんとなーく分かったんだ。

妹がなんか『おにーちゃん!凄いのあったよ!』とか言って持ってきた古い感じの巻物。それに書いてあった解除方法、それは………

 

キスである。

 

しかも、対象は自分に好意を持つ五歳以上歳の離れていない異性とある。

チキショー。成人してたらちょっとアレなお店に行けば割と簡単に解決出来んのに。

だがまぁ、ここで1つ無駄な偶然に気付いてしまった。正直気付きたくなかったが。

解除方法であるキスだが、その好意がLIKEかLOVEかの指定はない。

つまり、俺のことを慕っている妹に上手いことキス出来れば良いのだ。

大丈夫、手段ならいくつかある。そのうちの3つほどは違法性しかないから使えないにしろ、ほとんどは実行しやすいものだ。

まず今のところ一番可能性が高いのが、階段からアイキャンフラーイしてラッキースケベ的にキス。欠点は妹に負担が掛かる。

次点で多少疲れてそうな時を見計らって盛る。そして眠ってる間にキス。

で、三番目は………うん、絵ヅラは完全に犯罪でしかないが強引にキス。

どれにしろ問題しかないが、やるしかない。

大丈夫大丈夫、前にちょっと喧嘩して数人の手首とか足首とか折った事があるんだけど、その時多少の状況証拠と目撃証言はあったものの被害者ヅラしてただけで相手が一方的に『嘘を言ってるんじゃないか』と思われる程度には品行方正少年で通ってるから。

ただちょっと女子にモテるのに彼女が出来ないというデメリットオンリーの状況にあるわけだが。

 

まぁ、色々話したけどさ、あれだよ。

一言でかっこよく纏めるとこう。

 

さぁ…俺の戦争(と書いて犯罪スレスレの強引なキスと読む)を始めよう。

 

 

 

side琴理

 

フフフ………全て私の計画通りね………

おにーちゃんに私以外の女が何かしようとするたびにカマエルで軽く焼き尽くしたり拾ってきたトラックで牽き殺したり刻んだりと…まぁ忙しい日々を送ってきた私ではあるけど、ついにこの日を迎えられたわ。

ナイスよ私。よくこの日まで我慢出来たわよね。

まぁ、あのメスどもを近付けさせたらおにーちゃんが壊されちゃうと知ったら出来ないことなんて無いのだけれど。

でも流石に視界に入ったら死ぬとか、いくら殺しても精神が壊れるまで死なないとか、時間停止だとか電撃だとか良く分からない強制破壊とかの力を持った奴がこの街にポンポン現れるなんて想定していなかったのだけど。

しかもそのせいなのか既に私以外の精霊全てが死亡、良く分からないけれど居場所を失った霊結晶が何かに誘引されるようにおにーちゃんに取り込まれ、気付いたら精霊が私と良く分かんないやつの二人きりになってたのよね。

まぁ、残りのノイズのやつには『私は人の恋路を観察するのが趣味なのでね。さぁレッツゴー琴里』とか言ってくれたんだし、私は私の目的を果たすとしましょうか。

もう邪魔者も居ないし、ちょっとおにーちゃんと既成事実を造るための切っ掛けも造った。

あとはただ、目の前で寝たフリをするだけ。そしてタイミング良く起きて責任取ってと言い、既成事実を造る。

「それじゃ………私の戦争(寝たフリ)を始めましょうか」

 

 

 

そうだ。今考えれば飯に睡眠薬混ぜたりする必要ねーじゃん。

そんな単純な事に今更気付いた。

そもそも寝込みを襲うなら寝たのを確認して深夜に決行すればいい。

なんて頭脳プレー。それにこのプランならあくまで寝惚けていた。という言い訳も出来る。なんて最高のプランなんだ。

………って事を思い付いたのが数時間前。今はもうすでに琴里は眠っている。

 

つまり………作戦開始だ。

すまん琴里、おにーちゃん呪いから逃れるべく人の道を外れるわ。許せ。

まず事前に入手した睡眠薬………に、良く似た効果を持つお香を琴里の部屋の前に設置、ついでに静音すぎて以前兵器に転用出来そうだという話も持ち上がった扇風機でその煙を琴里の部屋に流し込む。

そしてそれが終わったら中和剤…というかカフェイン錠(あくまで市販のお香でしか無いためそこまで効果は高くない)を飲んで30分待機。

ちなみに待機したのはカフェインは接種してから効果が出るまでそれくらいの間が空くというのを聞いたからだ。

んで、待機終了と共にお香を消し止め、侵入。

そして迅速に琴里に接近、仰向けだったのでこれ幸いと唇を奪い、退室………

おいちょっ待っ………何故意識が………遠く………謀ったな琴里ィ…

 

………ふぅ。あぶねぇあぶねぇ。

まさか琴里がんなもん用意してるとはな。まぁ年頃の乙女としては当然か。

だが何故スプレー式の睡眠薬トラップが………まぁ捕縛用と考えても良いんだけどさ。

ただ何故にあそこまでスルッと俺に食らわせる事が出来たんだ?

正直事前に予測してわざとああやった以外に思い付かんぞ。

幸いにして事前に対策として用意したカフェイン錠が効いてたが。偉大だねこりゃ。

………ふぅ。とりあえず寝るか。もう何かと遅い時間だし、明日も弁当作らなきゃいけないし………

それに明日からは女の子を口説いてもその子たちが酷い目にあったりもしない。安心して口説けるぜ。

俺はルンルン気分のまま、階段を降りようとする。

だが油断していたのか………途中全力でこけて縦回転。見事な着地を決めてから上から落ちてきたお香の容器に頭を打たれ気絶した。

 

 

 

翌朝。まぁ翌朝かどうかは分からないが少なくとも気絶してからある程度時間が経ったころ。

なんか妙に腕の方があったけーな………

そう思ってなんとなく横を見ると、琴里が俺の腕をガッチリとホールドしている。

やべ。この状態になった琴里ってどうやっても離してくれないんだった。少なくとも視界から離れられないし無理に離れようとすると殺気が…殺気が…

ただまぁ、きっと罰が当たったんだろう。

寝込みを襲ってファーストキス奪うとか外道か。いや、それを後悔はしてないが………微妙に後ろめたい。

あれだ、今の状況だったら少し興奮しないわけじゃないんだが、後ろめたさとかが前面に出てて………

けして妹相手に興奮していることへの言い訳ではない。

 

………ん?よく見たら今日の琴里、随分と前にプレゼントした黒いリボン使ってんじゃん。

確か渡して以来こっちを付けると微妙に大人っぽくなるんだったっけ。

それでも呼び方が変わらないとこ、可愛いんだよなぁ………

ダメだ、なんかこういうこと考えてたら琴里をストーキングしてしまいそうになる。我ながら変態としか言い様がないぞコレ。

いや、でもすでに寝込みを襲ってキスとか完全に変態………

やめだやめ、んなこと考えてても仕方ないさ。

それに考えてみろよ。朝っぱらから妹に抱き付かれるとか、おにーちゃんとして最高だと思う。それに琴里可愛いし。

うんそうだ問題ないさ。男だもの。おにーちゃんだもの。

………ってあれ?なんか琴里の服に変なシミが………はぁ。これ染み付いてやがる…

シミ抜き大変なんだからな。まったく。

だが、やはりこの世話の掛かる感じ、好きなんだよなぁ………

とりあえず、あとで服のシミ抜きしておくかな。

今はただこのふにょんというかなんとやらな………その、年齢にしては未発達なものの俺的にはストライクな体の感触を楽しもうと思う。これを楽しめなきゃ男じゃねえ!




今回の流れ。

琴里ちゃん精霊化⇒おにーちゃんが封印でなんか惚れた⇒ファントムさん『おにーちゃんを奪おうとする悪いやつらぶっとばそーぜ!』⇒琴里ちゃん戦闘開始⇒今回

ちなみに琴里ちゃんはおにーちゃんが女性関係で身を崩さないよう自分以外が近付かないようにしていた。
あれだね、おにーちゃんはすごく女運が無かったんだよ。ただ妹運はEX+だけども。


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【前編】行き先不明の時で知り合いと会うと嬉しいということ。(俺ガイル、TS戸塚)

どうでも良いが作者は前編と後編でタイトルを変えることがある。
ここ、テストに出ないよ。間違っても覚えないように。

ちなみになんかこんかいは筆が進んで仕方ない。なんでだろ。
戸塚ちゃんが天使だからか、それとも後編のヤンデレ戸塚が可愛くて仕方ないからか。
まぁ、今回はあくまでヤンデレ化の原因からですがね。


ある日の放課後のこと。

小学生。いわばガキ。ガキんちょって言うと微妙にレトロなガキ大将を思い出す。

前はこの頃いじめられていた俺としては陰湿な事をしてこないし何かと良い奴でもあるジャイアン的な野郎を所望したい。

少なくとも俺みたいにねじれ過ぎた根性ゆえに人生の時の流れすらねじ曲げた人間を生まないためにも。

 

………話がそれた。

しかしまぁ、10にも満たない子供ってものはどうして好きなやつに変なちょっかいを出すのやら。

確かに金髪少女は可愛らしかったが、囃し立てて騒ぐほどでもないだろう。

少なくとも俺であれば今の内に少し仲良くなっておいて将来養ってもらう候補にしておくだろう。

もちろん、俺はそれを今実行せんとしている。

確か今日の占いでは思い立ったがすぐ行動で吉と言っていたが、まさにそれなのかもしれない。将来的に。

しかし…どう話し掛けたものかね。

いかに小学生と言えど見た目同世代のやつに話し掛けるのは辛いぞ。

そうだ、ここは1つ俺のソウルドリンクに頼ろう。

マックスコーヒーに。マッ缶に。

あれを話題にすれば話し掛けやすいかもしれない。

幸いにしてポケットには朝たまたま拾った500円玉がある。

その時わざわざ交番にでも届けてやっても良かったが面倒でポケットに入れてたやつがここで役に立つとは。

ネコババになるが許せ、元の持ち主。

 

ガチャコンガチャコン

 

近くの自販機(この学校、何故か自販機が近くによくあるのだ)でマッ缶を購入………お、当たりだ。ならばここでもう一本。

意外にも予定より安く購入出来たな。

それじゃ話し掛けよう。

「なぁ」

 

さて、話し掛けている最中に考えることではないかもしれないのだが、何かを用意してから話し掛けるというとギャルゲーやらRPGのようだと思う。

人生を何かと他より経験しすぎて謎の視点を身に付けた俺からすれば人生はもはやRPG…しかもかなりのバグがあるクソゲー同然なのだがな。

「な、なに?」

 

さて、自分から話し掛けといて難だが、まずい。

やはりいくら生きようと俺は俺。人と話すのが苦手なところは変わっちゃいないか。

だがここで一押し。このマッ缶を消費しなければ面倒だしな。

「これ、やるよ」

 

そう言ってマッ缶を差し出す。

ところでずいぶんと前の話になるのだが、マックスコーヒーのCMにでも使えそうなフレーズを思い付いた事がある。

『人生は苦いから、コーヒーくらいは甘くていい』というやつだ。

今回はそれの映像にでも使えるんじゃないだろうか。

あれか、フラグってやつだったのか。

しかし、世界は狭いな。前の人生で言ったことが次の人生で最適なシチュエーションを見るとは。

まぁ、人生は普通一度きりだし、こんなことを思うのも俺くらいだろうけどな。

「あ………ありがとう」

 

さて、何かと前回の人生における俺の迷言でそれなりに行を埋めるような真似をしたわけだが、あれはただの前準備だ。

家族以外の他人と行事あるいは授業以外で話すのはこの人生に入ってから初めてだし、少しキョドりそうだからな。いわゆる緊張を解す一種のルーティーンだ。

「………」

 

「………」

 

だがしかし、やはりというかなんというか、一貫してぼっちな人生を歩んできた俺にはこんなときの会話の糸口が分からん………

そうだ。マックスコーヒーについて聞いてみよう。

そしてあわよくばあの台詞を糸口にして聞き出してみるか。

なに、相手は小学生。適当な事を言ってもあまり恥ずかしくはない。

それに、最悪マックスコーヒーについて布教出来れば良いのさ。

「それ、どうだ?」

 

まずは美味いか?ではなくどうだ?と聞いて感想を引き出す。

ここで美味いか?と聞くとくれた人に苦手と言えず美味いと言ってしまう生物なのだ。人間とは。

ソースは俺。この人生で3歳のとき好きでもないというかなんとやらな………大根を焼いただけのシロモノを伯母夫婦に食わされてそう聞かれた際、食事をもらっている手前というか母親の面目のために美味いと言わざるをえなかったことから。

「嫌な気持ちになったら悪いけど………結構甘いかなぁ」

 

お、これは期待していた反応だ。

正直微妙とか、不味いとか美味いとかだったら少し手間が掛かっただろうがこれなら一気にあの台詞を言える。

「そうだな。けど知ってるか?マックスコーヒーが甘いのはな?人生が苦いから、コーヒーくらいは甘くていい。なんて思いやりからなんだよ」

 

ちょっとドヤ顔気味で言ってみる。

高校生とかが言おうものなら変な目で見られるだろうが、小学生が言ったなら『マセてるなぁ』くらいで済むし、なんと俺の心に経済的か。

ただ、もう半分以上捨て身で言った筈の台詞はどうやらこの少女の純粋な心に響いたようで。

「ほんとなの?」

 

さっきまで元気なかったよな?と疑問型になってしまうほど食い気味に聞いてくる。

なるほど、どうやら人生がほろ苦いどころか濃縮ブラックコーヒーくらい苦いことをなんとなく察していたか何かだったのだろう。

だがしかし………ここで本当だと言ってしまってはこの少女に変な嘘を教え込んでしまうことになる。

多分きっと、この少女はそれを自慢気に誰かに言う気がする。

 

堂々とそれを言う少女は可愛らしいのだろうが、ちょっと純粋で疑う事を知らない少女に嘘を教え込むのは少し気が引ける。

とりあえず、引けなくなる前に嘘だと言っておこう。

「………嘘だ。俺が考えた」

 

そしてあくまで俺が考えたといい、誰が言っていたのかを固定する。

そうすれば………ってダメだ。なんだろうか、この少女なら俺が考えたということを言ってしまったら『なんか変なことを言ってる子がいた』的な流れで誰かに言ってしまうだろう。

しかし時すでに遅し。

少女は何故か目をキラキラと輝かせながら俺を見ている。

ヤバいな。これは完全に今考えたような事が起こる………

まぁ、良いか。幸いにして名前は教えていないし。

俺はその後、マッ缶を飲みきると同時に缶を近くのゴミ箱に捨て、適当に立ち去った。

 

ちなみに帰ってから微妙に黒歴史が暴かれた時みたいな感覚がしたのは言うまでもない。

それにしても、どういうわけだかさっきからあの少女とまたどこかで会う気がしてならない。

もしかしたら、高校辺りで会うのかもな。前回でも高校は出会い多かったし。

まぁ、きっといつかまた会う時があればこういうだろう。

『俺と付き合って(なおかつ養って)下さい』と。

………本気にするな。一厘くらいは冗談だ。




今回は初めてループものてきなアレに挑戦してみた。
二回目の人生を送る八幡はいじめられていない。ただしその代わりに戸塚がTSしてたりその戸塚がいじめられてたり。
ちなみにいじめの原因はただ、『オメー女のクセにボクとかwキモッw』という謎理論。小学生ならありえるんじゃね?って発想。



んで、こっら別題。
実はこのループには元ネタがある。
それはまぁ、察することが出来たらもうニュータイプとしか言い様がないようなくらい分かりにくい。
ヒントとすれば、ただ元ネタはもっと世界観殺伐としてますがね!ってこと。

あ、忘れるとこでしたが次回は高校生編からスタートです。


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天使はどうやっても天使であり、ボッチはどうやってもボッチ【中編】

いやー、まさかこんな事になるとは。
良くある前後編にまとめる筈が中編も付いちゃったパターンだなんて………こりゃ中編2もありえるかもね。無いけど。どうせまた時間飛ぶし。

てなわけで今回は本家でもあったような作文的なあれからスタートです。
短いのは仕様だし下手なのも仕様だ、作者には作文は………無理なんだよぉ!


例えばここに幸せというものがあるとする。

ならばそれはどんな形をしているだろうか?

自分自身?好きな人?一体何なのだろうか。

だが、俺、比企谷八幡はこう考える。

幸せはカタチを持たない形を持つと。哲学的な答えにも思えるが、それはただ水などと同じく形を変える、ということである。

幸せ等と言うものは時が経てば形を変えるし、誰かを愛する事が幸せだとしてもその対象が変わる事もある。それにもしかしたら報われない想いを抱え続ける事を幸せだと思う者も居るだろう。

そう、幸せとは人それぞれの物であり、他人がその形を変える事は出来ないし幸せを奪う事も出来ない。

ならば、それは『一人で過ごすこと』を幸せだと思っていたとしても変わりはない。

つまり………

 

「俺がぼっちなのはそれが幸せだからです。それが俺の高校生活一年目の結論です。異論反論は許すが覆さない」

 

担任教師の平塚先生の前で堂々と言ってやった。

いやまさか、二度の人生で二回ともこの作文で引っ掛かるとは。まさかこんな書き方でも駄目なんてな。

まったく、どうやら俺は平塚先生のお叱りを受ける運命にあるらしい。

だが、あくまでこれは俺の見解だが………多分この見た目はキレイだし一部の人からは大好評な性格をしている平塚先生がモテなくて結婚出来ないのは、酒癖の悪さと片付けられないタイプだからであろう。

確か前回から今回に至った理由も、平塚先生含む何人かで進級祝いをかねた何かをしていたところ、無駄に頑丈に造られていた筈の建物がいつの間にか燃えているやら崩れ落ちて埋まるやら………だったんだよ。

何故か今はこんな二度目の人生を始めちまってるがな。

今回は奉仕部に入らず、あの事件が起こらないようにしようと思って違う作文にしたのだが、どうやら運命は変えられないらしい。

あぁ、もうこうなってくると癒し要素とかないな。

前回でやったみたいな事を言うのはなんか無意識に変な感じがするし、今回は新しく台詞を考えなきゃな。

ソースは俺。いくら良い言葉でも二度三度と使ううちに面白味が無くなっていくのだ。

「おい、今ちょっと前にすごく失礼な事を考えてなかったか?」

 

おっと、どうやらあのことに気付かれたらしい。女の勘ってのは恐ろしいもんだぜ。

「いえ、こんなにお綺麗な平塚先生か何故結婚出来ないのか具体的な理由を探していました」

 

とりあえず言い訳はこれで良いだろ。あまり嘘は含んでないしな。

先生は綺麗だ。そして結婚出来ない理由は………そうだ、ここでその理由を答えろと言われたら綺麗すぎるから、と言おう。それで多分二度目の奉仕部入りは回避出来る。

今回は奉仕部に入らない。そうすればあの事故は起こらないし、きっと誰かが死ぬこともない。

その代わり俺のボッチ人生は極限まで高められるのだが、それはこの際置いておく。

「ふむ、それでは私が結婚出来ない理由はなんだと思う?」

 

「先生が綺麗過ぎて近寄りがたいからでは?」

 

「嘘が見え見えだぞ」

 

チッ、バレたか。なら別の物を喰らえっ。

「先生のクールビューティーな見た目からは想像も出来ないほどのワイルドさとアクティブさに驚くからでは?」

 

意訳すると、見た目からは想像も出来ないほど攻撃が多く強引ってのが理由では?ということだ。

嘘は言ってない。

何せ今実際に殴られたし。

先生、体罰は今時大事になるんだぜ。

「比企谷、ところで1つお前に言っておく事があるんだが」

 

なんすかね。あ、でも前回の流れ的に奉仕部への勧誘?

これが別の部ならなぁ。あんなことが起こる部に入りたくも無いし。

「お前に勧誘が来ている」

 

「お断りします」

 

多分雪ノ下からだろうが、断固としてお断りする。

あの部に入れば死ぬ。というかアイツらも死ぬ。それだけはお断りだ。

「………戸塚という超美少女からだが」

 

………よし受けよう。マイエンジェル戸塚からの頼みなら断れないな。

まさか一人で過ごすうちに材木座を痩せさせるとどうなるかという実験のためやっていたテニスの腕前を知っていてくれたりしたのか?

なにそれマジ萌え展開。ラブコメだぜヒャッハー!

でも戸塚、男なんだよなぁ………正直何度か告白しようと真剣に考えかけたけども。

あ、でももしかしたらTSって可能性もあるな。

この世界炎の女帝と葉山が二人揃ってTSしてるし。

ただあの二人はラブラブカップル的な物になってるのは驚いたが。

まぁあれだな、俺様男子ってやつだ。リア充爆発しろ。

…話が逸れた。

「慎んでお受け致します。ところでその生徒…性別は?」

 

「何を言ってるんだ。女だよ」

 

TSキター!

ヤバい。これで告白しても大丈夫だそこれ。

あ、でも告白したところで駄目だな。俺好感度上げしてないよ。

こりゃあてーへんだ。これから少しでも印象を………

「ちなみに部活は奉仕部だ」

 

………え?

ホワイ?ちょい待ち?何故に戸塚が奉仕部!?

まずい。これじゃ俺の奉仕部回避作戦が………

いや大丈夫か、戸塚が居ると言うイレギュラーがあるからあの事故は起こらないだろう。

そうだ、きっとそうだ。

俺は自分をそう納得させると、平塚先生に敬礼してから職員室を去った。

もちろん、これはれっきとした回避行動である。

何せ………まぁイレギュラーを増やしとくに越した事はないってことだ。

例えば奉仕部入りを一人でやるとか。

残念なことにも奉仕部の部室の場所は覚えてるしな。

あぁ、あの毒舌が俺を待っている。

あ、これじゃ俺が毒舌が好きな変態に見えるな。

じゃあ言い直そう。

さぁ行こう、マイエンジェル戸塚が待っている。

これでよし。

 

 

 

さて、わずかに時間を飛ばしたような間が空いたが、現在奉仕部部室に俺はいる。

正直に言おう。なんてこったい。

まさか戸塚が小学生の頃マッ缶プレゼントしたあと何となくで駄弁るようになってた少女だったたぁね。

まぁそうか。良く考えりゃあの少女の紙の色も話し方も戸塚のそれだったし。声が若干違うような気がしたから気付かなかったがあれが戸塚だとは………うむ、悪くない。というか最高だ。

ただ、どうやら戸塚はいわゆる………あれだ、ラノベ等で良くある子供の時救ったら再会したときに惚れられてましたてきなアレ、だったのだ。

率直に言って嬉しくないわけはない。

だが………さっきから俺と雪ノ下が軽い口論もどきになるたびに目の光が暗くなっているのだ。

少し嫌な予感がする。

何故だろうか?

確か前にノコノコ動画でそんな場合にぴったりの単語を………思い出せん。

だが思い出せなくても嫌な予感は残っている。

どうしたものか。

ここは1つ、軽く戸塚と一緒に帰ってみる。というのはどうだろう。

いつもの俺ならそんなことはしないだろう。だが相手は戸塚だし俺の中の何かがそうするべきだと訴えるからしておこうと思う。急がばゴーストレート、である。

 

 

 

「ふふふ、まさか八幡とまた会えるなんてね」

 

「名前言ったか?」

 

「お、同じクラスだしさ、ほら」

 

うむ、何か今回のTS戸塚の特徴が掴めて来た。

そう、物凄く嫉妬しやすいのだ。

まぁそれも可愛いと言ったら終わりだが、とにかく嫉妬しやすいし嫉妬心が強い。

もしかしたら俺と雪ノ下の口論もどきを仲良くしてると見ていたのかもしれない。

これは誰かと話すとき細心の注意が………話す相手、居ないなぁ。

とにかくこの戸塚、可愛らしい特性があるんだがどうにも嫉妬心が強い。

ただ二人っきりだとずっと笑顔なので可愛い。凄く可愛い。

「まぁ、確かにな」

 

それにしても、戸塚がまさか俺の名前を知ってるとは。

俺の方は前回の記憶があったが、確か名乗った覚えも無かったし進級の時に名前が出てたの以外で誰も俺の名前を聞いてないだろうから実は結構前から知られていたのかもしれない。

うわ俺の情報力低すぎ。

まぁそんなことは良いだろう。とにかく今はこの戸塚と良好な関係を維持し、ハッピーエンドを迎えるのだよ!

マイエンジェル戸塚はどうやっても可愛い事に変わりないのだからな。

「でもさ、八幡が僕の事覚えてるなんてビックリだよ。嬉しいなぁ」

 

あ、ヤバい。今の仕種、戸塚以外がやったらあざといとかぶりっ子とか呼ばれるやつだ。でもそれが様になってるんだよなぁ…

おっと、思考が逸れる所だった。

それにもう家の近くに来てやがる。畜生なんでいつもは帰りが長いと感じるのにこんなに短くなってんだよ。

あれか、楽しいと短くてつまらないと長いもの、なーんだってクイズを親父出された事があったけどそれは事実だったのか。

ちなみにそれの答えは仕事だった。親父ェ…今の俺だから言えるがあそこまで小町に甘いのは会社で疲れてる反動なんだな…あぁはなりたくないぜ。

まずい思考が既に逸れてた。その上もう既に家に帰るまでの最後の別れ道だ。

とりあえずここは一言言ってみるべき………なのか?やったこと無いから良く分からん。材木座の場合お互いに家の場所を理解してるから聞くまでもない。って感じだったし。

「戸塚、俺はこっちなんだが、お前はどうだ?」

 

うし、なんとかキョドらずに言えたぞ。誉めてやろう。俺よ。

「あ、そうなんだ………それじゃ、また明日、だね」

 

ヤバい萌えた。なんだろ、最早小町と張り合っても勝てそうなくらい萌えたぞ。

そして俺と戸塚は反対の道を進む訳だが………

しかし、こんな何でも無いような筈の台詞を言ったことが無いとは、ある意味で俺も世界記録保持者なのかもしれない。主に世界一人生経験のある高校生的な意味で。

計30年越えとか普通ないもんな。

そのあとは下らない事を考えながら道を歩き、一分ほどで我が家に辿り着いた。

そしてその僅かにあと、小町がUMAでも見たかのような表情をしながら帰ってきた。

なんだ?

おかえりと言うついでに聞いてみたが、はぐらかされて何かは良く分からなかった。

 




どうでも良いけど感想欄にもう答えを当ててる人を発見してしまった。
まさかね………まぁ映画版有名だもん。
だがこの戸塚編の終わりは多分予想も付かないと思うけどな!
何せ作者の大好きな終わり方にするのは決定してるしさ。
そういう訳で次話が戸塚編最終話となります。ですが作者のリアルが微妙に忙しいため執筆時間が取れず、次回投稿は最速でも来週後半………とか言って来週前半に投稿したりする可能性もありますが、とりあえず来週後半くらいまでは期待しないでください。


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終わらない終わり。【後編】

今回で色々回収。
珍しく救いが無い系を書いてみたけどどうだ?
個人的にはあまり好物じゃないんだが………
解説はあとがきにて。


あれから3年ほど。

俺はあのあと前回とは違う世界に変えるべく様々な行動をした。

例えば結ヶ浜。アイツについては前回と同じ依頼が来ると予想し、将来の武器として身に付けていた調理によってフルボッコにして俺に抱いていただろう印象?を完全に破壊し、なおかつナチュラルに避けていた。

一応完全に露骨な失礼となることはしなかったが、前回での最後の1年の記憶はやけにハッキリと残っているので好感度が上昇しそうなイベントを悉く回避して結ヶ浜との交流を減らした。

例えば林間学校の件。

アレについては事前に林間学校の予定日に予約を外せないタイプの何かの予約を入れ、朝から出掛けるという方法で回避した。

あとは………そうだ、文化祭。

あれはかなり骨が折れた。主に俺の心的な意味において。

まずガラでも無いのに実行委員長に名乗り出て、その場のノリで挙げた数名をネガティブな論で論破、俺が苦手とする部分を雪ノ下に任せ、俺は書類整理と陽乃さんバスターを担当していた。

例えばOBの実行委員会への干渉の禁止とか。

そこについては事前に『OBによる干渉は予定外のロスを生む可能性が高く、更になんらかの部活への贔屓等もありえるため禁止とする』とだけ言って陽乃さんが使える抜け穴を塞いだ。

ちなみにそのルールについては『文化祭実行日に本校の生徒でない者』の実行委員会への参加、過度な干渉を禁ずる。とした。

過度な干渉ってのは最悪面倒な手段で絡んできた場合にこっちが言いがかりで排除するための方便だ。

その後、陽乃さんが参加を試みようとした部分は多々感じられたが、俺はあくまで冷静に『特別な事情が無い限り現生徒、教師以外の準備及び運営への参加を禁ずる』とした。

そして事情がある場合は事前に委員会へ書類を出せ、とも付け加えた。

これで陽乃さんのこっちサイドへの参加は完全に封じた訳だ。

これでも大幅に改編している訳だが、これでは飽き足らずもうひとおしと色々確認し、さらに平塚先生と雪ノ下に頼んで何故か空いていた時間の隙間を埋めるための余興代わりにやってもらうことに。

ついでにそれは俺も参加だ。言い出しっぺが参加しないのはダメだったらしい。

そしてそこになし崩し的に戸塚参加、そんで四人になったところで他と被らんように、さらに(俺がやったことだが)ヴォーカル担当になった戸塚のため多少演奏部分多目の曲を選曲した。

途中で陽乃さんが『私も混ぜてよ!』だとか曲選びに口を出してきたが露骨に無視し、あくまで俺の意思のみでその辺を決定した。

 

そんで、それ以降のところは普通の文化祭だから省くが、なんと陽乃さんの干渉を防いだだけなのにかなりマトモに回っていた。

と、いうか前回のがおかしかったんだ。ノリで委員長とか、OBが口出すとか。

それを無くしたらそらマトモになるよな。

と、言うわけで文化祭についてはかなり前回より上手いこと回っていた。ということでまとめよう。

 

………あぁ、そうだ。忘れていたが今回における文化祭のスローガンはここはどうでも良いと思っていたものの一応委員長として言わざるを得なかった俺の意見を適当に改造した方が楽なんじゃないかと思ったらしい奴が造った『~人~支え合ってるように見えて片方楽してる………勝ち上がれ!』になった。

恐らく、俺の意見の奴を『支え合うのでなく競い合え、勝ち上がって楽する方になりたいよな?』と、いう意味に捉えたものだと俺は思っている。

俺はだが。話が逸れた。

とりあえずここらで本題に戻るとしよう。

今回における俺は、割と全力を持って前回とは違うルートを辿るよう努力した。

ただまぁ、文化祭の事とかその他一部が陽乃返しを用意しておいたりするだけであっけなく変わるのはある意味凄かったがな。

今思えば前回は偶然が過ぎたんだろう。

たとえば戸塚が元々性別が女だったりするんじゃなくて男の娘だったとか。

ほら、だってさ、今回の世界では戸塚と仲良くなってたんだが、どうにも嫉妬心が強かったっぽくて、色々ヤバいことになりかけた事が多々あるんだ………で、その度に俺が必死になって止めてたんだが、今日等々犠牲者が出た。

雪ノ下だ。

何故雪ノ下が殺されたのかは分からない。

だが、雪ノ下が死んだ事をまるで知っていたかのようにしていたことからして、きっと犯人は戸塚なのだろう。

聞いた話によれば雪ノ下の体はズタズタになっていたらしいが………何故だ?

あぁ、俺がなんでここまで冷静に受け止められてるのかって?

いや、雪ノ下には悪いんだが………心のどこかに前回とは違う事が起きたということを喜んでしまっている自分が居るんだ。

やはり俺も自分本意の人間ということだろう。

前回の通りであればすでに死んでいたのに、ここまで生きてこられたのが怖くてどこかで怯えていたのかもしれない。

だから前回とは明らかに違うこのルートを喜んでるのかも。

吐き気がしてくるね。あまりのクズさに。

 

そんな自嘲をしていると、不意に携帯が鳴った。

戸塚からだ。それにしてもなんでメール?

まぁ、今はとにかく見てみるかね。雪ノ下が殺された理由も分かるかもしれんし。

俺はスマホのロックを解除すると、届いていたメールを読んだ。

『八幡へ

きっとこのメールの内容は分からないかもしれない。でも信じてくれると嬉しいよ。

こんなことは妄言だと思うかもしれないけど、雪乃ちゃんが死んだのは僕のせいじゃない。腹から食い破られたからなんだ。

それについて教えてあげたいところではあるんだけど、八幡が今どうなのかを確かめさせてもらうね。

陽乃さんに散々引っ掻き回された文化祭のときの実行委員長が隠れてた場所に会いに来て。』

 

………まるで、前回での文化祭について知ってるみたいな口ぶりだなおい………

戸塚は一体何を知っているんだ?

これは、きっと何かある。

もしかしたら戸塚も俺と同じようにループを体験しているのかもしれない。

俺は、いてもたっても居られずに家を飛び出した。

幸いにして今日は小町も若干遅くなるようだったから、俺を止める相手は誰もいなかった。

 

 

 

「あ、会いに来てくれたんだ。嬉しいよ、八幡」

 

戸塚は心底嬉しそうにそう言った。これだけを見ているとまるで事件を起こしたのが戸塚だと疑ってる俺が馬鹿馬鹿しくなる。

いや、そもそもあれは推測とこれまでの戸塚の反応、それだけを見て言っていた事だ。

だが………恐らく今から戸塚が言うことは間違いなく真実であろう、ということは分かる。

何せ戸塚俺と同じループを体験しているようだから、俺の性格を良く知っていることだろう。

生半可な嘘を言っても俺は多分見破る、と。

人に嘘を吐かれまくっていつの間にか身に付いた真偽判定力がここで役に立つなんてな。

「それじゃ、何から話そっか?ループの事?それとも、雪ノ下さんがああやって死んだ理由?」

 

「…ループからで頼む」

 

俺がそう答えると、戸塚はスラスラと話し出した。

自分はすでに100はくだらないループを繰り返していること。

そのループにおいて学んだ事は、どう足掻いても同じ日に………そう、俺が前回死んだあの日の数日後、突然死んでいる事。

そして、死ぬ直前まで起きていると見えたのは、突然破壊された家屋と襲い来る怪物。

事前に家を出て帰らなかった事もあっが、それはそれで出先で死ぬ。

ならばループをいっそ楽しんでしまえと思い始めてから出会ったのが俺。

出会ったのは本当にたまたまだったらしい。その時は何回か覚えて居ないらしいが、自分の性別は何故か男だったと言う。

で、そこで一度奉仕部に入ったらしいのだが………そこで何故自分が死んだか気付いたようだ。

雪ノ下が体内に怪物を飼っていたらしい。しかも無意識の内に。

それに気付いたのはたまたまだったらしいが、そのあとすぐ殺されたのでどうなったかは分からないと。

 

つまるところ、俺が前回死んだ理由はただの事故でなく、雪ノ下の中に居た怪物が腹を食い破って外に出て暴れたかららしい。

なんて迷惑な怪物だろうか。暴れるなら遥か遠くの星でやってもらいたい物だ。

「というか、どっちも説明してないか?」

 

「そうだね、無意識にやってたよ」

 

はぁ…なんだろうか、今の戸塚を見てると微妙に力が抜けてくる。

同類って物を初めて見付けたからか?「でもさ、僕も不思議に思ってたんだ。なんでか八幡と関わるようになってから、ループすることになるまでの間隔が長くなってるんだよね」

 

ほう。そりゃ興味深いな。

俺が雪ノ下に関わっていて、雪ノ下に関わる俺と関係していたからルートが変わったとかじゃないのか?

思ったままに言ってみる。

「うん、まぁそうだろうね。でもさ…広い世界で、たまたま出来事の核心に当たる誰かに会えて、しかもその人が一緒の思い出を持ってくれるなんて…良いと思わない?」

 

そう言って、戸塚は俺に近付いてくる。

何をするつもりだろうか。

俺は反射的に離れようとするが、体が動かない。

「あ、八幡、今なんで動けない?って思ったでしょ。それはね、あらかじめここにすこーし動きを鈍くする薬の混ざったお香を焚いておいたからなんだ。だってほら…逃げられたら、確実に殺せないでしょ?」

 

不味い………凶器を取り出しやがった!

このままじゃ殺される。

なんとかして体を動かそうとしてもほとんど動けないし、その間にも戸塚が近付いて来ている。

「でもさ、安心して?死んでもどうせまた新しくループするだけだから………ね?」

 

戸塚は、取り出した凶器を動けない俺の心臓へ突き刺すと、満面の笑みで最期に俺にこう言った。

「愛してるよ。また次のループで会おう」

 

何が…愛してる……だ………

 

 

 

 

 

そしてまた、何年もの月日が過ぎる。

その間に何回死んだだろうか、何回ループしただろうか。

俺はそれでも、ループを抜け出せないでいた。

いっそ狂ってしまった方が楽なのかもしれない。いや、楽だろう。

なにせ狂ってしまえば後は同じ運命を持つ“彼女”とただ幸せに過ごしているだけで良い。

どうせここは抜け出せない。俺達に未来はない。

そう分かっていたとしても俺はループを辞めるための方法を探し続けてしまうのだ。

それしかもう、生きている意味を探せないから。

 

嗚呼、また人生が終わる。

 

 

 

 

 

また何年も何年も時間だけが過ぎた。

彼女はもうとっくのとうに限界を迎えて、何もかも記憶を失ってしまった。

あぁ、これで俺は一人ぼっちだ。

昔からボッチなのは慣れてたが、やはり100を越える年数を一緒にいた誰かか居なくなるのは寂しいとしか言えない。

もう、さっさとループを終わらせる方法が見付かってくれないだろうか。

俺はそれだけを願って日々を浪費していく。

 

嗚呼、そしてまた人生は崩れ去る。

 

 

 

 

 

そしてまた、途方も無い時間が過ぎていった。

出来るだけ記憶するようにしていたループ回数も100を越えてからは記憶してない。

もしかしたらあと何十回かループすれば俺も彼女のように記憶を失うかもしれない。

そうしたらきっと幸せだろう。

こんな辛い現実から目を背けて下らない人生を謳歌出来るのだから。

もう何百回目になるかも分からない死が俺を迎えた。

 

だが、次のループで嬉しい事が発覚した。

彼女がまたループの記憶を残せるようになったのだ。

良かった。本当に良かった。

だが、そう思う一方でこうも思っていた。

彼女にまた、この辛い地獄を味合わせて良いのか、と。

その時はまだ、あまりに長かった完全な孤独のせいで脳が麻痺していて行動には移せなかった。

 

そして、俺は何百回目かの高校生活に入った。

ここでまた、長らく入って居なかった奉仕部に入ることにした。

もしかしたら彼女とまたここで会えるのかもと想ったのだ。

案の定、彼女は来た。

その笑顔は、俺に彼女を苦しませたくないと思わせてしまうには十分であった。

あぁ、そうか。

戸塚…あのときのお前もそうだったんだな。

本人はループ初めてだと思っているから、自分の死因もただの事故だと思っているために怪物に食い殺される恐怖を知らない。

確かに、そんな誰かを守りたいと思ってしまうのは当然の事だろう。

そして、このループにおいて食い殺される恐怖を知らずに居る方法は1つ。

 

………人に殺されることだけ、だ。

 




今回の元ネタ。
All you need is kill(おーるゆーにーどいずきる)(マンガ版準拠)
あらすじ
なんかやたらと強い地球の意思っぽい敵が来た⇒日本の作るパワードスーツしか対抗策ないよ!
とある部隊のキリヤくん、実戦にて死亡⇒ある女性に食堂の日本茶は無料って聞いたけどマジ?と死の間際でそんなことを聞かれる⇒ループ⇒先程の質問を覚えていたので女性に答えを伝える
のあと色々あんだけど大体そんな感じで。

ちなみに今回のは八幡と戸塚を入れ換えても良いパターンであり、つまりはお互いに抜けられないループでお互いに狂って忘れてループの記憶を覚え始めてと堂々巡りをしているということ。

雪ノ下が怪物飼ってたってのは八幡に死んでもらうための適当な理由。

あと、実はループから解放される方法は『二人とも死んでしまうこと』ネタバレ回避のため伏せるが元のやつにおけるループから解放されるための方法故に。

質問等あればどーぞ。
次回はお口直しにちょっとほのぼのしちゃいます。


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ダメな子ほど可愛い(艦これ、雷)

この作品でオリジナルやってみるのはアリか無しか………いや、まぁその際はいつものカッコにオリジナルって入るだけだけどさ。

ちなみに今回はいつもとノリがおかしい感じがする。
早く直したいもんだね。


突然だけどさ、提督業って一体なんの意味があるのか不思議に思えて来るときがあるんだ。

だって敵さんも軽くデコピンしときゃ全員沈む程度だし、艦娘に頼る必要なんてないよな。

それにアイツら、本能の方が強いみたいだから極端に殲滅してやれば攻めて来なくなるしさ、まったくもって雑魚でしかないと言うのに………

何故雷を戦場に出さなきゃいけないんだ。俺だけで戦力足りるわ。

海上なら右足が沈む前に左足を出して進めば良いし、鬼だか姫だかが出てきたらドロップキックで一撃必殺、雑魚に至っては軽く微笑んでやれば勝手に逃げ帰る。

明らかに過剰戦力だろうが………!

これじゃ俺が雷に甘えてダラッとする時間が減るだろ!しっかりしろ本部!戦力を見極めて物を言え!

あ、でもさ、だからって俺に断りなくウチの戦力の一人である響ちゃんとか引き抜いちゃダメだぜ?やったら適当に敵さんの中でも一際弱いやつが見た目的に魚雷っぽいからそいつ投げ込んでやるからな!

「てな訳で今からこの駆逐艦たちをソ連と本部に投げ込んでやろうと思います」

 

「ダメよ司令官!?流石にそれはシャレにならないから!」

 

何故だ解せない。

本部から上から目線で『ソ連と喧嘩しちゃった☆でも敵さん来たし喧嘩してる場合じゃないんでお前の所の響ちゃんソ連にプレゼントしてくれw』なんて書類が来たら普通やるよな?な?

「司令官、私に任せてよ!その命令は適当に揉み消しといてあげるから!」

 

え?マジ?雷がそういうなら良いか。俺だったら交渉には脅迫と恐喝と殺戮以外に手札が無いからね。雷にやってもらえるなら万々歳だよ。

 

ところでだけどさ、寝ていい?コイツら(駆逐艦)用意して疲れたしさ。

大丈夫、書類なら元々少ないし一応やってあるから。

え?響の件?あぁ………やっぱソ連全域に適当にコイツら投げ込もうかな。数打ちゃ当たるって言うし、ソ連は広いからロクに狙わなくてもきっと沢山当たってくれるだろうなぁ………

「し、司令官、書類仕事くらいなら別に司令官が寝てる最中にも出来るわ!だから寝てて良いのよ!」

 

え?マジ?やったー。

んじゃお言葉に甘えて………と。

 

 

 

 

 

ー雷ー

 

ダメな子ほど可愛いとは良く言った物よね。

ウチの司令官、仕事は出来ない訳じゃないし人類の最終兵器と呼ばれるくらいに強い(どれくらいかと言うと兵器の効かない筈の深海悽艦を素手で蹴散らすくらいに)………んだけど、気にくわない事があると割とすぐに過激な手段に走るし、根の部分が子供っぽいし、その上自分勝手なのよね。

まぁこのご時世じゃ心を壊しちゃってそうなる人間も多いって効くけど、でも………

 

ダメな所が一番好きになっちゃうのよね………

電によればお母さんみたいだとか言われるのも仕方ないってほどに私も私でダメ提督製造機らしいわ。

まぁ、司令官が過激な手段に走っちゃうのはただ理不尽な権力に対応する方法がそれしか無いからだし、それはそれでなんというか………可愛いのよ。うん。

子供っぽい所は素直になんでも打ち明けてくれたり疲れを溜め込んだりしないから秘書艦としても色々と気が楽だし、自分勝手でも筋は通ってるのよね。

ダメだ、どうやっても私だとダメな所が美点にしか見えない………どうしてだろう。

「zzZ………」

 

そうだ、司令官が可愛すぎるのがいけない………って、そう言えば今私仕事中じゃない。

響の転属阻止とソ連の物理的崩壊を防ぐという重大な役目の途中で惚ける訳には………

こうなったら仕事はさっさと終わらせちゃいましょうか………確か響を建造した時の素材数と良く分からない数値は………うん、これね。

だとしたら工蔽の方で同じ数字のタイミングで建造を複数行ってもらいましょう。

それで響(ダミー)を造って代わりに送る事にしちゃいましょうか。

どうせウチで戦って練度の高い響を寄越せとは書いてないものね。

あ、そうだ。今の内に司令官の寝顔を撮っておかないと。

これがあればある程度無理なお願いも通るのよね………大和さんとか前にこれ一枚と引き換えで本部から来たバカたちの艦隊を蹴散らしてたっけ………

侮れないわ、司令官。司令官が可愛いと思っているのは私以外にも一杯居たのね。

だとしたら皆に司令官を取られないように夜這………なんてしても司令官が相手だと抱き枕代わりにされるだけでしょうね。司令官って基本そういうの考えてない人だし。

だからこそ割と安心出来るんだけど………でも女としてはむしろ襲ってもらいたいのも事実だし………むぅ………

 

そんな時、何故か不意に司令官の今月の食事を思い出した。ついでに悪魔の閃き的な物も。

確か今月は全部私が作ってたかしら。

あと司令官は基本仕事してすぐ疲れすぎて動けないからとここに居る事が多いから………

惚れ薬辺りを仕込んでみたら良いのかしらね?

あ、ダメだ。司令官なら凶悪な薬でも何事も無いかのようにケロッとしてそうだ。

あるいは動けなくして監禁…なんて事しても意味ないわね。鉄の檻程度なら軽く曲げて出てきそうだわ。

んじゃここは司令官の(性癖的な意味の)趣味に合わせてみるのが一番ね。

私の記憶に間違いが無ければ提督は包容力があって小柄で八重歯で茶髪の年下好きみたいね。

ベッドの下とか漁っても出てきたりしないけど本棚の本の傾向から大体推理出来るのよ。

基本メインヒロインあるいは表紙に写ってるヒロインがその属性をいくつか持ってるのばっかりだったのよ。

巻も飛び飛びどころか中途半端な奴も沢山あったからきっと間違いないわ。

 

幸いにして私は小柄で八重歯で茶髪で年下(少なくとも見た目的に)だから、あとは包容力でも身に付けたら良いのかしら。

私としてはこのままで司令官に好きになってもらえたら良いのだけど、手を抜いて失敗したくは無いわ。

 

 

 

ー司令官ー

 

ういっす。

ところでさ、正直な今の気持ちを言って良い?言うぜ?

起きたくない。雷の膝の上が心地よすぎて離れたくない。てかずっとこれで良いかもしれん。

駄目人間とかクズとか言うなら言え。全員ことごとく消し飛ばす。

それにさ、あれだ、雷って俺的には好みに直球ストライクな訳なのよ。

小柄で包容力があって年下で八重歯で茶髪、もう一切欠点見付からん。ぱーふぇくつ。

出来るものなら結婚したいね。まぁ俺程度の魅力値じゃ全然足りませんけどね!

あぁメタルキングが懐かしい。

あらぶる光の地図lv77にまた行きたいぜ………職業スーパースターで。

そして魅力値上げて雷に言うんだ。結婚してくれってさ。

 

もう無理な話ですがね?うん。昔ならともかくさ、俺って今単にちょい強いだけの人間だし。職業とか司令官だし。

もしくはぎゃる○がん的設定が突然付くとかでも良いぞ。そうなったら一秒と経たずに雷に告白してやる。

 




どうでも良いですが作者の嫁は雷と響と電と暁。つまり第六のみんな。つまるところ作者はロリコンです。

あと今回の主人公くんの経歴は珍しく複数転生系。メタルキングのくだりは作者のドラクエ9参考で作った。
ちなみに主人公くんはこのあと変なフラグでも立てたのかガチで鎮守府☆がんをすることになるという脳内設定。もちろん有言実行です。


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新任提督と電(艦これ、電)

今回はちょい微妙。まぁ個人的に言うと最後に選択肢を示して読者さんの好きなストーリーを思い込んでそっちだったことにしてしまうスタイルをやってみたけどそれをやるために用意した謎のキャラが上手く動かない。



北のとある鎮守府に、どういう訳かすでに秘書艦との関係が夫婦級とまで言われている新人提督が居るとの話を受け、俺………新聞記者歴5年の射命丸文(ふみ、である。決してどこぞの天狗ではない。ここ大事な?)はその鎮守府へ行く事となったのであった。

そこで待ち受ける恐ろしい物も知らずに。

まぁ行く事になったから取材許可は取れてるとはいえ、少し時間もあるし事前調査しとくかね。

ちょっとした噂話でも意外と良い情報も紛れてたりするのだ。

流石に直接関係者に話を聞くことは出来ないだろうが、少しくらいなら話を聞けるだろう。(フラグ)

 

「何故だ解せない」

 

俺の鎮守府近郊での最初の台詞はそれだった。

とりあえず陸路と海路を織り混ぜて移動したのだが、護衛についていた艦の練度が凄まじい事を感じとれた。

確か一般的な鎮守府で平均練度が30とか言ってたから、60くらいはあるのだろうか。

前に見た新人提督のところの艦で一番だった練度16の時雨と比べても圧倒的なオーラというかなんというか………

いや、それよりも驚くべきはアレだ。

なんと市場の方に明らかに軍関係者と思わしき人物を見付けたのだ。

そして鎮守府における軍人は提督くらいの事だから………

何故だ解せない。

普通の提督は常に戦況の変化に対応するため基本鎮守府にいるとの事だったが………質問項目に加えておこう。

それよりも、秘書艦との関係が良好過ぎるほどに良好というのはどういう訳やら。

うーむ。分からん。これは取材の時に持ち越しだな。

今周囲に一人も艦娘が居ないからどれくらい仲が良いのかも押し図れない………ん?

何やら今買った物を確認して何かを間違えていたことに気付いたようだ。だがそれをそのままにして戻っている?

一体何を?

質問項目は増えるばかりだ。

 

 

 

ー提督ー

 

「ようこそ我が鎮守府へ………って言ってから早五時間。もうやってられん」

 

何やら俺を取材したい記者が居るとの事でちょうど今俺が進めている小さな計画の助けになるかと思い受け入れてみた。

だが………この文とかいう記者、予想外なまでにウザいぞ。

追及がしつこすぎて出禁言い渡しかけた。

幸いにして事情を察している………のかは知らんが俺に合わせてくれている電のフォローで事なきを得たがな。

今度アイツにはクッキーでも贈ってやるか。

 

それよりも、だ。

今はどうあの記者をやり過ごすかが問題だな。

とりあえず体面だけ整えてしまえば良いか?

いや、外面を整えておいて悪いことも無いし、あえて受け入れ機密以外はバラす………バランスが面倒くさい。

こんな時記者への対応のマニュアルでもあれば良いんだが。

「提督さん、記者に対する対応の前例を纏めておいたのです」

 

「助かる」

 

ナイスだ電。

前例があるならそれを元に対応を決められるな。

まぁあのうざったい記者の事だからアドリブもある程度想定しておくこと………いや、むしろアドリブになりそうなら何も言わせないのも手か。

とにかく前例を確認しよう。

 

1.艦の方に対応させる。機密を喋らないし隠し事がバレない。マニュアルにするべきでは?

 

これは………あぁ、本部からブラック鎮守府やってるとこの提督には無理だとのお達しが出てる。

それにブラック鎮守府って何かと多いからなぁ。ウチも例に漏れんし。

あと艦娘と民間人の接触は出きるだけ避けるってのが本部の方針でもあったしな。

次だ次。

 

2.■■■■■■■(意訳:ハニトラ)

 

R-18な対応だった。

つーかこれだと相手ロリコンに限られ……いや、このご時世相手が子供でも見境なく襲う変態も多いし、良いのか。

だが却下だ。それを頼めるほどしっかりとした命令系統が出来ていない。

次。

 

3.秘書艦が取材中に様々なアクシデントを起こしたり用事を作ったりして取材させない。艦娘には接触させない前提で。

 

フム。これなら靴にでも電信を送れるよう機械を仕込んでおけば狙ってやれるし、悪くはないか。

これで決定。

前に市街地で捕まえた泥棒から没収した小型の電信があるからそれを靴の中敷きに仕込み、特定の合図で突入させる。

これで良いだろう。

本来なら褒められた事ではないが、そうでもしなければ俺の場合ボロを出す恐れがある。

 

特に艦娘たちを強化するために行っているアレだけはバラす訳にはいかんし、許してもらおう。

「電、記者への対応を決めた。今から少し説明するから聞いてくれ」

 

俺は電の方に椅子を向けると、対応策を説明した。

快く受け入れてくれたのはいつもの事だ。

「了解なのです」

 

ただ、今日は何やら電の顔に少し陰があるような気がする………何故だ?

記者が帰ったら………休みでもやるか。そういえばここに来てから一度も休んでないしな。

たまには休ませて良いだろう。倒れられたら困るし。

まぁ記者が帰ってからだが。

 

 

 

翌日のこと。

「と、言う訳でしてお二人の仲が非常に進展されている秘訣をお教え願えないでしょうか」

 

「は?」

 

俺は記者の前で盛大に『何考えてんだコイツ』という本音を吐きかけてしまった。

俺と電の仲が進展してる、ねぇ。

確かに相性は良いがそれくらいだぞ?

あぁ、まぁ居ないと微妙に調子が狂うがな。頼りすぎてる感じは否めない。

それにしても、俺と電ってそんな風に見られていたのか。驚いた。

誰が言い始めたのやら。

「さぁ?誰でしょうね?でも着任からこれだけしか経ってないのに秘書艦とここまで仲が良いのは貴方しか居ないですからね。何か秘密でもあるのかと」

 

そんなもの、あるなら逆に俺が知りたいくらいだ。

俺の方から惚れるならともかく電の方からそういうことになるなんて可能性はまったく考えていなかったからな………

まぁいい、とにかくここは秘訣など無いと言っておいて、穏便に何事も無いように帰ってもらうか。

あの作戦が使えなかったのは少し残念とも言えるが、まぁ使わずに済むのなら……

「あ、それはさておきですね、ここに来る途中で船の護衛に着いていたここの所属と思われる艦を見たのですが、私の感覚では前に見たとある鎮守府のトップクラスの艦より強そうに見えたのですが、それには秘密があったり?」

 

前言撤回、使う。

俺は靴に仕込んで置いた電信で事前に言った通り『来い』の合図として短いものを3つ飛ばした。

これですぐに予定で決めた通り本部から書類が届いたと言って電が駆け付ける筈。

俺はそれまでどういうべきか悩んでいるように見せ掛けていれば良いだけだ。

「提督!大変なのです!本部から直接の指令書が!」

 

ぬ?

電は予想より早く来た。だがどうやらそれは元々ここに向かっていたかららしい。

しかし、本部も一体何を俺に送ってきたんだ?実験でもやれと言うのか。

ウチは艦の練度が高いし他の鎮守府で指南役でもやれと?

いや…良く考えたら指南役するよりゴーヤ辺りを一人で向かわせて艦隊同士で演習させた方が良いんだよな。

あまり褒められたやり方じゃないが。主に艦のメンタルに影響あるし。

具体的に説明すると深海の敵を倒すために居るはずの艦娘の根本の部分と矛盾している行動らしい。

いや確かに本来の任務でなくただひたすら仲間と練習し続けてりゃそんなこともあるだろう。

だが……練度あげはあれが一番なんだよな。

さて、無駄な考え事もここまでにしといて記者とさよならするかね。

「と、言うわけですまないが本部からの書類だそうだし今回の取材はここまでにしてもらおう。場合によっては当分カンヅメする可能性もあるしここは戦闘になったとき危険だ。早めに帰っておけ」

 

俺はそれっぽい事を言って記者に帰投を勧める。

帰ってくれ記者よ。お前が居ると仕事がしにくくてたまらん。

そう願いながら部屋を去り、廊下で電から指令書を受けとる。

封筒に入れてわざわざ極秘と書くとはなんなんだ一体。カモフラージュくらいすれば良いのに。

「提督、どうやら本部の方での研究に関する極秘の資料みたいなのです」

 

研究?そういや本部にはケッコンカッコカリシステムを作ったり艦娘の新たな型を作ったりする部があるとは聞いていたが、そこか?

しかし俺になんの用やら………

俺は、執務室に付くなり愛用のペーパーナイフで封筒を開け、中の指令書を読む。

 

……ふむ。どうやらこれは艦娘の感情と戦闘力の関係の調査を俺にやれということらしい。

工蔽で193、481、952、592のレシピで武器を製造するとほぼ確実に測定機が出る。

それを秘書艦に装備させて1週間データ取り。報酬は資材を2000、2000、1000、2000。

ふむ。割が良いな。

一応これが危険な物でないと良いのだが……

まぁ、ヤバいようなら俺がどうにかしよう。

士官学校時代に握った弱みだとかコネを使えば報復も出来る。

よし、方針決定。

 

 

 

ー記者ー

 

記者とは失礼な。文と呼べ。

まぁそんなことは良いだろう。さっき幸か不幸か提督が去った。

これで鎮守府を探索出来る。

都合の良いことに俺には昔から姿を完全に消せる能力があるし、ここは1つスクープでも回収させてもらうかな。

俺は能力を使い、姿を消して部屋を出る。

まずは執務室……いや、そこには秘書艦と提督か居るだろう、後回しにしてタイミングを見計らおう。

ならば艦娘達の方の実情でも見させてもらうか。

ちまたではブラック鎮守府なるものが多いとの話だし、ここもそうなら盛大に暴露してやろう。

俺はどうするかを決めてから、まず艦娘達の暮らす部屋を探しに行くことにした。

 

 

まぁ、幸いなことに部屋はすぐそばにあった。

ただまさか最初の所で曲がる方向が逆とは思わずしかも急に現れた茶髪の艦にぶつかりかけて苦労したがな。

これでスクープが無ければ骨折り損のくたびれ儲けにしかならんし、何かあってくれよ。

そう祈る心は主に編集長にスクープ取ってくると言った手前、何も取らずには帰れないというものと、編集長がキレたら誰も手を付けられなくなる事への恐怖があった。

さて、探索一部屋目。ザッと見ると単純な部屋だ。二段ベッド2つで………1つだけ季節にあっていないベッドシーツが目立っている。どうやら現状は三人部屋らしい。

この部屋はそれだけだったので俺は扉を閉めた。

探索2部屋目。何故かやたらカラフルな物の多い散らかったベッドと、整理整頓されているベッドが対照的だった。

中央のちゃぶ台に乗っているのはうさぎのぬいぐるみ。何故だ?

ちょっと訳が分からなかったので部屋を出た。

そして3部屋目……開けたらいけない予感がする上に鍵が掛かっているようなのでパスだ。

さてここはどうだろうか?4部屋目。

俺は何かあるような気がして恐る恐る扉を開く。

「…………」

 

扉の中は、予想に反してというか直感に反し、かなり平凡な部屋だった。だが一人部屋という事は秘書艦か何かの部屋だろうか。

それにしても……よく整頓されているな。まぁそれはそれで何かを隠すために痕跡を必死に消しているようにも見えるが。

俺はその辺りを見てから、自分の直感に従い部屋に侵入、1つ1つ丁寧にチェックする。

ベッド、ベッドの下、机の上と下、その他もろもろ。

まぁまずベッドは普通だった。何か人のぬいぐるみがある……誰のだ?あ、しかもこの枕、良く見ると糸の代わりに髪の毛を使ってるな。

正直誰の髪の毛かはまぁ、やたら真っ白なのと所々繋ぎ合わせていることからなんとなく察せるが、こんなエスカレートした思いを抱くとは一体何者やら。

そしてその下には………ふむ、これは提督の写真か。

まだ新人である提督の着任したての頃のやつみたいだ。まだ髪は黒い。

そう言えばあえて理由は聞かなかったが何故提督の髪は白いんだろうか。歴戦のベテランならストレスで、というのもありえるが新人だし……

次に行こう。ベッドの下にはもう何も無い。

机の上……普通の机だな。綺麗に整頓されて細かく分けられてること以外は。面白いものは無さそうだ。

ならば下と中。あと一応開かなそうな所も一辺全部開けてみよう。俺ならきっと見られたくないものをそこに隠すだろうし。

ひとまず下を確認。

あるのは……うぷ。気分が悪くなってくる。

異様なまでに張られた写真が見付かった。

全部提督の切り抜き…いや、一人だけ例外があるな。この部屋の主だろうか?

一体なんでこんな事に………提督もきっとこれを見たら驚くのだろうな。

まぁ見せる気は無いが。潜入はあくまで秘密の事だし。

とりあえず、気分を直すために机の中を見よう。

大丈夫、きっと中くらいは普通の物が……

 

コトン。

 

机の引き出しを開けると、そんな音と共に何かが落ちた。

どうやらロケットペンダントが落ちたらしい。

何が入っているのやら。写真だとしてちょっと人には見せられない物だったり……開封。

さて、ここでちょっと弁明しておくが別に俺はロリコンではないしそれに何か特殊な趣味があるわけでもない。

つまる所俺はあくまで普通の人間なのだ。

だからここで気分が悪くなってもおかしくは無いのだ。

 

出てきた写真に写っているのは、なんとなく先程貼られて居た写真の……恐らく秘書艦に似ている気がする艦のそれだった。

アングルから見て恐らく隠し撮り。

それと、秘書艦との違いは八重歯の有無、あと表情から察するにこっちの写真の艦の方が堂々としている印象を受けるな。

しかし、何故こんなところに?

こんな物大抵は男の方が持っていそうなもんだが。

 

その思考に辿り着いた時、俺の昔から閃き力だけは定評のある頭は2つの間逆な推測を思い付いた。

もしも、このロケットが元々提督の物だとしたら。

そして、もう1つ……

秘書艦が元々この写真の艦だったなら。

理由を付ける事は出来る。

2部屋目で見た季節外れのシーツ。あれが元々この写真の艦の物だった可能性もある。

つまり、現秘書艦が元の秘書艦を殺害した、という可能性。

 

だが、もう1つだとすれば完全に笑い話としか言い様が無いが。

それはつまるところこうだ。

まず、提督がどこかで……まぁ士官学校時代にでもこの写真の艦あるいは今秘書艦をやってる方の艦を見ていた。

そこで一目惚れ的なものをして提督になり、それであの秘書艦と写真の艦を勘違いした。

そういうものだ。机の下の写真なんて無かったしあの部屋は単純に元々三人部屋だったのが秘書艦がこっちに移って二人部屋になっただけ。

こう考える事も出来る。

まぁ、事実はこれと違うのかもしれないし、もしかしたらどれもこれも俺の思い違いって可能性もある。

ましてやこの部屋が秘書艦の部屋じゃないって可能性だってないわけじゃない。

はは、まったく……潜入して得られた結果は散々なもんだよ。

これでは帰ったら編集長に干されるな。まちがいなく。

まぁここで見たことは全てポジティブに考えさせてもらうとするかね。

俺は、な。




思い付きのキャラ
射命丸 文
あややでなくふみふみ。男。
能力は完全なステルス。とりあえず新聞記者って事になって思い付いたのがこいつだった。

ちょっとひどかったと自分でも思う。
まぁしばらく時間を置いてから別の話を同じキャラでやるという暴挙でも良いか。

そして次回予告。一言で。
……最初っからクライマックスだぜ。


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ロリコンじゃないです、ノーマルです(東方、さとり)

ヤンデレってなんだっけって感じのコメディ話。とりあえずさとり様可愛いよさとり様。


俺はロリコンではない。ドMでもない。ましてや変態要素なんて1つもない。

なのに人は俺をこう呼ぶんだ。

『ロリコンマゾヒスト』と。

何故かねぇ?俺って至って普通だしただちょっと嫁に罵倒されるのも踏まれるのもパシらされるのも嫌じゃないってだけさ。ただそれだけなんだ。

それに、自慢する訳じゃないが結婚して二桁後半に突入するかなーってくらいになったのにこれだけ仲が良いのはいいことだと思うんだ。

何故みんなはそれが分からないのやら。

「それは貴方が特殊だからですね」

 

……突然心を読まないでくれ。

あとちょっと本人に言われると流石に傷付きます。

「傷付いて心を塞いでも良いですよ?」

 

アハハ……そして軟禁されるのが目に見えてるんで遠慮しときます。

というか軟禁されるのが目に見えてるって思った瞬間に心外そうな顔はやめてくれい。

え?軟禁するつもりは無い?じゃあ質問だ。俺が心を塞いで閉じ籠ったらどうする?

「貴方と同じ部屋に移って四六時中一緒に居ることで間違っても他の女に目移りしないようにします」

 

アウト!完全にアウト!それ軟禁されるパターンだよ!

別に軟禁されても悲しくは無いけどさ、なんか動けないってのは良くない。

閉じ籠るなら動けるけど動かないってのが良いんだって。ね?

「なら……四六時中一緒に居て私に依存させちゃいましょうか」

 

別に良いけど薬禁止な。後遺症が怖い。というか既に手遅れだから意味はない。

と、言うわけでそもそも依存させる意味は無いですねー。

元々頼れる相手が地上に居なくてワンチャン求めて地底に来たらたまたまフィーリングしたというかなんと言うかだし。

そういやあの時お空が錯乱して『親方!空から男が!』 とか言ったんだよな。

何故外界のネタが分かるんだか不思議だったよ。今時それほど流行ってる訳でもなしに。

あとさとりと出会った時は衝撃的だったな~。運命というかなんと言うか、一目惚れ?そんな感じだった。好み一直線。ド直球だったよ。

「だった?」

 

いや今もだよ?だからハイライトを連れ戻してくれ可愛いけど怖いし。

あ、でも30秒待って。写真撮る。俺の収集癖における最近のマイブームはさとりの写真。

時にはやたら綺麗な石を集めたくなったり、意味もなく動物の剥製を集めたくなったりと色々あるが最近ではもっぱら写真ばかり。

正直ハイライトの無い表情可愛いもん。

でもなぁ……時々だが微妙にもっとドス黒いところが見たいとも思ゲフンゲフン。何でもない。

「ドス黒いところ?別にありませんよ?ただちょっとこいしと話してるのを見るだけで包丁で暗殺しそうになるだけですから」

 

ヤバいヤンデレさとり可愛い。

ハイライトが無くなって貼り付けたような笑みを浮かべているのは………美しい!(いや、おにーさん頭おかしすぎるよ!?)

 

ってほぇ?何かそこら辺で俺の心を覗かれた感覚がするのですが。

気のせいかな……?

いやちょっと待てよ確か無意識にナチュラルにえげつなく心を読んでくる誰かが居たよなここ。

そうそれは……ごぼぉ!?

「今私以外の事考えましたよね?」

 

あっちょっ流石にいくらやられてもダメージ受けない自信のある俺でも流石に引き寄せつつの腹パン喰らうと痛いって……

あ、でも今のは俺が悪いか。うんごめん俺が悪かっただから写真撮って良い?今の表情ちょっと最高。

「撮ってから言わないでください」

 

いやいや、そこ気にしちゃダメだって。ほら、歴史にもあるだろ?突っ込み禁止なとことか。

つまりそういうことさ。気にしたら敗けなんだよ!

あとどうでも良いけど流石に息できないから頭を抱えて後頭部撫でるのやめてください死んでしまいます。

その前に気絶するだろうから流石に気絶したら離してね。ほんとにDEAD ENDして遊びに来る小町連れ帰すたびに負け犬というか持たざる者のひがみ的な感じで胃に大ダメージを負いまくってた映姫さんに白黒関係無く殺される。精神的にも全体的にも。

「その時は私とのノロケ話でもすれば良いですよ。延々としてやれば胃に穴が空いて裁判所じゃなくなるでしょうし」

 

あ、そうかそれなら安心……ってダメだってば!それ殺す前提じゃん!?

お願いだから殺さないようにしてくれると助かるんだけど。

「獅子は子を千刃の谷に突き落として殺すと言いますよね」

 

確かそれ漢字違うんじゃなかったっけ?その漢字だと生存確率0じゃん。

そしてこれは試練とでも……?

私怨で殺られるから無理だって!映姫さんキレると周り見えなくなるし!

と、いう事で千刃の谷には突き落とさないでくれ。

死にたくない。少なくともさとりが死ぬまで死ぬつもりは無い。

でも良く考えりゃさとりの腕の中で死ねるとか俺ってマジ幸……

「ハイ合格です」

 

……なんの?

つーかさっきからテスト的なもんでもしてたんかい。それだけで死にかけるとか色々駄目じゃん。

あ、でも小悪魔感のある笑顔は最高だしプラマイゼロだな。うん。

しかもなんだか見てるだけで頭に血が……

アハハ、もう嫁が可愛すぎて俺マジで萌え死んでもおかしくはねぇわ……

「私以外の手で死んだら私は後を追います」

 

前言撤回死にはしない。俺は死にません。

さとりが自殺とか許さん。そして俺が俺を許せん。

つまりさとり以外の手では死なないって事だね(キリッ

でも格好つけたは良いけどやっぱさとりが可愛すぎて死ねr……




次回!なんかテンション下がりすぎて逆に一周回ってテンション上がってきた作者!このノリで変なもん量産したらぁ!ってわけで次回は恐らく以下のどれか!
1.東方、四季映姫
2.東京皇帝☆北条恋歌、西園寺夕鶴
3.デアラ、七罪
共通点はみんなロリってことだね。つまり作者はロリコンなのさぁ……(笑)


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妹は病んでますがハーレムとかないので平常運転です。(東京皇帝☆北条恋歌、西園寺夕鶴)

前書きに書くネタが無い忙しい。てなわけで今回はなんもない。
とりあえず今回のは気分転換的に書いたり途中間が空いたんで書き方がおかしいです。ご了承ください。


やーどーも。なんの因果か上空から降ってきた人を避けようとしたら暴走する車に牽かれた人によるタックルを喰らい車道に出たところでサンドイッチの具材にされて死んだ○山○○ですが何か。

でもさー、そんな俺氏の死に方があまりに滑稽過ぎて神様涙が出ちゃったみたいでね?面白いから転生させてくれたのさ。

その転生先はどういうわけか二次創作が探しても見付からなかった『東京皇帝☆北条恋歌』だったんだ。

確か途中から色々しちめんどくさいことになるんだよなー。って事を知ってた俺氏が特典に選んだのは3つ。

1つ、時空の再現性を好きに操る能力。まぁ過去を変えて怪蟲さんが出ないようにしつつそれでも東京帝国を作り、騎士王の…誰だっけ?に協力してもらえるようにしたいから手に入れた。

1つ、とりあえず外部の原因で時間を飛ばされたりした場合を除き寿命以外で死なず、組織を改変されない体。万一を考えた保険。

最後、俺が消えろと命じない限り消えずに残り、消費するコストも一切無いしいつでも俺の意思で入れ替われる影分身の術。過去に戻って皇帝になる際に自らが残る必要を無くせる。便利すぎて噴き出すくらいだわ。

で、そんな訳で俺は3つの特典とともに転生するのであった。

他三人の転生者と共に。

 

まぁ、その三人の転生者ってのが例の車の運転手、落ちてきた人、タックルかました男だったんだ。

でも別に好きなラノベの世界に転生したし見たところ主人公みたいだから恨みなんて無かった。

でもとりあえずストーリー崩して俺の望む通りに改変するため恨んでるフリをしてこき使う事にした。

その際未来形でハーレム的なものの人員となる数名と接触させて意図的に好意を持つよう誘導した。

その時すでに妹の夕鶴による変態的ブラコンが始まっていたからだ。

なんか怪蟲が市街地にうっかり入ってきた事による混乱に乗じて夕鶴を拐った不届きものを影分身で二十人くらいで追い掛けて捕まえた()のが原因となったか?

あ、そういや夕鶴に対しては俺の個人的教育方針である褒めて伸ばすを実行してたんだったか。確か原作でもそれが原因だったような気がした。失策か。

あぁでもそれが出来ないと俺の場合夕鶴とほとんど関わらず生きるくらいしか選択肢が無いじゃないか。

前世の友人も言っていた。褒めて伸ばすのは良いがお前それしか出来ないよな。と。

前世じゃキレてたが友人もかなり的を射ていたんだと思う。実際そうだしな。

さて、夕鶴について語るのはここら辺までにしておいて、俺がその後何をしたかは簡単だ。

まず騎士王……名前をようやく思い出した……巴 御剣に会って俺の専用機になるらしい予定の摩訶(エニグマ)を四人乗りに、さらに時間を越えられるようにしてもらった。

簡単な事だ、実際ちょちょっと設定変えるだけだったようだしウチの技術者……タックルかました奴の特典にあらゆる機械類の製作ってものがある。

どうやらプログラミングもそこに入ってるみたいで、それがあったからこそタイムマシン型摩訶を作れたのだ。

そして、全員が訳は知らんがg適正(主人公補正とも言える)を持っていたため四人ですぐにそれに乗り込み、軽く過去に飛んで歴史を改変。俺の能力で歴史を一部再現し、望み通りの形にした。

俺達が摩訶で過去に行った理由は初代皇帝の顔がどうなってたのかってのを知りたかったからと言い張ってやった。

まさか分身を置いてきたとか言えんし。

そんなこと言ったら夕鶴に浮気相手かと言われて一日拘束される。

別に浮気してる訳じゃないが夕鶴の嫉妬と思い込みは最強級だ。逆らえん。

故に黙っていた。

1日でバレたがな!

「つまりお前は俺が分身を過去に置いてきた理由を浮気相手との密会の為だと思っているからそこまで怒っているのか」

 

現在俺は浮気だと思われて椅子に拘束され、手錠を掛けられて尋問されている。

いやまぁ、実際の所俺の分身と東京帝国初代皇帝の妃である北条花恋に結婚してもらって歴史を再現させてるわけだからそう言えなくも無いが……俺自身の事では無いから良いと思うのだが。女心は複雑だ。

「違うよお兄ちゃん……私はね?別にお兄ちゃんが浮気しても良いんだよ?お兄ちゃんは私の所に帰ってきてくれるもんね。でもね?」

 

そういえばこういう話の通じない愛の形をなんと言ったか……そうだ、ヤンデレだヤンデレ。

ヤンデレと言えばたくさんのタイプがあったのを覚えている。

俺としては献身型がストライクだったなぁ。あの尽くす感じは堪らん。

無害型ってのも悪くない。俺の場合多分気付くだろうし。

「私に隠し事はしないでよお兄ちゃん。私はお兄ちゃんに隠し事はしないよ?だからさ、お兄ちゃんも私に何も隠さないで」

 

あ、今何かに目覚めたかもしれん。

ふむ……ハイライトの無い瞳ってのは悪くないな。可愛いというかなんというか俺は好きだ。

この、見つめられると隠し事が出来なくなる感じもな。

まぁ、ここは夕鶴のこのハイライトの無い瞳に免じて1つ隠し事を明かすとするかね。

別にバレたところで気にしないし、ただ俺は残機をいつでも用意しているってのがバレるだけだ。

残機が何かって?

いや、ただの影分身だよ。ほら、いつでも入れ替われるように頼んでたやつ。

つまりそれを明かす。あわよくば拘束を解いてもらおう。

別に解いて貰えなくても抜けられるがな。分身使えば。

「……それじゃ隠し事を明かそう。俺はな、何故か分身が出来るんだよ」

 

俺はそう言って分身を出現させる。軽く三体ほど。

どうでも良いがとりあえず意識するだけで召喚出来るってのは便利だ。分身を召喚出来れば数の暴力で大抵押し通せるしウイルス系を食らっても消滅するだけ。便利なものだ。

「それでな、こんな事も出来る」

 

俺は夕鶴の前で、実演のように分身と入れ替わって見せる。

分身と本体の見た目的違いは無いが、本体かドヤ顔をしているのに対し分身は笑っている事から簡単に分かるな。

「お兄ちゃんで酒地肉林……」

 

ん?夕鶴、やたらと危険な目で俺を見ないでおくれよ。怖いだろ。あと流石に俺も分身して逆ハー作ってやる予定は無いぞ。

「だよね、でも嫉妬するお兄ちゃんも愛してるよ?と、いうわけでもう隠し事も無くなったしラブラブしようよ!」

 

うぉーい。なんか話が変じゃありませんかねー。

つーか嫉妬なんてしてないっての。怠いだろ。んなことしたら。

あとラブラブなんてしなっ……夕鶴!貴様……その手に持った2つの薬はなんだ!俺に何をする気だ!

流石の俺でも薬は怖いよ。

「媚薬と精力剤だけど?」

 

おいおい……『何を馬鹿な事を』とでも言いたげな視線はやめてくれ。というかすでにラブラブという言葉の意味が俺の中で更新されかけてるんだが。

妹、恐ろしや。

しかもこれで本人に一切の悪気も自分の非も感じてない所が凄いよな。

ただ……根本的に一応可愛いからこういうことが許されるんだなぁって思う。美少女じゃなかったら百人ほどで殴り殺してたかもしれない。

え?どういう事かって?いや美少女の妹居ないお前らざま……何をするやめろ意識が…………



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真性のクズと狂気の兎

今回は主人公をちょっとキチガイ風味豊かにしてみますた。
楽しいよコイツ。これまでが嘘みたいだ。
まぁ次回からはちょい趣向を凝らして見るんだけどね。
てな訳で本編にヒアウィーゴー。使い方違う気がするけど!


皆、胸を張って言える事じゃないが俺は天性のクズだ。万人に一人居るかどうかってくらいの。

人の不幸は嬉しいし他人の悲しみを自分の喜びに変換する。

そんな俺なんだが、どうやら『曲解する程度の能力』ってのを持ってるみたいでさ、幻想郷ってとこに連れて連れてこられちゃったわけよ。

でもさぁ……ここは幻想郷であって日本じゃないんだ、日本なら誰からも咎められて生きていけなくなるような行為もここでは出来る。

幸いにして俺の能力は記憶を曲解させて事実を忘れさせたり某マイナスの人みたいな事も出来るからデメリット無いしさ、やらない理由が無いよね。

ってな訳で俺は様々な奴等に味方するように見せて裏切り、傷付いた表情を見てきた。

いやぁ、信じてた相手とか想いを抱いてた相手に裏切られた時の表情って堪んないね。なんか一番好きだわあの顔。

だってさ、その時は誰だって俺の事しか考えて無いんだぜ?最高じゃないか?

あぁ、分からなくても良いさ。俺の思考を理解できる奴なんて居ないって思ってるし居たらそれはそれで怖いしな。

そうそう、そんなクズの中のクズ、クズオブザクズの俺が現在侵攻しているのは永遠亭。ウサギ二羽と医者とニートって構成のここに、俺は元々居たかのように滑り込んだ。

そして徐々に信頼を積み重ねて行って、今じゃ俺への絶大な信頼を抱いてる節があるし、うどんげ……ウサギの大きい方に至ってはどうやら好意まで抱いちゃってるらしい。

いや、それはただ俺が切っ掛けを無理矢理作っただけなんだけどさ。

そのお陰で裏切りまでのカウントダウンは着々と進んでいる……筈だったんだ。

だが想定外な事に、知り合いというか前に心をへし折って再起不能にした筈の面倒な女が幻想郷に来て全部暴露してくれちゃったのさ。

そのせいで完全な準備が整ってないまま変な感じだったからなぁ……

まぁ、そのお陰で面白い事を思い付いたんだけども。

そうだよ、永遠亭の全員の記憶を曲解させてそこに意味を持たせなくして、やってきた女は存在意義そのものを曲解させて自殺させた。

んで、簡単な話うどんげの好意を利用することにしたんだ。

計画はこう。俺が真性のクズであることを皆に忘れさせてこれまで通り、いやこれまでより優しくして、ある程度仲を進展させてから記憶を戻す。

そうした時どうするかか見物なんだよね。一体記憶の戻った奴等がどう動くか。

ちなみに決行は明日だ。なんとうどんげとの関係が予想外なほど早く進んでいるので決行を早められた。これは僥幸と言わざるを得ないところがある。

あぁ、今から楽しみだ。

ただ、ちょっと最近結婚してからというものうどんげの事が可愛く見えて来たのが個人的には少しマイナスかと思う。壊すってのにこんな感情抱いてちゃ駄目だよな……

 

 

そして次の日のこと。

今日、予定通りこの関係をメチャクチャに壊そうと思う。

これ以上これを続けちゃ俺自身が変になる。そうなる前に計画通りにみんな壊してリセットしよう。そう考えたわけだ。

なに、人間関係を壊してやる方法は簡単さ。ただ能力の効果を解けば良い。

それだけでこれまで自分がクズをクズと気付かずに過ごしていた事に気付いて多少傷付く。

そしてとどめにあの女の声を真似して心を抉る一言を言ってやれば完璧だ。きっと素晴らしい顔をするだろう。

そうと決まれば善は急げ、善で無くとも急げ。だ。

計画は穴だらけに見えるが声については俺の声を曲解することで変えられるし、能力を解除するだけならいつでも行ける。つまり穴はほとんどない、よな。

俺はそう考えてから、まずは誰から壊して行くかを考えた。まとめても良いが一人一人も悪くないし、どうせなんらかの攻撃されてもそれを曲解すれば打ち消せる。

ならば誰から……おや。

「……それじゃ、まずはお前から壊そうか……うどんげ」

 

「え?」

 

たまたま今居る場所の近くをうどんげが通ったのを見て、まずはうどんげから壊そうと決めた。

能力解除。俺に絶望した表情を見せてくれよ。

この瞬間、うどんげに掛けていた曲解の効果が消えて記憶が復活する。

それを理解したのか、彼女は頭を抱えて地面に座り込んでしまった。

あぁ、これじゃ顔が見えないな。とりあえず顔は上げさせよう。

俺はうどんげの頭を掴んで俺の方を見させる。

ほら、壊れろよ。絶望しろよ。

「あぁ……ようやく明かしてくれるんですね」

 

!?

だが、俺が見たのは騙し続けていた俺への怒りに燃える表情でも、俺みたいなクズを慕っていたことへの絶望に歪む表情でもなく、ただ心底嬉しそうに俺が隠していたことを明かしたのを喜んでいる。

何故だ……おかしいだろ。俺を憎めよ。俺を罵れよ。

「…?なんで憎む必要があるんですか?これにはどこも憎む要素が無いじゃないですか」

 

……あぁそう。もしかしてお前、俺が昔の事を全部捨ててやり直そうとしてるとか思ってるのか?

だったら残念だな。俺は今でもお前の絶望した顔が見たいさ。

「でも、そうしたら貴方は居なくなるでしょう?嫌ですよそんなの」

 

うるせぇ……チッ。

もう良いさ。だったらもう居なくなってやんよ。どうせお前だってそれがお望みだろう?口ではそう言っててもそう望んでるんだ。

「あ、そんな事しちゃ駄目ですよ?そんなことしたら、私はこれから貴方を永遠に追い掛け続け誰も寄り付かなくするストーカーになります」

 

しれっと脅迫か。まぁ確かにそれは俺に対して有効な脅迫だ。

じゃあなんだ、何が望みだ。

「そうですね……それじゃあ狂ってください。私に」

 

は?何言ってんのお前。

「いやだから、私以外の異性に興味を持たないように私に狂ってください。って言ってるんです」

 

そういう意味じゃねえっての……お前は馬鹿か。んなことして何が楽しいんだ。

「ただ私は貴方と居られれば楽しいんですよ?……あ、それとこれも飲んでくださいね。逢来の薬です」

 

不老不死の妙薬?それを飲ませて……おい、それ完全にずっと俺を束縛する気マンマンじゃないか。

俺は嫌だぞ。長いというか永い時間をただ束縛されて過ごすなんて。あぁそうかい、時間を掛けて俺を真人間にしようとでも?

出来るわけねーだろ。俺は根っからのクズなんでね。

「いえ、更正なんてとんでもない。ただ貴方を閉じ込めるだけですよ」

 

余計にダメだわ。あれか、空間と時間の概念を狂わせて監禁ってか。なるほどヤバいじゃん。

「いや、貴方を狂わせて私しか愛せないようになってもらいます」

 

ごふっ。なんてこったいまさかこんな強行手段に……こうなればこっちも実力行使だ。

ハッ!こちとらあらゆるものを曲解出来るのさ!お前の存在すr……

痛っ。転んだ。つーか立てない。

どうやら平衡感覚を狂わされたようだ。と、なれば次は……

やっぱそうですよねー。方向感覚まで狂わされた。

なるほど、こうして触れているものしか分からず、自分で立つことすら出来なくしてうどんげに頼るしかなくさせるって訳ね……だがそれも曲解して、狂わされた感覚を戻せば良い。

ってオイ!?ギブ!ギブだって!妖怪の腕力で締め技は〆技になっちゃうから!

「それじゃ大人しくしててくださいね。大丈夫ですよ、生活には困らせませんから」

 

……そう言ってうどんげはまた能力を使用した。何をしたかは推測出来る。

睡眠欲を抑える何かを狂わせたんだろう。

その証拠に、やたらと眠い。

このままじゃすぐ落ちるな……あーあ、これでもう楽しく人を壊せないんだ。残念。

まぁ、いつかコイツに飽きてもらっーてさっさと捨ててもらうとしようか。

それまでの辛抱、だ……

 

 

まさか永遠亭に地下空間があるとはな。

まぁあれだな、何かヤバい物を秘匿するための場所なのだろう、と俺は感じる。

この中に来てからやたらと力が落ちてる感じがするし、能力も使いづらい。

それに、出ることは難しそうだ。内側からかなり堅牢な鍵が掛かってるし扉は破れそうにない。

その上飯も毎日うどんげが喰わせてくれるもの以外は無い、しかも微妙に量は少な目なので力も出ない。

その上、うどんげは時々俺の所にやってきては襲ってくる。性的な意味で。

しかもそれが激しすぎて体力を取られるから更に逃げられない。

なんてこったい逃げられないや。

 

こりゃ本格的に諦めた方が良いか?

そうだな……まぁ、どう足掻いても無理だと分かるまでは諦めんでおこう。

それ以外はもう、しばらく隠してチャンスを伺うって方針で。

人生、諦めが悪い方が良いけど引いて加速距離を取るのも大事だって婆ちゃんも言ってたしさ。




次回は恐らく殺戮の天使で何かやる。
だが予定が変わる可能性は非常に高いので注意。


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地獄に落とされそうだった俺がそれを回避するたった1つの冴えたやり方(東方、四季映姫)

殺戮の天使をやると言ったな。あれは予定だ。
つまり残念なことに予想より書きにくかったわけで挫折しますた。
いつか投稿する日はくると思うけど当分無理な気がする。
とりあえず、本編でもどうぞ。


地獄の裁判官、閻魔。

良く聞くだろう。まぁ多分日本人ならほとんど全員が知ってると思う。

かくいう俺もその一人だ……だが、まさか地獄に行って裁かれる前にこう言われるとは思わなかったな。

「いいかい?間違っても裁かれてる最中に生前の彼女とか嫁とかの話をしちゃ駄目だよ?マジで問答無用に地獄に送られるから」

 

なんてさ。

おい完全にそれ閻魔さま独り身……ふむ。ならばここはそれを利用しようか。俺は裁かれる時に求婚してみようと思う。

どうせ生前は弁護士っつーか弁護士(物理)だから地獄行き確定だしな。やれるだけやっとこう。

俺は覚悟を決め、裁判所の中まで入っていった。

そして入廷早々、生前何をしてきたか問われたので簡単に要約して答えて、その最後にこう言った。

「それにしても驚くほどお綺麗ですね。俺と結婚してください」

 

と。

結果はどうかって?おいおい、聞くまでもあるさ。

まず死神?ぽい奴等が全員逃げ帰っていった。えっちょっ何が起こるの。

別に結婚してくれと言う気持ちに嘘偽りは無いよ?

ただ生前ヒモかつ捨てられても根に持たず次の寄生先をすぐに見付けて寄生するという最低な事をしてきた俺だが、やっぱ年頃の?男として思うわけよ。

結婚、しといた方が良いよなぁ……って。

と、まぁそんなこんなで外に出迎えしに行った際、付き合ってた当時の彼女が牽かれ掛けて、一瞬の内に『流石に彼女が死んだ直後に新たな恋はリスク高くね?』と計算し、ヒモるために培われて来た余分な肉が一切無いが筋肉もないボディの全てを持って反対側まで押し返して自分は牽かれて死んだんだがな。

最期の台詞?そりゃ簡単だ。

『死んだらあの世の美少女達にナンパでもしようかねぇ……あ、無理か』

さ。出来ればこの台詞は言いたくなかったけど。

それはともかくとして、閻魔……確か四季映姫さん?が俺の目の前まで来て顔を下から覗き込んでるのは……

まぁここはとりあえず少し中腰になって目線を合わせた方が良いか。

 

リアルハーレムを作り上げたじっちゃん(ちなみに余談だが俺には異母兄弟を含めれば20人以上の兄弟が居る。姉も妹も。ちなみに俺は下から8つ目で家族で一番じっちゃんのルックスの良さとアレなテクニック、話術辺りを受け継いでいるっぽい)いわく、相手の背が低かったりしたら少しだけ、そう少しだけ膝を曲げて目線を合わせやすくするのが重要だと言っていた。

ただしそれは出来るだけ悟られないように。気を使わせていると思わせないのも大事だそうで。

「貴方のその言葉は、嘘じゃ無いですよね?」

 

「もちろん。いくら俺でも求婚に嘘偽りは無いですって」

 

そしてじっちゃんの教えの1つ、求婚だけは軽々しくしない。

彼女までなら大丈夫だ。だが結婚は一生を左右するから一生居たいと思える相手を選べ、と言っていた。

じっちゃん本人は死ぬまで結婚しなかったがな。

それにしても、近くで見ると滅茶苦茶美人じゃねぇか、この人。

何故これまで独身だったんだ?驚きだぜ。

いや待て、もしかしたら愛が重いとか?あるいは仕事人間って印象が強かったり極端な性格だったりするのか?

まぁ俺はこれまでの経験でそのどれも体験しているからな。個人的には愛が重くても極端なデレデレも極端なツンデレも仕事人間も。

それくらい俺の経験は多いというか物凄いのだ。

昔から皆に言われてたことだが俺はどうにも雑食のケがあるみたいだな。

相手がどんな相手でも受け入れるってタイプ。

さて、求婚成功すると良いんだが……

「そうですか。なら答えはYESです」

 

うし。

人生初のプロポーズにして人生初の結婚。すげーや俺。

それにしても映姫さん?ちょっとプルプル震えてますが一体……ってあば!?

いきなり抱きつくのはやめれ……微妙に腕力が強すぎて痛い!

だがまぁ、昔付き合ってた運送業の真奈ちゃんに比べりゃまだまだ……むしろ心地いいくらいに収まるな。つーわけで可愛いし許す。

しかし……抱きつくついでに体重も掛かっててバランスがヤバい。

「これで私も……もう藻女とバカにされないのね……」

 

映姫さんやー、トリップしてないで帰ってきておくれー。

「おめでとう。ところでこの不安定な状態でここまで寄り掛かられるとバランス保つのキツい」

 

とにかく素直に気持ちを伝えてどうにかしてもらおう。

昔付き合ってた和乃さん(二歳上)とは最初話すことが少なかったけど素直に気持ちを伝えてみたら意外とたくさん喋れたって事もあったし、気持ちを伝えるのは結婚をしてからも重要だと思う。

そもそも俺、こう見えてそれほど我慢強い方じゃないしさ。

「そ、そうですよね…すみません」

 

あっやべぇ赤らめた顔かわえぇ。俺を不意打ちでここまでときめかせるとは……やりおる。マジ可愛い。

よし、これは本格的に……つーか最初からそのつもりだが……ヒモるために頑張ろう。

まずは……

「ま、まぁあんまり気にしないでくれよ。ただ俺がダメダメなだけだしさ」

 

俺の事をダメ人間だと理解させ、『この人には私が居ないとダメなんだ』と思わせる。あるいはそれに近い思考を引き出して母性本能を働かせる。

ハハハ、百戦錬磨のヒモ技術、嘗めるんじゃねぇぜ?

ちなみにじっちゃんいわく俺は『ヒモオブザヒモ……天性の寄生体質だな。俺の愛嬌の部分ごっそり手に入れやがって~、このこの』だ、そうだ。

じっちゃんの言葉ってマジで的を射てるんだよな。主に女性関係においては。

それはともかくとして、映姫ちゃんが中々離れてくれません……これは今回は俺に依存させる方針が良いか?独り身歴が長かったりする相手だと有用なんだよねコレ。

じっちゃん直伝の技の1つで、自分にはこの人しか居ない……なんて思わせ、そして出来るだけ内面から支えて相手を肯定して、結果的にヒモるという方法だ。利点は通常のヒモ生活と違って気を付ける点が減ること。

まぁ、まだ少し決定するには多少要素が足りないがね。

あとは家の中とか……

「そうだ、私達の家に行きませんか?一緒に暮らす事になりますし、早く見ておくに越した事は無いと思います」

 

お、どうやらここで家まで行くんだな。タイミングが良い。

とりあえず家を見てこれからどうするかを決めよう。そしてあの世でのヒモ生活を送るのだ!

待ってろ幸せな暮らしよ!




くだらない話だが作者のパズドラ歴は約一年だ。
そしてランクはもう172……だがしかし!私は忘れないぞ!メモリアルガチャとか言ってヘルメスなんて出してきやがったテメェを!
と、いう茶番が現実にあった。
でも作者のパーティって何かと充実してるんでメモリアルガチャで当たんなくても大丈夫だったなって思うこの頃。光カーリーさんとソニアたんマジつよい。

話は変わりますが今回は前編に当たります。
ぼっち歴=年齢の映姫ちゃんがヒモるためとはいえ優しくしてくれる主人公と数年暮らしたらどうなるか、を書いてみるのが次回の予定。まぁ多分狂わないな。さすがに。


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嫁が俺に施したたった1つの画期的な浮気防止法(東方、四季映姫)

なんか、割と爆発ものの話。とりあえずリア充は爆発しろ……

どうでも良いですが家に犬の小便掛けられてマジで激おこしながら書いてました。
それがクオリティに影響したかは定かでない。


くだらない事を言うようで悪いが、人間の本質ってのは早々変えられるもんじゃない。

つまりそれは俺にも言えて、元々堂々と浮気するタイプである俺は結婚してもその性質が変わらなくて、今は月に1、2回ほどデートに出掛けるほどまで仲良くなったとある死神の娘と仲良くしている。

あ、そこのお前、俺をただの浮気症だと思ったな?だが甘い。

俺は誇りある浮気男だ。

浮気しても隠しはしないし強引な事はしない。どちらかを選べと言われても選べない訳じゃ無いが選ばない。

つまりは紳士的な浮気男なのである。甲斐性?んなもんありあまるに決まってるだろう。

 

まぁそれでも嫁との時間は大事にしているがな。家事を片っ端からこなせる有能ヒモ(ヒモじゃねーな。むしろ主夫)である俺はなんと他の娘と仲良くしつつも嫁との仲を好調な状態に保つ術を知っているのだ。

まず浮気相手との話はしない。それだけで割と夫婦仲は良くなる。そして隠し事はしない。

これについてはサプライズ以外の理由での隠し事はしないって事である。事実過去に付き合って来た子たちともこれで上手いこと二股状態を公認してもらったのだ。

ちなみにこれは二人のどちらにも、だからな?ここ、テストに出るぜ。

 

「た、ただいま……」

 

おっと、嫁が帰って来たみたいだな。

ククク、ならばここで俺が浮気していても夫婦仲を良好なまま保てるという証拠を見せてやろう……いや、別にこれ俺だからこそ出来るって部分もあるけどさ。

「おかえり。飯にするか?風呂にするか?それとも俺?」

 

とりあえず先制でありがちなあの台詞を言ってみる。

ちなみにこれをやると、大抵はこんなツッコミが飛んでくる。

「すでに抱き締めている状態で言う台詞じゃないですよね!」

 

そう、これだ。

選択肢をあげつつ、入ってきたところを抱き締める。

触れ合いは大事なのだ。夫婦であってもな。

じっちゃんいわく、出来るだけ一緒に居るときは近すぎないように、しかしギリギリまで近寄るのが最適解だそうで。これは俺的解釈かつエヴァ風に言えばATフィールドの外側ギリギリまで近寄りつつも、その内側に侵入しないくらいが良い。ということである。

ちなみに夫婦ってくらいだとほぼその距離がゼロでも問題ないのだ。

これは主に夫婦ってくらいまで来るとほぼ精神的な抵抗がゼロになるって事に起因してる気がする。多分

「ん?嫌だった?」

 

俺は顔を赤くしながら腕の中でグッタリしかけている映姫にそう言った。

 

この台詞についてはちょっとしたイジワルだ。軽いもので良いから刺激も必要。ってことだ。「嫌、ではないです」

 

ククク、それにしても顔を真っ赤に染めた映姫はかわえぇのう。

とりあえずこのままお姫様抱っこに移行してソファまで連れてこうかな。玄関でイチャイチャするのも悪くないけど一回やってみたかったんだよ。お姫様抱っこ。

これまでやった事なんて……いや、あるにはあるが全部酔い潰れた相手を運搬する時だったしな。

生の反応が見られるのは初めてかもしれん。

よっと。

俺は何かと鍛えていなくもない筋力を持って映姫の体を支えて抱き上げる。

もはや顔が真っ赤すぎてオーバーヒートしてるが、こういう反応は初めてだな。中々良い。

「えっちょっ何を……」

 

突然すぎて驚いているようだが、俺は無言のままソファまで運ぶことにする。

道中多少ジタバタされたがそれなりに鍛えている俺に問題ない。

さて、とりあえずソファまで来たし、降ろしてやりますかね。

俺は映姫をソファに座らせると、自分も横に座った。

これは俺的によくある座り方の1つだ。距離が近いから話がしやすい。

これは女の子を口説く時に良く使ってたやり方だね。お互いに話しやすいから仲良くなりやすいってワケ。

「むぅ……やるならやると言ってくださいよ」

 

「言ったら面白くないじゃないか」

 

つまりは、変な間が空きにくいという事にも繋がる。

映姫ってさ、仕事以外で人と話すことが少なかったせいかあまり自分から話せないタイプだってのを最近知ったところなんだが、今日は珍しく映姫から話が始まったな。まぁ俺から話題を提供してみたんだがよ。

「まぁ良いです。それよりも……」

 

うぉ?まさか今の以外の話題を振ってくるとは!

珍しいどころじゃねえ。ほぼイヤリーイベント(年一ともいう)もんだ!

いやまぁ、これが良い話題とも限らないんだけどな。

「今日、たまたま貴方が知らない女と一緒に居るのを見掛けたのですけど、何をしていたんですか?」

 

……へ?

え、ちょっと待てよなんで?俺今日ほぼ一日中家に居たよ?

いや待て……心当たりは無いぜ。

と、いうか死ぬほど怖いって、お願いだからハイライトさん帰宅して。じゃないとガクブルで話せない。

そんな俺の願いは通じないのか、ハイライトさんは帰宅しない。

「ねぇ、何をしていたんですか?」

 

「俺は一日中家に居た。嘘じゃない」

 

とにかくここはじっちゃんの教えを……そうだ。そういえば俺、産まれてすぐ死んだ双子の弟が居るんだっけ。

もしかしたら居てもおかしくはない……よな?

とりあえずその可能性を指摘してみる。

すると……

「そんな嘘を言っても無駄ですよ……あなたが正直に言わないのなら、こちらにも考えがあります」

 

い、いや、だからね!?浮気はあの子としかしてないからな!?

まぁ、ここは言っても無駄だろうから……って、あの首輪はなんだ?

良く分からんが灰色になってる所と皮っぽいところがあるが……

「これは従属の首輪って言いまして、付けた相手を絶対服従させられるんですよ」

 

転生系小説の奴隷にありがちな首輪かよ。

本格的に不味いな。なにもやってないが本格的に不味い。

むしろヤバいのは従属させられることで自由が奪われることから浮気相手のあの子が不審に思ってこっそりと見に来たりしたら……あの子の事だから絶対に映姫を殺しに来る。

つまりこのままだと誰も得しない。

考えろ……答えを探せ……抜けるには……そうだ。

「あ、そうだ。ついでにこれもあげます。魅了の指輪って言って付けられたらそれを付けた相手の事しか考えられなくなるって素敵な指輪なんですよ?」

 

ここは映姫の能力で黒か白かを判定してもらえばいい。

公正公平で確実な答えだ。

俺はそれを提案しようとして口を開けるが、その台詞が出てくる前に俺は言葉を失った。

頭が痛い。

何やら魅了の指輪とやらを付けられたようだ。まさかこれは思考を縛る物だったりするのか?

ヤバい。痛い。死ぬ。流石にショック死する。

あー、こりゃどうにもなんねーな……

だがしかしこのままだとあの子が来て多分ヤバいことに……いてぇ。もう無理。

俺は、思考を投げ捨てる事にした。

 

 

……で、目が覚めるまで直感でなんとなくだけど約八時間。ぐっすり眠りこけてた訳だ。

しかし、何故ベッドに……?

俺は、意味も無く隣を確認してみた。映姫が寝ている。

そして、自分の指を見た。

あの指輪がない。もしかして寝てる間に外れ………無いな。あれ結構ピッタリサイズで外れにくそうだったし。

だとすればあれは夢?

……ハハ、なら、それはとてつもなく君の悪い夢だぜ……だが異様にリアリティがあって怖かったからとりあえず街に出てアリバイ作りに励むとしようか。

適当に商店街にでも行って時間を潰し、あの夢で映姫が帰ってきた時間の数分前を見計らって帰れば、きっとあの夢で起きたことは起これない。というか意地でも起こさせない。

依存されるのは一向に構わないどころかウェルカムだが、束縛だけは無理なんでね!




夢オチにした理由?
だって……映姫様に本気で束縛されたら救いが無いじゃないか。
死んでも逃げられないし。
でも個人的に作者がああいうオチ好きだからってのもある。

そしてどうでもいい話。
最近パズドラでメイメイが覚醒メイメイになったぜ!
てな訳で次回なんか気分が良いのでパズドラで一人ヤンデレにする。しかも典型的な奴を初心に帰って()な!


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ガチャで引いたらヤンデレだった(パズドラ、カエデ)

色々悩んだが全部書けるなら書こうぜってことでまずカエデちゃんから。

カエデちゃんは個人的に結構好きです。


ついに……ついに来たぞ!カエデちゃん!

これまでリーダーがヴィシュヌあるいは緑おでんだったウチの木パについに強力なリーダーが……とりあえずレーダーで貯めといた超絶キングメタルドラゴンで強化して即進化、そして究極してフル覚醒!

いやー、貯めてて良かった超絶キング。一瞬で究極完了だ。

さて、とりあえず強化したところでプラスを付けますかね。レーダーってマジ有能。

俺はメールからプラスマックスのホノりんアワりんモリりんを回収し、すぐに合成する。

それでプラス297となり、あとはそれなりに地道にレベルを上げてくだけなのだが……

今メールを確認した時に、変な物があったのを見付けた。

メモガチャとも違うがなんか普通のとは違う感じのメールだ。

とりあえずコードでバックアップ取ってから開けるとしよう……

 

ーメモ中ー

 

メモ完了。とりあえず開けるとしようか。

開・封!

「ぷぎゃっ」

 

俺がメールをタップした瞬間、俺のスマホが発光する。

具体的にはカメラのフラッシュくらいに。ありえんわ。二次元以外じゃ。

だってスマホがここまで光るとか……ってうわっ眩しい。

ダメだこりゃ一旦目を瞑ろう。そして大丈夫かなーって頃合いを見て開けよう。

…………よし、おk。もう開けよう。

俺は、恐る恐る目を開けてみた。

すると目の前には、無駄に広がる大自然とツリーハウスが!

「ってありえねぇわ」

 

まぁ冗談は置いといて、冷静に分析しよう。

俺の目の前にあるのは良く分からんがツリーハウス感のある神殿っぽい何か。

そしてナゼか周りを飛ぶドラゴン。

あとさっき引いたガチャの結果。と、さっきのメール。

導き出されるのは1つ!

これは……いわゆるパズドラ転生系の物がたごふっ。

なんだなんだ痛い……ってペンドラ!?

ヤバいヤバい多い。こいつら見た目に反して火力高いからヤバい……

逃げよう。

俺は、大量のペンドラに命の危機を感じてツリーハウスへ向かって走ってみる。

これはもはや賭けだ。このツリーハウスに住んでるのがドラゴンだったら死、ただしさっき引いたカエデちゃんだったら生き残れるかもしれない。

そんな賭けだが……運命よ。さっき使い果たしちゃった運って前借りできない?頼むからお願い。

俺はゴッフェスのガチャの時と同じように運命に祈りを捧げる。

来いカエデちゃん、来んなドラゴン。

目を瞑って祈りを捧げる。

本当に真剣に祈りを捧げる。

来てくれカエデちゃん。

「本当に情けないですね」

 

現れたのは……カエデちゃん。ところど階段から現れたけどさっきから居たりした?

まぁいいや……キター!

「勝手にテンション上がらないでください……とりあえず先に上で待っていてくださいね。ここは私がやりますから」

 

よし助かった恩に着るぜ。

俺は人生で初めて死ぬほど全力で階段を登った。

もう当分階段が登れないんじゃってくらいの全力をもって登った。

結論。死ぬ。インドアな俺に階段は無理。

流石に100段辺りまでは行けたけどあとは死ぬ。高さ25mくらいまでしか進めてないしな……って、でも一段25cmって規格外の階段だから仕方ないよな。うん。

とりあえず少し休んでから再出発するかな……今何時?

ふと思い立ってスマホを確認してみる。

……カエデちゃんが追い詰められてた。

ちょっと待てい。何故に……とりあえず四個消し、五個消し、十字回復で7倍(二体攻撃の補正合わせると約21倍)の全体攻撃&回復……そして一度切り抜けたら退却退却。

よく考えたら一人で対応出来るわけないわ。あんなに居たからね。

それとパズドラ転生系の奴は大抵こっちで何かする必要があるパターンなんだよな……(苦笑)

まぁ、退却も出来るってのはありがたいが。

「……さっきは助かりました」

 

あ、カエデちゃんキタキタ。

ところで俺を運べない?この上まで。

俺じゃいつまでたっても登れる気がしない。

「出来ますけど」

 

じゃあよろしく頼んだ。俺、動かない事には定評あるからさ。

って、さっき飛んでたドラゴン!?えっちょま……そういや龍喚士だったか。たら問題ない。

「それじゃ、乗って私から離れないようにしてください」

 

おk。

乗ってしがみつけば良いんだな?ハハ、俺はギリギリで生存にしがみつく事に関してはライバルが居ないと言われるほどの男だからな。

とりあえず俺の後に乗ったカエデちゃんの体に腕を回して体を固定する。

その時変な声を上げてたけど知らね。胸にうっかり触れちゃってても俺悪くないもん。

なにせ腰の辺りに手を回すつもりが身長差のせいで胸に触れちゃってるだけだ。そう、悪くないさ。

「う、うっかりなら仕方ないですね……」

 

うん、そうそう。

とりあえず出発しようぜ。なんか後ろからペンドラども来てるしよ。

『ファー!ファー!(意訳:姐さんファイト!)』

 

え?ちょっペンドラさん凄く今の台詞に嫌な予感しかしないんだけど。意味わからんがなんとなく嫌な予感。

ただ、凄く数集まられるとトラウマが……仕留めきれずに一匹残ったせいでやられた記憶が……記憶が……

「さ、行きますよ!」

 

お、おう!?

なんか群れたペンドラ見てて変なテンションになった。

うーん、転生ってもっとテンション上がるもんじゃないのかねぇ……

 

 

 

んで、転生ってもっと良いもんじゃねーの?なんて疑問を抱きつつツリーハウスに到着。

しかし、どうやらここはGE的に言うアーコロジー……要約すると自己完結した施設に近いみたいだ。

まず水は雨と湧き水のハイブリッド。ちなみに凄まじい量があったので多分よほどのことがなけりゃ尽きないだろうと思う。

そして畑?もある。ここはマシン系モンスターが居たから収穫はやってくれるのかな?

んで、マシンタイプが居るって事はお察しの通り電源施設完備。

ほら、とりあえず籠城するなら延々と籠城出来るぜ。攻められなきゃだが。

いやー、でもこんな所に連れて来られたら1つだけ嫌な推測がある。

軟禁されるんじゃね?って推測が。

まぁ別に軟禁される理由も筋合いもないがね。いわゆる一目惚れヤンデレというありきたりな適当設定のようなものが無ければな?

いや、ねーよな……

 

ガラガラガラ…

 

……あ、ごめん撤回。軟禁される気がするわ。

「あ……階段が崩れちゃいました」

 

何せあのペンドラの大群が乗っていた階段が崩れ落ちたんだからね!

笑うしかねぇよ!

 

 

で、時は流れた。都合が良いけど1ヶ月ほど。

とりあえず飯も水も何もかも問題はない。

何せここの農業、虫は居ないし菌についても結界的なあれで心配ないという素晴らしい環境で行われているからな。

ただ問題があるとすればこんな家に女の子と二人という状況だ。

何度理性と欲望のぶつかり合いを欲望が制しかけたか……死の可能性を感じてやめたけどさ。

カエデちゃんって可愛い顔してマジで強いんだわ。

つまり手を出して拒絶されれば一撃死もありえるって訳。

はは、だから死にたくないので俺は絶対に手を出せない。

ただ正直あっちからやってきてくれれば……良いなぁなんて心のそこでは思ってる。

ちなみにもう1つあるんだが、それは料理の中のそれなりの割合にその……アレな食材が使われててだな?

そのせいで色々大変な訳ですよ。主に手を出さないための努力とかが。

俺は正直それをなんらかの形で試されてんじゃね?的な発想の元無駄に強靭な精神力をもって耐えているのだ……

 

 

だ、が!

何故今日は俺の布団に来た!?

どう考えても俺を試してるよな!?な!?

しかも無駄に胸の辺りとか服がはだけて……心頭滅却心頭滅却(物理)。

そして追い打ちにやたらと距離が近いしよ。色即是空空即是色……

……よし、ここで判断しよう。いい加減俺の無駄に強靭な精神も限界だ。

とりあえず今日は一度寝返るふりをして近付いてみて、不自然にならない範囲でボディタッチを試み、明日の朝の反応から判断してみようと思う。

逃げられたらアウト、それ以外は……まぁ俺の直感力で。こうなりゃ落ちコン平均二回の俺の運に賭けるしかあるまい。

さぁこい幸運よ。俺は寝返りをうった。

その時うっかり、そううっかり手が胸に触れちゃってるがうっかりだから仕方ないよな。

まぁ翌日の反応を見るとしようか。wktkだ。

 

 

「ギブ!ギブだから!」

 

「…………」

 

朝っぱらから俺は締め技を喰らっていた。

何があった?と聞きたくなるだろうが、簡単だ。

カエデちゃんの寝相は全盛期の俺の数倍凄い。

俺はただ単純に寝相が目覚まし代わりになるほど酷かっただけだが、カエデちゃんはもうものすごい。

締め技はねーわ締め技は。まじで関節が死ぬ。

しかも色々当たってるんですわ。胸とかアレとかね。しかも顔近くてキス寸前。

なに?襲われたいの?俺もう狼さんになっちゃうよ?

うん、七人の仲間が居て猟師が大好きな方じゃなくてケダモノ的な意味の。

うん、まぁここまでされたらヤられても文句は言いにくいだろうな!

「んぁ……まだですかぁ……?」

 

って、ん?なんか寝言が超絶不審。

まだってなんだよもしかしてあのクラッシュオブペンドラの悲劇(俺考案。ペンドラによる階段クラッシュのこと)の更なるステージみたいなのあんの?

それはさすがにまずいぜよ。

「もしかしてホモ……んですか……?」

 

「■■■■!?」

 

突然の台詞に思わずむせてしまった。

なんだなんだ。なんの夢を見ているんだ……

少なくとも今の台詞が出るという事はマトモな夢じゃなさそうだが。

……ヤバい、なんかすごく嫌な予感しかしない。

なんだろ……色々とR指定が変わるくらいに嫌な予感ってのがするんだけど。

どーしよ。誰か助けて。

あとカエデちゃんの寝息が当たるのが顔を逸らして理性を保とうとしたら耳噛まれた。マジで萌え死ぬ。

そうだここは一度カエデちゃんを起こして脱出しよう。そうだそれがいい。

俺は、試しに体を盛大に捻ってみた。

だが拘束がうまい具合に体に食い込んで痛いだけだった。ちくせう。

ならばここはセクハラをして起こすという最低な方法を……

「手が、動かん」

 

ダメだった実行不可能。

じゃあこうなれば切り札だ。高校の修学旅行で起きなかった同じ部屋の奴に耳元で囁いたら飛び起きたあの禁断の一言を使うしかあるまい。

じゃないと俺が死ぬ。一か八か賭ける以外に無いさ……

「なぁカエデちゃん、まだ起きないようなら■■を■■して■■に■■をし、その上で■■しようと思うんだが(意訳:起きなきゃ襲う)」

 

「……!」

 

「はい、おはよう。助けて」

 

起きて一言目に助けては無いと思うけどマジでヤバいからそう悠長にしてられない。とにかく一旦離れてくれ。

「おはようございます……■■するのは良いですけどせめて意識のあるときで……」

 

駄目だ寝惚けてやがる!?

「あぁ……でもようやくこれとかちょっと遅すぎません……?」

 

って続きあんのかよ!?てか寝ぼけてるにしちゃ台詞なげぇ!

「やっぱドキドキしました?」

 

いやしたけども。つーかもう寝惚けてねーじゃねーか。

「はい。ちなみに昨日はあまりにアプローチが無くて悲しくてヤケ酒して寝ました。あとどう考えてもこの体制はおかしいと思うんですが、すでに事後……」

 

な、わきゃあるかボケ!

てかむしろアプローチ掛けて押し込んじゃって良かったん?

「ウェルカムでしたね。辛かったですよ、ただ待つだけの日々は」

 

……ところで、気になるんだけど俺のシーツってやたら交換頻度が高かった気がするけどそれって理由なに?

「匂いを嗅いで■■するためです(満面の笑み)」

 

もう良いです結構です。

「でもやっぱり一番は髪の毛ですかね」

 

だからいらない。それ以上聞くと精神を削られる気がするから遠慮します。

「むぅ……とにかく、待つだけの日々は辛かったんですよ」

 

どこがだよ!?

「せっかくコッチに連れてきて二人っきりにしたというのに」

 

……まぁ、でもあと1日もあれば落ちてたかもな。ドンマイ。

「ハッ……ならば今からでも!」

 

しません、させません、出来ません。

「無理を通せば道理は引っ込むんです」

 

とりあえず、このあと太陽が黄色かった気がする。




種明かし。

カエデちゃんは元々プレイヤーくんをどこかから見ていました(神話的には千里眼を使える奴も居たよね)

階段の崩落は流石に事故だが元々軟禁して吊り橋効果を狙っていた。

しかしプレイヤーくんはチキンオブチキン。吊り橋?知らん。のレベルで意味が無い。

色々悶々としている内に使ったシーツの匂いを嗅いだり髪の毛を集めたりもうなんか残念な感じに。

しかし中々手を出してもらえなくて一人でヤケ酒……しかしカエデちゃん、異常なほど酒に弱かった(ご都合主義)

酔った勢いでベッドに侵入、色々寝転んでいる内に絞め技。

寝言……と、思いきや酔ったテンションが残っていて普通にあの台詞を。



結論:ヤンデレだけどちゃんと意思疎通すれば問題ないよねって話。
え?次回?もちろんコッテコテに末期だぜ!(あてにならない)


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女神様の献身(パズドラ、アテナ)

それっぽいタイトルを付ける事に成功した。
どうでも良いけど、作者って煽り耐性が0通り越してマイナスなんだよね。
つまり全ての煽りを挑戦状と思ってしまうんだ。
書いた本人に煽る目的が一切なくとも、なんというか闘志を燃やしちゃうんだ。
そういうめんどくさいタイプなのよ、作者は。

そうそう、タイプといえばヤンデレにもタイプがあります。
監禁系は独占型、写真をおびただしい数集めているのは大抵ストーカー型、とか。
そんな訳で今回のアテナさんはヤンデレじゃなく見えるようで一番分かりにくいヤンデレってやつ。


人にフラれてから帰る家ほど足が進まないものはないと思う。

何せフラれるということは程度に差はあれど人に拒絶されたということであり、つまりは誰しも心に傷を負ってしまうのである。

しかもフラれた相手がとうとう十を越えた俺ですらいまだに慣れないそのグッサリくる感じの傷。人は大抵この傷を負った場合こう言う。

『死ぬほど辛い』

 

だが俺はこう提唱する。

『家で誰かに泣きついて、1日泣いて過ごして、んでもって次の恋へGO』

 

とな。まぁ、人間の心の傷は誰かに癒してもらうのが手っ取り早いってね。

そしてそれを忘れて次の恋を探すのだ。人間恋が出来なきゃ負けなのよ。特にこの世界では。

あぁ、そう言ってる根拠はあるぜ?俺だ。

俺だってロクに十回以上フラれて折れずに新たな恋へ歩み出せるのはウチの保護者……というか正確には俺が恐れず恋路をゴーイングマイウェイ出来てる要因の人のお陰なのだ。

 

名前はアテナ。

数年前パズドラをプレイ中に突然意識を失い、目覚めたらこの世界に居た俺を助けてくれた恩人である。

とりあえず彼女とは特に付き合ってる訳でもなく、ただ同居させてもらってるだけだ。というかほぼ俺が子供でアテナが母親って認識でも間違いない。

まぁ、基本的に優しく受け止めてくれるってのが彼女の良いところだと思う。

フラれたあとには何か言葉を掛けられるよりむしろ何も言わず泣き付かせてくれた方が嬉しいものだ。

何せ下手に言葉を掛けられるのはただでさえ傷付いたところに追い討ち喰らってるようなもんだからな。

 

まぁ、とにかく家に帰ろうか。

帰って、散々泣いて、それで全部忘れて次の恋をするんだ。

 

 

 

 

彼が帰ってきたのは出掛けてから3時間27分42秒後のことでした。

彼のことだから、今日もフラれたショックで一時間くらいへこんでたでしょうし、これは出掛けてからフラれるまでの最速記録更新ですね。

それにしても、やっぱり泣きかけてます。これで十回目の告白失敗だというのに慣れないんでしょうか。

でもこうなっている時はものすごく甘えてくれますし、慣れられたら慣れられたでそれが無くなると思うとちょっと微妙ですが。

 

それにしても、彼は何故誰にも受け入れて貰えないんでしょうかね?

誰よりも純粋で、誰よりも一途で、誰よりも大事にしてくれる相手を振るというのはちょっと理解に苦しみます。

確かにちょっと失恋してから復活まで1日というのは早いようにも思えますが、それはただ切り替えが早いだけですし、復活するのも失恋のショックを新しい恋で塗り潰してるだけですからね。

傷付いても治るのが早いように見えて、ただ強がってるともいえるんです。

 

私はその強がりを受け止めて、なにも言わず側に居るだけです。それだけで私は満足なんです。

別に、彼が私を好きになってくれたなら、それより嬉しい事なんて無いんですけど……でも、私は彼が幸せなら構わない。

そのとき彼が私から離れていくとしたらそれは少し悲しいですが、それで彼が幸せになってくれるのならそれでいい。

ただ、彼の思い出の一部に私が居れば良いんです。

 

……それにしても、なんでヴァルキリーさんは彼を振ったんでしょうね?

今ふと頭に浮かんだのですが、彼は彼女の嫌いなタイプに当たる訳ではないですし、付き合っている相手が居るとか好きな人が居るなんて話も聞きません。

それじゃ何が原因でしょうか……

顔は上の方に入るだろうし、性格は良い、金遣いは荒くないですよね。

あとは頭……は悪くないですね。だとしたらなんでしょうか。

なんらかのしきたりとか……は、私が知る限りじゃないし、ヴァルキリーさんならしっかりそれを話すでしょう。

だとしたら……そうだ、あまりに突然過ぎ……てる訳じゃないです。少なくとも数ヶ月ほどよく話してました。

それはもう、いつも話している私も彼女を羨ましいと思うくらいにしょっちゅう。

だとしたら原因は?

ダメですね。誰よりも長く居る筈なのにどうすれば良いかが思い付かない。

出来れば彼が目覚める前に考えておきたいのに。

そして少しでも早く、彼を幸せに近付けたい。

でもそうする術は分からない。どうしましょう……

 

 

 

気がついたらベッドで寝ていて、そしていつの間にか朝になっていた。

しかもなんと、翌日ではなくその次の日、つまり二日後の朝だ。

泣きすぎな気もしなくはないがこれくらいやった方が気持ちも切り替えられるし、いいと思うんだ。

確か泣くことは大事だって誰かが言ってたけど事実だね、うん。

 

それにしても、次は誰に告白しようか。俺も散々フラれてきたし、これからはもっと頑張らなきゃと思うよ。

……そうだ、今日はちょっとそこら辺を歩いてビビッとくる人を探してみようか。直感ってのも意外とあてになるかもしれない。

俺はそう思い立ち、とりあえず着替えようとベッドから降りて立った。

すると、そういえば一昨日の昼以降何も食べていないことを思い出した。

ある程度食わなくてもなんとかなるとはいえ、食事はしておいた方が良いだろう。

そう考えて着替える前にダイニングに移動する。

「あ、起きたんですね。おはようございます」

 

そして1日かけて立ち直った俺がこうするのが読めていたかのように料理を作っていたアテナ。

ほんと、気の利く人だよな。

料理も出来て、家事万能で、頭も良くて綺麗。

なのにまだ結婚のけの字も見えないってのはおかしいよな……

ふとそんなことを考えながら、アテナの方を見た。

「なぁアテナ」

 

そしてなんとなく出たのはくだらない言葉。

「アテナって俺が居て迷惑だと思ったことある?」

 

それは多分ここに来て数ヶ月も経たない頃に一回言った覚えのある言葉だった。

もしかしたら、アテナが結婚できそうにもないのは俺のせいじゃないか。そうなんとなく思ってしまったので聞いてみたが、帰ってきた答えは前にい聞いた時と同じようなものだった。

「……あるわけ無いじゃないですか」

 

 

 

「あなたが幸せで居てくれる事が私にとっての幸せなんですから」




アテナ様にしたのはもう一番好きなキャラだからだ。異論反論は許す。
四個消し含めた計20倍弱の火力なら充分降臨にも通じるしからね。
そしてサブでもめちゃくちゃ優秀……抜け目ないな。
しかも本日大喬小喬を引いたので今後更なる活躍が……



それはそうとして、ここでアテナ様のヤンデレタイプついでにいくつか紹介。
今回の奴はいわゆる無害型。想いすぎちゃって逆に悟りを開く形で相手が幸せならそれでいい、と思ってるタイプ。一番平和なヤンデレ。

ちなみにこれになったのは作者アテナ様大好き人間だから分かりやすく狂ってる感じのが書きにくかったから。なんというか個人的好みに近い形にしちゃったな、とは思ってる。

そして他のタイプ。
排除型。
対象の周りの人々を次々と排除していくタイプ。わかりにくいので艦これの雷的にセリフにすると以下。
「電?あぁ、ならもう居ないよ。私が解体しちゃったもの。大丈夫よ、提督には私が居るじゃない!」
みたいな。割と周りの被害が甚大なタイプ。

崇拝型。
つまりは好きなあまりに崇拝しちゃったタイプ。好きな相手のためなら自分の命すら惜しまない。
ちなみち献身しすぎる感じで大抵は(女の子の方が)ロクなことにならない。
あと雷ちゃんにはこのタイプの素質もあったりする。有能過ぎねえか……?

ついでに言っとくとヤンデレ物では割と報われやすいタイプだったりする。


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ヤンデレキがストーカーやってるけどもはや七不思議。(緋弾のアリア、レキ)

前に書いたやつを別の感じで書いてみた。
もっとヤンデレ分ちょうだいよ!みたいな評価が来たんでとりあえず。
でもこのレキおかしいよね俺もそう思う。ただ俺はストーカー型が大好きだ。


「武偵校七不思議ぃ?」

 

ある日、悪友のキンジとくたばれファッキンな不知火とともに話していると、不意に不知火がそんな話を出してきた。

いわく武偵校七不思議とはこういうものだそうだ。

 

1.忽然と消えるパン

2.何も無いのに撃ち抜かれているターゲット

3.夜道に怪しく光る鬼火

4.不死身の怪物

5.性欲の魔神

6.気付けば魔改造されている寮

7.この学校そのもの。

 

まったくもって7には賛成したいと思う。強襲科では毎日怪我人が出るし、諜報科の奴等の一部はちょっと違法なテクニックも仕込まれているらしいし、車両科には車検に引っ掛かる改造車がある。その上整備科には殺傷能力が高い銃が多く所蔵されてる。

……武偵校にクーデター起こされたら被害は甚大だと思うな。とにかくこの七不思議の7は本当だと思う。

……で、その七不思議なんだが最近更新されたようで、1の忽然と消えるパンが入れ替えられている衣服、になったらしい。

ある生徒によれば、気付いた時には制服が新しいものに変えられていたらしい。

ヤバい心当たりしかないぞコレ。

つい先日制服が新しくなってたんだよな……怖いわ。

あとこれは怖いと言うよりありがた不気味なのだが、何故か毎年バレンタインにチョコが届き、誕生日にやたらと手の凝ったコースターやらスプーンやらが届くという事象が入学した時からあるのだ。

彼女居ない歴=年齢の俺としては嬉しいばかりだが怖いわ。裏で『アイツwドッキリだと微塵も思ってねぇww』とか思われてるんじゃね?と思うとなおさら。

あ、そうそう。あと3の夜道に怪しく光る鬼火の正体は星伽なんとかさんらしい。ただ灯りにしているところを見られたのだろう。

いや、確かにそれは怖い気がするけど。

「そうそう、で、その七不思議の忽然と入れ替えられている衣服なんだけどさ、正体が分からないんだよね。他は分かってるのに」

 

……でもそんなもんだと思うんだけどなぁ……七不思議って……俺の認識がおかしいのか?

あ、でもここじゃ普通がおかしいんだったか。なら俺はおかしくない。おかしくないんだ。ん?なんか矛盾してるような気がする……

 

 

七不思議を知った日の夜のこと。

ふと思い立ってなんとなく待ち伏せをしてみることにした。

1日じゃどうにもならんだろうが、数日くりかえせばどうにかなるだろう。

あ、待ち伏せと言っても実際に俺が待つ訳じゃないぞ?

ただ整備科で頂いてきた香で侵入してきたやつを眠らせるって寸法だ。これならあまり労さず七不思議の謎が解ける。

ついでに言えば、普段でテレビを見ている途中で寝落ちなんてのも珍しく無いから怪しまれもしない。

わりと隙がない作戦だ。

唯一の問題は今日侵入してくるとは限らないこと。もしかしたら明日とか一週間後って可能性もある。

しかし、七不思議を解くってのはロマンだからな、時間が掛かっても良いだろう……

まずい俺マスク付けてなか………zzZ

 

 

 

”彼”は自分が用意していた香か何かでうっかり眠ってしまったようだ。

良かった。見付かるのは困るから今日は入るのをやめようかと思っていたところでラッキーな事が起きた。

それなら今日も家に上がらせてもらおう。大丈夫、見付かったりするヘマはしない。

事前に監視カメラには録画された偽の映像を流すようハッキングしてあるし、証拠を残すようなことはしていない。

ただし、唯一の問題があるとすれば”彼”が気配を感じて起きたときだ。

でも、そのときは押し倒して(検閲により削除)してしまえばうやむやに出来る……って理子が言ってたから参考にさせて貰おう。

「…………」

 

私はとりあえず壁を登ると、彼の部屋の窓(鍵が掛かっているが実は外から開けられる)を開けて家に上がる。

そしていつもの通り彼の制服を綺麗にしたものと入れ替えておく。

そして元々あった方は持ってきた鞄に詰めて持ち帰る。

決して、変な目的があったりはしない。匂いを嗅いだり顔を埋めようだなんて思ってない。

決して、ない。

ただちょっと帰った時にうっかり自分の制服と間違えて着てしまったりだとかはあるかもしれない。

 

とにかく、決して変な目的ではないのだ。ただ制服を綺麗にしておいた方が気分が良いだろうと思ったからなのだ。

……そうだ、今日はついでに彼の寝顔を……もとい寝姿を撮って行こう。やましい目的ではなく彼の好きなモノを知るという崇高な目的のために。

大丈夫、カメラはシャッター音が出ないようにしてある。だから起こしてしまう心配もない。

『怖い。ウチの子がいつの間にか変態になってる。助けて緋々ちゃん』

 

黙りなさい“風”、これ以上煩いと二度と私に関われないようにしますよ?

『私うるさくないよ!?』

 

今すぐ黙らないとこのヘッドフォンを外して砕いて捨てます。

『……』

 

まったく、彼の前で大声を出すなんてどういう神経をしてるんでしょう。

頭おかしいんじゃないですか?

『駄目だ……もうどうにでもなれ』

 

まったく、うるさい風です。お陰で彼を観察出来る時間が26秒減ったじゃないですか。

いつも通り彼が目覚める前に気付かれず去れるのはAM5:53くらいでしょうし……あの風、どこにも良いところが無いですね。

あ、ですが無駄にあんなモノに思考を割くくらいなら彼の事を考えた方が建設的ですよね。

……そうだ、彼がいつか私に気付いてくれたりしたらどう考えるでしょうか。

やっぱり男性からしたらこういうのは嬉しいんでしょうかね。それともただ驚くんでしょうか……いっそ今日彼に種明かし……いや、駄目ですね。理子さんによれば少しずつ外堀を埋めていって、埋め終わったところで一気に攻め入るのがもっとも成功しやすいそうですから。

なら、せめて今年いっぱいはこれを続けましょう。

そして来年、私から姿を現す……きっと、良い返事があるはずです。

 

 

 

 

 

……朝目覚めて気が付いたが、どうやら昨日は例の七不思議が来たらしい。

証拠?

そりゃ、制服が何故か入れ替わってやがれば嫌でも気付くだろ。

それにこの制服、前に着てた俺の制服だしな。

何故か補修されているけど袖に隠したナイフを取り出す時にうっかり刃が当たって出来た傷があるからすぐ分かった。

それにしても、こりゃ相当上手いこと補修したな……どんだけ裁縫上手いんだか。うーん、それにしても、こういうことまでやってくれると正体を暴いてみたくなるな……一体どんな奴なのか。美少女なのか、そうじゃないのか。その辺が特に気になるし。

 

ってん?なんか微妙に下の辺りにシミっぽいものが……いやまぁ、多分それなりに長いこと着てるからだろうな。

一瞬変態的でキチガイな考えが思い浮かばなかったとはいわないが。妄想してないとも言わないが。

悪いか?七不思議の子がウチに来てると知って、しかもそれが美少女かもしれないと思い付いて、怪しいシミが制服に……とあったらアレな妄想するのが普通だろう!?なぁ!?

まぁ、自賛した水筒を溢したという可能性も捨てきれないけどさ。

だがこれまで俺に気付かせなかった七不思議がこんな露骨な証拠を残して行くだろうか……ありえないよな。

つまりこれはあ……コホン、うっかりR-18待ったなしな言葉を言う所だったよ。

あぶねーあぶねー。だがスレスレでセーフ。

ま、とりあえず気を取り直してこれを採取して新聞記者じゃないあややにでも持っていくとするか。

アイツならきっと七不思議の正体が誰か分かるに違いない。

そして……正体を突き止めたらとりあえず狸寝入りして待ち伏せ、ついでに捕縛の名目でセクハラを……なんでもない。

 




くだらない次回予告。
諸事情により遅れるかもしれんが、とりあえずこの作品じゃ少ない監禁系をやるか……?と思っている。

ヤンデレ=監禁みたいなのはあんま好きじゃないというか書きにくいんだが、まぁそういうのも書いてみた方が面白いと思ったからさ……
それと、数話中に最初の話でやった話の初めをセリフラッシュにしてみるってのを復活させる予定があるかもしれない。

まぁこうご期待……されたら作者が死ぬから……ほどほどにご期待くだせー!


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ニセモノ(デアラ七罪)

なんか評価の辛辣さに精神やられて書けなかったけど久しぶりにリハビリ投稿。
つーかサブタイのセンスねーなオイ。



あ、今回の七罪がどっちのバージョンかはお好みでお決めください。


聖書には七大罪ってのがあるんだと。

確か傲慢、怠惰、嫉妬、強欲、暴食、憤怒、色欲。

でもさー。聞いた話じゃ神様って産めよ増やせよ地に満ちよ?とかも言ってたよな。それって完全に矛盾じゃねーか……

「そう思うよな?七罪」

 

「なんで私に聞くのよ……」

 

そりゃ七罪とかいて七罪ですから。名前的にね。

あ、聞く奴がお前しか居なかったとかじゃないからな?決して。

「はいはい、分かってるわよ。貴方はちゃんと外と関わりを持ってますものねー」

 

そう拗ねるなって。

というか、別にお前なら外に出たところで普通に美少女が歩いてんなーとは思われても変な奴とは思われないだろ。

俺が保証しよう。

「……そう言って出たら毎回皿が顔面に当たってるわよ。絶対気持ち悪いと思われてるわ。あぁきっと私の顔が見たくなかったんでしょうね天使が使えたらアイツの目を消してやるのに……!」

 

「ていっ」

 

ネガティブに逸れすぎた七罪の思考を叩いて戻す。

出会った時からお前はいつもそうだ。ネガティブになって昔のことクヨクヨ考えて絶望してループに入る。

タイミングがズレると1日潰れちゃう俺の事も考えてくれよ。

「え?私貴方の1日を全部奪った事なんて……」

 

「8時間は立派に1日換算でいいと思うぞ」

 

何もしてないのにいつの間にかパニックになってて泣いてすがりついて来るんだぞ?

お陰で仕事も出来なくなったしさ。

「し、仕方ないじゃない!怖いものは怖いのよ!」

 

「……あ、お前の後ろにお化け」

 

「■■■■■■!?」

 

……なぁ七罪、とりあえず怖いものがあったら俺に抱き付くクセだけは直してくれ……俺も辛い。

お前はかなり軽いから受け止めても痛くないんだけどそれでもスピードによる威力の増加が含まれててだな……

「何よ!私が重いって言うの!?」

 

「そうは言ってない。ただちょっと素早くやられるとヒザに深刻なダメージがだな……」

 

ついでに言うと足首とか腰とか全体的にやられるしな。

まぁ俺としては、それが嬉しくないって訳じゃ無いんですけどね?

それに今だって十分進歩したもんな。

最初の頃なんて、目にも止まらぬ速さで近付いて拐ってたくらいだろ。

「そうだったかしら?」

 

あぁそうさ。

お前、そんでもってずっと抱き着いて離れないもんだから焦ったぜ?……あー、確か飯作らないとなーって。

「昔からピンチで考える事は同じなのね……」

 

……あぁ、そうだ。

今日はちょっと昔のこと思い返してみねぇか?

ほら、振り返ってみることも大事だって言うだろ?

「そうね、一応ずっと思い返してないと少しこんがらがってるかもしれないし」

 

そんじゃ決まりだな……今日は記憶を掘り返す事にしよう。

仕事は1日くらい休ませてもらったところで問題はあるまい。そもそも居ても居なくてもそこまで影響ないしな。

えぇと、確かこの生活に落ち着くまでの時って何してたっけなぁ……

なんか、今考えると無駄なことに努力して、挙げ句その結果すら奪われてたよう……な……

俺は、不意に自分を襲った激しい頭痛に思わず倒れてしまった。

なんだこれ……なんで昔を思い出そうとしただけで……

「だ、大丈夫!?」

 

やべ……あまりに痛くて意識が……

 

 

 

 

 

ーside七罪ー

 

なによ……なんでこんなことになってるのよ……

なんで、何もかも奪って無かったことにしたものが残ってるのよ!

せっかく十香たちの事も何もかも忘れさせて、私の事と一般常識だけ残して二人きりになったって言うのに……

なんで、こうなっちゃってるのよ……

  が倒れてから数時間。いまだに彼は目を覚まさない。

むしろこれから目を覚ますことは無いんじゃないか、そう思うほどに彼は一切の反応を示さない。

いつもなら抱き付けば何か反応があるのにピクリとも動かないし、それに呼吸すら時々止まっている。

いつも呆れながらも私を受け止めて撫でてくれた手も、動かない。

でも、心臓が動いているから死んだわけではないみたい。

ただ、私が壊した何かを思い出そうとして精神に負荷が掛かりすぎたんだ。

なんで?

……そういえば、彼との最初のデートはとっくに沈めたあそこでやったんだっけ。

私は私に関する記憶と一般常識以外を消したわけだから、もしかしたらそれでうっかり残っちゃったのかも。

なら、早急に書き換えよう。

もう天使は嫌な事が考えられなくなったから使いにくくなったけど、彼のためなら無理矢理にでも引き出そう。

「【贋造魔女】……!」

 

私は、もう何年ぶりになるかも分からない杖の感触を確かめると、彼の記憶に侵入し、書き換えを始める。

やることは本来なら難しくない。ただ……初デートの時の場所が別の場所だったということにするというのは、そんな記憶なんてなかった、として作り替えるのに比べて大変だ。

運が悪いと彼の記憶が欠けてしまうかもしれない。あぁ、狂ってしまうかも。

でも狂ったなら狂ったで構わない。そうすればもっと私に依存してくれるはずだ。

記憶が欠けたとしても、その程度なら私がその記憶を埋めてあげればいい。

代わりになるのは得意だったもの……昔から。

 

 

 

 

 

ーside  ー

 

俺が目を覚ました時、街はすっかり暗くなっていて、どうにも自分の時間感覚が狂ってしまいそうな予感がする。

しかし、俺はなんで寝ていたんだ?

昔のこと思い出そうとして、それで……なんだったっけか。




しばらくはこんな感じでちょっと投稿速度が鈍亀になりますがよろですわー。
次回?特に決めてねーぜ。しかしなんかやってない原作でやってみるのも楽しそうだな……ゲームとか捏造設定し放題だし。


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矛盾とループのその先に(デアラ折紙)

3ヶ月ぶりに投稿。ちょっと低評価の嵐でスランプ入ってた。
しかしちょいとこの度リハビリがてら書いてみますた。

え?クオリティ?んなもん悪いに決まってんでしょ!


主人公、五河士道の器に転生した俺はある力を持っている。

有り体に言うとループ能力。またの名を【矛盾】。

時間を巻き戻しているはずなのに、そこに自分はいない。しかしスタート位置が前回死んだ場所になるので、過去の自分に憑依しているわけではない。

だが死んだはずの肉体は無事。

つまり、矛盾だらけの能力って訳さ。

 

だがそんな能力だからこそ出来る奇跡もある。

何度でも失敗できるのだ。

普通の人間では恐れて出来ないような、元々の五河士道が行った行動をなぞることも、失敗を恐れずチャレンジできる。

失敗したところでまた始まり直すだけだし、死んだら時間軸を無視してその場所で復活する。

多少のダメージは再生能力で耐えられるから、その間に移動して目的へ近付くことも不可能じゃない。

 

だから、ここで失敗するはずは無かったんだ。

原作11巻、過去へ戻り歴史を改変するシーン……そこで、原作通り折紙の両親を救うことは、出来る筈なんだ。

でも出来ない。

6500回を越えるループをしてなお、二人は助からない。

何回やっても何回やっても、二人は光に貫かれて死ぬ。

そのたびにやり直すけど、結果は変わらない。

原作より余裕を持って近付き、避難できるようにする方法さえとれば良いのだろうが、そんなことをして原作を変えるわけにはいかない。

俺はあくまで、原作通りの【五河士道】でなければならないのだ。

それが俺という人間の責任であり、義務でもある。

だから、何度死んでも何度やり直しても原作通りの方法を試みる。

無駄のない動きで、いつもより機敏な動きで、とにかく成功するまでくりかえす。

 

たとえその仮定でいくつの矛盾が生じようと、気にせず繰り返し、何度でも何度でも挑戦する。

俺は絶対に五河士道でなければならないのだ。

この心が壊れようと、無理だと理解しても同じことをする。

それだけのことだ。

死んでも死んでも、生き返って折紙の両親を救うべく光線に突っ込む。

しかし毎回間に合わずに死んでしまう。

おかしい。やっていることは原作と何一つ変わらないのに。

何故だ。分からない。俺には理解できない。

同じ行動をして、何故同じ結果が出ない?

俺は、今回もまた、やり直す。

そして今度も、二度目の十二の弾で過去に遡ったところから始める。

運命に逆らっているのではない。運命通りに生きようとしているのだ。

その何が悪いと言うのだ。俺の生き方は確かに他人のそれをなぞっているだけの、中身が無いものかもしれない。本物の五河士道のように心が込もっていないかもしれない。

だがやっていることも、言葉も同じなのだ。

やっている人間だって変わらない。なのに何故、原作通りに進まない。

 

俺は、何度繰り返そうとも一向に変わらない運命に苛立ちを募らせていた。

これはもう、原作とは違う行動を取るしかないのでは?という思考が、時々頭をよぎる。

確かにそれも1つの手だろう。

いや、最善手かもしれない。いくら原作をなぞっても失敗するこの現状は、原作から違う道を歩む事でしか解決できないのかもしれない。

だが、それではダメなのだ。

俺は、俺でなく五河士道でなければならない。

それが現在俺を俺たらしめているものであり、無くなったとしたら俺は俺で無くなってしまう、それほどのものだった。

故に、とうとうループが67500回を越えた今回であっても、俺は地面に当たる直前のレーザーに突っ込むのだ。

右足で踏み込み、最大の力を込め、前へと力強く進む。

それが二人を【五河士道】が救える唯一の方法だ。

……しかし、世界はとうとう俺に牙を向いた。

原作通りの行動を取ろうとした俺の足に何かが引っ掛かり、うっかり転んでしまう。

しまった……このままでは原作が変わってしまう!

俺は、急いで自殺しようと塵殺公を呼び出そうとする。

「……ダメ」

 

しかし、横から伸びた小さな手によってそれは防がれる。

雪のように白い肌は、確固たる決意を持って俺の行動を止める。

「あなたが死ぬくらいなら、お父さんとお母さんなんて、いらない」

 

その手の持ち主から発せられた言葉も、俺の動きを止める。

原作の折紙はこんなことを言っただろうか。いや、この時代はまだ折紙は五河士道に会ったことすらないはず。

ではなぜ?

「士道……未来で、待っていて?私は……すぐに会いに行く」

 

俺が言葉の主の方を見ると、その主……折紙は、実の親が死んだと言うのに満面の笑顔でこう言った。

「あなたは、私が守るから。誰にも、傷付けさせないから」

 

少女の言葉は、弱い10の娘が吐き出す言葉にしてはドロドロとし過ぎていた……しかし、それと同時に私は感じてしまった。

これは、何よりも純粋な感情なのだ。と。

 

時間が巻き戻る。

俺の意識が失われ、十二の弾を使った時間へ送られる。

望んだ形では、決して無かった。

だが、これで賽は投げられたのだ。

どう転ぶかは、分からない。

これこそ、神のみぞ知る、ということであろう。

……五年後の世界で、俺はどうなっているのだろうか。




余談ですが作者はパズドラのヒロインガチャ、ナヴィと火エスカマリのようなもの、名前が複雑で覚えられないが覚醒で水の列消し5つ持ってるやつが出ました。

イルミナたんを出せ、イルミナたんを。強くなくていいから可愛い娘が欲しいんだよ。

それとヴィシュヌさん究極おめ。我がパーティの火力要員(四個消し3つ)がとうとうリーダーへ。
あと書いてない間にツバキとかロノウェ、シトリーなど色々出ました。
ダンジョンも進み、ノマダンのゼローグ、双子龍、マシン系降臨などたくさん開放されて……
あ、つまり何を言いたいかと言えば、いずれやるぜよパズドラ話。という事になるんですね。えぇ。

正直ほぼオリジナルでやれるパズドラはありがたい限りですわ。
そんじゃまぁ今回はここら辺で。次回投稿は未定。


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殺殺殺。(フェアリーフェンサーエフ、エフォール)

この原作は結構珍しいやつですぜ。
でも正直エフォールちゃんが可愛いがほぼメインだと思ってるんだよね。
ちなみに今回は続くタイプ。二、三話でまとめてみますぜ。

つー訳で殺殺殺!(意訳:本編へゴー!)


「殺」

 

「私と組め、とエフォールは申しております」

 

彼女との出会いは突然で、一方的なものだった。

別にどこかに属する訳でも、誰かと交わるわけでもなく、ただちょっとだけフェンサーの中でも強いからと酒場で依頼を受けてはこなし、危険もなければ変化もない、そんな日々を過ごしていた俺にとって、その言葉は爆弾のようなものであった。

 

……まぁ、喉元に刃を突きつけられた状態だったので俺は有無を言う暇すら与えられず、強制的に組んだのだが。

「……殺殺」

 

「仲間になるなんて思わなかった。とエフォールは申しております」

 

しかしそのしばらくあと、別に断っても何も無かったことが判明するのはちょっとした事件だ。割愛するがそれはもう、酷く落ち込んだものだよ。

何せそれが判明するまでに、何度か死にかけたし、その上他のフェンサーとぶつかって俺が死にかけた。

しかし逃げても殺されるんじゃなぁ、とか思っていて逃げられなかった。

だがそれは俺の幻想だったのだ。

実は逃げられた。むしろもう逃げてると思ってたと言われ、そこで珍しいと言うか一生に一度見れるか見れないか、と言えるほど滅多に見れないであろう彼女の笑みを見てしまったのが運の尽き。

……逃げられなくなった。

無愛想で、無口で、誤解されやすくて、そんな彼女を放っておけなくなって、気付けば1年。

 

色々あって、しかし俺とエフォールはまだコンビを組んでいた。

特に仲が進展したでも、別れた訳でもなくただ二人で戦う日々。

それでも俺は満足していられたよ。

1年も一緒に居る内に僅かな表情が読めるようになったし、意思疎通もそこまで通訳に頼らず出来るようになった。

……通訳をしている本人は何やら悶々としているようだが。

「殺、殺殺殺?(訳:今日、何か予定ある?)」

 

……どしたね、藪から棒に。

いつもは何かあっても話しかけて来ないくらいがデフォルトだと言うのに……ハッ。

まさかこれはエフォールに好きな人が出来たとかか!?

だとすれば俺は相棒としてお前の恋を全力で応援するぜ!

 

つまりはあれだろう。

自分には微妙にセンスが足りてないから服を選んでほしいとかその辺。

安心するが良いさ、なんたってファッションについては俺たちの中で一番詳しいであろう奴の協力さえあればどうにかなるはず……痛い。

何をするんだエフォール。

「……殺」

 

なんだろう、この『殺』には本当にくたばれ的な意味が隠されてる気がする。

マジもんの死ねは初めてですぞ。そこそこ傷付いちゃったぜ俺さんは。

「……くたばれこの(検閲により削除)野郎。とエフォールは申しております」

 

あ、ありがとうね果林ちゃん。でもその答えは知りたくなかった。相棒にそう思われたらいくら俺でも辛いものがある。

特に相手がそれなりに美少女だと、ね。

というか普通に凹むぞ俺は。1年も連れ添ってきたパートナーに死ねと言われるのはかなり苦痛なんだからな!

1年って意外と長いんだからなー?

その間に距離を縮めたと思ったのに突然の死ねは流石に……orz。

 

ってエフォール、ちょっ、なんでお前がorzして……死んでる!?

orzの体勢のまま体が冷たくなって……あぁそうだこんなときは……どうすれば良いんだコンチクショウ!

「殺……殺……(意訳:一緒に居れて……良かっ……た……)」

死ぬなぁぁぁぁぁ!!!(※死んでません)

 

 

 

「いい?マスター、女の子はデリケートなんだよ?もっとていちょーに……」

 

丁重、の意味分かってるか?

いや使ったタイミング的に分かってるんだろうけどさ、シルフィスよ。

とりあえず説教はもうやめてくれませんかね。俺が悪いってのは充分理解しましたから。

「マスター?エフォールちゃんはあんまりこういうのに慣れてないんだから、虐めちゃダメだよ?」

 

わーってますよ。俺は影ながらエフォールを応援するぜ。

大丈夫、エフォールのポテンシャルがあれば落とせない男はいない!

色気の少ない暗殺者風のフードでもかなり魅力的なんだから、服装に気を使えばもっと良くなる筈なのさ!

 

と、言うわけで頼んだぜ。シルフィス。全てはお前のセンスに掛かっている。

「……なんだろう、この違和感。物凄く認識にズレがあるような、重大な見逃しがあるような感じ」

 

気のせいじゃないか?

まぁ、とにかくよろしく頼むぞ。シルフィス。

全ては本当の本当の本当にお前のセンスに掛かっているんだからな。

俺にセンスは無いし、果林については何故かメイド服ばっか数十着だし……俺たちの中でマトモに服を選べるのはお前だけなんだ。

 

ちなみに参考までに言っておくが、俺が服を選ぶと完全に俺自身のズレた好みでしか選ばないからあんまり良くないと思うぞ。

俺のセンスに共感できるような稀少な奴が居るなんて思えないし……な。

「例えばどんなやつ選ぶんだい?」

 

そうだな、髪を降ろしてメイド服+ネコミミとか、裸ワイシャツとかジーンズ+Tシャツとかだな。

あとあえてシンプルに黄色のワンピースと帽子とかでも可愛いかもしれない。

ただ個人的にはネコミミメイド服をおすすめ……へぶしっ。

何故殴ったシルフィス。

「終盤2つ以外ただの性癖だよね?アホなの死ぬの?」

 

……ひでぇ。あくまで聞かれたから答えただけなのに。

一切の嘘偽りなくそれが可愛いと思うのだよ。俺はね。

エフォールのスレンダーな体を活かすのなら、ガーターベルトも忘れるなよ。

あ、ボーダーのニーハイって手もあるな。ミニスカニーハイは個人的にロマンが……痛いっ!?

鳩尾やめて!?

「ホント、参考にならなかったよ?」

 

……しかも話聞いてねぇ。

なんだ、反抗期かよ。チクショウ。

 

だがそれでも鳩尾はやめてもらいたかったな……人外による鳩尾は流石に……効いた……

俺は気を失った。

 

 

 

……ここはどこだ?

目が覚めたときに場所が変わってると混乱するよな。俺だ。

なんか気付いたらベッドに放り込まれてた。

誰がやったんだかは知らんが、まぁ誰であれ感謝だ。固い床の上で寝たら今頃首の辺りが痛くなってるだろうからな……

俺が自分の首をさすっていると、不意に布団から伸びている何者かの手を見付ける。

綺麗な手だ。一体誰のものだろうか?

「殺殺……」

 

……あ、なるほどエフォールだな。

殺殺言っててエフォールじゃない奴を俺は見たことないし、とりあえずこの声だけでエフォールと判断できるぞ。

 

だが、寝てると流石になに言ってるか分からないんだよな。ほぼ寝言だから意思から察することが出来ないというかなんというか。

「殺殺殺殺……殺殺殺殺殺殺殺……好き……」

 

いや待てなにげに今初めてエフォールが『殺』以外の言葉を喋った!?

というか、好きってなんだよ好きって……一体誰に言ってるんだよ……気になるだろ……訳が分からん。

 

俺はその後数分の熟考ののち、理解を諦めたのであった。

 







今回はキャラの説明付けてみました。
あんま分からんでしょうし、とりあえずざっくりと。

エフォール
虎の穴的な育成機関で育てられ、ゴタゴタの際に脱出。
ただしそんな機関で育ったためコミュ力が死ぬほど低く、『殺』だけで会話している。
機関を脱出してしばらくの間はパートナーであり武器でもある妖聖(フューリーという武器の中に存在している)の果林と共にあっちへこっちへ色々やってた。
食いぶちは依頼とかをこなして稼いでいる。
この話においてはある日二人以上限定(ただし妖聖は含まない)の依頼を受けるために主人公と一時的にパーティを組んだ結果、謎の甲斐性を発揮してしまった主人公を優良物件と考えた果林のごり押しにより1年以上ずっとパーティを組んでいる。

果林
エフォールのパートナー兼、エフォールが殺殺殺と言ったときに通訳してくれる人。
狐耳。
エフォールのお母さんというか保護者で、あまりに普通の同年代に馴染めないエフォールを心配していた。
この話においては偶然パーティを組んだ時に出会った主人公が謎の甲斐性を発揮したため、これは(エフォールを普通の少女っぽくするためには)優良物件だと思い、色々ごり押しして現在までパーティを続けさせている。
ちなみにこう見えて肝心なところで常識を知らなかったりする……が、それも全部機関のせい。

シルフィス
妖聖。そこそこ強い。
原作においては最初に手に入れる妖聖だが、この話においては主人公が手に入れた模様。
パーティ内女子で唯一、女子力が高い。



なお主人公の設定は全部テキトー。しかしいわゆる主人公体質の、ちょっと弱い版だと思っていただければ大体いいです。


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