俺の雁夜おじさんは最強なんだ! (鳥の唐揚げ)
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1話

これから不定期に投稿していきます。
かなり適当なんですが、よろしくお願いいたします。


遠坂と並び、冬木における名家の一つとして数えられる間桐家には、裏の顔がある。そう、魔術師の家系であるということだ。それに加え、間桐に伝わる魔術は、正確にはマキリ・ゾォルケンの代からではあるが、蟲を使った醜悪なモノである。

そんな間桐は、魔術師の世界では遠坂およびアインツベルンとともに聖杯戦争を行う、御三家の一つにも数えられいる。しかし、間桐家の魔術師としての血は衰退の一途を辿っており、後継者の魔術回路数は少なくなっていくばかりであった。

 

そんな間桐家に生まれた間桐雁夜は、魔術回路の本数は中の下程度のであったものの、兄であり、長男でもある鶴夜が魔術回路すら持たなかったため、蔵硯により後継者と定められていた。それがゆえに、小学生にもならない幼い頃から、蟲蔵での過酷な調教を受けさせられていた。

 

某日、蟲蔵

 

イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

 

自身の身体を異形の蟲に貪られる苦痛に顔を歪めながら、間桐雁夜は考えていた。

 

どうして自分はこんな目に遭わなければならないのか?なぜ自分はこんな気持ちの悪い蟲達に蹂躙されなければならないのか?

 

雁夜はそれらの問いに対する答えを幼いながらもしっかりと認識していた

—間桐家の絶対的な支配者である蔵硯には誰も逆らうことができないからだ。

 

間桐家の"表向きの"先代当主であった父も、その妻であった自身の母も、間桐家の他の人物も、全員例外なく、最期は蟲蔵で蟲達に喰われて死んだ。

換言すれば、全員、蔵硯によって喰われたのである。

 

自分も将来はそうなるのだろうか?

いや、絶対にそうはならない。

雁夜は幼いながらにも決心していた。

 

間桐家の呪縛から逃れることを決意する一方で雁夜は、自身が抱いている感情—いや、脅迫観念とした方が正しいか—にも薄々と気が付き始めていた。

 

—誰にも触れられたくない。

そう、ある日、気が付いた時から気色の悪い蟲達に嬲られていた雁夜は、自身の身体を他者に触れられることを恐れ始めていた。それも無理はない、雁夜にとって身体に触れられることは貪られることを意味したのであるから。

 

そんな渇望を抱きながら、雁夜は毎日のように行われる調教に耐えるのであった。

 

 

それから数年後

雁夜は間桐家を出奔し、フリーランスのジャーナリストとして生計を立てていた。

出奔するときには蔵硯に殺されるのではないかと心配したが、戸籍上の父は

「その面、二度と見せるではない」

と言っただけであった。

 

当然のことながら、雁夜も蔵硯などには二度と会いたくない。ゆえに、そんな言葉を聞いても雁夜は逃げ出すことができる嬉しさ以外の感情を感じなかった。

 

そして、雁夜は晴れて間桐家およびその絶対的支配者たる蔵硯から自由の身となったのである。

もう二度と蟲蔵で嬲られることもない。もう二度と、肉親が眼の前で蟲に喰われているところを見させられることはない。雁夜は完全に間桐家で経験した全ての物事から自由になったのである。

 

—たった一つを除いては。

そう、間桐雁夜は未だに他者との接触への恐怖を克服することができていなかった。いや、雁夜のその脅迫観念は幼きころのそれよりも更に強くなったと言って良いだろう。

自身のその脅迫観念に対し、雁夜も何もしなかったワケではない。事実、雁夜は精神科に通院してその症状と向き合おうとした。

しかし、結局、雁夜のその脅迫観念が消えることはなかった。

 

そんな脅迫観念を抱えていた雁夜も、間桐家から出奔し、人間的な生活をする内にバイクという趣味が出来た。フリーランスのジャーナリストとして稼いだ給料で買った、愛車であるZundappKSの軍用バイクに乗って風を感じているときには、自身の自由さを感じられたからである。

 

以上のように雁夜も人間らしい生活をおくっていたのである。ある男に出会った、あの日までは。

 




第1話です。

書いてから思ったんですが、シュライバーの能力ってfate/zeroだと強過ぎる感ありますよね汗


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第2話

その日、雁夜は普段通り、フリーランスのジャーナリストとして記事を書くための取材をするべく、アフリカのとある紛争地域に来ていた。

 

取材地に向かう道中、雁夜は自身の過去を振り返る。

中卒程度の学歴で、かつ身元保証人となってくれる親族もいない自分が生計を立てていけるだけの金を稼ぐためには、ある程度のリスクを負う必要がある。

そんな理由から、始めた戦場ジャーナリストとしての仕事にも、やり始めて数年経った今では慣れたし、もはや好きになったと言っても良いだろう。

 

もちろん、仕事中に危険な目に遭わなかったワケではない。むしろ、数え切れないほどの修羅場を潜り抜けてきたと言って良いだろう。

そんな修羅場を雁夜が潜り抜けてこれたのは、自身の愛車であるZundappKSの軍用バイクと、戦場ジャーナリストとしての仕事を始めて、最初の現場に向かう前日にある男から譲り受けたルガーP08のアーティラリーモデルとモーゼルC96の二丁拳銃によるところが大きいだろう。また、最初はデザインかと思いあまり気にしていなかったが、二丁拳銃に狼のルーンが刻まれているということを知って以来、それも自身の生存に役立っていると個人的には思っている。

 

また、戦場ジャーナリストとしての仕事をする上で致し方ないことではあるが、殺しも経験した。やはり紛争地域のテロリスト集団にとってみれば外国人人質は喉から手が出るほど欲しいのであり、雁夜も幾度となくターゲットとされた。よりタチが悪いのは、敵と誤認して発砲してくる輩であった。そんな輩達から自身の身を守るためには、殺しをせざるを得なかった。もはや何人殺したか数えていない。並みの兵士の何倍もの人数を手にかけただろう。

今となっては、雁夜は殺しを手段として用いるようにすらなった。そう、他のジャーナリストが手に入れることのできない情報を手に入れるためには、多少、手を汚すことも必要なのだ。

そんな事情から殺しを重ねていくうちに、それに対する抵抗心も薄れていった。現に、今となっては殺しに対する抵抗心は皆無と言って良いだろう。

 

いつの間にやらそんな冷徹な人間に自分がなってしまったということを感じながら、雁夜は考える。「あの男」は何者であったのかと。

 

無論、「あの男」とは雁夜に狼のルーンが刻印されたルガーP08のアーティラリーモデルとモーゼルC96の二丁拳銃を譲渡した男のことである。確かに二丁拳銃は役に立っているが、狼のルーンが刻印されている時点で通常のものでないことは明白極まりない。しかも、そもそも今の戦場ジャーナリストとしての仕事を始めたのもあの男の紹介によるものである。

さらに気になるのは彼が別れ際に言っていた

「いずれわかるだろう。」

という言葉の意味である。

雁夜には未だに何がわかるのかすらわからないし、なぜあの男がわかるのかもわからない。

 

 

雁夜が目的地へあと少しで到着するという所まで来た所で、突然、背後から銃声が聞こえた。

 

…おかしいな、ここらで戦闘?

そう思うのも無理はない、雁夜が現在いるのは反政府ゲリラの拠点からさほど遠くない場所なのだから。

 

雁夜の予想は正しかった。

が、それは同時に雁夜にとっては好ましくない状況を意味した。

 

…クソッ、嵌められたか。

そう、先ほどの銃弾は明らかに自分の方に向かって来ているである。それに加え、何発もの銃弾が続いて発砲されている。

 

嵌められたことは実に不快ではあるものの、戦場ジャーナリストの仕事には付き物と言ってよい。ゆえに雁夜はそれ自体については深く考えず、ガンホールダーからルガーP08のアーティラリーモデルとモーゼルC96の二丁拳銃を取り出し、銃弾が向かってきた方向に向かい発砲する。

 

 

二丁の拳銃から発砲された銃弾は、敵がいると思われる地点に向かい真っ直ぐに飛んで行く。その数秒後、それほど離れていない場所から悲鳴が聞こえ、こちらに飛んでくる銃弾も少なくなったので、恐らくは敵の内の何人かに当たったのであろう。その結果は雁夜に幾分かの安堵をもたらした。

しかし、まだ安全というわけではない。現に敵からの銃撃は未だに続いているし、後ろから追って来ている敵もいる。ゆえに雁夜は、銃撃を止めない。敵を抹殺するまで、攻撃の手を緩めるわけにはいかないのだ。

 

そのまま雁夜が攻撃を続けつつも、逃走ルートを探すべく前方にバイクを走らせていくと、前方に反政府ゲリラの拠点とみられる都市が見えてきた。

 

…クソッ、よりによってこのタイミングで

そう、全方に見える都市に突入すれば、自分が逃げ切るのほぼ100パーセント不可能。しかし敵に追われており、前に進む以外、雁夜には道がない。

 

もう諦めるしかないのか…

雁夜がそう思ったときのことだった、愛車であるZundappKSの軍用バイクが普段とは全く異なる乗り心地になったのは

 




第2話です

更新遅くて大変申し訳ございません。
最近、結構忙しくなってしまったもんで…

今回も読んでくださり、ありがとうございました。


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