IS in宇宙警察機構 (北方守護)
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オリキャラ設定

タイトル通りです。



広瀬 武昭(ひろせ たけあき)

 

年齢 12歳 (転生前 21歳)

 

髪 肩までの短髪で根元から黒色で途中から薄紫になっている。

(神様が命を落とす前の姿にした。)

 

顔 少し釣り目がちで10人中5,6人がイケメンと思うほど。瞳は少し黒が入った赤。

 

身長 165cm 体重 54kg 見た目は細く感じるが俗に言う細マッチョ体型。

 

趣味 剣道初段(父親から教わった) 。合気道初段(母親から教わる)。

 

特技 家事全般 (一人暮らしをしていた為) サバイバル(職場の先輩に習う)

 

知識は上下があり理数系や工学系はかなり良く語学系は普通。

 

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オリキャラの使用IS

 

グリッターアキ

 

オリキャラがダグテクターで変身した姿。

 

メインカラー・メタリックグリーンで隼をモチーフにしている。

 

グリッターナックル・光を纏ったパンチ。

 

シャインクロウ・脚部についた爪でのカカト落とし。

 

ショルダーバルカン・両肩から発射する弾丸。

 

フェザーセイバー・背中の翼が変化した剣状の武器。

 

必殺技 グリッターファルコンアタック。

 

鳥型のグリッターファルコンに変化して光り輝きながら突撃する攻撃。

 

待機状態 ダグコマンダー。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

オリキャラのダグビークル

 

グリッタースロットル・ISと同じカラーリングのサイドカー付きのバイク。

 

ダググリッター・グリッタースロットルと融合合体した姿。

 

ダググリッターの武装

 

シューティングバーン・胸部のマークからの光線。

 

フラッシュブレイク・光を纏ったパンチ。

 

ライディングブラスト・大腿部に収納された光線銃。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

グリッターダグオン

 

ダググリッターが頭部と胸部、グリッターシャトルが本体となって〔輝光合体〕した姿。

 

グリッターブレード・背部に収納された剣状の武器。

形状は西洋の両刃剣で刀身に光の輝きが浮かんでいる。

 

グリッターシールド・スロットルのタイヤが盾状に変化した武装。

 

グリッターバーン・胸部からの光線攻撃。

 

シャイニングマグナム・シャトルの両翼が変化した銃。

 

グリッターバーニアミサイル・シャトルの噴射口からのミサイル攻撃。

 

グリッターバインド・胸部からの拘束光線。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

ダグキャリー

 

神様がオリキャラの為に用意したダグビークル。

 

空母形のダグビークルでグリッターシャトルの収納が可能。

内部には普通の空母の様に食堂や部屋があり、トレーニングルームなどもある。

 

ダグビークルの修復や乗員の治療なども出来る。

 

ダグコマンダーがあれば転送する事が出来る。

 

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転生直後……………

 

「うーん……ここは?おっと手紙だ……誰からだ?神様か……」

青年が気がつくと何らかの乗り物の中にいてそばには手紙が落ちていて

中身を見ると神様からだったので読んだ………

 

その結果、今、いる場所は空母の中の一室で他のビークルも格納庫に収納されている

と書いてあった。

 

「なるほど……じゃあ見てくるか………ん!?」

青年が格納庫に向かおうとした時に鏡の前を通った時、ある事に気付いた。

 

それは…………………

 

「な、な、なんで少し若返ってるんだぁ!?」

自分の体が死ぬ前よりも若返っていた。

 

「一体どういう事だ!?あっ、もう一枚あったのか…………

ふ、ふ、ふざけんなぁー!!」

青年が読んだもう一枚の手紙には神様が若返させたと書いてあった。

 

青年は怒りから、その手紙をクシャクシャにしてゴミ箱に投げ入れた。

 

「ハァハァハァ……まぁ、こうなったからには、これで過ごすしかないか………」

青年は何処か諦めた様な表情で空母内を見て回った。

 

 




とりあえずは、ここまでにします。

ちなみにオリキャラの両親はわかる人には分かります。

それでは


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特別編
クリスマス特別編


今回の話は今回だけの設定があります。


IS学園の近くの海上……

 

「おーい、一夏 チキンは焼けたぞー」

 

「ちょうど良かった こっちもケーキが出来た所だ」

 

「なぁ武昭、飲み物とかはどこだっけ?」

 

「ん?飲み物なら、A-12かA-13だぞ」

 

「あぁ、そうだったな」

ダグキャリー内の大部屋の一つでクリスマスパーティーの準備をしていた。

 

男性陣 武昭 一夏 弾は料理を作り……

 

「箒、この飾りって まだあったっけ?」

 

「ん、それなら向こうの段ボールに入っているぞ」

 

「鈴さん、少し右側がズレてますわ」

 

「えーっと、右側だから、こうね」

 

「うむ、それでまっすぐだ」

 

「かんちゃ〜ん、これってどこに持っていくんだっけ〜」

 

「それはお姉ちゃん達の所………」

 

「これで良しっと どうかしら? 虚ちゃん」

 

「はい 大丈夫です お嬢様」

女性陣 シャルロット 箒 セシリア 鈴 ラウラ 本音 簪 楯無 虚は会場の飾り付けをしていた。

 

「おっ、ちょうどタイミングが良かったな こっちも料理が出来上がった所だ」

 

「全く……私達の知る男達って、どうして料理が上手いのかしらね」

 

「鈴の言う通りだな、一夏は特に上手いと思うぞ」

 

「私からしたら武昭も上手いんじゃないかなぁーって」

 

「まぁ、私達も頑張らなければいけないと言う事だな」

 

「うん……ラウラの言う通り………」

 

「私は簪ちゃんのお菓子が好きだよぉ〜」

 

「虚ちゃんも良いわよね、料理の出来る彼氏さんで」

 

「お、お嬢様!?何を言ってるんですか!!」

 

「おーい、皆ー 料理を運ぶのを手伝ってくれー」

弾が呼ぶと赤い顔をした虚が慌てて料理を取りに行った。

 

 

その後………

 

「よーし、皆 飲み物は持ったか?」

武昭が聞くと皆は軽くコップを掲げた。

 

「じゃあ、クリスマスパーティーの開始だー! 乾杯!!」

 

『乾杯!!』

そう宣言すると皆はパーティーを始めた。

 

「うん、この料理は美味しいな」

 

「そうか、これはセレナさんから教えてもらったレシピに少し手を加えててな」

 

「そっか、それで何か懐かしい味がしたんだ」

 

「武昭、こっちも美味しいよ………」

 

「次は何にしようかなぁ〜」

 

「本音ちゃん、その料理を取ってくれる?」

武昭の周りに、箒、シャルロット、簪、本音、楯無が……

 

「一夏さん、この料理はどうやって作ったんですの?」

 

「ちょっと、セシリアが聞いても意味が無いでしょ」

 

「うむ、それに関しては鈴に同意する」

 

「おいおい、2人共………」

一夏の周りにセシリア、鈴、ラウラが………

 

「虚さん……これ、俺が作った奴なんですけど……」

 

「えぇ……とても美味しいですよ……」

弾のそばに虚が……とそれぞれの想い人の傍にいたが最後の場所だけは何所か甘い雰囲気がしていた。

 

それから時間が過ぎていって……

 

「じゃあ、プレゼント抽選会を始めるぞー!」

武昭の横にはクジ引き箱と番号がふられた幾つかのプレゼントがテーブルに置いてあった。

 

「箱の中には番号が書いてある紙が入っているから

番号を確認したら同じ番号のプレゼントを持って行ってくれ」

 

「じゃあ、ジャンケンで最初に勝った俺から行くぞ……俺は9番か」

一夏が引いたのを皮切りに皆が引いていき最後に箱の中に合った一枚を武昭が引いた。

 

「俺はラッキー7の7か……これだな じゃあ一斉に開けるぞー」

武昭が合図をすると全員がプレゼントを確認した。

(名前は貰った人 品物と名前は送った人です。)

 

一夏←紅茶の茶葉の詰め合わせ。(セシリア)

 

「それは、わたくしが懇意にしている店の茶葉ですわ」

 

「あぁ、ありがたく飲ませてもらうよ」

 

箒←特撮ヒーローDVDBOX(簪)

 

「これは……私が生まれる前の作品の物か………」

 

「うん……たまたま懸賞で当たったんだけど、私はBlu-rayBOXの方を持ってたから……」

 

鈴←お菓子バイキングの割引券(本音)

 

「それは、私がよく行く店の券なんだぁ〜」

 

「そうなんだ、じゃあ今度一緒に行きましょ 一枚で何人か行けるみたいだし」

 

セシリア←防弾チョッキ(ラウラ)

 

「これは、ちょっと……」

 

「うむ、それは私がドイツで使っていた物だ」

 

シャル←純和風絵柄の扇子(楯無)

 

「あら、ちょうど良かったかもしれないわね」

 

「はい、凄く日本文化に興味があったんです」

 

簪←オルゴール(虚)

 

「まさか、簪様に行くとは思いませんでした」

 

「ありがとう、虚さん」

 

楯無←調味料セット(一夏)

 

「それは、俺が料理する時に使ってるのと同じ奴なんです」

 

「そうなのね、ありがとう」

 

虚←遊園地ペアチケット(武昭)

 

「それは、新聞屋から貰った奴なんですけど期日がそろそろだったんで

弾とでも行ってください」

 

「は、はい……お言葉に甘えさせていただきます……」

 

弾←木刀とウェイト(箒)

 

「うむ、私が選んだ奴だな、それは」

 

「まぁ、体を鍛えるには良いかもな」

 

本音←セクシーな下着(シャル)

 

「うわぁ〜 こんなの恥ずかしいよぉ〜」

 

「ハハハ、まさか本音に当たるとは………」

 

ラウラ←ヌンチャク(鈴)

 

「おぉっ!これは中国の武器ではないか」

 

「冗談で選んだんだけど、収まるところに収まったって感じね」

 

武昭←五反田食堂の割引券(弾)

 

「なぁ、これには有効期限てあるのか?」

 

「いや、特には無いからいつでも使って構わないぞ」

 

皆は、それぞれ貰ったプレゼントを見ていた。

 

その後……

 

「フゥ……まさか、こっちの世界でこんな事が出来るなんてな………」

武昭はダグキャリーの甲板で座って飲み物を飲みながら星空を見ていた。

 

「武昭、部屋にいないと思ったらここに居たんだ」

 

「ん?シャルに箒、簪に刀奈さんか」

声がした方を見るとグラスを持った女性陣が立っていた。

 

「何を考えてたの?」

 

「あぁ、一度死んだ俺がここにいるのが変な感じがしてな……」

 

「武昭君は、そうだったわね」

女性陣は武昭を囲うように座った。

 

「俺がここに来た目的はISを本来の使用法にする為だったんだ……

今はまだ少しずつだけど、このまま行けば目的も果たせるな……」

 

「姉さんも武昭に感謝していたぞ……

武昭がいなかったら、こうなる事も無かっただろうとな……

私からも、ありがとうな武昭……」

 

「僕も武昭に出会えたからお父さん達とも仲良くする事が出来たんだ……

それに……大切な人にも会えたし……

 

「あらあらシャルちゃんだけ、そんな事を言うなんてズルいんじゃないのー?

まぁ、お姉さんも気持ちは同じなんだけどね……」

 

「私だって……武昭の事が……」

 

「ぶぅ〜私だってあきっちの事が好きだよぉ〜」

 

「なぜお前達はそんな事を言えるんだ!?私も…同じ思いだが……

 

「そうか皆ありがとうな、こんな俺にそんな思いを持っててくれて……

皆が告げたのなら俺も言わないとな……

 

俺は皆の事が…………」

武昭が何を言ったのかは夜空の月だけが聞いていた。

 

そんなクリスマスの夜……



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原作前
第1話 転生


私達が住む世界とは違う世界にある地球…………

そこは何度も宇宙から来た異星人に狙われた…………

だが、地球を守る為に戦った者達が居た………

皆は、その者達をこう呼んだ………

ダグオンと……………


そこは真っ暗闇であり、一筋の光も無かった………

 

だが、そんな空間に一人の男性が居た。

 

「ん………ここは何処だ?………それに俺は確か“あの時”に死んだ筈だ……」

 

(確かに、あの時にお前は命を落としたのじゃ………)

 

男性が状況を把握しようとした時に何処からとも無く声がしたが周りを見ても

自分以外は誰も居なかった。

 

「今のは……幻聴か?……嫌、今の声の主は確かに命を落としたと言っていた

ならば、ここは死後の世界だって言うのか?」

 

(それは正しくも有り間違いでも有る)

 

「おいっ!いい加減姿を表せ!!」

 

(それは叶わぬ事だ、何故ならば私には自身の姿が無いからじゃ)

 

「はぁっ?自身の姿が無いって……じゃあ、あんたは神様だって言うのか?」

 

(ふむ……そう思ってもらっても構わぬ……)

 

「なら、あんたが神様だとして、なんで俺がこんな所に居るんだ?」

 

(それは儂から、お主に頼み事があったからじゃ)

 

「神様が俺に頼み事って……どうして俺なんだ?他の奴でも良いと思うけどな」

 

(それは、お主が命を落とした時間や空間、その他の様々な要因が重なった為に

、ここへ呼び寄せる事が出来たのじゃ)

 

「なるほど、その条件に俺がたまたま当てはまった訳か、それで神様は俺に何を頼みたいんだ?」

 

(それは、お主に違う世界へ行って欲しいからじゃ)

 

「違う世界って……俺が今まで居た世界とは何が違うんだ?」

 

(それほど違いは無いのじゃが、その世界にはお主の世界では無かった物が有るのじゃ)

 

「俺の世界に無かった物?それは、何だ」

 

(それはISと呼ばれるパワードスーツじゃ、それはその世界の科学者が作成した物だが

本来の使用法とは違う使われ方をされており、その作成者が悲しんでおるのじゃ……)

 

「ISの本来の使用法って何だったんだ?」

 

(それは宇宙進出じゃ、だが今のISは世界最強の兵器と呼ばれておる

じゃから儂は、お主にISを本来の使用法として使ってほしいから、ここへ呼び寄せたんじゃ)

 

「けど、そんな事なら神様のあんたがやれば良いんじゃないのか?」

 

(儂らの様な神族は、むやみやたらに人間達へ干渉してはならぬと神族内の決まりが有るのじゃ)

 

「それで、俺に頼むって訳か………あぁ、そんな事なら受けてやるよ!」

 

(すまぬ………では儂の頼み事を受けてくれた謝儀として、お主にコレらを与えよう)

 

男性の周りが急に光り輝いたので眩しさから眼を閉じたが光が収まったのを確認して

目を開くとスペースシャトルとサイドカーのついたバイクに巨大な空母

それに男性の右手首に一つのブレスレットがあり男性は、それに見覚えが合った。

 

「おい神様……コイツは俺の………」

 

(うむ、お主が死ぬ間際まで身に付けていた物じゃ、それにこちらの乗り物なども必要であろう)

 

「ありがとうな神様……けど、この空母は俺も知らないぜ?」

 

(それは儂からのプレゼントと思ってくれ……では、お主を違う世界へ送る)

 

男性の足元に魔方陣が浮かび上がったと同時に光り輝いた。

 

(では、新たな世界においても生きるのじゃ)

 

「あぁ、ありがとうな神様……………」

 

魔方陣の光が収まったと同時に男性の姿と、そこにあったシャトルなどが消えていた。

 

そして…………………

 

再び、その空間は真っ暗闇になった…………

 

まるで最初から何も無かったかの様に…………




はいっ! 新しい作品です。

今回もISを基本とした小説になってます。

次の話ではオリキャラの設定を書きたいと思います。

それでは


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第2話 確認と出会い

今回の話ではオリキャラが原作キャラと会います。

ちなみに決め方は原作キャラに番号をふってサイコロで決めました。

後は原作で死亡したキャラを生存させます。



武昭がダグキャリー内を確認してると多数ある一室の机に新たに神様からの手紙と封筒が置いてあった。

 

「今度は何が書いてあるんだ?えっと…………」

 

武昭が読んだ手紙は下記の様な内容だった。

 

・ダグキャリーとは違う場所に武昭が住む為の家がある。

 

・ダグキャリーとその家の地下室が空間を繋げてあって自由に行き来が可能。

(但し、その地下室からダグキャリーに行く為には武昭が同行するかダグコマンダーが無いと行けない)

 

・家族や親類縁者はいなく、一人暮らしをしている事になっている。

 

・生活する為の生活費等は神様が用意した口座にあり金額としては0が10個ある。

……………等、細々と書いてあった。

 

「おいおい……こんな金額なんて俺が何回か人生を繰り返しても稼げるかって額だぞ……」

 

同封されてた通帳を見た武昭は呆れながら冷や汗を流していた。

 

「まぁ、とりあえずは用意された家に行ってみるか」

 

武昭は手紙に書いてあった家に向かう為その扉を探して移動した。

 

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武昭が用意された家に着くと一戸建ての物件で一人暮らしでは広過ぎる大きさだった。

 

「どうやら神様からしたら、この位は普通なんだろうな………

よしっ、考えるのはやめて軽く周りを見てくるか、ついでに買い物しないとな」

 

家に着いた武昭は地理などを確認する為に家を出た。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

街中を歩いていた武昭はスーパーで食材などを買って帰宅していた。

 

「いやーあの値段で、こんなに買えるなんて良い店を見つけたなぁー」

 

「やめてください!」

 

武昭が歩いていると何処かから女性の声がしたので、そちらに向かうと

数人のチンピラが女性に無理やり迫っていた。

 

「はぁー何処に行ってもああいう奴等はいるんだなぁ……

おいっ!その人が嫌がってるじゃないか!!」

 

「アァーッ?にいちゃん、正義の味方きどりかなぁ?」

 

「別に正義の味方って訳じゃないけど、困ってる人を黙って見てられないだけでね

危ないから、コッチに来てください」

 

「そんな!私に構わないで下さい!!」

 

武昭は女性を背後に引き寄せると荷物を地面に置いた。

 

「大丈夫ですよ、こんなクズ共に負けるほど弱くないんですよ」

 

「クソガキがぁ!舐めた口聞いて……ガハッ!」

 

チンピラの一人が殴りかかって来たが武昭は躱すと鳩尾に肘打ちを入れて気絶させた。

 

「子供だからって軽く見ない方が良いですよっ!!」

 

武昭はチンピラ達に向かった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

武昭がチンピラと喧嘩を始めて暫くして……

 

「すみません買い物の荷物を持たせちゃって」

 

「いえ!私を助けてくれたんですから、これ位は当然ですよ!!」

 

チンピラを始末した武昭は助けた女性と帰っていた。

 

「それにしても、凄い強いんですね。何か運動でもしてるんですか?」

 

「え、えぇ一応幾つかの武術をしてました(嘘はついてないからな)」

 

「そうだったんですか。私の職場の先輩も結構強いんですよ」

 

「そうなんですか、あっココが俺の家です」

 

「ココに住んでるんですか、あっ自己紹介がまだでしたね。

私の名前は山田麻耶と言います」

 

「俺の名前は広瀬武昭って言います。後は一人で大丈夫ですよ」

 

「そうですか、あっ一度ご両親にお礼を言いたいんですけど……」

 

「えっと……両親は数年前に亡くなったから俺は一人暮らししてるんです」

 

「あっ……すみませんでした!変な事を言ってしまって!!」

 

山田は慌てて武昭に謝罪した。

 

「別に良いですよ、山田さんは知らなかったんですし、俺はもう吹っ切ってますから」

 

「本当にごめんなさい…あっ、ちょっとすみません……あっ先輩ですか、はい分かりました」

 

山田の携帯が鳴ったので出ると先輩からだったみたいで軽く雰囲気が変わった。

 

「すみません、職場から連絡が来たので戻らないと行けなくなってしまいまして……」

 

「気にしないで下さい。仕事の方が大切ですから、じゃあ今度会う事が合ったら

又、話でもしましょう」

 

「はい、良いですよ、それじゃ」

 

山田は大通りに出るとタクシーを止めて、その場所から離れた。

 

「さてと何かメシでも作るか。それにしても………

この世界で始めて会ったのが山田さんみたいな優しい人で良かったな……」

 

武昭は山田の事を考えながら家に入った。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

一方……………

 

「すみません、先輩……来るのが遅れて」

 

「いや、気にするな私が急に呼び出したんだからな」

 

山田が呼ばれた場所に着くと黒いスーツにタイトスカートで釣り目の女性がいた。

 

「それで山田くんに頼みたい事は……ん?何か良い事でも合ったのか?」

 

女性は山田の雰囲気がいつもと違う事に気付いた。

 

「えぇ、実は私が絡まれていた所を助けてくれた人が居たんですよ」

 

山田は先輩に呼ばれる前に合った事を話した。

 

だが、二人はまだ気付いていなかった。

 

いずれ、その人物と関わり合いになる事に………………




はい、今回はここまでです。

最初に会ったのは山田先生でした。

まぁ、サイコロで決まっただけですので次は誰が出るかは分かりません。

それでは、次話を待ってて下さい。


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第3話 姉妹と親子

今回もオリキャラが原作キャラと会います。


武昭が山田と出会って数日経ったある日の事………

 

「うーん、たまには、こんな自然を感じるのも良いもんだなぁ……」

 

武昭は自分の街から少し離れた山に来ていた。

 

「こうやって山中を歩いていると父さんの学校を思い出すな、その時の俺はまだ小さかったけど。

そういや母さんと父さんが会ったのって父さんが高校生の時だって話してくれたっけ……ん?」

 

武昭が山中を歩きながら昔の事を思い出していると一台の黒い車が来たので

見つからない様に近くの木陰に身を隠した。

 

(なんで、こんな山中をあんな車で来るんだ?……あっ、誰かを連れて出てきたぞ)

 

様子を見てると黒服の男達が車の中から目隠しと猿轡をした2人の女の子を連れてきた。

 

「コッチの子が当主様の娘の一人か」

 

「あぁ、別働隊が連絡してる筈だ。大切な娘を返して欲しかったら当主の座を降りろってな」

 

(ふーん、よくあるお家争いって奴みたいだな……まぁ見て見ぬふりは出来ないよな)

 

状況を理解した武昭は男達に見つからない様に、その場を離れた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

一方、男達に娘を拐われた家では父親ともう一人の娘が話していた。

 

「お父さん!簪ちゃんの命と当主の座、どっちが大切なの!?」

 

「刀奈の言いたい事は分かる……だが、今のこの時期に私が当主の座を降りると

他の分家筋から後継者を選ぶ事となり、お前が望まぬ者と婚姻を結ぶ事となるだろう……」

 

「そんなの構わないわよ!私がそうする事で「ふざけるな!」父…さん?」

 

「私は当主である前に一人の父親だ……娘の幸せを願って何か悪いのか?」

 

「父さん………けど、このままじゃ………」

 

「お話中、すみません」

 

父親と刀奈が話してると一人の男性が部屋に入って来た。

 

「これはこれは松吉(まつよし)家の玲斗(れいと)殿ではないですか。

本日はどんなご用件で訪れたのですか?」

 

「えぇ、本日ココへ来たのは娘さんの事で来たのですよ」

 

玲斗が、そう言うと刀奈が機嫌悪そうに尋ねた。

 

「なんで貴方がその事を知っているのかしら?」

 

「それは私達も裏の人間だからですよ。それで当主様、わたくしに命じてくれれば

すぐにでも、娘さんを助け出す事が出来ますが?」

 

「それを命じて助け出して来て、何が望みだ?」

 

「私の望みは当主様の娘……刀奈様と婚姻を結びたいのです」

 

「ふざけないで!私が結婚する相手くらい自分で見つけるわよ!!」

 

「ですが、こうしてる間にも娘さんの身に危険が迫っているかもしれませんよ?」

 

玲斗は刀奈の全身を舐め回す様に見回した。

 

「悪いが、直ぐには返事が出来ぬ。だから少しばかり時間をくれ」

 

「えぇ、私は構いませんよ。それでは良い返事が来る事を期待してますよ」

 

玲斗が部屋を出ると刀奈が父親に駆け寄った。

 

「お父さん!あんな奴の言う事に従うって言うの!?」

 

「私だって、あんな悪評の流れてる奴などに頼む事などしたくはない。

だが……簪も私の大切な娘なんだ………」

 

「お父さん………(お願い誰か簪ちゃんを助けて……)」

 

刀奈は妹の無事を願っていた。

 

 

 




今回は更識姉妹が登場しましたが、殆どが楯無さんでした。

今回の話は自分が考えたオリジナル設定があります。

それでは次の話をお待ち下さい。


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第4話 輝く隼(前編)

今回は始めてオリキャラがIS世界で特典の片鱗を見せます。


簪が拐われたのを確認した武昭は男達に見つからない様に洞窟に侵入していた。

 

(久し振りに犯罪者達のアジトに侵入するな………向こうの世界に居た時は何回か合ったけど……)

 

「なぁ 当主様がコッチの要求を受け入れたら、あの子達は返すのか?」

 

「返す事は返すけど……只じゃ返さないみたいだな。後で映像を撮ってそれを使うんだとさ」

 

「へぇ……確かに、あの子達なら良い映像が撮れそうだからな」

 

(チッ、話を聞いてるだけでムカつくぜ………早く見つけないと……)

 

男達の傍から離れた武昭は簪達の捜索を始めた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

一方………………

 

「かんちゃ〜ん、大丈夫〜?」

 

「うん………大丈夫………けど、ゴメンね本音………

こうなったのは多分、私が原因だから……」

 

「うう〜ん、謝るのは私の方だよ〜

本当なら私は助ける立場なのに一緒に捕まっちゃって〜」

 

二人が話してると数人の男達が部屋に入って来た。

 

「アナタ達……目的は何なの?」

 

「まぁ、私達の目的は当主の座でしてね、それには簪様のお姉様が邪魔なんですよ」

 

「そう言うって事は、アナタ達は分家筋の人間なんだね〜」

 

「詳しい事は言えませんけど‘そうだ’と言っておきましょう。

それで私達がココに来たのは、やる事があるからです。 おい、やれ」

 

男が指示を出すと後ろにいた男達が本音に襲い掛かった。

 

「いやっ!止めて!!離してっ!!」

 

「本音に何をするの!?」

 

「当主様が座を降りるのを躊躇っているみたいですので、

少し手助けをしてあげるだけですよ?それでも駄目ならば、次は……アナタです」

 

簪との話を終えた男が部屋を出ると同時に男達が本音の両手足を抑えて服を破いていた

 

「へへっ、年齢のわりには良い体してるじゃねえか」

 

「安心しな、綺麗に撮ってやるからよ」

 

(嫌だよ、こんなの……誰か助けて………)

 

男達の用意したビデオカメラから顔を背けた本音の目からは一筋の涙が流れていた。

 

「じゃあ、この邪魔な服を……ガハッ!」

 

「な、なんだ!?何が起こった!!なっ!!」

 

本音に手を出そうとした男達が何者かに吹き飛ばされて気絶した。

 

「えっ?………一体何が……」

 

「どうやらギリギリで間に合ったみたいだな……」

 

二人が声のした方を見ると何も無かった空間に

黒いローブを纏った人物が姿を見せて、そのまま二人の拘束を破壊した。

 

「本音……無事で良かった……」

 

拘束を解かれた簪は本音を抱き締めると泣いていた。

 

「感動するのは良いけど、まずはここから抜け出すぞ」

 

「あっ……ごめんなさい………」

 

「ほら、これを服の代わりにすると良い」

 

「う、うん……ありがとう………」

 

本音はマントを受け取ると身体を隠す様に纏った。

 

「さあ、仲間達が戻って来ないうちに抜け出すぞ」

 

皆は洞窟を抜け出す事にした。

 




はい、今回は少し早足で話が進みました。

ちなみに、武昭が見つからなかったのはダグテクターの能力です。

詳しい事は後日、設定に追加します。

それでは、次のお話を楽しみにしてて下さい。


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第5話 輝く隼(中編)

今回は三部構成にしました。

ついでに前編を少し編集しました。


洞窟内を歩いていた簪は助けてくれた人物に事情を聞いていた。

 

「そうだったんですね……アナタが私達を見つけてくれたんだ……」

 

「まぁ、たまたま山の景色を見に来てただけなんだけどな」

 

「それでも、私達は助けてもらって感謝してます」

 

「そうか、所で君達を助ける前にアイツ等の仲間が話してる時に言ってたんだけど

当主様って何の事だ?」

 

「それは家の稼業に関係があるの………」

 

「君の家の稼業って……あんまり一般人が聞いたら駄目な奴なのか?」

 

「はい……助けてくれた事は感謝してます。 けど、それとこれは……ごめんなさい………」

簪が何処か辛そうな表情を見せたので武昭は、聞く事を止めた。

 

「まっ、そんな事情があるなら仕方ないよ。 あぁ二人に聞きたいんだけど……

これに見覚えは無いかな? 俺が気絶させた奴らの一人が持ってたんだけど」

 

「そのバッチに彫られてる絵って松吉家の家紋だよぉ〜」

武昭が懐から取り出したバッチを見た本音は、それに見覚えが合った。

 

「なるほど、その松吉家の奴が当主様の座を狙って君達を誘拐したんだな……

おっ、出口が見えたぞ」

 

「簪ちゃん!本音ちゃん!」

武昭達が洞窟から出たと同時に簪を見つけた刀奈が駆け寄って来た。

 

「お姉…ちゃん?……なんで、ここがわかったの?」

 

「虚ちゃんが色々と手を尽くして見つけてくれたのよ…… 本当に無事で良かった………」

簪が戸惑ってると刀奈が抱き締めて状況を説明した。

 

「お姉ちゃん……私達が助かったのは、この人が居たからだよ」

 

「偶然に山に来てた時に私達を見つけてくれたんです」

 

「誰かは知りませんが、大切な妹と幼馴染を助けてくれてありがとうございます」

 

「別に御礼を言われる事じゃないですよ。人として当然の事をしただけです」

 

「それでも、助けてくれた事には変わりありません 是非とも私達の家に来て……キャッ!」

武昭が話してると誰かが刀奈の肩を撃っていた。

 

「お姉ちゃん!?」 「お嬢様!!」

 

「そこにいる奴!姿を見せろ!」

 

「おやおや、まさか刀奈様にここが見つかるとは思いませんでしたよ」

武昭が撃った人物に声を掛けると草陰から松吉玲斗が出てきた。

 

「なんで……アナタが……ココにいるのかしら?……」

 

「それは部下たちに命じて探させたからですよ。

まさか刀奈様に当たるとは思いませんでしたけど」

 

「違う…アナタは‘ワザ’とお姉ちゃんを狙ったんだ……」

 

「おや、妹様 その様な証拠が何処にあるのですか?」

 

「それは、これだよ!私達を誘拐した男達の一人がこのバッチを持ってたんだ!!」

 

「確かに、それに彫られてる絵は家の家紋ですが、それだけで私が犯人とは限りませんよ?」

本音が見せたバッチを目にしても玲斗は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「私があなた方を誘拐した確たる証拠はあるのですか?」

 

「証拠ならあるよ……それは、コイツだ」

武昭はそう言うとポケットから携帯を取り出すと普通に掛け始めた。

 

「その携帯が何だと言うん……誰だ、こんな時に……」

 

「なんで誘拐犯達が持ってる携帯からアナタに掛かるんですか?」

玲斗が携帯に出ると武昭の声がした。

 

「なっ!?こんなのは偶然だ!!」

 

「じゃあ、他の誘拐犯達の携帯から掛けてみましょうか?」

武昭の手には複数の携帯が合った。

 

「もう、言い逃れは出来ないですよ」

 

「チッ、バレたらしょうがないか、このまま全員をぶっ殺してやるよ‼︎」

玲斗が右手を上げると隠れていた男達が武昭達に銃口を向けていた。

 

「お願いがあります……簪ちゃんと本音ちゃんを連れて逃げて下さい」

 

「お姉ちゃん!?」 「お嬢様!?」

 

「私は怪我をしていて逃げるにも足手纏いになります……

だから……「それは駄目だ」なっ!……」

武昭は刀奈の懇願を断ると彼女達を庇う様に立った。

 

「例え、ここであんたを置いていって彼女達が助かっても彼女達の心は大きな傷を負うんだ!

それをわかってるのか!!」

 

「安心して下さい……皆さん一緒に地獄へ送ってあげますから!やれっ!!」

玲斗が合図すると同時に男達が発砲したが立ちはだかった武昭に全て当たり砂煙が舞い上っていた。

 

「ふぅ、これで次期当主の座は……なっ!?」

玲斗は砂煙が晴れて確認しようとした時に武昭が立っていた事に驚いた。

 

「どうした?それで終わりか?」

 

玲「なっ……なんであれだけの銃弾を食らって生きているんだぁ!!」

 

「それは……これが合ったからだ!」

武昭が穴の空いたローブを脱ぐとメタリックグリーンのカラーリングをした隼を模した

パワードスーツを纏った姿を見せた。

 

「それは……まさか、I……S?」

 

「貴様!何者だぁ!?」

 

「俺の名前は……グリッターアキ! 我が使命にてお前等を捕まえてやる!!」

名乗りを上げた武昭は玲斗達を指差した。

 

 

 

 

 

 



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第6話 輝く隼(後編)

今回で三部構成を終わりにしたいと思います。


武昭の姿を見た皆が驚いていたが玲斗がいち早く正常に戻った。

 

「へっ、誰かは知らないが、そのISを奪って何処かの企業に売り飛ばしてやるよ!」

 

「そんな事が出来るなら、やってみろ!」

武昭が刀奈達を庇う様に翼を広げて立ち塞がると男達が銃撃をしてきた。

 

「いくらISでも、こんなに攻撃を受けてたらS・E(シールドエネルギー)が尽きて

そして………」

 

「安心しろ……俺のコイツを……ダグテクターを普通のISと一緒だと思うな」

 

「さすがISだな……けど、コイツならどうだ!?」

男達の一人がバズーカを取り出すと、そのまま発射して武昭達の所に砂煙が舞い上がった。

 

「コイツはISが開発されてから不要な扱いをされてた物だが……

ISの武装に劣らない程の威力が出る奴だ、幾ら何でもコレを食らえば………」

 

「確かに、威力はあるけど当たらなかったら意味がないな」

 

「なっ!?なんだとっ!!」

砂煙が晴れると、その場には武昭達の姿は無く、声がした方を向くと刀奈達3人を

抱えた武昭が空を飛んでいた。

 

「うわぁー空を飛んでるよー」

 

「急に悪かったな、ケガは無いか?」

 

「は、はいっ大丈夫です」

 

「私も……問題ないです……」

 

「そうか、だったら少しの間ココにいてくれ。アイツ等を始末してくる」

武昭は近くの崖の上に刀奈達を降ろすと玲斗達の前に降り立った。

 

「さてと、これでお前等の相手に集中出来るな」

 

「くっ!そう簡単にやられてたまるかっ!!」

 

「逃す訳には行かないっ!バードチェンジ!!グリッターファルコンアタック!」

玲斗達が武昭に背を向けて逃げ出したが武昭は自身の体を隼形態に変化させて

、そのまま体当たりをして彼らを気絶させた。

 

その後………

玲斗達は刀奈が実家に連絡をして人を呼んで連行されていた。

 

「お前等の罪は誘拐と監禁、傷害に銃刀法違反、そして殺人未遂になるだろうな」

 

「くそっ……お前みたいな奴がいなかったら、俺が当主の座に着いてたものを……」

 

「それは無理ね……今、父に連絡した時に松吉の家では今回の事でアナタを勘当すると

言ってたわよ」

 

「なっ!?そんな事がある筈が無いっ!!」

 

「それに、アナタの事は松吉家で〔対処〕するとも言ってたわよ……

悪いけど、彼らを連れて行ってちょうだい」

刀奈の指示を受けた者達は玲斗達を、車に乗せると連行していった。

 

「さてと、俺も帰ると「あら?そう簡単に帰す訳には行かないのよねー」ですよねー」

武昭が、その場を去ろうとすると刀奈が背後から抱きついてきた。

 

「まぁ、さっきの車で一緒に乗ってかなかったから何かあるんじゃないかなーって

思ってましたけどね」

 

「あら?諦めが早いのね、だったら詳しい話を聞かせてくれたら私は嬉しいんだけどねー」

 

「私も………アナタの話を聞きたい………」

 

「私も〜助けてくれた人の事を知りたいなぁ〜」

簪が右手を握ってくると本音は正面から抱きついてきた。

 

「はぁ……話す迄は離れないみたいだな………わかったから、そのまま捕まっててくれ」

刀奈達が頭を捻っていると武昭はダグテクターに触れて、その場から消えた。

 

 

 

地球上のある所にある研究所の様な場所で…………

 

「おやおやー?なーんかISコアに似た反応を感知したから探索していたら面白いのを

みつけたよー 」

機械的なウサ耳を頭に付けてアリスドレスを着た女性がモニターを見て笑っていた。

 

そのモニターには武昭達が消える前の場所が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい!今回で三部構成の話が終わりました。

今回でオリキャラの松吉家は退場します。(もしかしたら後で出てくるかもしれません)

最後に出て来た人物は〔あの人〕です。

因みに武昭が簪達に現れたのはダグテクターの能力です。

次の話では武昭がある事をします。

それでは。


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第7話 知った真実

今回はオリキャラが自身の事を軽く話します。


刀奈達が気がつくと自分達が今までいた場所とは違う所にいた事に驚いていた。

 

「えっ!?一体ここは何処なの!!」

 

「周りを見ると何らかの乗り物の内部みたいな感じがするけど……」

 

「ほぇ〜いつの間に来たんだろう〜?」

 

「皆、まずは離れてくれないか? 軽くコイツの整備をしたいんでな」

武昭が言うと皆は手を離したので、そのまま整備室に向かった。

 

「凄いわ……こんな所、私が知るIS関係の場所でも見た事が無いわよ……」

 

「さてと、やっとコイツを脱げるか」

 

「えっ!?もしかして……アナタって男性なの!?」

 

「そういや、会った時からコイツを着てたからわからなかったか」

ダグテクターを解除した武昭は刀奈達の方を向くと自己紹介をした。

 

「俺の名前は広瀬武昭って言うんだ、年齢は12歳よろしくな」

 

「嘘っ!?私や簪ちゃんと同い年なの!?」

 

「えっと……広瀬君? 出来たら私達にアナタのお話を聞かせて欲しいんだけど

良いかしら?」

 

「えぇ、その為にココに連れて来たんですから、コッチに来て下さい」

刀奈達は武昭の案内についていった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

武昭が刀奈達を連れてきたのはダグキャリー内にある居住区の部屋の一つだった。

 

「空いてる席に座って下さい。今、飲み物でも用意しますから」

 

「気にしなくて良いわよ………それよりも、何で広瀬君はISを起動出来たのかしら?

そんな話は聞いた事が無いのよねー 一体何者なの?」

席に着いた刀奈は悪戯っ子の様な笑顔から真面目な表情になった。

 

「まぁ、その為には約束して欲しい事があるんだけど………約束出来ますか?」

 

「うーん それは約束して欲しい内容によるわね……

もしも、簪ちゃんや本音ちゃんに手出しをするって言うのなら………」

 

「そんな事はしませんよ、只、俺がこれから話す事を信じて欲しいだけですよ」

 

「私は信じます………広瀬さんは私達を助けてくれました……理由はそれ以上に無いです」

 

「私も信じるよ〜 すっごい綺麗な目をしてるも〜ん〜」

 

「(簪ちゃんと本音ちゃんがそこまで言ってるのに私が信じない訳にはいかないわよね)

私も信じる事にしたわ、広瀬君の話を聞かせてちょうだい」

 

「ありがとうございます、それで俺の事ですが………俺はこの世界の人間じゃないんです」

 

「えっ?広瀬君がこの世界の人間じゃないって、どういう事?」

 

「俺はこの世界とは違う世界にいたんですよ。それで俺は、そこの世界で命を落としました、

それで俺は神様って言われる存在に、この世界に転生させてもらったんです」

 

「じゃあ広瀬君は元の世界では何をしてたのかしら?」

 

「俺は宇宙警察機構に勤めていた宇宙刑事……です。 色んな宇宙人達を逮捕したりしてました」

武昭の事情を聞いた3人はポカーンとした表情を浮かべていた。



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第8話 兎さんの悪戯

武昭の説明を聞いてポカーンとしてた刀奈達の中で簪が最初に立ち直って詰め寄った。

 

「ねぇ!広瀬さんが宇宙警察だったって事は何か乗り物みたいのもあるんですか!?

あっ……取り乱してすみません………」

 

「別に構わないよって言うか……そういうのに興味があるの?」

 

「簪ちゃんは色んなヒーロー物のアニメや特撮とかが好きなんだよ〜」

 

「そうか、だったらコッチにあるよ」

 

「すみませんけど、そういうのを見せてもらっても良いんですか?」

刀奈は何処か済まなそうな表情で尋ねた。

 

「うーん………そいつは俺からしたら基本装備の一つだからね。それにそいつを見せた所で真似が出来る事が出来ないよ」

刀奈達は武昭の後についていった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

武昭が刀奈達を連れて来た場所はダグキャリー内の格納庫だった。

 

「ココにあるのが俺が使うダグビークルのグリッタースロットルで

向こうにあるのがグリッターシャトルだ」

 

「まさか、スペースシャトルまであるなんて思わなかったわ………」

 

「うわぁ……広瀬さん!このバイクとスペースシャトルって何かあるんですか!?」

 

「ん?何かあるって……どういう事?」

 

「例えば変形したり合体出来たりとかです」

 

「かんちゃん……幾ら何でも、そこまでは出来ない「いや、出来るぞ?」出来るのー!?」

武昭の言葉を聞いた本音は驚いていた。

 

「お願いします!それを見せてください!!」

 

「コラッ、幾ら見たくても広瀬君の迷惑になるじゃない」

 

「別に見せても構いませんよ?俺もこの世界に来てからまだやってないから確認しないと

ダメですから」

 

「そう……じゃあ私達に何か手伝わせてくれないかしら?」

 

「特に手伝ってもらう事はありませんね。そうだ簪に見せれるのは一つだけでも良いか?」

 

「はいっ!それでも良いです!!」

簪の目はキラキラ輝いていた。

 

「じゃあ、この世界で初めての合体だな。まずはコイツだな トライダグオン! グリッターアキ!!」

 

「それは、さっきも見たよ〜」

 

「まぁ、まだ終わりじゃないよ。来いっ!グリッタースロットル!!」

 

(凄いわ……音声認識起動システムが組み込まれてるのね……)

刀奈はスロットルが自動的に動いた事に感心していた。

 

「行くぞ!融合合体!!ダググリッター!!」

 

「ふわぁ………広瀬さん!私を手に載せてくれませんか!?」

 

「あぁ、構わないぞ。二人もどうですか?」

 

「じゃあ、私も載る〜〜!」

 

「なら、お誘いを受けさせてもらいます」

3人は武昭が差し出した手に載った。

 

その後、刀奈達は武昭の家の前にいた。

 

「広瀬さん!今日はありがとうございました!!」

 

「また、遊びに来るねぇ〜」

 

「広瀬君には凄い物を見せてもらったわね……ありがとうございます」

 

「そんなに畏る事でもないですよ、俺達は友達なんですから」

 

「ふふっ、そうね私達は友達なのね、この事は私達だけの秘密にしておいてあげるわ」

 

「ありがとうございます。あとコレは俺の携帯番号とメルアドです」

武昭がメモを刀奈達に渡すと3人もメモを渡して別れた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

武昭が刀奈達と会って半月ほど経った頃、買い物を終えて帰宅していた

 

「うーん、今日の晩飯は何にするかなぁ……」

 

「私はオムライスが食べたいかな?」

 

「オムライスか……それも良いなって……今のは?」

武昭が声のした方を見ると機械のウサ耳をつけてアリス風のドレスを着た女性が立っていた。

 

「えーっと、どなたですか?俺は初対面ですけど……」

 

「そうだねー まぁ……話す事はもう無いけどね!なっ!?」

女性は武昭に殴り掛かってきたがいつの間にか組み伏せられていた。

 

「あんまり女性に、こんな事はしたくないんですけど………

襲ってきたから正当防衛って事で」

 

「くっ!放せよ!私にこんな事しても良いと思ってるのか!?」

 

「関係ねぇよ……誰であろうと襲ってくる奴を捕らえただけだ」

 

(なっ!?なんだよ、コイツ……さっきまでの雰囲気と全然違うじゃないか?)

女性は武昭の雰囲気が変わった事で震えて涙を流していた。

 

「お、お願いします………謝りますから放してください……」

 

「あぁっ!ごめんごめん!怖がらせちゃったか」

武昭が女性を放すと、そのまま座って泣いていたのでハンカチを渡した。

 

「えっと、それであなたは誰ですか? なんで俺を襲ったんです?」

 

「グスッ、私の名前は篠ノ之束さんだよ。それで君の所に来たのは

君から私が作ったのとは違うISコアの反応がしたから興味があって来たんだ」

束はハンカチで涙を拭きながら説明した。

 

「あなたが篠ノ之束さんでしたか。まぁ、軽く説明するので俺と一緒に来てください」

武昭は束を連れて家に入った。

 

 



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第9話 邂逅

束を家に入れた武昭が何をしてたかというと………

 

「すっごく、美味しいよ!このオムライス!!」

 

「喜んでもらえて良かったです」

オムライスを作って束と一緒に食べていた。

 

「それにしても……なんで、あんな事した私にこうやってご馳走してくれるの?」

 

「まぁ、俺もオムライスを食べたいって思いましたし、こうして誰かと食べたかったんですよ」

 

「そうなんだ……それで、さっき私に説明したいって言ったけど、何なの?」

 

「それは食べてからにしましょうよ」

武昭が、そう言ってオムライスを食べてると束も食べていた。

 

その後、食事を終えた二人がコーヒーを飲んでると目をキラキラさせた束が武昭に詰め寄った。

 

「さあ! なんで君が束さんが知らないISのコアを持ってて、男の子なのに起動出来たか教えてちょうだい!!」

 

「えぇ良いですけど、これを聞いたら篠ノ之博士が今まで積み上げて来た知識や情報なんかが

崩れる事になるかもしれませんよ、それでも良いんですか?

俺が今から話す事はそれだけの事なんです」

 

「うーん………私は大丈夫だよ。伊達に天災なんて呼ばれて無いよ!」

 

「まぁ、そこまで言うなら話しますよ、俺の事を…………」

武昭は以前刀奈達に話した事を束にも話した。

 

その結果………

 

「へぇー じゃあ君は一度命を落として、この世界に来たんだ……けど、その証拠が無いよね?」

 

「じゃあ、その証拠を見せます。俺について来てください」

武昭は束を連れてダグキャリーに向かった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ダグキャリー内………

 

「うわー!私はこんなのを今まで見た事が無いし、私でも無理だよー!!」

ダグキャリー内を散策していた束は、その科学技術に驚愕していた。

 

「これで、俺の話は真実だって信じてくれますか?篠ノ之博士」

 

「うんうん!信じるよ!!だから私の事は博士なんかじゃなくて束って呼んでよ!

私も“タッくん“って呼ぶから!!」

 

「わかりました篠ノ…おっと“束さん“」

束は武昭と握手をすると気まずそうに、ある事を尋ねた。

 

「それでね、タッくんに少しだけお願いがあるんだけど………」

 

「ここを使いたいなら構いませんよ。そんな事もあるんじゃないかなと思ってまして」

武昭が束を案内したのは、多数の機械が置かれていた開発室だった。

 

「ここなら束さんが好きに研究や開発が出来ると思いますけど……どうですか?」

 

「うん!これだけの物が合ったら凄い事が出来るよ!ありがとう!タッくん!!」

束は嬉しさから武昭に抱き着いたが、その大きな胸に頭を埋められ武昭が息苦しくなっていた。

 

その後……

 

「ハァハァハァ……危うく、天国から地獄に行くところでした………」

 

「ごめんねタッくん………嬉しかったから、つい………」

武昭の状況に気づいた束が慌てて離して謝罪していた。

 

「別に気にしませんよ。束さんは、ちゃんと謝ってくれたんですから」

 

「う、うん……ありがとうタッくん

(こうして頭を撫でてもらうのって、この歳になってからは初めてだけど、気持ち良いな……)

武昭に頭を撫でられた束は赤い顔で喜んでいた。

 

「あぁ、後、俺からも束さんに頼みたい事と言うかお願いがあるんですけど……」

 

「タッくん、そんなに畏まらなくても束さんは平気だから何でも言ってよ!」

 

「そうですか、なら言いますけど、実は………」

武昭はある事を束に頼んだ。

 



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第10話 英国にて………

今回はあるキャラの家族が出てきますが名前は適当です。


武昭が束と仲良くなってから数日後 彼はイギリスに来ていた。

 

「たまには、飛行機で移動するのも良いものだな………」

 

〔ヤッホー着いたかなぁ?タッくん〕

 

「えぇ、今空港を出た所ですよ」

外に出た武昭は束から貰った通信機で連絡をしていた。

 

「それで束さん、俺は何をすれば良いんですか?」

 

〔うん、私が調べたらねそっちの方で変な組織が何かを企んでるみたいなんだ〕

 

「変な組織って調べれなかったんですか?」

 

〔ちょっと束さんでも詳しくは無理だったんだよねー

それで日にちも迫ってたみたいだったから、タッくんには先に行ってもらったんだよー〕

 

「そうでしたか。それで俺は次に何をしたら良いですか?」

 

〔うん、タッくんには、これから………〕

束が何らかの指示を出すと武昭は、それに従った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

束から指示を受けた武昭は列車に乗っていた。

 

「えーっと、おっ、ここが俺の席か。ちょっと失礼します」

 

「えぇ、構いませんよ」

武昭が自分の席を見つけて座ると向かいには金髪の夫婦が座っていた。

 

「あら、貴方の様な子供が一人で旅行だなんて珍しいですのね」

 

「はい、ちょっとした事情がありまして。お二人も旅行ですか?」

 

「あぁ、久し振りの仕事の休みでね妻と二人きりなんだ」

 

「久し振りの休みって……どんな仕事をしてるんですか?」

 

「ちょっとした会社を経営しててね、私が社長で旦那には秘書をしてもらってるの」

 

「旦那さんが秘書をしてるって……普通なら逆ですけど、今の時世なら有り得る話ですね」

 

「まぁ……そのお陰で、ちょっと困った事があってね……」

 

「困った事?………話せる事なら俺に聞かせてくれませんか?

話せない事なら無理に聞きませんけど」

 

「うーん………そう言ってくれるのは嬉しいけど、これは家庭の問題だからね」

 

「マシュー話してみましょう。見た所娘のセシリアと同年代みたいだから

何らかのヒントがあるかもしれないわ」

 

「セリーナ………そうだな他人に話す事で何か変わるかもしれないからな」

セリーナから言われたマシューは武昭に悩みを話す事にした。

 

「実は私達には娘が一人いてね名前をセシリアと言うんだが………

セシリアが私を嫌ってるみたいなんだ」

 

「そのセシリアさんがマシューさんを嫌ってるって、なんでそう思うんですか?」

 

「それはマシューが私の秘書をしているのを見るセシリアの視線から嫌悪感を感じるんです」

 

「嫌悪感?それはマシューさんがセリーナさんの秘書をしてる時にしか感じないんですか?」

 

「えぇ、家でも感じる時もありますが、特に私がセリーナといる時に顕著に感じるんです」

 

「家でも感じるけどセリーナさんといる時に特に感じるか…何と無くですけどわかった様な気がします」

武昭が、そういうとマシューが肩を掴んできた。

 

「本当か!?どうか教えてくれ!!」

 

「マシュー!そんなにしたら話せないわ!!」

 

「いえ、大丈夫ですよ。それよりも二人に聞きたいんですけど……

マシューさんがセリーナさんと仕事をする時は他の企業の偉い人に会ったりする事もありますよね?」

 

「えぇ、社長として色々な集まりに行く時にはマシューと一緒よ」

 

「その場に娘さん……セシリアさんを連れて行った事もありますよね」

 

「あぁ、後継者として早い内に会わせておこうと思ってね、それが何か関係が?」

 

「俺の考えと二人の話からの憶測ですけど……

そのセシリアさんはマシューさんを軟弱だと見てるんですよ」

 

「私を……軟弱に?どういう事だね」

 

「今の、この世間は女尊男卑の考え方が蔓延ってて女性が偉いと勘違いをしてるんですよ

けど、マシューさんは、そんな女性にも頭を下げたりしてるんじゃないんですか?

それを見てセシリアさんが軟弱な男だと思ってるんですよ」

 

「そうかもしれないわね………私は会社の事は自分でしてるけど……

人間関係はマシューに任せっきりだったわ」

 

「それは私が望んだ事だよセリーナ、私は男である前に一人の父親なんだ………

私が頭を下げる事で大切な家族を守れるなら幾らでも下げるよ………」

 

「だったら、それをセシリアさんに正直に話せば良いんです。

家族なんですから話せばわかってくれますよ」

 

「そうか……そうだな簡単な話だったな、わかってくれなくても何度も話せば良いんだ」

 

「マシュー、私も手伝うわよ。家族なんだから」

 

「あぁ、ありがとうなセリーナ……そう言えば自己紹介がまだだったな

私の名前はマシュー・オルコットで妻がセリーナ・オルコットだ」

 

「俺の名前は広瀬武昭です。すみませんでした俺みたいな子供が生意気な事を言って」

 

「いや、広瀬君のお陰でセシリアに見直してもらえそうだよ」

 

「やはり家族と他人では見る視線が違うのね」

 

「いや、あくまで俺の意見は憶測なんで正しいとは……クッ!なんだ!?今の音は!!」

武昭達が話していると凄まじい音と車輌に強い揺れが来て放送が流れてくるが、その内容は

先の線路に落石が起こりブレーキを掛けるが下り坂の為、効かないとの事だった。

 

「クッ!このままなら石に激突して車輌が………」

 

「急いで先頭車両から離れないと!」

 

「いえ、今の状況なら移動してる間に石に激突します」

 

「だが、このままここに居ても………」

 

「(俺なら何とか……)マシューさんはセリーナさんと一緒にいて窓から離れてください」

武昭は窓ガラスを割ると、そのまま窓枠に足をかけた。

 

「お、おいっ!何をする気だ!?」

 

「まさか……そこから……」

 

「広瀬君!止めるんだ!!」

 

「二人には帰りを待ってる人がいるんです。そんな時にこそ俺にしか出来ない事をするんです!」

武昭が窓から飛び出すとマシューが駆け寄って来た。

 

「行くぞ!トライダグオン!!グリッターアキ!バードチェンジ!!」

 

マ「なっ!?彼がISを……いや、今は広瀬君に賭けるしかない」

武昭がダグテクターを起動させたのを見たマシューは、武昭に託した。

 

 




今回はここまでにしました。

今回の話ではセシリアの両親を出しましたが、いつ事故が起きたかわからないので

こちらで推測して決めました。

それに付随してオリ主の年齢も変えました。
(訂正前14歳→訂正後12歳)

それでは、次回をお楽しみにしてください。





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第11話 一人一人の力……

ダグテクターを纏った武昭が列車を追い抜いて先にある落石現場に着くと巨大な岩が線路を塞いでいた。

 

「これは……かなりの大きさだ……けど、なんでこんな事が?……ん?この匂いは………」

岩を調べていた武昭が、ふと漂ってきた匂いを確認すると火薬の匂いがした。

 

「どうやら、誰かが爆破をして線路を塞いだみたいだな………」

 

そうしてると列車が近付いてるのが見えた。

 

「チッ!考えてる暇は無いか!来いっ!グリッタースロットル!!」

武昭はグリッタースロットルを呼ぶと融合合体を行った。

 

「融合合体!ダググリッター!!束さん!急いで“アレ”を転送して下さい!!」

 

〔タッくん!転送しても“アレ”が出来る可能性は低いんだよ!?〕

武昭から通信を受けた束は慌てていた。

 

「わかってますよ!けど!今の俺が出来るだけの事をしたいんです!!」

 

〔タッくん………うん!束さんもわかったよ!タッくんなら必ず出来るって信じてるから!!〕

 

「束さん、ありがとうございます」

 

〔(ううん、お礼を言いたいのは私の方だよ………

タッくんとは会ってそんなに時間が経ってないけど、タッくんなら何とかなるって思わせてくれるから)

グリッターシャトル!転送!!〕

ダグキャリーにいた束が操作盤で何らかの操作をすると格納庫に合ったシャトルが消えた。

 

〔大丈夫……タッくんなら必ず………〕

シャトルの転送を確認した束は武昭の心配をしていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

武昭が束に通信をしてから数分経った頃、列車の上空に一台のスペースシャトルが姿を見せた。

 

「来た!この世界に来てから何度か“アレ”を試みたが出来なかった………

束さんにも調べてもらったけど原因がわからなかった………

けど、今の俺なら出来る筈だ!人々を守る為に!!行くぞ!輝光合体(きこうがったい)!!」

武昭が叫ぶとシャトルの底辺部から光が照射されて、そのまま浮かび上がるとシャトルと合体して巨大なロボットに変形した。

 

「輝光合体!グリッターダグオン!!」

 

〔やったよタッくん!初めての成功だよ!〕

 

「はいっ!どんな時でも諦めなくて良かったです!!」

 

〔タッくん!コッチでも確認したけど、あの速度なら落石現場まで残り5分位だよ!!」

 

「大丈夫です!コイツは俺と共にいた奴です!!コイツがいれば100人力だ!!」

武昭は列車の前まで移動すると、そのまま受け止めたが速度と重量があったので中々止まらず

足からは火花を散らしながら押されていた。

 

「ウオオー!運転手さん!!このままブレーキを掛けるんだ!!」

 

「あ、あぁ!分かった!!」

運転手がブレーキを掛けるが速度がありレバーが動き辛くなっていた。

 

「クッ!レバーが重くて中々掛からない!」

 

「諦めないで下さい!今、運転手さんが諦めたら中にいる乗客達が危ないんです!!」

 

「それは……わかってるん……だけど……なっ!?」

 

「皆!私達の力も使うんだ!!」

運転手さんがレバーを掛けていると運転席にマシューが数人の男達を連れてきてレバーを動かす手伝いをした。

 

「今の私達が出来る事は一人一人では微かな物だが力を合わせると、かなりの大きさになるんだ!」

 

「(マシューさん……)そうだ!俺は一人じゃないんだ!!」

武昭が列車を抑えているとブレーキが効いてきて落石に残り数mの所で停車した。

 



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第12話 その後……

武昭が列車を止めると中から乗客達が降りてきた。

 

「おいっ!一体コイツはなんなんだ!?」

 

「私達を助けてくれたから信用は出来ると思いますけど………」

 

(これ以上、ここに居たら騒ぎになるかもしれないな………)

武昭は距離を取ると、そのまま飛び上がって、その場から離れた。

 

「マシュー……あのロボットは、まさか………」

 

「私も同じ事を考えたよ けど、それは私達夫婦の秘密だ」

 

「えぇ、そうしましょう……それよりも家に戻ったらセシリアに話をしましょう」

 

「あぁ、そうだな。彼が居なかったら私達がこうしてる事も出来なかったのかもしれないからな」

マシューとセリーナは武昭が飛び去った後の空を見ていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

一方………

 

〔タッくん、ブッツケ本番だったけど成功して良かったねー!」

 

「ブッツケ本番だったかもしれないですけど、俺は成功すると確信してましたよ

コイツらは俺が元の世界にいた時からの相棒達ですから」

武昭は飛びながら束と通信していた。

 

〔タッくんは、その子達をすっごく信じてるんだね〕

 

「当たり前ですよ。俺にとってコレは只のスーツや乗り物じゃなくて

もう一人の俺と言っても変わりありませんから」

 

〔そっか……もう一人のタッくんか………それよりも連絡が来た時に軽く調べたんだけど

あの現場から離れていく奴らを衛星で確認したんだ。座標を送るから追い掛けて〕

 

「分かりました。こっちでも爆薬が使われた形跡があったんですよ」

 

〔そうなんだ……だったら、そいつらの目的は最初から、あの列車事故だったって事だね〕

 

「捕まえて事情をはかせます」

武昭は通信を切った。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

事故現場から離れた場所では一台の車が走っていた。

 

「くっ!あんな奴が居たなんて聞いてなかったぞ!!」

 

「早く逃げるんだ!!」

 

「お、おいっ!あれを見ろ!!」

彼らは現場に爆弾を仕掛けた者達で捕まる前に逃げようとしていたが空を見て武昭が追い付いて来た事に気付いた。

 

「おいっ!これ以上逃げられると思っているのか!?」

武昭は合体を解除するとダグテクターを纏っただけの姿で彼らの前に降りた。

 

「なっ!?コイツがアレを使っていたのか!!」

 

「だが、この位なら俺らでも問題は無い!!」

 

「ふっ……それは、コッチのセリフだ!!」

彼らは武昭に向かってきたが逆に武昭は奴らを気絶させて捕らえた。

 

「お前ら程度ならほんの数分で充分なんだよ。さてとコイツらから情報を聞き出さないとな」

 

〔タッくん、私が作った機械をソイツらの体の何処でも良いから付けてねー〕

武昭は束の指示通りに懐から出した機械を奴らの額に付けた。

 

「言われた通りに付けましたけど、次は何をすれば良いですか?」

 

〔ううん、後は私の方でやるからタッくんは休んでて良いよー〕

ダグキャリーに居た束が何らかの操作をすると彼らに付けた機械が起動した。

 

「所で、この機械は何ですか?」

 

〔うーん?電気信号を流して、その人間の記憶を読み込む機械だよー〕

 

「電気信号を流してか………(だから、何処かビクンビクン動いてるのか)」

束の説明を聞いた武昭が犯人達を見ると体が動いているのが見えたが、見て見ないふりをした。

 

暫くして束が彼らから情報を読み取ったので機械を外した武昭はダグキャリーに戻っていた。

 

「束さん、アイツらは何者だったんですか?」

 

〔うーん………調べてみたんだけど、アイツらは組織の下っ端だから

そんなに情報を持ってなかったんだ〕

 

「そうだったんですか………まぁ、何があっても俺が居れば大丈夫ですよ」

 

〔うん、そうだね(けど……タッくんは無理をする所があるから)〕

通信しながら束は武昭の事を考えていた。



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第13話 有りし物

武昭が束の所に戻ります。



イギリスでの用事を済ませた武昭がダグキャリーに帰ると束が出迎えた。

 

「お帰りなさい!タッくん!!」

 

「ただいま、束さん。これイギリスのお土産です。」

 

「もーう、そんな事しなくも良いのにー けど、ありがとう」

武昭から紙袋を受け取った束は何かを思い出すと武昭に尋ねた。

 

「そうだ、タッくんに聞きたいんだけど、この部屋って何なのかな?」

束が見せた端末の艦内図には幾つかの点滅する部屋が合った。

 

「ここって……俺がまだ確認してない部屋みたいですね……

ダグキャリーも広いから俺も全体を把握出来て無いんです」

 

「そっか、ここの所有者はタッくんだから許可か何かが無いとダメなのかもしれないね」

 

「じゃあ、確認しに行きますか」

 

「うん!束さんも一緒に行くからね!!」

束が武昭の右腕に抱き着いたので武昭は“何らかの柔らかい感触”を感じて顔を赤くしていた。

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

武昭達が到着した部屋で出入り口を確認するが開く気配が無かった。

 

「確かに開かないですね」

 

「タッくんでも開けられないなら、私が無理矢理にでも開けるよ?」

 

「それは、まだしないでください。絶対、俺なら開けられる筈なんです………ん?」

扉を探っていた武昭は扉の持ち手の横に微かな凹みを見つけた。

 

「束さん、ここに凹みがあるんですけど、分かりますか?」

 

「えっ!?そんなの気付かないよ!ちょっと待ってて!本当だ!!」

束からポケットからモニターが付いた何らかの機械を出して光を当てるとモニターに映った。

 

「この機械でスキャンした結果、ここに三角形の何かを当てると扉が開くみたいだよ」

 

「三角形の何かって………俺は、そんなの貰った記憶なんて……あっ、コイツかな?」

考えていた武昭はダグコマンダーに合った宇宙警察機構のエンブレムを思い当たった。

 

「多分、コレで良いと思うんですけど……おっ開いたか、コレは……」

 

「うわー!何これー!?」

扉が開いた部屋を見た武昭は中に合った物に見覚えがあり束は興味深そうに見ていた。

 

「コイツはプロトテクターと言って、俺のダグテクターの元になる奴ですね」

 

「つまりコレは、タッくんのダグテクターみたいな専用機じゃないって事かな?」

 

「えぇ、俺の使うダグテクターは、このプロトテクターを俺の体型や身体能力に合わせて作成したんですよ」

 

「じゃあ、プロトテクターを使えば私もタッくんみたくなれるの!?」

武昭の話を聞いた束は目をキラキラさせていた。

 

「まぁ、それは可能ですけど、俺がこのダグテクターを貰った時は採用試験が終わった時でしたからね」

 

「そんな、簡単に作成する事は出来ないって事だね〜 」

話を聞いて落ち込んだ束が顔を上げると凄い笑顔になっていた。

 

「面白いじゃない!この天災と呼ばれた束さんの腕前を見せてあげるよ!!」

 

「束さん、まずはお昼にでもしましょうよ」

 

「そうだね、腹が減っては戦が出来ないって言うからね!」

そう言うと武昭と束は家に戻った。




はい、今回はちょっとした閑話です。

次では新たな原作キャラを出したいと思います。

それでは皆さん、次話を楽しみにしててください。


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第14話 本来なら………

武昭がイギリスから帰ってきた数日後……

 

「えーっと、広瀬武昭って言います。こちらには最近引っ越してきたので、宜しくお願いします

(なんで 俺がもう一回、中学校に通わないと駄目なんだよ)」

ある中学校の教室に武昭がいた。

 

束曰く、「今のタッくんは中学生なんだから、学校に行かないとダメだよー」との事だった。

 

「じゃあ、広瀬の席は………」

 

「先生、私の横が空いてます」

担任が教室を見回すと一人の女生徒が手を挙げた。

 

「そうか、だったら広瀬の席はあそこだ」

 

「宜しくね、俺は広瀬武昭って言うんだ」

 

「そうか、私は信濃箒と言う。箒と呼んでくれ」

 

「だったら、俺も武昭で良いよ。箒、悪いけど教科書を見せてくれないか?」

 

「うむ、ならば机を寄せてくれ」

二人は、そのまま授業を始めた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

武昭が中学に来て数日後………

 

「うーす、おはようさーん……あれ?」

武昭が教室に来るといつもいるはずの箒の姿が見えなかった。

 

「ねえ、箒はまだ来てないの?」

 

「あぁ、信濃さんなら今朝の練習にも来てなかったわよ」

武昭が聞いたのは箒と同じ剣道部の女生徒だった。

 

「そうか………おっ、先生が来たぞ」

担任が教室に入って来たので武昭達は席に着いた。

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

その日の放課後………

 

「えっと………あっ、ここが箒の家か………」

武昭は担任に頼まれて箒にプリントを持ってくと家のチャイムを鳴らした。

 

「箒ー俺だけど居るかー?」

 

「武昭か………どうしたんだ?」

家から出て来た箒は萌葱色の寝間着で出て来たが顔が赤く何処か目が虚ろだった。

 

「あぁ、先生に頼まれてプリントを持って来たんだけど……大丈夫か?顔が赤いけど……」

 

「それは、済まなかったな……何……少し体がダルい……あっ……」

話してた箒が膝を崩したので武昭が慌てて支えて額に触ると凄い熱があった。

 

「おいっ!こんな体で出て来てたのか!?」

 

「気にするな……一晩寝れば直ぐに治る………」

 

「そんな訳無いだろっ!悪い!箒!!」

武昭は箒にお姫様抱っこをすると家の中に入った。

 

「な、何をするんだ!?」

 

「病人なんだから、こんな時くらいは他人を頼れ!」

武昭は箒を寝室に寝かせると、そのまま看病を開始した。

 

「さてと、まずは食事だな……箒は何か嫌いな物があるか?」

 

「いや、特には無いが……ゴホッゲホッ………」

 

「ほら、無理はするな………今は静かに休んでろ」

 

「あぁ、分かった……(そう言えば……こうやって誰かに看病されるのは久し振りだな)」

武昭に促された箒は軽く眠りに着いた。

 




今回は武昭と箒の出会いです。

簡単な今回の設定。

・箒は保護プログラムで名前を篠ノ之箒から信濃箒に変えている。

・学校では女子剣道部に入っているが必要最低限しか関わろうとしていない。

・中学校は武昭の家の校区内だったから。

こんな所です。

それでは、皆さん次の話を楽しみにしてて下さい。


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第15話 吐露した心

武昭が箒の家に行って……………

 

「ん………ここは……頭にタオルが……」

 

「おっ、気が付いたか箒」

箒が目を覚ますと額に濡れたタオルが載っており武昭が小さな土鍋を持っていた。

 

「た、武昭!?なんでお前がここに居るんだ!」

 

「ほら、体調が悪いんだから、慌てて起き上がらない方が良いぞ」

 

「あ、あぁ済まない………」

武昭は箒の横に座ると箒の背中に手を当ててユックリと体を起こした。

 

「それよりも、何故武昭が私の家に居るんだ?」

 

「忘れたのか?学校からのプリントを届けに来たって言ったろ」

 

「そ、そうだったな、わざわざ悪かったな」

 

「気にするなよ、俺と箒は“友達”なんだから」

 

「友達か………そう言われるのは久し振りな感じがするな……」

箒は遠い目をした。

 

「そういや、箒はクラスで、そんなに皆と話してない様に見えるけど、どうしてだ?」

 

「武昭は編入して来たから知らないのも無理は無いが……私は今の学校で6校目なんだ」

 

「6校目って………それは凄いな。けど、なんで、そんなに転校してるんだ?」

 

「私の今の名前は本来の名前では無く本当の名前は……“篠ノ之箒”と言うんだ……」

 

「篠ノ之?確か、ISを作った人が篠ノ之束って名前だった筈だけど」

 

「あぁ、その人は私の姉なんだ。私は姉さんがISを作った為に保護プログラムと言う物のお陰で転校を繰り返しているんだ」

箒は布団の上で握り拳を作っていた。

 

「姉さんが、あんな物を作らなければ私が、こんな目に遭わなくて済んだ!全て姉さんのせいだ!!」

 

「ふん……何を甘えた事を言ってんだよ。箒は束さんの本当の心を知ってるのか!?」

 

「武昭……お前は、まさか姉さんを知っているのか!?」

 

「あぁ、ちょっとした縁が合ってな。それよりも箒は束さんがなんでISを作ったか知ってるのか!」

 

「そんな事知る訳が無いだろ!姉さんは何も話さなかった!そんな姉さんが何を考えていたかなんて………」

 

「だったら、直接聞けば良いだろ。(だから束さんは俺を学校に“この学校”に行かせたのかもな)」

 

「そんな事を言われても………姉さんは何処に居るかは私でも知らないんだ………」

 

「大丈夫だ俺が連れて行ってやる」

 

「なっ!?急に何をするんだ!!」

箒は武昭にお姫様抱っこをされて顔を赤くした。

 

「これから束さんに会いに行くんだよ。〔空間転移。目的地ダグキャリー〕」

武昭がダグコマンダーに命令をすると二人の姿が、その場から消えた。

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

ダグキャリーの一部屋に武昭と箒が姿を見せた。

 

「なっ!?ここは一体、何処なんだ!」

箒が慌てていると武昭がダグコマンダーで通信した。

 

「ここは俺の秘密基地って所だな。〔束さん、俺ですけど今は何処に居ます?〕」

 

〔うーん?タッくん?私は今、D-9区画に居るよー〕

 

〔D-9区画ですか。今からそっちに行っても良いですか?〕

 

〔構わないよー、タッくんは何処に居るの?〕

 

〔今、俺が居るのはF-23区画ですから15分位で行けます〕

 

〔分かったよー、じゃあ待ってるねー〕

武昭が束との通信を終えると箒が詰め寄ってきた。

 

「おいっ!ここは何処で武昭は一体何者なんだ!!」

 

「それは束さん所に着いたら話すよ。箒、俺について来るんだ」

武昭が進むと箒は後ろを追いかけた。

 




はい、今回はここまでにします。

今回の話は少し早足で進めました。

次回を楽しみにしててください。


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第16話 繋がる絆?

箒は武昭の後ろを付いて歩きながら周りを見ていた。

 

「武昭……何故、お前は姉さんと何処で知り合ったんだ?」

 

「まぁ、それは束さんと会った時にでも、おっ、此処か。束さん俺っすけど」

 

〔タッくんだねー ちょっと待っててー〕

束は武昭が来た事に気付いて部屋から出て来た。

 

「どうしたのタッくん?急にココに来たりして………箒ちゃん?」

 

「姉さん……何で、こんな所に居るんですか……貴女の所為で私は!」

 

「そうだね……私の所為で箒ちゃんは今の生活をする事になったんだもんね……」

 

「姉さん……何で、貴女はあんな物を作ったんですか!? あんなISなんて物が無ければ……」

 

「束さんがISを作ったのは宇宙に行きたかった…… 只、そんな小さな願いからだよ」

二人の話を聞いていた武昭が話に入ってきた。

 

「宇宙に行きたかった?……ならば、何故、女性にだけしか反応がしないんですか!?」

 

「それは私には分からないよ……

私は、その理由を探ってもらおうと色んな国にISコアを配布したんだ……」

 

「けれど、配布された国々は兵器として研究して、本来の目的である宇宙開発をしていないんだ」

 

「武昭、何でお前は、そんな事を知っているんだ?」

 

「簡単だよ、それが俺が此処に………“この世界”に来た理由だからな……」

武昭は自身の事を箒に話した。

 

「そんな事を急に言われても普通なら信じられないが……

こんな場所を見せられては信じない訳には行かないな……」

 

「信じてくれて、ありがとうな箒……それで箒は束さんの話を聞いて、どう思った?」

 

「私は………今は、まだ頭が混乱している……姉さんが、あんな事を思ってたなんて初めて聞いたからな……」

 

「前に俺が束さんに“家族はいないんですか?”って聞いた事があってな………」

 

「なんて……答えたんだ?」

 

「………“私には妹が一人居るよ……私の所為で辛い生活をする事になっちゃって怒ってるのも知ってる……

けど、私にとっては大切な妹………もし私が命を落として助ける事が出来るなら、私は……”

そこまで言った時に俺は怒鳴ったよ……」

 

「何故、怒鳴ったんだ?」

 

「“束さんが命を落として助けたとしても、助けられた妹さんの心には一生治る事の無い傷を負う事になるって”そう言われちゃったんだ……」

 

「確かに……武昭の言う通りかもしれないですね……そんな事が起きて私が助かったとしても………

私は罪の意識を感じながら生きる事になっていたかもしれません……」

箒は束の手を握った。

 

「姉さん……長い間、離れていて、どう接すれば良いか分かりませんが……

これから少しずつ近付いて行っても……良いですか?」

 

「うん!うん!そんな事に許可を取らなくても好きに話し掛けて近付いて来てよ‼︎

私は箒ちゃんのお姉さんなんだから‼︎」

束が箒に涙を流しながら抱き付いできたので箒は少し戸惑ったが落ち着くと優しく抱き返したが二人の顔は笑顔だった。

 

 

 




はい、今回はここまでです。

今回は箒と束の仲直り……の回になりました。

それでは、次の話を楽しみにしてください。


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第17話 試合 前編

今回は良いタイトルが思い浮かばず話数にしました。

あと、前回のタイトルを変更しました。



束と仲直り?をした箒は武昭と一緒に帰宅していた。

 

「それで箒、お前はこれからどうするんだ?」

 

「私がするべき事か………今はまだ何をしたいかは決めていない……

だが、姉さんの思いを知ったからには出来るだけの事をしたいと思う………」

 

「そうか、だったら俺にも手伝わせてもらうよ、友達だからな」

 

「友達……か……ありがとうな、武昭」

 

「おっ、初めて箒の笑顔を見たけど結構可愛いな」

 

「なっ!?な、何を急に言っているんだ!!」

 

「ハハッ、それだけ元気なら体も大丈夫みたいだな。

箒が落ち着いたなら、学校に来いよ。 じゃあな」

 

武昭が自宅に帰った後、箒は考え事をしていた。

 

「全く武昭は………だが、ああして他人と接したのはいつ以来だろうか………

まるで、私が初めて一夏に会った時みたいだ………」

 

そう言った箒は優しい笑みを浮かべていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

武昭が学校に編入してからしばらくした頃………

 

「明日の日曜日に剣道の全国大会があるのか」

 

「あぁ、とは言ってもウチの学校からは私が個人戦でしか出場しないのだ」

武昭と箒が昼ご飯を食べながら話していた。

 

「そっか……だったら俺が応援にでも行こうか?」

 

「それは構わないが、武昭の方は予定とか無いのか?」

 

「特に無いよ。あるんだったら最初から、こんな提案はしないよ」

 

「それも、そうか……それで武昭に聞きたい事があるのだが………」

 

「あぁ、あの人なら楽しそうに研究をしてたよ。アソコにあったデータを使ってな」

 

「何か済まないな、あの人が迷惑を掛けてるみたいで」

 

「別に迷惑なんか掛けてないよ。あの人は誰かに認めて欲しかっただけだったんだ……

それで、俺がここに来たんだ………」

 

「だが、武昭はそれで良いのか?お前は………」

 

「それで良いんだ……俺がここに居る事で誰か救えるなら、それが俺のする事だ。

さてと、そろそろ昼休みが終わるぞ」

 

「武昭………」

箒は屋上から出て行く武昭の背中を見ていた。

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

全国大会の当日……

 

「ふーん、次の試合に勝てば箒が決勝に進めるのか」

 

〔箒ちゃんなら間違いないよ!私の妹なんだから!!〕

武昭は観客席で箒の試合を撮影して束に送っていた。

 

「けど、束さんは目の前で見たかったんじゃないですか?」

 

〔うん、タッくんの言う通りだよ。

けど、私が試合場とかに居たら箒ちゃんの迷惑になるから、私は、これだけで充分だよ……」

 

「束さん………大丈夫ですよ。いつかは箒と一緒に居られますから……」

 

〔タッくん……うん、そうだね!!〕

 

「ほら束さん 箒の試合が始まりますよ」

 

〔箒ちゃーん!頑張ってー!!〕

束は箒の応援をしていたが、その瞳からは一筋の涙が流れているのを武昭は見て見ぬ振りをしていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

準決勝の試合が終わって箒は医務室に来ていた。

 

「くっ……あそこで足を滑らせなければ」

 

「けど、それでも勝ったから箒は凄いじゃないか」

 

「だけど、その足じゃ次の試合は無理だな」

 

「なっ!?この位何ともありま、くっ⁉︎」

 

「箒!無理はするな!」

立とうとした箒が転倒しそうになったのを武昭が慌てて支えた。

 

「ほれ、普通に立つ事も出来ないのに剣道なんか出来る訳ないだろう?

決勝は諦めて早く棄権した方が良いぞ」

箒は武昭に支えながら医務室を出た。

 

「箒、このまま棄権の手続きに行くぞ」

 

「いや、私はこのまま試合に出る………」

 

「なっ!先生が言った事を聞いてなかったのか!?そんな足で戦える訳無いだろ!!」

 

「分かっている!だが私はどうしても出たいんだ………

私がこの大会に出たのは姉さんのせいなんだ……」

 

「束さんのせい?どういう事だ」

 

「武昭に話したが私は姉さんのせいで今の生活をする事になったんだ。

それで私は、その鬱憤を晴らす為に、この大会に出たんだ……

だが、武昭のお陰で姉さんの思いが分かって これで優勝出来れば私が変われると思ったんだ。」

 

「箒………そんな風に思ってたのか」

 

「だから、私はどうしても決勝に出て優勝したいんだ!!」

箒の思いを聞いた武昭は頭を掻いていた。

 

「はぁ、そこまで言うなら俺も止めはしないよ。

だけど、少しばかり手を貸させてもらうぞ」

武昭は箒を傍にあった長椅子に座らせた。

 

「武昭、一体何をする気だ?」

 

「あぁ、箒が試合に出れる様にするんだ」

武昭は服のポケットから軽い応急処置キットを取り出すと箒の足に新しくテーピングし直した。

 

「よし、これで立てる筈だ」

 

「おぉ、少し振動は感じるが、さっきまでとは痛みの感じ方が違う」

 

「テーピングで捻挫した箇所をガチガチに固めたんだ。これなら一試合くらい平気な筈だ。

けど、コイツはあくまで応急処置の延長に過ぎない、だから試合が出来るのは………」

 

「そうか……分かった、その時間内に決着をつけてみせよう」

武昭から時間制限を聞いた箒は会場に向かった。

 

 

 




はい、今回はここまでにしたいと思います。

今回の話では箒の剣道の大会の話にしました。

次回も楽しみにしてください。


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第18話 試合 後編

剣道大会の決勝戦………

 

箒は決勝戦の相手と相対していたが面の中では足の具合を確認していた。

 

(武昭がしてくれた処置は足の固定を強くして負担を掛かりにくくしただけだと言っていた

逆に言えば、それだけ今までの足さばきが出来なくなった………

そして、痛み止めも感覚を感じれる最低限しかしていない、つまり痛みが来たら終わりだ……)

箒が、そう考えてると試合が開始された。

 

一方、観客席では武昭が試合を見ていた。

 

「やっぱり、準決勝までの動きとは何処か違いますね」

 

〔剣道において足さばきは、それなりの割合を占めてるからね〜〕

 

「けど、箒は負けませんよ束さん」

 

〔えっ?それってなんでなの?タッくん〕

 

「確かに、剣道に限らずあらゆる武道やスポーツに関してケガが無い事が当たり前です。

けど、俺はある人から前に聞かされたんですよ」

 

〔何を聞かされたの?〕

 

「どんなに体がボロボロだとしても、思いや……信念など……そういった

自分の心が諦めない限り、どんな時でも前に進む事が出来る……ってね」

 

〔自分の心が諦めない限り前に進む事が出来る……か。

タッくん、私もISに託した思いを叶える事が出来るかな?〕

 

「出来ますよ束さん。今の束さんは1人じゃないんですから」

 

〔タッくん……うん!ありがとう!!〕

 

「おっ、俺たちが話してる間に最後の試合が始まりましたよ」

武昭が会場に目を向けると箒が試合をしていた。

 

 

 

(ハァハァ……何とか一本は取ったが、やはり決勝戦まで来る相手だけあって

私も一本取られた………それに、足にも痛みが来たか………)

箒は三本目が始まる頃には処置が切れていた。

 

(このままなら私が負けてしまうのか……いや、私がここで諦めてしまっては……

今までと変わらないではないか……姉さんは私をいつも見てくれていた………

そして、武昭は、こんな私のそばに居てくれた………だからこそ!)

 

「?箒の雰囲気が変わったか……」

 

〔え?そうなの?タッくん〕

 

「えぇ、今の箒は痛み止めが切れて痛みがある筈です。けど、それ以上に自分の心にある思いが

上回ってるんです。ほら、その証拠に……」

武昭が視線を移すと箒が相手を倒して優勝した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

大会が終わって………

 

「箒、よく、その足で優勝出来たな」

 

「あ、あぁ……だが、すまないな武昭………こんな事をさせて……」

箒は武昭にオンブをされて帰宅していた。

 

「気にするなよ、俺がしたくてしてるんだから。

それに、こうしてると箒の暖かさや柔らかさを感じれるからな」

 

「なっ!?貴様!そんな考えなら降ろせ!!自分で歩いていく!!」

 

「ちょっとした冗談だから無理はするなよ、あれだけの試合をしたから歩くのもキツイだろ」

 

「それは、そうだが……これ以上変な考えをするなら治った時を覚悟していろ」

 

「はいはい、覚悟してますよ。箒、優勝おめでとうな」

 

「あぁ、ありがとうな武昭……(いつ以来だろうな、こうやって他人の暖かさを感じるのは……)」

箒は武昭の背中で眠りについたが、その寝顔は優しく微笑んでいた。

 



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第19話 決別

武昭が箒と知り合ってから日時が経ち、終業式が終わって下校中……

 

「そういや、箒は夏休みはどうするんだ?」

 

「私か………特に予定は決まって無いな。部活の方は自主練をするから出る事も無いんだ

武昭の方こそ、どうなんだ?」

 

「俺も似た様な物だな……まぁ軽く何処かに行く位はするけどな」

 

「何処に行こうと考えてるんだ?」

 

「うーん、海外にしようかなってフランスとか」

 

「そうなのか………武昭は良いな、自由に行動する事が出来て……」

話していた箒の表情が落ち込んだ事に武昭は原因に気付いた。

 

 

「箒……(そうか、箒は政府から監視をされてるんだっけ……)ん?

なぁ、箒が監視を受けてるのは束さん絡みなんだよな?」

 

「そうだ、アイツらは何時姉さんが私に接触してくるか監視してるんだ」

 

「だったら、束さんが政府に何か言えば箒は普通の生活が出来るんじゃないか?」

 

「なっ!?確かに武昭の言う通りだが……

そんな事をしてもアイツらは何らかの理由をつけて私のそばから離れる事はしないだろう……」

 

「大体、理由は分かるよ。 だから、ここから先は俺に任せてくれ」

 

「武昭………だが、これは私達家族の問題であって、お前には関係が無い事だ……」

 

「そうだな、箒の言う通りだ。 けどな、目の前で友達が落ち込んでるのは見たくないんだよ」

そう言った武昭は真っ直ぐに箒を見た。

 

 

「武昭……(そう言えば、武昭がいたから私は姉さんの思いを知る事が出来た………

そして、憎しみだけで振るっていた剣も今では前へ進む為に振る事が出来る様になった………

それは全部、武昭のお陰だ……)」

 

「箒………泣きたいなら好きなだけ泣いて良いんだぞ………俺は何も見てないから」

 

「え?あっ……いつの間に涙が……悪いが、少し背中を貸してくれ………」

自分が泣いている事に気付いた箒は武昭の背中で顔を隠す様にすると、そのまま声を殺して泣いた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

夏休みに入って数日後………

 

武昭は箒と一緒にとあるビルの一室で政府の人間に会っていた。

 

「珍しいですね、貴女の方から連絡が来るとは」

 

「はい、実はお話したい事がありまして………私についているSPの人達を外してほしいんです」

 

「えっと……貴女は何を言っているか分かってるんですか?

私達は貴女方家族に危険が及ばない為にしているんですよ?」

 

「正直に言ったらどうですか?そんなのは建前で本当は篠ノ之束博士と関係を持って

自分達が上に行く為に箒のそばに居るって?」

 

「なっ!?何を言ってるんですか!! 大体、なぜ部外者の貴方がここに居るんですか!!」

 

「俺は箒の友達だからですよ。それに、それだけの証拠もあるんですよ」

武昭はポケットからUSBを出してパソコンに差し込むと彼等と上司との話してる映像が流れた。

 

その映像には何時まで経っても束が箒に接触してこない事に腹を立てた上司が彼等にどんな事を

してでも良いと命令している所だった。

 

「コイツは“ある人“に頼んで調べてもらった物です。 これが公になったら、アンタらは、もう終わりです」

武昭がUSBをポケットにしまうと1人が拳銃を頭に突き付けた。

 

 

「死にたくないなら、そいつを渡してもらおうか」

 

「武昭!!くっ!」

 

「篠ノ之さん、私達は貴女を傷付けるつもりはありません………

ですが、貴女が抵抗するなら、大切なお友達の命が散りますよ?」

 

「箒、安心しろ、俺は簡単には死なないよ」

 

「ほう、この状況で、その様な口を叩けるとは貴方は分かってないみたいですね?」

 

「分かってないのは、アンタ達の方だよ。こんな所に来るのに何もしてない訳ないだろ!

箒、こっちに来い!!」

武昭は拳銃を突き付けた人物に裏拳を入れると、箒を連れて窓際に逃げた。

 

 

「あの一瞬で、そこまで出来るとは、貴方もかなりの腕前ですね。

ですが、逃げる場所を間違えましたね?」

 

「別に間違えた訳じゃないですよ、普通に逃げる為にコッチに来たんですよ」

 

「まさか、そこの窓から飛び降りるんですか?どうやら、ここを1~2階の高さとかん違いしてる様ですね。

ここは30階建ての18階ですよ?こんな所から飛び降りたら落ちたトマトみたくなりますよ」

 

「さっきも言った筈ですよ、俺だって、それなりの用意はして来てるって。

(箒……俺はこれから危険な事をするけど、構わないか?)」

 

(武昭……私はお前に会ってから、他人を頼るという事をする様になったんだ……

だから、武昭がしたい事をしろ!)

武昭と箒は小声で話していると政府の人間が銃を撃ってきた。

 

 

「何を話してるかはわかりませんが、このまま始末してあげますよ!」

 

「へっ!自分達の為に箒を傷付けようとする奴らなんかにやられる訳にはいかないんだよ‼︎」

 

「なっ!本当に飛び降りただとっ!?アイツはどうなっても良いが篠ノ之箒だけは確保しろ!!」

武昭が箒を抱き抱えて、そのまま背中から飛び降りたのを見て政府の人間は驚いた。

 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

一方………

 

「武昭!これから、どうするんだ!?」

 

「言っただろ?俺だって何も用意しないであんな奴らと会いに来る訳ないだろ

来いっ!グリッタースロットル!!」

 

「あっ!あれは武昭のバイクではないか!!だが……何故、勝手に走っているんだ?」

箒が見たのは誰も乗ってないバイクが走ってる姿だった。

 

「グリッタースロットルにはオートパイロットが付いてるから俺がいなくても自動操縦が

可能なんだよ。 そして他にも色んな機能があるんだ。グリッタースロットル!フライヤーフォーム!!」

 

「今度はバイクに翼が出来るとは………」

 

「活動する場所によっちゃ、これ位ないとダメだったからな………

箒、ちょっと体勢を変えるぞ」

 

(なっ!?こ、これはお姫様抱っこという物ではないか!?)

箒は武昭がバイクに乗り込む為にお姫様抱っこをされて顔を赤くしていた。

 

 

 




はい!今日は、ここまでにします。

今回は箒の要人保護プログラムの話でしたが、凄くオリジナル設定にしています。

多分ですけど、束さんが何かを言えば政府もいう事を聞くと考えて

今回の話を執筆しました。

それでは次回をお楽しみにしててください。


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第20話 夏休み Part.1

武昭と箒が政府の人間と話してから数日後………

 

束から政府の方にある映像が送られた。

 

〔君達が私の大切な人達に酷い事をしたのは、もう知ってるんだよ〜?

だから、箒ちゃんの警護は私が一番すっごく信頼してる、タッくんにお願いするからねぇ〜

もし、それを邪魔しようかとするなら、日本にある全てのISを停止させるから〜

じゃあね〜〕

 

それを見た政府の人間は箒の警護に着いていた人物達をすぐに解雇して束の言う通りにした。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

夏休みに入って数日後………

 

「よしフランスに着いたか。箒、大丈夫か?」

 

「あぁ、特に問題は無い。だが……まさか初めての海外に来る方法が“コレ”とは思わなかったぞ」

武昭と箒はフランスのとある海岸に来ていたが、その近くには一台の小型飛行機が合った。

 

「コイツは束さんが俺のダグビーグルを参考にして作った奴でな。

ただ、融合合体は出来ないから普通に乗るだけなんだ。」

 

「そうなのか………だが姉さんならいずれ、それが出来る物を作りそうなんだが……」

箒の言葉を聞くと武昭と箒は少し黙り込んだ。

 

「ま、まぁ、それはそれとして、早く観光に行くか」

 

「そ、そうだな。時間も限られてるからな」

武昭と箒は自分達が考えたのを無くす様に、その場から離れた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

海岸を離れた二人は近くに合った街に来ていた。

 

「そう言えば、フランスに来たのは良いが、私はフランス語など話せないぞ?」

 

「心配するな、俺が話せるから。そうじゃなかったらフランスに行こうなんて言わないよ」

 

「そうだったのか、ではまずは何をするんだ?」

 

「そうだな……最初は何か食べるとするか。箒は何かリクエストがあるか?」

 

「リ、リクエストなど急に言われても……強いて言うなら、サッパリした物が食べたいな」

 

「あぁ、じゃあレストランを探すか……」

二人は街中でレストランを探し始めた。

 

●●●●●●●●●●●●●●●

 

暫くしてレストランを見つけた二人は食事を終えて観光をしていた。

 

「結構な量が合ったけどサッパリしてたから、普通に食えたな」

 

「そうだな、だが殆どは武昭が食べたではないか」

 

「まぁな、けど箒が満足したなら俺は構わないよ」

 

「そ、そうか……(武昭は普通にその様な事を言うから照れるではないか)」

武昭に笑顔で感想を言われた箒は顔を赤くしていた。

 

「ん?顔が赤いけど、体調でも悪いのか?」

 

「なっ!?い、いや何でもないから気にするな!!」

箒は赤い顔をしたままツカツカと先に進んでいった。

 



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第21話 夏休み Part.2

機嫌を直した箒が武昭と歩いていた時………

 

「おっと。箒コッチは俺が拾うから……」

 

「あぁ、任せてもらおう」

目の前にいた少女の買い物袋が破けて食材が転がってきたので2人が拾った。

 

「すみません、ご迷惑をお掛けして」

 

「いえ、困ってる人を助けるのは当たり前の事です。

それよりも、これを1人で持ってくのは無理だと思うんですけど」

 

「あっ、そっかぁ………新しい袋も無いし……」

 

「だったら俺たちが一緒に運びますよ。箒も良いか?」

 

「あぁ、フランス語は分からないが武昭がしたい事はわかるぞ」

 

「そんな!初対面の人達にご迷惑をかける訳にはいきません!」

 

「だったら……俺から一つ提案があるんだけど………」

武昭は少女にある事を提案した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

少女の家で………

 

「お母さん、ただいま」

 

「お帰りなさいシャルロット………あら?その人達は……」

帰ってきた少女に母親が帰宅の挨拶をした時に後ろにいた武昭と箒に気がついた。

 

「あぁ、この人達は私が荷物を落としたのを拾ってくれたんだ」

 

「そうだったんですか、私はシャルロットの母のセレナ・キィムンと言います」

 

「私はシャルロット・キィムンです」

 

「俺の名前は広瀬武昭です」

 

「私は信濃箒と言います」

 

「ご丁寧にありがとうございます、見た所お二人は日本人の様ですが、何故フランスへ?」

 

「特に理由は無くて、日本では学校が夏休みなんで旅行に来ただけです」

 

「それで、明日私が武昭達に観光スポットを案内するんだ」

 

「あら、そんな事を頼まれたのかしら?」

 

「えぇ、私達では行かない様な所も地元の人なら知ってると思いますので」

 

「私が迷惑を掛けたから、そのお礼にって提案されたんだ」

 

「俺がシャルロットに言ったんですよ、何処か面白い所は無いかって」

 

「そうだったの………それなら貴方達はココに泊まっていったらどう?」

 

「いえ、そこまでお世話になる訳にはいきません」

 

「それに私達の泊まる場所も、ちゃんとありますので」

 

「けど……泊まった方が明日も早く案内出来るんだけどなぁ……」

 

「部屋もお二人が泊まるだけでも空いてるのよ」

 

「うーん、そこまで言われるのに断るのも悪いんで泊まらせてもらいます」

 

「せっかくの好意を無碍にする訳にもいかないからな」

武昭と箒はシャルロットの家に泊まる事になった。

 

●●●●●●●●●●●

 

その日の夜………

 

「レストランで食べたのも美味しかったけど、こういう家庭料理も美味しいな」

 

「あぁ、私にはコチラの方が口に合う」

 

「そっか、武昭達の口にあって良かった」

 

「シャルロットは料理が上手なのよ、どんどん食べてね」

セレナは武昭と箒がシャルロットの作った料理を食べて喜んでるのを見て笑っていた。

 

 




今回は、武昭達とシャルロットの出会いにしました。

ちなみに、時系列的にはシャルロットはまだ父親に引き取られてないので母親と一緒にいる設定にしました。

それと2人のキィムンという姓はフランス語の人名を調べて、その中から選んだ物です。

それでは、次回も楽しみにしてください。


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第22話 夏休み Part.3

武昭達がシャルロットに会った次の日………

 

「へぇ、こんな所があったんだな」

 

「あぁ、ガイドブックでも見た事が無いぞ」

 

「それは、そうだよここは地元の人位しか行かない場所だからね」

シャルロットの案内で武昭達が観光をしていた。

 

「そう言えば、少し気になったんだけど………武昭と箒って恋人同士なの?」

 

「うなっ!?な、何を言ってるんだ!!」

 

「別に俺と箒は恋人同士なんかじゃないよ。クラスメイトで友達だよ」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

「それに箒は可愛いから俺には勿体無さすぎるよ」

 

「あ……私が……可愛い……」

 

「アハハ……だったら私が立候補しようかな?」

 

「それは嬉しい申し出だけど、シャルロットも可愛いから俺なんかより良い相手に会えるよ」

 

「ハハハ、私も可愛いんだ 嬉しいな(武昭って、そういう事を普通に言えるんだ)」

 

「ん?箒、シャルロット、二人共顔が赤いけどどうかしたのか?」

 

「「ううん、何でも無い(よ)……」」

 

「まぁ、そういうなら良いけど……そろそろ昼にでもしないか?」

 

「そ、そうだね、だったら向こうに行こうよ安くて美味しい店があるんだ」

 

「シャルロットの案内なら問題はないからな」

シャルロットの案内で武昭達は昼食を食べに向かった。

 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

時間が経って日が差してきて……

 

「うん、楽しい一日だったな」

 

「あぁ、シャルロットのお陰で普通では体験出来ない事が出来たよ」

 

「ううん、私がした事は街を案内しただけだよ」

 

「それが良いんだよ、シャルからすればいつも過ごしてる場所かもしれないけど

俺達みたいな旅行者からしたら、それが面白いんだ」

 

「うむ、海外の人が日本に来ても私達が普通に過ごしてる場所を行きたいと

TVで聞いた事がある」

 

「へぇ、そうなんだ………それよりも今、武昭は私の事をシャルって呼んでたけど……」

 

「ん?あぁ、シャルロットって少し長いからアダ名みたいな感じで付けたんだけどダメだったか?」

 

「ううん、全然ダメじゃないよ!ただ、そう呼ばれたのが初めてだったから……」

 

「そっか、良かった」

 

「では私もシャルと呼んでも構わないか?」

 

「うん!良いよ!!」

 

「それに今日もシャルの家にお世話になるなんてな」

 

「お母さんだって気にしないでって言ってるんだから」

 

「武昭、そんなに断っていては逆に悪いのではないか?」

 

「確かに箒の言う通りだな」

 

「お母さんただいまー………お母さん!?」

皆がシャルの家についてドアを開けるとセレナが倒れて意識が無かった。

 

「お母さん!どうしたの!?」

 

「シャル!あまり動かすな!頭をうってるかもしれないんだ!!」

武昭はセレナに駆け寄ろうとしたシャルを止めるとセレナの具合を確認した。

 

「脈拍、心拍数は共にあるけど、呼吸が少ない、それに意識が無い……ん?」

 

「武昭、セレナさんはどうなんだ?」

 

「うん……呼吸・意識は共にないけど、脈拍と心拍数はあるから暫く休ませれば目を覚ますよ」

 

「そっか……良かった……本当に良かった……」

シャルが泣いていると箒が優しく抱きしめた。

 

「確かに暫く休めば目を覚ますよ、けど……」

 

「武昭、どうかしたのか?」

 

「あぁ……シャルに聞きたいんだけど、最近セレナさんの様子にいつもと変わった所は無かったか?」

 

「いつもと変わった所って………そう言えば近頃は余り食事して無かったかな?」

 

「そうか………シャル、ここから近い病院は何処にある?」

 

「一番近い場所なら車で30分位の所にあるけど……まさか、お母さんは何かの病気なの⁉︎」

 

「いや、まだそうとは限らない、俺の素人判断で見ただけだからな。

それで、車は何処にあるんだ?」

 

「家には車は無いよ、お母さんは免許を持って無かったし私もまだ………」

 

「仕方ない……箒「私の事は気にするな、武昭がやりたい事をしてくれありがとうな箒

悪いがシャル、セレナさんをある所に運ぶから一緒に来てくれ」

 

「う、うん、私は構わないけど、何処に行くの?」

 

「ある意味、病院よりも凄い所だよ」

武昭はセレナに負担が掛からないように抱き上げると、そのまま家を出て行き

箒とシャルもその後をついて行った。

 

 

 

 



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第23話 夏休み Part.4

武昭と箒はシャルとセレナを連れてダグキャリーに来ていた。

 

「ウワァ……武昭に言われて着いて来たけど、ここって一体?……」

 

「まぁ、話は後で武昭に聞くと良い」

 

「よし、セレナさんをここに寝かせて………〔束さん、武昭ですけど今、大丈夫ですか?〕」

武昭がキャリー内の部屋に来て室内に合った台にセレナを寝かせると束に通信を入れた。

 

〔はいはーい、タッくんからの連絡ならいつでも構わないよー〕

 

「〔ありがとうございます、実は束さんにお願いがあるんです〕」

武昭は束に事情を話した。

 

〔そうなんだ……ちょっと待っててね、今、そっちに行くから〕

 

「とりあえずは束さんが来るまで待ってるか………そうだ二人共何か飲むか?

まずは落ち着かないとな……」

 

「私はあれば日本茶が欲しいのだが………」

 

「あっ、私は出来たらカフェオレが飲みたいんだけど」

 

「日本茶にカフェオレか、確か合ったな、淹れて来るから、そっちで座ってろ」

武昭が飲み物を用意しに行くと箒とシャルは近くに合ったイスに座った。

 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

暫くすると武昭が飲み物を用意して戻ってきた。

 

「箒はお茶でシャルはカフェオレだったな、足りないと思ったら砂糖とミルクを入れてくれ」

 

「うむ、すまないな」

 

「ありがとう武昭……うん、美味しいよ それで武昭に聞きたいんだけど………」

 

「ここの事だろ? ここはダグキャリーって言って、俺の持ってる秘密基地……みたいな物だな」

 

「秘密基地って……武昭は何者なの?」

 

「あぁ、俺は……〔トライダグオン〕こういう事だ」

武昭が変身した姿を見たシャルロットはある事を思い出した。

 

「それって………前にイギリスに現れたって新聞に載ってたダグオン?」

 

「そうだ、俺はダグオンのグリッターアキ 広瀬武昭だ」

武昭の正体を聞いたシャルは驚きの表情を浮かべた。

 

「まさか武昭が噂のダグオンだったなんて、じゃあ箒も……」

 

「いや、私は関係者……が一番当てはまるな」

 

「とりあえず俺の事はここまでにして、今はセレナさんの事だ」

 

「そうだよ!なんで武昭は母さんをここに連れて来たの!?」

 

「まぁ、落ち着けシャル。もうすぐ俺が呼んだ人が来るから……来たか」

 

「はーい!タッくんに呼ばれて束さん参上だよー!!」

武昭が席を外したと同時に部屋に束が入って来て武昭に飛び掛ったが、そのまま受け止めた。

 

「束さん、そんなに慌てたら危ないですよ?」

 

「大丈夫だよ!束さんはタッくんを信じてるから!!」

 

「信頼してくれて、ありがとうございます、それで束さんを呼んだのは彼女の事なんです」

そう言った武昭は部屋に合ったモニターにセレナを映し出した。

 

「まだ“コレ”だって確信が持てないんで束さんにも診てもらおうかと」

 

「そうなんだ、じゃあちょっと待っててね」

束は近くに合った機械を操作した。

 

その結果………

 

「うーん、どうやら彼女の体内には幾つかの腫瘍があるみたいだね」

 

「やっぱり、そうでしたか………」

 

「嘘………そんなの嘘だよ!なんで医者でもない武昭はそれがわかったの!?」

診察結果を聞いたシャルは武昭に詰め寄った。

 

「前にいた所で同僚が同じ症状が合ってな、それでもしかしたらと思ったんだ」

 

「それで武昭、セレナさんの体は助かるのか?」

 

「箒ちゃん、この篠ノ之束さんが居るんだよ?

伊達に“天災”なんて呼ばれてる訳じゃないのを見せてあげるよ!!」

 

「えっ?篠ノ之束って……もしかしてISを作ったって言われてる、あの………」

 

「その通り! 私こそが篠ノ之束だよ!!」

束はエヘンと胸を張った。

 

「それで箒ちゃんの質問の答えだけど……問題無いよ。

タッくんが早めにダグキャリーに連れて来たから完治するよ」

 

「本当……に?本当に……良かった……ありがとう武昭……」

シャルが泣き崩れたのを武昭は黙って優しく抱き締めた。

 

 

 



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第24話 案内 (シャルロット編)

束がセレナの治療を開始したのと時を同じくして武昭は二人にダグキャリー内の案内をしていた。

 

「こっちが居住スペースで向こう側は訓練施設とかだな」

 

「へぇー この中って、そんなに広いんだ」

 

「あぁ、私も武昭と知り合ってから何回かは来ているが未だに全部把握していないんだ」

 

「まぁ、この中を俺が全部把握したのは数ヶ月掛かったからな」

武昭の説明を受けたシャルは感心し、箒は苦笑していた。

 

●●●●●●●●●●●●

 

その後、武昭はシャルを泊める部屋に案内していた。

 

「それでシャルは暫くの間、この部屋を使ってくれ」

 

「ウワァ……凄い豪華だけど本当に良いの?」

 

「シャルもセレナさんの事が心配だろうだから、これ位は問題無いよ」

 

「武昭……うん、わかったよ、ありがとう。

そう言えば、箒は何回か来てるって言ってたけど、箒の部屋もあるの?」

 

「あぁ、私の部屋はここからは近いんだ」

 

「どんな部屋か見てみたいんだけど、良いかな?」

 

「私は構わないが、何も無い普通の部屋だぞ」

 

「それでも良いよ。私のいた村じゃ同い年の女の子って居なかったから

他の人が、どんな感じなのか興味あるんだ」

 

「そうか………ならば、案内しよう。武昭も来るか?」

 

「別に二人が良いって言うんなら行くよ」

武昭とシャルは箒の部屋に向かった。

 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

「ここが私の部屋だが、そんなに面白い物は無いぞ」

 

「ふわぁ〜 ねぇ!武昭!これが日本の畳って奴なの!?」

 

「あ、あぁ、箒の部屋は和室が良いって言ったからな」

武昭は目をキラキラさせたシャルに詰め寄られて戸惑っていた。

 

「私は昔から道場が有る家で過ごしてたからな、こうして変えさせてもらったんだ」

 

「武昭!だったら私の部屋も箒みたく和室っていうのにしてよ!」

 

「それは簡単だから構わないけど……和室は慣れないと過ごし辛いぞ?」

 

「そうなんだ……けど、私は凄く日本文化に興味あるんだ………」

シャルが落ち込んでると箒が意見を出した。

 

「武昭、部屋を和室と洋室に分ける事は出来ないのか?」

 

「あぁ、その手が合ったか……まぁ出来るけど、少し時間が掛かるんだよ」

 

「私は構わないよ。憧れの和室で過ごせるんだもん」

 

「そうか、だったら部屋の模様替えをするか。その間に二人はお風呂にでも入って来いよ」

 

「わかった、悪いがお言葉に甘えさせてもらうよ。シャル行くぞ」

 

「うん、武昭、ゴメンね変な事を頼んだりして………」

 

「別に構わないよ、俺がやりたくてやるんだからな」

武昭はシャルの部屋の模様替え、箒とシャルは浴室とそれぞれの場所に向かった。

 




はい、久し振りにこの小説を更新しました。

今回の小説では吹き出しの前の名前の一文字を無くして執筆しましたが

もしも、コッチが良いなら、これからはそうしたいと考えています。

良かったら皆さんの意見を聞かせてください。

それでは次回をお楽しみにして下さい。


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第25話 気付いた気持ちと……

シャルロットがダグキャリーに連れて来られて数日経った頃……

 

「ねぇ武昭、一度家に帰って掃除とかしたいんだけど良いかな?」

 

「ん?別に構わないぞ」

 

「では、私も手伝いに行くか?」

 

「う、ううん、私と武昭だけで大丈夫だよ。そんなに広くないし」

 

「シャルがそう言うなら俺と二人で行くか」

 

「そうだよ、行こうよ武昭」

シャルロットは武昭の手を引いてダグキャリーの外に出て行った。

 

「うむ……何故シャルは武昭だけと行ったのだ……?」

箒はシャルロットの行動を考えていた。

一方……

 

「シャル、向こうの部屋は終わったぞ」

 

「うん、ありがとう武昭 なら休んでて良いよ」

 

「いや、お世話になったから俺に手伝える事があるなら何でも言ってくれ。

出来る範囲でやらせてもらうから」

 

「武昭が出来る範囲で………あっ………」

シャルはある事を考え付いて顔が赤くなった。

 

「シャル?どうしたんだ?顔が赤いけど」

 

「ふぇっ!?な、何でも無いよ!!キャッ!?」

 

「シャル!危ない!!………ふぅ、大丈夫か?」

 

「だ、だ、だ、大丈夫だよ!武昭!!」

シャルが転びそうになったのを武昭が支えたが

その勢いでシャルが武昭を押し倒した様な体勢になっていた。

 

(うわぁー………こうしてると武昭の体温とか匂いを凄く感じれるよぉー!)

 

「シャル、本当に大丈夫か?何処か痛めたりしてないか?」

 

「武昭、心配してくれてありがとう………(今なら………)

ねぇ、話したい事があるんだけど良いかな?」

 

「良いけど、まずは「このままでさせて」分かった(なんだ?この感じは……)」

武昭が体を起こそうとしたがシャルの言葉で、そのままになった。

 

「前に武昭が言ってたけど、箒とは付き合って無いんだよね?」

 

「あぁ、俺と箒は学校のクラスメイトなだけだ」

 

「そうだったね………じゃあ………私が武昭を好きになっても良いよね?」

 

「シャル………以前にも言ったがシャルには俺なんかよりも「ううん、私は武昭が好きになったの……

武昭じゃないとダメ………」そこまで俺の事を………」

武昭はシャルの目に真剣な思いを感じた。

 

「シャル……俺がそれを答える前に話しておきたい事があるんだ………

俺……【広瀬武昭】と言う人間についてだ………」

武昭はシャルに自分が一度命を落として、この世界に転生した事を話した。

 

「そんな事が………普通なら信じない事なんだけど……武昭のアレを見たら信じざるを得ないね」

 

「信じてくれてありがとうなシャル。それで俺の返事だけど………

それは、今はまだ待っててくれ……これから先、どうなるか分からないから………」

 

「武昭………うん分かったよ………だったら一つだけ良いかな?

私を………抱き締めてくれる?」

 

「あぁ、それぐらいなら構わないぞ………」

武昭は優しくシャルを抱き締めた。

 

その後、作業を終えた二人はダグキャリーに帰ったがシャルの雰囲気が変わっていた事に箒が

頭を捻っていた。

 

 



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第26話 再会

武昭とシャルロットの距離が近くなってから、少し経ったある日の事……

3人は束に呼ばれてある部屋の前にいた。

 

「ねぇ、どうして束さんは私達を呼んだのかな?」

 

「俺は聞いてないけど、箒はどうだ?」

 

「いや、私も聞いてないんだ」

 

「まぁ、中入れば分かるだろ。束さん、俺ですけど……」

 

〔あっ、皆来たんだ。部屋に入ってきてくれるかな?〕

武昭は束の指示通りに部屋に入った。

 

すると………

 

「えっ?………お母……さん………」

 

「そうよ シャルロット」

室内には元気な姿のセレナが立っており、それを見たシャルロットは抱きつくと胸の中で泣いていた。

 

「なるほど、セレナさんの病気が治ったから俺たちを呼んだんですか」

 

「うん、今朝に治療が終わったんだ。ちょっと横になってたのが長かったから

筋力が回復するまでに少しかかるけどね」

 

「けど、治って良かった……」

2人の様子を見ていた箒は感動して泣いていた。

 

「ほらほら、今だけは親子だけにしてあげようよ」

束に促されて武昭と箒は部屋を出た。

その後武昭達はダグキャリー内に設営された喫茶室にいた。

 

「ほら、箒 ハンカチで涙をふけよ」

 

「あ、あぁ、すまないな……だが、本当に良かった……」

 

「それで、タッくんに、お願いしたい事があるんだけど〜〜」

 

「別にセレナさんをダグキャリーに住まわせたいなら構いませんよ。

けど、それはセレナさんが希望したらですけど……」

 

「えぇ、私が束ちゃんに頼んだの」

声がした方を向くとシャルロットとセレナが立っていた。

 

「セレナさん、動いて平気なんですか?」

 

「歩くくらいなら、それほどでもないわ………

それに、シャルロットがそばにいてくれるから」

 

「お母さん、ここに座っててよ、何か飲み物を持ってくるから」

 

「えぇ、分かったわ。それで私がここに住む事だけど……」

 

「セレナさんが良いなら構いませんよ」

 

「ありがとう武昭君、だってね前に束ちゃんの食事を見た事があるんだけど……

何か変な色のドリンクと数粒のタブレットだったのよ?」

 

「だけど、あれはちゃんと栄養価を考えてあるし、食べたら数日は寝なくても……」

 

「ダメよ………ちゃんとした食事をしないと……私が作ってあげるから………ね?」

反論した束はセレナの迫力で青い顔になりながら了承していた。

 

「まさか、あの姉さんが他人の言う事を聞くなんて……」

 

「アハハ、お母さんて怒るとすごい怖いんだ………」

 

「まぁ、セレナさんには逆らわない方が良いって事か……」

武昭の言葉を聞いた箒とシャルロットは冷や汗を流しながらうなづいていた。

 




今回はここまでにします。

それでは。


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第27話 三角関係?………

セレナがダグキャリーに住み込む事になって………

 

「皆ー!ご飯が出来たわよー!!」

 

「すみませんねセレナさん、病み上がりの人にこんな事をさせて」

 

「気にしないで 武昭君と束ちゃんのお陰で病気が治ったんだから」

 

「お母さん、これも運んで良いんだよね?」

 

「姉さん 早く座らないと先に食べますよ」

 

「分かったよ箒ちゃん」

その日の夕食はキャリー内にいる全員でする事になった。

 

「うん、やっぱりセレナさんの料理は美味しいですね」

 

「ほら束ちゃん!好き嫌いしないで野菜もちゃんと食べなさい!」

 

「箒、そっちの料理を取ってくれる?」

 

「あぁ、これだな なら、そっちの料理をくれないか?」

 

「セレナさんの料理は美味しいけど、野菜はちょっと………」

皆は思い思いに料理を食べていた。

 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 

夕食を終えて………

 

「よしっ、これで洗い物は終わりっと」

 

「すまないな武昭、洗い物をさせてしまって」

 

「気にするなよ、箒達はセレナさんと一緒に夕食を作ってくれたんだから」

 

「うん、セレナさんの診察は終わったよ。結果としては腫瘍は全部消失してるね」

 

「ありがとうございます、束さん」

 

「お礼を言われる様な事じゃないよ、タッくんに頼まれただけなんだから」

 

「そうね……私達は武昭君に会えたから、こうして話す事が出来てるのよね……」

皆が、それぞれで話していると武昭がある事に気付いた。

 

「なぁ箒、そういや夏休みって、そろそろ終わりじゃないのか?」

 

「うむ、確かにそうだな、残り5日と言ったところだ」

 

「そっか……そろそろ2人と離れ離れになるんだ………」

武昭と箒の予定を聞いたシャルは落ち込んでいた。

 

「シャル……うーん、あっ そうだ これを渡しておく」

 

「えっと、これって……武昭が持ってるのと同じブレスレットだよね?」

 

「あぁ、そのダグコマンダーがあれば自由にダグキャリーに来れるし

いつでも、俺と通信が出来るんだ。

もっとも、ダグテクターは収納されてないから変身は無理だけど………」

 

「ううん!それでも構わないよ!これでお母さんといつでも会えるんだから!!

(それに、武昭と話したい時に話せるし………)」

武昭からダグコマンダーをもらったシャルは嬉しそうに持っており

それを見た箒は機嫌が悪かった。

 

「(むぅ、シャルだけ貰ってズルいではないか………)武昭、私にも、それをくれないか?」

 

「別に予備はあるから構わないけど、箒は俺が居るから自由に来れるぞ?」

 

「そ、それは、そうだが……武昭だってずっと私のそばにいる訳ではないだろう?」

 

「まぁ、箒の言う事にも一理あるか………ほら箒の奴だ。シャルのと同じで変身は出来ないぞ」

 

「分かっている……(うむ、これで私も武昭とお揃いだな)」

 

(んーーー箒も貰ったんだ………)

箒の様子を見てシャルは機嫌を悪くしていた。

 

一方………

 

(ねぇ、束ちゃん、もしかして箒ちゃんて武昭君の事を………)

 

(それは分からないですセレナさん、けどシャルちゃんは決定だと思いますけど……)

束とセレナは3人の様子を見て小声で話していた。



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第28話 銀色の迷い子……

夏休みが終わって二学期が始まって日数が経った頃………

 

「じゃあ、今度の日曜日にそっちに行きますね」

 

〔うん、待ってるからねー〕

校舎の屋上で武昭が束と通信をしていた。

 

「おぉ、もう帰ったと思ったらここにいたのか」

 

「なんだ、箒も部活が終わったのか」

 

「あぁ、教室に行ったら武昭のカバンがあったからな。

それで武昭が良かったら一緒に帰らないかと思ったのだ」

 

「俺は構わないよ、じゃあカバンを取りに「それなら私が持ってきたぞ」ありがとうな箒」

武昭は箒からカバンを受け取ると一緒に下校した。

 

●●●●●●●●●●●●●●●●

下校中………

 

「姉さんから、日曜日にダグキャリーに来て欲しいと連絡が?」

 

「あぁ、なんか話したい事があるから来て欲しいって言われたんだ」

 

「うむ………私の方には、その様な通信が来ていないがな」

そう言うと箒は()()()()()()()()()()()()()()に視線を移した。

 

「そうなのか……俺が通信してて感じたのは、いつもみたいなふざけた感じじゃなくて

凄い真剣な感じがしたけどな」

 

「姉さんがか………ならば、それ程の事なのだな」

 

「箒もそう言うって事は、ちょっとした問題が起きたのかもな………

まぁ、日曜日に行けばわかるか………」

 

「悪いが私は日曜日も練習があるので行けないから姉さんを頼む」

 

「任せろよ、今は同い年だが元は年上なんだから、じゃあな」

 

「あぁ、また明日」

箒は武昭と別れると家の中に入った。

 

●●●●●●●●●●●●●

 

日曜日になって………

 

「束さんにはC-15区画に来てくれって言われてたけど……

おっ、ここだここだ、束さん武昭っすけど」

 

〔あっ、来たんだタッくん、鍵は開いてるから入って良いよ〕

武昭が指示された場所について確認すると返答があったので部屋に入った。

 

「束さん、急に通信を入れたりして……って、その子は誰ですか?」

武昭が部屋に入ると束とセレナ、そして……()()()()()()()()()()()()()がいた。

 

「えっとね、タッくん、この子は………私の娘だよ………」

 

「はぁ?いやいやいや、束さん、そんな事を言っても年齢が合わないですよ」

 

「束ちゃん、武昭君ならちゃんと話せば分かってくれるわよ?」

 

「セレナさん………分かりました、タッくん、この子はね………」

束は少女の事を話し出した。

 

それによると………

・この子はドイツの非合法な研究所で造られた遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)と呼ばれる存在。

・名前はクロエ・クロニクルと研究資料に記されていた。

・束が調査していた時に見つけて研究所が破壊された後に保護をした。

との事だった…………

 

「そうだったんですか………それで束さん、その研究所にいた研究者達は………」

 

「私が行く前に逃げ出してて、そこを証拠隠滅する為に破壊しようとしたんだ」

そういった束の声からは不機嫌なのがわかった。

 

「それで束さんが俺を呼んだのは、その子………クロエをここに住まわせて良いかって事ですか?」

 

「う、うん、そうなんだ………タッくんがここにある物は好きに使って良いって言ってたけど……

人間一人となるとまた違うから連絡したんだけど………」

 

「武昭君、私からもお願いするわ………」

 

「束さん、セレナさん……俺は構わないですけどクロエ自身はどうなんだ?」

 

「私………ですか?………私は束様に助けられました………

ですから束様が死ねと言うのならば、私は………痛っ!?」

武昭はクロエに近づくとデコピンをした。

 

「あのなクロエ 束さんは、そうやって命を粗末にさせる為に助けた訳じゃない。

クロエにも一人の人間として生きて欲しいから助けたんだ、そうですよね?」

 

「うん、タッくんの言う通りだよ、クーちゃん………」

束はクロエに近づくと優しく抱き締めた。

 

「私がクーちゃんを助けたのは色んな事を知って欲しいからだよ………

それにクーちゃんが産まれたのは私がISを作ったからでもあるんだ………

罪滅ぼしが無いって言ったら嘘になるかもしれないけど………

それ以上にクーちゃんにも幸せになって欲しいから私は助けたんだよ……」

 

「で、ですが………私は普通の………人間とは………違うのです………」

クロエは束から離れると武昭に自分の両目を見せたが………

その瞳は()()()()()()()()()()と武昭達とは違っていた。

 

「ふーん、その瞳の何処が変なんだ?」

 

「え………私のこの瞳を見て何とも思わないのですか!?」

 

「その位だったら以前いた所だったら普通にいたし、見た目が人間じゃない奴がいたからな

それに………」

武昭の話を聞いたクロエがポカンとしてると武昭が抱き締めてきた。

 

「クロエはここにいる………それだけなんだ………だから、自分を人間じゃないなんて言うな……」

 

「ほ、本当に私は………ここにいても………良いの……ですか?………」

 

「あぁ、ここはクロエの居場所で何時でも帰ってこれる場所なんだ………

だから、クロエがしたい事をすれば良いんだ………」

武昭が優しく抱き締めるとクロエは胸の中で大声で泣いた。

 

今までの自分と決別するかの様に………



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第29話 日常

武昭とクロエの顔見せが終わって………

 

「いい?クロエちゃん、ここで少し砂糖を入れると料理にコクが出るのよ」

 

「なるほど………では、次は………」

クロエがセレナから料理を習っており……

 

「じゃあ、今はこれだけのデータが揃ってるんですか」

 

「うん、タッくんのお陰で束さんの研究が凄い進んでるよー!」

武昭と束が宇宙へ行く為の新たなパワードスーツの構想を練っていた。

 

「それでタッくんに聞きたいんだけど、箒ちゃんはどうかな?」

 

「箒がどうかなって………どういう事ですか?」

 

「うん……タッくんのお陰で箒ちゃんと仲直りは出来たけど………

やっぱり何処かギクシャクする所があってね………」

 

「俺が初めて会った時から比べると よく笑う様になりましたよ。

クラスメイトとも仲良くしてますし」

 

「そっか………ありがとうタッくん。

タッくんがいたから箒ちゃんは小さい時みたいに笑って過ごせる事が出来てるんだよ。

本当にありがとう」

 

「そんな、お礼を言われる様な事はしてないっすよ。

俺は友達が家族と仲直りする為に、ちょっと手を貸しただけです」

 

「じゃあ言わせてもらうけど………

その、ちょっとした事が束さんや箒ちゃん、セレナさんにクーちゃんからしたら凄く大きい事なんだよ」

 

「束ちゃんの言う通りよ武昭君」

武昭と束が話してるとセレナがクロエを連れてやってきた。

 

「私も武昭君に会わなかったら、こうして話す事もシャルロットの成長を見守る事が出来なかったのよ……

ありがとう武昭君」

 

「私は武昭様とお会いしてから僅かな時間しか過ごしていません……

ですが、武昭様が私を受け入れてくれた………それが私にとっての幸せです………」

 

「タッくん………分かった?タッくんがした事はたくさんの人達を幸せにしてるんだよ………

だから、小さい事だとか当たり前だとかって思わないで………」

 

「束さん………分かりました……」

 

「はいっ!じゃあ難しい話はここまでにしてご飯にしましょう!

今日はクロエちゃんも手伝ってくれたのよ!」

セレナの言葉で四人は食事をした。

 

その時、クロエが武昭から自分が作った料理が美味しいと言われて喜んでいた。

 

 

その日の夜………

 

「はぁー………姉さんは、そんな様な事で武昭を呼び出したのか………」

 

「まぁ箒は部活があって行けなかったからな」

武昭と箒はダグコマンダーの通信機能で話していた。

 

「それで、その保護した子とはとどの様な子なのだ?」

 

「待ってろ、いま、画像を送るから」

 

「ほう………この様な容姿なのか………」

 

「一応、義理とはいえ束さんの娘だから箒からすれば姪っ子に当たるのか………」

 

「そういう事だな………待ってくれ!それで行くとクロエから見て私は!!」

 

「あぁ、自分の姉妹の子供だから箒は伯母さんになるのか」

 

「ハハハッ………10代で私は伯母さんになってしまったのか……」

 

「まぁ、親族の呼び方だから気にする事も無いんじゃないのか?

箒は若くて綺麗なんだし」

 

「んなっ!?お、お前は何を言っているんだ!?」

 

「ん?どうしたんだ箒、何か慌ててる様に聞こえるけど」

 

「な、何でも無いっ!もう遅いから私は眠るぞ!!」

 

「そうだな、じゃあな。おやすみ箒」

二人は通信を終えて箒は布団を頭までかぶっていたが……

 

「全く………武昭は何故、ああやって恥ずかしい事をさらっと言うのだ………

だが………私の事を綺麗と言ってくれた………」

顔が真っ赤になっていて頭からは湯気が出ている様な感じだった。

 

 

 

 

 



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第30話 久し振りの………

武昭がクロエと会ってから日にちが経って………

 

「そう言えば…武昭は中学を卒業したら、どうするのだ?」

 

「そっか………俺達もそろそろ中学3年だもんな………

まぁ、軽く世界中を旅してみようかなって考えてるんだ」

 

「そうか……武昭は、その様な夢を持っているのか………」

 

「箒は………束さんの妹だからIS学園に行くのが決められてるんだっけか?」

 

「あぁ、そうだな……前までは私は、その様な所へは行きたくなかったんだ……

だがな………姉さんの宇宙へ行きたいと言う夢を聞いてからは、自分から行こうと思えてきたんだ……」

 

「箒が束さんの手伝いを出来る様にか?」

 

「その通りだ、私に何が出来るかは、まだ分からない………

だからこそIS学園に行くのだ………自分が出来る事を探す為に……」

 

「そっか、まぁ箒がどんな生き方を選んでも俺は味方だからな」

 

「なっ!?へ、変な事を言うな!!

(どうしたのだ、私は?……なぜ武昭に笑いかけられただけで恥ずかしいんだ………)」

 

「箒、顔が赤いけどどうかしたのか?」

 

「だ、大丈夫だから気にするな!!」

 

「そうか? 箒がそう言うなら気にしないけど………ん?悪いな箒、もしもし……あぁ久し振りだな」

箒と話してた武昭のスマホが鳴ったので武昭は少し離れた。

 

「それで 急に連絡してどうしたんだ? うん………」

 

(一体、誰と話してるんだ?姉さんやシャルならダグコマンダーで連絡するだろうし………)

 

「あぁ、じゃあ今度の日曜日に駅前でな……」

 

「武昭、誰と話してたんだ?」

 

「あぁー ちょっとした俺の知り合いだよ、それじゃ箒」

武昭は箒と別れたが少しよそよそしい感じが気になった。

 

「うーん……少し気になるな………あぁ、悪いが箒だ。

こんな時間に済まないな、実は………」

武昭を見送った箒はダグコマンダーで()()()()と通信していた。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

武昭が約束した日曜日の駅前………

 

「ふぅ、約束した時間よりは30分早いけど遅れるよりましか」

その場に来た武昭は誰かを待っている様だった。

それと時間は平行して武昭から少し離れた場所で………

 

「ねぇ、本当に武昭が誰かと約束してるの?」

 

「あぁ……何故なら武昭にしては珍しく何処かよそよそしかったからな」

物陰に隠れたシャルと箒がいた。

 

「そうなんだ………けど、なんで私に連絡してくれたの?」

 

「そ、それはあれだ、シャルが武昭に好意を持っていたからだ」

 

「ふえっ!?ほ、箒は気付いてたの!?」

 

「あ、あぁ、シャルの武昭への態度を見ていたら何となくな………」

 

「そうだったんだ………そうだ、この事を武昭には………」

 

「安心しろ、武昭には話していない」

 

「そうなんだ、ありがとう箒……所で箒はどうなの?」

 

「ん?どうとは………どういう事なんだ?」

 

「箒は武昭の事が好きなのかって事だよ」

 

「んなっ!?わ、私が武昭の事をす、好きだと言うのか!?」

 

「うん……前に束さんから聞いたけど、箒って小さい頃から好きな男の子が居るんだって?」

 

「なっ!?ね、姉さんが………あぁ、私はその男子に助けられた事があってな………

それから、今まで彼の事を思い続けているんだ………」

 

「そうなんだ………じゃあ聞くけど武昭の事はどう思うの?」

 

「武昭は私のクラスメイトで大切な友だと思っている……」

 

「それって………本当なの?箒はその子と武昭のどちらか悩んでるじゃないの?」

 

(だが、確かにシャルの言う通りだ………武昭は私が傍にいてほしいと思った時に傍にいてくれた………

一夏は私を助けてくれて守ってくれた………一体、今の私は………)

 

「アッ!箒!あれを見て!!」

シャルの言葉に自問自答していた箒が一緒に武昭を見ると水色の髪で外ハネしている赤い目の少女が来ていた。

 

「ふーん………武昭って、あんなに可愛い女の子とデートするんだぁ………」

 

「お、おいっ、まだデートだと決まった訳では………まずは気付かれない様に追跡しよう」

箒の提案を受け入れたシャルは武昭と少女の後を追いかけた。

 




はい、今回はここまでにします。

今回の話では………
・シャルが箒から通信を聞いて来日する。
・箒が自分の気持ちと思い出のどちらにするか?

と言う流れにしてみました。



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第31話 久し振りの……(裏)

武昭がスマホを確認すると刀奈からだった。

 

「おぉ、久し振りだな、元気だったか?」

 

〔えぇ、急にごめんなさいね、武昭君は元気だった?」

 

「俺はいつでも元気だよ、それで今日はどうしたんだ?」

 

〔あのね……今度の日曜日に買いたい物があるからつきあって欲しいんだけど……

大丈夫かしら?〕

 

「えぇ、特に用事も無いから大丈夫ですよ」

 

〔そう、良かったわ だったら日曜日の午前10時に駅前で

待ち合わせをしましょう〕

 

「今度の日曜日の午前10時に駅前ですね、わかりました」

武昭は通話を終えるとスマホをしまった。

「武昭、今のは誰からなんだ?」

 

「ん?俺の知り合いだよ、じゃあな箒」

 

「あ、あぁ、また学校でな………」

箒は武昭の姿が見えなくなるとダグテクターで誰かに通信を入れた。

 

 

日曜日になって………

 

「よしっと……どうやら、まだ来てないみたいだな……」

武昭は刀奈との待ち合わせ場所に来ていた。

 

「あれ?武昭君」

 

「ん?刀奈、何でここに居るんだ?まだ時間には早いぞ」

武昭が声のした方を見ると薄水色のワンピースを着た刀奈が立っていた。

 

「そ、それは……待ち合わせに遅れたらいけないと思って早く来すぎちゃったのよ!」

 

「そうだったのか、俺は待ち合わせで相手を待たせるより待つ方なんだ……

けど、そのお陰で刀奈に早く会えたから良かったかもな」

 

「なら……早く行きましょ」

 

「あぁ、刀奈の言う通りだな、じゃあ行くか」

武昭と刀奈は公園から離れた。

 

一方……

 

「ねぇ箒………あの女(雌猫)って見た事ある?」

 

「い、いや……私は見た事が無いな……

(な、なんだ?!シャルロットから感じる、この感じは!!)」

箒はシャルロットの体から黒い物が出ている様に感じた。

 

「あっ!何所かに行くみたいだよ!ほら!追いかけるよ!!」

 

「あ、あぁ、分かった………」

箒はシャルロットと一緒に公園を出て武昭達の後をついて行ったが、シャルロットの迫力に軽く怯えていた。

その後……

 

「うーん……一緒に買い物に来たのは良いけど何にするかなぁ……」

 

「そんなに難しく考えなくても大丈夫よ

簪ちゃんは武昭君が選んでくれたってだけで喜ぶから」

 

「そんなもんですか?」

 

「そういうものよ女の子は……(まぁ武昭君からって言うのもあるけど)」

 

「そう言われても…ん?」

刀奈の言葉に何かを考えていた武昭は小物屋のディスプレイに合ったアクセサリーが気になった。

 

「これは……向日葵のブローチか」

 

「おや、お兄さん、それに目が行くなんて良い目利きだね」

 

「そうなんですか?いや、知り合いの誕生日プレゼントを探してて

それが目に付いたんです」

 

「そうかい、ならちょうど良かった、そのブローチは向日葵をモチーフにしてて

中の種の所は濃い色のラピスラズリで出来てるんだ」

 

「ふーん、そうなんですか……じゃあこれをください」

 

「武昭君、私が言うのもなんだけど結構なお値段がするわよ?」

 

「別にこれ位は問題ないよ……はい、ブローチの代金です」

 

「はい、毎度あり 少し待っててね包むから……

ほい、ラッピングはサービスだよ」

 

「ありがとうございます、じゃあ行くか刀奈」

 

「そうね、行きましょう」

店を出ると同時に刀奈は武昭の左腕に抱きついた。

 

一方………

 

「フフフ………ねぇ箒、あの女(泥棒猫)を始末しても良いよね?」

 

「待て待て!そんな事をしたら駄目だ!!」

箒はシャルロットが暴走しそうになるのを抑えていた。

 

その後……

 

「ふぅ、ご馳走さん」

 

「武昭君て凄い食べるのね……それに早いし……」

武昭と刀奈はファミレスでお昼を食べていた。

 

「どうしても昔の癖で大食いで早食いなんですよ……」

 

「そうだったのね……ねぇ武昭君は……」

 

「食べ終わったなら出ようか……話ならここじゃなくても出来るから……」

武昭達は代金を払うとファミレスを出た。

 

離れた席では……

 

「武昭……あの様な表情は初めて見たな……」

 

「ねぇ!箒、このドリンクバーって凄いね!」

シャルロットがドリンクバーに興味を持っていた。

 

近くの公園のベンチで武昭と刀奈が話していた。

 

「それで刀奈がファミレスで聞きたかったのは……

俺がこの世界に来る前の事か?」

 

「えぇ……私と武昭君は何処か似てる様な感じがしたから……」

 

「そうだな、刀奈は暗部 俺は宇宙警察だったからな……

どっちも裏に関係してる所があるから……」

 

「これから先、いつか分からないけど私は楯無の名前を襲名する事になるの………

その時に私がちゃんと当主として出来るか自信が無いの………」

刀奈の言葉には何処か覇気が無かった。

 

「刀奈……誰も最初からちゃんと出来る事なんて少ないんだ………

だからこそ、そんな時は誰かの手を借りるんだ………」

 

「た、武昭君!?」

刀奈は武昭に手を握られて顔を赤くした。

 

「もし、刀奈の周りの人で出来ない事があるなら

俺が出来る限りの事で手を貸してやる……

だから、いつでも俺を頼ってくれ………」

 

「武昭君………うん、ありがとう 私が困った時はいつでも頼らせてもらうわ」

刀奈は一筋の涙を流したが、その顔は笑顔だった。

 

夕方になって……

 

「今日はありがとう武昭君。

簪ちゃんの誕生日プレゼントを選ぶのに付き合ってもらって」

 

「気にするなよ、俺も久し振りに刀奈に会えて楽しかったから」

 

「そ、それは良かったわ、じゃあね武昭君 また」

刀奈は武昭と別れたがその顔は笑顔だった。

 

「さぁーてと 俺も帰りますか………けど、その前に……

箒、それとシャルも来てたのか」

 

「た、武昭……これは、その……」

 

「アハハ、武昭は私達がいた事に気付いてたんだね」

武昭が2人の所に行くと箒は慌てておりシャルロットは引きつった笑顔だった。

 

「当然だ2人にはダグコマンダーがあるんだ、俺が気付かない訳無いだろ

じゃあ、何処かで夕食でも食べるか 俺が奢るぞ」

 

「なら、私は日本の寿司って食べてみたいんだけど」

 

「そうだな、前にフランスでご馳走になったからな

箒も良いか?」

 

「あぁ、私は構わない」

武昭は箒とシャルロットを連れて近くの寿司屋に向かった。

 

 

 

一方……

更識の屋敷では簪の誕生日会を行っていた。

 

「はい、簪ちゃん、これが私ともう一人からのプレゼントよ」

 

「ありがとうお姉ちゃん……」

簪は刀奈から二つのプレゼントを受け取った。

 

「これは……私が欲しかった洋服……それにこれは……ブローチ?」

 

「洋服は私からでブローチは武昭君からよ」

 

「えっ!?お姉ちゃん武昭に会ったの!!」

 

「え、えぇ……簪ちゃんが喜ぶと思ってね……

それは武昭君が選んでくれたのよ」

 

「これを武昭が………そうなんだ……」

簪はブローチを見ながら微笑んでいた。

 

「けど、なんで向日葵なの〜?」

 

「店の人に誕生日プレゼントだって言ったら、ちょうど良いって……」

 

「なるほど、そういう事ですか」

簪と刀奈の話を聞いていた虚がタブレットで調べて、その理由に納得していた。

 

「ねぇ虚さん、何がなるほどなんですか?」

 

「それは向日葵の花言葉にあります」

 

「向日葵の花言葉って?」

 

「幾つかありますが誕生日プレゼントとして当て嵌まるのはこちらになりますね」

刀奈、簪、本音が虚のタブレットにあった向日葵の花言葉を見ると

〔あなたを見つめる〕の項目に丸が付いていた。

 

「どうやら店員はこれを誕生日にプロポーズすると思ったみたいです」

 

「た、武昭が私に………はぅぅ………」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ虚ちゃん!それはたまたま武昭君が選んだのよ!?」

 

「それともう一つ……これに嵌ってる石はラピスラズリですね

宝石にも石言葉という物があって、この石にはこの様な石言葉があります」

虚が再びタブレットで調べた事を表示すると〔健康・愛・永遠の誓い〕とあった。

 

「すなわち、向日葵の花言葉である〔あなたを見つめる〕と

ラピスラズリの石言葉の〔永遠の誓い〕があるから誕生日プレゼントに

ちょうど良いと店の人が言ったのではないでしょうか?……

と、皆は聞いてませんね」

 

「…………」

 

「むぅ〜刀奈様もかんちゃんもずるい〜」

 

「今度、私の誕生日にも何かを……」

虚の言葉を聞いた簪は体全体を真っ赤にして口をパクパクさせており

本音は羨ましがっていて刀奈は何かを考えていたのを見た虚は軽くため息をついた。

 



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第32話 始まり?

今回の話は本編成分が多少入ったオリジナルになります。


武昭達が中学3年になって高校受験の季節になって………

 

「うーん……卒業したら何処の国から行こうかなぁ……」

 

「武昭は気楽だな、高校に行かないから……」

箒の家で武昭が卒業後の予定を考えていた。

 

「まぁな、本来の目的ならいつでも移動出来るからな

箒は確か、IS学園に行くんだったか?」

 

「あぁ、姉さんの妹だから行かざるをえないんだ……

昔は嫌だったが、今は姉さんの手伝いを出来る様になりたいんだ……」

 

「そうか、それが箒のしたい事なら俺も出来るだけの事をやらせてもらうよ」

 

「うむ、ありがとうな武昭……

(私も今では武昭といても普通に過ごせる様になったか……)」

 

〔タッくん!箒ちゃん!大変だよ!どっちでも良いから応答して!!〕

2人がゆっくりしてるとダグコマンダーに通信が来たので確認すると束だった。

 

〔束さん、どうしたんですか?そんなに慌てて〕

 

〔タッくん!今どこにいるの!?〕

 

〔今、俺は箒の家にいて近くに箒もいます〕

 

〔そうなんだ、今すぐにTVでやってる臨時ニュースを見てほしいんだ!〕

 

「臨時ニュース?箒、TVをつけてくれ」

 

「あぁ、分かった だが姉さんがあそこ迄慌てるなんて……なっ!?」

箒がTVの臨時ニュースを見ると男性でISを動かしたと放送されていて、その人物が……

 

「な、な、な、何故一夏がISを動かしているんだ!?」

 

「確か、一夏って箒の幼馴染だったっけ?」

 

「そうだ……小学生の時に別れてから会っていなかったのだが……

まさか、この様な事態を起こすとは……」

 

「詳しい話は束さんに直接聞いた方が早いか〔束さん、今、ダグキャリーに行きます〕」

 

〔うん、待ってるよ〕

 

「武昭、私も行こう どういう事か姉さんに問いただす」

 

「そうか、ならダグキャリーに行くぞ」

武昭と箒はダグコマンダーを操作してダグキャリーに向かった。

ダグキャリーに武昭と箒が到着すると……

 

「武昭様、箒様お待ちしてました」

 

「おぉ、ありがとうなクロエ」

クロエが2人を出迎えた。

 

「武昭、彼女が以前に話していた……」

 

「あぁ、束さんが保護した子で………」

 

「クロエ・クロニクルと言います、箒様の事は束様から聞いております」

 

「そうか、私は篠ノ之箒だ、よろしくな」

2人は自己紹介をすると握手した。

 

「それでクロエ、束さんは何処だ?」

 

「はい、今案内します」

2人はクロエの後をついていった。

 

暫くして……

 

「束様、武昭様と箒様をお連れしました」

 

「うん、ありがとうクーちゃん」

 

「久し振りね、武昭君、箒ちゃん」

武昭達がクロエに案内された部屋に入ると束とセレナがいた。

 

「久し振りですねセレナさん」

 

「お久し振りです 所で姉さん、どういう事ですか?一夏がISを動かしたとは」

武昭がセレナに挨拶、箒は束に詰め寄っていた。

 

「うーん……それなんだけど、私にもよくわからないんだよね……

可能性としてはいっくんがちーちゃんの弟だからとしか思えないんだ」

 

「箒、そのちーちゃんて誰なんだ?」

 

「あぁ、一夏のお姉さんで、姉さんの同級生の織斑千冬さんの事だ」

 

「確か彼女は第一回のISの世界大会モンドグロッソの初代優勝者だったわね」

 

「うん……私でもISに使われてるコアの内容は分かってないからね」

その言葉に、そこにいた全員は〈どういう事?〉という表情をして束を見た。

 

「確かに私はISのコアを作る事は出来るけど

そのコアがどうやって進化するかは分かってないんだよ」

 

「じゃあ束さんでも、どうして一夏がISを起動させたか分からないと」

武昭の言葉に束はうなづいた。

 

「けど……このままなら彼は危険な事に巻き込まれるんじゃないかしら」

 

「セレナさんの言う通りですね……唯一の男性操縦者として色んな機関が狙ってるでしょうから……」

 

「それに、いっくんは一度誘拐されてるんだよ」

 

「えっ!?どういう事ですか!姉さん!!」

束は詰め寄った箒に、その時の事情を説明した。

 

その話によると第2回のモンドグロッソの時に一夏が誘拐され

それを救出する為に千冬が決勝戦を棄権したとの事だった。

 

「あぁ、そんなニュースがあったな………」

 

「その後にちーちゃんはドイツ軍に捜索を手伝ってもらったから

1年間ドイツ軍でIS部隊の教官をしてたんだ」

 

「そうだったんですか……」

 

「それでタッくんにお願いがあるんだけど……

IS学園に行ってくれないかな?」

 

「えっと……束さん?IS学園に俺が行ける訳無いじゃないですか」

 

「武昭の言う通りですよ姉さん IS学園は女子校なんですから」

 

「うん、タッくんと箒ちゃんの言う事は分かるけど、それは()()()()()だよね?」

 

「そうか……さっきの話に合った一夏君ね……」

セレナは束の意図に気付いた。

 

「いっくんがISを動かせた事で全世界で他の男性の検査がある筈だよ。

その時にタッくんもISを動かしてIS学園に行ってほしいんだ」

 

「それは良いですけど……そもそも俺にISを動かせるんですか?」

 

「フッフッフッ、この束さんがそんな事を考えてないと思ってるのかな?

クーちゃん!()()()を出してちょうだい!!」

 

「はい、分かりました束様」

クロエがパネルを操作すると壁が開いて台座に鎮座している鈍色の機体が現れた。

 

「束さん、これは………」

 

「これは私がプロトテクターから開発したISテクターだよ

タッくんのコマンダーを貸してくれる?」

 

「あっ、はい……どうぞ」

 

「うん、ありがとう……」

束は武昭から受け取ったダグコマンダーをISテクターに繋げた。

 

「まだ、このISテクターは基本設定が出来てるだけなんだ」

 

「それで武昭様のコマンダーのデータを入力して武昭様の専用機にするのです」

 

「設定ありがとうクーちゃん、これで終わりだね ポチッとな」

束が入力を終えるとISテクターの形態と色が武昭のダグテクターと同じ物に変化した。

 

「これで、この機体はタッくんの専用機になったよ

ねぇ、ISテクターに触ってみて」

 

「あっ、はい分かりました……うわっ!」

武昭がISテクターに触れると同時に機体が輝き光が収まると身体に纏われていた。

 

「これは何だ?……今までのダグテクターと同じ見た目なのに

纏ってる感じが全然違う……」

 

「そのISテクターにはタッくんの持ってたダグテクターのデータが入力されててね

言わば、もう一つのダグテクターと考えて良いよ」

 

「それと、このISテクターには専用の固有武装が装備されてます」

 

「専用の固有武装?………なるほど、これの事か……」

武昭はマスク内のモニターに武装のデータを表示させて確認していた。

 

「分かりました、俺もIS学園に行きます。

けど、その前に訓練室でこの武装の訓練をさせてください」

 

「うん、束さんは構わないよ、その武装の使用データも欲しかったしね

じゃあ行こうか」

武昭は束と一緒に訓練室に向かって行ったが箒は黙ってそれを見ていた。



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原作開始
第33話 学園生活の始まり。(朝から昼まで)


一応、原作沿いですがオリジナル設定が多数あります。


日本にあるIS学園のある教室で………

 

「それじゃ、次は皆が気になってる()に自己紹介をしてもらおうかしら」

 

「はい、分かりました」

1()()4()()の担任に言われた()()()()が立ち上がった。

 

「えっと、俺の名前は広瀬武昭と言います。

一人目の男性操縦者が動かしたので他にもいるんじゃないかと検査を受けて

ここにきました。

皆さんよろしくお願いします。」

武昭が席に座ると周りの()()()()が声を上げた。

 

「まさか!二人目の男性操縦者がウチのクラスに来るなんて思わなかったわ!」

 

「始めは神様を恨んだけど今は凄い感謝してるわ!!」

 

「はいはい、静かにしなさい。これから授業を始めるから」

担任が指示を出すと生徒達が黙ったので、そのまま授業が開始した。

 

休み時間になると一人の女生徒が武昭に近付いたが武昭には見覚えが合った。

 

「えっと……今………良いかな?……武昭……」

 

「あぁ、良いぞ()

武昭のそばに来たのは最後に会った時から成長した簪だった。

 

「久し振りだな、簪」

 

「う、うん……久し振りだね武昭………」

武昭に返答された簪は軽く頬を赤くしていた。

 

「まさか簪がIS学園にいるなんて思わなかったわよ」

 

「そ、それは私もだよ………けど、なんで武昭がここにいるの?」

 

「あぁー……それに関しては後で構わないか?そろそろ休み時間が終わるからな」

 

「うん、分かったよ……それじゃ………」

簪は自分の席に戻った。

 

昼休みになって……

 

「さてと昼にでもするか、簪、俺は食堂に行くけどどうする?」

 

「じゃあ私も一緒に行く………」

 

「そうか、なら行くか」

武昭と簪は食堂に向かった。

 

食堂に着いて……

 

「うーん……俺はカツカレーと親子丼にするか」

 

「じゃあ、私はかき揚げうどんにする………」

 

「あっ、かんちゃんだぁ〜」

武昭と簪がメニューを選んでると声がしたので見るとツインテールで制服の袖を余してる女生徒がいた。

 

「本音もお昼なの?」

 

「うん、そうだよぉ〜 あれ?もしかして隣の人って……」

 

「久し振りだな本音 広瀬武昭だよ」

 

「あぁ〜 2人目の男性操縦者ってあきっちだったんだぁ〜」

 

「そうだな、まずは席に座ってから話をするか」

3人は自分が頼んだメニューを持って空いてる席を探した。

食事を終えた3人は今までの事を話していた。

 

「そうか、簪の姉さんはここの2年生なのか」

 

「うん、それにロシアの国家代表なんだよ」

 

「それで私のお姉ちゃんと一緒に生徒会に所属してるんだぁ〜」

 

「へぇ、だったら放課後にでも顔見せに行かないとな」

 

「話してる所悪いが()()もここに座って良いだろうか?」

武昭が声のした方を見ると……

 

「おっ、箒とシャルロットじゃないか、久し振りだな」

 

「「久し振りだな」じゃないよ武昭、IS学園に行くなら私にも教えてくれないと」

箒とシャルロットが武昭達のグループに混ざった。

 

「あぁ、悪いなシャルロット 急に行く事が決まったからな」

 

「ねぇ、武昭………彼女達って……」

 

「ん?そういや簪達は箒達と初対面だったか

黒髪の子が篠ノ之箒、金髪の子がシャルロット・キィムンだ」

 

「武昭から紹介があった篠ノ之箒だ、よろしく頼む」

 

「私はシャルロット・()()()()だよ」

 

「わ、私は更識簪って言います………」

 

「私は布仏本音だよ〜」

 

「なぁシャルロット、いつの間に名前がデュノアに変わったんだ?」

自己紹介を聞いていた武昭が気付いた事を尋ねた。

 

「うん、それに関しては後で良いかな?そろそろお昼時間が終わるから」

シャルロットが言うとチャイムが鳴ったので皆はそれぞれ自分のクラスに帰った。

 

 

 



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第34話 学園生活の始まり。(放課後)

放課後になって……

 

「さてと帰るとするか」

 

「あっ、広瀬君 まだ教室にいてくれて良かったわ」

武昭が教室を出ようとした時に担任が声をかけてきた。

 

「先生、俺に何か用ですか?」

 

「えぇ、実は広瀬君に寮の鍵を渡そうと思ってね」

 

「寮の鍵って……俺は家から通いの筈ですけど……」

 

「そうだったんだけど……ちょっと国の方からね……」

担任は武昭に事情を説明した。

 

その内容は………

貴重な男性操縦者に何か合ってからだと遅いので寮に住まわせる……との事だった。

 

「そういう事情でしたか まぁ 仕方ないですね」

 

「急に言ってごめんね」

 

「いえ、先生が悪い訳じゃないですから気にしないでください」

 

「ありがとう、そう言ってくれると少しは楽になるわ はい、これが寮の鍵よ」

武昭は鍵を受け取ると担任に説明を聞いた。

 

「先生、俺が寮に住む時の注意みたいな物はありませんか?」

 

「そうそう、寮には大浴場があるのだけど広瀬君は入れないわ」

 

「それは、そうですね本来は女子寮みたいな物で男の俺は無理ですからね

あと聞く事は……そうだ俺は1人部屋ですか?」

 

「いえ、急に決まった事だから女子と同部屋なのよ」

 

「女子と同部屋ですか……まぁ、ずっとこのままじゃないですよね?」

 

「それは大丈夫よ1ヶ月程で部屋割りを修正出来るから」

 

「分かりました、じゃあ俺は帰ります そうだ、まだここに慣れてないので

校舎内を歩いてみても良いですか?」

 

「えぇ、構わないけど寮は門限が21:00だから、それまで部屋に戻ってね」

 

「はい、それじゃ失礼します」

武昭は担任に頭を下げると教室を出た。

 

 

教室を出た武昭は校舎内を歩いていた。

 

「なるほど、ここら辺は整備エリアなのか………ん?簪?」

 

「あれ?武昭………なんでここに居るの?」

数ある整備室の一つに簪が居た事に武昭が気付くと簪は武昭がここにいる事に頭をひねった。

 

「あぁ、俺は急に寮生活になってな、寮に帰る前に校舎内を見歩いてたんだ」

 

「そうだったんだ……私は、この子の製作をしてたの………」

簪が指差した方には作りかけのISの機体が合った。

 

「機体の製作って……普通は何処かの企業がやるんじゃないのか?」

 

「そうだったんだけど……ちょっと事情があって…………」

簪は事情を話した。

 

それによると………

簪の機体『打鉄 弐式』は倉持技研という企業が請け負っていた。

だが、織斑一夏が見つかったので彼の機体に人員をさいた。

その為簪の機体の凍結になる所を簪が引き取り作製する………

との事だった。

 

「なるほど、そういう事だったのか……全く、企業として最低な事をしてるな……

簪、それで この機体はどこまで出来てるんだ?」

 

「全体で言うと……30%位………かな?」

 

「そうか……なぁ簪……「それはいい」」

簪は武昭が何か言うのを遮った。

 

「武昭なら手伝ってくれるって思ってたけど………

今はまだ私だけでやらせて欲しいの………」

 

「そう決めたなら、俺は何も言わないよ……

けどな、手を借りたい時はいつでも言ってくれ……

俺が出来る限り手伝ってやるから………」

 

「う、うん……ありがとう武昭………」

武昭に頭を撫でられた簪は頬を染めて喜んでいた。

 

「けど、とりあえずは今日はもう帰らないか?時間も時間だから」

 

「うん……片付けるから少し待ってて………」

 

「じゃあ、俺も手伝うよ これ位は良いだろ?」

 

「うん……ありがとう………武昭……」

武昭と簪は整備室の片付けを始めた。

 



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第35話 学園生活の始まり。(寮にて……)前編

寮に帰る途中、武昭と簪は話していた。

 

「そう言えば……武昭って家から通うの?」

 

「いや、国の方からの指示で寮に住む事になったんだ」

 

「そうだったんだ……それで何号室?」

 

「えっと……1030号室だな」

 

「そこって、私の部屋の隣だよ………」

 

「そっか、何かあったら声をかけてくれ

俺が出来る範囲で手伝うから」

 

「うん……私にも声をかけてね………」

2人は話しながら寮に入った。

寮内を歩いていると武昭の部屋を見つけた。

 

「えっと、ここが俺の部屋か」

 

「そうだね、そう言えば武昭って誰が同室なの?」

 

「先生からは聞かされて無いんだよな……まぁ開ければ分かるか」

 

「はーい!お帰りなさい、あなた!って……簪ちゃん?

武昭が扉を開けると裸エプロンの楯無が出て来たが隣に簪がいたのを見て顔を青くした。

 

「お姉ちゃん?………なんて格好してるのかな?」

 

「あ、あのね簪ちゃん……これは、その……」

 

「武昭……ちょっとお姉ちゃんと話したい事があるから私の部屋にいてくれる?

これは鍵だから」

 

「あ、あぁ分かった……けど簪は誰かと同室じゃないのか?」

 

「それは心配ない……相手は武昭も知ってる人だから………」

 

「武昭君!私を助けてちょうだい!!」

 

「いや、ここは姉妹だけの話をした方が……それじゃ!」

武昭はその場から離れたが後ろから誰かの助けを求める声がした。

 

 

簪の部屋の前に来た武昭はドアをノックした。

 

「すみません、誰かいますか?」

 

「は〜い、だ〜れ〜?」

ドアが開くと中から本音が出て来た。

 

「あ〜 あきっちだぁ〜 どうしたの〜?」

 

「あぁ、ちょっと事情があって、ここに来たんだけど入っていいかな?」

 

「うん、いいよぉ〜 入ってぇ〜」

本音の許可を得た武昭が部屋に入ると2つのベッドが目に入ったが

一つは多数のヌイグルミがあり、もう片方には特撮のDVDがあった。

 

「多分だけど………ヌイグルミの方が本音のベッドか?」

 

「うん、そうだよぉ〜 それであきっちはどうして、ここに来たの〜?」

 

「あぁ、事情としては……」

武昭の理由を聞いた本音は苦笑いしていた。

 

「ハハハ……そうだったんだ〜……」

 

「武昭……お姉ちゃんとの話は終わったよ」

 

「おっ そうか、ありがとうな簪」

 

「う、ううん……お礼を言われる事じゃないよ……」

 

「あら武昭君、簪ちゃんに優しすぎるんじゃないかしら?」

 

「「裸エプロンの痴女に優しくする必要がありますか?〔ある?〕」」

武昭と簪に同じ様な事を言われた楯無は床に膝をついて落ち込んでいた。

 

そんな中………

 

グギュル〜

 

「え?今の大きな音って……武昭?」

 

「あぁ、俺だな……やっぱり昼飯が足りなかったか」

 

「「あんなに食べたのに!?」」

 

「あんなにって……カツカレーと親子丼だけだぞ?」

 

「いや、それだけって言うけど、結構な量よ、それ………」

驚いた簪と本音に説明した武昭に楯無がツッコミを入れた。

 

「だったら夕飯を食べに食堂に行きましょ ちょうどいい時間みたいだし」

 

「そうですね、晩御飯は何にしようかな……」

 

「また……たくさん食べるの?」

 

「いや、この時間なら後は寝るだけだから、そんなには食べないぞ?

ハンバーグセットに海鮮丼……マカロニグラタンと…」

 

「「「結構な量だよっ!!!」

武昭が食べる量に3人はツッコミを入れていた。

 

 



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第36話 学園生活の始まり。(寮にて……)後編

楯無が着替え終えた後、武昭達は夕食を食べる為に食堂に来ていた。

 

「じゃあ、俺はこれだけにしておくか」

 

「私はビーフシチューセットのパンでいいわ」

 

「お昼はうどんだったから、今回は五目御飯にする」

 

「私はオムライスにする〜」

皆は自分の注文した物を受け取ると空いていた席に座った。

 

「昼にも思ったけど、やっぱりここの料理は美味いな」

 

「それは分かるけど武昭君は食べ過ぎじゃないかしら?」

 

「私もお姉ちゃんの言う通りだと思う……」

 

「ん?そうか?これ位なら……まだ腹一分って所だけど……」

 

「あのー もしかして、もう一人の男性操縦者ですか?」

武昭が声の方を見ると箒と黒髪の男性が立っていたが、その顔には見覚えがあった。

 

「あぁ、俺はもう一人の男性操縦者の広瀬武昭って言うんだ

よろしくな()()()()()

 

「えっと、俺の名前を知ってるんですか?」

 

「当たり前だよ()()I()S()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

武昭の言葉に一夏は苦笑いした。

 

「うっ、それは、その………」

 

「まぁ、起こった事をとやかく言っても意味はないから、これ以上は言わないよ

と、そんな訳でこれからよろしく」

 

「あ、あぁ こちらこそよろしくな()()

 

「おい、俺は気にしないが初対面の人を許可も取らないで名前で呼ぶ事をするなよ

人によっては不快に思う場合があるから」

 

「え?いや同じ男性操縦者だから別に構わないだろ?」

 

「確かに俺たちは同じ男性操縦者だな……だからと言って名前を呼んで良いとは限らないぞ

自分の常識は自分だけのものであって他人も同じとはならないぞ」

 

「そんなに硬い事を言わなくても………」

 

「俺は以前に()()()で無許可でお偉いさんの名前を呼んで処刑されかけた事があるんだ……

だから今の内に直せる事は直しとけ苦労するのは自分だからな……

ご馳走さん………じゃあ俺は先に部屋に帰るから」

夕食を終えた武昭は食堂を出た。

 

武昭が寮へ帰る為に歩いていた時………

 

「あの、少し良いでしょうか?」

誰かに声を掛けられたので見るとカールした長い金髪の女子がいた。

 

「えっと、何処かで会った事がありましたか?」

 

「いえ私はありませんが……()()()()()()()()()()()()()()()()

女子の言葉に武昭は少し反応した。

 

「悪いが君の両親の名前は……」

 

「はい、わたくしの両親は父の名前が()()()()()()()()()()、母が()()()()()()()()()()と言います」

 

「マシューさんとセリーナさんて列車で旅行してた時に会った……」

 

「そうですわ……あなたに……()()()()によって救出された人達の中にいたのです」

 

「そこまで分かってるなら隠す事も無いか、まぁそれだから俺に会いに来たみたいだしな」

 

「わたくしの名前はセシリア・オルコットと申します。

その節は両親を救っていただきありがとうございます」

セシリアは武昭にお礼を言うと頭を下げた。

 

「俺はその時に自分が出来る事をしただけでお礼を言われる様な事はしてないよ」

 

「貴方が、そうおっしゃるのなら、この話はここまでにしておきます……

それと、わたくしのご両親から伝言なのですが……

『今度イギリスに来る事があるなら連絡を欲しい』との事です、コレをどうぞ」

セシリアは武昭に連絡先を書いたメモを渡した。

 

「あぁ、ありがとうなオルコットさん」

 

「わたくしの事はセシリアとお呼びください、同じ学園に通う生徒なのですから」

 

「だったら俺の事も名前で良いよ、セシリア」

 

「はい、分かりましたわ武昭さん……それではこれで失礼いたします」

セシリアは頭を下げると武昭の前から離れた。




この小説ではセシリアの両親が生存しているので、セシリアは特に上から目線ではありません。

両親から本心を聞かされているので男性を見直しています。


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第37話 帰宅して……

セシリアからお礼をされた武昭が寮の部屋に帰ると楯無、簪、本音、虚の4人がいた。

 

「虚さんもいたんですか、お久し振りです」

 

「えぇ、お久し振りです武昭さん」

 

「別に敬語じゃなくて良いですよ虚さん」

 

「虚ちゃんの話し方はクセみたいな物だから気にしなくて良いわよ。

それよりも武昭君に頼みたい事があるの」

 

「俺に頼みたい事って……まぁ、あまり無理な事じゃないなら構いませんけど」

 

「無理な事じゃないわよ生徒会に入ってほしいのよ」

 

「俺が生徒会にですか?」

 

「そうなの、生徒会のメンバーは定員になるまで生徒会長が自由に決めて良いの」

 

「それで今の生徒会長はお嬢様なんです」

 

「その関係で私達が生徒会メンバーなんだぁ〜」

 

「それで俺も生徒会メンバーに勧誘しに来たんですか

その場合、俺の役職は何になるんです?」

 

「今空いてる役職は副会長と庶務になるから……

武昭くんには副会長を 簪ちゃんには庶務をお願いするわ」

 

「えっ?簪はメンバーじゃなかったんですか」

 

「そうよ、武昭君が入学した時に一緒に勧誘しようと考えてたのよ」

 

「うーん……俺は全然構いませんよ」

 

「私も入って良いよ……今は機体を開発してて、それが終わってからならだけど……」

 

「簪ちゃんも私達が手伝うって言ってるのに手を出さないでって言うのよ」

 

「多分だけど簪は自分が何処まで出来るか限界を知りたいんじゃないのか?

俺は、そう思うけど………」

 

「うん……武昭の言う通りだよ……今の私が何処まで出来るか確かめたいの……

だから……ごめんね、お姉ちゃん 皆……」

 

「気にしなくて良いわよ簪ちゃん……けど無理はしちゃ駄目よ……

それに困ったりいつでも私達に言ってきなさい……」

 

「分かった……ありがとうお姉ちゃん……」

簪は楯無に頭を撫でられて喜んでいた。

 

「それでは、そろそろ私達も部屋に帰りませんと……

そろそろ時間ですから」

 

「じゃあねぇ〜あきっち〜お嬢様〜」

 

「おやすみ武昭、お姉ちゃん……」

 

「それでは失礼します、武昭さん、お嬢様」

 

「えぇ、おやすみ簪ちゃん 本音ちゃん 虚ちゃん」

 

「それじゃ、また明日」

挨拶をした簪達が部屋を出ると室内には武昭と楯無だけになっていた。

 

「さてと、それじゃ私達も寝ましょうか」

 

「その前に簡単な決め事を決めませんか?シャワーとか」

 

「そうね……シャワーの時は……」

2人はそれぞれの決め事をすると、それぞれのベッドで眠りについたが……

 

 

(まさか、また学生生活を送る事になるなんてな………

どうすれば良いのかまだわからないけど、俺は俺が出来る事をするだけだ……)

武昭は握った拳を見つめていた。

 




この作品の久し振りの投稿です。

この小説では更識姉妹の仲を良くしています。


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第38話 クラス代表決定戦

武昭がIS学園に入学して1週間ほど経った頃……

 

「そういや、今日の放課後に第1アリーナで何かあるって朝のSHRで先生が言ってたっけ?」

 

「うん……1組のクラス代表決定戦を行うみたいだよ……」

食堂で武昭と簪が昼食を食べながら話していた。

 

「けど、なんで、そんな事になったんだ?」

 

「それは僕が説明するよ ここに座るね」

武昭が事情を聞こうとするとシャルロットが簪の横に座った。

 

「それにしても武昭はいつも通り食べてるね」

 

「まぁ、今日は少し動いたからな」

 

「それで、どうなって決定戦をする事になったの?」

 

「うん、それはね……」

シャルロットの説明はこうだった。

 

織斑先生からクラス代表を決める事を聞かされる。

クラスメイト達が男性操縦者という事で一夏を推薦する。

そこでセシリアは自分から立候補をする。

その後、織斑先生が決定戦を提案する。

 

「ふーん、そんな事情だったのか…それでシャルは立候補しなかったのか?」

 

「うん、僕はあんまり人の前に立つ事は慣れてないからね」

 

「そうか……けど俺が調べた情報によるとセシリアは代表候補生だよな?」

 

「そうだよ、イギリスの代表候補生で僕はフランスの代表候補生だよ」

 

「それで、私は日本の代表候補生なんだ……」

 

「代表候補生と男性操縦者の決定戦か……

まぁ、十中八九セシリアが勝つだろうな」

 

「ん?それって()()()にも勝ち目がある様な言い方みたいだね」

 

「あぁ、一夏はここに来る迄にISに触れた事も無いだろうからな……

ビギナーズラックって言った方がしっくり来るかもな」

武昭の言葉に簪とシャルロットは納得していた。

 

「だとしてもセシリアが勝つ確率が高いだろうけど……

さてと、ご馳走さん」

 

「「もう食べたのっ!?」」

 

「あぁ、昔から早飯だったからな」

 

「武昭のそれは、そんな事じゃ説明つかないよ……」

 

「簪の言う通りだよ」

簪とシャルロットは武昭が先に昼食を終えた事に驚いていた。

 

武昭→カツカレー大盛り3杯

 

簪→かき揚げうどん

 

シャルロット→Aセット(グラタン、サラダ、小さめのミートパイ)

 

「さてと、何かデザートでも食べるかな………」

 

「「まだ食べるのっ!?」」

 

「ん?食後にデザートは当たり前じゃないのか?」

 

「ハハハ……そう言えば武昭って初めて会った時も沢山、食べてたっけ……」

 

「そういや、久し振りにセレナさんの料理が食べたいな……」

 

「そう?だったらお母さんに言っておくよ」

 

「あぁ、ありがとうなシャル」

3人は話していた。

 

 

その日の放課後、第1アリーナの観客席に多数の生徒がいる中……

 

「あっ、かんちゃん、あきっち、こっちだよ〜」

 

「本音……あまり大きな声で呼ばないで………」

 

「それくらい良いだろ、ここにはそんなにいないんだから」

 

「ふふっ、いらっしゃい簪ちゃん、武昭君」

武昭と簪は本音に連れられて楯無と虚のいる観覧席に来ていた。

 

「それにしても俺たちが、こんな所にいて良いんですか?」

 

「はい、ここは私たち生徒会のメンバーだけしかいませんので。

それより何か飲まれますか?」

 

「でしたら俺はミルクティーをお願いします」

 

「私はレモンティーで……」

 

「虚ちゃん、私はストレートでお願い」

 

「わかりました、本音手伝って」

 

「は〜い〜」

2人が用意をしてる中、武昭と簪は着席した。

 

「それにしても沢山の生徒がいるな……

やっぱり最初の男性操縦者が戦うからだろうな……」

 

「それだけじゃないわよ、何人かの生徒達は自国からの指示を受けてるの

世界初の男性操縦者のデータを取ってくる様に……」

 

「幾ら学園が他国からの干渉を受けないと言っても

どの様な事にも抜け道みたいな物はありますので、どうぞ」

虚が楯無の話に付け加えながら飲み物を出していた。

 

「ありがとうございます虚さん、へぇ……美味しい紅茶ですね」

 

「そうでしょ虚ちゃんは紅茶を淹れるのが上手いのよ」

 

「あっ、セシリアさんが出てきたよ」

 

「ふーんセシリアの機体は青いんだな、それに背中のあれは……」

 

「機体の名前はブルーティアーズよ、背中のあれは第3世代の兵装で

機体名と同じ名称、ブルーティアーズって言うわ」

 

「第3世代?」

 

「はい、ISの機体は、その開発時期によって世代があるのです」

 

「それで第3世代は操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵装が搭載されているの」

武昭の疑問に楯無、虚、簪がそれぞれ説明した。

 

「そうなんだ……おっ、一夏が出て来たか……あいつのは白いんだな」

 

「えっと……彼の機体は白式(びゃくしき)って言うみたいよ……あら?」

 

「どうしたんですか?楯無さん」

 

「どうやら、彼の機体は初期化(フィッティング)最適化(パーソナライズ)

終わってないみたいなの」

 

「多分ですがアリーナの使用時間の関係があると思います。

調べてみると機体がほんの少し前に来たみたいですので」

 

「なんだよ、それは……企業として最低限の事も出来てないじゃないか……

まぁ、ある意味簪の開発が凍結されて良かったかもな」

 

「そうだねぇ〜あのままだったら簪ちゃんの開発もどうなってた事か〜」

 

「どうやら、始まるみたいよ」

楯無の言葉にアリーナを見ると2人の戦いが始まっていた。

 

 

代表決定戦が終わって……

結果は一夏がSEを無くして負けた。

 

「まさか、一夏の機体のS・E(シールドエネルギー)が無くなって負けるとはな……」

 

「どうやら彼の武装が関係してるみたいよ、武装の名前は雪片弐型(ゆきひらにがた)と言うの」

 

「確か織斑先生がモンドグロッソで優勝した時に使ってた武装が雪片(ゆきひら)だった筈じゃ……」

 

「えぇ、簪お嬢様の言う通りだと思いますが……

だとしたらあれは単一使用能力(ワンオフアビリティー)という事になりますね」

 

「ふーん、本来なら機体が第二形態になってから発動する可能性があるという物が

すでに発動してるなんてね……やっぱり男性操縦者というのが関係してるのかしら?」

 

「さぁ?束さんでもISコアの事については詳しく話してませんからね……

じゃあ、俺は部屋に帰ります」

 

「構わないわ、じゃあ私たちも帰りましょうか」

皆は自分達の部屋に帰った。



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第39話 何かの気配

1組のクラス代表決定戦が終わった次の日の朝のHRで……

 

「それでは、1組のクラス代表は織斑一夏君になりました! あっ、一繋がりでいい感じですね」

 

「えっ?……」

山田先生にそう言われた一夏は何処か気の抜けた表情をしていたが、それを理解し始めると直ぐに慌てていた。

 

「先生!ちょっと待って下さい!俺は昨日負けたんですよ!?」

 

「それに関しては(わたくし)から説明いたしますわ」

手を挙げたセシリアは、そう言うとユックリと立ち上がった。

 

「確かに昨日の試合では私が勝ちました……

ですが、それは織斑さんの自滅という形です……

だからこそ織斑さんをクラス代表に据えて、その立場に見合った実力をつけてもらいます!」

 

「よっ!さすがセシリアーわかってるねぇー!!」

 

「学園内に2人しかいない男性の1人を代表にするなんて良いよー!」

 

「お前ら静かにしないか……まぁ、理由はオルコットの言葉もあるが

私は決定戦を行うとは言ったが()()()()()()()とは言ってはいない」

 

「えっ?それって……アァーッ!?

千冬の言葉に一夏は、その時の事を思い出して確認し直すと大声を出した。

 

「分かったか織斑?だからお前が1組のクラス代表だ、まぁもう決まった事だから諦めろ」

 

「そんな……まぁ、受けたからには頑張るしかないか」

 

「それでですが織斑さん、これから放課後には私とISの特訓を行いましょう

今のあなたでは、クラス代表としても、そんなに実力がないのですから」

 

「おい そう言う話は休み時間にでもしろ これから授業を始める」

千冬が言うと皆は授業を開始した。

 


その日の放課後……

 

武昭は簪が機体開発をしてる開発室に来ていた。

 

「ふーん!これが簪が開発してる機体か」

 

「うん……名前は打鉄 弍式(うちがね にしき)って言うの……」

 

「打鉄弍式か……それで今はどれ位出来てるんだ?」

 

「うん……本体の方は8割方出来てるんだけど、武装とプログラムがまだなんだ……」

そう言った簪は何処かションボリとした表情になっていた。

 

「なぁ、簪が自分でどこまで出来るか頑張るのは良いけど、そろそろ誰かに手伝ってもらっても良いんじゃないか?

これ以上やってて体を壊したりしたら、それこそ出来るまで時間がかかるぞ?」

 

「武昭……うん、分かった……私の我が儘でこの子が完成しなくなるのは可哀想だもんね……」

 

「そうだな簪、それで俺に何か手伝ってほしい事はあるか?」

 

「う、うん……今はまだ良いかな?武昭には機体が完成した時の相手をしてほしいの」

 

「そうか、じゃあ俺が今出来る事は……」

 

「機体を作る時の資材とかを運んでほしいの……ごめんね力仕事をやらせて……」

 

「バーカ、俺が自分から手伝うって言ったんだ、簪がそうしてほしいなら俺は構わないよ」

 

「ありがとう………エヘヘ」

武昭に頭を撫でられた簪は頬を染めてはにかんでいた。

 

「アッ、ここにいたんだ探したよ武昭」

2人が話してるとシャルロットが開発室に入ってきた。

 

「おぉ、シャルロットかどうしたんだ?」

 

「うーん……ただ武昭に会いたかっただけだよ?」

シャルロットは武昭の横に座った。

 

「そういや、名前がデュノアに変わってたけど……なんでだ?」

 

「それも話そうとして探してたんだ……」

シャルロットは事情を説明した。

 

その説明によると……

 

シャルロットの父親がデュノア社の社長だとセレナから聞かされた。

デュノア社の経営が悪くなっている事をセレナが知った。

社長に連絡をして事情を聞いて手を貸す事にする。

それでシャルロットが武昭と知り合いだと知りデュノアの娘として学園に行かせる。

 

「そうだったのか………」

 

「だって、私のお父さんだから手伝える事があるなら出来る事をしてあげないと」

 

「それで……シャルロットさんは……どういう指示を受けてきたの?」

 

「簡単に言うと男性操縦者達の機体データと身体データの入手だよ」

 

「そうは言ってもなぁ……俺の()()()()I()S()()()()()()()()

武昭はブレスレットを見せた。

 

「けど、何かお父さんからは……無理しなくても良いようにって感じてるんだよね……」

 

「それって……失敗しても……良いって事?」

簪の言葉にシャルロットはうなづいた。

 

「多分、別の目的があるのかもしれないな……」

 

「別の目的って?」

 

「うーん……そういや、デュノア社が経営悪くなった理由って何なんだ?」

 

「お父さんが言うには新しい機体開発がなかなか進まないからって……」

 

「なぁ簪、機体開発ってそんなに金が掛かる物なのか?」

 

「私はよく分からないけど、この子を企業から引き取った時に予算を聞いたけど、それなりだったみたいだよ」

 

「そうか……何か引っかかるんだよなぁ……」

 

「武昭、何が引っかかるの?」

 

「幾ら機体開発が進まないからって、そんなに資金を使う事が無いだろうと思ったんだよなぁ……」

 

「けど、僕がここに来る事になった理由は、それだったんだよ?」

 

「そうだとしても元々デュノア社は第二世代の開発をしてたんなら開発費がどれだけ掛かるか分かりそうな物だけどな」

武昭の言葉を聞いた簪とシャルロットはアッとした表情になった。

 

「じゃあデュノア社の経営悪化に機体開発は関係してないって事!?」

 

「違う違う関係はしてるだろうけど、それ以外の原因があるかもしれないぞって思うんだ」

 

「武昭が思ってる原因て何?」

 

「まぁ、俺みたいなIS開発の素人がパッと思いつくのは……開発費の横領か?」

 

「確かに……そんな事があったとしたなら額にもよるけど経営悪化の原因になるかも……」

 

「ちょっと待ってよ……だとしたら、なんでお父さんは僕をIS学園に入学させたの?!」

シャルロットは自分の中で()()()()()を考え震えていた。

 

「落ち着けシャルロット、俺の予想だから真実とは限らないけど、今迄の話を聞いて大まかな予想が出来たんだ」

 

「その……予想って……」

 

「幾つかあるけど、まず経営悪化の件は誰かが横領をしている考えに当たったんだ………

次に父親がシャルロットを学園に送ったのは()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?……武昭、データ収集をしなくても良いって……」

 

「多分だけど父親は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「武昭……その話からするとお父さんは、その行動が失敗しても良い様に指示したみたいだよ?」

 

「あぁ、父親はシャルロットのする事が成功するとは最初から考えていなかった……

失敗する事が望みだった」

 

「待って……武昭……何となく私も分かってきたよ……」

 

「父親はシャルロットを()()()()()()()()()()()()()

 

「何かに巻き込みたくないって……何なの?」

 

「多分……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「大丈夫!?シャルロット!!」

シャルロットは武昭の話を聞いて膝を崩したが簪が慌てて支えた。

 

「父親は経営悪化を起こしてる何か……まぁ今はXとしておくけど……

そのXをどうにかする為にシャルロットを学園に送った。

その理由としては……俺が簪と会った時の件と同じかもしれない」

 

「そっか……お父さんが何かをする時に弱点としてシャルロットを狙うかもしれないんだ……」

簪の言葉に武昭は黙ってうなづいた。

 

「じゃあ、お父さんがそういう理由で僕を学園に送った事情は分かったけど……

その後、お父さんはどうなるの?」

 

「……もしかして、そのXと一緒に捕まるか、もしくは……死ぬかもしれない……待てシャルロット、どこに行く?」

武昭の言葉を聞いたシャルロットは慌てて、そこを出ようとしたが止められた。

 

「決まってるよ!フランスに戻るんだよ!?」

 

「今から行ったところでどうなる?逆に捕まってアキレス腱になる可能性の方が大きい」

 

「そうかもしれないよ……けど!僕にとってはたった1人の父親なんだよ!?助けに行かなくてどうするの!!」

シャルロットは涙を流しながら訴えた。

 

「はぁ……シャルロットは幾つか間違ってる事がある……まずは俺の言った事が事実とは限らないという事

更に事実だとして、行って何が出来るんだ?」

 

「そ、それは……だったら、どうしたら良いの?……僕は何が……」

 

「だからこそ、それが間違ってるんだよ……シャルロットは1人じゃないんだ……

()()()()()()()

武昭はシャルロットのそばに行くと両手を肩に当てて優しく微笑んだ。

 

「え?……けど、これは僕の事で武昭には関係ないんだよ?……」

 

「あのなぁ、ここまで聞いて関係無いって事は無いだろ?……おっと……あぁ、今は好きなだけ……」

その話を聞いたシャルロットは武昭に抱き着くと そのまま胸の中で泣いていたが武昭は優しく背中を叩いて簪は優しく見ていた。



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第40話 気配の心当たり

泣き止んだシャルロットは慌てて武昭から離れたが顔を真っ赤にしていた。

 

「ご、ごめんね武昭………」

 

「別に謝られる事でもないから大丈夫だ、それよりも詳しく調べてみるか〔束さん、武昭ですけど今良いですか?〕」

 

〔んー?大丈夫だけど、どうしたの?〕

 

〔はい、実は……〕武昭は束に通信を入れるとシャルロットの事情を話した。

 

〔そうなんだ……ちょっと待っててね、セレナさんにも聞いてみるから〕

モニターから離れた束は少ししてセレナを連れてくると、武昭から聞いた話をした。


話を聞いた束とセレナは自分の考えを話した。

 

〔うん、こっちでも調べてみたら少しおかしい所があるんだよね〕

 

「おかしい所って……何ですか?」

 

〔まずは資金の流れなんだけど、ある時から変な所に流れていってるんだよね〕

 

「変な所って何処ですか?」

 

〔うん、○○って言う企業だよ。けどね特にIS関係って訳でもないんだ〕

 

「よくある横領とかする為の企業とかじゃないんですか?」

 

〔それが理由とかならまだ分かるんだけど、そういう訳でも無いのよ〕

 

「うーん、シャルロットは、その企業の事って知ってるの?」

皆の様子を見てた簪が話に入ってきた。

 

「いや、私も聞いた事が無いよ?」

 

「じゃあ、余計そんな企業に資金が流れてるのがおかしいんだよな……そうだ〔束さん、その企業の衛星映像とかって撮影出来ますか?〕」

 

〔うん、ちょっと時間はかかるけど可能だよ、少し待っててね……あれ?おかしいな……〕

武昭に言われた束がその企業がある地域を衛星で撮影するが何らかの影響でノイズが入っていた。

 

「束さん、どうかしたんですか?」

 

〔うん、その企業の映像を撮ろうとしたら変なノイズが出て写らないんだよね、ほら〕

 

〔あら本当だわ、束ちゃん衛星の様子が悪いって事は無いの?〕

 

〔それは無いですよセレナさん。こっちを見てください、ちゃんと写ってますよ〕

 

「じゃあ何らかの影響で映らない様になっているって言うのか……もしかして」

武昭は束達の話を聞いててある事を考えていた。

 

「束さん、今からそっちに行くんで()()()を調べてください」

 

〔うん、分かったよ。じゃあ待ってるから〕

束は通信を切って武昭が来るのを待っていた。

 

「そういう訳だから俺はダグキャリーに行ってくるから2人は「「私達も行く!!」」やっぱりな分かったよ、じゃあ行くぞ」

武昭は簪とシャルの手をそれぞれ握るとダグキャリーに転送した。


3人がダグキャリーに到着すると束でセレナが待っていた。

 

「あれ?タッ君以外にも来たんだ」

 

「お母さん!会いに来ちゃった!!」

 

「あらあら大きくなっても甘えん坊さんね」

束は軽く驚いておりシャルはセレナに抱きついていた。

 

「それでタッ君が調べたい事って……」

 

「さっき話してた変なノイズに心当たりがあるんですよ……まぁ、俺の考えが当たってるとは思いたくないですけど」

 

「そうか、なら早く行こう」

皆はダグキャリーの管制室に向かった。



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