戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜 (pocky@)
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第一回 戦国ラジライブ! 〜これまでの軌跡〜

謎の企画が始まりました。戦国ラジライブ!

この企画は今までの戦国ラブライブ!を振り返っていきたいと思います。
何も分からない人は、とりあえずこれみとけ、って感じのやつです。

全てが詰まってます。

それではどうぞ、ごゆっくり。



 

 

 

えー…。どうも、戦国ラブライブをご覧の皆様、こんにちは。作者してます、ポッキーです。

 

この度、戦国ラブライブ!がとりあえずひと段落ついた、ということで…今回は、総集編でございます!!

〈イェーイ

 

 

こんな感じで、ラジオ感満載でやっていきます。

 

 

ということで、このタイトルは…!!

 

第一回・戦国ラジライブ!

 

 

…まぁ、長丁場となりますので…お茶でも片手に、どうぞ暇つぶしにでも。

 

 

それから、私だけでは華がない!ってことでゲストを多数お呼びしておりますね、ええ。

 

…では、自己紹介を。

 

 

 

 

 

 

みんなー!!準備はいいですかー!!

…せーのっ

 

 

ファイトだよ。

 

 

うん!ファイトだよ!高坂穂乃果と申しますっ!!

 

 

 

 

とまぁ、まずは主人公さんと一緒に進行していきます。

 

 

それじゃあ早速、穂乃果ちゃん…前フリを。

 

 

 

まずは、第1幕から第3幕までだよ!!

 

 

 

…雑な前フリありがとうございました。

 

雑!?雑な前フリだったの!?えぇ…。結構頑張ったのになぁ…。

 

はい、それでは振り返っていきましょう。

 

 

無視しないでぇぇぇえ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜第1幕〜

 

はっきり言って、私自身勢いで書き始めたので設定がめちゃくちゃな時代ですね。

 

まぁ今もですが。

 

 

本当めちゃくちゃだよ…。家の倉庫からいきなりタイムスリップって何なの!?穂乃果聞いたことないよ!!

 

ええ、それについては非常に反省してます。でも、それしか方法が思いつかなかったわけで…。

 

 

本当に申し訳ないです。

 

 

じゃあ早速設定を説明していくね!

穂乃果がタイムスリップしたのは、μ'sがラブライブ!で優勝した後!…って言っても3年生になってからなんだけどね。

 

この頃は語り手が穂乃果ちゃんでした。もうめちゃくちゃでしたね。

 

本当だよ…。全部穂乃果に任せっきりなんだから…。

 

 

 

何年にタイムスリップしたのか、など色々疑問に思っていた方も多いと思います。

 

実際に感想で質問も来たしね。

 

 

穂乃果がタイムスリップしたのは1560年。織田信長が、あの有名な「桶狭間の戦い」で今川義元を討った後です。

 

書かれていないけど、穂乃果が来た時はみんなこの話題で持ちきりだったよ〜。それ位凄いことなんだね♪

 

 

あれ、もしかして桶狭間知らなかったりする?

 

 

あはは…。歴史は苦手で…。

 

 

呆れてものも言えないとはこのことですね。桶狭間は一般常識です。知らない方や、より詳しく知りたい方はウィキペディアへどうぞ。

 

 

ええと、確か1幕は、穂乃果が戦国版の海未ちゃんにあったところで終わったんだよね!

 

はい、そうですね。今思うと、素晴らしい終わり方だったと思いますね。

 

 

 

…うーんと、どこがかな?

 

 

 

とまぁ、軽い冗談を挟んだところで。

第1幕は、穂乃果が戦国時代へタイムスリップし、まさかの海未ちゃんとそっくりな人物と会うっていうところで終わりですね。

 

 

うん、雑にしめたね。

 

 

ちょっと1幕で尺をとりすぎたので。

それでは、次に2幕を振り返ってみましょう。

 

 

 

 

 

〜第2幕〜

 

 

 

 

 

 

2幕は、穂乃果が茨城にある鹿嶋城に連れてこられる所から始まるよね!

…というか、何で穂乃果が連れてこられたの?

 

それは、高坂家の本当の当主と、穂乃果ちゃんが全く同じ顔をしているから…ですね。

 

 

え?そうなの?

 

 

はい。それは人物紹介でもやっていますね。

まだ出演はありませんが、この後出てくるかも…?

 

 

…ちょっと怖いね。

 

 

まぁ本人からしたらそうでしょうね。とりあえずファイトだよ!

 

 

使い方が違うよぉ…。

 

 

そのせいで、海未ちゃんは殿様が記憶喪失になったのだと思い、色々していましたね。

 

あはは…。そうだったね。自己紹介とか色々あったなぁ…。

 

あ、そうだ!自己紹介といえば、高坂家の家臣がμ'sのメンバーだったことには驚いたよ!

 

 

正確に言えば、戦国版・μ'sですね。あの人達は平成のμ'sの皆さんとは全くの無関係です。

 

そして、自己紹介の後に穂乃果ちゃんは驚きの命令を出しましたね。

 

 

うん!驚きなのかは分からないけど、やっぱりみんな仲がいい方がいいし、穂乃果も「殿」って呼ばれるの嫌だったからね〜。

 

 

通称・穂乃果の友達になってよ令。家臣達に名前で呼ぶことや、タメ口を許可しましたね。

 

 

その後だよねー…。北条さんが攻めて来たのは。

 

 

はい。この2幕では、北条氏政との決戦がメインとなっています。この頃、関東は北条家と高坂家の2つが治めていましたが…。

北条は関東制覇を求めて、高坂を潰しに来たわけであります。

 

 

 

あの時は本当に怖かったよ…。死ぬかと思ったもん…。

 

 

そうですね。でも確か、穂乃果ちゃんの一言で敗戦ムードだった高坂をやる気にさせたんですよね。

 

 

あー、うん。そんなこともあったかなー?

必死だったからあんまり覚えてないや…。

 

 

どちらにせよ、穂乃果ちゃんの言葉で奮起した高坂家臣達。諦めずに激突することを決意しましたね。

 

 

海未ちゃん達が考えた対北条の策は凄かったよね。

 

 

はい。色々複雑で私自身もわけが分かっていません…。とりあえず、その策を要約して行きましょうかね。

 

うん、お願い!

 

 

まず、園田軍が真姫ちゃん所有の船で小田原城へ行きます。そこで、海未ちゃんは陸地へと降り立ち、ことりちゃん作の北条軍伝令係の服を着て、北条軍にデマを流します。

 

…小田原城に火が放たれた、というデマですね。 北条軍が鹿嶋付近から引き返してくるのを狙って。

 

確かそれで、北条さんは引き返したんだよね。

 

 

はい。ビックリするくらい上手くいっていました。

それで、引き返している北条氏政を埼玉付近の一本道で凛ちゃんが一撃で首を刎ねる…という意味不明な策でしたね。

 

うーん…。今聞いてもよく分かんないよ…。

 

 

まぁ、それはいいとしましょう。見ている皆さんも忘れて下さい。

 

 

えぇ!?そんなのでいいの!?

 

 

…天に助けられたんですよ、高坂さんは。

それでいいですか?

 

 

…いい、のかな?

 

 

はい、2幕は終了!2幕はこんな感じですね。

北条氏政を討って、高坂がなんと関東を治めることになる…という回でした。

 

 

いきなり関東の覇者?になっちゃったもんね〜…。本当ビックリだよ…。

 

 

では、引き続き3幕を振り返っていきます。

 

 

 

 

 

 

〜第3幕〜

 

 

 

 

 

 

3幕はね、確か宴会から始まったよね!

 

 

はい。にこちゃんが汚物を噴射したり、色々ありましたね。

 

 

あー…。あれはちょっとね…。

 

 

 

とまあ、ここで色々と話が動き始めたわけであります。

まずは、居城の移転計画。鹿嶋城は小さすぎるため、新しい城を東京に作ることになりました。

 

 

うん!音ノ木坂城だね!神田明神の近くっていうから、ちょっと穂乃果嬉しくなっちゃったよ!

 

 

張り切ってましたね。穂乃果ちゃんが言った通り、音ノ木坂城を築こう…ということで、建築リーダーに指名されたのが、かよちんでしたね。

 

 

そう!花陽ちゃんはあまり目立たない事が多いみたいだから、ここで目立って欲しい!!っていう思いだったね!

 

 

はい。かよちんの大仕事です。この音ノ木坂城ももうそろそろ完成に近づいています。

 

 

おぉ!じゃあ後少しで引っ越しかな?

 

そうなりますね。楽しみにしていて下さいね。

 

うん!早く音ノ木に行きたいよ!

 

 

この頃は、1561年。年が明けましたね。

 

 

そして、ここであの人が登場するんだよね…。

 

はい。戦国最強と謳われた…。

 

 

 

 

 

 

武田信玄

 

 

 

 

 

 

またしても高坂のピンチでしたね。

 

 

うん。でもでも!この戦はね!

 

 

はい、分かっています。穂乃果ちゃんが考えた鉄砲を連発する方法、「三段構え」を使って勝ったんですよね。

 

 

えへへ〜。我ながらあの策は凄いと思うよ!

 

 

まさか長篠の戦いを知らないとは…。あの時、私はひたすら驚いてました。

でも、知らなくても「三段構え」を思いつくあたりはさすがですね。

 

 

うんうん!もっと褒めて〜♪

 

 

 

はい、とまぁおだてた所で、3幕を簡潔にまとめましょう。

音ノ木坂の建築がスタートし、武田信玄と戦う…というのが3幕ですね。ざっくりですが。

 

本当、よく武田さんに勝てたと思うよ…。

 

 

まさに快挙ですね。びっくりです。

 

そして、この快挙は各地の有力な大名へ広がっていき…ってところで4幕へ続きます。

 

 

4幕は穂乃果のトラウマだよぉ…。

 

 

はい。分かっています。なので、穂乃果ちゃんはここで終了です。泣かれたら困るので。

 

 

うん。4幕はみんなに任せるよ。

 

 

 

という訳ですので、1〜3幕の振り返りをこれで終わらせていただきます。

 

次回は4〜5幕の振り返りです。ゲストは、その時のお楽しみ、ということで。

 

 

じゃあ第一回はここら辺でしめようか!

 

はい、そうですね。

 

 

じゃあビシッとしめよう!!

 

 

ここまで見てくださった皆さん、ありがとうございました!

 

ありがとう!ちょっとでも楽しんでくれたら嬉しいな♪

 

 

 

それでは、ここまでのお相手は、

 

 

作者・ポッキーと

 

 

 

高坂穂乃果でした!

 

 

 

 

 

それではまた次回のラジライブで、お会いしましょう!

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

どうでしょうかね?この企画は。当分これが続きます。
一区切りがついたので、皆さんにも振り返ってもらいたいと思います。

まぁ、これからも見ていって下さいね。




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第2回戦国ラジライブ!〜これまでの軌跡〜


謎の企画も第2回ですね。嫌なら言ってください。すぐさま第2シーズンの執筆に取り掛かります(←

今回も色々やらかしますので、どうぞごゆっくりしていってください。

暇つぶしにでも見て頂けだらいいかなぁ…と思いますので。


二日間サボりました、申し訳ないです。

wadaikoさん、T橋さん、ご感想ありがとうございました。





 

 

 

 

 

 

いつも見てくださっている方も、初めての方もこんにちは! 戦ラ!作者のポッキーです。

 

 

 

 

ん?戦ラ!って何?ええ、勝手に略しを作らせていただきました。 皆様もそう呼んでくださいね。

 

 

 

 

それでは今回もやっていきます、戦国ラジライブ! 第2回は4幕と5幕を振り返っていきたいと思います。

 

 

皆様気になってあるであろう、ゲストさん!

ここで登場してもらいましょうか。

それでは自己紹介をお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えー…。今回のゲストの絢瀬絵里よ。みんなよろしくね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…え?それだけですか?

 

 

え?何か不満でもあった?

 

いや、いつものアレをやってもらいたかったのですが…。

 

 

…アレはいいわよ。川中島のときも言ったでしょう?恥ずかしいの。

 

 

…賢い可愛い?

 

 

……何よ、私はやらないわよ?

 

 

…。

 

 

…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えー、この様なつまらないお方とやっていきます。

 

 

ちょ、ちょっと!人聞き悪いわよ!!

 

 

えー、それでは4幕から振り返っていきましょう。 エリーチカさん、前フリどうぞ。

 

 

 

…あのね、エリーチカさんってエリーちゃんさんなのよ?それはみんな注意してね。

 

じゃあ4幕よ。綺羅家が久々の登場ね。

 

 

 

 

 

 

〜4幕〜

 

 

4幕は綺羅家へ穂乃果ちゃんと絵里ちゃんが2人で行くところから始まりましたね。

 

 

ええ。あの旅は本当に疲れたわ…。穂乃果にどれだけ振り回されたか…。

 

 

あー、そうでしたね。挙句の果てに人の城で大声で怒鳴り散らしましたもんね。

 

 

…本当よ。とにかく恥ずかしかったわ…。

それにしても、あの時の穂乃果の顔がまだ忘れられないのよ。

 

 

あの時の?

 

 

ええ。潤んだ瞳に夕日のように赤く染まった頬…。そして必殺の上目遣い…!!あれは本当に…。

 

 

うーん、さすがほのキチの一角を担うだけはありますね。変態チックですよ。

 

 

あら、そう?私にはそんな変態チックには思えないけど。

 

 

とまぁ、こんなことがあったりして、いよいよあの人の登場ですね。

 

 

綺羅ツバサ…。今でも忘れないわ。

 

 

めちゃくちゃからかわれてましたね。賢いエリーチカともあろうものが。

 

 

それはね?あの人の口が上手すぎるのよ。あれは誰だってああなるわ。

 

 

人気ナンバーワンですからね。それくらいの貫禄はないと困りますよ。

 

 

 

あ、そうだわ。ちょっと聞きたいことがあったの。

 

聞きたいことですか?

 

 

ええ。ツバサ殿を見た時に、穂乃果の様子がおかしかったのだけど…。何か知らない?

 

…穂乃果ちゃんに直接聞けばいいじゃないですか。

 

 

聞いたのよ。聞いたんだけれど、答えてくれないの。…絶対何かあるわ。

 

まぁ、穂乃果ちゃんも一応女の子ですし、隠し事の1つや2つあるんじゃないですか?

 

 

…そういうものかしら?

 

 

知りませんよ。そういうものなんじゃないですか?

 

 

うーん…。私には隠し事とかないから…。あんまりよく分からないわ。

 

 

 

 

 

 

…あら?隠し事がないって…。5幕でやらかしますよね、貴女。

 

 

あ、まさかフリですか?上手ですね。

 

 

 

そ、その話は前のことでしょ!?だってあれは仕方なく…!!

 

 

とまあ、少し弄ってみたところで。

 

ツバサさんとの対談で、その志に賛同した穂乃果は、綺羅家と同盟を結ぶことを決意します。

 

 

…これがちょっとした間違いだったわね。

 

 

結果的にはそうなってしまいましたね。

その後、鹿嶋に戻った穂乃果と絵里。福島の綺羅と手を結んだことで、関東の高坂に少しの間平穏が訪れる、ということで高坂のみんなは大盛り上がり。

 

 

そうだったわね。みんな久々に遊ぼう、とか色々と言っていたわね。

 

…まぁ、雨で何も出来なかったんだけどね。

 

 

 

はい。その雨の為、高坂の皆は何も出来ずに暇を持て余していました。

 

 

…しかし、そこにある情報が入ります。

 

 

上杉と伊達の連合軍が綺羅討伐の為に挙兵した…ってね。

 

はい。同盟国の危機ですが、相手は上杉と伊達の連合軍。この負け戦、援軍を出さないのが普通…いえ、出せないのが普通でした。

 

 

しかもその時に高坂が準備出来た兵は1500足らず。この戦に援軍なんて出そうものなら、高坂も綺羅と共倒れになるのが目に見えていたわ。

 

 

そんな状況でも援軍を出すって聞かなかったのが…。

 

 

穂乃果なのよね。

 

 

そうですね。自らの危険よりも友情を重んじる…。それが高坂穂乃果という人間です。

 

 

ええ。本当、驚いちゃったわよ。いくら言っても聞かないんだもの。挙げ句の果てに海未や他のみんなも賛同しちゃって…。

 

 

あはは…。絵里ちゃんも大変ですね。

 

 

本当よ…。しかも穂乃果が先鋒でしょう?…どうかしてるわ。

 

 

まぁ、主人公ですから。大事な友の為に、自ら先頭を走り、敵陣へ突っ込んでいく…。かっこいいではありませんか。

 

 

それでも、高坂の当主という自覚は持って欲しいものだわ…。

 

 

まぁ、そうですね。あれではいつ首をとられるか分かりませんからね。

 

 

…縁起でもないこと言わないでくれる?確かにそういう危険はないわけじゃないけど…。

 

 

とまぁ、穂乃果ちゃんの話はここまでにして、ここからは戦のシーンですね。

 

 

ええ。よくあの大群をかいくぐることが出来たわ…。本当、自分でも凄いと思うわよ。

 

 

…上杉の人に兵を貸してもらっていた貴女がソレを言いますか?

 

 

…ごめんなさい。

 

 

矢澤軍は本当に凄かったですね。300ほどの兵で7000近くの大群を相手にし、損害は50の兵を失った程度。しかし、にこちゃんは肩に銃弾をくらってしまいましたがね。

 

 

 

本当、にこは凄いと思うわ。あんなに戦が上手い人はそうそういないわよ。

 

 

自称・戦国最強の騎馬隊YAZAWAですからね。高坂一の武将ではないでしょうか。

 

 

そうね。あの子は抜けてる部分もあるけど、やる時は凄い子よ。はっきり言って、私よりも頼りがいがあるかもね。

 

 

そんな矢澤先輩の活躍などがあり、穂乃果ちゃんは綺羅本陣に何とかたどり着くことが出来ます。

 

 

しかし、時はすでに遅し…ってやつね。

 

 

はい。綺羅本陣は見るも無惨な状態でした。ツバサさんが1人、ぽつんと残されているのみでした。

 

 

穂乃果はツバサ殿に駆け寄って、一緒に帰ろう…って言ったのよね。

 

 

しかし、その誘いをツバサさんは拒否しました。ぐずる穂乃果に温かい言葉をかけて。

 

 

うーん、あの時は本当に感動的だった…って海未から聞いているの。その場にいたかったわ…。

 

 

その後、ツバサさんは1人で戦場へと繰り出し、一人の武士として華々しく散ったそうです。

 

 

本当、誰もが憧れる死に方ね…。

 

 

 

これで4幕はお終いですね。

 

 

ちょっと後味が悪い終わり方だったわよね。

…まぁ、この後のこともあるんだけど。

 

 

そうですね。この後の5幕では、ここにいる絵里ちゃんがやらかします。

 

 

それでは5幕、行ってみましょう。

 

 

 

 

 

 

〜5幕〜

 

 

さぁ、絵里ちゃん、この回の題名は?

 

 

ダリア…だったかしら?

 

 

はい。ダリアとは、花の名前ですね。何故この花を採用したかと言いますと…。

 

 

花言葉…かしら?

 

 

お!さすが賢いエリーチカですね。そうです、今絵里ちゃんに言ってもらった通りです。

 

このダリアの花言葉には、綺麗とかそういう系統のものがあるのですが…。もう1つ、違う意味のものがあります。

 

 

…裏切り、ね。

 

 

はい。綺麗、裏切り…。まさに絵里ちゃんだなぁ…と思い、この題名を付けさせていただきました。かなり傑作なのですが、気づいた人はいますかね?

 

 

いて欲しいものだけれどね。

 

 

とまあ、題名はここら辺にして、5幕です。

 

 

本当に悪いことをしたと思っているわ…。いくら亜里沙を助けるためとは言っても…。

 

 

この話は、絵里ちゃんの妹、亜里沙ちゃんが武田に連れ去られることで始まりました。

 

 

本当、武田もひどいことをするものよ…。高坂を裏切らなければ亜里沙は助からない…。あの時はもう大変だったわ。

 

 

高坂の仲間をとるか、妹をとるか。究極の選択でしたね。

 

 

ええ。結局私は亜里沙をとったわけだけれど…。

 

 

そうですね。絵里ちゃんは悩みに悩んだ末に、穂乃果ちゃんの行動を見て、亜里沙ちゃんを助けることを決めます。

 

 

綺羅を助けに行く…って言ったときに私の心は決まったわ。もう高坂は終わる…。だから、ね。

 

 

賢明な判断だったと思いますよ。まあ、窮地の高坂をあの戦で救ったのはもっとも絢瀬軍でしたが。

 

 

ええ。まさか武田が手を貸してくれるなんて思ってもみなかったわ…。

 

 

その後、絵里ちゃんは真田信繁の命令通り、高坂の鉄砲を捨てたり、財産を全て武田に渡したり…。色々やってくれましたね。

 

 

そうね。…でも、財産は驚いたわ。

 

 

…と言いますと?

 

 

私の記憶では、城の近くの洞窟にあるお金が高坂の全財産だと思ってたのよ。かなりの量があったと思うわ。

 

…でも、それは高坂の財産のほんの一部だった。西木野はあれの何倍ものお金を違う場所へしっかりと隠していたのよ。

 

 

…要は、西木野軍の財力は底知れなく、全財産を渡していたと思っていたが、渡した財産はほんの一部で、それについては全く影響がなかった…と?

 

 

要は、になってるかは分からないけど、そういうことね。

 

 

しかし、この奇妙な動きに気づいている人がいましたね。

 

 

…希ね。あの子は本当、色々やってくれるわ。

 

 

絵里ちゃんを1番よく知っているであろう、希ちゃんは奇妙な動きをする絵里ちゃんを不自然に思っていました。

 

そこで、彼女は高坂の忍、凛ちゃんに絵里ちゃんの尾行を命令します。

 

 

 

…そこで全部バレちゃったわけね。

 

 

そういうことですね。財産を信繁に渡している絵里ちゃんを凛ちゃんはしっかりと見ました。

 

彼女はピュンピュンと鹿嶋へ走っていきました。

 

 

…それで、凛がみんなにその事を話して、私が裏切っているのが確定した。

 

 

絵里ちゃんが帰還後、裁きの場が設けられます。

 

あの時、絵里ちゃんは心からの謝罪をし、腹を切る流れになっていましたね。

 

 

ええ。もう私は死ぬ覚悟は出来ていたし、みんなからしても、それが1番だと思ったからね。

 

 

脇差を腹に突き刺そう、とした時でしたか。穂乃果ちゃんがその手を引き止めたのは。

 

 

あの時の穂乃果の腕力は本当に凄かった。いくら穂乃果の手を振り切ろうとしても、全く離れないんだもの。

挙句の果てに、私が負けたわ。

 

 

それで、穂乃果ちゃんは貴女にこう言いましたね。罪を死んで償うのは卑怯だ…と。そして、死んで償うのが武士なら、武士なんか辞めてしまえ…と。

 

 

あの言葉は、私の概念を全てひっくり返したわ。あの言葉と、穂乃果の寛大さがあったからこそ、私はもう一度、高坂に尽くそう…と思えることが出来た。死ぬはずだったこの命。全てを高坂に捧げよう…ってね。

 

 

穂乃果ちゃんは凄いですね。やっぱりリーダーとしての素質は素晴らしい。戦国でもその素質は光るものがありますね。

 

 

その後だったかしら?武田がこっちに攻めてきたのは。

 

 

はい。1563年末、小田原の合戦の始まりです。

 

 

 

ってところで5幕は終わりかしら?

 

 

はい。…ということで、今回の分は全て振り返り終わりましたが、いかがでしたか?

 

 

そうね。色々思い出せるいい機会だったわ。もう一度、自分に色々と戒めることもできたし。

 

 

皆さんはいかがでしたでしょうか?少しは思い出してくれましたかね?

 

 

まとめ方が雑な部分や、理解不能な部分も多いと思うけど、そこは温かい目で見てくれると嬉しいわね。この作者の文章力ではこれが精一杯だから。

 

 

…代弁ありがとうございます。 まあ、そういうことなんです。

分かりにくい部分、多々あったと思いますが、そこはいつものことと思って謎解きしていただけたらなぁ、と思います。

 

 

第2回のラジライブももうそろそろ終わりね。

 

 

次回は第六幕と第七幕を振り返ります。武田と上杉、双方共に出てきますので、お楽しみに。

 

 

それと、次回のゲストも楽しみにしててね。

 

 

 

それでは、第2回戦国ラジライブ!はここら辺で終わらせていただきます。

 

 

 

ここまでのお相手は

 

 

ポッキーと

 

絢瀬絵里でした。

 

 

 

 

 

それでは皆さん、また次回でお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした…。いかがでしたか?
まぁ、無茶苦茶なのはいつものことですので、落ち着いてください。

第3回のゲストはどうしようかなぁ…。希望がある人は感想からでも教えてくださいね♪

それでは次回もお願いします。




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第一幕 戦国時代

SS投稿になります。拙い文章ですが、謎の世界観を楽しんでいただけたら幸いです。


[第一幕 戦国時代 ]

 

 

「え...?嘘、何で穂乃果こんなところにいるの...?」

 

私、高坂穂乃果!高校2年!音ノ木坂学院でスクールアイドルμ'sをやっています!...って言いたいところなんだけど、今はそれどころじゃないんだよね... あはは...。

 

あれは学校の家庭科の宿題のためにアルバムを探していたときだったかな。

 

「お母さーん!穂乃果のアルバムどこー?」

 

「えー?どうして今アルバムが必要なのよ。お母さん今忙しいんだけど?」

 

「学校の宿題やるために必要なの!」

 

「穂乃果が宿題!?あらやだ、熱でもあるんじゃない? 部屋で休んでたらどう?」

 

「穂乃果だってやるときはやるの!それで?どこにあるの?」

 

「あー、倉庫にあったかしらね」

 

「え、倉庫!?あそこは何か異次元に繋がるから入っちゃダメってお婆ちゃんが!」

 

「はぁ?そんなこと言ってるのはお婆ちゃんだけよ。大体異次元に繋がるってどんな倉庫なのよ」

 

「えー、でも万が一穂乃果が異次元に行っちゃったらどうするのー?」

 

「いいんじゃない?手がかからなくなるしね♪楽でいいわ」

 

「お母さんの薄情者!穂乃果が異次元に行っちゃっても知らないよーだ!」

 

「はいはい、異次元にでもどこにでも行ってらっしゃい。それじゃ、店番に戻らなきゃいけないから」

 

そう言ってお母さんは店番に戻って行っちゃったんだよね。本当に穂乃果が異次元に行っちゃうなんて思ってもいなかっただろうなぁ。お母さん少しは心配してくれてるかなぁ?

 

「さてと、倉庫だよね。ちょっと怖いけど大丈夫だよ!ファイトだよ!」

 

 

今思うとあそこでファイトなんてしなきゃ良かったのかもね。

 

 

「倉庫ってこんな感じだったんだね♪ ...にしても暗いなぁ... これ結構怖いやつだよ...」

 

本当に怖かったよ。お婆ちゃんの話が倉庫にいる間、頭の中をぐるぐる回ってた。

 

「あれぇ?おかしいな...。本当にここにあるの?

もう一回お母さんに聞いてみようかな」

 

そう言って私は倉庫の出口の方を向いたの。

 

 

 

そしたらね…?

 

 

 

「あれ、倉庫の外ってこんなに明るかったっけ?家の中のはずなんだけど....」

 

そう、倉庫の出口からの光が異様に強くなってたの。

 

まるで外の光みたいだった。

 

家の中にいるはずなのにね。

 

「まぁいいや。とりあえず出なきゃ」

 

私は倉庫から出た。

 

「え...?嘘、何で穂乃果こんなところにいるの...?」

 

私の目には一面の田んぼが映しだされたの。おかしいよね。私は家にいたはずなのに。

 

「ちょっと待って...!もしかして異次元に来ちゃったんじゃ...!」

 

私にはそうとしか思えなかった。というか実際そうなんだけどね。

 

「嫌ッ...!そんなの絶対に...っ!」

 

私はそれからどうやったら戻れるか少し探してみたの。けど何もなかった。周りは田んぼと林だけ。日も暮れようとしていたなぁ。

 

「...グスッ 穂乃果ここで死んじゃうの....?そんなの嫌だよ...」

 

私は絶望の淵にいたよ。そんなときだった。馬が駆ける音が聞こえてきたの。

 

「.....!!!」

 

誰かいるのかもしれない、助けてもらわなきゃ、その一心で馬が駆ける音が聞こえる方向へ走ったんだ。

 

そしたら馬に人が乗っているのが見えた。夕日が眩しくて影しか見えなかったけどね。

 

 

「おーい!!助けて下さーい!!」

 

 

全力で叫んだ。自分でもびっくりするくらいの大声だったと思う。その声に反応したのか馬がこちらに近づいてきた。助かった、そう思って心底安心したんだ。

 

そして馬が私の前で止まる。

 

「すみません、ここがどこだか分からなくて...。助けていただけませんか....っ!?」

 

その馬に乗っている人と目を合わせようと思って見上げたとき、私は本当に驚いた。

 

そして怖かった。

 

 

 

だってその人は深く引き込まれそうな青色の長髪をした女の子...

 

 

 

 

 

 

園田海未そのものだったんだからね。

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ご意見、ご感想お待ちしております。


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登場人物紹介〜the characters〜

戦国ラブライブ!休戦編・登場人物紹介です。
戦は休戦、お茶でも飲んで行きなされ。


[chapter: 登場人物紹介〜the characters〜 ]

 

 

『高坂家』

関東を治める大名。関東の覇者である。

これをよく思う隣国の大名は少なく、よく戦を仕掛けられる。

現在の拠城は茨城にある「鹿嶋城」。

しかし、拠城の移転を目指し、現在東京に「音ノ木坂城」を築城中。

この物語の舞台とも言えるだろう。

 

 

 

☆高坂穂乃果 157cm

 

この物語の主人公。平成生まれの戦国大名。

平成ではスクールアイドルμ'sのメンバーとして活動していた。

タイムスリップしてきた事により、戦国大名である「高坂家」の当主をする事になってしまう。

しかし、本物の高坂家当主とは全くの別人である。

頭が残念で、計画的なことは出来ない。

だが、熱い弁論で家臣達を鼓舞したりする能力はずば抜けており、天からも味方されている。

驚異的な人物である。

ファイトだよ。

 

剣さばきは中学時代に剣道をしていたこともあってか、一級品。

戦場に出る際は主に騎馬兵を連れて戦う。

家紋は穂乃果の「穂」

 

 

 

・高坂穂乃果 157cm

 

戦国大名「高坂家」の本物の当主。

現在のところ出演は無し。

性格は平成の穂乃果と同様であったが、平成の穂乃果よりは頭がきれた模様。

また、スペックはほぼ平成版穂乃果と同じ。

穂乃果が平成から戦国時代へやって来た途端、忽然と姿をくらませた。

 

 

 

・園田海未 159cm

 

戦国大名「高坂家」で軍師を務める。

その頭脳の良さで的確な策を考え出したり、素早い指示を飛ばしたりなど、天才的な才能を持った軍師である。

しかし、多少メンタルが弱い部分がある。

安定のほのキチ。

お饅頭は大好き。

ラブアローシュート。

 

戦場では主に弓兵を率いて戦う。

園田の弓兵はほとんどの者が弓の名手で、狙った獲物は逃さない。

また、海未自身も弓の名手。

家紋は弓矢の絵。

 

 

 

・南ことり 159cm

 

戦国大名「高坂家」にて裏方を務める。

主に家臣達のご飯の用意、城門の管理などをしている。

少しの材料で手際よく多くの料理を作る事が出来る。

また、頭脳明晰でもある為、よく軍師達の作戦会議にも呼ばれることも多い。

真姫が外国から持ってきたマカロンにベタ惚れ中。

ハノケチュン。

 

ことりは戦場には出ず、後方支援として物資の調達や運搬を行う。

ふわふわしているが、一応南軍の殿様である。

家紋は(・8・)

 

 

・絢瀬絵里 162cm

 

戦国大名「高坂家」にて軍師を務める。

海未と同様、その頭脳を活かしとんでもない策をたてる。

しかし、時たまポンコツなのが残念賞である。

祖母がロシア人。クォーターである。

その為、外見はロシア人とあまり変わらない。

また、そのロシアの祖母は約20万の兵を持つ化け物。

賢い可愛いエリーチカ。

 

戦場では主に槍兵を率いて戦う。

彼女の槍さばきは見事なもので、初陣の際に、一度に30人の敵兵を吹っ飛ばしたという武勇伝持ちである。

家紋はRを左右反転させたもの。

 

 

・東條希 159cm

 

戦国大名「高坂家」にてスピリチュアル役を務める。

彼女の占いは8割は当たる。

残念ながら特に秀でたものはなく、頭脳も並、戦が特別上手いという訳ではない。

しかし、汎用性が異常に高く、何でもできる。

器用貧乏。

困ったらうちにお任せ。

 

戦場では騎馬、槍、弓全ての兵を率いる。

希自身は槍で相手に突っ込んでいくタイプ。

兵力は全家臣の中で一番多い。

家紋は三日月。

 

 

・矢澤にこ 154cm

 

戦国大名「高坂家」にて暴れん坊を務める。

頭に血が上りやすい性格で、後先考えず行動する癖がある。

また、持ち上げられるとすぐ機嫌がよくなる。

しかし、家臣達からよくお悩み相談をされるほど皆からは信頼されている。

お姉さんタイプ。

にこにこにー。

 

戦場では主に騎馬隊を率いる。

彼女の騎馬隊はあの武田にも劣らない強さをほこる。

自称・戦国最強の騎馬隊YAZAWA。

僅か500の兵で2000の敵兵を迎えうち、壊滅させたこともある猛者。

家紋はスマイルマーク。

 

 

・西木野真姫 161cm

 

戦国大名「高坂家」では主に軍師を務める。

その頭脳は絵里と海未より遥かに上である。

また、西木野は超が付く程の大金持ちであり、海外とのパイプも太い。

その為、高坂には外国の最新武器や、防具、食べ物などがよく送られてくる。

意外と心配性であり、そういうのを表に出さないよう頑張っている。

ヴェェ。

ナニソレイミワカンナイ。

 

戦場では主に鉄砲隊を率いる。

防具も外国から仕入れたもので、結構頑丈だったりする。

鉄砲隊だけに遠距離攻撃を得意とし、向かってくる敵を一瞬にして打ち払う、殺人部隊。

家紋は☆。

 

 

・星空凛 155cm

 

戦国大名「高坂家」では間者(スパイ)を務める。

その足の速さは驚きで、まさに韋駄天である。

相変わらず語尾に「にゃー」がたまにつく。

その偵察能力は天下一で、高坂の情報源である。

にゃんにゃんにゃー。

星空にゃ。

 

戦場では主に忍者部隊を率いる。

戦場をあちこちに駆け抜け、相手を翻弄し一撃で仕留める。

現在は情報仕入れなどに徹しているため、戦場に出る事は少ない。

家紋は猫。

 

 

・小泉花陽 156cm

 

戦国大名「高坂家」では伝令役・裏方を務める。

伝令の際の絶叫は素晴らしいものであり、花陽が叫ぶと家臣達に緊張が走る。

お米が大好き。

自分で稲作をしており、非常に米を作るのが上手い。

しかし、内気な性格・泣き虫が祟り現在のところ功名という功名はあげていない。

そろそろ花陽にも功名あげてほしいという家臣達の願いから、彼女は「音ノ木坂城」築城のリーダーとなる。

高坂の妹。

ダレカタスケテー。

 

戦場にはほとんど出ておらず、戦の経験はかなり薄い。

初陣の際、自分の兵をほったらかして泣き帰ったという話もある。

戦は下手。

家紋はご飯。

 

 

・高坂雪穂

 

高坂穂乃果(所在不明の方)の妹。

姉とは性格が真逆で、しっかりした性格。

現在は築城しに行った花陽に同行し、護衛などをしている。

しかし、やはり姉妹は似るもので、あちこち頭のネジが外れており、おかしな時がある。

体重増えた。

 

戦場では主に騎馬兵を率いる。

戦は上手い方ではないが、一生懸命頑張る子である。

 

 

・絢瀬亜里沙

 

絢瀬絵里の妹。

とにかく姉が大好き。姉思いの良き妹である。

高坂の家臣達のことも好きなようで、よくひっついている。

ハルァッショー。

 

戦の経験はなし。

 

 

 

『綺羅家』

 

第4話に登場した福島を治めていた大名。

若松城(鶴ヶ城)が拠城。

高坂と唯一隣国で同盟を結んだ大名。

しかし、上杉と伊達の連合軍に「綺羅討伐」を掲げられ、攻められてしまう。

その際に綺羅家は滅亡してしまった。

 

 

 

☆綺羅ツバサ 154cm

 

穂乃果同様、平成からこちらにタイムスリップしてきた。

そして成り行きで綺羅家当主を務めることとなったようである。

平成ではA-RISEとして大人気であった。

「自分が見てきた世界を、この時代の人にも見せてあげたい」

同じ志を持った穂乃果と共に戦国の世を変えることを決意する。

しかし、上杉・伊達に攻められ、戦に敗北。

死んでしまったことになっている。

ワッチャドゥー。

 

 

・武田信玄

 

戦国最強・武田信玄。

よく高坂に戦をしかける高坂の敵。

基本は史実通りの為、より詳しく知りたい方はウィキペディアへ。

 

 

・上杉謙信

 

軍神・上杉謙信。

自ら戦いの神・毘沙門天の生まれ変わりと表する。

これからの高坂の行く末を左右するキーマンとなるのかもしれない。

こちらも基本史実通りのため、詳しくはウィキペディアへ。

 

 

・アーロン

 

絵里の祖母の20万の軍隊を率いるロシア兵。

陽気な性格で、日本語も結構上手かったりする。

時たま登場するので、以後お見知りおきを。

 

 

・真田信繁

 

注)真田幸村と同一人物。信繁が本名である。

 

5話にて一度出てきた、真田信繁。

上杉謙信同様、高坂の行く末を左右するキーマンとなるかもしれない。

これも基本は史実通りのため、ウィキペディアへ。

 

 

 

○勢力図○

 

ーー東北ブロックーー

青森=津軽家

秋田・岩手・宮城=伊達家

福島=上杉家・伊達家 (元々は綺羅家)

 

 

ーー関東ブロックーー

関東=高坂家

 

 

ーー中部ブロックーー

新潟・石川・富山=上杉家

山梨・長野=武田家

静岡=徳川家

愛知・岐阜=織田家

福井=浅井家・朝倉家

 

 

ーー関西ブロックーー

京都・大阪・兵庫=足利家

奈良=松永家

和歌山=本願寺

 

 

ーー中国ブロックーー

山口・広島・岡山=毛利家

鳥取・島根=宇喜多家

 

 

ーー四国ブロックーー

四国=長曾我部家

 

 

ーー九州ブロックーー

福岡・大分・佐賀・長崎・熊本=大友家

宮崎・鹿児島=島津家

 

 

 

 

注)実際の歴史とは異なる部分がございますの

で、ご了承下さい。

 

 

戦国時代でもラブライブは開催されていたーー

 

 

戦国ラブライブ!これからも引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

休戦編 完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




閲覧ありがとうございました。
本編の方もよろしくお願いします。


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第二幕 巨大勢力

第2話となります。前回よりはましになったと思います。どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。


[第二幕 巨大勢力]

 

前回のラブライブ!

穂乃果は宿題のために倉庫でアルバムを捜していた。しかしその倉庫はほのババ曰く異次元に繋がる倉庫らしい。そんなことがあるわけがないと思っていたが、本当に異次元に繋がってしまった! どこか分からない場所に投げ出された穂乃果はどうすることも出来ないでいた。

しかしそこで1人の少女と出会う。

 

 

〜〜〜穂乃果、絶対あの倉庫へは入るんじゃないよ。違う世界に飛ばされちまうからね。いいかい?だがね、万が一、違う世界へ行っちまったときのために自分の世界に戻る方法を教えておくよ。それはね、その飛ばされた世界で課せられた天命を果たすこと。それ以外はないからの。覚えておくんだよ?〜〜〜

 

 

「海未ちゃん...?」

 

 

私の目の前に現れたのは海未ちゃんだった。

 

知ってる人が目の前にいる、それだけでとても安心した。

 

「殿...?殿にございますか?」

 

けれどその言葉を聞いて私の安心は再び不安へと変わった。

だってその海未ちゃんは私が知ってる海未ちゃんではない事に気付いたから。

まあ、馬に乗ってこんな変なとこににいる時点でおかしいって思ってはいたんだけどね。

 

「どこに行っていたんですか。城のみんなも心配していますよ?」

 

何を喋っているのか意味が分からなかった。

 

「ええと、ごめんね、海未ちゃん。私、何にも分からないんだ。何でこんな所にいるのかも」

 

私は事実をそのまま話した。

 

「!!!....そうですか。殿。ならば城に戻って休まれて下さい。そうすれば多少は記憶が戻るでしょう」

 

海未ちゃんは私が頭でも打って記憶が飛んだのだとも思ったんだろうね。

 

「え、いや、ちょっと!?城って何さ!!」

 

「城も忘れたのですか。かなり重症のようですね...。ほら、早く戻りますよ」

 

私はそのまま城へ連れて行かれた。

 

〜鹿嶋城〜

 

私が連れてこられたのは鹿嶋城という城。茨城県の沿岸にあり、戦国大名「高坂家」の本城だったの。

 

「...んん...?」

 

「殿、目を覚まされましたか」

 

色々あってかなり疲れてたのか、しばらく寝ていたみたい。

 

「それで?殿。何か思い出されましたか?」

 

海未ちゃん、思い出すわけがないよ。なんせ私は殿様じゃないからね。

 

「ちょっと待って、海未ちゃん。まず穂乃果の質問に答えてくれる?」

 

「ええ、いくらでも」

 

「あのね、穂乃果ね、ここがどこだか分からないの。まずそれに答えてくれる?」

 

「ここですか?ここは高坂家本城の鹿嶋城にございます」

 

「じゃあもう1つ聞くね?今って...何時代?」

 

 

「今ですか?今この世は乱世。戦国の世でございます」

 

 

あぁ、そうなんだ。私は絶望したよ。

私は異次元なんかに来たんじゃない。

戦国時代へタイムスリップしてきたんだ。

 

「殿。本当に全て忘れてしまったのですか?」

 

「うーん、忘れたも何も穂乃果は戦国時代の人じゃないからなぁ」

 

「何をおっしゃられているのですか。寝言は寝て喋って下さい」

 

「寝言じゃないよぉ!起きてるもん!」

 

「そうですか。全て忘れているのなら私達家臣の紹介も必要でしょう。今家臣を集めてきますので、少々お待ち下さい」

 

そう言って海未ちゃんは部屋を出て行った。この時代の海未ちゃんも行動が速くて的確だったんだね。

 

1人で部屋にいる間少し考えたの。どうしたらこの時代から現代に戻れるのか。

 

そしたらね。

何と!思い出しちゃったの!穂乃果凄いでしょ♪

 

確かその方法はお婆ちゃんが話してた気がする。その時代で与えられた天命を果たすとか何とか。ならやることは1つだよね。

 

でも私に与えられた天命って何なのか分からなかった。だから私は流れに身を任せることにしたんだ。

 

 

「殿ー?高坂家の重鎮、私を含め8名連れて参りました」

 

「うん、入っていいよ」

 

部屋のふすまがあいた。海未ちゃんを先頭にゾロゾロと人が入ってくる。

 

「え....!?」

 

私はまた驚いたよ。集まった8人はみんな私が知っている顔なんだもの。

 

 

それはμ'sのメンバーだった。

 

 

「殿。殿の記憶はもうどうしようもないみたいですので、一からもう一度覚えていただきます。なので、まずは高坂家家臣から覚えて下さい」

 

「う、うん。分かったよ、海未ちゃん」

 

「ではまず私から。

高坂家家臣、園田海未と申します。高坂家では軍師をやらせていただいております。また、我が園田軍は弓兵が基本ですので、部隊の配置を支持する際はご参考までに。家紋は弓のマークとなっております。ということで殿。改めてよろしくお願い申しあげます」

 

しっかりした挨拶だったなぁ。相変わらずの海未ちゃんって感じ。

 

「次は私が。

高坂家家臣、絢瀬絵里。私も海未と同様、軍師をやらせてもらっているわ。私の絢瀬軍は槍兵隊が基本よ。家紋はRの逆のマークだから間違えないでね。では穂乃果殿?よろしくお願いします」

 

絵里ちゃんの挨拶。海未ちゃんと同じでしっかりしてたよ。この時代でも頼りになりそうだね。

 

「じゃあ次はことり!

えー、高坂家家臣、南ことりです♪

高坂家では基本後方支援をしているかな?南軍は全ての種類の兵がいるから色々使っていいよ♪ 家紋はことりのマークだよ!覚えててね!

それでは殿!よろしくお願いします!」

 

ことりちゃんはこの時代でもふわふわしてたなぁ。

 

「次は私かしら?

高坂家家臣、西木野真姫よ。高坂家では軍師とか色々してるわ。私の父上は外国と繋がりがあるから大型船とか戦に役立つものを色々調達できるわ。いつでも言ってちょうだい。西木野軍は鉄砲隊を組んでるのよ。それと、家紋は星のマークだから。そこら辺覚えておいてよ。それじゃ、よろしくね」

 

真姫ちゃんは相変わらずだったなぁ。この時代でもこんな感じだったんだね。

 

「次は私だね!

高坂家家臣、小泉花陽です!えっと...高坂家では使い番をしてます!私が使い番なんて...本当に光栄です!家紋はご飯です!!それでは殿。よろしくお願いします」

 

家紋がご飯なんてかよちゃんらしくて可愛いよね♪

 

「次は凛かにゃ!

高坂家家臣!星空凛!高坂家では間者をしているにゃ!偵察は凛にお任せ下さい!星空軍は忍者隊だからね!覚えておいて欲しいにゃ〜 家紋は猫さんのマーク!じゃあ殿、よろしくお願いします!」

 

凛ちゃんも相変わらず元気いっぱいだったなぁ。凛ちゃんは忍者なんだよ!

 

「次はにこね!

高坂家家臣!矢澤にこよ!高坂家では戦の時によく先鋒をしているわね。にこの軍隊は武田にも負けない騎馬隊にこ!家紋はにこちゃんマークだからね、覚えておきなさい。それでは殿ぉ?よろしくお願いしまぁす♡」

 

あはは...にこちゃんも相変わらずだったなぁ。でもにこちゃんの騎馬隊は本当に凄いんだよ!

 

「最後はうちやね。

高坂家家臣、東條希。高坂家では色々してるかなぁ?まぁ、何でも出来るから困ったらうちにお任せやで♪ 東條軍も何でもいるから好きに使ってええからね。じゃあ、殿。よろしくお願いします」

 

希ちゃんは何でも出来るんだよ!やっぱりこの時代でも変わらないね。

 

「と、いうことです。殿。理解しましたか?」

 

海未ちゃん、ちょっと顔が怖いよ?

 

「うんうん!理解したよ!...それで質問。戦国時代ってことはやっぱり戦争とかするの...?」

 

「それはもちろんです。やらなければやられるので」

 

「そ、そうなんだ...」

 

「あぁ、そうでした、殿。殿はどのような世の中を作りたいのですか?」

 

いきなりだったよ。私が世界を作るなんて考えたこともなかったから返答に困ったけど、これしかないかなと思って言葉にしたんだ。

 

「えっとね... 戦がない世界!みんなが幸せに暮らせる世界かなぁ?」

 

「流石ね。記憶がなくなっててもその信念は変わってない」

 

絵里ちゃん曰く本当の殿様も戦争がない世界を作りたかったみたい。

 

「では、殿。現在の高坂家の状況をお話しいたしますね」

 

「状況?どういうこと?」

 

「何?そんなことも分からなくなっちゃったの?ただのポンコツじゃない」

 

「真姫... 一応相手は御屋形様よ?もう少し言葉を慎みなさい」

 

「いいの!絵里ちゃん!みんなもそんなにかしこまらないでね、友達だと思って話して欲しいな」

 

「いや、でも殿!それでは...」

 

「じゃあ命令!みんな!穂乃果の友達になってよ!」

 

「中々ええ命令やね♪ 楽しそうでええやん!」

 

「そうね、私もその命令には従うわ」

 

「ことりも〜♪何だか御屋形様と友達なんて楽しそう♪」

 

「凛もにゃー!」

 

「私も従います!」

 

「しょうがないわねぇ。にこがあんたの友達になってあげるわよ!」

 

「みんな... しょうがないわね...」

 

「まあこういうのもよろしいのではないでしょうか。全員の距離も縮まりそうですし」

 

「そうだよね!てことでみんな!これからは穂乃果のこと殿なんて呼ばなくていいからねー!それじゃあ今日は解散ということで....」

 

「ダメです。あなたには覚えてもらわなくてはならないことが山ほどあります。皆さんもまだここにいて下さい?」

 

「海未ちゃんの鬼ぃ...!」

 

「何かいいましたか?」

 

「い、いえ!何も言ってません!!」

 

「そうですか。なら今の高坂家の状況について話していきますね。絵里、お願いします」

 

「分かったわ。ということで殿...いえ、穂乃果。あなたが当主である高坂家は現在この茨城の一部を治めているわ。昔は北関東全てを治めていたんだけど...。北条によって現在の領地まで減らされてしまったわ」

 

「その...北条っていうのは?」

 

「この関東を治める大大名よ。高坂家は北条に攻められた時、本当にギリギリの状態で現在の領地を死守したの。だから現在関東を治める大名は北条と高坂のみ。といってもうちはさっき話した通りほんの少しの領地だから関東は北条だけで治めているようなものね」

 

「へー、そんなに凄いんだね、北条さん」

 

「ええ。そしてその北条の狙いは関東の完全統一。穂乃果。どういう意味だか分かる?」

 

「えーっと、完全統一ってことは関東の全部を自分の領地にするってことだよね...。ってことは!?」

 

「そう、いつ北条がこちらに攻めてくるか分からないってこと。はっきりいって攻めてこられたら高坂としてはひとたまりもないわね。現在こちらで用意できる兵力は約3000。対して北条は30000以上かしらね」

 

「ってことは10倍!?」

 

「そう。正面からぶち当たったらもう一瞬にして高坂は破滅する」

 

「ってことはどうなるの?」

 

「穂乃果、あなたは確実に首を刎ねられるわ」

 

「....!?え、私死ぬの!?」

 

「ええ、まあそうなるわね。北条は相手が降伏してもその当主は必ず殺すから...。北条を倒さない限りあなたはほぼ確実に死ぬの。まぁ、私達家臣がそんなことはさせないけどね」

 

「絵里ちゃん....」

 

「高坂はそんな危機的状況なの。今はただ北条が攻めてこないことを願うことしか出来ないわ」

 

「そうなんだ....。じゃあ穂乃果が何とかするよ!」

 

「何ともならないわ。あなたどうする気なのよ。北条を高坂が倒せると思う?」

 

「無理ですね」

 

「無理ね」

 

「〜〜〜ッ!!!っもう!!何なのさ!まだやってもいないのに!!!何でそんなにすぐ諦めちゃうの!?その北条さんを倒さなきゃ未来はないんでしょ!?だったらやるしかないじゃん!!!そうでしょ!?違うの!?」

 

「...!穂乃果...。あなたという人は...」

 

「ただのバカね」

 

「真姫、私も同意よ」

 

「ごめんね?穂乃果ちゃん。ことりもそう思う...」

 

「凛もにゃ〜」

 

「私もそう思う...かな?」

 

「どうしようもないバカね」

 

「うーん、うちのスピリチュアルパワーでもどうにもならんくらいのバカやね」

 

 

みんなからバカって言われちゃったよ。

 

 

「でも穂乃果。私達が間違っていました。確かに諦めるのは早いですね。何か逃げ抜く策を考えましょう。北条は多分まだ攻めてこないでしょうし」

 

「ええ、そうね。諦めるのは早すぎたわね。策を考えましょう」

 

「もしもの時はにこの騎馬隊で蹴散らしてやるにこ♪」

 

「にこちゃん、あんた死ぬわよ」

 

「せやな。真姫ちゃんのいう通りや。死ぬで」

 

「じょ、冗談に決まってるでしょ?にこがそんなバカなことするわけないでしょう?」

 

「いや、しそうや」

 

「すると思うにゃ」

 

「せめて晒し首にはさせないように私達も頑張るわよ」

 

まるで部室にいるようだったよ。時代は違ってもμ'sはμ'sなんだって実感した瞬間だった。

 

すると凄い足音が聞こえてきたんだ。

 

ドタドタドタドタドタドタドタ ガラッ!!

 

「大変です!!大変です!!」

 

花陽ちゃんだった。血相を変えて叫んでた。

 

「どうしたんです、花陽!!」

 

「そのっ!!北条氏政公がっ!!!」

 

「まさか...」

 

「約25000の軍勢でこちらに進軍中!!到着は明日の未明になる模様!!!!」

 

「25000...? そんなことが....」

 

「タイミング悪いわね、本当。イミワカンナイ」

 

「海未ッ!すぐに策をたてるわよ!凛!あなたは北条軍の動きを偵察して来なさい!!随時連絡するように! ことり!花陽!今すぐ門を全て閉めて! にこ!あなたは黙って待ってなさい! 希、真姫!あなた達も策をたてるのを手伝って! いい!?」

 

 

「「ハイッ!!!!」」

 

 

あの時の絵里ちゃんは凄かったなぁ。あんなにすぐにみんなに指示を送れるなんてね。私はただ見てることしか出来なかった。何とかするって言ったのに情け無いよ....。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

約1時間くらいだったかな。凛ちゃんを除くみんなが大広間に集まった。

 

「さっきも話していた通り、北条と真正面からぶつかったら瞬殺されるわ。だから策を立てたわ。この策は運も絡んでくるけど...。でも一番勝つ確率が高い策よ。だからみんなよく聞いてちょうだい。海未」

 

「では私が説明しますね。作戦はこうです。神奈川の北条がこの鹿嶋城まで来るためには埼玉付近で森の一本道を通る必要があります。一本道ということは25000の大群は一列に並んで通過するしかありません。ひらけた場所ですと25000の大群と一気に激突することになりますが、一本道では25000の大群が一列になる故、一点集中で攻撃すれば25000の大群を相手にすることなく勝てる可能性があります。ここまで分かりましたか?」

 

「えっと...一本道だと25000の大群が縦に並ぶから攻撃した場所から離れた所にいる人達は戦いに参加出来ないってことだよね?

いや、でも、どうやって攻撃するの?一本道でしょ?」

 

「それは凛1人に攻撃してもらいます」

 

「ええ!?凛ちゃん1人に!?危ないよ!!凛ちゃん死んじゃうよ!?」

 

「ええ、その可能性は否定出来ませんが...」

 

「じゃあその作戦はダメだよ!!!」

 

「穂乃果。まだ作戦の説明は終わってないわ。最後まで聞いてちょうだい」

 

「では続きを。先程話した一本道で凛に氏政公1人のみを狙って奇襲をかけてもらいます。凛曰く、林の茂みの中からなら絶対に気づかれないとのことでしたので。

話が変わりますが、現在北条軍は神奈川の北にいるとのこと」

 

「じゃ、じゃあその埼玉の一本道まであと少しだね...」

 

「いえ、まだ奇襲は仕掛けません」

 

「え、どういうこと?」

 

「これから我が軍は真姫の大型船で小田原城に向かいます。そして到着後、船上から火矢を放ち、小田原城を攻め落とします。すると北条軍は必ず引き返してきますよね?本城が燃やされたとなるとかなり焦って引き返すことでしょう。人は焦ると周りが見えなくなる傾向にあります」

 

「あ!ということはその焦った北条さんを凛ちゃんがあの一本道で一気に討つんだね!」

 

「一応そういう作戦になっています。しかし上手くいく可能性は約20%...」

 

「大丈夫!可能性があるなら進むべきだよ!それしか方法はないんだから!」

 

「フフッ....そうですね」

 

「じゃあみんな!北条さんを倒すよ!!」

 

「「オーー!!」」

 

 

 

 

「穂乃果はすることないの!?絵里ちゃん!」

 

「ないわ。唯一出来ることは凛と海未を信じることくらいかな」

 

「あぁ、そうだ、絵里ちゃん。海未ちゃんってどうやって小田原城に火矢をうつの?海からかなり距離あるよね?」

 

「そうなんだけど.... なんかラブアローなんだかなら届きますっ!とか何とか喋ってたわ。あの距離を飛ぶ弓矢ってなんなのよ」

 

 

 

 

何事もなくその日は終わった。そして次の日の朝、戦況は一気に動いたんだ。

 

ドタドタドタドタドタドタドタ!!!

 

「花陽!!!何かあったの!?」

 

「園田軍、小田原城放火に成功!!北条軍2000の軍勢を残し、神奈川へ引き返しています!!」

 

「よし!!今のところは順調ね!!」

 

「ちょっと出来すぎやなぁ。神様はうちらに味方してくれたみたいや」

 

「じゃあみんな、よく聞いて。今から2000の北条軍を迎えうちます。急いで準備して!!」

 

 

〜北条side〜

 

「伝令!!!!」

 

「そのように焦りおって... 何事じゃ」

 

「小田原城が放火されました!!あと少しで陥落するとのこと!!」

 

「なんじゃと!?誰がかようなことをしたというのじゃ!!」

 

「高坂家筆頭... 園田軍にございます」

 

「園田.... 甘くみたわ!!いいか、皆の者!!今から小田原に戻り園田を完膚なきまでに叩き潰す!!!よいな!!!」

 

「「オォッ!!!」」

 

 

 

〜海未side〜

 

「凄いですね... この船は。あっという間に小田原城付近まで来てしまいました...」

 

「殿、どうされますか?火矢を放ちますか...?」

 

「いえ、届くわけがないので」

 

「えっと...じゃあ一体どうする気なのですか?」

 

「ちょっと着替えてまいりますので。覗いたら弓矢で射りますから」

 

「は、はいぃい」

 

「さてと、これでいいですかね。では皆さん、私は少し行って参りますのでここで待っていて下さい」

 

「と、殿!?一体どこへ行かれるのです!そのような格好をして...」

 

「北条軍に嘘の情報を流してきます。小田原城が陥落寸前であると。この服はことりに作っていただきました。相手の伝令役の服まで作れるとは...さすがことりですね」

 

 

 

〜鹿嶋城付近〜

 

「みんな!!兵力じゃこっちの方が上だよ!!怯まずに行こう!!!」

 

「「オォッ!!」」

 

「じゃあ.... 突撃ぃ!!!」

 

オァァァァァア!!!

 

「穂乃果、圧倒的にこちらが優勢よ。にこの騎馬隊が暴れ回ってるみたい」

 

「それと真姫ちゃんの鉄砲隊さんたちも大活躍だよ♪」

 

「伝令っ!!北条軍壊滅!!この戦は我が軍の勝利になりますッ!」

 

「完璧ね。あとは凛と海未にかかってるわ...」

 

 

〜海未side〜

 

...何とか北条軍に潜り込むことが出来ました!!

 

氏政の背後をとれましたし... 気づかれなければこちらの勝ちです....

 

「急げ!!早く戻って我が城を燃やした園田を叩き潰すのじ

ゃ!!!」

 

「「オォーー!!」」

 

頭に血がのぼっていますね.... 計画通りです。

 

さて、もうすぐ一本道に入りますね....

 

 

 

凛は準備出来ているでしょうか...?

 

 

 

 

〜凛side〜

 

よーし... 準備万端にゃ♪ あとは氏政が通った瞬間に切りかかって... 海未ちゃんを連れて逃げれば完璧にゃ!

 

....ん?馬の音が聞こえてきた...!

 

いざとなると緊張するにゃ...

 

 

さぁ、来い... 氏政...!!

 

 

 

ドドドドドッ

 

 

 

 

 

 

 

ーーー来たッーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜海未side〜

 

一本道に入りました.... あとは凛が切りかかってくるのを待つだけ...

凛... どこにいるんですか...?

大丈夫なのでしょうか....

 

 

 

 

 

ーーッ!!!

 

 

 

 

 

 

ズチャァッ!!!

 

 

 

 

氏政の首が宙を舞いました。

 

 

「...海未ちゃん...こっちにゃ!」

 

ーーー北条軍が氏政の死にパニックになっている隙に凛に連れられ、林を全力で走りましたーーー

 

 

 

〜鹿嶋城〜

 

「伝令ッ!!!!

凛ちゃんが!!!」

 

「どうしたの!?無事なの!?」

 

「氏政公を討ち、海未ちゃんを拾い、真姫ちゃんの大型船に乗り込んだとのこと!!!」

 

「....ということは?もしかして?」

 

「もしかしなくても、そうよ」

 

「我らが高坂軍の完全勝利です!!!」

 

「穂乃果...助かったの...?」

 

「ええ、助かったどころか関東を治める大大名となったのよ、穂乃果!!」

 

「凛ちゃんと海未ちゃん凄いにこ♪今回ばっかりは主役はあの2人に譲るわ」

 

「そうね、ホントにやってくるなんて」

 

「神様は完全にこっちの味方やったね♪ 感謝せな!」

 

「良かった... 良かったよぉ!!!穂乃果死ぬかと思って...凄い怖かったんだよぉ....!!」

 

「はいはい、頑張った頑張った」

 

「あんた... 関東を治めるのよ?こんなことで泣いてる場合じゃないのよ」

 

「それじゃあ、海未と凛が戻ってきたらお祝いのパーティーでも開きましょうか!」

 

「いいやん!」

 

「まぁたまにはこういうこともいいんじゃない?」

 

「じゃあことり、美味しい料理用意するね♪」

 

「よーし!じゃあ今日は盛大にパーティーだぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

〜武田軍〜

 

「伝令!関東の氏政公が高坂軍によって討たれたとのこと!」

 

「何?氏政が討たれたじゃと?....ということは高坂が関東を治めるのか」

 

「ええ、そうなります」

 

「そうか... 高坂....。 我が盟友を討ったこと後悔するがよい...」

 

「と、いいますと?」

 

「仇をうちにいくぞ」

 

 

 

 

 

甲斐の虎が動きだした。

 

 




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第三幕 猛虎襲来

[第三幕 猛虎襲来]

 

 

前回のラブライブ!

「異次元」に飛ばされた穂乃果。そこで海未と出会うことで自分が置かれている状況を理解し始める。そこが「戦国時代」だと分かった穂乃果は「戦国時代」から抜け出すための方法を考える。そこで穂乃果はお婆ちゃんの言葉を思い出し、抜け出すための手段はそこで自分に課せられた天命を果たすことであることだと気づく。

その天命が戦国大名「高坂家」の当主として家臣を引っ張っていくことなのではないかと思った穂乃果は、この乱世を生きぬくことを決意した。

しかし、そこに関東一の巨大勢力、北条氏政率いる北条軍が高坂の領地を奪いとろうと兵を進めてくる。高坂は自分の領地を守るためにも戦わなければならかったのだが、その兵力の差は歴然としており、高坂家には敗北ムードが漂っていた。それを見た穂乃果は「まだやってもいないのに諦めるな」と家臣達に呼びかける。その言葉により家臣達は奮起。運に任せた奇策で、奇跡的に北条氏政を討ちとることが出来た。これにより、関東は高坂家が治めることとなったのであった。

 

 

「いやぁ、本当に北条さん倒せちゃうとはね〜♪」

 

「この戦の勝利は凛と海未のおかげね。ありがとう、2人共」

 

「いえ、私は大したことはしていないので。氏政公の首をとったのは凛ですし」

 

「凛もあんなに上手くいくとは思ってなかったよ!飛び出したのが完璧なタイミングだったにゃ〜」

 

北条軍を倒した日の夜は鹿嶋城全てを使い、盛大な祝賀会が行われた。家臣達は勝利の余韻に浸り、酒を豪快に飲み干す者もいれば、陽気に踊っている者もいる。そんな賑やかな会となっていた。

 

「穂乃果ちゃん、北条を倒したから私たち関東一の軍隊だよ〜♪凄いね♪」

 

「そうだね、ことりちゃん!ことりちゃんも色々ありがとね!」

 

「いやいや、ことりはみんなと比べたら特に何もしてないよ〜」

 

「ことりちゃん後方支援で頑張ってくれたじゃん!後方支援も戦ではかなり重要なんだよ♪そうだよね、海未ちゃん!」

 

「ええ、そうですね。後方支援がなければ私たち戦場に出て戦う者達はかなりの苦戦を強いられるでしょう。ことりはかなり重要な役割を果たしてくれているのですよ?」

 

「穂乃果ちゃん、海未ちゃん... ありがとう」

 

この3人の絡みは現代とあまり変わらないな、と穂乃果は思った。何百年前にもこうして3人は笑っていれたのだと思うと感慨深いものである。

 

「穂乃果、あなたは関東を治めるわけだけど、どこを拠点にするの?」

 

絵里が穂乃果に拠点についてきりだしてきた。

 

確かに今後関東を治める上ではかなり重要なこととなってくる。

 

「えーっと... ここじゃダメなのかな?」

 

「本気で言ってるの、あなた。この鹿嶋城は他の大名と比べてもかなり小さい城よ。関東を治める大名がこんな小さい城を拠点にしてどうするの」

 

そんなことを言われても困る。穂乃果はそう思った。いきなり戦国時代に来て、いきなり関東の巨大勢力と戦い、いきなり関東を治めることとなった穂乃果。城のことまで頭が回るわけがない。

 

「そうね、エリーの言うとおりよ。こんな小さな城じゃ戦力もまともに確保出来ないし、もし、いきなり敵がこの城に攻めてきたとしたら、この城には守る手立ては無いから高坂は終わるわ。そうしない為にも新しい拠点は考えた方がいいわよ」

 

「へー、そうなんだ...。じゃあ城について考えよう!次の課題は穂乃果達の新しいお城だよ!」

 

「ええと、穂乃果?盛り上がったところ申し訳無いのですが...。その話は明日にしませんか」

 

「ええ?何で?出来ることは今すぐやっちゃおうよ!」

 

「いや、私もそうしたいのは山々なのですが...。あちらを見てもらいますか?」

 

「ふぇ?」

 

穂乃果は海未が指さした方向に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

....にこが酒を片手に口から汚物を吐き出し、うつ伏せに倒れていた....

 

 

 

 

 

 

「にこちゃん!?大変だよ、海未ちゃん!!にこちゃん死んじゃうよ!早く救急車を....」

 

「いえ、死ぬことはありません。にこはいつも祝賀会となるとああですから...。...というわけですので明日にしませんか?」

 

「...うん、そうだね」

 

 

その夜は皆が大騒ぎし、皆が楽しんだ。そんな夜も更けていき、次の朝を迎えた。

 

「...きょうもぱんがうまいっ....」

 

ドタドタドタドタドタ ガラッ!

 

「穂乃果!!あなたはいつまで寝ているのですか!!今日は新たな城について話すと言ったでしょう!?もう全員揃っていますよ!?さあ、早く起きて、こちらに来て下さい!!」

 

昨日は夜遅くまで起きていたせいか、穂乃果の体はいつもよりも重かった。寝起きが悪いのはいつものことなのだが、今日はそれ以上に悪い。

 

「海未ちゃんは朝から元気だなぁ....」

 

重い体を起こし、眠い目を擦り、トレードマークであるほのまげを結う。

 

「さてと...」

 

家臣達が集まる大広間へ向かった。

 

 

「穂乃果〜?あんた遅いのよ!このにこにーを待たせるなんて本当信じられないわ」

 

驚愕だった。にこは昨夜あんなに酔い潰れていたではないか。なのに何でこんなにピンピンしているのだ。

 

「あはは.... ていうか元々にこちゃんが酔い潰ちゃってたから会議が今日になったんだよ?」

 

「はぁ?にこが酔い潰れてた?そんなことある訳無いじゃない♡」

 

こいつは何を言っているのだ。

 

「ほーら、みんな揃ったことだし、新たな拠点について考えましょう?穂乃果、あなたはどう思うの?」

 

「うーん.... どこがいいかなぁ... どこか候補みたいなのはあるの?」

 

「はい。あなたが寝ている間に絵里と幾つか目星をつけておきました」

 

「あはは... さすがだね... それで?どこなの?」

 

「1つ目の候補は小田原城です。北条の城をいくらか改造してみるのもいいかと。あそこなら周りは攻めてくるのも大変でしょうし」

 

「北条さんの城をそのまま使うんだね、でも何か穂乃果は嫌だなぁ」

 

「何故です?」

 

「だって... 北条さんの幽霊とか出そうじゃない?」

 

 

「ッ!!幽霊!?嫌よ!絶対に嫌よ!海未!小田原は無しよ!!」

 

 

絵里がいきなり大きな声を上げる。これに皆は騒然とした。

 

「え、絵里?どうしたのですか...?」

 

「ハッ!!ごめんなさい、取り乱したわ。...とりあえず小田原は無しよ」

 

「あー、そうやったね〜♪ 絵里ちは幽霊とか苦手やったね〜♪

「のっ希!?」

 

「へー、そうなんだぁ、絵里ちゃんってぇ幽霊苦手なんだぁ...♪ いい事聞いたにこ♪」

 

「にこ!?あなた何をする気なのよ!!」

 

「えー、何もしないよぉ〜?にっこにっこに〜♡」

 

絵里の幽霊が苦手なところも現代と変わらず、この3年生の絡みも現代とほとんど同じ。本当にここは戦国時代なのかと思うほど、穂乃果にとって居心地が良かった。

 

「う、海未?早く続けて?」

 

「ええ。 2つ目の候補は東京にある神田明神という神社の近くですね。そこには城は無いので、新しく建てることとなりますが」

 

「!!神田明神の近く!?よし、じゃあそこにしよう!」

 

神田明神と聞いて穂乃果は大声を上げる。

 

「即決ですね... 何故そこがいいと思うのです?」

 

「神田明神の神様はね、いつもμ'sのことを見ててくれたんだ....。ファーストライブの時も、ラブライブの時も....。だからさ!穂乃果はそこがいいと思うの!」

 

「何かよく分かりませんが...。色々と思い入れがあるようですね。ならそこにしましょうか?皆さん、何か問題はありますか?」

 

「ないよ♪ことりは穂乃果ちゃんが決めたことについていくだけだから!」

 

「まぁ、どこでもいいんじゃない?」

 

「ならそこにしましょうか。絶対小田原より良いわ」

 

「じゃあ決まりだね!次の高坂家の拠点は東京だよ!」

 

こうして関東を治める大名、高坂の新たな拠点が決定した。

 

「さて...。城を建てるわけだけど...。誰が指示するのかしら?これも決めないとダメね」

 

「そうね。現場を指揮する人がいなきゃ作業が進まないわ」

 

「しょうがないわねぇ♪ ここはにこがやってあげても....」

 

「花陽ちゃん、やってみたらええんやない?」

 

「ええっ!?私!?でも私は....」

 

「私も賛成です。花陽はいつも裏で頑張ってくれていましたし、たまには表に出て手柄をあげても良いのではないですか?」

 

「じゃあかよちゃん!やってくれるかな!?」

 

「....分かりました!この小泉花陽... 高坂家の新たな拠点を素晴らしいものにして参ります!」

 

「ぬぁんでにこのことをスルーするのよ!!」

 

「花陽、頑張ってね。期待してるわ」

 

「かよちゃん頑張ってね!高坂家の裏はことりが支えておくよ♪」

 

「みんな... ありがとう!」

 

「ちょ、ちょっと...ここににこがいるでしょう!?」

 

「暴れ馬は黙っとき」

 

「誰が暴れ馬よ!!」

 

「ああ、そうでした。新たな城の名前どうしますか?」

 

「そういえばそうね、忘れてたわ。穂乃果、あなた何か案はある?」

 

「ふふふ... 城の名前はね... ちゃんと決めてあるよ♪」

 

「そうなんですか?因みにどのような名前なのでしょうか?」

 

「それはね.... 【音ノ木坂城】だよ!」

 

「「音ノ木坂城...?」」

 

「そう!神田明神の近くには音ノ木坂っていう土地があるの!そこに城を建てるから... それでいいかなって」

 

「意外とまともな名前だったわね」

 

「もっと飛び抜けたこと言うのかと思ってたけど.... 普通だったにこ」

 

「無難で良さそうですね、ではそれにしましょうか」

 

「あれ?何か思ってた反応と違うような...?」

 

「じゃあこれより高坂家は花陽を中心として新たな拠点、【音ノ木坂城】を建てていきます。関東を統一した大名、高坂の新たな船出よ!」

 

 

 

〜武田家〜

 

「高坂は今何をしておるのだ」

 

「大方新たな拠点を決めているかと。関東を統一したことですし、現在の鹿嶋城では用が足りないのではないかと」

 

「そうか...。高坂...。氏政を倒したとなると放ってはおけない大名だな...」

 

「ええ。高坂から武田に攻めてくる事はほぼ無いかと思いますが、今の高坂には勢いがある故、もし攻められたとしたら、いくら武田といえどかなりの損害が予想されます」

 

「あぁ。上杉との合戦もまだ決着は付いておらんが...。ここは高坂を潰しにいくのが適策じゃろうな」

 

「はい。あちらもまだ武田用の策をたてているとは思えない故、ここは一気に攻め入りましょう、御屋形様」

 

「よし。そうするか....。近いうちに出陣する。皆にそう伝えてこい」

 

 

 

 

 

〜鹿嶋城〜

 

「さて... 新たな拠点が決まったのは良いことなのだけれど...。1つ気がかりな点があるのよね...」

 

絵里が珍しく深刻そうな顔をしていた。かなり重要なことなのだろう、穂乃果は絵里の顔を見てそう思っていた。

 

「ええ...。私も1つ気がかりなことがあります...。多分絵里と同じ事かと...」

 

海未も同様だった。

 

「ええと?2人ともどうしたの?ようやく落ち着いて生活出来ると思ってたんだけど....?」

 

「「出来るわけないでしょう!?」」

 

穂乃果は2人から怒鳴られた。

氏政を討ったことで高坂は絶体絶命の状態から一気に関東を治める大名となった。世に言う下剋上だ。それを成し遂げた今、勢いのある高坂に何が気がかりな事があろうか。穂乃果の内心はそうだった。

 

すると、絵里と海未は顔を見合わせて、同時に同じ名前を発した。

 

 

 

「「武田」」

 

 

 

「この武田こそが私達の気がかりな点です」

 

「武田...?武田さんっているの?」

 

「ええ、戦国最強...武田信玄。山梨を治める大名よ。隣国に戦を幾度と仕掛け、圧倒的な兵力でその国や城を確実に攻め落とす....」

 

「赤備えの武田の騎馬隊は....。考えるだけでも恐ろしいものです。こちらが関東を治めた今、隣国で現在一番勢いのある高坂を潰しておくべきだ、と考えるのが妥当でしょう。いつかは分かりませんが、武田は確実に攻めてきます」

 

「ええ!?そんな強い人がこの近くにいるの!?ひと段落したと思ったのに.... また強い人と戦わなきゃいけないのぉ!?」

 

「仕方がないでしょう?やらなければやられます。実際、天下統一を目指すのであれば、武田はいつか必ず倒さなければならない存在。確かに恐ろしいですが、戦うしかないのです」

 

「ええ、そうよ。策は私達が何とかして練るから...」

 

「なら穂乃果も手伝うよ!」

 

「ええ?しかし...」

 

「相手は戦国最強なんでしょ?ならさ、みんなの力を合わせなきゃ勝てないよ!!それは策を立てるのも一緒。だから...ね?」

 

「.... そうですね。穂乃果の言う通りです」

 

「よし、ならみんなを大広間に集めてちょうだい。そこでもう一度会議をひらくわよ」

 

 

 

 

大広間にはことり、花陽を除く7人が集まった。

 

「何?いきなり緊急会議だなんて。私にもやることあるのよ。早く済ませてくれる?」

 

「そうよ。にこだって色々やることがあるんだから!早く済ませてちょうだい」

 

「ええ。そのつもりです。ですがこの会議次第では高坂の運命が変わるやもしれません。なので、しっかりと会議に参加して下さい」

 

「そんなに重要なことなのかにゃ?」

 

「ええ、そうよ。冗談抜きにこれは重要なこと。だからみんなちゃんと話を聞いてちょうだい」

 

絵里と海未の本気の顔を見て先程まで文句を言っていた2人も黙り、部屋に何とも言えぬ緊張感が漂う。

 

「現在、高坂は関東を治める大名になったわけだけど... 1つだけ気がかりな点があるの」

 

「....武田やね」

 

「...希は分かっていましたか。...希の言う通り、甲斐の虎....武田信玄こそが私達が気にしていることです」

 

「確かに、言われてみればそうかもね。武田は隣国に何回も戦を仕掛けてるし...。しかも今の私達には勢いがあるから、近いうちに潰しに来るのは妥当」

 

「さすが真姫ね。理解が早くて助かるわ。...真姫が言った通り、武田は近いうちに高坂に兵を進めてくるでしょう。だから今から武田に対する策を全員でたてます」

 

「そうやんね。考える頭は多いほうがええからね」

 

「武田さんは主に騎馬隊だってことだから... ここは同じ騎馬隊のにこちゃんの意見を聞きたいなぁ、なんて...」

 

「分かったわ。騎馬隊はにこが一番詳しいだろうからにこに任せてちょうだい」

 

「頼もしいわね。じゃあ早速聞かせてくれるかしら?」

 

「騎馬隊は基本的に接近戦よ。だから遠距離攻撃には弱い... そこが騎馬隊の弱点にこ。でも弓矢位なら普通に避けられるし、弓兵隊に突撃して壊滅させることくらいは簡単に出来る。だから幾ら遠距離攻撃には比較的弱いって言っても弓兵くらいじゃあほとんど意味はないわね」

 

「じゃあ何がいいの?」

 

「うーん... にこの経験上じゃあ鉄砲隊が一番辛かったわね。あんな速い弾丸なんていくら騎馬兵でも避けることは出来ないわ」

 

「あー、確かにそうね。昔、北条とやった時、にこの騎馬隊に北条は鉄砲隊で応戦してきて....」

 

「そう、にこの最強騎馬隊が唯一撤退した戦よ。確かあの時は馬防柵も立てられてて、まともに攻撃出来ずに負けた覚えがあるわ」

「じゃあ馬防柵を立てて、鉄砲隊で応戦すれば...」

 

「待って、その時のにこちゃんの兵の数は約3000くらいだったわよね。今相手にするのは武田の騎馬隊よ?相手の予想される軍勢は約30000。いくら馬防柵を立ててこっちに来ることを抑えられても、私の鉄砲隊だけじゃ撤退に持ち込むことは出来ないわ」

 

「じゃあみんな鉄砲を使えばいいじゃん!」

 

「確かにそういう考えになるだろうけど、鉄砲はうつまでにとても時間がかかるの。どれだけ数を用意しても、一発うつためにあれだけ時間をかけていては柵を破壊されて終わりよ。せめて... 鉄砲を連発出来る方法があれば話は別だけど....」

 

全員が沈黙する。鉄砲隊が無理なら他にどんな手段があるのだろうか。正面からぶつかるという手もあるだろうが、それでは確実に負けてしまう。

 

(うーん... 武田さんって確か... 織田信長に何だかの戦いで負けてたような...。織田さんはどうやって勝ったんだっけなぁ...。先生が授業で話してたような気がするんだけどな〜。こんな事ならちゃんと授業聞いておくべきだったよ....。...あれ?でも確か織田さんって鉄砲使って勝ったんじゃ...?

でもどうやって?馬防柵?連発して打てる方法?....!!!)

 

穂乃果が急に立ち上がる。それに驚いた家臣達は皆穂乃果を見つめていた。

 

「みんな!!鉄砲を連発出来る方法があったよ!!」

 

「!?そんな方法があるというのですか、穂乃果!?」

 

「うん!真姫ちゃん!鉄砲をいくつか準備して!みんなも一回外に出て!」

 

 

 

「で?鉄砲は準備したわ。早く説明してちょうだい」

 

「真姫ちゃん、そんなに焦らない、焦らない♪」

 

「ええと、本当に時間がないので早く説明していただけますか?」

 

「分かったよ、海未ちゃん!じゃあ説明していくね! ええと、絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃんの3人に鉄砲を持ってもらって、一連に並んでもらったわけだけど...。3人とも?うつ準備はいいかな?」

 

「ええ」

 

「じゃあ絵里ちゃん!一発ドーン!」

 

バァァアン

 

「そしたら絵里ちゃんは列の最後尾に戻って!そしてもう一度鉄砲に玉をこめて!..さあ次!希ちゃんドーン!!」

 

バァァアン

 

「希ちゃんも列の最後尾に戻って鉄砲をうつ準備してね〜。じゃあ次!にこちゃんドーン!!」

 

バァァアン

 

「はい次絵里ちゃん!」

 

バァァアン

 

「こ、これは....」

 

「凄い...。本当に鉄砲を連射できてる...」

 

「名づけて三段構えだよっ!!」

 

 

「「三段構え?」」

 

 

「うん!今見てもらった通りだから三段構え!どう?」

 

「ハラショーよ!これは使えるわ!!」

 

「そうやね♪ これなら武田とも戦えるで!」

 

「そういうことだから真姫ちゃん!鉄砲をたくさん用意してね!」

 

「ええ、もちろん。いくらでも用意するわ」

 

「これで決まりましたね。武田と対する際は、馬防柵を利用し、三段構えで騎馬隊を殲滅する...。そうと決まれば早速準備を始めましょう」

 

「そうね。準備は早い方がいいわ。じゃあ馬防柵は鹿嶋城の手前の北浦川付近に立てましょう。そこで武田を迎えうつことにするわ」

 

「じゃあみんな!馬防柵を立てにいくよ!」

 

「「オー!!」」

 

 

 

 

 

 

〜武田家〜

 

「御屋形様。高坂討伐、いつになさいますか?」

 

「....今いくらの兵を用意出来る」

 

「約40000程度かと」

 

「40000か.... なら十分か....。よし、勘助。今から武田は高坂討伐に向かう。出陣の準備をするよう皆に伝えてこい」

 

 

 

 

〜高坂家〜

 

「馬防柵も立ったし、鉄砲もいっぱい準備出来たし!もう武田さん対策はバッチリだね!」

 

「そうね。でも気を抜いちゃダメよ?上手くいくとは限らないんだから」

 

「もちろん!しっかり気を引き締めていくよ!」

 

そんな会話をしていると、部屋の襖がいきなり開く。そこには息を切らしたことりが立っていた。

 

「どうしたの?ことりちゃん?」

 

「星空軍から伝令が届いたのっ!...武田家約40000の軍勢でこちらに進軍中....!!」

 

「なっ!?40000!?聞いてないわよ、そんな大群!どこから用意するのよ....」

 

「40000!?ええ!?そんなに多いの!?」

 

武田の軍勢の数を聞き、穂乃果と絵里はうろたえた。それもそうだろう。予想していた軍勢は30000。だが実際武田はそれより10000も多い軍勢で進軍して来ているのだから。

いくら策があろうとも、これだけの数となると話は別になってくる。

 

「どちらにせよ、考えた策で迎えうつしかないわ....。ことり!全員に出陣の用意をするよう伝えて来て!」

 

 

 

〜武田家〜

 

「よいか、皆の者。これから高坂討伐のため関東へ兵を進める」

 

「「オォッ!!」」

 

「高坂は今天を味方にし、勢いもある...。だが、そんなもの恐るるに足らず!!よいか。武田の騎馬隊は天下一...。負けることなどあってはならぬぞ!!」

 

「「オォッ!!」」

 

「油断せずに行くぞ。....皆の者!!出陣じゃぁ!!!!」

 

 

「「オォォォ!!!」」

 

 

 

 

 

〜高坂家〜

 

「これから、武田さんを迎えうちに行くよ、みんな!」

 

「「ハイッ!!」」

 

「武田さんの兵の数は凄いけど....。三段構えがあればきっと大丈夫!! 何とかして武田さんをしのぐよ!!」

 

「「ハイッ!!」」

 

「じゃあみんな、行くよッ!!!」

 

 

「「オォーー!!!」」

 

 

 

 

〜北浦川〜

 

「じゃあみんな鉄砲は持ったかな!?」

 

「「オー!!」」

 

「じゃあ馬防柵の端から端まで3人一列で並んで!!」

 

穂乃果の命令を受けた兵達はゾロゾロと三段構えの列に並び、準備を始める。

 

「穂乃果。準備は整いました。あとは武田の到着を待ち、臆することなく戦うのみです」

 

 

「そうだね...。あとは凛ちゃんからの報告を待とう」

 

 

 

北浦川は25000も人がいることが嘘のような静寂に包まれた。

『徐かなること林の如く』

嵐の前の静けさだったーー

 

 

 

 

「伝令!!!!!!」

 

 

 

 

今まで聞いたことが無いようなことりの叫び声が耳をつんざく。

 

「星空軍より伝令!!武田軍、ただいま茨城に到着!あと少しで北浦川へ到達致します!!」

 

いよいよ武田との合戦が始まる。

 

「さあ、みんな!いよいよだよ!!確かに怖いけど....。怯まずに行こう!!!」

 

「「オォーー!!!」」

 

ダダダダダダダダダダ!!!

 

 

大地を揺るがす轟音が聞こえてきた。

 

 

 

 

〜武田本陣〜

 

「先鋒は勝頼に任せた。あいつは一体どこまでやってくれるのか....」

 

「本当に良かったのでしょうか?勝頼殿などに先鋒を任せてしまって」

 

「あやつは武田の跡取りになるやもしれん男。この戦でどれだけやれるかを見極める」

 

「そうですか...。いざとなれば我々も突撃しますが...」

 

「出来れば勝頼に蹴りをつけてもらいたいところじゃな。勝頼に任せた兵は約25000。高坂の軍勢も約25000....。兵力は同等故、高坂を壊滅まで持っていってほしいものじゃ」

 

「そこまで出来れば我々も勝頼殿を認めましょう」

 

「勝頼であればやってくれるであろう。側室との子とはいえ、わしの血を継いでおるからの。心配をする必要はない」

 

「そうであると信じましょう」

 

 

 

 

〜北浦川〜

 

ワァァァァアア!!!

 

武田軍が到着した。高坂、武田の合戦の火蓋が切って落とされる。

 

「じゃあみんな!作戦通りにいくよ!!放てぇぇえ!!!」

 

バァァァアン

 

無数の銃弾が武田に向かって放たれた。

 

「次ぃ!!」

 

バァァァアン

 

作戦通り、三段構えにより鉄砲は連続して火を吹く。これに驚いたのか、武田軍は少し動きを止める。

 

「よし!武田が怯んでいるわ!海未!!」

 

「分かりました。皆さん!!一斉掃射です!!」

 

園田軍弓兵隊の弓矢が騎馬隊に向かって飛んでいく。驚いてその場にとどまっていた武田の兵達に命中する。

 

「さぁ!みんな!攻撃の手を緩めちゃダメだよ!放てぇ!!」

 

 

バァァァアン

 

 

〜武田勝頼軍〜

 

「何故じゃ!!何故銃弾がこう連続して飛んでくる!?そのようなことがあり得るというのか!?」

 

「殿ぉぉぉ!!!」

 

「何事じゃ!!」

 

「先鋒隊壊滅!!!このままでは25000の軍が壊滅します!!」

 

「殿!ご采配を!!」

 

「....鉄砲隊など恐るることはない!!全軍突撃じゃぁぁあ!!」

 

「なっ!!そんな事をしてしまえば我々は滅びますぞ!?」

 

 

「そんな事があるわけがなかろう!!我々は天下の武田じゃ!何を恐るることがある!!突撃じゃぁあ!!」

 

 

 

 

 

〜武田本陣〜

 

「御屋形様ぁぁ!!!」

 

「何事じゃ。そのように焦りおって...」

 

「先鋒の勝頼軍25000、壊滅まで時間の問題でございます!!」

 

「何!?何故そのような事態になっておる!!」

 

「高坂が鉄砲を使い勝頼軍を壊滅状態まで持っていったとのこと!」

 

「鉄砲じゃと!?それだけでどうやったら勝頼の軍を壊滅まで持っていけるというのじゃ!!」

 

「それしか情報が入っていない故、そこまでは....」

 

「勝頼に撤退せよと伝えろ!!武田は今、関東より撤退する!!」

 

 

 

 

〜武田勝頼軍〜

 

「くそっ....!これでは父上に示しがつかぬ...!!何か何か策があるはずじゃ...、何か....!!」

 

「殿。御屋形様より撤退せよとの命令にございます。今すぐ全軍撤退を」

 

「何...!?父上が撤退せよじゃと!?この武田が負けるというのか....?そんな...!!」

 

「殿!!早く指令を!!」

 

 

「っ!!武田軍!!全軍撤退じゃぁあ!!!」

 

 

 

〜高坂軍〜

 

「凄い....。こんなに上手くいくなんて...」

 

「ええ、私も驚いています...。ちょっと出来すぎですね」

 

「この戦はもう勝ったも同然にこ!」

 

「伝令っ!」

 

「ことりちゃん?どうかした?」

 

「武田軍全軍撤退せよとの命令が出た模様!」

 

「...ってことは?まさか...!!」

 

「ええ...!!私達、高坂軍の勝ちよ!!武田に勝ったのよ!!!」

 

 

「「オォーー!!」」

 

 

 

かくして高坂は武田との合戦で勝利をおさめてしまった。この知らせは瞬時にして全国に広まっていく。

 

 

〜上杉家〜

 

「殿。武田が敗戦したという情報が」

 

「何?武田が負けただと?どこに負けたというのだ」

 

「関東の高坂にごさいます」

 

「高坂....。あの北条を討ったところか」

 

「左様にごさいます」

 

「そうか。厄介なやつが出てきたな....。高坂、覚えておくとしよう」

 

 

〜鹿嶋城〜

 

「勝った、勝った〜♪」

 

鹿嶋城では勝利の祝いが行われていた。

 

「にこっち〜?今日はあんなことになっちゃだめやで?」

 

「本当よ。汚物とか片付けるの大変なのよ。こっちの身にもなりなさいよ」

 

「えぇ〜?にこがそんな汚いことするわけないでしょう〜?」

 

「どの口がいってるのよ。毎回のくせに」

 

「今日はぁ、武田に勝っちゃったからぁ、い〜っぱい飲むにこ♡」

 

 

 

その瞬間だった。にこの口から盛大に汚物が噴出される。

 

 

 

「ヴェェ!?汚ったないわね!!今回はいつにも増して凄いんじゃないの!?全く!!」

 

「あーあ、やっちゃったね〜。てことで真姫ちゃん、掃除するで〜」

「何で毎回私が巻き込まれるのよ...。汚物処理班じゃないのよぉ!」

 

 

ガヤガヤ

 

「あーあ、にこはまたやったのね」

 

「あはは... あれ、毎回やるんだね、にこちゃん...」

 

「はい、毎回です。いい加減にして欲しいものです」

 

「あー、そうだ。穂乃果。同盟を結ぶ気はない?」

 

「同盟?あのー、戦わないで仲良くなるやつ?」

 

「ええ。福島の綺羅から同盟を結んで欲しいっていう書状が来てるんだけど」

 

「うん!いいよ!」

 

「じゃあ明日にでも福島の綺羅に会いにいくわよ。穂乃果、準備しておいてね。くれぐれも失礼のないように」

 

「分かったよ、絵里ちゃん!」

 

 

 

翌日、穂乃果達は綺羅家の当主に会うために福島へ出発した。

この福島での出会いが穂乃果の運命を変えるものとなる......

 

 

 

 

 

 



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第四幕 友情

もしも穂乃果が戦国時代へタイムスリップして、戦国大名をすることになったら....を描いたお話。
注)歴史変わってます。


4話となります!色々分かりにくい部分があるかもしれませんが、最後まで見ていただけると幸いです!
では戦国ラブライブ!ごゆっくりお楽しみ下さい。


[第四幕 友情]

 

前回のラブライブ!

北条に勝ち、関東を治めることとなった穂乃果率いる高坂家。この関東を治めるのに今の城では用が足りない、ということで、新しく東京に「音ノ木坂城」という拠点を建てることにした。しかし、そんなノリに乗っている高坂をよく思っていなかった隣国の武田信玄は、高坂討伐の為に兵を進めようとしていた。それを気がかりに思っていた海未と絵里の呼びかけにより、緊急会議が開かれる。そこで穂乃果は連続して鉄砲を打つことが出来る「三段構え」という策を編み出した。これは騎馬隊の武田にとってかなりの脅威となり、見事武田の猛攻撃をしのぎ、戦に勝つことが出来た。その夜の祝賀会の最中に、福島を治める大名綺羅家から同盟を結んで欲しいとの書状が届く。それについての返答のため、穂乃果達一行は福島へ向かったのであった。

 

 

「ねぇ、絵里ちゃぁん!あとどれ位なの?もう穂乃果疲れたよぉ...」

 

「福島まであと少しだから、ほら、しっかりしなさい、穂乃果」

 

「無理だよぉ!お尻痛いし...」

 

「馬に乗ってるんだからそれ位我慢しなさい」

 

穂乃果と絵里は綺羅家への挨拶のため、福島へ向かっていた。穂乃果は慣れない乗馬の移動だったからか、その疲労はピークに達していた。

 

 

 

「ほら、穂乃果。着いたわよ。ここが綺羅家の本城、若松城よ」

 

「うわぁ... おっきいお城だね...。うちとは比べものにならないよ...」

 

穂乃果はその城の大きさに呆気にとられていた。鹿嶋城の3倍はあるだろう。とにかく大きい城なのである。

 

「さ、穂乃果。行きましょうか。綺羅さんが待ってるわ」

 

「うん!」

 

 

 

〜若松城〜

 

穂乃果と絵里は若松城内の客間に通されていた。

 

「中も凄い広いなぁ....!」

 

「こら、穂乃果!あっちこっち見て回らないの!失礼でしょ!」

 

「えー、でも凄いよ!絵里ちゃんも一緒に見よ?ほら!」

 

「ダメだって言ってるでしょう!?綺羅さんが来るまで大人しくしてなさい!」

 

「えぇ.... 分かったよぉ... ....絵里ちゃんのけちんぼ」

 

 

「なっ!?あなた一体何を言ってるのよ!!勝手に人の城の色んな所物色して!!失礼極まりないことをしているあなたを注意しているのに!!誰がケチですって!?ええ!?」

 

 

絵里は激怒した。それは城内全てに響きわたるような素晴らしい怒声だった。

 

その剣幕に押されたのか、穂乃果は涙目になっている。

 

「ごめんなさいっ...!穂乃果...調子に乗っちゃって.... 本当にごめんなさい...!!」

 

穂乃果の目から涙が溢れ出す。

 

「い、いや、分かってくれればいいのよ!うん!ほら、だから穂乃果...?泣かないで...。ね?お願い」

 

これを見た絵里は焦って穂乃果を泣きやませようとする。なんせこれは一大事だ。家臣が殿様を泣かせることがあってよいものか。ましてや人の城の中でなどもっての他である。

 

「...うん。....ねぇ絵里ちゃん?」

 

「ど、どうしたの?穂乃果?」

 

 

 

「もう怒ってない...?」

 

 

 

「ーーッ!!!」

 

衝撃だった。あのいつも笑顔な穂乃果が、頰を赤らめ、瞳を潤ませ、上目遣いでこちらを見ている。穂乃果という人間はこんな表情まで出来るのか、絵里はそう思った。

 

「これは理性クラッシャーって呼ばれるだけあるわ...」

 

「...え?」

 

「あぁ、いや、何でもないの。怒ってないから、ほら、綺羅さんがくるまでにその顔何とかしなさい」

 

 

理性クラッシャー、それは海未とことりとの間で呼ばれている穂乃果の別称であった。

 

 

 

綺羅が客間に現れたのはそれからすぐのことだった。

 

「お待たせして悪かったわ。ようこそ、綺羅家、若松城へ」

 

「いえ、こちらこそお招き頂き有難く存じます」

 

「こちらこそありがとう。...絢瀬さん。そんなに固くならなくていいのよ?もっとくつろいで?」

 

「い、いえ!その様な失礼なことは出来ませぬ!」

 

「へぇ...?さっき人の城で大声で怒鳴ってたのはどこの誰だったかしら?」

 

絵里が顔を赤くする。

 

「なっ!?聞こえてたのですか!?」

 

 

「あんな大きな怒鳴り声、聞こえないほうがおかしいわ。...いい声してたわよ♪」

 

 

「〜〜〜ッ!!!」

 

綺羅はあの絵里を軽く弄んだ。口がかなり上手いようである。

 

「あぁ、そうだ。高坂さんの姿が見えないようだけど?」

 

「穂乃.... いえ、殿は先程から厠に行っておりまして....。あと少しで戻られるかと」

(厠...現代でいうトイレ)

 

それを聞いて、綺羅の表情は一変した。

 

「そう。なら先にあなたからね....」

 

 

それは人を何人も殺してきた者がするような恐ろしく冷たい表情だった。

 

 

「え?」

 

「絢瀬さん。あなた、ここがどこだか分かってるの?」

 

「ええと、...若松城では?」

 

「そういうことじゃないわよ。高坂と綺羅、まだ同盟は結んでない....。どういうことか分かる?」

 

「まだ敵同士.... !?」

 

「そう。あなた達をここに呼んだ理由...。それはね?同盟を結ぶ為じゃない....。....あなた達をここで殺すためよ!!」

 

 

綺羅は刀を抜いた。そしてその刀を絵里の首筋に当てる。

 

 

「絢瀬さん?ここで死んでもらうわ」

 

「あなた...!!私達をはめたのね!?」

 

 

「騙される貴方達が悪いのよ?...静かに逝きなさい...絢瀬絵里...」

 

 

 

 

 

 

ーースパァァァアン!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....何てね♪」

 

「....え?」

 

「冗談に決まってるでしょ?ここに呼んだのは同盟を結んで欲しいからよ。ちゃんと書状に書いてたでしょ?」

 

「...は?」

 

絵里はまだ状況を掴めていないようである。鳩が豆鉄砲をくらった様な顔とは、まさに今の絵里のそれであった。

 

「あはっ!絢瀬さん、あなた最高よ!そんないいリアクションする人久々に見たわよ!」

 

綺羅は大爆笑である。

 

「え...?あなた...!!」

 

「いい演技力でしょ?演技には結構自信あるのよ♪」

 

「綺羅さん...?あなた.... 悪ふざけがすぎるわよ!?ふざけないで!!あり得ないわ....。こんな非常識な大名...初めて見たわよ!!」

 

絵里の素晴らしい怒声が再び城内に響く。

 

「...ふふっ 本当、いい声してるわ。うちの伝令役にならない?」

 

「そんなの認められないわ」

 

「ごめんって!許し「「ツバサさん....!?」」

 

 

「え....?」

 

 

2人は声のした方を向く。そこには厠から戻ったであろう穂乃果が立っていた。

 

「A-RISEのツバサさんですよね!?」

 

アライズという言葉を聞いて綺羅は驚いた表情を見せる。

 

「高坂さん...あなたまさか...!?...絢瀬さん。2人にしてくれるかしら...?」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「えぇ!?ツバサさんもタイムスリップしてきたのぉ!!?」

 

絵里がいなくなり、2人となった客間に穂乃果の絶叫が響いた。

 

「しっ!声が大きいわよ!」

 

「あっ!ごめんなさい!ちょっとビックリしちゃって....」

 

「でもまさか高坂さんもだったとはね。A-RISEって聞いたときはビックリしちゃったわよ」

 

「あー、それで絵里ちゃんを部屋から出したんですね」

 

「ええ。タイムスリップしてきたなんて聞かれたらまずいからね」

 

「ツバサさんは何でここに?」

 

「何でって聞かれると困るわね...。何か気づいたらここにいたって感じかしら」

 

「穂乃果も一緒です。色々あって...。何故かここに」

 

「いつ頃こっちに来たの?」

 

「えぇっと...。北条さんを倒す前くらい...かな?」

 

「あー、はいはい。そういうことね」

 

ツバサは何かに納得したようだった。

 

「何がそういうことなんですか?」

 

「高坂が急に出てきた理由よ。あんなに弱小だった高坂がここまで来れたのは、当主が高坂さんになったからだったのね。本当、あなたのリーダーとしての才能には驚かされるばかりだわ」

 

「いえ!そんなぁ」

 

穂乃果は照れたような表情を浮かべる。

 

「それで、本題に入りたいんだけど...」

 

「あ!同盟の話ですね!」

 

「さすが高坂さんね。物分かりがいいわ。それで?結んでくれるかしら?」

 

「もちろんです!」

 

「即答ね。でも、本当にいいの?私が裏切らないという保証はないのよ?」

 

「ツバサさんが裏切るなんてあり得ない話ですから!穂乃果は信じてますっ!」

 

何ていい子なのだろう、ツバサはそう思った。この子は裏切りを知らない。いつかそれに直面した時、この子はどうするのだろう。ツバサは心配だった。

 

「なら同盟成立...ということでいいかしら?」

 

「あ!ちょっと待って下さい!」

 

「え?」

 

「ツバサさんってどんな世界を作りたいのかを聞くの忘れてました。これだけは聞きたくて...」

 

「....そう。でも言う必要もないと思うけどな。多分高坂さんと一緒」

 

「じゃあ... 戦のない世界を作りたい、ということですか?」

 

「そういうことになるわね。私は私が見てきた現代の平和な世界を、この時代の人達にも見せてあげたいの」

 

「ツバサさん...!...じゃあ一緒に作りませんか?私達が見てきた平和な世界を」

 

「ええ。もちろん。約束よ」

 

「はい!絶対作りましょう!」

 

 

 

2人は固い約束を交わし、高坂と綺羅の同盟が結ばれた。

 

 

 

 

 

「穂乃果?あなた綺羅殿と知り合いだったの?」

 

「うーん、まぁそんなところかな?」

 

同盟を結び終え、福島からの帰り道。無論、交通手段は馬である。

 

「...にしてもお尻痛いなぁ...。何とかならないの?絵里ちゃん?」

 

「ならないわ。諦めなさい」

 

「えぇー!?これじゃあ穂乃果のお尻割れちゃうよぉ!」

 

「はぁ?お尻は割れているものでしょう?何を言ってるのよ、全く」

 

「えぇ!?絵里ちゃんのお尻割れてるの!?」

 

 

「....。あなたどこから脱糞するのよ」

 

 

「......。絵里ちゃんのバカ」

 

「誰がバカよ。変なこと言わせるんじゃないの」

 

「絵里ちゃんのスケベ」

 

「何でそれを言っただけでスケベ呼ばわりされなきゃいけないのよ。元々は穂乃果がお尻が割れるとか言ったからじゃない」

 

「何でそれについて本気で返してくるのさ!例えだよ!例え!それ位痛いってことなの!」

 

「あー、そうだったのね。でもお尻割れてるの?とか思いっきり驚いた表情で聞いてたけどね♪」

 

「あっあれはたまたま!たまたまだよ!たまたま!」

 

「たまたまうるさいわね。穂乃果って天然入ってるのかしら?」

 

「入ってない!穂乃果は天然なんかじゃないよ!!」

 

「あら、そう。じゃあバカってことでいいかしら?」

 

「....それについては認めます」

 

 

「認めちゃうのね。....バカが当主の大名家は一体どこまでいくのかしら。楽しみだわ♪」

 

 

 

 

〜鹿嶋城〜

 

「殿のご帰還じゃあーー!!」

 

家臣の大声が城中に響き渡る。その声を聞いて皆は大広間に集結した。

 

「おかえりなさい、穂乃果、絵里」

 

「海未ちゃん、ただいま!みんなもただいま!」

 

穂乃果はいつも通りだったが、絵里はかなりゲッソリしている様子であった。

 

「疲れたわ....。穂乃果に振り回されっぱなしだったわよ...」

 

口から魂が抜けているのではないかというくらい力ない声だった。

 

「えりちお疲れ様♪....一回寝てきたらどう?本当に死にそうな顔しとるよ?」

 

「えぇ...。そうさせてもらうわ...」

 

絵里はいそいそと自室へ向かう。

 

「穂乃果ちゃん... 一体絵里ちゃんに何したの...?」

 

「えーっとね....。分かんないっ♪」

 

「無意識のうちにエリーをあそこまで追い詰めるとは....。さすが穂乃果ね」

 

「それで?同盟の話はどうなったのですか?」

 

海未が聞く。

 

「もちろん!結んできたよ!」

 

「そうですか。これで福島から攻められる心配はなくなりましたね」

 

「そうやんね。武田はこの間追い詰めたばかりやから攻めてくる心配はない。...となると?」

 

 

「これでようやく落ち着いて眠れますね...」

 

 

そう、福島の綺羅と手を組んだことにより、関東に隣接している国から攻められる心配がほぼ無くなったのである。

 

「ようやく落ち着けるのね....。じゃあ暇な間久々に蘭学でも勉強しようかしら」

 

「えー、真姫ちゃん勉強するの〜?にこと一緒にどこかにいこうよぉ〜」

 

「断固拒否ね。にこちゃんと出かけなんてしたら、私の体が持たないもの」

 

「どういう意味よ」

 

「にこちゃんといると疲れるって意味よ。にこちゃん、変人だから」

 

「誰が変人よ!!!」

 

 

「穂乃果、ことり、明日久々にどこかに行きませんか?暇になったとはいえ、特にすることも無いので」

 

「うん!もちろんだよ!遊びに行こう♪」

 

「あー... ごめんね?ことり明日はちょっと用事があって....」

 

「そうなのですか?じゃあまた今度にしましょうか?」

 

「いいの!2人で行ってきて♪」

 

「....。ではお言葉に甘えて。では穂乃果、明日出かけますので、寝坊はしないように」

 

「大丈夫だよ!遊びに行く日に寝坊したことないもん!」

 

「...信用なりませんね」

 

「なんでさ!!」

 

「んー、まぁ良いでしょう。その代わり、寝坊した際には罰として木刀を千本振ってもらいます」

 

「えーー!!!海未ちゃんの悪代官!!」

 

「誰が悪代官ですか。あなたが寝坊しなければ良い話です」

 

「しないって言ってるでしょ!絶対寝坊しない!」

 

「では早めに寝たらどうですか?福島からの長旅で疲れたでしょう?」

 

「うーん、じゃあそうしようかな」

 

 

久々に落ち着いて生活できる、皆は久しぶりの暇を様々な形で楽しもうとしていた。

 

 

 

 

〜上杉家〜

 

「殿。福島の綺羅攻めの用意が出来ました」

 

「そうか。さすれば明日の早朝にでも出発しよう」

 

「...殿。先程情報が入ったのですが...」

 

「何があった?」

 

「綺羅と高坂が手を組んだという話がございます」

 

「何?高坂と手を組んだだと?」

 

「左様にございます。ですので戦となると高坂も参戦するやもしれませぬ」

 

「それは厄介だな....。さすれば出来るだけ高坂に情報を漏らさぬように攻めるとするか...」

 

「ええ、それがよいかと。信玄公を退けたとなると高坂の実力は本物。それ故、いくら上杉といえど何があるか分かりませぬ」

 

「念には念を入れるか....。宮城の輝宗公に援軍を要請出来ぬか聞いてはくれぬか」

 

「承知」

 

 

〜伊達家〜

 

「申し上げます!」

 

「何事じゃ」

 

「上杉の使いの者が殿に御目通りしたいと」

 

「謙信公の使いの者が....?よし、通せ」

 

「はっ」

 

 

「この度はいかがした」

 

「輝宗殿にお願いがあり、参りました」

 

「ほう...。何用じゃ?」

 

「我が君主、謙信様が輝宗殿に次の戦で援軍を出してはくれぬかと」

 

「次の戦とは?」

 

「明日の早朝、福島の綺羅攻めにございます」

 

「福島の綺羅?それなら何故謙信公は我々に援軍を頼んだのじゃ。綺羅など上杉の軍だけで十分であろう?」

 

「....綺羅と高坂が同盟を結びまして」

 

「高坂...?あの関東の高坂か」

 

「左様にございます。高坂は信玄公をも退けている故、上杉だけでは多少の心配が残るのです」

 

 

「そうか....。よし、承知した。援軍を出そう」

 

 

「大変有り難く存じます」

 

「我々も綺羅は邪魔じゃと思っていた故、丁度良いわ」

 

 

 

 

 

 

その日は大雨であった。それ故、高坂家家臣達は皆、暇を持て余していた。

 

「残念やなぁ。久々の暇やのに....。せっかくえりちとお出かけ出来ると思ってたのになぁ」

 

「希、そんなに落ち込まないで。別に今日だけ暇って訳でもないし....。いつでも行けるわよ」

 

「そうやんね。じゃあこういう日は城でのんびり過ごそうか♪」

 

「じゃあ希の部屋へ行きましょうか。そこでゆっくりお喋りでもしましょう?」

 

 

「せっかく真姫ちゃんとお出かけ出来ると思ったのになぁー」

 

「これで心おきなく蘭学を学べるわね。...てことでにこちゃん?私の部屋から出て行ってくれる?」

 

「何でそうなるのよ!たまには一緒にいてもいいでしょう?」

 

「嫌よ。邪魔だもの」

 

「はぁ?このにこが邪魔ですって!?」

 

「ええ。だから早く出て行ってよ。うるさいの」

 

「そこまで言わなくてもよくない?....あ、まさか... にこと一緒にいれるのが嬉しくて!照れ隠しでも..「「ない」」

 

「即答ね。あーあ、悲しいなぁ。真姫ちゃんに嫌われちゃったわぁ」

 

「...別に嫌いってわけじゃないわよ」

 

「じゃあ一緒にいてもいい?」

 

「それとこれとは別」

 

「ぬぁんでよ!」

 

「いいから出てって!勉強の邪魔なの!いい?絶対に入ってこないで!」

 

ガラッ

 

 

「追い出されちゃったにこ....」

 

 

 

 

「あーむーじょー この世界は〜♪」

 

「穂乃果は雨の日でもご機嫌ですね」

 

「悲しみに満ちてる〜♪」

 

「お出かけ出来なくて残念でしたね....」

 

「それでぇもいい!出会えたことがぁ〜♪」

 

「穂乃果....?聞いてますか...?」

 

「喜びなぁのぉ そうでしょう〜♪」

 

「穂乃果ッ!」

 

「はいっ!!」

 

「やっぱり聞いてませんでしたか」

 

「あはは....。ごめんね海未ちゃん。歌ってたら楽しくなっちゃって...」

 

「にしても大分凄い歌でしたね」

 

「えー、そうかな?雨の日はこういう歌もいいと思うんだ♪」

 

「やっぱり雨の日でもご機嫌ですね」

 

「えへへ〜♪ 人生楽しくいかなきゃね!」

 

「それもそうですね。....穂乃果?」

 

「ん?どうしたの、海未ちゃん?」

 

「先程歌ってた曲....、もう一度歌ってくれませんか?」

 

「うん!いいよ!じゃあ海未ちゃんも一緒に!」

 

「い、いや、でも私は知らな「「いいからいいからっ!」」

 

 

 

〈〈ア-ム-ジョ- コノセ-カイハ- アムジョ...??

 

 

 

 

〜綺羅家〜

 

 

その日の早朝、若松城には騒々しい足音と絶叫が響いていた。

 

 

ドタドタドタドタドタ

 

「大変じゃ!!大変じゃあ!!」

 

「何事だ」

 

「うっ上杉軍が約30000の軍勢でこちらに進軍中!!!」

 

「なっ!30000!?.....英玲奈とあんじゅを呼んできて。早く!」

 

 

 

「上杉が兵を挙げたですって!?」

 

「何故このような早朝に....」

 

「わからないわ。....英玲奈、今用意出来る兵の数は?」

 

「10000にも満たないはずだ」

 

「これじゃあ兵力に差がありすぎるわ...!」

 

「何か策があるはずよ....。何か...!」

 

すると再び騒々しい足音が聞こえてくる。

 

ドタドタドタドタドタドタ ガラッ

 

「申し上げます!」

 

「何があったの!?」

 

「宮城の伊達軍、約25000の軍勢でこちらに向かっているとのこと!!」

 

「え....?」

 

「伊達まで兵を挙げたのか!!」

 

「上杉と伊達....。あそこは昔から仲がいいから...。わざわざ私たちを潰すために手を組んだのね...」

 

「相手の兵力は55000....」

 

「対して我々の兵力は10000足らず...」

 

「そうだ、高坂に援軍を頼みましょう!」

 

「それはダメよ」

 

「どうして...?」

 

「あの子達をこんな負け戦に巻き込む訳にはいかないわ」

 

「....それもそうだな」

 

「でも...!あの子達だからこそ何か起こしてくれるかも...!」

 

「確かに高坂さんなら援軍を要請すれば必ず来てくれるだろうし、何か起こしてくれるかもしれない。...でも何も起こせなかったら?」

 

「彼女達も死ぬ」

 

「そう。今ここで高坂を同盟国として潰すわけにはいかないの。...だからここは私達だけでいくわよ」

 

「....分かったわ。華麗に散りにいきましょう?」

 

 

 

〜鹿嶋城〜

 

「申し上げます!」

 

「何かありましたか?」

 

「我らが同盟家、綺羅が上杉、伊達連合軍により攻められているとの情報が入りました」

 

「上杉と伊達の連合軍ですって...!?兵力は!」

 

「連合軍55000、綺羅10000足らずかと」

 

「っ!皆を大広間に集めて下さい!即急に!」

 

 

 

 

「どうかしたの?海未?いきなり緊急会議だなんて...」

 

ことりと花陽と凛を除く6人が大広間に集められた。

 

「いいですか、皆さん。よく聞いて下さい」

 

「我らが同盟国、綺羅家が現在上杉伊達連合軍によって攻め入られています」

 

「ツバサさんが!?」

 

「ええ。上杉伊達連合軍の兵力は約55000、綺羅の兵力は約10000....」

 

「5倍もあるじゃない!!」

 

「かなり絶望的ですね。綺羅の敗北は決まったも同然「「助けに行こうよ!!」」

 

「え?あなた何を言って....」

 

「ツバサさんを助けに行くんだよ!!早くしないと...ツバサさんが死んじゃう!!」

 

「いや、しかし今私達が用意出来る兵は約1500....。ここで行けば私達も死ぬことになるのですよ?」

 

「そうね。この負け戦に援軍を出す必要はないわ」

 

「でも....!!」

 

「私だって綺羅さんを助けたい。でもね、穂乃果。時には友情より大事なものもあるの。ここで私達は死ぬわけにはいかない」

 

 

「.....なら穂乃果1人でいくよ」

 

 

その言葉に家臣達は唖然とする。

 

「穂乃果!!あんた何言ってるのよ!死ぬ気!?止めなさい!!」

 

「そうや。止めとき。穂乃果ちゃんの思いはきっと綺羅さんも分かっとるよ。だからその分まで生きるんや」

 

「まだツバサさんは死んでない!!」

 

「時間の問題でしょう。今から行ったとしても意味はないと思いますよ」

 

「それでもいいよ。私1人で行ってくるから」

 

「止めなさいって言ってるでしょう!?何で分からないの!!」

 

「絵里ちゃんこそ何で分かってくれないのさ!友情より大事ものがあるって?そんなものないよ!!仮にあるのだとしても....!今までの私の人生の中で友情より大切だったものなんてない!!」

 

 

熱弁だった。この本気ぶりに家臣達は黙り込む。

 

 

「じゃあ穂乃果行くから....」

 

「待って下さい」

 

穂乃果を止めたのは海未だった。

 

「また何か言う気なの?何を言われても穂乃果は行くから...」

 

「いえ、ただ、私の人生の中でも友情より大切だったものなど無かったなと思いまして....」

 

「え?」

 

「お供します。穂乃果。私達の『友達』を助けにいきましょう?」

 

「海未ちゃん....」

 

「しょうがないわねぇ。にこもついて行ってあげるわよ!にこにーの騎馬隊に任せるにこ♪」

 

「折角勉強出来るかと思ったんだけどね....。気分じゃ無くなったから止めるわ」

 

「ちょ、みんな!!」

 

「えりち」

 

「希...?」

 

「うちらも行くで」

 

「それはダメよ!!ここで死ぬわけには...」

 

「まだ死ぬって決まった訳やないやろ?...それに穂乃果ちゃんがあそこまで言うんやから、家臣として連いていかないわけにはいかんやろ」

 

「でも...」

 

「えりちも頑固やねぇ。まぁとりあえずうちは行くから」

 

「.....」

 

 

 

「では皆さん、出陣の準備はいいですか?」

 

「「オォッ!!」」

 

「これより綺羅家を助けに参ります。かなり厳しい戦になるでしょうが....。きっと大丈夫です」

 

「それじゃあみんな!!行くよぉ!!!」

 

 

「「オォーー!!!」」

 

 

 

〜綺羅家本陣〜

 

「伝令っ!!!」

 

「...どうかした?」

 

「連合軍の猛攻撃により、統堂軍、優木軍が壊滅!!本陣にたどり着くまで時間の問題にございます!!」

 

「...そう」

 

 

綺羅の本陣は見るも無惨であった。戦に出て討ち死にした者、重症を負った者など様々運ばれてきており、地獄絵図そのものだった。

 

 

「最早これまでね....」

 

ツバサはため息をつき、言葉を漏らす。その時であった。

 

「申し上げます!!!」

 

「何かあったの?」

 

「関東より、高坂の援軍約1700が白河の関をこえ、こちらに向かっております!!」

 

「なっ...!!あのバカ..!何でこんな負け戦に!!」

 

「高坂軍の先頭を走るのは高坂穂乃果総大将にございます!!!」

 

「....は?」

 

衝撃だった。総大将は軍勢の後ろで戦況を見て指揮するのが基本的な役目。それなのに穂乃果は自分の危険を省みず、先頭を走っているというのだ。

 

 

「あの子は本当に何をやって....!!」

 

 

 

 

〜上杉・伊達本陣〜

 

「申し上げます!」

 

「何事だ」

 

「関東より高坂の援軍が間もなく到着いたします!!」

 

「来ましたな....高坂」

 

「兵の数は」

 

「約1700ほどかと」

 

「何!?そのような兵力で乗り込んできたと言うのか!?」

 

「高坂とはここまで馬鹿だったのか...。信玄を退けたということじゃったから少しは楽しみにしておったのに...」

 

「すぐに片付けるとするか、謙信よ」

 

「関東も手に入るようですね....」

 

 

 

〜高坂軍〜

 

ワァァァァアア!!

 

「凄い数だね....。これじゃあ前に進めない...!!」

 

穂乃果は焦っていた。早くツバサの元へ行かなければ彼女は確実に討たれてしまう。それ故、急いで綺羅の本陣へ向かわなければならなかったのだが、連合軍の兵達が穂乃果達の前に立ちはだかった。

 

「...穂乃果」

 

名前を呼ばれ後ろを振り向く。

 

「にこちゃん...?」

 

「ここはにこに任せてちょうだい。穂乃果は先に行きなさい」

 

「!?いや、でも!!それじゃあにこちゃんやられちゃう...」

 

「あんたにこの騎馬隊舐めるんじゃないわよ。...それに早く行かなきゃ『友達』とやらを助けられないわよ?」

 

「....ありがとう、にこちゃん...!!」

 

 

 

『あんた達の敵はこっちよ!!!どっからでもかかって来なさい!!!』

 

 

 

にこが相手の兵達を迎えうっている間に、穂乃果達はそこをすり抜け、綺羅の本陣へと急いだ。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「これはまずいですね....」

 

第一部隊をにこのおかげで乗り切った穂乃果達だったが、まだまだ連合軍の兵は余るほどいた。そして現在その兵達に囲まれてしまっている。

 

「私の鉄砲隊ももうもたないわよ!?何かないの!?」

 

「うちも軍ももう壊滅寸前や....。どうしよか...」

 

「これまで...なのですか....?」

 

高坂軍は絶体絶命の危機だった。ほとんどの軍が連合軍によって倒されており、高坂にはもう太刀打ち出来る術がない状況だった。

 

 

 

バァァァアン!!

 

 

 

一発の銃声が響き渡る。

 

皆がその音がなった方向を見る。

 

「ほら...そこの大群さん達?あんまりぼーっとしてると怪我するわよ...?」

 

「え、絵里ちゃん!!!!」

 

「えりち!!」

 

そう、そこにいたのは絵里だった。

 

「さぁ、みんな!!暴れて来なさい!!」

 

ウォァァァアアア!!!

どこから集めてきたのだろうか、絵里の軍には10000ほどの兵がいた。

 

「絵里!?あなたこの兵は一体どこから...」

 

「遅くなってごめんなさい、みんな。ちょっと兵を集めてたら時間がかかっちゃって」

 

「ちょっとどころやないやろ!どうやって集めたんや!!」

 

「上杉側にちょっと知り合いがいてね...。その人に寝返ってもらったわ♪」

 

「あなたは何を....」

 

「いいから。ここは私に任せて。ほら、早く綺羅さんの本陣へ行かなきゃ!」

 

「すみません、絵里。感謝します」

 

 

 

〜綺羅家本陣〜

 

「.......」

 

そこには全てを失ったツバサがいた。逃げることも出来ず、戦うことも出来ず、ただ連合軍が本陣へ攻め入り、首を刎ねられるのを待っているのみであった。

 

 

「「ツバサさぁぁぁあん!!!」」

 

 

そこに聞き慣れた声の叫びが聞こえる。

 

「....!? 高坂さん...?」

 

「ツバサさんっ!!よかった...!!」

 

穂乃果はまだツバサが生きているのを見て安堵する。

 

「ツバサさん一緒に逃げましょう!!早くしないと敵が押し寄せて「「無理よ」」

 

 

即答だった。

 

 

「え...?」

 

「私は高坂さんと一緒に逃げることは出来ない」

 

「どうして...!!」

 

「家臣達が皆死んでいっているのに、私だけ生き延びることは出来ないわ。それにね、私は綺羅家当主。私が死なない限りこの戦は終わらない....」

 

「何を言ってるんですか!!早く逃げますよっ!!」

 

「それは出来ないと言っているでしょう?」

 

「何で....!!それじゃあ私との約束はどうなるんですか!?一緒に平和な世界作ろうって!絶対守るって言いましたよね!?」

 

「....ごめんなさい」

 

「ごめんなさいじゃない...!早く...!ツバサさんっ!!」

 

「穂乃果ぁあ!!」

 

「海未ちゃん...?」

 

「早く逃げましょう...!連合軍がもうそこまで来てます!!」

 

「いや、でも!!ツバサさんが!!」

 

「私のことはいいから逃げなさい。高坂さん...早く!!!」

 

「何で....!!ツバサさんも一緒にっ....!!」

 

穂乃果の目から涙が落ちる。

 

「.....。穂乃果さん...?あなたに涙は似合わない」

 

そう言って穂乃果の涙を拭き取ったツバサの目からも涙が溢れていた。

 

「ツバサさんだって....!泣いてるじゃ...ないですかっ!」

 

「...そうね。私も一応死ぬのは怖いみたい」

 

「一緒に逃げれば死ぬことは....」

 

「さっきも言ったけど私にそれは出来ない。もう死ぬしかないの。分かってくれるかしら?」

 

「分かんないよ!!」

 

「穂乃果さん...。あなたなら平和な世界をみんなに見せることが出来る。そして必ず現実の世界にだって戻ることが出来る。...だから生きなさい。この乱世を生き延びなさい」

 

「やだっ...!ツバサさんも一緒に...!!」

 

 

「高坂穂乃果!!!」

 

 

「っ!?」

 

「いいから行きなさい!!」

 

「......」

 

「穂乃果さん?あなたは前だけ向いて歩きなさい。後ろを振り返る必要なんてないの。そして私の分まで生きて、みんなに平和な世界を見せてあげて...?」

 

暫くの時間があった。そして穂乃果は返答した。

 

「.....うん」

 

「よく出来ました♪....園田さん。高坂さんを連れて早く逃げて!」

 

「承知しました。....綺羅さん、感謝します」

 

そうして穂乃果達は綺羅本陣から引いていった。

 

 

「この世は無情ね...。高坂さん...いえ、穂乃果さん、貴女ならこの世の中を変えることが出来る...。頑張るのよ」

 

 

遠ざかる穂乃果の背を見ながらそう呟いた。

 

 

〜上杉・伊達本陣〜

 

「申し上げます!」

 

「どうした」

 

「綺羅家当主、綺羅ツバサ、只今討ち取ったとのこと!!」

 

「....そうか。高坂は?」

 

「既に引いております」

 

「....逃げおったか。まあよい。次の機会を楽しみにするとしよう」

 

 

 

 

 

〜鹿嶋城〜

 

「穂乃果はずっと部屋にこもってるの?」

 

「ええ。城に戻ってきてからずっと」

 

「かなり堪えてるわね....」

 

「それはそうでしょう。仲のよかった綺羅さんが討たれたのですから」

 

「あぁ、そういえばにこはどうなったの?」

 

「にこですか?」

 

「ええ。あの子1人で少しの騎馬隊を指揮してあの大群を相手にしてたんでしょう?」

 

「銃弾が肩を撃ち抜いたようで....。今真姫が看病しています」

 

「そう....。....やっぱり一番穂乃果が心配ね」

 

「ええ。精神をやられましたからね...」

 

「海未?穂乃果についていてくれるかしら?」

 

「それはもちろん。....絵里は何かする事があるのですか?」

 

「まあ、少し野暮用がね」

 

「....そうですか。なら私は穂乃果の元へ行きますので」

 

 

 

 

「.....。海未は今私のこと疑り深い目で見てたわね....。気づかれたらまずいわ....。しっかりやらなきゃね....?じゃないとあの子が助からない...!!」

 

 

 

 

裏切り者出現。

 

 

 

 

 

 

 




最後まで見ていただき、ありがとうございました!
今回は自分の文章力では表現出来ないようなシーンが多々ありましたので、分かりにくいものとなっていたと思います。大変申し訳ありません。なにか訂正した方が良い点などがございましたら教えていただけると幸いです。ご意見、ご感想、お待ちしております。

テスト期間に入るため、約二週間ほど更新できません。読んでいただいてる方々にはご迷惑をおかけしますが、今後ともよろしくお願いします。


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第五幕 ダリア〜裏切りの花〜

第5話目となります!
後半の方駆け足となってしまいましたが、出来るだけのことはしましたので、最後まで見て頂けると幸いです!
では戦国ラブライブ、ごゆっくりとお楽しみ下さい!


[chapter: 第五幕 ダリア ]

 

 

【前回のラブライブ!】

穂乃果達一行は福島の綺羅から届いた同盟の書状の返事の為、綺羅家本城、若松城いた。そこで穂乃果は綺羅家当主綺羅ツバサと会う。ツバサも穂乃果と同様に現代からタイムスリップして来たようで、仲間がいたと2人は喜んだ。自分達が見てきた平和な世界をこの時代の人にも見せたい、という同じ志を持った2人は同盟を結び、固い約束を交わした。しかしそこに綺羅を潰そうと上杉が伊達と手を組んで福島へ進軍してくる。ツバサが絶体絶命の状況にあることを知った穂乃果はツバサを助けるためにこの負け戦に出陣した。何とか戦場を駆け抜け、綺羅本陣まで辿り着いた穂乃果であったが、ツバサは逃げることは出来ない、と穂乃果の願いを断る。そして全ての思いを穂乃果へ託し、この乱世にツバサは散ったのであった。

 

 

ここ最近は天気がぐずついていた。最後に太陽を見たのはいつだっただろうか。

 

「穂乃果....?」

穂乃果が部屋から出て来なくなってからどれ位経ったのだろう。

「出て来てはくれませんか....?」

「....嫌だ」

このやり取りを何回繰り返したものか。海未にはもう分からなかった。

「....ではまた明日来ますので....。何かあったら呼んで下さいね」

 

「穂乃果はまだ出て来てくれないの?」

絵里の問いに海未は力なく首を振る。

「そう....。これはかなりやられてるわね...」

「あぁ、そうでした。にこはどうなりました?」

にこはこの度の戦で肩を撃ち抜かれる重傷を負っていた。

「部屋に行ってみたら?直接確認した方がいいと思うわよ?」

「....そうですね」

 

「にこ...?入っても良いですか?」

「いいわよー」

いつものにこの声が聞こえてくる。それに海未は少し救われた。

「失礼します、にこ」

「どうかした?....顔が酷いわよ」

そんなに酷い顔をしていたのだろうか、海未は手を顔にやる。

「いえ、にこの具合はどうかなと思い...」

「ん、にこはもう大丈夫よ。....それよりにこはあんたの方が心配なんだけど?」

「え、ええ。私は大丈夫ですから....」

「....そう。無理はしちゃだめよ」

「ありがとうございます...にこ」

 

次の日も雨だった。黒い雲が上空全てを覆っている。

「今日も雨ですか....」

海未は何日も続く雨にうんざりしていた。

「たまには太陽を見たいですね....」

心の声が漏れる。

『海未ちゃん!』

「ッ!?」

突然聞こえた穂乃果の声に海未は驚いて振り向く。

...しかしそこには誰もいない。

「.......。気のせいですか。....最近疲れてるのでしょうか...?」

 

「あーあ、今日も雨なの?別に雨の日は嫌いじゃないけど、こんなに続くとさすがに嫌になるわね」

「そうだねー....。そういえば真姫ちゃんとこうやって話すの初めてかもね♪」

「そういえばそうね。ことりとこうやって2人で話をしたことないかも」

「真姫ちゃんいっつもにこちゃんといるもんね〜♪」

「ヴェェ!?べっ別にそんなことないわよ!」

「わぁ、そんなに顔赤くしちゃって♡ 真姫ちゃん可愛い♡」

「うっうるさいわよ!!.....そういえば最近ことりって穂乃果や海未と一緒にいないわよね」

「穂乃果」と「海未」という名前を聞いて、ことりは少し俯いた。

「....うん。最近ちゃんと話してないかな...。穂乃果ちゃんは部屋から出て来ないし、海未ちゃんはそのせいでかなり弱っちゃってるし...」

「...なんかごめんね。変なこと聞いちゃって」

「ううん!全然いいの!真姫ちゃんの赤い顔が見れたしね♪」

「...そう。なら良かったわ。....ことりも無理はしないでね」

「...ありがとう」

 

「今日も雨やなぁ」

「ええ、そうね。もう嫌になっちゃうわよ」

「最近太陽を見てないなぁ....。高坂の太陽も、ね」

「あの子いつから引きこもってるんだっけ?もう分からなくなっちゃったわ。最近本当に何もないし、雨が降ってるせいで昼間でも真っ暗だし」

「うちも最近時間感覚がおかしくてなぁ。もうさっぱりや」

「太陽....。見たいわね」

「そうやんね。久しぶりに...」

 

 

「穂乃果....?」

今日も海未は穂乃果の部屋の前で名前を呼ぶ。

「今日も出て来てくれないのですか...?」

「嫌」

返答はいつもそれだけだった。

「......穂乃果ぁ....」

海未も遂に耐えられなくなったのか、涙腺が崩壊する。

「何で...っ!何で出て来てくれないんれすかぁ..! あいたいれすよぉ...穂乃果ぁっ!!」

今まで溜まっていた分の涙が全て出る。まるでダムが決壊したかのような勢いで流れていた。

「海未ちゃん...」

部屋の中から聞こえた声に即座に反応する。

「ほのか....?」

「入っていいよ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

〜武田家〜

「御屋形様。高坂攻め、いかがいたしますか」

「出陣はまだせぬ」

「しかし、今なら兵も50000は用意出来ますし、高坂も迎え討つ準備は出来ていないと思う故今攻めるのが得策かと」

「以前、我々は40000の兵で正面衝突して敗北した」

「しかしそれは勝頼殿の暴挙故...」

「いや、わしでも敗北していただろう。鉄砲の連射など、気づいておってもかわして突撃するのは不可能だ」

「では...いかがするおつもりなのですか」

「中から攻める」

「といいますと...?」

「高坂の重鎮、絢瀬にこちらに寝返ってもらい、中から崩壊させる」

「いや、しかし、かようにして」

「絢瀬には妹がいただろう?そいつをだしにしてあやつを脅せばすぐに寝返るはずだ」

「では... 絢瀬の妹を捕らえて参りますか?」

「いってこい」

「承知」

 

 

 

〜鹿嶋城〜

「さてと....。家臣の資料の整理はこの辺でいいかしらね...」

綺羅との同盟を結び、福島から帰ってきた日の夜、絵里は高坂全家臣の情報が載った資料の整理をしていた。

「亜里沙はもう寝たかしら?少し様子を見に行きましょうか」

そして絵里は亜里沙が眠っているはずの部屋へ向かった。

そしてその部屋の襖をそーっと開け、中を覗く。側から見れば女が寝る部屋を覗き見する変態のような仕草だった。

「ん...?」

そこで絵里は部屋の異変に気付いた。

 

「亜里沙がいない...?」

 

そして亜里沙が寝ているはずだった布団には一枚の紙切れが置いてある。

そこにはこう書かれていた。

ーー絢瀬亜里沙は預かった。妹を助けたければ我らが武田に寝返るのだ。もし寝返らないとあらば、絢瀬亜里沙の首は無いものと思え。寝返るのであれば明日の夕暮れまでに栃木に来い。 武田ーー

「なっ....!!亜里沙が危ない..!!...裏切りですって...!?」

究極の選択だった。妹をとるか、高坂の仲間をとるのか。

「そんな....。私は一体どうすれば....」

 

次の日、綺羅が連合軍に攻め入られた。

「「私は助けに行く...!!友情より大事だったものなんて、少なくとも私の人生ではなかった!!」」

穂乃果はそう言って絵里の言葉を無視し、絵里以外の家臣を引き連れ、ツバサを助けに向かった。たった1700の兵力で、彼女達は出陣したのであった。

 

(あの子達は確実に今回の戦でやられてしまう...。何とかして助けてあげたいけど....。)

 

「....亜里沙を助けに行こう」

絵里の心は決まった。

 

〜栃木〜

絵里は亜里沙を助けるため、栃木へ馬を走らせていた。その馬の走る速さはまさに神速であった。

僅かな時間で武田との約束の場所に着く。

 

「....ここでいいのよね?」

周りには誰もいなかった。

そして着いてから暫くたった時であろう。

「絢瀬絵里か?」

自分の名を呼ぶ声が聞こえた。

背後から声をかけられたため、絵里はすぐさま戦闘態勢に入った。

「何奴ッ!!!」

「おぉっと....。威勢がいいな...。さすが高坂筆頭家臣」

「早く名乗らないと切るわよ」

「おー、怖いねぇ...。...我は武田家家臣....、真田信繁と申す。御屋形様の命令により、お主の返答を聞きに参った」

「武田...?あなた武田の家臣なの!?」

「そういっておる」

「亜里沙は...!!亜里沙はどこなの!!」

絵里の勢いに真田は多少おされていた。

「おいおい、そう焦りなさんな....。それより、高坂もういいのか?」

「...は?」

「高坂はたった少しの兵力で綺羅の援軍に出たのであろう?」

「...ええ。だから何よ」

「助けたくはないのか?」

「....」

「もし助けたいのであれば....。御屋形様から良い策を預かってきたが...?」

その言葉に絵里は目を見開く。

「本当!!?....でも何で武田が...」

「高坂を討つのは武田じゃ。上杉などに高坂の首は渡さぬ、ということなのだろう」

「...で?その策って何?」

「上杉に御屋形様の盟友がいるみたいでな....。その方が力を貸してくれるようじゃ」

「何故...」

「何でも武田に寝返りたいようでな。あちらにとってもいい機会なのであろう」

「....そう。じゃあそうさせてもらうわ。...亜里沙は?亜里沙はどうするの?」

「心配は無用だ。我らが真田で預かっておる。お主が御屋形様から命じられた仕事を全て終えた時に返してやる」

「絶対よ?あの子に何かしたら....わかってるわよね?」

「承知しておる。それ故、その様な顔をするのは止めてはくれぬか。結構恐ろしいのじゃ」

「......。じゃあ私行ってくるから」

「おいおい、待て待て。この書状を持って行くのじゃ」

「これは?」

「御屋形様直筆のものじゃ。これを力を貸してくれるという方に見せろ。さすれば分かってくれるであろう」

「.....。感謝します」

そういって絵里は僅かな絢瀬軍を引き連れ、穂乃果達を助けに向かったのであった。

 

 

「やっぱり凄いわね....」

戦場についた絵里の第一声はそれだった。戦場は上杉と伊達の兵達で覆われていた。高坂、綺羅の兵の姿はほとんど見えない。

「ここから穂乃果達を探さなきゃならないわけだけど....」

だが、実際それは不可能に近かった。あの僅かな軍隊をこの中からどの様にして探し出したらよいのであろう。

「10000の兵力がついたと言っても....。あの子達を見つけれなきゃ意味がないわ...」

絵里は必死に目を凝らし、戦場を見渡す。

その時だった。絵里の視界に1つの輪が目に入る。

「.....?連合軍の兵達は何であそこで輪を作って...!?」

絵里は見つけた。その輪の中心に。

「あそこよ!!!」

絵里の叫びに皆が反応する。そして絵里が指差す方向を見る。

その光景を見た絢瀬軍の兵達は、皆顔を見合わせ、頷いた。

「殿。行きましょう」

「ええ。....みんな。準備はいい?」

「「オォッ!!」」

「じゃあ行くわよ!!」

ワァァァァァア!!

 

こうして、何とか絵里は穂乃果達をツバサがいる本陣への道を開いたのであった。

 

....しかし、敵の兵力は圧倒的。今にも絵里の軍は壊滅しようとしていた。

「ここで死ぬわけにはいかないのよ...。亜里沙を助ける為にも!!」

その一心で絵里は槍を振るった。孤軍奮闘、絵里は周りの兵を次々となぎ倒していく。まるで戦いの神、毘沙門天がついたような強さであった。

そこに1人の叫び声が耳に入る。

「絵里ぃぃぃぃい!!!」

海未であった。穂乃果を引き連れ、目一杯の速さで馬を走らせている。

「海未...!!」

「絵里!逃げましょう!このままでは我々もやられてしまいます!!」

「ツバサさんは...?」

その問いに海未は小さく首を振る。

「....そう。なら私が殿をするわ」

(殿〈しんがり〉 撤退する部隊において、最後尾につくこと。逃げるためのおとり)

「なっ...!?それでは死んでしまいます!!」

「死ぬわけないでしょう?私を舐めないでくれる?」

「...ですが!!」

「大丈夫。これは誰かがやらなければならないこと。...絶対に生きて帰るから」

「....はい。分かりました。...約束ですよ?」

「ええ。勿論」

 

 

「ごめんね...海未...」

 

 

絵里は何とか殿の役目を果たし、その足で先ほど真田とあった場所へ向かった。

真田に戦が終わったらもう一度戻ってくるように言われていたのだ。

「お、死んでなかったか」

「....あなた、ずっとここにいたの?」

そこには真田信繁がいた。

「勿論。御屋形様の命令は絶対故」

「そう。...それで?亜里沙を助ける為には何をすればいいの?」

絵里は自ら話題をそちらに向けた。

「近いうちに武田は高坂に戦を仕掛ける」

「へぇ...。それで?」

「高坂が持っている鉄砲を気づかれぬように、全て廃棄して欲しい」

「....。いくら信玄でも三段構えには敵わないってことね」

「残念だがそういうことになる」

「...で?それだけかしら?」

「高坂の財産をこちらによこして欲しい」

「..は?」

「お主は高坂の重鎮故、高坂の財産の量であるとか、どこにあるかなど色々知っているであろう?」

「まぁ..」

「出来るだけ多くの財産をこちらに渡すのだ。...そしてその時にお主の妹を返してやろう」

「...そう。分かったわ。なるべく早く持っていくわよ」

「財産に関しては、我がお主の妹を連れ、鹿嶋付近に拠点をたてて待っている。そこへ持ってこい」

「....承知」

取り引きが成立した。

 

 

その後、絵里は鹿嶋城へと戻った。

「絵里...!!」

彼女を一番に向かえてくれたのは海未であった。

「....ただいま」

「無事で良かったです」

海未はその顔に満面の笑みを浮かべた。

「大丈夫って言ったでしょう? 私を誰だと思ってるのよ」

「そうでしたね。あなたは高坂筆頭の絢瀬様でした」

「意外と海未もおかしなこと言うのね... 新たな一面かしら♪」

「さぁ、どうでしょう?」

「あ、そうだ」

「どうかしました?」

「穂乃果はずっと部屋に引きこもってるの?」

「ええ。城に戻ってきてからずっと」

「かなり堪えてるわね....」

「それはそうでしょう。仲のよかった綺羅さんが討たれたのですから」

「あぁ、そういえばにこはどうなったの?」

「にこですか?」

「ええ。あの子1人で少しの騎馬隊を指揮してあの大群を相手にしてたんでしょう?」

「銃弾が肩を撃ち抜いたようで....。今真姫が看病しています」

「そう....。....やっぱり一番穂乃果が心配ね」

「ええ。精神をやられましたからね...」

「海未?穂乃果についていてくれるかしら?」

「それはもちろん。....絵里は何かする事があるのですか?」

「まあ、少し野暮用がね」

「....そうですか。なら私は穂乃果の元へ行きますので」

そう言って海未は穂乃果の部屋へと向かった。

 

「あの子今、私のこと疑り深い目で見てたわね...。海未は勘が鋭いからね...。気をつけなきゃ。...じゃないと亜里沙が助からない...!!」

 

 

こうして絵里は行動し始めた。

まずは鉄砲から。みんなが寝静まった夜を狙い、大量の鉄砲を持ち出し、海へと投げ捨てていく。

「...これも亜里沙を助けるため...」

絵里は自分にそう言い聞かせ、夜な夜な行動していた。

 

何日かかったであろう、約2万もあった鉄砲は全て無くなった。

「ようやく終わったわね....。雨にも濡れるし、大変だったわ....」

絵里はまず第一の使命を果たした。

 

 

 

「穂乃果はまだ出て来てくれないの?」

絵里の問いに海未は力なく首を振る。

「そう....。これはかなりやられてるわね...」

「あぁ、そうでした。にこはどうなりました?」

「部屋に行ってみたら?直接確認した方がいいと思うわよ?」

「....そうですね」

 

「....海未はかなり堪えているようね。これは好都合だわ...。あの子が一番危ないから...」

穂乃果は綺羅の戦以降部屋から出てこない。その為か、家臣達は皆元気を失っていた。

しかし、絵里にとってはかなりの好都合で、皆に警戒されることなく武田から与えられた使命を実行することが出来る。

「...にしても雨が酷いわね」

雨が降る外を見ながら、何もすることなくただ突っ立っていると、希が現れた。

「えりち?」

「ん?どうかした?希?」

「いや、珍しくえりちがボーっとしてたもんやから。心配になってしもうて」

「どういう意味よ」

「....今日も雨やなぁ」

「ええ、そうね。もう嫌になっちゃうわよ」

「最近太陽を見てないなぁ....。高坂の太陽も、ね」

「あの子いつから引きこもってるんだっけ?もう分からなくなっちゃったわ。最近本当に何もないし、雨が降ってるせいで昼間でも真っ暗だし」

「うちも最近時間感覚がおかしくてなぁ。もうさっぱりや」

「太陽....。見たいわね」

「そうやんね。久しぶりに...」

そう言った希からは、何かいつもとは違う雰囲気が漂っていた。

「....?どうかした?希?」

「ん?いや、何でもないんよ〜」

「そう。じゃあ、私ちょっとやることがあるから....」

「気をつけてな」

「....え?」

希はそう言い残し、自室へと戻って行った。

(まさか気づかれてる....? 希に...?)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「海未ちゃん、分かったから泣くのやめてよ...」

「ほのかのばかぁ....」

穂乃果は約一週間振りに自室に他人を入れた。なんせ、ツバサが死んでからの一週間、ずっと部屋から出ず、家臣の声にも耳を貸さず、ひたすら泣いていたのだから。

「何でずっと....!部屋から出てきてくれなかったんれすかぁ...!!」

相変わらず海未は号泣である。

「だって.... まだツバサさんのことが....」

「穂乃果は私達より...ツバサさんの方が大事なのですかぁ....!!」

その言葉は穂乃果の胸に深く刺さった。

「それは違....」

「じゃあ何で!!ずっと部屋に引きこもっていたんですか!! 私達家臣が毎日毎日あなたに声をかけていたというのに....!!あなたはッ!!」

「.....」

穂乃果には何も返せる言葉が無かった。

「あなたがいなければ私達は前には進めません...。ですからあなたが出てこなかったこの期間... 皆がどれだけ悲しんだと....!!」

海未の目からはいつの間にか涙が消えていた。

「ツバサさんも言いましたよね?後ろなんて振り向くな.... ひたすら前を向いて生きろ、と。なのでお願いです、穂乃果....。後ろはもう見ないで下さい。前を向いて下さい...。...そしていつまでも私達を照らす太陽でいて下さい....」

「海未ちゃん.....」

すると海未はこんな言葉を口にした。

「目の前に僕らの道がある....」

「....え?」

「今思いついた言葉です。今のあなたに贈る言葉としてはとても合っているかと」

「ありがとう、海未ちゃん....。元気出たよ...!やっぱり海未ちゃんには敵わないや」

そう言って穂乃果は笑った。

「その笑顔が見たかったんです」

 

「希ちゃん、お願いって何かにゃ?」

希は絵里と別れた後、凛を自室に呼んでいた。

「ちょっとな....。凛ちゃんにしか出来ないことなんやけど...」

珍しく歯切れの悪い希を見て、凛は疑問に思う。

「どうかした...?いつもの希ちゃんじゃないよ...?」

「うん...。それでな?お願いっていうのは....」

 

「絵里ちをつけてほしいんや」

 

「にゃ?...それは一体どういうことかにゃ?」

「....最近絵里ちの様子がおかしいんよ」

「凛にはそうは思えないけど...」

「うちには分かる。あれは何か隠してる。凛ちゃん?」

「....?」

「最近絵里ちが毎晩何かしてるの知っとるか?」

「え?そうなの?」

「うん。....もしかしたらあの子...うちらを裏切ってるのかもしれん」

希から放たれた言葉に凛は驚愕した。

「...!?希ちゃん!?何を言って...」

「ちょ、静かに...。うちだってな、そんなこと思いたくないんよ。でもな?最近の絵里ちの行動を見てるとそれしか考えられへんのよ」

「....分かったにゃ。今日1日絵里ちゃんについてみる」

「何かあったら報告頼むで」

「了解」

 

 

「さてと...。これで全部かしら?」

絵里は高坂の財産を持ち出そうと、鹿嶋城付近の洞窟にいた。そこに全ての財産が保管されていた。

「.....これも亜里沙を助ける為...。仕方ないのよ」

そう呟かなければ、絵里は罪悪感に押しつぶされそうになる。武田からの指令をこなしている間は、この言葉を呪文のように唱えていた。

「よいしょ... 意外と多いものね...」

荷物を全て何頭かの馬に乗せ、出発の準備は完了した。

「じゃあみんな、いくわよ」

絵里は何人かの馬借を雇っていた。

 

「....嘘... 絵里ちゃんがそんな...」

希のお願いをうけた凛は多少離れたところから、先ほど絵里が行っていた一部始終を見ていた。

「きっと何かの間違いにゃ....!」

目の前で繰り広げられた光景を凛はまだ信じられずにいた。

そうこうしている間に絵里達は出発してまった。

「...ついていかなきゃ」

 

 

「穂乃果..!ようやく出てきたのね...!」

「穂乃果ちゃん!!...良かった...!」

「みんなごめんね?ずっと1人でいじけてて...」

穂乃果が部屋から出てきたと聞き、皆は大広間に集まっていた。

「本当よ....。どれだけ心配したと思ってるのよ」

「ごめんね?真姫ちゃん。....真姫ちゃんも心配してくれたんだ♪」

「当たり前でしょう?あなた何日出てこなかったと思ってるのよ。海未にもことりにもあんなに心配かけて....。とんだ殿様だわ」

「....そうだよね」

「いいんだよ?穂乃果ちゃん!ことりはまた穂乃果ちゃんの笑顔が見れれば!」

「ありがとう、ことりちゃん。ことりちゃんはやっぱり優しいなぁ...♪」

「そういえば絵里と凛がいないけど...。希!知ってる?」

にこからの質問に希は少し焦った。

(にこっちってこういう時だけよく周り見えとるねんなぁ...)

「あー、うん。2人ならちょっと用事があるいうて出かけてったで」

「あら、そう。....ならいいけど」

何かある、その場にいた全員がその場の空気から感じ取っていた。

 

「あそこかしら?」

絵里は真田に言われた拠点を見つけていた。

「これでようやく...!亜里沙を助けられる!!」

すると、拠点から真田が出てきた。

「お、早かったな」

「もちろん。全部財産は持ってきたわ....」

「そうか。じゃあそこに置いてくれるか?」

真田に言われた通り、指定された場所へ財産が入った袋をおく。

「....亜里沙は?」

「中にいる。早く持っていけ」

 

絵里を尾行していた凛は今の光景も全て見ていた。

「あれは...真田? 真田に高坂の財産を....。やっぱり絵里ちゃんは....!!」

今まで何かの間違いだと信じていた凛であったが、全てを理解した。絵里は間違いなく高坂を裏切って、武田側についている。紛れも無い事実だった。

「早く希ちゃんに伝えなきゃ...」

凛はその俊足を飛ばし、鹿嶋城へと戻っていった。

 

「そういえば最近絵里がよく城から出ていますが....。何かあったんでしょうか?」

「そうなのよ。ここ最近ずっと夜とか1人で何かやってるのよね....。夜遅くまで勉強してるとよく見るわ」

「今まではずっと穂乃果のことで一杯一杯でしたが、次は少し絵里に目を向ける必要がありそうですね」

(さすが海未ちゃんと真姫ちゃんやなぁ....。2人とも策士として働いてるだけあるわ...)

「穂乃果もそれでいいですか?」

「いいけど... それって絵里ちゃんを疑うってこと?」

「いえ、別に疑うわけではありません。ただ夜に城を出たりだとかするのは少し異様ですので...。聞いておく必要があるかと」

「それって疑ってるよね」

「....。あくまで可能性の話ですよ?本当に仮の話です。絵里は...、高坂を裏切っているのかもしれません」

その言葉にその場が凍りつく。

「なっ... あなた何を言って...」

「そうだよ、海未ちゃん。絵里ちゃんが裏切るなんて....」

「ですから、あくまで可能性の話です。毎晩城を出たりだとか、最近出かけることが多いだとか...。少し行動が怪しすぎるため...」

「でもさすがにあのエリーに限って...」

「さすが海未ちゃんやね」

「え?」

突如口を開いた希の方を皆が驚いてみる。

「よく絵里ちのこと見とる。...今までの行動をみる限り、あの子は裏切ってる可能性がある」

「それは...」

「いいから聞き。うちかてそんなことは無いと思うけど....。もしそうだとしたら高坂は危ない。せやから今日1日凛ちゃんに尾行してもらってる。とりあえず凛ちゃんの報告待ちや」

「大丈夫よ。絵里がにこ達のことを裏切るなんてそんな...」

重く、暗い空気が漂う。

そこに、その空気を切り裂くかのような絶叫が聞こえてきた。

「「大変にゃ!!大変にゃ!!大変にゃぁぁあ!!!」」

「凛ちゃん!!!」

「絵里ちはどうやった!?」

「希ちゃん!!....それが....」

凛の表情を見て、全員がその意味を悟る。

「嘘だ....」

「そんな!!あのエリーよ!?あのエリーが...!!」

「やはりですか...」

「....それで?何をしとったんや」

「洞窟にあった高坂の財産全てを武田に渡してた.....」

「武田やて!?」

「よりによって武田ですか....!!」

「絵里が武田に寝返ったとなると....。もう打つ手はほとんど無いわね...」

全員が沈黙する。絵里は高坂で一番頼りになる家臣。それが武田に寝返るというのは、高坂の滅亡を意味していた。

 

「ただいま〜」

何くわぬ顔で絵里が城に戻ってきた。

「あら、みんなどうしたの?大広間なんかに集まって....。...あれ?穂乃果!?ようやく出てきたのね!!良かった...!!」

そう言って絵里は穂乃果に飛びつく。

...しかし穂乃果はそれを拒否した。

「え...?」

「絵里ちゃん。話があるんだけど」

 

それから大広間にて、絵里を他の8人が取り囲むような形で絵里への事情聴取が始まった。

「絵里ちゃん...。私達を裏切ってるって本当...?」

「...ッ!!」

穂乃果らしい、会心のドストレートであった。

「どうなの?答えてよ」

「それは....」

「絵里ち!!はよ答え!!!うちらみんな絵里ちのこと信じてたんよ!?疑惑が上がっても!!絵里ちに限ってそんなことあるはずないって!!それなのに...!!!」

皆が目を丸くしていた。あの希がここまで激怒している姿は初めてだからであろう。

「絵里ち....!!あんたって人は....!!!」

「希!!もういいですっ!!止めて下さいっ!!」

希が手を出しそうになったのを、海未が全ての力で阻止する。

「絵里ちゃん、早く。答えて」

「....。私は...。あなた達を裏切った....!」

絵里が自ら裏切りを認めた瞬間だった。

「どうして?どうして私達を裏切ったの...? はっきり言ってまだ穂乃果は信じられないよ...。いつも私達の事を考えてくれていたあの絵里ちゃんが....」

皆が絵里を見る目は蔑みの目であった。

「何か理由があるの?絵里ちゃん。理由も無しに絵里ちゃんが裏切ることなんて無いよね?....答えて」

「....亜里沙が...」

「亜里沙ちゃんが?」

「武田に連れ去られたの。...それであの子を助けたければ武田に寝返れって....!!」

「武田さんが...?そんな事したの....?」

「それで...。高坂にある鉄砲全てを捨て、財産全てを武田に渡したわ....」

「....そうですか、絵里。もうしてしまった事を嘆いてもどうしようもありません。...それで?どのようにして償うのですか?」

「償う...?」

「それはもちろん、腹を切るわ。それ程の事をしたんですもの...」

「腹を切る...?」

「そうですか。それが一番でしょう」

「じゃあうちが介錯するさかい、思いっきりやってええよ」

そう言うと、絵里は脇差を取り出し、着物をはだけさせた。

「え、絵里ちゃん...?何を...!?」

その絵里の後ろに希が刀を構えて立つ。

絵里は刃を自分の方向に向ける。

「穂乃果....。ごめんね...?こんな情け無い家臣で...」

そう言って、刀を動かした。

 

「ダメだよ!!絵里ちゃんっ!!!」

「穂乃果....?あなた何を!」

穂乃果は絵里の刀を持っている両手を思い切りつかんでいた。

「死んじゃだめだよっ!!絵里ちゃんは!!私の大事な...!!もう大事な人が死ぬのを見るのは嫌なの!!!」

穂乃果の力が勝り、刀をはじく。

「穂乃果....。いいから死なせてちょうだい...。武士として、せめてもの償いよ!!!」

「は?...償い?死ぬことが償いなの...?」

「ええ、そうよ...。裏切り者は死ぬことでしか償えないのよ!!」

パァァァァアアン!!!

「....え?」

穂乃果が絵里の顔をはたいていた。渾身の力を込めたものであった。

「ふざけないで。裏切り者は死ぬことでしか償えない...?そんなことないよ。むしろ死んで償うなんて...。それ程卑怯な手はないと思うよ」

「は...?卑怯ですって...?死んで償うことが..?」

「うん。凄く卑怯だよ。逃げてるだけじゃない」

「なっ...!?逃げてるですって...!?死んで償うことが武士としてのしきたりなのよ!?裏切りはどうやっても償うことは出来ない。それが武士の...」

「なら武士なんて辞めちゃえばいいじゃん」

「....!!」

「穂乃果はね...?絵里ちゃんにそばにいて欲しいの。武士なんかじゃなくていい。とにかく側にいて、みんなと一緒に高坂を強くしていけたら...。それが償いになると私は思うよ...?」

その言葉は絵里を救う言葉となった。

そして、絵里の目からは熱いものが流れていた。

「ありがとう....。穂乃果....。一生あなたについていくわよ...!」

「ありがとう、絵里ちゃん♪」

「さすが穂乃果ですね。素晴らしい判断だと思いますよ」

「はっきり言って、エリーが死んじゃったら高坂はそれこそ終わりだから。良かったわ」

「うちはまだ許せへん。...だから裏切り以上の働きを期待するで、絵里ち」

「みんな....。ありがとう....!!」

高坂の皆はとても温かく、罪人であった絵里をもう一度、武士ではなく、新たな仲間として迎えたのであった。

 

「さて、武田の策をもう一度考えなければなりませんね」

「ええ。私のせいで大変なことになっているから....」

「それなら心配ないわよ」

「真姫?それはどういうことでしょうか?」

「お金ならまだ余るほどあるのよ。とりあえず、それでもう一度鉄砲を大量輸入するわ」

「え?洞窟にあったのが全部じゃなかったの...?」

「そんなわけないでしょう?あんなの西木野が持っている財産のほんの一部よ。私達の財力を舐めないでくれる?」

「あれが一部...?ありえないわ...」

「とりあえず、前と同じ戦法で行きましょう。それが一番良いと思います」

「ええ。そうね。出来るだけ早く準備させるわ」

「あ、でも待って」

「絵里?どうかしましたか?」

「武田は近いうちに動くって言っていたわ...」

「それはつまり....。真姫!早くて何日かかりますか!?」

「うーん...。早くても二週間はかかるわね...」

「ということは、それ以前に攻めてこられたらまずいですね...」

「ええ。とりあえず近いうち、が二週間以上だと信じるしかないわね」

ドタドタドタドタドタドタドタドタ!!

とてつもなく大きな足音が聞こえてきた。

「大変にございます!!!」

「何事っ!!」

「武田軍が...!!約50000の軍勢でこちらに進軍を始めました!!!」

「...なっ!?」

「武田はタイミングを見計らってるのかしら?素晴らしいほどナイスタイミングじゃない」

「私のせいで...!!」

「大変ですね....。すぐに皆を呼んで下さい!!緊急会議ですっ!!」

「ハッ!」

「さてと...。で?何か策はあるの?」

「私にはないわ....」

「残念ながら私にも....」

「ということは...。そういうことよね」

「ええ...」

「はい...」

「「高坂の滅亡」」

 

戦国最強、甲斐の虎と超新星、関東の高坂の全面戦争が今、始まる。

 

 

 

 

 

 




最後まで見ていただき、ありがとうございました!
いかがでしたでしょうか?分かりにくい部分がありましたら、ご指摘頂けると幸いです。
また、よりよい作品にする為にも、感想を頂けると非常に嬉しく思います!
では、6話目もよろしくお願いします!

また、かよちんが2話ほど欠席となってしまいました...。
その為、次あたりでかよちん回を番外編として作らせていただきます。その方もよろしくお願いします!


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番外編 花陽の決意

戦国ラブライブ!かよちん回になります!
かよちんの築城のお話。
最後の方、またもや駆け足になっていますが、ご了承下さい。
では戦国ラブライブ!ごゆっくりお楽しみ下さい!


[chapter: 番外編 花陽の決意 ]

 

 

「じゃあかよちゃん!やってくれるかな!?」

「...分かりました!この小泉花陽... 高坂の新しい拠城を素晴らしいものにして参ります!」

 

 

花陽は家臣達からの推薦により、関東を治める大名、高坂の新しい拠城『音ノ木坂城』を建てることになった。

花陽は今まで裏方として働いてきたため、こういった表舞台は初めての経験である。

それ故、皆から薦められたから受け入れたものの、花陽は異常な程に緊張していた。

「私... 大丈夫かなぁ...?」

「かよちんなら大丈夫にゃ!凛が保証するよ!!」

「でも....。こういうの初めてだし...」

「また言ってる。だから、花陽なら大丈夫よ。あなたは今までずっと高坂を裏で支えてきた実績があるじゃない。花陽なら大丈夫。私も保証するわよ」

「でもやっぱり緊張するよぉ...」

「大丈夫だって!かよちんは強いから!大丈夫!絶対大丈夫にゃ!」

「そうよ、凛の言う通りよ。花陽なら大丈夫。絶対大丈夫。何回も言わせるんじゃないの」

2人の口から出てくる言葉は『大丈夫』の一点張りだった。

「何か凛ちゃんと真姫ちゃんに大丈夫って言われたら本当に大丈夫な気がしてきたよ」

そう言って花陽は笑う。

「うんうん!凛達の力は凄いんだにゃ!」

「....頑張りなさいよ?」

「うん!ありがとう!凛ちゃん、真姫ちゃん!」

こうして東京への出発前夜、花陽は勇気を2人からもらったのであった。

 

出発当日、出来るだけ早く東京に着くため、と早朝の出発だった。

しかし、そんな早い朝にも高坂の皆は見送りに来てくれていた。....ある1人を除いては。

「じゃあ皆さん!行って参ります!」

「ええ。頑張るのよ、花陽。それと... 雪穂ちゃん、花陽をよろしくね?」

「はい!お姉ちゃんに代わって花陽さんを守って参ります!」

小泉軍は戦の経験が乏しいため、護衛部隊として、雪穂がついて行くことになっていた。

「本当はにこがやる予定だったんだからぁ...。にこの分もいい城にしてこなきゃ承知しないわよ」

「にこっちは黙っとき」

「ぬぁんでよ!!」

「本当ならみんなでお見送り出来たらよかったですが....。穂乃果はいくら起こしても起きないもので....」

「あはは...。ごめんね、かよちゃん。後で穂乃果ちゃんにはちゃんと言っておくから...」

「私からはもう言うことはないわ。頑張ってきなさい」

「かよちんなら大丈夫にゃーー!!」

送りの言葉は皆それぞれであった。

「...行ってきます!!」

「「行ってらっしゃい!!」」

花陽は自分の兵達を率いて、東京へと出発した。

 

「....行ったわね」

「そうやんね」

「かよちゃんも逞しくなったなぁ...。ことりも負けてられないや♪」

「...さて、穂乃果を叩き起こしてきますかね」

花陽という高坂の妹分が城から居なくなった寂しさに包まれながらも、鹿嶋城では今までどうりの1日が始まろうとしていた。

 

「....あれ?」

「どうかしたの?雪穂ちゃん」

花陽と雪穂達は東京への道中、深い森の中を通っていた。しかし、この森は道が複雑で道に迷うものも多くない。

「道を見失いました....」

暫しの沈黙の後、

「ミチニマヨッチャッタノオォォ!!?」

花陽の叫び声が森にこだました。

「どっどうしよう... いきなり失敗だよぉぉ」

「....すみません」

「あ、あっ、ごめんね!雪穂ちゃん!私...ちょっと焦っちゃって...」

「いえ!花陽さんに悪気はないのは分かってますので!ていうか、実際私の誘導で道に迷ったらわけですし...。何とかします!」

何とかします、とは何なのだ。具体性が皆無なのは姉に似たからであろうか。

「じゃあお願いするね!」

「任せてください!」

こうしてどれ位歩いたのだろう、全く開けた所は見えてこない。

「あれぇ....?おかしいな...」

「雪穂ちゃん...? 大丈夫..?」

「大丈夫...。大丈夫じゃないです」

「だよね...」

2人は深いため息をつく。ついてきた兵達も疲労が見えてきていた。

「ん...?あれ?」

「どうかした?雪穂ちゃん?」

「あれ、あれを見て下さい!」

「あれ...?」

花陽は雪穂が指さした方向を見る。そこには開けた土地が見えていた。

「あ、あれは...!」

「ようやく出れますね...」

なんと、2人は一度迷った森を抜けることが出来たのだ。正規のコースとは全く別の道で。

「お、ようやくでれるのか!」

「疲れた...」

「ようやくか!!」

兵達からも歓喜の声が上がる。

「さて...。出れたのはいいんですけど...。ここはどこかなぁ...?」

雪穂は持っていた地図を広げる。地図、と言っても墨でざっくり書かれたものの為、詳しいものではない。

「とりあえず、あっちに行ってみない?」

「まぁ、そうですね。場所も分かりませんし、適当に行きましょう!」

それでいいのか。適当に進んで東京へたどり着けたなら、それは快挙である。

 

それから幾分か歩いたであろう。

「ええと...。目印は何だっけ?」

「神田明神です。結構目立つものだって聞いてますよ」

「ええと...。何色?」

「赤です」

「ええと.... あれじゃないかなぁ?」

「えぇ?まさかぁ!道に迷って適当に進んで来たのにそんな上手くいくわけ....」

そんな雪穂達の目の前にあったのはまさにそれ、神田明神であった。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!??」

「雪穂ちゃん、凄い叫び声だね...」

「あ、お見苦しい所を....」

そう言って雪穂は顔を赤くさせる。

「それにしても凄いね!まさかこんなに上手くいくなんて!」

「そうですよ!天は私達に味方してくれたんですよ!」

「じゃあ城造りも上手くいきそうだね!」

「はい!完璧な城になると思いますよ!」

こうして、花陽の城造りは天に味方される形で始まったのだった。

 

 

「じゃあ石垣積みから入っていくよぉ!」

「「オォー!」」

花陽の指示のもと、城造りがスタートした。まずは城の土台、石垣から。これがかなり大変で、広く、高く積まなければならない為、時間がかかる上、作業をする人の疲労も多い。

「みんなー!大変だけど、頑張っていこう!」

「「オォーー!!」」

花陽は皆を鼓舞しながら自らも石を積んでいく。石の積み方にも色々あり、音ノ木坂城には自然の石を使う石垣が採用されることになっていた。

(自然の石を使うと、石を乗せる角度を気にしなくても、安定した状態を保てる)

「花陽さん!そろそろご飯の準備をしましょうか!」

「あれ?もうそんな時間なの!?」

「あれれ?珍しいですね... あのご飯にはうるさい花陽さんがご飯の事を忘れてるなんて...」

「それじゃあ私が食いしん坊みたいじゃない!!」

「え?違ったんですか?そうにしか見えませんけど....?」

雪穂は悪っぽい笑みを浮かべ、花陽をからかう。現場がリラックスした空気だからこそなのであろう。

「もういいからぁ!ご飯作ろう!」

「はい!」

 

「炊きたてのご飯♪お米達が一粒一粒宝石のように輝いて...。あぁ...。美味しそう」

「さすがお米武将の花陽さんですね...。ご飯への感想が凄いですよ...」

「えぇ?うふふ...。ご飯は特別なものだから...♪これで美味しいおにぎりを....」

花陽の口からは既によだれが垂れていた。

「あー、花陽さん、ご飯によだれついちゃいますから、ほら、早くにぎっちゃいましょう!みんな待ってますよ!」

「うふふ〜♪そうだね〜♪早くにぎっちゃおう!」

そう言って花陽は1つ1つ丁寧におにぎりをにぎっていく。形もとても良いものだった。

「凄いですね、花陽さん。どうしたらそんなに綺麗におにぎりを作れるんですか?」

「んー?お米への愛情を込めて.....。そうすれば作れるよ!」

「具体性が全くないですね...。でも、出来るだけやってみます」

そんな世間話をしながら2人は他の女子達と共に約3000のおにぎりをにぎったのだった。

 

次の日からも、石垣積みは続く。作業は極めて順調で、予定よりもずっと早いペースで進んでいた。

「凄い順調ですね...。二カ月もあれば出来ちゃうんじゃないですか?」

「うーん、そうだといいんだけどね...。石垣積みは高さが出てからが大変だから...」

「大丈夫ですって!みんなこんなに頑張ってるんですから!余裕ですよ!」

相変わらず雪穂は軽い。

「とりあえず事故とかはないようにしなきゃ...」

「あー、そうでした。花陽さん、知ってます?」

突如話題を変えた雪穂に少し花陽は困惑した。

「えーっと、何を?」

「あー、知らないんですね。武田が高坂領に進軍を始めたっていう話ですよ?」

「え...?」

花陽は顔を蒼くする。

「えっ!?それって大変なんじゃ....」

「でも大丈夫みたいですよ。何か策はあるみたいですし」

「でも負けちゃったら....」

「大丈夫ですよ!高坂は無敵ですから!負けるなんてありえないです!」

「...そうだね!みんなを信じよう!」

「はい!私達は早いうちにちゃんとした城を建てちゃいましょう!」

「よしっ!じゃあ作業に戻ろっか!」

そう言って2人は作業に戻ろうとした。

しかしそこにある伝令が入る。

「殿ぉぉぉ!!!」

家臣の顔を見て、ただ事ではないと花陽は察する。

「何かあったの!?」

「小山田が!!武田の小山田が!!」

「小山田が...?」

「攻めて参りましたぁぁ!!」

「なっ..!?」

なんと武田の一家臣、小山田が花陽達を狙って進軍してきたと言うのだ。

「軍勢は!?」

「3000ほどかと...」

「数の上では同等....」

「花陽さん!」

「雪穂ちゃん!大変なの!!」

「聞こえてました。小山田が攻めてきたんですね」

「...うん。でも私、戦の経験なんてちょっとしかないから...!どうすれば...!!」

「こちらには隠れる場所はないです。なので、もう迎えうつしか方法はないですね」

「うん...」

「花陽さん!早く、みんなに戦の準備の指示を!...ここの殿様は花陽さんですよ」

その言葉に動かされるように花陽は指示を出した。

「...みんな!!戦の準備を!!」

「「ハッ」」

小泉花陽、初指揮の戦が始まる。

 

 

「殿!小山田がもうすぐそこまで来ております!!いかがなさいますか!?」

「....」

「と、殿?」

「ぅぇえっと...。えぇ...」

「ちょ、花陽さん!?」

戦の準備をさせたはいいものの、花陽には何をどうすればいいのか分からなかった。

「...ええっと、全軍突撃?」

「突撃?って...ええ!?全軍突撃はまずいです!こちらの部隊は装備が甘い故、全軍突撃ではやられてしまいます!」

「じゃあどうすれば...」

オドオドしている花陽を見かねて、雪穂が指示を出す。

「弓兵と鉄砲隊を後ろに配置して!槍兵と騎馬隊は正面衝突!基本は鉄砲隊で殲滅させます!」

「ハッ!」

「花陽さん、私も行かなければならないので...。指示...出せますか?」

「....」

「花陽さん...」

そこに伝令が割って入る。

「申し上げます!!」

「どうしたの!」

「先鋒隊壊滅!残り僅かで本陣にたどり着きます!!」

「えぇ!?いくら何でも早すぎる!!」

「いかがなさいますか...!!」

その間、花陽の頭の中ではある言葉が繰り返されていた。

(大丈夫だって!かよちんは強いから!大丈夫!絶対大丈夫にゃ!

花陽なら大丈夫。絶対大丈夫。頑張りなさいよ?)

凛と真姫の言葉であった。

(私なら大丈夫....。絶対大丈夫...!!)

花陽が立ち上がる。

「花陽さん...?」

「弓兵と鉄砲隊はそのまま後ろにいて。私達で小山田を何とかしよう!私達なら出来る....!」

「え、ちょ、それって花陽さんも戦場に出るってことですか!?」

「うん。私にだって出来るんだ...。戦から逃げてきた今までの私から変わりたいの!」

戦に対する花陽の決意であった。

 

「みんな!頑張って!!高坂のみんなも武田を倒すために頑張ってるから!!」

「「オォーー!!」」

花陽は自ら戦場に出て、刀を振っていた。

「数が多すぎる...。兵力は同等のはずじゃなかったの...?」

小山田の兵力は圧倒的。3000の兵力とは思えないほどのものだった。

その兵力に圧倒され、暫し呆然状態にいた花陽。その後ろから敵が忍び寄る。

「覚悟....!!」

「え...?」

 

 

ズシャァァァア!!!

 

 

 

「花陽さん!危ないですよ!!戦場でぼーっとしてないで下さい!!」

「雪穂ちゃん!!」

「ほら、いきますよ....。敵はまだまだいます!」

「うん!」

花陽は再び刀を構える。

...しかしその瞬間、小山田の部隊が撤退し始めた。

「え、え...?何で撤退するのぉ...?」

「さぁ...?完全に小山田が押してたはずなんですが....」

「申し上げます!」

「何があったの?」

「高坂軍、北浦川にて武田軍に圧勝!武田軍全軍撤退の命令が出た模様!」

「それで小山田も...?」

「え、あれ?ということは...?」

「お姉ちゃん達、武田に勝っちゃったの!?」

「カッチャッタノォォォォオ!?」

 

 

2人の叫び声が戦場に響いていた。

 

 

 

「さぁ、みんなー!あと少しだから頑張ろうね!」

「「オォー!」」

石垣積みは終盤を迎えていた。とても高い石垣となっていた。これは敵も進入できないであろう。

「花陽さん、なんかちょっと指導者っぽくなりましたね!」

「えぇ?そうかなぁ...。あんまり変わってないと思うけど...」

「いえ!全然です!小山田との対戦以降、オドオドしてた花陽さんはどこへやら!本当、変わりましたよ?」

「....なら良かったかな」

「これで高坂のみんなも驚きますね!花陽さんがここまで逞しくなったんだーって!」

「えへへ...。そうだね♪みんな驚いてくれるといいなぁ」

「殿!!石垣終わりましたぞぉー!!」

「お、石垣も終わりましたか!じゃあ次は本丸のですね!」

「うん!...でもその前に....」

「?」

 

「みんなー!!ご飯食べましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
いかがでしたでしょうか?
はっきりいってあんまりかよちんの喋りが分からず....。
中途半端な感じになってしまいました。大変申し訳ありません...。
ご意見、ご感想お待ちしております。

それでは本編の方もよろしくお願いします♪


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第六幕 vs武田信玄

第六幕になります!
今回は、アドバイスをいただきましたので行間を空けてみました!
かなり見やすくはなっていると思います。
また、かなりいい感じに仕上がったと思うのでお楽しみに!
それでは戦国ラブライブ!ごゆっくりお楽しみ下さい。


[chapter: vs武田信玄 ]

 

【前回のラブライブ!】

上杉・伊達連合軍対綺羅の戦にて、ツバサを助けられなかった穂乃果は悔しさのあまり、何日間も部屋にこもっていた。

高坂家は穂乃果という太陽をなくしたからか、ひどく静まり返っていた。

そんな中、武田の作戦により亜里沙が連れ去られる。彼女を助ける為に、絵里は武田に寝返ることを決意。

高坂の武田対策全てを排除した。

しかし、それに勘付いていた希は凛に絵里の尾行を要求する。

その尾行により、絵里が武田と接触しているのが発覚。

絵里は裏切り者として切腹を迫られる。

元から死ぬ覚悟を決めていた絵里は切腹を快諾。

希が介錯をすることとなり、準備は万端。

しかし、切腹しようとした絵里を穂乃果は力づくで阻止。

穂乃果の言葉により、絵里はもう一度武士ではなく高坂に仕える1人の人間としてやり直すことを決めた。

その絵里を高坂の家臣は快く受け入れた。

一件落着かと思ったが、その直後に高坂領へ武田が進軍を始めた。

高坂には武田対策が無くなってしまった為、絶対絶命。

高坂は一体どうするのか....!?

 

 

「一大事です」

 

高坂家重鎮及び穂乃果は大広間に集められていた。

 

「何?また何かあったの?本当、高坂って落ち着いて過ごせないわね」

 

いきなり集められるとにこはすぐさま文句を言う。

いつもの光景である。

 

「さて、今回は何や。まさか武田でも攻めてきたんか?」

 

「まっさかぁ!いくら絵里ちゃんが武田さんに力を貸していたからって、そんなタイミング良く攻めてくるわけないよ!」

 

「...呑気でいいわね、穂乃果」

 

「うぇ?どうしたの...?真姫ちゃん...?そんなに深刻そうな顔して...」

 

「....武田信玄が兵を挙げました」

 

その言葉は、一瞬にして穂乃果達を黙らせた。

 

「そんな...嘘やろ?」

 

「残念ながら....」

「遂ににこ達の快進撃も終わるのね...。そして高坂は滅亡....」

 

「武田に対する手段はもうないわ....。私のせいで....」

 

「エリーはもう自分の事を責めるのはやめなさい。もう済んだ話でしょう?...それより貴女の頭脳で何とかしてちょうだい」

 

「そんなこと言っても....。兵力じゃ武田の方が上。それにあの騎馬隊を防ぐ方法は....」

 

敗戦ムードが漂う。

実際、戦国最強の武田の騎馬隊に何の手段も無しにぶつかるのは死にに行くことと同じ。

「三段構え」という最強の戦法を無くした高坂に勝ち目はもう無かった。

 

「うーん...。本当に勝てないのかなぁ...?」

 

「穂乃果...。残念ですが、九割九分無理でしょうね。こればっかりは....」

 

「でもでも!この間武田さんと戦ったときは、そんなに強いと思わなかったけど?」

 

「あれは信玄の息子、勝頼が兵を率いていたからよ。彼は戦の経験が少ない...。それ故想定外の事態に焦ってしまって、武田25000の兵を壊滅させてしまった....。そんなところでしょうね」

 

「じゃあ、この間戦ったのは信玄さんじゃないってこと?」

 

「ええ。そうよ」

 

「うーん、じゃあ信玄さんの戦ってどんな感じなの?」

 

「そういえば、穂乃果はまだしっかりと武田の戦を見たことがないのね...。にこ、説明してあげて」

 

突如の指名ににこは少し焦った。

 

「にこ!?そこは絵里がやりなさいよ....」

 

「私は何とか武田をしのぐ策を考えなくちゃいけないから....。よろしくね」

 

「ちょ、ちょっと!まだ了解してないんですけど!?」

 

「いいから、最強騎馬隊のにこ様ならこれ位説明出来るでしょう?...ね!お願い!」

 

「...しょうがないわねぇ。穂乃果!にこがしっかり武田について説明してあげるわ!」

 

(本当、にこってちょろいわね...。その性格何とかした方がいいと思うんだけど...)

 

「にこ先生!よろしくお願いしますっ!」

 

「えー、じゃあ信玄の戦について説明するわね。まず武田は騎馬隊なのは知ってるわよね?」

 

「勿論!この間倒したからね!」

 

「じゃあ、武田が掲げてる『風林火山』って知ってる?」

 

「うーん....。知らないよ!その、ふーりんかざんって何?」

 

「『風林火山』それは武田の戦の戦法よ。まずは「風」ね。

ー疾きこと風の如くー

武田の移動はとてつもなく速いわ。それもまるで風のように。一瞬のうちに相手の領地へたどり着いてしまうわ」

 

「武田さんって足速いんだね....」

 

「....まぁ、そういうことでもいいかしら。次は「林」

ー徐かなること林の如くー

まるで林のように静かに近づいてくるわ。嵐の前の静けさ、とはまさにこのことね」

 

「武田さんって静かなんだね....」

 

「....まぁそれでもいいわ。次は「火」

ー侵掠すること火の如くー

武田の攻撃はまるで火が吹くようなものよ。烈火の如く、相手の本陣へ突き進み、一瞬にして相手を殲滅する....」

 

「武田さんって熱血なんだね...」

 

「...ちょ、穂乃果?あんた意味わかってるの?」

 

「もちろんだよ!にこちゃん!」

 

「じゃあ信玄について話してみなさい」

 

「信玄さんは、足が速くて、とても静かで、熱血な人!!」

 

「....。矛盾しまくってるじゃない。何?熱血で静かって。何事なのよ。何をどうしたら静かで熱血な人が出来るわけ?」

 

「穂乃果に聞かれても困るよ〜。信玄さんに聞いて!」

 

「聞けるか!!」

 

「おぉ...。にこちゃん、ナイスツッコミ!」

 

「...あんたは本当話にならないわ。何でいきなりそんな元気になるのよ。あんたつい最近まで部屋に籠って拗ねてたじゃない!?」

 

「あはは....。それはもういいの!穂乃果は元気だから!」

 

「そんなこと聞いてないわよ...」

 

にこは穂乃果に振り回されていた。

完全に穂乃果ペースである。

 

「もういいわ。とりあえず最後に「山」について話をしておくわ。

ー動かざること山の如しー

山のようにどんな攻撃に対しても怯むことなく、不動....。 攻撃も凄いけど、守りも凄いわ」

 

「武田さんって動かないんだね!」

 

「絵里!説明終わったわよ!ほら、早く!穂乃果を何とかしてちょうだい!」

 

「あら、お疲れ様、にこ」

 

「本当お疲れ様よ。穂乃果って本当どうしようもないわね」

 

「ええ、そうね。とりあえず、策は決まったから、みんな聞いてくれる?」

 

穂乃果とにこが漫才をしている間に、軍師3人衆は対武田の策を何とか考えて出していたのだ。

 

「では話していきます。皆さんしっかりと聞いて下さい」

 

「とりあえず、私達は鹿嶋城から出るわ」

 

「え?出るん!?出るのはええけど、一体どこへ....」

 

「小田原城に真姫の船で向かいます」

 

「小田原....。あそこなら籠城出来るもんね!」

 

「流石ことりです。やはり頭が良いですね」

 

「えへへ〜♪ 海未ちゃんありがと!」

 

「ことりが言ったように、これから私達は小田原城へ向かい、そこで籠城するわ」

 

「籠城してどうするん?確かに小田原は地形も複雑やし、籠城は余裕で出来ると思うけど...。

うちらも攻めな、武田はいつまでも攻撃してくるで」

 

「はい。攻めなければ勝てないので、ゲリラ戦を仕掛けます」

 

「「ゲリラ戦??」」

 

穂乃果達は首を傾げていた。

ゲームなどであれば、頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるだろう。

 

「ゲリラ戦とは、少数精鋭で無差別に武田の軍隊に戦を仕掛けます。

それで出来るだけ時間を稼ぎましょう。

足軽達は稲作などもしなければならない為、いつまでも関東にいる訳にはいきません。

それ故、必然的に兵の数は減っていきます。

そうすれば、こちらも攻めやすくなるでしょうし、武田も撤退を余儀なくされるかもしれません」

 

「ふぇぇ....。何かよく分からないけど、凄そうな作戦だね」

 

「とりあえず、もう直ぐ出発するわよ。武田は速い。

だから急いで小田原に行くわよ。

もう船の準備は出来てるから...。城中のみんなへ伝えてきて」

 

「了解」

 

家臣達は自分達の兵達に事情を説明し、船にすぐさま乗せるため城のあちこちへ散らかっていった。

 

 

 

 

 

「真姫さん!」

 

真姫は突如後ろから名前を呼ばれた。

 

「ん?どうかしたの?」

 

亜里沙であった。

 

「えっと、その...。ロシアのお祖母様に文を出したくて....。

真姫さんのところにロシア行きの船ってありますか?」

 

「あぁ、それならあるわよ。もう直ぐ出発するわ。早く船乗りさんに渡してきなさい?」

 

その言葉を聞いて、亜里沙は満面の笑みを浮かべる。

 

「ありがとう!真姫さん!」

 

亜里沙は猛スピードで駆けていった。

 

「疾きこと風の如く....。亜里沙ちゃんって意外と足が速いのね....」

 

 

 

 

 

「さぁ、みんな!準備はいい!?船もうでるわよ!!」

 

「穂乃果ちゃんがまだにゃ!!」

 

「穂乃果....。あの子は全く...」

 

「花陽達は先に小田原城に向かっているそうです。あちらで合流予定になっています」

 

「久々に花陽に会えるのね...。頑張ってるかしら」

 

「へー、真姫ちゃんって意外と心配してたりするんだぁ〜♪」

 

「意外って何!?

真姫ちゃんはいつも凛達のこと心配してくれる、とってもいい子にゃ!!」

 

「ナニソレイミワカンナイ!!」

 

「お、漫才してるんやな!!うちも混ぜて〜♪」

 

「漫才なんてしてないわよ!!」

 

「ほら!早く乗ってちょうだい!今から武田と戦いに行くのよ!? 何でこんなに緊張感がないの!!」

 

「まぁ、多少緩んでた方がいいってこともあるし、絵里ちもそんなカッカせんと!

一緒に漫才しよか!」

 

「するわけないでしょう!?」

 

「絵里、希達と一緒に先に船へ乗っていてくれますか?

私は穂乃果を連れてきますので」

 

「分かったわ。出来るだけ早くお願いね。

じゃあみんな!船に乗るわよ!!」

 

「船にゃーー!! 凛、こんなおっきい船に乗るの初めてにゃーー!!」

 

「うちもやーー!! 真姫ちゃんところは金持ちやんなぁ♪」

 

凛と希は一瞬にして船の中へ消えていった。

 

「あの子達は全く....。 ほら、真姫とにこもいくわよ」

 

「「はーい」」

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃぁぁあん!!」

 

「やっときましたね、穂乃果。

一体何をしていたのですか!!」

 

「あはは...。船で食べる物探してたら、時間かかっちゃった....」

 

「はぁ?船で食べる物ですって!?

穂乃果、あなたは一体これから何をしに行くか分かっているのですか!?」

 

「もちろん!旅行でしょ!」

 

「......論外です」

 

「海未ちゃん....。そのツッコミはちょっと精神をえぐられるよ....。

ハッ!!まさか海未ちゃんの秘技!?」

 

「穂乃果、とりあえず船に乗りましょうか。

お楽しみはそれからです」

 

海未はそう言って不気味に笑う。

 

「う、海未ちゃん....!!」

 

(これはマズイやつだよぉ....。穂乃果は一体なにをされるんだろう....)

 

「ぬぁっ!?

海未ちゃん!? 腕引っ張らないでよ!!

痛い、痛いって、海未ちゃぁぁぁあん!!!」

 

穂乃果はそのままずりずりと船へ引きずられていった。

 

 

「あ!穂乃果ちゃん!ようやく来たんだね!」

 

「ことりちゃん....。

穂乃果、もうダメかもしれない...」

 

「ピィッ!?え、え?何があったの、穂乃果ちゃん!?」

 

「私はこれから海未ちゃんに......。

ふわぁぁぁあ」

 

「ハノケチュン......」

 

「さて、みんないるわね!?」

 

「「ウォーー!!」」

 

船には約40000人が乗っていた。

高坂家全家臣と、その兵達や、その奥さんや子供。

しかし、真姫の大型船は40000人が乗っていてもまだ全然余裕があった。

 

 

「真姫、何日くらいで着く?」

 

「うーん...。今日の夜には着くと思うわ。

結構この船スピードも出るし。武田が着くまでには何とか小田原に入れると思う」

 

「そう、なら良かった。

武田は今、群馬に入ったあたりみたいだから、何とかなりそうね」

 

「ええ。とりあえず、小田原についてから、どう地形を利用するか考えない?

あんまり地形とかよく分かってないし」

 

「そうしましょうか。

じゃあ海未を呼んでくるわね」

 

「うん、お願い」

 

 

「穂乃果、あなたそんなに一気にお饅頭を食べては....。ここは船ですし、吐きますよ?」

 

「ふぁいひょうふふぁって!(大丈夫だって!)」

 

「穂乃果ちゃん、とりあえず食べるか喋るかどっちかにしない...?」

 

「ことりの言う通りです。行儀が悪すぎます。

それでも関東を治める大名なのですか!?」

 

「ひょっとまっへへね....。ひまのんひゃうから...。(ちょっと待ってね、今飲んじゃうから)」

 

ゴクリと穂乃果の喉が大きな音をたてる。

 

「美味しかったなぁ♪ たまにはお饅頭もいいんもんだね!」

 

「あはは...。穂乃果ちゃんは本当、穂乃果ちゃんだよね...」

 

「うん!穂乃果は穂乃果だよ!

もう一個食べちゃおうっと!」

 

「穂乃果...。あなた太りますよ?」

 

「大丈夫だよ!

あ、そうだ!海未ちゃんも食べる?」

 

穂乃果が饅頭を差し出す。

 

「....いただきます」

 

そう言って海未は差し出された饅頭を受け取り、口へはこんだ。

海未の表情は幸せそのものだった。

 

「海未ちゃんって本当、お饅頭好きだよね♪

うふふ〜♪可愛い♪」

 

「っ!!?」

 

海未は思いっきりむせる。

 

「ことり...!あなたは一体何を喋って....」

 

「ん?海未ちゃんが可愛いって言ったんだよ♪」

 

「〜〜〜〜〜!?!?」

 

海未の顔は真っ赤であった。

「可愛い」と言われるといつもこうである。

 

「うわぁ...。そんなにお顔真っ赤にしちゃって...♪ 本当可愛いなぁ....♪ ね、穂乃果ちゃん!」

 

「うん!海未ちゃんは1番可愛いと思うよっ!」

 

「....知りませんっ!!!」

 

海未はドタドタとその部屋を出て行った。

 

「あはは〜....。ちょっとからかいすぎちゃったかな?」

 

「大丈夫だよ!海未ちゃん結構喜んでる....っ!?」

 

穂乃果が口を手で抑えてうずくまる。

 

「え、ちょ、え!?穂乃果ちゃん!!」

 

「ヴェェェェエエ」

 

「.....!? ほ、ほのかちゃん....」

 

穂乃果は饅頭を多く食べていたのが祟ったのか、盛大にゲロをぶちまかした。

 

 

 

その頃、絵里は海未を探していた。

 

「海未ったらどこに行ったのかしら....。

全く見つからないわ...」

 

かなり探しているのだが、全く見つかる気配がない。

 

「というか、この船が広すぎるのよ!

部屋も無駄に多いし....。

本当、西木野の財力はどうなってるのよ...」

 

すると、絵里の目の前の部屋から海未が飛び出てきた。

 

「うわっと!!」

 

「ぬぁあ!? ....何だ、絵里でしたか...」

 

「何だって何よ、何だって!」

 

「あぁ、いえ、すみません」

 

「....あなた顔真っ赤よ? 大丈夫?」

 

「ほぇあ!?」

 

海未のいきなりの素っ頓狂な声に絵里は身体が跳ねるくらい、驚いた。

 

「う、海未...?」

 

「い、今のは何でもないんです、ええ、何でも。...それで?何かご用でも?」

 

海未はいつも通りに振舞おうとしているが、顔は相変わらず赤く、声も震えていた。

 

「ふふっ.... ちょ、海未... あなた...」

 

絵里は肩を震わせ、声をあげて笑い始めた。

大爆笑である。

 

「え、絵里.....」

 

「海未....!貴女....。本当可愛いわねっ....!」

 

「なっ!?」

 

「あ、もっと顔赤くなっちゃった。

トマトみたいね....」

 

「私は....。私は可愛いくなんかないですっ!!

それでは!!」

 

「あぁ、ちょっと海未!!」

 

海未はスタスタと廊下を歩いて行ってしまった。

 

「行っちゃった....」

 

 

 

「ヴェェ!?海未が行方不明!?」

 

「ええ。『可愛い』って言ったら顔をトマトみたいに真っ赤にしてどこかに行っちゃった」

 

「何してるのよ....。

じゃあもういいわ。2人で策を練りましょう?」

 

「そうね。じゃあ小田原の地形図だけど....」

 

こうして絵里、真姫の2人は小田原城に到着するまで地形を頭に叩き込み、策を考えた。

 

 

 

「さぁ、皆さん着きました。小田原城です。

奥方達や子供達から城下町内に入って下さい。

出来るだけ早く!」

 

小田原に着くなりすぐさま海未の指示がとんだ。

その指示通りに船に乗っていた人達は動き始める。

 

「では、次!

皆さんはそれぞれ自分の兵達を引き連れ、城下町内に入って下さい!」

 

「海未ちゃん凄いね...。指示が早いし的確だよ....」

 

「そうね。一体どうしたらそんなに早く頭が回るのやら....」

 

「ほら!穂乃果、にこ!突っ立ってないで早く自軍に指示を出して下さい!!

急いで!!」

 

「「はいぃっ!!」」

 

 

とんでもない早さの海未の指示のお陰で、40000人は到着から30分もかからずに小田原城下内へ入ることが出来た。

 

 

 

「さて、これから武田と戦うわけだけど....。

みんな、準備は出来てる?」

 

「「ハイッ!!」」

 

「じゃあ武田が到着し次第、ゲリラ戦を始めるわ。 かなりの長期戦になると思うけど....。

大丈夫?」

 

「はい!それなら問題ありません!

私、いっぱいお米持って来ました!」

 

花陽と雪穂も合流していた。

 

「さすが花陽ね。

...じゃあ穂乃果、当主として何かお願い」

 

「分かったよ、絵里ちゃん!」

 

穂乃果が前へ出る。

 

「えーっと...。これから武田さんとの戦が始まります。

兵力は圧倒的に武田さんが上....。

だけど、何とかして持ちこたえよう!

冬まで頑張れば、何とかなるかもしれないから....。

じゃあみんな、行くよっ!!!」

 

「「オォーーー!!!」」

 

夜の小田原城には高坂軍の雄叫びが響きわたった。

 

 

〜武田軍〜

武田信玄率いる武田軍は、鹿嶋城へ向かい進軍していた。

 

「申し上げます!」

 

「どうした」

 

「高坂は鹿嶋城から抜け出し、小田原城へ向かった模様!」

 

「何?小田原へ向かっただと?」

 

「御屋形様。おそらく高坂は籠城戦に持ち込むつもりなのではないかと。

小田原城の防御は鉄壁。あそこであれば籠城し、長期戦に持ち込むことは容易に出来まする」

 

「そうか...。長期戦になると厄介じゃの...。

何とかして短い間で蹴りをつけるぞ。

勘助、策を考えてくれ」

 

「承知」

 

「これより武田は小田原へ向かう!!

よいな!!」

 

「「オォッ!!!」」

 

武田50000の軍勢は小田原城へ進路を変え、再び進軍し始めた。

 

 

 

〜小田原城〜

「申し上げます!」

 

「何事ですか」

 

「武田軍、進路を小田原へ変更!

明日の昼には到着する模様!!」

 

「さすが武田ですね...。

もうこちらに着いてしまうのですか....」

 

「穂乃果、これが『疾きこと風の如く』よ。

分かった?」

 

「うん!分かったよ、にこちゃん!」

 

「本当、穂乃果は呑気ね...。

穂乃果ってこんなのだったかしら?」

 

「ええ。こんなもんよ。

ポンコツ過ぎてちょっと話にならないレベルにこ」

 

「にこちゃんにポンコツって言われるレベルなのね...。 穂乃果も終わりね」

 

「ちょっと、それどういう意味よ!!」

 

「そのままの意味よ。

にこちゃんはポンコツってね」

 

「ぬぁんでにこがポンコツなのよ!!?」

 

「あー、もううるさい!

真姫まで何してるのよ! 今漫才でも流行ってるわけ!?」

 

「私は別に何もしてないし。

にこちゃんが勝手に騒いでるだけよ」

 

「はぁ!?」

 

「ちょっとお馬さん、暴れすぎやで。

落ち着いて、ほら笑顔!」

 

「にっこにっこにー♪」

 

「おぉ!ええやん!さすがは暴れ馬やんな♪」

 

「誰が暴れ馬『ほら、にこっち!!笑顔!!』

 

「にっこにっこにー♪」

 

「皆さん、今日は早めに休んで下さい。

明日から武田との長期戦が始まります。

出来るだけ体力を回復させておいて下さい」

 

「そういうこと。ほら、早く漫才組も自室に戻りなさい!

明日から戦なのよ?」

 

「「ふぁーい」」

 

「何なの、その間の抜けた返事は...。

こんなので大丈夫なのかしら...」

 

「まあ、緊張しすぎるのもよく無いですし、ほうっておきましょう。

では、私はもう休みますので。絵里も早めに」

 

「ええ。おやすみ」

 

「はい、おやすみです」

 

騒がしい漫才の声とともに小田原の夜は更けていった。

 

 

 

 

次の日の小田原の朝は激しい雨の音から始まった。

 

「大雨やんな」

 

「ええ。そうね。

これじゃあ武田も攻めてくるのは余計難しくなるわ。

...天からの贈り物なのかもね」

 

「天からの贈り物....。

高坂は天に味方されているのかもしれんな」

 

「ええ。特に穂乃果は....。

あの子は天に認められた娘なのかもね」

 

「それなら高坂は安泰やんな♪

あー、高坂の家臣で良かったぁ♪」

 

「希ったら....。 それじゃあしっかり穂乃果を支えていかないとね。

今回の武田戦も頑張りましょう?」

 

「もちろん!

うちが武田を蹴散らしてやるで♪」

 

 

 

 

今回のゲリラ戦という作戦の最終確認の為、高坂の重鎮達は大広間に集まっていた。

 

「凛。武田はどこにいるか分かりますか?」

 

「うん!さっき尾行隊から連絡が入って、武田はもう東京に着いてるって!

予定通り、今日の昼にはここに着くみたいにゃ!」

 

「武田はやっぱり速いわね」

 

「それでは籠城戦、ゲリラ戦の最終確認をしていきます。

今回の戦は何とかして長期戦に持ち込みます。

半年はここに滞在することになりますので、そのつもりで。

また、不定期に武田に少数精鋭で戦を何度も仕掛けていきます。

武田が攻め気になったと思ったら即座に城へ逃げかえり、防御に徹します。

じわじわと武田を攻めていきましょう」

 

「海未ちゃん!そのゲリラ戦は誰が最初に仕掛けるの?」

 

「1番最初は真姫に行ってもらいます。

真姫の鉄砲隊であれば、堀の内側からでも武田に幾らかの攻撃が出来ますので。

しばらくは私の弓と真姫の鉄砲で攻めていきます。

また、武田が長期戦を覚悟し、小田原付近にに陣を敷いたところでにこや絵里に攻めてもらいます。

....こんな感じになっておりますが、何かありますか?」

 

海未が作戦の最終説明を終える。

それをスイッチとしたかの様に、昨日までふざけていた家臣達の顔が引き締まっていた。

 

「それでは戦に向かいましょう。

武田の猛襲から出来るだけ耐えますよ!」

 

「「ハイッ!!」」

 

 

家臣達はそれぞれ持ち場に向かった。

あとは武田の到着を待つのみである。

 

 

 

 

 

 

ーーー高坂は準備万端、朝から降っていた大雨も止み、雲の切れ間から見える太陽は真上に上がったーーー

 

「申し上げます!!」

 

伝令役の声を聞き、小田原城に緊張が走る。

 

「武田軍が到着いたしました!!」

 

「いよいよですね...」

 

「ここが高坂の分岐点や...」

 

「みんな、相手は武田だけどしっかり作戦通り、怯まずにいこう!!」

 

「「オォッ!!」」

 

真姫が立ち上がる。

 

「さぁ、まずは私達西木野の力を見せるわよ...。

皆の者!!出陣よ!!」

 

「「オォーーー!!!」」

 

 

「真姫...。頼みましたよ...」

 

「真姫ちゃんなら大丈夫。絶対大丈夫」

 

 

いよいよ武田信玄との戦が始まる。

 

 

 

〜武田軍〜

「よいか。相手は高坂...。あやつらは天を味方につけておる。

そして難攻不落の小田原城...。

だが、そんなものは恐るるに足らず!!

一瞬にして蹴りをつけるぞ!!」

 

「「オォッ!!」」

 

「風林火山....。侵掠すること...」

 

「「烈火の如く!!!」」

 

「かかれぇぇぇええ!!!!!」

 

「「オォーーーー!!!」」

 

武田の騎馬隊の総攻撃が始まる。

 

 

 

〜小田原城〜

「みんな!いくらか攻撃したら、すぐ城内へ逃げ込むわよ!いい!?」

 

「しかし、殿!少しの攻撃ではあまり意味がないのでは....」

 

「初回の武田の攻撃は、恐らく一番強いもののはず。

変に対抗したら、全滅するのが落ち。

だから幾らかの相手に被害を与えたら、すぐさま城に入って防御に徹するのが適策よ。

分かった?」

 

「それもそうかもしれないですね...。

流石殿にございます!」

 

「さて...。もうすぐ武田が攻めてくる頃ね...」

 

すると、大きな地鳴りと共に、赤備えの騎馬隊が見えてくる。

 

「さぁ、みんな...。私の合図で撃ちなさい?

一応三段構えの形だから、いけるはずよ」

 

「「ハッ!!」」

 

西木野軍は迫り来る武田軍に向かい、鉄砲を構える。

 

「放てぇぇ!!」

 

バァァァァァアン!!!

鉄砲が火を吹いた。

 

 

〜武田軍〜

「申し上げます!」

 

「何事じゃ」

 

「高坂の西木野軍が三段構えを使い、鉄砲を連発しており先鋒隊が全く前に進めぬとのこと!」

 

「何?鉄砲は全て絢瀬に捨てさせたのではなかったのか!?」

 

「西木野は西木野で鉄砲を所持していたのかと」

 

「そうか...。周りからは攻められぬのか」

 

「後ろは最早海。堀もかなり深く、今朝の大雨で地面がドロドロの為、強行突撃は難しいかと...」

 

「そうか。ならば一度軍を引かせろ。

明日もう一度攻める。今日は陣を敷いて策を考える」

 

「承知」

 

 

 

〜小田原城〜

「さぁ、まだまだ!相手は怯んでるわ!

攻撃の手を緩めないで!!」

 

武田軍が三段構えに怯んでいる間、西木野軍はひたすら鉄砲を放っていた。

 

「申し上げます!

武田軍、一度撤退の命令が出た模様!」

 

「本当!?よし...。やったわ...!」

 

この伝令に西木野軍の兵達は歓喜の声をあげた。

また、この喜びの声は小田原城内でも同じように上がっていた。

 

「武田さんが一度撤退した!?」

 

「真姫ちゃん凄いです....!!」

 

「よし!!まずは作戦通りね...」

 

「武田は陣を敷いたようですし、今日はもう攻めて来ないでしょう。

ですので、今日もう一度攻めましょう。

幾らか武田の兵を減らしておきたいですし....」

 

「それじゃあにこが行ってくるわ。

ここは最強騎馬隊に任せなさい」

 

「ええ。そのつもりでした。

頼みましたよ、にこ」

 

「勿論!3部隊くらい壊滅させてくるわ!」

 

「それはダメよ。一部隊攻めたらすぐ戻ってきなさい。

変なことしたら.....。許さないわよ」

 

「そうやで。にこっちは暴れ馬なんやから...。

ほんま頼むで」

 

「....分かったわよ!大丈夫だから!!

心配しすぎなのよ...」

 

「ということでにこ。お願いします」

 

「ええ。行ってくるわ」

 

 

 

その後、にこの奇襲は成功。

矢澤軍600の兵力で武田1500の兵を討ち取るという素晴らしいものだった。

 

次の日、武田は再び突撃してくるが堀の中は未だドロドロのままであり、攻め込むにはとても難しい状態であった。

 

また、西木野軍の鉄砲隊、園田軍の弓兵隊が遠距離攻撃を活かしジワジワと武田の兵を削っていく。

作戦は完璧に進行していた。

 

天も完全に高坂に味方をし、堀の土が乾いたとみればすぐさま雨が降る。

これでは流石の武田もお手上げである。

 

気づけば三週間が経過しており、高坂は全くの無傷なのに対し、武田は10000もの兵の被害を出していた。

 

そして、高坂対武田の戦が4週目に入った時、ようやく堀の土が乾いた。

これにて甲斐の虎、武田信玄が再び動く....。

 

 

〜武田軍〜

「よいか。皆の者。我々の食糧も最早尽きる。

それ故、今週中に蹴りをつけなければかなり武田としては痛い....。

それ故武田の騎馬隊という概念を一度捨て、新たな戦法で高坂を討つ!!」

 

この言葉に家臣達はどよめいた。

今の信玄の言葉は、戦国最強、武田の騎馬隊のプライドを捨てると言ったようなもの。

これには驚くのも無理はないだろう。

 

「高坂攻めは私が説明いたす。

先程、御屋形様が騎馬隊の概念を捨てる、と仰ったが、結果的に小田原に攻め込むのは騎馬隊じゃ」

 

勘助の説明に、家臣達は首を傾げていた。

言っていることが矛盾している。

 

「まず、今夜の内に堀の中に陣を敷く。

そして明朝、騎馬隊が攻め込むふりをする。

さすれば高坂は今まで同様、鉄砲や弓を使って応戦してくるであろう。

...じゃが、ここが狙い目じゃ。

堀の中にいた兵が一気に堀を駆け上がり、西木野、園田を討つ。

まさか奴らも堀の中から攻めてくるとは思わんだろう。

その2つの軍を壊滅させたところで、一気に騎馬隊で城内に突入じゃ....。

理解したか」

 

先程首を傾げていた家臣達は理解したようで、皆首を縦に振る。

 

「それでは、堀の中の陣は、馬場殿にお願いいたす。

皆の者はいつも通り騎馬隊として行くぞ。

よいな!!」

 

「「オォッ!!」」

 

「勘助、ご苦労であった....。

作戦は今勘助からあった通りじゃ。

決戦は明朝....。 今度こそ高坂を潰す!!!」

 

「「オォーーー!!!」」

 

策が決まり、武田の士気は一気に上がった。

 

そしてその夜、馬場信春率いる軍隊は堀の中へスタンバイ完了。

いよいよ高坂対武田の戦にも決着が着こうとしていた。

 

 

 

〜小田原城〜

「申し上げます!!

武田軍、再び突撃してくる模様!」

 

「堀も乾いたし、信玄は強行突破なら今とふんだようね...」

 

「そうやんね。

でもうちらには真姫ちゃんと海未ちゃんがいるから、また返り討ちやで!」

 

「ええ。任せて下さい。真姫、行きましょう」

 

「分かったわ...。しっかり返り討ちにして来るわ」

 

2人は再び出て行った。

勿論、馬場軍が堀に隠れているとも知らずに。

 

 

 

「相変わらず凄いですね...。武田の騎馬隊は」

 

「みんなが怖がるのも分かるわ...。

本当、凄い勢いで攻めて来るんだもの」

 

そうして2人は暫し武田の騎馬隊が近づいてくるのを待つ。

 

しかし、ここで海未が異変に気付いた。

 

「何か妙ではありませんか?」

 

「えぇ?何が妙なの?」

 

「心なしか... いつもより武田の騎馬隊の攻めて来る速度が遅い気がするのです」

 

「....。気のせいじゃない?武田も疲れてるんでしょう?」

 

「....そうだといいですが」

 

すると、地鳴りの様な音が聞こえてくる。

...しかし、聞こえてくる方向がいつもとは明らかに違っていた。

 

「何ですか!?この音は!!」

 

「騎馬隊じゃない....!?じゃあ一体どこから!!」

 

ウワァァァァァア!!!

無数の兵達が堀の中から飛び出してきた。

 

「.....!?」

 

突然飛び出てきた兵になす術なく、西木野、園田両軍の兵達はあっという間に斬られていく。

 

「皆さん!!一度城内に入って下さい!!

早く!!!!」

 

海未の悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 

〜武田軍〜

「申し上げます!

馬場軍が西木野、園田両軍を退けることに成功!」

 

「さすがは馬場信春よ....。さすれば....」

 

 

信玄は持っていた軍配を小田原城に向ける。

 

「全軍突撃じゃぁぁぁあ!!!!」

 

「「オォーーー!!!」」

 

その掛け声と共に、騎馬隊が小田原城へと突撃して行った。

 

 

 

〜小田原城〜

「いやぁ...。 お茶は美味しいねぇ...」

 

その頃、小田原城では穂乃果や家臣達が集まり、お茶会をしていた。

相変わらず呑気である。

 

「本当ねぇ...。 戦中だけど、気が緩んじゃうわぁ....」

 

「これにマカロンなんてあったら最高だろうなぁ...♪ ことり、よだれが垂れちゃいそう...♪」

 

そんな何故か幸せ一杯の大広間に1つの知らせが入る。

 

「大変にございます!!

西木野、園田両軍が馬場軍によって惨敗!

また、約30000の騎馬隊がこちらに向かってきております!!」

 

「うぇ....?」

 

穂乃果は手に持っていた茶飲みを落とす。

床には溢れたお茶が広がった。

 

「....は? それってもしかして....」

 

「大変まずいにゃ....」

 

「ダレカタスケテェェェェエ!!!!」

 

「海未と真姫は!? あの2人は無事なの!!?」

 

「はい、お二方はすぐさま城下町内に逃げ込んだとのこと。

今現在、門を止めに行っているようです」

 

「みんな!!行くわよ!!

何としても武田をこの城下内に入れるわけにはいかないわ!!」

 

返事はなかった。

皆が呆然とし、絵里の声に動かされるように大広間から出て行った。

 

「....。これはまずいよぉ...。

穂乃果はここで死ぬわけには...!!

ツバサさんを裏切るわけにはいかないのに...!」

 

1人残された穂乃果はただ頭を抱えることしか出来なかった。

 

 

 

「....っ!!まずいですね...

もう直ぐ門が蹴破られます!!」

 

その後海未達と合流した絵里達は門をひたすら抑えていた。

しかし、門に突撃しているのは騎馬兵。

壊れるのも時間の問題だった。

 

「もうもたない....!!」

 

その時であった。

1つの知らせが両軍に入る。

 

「申し上げます!!

謎の兵達が約100000の軍勢でこちらに到着!!」

 

「謎の軍勢ですって....!?」

 

 

〜武田軍〜

「何!?謎の軍勢だと!?一体何奴なのじゃ!!!」

 

「い、いえ....。私に聞かれましても....」

 

大地を揺るがす、轟音が武田軍の背後から聞こえてくる。

 

その軍隊は鉄甲冑に身を包み、鉄製の盾を持ち、サーベルを差していた。

 

 

 

〜小田原城〜

「謎の軍勢って....!! 一体何なのですかっ...!!」

 

「それが...。全身に鉄を身にまとい、何か鉄の蓋のようなものを持っているらしく...」

 

「ハァ!?ナニソレ....!?どっちの味方なのよ!!」

 

鉄の蓋という単語に反応した絵里が伝令役にあることを聞いた。

 

「軍旗は....!!軍旗は何だって....!?」

 

「定かではありませんが、背景に白と赤と青の3本線があり、中央に絢瀬殿の家紋のような字があったはずにございます!!」

 

その特徴を聞いた絵里は目を丸くする。

 

「その軍旗は...!?でも何で....!!」

 

「何!?その謎の軍隊に何か心あたりがあるっていうの!?絵里!!」

 

「え、ええ...。いや、でも何で....っ!?」

 

門の一部が破損する。

これではもう門はもたない。

 

「いいから....!!早く...!絵里ち、喋り!!」

 

「その軍隊は....!!」

 

「「その軍隊は....!?」」

 

 

 

「私のお祖母様が持っているロシア軍よ....」

 

 

「「えぇぇぇぇぇぇえ!!!??」」

 

家臣達は皆、門を抑えながらも絶叫した。

 

 

 

〜武田軍〜

「何なのだ!!こいつらは!!」

 

その頃、小田原城外ではロシア軍が武田軍を圧倒的早さでなぎ払っていた。

 

「御屋形様ぁあーー!!!」

 

「何事だ!!」

 

「謎の軍隊により、約20000の兵が討ち死に!!

その中には山本勘助殿も含まれておりまする!!」

 

「何!?勘助が討ち死にだと!?

....やむを得ん... 撤退じゃ!!

全軍撤退じゃぁぁあ!!」

 

 

その合図と共に、生き残った約10000の兵達はすぐさま小田原を後にした。

 

 

〜小田原城〜

「あ、あれ?....門が軽くなった?」

 

「は、え...?」

 

「申し上げます!

武田軍、全軍撤退の命令が出た模様!!」

「えぇ...?何かよく分からないけど...。

凛達勝っちゃったのかにゃ....?」

 

「勝った....のですか...?」

 

皆がその場にへたり込む。

 

「いやいや、それより何なん!?

何で絵里ちんとこのロシア軍がここにいるん!!?」

 

「い、いや....。私にも分からないわ...。

何でお祖母様の軍が....」

 

コンコン

門がなる。

 

「何方ですか...?」

 

「エリーサマハイマスカ?

ワタクシ、ロシアナイトノリーダー、アーロンデース!」

 

「絵里、知っていますか?」

 

「ええ...。開けてもいいわよ」

 

「分かりました」

 

海未は門を開く。

そこには絵里と同じく、金髪で目が蒼い白人の男が立っていた。

 

「アーロン...!?何であなたここにいるのよ!!」

 

「ハーイ!エリーチカ!!オヒサシブリデース!」

 

「お久しぶりって... それどころじゃないわよ!?

何でここにいるのって聞いてるの!!」

 

「オー、ソレナラ、アリーサニタノマレテジャポンニヤッテキマシタ!!」

 

「亜里沙ですって....!?

ちょっと、誰か亜里沙を呼んできて」

 

「承知」

 

「ソレニシテモ、ジャポンノナイトウルサイネ!!」

 

「...といいますと?」

 

「イチイチ、オオゴエサケビマース!

ロシアデハ、アリエナイデース!!」

 

「あはは...。そうなんだね...。

でも、ことりは煩くてもいいと思うけどなぁ...」

 

「....!オー!!アリーサ!!」

 

「アーロン!!来てくれたのね!!良かったぁ....」

 

「良かったじゃないわよ!亜里沙、何でここにロシア軍を呼んだの!?」

 

「お、お姉ちゃん怒ってるの....?」

 

亜里沙の上目遣いに絵里は一瞬にして陥落する。

絵里という城はとても防御が甘いようだ。

 

「お、怒ってなんかないわ...。それで?何でロシア軍を呼んだの?」

 

「お姉ちゃん達が危ないって聞いたから...。

高坂のみんなが死んじゃうのなんて嫌だから...!

...それでお祖母様に手紙を書いたの。

お姉ちゃん達が危ないから、援軍を送ってって」

 

「....!!じゃあ、あの時私にロシア行きの船を聞いたのって...!!」

 

「はい。そのためです。

真姫さんの船ならロシア行きもあると思って....」

 

「亜里沙....。貴女って子は....」

 

絵里は亜里沙を思いっきり抱きしめた。

 

「本当にありがとう...。ロシア軍が来てなかったら私達は死んでいたわ...。

ありがとう、亜里沙....」

 

「オゥ!スバラシイシマイアイデース!

タスケニキテヨカッタ!!」

 

「...ありがとう、アーロン。あなた達のお陰で助かったわ...。

....もう帰るの?」

 

「イエス!スグニカエルヨウニイワレテイマスカラ!」

 

「そう。なら気をつけて帰ってね。

それと...お祖母様にもよろしくね」

 

「オーケーオーケー!」

 

「アーロン!本当にありがとう!」

 

「オー!アリーサ!!ゲンキニシテイルノデスヨ!!」

 

「うん!」

 

「じゃあ、また。

До свидания(さようなら)」

 

「До свидания!」

 

こうして、まさかの救世主、ロシア軍は去って行った。

 

「....衝撃です」

 

「うん...。私には分からない領域ですっ...」

 

「まー、とりあえず、あの人達のお陰でうちら生きてるんやし、ええんやない?」

 

「...そんなのでいいの?」

 

「さぁ、いいんじゃない?にこ達生きてるんだし!」

 

「そうにゃ!死んでないからオッケーにゃ!」

 

「とりあえず、助かったし...。

ことりはご飯の準備でもして来ようかな?」

 

「じゃあ私は穂乃果に伝えてきます」

 

「真姫ちゃんとかよちんは凛と遊ぶにゃーー!!」

 

「ヴェェ!?何でそうなるのよ!!」

 

「いいよ!真姫ちゃん、たまには一緒に遊ぼう!」

 

「....分かったわよ!!遊べばいいんでしょ!!」

 

「「やったぁ!!」」

 

「さて、じゃあうちはにこっちと漫才でも....」

 

「するわけないでしょう!?馬鹿馬鹿しい」

 

「あ!にこっち!足元に落ち武者や!!」

 

「うぇぇえ!?...っていないじゃない!!」

 

「あ!にこっち!こんなところに千両箱が!!!」

 

「うわぁ、大判小判がザックザック〜...ってこれ全部落ち葉やないかい!」

 

「「どーも、ありがとうございましたー!」」

 

「...って何やらすのよぉぉお!!!」

 

何やかんやでまたもや高坂は武田に奇跡の勝利を遂げたのであった。

 

 

 

 

 

〜上杉家〜

「殿。またもや信玄公が高坂に敗北したとのこと」

 

「何?また信玄は負けたというのか。

あいつの腕も落ちたものよ...」

 

高坂が武田に勝ったという知らせは全国に広まっていた。

 

「さてと...。

いくらか私も動いてみるとするかの...。

高坂は邪魔だ...!!」

 

「殿、出陣なさるのですか!?」

 

「...まさか。まだ出陣はせぬ。

...しかし、近いうちに高坂をこの軍神・上杉謙信が滅ぼしに参ろう...」

 

 

 

毘沙門天が降臨する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで見ていただき、ありがとうございました!
いかがでしたでしょうか?
今回は少しふざけすぎたかもしれません...。
また、戦国はカオスが許されるということで、まさかのロシア軍を投入させてもらいましたが大丈夫でしたでしょうか...^_^;
ご意見、ご感想お待ちしております。
それでは、次回もよろしくお願いします!


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第七幕 降臨!毘沙門天!

パンって美味しいと思いませんか?

第七幕となります、戦国ラブライブ。今回も駄作となっていますので、是非お読みになって下さい。

因みに、少々短くしてみました。読みやすくなっているかと。
再び因みに、語り手を私にしました。そのため、多少ツッコミとか色々入っております。楽しいです、ええ。

それではμ'sが作る戦国の世界、どうぞお楽しみ下さい。


[chapter: 第七幕 降臨!毘沙門天! ]

 

 

「パン食べたいよぉぉぉお!!!」

 

鹿嶋城には穂乃果の悲鳴が響き渡っていた。

 

「パンはないと言っているでしょう!? 白米で 我慢して下さい!!」

 

「嫌だ嫌だ!穂乃果はパンが食べたいの!!」

 

「パンはありません!!一体いくら言えば分かるのですか!!」

 

「いくら言っても分からないよぉ〜だ!今日は絶対パンしか食べないもん!!」

 

「穂乃果ぁぁぁぁあ!!!!」

 

2人はなんとくだらないことで喧嘩をしているのか。今日も高坂家は平和なようである。

 

「あーもう、うるさい!!何なの!?夫婦喧嘩は外でやりなさいよ!!」

 

その騒がしい声を聞いて、戦国の高嶺のフラワー・西木野真姫が現れる。

 

「あ!真姫ちゃん聞いてよ!!」

 

「真姫!聞いて下さい!!」

 

「海未ちゃんが!!」「穂乃果が!!」

 

「いっぺんに喋らないでよ!!私は聖徳太子じゃないのよ!?」

 

聖徳太子は10人の言うことを一度に聞くことが出来たらしい。一体どんな耳をしていたのか。

 

 

「穂乃果はパンが食べたいのに、海未ちゃんがお米食べろってうるさいの!!」

 

「パンはないって言っているのに、穂乃果はパンしか食べないと聞かないんです!!」

 

「だから!!いっぺんに喋らないで『真姫ちゃん!!』 『真姫!!』

 

「「どっちが(どちらが)悪いと思う(思います)!!?」」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

真姫の悲鳴が晴れ渡った空へと舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

「……で? 真姫が夫婦喧嘩に巻き込まれて、今の状態に至るわけね?」

 

「せやね」

 

穂乃果と海未の戦争は凄いものとなっていた。

2人は顔を真っ赤にし、未だに口論中。その横には魂が抜けたように倒れている真姫がいた。

 

「今回の喧嘩は史上最大だよぉ…」

 

「犠牲者が1人でたからね。信じられないわ」

 

真姫は2人から迫られ、あの叫び声をあげた後にふらふらと床にへたり込んでしまったという。

 

「どうする?放っておく?」

 

「それはどうかと思うけど。…ことり!」

 

「ピィッ!?」

 

「あなた、この戦を収めることはできる?」

 

「今回はちょっと…」

 

「…なら放っておきましょうか。時間が解決するはずよ」

 

「そもそも、喧嘩の原因もアホみたいなことやしね」

 

「とりあえず、真姫を回収しましょうか。部屋に運んであげましょう」

 

「「はーい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、放っておくという手段は甘くはなかった。この鹿嶋城は非常に小さな城。その為、声がほとんど筒抜けなのである。

これが意味することは………

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁぁぁぁあ!!!うるさい!!うるさすぎるわ!!」

 

「絵里ち、ただでさえ騒がしいのにそんな大きな声出さんといてや。うち、もう頭痛いねん」

 

そう。あの大声の喧嘩が城内全てに響き渡る。

これは一大事であった。

 

「とんだBGMね…。ちょっと散歩してくるわ。希も行く?」

 

「あー、うちもそうするかなぁ…。絵里ちはどうするん?」

 

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい……」

 

絵里は何かに取り憑かれたように「うるさい」を念仏のように唱えている。ホラーだ。

 

「あらら…。絵里ち、超ポンコツゾーンに入ってしもうたようやんね」

 

あれは超ポンコツゾーンというのか。一体どんなゾーンなんだろうか。

 

「それじゃ2人で行ってきましょうか」

 

「よっしゃ!にこっちとデートや!」

 

「百合営業はしないわよ〜」

 

ポンコツ化した絵里を置き、にこと希は逃走。真姫は未だに意識不明、ことりはマカロン作りに熱中。

そして例の2人は……

 

 

「パンパンうるさいんですよ!!このパン大名!!」

 

「あー、結構結構!パン大名で結構!!この鬼軍曹!!」

 

「鬼軍曹…誰が鬼軍曹ですって!!?」

 

「誰って…。海未ちゃんに決まってるじゃん!!この分からず屋!!」

 

「分からず屋はどっちですか!!パンはないと言っているでしょう!!?ないものねだりは止めて下さい!!」

 

「知らないよ!!もう穂乃果のパンを食べたいゲージはMaxを通り越してエクセレントだよ!!」

 

「何がエクセレントですか!!何故Maxを通り越すとエクセレントになるというのですか!!」

 

「ベンジョンソンが決めたの!!Maxを越したらエクセレントだって!!だからもう穂乃果はエクセレントだよ!!」

 

※穂乃果の喋っていることは全てデタラメです。 ご注意下さい。

 

「そんな馬鹿みたいな話をしている暇があったら早くご飯を食べて下さい!!勿体ないでしょう!?」

 

「だ・か・ら!パンが食べたいの!!もうお米は飽きたの!!」

 

「農民達が頑張って育てたお米に向かってそれは何ですか!!最低の発言ですよ!!」

 

「……そうだね。それは穂乃果も思ったよ」

 

「ではしっかりとお米を食べて下さい!農民に感謝をして…」

 

「でもそれとこれとは別だよ!!パンが食べたいぃぃ!!」

 

「もう少し素直になったらどうですか!!パンはないのです!!」

 

「自分の気持ちに素直になったらパンが食べたいんだよ!!パンパンパンパンパンパンーー!!!」

 

「あぁぁあ!!!お米お米お米お米お米お米お米ぇぇえ!!」

 

 

なんと醜い争いであろうか。人間はこうして戦争を繰り返すのだ。

 

 

 

 

 

「あー、スッキリしたぁ♪」

 

「本当よ…。いつも冷静な海未まであんなにムキになっちゃって…」

 

「まぁ、喧嘩の相手が穂乃果ちゃんやからね〜。ムキになるのも当たり前やない?」

 

「そう?」

 

「そう。高坂と園田は何代も前から繋がりがあってな?穂乃果ちゃんと海未ちゃんは生まれた時からずっと一緒…。スーパー幼馴染なんよ。途中から高坂に拾われて仕えることになったうちらには分からん何かがあるんよ、きっと」

 

「…にこ達に分からない何か、か。運命ってやつ?」

 

「さぁ?でもうちは、あの2人は運命共同体やと思っとるよ。それ位深い絆で結ばれとる。そんな気がするんや」

 

「へー…。ていうか、希も意外と真面目な話できるじゃない。あんたちょっとふざけすぎなのよ」

 

「いきなりの話題転換やね、にこっち。…真面目な話ばっかりしてても面白くないやん?せやからうちはふざけるんよ。いつ死ぬか分からん命。楽しく生きんとな♪」

 

「希…。重い。重すぎる」

 

「えぇー?にこっちがこの話させたんやろ?」

 

「さて、そろそろ戻りましょうか。喧嘩も収まってるかもしれないし」

 

「無視かいな…」

 

にこは今来た道を引き返そうと方向転換し、スタスタと歩き出す。希もつられて戻ろうとした。

 

——その時だった。希の視界が前方から迫るものを捉える。

 

「にこっち!!」

 

 

 

 

 

「本当にしつこいですね…!!パンはないと!!」

 

「海未ちゃんこそしつこい…!!パンしか食べたくないって!!」

 

「「言ってるでしょ(言っているでしょう)!!?」」

 

2人の声が調和する。何だかんだ仲は良いのだ。

 

「やむを得ません…。これだけはしたくありませんでしたが…」

 

「穂乃果だってしたくないけど…」

 

「「実力行使です(だよ)!!」」

 

「表へ出て下さい、穂乃果。木っ端微塵にして差し上げましょう」

 

「こっちのセリフだよ!穂乃果が勝ったらちゃんとパンを用意してもらうからね!!」

 

「ええ。しかし私が勝ったら文句を言わず早くご飯を食べてもらいますからね」

 

2人は木刀を手にとり、城門へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

微かに甘い香りがする。その匂いを嗅ぎとったのか、今まで気絶していた真姫が目を覚ました。

 

「……。ん…?」

 

「あ!真姫ちゃん、気がついた?」

 

「……。えぇ、まぁ」

 

「よかった♪あ!そうだ!マカロン食べる?」

 

「…?マカロンなんてあるの?」

 

「うん!ことりが作ったんだ♪」

 

ことりが差し出したマカロンを受け取る。

形は完璧。どこからどう見てもマカロンだった。

 

「へー…。あなた凄いわね…。こんなに完璧なマカロンを作る人、初めて見たわ」

 

「うふふ〜♪でしょ?今回はちょっと自信あったんだ〜♪」

 

「食べてもいい?」

 

「もちろん!」

 

ことり作マカロン、いわば「チュンチュンマカロン」を真姫は口に運ぶ。

そのマカロンは一口サイズのもので、間食にはもってこいである。

 

「……」

 

「どぉ?」

 

まずは舌の上でマカロンを転がし、マカロンの形をもう一度、目視ではなく感触で確かめる。

 

(形はやっぱり完璧ね…)

 

次は味。舌の上で十分湿らせ、より柔らかくなったマカロンに歯を入れる。

 

 

 

 

 

(——————!!!!)

 

 

 

 

 

真姫の口に衝撃が走った。程よい甘さに微かに香るチェリーブロッサムの匂い。そして口にベタベタと残らず、サラッとした印象を与える、何とも言えない後味。

まさに味の協奏曲やぁ!!!!

 

「す、凄いわ…、ことり!!今すぐにでも商品に出来る位の美味しさよ!!」

 

「ほ、本当?」

 

「ええ!外国の有名パティシエにも負けてないわ!」

 

「そこまで褒められると照れちゃうなぁ…♪真姫ちゃんありがと!」

 

普段あまり感情を表に出さない真姫であるが、この時ばかりは目を輝かせ、「美味しい」ということを心から表現していた。

チュンチュンマカロン恐るべし。

 

※実際に、マカロンを舌の上で転がすなどという汚い食べ方はしてはいけません。真姫ちゃんもこんな汚い食べ方は実際しません。ご注意下さい。

 

 

 

 

 

「にこっち!!」

 

「ん?どうしかした?…って何でそんな焦ってるのよ」

 

「あ…あれ、あれ!」

 

にこは希が指差す方向を見る。標的を指す希の指は震えていた。

 

「あれ…?あれって…」

 

そのさされたものとは馬に乗り、頭に白い頭巾を被った武士であった。

 

 

ん?待てよ?頭に白い頭巾を被った武士?そんな感じの人どこかでみたような?白い頭巾?武士?希の焦り?

 

 

「…うぇぇぇぇぇえええ!!?」

 

にこの頭の中で全てが繋がった。そしてそれと同時に信じられない位の絶叫が飛び出る。

 

「なっ、な、ななな何でここに上杉謙信がいるのよ!!!」

 

「うちに聞かんといてや!!これは大変やで…!すぐ城に戻って伝えな!!!」

 

「え、えぇ!そうね!早く戻らなきゃ…」

 

お気づきの方はもういいのだが、白い頭巾を被った武士…といえば「上杉謙信」が有名であろう。彼は越後(新潟)を治める大名。その為、彼が敵国である、関東の高坂領に出現しているのは非常におかしなことなのである。大事件だ。

 

にこは猛然と走る。

早くこのことを皆に伝えなければ。

上杉と高坂の戦争が始まるかもしれない。

もしかしたら今日は穂乃果を殺しに来たのかもしれない———。

 

 

 

 

 

 

 

「やぁぁぁぁあ!!!」

 

「はぁぁぁぁあ!!!」

 

その頃、城門では合戦が行われていた。巌流島の決戦ならぬ、鹿嶋の決戦である。

 

木刀同士がぶつかり合い、鈍い音を立てる。いくら相手が剣豪・海未と言っても、穂乃果はスクールアイドルを始める前は、剣道部に所属していて、大会では無双していた実力がある。

2人の対決は互角だった。

 

「くっ…。やりますね…」

 

「海未ちゃんこそ…。さすがいつも鍛えてるだけあるね…」

 

「ふっ…。こうなれば必殺技を出すしかないようですね…」

 

「…!?必殺技…!?」

 

なんだと、海未には必殺技があるというのか。

 

「必殺…」

 

「必殺…?」

 

穂乃果は身構える。喉がゴクリと音を立てた。

 

「—つばめ返しっ!!」

 

 

 

——海未よ、お前は佐々木小次郎なのか——

 

 

 

つばめ返しとは巌流島の決戦で宮本武蔵と死闘を演じた佐々木小次郎の必殺技。

斬りおろした直後に真上に斬り上げる。仮に斬りおろしを避けられたとしても、再び真下から刀が自分に向かって上昇してくる。まさに必殺技である。

 

 

 

 

 

 

カァァァアン——

 

 

 

 

 

乾いた音が戦場に響きわたった。

 

 

 

「…な…。な…っ!?」

 

 

 

そこには1つの木刀が地面に転がっていた。

 

 

 

「甘いよ…?海未ちゃん…♡」

 

 

そして、フー…ッと穂乃果が一つ、細い息を吐く。木刀を頭上に振り上げ、右足を踏み出す。

 

 

 

 

 

「めぇぇぇぇぇえん!!!!!」

 

 

 

 

 

 

木刀が海未の頭をかすめる。

心・技・体そして残心が完璧に揃った面であった。一本、穂乃果の完全勝利だった。

 

 

 

 

「……」

 

「あはは…。大丈夫?海未ちゃん?」

 

「あなたいつの間にこんな…」

 

「えっと…。剣道やってたし?」

 

「穂乃果…」

 

「?」

 

「私の負けです…」

 

海未はがっくりと崩れ落ちた。その長い髪が前に垂れ下がり、まるで貞子である。

 

「まさか…。穂乃果に負けるとは…」

 

「う、海未ちゃん?そんなに落ち込まなくても…」

 

「今まで一度も穂乃果に負けたことのなかった私が!!何故…!」

 

「まぁ、穂乃果の方が強かったってことだね♪」

 

「つばめ返しまで防がれるとは…」

 

「えへへ…。ちょっとつばめ返しには耐性があってね〜」

 

つばめ返し耐性とは一体何なのだ。

 

「くっ…。仕方ありません…。パンを用意しましょう」

 

「やったぁ!優勝商品だね♪」

 

「では、私はパンを調達してきますので……って?」

 

 

「穂乃果ぁぁぁぁあ!!!」

 

そこに、物凄い形相のにこ襲来。

 

「に、にこ!?一体どうしたんですか!?」

 

「あ、海未もいたのね。ってか喧嘩はもういいの?」

 

「うん!穂乃果の勝ちだよ!」

 

「ほ、穂乃果の勝ち?あの喧嘩に勝ち負けなんてあった…って!!それどころじゃないのよ!!」

 

「いや、にこちゃんが喧嘩の話をし始めたんだよ?」

 

「あー、うん、それもそうね…って!!それどころ『あー、はい。そのくだりはもういいですので。何があったんですか?』

 

 

——海未はツッコミを覚えた!——

 

 

「う、う、ううう上杉謙信が!!」

 

「「上杉謙信が?」」

 

 

「せっ、せせ攻めてき『謙信殿が穂乃果ちゃんに話があるって来てくれたみたいやで♪』

 

「「は?」」

 

そう言った希の背後から上杉謙信が現れる。

 

「これはこれは…。高坂家は賑やかですな…」

 

「うわぁ!け、謙信さん!!?」

 

海未はすぐさま膝をついていた。クラウチングスタートのような体勢である。

 

「これは…?園田殿ですな?そんなにかしこまる必要はない。頭を上げんか」

 

「い、いや…。しかし…」

 

「大丈夫やで、海未ちゃん!謙信殿はいい人やし!」

 

「希…。というかあなたは何でそんなに謙信殿と仲が良くなってるのですか?」

 

「ん?世間話してたらな〜♪」

 

「左様。希殿は面白くてな」

 

謙信はご機嫌そうに高々と笑う。

 

「そ、そうですか…。しかし、希!あまり失礼な事はしていませんね?」

 

「そりゃぁもちろん。うちかてそれ位分かっとるって!」

 

「それで…。高坂殿。そなたに話があり参上したのだが…。大丈夫か?」

 

「あ、はい!大丈夫です!」

 

「それでは謙信殿。客間へご案内します故、私に付いてきて下さりますか?」

 

「承知した」

 

海未は謙信を引き連れ、鹿嶋城内へ入っていった。謙信が人に連れられているとは…。凄い絵面である。

 

「謙信さんって、意外と優しそうな人なんだね!」

 

「せやな〜♪まさか軍神があんなに優しい人だとは思わんかったで」

 

「うんうん♪じゃあ穂乃果達も中に戻ろっか!謙信さん待たせるわけにはいかないからね〜」

 

そう言って穂乃果と希は城内へ戻ろうとする。

しかし、待てよ?何か忘れてはいないか?読者の皆様はお気づきだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

そう…。

 

 

 

 

 

 

それは——

 

 

 

 

 

 

「ちょぉぉっとぉぉぉ!!!」

 

「うわぁ!!にこちゃん!!」

 

「びっくりさせんといてや!寿命縮まってまうやろ!」

 

「ぬぅあんでにこが話そうとすると割り込みが入るわけ!?ありえないんですけどぉ!!?」

 

にこよ、それは貴女がそういう立場だからなんだ。許してくれ…。

 

「この宇宙No. 1侍のにこにーを放っておくとか…。言語道断よ!!」

 

「あはは…。この時代のにこちゃんは宇宙No. 1侍なんだね…」

 

「あー、はいはいにこっち!そんなに怒らんと!にこっちはそういう役目なんやし!」

 

「どぉいう役目よ!!」

 

「ほらほら、にっこにっこにー♪」

 

「にっこにっこにー♪…って!それどころじゃないって言ってるでしょう!?」

 

「穂乃果ちゃん、謙信さん待たせたらあかんから行っててええよ!この暴れ馬はうちが処分しとくから…」

 

「誰が暴れ馬よ!!…それと!!処分って何!?処分って!!」

 

「それじゃあ希ちゃん、よろしくね!」

 

「任せとき〜」

 

「にこの話を聞きなさいよ!!!」

 

「にこっち…。…あ!あんなところに空飛ぶおにぎりが!!」

 

空飛ぶおにぎり??

こんな変な誘いを間に受ける人が……。

 

 

「え、え!?どこ!?それは凄いわよ!!」

 

 

 

 

いた。

 

 

 

 

「あー、にこっち!あっちやあっち!」

 

「あっち!?あっちにあるのね!?」

 

「せやせや!ほら、早う追っかけな、飛んで行ってまうで!」

 

「分かったわ…。必ず捕まえて功名とするわ!」

 

おにぎりを捕まえて功名とする…。どんな話なのだろうか。

 

「待ってなさい!!空飛ぶおにぎりぃぃぃぃい!!!」

 

そう叫んでにこは遥か彼方へと駆けていった。

 

「…。まさか本当に騙せるとはなぁ…。にこっち…あんなんで大丈夫やろか…」

 

ええ、私も心配である。

 

 

 

 

 

 

そんな頃、鹿嶋城内は多少のパニックに陥っていた。その原因は勿論、上杉謙信がいきなり城内に現れたからである。

 

「では、謙信殿。こちらが客間になります。穂乃果が来るまで少々お待ちください」

 

「承知した。園田殿、感謝する」

 

海未はスーッと客間の襖を閉める。さすがの海未も謙信が相手となると緊張したのか、少し汗ばんでいた。

 

「う、海未?」

 

「あ、真姫!先ほどは申し訳ありませんでした…」

 

「いや、もう大丈夫だからいいのよ。…それより、何で上杉謙信が…?」

 

「なんでも、穂乃果に話があるみたいで…」

 

「…だとしても凄いわね。謙信自ら参上するなんて」

 

「はい。普通ならあり得ませんからね」

 

「謙信は何を考えてるのかしら…?」

 

 

 

 

 

謙信が客間に入ってから少々の時間が過ぎたところで、穂乃果が登場した。

 

「これは高坂殿。突然押しかけて申し訳ない」

 

「いえいえ!全然大丈夫です!」

 

「それにしても、高坂家は皆楽しそうでいいですな」

 

「あはは…。まあそれが高坂の良いところだと思ってるので…」

 

「賑やかなのは軍の士気が上がる故、素晴らしいと思うぞ」

 

「そうですか?ありがとうございます!」

 

「…そういえば、何故家臣達はそなたの事を名前で呼んでいるのだ?普通じゃあり得ぬぞ?」

 

「だって…。みんな仲良しの方がいいじゃないですか!身分とか関係なく、高坂はみんな仲間であり、友達なんです!」

 

それを聞いた謙信は再びご機嫌そうに笑う。

 

「流石は高坂殿よ。私の目は間違っておらんかった!」

 

「それは光栄です!」

 

こんな感じで、高坂穂乃果と上杉謙信の対談は和やかなムードで始まった。

 

 

一方、その頃高坂家臣達は客間の前に集結していた。穂乃果と謙信の会話を聞くためである。

 

 

「何かすごい和やかに始まったけど…。上杉ってこんな感じなのね…」

 

「ええ。私も最初あった時は驚きました」

 

「それにしても、上杉は何の為にこっちに来たのかしら。しかもわざわざ自分が来るなんて…」

 

「かなり重要なことなんと違う?」

 

「それはそうでしょうけど…」

 

高坂家臣達は未だ謙信の行動を理解出来ずにいた。謎めいた謙信の行動。これが意味することは一体何なのだろうか?

 

 

 

 

 

「…!この丸いものは甘くて美味しいの…。これは何というものなのだ?」

 

「あー、それは、マカロンって言います!」

 

「ま、まかろん?」

 

客間にはお茶と世界の西木野を唸らせたマカロンが用意されていた。

 

「はい!ことりちゃんが作ったんです!」

 

「ほう…?南殿が作ったのか…。高坂は人材豊富じゃの」

 

謙信は次々とマカロンを口に運ぶ。こんなに頬張っている謙信はかなりレアである。

 

「謙信さん?」

 

「ふぁんじゃ?」

 

何ということでしょう!謙信が口に物を入れながら喋っている!これではまるで穂乃果ではないか…。かっこいい謙信のイメージが総崩れである。

 

 

「あ、えっと…。うちに来た要件は…?」

 

「あぁ、そうであった。忘れていたわ」

 

忘れていたのか。

 

謙信はしっかりと座り直し、穂乃果に頭を下げた。

 

 

「上杉と同盟を結んでほしい」

 

 

 

 

 

「な、な、な、なななっ!?」

 

「上杉が高坂と同盟ですって…!?」

 

「シーッ!!声が大きいで!」

 

勿論、この様子はしっかりと家臣達が盗み聞きしていた。

 

「上杉と同盟を結べれば…」

 

「高坂の後ろに上杉がつくってことになるね!」

 

「…ということは?」

 

「「高坂は安泰よ(です)!」」

 

わーっしょい、わーっしょい。客間の前ではちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。

 

「上杉がついてくれれば…!」

 

「武田なんて怖くないにゃ!」

 

「まさか謙信殿から寄ってきてくれるなんて…。さっき言ってた要件ってこれやったんね」

 

「やったわよ、希!高坂は安泰よ!」

 

「分かっとるって、絵里ち。せやからそんなに騒がんといてな?」

 

しかし、この中に1人、冷静に物事を見つめている者がいた。

 

「待って」

 

それは、世界の西木野の高嶺のフラワー・真姫だった。

 

「…?どうしたのよ、真姫?」

 

「おかしいと思わないの?」

 

「何がですか?」

 

「上杉が同盟を結びたいってことよ!普通に考えてみなさい?上杉が高坂と同盟を結んだとして、上杉側に何かメリットがある?」

 

流石。あっぱれだ。完璧な分析である。

 

「……。そう言われてみれば…」

 

「全くないわね」

 

「でしょう?どう考えてもおかしいのよ」

 

「じゃあ、何で上杉は凛達と同盟を結ぼうなんて…?」

 

「さぁ?知らないわよ。毘沙門天の考えていることなんて」

 

「まさかやけど…。うちらを裏切るつもりじゃ…?」

 

「一理あるわね。同盟関係を結んで私達を安心させておいて…」

 

「高坂がどこかと戦をする時に援軍を出すふりをして、背後から攻める…。ということでしょうか?」

 

「まぁそんなところでしょうね」

 

「軍神ともあろうものが…。落ちぶれたわね」

 

「穂乃果は一体どうするのでしょうか…」

 

 

 

 

「穂乃果達と同盟を?」

 

「あぁ。そなた達となら武田はおろか、織田も倒せると思ってな」

 

「へぇ…。そんなに高坂ってかわれてるんですね」

 

「それは勿論。武田の襲撃を二度も跳ね返したとなると勝手に名は世に広まる」

 

「そうですか…。じゃあ同盟を結ぶ前に、1つだけ聞いてもいいですか?」

 

「いくらでも答えてやろう。何だ?人質についてか?」

 

「…謙信さんはどんな世界を作りたいですか?」

 

「どんな世界…?」

 

飛び抜けた質問に謙信は少し困った表情を見せた。

 

「ふむ…。それは上杉の世であろうな」

 

「上杉の世?」

 

「上杉がこの世界を治め、皆我々に従うのだ。…勿論、今回同盟を結んでくれれば上杉と高坂、この世を半分にして治めようと思うておる」

 

この言葉を最後に、暫しの沈黙があった。

約5分くらいあったであろう。

 

穂乃果がようやく口を開いた。

 

「…じゃあ」

 

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「同盟は結べませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

次回予告!

 

謙信からの同盟の依頼を拒否してしまった穂乃果。この判断は吉と出るのか、凶と出るのか。

また、謙信の行動に不審感を覚えていた家臣達。この予感は的中するのか…?

そして、謙信の本当の思惑は…?

 

 

次回へ続く——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで見ていただき、ありがとうございました。
期待通りの駄作でしたでしょうか? 次回も頑張ります。
最近鼻血が出やすくて困ってます。誰か血を恵んで下さい。


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第八幕 決意

1話を短編にした模様。こっちの方がいいでしょうかね、読みやすくて。
今回は、穂乃果ちゃんと謙信の対談回になります。


ん?後編はどこに行った?


知りませんな、そんな後編とかいうものは。



…すみません、こんな感じで適当にやらせてもらってます。


前回感想を下さった、左京大夫さん、ありがとうございました。








[chapter: 第八幕 決意 ]

 

 

 

「同盟は結べませんね」

 

 

 

 

さあ、前編をご覧の方はお分かりだと思うが、上杉から持ち寄られた同盟は結ばないというのが穂乃果の決断だった。

 

「何だと?」

 

「私達高坂は謙信さんとは同盟は結べません」

もう一度、力強い声で穂乃果が言う。この決断は揺るぎない、といわんばかりのものだった。

 

「何故だ…?我々と同盟を結べば高坂は安泰なのだぞ!?それなのに…」

 

「私は…。安泰とかそういうので同盟を結ぶものじゃないと思ってるんです」

 

「…どういうことだ?」

 

穂乃果は1つ呼吸を置いた。

 

「志が同じ人と結んでこその同盟だと思うんです。安泰とか、そういうことの為だけの…。上辺だけの同盟は私はいらない」

 

「上辺だけの同盟…?」

 

「はい。謙信さんと私の目指す世界は違います。ですので同盟を結ぶ必要はないと思いました」

 

「それでは聞くが、高坂殿はどのような世界を目指しているのだ?この世界を高坂のみで治める世界か?」

 

「いえ、違います。はっきり言って、私の願いが叶うなら、別に高坂が治めなくてもいい…。そう思ってます」

 

はっきりしない答えに謙信は困惑の表情を浮かべる。確かに、穂乃果のアンサーは謙信の問いに対するものにはなっていない。

 

「すまんが、意味が分からぬ。そなたは一体何を言っているのだ」

 

「…謙信さんは戦のない、平和な世界を見たことがありますか?」

 

「…は?」

 

「何の心配もいらない。安心して幸せに暮らせるそんな世界を」

 

「…さっきから何を言っておるのだ」

 

謙信の言葉など、耳に入っていないかのように穂乃果は続ける。

 

「私はあるんです。今までずっと…平和な世界を見て、そこで暮らしてきたから…」

 

「…」

 

「この乱世に来て、今までしてきた生活がどれだけ幸せだったか…。改めて実感しました。大切なみんなと一緒に過ごす、大切な時間。みんなが仲良しで、争う必要のない世界。こんな当たり前のことがどれだけ幸せだったのか…」

 

「…私には理解しかねますな。何を言っているのかさっぱりだ」

 

「だから決めたんです」

 

「だから…!」

謙信が意味不明なことを熱弁する穂乃果にくってかかろうとした。

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

 

 

「戦のない世を作ろうって」

 

 

 

 

 

 

「…!?」

この言葉を聞いて、謙信の動きが止まる。一瞬にして石化したようだった。

 

「この時代の人達にも、私がしてきたような幸せな生活を送って欲しい…。そう思うんです」

 

穂乃果の目は希望に満ち溢れていた。俗に言う、目をキラキラさせながら、というやつである。

 

「だから、目指す方向が違う謙信さんとは同盟は…」

 

 

 

 

「絵空事だ」

 

 

 

 

「うぇ?」

 

今度は謙信が穂乃果の言葉を遮るように言葉を発した。

 

 

…というか君たちは人の話を最後まで聞く、という概念はないのか?

 

 

「えそらごと…?」

 

「そうだ。絵空事だ。そんな世界などあり得ぬ…」

 

「何でそう思うんですか…?」

 

「戦のない世を作りたい、というのはそなたの夢であろう?」

 

「はい。ですからその夢に向かって…」

 

「乱世では、夢や理想は塵と同じ」

 

「…え?塵と同じ…?」

 

「ああ。そうだ。そんな馬鹿げた理想など、早く捨ててしまった方がいい。…この乱世を生き抜く為にも」

 

謙信は穂乃果の心を折ろうとするかのように、罵声を浴びせ続ける。

 

「そもそも、戦のない世などかようにして作るのだ?」

 

「それは…」

 

「…分からぬではないか。それでも目指すというのか?」

 

「だって…!」

 

「だって…?ふざけるのも大概にした方がよいぞ。いい加減、叶わぬ夢を追っている自分の醜さに気付け」

穂乃果は言われたい放題だった。

 

夢を馬鹿にされ、そんな夢を持っている自分も馬鹿にされた穂乃果。私は穂乃果が泣いてしまうのではないか、と気が気でなかった。

 

全く…、見ている側の気持ちも考えて欲しいものである。

 

 

しかし、私の予想は大きく外れた。

 

 

「…私はやりますよ」

 

 

 

 

「何だと?」

 

 

 

「戦のない世を作って見せますよ…必ず」

 

 

 

この女はきっぱりと宣言した。あの謙信を相手に。穂乃果は戦国の波に揉まれ、予想以上に強くなっていたのだ。

 

 

「方法も分からぬというのに…!何故そう言い切れる!?」

 

「…さぁ?何ででしょうね」

そう言って穂乃果は少し笑う。

 

「…馬鹿めが」

 

「馬鹿で結構です。もう決めたことですから!それに…」

 

「…?」

 

 

 

「どうせ作るなら、絵空事でも、いくら馬鹿げていても…」

 

 

 

 

 

 

 

「戦のない世の方がいいじゃないですか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




閲覧お疲れ様でした。
短い方がやっぱりいいですかな?長い方がいいなら元に戻しますが。
短いと、投稿ペース上がります。楽なんで(←

まだまだ高坂は上杉とコラボし続けます。


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第九幕 盗聴

今回も短編になります。 嫌なら言ってくださいね。
さて、今回は家臣達がメイン!
ドタバタ騒ぎです。

どうぞ、ごゆっくり。


前回、評価して下さったばんぱいあさん、ありがとうございました。





[chapter: 第九幕 盗聴 ]

 

 

 

「同盟は結べませんね」

 

 

 

 

「「何をぉぉぉぉぉぉおお!!?」」

 

 

さて、開幕絶叫でお送りしていきます。

 

 

「ちょ!絵里ち、海未ちゃん!うるさいで!!聞こえてまうやろ!?」

 

「いいえ!!それどころではありません!!穂乃果が斬られてしまいますぅぅ!!」

 

「あー、もう!うるさい!ちょっと落ち着きなさいよ!!」

 

「そうよ、海未。お、おお落ち着きなさい?」

 

「絵里が賢くないにこ…」

 

 

穂乃果と謙信が対談中の客間前。そこでこんな馬鹿騒ぎをしているのは勿論、高坂の家臣達である。(七幕参照)

 

 

「でもまさか、同盟を蹴るなんてね…」

 

「それも、謙信からのをよ?」

 

「肝が座ってるなぁ…。うちらの御屋形様は」

 

「さっき真姫が言ったように、何か裏があるとしても…」

 

「同盟を結ばないなんてねー…」

 

高坂家臣達は穂乃果なら同盟は簡単に結ぶものだと思っていたようだ。

 

「そいで、海未ちゃん?ちょっとうるさいで?」

 

「はっ!?私、騒がしかったでしょうか!?」

 

「ええ。凄いうるさいわよ?…行動がね」

 

海未は腕を振り回し、目を回しながら城の廊下をあっちこっち走り回っていた。

 

…漫画でしか見たことがない光景だ。

 

 

「あはは…。海未ちゃんは穂乃果ちゃんのこととなると凄いからね」

 

「凄すぎるわよ」

 

「チ、チカァ…」

 

「絵里ち〜?ポンコツゾーンに入ったらあかんで?」

 

 

 

高坂家の軍師2人はメンタルが弱いようです。

 

 

 

「あ!海未ちゃん!!鼻血が!!」

 

「ほぇぇ…?」

 

 

——しかもまさかの両方の穴から——

 

 

海未の顔の下半分は一瞬にして血の色で染まった。

 

「う、海未ちゃんっ!!」

 

「ぁぁあ…。わ、私は死ぬのですね…」

 

「海未ちゃん!!死んじゃダメにゃぁあ!!」

 

「いや、死なないから」

 

 

 

「高坂の終わりチカァ…」

 

「絵里ち〜?一回落ち着こか?」

 

「賢いエリーチカはどこへいったのよ!!」

 

 

「賢い可愛いエリーチカァ♪」

 

 

 

 

 

——衝撃——

 

 

 

 

 

「あーあ、絵里ちが壊れた。にこっち?どうしてくれるん?」

 

「ぬぅあんでにこなのよ!!」

 

 

 

 

穂乃果と謙信が真剣に対談している間、お外ではこんなことがおきていたのだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…で、どうしよか?」

 

 

高坂家臣達は大広間に集まった。…ポンコツ2人を除いて。

 

議題は勿論、今後の上杉と高坂の関係について。 今回の穂乃果の無礼は、下手をしたら戦ものである。

 

 

「どうするもこうするもないでしょ?戦よ、戦。まぁ私は受けて立つけど」

 

「真姫ちゃん…。縁起でもないこと…」

 

「いいんじゃない?戦でも。にこの騎馬隊に任せなさい!」

 

「…にこっち、死ぬで」

 

「絶対死んじゃうにゃ」

 

「ぬぅあんでよ!!」

 

恒例のくだりである。(第二幕参照)

 

「でも、仮に上杉が何かを企んでいたとしたら…。穂乃果の判断は正しかったことになるわ」

 

「そうだね。さっき話してたみたいに、上杉さんが高坂を滅ぼすためにとった手段が同盟なら…」

 

「真正面から上杉とぶつかれるだけましっちゅうことやな」

 

「ええ。背後から攻められるより、絶対正面の方が勝ち目があるからね」

 

「それじゃあ策を考える必要があるにゃ」

 

「それは勿論。ポンコツ達が復活したら3人で考えるわ…。毘沙門天討伐の策をね」

 

「それじゃあ凛は上杉に潜りこんで来たほうがいいかな?」

 

「お願い出来る?…でも無理はしないで」

 

「分かってるって!真姫ちゃんは何だかんだ優しいことも!」

 

「は、はぁ!?何いってんのよ!!」

 

「真姫ちゃん、照れんでええって♪」

 

「別に照れてなんかないわよっ!!」

 

真姫の顔は真っ赤である。トマトのようだった。

 

 

 

「そんじゃ、うちは絵里ちを直してくるけど…。ことりちゃん、海未ちゃんお願い出来るか?」

 

「大丈夫!任せておいて♪」

 

「真姫ちゃぁん!にこと遊ぼ「遊ばないから」

 

「ぬぅあんでよ!!このにこにーが折角遊んであげるって言ってるんですけど!?」

 

「誰も頼んでないんですけど?」

 

「はぁ!?いいじゃない!にこまきするわよ!!」

 

「しないから」

 

「ぬぅあん「うるさいから。私は策を考えなきゃダメなの。分かった?」

 

「にこぉ…」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

一方、対談の終わった客間には1人、謙信が残されていた。

 

 

「戦のない世界…」

 

 

「そんなもの…!!」

 

 

「とっくの昔に…!!」

 

 

謙信は物凄い勢いで立ち上がる。

 

 

 

「高坂穂乃果…。そなたともう少し早く逢いたかった…」

 

 

 

謙信は誰もいない部屋にそう言い残し、客間から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで見ていただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
何かありましたら、遠慮なくどうぞ。

まだまだ謙信コラボ続きます。


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第十幕 過去

《警告》
今回は全くラブライブ!のキャラクターは出演しません。
謙信オンリーとなっております。
しかしながら、この回は今後の展開にどうしても必要なものですので、ご了承下さい。


今回は史上最強の駄作になっております。

作者自身も何を書いてるのか意味不明です♪

それでもよい方は、どうぞごゆっくり謎解きをしていって下さいませ。


しょーくんだよ!さん、感想ありがとうございました。





 

 

「景虎様、新・上杉家の当主としての挨拶と、意気込みを」

 

春日山城・大広間では、上杉家第6代当主となった上杉景虎(後の謙信)の挨拶が行われていた。重鎮達が勢揃いし、それはもう凄い雰囲気である。

 

 

「えー…。この度、上杉家第6代当主となりました上杉景虎にございます」

 

あちこちから拍手が沸き起こる。

 

「この上杉景虎、上杉家を更に大きくすると共に、天下統一を目指して日々精進していく所存でございます。そして…」

 

謙信は1つ咳払いをし、城全体に響き渡るような大きな声でこう宣言した。

 

 

 

 

 

「戦のない世を私が作ってご覧にいれましょう!!!」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第十幕 過去

 

 

 

 

「景虎様…いえ、殿。素晴らしい挨拶にございました」

 

挨拶を終えた謙信は、散歩しようと側近の鬼小島弥太郎を連れて城下町へ繰り出していた。

 

「そうか?それならば良かった」

 

「戦のない世を作ろうとは…。さすが景虎様にございます」

 

「私の夢だからな。戦のない世界を見ることは。…弥太郎、お主はついてきてくれるか?」

 

「勿論にございます。この鬼小島弥太郎、どこまでも景虎様についていきまするぞ!」

 

「それは良かった。これからもよろしく頼むぞ」

 

「殿に手出しをしようとする者、拙者が捻り潰して見せます故、どうぞご安心を」

 

この弥太郎は筋肉ゴリラとしても有名な武将であり、武田の猛犬を片手で絞め殺したという武勇伝もある最強のボディーガードなのである。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

その頃、大広間には上杉家の家臣達が集まり、ちょっとした会議が開かれていた。

 

 

「…さて。景虎様が殿になったわけだが…」

 

「まさかあんな馬鹿げたことを申されるとは…」

 

「全く…。期待していただけ失望したわ」

 

「戦のない世を作る…。無謀にもほどがある」

 

 

そう、その会議とは謙信が掲げた「戦のない世を作る」という目標についてだった。

 

表向きではその考えに賛同した家臣達であったが、裏ではほとんどの家臣…というか側近の弥太郎を除いた全ての家臣が反対派であった。

 

 

「いかがする…?」

 

「知らぬ。上杉はもうお終いじゃ」

 

「天下統一でも難しいというのに…」

 

「更に戦のない世を目指すとは。まことに変なお方だ」

 

「とりあえず、今の殿についていってみましょう…。それが適策であろう」

 

家臣達は表向きでは今の謙信に従うことにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「戦のない世を作る」というものを掲げた謙信率いる上杉家。

その後6年間は大きな戦もなく、今の目標のままでも問題はないかと思われた。

 

 

 

しかし、家臣達は我慢の限界だったのであろう、この平和ボケした上杉家を変える為に行動にでた。

 

 

 

「…私達はよく我慢しました。今ここで行動を起こしても何も問題はないかと」

 

「左様。全家臣、そう思っていることであろう」

 

 

 

 

「謙信様を交え、会議を開きます」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…殿。戦のない世を作る、という目標のもと、6年間やって参りましたが…」

 

「あぁ。今も特に戦はなく、平和でよいではないか」

 

「…天下統一の目標はいずこへ?」

 

「…私は自ら戦を仕掛けようとは思わぬ。戦のない世を作るといっている者が戦ばかりしていてはいかぬだろう?」

 

「…それではお聞きしますが、殿は戦をせず、かようにして戦のない世を作るおつもりで?」

 

「それは…」

 

その質問は謙信が穂乃果にしたものとほぼ同じ内容だった。

 

「分からぬではありませんか…。それならばいい加減止めに致しませぬか…?」

 

「それは出来ぬ。戦のない世とは私の夢だからな」

 

 

 

「乱世では夢や理想は塵と同じ」

 

 

 

「…何だと?」

 

「そのままの意味です。この乱世、生き抜く為には夢など追っている暇はないのですよ…?」

 

「私の夢が塵だというのか!?」

 

「…ええ。殿の夢は塵と同じなのです」

 

定満はきっぱりと言い切った。

 

「…」

 

「今、上杉はそんな夢を追っている程余裕はありませぬ。隣国に戦を仕掛け、勝ち残っていくのが我々の役目にございます」

 

「…知らぬわ。上杉の目標はあくまで戦のない世を作ること…。それ以外は認めん」

 

謙信はそう吐き捨て、大広間を後にした。

 

どれだけわがままな当主だったのであろうか。

 

 

「謙信様…」

 

「仕方ありませんね、宇佐美殿」

 

 

 

「最終手段にうって出ましょうか」

 

 

 

 

 

 

翌日、謙信は騒々しい叫び声により目を覚ました。

 

 

「…様!!謙信様!!」

 

「…?いかがしたのだ…。朝から騒々しい…」

 

「直江景綱が謀反を!!!」

 

「…何だと?」

 

この時、謙信の思考は停止していた。

 

「早くお逃げ下され!!早く!!」

 

謙信は弥太郎に言われるがまま、部屋を出て逃げようとした。

 

ふすまに手をかけ、乱暴に開け放つ。

 

 

しかし、退路があるべきその場所は1つの障害物によって封鎖されていた。

 

 

 

「宇佐美…!!」

 

「どこへ行かれるのです?…殿にはここに居てもらわねば」

 

「邪魔だ!!今すぐそこをどけ!!」

 

「それは無理な願いです。なんせ私は…。いえ、私を含め、鬼小島殿以外の家臣は皆、直江軍についているのですからね」

 

謙信は驚愕の表情を浮かべ、全身の力が抜けたようにふらふらのその場にへたり込む。

 

 

「これが私達家臣の答えですよ…?」

 

へたり込んだ謙信を見下し、蔑むような声で言う。

 

「家臣もまともにまとめられないような人が、戦のない世界を作ろうなんて語るとは…」

 

 

 

「非常に滑稽な話ですね…?謙信様?」

 

 

 

この言葉は謙信の決心を打ち砕くには十分すぎるものだった。

 

 

 

 

 

 

その後、この謀反は家臣達が謙信を変える為に行われた芝居であったことが分かり、謙信から特に刑罰は与えられなかった。

 

 

 

しかし、「謙信に夢を捨ててはならん」と最後まで言い続けた一番の側近・弥太郎が謙信の命令により上杉家から追放されることになった。

それも、全ては謙信が変わってしまったからなのであろう。

 

 

そして謙信は百戦百勝・常勝上杉を掲げ、その目標に恥じない様な戦を幾度と展開。

これにより、上杉の名は全国へ広まることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我は毘沙門天。

 

 

 

 

 

 

 

 

常勝上杉を率いる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——軍神なり——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




謎解きお疲れ様でした。

意味不明すぎて目は回ってませんか?無事ですか?

…次回は今回の分を挽回できるように頑張りますので、これからも宜しくお願い致します。


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第11幕 再会

謙信回は本当に疲れますね、ええ。
今回も基本謙信がメインです。しかしながら、今回はしっかりμ'sのメンバーも出てきますのでご安心を。…安心して下さい!出てきま(←

前回の分も挽回するとか言ったのですが、悪化する一方のご様子で。
まぁ頑張りますので、見ていって下さいな。


前回評価していただいた、Wadaikoさん、ありがとうございました。






 

 

 

『戦のない世を作ってご覧にいれましょう!!!』

 

 

——やめろ——

 

 

『私の夢なんだ』

 

 

——そんなもの——

 

 

 

『どうせ作るなら、絵空事でも、いくら馬鹿げていても…。戦のない世の方が良いじゃないですか!』

 

 

——私にはもう必要ない…!!——

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第11幕 再会

 

 

「…」

 

謙信は用済みとなった鹿嶋城を後にするため、廊下をスタスタと、時速約6kmという速さで歩いていた。

 

謙信がこんなにも早いスピードで歩いているのは、鹿嶋城にいると自身の記憶に封印した「夢」や「理想」が蘇ってくるからであろう。

 

 

(夢や理想は塵と同じ…。我は常勝上杉を作り上げた軍神…)

 

(上杉家の繁栄のため…。私の夢など必要ない…!!)

 

 

謙信は頭の中でひたすらこの言葉をリピートし続けていた。他の事など頭には入ってこないかのように。自らを戒めるかのように。

 

 

 

「謙信殿…。何かあったんやろか?」

 

「さぁ?新しい高坂討伐の策でも考えてるんじゃない?」

 

 

その為、高坂の家臣達が城内にて挨拶をしても完全にスルーだった。

 

 

 

 

(我は毘沙門天…。上杉家を率いる軍神なり…。家臣達を守る為、戦などいくらでもしてくれる…!!)

 

 

謙信の頭の中は完全に闇に包まれていた。

 

 

 

 

「謙信様…?」

 

 

 

しかし、その闇に一筋の光が差す。

 

 

 

「…っ!?」

 

「大丈夫にございますか…?」

 

「その声は…」

 

 

謙信に差した一筋の光。その正体は——

 

 

 

 

「亜里沙殿…か?」

 

 

 

 

 

 

「はい!絢瀬亜里沙にございます!」

 

その声を合図としたかのように、謙信は亜里沙へと駆け寄る。

 

「久しぶりじゃの…!!元気にしておったか!?」

 

「はい!私はいつでも元気です♪」

 

「…そうか!それは良かった…!!」

 

「何故謙信様はここに?」

 

「あぁ…。高坂殿と同盟を結ぼうと思うてな」

 

同盟という言葉を聞いて、亜里沙は目を丸くする。

 

「…!!謙信様は私達の味方をしてくれるのですか!?」

 

「そのつもりであったが…」

 

「?」

 

「高坂殿にふられてしまってな」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

さてさて、読者の皆様は混乱していることでしょう。なんで亜里沙と謙信が仲が良いんだ!!

そんなの認められないわぁ!! 俺の亜里沙を返せ!! チカァ!!!

 

 

まぁ、落ち着いて下さい。

 

 

 

「…何で亜里沙と謙信殿が仲良くしているのでしょうか?」

 

同じように思っている者が家臣の中にもいるようですから。

 

 

 

ん?その家臣とは誰か?気づきませんか?

 

 

 

その家臣とは…

 

 

 

 

高坂の妄想軍師……

 

 

 

 

 

 

——園田海未——

 

 

 

 

 

「????何故でしょう…?」

 

海未の頭上には無数のクエスチョンマークが浮かんでいた。

 

「…??あんなに仲睦まじく…」

 

 

「…ん?仲睦まじく…???」

 

 

「まさか…!!」

 

 

海未は何を思ったのか、全速力である場所に向かった。それも鬼のような形相で。

 

 

 

 

その目的の場所とは…。

 

 

 

 

「絵里っ!!!!」

 

「っ!!!!???」

 

 

絵里の身体は跳ねた。人は驚きすぎるとこういう反応をするのか。

 

「う、海未!?どうしたのよ!!びっくりしたじゃない!!」

 

「ああ…。申し訳ありません…って!!それどころじゃないんですよ!!」

 

「…?何?武田でも攻めてきたの?」

 

「亜里沙が…!!」

 

「亜里沙が…?」

 

 

 

 

 

 

「謙信殿と恋仲にあるようですっ!!!」

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

海未は顔を真っ赤にしてソレを叫んだ。

 

しかし、絵里の反応は薄く…というか、変なものを見るような目で海未を見つめていた。

 

「…え?何ですか?この温度差」

 

「海未?大丈夫?」

 

「いやいや、亜里沙が…」

 

「いやいや、何で亜里沙と上杉が恋仲なのよ。妄想も大概にしなさい?」

 

「しかし…。あちらで2人が仲睦まじく話しているのを見たもので…」

 

「いや、亜里沙は2年くらい前まで上杉の人質だったでしょう?」

 

 

「はぇ?」

 

 

「だから、亜里沙は上杉にいた時に、謙信殿にまるで娘のように仲良くしてもらってたの」

 

「…」

 

「…凄い早とちりだったわね」

「…ぁぁぁああ」

 

海未は顔を手で覆うようにうなだれた。

 

「海未…。最近おかしいわよ?」

 

 

 

いや、お前が言っちゃだめだろう。エリーチカよ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「…え?」

 

「穂乃果殿にふられたのだ…。2度も言わせるな」

 

「え…?何故ですか…?」

 

「…志が違う者とは同盟は結ばぬそうだ」

 

「志って…。穂乃果さんと謙信様は同じ志をもつ同士ではないですか!」

 

「…」

 

「謙信様は戦のない世を作るって…。幼き私によく語ってくださったではないですか…!!」

 

「うるさい…」

 

「穂乃果さんも同じはずなのに…!!」

 

「黙れ…」

 

「それなのに何故!!」

 

「ええい!!黙らぬか!!」

 

「っ!?」

 

「亜里沙…。私は変わったのだ…。そんな夢物語などとっくの昔に捨てたのだ!!」

 

「…謙信様!?それってどういう…」

 

「…邪魔をした」

 

「謙信様!?」

 

 

謙信は再び止めていた足を動かした。

 

亜里沙から遠ざかっていく謙信の背中からは何とも言えぬ寂しさが漂っていた。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

「殿、お戻りになられますか?」

 

「あぁ。早く出してくれ…」

 

ついてきた家臣は何かを感じとったのか、首を傾げながら謙信に尋ねる。

 

「殿?…どうかされました?」

 

「…どうもせぬ。早う出せ!!」

 

「…承知」

 

家臣は謙信の乗る馬を引っ張り始める。

 

 

しかし、その歩みはある者に阻まれ再び止まった。

 

 

「…何をした。何故止まる」

 

「…殿。あれを」

 

「あれ…?」

 

家臣の指差す方向を見る。

 

 

「……!?」

 

 

「謙信様…。お久しぶりでございます」

 

 

 

「お前…!!」

 

 

 

 

 

 

その謙信達を阻んだ物とは——

 

 

 

 

 

 

 

 

かつての謙信の側近

 

 

 

 

そして、夢を追い続けることを謙信に言い続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼小島弥太郎であった。

 

 

 

 




お疲れ様でした。
謎だったでしょう?? 謙信回は本当に何も浮かばぬ…。
次回も頑張りますのでよろしくお願いします。


海未ちゃん!誕生日おめでとう!!


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番外編 祝賀〜蒼海〜


ギリギリセーフ…。間に合いました…。
これはやらなければならないなと思ってやってやりましたよ。

…戦国関係ないけどいいよね?

それでは、どうぞごゆっくり。




 

 

今日は3月15日。

 

 

 

 

 

 

皆さんは何の日だか分かりますか…?

 

 

 

 

 

 

 

そう、この日は———

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん!お誕生日おめでとう!!」

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ 番外編 祝賀〜蒼海〜

 

 

 

 

 

「ありがとうございます、穂乃果」

 

「はい、これ!プレゼント!」

 

「…ぷれぜんと?」

 

「うん!誕生日にはプレゼントをするんだよ!」

 

「えぇっと…。そういう習わしがあるのですか?」

 

「うーん…。習わしかどうかは分からないけど、とりあえず誕生日にはプレゼントをあげるの!」

 

「はぁ…。それで、これがプレゼント…なのですね?」

 

「うん!」

 

穂乃果が海未に渡した物は、白い布に包まれた謎の物体だった。

 

「…これは?」

 

 

「お饅頭だよ!」

 

 

 

「お饅頭…!?」

 

 

 

「お饅頭」という単語を耳にした海未は白い布をすぐさま取りにかかった。

 

 

 

海未はお饅頭が大好きなのである。

 

 

 

 

お饅頭軍師だ。

 

 

 

 

「こ、これは…!!」

 

「そう…!!穂乃果特性の…!!」

 

ピカァァァア…!!海未が開いた布の中からは眩しいばかりの光が放たれる。

 

 

 

…とまぁ、漫画ならば書くのであろう。

 

 

 

 

 

 

しかし、その中のモノとは光が溢れるどころか、何か饅頭とは異質の物だった。

 

 

 

 

 

「何ですか?これ」

 

 

 

「おまんじゅ…ってあれ?」

 

 

「これが、お饅頭なのですか?」

 

 

「…あはは。ちょっと失敗しちゃった」

 

 

その饅頭は、形はぐちゃぐちゃであんこは饅頭の各地から溢れ出ている。

 

これは饅頭というには少し無理があるレベルだった。

 

 

 

 

—というか和菓子屋の娘はいずこへ?

 

 

 

 

 

 

「…嫌だった?」

 

 

「…」

 

 

海未はただ手の中にあるソレを見つめていた。

 

 

「ごめんね…?もう少し上手く出来たのを渡したかったんだけど…」

 

 

「…いえ、とても美味しそうです」

 

 

「…え?」

 

 

海未は饅頭を口に運ぶ。そして、ゆっくりと味わう様に顎を動かす。

 

 

「…」

 

 

ゴクリと音を立てた海未の喉。

 

 

「…どう?」

 

 

海未は穂乃果の問いかけに答える様に笑顔を見せ、余った饅頭を口に運ぶ。

 

 

 

 

「…ご馳走様でした」

 

「…」

 

「穂乃果…。とても美味しかったですよ」

 

「本当?」

 

「…私が嘘をついた事がありますか?」

 

そう言って、海未は穂乃果に優しく微笑む。

 

 

「最高のお饅頭でした。今まで食べたお饅頭の中で一番美味しかったです」

 

 

「でも形が…」

 

 

「形なんでどうでもいいんです!…まぁかなり衝撃的な形でしたけど…」

 

「ほらぁ!やっぱり汚いって思ってたんじゃん!!」

 

「しかし、形よりも大切な…。いえ、一番大事な物は入っていたと思いますよ?」

 

 

「…?」

 

 

 

 

 

「穂乃果の愛情が」

 

 

 

 

 

 

うわぁ、出ました、イケメン。

 

 

 

惚れてまうやろぉぉぉお!!…と叫ばせて下さい。

 

 

 

「なななっ!?」

 

 

「…?何かおかしなこと言いました?」

 

 

「…たまにそういうこと平気で言うからタラシなんだよ、海未ちゃんは」

 

 

「えぇ!?何でそうなるのです!?」

 

 

「…でも、ありがとう!海未ちゃん!」

 

 

そう言って、穂乃果は海未に飛びついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「愛情がね」

 

 

「止めてくださいっ!!」

 

 

「一番大事な物は入っていたと思いますよ?」

 

 

「ですから!!」

 

 

「「穂乃果の愛情が」」

 

 

海未は顔を赤くして、崩れ落ちた。

 

 

「いや〜、本当海未ちゃんはさすがやね〜♪」

 

「愛情とか普通に言えるあたりが凄いわね」

 

「海未ちゃんかっこいいにゃ〜!」

 

 

「はいはい、お遊びはそこまで!今日は海未の誕生日のお祝いよ?それなのに主役をそんなにいじってどうするの」

 

 

そう、ここは海未の誕生日パーティーの席。先程の穂乃果とのやり取りを希が見ていたらしく、例のごとく海未をいじって遊んでいたのだ。

 

 

「よいしょっと…」

 

「ことり?…って凄いわね、それ」

 

「うん!海未ちゃんの誕生日だから頑張っちゃいました♪」

 

「…頑張りすぎよ。どうやって食べるのよ!これ!!」

 

ことりが作ったものとは、縦約1メートル30センチ、横約50センチ程の巨大なチーズケーキだった。

 

 

 

でかすぎる。

 

 

 

 

 

 

そのパーティーを見渡してみると、あちこちにご馳走が。肉に始まり、野菜はもちろん、魚にマカロン。

 

これは全てことりが用意したものだという。

 

お見それしました。

 

 

 

 

 

「みんな〜!ジュース渡ったー?」

 

「「はーい!」」

 

「今日の飲み物はね!東京の花陽ちゃんが作った果物をミックスした特性ジュースだよ!」

 

「わざわざ花陽が送ってくれたの。みんな、感謝して飲みましょう」

 

 

花陽は稲作の他に、果物も栽培している。

城作りの合間合間に農業をしているという。

 

 

 

「じゃあみんな!コップを持って!」

 

その合図で皆がコップを持つ。

 

「それじゃあいくよ!」

 

 

 

「海未ちゃん!!」

 

 

 

 

「「お誕生日おめでとう!!」」

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
3/15といえば!海未ちゃんですよね!
ってことで流れで書いたのですが…。無茶苦茶なところもあると思いますが、見なかったことにして下さいませ。

海未ちゃんお誕生日おめでとう!


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第12幕 理想


やっぱり、1話が短いと楽でいいですね。集中しやすくて素晴らしいです。

《注意》
今回も謙信回です。本当に申し訳ありません。
どうしても必要な回なんです。認めて下さい。

基本、展開とかは思いついたまま適当にやっているので、何かおかしい部分がありましたら教えていただけると幸いです。


それでは、どうぞ。






 

 

 

 

 

「謙信様…。お久しぶりでございます」

 

 

「お前…!!」

 

 

「覚えておいでですか?」

 

 

「それは…」

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第12幕 理想

 

 

 

 

「謙信様のかつての側近…。鬼小島弥太郎にございます」

 

 

「…何故お前がここにいる?」

 

「拙者は高坂の領地にて稲作をしております故」

 

 

弥太郎は謙信に捨てられた後、高坂に拾ってもらい、その領地で農業に勤しんでいるという。

 

 

「…お主も落ちぶれたな」

 

 

「謙信様に言われたくはありませぬ」

 

 

「…っ!?」

 

弥太郎はしてやったりという様な笑みを浮かべる。謙信にこういう口がきけるのも長年側近を勤め上げたからなのであろう。

 

 

「謙信様…どうかされたのですか?」

 

「…どうもせぬわ」

 

「しかし、謙信様のその顔は何かに追い詰められている時の顔にございます」

 

「…全てを見透かしたように言いおって」

 

「何年貴方の側にいたと思っているのです?」

 

 

 

「そこをどけ」

 

 

「嫌です」

 

 

「…どけ。命令だ」

 

 

「私には謙信様の命令に従う義務はありません故」

 

「…斬るぞ?」

 

「いくらでも。貴方様のお気に召すまで」

 

 

弥太郎は断固として謙信の前から動こうとしない。その巨体で仁王立ちをし、謙信が通る道を完全に塞いでいた。

 

 

「…何故私に関わる?お主にはもう関係なかろう」

 

「関係ありますぞ」

 

「…ないだろう」

 

「謙信様は高坂を攻めるおつもりでしょう?さすれば、私達農民にも被害が及びます。関係大ありにございます」

 

「何故そう思う?」

 

「何故って…。全て顔に書いてあります」

 

そう言って弥太郎は豪快に笑う。その笑いは全てを吹っ飛ばすかのような勢いがあった。

 

 

「そうか…。なら私の計画を全て当ててもらおうかの?顔に書いてあるなら分かるであろう?」

 

「容易いことです」

 

「…ただし、外したらもう私に関わるな。そして今すぐ目の前から立ち去れ。良いか?」

 

「なら拙者からも。謙信様の計画を当てることが出来たなら、拙者の話を聞いて下さいますか?」

 

「勿論。…当てられたらの話だかな」

 

 

すると、弥太郎は謙信の顔をまじまじと見始めた。穴が空いてしまうのではないかと思うくらいのものだった。

 

 

それから30秒経ったであろうか。

 

 

「分かりましたぞ、謙信様」

 

「…。ただ顔を見ただけで分かるならそんな楽なことはなかろう?」

 

 

「それでは話していきますが…。覚悟はいいですか?」

 

 

「…あぁ」

 

 

弥太郎はその大きな手から人差し指を1つ立て、語り始めた。

 

 

「まず、貴方様が高坂領に来たわけから」

 

「謙信様は穂乃果様に同盟を結びに来ましたね。わざわざ自ら出向いて」

 

「自ら出向いたのは、確実に同盟を結ばせるため。軍神、毘沙門天と恐れられたその名を後ろだてにして」

 

「確実に高坂と同盟を結ばなければならない訳…。それは高坂討伐の策にございましょう?…大方、宇佐美殿が考えた策なのでは?」

 

「その策には、伊達も絡んでいるはずです」

 

「まず、伊達が高坂に攻め入る。戦が起こりますね。その戦に援軍という名で上杉が高坂側として参戦」

 

「しかし、その援軍というのは大きな罠で、実際には後ろから攻めるおつもりでしょう?伊達をおとりにして」

 

「高坂は味方である筈の上杉が寝返ったとなれば動揺などで総崩れ。これで上杉側の勝利。それと共に関東も手に入るわけです」

 

「どうです?ここまであっていますか?」

 

「…さあな」

 

その謙信の顔を見た弥太郎は再びニヤリと笑う。

 

「この戦…。拙者の勝ちのようにございます」

 

「…何だと?」

 

「謙信様は先程説明した策を実行する為、高坂に同盟を結びに来た。…穂乃果様が戦嫌いなのも知った上で。同盟は必ず結ぶとお思いになられたのでしょう?」

 

「…」

 

「しかし、穂乃果様は意外と強かった…。まずそこが第一の誤算でしょう?志の違う人とは同盟を結びたくないとか何とかおっしゃったのでは?」

 

「そこで、第二の誤算が起きます。穂乃果様が夢を語る姿を見て、記憶の奥底に封印した謙信様自身の夢が再び湧き出てくる」

 

「違う」

 

「…その感情を謙信様は必死になって抑えようとしている。それが今でございましょう?」

 

「違う」

 

「何が違うのです?…残念ですが、謙信様の考えていることなどお見通しなのですよ?」

 

「…違う」

 

「…謙信様、いい加減自分に素直になったらどうですか?今のままでは辛いでしょう?」

 

「………!!!」

 

今の弥太郎の言葉が謙信の逆鱗に触れたのであろう、謙信は激昂し始める。

 

「何が分かる…!!お前に何が分かるというのだ!!」

 

「謙信様…」

 

「私だってな…!夢や理想を追いたかった!!何も考えずに、ただひたすらそれに向かって…!!」

 

「だがな。現実はそうはいかぬのだ。私は上杉家の当主だ!!家臣達を守る義務が私にはある!!」

 

「そんな夢や理想の為だけに…。家臣達や農民達を危険に晒すわけにはいかぬのだ!!」

 

「ましてや家臣達は皆、昔の私にはついてこなかった…!それはお前も見ていたであろう!?」

 

「それは…」

 

「私は軍神として…!!毘沙門天として!!上杉を守っていかなければならぬのだ!!」

 

「そんな簡単に夢や理想を語れる身分じゃないんだよ!!」

 

 

そう言った謙信の目からは溢れるものがあった。

 

 

 

ソレは夢破れた謙信の無念さや、悲しみが全て詰まったものであった—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
今回も謙信様ということで…。次回も謙信様かな?でもμ'sのみんなも出せると思いますので、お楽しみに。

基本毎日更新を心がけておりますが、明日は少し忙しいので多分休みます。ご了承ください。


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第13幕 討伐

2日サボらせていただきました、ええ。
待っていた人はいないはずですので、大丈夫かと(←

仮にお待ちになられていた方がいるのであれば、申し訳ありませんでした…。

今回は久しぶりにμ'sのみんなが登場!
やったぜ。




 

 

 

「さて…。上杉討伐の策を考えたいわけだけど…」

 

「どうする?みんなに集まってもらう?」

 

「軍師としては不本意ですが…。そちらの方が良い策が出ることも多いですし…」

 

 

「それじゃあ集まってもらいましょうか」

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第13幕 討伐

 

 

 

謙信が弥太郎と奇跡的…な対面をしていた頃、鹿嶋城では上杉討伐の計画が始動しようとしていた。

 

 

 

 

「…上杉さんを倒すの?」

 

 

「はい。今の状態ですと、上杉が攻めてくるのは確実でしょう」

 

「だから用意周到…ってことで、今から策を考えてしまおうってわけ」

 

穂乃果、そして家臣達は軍師達の呼びかけにより、大広間に集められていた。

 

 

「大方、上杉側は計画が崩れて少しは動揺があるはず…。そこをつくわ」

 

「計画って…?」

 

「あぁ、穂乃果は知らなかったわね…」

 

「まあ、計画って言うてもうちらが勝手に推測しただけやねんけどな?」

 

「上杉は高坂討伐の策として、同盟を結びにきたのではないかって私たちで話していたの」

 

「上杉側からしたら、高坂と同盟を結ぶことへのメリットは全くありませんからね」

 

「同盟を結んで、高坂が戦をするってなったら、援軍を出すふりをして背後から攻めてくるつもりなんじゃない?」

 

「へぇ…。上杉さんも凄いこと考えるんだね」

 

戦国時代とはそういうものですからね。

 

 

「それで…。対上杉の策を考えようってわけだけど…」

 

 

 

 

「でもさ…」

 

 

 

 

絵里が本題に入ろうとするが、穂乃果が割ってはいった。

 

「…?どうかしました、穂乃果?」

 

「…謙信さんは本当にそんなこと考えていたのかな?」

 

「「は?」」

 

家臣達は一斉に聞き返した。まあ無理もないだろう。

 

「いや、だからね?穂乃果、直接話してたわけだけど…。そんな裏があるようには思えなかったんだよね」

 

 

「いや、それはそうでしょ。裏があるってバレたら終わりだもの。それ位普通よ」

 

「そうじゃなくて!何か…」

 

「何か…?」

 

 

 

「何かに悩んでるみたいだったの」

 

 

 

「悩んでるですって?あの上杉が?」

 

「うん。勘違いかもしれないけど…」

 

「…一体どういうことですか?」

 

「いや、目がね…?」

 

 

「「目??」」

 

 

 

 

 

「目が…そういうんじゃなかった…」

 

 

 

 

 

 

 

「具体性がゼロですね」

 

「ええ。ちょっと私には理解出来ないわ」

 

「意味ワカンナイ…」

 

「えぇ!!?」

 

「うーんとね?穂乃果ちゃん?」

 

「目…。スピリチュアルやね」

 

 

家臣達は皆ピンときていない模様。というか普通に考えて、あんな説明でピンと来る人はまずいないだろう。

 

 

「みんな酷い…」

 

「いや、それはそうでしょ。謎なんだもの」

 

「でも、何かあるのかも…?」

 

「そうですね。目は口ほどに物を言うともいいますし」

 

「現場にしか分からない何かってやつやんね」

 

「…どちらにしろ、上杉は天下を獲るためには遅かれ早かれ倒さなければならない相手。上杉に裏がないとしても、戦はするわよ」

 

「そうね。エリーの言う通りよ。やるしかないわ」

 

「そうだね…。やらなきゃやられるんだもんね、この時代は…」

 

「それじゃ…策をたてるけど、何かいい案がある人は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

 

 

 

 

再び、絵里が本題に入ろうとすると邪魔がはいる。

 

 

「…何なのよ。もう…」

 

「どうかしたの?」

 

「星空軍より伝令!」

 

「凛達から…?」

 

 

 

「武田信玄が……!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「謙信様…。やはり辛かったのではないですか…」

 

「…」

 

謙信はその涙を拭う。

 

「…仕方なかろう。私はお主には分からぬ物を背負っているのだからな」

 

「…しかしながら、すべて1人で背負ってしまうのは、謙信様の悪い癖にございますよ?」

 

「…」

 

「まぁ、良き相談相手を貴方は手放してしまった故、仕方のないことでしょうが」

 

「嫌味か?」

 

「そりゃあもちろん。上杉の側近からそこら辺の農民になってしまった人の身にもなって下さいよ」

 

「ははは…。悪い事をしたな」

 

「本当ですよ…。全く」

 

弥太郎は1つため息をついた。

 

「…私はもう戻らねばならぬ。失礼するぞ」

 

「それじゃあ1つ言っておきます」

 

「…?」

 

「貴方との勝負に勝ちました故、謙信様は聞く以外の選択肢はありませんよ?」

 

「分かったから早う喋れ。…急いでいるのだ」

 

弥太郎はその身体には似つかないような優しい笑顔で、謙信に言った。

 

 

 

「拙者は、いつまでも待っております…。謙信様が夢見ていた時代が来ることを。そして、謙信様が拙者の事を再び側近として置いてくれることを…」

 

 

 

「農民の分際で何を言うか」

 

「…謙信様。口が悪くなられましたな」

 

「…冗談だ。感謝するぞ、弥太郎」

 

「ええ。見返り、期待しております」

 

「たわけ!お主ももう少し言葉を慎め」

 

「はははっ!いつもの謙信様に戻られたようで。何よりでございます」

 

「…失礼する」

 

「…はい。道中お気をつけて」

 

 

 

弥太郎と謙信が感動的…な別れをし、謙信がその場から去ろうとした時だった。

 

前方より、1人の上杉の家臣が駆けてくる。

 

 

 

「あぁ…!!謙信様!!早く越後にお戻り下さい!!」

 

 

「何事だ…。誰か謀反でも起こしたか?」

 

 

「…どうかされたのですか?」

 

 

「知らぬ」

 

 

「大変なのでございます…!!」

 

 

その家臣は物凄い血相でそう叫ぶ。

 

その顔を見た謙信もただ事ではないと察する。

 

 

「…何だ。早う申せ」

 

 

 

「武田信玄が……!!!」

 

 

「「信玄が…?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上杉領へ約25000の軍勢で攻めてまいりましたぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

また出ました、武田信玄。この話ではすっかり悪役として定着してしまいましたねぇ…。

ちょっと今回はあんまり良くなかったかな?何かいい感じに仕上がったとは思えず…。

…次回もよろしくお願いします。



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第14幕 陰謀


今日はサボった分とりかえしましたよ〜♪
内容はどうかは知りませんが…。

今回は残念ながらμ'sのみんなは出てきません…。ですが、出てこないのはこれが最後だと思うので、堪えてください(何を

因みに今回も謎ですので、謎解き頑張って下さい。

ということで、ごゆっくり。


しょーくんだよ!さん、有り難い感想ありがとうございました。

誰か分かりませんが、評価をしていただきました。ありがとうございました。




 

 

「それでは行ってくる」

 

「行ってらっしゃいませ。いい報告をお待ちしております」

 

「任せておけ」

 

 

 

 

 

「…いきましたな」

 

「ええ。完璧すぎて笑いがでますよ…」

 

「渋るかと思ったのだが…。快諾でしたなぁ」

 

「普通、当主自身で同盟を結びに行きませんよ…。やはりあのお方は根っからの大馬鹿者のようだ」

 

「…そうですな、宇佐美殿」

 

「さて…。計画を遂行しますか…直江殿?」

 

「ええ。毘沙門天もこれでおしまいだ」

 

「私達、家臣の勝ちです…」

 

 

これは、謙信が鹿嶋に向かった後の上杉家の話————

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第14幕 陰謀

 

 

 

 

「…謙信様を討ちましょう」

 

 

 

「「は?」」

 

 

 

それは唐突におこった。

宇佐美定満が主導となり、上杉謙信を討とうというのだ。

 

 

「皆さんも謙信様には頭を抱えているのでしょう…?違いますか?」

 

「確かにそうだが…。しかしなぁ…」

 

「討つ、となるとかなり話は別だ」

 

「実際、上杉をここまで大きくしたのは謙信様です故…」

 

しかし、その計画も最初はあまり評判は良くはなかった。渋る者が多く、ソレは難航するかに思えた。

 

 

「…謙信様には十分仕事をしてもらった。これからは私達家臣の時代だ。私は宇佐美殿の話に乗らせていただくぞ」

 

 

「これは、直江殿…。話が早い」

 

 

「直江殿…!?まさかお主が真っ先に寝返り計画にのってしまうとは…」

 

「皆さんは何故そんなに渋るのです?何か問題でもあるのですか?」

 

「何故って…。仮にも謀反だぞ?罪を犯すのは…」

 

「そうだな」

 

「ああ。罪人にはなりとうない」

 

 

家臣達は罪人になる事を恐れていたようだ。確かに、謀反を起こすというのはそんな簡単に出来ることではない。

 

 

「はははっ…。貴方達は馬鹿ですか?」

 

定満は見下すような表情をし、人差し指をこめかみ辺りに当ててそう言う。

 

「「何だと…!?」」

 

「罪人になりたくない…ですか?」

 

「あぁ、そうだ。進んで罪人になる奴の気が知れないね」

 

「なりたくないなら…。ならなきゃいいではありませんか」

 

「…は?」

 

「貴方達は世論というものを知っているか?」

 

「世論…?」

 

 

 

 

「そうです。私達家臣が全員寝返れば…。謙信の味方をする人はいますか…?」

 

 

 

 

この一言で、家臣達の目が変わった。

 

「…そうか!全員が寝返ってしまえば…!」

 

「誰かが罪に問われることはない!」

 

「…ようやくお気づきになられたようですね」

 

 

「それではもう一度お聞きします…。この計画、皆さんはやりますか?」

 

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

上杉家家臣は、宇佐美定満のもと謙信討伐を目標に結束した。

 

 

 

 

「それでは、対毘沙門天の策を説明しましょう」

 

謙信が寝てしまった夜中に、その計画はこそこそと行われていた。

 

 

「まず…謙信を越後から出すために、高坂討伐の策というのを口実に謙信に鹿嶋城へ行ってもらいましょう。同盟を結んでほしいとか言ってね」

 

「…謙信様がそれを承諾するでしょうか?」

 

「五分五分でしょう。半分は運任せですが…。最悪無理矢理押し切りますよ」

 

「…そこは実力行使なんだな」

 

「謙信がいなくなった後、武田にその情報を流します…。上杉謙信が城にいない…と」

 

「…するとどうなるのだ?」

 

「攻めてくるに決まっているでしょう?この大きな機会を武田が逃すわけがない」

 

「…ってそれは大変ではないか」

 

「あぁ、確かに大変だなぁ…」

 

 

 

 

 

「武田が敵であれば」

 

 

 

 

 

「武田が…」

 

「敵であれば…?」

 

 

「どういうことだ?宇佐美殿。全く理解出来ぬのだが…」

 

「そのままの意味です。私達が、武田側につくのです」

 

 

「…何だって?」

 

「武田につく…というより、武田を利用する…といったところでしょうか?」

 

「…利用する?」

 

「ええ。武田と共に謙信を討ちます。そして、誰もいなくなった越後を私達で治める…。いかがでしょう?」

 

 

「いや、ちょっと待て。武田に越後は取られてしまうのではないか?」

 

「そのことなら心配はいりません。味方につく変わりに越後は我々によこせ、とでも武田に言いましょうか」

 

「武田がそんな話にのるわけがなかろう」

 

「いえ、十中八九のるでしょう。武田からしたら、上杉はどうしても滅ぼしたい相手…。今更領地とかそんなものはどうでもいいと思っているはずです」

 

「のらなかったらどうする?」

 

「…その時は一度武田につきましょうか。それで高坂辺りを利用して再び寝返り、武田を滅ぼす…。それの繰り返しでございましょう」

 

「…ここまで考えているとは」

 

「流石宇佐美殿だ」

 

「まぁ…それ位せねば、この計画は成功しませんからねぇ?」

 

定満は不気味に笑った。

 

「まこと怖いお方よ…」

 

 

「毘沙門天の泣き顔が楽しみですなぁ…」

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

その後は皆様に見ていただいた通りだ。全てが定満の計画通り。武田もしっかり攻めてきて、毘沙門天討伐計画はは順調に…。順調すぎるほどに進んでいた。

 

 

「宇佐美よ、お主達に先鋒を任せるが…。良いか?」

 

「ええ。光栄にございます…。信玄様」

 

「まさか上杉家臣全員が寝返るとは…」

 

「…それくらい謙信には手を焼いていたんですよ。今日で謙信も終わりです」

 

「ああ、そうだな。頑張ってくれ、宇佐美よ」

 

「承知」

 

 

 

 

 

 

「宇佐美殿!しっかり頼むぞ。敵が少ないとはいえ、相手は一応謙信様だからな」

 

「ええ。分かっております」

 

 

「これが軍神の最期か…」

 

 

「そうですねぇ…」

 

「宇佐美殿、顔が不気味だぞ?」

 

「ははっ!いつものことでしょう?…楽しすぎて仕方がないのですよ。直江殿」

 

「お主が楽しいとは…。珍しいこともあるものだな」

 

「それでは行ってきましょうか」

 

「しっかりな」

 

「勿論…。ふふっ…」

 

 

(宇佐美ってこんなに気持ち悪かったか?長年一緒にいるが…。こんな宇佐美を見るのは初めてだ…)

 

 

そう、この時の宇佐美は長年の親友でも気持ち悪いと思うほど、凄い表情をしていたのだ。

 

 

 

「皆さん、準備はいいですか?」

 

 

 

「「オォッ!!!」」

 

 

 

 

 

定満は刀を抜き、振りかざして叫んだ。

 

 

 

 

 

 

「敵は春日山城にあり!!!」

 

 

 

 

 

 

 





謎解きお疲れ様でした。

いやー、やっちまいましたね。あの有名な台詞をこんな変な形で使ってしまった…。
とまぁ、史実通りにはこの話は展開していませんので、ご注意下さい。

謙信は本当に終わってしまうのか? 次回もお楽しみに。


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第15幕 出陣


上杉コラボが少し長すぎて嫌になってきてる方、安心して下さい、もう少しで終わりますよ、ええ。

あと少しで自分が書きたかったところが来るので、気合はマックスですよ。

ってことで、ごゆっくりお楽しみ下さい。

久々にμ's主体です。




 

 

 

 

「ええ!?」

 

 

「武田信玄が…?」

 

 

「上杉領に向かって進軍を始めたですって!?」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第15幕 出陣

 

 

 

 

「はい。星空軍によりますと、昨夜武田軍が挙兵したと」

 

武田信玄が上杉領へ進軍を始めたという話は勿論、高坂にも光の速さで届いていた。

 

「…ってことは、上杉はもうお終いってことじゃない!」

 

「ええ。謙信殿がいない今、上杉側には武田をしのぐことは不可能でしょう」

 

「じゃあ、にこ達が戦しなくてもいいってことね!」

 

「そうやんね。兵を使わずに上杉を倒せるとは…。やっぱり高坂は天に味方されてるんやな」

 

確かに、高坂家は幾多の戦を天の力を借りて勝ってきている。…というか、天が味方していなければ、高坂は滅亡していたであろう。

 

 

 

さすがは穂乃果。天候を操ることが出来るだけある。

 

 

 

「…じゃあ、謙信さんはどうなるの?」

 

「うーん…。捕らえられて殺されてまうやろなぁ…。残念やけど」

 

「そうね。信玄が謙信のことを生かしておくわけがないわ。謙信が城に到着し次第、捕らえるでしょうね」

 

 

「上杉もここまでですか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…?上杉もここまでってどういうことですか…?」

 

 

 

 

 

 

 

「亜里沙っ!?あなた何でここに…!?」

 

 

「…それより、上杉が終わりってどういうことですか?」

 

 

亜里沙は大広間の前をたまたま通ったところ、上杉の話が耳にはいってしまい、現在の状態に至る。

 

 

絵里からしたらこの話を一番聞かれたくなかったのが亜里沙であった。(第11幕参照)

 

 

 

「…何でもないわ。早く戻りなさい、亜里沙」

 

 

「嫌だ。お姉ちゃんがそう言う時って絶対何か隠してるときだもん」

 

 

少しの間、大広間が静寂に支配される。

 

 

「亜里沙ちゃん…?戻ろうか?」

 

それを見たことりが助け舟を出す。

 

 

「ことりさんのお願いでもこればっかりは…。ごめんなさい」

 

しかし、その舟も呆気なく沈没した。

 

 

 

「…どうしても聞くというのですか?」

 

 

「海未!!」

 

 

「はい。謙信様に何かあるのなら…」

 

 

「…分かりました。お話しましょう」

 

 

「止めて…!海未!!」

 

 

「お姉ちゃんは黙ってて!!」

 

 

「なっ……」

 

 

亜里沙の激昂に皆が驚いた。あの亜里沙が怒っている。あの、お姉ちゃんが大好きな亜里沙が。

 

 

 

私もびっくりだ。

 

 

 

「それでは、1つだけ聞いてもいいですか?亜里沙」

 

「はい」

「何故そんなにこの話が気になるのです?…何故そこまで謙信殿に入れ込んでおられるのです?」

 

「だって…。先程お会いした時の謙信様は何かおかしかったから…」

 

「…と言いますと?」

 

 

 

 

 

 

「私の知っている謙信様ではなかったのです」

 

 

 

 

 

「…どういうことでしょう?全く理解が出来ないのですが」

 

 

 

「何かに悩んでいるようでした…。あの謙信様は、あの頃の謙信様ではない…」

 

 

「あの頃の?」

 

 

「…そうでした。私も1つ穂乃果さんに聞きたいことがあるんです」

 

 

「……。うぇっ!?わ、私!!?」

 

突然の使命に変な声が出た穂乃果。人差し指指で自分の鼻を指し、心底驚いたような表情をしている。

 

アホ面とはこのことを言うのであろう。

 

 

「何故、穂乃果さんは謙信様との同盟を破棄したのですか?」

 

「ええと…。突然だね、亜里沙ちゃん」

 

「…答えて下さい」

 

鬼のような形相で穂乃果を威圧する亜里沙。こういう所は姉に似たのだろう。

 

「謙信さんと、穂乃果は目指す世界が違ったから…ね?」

 

「…そんなはずはありません!穂乃果さんが目指す世界は戦のない世ですよね?」

 

「う、うん。そうだけど…」

 

 

 

 

「ならどうして…!?謙信様も同じなのに…!!」

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

 

「それってどういうこと?亜里沙ちゃん」

 

「いや、ですから…」

 

 

 

「謙信さんが目指す世界は上杉が治める世界だ…って言ってたけど」

 

 

「え…?本当ですか?それ」

 

「うん。本当」

 

 

「そんな…!謙信様は諦めて…!」

 

「諦めた…?」

 

「昔の謙信様の夢…。それが戦のない世を作るというものだったんです」

 

 

 

 

「「!!?」」

 

 

 

亜里沙の話に家臣たちは驚きを隠せないようだった。

 

 

「え、えぇ!?あの謙信が…!?」

 

「戦のない世を目指していたことがあるっていうの!?」

 

 

「はい…。皆さんは信じられないかもしれませんが…。よく私に話してくれていたのです。戦のない世を必ず作ってみせる…と」

 

 

「…意外といいところもあるのね、上杉も」

 

「あはは…。今の感じからは全く想像できないけどね」

 

「あの謙信殿が戦のない世…ですか」

 

 

「亜里沙ちゃん、今の話は本当?」

 

「はい。嘘はないです」

 

「そう…」

 

 

穂乃果は少し考えこんだ。この穂乃果は真面目に物事を考えているときのそれである。

 

 

…いつもこれくらいして欲しいものだが。

 

 

 

「…穂乃果。援軍は出さないわよ」

 

「うぇぇ!?え、絵里ちゃん!?」

 

「どうせ貴女のことだから上杉に援軍でも出そうか考えていたんでしょう?」

 

「な、何で分かったの…?…はっ!!絵里ちゃんエスパー!!?」

 

「…意味わかんない」

 

「エリー!!それ私の台詞!!」

 

 

「普通に考えて分かるわよ。綺羅のときもそうだったもの」

 

「…」

 

「今ここで、上杉に援軍を出しても意味はないわ。同盟も結んでいないのに…高坂に全く利点がない。だから援軍は…」

 

 

「でも…」

 

 

 

絵里の猛攻に穂乃果は言葉に詰まる。大方援軍は出さないことになるだろう、と思っていた。

 

 

しかし、意外な人物が援軍を推薦する。

 

 

 

「…いいんじゃない?援軍。上杉を助けにいきましょう?」

 

「ま、真姫!?」

 

「真姫ちゃん…?」

 

 

「メリットとかデメリットとか…。世の中にはそんなことよりも大事なものがあったりするんじゃない?それに…。そんなこと気にしてたら人生楽しくないわよ?」

 

 

真姫は絵里に向かって微笑んだ。

 

 

「たまには利点とか関係なく、人の為に何かしてみるのもいいんじゃない?」

 

 

「真姫…。あなた…」

 

 

「まさか真姫が穂乃果に賛同するとは…。面白いこともあるものですね」

 

 

「へぇ…あの真姫ちゃんがねぇ…」

 

 

「たまにはええこと言うやん」

 

 

「たまにはって何よ!?」

 

 

「…どう?絵里ちゃん。どうしてもダメ…かな?」

 

 

「お姉ちゃん、お願い…!」

 

 

「…」

 

 

絵里は覚悟を決めたように息を長く吐く。

 

 

 

 

 

「皆の者!!これから高坂は上杉軍へ援軍に向かいます!!」

 

 

 

 

 

「絵里ちゃん…!」

 

 

 

 

 

 

「皆の者!!出陣じゃぁぁあ!!!」

 

 

 

 

 

 

「「オォォォォー!!!」」

 

 

 

 

 

鹿嶋城に決意の雄叫びが響き渡った。

 

 

 

 





いかがでしたでしょうか。今回は少しまとまりがなかったでしょうかね? まぁ、落ち着いて下さい。いつものことです。

高坂はようやく動きだしたようですね。頑張ってもらいましょう。


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第16幕 波紋

テンション上がってますね、ポッキーです。
今一番書きたい所があと少しでくるーー!!ってことで楽しいです。

今回はどうでしょう?いつもよりはまとまりがあるかなぁとか思ったり。なんで、楽しんでみて下さいませ。

それではどうぞ、ごゆっくり。

Wadaikoさん、ありがたいご感想ありがとうございました。





「みんなー!!準備はいい!?」

 

 

「「オォー!!」」

 

 

「じゃあ、これから上杉さんを助けにいくよ!時間がないから、飛ばしていくよ!!大丈夫!?」

 

 

「「オォー!!」」

 

 

「よし!じゃあしゅっ……」

 

 

「申し上げます!!」

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第16幕 波紋

 

 

 

 

 

「何!?武田が上杉領へ進軍を始めた!?」

 

「…これはまずいですぞ!!謙信様がいない上杉軍に武田に対抗出来るはずがありませぬ!!急いでお戻りを…!」

 

「そ、そうだな。急いで戻らねば…!!ということで弥太郎、失礼するぞ」

 

「はい。お気をつけて」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…ねぇ、伝令さん。今、穂乃果が決めようとしてたよね?何で邪魔するの?」

 

 

「い、いえ…。そういうつもりは決して…」

 

「ねぇ?」

 

 

穂乃果は怒っていた。見せ場を邪魔された恨みは深いようだ。

 

そもそも、一刻を争うこの時に、見せ場がどうこうとか言ってていいものなのだろうか?

 

 

 

 

「…で?どうしたの?」

 

 

「あ、はい。上杉の家臣達が武田についた…という情報が只今星空軍より入りました」

 

 

 

「…え?」

 

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!!い、今なんと…!?」

 

「うーん、うちの耳がおかしいんやろか…?」

 

 

 

「…上杉全家臣が武田についた、と申しました。要するに、上杉家に残ったのは謙信ただ1人でございます」

 

 

 

「…な、何ですって!?」

 

 

「それはつまり…」

 

 

「寝返ったってことじゃない!?」

 

 

高坂軍に衝撃が走る。

 

 

「この情報は謙信殿の耳には入っているのですか!?」

 

「い、いえ…。今入った情報ですので、その可能性は皆無かと…」

 

「それじゃあ…謙信殿が危ないやん!!」

 

「でも何で今このタイミングで家臣達が…?」

 

「分からないの?上杉謙信暗殺計画よ。どうりでおかしいと思ってたのよね…」

 

 

「「暗殺計画ぅ!!?」」

 

 

暗殺計画!!?…まぁ、この時代ではよくある話。本当に物騒な世である。

 

 

「あ、暗殺計画って…!謙信さんを殺す為に…!?」

 

「せやから謙信殿自身がうちらに同盟を…?」

 

「ええ。多分家臣達にある事ない事言われて渋々こっちに来たって所じゃない?」

 

「あ、そうか。武田と上杉の家臣達は繋がっていて…」

 

「いえ、そこは違うと思います。上杉の家臣達は武田を利用する気なのではないかと」

 

「利用する?あの武田を!?」

 

「はい。恐らく、謙信殿を上杉の領から一度出して、謙信殿が越後に不在だという情報を武田に上杉自身が流したのでしょう」

 

「謙信がいないとなれば、武田は確実に攻め込んで来る。それを家臣達は狙っていたんじゃない?」

 

「…面倒なことするわね」

 

「そうやね。ここまで厳密な計画をたてるっちゅうことはよほどの殺意があるってことやから…」

 

「多分、こんな策をたてる人といったら…」

 

 

 

 

 

「宇佐美定満…。宇佐美定満にございます」

 

 

 

 

突然の野太い声に皆がその声がした方向を見る。そこにはお馴染みの筋肉ゴリラがいた。

 

 

 

「あなたは…」

 

 

「申し遅れました。拙者はかつての謙信様の側近をつとめた、鬼小島弥太郎にございます」

 

 

 

「へぇ…上杉の側近ねぇ…。って…」

 

 

「「ええぇぇぇえ!!!?」」

 

 

 

「な、なな何で上杉の側近だった奴がこんな所にいるのよ!!」

 

「追い出されました」

 

「追い出されたって…」

 

「凄い人材がいたものね。あなた…鬼小島と言ったかしら?」

 

「その通りで」

 

「側近…ってことは上杉の領地とか春日山城のこととか色々知ってるわよね?」

 

「まあ、多少は」

 

「なら色々教えて欲しいから、ついて来てくれるかしら?」

「ええ。それは構わないのですが…」

 

「…?何か問題があるの?」

 

「先ほど耳にしたのですが、武田は川中島に陣を敷いているという噂が」

 

「…川中島ですって?」

 

「はい。恐らく、そこを拠点に一気に春日山城へ攻め入るつもりかと」

 

「…って何で川中島なの?春日山城から遠いじゃない」

 

「あくまで推測ですが、謙信様の処刑の場所を川中島にするつもりなのではないでしょうか?」

 

「…武田と上杉が4度にわたって争ったあの場所を謙信の死に場所に、ってことかしら」

 

「大方」

 

 

「じゃあどうするの?穂乃果達、川中島に行くの?」

 

「うーん、どうやろか。とりあえず謙信殿を助けるのが先やからなぁ…」

「ここはもう強行突破よ!!」

 

「死ぬで、にこっち」

 

穂乃果、希とにこが頭を抱えているのをよそに、軍師3人衆は小さく丸まって話あっていた。

 

 

「どうします?絵里。あの策を使いますか?」

 

「…川中島だともってこいかしら?」

 

「ええ。そうだと思うわよ。あの土地は山に囲まれた平地。…完璧じゃない?」

 

 

「あのー、軍師さん達?話聞いてました?」

 

「あぁ、すみません。穂乃果。全く聞いてませんでした」

 

 

ここまできっぱり否定されると、逆に気持ちいいというものだ。

 

 

「えぇ…。聞いてなかったのぉ…?」

 

「はい。そう言っています」

 

「今日の海未ちゃんはサッパリしとるな」

 

「ごめんなさい、穂乃果、希。でもね、今回の策は自信大有りなの!!」

 

 

——ドヤチカが現れた!——

 

 

 

「こんなドヤ顔な絵里ち久々に見たで…」

 

 

 

「自分でいうのもなんだけど、今回の策は本当に仕上がりがいいわ。負けることはありえない!」

 

 

「真姫ちゃんはいつもどおりって感じね〜。いっつもふてぶてしいから」

 

「ちょっと!!それどういう意味よ!!」

 

「そのまんまですけど〜?何か問題でも?」

 

「大アリよ!!問題しかないじゃない!」

 

「はいはい、にこまきはそこまでにしいや?誰も百合営業なんて望んでへんから!」

 

 

「「誰も百合営業なんてしてないわよ!!」」

 

 

 

「えぇっと、それで?その軍師さん達が自信があるっていう策を説明してくれるかな?」

 

 

「よくぞ聞いてくれました!穂乃果!!」

 

海未が目を輝かせ、穂乃果の肩を掴んでぶんぶんと揺さぶる。

 

どうしちゃったんだろうか?

 

 

「あー、分かったから!海未ちゃん!!」

 

 

 

 

「それじゃあ説明していくわね…!」

 

 

「私達クールビューティーな軍師3人衆の…!」

 

 

 

 

 

「「とっておきを!!!」」

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
とっておきですよ、とっておき!!楽しみだなぁー(棒
あと少しで上杉コラボも終了です。
楽しみにしていただけると幸いですねぇ?


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第17幕 秘策

一番書きたいところにして、一番書くのが苦手な戦シーンがもうすぐやってきますねぇ…。楽しみにしてて下さい、ええ。

今回は区切りの関係上、かなり短くなっております。ご注意ください。


それではどうぞ、ごゆっくり…。


とっておき、ですよ。





 

 

 

「私達クールビューティーな軍師3人衆の…」

 

 

「「とっておきを!!!」」

 

 

 

 

「いいですか?皆さん。この策は…」

 

 

 

 

「私達の頭脳を結集した…」

 

 

 

 

「「とっておきよ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…分かったから早く説明してくれる?」

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第17幕 秘策

 

 

 

「それでは説明していきます。時間もないので手短にいきます」

 

「うん。お願い」

 

「まず、この策のテーマは『個』です」

 

「個…?」

 

「はい。今まで私達はみんなで結集して戦う、という戦法をとってきました。しかし、それでは幅が狭すぎる…そう思いませんか?」

 

「そこで、私達が考えた策よ」

 

「部隊をあちこちに拡散することで、優位に戦を進める…そんなところかしら」

 

 

穂乃果と希とにこは口を開けて3人の話を聞いていた。

 

 

 

 

…多分分かっていない。

 

 

 

 

 

「簡単に言いますと、各自の軍が個別に動く…といった所でしょうか」

 

「園田軍は海未の指示で。絢瀬軍は私の指示で…って感じね」

 

「へー…。面白そうじゃない」

 

「せやね!これはうちらの腕が試されるで!」

 

「はい。この策は私達、指示を出す側の腕にかかっています。…やれますか?」

 

 

希とにこは大きく頷く。にこに至ってはもうやる気が漲ってます…とでも言わんばかりに鼻息をフンフン鳴らしている。

 

 

お前は馬か。

 

 

 

「…配置も全てみんなに任せるわ。正面からぶつかるもよし、遠い所から放つのもよし、背後から迫るのもよし。一番得意な手でいきましょう?」

 

「ただし、最終到着地点は武田本陣。これだけは守ってくれないと困るわよ」

 

「…それと、穂乃果」

 

「ん?どうしたの?」

 

「穂乃果には春日山城へ向かってもらいます」

 

「春日山城へ…?」

 

「はい。謙信殿を一刻も早く保護してください。…おそらく先鋒隊が春日山城へ向かっているでしょうから、鉢合わせたら…」

 

「大丈夫!ちゃんと倒してくるよ!」

 

「ならいいですが…。死なないでくださいよ?」

 

「本当、海未ちゃんは心配性だよね〜♪ 私にも強い家臣達は一杯いるから大丈夫だって!」

 

「…鬼小島殿、穂乃果の軍に参加してくれますか?」

 

「勿論にございます。しっかり穂乃果様のことをお守りしてみせましょう」

 

「…頼みます」

 

 

「よし!それじゃあ準備も出来たことだし、とばしていくわよ!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「じゃあ、穂乃果。あとはよろしく」

 

 

絵里に掛け声をふられた穂乃果。その顔はいつもとは違い引き締まっており、勝負師そのものだった。

 

 

「よぉぉし!!みんな!!謙信さんを助けにいくよぉぉお!!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「各自、しっかり自分の軍の殿様の言うこと聞くんだよぉぉぉお!!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「それじゃあ…!!いっくよぉぉぉお!!!」

 

 

「「オォーーー!!!」」

 

 

武田が川中島に陣を敷いてから約2日。高坂軍は上杉謙信ただ1人を助けるために川中島へ向かい、出陣した。

 

 

 

 

 

第5次川中島の合戦の幕開けである———

 

 

 

 




お疲れ様でした。
今回は異常に短く、申し訳ございません。 許してください。
戦シーンが本当に難しい…。

とりあえず頑張ります。


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第18幕 第5次・川中島の合戦


遅くなりました!今日の分でございまする。

今回は第5次の川中島の合戦…ということで、高坂vs武田になりますねぇ?
戦シーンは本当に書くのが苦手ですので、そこは温かい目で見てやって下さい。

今回は少し長めとなっております。短く感じてくれたら嬉しいですね♪
それではごゆっくり。

※川中島は第4次までです。第5次など存在しませんので、ご注意ください。

しょーくんだよ!さん、wadaikoさんいつもご感想ありがとうございます!

誰かはわかりませんが、評価をつけてくださった方、ありがとうございました!





 

 

 

 

高坂が鹿嶋城を出発し、約一日半。

彼女達は川中島を目前にしていた。

 

 

 

 

 

 

「よし、それじゃあここからは別行動よ。みんな、しっかりね」

 

 

「任せといてや」

 

「にこの騎馬隊に任せるにこ!」

 

 

「…穂乃果、謙信殿を頼みますよ」

 

「うん!任せといて!」

 

 

「…じゃあみんな!必ず生きて会いましょう!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第18幕 第5次・川中島の合戦

 

 

 

 

軍師団の『とっておき』である個で攻める策を採用し、武田と戦うこととなった高坂。(第17幕参照)

 

彼女達は自分の軍をそれぞれの場所に配置する。

 

 

矢澤、東條両軍は武田の正面。

園田軍は東側の茂み。

西木野軍は西側の茂み。

絢瀬軍は武田の背後。

 

 

…このような布陣となった。結果的に東西南北から武田を囲むような形である。

 

この布陣も前から計画していたわけではなく、彼女達自身が自分の軍の特徴や、得意技の出しやすさなどを考慮したものである。

 

何も打ち合わせなしで敵を囲むように布陣出来るとは…。

さすがはμ's。 平成の世で社会現象を起こすことになるだけはある。

 

 

 

 

 

その頃、武田本陣ではちょっとしたパニックが起こっていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

武田本陣——

 

 

「これでようやく謙信の首をとれるのぉ…」

 

「念願でございますね」

 

「しかしながら、何故上杉の家臣達がこちらに寝返ったのか…。よう分からん」

 

「謙信殿を見限った…と宇佐美殿は言っておりませんでしたか?」

 

「あんなの嘘に決まっておろう。宇佐美はよう分からん奴じゃ。…わしの側には置いておきたくない」

 

「だから宇佐美に先鋒を?」

 

「そんなところじゃ。ああいう不気味な奴は苦手でな」

 

「ほう、御屋形様は不気味な方が苦手なのですね…」

 

「さて、早う謙信の首が見たいのぉ」

 

「ええ。…そうこうしている間に伝令役が来ましたぞ」

 

「…もう捕らえたのか?早すぎはしないか?」

 

「さぁ?私には分かりかねますな」

 

 

信玄達の前に伝令役が到着する。

 

 

「申し上げます!!」

 

「宇佐美が謙信を捕らえたか?」

 

 

 

「高坂が約25,000の軍勢でこちらに進軍中!!目前に迫っております!!」

 

 

 

この伝令により、本陣にいた者達の顔からは一瞬にして血の気が引いていった。

 

それは信玄も例外ではなかった。

 

 

 

「な、何じゃと…?高坂が攻めてきた…?」

 

「御屋形様、これはかなり…」

 

「くそぉぉおっ!!!」

 

信玄は自分が座っていた椅子を思いっきり蹴飛ばす。

 

その椅子は綺麗な弧を描き、地面へと衝突した。

 

 

 

「高坂…!!何故我々の邪魔をする…!!!」

 

「と、殿!!こ、ここここは焦らず、れれ冷静に参りまひょう!!!」

 

 

 

いや、お前が落ち着け。

 

 

 

「御屋形様、ご采配を。相手は高坂。生半可な攻めは通用しませんぞ!!」

 

 

「分かっておるわ…!いかがすれば良い!!何も思い浮かばん!!」

 

 

「お、御屋形様…」

 

信玄をここまで追い詰める高坂。これは本当に凄いことである。

 

 

 

 

「申し上げます!!」

 

 

「何じゃ!!!」

 

 

「高坂の軍が何やら奇妙な行動を…」

 

 

 

「奇妙な行動ですって…?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

矢澤軍—— 兵力約2,500

 

「さてと…。にこ達は正面にきたわけだけど…。みんな!!突撃の準備は出来てる!!?」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「いつも通り威勢が良くていいわね!…よし、じゃあいつものいくわよ!!

 

 

「いつもの…」

 

「アレをやるのか…」

 

「アレは結構恥ずかしいんだよな…」

 

「でも気合い入るから…」

 

「いや、アレはまずい」

 

にこがそう言ったところ、矢澤軍の皆様がざわつき始める。

 

…アレとは一体?

 

 

「ちょっとぉ!?貴方達大丈夫なのぉ!?今からアレをやるのよ!!?」

 

「アレかぁ…」

 

「でもやらなきゃいけないんだろ?」

 

「うわぁ…。辛い」

 

「そこ!!辛いとか言わない!!」

 

「しょうがない、やってやりましょうか」

 

「ですねぇ…」

 

「皆の者!!覚悟を決めるのだぁ!!」

 

「「オォーー…!」」

 

 

「ちょ、ちょっとぉ…!!」

 

 

…侍達が覚悟を決めるほどのアレの破壊力。どれだけ恐ろしいものなのだろうか?

 

 

「殿、早くやってしまいましょう。皆がその気でいるうちに」

 

 

「それどういう意味よ!!」

 

「そのままの意味です。…さぁ!早く!」

 

 

「…じゃあ皆いくわよ!!」

 

「「オォッ!!」」

 

「せーのっ!!!」

 

 

にこの掛け声で、矢澤軍全員が人差し指、小指、親指をそれぞれ立て、頭付近に持ってくる。

 

あれはキツネか…?いや、アレは——!!!

 

 

 

「「「にっこにっこにーー!!!」」」

 

 

 

 

川中島に野太いにこにこにーが響いた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

東條軍—— 兵力約7,000

 

 

「「「にっこにっこにーーー!!!」」」

 

 

 

「…にこっち達は相変わらず凄いことしてるなぁ」

 

「恐ろしい…」

 

「矢澤軍じゃなくて良かった…」

 

 

「よし!うちらは高坂で兵力が一番多い!せやから、真正面から圧力をかけていこか!!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「相手は武田やけど、この戦は勝てる…!カードがうちにそう告げるんや!!」

 

 

そう言った希の手からは相変わらずのカードが出現する。

 

 

「お!出た!」

 

「カードがうちに…」

 

「そう告げるんや!」

 

「初めて生で見たかもしれん」

 

「何か勝てる気がしてきたの」

 

「さすがスピリチュアル」

 

 

「そこ!騒つかない!あんまり煩いとわしわしするでぇ!!」

 

 

 

…希さん、男の子にわしわしはいけません。

 

 

 

 

ただひたすら痛いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

絢瀬軍—— 兵力約5,500

 

 

「さあ、みんな!私達の役目は背後から信玄達を本陣から突き出すことよ!しっかりやるわよ!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「絢瀬の槍兵は最強だ…。だから絶対やれるわ…!!みんな!行くわよ!!」

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

「それじゃあ…と『殿』

 

 

「…って何よ。せっかく決まったと思ったのに」

 

 

「アレはやらなくてよいのですか?」

 

「アレ…?」

 

 

おいおい、絢瀬にもアレがあるのか。

 

 

「アレかぁ…」

 

「某はやったことがないな」

 

「一度はやってみたいな」

 

「アレをじゃな」

 

「声の準備は万端でござる」

 

 

「皆もそう言ってることですし、アレをいきましょう、殿」

 

 

「え、ええ!?アレをやるの…?アレは結構恥ずかしいのよ…」

 

 

「いつも言っているではありませんか。何を今更恥じらっているのです」

 

 

「あなた私を何だと思ってるのよ!」

 

「殿にございます」

 

「い、いやそうじゃなくて…」

 

 

「殿、早くやりましょう。家臣達は皆やる気で満ち溢れていますよ」

 

「えぇ!?何でなのよ…。ったくしょうがないわねぇ…」

 

絵里は盛大なため息をつく。

 

「それでは殿、お願いします」

 

 

 

「じゃあみんな、いくわよ」

 

 

 

ゴクリ…。家臣達の喉の音が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

「賢い、可愛い!!!??」

 

 

 

「「エリーーチカァァア!!!」」

 

 

 

「かかれぇぇえ!!!」

 

 

「「ワァァァァァ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

「あー…。本当恥ずかしいわ…」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

園田軍—— 兵力約5,000

 

 

「皆さん、布陣は大丈夫ですか?」

 

「「ハッ!!!」」

 

 

「…ならばよろしい。それでは皆さん、私達は今から人を矢で射ります。いくら敵兵とはいえ、1つの命に変わりはありません。しっかりと気持ちを込めて矢を放ってください」

 

 

「「ハッ!!!」」

 

 

「しかし、躊躇してはいけません。私達がやられてしまいます。躊躇うことなく、一発で仕留めてあげますよ!」

 

 

「「ハッ!!!」」

 

 

「それでは皆さん、いつもの…いきますよ」

 

 

すると、園田軍全員が一斉に目を閉じた。

 

 

 

「精神統一です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

精神統一が始まってから暫く時間が経つ。

 

どれだけ統一すればいいのだろうか…?

 

 

 

 

園田軍の所だけは時間の流れが止まっていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

西木野軍—— 兵力約5,000

 

 

「しっかり並んでよ?三段構えが一番効率がいいんだから」

 

 

西木野軍は三段構えの布陣だった。

 

鉄砲の威力は恐ろしい。この戦で一番多くの兵を殺すのは大方この軍であろう。

 

「殿!準備が出来ました!」

 

「分かったわ。後は武田が出てくるのを待つだけね…。一匹も取り逃がすんじゃないわよ?」

 

 

「「オォッ!!!」」

 

 

「じゃあ待機ね。まだ戦は始まってすらいないわ…。気を緩めないでね?」

 

 

「「ハッ!!」」

 

 

 

 

 

おぉ…。何とまともな…。というかこれが普通なのだが。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

武田本陣——

 

 

「御屋形様ぁぁあ!!!」

 

「何じゃ!!!」

 

「前方より、矢澤、東條両軍が、背後より絢瀬軍が迫ってきております!!!」

 

 

「…何と!!」

 

「あの奇妙な動きの意味はそういうことか…」

 

「我々を挟み討ちにしようってことですか」

 

 

「小癪な手を使いおって…!!」

 

 

「御屋形様、ここは広い平地。このような土地で挟み討ちなど全くの無意味にございます。…ご采配を」

 

 

「…よし、迎え討つぞ。皆の者!!!直ちに出陣じゃぁぁあ!!!」

 

 

「「オォーーー!!!!」」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

矢澤軍——

 

「ようやく来たわね!武田!!待ちくたびれたわよ!!今日、どっちが戦国最強か決めようじゃない…!!」

 

 

東條軍——

 

「…お!武田のお出ましやんなぁ…。相変わらず煩い騎馬隊やね」

 

 

園田軍——

 

「…皆さん、狙いを定めて。武田を殲滅するのです!放てっ!!」

 

 

西木野軍——

 

「ようやく出たわね。遅すぎるくらいだわ…。さぁ、みんな?ネズミ達が出てきてくれたんだから…。しっかりと退治するのよ?…放て!!」

 

 

絢瀬軍——

 

「気付かれたわね…。あわよくば背後から首をとれるかと思ったんだけど…。まぁいいわ、みんな!いつも通り片付けちゃうわよ!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

武田本陣——

 

 

「御屋形様!先鋒隊がもう少しで壊滅致します…!!」

 

「我々も絢瀬に……」

 

 

武田軍はあっという間に窮地に立たされた。

あの武田が、だ。高坂も強くなったものである。

 

 

…というか強すぎだ。

 

 

 

「いかがいたしましょう、御屋形様。我々が崩れるのも時間の問題かと存じます」

 

 

「3度も高坂に負けるわけには…!!」

 

 

「御屋形様…。今なら退路も確保できます。少しでも遅れると、絢瀬が攻め入ってくるのが見えています。…残念ですが、ここは引きましょう」

 

 

「くそ…!!3度もやられるとは思っておらんかったわ…!!次は必ず…!高坂対策を立て、お主らを滅亡させてくれるわ!!!」

 

 

「必ず、高坂対策を。あやつらが太刀打ち出来ぬほどのものを…!」

 

 

「武田軍!!全軍、直ちにひけぇえい!!」

 

 

 

 

 

 

完勝という言葉が相応しい高坂の勝利だった。

 

武田を3度も破るとは…。あっぱれである。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「弥太郎さん!城はこっちであってる?」

 

「ええ。こちらであっています」

 

「ありがとう!…よし!春日山まであと少しだよ!!」

 

「「オォッ!!」」

 

 

 

 

「謙信さん…!!必ず助けにいくよ!!」

 

 

 

「そして…」

 

 

 

 

 

 

「一緒に戦のない世を作ろう!!!」

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

んー、武田が弱いって? 違います、高坂が強いんです(←
戦シーンはいつもこんな感じで本当申し訳ありません…。出来るだけ成長できるよう、頑張ります。

上杉コラボも本当の終盤! あと少しで終わります。嫌がらずに見てくださいませ。




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第19幕 終焉


どうも、毎日更新を心がけております。
最近文章の調子が悪くて困ってるんですよ、ええ。(←

今回は上杉謙信!!がメインですね、申し訳ありません。

今回も駄作ですが、まぁ見てやってくださいな。





 

 

 

 

 

 

 

「敵は春日山城にあり!!」

 

 

宇佐美定満率いる上杉家臣軍は春日山城を目前に控えていた。

 

 

「宇佐美殿、早いところやってしまおう」

 

 

「ええ。早く謙信の首が見たいですねぇ?」

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第19幕 終焉

 

 

 

 

 

その頃、勿論謙信は家臣が寝返っているとも知らずにノコノコと春日山城付近まで到達していた。

 

 

「…攻め込まれたと聞いて急いで来たのはいいものの…。妙に静かだな…。おい、何か聞いてはいないのか?」

 

 

「え、ええ。拙者は何も…」

 

 

「…雲行きが怪しいな」

 

 

そこはさすがの謙信である。ただ事ではない、と気付いたようだ。 一瞬で見極める能力は見事だ。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

「鬼小島さん!もう少しで着くの?」

 

「はい。あと少しで天守が見えてくるはずです」

 

 

穂乃果達一行も春日山城付近まで到達していた。

西からは宇佐美、東からは上杉、南からは高坂。こんな凄い状況が今まであったでだろうか。

 

 

 

 

「殿、一度城へ入りますか?」

 

「うむ、城内の様子も見なければならないからな…。城門を開けてくれ」

 

「承知」

 

 

謙信は一番早く城に到着した。現在の状況をしっかりと把握するつもりのようである。

 

 

 

「…誰もいないのか」

 

「え、ええ。城には誰も…」

 

 

春日山城の中はひどく静まりかえっていた。その空気は廃墟…いや、心霊スポットのソレと酷似していた。

 

 

 

「この城がこんなに恐ろしい空気をだすとはな…。今まで見えなかった城の一面ということか」

 

 

春日山城は謙信でさえも恐ろしいと感じるほど、誰一人として寄せ付けない城へと化していた。

 

 

 

 

「宇佐美殿、来ましたぞ…。春日山城」

 

「ええ。今までこの城にはお世話になりましたからねぇ…」

 

「どうする?もう攻め入るか?」

「いや、まだ待ちましょう。謙信に最後の春日山城を堪能してもらわなければ…」

 

 

不敵な笑みを浮かべる定満。本当にこの笑みは気持ち悪い。

 

 

「…待つ必要があるのか?早く戻らなければ信玄公がお怒りになられるぞ?」

 

「構いません…。情けをかけているのですよ。あの大馬鹿者にね」

 

 

 

定満達が攻め入るのも時間の問題だった。

 

 

 

 

 

 

 

「…穂乃果様、天守が見えて参りましたぞ」

 

「うん。あれが春日山城…」

 

 

 

遂に、宇佐美・上杉・高坂が春日山城に勢揃いする。先ほども言ったが、これは大事件なのだ。

 

 

「謙信さん…。必ず無事でいてね…!!」

 

「謙信様。拙者が必ず助けますぞ…!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「宇佐美殿。いい加減攻め入らぬか。さすがに長すぎる」

 

「ふむ…。そろそろいい頃ですかね?」

 

「いい頃…というか遅すぎる。もう皆は飽きてきているぞ」

 

 

「そうですか。…なら行きましょうか」

 

 

「よし。皆の者!!!ようやく出陣じゃぁぁあ!!!」

 

 

「「オォー!」」

 

 

「いいか!!謙信を見つけ出し、すぐさま捕獲しろ!!怯むな!!」

 

 

「「オォッ!!!」」

 

 

 

遂に宇佐美軍が動き出した。

 

謙信の命も風前の灯火なのだろうか。

 

 

 

「待っていてくださいね…。謙信様…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…武田は攻めてこぬではないか。おい、どうなっているのだ」

 

 

「拙者に聞かれましても…」

 

 

「ましてや家臣達も全くおらんとは…。…まさか私をはめたのか?」

 

 

「い、いえ!決してそんなことは!!」

 

 

いきなりの謙信の追求に家臣は動揺する。完全に的を得ている謙信に、家臣はただ慌てふためくしかなかった。

 

 

「…お主、何かをしっておるな?」

 

「ですから…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私を殺すつもりか?」

 

 

 

 

 

 

「なっ…!!」

 

「全く…。分かりやすい奴だな。宇佐美か?」

 

「いえ!違います!!」

 

「…宇佐美だな?」

 

 

 

 

 

 

「…はい」

 

 

 

 

 

「そうか。やはりあいつからは嫌われていたか…」

 

 

「誠に申し訳ありません…。しかし、拙者にはどうすることも出来ぬのです…」

 

 

「分かっておる。全て私がまいた種だ。お主は悪くない」

 

 

「殿…」

 

 

「早くこの城から出て行くがよい。もう時期宇佐美が攻めてくるのであろう?」

 

 

「いえ!!拙者は…」

 

 

「いいから出て行け。命令だ」

 

「…」

 

「…お主にまだ良心があるのであれば、高坂に拾ってもらうがよい。宇佐美とは比にならんぞ?」

 

「高坂…ですか?」

 

 

「そうだ。私はあそこの殿の心に惚れた…。高坂ならばお主を必ず大切に扱ってくれるであろう」

 

「大切に…」

 

 

「そうだ。最後に1つお主に頼み事をしてもよいか?」

 

「え、ええ。構いませんが」

 

 

「高坂へ行ったら、穂乃果殿にこう伝えてくれ…。酷いことを言ってすまなかった、お主が目指しているものは間違っておらぬ…と」

 

「殿…」

 

 

「分かったら早う行け。最後の命令だ」

 

 

「承知しました…!」

 

 

謙信はその家臣を城から出した。命令という口実で。

 

 

そして、遂に謙信は孤独となった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

〈ワァァァア!!!

 

(いいか!謙信を決して逃すな!!)

 

(オォーー!!!)

 

 

 

 

「ふむ。外が騒がしくなって来たな…。ようやく攻めて来たか…」

 

 

 

そう独り言を呟くと、謙信は自室にあった刀を1つ手に取り城外へと向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが毘沙門天の最期の戦よ…。華麗に散ってみせよう…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

うーん、何か最近うまく書けない…(いつもだ
それでも見てくださってる皆さんには本当に感謝しております。

次回でようやく上杉コラボはお終いです。そういうことです、ええ。
長かったですね。

明日は出来れば2話更新したいと思います。



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第20幕 上杉


最近展開が早くて申し訳ありません、ポッキーです。

なんともう20幕!!恐ろしいですね、ええ。
まぁ、今回ものんびり見ていってください。

しょーくんだよ!さん、毎回ご感想ありがとうございます!

ハワイアンズさん、評価ありがとうございました。





 

 

 

 

 

 

 

新潟・春日山城。かつて上杉家の居城として栄えた名城…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それも今となっては昔のことである。

 

 

 

「いいか!謙信を絶対に逃すな!!見つけ次第すぐさま確保しろ!!」

 

 

「「オォー!!!」」

 

 

大群が春日山城へと侵入してくる。

 

この城主・上杉謙信を捕らえるために。

 

 

 

 

「ははは…。私が逃げるとでも思っておったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

「直江よ」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第20幕 上杉

 

 

 

 

 

 

宇佐美軍の先鋒を務めていた直江景綱の目の前に現れたのは———

 

 

 

 

 

「謙信様…!!!」

 

 

 

「謙信様、か。…謀反人などに様などと呼ばれる筋合いはないわ」

 

 

謙信は右手に持っていた刀を鞘から抜き、静かに構える。

 

 

「…私は逃げも隠れもせぬぞ。どこからでもかかってくるがよい!!」

 

 

 

「…上杉謙信を発見した!!!直ちに取り押さえよ!!!」

 

 

「「オォーーー!!!!」」

 

 

 

 

謙信の姿は、無数の兵に囲まれて消え失せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「穂乃果様…!!」

 

 

「あ、あれは…」

 

 

 

春日山城に到着した穂乃果達を待っていたのは、物凄い数の兵が城を攻めている様子だった。

 

 

 

「あ、あそこに謙信様が…!!」

 

「…よし、みんな!戦の準備は出来てる!?」

 

「「オォッ!!」」

 

 

「…謙信さんを見つけたら、すぐに保護してね!!」

 

「「オォッ!!」」

 

 

穂乃果は、手に持っていた刀で春日山城を指す。

 

 

 

「突撃ぃぃぃい!!!!」

 

 

 

「「ワァァァア!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「無様ですねぇ…。謙信 さ ま?」

 

「…」

 

 

その頃、春日山城内では謙信が縄でぐるぐる巻きにされ、宇佐美の前に突き出されていた。

 

 

「ははは…。もう返す言葉もございませんか?」

 

 

「…」

 

 

謙信はあの後、約100人もの兵を1人で斬っていた。かかりくる敵を次から次へとぶった斬り、最後のあがきとしては凄いものであった。

 

 

しかし、そのあがきも虚しく、かけつけた宇佐美軍に一瞬のうちに捕らえられてしまった。

 

 

「さて…。川中島へと向かいましょうか。そこが貴方の処刑場所です故」

 

 

宇佐美は立ち上がり、謙信を繋いでいる縄を持って歩き出す。

謙信もつられて歩き出す…歩かざるをえなかった。 謙信はもはやペットと同じだった。

 

 

謙信は全てを諦め、眼には少しも光がない。闇に支配されていた。

 

 

 

 

 

そして、その場にいた者全てがこれで終わった…と思っていた。「これで終わった」と。

 

 

 

 

 

「申し上げます!!」

 

 

 

 

 

 

しかし、「これで終わった」は幻想に過ぎなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高坂軍が攻めて参りましたぁぁあ!!」

 

 

 

 

 

「何だと?」

 

「高坂が何故攻めてくる!!」

 

 

上杉家臣団に動揺が広がる。

 

 

 

何故同盟も結んでいない高坂が攻めてくる?

 

 

 

 

何のために?

 

 

 

 

 

 

そして、更に嫌な情報がもたらされる。

 

まさに、このタイミングを待っていたかのように。

 

 

「申し上げます!!」

 

「次は何だ!!」

 

 

「川中島にて、武田軍が高坂軍に敗戦!!全軍撤退の命令が出たとのこと…!!!」

 

 

「何ですって…?武田が負けた…?」

 

「おい、宇佐美!!まずいぞ…!!いかがする!!」

 

 

景綱が定満の肩を掴み、激しく定満を揺らす。

 

その揺らされる宇佐美は魂が抜けているかのように無表情だった。

 

 

「…」

 

 

「おい!宇佐美!!」

 

 

 

 

 

 

 

「殿ぉぉぉお!!!早くお逃げください!!高坂が城内に…っ!!?」

 

 

3人の目の前で、綺麗な赤色のしぶきが吹く。

 

 

「…お待たせしましたな。謙信様」

 

「お、お前!!」

 

 

「鬼小島…!!?」

 

「な、なななな…」

 

 

3人の前で宇佐美の家臣を斬りつけて登場した弥太郎の姿は凄いものだった。

 

あちこちに返り血をうけ、鎧は真っ赤に染まっている。一体、何人を殺してきたのか。

 

 

「これはこれは…。お久しぶりです。宇佐美殿、直江殿」

 

 

「宇佐美、逃げよう。これはまずい」

 

「もう知りません」

 

「お、おい!宇佐美!!」

 

定満は全身の力が抜けたのか、すとん、とその場に身体を落とす。

 

メンタルはかなり弱いようだ。

 

 

 

「宇佐美殿…。誠に綺麗な姿勢ですな…」

 

そう言った弥太郎の手には刀が握られている。

 

「おい!鬼小島!!」

 

「…いかがされました?直江殿。…貴方から始末しましょうか?」

 

「い、いや…」

 

「…そうですか。それでは、宇佐美殿。御免」

 

 

弥太郎は何の躊躇もなく定満の首を目がけて刀を振り下ろした。

鮮血が辺りに飛び散る。そして、その首は落ちた。

 

 

「当然の報いじゃ…。謙信様に手をかけようなど…。100年早いわ!!」

 

 

景綱はすぐさまその場から逃走した。侍なのに情けない…。

 

景綱が群馬付近で落ち武者狩りに刺されるのはその後の話である。

 

 

 

「さぁ、謙信様。今縄を…」

 

シュルシュルと弥太郎が縄を解いていく。

 

「…何故助けにきた」

 

「何故って…。穂乃果様に聞かれたらいかがですか?」

 

「穂乃果殿…?」

 

「よし!さぁ、謙信様、行きましょう」

 

「行くって…何処へいくのだ」

 

 

 

「決まっているでしょう?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「あ!謙信さん!!」

 

 

城外で待機していた穂乃果のもとに、弥太郎が謙信を連れてくる。

 

 

「無事でよかったぁ…!!」

 

 

穂乃果は満面の笑みであるのに対し、謙信は対照的な仏頂面だった。

 

 

 

「何故助けにきた…!!そなたと私は同盟を結んでおらぬだろう!?」

 

 

「どうしてって…そりゃあね?」

 

 

「私は真面目に聞いておるのだ」

 

 

「志…ですよ」

「志だと?」

 

 

「はい。亜里沙ちゃんから聞きました。謙信さんが戦のない世を作ろうとしていたこと」

 

「亜里沙殿から…」

 

 

「私は志を同じくしている人を見捨てる事は出来ないんです。…例え、同盟を結んでいないとしても」

 

 

「そなたはめちゃくちゃだな…」

 

「あはは…。こういう人間ですから」

 

 

仏頂面であった謙信の顔も少し緩み始めた頃、穂乃果が語りかける。

 

 

 

「前に、謙信さんは乱世では夢や理想は塵と同じ…って言いましたよね?」

 

「…言ったな」

 

「それで、謙信さんはこういう言葉を知ってますか?」

 

「言葉?」

 

「塵も積もれば山となる…」

 

「塵も積もれば…?」

 

「はい。ほんの小さな塵でも、積もれば山になる。その戦のない世を作ろうっていう塵も積もれば…。私が言いたいこと、分かりますか?」

 

 

「…何となくな。しかし、それは険しい道だぞ?上手くいく保証もない。それでも行くのか?」

 

 

「可能性を感じたなら進め…。後悔なんてしたくないんです。だって、目の前に道があるんだから…!!」

 

 

「可能性…か」

 

「謙信さん、じゃあちゃんと聞きますね…」

 

 

 

 

「一緒に行きませんか?戦のない世を作る為に。夢という塵を、大きな山にする為に!」

 

 

 

「相変わらず面白いことを言うのだな、穂乃果殿は。…勿論だ。この上杉謙信、その夢へとお供いたそう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は硬い握手を交わし、今ここに上杉謙信が高坂の仲間となった。同じ志のもとに。

 

 

 

 

 

 

 

握手をしていた謙信の顔は綻び、それは久しぶりの心からの笑みであった。

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
ようやく上杉編終了だね。長かった。
とりあえず、これで一区切り付けさせていただきます。
なので、今日中にこれまでの話をまとめたものを投稿したいと思います。
細かい設定など、色々語りますので。

第1シーズン終了!!(←




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第21幕 上洛


久々の本編ですね。お待たせしました。
…待ってない?ええ、気にしないでください。分かってます、ツンデレなんですよね(殴

とまぁ、冗談はさておき。振り返り回がちょっと時間がかかる為、やっぱり本編をしっかりやろう、ということでやります。

それではごゆっくり。





 

 

 

 

 

 

 

彗星の如く現れた、戦国時代の新星…。

 

 

 

 

 

 

 

 

その名は高坂。

 

 

関東を統一した高坂は、その勢いのまま、武田信玄をも凌ぐ強さを乱世に見せつけた。

 

 

 

 

 

 

そして、高坂は軍神と謳われた上杉謙信をも虜にし、仲間に迎え入れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

謙信も加わった高坂は現段階では最強…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かと思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦のない世を目標に、天下統一へと突き進む高坂の前に、新たな…そしてとてつもなく大きな壁が立ちはだかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織田信長————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第21幕 上洛

 

 

 

 

 

 

「穂乃果!!貴女という人はぁぁぁあ!!!」

 

 

「ひぇぇぇえ!!ごめんなさいぃぃい!!」

 

 

 

 

…さて、相変わらずの開幕絶叫でお送りしていきます。

 

 

 

「何度言ったら分かるのですか!?もう少し一当主としての自覚を持って下さい!!」

 

 

 

「だ、だってぇ…」

 

 

「だってもあさってもありません!!いい加減この書類を片付けてください!!」

 

 

「量が多すぎるよぉ!!」

 

 

「多すぎるって…。貴女が貯めに貯めたものでしょう!?」

 

 

 

書類は山のようにあった。タワーみたいだ。

 

 

 

「海未ちゃんだってちょっとくらい手伝ってくれたっていいじゃん!!!」

 

 

「手伝う…?そんなこと出来るわけないでしょう!?私にも私の仕事があるんです!!…というか、何で穂乃果の仕事をも私がやらなければならないのです!?」

 

 

「うっ…。それは…」

 

 

 

「さっさと片付けてください!!これから天下統一に向けて色々としなければならない事が沢山出てくるのですよ!?」

 

 

 

「えぇ…。もっとやる事が増えるの…?」

 

 

「当たり前です!天下統一を目指す、というのはそういう事です!!」

 

 

「ふぇぇ…」

 

 

 

どうやら、穂乃果は書類を貯めていたようで、その処理について説教を受けているようである。

 

 

 

 

 

今日も高坂は平和です。

 

 

 

 

 

 

「早く片付けてくださいね?今日はこの後会議もあるのですから。…またサボっていたら…分かりますね?」

 

 

「…分かりました」

 

 

「最初からそう素直に聞けばいいんです。それではまた後で見に来ますので」

 

 

「…」

 

 

 

「失礼しますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…海未ちゃんの鬼」

 

 

 

 

海未が出て行った自室で、穂乃果は書類を手に取りながらぼそっと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「さて、今日皆さんに集まってもらったのは」

 

 

「高坂のこれからについて話すためよ」

 

 

「…これからって言っても大体みんなも分かってるだろうけど」

 

 

「高坂の天下統一へ向けて…ってことやろ?」

 

 

「はい。天下統一…と一言で言っても、やる事は山ほどあります」

 

 

「天下統一へ向けて何をしなければならないのか。それを今日はみんなに知ってもらいたくて、集まってもらったの」

 

 

「こういう事は謙信殿が一番詳しいだろうから、謙信殿に説明をお願いするわ。…大丈夫?」

 

 

「あぁ。私は問題ない」

 

 

「…という事ですので、皆さんよく聞いて下さいね」

 

 

 

謙信が高坂家臣団の目の前に立ち、話し始めた。

 

 

 

「高坂の天下統一へ向けてだが…。まず、私は上杉の当主としてではなく、高坂の一家臣としてこの事について話していく。そこは分かってくれ」

 

 

 

上杉謙信が高坂の家臣…。もの凄い話である。

 

 

 

「天下統一をする為には、まずは上洛をする必要がある」

 

 

「上洛?」

 

 

「あぁ。京へとのぼることだ。そこには朝廷と、現段階で将軍家である足利がいる」

 

 

「…足利さん?」

 

 

「将軍・足利義昭。とりあえず、あやつに近づかなければならん」

 

 

「将軍に気に入られなければならないのですね」

 

 

「そうだ。だが、天下統一する…となると最終的には足利を討たねばならぬ」

 

 

「せやけど、足利は将軍家やろ?変に討とうとすれば全国を敵に回すことになるで?」

 

 

「そう。だから、我々は何か策を考える必要があるのだ。足利からこちらに攻めてくるように仕向ける策を…」

 

 

「…難しいわね。一体どうしたら…」

 

 

「ぐぬぬ…。凛には理解しかねるにゃ…」

 

 

「まあ、そこが1番の問題であろう。そこさえ乗り切れば…」

 

 

 

 

 

「待ってください」

 

 

 

 

 

突然大きな声をあげた海未に皆が驚いた。そして、注目した。

 

 

 

「海未ちゃん、どうかしたの?」

 

 

「京へ渡る、ということは敵国の領地を通過する必要がありますよね」

 

 

 

「そうね。それがどうかしたの?」

 

 

「…皆さんは京へのぼるにはどこの領地を通る必要があるか分かりますか?」

 

 

「あー…。考えたことないかも」

 

 

「何か問題があるの?海未」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織田信長…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「え?」」

 

 

 

「私達が京へのぼる為には、織田の領地を通る必要があるのです!!」

 

 

 

 

 

 

 

大広間が静まりかえった。大きな雷がそこに落ちたような衝撃が走る。

 

 

 

 

 

 

「…分かりますか?織田がすんなりと通してくれるはずがありません」

 

 

 

「ということは…」

 

 

 

「私達は…」

 

 

 

 

 

 

 

「大方、織田家と戦うことになるでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

そんな大問題が発覚した鹿嶋城の門前には、ある人物達が集まっていた。

 

 

 

 

 

 

「…久しぶりだなぁ。鹿嶋城…。みんな元気にしてるかなぁ?」

 

 

「本当、久しぶりですね。…鹿嶋城がかなり小さく見えますね」

 

 

「うん。そうだね…。だって…。立派なお城が完成したから…!」

 

 

「皆さんもきっと驚くと思いますよ。あんな良い城、中々無いはずですから」

 

 

 

「よし!大仕事をこなしたことだし、胸をはってみんなに会おうか!」

 

 

「ははっ…!頼もしくなりましたね。いつもメソメソしていた人とは思えないですよ?」

 

 

「そ、それは昔の話!今は今なんだから!」

 

 

「そうですね!…じゃあ行きますか!」

 

 

「うん!みんなの顔を早く見たいしね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿嶋城、そして高坂家に、一回り大きくなった妹が帰ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
うーん、謙信は家臣になってしもうたんですよね。最強ですね、ええ。

さて、次回はあの子が久しぶりに帰ってきます!推しの皆さん、お祝いの準備をしてください。


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第22幕 完成


遂に来ましたね、完成ですよ、完成!
ようやくあの二人が帰ってきます。推しの人はしっかりとお祝いしてあげてください!

それでは、ごゆっくり。



しょーくんだよ!さん、wadaikoさん毎回ありがたいご感想、ありがとうございます!







 

 

 

 

「花陽さん、準備はいいですか?」

 

 

「うん!雪穂ちゃんも大丈夫?」

 

 

 

「もちろんです!」

 

 

「よし、じゃあ行こう!」

 

 

「久しぶりの再会ですね!」

 

 

「うん!楽しみだね♪」

 

 

「そうですね!それじゃあ、胸張っていきましょう!」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第22幕 完成

 

 

 

 

 

「厄介なことになったわね…」

 

 

「織田信長は、今一番天下に近い大名って言っても過言じゃないわ」

 

 

「…それに、信長以外にも武田もまだ残っています。信玄公を侮ってはなりません」

 

 

「先のことばっかりみてたら、足元をすくわれるからね…」

 

 

「武田もそうだが、北には伊達もいることを忘れてはならんぞ」

 

 

「伊達さん?」

 

 

「しかし、伊達家は上杉殿と同盟を結んでいるはずでは?」

 

 

「…そうなのだが、現状上杉は高坂の支配下だ。重鎮がほとんどいなくなってしまった故、復興もままならぬ。そんな状態の上杉との同盟など、はっきり言って伊達からしたら無駄なもの。…高坂が上洛するなんてことになったら全力で止めにくるであろう」

 

 

「そうね。私が伊達なら確実に攻め入るわ。伊達も簡単に天下はやれないはずよ」

 

 

「むむむ…。難しいね…」

 

 

穂乃果が呑気そうな声で適当に相槌をうつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを海未は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…穂乃果。貴女何も考えていませんね?」

 

 

 

「うぇっ!?と、とても考えてるよ!?」

 

 

いや、声が裏返ってるぞ、穂乃果よ。

 

 

 

「はぁ…。本当、貴女は当主としての自覚が足りなすぎます」

 

 

「またお説教…?」

 

 

「当たり前です!そもそも貴女が天下を獲りたいと言うから私達はこんなに必死になって考えているのではありませんか!それなのに穂乃果は…」

 

 

「う、海未?説教はまた後でにして…ね?謙信殿も来ているのだし」

 

 

「いいですか?穂乃果。当主というものは…」

 

 

 

絵里の忠告など、全く耳に入らないご様子のようです。

 

 

 

「海未ちゃん、ね?そこらへんにしよ?穂乃果ちゃんも分かってるから…」

 

 

「ダメです!ことりは穂乃果に甘すぎます!」

 

 

「あらら、これはもうダメね。何にも耳に入ってないわ」

 

 

「園田殿はこんなにも恐ろしい人だったのか…」

 

 

 

 

もう会議はどこへやら。穂乃果が海未に人前でただひたすら怒られる会になってしまった。

 

 

 

 

そんな中、そのみんなが集まる大広間に1つの知らせが入る。

 

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

「…どうかしたの?」

 

 

「穂乃果!!聞いているのですか!?」

 

 

「聞いてるよぉ!!海未ちゃんの鬼教官!!」

 

 

「なんですってぇぇぇぇえ!!?」

 

 

 

「…凄いことになってますね」

 

 

「あはは…。いつもの夫婦喧嘩よ。で?どうかしたの?」

 

 

「ある方々がお見えになられています」

 

 

「ある方々…?名前は?」

 

 

「あ、いえ。自分の目で確かめた方がいいのではないかと思いまして」

 

 

「…は?」

 

 

「…お見えになりましたので、それでは失礼します」

 

 

「ちょ、ちょっと!」

 

 

 

 

 

「…どういうことかしら」

 

 

「エリー、どうかしたの?」

 

 

「…いや、お客が来てるみたいなんだけど、伝令の子がそのお客の名前を教えてくれないのよ。自分の目で確かめてくださいとか…」

 

 

「…どういうこと?意味ワカンナイ…」

 

 

 

クエスチョンマークが浮かんでいる絵里と真姫。一方、その他の皆様は穂乃果と海未の喧嘩を止めるのに必死で、それどころではないようである。

 

 

 

 

 

すると、聞き慣れた大きな声が襖の向こうから聞こえてくる。

 

 

 

「失礼いたします…!!」

 

 

「只今参上仕りました…!!」

 

 

 

「…いいわ。入りなさい」

 

 

絵里の返事と同時に勢いよく襖が開く。

 

 

 

そして、その向こうにいた人物を見て、そこにいた皆が口を開けた。

 

 

そして、喧嘩どころではなくなった。

 

 

 

 

「みんな…!久しぶり!!」

 

 

「皆さん、お久しぶりです!」

 

 

 

「は、は、花陽…?」

 

 

「はい!絵里ちゃん!」

 

 

「かよちん…?かよちんなの…?」

 

 

「あはは…。そうだよ、凛ちゃん!忘れられてたかな?」

 

 

「かよちぃぃぃん!!!」

 

 

凛が勢いよく花陽に飛びついた。

 

 

「凛ちゃん、痛い痛い!」

 

 

「あわわ…。ごめんね?大丈夫?」

 

 

「うん。大丈夫だよ、凛ちゃん!」

 

 

「戻って来たってことは、お城が完成したってことだよね!!」

 

 

「うん!また凛ちゃんと一緒にいれるんだよ!」

 

 

 

 

 

 

「雪穂ぉぉぉぉお!!!」

 

 

「のわぁっ!?お、お姉ちゃん!?」

 

 

こちらでも、穂乃果が雪穂に飛びついていた…いや、正確に言うと、穂乃果が雪穂にヘッドスライディングをしていた。

 

 

 

「雪穂ぉぉ!会いたかったよぉお!!」

 

 

「お、お姉ちゃん!うるさい!…本当、相変わらずだね」

 

 

「雪穂ぉぉ!!」

 

 

「ダメだ、この人雪穂しか言わないや…」

 

 

「雪穂ぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「花陽、城は完成したのね?」

 

 

「はい!ばっちりだよ!」

 

 

「お疲れ様でした、花陽。長い期間でしたが、よくやってくれました。感謝しますよ」

 

 

「ううん!私こそ、いい機会を与えてくれてありがとう!」

 

 

「やればできるじゃない。…言ったでしょう?花陽なら出来る…って」

 

 

「…ありがとう、真姫ちゃん。真姫ちゃんが背中を押してくれたから…」

 

 

「なっ!?そ、そんなこと…」

 

 

「あらら〜?真姫ちゃん顔真っ赤やで?」

 

 

「本当だぁ!真姫ちゃんが照れてるぅ〜!」

 

「う、うるさい!!」

 

 

「花陽ちゃん、お疲れ様!」

 

 

「ありがとう、ことりちゃん!裏方一人で大変だったでしょう?」

 

 

「ううん!大丈夫だったよ!花陽ちゃんの方が大変だったはずだしね♪」

 

 

 

「花陽、完成したってことはもう引っ越しできるのかしら?」

 

 

「大丈夫だよ!中も全部完成してるから!」

 

 

「…よし!そうと決まれば早速移りましょうか!」

 

 

「早く音ノ木坂城を見たいにこ♪」

 

 

「そうやね。どれ位のお城なんか楽しみやんなぁ…」

 

 

「穂乃果、それでいい?」

 

 

「大丈夫だよ!引っ越しするんだよね!!」

 

 

「じゃあ、みんな!引っ越しは明朝!上洛とかについてはその後考えるわ。いいわね!」

 

 

 

「「はい!!」」

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、みんな!!引っ越しだよぉぉお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高坂の新・居城『音ノ木坂城』がようやく完成した。

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
ようやく完成しましたね、音ノ木坂城が。そしてようやく帰って来ましたね、かよちんとユッキーが。

嬉しい限りですなぁ!

次回は引っ越し回ですね。よろしくお願いします。



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第23幕 音ノ木坂へ

finalのことで頭がいっぱいでして、とても悲しくなっていた為、更新遅れましたね、ええ。
勿論、ライブは行けない勢です。

それでは今回もやっていきましょうか。完全に思いつきで今回は書きましたので、変なところありましたら教えてくださいませ。

それではごゆっくり。




 

 

 

 

「よし!じゃあみんな準備はいいかしら?」

 

 

 

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

 

 

 

「私達はこれから、鹿嶋城を後にし、新たな居城・音ノ木坂城へ向かいます!心機一転、新たな居城でも頑張りましょう!」

 

 

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

 

 

「それじゃあ、みんな!出発だよ!!」

 

 

 

 

 

 

高坂の家臣達は皆、真姫が用意した大型船にゾロゾロと乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第23幕 音ノ木坂へ

 

 

 

 

 

 

 

 

「真姫、いつも悪いわね…。こんな大人数、迷惑でしょう?」

 

 

「別に平気よ。いつものことでしょ?…それに、居城を変えるってことは港も変えなきゃいけないし。ついでよ、ついで」

 

 

「ありがとう、真姫」

 

 

「…うん」

 

 

 

 

 

 

「あ、真姫が素直になった」

 

 

 

 

 

「は、はぁ!?何いきなり言ってるのよ!」

 

 

「ちょっとね〜♪真姫が可愛くなっちゃった♪」

 

 

「うるさいわよ!意味わかんない…」

 

 

絵里はニヤニヤしながら続ける。

 

 

 

「そんなに顔真っ赤にしちゃって…。うふふ、真姫が可愛いすぎて、何かに目覚めちゃいそうだわ♪」

 

 

 

「ヴェェ!?な、何言ってるのよ!エリー!!はぁ…。もう最悪。雰囲気が台無しじゃない!!」

 

 

「んー?何の雰囲気かしら?あ、真姫も満更でもない感じだったり…?」

 

 

「し、しないわよ!!馬鹿じゃないの!?」

 

 

「ふーん…。の割には私から離れていこうとしないわね。嫌なら向こう行ってもいいのよ?」

 

 

「べ、別に嫌なんて一言も…」

 

 

「あらら?何にも聞こえないわね…。もう少し大きな声で言ってほしいなぁー」

 

 

「…っ!?」

 

 

「…言わなきゃ分かんないわよ〜?ほら、大きな声でぇー」

 

 

 

「わ、私は…!!エリーのこと…!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、カット」

 

 

「いやー、真姫ちゃん顔真っ赤だよ?大丈夫?」

 

 

「だ、大丈夫なわけないでしょ!?ありえないわよ!!」

 

 

「はー…。恥ずかしい…」

 

 

「絵里、お疲れ様です」

 

 

「中々よかったよ〜♪結構様になってたよ!」

 

 

「ありがとう、海未、ことり。それより、一体何なのよ、この企画は」

 

 

「んー?穂乃果ちゃん、説明したって」

 

 

「演技力コンテストだよ!!」

 

 

「いやいや、そんなの知ってるわよ。知っててやってるんだもの…。何でお題が百合なわけ?」

 

 

「えー?だって一番面白そうだったんだもん!興味本意だよ!」

 

 

 

「あなたの興味本意で私とエリーはあんなことさせられたわけ?」

 

 

「結構真姫ちゃんと絵里ちゃんもノリノリだったからいいかなぁー…って」

 

 

「よくないわよ。あんなの私の黒歴史よ」

 

 

「本当よ…。トップバッターがいきなり百合って…」

 

 

「まぁ、やってしまったもんはしゃあないしな?」

 

 

「私としたことが…」

 

 

「よし!じゃあ次行こう!次は…」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

…ん?何が起こっているか状況整理が出来ない? そういうと思いましたよ。なので、私の方から説明していきますね。

 

 

 

 

 

 

穂乃果達は東京へ向かう船の中、着くまで時間がある為、暇つぶしとしてこの企画をやっているようです。

 

 

この演技力コンテストでは、いくつかのお題があり、くじでそのお題を決めるそう。

 

トップバッターの絵里&真姫はそのくじにて百合を引いてしまい、あのような事をさせられたわけであります。

 

 

 

以上、説明終了です。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「次は私とにこですか」

 

 

「そうみたいね」

 

 

「おぉ!中々みない組み合わせだね!」

 

 

「そうですか?」

 

 

「それじゃあ、にこちゃん!くじを引くにゃ!」

 

 

「んー」

 

 

 

制作時間約5分くらいであろう、くじ箱ににこが手を突っ込む。

 

 

「よし、これね」

 

 

「にこちゃん、何て書いてたの?」

 

 

「うぇっとね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉妹?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、姉妹?何よそれ」

 

 

「理解に苦しみますね」

 

 

「姉妹って…。どういうお題なのよ」

 

 

「っていうかまともなお題一個も無いんと違う?」

 

 

「うーん…。そうかもね」

 

 

「だって…。このくじを作ったのは…」

 

 

 

「穂乃果ちゃんだからね」

 

 

 

 

「あはは…。何にも思いつかなくて…。でもお題はお題だよ!」

 

 

 

「仕方ないわね…。海未、ちゃっちゃとやっちゃうわよ」

 

 

「分かりました。…しかし、どちらが妹をやるのですか?」

 

 

「いや、それは海未でしょ。あんた実際に妹じゃない」

 

 

「ま、まぁそうですが…」

 

 

「それに、にこは実際姉やってるんだから。もう自然体でよくない?」

 

 

「いや、しかし、妹というのはあまり…」

 

 

「…?何が悪いのよ」

 

 

「とりあえず、穂乃果にどんな感じにやればいいのか聞きましょう。…そうすれば私が渋っている理由が分かるはずです」

 

 

「あ、そう。じゃあ聞くわ。穂乃果ぁー!ちょっと!!」

 

 

 

「はいはい、どうしたの?にこちゃん」

 

 

「どんな感じでやればいいの?にこ達何にも考えてないわよ?」

 

 

「うーんとね、妹がお姉ちゃんに甘えてるシーンをやってほしいな!」

 

 

「…そういうことね」

 

 

「それじゃ、海未ちゃん、にこちゃん!楽しみにしてるね!」

 

 

 

 

「…分かりましたか?」

 

「理解したわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は沈黙する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、妹は海未ってことで…」

 

 

「ちょ、ちょっと!!嫌ですよ!観衆の前で人に甘えるなどという醜態を晒すなんて…。死んだほうがましです!!」

 

 

観衆って言っても7人しかいないんですけどね?

 

 

 

「いや、演技だから。大丈夫だって」

 

 

「ならにこがやってくださいよ」

 

 

「えー、にこはぁ甘えるのが上手すぎるからぁちょっと出来ないにこ☆」

 

 

「言ってる意味が何にも分からないのですが」

 

 

「とりあえず、妹役は海未ってことで!行くわよ!」

 

 

「なっ!?嫌ですっ!!ちょ、まっ!!」

 

 

 

 

 

 

海未は無理矢理にこに引っ張られ、遂に舞台上へとあがってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




予想外の展開ということで。自分でも書いてて何をやっているんだろうと思いましたね。
喪失感が凄すぎる為、こんなことになってます。
戦国全く関係ないけど許してください。

次回はこの続きです。次回もこの変なコンテスト続きます。


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第24幕 絆


今日はfinalのfinalですね。心が痛いです。

そんな感じで書いたので、もうめちゃくちゃです。


それでもいいならどうぞ。


ごゆっくり。




 

 

 

 

 

「はぁーい、海未ぃ?にこお姉ちゃんよぉ〜」

 

 

 

 

「に、にこお姉様…」

 

 

 

「どぅぁめどぅぁめ!それじゃあこころと一緒じゃない。ちゃんとお姉ちゃんって呼んで欲しいにこ☆」

 

 

 

 

 

「〜〜〜〜!!」

 

 

 

 

「海未ちゃぁんおぬぅぇがぁい♡」

 

 

 

 

「……ゃん」

 

 

 

 

「えー?聞こえないにこ…。ほらもっと大きな声で!」

 

 

 

 

 

「……に、にこ」

 

 

 

 

「お、おおお姉ちゃん…!!!」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第24幕 絆

 

 

 

 

 

 

「んっとね、みんな。もう海未はこれが限界みたいだから、終わってもいい?」

 

 

 

「…そうね。そうしてあげて」

 

 

 

「えー!?まだ始まったばか…むぐっ!?」

 

 

 

「ほらほら、穂乃果ちゃん!海未ちゃん頑張ったんだし、許してあげて♪」

 

 

 

「〜〜〜!!ぷはっ…。こ、ことりちゃん!!」

 

 

 

「もう無理ですぅぅ…。一生の恥ですぅぅ…」

 

 

「一生の恥って…。ただお姉ちゃんって呼んだだけじゃない」

 

 

 

「なら、真姫は出来るのですか!?えぇ!?」

 

 

 

「な、何でそうなるのよ!!」

 

 

 

「うわぁ、海未ちゃんかなり壊れてきてるにゃー…」

 

 

 

「う、海未ちゃん!とっても良かったよ♪」

 

 

 

 

「は、花陽ぉ…。貴女は本当に良い子です…」

 

 

 

完全に海未は壊れたようです。

 

 

 

 

「それじゃあ次は誰やろか?」

 

 

 

「うーんとね、凛ちゃんと花陽ちゃんとことりちゃんかな!」

 

 

 

「そうだね!」

 

 

「よーし!一肌ぬぐにゃー!!」

 

 

 

「えっと、じゃあくじ引くね!」

 

 

 

花陽が製作時間約5分のくじ箱に手を突っ込み、くじを引く。

 

 

 

ドラフト会議みたいである。

 

 

 

 

 

 

「かよちんかよちん!お題は?」

 

 

 

 

「うーんとね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夫婦とその愛人のドロドロ三角関係…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何よ、これ」

 

 

「えーっと…。穂乃果ちゃん?」

 

 

 

「どうしたの?ことりちゃん」

 

 

 

「ど、どうしたのって…。あのお題は一体…?」

 

 

 

「え?そのままの意味だよ!」

 

 

 

「そのままの意味だよ!じゃないにゃ!!」

 

 

 

「こ、こんなの出来ないよぉ…」

 

 

 

「凄いお題を考えるもんやね…。穂乃果ちゃんの頭は常人とは違うんやろか?」

 

 

 

 

 

いえ、ただ単にそういう恋愛漫画の見過ぎです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「意味わかんない…。もう止めにしましょ?こんなの付き合ってられないわよ」

 

 

 

 

「そうですね、人をからかって何が面白いのやら…。穂乃果は後でお説教ですので、覚悟してください?」

 

 

 

 

「うぇぇ!?何でそうなるのぉ!?」

 

 

 

「んー、ちょっと待ってや」

 

 

 

「?どうかしたの?希」

 

 

 

「止めるのはええんやけどな?その前に、うちは穂乃果ちゃんの演技が見たいなぁ〜って」

 

 

 

希さん、あんた顔が悪人ですよ。

 

 

 

「んー、そうね、ここは言い出しっぺの穂乃果のやつを見なきゃ終われないかなぁ…?」

 

 

 

「そうですね。穂乃果?」

 

 

「えっと…。何を言ってるのかな?…ことりちゃぁん!!」

 

 

 

「うふふ〜♪穂乃果ちゃん、頑張ってね!」

 

 

 

「こ、ことりちゃんが…!!じゃあ凛ちゃぁん!!」

 

 

 

「じゃあって何!?そんな穂乃果ちゃんなんて知らないにゃ!」

 

 

「凛ちゃんまで…。花陽ち…」

 

 

 

「穂乃果ちゃん!ファイトだよ!」

 

 

 

 

「ファイトだよじゃないよぉぉ!!!」

 

 

 

 

「ま、自業自得ね。私達がどんだけ恥ずかしい思いをしてたか、自ら感じてもらいましょ?」

 

 

 

「それでは穂乃果、くじを」

 

 

 

「……どうしても?」

 

 

 

「はい。早く引いてください」

 

 

 

「……海未ちゃんおねが」

 

 

「は や く 引いてください?」

 

 

 

 

 

「はい、分かりました」

 

 

 

 

穂乃果は結局、皆に負けてくじへと手を伸ばす。

 

 

 

 

そして、穂乃果が引いたものは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「熊?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

 

 

「熊ですって?」

 

 

 

「なんかまともなの引いてしもうたんか」

 

 

「つまんないわね…」

 

 

 

「あはは…。熊さんかぁ…」

 

 

 

 

落胆の声が漏れる。

 

 

 

 

「えぇ!?何で!?何でみんなそんな顔してるの!?」

 

 

 

「期待外れだわ…。残念よ、穂乃果」

 

 

「…さて、自室に戻りましょうか。皆さん、しっかりと休んでおいてくださいね」

 

 

 

「「はぁーい」」

 

 

 

 

「ちょ、ちょっとみんなぁ!!」

 

 

 

家臣達は自室へと戻っていった。

 

 

 

 

そして、穂乃果は1人になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何でぇ…。何か悪いことしたかなぁ…。…嫌われちゃったのかなぁ」

 

 

 

 

理不尽ですね。

 

 

 

 

 

 

「嫌だよぉ…。みんなに嫌われるなんて…。…私が悪かったよぉぉ」

 

 

 

 

 

 

 

すると、大広間の扉が大きな音をたてて思いっきり開いた。

 

 

 

 

「…っ!?」

 

 

 

「「穂乃果!!」」

 

 

「「穂乃果ちゃん!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ドッキリ大成功!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

「…嫌だ、何でそんな泣きそうな顔してるの?」

 

 

 

「まぁ、無理もないでしょう」

 

 

「あははー…。ごめんね?穂乃果ちゃん」

 

 

 

「え、え?どういうこと…?」

 

 

 

 

「いやね?今までの全部台本通りなんよ」

 

 

 

「…ふぇぇ?どこからなの?」

 

 

 

「えっとですね…。穂乃果が演技力コンテストをやろうって言った後からですね」

 

 

 

「ちょっとおどかそうと思ってね〜♪」

 

 

 

「ごめんね?穂乃果ちゃん」

 

 

 

「え、え?じゃあくじも仕組まれてたの?」

 

 

「いえ、私達、絵里達、そしてことり達のときは仕組んではいないです」

 

 

 

「穂乃果ちゃんのやつだけ仕組んだんよ〜」

 

 

 

「…」

 

 

 

「…まぁいっつも私達を振り回してくれる仕返しって所かしらね」

 

 

 

 

「じゃあ、みんな穂乃果のこと嫌いになったわけじゃないの…?」

 

 

 

 

「ふふっ…。誰が貴女のことを嫌いになりましょう?少なくとも、私は大好きですよ」

 

 

 

「いっつも引っぱっていってくれて…。本当に感謝してるのよ?嫌いになるわけないわ」

 

 

 

「一種の愛情表現だよ♪これからもよろしくね!穂乃果ちゃん♪」

 

 

 

「み、みんなぁ…」

 

 

 

「…泣かないでよ。どこに泣く要素があるのよ」

 

 

 

「ちょっとやり過ぎたかな?…まぁたまにはこれ位の刺激もええやろ?」

 

 

 

 

「そうね。穂乃果にはこれくらいしないとね♪」

 

 

 

「…さて、穂乃果。1つ聞きます」

 

 

 

「…?」

 

 

 

「これからも、私達を引っぱっていってくれますか…?そして、私達を導いてくれますか…?」

 

 

 

 

 

 

突如、海未からの真剣な質問。海未の視線はしっかりと、穂乃果の青い瞳を捉えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、穂乃果もそれに応えるようにしっかりと海未を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…勿論だよ!これからはもっと…もっっっとよろしくね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京へ向かう船内。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家臣と殿様は、もう一度自分達の絆を確かめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高坂家は今日も平和です。

 

 

 

 

 

 

 





悲しくなってますね、ええ。
最後は笑顔で…って決めたんですけど、無理みたいです。

今回も戦国関係ないですけど、ご了承ください。

次回はようやく音ノ木城につきます。お楽しみに。


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第25幕 願い事


昨日はサボりました、申し訳ありません(←

しょうがないじゃない!! μ'sが終わるのが悲しすぎたんだもの!!(殴
現在もちょっとだけ糸引いてますかねぇ…。やっぱり嫌なものは嫌ですよねぇ?


ってことで、今回もグダグダです。


どうぞ、ごゆっくり。



しょーくんだよ!さんご感想ありがとうございました。




 

 

 

 

 

「着いたーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるさいですよ、穂乃果。みんな疲れているんですから、もう少し静かにしてください」

 

 

 

「穂乃果ちゃんはいつでも元気やね〜」

 

 

 

 

「えー?だってだって!新しいお城だよ!?もう長旅の疲れなんてどっかいっちゃったよ!!ね、凛ちゃん!」

 

 

 

 

 

「そうだよ!!テンション上がるにゃーー!!!」

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第25幕 願い事

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、穂乃果達高坂家御一行様方は茨城からの船の長旅を終え、ようやく東京へ着いたようでございます。

 

 

 

 

「あぁー…。疲れたぁぁ…」

 

 

 

「にこ、相変わらず露骨ね…。もう少しそういうの抑えたらどうなの?」

 

 

 

「えー?何でよ。疲れたものは疲れたんだから仕方ないじゃない」

 

 

 

「みんな疲れてるの。そういうの聞くと余計疲れちゃうわよ…」

 

 

 

「そうね。にこちゃんはもう少し自重したほうがいいわ」

 

 

 

「じゃあ早く城へ行きましょう?早く休みたいでしょ?絵里も真姫ちゃんも」

 

 

 

 

「ええ。行きたいのは山々なんだけど…」

 

 

 

 

「花陽の準備が出来るまではいけるわけないでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花陽ちゃん、何をそんな積んでたの…?」

 

 

 

 

「それはね、ことりちゃん!お米だよ♪」

 

 

 

「お、お米…?」

 

 

 

 

花陽は船の荷物置き場から次々と米俵を引きずり出してくる。

 

 

 

 

一体何をしているのだ。

 

 

 

 

 

「そんなにいっぱい持ってきたの…?」

 

 

 

「うん!鹿嶋城に置いてあったお米、全部持って来たんだ♪」

 

 

 

 

「ぜ、全部…!?」

 

 

 

 

「はわわぁ〜…。幸せですぅ〜」

 

 

 

 

一体いくつあるのだろう、その米俵の数は50は軽く越えている。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「な、なんで…っ!!」

 

 

 

「…重いわ」

 

 

 

「日々鍛えている私でもキツイとは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でにこ達まで花陽の米俵を持たなきゃいけないのよぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在高坂家御一行、城へ向かって進行中。

 

しかし、その列にいる者は皆背中に米俵を背負っていた。

 

 

 

 

 

 

「みんなー!!あと少しだから頑張ってね♪」

 

 

 

「か、かよちん…」

 

 

 

「何でアンタはそんな元気なわけ…?重すぎて死にそうなんですけど!?」

 

 

 

「まぁまぁ、にこちゃん!落ち着いて!」

 

 

 

何にも持っていない穂乃果がニヤニヤしながらにこを諭す。

 

 

 

 

 

 

 

こういう時だけは殿様待遇なんだな、穂乃果よ。

 

 

 

 

 

 

「花陽ちゃん、まだかなぁ…?」

 

 

 

「もうそこだよ!みんな頑張って!!」

 

 

 

「中々これは腰にくるなぁ…」

 

 

 

「希…。お年寄りみたいなこと言わないの」

 

 

 

「せやかて、絵里ちだって腰痛いやろ?事実やん」

 

 

 

「…まぁそうだけれど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたーーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

再び穂乃果の叫び声が耳をつんざく。

 

 

 

「うるさいですよ…穂乃果…。もう叱る元気もないです…」

 

 

 

 

「あぁ、疲れた。ようやく着いたのね」

 

 

 

 

皆がその疲労感満載の顔を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、目の前に広がっていた光景を見た瞬間に、疲れがふっとんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは…!!」

 

 

 

「す、すごいわ…!!」

 

 

 

「これが高坂の新しい居城!!」

 

 

 

 

「かよちーーん!!凄い、凄いよ!!」

 

 

 

「えへへ…。ありがとう、凛ちゃん♪」

 

 

 

「一体鹿嶋城の何倍あるのよ…。大きいにこね」

 

 

 

「期待以上じゃない。さすが花陽ね」

 

 

 

 

 

そこにあったのは、とても大きな砦…。関東の高坂の新たな居城となる「音ノ木坂城」だった。

 

 

 

大きさはどれくらいあるだろう。もうよく分からない。

 

 

 

 

 

 

そして、何百年か後にこの城跡が国立音ノ木坂学院になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ!みんな!!」

 

 

 

「…?どうかしたの?穂乃果ちゃん」

 

 

「これから神田明神に行こうよ!!」

 

 

 

「神田明神へ…?」

 

 

 

「うん!ここからなら近いし、みんなも良いよね!?」

 

 

 

「せやねぇ…。ええよ。ええんやけど…」

 

 

 

 

「こ、この米俵を先に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「うわぁ…!!」

 

 

 

「穂乃果、あまり騒がないでくださいね。ここは神聖な場所ですから」

 

 

 

「分かってるよ!凄いなぁ…。昔から全然変わってなかったんだ…!」

 

 

 

穂乃果達は神田明神にいた。

 

境内にて9人が横一列になって並んでいる。

 

 

 

 

 

 

「さてと、じゃあしっかりお願い事をしていきましょうか」

 

 

 

 

「せやね〜♪何をお願いしようか迷うなぁ」

 

 

 

「じゃあ鈴鳴らすね!」

 

 

 

 

 

 

穂乃果が鈴を鳴らす。

 

 

 

 

ガラガラという鈴の音は静寂に包まれていた神社に響き渡る。

 

 

 

 

 

9人が同時に手を叩き、目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何をお願いしているのでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、みんなもういいかしら?」

 

 

 

「ええ。そろそろ戻りましょう?日も落ちてきたし」

 

 

 

「そうだね…。ちょっと寒くなってきたかも」

 

 

 

 

 

 

9人は鳥居をくぐり、坂をゆっくりと下っていく。

 

 

 

 

 

「ねぇ、みんな何をお願いした?」

 

 

 

 

「さぁ?そんなこと言う必要ないでしょ」

 

 

「あはは…。相変わらず真姫ちゃんはツンツンしてるね」

 

 

 

 

「私も言う必要はないと思いますよ」

 

 

 

 

「そうね。私もそう思うわ」

 

 

 

 

「そうやんね〜。神様にお願いしたことを言うんはねぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

「…それに、どうせみんな同じことでしょう?」

 

 

 

 

 

「そうだね!私もみんな同じことだと思う!」

 

 

 

 

 

「…そっか。みんな一緒か!」

 

 

 

「ええ、そうですよ。きっと…いえ、確実に」

 

 

 

 

「凛達が思うことはみんな一緒にゃー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!じゃあみんな!お城まで競争だよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ちょ!穂乃果!!」

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃん待つにゃぁぁ!!」

 

 

 

 

「ぬぅあんで走らなきゃいけないのよ!!」

 

 

 

 

家臣達も走り出した穂乃果を追って走り出す。

 

 

 

 

新たな居城・音ノ木坂城へと向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——戦のない世が作れますように——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





いやー、finalのせいで何かこういう文章になっちゃうよね。
ま、ご理解くださいな。

ようやく到着したってことで。次回からまた戦国ぽさを出していきましょうか。

頑張ります。



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第26幕 休息


2日くらいサボりましたね(殴
まぁ、待っている人はいないと思うので、大丈夫かと(殴

待っていてくださってた方、申し訳ありません…。


最近の高坂家は平和ボケしているようですねぇ。
まぁ平和なことはいいことです。


それではごゆっくり。






 

 

 

 

 

 

「うわぁ…。中もすごい広いね…!!」

 

 

 

「そうですね!これでより快適に暮らせます」

 

 

 

「ふぅ…。これでようやく、あんた達の夫婦喧嘩を聞かなくてすむようになるわね…」

 

 

 

「はて?一体何のことでしょう?」

 

 

 

「何のことでしょうって…。海未と穂乃果の喧嘩の声が大きすぎてこっちは迷惑してるの!!分かる!?」

 

 

 

「あれ、もしかして迷惑でしたか?」

 

 

 

「ヴェェ!?無意識だったわけ!?」

 

 

 

「…穂乃果との喧嘩に夢中だったもので…」

 

 

 

「「ナニソレイミワカンナイ!!!」」

 

 

 

 

「それじゃあ各自の部屋を決めましょうか。みんな、いい?」

 

 

 

「「はぁーい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第26幕 休息

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、神田明神への参拝を終えた高坂家御一行。ようやく音ノ木坂城へ入り、落ち着いたようです。

 

 

 

 

 

「いい湯だなぁ〜はははん♪」

 

 

 

「そうねぇ〜…。いい湯だわぁ…」

 

 

 

「えりちが蕩けとる…」

 

 

 

音ノ木坂城内には大浴場が備わっている。

かなり豪華な大浴場のようで、高坂の皆様も気持ちよくお湯に浸かっているようだ。

 

 

「希ぃ〜、とってもいい湯よぉ〜」

 

 

 

「うん、分かっとるから」

 

 

 

 

「いい湯だなぁ〜♪はははんっ♪」

 

 

 

「穂乃果、うるさいです」

 

 

 

「ほらほら!海未ちゃんも一緒…」

 

 

 

「お断りします」

 

 

 

即答である。

 

 

 

 

「いいですか?穂乃果。皆気持ちよくお湯に浸かっているのですから、うるさくしては…」

 

 

 

「あぁーー!!海未ちゃん!!皆気持ちよく浸かってるから、お説教は止めにしよ?ね?」

 

 

 

 

「…ふむ。それもそうですね。それでは後ほどお説教、ということで」

 

 

 

 

「うぇぇ…」

 

 

 

穂乃果も大変である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はわわぁ…。気持ちいいですぅ…」

 

 

 

「うふふ〜♪それじゃあ流しまーす!」

 

 

 

「ふぅ…。じゃあ次は私が洗う番だね!」

 

 

 

「うん!お願いっ♪」

 

 

 

はて、この子らは一体何をしているのやら。

 

 

 

 

 

 

 

…にしても、癒し効果が凄い組み合わせである。

 

 

 

 

 

 

 

「たまにはいいね!背中の流しっこ…って」

 

 

 

「うん!こういう時しかできないからね♪それに、自分の背中は自分じゃちゃんと見れないし…」

 

 

 

「大丈夫!!ことりちゃんの背中、白くて綺麗だよ♪」

 

 

 

「花陽ちゃんの背中も綺麗だったよ〜♪」

 

 

 

「えー?うふふ…♪それじゃあ、洗うね!」

 

 

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

これが天国、天使達の会話というものなのか。

 

 

まじえんじぇー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その楽園にも悪魔の会話…が聞こえてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛い!!痛いってば!!」

 

 

 

「えぇ?せっかくこのにこにーが頭を洗ってあげるって言ってるんだから大人しくしてなさいよ!」

 

 

 

「誰も頼んでないわよ!!」

 

 

 

「えー、だって真姫ちゃん嬉しそうな顔してたからぁ」

 

 

 

「し、してないわよ!!」

 

 

 

「いいから、にこに洗われなさい!!」

 

 

 

 

…何事だろうか。

 

 

 

 

 

 

「だから!!痛いって!!もう少し優しくやりさいよ!!」

 

 

 

「頭皮マッサージにこ♡」

 

 

 

「何が頭皮マッサージよ!!ただ痛めつけてるだけじゃない!!」

 

 

 

「だって真姫ちゃん癖っ毛すぎるんだもん。しょうがないでしょ?」

 

 

 

「イミワカンナイ…」

 

 

 

「さてと、じゃあ流すわよ」

 

 

 

「…早くしなさいよ」

 

 

 

「よし!じゃあ真姫ちゃん、にこの髪も洗って!」

 

 

 

「は、はぁ!?聞いてないわよ!?」

 

 

 

「えー?にこが洗ってあげたんだから、次は真姫ちゃんの番にこ!」

 

 

 

「…イミワカンナイ」

 

 

 

ええ、意味がわかりませんね。

背中の流し合いではなく、頭の洗いあい…。聞いたことがないですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぇ〜。気持ちよかったね〜」

 

 

 

「はい!毎日こんな素晴らしいお風呂に入れるなんて…」

 

 

 

「夢みたいね」

 

 

 

「今まではそこら辺にある温泉だったからね〜…」

 

 

 

「うちらも出世したもんやなぁ」

 

 

 

 

「…あれ?」

 

 

 

「花陽?どうかしたの?」

 

 

 

「あ、にこちゃん。凛ちゃん見てない?」

 

 

 

「見てないけど…って」

 

 

 

「凛ちゃん温泉におらんかったやん」

 

 

 

「どこへ行ったのでしょう?」

 

 

 

「何にもなければいいけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、その凛は——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ!?また同じところにゃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ!?さっきもここに来たにゃぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「温泉はどこにゃぁぁぁぁあ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見事に道に迷っておりましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

織田家——

 

 

 

 

 

 

「殿。東の高坂、いかがいたしましょう」

 

 

 

 

 

「…厄介だ」

 

 

 

 

 

「戦を仕掛けますか?」

 

 

 

 

 

 

「それはいかん」

 

 

 

 

 

「何故でございましょう」

 

 

 

 

 

 

「何故って…。信玄公もおるのだぞ?尾張を空にするわけにはいかん」

 

 

 

 

 

 

 

「…そういえば、殿。こんな話を知っていますでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

「何だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上杉謙信公が、高坂の支配下に入ったとか、そうでないとか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だと?謙信公が高坂の下についただと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ。あくまで噂ですが。耳に入れておいてもよいのではないかと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…真なら余計厄介だ。面倒なことをしおって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは拙者はこれで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高坂穂乃果…。目障りな奴だな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「潰す」

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いやぁ、久しぶりに書いたからめちゃくちゃだったかもですね(いつもだ

次回は武田が登場するかも…?




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第27幕 京都


今回は急展開が…!?…本当に急すぎますけど、ご了承ください、いつものことなので(←

それではごゆっくり。

前回感想をくださった
しょーくんだよ!さん
リヴァイヴマンRさん
ウィングゼロさん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織田家——

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいな。殿が皆を大広間に集めるとは…」

 

 

 

 

「うむ。かなり重要な話に違いない」

 

 

 

 

 

「武田討伐でもするのか?」

 

 

 

 

 

「まさか。殿は信玄公を最強と謳っておる。わざわざ此方から攻めるなどあり得ん」

 

 

 

 

 

「それでは一体?」

 

 

 

 

 

 

その時、スッ…っと襖が開く。

 

 

 

 

 

 

織田信長の登場である。

 

 

 

 

 

 

 

「すまぬ、待たせたな」

 

 

 

 

 

「「ハハッ!!」」

 

 

 

 

 

「今日、皆にここに集まってもらったのは…」

 

 

 

 

 

「「のは…?」」

 

 

 

 

 

「今後の織田の目標が決定した故、皆に知らせる為だ」

 

 

 

 

 

「目標ですか」

 

 

 

 

「その目標とは…?」

 

 

 

 

「今後、織田家の発展の為に倒さなければならぬ敵が出現した…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより、織田家は高坂討伐計画を遂行する!!」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第27幕 京都

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ…。春はやっぱり眠くなるねぇ…」

 

 

 

「ほーのーかー…。寝てばかりいないでくださいねぇ…」

 

 

 

「んーみーちゃー…。キレが全くないねぇ…」

 

 

 

「そーですかぁ…?まぁ、春ですし…」

 

 

 

「そうだよねぇ…。春だもんねぇ…」

 

 

 

「春情ロマンティックですー…」

 

 

 

 

 

 

遂に織田家が動き出した…とも知らずに、音ノ木坂城では、日向ぼっこを楽しむ殿様1人と軍師1人。

 

 

 

 

 

 

高坂は今日も平和です。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

春日山城——

 

 

 

 

「謙信様!!」

 

 

 

「何事だ、弥太郎。そんなに血相を変えおって」

 

 

 

「織田家へ派遣した間者より織田の情報が…!!」

 

 

 

「…言ってみぃ」

 

 

 

「織田家が遂に…。高坂討伐をかがけた…と」

 

 

 

「…真か」

 

 

 

「ええ。大方」

 

 

 

「そうか…。遂に魔王が動くか…」

 

 

 

 

「謙信様…」

 

 

 

 

 

「弥太郎、音ノ木坂へ向かうぞ」

 

 

 

 

「承知!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

織田家——

 

 

 

 

 

「殿。かようにして高坂を…?」

 

 

 

「…かようにして、か」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

「…それはお主を殺してから話す」

 

 

 

「は…?」

 

 

 

信長が大広間に置いてあった刀を手にし、その家臣の首に持っていく。

 

 

 

 

「と、殿!?」

 

 

 

「自らの家臣を手にかけるおつもりですか!?」

 

 

 

「…我の家臣だと?お主の目は節穴か?勝家よ」

 

 

 

「そ、それは一体どういう…」

 

 

 

「こいつは我の家臣などではない…上杉の間者だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮血が辺りに飛び散り、首が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

音ノ木坂城——

 

 

 

 

 

「さてと、そろそろ私たちも動きましょうか」

 

 

 

「そうやんね。ちょっと最近ボーッとしすぎやからね」

 

 

 

「動くって言っても何するのよ。上洛は武田を倒してからじゃなきゃ…」

 

 

 

「いいえ、武田を倒してからじゃなくても出来るわ」

 

 

 

「しかし、織田領を…」

 

 

 

「その心配もないわ」

 

 

 

「「…??」」

 

 

 

 

 

大広間の中央で、絵里がドヤ顔をしながら仁王立ちをしている。

 

 

 

 

 

 

賢くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「知ってる?最近織田領では、関所が廃止されたのよ」

 

 

 

 

 

「関所が…」

 

 

 

 

「廃止…?」

 

 

 

 

 

「ええ、そうよ。関所がないってことは、出入りは簡単になる…」

 

 

 

 

「…じゃあ、商人か何かの変装をすれば」

 

 

 

 

「ばれずに織田領を突破出来るってわけ!」

 

 

 

 

 

「「おぉー!!」」

 

 

 

 

家臣達から歓声が上がる。

 

 

 

 

 

「しかし、武田は…?」

 

 

 

 

「武田は心配なさそうよ。星空の忍の情報によると、まだ高坂討伐の策をたてずにいれるみたい」

 

 

 

 

「…それでは攻めてくる危険はほぼ無いと?」

 

 

 

 

「ええ。しかも、武田は過去に3回も私たちに負けてる。それを無理に攻めてくると思えないわ」

 

 

 

 

「まぁ、確かにそうね」

 

 

 

 

「せやけど、もし武田が攻めて来たらどうするん?」

 

 

 

「それは謙信殿に援軍を頼みましょう。謙信殿なら確実に兵を出してくれるわ」

 

 

 

 

「流石絵里ちゃんだね!完璧だったよ♪」

 

 

 

 

「そうでしょう?我ながら良いモノだと思ってたのよ♪」

 

 

 

 

「それで?誰が京へ行くの?全員で行くわけにいかないんでしょ?」

 

 

 

「はい。穂乃果は確定だとして…。あと2人くらい護衛が欲しいですね」

 

 

 

「じゃあどうする…?」

 

 

 

「海未。穂乃果の護衛、お願い出来るかしら?」

 

 

 

「私ですか?」

 

 

 

「ええ。穂乃果を任せられるのは貴女だけよ」

 

 

 

「そうね。にこ達じゃ穂乃果は手に負えないのよ」

 

 

 

「…分かりました。私が責任を持って、穂乃果を守りぬきましょう」

 

 

 

「お!さすが海未ちゃんやね!かっこええやん!」

 

 

 

「良かったね〜!穂乃果ちゃん!海未ちゃんが守ってくれるって!」

 

 

 

「うん!海未ちゃんなら心配いらないもんね!」

 

 

 

 

「…それと、雪穂を連れて行ってもいいですか?私に何かあった時、穂乃果を任せられるのは雪穂だと思うので」

 

 

 

 

「雪穂ちゃんを?いいと思うけれど…」

 

 

 

「何かあった時ってなんや」

 

 

 

「あ、いえ、仮にも織田領を通るので、何にもないとは言い切れない、ということです」

 

 

 

「…不安にさせるようなこと言わないでよ」

 

 

 

「すみません、言葉が悪かったですね」

 

 

 

 

大広間の空気が少し重くなった気がした。

 

 

 

 

「それじゃあ京へは穂乃果と海未と雪穂ちゃんで行ってもらうわよ。いい?」

 

 

 

「ええ。問題ないです」

 

 

 

「穂乃果も大丈夫だよ」

 

 

 

 

「よっしゃ!うちらは穂乃果ちゃん達がいない間、城を守り抜くで!」

 

 

 

 

「「オォー!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは行ってきます」

 

 

 

「みんなー!行ってきますっ!」

 

 

 

「皆さん、行ってきます」

 

 

 

「うん、くれぐれも気をつけてね。必ず生きて帰ってきなさい」

 

 

 

「絵里、大袈裟よ。…しっかり足利に近寄ってきなさい」

 

 

 

「頼んだで、3人とも」

 

 

 

「よし!海未ちゃん!雪穂!それじゃあ行こうか!」

 

 

 

「「はい!(うん!)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠ざかる3人の背中を家臣達は見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、上洛によって高坂家最大の危機が訪れる————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
どうです?急でしょう?(←
まぁ、温かい目で見てやってくださいな。

次回予告はなし!自分でもどうなるか分からん!(殴


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第28幕 予感


はいはい、どうも、ポッキーですよ。

今回も何か最後の方が意味分からんことになってますが、謎解きしてください。

それではごゆっくり。


ウィングゼロさん
宇宙とまとさん
感想、ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

「行ったわね」

 

 

 

 

 

「ええ。私たちも準備に入りましょう?」

 

 

 

 

「そうだね!武田が攻めてきたときの為に!」

 

 

 

 

「…嫌な予感しかせえへんのは何でや」

 

 

 

「の、希?」

 

 

 

「こういうこと言うもんやないと思うんけど、さっきから胸騒ぎが凄いんよ…」

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第28幕 予感

 

 

 

 

 

「…直感かしら?」

 

 

 

 

「せや。何かこう…。あの3人に大きな影が迫ってる気がするんよ」

 

 

 

 

「だ、大丈夫にこ!大丈夫…!そう、そうよ!」

 

 

 

「希の直感は凄いから…。本当にそんな気になっちゃうわね」

 

 

 

「…あの子達を信じましょう。何かあったときは…」

 

 

 

 

「大丈夫、いつでも出陣できるわよ」

 

 

 

 

「うちの部隊も大丈夫や」

 

 

 

 

「よし、だから一回切り替えて、武田の為に備えるわよ!いい?」

 

 

 

 

「「ハイッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絢瀬殿ぉぉぉお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然聞こえてきた野太い叫び声に家臣達は皆、その声がした方を向く。

 

 

 

 

 

 

 

「…弥太郎さん?」

 

 

 

 

 

「そうです、皆さん」

 

 

 

 

 

「そうですじゃないわよ。何でいきなり音ノ木坂に登場してるのよ」

 

 

 

 

 

 

「しかもそんなに急いで…。何があったの…?」

 

 

 

 

 

「あと少しで謙信様も到着します故、少々お待ちいただけますか?」

 

 

 

 

 

「は?謙信殿も来るの?」

 

 

 

 

「大事やん」

 

 

 

 

 

「ええ、大事です。全ては謙信様が説明してくれます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少々お待ちに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、皆の衆、何故外におるのだ」

 

 

 

 

「謙信殿!!それより大事というのは!?」

 

 

 

 

「…絢瀬殿、取り乱しすぎだ。大事と言ってもまだ何とかなる話だ」

 

 

 

 

「なぁんだ、そこまで大事じゃないにこね」

 

 

 

「…それで?穂乃果殿は何処へ?園田殿の姿も見えぬが」

 

 

 

「あぁ、あの2人ならもう京へ向かったわ」

 

 

 

「…は?」

 

 

 

 

 

 

 

謙信の顔色がみるみると悪くなっていき、表情は強張っていく。

 

 

 

 

 

それを希は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

「何や、まずいことでもあったんか、謙信殿」

 

 

 

 

「…まずいとかそういう次元の話ではない!!京へ向かったということは織田領を通るのか!?」

 

 

 

 

「え、ええ。関所がないっていうから、商人にでも変装をして…」

 

 

 

 

「いいか、これから言うことを落ち着いて聞け」

 

 

 

 

「…はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

少しの間があり、謙信が口を開く。

 

 

 

 

 

 

家臣達の喉がなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織田家が高坂討伐をかかげた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それはホンマなんか…?」

 

 

 

「嘘でそんなこと言うわけ…」

 

 

 

「それじゃあ…」

 

 

 

 

「穂乃果達が危ないわ…!!」

 

 

 

 

「左様。もしばれたとなれば、即刻首を刎ねられるだろう…。…くそっ!!あと少し早かったら…!!」

 

 

 

 

「穂乃果ちゃん…。海未ちゃん…」

 

 

 

 

「今から私が穂乃果殿達の後を追う。何かあったときは上杉が助けてみせる…!」

 

 

 

「…それなら私もいくわ」

 

 

 

「絢瀬殿は城に残ってくだされ。拙者と謙信様で必ずあの方達を守ってきます故…」

 

 

 

「嫌よ。うちの御屋形様と相棒の危機なんですもの…!!黙ってられないわ!!」

 

 

 

 

「絵里ち、落ち着き。それじゃあにこっちと一緒やで?」

 

 

 

「ちょっと、希!それはどういう意味よ!!」

 

 

 

「エリー、気持ちは分かるけど、貴女はここに残るべきよ。上杉に任せましょ?」

 

 

 

「でも…!!」

 

 

 

「ダメやで、絵里ち。ここでしっかりせな。穂乃果ちゃん達は必ず生きて帰って来る」

 

 

 

「穂乃果ちゃん達に何かあったとき、私達を引っ張っていってくれるのは絵里ちゃんだけだから…!!」

 

 

 

「そう。穂乃果が援軍を私達に要請したとき、全軍に指示が出せるのはエリーだけなの。だから…」

 

 

 

 

「…分かったわよ。謙信殿に任せるわ…。何にもない事を願いましょう」

 

 

 

 

「よし、いつもの絵里ちや!ほな、謙信殿、仲間をよろしく頼むで」

 

 

 

 

「承知。絶対に誰1人死なせはせん!」

 

 

 

 

「それでは皆さん、私達はこれで。謙信様、行きますぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謙信と弥太郎は馬を思いっきり走らせ、穂乃果達の後を追って消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「花陽ちゃんが作ったおにぎりは美味しいねぇ〜♪」

 

 

 

 

「そうですねぇ…じゃありません!!何で穂乃果は座っているのですか!!」

 

 

 

 

「いやぁ、ちょっと疲れちゃった!」

 

 

 

 

 

「早く馬に乗ってください!先を急ぐんですよ!?」

 

 

 

 

 

「えぇー!?ここで休憩しようよぉ!!」

 

 

 

 

 

「ほら、お姉ちゃん!ワガママばっかり言わないの!海未ちゃん困ってるよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

えーっと、雪穂さん、貴女は妹ですよね?

 

 

妹の方がしっかりしてるとは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪穂まで…」

 

 

 

 

「おにぎりは馬に乗りながら食べてください!…やっぱり美味しいですね、このおにぎり」

 

 

 

 

「はい!さすが花陽さんです!」

 

 

 

 

 

「だよねー!!やっぱりはな…」

 

 

 

 

 

「早く、乗ってください?」

 

 

 

 

 

 

 

 

海未さん、目が笑ってませんよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かりました…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

織田家——

 

 

 

 

 

「いいか?作戦はこうだ」

 

 

 

 

 

「高坂はもうじき京へ向かってくるはずだ…。そして、京へ向かうには織田領を通らねばならん」

 

 

 

 

「…!じゃあそこを襲撃して…!!」

 

 

 

 

「いや、違う。狙うのは京からの帰りだ」

 

 

 

 

「…それは一体どういう?」

 

 

 

 

 

「高坂はわざわざ武田領を通ろうとはせんだろう…。となると、織田領を抜けた先にあるのは上杉領。高坂が京へ到着したという情報が入ったと同時に、そこの上杉と織田の境にある関所を閉める」

 

 

 

 

 

 

 

「織田領から出られないようにするんですね!」

 

 

 

 

 

 

「そうだ。そこを一気に攻める」

 

 

 

 

 

「ふむ。いい策ですな。しかし、予想外の行動をとった場合はどうするのです?」

 

 

 

 

 

 

「その時はその時だ。次の機会に高坂を正面から潰すまでよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果達は織田の罠から逃れられるのだろうか?

 

 

 

このまま死んでしまうのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に高坂の快進撃も終わってしまうのか——

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
謎解き出来ました?
基本勢いで書いてますので、何かよく分からん所が多いです、慣れてください(殴

次回はどうしようか、3人の旅の途中でも書いてみようか。ほのぼの系で。


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第29幕 京へ

どうも、戦国ラブライブです。
今回はほのぼのした感じになってます。
…ほのぼの系はもう当分ないので、噛み締めてください(殴

それではどうぞ、ごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
しょーくんだよ!さん
あげどうふさん
宇宙とまとさん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇー、海未ちゃぁん」

 

 

 

 

「何ですかー…?」

 

 

 

 

「まだ着かないの〜…?」

 

 

 

 

「まだです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、海未ちゃぁん」

 

 

 

 

 

「…何ですか?」

 

 

 

 

 

「まだ着かないのぉ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…先ほど答えてからまだ数十メートルしか歩いてませんが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第29幕 京へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ休憩にしましょうか」

 

 

 

 

「そうですね!中々順調に進んでますし…。それに、何と言ってもお姉ちゃんが…」

 

 

 

 

 

「あぁ…。お尻が…。下半身が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は長時間の馬の旅で疲れ切っていた。

特にお尻が大変なようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉぉぉぉぉぉ…」

 

 

 

 

地面に降りた穂乃果は思い切り伸びをする。

それと同時にとんでもない声が出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お姉ちゃん。そんなみっともない声出さないでよ…」

 

 

 

 

「現在地は越後(新潟)の南ですか…。これから西へ行って、そこから織田領へ…ですね」

 

 

 

 

「はい。あと一週間もあれば京付近に到着すると思いますよ!」

 

 

 

 

「うぇぇ!?あと一週間もかかるの!?」

 

 

 

「当たり前です!たった一週間で到着なのですから、少しくらい我慢してください!」

 

 

 

「…鬼だぁ…」

 

 

 

「あ、そういえばことりさんからマカロンを貰ったんでした!食べますか?」

 

 

 

「うぉぉ!!マカロンっ!!」

 

 

 

「立ち直りが速いですね…」

 

 

 

 

穂乃果はお菓子が絡むと、いつもこうである。いくら疲れていても、お菓子と聞けば飛びついてくる。

 

 

 

 

お菓子パワー恐るべし…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しい…♪」

 

 

 

「頰っぺたが落ちるとはまさにこのことですね…」

 

 

 

「ことりさん…。凄い…」

 

 

 

 

ことりの作ったマカロンは旅の疲れをとるには最適なものであった。甘くて、とろけるマカロンは絶品である。

 

 

 

 

 

流石は世界の西木野を唸らせたちゅんちゅんマカロンである。(第7幕参照)

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、そろそろ行きますか。皆さんも待たせていますし」

 

 

 

「はい!今日の宿へ向かいましょう!」

 

 

 

 

 

皆さん…というのは、園田軍と高坂軍の足軽達のことである。

彼らも商人の変装をし、穂乃果達と距離をとり歩いていた。

 

 

護衛部隊だ。

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ行きますよ、穂乃果!」

 

 

 

 

「しょうがないなぁ…。うんしょっと…」

 

 

 

 

穂乃果が馬にまたがる。

 

 

 

 

「よぉし!じゃあ出発!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「弥太郎!穂乃果殿達は見えるか!?」

 

 

 

 

「い、いえ。全く見えませぬ…」

 

 

 

 

「くっそ…。あの3人のペースが速すぎる…。これでは追いつかぬ…!!」

 

 

 

 

「どちらにせよ、追わねばなりません!拙者達もペースを上げていきましょう、謙信様」

 

 

 

 

「うむ…。それでは皆の者!ペースを上げるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

高く上がっていた太陽は落ち、辺りはすっかり漆黒に包まれた。

道を示すものは月明かりのみである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、あの3人達は何故か途方に暮れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…宿が潰れた?」

 

 

 

 

「はい…。本来宿が在るべき場所の建物が完全に廃墟でしたので…」

 

 

 

「多分あの廃墟は宿…。火事でもあったのかな…?」

 

 

 

 

「…うぇ?ということはつまり…」

 

 

 

「はい。今晩は野宿です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただの平地で穂乃果の叫び声があがる。

 

 

しかし、その叫び声は虚しく、響くこともせず、ただ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もう穂乃果は寝てしまったのですか?」

 

 

 

 

「はい…。相変わらず寝ることだけは早いので…」

 

 

 

 

「寝ることだけは早いって…。ここは地べたですよ?」

 

 

 

 

「私に聞かれても困ります」

 

 

 

 

雪穂が苦笑いを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

「…そういえば雪穂と2人で話すのは初めてではないですか?」

 

 

 

 

 

「うーん…。そうかもしれないですね。よく海未ちゃんとは話しますけど、必ずお姉ちゃんがいるので…」

 

 

 

 

「確かにそうですね。雪穂と会うときは必ず穂乃果がいる気がします」

 

 

 

 

そう言って海未は寝ている穂乃果の頬を少し摘んでやる。

 

 

 

 

「ふにゃ…。ぐへへぇ…。んみちゃぁ…♪」

 

 

 

「ぶっ…!!」

 

 

 

おお、海未さんが吹いておられるではないか。

珍しい…。

 

 

 

 

「ふふっ…。お姉ちゃんは本当だらしない…」

 

 

 

 

「相変わらず穂乃果は穂乃果ですね…!」

 

 

 

 

「そうですねぇ…。でももう少ししっかりして欲しいですけど」

 

 

 

 

「…しっかりした穂乃果ですか。想像もつきませんね」

 

 

 

 

「…あり得ない話ですね」

 

 

 

 

「さて!そろそろ私達も寝ましょうか」

 

 

 

 

「はい!明日も早いですしね!」

 

 

 

 

 

「それでは雪穂、おやすみなさい…」

 

 

 

 

「おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は仰向けになり、満天の星空と向かい合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…星空にゃ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪穂」

 

 

 

「…?どうかしました?」

 

 

 

 

「穂乃果のこと、よろしく頼みますよ?」

 

 

 

 

 

「…お姉ちゃんが頼りたいのは海未ちゃんですよ?」

 

 

 

 

 

「もしものときですよ。…もしも」

 

 

 

 

 

「そうですか…。分かりました。お姉ちゃんは私が何とかしますので、安心してください…!」

 

 

 

 

 

「…ありがとうございます、雪穂」

 

 

 

 

 

雪穂はそれ以上、海未へ何かを問うことはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人の寝息が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜はそれくらい静かな夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
海未ちゃんの様子がおかしいですねぇ…。
中々この3人の組み合わせも良かったり。

次回からはほのぼのはないです。当分の間、戦国を出していきます。

そして、作者の方にテストという巨大勢力が近づいて参りましたので、金曜日まで更新はないと思います。ご了承ください。


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第30幕 到着


どうも、テスト勉強に結局飽きて、執筆し始めました、ポッキーです。
まぁ、文章を書くのは現文の勉強ってことで。

今回は遂に京都に到着!そして、大事件が…。


上洛についてしっかり調べずにやった結果です、どうぞご覧ください。



前回感想をくださった
ウィングゼロさん、ありがとうございました!
信長の野望頑張ってください♪




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えてきましたね…」

 

 

 

 

 

 

 

「はい。…あれが織田の関所です」

 

 

 

 

 

 

「緊張するね…」

 

 

 

 

 

 

 

「それでは行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第30幕 到着

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで馬を置いていきましょう」

 

 

 

 

「うぇ?何で?」

 

 

 

 

「私達はあくまでただの商人…です。それが馬に何か乗っていたら怪しまれてしまいます」

 

 

 

 

「そうですね。だからほら、お姉ちゃん!早く降りるよ!」

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあ…。ここから京都まで…?」

 

 

 

 

穂乃果の顔がみるみると青褪めていく。

 

 

 

 

 

 

「はい、歩いていきますよ」

 

 

 

 

 

 

「そ、そんなぁ!!」

 

 

 

 

 

「まあまあ距離はありますよね」

 

 

 

 

 

「しかし、4日もあれば着ける距離ですので大丈夫です」

 

 

 

 

 

「よ、4日も…」

 

 

 

 

 

「ほら、お姉ちゃん!いつまでもそんな顔してないの!行くよ!」

 

 

 

 

 

「雪穂ぉ!穂乃果…死ぬかもしれない」

 

 

 

 

 

 

「…死なないから」

 

 

 

 

 

「馬鹿な事言ってないで、ほら、早く行きますよ」

 

 

 

 

「はぁーい」

 

 

 

 

「むむむ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

商人の変装をした穂乃果達。彼女達はサクッと関所を通過していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

織田家——

 

 

 

 

 

 

「今日はやけに関所が賑やかみたいですねぇ…」

 

 

 

 

「そうですねぇ…。上杉領から特に…」

 

 

 

 

 

穂乃果達が織田領を通過中、織田家ではこんな会話があちこちで聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

なんせ、高坂・園田両軍約500が1日2日で関所を通るわけであり、上杉領からの往来が激しいのは当たり前である。

 

 

 

 

 

「殿、今日はやけに上杉領から来るものが多いようですぞ」

 

 

 

 

「上杉領からか…。となると…」

 

 

 

 

「そういうことでしょうな」

 

 

 

 

「あぁ。猿、上杉側の関所の門を閉めて参れ」

 

 

 

 

「承知しやした!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さて、織田領内に入ったわけですが」

 

 

 

 

「どうしますか?城下町を通りますか?」

 

 

 

 

「どっちでもいいよぉ…」

 

 

 

 

「とりあえず、城下町を通りましょう。人目のつかない所を通りたいですが、商人がそんな所を歩いているのが見つかったら余計危険です」

 

 

 

 

 

「ふむ…。確かにそうですね…。城下町を抜けて、京へ…ですか?」

 

 

 

 

 

「何でもいいよぉ…」

 

 

 

 

 

「しかし、人目のつかない所を通って抜けてしまった方が…。どちらが安全なのでしょうか…」

 

 

 

 

 

「五分五分ですね…。早く抜けられるのは城下町を通らない道ですよね?」

 

 

 

 

 

「足痛いよぉ…」

 

 

 

 

 

「それでは、早く抜けられるこちらの道で行きましょうか。見つかったら、その時考えましょう」

 

 

 

 

見つかったらその時考える…。そんな適当でいいのだろうか?

 

 

というか完全に穂乃果は空気であった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

上杉側関所前——

 

 

 

 

「何故だ!?何故関所が閉まっておる!?」

 

 

 

 

「いつもならこんな事は…」

 

 

 

 

「おかしい…。織田は一体何を企んでおる…」

 

 

 

 

織田領前まで到達していた上杉。しかし、織田が関所を閉めるのが一歩早かったようで、足止めをくらっていた。

 

 

 

 

 

「ちょっと待ってください…?今この関所を封鎖されたということは…」

 

 

 

 

「ということは…!?」

 

 

 

 

 

「穂乃果様達は織田領内からこちらへ戻ってくることは不可能ではございませぬか!?」

 

 

 

 

 

「本格的に大変な事になってきたな…。いかがする…?我々は何をすれば…!!」

 

 

 

 

「謙信様」

 

 

 

 

 

「弥太郎…。何か策はないか…!」

 

 

 

 

 

 

「織田は大方、穂乃果様の帰りを狙う筈…。この関所で足止めをし、そこを一気に叩くつもりなのでしょう」

 

 

 

 

 

「…となると、逃げ道は1つしかないか」

 

 

 

 

 

「左様。武田領と織田領の境…。そこの関所を通り抜ける他にないかと」

 

 

 

 

「ならば我々はそこへ向かい、彼女達の逃走の援護をしよう。しかし、穂乃果殿達がその事に気づけるのか…?」

 

 

 

 

 

「そこまでは分かりませぬ。しかし、園田殿も一緒となれば、気づく確率は上がるかと」

 

 

 

 

「全ては園田殿にかかっている…ということか」

 

 

 

 

 

「左様にございます。園田殿の頭脳に賭けましょうぞ」

 

 

 

 

 

「…信じるしかない、か。高坂はこんな所で滅びるような玉じゃないはずだ」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

京都——

 

 

 

 

「つ、着いたぁぁ!!」

 

 

 

 

「ふぅ…。関東から約一週間ですか。まあまあといった所でしょう」

 

 

 

 

「ここが京ですか…。やっぱり雰囲気が違いますね…」

 

 

 

 

 

穂乃果達一行はようやく京都へ到着。

 

 

織田領は意外とあっさり抜けることが出来た。

 

 

 

 

 

「将軍に会うのはまた明日にしましょう。今のままでは、将軍に好かれるのは少し無理がありますので」

 

 

 

 

 

「そうですねぇ…。お姉ちゃんなんてもう、顔が大変なことになってますからね…」

 

 

 

 

 

「休みを…。休暇を…。穂乃果にぃぃ…」

 

 

 

 

穂乃果はまるでゾンビであった。

長旅、ご苦労なことである。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

京都の宿———

 

 

 

 

「…さて、大事なことを忘れていました」

 

 

 

 

「大事なこと?」

 

 

 

 

海未が深刻そうな面持ちで、高坂姉妹と対峙する。

 

 

 

 

「…私達の上洛には全く正当性がありません」

 

 

 

 

「せ、正当性?」

 

 

 

 

「はい。上洛というものは、正当性がなくてはなりません。例えば将軍から呼ばれた…など」

 

 

 

 

 

「…ってことはダメじゃないですか!!」

 

 

 

 

「ええ。私達は京都へ約500の兵を連れてやってきた謀反人に間違われてもおかしくはありません」

 

 

 

 

「え、え?それってかなりまずいんじゃ…」

 

 

 

 

「左様。かなりまずいです。…ですが、まだ諦めるのは早いです」

 

 

 

 

「…というと、どういうことですか?」

 

 

 

 

「明日、現将軍の弟、足利義秋に会いに行きます」

 

 

 

「足利義秋さん…?」

 

 

 

「はい。彼は軽い男と噂されているようでして…」

 

 

 

「軽い男ならちょっと持ち上げちゃえば!」

 

 

 

「そうです。にこを扱うように、褒めちぎり、崇めます。機嫌を取った所で、上洛の許しを得たいと思います」

 

 

 

 

「でも、そんなに簡単にいくかなぁ?」

 

 

 

 

「それは分かりません。しかし、成り行きを説明し、我々高坂が足利を守る、と言い切れば義秋公なら押し切れるかと」

 

 

 

 

 

「ゴリ押し作戦ですね」

 

 

 

 

 

最早作戦ではない。

 

 

 

 

 

「…ということで、穂乃果。全てはあなたの腕にかかっています」

 

 

 

 

「…。うぇ!?わ、私!?」

 

 

 

 

「そうです。貴女は高坂の当主なのですから」

 

 

 

 

「いやいやいやいやいや、待ってよ!!」

 

 

 

 

「…下手をしたら、お姉ちゃん、首切られるかもねぇ?」

 

 

 

 

「ふぇぇ…!?そ、それは…!!」

 

 

 

 

「そうですねぇ。下手をしたら、貴女の首が…」

 

 

 

 

 

「っていうかそもそもそういうのをちゃんと確認してなかった海未ちゃんが悪いんじゃん!!」

 

 

 

 

「ふっ…。もう遅いです」

 

 

 

 

 

「開き直らないでよ!!」

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、ファイトだよ!!」

 

 

 

 

 

「ファイトだよじゃねぇっつーのぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦の前日の夜は、とても賑やかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

本國寺——

 

 

 

「さぁ、穂乃果、いよいよですよ」

 

 

 

 

「失礼のないようにね、お姉ちゃん」

 

 

 

 

「むむむ…」

 

 

 

 

綺麗な着物に身を包み、正装の穂乃果がそこにはいた。いつもだらしないせいか、こういうしっかりした物を着ると、余計綺麗に見える。

 

 

 

 

「昨晩話した通りにお願いしますね。上洛を許していただけるよう、頑張ってください!」

 

 

 

 

「首、切られないようにね」

 

 

 

 

「う、うるさいよ!2人とも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『足利義秋公のおなぁりぃぃぃい!!!』

 

 

 

 

 

 

そこに、大きな声が響く。

 

 

 

 

 

 

「穂乃果、早く頭を下げて!」

 

 

 

 

 

3人はササっと頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広間の襖が開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その奥からは、足利義秋が登場した——

 

 

 

 

 





お疲れ様でしたぁ…。
ノリで書いてますので、めちゃめちゃなのはご容赦ください。
そして、いつだか将軍・足利義昭って書いたんですけど、年代的にまだ義昭は将軍ではなく。しかも義秋の時代という…。
不覚です…。


次回はvs足利義秋!穂乃果は義秋を説得出来るのでしょうかねぇ?
首が落ちてバッドエンドかも…?


それではまた次回で。



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第31幕 足利


はいはいどーも、テストから解放されたポッキーです。
ふむ、色々問題が発生しているようで…。史実とは全く別の方向にこの話は向かっているんですねぇ、これが。
ちょっと史実と矛盾が生じ始めている…。
まぁ、1つ言わせていただきます、史実は無視です。ある程度は沿って行きますが…。申し訳ございません。


今回は足利義秋(後の義昭)と接触!一体どうなるのか…。

そして、この段階で将軍だと思われていた足利義輝(1565没)が既に死んでいるという…。現在は1567年です。

そのため、将軍は第14代足利義栄にさせていただきます。本来なら1568年に将軍につくのですが…。ご了承ください。


前回感想をくださった
しょーくんだよ!さん
ウィングゼロさん
宇宙とまとさん

ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高坂…穂乃果殿、か?」

 

 

 

 

 

「は、はい!足利…義秋さん…?」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第31幕 足利

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ…。実に面白い顔の作りをしておるの…」

 

 

 

 

 

「うぇ!?え、えぇーっと…」

 

 

 

 

 

 

義秋がずいっと穂乃果に顔を近づける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近い。

 

 

 

非常に近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あああのお方は何を…!?」

 

 

 

 

「う、海未さん、お、落ち着いて…!」

 

 

 

 

 

広間の後ろでその様子を見ていた海未は気が気では無いようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お主が最近関東で暴れまわっているという高坂の当主、か…」

 

 

 

 

「あはは…。一応そうですね…」

 

 

 

 

「あの武田信玄を3度も破り、あの上杉謙信をも仲間にしてしまうという…。そなた達の噂はよく耳にしておる」

 

 

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 

 

「それで?」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

「今日は何用でこんな所まで来たのだ?わざわざ京まで参るということは…。何かあるのだろう?」

 

 

 

 

 

「ええ…。まぁそうですね」

 

 

 

 

 

「何だ、予を討ちにでも参ったのか?」

 

 

 

 

 

突然とんでもない質問を吐き出した義秋に、その場にいた皆は目を丸くする。

 

 

 

 

 

「はっはっは!そんなに驚くことは無かろう?あ、そうだな、予は将軍では無いからの、討った所で何の利益も無いな!はっはっは!!」

 

 

 

 

 

「あ、あはは…」

 

 

 

 

 

高々と笑う義秋。高坂の皆様はそのテンションについていけていなかった。

 

 

 

 

 

「…それで?訳を申してみよ。無論、突然の訪問をこの様ないい形で受け入れている予への感謝の気持ちを込めてな!はっはっは!」

 

 

 

 

 

 

「軽いとは聞いていましたが…。予想以上ですね…」

 

 

 

 

「…はい。これはちょっと…」

 

 

 

 

 

後ろのお二人さんは顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。

 

 

 

 

 

「えっとですね…義秋さんっ!!」

 

 

 

 

 

「おお、威勢がいいの…。流石は高坂の当主だ…!いいぞ、遠慮なく申せ!!」

 

 

 

 

 

 

「はい!私たち高坂の上洛の手助けをして下さいっ!!」

 

 

 

 

 

 

ど直球だった。昨晩の会議は一体何処へ…?

 

 

昨晩の会議の通りでは、ある程度義秋の機嫌をとった後、それを頼む予定だったのだ。

 

 

 

 

 

「あぁ…。終わりました…」

 

 

 

 

「お、お姉ちゃん…」

 

 

 

 

 

穂乃果の付き人達は絶望の淵にいた。失敗した、終わった、穂乃果が死ぬ、高坂は終わった。

 

 

 

 

ハートブレィック…ありふれた悲しみありふれた痛みと——である。

 

 

 

 

 

 

「ふむ…。上洛の手助けとな?」

 

 

 

 

「はい!上洛をしに来たのはいいんですけど、将軍様とかの許可を得るのを忘れてて…あはは…」

 

 

 

 

 

「ほぉ、お主らは危うく正当性のない上洛をする所であった…ということか」

 

 

 

 

「…すみません」

 

 

 

 

 

「はっはっは!そんなに気を落とすでない!あい分かった!予が何とかしてやろう!」

 

 

 

 

 

「…え?本当ですか!!?」

 

 

 

 

 

穂乃果は満面の笑みを浮かべる。向日葵が咲きましたとさ。

 

 

 

 

 

 

「な、なななななななっ!?」

 

 

 

「これは…」

 

 

 

 

ありふれた悲しみの2人は、何が起こっているのか状況を掴めずにいた。

 

 

当たり前である。

 

 

 

 

 

 

 

「叔父上には予から言っておこう…。今日の午後にでも御所に行ってみるがよい」

 

 

 

 

 

「お、叔父上ですか?」

 

 

 

 

 

背後から海未が声を上げた。

義秋は今までとは違う鋭い目でその方向を見る。

 

 

 

 

 

「…そなたは?」

 

 

 

 

 

「あ、申し遅れました…。私、高坂家にて軍師をしております…。園田海未と申します」

 

 

 

 

 

「園田海未…。軍師…。あぁ!高坂のとんでもない策を生み出しているあの園田か!!」

 

 

 

 

 

「ご存じなのですか?」

 

 

 

 

「勿論だ。高坂軍は面白い策をたてる、その策と天からの恵みの組み合わせは戦国最強だ…。と、武田信玄公が謳っていたと聞いておるぞ」

 

 

 

 

 

「信玄公が…!?」

 

 

 

 

「左様。そなた達にはあまり実感は無いかも知れぬが、高坂の名はもう天下に轟いておるのだ。そうか、そなたが園田殿だったか」

 

 

 

 

 

「はい。…それで、叔父上というのは?」

 

 

 

 

「現・将軍の義栄様の事だ。知らんのか?」

 

 

 

 

「義栄様…?義輝様では無いのですか!?」

 

 

 

 

「あぁ…。兄上なら2、3年前に松永久秀に討たれたぞ。それで、将軍は予ではなく叔父の義栄様になったのだ」

 

 

 

 

 

「討たれた…?そうでしたか…。京の情報には疎いものでして…」

 

 

 

 

「まぁ遠いからの…。ということだ。今日の午後、御所へ行って義栄様と会って来い。高坂が我々足利を守ってくれるのであろう?」

 

 

 

 

 

「はい!勿論です!」

 

 

 

 

 

「ならば幕府も当分は安心だな。義栄様に嫌われぬようにやるのだぞ」

 

 

 

 

「承知しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

その後、御所にて義栄と会った穂乃果達。対談は終始和やかな雰囲気であった。

 

 

足利家はなんともフレンドリーである。

 

 

高坂家が足利家…。室町幕府を守る、と約束し、その対談は終了した。

 

 

 

高坂家、上洛完了である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…義秋様も義栄様も、なんと言いましょう、優しいお方でしたね」

 

 

 

 

「うん!思ってたのと色々違ったよ!」

 

 

 

 

「…違いすぎるよ」

 

 

 

 

「さてと…。それでは戻りますか。音ノ木坂へ」

 

 

 

 

「「うん(はい)!!」」

 

 

 

 

 

 

高坂三人衆は、上洛を済ませ、京都を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

織田家——

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!!只今、京都に派遣した間者達より、高坂家が足利家を護衛する、と双方合意したという情報が入りました!!」

 

 

 

 

 

「上洛終了…か」

 

 

 

 

「そうですね…」

 

 

 

 

「よし、それでは作戦を決行するぞ。皆を集めて来い」

 

 

 

 

 

「承知!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…これより、高坂討伐作戦を開始する」

 

 

 

 

「「オォッ!!」」

 

 

 

 

「勝家、恒興、猿、利家、丹羽…。お主らは上杉領側の関所へ向かえ」

 

 

 

 

「…しかし、殿は?」

 

 

 

 

「我は武田側の関所へ向かう。…念のためだ」

 

 

 

 

「ならば我々も…!」

 

 

 

 

「構わん。我のみで大丈夫だ」

 

 

 

 

「…分かりました。気をつけてくださいね」

 

 

 

 

「いいか、皆の者。この機会を絶対に逃さぬぞ…。高坂穂乃果を討つ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「オォーーーー!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果達が京都からの帰り道、織田領へ入ったその日…。

 

 

 

 

 

遂に魔王が動き出す。

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした…。
前書きが長すぎるという事故…w
本当、歴史ものを書くのは難しいですなぁ…。

さて、次回は遂に魔王・織田信長が始動します。穂乃果達はどうなってしまうのでしょう?

それではまた。


※義栄との接触の描写が無かったのは、義栄がすぐに将軍の座から降ろされる…死ぬ為です。史実では一年も経たずに死んでいます故。
ご了承ください。


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第32幕 急襲


どうも、ポッキーでございます。

いやぁ、穂乃果達危ないですねぇ…。どうしましょう?(殴

今回の話は、題名通りです。そのままです。


信長怖し。



ウィングゼロさん、ご感想ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

岐阜城・城下町——

 

 

 

 

 

 

「んん〜♪」

 

 

 

 

「こ、このお饅頭は…!」

 

 

 

 

「美味しいですね…」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第32幕 急襲

 

 

 

 

 

 

 

「このあんこのお饅頭…。美味しいねぇ♪」

 

 

 

 

「うん…。うちの饅頭より美味しいかも…」

 

 

 

 

「いえ、それはないです。私が保証します」

 

 

 

 

「海未ちゃんは本当、うちのお饅頭好きだよね」

 

 

 

 

 

「はい!あのお饅頭は絶品です!天下を取れますよ!!」

 

 

 

 

海未の目はキラキラとお光りになられていた。

 

 

穂乃果(戦国時代版)と雪穂の実家は、平成の穂乃果同様、和菓子を作っている。

大名をする傍ら、副業として和菓子屋を城下町に開いている。

 

 

 

 

 

 

(なぁ、聞いたか?)

 

 

 

(何をだ?)

 

 

 

(信長様が遂に高坂討伐へ動き出したみたいだぞ!!)

 

 

 

(高坂ってあの関東…)

 

 

 

 

 

「いやぁ、岐阜城の城下町は色々…」

 

 

 

「穂乃果、ちょっと静かに…」

 

 

 

「…え?どうして?」

 

 

 

「いいから、ちょっと静かにしてください!」

 

 

 

 

 

 

(今高坂が上洛したじゃん?)

 

 

 

(あぁ、聞いた聞いた。幕府につくんだろ?)

 

 

 

(そうそう。それでな?信長様は…)

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、海未ちゃん!!」

 

 

 

「っ!?な、何ですか穂乃果!!」

 

 

 

 

「何をそんな難しい顔してるのさ!怒ってるの?」

 

 

 

 

「…一旦静かにしてくれますか?穂乃果」

 

 

 

 

「お姉ちゃん、ちょっとうるさいよ」

 

 

 

 

「ゆ、雪穂まで…」

 

 

 

 

 

 

…え?海未と雪穂は何をしているか?

 

 

 

 

 

 

決まっているでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城下町で行われている世間話の盗聴ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今日の朝、信長様出陣したじゃない?)

 

 

 

 

 

(ああ、そういえばそうだな。朝から騒がしかった)

 

 

 

 

 

(どこへ向かったかまでは知らぬが、越後(新潟)方面に向かったみたいだぞ)

 

 

 

 

 

(へぇ…。何をするんだろうな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪穂、聞きましたか?」

 

 

 

 

 

「はい。信長が越後へ向かったってことですよね」

 

 

 

 

 

「…しかも、高坂がどうとか言ってましたね」

 

 

 

 

 

「謙信殿を攻めに行った…?」

 

 

 

 

 

「いえ、その可能性は薄いでしょう」

 

 

 

 

 

「どうしてですか?」

 

 

 

 

 

「一度内で割れ、現在あまり勢力がないといえど、相手は軍神です。それに、全盛期ほどではないといえ、鬼小島殿が再び側近についたことにより、勢いは取り戻しています。それに、上杉と戦をするということは、高坂も出てくる、ということですからね…。自分で言うのはなんですが、上杉・高坂と正面衝突をしようなんていう無謀な策はたてないでしょう」

 

 

 

 

 

「それじゃあ…何のために?」

 

 

 

 

 

「…大方、対象は私たちでしょう」

 

 

 

 

 

「私たち…?」

 

 

 

 

 

「はい。信長は、私たちが上洛した、という情報を元に私たちを狙って攻めるつもりでしょう」

 

 

 

 

 

「…えっと、どういうことですか?」

 

 

 

 

 

「穂乃果も分かんないよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

おぉ、穂乃果さん、お久しぶりです。

 

 

 

 

 

「要するに、穂乃果を殺しにきているのです」

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

「わ、私?」

 

 

 

 

「はい。この城下町にいる人の数からして、戦の規模は小さいはず。これより、謙信殿を攻めるという可能性は皆無です。…となると、対象は今、織田領内にいる私たち。信長は既に私たちがこの付近にいるという情報も得ていたのでしょう」

 

 

 

 

 

「じゃあ何で越後に?」

 

 

 

 

「私たちが確実に越後を通ると踏んだからです。越後…といっても、大方越後側の関所付近に陣を敷いているはずです。そこで、通りかかった私たちを一気に…」

 

 

 

 

「それじゃあ大変じゃん!!どうするのさ!?」

 

 

 

 

「…危険ですが、武田領を通ります」

 

 

 

 

 

「武田領を…?」

 

 

 

 

 

「はい。それしか生きて帰る道はないかと」

 

 

 

 

 

「確かにそれしかないですね…。それにどちらにせよ、信長が向かった越後へ向かうのも危ない話ですからね」

 

 

 

 

 

「じゃあ、武田さんの領地を通って、音ノ木坂に戻るんだね!」

 

 

 

 

「はい。通ったことのない道ですので、周りに気をつけてくださいね」

 

 

 

 

「もちろん!大丈夫だよ!」

 

 

 

 

「お姉ちゃんの大丈夫はあてにならないからなぁ…」

 

 

 

 

「私もそう思います」

 

 

 

 

「えぇ…。2人とも酷いよぉ!!」

 

 

 

 

さてさて、高坂3人衆は城下町の世間話を盗み聞いたことで、信長が越後へ向かったという情報をゲット。

それにより、このトリオは武田領を通り、音ノ木坂へ帰ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王が武田側の関所付近にいるとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

武田領側関所付近——

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、歩くのも慣れちゃったね!」

 

 

 

 

「それは良かったです!」

 

 

 

 

「お姉ちゃん、行きは凄かったもんね…」

 

 

 

 

 

「あはは…。慣れだよ、慣れ!」

 

 

 

 

「あ、そういえば、馬はどうすんですか?」

 

 

 

 

「馬は後ほど謙信殿に引っ張ってきてもらいましょう。謙信殿なら快く受け入れてくれるはずです」

 

 

 

 

 

「…ん?あれかな?関所」

 

 

 

 

 

3人の前に関所らしきものが現れる。

 

 

 

 

 

「はい。そうですね」

 

 

 

 

「ようやく織田領を抜けれるんですねぇ…」

 

 

 

 

「これでとりあえず一安心…ってところでしょうか」

 

 

 

 

 

関所を目前に控えた彼女たちはいくらかの安堵感に浸っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織田陣営——

 

 

 

 

 

「申しあげます!高坂、園田軍もう少しでこちらへ到着いたします!」

 

 

 

 

 

信長は、関所付近の林の中に陣を敷いていた。

 

 

 

 

 

「ふむ…。高坂と園田は個別に動いているのか?」

 

 

 

 

「いえ、情報によると、高坂と園田は行動を共にしているとのこと」

 

 

 

 

「それでは人が多すぎるではないか」

 

 

 

 

「そういう意味ではなく、高坂、園田の両当主が共にいるということです。他の足軽達はいくらか後ろでのんびりしているかと」

 

 

 

 

 

 

「ほぉ?それはかなり楽な話だな…。殺しやすくて助かるわ」

 

 

 

 

 

「阿保な話です」

 

 

 

 

「よし、まずは鉄砲で攻めるぞ。だが、鉄砲は二丁しか持ってきておらん。一撃で仕留めよ」

 

 

 

 

 

「「ハッ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「えっと…。これはどういうことかな…?」

 

 

 

 

 

「何故…」

 

 

 

 

 

 

「遅かった…のですか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、高坂さん達は目を背けたいような現実に対面していた。

 

 

 

 

 

 

という現実は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で関所が閉まってるの…?」

 

 

 

 

 

 

「こ、これは…」

 

 

 

 

 

「どうしても越後を通らせたいようですね…」

 

 

 

 

 

そう。信長により、唯一の希望である武田領側の関所は閉められていた。

 

 

 

 

 

「仕方ありません。…越後へ向かいましょう」

 

 

 

 

「えぇ!?でもそれじゃあ…」

 

 

 

 

「強行突破です」

 

 

 

 

「そ、そんなぁ…」

 

 

 

 

 

「無謀すぎます…」

 

 

 

 

「しかし、ここにいても帰ることは出来ませんし、それこそ信長がこっちに来たら終わりです」

 

 

 

 

 

 

「そうですけど…」

 

 

 

「うん、仕方ないね!戻ろう!」

 

 

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

 

 

「雪穂、わかってください。これしか方法はないんです」

 

 

 

 

「それは分かってますけど…」

 

 

 

 

「よし、じゃあ早く戻ろう!また野宿は嫌だよ!」

 

 

 

 

「どちらにしろ野宿だと思いますが…」

 

 

 

 

「…え?そうなの?」

 

 

 

 

「はい。この付近は何にもないので」

 

 

 

 

「うぇぇ…」

 

 

 

 

「なら、謙信殿に助けを頼みましょう。そうすれば何とかなるかもしれません」

 

 

 

 

「はい。そうしましょう」

 

 

 

 

「それじゃあ穂乃果の兵隊さんに頼むね!後ろにいるから、ちょっと行ってくるよ」

 

 

 

 

「はい。お願いします」

 

 

 

 

 

 

そう言って穂乃果は2人に背を向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

海未はその光景をのんびりと見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両隣に草木が多く茂っている。空には太陽が昇っており、雲ひとつない快晴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その光景に海未はある異変を見つけてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

草の中から僅かに金属の光が見える。太陽の光を反射しているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その近くからは謎の煙が上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未は何を思ったのか駆け出す。

 

 

 

 

 

直感が悪い予感を感じとったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え、え?海未さん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは鉄砲だ————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?どうかしたの?うみち…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?お姉ちゃん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い鮮血が肩から吹き出した。

その血は右腕を一瞬にして赤く染める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うみちゃ…。う、海未ちゃん!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

最後がちょっと難しかったですね…。まぁ見逃してください。

さぁ、負傷者が遂に出ましたよ…。信長の兵達も出てきますよ…。
高坂と園田の兵達は何をしているんでしょうねぇ…。

危機です。


次回はどうなるんでしょうね?楽しみです(殴


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第33幕 貴女の為に

どうも、ポッキーです。
前回は絶体絶命で終わりましたなぁ…。

さて、今回はどうなるんでしょうなぁ?(←



前回ご感想をくださった
ウィングゼロさん
しょーくんだよ!さん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果を敵兵の狙撃から助ける為、自ら体を張って銃弾をくらった海未。

 

 

 

 

その銃弾をくらった右肩からは大量の血が流れでていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん!!?海未ちゃん!!!」

 

 

 

 

 

 

「くっ…。無事ですか…?穂乃果…」

 

 

 

 

 

「私は大丈夫だよ!!それより海未ちゃ…」

 

 

 

 

 

「い、いえ。私のことはいいんです。貴女が無事なら」

 

 

 

 

そう言って海未は微笑んだ。

 

 

 

 

「良くないよ!!穂乃果が良くないの!!」

 

 

 

 

「殿!!大丈夫ですか!?殿!!」

 

 

 

 

「大丈夫です。…少し痛みますが、気にすることはないです」

 

 

 

 

少し痛むとか、そういうレベルの話ではない。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!!大丈夫!?」

 

 

 

 

「ゆ、雪穂…!!海未ちゃんが…!!」

 

 

 

 

「海未ちゃんが…!?凄い血じゃないですか!?早く手当てを!!」

 

 

 

 

 

「大丈夫です。抑えていれば何とか」

 

 

 

 

「大丈夫なわけないよ!!海未ちゃんはいっつもそうやって…!!」

 

 

 

 

「それは穂乃果も一緒じゃないですか」

 

 

 

 

「…何で笑ってられるのさ。痛いでしょ…?なのに何で…!!」

 

 

 

 

「さぁ?どうしてでしょうね?私にも分かり…」

 

 

 

 

 

「大変にございます!!!!」

 

 

 

 

園田の足軽が血相を変えて駆け寄ってくる。

 

 

 

 

「…織田が来ましたか?」

 

 

 

 

「何故それを…?」

 

 

 

 

海未は全てを悟っていたかのようだった。

 

 

 

 

 

「貴方の顔に書いてありますから…。それで?信長はどこの方角から来ているのですか?」

 

 

 

 

「情報通りでは、この付近…。南からでございます」

 

 

 

 

「…そうですか。なら退却は何とかなりそうですね」

 

 

 

 

「…何故そのように落ち着いていられるのですか?一大事のはずなのに…」

 

 

 

 

「私にはわかりません。どうしてでしょうね…?」

 

 

 

 

「…海未さん。今織田が来たって…」

 

 

 

「…はい。もうじき到着しますので、早く逃げてください」

 

 

 

 

「分かりまし…?逃げてください…って何ですか…?」

 

 

 

 

「そのままの意味です。雪穂が穂乃果を連れて逃げるのです」

 

 

 

 

「わ、私が…?」

 

 

 

 

「海未ちゃんは!!?海未ちゃんはどうするのさ!!」

 

 

 

 

「私ですか?私はこの様に手負いの為、ついて行っても役にはたちません。それ故…」

 

 

 

 

「役にたつかたたないかなんてどうでもいいよ!!早く逃げるよ!!」

 

 

 

 

「いえ、私はここに残ります」

 

 

 

 

「何で…。何でそこまでするんですか…?一緒に逃げましょう!!」

 

 

 

 

「言ったでしょう?私を連れて行っても役にはたたないと」

 

 

 

 

「で、でも!!」

 

 

 

 

「雪穂。あの夜の約束は忘れたのですか?」

 

 

 

 

「でも…」

 

 

 

 

「早く!!海未ちゃん!!」

 

 

 

 

「…穂乃果。貴女が早く逃げなさい」

 

 

 

 

「だから海未ちゃんも一緒に…!!」

 

 

 

 

「…私は私に出来ることをします。今課せられている私の使命は、穂乃果の退却の援護をすること…。殿として、ここに残ります」

 

 

 

 

「使命なんてどうだっていいよ!!殿なんかなくなって…走れば絶対逃げ切れるから!!」

 

 

 

 

「私は走れそうにありません…。そろそろ肩の方が限界みたいですし」

 

 

 

 

「じゃあ、じゃあ…!!」

 

 

 

 

「雪穂」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

雪穂は下を向いたままだった。気のせいかどうかは分からないが、雪穂からは光るものが落ちていた。

 

 

 

 

 

「雪穂。穂乃果を…。よろしく頼みましたよ」

 

 

 

 

「は…い…!!」

 

 

 

 

「うみちゃ…!!」

 

 

 

 

「…お姉ちゃん!!早く逃げるよっ!!」

 

 

 

 

「嫌だ!!海未ちゃんを残してなんか行けないよ!!」

 

 

 

 

「何をそんな心配しているのですか…。まだ死ぬとは決まってませんよ?」

 

 

 

 

「でも…でも!!」

 

 

 

 

「私の剣術を舐めないでください?」

 

 

 

 

「…利き手使えない人がそんなこと言ったって説得力ないよ…」

 

 

 

 

「ふふっ…。それもそうですね」

 

 

 

 

「何で笑ってられるの…?海未ちゃん死んじゃうかもしれないのに!!!」

 

 

 

 

「さぁ?何故でしょう?」

 

 

 

 

「殿!!織田がそこまで来てます!!」

 

 

 

 

「…そうですか。分かりました。…ということですので、穂乃果」

 

 

 

 

「やだぁ…!!」

 

 

 

 

「お姉ちゃん…!!行こう!!」

 

 

 

 

「嫌だ…!!!」

 

 

 

 

 

駄々をこねる穂乃果。まあ無理もないだろう。

 

そんな穂乃果に海未はより近寄り、穂乃果の涙を拭き取ってやる。

 

 

 

 

 

 

「言ったでしょう?貴女に涙は似合わない…と」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「最後に貴女の笑顔が見たいです…穂乃果。お願いします」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

穂乃果は顔をあげ、涙でぐちょぐちょのその顔で無理矢理笑顔を作った。

 

いつも見せる笑顔ではなかったが、海未は十分満足したのだろう、海未は最高の笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

「敵襲!!!!」

 

 

 

 

 

「さあ…穂乃果。逃げなさい。早く。生き延びてください」

 

 

 

 

「嫌だよ…。海未ちゃんがいないなんて…」

 

 

 

「大丈夫です。生きて帰りますから」

 

 

 

「…絶対だよ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

穂乃果は雪穂に手を引っ張られ、その場から走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

「ダメですね…。危うく泣いてしまう所でした…」

 

 

 

 

 

「殿!!殿…やり遂げましょう!!」

 

 

 

「…勿論です」

 

 

 

 

(いたぞぉぉ!!)

 

 

 

(園田だぁぁあ!!)

 

 

 

 

(いいか!!絶対に取り逃がすな!!)

 

 

 

 

(オォォォ!!!)

 

 

 

 

 

「最期の大勝負…ですね」

 

 

 

 

 

 

使うことが出来ない右腕に変わり、海未は利き手と逆…左手で刀を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…穂乃果、貴女を必ず助けます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

上杉謙信——

 

 

 

 

 

「謙信様。やはり関所は閉められておりましたな」

 

 

 

 

「あぁ。見た所、織田の家臣たちがこっちで張っているようだな」

 

 

 

 

「ええ。柴田、池田、丹羽の旗が見えますぞ」

 

 

 

 

 

「ふむ。かなり凄い顔ぶれだな」

 

 

 

 

 

「それほど本気なのでしょう」

 

 

 

 

 

「…武田の関所をこじ開けようと思うたが、失敗したからの…。ここはしっかりやらねばならんな」

 

 

 

 

「左様。穂乃果様達を助ける為に」

 

 

 

 

「よし。いくぞ、皆の者。こちらの関所をこじ開けるぞ」

 

 

 

 

 

「「オォ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

上杉領側関所——

 

 

 

 

「…殿の予想通り高坂は武田の方へ向かったのか?」

 

 

 

 

「さぁ?拙者に聞かれても困る」

 

 

 

「そうなのではないか?いくら待てども高坂は来ない…。そういうことだ」

 

 

 

 

「残念じゃのぉ…。暴れてやろうかと思うたのに」

 

 

 

 

「木下殿、そなたはもう少し落ち着いた方がよいと思うぞ」

 

 

 

 

「もぉぉしあげます!!!」

 

 

 

 

 

「何事じゃ…。それと…もぉぉしあげますとはなんぞや」

 

 

 

 

 

「そんなことはどうでもいいのです!!北側…。関所奥、越後より、上杉謙信が攻めて参りましたぁぁあ!!!」

 

 

 

 

 

「…は?」

 

 

 

 

 

「謙信が攻めてきただと…?」

 

 

 

 

 

「数は?いくら程ですか?」

 

 

 

 

 

「…約5000」

 

 

 

 

「5000…?我々の倍はあるではないか!!」

 

 

 

 

「ふむ…。仕方ない。受け身になっても関所を破壊されて終わりじゃ。迎え討とう」

 

 

 

 

「丹羽殿…。確かにそれが敵策かもしれんな」

 

 

 

 

「信長様も高坂を討とうと指揮をふるっておられるのだ!!我らもやるぞぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

「「オォォォォォ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

園田軍——

 

 

 

 

 

殿をつとめていた海未率いる園田軍は、信長軍の猛攻により、ほぼ壊滅状態であった。

 

 

 

 

 

道には討ち死にした園田の足軽達が転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…。地獄絵図ですね…」

 

 

 

 

 

(良いか!!園田海未だ!!早いうちにしとめてしまうぞ!!)

 

 

 

 

 

海未は左で刀を振り、右肩を庇いながらも、毎日の稽古で培った身のこなしで何とか織田を相手にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そんな海未も絶対絶命のようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…囲まれましたか。…そうですか」

 

 

 

 

 

 

(園田海未!!覚悟!!!)

 

 

 

 

 

 

(皆の者!!かかれぇぇ!!!)

 

 

 

 

 

 

(オォォォ!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未は左手に持っていた刀を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…穂乃果。私はここまでのようです…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女との約束を守れませんでしたね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すみません、穂乃果…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…しっかり生きてください。私の分まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…戦のない世を作ってくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私園田海未——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果の幼馴染で…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女の下につくことが出来て…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せでしたよ、殿—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未の目から涙が落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀が海未を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第33幕 貴女の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




海未ちゃぁぁぁぁあ!!!(海未ちゃん推し
書きながら悲しくなってました…。
ま、人のために…っていうそんな海未ちゃんだからいいんでしょうな。


さぁ、穂乃果ちんとユッキーは逃げ切れるんでしょうか?
謙信は高坂の逃げ場を作れるのでしょうか?

お楽しみに。




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第34幕 約束


最近忙し過ぎて、死にそうなポッキーです。
久々に書きました故、色々と文章がおかしくなってる可能性が。
ご了承ください。

そして、海未ちゃんを殺してしまったことにより、ほのうみの夫婦喧嘩が書けないことが発覚(今更
楽しかったのに…。ま、仕方ないですね。

それではごゆっくり。


前回感想をくださった
ウィングゼロさん、
宇宙とまとさん、
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!!行くよ!!!」

 

 

 

 

 

「嫌だよ…!!海未ちゃんがいないなんて…!!」

 

 

 

 

 

「大丈夫です。生きて帰りますから」

 

 

 

 

 

「…絶対だよ」

 

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

穂乃果は雪穂に引っ張られ、その場を走り去った。

 

 

海未との最期の約束をして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未ちゃん、絶対に生きてまた会おうね———

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第34幕 約束

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は走った。ただひたすらに。

 

 

 

 

(ここで穂乃果が死んじゃったら…。海未ちゃんが頑張ってくれてる意味がないよ…!!)

 

 

 

 

「お姉ちゃん!まだ休憩は大丈夫?」

 

 

 

 

穂乃果は並走している雪穂へ、無言の合図を送る。

無論、まだ大丈夫の合図だった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

上杉領側関所前——

 

 

 

 

 

「どうする、関所を開けるか?」

 

 

 

 

「開けねば戦えぬぞ?」

 

 

 

 

「しかし、信長様は開けていいとは…」

 

 

 

 

「どうせ壊されるのだ。だったら開けてしまえ。受け身になる理由はない」

 

 

 

 

「この戦…。必ず勝たねばならぬぞ」

 

 

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

 

 

「これで負けようものなら…」

 

 

 

 

「信長様に何をされるか分からぬ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

その場が凍りついた。信長はそれほど恐ろしい奴なのである。

 

 

 

 

 

 

「よし、よし、やるぞ、いいな!!皆の者!!」

 

 

 

 

「「オォ!!!」」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

上杉軍——

 

 

 

「謙信様!陣はここに敷いてしまってよいのですか?」

 

 

 

「ああ。織田軍は我らが攻めてきたと知れば、必ず関所を開けて、攻め入ってくるはずだ。我らは受け身に回る」

 

 

 

 

「しかし、受け身に回ってしまってもよいのでしょうか?」

 

 

 

 

「問題ない。上杉領で戦をできる、というのはかなりこちらにとって有利であるからな。地形をよく知っているのは上杉。こういうのを利用すれば、我らの半分の兵力の織田など瞬殺することが可能だ」

 

 

 

 

「ふむ、地形を生かして戦をするためにここに陣を敷かれたのですな!」

 

 

 

 

「そうだ」

 

 

 

 

「いつ関所が開くでしょうか?もうじきでしょうか?」

 

 

 

 

「もうじきだろう。いつでも迎えうてるように準備しておけ」

 

 

 

 

「ハッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん…!ちょ…!!待って…!」

 

 

 

 

「雪穂!!早く行くよ!!」

 

 

 

 

「まっ…。も、もう無理…」

 

 

 

 

雪穂がその場に膝から崩れ落ちた。

 

無理もないだろう。彼女達はあの後、約2時間は走りっぱなしであった。

 

ほぼ全力で。

 

 

 

 

「ダメだよ…!!海未ちゃんが頑張ってくれてるんだから…!!」

 

 

 

 

「いや…。そ、そうだけど…。さすがに…」

 

 

 

 

「…しょうがないなぁ」

 

 

 

 

「城下町の近くに馬を用意してくれてるみたいだから…。とりあえずそこまでだね…」

 

 

 

 

「うん…」

 

 

 

 

穂乃果が雪穂の横に座る。

 

 

その表情は死んでいた。

 

 

 

 

「…海未ちゃん?」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「海未ちゃんの事…考えちゃうからあんなに黙々と走ってたんでしょ?」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「立ち止まると、心配で、心配でいられなくなる。海未ちゃんを助けにいかなきゃ…とか考えちゃう」

 

 

 

 

穂乃果が顔を上げ、何とも情けない顔で雪穂を見る。

 

 

 

 

「あはは…。全部お見通しなんだね…」

 

 

 

「そりゃそうでしょ。何年お姉ちゃんの妹やってると思ってるのさ」

 

 

 

「…それもそうだね」

 

 

 

「…お姉ちゃん。海未ちゃんなら大丈夫だよ?」

 

 

 

「大丈夫…?」

 

 

 

「うん。海未ちゃんは約束を破るようなことはしない…。そんな事、お姉ちゃんが一番分かってるでしょ?」

 

 

 

「そうだけど…」

 

 

 

「お姉ちゃん。海未ちゃんを信じて。海未ちゃんだって、私たちが逃げ切れることを信じて戦ってくれてる。だから…。私たちも、海未ちゃんが必ず生きて音ノ木に帰ってきてくれるって、信じよう?」

 

 

 

 

雪穂の言葉は太陽を覆っていた分厚い雲をはらっていく。

 

 

 

 

 

「えへへ…。さすが穂乃果の妹だね!」

 

 

 

 

「ようやくいつものお姉ちゃんになったよ…。それじゃ、行こうか!」

 

 

 

「ええ!?もうちょっと休もうよぉ!」

 

 

 

「はぁ!?お姉ちゃんが早く行こうって言ったんだよ!?」

 

 

 

「あれぇ…?そうだっけ?」

 

 

 

「はぁ…。落ち込ませたままの方が良かったかもなぁ…」

 

 

 

 

 

「雪穂…。君はいつからそんな悪い子に…」

 

 

 

 

 

「いいから早く行くよ!!!」

 

 

 

 

 

雲の切れ目から、太陽の光が地上へ差し込んだ。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

上杉軍——

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

織田領と上杉領を隔てる関所の前には、謙信と弥太郎、2人が馬に乗り、立ち塞がっていた。

 

 

 

 

 

「弥太郎。関所が開いたらすぐに織田をこちらへ引き寄せるぞ。開いたら走る…。よいな」

 

 

 

 

「謙信様こそ…遅れてはなりませんぞ?」

 

 

 

 

上杉の策はこうだ。

 

 

謙信と弥太郎がおとりとなり、関所から織田家臣軍を上杉領へと引き込む。

 

 

あるポイントまで引き込んだら、上杉軍の攻撃開始である。

 

 

開けた土地へ織田を誘い込み、そこで一気に四方八方より攻撃をしかけ、潰しにかかる。

 

 

謙信はおとりの役目を終えた後、いくらかの兵を引き連れ、もう一度関所へ。

 

 

そこで、穂乃果達がやって来るのを待ち、音ノ木への退却の手助けをする。

 

 

これで、とりあえずは乗り切れる…と謙信はふんでいた。

 

 

 

 

 

 

すると、関所が少しずつ開き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備はいいか、弥太郎」

 

 

 

「拙者はいつでも」

 

 

 

 

 

 

関所が完全に開く。その奥では織田家臣軍が何ともいえぬオーラを放ち、スタンバイしていた。

 

 

しかし、その織田家臣軍もすぐそこに謙信がいるとは思わなかったのだろう、その光景を見て、動揺が広がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これも謙信の策の1つである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「我は上杉謙信!!!織田家諸君…。我を討ち取って功名とせよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

謙信が織田の皆さんに向かい、大声で叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

「行くぞ、弥太郎!」

 

 

 

「承知!!」

 

 

 

 

 

叫んだと同時に、謙信と弥太郎は馬の方向を変え、すぐさまスタートを切る。

 

 

 

 

 

「なっ…」

 

 

 

 

 

「おい!!突っ立ってないで早く追わんか!!」

 

 

 

 

「「オ、オォッ!!!」」

 

 

 

 

 

織田家臣団、総勢2500が上杉領へとなだれ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
謙信さんかっこいい!(←
軍神としての力を発揮してもらいたい所ですな。

書いてて悲しくなってきますわぁ…。約束ですって。海未ちゃん…。

いいえ、それが戦国です。死ぬのは仕方ありません。それも、穂乃果を守ってなら尚更。

次回は穂乃果達が脱出できるのかどうか…という所を。
お楽しみに。



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第35幕 脱出


どうも、ポッキーです。
今回のお話はタイトルのままです。

海未ちゃんロスは辛い…。皆様もそうでしょう?(←

今回は上杉に色々と活躍してもらいましょう。

それではごゆっくり。

前回感想をくださった
しょーくんだよ!さん
ウィングゼロさん
羽柴承太郎さん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

——ワァァァァァァァア!!!!

 

 

 

 

 

「…想像以上の数だな」

 

 

 

「2500ほどと聞いておりましたが…」

 

 

 

「これが織田の圧力か…」

 

 

 

「よし、弥太郎。もう少しとばせるか?」

 

 

 

「大丈夫です」

 

 

 

「では速度を上げるぞ!」

 

 

 

「ハッ!!」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第35幕 脱出

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!もっと速く!」

 

 

 

「む、無理だよぉお!!」

 

 

 

「あぁ!遅い!!」

 

 

 

「だって…」

 

 

 

さてさて、逃走中のこの2人。一体何事でしょうかね?

 

 

 

 

「何でそんなに乗馬が下手くそなの!?」

 

 

 

「難しいんだもん!!」

 

 

 

「意味分かんない!!ただ乗ってればいいだけでしょ!?」

 

 

 

「それが出来ないから言ってるの!!」

 

 

 

 

どうもこの2人は乗馬について喧嘩しているようで。

 

スピードを出したい雪穂。対し、スピードを出せず、馬に上手く乗れていない穂乃果。

 

穂乃果は乗馬がとにかく苦手なのである。

 

 

 

 

「お尻痛いし…!!」

 

 

「それはお姉ちゃんの乗り方が下手だからだよ!!」

 

 

「む…!!さっきから下手下手ってうるさいよ!!ちょっとくらいアドバイスくれたっていいじゃない!!」

 

 

「はぁ!?お姉ちゃんに乗り方教えたところで何にも変わんないよ!!」

 

 

「ひっどぉい!!雪穂なんてもう知らない!!」

 

 

「私だってお姉ちゃんなんて知らないよ!!」

 

 

 

 

 

あーあー。こんな大事な場面で姉妹喧嘩勃発ですか。海未さんがいたら怒られてますよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「見えた!!」

 

 

「あそこですぞ、謙信様!!」

 

 

「よし、後は任せるぞ、弥太郎」

 

 

「承知。必ず織田を倒してみせましょう」

 

 

「頼もしい限りだな」

 

 

「謙信様も、お気をつけて」

 

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

 

 

 

織田家臣団をポイントまで引き込んだ2人。

謙信は脇道にそれ、穂乃果達の救出に向かう。

 

 

 

 

ワァァァァァァア!!!

 

 

「いいか!ここで上杉も倒してしまうぞ!!」

 

 

「「オォーーー!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…随分と大きな口を叩きましたなぁ?柴田殿?」

 

 

 

「…何だお前は。死にたいのか?」

 

 

「死にたい?まさか。私には役目があります故」

 

 

「…謙信はどこだ。お前などに興味はない」

 

 

「貴方は馬鹿ですか?謙信様がどこにいるかなど教えるわけないでしょう?」

 

 

「…!?何だ貴様…!!その様な口をきいたこと、後悔するがよい!!ここで死んでもらうぞ!!」

 

 

勝家が刀を抜く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬのは貴方達です。…織田家の皆さん?」

 

 

 

 

 

 

「かかれぇぇぇぇえ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

弥太郎の命令の声を聞き、あらゆる場所に待機していた上杉の部隊が飛び出してくる。

 

その数はあっという間に織田の兵の数を超えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…」

 

 

 

「…」

 

 

 

「…ゆ、雪穂?」

 

 

「…」

 

 

「ゆ、ユッキー?」

 

 

「…」

 

 

 

 

こちら逃走中の穂乃果達。穂乃果はこの状況に耐えられず、雪穂と仲直りしようと奮闘中の模様です。

 

 

 

 

「雪穂ぉ…」

 

 

「…何さ。さっきからうるさいよ」

 

 

「あの…。そのぉ…」

 

 

「……」

 

 

「そ、その…」

 

 

 

雪穂が盛大に吹き出した。

 

 

 

「お姉ちゃん。もう怒ってないから大丈夫だよ?私もひどいこと言ってごめんね?」

 

 

「雪穂ぉ!!」

 

 

「じゃあもう少しとばせる?もたもたしてたら信長に追いつかれちゃう」

 

 

「うん!頑張るよ!」

 

 

 

 

 

 

スピードが上がる。…といってもほんの僅かだが。

2人は確実に出口である上杉領関所へと近づいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…この程度ですか」

 

 

「くそ…。数が違いすぎる」

 

 

「数など関係ない!!もっとやれぇぇ!!」

 

 

「勝家殿!!それでは全滅ですぞ!?」

 

 

「そうだ。勝家は一度頭を冷やせ」

 

 

「そんなことしてられるか!!」

 

 

「勝家殿!!落ち着きなされ!!」

 

 

「いいか!!これより、全軍撤退する!!」

 

 

「それはダメだ!!突撃だ!!」

 

 

「撤退だ。数も違う、策もない。これ以上やっても被害を大きくするだけだ」

 

 

「だが!」

 

 

「いかん。撤退だ」

 

 

「よし、皆の者!撤退だ!!」

 

 

「…覚えておれ!!鬼小島!!」

 

 

 

上杉の兵の数は織田の兵の数の倍。更に、上杉の地形を利用した戦。織田家臣団は特にそれという策もなく、あっという間に撤退へもちこまれた。

 

 

 

 

「…あとは謙信様。頼みましたぞ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「見えた!!」

 

 

「ようやく着いたぁぁ」

 

 

一方の穂乃果達は何とか出口である関所へたどり着いていた。

信長の軍は海未、園田軍の奮闘に暫くの間、足止めをくらっていた為に彼女達には追いつけなかった様である。

 

 

 

「まだ気を緩めちゃダメだよ。音ノ木まで生きて帰るんだからね?」

 

 

「分かってる。約束だからね!」

 

 

「それじゃ、上杉領に入るよ」

 

 

 

 

 

彼女達は一番の難関であった織田領を通り抜ける…脱出することに成功。

後は落ち武者狩りにさえ気をつければいいだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果殿!!!」

 

 

「…あれは?」

 

 

「謙信さん!!」

 

 

「良かった、無事であったか!!」

 

 

「はい!」

 

 

「これで安心だよ…。謙信殿が来てくれれば…」

 

 

「雪穂殿、ご苦労であった」

 

 

「いえいえ」

 

 

「…それで?園田殿は何処へ?」

 

 

「海未ちゃんは…」

 

 

 

穂乃果は今までの経緯を謙信へ話した。

 

 

 

「…そうか。信長から逃げる為に、園田殿は殿を…」

 

 

「…海未ちゃんなら大丈夫です!」

 

 

「…そうか。無事であるといいな」

 

 

謙信はそう言ったが、大体の事は分かっているようだった。

海未はもう死んでいる…助かる可能性は皆無である、と。

 

 

 

「それではいくぞ。ここから音ノ木一番近い道を通る。よいな」

 

 

「「はい!」」

 

 

 

 

謙信の誘導の元、穂乃果達は音ノ木坂城へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未という1人で何十万もの兵力に相当する、優秀な軍師かつ穂乃果の精神的支柱を失った高坂家の上洛はようやく終わりを迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
ようやく脱出ということで。
まだ海未が死んだという現実を知らない穂乃果。

それを知った彼女を高坂の皆さんはどのように支えていくのでしょうか?
お楽しみに。

次回は久々の全員登場です。




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第36幕 帰還


どうも、ポッキーでっせ(←

海未ちゃんを惜しむ感想が多く寄せられてます。
海未ちゃん、あんたは幸せ者だよ。絶対出番を作ってあげますよ。
任せてください(殴

今回は久々の全員集合!
色々とあります。

それではどうぞ、ごゆっくり。


前回感想をくださった
ウイングゼロさん(毎回ありがとうございます!)
左京大夫さん
通りすがりさん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

「こっちだ!穂乃果殿、雪穂殿!」

 

 

「はい!」

 

 

「謙信さん、ここは?」

 

 

「ここはまだ越後だ。あと少しで関東へ入る。もう少しの辛抱だな」

 

 

「そっか!でもこんなに早く関東へつけるなんて思ってなかったよ!」

 

 

「本当です!さすが謙信殿ですね!」

 

 

「そうか?普通だろう。私は越後を治める大名だぞ?」

 

 

「いえいえ!それでも凄いです!」

 

 

「うんうん!穂乃果なんて一応関東の大名だけど、道とか何にも分かんないよ!」

 

 

穂乃果よ、胸を張ってそれを言うか。

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第36幕 帰還

 

 

 

 

 

 

「…さて。関東へ入ったぞ。あとはお主らで大丈夫であろう?」

 

 

「はい!大丈夫です!」

 

 

「ようやく関東に帰ってきたぁ!!」

 

 

「それでは私はこれで失礼するぞ」

 

 

「謙信さん、ありがとう!」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

「礼には及ばん。ほんの少しだが、高坂への恩返しだ」

 

 

「それでもありがとう!」

 

 

「また今度の機会に会おう」

 

 

「はい!」

 

 

「謙信さん、またねぇ!」

 

 

 

役目を終えた謙信は颯爽と春日山城へ帰っていった。

謙信さんかっこいい。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

音ノ木坂城——

 

 

 

お久しぶりです、音ノ木坂城。

 

 

 

「大変です大変ですぅぅう!!!」

 

 

 

久々の音ノ木は花陽の絶叫で開幕です。

 

 

 

 

 

「ど、どうかしたの、花陽!?」

 

 

「なんやなんや!武田でも攻めてきたんか?」

 

 

「希…。そんな縁起でもないこと言わないでよ」

 

 

「大丈夫にこ!武田なんてにこが蹴散らしてやるわよ!」

 

 

「にこちゃん…。死ぬわよ」

 

 

「せやね、死ぬで、にこっち」

 

 

「ぬぅあんでよ!!」

 

 

はいはい、恒例のくだりが決まりました。

 

 

 

「それで?どうしたの?花陽ちゃん」

 

 

「ほ、穂乃果ちゃん達が…!!」

 

 

「「穂乃果(ちゃん)達が…?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「関東へ帰ってきましたぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

音ノ木坂城付近——

 

 

 

「久しぶりだなぁ…♪」

 

 

「そうだねぇ…」

 

 

「この感じだよ、この感じ!落ち着くよね!」

 

 

「うんうん。お姉ちゃんは音ノ木が大好きだもんね」

 

 

「うん!みんながいるこの町が、私は大好きだよ!」

 

 

「…天守閣が見えてきたよ、お姉ちゃん!」

 

 

「うわぁ…。おっきいね…」

 

 

「おっきいねって…。あれお姉ちゃんの城だよ?」

 

 

「分かってるよ!分かってるけど…。やっぱり凄いなぁ…」

 

 

「まあ…。凄いよね。私も作るのに参加してたし」

 

 

「あ、そっか!花陽ちゃんだけじゃなくて、雪穂も手伝ったんだっけ?」

 

 

「いや、忘れてたの?」

 

 

「まさか!感謝してるよー!雪穂ありがとぉ!」

 

 

 

 

穂乃果が雪穂に飛びつく。

 

 

 

「あ、あっついから離れてよ!」

 

 

「嫌だもーん!」

 

 

「もう…」

 

 

 

 

 

そういう雪穂も満更ではない顔ですけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

音ノ木坂城門前——

 

 

 

 

「あぁ…。早く来ないかしら…」

 

 

「エリー…。もう少し落ち着いたら?」

 

 

「そうよ。さっきからずぅっと右から左を往復して…。うるさいのよ」

 

 

 

 

絵里は外へ出てから、ずっと左右往復をしている。ソワソワしている。

 

 

 

全く賢くない。

 

 

 

「だって穂乃果達が帰ってくるのよ!?無事だといいけど…」

 

 

「足利将軍の反応も気になるしなぁ?」

 

 

「そうね。とりあえず斬られずに済んだみたいで良かったけど」

 

 

「しっかりご機嫌とってきたのかなぁ…」

 

 

 

「大丈夫…だと思うよ!人懐こい穂乃果ちゃんなら…ね?」

 

 

「あんまり近づきすぎてないかが心配なのよねぇ」

 

 

「失礼なことを平気で言いそうだし」

 

 

「わぁ、恐ろしいわ」

 

 

「無事かしら…。無事であって…」

 

 

 

 

 

もう絵里はお母さん状態です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

「…あ、お姉ちゃん!」

 

 

「ん?どうしたの、雪穂?」

 

 

「あれ!」

 

 

雪穂が指をさす。

 

その先を見た穂乃果。その視界が捉えたものは…。

 

 

 

 

 

 

 

「み、みんな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「あーーーー!!!」

 

 

「なっ!?う、うるさいわよ!絵里!!」

 

 

「あーーーー!!!!」

 

 

「希!!」

 

 

「わぁぁぁあ!!!!」

 

 

「あはは…花陽ちゃんまで…」

 

 

「ほ、ほの、ほのっ」

 

 

「ほの?」

 

 

「穂乃果ぁぁぁぁあ!!!!」

 

 

 

 

絵里は猛ダッシュで穂乃果の元へ駆け寄った…というより突進した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「みんな…!!」

 

 

 

(穂乃果ぁぁぁぁあ!!!!)

 

 

 

「…!?え、絵里ち…」

 

 

 

「穂乃果ぁ!!」

 

 

 

絵里は穂乃果に突撃し、思いっきり抱きしめた。

 

 

 

「え、絵里ちゃん…」

 

 

「良かった…!!良かったわぁ!!」

 

 

「うん!穂乃果は大丈夫だよっ!」

 

 

「何もされてない?」

 

 

「うん。穂乃果は大丈夫…だよ」

 

 

「穂乃果は?」

 

 

「その…。海未ちゃんがね…?」

 

 

「海未…?そういえば海未はどうしたのよ。姿が見えないけど」

 

 

穂乃果は絵里にこの上洛であったことを全て話した。

 

 

 

「海未が殿…?」

 

 

「嫌だって言ったんだけど…」

 

 

「しかも肩に銃弾を受けてるのに信長を相手にしてるの!?」

 

 

「…うん」

 

 

「…ちょ、どういうことや」

 

 

「今…。海未が大怪我とか…。殿とか…」

 

 

「海未ちゃんは…?」

 

 

 

2人の会話を聞いていた家臣達はただごとではないと気づき、2人のもとへ集合する。

 

 

 

 

「きっと…。絶対大丈夫だよ!海未ちゃんはちゃんと約束を守る人だもん!絶対…。絶対生きて帰って…」

 

 

「穂乃果…」

 

 

「そ、そうよ!海未はそんなことで死ぬようなたまじゃないわ!にこが保証するわよ!」

 

 

「にこちゃんの保証なんて何の役にもたたないけど」

 

 

「ここは海未ちゃんを信じるしかないようやな」

 

 

「…海未ちゃんなら大丈夫!穂乃果ちゃんも言ってたけど、海未ちゃんは約束を破るなんてありえないもん!」

 

 

「そうだよ!海未ちゃんは絶対…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなぁぁぁあ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高坂の情報屋、凛が血相を変えてとんできた。

凛率いる星空忍隊は現在、織田領周辺で情報収集などをしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凛ちゃん?」

 

 

「…どうかしたの、凛?」

 

 

「その…!!その…!!」

 

 

「…凛?」

 

 

 

 

 

凛の目から涙が溢れてくる。

 

 

 

 

 

凛は声を震えさせながらも、皆に言った。

 

 

 

 

 

 

「う…海未…。海未ちゃんが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…嘘やろ?」

 

 

「は…?」

 

 

 

 

勘のいい希と真姫。2人は全てを理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃんが…。討ち死にしたって…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂が高坂を支配する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うみちゃ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果の目から光が、消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

…全てを知ってしまいましたね。酷な現実を。

このまま穂乃果は崩れおちてしまうのか。
μ'sメンバーの反応は。

しかし、ここで天才軍師・園田海未の策が…。


次回もよろしくお願いします。



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第37幕 蒼の神話


今回の話は「蒼の神話」ということで…。
海未ちゃんのアレですね。

さてさて、海未ちゃん含め、μ'sメンバーはどうやって穂乃果に光を戻させるのか。

見所かもしれないですね。

それではどうぞ、ごゆっくり。


※今回は少々長くなっております。


前回感想をくださった
ウィングゼロさん
宇宙とまとさん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃんが…?」

 

 

「そ、そん…な…」

 

 

「冗談でしょ…?ねぇ!?」

 

 

「冗談でこんなこと言わないよ!!」

 

 

「嫌だ…。嫌だ…!!あの時…!!私が海未ちゃんを無理にでも…!!」

 

 

「雪穂ちゃん。貴女は悪くないわ。自分を攻めるのは止めなさい?」

 

 

「え、絵里さん…」

 

 

「海未…」

 

 

「う、うみちゃんが…。死んだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未の死は高坂に多大なるダメージを与えた。

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第37幕 蒼の神話

 

 

 

 

 

 

 

 

「…みんな。大丈夫…なわけないわよね」

 

 

「……」

 

 

「何で海未なのよ…!!何で…。何で…!!」

 

 

「信長…。絶対にこが討ってやるわ…!!」

 

 

「せやね。海未ちゃんの仇を討たんと気がすまんわ!!」

 

 

「海未ちゃん…。海未ちゃん…!!」

 

 

「ことりちゃん…」

 

 

「…ははは。嘘だよ、そんなの。凛ちゃんも冗談きついなぁー…」

 

 

「ほ、穂乃果…?」

 

 

「はははは。海未ちゃんが死ぬわけ…。しぬ…わけっ…!!死ぬわけないじゃん!!!!」

 

 

 

穂乃果は大粒の涙を垂れ流しにしながら叫んだ。

海未が死ぬわけない、死んでいない。それが穂乃果の望みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな。一度中に入りましょう?」

 

 

「絵里ちゃんは…。絵里ちゃんはどうしてそんな冷静でいられるの…?海未ちゃんが死んだんだよ!?」

 

 

「ちょ、ことりちゃん!!」

 

 

「冷静か…。本当の私は冷酷なのかもしれないわね」

 

 

「エリー…!!貴女…!!」

 

 

「やめ!!真姫ちゃん!!」

 

 

真姫が絵里と向かい合い、絵里を睨む。

 

しかし、絵里は微動だにしない。

 

 

 

 

 

「…何よ。ぶたないの?」

 

 

 

絵里の目を見た真姫は何を思ったか、一度上げた腕を下げる。

 

 

 

「……」

 

 

「真姫ちゃん。一回部屋へ戻ろか?な?」

 

 

真姫は無言で頷く。

 

 

 

 

「…みんなも部屋へ戻ってちょうだい。一回気持ちを落ち着かせましょう?」

 

 

「…絵里ちゃんの言うことなんて聞かないよ」

 

 

「ことりちゃん…。ね?行こう?」

 

 

「花陽ちゃんも絵里ちゃんの味方なの?」

 

 

「味方…?そんなんじゃないよ…!だって…皆大事な友達でしょ…?」

 

 

「……」

 

 

「花陽。ことりを連れて行ってくれる?」

 

 

「うん…」

 

 

 

最終的に、城門に残ったのは絵里、希、にこ。

この3人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…絵里?」

 

 

「…にこ?どうかしたの?」

 

 

「えりち。無理…せんでもええんやで?」

 

 

「そうね。もうにこ達しかいないわけだし」

 

「……っ」

 

 

「えりち、よく我慢した」

 

 

「嫌よ…!!海未が死ぬなんて…!!」

 

 

「うんうん…。そうね」

 

 

「何で…!!どうして!!」

 

 

「どうしてやろな…。何で海未ちゃんが…」

 

 

「何で海未が死ななきゃいけないのよぉ!!あの子何も悪いことしてないじゃない…!!」

 

 

「…それが乱世よ。貴女が一番よく知ってるでしょ?」

 

 

「…でも!!」

 

 

「海未ちゃんのことや。きっと武士らしい、立派な最期やったと思うで。海未ちゃんは穂乃果ちゃんを守って死んだんや…。悔いはないと思うよ?」

 

 

「…私に悔いが残るのよ」

 

 

「奇遇ね。にこもよ」

 

 

「何にもしてあげられなかった…。無力な私が…!!」

 

 

「なら、やる事は1つやね」

 

 

「そうね。1つしかないわ」

 

 

「織田を…。信長を…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「海未ちゃん…。海未ちゃん…!!」

 

 

 

一方こちらは穂乃果の部屋。海未の訃報を聞き、部屋に駆け込んでからというもの、泣きながらひたすら海未ちゃんを連呼していた。

 

 

「やだよぉ…!約束したじゃん…!!」

 

 

 

「なのに…!何でさ…!!何で死んじゃうのさぁ!!!!」

 

 

 

当たり前のことだが、これはツバサが死んだ時より重症のようである。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

訃報がもたらされてから幾らか時間が経ち、多少は落ち着いた高坂家臣団は大広間へ集合していた。

 

 

 

 

 

 

…穂乃果とことりを除いて。

 

 

 

 

 

「穂乃果とことりは重症のようね」

 

 

「せやね…。いつ誰が死んでもおかしくない世の中やし、覚悟はしてたとは思うけど…」

 

 

「突然親友が死んだってなると…。話は別よね」

 

 

「そんな私たちでもこんなに嫌だし、悲しいのに…」

 

 

「親友ってなるとよっぽどだよ…」

 

 

「とりあえず、あの2人は少しそっとしておいてあげましょう。それが一番いいと思うわ」

 

 

「そうね。海未ならこういう時かける言葉を持ってたんでしょうけど…。にこ達に海未の代わりは出来ないから…」

 

 

「よし、じゃあ一回海未ちゃんの部屋の整理しよか!何か出てくるかもしれんし」

 

 

「うん。綺麗にしてあげなきゃね」

 

 

 

 

 

 

ぞろぞろと希達は大広間を出て、海未の部屋へ向かう。

 

 

 

 

 

 

「…エリー」

 

 

「ん?真姫、どうかした?」

 

 

「さっきは…その…」

 

 

「大丈夫よ。気にしないで」

 

 

絵里は真姫に向けて笑顔を作ってやる。

 

 

「私も少し言葉が悪かったわ。怒るのは当たり前よ」

 

 

「でも…。エリーは皆が不安にならないように…」

 

 

「それが私の仕事だもの。しょうがないでしょう?」

 

 

「仕事って…」

 

 

「貴女より2つも歳上なのよ?舐めないでくれる?」

 

 

「舐めないでって…。話が脱線してるんですけど?」

 

 

「それもそうね。ほら、早く行きましょ?」

 

 

「うん」

 

 

 

 

高坂の軍師2人。本来ならここに海未がいるはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

1人減るだけで、こんなにも変わってしまうものなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

海未の部屋——

 

 

 

 

「いやぁ…。さすが海未ちゃんやね…」

 

 

「生活感が全くないです…」

 

 

「いや、整いすぎよ…これ」

 

 

 

海未の部屋は驚くほど綺麗に片付けられており、ゴミ1つないくらい整頓された部屋だった。

 

 

 

 

「ま、私の部屋よりもこんな感じだけど」

 

 

「えぇ?この間にこが真姫ちゃんの部屋に入った時ぃ、書類で床がいっぱいだった気がしたんだけどなぁ?」

 

 

「う、うるさい!!にこちゃんは黙ってて!」

 

 

「にこまきにゃ!」

 

 

「さすがやねぇ?」

 

 

「ひ、秘密の花園…っ!」

 

 

「なわけないでしょ!?」

 

 

「にこはぁ、別に真姫ちゃんとならぁ…」

 

 

「え、えぇ!?」

 

 

「キマシタワー!もっとやってええんやでぇ?」

 

 

「ヒューヒュー!真姫ちゃん、やっちゃうにゃー!!」

 

 

「に、にこちゃん…」

 

 

「真姫ちゃん…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…貴女達、何やってるのよ」

 

 

「ヴェェ!?え、エリー!?」

 

 

「あぁー疲れた」

 

 

「中々やったなぁ、にこっち」

 

 

「でっしょー?にこにかかったら百合営業なんて朝飯前よ!」

 

 

「…え、え?」

 

 

「真姫ちゃん、顔真っ赤だけど…。大丈夫?」

 

 

「真姫ちゃんは本気にしちゃったみたいやんな」

 

 

「な、なななななっ!!」

 

 

「あーあ、さっきので疲れちゃったから…。にこは休んでも…」

 

 

「駄目に決まってるでしょう?」

 

 

「あ、はい。すみません、絵里さん」

 

 

「ほら!皆も馬鹿みたいなことしてないで早く海未の部屋を片付けちゃうわよ!」

 

 

「「はーい」」

 

 

「嘘だったの…?」

 

 

 

はい、真姫さん、少し期待していたようです。

キマシタワー。

 

 

 

 

 

 

「…?あれはなんやろか?」

 

 

「机の上に何かあるわね」

 

 

「手紙…みたいだけど」

 

 

「誰宛てか書いてる?花陽」

 

 

「えっと…。1つは『高坂のみんなへ』です」

 

 

「1つは?2つあるの?」

 

 

「うん。重なってたよ」

 

 

「それで?もう1つは誰宛てなん?」

 

 

「えっと…。『高坂穂乃果様』…。穂乃果ちゃんだよ」

 

 

「穂乃果?」

 

 

「わざわざ個別で書くあたり、海未ちゃんにとって穂乃果ちゃんは特別な存在なんやな」

 

 

「これは…穂乃果に届けた方がいいわね」

 

 

「そうね。私たちが開けるわけにもいかないし」

 

 

「せやけど、うち、さっき穂乃果ちゃんの部屋へ行ってみたんやけど…。部屋へ入れてくれそうになかったで?」

 

 

「引きこもってるわけね」

 

 

「こういう時、海未がいればね…」

 

 

「海未ちゃん…」

 

 

「はい!海未の話は悲しくなるからまた後で!いい?」

 

 

「そうだね。後で…」

 

 

「それで?この手紙、誰が穂乃果ちゃんにとどけるん?」

 

 

「にこちゃんでいいんじゃない?」

 

 

「は!?に、にこ!?」

 

 

「あ、それはアリね」

 

 

「にこちゃん、お姉ちゃんって感じだから大丈夫にゃ!」

 

 

「どこが大丈夫なのよ!!」

 

 

「それじゃ、にこっち、お願いな〜♪」

 

 

「はぁ!?一番面倒な役を…」

 

 

 

泣いてる穂乃果さんの面倒を見るのはかなり厄介な仕事のようです。

 

 

 

「はい、じゃあこれ」

 

 

絵里が手紙をにこに渡す。

 

 

「…何でにこが」

 

 

「にこっちしか出来ないからや」

 

 

「そうだよ!にこちゃんにしか出来ないから…!」

 

 

「頑張るにゃ!」

 

 

「穂乃果の機嫌を余計損ねないように」

 

 

 

全員の視線がにこに集中する。

断れる雰囲気ではなくなってしまった。

 

 

 

「…分かったわよ。行けばいいんでしょ?」

 

 

「さすがにこね」

 

 

「それじゃ、格闘してくるわね」

 

 

「頑張ってな」

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ私達は続きやっちゃうわよ」

 

 

「了解にゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

穂乃果の部屋前——

 

 

 

 

「…穂乃果?」

 

 

「嫌だ」

 

 

「話…っていうか渡したいものがあるんだけど」

 

 

「嫌だ」

 

 

「開けてくれたりしない?」

 

 

「嫌だ」

 

 

「…パンあげるわよ」

 

 

「嫌だ」

 

 

「パンでも駄目だったかぁ…」

 

 

「…あっちいってよ」

 

 

「やーよ」

 

 

「早く」

 

 

「い や だ。あんたが折れるまでここにいるわよ」

 

 

「…」

 

 

「いい天気ねぇ…」

 

 

「にこちゃんは…」

 

 

「…?」

 

 

「海未ちゃんが死んじゃったのに…。悲しくないの…!?」

 

 

「…何意味わかんないこと言ってるのよ。悲しくないわけないでしょう?」

 

 

「だって…。今だって凄い落ち着いてるし…!泣いてなかったし…!!」

 

 

にこが大きくため息をついた。

 

 

「泣いてなきゃ…悲しんでるってことにならないわけ?」

 

 

「そ、それは…」

 

 

「落ち着いてる?…まさか。にこだってね、妹分の海未が殺されて…。こんな悲しいことあるわけないじゃない…!」

 

 

「…」

 

 

「無理矢理落ち着かせてるだけよ。泣いてる所なんて年下に見られたくないし」

 

 

「面倒…だね」

 

 

「面倒?そっくりそのままその言葉返すわよ」

 

 

「…え?」

 

 

「面倒なのはどっちよ。自分の大事な人が死ぬたびにそんな部屋に引きこもってたりしてたら…。いつまでたっても前になんか進めないわよ?」

 

 

「…」

 

 

「海未はあんたに全てを賭けてるの。確かに親友が死んだのは絶望するし、そんなにすぐ立ち直れないでしょうね。…でも、いつまでもそんなんじゃ、海未に失礼よ?」

 

 

「失礼…?」

 

 

「ええ。海未はね、あんたを守る為に死んだの。穂乃果なら高坂をより大きくしてくれる、戦のない世を作ってくれる…。海未は自分の夢をあんたに託したのよ?」

 

 

「…でも!」

 

 

「…いい加減にしなさい?海未の死を…。勇気を…。穂乃果は無駄にする気なの?」

 

 

「…っ!」

 

 

「にこは海未みたいに優しい言葉はかけてやれないわ。だってここで穂乃果を甘やかしたら…。海未が怒ると思うからね」

 

 

「にこちゃん…」

 

 

「ま、そういうことだから。海未からの手紙、ここに置いておくから気が向いたら読みなさい?」

 

 

「手紙!?」

 

 

勢いよく襖が開く。

 

 

「っと…。何よ、いきなり。びっくりするでしょ?」

 

 

「それより…手紙って!?」

 

 

「だから、海未からの手紙よ。穂乃果宛ての」

 

 

「海未ちゃんから…」

 

 

にこはソレを手渡す。

 

 

「みんな待ってるから。早く戻って来なさい?」

 

 

「…」

 

 

「それじゃ」

 

 

 

にこはそう言い残し、穂乃果の元を去った。

 

穂乃果は渡された手紙を両手で持ち、ただ呆然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

穂乃果へ

 

 

 

 

貴女がこの手紙を読んでいる…ということは、私は既に死んでいるのでしょう。

 

 

悲しい思いをさせてしまい、申し訳ありません。

ですが、穂乃果を守る為に死ねたとしたら後悔はありません。貴女の為にこの命を使えたのなら…。

 

 

さて、何故こんな手紙を書いたかといいますと、今回の上洛で織田領を通る故、何が起こるか分からないからです。

 

もし、信長に攻められて死んだら…。

こんなことを考えてはいけないのは分かっていますが、念のためです。

 

穂乃果に何も残せずに死ぬのは嫌ですからね。

 

 

貴女は今、何をしていますか?私の予想ですが、どうせ部屋にこもって泣き続けてるんではないですか?

もしそうならば、早くそんなことは止めなさい。いくら泣いても私は生き返ることはないですから。

 

貴女は心優しい人だから。そんな事は分かっています。

 

その優しさを、私ではなく、他の人に目一杯向けてあげてください。

 

そして、高坂を導いてあげてください。

それが出来るのは貴女だけです。

 

これから先、織田や武田…。様々な大きな壁が立ちはだかることでしょう。

ですが、心配はいりません。

 

壁は壊せるものです。そして、倒せるものです。

 

貴女の力があれば。一人一人がもっと自分の力を出せば。

 

穂乃果のそのどんな事にでも挑戦する魂…。

そして勇気で、穂乃果自身に、高坂のみんなに、私に…。未来を見せてください。

 

穂乃果なら出来ます。私が保証しますよ。

 

私は高坂の一員として、物理的に力を貸してあげることは出来なくなってしまいました。

しかし、私はいつまでも空の上から、貴女達のことを見守っています。それを忘れないでくださいね。

 

困ったら空を見上げください。私が力を与えて差し上げましょう。

 

…スピリチュアルな話になってしまいましたね。希みたいです。

 

そして、最後になりますが、私は穂乃果の下につけて、親友でいれて。とても幸せな人生でしたよ。

ありがとうございました、穂乃果。

 

 

 

いつまでも、大好きですよ。

 

 

 

園田海未

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果が見た海未ちゃんからの手紙。

その最後の方の字は、滲んでしまっていました。

 

海未ちゃん、泣いてたのかな…。

おかしいよね。この手紙、死ぬ前に書いたやつなのに。まるで死ぬことが分かってたみたいだった。

 

 

 

海未ちゃんがいなくなっちゃったのは悲しい。本当は嫌だよ。

でも、海未ちゃんからのお願いなら仕方ないよね。

 

だって…私なんかの為にその命を使ってくれたんだもん…!!

 

 

 

 

 

 

 

海未ちゃんの願いを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は必ず叶えてみせるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空から見ててね、海未ちゃん…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覚悟は出来た!!————

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いやぁ、無理矢理感が凄いw
ま、これしかないですよねぇ?いつまでも落ち込まれてたら織田が攻めてきちゃいますからね^^;

ことりちゃん?勿論忘れてませんよ。次回あたり穂乃果ちゃんが何とかしてくれるはずです。
にこちゃんイケメン。

多少おふざけが入りました、ご了承ください。

次回はどうしようかなぁ…。
ちょっと政略結婚とか弄ってみようかな?

それでは次回もよろしくお願いします。


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第38幕 君と一緒に


お久しぶりです、ポッキーです。
遠征とか色々ありまして、更新できませんでした♪(←

最近ネタが浮かばない…。そして、書くのが久しぶりなので、ちょっと酷いかも?(いつもだ

今回も題名通りですね。穂乃果ちゃんが海未ちゃんの想いを受け継ぎます。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
しょーくんだよ!さん
宇宙とまとさん
ありがとうございました!





 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜疲れた」

 

 

「にこっち!」

 

 

「穂乃果は?穂乃果はどうだった?」

 

 

「あぁー…。一応出てきたわよ」

 

 

「そうよねー…。そんな簡単に出てきてくれる訳…って、えぇ!?」

 

 

「で、出てきたの!?穂乃果ちゃん!」

 

 

「ええ。海未からの手紙って言ったら凄い勢いで顔を見せたわよ」

 

 

「…どういうことや」

 

 

「にこちゃん…。まさか脅したりしてないよね!?」

 

 

「ぬぅあんでそうなるのよ!!」

 

 

「本当に手紙だけで出てきてくれたの?」

 

 

「まぁ…。色々にこが言いたいこと言った後に手紙渡したから…。よく分かんないわ」

 

 

「スピリチュアルパワーやね」

 

 

「…そうね」

 

 

「ま、良いんじゃない?穂乃果が出てきてくれたわけだし」

 

 

「にこちゃんのお手柄にゃ!」

 

 

「今回はそういうことやね」

 

 

「そ、そう?まあにこにかかれば…」

 

 

「とりあえず、私は穂乃果に会いに行ってくるわ」

 

 

「そうしてあげた方がいいかもね。くれぐれも変なこと言うんじゃないわよ?エリー」

 

 

「分かってるわよ」

 

 

「ちょ、ちょっと!今にこが喋ってた…」

 

 

「あーはいはい。分かった、分かったから。な?」

 

 

「ぬぅあんにも分かって…」

 

 

「ちょっと黙ったらどう?」

 

 

「おぉ…。真姫ちゃんの直球が…!!」

 

 

「ま、真姫ちゃん…。あ、あんた…」

 

 

「ま、そういうことや。にこっちはすぐ調子にのるからなぁ?一回落ち着き」

 

 

「ぐぬぬ…」

 

 

「んじゃ、うちらは色々準備しよか」

 

 

「そうだね。海未ちゃんの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「穂乃果ぁ?入ってもいいかしら?」

 

 

「どうぞー」

 

 

多少は会うのを渋るだろうと思っていた絵里。

あっさりと了解した穂乃果に彼女は驚いていた。

 

 

 

「穂乃果、大丈夫?」

 

 

「…うん。大丈夫だよ」

 

 

「大変…だったわね」

 

 

「うん」

 

 

「…」

 

 

「海未ちゃんは…」

 

 

「海未は…?」

 

 

「…本当に死んじゃったんだよね?」

 

 

「…そうね」

 

 

「あはは…。そうだよね…。まだ現実味ないなぁ…」

 

 

「穂乃果。手紙…読んだの?」

 

 

「うん。海未ちゃんの想いが…。いっぱい、いぃっぱい詰まってたよ」

 

 

「海未の想い、か」

 

 

「だからね?」

 

 

「…?」

 

 

「私もいつまでも後ろを見てちゃいけないなって思ったんだ」

 

 

「穂乃果…」

 

 

「前を向いて、一づつ、少しでも進んでいく。どんなに悲しい過去があっても…。そうじゃなきゃ、戦のない世の中なんていつまでも作れないからね!」

 

 

「…覚悟は決まったってことかしら?」

 

 

「…うん!それに、後ろばっかり見てたら海未ちゃんに怒られそうだしね!」

 

 

「ふふっ…。それもそうね」

 

 

「みんなの夢を…。海未ちゃんの夢を…!叶えるんだよ!」

 

 

「それでこそ穂乃果ね。どこまでもついていくわよ、穂乃果!」

 

 

「うん!ありがとう、絵里ちゃん!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ことりちゃーん」

 

 

「ほ、穂乃果ちゃん…!?」

 

 

「そうだよー、穂乃果だよ!」

 

 

「何で…?」

 

 

「とりあえず、部屋に入れてくれたりしないかなぁ?」

 

 

「…いいよ、入って」

 

 

 

…ん?穂乃果は何をしているか?決まっているでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病んでることりちゃんの救出作業ですよ。

 

 

 

 

 

「ことりちゃん。元気…あるわけないよね」

 

 

「うん…。だって…海未ちゃんが…!」

 

 

「うん、うん…。そうだよね。海未ちゃんが…ね」

 

 

「穂乃果ちゃんは…。悲しくない…の?」

 

 

「…そんなことあるわけないよ。一番一緒にいた友達だったんだから…。悲しくないなんて…」

 

 

「ごめんね…。変なこと聞いちゃった」

 

 

「ううん、大丈夫。私はもう…大丈夫だから」

 

 

「ことり…どうすればいいか分かんないよ…」

 

 

「ことりちゃん…」

 

 

「大事な海未ちゃんを亡くして…。高坂の支柱を無くして…。ことりはどうすれば…」

 

 

「…ことりちゃんは今のままでいいと思うよ?」

 

 

「今のまま…で?」

 

 

「うん。きっと海未ちゃんもそれを望んでるはずだよ」

 

 

「何で…何でそう思うの?」

 

 

「だって…。海未ちゃんはいまのことりちゃんが大好きだったんだよ?それを変えようとする必要はないと思うなぁ…」

 

 

「今のままのことり…?」

 

 

「うん!穂乃果も今のままのことりちゃんが大好きだしね!」

 

 

「ハノケチュン…」

 

 

「ことりちゃんは、海未ちゃんが死んじゃって、悲しくて…。自分が分からなくなっちゃったんだよね?確かに、海未ちゃんにはもう会えないかもしれない。でもね?海未ちゃんはいつでも空から私達のことを見ててくれるから…!」

 

 

「…」

 

 

「いつまでも落ち込んでたら…。海未ちゃんに怒られちゃうよ?」

 

 

「それもそうだね…!ありがとう…穂乃果ちゃん!」

 

 

 

 

ことりにも笑顔が戻った。

 

高坂の太陽が再び輝き始める。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

大広間——

 

 

 

 

「みんな、集まった?」

 

 

「「はい!」」

 

「それじゃあまず…。穂乃果、お願い」

 

 

「うん!…まず、高坂は、足利家を守る立場に立つ事が出来ました!」

 

 

「そして、穂乃果達の大事な友達…。海未ちゃんが信長さんと戦って、討ち死にしました」

 

 

「きっと、海未ちゃんは海未ちゃんらしい最期だったんだと思う。だから、それはしっかり讃えてあげよう」

 

 

全員が片手に持ったジュースの入ったコップを上に上げる。

 

 

「じゃあみんな、行くよ」

 

 

「献杯!!」

 

 

「「献杯!!」」

 

 

 

 

 

全員がコップに入ったジュースを一気に飲み干す。

 

 

 

「みんな!海未ちゃんはいつでも見ててくれるからね…!9人なんだ…!どんな時だって…!!」

 

 

「そうね。穂乃果の言う通りだわ。決して8人で戦うんじゃない…。9人全員で戦うのよ!!」

 

 

「海未ちゃん、ことり達に力を…!!」

 

 

 

 

「じゃあやろう!!」

 

 

「アレかしら?」

 

 

「うん!」

 

 

「お!盛り上がるし、ええんと違う?」

 

 

「テンション上がるにゃーー!!!」

 

 

「じゃあ行くよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果の合図で、全員が静まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は大きく息を吸った。

 

 

「いち!!」

 

 

「に!!」

 

 

 

 

「よん!!」

 

 

「ご!!」

 

 

「ろく!!」

 

 

「なな!!」

 

 

「はち!!」

 

 

「きゅう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ行こう!!夢を叶えに!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「オォーーー!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の音ノ木坂城。彼女達9人の決意の声が響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第38幕 君と一緒に

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

うーん、最後の方は結構無理矢理まとめた感が…w
ま、気にしないでください、そういう小説なんで(殴

次回からようやく新章かな?上洛回が終わりましたからね^^

それではまた次回お会いしましょう。


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第39幕 始動

どうも、ポッキーです。
今回は高坂の皆さんが色々と動きだしますよ、題名通りですね。

海未ちゃんがいなくなって、高坂に今必要なモノは何か!
そこですね。

皆さんのご意見をもとに作ってみました。
みんなで作る戦国時代ですからね♪(ドヤァ(殴

それではごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
しょーくんだよ!さん
左京大夫さん
あげどうふさん
シャーロックさん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

「みんな集まった?」

 

 

「えっと…」

 

 

「穂乃果ちゃんがまだ…かな?」

 

 

「そうみたいやね」

 

 

「毎回じゃない」

 

 

「ったく穂乃果は…。みんな、穂乃果を起こしてくるからちょっと待ってて」

 

 

「頑張ってな〜」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第39幕 始動

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の音ノ木坂城。これからについての会議が開かれようとしていた。

 

 

家臣達が皆大広間に集結し、準備は万端。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、穂乃果は爆睡中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!穂乃果!!」

 

 

「…むぅ…」

 

 

「ほーのーかぁ!!」

 

 

絵里がゆさゆさと穂乃果を揺さぶる。

 

 

「ゆぎほぉ…。お茶ぁ…」

 

 

「……」

 

 

「お茶まだぁ…」

 

 

絵里は呆れて声も出ません。

 

 

「海未は毎日コレを起こしてたのね…。尊敬するわ」

 

 

「ぐがぁ…」

 

 

「ったく…。穂乃果!!!起きなさいッ!!」

 

 

絵里、海未のモノマネするってよ。

 

 

「ぬわぁぁぁあ!!?う、海未ちゃんっ!!」

 

 

「…絵里よ」

 

 

「……なんだ絵里ちゃんか」

 

 

「なんだとは何よ!?」

 

 

「ふわぁ…。よく寝たぁ…」

 

 

「寝すぎなのよ!今日は朝から会議するって言ったでしょう!?」

 

 

「あ、あれぇ?そうだっけ…?」

 

 

「…本当、人の話を何にも聞いてないわね」

 

「あはは…。ごめんね」

 

 

「しょうがないわね…。ほら、早く着替えて来なさい?みんな待っているから」

 

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「遅いわよ、穂乃果!!」

 

 

「ごめんね、にこちゃん」

 

 

「うちの殿様は呑気ね…」

 

 

「あはは…」

 

 

「さて、みんな揃ったことだし、始めましょうか」

 

 

「そうだね」

 

 

「それでは…。これから高坂の重大な課題について話し合っていくわ」

 

 

「重要な課題…?」

 

 

「ええ。分かる人…いる?」

 

 

「…織田討伐でしょう?海未の仇打ちよ!!」

 

 

「あー、にこっち、落ち着き」

 

 

「至って冷静なんですけど!?」

 

 

「…冷静なら織田討伐なんて答えは出ないわよ。本当…にこちゃんはいい加減よね」

 

 

「真姫ちゃん相変わらずキツイにゃー…」

 

 

「確かに、天下をとる為には信長を討たなければならない…。勿論、武田も同じよ」

 

 

「そこでや。織田や武田と戦うってなった時、明らかに高坂が劣っているものがある。何か分かるか?」

 

 

「…何だろ」

 

 

「うーん…。穂乃果にはよく分かんないよぉ…」

 

 

「勿論、権力でしょ!」

 

 

三馬鹿降臨。

 

 

 

 

 

「人材…。兵の数…。というより武将の数が足りないんじゃないかなぁ?」

 

 

「さすがことりちゃんやね」

 

 

「ビンゴよ。今、ことりが言ってくれたとおり、武将の数が圧倒的に足りない」

 

 

「高坂の主な武将は8人。謙信殿からの援軍があったとしても…。あまり謙信殿にうちらの戦で迷惑をかけるわけにもいかんしな」

 

 

「そこで、高坂は武将の引き抜きを行います」

 

 

「…引き抜き?」

 

 

「ええ。放浪中の武将などを高坂の家臣に迎え入れるわ」

 

 

「放浪中って言うても実力のある武将はぎょうさんおる」

 

 

「そういう人たちを捕まえて、高坂の兵力の底上げを図る…そういうことよ」

 

 

「待って。確かに引き抜きはいいことだとは思うけど…。どうやってその武将達を説得するわけ?来いって言って来るような人達じゃないわよ?」

 

 

「それは何とか説得するしかないわね。私たちで手分けをしてね」

 

 

「…かなり難しいわよ?」

 

 

「それは分かっているわ。それくらいしないと、信長は倒せない」

 

 

「そうや。信長を討つっていうのはそういうことやんな」

 

 

「…で、穂乃果?話、理解してた?」

 

 

「…。…うん!」

 

 

「分かってないわね」

 

 

「あはは…。穂乃果ちゃん、分かってない…かな?」

 

 

「だって難しすぎるんだもん!!」

 

 

全然難しくないんですが。

 

 

「ほ、穂乃果はこれだからぁ…。に、にこなんて完璧にり、りり理解したわよ!」

 

 

「…動揺しすぎや」

 

 

「自滅しに来たのね」

 

 

「じゃあ簡単に説明するわね」

 

 

「うん、お願い!」

 

 

「どの大名にもついていない武将を、穂乃果についてもらえるように説得する…。すると、武将が増えて兵力も増える。でも、その説得が大変だ…っていう話をしていたの」

 

 

「…何となく分かったにゃ」

 

 

「要するに、仲間を増やすんだよね!」

 

 

「そういうことやんな」

 

 

「それと…。前に9人で戦うって言ったけど、それとこれとは別の話よ。それは分かってね」

 

 

「うん、大丈夫!」

 

 

「それじゃ、どの武将を引き入れるかだけど…」

 

 

「関東なんかもいいんじゃない?結構有能な武将は多いと思うけど」

 

 

「そうね。佐竹に結城もいるし…。北条は私たちが討ったから、そういうのは難しそうね」

 

 

「あとは東海とかからもやな。今川もまだ生きてるで」

 

 

「そこら辺でしょうね。佐竹に今川。奥州には綺羅についてた最上もいるし」

 

 

「結構集まってるわね。ま、どれだけ武将が集まっても最強はにこの騎馬隊だけどね!」

 

 

「それじゃあとりあえず、その3つを中心にいきましょう」

 

 

「誰がどこへ行くかっていうのも考えなあかんな」

 

 

「説得のしやすさでまとめたらいいんじゃないかな?口が上手い人は説得がし辛そうな人…とか」

 

 

「おぉ、ことりちゃん!」

 

 

「冴えてるわね」

 

 

「そぉ?いつも軍師さん達の会議を見てたからね♪」

 

 

「それじゃ、勝手に私でまとめてもいいかしら?」

 

 

「いいんじゃない?」

 

 

「うん!絵里ちゃんの思うとおりでいいと思う!」

 

 

「よし!引き抜きだよっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「みんな、誰がどこに行くか発表するわね」

 

 

「「はーい!」」

 

 

「じゃあまず、佐竹義重はことりと花陽!」

 

 

「「はい!」」

 

 

「花陽ちゃん、頑張ろうね♪」

 

 

「うん♪」

 

 

「次、結城晴信は希!」

 

 

「おぉ…。結城殿が相手…。ま、うちに任せとき!」

 

 

「最上義盛と義光親子はにこと凛!」

 

 

「にこ達?」

 

 

「ええ。最上氏は綺羅についていたから、高坂には結構思い入れがあるとかっていう情報があってね。貴女達でもいけるかなぁって思ったの」

 

 

「貴女達でもってなんにゃ!!」

 

 

「にこ達が馬鹿って言いたいの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…あれ?違うんですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、簡単でええやん?」

 

 

「それで、真姫は今川氏真を」

 

 

「分かったわ。しっかり落としてくるわよ」

 

 

「…あれ?絵里ちゃんと穂乃果ちゃんは?」

 

 

「あ、そうだ。穂乃果、何にも言われてないよ?」

 

 

「それなんだけど…」

 

 

「…?」

 

 

「ちょっとどうしても獲りたい武将がいてね…?」

 

 

「どうしても…?」

 

 

「獲りたい武将…?」

 

 

「そんな凄いのがおるん?」

 

 

「ええ。私も聞いたときは驚いたわ」

 

 

「…誰よ。もったいぶらないで早くいいなさい?」

 

 

「松永久秀が認めた男…」

 

 

「松永久秀…ってあの松永!?」

 

 

「それが認めた人ってことは…」

 

 

「仲間に出来たら凄い心強いね!」

 

 

「絵里ちゃん…。その人の名前は…」

 

 

「本多正信。彼を何としても私と穂乃果で引き入れるわ」

 

 

「本多正信…。聞いたことある名前ね」

 

 

「そりゃあ松永の重鎮ってなるとなぁ?」

 

 

「どうしてその本多さんは今1人なの?」

 

 

「よく分からないの。でも放浪中なのは確かよ。この機会を逃すわけにはいかないわ」

 

 

「じゃあ決まりだね!」

 

 

「そうね。この人たちを全員引き入れられれば…」

 

 

「武田…いえ、信長ともやり合えるわよ」

 

 

「「おぉー!!」」

 

 

「それじゃ、私の出番はここまでね。後は穂乃果、よろしく」

 

 

「ここで穂乃果にふるの?ふむふむ…」

 

 

「唐突なふりだったやんな」

 

 

「みんな!今絵里ちゃんが言った人の所へこれから各自で向かうよ!!」

 

 

「「はい!!」」

 

 

「くれぐれも、怪我とかしないでね?絶対…生きて帰ってくること!!」

 

 

「「はいッ!!」」

 

 

「織田討伐への第一歩だよ!!みんな、頑張ろう!!!」

 

 

 

 

「「オォーーー!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高坂家、武将引き抜き作戦の開始である。

 

 

 

 




お疲れ様でした。
引き抜き作戦開始ですよ!!皆さん!!(←
説得はうまくいくのでしょうかね?失敗したら命はなさそうですね()

次回は説得のご様子を書こうかなぁ、と。

それでは次回もよろしくお願いします!


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第40幕 獲得 前編


ポッキーです。
今回の話は題名どおりです。…ていうか題名ださいですね、ええ。

さて、今回は希ちゃんと凛ちゃん、にこちゃんが活躍しますよ。
推しの方、パーティの準備を(←

出てくる武将の性格とかは完全なオリジナルです。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
シャーロックさん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最上家——

 

 

 

 

 

「ここね。最上氏の居城は」

 

 

「そうみたいだね」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「凛、何やってるのよ。早く行きなさいよ」

 

 

「…え!?凛が先にいくの!?」

 

 

「当たり前でしょ?」

 

 

「いやいや、ここは年上のにこちゃんがいくのが無難だと思うにゃ」

 

 

「は、はぁ!?なんでそうなるのよ」

 

 

「あ、そっか。にこちゃん怖いのかぁ…」

 

 

「ば、馬鹿!誰が怖いなんて…」

 

 

「そっかぁ…。残念だなぁ…。カッコいいお姉ちゃんだと思ってたんだけどにゃぁ…。そっかぁ…」

 

 

「…しょうがないわね。このにこがお姉様の威厳っていうのを見せつけてあげるわよ!」

 

 

(…ちょろいにゃ)

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第40幕 獲得 前編

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

「何事じゃ」

 

 

「高坂の者達が殿に御目通りしたい…と」

 

 

「高坂…?あの関東の高坂か!?」

 

 

「ええ、おそらく」

 

 

「父上!これはいい機会かもしれませぬぞ」

 

 

「よし、通せ」

 

 

「承知」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…失礼します」

 

 

「失礼しますにゃ」

 

 

「ふむ…。お主らが高坂の使いの者達か?」

 

 

「使いっていうか…まぁ、そうですかね」

 

 

「っていうか武将?」

 

 

「武将?お主らは下っ端ではないのか?」

 

 

「し、失礼ね!下っ端なんかじゃないわよ!」

 

 

「父上、無礼ですぞ」

 

 

「これは失敬…。それで?名はなんと申す」

 

 

「…矢澤にこ。高坂ではよく先鋒をしているわ」

 

 

「矢澤…」

 

 

「あ、あの矢澤でございますか!?」

 

 

「何だ義光。知っておるのか?」

 

 

「ち、父上!?ご存知ないのですか!?」

 

 

「あぁ」

 

 

「何と…。これは失礼しました、矢澤様」

 

 

「あ、いえ、お気になさらず」

 

 

「父上!この矢澤様は、高坂の重鎮にございます!武田の騎馬隊をも凌ぐと言われる、最強の騎馬隊を保持している方ですぞ!?」

 

 

「…誠か」

 

 

「誠です」

 

 

「…そんな凄い者が何故…」

 

 

「…そちらの方は何と申されるのですか?」

 

 

「…あ、凛ですか?」

 

 

「左様」

 

「えっと…。星空凛!高坂の間者です!」

 

 

「星空!?あ、あなたが高坂の情報源…。その情報が伝わる速さは日の本一…。その星空様ですか!?」

 

 

「うーんと…。ま、まぁそうかにゃ?」

 

 

「す、凄い…!」

 

 

「貴方よく知ってるのね」

 

 

「それは勿論!!某は高坂が大好きなのです!!」

 

 

義光さん、目を光らせております。

 

 

「そうなのか?義光」

 

 

「はい。あの武田との戦を見たとき、これだ…と思いました。それに、我らが主君であったツバサ様を救う為に、あの様な負け戦に援軍を出してくれるとは…」

 

 

「凄い思い入れがあるんだね」

 

 

「そうみたいね。絵里が何か言っていたけど…。予想以上だわ、これ」

 

 

「とにかく、父上!この方達は物凄い方々なのです!!」

 

 

「あい分かった。…それで?お主達は何故こんなところに?」

 

 

「あ、はい!凛、説明しなさい?」

 

 

「…うぇ!?凛がやるの!?」

 

 

「当たり前でしょう?」

 

 

「もう…しょうがないなぁ…。えっとですね…。凛達が最上殿のもとへ参った理由は…」

 

 

「理由は…?」

 

 

「最上殿、高坂穂乃果に仕えてはみませんか?」

 

 

「高坂穂乃果に仕える?」

 

 

「はい。高坂は今、武将が足りない状況なんですにゃ」

 

 

「それで、綺羅の右腕とも呼ばれた最上殿にお力添えを願いたい…ということなんですが」

 

 

「それは、我々が高坂の下へ入るということか?」

 

 

「…まあそうなるでしょうね」

 

 

「ふむ…」

 

 

「父上、これは好機にございますぞ」

 

 

「好機だと?」

 

 

「左様。高坂穂乃果様は、あの上杉謙信が認めたお方です。そんな方の下に入れるとは…。我々小大名にとっては願ってもない話ではないですか!」

 

 

「…高坂殿は家臣の扱いはどうなっておる」

 

 

「どうなってるも何も…。凄い…大事に扱ってくれますよ。一仲間そして友人としてね」

 

 

「…誠か?」

 

 

「ええ。穂乃果は天性の才能を持っています。人を導き、引っ張っていく能力を」

 

 

「父上。高坂につけば、最上は安泰かと」

 

 

「……」

 

 

「いかがでしょう?」

 

 

「…今、最上は我々をしっかり守ってくれる大名を探していたところじゃ」

 

 

「父上…」

 

 

「よかろう。この最上義盛、高坂穂乃果様にお仕えいたそう」

 

 

「本当かにゃ!?」

 

 

「左様。武士に二言はない!」

 

 

「よし!!なんとか抑えれたわね…!」

 

 

「これからよろしく頼むぞ、矢澤殿、星空殿」

 

 

「こちらこそにゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

最上家・最上義盛、義光親子獲得。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

結城家——

 

 

 

 

 

「よっしゃ、今回はうち1人やからな…。気合いいれていこか!」

 

 

「結城殿は頭が切れるって有名やからなぁ…。口で負けんようにせんとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

「何事だ」

 

 

「高坂の者が殿に御目通りしたいと」

 

 

「高坂だと?」

 

 

「はい」

 

 

「…いいぞ、通せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま参上つかまつりました…。御目通りいただき、光栄にございます」

 

 

「…高坂の者といったな」

 

 

「はい」

 

 

「名は」

 

 

「東條希」

 

 

「東條殿…は何故某のもとに」

 

 

「ご相談がございまして」

 

 

「相談?関東を治めた高坂が関東の小大名の結城に相談だと?」

 

 

「はい。とても重要な」

 

 

「…申してみよ」

 

 

「高坂の下についてくれませんか?」

 

 

 

 

 

160kmの直球がど真ん中に飛び込みました。

 

 

 

 

 

 

「…単刀直入だな」

 

 

「そちらの方がいいかなと」

 

 

「下につくのか、結城が」

 

 

「はい」

 

 

「…それでは断る」

 

 

「何故ですか?」

 

 

「何故?決まっているだろう?」

 

 

「貴方も関東の小大名ではないですか」

 

 

「我々は小大名なりに頑張って来たのだ。それをここですぐに手放すわけにはいかん」

 

 

「…誰も領地を渡せ、とは言ってないですよ?」

 

 

「…は?」

 

 

「我々高坂は、貴方の領地ではなく…。結城晴朝、貴方が欲しいんです」

 

 

「…某が欲しいだと?」

 

 

「はい。貴方のその頭脳、戦の技…。それを高坂に貸してはくれないでしょうか?」

 

 

「…」

 

 

「…殿は領地とかは全く気にしない人なんですよ」

 

 

「領地を気にしないだと?」

 

 

「はい。戦で活躍できれば、今より多くの領地を与えるかもしれませんよ?」

 

 

「…多くの領地か」

 

 

「どうです?一緒に戦いませんか?高坂の仲間として」

 

 

「…」

 

 

「高坂穂乃果は貴方達を必ずいい方向へ導いてくれます。…それは約束しますよ」

 

 

「…何故お主がそう言い切れる?」

 

 

「簡単じゃないですか。…それくらい殿は家臣に信頼されているんですよ。殿はいつだってぶれない…。どんな強敵にも怯まないでぶつかっていく強さを持ったお方です。これだから高坂の家臣はやめられないんです!」

 

 

「家臣をやめられないとは…。面白い言い方であるな」

 

 

「そうですか?でもそういう事なんです。それくらい高坂の家臣はやりがいのあるものですよ?」

 

 

「そうか…。しかしなぁ…」

 

 

「…やりたいなら、やってみたらいかがですか?」

 

 

「は?」

 

 

「特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる…。本当にやりたいことっていうのはそうやって見つかるものですよ?」

 

 

「…」

 

 

「結城家を守らなければならないという義務感。…そんな中やっていても面白くないですよね?」

 

 

「仕方ないだろう、結城家の当主なのだから」

 

 

「私は、結城家の為にもその繁栄の為にも…。高坂で戦う方が良いと思いますけどね」

 

 

「高坂で戦う…」

 

 

「ずっと結城家だけで戦っていくおつもりですか?」

 

 

「それは…」

 

 

「それではもう答えは出ているじゃないですか」

 

 

「…」

 

 

「もう一度…聞きます。高坂に力を貸してくれませんか?」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

 

 

暫くの沈黙。結城はかなり悩んでいる様子だった。

 

 

 

「…」

 

 

「一度…」

 

 

「…一度?」

 

 

「一度やってみてもいいか…?高坂の家臣を」

 

 

「…勿論ですよ。合わなかったら辞めればいい。それだけの話ですからね」

 

 

「…高坂殿はやめることを許すお方なのか」

 

 

「はい。人に強要したりはしないです。好きにやらせてくれますよ」

 

 

「誠か」

 

 

「はい」

 

 

「…それは面白そうであるな」

 

 

「では?」

 

 

「…結城晴朝、高坂穂乃果様にお仕えいたす」

 

 

「承知しました。それじゃ、よろしくな、晴朝さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…口調が変わりすぎではないか?」

 

 

「あはは…。堅苦しいのは苦手なんよ」

 

 

「まぁよいか。これから共に戦う者なのだからな」

 

 

「さっすが晴朝さん!分かっとるな」

 

 

「それでは東條殿、よろしく頼むぞ」

 

 

「こちらこそ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結城家・結城晴朝獲得。

 

 

 

 




お疲れ様でした。
いかがでしたか?

いやはや、最上義光凄いですね。高坂マニア。
こんな感じでやっていきます。

次は後編です。誰が落ちるかお楽しみに。

それでは次回もよろしくお願いします!


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第41幕 獲得 後編


どうも。
相変わらず題名ださいですね…。許してください。

今回はまきことぱなですかね。3人とも、頑張ります。

それではどうぞ、ごゆっくり。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹家——

 

 

 

 

「…いざ城門の前に立つと緊張するね」

 

 

「うん…」

 

 

「…」

 

 

「ちゃんと納得してくれるといいけど…」

 

 

「…大丈夫、だと思うよ!絵里ちゃんから作戦みたいなものは聞いてきたし」

 

 

「ことりちゃん頭いいしね♪」

 

 

「花陽ちゃんだって頭いいでしょ?」

 

 

「で、でも私、口はあんまり上手くないし…」

 

 

「ことりだってそうだよ?」

 

 

「そうかなぁ…」

 

 

「口下手だけど、頑張らなくちゃね!佐竹さんはどうしても欲しいみたいだし」

 

 

「…うん!期待に応えなきゃね」

 

 

「よし、じゃあ行こ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第41幕 獲得 後編

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで?そなた達は何をしに参ったのだ?」

 

 

「えっとですね…」

 

 

「そ、その…」

 

 

「はっきりと申さぬか。分からぬであろう」

 

 

「佐竹さん、怒りそうだし…」

 

 

「ねぇ?」

 

 

「…そんなに拙者が怖いか」

 

 

「はい」

 

 

「はい」

 

 

「即答なのか…」

 

 

「怒りませんか?」

 

 

「そんなすぐに怒鳴るようなたまではない」

 

 

「本当ですか?」

 

 

「本当だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ん?何でこの2人がこんなに恐れているか?

 

 

 

 

佐竹の顔が鬼みたいだからですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…じゃあ」

 

 

「佐竹さん」

 

 

「私たち、高坂に入ったりしてくれませんか…?」

 

 

「…高坂に入る?」

 

 

「はい」

 

 

「それはどういう意味だ?」

 

 

「一緒にことり達、高坂と戦ってくれませんか?」

 

 

「…一緒戦うだと?」

 

 

「はい」

 

 

「佐竹が高坂へ力を貸せ…ということか?」

 

 

「そういうことです」

 

 

「目的はなんだ。高坂の最終目標は?」

 

 

「最終目標…ですか?」

 

 

「そうだ。どこを目指しているのか。その目標は面白そうか…。それによって答えは変わる」

 

 

「花陽ちゃん、最終目標ってアレでいいんだよね?」

 

 

「うん、多分アレで大丈夫だよ」

 

 

「佐竹さん」

 

 

「何だ。早う申せ」

 

 

「戦のない世の中を作ることです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

 

「高坂の最終目標は天下統一…。そして、戦のない世を作ることです」

 

 

「それは織田も倒すということだぞ?」

 

 

「はい。ですから佐竹さんにお願いしているんです」

 

 

「織田を倒す為に拙者達を頼るというのか」

 

 

「そういうことになります」

 

 

「何故だ。佐竹は関東の小大名…。それに関東の覇者である高坂が何故力を貸して欲しいと言ってくる!?誇りというものはないのか!?」

 

 

「ないですよ」

 

 

「何だと?」

 

 

「ない…といったら違うかもしれません。目標を達成する為には貴方の力が必要なんです」

 

 

「誇りとか、そんなものを気にしていたら、自分達の夢は叶えられないですから!」

 

 

「それに、その夢を叶えたその時初めて、高坂の誇り…というものが生まれると思うんです」

 

 

「…夢を叶えたときに誇りが生まれる」

 

 

「そうです。佐竹さんも一緒に叶えませんか?夢を」

 

 

「…拙者は戦のない世を作ることが夢だとはいっておらん」

 

 

「では何なんですか?佐竹さんの夢は」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「佐竹のような小大名に何が出来る?夢など語っている余裕などないのだ。…ただ、佐竹を滅亡させないことに全力を注ぐしかないんだよ」

 

 

「…そうですか」

 

 

「じゃあ一緒に見つけませんか?夢を」

 

 

「…何だと?」

 

 

「高坂…私たちと一緒に佐竹さんも夢を見つけましょう?」

 

 

「夢を見つけるだと?」

 

 

「はい。佐竹さんは何がしたいのか、本当にやりたいことは…?」

 

 

「拙者のやりたいこと…」

 

 

「高坂に来れば、分かるかもしれませんよ?」

 

 

「佐竹さんのやりたいこと」

 

 

「…」

 

 

「いかがですか?」

 

 

「どこにつくか決まっていないのなら…。高坂に来ませんか?」

 

 

「高坂か…」

 

 

「同じ関東勢として、頑張りましょう?」

 

 

「お願いします…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…承知した。ついてみてもよかろう」

 

 

「佐竹さん…!!」

 

 

「だが、ダメだと思ったらすぐ離れるからな」

 

 

「大丈夫です!」

 

 

「高坂はそんな思いはさせないですよ」

 

 

「…そうか。長い付き合いになるといいな」

 

 

「「はい!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹家・佐竹義重、獲得。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

今川家——

 

 

 

 

「貴族ってこともあってかなりの曲者って聞いてきたけど…」

 

 

 

 

今川氏真の獲得を任せられた真姫。

今川義元の息子である氏真をどう説得するのか。

 

 

 

「上手くいくといいわね…」

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

「高坂の者が氏真様に御目通りしたいと」

 

 

「高坂がですか…?」

 

 

「はい」

 

 

「名は何と申していますか?」

 

 

「確か西木野…と申しておりました」

 

 

「高坂の西木野…。重鎮ではないですか」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

「ええ。わざわざ西木野が何故こんな所に…」

 

 

「…それで、いかがされますか?」

 

 

「通していいですよ。話を聞いてみたいですし」

 

 

「承知」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御目通りいただき、光栄に存じます」

 

 

「結構。そなたが西木野殿ですね?」

 

 

「はい」

 

 

「そうですかそうですか。それではお茶でも飲んで、ゆっくりしていってください」

 

 

「いえ、お気遣いなく」

 

 

氏真がお茶をたて始める。

 

 

「…お茶をなさるんですね」

 

 

「ええ。趣味の1つです」

 

 

「…」

 

 

シャカシャカと茶をたてる音が部屋に響く。

 

 

「さて、出来ました。どうぞ」

 

 

「いただきます」

 

 

真姫は作法どおりに茶を飲んでいく。

その動作は完璧だった。

 

 

 

「…お茶を飲むのがお上手で」

 

 

「いえ、常識ですから」

 

 

「どうです?美味しいですか?」

 

 

「…ええ、とても。美味しいお茶だと思います」

 

 

「それは良かった」

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

「お粗末さまです」

 

 

先ほど、真姫は美味しいお茶…とはいったが、それは多少クセのある味だったようだ。

喉の奥に何とも言えぬ苦味が残る。

 

 

「西木野殿」

 

 

「…何でしょう」

 

 

「今回の目的は何ですか?」

 

 

「ここへ来た目的ですか?」

 

 

「ええ。わざわざ高坂の重鎮がこんな所までくるなんて…。何か重大なことがあるのでしょう?」

 

 

「ええ、まぁ」

 

 

「…」

 

 

「1つ質問をします」

 

 

「どうぞ」

 

 

「今川様は…どこかの大名につく気はおありですか?」

 

 

「大名につく…?今川が?」

 

 

「ええ」

 

 

「…特にはないですね」

 

 

「そうですか。なら今川も終わりですね」

 

「…は?」

 

 

西木野さん、爆弾投下。

 

 

「大名につく気がないなら今川はもう滅亡ですね、と言っているんです。ただでさえぼろぼろなのに」

 

 

「…舐めているのですか?」

 

 

「舐める…?今の今川には舐める所もないですよ」

 

 

「何ですって?」

 

 

「あちこちから攻められ、あの天下に一番と言われた今川も今やそこら辺の小大名と変わらず…いえ、それ以下ですね」

 

 

「…西木野殿、調子に乗るのもいい加減にしたほうがいいですよ?我々は天下の今川…」

 

 

「天下の今川?聞いて呆れるわね。何が天下の今川よ。いい加減自分達の姿をしっかり見なさい?」

 

 

「くっ…」

 

 

「この際だから言わせてもらうけど、あなた達にはもう天下を目指すような力は残っていない。それを自覚しているの?」

 

 

「そんな訳ないでしょう?天下の今川に…」

 

 

「まだ言うのね。なら勝手にしなさい?衰退していく今川を、何も出来ずに見てることしか出来ないでしょうけど」

 

 

「衰退していく今川…」

 

 

「そうよ。最悪、高坂が今川に攻め入ってもいいわよ?貴方達を完膚なきまでに叩いてあげるけど」

 

 

「…ま、待ってください。今高坂に攻められたりしたら」

 

 

「ええ。この日本から今川という文字は消えるわよ?」

 

 

「天下の今川が…」

 

 

「そういうことだから。いつまでも昔の今川を見ていたいなら勝手にしなさい。私はこれで帰るから」

 

 

「い、いや。待ってください。攻め入るのはちょっと…」

 

 

「…は?天下の今川なんでしょう?たかが関東の覇者・高坂の攻撃なんてはね返せるはずよね?」

 

 

「…」

 

 

「どうなの?」

 

 

「…無理です」

 

 

「無理なの?天下の今川なのに?」

 

 

「くっ…。悔しいですが…。今の今川にはそんな力はありません」

 

 

「…」

 

 

「ですが、父上から受け継いだ天下の今川を何とか保とうと…」

 

 

「…」

 

 

「あんな大口をたたかなければ我もやってられないのです…。現実逃避…というやつでしょうか」

 

 

「分かってるじゃない」

 

 

「しかし…。今回ばかりはそういうわけにも…」

 

 

「…高坂なら今川を守ることが出来るわよ」

 

 

「…本当ですか?」

 

 

「ええ。だからわざわざ誘いに来てるじゃない。高坂へ入らないかって」

 

 

「…」

 

 

「貴方達が高坂に力を貸してくれるなら、私たち高坂は今川を守る為に全力を尽くすわよ。どう?」

 

 

「高坂が守ってくれるのですか…」

 

 

「ええ」

 

 

「…仕方ありません」

 

 

「…?」

 

 

「今川を守るためなら…。喜んで高坂へ入りましょう」

 

 

「…謀反なんて起こしたらすぐに撃つけど。それでもいい?」

 

 

「謀反なんて起こしませんよ。今川は忠誠心が強いですから」

 

 

「嘘くさいわね」

 

 

「酷いですね…。安心してくださいよ」

 

 

「…そう」

 

 

「今川が力を貸すのです。高坂には天下をとってもらいたいですね」

 

 

「…大した力じゃないけど」

 

 

「はい!?」

 

 

「あー、とても心強いです」

 

 

「よろしい」

 

 

「じゃあ私はこれで…」

 

 

「待ってください」

 

 

「?」

 

 

「もう一杯…。お茶、飲んでいきませんか?」

 

 

「いらない」

 

 

「え?」

 

 

「いらない」

 

 

「ですが、先ほど美味しいと」

 

 

「…失礼しました」

 

 

「ちょっと!西木野殿!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今川家・今川氏真、獲得。

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたか?

武将達の性格を考えるの、意外と楽しいですw

次回は強敵とほのえりが対峙します。2人は落とせるのでしょうかね…? 期待せずに待っていてください。


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第42幕 加賀


お久しぶりです、ポッキーです。
最近は本当に忙し過ぎてですね…。中々更新出来ず、申し訳ありません。

さて、今回はほのえりですね。本多正信を狙って加賀へ。
一体どうなるのやら。

それではどうぞ、ごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん、ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

「さすがに加賀(石川)までとなると遠いわね…」

 

 

「遠すぎるよ!!」

 

 

「…穂乃果怒ってたりするの?」

 

 

「怒ってないよっ!!」

 

 

「あらら…」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第42幕 加賀

 

 

 

 

 

 

 

本多正信を追って加賀国まで長旅をしている穂乃果と絵里。

 

穂乃果は上洛に続いての長旅の為、既に嫌になっているようである。

 

 

 

「この間もこれくらい長い旅したのに!」

 

 

「しょうがないでしょ?」

 

 

「何でまたこんな長旅しなきゃいけないのさ!!」

 

 

「…しょうがないでしょ?」

 

 

「もう少しゆっくり出来ると思ったのに…」

 

 

「いつもダラダラしてるじゃない」

 

 

「してないよ!!」

 

 

「どの口が言ってるのよ…」

 

 

「あぁーもう!疲れたよぉ!!」

 

 

「そんなに叫ぶ元気があるじゃない」

 

 

「…穂乃果は疲れたの!!」

 

 

「はぁ…。なら少し休憩しましょうか」

 

 

「本当!?」

 

 

「ええ。もう加賀には入っているし」

 

 

「じゃあ絵里ちゃん!お団子屋さんに行こうよ!」

 

 

「…疲れて動けないんじゃないの?」

 

 

「誰もそんなこと言ってないよ?」

 

 

「いや、貴女あんなに機嫌悪かったじゃない」

 

 

「そうかな?穂乃果はいつでもハッピーだよ!」

 

 

「…」

 

 

 

絵里、絶句。何も返す言葉がないようです。

 

 

 

「雪穂ちゃんも連れてくれば良かったわ…」

 

 

「え?どうして雪穂?」

 

 

「穂乃果の扱い方分かってるじゃない?」

 

 

「あ、扱い方!?」

 

 

「そうよ。穂乃果を操縦するのどれだけ大変か分かってる?」

 

 

「酷いよぉ!穂乃果は人間だよ!」

 

 

「そう?どちらかと言うと犬っぽいじゃない?」

 

 

「い、犬?」

 

 

「飼い主の海未がいなくなったのは痛いわね…」

 

 

「海未ちゃんが穂乃果の飼い主…!?」

 

 

「え、違うの?」

 

 

「違うよ!!」

 

 

 

 

穂乃果と絵里はいつもこんな会話になるようで。基本どうしようもない話である。

 

 

 

 

 

「この団子美味しいよ、絵里ちゃん!!」

 

 

「そうね!これは絶品だわ!」

 

 

「疲れがとれるねぇ」

 

 

「これで本多正信探しもはかどるわね」

 

 

「そうだねぇ…」

 

 

「あら、このお茶も美味しいわ」

 

 

「うんうん!でも雪穂のお茶の方が美味しい…かな?」

 

 

「そうなの?私も一度飲んでみたいわ」

 

 

「絵里ちゃんなら頼めばいつでも淹れてくれると思うよ!」

 

 

「そうかしら?なら今度頼んでみるわね」

 

 

「うんうん!」

 

 

「よし、じゃあ本多殿探しにいきましょうか」

 

 

「探すって…。本多さんがいる場所分からないの?」

 

 

「そうなのよ。松永を去ってからどこに行ったか分からないらしくて…。加賀にいるってことしか情報がないの」

 

 

「ふーん…。謎の人物…ってことかな」

 

 

「ええ。でも、戦は凄い上手いらしいわよ。伊達に松永の重鎮やってないって感じね」

 

 

「そんな凄い人なんだね」

 

 

「海未をなくした高坂に必要なのは、もう1人頭が使える武将…。まさに本多正信がはまってるってわけ」

 

 

「本多さんなら兵力とかも凄そうだしね」

 

 

「そうね。これは絶対に欲しいわ…」

 

 

「うん。だから頑張ろ!」

 

 

「勿論。絶対におとしましょう」

 

 

 

お団子パワーで元気100倍な穂乃果と絵里。

本多正信を落とすことが出来るのだろうか。

 

 

 

「…どこから探そうか?」

 

 

「とりあえずこの付近から探しましょう。ここにあるのは民家とお寺…かしら?」

 

 

「民家とお寺か…。特に何もなさそうだけど」

 

 

「まぁそこから探すわよ。可能性はゼロではないわ」

 

 

「そうだね!じゃあまずはお寺から行こうか!」

 

 

「ええ。民家はさすがにちょっとね…」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

加賀の寺院——

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しま〜す…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

「誰もいない…のですか?」

 

 

「…返事がないから、そうなのかしら?」

 

 

「うーん…。それじゃあ残念だね」

 

 

「ちょっと待ってみる?誰か戻ってくるかもしれないわよ」

 

 

「そうだねぇ…。ちょっと待ってみようか」

 

 

 

 

そんな2人の背後からある人物が近寄ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そこのお二人さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぇぇえ!?」

 

 

「……!!!」

 

 

 

 

突如背後から声をかけられた2人は飛び上がるように…いや、飛び上がって驚いていた。

 

 

特に絵里なんかはもう気絶してしまっているようである。

 

 

 

「…え、絵里ちゃん?絵里ちゃん!?」

 

 

「…っと、これはいけませんな。寺の中で休ませてあげましょう」

 

 

「え、あ、ありがとうございます」

 

 

 

 

謎の人物…正体不明の人物…?に寺の中へ案内される穂乃果。そして意識のない絢瀬さん。

 

 

絵里のことは穂乃果がおぶっているようだが…。

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…。重いよ、絵里ちゃん…」

 

 

「…」

 

 

返事はない。ただのしかばねのようだ。

 

 

「お二人さん。ここが客間だ。ゆっくり休んで行きなさい」

 

 

「ありがとうございます!…えっとお名前は?」

 

 

「ワシか?ワシは本多と申す。何かあったらまた声をかけてくれ。この寺院のどこかにおる」

 

 

「本多さん…。分かりました!」

 

 

ん?本多さん?

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?」

 

 

「あ、絵里ちゃん気がついた?」

 

 

「…あれ、私は一体?」

 

 

「いや、後ろからいきなり声をかけられた時に、絵里ちゃんってば驚きすぎて失神しちゃったんだよ?大変だったんだから…」

 

 

「あ、あれ?そ、そうなの?」

 

 

「そうだよ!」

 

 

「…ごめんなさい」

 

 

「大丈夫だよ!絵里ちゃんって意外と驚かされるのに弱いよね。幽霊とか苦手だもんね〜?」

 

 

「う、うるさいわよ、穂乃果」

 

 

「あ、あ…。え、絵里ちゃん!!後ろに幽霊が…っ!!」

 

 

 

「えぇぇぇぇえ!!!??」

 

 

 

絵里が音速で部屋の端っこへ移動する。

 

 

 

「…あはは。凄いね、絵里ちゃん」

 

 

「穂乃果!!幽霊は!?」

 

 

「え?あ、いないよ?」

 

 

「はぁ?」

 

 

「いやだから、嘘だよ?」

 

 

「…」

 

 

 

絵里から何か出ている…!

あれは闇のオー…。絢瀬さん、憤怒のようです。

 

 

「あはは…。あはははは…。ぅ絵里…ちゃん?」

 

 

「穂乃果?」

 

 

「はいっ!!」

 

 

「…終わらないパーティ、始めましょう?」

 

 

「あ、え、絵里ちゃん!おち、落ち着こ!ね、ね?うん、ほら、ほんの出来心で…」

 

 

「問答無用!!!!!」

 

 

「いぃぃぃぃぃいやぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

 

 

 

 

…何をやっているのやら。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ああ、ああああ…」

 

 

「ふぅ…。ちょっとやりすぎたわね」

 

 

「絵里ちゃんの鬼ぃ…」

 

 

「…なんとでもいいなさい?貴女が悪いのよ?」

 

 

「……」

 

 

「…で?ここはどこなわけ?」

 

 

「…え?知らなかったの…?」

 

 

「ええ」

 

 

「意味わかんないよ…」

 

 

「で?ここはどこ?」

 

 

「えっとね、お寺…の中だよ。本多さんがいるお寺」

 

 

「お寺ねぇ…。…ん?本多さん?」

 

 

「うん。さっき後ろから声をかけてきた人が案内してくれたんだ。その人が本多さん」

 

 

「…!?本多って…。名前は聞いたの!?」

 

 

「い、いや、名前までは教えてくれなかったよ?」

 

 

「どこにいるか分かる!?」

 

 

「この寺の中にいるって言ってたよ」

 

 

「よし、分かったわ!!」

 

 

「…絵里ちゃん。どうかしたの?」

 

 

「穂乃果、これは探す手間が省かれたかもしれないわよ!!」

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本多と名乗り、寺に住む…?謎の人物。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレは探し求めていた本多正信なのだろうか?

 

 

 





お疲れ様でした。

いやぁ、酷かったですね。久しぶりに書いたもので^^;
え?いつもこんな感じ?
…貴方正解です。

次回、穂乃果と絵里は本多正信と接触できるのでしょうか?
そして高坂に引き入れることが出来るのでしょうか?見所ですね。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第43幕 本多


どうも、ポッキーです。
毎日投稿は無理ぽです(殴

今回は本多正信さん!さ、ほのえりはどのようにして本多を獲りにいくのか…?見所です。

今回も訳わからん話になっているので、皆様のその豊かな頭脳で頑張って理解してください(殴

それではどうぞごゆっくり。


前回感想をくださった
シャーロックさん
GUMIさん
ありがとうございました!

※返信が遅れております、大変申し訳ありません。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

「…穂乃果」

 

 

「ん…?どうかしたの?」

 

 

「いや、本当にこの寺にいるっていったのよね?」

 

 

「うん」

 

 

「本多さんが?」

 

 

「そうだよ!」

 

 

「…の割には人気がなさ過ぎると思わない?」

 

 

「…?そうかな?」

 

 

「っていうかさっきからずっと探してるけど、見つかる気配がないわよ?」

 

 

「…穂乃果に聞かれても困るよ」

 

 

「本当に人がいたの?」

 

 

「いたよ!いたってば!」

 

 

「…本当かしら」

 

 

「しつこいよ!絵里ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第43幕 本多

 

 

 

 

 

 

こちら加賀のとある寺院にいる穂乃果と絵里。

 

本多と名乗る、この寺に住む…はずの人を探しているようだが…。

 

 

 

 

 

「一体どこへ行ったのよ!」

 

 

「まあまあ、絵里ちゃん。落ち着いて…」

 

 

「落ち着いてられるわけないでしょう?あの本多が近くにいるかもしれないのよ!?」

 

 

絢瀬さん、本多が欲しくてたまらない様子。

取り乱しております。

 

 

「ほら、絵里ちゃん、チョコあげるから落ち着いて?ね?」

 

 

穂乃果がチョコレートを差し出す。

 

これは世界の西木野さんが外国から輸入しているもので、少々苦いが、コレはコレで美味しい。

 

 

「…ありがと」

 

 

「いやぁ、美味しいよね!このチョコレート!」

 

 

「ええ…。いくら食べても飽きないわね」

 

 

「ちょっと苦いけどね…。あはは…」

 

 

「そう?これくらいが丁度いいのよ?」

 

 

「むむむ…。やっぱり後味が苦手だなぁ…」

 

 

穂乃果さん、苦いモノはあまり得意ではないようで。やっぱりチョコは甘くなくちゃね!…って人です。

 

 

「…ってもう食べちゃったの?」

 

 

「うん」

 

 

「凄いわね…」

 

 

「いやいや、普通だよ?」

 

 

「そうかしら?」

 

 

「うん。絵里ちゃんが遅すぎるんだよ」

 

 

「チョコを噛み砕くっていう概念がないのよね…私」

 

 

「チョコは噛むモノだよ?」

 

 

「違うわよ。チョコは舐めるものよ?」

 

 

「むむむ…」

 

 

「チカァ…」

 

 

 

チョコを噛む派vsチョコを舐める派。

 

とてつもなくどうでもいいことで戦争が起ころうとしている。

 

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「…っと。それどころじゃなかったわ。本多!!」

 

 

「……。あ、そうだった!」

 

 

「危ない危ない…。私としたことが忘れる所だったわ…」

 

 

賢くない。

 

 

「手分けして探そうか!」

 

 

「ええ、そうしましょう。効率も上がるでしょうしね」

 

 

「よし、じゃあ見つけたら報告ね!」

 

 

「ええ!」

 

 

 

2人は左右へ分かれ、寺院を探し回り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

(本多さぁぁぁん!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

「…穂乃果ってばあんな大声だして…。これじゃ手分けした意味ないじゃないの」

 

 

 

 

(本多さぁぁぁん!!!!どこにいるんですかぁぁぁあ!!!??)

 

 

 

 

「…一体どこからあんな大声が出てくるのよ、全く」

 

 

 

絵里はため息をつき、捜索を開始した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、騒々しいの…」

 

 

壁がひっくり返り、絵里の目の前に1人の男が登場した。

 

 

 

忍者屋敷か。

 

 

「……!?」

 

 

「…お、気がついたのだな」

 

 

「あ、貴方は?」

 

 

「ワシか?ワシは本多と申すが」

 

 

「本多…。…貴方が!?」

 

 

「い、いかにも」

 

 

とてつもなく食い気味で聞いてくる絵里目の前にし、本多は後ずさる。

 

 

 

 

(本多さぁぁぁん!!!???)

 

 

 

 

 

 

「…すみません、騒がしくて」

 

 

「いや、問題ない」

 

 

「…貴方の名前は?」

 

 

「ワシの名前?」

 

 

「はい。教えてくださいませんか?」

 

 

「正信…。本多正信であるが?」

 

 

「本多正信…。ビンゴね」

 

 

「…?」

 

 

「本多様。貴方にお願いがあります」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…いない」

 

 

その頃、穂乃果は正信のことを絶賛捜索中。

 

 

「大声出しすぎたかなぁ…。喉痛いよ…」

 

 

のこのこと寺院を歩きまわるが、正信は一向に見つからない。

 

 

まぁ無理もないだろう、絵里と一緒にいるのだから。

 

 

「絵里ちゃんの所に戻ろうかな…?もう探す場所ないもんね…」

 

 

…と、絵里の元へ戻ろうとした穂乃果であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ?ここ…どこだっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寺の中で道に迷いましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「お願いします」

 

 

「…」

 

 

「我々と共に、織田を倒しませんか?」

 

 

「…」

 

 

穂乃果が道に迷っていた頃、絵里は既に説得へと入っていた。

 

 

「ワシがお主らと共に織田を倒す…か」

 

 

「はい。どうですか?」

 

 

「…断る」

 

 

「何故ですか?」

 

 

 

「今更高坂に貸すような力はない」

 

 

「…といいますと?」

 

 

「もう少し早ければな?ワシも考えたのだが…」

 

 

「早ければ?」

 

 

「左様。ワシは既に織田を倒す為の準備にかかってしまっていてな」

 

 

「本多様、1人でいかれるのですか!?」

 

 

「まさか。ワシの部隊だけではいかんよ」

 

 

「それではどこの大名と…」

 

 

「…石山本願寺」

 

 

「石山本願寺…ですって?」

 

 

「そうだ。本願寺顕如と共に、ワシは織田を潰す」

 

 

「石山本願寺…。大阪の一大勢力…」

 

 

「左様。織田と戦うには十分であろう?」

 

 

「それでは何故貴方は加賀に?大阪へいればいいではないですか」

 

 

「織田に悟られないようにするためだ。本願寺が挙兵したとなれば、織田も放っておかんだろう?大阪へ向かった織田の背後をワシらがつつく…。そういうことだ」

 

 

「策は完璧ってことですね」

 

 

「そうだ」

 

 

「…残念です。織田は高坂が倒したかったのですが」

 

 

「織田と高坂の戦か。中々面白そうではないか」

 

 

「しかし、本多様が織田を討ってしまえばその戦をすることも叶わず…。残念です」

 

 

「ワシが高坂にいたらどの様な策で織田を潰すかの…。ふむふむ…」

 

 

「…?本多様?」

 

 

「どうかしたか」

 

 

「高坂へ来ませんか?」

 

 

「…先ほど断ったはずだが?」

 

 

「いや、いかにも来たそうでしたので」

 

 

「どこをみたらそうなるのだ。ただワシは織田を正面から叩く策を…」

 

 

「やはり、戦というのは正面衝突が一番面白いですよね…。地力が試されるといいますか、もっと言うと軍師の能力が試されるといいますか」

 

 

正信の喉がなった。

 

 

「本当…面白そうですよね。私も一軍師として、正面衝突の戦の策を練るのは本当に楽しくて…。しかも織田が相手となれば…」

 

 

「とてつもなく…面白そうだな」

 

 

「ですよね。あぁ…。考えただけでも楽しくなってきますね…」

 

 

「あ、あぁ。そうだな」

 

 

「高坂の武将達は曲者揃いですからね…。それを動かすのなんてもう…!」

 

 

「面白いか」

 

 

「本多様が考えている100倍は面白いですよ」

 

 

「100倍…」

 

 

「どうです?高坂の部隊を共に動かしませんか?」

 

 

「…」

 

 

「織田を倒しましょう、正面から」

 

 

「しかし、本願寺との約束がなぁ…」

 

 

「織田の軍師といえば、日の本一と名高い竹中半兵衛…」

 

 

「…!」

 

 

「日の本一の軍師と策略対決が出来るなんて…」

 

 

「…半兵衛と策略対決」

 

 

「ああー面白そうだなぁー…」

 

 

絵里、迫真の演技である。

 

 

「……よし」

 

 

「…?」

 

 

「その話、のった」

 

 

「…といいますと?」

 

 

「共に織田を倒そうではないか、絢瀬殿」

 

 

「本多様!」

 

 

「竹中半兵衛と対決出来ると思うと、考えただけでこう…。軍師魂が燃えるというか…」

 

 

「分かります、とても」

 

 

「…結局、ワシはお主の演技にはめられたわけだ」

 

 

「何のことでしょう?」

 

 

「知らん顔などしおって…。高坂は高坂で面白そうだな」

 

 

「では、高坂に入っていただけるんですね?」

 

 

「…そうだ。この本多正信、高坂家に仕えることにする!!」

 

 

「…ありがとう、ございます」

 

 

絵里は心の中で渾身のガッツポーズをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「…ここさっきも来たよね」

 

 

「…あれ、ここもだ」

 

 

「広すぎるんだよぉ…」

 

 

 

絢瀬さんがカッコよく決めていた頃、穂乃果は未だ道に迷っていましたとさ。

 

 

 

「うぅ…。どこからどういったらいいのぉ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か助けてぇぇぇぇぇえ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(チョットマッテテェ!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本多家・本多正信獲得。

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

うん、イミワカンカナイでしょ?
とりあえず、本多正信は高坂に入ります!!(←

さて、次回はどうしようかな。武田さん、ようやく動きます。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第44幕 要求


どうも。久々の2日連続投稿ですか?ありがとうございます。

今回は武田が久しぶりに登場。凄い行動に出ます。

今回の話はちょっと…いやかなりまとまりがないので、頑張って理解してください(いつもだ

それではどうぞごゆっくり。



 

 

 

 

 

武田家——

 

 

 

 

「くそ…。高坂…」

 

 

「いかがする?いつまでも放っておくわけにもいかんぞ」

 

 

「そんなことは分かっておる。では、お主に何か高坂を倒す策があるのか?」

 

 

「それは…」

 

 

「…御屋形様。いかがいたしましょう」

 

 

「発想を変えるか…」

 

 

「…といいますと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高坂討伐をとりやめる」

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第44幕 要求

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜疲れた」

 

 

「にこちゃん…。どんな声だしてるのよ」

 

 

「あー、真姫ちゃんだー、久しぶりじゃなぁい」

 

 

「前よりキャラが濃くなってない?貴女」

 

 

 

 

 

「かよちーん!」

 

 

「凛ちゃーん!」

 

 

名前を呼びあった凛と花陽。凛が花陽に飛び込む。

 

 

「久しぶりのかよちんだにゃぁ」

 

 

「そうだね〜!久しぶりの凛ちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

「ことりちゃん!」

 

 

「希ちゃん!」

 

 

名前を呼びあった希とことり。2人は抱き合う…ようなことはせず、目の前で繰り広げられているにこまきとりんぱなをニコニコしながら見守っていた。

 

 

 

「どうやった?」

 

 

「佐竹さんはばっちりだったよ!希ちゃんは?」

 

 

「結城殿もばっちりや。今川も最上もばっちり了解してくれたみたいやで!」

 

 

「良かったね♪今回の作戦大成功だよ」

 

 

「せやね!後は絵里ちと穂乃果ちゃん所の本多殿やな」

 

 

「うん。あそこが一番手強いって言ってたもんね…」

 

 

「上手くいってるとええけどな」

 

 

「うーん…。絵里ちゃんのことだし、大丈夫…なのかな?」

 

 

「いや、たまに絵里ちはあかんくなる時があるからなぁ…。ちょっと…いや、かなり不安や」

 

 

「あはは…。しかもその傍らにいるのが穂乃果ちゃんってなると…」

 

 

 

希とことりは頭をかかえた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃぁあん!!」

 

 

「ことりちゃぁあん!!!」

 

 

穂乃果がことりの胸にダイブする。

 

 

「絵里ち、おかえり」

 

 

「ただいま、希」

 

 

 

穂乃果と絵里以外の高坂諸君が音ノ木坂へ着いてから約3日後。加賀へ行っていた彼女達がようやく到着した。

 

 

 

「絵里ち、どうだったん?」

 

 

「ああ、もちろん完璧よ」

 

 

「おぉ…」

 

 

「…希、貴女私のこと信用してなかったでしょ」

 

 

「まっさかぁ」

 

 

「…」

 

 

「…嘘です、半分信じてませんでした」

 

 

希さん、自供しました。

 

 

「酷いわね、本当。一応これでも高坂の軍師やってるのよ?」

 

 

「せやけどなぁ」

 

 

「何よ」

 

 

「絵里ちってたまぁーに…。いや、かなりの頻度でポンコツになるやん?」

 

 

「ぽ、ポンコツ!?」

 

 

「せや。そのポンコツが出てるんちゃうかー…ってずっと心配してたんよ?」

 

 

「私がポンコツ…」

 

 

「でもま、その様子なら大丈夫やったようやし、安心やな!」

 

 

「…ポンコツ」

 

 

「…?」

 

 

「ポンコツ…?」

 

 

「…え、絵里ち?」

 

 

「私がポンコツ…?」

 

 

「あ、これはあかん」

 

 

「そんなの…」

 

 

「絵里ち、ほな、うちは先部屋に戻ってるな〜」

 

 

「ミトメラレナイワァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

ポンコツ爆発。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

音ノ木坂城大広間——

 

 

 

 

 

「さて、報告会を始めたいんだけど…」

 

 

「穂乃果ちゃんがまだやね」

 

 

「穂乃果ちゃん…」

 

 

「また穂乃果は寝坊なのね」

 

 

「全く…。私は穂乃果を起こしてくるわ。みんな、ちょっと待ってて」

 

 

「「はぁーい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んみちゃ…」

 

 

「ほーのーかぁー?」

 

 

「んみちゃ…。あと五分…」

 

 

「…私は絵里よー」

 

 

「んみちゃぁ…」

 

 

「…海未、ね」

 

 

「んみちゃ、んみちゃ…」

 

 

「はぁ…」

 

 

「うみちゃん…」

 

 

「こら!!穂乃果ッ!!いい加減起きなさい!!!」

 

 

「ぬわぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

 

「…やっと起きた」

 

 

「…あ、絵里ちゃん」

 

 

「ったく…。今日は報告会だって喋ったでしょ?」

 

 

「あ、あれ?そうだっけ?」

 

 

「この間もこんなことあったわね」

 

 

「あはは…」

 

 

「さ、早く着替えて来なさい?みんな待ってるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「よし、じゃあみんな揃った所で。報告会始めるわよ」

 

 

「「はいっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武将獲得の報告会が始まろうとしていたその時。

ある一通の文が高坂に届く。

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

「…っと。ようやく始まろうとしてた所に」

 

 

「タイミング悪いわね」

 

 

「前もこんなことあったにゃー」

 

 

「えっ…と」

 

 

お知らせを持ってきた家臣に高坂の重鎮達の鋭い視線が浴びせられる。

 

何も悪いことはしていないのに、可哀想である。

 

 

 

「それで、何かあったの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、武田から書状が届きました故、お届けに参りました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「武田!?」」

 

 

 

 

 

 

 

武田、という名前を聞いて高坂の皆さまは目を丸くした。

 

 

 

 

 

 

 

にこが無理矢理その手紙を奪い取る。

 

 

 

「にこ!何て書いてあるの!?」

 

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

 

破れるのではないかと思うくらい乱暴に手紙を開封する。

 

 

 

「…高坂家へ」

 

 

「なんや、何が目的や」

 

 

「戦…ではなさそうだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我々武田と同盟を結んで欲しい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

 

「え?」

 

 

「にこ、今なんていった?」

 

 

「…同盟を結んで欲しい」

 

 

「武田が!?」

 

 

「イミワカンナイ…」

 

 

「…にこっち、ちょっとその手紙貸してくれる?」

 

 

「え、ええ」

 

 

「まさか武田から近寄ってくるなんて…」

 

 

「ラッキーだね!!」

 

 

「…そうかしら」

 

 

「裏がありそうで怖いわね」

 

 

「そうかにゃ?信玄も改心して…」

 

 

「ない」

 

 

「ないわね」

 

 

「でも何でいきなり同盟なんか…」

 

 

信玄の謎の行動に頭を悩ませる家臣達。

 

何故このタイミングで同盟を要求してきたのか。戦ばかりしていた信玄が?

 

裏がある?

 

 

色々なことが頭の中を渦巻く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…結婚」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?希、何か言った?」

 

 

「結婚」

 

 

「…け、結婚?」

 

 

「絢瀬殿の妹君、亜里沙殿を我ら武田の息子、勝頼に嫁がせることで同盟を結んで欲しい…」

 

 

「…何それ、かなり上からね」

 

 

「最悪、勝頼をそちらに婿として出しても構わん…」

 

 

「信玄殿は本気ってことなのかな?」

 

 

「…待って。亜里沙が結婚ってどういうこと」

 

 

「政略結婚?」

 

 

「政略結婚って…。それじゃあ亜里沙ちゃんの気持ちは無視ってこと!?」

 

 

「そういうことやんね」

 

 

「それじゃあダメだよ!好きでもない人と結婚したって…」

 

 

「でも仕方ないことでもあるのよね」

 

 

「仕方なくない!!」

 

 

「穂乃果ちゃん、一回落ち着き」

 

 

「…」

 

 

 

「…」

 

 

 

「どうしようか…」

 

 

「これは亜里沙ちゃんが決めることや」

 

 

「無理にさせるわけにもいかないよ?」

 

 

「最悪、武田をもう一度倒せばいいのよ!」

 

 

「そうやんね。…でも、ここで同盟を結べるのは大きいで?」

 

 

「そうね。ここで武田を抑えられれば、織田討伐がよりしやすくなるし、勝つ確率も上がる…」

 

 

「だからって…」

 

 

「…とりあえず、亜里沙ちゃんに話してみよか」

 

 

「それがいいと思う」

 

 

「誰が行くの?」

 

 

「それはもちろんエリーでしょ?ね、エリー…」

 

 

「あれ?絵里ちは?」

 

 

「いつの間にいなくなった?」

 

 

「絵里ちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

絵里は、亜里沙が結婚…と聞いてすぐに大広間を飛び出していた。

 

 

無人の廊下を歩く。聞こえるのはスタスタと歩く自分の足音のみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「亜里沙が結婚…?武田と…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなの認められないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。

認められないわ。ええ、認められないわぁ(←
亜里沙ちゃんが結婚…?させる訳にはいかん(誰だ

次回は絢瀬姉妹の決断がメインとなりそうですね。


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第45幕 soldier game

どうも、やめられない止まらないポッキーです(←
今日も更新出来ましたね、ありがとうございます。

最近見てくださる方々が増えてる気がするので、ここが頑張りどころかなぁ、と。

今回は絵里ちゃんがメイン…なのかな?大きな変化が起こります。
そして、ちょっと短めですので。
更に、イミワカンナイことになってるので、理解してください(殴

更に更に、後書きにて重要なお知らせ…(?)がありますので、見てくださいね。

それではどうぞ、ごゆっくり。


前回感想をくださった
しょーくんだよ!さん
左京大夫さん
ウィングゼロさん
GUMIさん
ありがとうございました!

前回評価を付けていただいた
羽柴承太郎さん(☆10)
飯盒炊飯さん(☆2)
ありがとうございました!





 

 

 

 

 

「何で穂乃果が…」

 

 

「亜里沙ちゃんに…。はぁ…」

 

 

こちら高坂穂乃果さん。亜里沙に武田との縁談を伝える為に亜里沙の部屋へ進軍中。

 

…と言っても、ただ単にじゃんけんで負けた為、この酷な報告を穂乃果がしなくてはならなくなっただけなのだが。

 

 

 

「やっぱり気が進まないよ…。好きでもない人と結婚させなくちゃいけないなんて…」

 

 

政略結婚とは、残酷である。

 

 

「はぁ…。亜里沙ちゃんには自分で相手を選んで欲しいなぁ…」

 

 

 

 

葛藤が起こる。ここで亜里沙に伝えずに、武田を無視することは簡単なことだ。しかし、それをしてしまうと、武田が激怒して、高坂を本気で潰しにくるであろう。

 

 

 

 

戦をしない為に、亜里沙を犠牲にするか。

それとも、勝ち目の薄い戦にうって出るか。

 

 

 

 

穂乃果はどうすればいいのか、何が正解なのか、分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第45幕 soldier game

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

その頃、絵里は一人、海へと繰り出していた。

 

 

「政略結婚…か」

 

 

海の香りが絵里を包む。少し塩辛い匂いが絵里の心にしみた。

 

 

「…認めるわけにはいかないわよね」

 

 

ぼそっと呟く。

 

 

「ねぇ、海未…。私はどうすればいいの…?」

 

 

答えが返ってこない質問。それは海のさざ波の音と共にかき消される。

 

 

「海未、いるなら教えて…?ねぇ…お願い…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——大切なモノ…。守らなければならないモノ…。それは貴女自身が一番分かっているはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——優しく見守りますか…?大切なモノが奪われる光景を…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——違いますよね?冷たくてもいい。強く…強く…守り抜いてこその貴女ではないですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——「いま」が勝負ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!!」

 

 

 

絵里はどこからともなく聞こえてきた声に驚く。その声は絵里自身の中から聞こえてきたような気がした。

 

 

 

「…そうよね。私の気持ちは決まってるじゃない」

 

 

 

 

 

 

——それでこそ絵里です。

 

 

 

 

 

 

「ありがとう…海未」

 

 

 

 

決意の絵里は海に別れを告げ、音ノ木坂へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「…亜里沙が武田勝頼殿と結婚、ですか?」

 

 

「…うん」

 

 

「…同盟を結ぶ為に結婚を?」

 

 

「…うん」

 

 

「へぇ…」

 

 

「嫌、だよね?好きでもない人と結婚するなんて…」

 

 

「…いえ!亜里沙は全然平気ですよ!」

 

 

「亜里沙ちゃん…」

 

 

「それが高坂の為になるなら、亜里沙、喜んで武田に行きます!」

 

 

「…本当に?」

 

 

「はい!亜里沙は戦が出来ないですし…。それしか高坂の皆さんの力になれる方法は無いと思うので」

 

 

「そう…。いい子だね、亜里沙ちゃんは」

 

 

「えへへ…。普通、だと思います」

 

 

「ううん。凄いよ。穂乃果なら絶対無理って言うもん」

 

 

「穂乃果さんらしいですね」

 

 

「…無理はしないでね?嫌なら嫌って言っていいんだからね?」

 

 

「…はい!分かってます♪」

 

 

「なら大丈夫だけど…」

 

 

「心配しすぎですよ!亜里沙は大丈夫です!」

 

 

「…亜里沙ちゃん」

 

 

 

 

 

その無邪気な笑顔は、今の穂乃果にとってこれ以上ない凶器だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「亜里沙ちゃんはなんて?」

 

 

「大丈夫…だってさ」

 

 

「…ほな、決まりでええ?」

 

 

「…」

 

 

「待って。エリーはどうするの?実の姉のエリーの気持ちはどうなるのよ」

 

 

「それは…」

 

 

「エリーにとっても重要なことよ。エリーを説得しない限り、この話は無しでしょ?」

 

 

「…真姫ちゃん、いつになく積極的やんな」

 

 

「別に…。私はこういう政略結婚とか嫌いなだけよ」

 

 

高坂家臣団内でも、反対派と賛成(?)派に分かれてしまっていた。

 

とはいっても、反対派が圧倒的多数なのだが。

 

 

 

「それじゃあ、とりあえず絵里ちやな」

 

 

「うん」

 

 

「…それで?絵里はどこに行ったの?」

 

 

「さっき城を出て行くところを見たよ?」

 

 

「お出かけ中ってことね」

 

 

「こんな一大事にどこへ行ってるのよ、全く」

 

 

「…海とちゃうかな」

 

 

「…海?」

 

 

「海未ちゃん?」

 

 

「いや、海や、海」

 

 

「あ、お水の方ね」

 

 

 

お水の方?

 

 

 

「何か悩み事とかあると、あの子は海に行くんよ。前にうちのことも連れていってくれた」

 

 

「クールな絢瀬絵里にぴったりね」

 

 

「海の風にでもあたって、頭を冷やしてるのかもね」

 

 

「せやな。ここで冷静さを欠いたら一大事になりかねんからな」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

あれから約一時間。絵里が城へと帰ってくる。

 

 

 

「ただいま、みんな」

 

 

「絵里ちゃん!」

 

 

「待っとったで」

 

 

「全く…。待たせすぎなのよ」

 

 

「…そう、ごめんなさいね」

 

 

 

 

 

 

スタスタと絵里は自分の座る場所へと行き、着座する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その絵里の様子を見た穂乃果達は、何か違和感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで?何の話?」

 

 

「えっとな?亜里沙ちゃんのことなんやけど」

 

 

「亜里沙?」

 

 

「うん。武田との政略結婚の話で…」

 

 

「…それで?」

 

 

 

 

 

 

 

「…!?」

 

 

絵里が穂乃果を鋭い目で射抜く。その目には温度がなく、とてつもなく冷たいモノだった。

 

 

「…え、エリー?」

 

 

 

「ちょ、絵里ち…?」

 

 

 

 

「…何?」

 

 

 

 

 

穂乃果は背筋が凍るのを感じた。

 

 

 

 

 

 

「あ…あ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果はこの絵里を知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、絵里ちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果達の目の前に現れたソレは、μ'sの絢瀬絵里ではなく、生徒会長・絢瀬絵里そのものであった。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
今回は短すぎかな?
許してください、忙しいんです()

イミワカンナイ展開になってきましたねぇ。
高坂の為なら…という亜里沙ちゃん。そして、絶対に認めない絵里ちゃん。さぁ、一体どうなることやら。

重要なお知らせ——

感想のほうで、海未ちゃんは復活させないのかに近い内容のモノが多く寄せられていたので、海未ちゃんを復活させるか否か、読者様に問いたいと思います。
海未ちゃんウェルカムか、ノーサンキューか。感想にてお答えくださると幸いです。


それでは次回もどうぞ、よろしくお願いします。


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第46幕 鋼の知将


どうも、ポッキーです。
毎日更新!という大嘘をかかげ、やっていきましょう(殴

今回は絵里ちゃん回です。
あの生徒会長が戻ってきたぞぉぉ!!
怖いわー、恐ろしやー(←

話が分からなくなって参りました、どうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで?亜里沙は何と言っていたの?」

 

 

「…あ、えっと」

 

 

「…早くしなさい」

 

 

「あ、ご、ごめんなさい…」

 

 

「絵里ち、落ち着き」

 

 

「私は至って冷静よ?」

 

 

「エリー…」

 

 

「それで?穂乃果?亜里沙は何と?」

 

 

「亜里沙ちゃんは別にしてもいいって…」

 

 

「本当に?」

 

 

「うん」

 

 

「そう。なら認めるわけにはいかないわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄いわよ、絵里が賢い…」

 

 

「あはは…。にこちゃん、そんなこと言ってる状況じゃないよ…」

 

 

 

 

 

「このエリー…。久々に見たわね」

 

 

「せやな。高坂へ入る前とかこんな感じやったっけ…」

 

 

「そうそう。穂乃果と海未が希の力を借りて、なんとか説得したんだっけ…」

 

 

「あー、そうやったね。あれは大変やったで」

 

 

「…そのエリーが戻ってきちゃったわけだけど」

 

 

「かつて日の本一の天才軍師と名を馳せた…」

 

 

「武田も上杉も欲しがった、鋼の知将…絢瀬絵里がね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第46幕 鋼の知将

 

 

 

 

 

 

 

「希ちゃん、真姫ちゃん。今の話どういうこと?絵里ちゃんが鋼の知将…って」

 

 

「ん?あぁ…花陽は絵里が入った後に高坂に来たから知らないのね」

 

 

「そうやったっけ?じゃあ教えてあげよう、花陽殿」

 

 

「凛も聞きたいにゃー!」

 

 

「凛は知ってるでしょ?」

 

 

「でも聞きたいにゃ」

 

 

「構わん、構わん。聞きたまえ、凛二等兵」

 

 

「ありがとうございます!希隊長!」

 

 

「なんなのよ、これ」

 

 

「あはは…」

 

 

「それじゃ話していくな」

 

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昔、昔、ある所に、お爺さんとお婆さんが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って違うでしょ!!」

 

 

「お、真姫ちゃんナイスツッコミ!」

 

 

「キレッキレにゃ!」

 

 

「バカなこと言ってないで早くちゃんと教えてあげなさい?」

 

 

「それもそうやね。ごめんな〜花陽ちゃん」

 

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

 

「じゃ、今度こそ話していくな?」

 

 

「頼むわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昔な?関東は北条、高坂、絢瀬、東條…が主として治めていたんよ。まぁ、絢瀬と東條は2つ合わさってようやく北条と高坂に追いつくかどうかって所やったけど」

 

 

「…それで、その絢瀬の総大将がエリーだったわけ」

 

 

「あの頃の絵里ちは本当凄くてな?今より頭がキレて…。武田も上杉も北条も。みんなよって集って絵里ちを軍師として迎え入れようとしたんよ」

 

 

「今のエリーの様子からは考えられないでしょうけど、あの頃のエリーの頭脳は本当狂気じみていたわよ。それくらい相手の裏をかいたり、相手を確実に仕留める策を考えられる人だった」

 

 

「そして、さっき見た絵里ちみたいに、感情を一切表に出さず、冷酷な人やったな」

 

 

「あの絵里ちゃんが…?」

 

 

「せや。うちら東條とは付き合いが長かったせいか、心を開いてくれていたから、怖い…とか感じたことは無かったんやけど」

 

 

「元々敵同士だった身からするとあの時のエリーは本当に怖かったわよ?今の武田とかよりもずっとね」

 

 

「でも何でそんな頭脳を持った絵里ちゃんが関東を治められなかったの?」

 

 

「そこなんよ」

 

 

「そうね」

 

 

「絵里ちは、武田とかからの書状をひたすら無視し続けたんよ」

 

 

「絢瀬に我々の下に入って欲しい…っていう内容の書状をね」

 

 

「それで、返事が来ないって激昂した武田と北条が絢瀬領へと兵を送った」

 

 

「…ってそれじゃあ負けちゃうよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…普通、ならな」

 

 

「…え?」

 

 

「エリーは武田と北条の攻撃を凌いだのよ。その頭脳でね」

 

 

「…え、え?」

 

 

「それって物理的に不可能じゃないかにゃ?」

 

 

「うちにも分からんよ。でもそれをやってのけたのが絵里ちなんやもん」

 

 

「本当、イミワカンナイわよ。だから言ったでしょ?あの頃のエリーの頭はどうかしてるって」

 

 

「絵里ちゃんってそんな凄い人だったんだ…」

 

 

「武田と北条をはねとばし、絢瀬は勢いに乗るかに見えた」

 

 

「でも、そこに武田と北条勢の第二波がやって来た」

 

 

「武田と北条は一大大名やからな。兵は余るほどいたんよ」

 

 

「でも、絢瀬はなんとか生き残ってるような小さい大名家。兵力の差がここで響くわけ」

 

 

「絵里ちの頭をもってしても、兵力の差は補うことが出来んかった」

 

 

「結局、そのまま武田と北条に潰されちゃったのよ」

 

 

「そんでも、絵里ちはなんとか東條の領地に逃れて助かった」

 

 

「そこで、希が提案したんだっけ?」

 

 

「せやね。一緒に高坂へ入らんかー…ってな」

 

 

「…何で高坂に入ろうと思ったの?」

 

 

「うーん、カード…かな?」

 

 

「か、カード?」

 

 

「うん。絵里ち達が潰されたって聞いて、うちらも何か対策を立てなきゃなー…って思った結果、カードに頼ることにしたんよ」

 

 

「どうしてカード?」

 

 

「うーん…。スピリチュアルやし」

 

 

「えぇ!?そんな理由なの!?」

 

 

「希ちゃんらしいにゃ」

 

 

「ま、それでな?絵里ちに提案したんやけど…」

 

 

「あの人はどうも頑固でね…。絶対入らないって聞かなかったのよ」

 

 

「どうしてなんだろう?」

 

 

「未だに謎なんよ。何であの時あんなに他の大名の下に入ることを拒んでいたか…」

 

 

「とりあえず、あの頃のエリーは謎に包まれてるのよ」

 

 

「ほぇー…」

 

 

「それを、無理矢理うちが穂乃果ちゃん達に会わせてな」

 

 

「本当、いい迷惑だったわよ。いきなり変人が来るんだもの」

 

 

「絵里ちは何を言っても聞こうとせんでな?認められないわーしか言わんのよ」

 

 

「あはは…。それはそれでどうなんだろ」

 

 

「穂乃果達も手を焼いちゃっててね。どうしたら絢瀬を仲間にできるだろうって」

 

 

「そんで、何回か絵里ちを無理矢理高坂へ連れて行ったんよ」

 

 

「何回目だったかしらね、エリーが落ちたの」

 

 

「覚えてないなぁ…。でも穂乃果ちゃんの言葉が凄かったっちゅうのは覚えとるで」

 

 

「そういえばそうね。詳しくは覚えてないけど…」

 

 

「絵里ちの心を無理矢理こじ開けたんよ、あの高坂穂乃果って人はな」

 

 

「穂乃果ちゃん…凄い…」

 

 

「そ、結局、穂乃果は凄いって話よ」

 

 

「…何か話が違うくなっとらん?」

 

 

「…そう?」

 

 

「それで、今私たちの目の前にいる絵里ちゃんは、鋼の知将って呼ばれていた頃の絵里ちゃん…ってことだよね?」

 

 

「そう」

 

 

「さすが花陽ちゃんやね。物分りが良くて助かるわ」

 

 

「多分、エリーは断固として亜里沙ちゃんの結婚を許さないわよ」

 

 

「そうやんな。あぁなったらもうどうしようもないし」

 

 

「…え、そうなの?」

 

 

「無理やね。いくらうちでも今の絵里ちは止められん」

 

 

「…それじゃ、私は戦の準備でもしてくるわね」

 

 

「戦?」

 

 

「ええ。どう考えても武田と戦する気でしょ?だったら準備は早い方がいいだろうし」

 

 

「…行動が早いね」

 

 

「ま、それくらい身構えなあかんで。絵里ちが折れるとは思わんし」

 

 

「それじゃあ私は補助の準備を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「え、絵里ちゃん?」

 

 

「…何?」

 

 

「あ、い、いや…」

 

 

「…何でもないなら話しかけないでちょうだい」

 

 

「…ごめんなさい」

 

 

「…」

 

 

 

 

絵里と穂乃果は亜里沙の部屋へ進軍中。

無論、亜里沙への事情聴取の為である。

 

 

 

 

「穂乃果」

 

 

「は、はい?」

 

 

「私が武田と戦うって言ったらどうする?」

 

 

「…え?」

 

 

「…そのままの意味だけど」

 

 

「あ、うん。穂乃果は…」

 

 

「…」

 

 

「穂乃果は止めないよ?」

 

 

「……え?」

 

 

「これは高坂の問題とかじゃなくて、絵里ちゃんと亜里沙ちゃんの問題だし…」

 

 

「…」

 

 

「絢瀬姉妹が決めたことを私たちがサポートするのが高坂の仕事だと思うから…」

 

 

「穂乃果…」

 

 

「だから、武田と戦をするってなっても仕方ないのかなぁ…って」

 

 

「そう」

 

 

「だから、遠慮なんかしないで思いっきり話し合って来てよ。ちゃんと想いを伝えなきゃ…。絶対後悔するから…」

 

 

 

 

これは、穂乃果が海未の死から学んだことだった。

 

 

 

 

「…元から遠慮なんかする気は無かったけど」

 

 

「あはは…。なら大丈夫だね」

 

 

 

 

「…亜里沙?入るわよ?」

 

 

(どうぞー!)

 

 

「絵里ちゃん、頑張ってね」

 

 

「…言われなくても頑張るわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里は襖を開け、亜里沙の部屋へと消えていった。

 

 

 

 





お疲れ様でした。

はて、一体どうしたものか…。絵里ちゃんも過去に色々あったんですねぇ…。
ポンコツエリチカは何処へ…。

次回は絢瀬姉妹がぶつかる…のかな?お楽しみに。

それでは次回もよろしくお願いします。


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第47幕 姉妹

どうも、ポッキーです。

今回は題名通り、姉妹のお話です。何か訳わかんないことになってますが、いつもの事なので気にしないでください(殴


それではどうぞごゆっくり。



前回感想をくださった
ウィングゼロさん
GUMIさん
ありがとうございました!




 

 

 

「…あ、お姉ちゃん!」

 

 

「そうよ」

 

 

「声がいつもと違ったから誰かと思ったよ?」

 

 

「…そう?いつもと変わらないと思うけど」

 

 

「えー、嘘だよ。何かこう…」

 

 

「…こう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんの声…冷たくなった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第47幕 姉妹

 

 

 

 

 

 

 

 

「冷たくなった…?」

 

 

「うん。いつものお姉ちゃんじゃないよ」

 

 

「…いつも通りだけれど」

 

 

「嘘だよ」

 

 

「嘘じゃないわ」

 

 

「嘘!だってお姉ちゃんの目…。亜里沙が好きなお姉ちゃんの目じゃないもん」

 

 

「…どういうこと?」

 

 

「いつも温かく見ててくれるお姉ちゃんの目じゃないの」

 

 

「…そう?」

 

 

「絶対。妹が言うんだから絶対だよ」

 

 

「…」

 

 

 

「何か今のお姉ちゃん…昔のお姉ちゃんみたい」

 

 

 

 

「昔の…」

 

 

 

「うん。高坂に入る前のお姉ちゃんに」

 

 

 

「…」

 

 

 

 

「どうしたの…?お姉ちゃん…」

 

 

 

 

「…どうした?どうもこうもないわよ」

 

 

「…?」

 

 

「貴女…武田へ行くって言ったのよね?」

 

 

「あー…うん」

 

 

「…どうして?何で武田なんかに」

 

 

「だって、亜里沙戦出来ないし…これ位しか高坂の為には出来ないから…」

 

 

「まさか…そんな理由で行くって言ったの?」

 

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

絵里の目が変わった。

 

 

 

 

「ふざけないで」

 

 

 

 

今までただ冷たかった絵里の目が、熱を帯びていく。

 

 

 

 

「高坂の為に…?高坂の為だけに武田に行くっていうの!?」

 

 

 

 

「…そうだよ」

 

 

 

「認められないわ」

 

 

 

 

「どうして…?高坂のみんなは命がけで頑張って…!!」

 

 

 

 

「…」

 

 

「それなのに亜里沙は見てるだけなんだよ!?」

 

 

「亜里沙…」

 

 

「もう何にも出来ないのは嫌なの…!!」

 

 

 

 

亜里沙が全ての想いを絵里にぶつけた。

亜里沙の視線は、真っ直ぐに絵里へと向けられている。

 

 

 

 

「…私はね?亜里沙」

 

 

 

「…」

 

 

 

「貴女に幸せになって欲しい…。常にそう思ってるの」

 

 

 

「幸せに…?」

 

 

 

「そう。だから、今回の政略結婚なんて亜里沙の姉として認めるわけにはいかないの」

 

 

 

「…」

 

 

 

「結婚相手くらい自由に決めさせたい…。亜里沙が好きになった人と結婚させてあげたい…。そう思うのは姉として普通でしょ?」

 

 

 

 

次第に、絵里の口調が柔らかくなっていく。亜里沙を優しく包むような温かさがあった。

 

 

 

「亜里沙は小さい頃から上杉とかに人質に出されて…大変な思いも沢山してきたはずよ。それなのにまた高坂の事情で政略結婚なんて…。絶対にさせたくないの」

 

 

「…でも、それを蹴ったらお姉ちゃん達、また武田と戦するんだよ?亜里沙はそんなの見たくない…」

 

 

「大丈夫。穂乃果も私たちが決めたことについていくって言ってくれてるから…」

 

 

「でも!」

 

 

「戦の準備はいつでも出来てるわ」

 

 

 

 

「亜里沙の為に誰かが死ぬのは嫌なの…!」

 

 

 

 

「…死ぬ?」

 

 

「うん。戦をするって事は誰かが死ぬってことだよ?しかも相手が武田ってなれば尚更だよ?亜里沙が武田に行けば済む話なのに…無意味な戦は起こしたくない」

 

 

「無意味…ね」

 

 

 

 

「そう。だから…亜里沙は武田に行く!!」

 

 

 

 

「…どうしても?」

 

 

「うん」

 

 

「何があっても?」

 

 

「うん」

 

 

「良いことが待ってるとは思えないわよ?」

 

 

「…そんなの、行ってみないと分からないよ」

 

 

「武田が裏切る可能性だってあるのよ?」

 

 

「亜里沙がそんな事はさせない」

 

 

「どうやって」

 

 

「分かんないよ。でも、出来る気がするの」

 

 

「根拠が全くないわね…。穂乃果みたいだわ」

 

 

「えへへ…。穂乃果さんが乗り移ったかな?」

 

 

「そうかもね」

 

 

 

 

何とも言えない姉妹の会話。ただ、少しばかりの寂しさがあったのは確かである。

 

 

 

 

「…じゃあ、私はこれで」

 

 

「…武田の話は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…勝手になさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里は、その言葉を喉の奥から振り絞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その声は少し震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「…絵里ちゃん」

 

 

「…穂乃果。外にいたの?」

 

 

 

 

絵里が亜里沙の部屋から出てきた時、真っ先に迎えたのは穂乃果だった。

なんでも、話が終わるまでずっと部屋の外で待っていたという。

 

 

 

 

 

「何?貴女…ずっと聞いてたの?」

 

 

「あはは…。気になっちゃって」

 

 

「…まぁいいわ。じゃあ報告する必要もないわね」

 

 

「うん」

 

 

「…そういうことだから」

 

 

 

 

絵里は穂乃果に背を向け、立ち去ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絵里ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを穂乃果が引き止める。

 

 

 

 

「…何?」

 

 

 

 

 

 

 

「泣いて…いいんだよ?」

 

 

 

 

「…は?」

 

 

 

 

 

「一人で泣く気だったんだよね?」

 

 

 

 

 

「…違うわよ」

 

 

 

 

 

「いや、目に涙溜めてる人がそんなこと言っても…ねぇ?」

 

 

 

 

 

絵里は慌てて涙を拭う。

 

 

 

 

「…私ですら亜里沙ちゃんが武田に行っちゃうのは悲しいよ?お姉ちゃんの絵里ちゃんなら尚更だよね?」

 

 

 

「…」

 

 

 

「分かるよ。今の絵里ちゃんの気持ち」

 

 

「…どうしてよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…私は海未ちゃんを亡くしてるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ」

 

 

 

 

「だから分かるの。今の絵里ちゃんの気持ち」

 

 

 

 

「穂乃果…」

 

 

 

 

「だから…ね?絵里ちゃん」

 

 

 

穂乃果が大きく両手を広げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…泣いていいんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優しくかけられた穂乃果の言葉。絵里の涙腺は決壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌…なの…よ!!亜里沙…亜里沙…がっ…!!」

 

 

 

「うんうん。そうだね…」

 

 

 

「私…は、まだっ…!あの子に…何にもして…あげれてっ…ない…のに!!」

 

 

 

「…大丈夫。亜里沙ちゃんはちゃんと分かってるよ。絵里ちゃんがどれだけ亜里沙ちゃんを大切に思ってるか。だから、大丈夫」

 

 

 

「でも…でもっ!!」

 

 

 

「絵里ちゃんは亜里沙ちゃんにいっぱい好きって気持ちをあげ続けた…。これは亜里沙ちゃんにとってこれ以上ない贈り物だったと思うよ?」

 

 

 

 

「気持ちを…?私、が…?」

 

 

 

 

「うん。だからさ、亜里沙ちゃんが武田さんの所に行っちゃってもさ…いっぱい、いぃっぱい、その気持ちを亜里沙ちゃんにあげよ?それだけで亜里沙ちゃんは十分だと思う」

 

 

 

 

 

「好きの気持ちを亜里沙に…」

 

 

 

 

「そう。好きっていう力があればどこまでだって飛べるんだから…!!」

 

 

 

 

「好きの力で…飛ぶ、か」

 

 

 

「うん!大好きを信じれば頑張れる…。だからさ、笑顔で亜里沙ちゃんを送ってあげよ!せっかくの門出なんだしね!」

 

 

 

 

 

「…ええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里の凍った心は完全に溶けきった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「…いやー、穂乃果ちゃんはほんまに凄いな」

 

 

 

 

「ええ。あのエリーを溶かすなんて…」

 

 

 

 

「最早才能やな。穂乃果ちゃんがうちらの御屋形様で良かったわ」

 

 

 

「…そうね。穂乃果がいるから今の私たちが成り立ってるわけだし」

 

 

 

「お、真姫ちゃん素直やな」

 

 

 

「しょうがないでしょ?事実なんだもの」

 

 

 

「じゃあ穂乃果ちゃんに感謝やね!」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあうちは武田んとこ行ってくるかなぁ?」

 

 

 

「…は?何を言い出すのよ、いきなり」

 

 

 

「当たり前やろ?うちらの亜里沙ちゃんをやるんやで?泣かせたら許さんくらい言っとかんと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本気でいってるの?」

 

 

 

 

 

「あはは…行くっていうのは冗談や」

 

 

 

 

「ったく…」

 

 

 

 

 

「でも、亜里沙ちゃんの事はほんまやで。絶対幸せにしてもらわんとな」

 

 

 

 

 

 

「そうね。何かあったら武田と言えどただじゃおかないわ」

 

 

 

 

「それじゃ、とりあえず大広間行こか。穂乃果ちゃんと絵里ちが向かったみたいやし」

 

 

 

「集合がかかるだろうしね」

 

 

 

 

 

「せやな。亜里沙ちゃんの門出を盛大に祝うで!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亜里沙の武田行きが決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これにより、高坂と武田は同盟関係となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

武蔵(東京)某所——

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある一人の人物が音ノ木坂付近にやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人物が、高坂を大きく揺るがすことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

泣きシーン下手すぎて泣けますねぇ…。
そして途中でHtHの歌詞が浮かんできた為に、ちょっとぶっ込むという謎の展開。ありがとう(←

とりあえず、亜里沙ちゃんを止めることは出来ませんでした、申し訳ございません。

…辛い(;_;)



次回は急展開かな?(いつもだ

…勘のいい方はもうお気づきでしょう?
気づいても、まだ静かにしてくださいね♪


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第48幕 海色少女に魅せられて


どうも、ポッキーです。
最近眠すぎて死にそうです(謎

今回はお待ちかねです、みんな大好き、あの娘が…。
縁談の話は少々お待ちください。亜里沙ちゃんの門出はしっかりと書かせていただきます。

今回はちょっと短いヤツです。改行の暴力です(殴

それではどうぞごゆっくり。


前回感想をくださった
左京大夫さん
ウィングゼロさん
ゼオン☆さん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここは?」

 

 

「私は先ほどまで家にいたはずなのですが…」

 

 

「…おかしいですね。家から出ると周りに何もないではないですか」

 

 

「はて…私は家、にいたんですよね?」

 

 

「いえ、確実にいたはずです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ではここは一体?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第48幕 海色少女に魅せられて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音ノ木坂城——

 

 

 

 

 

「あら、穂乃果。出かけるの?」

 

 

 

「あ、真姫ちゃん!ちょっとお散歩に行こうかなぁって思ってたんだけど…。一緒に行く?」

 

 

 

「散歩…ね。穂乃果ってたまぁに婆臭いわよね」

 

 

「…婆臭い!?ちょっとそれどういう意味なのっ!?」

 

 

 

「あー、ごめんごめん」

 

 

「穂乃果は婆臭くなんかないもん!」

 

 

「ええ、そうね。イケてるわよ、散歩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だそりゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!今真姫ちゃん流したよね!?ねぇ!?」

 

 

 

穂乃果が真姫に迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

進撃の穂乃果

 

 

 

 

「ヴェェ!?ちょ、ちょっと!!近い、近いわよ!!」

 

 

「穂乃果を怒らせた真姫ちゃんが悪いんだよ!」

 

 

「はぁ!?ナニソレイミワカンナイ!!」

 

 

 

「真姫ちゃん!覚悟ッ!!」

 

 

 

「穂乃果!!」

 

 

穂乃果は両手をあげ、希の必殺技の構えに入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わしわしマッ「穂乃果ァ!!!!」はいぃっ!!」

 

 

 

 

 

 

穂乃果の攻撃は真姫の絶叫により不発に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほのかのこうげきははずれた!——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果!!」

 

 

「はい」

 

 

「調子に乗りすぎよ」

 

 

「はい。申し訳ございません」

 

 

「ったく…。大きな声出させないでよ…」

 

 

「大変申し訳ございません」

 

 

「それじゃ、私は行くから。散歩の兼はすることがあるからまた今度ね」

 

 

「あ、はい。本当に申し訳ございませんでした」

 

 

 

 

立ち去る真姫を穂乃果が土下座をして見送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…これではどちらが殿様なのか分からない有様である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「んもぉ…。そんなに怒らなくてもいいのに…」

 

 

 

穂乃果さん、音ノ木坂付近をのんびりと散歩中。

 

 

 

「でも原因は穂乃果だよね…。穂乃果っていっつもこうだよなぁ…たはは」

 

 

 

 

穂乃果は穂乃果なりに色々反省しているようだ。

これだから穂乃果は憎めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「…困りましたね」

 

 

 

こちら、謎の人物。

 

 

 

「人の気配もないですし…。道を聞くにも聞けません…」

 

 

 

道が分からず、音ノ木坂付近を徘徊中。

 

 

 

「…?あれは…?お城、ですかね。凄く大きなモノが見えます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お城…ですか。……お城!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

(ちょっと待ってください!?お城!?お城って一体何事ですか!!?音ノ木坂の近くにお城なんてありました!?いえ、ありません!!ではあれは!?)

 

 

 

 

何を思ったのか、慌て始める。

 

 

 

 

「…一回落ち着きましょう。私は疲れているのかもしれません。一度目をこすって…」

 

 

 

その人物は両手でぐしぐしと目をこする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何の意味があるのかは知らないが。

 

 

 

 

 

 

「…よし、これで私の目はパッチリです。もう見間違えなど…」

 

 

 

 

両目を開けたその者はそのままへなへなとへたり込んだ。

 

 

 

「見間違えなど…。ダメです、いくらやってもお城が見えます…」

 

 

 

「噫…。私は何か悪いことをしましたか…?日々鍛錬し、精進してきたはずなのに…」

 

 

 

 

「…私はここで果てるのですね」

 

 

 

 

じわじわと目に涙が浮かんでくる。

 

 

 

 

「もう少し…せめて、もう少し長く…みんなと一緒にいたかったです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さようなら、μ's」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「結構遠くまで来ちゃったなぁ」

 

 

 

穂乃果さん、お散歩していたのはいいものの、どこまで行くかを決めておらず、そのままずるずると遠くまで来てしまった模様。

 

 

計画性が皆無である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここら辺で戻らないとまずいよね…。よし、戻ろう!勇気ある撤退だよ!!」

 

 

 

 

 

 

なんのこっちゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引き返そうと振り向いた穂乃果。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その視界があるモノをとらえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?こんな所に人が?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果はそれに少し近づき、凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、視界がソレを完璧に捉えたとき、穂乃果の表情が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…え…?な、何で…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果が捉えたソレとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かで見たことのある制服に身を包み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その整った顔を涙で濡らし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深い蒼の綺麗な長髪をした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で…何で…海未ちゃんが、ここにいるの…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

園田海未そのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
短くてサクッと読めたでしょう?(殴
次回はちょっと長くします、許してください。

遂にきましたね、蒼の神話の再来ですよ、奥さん。
皆さんも大体わかったでしょう?どういう状況なのか。
これが最後の切り札です^^;

次回は海未ちゃんをもっと深く掘っていきますよ、長くします、なので今回短いのは許してください(←


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番外編 門出


どうも、ポッキーです。
今回は番外編ということで。本編にて海未ちゃん登場……!ってことで、先にこれをやってしまおうという話です。

今回の話は絢瀬姉妹がメイン、といきたかったのですが、少々遊びすぎたようで(←
いつもと少し違う感じになってると思います。そして、少し長いです。それを踏まえて。

どうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
GUMIさん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!……か!…のか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲ひとつなく晴れ渡った空が広がっていた日のこと。 ぽかぽかと暖かな空気が音ノ木坂城を包んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はひぃぃっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はとてもめでたい日……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして絵里が最愛の妹と別れる日……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果!!今日は亜里沙の出立の日でしょう!?何でこんな真昼間まで寝ているのよ!!」

 

 

 

「あはは……」

 

「あははじゃない!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は絢瀬亜里沙……改め、武田亜里沙の門出の日です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 番外編 門出

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花陽ちゃあん!着物の用意出来てる〜?」

 

 

 

「うん!亜里沙ちゃんが着替える部屋にちゃんと準備してあるよ!」

 

「さすが花陽ちゃんだね♪準備が早い!」

 

「もちろんだよ〜!やることもまだまだあるし……」

 

「そうだねぇ。……よしっ!じゃあ気合いを入れて、頑張りましょぉ!」

 

「おぉー!」

 

 

朝からことりと花陽はバタバタと城内を走り回っていた。無論、亜里沙の出立の準備の為だ。

結婚式というものは何かと準備が必要なもので、めでたい反面、大変な労力を必要とする行事なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリー、穂乃果は?」

 

 

 

 

「……ん、あぁ。今起こしてきたわよ」

 

「いま、起きたのね」

 

「ええ。本当、ひどいモノよ……」

 

「あの子、放っておくとずぅっと寝てそうだものね」

 

「永遠に寝れるんじゃないかしら」

 

「……あり得る」

 

「ったく……。あんなに寝る体力があるなら、色々と手伝って欲しいわよ」

 

「でも、穂乃果は仮にも殿様だし?」

 

「……殿様禁止」

 

「ナニソレイミワカンナイ」

 

「ことりと花陽が頑張ってくれてるからいいけれど……。あの子達に任せっきりでも良かったのかしら」

 

「いいんじゃない?花陽達が任せてって言って来たんだし」

 

「でも、少しくらい手伝うのが礼儀ってものじゃない?」

 

「いや、変に手伝うのは邪魔になるだけだし」

 

「邪魔って……。やっぱり真姫はキツイわね」

 

「実際そうじゃない?何にも分からない私達が手伝うって言ったって、花陽達の足を引っ張るだけよ。効率よくする為にも任せた方がいいわ」

 

「……そう、なのかしら?」

 

「ええ」

 

「サバサバしてるわね、本当」

 

「エリー、貴女亜里沙ちゃんの所へ行かなくていいの?」

 

「……へ?」

 

「いや、だから、今日で武田に行くのよ?最後くらい話してきた方がいいんじゃない?」

 

「あぁ。そういうことね。それなら間に合ってるわよ」

 

「……どうして」

 

「だって、泣いちゃいそうじゃない」

 

「この間あれだけ泣いてたじゃない」

 

「だからもう泣きたくないの」

 

「そんな理由で?」

 

「ええ。最後は笑顔で……って決めたんだもの。それに、亜里沙の晴れ姿が涙でよく見えないなんて嫌だし」

 

「確かに、それもそうね」

 

「そ。そういうことだから」

 

「上手くいくといいわね、結婚式」

 

「……うん。武田の城でやるっていうから見には行けないけど、きっと大丈夫よ」

 

「ていうか失敗なんかさせたら私達が承知しないけど」

 

「ふふっ…。それもそうね」

 

「それじゃ、私は部屋に戻るわ。貿易のコトとか色々やらなきゃいけないし」

 

「それはご苦労なこと……。頑張ってね、真姫」

 

「……エリーもね」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃーん、おるかー?」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ、もう起きたんと違うんかな」

希は穂乃果に要があり、彼女の部屋の前まで来ていた。

しかし、いくら声を掛けても返事がない。

 

 

 

「どないしたんやろ」

 

希は考えた。穂乃果の返事がない理由を。

 

1つ。誰かに連れ去られた………はないな。穂乃果を連れ去って得をする大名はいない。

2つ。誰かに殺された………そんなことがあったらこの小説は終わる。

3つ。急病………穂乃果が急病?は、ナニソレイミワカンナイ

4つ。二度寝………いや、これしかない。

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃん、入るで!」

ガラッと勢いよく襖を希は開けた。そして、彼女の目の前にあった光景は………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁ……。んぐぅ……ふにゃぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あらら」

 

着替え途中で寝落ちしたのであろう、関東を納める大大名・高坂家当主の穂乃果様の残念なお姿であった。

……あちこち肌が露出している。何と無防備な……。

破廉恥ですッ!!!!

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃん?そんな格好で寝とったら風邪ひくで?」

 

「……んがぁ」

 

「……ほのかちん?」

 

「………」

 

「ほーのーかーちゃあん!」

 

「んーみーちゃぁ……」

返事をしたぞ、この女。

 

「おぉ、寝言で返事とはスピリチュアルやね。……でも、うちは希なんよ〜?」

 

「……むにゃ」

 

「しょうがないなぁ……。これはもうお仕置きやんな」

 

「………」

 

「無言は肯定とみなすでぇ〜?それじゃ、穂乃果ちゃん!覚悟ッ!!」

 

 

希が必殺技の構えに入り、手をわしゃわしゃと動かし始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……穂乃果の危機だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わしわしマックスやぁぁぁあ!!!」

希の両手が穂乃果の両胸を鷲掴みにし、これでもかというほどわしわしする。……というか揉みしだく。もう原型をとどめていません、多分。

 

 

「ひゃぁぁぁぁあああ!!!??」

 

「あら、起きたぁ?」

 

「の、ののの希ちゃ!!?」

 

「にしし……。穂乃果ちゃんが二度寝してたんが悪いんよ〜?」

希さん、顔が悪魔です。

 

「……やっ!!いたっ、痛いって!!」

 

「んー?」

 

「んー?……じゃないよっ!!!」

 

「いやぁ、穂乃果ちんが反省しない限りはやめんで?」

 

「は、反省……っ!?」

 

「せや。こんな大事な日に二度寝なんてしてたんやし?」

 

「……ぁぁぁぁぁあ!!」

穂乃果の顔はすでに断末魔のソレ。限界が近い……いえ、限界のようです。

 

「……あら、やりすぎたかな?」

その顔に気づいた希は手を止める。

「ふわぁぁあ……」

 

「あはは、ごめんな穂乃果ちゃん。ちょっとやりすぎたわ」

 

「……やり、すぎです」

 

「ま、とりあえず早う着替えて亜里沙ちゃんの見送りの準備せなあかんで?」

 

「あ、うん」

 

「それに、今穂乃果ちゃん凄い格好しとるしな……にしし」

 

「?」

 

「ほな、風邪引かんようにな」

希は悪戯っぽい笑みを浮かべて、部屋を出て行った。

 

 

 

 

「凄い格好って何だろ?」

 

希の言い残した言葉につられるように、穂乃果はその視線を下に落とす。

 

 

 

 

「……!!?」

ソレにようやく気づいた穂乃果。その頬は次第に紅くなっていった。

 

「は、破廉恥……ですぅ?」

 

 

希のわしわしから逃れようとのたうちまわっていた穂乃果。元々少しはだけていた着物は下へ落ちてしまっており、穂乃果は下着一枚……となっていた。

 

 

あれ、皆さん、何をご想像しているのですか。そんな不純なことをご想像したあなた。今すぐ立ち去ってください、直ちに。……では、まず私が立ち去らなければなりませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だコレ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、何?穂乃果は二度寝して?希に滅茶苦茶にされたんだって?」

 

「あはは……気持ちよくてね」

 

「それに、着替えしながら寝るって何?貴女どれだけ器用なわけ?」

 

「人間その気になれば何だって出来るよ、真姫ちゃん!」

 

「そんなくだらない事で偉そうにしないでくれる?」

 

 

「というか、そもそも穂乃果ちゃんは寝すぎなんよ」

 

「寝すぎ?」

 

「うん。寝てる時間が勿体無いとか思わへんの?」

 

「……全く」

 

「穂乃果は寝る為に生きてるようなもんだからねぇ」

 

「……寝る為に生きてるっておかしくない?」

 

「ええ、変よ」

その場にいた全員がにこを流し目で見る。

 

「ぬぅあんでにこがおかしいみたいな雰囲気になってるのよ!?」

 

「とりあえず穂乃果、もう少ししっかりしなさい。お願いだから」

 

「……精進します」

 

「海未が見たら悲しむわよ、全く」

 

 

 

海未さんは悲しむというよりお怒りになられるのではないでしょうか?手刀で思いっきり切り裂かれそうですね。

 

 

 

「さて、私たちもそろそろ外へ出なきゃいけないんじゃない?」

 

「え、もう?」

 

「当たり前でしょ?みんなで見送ろうって言ったのあんたじゃない」

 

「とりあえず、絵里ちは泣かんようにせんとなぁ?」

 

「な、泣くわけないでしょう?」

 

「どの口が喋ってるのよ……。さっき最後は笑顔でって話したばっかりなのに、もう目に涙溜まってるじゃない」

 

「これは目にゴミが……」

 

「はいはい、ほな早く行って準備しよか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「……これでいいのですか?」

 

 

 

 

「うんうんうんうん!!」

「はわわぁぁぁあ!!!」

 

 

 

「えっと……ことりさん?花陽さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

亜里沙は結婚式用の白い着物を身に纏い、準備は万端。……普通に可愛いと思います、というかいとうつくしうこそおはしけれ。

 

 

 

 

 

「花陽ちゃん!」

「ことりちゃん!」

「これは大成功だよ!」

「うんうん!可愛いね♪」

「着せ替えお人形さんみたい♪」

「お持ち帰りしたいです!!」

「武田に渡したくないなぁ……」

「やっぱり高坂で保持しておいたほうが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっと、お二人さん?」

 

「「ぴぃっ!!?(ピャァッ!!?)」」

 

 

ことりと花陽は少し変なスイッチが入ったようで、目の前にある着せ替え人形……もとい、亜里沙を見て楽しんでいた。

なんせ、自分達が手がけた最高傑作である。化粧から着物のチョイスまで全てこの2人がやってのけた。

それ故、彼女達は亜里沙が愛らしくてたまらない様子である。

 

 

 

「そろそろ行きましょうか?出立の時間も近くなって来ましたし……」

 

「え、嘘、もうそんな時間なの?」

 

「やんやん!もっと見ていたかったなぁ……」

 

「ハラショー……」

 

「じゃあしょうがないね。籠の準備も出来てるし、外へ行こうか、亜里沙ちゃん!」

 

「……はい!」

 

「しっかり誘導してあげなきゃね♪」

 

 

 

 

 

亜里沙は危ないお姉様達のエスコートにより、城を出ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「……さて、亜里沙ちゃん。私たちはここまでだから」

 

「……うん。ことり達もついて行ってあげたいけど、そうも行かないんだ」

 

「大丈夫です!分かってますから!」

 

「しっかり、ね。亜里沙ちゃんならきっと大丈夫だよ!」

 

「何かあったらすぐに言ってね!ことり達が駆けつけるから!」

 

「えへへ……ありがとうございます、花陽さん、ことりさん」

 

「それじゃ、門番さん!城門を開けて!」

 

 

「承知」

ことりの合図で、門番が城の門をゆっくりと開く。

 

 

 

 

 

そして、その門の隙間から大きな歓声が漏れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん……!!」

 

 

 

 

 

 

 

その門の向こうは、亜里沙を見送るために集まった人々でごった返していた。農民から城下町の商人、そして高坂の武士達。

あるものは大声で亜里沙に呼びかけ、またあるものは大号泣。でかでかと“結婚おめでとう”とかかれた横断幕すらあった。

 

 

亜里沙が進もうとすると、その人々の群れはそそくさと道の脇へ移動する。

そして、その群衆の奥には見慣れた顔ぶれが並んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せーのっ!!」

 

 

 

 

 

 

「「「亜里沙(ちゃん)!!結婚おめでとう!!!!!!」」」

 

 

 

 

「……ありがとう、ございますっ!!」

 

 

 

 

「わ、凄いね!とっても可愛いよ!」

 

「そうね。……とても似合ってると思うわ」

 

「真姫ちゃん声小っちゃいにゃー!」

 

「亜里沙ちゃん、おめでとさんな♪めっちゃ似合っとるで?」

 

「ま、うちのチビ達の方が可愛いけど」

 

「にこっちは黙っとき」

 

「ぬぅあんでよ!!!」

 

 

 

 

そこにあったのはいつもと変わらぬ賑やかな高坂の風景。見慣れたこの景色も亜里沙は当分見られないことになる。

 

 

 

 

 

 

「あれ?お姉ちゃんと雪穂は……?」

亜里沙が気づく。行く前に絶対に会いたい2人。ソレがいないとは何事か。

 

 

 

 

 

 

「亜里沙ちゃん、後ろ」

 

「……え?」

穂乃果の呼びかけに反応した亜里沙が後ろを向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「亜里沙、おめでとう」

 

 

 

 

 

 

 

「……雪穂!!」

 

そこには雪穂が立っていた。顔が少し腫れているのは触れないでおこうか。

 

 

 

「似合ってるね、綺麗……だよ」

 

「そう?ありがとう!」

 

「特に言うことはないんだけど……」

 

「…?」

 

「亜里沙はずっと私の親友だから。それだけは絶対だからね」

 

「……!雪穂!」

 

「それと、何かされたらすぐに言ってね?私が斬りにいくから」

 

「……目が本気だよ、雪穂」

 

「だって本気だもん」

 

「は、ハラショー」

 

「ま、そういうことだから、さっさと行った行った!」

そう言って雪穂は後ろを向き、顔を上げる。

 

「……じゃあね」

 

「……うん。また、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで?絵里ちはいつまで隠れとるつもりなん?」

 

「そうだよ絵里ちゃん」

 

「エリー……。亜里沙ちゃん、行っちゃうわよ?」

 

 

 

「お姉ちゃん、いるの?」

「いないわ」

 

 

「……!?」

 

「いや、思いっきり返事しちゃってるし」

 

「ポンコツ絵里ちゃんにゃ」

 

「ふざけてないで早く挨拶しいや!時間がないんよ?」

 

「おねぇーちゃーん」

 

「……いないわ」

 

 

「だそうやから、亜里沙ちゃん行こうか」

 

「……え?本当にですか?」

 

「だってエリーが出てこないんだもの。仕方ないでしょ?」

 

「で、でも」

 

「放っておきなさい。絵里は絵里なりに考えてるから……さ」

 

「何を考えとるん?」

 

「さぁ?にこには分からないわよ。でも、これだけは分かる……姉のプライドってやつ?」

 

「はぁ?イミワカンナイ」

 

「姉さんやるのも大変なのよ。だから放っておきなさい」

 

「……にこっちがそこまで言うんなら」

 

「でも、亜里沙ちゃんはそれでいいの?」

 

「……はい!お姉ちゃんが決めたことなら」

 

「別に決めたとかそういうんじゃないと思うけど」

 

 

「じゃ、亜里沙ちゃん、これに乗るにゃ」

 

「あ、はい!」

 

 

亜里沙を武田まで運ぶ籠が登場する。これを星空の家臣達が担いでいくようだ。

 

 

 

「一応多めに護衛はつけておいたから、心配ないと思うよ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「そんじゃ、本当にさよならやな」

 

「また会おうね、亜里沙ちゃん!」

 

「身体壊すんじゃないわよ?」

 

「……承知しました!では皆さん、今までありがとうございましたっ!」

亜里沙はそう言うと、パッと籠の中へ消えてしまった。

 

泣いているのを見られたくなかったからなのだろう。本当、誰かさんにそっくりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行っちゃったね」

 

「ええ」

 

「妹が1人旅立った……また淋しくなるわね」

 

「にしても、あれはないんちゃう?絵里ち」

 

「……そうね。最後の最後に面会拒否って何?アリエナイわよ?」

 

「お姉ちゃんのプライドだよ!」

 

「いや、うちには分からんし」

 

「希……あんたねぇ、お姉ちゃんも中々楽じゃないのよ?」

 

「いや、それでもアレはないやろ」

 

「絵里が出たくないっていうんだから仕方ないでしょ?ねぇ、絵里」

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

返事はない、ただのしかばねのようだ。

……ドラ○エか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「って絵里?」

 

「絵里ち?いつまで隠れとるん?」

 

「絵里ちゃーん」

 

いくら呼びかけても返事が返ってこない。おかしいと思った真姫が絵里が隠れていた場所へ向かう。

 

 

「エリー!いつまで隠れて……ゔぇぇ!?」

 

 

「ど、どうしたん!?」

 

「え、エリーが……」

 

「絵里ちが……?」

「絵里ちゃんが……?」

 

「エリーが、いない!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

少し高い丘の上に金色のポニーテールが1人。何かを待っているのか、川を挟んだ向こう側の道を凝視している。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………亜里沙」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、向こうの道が賑やかになってきた。多くの足軽達が列をなし、ゾロゾロと歩いてくる。

奥の方からは煌びやかな籠が1つ。

 

 

 

 

 

 

 

それを見つけた絵里は大きく息を吸って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「亜里沙ぁぁぁあ!!!!結婚おめでとぉぉぉぉお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その叫びが亜里沙に届いていると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう、亜里沙———

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
亜里沙ちゃんを泣かせたら許さんぞ、武田よ。

少々文の書き方等を変えたのですが、いかがでしょう?
……ん?分からない?そうですか、ならこれでいきましょう。

次回からは本編へ戻ります。
海未ちゃぁぁぁあ!!!(←


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第49幕 謎


どうも、お久しぶりです、ポッキーです。
本当、久しぶりですね、皆さん。お待ちしていた方はいるのでしょうか、いやいない(←
仮に、心待ちにしてくださっていた方がいるのであれば、大変申し訳ございません。

最近忙しいんですよ、うん、本当。許してくださいm(_ _)m

今回のお話は、ほのうみかな?まぁ題名通りです。

イミワカンナイことになってるので、理解してください(殴

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
左京大夫さん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に生きて帰ります——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束したよね……絶対に生きて帰るって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴女には涙は似合わない——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃあ泣かせるようなことしないでよ——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、なんで海未ちゃんが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未ちゃんのいない毎日なんて嫌なの………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ……もう一度会いたいよ、海未ちゃん……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、え……?な、何で海未ちゃんがここにいるの……?」

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果が恋い焦がれた大和撫子がソコには、いた—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第49幕 謎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃんっ!!!!」

 

 

穂乃果はわけもわからず、その少女の名を叫んでいた。混乱しているようである。いや、ポ○モンではない。

 

 

 

 

何故ここに海未がいるのか。

 

 

 

海未は死んだのではなかったのか。

 

 

 

穂乃果にとって、そんなことはどうでも良かった。

 

 

 

 

ただ、そこに、目の前に自分の大好きな親友がいる。その事実がただ嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

穂乃果は海未へ思いっきり飛びつく。突進する。ヘッドスライディングする。

海未は驚きながらも、ソレを受け止めた。

どんな身体してるんでしょうね。

 

 

 

 

 

 

「ほ、ほのか……?穂乃果なのですか……!?」

 

 

 

「そうだよ……穂乃果だよ、海未ちゃんっ!!」

 

「穂乃果!!!」

 

「海未ちゃぁぁあんん!!」

2人はお互いの存在を確かめ合い、再び強く抱き合う。感動の再会ってやつですよ。

 

 

 

「海未ちゃんだ……海未ちゃんだよぉぉ!!」

穂乃果にとってはかなり久しぶりの“海未”だったため、かなり強く、海未を抱きしめる。

 

 

 

ただ、その必死さに、海未は少し違和感を感じていた。

 

 

「ちょ……ど、どうしたのですか、穂乃果……?」

 

「だって、だってぇ……」

 

「……それに、その格好は一体?」

 

「……?」

 

 

海未は着物姿の穂乃果に驚く。取り乱していた穂乃果も、海未の冷静な声に少し落ち着きを取り戻していた。

 

 

 

「んと……。着物、だけど……?」

 

「何故着物を着ているのです?」

 

「何故って聞かれて……!?」

 

「……どうかしましたか?」

 

 

服のことを指摘された穂乃果は、改めて海未の服装を見て驚きの表情を浮かべる。

無理もないだろう。海未の服装は、穂乃果が通っていたはずの、音ノ木坂学院の制服だったのだから。

 

 

「ちょっと待って……。海未ちゃん、その格好……」

 

「……?制服ですが?」

 

「え、え……?」

 

「どうかしましたか、穂乃果?」

 

「いや、だって」

 

「だって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、戦国時代だよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……は?」

 

穂乃果から放たれたとんでもない言葉を聞き、海未は硬直する。

戦国時代?ナニソレイミワカンナイである。

 

 

「何を言っているのですか?冗談が過ぎますよ、穂乃果」

 

「……本当のことだもん」

 

「……私をはめようとしているのですか?」

 

「はめる?そんなことするわけないよ」

 

「……」

 

海未の格好、そしてこの驚き具合。これらから全てを察した穂乃果。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海未もまた、穂乃果と同様にタイムスリップしてきてしまったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん、平成から来たんだね」

 

「……理解しかねます」

 

「大丈夫。私も最初はそうだったから」

 

「どういうことです?」

 

「……私も平成からこっちに来たの。理由はよく分かんないけど」

 

「非現実的すぎます」

 

「でも現実だもん」

 

「……」

 

穂乃果のあまりに真剣な眼差しに、彼女が言っていることは嘘ではないと確信した海未。諦めたように1つため息をつく。

 

 

 

「では、ここはどこなのですか?」

 

「音ノ木坂だよ」

 

「音ノ木坂って……。あの音ノ木坂ですか?」

 

「うん」

 

「では、あの大きなお城は」

 

「穂乃果達のお城だよ」

 

「穂乃果達の城……。……は?」

 

海未さん、驚愕の表情。ものすごいお顔でございます。

 

 

「あんな大きな城が?穂乃果の城なのですか?」

 

「うん」

 

「え、それでは穂乃果は大名をしているのですか?」

 

「うん。してるっていうかさせられてるって感じだけどね」

 

「……といいますと?」

 

「初めてここに来た時、海未ちゃんに会ってね?殿〜!って言って無理矢理城に連れて行かれたから、何か流れでね」

 

「……わ、私に?」

 

「うーん……。正確に言うと違うかな。こっちの時代の海未ちゃんは死んじゃったから」

 

「私が死んだのですか?」

 

「うん」

 

「……頭が痛いです」

 

「それで、高坂家っていう大名の当主をすることになって、色々あって今に至る、って感じかな」

 

「北条は?関東と言えば北条が治めていますよね?」

 

「あー……。うん、北条さんは倒しちゃった」

 

 

 

「……はぁッ!!!?」

 

 

 

「お、驚きすぎだよ、海未ちゃん」

 

「いやいやいや、ちょっと待ってください。北条を討った!?それでは歴史が違うじゃないですか!!?」

 

「そんなこと言われても……」

 

「い、意味が分からないです」

 

「穂乃果も意味が分かんないよ」

 

「で、では、その高坂家というが今、関東を治めているのですか?」

 

「うん」

 

「は、はぁ……」

 

海未は全く理解出来ていない様子であった。というか、理解出来なくて当然である。これをすぐに飲み込めるものは多分、人ではない。

 

 

「戦とかもするのですか……?」

 

「勿論。やらなきゃやられるから」

 

穂乃果さん、強くなったものです。

 

 

「……まだ飲み込めません」

 

「当たり前だよ。穂乃果も理解するまでかなりかかったしね」

 

「ここは戦国時代、ですか」

海未は頑張って理解しようとする。この現実を飲み込もうとする。自らに言い聞かせるようにこの言葉を発した。

 

 

 

「海未ちゃん」

 

「……はい」

 

「行くあて……無いよね?」

 

「それは勿論」

 

「じゃあ、高坂に来ない?」

 

「……高坂へ?」

 

「うん。穂乃果と一緒に生きようよ、戦国」

 

「戦国を生きる、ですか」

 

「ここでのたれ死んじゃうか、高坂に来て、一緒に天下統一を目指すか……。海未ちゃんはどっちがいい?」

 

「……えげつないことを聞くようになりましたね」

 

「あはは……。戦国の荒波に揉まれたからね」

 

「穂乃果は天下統一を目指しているのですか」

 

「天下統一っていうか、正確には“戦のない世の中”かな」

 

「戦のない世の中……」

 

「私が見てきた平和な平成の世界を、戦国時代の人たちにも見せてあげたいんだ」

 

「いいこと、だと思います」

 

「それに、コレは死んじゃったこっちの海未ちゃんや、ツバサさんとの約束だからね!」

 

「それでは絶対に叶えなければなりませんね」

 

「うん!みんなで叶える物語だよ!」

 

「……μ'sのキャッチフレーズですね」

 

「……楽しかったよね、μ's」

 

「はい。とても、楽しかったです」

 

「だから、こっちの世界でも叶えようよ、物語を!」

 

「私たち2人でですか?」

 

「ううん!μ'sのみんなとだよ!」

 

「……はい?」

 

「いや、だからμ'sのみんなと」

 

「……???」

 

ここまでいい感じに来ていたが、海未さん再び困惑。はて、μ'sのみんなととは??

 

 

「いや、μ'sのみんなとって……他に誰かいるのですか?」

 

「うん。みんないるよ」

「みんな!!??」

 

「う、海未ちゃん、がっつきすぎだよ」

 

「当たり前です!!他にもいるのですか!?μ'sのメンバーが!!」

 

「うーん……。正確に言うと違うけど、平成のみんなと全く変わらないよ!」

 

「……な、何を言っているのでしょうか、私の幼馴染は」

 

海未はすでにショートしそうです。

 

「まあ、とりあえず音ノ木坂城に来てよ!百聞は……。百聞はぁ……?……百聞はなんとかって言うしね!」

「そこは決めてくださいよ、穂乃果」

 

 

「とりあえず行くよ!海未ちゃん!」

 

「ちょ、引っ張らないでください!!」

 

穂乃果は海未の腕を引っ張り、音ノ木坂城へと駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死んだはずの人がいきなり目の前に現れる恐怖、貴方には分かりますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
意味わかんなかったでしょう?(殴
自分でもわけわかってないです。

次回は高坂のみんなと、現代版ンミチャの対談!
さて、どうなることやら……。一種のホラーですからね。ゾンビです、ええ。

それではまた次回もよろしくお願いします。

穂乃果ちゃんイベ頑張ろう、日本()


P.S
スクフェス感謝祭後、社会不適合者さん達が一般の方々に多大なるご迷惑をお掛けした模様です。常識をわきまえましょう。


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第50幕 復活


どうも、ポッキーです、ええ。
なんと!通算UAが10,000突破ということで♡
こんなうんちみたいな作品をずっと見てくださった皆様のおかげでございます!ありがとうございます♪

今回はまぁ題名通りで……。
そして、ほのうみ書くの楽しいです、これです、本当。

今回はちょっとふざけすぎたかな、ごめんなさい。
ま、いつも通り見てやってつかあさい。

それではどうぞ、ごゆっくり。

前回感想をくださった
零七さん
ウィングゼロさん
とある戦国好きさん
あげとうふさん
しょーくんだよ!さん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

「ちょ、ほ、穂乃果!!」

 

「んー?どうかしたの?海未ちゃん」

「どうかしたの?じゃありません!!」

 

「え、えっと、何がご不満なのかな?」

 

「何故私は城の前にいるのですか!?」

 

「いや、海未ちゃん、高坂に仕えるって」

「言ってません!!!」

 

「あ、あれ?そうだっけ?」

 

「何を聞いてたんですか……」

 

「じゃあ海未ちゃん、道端でのたれ死んじゃうの?」

「それは困ります」

 

 

「うん、即答だね」

 

「穂乃果、冷静に考えてください?」

 

「……?何を?」

 

「貴女、この時代では私は死んだことになっているのですよ?」

 

「……ふむ」

 

「それでは、いきなり私が皆さんの目の前に現れたらどうなるか……」

 

「…………あ!」

「気づくの遅すぎです」

 

 

「そ、それはまずいね……非常にまずいね……かなりまずいね……!!」

 

「そういうことなんです」

 

「ど、どうしよう」

 

「……どうしましょう」

 

「………しょうがない」

 

「何か案が浮かんだのですか!?」

「海未ちゃん」

 

「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のたれ死のう!!!」

「いやふざけないでください、斬りますよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第50幕 復活

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音ノ木坂城前。海未を連れてきたはいいものの、死んだはずの人をどのようにして家臣団に受け入れさせるか。穂乃果と海未はとても重要な問題に直面していた———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………海未ちゃん?」

 

「何ですか」

 

「あ、えっと……」

 

「………」

 

「うみちゃあん!!」

 

 

 

穂乃果さん、海未さんを怒らせてしまった模様。大問題を前に喧嘩を始めるとは何事か。

今日も高坂は平和です。

 

 

 

 

 

「いくら冗談でも悪質すぎます」

 

「ごめんなさい……」

 

「全く穂乃果は……。貴女という人は昔からそうです!!限度というものを………」

 

 

海未、お説教モード。このモードに入った海未を止めることが出来る者はいない。

 

 

 

 

 

「……それで?どうするのです?」

 

「方法を考えます」

 

「よろしい」

 

「むぅ……。死んだはずの人を違和感なく、かぁ……」

 

「………」

 

「数学より難しいよぉ……」

 

「無理難題ですからね」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

沈黙。沈黙のクォーター。これはコ◯ンです。真実はいつも1つ。

 

 

 

 

「よし」

 

「……思いつきましたか?」

 

「海未ちゃん!!」

 

「何でしょう」

 

「強行突破だよ!!!」

「貴女は馬鹿ですか」

 

「ツッコミ早ッ!?」

 

「当たり前です」

 

「むむむ……。海未ちゃん、準備してたね……」

 

「はい。どうせろくな答えが出ないと思ってましたので」

「酷いよ!?いや、軽く虐めだよ!?穂乃果のガラスのハートが!!?」

 

「誰がガラスのハートですか……。漫才している暇はないんですよ?」

 

「そんなの知ってるよ!!」

 

「では、私の考えを発表しますね」

 

「満を持してだね」

 

「私は、死んだ私の生き別れの双子の姉妹、というのはどうでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はい?」

 

「え?」

 

「複雑なご家庭ですか」

 

「何か問題でも?」

 

「大アリだよ!!!」

 

「ふむ……。我ながら完璧だと思ったのですが……」

 

「海未ちゃん……。絶対ポンコツ入ってるよね……」

 

「冗談ですよ」

「全然冗談に聞こえなかったんだけど」

 

 

 

「とりあえず、城へ入りましょう」

 

「……え?」

 

「制服では違和感の塊ですし、何か着物があれば、着替えたいです」

 

「あー……。海未ちゃんの部屋に着物があったかも」

 

「案内してもらえますか?」

 

「え、でもばれたらどうするの?」

 

「安心してください」

 

「うみちゃん?」

 

はいてますよ?……当たり前です。

 

 

 

 

「私に策があります」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「あ、穂乃果」

 

「うぇっ!?」

 

「……ど、どうかした?」

 

「あ、ああ!ぅ絵里ちゃん!」

 

「……?何かあった?」

 

「な、何も!?」

 

「………」

 

「じゃ、じゃあ穂乃果はこれでっ!」

「待ちなさい」

 

「ヴェェ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、演技下手くそですか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とかバレないように海未を部屋へ誘導しようとした穂乃果であったが、いきなりラスボス登場。その下手くそな演技……最早演技でも何でもないが、それのせいで何か隠しているとバレてしまった穂乃果。

これより、大広間にて事情聴取が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………それで?」

 

「はい」

 

「何を隠してるわけ?」

 

「な、何も」

 

「穂乃果ちゃん?嘘は良くないよぉ〜?」

 

ことりさん。貴女、一番怖いです。笑いながら怒るってなんですか。

 

 

「こ、ことりちゃん……」

 

「で?何を隠しとるん?」

 

「何でもないって……」

 

「そう。なら何故そんな慌ててるわけ?」

 

「だって、みんな怖いから……」

 

「殿様が寝返るとか……洒落にならないわよ?」

 

「何?穂乃果はどこかと繋がってるの?」

 

「そんなのないよ!!」

 

「じゃあどうしたん?」

 

「そ、それは……」

 

「ほーのーかーちゃん?」

 

「ピィッ!?」

 

「ちゃんと話してくれないとぉ……」

 

「こ、こここことりちゃん……!?」

 

「ことりの、おやつにしちゃいます♡」

 

「ことりちゃん!?貴女楽しんでるよね!?ねぇ!?」

 

「面白そうやね。穂乃果ちゃん、のぞみんのおやつにならん?」

「ならないよ!!」

 

「あはは……。みんな、そこら辺にしてあげたらどうかなぁ……なんて」

 

「は、花陽……」

「花陽ちゃん!!!貴女は穂乃果の天使だよっ!!!」

 

「ダメだよ〜?かよちゃん。嘘はいけないからねぇ……?」

 

「あ、うん」

「折れるの早すぎだよッ!?」

 

「穂乃果ちゃん必死にゃー」

 

「大変そうねー」

 

「デッショー?」

 

「……で?何があったわけ?」

 

「な、何もないってば!」

 

「……ことり」

 

「はい♡」

 

「ちょっと待って、これには海よりも深い訳がぁ……」

 

「穂乃果ちゃん!」

 

「や、ことりちゃん、ちょ、まっ……!」

 

「いただきます……♪」

 

「ああああああ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はい?」

 

「っと……ことり、一回ストップ」

 

「ちゅん……」

 

「どちら様〜?」

 

「開けてもよろしいでしょうか?」

 

「ええ。構わないわよ」

 

「ありがたき幸せ」

 

 

 

 

絵里の合図とともに、襖が開く。そして、その“少女”が皆の前に現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もが、その光景に目を疑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘やろ?」

 

「イミワカンナイ……」

 

「え、え……?」

 

「どうして貴女が……」

 

「海未……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「軍師・園田海未、ただいま帰って参りました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いやー、ンミチャが遂に皆様の前に登場ということで!
そしてことりちゃんが迷走し始めたぜ、うほほーい(←

次回は高坂と海未ちゃんの絡み。海未ちゃんの策とは一体なんなのでしょうねぇ?

それでは次回もよろしくお願いします!


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第51幕 強行突破


どうも、ポッキーです。
いやー、海未ちゃんいいですね、やっぱり。
バランスが取れますよ、いるだけで^^ 何で殺したんだろう……(殴

今回は海未ちゃんの運命が決まる回ですね。高坂に入るのか、家臣団に拒否されてのたれ死ぬのか……^^;
そして、新たな敵、登場です。

それではごゆっくり。

前回感想をくださった
左京大夫さん
ウィングゼロさん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、ななななな……!?」

 

「ちょ、ちょっと待ちいや」

 

「あんた……。何で……!?」

 

「……海未ちゃん」

 

 

 

 

 

 

「海未。貴女……死んだんじゃなかったの?」

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第51幕 強行突破

 

 

 

 

 

 

 

こちら高坂家。現在、凄まじい台風が音ノ木坂城に襲来中。

“死んだ”と目されていた園田海未が、高坂家臣団の目の前に現れたのだ。

 

 

 

 

「お久しぶりです」

 

「お久しぶりってあんたね……」

 

「どういうことなん?これは」

 

「あはは……。さっき散歩してたら、海未ちゃんとばったり……かな?」

 

「イミワカンナイ」

 

「何?さっき穂乃果が隠していたのってこれなの?」

 

「あー、うん」

 

「こういう大事なことは早く言いなさい。隠す必要なんてないでしょう」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「絵里。穂乃果を責めるのはやめて下さい。全て、私が頼んだことですから」

 

「そうなの?……でもね、まだ何が起こっているのか分からないから、一度整理させてくれるかしら?」

 

「そうやね……。うちも頭がこんがらがってきた……」

 

 

 

高坂の皆様、完全に混乱中。無理もないだろうが。死んだはずの人間がいきなり現れる、そんな非現実的な現実を目の前にした時、人間はどのようにその状況を飲み込むのだろうか。

 

 

 

 

「海未ちゃん」

 

「どうしました、穂乃果」

「いきなり出てきて大丈夫なの?」

 

「ええ、私に考えがあります」

 

「……本当に大丈夫?」

 

「……正直自信はあまり」

 

「やっぱり……」

 

 

「ですが、何とかなります……何とかします」

 

「穂乃果、心配なんだけど」

 

「大丈夫です」

 

「……本当に?」

 

「大丈夫……だと思います」

 

「いや、自信なさ過ぎるよ!?」

「ばっ!?声が大きい……」

 

 

 

「穂乃果ちゃん?どうかした?」

 

 

「あ!?うん?何でもないよ!?」

(演技下手ですか……。あれ、デジャブですね、これ)

 

 

「……何海未ちゃんとひそひそ話してるのかな?」

 

「あははー……。ちょっとね」

 

「ちょっとって何?海未ちゃん」

 

 

 

 

「……私ですか!?」

「貴女しかいないちゅん」

 

 

 

 

「少しばかり、穂乃果の耳に入れておきたいことがありまして」

 

「ふーん……。どんなこと?」

 

「……話さなければならないのですか?」

 

「………うーん、まぁいいや。女の子に秘密はつきものだからね♪」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

こういう時のことりは怖い。最早“ことり”ではなく、獲物を狙う“鷲”に近いものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……海未、色々説明してもらえるかしら。まだ信じられないのよ」

 

「ええ。死んだ人間がココにいるんだもの。ちゃんと説明してもらわないと困るんだけど」

 

「はい。勿論そのつもりです。こちらにも説明する義務がありますし」

 

 

 

 

 

海未は1つ短く息を吐く。どんな園田節が炸裂するのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「まず、私が死んだ、という情報から説明します」

 

「最大の謎やん」

 

 

 

「……簡単に言うと、その話は嘘です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

「いや、ちょっと待って。嘘?何言ってるのよ」

 

「すみません、詳しく説明するので質問は後でもいいですか?」

 

「ええ。そうしましょう」

 

「馬鹿でも分かるようにお願いね」

「誰が馬鹿よ!!!」

 

「誰もにこちゃんが馬鹿とは言ってないわよ?」

 

「あら、にこっち自覚あるん?」

 

「ぐぬぬ……」

 

「うん、ちょっと静まろうか、みんな」

 

 

 

 

「私が死んだ……という情報は、そもそも各国を翻弄する為に流した情報なんです。それが高坂にも入ってしまった……ということですね。星空の情報伝達力には恐れ入りますよ」

 

「……何でそんな嘘の情報を?」

 

「私の行動の為ですね」

 

「……ん?」

「殿の際、私は死んだとなっていたのですが、実際にはある程度粘った後に織田勢から逃れることが出来たんです」

 

「ふむ、よく分からんな」

 

「それで、逃れた時に思いついたんです。織田の情報を少しばかり集めて回ろう……と」

 

 

 

 

「……はい?」

 

「ちょっと待って。織田の情報を集める?え、じゃあ貴女、勝手に織田領で間者してたわけ!?」

 

「はい。大変身勝手な行動だと分かってはいたのですが、これが好機だ……と思ったので」

 

「本当、身勝手すぎるわよ……」

 

「すみません。その行動を楽に行う為に、“園田海未”は死んだ、という情報を流させてもらいました」

 

「……本当に?」

 

「どういうことでしょう?」

 

「本当に海未ちゃんは死んでないんかって話」

 

「ええ。現にここにいるじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……偽物だとしたら?」

 

 

「なっ……。希、ちょっと言い過ぎよ」

 

「うん。さすがにちょっと……」

 

「せやけど、信じられるん?」

 

「………」

 

 

沈黙。

 

 

 

 

希は勘だけは異常に鋭い。希の前では、嘘はそう簡単に通らないであろう。

 

 

 

 

 

「……では、希。証拠はありますか?私が死んだという」

 

「それは……」

 

「ですよね。別に晒し首を見たわけでもないですし、遺体を見たわけでもない。ただ耳で聞いた情報にすぎないんです。私が死んだというのは」

 

「それじゃあ、あの手紙はなんなん?」

 

「あの手紙……?」

 

「せや。穂乃果ちゃんや、うちらに向けて書いた遺書みたいな手紙は」

 

「ああ……。ここは戦国ですよ?いつ死んでもいいように、遺書を書くのは当たり前です」

 

「……まあそうね。一応私も書いてあるわ」

 

「ということです。希、信じていただけますか?」

 

 

 

 

 

「………うん」

 

 

希は少し首を傾げつつも、納得の返事をした。

 

 

 

「それでは続きを。これまでの期間、私は変装して織田の情報を嗅ぎ回っていました」

 

「それで?どんな情報が得られた?」

 

「まず、織田は今、高坂を相手にしている暇はない……ということです」

 

「……と、言いますと?」

 

「現在、1570年……。元亀元年ですよね」

 

「ええ、そうね」

 

「織田が高坂攻めをかがげたのが1567年末期。そして、高坂が上洛したのもその時です」

 

「……それで?」

 

「その後、織田も色々ありまして……。68年には上洛し、そしてその後は周りの国々の大名、小大名を潰していったわけです。大方、関東の高坂を潰す為に周りをしっかり固めよう、という話でしょうね」

 

「ふむふむ。それじゃあ義昭公の護衛は高坂、そして織田もすることになったわけね」

 

「そして1570年、今年に入ってからですね。織田に少しばかりの危機がありまして……」

 

「あの織田が危機?……強くてもそういうことはあるってことだね」

 

「朝倉攻めの最中に、浅井の裏切りがあったんです」

 

「浅井……あの浅井が!?」

 

「はい。朝倉と織田との同盟関係にあった浅井ですが、昔からの付き合いである朝倉を優先し、織田を襲いにいきました」

 

「どうやって?」

 

「金ヶ崎にて、浅井朝倉によって織田が挟みうちにあったんです」

 

「金ヶ崎って……。山やん!?」

 

「はい。してやったり……という感じでしょう」

 

「それで?織田はどうなったの?」

 

「信長を先頭に、撤退しました。殿の木下秀吉、池田勝正、明智光秀の活躍で何とか戻ってきた……という感じでしたね」

 

「さすが織田ね……。家臣の層も厚いわけよ」

 

「とまぁ……。ここまでしか分からないですね。この辺りで高坂へ戻ろうと思いましたので」

 

「十分よ。織田がいっぱいいっぱいと分かればこちらのものだわ」

 

「中々いい仕事したのね。さすが海未だわ」

 

「ありがとうございます」

 

 

「海未が死んでなかったってなると、かなり戦力的に楽になるんじゃない?軍師もまた3人衆になるわけでしょ?」

 

「ええ。またエリーと海未と頑張るわよ」

 

「完璧ね。高坂の層がまた厚くなったわ」

 

「周りの大名達も巻き込んどいてよかったやんな」

 

「うん!しかも、謙信さんと、武田さんとも同盟を結んでるから、もう怖いものなしだよ!」

 

「ま、武田はまだ信じられないけど」

 

「高坂の時代が来そうね……これは」

 

 

 

 

「とりあえず、織田を倒さないとどうにもならないわ。現段階の目標は、織田討伐。みんな、いい?」

 

「「はい!」」

 

 

 

再び園田海未……を加えた高坂家。織田討伐に向けてまた活気が出てきたのだが———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある者達が高坂に牙を剥く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん、どこからあんな情報もってきたの?」

 

「ああ……歴史の勉強ですよ」

 

「れ、歴史?」

 

「はい。日本史です」

 

「あはは……。よく覚えてるね、海未ちゃん」

 

「当たり前です。といっても、少しマニアックな部分は好きで勉強したのですがね」

 

「……凄いね、海未ちゃん」

 

「というか穂乃果。貴女、金ヶ崎の戦いを知らない……なんてことはないですよね?」

 

 

「うん、知らないよ」

「ふざけないでください?」

 

「いつやったの?そんな戦い」

 

「どんな戦いですか……。多分、貴女が爆睡している時ではないですか?先生が言っていましたよ」

 

「え、じゃあ黒板に書いてない……?」

 

「はい。メモしておきました」

 

「じゃあそんなの覚えてるわけないよ」

 

「……黒板に書いてるのですら覚えてないくせに何を言っているんですか」

 

「はい、ごめんなさい」

 

「全く……。しかし、この先、何が起こるか分かっているのはかなり楽ですね」

 

「勉強したからね!」

 

「穂乃果は覚えてないですけど」

 

「あはは……。ま、まあ、何とかなるよ!」

 

「ええ。もう習った日本史は半分信じてないですよ」

 

「どうして?」

 

「高坂という謎の大名が北条を倒し、関東を治めている時点で、歴史が変わっているではないですか」

 

「あ、そっか」

 

「ですので、これからは何が起こるか分からない……ってことです」

 

「でも、そっちの方が面白くない?」

 

「……そうですね。新たなμ'sと紡ぐ物語……。それはそれで面白そうです」

 

「だよね!そうこなくっちゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変です、大変ですぅう!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽の大絶叫が聞こえてくる。これは、高坂に危険が迫っていることを教える“緊急アラーム”である。

 

 

 

 

 

 

 

「……騒がしいですね。何かあったのですか?」

 

「うん……」

 

穂乃果がゴクリと唾を飲む。その様子を見た海未も、ただ事ではないと瞬時に察する。

 

 

 

「戦……ですか」

 

「そうだね。もうやるしかないよ」

 

「……頑張りましょう」

 

「うん。じゃあ大広間に行こうか。みんないるはずだよ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍師・園田海未の初陣が始まろうとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵は“五色備え”の猛将を保持する、かつての帝王であった。

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたか?
時系列整えるのが難しい……^^; なんかもう1570年になってるし。
信玄もう死んじゃうし(←
まあ大目に見てください(殴

次回はその敵が登場します。
……五色備えで帝王っていったらねぇ?好きな方はもうお分かりですね?
お楽しみに。


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第52幕 宣戦布告


どうも、ポッキーです。
最近疲れすぎてもう寝ても寝足りません、助けてください(殴

今回のお話は、新たな敵・登場ということで……。
厄介なキャラの奴が出てきます、ちょっとふざけすぎましたごめんなさい。

それではどうぞ、ごゆっくり。


前回感想をくださった
左京大夫さん
ウィングゼロさん
ありがとうございました!

今回のお話は左京大夫さんの情報をもとに作らせてもらっています。
左京大夫さんの作品も戦国×ラブライブ!ということで、非常に面白い作品ですので是非、ご覧になってみてください。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、集まったわね」

 

「「はい!」」

 

 

こちら音ノ木坂城。緊急事態発生……ということで、家臣団は大広間へ集合していた。

 

 

「花陽、何があったの?」

 

「は、はい!それがですね……」

 

「今回の敵はどこかしら?」

 

「にこが蹴散らしてやるわよ」

 

「にこっち、死ぬで」

 

「うん、死ぬにゃ」

 

「ぬぅあんでよ!?」

 

「あー、はい。で?どこなの、花陽」

 

 

 

 

「八王子城より……北条氏照、北条家が挙兵しました!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第52幕 宣戦布告

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北条が挙兵した?」

 

「うん」

 

「八王子城って……すぐ近くやん!?」

 

「これはまずいわね……。早く戦の準備をしなきゃ」

 

「ええ、そうね。みんな、至急戦の準備を」

 

「詳しい戦術とかは後で海未とエリーと話して決めるから、とりあえずいつでも出陣出来るようにしておいて」

 

「それじゃ、凛は北条の様子を見てくるよ」

 

「はい、お願いします」

 

 

「それで、ことり、花陽」

 

「どうかした?絵里ちゃん」

 

「結城と佐竹に援軍を要請してきてくれないかしら?戦力は多い方が優位に戦を進められるわ」

 

「了解しました〜!じゃあ援軍を頼んでくるね!」

 

「私は佐竹に行くから、ことりちゃん、結城をお願いね」

 

「うん!任せておいて」

 

 

「それじゃあみんな、準備が出来たらもう一度大広間に集合。いいわね!」

 

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……凄いですね、戦の前はこんな感じなのですか」

 

「うん、一気にスイッチ入るからね」

 

「相手は北条と言っていましたが……。かなり手強そうですね」

 

「穂乃果もちゃんと戦ったことないから分からないけど……。聞いた話だと、強敵中の強敵って感じかな」

 

「大丈夫なのですか?」

 

「大丈夫だと思うよ。兵力はこっちの方が上だし、いざとなったら頼れる仲間もいるしね」

 

「高坂に死角なし……と言ったところでしょうか」

 

「あはは……それは言い過ぎかもしれないけど、今の高坂はかなり強いよ」

 

「自画自賛ですね」

 

「でも、それくらい強いんだもん」

 

「……穂乃果がそう言うのなら、きっとそうなのでしょう」

 

「だからさ、海未ちゃん!今回の戦、楽しもう!」

 

 

「……戦を楽しむ、ですか?」

 

「そう!無茶苦茶かもしれないけど、それがやっぱり一番なんだよ!」

 

「死が近くにある戦を楽しもう、とは……。流石穂乃果ですね。呆れて物も言えませんよ」

 

「ええ!?なんでさ!!」

 

「ふふっ……冗談ですよ。貴女の言った通りこの戦、楽しませてもらいます!」

 

「そうそう!初陣だしね!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「みんな、準備は出来たわね」

 

「いつでも大丈夫にこ」

 

「うちもや」

 

「さっきエリーと話したんだけど、布陣はいつも通りでいくわ」

 

「迎え討つ場所は特に決めてはいないけど……。基本この城付近よ。正面衝突で蹴散らしましょう」

 

「兵力もこちらの方が上ですし、それで十分倒せると思います」

 

「そう言うことだから。後は北条がこちらに到着するのを待ちましょう」

 

「うん!今回は真っ向勝負だからね、みんな!張り切っていこう!」

 

 

「「おぉー!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

星空軍——

 

 

 

「殿!北条勢が見えましたぞ!」

 

「ふむふむ……。兵力はさほど多くないみたいだね」

 

「はい。これなら勝つことは容易いかと」

 

「うん、そうだね!じゃあ、穂乃果ちゃん達に伝えて来てくれるかにゃ?」

 

「承知しました」

 

 

こちら星空軍。高坂へ迫る北条の様子を偵察中…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

厄介な強敵が潜んでいるとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりぶりざえもん……星空ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 

凛は背後から聞こえた声に即座に反応、体を翻し、戦闘態勢に入る。

 

 

 

 

「……やる気満々、闘志メラメラってか?」

 

「にゃ……。お前は……」

 

「忘れたとは言わせんよ?」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ……。恐ろしくて言葉も出ないか、星空ちゃん」

「誰かにゃ?」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!!」

 

 

 

 

その男、盛大にずっこける。

 

 

 

 

「は!?覚えてない!?記憶にない!?この俺様が!?」

「ないにゃ」

「即答ぉぉぉお!!!!」

 

 

「え、本当に誰かにゃ?」

 

「いやいや、この大きな体!」

 

「うん」

 

「この特徴的な男前な顔!」

 

「男前っていうより化け物にゃ」

 

「そして、泣く子も黙るこの身のこなし!」

 

「うん」

 

 

「それでも思い出さないというのか!?」

「ないにゃ」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!」

 

 

この男、非常にうるさい。

 

 

 

「もう面倒だから早く名乗るにゃ」

 

「本当に、覚えてないのか!?」

 

「覚えてない」

 

「おぅ……。俺様、ありふれた悲しみの果て」

 

「…………」

 

凛はその男を白い目で見る。凛に白い目で見られるということは、人生の終わりを意味する。

 

 

 

 

 

「それでは、気を取り直して……。俺様の名を名乗ってやろう!」

 

「うん、早く」

 

「聞いて驚くなよ……?俺様の名は……!!!」

 

「…………」

 

 

 

 

「風『殿!!北条の動きがおかしいですぞ!!』

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!!!」

 

 

 

その男、素晴らしい運をお持ちのようで。

 

 

 

 

 

「おかしいってどういうことにゃ?」

 

「ちょっと……!!」

「音ノ木坂の方面へ向かっておらぬのです!」

 

 

「……なんでにゃ」

 

「ねぇ……!」

「私には分かりかねます……。しかし、あの方角は小田原城があったはず……」

 

 

「小田原城……!?そういうことかにゃ!?」

 

「あのー……」

「どういうことですか!?」

 

「北条は、小田原城を奪還しに来たんだよ!そして、そこを拠点にして、高坂を攻めるつもりなんだ!」

 

「みなさーん」

「そ、そうか……!あそこなら北条が得意とする籠城が出来る……。それで1発逆転を狙っているのですね!?」

 

 

「きっとそうだよ!!これは早くみんなに教えないと!!」

 

「そうですね!!それでは早速行ってまいります!!」

 

「うん、お願い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、お話すみました?」

 

「あれ、まだいたのかにゃ」

 

「そりゃいますよ〜」

 

「んじゃ、早く帰るにゃ」

 

「えへへー、それは出来ないんですー」

 

「んじゃ斬り殺すから早く首をだすにゃ」

 

「あははー、怖いですねー、星空ちゃん」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは気を取り直してもう一度!!俺様の名は!!!」

 

「………面倒な奴にあったなぁ」

 

「泣く子も黙る!!!!」

 

「泣く子も黙る、大好きなんだなぁ」

 

「風魔ことぅろうなり!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………え?」

 

「………え?」

 

「いや、今、何があったの?」

 

「いやいや、何も」

 

「なにがあったの?」

 

「噛みました」

 

「ださいにゃ」

 

「もう一度機会をください」

「嫌にゃ」

「ひどい」

 

「凛も忙しいの……。早くしてくれる?」

 

「はい。ごめんなさい」

 

「で?名前は?」

 

「風魔小太郎です」

 

 

 

「風魔党の?」

 

「いかにも」

 

「へー……」

 

「思い出したか?」

「全然」

「へい、星空ちゃん!!!」

 

 

「っていうか何で風魔君、凛の名前知ってるの?」

 

「それはだね……。忘れもしないあの日のこと!!!!」

「あ、長くなりそうなんでいいです」

「聞いてくださいお願いします」

 

 

「じゃあ手短にお願いするにゃ」

 

「北条と高坂が戦った、氏政様が討ち取られたあの日!!俺様は、俺様はぁぁぁぁあ!!!」

 

「…………」

 

「貴様の急襲に気づくことが出来ず!!氏政様をお守りすることが出来なかったのだ!!!」

 

「なんの宣言だろう、これ」

 

「それからというもの……。俺様はあの日の事をずっと悔いた……。そして決めた!!!星空凛を氏政様の仇として討ち取ろうと!!!」

 

「………宣戦布告かな?」

 

「勿論」

 

「ふーん……凛に喧嘩売るなんてね」

 

「貴様は絶対に倒さねばならぬ相手……」

 

「いい度胸してるね、風魔小太郎さん?」

 

「星空凛……覚悟!!」

 

 

 

そう言ったと同時に、小太郎が凛に飛びかかる。

しかし、飛びかかった先に凛はいなかった。

 

 

 

「っと……これは?」

 

「甘いよ?風魔君」

 

「ほう……。瞬間移動とな?」

 

 

瞬間移動?そんなことは出来るはずがない。

 

 

「ま、そういうことにゃ。それじゃあ風魔君」

 

「?」

 

「凛はお先に失礼するよ」

 

 

そう言ったと同時に辺り一面を白い煙が覆った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さてと、ここら辺まで来れば大丈夫かな」

 

 

こちら凛さん。煙玉を使い、上手に小太郎から逃げてきた模様。

 

 

 

「邪魔が入ったけど……。まぁこれくらいの情報があれば大丈夫だよね」

 

 

凛は城へ戻ろうと、再び駆け出した———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺様の脚力、舐めてもらっちゃあ困るんだよねぇ……。星空ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凛の背後に大男が出現した。

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたでしょうか?

……最早北条というより風魔小太郎君が主役だったね、うん。
忍対決も面白いかなぁ、なんてね。
次回はちゃんと北条でますので、ええ。

それでは次回もよろしくお願いします。

【報告】
今週末より、総体が始まります故、約一週間更新が出来ません。
ご了承ください。


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第53幕 小田原征伐


どうも、お久しぶりです、ポッキーです。
いやぁ、待ちましたか!みなさん!……ん?待ってない?知ってます。

今回は題名通りってことで……。小田原征伐開始かな?
海未ちゃんの躍動!!これが北条戦では書きたいところです。
そして、風魔小太郎書くの楽しい()

それではみなさんごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
左京大夫さん
GUMIさん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なめてもらっちゃあ困るよ……星空ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!?ふ、風魔っ!?」

 

「最高だよ、星空ちゃん……。もっと驚け、もっと恐怖しろ!!今の君のその驚愕と恐怖が混じったその表情……!!最高にそそるねぇ!!」

 

 

 

「へ、変態にゃ」

「誰が変態じゃ、阿保」

 

 

 

「ふーん……。ちょっと舐めてたよ」

 

「ちょっとどころじゃないよね、貴女」

 

「まあいいにゃ。逃げた凛を見つけて、そして追い付くなんてね……。いいよ、認めてあげる」

 

「認める?星空ちゃんがこの俺様を?」

 

「はい?」

 

「いつから星空ちゃんが俺様より上の忍者ってことになったのかしらねぇ?」

 

「いや、最初から星空軍は風魔党より上の忍び集団にゃ」

 

 

「認められないわ」

「絵里ちゃん推しなの?そうなの?」

 

 

「まあいい。この瞬間から、風魔党が星空より強い忍となるんだから」

 

「……は?」

 

 

 

 

小太郎の目が、獲物を捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第53幕 小田原征伐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最強の忍は俺様だ」

 

 

小太郎が凛に猛スピードで斬りかかる。肉眼では捉えられないくらいの速さだった。時速何キロだよ。

 

 

 

「速い……っ!?」

 

 

 

凛はその攻撃を間一髪のところでかわす。

しかし、僅かに刀の刃が顔を掠めたのだろう、頬に切り傷が入り、血が垂れる。

 

 

 

 

「ほぉ、さすが星空ちゃん。避けれるのね、この攻撃」

 

「あ、当たり前にゃ」

 

「ふーん、そう。でもさ、俺様の速さわかったでしょ?普通にやったら勝てないよ、星空ちゃん?」

 

「……」

 

「あらら、最もすぎて言葉も出ないか!そうかそうか!星空も落ちぶれたねぇ?」

 

「………」

 

「いやぁ、大将がそんなことじゃねぇ?星空の力量なんてたかがしれてるなぁ……」

 

「……甘いね、やっぱり」

 

「……?何か言ったか?降参の挨拶??」

 

 

 

「砂糖より甘い、って言ったの」

 

「………は?」

 

「あのさ、ここ敵陣なの分かってる?」

 

「……??」

 

「……凛が1人でいるわけないでしょ?」

 

 

 

 

その瞬間、複数の忍が木の上、或いは草むらの中から飛び出し、小太郎に飛びかかった。

 

 

 

 

「え、いや、ちょっと!?」

 

「敵陣に1人で乗り込んで来るなんて馬鹿だにゃ……。凛の近くには必ず誰か星空の忍がいるに決まってるでしょ。それくらい少し考えれば分かることだよ?」

 

 

小太郎はあっという間に取り押さえられた。逮捕である。

小太郎はただの馬鹿だったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「離してください」

「ダメ」

「お願いします」

 

「離してもいいけど……」

「けど?」

 

「離す代わりに処刑でいいならいいよ?」

「離さなくて結構です」

 

「え、いいの?」

 

「はい、ずっと捕らえていてください」

「気持ち悪いにゃ」

「ひどい」

 

 

「じゃあ、北条の目的は何?今更高坂に歯向かうなんて……意味わかんないよ?」

 

「……主君を討たれた者達の気持ちなど、お前らには分からないだろうな。俺様は決めたんだよ。必ずいつか、氏政様を討った高坂を殺してやろうってな」

 

「そう。敵討ちってやつ?」

 

「そうだ。氏政様の無念、必ずや晴らしてみせる」

 

「捕らえられてる身でよくそんなこと言えるにゃ……」

 

「捕らえられてる?よく言うね、星空ちゃん」

 

「はい?」

 

「逃がしてもらえないなら逃げるまでよ」

 

「いやいや、どうやって逃げるのさ」

 

「……俺を舐めるな」

 

 

小太郎のいつもと違う冷たい声。それと同時に、辺りを白煙が包む。

 

 

「煙玉っ!?」

 

「殿!!風魔が逃げてしまいます!!」

 

「で、でも前が見えないにゃ!!」

 

「くっそ、腕まで縛ったというのに……!」

 

 

 

 

煙が晴れ、視界が一気に広がる。その景色の中に小太郎はいなかった。

 

 

 

 

 

「逃げられた、か」

 

「無念……」

 

「まあいいにゃ。とりあえず、城に戻ろう。今回の北条はかなり手強そうだし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「何?氏政の敵討ち?」

 

「やっぱりかいな」

 

「北条も恨み深いのね」

 

「しかし、敵討ちとなるとかなり本気でかかってくるのでは……」

 

「でしょうね。気を引き締めて迎え討たなきゃいけないわ」

 

「それで?北条さんは今どこにいるの?」

 

「うーん、多分小田原城だと思うにゃ」

 

「小田原城!?」

 

「うん。北条勢をはっていたんだけど、音ノ木の方面じゃなくて、小田原の方面に向かってたから」

 

「ふーん、籠城戦をしたいわけやね」

 

「小田原城って誰か守ってた?」

 

「ううん、小田原城には誰も配置してないよ」

 

「どんだけ無防備なのよ」

 

「それじゃあもう奪われたも同然ね……」

 

「どうしよか。北条は籠城戦を知り尽くしてる。いくら戦力はこっちの方が上だって言うても、下手するとかなりの損失が出るで?」

 

「そうですね……。籠城の北条、秀吉ですら手を焼いた小田原攻めですから……」

 

「あ、海未ちゃんっ!」

 

「へ?」

 

「海未ちゃん、秀吉の小田原攻めって何?」

 

「秀吉って織田の木下?」

 

「織田が北条攻めなんてしたっけ?」

 

「海未ちゃん、まずいよ」

 

「そ、そうですね。口を滑らせました」

 

「はい、そんな事なんてどうでもいいから!どう攻めるか考えるわよ!」

 

「そうです、ちょっとした私の勘違いですから」

 

「ふーん、ならいいけど」

 

「絵里ちゃん救世主!」

 

「どうしましょうか。誰か案がある人いる?」

 

「……難しいで、小田原城は」

 

「そうね、ちょっと厳しいかも」

 

 

 

 

誰もが頭を抱えた。あの難攻不落の小田原城をいかにして攻めるか。かなりの難題である。

 

 

 

 

そんな中、ある1人は何かを確信したかのように、勝ちを悟ったかのように構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、私に策があります」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「いいか、お前ら。高坂は音ノ木坂にいる。高坂が小田原へ向かったと分かったら、俺様達は一気に音ノ木坂を攻める。分かったか!?」

 

「「オォッ!!!」」

 

「氏政様の敵……。必ず!!」

 

「小太郎様、勝算はあるのですか?」

 

「勿論。音ノ木坂には小泉と南しか残らない。あやつらは戦が下手だ。よって、兵力で劣っていようとも、我々風魔党にかかれば余裕のよっちゃんってわけよ!!」

 

「余裕のよっちゃん……??」

 

「いまこそ風魔党の本領発揮!!」

 

「余裕のよっちゃん……???」

 

「音ノ木坂を落とせれば、北条の勝ちも決まったも同然!!!」

 

「よ、余裕のよっちゃん……????」

「うるさいな、ボーイ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「海未?何かあるの?」

 

「ええ。小田原征伐の策が私にはあります」

 

「へぇ……。かなり自信ありそうじゃない」

 

「はい。勝算しかないです」

 

「お、言うやん」

 

「じゃあ聞かせてくれる?その策を」

 

「はい。それでは説明しますね」

 

「海未ちゃん、お願い!」

 

「まず、小田原城へそのまま攻め込んだとしたら、北条は大方ゲリラ戦を中心に長期戦へ持ち込むでしょう。高坂からしたら、長期戦ははっきり言って厄介です。なので、直接攻め入るような事はせずに……。攻め入る標的を変えます」

 

「攻め入る標的を変える……?」

 

「はい。今回攻めるのは、北条勢の“精神面”です」

 

「……は?どういうこと?」

 

「そうよ。精神を攻めても、兵力は減らないわよ?」

 

「いえ、減るんです。精神面を削れば、必ずや北条内部で崩壊が始まるんですよ。裏切りもあるでしょうし、自害する者が出てくるはずです」

 

「そうか……。そうすれば、直接攻め入るよりも、こちらの損失がかなり抑えられるわね!」

 

「しかも、長期戦になる可能性も低くなる」

 

「そうです。今の高坂にとって、これは適策と言っていいと思います」

 

「ええ、そうね。それで、どうやって攻めるわけ?」

 

「はい。まず、北条の現在の居城である八王子城を落とします。そこで、何人か斬り殺した者の首を落としておいてください」

 

「首を落とす?何の意味があるわけ?」

 

「それは後々説明します。必ず必要になるので、しっかり落としておいてください。そしたら、北条の動きを止める為に小田原城を水攻めにします」

 

「水攻め?」

 

「はい。水攻めにすることで、北条を小田原から出られないようにします。近くにある利根川を利用し、水攻めを行いたいと思います」

 

「ふーん、じゃあここは私の出番ね。船を持ってるのは西木野だけだし」

 

「私も真姫にお願いしようと思っていました。そうなると話は早いです。それで、水攻めの後、北条に八王子城で斬り殺した者の首をいくつか送りつけます」

 

「……は?首を送りつけるですって!?」

 

「う、海未ちゃん鬼や……」

 

「北条も生首を何個も送りつけられては平常心を保つことは難しいでしょう。それが、北条の仲間であれば尚更」

 

「惨いことするわね」

 

「それ位攻めなければなりません。そして、首が届いたのを確認したら、その日の夜のうちに小田原城付近石垣山に、一夜城を築きます」

 

「一夜城?」

 

「一晩で城を建てる作戦ね。夜が明け、目を覚ましたら目の前に見た事もない大きな城が出現するしている……。これはかなり堪えるわ」

 

「首が送られ、妻子が晒され、そしていきなり大きな城が出現したとなれば、北条の士気は大幅に下がり、精神は崩壊するでしょう。そうなればゲームセットです」

 

「……完璧ってことね」

 

「出来上がりすぎよ、全く」

 

「海未ちゃんがいるとやっぱり違うにこ!」

 

「ポンコツ2人だけじゃ、やっぱり心配やったし?」

 

「「誰がポンコツよ!!!!」」

 

 

「じゃあみんな、海未ちゃんの策で大丈夫?」

 

「「はい!」」

 

「よぉし!じゃあ小田原征伐だよ!!行ってみよぉーー!!!」

 

 

 

「「オォーー!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関東の覇者の小田原征伐が始まった。

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした〜
いかがでしたか?

イミワカンナイ?いつものことでしょう?いい加減慣れてください(殴
今回の策は、秀吉の小田原征伐そのまんまです(^ ^)
海未ちゃんは知ってました、頭いいんで。

それでは次回、高坂vs北条開戦です。よろしくお願いします。


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第54幕 覇者の余裕


こんばんは、ポッキーですよ、ええ。
久々の二夜連続投稿!!嬉しい?嬉しい??あ、嬉しくない。知ってます。

さて、今回のお話は??題名にある通り、コレが大変な事態を起こすかも……?それは私も知りません(謎

それではどうそごゆっくり。

前回感想をくださった
ウイングゼロさん
左京大夫さん
ありがとうございました!

※前回、小田原城を水攻めするとか書いたのですが、物理的に不可能であることが発覚しました。そのため、ちょっといじりましたので、ご了承ください。



 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなー!!準備は出来てるかぁあい!?」

 

「「オォーー!!!」」

 

 

こちら音ノ木坂城前。氏政の敵討ちと銘打って挙兵した北条軍を抹殺する為に、多くの皆様方が集結していた。

 

関東からは結城、佐竹。更に、噂を聞きつけた最上まで援軍を出していた。上杉さんは今回は不参加の模様。

 

 

集まった兵は、高坂、結城、佐竹、最上総勢30000。圧倒的戦力である。

 

 

「すみません、わざわざ援軍を出してもらって……」

 

「いや、我々結城は高坂の下に入った以上どんな戦にも援軍を出すつもりでいた。そんなかしこまるようなことではない」

 

「父上!!父上!!!高坂の伝説の司令塔・園田殿ですぞ!!死んだと目されていたんですが、不死鳥のごとく颯爽と高坂に再び現れた園田殿ですぞぉぉぉお!!!!」

 

「たわけ!!興奮するのもいい加減にしろ、義光!!!ワシらは遊びに来たのではないのだぞ!?」

 

「父上!!!何故この素晴らしさがわからぬのです!!伝説の司令塔・園田殿がぁぁぁあ!!!!」

 

 

義光はぶっ壊れているようです。

(義光は高坂マニア、現代でいうライバーの立ち位置である。※40幕参照)

 

 

「さ、佐竹殿、お、おお怒ってらっしゃるのですか……?」

 

「どうした、絢瀬殿。怒ってなどおらぬぞ」

「ひっ!!!」

 

佐竹さん、絢瀬さんに怖がられている様子。

なんせ、佐竹の顔立ちはまさに鬼、鬼、鬼。

角をつければ完璧な鬼である。

 

 

「そ、そう怖がるな……。拙者も悲しくなる」

 

「あ、し、失礼しました」

 

「はぁ……。何故このような顔なのだろうなぁ……。もっと男前に生まれたかった……」

 

 

どの時代でもイケメンに生まれたかったという願望は共通です。

 

 

 

 

 

 

「今回の布陣は真姫ちゃんに説明してもらうよ!」

 

「まず、先鋒・矢澤軍。小田原城へ直接向かって頂戴」

 

「ふふーん♪にこに任せなさい!」

 

「次!東條・結城・高坂(雪)軍は八王子城へ!しっかり頼むわよ!」

 

「うちにお任せやんな!」

 

「それから、私達西木野は水攻めする予定だったんだけど、小田原城を水攻めにするのはちょっと物理的に不可能って事がわかったから、海外から輸入したとっておきの大砲で小田原城を直接狙うわ」

 

「あれ、海未ちゃん。秀吉って水攻めしたんじゃなかったの?」

 

「いえ、私の記憶違いだったようです……」

 

「そして、残った皆で一夜城作戦を行うわ。いい?」

 

「「はい!!」」

 

 

「よしっ!説明も済んだことだし、さくっと北条さん倒しちゃうよ!!」

 

「「オォーー!!!」」

 

「くれぐれも油断しないように。相手は前の帝王よ。舐めてかかればあっという間にこちらが不利な状態に持ち込まれる。隙を見せちゃだめよ!!」

 

「「はい!!」」

 

 

 

「じゃあ北条征伐だよ!!みんな、いっくよぉぉお!!!!」

 

 

 

「「オォーーーーーー!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

高坂軍(約30000)が兵を挙げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

小田原城———

 

 

 

 

「氏照様!高坂が挙兵したとの情報が入りました!!」

 

「そうかそうか。誘いに乗ってくれたか」

 

「氏照様。今こそあの作戦を」

 

「兄上、そうしましょう。高坂は大方、我々は籠城戦に持ち込むと考えているはず」

 

「そうだな。北条といえば籠城戦……と言っても過言ではない」

 

「今こそ北条の底力を見せる時ですぞ、殿」

 

「籠城だけが北条ではないって所……見せつけてやりましょうぞ!!」

 

 

 

「よし、皆の者、よく聞け!!これより、北条は高坂征伐を開始する!!」

 

「「オォーー!!!!」」

 

 

 

「我々には“とっておき”の策がある故、負けることなど断じてない!!」

 

「敵が多いからといって怯むな!!今こそ、帝王の意地を見せるときだ!!!」

 

「氏政様の敵、必ずやとるぞ!!!」

 

 

「狙うは高坂穂乃果の首ただ1つ!!!行くぞ皆の者!!!!!」

 

「「「オォーーーーーー!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北条軍(約10000)が高坂を迎え討つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

石垣山———

 

 

 

こちら、一夜城作戦が行われる石垣山。

小田原城の本丸がしっかり見える辺りに、本陣を敷いていた。そして、石垣山は約25000の高坂の兵で埋め尽くされている。

 

 

 

「……静かだね」

 

「当たり前よ。北条は籠城戦に持ち込みたいわけだから、城の中にいるでしょうし」

 

「ですが、妙に静かですね」

 

「戦前だし?」

 

「まぁ、とりあえずにこの情報を待ちましょう。相手の出方を探るのも先鋒隊の重要な役目だったりするしね」

 

 

矢澤軍は小田原城に接近し、北条の出方を伺っている様子。

 

 

「さてと……。後は希達が八王子城を落として、首がこっちに送られてくるのを待つだけね」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

八王子城——

 

 

 

「いやぁ、ついたついた!」

 

「距離が短いと移動が楽でいいですね!」

 

「そうだな、しかし、ここからが本番だぞ」

 

「せやな、結城殿の言うとうりや」

 

「この城を落とすのが私達の役目ですもんね」

 

「うん。しっかりやろうな、雪穂ちゃん!」

 

「はい!」

 

「今、こちらの兵は約5000。これくらいあれば正面衝突でも十分落とせると思うぞ」

 

「じゃあ正面からいったろか!」

 

「正面衝突って意外と楽しいですからね」

 

「よし、なら決まりだな。おい!!皆の者!!

八王子城の門を蹴破れ!!!」

 

 

「「オォーー!!」」

 

 

 

 

晴信の指示により、何十人の兵が門へ突撃していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がしかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その門は突撃するまでもなく、1人の兵が少し体当たりした程度で、開いた。

 

 

 

 

 

「……はい?」

 

「鍵がかかっとらんかったんか」

 

「予想外だな」

 

「と、殿。鍵がかかってません」

 

「見れば分かる」

 

「とりあえず、中へ入ってみよか。何かの罠かもしれんし、慎重に行くで」

 

 

希の指示で、ゾロゾロと足軽達が八王子城内へと足を踏み入れる。

 

 

 

 

 

罠を警戒した希達であったが、何事もなく本丸の方へ辿り着いてしまった。

 

 

 

 

 

 

「はて、いったいどういうことやろか」

 

「このまま攻めちゃいます?」

 

「いや、止めておけ。人の気配が全くない」

 

「あー……。言われてみれば……」

 

「確かに人の気配がしないかも」

 

「……全員出て行ったというのか」

 

「それしか考えられないですよね」

 

「だとすると、生首作戦出来ひんやん!」

 

 

生首作戦、なんと恐ろしい作戦だろう。

 

 

 

「残念だが、ここは引き返すしかないだろう。高坂の皆に伝えておこう」

 

「そうですね……。その後はそれから考えましょう」

 

「じゃあ引き返そうか。小田原へ向かおう」

 

 

 

 

 

 

 

生首勢、まさかの八王子城が空っぽという事態に出くわし、作戦実行不可能。あえなく引き返すこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ては北条の手のひらの上である。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

矢澤軍———

 

 

 

「殿、特に変わった様子はないです」

 

「ふーん、そう。やっぱり北条は籠城戦に持ち込みたいわけねぇ……」

 

「まぁ、北条は籠城が得意ですし」

 

「でもさ、つまんなくない?やっぱり正面衝突の本気のぶつかり合いっていうのが一番楽しいのに……。あーあ、期待ハズレもいいとこよ」

 

「本当、殿は正面衝突がお好きですな」

 

「当たり前よ!地力が試されるあの感じがたまらないのよね〜♪」

 

 

矢澤軍(約2500)にこを中心に、北条の偵察に来ていたのだが、北条が城に篭っていると判断。

戦中だというのに、矢澤軍には和やかムードが漂っていた。これも関東の覇者の余裕なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。いかなる時も、敵に余裕を見せてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「期待ハズレ……ねぇ。随分言ってくれるじゃん?矢澤さん!」

 

 

矢澤軍が布陣する西側から声が聞こえた。

にこはしっかり反応する。

 

 

「何奴!!!」

 

 

「……北条を舐めない方がいいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!?」

 

その瞬間、にこは謎の寒気を感じた。全身が凍えてしまうかのような冷たさであった。

 

 

「と、殿!!あれは……」

 

「……かなり、まずいわね、コレ」

 

 

 

 

その寒気の正体。その発生場所。にこは分かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、皆さん、ひと暴れしちゃいますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朽葉色に染まった軍旗を掲げた最強部隊が、始動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第54幕 覇者の余裕

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
いかがでしたか?

さぁさぁ、北条さん強敵の予感。高坂はもう油断しまくってますよ、ええ。籠城戦?さあ?そんなこと、北条の誰が言ったのでしょうね?高坂の“予測”に過ぎないわけですよ〜?

帝王の本気は大変です。
次回、大事件が起こるかもしれない、いや起こるとは言ってない。

高坂の最強部隊・YAZAWA対北条の最強部隊・黄備え。どちらが勝つのでしょうね、お楽しみに。


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第55幕 窮地

どうもどうも、ポッキーですよ、ええ。
お元気ですかね?

今回はあれですね、窮地ですよ、うん。
今回で高坂が負けますね。うん、嘘です()

相変わらずわけわかんないので、理解してください。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
左京大夫さん
ありがとうございました!



 

 

 

「殿、いかがなさいますか」

 

「いかがするもなにも……。やるしかないでしょ?」

 

「しかし、相手はあの北条綱成。変にぶつかろうものなら、我々はあっという間に……」

 

「ったくうるさいわね!!矢澤軍の兵ともあろう者が弱気すぎるのよ!!」

 

「しかし!!」

 

「あんたね、にこ達は戦国最強の騎馬隊よ?あの武田にも勝ったのよ?何を今更怖れる必要があるわけ!?」

 

「黄備えの強さはそこら辺の比ではありませんぞ!?」

 

「だから面白いんでしょうよ。あんたもまだまだね」

 

「は、はぁ?」

 

「強い部隊と一騎打ち出来るのよ?それより面白いことなんてないじゃない」

 

「意味が分かりません」

 

「何?じゃ、あんたは本陣に戻る?にこはそれでもいいわよ?」

 

「……では、せめて援軍を要請しましょう、お願いします、殿」

 

「出来ない」

 

「何故ですか」

 

 

 

「あの子達をこんな危険な敵と戦わせるわけにはいかない」

 

 

 

「………は?」

 

「相手の一番強い部隊と戦って勝つのが、高坂最強の先鋒隊のにこ達の役目。そして、高坂のみんなを守るのもにこ達の役目。……それなのに、ここで援軍なんて要請したら矢澤軍のいる意味、なくなるわよ」

 

「矢澤軍がいる意味、ですか」

 

「高坂最強部隊の誇りよ。あんたもこの矢澤軍の兵なら、それくらい考えなさい」

 

「……危険だと思ったらすぐに援軍を要請しに行きますからね」

 

「あんたもしつこいわね。大丈夫よ、そんなことにはさせないから」

 

 

 

 

戦闘態勢。

にこの目は、燃え滾っていた。最強部隊を倒す為に。

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第55幕 窮地

 

 

 

 

 

 

「相手は矢澤にこ。高坂で一番の猛将なり……。ってことで、一筋縄でいく相手じゃない」

 

「そうですね。“高坂の矢澤軍”をこの日の本に知らない者はいないくらい有名な部隊。その名に見合った……いえ、それ以上の武力を持った部隊です」

 

 

「いいか、皆の者!これは氏政様の敵討ちでもあるが、関東の最強部隊はどちらかを決める戦いでもある!!いつまでも関東最強の軍は矢澤にさせておくわけにはならん!!北条最強・黄備えの誇りにかけて、必ず勝つ!!!」

 

「「オォーー!!!」」

 

「この勝負の結果次第で、北条が高坂に勝つか負けるか、決まる可能性が高いぞ。いいな、皆の者。決して臆するな!!」

 

「「オォッ!!!」」

 

 

「時は満ちた……。全軍突撃じゃぁぁぁあ!!!!」

 

 

「「ワァァァァア!!!!!」」

 

 

北条最強・黄備えが遂に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、みんな。行くわよ」

 

「「オォッ!!」」

 

「引いたら負け、いい?どんな時も攻めなさい。それが矢澤の戦い方よ」

 

「攻撃こそ最大の防御とはよく言ったものですな」

 

「……ってことで、今回はにこが先頭に立って戦うわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

「なによ」

 

「いやいや、殿が先頭?」

 

「何か問題あるわけ?」

「大問題です」

「ぬぅあんでよ」

 

「殿は後ろで待機を」

 

「嫌よ」

「ダメです」

 

「今回は先頭でやりたいの。ね?お願い」

「ダメです」

 

「………」

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねがぁい!!」

「気持ちが悪いです」

「斬り殺すわよ?」

 

 

「もし殿が先頭で戦って、死んだなんてなったらどうするですか。我々が貴女を守らねばならぬのです。その様な勝手な行動は……」

 

「……死ぬとか死なないとか、今はそんなのどうでもいいでしょ」

 

「はい?」

 

「今、あんたが守らなきゃいけないのはにこじゃない。にこ達は高坂を守らなきゃいけないの。それはあんたも同じよ。もし仮にここでにこ達が負けてみなさい?高坂は終わりよ?にこはね、自分が死んでも高坂家が戦に勝てばいいと思ってる」

 

「そんなに背負っているのですか」

 

「当たり前じゃない。一応高坂最強部隊よ?」

 

「ま、まぁ」

 

「今、にこ達は攻めの姿勢を見せなきゃいけないの。だからその示しとして矢澤総大将であるにこが先頭で黄備えに突撃する。それがこの戦で勝つための鍵となるはずよ」

 

「どうしても、そうしなければならないのですか?」

 

「ええ」

 

「……そうですか。なら私はもう止めませんよ」

 

「そ。あんたもにこについて来なさいよ」

 

「ええ。私にだって最強部隊の誇りはありますから」

 

 

 

 

 

矢澤軍、総大将を先頭に黄備えとの激突が決定。

背水の陣である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワァァァァァァァァァ!!!!!

 

 

 

「何!?矢澤にこが先頭だって!?」

 

「総大将が先頭とは……。馬鹿にもほどがある」

 

「いや、それくらい必死だということだ。我々もそれ位……いや、それ以上攻めねばならぬ」

 

「殿……」

 

「よし、我らも行くぞ。我々も第一線で戦うのだ。それが矢澤殿への誠意ともなる」

 

「「ハッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬるい」

 

 

戦場では、鮮血があちこちに散らばっていた。

これは全てにこによって斬り殺された黄備えの兵のモノである。

 

 

「氏政様のかたきぃぃいい!!!」

 

「……遅いって言ってるでしょ?」

 

赤く染まったにこの刀が再び一直線の軌道を描く。

 

「……ぅぁっ」

 

血が噴き出し、その兵はその場に崩れ落ちた。

 

 

 

「雑魚ばっかりね……。ただ数が多いだけか」

 

 

 

見ての通り、黄備えvs矢澤軍は矢澤軍の圧倒的優勢。戦場に横たわっている人々は皆、朽葉色の旗を背中にさしていた。

 

 

 

 

「殿、こちらはほとんど片付きましたぞ」

 

「こっちもばっちりよ。肩慣らしにもならないわよ、これ」

 

「そうですな……。しかし、未だ総大将の北条綱成殿の姿が見えていない故、気を抜くのは早いですぞ」

 

「誰も気なんか抜いてないわよ。……んまぁ、弱すぎて眠くなってきたけど」

 

「ゆるゆるじゃないですか」

 

「こういう時はにこにこにーをして、元気になるにこ♡」

「お断りします」

「ナニソレイミワカンナイ」

 

 

戦場で漫才とは……矢澤軍、余裕のよっちゃんといったところか。

 

しかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隙ありッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び鮮血が噴き出す。

……ん?何回鮮血が噴き出せばいいんだ?戦場なんでここ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嘘、何故……っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斬られたのは、北条の兵だった。

 

 

 

「隙なんてないわよ。ってかあんたが隙だらけよ」

 

「無念………」

 

「背後から斬りつけようとは……。考えが甘いですな、こやつは」

矢澤の筆頭家臣が斬られた兵を見下ろして言う。

 

 

「そろそろ綱成が来てもいいんじゃないかしら?もう飽きてきたんだけど」

 

「奇遇ですね、私もです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暇を持て余す矢澤の皆さん。

 

 

 

そして、ようやくにこ達の目の前に“倒すべき敵”が現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってくれるね、矢澤さんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

北条綱成がようやく刀を持った。

 

「北条綱成……」

 

「ようやく来たわね。待ちくたびれたわよ」

 

「我々の兵達じゃ肩慣らしにもならんか」

 

「ええ」

 

「そうかそうか。それでこそ倒し甲斐があるってもんだ」

 

「ふーん、ようやく本気ってわけね」

 

「いつでも本気だ」

 

「よく言うわよ」

 

 

 

 

綱成の他にも続々とゴリラ、もとい屈強な男共が刀やら槍をもって現れる。

ゴリラに凶器を持たせてはいけません。

 

 

 

 

 

「さぁて、矢澤潰しといきますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

高坂本陣——

 

 

 

 

こちら高坂本陣。矢澤にこにーが最強部隊と戦をしている中、彼女達はそんなことはつゆ知らずのんびりと希達を待ちつつ、真姫が外国から取り寄せた望遠鏡で小田原城の様子を見ていた。

 

 

 

 

 

「うーん、動きはないね」

 

「そうねぇ……。にこも戻ってこないし……」

 

「希ちゃん達もまだにゃ」

 

「何かあったのでしょうか……」

 

 

嫌な雰囲気が高坂を包む。

 

 

 

 

「……?なんだろう、アレ」

 

「ん?どうかしましたか、穂乃果」

 

望遠鏡を覗いていた穂乃果さん。何かを見つけた模様。

 

 

「あれだよ、あれ」

 

「どれですか」

 

「砂けむりが凄い……。……戦?」

 

「はい?」

 

「戦ですって?」

 

「うん。ちょっと覗いてみてよ」

 

 

絵里が望遠鏡を覗く。

 

 

そして、その望遠鏡が映し出した光景に、絵里は驚愕した。

 

 

 

 

「ちょっと待って。あれって北条の黄備えじゃない!?」

 

「き、きぞなえ?」

 

「何で黄備えが出陣しているわけ……?」

 

「黄備えとは確か、北条の最強部隊だったはずです」

 

「へー……ってそれ本当?」

 

「はい」

 

 

 

「申し上げます!!!!」

 

そこに、伝令役がかなり焦った表情を浮かべ、本陣へと情報をもたらした。

 

 

「どうかしたの!?」

 

「矢澤軍、北条綱成軍と対戦し、現在かなり危険な模様!!!」

 

「なっ……」

 

「にこちゃんが……?」

 

「……かなりまずいわね、これ」

 

「いかがなさいますか!!」

 

「黄備えが出陣してた理由はこれだったのね……!!」

 

「助けに行きましょう」

 

「うん、行こう!」

 

「でも迂闊に山をおりるわけにも……」

 

「にこちゃんを見殺しにするわけにはいかないよ」

 

「そうにゃ。助けに行こう」

 

「この際、作戦なんてどうでもいいです。今はにこを助けることを最優先に」

 

「……そうね。にこに死んでもらっちゃ困るし」

 

「よし、みんな!!今からにこちゃんを……」

 

 

 

 

 

 

「も、申し上げます!!!」

 

 

 

 

 

 

穂乃果の掛け声に伝令役の叫び声が割って入る。

 

 

 

「今度はどうしたの!!」

 

「割って入られた……」

「そこですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「石垣山、背後より風魔党が接近中!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……は」

 

「ちょ、ちょっと待って。風魔党!?」

 

「何でここに布陣してるって分かったのですか!?」

 

「ま、まずいよ、これ!!」

 

 

高坂本陣に衝撃が走る。

ここであの男がやってくるのか。

 

 

 

「と、とりあえず、山からおりましょう」

 

「そうですね、にこを助けに行かなければならないですし」

 

「みんな!!下山準備!!急いで!!」

 

「「はい!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったくよぉ……。逃げ足速いな、高坂の皆さんは」

 

 

小太郎が高坂本陣にたどり着いた時には、そこは既にもぬけの空であった。

 

 

「んま、いいかな。俺様の役目は高坂を山から追い出すことだし?」

 

 

そう言って、小太郎はニヤリと笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで高坂もお終い……ってか?ええ?」

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

はて、高坂の終わりとは一体どういうことでしょうねえ?
KOSAKA NO OWARIうん、どっかで聞いたことあるね(殴

北条の作戦とは何なのでしょうかね。それは次回ということで。

それではまた次回もよろしくお願いします^^


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第56幕 五色備え


お久しぶりですポッキーです。
いやぁ、テストが近いもので!更新できないのも頷ける!(殴
大変申し訳ありません……許してください。

今回もタイトル通り。五色備え勢ぞろいです。
そして、更新出来なかったお詫びといってはなんですが、今回は少し長め!嬉しいでしょ?歓喜でしょ?あ、だるい。知ってます()

それではみなさん、ごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
左京大夫さん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

「っ……!!」

 

 

 

 

「お前さんよぉ……。舐めてんのか?」

 

「誰がっ……!」

 

「これで関東最強、武田に勝った、日の本ー……。実に滑稽な話だな」

 

  綱成が既にボロボロのにこを蹴っ飛ばす。

「くぁ………っ!?」

 

「残念だったよ。もう少しやれるヤツだと思っていたが……。結局、お前もそこら辺の雑魚と一緒ってわけだ」

 

「……ぅるさっ」

 

「声を出すのもやっとか。目も虚ろ。刀は某に折られ、武器はもうない。……もう終わったんだよ、お前は」

 

「まだ……!!」

 

 

 

 

「終わりって言ってるだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

  綱成は、刀を構え、振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第56幕 五色備え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  銃声が、その戦場に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤い液体が宙を舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ぇ?」

 

「……な、何奴ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ったく世話がかかるお姉様だこと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 綱成は右腕を綺麗に撃ち抜かれていた。利き手をやられてはまともに戦うことは難しい。

 

 

「殿!?」

 

「大丈夫ですか!!殿!!」

 

「痛むが大丈夫だ。それよりも……」

 

「厄介なのがまた、増えましたな」

 

「あぁ。面倒なことになりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まきちゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けに来たわよ、にこちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠方より、綱成を撃ったのは真姫であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「絵里!!この後どうしましょう!?」

 

「海未!!私だって聞きたいわよ!!」

 

「最上殿!!何か策はないですか!?」

 

 

「ないです☆」

 

「「最上ィィィィィィィィイイイイイイッ!!!!!!!」」

 

 

 こちら、石垣山を猛スピードで駆けおりる高坂本陣。約20,000の兵達が一斉に山を下る。それはもう大変で、山が崩れてしまうのではないかとも思えた。

 

 

 

「本当にどうするのよ!!?このままじゃ何の策もないまま戦場に繰り出すことになるわよ!?」

 

「そんなこと分かってます!!!」

 

「これはもう突撃するしか!!!」

 

「しかし!!」

 

「兵力はこっちの方が上よ!!だったらそれしかないかもしれないわ!!」

 

「しかし!!籠城戦なのでは!!?」

 

「それなら大丈夫にゃ!」

 

「「凛!?」」

 

「さっき、西木野軍から連絡があって、大砲を持ってこっちに着いたって!」

 

「た、大砲……」

 

「成る程!それで小田原をふっ飛ばせば!!」

 

「ええ!!行けるかもしれません!!」

 

 

 作戦変更。北条が籠城していると考えている高坂軍は、大砲とかいう海外の最強兵器に頼ることに決定した。

 

 北条が籠城をしていれば、この策は有効であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 籠城をしていれば。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「いい!?相手の兵、全て撃ち払いなさい!!」

 

「「オォォォオ!!!」」

 

 

 その戦場では、先ほどよりも多くの銃声が鳴り響いていた。無数の鉄玉がとんでもない速さで発射される。こればっかりはさすがの黄備えといえども苦戦していた。

 

 

「殿、ここは一旦引きましょう」

 

「いや、他の部隊に出てきてもらおう。そっちの方がいいはずだ」

 

「しかし、それでは作戦が……」

 

「それは問題ない。風魔から、高坂本隊を石垣山から追い払ったという情報が入っている。もうじきこっちに降りてくるだろう」

 

「そうなんですか。それでは援軍要請の方が都合がいいですね……。全ての部隊に出てきてもらいますか?」

 

「いや、五色だけでいい。今はそれで十分であろう」

 

「御意」

 

 

「……命拾いしたな、矢澤よ」

 

 

 綱成はそう呟き、本陣へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく……無茶しすぎなのよ」

 

「……うるさい」

 

「貴女ねぇ、相手はあの黄備えでしょ?それをにこちゃんの軍だけでなんて無謀よ」

 

「ば、馬鹿にしないで」

 

「馬鹿になんかしてないわよ。私は矢澤軍が戦国最強だと思ってるし」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

「でも、それとこれとは別。実際、にこちゃんもうボロボロじゃない」

 

「…………」

 

 そのにこの姿は、見るも無惨であった。

 致命傷は無いものの、鎧は所々壊れ、顔には切り傷や殴られて青くなった箇所が多数。

 足からも流血しており、しっかり立つのもやっとの状態である。

 

 

 

「ま、今回のにこちゃんの戦はここまでね」

 

「……は?何言ってるのよ、アンタ」

 

「はぁ?まさかにこちゃん、まだ戦に出ようとか思ってる?」

 

「当たり前でしょ。矢澤は戦国最……」

「ふざけるのもいい加減にしなさい」

 

 真姫の、いつもとは違う声がにこに刺さる。

 

「今、にこちゃんが戦場に出て行って何が出来る?貴女立ってるのもやっとでしょ?」

 

「……そんなこと」

 

「あるわよね。立てないのにどうやって戦うの?」

 

「………」

 

「大丈夫。にこちゃんがいないのは確かに痛いけど……でも、多くの武将達が援軍に来てくれてるじゃない」

 

「……にこは」

 

「?」

 

「にこはまだ……何にもしてない」

 

「はぁ?」

 

「この戦、高坂に何にも貢献してないって言ってるの」

 

「……本気で言ってる?」

 

「当たり前じゃない。まだにこはにこの役目を……」

 

「だから馬鹿って言われるのよ」

 

「何でよ」

 

「ほら、ツッコミにもキレがないし」

 

「……それとこれとは別でしょ」

 

「それで……もし、にこちゃんが自分の役目をまだ果たせてないって思ってるならそれは違うわよ」

 

「は?あんた何を言って……」

 

「黄備えに勝てなかったから、矢澤軍としての役目は果たしていない……。どうせそう思ってるんでしょ?」

 

「……それは否定しないけど」

 

「じゃあ今すぐその意味分かんない考えを正しなさい。にこちゃんはもう十分役目を果たしたわ」

 

「意味分かんない……こっちの方が意味分かんないわよ」

 

「にこちゃんは、高坂で一番武力があるからその分期待もされる。それと、にこちゃんの自信過剰な所。それがにこちゃんに色々と背負わせちゃってる。確かに大きなモノを背負う人は強いわ。でもね、背負いすぎると……人は駄目になるの」

 

「……自信過剰」

 

「相手がそこら辺の武将なら別よ?でも、今回の敵は黄備え・北条綱成。強敵との対峙は何が起こるか分からない……。それはにこちゃんが一番よく分かってるじゃない」

 

「………」

 

「私たちが、3回も戦国最強と言われた武田信玄に勝ってることと同じ。いくら戦国最強でも負ける時は負けるの。っていうか今回にこちゃんに求めてたのは黄備えに勝つことじゃないしね」

 

「……は、はぁ?」

 

「だってそうじゃない?突然あの黄備えと戦うのよ?どう考えたって勝ち目なんてないわよ。っていうかにこちゃん達は大健闘よ。ゲリラ黄備えをほぼ壊滅にもっていったのよ?綱成と他の取り巻きが強すぎてそんな風には思えなかったかもしれないけど……。黄備えの兵力は今、30もないわよ」

 

「だったら尚更倒さなきゃいけなかったじゃない」

 

「まあ、倒してくれるのに越したことはないんだけど……」

 

「ほら」

 

「それでも、30ってなると黄備えは今後の戦に参加出来ない可能性が高い。ってことは、かなり高坂が有利になるってわけ!分かった?」

 

 ずいっと真姫がにこに顔を寄せる。“分かった”と無理矢理言わせるつもりのようだ。

 

「わ、分かったわよ!!」

 

「よく出来ました♪」

「にこを何だと思ってるの?あんた」

「面倒な女」

「最低だわ、あんた」

 

「ともかく、にこちゃんは十分やってくれたから、戦は私たちに任せて本陣で休むこと。いい?」

 

「分かったって。頼んだわよ」

 

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「申し上げます!!綱成軍より、援軍の要請が来ております!!」

 

「何。綱成が苦戦しておるとな」

 

「相手は矢澤だったか」

 

「ああ。さすがは矢澤と言ったところだな」

 

「じゃあ皆さん、行っちゃいますか!」

 

「そうするか」

 

 

 4人の男達が腰を上げた。

 赤・青・黒・白の旗が戦場へと出陣する。北条五色備えの勢ぞろいであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、矢澤・綱成両軍の死者が転がった戦場には形容し難い程の大きな轟音と共に、震度4くらいの揺れが起こっていた。

 

 これらは全て高坂本隊が石垣山を転げ走って降りてきているのが原因である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいぃぃぃいいやぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!」

 

「ほ、穂乃果!!!?」

 

 

「ぅえりちゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!ーーーーーーーーーーーー」

 

 

 

「う、海未。今の見た?」

 

「は、はい。しっかりと」

 

「何が起こった?」

 

「理解し難いことが起こった気がします」

 

「何かが転げ落ちて行ったわよね」

 

「はい。凄い勢いで、絶叫しながら」

 

「…………」

 

「…………」

 

「あの子、大丈夫かしら」

 

「死んでるかもしれません」

 

「洒落にならないわよ、それ」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「義光ッ!!!!!!!」

 

「父上えええええぇぇぇぇぇ!!!!!!ーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」

 

「「!!!?」」

 

 再び、背後から絶叫。海未と絵里は心底驚いた表情で振り返る。

 

 

 刹那。

 

 

 

「絢瀬殿おおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!ーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

「……デジャブ?」

 

「ですね」

 

「今、何か転げ落ちて行ったわよね、二回目だけど」

 

「はい。凄い勢いで、絶叫しながら、二回目ですが」

 

「………」

 

「………」

 

「大丈夫かしら」

 

「死んでるかもしれません」

 

「……まぁ義光殿ならいいわね」

 

「はい。少々鬱陶しいお方でしたからね」

 

「……というかもう平地ね」

 

「ようやく山を抜けましたね」

 

「……で?あの子達は?」

 

「……見渡す限りはどこにも」

 

「絢瀬殿!園田殿!」

 

「あ、はい」

 

「どうかしましたか?最上殿」

 

「義光を見なかったか!?」

 

「あー……」

 

「物凄い勢いで転がっていきましたよ」

 

「やはりか……。で、どこに行ったか分かるか?」

 

「いえ、残念ながら」

 

「そうか……」

 

「私たちも穂乃果を探していますので、一緒に探しましょうか」

 

「そうですな」

 

「まったく……世話のかかる御屋形様だこと」

 

「穂乃果ですから」

 

 

 

 

 高坂本隊は、戦をそっちのけで穂乃果・義光の捜索に入った。大丈夫なのか、これ。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 北条綱成本陣———

 

 

「おぉ、綱成」

 

「無事でしたか?」

 

「ちょっと右腕をやられたが、後は無事だ」

 

「右腕をやられては、戦は難しいですな」

 

「そうですね……。最強さんがいなくなるのは痛いなぁ……」

 

「すまぬ、お主らを緊急出動させるつもりはなかったのだが……」

 

「気にしなさんな。我々、かなり暇を持て余していた所であった」

 

「そうそう。というかまず、綱成殿に全て武功を持っていかれる訳にはいかんしな」

 

「まったくだ」

 

「それで?綱成は見てるのか」

 

「そうさせていただく。今、某が戦に出ても足でまといだからな」

 

「承知した。それでは我々は行くとするか……」

 

「元忠、策はあれでいいのか?」

 

「ええ。アレで大丈夫だろう。高坂の背後には小太郎も控えておるし、氏照様も、綱成殿の息子もおるしな」

 

「そうと決まれば?やるしかないっしょ!」

 

「政家……その言葉遣いはなんとかならんのか」

 

「ならん!」

 

「なんてやつだ……」

 

「おい、政家などに構ってはおれんぞ。さっさと自分の軍の元へいかんか」

 

「分かってますよ、鬼軍曹」

 

「綱高にぴったりじゃな、鬼軍曹」

 

「ほざいとらんでさっさと行かんか!!」

 

「分かった、分かったから」

 

「さっさと仕事しますかね」

 

「暴れてやんぞぉお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……五色備えは本当、個性が強い者しかおらんな」

 

「まったくだ……。もっと普通の人間が欲しかったわ」

 

「綱高殿も十分異常者だけどな」

 

「綱成もだろうが」

 

「否定はしない」

 

「……さて、高坂ももうそろそろ終わりだな」

 

「ああ。念願の敵討ちってわけだ」

 

「よし、北条が関東の覇者に返り咲く為にも、ひと暴れしてくるかな」

 

「頼んだ」

 

「あい分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「穂乃果!!」

 

「……んぁ、海未ちゃん」

 

「何をしてるんですか!!」

 

「見れば分かるでしょー?転げ落ちて、体を思いっきり打ち付けちゃったからのびてるの」

 

「意味がわかりません」

 

「いててて……本当、災難だよぉ」

 

「ほら、早く立ってください?」

  海未が手を差し出す。

 

「よいしょっと……。海未ちゃん、ありがと!」

 

「はぁ……。世話の焼ける殿様してますね」

 

「あはは……だって穂乃果だし?」

 

「戦国に来てもこういう所はやっぱり変わらないのですか……。悲しいですよ、穂乃果」

 

「何でっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらら……」

 

「義光……」

 

 絵里と義守の目の前には、白目を剥き、よだれを垂らしてのびてしまっている義光があった。

 

 

「義光よ……父は悲しいぞ」

 

「完全に召されちゃってますね」

 

 絵里と義守、2人でぺちぺちと義光の頬を叩く。

 だが、返事はない。ただの義光のようだ。

 

 

「どうします?これ」

 

「仕方ない……。これは拙者が持って帰ります」

 

「いや、持って帰るのは当たり前なんですが」

 

「とりあえず、最上の陣で寝かせておきます。我々は戦に出なければならない故」

 

「そうですか。それでは頼みました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、穂乃果」

 

「絵里ちゃん!」

 

「見つかったのね、海未」

 

「はい。何とか」

 

「じゃあ、まずは陣を敷かなきゃダメね……。山中の陣は使えないし」

 

「そうですね。どうしましょうか」

 

「うーん、出来れば見晴らしの良い所が良いんだけど……」

 

 

 

 

 と、高坂軍。陣を敷く場所を捜索開始。

 

 

 しかし、現在高坂約2万の兵が陣が無いためその場所であたふたしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 北条からしたら、完全な攻め時である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「かかれぇぇぇぇえ!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東西南北。高坂軍を囲むように、赤・青・白・黒備えの大群が飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……!?」

 

「うぇ……?」

 

「参りましたな……」

 

「北条の総攻撃……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 北条の命運をかけた一斉攻撃が始まった。

 

 





お疲れ様でした。
……高坂ピンチですね。さて、彼女達はどうやってこの状況を打破するのか。お楽しみですな。
珍しく、この北条戦、最後まで構成を練って書いてます。褒めてください(殴
次回、意外な人物が登場します。お楽しみに。


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第57幕 形勢逆転

どうも、ポッキーです。
この北条戦は結構ちゃんと書いている気がする今日この頃。
今回もちゃんと書いていきましょうかね。

今回のお話は、タイトル詐欺かもしれない……(←
意外な人物が登場しますよ。この方が戦の行方を左右します。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
左京大夫さん
いつもありがとうございます!



 

 

 

 

 

「え、絵里!!こ、これはまずいです!!」

「分かってる!!」

「いかがいたす……!!?」

「佐竹殿!!お主のその顔で威嚇してくれぇい!!」

「何阿保なことをぬかしておるのじゃ!!もう少し真面目に考えよ!!」

「あわわわわ……!!」

 

 

 

 

 

「みんな!!もうこれはやるしかないわよ!!」

「ほ、本気ですか!?」

「相手は五色備えですぞ!?」

「じゃあ他に何かあるわけ!!?」

「ない、な」

「いい!!?全軍、戦闘態勢に入って!!」

「「ハッ!!」」

 

 

 

 

 高坂本隊、大パニックである。

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第57幕 形勢逆転

 

 

 

 

 

 

「……ちょ、真姫ちゃん」

「んー?どうかした?」

「あれ、あれ見て」

「……あれ?」

 

 

 こちら西木野軍本陣。

 にこが何かを見つけた模様で、真姫はにこが指指す先を見る。

 

 

「……なにあれ」

「なにあれって……。五色備えよ!!」

「五色備え……?何でまた」

「石垣山麓で五色備えの一斉攻撃……」

「……!?」

 

 

 

 真姫は全てを理解したのであろう。彼女の顔はどんどん青ざめていく。

 そして、すぐさま武器を手に取り兜を被った。

 

 

「にこちゃんはここで大人しくしてること。いいわね?」

「分かってるわよ」

「……それじゃ」

「ええ。みんなのこと、頼んだわよ」

 真姫は強く頷き、戦場へと繰り出した。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「いいぞぉ!!もっとやれぇ!!」

 

「政家!!お主は少し静まらんか!!」

「まぁまぁ、鬼軍曹、そう怒りなさんな!」

「康勝……お主、斬られたいのかぁ!?」

「あーあー、ご無礼いたした!冗談です、冗談。綱高さんすんごい男前でござるぞ」

「……お主に言われるといい気はしないな」

「はいはい、漫才などしとらんで戦況をしっかり見たまえ。今、我々が押しているのだぞ?」

「漫才などしとらんわ!!」

 

 

 

「さて!!まず手始めに、拙者が出陣するぞ!!」

「お、満を持していくか、政家殿」

「もっちろん!高坂なんぞ、青備えだけで十分よ!」

「そうかそうか。結構なことだ」

「よっしゃ!いっちょ暴れてくるぜええぇぇぇぇ!!!!!」

 政家が本陣を嵐のように出て行った。

 

 

 

 

「ったく、あやつはもう少し静かに出来ぬのか……」

「若者じゃからの。あれ位が丁度いい」

「ここは、勢いしかない政家の戦い方を楽しむとしようか」

「うむ。それもそうじゃな」

 

 

 

 さて、青備えのお手並み拝見である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃっはぁぁぁぁあ!!!!!!!」

 政家の奇声が戦場に響き渡る。政家は戦場に繰り出す際、この様な馬鹿でかい声を出し、自らを鼓舞するという。

 

 

 無論、この奇声は高坂本陣(仮)まで聞こえていた。

 

 

「!?!?」

「な、何事ですかっ!?」

「ふ、ふなっしー!?」

「ふ、ふなっしー……?」

「ふなっしーだよ、海未ちゃん!!」

「何わけの分からないことを言っているのですか!!」

「猿でも出たのか!!」

「阿保!!猿がかような馬鹿デカイ声をだすわけなかろう!!」

 

 

 

 

「大変にございますッ!!」

「次は何!?」

「青備え総大将・富永政家が出陣!!それにより、高坂の兵が見る間に斬られ、討ち死にする者が多数!!20000あった兵は現在、10000と少ししかおりません!!!」

「………!?」

「………」

「………うぇ?」

 

 

 絶句。

 高坂の20000いた兵は半分の10000ほどになり、ましてや五色備えの赤・白・黒の総大将は未だ本陣の中。更に、北条家総大将・北条氏照軍、北条氏邦軍、北条氏繁軍も未だ出陣していない。終いには、高坂最強のアタッカー・にこの不在。

 このことは、“高坂の敗北”を確かなものにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 躑躅ヶ崎館——

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

「昌景。昌景はおるか」

「……ここに、控えております」

「……勝頼を呼べ」

「勝頼様ですか」

「ああ、そうだ。急げ」

「承知」

 

 

 

 

 

 

 

 

「父上」

「おお、来たか」

「呼ばれましたので」

「………」

「………?」

「………」

「ち、父上。ご用件は」

「緊急事態だ」

「……は?」

 

 

 信玄の口から「緊急事態」という言葉が出た。まさか信玄がそんなことを言うとは思っていなかったであろう勝頼は口をポカンと開け、その父のことを呆然と見つめる。

 

 

「北条が、暴れているそうだ」

「……あの北条ですか」

「左様」

「北条の相手は」

「高坂」

「……誠ですか」

「誠だ」

 

 

 少しの沈黙が親子の間を支配する。

 そして、勝頼は父の目を見て全てを悟った。

 

 

「……よいのですか」

「兵は用意してある」

「父上……」

「行ってこい、勝頼。高坂を救ってくれ」

「ありがたき幸せ!!!」

 

 

 勝頼は深々と頭を下げ、すぐさま信玄の部屋を退出した。

 

 

「……さて」

 

 

 そして、信玄は机に体を向け、筆を走らせた。

 

 

 

 

 宛名は、「今川氏真」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 今川館——

 

 

 

「あはぁ……。いい天気ですのぉ……」

 

 こちら今川氏真の居城・今川館。大将の今川氏真は、のんびりと日向ぼっこ中である。相変わらず大うつけのようだ。

 

「うふーん……。こういう日はのんびり、ゆっくりとお茶を飲みながら詩を書きたいですねぇー……」

 私は今川の将来が心配です。

 

 

 

 

「殿ぉぉお!!!」

「……?何ですか、騒がしいですよ」

「た、大変です!!」

「何が大変なんです?」

「た、武田信玄より書状がっ!!」

「……嘘」

「誠です!!」

 そう叫び、家臣は信玄からの書状を氏真に手渡す。すると、氏真はひっくり返った。

 

 

「と、殿!?大丈夫ですか!?」

「大丈夫じゃないですー」

「殿ぉぉお!!?」

「信玄公から書状……。これはよからぬ話ですのぉ……」

「まだ良からぬ話と決まったわけでは」

「燃やしましょうか」

「それこそ大問題です」

 

 

 氏真、信玄の書状をBiBiって見れない様子。挙げ句の果てに「燃やそう」とぬかす始末。本当にこれで国を治めることが出来ているのだろうか。

 

 

「早くお読みになられてください」

「嫌です」

「何故ですか!?」

「怖いもん」

「子供じゃないんですよ」

「子供だもん」

「おい、氏真」

「はい、読みます」

 

 

 家臣に唆され、ようやくその書状を開く。

 そこにはずらずらと信玄の文字が並べられていた。

 

 

「今川氏真殿。今すぐ小田原へ向かい、同盟家である高坂へ加勢せよ……」

「と、書いてあるのですか?」

「ええ」

「何でまた高坂の援軍を武田が要請を」

「分かりかねますね」

「いかがいたします?」

「うーん……。相手が北条のようですので、行きません」

「え、よいのですか?」

「はい。元々、今川は北条側ですからね。早川殿の父上と戦う気はありません」

「それもそうですね」

「では、この書状は燃やしておいてください」

「承知」

 

 

 再び、信玄の書状が氏真から家臣の手へと渡る。念のため、家臣はもう一度確認するようにその書状を見た。

 そして、衝撃の言葉が書き添えてあったことを家臣は見逃さなかった。

 

 

「と、殿!!」

「……何ですかぁ?」

「何ですかではありません!!」

「……は?」

「殿、これを」

 家臣が氏真へ再びその書状を渡し、その言葉が書かれている場所を指差す。

 

 

「……今すぐ出陣しましょう」

「……はい!?い、いいのですか!?」

「仕方ないでしょう!?」

「それはそうですが……奥様の方はよろしいのですか?」

「……何とかします」

「左様ですか」

「では、出陣の準備を」

「はっ!」

 

 

 氏真はあっという間に、出陣をすると決意を改めた。なんて軽い奴なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追記

 

 もし、今川が高坂へ加勢をしなかった時は我々武田が約20000の軍勢で今川を滅亡させる。

 命が惜しくなければ、今川を守りたければ、今すぐ小田原へ向かえ。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 西木野軍本陣——

 

 

 

「………」

「矢澤様」

「……何よ」

「少々落ち着かれてはいかがでしょうか」

「無理」

「何故ですか」

「あんたね、今高坂が危機なのよ!?それをどうやって落ち着いて見てろって?えぇ!?」

 

 

 こちら西木野軍本陣。にこはとにかくそわそわしていた。全身から“戦をしたいオーラ”が滲み出ている。

 無論、足が使えないにこが戦に出ることなど不可能なのだが。

 

 

「あぁ……このままじゃ負けちゃうわよ」

「厳しい状況ですね」

「うぅ……戦に出たいっ!!」

「ダメです」

「どうしても!?」

「どうしてもって……。その状態で戦に出て、どうするおつもりですか?」

「そ、それは……」

「……そういうことです」

 

 

 にこは唇を強く噛んだ。もし、にこがこの戦に最後まで参戦出来ていたら。もし、綱成を討つことが出来ていれば。どこにもぶつけることの出来ない悔しさがこみ上げる。

 

 

 

「あぁもう!!みんながおされてるのなんて見たくないわよ!!」

「や、矢澤様。お気持ちは分かりますが、落ち着いて」

「何か北条に傷を負わせることが出来れば……!!」

「………」

「何か……何かないの!?」

「………1つだけ、ありますよ」

「……は?今なんて言った?」

「1つだけ北条に傷を負わせる方法がある、と言ったんです」

 

 

 

 

 

 にこの目の色が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 高坂軍本陣(仮)

 

 

 

「あ、真姫!!」

「エリー!それに、穂乃果と海未も……!」

「真姫、大変です」

「見ればわかるわよ!!」

「どどどどどうしよう……!?」

「穂乃果、貴女は落ち着きなさい」

 

 

 こちら高坂軍本陣(仮)真姫が合流し、多少兵力は増し、攻撃力も増したが、形勢は変わりなし。相変わらず高坂軍がおされている。

 

 

「……にしても、この陣は何!?」

「しょうがないじゃない!!急だったんだもの!!」

「確かに、陣を敷いている暇はありませんでしたね。無理矢理敷いた結果、このような有様になってしまった……というわけです」

「無理矢理すぎるわよ、これ」

「とりあえず拠点が欲しかったので」

「まともに策をたてられるような陣じゃないわね……。出来るなら、私の本陣に来て欲しいところだけど……」

「どう考えても無理ね」

「この中をかいくぐることは無謀です」

「……一体どうすればいいわけ?これ」

 

 

 軍師3人衆、策は全く浮かばず。こうしている間にも、どんどん敵は本陣(仮)へ近づいてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最早これまでかーーーーーーー

 全ての人が思ったであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、ここは高坂穂乃果率いる高坂家。

 “奇跡”は起きるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!!」

「今度は何ですか?」

「東條・結城・高坂(雪)軍が小田原へ到着!!現在、多くの北条勢をなぎ払っております!!」

「希!!」

 

 

 希達が到着。これは現在の高坂軍にとって、かなり大きい話。

 しかし、更に大きな話が高坂軍にもたらされる。

 

 

「申し上げます!!」

「またですか?」

「武田勝頼率いる武田軍約10000が挙兵!!高坂の援軍としてこちらに向かっている模様!!更に、今川氏真率いる今川軍約3000も挙兵!!こちらも援軍として小田原へ迎えっております!!」

「……なっ」

「武田に今川!?」

「武田勝頼……亜里沙の夫……。やるときはやってくれるみたいじゃない?」

「あ、あれ……?もしかして助かるの?」

「まだ決まったわけではありません」

「でも、かなり形勢は変わるわよ、これ!」

「そうね。これはもうやるしかないんじゃない?」

「左様にございます。佐竹と拙者も出陣致しますぞ」

「……よし、そうと決まれば、ね」

「行きますよ、穂乃果」

「……勿論だよ!ここで粘れなきゃ関東の覇者の名折れだよ!!」

 

 

「行くよ、みんな!!!」

 

「「「オォッ!!!」」

 

 

 

 

 

 もたらされた情報は、高坂軍の士気を異常な程上げ、全員の心に火をつけた。

 

 

 

 

 

 高坂家、全員出陣である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その出陣と共に、小田原城から物凄い爆発音が戦場へと響き渡った。

 

 

 




お疲れ様でした。
いかがでしたか?

いやー、武田さんですよ、意外な人物。まさかまさかの展開。
亜里沙ちゃんはどうなっているのやら()

次回も戦が続きます。北条はこんなもんじゃ終わらねぇ!!(←
そして、爆発音とは……?

お楽しみに。

追記
書き方……というより、改行の仕方を変えました。嫌でしたら言ってくださいね。


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第58幕 滅亡

おっ久しぶりでぇぇす!!ポッキーです!!
忘れられちゃいましたかね?うん、無理もないですね……。約一週間半かな。お待たせして大変申し訳ありませんでした!!
心より謝罪させていただきます。

忘れないで、お願い(←

とまぁ、今回のお話で北条戦は終了……ということで。
色々ありましたね。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
左京大夫さん
伊勢盛時公さん
ありがとうございました!



 

 

 

「1つだけ、ありますよ。北条へ損害を与える方法が」

「……え?」

 

 

 

 

 

 こちら西木野軍本陣。そこには負傷したにこと、その護衛が数名。

 どうしても北条へ損害を与えたい、と聞かないにこに西木野の家臣がある策を提案する。

 

 

 

 

「にこが北条へ損害を与える方法があるの?」

「はい」

「戦場にはでれないのよ?」

「問題ないです」

「……マジ?」

「マジです」

「………アンタ有能ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「矢澤軍に来ない?」

「オコトワリシマス」

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第58幕 滅亡

 

 

 

 

 

「……で?その策って?」

「はい。アレです」

「アレ?」

 そう言って、家臣はある方向を指差す。勿論にこもその方向を見た。

 

 

 

 

「……え、アレってアレ?」

「はい」

「……真面目に言ってる?」

「はい」

「マジ?」

「はい」

「……本当に?」

「しつこいです」

 

 

 

 その家臣が指差す先、そこにあったモノ。この場所には不釣り合い……のような黒光りした体を持ち、いかにも強そうなオーラをばんばんと出しているアレ。

 ラスボス感が凄い。

 

 

 

「アレって……大砲じゃない!!」

「はい、何か問題でも?」

「大問題よ!!」

「……はて、理解しかねますが」

「大体、こんなでっかいのどうやって運んできたわけ!?っていうか何でこんなのがここにあるわけ!!?」

「矢澤様、一度に何個も質問をしないでいただけますか。困ります」

「にこが困ってるの!!!」

 

 

 

 世界の矢澤さん、突然の大砲登場に大混乱。確かにこの時代、このような殺傷兵器は珍しく、ここまでなるのも無理はない。

 まず、にこ自体大砲そのものを見るのは初めてなのではないだろうか。

 

 

 

「え、え?これをどうするわけよ!?」

「はい。北条にぶっ放ちます」

「はぁ!!?」

「え、何か問題でも」

「問題しかないって言ってるでしょう!!?」

「何故ですか」

「あんたね、あんなもん戦場に向かってぶっ放ちてみなさい?北条はおろか、高坂まで終わるじゃない!!」

「………?」

「え、いや待って、何で理解してないの、あんた」

「えっと……矢澤様は大砲を戦場へ放つおつもりなのですか?」

「は?」

「そのままの意味ですが」

「……それ以外にどこがあるのよ」

「マジか」

「マジよ!!」

 

 

 

 戦場へ向かって大砲を放つと言った矢澤さんを家臣は呆れた表情で見つめる。

 これだから脳筋は……と言わんばかりの表情である。というか最早である。

 

 

 

「あのですね、矢澤様。戦場へこんなものを放ってしまったら自軍にも被害が及ぶじゃないですか」

「それを今言ってるじゃない!?」

「いやいや、某が大砲を放つと言ったのは、小田原城へ向けてなのですが」

「………は?」

「うん、やはり理解していなかったかこの人」

「あ、え?そ、そそそういうことね!うん!にこはちゃんとりりり理解してたにこ☆」

「………」

 

 

 

 家臣、完全に人を見る目ではなくなっております。これでもかと言うほど、にこに冷たい視線を浴びせる。

 さすがににこが可哀想になってきた。そんなレベルである。

 

 

 

「やー、やっぱり大砲は小田原城に放つに限るにこ!ね!あんた!」

「………」

「これはどうやって動かすのかなぁ〜?ぅえっとぉ、ここに火をつけるのかなぁ?」

「………」

「……にっこにっこにー☆」

「斬り殺していいですか」

「ぬぅあんでよ!!!」

「はぁ……。殿から伺ってはいましたが、想像以上に面倒なお方ですね。いつも相手をしている殿が可哀想です」

「ちょっと待って、あんた真姫ちゃんから何言われたの?」

「まあそんなことはさて置き」

「置くな!!」

 矢澤さん、基本誰とでも漫才可能のようで。さすが矢澤師匠。芸人魂魅せてます。

 

 

 

「んで?これはどうやって撃つの?」

「はい。この穴に大砲の玉を詰め、その導火線に火をつけてどかーん……にございます」

「ふーん……意外と簡単ね」

「はい。基本は鉄砲と一緒かと」

「え、じゃあこれの殺傷能力は?」

「鉄砲の約50倍です」

「は?マジ?」

「マジです」

「最強じゃない」

「はい。矢澤様の軍も大砲にかかれば瞬殺かと」

「……そうね」

「というわけですので、これを小田原にぶっ放せば、中に居る者はみな殺し出来るかと」

「それはいいわね。中のヤツらを全部殺せれば、北条の兵力も落ちるだろうし、士気も落ちるかもしれない。何より、不意打ちっていうのは大きいわね。北条軍の動きが止まった隙なら、あの子達はやってくれるはずよ」

「ええ。某らはその援助をするのです、全力で」

「そう。いつも援助している人たちに感謝しなきゃいけないわね、これ」

「そうですよ。こっちも命がけでやってるんですから、感謝していただけますか?」

「台無しだわ、あんた」

 

 

 

 ……というわけで、西木野軍本陣より、小田原城へ大砲での狙撃が決定。その方法は、大砲3台を使い、三段構えのごとく連発する、というものである。

 ……ん?大砲3台もどうしてあるのか?決まっているでしょう?

 西木野の財力ですよ。

 

 

 

 

 

 こいうわけで、矢澤にこの北条戦、第2ラウンドの開始である。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「……っ!?」

「おいおい!何だ!!」

「分からぬ!!」

「小田原城の方から音がしたが……」

「真か!?」

「もし真だとするなら、かなりまずいぞ……!」

 

 

 

 こちら五色備え本陣。政家が戦場へ繰り出している為、現在3名の武将が待機していた。

 しかし、そこに突然の轟音。そして破壊音。本陣にいる者はみな慌てふためいていた。

 

 

 

「大変にございます!!」

「お、おぉ!!待っておった!!何が……何が起こっておる!?」

「お、おお落ち着け綱高!!」

「お主が落ち着け、康勝」

「そ、それで!?どういう状況なのだ!!」

「は、はい!!只今、小田原城に大砲が打ち込まれ、天守は形を残しておりません!!」

「なっ……」

「大砲だと!!?」

「おい待て!!小田原城には多くの家臣やその妻子、終いには氏康様もおるぞ!!?」

「……どこからの狙撃じゃ!!」

「そ、それが分からぬのです!!」

「何だと!?」

 そうこうしている間にも、その破壊音は続く。さすがは三段構え、大砲バージョンである。威力は桁違いのようだ。

 

 

 

「いかがする!?」

「戻るか?」

「さすがにそれは……」

「結局ワシらは無力か!!」

 3人は自分達の無力さに落胆、そして悔しさを覚える。実際、殆どの兵が小田原城に待機しており、小田原城が崩れたとなれば北条の損失は計り知れないモノとなる。更に、隠居済みの氏康もソコにいる為、死んでしまったとなれば大問題である。

 そして、そこに北条にとってほぼ“敗北”を意味する最悪の知らせが入った。

 

 

 

「申し上げます!!!」

「今度は何だ!!」

「これ以上の悪い知らせは御免だぞ」

「そうだな、これ以上逆境になられては、策をたてても、殆ど意味をなさなくなるからな」

 さあ、どんな知らせがくる?悪い知らせか?はたまた北条が裏で進めてきた、風魔党による侵略が成功したという良い知らせか?

 勝利の女神はどちらに微笑む?

 北条の勝利を左右する知らせ。

 全員が息をのむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武田勝頼率いる武田軍、更に今川氏真率いる今川軍合計13000の兵がこちら、小田原に向かっております!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沈黙。

 勝利の女神は、ソコにはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと……俺様の仕事はこれからが本番ってか?」

 

 

 

 石垣山を颯爽とおりる者が1人。高坂を本陣から追い出した張本人、化け物の面をした北条の忍者、風魔小太郎であった。

 

 

 

「高坂が北条軍に気を取られている間に……音ノ木坂城を!!」

 そう、小太郎の狙いは音ノ木坂城。ここを落とすことが出来れば、高坂はかなり厳しい状態へ陥れることが出来る。

 

 

 

「ふぇっへっへ!!音ノ木を落とせれば風魔党の株はうなぎ登り!!そして風魔さんは一気に全国区にっ!!うへへ〜やっぱり俺様最強?うふふ〜愛してる、風魔小太郎!!!」

 さあ出ました風魔節。相変わらず阿保みたいなことをしているようで。愛すべきキャラである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふーん、音ノ木坂城を落とすんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそう!!俺様が音ノ木坂城を……」

 小太郎はハッ!!っとし、一瞬にして戦闘態勢に入る。まさにハッ!!としたのである。ハッ!!っと。

 

 

 

「何奴!!」

「……風魔小太郎より強い忍者、って言ったら分かるかな?」

「……俺様より強い?はっはっ、笑わせるなよっ!俺様より強い奴なんて……………」

「舐めすぎにゃ」

 

 

 

 刹那。小太郎の頭上より、流星の如く降ってくるモノあり。右手に持った刃で小太郎を斬りつける。

 しかし、さすがは小太郎、その不意打ちに即座に反応しギリギリのところでかわす。無傷であった。

 

 

 

 

「ふーん、やるじゃん」

「……星空ちゃん」

「そ。風魔君より強い凛の参上だよ?」

「何故ここにいるわけ?星空ちゃん本隊と一緒に山下りたんじゃないの?」

「簡単にゃ。風魔君の考えてることを先読みするくらい。だって風魔君、考える頭ないでしょ?」

「何を言っているんだ、このお馬鹿ちゃんは。俺様の頭脳は天下一!!それは揺るぎない事実っ!!」

「ふーん、じゃあその頭脳を先読みした凛の頭脳の方が上ってことだから……凛の頭脳が天下一でいい?」

「それはだめ、それとこれとは別だよ、星空ちゃん」

「……面倒な人」

「さってと、ここであったが100年目!!俺様は星空ちゃんという壁を越えて音ノ木坂を落としてみせる!!」

「その口はちょっとでも黙れないのかにゃ?ありえないことをべらべらって……。凛を倒す?寝言は寝て喋った方がいいと思うよ?」

「誰が寝言じゃ」

「……どっちにしろ、風魔君にはここで死んでもらうから。ここが墓場だよ」

「その台詞、そのままお返ししてやろう」

 

 

 

 2人の間に物凄い緊張感が走る。2人の忍者の直接対決、“最強”をかけた勝負。絶命するのはどちらか。

 真の忍者はどちらか——————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小太郎が手始めに凛へ斬りかかる。案の定、凛はさっとかわし、カウンターである。一瞬の隙を見逃さず、小太郎へ刃を向ける。

 しかし、これもまた小太郎が避ける。どちらも実力のある忍。これくらいの攻撃など無意味である。

 

 

 

 

 そして、戦いは徐々にその速さを増し、攻撃もキツイものとなっていった。凛が攻撃すれば、小太郎がしっかり避け、カウンターをしかける。逆もまた然りだ。

 刀の動きは速すぎて、はっきりと肉眼で捉えるのは難しい。そんなレベルでこの2人は一騎打ちをしていた。

 

 

 

 

 

「……中々やるね、風魔君」

「これくらい、朝飯前よ」

 息がきれる。あのスピードでの勝負、かなりのスタミナが必要とされるであろう。はっきり言って、双方共にスタミナは限界に近かった。

 

 

 

 

「……んじゃ、そろそろ本気出しちゃおうか」

「……ん?」

「久々だにゃ。凛を本気にした好敵手は」

 小太郎は耳を疑った。これより上の段階があるのか?星空凛という忍はこれより速く動けるというのか?さすがの小太郎もこの発言には焦ったのか、一歩、後ろへ引いた。

 

 

 

 

 凛が1つ息を吐く。

 

 その瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!?」

 小太郎の全身を明らかに悪寒を感じた。鳥肌がたった。身体が、本能がソレから逃げろと言っているかのように。

 “ソレ”は最早人ではない。

 

 

 

 

 凛が垂らしていた頭を上げる。

 その目はまさに獲物をとらえるときの猛獣のソレで、小太郎をしっかりと捉えていた。

 超集中状態、『ゾーン』とよく言ったものだが、凛は完全に今その状態にある。その瞳からはその黄色い残像が一筋の光となって現れる。

 いや、○子のバスケか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お楽しみの時間だよ?小太郎君?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くして、石垣山より見るも無惨な大男の遺体が農民によって見つけられたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「はっ、やぁっ!!」

 

 

 

 

 

 こちらは戦場。高坂軍、大将含め全員攻撃で北条をなぎ倒していた。

 無論、小田原城からは未だに破壊音が鳴り止まない。

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん、中々やるね!」

「まあ、毎日鍛えてましたからね。剣道では穂乃果とどっこいだったではないですか」

「そうだったね〜。海未ちゃんの事だから、怖がって人を斬るのを躊躇うのかと思ってたけど」

「なっ……。失敬ですね、私もやるときはやりますよ。まぁ人を斬るのは抵抗がありますが」

「でも斬らなきゃ斬られちゃうから」

「はい。この時代に来た時、穂乃果に言われた言葉……“やらなきゃやられる”しっかりと心に刻んでますよ」

 

 

 

 この2人、平成の世では剣道をやっていたことがあり、剣の腕前は一級品。戦国でもやっていける……というより、戦国でも剣豪と呼ばれてもおかしくないくらいのレベルである。

 その剣術で、次々と敵を斬り殺していく。

 

 

 

「雑魚は黙ってくたばりなさい!!」

「あははー絵里ち、スイッチ入ってしもうたようやね」

 こちらは東條軍と合流した絢瀬さん。槍をぶんぶんと振り回し、かかりくる敵を吹っ飛ばしている。

 絵里は最高50人は一斉に吹っ飛ばせるらしい。

 

 鬼だ。

 

 

 

 

 

「あの女……!!!やっべぇぞ!!これは拙者が倒すしかねぇなぁぁああああ!!!!!」

 そう叫んで絵里へ突撃する者がいた。政家である。

 絵里もその絶叫に気づき、政家をしっかりと見つめる。

 

 

 

 

「絢瀬ぇぇぇえええ!!!拙者の餌食となれぇぇぇえ!!!!」

「ったく……うるさい餓鬼は嫌いよ?」

 政家の刀と絵里の槍が交わる。ガチン、と鈍い音が響いた。

 

 

 

「中々力強いね、絢瀬!!」

「当たり前でしょう?というかその前に呼び捨てやめてくれる?」

「おぉ!!それは失礼したな、絢瀬殿!!」

「まったく……」

 絵里が1つため息をつく。

 

 政家はそのため息で出来た隙を狙っていた。

 

 

 

 

 

「もらいっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鮮血が噴き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………う、嘘」

「貴方、本当?青備えの大将っていうからもっと強いのかと思ってたわよ」

「……間合いは完璧だった…のに!?」

「バレバレね。まだまだ戦の経験が足りないのよ、貴方は。雑魚と同じような死に方してどうするの」

「父上……政家は未熟でした……」

「はいはい、じゃあ父上のところへ逝きなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 絵里は政家をその槍で貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「………」

「……終わった、な」

「左様」

 

 

 

 呆然一方の五色備え本陣。にこの大砲攻めにより、小田原城はほぼ跡を残しておらず、中にいた者は殆ど死滅したという。

 無論、北条氏康もだ。

 更には総大将である北条氏照も小田原城にて死んでしまったという情報が入っていた。

 

 

 

 

「申し上げます」

「……今度は誰が死んだのだ?」

「………」

「富永政家様が先ほど討ち死にされた、と」

「……政家が死んだか」

「他の北条勢の大将も次々と討ち死にしております」

「……そうか。終わりか」

「武田の介入は、大きすぎたな」

 

 

 

 そう。劣勢ムードの戦場を見兼ねて出陣した北条氏邦、氏繁といった中心メンバーは、到着した武田軍によって全て討たれてしまっていた。

 残るはこの五色備え4人。

 北条綱成、綱高。多目元忠、笠原康勝。

 さすがにこれだけではもうどうしようもない。

 

 

 

 

「結局、北条は関東の覇者にはなれぬ運命だった……ということか」

「ああ。世は無情よ」

「氏政様……無念、お晴らしすることは叶いませんでした……。お許しください」

「北条の最期のあがき……高坂には及ばず、か」

「……武田がいなければな」

「悔んでも仕方ないことだ。高坂を倒そうと我々は全力を尽くした、それでも及ばなかった。それはそういうことだからな」

「それじゃあ、皆のところへ行くか?」

「……そうするか」

「空の上から高坂が天下を統一するのを見ているとするか」

「ああ。北条に勝ったんだ、それ位してもらわねばな」

「……よし、おい、そこの伝令!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4人は自刃、その頭は介錯を務めた伝令役によって小田原の大海原へと投げられた。

 

 

 

 

 

 

 北条の最期。滅亡。

 関東の帝王は復活することは、出来なかった。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした!
いかがでしたでしょうか?
うーん、相変わらずめちゃめちゃですね、許してください。

次回からはちょっと色々といじろうかなぁ、なんて。
そういえば、サンシャイン始まりましたね!
面白い、これは最高。……ということは?(殴
皆さんは誰推しですか?私は梨子ちゃん大好きです(←

それでは次回もよろしくお願いします!

あ、月曜日は2話投稿予定です♪

因みに、こちら私のTwitterになります。たまーに小説の執筆状況とか書ければいいなぁとか思ってるので、気になった方はフォローよろしくです。
@systemsea



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第59幕 超新星


どうも、ポッキーです。投稿ペースできるだけ戻せるように奮闘中にございます(←

さてさて、今回は急展開……かな?ちょっと展開がすごすぎてついてこれない可能性がありますが、いつものことですので、心配しないでください♡(殴
すみません、文章構成能力が低いんです、許してください。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
左京大夫さん
伊勢盛時公さん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 太陽の日差しが眩しく、その光は戦場に転がった戦死者達を照らす。

 

 

 

 

 

「終わった……ね」

「……はい」

「危うくやられるところだったけど」

「まぁ、結果的にうちらが勝ったんやし」

「そうね。まったく……にこちゃんも色々やってくれるわよね」

「当たり前でしょ?にこがすぐに引き下がると思った?」

「え、でも西木野の家臣の策なんやろ?」

「そうですね、にこはただ大砲を打っただけ……?」

「はぁ?あんたらね、にこの狙撃がなかったら死んでたのよ?感謝しなさいよ」

「いや、武田さんが来てくれたから穂乃果達は助かったんだよ!」

「そうね。感謝するわ」

「いえ、同盟国として当然のことをしたまで。姉上の事も守らねばなりません故」

「姉上言わないでくれる?」

「わー!!絵里ちゃん姉上だぁ!」

「にしし……いいんやない?姉上?」

「エリー……いえ、姉上?」

「姉上言うな!!!」

 

 

 

 高坂に北条が絶命した、という情報が入ったのはほんの少し前。激闘を制した高坂は戦場にて少しばかりの勝利の余韻に浸っていた。

 奇跡の大逆転勝利である。

 

 

 

「やー、でもにこっちの大砲はなんだかんだでかなり助かったやんな」

「ええ。あれがあったから氏康も、氏照も一斉に倒すことが出来た。感謝してるわよ」

「はい。私からもお礼を申し上げます」

「え、あ、そう?そ、そうでしょ?やっぱりにこの大砲が良かったのよね!!」

「にこちゃん、顔赤くなってる」

「まったく……。褒められるとすぐに照れるんだから」

「面倒な人だね」

「誰が面倒な女よ!!」

 しっかりとお約束のにこ弄りをする高坂の皆さん。ようやく平和な光景が戻ってきた。

 

 

 

「みんな、ありがとね!」

「いや、拙者でよければいつでも呼んでくれ」

「是非是非、某のことも!!!」

「義光さんはちょっとご遠慮してもらいましょうか……」

「え、何で!!?」

「ええい義光!!静かにせんか!!」

「勝頼さんも、ありがとうございました!」

「いやいや、これからもよろしく頼むぞ」

「勿論です!」

「……そういえば今川殿は?」

「あ、そう言われれば見当たらんね」

「さっきまでいたはずだが……?」

「あぁ、今川なら心配ない。どうも自国で少しばかりの騒ぎ事があったらしくな。駿河へとんぼ返りしたぞ」

「あ、そうなんですか」

「ふーん、何にもなきゃいいけど」

 

 

 

 

 

 

 “何にもなければいい”

 何にもないことがないのが戦国なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 駿河——

 

 

 

「氏真様が来るまでなんとか持ち堪えろ!!」

「まずい、城門がもうもたんぞ!!?」

「何だって!!?」

「申し上げます!!」

「何があった!!?」

「今川軍、ほぼ壊滅に近い状態!!このままではこの城も落とされかねます!!」

「くっ……何故、何故いきなり現れた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「高海家とは一体何なのだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 こちらは駿河の今川館。この状況を見る限り、全力で危ない様子。『高海家』と言われるところに攻められているようだ。

 氏真の不在により、ただでさえ弱い今川家は更に弱くなっており、最早壊滅寸前。今川もこれまでか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、意外と今川家もちょろいね♪」

「あはは……想像以上に弱いね、こりゃ」

「しかし、まだ気を抜くのは早いですわ」

「うん、そうだね。ちゃんと攻めきらなきゃ」

「よっし!!じゃあもっと攻めよう!!みんな、いっくよぉぉぉお!!!」

「「オォー!!!」」

 

 

 

 こちら高海家本陣。かなり形勢有利、ということもあり、陣の士気は最高潮。更に、蜜柑色の髪をした総大将と目される者の掛け声で、より一層士気が高まる。

 そして、この雰囲気はどことなく高坂家を思わせるものがあった。

 

 

 

「でもまあ、よく今川を攻めようなんて思ったね、千歌ちゃん」

「うん!なんか大将が小田原に援軍に行ってるって聞いたから、攻めるなら今かなぁーって」

「それじゃタイミングばっちりってわけだ」

「エクセレント!!」

「千歌ちゃん凄いずら!」

「えへへ〜でしょ?でしょ?」

「調子にのるんじゃありません」

 

 

 高海家の今川攻めは完全に計算し尽くされたモノだったようで、型にしっかりはまった……と言ったところだろうか。

 今川を滅ぼせば、高海家が駿河を治めることとなり、新たな大名の誕生となる。

 

 

 

「こんな戦……この堕天使ヨハネが出る必要もありませんね。なんせこのヨハネが必要とされる戦は……」

「よっちゃん、1人でぶつぶつ喋ってどうしたの?」

「あ、うぇっ!?り、リリー!?」

「お、驚きすぎだよ、よっちゃん」

「いきなり後ろから声かけないでよ!」

「えー?だってよっちゃん、何か1人でつまんなそうにしてたから……」

「つまんなそうなんかにしてない!ヨハネは戦の戦況を眺めていたの。この堕天使の目を使って……」

「あー、はいはい。“善子”ちゃんは戦況を見つめていたんだね!」

「よし……!?善子言うなぁ!!」

「さすがは“善子”ちゃん!敵の奇襲が無いかとか色々見てたんだね!」

「だーかーらぁ!!善子言うなぁぁあ!!!」

 こんな光景、高坂家でも見たような……?

 

 

 

 

「氏真様ぁぁぁあ!!!」

「……何が起こった?我が留守にしている間、何があった!!」

「そ、その……。今川の支配下にあった高海家が反乱を起こし、あっという間に……」

「そ、そうですか……。我が兵を多く連れて行っていたから……!!」

「氏真様は悪くございません……。我々の力不足で……」

「そなたも己を責めるのは止めなさい。今はどうこの反乱を食い止めるか、考えましょう」

「氏真様……」

 氏真は考えよう、と言ったが、はっきり言って、そんなことをしている時間はない。今すぐにでも策をたて、即座に行動しなければ、本当に今川は終わりである。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「よぉし!みんな、お疲れ様!よく頑張った!!」

「「オォー!!」」

「高坂の勝利を祝って……かんぱぁぁあい!!!」

「「乾杯!!!」」

 

 

 こちら音ノ木坂城。同盟国の今川が攻められているとはつゆ知らず、北条戦の勝利を祝う祝賀会が行われていた。

 

 

「にこ、今回こそ飲みすぎて吐き散らすのは止めてね?」

「大丈夫だって!にこは足怪我してるし……。そんな今日は飲まないわよ」

「……信用ならんな」

「ぬぅあんでよ!!?」

「本当止めなさい?せっかくの新しい城が汚くなっちゃうから」

「大丈夫だって言ってるでしょ?絵里も心配性よね」

「当たり前でしょ?貴女どれだけ前科があると思ってるわけ?」

「せやで?にこっちが吐き散らしたモノを片付けるのは真姫ちゃんやから別にええけど……。城が汚くなってしまうのはなぁ?」

「ちょっと待ちなさい!!!」

「おぉ、真姫ちゃん。どないしたん?」

「さっきから黙って聞いてれば……。何で私がにこちゃんの汚物を片付ける専門になってるわけ!?」

「え、違うん?」

「違うわよ!!」

「ふーん、いつも楽しそうに片付けてるからそういうのだと思ってたんやけどなぁ」

「は、はぁ!?何で汚物を楽しそうに片付けなきゃいけないのよ!!」

「え、真姫ちゃんってそういう趣味だったにこ……?」

「だから違う!!」

「真姫、さすがにそれは引くわよ」

「エリー!!貴女まで!?」

「あらー、真姫ちゃんの好感度だだ下がりやね」

「希ぃぃいい!!!」

 真姫さん大絶叫。μ's3年生組の真姫弄りは手慣れたものである。

 

 

 

 

「うへへ〜♪海未ちゃぁあん♪」

「ちょ、穂乃果!くっつかないでください、暑いですぅ!!」

「あー、いいなぁ!ことりも抱きつくぅ!!」

「ちょ、ことりっ!!?」

「「海未ちゃぁん♪」」

「く、苦しい……です」

「あー!!ことりちゃぁん!海未ちゃんは穂乃果のモノだよぉ!!」

「えー!?ことりのおやつだよぉ」

「ちょ、2人共!!?」

「穂乃果の方が海未ちゃんへの愛は深いもんねぇ〜♪ぎゅぅうう!!」

「あぅっ……」

「いーえ、ことりの方が海未ちゃんの愛は深いもん!!ぎゅーっ!!」

「ぐぇっ……」

「「ぎゅーっ!!!!」」

「あ、ぁぁ……川が、みえ……ます」

 園田海未、2人に思いっきり抱きつかれ、死んでしまう目前。穂乃果とことりに抱きつかれて死ぬとはなんと贅沢な。ずるいぞ、海未よ。

 

 

 

「………ん?」

「……むぅ」

「んみちゃー……」

「……寝てしまいましたか」

「ぐへへー……」

 抱きついた2人はそのまま天に召され、現在海未の腕の中。酔っ払っていた為、眠ってしまうのも無理もない。

 

 

 

 

 

 

 

「おぇぇえぇえ……」

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!!にこっち!?」

「……やっぱり、なのね」

「……はぁ」

 はい、こちら事故現場。あれ程今日は飲まないから吐き散らすことはない、と豪語したのだが……。

 

 

「せっかくの新しい城が台無しじゃない……」

「やー、怪我してても酒は喉を通るんやなぁ」

「本当、ありえない……」

「にごぉ……」

「……それじゃ、真姫。あとはよろしくね?」

「…………は!?」

「そういうことやから」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!!エリー!!希っ!!」

「……ん?どないしたん?」

「どうしたじゃないわよ!!何で私!?どうして私!?」

「え、だって真姫、にこの汚物処理班でしょ?」

「せやね」

「汚物処理班なんかじゃないわよ!!」

「まぁ、そういうことで」

「頑張ってな〜汚物処理班♡」

「……後で覚えてなさい?」

 安定の汚物処理班、西木野真姫。なんだかんだ言いながらもしっかり片付けるのである。

 

 

 

 

「あらら……寝ちゃったのね」

「はい」

「ええなぁ、海未ちゃんに寄りかかって眠る2人……。可愛いもんやな♪」

「少し、重いですが……」

「ま、いいんじゃない?海未の側はそれくらい落ち着くってことよ」

「そうやね。2人共、海未ちゃんがいなくなった時は相当病んどったし……」

「それはこの2人に悪いことをしましたね」

「今はその分甘えさせてあげなさい?」

「はい。ほどほどには」

 

 

「申し上げます」

「おっと、突然やね」

「どうしたの?」

「その、今川家のことなんですが……」

「今川家?」

「はい。今日の戦の後、駿河で反乱があり戻られたという話でしたが……」

「そういえばそうね。それで?」

「その、ここだけの話どうも今川が滅ぼされた、という話が」

「……はい?」

「ちょっと待ち。今川が滅ぼされた?どういうことや」

「拙者にも分かりかねますが……。どうもそういう噂がたっておりまして」

「ほぉ……。それで?どこに滅ぼされたのです?」

「確か、高海家だった気がします」

「高海家……?」

「聞いたことないな」

「はい、世に言う下剋上です」

「私たちと一緒ってことね」

「はい、そうですね。相手は北条ほどのものではありませんが……」

「せやけど、今川は一応同盟国やで?それでもええんか?」

「うーん……。今回の戦も一応助けてもらったし、いいわけじゃないんだけど……」

 

 

 今川家は一応高坂と同盟関係にあるのだが、一応である。一応。それ故、高坂から言わせると正直今川が滅びようが滅びまいがどうでもいい部分はある。それよりも今、重要なことは……。

 

 

 

「その高海さんっていうのはどんな武将さんなの?」

「あ、穂乃果。起きていたのですか」

「うん。それで?高海さんって?」

「あー……。拙者もよく分からぬのですが、どうも9人の女子で構成された武家であるとか……」

「ん?9人の女子?」

「左様にございます」

「へぇ……。それじゃ他人とは思えないわね?」

「中々面白そうな武将が出てきたやんな」

「そうですね。これは是非会ってみたい限りです」

 

 

「よし、じゃあ決まりだね!」

「はい?」

「穂乃果?」

 

 

 

 

 

 

 

「高海家と仲間になろう!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今後、東国を大きく動かす2つの大名家が遂に、対峙することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第59幕 超新星

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
いかがでしたでしょうか?
ん?意味わかんない?知ってます。
まぁこんな感じでやってますので、慣れてください(殴

次回は少し休憩、ということで、登場人物紹介パート2を投稿しようかと。「高坂家」は勿論のこと、その周辺の同盟国、更には今回登場した「高海家」も徹底解析しちゃいます!お楽しみに。


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休戦編 登場人物紹介part2


どうも、ポッキーです。
今回は予告通り、登場人物紹介part2です。思ったより時間がかかってしもうた……。
高坂家をはじめ、新参戦の高海家、その他同盟家など徹底解剖です。
※高海家についてはまだ分からない点が多いので、分かり次第随時更新していきます。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
左京大夫さん
伊勢盛時公さん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 休戦編 登場人物紹介part2

 

 

 

 

「高坂家」

 この物語の舞台となる武家。

 居城は武蔵(東京)の音ノ木坂城。この城跡が後の国立音ノ木坂学院高校となる。また、以前の居城は鹿嶋城。

 関東を中心に治める大大名である。現在、様々な所へ勢力を拡大中。

 

 

 

 

 ・高坂穂乃果

 高坂家の前当主。ある日突然姿をくらませた。スペックは現代版穂乃果とほぼ変わらない。

 現在のところ出演はなし。

 西國にて目撃情報あり?

 

 

 

 ☆高坂穂乃果

 平成から来た高坂家の当主。持ち前のリーダー力で高坂家を束ねる。しかし、頭脳は残念で、考える系はめっぽう弱い。それ故、先を考えずに思いつきで行動することが多くある。そこが良いところでもあるのだが……。

 また、彼女自身、平成の世では剣道をしていた経験があり、剣の腕前はかなりのもの。

 戦では主に騎馬兵を率いて戦う。

 家紋はほのかの「ほ」

 

 

 

 ・園田海未

 高坂の天才軍師3人衆の1人だった者。上洛の際、織田の急襲から穂乃果を守り、死亡。

 生前は持ち前の頭脳で高坂家をよく助けていた。

 戦にでる際は弓兵隊を率いる。彼女自身もかなりの弓の名手で、狙った獲物は逃がさない。

 家紋は弓のマーク。

 

 

 

 ☆園田海未

 平成からタイムスリップしてきたμ'sの園田海未。武将・園田海未に扮して高坂家に潜り込んでいる。平成から来たことを知っているのは無論穂乃果のみ。

 役職は勿論軍師。初陣の際はこれといったことはしなかったが、それなりの策は考えられる頭脳は持ち合わせている。

 戦の際も、武将・園田海未と同じ。

 

 

 

 ・絢瀬絵里

 高坂家で軍師をつとめる。天才軍師3人衆の1人。昔はかなりツンツンしていたようで、その頭脳もかなり高かった模様。しかし、高坂に入ったことで何故かポンコツ化が進み、その頭脳も低下。十分考える頭があるのだが、昔に比べれば全然である。

 戦では主に槍兵隊を率いて戦う。

 彼女には初陣の際、かかりくる敵約30人を一度に吹っ飛ばしたという武勇伝がある。

 家紋はRを左右反転させたもの。

 

 

 

 ・南ことり

 高坂家では主に裏方、雑用係をつとめる。

 戦以外は基本何でも出来る。特に、彼女の作る料理は絶品。その中でも「ちゅんちゅんマカロン」と呼ばれるマカロンは史上最高の美味さ。世界進出も可能ではないだろうか。

 また、着物を選ぶことが大好き。というか人を着せ替え人形のようにすることが大好き。

 彼女はかなり頭がよく、たまに軍師3人衆と共に策をたてることもある。

 戦には基本出陣はしない。だが、一応軍隊は持っており、殿様である。その軍隊は絵里や穂乃果がかわりに動かすことが多い。

 家紋は(・8・)

 

 

 

 ・西木野真姫

 高坂家では軍師をつとめる。天才軍師3人衆の1人。その中でもずば抜けた頭脳を持つのがこの西木野真姫。

 西木野家は海外とのパイプが太く、海外からよく分からない兵器を頻繁に輸入している。基本何でも手に入る。また、その財力は底知れぬもので、噂では中国を買えるほどの財力があるとかないとか……。

 また、にこの汚物処理班。

 戦では主に鉄砲隊を率いて戦う。

 高坂家一番の殺傷能力をもった部隊。「三段構え」という戦法をとり、迫り来る相手を1人残さず打ち払う。

 また、大砲にも手を出したようで、長距離攻撃、城を壊すことも可能。

 更には海軍も所有している。

 家紋は☆。

 

 

 

 ・星空凛

 高坂家では主に間者として働く。星空軍の情報伝達力は日の本一で、日本中のありとあらゆる情報が瞬時に高坂家にもたらされる。

 彼女自身、足がとても速く、まさに韋駄天である。

 更には史上最強の忍とも呼ばれ、その強さは尋常ではない。特に、超集中状態『ゾーン』に入った時の凛は手がつけられない。敵がぐちゃぐちゃになるまで攻撃し続ける。

 戦には基本出陣はしないが、出ろと言われれば出陣する。基本は相手の出方を伺ったり、相手の策を盗み聞きしたりなど、色々と裏で引っ掻きまわす。

 家紋は猫。

 

 

 

 ・東條希

 高坂家では主な役目はない。だが、何でも出来る為、困ったらうちにお任せ。しかし、その精度は高いわけではなく、世に言う器用貧乏である。

 スピリチュアルなことが大好きで、よく占いをする。その占いはかなり当たるようで、時たま高坂の皆さんが占って欲しいと言ってくることもある。

 戦では主として率いる軍隊はなく、騎馬兵、槍兵、弓兵、全てを所有し、動かす。兵力は高坂一。

 家紋は三日月。

 

 

 

 ・小泉花陽

 高坂家では主に裏方、伝令役として働く。彼女の叫び声が聞こえたら一大事、という合図。

 音ノ木坂城の建築リーダーを務め、完璧な城を造ってみせた。その際、苦手だった戦も行い、自分に自信が持てるようになってたりする。

 戦には基本出陣せず、裏で色々と援護をする。いざとなったら出陣はする。

 家紋はご飯。

 

 

 

 ・矢澤にこ

 高坂家では主に先鋒隊、アタッカーをつとめる。キャラが少々濃いが、それもまた愛すべき所である。また、よく高坂の皆からは弄られる。弄られキャラである。

 また、頭に血が上りやすく、すぐに戦をしようとする。柴田勝家のような感じだろうか。

 しかし、高坂一頼り甲斐がある人でもあり、よく皆の相談を受けていたりする。お姉さん気質である。

 だが、頭は残念。

 戦では主に騎馬隊を率いて戦う。矢澤の騎馬隊は戦国最強、と言っても過言ではないくらい強い。普通に武田の騎馬隊と張り合える。

 自称戦国最強の騎馬隊YAZAWA。

 しかし、矢澤軍は兵の数が極端に少なく、どんなときも少数精鋭となる。そこが唯一の弱点か。

 家紋はにこちゃんマーク。

 

 

 

 ・高坂雪穂

 高坂穂乃果(戦国版)の妹。

 中々目立つ機会はないが、見えないところでかなり活躍している。

 姉よりしっかりしており、こっちが当主でも良かったのではないか、とも思えるほど。

 ただ、やはり姉妹は似るもので、頭のネジがあちこち外れている。その為、たまにポンコツなのが傷。

 

 

 

 〜高坂同盟家〜

 

 

「綺羅家」

 第4幕にて登場。高坂家の初めての同盟国であり、福島を治めていた。

 しかし、上杉・伊達連合軍に攻められ滅亡。

 

 

 

 ・綺羅ツバサ

 綺羅家の真の当主。作品中では登場なし。

 西國にて目撃情報あり?

 

 

 

 ☆綺羅ツバサ

 綺羅家の当主。平成の世ではA-RISEのリーダーとして名を馳せたカリスマ。こちらも穂乃果、海未同様にタイムスリップしてきた勢。

 上杉・伊達との合戦にて討ち死にしたことになっている。

 

 

 

「上杉家」

 新潟を治める言わずと知れた大大名。

 一時上杉家は内部崩壊したが、高坂の活躍により、現在は復興が進んでいる。

 

 

 

 ・上杉謙信

 上杉家の当主。自らを毘沙門天の生まれ変わりと評する。

 戦のない世の中を目指し、自らを救ってくれた高坂と手を結んだ。

 上杉家動乱の詳細は第7〜20幕参照。

 戦のあり方はまさに毘沙門天で、現在の所戦は無敗をほこっている。

 

 

 

 ・鬼小島弥太郎

 上杉謙信の側近。一時上杉家を追放され、高坂領で農民をしていたが、色々あって再び側近に。

 まさにゴリラのような身体で、そのパワーは計り知れない。武田家の猛犬を片腕で捻り潰したという武勇伝もある。

 最強のボディガードである。

 

 

 

「最上家」

 福島にいる小大名。綺羅家に仕えていた。

 現在は主君を助けに来てくれた恩返しということで高坂家に仕えている。

 

 

 

 ・最上義盛

 詳しいことはWikipediaへ。

 義光のストッパー役である。

 

 

 

 ・最上義光

 かなりの高坂家オタク。平成の世でいうライバーである。事実上ではかなり凄い武将なのだが、作中ではそんな雰囲気は微塵もない。

 最早ポンコツ。

 

 

 

 

 ・結城晴信

 結城家当主。頭脳派だった模様。

 関東にいる為、よく高坂の援軍として登場する。

 詳しいことはWikipediaへ。

 

 

 

 ・佐竹義重

 佐竹家当主。その顔はかなり強面……というより化け物に近い部分はある。

 こちらもよく高坂の援軍として登場。

 詳しいことはWikipediaへ。

 

 

「今川家」

 駿河を治めていた大名。今川義元時代は強かったのだが、桶狭間で織田に敗北して以来、衰退の道を辿っている。

 そして、突然現れた「高海家」によって滅ぼされてしまった。

 

 

 

 ・今川氏真

 今川家当主。大うつけ。

 どうしようもないダメ男。お茶が趣味。

 高海家によって討たれてしまった。

 基本状況はWikipediaへ。

 

 

 

 ・本多正信

 本多家当主。歴史上では松永久秀、徳川家康の側近をつとめた超大物。松永家から出て、放浪中という情報を得た高坂家……主に絵里が全力で獲得しにかかった。

 正信自身、頭脳派の軍師として知られており、織田信長、竹中半兵衛を共に策で倒そうと絵里が口車に乗せ、何とか獲得。高坂の本多となった。

 高坂・天才軍師3人衆と共に策を練る。

 

 

 

「武田家」

 高坂家の宿敵。度重なる戦をしてきた好敵手とも言える存在。ただ、vs高坂は0勝3敗。

 しかし、最近になって何を思ったか高坂と同盟を結んだ。

 史実通り、戦国最強。赤備えの騎馬隊は誰もが恐れる。

 

 

 

 ・武田信玄

 武田家当主。言わずと知れた大大名かつ猛将。風林火山を掲げ、相手を圧倒する。

 高坂を敵視していたが、同盟を結んで以来、何故か優しい。怖い。

 

 

 

 ・武田勝頼

 信玄の息子。武田の跡継ぎでもある。戦は信玄ほど上手くはないが、そこら辺の大名よりは確実に強い。

 また、亜里沙の旦那でもあり、家族想いな武将としても有名。

 

 

 

 ・武田(絢瀬)亜里沙

 勝頼の正室かつ絵里の妹。姉思いの妹として有名で、絵里はベタ惚れであった。それ故、政略結婚で武田へ行くとなった時は色々と大変だった模様。

 雪穂とも仲が良い。そしてとてもいい子である。

 勝頼とはラブラブしているという噂が。勝頼許すまじ。

 

 

 

 〜超新星〜

 

 

「高海家」

 突然と現れた武家。高坂家同様、9人の女子の武将で構成されている。

 現在、今川家を滅ぼし、静岡を治める大名となった。

 居城は内浦城。この城跡が浦の星女学院になってたりする。

 

 

 

 ・高海千歌

 高海家当主。蜜柑色の髪をしており、アホ毛が特徴。オレンジ色ではありません、蜜柑色、ここ重要。

 どうも頭脳の方はかなり残念なようで、下手をしたら穂乃果以下という噂も。それ故、考えて行動するのは苦手である。だが、型にハマれば最強。

 皆を引っ張る能力、リーダー力が秀でており、曲者揃いの高海家を上手くまとめていたりする。というか千歌自身が曲者である。

 駄洒落が大好きで、わざわざ駄洒落を言った後に解説をするほどの強者。

 戦の際は主に騎馬隊を率いて戦う。

 

 

 

 ・渡辺曜

 高海家では千歌の側近として働く。無論、戦にもしっかり出陣する。

 彼女は船が大好きで、自らも水軍を持っている。大方、渡辺水軍は日の本一である。

 手先が器用で、暇な時間に着物を作っていたりする。勿論、人を着せ替え人形のようにするのも大好き。

 一応しっかり者であり、千歌の幼馴染として千歌のストッパーの役目も果たす。

 しかし、彼女はテンションが上がると壊れてしまう傾向にあるようで、そこは注意である。

 ヨーソローが口癖。

 戦の際は主に水軍を率いて戦う。海がない時は鉄砲隊を率いる。どちらにせよ、遠距離攻撃を得意とする。

 

 

 

 ・桜内梨子

 高海家では主に軍師としてはたらく。高海家でも頭が良い方で、中々凄い策をたてる。高坂・天才軍師3人衆とも張り合えるかもしれない。

 音楽が好きで、琴を弾くことが出来る。しかも結構上手い。

 姉気質で、高海家の皆の面倒をよく見ている。特にヨハネとは仲が良い。

 昔、高坂家にいた事がある模様。しかし、何らかの事情により静岡へ。そこで、高海家に拾ってもらった。

 戦の際は弓兵隊を率いる。彼女自身、琴を弾くようにしなやかに弓を放つ。ただ、力が足りず、超遠距離攻撃は不可能。

 

 

 

 ・松浦果南

 高海家では主に伝令役、裏方として働く。

 こちらも千歌、曜と幼馴染。曜と共に千歌のストッパーをする。

 泳ぐことに秀でており、水中戦では重宝される。ただ、水中戦など戦国時代では基本無いため、高海家の秘密兵器的な存在になっている。

 また、干物を作っており、それをよく皆に配っている。戦場での保存食としてはかなり優秀で、長期戦もばっちこいである。

 戦には基本出陣せず、裏で色々とやってくれる。たまに相手を口説き落とすことも……?

 そして、水中戦では秘密兵器である、ここ重要。

 

 

 

 ・黒澤ダイヤ

 高海家では主に軍師として働く。

 大方高海家一の頭脳を誇る賢人。ただ、彼女の性格は硬度10と言われ、とにかく取っつきにくい。一番面倒臭いタイプである。

 だがしかし、ポンコツ風潮があるようで、意外とお茶目な一面も?

 とにかく、敵に回したら最悪。

 戦の際は主に槍兵を率いる。彼女の槍の先端はなんと、ダイヤモンドで出来ている為、武器は最強である。ちょこまかと槍を動かし、相手を翻弄する。だが、絵里のような破壊力はない。

 

 

 

 ・小原鞠莉

 高海家では外務大臣的な存在。

 小原家はアメリカと強く繋がっており、よく最新兵器などが輸入される。そして、その財力は西木野に負けず劣らずで、莫大な量がある。

 更に、その財力を生かし、なんと戦車を制作。日本にたった一台しかない戦車である。だが、使い方は知らない様子。

 シャイニーが口癖。

 そして、小原は「おはら」とよむ。「おばら」ではない。

 戦の際は最新兵器、防具を身にまとったガチガチの部隊を率いる。しかし、鞠莉自身は戦が下手くそで、最新兵器の破壊力に任せきりである。

 

 

 

 ・津島善子

 高海家では主にアタッカーとしてはたらく。

 ご存知の通り、キャラがとてつもなく濃く、自らを「堕天使ヨハネ」と称するほど面倒臭い奴である。

 堕天使ヨハネはかなり運が悪く、普通に道端のう○こを踏む。そんなことは日常茶飯事である。

 彼女はそのキャラとは裏腹に、かなりの寂しがり屋。愛すべき部分である。

 ただ、調子づかせるととてつもなく厄介。

 善子と呼ぶと怒る。

 戦の際、主に騎馬隊を率いて戦う。先鋒隊として出陣し、相手を薙ぎ払う。高海家で一番強い部隊である。

 

 

 

 ・国木田花丸

 高海家では主に軍師としてはたらく。

 頭はいいのだが、少しばかりのんびり屋の為、策をたてるのは基本マイペース。それ故あてにならない。

 しかし、そのマイペースさが生んだ策はたまに凄いものがある。

 語尾に「ずら」をつけるのが口癖の様。何故そうなったのかは不明である。

 戦の際は基本全ての部隊を率いる。オールラウンダーである。

 キレると怖いという噂があり、戦中にキレさせると大変なことになるらしい。

 

 

 

 ・黒澤ルビィ

 高海家では主に間者としてはたらく。

 硬度10の妹。

 究極の人見知りで、少し触られただけで大絶叫するほど。その絶叫はかなりのモノである。

 しかし、その人見知りの性格により、すばしっこさ、更には巧く隠れる技術を獲得。それを活かし、間者として頑張っている。がんばるびぃ。

 戦には基本出陣せず、情報収集を徹底する。

 

 

 

 

 〜今後の敵〜

 

 

「織田家」

 言わなくても分かるであろう、戦国で一番有名な武家。現在、天下統一に一番近いと言われている。

 

 

 

 ・織田信長

 織田家当主。第六天魔王。

 これからの高坂の前に大きく立ち塞がる強敵。信長によって、海未(戦国版)は殺された。こちらも天下統一に向けて高坂を敵対視しており、直接対決も遠くない。

 赤いマントをかけ、まさしく大魔王と言わんばかりのオーラを放つ。

 はっきり言って、今の高坂では太刀打ちは出来ないであろう。

 

 

 

 

「???家」

 とある場所にある大名家。もっている領地が小さい為、情報が皆無。

 ある大大名を滅ぼしたという噂が……?

 

 

 

 

 

 

 時系列

 

 現在は1571年を進行中。

 高坂、高海の皆さんは年をとりません、サ○エさんの世界です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このお話は、基本史実は無視しております。

 また、「読者様参加型」という形をとらせていただいていますので、読者様の意見によっては物語の方向が180度変わる可能性もあります。

 どうぞ、バシバシご意見を。

 

 

 そして、作者からの願望がありまして……。

 どなたか挿絵を描いてくださる方を募集中です。鎧姿のμ'sが見たい。

 ということで、挿絵を募集です。

 描いてくださった挿絵は随時紹介します。

 そもそも募集しても挿絵の提供が来ないことは知っておりますので、ダメ元でよろしくお願いします。

 

 

 それでは、次回の戦国ラブライブ!もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 次回予告

 

 遂に、高坂家と高海家が接触。東國を大きく動かす2つの大名家が接触した時、どんな科学反応が起こるのか……?

 そして、西國ではある大事件が。

 

 

 第60幕 変化

 

 

 お楽しみに。

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
意外と長くなってしまった^^;
これで少しでもこの作品の登場人物について知ってもらえたらいいなと思います。

それでは次回もまたよろしくお願いします。


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第60幕 変化


どうも、お久しぶりです、ポッキーです。
更新遅くてすみません……。

今回は前回予告した通り、色々と変化が起こります。
そして、いつもより内容が酷いことになっておりますので、覚悟してご覧になってくださいませ。意味わかんないので。

それではどうぞ、ごゆっくり。

前回感想をくださった
左京大夫さん
伊勢盛時公さん
ウィングゼロさん
ありがとうございました!

※最近どうしようもなく忙しいので、感想の返信はまた後日にさせていただきます。申し訳ありませんが、せっかくのご感想です故、しっかりと返信したいので、ご了承ください。



 

 

 

 

 1571年。

 関東のかつての帝王・北条家が氏政の敵討ちと銘打って、反乱を起こした。

 高坂は一時危機的状況に陥ったが、優秀な同盟国や、最新兵器の力で何とかその反乱を鎮圧。

 それにより、北条家は1人残らず死亡。討ち死にした者、自害した者と様々であった。

 

 

 

 更には駿河でも大きな変化が起こる。

 今まで駿河を治めてきた今川氏真率いる今川家。しかし、彼らは突然現れた高海家によって滅亡まで追い込まれた。世に言う下剋上である。

 ここにおいても、かつて天下に一番近いと言われた古豪がまた1つ、日の本からその名を消した。

 

 

 

 北条・今川が滅亡したことで、日の本に大きな変化があった1571年。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、この“1571年の変化”はまだ終わっていなかったーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第60幕 変化

 

 

 

 

 

 

「の、信長様!!よろしいのですか!?」

「構わん。やれ」

「しかし!!」

「いいからやれ」

 

 

 

 夜の比叡山延暦寺。延暦寺付近・坂本には織田家が陣を敷いていた。それも、この延暦寺を攻める為である。

 浅井・朝倉と繋がっているとして信長の逆鱗に触れた延暦寺の僧。先ほど小判やら何やらを信長へ渡し、攻撃の中止を求めたようだが、信長はこれを完全無視。既に攻め入ろうとしている。

 

 

 

「信長様、やはりここはもう少し考えた方が……!」

「しつこい、やれと言っているのだ」

「ですが、相手は仏教ですぞ!?もしかようなことをすれば、仏教徒全てを敵に回すことに!!」

「だからどうした。これから天下を目指そうという者が仏教など恐れてどうする」

「……どうなっても知りませんぞ」

 

 

 

 と、信長の側にいた木下秀吉が待機していた織田の軍の者達にその指示を伝える。

 すると、兵達はその指令に驚き、困惑の表情を浮かべながらも、弓矢に火をつけ始めた。

 

 

 

「信長様、準備が出来ました」

「……そうか」

 秀吉の報告を受けた信長はしっかりと、延暦寺を指差し、叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「放てぇぇぇぇえ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無数の火の矢が絶え間なく、延暦寺へと飛んでいく。そして、その火が寺に燃え移り、延暦寺全てを炎が包むまで時間はかからなかった。

 

 

 

 

 突然の焼き討ち。寺院の中にいた僧兵、更にはその妻子達がその熱さから逃げようと一斉に飛び出してくる。

 しかし、飛び出したのもつかの間、それを待っていた織田の武士達がソレに斬りかかる。

 女であろうと、子供であろうと。まさにみな殺しであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こ、の……人で無しぃぃぃぃいい!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 信長は背後から聞こえた女の声に立ち止まり、振り向いた。

 そして、ソレを冷酷な目で見下し

 

 

 

 

 

 

「残念な人生であったな」

 

 

 

 

 

 

 と1つ声をかけ、その這い蹲る女を刀で思いっきり突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐへへぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちら音ノ木坂城。北条との死闘から数日経った今日この頃。

 高坂の総大将は未だ夢の中のようです。

 

 

 

 

 

 

 

「こら!!穂乃果っ!!」

「……んがぁ」

「起きてください!!」

「あと五分……」

「ダメです!!今日は高海さんと会う為に静岡に行くと言ったでしょう!?」

「……むへへぇ」

「穂乃果ッ!!いい加減にしてください!!!」

「んん……あと10分……」

「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確実に、何かがぷつりと切れる音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ァァァァァァアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!」

「はひぃぃいぃいぃっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も高坂は平和です。

 

 

 

 

 

 

 

「あら、ようやく起きたのね」

「うん」

「本当、大変ですよ」

 海未が大きくため息をつく。大体、穂乃果を起こす為に毎回あんなに大絶叫していたら、海未の方もやってられないであろう。

 てられなである。

 というか喉が持たない。

 

 

 

 

「あはは……ご苦労なことやな、海未ちゃん」

「さっきも叫んでたみたいだし」

「そうです。もう喉が痛いんですよ」

「全く……穂乃果は毎回叫ばれなきゃ起きれないわけ?」

「うん!」

「そこでいい返事をしてどうするんですか」

「やー、でも毎回叫んどったら海未ちゃんの喉が持たんで?」

「確かにそうね」

「もういっそのこと、水かけちゃえば?」

「へ?」

「あ、それはいいですね。明日からそうしましょう」

「それじゃあ布団が毎回濡れてまうで?」

「大丈夫!ことりが毎回洗うよ♪」

「私も濡れた床くらいなら拭けます!」

「お、やる気ね」

「ちょ、ちょっと待って、何で水をかける方向に向かってるの?」

「それは貴女が起きないからです」

 海未さん正論。

 

 

 

「でもでも、毎回水なんてかけられたら穂乃果、風邪引いちゃうよ!?」

「馬鹿は風邪を引かないって言うわよね」

「ええ。ですので大丈夫かと」

「どういう理由!?」

「まぁとりあえず明日から穂乃果ちゃんは水をぶっかけられて起きるってことやな」

「凄いわね、穂乃果。水をぶっかけられて起きる大名なんて聞いたことないわよ」

「待って、待ってってば!」

「なんですか、穂乃果。貴女が起きないので仕方ないですよね?」

「それとこれは……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何が違うと言うんですか?」

 海未の素晴らしくドスの効いた声が炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

「はい、明日からちゃんと起きるので許してください」

「信用性に欠けるわね」

「せやね」

「酷いよ!?」

 

 

 

 

 高坂は朝からこんなくだらないことでバタバタ、バタバタ。

 やはり高坂は平和です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「やー、今日も蜜柑が美味いっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちらは駿河。蜜柑を口一杯に頬張る大名あり。

 

 

 

 

「……千歌ちゃん、今日はご機嫌みたいだね」

「あはは……そう、みたいだね」

「今日って何かあった?」

「えっとね、確か……」

 

 

 

 駿河を治める新たな大名「高海家」

 その居城である内浦城の中庭にて。鼻歌を歌いながら、大きな蜜柑を頬張る者とそれを苦笑いしつつ、見ている2人の者達。

 今日は何やら良い事があるようで。

 

 

 

「関東の高坂家から千歌ちゃんに会いたいっていう手紙が届いたみたいでね」

「高坂ってあの?」

「そう。梨子ちゃんが前にいたあの高坂」

「へー……なんでだろう?」

「よく分かんないけどさ、その対談の日が今日なわけ」

「……あ、だからあんなに千歌ちゃん舞い上がってるんだ」

「そうそう。昔っから高海家を高坂家みたいにするんだーって言ってたし」

「憧れの人に会える機会だもんね」

 

 

 

 そう、今日は高坂家と高海家の対談の日。千歌からすると、今日は待ちに待った日で、朝からとにかくテンションがヤバイのだ。興奮状態にある彼女は、軽く10個は蜜柑をたいらげている。これもハイテンションが成せる技か。

 

 

 

「曜ちゃん、梨子ちゃん!今日は、穂乃果さん達に会える日だよ!!」

「うんうん、そうだね」

「どれだけ待ちに待ったことか!!」

「千歌ちゃん、ずっと楽しみにしてたもんね」

「うん!楽しみだなぁ……!!」

 千歌さん、目がとてつもなくキラキラしております。夢と希望に満ちた目です、少年のような眼差しです。

 その目に映るのは高坂穂乃果以外の何者でもなかった。

 

 

 

「さて!私たちも準備に入ろうか!」

「そうだね。関東の大大名様をおもてなししなきゃ!」

「それじゃ、調理場へ向かってぇ……ヨーソロー!!」

「ヨーソロー♪」

 蜜柑を未だ食べまくる君主を他所に、2人は調理場へと走って行った。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 西國某所——

 

 

 

 

 

 

 

 

「この程度かぁ……。大大名って言うほどでもないね」

「ええ、そうね。もう少し手強いのかと思ってたけど」

 

 

 

 

 

 

 

「貴様ら……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?まだ喋る元気があるのかな?」

「もう少し、遊んであげてもいいわよ?」

「くっ……ふざけるな、お主らなどにこの領地は渡さぬ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、鈍い音が響きわたった。

 そして、大男が宙を舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この程度でまだ私たちにかかってこようなんてね。度胸だけは認めてあげるよ」

「まぁ、認めても殺すのだけれど」

「………」

「もう返す言葉も無いって感じかな?」

「………」

「そうみたいね。……とどめはどうする?」

「うーん、いらないんじゃないかな?炎もそこまで来てるし、そのうちお城と一緒に灰になると思う」

「そう。なら放置でいいわね」

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西國の有力大名が1つ、自らの城と共に燃え尽きた。

 そして、新たに出現した大名。

 その名は……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高良家———————

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
意味わかんないでしょう?(←

次回は高坂と高海家の対談をメインに進めたいと思います。
そして、大方次回の更新も遅れると思いますので、ご了承ください。
それではまた次回もよろしくお願いします。

P.S更新が遅れるので、問題を出していきます。
「高良家」なんと読むでしょーうか!(殴


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第61幕 運命


お久しぶりです。ポッキーです。

情報編集中に、いきなりヤホーのアプリが落ちて、めっちゃ書いた前書き・後書きがパーになりましたT_T
よって、もう面倒くさいので、簡潔にいかせていただきます(殴

それではごゆっくり。

前回感想をくださった
真姫リコットさん
左京大夫さん
伊勢盛時公さん
ウィングゼロさん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 今日は高坂家と高海家の対談の日。

 遂に東國の未来を左右する両家が顔を合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、海未。穂乃果を頼むわよ」

「はい。必ず生きて返します」

「もちろん、海未ちゃんも生きて帰るんやで?」

「当たり前です。何ですか、希は私を殺したいんですか」

「どんな被害妄想なん?それ」

 海未さん絶好調です。

 

 

 

「それじゃ、みんな!行ってくるね!」

「気をつけてね、穂乃果ちゃん、海未ちゃん」

「海未に迷惑かけるんじゃないわよ?」

「にこちゃんに言われたくないなぁ」

「どういうことよ!?」

「同盟、しっかり結んでくるのよ」

「はい、任せておいてください」

 音ノ木坂城門前。相変わらずの家臣全員での見送りのもと、穂乃果と海未は高海家がある駿河へと出立した。

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第61幕 運命

 

 

 

 

「…………」

「…………」

「あわわわわわわぁ」

 

 

 

 

 こちらは内浦城。そわそわと右往左往しているアホ毛がぴょこんと一本立っている大名あり。

 

 

「あのー……千歌ちゃん?」

「ちょっと落ち着こうか?」

「むむむ無理だよ!?」

「えぇ……」

「千歌ちゃん……」

「ダメだ……!!やっぱり落ち着いてられないよ!!」

 そう、この少女、憧れの高坂家の方々に会えるということで、楽しみにしすぎるあまり、完全にパニック状態に陥っていた。千歌のストッパーである、曜と梨子ですら手に負えない様子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………となると。

 

 

 

「うーん、これは果南ちゃん呼ぶしかないかなぁ」

「そうだね……ちょっと私たちには……」

 そう。千歌のストッパーはこの2人の他に、もう1人いるのだ。その名も松浦果南。千歌と曜の幼馴染で、1つ上のお姉さん。この女にかかれば、千歌を鎮めることなど朝飯前なのである。

 

 

 

 

 

「………それで、私を呼んだわけだ」

「うん」

「お願い出来るかな……?」

「うん、任せておいて。すぐに終わらせるよ」

「おぉ……さすが、職人は言うことが違うねぇ」

「あはは……そうだね」

「んじゃ、ちょっと行ってくる」

「頑張って〜!」

 

 

 

「千歌?」

「あぁ!果南ちゃん!!聞いて、聞いて!!」

「のわっと……。いきなり飛びつくのは止めようか」

「そんなことはいいから、ねぇ!聞いてよ!」

「うんうん、凄いねぇ」

「まだ何にも喋ってない!!」

「あー、うん。ちょっと声が大きいかな、千歌」

「いいから、聞いて!!ね?」

「はいはい、高坂家と会えて嬉しいね」

「そうなの!!高坂さんと会えて嬉しい……って、何で果南ちゃんそれ知ってるの!?……はっ!!もしかしてエスパー!?」

「違うから」

「楽しみだなぁ♪早く会いたいなぁ……!」

「千歌?」

「うん?なぁに、果南ちゃん」

「今の状態で高坂と会う気なの?」

「……?」

「高坂の皆さんが、この状態の千歌を見たら皆ドン引きすると思うけど?」

「……!!?ど、ドン……引き……!?」

「うん。第一印象最悪で、嫌われちゃうかもね」

「き、嫌われる……?高坂さんに……?」

「それでもいいの?」

「やだ、やだ!!ねぇ、果南ちゃん助けてぇ!!」

「うんうん、じゃあ一回静まろうか」

「うん、分かった!」

「それじゃ、高坂が来るまでここで大人しくしてること。いい?」

「うん」

 

 

 

 

「……お、おぉ。やっぱり職人は違う……」

「凄いね……あの千歌ちゃんを一瞬で静めちゃった……」

「分かってるなぁ、千歌ちゃんのこと」

「うん。飼い主と犬……って感じだね」

「あはは……確かにそうかも」

「これで少しは落ち着いて高坂さん達を迎えられるかな?」

「うん。……まぁ、何もなければだけどね。あはは……」

「……それってどういう?」

「んんっとね、千歌ちゃん、今は落ち着いてるけど……」

「けど?」

「高坂さん達を実際目の前にしたら、多分千歌ちゃん緊張してまたパニックになる可能性が……」

「……え、そうなの?」

「うん。ちょっと前科があってね」

「前科って……」

「ま、そういうことだから、千歌ちゃんを頑張って支えなきゃね!」

「それで本当に大丈夫かなぁ……」

 千歌さん、ちょっとしたアガリ症のようで。さてさて、穂乃果達を目の前にした千歌は、一体どんな反応を見せるのやら。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「……お、お尻が痛いです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?大丈夫?海未ちゃん」

「大丈夫……ではないです」

 こちら、駿河へ向かう途中の穂乃果と海未の高坂家御一行。やはり現代から来た者には乗馬が辛いようで……。特に、お尻が。そう、お尻が。

 

 

 

 

「大丈夫じゃないかぁ……。一回休む?」

「……出来れば」

「んじゃ、ちょっと休憩!」

 穂乃果と海未は馬から降り、近くに広がっていた草原に腰を落とした。そして、その上に寝転がり、空を仰ぐ。

 

 

 

「μ'sのみんなと見た空と一緒だ……」

「……はい。あの日と全く変わらない青空です」

「……お尻、大丈夫?」

「はい、大分楽になりました」

「ならよかった」

 ……と、会話が途切れ、2人はそのまま空を見続けた。あの日と同じように、手を繋いで。ただそうしているだけで、μ'sの皆と一緒にいる気分になれた。

 

 

 

「思い出しますね、μ'sを」

「……うん。懐かしいね」

「はい。3年生になってからは色々忙しくなり、ちゃんとした活動は出来ていませんし」

「んまぁ、花陽ちゃん達ならちゃんとやってくれてると思うよ」

「雪穂や亜里沙もいますしね」

「うんうん。だからスクールアイドル部はもう心配しなくても大丈夫かな」

「……そう言われると、なんだか寂しいですね」

「あはは……まぁ、過ぎたことだし」

「……ええ。過去に囚われないと決めましたからね」

「思い出は思い出。時を巻き戻すんじゃなく、いまを精一杯輝く。それがスクールアイドルμ'sだから」

「はい。それが私達です」

「……よし!じゃあしんみりした話はお終いってことで!」

「そろそろ出発しましょうか!」

「うん!新たな出会いに向けて出発だよ!」

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「……千歌さんは何をしているんですの?」

「さ、さぁ?」

「オゥ……イッツソーキュートね!」

「え、どこが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、こちら再び内浦城。千歌のテンションが落ち着いたはいいものの、次は千歌が謎の行動に出た模様。

 

 

 

 

 

「自らの周りを蜜柑で囲い、更には刀に蜜柑を刺し、それを両手で持ちつつ、目を瞑る……。一体何がどうなったらああなるのです?」

「……千歌なりの精神統一」

「ワァッツ?」

「精神統一って貴女……あれのどこが精神統一!?えぇ!?側からみたらただの奇行!!そう、イッツ ア クレイジーガール!!!……ですわ」

「ダイヤ、それはマリーのセリフでーすよ?」

「あのさ、叫んだ後にさりげなくですわをつけるの止めてもらってもいいかな?」

 黒澤ダイヤ。別名硬度10。もしかしたら……いや、もしかしなくても一番のポンコツの素質があるのは彼女かもしれない。

 

 

 

「ちょっと、3人ともうるさいよ!」

 3人の会話が千歌の気に障ったようで、千歌が少し怒り気味に振り向く。そして、その千歌の頭を見て、3人は再び驚愕した。

 

 

 

「ザッツアメージング……」

「……もう私の頭では処理が追いつきませんわ」

「えっと、千歌?」

「何!?果南ちゃん!」

「あのさ、そのー……頭につけてるものは?」

「頭?あぁ……って見れば分かるよね!?」

「うん、そうなんだけど、ちょっと説明してほしいかなー……なんて」

「千歌は今忙しいの!!」

「怒ってる……」

「千歌、一回落ち着こ。一回」

「んもぉ!人の邪魔をしておいてぇ……!」

 千歌さん、激おこぷんぷん丸のようです。ぷーっと頬を膨らませ、怒る千歌。

 ……あれ、どっかの何とかという大名に似てるような?

 

 

 

 

「……で?その頭にある蜜柑は?」

「儀式」

「何の」

「蜜柑の」

「ナニソレイミワカンカナイ……ですわ」

「あのさ、千歌。頭に蜜柑を括りつけて、刀に蜜柑さして、自分の周りに蜜柑散らばして……。蜜柑の無駄遣いだと、思わない?」

「全然!だって、私食べるもん」

「え、全部?」

「もちろん!」

「この人は本当に正常なのですか?」

 千歌が食べると言っている蜜柑の個数は約20個。更に言うと、先ほど10個たいらげている。故に、千歌は正常ではない。異常である。証明終了。

 

 

 

「とりあえず、この蜜柑片付けて」

「えぇ?まだ儀式終わってないのに……」

「だーめ。そんな馬鹿みたいなことしてないで、ほら、早く高坂を迎え入れる準備をしなきゃ」

「でも、これをやんなきゃ……」

「ふーん、穂乃果さんの前でもやるの?」

「……あぇ?それは」

「実際に今日、それを穂乃果さんの前でもやるならやっててもいいけど?」

「……む、無理です」

「ほら。ならさっさと片付けて、早く着替えて!」

「はーい。じゃあ蜜柑をいただいて……」

「千歌!!」

「ひゃいっ!?」

「蜜柑を食べるのはいい加減にして」

「だめ?」

「だめ?……ってね、さっきあれだけ食べてたじゃん」

「足りない……蜜柑成分が!!」

「はいはい。お腹壊しても知らないよ〜」

「……お腹壊すのは嫌だな」

「それじゃやめとけば?」

「いや、でも!蜜柑は食べたい……」

「んじゃ食べれば?」

「でもでも!お腹は壊したくない……」

「……それじゃ、止めておけば?」

「でも!!」

「それじゃあ干物でも食べる?」

「うん!食べる!」

「食べるんかい」

「だって果南ちゃんの干物美味しいもん」

「うん、ありがとう。……え、本当に食べるの?」

「もちろん!」

「イッツジョークのつもり、だったんだけど」

「やだ、食べる」

「……何がいい?」

「スルメ!!」

「親父か」

 ……その後、千歌はスルメをずっと嚙り続けていたという。そして、スルメは美味しい。普通に美味しい。そこ、勘違いしないように。

 

 

 

 

「千歌ちゃん、早く着替えしない?」

「待って……スルメが……」

「……急がなきゃ高坂さん来ちゃうよぉ」

「このスルメが中々手強くて……」

「もう!いいから、早く着替えるよ!!」

「のわっ!?よ、曜ちゃん!押さないでぇ!!」

「千歌ちゃんが遅いのが悪いんだよ!!」

 スルメをしゃぶる君主を精一杯の力で更衣室へと押していく曜。なんという光景でしょう。

 

 

 

 

 

 

「……さて、後は千歌さんの着替えが終わるのを待つのみですわね」

「うん」

「千歌には落ち着けって喋ったけど……」

「や、やっぱりあの高坂さんとあうってなると……」

「ナーバス!!!!……ね♪」

「ごめん、ちょっと今は鞠莉のボケに突っ込んでる余裕ないんだ」

「オゥ……果南がここまでなるなんて……」

「鞠莉ちゃんももう少し緊張感持って」

「……少しもシャイニーなことは出来そうもない雰囲気ね」

「よ、ヨハネにかかればこ、ここ高坂なんて……」

「……善子ちゃん、声が震えてるずら」

「よ、善子言うな!」

「ツッコミもキレが全然ないし」

「………」

「ついに黙っちゃったね、よっちゃん」

「緊張してるずら」

 ご覧の通り、大広間は物凄い緊張感が支配していた。正装した高海家家臣団がずらりと並ぶ、この状況。

 皆ガチガチ、もう口は上手く回らない。高坂とあうということは高海のような小大名にとってはとてつもなく凄いことなのだ。ましてや、千歌が憧れ、目標とした存在。失礼なことは出来ない。

 

 

 

 

「皆、お待たせ!」

「ようやく来た」

「ちゃんと着れたみたいだね」

「……ちょっと梨子ちゃん、それどういう意味?私だって着物くらいちゃんと着れるよ!」

「あはは……ごめんね」

「ふむ……意外とお綺麗ですわね」

「お、ありがとうダイヤちゃん♪」

「……おっと、ダイヤ?チカに惚れちゃったかな?」

「誰が。私はただ、千歌さんも正装すれば大分マシになるのだ……ということを言いたかっただけですわ」

「え、ちょっと!それじゃあいっつも私が汚いみたいじゃん!!」

「はぁ……千歌さん、貴女はいつも自分が綺麗にしているとお思いで?」

「もちろん!」

「黙らっしゃい!!」

「えぇ……」

「だいたい千歌さん、貴女は……」

「あー……これは長くなるやつだね」

「ソーロングね♪」

「これは千歌ちゃんを救出しなきゃまずいずら」

「そうだね……。ダイヤちゃんが怒ってる間に高坂さんが来ちゃったらどうしようもないし……」

「んじゃ、ルビィちゃんよろしく!」

「……え、ルビィ!?」

「え?だって貴女のお姉ちゃんでしょ?」

「むり、無理です!!やめてぇ……!!」

「……ルビィちゃん、凄い嫌がってるずら」

「これは困ったな……」

「ルビィちゃんじゃダメってなると……」

 

 

 

「………え、何で皆してヨハネを方を見るのよ!!?」

「ここはよっちゃんしかいないかなぁ……って」

「それはマリーも思うわぁ♪だって、堕天使ヨ・ハ・ネでしょ♡」

「だからお願い、ヨハネちゃん!」

「むっ……こんな時だけヨハネってちゃんと呼ぶんだから……」

「で、やってくれるの?ヨハネ」

「……しょうがないわね。リトルデーモンの頼みとなれば、受けるしか……」

「申し上げます!!」

「ちょっと!!今ヨハネが喋ってたでしょ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高坂穂乃果様、園田海未様がお見えになられました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ほえー……意外と大きいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちら内浦城城門前。

 高坂家御一行様が到着したご様子で。

 

 

 

 

「坂の上にあるのですね……。音ノ木坂みたいです」

「あ、そう言われればそうかも。なーんか高坂と高海さんって共通点多いね」

「はい。女子のみの大名家が高坂以外にあったとは……」

「運命かもね♪」

「……そうだといいですね。今後、この乱世を共に生き抜くパートナーとなってくれれば、こちらとしてもありがたいですし」

「うん!上杉さんや武田さんもいるけど……。やっぱりこういう出会いって大事だし」

「それに、信玄、そして謙信も史実通りであればもうじき……」

「……?もうじきどうなるの?」

「………いえ。何でもないです」

「本当?」

「はい。それより、早く中へ入りましょう。高海さん達が待ってくれているはずです」

 

 高坂・園田が高海家居城・内浦城の城門をくぐり、遂にその城内へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「「「「………………………………」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 大広間。先ほど説教モードだった硬度10も高坂が来たという知らせを聞き、賢い生徒会長モードに。

 誰1人として口を開かず、これからの高坂との対談を死ぬほど緊張していた。皆、顔が蒼い。

 

 

 

 

 

「高坂穂乃果様、園田海未様のおなぁりぃぃ!!!」

 

 

 

 

 全員が一斉に頭をさげる。

 

 

 

 襖が開く。

 

 

 

 家臣達は頭を下げていたため、顔はしっかり見ていないが、確実に、自分の目の前を通り過ぎる2つの足音が聞こえた。

 

 

 

 

 そして、千歌の前に穂乃果と海未が着座した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女が、高海……千歌さんかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃぁいっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穂乃果と千歌の初対面、そして初の会話は、千歌の裏返った奇声ともとれる返事から始まった。

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたでしょうか?
意味わかんない?知りません、そういう作品なんで(殴

次回はようやく対談ですね、お楽しみに。

みなさん、サンシャイン!!見てますか?凄く面白いので、是非みましょう、私はもうどハマりしてます、ええ。

それではまた次回もよろしくお願いします。

※この間の問題の答え
「高良家」→「たから家」です。今後出てきますので、お見知りおきを。


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第62幕 かんかんオレンジ


どうも、ポッキーです。
最近文章の調子が悪いです、助けてください(いつもだ
ということですので、いつも通り、考えながら見てください♡(殴

今回のお話は……うん、タイトルが凄いねw かんかんオレンジ?ネーミングセンスどうしたwww(←
簡単にいうと、穂乃果ちゃんのオレンジと千歌ちゃんのかんかん蜜柑を繋げただけです。よって、そういうことです。

それではごゆっくり。

前回感想をくださった
GUMIさん
伊勢盛時公さん
ありがとうございました!




 

 

 

 

 

「ひゃぁいっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千歌の裏返った声での返事。暫しの間、内浦城大広間の時の流れが、止まった。

 

 

 

「あ、あはは……大丈夫?」

「は、はいぃ!だいひょうふでしゅ!!」

 千歌さん、完全にろれつが回っておりません。

 

 

「高海さん、もしかして緊張してる?」

「そ、それはもちろん!!」

「ふーん……それじゃあさ!」

「?」

 バッ……っと穂乃果が立ち上がる。そして、千歌の手を取り、彼女を半ば無理矢理立たせ、一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!じゃあ高海さん……じゃなくて、千歌ちゃん!私に内浦を案内してよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千歌の思考回路が完全に停止した。

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第62幕 かんかんオレンジ

 

 

 

 

 

「………………………ぇ?」

「ほら、千歌ちゃん!早く行こうよ!」

「………私が、こ、高坂さんと、内浦を……?」

 千歌さん、今起こっていることが全く理解できていない様子。周りの高海家家臣団もまた然りであった。

 

 

 

「ほーら、千歌ちゃん行くよ!!」

「のわっ!?」

「あ、穂乃果!!そんな無理矢理連れ出しては……!!」

「大丈夫、大丈夫!」

 ………………………と、穂乃果はただ呆然としていた千歌の手を握り、あっという間に大広間を飛び出して行ってしまった。

 

 

 

 

「全く穂乃果は………」

 いつも通り、穂乃果の奇行に頭を抱える海未。

 一方、周りの高海家家臣団は、何が起こったのか未だ理解していないご様子。ただただ呆然としていた。

 

 

 

「皆さん、すみませんがついてきてもらえますか?あの子達を捕まえねばならないので……」

「………あ、はい!」

「わ、分かりましたわ」

 海未の言葉で我に返ったのであろう、家臣団。一斉に立ち上がり、海未を先頭にして大広間を後にした。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ねぇねぇ、千歌ちゃん!」

「はいっ!」

「千歌ちゃんのお気に入りの場所、教えてよ!」

「わ、私のお気に入りの場所……ですか?」

「うん!まずは千歌ちゃんのお気に入りの場所から内浦を案内して欲しいなぁって思って!」

「そういうことなら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!!」

「……ここが私の好きな場所です」

「凄いよ千歌ちゃん!!海が綺麗だよぉ!!東京の海とは比べものにならないねぇ!!」

(す、凄い喜んでる……!!)

 千歌が穂乃果を案内した場所。それは内浦の海。どこまでも続く砂浜。そして水平線がくっきりと見える広大な海。千歌がこの内浦で1番好きな場所だった。

 

 

 

「喜んでもらえて良かったです」

「うんうん!最高だよ!毎日こんな綺麗な海を見れるなんて、千歌ちゃんは良いなぁ♪」

「はい!この海は凄く綺麗で……。いつも私たちを見守ってくれる。だから、好きなんですこの場所が」

「海が見守ってくれる、かぁ。そういうの、何かいいね。憧れるよ」

「そうですか?」

「うん!都会育ちだと自然と触れ合うとか、そういうことが出来ないから……。だから良いなぁって思う!」

「……高坂さんも海、好きですか?」

「もちろん!大好きだよ!」

「なら、ここを紹介出来て良かったです」

「あ、そうだ。千歌ちゃん、そんな堅くなんなくても良いよ?……っていうかあんまり堅いとやりにくいんだよね……」

「い、いえ!そんな失礼なことは!」

「じゃあさ!友達になろうよ!!」

「と、友達?私が高坂さんと……?」

「あれ、嫌だったかな?」

「そ、そんな!むしろ夢のようで……」

「あはは、大袈裟だねぇ。穂乃果はただの一般人だよ?」

「いえ!一般人なんてそんな!!北条を倒し、高坂家をここまで大きくした高坂さんは……もう伝説ですよ!!」

「で、伝説って……。あ、じゃあさ、高坂さんって呼び方止めてくれるかな?」

「はい?」

「だから、高坂さんじゃなくて、名前で呼んでよ!」

「い、いやいや、ですからそんな失礼なことは……」

「命令!!……って言ったら従うのかな?」

「め、命令……!?」

「うん!命令なら文句ない?」

「高坂さんを名前で呼ぶ命令……。嫌って言ったらどうなります?」

「千歌ちゃんを襲う」

「どういうことですか」

「えー、お願い!!ね、ね?」

「うー……分かりました!分かりました!!な、名前で呼びますよ!」

「さっすが千歌ちゃん♪」

「流されてしまった……」

「じゃあ早速呼んでよ!穂乃果〜って」

「え、えぇ?今ですか?」

「もちろん!それと、敬語もダメ!いつも通りでいいから!」

「高坂さ……。ほ、穂乃果さんにそんな失礼なことは出来ないんです!!」

「えぇ〜?全然失礼じゃないよ?っていうか敬語使われる方が穂乃果からしたら失礼なんだけど……」

「どんな話ですか」

「それに、穂乃果さんって……。さん付けやめてよぉ」

「でもぉ……」

「いいじゃん!そっちの方が話やすいって!」

 ぐいぐいと押しきろうとする穂乃果に、さすがの千歌も諦めたような表情。

 1つ息を吐いて、心を決めた。

 口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほ、穂乃果……ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おぉ!!それだよ、それ!!やっぱり千歌ちゃんはやれば出来る子だったねぇ!!」

「あ、あはは……穂乃果ちゃんっていつもこんな感じなの?」

「あぇ?うーん……意識はしてないけど、多分こんな感じだと思う!」

「ほぇー……」

「それで、いっつも海未ちゃんに怒られてるよ!」

 えっへんと言わんばかりのドヤ顔でソレを言う穂乃果。……威張るところではない。

 そして……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?穂乃果ちゃんも怒られてるの!?」

 あんな話に関心するお馬鹿がもう1人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「も……ってことは、千歌ちゃんも誰かに怒られるの?」

「うん!よくダイヤちゃんに怒られてるよ!だらしないですわぁーって!」

「おぉ!穂乃果もだらしないですぅーって怒られるよ!やー、これがまた煩くて!」

「うんうん!分かるよ!!ダイヤちゃんもうるさいの何のって!!」

「そーだよね!!怒られる身にもなって欲しいっていうか……」

「そうそう!まさか、理解者がいるとは思わなかったよ!!私達……似てる?」

「うんうん!穂乃果達、似てるね!」

「うん!髪色も似てるしね!」

「おぉ、そう言われれば!!これはもう運命だよ!!」

「そして、奇跡だよ!!」

 ……………お馬鹿の会話。ツッコミどころが多すぎて、もう手に負えません。

 だが、先ほどまで何か見えない厚い壁で仕切られていたような2人が、ちょっとした共通点で、ここまでワイワイ仲良くしている光景を邪魔しようとは思わない。皆さんもそうであるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ただ2人を除いては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「穂乃果ぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!!!」

「千歌さぁぁぁぁぁぁあんッ!!!!!!」

 鬼・襲来。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………まずい」

「そ、そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「先ほどの話は一体どういうことですか(ですの)!!!!??」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……千歌ちゃん、逃げよう」

「わ、分かった!私が隠れ場所を案内するよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「説明しなさい穂乃果ぁぁぁ!!!!」

「全て話てもらいますわよぉぉぉお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「走るよ!!」

「うん!!」

 似た者同士の2人の当主が走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、こら!!!!」

「待ちなさい!!!!!」

 こちらもまた、似た者同士の鬼がそれぞれの君主を追って走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 内浦の海はその鬼ごっこを静かに見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、お馬鹿2人が捕まり、こっぴどく叱られたのは言うまでもない。

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたか?うん、イミワカンナイ。いつも通りです。

今回はほのちかを書いたわけですが……。私はほのうみ・ようちか・よしりこが大好きな人です(どうでもいい
曜ちゃん可愛くないですか(脱線

次回こそ、ちゃんと同盟までもっていきますよ。
そして、曜ちゃんいっぱい書きたい、ヨーソロー(←
それではまた次回もよろしくお願いします。

青空jumping heart 発売日ですよ。


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第63幕 同盟

覚えている方はどうもポッキーです。いやぁ、みんな忘れちゃったかしら?すみません、一ヶ月半放置してました(殴
もう一度初心に返って何とか頑張りますので、よろしくお願いします!

さて今回は、高坂と高海の同盟のお話。もう忘れちゃったよーって方はもう一度1からご覧ください(殴

サンシャインの事についても良く分かってきましたよみなさん。よって設定の変更がいくつかあるので、後ほど登場人物紹介part2を更新しておきます。

今回もまた凄い訳のわからん文章になってますので、謎解きをお願いします。リハビリなんで(←

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった……方!!本当にありがとうございます!放置してすみません!!



 

 

 

 

 

 

「……………あれ、穂乃果ちゃんは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちら内浦城・大広間。現在10時半………。

 昨日の夕方、同盟を結ぶために内浦城に参上した穂乃果と海未。まぁ、色々あって遅い時間になっていた為、同盟の話はまた明日……ということにしていた。

 そして、今に至る。現在、大広間には10人が集まっていた。高海家の皆さんと海未一人。

 もうお分かりだろう、足りないのは………?

 

 

 

「まったく穂乃果は………」

「あはは……本当に穂乃果ちゃん、寝坊するんだね……」

「すいません……」

「い、いえ!感心しただけですから!」

「感心……。高海さん、私が誠心誠意をもって謝罪しますので、どうか穂乃果の命だけは……」

「あぇ!?そそそんな大事にしなくても!」

「そうです、わざわざ高坂さんに来てもらっているのですから、どれだけ寝坊されても構いませんわ。寧ろ寝坊して欲しいくらい」

「そうそう!だからそんな気に病まないでください!」

「……すいません。それでは穂乃果を起こしてきますので、もう少々お待ちいただいてもいいでしょうか?」

「「はい!」」

 

 

 全員の了承を得た海未は、ニコッ……と笑い、「ありがとうございます」という一言を残し、大広間を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああアアアアアアアッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 内浦城が揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第63幕 同盟

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

 

 

 

 なに食わぬ顔で再び参上した海未。しかし、高海の皆さんはドン引きである。

 

 

 

「そ、園田さん、お疲れ様です……」

「ぴぎぃ……」

「……?何故そんな怯えた顔をしているのです?揃いも揃って……」

 いや、貴女のせいです、鬼軍曹。

 

 

 

「うぅ……おはよう、みんなぁ」

 そこに髪ボッサボサの高坂総大将が参上。なんと醜いお姿でしょうか、これが関東の覇者です。いと悲し。

 

 

 

「ほ、穂乃果ちゃん……」

「穂乃果……貴女、鏡は見てきましたか?」

「ふぇ?鏡?」

「……一回見た方が良いと思うよ?……曜ちゃん!」

「はいよっ!」

 曜がパッと手鏡を取り出す。一体どこから出してきたのやら。

 

 

 

「…………」

「…………」

「………あ」

「……分かりましたか?」

「す、凄いね、私」

「うん、凄いよ」

「分かったらすぐに直してきてください、一刻も早く、モーメントのうちに、でなければ高坂の恥を晒しているのも同然ですから」

「海未ちゃん、結構刺さってるからね?分かるかな?」

 海未さん、相変わらず絶好調です。

 

 

 

「園田さん、穂乃果さんってずっとあんな感じなんですか?」

「はい。小さい頃からずぅっとあんな感じです。だらしなくてだらしなくて……もう私の手には負えません」

「あはは……。小さい頃からってことは、幼馴染、なんですか?」

「ええ。生まれる前からの幼馴染です。最早身内も同然ですね」

「ほぇー……。私と曜ちゃんと果南ちゃんみたいだ……」

「渡辺さんと松浦さんは高海さんの幼馴染なんですか?」

「あ、はい!千歌ちゃんと果南ちゃんとはずっと一緒にいますね。千歌ちゃんは妹で、果南ちゃんはお姉ちゃん……って感じかな!」

「三姉妹ですか。中々楽しそうですね」

「はい!とっても楽しいですよ!」

「こーら、もう少し言葉をわきまえなさい。園田さんに失礼だよ?」

「いえいえ、私は構いませんよ、松浦さん。というか寧ろそういうのは取っ払ってくれた方が私としてはやり易いです」

「いや、でもさすがに……」

「……穂乃果だけ高海さんらと仲良しというのはズルいと思いませんか?」

「「……ん?」」

 全員の視線が海未に向けられる。

 

 

 

 

 

 

「……?何かおかしいこと言いましたか?」

「え、いや、ず、ズルい?」

「はい。ズルいではありませんか。私も仲間に入れてください」

「………え?」

「は?」

「え、ちょっと待って、園田さんってこんな感じなの?」

「ちょっと予想外……かな?」

「これはヨハネのリトルデーモンになれるだけの逸材……!!」

「善子ちゃんは黙るずら」

 

 高海の皆さんはどうも海未に偏見を抱いていた模様。他人にタメ口を聞くことを許さない、恐怖の鬼軍曹……と。

 まぁ無理もないだろう、あんな怒声を目の前で聞かされては武田信玄もびっくりである。

 

 

「え、私ってそんな怖くみえますか?」

「「はい」」

「揃いも揃って即答ですか……」

「あれだけ怖く怒る人初めて見たもので……」

「ええ、私でもあそこまではいきませんわ」

「ダイヤの場合は怒鳴るっていうより、発狂するって感じだけどね」

「イッツクレイジーね♪」

「…………。果南さん?鞠莉さん?後で覚えておくように、ねぇ?」

 3年生組、話が脱線し始めました。

 

 

 

「……それで?私を仲間には入れてくれないのですか?」

 威圧感。

 

 

 

 

 

「あ、いえ!園田さんが構わないならいくらでも……」

「いぇーす!うみみんが構わないならいくらでも♡」

「う、うみみん……ですか、中々すごいネーミングセンスですね」

「嫌かしら?」

「……いえ、嬉しい限りです」

「オーゥ!イッツソーキュートね♡流石は私のうみみんね!」

「いつから鞠莉のになったのさ」

「ほーら、みんなも私を見習って!うみみんと仲良くなりましょー!!」

「お、おー!」

 凄いテンション、これがアメリカ仕込みです。

 

 

 

 

「う、海未ちゃん!」

「はい、千歌!」

「ふぉぁぁぁぁあ!!!!」

「ち、千歌ちゃん……」

「あはは……こりゃ凄いね」

「梨子、曜、貴女達もよろしくお願いしますね」

「「は、はい!」」

「えーっと、う、海未ちゃん!」

「……海未ちゃん!よろしくなのでありますっ!」

「思ってたほど怖い人じゃない……?」

「そうみたいずらね」

「だって私のリトルデーモ「ちょっと黙って」

「何でよ!!」

 ようやく高海家に園田海未という人物が受け入れられた模様。仲良くなってしまえばあっという間である。

 

 

 

 

「っと……。お待たせ、みんな」

「待ちくたびれましたよ、穂乃果」

「あはは……ごめん、海未ちゃん」

 ここでようやく高坂家当主登場。身だしなみもきっちり揃え、一応それなりの風格みたいなものはある。

 

 

 

 

 

 

 2人は当主である千歌の前に着座。しっかりと頭をさげて、今回の目的である同盟の申請をする。

 

 

 

「同盟を結んでいただきたく参上仕りました…高坂穂乃果にございます」

「同じく、園田海未にございます」

「高海千歌殿、私たち高坂との同盟をどうぞ、お考えください」

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

 一応やるときはやるのが高坂流。いつもふざけているように見えても、こういうちゃんとした場では意外にもしっかりと出来るのである。

 

 

 

 

 

「……高海家当主、高海千歌です。駿河を治めるようになって間も無く、政治のやり方もよく分かりません。更には戦もそこまで強いわけでもなく……。そんな私達高海家でもよろしいのであれば……よろしくお願いしたい所であります」

「……それでは、同盟を結んでくださるのですね?」

「はい、勿論です。寧ろこちらがお願いしなければならない立場ですし」

「「ありがとうございます」」

 2人はもう一度、深々と頭を下げた。それにつられ、千歌も頭を下げる。そして更にそれにつられた家臣達もまた頭を下げる。

 何ということだろう、大広間全員が頭を下げているという謎の光景が完成した。

 

 

 

 

 

「…………………………海未ちゃん、まだ?」

「……………………知りません、こういうのは初めてですよ?穂乃果の方が良く知ってるではないですか」

 はいこちら高坂家2人組。同盟のアレは開いたのはいいものの、どうやって終われば良いのか分からないご様子。高海家もまた然りである。大丈夫なのか。

 

 

 

 

「………よし!じゃあこの儀式は終わり!」

「儀式って……」

「千歌ちゃん、みんな!よろしくね!」

「うん!よろしく、穂乃果ちゃん!」

「海未もね〜、よろしく!」

「果南、私は付け足しなのですか」

「あ、いや、そういう意味じゃ」

「うみみんちょっとおかしい気がするわぁ」

「冗談です」

「全然冗談に聞こえなかった……」

「よろしくお願いします、果南、鞠莉」

「うん!」

「イエス!」

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ!2人とも蜜柑食べる!?」

「蜜柑?」

「あのオレンジ色の丸っこいやつですか」

「うん!食べる?食べる!?」

「あー、じゃあいただきます」

「やった!」

「「やった??」」

 

「2人に食べて欲しかったんだぁ!ここの蜜柑、すっごく美味しいから!」

「へぇ!それは期待だね!」

「そうですね、蜜柑は意外と好きですので」

 

 

「みんなも食べるー?」

「「食べる!!」」

「よ、ヨハネのような堕天使には蜜柑というものは毒!!だから、私はいいわ……」

「善子ちゃんみかんが嫌いなだけずら」

「食べられないもんね!」

「うるさぁい!!」

 

 

 

 

 全員のもとに蜜柑がしっかりと行き渡った。無論、善子の元にもである。

 蜜柑の匂いに包まれ、ここに高坂と高海の同盟が成立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、この両家が今後の東國、日本を大きく動かすこととなる。しかしそれはまだ先の話ーーーーー

 

 





お疲れ様でした。
精一杯の謝罪をしますので許してください()
本当、モチベ0だったもので……。一応織田決戦の所までは見えたので、ちょくちょく更新していきたいと思います。

それでは次回もまたよろしくお願いします。

P.S
ことりちゃんお誕生日おめでとう!
因みに私のAqours推しは曜ちゃんです笑


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第64幕 潮目

はいはいどーも、ポッキーです
1日1話とか喋ってたんですけど、無理なことに気づきました(←
とりあえず一週間に1話、更新出来るようにはしますので、見捨てないでください()

今回は少々短めかしら?相変わらずわけわかりませんが、いつものことですので、お気になさらず。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
伊勢盛時公さん
ありがとうございました!

意外と閲覧されてて嬉しかったよぉ!



 

 

 

 

 

 

「さて……。そろそろお暇しましょうか、穂乃果」

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ〜?もう少し千歌ちゃん達と喋っていたいんだけど……」

「それはまた今度にしてください。まだまだやる事が沢山あるのですよ?」

「えぇ〜?私ももう少し穂乃果ちゃんとお喋りしたいなぁ〜」

「千歌……貴女もですか……」

「ほらほら、千歌ちゃんも言ってることだし……」

「ですが……」

 

 

 

 

 

 こちら内浦城。同盟を結ぶ為に穂乃果と海未が駿河・内浦にあるこの城に参上していたわけだが、どうも穂乃果と千歌のこの2人、中々波長が合うようで……。

 

 

 

 

 

「千歌ちゃん、ここは必殺技で……」

「ひ、必殺技?」

「そう!海未ちゃんを落とす最強の必殺技があるんだけど……」

「………ふむふむ、へぇ………」

 

 

 

「ちょっと貴女達、何をひそひそと……」

「いやぁ?何でも?」

「そう、何でもないのよ何でも」

「ことりですか貴女は」

 

 

 

「全く……穂乃果、そろそろ出発しなければ本当に時間が……」

「もう一泊!」

「ダメです」

「私は別に構いませんけど」

「ダメです、これ以上迷惑はかけられませんし、高坂の皆も心配してしまいます」

「大丈夫だって!」

「ダメです」

「強情だね……」

「どちらがですか」

 

 

 

「しょうがない、かくなる上は……」

「そうだね……」

「………何がかくなる上ですか」

「いくよ、千歌ちゃん!!」

「いきましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ウミチャンオネガァァァアイッ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 必殺技、炸裂。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第64幕 潮目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!」

 ———効果は抜群のようだ!———

 

 

 

 

「お、おぉ……。本当に怯んでる……」

「でっしょー?」

「貴女達は……!」

「千歌ちゃん、もう一発だよ!」

「はい!」

 

 

 

 

「「ウミチャンオネガァァァ「いい加減にしなさいっ!!!」

「はひぃぃぃいっ!!?」

「か、果南!?」

「全く……。千歌達は何をやってるわけ?」

 救世主・松浦果南参上。

 

 

「か、果南ちゃん……」

「あんまり海未を困らせないの。高坂家は私達みたいな小大名とは違ってやる事が沢山あるんだから……」

「いや、それについては大丈夫だよ!」

「全然大丈夫ではありません」

「あはは……。穂乃果と海未は思考が全く違うんだね……」

「穂乃果は基本何にも考えてませんから」

「酷いよ!?」

「何にも考えていないで関東を納めるまでになるなんて逆に凄いと思うんだけど」

「それが穂乃果です」

「ねぇ、変な私のイメージを果南ちゃんに植え付けないでくれるかな?」

「へぇー……適当にやってても大大名になれるのか……」

「千歌、それは違うと思うよ?」

 何も考えておらずに大大名になれるのなら、誰も苦労はしない。

 

 

 

 

 

「それでは、お世話になりました」

「みんなまたね!」

「うん!また今度!」

 結局その後、嫌だと喚く穂乃果と千歌を海未と果南の2人で何とか……半分実力行使で抑えつけ、予定通りの出発となった。

 

 

 

 

 

「はぁ……。ここを出発するのにも一苦労ですか……」

「じゃあもう一泊すれば良かったじゃん」

「穂乃果、次は本当に打ち抜きますけどよろしいでしょうか?」

「すみませんでした」

「全く……」

「まぁとりあえず、これでパワーアップだね!」

「えぇ。高海家は確実に何か、他の大名が持っていない“何か”を持っています。その大名家を味方につけることが出来たのはかなり強みになるかと」

「上杉さんに武田さん、本多さんに関東のみんな……。これだけでも十分強いのに、千歌ちゃん達も加わってくれるとなれば、織田討伐も夢じゃないよ!」

「はい。これだけ役者が揃っていれば、まず負けることはないでしょう。……織田でなければ」

「……?どういうこと?」

「織田信長は“魔王”と呼ばれる程の武将です。いくら兵力でこちらが上回っていても、役者が揃っていたとしても、簡単に攻め入ってしまうのはあまりにも危ない……。織田は高坂と同じ、運のようなものも持ちあわせていますし、織田戦の勝算は皆無と言っていいでしょう」

「ふーん……じゃあどうするの?」

「……一応策はあります。あるタイミング、ある戦が織田討伐の鍵となるのですが……」

「ある戦?」

「はい。未来を知っているからこそ思いついた策です」

「……それってズルくない?」

「仕方ないでしょう。知ってしまっているものはどうしようもありません。どんなズルい情報だとしても有効活用しなければ勿体無いでしょう?」

「やり手だね、海未ちゃん」

「何とでも言ってください」

「へぇ……。じゃあ、そんなやり手な海未ちゃんに織田討伐の策を教えてもらおうかな?」

「……今ですか?」

「うん」

「………他のみんなには絶対言わない、というなら説明しますが?」

「勿論」

 ………そんな大事な話を馬に乗りながらするというのか。普通、こういう話はもう少し落ち着いた場所でやるものだが……。まさか馬の上とは。

 

 

 

 

「完結に説明しましょう」

「馬鹿でも分かるようにお願い」

 自分は馬鹿だと言ったぞこの女。

 

 

「結論から述べると……。私達高坂が織田と直接対決するタイミングは………」

「タイミングは……?」

「今から3年後に起こる、日本を揺るがす大戦」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長篠の戦いです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
さてさて、まさかのここで織田との戦場を言ってしまいましたね……(殴
長篠だそうです、皆さん。長篠ですよ(←
まぁあと3年後らしいので、織田戦は結構後になる可能性が()
次回はどうしようかな。久々にμ'sの皆さん勢ぞろいってことで。
何かやって欲しいネタがあれば提案お願いします。

P.S
「君の名は」観ました。ティアマト彗星です。

更に追記
梨子ちゃんお誕生日おめでとう!


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休戦編 高海家紹介・改

どうも、ポッキーです。
最近Twitterのハーメルン専用垢を作っちゃいました。気になる方はチェックお願いします→@favorite_pocky
今回は高海家紹介です。以前も紹介したのですが、アニメとの違いが浮き彫りになってきた為、もう一度新しくキャラ設定しましたね。おかしい所があればご指摘お願いします。

それではどうぞごゆっくり

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!休戦編 高海家紹介・改

 

 

 

 

 

「高海家」

 駿河を治める大名家。高坂と同様、9人の女子の武将で構成されている。

 以前までは今川家の支配下にいたが、衰退する今川の様子を見た彼女らは、今川を討つことを決意。当主・氏真が多くの兵を率いて、高坂の援軍に出ていたこともあり、彼女らの急襲は見事に成功。戻ってきた氏真も、関東の戦で多くの兵を損失していた為、呆気なく討たれた。

 よって、高海が世に言う下剋上を果たし、駿河を治めることとなったのだった。

 また、高坂とは同盟関係にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・高海千歌

 高海家当主。みかん色の髪と、ぴょんと出ている一本のアホ毛が特徴。

 頭の方は穂乃果よりもヤバイという噂が。それ故、頭を使った戦は不可能。しかし、その無い頭で考えた策は、一度ハマってしまえば最強。だが、それがハマるのはごく稀である。

 蜜柑が大好き。いつ、いかなる状況でも蜜柑を持ち歩いている。無論、出陣の際も然りである。

 周りの事は意外と見えており、穂乃果のように猪突猛進、という訳ではない。しかし、当主である以上、穂乃果のような思い切りはもう少し必要か。

 戦に出る際は、主に騎馬隊を率いる。時と場合によっては先鋒も務める。みかんパワーで相手を蹴散らす。

 家紋はみかん。

 

 

 

 

 ・渡辺曜

 高海千歌の側近。時たま暴れ出す千歌のストッパー役である。だが、曜自身もテンションが壊れることが多々あり、ストッパーどころか一緒になって暴れることも。そうなれば最悪である。ヨーソローが口癖。

 手先が物凄く器用。着物を作ったりもする。ことり同様、誰かを着せ替え人形にするのが大好き。よくルビィがそれに捕まる。

 彼女は日本一の水軍とも謳われる渡辺水軍のトップ。海上での戦では無敗をほこる。だが、海上での戦など中々無いのが残念な所。

 地上での戦では主に鉄砲隊を率いる。西木野軍には劣るが、鞠莉の特殊ルートから輸入した鉄砲を使ったその破壊力は尋常ではない。

 家紋は船のマーク。

 

 

 

 

 ・桜内梨子

 高海家軍師3人衆の1人。音楽の才能に長けており、鞠莉の特殊ルートから輸入したピアノを弾く。ヨーロッパのバッハを始めとした、そこら辺の作曲家達よりもかなり先に作曲をしていたのがこの女。現在にはその作曲された曲は全く伝えられていない。また、変な趣味を持っているようで、少々危ない。

 梨子自身、元々高坂の園田軍にいたのだが、上洛の際になぜか彼女は逸れ、途方に暮れていた所を千歌に拾ってもらったらしい。その恩として今は高海に仕えている。

 戦に出る際は弓兵隊を率いる。園田軍にいた時に磨いた弓の技術を自分の兵達にも伝授。それ故、園田には劣るが、それに次ぐ強さを持ったのが桜内の弓兵隊である。火矢をよく使う。

 家紋はピアノのマーク。

 

 

 

 

 ・黒澤ルビィ

 高海家雑用係。ルビィ自身は戦には出陣せず、裏方の仕事に回る。正しく裏方のプロフェッショナルで、その器用な手先を最大限に利用し、何でもやってのける。料理、裁縫お任せあれ。高海家のご飯事情は花丸と共に担う。

 極度の人見知りで、知らない人と会うともう大変。小さい城なら1つ軽く吹っ飛ぶくらいの大絶叫をする。もしかしたら最強はこのルビィかもしれない。

 戦には出陣しない。しかし、戦時の食事、伝令など色々やっている。

 家紋はクルクルキャンディ。

 

 

 

 

 ・国木田花丸

 高海家雑用係。また、暴走した善子のストッパーでもある。実家はお寺で、国木田家は幾らかの僧兵を保持する。彼女自身はかなりマイペースな為、何をやるにも遅い。とにかくのんびりとこなす。それ故、裏方の仕事もあまり出来る方ではない。8割ルビィ、2割花丸といったところか。

 食べることが大好きで、彼女曰く「ご飯の時が人生で1番好きな瞬間ずら〜」らしい。しかし、相変わらず食べるのも遅い。一口ごとに何百回噛むんだお主は、というくらいもぐもぐする。リスである。

 戦には一応出陣出来るが、彼女自身はしたくないらしいので、しない。だが、のんびり屋の彼女が戦に出たら、大変なことになりそうなため、賢明な判断とも言える。

 出陣した際は槍を振り回す。

 家紋ははなまる。

 

 

 

 

 ・津島善子

 高海家最強武将。戦では主に先鋒を務める。騎馬隊、槍兵隊を完璧に組み合わせた隙のない戦が持ち味。騎馬隊で突っ込み、槍兵隊で追い討ち。しかし、世界のYAZAWAには劣る模様。

 彼女は厨二病なるものが入っているらしく、自らを「堕天使・ヨハネ」と称する。家臣たちは皆ヨハネのリトルデーモンらしい。自室でよく謎の儀式を行っている。

 みかんが大嫌いで、至る所に蜜柑がある内浦城はあまり好んでいないらしい。I love mikan!な千歌が君主な以上、それはどうしようもない。御愁傷様である。

 戦に出る際は騎馬隊・槍兵隊を率いる。主に先鋒を務め、善子の働き具合によって戦の勝利が左右されることが多々ある。戦のキーマンである。

 兵力は圧倒的に矢澤軍よりは上だが、圧倒的に矢澤の騎馬隊の方が強い。そこを越えられるようなことがあれば、高海は安泰である。おそらく津島・矢澤連合軍は無敵……であろう。

 家紋は悪魔。

 

 

 

 

 ・松浦果南

 高海家間者。持ち前の足の速さ、水中でも楽々移動できるその行動力を活かした情報伝達力が武器である。無論、星空には劣るが、日の本有数の力のある忍軍を保持する。

 彼女はスキンシップとしてよく“ハグ”をする。そのハグは人を安心させる能力があるようで、その包容力から高海家のお姉様的存在になっている。何気に精神的支柱でもある。

 千歌と曜とは幼馴染で、曜まで暴走し始めた場合、それを止めることが出来るのは果南だけである。

 また、干物をよく作っており、戦の際は重宝する。しかもその干物は絶品である。

 戦の際は、基本情報伝達役として戦場を駆け回る。勿論戦にも参加し、そのスピードを活かし、相手の本陣へあっという間に攻め入る速攻は中々のものである。

 家紋はドルフィン。

 

 

 

 

 ・小原鞠莉

 高海家軍師3人衆の1人。高海家の中では1番頭が良く、キレている。キレッキレである。そのキレッキレの頭から考えだされる策は非の打ち所がないものが多い。ただ、鞠莉自身、頭が良すぎる故に変人という残念な部分が。それ故、たまに誰もが絶句する意味の分からない策をたてることもある。危ない。

 小原は「おはら」と読む。「おばら」ではない。ここ重要。

 小原家は西木野家と同等なレベルのお金持ちで、海外とのパイプも太い。そのため、「マリーの特殊ルート」と呼ばれるいかにも怪しい輸入ルートがある。しかし、その輸入されるものは全て有能なものばかり。最新の兵器も容易く手に入る。

 戦に出る際は騎馬、槍、弓、全ての兵種を満遍なく使用する。武器、防具は全て外国の最新型。それ故に破壊力は半端じゃない。鞠莉は本陣にとどまり、戦の仕方などは全て家臣たちに任せっきりである。

 家紋はキラキラ。シャイニーである。

 

 

 

 

 ・黒澤ダイヤ

 高海家軍師3人衆の1人。頭はまあまあ良い。しかしポンコツすぎる所が傷。軍師3人衆を束ねているのはダイヤであり、鞠莉の出したキレッキレの策を梨子と2人で広げていく、というのがテンプレのようだ。

 ルビィの姉でもあり、シスコンでもある。ルビィ大好き。また、果南と鞠莉も大好き。

 硬度10と呼ばれていた時期もあったが、今や軟度10。ポンコツが爆発している。これに関してはあの絵里よりも上であろう。彼女は頑張ってクールビューティーに振る舞おうとしているが、全く出来ていない。

 戦に出る際は弓兵隊を率いる。ダイヤは琴を弾けるため、その要領で弓を操っているとか。大丈夫なのだろうか。桜内軍と共に、離れた所から敵を打ち抜く。

 家紋は梅の花。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※以前に投稿した高海家紹介とは全く異なります。こちらの設定でいきますので、ご注意ください。

 ※美渡姉、志満姉なども登場させるつもりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回予告

 

 あの懐かしいお方が登場します。推しの方は宴の準備を。

 そして、まさかの急展開。あの話題の人気作のパロディをやっちゃう……のか?

 

 お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
こんなもんでしょう!中々しっくりきましたぞ()
因みに、マリーの輸入先はヨーロッパです。アメリカまだ独立してなかった^^;
さてさて、次回はあの珍しい方が参上!ということらしいですね。
更にあの話題の人気作のパロディをおっぱじめるようで。大丈夫な気がしねぇ……。
それでは次回もお願いします!


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第65幕 訪問者

どうも皆さんこんにちは、ポッキーことポッキーです()
さてさて、2週間も放置してましたね、許してくださいお願いします。
冬には部活がオフに入るので、執筆する時間が増えるので投稿ペースが上がるかと思いますので、許してください。

今回は訪問者……ということで、懐かしいあの人物がやってきます。爆弾発言ありかも……?

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウイングゼロさん
宇宙とまとさん
ありがとうございました!



 

「………………」

「………………」

「………………」

 

「………あんな、絵里ち。うちの目の前をウロウロするのやめてもらってええ?鬱陶しいんよ」

 

「……………だって」

 

「あんな、穂乃果ちゃん達が心配なのは分かるんよ。だからってな、そんなウロウロせんでもええやん。よりによってうちの目の前で。邪魔なんよ」

 

「………穂乃果達にもしものことがあったら」

 

「なぁんでそんな考え方しか出来ないん?もしかしたら高海さんところと仲良くなって長居させてもろてるかもしれないやん」

 

「………だからって遅すぎるわ」

 

「…………あんな、絵里ち。穂乃果ちゃん達の到着の予定は今日。ちょっとくらい遅れることやてあるやろ」

 

「しかし」

 

「何がしかしやねん」

「だがしかし」

「いい加減にせぇよ?」

 

「のじょみぃぃぃい!!!!」

 

 

 

 

 

 

「……何あれ」

 

「何って……。ポンコツエリチカでしょ」

 

「いや、ポンコツの域超えてるわよ、あれ」

 

「にこに言わないでよ」

 

「ヤバイわね」

 

「うん、高坂の未来が心配よ、にこは」

 

「それにこちゃんが言うの?」

 

「………少なくとも、にこは今の絵里よりは賢いと思うわよ」

 

「………それは認めるわ」

 

 

 毎度恒例、絢瀬絵里のポンコツコーナー。仲間を思う気持ちが人一倍ある絵里。それ故に生んだこの奇行である。希が可哀想だ。

 

 

 

「申し上げます!」

 

 

「穂乃果達が帰ってきた!!?」

 怒り喰らうアヤセエリ。

 

「絵里ち、伝令さんに迷惑やから止めて。……で?どうしたん?」

 

「は、はい。武田勝頼夫妻が皆様にお目通りしたいと、参られておりますが」

「勝頼夫妻って……。亜里沙ちゃんか!」

 

「お通ししますか?」

「そりゃ勿論!ほら、絵里ち、亜里沙ちゃん来たから、シャキッとしいや」

 

「…………亜里沙が来たのね」

 

「せや。頼むで、お姉ちゃん」

 

「お姉ちゃん……。ふっ……。任せなさい」

 絢瀬絵里・クールモード。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第65幕 訪問者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長篠の戦い……?」

 

「はい。流石の穂乃果でも長篠の戦いくらいは知っているでしょう?」

 

「うーんと、そんな感じの戦があったような……。無かったような……」

 

「……待ってください、長篠の戦いを知らない日本人なんているんですか?」

「幼稚園児」

「じゃあ貴女は幼稚園児なのですか?」

「華の高校生です」

 

「まさか穂乃果がここまでとは……」

 

「いやいや、知ってるよ、知ってる!織田信長が武田信玄を倒した戦でしょ?」

 

「……ちょっと違いますね。織田信長・徳川家康連合軍が武田勝頼を倒し、武田軍を滅亡まで追い込んだ大戦です。全く……。それくらい覚えておいてください」

 

「あはは……。でも大体あってるし!」

「あってません」

 

「え、でもちょっと待って。じゃあ信玄さんはどこいったの?」

 

「信玄公は長篠の戦いの2年前、1573年に病死します」

 

「………んん?え、1573年ってもう2年後じゃん!」

 

「はい、ですので信玄公はあと少しで死にます」

「死にますって……」

 

「同盟は結んでいますが、特に特別な関係ではないですから、大丈夫ですよね?実際、信玄公が亡くなってくれた方が高坂としても安心なんです。亜里沙の夫である勝頼公が高坂を裏切るなど考えられないですし」

 

「まぁそうだけど……。一応同盟結んでるし……」

 

「穂乃果、ここは戦国時代です。親密でもない同盟国の当主の死を一々悲しんでいては何も変わりませんし、前にも進めません。出来るだけ非情になってください」

 

「………凄いね、海未ちゃんはもう戦国時代に順応してる」

 

「順応してる……わけではないですね。はっきり言ってもうヤケクソですよ。何を考えた所で、現世に戻れるわけでは無さそうですし。だったらこの時代を生き抜くしかないんです。開き直りですよ」

 

「あはは……。穂乃果の方が戦国歴長いはずなんだけどなぁ……。海未ちゃんの方がプロって感じがするね!」

「戦国のプロって何ですか」

 

「それで?その策って何?」

 

「今言っていいのですか?この策を実行するのは四年後ですよ?」

 

「大丈夫大丈夫。とりあえず聞くだけだから」

 

「分かりました。お教えしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 音ノ木坂城——

 

 

 

「お姉ちゃん!!」

「亜里沙ッ!!!!!」

 

 

 こちら音ノ木坂城。武田家に入った亜里沙が久々に帰ってきたとうことで城にいた者、皆大広間へ集合した。

 そしてこの感動的な光景である。絢瀬姉妹の久方振りの再会。亜里沙が絵里の胸に飛び込んできた……のではなく、絵里が亜里沙に飛び付いていた。お姉ちゃん頼むぞ。

 

 

「突然お邪魔して申し訳ない」

 

「いえいえ、全然大丈夫やで〜。長旅ご苦労さん!」

 

「かたじけない。亜里沙がどうしても来たいと言うものでな」

 

「そうやろね。1年くらいみんなと会ってへんし」

 

「あぁ。亜里沙は今日の日をずっと楽しみにしていたのだ。昨日の夜など興奮しすぎて寝付けなかったくらいだからな」

 

「あはは、それは嬉しい限りやんな。それで、勝頼さんは護衛でついてきたん?」

 

「まあそれもあるが、姉上や高坂の皆にしっかり挨拶しておこうと思うてな。一回もちゃんとした挨拶をしていなかったのを気にしていたのだ」

 

「姉上って……。絵里ちのことか!あっはは、こりゃ面白いで!」

 

「……?何かおかしかったか?」

 

「いやいや、こっちの話や。それじゃ、とりあえず最初に“姉上”に挨拶してきたらどうや?穂乃果ちゃんは今おらんし」

 

「そうだな。そうさせてもらう」

 

 

 

「………絵里ちが勝頼さんの姉上ねぇ。……ダメや、うちツボってもうた」

 

 希がここまで腹を抱えて笑うのはかなり珍しいのではないだろうか。まさか「絵里が姉上」ということだけでここまで笑えるとは……。

 

 

 

 

「お姉ちゃん、元気にしてた?」

 

「勿論よ。亜里沙は大丈夫?酷いことされてない?」

 

「全然大丈夫だよ〜。武田の皆さんもよくしてくれるんだ!」

 

「そう、それは良かったわ。監禁でもされてるんじゃないかって心配だったのよ」

「お姉ちゃん、それは武田家に失礼だよ」

 

 

 

「姉上、お話よろしいでしょうか」

 

「そうだ、今日は泊まっていきなさい。穂乃果と海未も明日帰ってくるらしいし、顔を見せてあげて」

 

「姉上、お話を」

 

「亜里沙は海未が好きだからねぇ……?久々に話聞いてもらいなさい?」

 

「姉上」

 

「お、お姉ちゃん。迷惑じゃなければそうさせてもらうけど……。あ、あのね?」

 

「そう!それは良かったわ。ことり達も美味しい料理作るって張り切ってたから」

 

「………姉上」

 

「ったく……。容易く姉上って呼ばないでくれるかしら。お婿さん?」

 アヤセエリ、激おこぷんぷんまるである。

 

「それでは何とお呼びすれば?」

 

「名前でいいわよ」

 

「絵里殿……でよろしいですか」

 

「ええ、そうしなさい。アンタなんかに姉上なんて呼ばれると吐き気がするわ」

 

「お姉ちゃん!」

 

「……構わん。それくらいお主の事を大切に思っているということだ。いい姉上を持ったな」

 

 

 勝頼が大人なお陰で大事にはならなかったが、下手をしたら絵里の首はとんでいたかもしれないレベルの失礼な行動である。賢い可愛い生徒会長は何処へ。

 

 

 

 

「亜里沙ぁぁあ!!!」

「雪穂ぉぉ!!」

 

 感動の再会パート2。今回は一方的ではなく、2人が一緒に飛び付いた。親友との久々の再会。2人とも待ちわびていた時がようやくやって来た。

 

 

「変わってないねぇ……。相変わらず亜里沙って感じで良かったよ」

 

「それは雪穂もでしょ?元気そうで安心したよ」

 

「亜里沙は今日泊まっていくんでしょ?」

 

「うん、穂乃果さんと海未さんに挨拶もしたいし」

 

「良かった。じゃあ今日は私の部屋に泊まりなよ。色々話したいこともあるし」

 

「えへへ〜言われなくてもそうするつもりだったよ!」

 

「それじゃ話は早いね!今日は寝かせないよ?」

 

「亜里沙だって寝る気はないし、寝させる気もないから覚悟しておいてよぉ?」

 

 是非是非、楽しいひと時をお過ごしください。

 

 

 

 

 一方、姉と弟の関係になった絵里と勝頼の2人。しかしまぁ、この2人に流れる空気は悪い。特に絵里が。正に一触即発である。特に絵里が。

 

 

 

「勝頼くん、1つ聞きたいことがあるんだけど」

 

「……はい」

 

「貴方……まさか亜里沙に手出したりしてないでしょうね」

 

「………というのは?」

 

「だから、そういうことよ」

 

「……………まさか。拙者だって忙しいのだ。手を出してる暇などござらん」

 

「その変な間は何よ、その変な間は」

 

「それは気にしすぎかと。本当に特に何もない」

 

「………武士の心に誓えるかしら?」

 

「………………」

 勝頼氏、追い詰められました。

 

 

「ど・う・な・の・か・し・ら?」

 

「…………申し訳ござらん」

 勝頼氏、全ての亜里沙ファンに向けた謝罪である。

 

「…………そう。まぁそういうこともあるわよね。一応夫婦だし?」

 

「すまぬ」

 

「……えぇ、そうね。本当なら斬り殺したい所だけど……。そんなことしたら亜里沙が可哀想だし」

 

「…………」

 

「ま、その代わり亜里沙をちゃんと守りなさいよ?亜里沙を泣かせるような真似をした時は………分かってるわよねぇ?」

 

「あぁ、勿論だ。彼女を泣かせたら腹を切って詫びようではないか。それくらいの覚悟は出来ている」

 

「そ。ならいいけど。……頼んだわよ」

 

「……承知」

 

 

 勝頼は歴史上でも家族を大事にした、と良く言われる武将である。それ故に、亜里沙に関しては心配はいらないであろう。しかも亜里沙の後ろには高坂……特に絵里というシスコン猛将がついている。これによって、亜里沙の未来は安泰である。

 しかし、勝頼よ。合法JC……許すまじ。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…………というわけです」

 

「………凄いね、結果を知ってるからこそ編み出せた卑怯な作戦だね」

「誰が卑怯な軍師ですか」

 

「しかし、戦なんて勝てれば何でもいいんですよ。使える情報は最大限に使う、これが策をたてる上での極意です」

 

「極意って……」

 

「勝たなければ、私たちが死にます。それでもいいなら長篠の結果は全く知らない体で策を考えなおしますが?」

 

「いえ、大丈夫です、その策でいきましょう」

 

「分かればいいんです。はっきり言って織田はそれくらいの情報量がなければ倒せませんよ。あそこは何故か運も物凄く良いことで有名ですしね」

 

「桶狭間もほぼ運だよね」

 

「……まぁそうですね。ですのでこの策で行きます。……四年後ですが」

 

「え、じゃあこの策はまだ皆に言わない方がいいよね?」

 

「はい。四年後ですし、状況が変わらないとも言えません。事実、私たちは今、歴史を変えているのですから」

 

「そう考えると穂乃果達すごいね」

「あり得ないですよ」

 

「音ノ木坂がいつか、日本の中心になる日がくるといいね」

 

「そうですね。平和な世の中の中心に」

 

「さってと!じゃあ急ごうか!音ノ木坂で皆待ってるからね♪」

 

「はい!」

 

 2人は馬が走る速度を上げた。パカラパカラと馬の走る音が平原に消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………しかしお尻が痛いですね、乗馬というのは」

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
いかがでしたかね?ちょっと絵里ちゃんで遊びすぎましたね、次回からもう少し賢いエリーチカ、出していきましょうか。
そして勝頼氏の爆弾発言。皆さん落ち着いてください。
長篠の際の策はまだ秘密……ということで。まぁ大したことはないです(←

次回はほのうみがようやく帰還します。そして駿河の方で一大事が……?お楽しみに。

※毎週月曜日には投稿出来るようにします。冬まではこのペースです。ご了承ください。


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第66幕 侵略者

どうも、ポッキーです。
投稿ペースは割と適当ですので、ご了承ください(←
さてさて今回は色々と動きがある様子。タイトルがもう侵略してますからね、一体どうなることやら。

それではどうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
左京大夫さん
ウィングゼロさん
宇宙とまとさん
ありがとうございました!



 

 

 

「いやー、今日もみかんが上手い!」

 

「千歌って本当みかん好きだよね。毎日そんなに食べてさ、飽きないわけ?」

 

「全然!あ、果南ちゃんも食べるー?」

 

「あー……遠慮しとく」

 

 

 こちら内浦城。あっちこっちに蜜柑が配置されているせいか、相変わらず酸っぱい蜜柑の香りが漂う。それ故、巷では「蜜柑城」とも呼ばれる始末である。

 

 

「あぁぁぁぁあッ!!何なのよぉ!!」

 

「よ、よっちゃん……?」

 

「何でこんな……こんな……!!

 死の果実の匂いがするのよぉぉぉぉおッ!!!!!」

 

 

 その蜜柑の香りは高海家のある1人の堕天使をも苦しめていた。その堕天使曰く、蜜柑は「死の果実」

 食べると堕天使の命の炎が尽きてしまうとか。

 

 

「あはは……よっちゃん、みかん嫌いだもんね」

 

「うぅ……リリィ……ヨハネ死ぬぅ……」

 

「はいはい、撫でて欲しいのね〜。ほら、こっち来て?」

 

「……分かってるじゃない、流石ヨハネのリトルデーモンね……」

 

「はいはい、よしよし♪」

 

 

 梨子曰く、善子……もといヨハネがみかんの話をし始めたら「甘えたい」という意思表示らしい。梨子も甘えられるのは嫌いではない……というかむしろ好きなようである。よしりこ尊い。

 

 

 ご覧のように、完全に平和ボケしている高海家。高坂と同盟を結んだことで、他国も攻めにくくなり、かなり安全性が増したと考えているご様子。

 

 

 

 しかし、出る杭は打たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!!!!———がッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「——え?」」

 

 

 内浦城に黒い影が、迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第66幕 侵略者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃぁぁぁあ………」

 

「ようやく着きましたね……」

 

 

 こちら音ノ木坂。平成生まれの御二方が内浦からの長旅からようやく到着した模様。

 既に日は落ちてしまっていた。

 

 

「今日はゆっくり休みましょうか」

 

「そうだねぇー……」

 

 

 疲労困憊の2人。今日はゆっくりと温かい湯に浸かり、長旅の疲れを癒す。そしてぐっすりと明日の朝まで寝る。

 そんな癒しの時間を過ごそうと考えていた2人だが………。

 

 

 

「ちょっと、今日はお願いだから吐かないでよ?」

 

「分かってるって〜!にこにーに任せなさぁい」

 

「もう酔っ払ってもうてるで」

 

「これは今日もやりそうね」

 

「それじゃ真姫ちゃん。今日も頼むで〜」

 

「だーかーらっ!!私はにこちゃんの汚物処理班じゃ『それじゃ真姫、私と希は亜里沙の所に行ってくるから』

 

「ちょっと!!!」

 

 

 そう、音ノ木坂城内では勝頼と亜里沙の歓迎の宴が開かれていたのだ。

 こんな中ではゆっくり湯に浸かって……などという願望は叶わぬ夢である。

 

 

「な、なんですかこれは」

 

「……ぁぇ?」

 

「今日って何かありましたっけ……?」

 

「何にもないはずだけど……」

 

 

 無論、目の前の光景にこの2人は絶望である。一体今日は何があったというのか。

 

 

「あー!!!穂乃果ちゃんと海未ちゃんにゃー!!!」

 

「ようやく帰ってきたのねぇぇ!!!」

 

「無事でよかったやんな♪」

 

「ただいま帰りました……。あの、皆さん、これは一体……?」

 

「今日はね!亜里沙ちゃんと勝頼さんが来てるから、それのお祝い!」

 

「どんなお祝いですか……」

 

「亜里沙ちゃん達来てるんだ」

 

「そうよ〜。貴女達にも挨拶したいって言ってたから会ってきたらどう?」

 

「勿論そのつもりですが……。何故今日はこんな豪勢に?」

 

「亜里沙ちゃんがお土産持ってきてくれたの!」

 

「今日は大漁でしたし!」

 

「あー……そういうことですか」

 

「それでこんな凄いパーティを開いてるんだ」

 

 

 信州からの土産である山菜や、武蔵の海から獲れた色とりどりの魚達。更にはことり特製マカロンにチーズケーキ。

 そして信州で作られた酒に、海外から輸入した酒。

 戦の勝利の宴以上のモノがそこでは行われているのである。

 

 

 

 

「これはこれは、高坂殿に園田殿。突然おしかけて申し訳ござらん」

 

「いえいえ、全然大丈夫ですよ!お久しぶりです!」

 

「長旅ご苦労さまです」

 

「そちらの方も長旅ご苦労であった。

 ……改めて、武田勝頼と申す。しっかりとした挨拶が出来ていなかった故、今日ここに参上した」

 

「御丁寧にありがとうございます。私は園田海未、そしてこちらが高坂穂乃果と申します」

 

「あれ、海未ちゃん言っちゃったの?」

 

「……穂乃果がちゃんとした挨拶出来るとは思いませんから」

 

「酷いよ!?」

 

「ほれ、御二方も飲んだらどうだ?」

 

「あー……いえ、私達は……」

 

「ありがとうございます!」

 

「穂乃果!?」

 

「えー、いいじゃん、もうここまできたらヤケだよ!」

 

「ヤケとかそういう問題ではありません!内浦でもあれだけ飲んだではないですか!」

 

「でも日にちは空いてるよ?」

 

「しかし、この疲れた身にお酒は毒です!」

 

「相変わらず海未ちゃんは硬いなぁ……。この状態でゆっくり休むなんて出来ないんだし、もう流れに身を任せたほうがいいと思うけど?」

 

「しかし」

 

「大丈夫だって!どうせ明日は特にやる事はないんだし、明日ゆっくりしよ?」

 

「………はぁ。仕方ありませんね、少しだけですよ?」

 

「やったぁ!海未ちゃん大好きぃっ!」

 

 

 色々と指摘したりするが、根本的には甘い海未。穂乃果のこととなると尚更のようである。

 

 勝頼に酒を注いでもらい、グイッと一杯。2人はあまり酒に強くないため、2、3杯も飲めば完全に出来上がってしまう。

 故に、2杯目の酒はまた後で。大きな皿に乗っかっている料理達に手をつけていく。

 

 

「わぁ、これ美味しい!」

 

「でしょー?ことりの自信作です♪」

 

「ふむ……。この鯛の煮付けは白米によく合いますね……」

 

「流石海未ちゃん!白米を食べてくれてますっ!!」

 

 

「もー、亜里沙、そんなに食べると太るよ?」

 

「大丈夫〜!雪穂と一緒にしないでくれる?」

 

「ちょっとそれどういう意味!?」

 

 

「これが武蔵の魚なのか」

 

「そうやで〜!美味しいから食べてみ!」

 

「うっわ、この魚目が飛び出てるにゃぁ!?」

 

 

「にごぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

「あーあーあー、やっちゃったわね」

 

「汚ったない……。毎回毎回よくこんなに汚物を出せるわよね、にこちゃんは」

 

「綺麗な床が台無しね……。てことで後は頑張ってね、汚物処理班さん☆」

 

「だから誰が汚物処理班よ!!あ、ちょ、エリー!!待ちなさい!!」

 

「にごぉ……」

 

 

 賑やかな声に包まれた夜の音ノ木坂城。

 無論、時間は過ぎるものでその宴の終了の時刻も迫ってくる。

 

 

 しかし、そんな音ノ木坂城にある1つの情報が入った。

 

 

 

 

「……殿、殿!少しよろしいですか」

 

「……ん?どうしたのかにゃ?」

 

「あのですね………」

 

 

 日の本一の情報伝達力、星空軍の忍達によって。

 凛の家臣がボソボソと耳打ちをする。

 

 

「……本当?」

 

「間違いないかと」

 

「……分かった。情報ありがとう」

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃん、ちょっと」

 

「……?凛ちゃんどうかした?」

 

「さっき情報が入ったんだけど……」

 

「……うん」

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「……本当?」

 

「間違いないらしいにゃ」

 

 

 穂乃果の顔が青ざめていく。汗が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千歌ちゃん達が危ない……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 徳川家康、始動。

 

 

 




お疲れ様でした。
やー、ようやく出てきましたね、狸さんが。
例によって脱糞するあの大名が遂に出演ですよ皆さん。
三河と駿河は隣国ということで攻めるに至ったのでしょうね。
はてはて、高海家の運命は?
無論、この情報が高坂に入ったのは深夜の為、援軍を送るにしても早くて翌日の早朝となります。
それまでは高海家の自力が試されますね。
次回はどうしようかなぁ、いきなり戦いっちゃう?(←

とりあえず次回もよろしくお願いします。

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第67幕 己の力で


………大変申し訳ございません。どうもお久し振りです、ポッキーです。
忘れてますかね、うん、忘れてるよなぁ……。……え、待っていてくれたっ!?(殴
なんでもないです、ほんとに申し訳ございません。

クリスマスプレゼントです、はい。

今回はあの狸の登場です。数で圧倒的に劣る高海は如何するのか……。注目です。

では二ヶ月ぶりの戦国の世界を、どうぞごゆっくり。

前回感想をくださった
ウィングゼロさん
うみみみみみさん

ありがとうございました!



 

 

 

 夜の内浦城。

 

 今川への下剋上を果たし、駿河の覇者へと成り上がった高海家であったが、それもつかの間。高坂と同盟を結んだものの、まだ大名としては経験も実力も皆無の高海という格好の獲物を狙う『化け狸』が遂に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第67幕 己の力で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 内浦は揺れていた。

 

 

「軍勢は!?徳川の軍勢は幾らなの!?」

 

「恐らく約10000……」

 

「ダイヤ、うちが今準備できる兵の数は?」

 

「……出来て3000くらいですわ」

 

「3000って……」

 

「3倍もあるよ!?」

 

「……徳川の布陣はどうなっているのですか?」

 

「まだ到着していない故、そこら辺はまだなんとも……。しかし、徳川方の会話などを聞く限りでは陣をしっかりと敷く、ということはないかもしれません」

 

「……っていうと?」

 

「要するに、徳川は短期決着をホープしてるってことでしょ?」

 

「左様です」

 

「短期決着?」

 

「イエス。うちと徳川の領地は隣。ということは情報が伝わるのも早い……。よって、高海が高坂と同盟を結んだっていうのも既に彼方は知っているはず」

 

「なるほど。あまり長引かせてると高坂の援軍が来る可能性がある。徳川からしたらそれは絶対に避けたい……ということですね」

 

「ザッツライト!流石梨子ね」

 

「っていうことは……」

 

「攻め入って来るのは今夜……まさに今ってことになりますわよ……?」

 

「そうですね」

 

「……そうですね、じゃないですわァァァアッ!!!!!」

 

 ダイヤ発狂。その長髪を振り乱す。

 

「ど、どどどどうするの!!?今って!?今ってぇ!?」

 

「何にも準備できないよ!?」

 

「そうねぇ……」

 

「リリーはなんでそんな涼しい顔してるのよ!?」

 

「いや、そんな焦ることかなぁ……とか思ってるから」

 

「焦ることずらよ!?」

 

「うーん、私もそんな焦ることはないと思うけれど?」

 

「鞠莉!?」

 

「戦は焦ったら負け……。海未さんがよく言ってたわ。焦りは不安、恐怖、そして戦で最も重要な頭脳……つまり思考能力の膠着を生むだけ。何にもいいことなんてないの」

 

「そ。だからここは一回落ち着いて、ちゃんと戦略をレッツシンキング!」

 

「時間がないのですよ?分かっていますの?」

 

「勿論ですよ。時間がないのは重々承知です。……でも、軍師は時間がない中で最高の策を作ってこそナンボじゃないですか?」

 

 

 

 

 

 

 ニヤリと梨子が笑う。その笑みを浮かべた梨子は小悪魔……リトルデーモンそのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 徳川家——

 

 

「殿、なんでまた急に高海攻めなんかを」

 

「んー?特に意味はないぞ」

 

「……はい?」

 

「いやぁ、今川も消えたし、駿河を攻めるならいまかなぁ、みたいな??」

 

「みたいな??……じゃないですぞ殿ぉぉお!!!」

 

「まあまあ、忠勝君、そんな怒らないで♡」

 

「怒りまする!!こんな行き当たりばったりの戦ばかりしていれば、いつ徳川が酷い目にあうか分からないのですぞ!!?」

 

「んー、でも高坂は行き当たりばったりの戦であんなに大きくなってるけどぉ?」

 

「あれは特別じゃ!!!」

 

「んー、とりあえず忠勝、そんな怒ると血管切れて死んじゃうから、ほら一回落ち着いてよ」

 

「殿がアホだから怒っているのです!!!」

 

「あー、怖い怖い。勝家さんに負けてないよ、その鬼軍曹っぷり」

 

「真面目に聞いているのか家康ぅぁぁあ!!!!」

 

「んー、とりあえずどこに陣を敷くぅ?もうすぐ内浦だよ?」

 

「……殿、先ほど陣を敷かないとあれほど確認したではないですか!!内浦に到着し次第、内浦城攻めを開始すると!!!」

 

「……それは危ない気がするんだよね」

 

「……はぁ?何を今更……。アホも休み休み言ってくだされ!!」

 

「……ふーん、いいんだ」

 

「……はい?」

 

「僕の勘だとねぇ、この戦、このまま攻めると負ける気がするんだぁ。どうする?」

 

「ど、どうするって……今更作戦の変更など出来るわけないでしょう!!そもそも今夜のうちに攻めておかないと高坂が来るかもしれないと全体会で話したはずですぞ!!」

 

「んー、僕の勘って結構当たるんだぁ。多分このまま攻めればこっちが撤退に追い込まれる、そんな気がするんだけど?」

 

「何故!!こちらは10000いるんです!!かようにしてこの大群をあの小大名が返り討ちにすることが出来ようか、いや出来ぃぃいん!!!」

 

「んー、どうなっても知らないよぉ?負けたら全部忠勝の責任だけどそれでもいいなら攻め入れば?」

 

「構いませぬ!!我々が負けることなどあり得ん!!」

 

「そう。じゃあ僕は帰るから」

 

「……は?」

 

「いや、僕はもうここにいる意味ないじゃん?忠勝が指揮をとるわけだし」

 

「いやいやいやいやいやいや殿!!!貴方は馬鹿ですか!!ホンマもんの馬鹿なのかぁぁぁあ!!!!」

 

「んー、だって忠勝の責任で攻め入るんだから、僕はいらないよね、忠勝が総大将だし」

 

「殿!!」

 

「まぁ勝てたら駿河は忠勝にあげてもいいよぉ?いきなり攻め入って勝てたら、だけどね」

 

「そういう問題ではなぁぁぁいっ!!殿がいなければ全軍の士気が下がると言っているのです!!あと駿河などいらぁぁぁぁあぬっ!!!」

 

「あーもう、うるさい。じゃあ攻め入りは無しでいい?」

 

「ですから!!」

 

「あーあー、分かった、分かったって!今夜のうちに内浦城に攻め入るんでしょ?はいはい、大丈夫、大丈夫!」

 

「……分かってくださったのならよいのですが」

 

「んまー、指揮は忠勝に任せるよ。実際これだけ数が違えば僕が出る必要もなさそうだしねー」

 

「殿が本陣にいてくれるのであれば喜んで指揮をとらせていただきましょう」

 

「んー、じゃ、頑張ってね、朗報期待してるよー」

 

「承知ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 内浦城——

 

 

「皆さん揃ってますわね」

 

「これから私たちがシンキングした策をリスニングしてもらうわよ〜」

 

「時間がないから、皆さんしっかり聞いてくださいね」

 

「「はーーーい」」

 

「なんですの、その気の抜けた返事は」

 

「んじゃ、梨子よろしくっ!」

 

「じゃあ、対徳川の策を説明していくね。兵の数はあっちが10000、高海が3000ってことで……圧倒的に数では不利って状況。こういう時は籠城が1番適した策だったりするんだけど……」

 

「籠城は基本援軍を待つ時の策ですわ。確かに明日になれば高坂さん方が援軍を出してくれるでしょう」

 

「バット……高海はこれでいいのかって話よね」

 

「………ん?っていうと?」

 

「高坂さんに頼って勝ったところで私たちが成長出来るのか、ってことよ」

 

「でも負けたら元も子もないよ?」

 

「ですから、負けない策を練りましたのよ」

 

「んー、100%負けないってわけでもないし、勝てる保証もないけど……。籠城以外だったらこれしかなかったから……。多分海未さんも籠城以外だったらこの策を提案すると思う」

 

 

 この桜内梨子、元々園田軍に所属し、海未の戦法を見てきた為に、思考が海未に多少似ている。また、海未だったらこの状況をどう切り抜けるか、ということ参考に策を練ることも多い。

 

 

「まず、結論から言うと、今回の作戦は“挟み撃ち”ですわ」

 

「挟み撃ち……?」

 

「そ。本隊が徳川軍の気を引いている間に、後ろに回り込んだもう1つの部隊が背後から急襲を仕掛ける」

 

「そこで家康の首をすぐに討ち取れればベストだよ」

 

「桶狭間みたいな感じだね」

 

「そう。数で劣る以上、普通に戦ってたら絶対勝てない。だったらもう総大将を討ち取るしか方法はないでしょう?」

 

「あ、そういえば海未ちゃん達も北条氏政を討ち取ることに成功して窮地を凌いだんだっけ」

 

「あの時はほんとに死ぬかと思ったわ……」

 

 

 そう。高坂もこのような大ピンチを凌いで、現在のような関東を治める大大名へと成り上がったわけだ。今の状況をピンチととるか、チャンスととるか。この戦は高海の行く末を大きく左右するターニングポイントとなるに違いない。

 

 

「それじゃあ配置を発表します」

 

「まず、本隊ね。ちかっち、梨子、果南、そして私。この部隊が徳川勢のハートをキャッチするわよ☆」

 

「本隊の皆さんは全力で千歌さんを守ること。いいですわね?」

 

「もちろん、私に任せといて」

 

「果南ちゃんがついてるなら安心だよねっ!」

 

「じゃあネクスト。後方部隊は、曜、善子、ダイヤ。善子を中心に暴れてきてクダサーイ!」

 

「だからヨハネよッ!!!」

「はいはい、黙るずら〜」

 

「相手は徳川。あれだけ言っておいてなんだけど、この作戦も実際うまくどうかは私にも分からないの。不安要素しかないけど……。みんな、大丈夫?」

 

「梨子ちゃんが考えた策なら絶対大丈夫だよ!」

 

「そうだね、なんせ園田海未からの刺客だからねぇ?」

 

「ヨーソロー!絶対成功させるから任せておいてよっ!」

 

「ふっ……堕天使にかかればこの程度の戦なんて……」

 

「善子ちゃん手が震えてるよ?」

 

「善子ちゃんはビビリずら」

「誰がビビリよッ!!!」

 

「……皆さん、なんとしてもこの戦、勝ちますわよ。よろしいですね!!」

 

「「ハイッ!!」」

 

「じゃあちかっち、一言プリーズ!」

 

 

「……大名になっていきなりの試練なわけだけど……。私たちなら絶対にこの戦、勝てるよ……!私が保証するっ!!」

 

「千歌の保証はあてにならないからなぁ」

 

「あはは……それはあるね」

 

「ちょっと幼馴染み'sの皆さん!?」

 

「あー、はいはい、千歌さん続きを」

 

「んんっ!気を取り直して……。みんな、この戦、絶対勝つよ!!少しでも穂乃果ちゃんたちに近づこう!!」

 

「「ハイッ!!!」」

 

「じゃあ行こう……!!高海家、出陣だよッ!!!!」

 

 

「「オォーーーーーーーッ!!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高海家の最初にして強大な試練が、今、始まる。

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。久しぶりの更新でしたが、いかがでしたでしょう?
元々ない執筆能力がより大変なことに……w

二ヶ月間音沙汰がなかったのはモチベが皆無だったからです、お許しください。モチベが皆無の状態で書いたものなど面白くないでしょうから……

さておき、次回は徳川と高海の一騎打ちです。高海は勝てるのでしょうか……。高海の力に乞うご期待ですな。

年内には必ず更新します。

※皆さんのお声が私のモチベーションの向上につながったりしますので、よろしければ一言でも感想をくださると嬉しいです……。


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第68幕 内浦の戦い 開戦

どーも、ポッキーです!
ギリギリ年内に間に合いましたね……w なんとか約束は守りましたよw
さて、今回は高海vs徳川ですね!中々大変ですよ……。またまたとんでもない策が登場するので、そこは温かい目で見てくだされば幸いです^^;

ではどうぞごゆっくり。




 深夜。空は快晴のようで、高く上がった月が内浦の海に反射する。一見すると、ただの穏やかな夜、なのだが、今宵はそうではないらしい。

 

 

 

 

「それじゃあ頼みましたわよ。くれぐれもお気をつけて」

 

「こっちはノープロブレムよっ♪ダイヤこそヘマしないでよぉー?」

 

「大丈夫、大丈夫!ダイヤちゃんは私と善子ちゃんで面倒みるから!」

「だからヨハネよ!!」

「聞き捨てなりませんわね!?えぇ!!?」

 

「あはは……そっちは大丈夫そうね」

 

「問題は本隊かなー、一応私たちで10000近い徳川を引きつけなきゃダメなんだし」

 

「そーだねー、みんな私を狙ってくるわけでしょー?」

 

「イェース!しかーし、心配はいらないわぁ!この小原家が必ずちかっちを守るわよっ♪」

 

「勿論、私たちも全力で千歌を守るから安心しなよ」

 

「鞠莉ちゃんと果南ちゃんの安心感が凄い……!」

 

「さすがお姉さん、って感じだね」

 

 

 この2人は謎の包容力を持ち合わせており、特に小原軍なんかは『鉄壁の部隊』と言っても過言ではない。一方、松浦軍は速さに長けており、『神速』そのもの。敵からいい意味で逃げ回ることに関しては風魔党をも凌ぐだろう。

 鉄壁と神速。最強のボディーガードである。

 

 

「では皆さん、いいですか?私たちの手で決着をつけますわよ!」

 

「「ハイッ!!」」

 

「みんな、くれぐれも死なないよーに!!これは絶対命令ねっ!!」

 

「「ハイッ!!」」

 

「よし、じゃあ行こう!!!」

 

「「オーー!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高海家出陣。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第68幕 内浦の戦い 開戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 徳川軍——

 

 

「申し上げます!!」

 

「何事じゃ」

 

「只今、高海軍が内浦城より挙兵したとのこと!!」

 

「……何?高海が挙兵じゃと?」

 

「へー、中々面白いことするじゃん」

 

「わざわざ死にに来てくれるとは!!殿!これでもう徳川の勝利は確実ですぞ!!」

 

「んー、そうだねー、忠勝頑張って」

 

「任せてくだされっ!!」

 

 

 

 徳川陣営。高海が城から挙兵したとの情報を聞き、歓喜に沸いていた。なんせ兵力が圧倒的に勝る徳川側からしたら、怖いのは高海が籠城戦に持ち込み、高坂が援軍としてこちらにやってこられること。

 しかし実際はどうだ。高海は籠城戦に持ち込もうとするどころか、内浦城からうってでたというではないか。徳川からすれば願ったり叶ったりである。

 

 

 

「皆の者!!!わざわざ敵が自ら出て来てくれたのだ!!この好機、絶対に攻め抜くぞ!!!」

 

「「オォッ!!!!」」

 

「徳川軍、出陣じゃぁぁぁあッ!!!!!」

 

「「オォーーーーーーーッ!!!!!!」」

 

 

 

 気合十分、内浦全てを揺らすような雄叫びが轟いた。無論、高海本隊にも届いたことであろう。

 徳川の進撃が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………忠勝。多分一筋縄じゃいかないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 高海本隊——

 

 

 

「申し上げます!!徳川軍、約10000が再び此方へ進軍を開始致しました!!!」

 

 

 

「……遂に来たね」

 

「そうだね」

 

「大分近い所まで来てたらしいから、カミングスーン……って感じかしら?」

 

「最終目標は内浦城まで引きつけること。そうすれば曜ちゃん達が後ろから徳川を崩して行ってくれるはずよ」

 

「んー、みんなには言ってなかったけど、城にはちょっとした細工もしておくようにルビィ達に頼んでおいたから思い切ってやりまショウッ!」

 

「じゃあ配置の確認だね。私と鞠莉さんが千歌ちゃん達の背後。果南さんが千歌ちゃん達の前で本隊を誘導する。後は私と鞠莉さんで遠距離攻撃も含めながら。千歌ちゃんと果南さんは出来るだけ徳川から離れることを意識してね」

 

「了解!千歌は任せといて」

 

「私と梨子で出来るだけ先鋒隊は倒したいわね……。引きつけながらだからディフィカルトだけれど」

 

「そこは出来る限りでやりましょう。実際、鞠莉さんの鉄砲隊ならすぐに壊滅させれそうですけど……」

 

 

「私たちの役目は徳川を引きつけることだからね、2人ともそこ忘れちゃダメだよー?」

 

 

「オゥ、まさかちかっちからライトな言葉が出てくるとは思いませんでしたねぇ」

 

「珍しく千歌がちょっといいこと言ったね」

「珍しくって何!?」

 

「あはは……千歌ちゃんの言う通りだね。鞠莉さん、まずは引きつけることだけ考えましょう」

 

「イェス!攻めるのは余裕が出来てからね!」

 

「よし、じゃあ持ち場につこうか。もうそろそろ来てもおかしくないからね」

 

「ではっ、各々抜かりなく〜☆」

 

 

 

 それぞれが自分の持ち場へと散らばる。本隊の配置は先ほど説明した通り、千歌の軍を他の3人の軍が囲むような形。松浦が誘導し、小原、桜内で徳川から高海を守る。それぞれの長所を活かした完璧な布陣であったりした。

 これより、徳川の到着を合図に、内浦を舞台とした大規模な追いかけっこが始まる。

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!!!徳川軍、先鋒の本多忠勝軍が到着した模様!!背後より、大軍が続いております!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 徳川軍——

 

 

 

「忠勝様!!!」

 

「何事だ!!」

 

「前方に高海、桜内、小原、松浦の軍を発見致しました!!」

 

「おぉ!!いきなり総大将のお出ましか!!それは話が早いの!!」

 総大将の千歌がいる高海軍を早々に見つけ、たいそうご機嫌な忠勝様。

 

「皆の者!!!高海軍はあそこじゃ!!一気に攻め滅してしまおうぞ!!!」

 

「「オォーーーーーーーッ!!!!」」

 

 

 士気があがった徳川軍はより一層進軍のスピードを上げる。目指すは高海本隊。この大軍が高海本隊へと猪突猛進、作戦も何もなしに真っ向からぶつかりにくるのだ。高海は少しでもミスが出れば一瞬にしてこの大軍に呑み込まれてしまうであろう。

 しかし、戦で1番重要なものは数ではないのだ。

 

 

 

 

 

 高海後方部隊——

 

 

「うっわ、すっごい数だね」

 

「10000の大軍とか初めて見たわよ」

 

 

 高海後方部隊。こちらは少々見晴らしの良い高台に布陣中。本隊が徳川を引きつけている間に背後から攻め入るのがこの部隊のお仕事である。

 また、徳川の本陣も捜索中。仮に見つけることが出来れば即座に奇襲する予定だ。

 

 

「あれだけ数が多いと動くのも大変そうですわね」

 

「そうだねー、それに比べてこっちの本隊の数はそんな多くないし、誘導役が果南ちゃんだから……」

 

「あっちはそんなに心配する必要はなさそうね」

 

「ええ。後はこちらがどれだけ動けるか、にかかってますわ」

 

「んまー、善子ちゃんもいるし、いっちょ暴れてやりますか!」

 

「ふっ……敵の殲滅ならこの津島軍に任せなさいっ!」

 

「果南さんからの連絡があったらすぐに出陣しますわよ。皆さん準備を揃えておくように」

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「皆の者!!!かかれぇぇえっ!!!!」

 

 

 

 

 

「……っ、想像以上ですね……!!」

 

「ちょ、ちょーっと数が多すぎるわ……」

 

 

 本隊後方、桜内、小原軍。ある程度は作戦通りに進んでいたようなのだが、徳川の先鋒は本多忠勝。本多軍はその兵の数など関係なく、この狭い内浦をとんでもない速さで騎馬兵を走らせていた。梨子と鞠莉からしたら予想外なのである。

 要するにかなり危ない状況にあった。

 

 

「鞠莉さん!!これじゃ……!!」

 

「城に着く前においつかれちゃうわよ!!」

 

 流石の軍師2人にも焦りが浮かぶ。しかし、ここで慌てふためいて何も出来ないようでは軍師として失格であり、この先高海は生き延びていけない。

 軍師の本当の戦はここからなのだ。

 

 

「……ちょっと手を出しますか、鞠莉さん」

 

「……ん、ん、んー。それしかないかしらね」

 

「でも……もし仮に相手が怯まなかったとしたらかなり痛いですよね……」

 

「んー、まぁ相手は本多忠勝公ですからねぇ……。ちょっとの威嚇射撃じゃ怯まない可能性の方が高いかもね」

 

「賭けに出ますか……?」

 

「いーや、ギャンブルはやめましょう。うちは高坂とか織田みたいな運はないだろうし」

 

「んー……じゃあ……」

 

 

 焦る。緊張。もう直ぐそこまで本多忠勝の軍が迫っている。強敵。どうする。

 並みの人ならば焦り、不安、緊張……がピークに達する頃なのだろう。そしてそれは梨子も例外ではなかった。その顔に汗が浮かび、必死に頭を動かそうとしているのか。

 しかし、この状況を打開する頭脳、度胸がある者がいてこそ、その大名家は日の本に名を轟かすほどのものになれるのだ。

 そしてそのキーマンともいえる人物は高海にも、いた。

 

 

「……梨子。貴女、火矢を使っているわよね?」

 

「火矢?あー……はい。使ってます」

 

「火矢で周りの木の根元をうってくれる?」

 

「……!そういうことですか!分かりました……!」

 

「後は私の鉄砲隊に任せなさーい♪」

 

 

 梨子が家臣に命じて火矢を用意させる。彼女は元々園田軍にいたこともあり、その弓の腕前はかなりのもの。乗馬しながら小さな的をいることなんて朝飯前、というレベルなのだ。

 

 一方、鞠莉の鉄砲の腕前も中々のものだったりする。その上、鞠莉の鉄砲は海外からの最新兵器なので、一撃で仕留めることも可能である。

 

 

「みんな!とりあえずこっちに逃げて!」

 

「先頭の皆さーん、本多は無視してとりあえずカムヒアー!」

 

 

「……いいですか、鞠莉さん」

 

「準備はオーケーよ……。頼むわね」

 

「はい……!」

 

 

 梨子が家臣から火矢を受け取り、射撃体制に入った。すぐさま鞠莉も鉄砲を構える。

 狙う先は木の根元。この2人は何がしたいのか、簡単に言うと本多のいく先、目の前に大木を倒したいのだ。それで本多の動きを少しばかり封じ、本隊へ余裕を持たせる、そういうことなのである。

 

 梨子が弓を放った。それは綺麗な軌道を描き、見事木の根元を射止める。火が木に燃え移った。すると、すぐさま銃声が鳴り響く。鞠莉である。放たれた弾丸もまたその燃えている大木の根元を打ち抜く。

 するとどうか。根元から燃えてただでさえ脆くなっていた木は、銃弾が貫通したせいで綺麗に傾き始める。

 

 

「……す、凄い……!」

 

「ほら、梨子!関心してる暇なんてないわよ!ほら次も!」

 

「あ、はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?!?!?!?」

 

「殿!!危のうございますっ!!」

 

「皆の者!!引け!!引けぇぇいっ!!!」

 

 

 目の前に燃え盛る大木が倒れてきて、動揺を隠せない本多軍。あたふたしている間にも次々に大木をぶっ倒していく小原、桜内の隊。本多のいく先は真っ赤に燃え盛る炎のみである。

 

 

「くっ……小癪な手を使いおって……!!」

 

「いかがいたしますか!!」

 

「………強行突破じゃぁぁぁあ!!!!!」

 

「無茶です!!!」

「ですよねー」

 

「ふざけてる場合ではないですぞ!!」

 

「むむむむ……一度引くか!?」

 

「それでは日が明けて高坂が!!」

 

「あぁぁぁ!!!ではどうすれば良い!!!」

 

 

 進路を封鎖された本多軍は大パニックである。忠勝は頭を使うことはあまり出来ないようだ。

 ただ単に大木を倒されたなら乗り越えていけばいいが、燃えているとなれば話は別だ。山を回っていくか、海へ飛び込むか。それとも引くか。忠勝の決断で全てが決まる。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 高海後方部隊——

 

 

「なんか燃えてるわよ」

 

「さっき銃声も聞こえたよね」

 

「そんな作戦ではないはずなのですが……」

 

 

 高台の後方部隊。果南からの連絡待ちであるが、炎が上がっていたり、銃声が聞こえていたりと異様な状態となっている本隊を見て心配の色を隠せない様子。

 因みに、この3人はアメリカ産の望遠鏡を使用中。

 

 

「………ねぇ、あれ」

 

「……えぇ、本多軍が」

 

「……絶対バタバタしてるよね」

 

「進路が塞がれたせいでってこと?」

 

「あー……。本隊も色々やってくれるねぇ……」

 

「………今しかないかもしれませんね」

 

「あ、ダイヤちゃんも思った?」

 

「ってか今いかなきゃ馬鹿じゃない?」

 

「……行きましょうか」

 

「もちろん」

 

「ヨハネに任せなさい!!」

 

 

 本隊の動き……というか唐突に思いついた凌ぐために考えられた策に後方部隊は、乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高海の攻撃が始まる。

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした!
いかがでしたでしょうか。んー、中々難しい……。戦シーンが苦手なんですよね。まぁご容赦ください。

次回は後編ですね。さぁ……勝つのは徳川か、はたまた高海か。高坂の介入なしで高海は戦いきることが出来るのか。見ものですね。

では次回は来年!
今年一年、この作品を見てくださった方々、ありがとうございました!来年も戦国ラブライブ!をよろしくお願いします^^


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第69幕 援軍

どうも、お久しぶりです、ポッキーです。
やーね、うん、モチベとか、忙しいとか色々あって、4ヶ月放置してました。ほんと申し訳ないです。
あ、明けましておめでとうございます(←
一応受験生だったり、部活が忙しかったりするので、更新頻度は今後も相変わらずかと。
しかしまぁ完結は絶対させますので、ついて来てくださる方は、よろしくお願いします。

さて、もう内容忘れましたか??
大事ですよ、大事。高海家が徳川に攻められております。
小原さんの機転の効いた策でなんとか凌いだと思ったら……。

まあタイトル通りです。

ごゆっくりどうぞ。


感想をくださった方、本当にありがとうございます!
随時返信させていただきますので、これからもよろしくお願いします。


Twitterございます。作品についてしかツイートしませんが、進み具合、投稿などについてツイートしますので、よければチェックお願いします。

https://twitter.com/merchant0419



 

 

 高海本隊。本多の猛攻を鞠莉の咄嗟の機転でなんとか凌いだ。しかし、まだ安心は出来ない。如何にして忠勝率いる徳川を撤退へと持ち込むか。まだまだ頭を使わなければならない。

 

 

「……鞠莉さん、よく思いつきましたね」

 

「あったりまえでショウ?私をだーれだとお思いで?」

 

「鞠莉はこう見えて頭の回転はかなり速いからね」

 

「ふつーに梨子ちゃんよりも頭良いと思う!」

 

「……千歌ちゃん、一言余計よ」

 

 

「全く……。急に後ろでバタバタし始めるから焦ったよ。なんか木とか燃え始めてるし」

 

「アハハー、本多の攻撃が予想外に激しかったからー」

 

「いやー、まさか鞠莉ちゃんと梨子ちゃんがおされるなんてねー」

 

「鬼でしたね、あれ」

 

「いぇす!あれはもう人間じゃないわ」

 

「人間じゃないって色々忠勝公に失礼な気もするけど」

 

「まー、シンプルに言えば猛獣より強い化け物って感じ?」

 

「うん、単純のカケラもないね、鞠莉」

 

「でも私たち、その猛獣より強い化け物を今この瞬間に何とかして倒さなきゃダメなんでしょー?」

 

「ええ、そうね。なんとか足止めはしてるけど……。あの様子だと、鞠莉さんの言ってた城の策も上手くいくかどうか……」

 

「そーねぇ、私も心配になってきちゃったわ」

 

「どうする?もうぶつかっちゃう?」

 

「それは勝ち目がないです」

 

「うーん、困ったねぇ……」

 

 

 4人が頭を掻く。梨子と鞠莉は何かを考えていそうな雰囲気だが、脳筋の方とみかんの方はあまり考えている様子ではない。考えていないのではない、考えられないのだ。

 

 

 

「申し上げます」

 

「お、伝令くん。どうかした?」

 

「果南ちゃんのところの伝令さんだね」

 

「どうかしたのかしら」

 

「黒澤、渡辺、津島の三軍が戦場にうってでました。現在、徳川軍の後方部が襲撃されている模様です」

 

「……ん?」

 

「え、待って、曜ちゃん達動き始めたの?」

 

「左様に」

 

「ワァオ……。これは予定外もいいところね」

 

「いくら前が塞がってるからってあの大軍にあれだけの兵で突っ込んでいったら……!」

 

 

 

 そう。後方部隊の兵力は三隊合わせて約2000足らず。いくら腕のいい武将が3人いたとしても、15000の軍勢、ましてや本多忠勝が率いる大軍とぶつかったとしたら勝ち目はほぼない。

 

 

 

「あの馬鹿ッ!!!!……行くよ、松浦!!」

 

「「ハッ!!!」」

 

 

「あ、ちょ、果南さん!!」

 

「果南も結局馬鹿じゃない……」

 

 

 

 果南はいてもたってもいられなくなり、松浦軍を率いて後方部隊の援護に向かった。その意味は皆無に等しいのだが……。

 

 

 

「梨子ちゃん、鞠莉ちゃん。もし私たちが果南ちゃんを追っかけて行って、徳川全軍とぶつかったとしたら勝率はどれ位か……分かる?」

 

「しょ、勝率?」

 

「うん」

 

「うーん、正確な値は出せないけど……」

 

「まぁー、相手の数とうちの数、アンド相手の武将の能力とうちの武将の能力の差だけを考えて計算するとー……」

 

「……約1割くらいですか?」

 

「うーん、それくらいかしらネ!」

 

「……1割?」

 

「ええ。それ以上は見込めないわ」

 

「そうかー……でも、1割はあるんだよね?」

 

「いぇす!1割、あるわよ?」

 

「……もうここまで来て、しかも勝率が1割もあるなら行くしかないんじゃない?千歌ちゃん?」

 

「勿論だよ、1割あれば十分、0じゃないなら進むしかないでしょ!」

 

「ま、それが高海のポリシーですからねぇ」

 

「高坂の無鉄砲なとんでもない戦い方とあまり変わらないっていうのも面白いかも」

 

「よぉぉぉおし!!!じゃあ、みんな!!!真っ正面から徳川の大軍を吹っ飛ばすよ!!!!」

 

 

「「オォーーーー!!!!!!」」

 

 

 

 練った作戦はどこへやら。勝率1割にかけた無茶苦茶な高海の戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第69幕 援軍

 

 

 

 

 

 

 

 高坂後方部隊——

 

 

 

「いい調子ですわ!!」

 

「いい?リトルデーモン……もっと暴れなさい!!!」

 

「みんな!!まだまだ攻めるよ!!全速全速!!!」

 

 

 高坂後方部隊。徳川の大軍を物凄い勢いで蹴散らしていた。突如の背後からの急襲。徳川の後方部隊はやられるがままだったが……。

 

 

 

「何!?後方部隊が高海の片割れに襲撃されているだと!?」

 

「左様に。突然の奇襲ということもあり、なす術なく、次々と兵が斬られている模様」

 

「康政は!!榊原の部隊はどうした!!彼奴らをなんの為に後方に置いたと思うておる!!」

 

「榊原軍、高海の片割れ……襲撃部隊である、黒澤、津島、渡辺三隊と交戦。なんとか三隊をねじふせようとしたのですが、先ほど申した通り、突然の奇襲だった為に、それに失敗。現在は津島軍のみと交戦中、劣勢にございます」

 

「康政め……姉川の勢いはどうしたのだ!!」

 

「知りませぬ」

 

「援軍……引き返した方がいいのか!?」

 

「可能であれば。更に、高海の片割れが叩かれたとなれば本多様が追っていた高海の本隊も黙っておらぬでしょう」

 

「……成る程、片割れを助けに来た総大将どもを叩けばいいのだな!?」

 

「左様にございます」

 

「そうと決まれば行くぞ、皆の者!!!康政の援軍じゃぁぁぁあ!!!」

 

「「オォー!!!!」」

 

 

 そう、先頭にいた本多忠勝が後方部隊の戦に加わることによって形勢は一気に逆転する。

 そして、徳川四天王は奇襲のみで倒せるような貧弱な壁ではない。

 

 

 

 

「へぇ?これが姉川で武功を挙げた榊原康政ねぇ……」

 

「………」

 

「この程度で手柄をたてれるなんてねぇ……どんだけぬるい戦だったわけ?えぇ?」

 

 

 津島軍対榊原軍。奇襲により多大なる損害を受けた榊原軍は、見ての通り津島軍に仕上げとばかりに攻め込まれていた。

 現在、善子と康政による大将一騎討ちの真っ只中である。

 

 

「姉川をぬるい戦だと言ったな……」

 

「えぇ。私みたいな小大名に仕える侍にここまで劣勢にされてるようじゃたかが知れてるわねってことよ」

 

「……何を勘違いしてるが知らんがな、お主など浅井に比べれば全く恐ろしくないんだよ!!」

 

「っ…!?」

 

 

 康政の目の色が変わる。殺気が身体中から溢れ出る。色で表現するとすれば、無論黒。それはまさに地獄の底のソレ。勢いに乗っていた流石の堕天使ヨハネでさえ後ずさりせざるを得なかった。

 

 

「さぁ行くぞ、津島!!!徳川四天王を甘く見るなよ!!!この名にかけてお前を必ず討つ!!!!」

 

「か、かかって来なさいよ…っ!!その言葉、そのまま返してやるわ……っ」

 

 

 武士としての面子を保つために善子が放った鬼と化した康政への言葉は、ただの虚勢にもなっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 音ノ木坂城——

 

 

 

「千歌ちゃん達が危ないっ!!!」

 

 

 

 高海が徳川に攻められているという情報は、無論この音ノ木坂城にも伝わっていた。

 いつもなら、同盟国として援軍を出すというのは即決なのだが、今回はそうもいかない。

 

 

 なんせ今の音ノ木坂城は、武田勝頼、亜里沙夫妻の歓迎会がようやくお開きになった所。殆どのものが酔い、眠っている。まして今は深夜。この状態で援軍を出すのは不可能なのだ。

 

 

「援軍を……!!」

 

「ダメだよ穂乃果ちゃん、みんな酔って眠っちゃってるし、しかもこんな夜中に内浦まで行こうなんて……」

 

「……そうです。現在、援軍を出そうとして、出陣出来るのは私、穂乃果、凛。この3人のみです。希や絵里、真姫は起こせばなんとかなりそうですが、1番のアタッカーであるにこが死んでしまっています。まして、家臣の者達も酔い潰れてしまっているのが多数。用意できる兵の数も限られてきます。この状況下で援軍を出すのは……」

 

「でも見殺しになんて出来ないよ!!」

 

「しかし」

 

「せっかく仲良くなれたんだよ!?それなのに!!」

 

「ですが、ここで援軍を出したら!!」

 

「もう誰かが死ぬのは嫌なの!!!!」

 

 

 穂乃果の心からの絶叫が城中にこだました。眠っていた者達が目を覚ます。それは絵里達も然りである。

 

 

 

「まったく……煩いわよ、また穂乃果がだだをこねてるわけ?」

 

「ほんとやで……気持ちよく眠っとったのに」

 

「皆さん、酔いは……」

 

「そんなの今の叫び声で眠気と一緒に吹っ飛んだわよ」

 

「さっきの叫び声、少し聞こえてたけど、どうせまた何か無理な援軍とかじゃないの?」

 

「あー、真姫ちゃんもそう思ってたん?奇遇やね、うちもなんよ」

 

「ってか穂乃果があれだけ絶叫する理由ってそれくらいしかないでしょ」

 

「ほんっと、困った君主ね……。で?どこに行くの?」

 

「みんな……!」

 

 

 先ほどまで眠っていたはずの家臣団が、穂乃果の絶叫のみで、状況を把握し、動き出そうとしている。海未はこの光景に目を疑った。

 

 

「ど、どうして……」

 

「……?どうして?」

 

「どうして、そんなにすぐ状況を把握出来るのか……?」

 

「あぁ、それくらいみんな分かるわよ。何年あの子の家臣してると思ってるわけ?」

 

「海未ちゃんかて分かるやろ?」

 

「仲間のためなら無理な援軍も出す、それが穂乃果でしょ?」

 

「あの子は言っても聞かないから。私たちは穂乃果が決めたことについて行くだけよ」

 

「しかし、この援軍は高坂にも被害が及ぶ可能性が……」

 

「被害って……いつからそんなお堅くなったわけ?海未」

 

「……はい?」

 

「可能性があるなら前へ進め、それが高坂でしょ?」

 

「それに、無理な援軍を何回も成功させてきたのも高坂やんな」

 

「そういうこと」

 

「………」

 

「ほら、援軍行くんでしょ?海未も突っ立ってないで準備しなさい?」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 自らの殿に全てを託し、そして信頼し。最早この無謀な援軍に異論をなす者はいなかった。

 仲間である高海家を助ける為に、高坂家が約2000の軍勢で内浦へとうって出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 尚、世界の矢澤は未だ死んでいる模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
はてさて、4ヶ月でやる気の出た時に書いてたものを組み合わせてますので、なんか破茶滅茶ですね、最後の方とか勢いで書いてます()
まー……、いつも通りなんで、温かい目でお願いします。

遂に高坂が動きますね、約一名使えないのがいますが(←

次回で徳川戦完結出来るかなー……。無理かな(←
前の話に前編と書いたのは嘘でした()

それではまた次回に!

※更新頻度についてですが、時間のある時にぼちぼち書きますので、2週間に一本あげれるかどうかだと思います。もし仮に待っていてくださる方がいるのであれば、申し訳ありませんが、ご了承ください。


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第70幕 無力


どうもお久しぶりです、ぽきおです。
はい。何年ブリですかね、覚えてますか?まぁいいです。

今回もまだ内浦の戦いですね。このシリーズ長く続くかもしれません。といいつつ次回で終わったりするやつですねこれ。
まぁいいです。

内容を覚えてない方は、申し訳ありませんが、ぜひ読み返しを(←
さて、どうなる高海家。

それではどうぞごゆっくり。




 

 後方部隊・津島軍。奇襲をかけ、相手、榊原康政率いる榊原軍の兵力を削ったのはよかったものの、仕上げの総大将一騎討ちにて苦戦中。鬼と化した康政に、善子は怯み、康政の攻撃をなんとか凌ぐことしか出来なかった。

 

 

「さっきまでの威勢はどうした!!!津島!!」

 

「っ……!」

 

「どうした、刀を持つ手に力が入っておらぬぞ!!!」

 

「……ぅぁっ!?」

 

 

 鍔迫り合いの後、善子は思いっきり吹っ飛ばされた。地面に体が叩きつけられる。

 

 

「はぁ……はぁ……っ」

 

「どうした、もう終わりか津島。先ほどの余裕はどこへ行った?」

 

「……ま、だ…っ!!」

 

 

 善子は何とか立ち上がろうとするが、体に力が入らない。足はガタガタ、鎧も傷だらけ。もうこれ以上、彼女のガソリンは残っていなかった。

 

 

「は、ぁっ……!!」

 

「諦めろ、津島。お主の負けじゃ」

 

「だ、からっ……!!」

 

「……懲りない奴だな、お主はもうお終いなのだ、かような状態でどう戦うのだ」

 

「私、はっ!!高海で、……1番っ!!」

 

「……最も強い部隊を率いる者としての足掻き、ということか。そうか。その根性だけはかってやろう」

 

「は……ぁ……っ!!」

 

「だかな」

 

 

「んぐぁ……ッ!?」

 

 

 善子が再び宙を舞った。

 

 

 

 

「お主に拙者は倒せん」

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 渡辺軍——

 

 

 

「殿!!殿!!」

 

「っ……どうしたの、伝令くん!!」

 

「渡辺の先鋒隊が壊滅!!前にいた徳川の兵がこちらに引き返しておりまする!!」

 

「なっ……!?」

 

 

「申し上げます!!!!」

 

 

「次は何!!!」

 

「先頭を走っていた本多忠勝率いる本多軍がこちらへ引き返してきた模様!!もうすぐそこまで来ています!!!」

 

「っ……!!本多軍まで……!!!」

 

 

 

 渡辺軍本隊。善子、ダイヤ同様、奇襲を仕掛けたのは良かったものの、圧倒的な兵力の差に悪戦苦闘中。更には、先頭集団かつ本多軍が引き返してきたこともあり、渡辺の先鋒隊は壊滅、防波堤が決壊した渡辺軍は、最早まっ裸であった。

 

 

 

「殿!!いかがいたしましょう!!?」

 

「わっかんないよ!!こっちだけでも精一杯なのに、本多まで来られたら……!!!」

 

「分からないではすみませぬ!!!」

 

「もぉぉぉぉぉぉっ!!!分からないものはしょうがないでしょ!!!?」

 

「しかし!!!」

 

「いいから目の前の敵を倒すことに集中して!!!もう策なんてないよ!!」

 

「あぁっ!!!承知ッ!!!!」

 

 

 何が承知なのかは分からないが、渡辺軍はとりあえず目の前にいる敵を倒していこう、そしたらそのうち光が見える戦法を取った。要するにヤケクソである。

 渡辺軍の銃声が鳴り響く。

 

 

 しかし、その銃声も大軍の波に呑まれていくのみだった。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 黒澤軍——

 

 

 こちらダイヤ率いる黒澤軍。持ち前の堅実な攻めで、周りの敵を斬っていた。しかし、優勢かと言われればそうではなく、なんとか凌いで、隙をギリギリついての攻めであった。

 

 

「……数が多すぎますわね」

 

「左様に。このままでは呑まれる可能性が高いかと」

 

「そうですわね……。一度引いて、体制を立て直すという手もありでしょうか」

 

「それが出来れば良いのですが、この状況では……」

 

「……善子さんと曜さんの軍が劣勢ですものね」

 

「はい。それ故、ここをなんとか乗り切ってお二方の援護をしなければなりませぬ」

 

「ではのんびりしている暇はありませんわ」

 

「左様。出来るのであれば、次の攻撃でここの部隊を突破したいところでありますが」

 

「ふむ……。となると、やはりここの大将を斬るのが手っ取り早いのですが……」

 

「しかしそれも兵の数が多すぎて……」

 

「と、なると難しいですわね……」

 

「……やはり、多少の時間がかかっても、堅実にいくのが一番かもしれませぬ」

 

「しかしそれでは曜さん達が」

 

「ここで無理をして、我々が倒れてしまっては意味がないかと」

 

「……では、なるべく早く行きますわよ。曜さんの軍は近くにいるようですので、曜さんらと合流したら、すぐさま相手を叩きます。そこからは私にもどうなるかは分かりませんわ。それでもよろしいですか?」

 

「ええ、徳川と戦うんです、それくらいの覚悟は出来てますよ」

 

「ふむ、それだけ言えるなら問題なさそうですわね。……では、行きますわよ」

 

「承知」

 

 

 唯一まともな戦力が残っている黒澤軍。彼女らの使命は、現在交戦している部隊をいち早く切り抜け、曜と善子の援護をすること。その使命を果たす為、敵を斬る速さを上げていく。

 一刻も早く、辿り着かねばならない。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 松浦軍——

 

 

「くっそ……どこにいるの、曜、善子、ダイヤっ!!」

 

 

 

 松浦軍。後方部隊が戦場に飛び出したと聞き、すぐさま援軍へと引き返したはいいものの、徳川の兵が多すぎる故に、彼女らがどこにいるのか把握出来ずにいた。

 見渡す限り徳川の旗。味方の旗はどこにもない。

 

 

 

「果南ちゃん!!」

 

「……千歌?千歌!?何でここに来たの!!」

 

「オゥ、かなーん?頭に血がのぼってちゃあ、戦では戦えませんよ?」

 

「そうです、果南さん。気持ちは分かりますが、落ち着きましょう」

 

「鞠莉、梨子まで……どうして!!」

 

「どうしても何も、果南ちゃんが勝手に一人で行っちゃうからでしょー?」

 

「そーよ、松浦だけで援軍とか面白くないじゃなーい」

 

「面白いとかじゃない!!危ないんだよ!?分かってるの!?」

 

「危ないのは果南さんもじゃないですか」

 

「私はいいの、私の役目はみんなを守ること。だから……」

 

「……死んでもいいっていうの?」

 

「……うん、そうだよ。みんなが助かるなら私は死んでも構わない。……だから、貴女達をこんな危険な目に遭わせるわけにはいかないんだよ!!危険な目に遭うのは私一人で十分。だから」

 

「ふざけないでください」

 

「そーねぇ、こんな場所でジョークはNGよ?」

 

「ふざけてなんか……」

 

「……死んでもいい?そんなはずないよ。果南ちゃんが死んでもいい理由なんてないし。……っていうかいつ私が果南ちゃんにみんなを守る役目なんて与えたっけ?」

 

「……それは!」

 

「何を思ってるか知らないけどさー。私は果南ちゃんが死んじゃったら嫌だし。死んでまで私達を助けようだなんて、そんな意味ないことやめようよ。そもそも、高海家に捨て駒も殿もいないよ?みーんなで助け合って勝っていくんだから」

 

「いぇす、何を勘違いしてるのかねぇ、この頑固親父は」

 

「そうですよ果南さん。一人で背追い込まないでください。私達はそんなに頼りないですか?」

 

「そういうわけじゃ」

 

「なら、別についてきてもいいよね」

 

「そ。そもそも果南だけに任せるとか危なっかしくてこっちが見てられないの」

 

「だから全員でいきましょう。多分まだ曜ちゃん達の軍の居場所、把握出来てないんですよね?」

 

「……うん」

 

「こーいう時こそ小原の望遠鏡よ。果南持ってなかったでしょ?」

 

「この望遠鏡性能いいからねー、すぐ見つけれるよー多分」

 

「……ほら、あそこ、あそこに津島の旗が見えますよ」

 

「……あ、ほんとだ」

 

「ほーら、すぐ見つかったでしょ?頭に血がのぼってるからいけないのよ果南は」

 

「一言余計。ほら、見つかったんだから早くいくよ」

 

「よし、じゃあまずは善子ちゃん救出といきますか!」

 

 

 

 高海、桜内、松浦、小原の軍が津島軍めがけて山を駆け下りる。窮地の善子を助けることは出来るのか。そしてそれは必然的に、榊原康政との交戦を意味していた。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 津島軍vs榊原軍——

 

 

 

「ふむ、まだ死なぬか」

 

「だ……れ、がっ!!」

 

 

 善子vs康政。戦況は見ての通り、善子の圧倒的劣勢。善子の鎧はもう元の形を残しておらず、彼女自身もあちこちに傷、痣を負い、最早落ち武者ならぬ堕ち武者であった。

 

 

「ま、だ……まだ……!!」

 

「ほぉ、その状態でまだやると言うのか。粘り強さだけは認めてやらんこともないが……」

 

 

 康政が刀を振りかぶる。

 

 

「言ったはずだ。お主には拙者は倒せんと」

 

 

「……ぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 鮮血が吹き出し、あたりを赤く染めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第70幕 無力

 

 





お疲れ様でした。
凄く凄く気持ちの悪い終わり方ですね。
なので言っておきます。
いつものように仲間が来て、榊原が撃たれたとか切られたとかではない、と。
次回のお楽しみですね(←

はい。
最近になってようやく書く気が起きたといいますか何といいますか。
一応受験生なので、うん、勉強の合間にでも書く気があったら書く感じになってます。
しかしながら、何故か今、自分の中で内浦の戦いがいい感じに出来上がってきてましてね。書くのが楽しいです。
次話は月曜日には更新出来ると思います……というより出来ます。
では、お楽しみに。


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第71幕 覚醒


どうもポッキーです。
よかったですね、皆さん。内浦の戦いはまだ終わりそうにないですよ(←

いやはや、前回のあとがきにも書いたとおり、榊原がやられてないとなると、これは一体どうしたものか。
善子ちゃぁぁぁあ!!!!

今回は曜&エンジェルがメインです。
どうぞごゆっくり。


前回感想をくださった
左京大夫さん
諸葛亮さん
ありがとうございました!



 

 

 

 

 

 吹き出した鮮血は、あたりは赤く染めた。

 

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ!第71幕 覚醒

 

 

 

 

 

 

「……くっ…」

 

「……ぁ、ぇ……?」

 

「ほう……。まさかお主の代わりに斬られる奴がおるなんてな」

 

 

 

 刀を振りかぶった康政を目の前にし、ただ目をつむることしか出来なかったボロボロの天使。しかし、その間に入り、自ら斬られたのは津島軍の重鎮かつ、善子の側近であった。

 

 

 

「……え、う、嘘」

 

「ぶ、無事ですか?殿……っ」

 

「あ、あな、た……どう、して!!」

 

「……当たり前じゃ、ないですか。殿を、お守りする、のが我々の、役目、ですから」

 

「……ゃ、やだ、し、死なない、でよっ!!」

 

「……ははっ、それは、いくら、殿のお願い、でも……無理な、お願いのようで、す」

 

「ねぇ……!!ねぇ…!!お願いよぉ……!!!」

 

「泣かないで、くださいよ殿……。殿の、涙が塩辛い、です」

 

「んな、何、言ってんのよっ!!」

 

「ははっ、少しは、元気が、でましたか……?」

 

「……そんなわけ」

 

「しかし、先ほどの、殿とは大違い、ですぞ」

 

 

 再び側近はニカッと歯を見せて、善子に笑いかけた。しかし、その息は次第に浅くなっているようだった。

 

 

「……と、の」

 

「……何よ」

 

「……お願い、を聞いてください、ますか?」

 

「……何よっ」

 

「絶対、に、死なないで、ください。そ、して、高海、家を導いて、あげて、ください……!」

 

「……どんなお願いよ、全く」

 

「……頼み、ましたよ。堕天使ヨハネ、様っ!!!」

 

「っ!」

 

 

 

 側近は最後の力を振り絞り、善子の背中を押して、ばたりと息絶えた。しかし彼は、今の善子……もとい、堕天使ヨハネには十分すぎるほどの勇気と、力を与えたようにも見えた。

 ヨハネの目が変わる。その傷だらけの身体に鞭をうち、涙を振り払い、康政と再び対峙する。

 

 

 

「友情ごっこはもういいか?」

 

「えぇ、十分よ。その友情ごっこってやつのおかげで目が覚めたわ」

 

「そうか。まぁ何度やっても結果は同じだ」

 

「誰が。悪いけど、私があんたの首を貰うわよ」

 

「ほぉ?よくもまぁそんな身体でそんなたわけた口をきけるな」

 

「こんな身体だからこそ、言えるのかも知れないわよ?リトルデーモン?」

 

「……何を言っているか分からんが、まぁよい。次は斬る」

 

「それはこっちの台詞よ」

 

 

 

 ヨハネは再び刀を握った。

 康政と向き合う。

 

 

 じりじりと康政との距離を詰め、視線で威嚇する。

 

 

 

 

 刹那——

 

 

 

 

「っ!?」

 

「……遅いわよ、榊原さん?」

 

 

 先に動いたのはヨハネであった。刀を康政めがけて切り上げる。

 刀は間一髪で致命傷を免れた康政の頰を掠めていた。血が垂れていく。

 

 

「傷が、ついちまったじゃねぇか」

 

「いいじゃない。とってもお似合いよ」

 

「そうか、似合ってるか。……なら」

 

 

 

 次は俺のターンだ、とばかりに康政がヨハネに襲い掛かる。刀を振り回し、避けるヨハネの隙が見えた所を狙っているようだった。

 しかし、今の善子は津島善子ではなく、堕天使ヨハネなのだ。

 

 

「……隙が、ない!?」

 

 

 襲い掛かる刃をいとも簡単に避けていくヨハネ。そのボロボロの身体からは想像も出来ない軽やかな身のこなし、そして自身の刀でそれを弾くことにより完璧な防御体制を保っていた。

 

 

「もう十分?」

 

「何を言っておる」

 

「そろそろ、私が攻撃する番でもいいかしら?」

 

「攻撃前に斬ると宣言されるとは……拙者も舐められたものだな。……津島善子ぉぉおッ!!!!!」

 

「…………」

 

 

 ヨハネのあんたなんか今から攻撃します、と言っても余裕で倒せるわとでも言わんばかりのその物言いに、康政はキレた。

 完全に舐めきられたことを武士のプライドなるものが許さなかったのだろう。

 

 瞬間、康政が鬼の形相でヨハネに飛びかかる。

 

 

 

 

 

 しかし、相手は天から堕ちても尚食らいつき、漆黒の翼を大きく羽ばたかせた堕天使であった。

 

 

 

 

 

 

「……なっ」

 

 

 

 

 

 

 飛びかかった康政を受け流す。

 

 

 

 

「今………っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 振り下ろした刀は、鎧を切り裂き、あたりに真っ赤な花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 渡辺軍——

 

 

 

 

「殿!!徳川の大群がもうそこまで来てます!!このままでは持ちませぬ!!!」

 

「そんなっ……!」

 

「まずいですぞ殿……!!このまま本隊にあの大群が流れ込んで来たとしたら!!」

 

「こっちもこっちで精一杯なのにもつわけないじゃん!!」

 

「あぁ!!いかがいたしますか殿!!」

 

「撃っても撃っても敵が減らないんじゃもう…っ!」

 

「殿!!!!」

 

 

 

 渡辺軍本隊。先鋒隊が吹き飛ばされ、その後に続く隊も次々と突破されていた。要するに、本隊はもう真っ裸。分散させていた徳川の大群が一気に本隊めがけて突っ込んでくる。

 

 

 

「申し上げます!!!」

 

「何!!!」

 

「ダイヤ様……黒澤軍がもうじき此方の本隊と合流出来るとのこと!!」

 

「……!」

 

「殿、黒澤殿が力を貸してくださるのなら、まだ分かりませぬぞ!!」

 

「うん、でも到着までに私たち……持つ、かな」

 

「何を言っておられるのです!!持つとか持たないとかではないでしょう!!持たせるのですよ!!」

 

 

「持たせる……」

 

 

「どうしたのですか殿!!!いつもの元気はどこへいったのですか!!海でなければ、渡辺曜はそんなものなのですか!!!」

 

「貴女様はお父様のような立派な船乗りになるのでしょう!!!それがこんな小さな渡辺軍という船の舵をとることが出来ないでどうするのですか!!!殿!!!!」

 

 

 

「困った時こそ全速前進、それが貴女様でしょう!!!!」

 

 

 

「——!!!」

 

 

 

 衝撃が走ったかのようにも思えた。そうだ、それが私なんだ、と。

 無鉄砲でもいい。信念は、『全速前進』。合言葉は『ヨーソロー』。

 再び強い意志をもって、へっぴり船長・渡辺曜が、その舵を切る。

 

 

 

 

「行くよみんな!!!!全速前進、ヨーソロー!!!!」

 

 

 

「「オォーーーーー!!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 船は、嵐に揺れる荒波への航海に挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 津島軍——

 

 

 

 

「か……はっ……!?」

 

「言ったでしょう?悪いけど、私が貴方を斬るってね」

 

 

 

 ヨハネvs康政。挑発に乗った康政を上手く受け流し、その背中をぶったぎったのは津島軍総大将であった。

 

 

 

「殿!!一度本陣に戻りましょう!!このままでは!!」

 

「……ぐ、そんなわけには、いか……ん!!」

 

「しかし殿!!」

 

「……いいわよ、早く連れて行きなさい」

 

「……はい?」

 

「早く連れてけっていったの。じゃないとあんたの殿様の首、落とすわよ?」

 

「……!!おま、え!!情けの、つもりかッ……!!!!」

 

「殿!!あまり喋ると!!」

 

「早く。残念ながら、津島善子はもう人を斬る力は残っていない。だからここまで追い詰めて、首をとれなかったのは私の失敗。ほら、早く」

 

「………」

 

「……お、い!!!」

 

「早く!!」

 

「……感謝申し上げます、津島様」

 

 

 

 駆けつけた榊原家臣は、周りにいた他の家臣を集めてすぐさま傷を負った主君を本陣へと運んでいった。

 

 

 

 

「よかったのですか?殿」

 

「……えぇ。実際、もう体力とか色々辛いのは事実だし」

 

「……そうですか」

 

「まったく、これだから本当の堕天使にはなれないのよね」

 

「ははっ、それもそうですな。殿は我々を堕とす堕天使というより、我々を導いてくださる天使様、という感じですから」

 

「誰が天使よ!」

 

「ははっ、いえ、なんでもありません」

 

「本当減らず口よねぇ……。あ、そうだ」

 

「いかがなさいました?」

 

「あいつ、城に連れて帰ってくれる?」

 

「……!承知いたしました」

 

「帰ったら津島全員で弔うわよ」

 

「……承知」

 

「はぁ、まったく、私を庇って死ぬとかどんだけアホなことしてくれてるんだか」

 

「……いいんじゃないですか?彼も本望でしたよ」

 

「…そ。ならいいけど。ほら、さっさと連れてく!」

 

「はっ、承知しました。おい、みんな!」

 

 

 

 こちらもまた、榊原戦の功労者である側近であったものを城へと運んでいく。

 そして善子は空を見上げた。

 

 

 

 

 

「……ありがとう、勝ったわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 渡辺軍——

 

 

 

 魔法の言葉『ヨーソロー』により勢いづいた曜が舵をとる渡辺軍。かかりくる敵を鉄砲で打ち払っていた。

 しかし、数が数。相変わらずピンチであることは変わりがないようである。

 

 

 

「殿!!もうこちらまで来てしまいます!!」

 

「おっけー、分かった。本隊に向かって来てる兵の数はどれくらい?」

 

「約2500とのこと!!」

 

「うっわ、5倍もあるね。そっか。うん、じゃあこうしようか。まず、分散させてた渡辺軍をこの本隊に集めて、ひとつにしよう。分散してるっていってもほとんど倒されちゃったから、あれなんだけど……。まぁそうすれば500にはなるかな。後は、もうぶっつけ本番だけど、渡辺の鉄砲隊のみんななら出来るよね」

 

「……何をですか?」

 

 

「三段構え」

 

 

「……三段構え?……三段構えってあの高坂のですか!?」

 

「うん、そうだよ。実際練習もしてないからあれだけど、ダイヤさん達が到着するまでにこの隊を持たせる方法っていったらこれしかないと思う」

 

「いや、しかし」

 

「うん、不安なのは分かるよ。私だってみんなに打たせるタイミングとかよくわからないし。でも、やるしかないんだ。じゃないと渡辺は終わる」

 

「……承知しました。我々も出来る限りのことはします」

 

 

「おっけ。まぁ、なんとかなるよ!こういう劣勢の時こそ全速前進だよ、みんな!!」

 

 

「「オォッ!!!!」」

 

 

 

 渡辺曜の秘策かつ奇策、三段構え。しかも練習は一切したことがないというぶっ飛び具合。さらには馬防柵がない上に、相手には弓兵隊もいる。少しでもタイミングがずれれば終わりのこの策であるが、賭けにでる価値はあるのだろう。今、この渡辺軍を救うとすれば、この三段構えが成功する他はないのだから。

 船は転覆するか、黒澤軍の到着まで持ちこたえ、形勢逆転するか。

 

 

 

 

 

 ここが、へっぴり船長率いる渡辺軍のターニングポイントだ。

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
いかがでしたかね?
ちょっとヨハネ中心だったんで、厨二感バリバリだしてみたんですが()
まぁいいです。

次回はなぁ、もう決まってるんですが、あえて言いませんw
とりあえずAqours全員集合です。

一応この内浦合戦の結末まではもう頭の中では出来上がってるので、ぼちぼち更新していきますので。
ではまたよろしくお願いします。


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第72幕 ヒーロー

どうもお久しぶりです。お菓子です。
あ、どうもハントシブゥリデスカァ
一回死んだ方がいいみたいですねはい。

まぁ色々ありまして、久々の更新です。忘れた?うん、しょうがない、もっかい1から見よう(殴

許してください、こんなこともあるでしょう。うん。
では久々の戦国時代、お楽しみください。

どうぞ、ごゆっくり。

感想をくださった
国木田花丸さん
サンシャイナーさん
ありがとうございました!


「放てぇぇぇえええッ!!!」

 

 

 

銃声が絶え間なく響き渡る。かかりくる徳川の兵達は飛んでくる銃弾になす術なく、次々と倒れていった。

 

 

「殿!これはいけますぞ!!」

 

「うん、いい調子だね」

 

 

一時は絶対絶命の窮地に立たされていた渡辺軍であったが、現在、曜の秘策・高坂の三段構えによって戦況をひっくり返そうとまでしていた。

本多忠勝は未だ到着せず。後方部隊の総指揮を執っていた榊原が善子との一騎打ちにて重症を負い、撤退を余儀なくされたことにより、総指揮を執る重要人物がいなくなった。それにより、徳川の兵のまとまりは一気になくなる。その事が現在の渡辺の逆襲を生んでいたのだ。

 

 

 

更に、遂に待ちに待った援軍が到着する。

 

 

 

「曜さん!!」

 

「ダイヤさん!?」

 

「ただいま到着いたしました。お怪我はありませんか?」

 

「うん。なんとかね」

 

「よかったですわ。…それで?戦況はどうなんですか?」

 

「うん、今は多分こっちが優勢って考えていいと思う。善子ちゃんが榊原康政に勝ったって報告も来てたし……。多分本多が到着するまではこっちに分があるはずだよ」

 

「ええ…。では、本多軍が到着するまでにこの大群をどれだけ処理出来るか、が勝負ですわね」

 

「そうだね。ぶっつけ本番の三段構えでなんとか今は凌いでるけど、こっちの兵ももう数少ないし…。これ以上この状態を続けるのは相手の数を減らす上でも、自分達の兵を守る上でも危険かな」

 

「それは確かですわね。私の者達も加勢はさせますが、黒澤も黒澤でかなり厳しい状態。と、なるとこの戦をこのままひっくり返せることが出来るとすれば…」

 

「先鋒部隊の加勢…だね」

 

「…えぇ。不甲斐ないですが、それしかないですわ」

 

「うん、うん。千歌ちゃん達ならきっと来てくれるよ。だから、それまで少しでも徳川の兵を削れるように頑張ろう、ダイヤさん!」

 

「もちろんですわ。黒澤と高海の名にかけて、この戦…必ず勝ちますわよ」

 

 

黒澤軍が加わったことで、更に勢いが増した渡辺軍。

後は先鋒部隊…千歌達が到着するのを待つのみだが…。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

先鋒部隊——

 

 

「申し上げます!!津島軍、榊原軍と交戦し、津島軍総大将津島善子様が、敵軍総大将との一騎打ちにて勝利!!榊原康政は撤退を余儀なくされた模様!!」

 

「本当!!!?」

 

「ワァオ……予想外もいいところね全く」

 

「あっはは、善子って凄いなぁ」

 

 

こちら先鋒部隊。津島軍の援軍の為に、山を駆け下りていた所にまさかの朗報。皆さんびっくりである。

 

 

「こりゃ帰ったらみかんいっぱいあげないとダメだね!」

 

「千歌ちゃん、寧ろそれ罰にしかならないと思うんだけど」

 

「…ってことは、私たちは津島の援軍じゃなくて、渡辺と黒澤の援軍に行けばいいのかしら?」

 

「うん、そうなるね。多分あの2人も危ない状態だろうし…」

 

「えっと…曜ちゃん達はどこに…」

 

「んー、あそこかしらねぇ…。銃の煙が上がってるし、あの船の旗は渡辺軍…ね」

 

「よし!じゃあ行こう!善子ちゃんの勢いにのってこのまま勝つよ、みんな!!」

 

「「オォーーー!!!!」」

 

 

先鋒部隊、進路変更。この戦の勝敗をひっくり返す為に、曜達を救う為に、戦場へと繰り出す。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

渡辺・黒澤軍——

 

 

「…っ、さっきより攻撃が凄くなってない!?」

 

「そのようですわね…。しかし、せっかくこちらに来た流れを持っていかれるわけには行きませんわ」

 

 

こちら戦場の渡辺・黒澤軍。先程の報告通り、ある程度は有利に戦を進めていたか…に見えたが、やはり兵力の差が響き、再び徳川軍に攻め込まれている模様。

更に、この攻撃の勢いが増したことが意味するのは……。

 

 

「進めぇぇぇえ!!!高海の片割れを叩き潰のだぁぁぁぁぁあ!!!」

 

「「オォーーーー!!!!」」

 

 

 

「……まずいですね、ダイヤさん」

 

「えぇ…これはいよいよ洒落になりませんわよ…」

 

 

言わずもがな、先頭を走っていた本多忠勝の襲来であった。

 

 

「ここは一旦引いた方がいいかもしれませんわ、曜さん」

 

「…いえ、ここで引いたら結局攻め込まれて終わりです」

 

「いいえ、一度ここで引いて、先鋒部隊の到着を待ちましょう。本多と戦うのはそれからでも…」

 

「ダメです。本多は、ここで倒します」

 

「ぶっぶー…ですわよ、曜さん。本多は危険です。だからこそ先程も、先鋒部隊が来るまでなんとか凌いで、合流してもらい共に戦おうと話していましたよね?」

 

「それは、私たちがある程度徳川の兵を削って、この戦をひっくり返す可能性が高くなった場合の話です。でも、今は違う。勝機は極めて低いですし、相手は本多。ここで全員で突撃しようものなら、全滅がオチです。しかも、まだ総大将の家康が出陣していない…。それこそ挟み撃ちなんてされたらもう勝機はゼロ、です。ですから…」

 

「私たちだけで本多と戦う、と?」

 

「…いえ、本多は私だけで食い止めます。ですからダイヤさんは…」

 

「…何をふざけたことを言っているんですの!!?曜さん、いいですか。相手は本多なのですよ!?それなのに貴女の軍だけで食い止めようなんてそんなの無謀ですわよ!!」

 

「分かってる!!分かってるよ…!!だけど、だけど…!みんなで本多に向かって行ったらそれこそ勝つ可能性はなくなっちゃうんだよ!?」

 

「だからって…何も貴女の軍だけでなくても!!」

 

「…こんな危険なこと、ダイヤさんに頼めないですよ。…大丈夫です。私が何とか本多を削ります。だから、ダイヤさんは後ろの敵をお願いします。そして、みんなが到着したら、私の軍に加勢お願いします。それまでに何とか、倒せるくらいにはしておきますから…」

 

「しかし!!」

 

「大丈夫ですって、心配性だなぁ、ダイヤさんは」

 

「……では、私の軍の兵も連れて行ってください。後ろの兵など、私と何人かのとりまきがいれば十分ですから」

 

「…ありがとう、ダイヤさん」

 

「絶対、倒しますわよ。私達が行くまで死ぬんじゃありませんわよ」

 

「うん、大丈夫。頑張ろう」

 

 

曜はダイヤに背を向け、もう一度ありがとう、と呟く。

渡辺軍と本多軍の一騎打ちが決定。曜は本多軍が迫る方へと足を踏み出した。

 

 

「全く…。どれだけ格好つけたがりなのか分かりませんわね、本当」

 

「よかったのですか?殿。行かせてしまって」

 

「えぇ。大丈夫ですわ。必ず、曜さんの元にはヒーローが現れますから」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

渡辺軍——

 

 

「殿、いかがされるおつもりですか」

 

「私が本多忠勝を討つ」

 

「なっ、正気ですか殿!?」

 

「うん、当たり前でしょ。実際いくらダイヤさんが兵を貸してくれたからって言っても、この数になんかかないっこないもん」

 

「しかし殿!!そんな無謀な!」

 

「大丈夫、君達のことだってちゃんと守るから。死んでもね」

 

「意味が分かりませぬ!!それに、貴女様を守らなければならないのは我々にございます!!」

 

「んーん、君達が守らなきゃいけないのは私じゃないよ。私が、命がけで守ろうとした…高海のみんなを、絶対に」

 

「何をおっしゃっているのです!!高海の皆様を生きて守るのが貴女様の使命にございます!!それに何ですかその言い方は!!そんな弱気な心持ちで本多に勝てるわけがないでしょう!!」

 

「あっはは、それもそうだね。強気にいかなきゃね、そうだね」

 

「殿…!!!」

 

「大丈夫、心配しないで。私がちゃんと本多忠勝を討ってくるから。だから、ね。行こうか。もううだうだ言ってる暇はないよ」

 

「……何かあれば必ず駆けつけます故」

 

「うん、ありがと。じゃあ行くよ!!全速前進!!ヨーソローーーーーー!!!!」

 

「「ワァァァァァァァァァァァアッ!!!!」」」

 

 

曜の号令と共に、数少ない兵達が本多軍へと突っ込んで行く。

高海家の未来がかかった曜の本多討伐が始まった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

高坂軍——

 

 

「海未ちゃん!!まだ着かないの!?」

 

「あと少しです!!そんな焦らないでください!!」

 

 

はいこちら穂乃果率いる高坂軍。高海家の援軍の為に、某矢澤氏を除いた皆様が音ノ木坂から打ってでていた。忘れたなんて言わせない。

かなり馬を飛ばしている模様で、もうすぐ内浦という所まで来ていた。

勿論、先陣を切るのは穂乃果である。

 

 

「こんな夜中に一体私達は何をしてるのかしらね!!」

 

「せやねぇ、うちらに至っては名前も顔も知らない同盟国の皆々様方の為に眠いの堪えて馬を走らせとるんやからねぇ!!」

 

「本当、イミワカンナイわね!!」

 

「でも、それが高坂家だにゃ!!」

 

「えぇ、そうね…!!見ず知らずの仲間の為にもうってでるのが高坂家だものね!!」

 

「カッコええやん、うちら!!」

 

「さぁ皆さん!!もうすぐ内浦です!!」

 

「絶対千歌ちゃん達を助けるよ、みんな!!!」

 

「「オォーーーーー!!!」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

渡辺軍——

 

 

「ぐっ……」

 

「おうおうどうした!!某に威勢良く一騎打ちを仕掛けてきたと思えばその程度か渡辺!!!」

 

 

こちら渡辺軍。曜が忠勝に一騎打ちを仕掛けたまではいいものの、無論曜は劣勢。忠勝は傷1つ負っていないどころか、息すらあがっていなかった。

 

 

「まだ、まだぁッ!!!」

 

 

対する曜は、忠勝に突き飛ばされてついたアザや、刀を避けきれずに負った切り傷が至るところについている。

やはり、力の差は歴然だった。

 

 

「何度飛びかかってきても同じじゃ!!」

 

「んぐぁッ!!」

 

「全く…。一瞬中々やるなとは思ったが…。やはり気のせいだったようじゃの」

 

 

勿論、曜もやられっぱなしではなく、一騎打ちの最初の方は激しい鍔迫り合いや、駆け引きがあったのだが、結局それも本多が勝ち、そこからは曜のスタミナが切れたのもあるのだろう、ズルズルと今の状況になってしまった。

 

 

「ま、だ!!まだぁぁあッ!!!」

 

「ったく、どこからそんな元気が出てくるんじゃお主は!!!!」

 

「んぁ、あッ!!!」

 

「何度来ても同じじゃ。こっちとしても、もうそろそろかたをつけねばならん。残念じゃが、お主の負けだ、渡辺」

 

「ま…だ!!負けてッ…な、い……ッ!!」

 

「…そうか。ならば、お主に敗北を教えてやろうか。安心しろ、苦しめるようなことはせん」

 

「は、ぁ…っ!!わ、たし…はッ!!まだ……ぁっ!!」

 

 

忠勝が刀を振りかぶる。

 

 

「終わりだ、渡辺。御免」

 

 

「ご、め、…ち、か…ちゃ……」

 

曜は、不甲斐ない自分を責めると共に、ずっと仕えてきた千歌へと謝罪をした。

 

ありがとう、私の幼馴染で。

ありがとう、たくさんの思い出をくれて。

ありがとう、私たちを導いてくれて。

ごめんね、最後まで一緒にいられなくて。

ごめんね、こんな、情けない幼馴染で。

ありがとう、私、楽しかったよ。

 

曜は全身の力を抜いて、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の…曜ちゃんに手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁあああああッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ヒーローは、必ず現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国ラブライブ!第72幕 ヒーロー

 

 

 

 




お疲れ様でした。
どうでした、半年ブゥリの戦国時代は(殴
まぁたまにはヒーローちかっちでもいいと思うんですよね。
いつも曜ちゃんヒーローしてますから、たまにはカッコいいちかっち、見たくないですか?(←

まぁいいです。
次の更新は3月になるかなぁと思います。
多分そこから1日1話投稿もう一度頑張っていきたいと思いますので、そちらの方、よろしくお願いします。

ではまた。


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第73幕 日ノ出

えぇ、どうもポッキーです。
大変申し訳ございませんでした。スライディング土下座するので許してください(殴
どうも私、晴れて大学生となれたみたいなので、できるだけ頑張って更新できるようにするので、期待せずに待っていてください。
正直いって、モチベは皆無でした。しかし、中途半端は嫌ですし、いないと思いますけど、待っていてくださる方がいると申し訳ないので、なんとか頑張っていきたいと思います。何度も言っていますが、絶対に完結はさせるので、ついてきてくださるとうれしいです。

はい、では前回はヒーロー登場、ということで。一体どうなるのでしょうね?
無敵の本多忠勝vs高海のヒーロー。見ものです。

それではどうぞごゆっくり。



「私の…曜ちゃんに手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁああああああッ!!!!!!!!」

 

 

 本多が渡辺の首を落として決着…とみられた両軍総大将の一騎打ちであったが、茂みより、流星の如く両者の間に降ってくるモノあり。

 

 

「何奴ッ!!!!」

 

「…ち、かちゃ…っ!」

 

「助けに来たよ、バカよーちゃん」

 

 

 降ってきたモノ…もとい、高海軍総大将・高海千歌は、倒れる曜の方へ振り返り、ニっと笑ってやる。

 

 

「千歌…。ほぉ、お主まさか総大将の高海千歌か」

 

「ぴんぽーん、せいかーい」

 

「と、いうことは、総大将が自ら瀕死の家臣を救いに来たということだな?まっこと、阿呆な話だな、渡辺よ」

 

「…ッ!わた、し…はっ!!」

 

「総大将を守る立場のお主が助けられるとは…。情けない家臣をもったものだな、高海よ。同情するぞ」

 

「よーちゃんが情けない、か」

 

「あぁ、そうだ。これからお主はその情けない家臣のせいで死ぬ。そいつのせいで高海も終わりだ」

 

「へぇ、そーなんだ。でも私はよーちゃんが情けないとも、よーちゃんのせいで私が死ぬとも、高海が終わるとも思わないけどなぁ」

 

「なんだと?」

 

「私は、高海のためにたった一人で本多さんに突撃したよーちゃんを誇りに思うし、立てなくなるまで戦ってくれたよーちゃんの勇気を無駄になんかする気もないよ」

 

 

 千歌は強く忠勝を睨んだ。刀を握る手にも力が入る。

 

 

「…そうか。それでは某がその勇気とやらを無駄にさせてやろう」

 

 

 戦闘態勢。忠勝も再び刀を構え、千歌と視線を交わせる。

 

 

「行くぞ」

 

「こちらこそ」

 

 

 両者がともに斬りかかった。

 

 

 ------------------------------------------

 

 

 黒澤軍--

 

 

「援軍、感謝しますわ」

 

「you're welcome!本当はもう少し早く来れればよかったんだけど」

 

「そうですね。ここまで耐えてくれたダイヤさんたちに逆にお礼したいくらい」

 

「善子には特にね!」

 

 

 こちら黒澤陣営。前方を走っていた鞠莉達の部隊の援軍が到着し、ある程度、余裕が出てきた模様。

 

 

「さて…。少しばかり余裕が出たのはいいですが…」

 

「いつ総大将様がお出ましになるか、ですよね」

 

「yes.現在、徳川後方部隊の大将・榊原が善子との一騎打ちで負傷退場、この大群の総指揮を任されているであろう本多は、曜とちかっちと交戦中。いくら数で上回るといっても、指揮をとる要となる人物の不足は痛い」

 

「ええ。ですが、家康に気を取られがちですが、徳川の要の一人といってもいい人物・酒井忠次もまだ出陣していませんわ」

 

「本陣が今の状況を把握しているとしたら、いつ本陣が動きだしてもおかしくない状態です」

 

「と、なると……ん、どーなるの?」

 

「果南さん…」

 

「ほんと、カナンには頭脳ってものがないわよね」

 

「む、否定はしないけど、バカにしすぎじゃない?」

 

「本当のことでしょう?」

 

「「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」」

 

「あーーはい!今は喧嘩してる場合じゃないですから!!」

 

「そうですわ。先ほども言った通り、いつ本陣が動き出してもおかしくない状況。今、私たちがすべきことは喧嘩ではないのではなくて?」

 

「…まぁ、そうだけど」

 

「そうね。とりあえず、できるだけ相手の数をへらしましょう。こちらに分がある状態で、徳川と酒井を迎え撃つわよ」

 

「はい。曜さんと千歌さんも本多相手に戦ってくれているのです。こちらも踏ん張りますわよ。いいですね」

 

「「はい!!!」」

 

 

 --------------------------------------

 

 

 徳川本陣--

 

 

「…そろそろかな」

 

「はい。康政は戦闘不能、忠勝は足止め。さらに現在襲撃されているのが、主となる指揮者がいない後方部隊。早めに出陣のお声がけを」

 

「うん。そーだね。正直、忠勝と康政なら僕たちの出番はないと思ってたけど…。悪い予感の方が当たっちゃったみたいだね」

 

「左様。もうそうなってしまったものは仕方ありません」

 

「うん。さすがに負けるわけにはいかないからね。行くよ、忠次。出陣の準備」

 

「承知」

 

 

 こちら徳川本陣。梨子たちの予想通り、このままではまずいと感じた家康が動き出そうとしていた。

 徳川・酒井総勢2500。対する曜・千歌を除く高海軍はわずか1200。家康がなだれ込んできたらば、勝機はほぼ、ない。

 

 

「殿、用意ができました」

 

「わかった。じゃあ行こうか。さんざん暴れてくれたんだ、いい?完膚なきまでたたきつぶせ。誰一人として逃すなよ。皆殺し……。分かったね?」

 

「「ハッ!!!」」

 

 

 家康の合図とともに、本陣の部隊が動きだした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ざんねーん。ここから先は行き止まり、にゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 -----------------------------------------

 

 

 渡辺・高海軍--

 

 

「く……っ!!」

 

「なぁ…高海よぉ…。まだ…やるか?」

 

「はっ、あたり、前でしょ…。本多さんこそ、まだ…やるの?」

 

「ヘロヘロのくせに何生意気な口きいてんだ…?当たり前じゃろ…!お主の首、某がもらい受けるまではなぁ!」

 

 

 千歌vs忠勝。無論、力で押されているのは千歌だったが、いったいどこからそんな力が出てくるのだろうか、決して倒れることはなく、むしろ気持ちの面で忠勝を押していた。

 

 忠勝がとびかかる。体力の限界を迎えていた千歌は、それをかわすことなどできず、なんとか刀で攻撃を受け止めた。

 

 

「んぐぅぅ…ッ!!!」

 

「っ、いい、加減…!!くたばれ高海ぃぃぃぃいいいッ!!!!!」

 

 

 忠勝は、これで決めるつもりなのだろう、全体重を刀に伝える。

 じり、じり、と千歌の足元の土がえぐれていく。

 

 

「ぐ、ん、んんぅ…っ、まだ、ま、だぁぁぁぁあああっ!!!」

 

「なっ!?」

 

 

 あたりに金属音が鳴り響いた。

 

 

「ちかちゃ…!」

 

「はぁ…は、ぁ…。残念、だったね。本多さん…っ」

 

 

 鳴り響いた金属音…。その音源は忠勝の刀であった。

 そう、千歌が忠勝の攻撃をしのぎきったために、最大限の負荷がかけられていた忠勝の刀は、真っ二つに折れてしまったのだ。

 

 

「…まさか、某の攻撃を耐えきるとは。想定外もいいところだ…」

 

「想定外のことを、やってのけるのが、高海…だから、ね」

 

「…そうか。それでは…まだ、お主は戦える、ということだな?」

 

「…え」

 

「刀が一本だけなわけなかろう!!!」

 

「ちかちゃ…!!!」

 

 

 忠勝が、もう一本の刀を抜き出し、千歌に斬りかかる。

 絶対絶命、だった。

 

 金属音が再び響き渡る。

 

 

「あぁ…っ!!」

 

 

 なんとか忠勝の切りを持っていたボロボロの刀で防いだが、忠勝の攻撃をずっとうけていたその刀がもうもつはずもなく、刀が折れて飛んで行った。

 

 

「すまぬな、高海。お主の実力は認めてやろう。…だがな、勝つのは徳川だ」

 

 

 再び、刃先を千歌へと向ける。

 千歌は、脇差を抜いて対抗しようとするが、勝敗は見るに明らかだった…が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「伝令!!!!!!!!!!!!!忠勝様、今すぐ本陣へお戻りください!!!!!!」

 

「…っ!?何事じゃ!!本陣に戻れだと…!?一体何があった!!!」

 

「…えっ、えっ…?」

 

「本陣が星空軍からの奇襲を受け、現在劣勢!!!家康様、忠次様ともに傷を負っているとのこと!!!!」

 

「星空だと…?なっ、まさか高坂か!!!」

 

「伝令!!!!!!!!関東より高坂軍約1700、もうそこまできております!!!!!!!!」

 

「穂乃果ちゃん…!!」

 

「くっ…来るとは予想していたが…いくらなんでも早すぎる!!!おい、皆の者!!!本陣へ戻るぞ!!!星空に場所がばれたとなれば、高坂が本陣を襲撃するのは時間の問題だ!!!いいか、何としても家康様をお守りするのだ!!!!」

 

「「オォッ!!!!!!!」」

 

「…命拾いしたな高海。次は必ず殺す」

 

 

 忠勝は、ギリギリと悔しさに滲んだ眼で千歌と曜を睨み、本陣へとかけていった。

 

 

「…助、かった…」

 

「ちか、ちゃん、ありがと…」

 

「…あっはは、本当は千歌がかっこよく本多さんを倒したかったんだけど…。穂乃果ちゃんたちに助けられちゃったな」

 

「ううん、ちかちゃ…かっこ、よかった」

 

「…えへへ、ならよかった。私はみんなのところに戻るから、よーちゃんは私の足軽さんたちに城に運んでもらって。ルビィちゃんたちからちゃんと手当てしてもらうように」

 

「…うん」

 

 

 千歌は負傷して動けなくなった曜を家臣たちに城へ運ばせ、ダイヤたちが交戦している場所へと向かった。

 

 

 

 --------------------------------------------

 

 

 黒澤軍--

 

 

「まさかこんなにも早く穂乃果さんたちが援軍に来てくれるとは…」

 

「しかも本陣をあっという間に見つけて奇襲をかけるなんてね」

 

「…悔しいけど、松浦じゃ本陣を見つけることなんて出来なかったし。さすが星空だよ」

 

「ええ、そうね。高坂軍のおかげで、本陣の家康と酒井は負傷、その護衛に本多が本陣へreturn。大方、徳川軍はこのまま撤退でしょう」

 

「本当…高坂はすごいわ…。数は下手したら私たちより少ない。でも、情報を駆使して、本陣の場所を移動中に割り出し、奇襲をかけ、一気に流れを自分の方へと持ってくる…。高坂にしかできない戦法ね」

 

「はぁ…。結局、私たちはまだまだ、ということですね」

 

「yes.でも、とりあえず私たちは徳川の残りカスを叩くわよ。まだ撤退命令はでていないからね。高坂軍に感謝するのは、戦が終わってからにしましょう?」

 

 

 こちら黒澤軍…とその他多数。家康出陣に備え、できるだけ相手の数を減らそうと奮闘していたところ、本陣襲撃の知らせが入った模様。無論、その知らせは徳川の後方部隊の足軽その他もろもろにも伝わっており、皆さん大混乱。

 混乱に乗じて高海の皆さんが徳川を斬っていく。

 

 

「みんな!!!」

 

「…!チカ!!!」

 

「oh!ちかっち、無事だったのね!流石だわ」

 

「よかった…!!」

 

「千歌さん、曜さんは…?」

 

「うん、大丈夫だよ。本多さんとの一騎打ちのせいで重症ではあるけど…。もう城に運んで治療受けてるはずだから心配ないと思う」

 

「そうですか…。よかった…」

 

「まぁ、なんにせよ、高海の主要人物はみんな無事ってことね」

 

「そーだね!でもまだ戦はおわってないよ!星空さんだけじゃなくて、穂乃果ちゃんたちも到着して、前方の徳川軍を斬ってるみたいだから、私たちも負けちゃいられないよ!!さぁ行こう!!!!」

 

「「オォーーーーーーーー!!!!!!!」」

 

 

 本多との交戦を終えた千歌も到着し、その鼓舞の声により軍の士気は最高潮。穂乃果たちも到着したということで、徳川軍の撤退は時間の問題だった。

 

 

 ----------------------------------------------

 

 

 高坂軍--

 

 

「伝令!!星空軍が本陣の奇襲に成功!!攻め込むなら今のうちにございます!!」

 

「さっすが凛ちゃん!仕事が早いねぇ」

 

「というか早すぎです。先ほどまでここにいたのですよね?」

 

「まぁ凛ちゃんやし。本領発揮ってとこやろな」

 

「そうね。私たちも負けていられないわよ?」

 

「えぇ、凛にだけ武功を持っていかれるわけにもいかないし」

 

「よぉぉし!じゃあ行こうみんな!!!」

 

「「オォーーーーーーーーーー!!!!!!」」

 

 

 内浦にとんでもない速さで到着した高坂軍。しかも凛は自身の所有する忍部隊からの情報を頼りに、移動中に徳川本陣の場所の割り出しに成功。あっという間にその本陣へと向かい、奇襲を見事成功させてみせた。

 

 しかも名前だけで威圧できるのが高坂軍。高坂が到着した、と聞いた途端逃げ出した徳川の兵もいるとかいないとか。

 そんな感じでとんでもない力をもつ高坂軍は、恐れおののく徳川軍を瞬殺。千歌たちのもとへと順調に足を進めていく。

 

 

「真姫、そろそろ凛の援軍に」

 

「そうやね、そろそろ本多も到着するころやろ」

 

「オッケー。逃げる徳川の頭を撃ちぬいてくるわ。そっちはたのんだわよ、みんな」

 

「はい。真姫も無理しないように」

 

 

 ある程度進軍した後、西木野軍が本陣で暴れている星空軍への援軍へ。凛の奇襲により、家康が負傷したことで、撤退はほぼ決定的なのだが、もしもの保険兼ダメ押しの鉄砲隊投入ということらしい。

 

 

「さて…。そろそろ徳川もおとなしくなってきたわね」

 

「そうだねぇ…。とりあえず、千歌ちゃんたちと合流しなきゃだよ!」

 

「はい。あと少しみたいですし、頑張りましょう」

 

 

 高坂の介入により、圧倒的に高海有利となったこの戦。

 真夜中に始まったこの戦も、完全なる日ノ出とともに終わりを迎えようとしていた。

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第73幕 日ノ出

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
何度も謝ります。大変申し訳ございませんでした。

まぁ、高坂は最強ってことらしいですね。
次回は少しのほほんとしたものをかければいいかなと。5話くらい戦でしたからね。
ではまた。


質問ですが、かなり時間が空いたので、希望があれば振り返り回、戦国ラジライブってものを書こうかと考えていますが、いかがでしょうか?
いらない、というのであれば、このまま続きを書かせていただきます。

というわけですので、またよろしくお願いします。


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第74幕 狸

はいどうもPOCKYことポッキーです。
久しぶりの二夜連続投稿じゃないですか?あらやだ(殴
まぁいいです。
今回の前書きは長いですよ。私結構自分の作品読み返したりするんですけど、気づいたことがあったんですよね。
最新話になるにつれてなんかこう、面白さというかぶっ飛びさがなくなってるんですよね。まぁ、長くやってるせいで、きれいな文章書こうとか、構成ちゃんと練ろうとか思ってしまった代償ですよね。
そのおかげで、いちいち構成考えるの面倒くさくて、執筆とまったり、みたいなことにつながったのかなぁ、と。
長すぎですね。反省はまたあとがきに回します。
今回は構成もくそもありません。全部私が勢いで書いたこの小説特有の謎文章となっております。書き直しなんてしてません。なので謎解き頑張ってください。

今回は狸…ということで。いろいろ暴れます。
それではそうぞごゆっくり。

感想が、すごくほしいです。みんなで作る戦国時代、と銘打ってますので、正直読者様の感想がなくなったらおしまいです。
何か月も放置していたくせになにを言うか、と思われるかもしれませんが、なにとぞよろしくお願いします。



 

 

 

 

 徳川本陣--

 

 

 

「ざんねーん。ここから先は行き止まりだよー」

 

 

 

「んー?君はー?君の名はー?」

 

 

 

「な、と、殿!!ふざけてる場合ではありません!!こやつは高坂の間者、星空凛にございます!!」

 

 

 

「星空…。えっ、えっ??あの高坂の?」

 

 

 

「だからそう言うております!!!!」

 

 

 

「あっははー、そりゃまずいね、すごくまずいね!っていうかなんで僕たちの居場所ばれた??」

 

 

 

「んーそれは教えられないにゃ。なんせ軍の機密事項なんで」

 

 

 

「そんなことはどうでもいいのです!!殿、どうされますか!!!」

 

 

 

「そうだね、星空がここにいるってことは、高坂が来たってことだよね?」

 

 

 

「ま、まぁそうなるかと」

 

 

 

「よし。じゃあ……………逃げるっ」

 

 

 

「あっ、殿!!お待ちください!!」

 

 

 

 

 こちら星空の奇襲が入った徳川本陣。高坂が到着し、分が悪いと感じた家康もとい化け狸は、家臣をほったらかして逃走を図ろうとしている様子。さすが未来の脱糞大名、逃げるのだけは早い。

 

 

 

「あーー、そっちは危ないかもしれないよーー?家康さーーん」

 

 

 

「危ない…?おい貴様!!一体何を!!」

 

 

 

「ん?そんな大層なことじゃないよ?でもまあ…」

 

 

 

 

 刹那。

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁああああああああああああッ!????」

 

 

 

 

「家康様!?????」

 

 

 

「あーあ、だからいわんこっちゃない」

 

 

 

 

 家康の叫び声が響き渡る徳川本陣。本陣にいた誰もが家康の名を叫んだ。コーレスかよ。

 

 

 

 

「そっちには罠があるよーって親切教えてあげようと思ったのに…。ただのアホかもしれないにゃ」

 

 

 

「だずげでぇぇぇぇぇ」

 

 

 

「家康様!??なんということだ…!!おい!!誰かこの網から家康様を助け出せ!!」

 

 

 

 

 その罠とは、単純明快。木の上に網の端を持った忍がちょうど四隅にスタンバイし、獲物がその下を通ったら、一気に引き上げる。どうも動物の罠に使われそうなものだが、まあ今回その罠に引っかかったのは間抜けな狸…ではあるため、使用目的は間違っていないかもしれない。

 

 

 

 

「はぁ…。もしかして刀抜く必要ないかもしれないにゃ?」

 

 

 

 

「いやぁ……。もしかしたらもしかするかもしれませんねぇ…」

 

 

 

 

「殿!!!」

 

 

「家康様!!!」

 

 

「おい!!早くしろ!!これではまるで家康様が罠にかかった狸ではないか!!!!」

 

 

「ちょっと!!誰だ!!僕のことを狸だとか言ったやつ!!!!」

 

 

 

 

 

「…はぁ。もうこれ帰っていいかにゃ?」

 

 

 

「いやー…一応いたほうがいいのではないかなぁと」

 

 

 

「…そうだね、そのうち本多も来るだろうし、真姫ちゃんの援軍だってくる予定にゃ」

 

 

 

「…に、しても、もしかして拙者たちは…」

 

 

 

「うん。…本多が来るまでこのアホみたいな光景を見てなきゃいけないかもしれないにゃ…」

 

 

 

 

 凛とその家臣は盛大にため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 戦国ラブライブ! 第74幕 狸

 

 

 

 

 

 

「穂乃果!あの向こうに見える旗は…!」

 

 

 

 

 はい、こちら高坂軍。順調に逃げ惑う徳川の兵を蹴散らし、千歌たちのもとへ絶賛進軍中。

 

 

 

 

「おぉ!よく見つけたね絵里ちゃん!」

 

 

 

「よくみつけたねって…。あぁ、そんなことはどうでもいいのよ!あれが高海軍の旗なの?」

 

 

 

「うーん…。多分??」

 

 

 

「なんで自信ないのよ…。貴女が高海さんと同盟結んできたんでしょう?」

 

 

 

「あっははー、ごめんねぇ」

 

 

 

「まったく…。もう、海未!あれが高海さんの旗?」

 

 

 

「えぇ。間違いないかと」

 

 

 

「そう。ならよかったわ。ほら、穂乃果、高海さんと合流しなきゃ」

 

 

 

「うん!任せて!」

 

 

 

 

 一体何が任せてなのか分からないぞ穂乃果よ。

 

 

 

 

「とりあえず、こちらの軍旗を掲げてあちらにも気づいてもらいましょう。その方が円滑に合流できるかと」

 

 

 

「…と、いうことだよ、みんな!」

 

 

 

「いや、それは穂乃果が本当は指示するべきことでしょ…」

 

 

 

「あはは、なんてったって穂乃果ちゃんやししゃーないやん。な、海未ちゃん」

 

 

 

「はい。穂乃果に考える頭がないことなんて今に始まったことではありませんし」

 

 

 

「ちょっと!?」

 

 

 

「とりあえず、絵里。旗の方をよろしくおねがいします」

 

 

 

「任されたわ」

 

 

 

 

 まったく仕事のできない総大将様に代わり、軍師様が出した命令をこれまた軍師様が実行した。

 高坂家の軍旗・「ほ」の文字が書かれた旗が明け方の内浦の空にでかでかと掲げられる。

 

 

 

 もちろん、この軍旗は海未の狙い通り高海軍の皆様の目に入ったようで…。

 

 

 

 

「千歌ちゃん、あれ!」

 

 

 

「ん?……わ、あれって、穂乃果ちゃんのとこの軍旗、だよね?」

 

 

 

「だと思いますわ。「ほ」と書いていますし」

 

 

 

「じゃあもうそこにいるってことでしょ?合流したほうがいいよね」

 

 

 

「いえーーーーす!!!!私たちの救世主とご対面よーーーー!!!!」

 

 

 

「鞠莉さんうるさい」

 

 

 

「あはは…。とりあえず、こっちも旗掲げたほうがいいんじゃないかな、千歌ちゃん」

 

 

 

「うん!そーだね!じゃあ果南ちゃん、出番だよ!」

 

 

 

「力仕事はとりあえず私だとおもってるよね…。まぁいいけど」

 

 

 

 

 と、いうことで、高海軍も高坂への返事として軍旗を掲げかえした。

 双方、お互いの存在、そして居場所の確認完了である。

 

 

 

「お、高海さんの方も旗ふりかえしてくれたみたいやね」

 

 

 

「はい。あとは無駄に余っている徳川の兵を削るのみですが…」

 

 

 

「まだ撤退命令は出ないのね?凛の奇襲は成功したと聞いたし、真姫も援軍に向かったわ。…それなのに撤退命令がでないのは一体…?」

 

 

 

「凛ちゃんたちから援軍の要請も来てないし、凛ちゃんたちがおされて危ない!…ってわけでもなさそうだしねぇ」

 

 

 

「はて、では一体何が起きているのでしょうか…?」

 

 

 

 

 

 -----------------------------------------

 

 

 

 

 徳川本陣---

 

 

 

 

「……ねぇ、凛。これは一体どういう状況なわけ?」

 

 

 

「さぁ…。凛に聞かれても困るにゃ」

 

 

 

 はい。こちら徳川本陣。西木野軍も到着し、徳川へ追い打ちをかけよう、としていた…のだが。

 

 

 

「おい忠勝!!どうしてそちらを引っ張る!!」

 

 

 

「酒井殿こそ何故某と逆方向を引っ張るのじゃ!!!」

 

 

 

「早く助けてよ!!このノロマ!!!」

 

 

 

「はぁぁぁ?もとはといえば家康様が阿呆なのがいけないのではないですか!!!」

 

 

 

「そうでございます!!家康様が奇襲をうけてけがをしたというから、某はもぉぉそれは烈火のごとく本陣に舞い戻ったというのに!!戻ってきてみればなんですかこの様は!!!」

 

 

 

「あぁぁぁぁ!!!君たち言ったね!!もーいいよ、忠勝と忠次は自室没収にするから」

 

 

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁあああああ!?????」」

 

 

 

「せっかく必死に助けているというのになんですかその口の利き方はぁぁぁああ!!!!」

 

 

 

 

 はい。忠勝も無論本陣に到着しており、家康撤退のために星空軍と交戦…をするはずだったのだが、罠にかかったアホ狸の救出に必死。

 まだ下で戦っている兵に撤退命令も出さず、徳川の中枢の皆様は大ゲンカしていた。

 

 

 

 

「…あのー」

 

 

 

「なんじゃ星空!!悪いがそれどこではないのだ!!!」

 

 

 

「というかそもそもお主がかけた罠で家康様がこのような哀れなお姿になってしまったのではないか!!」

 

 

 

「いやいや、その網は本当ならすぐ獲物が取り出せるようになってるはずなんだけど、なんでそんなに苦戦してるの?」

 

 

 

「簡単にほどける?そんなわけなかろう!!!」

 

 

 

「あーーーもう!!!そんなことはどうでもいいのよ!!一体徳川はどうするわけ!?撤退するの!?しないの!?早く決めないと全員撃ち殺すわよ!??」

 

 

 

「撃ち殺すだと!?貴様一体誰に向かって口をきいているのだ!!!」

 

 

 

「あんたたちバカ全員よ!!!!どれだけ長い時間あんたたちのアホみたいな喧嘩見てなきゃいけないわけ!????」

 

 

 

「ば…っ!今君バカっていったね!??いいか!?バカって言ったほうがバカなんだぞ!!!」

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!さっさと帰れこのバカ狸ぃぃぃぃぃいいいいッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 銃声とともに、真姫の絶叫が響きわたった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無論、この後すぐに徳川軍には撤退命令が告げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。
いやぁ、久々に叫んでましたね。
そして勢いしかない糞文章+改行の暴力。書いてる側からすると楽でいいですねぇ。
てことで、きれいにかこうとするのはやめますので。読者様、これからも謎解き頑張ってください。

次回はまぁ高坂と高海でわちゃわちゃおしゃべりでも。徳川もいなくなったことですし!!(←
では次回またお会いしましょう。

追記
火水木と授業やらなんやらが忙しい日が続きますので、多分更新不可です。
よって次の更新は大方金曜日になると思いますので、よろしくお願いします。


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