ダンまち~転生したら一撃男でした~ (セルタッチmk.2)
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一撃目
つまり、そういう事。
よぉ、俺はサイタマって者だ。所で俺はダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか、という世界に神に転生させられたらしい。らしいって言うのは、俺がその世界の事を詳しく知らないからだ。それで転生させられた理由は、その神の暇つぶしだってよ。呆れたよ、ただひたすらにな。そして転生特典は何が良いかと聞かれた時、適当に取りあえず強くしてと適当に言って俺は転生した。転生した俺はただただ驚いね。何故かって?そりゃあ俺が
「ワンパンマンのサイタマになってたんだよなぁ」
そう俺はサイタマになっていたのだ。強くしてって言ったよ? 言ったけども! あれですか? またワンパンで終わっちまった……とか言わなくちゃいけないんですか!?
まぁ強いこと自体は悪い事では無いよなと自分を納得させた。それでこの世界に転生してからあのトレーニング法を試しているんだけど
「強くなってる気がしないんだよなぁ」
正確に言うとそのトレーニング分の筋力だったり体力だったりとかは着いているとは思う。あ、ちなみに今は10ね。俺。だけど、あの圧倒的なまでの強さにはなっていない。何故なんだ?と考えていると目の前に紙がひらひらと落ちて来た。その紙に書いてあったのは
『この文章を君が確認したときから君は強くなっていくよ。今までお疲れ様だったね』
「クソッタレェェェェェェェェェェェ!!!!!」
はぁ、家に帰ろう……
この世界に俺の家族はいない。家だけ用意されていた。その家のドアの前に金髪の女の子が手を出しノックをしようとしているらしい。少し驚かそうと俺から声を掛けてやることにした。
「よぉ、アイズ。何やってるんだ?」
驚いたのか、肩をビクッと揺らした。するとゆっくりこちらを向いて、金の瞳と目が合った。
こんにちわ。アイズ・ヴァレンシュタイン5歳です。今はサイタマお兄ちゃんのお家のドアの前に立っています。ノックをしようとしたとき
「よぉ、アイズ。何やってるんだ?」
ビクッ。後ろから急に声を掛けられてビックリした。
「ビックリした」
「ハハッ、すまんすまん」
「お母さんが一緒にご飯食べようって」
「わかった。着替えるから少し待っててくれ」
そう言ってお兄ちゃんはお家の中に入って行った。突然だけど私は自分の感情を人に伝えるのが少し苦手。お兄ちゃんはそんなの全然関係ないと言って私と遊んでくれる。お兄ちゃんと一緒にいると胸がぽかぽかする。これって何なのかな?
「お待たせアイズ。それじゃあ行こうか」
「うん」
お兄ちゃんといればきっと分かる気がする……と思う。
「お兄ちゃん。いつもより元気ないねどうしたの?」
「今までやってきた事がほとんど意味無くて意気消沈してるんだよ」
……? お兄ちゃんは時々難しい言葉を使うからわからない事がある。首を傾げている私に苦笑しながら頭を撫でてくれた。……気持ちいい。
「手……つなごう」
「はいはい」
そう言ってお兄ちゃんが手をつないでくれた。私は今とても楽しいです。
サイタマside
いやぁ~アイズの母ちゃんの飯うまかった。まぁアイズが俺の膝の上に乗って食べさせてってお願いされて断る理由も無かったから許可したからちょっと食べにくかったけどな。何かそれ見てアイズの母ちゃんニコニコしてたけど何だったんだろうか? よくわからんな。まぁ明日から頑張りますか!
この作品のサイタマは6年かけて強くする予定です。
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二撃目
よぉ、トレーニングを続けて6年がたった。やっとあの人の強さに追いついたと思う。まぁ、精神の方は全然ダメだけどな。トレーニングしている間にあった俺が覚えている出来事が2つあるんだ……
まず、1個目は俺が12でアイズが7になったばっかの頃だったと思う。その日も俺がトレーニングが終わってアイズと遊んでいた時だった。俺がちょっと目を離した隙に何者かがアイズの気を失わせていた。俺が助けに行こうとしたら、呆気なく気を失わされてしまった。俺が次に目を覚ましたのは、薄暗い洞窟の様な場所だった。俺はすぐにアイズを探した。アイズはすぐに見つかったが気を失っていた。俺はアイズを背負って出口を探した。たまに出てくる怪物を倒しながら無我夢中で走った。そしてその後の事はよく覚えていない……辛うじて覚えているのは、神とか名乗った奴にアイズを任せて伝言を伝えてくれと頼んだ
『強くなったら必ずお前の所に帰ってくる。だからお前も頑張れ』
ってこんな感じだったと思う。俺はまだまだ全然弱かった……だから誰かを護れる様になれるぐらい強くなると俺は自分自身に誓った。
2個目は、トレーニングを開始して4年目位だと思う。風の噂で昔の日本と同じ様な所があると聞いて、元日本人な俺は興味を持った。だから走って向かうことにした。向かっている途中、派手な戦闘音が聞こえたので俺は急いでそちらの方に向かった。そこで俺が見たのは3Mは超えるであろう鬼とその鬼に睨み付けられて怯えている狐耳の少女、周りに倒れている騎士たち。俺はすぐに状況を理解し、鬼の方に駆け出した。すると鬼は接近する俺に気づき潰そうと拳を振り下ろしてきた。俺はその拳を受け止め弾き飛ばし、自分の力が通用しなくて動揺している鬼にさらに接近した。そして俺は今出せる全力を尽くし鬼の腹を殴った。直後鬼の体が後ろにあった木を巻き込みながら吹っ飛び体が消滅した。その後に神様と狐耳の少女の友達がやって来たんだ。何でも神饌なる物を狐耳の少女が盗んだことにして自分の物にしてしまおうとした役人がいて、連れていかれる途中だったという説明を受けた。まだ泣いているその子を撫でて落ち着かせた。無事でよかったよ。本当に。その後名前を聞かれたから
「趣味でヒーローをやっている者だ」
と言ってその場を後にした。
とまぁこんな感じだったな。だからそろそろ出発するとするか……オラリオに
「それじゃあ、行くか」
……アイズ俺の事覚えてるかな?
お兄ちゃんと会えなくなって4年がたった。ロキからお兄ちゃんの伝言を聞いて何をしていいかわからなかったから私はお兄ちゃんと同じように強くなろうとした。この4年間色んな事があった。だけど寂しいよお兄ちゃん。
「あ~アイズまた暗い顔してる~」
どうしたの~? と言って私の顔を覗き込んできたのはティオナ・ヒュリテ私が最初に友達になった子。
「何でもないよ」
「ウソね。またお兄さんの事考えてたんでしょ?」
「うっ……」
今のはティオネ・ヒュリテ、ティオナのお姉ちゃん、人の気持ちを察するのが得意みたい。今も私の考えていることを察したみたい。
「はっ、くだらねぇ」
「おいベートそんな事いうんじゃない」
「ガハハッアイズは本当にお兄さんの事が好きなんだのう」
「あはは、本当だね」
最初に喋ったのはベート・ローガさん……少し苦手です。ベートさんを注意したのはみんなに
「なんや自分久しぶりやんけー!」
……? お客さんでも来てるのかな?不思議に思いながらホームの門を潜るとお兄ちゃんとお兄ちゃんの肩の上に乗ってるロキだった。
あれ? 私は夢でも見てるのかな?試しに思いっ切りほっぺを抓ってみた・・・痛い。するとお兄ちゃんがこちらに気付いたみたいで
「よぉ、アイズ久しぶりだな」
お兄ちゃんだ。お兄ちゃんがそこにいる。私は駆け出していた。ロキがちょ、アイズたん、待っとか言ってるけど知らない。私は駆け出した勢いのままお兄ちゃんに抱き付いた。その瞬間ロキが地面に落ちて悶絶してるけど私は知らない。
「お兄ちゃんッッッ!」
「おいおいアイズそんなに泣くことないだろう」
そう言って撫でてくれる手はとても優しくて気持ち良かった。
「お兄ちゃん。おかえり!」
「おう、ただいま」
そう言って私はもう何処にも行かせないぞという意味を込めて強くお兄ちゃんだきしめた。
みんな、俺の技術ではこれが限界なんだッッ許してくれ!
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三撃目
お気に入り登録、感想を書いてくださっている皆様本当にありがとうございました。
これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。
何故か俺は今、
「それじゃあ、そろそろ始めるで~」
準備はええか? とロキが聞いて来たので俺は無言で頷き、ベート君はただただこちらを睨んでくる。…………だから何で?
「……始めぇ!!」
その瞬間、俺の目の前にはベート君の足があった。俺は避けきれずもろに跳び蹴りが当たった。その勢いのまま俺は仰け反ってしまった。何とか全体に力を入れて倒れるのは全力で阻止した。ベート君……もうベートでいいか。ベートは俺の顔を踏み台にして遠くに跳躍した。
「フン! やっぱり雑魚じゃねーか!」
このやろう。人の顔踏み台にしといて、あろうことか人の事を雑魚ですか。いいぜぇ、やってやるよぉ。泣いたって知らないからな! 俺はここで急激に体を起こした。見てる人が全員驚いていた。今はそんなの関係ない。
「ちょ、ちょっとはやるみたいじゃねーか」
「そんなことはどうでもいい。さっさとかかってこいよ」
ベートは舌打ちをして俺に向かってきた。拳と脚を使って絶え間なく打ち込んでくる。俺はそれを全て紙一重で避ける。その中で一番だと思える物を優しく受け止めて押し返す。後はこれを繰り返すだけ。
30分は続けてたかな。今のベート君は
「ヒグッ、グスッ、何で当たらないんだよぉ」
号泣である。もう一度言う、号泣である……いや、本当に泣かすつもりはなかったんですよ? それがちょっと楽しくなってきちゃったのは認めるよ? だけど、こんなに泣くなんて思わなかったんですよ。可哀想なので終わらせます。はい。一瞬でベートの背後に回り、首筋に手刀を入れて終了です。終わったのに終了の合図が無いなと思ってロキの方を見たら
「あはっ……アハハ…………アハハハハハハッ!!」
腹抱えて笑ってました。おい、お前それでいいのかよ。仮にも主神なんだろ?他の奴も見てみると笑いを堪えてるみたいだ。アイズだけよくわかってないみたいで首を傾げている……アイズにはそのまま成長して欲しい限りだ。そして、ベート本当にすまなかった。俺だけでも優しくしてあげるから強く生きるんだぞ。
「アハハ、久しぶりに大笑いしたわ~」
とこちらの肩をバンバン叩きながら言ってくる。痛くはないけど揺れるから止めてほしい。
「じゃ、
「え? ベートは放置なのか?」
「そのうち起きるやろ」
もう俺は何も言わない。ごめんなベート。郷に入っては郷に従えって言う言葉があるんだ。お前の事は忘れないよ。それでロキ、お前は何で俺の肩に乗ってるんだ。そしてアイズ何時の間に手をつないでたんだ、気付かなかったぞ。そんな状態がロキの部屋の中まで続いた。
「上着脱いでそこにうつ伏せになってな」
俺はそう言われたので上着を脱いだ。ロキはじ~と、アイズは指で目を隠しながらたまに指と指の間からチラチラと見てくる。一体何なんだろうか? 俺は不思議に感じながらうつ伏せになった。するとロキは俺の上に馬乗りになって指で何かを書き始めた。指の動きが終わったと同時に
「完了や。初めはみんなLv.1スタートや」
「へぇー、そうなのか」
何だか面倒な仕組みだなと思っていると急に背中が熱くなりはじめた。
「な、何やこれ!? 数値が急激に上昇しとる!」
とロキの驚きの声が聞こえた。アイズの方を見てみると目を丸くしている。滅多にないことなのかもしれないなと理解することができた。そして、段々と熱が引いて来たので、俺はロキに退いてもらいステータスを見せて貰うことにした。そのステータスを確認すると
『サイタマ Lv.測定不能
力 ・・・Error
耐久・・・Error
器用・・・H 150
敏捷・・・Error
魔力・・・I 0
≪魔法≫
・なし
≪スキル≫
・神を宿した肉体
詳細不明 』
……ま、普通だよね(混乱)
スキル名についてはしっくりきてないのでこれからも考えて行きたいと思います。
何か良い案があったら教えてください。
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四撃目
生徒会長になんかならなければ良かったな。色々大変ですわ。
皆さんも止めといた方が良いでせうよ。
それでははじまりませう
ロキ・ファミリアに入団した日の翌日、俺は食堂に来ていた。まぁ、飯を食いに来たんだが……俺の膝の上に座ってリスみたいにほっぺ膨らませながら飯を食ってるアイズは昨日の時点で何となく想像していた。すると、いきなり隣にヒュリテ姉妹の妹の方、ティオナがやって来た。何でも俺の強さが気になるらしい。昨日は凄かったねー、どうしてそんなに強いのーなど色々質問してくる。俺はそれに適当に返事をしながら、改めてティオナを見た。一見、普通の女の子に見えるが、アマゾネスという種族らしい。戦闘技術に長けており、グラマーな女性が多いらしい。こんな身近に人間とは違う種族がいるのかと、少なからず感動をしていると
「さっきからじっとこっち見てどうしたの?」
「ちょっと考え事してたわ」
悪い、と言いながら視線をティオナの顔に戻すと、顔の周りにソースを付けながら豪快に飯を食べていた。そんな姿に俺は驚きつつ苦笑した。昔のアイズも口の周り汚しながら食ってたなと思いながら
「ティオナ、ちょっとこっち向け」
「なに~?」
と言いながらこちらに顔を向けて来たティオナ。それを確認すると、俺は指で口の周りについているソースを拭ってそのまま口に入れた。すると、一瞬でティオナの顔が真っ赤になった……具合でも悪いのだろうか?
「大丈夫か?」
「だっ、だいじょうぶだよぉぉ!?」
……全然大丈夫にはみえないんだが、本人が言ってるから大丈夫か。そうこうしているうちにアイズが飯を食い終わっていたらしい。アイズに今日の予定を聞いてみたら
「後輩の面倒をみる事になってる」
そう言って準備をしにいってしまった。手持ち無沙汰になってしまった俺は頭を掻きながら何をしようか考えていた。すると、食堂にやって来たベートを見つけた。昨日の事を謝ろうと近づいていったら、ベートと目が合った。
「ベート、昨日は「すみませんでしたっ!!」 ……え?」
俺が謝ろうとしたら逆にベートに謝られたでござる。何で? 俺が固まっていると
「俺は昨日サイタマさんに敗れて自分の未熟さを理解させられました。同時にサイタマさんの強さに惹かれました。俺もサイタマさんの様に強くなりたい……。なので俺を弟子にしてくださいっ!」
「あ……うん。…………え?」
色々と意味がわからない。取りあえず、明日来てくれと伝えたら、ベートは尻尾を振りながら飯を食べに行ってしまった。……まぁ、ベートも明日の朝に来るわけがないよな。……たぶん。
「サイタマやっと見つけたで~」
そう言って肩に上ってくるロキに俺は丁度良かったので次に何をすればいいのか聞いた。
「そんならまずギルド行こか」
と言って俺に元気よく前進!とか指示してくるロキ。
「お前、仕事とかあんじゃねーの?」
「うっ、きょ、今日は休みの日なんや!」
……こいつ仕事サボりたいだけだな。どうなっても知らないかんな。
俺の肩の上で上機嫌に鼻歌を歌いながら指示をしてくるロキに従うこと数十分。ようやくギルドに到着した。何やら騒がしいのでそちらの方を向いてみると、女性ギルド員と冒険者が言い争っていた。その様子を確認した俺はロキに降りてもらい、そこに向かっていった。
私、エイナ・チュールは困っていた。それは目の前にいるソーマ・ファミリアの冒険者のせいだ。
「ですから、こちらが正当な換金額なんですよ」
「嘘だっ! もっと高くなるはずだっ!」
さっきからこのやり取りの繰り返し。他のギルド員に助けてっと目線を送ると目を逸らされた。……薄情者どもめぇ! と同僚の事を恨みながら対応を再開しようとしたら
「いいからもっと高くしろ!早くしないか!」
「おい、おっさん」
「何だ!」
「いい加減にしろよ。その人にも周りの人にも迷惑かかってんのわかんねーのか?」
「何だとっ! 俺はLv.2の冒険者だぞ!」
「そんなの関係ねぇよ」
いきなりやって来た男性と冒険者の言い争いが始まってしまった。私は急いで止めようとしたけど、それよりも早く冒険者の方が痺れを切らして男性の方に武器である大剣を振りかぶって襲い掛かった。私は目の前で起こるであろうことを想像して目を瞑った。……しばらくして私は目を開けた。そこで、私は驚きの光景を見た。男性が片手で大剣を受け止めていたからだ。私は勿論、他の人達も驚きで声を出すことができなかった。そのまま片手で武器を破壊し、冒険者の顔目掛け拳を打ち出した。ブォンと途轍もない音をたてたその人の拳は冒険者の顔の目の前で止まった。寸止めされたのに関わらず冒険者は気絶していた。その人は何事もなかったかのようにこちらに近づいてきて
「怪我なんかはないか?」
そう私に声を掛けてくれた。
……この日、私は本当の
冒険者を鎮圧した後、無事に冒険者登録も終わって、ホームに帰っているところだった。俺が助けたギルド員……エイナは終始顔が赤かったんだけど大丈夫だったんだろうか? 俺の周りでは瞬間的な風邪でも流行ってるのか? 俺も気を付けなきゃな。
ホームに到着した瞬間にリヴェリアに連れていかれたロキを見送りながら、後からやって来たアイズと合流して、食堂で飯を食っていると、いつの間にかティオナがいた。アイズは食事中にあまり喋らないから、ティオナがいると場の雰囲気が明るくなるので楽しく感じる。飯を食い終わって、アイズとティオナと別れ、自室に向かった。明日も楽しくなりますように、そんな事を思いながら、俺は眠った。
ベート「先生っ!!」
サイタマ「マジで、きやがった」
そんなやり取りが早朝にあったとかなんとか
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五撃目
大学の準備や艦隊を育成するゲームや黒い猫とクイズで戯れるアプリをやっていたら遅れてしまいました。後投稿をミスって7回書き直しました(涙目)
それでは始まります。
俺は現在ダンジョンに後輩と一緒に来ていた。レフィーヤ・ウィリディスというエルフの女の子だ。心優しい性格でとてもいい子なんだが、大事な所で失敗してしまうという面を持つ……いわゆるドジッ娘エルフちゃんなのだ。今もガチガチに緊張していて
「レフィーヤ」
「……」
「おーい? レフィーヤさん?」
「…………」
この有様だ。そんな様子のレフィーヤに苦笑しながら近づき、おでこに向かってデコピンをした。
「あうっ」
パチンという音と共に痛がっている。俺的には物凄く手加減したのだがそれでも痛かったのだろう。現在進行形でこちらを睨んでいるんだが、目に涙を溜めながら上目遣い気味にやられても全然怖くない。むしろ可愛いだけなんだけどなぁ。すまんすまんと謝りながら頭を撫でると、初めはう~と唸りながら睨んでいたのだが、少し頬を染めながらそっぽを向いてしまった。その様子を確認した俺はレフィーヤの頭から手を離した。少し残念そうに見えるのは気のせいだろうか?
「緊張も解れたみたいだし先に進むか」
最後にレフィーヤのはっとなっている顔を見て、先に進みはじめた。
「緊張も解れたみたいだし先に進むか」
その言葉を聞いて私はサイタマさんが何故あのような行動をとったのか理解した。全ては私のためにやってくれていたのだ。サイタマさんの何気ない優しさに私は嬉しくて笑ってしまった。
「レフィーヤ置いてっちまうぞー!」
「あっ待ってくださーい!」
急いでサイタマさんの方へ駆け寄って隣に並んだ。
「さっき何で笑ってたんだ?」
「内緒ですよ」
そう私が答えると気になるなぁ何て言いながら私と並んで歩いてくれている。ふふっあなたの事なのに教えられる訳ないじゃないですか。
「しっかし見つからねーな」
「そうですね……」
私たちは現在あるモンスターを捜索している。ミノタウロス……サイタマさん曰くただの牛を。何でも私の
「ミノタウロス……」
「よし、それじゃあ始めるぞ。レフィーヤは魔法の準備をしてくれ。レフィーヤの事は俺が絶対に守るから俺を信じてくれ」
「はいっ!」
そう言うとサイタマさんはミノタウロスに向かって行き、注意を引き付けてくれている。私は目を瞑り魔法を発動させるために詠唱を開始した。
[誇り高き戦士よ森の射手隊よ]
サイタマさんの事を信じる。それだけの事で力が湧いてくる。
[押し寄せる略奪者を前に弓を取れ]
[同胞の声に応え矢を番えよ]
無防備になってもいい……自分の全てを次の魔法に込める!
[帯びよ炎 森の灯火 撃ち放て妖精の火矢]
守ってくれている!! だから全てを任せられる……
[雨の如く降りそそぎ蛮族どもを焼き払え]
今はまだ迷惑をかけてばかりですが、いつか必ずあなたを支えられる様になってみせます。だから私の今の全力を見ていてください。
「撃ちます!」
そう私が言うとサイタマさんがミノタウロスから離れた。
[ヒュゼレイド・ファラーリカ!!!]
すると私の上に炎の塊が出現し、そこから何本もの光線がミノタウロスに向かって撃ち出された。魔法の発動が終わったときそこには何も存在していなかった。ということは
「サイタマさん! 私やりましたよ!」
「あ、あぁ、うん。やったな」
何故か物凄く引き攣った顔をしている。何ででしょう? 私が不思議な表情をしていたのに気づいたサイタマさんが何でもないよと苦笑している。
「まぁ、何はともあれお疲れ様。格好良かったぜ」
頭をポンポンとしながらそう声をかけてくれた。その後に
「これからも頼りにしてるぞ」
「っ……はいっ!」
サイタマさんが私を頼りにしてくれている。それだけでとても嬉しかった。今はまだ全然駄目な私ですがあなたに少しでも近づけるように頑張ります。だからちゃんと見ていてくださいね。サイタマさん。
俺とレフィーヤはあの後、何事もなくホームに帰ってくる事が出来た。レフィーヤはロキの所にステイタス更新に行ってしまったので、食堂にいたアイズ達と飯を食っていたら、レフィーヤがLvが上がったことを伝えに来てくれたレフィーヤにアイズ達と一緒におめでとうと言ってやると
「はい!」
そう返事をしながら、最高の笑顔を見せてくれた。
レフィーヤ「ヒュゼレイド・ファラーリカ!!!」
サイタマ(オーバーキルだなぁ)
サイタマはそんな事を考えて顔が引き攣っていたみたいですね
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六撃目
俺は今ある女神と酒を飲んでいる。
「それでね〜サイタマくん! ベルちゃんはね〜かわいいんだよ〜」
俺の片腕に抱き付きながらそんな事を言っているのはヘスティア。…まだ飲み始めて30分もしてないんだが、まぁ初めて眷属ができたから嬉しくてはしゃいでしまったんだろう。しばらくヘスティアの話を聞きながら酒を飲んでいると、ふと腕に感じていた重さが無くなり隣を見ると
「えへへーベルちゃーん大好きだよー」
そんな寝言を言っているヘスティアにお前は親父かと思いながらもう寝てしまっている彼女を背負う。ヘスティアを起こさない様に彼女のホームである教会に向かった。
ヘスティアを送り届けた後(ベルちゃんとやらには合わなかった)、日も落ちて暗くなってきたので俺もホームへ向かっていた。しばらくしてホームに着くと門の目の前にアイズが下を見つめながらどこかつまらなそうに地面を蹴っていた。そんな子どもっぽい仕草をしているアイズを見て苦笑をしていると、俺に気付いたのかバッっと顔を上げ此方に向ける。一瞬、喜んだと思ったら次の瞬間には頬を膨らませながら、いかにも私怒ってます! といった表情に変わっていた。
「…何処行ってたの」
「少し友達と飲んでただけだよ」
「心配した」
と服の裾を握ってくるアイズ。そんなアイズにすまんすまんと言いながら頭を撫でてやると段々怒っている表情が和らいでいき最終的には笑顔になっていた。
「サイタマ先生ーーーー!」
俺の事を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。まぁ俺を先生と呼ぶ奴は1人くらいしかいない。
「ベートか」
「サイタマ先生、ご無事だったんですね!」
ベートの勢いに若干引いているとアイズが俯きながらベートに近づいて行く。ベートもそれに気付いたようだ。
「どうしたんだアイズ? 俺は今、先生にだな…」
「…えい」
え?
「え?」
心の声が思わず出てしまうくらいの衝撃を俺は受けた。ベートが蹴られて物凄い勢いで壁に激突して現代アートの様になっているからだ。Lv.5の力で蹴られるとこんな事になるのかと関心しながら、ベートを助け出そうと近づこうとしたときアイズに手を捕まれた。
「アイズ?」
「そろそろご飯の時間だから行こ」
「でも、ベートは?」
アイズはチラッと現代アートの様になっているベートを見て
「ベートさんなら大丈夫」
…一体ベートはどんな扱いなのだろうか? まぁベートもアイズと同じLv.5だから大丈夫だろうと無理矢理自分を納得させ、頭の隅に追いやり、俺はアイズと一緒に食堂に向かった。
やたら甘えてくるアイズの相手をしながらの夕食を終え、団員が明日に行うダンジョンの遠征のため就寝している頃、俺は眠れなかったため酒を持ってホームの屋根の上にいた。
「何やサイタマこんなとこにおったんか」
俺が月を見ながらちびちびと呑んでいるとロキがやってきた。
「月見酒なんて風情やなー」
「あぁそうだな」
ちゃっかり俺の隣にやってきて酒を催促するロキに酒を渡し暫くの間、酒を二人で飲む。
「明日からの遠征…何か嫌な予感がするんだ」
「それはサイタマの勘か?」
肯定の意志を示すために俺は首を縦に降る。そうかと言いながら顎に手をあてながら何かを考えているロキ。
「でも、大丈夫や」
何故? と問いかけると
「ウチはな、家族の皆の事を信じとる。ウチラが力を合わせたら越えられん壁なんてない」
それでも不安なんか? そう満面の笑みを此方に向けてくる。俺はいやと答えた。
「ロキが俺達の主神でよかったよ」
少し頬を染めながらそうやろと言いながら何度も俺の背中を叩いてくる。…急に酔いが回ってきたのだろうか? その後凄い勢いで酒を飲んでいたロキはすぐにダウンしてしまい、俺の膝を枕にしながら眠ってしまった。そんなロキの頭をなでながら俺は酒を飲み続けた。
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