くさへびポケモンとなって幻想入り (Des)
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第1話 ボクの現状説明(プロローグ)

こんにちわ Des(デス)です。

やってしまった・・・・
まだ、悦楽な人間の方が地底編終わる前に、まさかの第2作目投稿。

そのわけは、乙の文字を見る→乙年=蛇、蛇=ツタージャ(嫁ポケモン)→あのキャラ(嫁)に擬人化したら似てるかな?

以上の経緯により生まれたのがこの小説となります。

皆様に楽しんで頂ければ、幸いです。

では、どうぞ!!



 ボクはポケモンだ、名前はクサナギ。僕は人間だった、名前は●●。

 

 何を言っているか他人は分からないと思うが、さきの言葉が現状のすべてである。

 

 僕はどこにでもいる普通の人間だった。一般的な家庭に生まれ、学校に行き、社会に出て、一人暮らしをしていた。強いて言えば、ポケットモンスターというゲームを幼少の頃からプレイしているくらいが他人に自慢できる。

 別にバトルやコンテストが強いというわけではない。自分の好きなポケモンをゲットして、育てたことが自慢だ。ゲットしたポケモンで色々とゲームの中での想像を膨らませる。これが1番の楽しみだった。一応シリーズはリメイクされた緑、赤、不思議なダンジョン以外は全部やった。

 

 しかし、大人になるにつれ僕はポケモンから離れていった。仕事や家事等でゲームをプレイする時間があまり取れなくなったのが原因だ。でも、ゲームは捨てずに部屋の押し入れにしまってある。長年の間に集めたポケモングッズは部屋のあちこちに飾ってある。仕事で疲れてきた僕を癒してくれる存在だ。こんな日常がいつまでも続くのかなと、思っていた。

 

 そんなある日、僕はいつも通りにベットで眠っていたはずだった。それが目を覚ませば、見知らぬ森の中にいたのだ。

 何を言っているのか分からないだろうが事実である。しかも、普通は取り乱す筈なのだがその時は妙に落ち着いて情報の分析が出来たのだ。

 その理由は、自分の体を見て判明した。

 

 妙に周りの木々が高いことに気が付き、歩こうとした自分の脚が人の物ではなかったのだ。これには驚いて声を上げてしまったのだが、

 

「タジャ?」

 

 上げた声も人間のもとは思えなかった。それでも落ちつて自分の体を見ることが出来た。

 そこには小さな緑色の三本?指の手があり、首を後ろに回し下を見れば大きな葉がついた尻尾が自分から出ていた。

 僕はある程度の憶測をたてながら、気分は急いで自分の姿が確認できるモノを探し森を歩き始めた。

 

 しばらく歩くと開けた場所に出て近くに川が流れていた。その川で水面に映った自分の姿は、ツタージャという僕が好きなポケモンだった。

 自分の体を見て、憶測をたてた通りの結果になってしまった。そのことから、先ほどから落ち着いているのはポケモンの性格で()()()()が原因と思われた。パニックを起こさなかったことが今思えば、救いとなったと思う。

 

 自分の姿の確認後、ポケモンになった理由について考えたが分からなかった。いつまでも悩んでも仕方ないので、取りあえず自分がいた場所付近まで戻ることにした。そこに何かヒントがあると考えたからだ。

 しかし、そこのあったのものはもっと現状を混乱させるものだった。僕が気が付いた付近の場所で見つかったのは、今の僕にぴったりサイズのバックだった。

 大きさから自分の物かと疑問をもちながら、中身の確認をするために手をバックの中に突っ込んだ。

 すると、頭にバックの中身が浮かんできたのだ。傷薬、モンスターボール、木の実、様々な物が入っていることがわかり、同時にこれは今まで僕がゲームで集めた道具だと気づいた。

 最近プレイしたソウルシルバーに出てくるプランターがあったのだ。ボングリもプレイ中に集めた数だけあったので間違いない。

 

 これらの事から()()()僕をポケモンに変えて、ここまで連れてたことになる。しかもゲームの中のアイテム全て入ったバック付きでだ。

 そんなとんでも出来る存在、というよりポケモンは1匹だけだろう。

 アルセウス、この世界(宇宙)を作ったポケモンだったはずだ。だが、それだと理由がますます分からない。

 

 ちなみに、ここがポケモンがいる世界だということはここまでの道中に見かけたポケモンが証明している。

 ポケモンを見かける度に、ワクワクしていたが今は暗い気持ちとなっている。

 この世界が僕がいた世界ではないのは分かったし、ここから元の世界に戻るにしてもこの姿のままでは戻れない事や戻る手段も簡単ではないだろう。

 その事で、もう二度と会えない家族や友人の事を思い、しばらく静かに泣いていた。

 しばらく泣いていたが、れいせいな性格のせいなのか気持ちを切り替えるのにそう長い時間かからなかった。

 

 泣いていても現状は変わらないのだ。なら、頑張ってこの世界で生きていくしかない。

 そう自分に言い聞かせ、僕はポケットモンスターブラック1,2で相棒だったツタージャ(ボク)となり生きていくことに決めた。

 幸いなことにアイテムが入ったバックや、お金、知識があるので簡単には野垂れ死にはしないはずだ。

 しかも、本当にここがポケモンの世界ならゲームの中でしか見れなかったものがたくさんあるのだ。これはワクワクが止まらない。ポケモン好きなら分かるはずだ。

 もちろん元の世界に帰ることも目的として旅をしていくつもりだ。

 

 ボクは名前をゲームの時に使っていたクサナギに変え、バックを背負い歩き始めた。名前を変えたのは、相棒に力を貸してほしいという願望もあった。

 ここから、元人間だったボクの旅が始まった。

 

 

 

 

 それから、3年の時が流れた。

 その間の旅の事を説明すれば長くなるので、簡単に説明する。

 

 旅の結果、この世界がアニメ寄りだと分かった。だって、伝説のマサラ人のサトシに会ったのだ。露店でポロックを売っている時にだ。

 その時はとても感動したものだ。思わず、ムチを使わずに手で握手を求めたのだ。サトシはそれを喜んで受けてくれた。ちなみに一緒にいた仲間は、ブラック・ホワイト時のデントとアイリスだった。もちろんその2人とピカチュウ、キバゴ、ヤナップの3匹との握手も済ませた。しばらく手を洗えないでいた。

 

 ここで、何でボクがポロックを売っていたかというと資金調達の為である。

 バックにお金が洒落にならないほどの金額で入っていたが、いつまでもそれに頼るわけにいかず自分で儲ける手段を見つけないといけなかった。そうしないと、いつか詰むからだ。別に今はポケモンなので、森にある木の実や光合成で事足りると思われるが、そこは元人間。やっぱり、人工のものが食べたいのだ。

 よって、バックにあったポロックキットでポロックを作成し、路上で販売することにした。町の皆もボクが頑張ってポロックを売る姿に微笑んで、場所まで提供してくれた。今では少し有名となり、近くの町からも噂を聞きつけ買いに来る客もいるのだ。値段もお手軽感覚に買えるお菓子くらいにした。

 サトシ達もその噂を聞いて、ボクの所までやって来たようだ。ポロックをお買い上げになって帰って行った。いい笑顔でした、元気でたのは当然。

 

 そこから、オーキド博士にも会って見たくなりカントー地方のマサラタウンを目的地にして旅を再開した。

 途中で石ころマニアでもあるダイゴに会い、友達になりその伝手でデボン会社が開発中の木の実ジュース製造マシーン、その名もツボツボミキサー試作品をゲット。どうやら、ポケモンの意見も聞いてみたいとのことだった。これで、販売できる商品がポロック、ポフィン、木の実ジュースの3つになり、資金も調達しやすくなった。ツボツボミキサーの他にも、簡単キッチンセットもゲットだぜ!

 ジェスチャーでのやり取りは面白かった。

 

 ダイゴと別れ、マサラタウンを目指した。

 ここで、ボクの拠点を話しておく。ボクの旅の間の拠点は()()()()()()()で作った秘密基地を寝床として活用していた。家具もバックに入っていた、ゲームで集めた物だ。

 最初の頃に秘密基地に憧れ、頑張って「タ~ジュ~っ!」(ひみつのちからでろ~!)と特訓を重ねた結果、出来たのだ。さすがポケモン、技がチートなのはこの世界でも健在だった。

 食事も木の実とポロック、ポフィン、ジュース、町で買った商品がメインだった。

 

 そんなこんなで、とうとうマサラタウンにつくことに成功した。さっそく研究所に行くとオーキド博士と助手のケンジが部屋でなにやら忙しそうにしていた。邪魔しては悪いと思い、その日は出直して次の日に改めて面会することにした。

 次の日、ケンジはどうやら博士のお使いに近くの町まで買い出しに行った様子で、ここはチャンスと思い博士に話しかけた。

 

 博士は最初はこの地方にいないツタージャに驚いていたが、ポロックとサトシ達の似顔絵を見せて信用してくれた。

 どうやら、サトシ達が博士にボクのことを話していたようでスムーズに話が進み、ポロックを食べてみたいと言ってきた。

 博士は笑顔でポロックを食べ、おいしいと言ってくれた。

 その笑顔に安心したのか、博士のポケモン好きのオーラなのか、安心してこれまで溜まっていた不安が一気に込み上げてきて大泣きしてしまった。

 博士は驚き、ボクを慰めようと精一杯だった。

 

 ああ、この人は安全だ。ボクの話を聞いてくれるだろうと思い、この世界のポケモンで()()()()()()()()()()()()()()を発動し、これまでのことを全部話すことにした。もちろん、ゲームやアニメに事は話してはいない。

 最初は驚いていた博士だが、話は真剣に聞いてくれた。時々、ボクに質問してきたが基本は黙ってボクの話を聞いてくれた。

 全ての話を聞き、ボクの為に何か出来ないかと協力を要請してきた。

 ボクは思わずに「どうして、信じてくれるんですか?」と聞くと、

 

「ワシはポケモン博士のオーキドじゃ。少し特殊といっても、君がポケモンなの変わらない。なら、力になってあげるのは当然じゃ。これでも、不思議なことは色々体験しておる、だからワシは君の話を信じておるぞ。」

 

 何の迷いもなく、ボクに笑顔を向けてきた。そして、ボクは今度は静かに泣いた。

 博士は今度は、ボクが泣き止むのを優しい顔で待ってくれていた。

 

 落ち着いたボクは、博士が用意した飲み物を飲みながら博士と色々なことを話した。

 これまでの旅のこと、出会ったポケモンのこと、人のこと、色々と話していると日が傾けていた。

 博士の好意で泊まることになり、研究所に秘密基地をつくり眠ることにした。

 ちなみに、秘密基地を見て博士が子供のように喜んだのは面白かった。

 

 次の日になり、博士にこれからの目的に聞かれたが、気持ちが晴れ晴れとしたボクはこ言った。

 

「この世界を見て回ります。この不思議が溢れているこの世界を、今度は純粋に楽しい気持ちで。」

 

 ボクの答えに満足いったのか、嬉しそうに頷きポケットからある者を差し出した。

 

「なら、これがあった方が旅ももっと面白くなるじゃろ。」

 

 差し出されたのは、最新のポケモン図鑑だった。最近見たアニメのサトシが使っている物と同じだった。※2016年付のアニメで使用している物です。

 さすがに、そんな貴重な物を貰えないと言ったが、

 

「君の旅はここから始まるのじゃ。なら、新たな旅立つ若者にこれを渡すのは当然じゃ。なにより、ワシは君の力になりたいのじゃ。」

 

 そこまで言われたら、何も言えないので素直にポケモン図鑑を受け取った。

 何か不思議な感覚だった。まさかこのマサラタウンから、本当に意味でボクの旅が始まるのだ。

 胸の高まりが抑えきれずに、元気よく別れの挨拶をした後にマサラタウンを出発した。

 博士はボクが見える範囲まで、手を振って見送ってくれた。

 

 

 

 

 マサラタウンから始めてから3年間、色んな地方を尋ねた。

 旅の途中には色々な出来事があったので、少し紹介すると、草ポケモンのジムリーダーに本気でゲットされかけ、再開した石マニアにボクの秘密を話して驚かしたり、R団のヤマトとこさん・・・コサブロウに追われて野生のポケモンと協力して撃退したり、ツタージャが使える技の習得、新たな能力の目覚め、あるポケモンがストーカーになって追いかけて来たり、他の世界に行ったり、過去の偉人に会ったり、まだまだ紹介しきれないくらいに多くの出来事があった。

 たまにオーキド博士とは、ポケモンセンターから電話で連絡をしたこともある。博士はいつも楽しそうにボクの話を聞いてくれる。

 この世界に来た頃とは違い、世界が輝いて見えた。

 

 そんなある日、秘密基地で夜を過ごして外に出るとまた昨日とは見覚えがない場所に出たのである。

 普通は驚くところだけど、ボクは「またかぁー」っと言った具合に慣れてしまった。

 神様はボクが嫌いなのかと思うほどに、色々な出来事に会ってきたのだ。

 

 そんなわけで、ボクは今目の前に広がる美しいヒマワリ畑にいるのだ。

 ここで、疑問が生まれる。ボクがいたのはカロス地方の筈だ。そこはゲームで何度も色んな町に行ったので有名所は知っていると思っていた。

 しかし、この見渡す限りのヒマワリ畑は有名になりそうなのにカロス地方にはなかったはずだ。

 

 でも、そんな事をいちいち気にせずにスルー出来るほどにボクは成長しているのだ。

 ボクは落ち着いて、ヒマワリ畑の中にある1本道を歩いて景色を楽しんでいた。

 

「タジャ・・・」

 

 すごいっと声を出して、歩き始めること数分。ヒマワリ畑の中に家を見つけた。

 どうやら、この素晴らしいヒマワリ畑の関係者の家を思われる。

 とりあえず、ここがどこなのかを聞かないといけないのだ。ボクは家の人と話をする為に家に近づいて行った。

 




はい、お疲れ様でした。

どうでしたか?楽しんで頂ければ嬉しいです。

次回は皆様大好きな、Sな方のご登場ですw
ここでは幻想郷の皆さんは少し性格がまるくなっているものと理解して頂きたいです。

近いうちにこの小説でのアンケートを募集しますので、よろしくお願いいたします。

ちなみにツボツボジュースはオリジナル道具です。
ゲーム的に複数の木の実をマシーンに入れて、歩いた距離でジュースができる使用になると思います。


では、また次回会いましょう!



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第2話 ここはどこ?★

こんにちわDesデス。

今回は最後に挿絵付となっています。
鉛筆という超アナログですいません。
ワッチのPC少し古くて・・・・

ポケモンの擬人化が嫌な方は見ないほうがいいかもしれません(-_-;)

では、あらすじ。
幻想入りに気づいていないクサナギが最初に訪れたのは太陽の畑だった。
ここがどの地方か聞くためにヒマワリが咲いている花畑にある家を訪れるクサナギの運命はいかに?



 ヒマワリ畑にある家に近づくにつれ、家のテラスと思われる場所に人がいることが分かってきた。

 赤を主体としたチェック柄のスカートと上着から女の人だと判断できる。椅子の傍には傘が立てかけられている、日差し避け?

 傘をさしている女の人(某ジムリーダー)にはトラウマがあるので、慎重に近づくことにした。

 

 家の影から女の人を見ていると、どうやら読書とティータイムを楽しんでいるようだ。

 服装しか分からなかったが、遠目でも女の人が美人だと分かる。鮮やかな黄緑色の髪は肩まであり、すこしふわりとしていた。本に視線を向けている横顔も絵になっている。

 邪魔しても悪いかなと、ここは静かに待てっていようと女の人には見えない位置で休むことにした。

 

「・・・何か御用かしら?」

 

 いきなり女の人の声が聞こえてきた。咄嗟に近くのヒマワリ畑に隠れしまった。

 

「・・・・」

 

 ヒマワリの隙間から覗き見れば、女の人は顔をこちらを見ている。色的に保護色として、景色と同化しているから見つかりにくいはずだ。ここは、このままやり過ごすことにした。

 

「私に妖気も感じさせないでここまで来れたのは褒めてあげる。でも、私から逃げないで隠れるあたり新入りの雑魚妖怪かしら、妖気も感じないほどの。」

 

 いや、妖気ってなんですか?しかも、新入りってあなたはここいらを仕切っているボスかなにかですか?

 それに、さっきから肌が少しピリピリしている。目に見えない力を浴びているようだ。

 エスパータイプと関係がある人かな?

 

「・・・へえ。控えめとはいえ私の妖気に耐えられるなんて、中々見所があるじゃない。ただの雑魚なら今ので気絶してるわよ。」

 

 だから何ですか妖気って、それではまるであなたが妖怪と言ってるではありませんか。

 どう見たって人間ですよ?あと物騒ですね。

 

「ちょうど退屈していたのよ。ちょっと遊んでくれないかしら?」

 

 女の人は読んでいた本をテーブルに置き、立ち上がると傘を片手に持ち、傘の先をこちらに向けてきた。

 ?これはもしかして、ボクの隠れている位置がばれてる?

 

「楽しませてちょうだい♪」

 

 可愛らしい声で笑顔を向けているが、何故だか安心出来ない。

 傘の先に光が集まり、人の拳より少し大きい球体を作っている。

 え?ソーラービーム?

 

「えい♪」

 

 女の人は光の球体をボクが隠れているヒマワリ畑の手前の土に向けて放ち、球体は地面にぶつかり爆発した。

 土煙が立ち上がり、視界が確保できなくなった。以外に攻撃力が高かった。

 

「っ!?」

 

 普通は慌てふためくがそこは冷静な性格、すぐに頭を切り替え対策を考える。

 隠れていたボクの位置が分かることから、ヒマワリの間を逃げてもすぐに捕まるのは目に見えている。

 なら、次に何がきても耐えれるようにしないと。

 

「タジャ!」(とぐろをまく!)

 

 ツタージャが使える技である「とぐろをまく」を使った。この技は自分の攻撃と防御、命中を上げることが出来る。

 これで、攻防どちらにも対応できる。

 

「捕まえた♪」

 

「タッ、ッ!!」

 

 声が聞こえたと思った瞬間にボクは地面に叩きつけられた。反応さえできなかった。

 でも防御を上げといてよかった、思ったほどのダメージはない。

 

「さあて、どんな面をしているか拝ませて、もら・う・わ・・よ・・・・」

 

「?」

 

 土煙が晴れてきて、ボクを片手で押さえていた女の人の姿がハッキリ映しだされた。なぜか、ボクを見下ろして固まっていた。

 周りを見ると、ヒマワリが器用に僕たちを避けるように傾いていた。

 なるほど、自然を操る力でも持っていて、ボクを捕まえる為のスペースを作ったのか。

 

「・・・あなた、一体なんなの?」

 

 周りの状況を分析していると、女の人が不思議なモノを見るような顔でボクを見ていた。

 

「タジャタジャ・・・」

 

 何と言われても、ポケモンのツタージャです。

 

「ポケモン?ツタージャ?」

 

 え?そんな不思議そうな顔されましても・・・・

 

「タジャ、タージャタジャ?」

 

 ポケットモンスター、縮めてポケモンです。知っているでしょ?

 

「いえ、知らないわね。」

 

「タジャ・・・」

 

 そうですか・・・

 あれ?・・・て、いいますか、

 

「タージャ?タジャ?」

 

 普通に会話出来ていません?言葉分かるんですか?

 

「?ええ、私は花の妖怪なのよ。草木とも意思疎通できるわ。」

 

 ええ、人間ではなくホントに妖怪ですか。

 しかし、妖怪とは久しぶりに聞いた。人間の時によく見ていた〇〇〇の〇太郎以来です。

 

「・・・・・」

 

「?」

 

 女の人は押さえつけていた手を離し、ボクを解放した。

 立ち上がり、体についた土を手やムチで払う。

 

「どうやら、お互い話が必要みたいね。」

 

 この人は話が分かる系だったみたいだ。

 これはこちらとしても、願ったり叶ったりだ。

 

「タジャ!」

 

 こちらこそ!

 片手を挙げてよろしくというアピール。

 

「さ、こっちよ。」

 

 女の人はさっきまでいたテラスにボクを案内した。

 

「・・・・・」

 

「?」

 

 女の人が何か言いたそうにこちらを見ている。

 

「・・・さっきはごめんさない。いきなり襲いかかっちゃって。」

 

 根は素直な良い人のようだ。目線を逸らしたが、ちゃんと謝ってきた。

 

「・・タジャ。」

 

 気にしてない。

 

「・・・ありがと。」

 

 この人とも仲良くなれそうだ。ボクはそう思いながら、彼女の後をついて行った。

 

 

 

 

 

 私はいつも通りに自分で育てたヒマワリを眺めながら、家のテラスで椅子に座り、本を読みながら紅茶を飲む、優雅なひと時をおくっていた。

 いつもは傍でコソコソと隠れているメディスンも、今日は氷の妖精たちの元に行っている。

 退屈は嫌いだが、騒がしいのはもっと嫌いである。この静かなひと時を満喫していた時だった。

 

 ナニカ、ココニキタヨ

 キタキタ

 ニンゲン、ジャナイネ

 

 ヒマワリ達が騒ぎ始めた。

 花の妖怪でもある私は植物達の声を聴くことも、こちらからお願いすることも出来る。侵入者が花畑に入った際の警報替わりで便利だ。

 しかし、侵入者か。ここ最近はいなかったのに、よりによって人がリラックスしている時に来るとは、礼儀知らずもいいとこである。

 最近は、氷の妖精たちとも戯れていなかったら丁度いい。憂さ晴らしに少し苛めてやることにした。

 

 少し時間が経ち、侵入者が私の家の敷地内に入ったようである。ヒマワリ達が随時、報告してくてた。

 しかし、妙でもある。私の事を知らない新参者でも妖気に気が付かない私ではない。

 ヒマワリ達が教えてくれるまで、敷地内に入ったことさえ分からなかった。

 これは、思った以上に楽しめるかもしれないと期待した。

 

 どうやら侵入者は私から見えない位置で隠れているようだ。

 なので、試に声を掛けて見た。

 

「・・・何か御用かしら?」

 

 その途端に、何かがヒマワリの方に逃げた音がした。

 ヒマワリに傷をつけないか、気にしながら侵入者の方を向き、問いただす。

 

「私に妖気も感じさせないでここまで来れたのは褒めてあげる。でも、私から逃げないで隠れるあたり新入りの雑魚妖怪かしら、妖気も感じないほどの。」

 

 返事は何もない。隠れるあたり、知性を持った妖怪だと思ったのけれど。

 少し揺さぶりを掛けるように妖力を解放してみた。でも、これにも臆せずに隠れている。

 

「・・・へえ。控えめとはいえ私の妖気に耐えられるなんて、中々見所があるじゃない。ただの雑魚なら今ので気絶してるわよ。」

 

 正直な意見だった。人間でも今の妖力で気絶するはずだ。

 これは丁度いい退屈しのぎになるのではと期待しながら、相手をしてあげることにした。

 

「ちょうど退屈していたのよ。ちょっと遊んでくれないかしら?」

 

 ココダヨ、ココ

 チイサイ、チイサイ

 ミドリイロ、ミドリイロ

 ヘビ?トカゲ?

 

 ヒマワリ達も私の行動がわかったのか、侵入者がいる所を教えてくれた。

 話から推測するに、爬虫類?の妖怪だろうか?

 小さいとなると、見逃さないようにしないと。

 

 それから、ヒマワリ達にお願いして攻撃と同時に侵入者が見えるようにしてもらうようにおお願いして、侵入者を捕まえることが出来たのだが。

 

「?」

 

 侵入者の見た目は、緑色した大きな蜥蜴だ。尻尾の大きな葉が特徴的である。

 容姿は間違いなく妖怪だろう、しかし感じかれる気配は純粋な植物だ。

 そのことに私は驚きを隠せないでいた。

 

 妖怪の中には、元は動物や物だった奴等もいる。しかし、人外の独特な気配は誰にも存在している。

 なのに、この奇妙な生き物からはそれがない。

 上手く言葉に出来ないが、動いて生きている純粋な草木といった感じなのだ。

 いつまでも、このままではらちがあかない。

 

「・・・あなた、一体なんなの?」

 

 1番知りたいことをこの子に聞いてみた。

 

「何と言われても、ポケモンのツタージャです。」

 ※幽香は普通に植物の声を聴けるので、クサナギの声も普通に聞こえます。断じて、編集を楽したいわけではありません!by Des

 

 少し幼さが残る、少年とも少女とも言える声が聞こえてきた。

 

「ポケモン?ツタージャ?」

 

「ポケットモンスター、縮めてポケモンです。知っているでしょ?」

 

「いえ、知らないわね。」

 

 もしかして、モンスター=怪物で妖怪ということなのかしら?

 

「そうですか・・・」

 

 目に見えて落ち込んでいるわね。

 しかし、不思議な感じがする。普通にヒマワリ達(あのこたち)と話している感じがする。

 

「普通に会話出来ていません?言葉分かるんですか?」

 

「?ええ、私は花の妖怪なのよ。草木とも意思疎通できるわ。」

 

 どうやら、相手も私と普通に話しえいるのが不思議そうにしている。

 ここまで知性があるのなら、人と話していてもおかしくないのだけど・・・

 此方に刃向う素振りも見せないので、取りあえず押さえつけていた手を離してやる。

 

「・・・・・」

 

 ツタージャ?が名前なのかしら?

 そのツタージャは立ち上がり、短い手と肩あたりからでたムチのようなモノで器用に体についた土を払っていた。

 

「どうやら、お互い話が必要みたいね。」

 

 これはお互いに話し合って状況を整理する必要があるようね。

 ツタージャもこの誘いには同意して、私の後ろをついてきてる。

 ・・・かわいい・・・・

 

 ポケモンと言ったかしら、初めて聞くし妖怪という訳でもない。

 でも、少なくとも植物なのには間違いない。

 私は花や草木を苦しめる者には容赦しないが、草木には優しく接している。

 ツタージャのことを知らなかったとしても、自分が大切にしている存在に手を挙げたことに変わりはない。

 私だって、自分の心情を曲げないプライドを持ち合わせている。

 

「・・・さっきはごめんさない。いきなり襲いかかっちゃって。」

 

「・・・気にしてない。」

 

 無表情に見えたツタージャの顔が、少し笑った気がした。

 

「・・・ありがと。」

 

 何か新鮮なやり取りに私は感じ、妙に照れ臭かった。

 

 

 

 

 

 女の人の名前は、風見 幽香という名前のようだ。ここのヒマワリ畑を造った張本人のようだ。ビックリした。

 幽香はあの後、ボクをテラスのテーブルの上に載せてくれて、お詫びと言ってクッキーと紅茶をご馳走してくれた。

 元から紅茶が好きなボクにとって、これはとても嬉しかった。ポケモンになってから、数えるくらいしか飲んでいないのだ。

 

 紅茶とクッキーを楽しんでいるボクに幽香はここについて話してくれた。

 ここは『幻想郷』という、外の世界から陸で繋がっているが存在している場所が異なる異世界のような所みたいだ。

 なんか、ポケモンの世界にあってもおかしくない設定だなと思った。ゲンソウ地方とかありそう。

 

 そして、ここには外の世界から忘れ去られた存在達、妖怪、神、妖精といった者達が集う最後の楽園のようだ。

 なんだ、ポケモン世界と変わりないね。

 妖怪=ボクたちポケモン、神=神話に出てくる伝説のポケモン、妖精=フェアリータイプのポケモン。

 

 なんと幽香はホントに妖怪であった。花の妖怪とは可憐だね、と言ったら顔を背けてお礼を言ってきた。

 どうやら、褒められることに慣れていないようだ。

 

 結界とやらで外の世界と切り離されているようで、結界については詳しく話してくてなかったがボクが置かれている状況は理解できた。

 妙に落ち着いているボクに幽香は不思議がっていたが、もうね、ポケモン世界に常識は通用しないのです。

 あそこの1年でも居れば、大抵の人は逞しく生きていけるだろう。

 

 外の世界というのは、ボクが人間だった頃の世界に似ているようだ。

 もしかしたら、ボクがいた世界かもしれないが戻る気にはなれない。

 ポケモンの姿では迷惑がかかるのは当然だし、能力を使う手段もあるがそれは何か違う感じがするから却下だ。

 

「ねえ、今度は貴方の事を話してくれない?」

 

 あらたかこの世界について説明が終わった幽香がボクの事を聞いてきた。

 隠すこともないので、元人間でポケモンとなってポケモンの世界に行ったこと、旅のこと、ポケモンについて説明をすることにした。

 もちろん、ポケモンがゲームだというは内緒である。

 

 幽香はボクの話を真剣に聞いてくれた。・・・オーキド博士と最初に会った時が思い出された。

 ポケモンとトレーナーの関係、ポケモンの進化、技とタイプの関係などを簡単に説明した。

 幽香はやけにタイプについて聞いてきた。

 

「それじゃ、貴方は草タイプのポケモンなのね。だから妖気もないし、親近感が湧く理由もこれね。」

 

 何か納得した感じに頷いていた。

 もっと、ツタージャについて知ってもらおうとしてバックからポケモン図鑑を取りだし、幽香にボクに向かって使ってみるように促した。

 ツタージャの説明を聞いて、幽香から益々興味深いといった印象を受けた。それから、しばらく幽香はポケモン登録されてあるポケモンを閲覧していた。

 

「それにしても、このポケモンといった感じの存在、どこかで見たことがあるような・・・・」

 

 幽香がとても意味深なこと言いながら、何かを思い出すように唸っていた。

 しばらくして、何か思い出した様に顔を上げた。

 

「そうよ!竹林のお姫さんと案内役、それに吸血鬼の妹と門番がこんな感じの生き物を飼っていたわ!」

 

「・・・ええぇ。」

※ここにはツタージャと幽香の2人しかいないので、鳴き声の必要性がないと感じ普通の言葉にしています。決して楽したかったわけではありません。by Des

 

 いるのかー、みたいな反応しか出来なかった。今さら何が起きても、おかしくなかったので反応も薄くなるよ。

 でも、気になるのでどこ居るのかを幽香に聞いてみた。

 

「迷いの竹林と紅魔館と呼ばれる場所よ。もし行くのなら、竹林の方にしなさい。」

 

「なんで?」

 

「貴方はここ幻想郷に来てまだ日が浅いわ。そんな貴方が吸血鬼のいる屋敷に近づいたら、危険なのは目に見えているわ。なら、そこよりマシな迷いの竹林の道中で幻想郷について学びなさい。」

 

 幽香はボクが心配で迷いの竹林を勧めてくれているようだ。

 決まった目的地もないので、幽香の推薦した竹林に行くことにした。

 それにしても、『迷いの竹林』か。これもポケモン世界にありそうである。

 

「うん、ありがとう幽香。なら早速、向かってみる。」

 

 旅ではウダウダしていては生きていけない。目的地が決まったら、さっそくいくのが旅の鉄則(作者談)だ。

 バックを背負い、幽香にお礼を言って迷いの竹林に向けて出発しようとした。

 

「待ちなさい。行動力があるのはいいことだけど、あそこの連中には貴方の言葉は分からないわ。」

 

 ・・・あ。そうだった。今まで普通に会話出来ていたけど、これは幽香が花の妖怪だからだった。

 

「それから、旅に慣れているとは言え、それは貴方の世界での話でしょう。人里で苦労する事にもなるから、今日はここに泊まってもうちょっと情報を蓄えなさい。」

 

 ・・・なぜだろう。正論なのに、なぜか幽香から過保護の匂いがしてくる。

 旅の間に()から、同じような理由で付き纏われる感じに似ている。少し顔が赤いもん。

 

「ありがとう幽香。でも、心配は無用。なぜなら・・・」

 

 この能力を見せるのはオーキド博士とダイゴ以来だ。少しドキドキする。

 ここには妖怪や神がいるのだ。ボクのような存在がいてもおかしくない筈。

 能力を発動すると、ボクの体は緑色の光に包まれ次第に大きくなっていく。

 そして、光が収まるとそこにいたのは。

 

「これで普通の人とも話せるから。」

 

 緑色を主体とした洋風を感じさせる服を着ている、子供の姿となったボクがいた。

 

「どう幽香?これなら大丈夫かと。あ、この姿の時はボクは天籟(てんらい)クサナギって名乗っているからね。」

 

「・・・・・」

 

 幽香がボクの人間バージョンを見た途端に固まっていた。

 

「おおーい、幽香ー?」

 

「・・・・・」

 

「もしもーし?」

 

「・・・・・」

 

 しばらく固まっていた幽香だけど、ゆっくりボクに近づいてきた。

 そして、ボクの目の前に幽香が来た。

 

「・・・・・」

 

「あの、幽香?どうしたの?ボク何かした?」 

 

「っ!」

 

「え?あの、ゆう・・ウプっ!?」

 

 突然、幽香がボクを抱きしめてきた。身長差から、ボクの顔が幽香の胸に埋もれるようになった。

 く、苦しい、い、息ができない!

 

「あ~も~、かわいいわね、ちくしょう!」

 

 それからボクが幽香から解放されたのは、幽香がボクの抱き心地や匂いをたっぷり堪能したあとだった。

 正直死ぬかと思った。

 

 

 

 

 

 クサナギから名前を教えてもらい、幻想郷について軽く説明した。

 驚くかと思えば、クサナギの話を聞けばそんなに幻想郷と変わりないような世界だったことがわかった。

 ポケモンも妖怪ほどでないけど、人を襲うこともあるようだ。

 伝説のポケモンには興味が湧いた、正直いえば戦ってみたいが違う世界なら仕方ない。

 

 それからクサナギからポケモンについて説明してもらった。

 自分の力を試す為や世界を見たい為に人間、トレーナーについてくそうだ。

 ここは幻想郷と違う。互いが利用し合うことはあるが、そこまで爽やかな関係ではない。

 

 ポケモンのタイプで私が感じていた謎も解けた。

 草タイプだから、クサナギから親近感のような感じがしたのね。

 でも、動物のような姿で純粋に草の属性というのも変な感じ。

 

 クサナギからポケモン図鑑というモノを渡され、クサナギに言われたように向かってかざしてみた。すると、

 

『ツタージャ、くさへびポケモン。イッシュ地方で新人トレーナーが貰う、3匹の最初のポケモンの1匹でくさタイプ。手よりツルを動かす方が得意。しっぽの葉っぱで太陽の光を浴びて光合成をおこなう。』

 

 驚いて図鑑を落としそうになったが、何とか留まり図鑑から聞こえるツタージャについての説明に耳を傾けた。

 益々、植物といった感想が頭に浮かんだ。

 この図鑑は出会ったポケモンを登録するといった白物らしい。

 ということは、これに載っているポケモンはクサナギが実際に会ったポケモンとなるわけだ。

 きっと旅の思い出がたくさんあるのね。

 

 しばらく図鑑を見ていたが、クサナギから聞いたポケモンのタイプや図鑑をに載っているポケモンの容姿からどこかで見たことがある様な気がした。

 思い出してみれば、竹林のお姫さんと案内人、吸血鬼の妹と門番が似たような生き物を飼ってたような気がした。

 

 そのことをクサナギに伝えると、会いに行くと言い出した。

 普通ならここで別に止めはしないけど、何故かほっておけずに私は迷いの竹林を勧めていた。

 何か理由を付けて、ここに泊めたくなっている自分に驚いていたけど、止めることが出来なかった。

 これは何故か今まで、感じたことがない。これがぞくにいう保護欲なの!?

 

 私が理性と本能と戦っている内にクサナギが心配いらないと言って、体を発光し始めた。

 綺麗な光で少しずつ大きくなっていた。光が収まり、そこに立っていたのは。

 

「これで普通の人とも話せるから。」

 

 胸を張って自信満々に言い放つ、可愛らしい子供だった。

 

【挿絵表示】

 

 

「どう幽香?これなら大丈夫かと。あ、この姿の時はボクは天籟(てんらい)クサナギって名乗っているからね。」

 

天籟、確か音に関する言葉で意味は、風などの音で天然の自然が鳴る音の事だったかしら。

 

「もしもーし?」

 

 少し幼さが残る顔に、茶色っぽい紅い瞳。

 若緑で新芽を思い浮かべさせる、後ろがはねている髪。

 白っぽい肌は、色素を持たない白い花弁のようで、ほんのりピンクの頬は可憐な一輪の花。

 服装は優しい森を連想させる。

 放たれる雰囲気が全て、自然を感じさせる。

 

「あの、幽香?どうしたの?ボク何かした?」 

 

 私はしばらく我を忘れていた。

 もう正直に言ってしまおう。

 この子は・・・この子は・・・

 

「あ~も~、かわいいわね、ちくしょう!」

 

 私の好み、ドストライクなのよ!!

 あー、抱き心地はまるで、素敵な森の中で森林浴を楽しんでいるよう!!

 私はこの感覚を十分堪能するまで、クサナギを離すことはなかった。

 

 

 

PS

ちなみに幽香はしばらくして正気に戻り、その日の夜ベットの上で激しく悶えていた。

 




何やってるだ幽香!!
クサナギに抱き着くなど、羨ましすぎるぞ!代われ!
いえ、代わってください!!

・・・・・はっ!?

申し訳ありません。取り乱しました。

さて、どうでしたか?
いい感じで幽香がキャラ崩壊出来ていればいいのですが。

キャラ紹介で説明しますが、クサナギはサモンナイト4のコーラルというキャラをベースに考えています。
挿絵を見て、分かった人がいたらいいですが・・・
何分身内と比べると月とすっぽんの差があるので、自分的にはまだまだと思っています。

コーラルで、第3の性別に目覚めたのは自分だけではないはずです!
もちろんCVは変わらずに岩男 潤子さんで再生余裕ですよ!!

別れのあいさつの前に、お知らせがあります。
このシリーズでもアンケートを実施します。
察しが付いている人もいると思いますが、よろしければ活動報告で協力お願いします。

次回は「人里へ出発」となります。

お楽しみ!


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登場人物+その他設定紹介 

天籟(てんらい) クサナギ

種族:ポケモン タイプ:草 性別:♂ 

性格:冷静 特性:しんりょく

趣味:木の実栽培、木の実菓子づくり

 

覚えている技:レベルアップで覚える技は習得済み、にほんばれ、まもる、ソーラービーム、つばめがえし、エナジーボール、つるぎのまい、くさむすび、ひみつのちから、アイアンテール、アクアテール、こうごうせい、はたきおとす

 

※アイアン、アクアテールはアニメのピカチュウが特訓でアイアンテールを習得していたので、クサナギも覚えているポケモンに特訓をお願いし習得した。

 ゲームの知識から、マシーン技のイメージと効果は知っていたので、これもアニメ方式で特訓して習得。

 

持ち物:ゲームをプレイして手に入れた道具は技マシーン以外、全てバックに入っている。本作オリジナル道具は登場のさいに説明。

 

本作の主人公で、元人間で今はポケモンのツタージャとなっている。

旅をしている内にポケモンとは別の能力が2つ判明し、うまく利用しながら生活していた。

オーキド博士との会合でポケモンになったことに対して吹っ切れており、ポケモンとして生きてくことを決意。人間だった頃に少しは未練はあるが、今の状況を精一杯楽しんでいる。

旅の間に、何度か過去の幻想郷がある世界にいったことがある。そこで、数人にポケモンのタマゴを渡した。

 

能力紹介

・擬人化:人間の姿に変身可能な能力。技も普通に使える。しかし、3日以上の使用は不可能。擬人化後の姿は第2話の挿絵参照。

・タマゴ出現:自分が「この人なら大丈夫」と信頼した者との間のみ、タマゴを出現させることができる。最初は中々、自分の意思で出現できなかったが、旅をしている中の様々な出会いで感覚は掴んでいる。このタマゴから生まれたポケモンはクサナギが信頼した相手の死ぬまで、相手と一緒にいることが可能。タマゴが1人につき1つまで。ちなみに、クサナギ自身にタマゴは出現されない。

 

 

〇風見 幽香

種族:妖怪 タイプ:草 性別:♀

性格:両S型ツンデレ 能力:花を操る程度の能力

趣味:花たちの世話、弱い者が頑張るのを見ること

 

本作の第一幻想郷住民。お姉さん系ヒロインになるかは未定(可能性あり)。

親切、ドSの両方を兼ね備えている。弱い者が努力するする姿に体が疼き、つい苛めてしまう。これは幽香にとっての応援でもある。

クサナギの擬人化が超好みで理由をつけては家に招き、泊まることを勧めている。しかし、家に来るが泊まるまでいかない。

黒い羽根商会(例の鴉天狗が黒幕)の良い客となる。クサナギグッズ(写真等)限定。

 

 

 

〇本作の世界設定

 ●タイプについて

 ・幻想郷の住人にもポケモンのタイプが付いている。普通に人間はノーマルタイプ、妖怪や神はモデルとなった動物や能力にちなんで設定。

 ・出番は少ないかもしれないが、弾幕もタイプに偏っている。

 

 ●相性について

 ・ポケモンの技の相性は妖怪や神にも有効です。これはポケモンに対しても有効である。

 

 ●お金について 

 ・色々と混乱するのを防止する為に、ゲームのポケモンの『円』で統一。物の価値に違いはある。

 

 ●本作の世界について

 ・通信交換の進化はなしで、アニメの様に道具を持たせて懐き度で進化する設定。

 ・石進化は通常。

 ・特殊な限定場所での進化は幻想郷では無い。

 ・ポケモン世界の肉にかんしては、肉の様な食品を開発している設定。あんなに科学が進歩しているので、これくらい作れそうなのでこの設定を採用。野菜と普通の食用魚は存在している。

 ※つまり、こまけーことは気にするな!といった感じです。

 

 



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第3話 人里へ出発

こんにちわDesデス。

今回でプロローグが終わり、次回から第1章が始まります。

あらすじ。

幻想郷で初めて会ったのは風見幽香と名乗る妖怪だった。
そんな幽香からここが幻想郷という世界だと聞かされるクサナギ。
しかし、少ししたハプニングが起こり気絶してしまったクサナギであった。
これからクサナギはどうするのか。

では、本編へどうぞ。




 結局、擬人化した後の幽香の抱擁から解放されたのはボクの意識が失った後だった。

 目が覚めれば、幽香の家のソファーの上にいた。ちなみに擬人化は解けている。

 

「あら、目が覚めたのかしら?」

 

 声がした方に顔を向ければ、幽香が向かいのソファーに座っていて読書をしていた。

 

「ごめんなさいね。ちょっと我を忘れていたわ。」

 

 本当にすまなそうは顔をして幽香は謝ってきた。

 

「・・いいよ、反省しているなら、ボクは何も言わないよ。それに、嫌ではなかったし。」

 

 ポケモンが人間から抱きつかれるのは、よくあることなので慣れているのだ。ポケモンになって人間の時と考え方が変わったのだ。

 うまい抱き方をしてくれる人には中々出会えなかったけど・・・

 今まで一番上手かったのはジョーイさんだったりする。あの人たち、どのポケモンがどこを触られるのがいいのか知っているのだ。流石である。次点はオーキド博士だったりする。

 

「よかった。・・・あ、それともう夕方だから家に泊まっていきなさい。」

 

 安堵したようで、幽香はボクに家に泊まる事を勧めてきた。

 窓に目をやると空が夕日に染まっていた。ここに来たのが朝の10時くらいだったから、かなり長い時間眠っていたようだ。

 

「ううん、いいよ。ボクは寝床を作れるから。」

 

「そう。・・・なら夕食だけでも食べていきなさい。せめての詫びよ。」

 

 まさかの夕食へのご招待であった。確かにお腹は減っているし、町で買った食品もストックが無くなってきたので、これは嬉しい。

 

「・・・うん。なら、御馳走になります。」

 

「よろしい、子供は素直が一番よ。」

 

 うん、いい笑顔。やっぱり女性だけでなく人の笑顔はいいモノだ。

 しかし、いきなり押し掛けてきて御馳走になるのも、ボクとしては頂けないのでこっちも出来るお礼を準備することにする。

 

「じゃ、デザートはボクが用意するから。」

 

「へえ、料理できるのね。いいわ、デザートは私が御馳走になりましょう。」

 

 やっぱりどこでも女性は甘いもの好きは変わらないようだ。

 ボクは一度、秘密基地に帰って作り置きしているポフィンを持ってくることにした。

 

 

 

 

 

 ナギ(クサナギが呼びやすく、ナギと呼ぶこと許した)が家で夕食を食べることになり、今同じ食卓に向かい合って座り食事をしている。

 普通は1人か、たまにメディスンと食べるけどメディスンは今日、おそらく人里で付喪神達と過ごしているのだろう。帰ってこない。

 今日の献立は、子供が好きそうなシチューである。

 ナギは喜んで食べている。ちなみに、姿は私がお願いして人間となってもらっている。

 

「アム・・ムグ・・・」

 

 ああ、やっぱり可愛い。愛しく思う草木がこうやって私と人の姿で過ごしていると思うと胸が高まる。

 それだけでなく、ナギから出ている自然オーラ、容姿の可愛らしさ、全てが愛しい。

 シチューを食べてホンノリ紅くなっている頬をつつきたい。抱きしめたい。

 

「?幽香食べないの?」

 

 本当は泊まって欲しかったけど、こうやって食事を共にしているだけで今回は満足としよう。

 一緒に夕食を食べてくれると言ってくれた時は、心の中でガッツポーズをとってしまった。

 

「?・・幽香?」

 

 しかも、ナギの手料理(デザート)を食べれるなんて、幸せを感じて止まない。

 

「おーい。幽香ー?」

 

 寝ている時の顔も可愛かった。図鑑で日光で光合成をすると聞いたから、日光が当たるソファーに寝かせてみて正解だった。

 まるで森林浴をしているような感覚がしたのだ。日向ぼっこしながら、抱きしめたらきっと良い匂いがして堪らないでしょう。

 

「ゆーうーかー。」

 

「っ!?・・・何かしら?」

 

「いや、返事をしないからどうしたのかと・・・」

 

「あ、あらそうなの?ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたわ。」

 

 いけない、ナギに心配をかけてしまった。

 私は止まっていた手を動かし、食事を再開した。

 

 

 食事が終わり、ナギが持ってきたバックから可愛らしいケースを取りだし、中にあったマフィンのようなモノがたくさん載った皿を机に置いた。

 色が様々でカラフルで綺麗。でも、青系の色が多い気がした。

 

「これポフィンって言って、ボクがいた世界でポケモンが食べるお菓子。人間も一応食べれるから大丈夫だと思うけど・・・」

 

「大丈夫よ、いただきましょう。」

 

 せっかくナギが用意してくれたのだから、食べられないわけがない。

 見た目的にもおいしそうだし。

 さっそく、少し青紫色のポフィンと言われたお菓子を口に運んだ。

 

「・・・甘くて美味しいわ。」

 

 これは素直な意見だった。マフィンっぽい食感で味もちゃんと分かる。

 

「良かった。」

 

 ナギは安心した顔をしている。

 

「・・・ン。・・・これも美味しい。」

 

 次に薄い紫色のポフィンを食べたが、これは甘いけどその後にくる苦さがちょうどいい。好みの味だ。

 

「アム・・・・」(ニコ)

 

 ナギが青いポフィンを食べていた。美味しそうに食べている。

 冷静な無表情な顔が少し笑っているのが可愛い。

 しばらく、談笑しながらポフィンを食べていた。

 

 

 ポフィンを食べ終わり、食後の紅茶を私が用意して2人で飲んでいた。

 

「ありがと、ナギ。ポフィン、美味しかったわ。」

 

「ん。また作ったら食べよう。今度は別のお菓子を用意する。」

 

「楽しみだわ。」

 

 あれは普通に人間も食べて大丈夫だろう。しかし、気になったこともある。

 

「基本的に同じ食感で、同じ色でも少し味が違ったりしたけど、材料は何かしら?貴方の世界だけの材料でも使っているのかしら?」

 

「うん。ボクがいた世界になっている木の実が味の元だよ。基本的な材料はマフィンと同じだけど、焼き方がちょっと違う。」

 

「へえ、木の実が味の元ね。」

 

「うん。色んな味があってポケモンの治療にも使える。」

 

 便利な木の実ね。

 

「ちょっと見せてくれないかしら?」

 

「うん、いいよ。」

 

 興味が湧き、ナギに見せてくれるように頼んだところ、あっさりと承諾してくれた。

 秘密にしたりしないのかしら?

 

 ゴソゴソ

「・・・・はい。基本的によく使う木の実で『オレンのみ』、ポケモンの体力を回復できる。ボクも好きな木の実。」

 

 ナギがバックから取り出したのは、青いミカンの様な実だった。

 もしかしたら、別の世界で独自に変化したミカンなのかもしれない。

 

「面白いわね。他にどんな木の実があるか教えてくれる?」

 

「いいよ。えっと、じゃあ・・・・」

 

 それから1時間くらい、ナギの世界の木の実について話を聞いた。違う世界を話すナギはどこかしら楽しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 幽香にポケモン世界の木の実を紹介してしばらくして、明日行くことになる迷いの竹林について教えてもらうことにした。

 何か、ポケモンを知らない人にポケモンのゲームを説明するようで、結構たのしかった。時間が経つのが早く感じた。

「それじゃ、迷いの竹林について軽く説明しておくわ。」

 

「お願いします。」

 

「でも、その前に人里の話もしておきましょう。」

 

 人里?確か、ここ幻想郷で人間が集まった集落と幽香から幻想郷の説明の時に聞いた名前だ。

 

「迷いの竹林の前に人里があるの?」

 

「確かに迷いの竹林に行きつく前で人里は通るわ。でも、それだけじゃないの。」

 

 準備しないといけない物でもあるのかな?

 

「迷いの竹林の中に幻想郷でただ1つの外の世界に引けを取らない医療設備が揃っている所があるの。そこの名前は『永遠亭』と言って、その永遠亭に話したお姫さんがいるの。」

 

 病院のようなものだろうか?それにしても永遠亭って、医療関係ならもっと分かりやすい名前の方がいい気がする。ポケモンセンターって分かりやすいと思う。

 

「そして、迷いの竹林は名前のように永遠亭に関係ない者が入れば自力では出てはこれないわ。そこで永遠亭までの案内をしている人物が案内人さん。」

 

「・・・結構不憫じゃないかな?病気になった人とか通えないよね?」

 

「ええ、でも永遠亭の医者の助手が結構な頻度で人里に来るの。だから、そんなに不便なことはないわ。その助手が売っている薬で大抵の病気や怪我は治るから。」

 

 どこにでも便利な薬を開発する人はいるものだ。ポケモンの世界だって、傷薬1ふきでポケモンの怪我治るし。

 

「医者の助手も竹林の案内人も人里で必ず、人里では『寺子屋』に1度よるの。だから、まず人里に着いたら寺子屋を目指しなさい。」

 

「寺子屋、子供が集まって勉強している所を目指せばいいんだね?」

 

「ええ、そうよ。場所は人里の者なら誰でも知っているわ。ちゃんと人の姿で聞けば、答えてくれるわ。」

 

 長々と話した幽香は乾いた喉を潤すために紅茶を口に含んだ。

 それにつられて、ボクも入れられた紅茶を口に運ぶ。少し冷めていたけど、口に広がる紅茶の香りが心地よかった。

 

「人里でも妖怪がしちゃ駄目なルールは先に説明したとおりよ、覚えている?」

 

 幽香が確認の為にボクに聞いてくる。

 

「確か、妖怪は人里の中で人を襲ってはいけない。暴れてはいけない。罪を犯してはいけない。だっけ?」

 

「そうね。その3つを守れば人里の連中は妖怪を敵視しないし、巫女による粛清もないわ。」

 

 ボクが覚えていたルールは正解だったようだ。

 しかし、巫女が粛清って物騒だね、どこでも。

 

「貴方は厳密に言えば妖怪ではないわ。でも、それを知らない奴等からしては関係ないこと。幻想郷で生きていくなら、まず人里の奴らからは敵視されないことが重要よ。」

 

「分かった、気を付ける。」

 

 幽香はボクの返事に満足したように頷いた。

 

「それにしても、私が話したのがポケモンかまだ分からないのに確認に行くのね。私的に、ここにポケモンがいるのは可笑しいと思うけど?」

 

 幽香がそう思うのは当たり前なのだがそこはポケモン、何か起こるか分からないのは当たり前なのだ。

 あの世界がアニメより、しかもサトシが普通に旅しているだけで摩訶不思議なことが起こる場所なのだ。

 だから、

 

「そうでもなかったりする・・・」

 

「?どういうこと?」

 

 これはポケモンの世界ではオーキド博士と数人しか知っていないことだけど、幽香なら話しても良さそうだ。

 

「・・・ボクの能力にポケモンのタマゴを信頼する相手との間に出現させる能力がある。もしかしたら、その能力で幻想郷の人にタマゴを渡したかもしれない。」

 

「・・・え?タマゴ?・・・ポケモンってタマゴから生まれるの?」

 

「あ、まだ言ってなかったっけ?ごめん。でも、そう。ポケモンは普通はタマゴから生まれてくる。」

 

「そ、そうなの。タ、タマゴから、ね・・・」

 

 幽香が複雑そうな顔をしている。それもそうか、幽香はさっきポケモン図鑑を見たのだ。その中には明らかに哺乳類に似たポケモンもいた。

 そんなポケモン達が皆タマゴから生まれるところが想像できないのだろう。

 

「何でもありなのね。・・・それでタマゴを渡したって言ったけど、どんな奴に渡したか覚えているの?」

 

 さすがに妖怪やら神がいる幻想郷に住んでいるだけあって、受け入れも早くて助かる。

 でも、どんな人たちに渡したか、か・・・・

 

「旅の途中でよった町や村でもやったし、いつの間にか過去の世界に行って渡したこともあるし、別のポケモン世界(ゲームキャラが基本)でも渡したから、誰が幻想郷の人か分からない。」

 

「ちょっと待ちなさい。過去や別の世界って、そんな簡単に行けるのもなの?」

 

「うん。ポケモンの世界ではよくあること。」

 

 だいたい、創造や文字ポケモンが悪い気がする。あと空間と時間の神とか。

 

「そ、そう。でたらめな世界なのね。そこでこの幻想郷の住人にあったかもしれないと。」

 

 幽香さん、冷静を装っているけどカップを持っている手が若干震えているよ。

 

「あっ、でもその中でも記憶に残っているくらいインパクトある出会いもあったよ。」

 

「それでいいから、話してちょうだい。」

 

 なんか投げやり気味になっている気がする。

 

「3人いて、1人目は誰から追われているのか、酷く警戒心むき出しの人だった。髪は長くて黒かった。」

 

「・・・・なるほど。」

 

「2人目は酷く疲れた目をした人だった。人を怖がっている感じでこの人も長い髪で、珍しい色だっと思う。」

 

「・・・・・・」

 

「最後の3人目が一番印象深い。暗い部屋に閉じこもっていて、他の2人より目が死んでいた。何とか励まして、元気出してほしかったからよく覚えてる。」

 

「・・・・・・」

 

 幽香はボクの話を聞いて、何とも言えないような顔をしている。心当たりでもいるのかな?

 

「いえ、まさかね。3人目なんかあの吸血鬼の妹にぴったしの条件じゃない。じゃあ、他の2人って・・・いえ、待って。もしかしたらで、必ずしもそうとは限らないわ。落ち着きなさい幽香。」(ボソボソ)

 

 幽香はボクに聞こえないくらい小さな声で、まるで自分に言い聞かせているみたいに呟いていた。

 これは、そっとしておいたほうがよさそうなので、残っていた紅茶を飲むことにした。

 

 

 

 

 

 

 ナギから聞いた3人の特徴を聞いて、ピンときたのは3人目だ。

 どう聞いても魔理沙が話していた吸血鬼であるレミリアの妹、フランドールの境遇と酷似していた。

 でも、私があった時はそんな目はしていなかった。まるで一緒に連れていた生き物の世話するのを一生懸命に頑張る姉のような姿だったはすだ。

 私自身に関係ないモノに関心を持たない自分にちょっと反省した。

 それだと残り2人は黒い髪はお姫さんとして、珍しい髪の色といってもここではピンとこない。

 とりあえず、まだ憶測の域を出ていないのでナギを混乱させるわけにもいかないので、黙っておくことにした。

 

 この後、ナギと私は少しの談笑時間を過ごし、もういい時間と言ってナギは自分の寝床に帰って行った。

 本当は泊まって欲しいが、あまりしつこいのは相手にマイナスの印象を持たれることを『あの鴉』から学んでいる。

 

 シャワーを浴び、パジャマに着替えベットに横になる前に一仕事終えることにした。

 明日にでもナギは人里へ出発するだろう。

 お節介かもしれないが、これくらいはしておいて罰は当たらないだろう。

 

 ふふ、何か笑えてくる。

 普段は他人を気遣うことなんかしないのに、久しぶりに自分から他人を思い行動するのも悪くないと感じた。

 これでナギがどこにいるか分かる。

 

 もし、ナギの顔にでもキズを付ける輩がいたら、

 どうしてくれようかしら?

 ※この時の幽香の顔は雑魚妖怪や普通の人間が見れば、その場で失禁しそうなレベルである。彼女の知り合いもこの顔をしている時は、黙って立ち去るだろう。by Des

 

 ?今、何か不自然な間があった気がしたが気のせいか?

 とりあえず、明日ナギに会った時に渡すようにしておこう。

 

 私が作業を終え就寝したのは、夜中の0時過ぎだった。

 

 

 

 

 

 

 ボクは秘密基地で目を覚まし、旅立ちの準備を済ませ幽香が待っている家に向かった。時間は朝の6時を過ぎた頃だった。

 旅の醍醐味でもあるので、自分1人で行きたいと申し上げたら、幽香が「人里へ行く前に家によること、いいわね?」と言ってたからだ。

 

 旅支度も済み、秘密基地も技で消滅させ幽香の家に向かった。

 そう何度も食事をご馳走されるのもいけないので、朝ご飯は済ましてある。昼食も準備している。

 ちなみに、秘密基地はゲームでは1つが原則だったが、現実ではそうでもなかった。まあ、あれはシステムの管理上等の様々な理由があったからだしね。

 でも、秘密基地を作るのには一定以上の大きさの草場、木、岩が必要である。それを技で専用の空間をつくっている感じだ。外からどう見ても、中との大きさが合わないからそう思うことにした。

 技を使った時の姿で入り口の大きさは違うので、なるべく防犯の意味を兼ねてポケモンの姿で秘密基地を作っている。

 

 幽香の家の前まで行くと、すでに幽香は待っていた。

 おそらくヒマワリからボクが来ていることを聞いたのだろう。

 

「おはよう、ナギ。よく眠れたかしら?」

 

 笑顔を作りながら朝の挨拶をしてきた。うん、綺麗な笑顔だ。

 人間の時だったら恋にでも落ちていたけど、ポケモンとなってどうもそういう感情が薄くなったというか、上手く言葉に出来ないけど反応は薄くなった。

 

「おはよう、幽香。そっちこそ、よく眠れた?」

 

「少し眠いけど、大丈夫よ。それより、朝ご飯も済ましているようだから私の用を早く済ませましょう。」

 

 幽香はそう言って、手に持っていた紙をボクに渡してくれた。

 

「これは私が描いた簡単は幻想郷の地図よ。重要な場所を重点に描いてあるから、上手く利用しなさい。」

 

 なんと、幽香が手描きでボクの為に地図を用意してくれたようだ。これは悪い気がするが、オーキド博士の時もそうだったがこういった親切心は素直に受け取ることにしている。

 純粋に嬉しいのだ。ポケモンになっても、いやポケモンになったからこそ、こういった感情がより感じられるようになった気がする。

 

「ありがとう、幽香。大切に使わせてもらう。」

 

「よろしい。でも、偶には帰ってらっしゃい。ここを家だと思っていいから。」

 

 その言葉だけでお腹いっぱいです。

 

「あと、これも受け取ってね。」

 

 そういって幽香は人間姿のボクに視線を合わせてきて、持っていた何かをボクの頭に付けてくれた。

 幽香が付け終わるのを待って、ボクはそれにそっと手を置いた。

 

「・・・この感触は花?」

 

 触った時の感触でこれが何かしらの花だと分かった。

 

「そうよ。季節外れだけど、私の能力でお願いして花を咲かしてもらったの。そして、お守りの代わりになるように私の妖力を込めているの。」

 

 へえ、確かにただの花にしてはしっかりと頭に引っ付いているし、頑丈そうにしている。

 

「何から何まで、ありがとう。」

 

 ボクは改めて、しっかりと心を込めて幽香にお礼を言った。

 それを受け取った幽香は、恥かしそうに顔を背けた。顔が赤いのが見えた。

 

「ちなみに、その花はカランコエっていうのよ。」

 

「へえ、その名前は初めて知った。」

 

「緑色の貴方の髪に合う赤っぽいのよ。」

 

 触った感じだと、小さな花がいくつか集まっている感じだ。

 あとで、鏡で見て見よう。

 

「じゃあ、行ってくる。」

 

 ボクはそう言って、地図に載っている人里へ向けて足を進めた。

 幽香は笑ってボクを送り出していた。

 

 見渡せば視界に広がるヒマワリたちに囲まれ、幻想郷で初めでの旅が始まる。

 こういった出発も悪くないと思い、まだ知れぬモノへの胸の高まりをボクは感じていた。

 

 




はい、お疲れ様でした。

最後に幽香が渡した花である、カランコエは花言葉を使う為に選びました。
興味がある人は調べてみてください。どの花言葉が分かると思いますw

さて、幽香との間にポケモンを出そうか悩みましたが、それは今度再開した時にしようと思います。
草タイプで幽香に合うポケモン考えないと・・・

ポフィンも木の実の説明を参考しながら、味を考えました。楽しかったです。

活動報告で実施しているアンケートに出来れば協力してくれると嬉しいです。

挿絵もちょくちょく描いてみようと思います。

さて、次回は『第1章 第4話 クサナギと人里』となります。

よろしくお願いします!


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第4話 クサナギと人里

こんにちはDesデス。

今回から人里編が始まります。
クサナギはしばらく人里で過ごします。

さらに、今回からモブキャラを作者が好きな他作品のキャラから登場させます。
名前を変えているキャラもいるので、後書きで元ネタを紹介します。

前回のあらすじ

幽香から幻想郷マップをもらい、人里へ行くことを推奨されたクサナギ。
クサナギは幽香から花を頭に飾られ、人里を目指すことになった。

では、本編へどうぞ。



 幽香に見送られ歩くこと約1時間、ボクは幽香から貰った幻想郷マップを見ながら道端で少し休憩をとっていた。

 バックからおいしい水を取りだし、ゆっくり飲んでいた。

 

「ん・・ん・・ぷはぁー。・・・・やっぱり水が一番。」

 

 草ポケモンになってから、なんとなく水の違いが分かるようになり気に入った自販機のおいしい水をバックにため込んでいる。

 せっかくの人の手があまり付けられていない自然を前にしているので、お気に入りの水で休憩をとることにしたのだ。

 

「ここまでは順調に進んできた。妖怪にも会わないし、人里へはこの道をたどればいいから楽。」

 

 そう、マップに書かれているが人里までは道が作られていた。

 道といっても、たんに邪魔な草などを除去して作られたみたいなものである。

 

「(幽香が能力で作ったのかな?)」

 

 そう思えば、結構長い道のりの草を簡単に退かせられると納得される。

 でも、道の様子から頻繁に人が往来していないのがわかる。

 あのヒマワリ畑は素晴らしい景色なので、観光スポットになっていると思っていたが、不思議である。

 

「・・・でも、ここまで妖怪に会わないってのもおかしい気がする。」

 

 幽香から聞いていたけど、ここ幻想郷では妖怪や妖精がアチラコチラにいるようだ。

 しかし、ここ1時間でまだ1人たりとも出会っていない。

 今のボクはポケモンの姿だから襲われないのか、それとも。

 

「もしかして、幽香から貰ったこの花のお守りのお蔭かな?」

 

 頭を触れば、幽香から付けてもらったカランコエという花がある。

 このお守りの効力なら、結構大事なモノかもしれないから、今度幽香に改めえてお礼をしよう。

 

※実は妖怪達は幽香から送られた花に込められた妖力にビビッてクサナギを襲えないでいるのだ!しかも、クサナギはポケモンなので妖力に気づいていないぞ!byDes

 

 考えても答えが浮かばないなら、あまり深く考えないで行動にでよう。これは旅で身に付けた経験則である。

 

「さて、休憩もとったし、人里への道のり再開。」

 

 マップと今までの時間から考えて、残り1時間ちょっとだろう。

 ボクはマップを持ちながら、人里へ再出発した。

 

 

「・・・お?あれは田んぼかな?」

 

 幽香の家から約2時間と少し、歩いていると見覚えがある田んぼが見えてくる。

 ポケモンの世界にも田んぼは当然あったし、前世でも見たことがあるので間違いない。

 今は朝の9時頃でもあるので、田んぼで作業している人もちらほら見かける。

 

「人がいるってことは人里が近いのかな?」

 

 あと少しと感じて頑張ることにした。

 

 10分ぐらい歩いて門と木製の塀が見えてきた。

 塀の上からは家の屋根などが見える。

 

「おお、見えてきた。・・・あ、そうだ幽香に言われてた。」

 

 人里が見えてきたところでボクは幽香に言われていたことを思い出した。

 

『人里でポケモンの姿は目立つから、人型で入りなさい。』

 

 ボクは幽香のアドバイスに従って、少し門から離れた隠れられる場所を見つけ人間の姿に変身した。

 

「よし!」

 

 気合を入れて、門に近づいて行った。

 

「ちょっと待ちなさい、君はこの里の者じゃないわね。種族と里へ来た目的をいいなさい。」

 

 門の近くにいた女の人に呼び止められ、里への入場目的を聞かれた。

 というより、この女の人は・・・

 

「・・ジュンサーさん?」

 

 そうアニメポケモン世界では誰もがお世話になるキャラの1人、ジュンサーさんにそっくりだった。

 髪型も顔をそっくりであるが、服装は少し前世の世界では古く感じる警官服だ。色は少し薄い黒っぽい。

 

「ジュンサー?いえ、私は準(じゅん)という名前で、見た通りこの人里の警官をやっているわ。」

 

 どうやらそっくりさんのようだ。でも見れば見るほど、ある意味色違いのジュンサーさんである。

 

「ごめんなさい。知り合いに似ていたので間違いました。」

 

「・・・いいのよ。私もごめんなさいね、ちょっと怖い顔していたかしら。」

 

 素直に謝ると、ちゃんと許してくれた。いい人みたいだ。

 

「ううん、怖くないです。ボクはクサナギ・・・一応、植物の妖怪です。ここへは寺子屋に用事があってきました。」

 

「妖怪なのね、見た目は人間の子供なのに。・・・外から来たのかしら?」

 

「うん、昨日幻想郷に来て、親切なお姉さんに人里の事を聞いてやって来た。」

 

「そうなの。よかったわね、優しい人に会えて。」

 

 本当にそうである。幽香に会わなかったらどうなっていたか。

 

「うん、危険なモノの持ち込みもないようだし、入場を許可します。ようこそ人里へ。寺子屋はこのまま真っ直ぐ行って広場を右に曲がった所にあるわ。」

 

「ありがとうございます。お仕事ご苦労様です。」

 

 事前に幽香に言われた通りにボクの種族と目的を言うと準さんは通してくれた。

 パッと見では、バックを背負った子供にしか見えないので持ち込み検査もなしだった。

 これでいいのかな、人里の警備。でも、ポケモンの世界も技術は高いけど、同じようなモノなので何も言えない。

 

 

 準さんに言われた通りに門からの道を真っ直ぐ進むと広場にでた。

 そこで改めて、人里を見渡してみた。

 

「・・・おお~・・。」

 

 木造の平屋が多く並び、自然も多く川も流れている。

 その様子はまるで江戸時代を思い浮かばせる古風な町だ。

 ポケモンの世界では、ジョウト地方のエンジュシティが一番近い。

 前世で日本人であったボクはあの雰囲気がとても好きだった。

 

「ここも、負けないくらい好きになりそう。」

 

 ボクはしばらく、この素晴らしい景色を堪能していた。

 

「ほっほっほ。人里を好きになってくれて、嬉しい限りじゃ。」

 

「!?・・・・え?」

 

 いきなり声を掛けられ、振り返れば見知らぬお爺さんが立っていた。

 頭はすっかり禿げており、腰も少し曲がっている。白くて長い口髭が立派である。

 

「え~と・・・ボク?」

 

「お主以外に誰がおるか。この人里を物珍しそうに見ておったのでな、声を掛けさせてもらったぞい。」

 

「そ、そうなんだ。」

 

 どうやらボクは結構目立ってたようだ。

 周りを見れば、道行く人もボクを見て笑っている。恥ずかしい。

 

「そう恥ずかしがらずともよい。お主が人里を輝いた目で見ていたのが皆、嬉しかったのじゃよ。」

 

 そう言われると益々恥ずかしいので、話しを変えてみようとした。

 

「そ、それでお爺さんはボクに何の用があるの?」

 

「おっと、そうじゃった。お主の嬉しそうな顔につい、ワシも喜んで忘れておったわ。では、改めて・・・うおっほん!・・・ワシは通称、親切じいさんと呼ばれておる者じゃ。お主見たところ、この人里が初めての新参者とみた。よって、親切なワシがこの人里の主な施設や場所を紹介してやろう。」

 

 あれ?ポケモンのゲームで見たことがある光景だぞ?

 

「え、え~と・・・」

 

「なに、遠慮することはない。まずはこっちじゃ。」

 

 そういって、親切おじいさんはボクの前を歩き出した。

 

「ま、待って!」

 

 早い段階で人里の構造を知っておきたかったので、この申し出はありがたかった。

 ボクは急いでおじいさんの後を付いて行った。

 

 

「ここは商店街、色んな店があるから必要な物はある程度ここで入手可能じゃ。ワシのお勧めはあそこにある鈴奈庵という貸本屋じゃな。外の世界の本も置いてあるから誰でも楽しめるぞ。ワシとしてはもっと大人向けの本を入荷して欲しいのぉ。」

 

「へえー。」

 

 いや、ボクはポケモンになって、そういう本には興味ありませんので大丈夫です。

 

 最初に紹介されたのは、色んな出店や店が並んでいる商店街だった。

 野菜やお肉、家具、色んな物があって目移りしそうだ。でも、おじいさんが紹介した貸本屋は興味があるので、時間があれば見に行こう。

 

「あらぁ~?親切おじいちゃんじゃなぁ~い、どうしたのかしら、お買いもの?」

 

「おお、黄雀(きじゃく)か。いや、新参者に人里を案内しておったのじゃよ。」

 

 声を掛けて来たのは、オネエ口調の男の人だった。 

 顔は目が見えないタイプのサングラスをしており、髪の毛は頭の天辺で緑色の髪が垂れている。他は剃っているみたいだ。

 体は服の上からでも分かるほど鍛えられている。

 

「クサナギです。よろしくお願いします。」

 

「まあ可愛いわね、食べたちゃいたいわ~♡ 私は黄雀と言って、自警団に入っているのよ。困ったことがあれば、いつでもいらっしゃい。」

 

「よ、よろしくお願いします。」

 

 自警団の制服だろうか、少し変わった和服を着ている。

 

※イメージとして銀魂の真撰組の制服を想像してください。byDes

 

「じゃっ♪まだ警備の途中なの。」

 

「ああ、頑張るんじゃぞ。」

 

「頑張ってください。」

 

 黄雀さんは手を振りながら、去って行った。

 

「ああ見えて、腕は確かじゃから頼りになるぞい。さっ、次に行くとしよう。」

 

 

 次に案内されたのは商店街からそう離れていない場所だった。

 木造平屋が多く、結構入り組んでいそうだ。

 

「ここいら一帯は住居となっておる。人と妖怪は区別しておるから、そこは間違えなければ大丈夫じゃ。・・・そして、裏路地は結構迷いやすいので慣れないうちは1人で行かないほうが良いじゃろう。」

 

「なるほど。」

 

 思った通りに裏路地は入り組んでいるようだ。そういったところには胡散臭い人がいることが多い。気を付けよう。

 

「で、この住居からそう離れていない場所に診療所がある。診療所は2つあって基本、人間専門となっておる。妖怪のお主が何か病にかかったのなら、広場にいる迷いの竹林の薬剤師やその助手を頼るがよい。」

 

「はい、分かりました。」

 

 ここはあまり紹介するところがなかったようで、すぐに次の場所に移動となった。

 

 

「ここは食事処が多い所で通称、食事道(しょくじみち)という。何か食いたくなったらここに来ればよい。結構な種類があるから飽きはせんじゃろ。」

 

「おお、いい匂い。」

 

 出店では何か焼いている匂いが、店からはお客さんが満足顔で出てきている。

 

「ここは人里で商店街と合わせて荒事が起きやすいから気を付けることじゃ。じゃが、ここに来る連中にはいつもの光景となっておるので気にしておらぬ。」

 

 人が集まる所には荒事は付きものなのは、どこの世界でも一緒である。

 

「喧嘩だ、喧嘩だ!」

「あっちの方で男2人が喧嘩しているぞ!」

 

 複数の人が同じ方向に走って行った。

 

「・・・さっそくか。まったく案内している時に限って喧嘩が起こるの・・・」

 

「止めに行かなくていいの?」

 

「ああ、大丈夫じゃろ。どうせすぐに・・・」

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 ドン!!

 

「っ!?」

 

「ほれ、終わったようじゃぞい?」

 

 喧嘩が始まってすぐだろうか、2人の男性が人が走って行った方から飛んできた。

 

「う゛お゛ぉぉぉぉぉぉい!俺様の食事の邪魔をするなぁっ!!」

 

 飛んできた方から誰かがやって来た。

 

「なんじゃ、鮫朱牙(さめすが)の坊主、やっぱりお主が止めたか。」

 

「あ゛ぁぁん。自称、親切ジジイが何の用だぁ。」

 

 鮫朱牙と呼ばれた男の人は、男と思えないほど綺麗な銀色の長髪をなびかせてやってきた。

 片手には鞘に納めた刀を持っている。

 しかし、大きな声だ。耳がいいポケモンなら、大ダメージ間違いなしだ。

 

「誰が自称じゃ、ワシは親切じいさんと呼ばれておるわ。今はこの者に人里を案内しておったところじゃ。」

 

「・・・う゛お゛ぉぉい、ガキじゃねぇか!ということは、そいつ新入りかぁ?」

 

「はい。クサナギです、よろしくお願いします。」

 

「う゛お゛ぉぉい、クサナギとは、大層な名前じゃねぇかぁっ!俺は鮫朱牙、自警団の団長をしている!面倒事を起こすなら、妖怪でも手加減しねぇぞぉ!」

 

「はい、気を付けます。」

 

 どうやら腕に自信があるようだ。

 ボクは妖怪ではないけど、妖怪相手にこの態度である。

 

「しっかし、世の中わからんものじゃ。暴れん坊の坊主がまさか自警団の団長となり今では里の人気者の1人じゃ。」

 

「うっせぇぇぞっ、ジジイっ!かっさばかれてぇのかぁぁっ!」

 

「相も変わらず、元気なのようで安心したぞい。」

 

「ちっ!・・・もう休憩時間も終わるから、俺はもういくぞっ!精々、死なずにいなっ、お節介ジジイ!」

 

 大声を出しながら鮫朱牙さんは去って行った。

 言われてみたら、黄雀さんと同じ制服を着ていた。

 

「まったく、目上の者への態度ではないの。すまなんの、あやつも悪気があっての事じゃないのでな、そこは大目に見てやってくれ。面倒見もよく、男女とわず慕われておる。」

 

「うん。分かった。」

 

 どこでも派手な人はいるものだ。

 ポケモンの世界も大概であったので、ボクは何も言えない。

 

 

 今度は広場に戻ってきた。

 

「この広場は里の者が誰でも休める空間となっておる。妖怪と人がよく集まって喋っている場所じゃ。」

 

 見れば、顔が付いている傘を持っている女の子が人間の女の子と一緒に遊んでいる。楽しそうだ。

 ポケモン世界の公園を思い出させる。

 

「で、広場のすぐ近くには自警団と警官の屯所があるので、困ったらそこに行けばよい。」

 

 おじいさんはそう言いながら、警官の屯所にボクを案内した。

 

「ここには美人な警官のお姉ちゃんがおるから、頼るならこっちにした方がいいぞ。」

 

 案内された屯所は、結構大きな建物で看板にデカデカと『人里警官屯所』と書かれている。

 たぶん美人さんは準さんのことかな?

 

「それに、ここには人里の皆から出た依頼を掲示板に張っておる。依頼を受けたいなら、依頼書も持って屯所に入っていけばよい。」

 

「あれ?おじいさんじゃないですか。」

 

 おじいさんが掲示板の前で依頼について説明していると、屯所から若い男の人が出てきた。

 服装は自警団と少し違うデザインだ。こっちが警察にちかい。

 

「なんじゃ、足立(あだち)おったのか。相も変わらずに堂島(どうじま)に扱かれておるのか?」

 

「ちょ、ちょっと止めてくださいよ~。こんな所でそういった話は・・・」

 

 どうも頼りない感じがする男性だ。

 

「あれ?そっちの子は見ない顔だけど、もしかしたら新しい人?」

 

「そうじゃ、今ワシが案内していたところじゃ。」

 

「ま~た、お得意のお節介ですか。好きですね、そういうの。」

 

「ワシの楽しみじゃ、そう言うでない。」

 

「はいはい。分かりましたよ。」

 

 この人もおじさんとは親しいようだ。楽しそうに話している。

 

「おっと、ごめんね。僕は足立と言ってここで働いている、凄腕警官さ。君は?」

 

「ボクはクサナギと言います。よろしくお願いします。」

 

「おお、今の若い子にしては珍しく礼儀正しいね。うん、こちらこそよろしく。」

 

 お互い握手をして挨拶を済ませた。

 

「どう人里を見て回って?」

 

「楽しそうな所です。」

 

「お?以外だね。大抵ここに来る人(外来人)って、人里を見て何もなくて、つまらないって言うんだよ、酷いよね?」

 

 それは確かに酷い。

 

「お、君は違うみたいだね。そうだよ、ここは良い所だよ。外みたいに娯楽がないとか言っている人がいたりするけど、ここじゃこれが当たり前だしね。それに人里の皆は家族みたいなものさ。助け合って生きている、とても温かい所だよ。僕はここが好きだよ。」

 

 頼りなさそうでも、しっかりこの人里のことを考えているみたいだ。足立さんは優しい顔で話してくれている。

 

「あっ、これ堂島さんには内緒ね!聞いたら、お前がなにカッコいいこと言ってやがる!って言われちゃうから。」

 

 うん、頼りないことは本当のようだ。

 

「お主はもう少し自分を出していかんか。堂島はそんなお前が、だって本当のことですよ!っと、言うくらいもっと前に出るようにワザと言っているのじゃぞ。いつまでその弱気を克服しないと嫁の貰い手も見つからないぞ?」

 

「も~、おじいさんもおばあちゃんみたいなこと言わないでくださいよ~。」

 

 恥ずかしかったようで、顔を赤くしている足立さん。

 

「もう・・・あっ、堂島さんって僕の上司で屯所のトップの人だよ。怒ると怖いし、怒っていなくても厳つい顔しているけど本当に優しい人だから、安心して接してあげてね。顔が怖くて子供から怖がられていること気にしているから。」

 

 じゃあ、と言って足立さんは屯所の中に戻って行った。

 

「頼りないが、他人をああやって気遣うことができる優しい奴なんじゃ。頼りないが、どんどん頼って鍛えてやってくれ。」

 

 本当に頼りないようだ、2回も言っているよ、おじいさん。

 どうやら、ここ人里ではスパルタ根性が根付いているだ。

 嫌いじゃないぞ、そのやり方。

 

「話に出てきた堂島は確かに怖いが、子供と奥さんには甘い奴じゃ。」

 

 堂島さんという人が可愛く思えてきた。

 

 

 

 再び広場に戻ってきた。

 

「重要な箇所はだいたい紹介したつもりじゃがどうじゃった?」

 

「うん。とても分かりやすくて、楽しかった。ありがとうございました。」

 

 深々と頭を下げてお礼を言った。

 

「なに、半分趣味のようなモノじゃ。気にすることはない。他に知っておきたいことはないかの?」

 

 おっと、案内に夢中で忘れていたけど本来の目的地をまだ見ていなかった。

 

「寺子屋はここから右にあるんですか?」

 

「寺子屋か?それなら広場から右、東の道をしばらく行けば竹の塀に囲まれた建物が見えてくるから、そこが寺子屋じゃ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「なに、お安いご用じゃ。幻想郷に来て不慣れ、それも妖怪となると何かと不便なこともあるじゃろう。じゃが、ここでは気にせずに過ごしなさい。そして、里の者を誰でもいいから頼りなさい。ワシらは皆、家族のようなモノじゃ。」

 

「おじいさん・・・」

 

 ボクのことを人間じゃないと分かりながら、嫌な顔1つしないで案内してくれていたのか。

 

「それではワシはそろそろお暇するぞ、身内をそろそろ起こさないといけないからの。」

 

 え?今11時過ぎなのけれど、その人はどれだけお寝坊さんなんですか・・・・

 

「ホントにあの方はいつまで経っても変わらないのだから・・・」

 

 心境お察しします。何かお礼出来ないかな・・・・

 あっ!疲れているみたいだから、あの道具が効果あるかな?

 

「え~と(ガサゴソ)・・・あった。・・はい、おじいさん、人里を案内してくれたお礼です。」

 

 ボクはバックからある道具を取り出し、おじいさんに手渡した。

 

「?これは、鈴か?」

 

「はい、人に効くか分からないけど、音色はとても綺麗だから。」

 

 おじいさんは試しに渡された鈴を軽く振ってみた。

 

 チリィン♪チリィン♪

「おお、確かに心地よい音じゃ。」

 

 よかった。どうやら気に入ったようだ。

 ボクが渡したのは、『やすらぎの鈴』だ。

 ポケモンをしたことがある人なら知っているアイテムだ。

 第3世代のルビー&サファイアで初登場した、持たせたポケモンをなつきやすくする道具だ。ボクも大変お世話になりました。

 ゲームをしていた時に手にした道具で、バックに5つ入っている。

 1つあげても問題ない。

 

「このような高そうな物を貰っては、こっちが悪い気がするのぉ・・・」

 

「気にしないで、まだバックにあるから。」

 

「そうか?なら、ありがたく頂くとしよう。」

 

「うん。じゃあ、お世話にまりました。」

 

「うぬ、お主も元気でな。里でワシを見かけたら、遠慮せずに話しかけてきなさい。」

 

 ボク達はそういって別れることにした。

 とりあえず、お昼がちかいので昼食を取るために食事道へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 クサナギが人混みへ消えていくのを見て、親切おじさんは満足していた。

 

「今度この幻想郷にきた妖怪は、どうやら警戒する必要もないだろう。妖気も感じなかったから、最初は人間の子供かと思ったほどだしな。案内の間に何か思惑でもあるかと思った自分が恥ずかしいな。」

 

 周りの人間に聞こえないような小さな声で独り言を話していた。

 しかし、どうしたことか先ほどまでの口調とは違っている。

 

「良い物も貰ったし、今日はいい日になりそうだ。」

 

 貰ったやすらぎの鈴を服にしまい込み、建物の裏に回り込んで行く。

 

「さあ、寝坊助の我が主を起こしにいくか。」

 

 裏路地に入ったおじいさんは、いつの間にかその姿を消していた。

 どこに行ったかは、人里の人たちには誰も分からないだろう。

 

 





クサナギ、人里での出来事1日目でした。

居ましたよね?ポケモンのゲームで最初の町で勝手に案内をしてくれる人がw
それをネタにしてみました。

モブキャラの元ネタは下記のとおりです。

・準(ジュン):ポケモンのアニメに出てくるジュンサーというキャラ

・黄雀(きじゃく):家庭教師ヒットマン・リボーンのルッスリーア
・鮫朱牙(さめすが):家庭教師ヒットマン・リボーンのスクアーロ

・足立(あだち):ペルソナ4の若手刑事
・堂島(どうじま):ペルソナ4の主人公の叔父

頑張って誰だかわかるようにしましたが、皆さんは分かったでしょうか?

・親切おじいさん:一体何者なんだ?

これからも他作品のキャラを出しますので、お楽しみ。
ちなみに彼らはあくまでモブなので、あまり活躍はしないと思いますw

次回は寺子屋編となります。
妹紅を出すか分かりません。出すなら妹紅の手持ちポケモン考えないと・・・
おそらく炎タイプとなるでしょう。
姫様は見た目的にピンクのポケモンか、エスパータイプでしょう。

あ、それとイラストの修行もやっていくので、更新は不定期です。

では、また次回会いましょう。



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第5話 人里の寺子屋

こんにちはDesデス。

イラストが思いのほかてこずっております。
まずは数をこなしていきます。
一応pixivに晒して(投稿)います(;一_一)

今回から作者設定が爆発します。
ポケモンで殺伐とした世界感を書きたくないのです。
それでも構わない人はこのままどうぞ。

前回のあらすじ

人里へ向かったクサナギ。
道中何事もなく、無事に人里にたどり着いた。

人里では謎の人物である、自称親切じいさんを名乗る老人に
人里を案内される。

人里で色んな出会いがあったが、クサナギは寺子屋に行くのであった。

では、本編へどうぞ!




 親切おじいさんと別れ、ボクは一度昼食を取るために案内された食事道へ行った。

 道中で聞いて、勧められた蕎麦屋はとても美味しかった。

 

 そして今ボクは寺子屋を目指している。

 おじいさんの話では、竹の塀に囲まれた建物だったはずなのでそれを目印に探していた。

 

 探し始めて数分して、ちょっと聞き取れないけど子供の元気な声が聞こえてきたので、そっちに行くことにした。

 

「・・・・あ、細い竹で囲まれた家・・・あそこかな?」

 

 声が聞こえてきた方へ行けば、視界に植木で作った壁を低い竹で囲った、今まで見た家より大きい建物を見つけた。

 近づけばさっきより子供の声が大きくなってきている。

 どうやら授業中みたいだ。

 

「・・・・見えない。」

 

 中を覗いて見ようとしたが、植木が邪魔している。ボクの身長より高いから、背伸びしても中を覗けない。

 あまり長い間、覗いていても周りから不振がられる。

 ここは、こっそり中に侵入することにした。

 

 別にここは寺子屋なのだから、正々堂々と正面から訪問しても問題ない。

 でも、問題なのはボクが会わないといけない人物の名前が分かっていないことだ。

 

 学校の関係者の名前を1人でも知らない人がいきなり学校を訪問すれば、不審者扱いされ通報される世の中なのだ。

 それはどこの世界でも同じなのいだ。

 

 いきなりジムリーダーに面会に行ったら、トレーナーでもないボクは不審者あつかい。

 図鑑を見せれば盗品と思われ、捕まったりとポケモンの世界も甘くはなかった。

 もちろん、オーキド博士に連絡させて誤解は解けたのだが結構トラウマになっている。

 

 それに、もしかしたら目的の先生が留守かもしれないのだ。

 その確認もしないといけない。

 

「えーと・・・・あの路地なら誰もいないかな。」

 

 周りでポケモンに変身できる場所を探し、人影がない小さい路地を見つけツタージャの姿に変身した。

 一応、周りを注意深く見たので、誰にも見られていないはず。

 

「タジャ。」(よし。)

 

 では、いざ潜入開始である。

 

 

 ツタを上手く使い、寺子屋の敷地内にうまく潜入することができた。

 建物の中では誰かに見つかってしまう恐れもあったので、外にある草の中を移動していた。体の色で同化しているはずだ。

 

「さて、今度は皆の将来の夢を聞いてみよう。チルノ達もよく聞いておくように。」

 

 さっきより声がハッキリしてきたので、草むらから覗いてみれば部屋の障子が全開になっており中の様子を窺うことができた。

 たくさんの子供が畳の上に座り、身長が高い女の人が黒板の前に立っていた。

 子供のなかには羽のようなものが付いてる子もいる。妖怪かな?

 

「先生、なんで妖怪の私達が人間の子供の夢を聞かないといけないのだー?」

 

「妖怪だからこそだ。人の成長をお前たちはこれから間近に見ていくのだから、そこから何か感じとってくれれば、先生も嬉しい。」

 

 金髪の子供が先生と言われる人と話している。

 あの身長が高く、薄い水色っぽい長い髪が光を反射して銀色に見え、胸も非常に大きい人がボクの目的の人物の可能性が高い。

 話をよく聞いておこう。

 

「では、まず枝里香(エリカ)からいくか。」

 

「はい、承知しましたわ先生。」

 

 枝里香と呼ばれた女の子が返事して立ち上がった。

 黒い髪にコケシの様な髪型、赤いカチューシャ、着物姿・・・あれ?なんでだろう。軽くトラウマが蘇りそう。

 と言うか、誰かに似てないかな?

 

「わたくしは家の華道を継ぎ、自然を愛することが夢ですわ。」

 

「そうだな、枝里香の生花は私も好きだぞ。」

 

「うん、私も好きだよ。優しい感じがするの。」

 

「ありがとうございます、先生、大ちゃん。大ちゃんは、またわたくしの家に遊びに来てください。」

 

 枝里香ちゃんと大ちゃんと呼ばれた透明な鳥の様な羽を持った女の子が仲良さように笑い合っている。

 ほほえましい。

 

「じゃ、次はぼくだね。」

 

「そうだな、土筆(ツクシ)の夢はなんだ?」

 

 今度は土筆と呼ばれた男の子?かな、立ち上がっていた。

 中性的な顔と声、髪はちょっと薄い紫だ。

 ・・・・この子もどこかで見たことある気がする。

 

「ぼくは幻想郷にいる虫について研究することだよ。そして将来は虫博士ってみんなに呼ばれるのが夢なんだ。」

 

「目標が決まっていることはいいことだが、寺子屋に虫は持ち込むなよ。また授業がつぶれかねんぞ。」

 

「土筆だったらなれるよ!だって虫たちからも好かれているもん!僕も応援するよ!」

 

「ありがと、リグル!また一緒に昆虫採取やろうね!」

 

 リグルと呼ばれた子は、部屋なのにマントを付けている。頭には触覚のようなモノもある。

 妖怪かな?性別は、顔と話し方が中性なのでわからない。虫が好きなら男の子かな?

 

「次はわたくしがいきます!」

 

「お、元気があるな津々慈(ツツジ)。いいぞ、お前の夢は何だ?」

 

 土筆くんの次は元気に声を上げた女の子だった。

 特徴的なのは広くでているおでこと、後ろで結んでいる大きなリボンとツインテールだ。

 あれ?本気でこれまで出てきた子供達はどこかで見たことがあるけど・・・まさか、だよね・・・・

 

「はい!わたくしの夢は慧音先生のように立派な先生になって、一緒に授業をやることです!」

 

「・・・嬉しいこと言ってくれるな。」

 

「当然です!」

 

 津々慈ちゃんに慧音先生と呼ばれた女の人は、照れ臭そうに頬を指でかいていた。

 若干、顔が赤くなっている。

 

「ツツジには無理よ!なんてたって、最強のあたいより頭弱いもの!」

 

「なんですってチルノ!あなた、こないだのテストでわたくしに負けたじゃない!」

 

「なにをー!ツツジだってあたいが出した問題とけなかったじゃんか!」

 

「あれは問題といえないわ!何よ、答えは『最強であるあたいが一番』って!」

 

「なんだと頭デッカチツツジ!」

 

「おバカチルノ!」

 

「「ぐぬぬぬぬ・・・」」

 

 津々慈ちゃんと仲良く喧嘩しているのはチルノという名前のようだ。

 青い髪に背中には氷で作られていそうな綺麗な羽がある。・・・氷タイプ?

 

「君たち、落ち着きたまえ!先生が困っているじゃないか!」

 

 2人の睨めっこに入ってきたのは、緑色の髪を持った男の子だった。

 あれ?この声聞いたことがある、絶対ある・・・

 

「だって、チルノが・・・」

「ツツジが・・・」

 

「喧嘩は止めたまえ、皆に迷惑が掛かる。それでは教室の空気がかすんでしまう。そんな所で2人は皆と一緒にいたくないだろう?」

 

「「・・・・うん。」」

 

「分かってくれて嬉しいよ。」

 

 なんか1人だけ非常に大人びている、というより落ち着きすぎている。

 

「ありがとう、典都(デント)。よく2人を止めてくれた。」

 

「いえ、折角これまで築いてきた僕たちの美しくて香しいフレーバーが台無しなっては、勿体ないですから。」

 

「そ、そうか・・・」

 

 先生も心なしか呆れている・・・・

 

「本当によくやるわね、典都。あの2人はあれで仲良いからほっとおけばいいじゃない?」

 

「何を言っているんだいミスティ、僕たちは2人で将来に喫茶店を開こうとした仲じゃないか!冷たいこと言わないで友達なら止めてやろうじゃないか!」

 

 典都くんに話しかけてきたミスティと呼ばれた子は、背中から鳥のような羽を出している。飛行タイプ?

 とてもよく通る声を出している。

 

「なに言ってるの!?私がやっているのは屋・台!あたなは喫・茶!全然違うじゃない!」

 

「何言ってるんだい?お客様を笑顔にするといった素晴らしい共通点があるじゃないか!君の透き通った声はきっとボクが開く喫茶店に似合うはずなんだ!」

 

「だ、だから、なんで私があなたの喫茶店で一緒に働くことが決まっているのよ!」

 

「君となら素晴らしいハーモニーが生まれるはずだ!」

 

「聞きなさいよ!?」

 

「・・・えーと、典都の夢は喫茶店だそうだ。分かったな皆?」

 

 ・・・気にしないふりしてきたけど、間違いない。

 ここにいる子供の何人かはポケモン世界の住人、とくにジムリーダーによく似ている。

 中にはポケモンの世界で実際に会ったことがある人もいたので、間違うはずもない。名前もそのままだし。

 ていうか、デントのような性格の人間が同じ世界に2人もいてたまるか!

 

 この後、しばらく他の子供達と夢が発表されたけど、多いので覚えきれなかった。

 

「チルノ達は人と違って、長く生きていくだろう。その中で人という寿命が短い種族との触れ合いはとても大切なことになるはずだ。私がそうだったように・・・」

 

 生徒の皆は慧音先生の話を真剣に聞いている。本人の実際の経験からなのか、話しに感情がこもっている。

 ボクですら、いつのまにか慧音先生の話に聞き入っていた。

 

「今は分からなくても良い、だがいつか分かる時が必ず来る。それは必ずチルノ達だけでなく、人である君たちの力ともなるはずだ。君たちの関係はきっと、幻想郷の将来にきっと強い輝きとなり、照らしてくれると先生は思っている。」

 

 ・・・なんとなく、言っている意味は分かるボクは、誰かに光を与えるような存在になれているだろうか?

 

「・・・長くなってすまない、これで今日の授業はおしまいだ。今の話は心の中のすみにでも置いといてくれ。・・・・では、号令!」

 

「きりーつ!礼!」

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

 津々慈ちゃんの号令で生徒は一斉に立ち上がり、慧音先生にお礼を言って帰って言った。

 家の手伝いをしたり、遊んだりするみたいで色々皆で話している。

 

「あ、先生、ちょっといいですか?」

 

「ん?どうしたリグル、何か質問か?」

 

 リグルくんが最後に慧音先生と何か話している。授業の質問かな?

 少しして、リグルくんも他の皆の後を追って教室を出て行った。

 

 どうしたものかな。慧音先生は授業の後で疲れているかもしれないから、少し間を開けて来たほうがいいのかな?

  

「・・・隠れてないで出てきたらどうだー?」

 

「!?」

 

 ボクが考えにふけっていると突然に慧音先生が教室からこちらを向き、少し大声で話しかけてきた。

 幻想郷の人には察知能力がデフォで付いているのかな?

 

「そう警戒しないでくれー、リグルから聞いたけどそこの草むらに隠れているのだろー?」

 

 どうやら、さきほどのリグルくんとのやり取りはボクのことだったらしい。

 でも、どうしてボクの居場所がばれたのだろうか?

 

「・・・こっちには危害を加える気はない。授業が終わるまで待っていたことから、君が優しいことは分かる。だから、出て来てくれないか?」

 

 どうやら本当に敵意はないようだ、声もさっきの授業と同じで優しそうな声だ。

 大丈夫そうなので、ボクは大人しく姿を見せることにした。

 

「・・・・タジャ。」(どうも。)

 

「・・・・・・・」

 

 ボクの姿を見た慧音先生は目をおおきく見開いていた。どうやら、とても驚いているみたい。

 なぜ、そこまで驚いたのかボクは分からなかった。

 

「あの子と同じで妖気も感じない、人ならざる姿で大きな葉の尾・・まさか・・・・」

 

 ?小さい声で聞き取れない。何か確認するかのようにブツブツ言ってる。

 何か気に障ったのかな、ちょっと警戒することにした。

 

「!?すまない、警戒させるつもりではなかったんだ。この通りだ、警戒を解いてくれ。」

 

 慧音先生は帽子とって、深く頭を下げてきた。

 そこまでされたら、信用しないわけにはいかない。

 

「・・タジャ。」(いいよ。)

 

「・・・言葉は分からないが、警戒は解いてくれたみたいだな。ありがとう。」

 

「タジャタジャ。」(こっちも悪かったよ。)

 

「・・・ふふ。何かあの子と話しているみたいだ。」

 

 あの子?誰の事をいってるのかな?

 

「・・・?」

 

「ああ、こっちのことだ、気にしないでくれ。・・・すまないが、上がってくれないか?少しお前を出迎えたい。」

 

 突然、家に上がってくるように言われた。普通は行かないけど、何故か行かないといけない気がしたから上がらせて貰うことにした。

 

「タジャ。」(お邪魔します。)

 

 ボクは慧音先生から目を離さず縁側に近づき、石の台でツルで足に付いた土を払い、中に入った。

 

「遠慮しないでくれ、こっちだ。」

 

 慧音先生は先ほどまで使われいた教室の障子を閉め、縁側の奥に歩き始めた。

 案内されたのは、たぶん客間と思われる部屋だった。机と座布団くらいしかない。

 

「御もてなしの前に1つだけ聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 

「タジャタジャ。」(ボクに分かる範囲なら。)

 

 肯定の意味も込めて右手を挙げて頷いた。

 

「ありがとう。聞きたい事というのは・・・・」

 

 慧音先生は客間に案内する途中に他の部屋で取ってきた何かをボクに差し出した。

 

「この絵に描かれている生き物はキミで間違いないか?」

 

「・・・タッ!?」(えっ!?)

 

 ボクは思わず息をのんだ。

 1枚の紙に描かれていたのは、筆で達筆に描かれているポケモンのツタージャの姿だった。

 もちろん、これがボクという保証もないがやっぱり驚いてしまった。

 

「・・・その反応から、キミ自身かは分からないが同じ種族みたいだな。」

 

 慧音先生はもう1枚の紙を取りだし、またボクの目の前に置いた。

 

「なら、この女性は知っているか?」

 

「・・・・・・」

 

 言葉が出てこない。

 もう1枚に描かれていた女の人は、さっきのツタージャと絵の雰囲気が違う感じだけど、見覚えがあった。

 

 長い髪に少し大人びているが、どこかまだ少女を思わせる顔つき。

 目も当時はもっと鋭いイメージがあったけど、この絵に描かれている彼女の目は優しそうだ。

 服装が違うけど間違いないこの人は、ボクがまだタマゴの能力に慣れていない時に会った女の子だ。

 来ている服がボロボロで精神に余裕がなかったあの子だ。

 

「・・・見覚えがあるのか?」

 

「・・・」コク

 

 頷くことしか出来なかった。当たり前のことだ。

 幽香の時にもしかしたら、過去にこの世界に来たかもしれないと言ったが、半分は冗談だったのだ。

 さすがにボクやサトシでも、自力で世界の境界を超えることは出来ない。それこそ、創造神や時空神の力が必要だろう。

 

「なら、妹紅に・・・この絵の女性にタマゴを渡さなかったか?」

 

「・・・タジャ。」(渡した。)

 

 これにも頷きながら返事をした。

 

「そうか。そうか、キミが・・・妹紅を・・・・」

 

 そういうと突然、慧音先生は正座して両手を前に会わせ、深く頭を下げた。土下座だ。

 2人しかいない部屋に静寂が訪れた。まだ、日も高く外では人たちが仕事や家事をやっているはずなのに、この部屋だけ別の空間のようだ。

 いきなりそんな行動されても、ボクは頭が混乱するばかりである。

 

「ありがとう。キミのお蔭で、妹紅は変わることが出来た。」

 

「・・・タジャ?」(どういうこと?)

 

「この女性、妹紅から聞いた話だが、キミと出会う頃の妹紅は荒れていたそうだ。私も理由はそれとなく聞いているから分かっているが、その時の妹紅は周りが敵ばかりだったのだろう。妹紅が人を心から信じえない人間になっていたかもしてない。それは、とても寂しく悲しいことだ。人間に否定される側の気持ちは、私も一応分かっているつもりだ。」

 

「・・・・・」

 

「だが、キミとの出会い。そして、その後にタマゴから生まれた、あの子との出会いが妹紅を変えてくれたそうだ。守るべき者の為に妹紅は必至に生き抜いた。今も頑張っている。そんな妹紅を周りの人達も理解している。あの子は笑顔で日々を過ごしている。これはキミのお蔭なのだ。」

 

「・・・・・」

 

「この話は私が妹紅から聞いて、いつかその恩人にお礼を言いたいと思っていたのだ。だから、言わせてくれ。・・・・妹紅と出会ってくれて、本当にありがとう。」

 

「・・・タジャ。」(そっか。)

 

 慧音先生は一度も頭を上げずにボクに事情を話してくれた。詳しい話はなかったけど、慧音先生がこの女の子、妹紅ちゃんをとても大事に思っていることは分かった。

 妹紅ちゃんの目の前から消えるようにして別れてしまったので、あの後の事が気になっていたのだ。

 どうやら、妹紅ちゃんは笑顔で日々を過ごしているようだ。

 これはボクにとって、とても嬉しい事だった。ボクも誰かの光となって、道しるべとなることが夢でもあったからだ。

 

「タジャタジャ、タージャ。タジャ。」(分かったから、頭を上げてよ。これじゃ話ができない。)

 

「・・・・・・」

 

 ポケモンの言葉が分からないはずなのに、慧音先生は頭を上げた。心が通じたのかな。

 

「タジャ、タジャタジャ。タージャ。」(話を聞けて、ボクも嬉しかった。ありがとう。)

 

 ボクは精一杯、感謝の気持ちを伝える為に笑顔を作って慧音先生に答えた。

 

「・・・そうか、キミも嬉しいのか・・・そっか。そうか・・・私もだ。」

 

 気持ちが通じたようで慧音先生も笑顔になった。

 その顔はとても綺麗な顔だった。

 

「ぜひ、妹紅に会ってくれ。きっと妹紅も嬉しがる。」

 

「タジャ。」(そうする。)

 

 ボクも会いたい。そう思っていた。

 

 ガラガラ

「けいねーー、いるのーーー?」

 

 玄関から扉を開け、慧音先生を呼ぶ声が聞こえた。

 

「・・・クス。噂をしたら何とやらだ。どうやら、神様は嬉しいサプライズを用意してくれたようだ。」

 

 先生の様子からして、声の主が想像できた。

 いやー、まさか。タイミング良すぎじゃないかな?

 

「ああー、客間にいるぞー!妹紅もチャモウもこっちへ来てくれー!会わせたい人がいるんだー!」

 

「・・?なんだか分からないけど、分かったわー!今そっちに行くー!」

 

「ふふ。きっと妹紅は驚くぞ。」

 

 いえ、驚くことになるのはボクも同意するけど、急すぎない?

 ボクはまだ、心の準備できていないよ。

 

 ボクが内心、アワアワしている内に足音が大きくなっていく。そして・・・

 

「どうしたの慧音?何かあった・・の・・・・・」

 

 ドサッ!と音を立て、持っていた駕籠を床に落とすのは、絵に描かれていた女の子、妹紅ちゃんだった。

 あの頃と違って赤いもんぺを着て、白いシャツを着ているが、顔も髪、体つきさえも当時と変わらないことに内心驚いた。

 そして、それと同じくらい驚いていることがある。その元凶は妹紅ちゃんの隣にいる。

 

「チャモ?」(あなた誰?)

※ポケモン同士なので言葉は分かっています。byDes

 

 ポケモン好きな人はこの鳴き声で分かるだろうけど、あえて言うとポケモンのアチャモが首を傾げてそこにいた。

 ボクもルビーではお世話になりました。進化系かっこいいです。可愛いです。

 しかし、ボクはキモリ派だったりする。

 

「どうだ、妹紅?驚いたか?」

 

 慧音先生が正座しながら妹紅ちゃんの方に振り向いて話している。

 

「・・・・・・」フルフル(震)

 

「?おい、どうした妹紅?」

 

「チャモ?」(姉ちゃん?)

 

 1人と1匹は顔を俯かせて、黙って震えている妹紅ちゃんを心配している。

 このパターンの後の展開は予想出来るから、ワザの準備をしておこう。

 

「あ・・あ・・・あ・」

 

「「あ?/チャ?」」

 

「あなた、今まで一体どこにいたのよーーーー!!」

 

「タジャ!」(まもる!)

 

 妹紅ちゃんが大声を出しながら、炎のパンチを繰り出してきた。

 それをボクはポケモンのワザ、『まもる』でガードした。

 以前、数日とはいえ一緒に暮らしたことがあったので、彼女が怒ったら炎を出すことを知っていた。

 

「ぐっ!」

 

「妹紅!?」

「アチャッ!?」

 

 2人?はそんなボクたちのやり取りに驚いている。

 妹紅ちゃんは拳を痛めたと思うけど、彼女の能力からして大丈夫なはずだ。

 まもるの障壁が消え、妹紅ちゃんは唖然とする外野を気にせずにボクを両手で掴んで持ち上げた。

 

「どれだけ・・どれだけ、私が探したと思っているの・・・」

 

 消えそうになる声を辛うじて、絞り出したようだ。

 ボクはそんな妹紅ちゃんを黙って見守ることしか出来ない。

 え?最初から見守れ?だってアレ、炎タイプのワザに匹敵するもん。痛いし、ひんしになるよ。

 

「も、妹紅、い、怒るのも当然だが、ここは落ち着いて話を・・・!?」

 

 妹紅ちゃんを宥めようと立ち上がった先生だったけど、妹紅ちゃんの顔を見て再び固まった。

 アチャモも今まで見たことない相棒の顔と唖然としたままになっている。

 

「お礼くらい、言わせて、消えなさいよぉ・・・ばかぁ・・・・」

 

 妹紅ちゃんは目に大粒の涙をためて、泣くのを我慢していた。

 ボクはあの時みたいに、ツルで妹紅ちゃんの頭を撫でた。

 

「・・・タジャ。」(大丈夫だよ。)

 

「っ!?」

 

 その後しばらく妹紅ちゃんは大きな声をだして泣き出した。

 それは、妹紅ちゃんと初めて会った時と同じくらい大きな声で・・・

 




あるぇー?おかしいぞぉー?
ほのぼの日常を書くつもりが、なんだかシリアス展開になっている?

ま、まあ、気にせず後書き行きます。

ついに幽香以来の東方キャラ登場となります。
そして、クサナギいがいのポケモンも登場となりました!
いやー長かったきがするぅー!

そんなわけで、ここでキャラについて説明と補足になります。
一応、あとの登場人物紹介02で詳細を書こうとおもっていますので、ざっくりいきます。

まず、モブ生徒ですがこれに説明はいりませんね。
ポケモン好きなら知っている各地方のジムリーダーの名前に漢字を適当に当てています。あなたの好きなジムリーダーはいたでしょうか?
自分はカミツレとナタネが好きです。

ちなみにメディスンですが、チルノ達との遊びの後に九十九ガールと行動を共にしています。決して、忘れていたわけではありませんよ?

そして、妹紅と慧音についてです。
慧音は身長は高く設定します。むしろ、作者が書くお姉さんキャラは総じて背が高いと覚悟してください。胸はもちろん、牛並?といきませんが大きいです。
妹紅はちょっとひねって、身長を慧音より低くしています。昔の人だから、身長低くてもイケる!と思い、実行しました。

2人の身長差のイラスト描きたい(遠い目)

最後にアチャモについてです!
これが自分的に悩みに悩んだ結果となります。
妹紅の手持ちとしては、ヤヤコマと最後まで脳内バトルしていました。
でも、妹紅と一緒にタケノコ堀できると思い、アチャモに決定しました。

アンケートで実施していた他の手持ちですが、輝夜以外決まっています。

以上がざっくりしたキャラ説明と補足でした。

これから、イラストと並行して頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いします。

では、また次回!



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第6話 妹紅との再会、ポケモン説明

こんにちは、Desデス。

リアルが忙しくて、イラストも満足に上達しないこの頃です。

前回のあらすじ

人里の寺子屋で過去に出会ったことがある少女、妹紅との再会を果たしたクサナギ。
そんな妹紅は、なつかしさや嬉しさのあまりに、泣き出してしまう。

そして、なんとこの世界に自分以外のポケモンと出会うことも出来た。
そのポケモンはアチャモだった。

では、本編へどうぞ。



 あれから、泣き出した妹紅ちゃんをボク達3人は頑張って励まし、少しして妹紅ちゃんは泣き止んだ。

 泣き止んだ妹紅ちゃんだけど、今度は泣き出した事に恥ずかしがって顔を赤くしている。

 ボクは、先生と妹紅ちゃん、アチャモと向かい合って座っていた。

 

「・・・・・」

 

「妹紅、別に泣き出したことは私達は気にしないから、話を進めよう、な?」

 

「チャモ(そうだよ)。」

 

「・・・わかったわよ。」

 

 妹紅ちゃんはまだ少し目が赤いけど、話を進めようと頑張っている。

 

「・・・で、いつまでそんな姿をしてるの、不便だから人型になったらどうなの?」

 

「え?どういうことだ?」

 

「チャ?」

 

 そうだった。妹紅ちゃんはボクが人間の姿に慣れることを過去の出来事のせいで知っている。

 先生も良い人そうだし、なにより話がスムーズに進むのでその意見には賛成だ。

 

「・・・・・・」パアァ

 

「な!なんだ!?」

 

「アチャッ!?」

 

 突然光り出すボクに先生とアチャモは驚いていた。

 妹紅ちゃんは少し嬉しそうな顔をしている。

 

「これは!?」

 

 光が治まって、人間の姿で出てきたボクに先生はさっきより驚きを隠せないでいた。

 アチャモは口を開いたまま固まっていた。

 

「これでいい?」

 

「最初からそうしなさいよ。あの小さいままじゃ、言葉も交わせないじゃない。」

 

「一応、知らない土地だから警戒してた。でも、妹紅ちゃんに出会ってその心配もないと思ったよ。」

 

「ちゃっ!?ちゃん付けは無しって前にも言ったわよね!」

 

「いいじゃない、ボクの方が年上(精神年齢)なんだよ?」

 

「何年前の話よ!今じゃ絶対、私の方が年上よ!」

 

「・・・それでも、ボクにとっては妹紅ちゃんはあの時のままだよ。」

 

「!?っ~~~~~!!」

 

 おお、まだ顔が赤くなる。そのうち火でも出せるかも?

 

「あ~、2人で盛り上がっているところ悪いけど、話を進めて構わないか?」

 

「え、ええ、いいわよ。そうしましょう。改めて、自己紹介でもしない?」

 

 先生からの助け舟もあり、妹紅ちゃんは早く話の方向を変えていく。

 

「そうだな。まだ自己紹介もしてなかったな。では改めて、私は上白沢 慧音と言ってこの人里で教師をしている。よろしく頼む。」

 

「・・・藤原 妹紅、まだ苗字まで名乗ってなかったわね。こっちはあなたが渡したタマゴから孵った動物で、名前はチャモウって呼んでいるわ。」

 

「チャモ、チャモチャモ(よろしく、話しは姉ちゃんから聞いているよ)!」

 

 3人が改めて自己紹介をしてきた。そういえば、妹紅ちゃんは苗字を名乗っていなかった。

 藤原・・・歴史の勉強で出てくる名前だけど、関係でもあるのかな?

 

「ボクは、天籟 クサナギと言います。呼びにくいなら、ナギって呼んでいいから、よろしく。」

 

「ああ、よろしくお願いするよナギ。」

 

「そういえば、私も名前は知らなかったわね・・・よろしく、ナギ。」

 

「アチャ!」

 

 どうやら仲良く出来そうなので、安心した。

 普通は人間の姿になることに驚いて、話しどころじゃないのだ。

 

「しかし、ビックリしたぞ。妹紅から人間になれるとは聞いてなかったからな。でも、ここは妖獣が人型にもなるからな、こっちとしてはありがたい。」

 

 なるほど、あまり戸惑っていないのはそんな理由があったからなのか。

 

「こっちも驚いた。まさか、妹紅ちゃんがアチャモを手持ちとしているとは思わなかった。」

 

「アチャモ?」

 

「妹紅ちゃんの隣に座っている、その赤いヒヨコみたいな鳥だよ。」

 

 先生と妹紅ちゃんは、座って顔を傾げているアチャモを見た。

 

「へえ、こいつアチャモって言うのか・・・・チャモウと少し惜しかった・・・・」

 

「そうだな。この子がどんな生物か結局わからないまま、過ごしてきたからな。」

 

「チャモ~(そうなんだ)・・・」

 

 アチャモまで納得してるってことは、自分がポケモンって知らないのかな?

 

「・・・やっぱりチャモウとナギって同じ仲間の動物ってことでいいの?」

 

 どうやら、妹紅ちゃんはとても気になっているみたいだ。

 

「うん。大きなカテゴリーで言えば同じ分類になるけど、細かく言えば種族なんかは違う。」

 

「そうなの・・・ねえ、この子やあなたについて教えてくれない?」

 

「それは私も賛成だ。動物にしてもあまりにも特殊で妖怪としては妖気が全然ないからな。どんな生物か前々から気になっていたんだ。」

 

「チャモー、チャモー!(教えてー、教えてー!)」

 

 3人ともポケモンがどんな生き物か知りたがっているようだ。

 妹紅ちゃんは当たり前か。ボクに知り合ったのだから、気になっていたのだろう。

 先生は知的好奇心なのか、顔が輝いている。

 アチャモは、やっと自分がどんな生き物なのか知れて嬉しそう。

 

「・・・うん、いいよ。全部話すと長くなるから、大雑把になるべく分かるようにするね。」

 

 3人は同時に頷き、ボクの説明を待っている。なんか、こそばゆい。

 それに、ポケモンを知らない人に魅力を説明するみたいでボクも楽しい。

 

「えーと、ポケモンっていうのは、ボクやそこのアチャm、チャモウがいた世界にいる不思議な生き物のことで、ポケットモンスターの略だよ。」

 

「ポケット?ポケットとはあのズボンなんかに付いているあの?」

 

「そう。」

 

「モンスターは分かるけど、なんでポケットって名前がついているの?」

 

「え~とね、それは・・・・」ゴソゴソ

 

 ポケモンの名前の由来を説明する為にボクはバックからある物を取り出した。

 

「これが名前の由来。」

 

「これは、小さな・・・ボール?」

 

「チャモ?」

 

「そう、でもただのボールじゃなくて、モンスターボールって言うよ。ここのボタンを押すと・・・」

 

 ボクは小さくなったモンスターボールのボタンを押し、手のひら大に拡大する。

 

「おお!?大きくなった!」

 

「このモンスターボールはどんな大きなポケモンだろうと、この中に入れることが出来る。だから、ポケットモンスター。」

 

「封印、みたいなものか?」

 

「すごいわね。」

 

「チャモ~(すごーい)。」

 

 おお、やっぱりポケモン世界の化学の力はどこでもすごいみたいだ。

 

「入れるっということは、ポケモンを捕まえる事が出来るということでいいのか?」

 

「そう。そうやってポケモンをゲットしてパートナーとしている人をポケモントレーナーって言うの。トレーナーはポケモンと一緒に旅に出て、いろんな地方に行って、いろんな経験をするんだ。」

 

「すごいな・・・しかし、ポケモンは人のいう事を聞くのか?襲ってきたりしないのか?」

 

「もちろん、ポケモンだって普通に生きているから人間を襲うこともある。でも、ポケモンとトレーナー達は深めた絆で困難を乗り越えていくんだ。」

 

「トレーナーとパートナー・・・絆・・・・」

 

「チャモ?」

 

 妹紅ちゃんがチャモウを見ながら、何かつぶやいた。

 

「ポケモンも黙って人に従うわけでないよ。この人にならついてっていいなあ、と思わないと自分から捕まりにいかないし、人についていくことでポケモンたちにも色んなメリットだってある。」

 

「具体的には?」

 

「え~と・・まずは世界を見たい、かな。ポケモンは色んな地方にいるっていったけど、地方によっていない種類だっているんだ。だから、自分たちが知らない地方に行きたいっていうポケモンは多いの。」

 

「チャモウもそうなの?」

 

「チャモウはちょっと特別なんだ。それは後で教える。」

 

「チャ?(特別?)」

 

「うん。・・・で、次に多いのが自分を鍛えたいとか、高めたい、力を試したい、かな?」

 

「自分の力を試したい?どうやってそれを確かめるんだ?」

 

 先生だけでなく妹紅ちゃんやチャモウもちょっと想像できない、という顔をしている。

 チャモウが知らないのは無理もないかな?なんせ、ポケモン世界とは無縁な世界で暮らしてきたから。

 

「これは多くの人がトレーナーに憧れる理由にもなっていて、ポケモンバトルが一般的にポケモンの力を示すことなんだ。」

 

「バトル・・・戦闘なの?自分のパートナーを戦わせるの?」

 

「・・・妹紅ちゃんが何を言いたいのかは、なんとなくわかる。でも、ポケモンとトレーナーから生まれる絆やバトルでの相手との駆け引きやどんでん返し。それは人だけでなく、ポケモンだって憧れるほどの熱い何かを持っている。これは実際に体験しないと分からないと思う。」

 

「熱い、何か・・・」

「チャモ・・・」

 

「それに、バトルだけが手段じゃないよ。ポケモンのファッション、人を魅了する動きをするコンテストでポケモンの素晴らしさを表現できる。それはトレーナーによって違うよ。」

 

「・・・それを聞くと、ポケモンと人間の関係は、ここでいう妖怪と人間の関係に少し似ているように聞こえるな。バトルは人の代わりにポケモン同士で行う弾幕ごっこのようだ。」

 

「これがポケモンと人の大まかな関係かな。」

 

 もっと細かく言えば、ブリーダー、ドクター、博士と言った職業もある。それを全部説明するのは大変なので、その辺は省いている。

 

「関係性は何となく理解した。なら、ポケモンと人はどのぐらい前から共存していたのだ?歴史を教える身としては、そこが気になる。」

 

 先生らしい質問がきた。

 でも、これは結構難しい。

 

「う~ん・・・今までの研究でポケモンと人は大昔から協力し合っていたみたいなことは分かっているだ。遺跡なんかに壁画が残っているし、大昔のポケモンの化石も見つかっているよ。」

 

「い、遺跡!?ゴクっ・・・それは、見てみたいものだな。」

 

 あれ?今一瞬だけ、先生がちょっと危ない人になった。遺跡マニアのお仲間さんかな?

 

「化石があるってことは、昔にどれだけポケモンがいたのかも分かるの?」

 

「ううん、そう簡単にはいかないのはどの世界も同じなんだ。化石といっても、たぶん今分かっているポケモンの数からして、ほんの一部かもしれないからね。見つかっていない化石だってあるだろうし・・・」

 

「今分かっている数ってどのくいらい?」

 

 えーと、ゲームでXYの時点で確か・・・・

 

「大体700体くらいのポケモンが確認されいるよ。」

 

「700っ!?多っ!」

「アチャっ!?(そんなにいるの!?)」

 

 びっくりするよね。最初は151匹って言われてたけど、アニメ初期でホウオウが出てきたし。

 そろそろ、アチャモについて教えてもいいかな。

 ボクはバックからポケモン図鑑を取り出した。

 

「?それはなんだ?」

 

「これはポケモン図鑑っていう機械だよ。」

 

「図鑑?変な形してるわね。」

 

 最初はそんな反応だよね。アニメじゃ、新しい地方に行くたびに変わる図鑑の形に想像を膨らませたなあ。

 ちなみに、この図鑑はゲームのX・Yのタブレット型である。

 

「で、これをチャモウに向けると・・・」

 

『アチャモ、ひよこポケモン。ホウエン地方で新人トレーナーが貰う、3匹の最初のポケモンの1匹でほのおタイプ。体内に炎を溜める箇所があり、抱きしめるとポカポカして暖かい。吐き出す炎は摂氏1000度。』

 

「うわっ!?突然しゃべりだした!」

「チャモッ!?」

 

「・・・なるほど、これは確かに図鑑だな。」

 

 3人とも驚きもしたけど、図鑑に表示されたアチャモの姿や文字に釘付けだ。

 

「確かに、抱きしめると暖かいのよね~、チャモウ。」

「チャモ~♪」

 

 妹紅ちゃんがチャモウを抱きしめて確かめている。チャモウもとても嬉しそうだ。

 

「最初の3匹とあったが、これがチャモウが少し特別と言った理由か?」

 

「そう、ポケモントレーナーとなる新人は最初に3匹のポケモンから好きなポケモンを選んでパートナーにするんだ。アチャモはある地方の最初の3匹の1体なんだ。」

 

「なるほど。確かに少し違うわね。」

 

「チャモチャモー(おー、わたしってすごいのねー)。」

 

 チャモウ、キミはもっと驚くなり、喜んだりしなさい。

 

「では、ほのおタイプというのは?属性みたいなものか?」

 

「その考えで間違っていないよ。ポケモンは18種類のどれかの属性、タイプを持っている。多くて2つまでタイプを持つポケモンもいる。そして、ポケモンは自分のタイプのワザを中心に覚えることができるよ。」

 

「あ~、だからチャモウは火ばっかり出していたのね。」

「アチャ~(そうなんだ~)。」

 

「なら、タイプの相性なんかもあるのか?チャモウは水の攻撃に弱かった気がするが・・・」

 

 何だ、こっちでもタイプの相性は健在なのか。これは良いことを聞いた。

 

「そうだよ。例として、ほのおタイプはみずタイプのポケモンとワザに弱いとか、タイプによって苦手なタイプの数も違う。この辺は数もあるから、あとで時間があるときに教えるね。ちなみに自分のタイプ以外のワザを覚えることも出来るから、戦力の幅はとても広い。」

 

「ええ、お願いするわ。チャモウに無茶はさせられないわ。」

「チャモ~(姉ちゃ~ん)。」

 

 2人はとてもいいコンビに見える。これは、ボクが何か口出ししないほうが良さそう。

 

「これで、ポケモンについては大まかに説明したけど、分かった?」

 

「ああ、妖怪と少し違って人に懐きやすい生き物って感じか。」

 

「これからの参考にするわ、ありがとうナギ。」

「チャモー。」

 

 3人に少しでもポケモンの魅力が伝わったのなら、ボクも嬉しい。

 

『なるほど、やっぱり竹林の案内人が持っていたのはポケモンだったのね。』

 

「!?なんだ!いきなりナギから妖気がっ!?」

 

「それにこの声は!?」

「チャモ?(妖気?)」

 

 突然のこ部屋にいない筈の声が聞こえ、先生と妹紅ちゃんは警戒の体制をとった。

 ボクとチャモウは分からず、首を傾げていた。

 でも、あれ?この声って・・・

 

「幽香?」

 

『そうよ、幽香よ。ごめんなさいね話に割って出て。』

 

「別にいいけど、ドコから声がしてるの?」

 

『あなたにあげた花を通じて話しているのよ。』

 

「おお、そうなんだ、すごい。」

 

『花の妖怪である私だから出来ることよ。案内人のポケモンの話が出ていたから、聞いていたのよ。』

 

「あっ、そうか。幽香には後から報告するつもりだったよ。ごめん・・・」

 

『いえ、いいのよ。私も今聞けたからナギが謝る必要はないわ。』

 

「・・・ありがとう、幽香。」

 

『どういたしまして。』

 

「ちょ、ちょっといいか?」

 

 ボクと幽香が話していると、先生が恐る恐る、聞いてきた。

 

『・・・何かしら、いきなり私とナギの話に割り込んで。』

 

 どっちかというと、割り込んだのは幽香じゃないかな?

 

「す、すまない。だが、お前はあの風見幽香なのか?」

 

『どの私かしらないけど、貴方達が知っている幽香でいいと思うわ。』

 

「な、なんでアンタとナギが知り合いなのよ!」

 

『なんでって・・・ナギがこの世界で最初にあったのが私なだけよ。』

 

「なっ!?」

 

 幽香が何か得意げに話している。

 妹紅ちゃんはなんだかショックを受けたみたいに固まった。

 

『それに、ナギと一緒に食事もしたわ。』

 

「食事!?そ、それなら、わたしだって、前にナギと一緒に暮らしたことがあるわ!」

 

『・・なんですって?』

 

「聞こえなかったの?一緒よ、いっしょっ! 同じ屋根の下で数日過ごしたわ。」

 

 あれ?何か雲行きが怪しくなってる?

 それに妹紅ちゃん、あれは屋根といか洞窟だった気が・・・

 

『ふ、ふん、それがどうしたっていうの?ナギは私の手料理を美味しそうに食べてくれたわ。』

 

「手料理!?こっちだってナギの用意した食事を食べたことがあるわ!」

 

『私はナギが作ってくれたお菓子を食べたわよ!』

 

「こっちだって!」

『私だって!』

 

 なんだろう、幽香がいない筈なのに妹紅ちゃんとの間に火花が見える、不思議。

 

「しかし、びっくりしたぞ。あの幽香がこんなに入れ込んでいたとは。」

 

 妹紅ちゃんと幽香の続いている言い合いをよそに先生が話してきた。

 

「・・・冷静ですね。」

 

「なぜ敬語になった。いや、輝夜と妹紅のやり取りがこれに見てるから慣れただけだ。」

 

「輝夜?」

 

「チャモチャモ!(姉ちゃんの友達だよ!)」

 

「よかった、友達が他にもいるのか・・・。幽香はボクがくさタイプだから親近感でも湧いていると思うよ?」

 

「ああ、タイプが草なのかナギは。」

 

「待ってね・・・・ほら。」

 

 再びポケモン図鑑の登場である。

 

『ツタージャ、くさへびポケモン。イッシュ地方で新人トレーナーが貰う、3匹の最初のポケモンの1匹でくさタイプ。手よりツルを動かす方が得意。しっぽの葉っぱで太陽の光を浴びて光合成をおこなう。』

 

「なるほどな。それならあの幽香が入れ込みのも分かる。ナギもチャモウと同じで3匹のポケモンの1体だったんだな。」

 

「チャモ♪(仲間♪)」

 

「そうだね、仲間。それでこの言い合いをどうする?」

 

 幽香と妹紅ちゃんの言い合いは勢いを失わずに、まだ続いていた。

 

「これは自然に治まるのを待った方がいいんだ。私はその間にお茶とお茶請けの用意でもしてこよう。チャモウ、火を起こすのを手伝ってくれ。」

 

「チャモ~(は~い。)」

 

「・・・ボクは?」

 

「ナギはそこから動く訳にもいかないだろ?悪いが、きりがいい所で話を止めておいてくれ。」

 

 先生はそう言うと、立ち上がりチャモウと一緒に部屋を出て行った。

 止めてと言われても・・・

 

「ナギは結構、体温高いのよ!」

『抱き心地も最高よ!』

 

 ボクの事で言い合っているから、微妙に恥ずかしくて止める気になれないのですが・・・・

 

 この後、この言い争いは先生とチャモウが帰って来ても続いており、お茶を飲みながら待っていたらいつの間にか、幽香と妹紅ちゃんが何気に仲良くなっていた。

 

 




お疲れ様でした!

今回はポケモンについての説明会でした。
全部書くと長くなるし、つまんないと思うもで、後で少しずつ残りを説明はしていきます。
自分なりに分かりやすくしたつもりですが、どうでしたか?

幽香にポケモンの説明をしていなかったことに気づき、急遽ここで登場させました。
妹紅とのクサナギ言い合いバトルで面白く感じてくれれば幸いです。

ここで補足です。
幽香がナギに渡した花ですが、幽香とパスが繋がっており、そこから妖気をはなって、雑魚を威嚇していました。
でも、人里でそこまでの妖気を出すとナギが危険になると思い、最低限の繋がりだけを残していたから、人里の住人は気づかなかったということです。

他のポケモンの出番はまだ遠そうなので、ちょっと番外でそっちの日常でも書いてみたいと思っていますので、お楽しみに!

では、また次回あいましょう!


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第7話 幻想郷2日目の夜、クサナギの夢

こんにちわ、Desデス。

特に前書きで書くこともないので、さっそく。

前回のあらすじ

幻想郷の住人に初めてポケモンといった種族の説明をしたクサナギ。
驚きながらも、それを寛容に受け止めてくれた慧音と妹紅。

話の途中でナギが心配で盗み聞きしていた幽香が乱入。
妹紅と幽香が言い合いをする中でクサナギはこれからのことを考えるのであった。

では、本編へどうぞ!


 幽香と妹紅ちゃんの言い合いが終わると、幽香はすぐ引き上げていった。ボクの事を気にしての行動だそうだ。

 別れ際に妹紅ちゃんに、

 

「中々、有意義な時間だったわ。今度、お茶でも飲みながらお互いの情報を交換しましょう。」

 

 と言って花からの通信を切った。

 何の情報かは傍で聞いていたから分かるけど、本人目の前で言うのは止めて欲しい。妙に恥ずかしかった。

 

 しばらくして、先生とチャモウが用意してくれたお茶とお茶請けで話し込んだ。

 幻想郷に来たときの状況、妹紅ちゃんの今の身の上話、結構盛り上がった。

 

「・・・おっと、そろそろ夕食の準備をしないといけないな。」

 

 突然、先生が立ち上がり、外を見た。

 つられてボクも家の外を見ると、明るかった空が少し夕日に染まり始めていた。どうやら、話しに夢中になっていたようだ。

 

「いつも通りに手伝うわよ、慧音。」

「チャモッ!」

 

「ああ、いつもありがとう。今日は妹紅が持ってきたタケノコを使って料理をしよう。」

 

「いいのよ、たまに泊めてくれるからお相子でしょう。・・・で、ナギは、その・・どうするの?」

 

「まだ話もしたいからな、ここで食べていかないか?なんなら、泊まってもいいぞ?」

 

 幽香も同じだったけど、幻想郷の住人は皆そろって優しいようだ。もちろん、断る理由もないので。

 

「・・・うん、ご馳走になります。」

 

 ご相伴にあずかることにした。

 

「・・・・。」パアァァ

 

 何か妹紅ちゃんの顔が輝いているように見える。とても嬉しそうに部屋を出て行った。

 

「フフ、妹紅のヤツめ、あんなに嬉しそうにして・・・」

「チャモ~(かわいいよね~)。」

 

 どうやら見間違いではなかったようだ。

 

 

 夕食はタケノコご飯にタケノコの刺身、味噌汁、サラダだった。なんか田舎のおばあちゃんを思い出した。

 準備中ボクは、お客様に手伝わせるわけにいかない、との理由で部屋に残された。たまに妹紅ちゃんの大きな声と先生とチャモウが笑っている声が聞こえてくる。盛り上がっていた。

 

 食事中でも話題は尽きず、ポケモン世界の食べ物について話した。肉以外はこっちの世界と大差はなく、肉の代わりに同じ栄養価がある人工肉が普通と言うと、とても驚かれた。

 チャモウの食事はタケノコご飯に昨日の残り物を混ぜた物だった。ポケモンは基本、人と同じ食事でも問題ない。ポケモンフードはポケモンの健康や毛並などを考慮された物だ。

 当然ボクは2人と同じメニューだったけど、量を小さくしてもらった。

 

 そんなこんなで夕食も終わり、妹紅ちゃんとチャモウ、先生がお風呂に入り、再び部屋で雑談をすることになった。

 入浴後の二人の服装はパジャマではなく浴衣だった。セクシーです。

 ボクはツタージャに戻って、濡れタオルで体をツルで器用に拭いた。これでも汚れは落ちるのだ。後は明日にでも川で水浴びでもすればいい。

 

「・・・ナギも一緒に入ればいいのに。」

 

 食事のときのご機嫌はドコに行ったのか、少し不機嫌な顔で妹紅ちゃんは呟いた。

 風呂上りなので、ほんのり紅くなった体や石鹸の匂いが色っぽさを引き立てる。

 まあ、今のボクはポケモンなので、あまり邪な気持ちを持てない。残念のような、ありがたいような・・・

 

「勘弁・・・。ボクの性別はオス、つまり男。そこは譲れない。」

 

 元とはいえ、人間の時も同じ男だったのだ。そこはポケモンになってもしっかりと区別している。

 前にジムリーダーのナタネさんに無理矢理、一緒にお風呂に入られそうになったのが軽くトラウマにもなっていたりする。

 ちなみに、チャモウはメスだった。お風呂も熱湯を軽く浴びせられて汚れを取り、手ぬぐいでしっかり水気を取り、竹の櫛で綺麗に整われたそうだ。気持ちよさそうに、ホッコリした顔をしている。

 

「そこは仕方ないと諦めろ、妹紅。ナギにも男のプライドがあるのだろう。」

 

「む~・・・」

 

 先生、ナイスフォローです。b

 

「まったく・・・。で、さっきの夕食で聞いたが、幻想郷にいる妖怪や神を教えて欲しいとのことだったな。」

 

「そう。情報はとても大事だから。」

 

 ポケモン世界での旅もそうだったが、情報はとても重要になる。

 ボクに戦う気がなくても、こちらの世界の住人は分からない。もし戦闘になった場合、やり過ごせるかは事前に持っている情報にかかっている。

 幻想郷での重要な施設や場所は、幽香から永遠亭と紅魔館、人里しか聞かされていなかったので、その知識もここあたりでしっかりと知っておきたい。

 

「幻想郷にいる妖怪などは私より適任者がいるから、そっちを頼ると良いだろう。」

 

「もしかして、阿求に頼むの?」

 

「ああ、あそこの資料と阿求の話で注意しておくべき対象だけを絞れる。無理にすべての妖怪の知識を頭に叩き込むより効果的なはずだ。」

 

 どうやら先生には心当たりがいるみたいだ。

 

「阿求?」

 

「ああ、稗田阿求と言って、昔からある由緒正しい稗田という家に生まれた子でな、幻想郷、こと人里においては1番の情報量を持っている。」

 

 図書館のようなモノかな?

 

「阿求、というより稗田の人間は少し特別な人間でな。しかし、容姿は普通の女の子と変わらなく、とてもいい子だ。編集に忙しくなければ、快く迎えてくれるはずだ。」

 

「しかも、ナギは幻想郷では今まで存在しなかったポケモンといった種族、絶対興味をもたれるわね。」

 

 何か妹紅ちゃんの目が同情、というより慈愛の目でボクを見ている。なぜ?

 

「確かに、阿求に興味を持たれると下手な天狗より厄介だからな。」

 

 先生もなに笑っているんですか?

 

「アチャ~(ひどいめにあった~)」

 

 具体的に教えてくれないかな?

 

「まあ、心配しなくてもそこまで悪いことにならない筈だ。」

 

 ・・・その言葉を信じることにしよう。

 

「・・・で、ナギはこれからどうするの?」

 

「どうするって?」

 

「これからの予定よ。その・・・元の世界に帰りたい、とか・・」

 

 妹紅ちゃんは少し顔を俯かせた。なるほど。

 

「・・・確かに前の世界に心残りが無いという訳じゃないけど、それは仕方ないことだし今は幻想郷で暮らし行くことを考えるつもり。」

 

 せめてオーキド博士には、ボクが無事だと伝えたいけど、現状では難しいだろう。あと、ついでにダイゴさんにも連絡しても良いかも。

 

「!そ、そうなの、よかった~・・・・」

 

 胸に手を置き、大きく意思を吐いて心底安心した顔をしている。

 ちょうどいいので、今考えているボクの目標を2人に話しておこう。

 

「ボクの幻想郷での目的はいくつかあるけど、まずはこの世界にいるポケモンに会う事を第1目標とする。」

 

「幻想郷にいるポケモン、というとチャモウと輝夜殿の所にいるピンクの奴か?」

 

「ああ、あいつに似合わない可愛いあの子ね。」

「チャモ(友達)!」

 

 なんか妹紅ちゃんが悪友のことを思い出すような顔をしている。

 でも、ピンクのポケモンか・・・色からしてフェアリータイプかな?

 

「それだけじゃないかもしれない。もう2匹いるかもしれない。」

 

「え?他にもいるの?」

 

「しかし、そんな話も聞いたことないしな。」

 

「幽香の話だと紅魔館っていう館にいる見たい。」

 

「「紅魔館!?」」

 

 おおう。2人が驚いて大声を出している。

 隣にいたチャモウも大変ビックリしているよ。

 

「そう、そこの吸血鬼さんの妹さんがポケモンを持っているかもしれないって幽香から聞いた。」

 

「風見幽香から・・。ああ、そういえば幻想郷の事は彼女から聞いたと言っていたな。だが、あの問題児か・・・。」

 

「よりにもよって、あの吸血鬼の館ね・・・。妹なのがせめての救いかしら。」

 

 あれ?幽香の時もそうだったけど、吸血鬼の人?の評判は悪いみたいだ。妹の方は問題なさそうだけど。

 

「門番の人も、もしかしたらポケモンを持っているかもしてないって。でも、幻想郷に来て日が浅いボクの事を考えて、最初は迷いの竹林を勧めてくれた。」

 

「良い判断だ。そこまでナギを気にかけているとは、益々私達が知っている普段の彼女とはかけ離れているな。」

 

「そう?話してみたけど、いい奴だったわよ?」

 

「・・・ナギを通して、かなり友好的になったな。」

 

 なんだかこのままだと、話しが脱線したままになりそうなので話を戻すことにした。

 

「第2目標として、ボクが木の実栽培が出来るくらいの土地を見つけること。そして、木の実から作った商品で商売すること。」

 

「木の実栽培?」

 

「疑問に思うのも分かる。でも、前の世界では栽培した木の実で作ったお菓子を町で売っていた。」

 

 旅の旅費を稼ぐのもあったけど、一番の目的として地域の人やポケモンとの交流が主だった。

 他人とのつながりはどこで役に立つか分からないのだ。

 

「そういえば所持金はどのくらいなんだ?それに、前の世界の通貨が使えるのか?」

 

「通貨は円で、紙幣や硬貨はこれだけど・・・」ゴソゴソ

 

 ボクはバックから所持金のいくらかを出して2人に見せた。

 

「・・・見たところ、幻想郷で普及されている通貨と変わらないな。」

 

「そうね。でも、幻想郷ではその硬化は全て紙幣に変換されるわね。」

 

「ああ、外の硬化が人里の技術や材料のせいで作ることが出来ないからな。しかし、紙幣に変換されても価値はそのままだから大丈夫だろう。」

 

「ええ。ナギ、所持金の合計はいくらなのかしら?」

 

 ・・・正直に言ってもいいのかな?

 

「え~と・・・その・・・・100万は余裕で越してる・・。」

 

「「100っ!?」」

 

 はい、驚きますよね。でも本当なのです。

 ボクの持ち物は基本、いままでプレイしてきたポケモンのゲームで手に入れた物ばかりだ。それはお金も同じだった。

 皆さんの特に好きで入れ込んだポケモンのゲームの所持金はいくらだろうか?

 前にも言ったかもしれないけど、ボクはリメイクされた赤・緑以外はプレイしているのだ。そりゃあ、合計金額も100万は余裕で超える。正直、100万からは怖くて数えていない。

(※リアルで2番目に入れ込んだXなんか、70万超えてました。1番入れ込んだブラック1,2は・・・言わなくても分かるね?by Des)

 

「そ、それなら別に商売を始めなくても大丈夫ではないか?」

 

 いち早く立ち直った先生が当然に思うことを聞いてくる。でも、

 

「ううん。これは確かにボクのお金だけど、ボクの意思で集めたわけでもないから、なるべく使いたくない。だから、最初は最低限だけそこから使って、後からは商売で稼いだお金しか使ってない。」

 

 悲しきかな、人間の時に社会人だった頃の性・・・。

 

「・・そうか、人でない身でしっかりと人の社会に溶け込んでいたのだな。」

 

 あれ?先生なにか勘違いしていない?確かに商売はしていたけど、別に社会に貢献していなかったんだけど・・・。

 先生の目が何か眩しい物を見る時のように細めて、慈愛に満ちていた。

 

「・・・ナギ。」

 

 妹紅ちゃんの方は逆で、気迫満々で顔を近づけてきた。正直怖い。

 

「な、なに?」

 

「いい、絶対、ぜーーーーーったいに、魔理沙と霊夢という名前の女の子達の目の前でその金額を言っては駄目よ。」

 

「な、なんで?」

 

「なんでもよ!いいわね!絶対よ!」

 

「わ、分かった。」

 

 怖い、怖いよ妹紅ちゃん。チャモウなんか部屋の隅で震えているよ。

 

「そこまで言わなくてもいい・・・いや、そうだな。ナギよ、妹紅の言うとおりにその2人の少女の前ではお金や貴重な道具の話は止めておけ。」

 

「う、うん。」

 

 先生までに言われると、その魔理沙と霊夢という女の子がどんな子たちか気になってしまう。

 

「と、また話しが脱線したが、商売はさっき言った木の実で作ったお菓子でいいのか?どんなものだ?」

 

「そう。前は町の路上で売っていて、結構評判よかった。種類は洋菓子みたいな物かな。」

 

「へえ~、食べて見たいわね。」

「チャモ~(食べた~い)!」

 

「・・・ごめんけど、前日に幽香と食べたのが最後だからまた今度でいい?」

 

「ええ~・・・。でも、仕方ないか。約束よ、今度は私達に最初に食べさせてね?」

 

「良いよ。」

 

 断る理由もない。

 

「おっし!言質とった!」

「チャモ~(わ~い)。」

 

 今の木の実の数ではお菓子を作れそうもないので、木の実を新しく栽培しないといけない。

 実はゲームの時で使ってた木の実プランターは便利だけど、少々問題もあるのだ。それはまたの機会に説明しよう。

 

「ならいっその事、ここでは店を持ったらどうだ?」

 

「・・・え?」

 

「だから、店だ、店。路上で売っていたのは旅が目的だったからだろう?幻想郷に住むなら、その評判が良かったお菓子で店を開いてみたらどうだ?」

 

 何ということでしょう。いきなり店を持つことになろうとは・・・。

 確かに人間もポケモンも食べれる物を提供してきたけど。

 

「でも、それは今商売している人に悪いと思うよ・・・」

 

 いきなり新参者が店を開いても、周りに叩かれるのがオチだ。それにいきなり商売がうまくいく筈もない。

 これはどこの世界でも同じだ。

 

「もちろん。最初は小さな屋台から初めていくようにすればいい。・・・正直な、ここ幻想郷でお菓子と言っても、羊羹やアンパン、饅頭といった和菓子なんかが殆どだ。洋菓子などは紅魔館など最近外の世界、それも外国から来た連中が作るのが殆どで、人里では滅多に食べられない。だから、人里でも食べるとなると繁盛間違いなしだし、職人たちにも良い刺激になるだろう。」

 

 なるほど、人里の活性化に繋がるのか。和菓子にも木の実を使えるかもしないし、上手くすれば小さな木の実農園でも作れるかもしれない。

 木の実栽培やお菓子作りを趣味とする中で、木の実が取れる場所で小さな店を出したいと思っていた。これは、ボクにとってチャンスなのかもしれない。

 

「妹紅も、ナギが作ったお菓子をナギが開く店で食べて見たいだろ?」

 

「・・(考え中)・・・。良いわね、すごく良いわ!ぜひそうするべきよ!私は喜んで協力するわ!」

「アチャ~(わたしも~)!」

 

「もちろん、私も手伝うし、他の知り合いにも協力を呼びかけよう。」

 

 ここまでお膳立てをしてもらい、何もしないのも失礼にあたる。それに、何よりポケモンになって諦めていた人だった頃の夢を叶えることが出来るかもしれない。

 ボクの人間だった頃の夢。それは少なくてもいい、ただ僕の目の前にいる人を笑顔にする仕事をしたい。これが夢だった。

 だから、そのチャンスへのボクの返事は決まっていた。

 

「・・・その時は、よろしく、お願いします。」

 

「もちろん!他の世界のお菓子というのも気になるし、妹紅が世話になったんだ。このくらいのお礼はさせてくれ。」

 

「慧音!・・・もう。でも、そうよナギ。私はいつか貴方に恩返しをしたかったの。どんなことでもいいから、私を頼って。」

「チャモチャモ~(わたしも、わたしも~)!」

 

 うん。本当にボクは恵まれた人生を送ることが出来ている。改めて実感することが出来た。

 

「・・・さて、もう夜も深くなるし、寝るとしようか。明日の事は、明日の朝に考えよう。」

 

 先生に言われて、ソルルナクロックを見ると11時を過ぎていた。

※ソルルナクロックとは、デボンコーポレーションが開発した時計で、時計の背景が時間によってソルロックとルナトーンに変化する時計だよ。by Des

 

「そうね。慧音も明日は寺子屋が休みと言っても、授業の準備もあるしね。」

 

 ・・・もしかすると、ボクは今日するはずの準備を邪魔してしまったのかしれない。

 

「ん?・・・・そんな顔をするな、ナギ。キミが心配するほどに準備があるわけでもないしな。それに今日はキミに会えてとても嬉しかったんだ。」

 

 先生はボクが気にしていることを即座に察して、笑顔でフォローをいれてくれた。

 気配りも出来て、本当にいい先生だ。

 

「・・・さあ、布団の準備をしましょう。ほらナギも・・・」

 

「そうだぞ、寝る前にも少し話も聞きたいしな。」

 

「うん・・・・。うん?」

 

 あれ?自然に妹紅ちゃんに手を握られ、寝室へ連れていかれそうになったけど、ぎりぎりで正気に戻った。

 

「いやいや、ボクは自分の寝床は作れるからいいよ。」

 

「ちっ・・・惜しかった。幽香から聞いていたけど、ガードが堅い。」

 

 何舌打ちしてるのこの子。

 

「遠慮は無しだぞ。それに能力を使って作るとしても、まだ来たばかりで幻想郷の夜になれないキミを外に出すわけにもいかない。」

 

「慧音ナイスよ!そうよ、遠慮は無しよ!私たちはナギの身を案じているのよ!」

 

 あの、あなたさっき舌打ちしましたよね?

 

「ナギもいつまでも人間の姿でいられるわけでもないだろう?元に姿に戻って寝れば疲れもとれるぞ?」

 

 まずい、正論なだけあって言い返せない。このままではナタネさんの時の悪夢が再来する!それは防がなくては・・・・

 

「ほらほら、あれこれ気にしないで久しぶりに一緒に寝ましょう!」

 

「っ!?いつのまに!」

 

 ボクはいつの間にかに妹紅ちゃんに抱きかかえられていた。控えめな胸が当たっているのですが!?見るだけなら平気ですが、直接的なことは動悸が激しくなるのですよ!

 こんなにガッチリ抱き着かれては逃げられない!ツタージャになってもすぐに胸の中に抱きかかえられる。

 

「いいから!ボクは草むらでも寝れるから!」

 

「遠慮しないで!」

 

 まずい!こうなったら他の2人の助けを求めて・・・

 

「妹紅は久しぶりだろうから、本当に嬉しいんだな。よし、布団を繋げて、皆で並んで寝るか!」

 

 駄目だ、先生は妹紅ちゃんの笑顔に満足している!

 チャモウは!?

 

「アチャ~、チャモチャモ~(あ~、久しぶりにゆっくり出来そう~)。」

 

 お前もかーーー!!

 

 このあと、ボクたちは寝室へ移動して布団を三つ並べて眠りについた。

 順番は、妹紅ちゃん、ボク、チャモウ、先生の順番だった。ボクはツタージャに戻っている。

 妹紅ちゃんに抱き着かれて、中々寝付けなかったのは当然だけど、あの寝顔を見るとどうでもよくなったのはボクだけの秘密だ。

 

 




お疲れ様でした。

いかがでしたでしょうか?
クサナギが幻想郷で店を構えさせるのにはもちろん理由があります。

それは・・・幻想郷のキャラにウェイトレスになってもらう為である!
そう作者の自己満足のためさ!幽香や妹紅に着せたいのさ!
文句ありますか!?

失礼、取り乱しました。
もちろん本音です。イラストも描きたいと思っています。
身の程知らずですが・・・(-_-;)

今回に話だけ出てきた阿求ちゃんですが、興味があるモノに対してネジがぶっ飛んでいる設定にしますw

出てきたソルルナクロックはオリジナルアイテムです。イメージとしてこれもイラストを描こうと思います。

最後にクサナギを妹紅への生贄にしたのは、仕方ないですよね?
妹紅ちゃんにとって、もしかしたら1000年ぶりの再会になるのですから、このくらいの語ご褒美を与えて見ました。

輝夜のポケモンですが、まだ2匹に絞ったままですので、両方が持っている色を出させてもらいました。分かるかな・・・・

では、また次回会いましょう!


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第8話 幻想郷での初めてのポロックづくり

こんにちわ、Desデス。

遅くなり申し訳ありません。
理由の1割は家庭の事情、1割は仕事の関係、残りの8割はポケモンのアニメ鑑賞にハマっていました。反省はしていますが、後悔はしてません。

残りは後書きで。

今回ではオリジナル設定をポロックに組み込んでいます。駄目な方はバックです。

前回のあらすじ

幻想郷2日目の夜を慧音の家で妹紅たちと一緒に過ごしたクサナギ。
その時にクサナギの夢を話し、妹紅たちも協力の姿勢をみせる。

では、本編へどうぞ。



 幻想郷3日目の朝を迎えたボクは顔を洗うために庭に出た。え?一緒に寝ていた妹紅ちゃんはどうしたか?もちろん、ぐっすりとお眠りだったのでそのままにしている。無理に起こす必要ないもの。

 しかし、まさか一晩中抱きかかえたままだとは思わなかった。少し息苦しいし、何か女の子特有の匂いもするし、眠くなるかでは精神的な戦いだった。

 そんなこんなで妹紅ちゃんを起こさないようにして抜け出し、今はおいしい水で顔を洗い、体をツルを使って隅々まで拭いている。これで身だしなみは大丈夫なのだ。ポケモンの体って種類によっては便利である。

 

「おはようナギ。まだ朝日も昇って間もないのに早いな。」

 

 ピカアァァ

 

「・・おはよう、先生。」

 

 先生が着替えを終えてこちらに向かって来たので、人型になって先生に挨拶をした。

 

「先生こそ。・・・もしかして起こした?」

 

「いや、早めに今度の授業の準備をして今日もナギに付き合おうと思ってな。それに、このくらい早い時間に起きるのも珍しくもない。」

 

 よかった。ボクのせいで先生の仕事に支障がでたら申し訳ない。今日もボクに付き合ってくれるのはありがたい。

 それに先生も言ったが、今は午前5時過ぎである。朝日が昇り始めたが、まだ人里は静かなままだ。しかし、早く仕事をする所の家からは物音が聞こえてくる。おそらくここの季節は幽香のヒマワリ畑とこの日の出の時間からして夏なのだろう。

 ボクはこの何気ない朝の静かさの中にある物音が好きだったりする。

 

「妹紅も早く起きれば、今頃ナギの体を拭けたかもしれないのにな。」

 

「・・・・。」

 

「微妙は顔をするな。」

 

 先生は微笑している。けど、それは男として恥ずかしい思いとポケモンとして嬉しい思いが混じってボクは何とも言えない気持ちになっている。純粋にポケモンとのスキンシップとしてなら大歓迎なんだけど、妹紅ちゃんくらい好意を出されると微妙なのだ。ポケモン心も複雑である。

 

「まったく・・・。それで今日の予定はどうする?」

 

「うーん・・・・・。残り少ないきのみを使ってのポフィンかポロック作り、人里周辺の実地調査、最後に可能なら阿求という人に挨拶だけでもと。」

 

「なるほど、阿求の時は私と妹紅がついて行くといいだろう。実地調査はどうしてするんだ?」

 

「その時はよろしくお願いする。調査はきのみの補充についてだけど、詳しくは妹紅ちゃんが起きてからでいい?」

 

「そうだな、そうしないと拗ねてしまうな。」クスクス

 

 苦笑している先生に同意である。

 

「クサナギィ~、慧音ぇ~、起きてるのぉ~?」

 

 噂をしたら何とやらだ。妹紅ちゃんが寝起きと思われる声で僕たちを探している。

 

「私は朝食の準備をしてくる。妹紅の相手を頼む。」

 

「分かった。こっちも妹紅ちゃんと一緒に手伝いに来る。」

 

 そういってボクと先生はお互いにするべきことを行う為に動いた。

 

 

―朝食後―――

 

 

「ご馳走様、慧音。」

 

「はい、お粗末でした。」

 

「おしかった。」

「チャモ♪」

 

 ボクたちは何事もなく朝食を食べ終わり、後片付けの後に部屋に集まって今後の活動について話し合うことになった。朝食はさっぱりとした筍づくしの献立だった。

 

「で、ナギは今朝話した通りに今日を過ごすのか?」

 

「うん。」

 

「じゃあ、ポケモンのお菓子作りって言っていたわね。」

「チャモ~(お菓子~)!」

 

「うん、残った木の実を消費しないといけないから。」

 

 ゲームの中では木の実は一度取るとバックにそのまま残っていくがそこはリアル。木の実も普通の野菜や果物同様に賞味期限がある。いくらポケモン世界の超科学のバックでも木の実を永久保存など出来ない。ちなみにバックはモンスターボールの技術を活かして物をたくさん収納できるのようになっている。そうしないとアニメでの持ち物の多さが説明できないので、これには納得した。

 

「木の実か、こっちでいうミカンとかリンゴのようなモノでいいのか?」

 

「ポケモンの世界の木の実はちょっと違う。」

 

「どう違うの?」

「チャモ?」

 

 幽香には説明したけど、ここでも木の実についての説明をすることにしよう。

 

「じゃあ、時間もあるからここでポケモン世界の木の実について説明するよ。」ゴソゴソ

 

 実物があると説明しやすいので、バックからオレンのみ、モモンのみ、リンゴを取り出した。

 

「ポケモン世界のきのみは2種類に分けられて、リンゴのように普通の果実なのが1つ。、もう1つがこのオレン、モモンのみのようにポケモンの健康状態に深く係わるものがある。このオレンのみのようなきのみはポケモンの世界にしかないと思う。」

 

「確かに、このオレンだったか?そのような実は幻想郷ではないな。」

 

「そうね。蜜柑に似ているけど皮の感触も違うし、匂いも言葉にできない不思議なのね。」

「チャモ(食べていい)?」

 

 3者別々の反応でおもしろい。先生はボクの話を聞いて、妹紅ちゃんは実際に触ってみて、チャモウは食べたそうにしている。初めて見るきのみにポケモンとしての本能が反応しているのかな?

 

「食べていいよ。」

 

「チャモ~(やった~)。」

「チャモウ、半分にしようね。」

 

「じゃあ、私はこの桃のような実を。」

 

 妹紅ちゃんはチャモウとオレンのみを半分にして、先生は残ったモモンのみを食べた。オレンのみが意外に固く、半分にするのに苦戦する2人は面白かった。

 

「おお、桃みたいに柔らかくて甘いな。」

 

「う~ん、美味しいけど、何て言えばいいのかしら?色んな味がして言葉にしにくいわ。」

「アチャ~(おいし~)!」

 

 おっと、オレンのみが美味しいってことはチャモウは甘い味のきのみは苦手なのかな?

 チャモウ以外の2人は食べかけを交換している。感想は先に食べた方の感想と同じだった。

 

「ほとんどのポケモンは好みの味のきのみが大好物。もちろん今食べれたように、人間にも食べられるきのみもある。」

 

「好みの味?チャモウにもあるの?」

 

「うん、ボクの予想が当たっているなら甘い味が苦手だと思う。」

 

「・・・そういえば、チャモウが甘いものを自分から食べているところを見たことがないな。」

 

 お?これは当たりっぽい。

 

「好みの木の実だと何か違うの?」

 

「好みの味がするきのみを食べた方が毛並も良くなって、健康状態も良いよ。」

 

 これは本当だ。ボクも性格が冷静ですっぱい系の味のきのみが好きで、その系統のきのみを続けていたら調子が良かったのは経験済みだ。

 

「あ・・・・えっと・・・・きのみを食べさせた方がよく育つの?」

 

「・・・まあ、食べさせた方がいいのは確かだけど、それが正しいってことじゃないから。」

 

「そ、そうなの。」

 

 妹紅ちゃんが少し不安がっている。これはもしかして・・・・。ちょっと気にかけていよう。

 

「木の実にはどれくらいの種類はある?」

 

 正確な数はメモを見ないと分からないけど、確か・・・。

 

「え~と、60ぐらい?」

 

「少ないのか、多いのか分からないわね。」

 

 でもこれはゲームで説明されているきのみの数であり、あの世界全てのきのみの数ではない。その証拠にゲームとアニメに出ていなかったきのみがあって、商品に出来るように協力したこともある。

 

「じゃあ、これからお菓子作りを始めるけど、台所使っていい?全部のきのみを説明するときりがないから、その度に説明する。」

 

「ああ、そのかわり私も見学、もとい体験してもいいか?」

 

「わ、わたしも!」

「チャモ!」

 

 やっぱり他の世界のお菓子って気になるものなんだな。

 

 チリン、チリン♪

 

「ん?誰か来たのか?」

 

 玄関の方から高い鈴の音が聞こえた。これがこの世界のインターホンのようだ、昔っぽい。

 

「すまないが、お客の相手をしているのから先に行っていてくれ。」

 

「分かった、案内は私がするわ。」

 

 先生は来客の相手をする為に玄関に向かった。ボクは妹紅ちゃんとチャモウに台所に案内されることになった。

 

 

―台所―――

 

 

 台所できのみのお菓子を作る為の準備が進行されている中、参加者を説明しようと思う。

 まずはボク、先生、妹紅ちゃんにチャモウ、そして幽香。合計5名が集まっている。なんで?

 

「何であんたがいるのよ?」

 

「いいじゃない、私もナギが作ってくれたお菓子を、ま・た、食べたいもの。」

 

「2人ともこんな所で喧嘩はしないでくれよ。」

 

 どうやら先ほどの呼鈴の相手は幽香だったようだ。タイミングを見計らったように登場だ。

 ボクを含めて全員がエプロンと三角巾をつけている。色は先生は青のミジュマロのワンポイント、妹紅ちゃんは赤のポカブのワンポイントのボクが用意したエプロンを、、幽香は赤のチェックつきの緑の自前で、ボクは緑でもちろん自前のツタージャ付のエプロン。チャモウは足元でポロックを楽しみにしている。

 

「どうせナギに渡した花から私たちの様子を盗み見してんでしょ?」ヒソヒソ

「いいじゃない、そっちは一晩も一緒だったんだから。」ヒソヒソ

 

 2人顔を近づかせて話し合っている。仲良くなったのは良いことだけど、込み上げてくる不安感。

 

「今度は私に味方しなさいよ。」ヒソヒソ

「分かってるわよ。そういう協定だからね。」ヒソヒソ

 

 うん、深く突っ込まないようにしよう。わが身は大切にしたい。

 

「それでナギ、こちらが用意するモノは何もないのか?」

 

「うん、道具はこのポロックキットと包丁ぐらいだから。」

 

 バックから出している2つのポロックキットを指さしながら、きのみを準備する。なぜポロックキットが2つかというと、それはリメイク版のルビサファをプレイしたからだ。ルビサファは思いれがあるシリーズの1つだから、2つとも購入してプレイ済みなのだ。

 

「そんなに大きくないのね。」

 

「何か可愛くもあるわ。」

 

「河童が好きそうだな。」

 

「チャモ~(すご~い)!」

 

 ゲームでは当たり前にあったポロックキットだけど、これも誇っていいポケモン世界の科学力だよね。水洗いもOKで簡単に組み立て出来るようにも出来ている。

 

「では実際に、このきのみたちを使ってポロックを作りたいと思います。使用するきのみは右から、オレン、モモン、クラボ、ナナシ、ヒメリのみの5つを使ってもらう。1つだけ食べて味を確かめていいからね。」

 

 人間が食べても問題なく美味しいきのみから選んだ。各30個ぐらいある。ほかのきのみは地面やプランターに植える用にとっておくことにした。

 キットは2つなので2チームに分かれることになり、ボクと幽香、先生と妹紅ちゃんになった。分かれる際に妹紅ちゃんは悔しそうに幽香を見ていた。一方の幽香は勝ち誇った顔をしていた。

 

「手順は簡単でブレンドするきのみを選んで細かく刻んでキットに入れる。最後は回す回数を設定してボタンを押せば終了。」

 

「説明を聞く限り、簡単に聞こえるわね。」

 

 まあ、実際にゲームではとても簡単に作れたけど、これは現実なのだ。

 

「でも、きのみの配分や回す回数で味が変わってくるから意外と思った味を出せないことが多いね。きのみにも微妙に味の差があるし、皮を入れるか入れないかでも結構味に変化がある。」

 

「奥が深そうだな。」

 

「ええ、少し面白くはあるわね。」

 

「そうやって最初は上手くできないけど、試行錯誤の末にポケモンに合ったポロックを作れるようになるよ。何事もチャレンジ。」

 

「・・・よしっ、頑張ってみるわ!」グッ

「チャモ~(がんばれ~)!」

 

 両手を握って気合を入れる妹紅ちゃんとそれを応援するチャモウ。普段のやり取りでも息が合っているところが見られる。

 ボクはチャモウに合うポロックを考えて作ってみよう。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 ではクサナギ達のポロック作成の様子を少し覗いてみよう。

 

 ナギは幽香と一緒にお手本として妹紅と慧音に見せるようにしていた。きのみの味についての説明をして皮をむいてからきのみを小さく刻む工程を幽香に教えている。

 だは、ナギと幽香の距離が若干近いようなの気がする。ていうか、実際に近いのだ、もうね、顔の隣に顔があるくらいの密接具合である。羨ましいぞ幽香。

 

「幽香はこのきのみでいいの?」

 

「ええ、このヒメリをメインにして少しオレンを足すくらいでいいわ。出来上がりの味が楽しみだわ。」

 

 傍か見たら仲の良い姉弟に見えないこともない。しかし、それを面白くない顔で見ている人物が1人。

 

「・・・・・。」

 

「妹紅、あっちを睨んでいないで木の実分量を決めよう、な?」

 

 そう、妹紅だ。

 

「分かってるわよ・・・。」

 

 口では分かっているといっているが意識がナギと幽香に向いている。

 

「チャモチャモ~(ねえちゃん、はやく~)!」

 

「!そうね、御免なさいチャモウ。チャモウはどの木の実が良いと思う?」

 

 チャモウが好みの木の実を選び、それをメインとして他にどの木の実を混ぜるかを妹紅はチャモウと一緒に考えている。その様子に慧音は安心した様子で見ていた。

 正式にとは言わないけど、妹紅もれっきとしたトレーナーなのだ。パートナーの言葉で意識を戻すのはいいコンビの証なのかもしれない。

 

「チャモウはこのクラボの実が好物みたいだな。」

 

「チャモチャモ~♪」

 

「どれどれ・・・・っからっ!でも、何か刺激的で癖になりそうな味ね、人でも辛いもの好きなら食べれるわ。」

 

「チャモウの分と私たちの分とで分けて作ってみようか。」

 

「そうね、一緒に食べた方が良いのもね。」

 

 妹紅と慧音は人たちが食べることが出来るポロック作りに取り掛かった。メインは妹紅の希望としてチャモウと同じクラボのみだ。パートナーの好きなきのみの味を知っておきたいそうだ。

 

 ナギと妹紅の組がきのみを小さく刻み、ポロックキットに投入していく。

 ここで補足しておくと、このポロックポロックキットはリメイク版のルビサファのキットと同じである。しかし、前のバージョンほど大きくなく小型型してある。出来上がるポロックはきのみのでき、味のかたよりですごいポロックとなる。

 

「回転はどのくらいでいいのかしら?」

 

「しっかりと混ぜてポロック全部に味が付くように回すのは多めで、カウントが20で止めてみて。」

 

「分かったわ。」

 

 幽香と妹紅がキットに表示される回転数を見ている中、ナギは2組が作ったポロックの配合をメモに書いていた。

 

「なぜきのみの配合を記録している?」

 

「参考に出来ればと。」

 

「私たちは初心者だぞ、参考になるのか?」

 

「自分のパートナーを思うのに初心者も経験者もない。思う気持ちでそのポケモンに合うポロックが出来ることもある。」

 

「なるほど、勉強家なんだな。」

 

 ナギと慧音が話しをしている内にポロックが出来上がったようだ。

 

「出来たわ。」

「こっちもよ、今は慧音と私が食べる分を作っているわ。」

 

 幽香と妹紅が小皿に移したポロックを持って笑顔を浮かべている。

 

「おお、鮮やかな色だな。」

 

「うん、見た目も美味しそうだよ。」

 

「アチャ~(わ~い)!」

 

 チャモウはもう待ちきれないという感じで足元をうろついている。

 

「もうちょっと待ってねチャモウ、いま回しているポロックが出来ればすぐに実食にするから。」

 

 そんなチャモウの様子に3者が笑っていた。そんなナギは密かにもう1つのキットでポロックを作っていた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 ポロック作りも一段落したので、出来たポロックを持ってボクたちは縁側に並んで座っていた。せっかくの天気というので縁側に移動したのだ。

 

「さあ、早速食べてみよう。」

 

 各々の皿には2組が作ったポロックが均等に盛られている。妹紅ちゃんたちのポロックはオレンジがかった赤色で、幽香のは赤紫色になっている。チャモウの皿には赤紫のポロックが盛られている。

 ゲームでポロックの色は虹色を含めて赤、黄、ピンク、緑、青の計6つだけど、実際のポロックには様々な色がある。基本は虹以外の5つが基本色だけど、きのみによっては見た目以外の色も混じったポロックが出来ることもある。

 

「じゃあ、まずはチャモウから食べてみて。」

 

「チャモッ!」

 

 妹紅ちゃんの合図でチャモウは、妹紅ちゃんと先生の3人で作ったポロックをついばんだ。

 

「・・・・・。」ドキドキ

「・・・・。」

 

 先生は冷静に見ているけど、妹紅ちゃんは見ているこっちも分かるくらいに緊張している。心臓の音が聞こえてきそう。

 

「・・・・チャモー(おしいいよー)!」

 

「これはナギに通訳を頼むこともないわね。」

 

 幽香の言うとおりだ。チャモウは笑顔でポロックをついばみ続いている。

 

「・・・・グズっ。」

 

「何も泣くこともないだろう、妹紅。」

 

「な、泣いてないわよ!」

 

 いや必死に言い訳しても遅いよ妹紅ちゃん。しっかりと鼻をすする音もしたし、涙目にもなっている。でも気持ちは分からなくはない。おそらく妹紅ちゃんは初めてポケモンの食べ物を作ったはずだ。その初めてをパートナーが喜んでいるのだ。嬉しくないはずがない。

 

「じゃ、皆で作ったポロックも食べよう。」

 

「ええ、そうね。」

 

 ボクたちは自分たちで作ったポロックを食べ始めた。

 

「幽香達のは少しある渋みがいい味している。」

 

「そうね、甘めの味の後にくる渋さがいい感じね。」

 

 おお、高評価だ、これは嬉しい。

 

「ナギが食べさせてくれたポフィンの味が忘れなくてね。私なりに再現したつもりよ。」

 

「良いせんいっている。他のきのみでよく再現出来てる。」

 

「あら、ナギにそう言ってもらえると嬉しいわ。」

 

 片手を頬に当てて、少しうっとりした顔をしている。その笑顔で大抵の男は堕ちるね、絶対。

 

「今度は私たちが作ったポロックの感想を言ってみくれ。」

 

「そうよ、いつまでイチャイチャするのよ!」

 

 別にイチャついているつもりはないんだけどな。

 

「あら、ごめんなさい。そうね、あなた達が作った方は少し辛いけど美味しかったわ。」

 

「そうだね。全体的にクラボの辛さが目立つけど、それをヒメリに含まれる渋さと苦みがいいアクセントをしてる。ヒメリの甘さで辛さそこまでないしね。」

 

「おっしっ!」グッ!

 

「よかった。」

 

 これはピリッとくる辛さではなく、ほんのりとくる辛さと言えばいいのかな?中々独特で癖になる味だ。

 手応えありと妹紅ちゃんは拳を握って先生と一緒に喜んでいる。

 

「チャモチャモ!」

 

「ん?私たちの作ったポロックを食べたいの?」

 

「チャモッ!」

 

「じゃあ、はいどうぞ。」

 

 どうやらチャモウは妹紅ちゃんたちが作ったポロックが気になるようで、妹紅ちゃんが1つをチャモウにあげていた。

 

「どうだ?」

 

「・・・チャモ、チャモチャモ(おいしいけど、あんまり辛さが足りない)。」

 

「辛さが足りないって。チャモウに作った方が良いって言ってる。これはちゃんとチャモウの事を考えてよく作れているよ。」

 

「そ、そうかしら。」

 

 妹紅ちゃんは褒めらたのが嬉しいのか、頬に手を置いて顔をそらしていた。おそらく見えない顔は赤くなっているのだろう。

 

「・・・チャモウ、試しにボクが作ったポロックも食べてみる?」

 

 ここら辺でボクが妹紅ちゃんに感じていた感じを確信する為に、ボクが密かに作ったチャモウ専用ポロックを勧めてみた。

 

「チャモ―!!」

 

 食い意地があるチャモウは喜んで食べ始めた。それを妹紅ちゃんは気になっている。

 

「アチャー(うまいよー)!」

 

「っ!?」

 

 チャモウが笑顔で声を上げると妹紅ちゃんは少し悲しい顔をしていた。どうやら、感じていた妹紅ちゃんの感情は多くのポケモントレーナーが初期に感じるアレのようだ。おそらく「私よりポケモンをよくしっているナギの方が上手く作れる」と思っているはずだ。そうボクは確信した。でも、それをなくしてあげるのも先輩の務めである。

 

「正直に言っていいから、ボクと妹紅ちゃんのどっちのポロックが美味しかった?」

 

「チャモ・・・・」

 

「・・・・・」ドキドキ

 

 合コンかお見合いが初めての反応かと思うくらい、真剣な顔をして俯き、正座している妹紅ちゃん。心臓の音が皆に聞こえていそうだ。

 

「チャモー(ねえちゃんのほうー)!」

 

「え?」

 

 妹紅ちゃんの方を向いて返事をするチャモ。その返事を訳しなくても誰もが妹紅ちゃんのポロックが上手い事を理解したはずだ。妹紅ちゃんは意外という顔をしている。

 

「どうしてそう思ったんだ?」

 

「チャモチャモ、アチャ―(ナギも美味しかったけど、ねえちゃんの方がいつもの感じがする)!」

 

「いつもの感じがする?」

 

 どういう事なんだ?

 

「ぐっ・・・・。」

 

「何しているのよ幽香?」

 

 幽香の方を見てみるとボクが作ったポロックをかじった幽香が涙目になっていた。それも当然だ。それはチャモウ、ていうか炎ポケモン用にきのみを追加したポロックだ。おそらく妹紅ちゃんたちが作ったポロックの数倍辛いだろう。

 涙目に幽香には注意していないボクが悪いので、モモンのみを渡しておく。感謝の言葉もでない幽香は涙目でそれを受け取った。・・・・なんだろう、幽香みたいなお姉さんが涙目になっているのを見ると、なんか、こう、変な感情が湧いてくる。

 

「なるほど。」

 

 納得した声を出した先生を見てみると、妹紅ちゃんがチャモウに作ったポロックを食べて笑っていた。

 

「どういうことなの先生?」

 

「そうだな。おそらくナギが用意したのは一般的な炎タイプのポケモンが好きなポロックだな?」

 

「うん、そう。ノワキっていうきのみを少し混ぜてある。本当に火炎を吐きそうになるくらい辛いの。」

 

「それは幽香を見れば分かる。でもな、チャモウは小さい頃から妹紅があるものを食べさせていたから好みが少しずれているんだ。ほら、食べてみれば分かる。」

 

 そう言って先生は半分食べたポロックをボクに差し出してきた。ボクはそれを受取、口に運んでみると。

 

「これは・・・ホンノリと感じる筍の味?」

 

「そう、筍だ。チャモウはこの味が人間でいうお袋の味なんだ。」

 

「・・・・。」テレテレ

 

 妹紅ちゃんが照れている。目が泳いでいる、分かり易い。

 でも、これで納得だ。妹紅ちゃんがポロックに何かを入れていたのを横で見たのでこの賭けに出たんだけど、正解だったみたいで安心した。人間も甘いモノ好きでも、何故か酸っぱいモノも好きな人もいる。ポケモンも同じなのだ。5つの味覚が基本みたいなのは間違いないけど、あれはゲームで現実では人間と何も変わらない。

 しかし、このチャモウ用ポロックは本当にすごい。筍と言っても後味はしつこくもなく、本当に隠し味でお袋の味を体現できている。どれほど長い間、一緒にいたんだろう。

 

「えへへへ・・・・。」

「チャモチャモ♪」

 

 見てて微笑ましい。こっちから何も言わなくてもいいかな。

 それからボクたちは幽香が復活するのを待って、せっかくだし外で昼食を食べる為に食事道をボクたちは歩いている。ボクはポケモンの姿で幽香にお詫びとして抱っこされています。上機嫌でなにより。

 

「タジャ~、タジャタジャ(う~ん、人里では厳しいかな)?」

 

「何がかしら?」

 

 おっと、口にしていたようで幽香に心配されたようだ。あと妹紅ちゃんは後ろで睨んでいるていうか、不機嫌顔である。

 

「今度は私の番なのに・・・」

「いいだろ、幽香はちょっと不憫なことがあったんだ。」

 

 先生がフォローに回っている。一応、妹紅ちゃんはチャモウを抱きかかえているから少し機嫌は良くなっている。

 

「タジャタジャ(ちょっときのみ関係で確かめたいことが)。」

 

「そう、植物関係なら私が協力できるから相談するのよ?」

 

 力になってくれるようでこちらは非常に助かる。

 

「どうですか~?守矢神社の神様であらせられる、神奈子様と諏訪子様を信仰してみませんかー!」

 

 広場に近づいて行くと女性?の大きな声が聞こえる。神って、一般的に怪しさ抜群だけどポケモンにもいるからな、神って言われるポケモン。だから、気になって声の出所を探してみた。

 

「いまなら何とお得でありがた~い、神様のお話付ですよ~!おまけのおまけで現人神である私の話も付いてきま~す!」

 

 なんと嘘くさい宣伝文句なんだとうか。これ、元の世界、あ、人間の頃の世界のことですよ?元の世界じゃ絶対見向きもされないヤツだ。

 

「う~ん。いまいち食付きが悪いですね。ここは勧誘スタイルを変えていくべきでしょうか?」

 

 いやいや、やるならその神様の御神体みたいなものでも持ってきたら?もしかしたら後光が差すかもしれないし。

 

「やっているな早苗、ご苦労様だな。」

「本当にご苦労様ね。」

「チャモ。」

 

「あ、慧音さんに妹紅さん、あとチャモウさんですか、こんにちわ。」

 

 どうやら知り合いだったようだ。

 

「あれ?珍しい組み合わせですね、幽香さんもご一緒ですか?」

 

「ええ、この子に用があってね。」

 

「その子?ああ、抱いているそのどう、ぶつ、みたいな・・・。」

 

 幽香とも知り合いだったようだ。髪が同じ系統の色だから気が合ってるのいかな?

 

「ジー・・・・」(ガン見)

 

「・・・・・」(汗)

 

 な、なんでかボクのことを穴が開くほど見ている。ボクとは初対面なはずだから失礼な事はしていないし、変な行動もしていない。心当たりがない。

 改めて目の前の女の人を見ると、女子高生っていっても通じる見た目で青緑色の長髪でカエルと蛇の変わった髪飾りをしている。神様を信仰っているだけあって巫女?服を着ている。脇丸出しでスカート状の袴、見る人によっては目の毒じゃないかな?

 

「すいません、幽香さん。その動物はなんという名前ですか?」

 

「クサナギって言うのよ。」

 

「それはニックネームじゃないですか?」

 

「ニックネーム?」

 

「あだ名みたいなモノです。種族名とかです。」

 

「種族って『ツタージャ』のことかしら。」

 

「ツタージャ・・・もしかして、もしかするとポケモンという動物なのでは?」

 

 あれ?なんだろう、言葉に迫るモノがある。正直、逃げ出したい。

 

「そうよ、なに貴女ナギのこと知っているの?」

 

あの、幽香さん、そんな簡単に相手を刺激しそうな返事は・・・。

 

「ポケモン・・・・本物のポケモン・・・・・」ボソボソ

 

「ちょ、ちょっとどうしたの早苗?ちょっと怖いわよ?」

「チャモ?」

 

 妹紅ちゃんとチャモが心配しているけど、こっちを心配してくれないかな。何か悪い予感が止まらない。

 

「っ!?」バシッ!

 

「え?」

「タジャッ!?」

 

「本物のポケモンだーーーー!!」

 

 い、いつの間にボクはこの女性にいうには若い娘に抱きかかえられたんだ!?幽香でさえ茫然としてるよ!?あと、胸は大変に大きいですね!?先生といい勝負じゃないかな?

 

「やっぱり、ポケモンはいたんですね!妖怪や神様もいるんです、だからポケモンだっていたっていいじゃないですか!」

 

「え?なに?」

「チャモ?」

 

 妹紅ちゃんとチャモウは混乱しえいる。いや2人だけでなく、先生も困惑気味である。

 それにしても、ポケモンを知っていた?これはどういう事なんだ?

 

「さすが幻想郷です!まさかゲームの存在さえ現実になっているとは!これはまさに神様のお導きですね!」

 

 いま、ゲームっていったな。もしかしてこの娘は、ボクの元の世界から来た人間?いや、それはない。それならこの娘ぐらいの年で神様なんて信じていないだろうし。

 

「もしかして野生のポケモンですか?それなら是非、私のパートナーになりませんか?後悔はさせません、あのマンガの主人公はボールに入れてませんでしたし、ボールがなくても大丈夫です!」

 

 マンガ?そこはアニメじゃないのかな?サートシくんじゃないの?

 

「あー、すまない早苗。出来れば落ち着いてくれ、そしてそのポケモンは誰のモノでもないぞ。」

 

「はっ!?」

 

 先生の言葉に早苗と言われる女の子は正気に戻った感じだ。

 

「す、すみません。あまりの嬉しさにテンションをブチ破りました。」

 

「と、とりあえずお昼を一緒にどう?ナギの事、何か知っているみたいだしね。」

「・・・そうね。説明をお願いするわ。」

 

「はい!ぜひに!」

 

 幽香がとても怖い。ボクを取り上げられたからって、そこまで殺気みたいなオーラを出さなくても。ほら、道行く人が怯えているよ。

 早苗さんとボクたちは一緒に食事道を目指して歩き出した。

 

「タジャタジャ・・・・(どうなることやら)」

 

 この出会いはボクの幻想郷暮らしを大きく左右しようなモノであることをボクは早苗さんの腕の中で確信した。




閲覧お疲れ様でした。

では早速、遅れた理由について話します。
前書きで書きましたがほとんどがポケモンアニメの鑑賞です。それもXYZ編だけでなく、過去のシリーズで気になるものを頑張って見ていました。ポロック作成など。
でもそれは、ネタ探しの為です。もう8話ですが、正直言うとネタがありませんでした。
よって、どうしたらいいかをポケモンアニメを見ながら模索していました。しかし、そのかいもあってある境地?にたどり着きました。

それは、もうこれは野生のポケモンを出すしかない!しかし、どうする?いや、まてよ、いるじゃないか。ポケモンの世界に何でもござれの万能なお方が。しかし、どう絡ませるか。
そして、ポケモン映画を見て吹っ切れました。もうかなりぶっ飛んだ設定でもポケモン世界ならありうるからやってやる!

そういうことでまだ閲覧者も少ない中でアンケートを実施します。活動報告に詳細は書いていますので、よければご協力ください。簡単にいえば、出てきてほしいポケモンです。

ということで今回はポロック回となりました。アニメでの描写を参考にしています。あと味はきのみを説明を大きく受けています。あれはゲームの話なので、実際には5つの味以外にも味はあると思うので、5つの味をベースにして色々書き足しています。
面白かったら幸いです。

今回で初出演の早苗のテンションの高さはポケモン好きなら誰でも分かる気持ちと思っています。実際に目の前にポケモンがいたら、私は発狂しますね!(集中線)

あと、挿絵はまだですがこの話での妹紅、慧音、幽香のエプロン姿はいつか描きたいです。

感想、誤字、脱字はいつでも受付中です。

では、また次回あいましょう!


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第9話 幻想郷、初バトル

遅くなりました。

ある程度の話は考えているんですが、日々の出来事で小説を投稿する気がなくなっている今日この頃です。更新が不定期なのをご了承ください。

小説のあらすじで弾幕ごっこや戦闘な殆どないといったな。しかし、ポケモンバトルは別だぜ!

とういうことで、前回のあらすじ。

幻想郷で妹紅、慧音、幽香、チャモウを含めて初めてのポロック作りをしたクサナギたち。ポロック作りは成功に終わり、人里をのんびり回ろうとするが、そこに新たな出会いがあった。

では、本編へどうぞ!



「さあ、バトル開始です!」

 

 今ボクは、妹紅ちゃんと早苗ちゃん、チャモウと対峙している。対峙している場所は里からそう遠くない開けた場所だ。

 どうしてこうなったかは、少し時間を遡って昼食を取っている時にいたる。

 

 

―約40分前――――

 

 

 あれからボクたち一行は昼食を取る為に蕎麦屋に向かうことになり、その間にお互いの自己紹介をおこなった。広場でボクに抱き着いて来たこの女の子は東風谷早苗ちゃんといって、外の世界からこの幻想郷に信仰している2人の神様と一緒にやって来たそうだ。やってきた理由は長くなるから飛ばされたけど、そのうちに話すことになった。

 間もなくして蕎麦屋に入り、全員同じテーブルで食事をした。食事後に早苗ちゃんからボクについて色々と説明を要求され、ボクと幽香、妹紅ちゃんが今までのいきさつを説明した。

 

「そんなことが起こっていたんですね。」

 

 食後のお茶を啜りながら早苗ちゃんはボクたちの話を聞いていた。あ、早苗ちゃんはボクがちゃん付けで呼ぶことを許してくれたから、名前は早苗ちゃんとなった。

 

「ほらほらっ、私が言ったじゃないですか!やっぱり妹紅さんが持っているその動物はポケモンでアチャモって名前だって!」

 

「ああー、そうね。言っていた気がするわ。」

 

「そうだな。そんな記憶も・・・確かにあるように気がする。」

 

「どうして信じてくれなかったんですか!?」

 

 テンション高いな早苗ちゃん。

 

「いや、だって()()早苗が言う事だからな。また出鱈目や思いつきかと思ってな。」

 

「そうね、()()神様の巫女だからあまり気にしていなかったわ。」

 

「ひどいっ!」

 

 なんだ、常識がありそうな先生までもがこの早苗ちゃんの扱い方が酷い気がする。本人なんか両手で顔を覆っているよ。

 

「妥当な判断だと思うわよ?」

 

「幽香さんも酷いですね!?今までこうして対面して話すのもなかったはずなのに!?」

 

「あなた、というかあなた達、山の神と巫女の噂はそこまで広がっているのよ。」

 

「え、え~そうですか~?照れますね~、そんなに噂になっていたなんて~。」

 

「・・・言っておくけど、マイナス方面での噂よ。」

 

「ええっ!?」

 

「今までの異変に関わった人間や妖怪たちからの評判は総じて良い方ではないわ。」

 

 なんだろう、幽香にまでそこまで言わせるとは・・・。そこまでの要注意人物なのかな?・・・ボクも気を付けよう。

 

「こほんっ!・・・そのことより今はクサナギさんの事についてです。」

 

 話を強引に戻したことからして、図星っていうか自覚があるのかな。

 

「そうね、食事中にも聞いたけど外の世界でゲームという仮想遊戯でポケモンが流行っていたそうね。」

 

「そうです!もちろん私もいちトレーナ―として頑張ってました!幻想郷に来るときはダイヤモンド・パールが発売する前でしたから、非常に残念だったんです。」

 

「ダイヤ?パール?宝石かしら?」

 

「いえ、これはポケモンのバージョン・・・舞台になる地方によって違う物語の名前になります。」

 

「地方?確かナギの説明から聞いた地方はイッシュ、だったな?」

 

「タジャ(そうだね)。」

 

 しかし、これは驚いた。ボクがいた世界の他にもポケモンがゲームとして存在している世界があるなんて。でも、ダイヤ・パール前となるとルビ・サファまでか。ならアチャモに反応していたのも納得できる。

 

「そうです、イッシュ地方!私が知らない地方の名前!なんと胸躍る展開でしょうか!ポケモンはゲームの中では納まることが出来ないほど素晴らしいんですね!」

 

 テンションMAXである。ボクたちを置いてぼりして、1人でトリップしている。気持ちは分からなくもないけどね。

 

「大丈夫、ナギ?」

 

 ん?いきなり妹紅ちゃんが心配そうに声を掛けてきた。見てみれば先生や幽香も心配そうにこっちを見ている。チャモウは?状態だ。

 

「いや、その、自分が仮想の存在っていわれて、ショックじゃないの?」

 

 ああ、そういう事か。ボクは元が人間でポケモンがゲームと知っているから、ショックもそこまで受けていない。ただポケモン世界を実際に見ていることもあって少し寂しい感情がある。

 でも、どうしたものかな・・・。元人間だけでも話がややこしくなりそうだし、そこに目の前のポケモンがゲームで早苗ちゃんより未来?から来たとか、もっとややこしくなる。

 

「タジャ、タージャタジャ、タジャ。」

 

「・・・要約すると、ポケモンの中には世界を超えるような力を持つ存在もいるから、ボクたちが他の世界でも伝えられているとしても不思議じゃない、ですって。」

 

 幽香、いつもお疲れ様です。これでどうだろうか?嘘は言ってない。

 

「世界を超えるって・・・そんなポケモンもいるのね。」

 

「想像を遥かに超えているな。そんな存在がいたのなら、そこまで驚いていないのも納得だな。」

 

「・・・・。」

 

 妹紅ちゃんと先生は納得してくれたっぽいけど、無言な幽香が怖いです。チャモウは自分がポケモンでさえ知らなかったのが救いなのか、全くダメージを受けていない。

 それにしても、世界を超えるって部分を簡単に肯定したということは、この世界にもいるのかな?そんな存在が。

 

「・・・はっ!?そうです!?そうでした!!」

 

 おおう、早苗ちゃんが精神世界から無事に帰ってきたようで何よりです。

 

「バトルは!ポケモンバトルはしたのですかっ!?」

 

「い、いえ、やってないわ。」

 

 早苗ちゃんが妹紅ちゃんに詰め寄る。

 

「何故ですか!目と目が合えばポケモンバトルの開始の合図じゃないですか!」

 

「そ、そうなの?」

 

「そうです、トレーナーとしては常識といっていいです。」

 

 いや、そんな胸を張らなくてもいいじゃないかな?確かにその合図が現実でも適応されていたけど。

 

「常識・・・トレーナーの・・・・。」

 

 あああっ!?せっかく修正した妹紅ちゃんの不安感が再発された!

 

「そうですよ、バトルもでしないでポケモンがよく育つはずもありません!」

 

 ちょっと黙ってくれないかな早苗ちゃん、今の藤原さんの娘は落ち込みやすいんですよ!?

 

「・・・・・。」

 

 ほらねー!?これははやくフォローしないと!

 

「ですから、やりましょうポケモンバトル!」

 

「え?」

 

「ポケモンバトルですよ!妹紅さんのチャモウさんとクサナギさんとでバトルするんですよ!」

 

「でも・・・、私、その初めてだし・・・。」

 

「大丈夫です!最初はみんなが初めてです!そのうちに勝利に快感を覚えてきます!」

 

 なぜだろうか、この娘が言うと妙に説得力があるのは。

 

「さすが妖怪退治を楽しんでいるなだけはあるわね。」

 

 ええー、それヤバいじゃないのかな。幽香の話を聞くとボクの中での早苗ちゃんのイメージが崩れていく。見た目は御嬢さんなんだけどな。

 でも、ポケモンバトルはいいアイデアだ。これは利用して妹紅ちゃんを元気づけることも出来るかもしれない。

 

「タジャタジャ。」

「ナギはやってみてもいいって言ってるわ。」

 

 通訳ありがとう幽香。

 

「チャモ~!」

 

「タジャ。」

「その子もバトルしたがってみたいよ。」

 

 ポケモンからの本能かチャモウもバトルを望んでいる。

 

「・・・チャモウとナギがやりたいなら。」

 

 おそらく妹紅ちゃんはチャモウが傷つくのを嫌がっている。けど、パートナー自身が望んでいるなら仕方ないようだ。

 

「大丈夫です!アチャモの技はあらたか知っていますので私が完璧にサポートします!」

 

 確かにバトル経験者(ゲームだけど)の早苗ちゃんのサポートはありがたい。

 

「おそらくクサナギさんは見た目的に草タイプの進化前。進化前のポケモンなら弱点のタイプでイチコロですよ!」

 

 ああ、ダメだ。完璧にゲーム脳で考えている。これは妹紅ちゃんだけでなく、このバトルで早苗ちゃんの認識を改める必要もある。

 それとそんなことは本人がいない時に言いなさい。本場のポケモンバトルを体験させてあげよう。

 

「大丈夫なのか?」

 

 先生が顔を近づけて聞いてきた。

 

「タジャタジャ。」

 

「・・・ナギには考えがあるそうよ。一応あの山の巫女の事も考えているみたいね。」

 

「そうか、なら私はナギを信じよう。チャモウと一緒にいる妹紅は笑顔が絶えないが、少し臆病な面もあるんだ。私はポケモン関係に助言は出せない身で図々しいと思うが、よろしくお願いする。」

 

 先生にそこまで言われると余計に失敗は許されない。これはちょっと強引に早苗ちゃんも利用していこう。

 

「じゃあ、広い場所でなおかつ、人に迷惑が掛からない場所でバトりましょう!」

 

「それなら、里から離れた所にうってつけの場所があったから、そこに行こう。」

 

 そうしてボクたちは会計をすませて(ボクの分は幽香が出してくれた)先生が知っている場所へ移動した。

 

 

―回想終了――――

 

 

 以上が回想である。早苗ちゃんの意識の改善と妹紅ちゃんに自信を持ってもらうためのバトルが今始まろうとしている。

 

「審判は不肖ながら、人里で教師をしている私、上白沢 慧音が努めさせてもらう。・・・・こんな感じでいいのか、ナギ?」

 

「タジャタジャ。」

「結構さまになっているみたいよ、先生。」

 

「そ、そうか。ナギに教えてらった通りに出来るように頑張ろう。」

 

 先生にはポケモンバトルの審判をやってもらっている。掛け声やバトル終了の判定を説明して急ごしらえ状態だけど、初めてとは思えないほどカッコイイ。さすが先生を務めているなだけある。

 そして幽香は、

 

「私はナギは叫んだ技名を訳せばいいのね?」

「タジャ。」

 

 そう、トレーナーがいないボクの繰り出すワザを叫んでもらう役を担ってもらっている。

 一方、トレーナーがいる相手サイドはバトル初心者の妹紅ちゃんと助言を出してくれる早苗ちゃんが組んでいるので、一方的なバトルにならないと思う。

 

「だ、大丈夫かしら。」

 

「大丈夫です!金銀からプレイしている私がいるのですから、大船に乗ったつもりでいてください!もちろん赤バージョンもクリア済みです!」

 

「アチャー(やるぞー)!」

 

 チャモウはやる気十分のようだ。少し前にチャモウが使える技を確認していたのを確認している。妹紅ちゃんの方もゲームとはいえポケモン歴がそこそこと思う早苗ちゃんのサポートがあれば大丈夫、

 

「おそらく御三家の草ポケモンの進化前なんて、効果抜群の『ひのこ』と『つつく』があれば楽勝ですよ!」

 

 前言撤回、大丈夫じゃないね。これはしっかりとそのゲーム脳に現実のポケモンバトルを刻み込んでやりましょう。あと、進化前バカにしないで欲しい。ツタージャ可愛いじゃない。

 

「では、これより天籟クサナギと藤原妹紅とチャモウ、そしてサポート役の東風谷早苗との変則タッグポケモンバトルを始める。使用ポケモンは1体。時間無制限、1本勝負。始め!」

 

「ここは先制で一気に決めにいきます!チャモウさん、ひのこです!」

 

「アーチャー!」

 

 バトル開始の合図と同時に早苗ちゃんが草タイプのボクに効果抜群のワザを指示してくる。チャモウの口から文字通りの火の粉がボクを目がけてやってくる。しかし、

 

「・・・タジャッ。」

 

「な、なんですとー!?」

 

 ボクはこれを華麗に横にジャンプして回避。アニメで最強の回避技の1つでもある『避けろっ!』である。早苗ちゃんはこれにとても驚いている。

 

「え、えと・・・。」

 

「妹紅さんも技の指示を出してください。私が叫んだ技を出せば大丈夫です!」

 

「わ、分かったわ。チャモウ、ひのこよ!」

 

「チャモーー!」

 

 少し頼りない妹紅ちゃんの指示だけど、チャモウはさっきよりやる気を出してひのこを繰り出す。

 

「タジャ!」

 

 ボクはこれも避ける。

 

「ど、どうしてですかっ?!ゲームなら今頃は勝っていますよっ!」

 

 どうも早苗ちゃんはまだ、これは現実のポケモンバトルというの実感できていないようだ。なら、強引に分からせてあげよう。

 

「でしたら当たるまでやるまでです!チャモウさん、ひのこを連続でよく狙ってください!」

 

「チャモー!」

 

 早苗ちゃんはチャモウに無茶な命令を出した。これを利用させてもらおう。

 

「チャモー!チャモー!」

 

 チャモウは自分で狙いを定めてボクに連続でひのこを当てようとしているけど、晴れの天候の中で何の策も無い状態では走るボクには簡単に技は当たらないのだ。

 

「なんで当たらないですんか?!しかも意外に足が速い!」

 

「・・・・あ、今の天気は晴れ!」

 

 早苗ちゃんはどうして当たらないか分からない顔をしているけど、ツタージャのポケモン図鑑を見ている妹紅ちゃんは理由は分かったみたいだ。そう、これは晴れの日限定の能力だけど、ツタージャは太陽の光を浴びると素早く動けるのだ。これもゲームに実装されていたらな・・・。

 

「チャーー!・・・チャモッ。アー・・・。」

 

 きた。いくらポケモンでも無限に息が続くようなポケモンはそういない。チャモウも例外でなく、連続でひのこを出すのも限界が来たようでワザが途切れた。これを見逃すほど甘くない。

 

「タジャ!」

 

「速い?!チャモウさん、こっちも避けるんです!」

 

「え、でも今は・・・。」

 

 妹紅ちゃんはちゃんと見ているようだけど、早苗ちゃんは気付いていない。でも、新米トレーナーの自分が言っていいのか迷っている。

 

「チャッ!チャモッ!?」

 

 チャモウもようやくボクを認識したようだけど、もうこの距離でただ避けるという命令は間に合わない。

 

「タジャッ!」

「たいあたり!」

 

「チャモ~!」

 

「どうして!?」

「チャモウ!」

 

 ボクの『たいあたり』がチャモウに当たり、チャモウは後ろに吹き飛ばされる。結構な距離が空いたのでここで追い打ちを出す。

 

「タージャー!」

「グラスミキサー!」

 

 ボクのシッポから出た葉が大量に渦を巻いた竜巻、『グラスミキサー』をそのままチャモウに叩きつける。

 

「草タイプの技!ならこっちは火です!ひのこ!」

 

「チャモー!」

 

 ポケモンのワザにも相性は関係してくるが、ひのこ程度の威力がボクが頑張って鍛えたグラスミキサーに勝てるはずもない。

 

「チャモーーー!」

 

 小さいひのこの群れはグラスミキサーに打ち消され、そのままチャモウを直撃した。

 

「「チャモウ(さん)!」

 

「っ!?」

 

 妹紅ちゃんと早苗ちゃんの足元まで吹き飛ばされたチャモウを見た先生がすぐに試合終了の合図をだそうとしている。

 

「タジャ!」

「・・待ちなさい先生。」

 

「な、し、しかし、これ以上の継続は!」

 

「ナギには何か考えがあるようだから、そのまま見守ってなさい。」

 

「・・・。」

 

 ナイスフォロー、幽香。b

 

「チ、チャモ~・・・。」

 

 なんとか力を出して立ち上がったチャモウだけど、見て分かるほどダメージを負っている。

 

「どうして・・、どうしてですか!こっちも避けるように言ったのに!」

 

「・・・。」

 

 さて、この辺で2人の認識を正しておこうかな。

 

「・・・・。」パアァァァ

 

「な、何ですか?!」

 

「・・・ナギ?」

 

 早苗ちゃんはボクが人間に変身するのは初めてだから驚いている。

 

「・・・・ふう。」

 

「え?人間?子供?・・・え?」

 

 うまい具合に早苗ちゃんは混乱しているので頭が真っ白になっているようだ。このインパクトのままでおしていこう。

 

「早苗ちゃん、ちょっといいかな?」

 

「は、はい!」

 

「避けろって言ったのに、チャモウがボクの攻撃を避けきれないのが納得いかないみたいだね。」

 

「そ、それはそうですよ。クサナギさんは最初はこっちのひのこを避けていたじゃないですか。」

 

「そうだね。」

 

「なら、こっちだって避けることも出来るはずです。」

 

「それはパートナーとの息が合って初めてできること。」

 

「・・・え?」

 

 ゲームじゃあ、ただ指示を出せばよかったからね。ここは例えを出して分からせよう。

 

「早苗ちゃんはドッチボール出来るよね?」

 

「え?・・・それは出来ますけど、どうしてですか?」

 

「なら、真正面から飛んできたボールは避けれる?取るのは無しで、」

 

「も、もちろんです。これでも体を動かすのは好きですから、結構動けます。」

 

「なら、避けた後にまだ体の姿勢が整ってない内にまた正面からボールが飛んできたらどう?」

 

「それは、さすがに・・・。奇跡を使えれば大丈夫ですけど・・。」

 

「(奇跡?)そう、避けれないよね。これはさっきのチャモウの状態でもあるんだよ。」

 

「え?」

 

「ポケモンだって無限にワザを出せないんだよ。チャモウも切れたひのこを貯めている途中にいきなり避けろって言われても混乱するよ。」

 

「・・・・。」

 

「驚いているみたいだけど、それは当然だよ。だって、ボクたちポケモンだって君たち人間のように生きているんだから。」

 

「!?生きて、いる・・・・。」

 

 早苗ちゃんは衝撃を受けている。顔がそんなバカなと言いたげだ。

 

「早苗ちゃんの頭だけの存在じゃないんだよ。ボクを、目の前のチャモウを見て。息をしているよ、自分で体を動かしているよ。ボクたちは空想上の生物じゃないよ。早苗ちゃんの頭の中でバトルのイメージができている見たいだけど、それはちゃんとボクたちを見ている?」

 

「・・・・・。」

 

「ちゃんと目の前にいるのに、それじゃあボクたちの存在を認めてくれないのと同じだよ。それはとても悲しいよ。」

 

「っ!?目の、前にいるのに・・・存在を認めてくれない・・・・。」

 

 早苗ちゃんにはこれぐらいでいいかな。目に見えて狼狽えている。今度は、

 

「妹紅ちゃん。」

 

「は、はいっ!?」

 

 チャモウを心配そうに見ていた妹紅ちゃんはいきなり呼ばれて驚いた。

 

「さっきのひのこの息継ぎでチャモウの状態に気がつてたよね?どうしてチャモウに指示しなかったの?」

 

「そ、それは・・・。」

 

 妹紅ちゃんは気まずそうに俯く。

 

「・・・多分だけど。どうせバトル初心者の自分ではどうしても勝てない。チャモウに怪我してほしくない。とか色々考えていたでしょ?」

 

「うっ・・・。」

 

「妹紅ちゃん、ポケモンについて最近まで何も知らない君がいきなり未知の存在を認識したことで不安になる気持ちは分かるよ。『ポケモンって知らないで今まで生活していたけど大丈夫かな?』これが昨日から考えていることでしょ?」

 

「・・・うん。私が知らずにチャモウに何か負担を掛けていないか、って不安だったの。ポケモンを知らない私がこれから上手にチャモウを育てていけるかも考えたわ。」

 

「早苗ちゃんにバトルに指示を任せたのも、初心者の自分より経験者の早苗ちゃんの方が上手いと思った。」

 

「・・・・うん。」

 

 これだ。これは初心者トレーナーがいつか通る試練なようなものだ。アニメのサトシ君も一回相棒のピカチュウを野生のピカチュウの群れにおいて行こうとしたしね。あれからサトシとピカチュウは確かな絆を手に入れたと思う。

 

「妹紅ちゃん、ポケモンの育て方。もとい、ポケモンとの接し方に正解も不正解もないよ。トレーナーとポケモンの数だけ出会いがある、旅の仕方、バトルの方針もある。妹紅ちゃんは妹紅ちゃんらしくチャモウと接すればいいよ。」

 

 そう、アニメでも現実でもだけど同じポケモンで同じように育てていようが、全てが同じポケモンなんていなかった。バトルだって勝ち方が違う。

 

「でも、その・・・。」

 

 それでも自信が付かないか。なら、これはアニメファンに怒られるかもしれないけど。

 

「例えば野生のポケモンをゲットしたけど、バトルに簡単に負けると何の躊躇もしないで捨てるトレーナーだっているんだよ。」

 

「!?ひどいっ!自分のパートナーをどう思っているの!私なんか、チャモウにどれだけ心を支えて貰ったと思っているの!」

 

「でも、バトルに勝つために強いポケモンを欲しがるのは悪いこと?負け嫌いの妹紅ちゃんは勝ちたい気持ちは分かるよね?」

 

 そう、アニメでのサトシのライバルの1人のあの子だ。決してその子を否定しているわけじゃないよ?

 

「でも、勝ちたくてもそれじゃ意味が・・・。」

 

「ない、って言いきれる?その子はそのやり方でポケモンの大会まで行けたんだよ。これも一種の正解ともいえるんだよ。」

 

「・・・・・認めない。」

 

 お?

 

「その人がそれで成功したとしても、私はそれを認めない!私は勝てなくても、今度は勝てるように一緒に頑張る!これが今までの私のやり方よ!」

 

「・・・それを否定されても?」

 

「・・・・正直、否定されると傷つくけど、私はそれで何度もチャモウと一緒に生き抜いてきたのよ!今なら自信を持って言えるわ。私はポケモンが、チャモウが大好きよ、これからもずっと何があってもこの子を信じるわ!」

 

 パチパチパチパチ

 

「・・・え?」

 

 妹紅ちゃんが気付けば、ボクと幽香、先生から拍手をもらっていた。

 

「良い顔になったわね、藤原妹紅。そうよ、今までの自分の生き方を他人に否定する権利などないわ。自分が自分である限り、誇りを持ちなさい。」

 

「そうだぞ妹紅。私は知っている、お前とチャモウがどれだけ一緒にいて、笑ってきたのかを。私は嬉しいぞ。」

 

「・・・・////。」カアァァァ

「チャモ~(ねえちゃ~ん)。」

 

「・・・・・。」

 

 妹紅ちゃんは恥ずかしくなって顔を真っ赤にしている。チャモウは妹紅ちゃんに絶対の信用の目をしている。早苗ちゃんは妹紅ちゃんの横で今までのやり取りを無言で見ていた。

 さて、いつまでもこのままではバトルが終了しない。ボクはまだ妹紅ちゃんとチャモウの絆を感じていない。

 

「・・で、負けず嫌いな妹紅ちゃんはどうする?」

 

「・・・・チャモウ、また怪我をさせるかもしれない、痛い思いをするかもしてない。でも、私が負けず嫌いなのは知っているわよね?」

 

「チャモッ!」

 

 チャモウは自信満々にうなづいた。それを見て妹紅ちゃんは笑みを浮かべた。

 

「なら、やるわよ!」

「チャモー!」

 

 パアァァァ

 

「タジャ!」

 

 ボクもツタージャの姿に戻って、攻撃態勢に移る。本当の勝負はここからだ。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 クサナギと妹紅、早苗、チャモウチームがバトルを仕切り直し、お互いが動かずに相手の出方をうかがっていた。

 

「早苗、悪いけど今からは私のフォローをお願いするわ。私はチャモウと一緒に頑張ってみる。」

 

「・・・はい、分かりました。」

 

 早苗は先ほどの妹紅とクサナギのやり取りを間近に受けて、このバトルを妹紅とチャモウに任せることを決めた。

 

「・・・・・タジャ!」

 

「!?来た!」

 

 先に動いたのはクサナギだった。太陽光を浴び、上がったスピードでチャモウの周りを走り始めた。しかし、妹紅もそう同じ攻撃を何度もくらうような失態はしなかった。

 

「こっちも動いて!ナギを追いかけて!」

「チャモ!」

 

 たいあたりを受けた時とは違い、妹紅も攻めの姿勢を見せる。

 

「(動いている相手にはひのこは当たらない。なら、こっちから当てられるようにチャンスを見極める!あのグラスミキサーは上から回転しながら叩きつけるように来るから、見極めて横に飛んでひのこを当てる!)」

 

 妹紅は先ほどの弱腰はどこに行ったか分からない程に変わっていた。自らチャンスを掴もうとしているのがその証拠である。

 

「・・・・。」

 

 クサナギは追いかけてきてるチャモウと妹紅の様子を伺っていた。

 

「(妹紅ちゃんは何としても、ひのこを当てに来るはず。考えられるのはグラスミキサーを出した後の無防備なところにひのこ。なら・・・・。)」

 

 クサナギは突然真後ろに向き直り、チャモウに狙いをつける。クサナギの尻尾に風が起こり始めた。

 

「(来た!)チャモウ、横に跳んで!」

「チャモ!」

 

 妹紅の合図に即座に反応し、チャモウはグラスミキサーが当たるだろう場所から大きく横に跳んだ。タイミングもバッチリでだ。だてに永遠亭の姫と長年弾幕ごっことやらをしているだけはある。後はひのこを当てればクサナギに大ダメージを当てられるだろう。

 

「(予想通り!)タジャー!」

「グラスミキサー!」

 

 しかし、クサナギはグラスミキサーを上からではなく、()()()()()()()()繰り出した。

 

「なっ!?」

「チャモッ!」

 

 予想外の行動で、しかも跳んだ態勢のチャモウに避けられるはずもなく、グラスミキサーがチャモウに迫る。

 

「くっ!チャモウ、グラスミキサーに向かってひのこ!」

「アーチャー!」

 

 少しでもダメージを軽減できればとひのこをグラスミキサーに当てる。

 

「チャモーー!」

「チャモウ!?」

 

 直撃よりはマシだったろうが、効果がいまひとつだろうがとグラスミキサーをもろに2回と体当たりを1回くらったのだ。チャモウは地面にうつ伏せで倒れている。

 慧音が今度こそバトル終了の合図をだそうとした。しかし、

 

「立ってチャモウ!まだやれるわ!」

「チャ、チャ~モ~・・・。」

 

 倒れたチャモウを励ます妹紅と一生懸命に立ち上がろうとするチャモウを見て、グッと我慢して心の中で応援をする。

 

「(頑張れ、2人とも!)」

 

「・・・・・。」

 

 そんな二人を間近に見て、早苗は目の前にいるポケモンをゲームのキャラと言っていた自分を恥じていた。そして、心の底からこの二人を勝たせてあげたいと思うようになった。

 

「・・・頑張ってください!まだいけますよ、チャモウさん!」

 

「早苗・・・。」

 

「私も負けず嫌いなんです!」

 

 そんな早苗の姿を見てクサナギは満足そうにしていた。

 

「(これで早苗ちゃんのポケモンに対する意識も変えれたかな?そうなら、目的の1つは達成。あと1つの目的の妹紅ちゃんとチャモウ間に確かな絆があることを認識してくれたようだし、ボク的には満足なんだけど・・・。)」

 

 そう、このバトルは実際にポケモンバトルを体験して、早苗のポケモンに対するゲーム意識を改めさせることと、妹紅に他人からどう言われても自分とパートナーの築いた絆に自信をもってもらうのが目的だったのだ。賭けの部分もあったが上手くいき、満足したクサナギはこれでバトルを終わらせることも出来るのだが、クサナギはバトルを終了させなかった。

 

「(1度始まったポケモンバトルを途中で放棄するのはポケモントレーナーに対して失礼になるからね。それに、まだ3人は諦めていないのに、先輩であるボクが止めるわけにはいかない。ポケモンとして、トレーナーとして!)」

 

「・・・・・。」

 

 クサナギと幽香が考えに耽っている間にチャモウに変化が起き始めていた。

 

「チ、チャモウ?」

「これは・・・!?」

 

「タジャ?」

「何かしら?」

 

 妹紅と早苗の声につられて、クサナギと幽香もチャモウに視線を移すと、そこには体に薄い赤い光の膜を帯びたチャモウがいた。

 

「チャモーーーーッ!!」

 

 チャモウの雄叫びと共に体を覆っていた光が強さを増した。目を瞑るほどもない光だが、見た者に力強さを連想させる何かを持っていた。

 

「『もうか』・・・、これ、もしかして特性?」

 

「特性?早苗、何か知っているの?」

 

「はい、ポケモンには特性と言って、私たちに例えるなら能力になりますけど、それを持っているんです。」

 

「能力、これがそうなの?」

 

「ええ、そうです!おそらくアチャモ固有の特性である『もうか』が発動したんです!」

 

「もうか・・・。」

 

「チャモッ!」

 

 妹紅にそれは暗闇に光る1つの逆転の光のように思えた。チャモも何時もより頼りになるように胸を張っている。

 

「山の巫女が言っていた、もうかってどうんな能力なの?」

 

 妹紅と早苗の会話を聞いていた幽香がナギに聞いてきた。

 

「体力が少なくなると自動に発動する能力で、炎タイプのワザの威力が上がるんだ。」

 ※幽香にはちゃんと日本語に聞こえている。

 

「へえ、良いわね。弱き者がピンチでも諦めない。そんな気持ちがこっちに伝わるようで心躍るわ!」

 

 それはクサナギも同じであった。アニメのサトシもピンチになってからがポケモンバトルの真骨頂なのだ。それを今までいくつも現実で見てきたクサナギでも、この光景はとても眩しく愛おしいものだった。

 妹紅も早苗からもうかの効果を聞いたようで、先程より目にもやる気が宿っていた。

 

「いくわよチャモウ!このバトル、勝つわよ!」

「チャモ!」

「私も陰ながら力になります!」

 

 3人の息が合っているようなのは、気のせいではないだろう。この場の空気が明らかに変わったのは感じられる。

 

「どうするのナギ?何だかあっちが逆転するような空気になっているわよ?」

 

「そうだね・・・。」

 

「まさか、負けてあげるわけじゃないわよね?」

 

「それこそまさか、だよ幽香。ボクだって先輩である気だよ、簡単に負ける気になれないよ。」

 

「そうよ、そうじゃないといけないわ。強者は弱者の真っ直ぐな思いを受け止めてあげないといけないわ。それが強者のつとめよ。」

 

 そんな空気でも我を見失わず、堂々と相手の攻撃を受け止めようとするクサナギに幽香は好感がさらに上がった。

 

「ナギ!いくわよ!」

 

「タジャ!」

 

 妹紅とクサナギの合図に第3ラウンドが始まった。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 さて、バトル再開ということで今度もボクから仕掛けてみるかな?今の3人がどんな対応するか、とても気になる。

 

「さっきの失態は後悔しますが、ポケモンのゲームの知識は存分に使わせてもらいます!チャモウさん、『なきごえ』です!」

 

「チャモーー!」

 

「ッ?!タジャ・・・。」

 

 これはやられた。まさか今までパワーで押してきた早苗ちゃんが変化系のワザを使ってくるなんて。

 

「早苗、これは?」

 

「なきごえです。相手の物理攻撃の威力を軽減できます。これで体当たりからこちらの隙をつかれる事はないと思います。」

 

「・・・それはどのポケモンも使えるの?」

 

「はい、こういった相手のステータス、身体能力に影響を与える変化技は殆どのポケモンが使えます。」

 

「・・・・。」

 

「どうしました、妹紅さん?」

 

「いえ、なんでもないわ。」

 

「でも、どうしましょうか。もうかで強化したひのこでもグラスミキサーを攻略するのはキツイですよ?」

 

「・・・私に考えがあるわ。後は任せて!」

 

「はい!お願いします、お2人とも!」

 

「チャモ!」

 

 う~ん、これは妹紅さんにはボクが背負っているハンデに気が付いたかな?

 でも、これじゃあ、さっきの戦法は使えない。たいあたりをしてもそこまで態勢を崩せないだろうから、無防備のこっちが攻撃を受けてしまう。いくらボクでも至近距離のもうか状態のひのこが当たればただではすまない。

 

「(なら、真っ向勝負あるのみ!)タジャー!」

「ほら、いくわよ3人とも!グラスミキサー!」

 

 なきごえで下がるのは攻撃力、特殊ワザであるグラスミキサーには何の影響もない。さっきと同じように横向きにグラスミキサーを発動したけど、今度はどうするのかな?

 

「チャモウ!()()()に行くわよ!()()()()の準備!」

「!?チャモ!」

 

 タケノコほり!?なんだその指示!あなたもサトシ君のお仲間ですか?

 

「チャモーーーッ!」ザッザッザッザッザッ!

 

「タッ?!」

「はい!?」

 

 ボクだけでなく、妹紅ちゃんの隣にいる早苗ちゃんも驚いている。だって、チャモウが両足を使ってすごい速さで土を掘っているんだもん!

 

「チャモ!」

 

 グラスミキサーが当たるまでの数秒でチャモウが入れるくらい穴が掘られ、チャモウはその穴の中に入った。

 

「(くっ!これじゃ・・・)」

 

「よしっ!」

 

 妹紅ちゃんの狙い通りと思うけど、穴の上をグラスミキサーが通過した。もちろん、チャモウは無傷だろう。

 

「(ワザを中断する暇はない!このまま回転を続けて今度は上から叩きつける!)」

 

 さっき見たひのこのスピードを計算に入れ、ボクは自分的にベストの判断をして実行に移した。横に回転している体を上から叩きつけるように変化させる。

 

「その隙貰ったわ!チャモウ、火種発射!」

「チャモーーッ!」

 

「タジャッ(なんですとっ)!?」

 

 なんとチャモウはひのこを口の中で1つに纏めたのだろう、ひのこにしては大きすぎる火がボクを目がけて発射された。

 1つに纏まったひのこはスピードも速くなっていた。このままでは当たり、大ダメージは必須。なら!

 

「(少しでも威力を落とす!)」

 

 避けようとワザを中途半端に中断して当たるより、威力を落としてでも当たることをボクは選んだ。

 

「タジャー!」

 

 ボクは急いでグラスミキサーを方向転換したけど、ボクの近くてグラスミキサーと大きいひのこがぶつかった。

 

「タジャーー!」

「ナギっ!?」

 

「よしっ!」

「やりました!効果は抜群です!」

 

 しかし、大きくなったひのこはグラスミキサーを突き抜けてボクに当たった。普通のひのこなら問題はなかったけど、このひのこは『はじけるほのお』に匹敵する威力を持っていたようで、多少威力を殺しながらもグラスミキサーを貫通してきたのだろう。

 威力が落ちたとしても、効果抜群しかも、もうかのオマケつきだ。ダメージを受けながら、ボクは大きく吹き飛ばされた。

 

「チャモッ!」

「!?チャモウ、頑張って、『つつく』攻撃よ!」

「・・・チャモ!」

 

 ボクが吹き飛んでいる間に妹紅ちゃんはチャモウにつつくを指示したようだ。チャモウがくちばしを光らせながらこっちに向かってくる。

 

「(見事だよ妹紅ちゃん。初めてのバトルでボクが思いもしない行動を起こし、ボクにダメージを与えた。これは誇っていいレベルだよ。)」

 

 吹き飛んでいる間にボクは妹紅ちゃんとチャモウのコンビに称賛していた。追撃が来ていて、ボクが負けるかもしてない流れだったけど、それ以上に嬉しかった。

 アニメでも胸が高まり、現実でんも何回も見てきたどんでん返し。それをポケモバトル初心者が起こしたのだ。ボクはとても面白くて、嬉しくなった。

 

「タジャ!」

 

 着地したボクは向かってくるチャモウに目を向ける。

 

「(本当なら勝たせてあげたい。でも、君たちはもっと強くなれる!だからボクは心を鬼にさせてもらうよ!)」

 

 なにより・・・

 

「・・・・。」

 

 さっき、幽香の前で言っちゃたしね、「簡単に負ける気になれないよ」って。

 

「チャモチャモー!」

 

 もう目前に迫ってきたチャモウをよく見て、ボクはあるワザを叫びながら反撃にでた。

 

「タジャー!」

「!アクアテール!」

 

「なっ!?」

「水!?」

 

 幽香が訳してた水タイプのワザ『アクアテール』。それを見た妹紅ちゃんと早苗ちゃんは声を出して驚くけど、もう遅い!

 

「タジャ!」

 

 バシッ!!

 

「チャモーーーッ!」

 

 ボクのアクアテールがチャモウの顔にもろに当たり、チャモウは妹紅ちゃん達の傍まで吹き飛ばされた。

 

「チャモウ(さん)!」

 

 吹き飛ばされたチャモウを心配して駆け寄る2人、そこには。

 

「チャモ~・・・・」

 

 目を回しながら倒れているチャモウがいた。

 

「・・・先生、審判でしょ?」

 

「あ、ああ。・・・チャモウ戦闘不能、クサナギの勝ち。よって勝者、天籟クサナギ!」

 

「タジャ・・・。」

 

 先生のバトル終了の合図を聞いてボクはその場に座り込んだ。

 

「お疲れ様、ナギ。ちゃんと勝ったわね。」

 

「・・・タジャ(幽香に言ったからね)。」

 

 幽香はボクにご苦労様と言って、ボクを抱きかかえてくれた。とても優しく安心できるほどに。

 

「タジャタジャ(ごめんけど、幽香)。」

 

「分かっているわ。あの子たちの傍まで行くわよ。」

 

 幽香はボクが何も言わなくても、妹紅ちゃん達の傍までボクを連れて行ってくれた。

 

「チャモ~・・・。」

 

「いいのよ、謝らなくても。あなたが頑張ったことは私が分かるから。」

 

「そうですよ!チャモウさんは頑張ってくれました!」

 

 そこには座り込んで落ち込んでいるチャモウと、それを励ます2人の姿があった。

 

「あ、ナギか・・・。私たち負けちゃった。」

「チャモ・・・。」

 

 ボクの姿が見えた途端に妹紅ちゃんも落ち込み始めた。この負けた時の感情は体験した人しか分からない。だから、ボクはトレーナー同士のバトル終了後のお約束の言葉を3人に送った。

 

「タジャ、タジャタジャ。」

「・・・いい勝負だった、よければまたバトルしたいね。って言ってるわよ?」

 

「え?」

「アチャ?」

 

「どうしたのかしら?さっき負けず嫌いって言ったじゃない、あれは嘘だったのかしら?」

 

「・・・嘘じゃないわ。今度は私とチャモウが勝ってみせるわ!見てなさい、私たちはもっと強くなるわよ!」

「チャモー!」

 

 妹紅ちゃんとチャモウはさっきまでの落ち込みはどこにいったか、元気よく再戦の申し出をしてきた。

 

「それでいいのよ。せっかくナギがバトルしてくれたのよ、しかもあなた達の事を思ってよ。落ち込んでいる暇はないわ。」

 

「分かってるわよ!なんで幽香が偉そうなのよ!っていうか、いつまでナギを抱きしめているのよ!」

 

「勝者の特権よ。」

 

「勝ったのはナギじゃない!?」

 

 最後は幽香に持って行かれた気がするけど、バトルが終わってのこのやり取りは癖になる。見知らぬトレーナー同士がポケモンバトルを通じて、知り合い、絆を作っていくようなこの光景がボクはそても好きだ。負けても、()()()()()()()に意味がある。そんな気持ちが胸に溢れてくる、そんな感じだ。

 

「あの~、お取込みのところ、いいでようか?」

 

「「ああっ!?」」

 

「ひっ!」

 

 こらこら、その辺で睨み合いを止めなさい。ほら、何か言いかけた早苗ちゃんが怯えているじゃない・・・。

 

「ほら2人とも、喧嘩はそこまでにしないか。早苗が話し辛いだろ。」

 

 ナイス!先生、ナイス!

 

「あ、ありがとうございます、慧音さん。・・・では、妹紅さん、チャモウさん、先ほどのポケモンバトルでは申し訳ありませんでした。」

 

「え?」

「チャモ?」

 

 早苗ちゃんからの改めての謝罪に妹紅ちゃんとチャモウは首を傾げている。ボクは何となく言いたいことは分かる。

 

「私の偏見と思い込みで迷惑を掛けました。チャモウさんに至っては怪我までさせてしまいました・・・。本当に御免なさい。」

 

「早苗、それはこっちも同じよ。」

 

「え?」

 

 今度は頭を下げていた早苗ちゃんが首を傾げている。

 

「未熟で少し臆病になっていた私のせいで折角教えてくれたアドバイスを活かせなかった、これは私の落ち度よ。」

 

「妹紅さん・・・。」

 

「だからね、今度から早苗が知っているポケモンの知識を少しずつでいいから教えてくれないかしら?」

 

「・・・はい、はい!お任せください!不肖、ポケモン歴6年の私が知っている知識を全て妹紅さんに教えます!」

 

 ・・・いいなあ、こう目の前で友情が深まっていくいくのを見るのは。癒される、というか和む。特にこの姿になってからは人同士のこんなやり取りを見るのが好きになっている。

 もちろん、ポケモン同士が仲良くしているところも見るのも好き。

 

「それと、チャモウさんとクサナギさんも、改めて申し訳まりませんでした。」

 

「タジャ?」

 

 今度はボクがえ?、である。なんでボクにまで謝罪を?

 

「ナギはどうして謝罪をしたか分かっていない見たいよ?」

 

 ナイスフォローです、幽香。b

 

「え~と、ですね。・・・・先程のバトルでクサナギさんに言われた「ボクたちポケモンだって君たち人間のように生きている」、「ボクたちの存在を認めてくれない」に思うところがありまして・・・。」

 

 ああ、言ったねその言葉。

 

「私は目の前に確かに存在しているのに、そのことを認識されない方達をずっとお傍で見てきたつもりです。悲しい顔を見てきたつもりでした。私も何度も悲しい思いをしてきました。なのに、私はそんな悲しい事をやってしまう側になっていました。」

 

 話している早苗ちゃんの顔はとても複雑な感情が見える。ボクが分かるのは、悲しみと悔しさだけだった。それ以外は本人や関係した人しか分からないだろう。

 

「こっちに来て、今まで架空と思われていた存在に会えてテンションが高くなっていた自分を、今とても恥ずかしく思います。」

 

「「「・・・・。」」」

 

 早苗ちゃんの話をボクとチャモウだけじゃなく、妹紅ちゃんたちも黙って聞いていた。

 

「まだ、色々と心の整理する時間が必要と思いますけど、まずはあなた達のような存在をちゃんと認識するところから始めたいと思います。・・・本当に御免なさい。」

 

「タジャ、タジャタジャ。」

 

「ボクはそこまで気にしていない、だから貴女は貴女の考えをしっかりと貫き通せばいい、って言っているわ。」

 

「チャモチャモ!」

 

「チャモウも気にしてない見たいよ。」

 

「・・ありがとう、ございます・・・!」

 

 無理かもしれないけど早苗ちゃんにこれから良いポケモンライフがありますように。そう思えるほど、早苗ちゃんは涙を目の端に溜めて、とても良い笑顔をボクたちに見せてくれた。

 

「・・・ほら、話はそこまでにして、今度はチャモウとナギの傷の手当をしようか?」

 

「そうね、そうしましょう。」

 

 慧音先生の提案に幽香が賛成している。そうだ、ボクはダメージがそこまでないけど、チャモウはもうかを発動するくらい体力は減っているはずだ。

 

「タジャタジャ。」

「・・・とりあえず、落ち着ける場所でナギたちの治療をしましょう、いいわね?」

 

「賛成よ。チャモウを休ませてあげないとね。場所は~・・・。」

「チャ~モ~。」

 

 妹紅ちゃんはチャモウを抱き上げて、休む場所を考えている。ここは幻想郷の住人に任せよう。

 

「なら、永遠亭はどうでしょうか?ポケモンですから、人里の治療所では落ち着かないでしょうし、あそこの先生ならポケモンに効く薬を作ってくれるかもしれません。」

 

「そうだな、今後の事を考えるとそうした方が良さようだ。皆、異存はないか?」

 

 早苗ちゃんからの提案に先生が肯定し、皆もその提案に乗ることにした。

 

「なら、飛んで行きましょう。その方が早く着くわ。」

 

 そう言って自然にボクを抱えてくる幽香。あ、あのですね、ボクはそこまでダメージを負っていないのですよ?それに『飛ぶ』ってなんですか?

 

「そうね。」「はい。」

「私は人里で鈴仙さんに合流します。それから永遠亭に向かいますので。」

 

「では、私は一足先に永琳殿に事情を説明しておこう。」

 

 そう言って、皆(チャモウは妹紅ちゃんが抱いている)は空中に浮き始めた。

 

「タジャッ(ほんとに飛んだっ)!?」

 

「ああ、そうか、ナギには幻想郷の住人が飛べることを言ってなかったわね。道中にでも説明するわ。」

 

「あっ、なに自然にナギを抱いているのよ!」

 

「あら?貴女にはチャモウがいるでしょう?」

 

「ナギぐらいの大きさなら、チャモウと一緒に運べるわよ!」

 

「無理しないの、この子は見た目より重いわよ?人間の腕力の貴女じゃ2人はきついでしょ?」

 

「そ、それは・・・。」

 

「分かったら急ぐわよ。」

 

「だぁからって、これ見よがしに引っ付くなぁー!!」

 

 ・・・ああ、2人のやり取りで恥ずかしさもどっかに行っちゃったよ。それにしても、永遠亭かあ。行く予定の場所であったから好都合でもある。

 ボクはそんなことを考えてながら、とりあえず背中に感じている感触を永遠亭に着くまで考えないようにしておこう。やっぱり、人の時とは少しずれているけど恥ずかしいのだ。

 

 

 

 

 そんなこんなで、クサナギ達一行は永遠亭に向かった。しかし、幽香や妹紅はクサナギとチャモウの傷の手当を意識している為にそれを木陰から覗いている2人の人影の存在に気付かなかった。

 1人はこの幻想郷で見ることがないようなメイド服を着ており、あと1人はカメラを片手に背中から黒い羽根を生やしていた。ポケモンバトルというイベントが終わったばかりのクサナギだが、まだまだ面白いイベントが起こるだろう。

 

 

 

 

 

◆◆オマケ◆◆◆◆

 

 

「オーキド博士の・・。」

「幻想郷出張・・。」

 

「「ポケモン講座!」」

 

「やあ、皆元気にポケモンゲットしておるか?オーキドじゃ。」

 

「はい、皆さん初めまして!このコーナーでオーキド博士のお手伝いをすることになった、まだ本編では登場すらしていない、かわいそうな稗田阿求です。よろしくお願いします。」

 

「阿求君、何もそこまで言わなくてもいいのでは?」

 

「いえ!折角、幻想郷にポケモンといった初めての種族がいると判明したのですよ!それも私が幻想郷縁起に初めて書くことが出来るという栄誉もあるのですよ!ここまであるのに、まだ私が本編に出ていないってどういう事ですか、作者!?」

 

「さ、作者には作者のペースがあるのだろう。」

 

「でも、前に私が出てきてもいい伏線もありましたよ!私、それで楽しみに待っているんですよ!」

 

「まあまあ、作者への不満はそこまでにして、早速ポケモンの事について話をしよう。」

 

「そうですね、では今回紹介するポケモンは何ですか?」

 

「この小説の主人公でもある、クサナギを名乗っているツタージャじゃ。」

 

「でました!作者の嫁ポケモン第1位(進化系を込めて)!」

 

「ツタージャは本編でもあったが、イッシュ地方の初心者用ポケモンの1匹じゃ。」

 

「確か草タイプでしたね。トカゲのようなポケモンです。」

 

「くさへびポケモンのツタージャは図鑑でもあったがシッポの葉っぱの部分で光合成もでき、ツルを手より器用に扱うことができるぞ。」

 

「ツル?今回の戦闘では出していませんでしたね?」

 

「そこは次回に理由が分かるじゃろう。ツタージャは知能が高く、トレーナーが自分に相応しくなければ自分から離れていく事例が確認されておる。」

 

「そうなんですか!?」

 

「うむ、野生で出てくるツタージャはもしかしたら、そんな理由で野生化した可能性もある。」

 

「はぁ~、ポケモンって賢いんですね。」

 

「人間より高い知性をもったポケモンもたくさんおるからのぉ。人も色々、ポケモンも色々じゃな。」

 

「参考になります。」

 

「勉強熱心じゃな、関心、関心。では、最後はおなじみポケモン川柳でしめるとしよう。」

 

― ツタージャが

     ツルをたたんじゃ

           光合成 ――― オーキド博士

 

「う、う~ん。これが噂のオーキド博士のポケモン川柳ですか、力が抜けるような気が・・・・。」

 

「これは手より上手く使えるツルをしまって、光合成をしてゆったりとリラックスしているツタージャの一句じゃ。」

 

「な、なるほど。そう言われればそんな姿が頭に浮かんできました。ツタージャが太陽の光を浴びて、のびのびとしているのが。ポケモン川柳、奥が深い・・・。」

 

「では、皆もポケモンゲットじゃぞ~。」

 

「また次回会いましょう~。作者、早く私を本編に!」

 

 




お疲れ様でした。

前書きでもいっていましたが、ちょっと最近色々ありまして(特に身内)投稿するテンションが上がらずにいまして遅れてしまいました。
これからも、忙しくなると思いますので投稿は不定期のままのことをご了承ください。

さて、とうとう始まってしまいました幻想郷での初!ポケモンバトル!
バトルの展開を何度も見直してみたんですが、いかがでしたでしょうか?
アニメのような展開を上手く書けていたら幸いです。自分的にチャモウがもうかを発動するシーンを書いている間、ずっと頭のなかでポケモン曲の「バトルフロンティア」が流れていましたw

今回で妹紅ちゃんとチャモウの間にしっかりとした絆をたたせてもらいました。そのほうが今度に都合がいいと思うので・・・。(汗
早苗についは、このバトル以降で少し考えを改めてもらって、いい子になってもらう予定です。これも次回に書ければいいですね。

そして、一応最後に伏線をはらせてもらいましたが、皆さんには誰がすぐに分かると思うので伏線の意味がないような気がします。

ポケモン講座はどうでしたか?
自分的には満足いく出来となったと思います。あと、この作品の阿求は講座のテンションと変わらない予定ですので、本編での登場をお楽しみに!

次回は永遠亭に場所を移ります!

感想、誤字、脱字、質問はいつでも受付中です。

では、また次回会いましょう!


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第10話 迷いの竹林の永遠亭

こんにちは、デスです。

まずは一言、遅くなりました。なかなか執筆するテンションになれないくらいリアルが忙しかったので・・・・
とりあえず、頑張りますのでよろしくお願いします。

今回で幻想郷2匹目のポケモン登場です。皆様の予想は正しかったでしょうか?

前回のあらすじ

幻想郷で初めてのポケモンバトルをしたナギとチャモウ。バトルはチャモウも頑張ったがナギの勝利に終わった。
そして、傷ついた両者を治療するために一同は幻想郷一の医療設備が整っている永遠亭に向かうのであった。

では、本編へどうぞ!



 幻想郷で初めてのポケモンバトルを終え、今はボクとチャモウの傷を癒す為に『永遠亭』という場所に移動している。幽香と妹紅ちゃんに抱きかかえられて、しかも空を飛んでだ。

 これには最初は驚いたけど、道中(空中?)での幽香と妹紅の話によればこの幻想郷で何か能力を持っている多くの人が空を飛べるようだ。それが幻想郷で普通なら順応するしかない。

 というか、いまさら人が空を飛んだぐらいで驚いていてはポケモンの世界ではツッコミの毎日になるしね。科学の力で簡単に空を飛べる(アニメのロケット団とか)し、ボク達ポケモンからしたら飛行タイプもいるしね。

 

 飛ぶこと10分くらいで視界にこれまでに見たこともないほどの大きくて立派な竹林が入ってきた。ポケモンの世界でも存在はしていて、元の世界で見慣れたはずなのに言葉を失うほどで美しさと壮観さがある。

 竹林に入ると幽香と妹紅ちゃんは飛ぶのを止め、歩き出した。竹の葉は鋭いし、肌が切れるかもしれないから歩きに変えたのかな?

 

「タジャ、タジャタジャ?」

 

 歩き出した理由を二人に尋ねると、

 

「前にも言ったけど、ここは『迷いの竹林』の名前の通りに普通の人間や妖怪は必ず迷うことで有名な場所なの。ここを自由に行き来できるのはそこにいる案内人さんか、ここに住んでいる住人くらいよ。」

「ここに住んでいる連中は訳ありでね、それで竹林の外からくるモノ達を住んでいる家に来られなくするように人工で作ったのがここみたいよ。」

「タジャ!?(人工!?)」

 

 この立派な竹林が人工なの!?元の世界にでさえあるか分からない程の()()()()が!?

 

「それは間違いないわ。私も偶に此処に来ることがあるのだけど、来るたびの目印にしておいた竹や景色が変わっているのよ。」

 

「それは永琳の薬のせいね。慣れた私でも竹の葉や罠に気をつけながら飛んでいたら、方向感覚を失いかねないわ。」

 

「チャモチャモ~(わたしはいつもねえちゃんについて行ってる~)。」

 

 ポケモン世界にある『迷いの森』といった迷い易い場所に似ているのかな?それにしてもさっきの妹紅ちゃんのセリフに怪しい言葉があった気がするよ。

 

「タジャ?(罠?)」

「罠はどうして設置されているのかしら案内人さん?」

「ああ、永遠亭にいるウサギ(兎詐欺)が竹林のあちこちに設置しているのよ。侵入者迎撃と警告を含めてね。」

 

 なにそれ超物騒。それに何か兎っていう言葉が妙にひっかかる言い方をしたよね?

 

「ああ、あの見た目幼女の兎ね。さすが年の功ってことかしら。」

「あの見た目に騙されたのは私だけじゃないはず。」

 

 何やら大変なのは分かった。あれ?なら、先に行った先生は大丈夫なのかな?

 

「タジャタジャ?(先生は大丈夫なの?)」

「先生なら大丈夫でしょ。そこの案内人と頻繁に来ている場所だから。」

「慧音のことなら大丈夫よ。きっと今言ったウサギを呼び出して永遠亭に行っているはずよ。」

「みたいよ?」

 

 それなら安心した。

 

 

 それから10分くらいかな?竹林を歩き続けていたボク達、正確には妹紅ちゃんの後をついて行ってるんだけどね。正面にこれぞ和風というような屋敷が見えてきた。何かポケモン世界のジョウト地方のエンジュシティにありそうな屋敷だなぁ。しかもすごく大きい。

 

「あれが永遠亭よ。あそこに幻想郷で一番の薬師がいるわ。」

「タジャ?タージャ?(薬師?そこは医師じゃないの?)」

「医師じゃないのかって聞いているわ。」

 

 妹紅ちゃんはややこしそうな顔をしている。そういえばここの人は訳ありって言っていね。

 

「簡単に言うと竹林の外に干渉しないようにするはずが、ちょっとした異変で外と関係ができちゃってね。そこから前向きに検討して、薬師が永遠亭の表立っての代表で人里に関わっているのよ。実際にその薬師の腕は人間を遥かに超えているしね。」

 

 何か妹紅ちゃんの微妙な顔をしている。

 

「案内人さんとここの連中の仲はそれほど良くないのかしら?」

「あ~、いや~・・・・。」

 

 幽香の質問に歯切れが悪い妹紅ちゃん。これは話題を変えた方がいいのかな?

 

「良くないのは姫様との間だけよ。他の住人とは良い関係を結んでいると思うわ。」

 

 ボクが頭を悩ませていると前方の方から初めて聞く女の人の声が聞こえてきた。

 

「げ、え、永琳・・・。」

「げ、とは何よ。姫様の相手をしているだけで私としては助かっているのよ。」

 

 妹紅ちゃんに永琳と呼ばれた女性は長い銀髪を三つ編みにしていて、服装は何ていうか帽子を合わせてナース服を表していると思うけど色が青と赤を半分で分けていてポケモン世界でもある意味見たこともない恰好をしていた。でも、ひと目では綺麗なお姉さんといった印象が強い。

 

「慧音が言っていたとおり、本当にフラワーマスターもいるのね。よっぽど()()()が気に入っているのね。」

「失礼ね。私は何も、花畑から動かないわけじゃないのよ。四季の花を眺める為にけっこう歩き回っているのよ。ただ、花畑にいる時間が長いだけ。」

「うちの姫様にも見習って欲しいわね。今まで過保護にしてきた私の責任もあるけど、もう少し自分から動いて欲しいわ。」

 

 どうやら永琳という女性は妹紅ちゃんだけでなく、幽香とも少なからず面識があるように見える。遠慮なしに言い合っているのがその証拠に見える。

 

「あら、ごめんなさい。私ったらお客様に挨拶もなしに。初めまして、私はこの永遠亭で医師のようなことをしている、八意(やごころ) 永琳(えいりん)と言うわ。よろしくお願いするわね。」

「タジャタジャ。(こちらこそお願いします。)」

「この子の名前は天籟クサナギと言うわ。よろしくって言っているわ。」

「あら、あなたはこの子の言葉が分かるの?」

「ええ、ナギは属性が草で私よりなの。」

「・・・・・・・。」

 

 な、何故か、ボクをジーと見ている永琳さん。正直怖いです。

 

「ナギがどうしたのかしら?」

「いえ、草ということは植物でこのいかにも生物といった姿で動いていることが興味深いだけ。正直に言うと体がどうなっているか気になるわ。」

 

 目が、目が怖いです!妹紅ちゃん、幽香ヘルプ!貴女はどこぞのマッドサイエンティストですか!?主人公の敵なのですか!?

 

「ちょっと止めなさいよ永琳。脅えているじゃない。」

「大丈夫よ妹紅。姫様の大事なお客様だもの、体を傷つけるわけにはいかないわ。」

「その時は私が本気でお相手するわよ?月の賢者さん?」

 

 抱いてくれている幽香の顔が見れない。何か殺気まがいなものを感じます。

 

「だから、何もしないわよ。ごめんなさいね、私はあなたに危害を加える気はまったくないから安心してちょうだい。」

「・・・やけにあっさり引き下がるのね。チャモウの時は解剖する気満々だったじゃない。」

「チャモ~(あれはトラウマ~)・・・。」

 

 妹紅ちゃんとチャモウの話から、ボクはこの人と2人きりにならないと心に誓った。

 

「さっきも言ったけど、そのトカゲさん?は姫様の大事なお客様なの。」

「輝夜の?」

「ええ、そうよ。貴女もここまで言えば分かるのではないかしか?」

「・・・・あ~、そういうこと。」

 

 どういうこと?妹紅ちゃんが面白くないっといった顔をしている。姫という人と関係は良くない見たいだけど、それと関係しているのかな?

 

「さあ、皆さん。外で立ち話もなんだし、どうぞ永遠亭に入ってくださいな。一応、妖怪用に調合した薬を用意しているわ。」

「ほら、案内人さん行くわよ。続きは中でいいじゃない。」

「・・・分かった。」

 

 永琳さんに促されて、ボク達は永遠亭に入った。

 

 

 案内されたのは強いて言えば近代学校にある保健室に良く似た部屋だ。人里を見てきたボクには違和感しかない、薬品のビンが規則よく並べられている棚や木製ではない机と椅子、しまいにはベットまである。ここまでに来た際に見たここの屋敷の門、玄関、廊下が純日本風だったのが拍車をかける。

 

「どうやら、この設備が気になっているようね。」

 

 部屋を見渡すボクに対して永琳さんは苦笑で話しかけてきた。

 

「ごめんなさい、ナギは幻想郷であまり見ない物ばかりだから驚いているみたい。」

「そのわりには、そこまで驚いていなかったようだけど?」

「タジャタジャ、タジャ。」

「それはナギ達がいた世界ではこのくらいは当たり前だったみたいよ。」

 

 通訳ありがとう幽香。でも、ポケモン世界も科学力という点で言えばいろんなゲームやアニメの世界にも負けないと思う。モンスターボールなんてその最たる例だ。どんなに大きいポケモンでも収納でき、かつ重さも無視である。空間魔法と言ってもおかしくない。

 

「あら、ならやっぱりチャモウやあなたは別の世界の生物なのね。」

「慧音からは何も聞かなったの?」

「急いで駆け込んできて、あの子みたいな生物をあなた達が連れてくるということだけ聞いているわ。とりあえず、慧音には沸騰させたお湯と綺麗な布をてゐと一緒に準備させているところ。」

「永琳殿、お湯と布の用意が出来たぞ。」

「準備万端ウサ~。」

「噂したら影ね。お疲れ様2人とも。」

 

 本当に噂したら影で、先生と頭からウサギの耳を生やした見た目小学校低学年?くらいの女の子が部屋に入ってきた。

 

「お、妹紅にナギ、無事に辿り着いたか。」

「ええ、先に行ってもらって悪いわね慧音。」

「なに、このくらいお安い御用さ。」

「てゐ、こちらの方に自己紹介しなさい。分かっていると思うけど、」

「はいはい、ここに来る途中に慧音先生に聞いたウサ。姫様が話してくれた子でしょ?」

 

 てゐと呼ばれた、先ほど先生と一緒に入ってきた女の子がボクの方へ振り返る。

 

「ではでは、初めまして私は因幡(いなば)てゐ、仲よくしていくウサ。」

「タジャ(よろしく)。」

「・・・お~、この手の感触は新感覚ウサ。」

 

 握手したボクの手を不思議そうに握って見ているてゐちゃん。それにしても、さっきから口調にウサウサ言ってるのはこの子がウサギの妖怪だからだろうか、耳もウサギだし?

 

「お待たせしましたっ!不肖この早苗、ただいま到着いたしました!さあ、鈴仙さん早くこちらに!」

「ま、待って・・・ハァハァ、あなた、急ぎすぎ、だから・・・・。」

「何言ってるんですか!私は早くナギさんに会いたいのです!」

「だから、ナギさんって、だれ・・・?」

 

 これまたタイミングばっちりに部屋に入ってきたのは早苗ちゃんとてゐちゃんと同じウサ耳を生やした少女だった。

 

「・・・これはウドンゲに自己紹介は無理っぽいわね。ナギさん、こちら私の助手をしているウドンゲよ。ウドンゲ、こちらは姫様が話していた恩人よ、失礼がないように後からちゃんと挨拶をしなさい。」

「は、はい。・・・ナギさん、よ、よろしく、お願い、します。」

 

 息きれきれの状態でウドンゲさんは返事を返してきた。てゐちゃんと違ってこっちは服装からセーラー服を着た高校生くらいの年に見える。きっと早苗ちゃんが無理やり引っ張って来たのだろう。

 

「丁度いいぐあいに集合したわね。では、早速治療を始めましょうか。」

「チャモウにもお願いね。」

「分かっているわ。でも、ナギさんの体に私が作った薬が効くか分からないので、手始めに軽く身体調査してみましょう。」

「・・・まあ、治療の為なら仕方ないわね。」

 

 幽香がしぶしぶとボクを永琳さんに渡す。

 

「ふふふ、さあ久しぶりに好奇心が疼くわ。」

 

 ひぃぃっ!やっぱり怖いよこの人!?

 

「あ、そうだ。ナギさん、もしかしたら()()()()()持ってませんか?」

 

 はっ!?そうだ、ボクたちポケモンには便利な不思議道具があるじゃないか。ツルを伸ばしバックをあさって『いいキズぐすり』を取り出す。それを見て興奮する早苗ちゃん。

 

「おお、実物が見れるなんて感激です!」

「山の巫女、これは何かしら?」

「これはポケモンにとっても効く薬なんですよ幽香さん!」

「へえ、これは吹き薬?成分は何かしら?」

 

 ボクからいいキズぐすりを受け取ってまじまじと見ている永琳さん。

 

「タジャタジャ(それをキズに吹きかけて。)」

「それを傷口に吹きかけてって言ってるわよ八意永琳。」

「ごめんなさい、興味深いけど患者を待たせるわけにはいけないわね。あと永琳でいいわよ、風見幽香。」

「なら、私も名前で呼んでちょうだい。」

 

 永琳さんはキズぐすりをボクの傷口に吹きかける。少し時間がたつと傷がみるみる塞がっていく。これにはキズぐすりを知らない人にとって衝撃だったみたいだ。

 

「・・・すごいわね。ここまで即効性がある薬なんて、見たことないわ。ポケモンという生物がすごいのか、この薬がすごいのかとても興味深いわ。」

「驚いているところ悪いけど、私のチャモウの治療もお願いよ。」

「ええ、ナギさん悪いけどこの薬を使わせて貰うわ。」

 

 その後はチャモウもボクと同じように治療され、元気になった。ボクたちが元気になったので場の空気がかるくなり、次第に話題が先ほどのポケモンバトルについてとなっていった。

 

「ナギさんとチャモウが怪我をしたのはポケモンバトル、幻想郷風に言い換えればポケモン用の弾幕ごっこが原因なのね。」

「弾幕ごっこでも当たり所が悪ければ最悪、怪我ですまない場合がありますけどポケモンバトルはどうなっているのでしょうか?」

 

 医者と助手という役職のせいなのか、ポケモンバトルの着目点が勝敗より怪我になっている永琳さんとウドンゲさん。

 

「はい、もちろん危険性はありますがその為に()()()になる前程度で止めるのが基本なのです。」

 

 得意気にポケモンバトルの説明をする早苗ちゃん。内容のほうは間違っていないので、ボクからは何も指摘しないでいた。

 

「あ、話が長くなりそうなのでお茶をいれてきますね。」

「お願いねウドンゲ・・・・。そうだ、せっかくのお客様だから少し高い茶葉を使っていいから。」

「はい!」

「・・・あ~。」

 

 お茶をいれに行くウドンゲさんに、一回時計を見て茶葉の指定をする永琳さん。正直、ウドンゲさんに頼む時の顔はあくタイプを連想させる微笑だった。同じ住人てゐちゃんは何か思うことでもあるようだ。

 

「止めないのねてゐ。」

「いや~、師匠もいい趣味してるな~とウサ。」

「何言ってるの?主は弄るものでしょ?」

「・・・ノーコメントうさ。」

「あら、やっぱり長年の片思いにはかなわないかしら?」

「ひゅ~ひゅ~♪」

 

 口笛を吹くてゐちゃん。永琳さんとのやり取りからそこまで悪い結果にならないと思ったからボクは特に言うことはなかった。

 

「ところで、()()()はどこにいるの?」

「姫様ならもうすぐ起きてくる時間よ。」

「・・・・はっ、もう昼過ぎじゃない、いつまで寝ているのよ。」

「それは仕方ないわ。だって姫様だもの。」

 

 どうやら永遠亭にはまだ会ってない人がいるようだ。しかし、その()()という人に妹紅ちゃんは好印象を持っていないようで、複雑な表情をしている。それを苦笑いで見ている永琳さんと、慧音先生。てゐちゃんに至ってはとてもいい笑顔である。

 

「ならもうすぐ会えますねナギさん!楽しみです、チャモウ以外のポケモン!」

「そうね、あのお姫様がくるなら()()()も来るわね。」

「チャモ!」

「・・・・タジャ(誰に)?」

 

 治療部屋にいるボク以外のみんなが何かを察しているようで話を合わせている。ボクは何のことか分からず首を傾げていた。

 

「言ったでしょナギ。この幻想郷にいるポケモンがいる場所について。」

「・・・タジャ(あっ)!」

 

 そういえば幽香の家で聞いた、この世界でポケモンがいる場所は吸血鬼が住む屋敷とこの永遠亭である。なら、ここにはチャモウ以外のポケモンがいることになる。いったいどんなポケモンなんだろうか?

 

「・・・噂をすればね。」

 

 永琳さんが何かに気付いたのか、部屋の扉を見つめる。それに伴い、皆も同じように扉を見つめる。おそらくさっき話していた姫様と言った人物なのだろうか?

 

「え~いり~ん、うどんげ~、どこにいるの~?」

 

 扉の向こうから聞こえてきたのは出て行ったウドンゲさんではない女性の声だった。この落ち着いている声に()()()()がある。そうこれは、前に妹紅ちゃんと出会う前に会った人物と同じ声だ。もしかして彼女が姫様なのだろうか?

 

 ガチャ

 

「・・・あら?永琳とウドンゲ以外にどうしたのかしら、皆様お集まりになって?」

 

 扉から入ってきたのは、あの時と同じく美しく長い黒髪をしていて、瞳も最高級の黒真珠のような輝きをしている女性と言えない程の年の女の子だった。おそらく妹紅ちゃんと同い年くらいだろう。そして、何より彼女も妹紅ちゃんと同じであの時と姿が同じままだった。そして

 

「ピ?」

「ピッピだーーー!?」

 

 その女の子の足元にいるのは月と関係性が高く、ポケモンゲーム界では古参にあたるピンク色のポケモン、ピッピの姿があった。それにまっさきに反応したのは早苗ちゃん。うん、初代やってた人には分かる気持ちなのだろうか、叫んだのも分かる気がする。

 

「あら?妖怪の山の巫女さんは初対面だったかしら?というか、この子の種族名まで知ってたのね。」

「はい、初対面です!だって宴会の時も来ていたポケモンは、思えばチャモウだけでした!」

「そこは姫様の過保護が原因ウサ~。宴会でも能力使って、ちょくちょくと様子見に来るくらいだしね。」

 

 永琳先生と早苗ちゃん、てゐちゃんが話しているのを聞いてみると、どうやらこのピッピは外には滅多に出られないようだ。寂しくないのかな?

 それにしても相変わらず、本当に大和撫子という言葉が似合う女の子である。名前はたしか・・・

 

「何よ輝夜(かぐや)、いつままで寝てたの?お寝坊さんね。」

「私が何をしてようとも貴女には関係ないでしょうに妹紅。慌ただしい貴女と違って、私は落ち着いた日常を謳歌しているのよ。」

「何が落ち着いている日常よ、このおっとり輝夜。」

「さわがし妹紅。」

 

 そう名前は確か輝夜ちゃんと言ってたと妹紅ちゃんのお蔭で思い出した。それにしてもお互いに憎まれ口をたたくのに、どこかじゃれ合っている悪友を連想させるやり取りである。2人とも本気で相手を悪く言っていないような雰囲気だ。輝夜ちゃんは妹紅ちゃんとの言い合いを中断して部屋を見渡す。

 

「・・・よく見れば、妹紅の保護者の慧音さんは分かるのだけれど、妖怪の山の巫女さんにひまわり畑の大妖怪さんまで一緒にいるなんて珍しいわ。どういう集まりなのかしら?」

「こちらにいるお客様のお付きのようですよ姫様。」

「こちらって、チャモウじゃないの。それに・・・・・・え?」

「ピ?」

 

 チャモウを認識したことでようやくボクに気付いたようだ。眠そうだった目が大きくなっている。ピッピは誰?といった感じにこっちを見ている。

 

「え?え?うそ、夢?いや、そんな・・・だって・・・。」

 

 落ち着いていた雰囲気から信じられないといった驚愕の表情に変わっていく輝夜ちゃん。その様子を永遠亭の住人と妹紅ちゃんはニヤニヤしながら見ている。

 

「姫様、落ち着いて下さい。お客様の前ですよ?」

「だって永琳!貴女の目の前にいるその子はっ!」

「頭が起きているようで何よりですが、ますはその恰好をどうにかしてください。」

「・・・恰好?・・・・・っ!?」

 

 永琳さんからの指摘でようやく自分がどんな格好をしているか気付いた輝夜ちゃん。黙っていたが、彼女が部屋に入ってきた格好はある意味ひどかった。美しい長髪はさっきまで寝ていたのか寝癖が酷く、服装も薄い桃色の寝間着とおもわれる浴衣が肌蹴て鎖骨と右肩が見えている。飾らずに言えば、とてもラフでだらしない恰好である。

 

「~~~っ!?////」

 

 真っ赤になりなが、悲鳴にならない声をあげながら浴衣を整えながら部屋を出て行った輝夜ちゃん。悪友と思しき妹紅ちゃんが爆笑しているのは分かるけど、永琳さんとてゐちゃんも声をころして笑っていた。うん、分かった大人のお姉さんの雰囲気の永琳さんと見た目が幼女のてゐちゃんは外見に見合わずに性格が悪いとみた。これからお世話になるかもしれない治療機関なので気を付けることにしよう。

 

「あれ?どうしたんですか姫様?」

「ウドンゲ!そこをどきなさいっ!」

「え?突然どうしt、って、きゃーーー!!」

 カッシャーーンっ!

 

「ごめんさないウドンゲ!後で謝るからー!」

「ピー!」

 

 部屋の外で輝夜ちゃんとウドンゲさんの声が聞こえたと思ったら、そのすぐ後にウドンゲさんの悲鳴と何かが落ちた音がした。音からしておそらくお茶が入った湯呑みあたりだろう。輝夜ちゃんとぶつかったのかな?残されていたピッピが心配になったのか輝夜ちゃんの後を追って部屋を出て行った。

 

「と、言うわけで皆さん、ごめんなさいけど姫様が帰ってくるまで待って貰っていいかしら?」

 

 これまたいい笑顔で身内の謝罪をする永琳さん。きっと罪悪感など1割ほどしか感じていないんだろうなぁ。

 

「私が言えたことじゃないけど、いい性格してるわアンタも。」

「褒め言葉としてとらえておきましょう、妹紅。」

「いいもん見れたウサ~。」

 

 とりえず、ボクはここにいない輝夜ちゃんに同情の言葉を贈ることにした。君は悪くないよ輝夜ちゃん、よかったら再開を楽しもうね。

 

「じゃあ、私はウドンゲの様子でも見に行くわ。あの様子じゃお茶を頭からかぶったかもしれないから。」

「私も~、スケスケ見に行くウサ~。」

 

 うん、一様身内の心配をしているから優しい人たちってことは確かなのだろう。

 




お疲れ様でした。

前書きと活動報告でも言ったかもしれませんが、仕事とパソコンの調子が悪いという不幸が続いている2016年です。来年にパソコンは新調しますが、夏頃になりそうです。
その途中でパソコンが壊れれば、そこで一旦小説の投稿は中止になりますのでご了承ください。

さて、あまり話が進んでいないようですが気にしないでくれると嬉しいです。あまり長い話を書くとポテンシャルが続かないようなので・・・・

今回の目玉はなんといっても幻想郷にいる2匹目のポケモン、ピッピの登場ですね!あまり活躍してませんし、最後にちょっと出た程度ですが・・・
皆さんの予想は当たっていたでしょうか?やっぱり月と言われて伝説を抜いて想像したのがピッピだったので登場させました。新し目のポケモンを期待させていた人には、申し訳ありませんが自分は初代のポケモンもガンガン登場させますので、あしからず。
名前と本格的な絡みは次回になりますのでお楽しみください。

次回はポケモン説明とαになりそうです。もちろん、感想、誤字、脱字は歓迎中です。
感想はとても励みになっています。

では、また次回会いましょう!


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第11話 ナギの秘密、賢者の会合

どうもデスです。

お久しぶりです!リアルで仕事と長時間にわたるPCの調子が悪いことで休んでいましたが、この度復活しました!でも、仕事が忙しいのは変わりないのでゆっくりペースで投稿してきます!

今回はポケモンについて作者独自解釈と設定が含まれますのでご注意ください。

前回のあらすじ

永遠亭で傷を癒すナギたちだったが、そこには幻想郷で2匹目となるポケモンのピッピとパートナーの輝夜との思いがけない(?)出会いが待っていたのであった。

では、本編へどうぞ。



 輝夜ちゃんとウドンゲさんの騒動から一段落して再び輝夜ちゃんが部屋に戻ってきた。その恰好はポケモン世界でいうとカロス地方にいた桃色ふりそでを着たポケモントレーナーである。黒い長髪と相まってより美しさをさらけ出している。

 

「再び会うことができ、私もたいへん嬉しく思います。ようこそナギさん、我が永遠亭によくお越しくださいました。」

 

 ここは病室であるが、てゐさんに用意させた絨毯と座布団に座り両手をついてお辞儀をしながらの歓迎だった。みだらに垂れることのない髪や1つ1つの動作が育ちのよさを想像できるように繊細で綺麗だった。そう、綺麗なのだけど・・・

 

「くくくっ・・。」

「・・・あの時は礼の1つも満足に出来なかっことを今日まで恥じておりました。ですが、やっと言えることが出来ます。・・・あの時、私を助けていただきありがとうございました。」

 

 うん、きっと初見さんなら誰でも見惚れる場面なのだけど、ごめんなさい。後ろで笑いを堪えている妹紅ちゃんで台無しになっています。輝夜ちゃんもそれに気づいているけど、おそらく我慢しているのだろう。だって時々眉が動いていますよピクピクと。

 

「心寂しかった私を迎えてくださっただけでなく、生涯のパートナーとなるこのツクヨを与えてくださったことにも深く感謝をいたします。」

「ピッ(まことに感謝しておりますわ)。」

 

 そんな輝夜ちゃんの隣には、サイズぴったりの同じデザインの座布団に座りお辞儀をしているピッピがいる。輝夜ちゃんの今の会話から名前はツクヨというのだろう。この子はチャモウと違っておとなしいイメージである。そうか、輝夜ちゃんに渡したタマゴからはピッピが孵ったのか、色合いからしても同じ桃色でお似合いだ。

 

「いえ、そんなに畏まらないで輝夜ちゃん。あれはボクがほっとけなくてやったこと。寧ろボクの自己満足でもある。」

 

 そこまで畏まってもらってはこっちも返さないといけない。そういうことでボクは既に人型になって用意された座布団に座って輝夜ちゃんと対面している。人型になった時に永琳さんの目が怪しく光ったことや、早苗ちゃんがとても喜んで騒いだこともあったけどやっぱりそこはさすがの幻想郷であったかすぐに治まった。

 

「いえ、既に私は月から離れたと言え1人の姫として「ぶっはははははっ!ダメ!もうダメ!おかしいっ!あれ誰っ!?あんな輝夜見たことないわっ!」・・・・・。」

 

 ああ、ついに我慢できなくなって妹紅ちゃん大爆笑。セリフを中断された輝夜ちゃんは今までのおしとやかなお姫様スマイルかた一転、眉間にしわを寄せ妹紅ちゃんを睨みだした。

 

「妹紅、今私はとても()()()()!話をしているのだけど?」

 

「いや、だって何お姫様ぶってんのっ!?もっとアンタはお転婆なのに!」

 

「・・・あらあら、何を言っているのかしらそこのお猿さんは?あまりにも教養がなっていないような言葉使いに私、思わず、お・も・わ・ず、話を中断してしまいました。」

 

「あ?今なんて言ったよ輝夜?」

 

「聞こえなかったのかしら?野生の獣のように野蛮な言葉使いに、おバカな顔があって驚いたの。」

 

「そこまで言ってないだろ?なに良い子ちゃんぶってんの?あからさまなお姫さんキャラきもいのよ。」

 

「貴女こそ、何でここにいるの?ここは私の屋敷よ、野蛮な庶民は帰ってくださる?」

 

「「・・・・・・ちょっと面(顔)を貸せ(貸しなさい)この引きこもり(泣き虫)!。」」

 

 二人とも同じタイミングで立ち上がり、これまた同じタイミングで互いに距離を縮めて、同じタイミングで服を掴み言い合いを始めた。それに周りは「またか」みたいな雰囲気を出している。どうやらこれは皆にとってお馴染みの出来事でようだ。

 

「ご免なさいね。姫様と妹紅が出会ったらいつもこうなの。」

 

 二人が口論をしている中で永琳さんがボクに近づいて謝罪をしてくる。

 

「いえ、ボクから見ても仲がいいように見えます。・・・きっとお互い無意識のうちに認めているのでしょう。」 

 

 そうでもしないと、ああまで拳の1つも出さないで口喧嘩できないはずだ。喧嘩するほど仲がいいというやつだ。

 

 いつまでも2人の喧嘩を眺めていては話が進まないので、それぞれの保護者(?)にとめてもらいボクたちは畳の大広間に案内された。さすがに病室に留まるわけにはいかないそうだ。ボクたちは広間で永遠亭組とボクたち来客組で向かい合って座っていた。

 

「ナギさんの話はわかりましたけど、まさか異世界ですか。私たちように月をもとにした別空間に存在している並行世界かと思っていました。(姫様の恩人でなければ調べつくすのに・・・。)」

 

 ポケモン世界の話とボクの今までの幻想郷での日々の経過を聞いた永琳さんは大変驚いていた。それと同時に危機感を覚えるほどの興味を持たれているのも分かった。正直、輝夜ちゃんの恩人でよかった・・・。

 

「やっぱり輝夜のツクヨもナギに貰ったタマゴがかえったのね。」

 

「ええ、そうよ。私に似合う可愛い子でしょ?」

 

「何言ってるのよ、私のチャモウの方が可愛いわ!」

 

 輝夜ちゃんと妹紅ちゃんがあんなに喧嘩腰なのにポケモンたちは・・・

 

「ピッピ(ようこそおいで下さいましたわ)。」

「チャモ(また遊ぼうね)!」

「ピッ(ええ、ぜひ)。」

 

 大変仲よくやっていた。

 

「あ、あの~、姫様、せっかく来て下さったんですから、自己紹介でもどうでしょうか?ツクヨの事とか、改めて私の事とか?」

 

 輝夜ちゃんの横に控えていたウドンゲさんの提案によって2人の睨み合いも治まった。これまでのやり取りで分かったけど、おそらくウドンゲさんは永遠亭では苦労人ポジションなのだろう・・・後でモモンのみでもあげようかな?

 

「そうね、では改めましてナギさん。この子は月夜(ツクヨ)、貴方から頂いたタマゴから帰った私の可愛らしい相方です。」

 

「ピピ、ピッピピー(このたびは、姫様とめぐり合わせてもらい感謝の言葉しかありません)。」

 

「(・・・私のことはスル―なんですね姫様、分かっていましたけど。)」

 

 なんだろうかこのピッピ、いやツクヨの言葉使いとポケモンでは見られない土下座・・・。まるで位の高いお嬢様ではないか?ここまでおしとやかな性格のポケモンも珍しいと思う。

 

「いえ、ボクが出来たのは可能性を渡しただけで、2人が出会ったのは必然かと。」

 

 これは輝夜ちゃんとツクヨだけでなく、妹紅ちゃんとチャモウにも言えるけど、ポケモンとの相性がいいようだ。きっとボクの能力で発現するタマゴはポケモンと絆をきずける人しか孵すことが出来ないのではないだろうか。

 

「そういって貰えて私として安心しました。なにせ、周りにツクヨと同種と思われるのが何の因果か妹紅の所にいるとは、縁とは分からないものです。」

 

「まったくね、そこは私も自分の縁を憎みはしなかったけど、不思議な感情が芽生えたわ。でも、だからこそ・・・。」

 

「ええ、だからこそ、私たちはこうして真正面から互いに向かい合っている。本体ならあり得ない出来事だったでしょうにね。」

 

 輝夜ちゃんと妹紅ちゃんの間にはボクは計れない何かがあったのだろう。でも、今2人は苦笑であるけど笑い合っている。そんな2人に永遠亭と慧音先生は微笑ましい笑みを浮かべていた。

 

「あの~、いい雰囲気のところ申し訳ありませんけど、1ついいですか?」

 

「あら、どうしたのかしら山の巫女?遠慮しないでいいわよ、ナギさんの知り合いとの縁で私の事は名前で呼んでいいわよ。」

 

「ありがとうございます輝夜さん。では、さっきから話に出ているタマゴはナギさんから貰ったとか?」

 

 おずおずと片手を遠慮がちにあげる早苗ちゃんからの質問に本人だけでなく、幽香と慧音先生たちも気になっているようだ。特に幽香は身を前に出さんばかりに姿勢が前のめりになっている。

 

「いえ、確かあのタマゴはナギと私の間に光が集まり、形となったのよ。そうよね、妹紅?」

 

「それで合ってるわ。そして受け取ったタマゴと一緒に過ごしている間にこの子たちが生まれたのよ。」

 

「・・・なるほど。」

 

 2人からの答えを聞いた早苗ちゃんはゆっくり立ち上がり、これまたゆっくりボクに向かって来る。あの、正直こわいです。

 

「ナギさん・・・・。」

 

「な、なに?」

 

 嫌な予感が

 

「私にもナギさんとの間にタマゴが欲しいですー!」

 

「「「「「ぶほっ!?」」」」」

 

 しましたね!現在進行形で他人から見たら子供にせまる女子高生のようで絵的に非常にまずいです!発言内容もとても危険です!そんなことを言っては親御さんが泣いちゃうよ!?それに不意打ちで輝夜ちゃんと妹紅ちゃん、慧先生、ウドンゲさん、てゐちゃんが吹き出しているじゃないかっ!

 

「なんですか、その素敵能力は!ポケモンが人になれるだけで嬉しさや夢が広がりますが、それだけで飽き足らず人と間にタマゴを作るなんて、どこまで私をときめさせれば気が済むのですかっ!?」

 

「知らないよっ!?黙っていたのは謝るけど、これは他人に悪用されないように警戒していた癖がでただけで!」

 

「ここにはあなたを悪用しようだなんて悪人はいません!本物の神様の加護を得ている私にはわかります!」

 

「なにその強引な解釈!?助けて幽香!」

 

 こうなった早苗ちゃんはボクでは止められないだろう。横に座っている幽香に助けを求めることにした。

 

「さっきから黙って聞いていたら、何を言っているのよ山の巫女。」

 

 おお、さすが頼りになる幽香!

 

「そこは最初に私がナギとの間にタマゴを授かるのが筋でしょ。」

 

 おっと敵は身近にいたのかな?じゃなくて、何を言ってくれてるの幽香!?

 

「何故ですか幽香さん!?」

 

「この幻想郷で初めて会ったのは私なのよ。なら順番てきに、いえ運命的にまず私がナギとのタマゴを授かるわ。」

 

 ああ、目が語っています。「なぜそのことを話さなかったのか?」と言ってますね。初めて会って、幽香がボクに少なからず花妖怪の性なのか好意を持っていたのは知っている。というより態度に出ていたので黙っていたのだ。

 

「と、とりあえず、落ち着いて二人とも。タマゴはまだ出会ったばっかりの二人には発現しないよ?」

 

「・・・どういうことよ?」

 

 ボクの発現が気になったようで、二人が言い合いを止めてこっちを向く。

 

「ボクが自分で検証してみた感覚だけど、ボクとその人の間に何かしらのキッカケや絆のようなものが必要だと思う。二人のことは信用しているから、そう遠くない日にタマゴも発現すると思う。」

 

 これは本当のことである。ボクの能力でタマゴが発現したのは何も妹紅ちゃんと輝夜ちゃんだけではない。ポケモン世界でも十数人くらいの人との間にタマゴが生まれている。その際には、彼らとの何らかのイベントがあった。

 

「ナギが言っていることはおそらく本当よ。私も今はこうしてナギと笑っているけど、出会いは最悪といってもよかったわ。」

 

「私は妹紅ほどではないと思うけど、確かに最初からナギさんを信用していたわけではないわ御二人さん。」

 

「・・・悔しいけど、私よりナギからポケモンを貰った二人がそこまでいうのなら、今はそれで良しとしましょう。」

 

「ええ、ちょっと私も浮かれて焦っていたようです。」

 

 妹紅ちゃんと輝夜ちゃんのフォローもあって、落ち着きを取り戻す幽香と早苗ちゃん。よかった・・・。

 

「でも、少なくとも山の巫女よりは早くタマゴを受け取ってやるわ。」

 

「私だって、ポケモン愛は幽香さんより深いことを証明してみせます!」

 

「・・・いいわ、これから貴女は(ナギとのタマゴを巡る)ライバルね。」

 

「でしたら、私のことは早苗と呼んでください。」

 

「ええ()()、これから互いに頑張りましょう。」

 

「はいっ!」

 

 二人は笑いながら、かたい握手を交わし合った。・・・えっと、一応丸く治まったのかな?

 

 

 それからボクたちは永遠亭に来る原因とまったポケモンバトルについて話すことになった。

 

「ポケモン同士をトレーナーが指示を出して戦うポケモンバトル・・・代理の弾幕ごっこみたいね。」

 

 永琳さんは先生と同じことを言ってる。・・・実際に弾幕ごっこを見ていない身としては判断に困るけど、幽香の話してくれた幻想郷のことにあったことからここではそれほどメジャーな遊びなのかな?

 

「ポケモンバトル、ね・・・。そういえば、私たちは自分たちはともかくツクヨたちを戦わることはなかったわね。」

 

「そうね。私と輝夜が弾幕ごっこした後にチャモウたちと一緒にまったりと過ごすくらいね。」

 

 どうやら妹紅ちゃんたちはポケモンバトルをしていなかったようだ。でも、それについて意見するつもりはない。ポケモンの中にはバトルを嫌がる個体もいるのだ。トレーナーとポケモンの数だけ、それぞれの楽しみ方があるのだ。

 

「・・・・・・。」

 

「さっきから黙ってどうしたのよ早苗?」

 

 ポケモンバトルの話になってから早苗ちゃんは黙り込んでいた。何か気になることでもあるのかな?

 

「ナギさん、先ほどのポケモンバトルについて1つ聞いていいでしょうか?」

 

「・・・どうしたの?」

 

「もしかして、先ほどのバトルは本気ではなかったのではないでしょうか?」

 

「「!?」」

 

「・・・・。」

 

 さすがポケモンゲームの経験者だけある。落ち着いてさっきのバトルを思い返して何かに気付いたのかな?早苗ちゃんの質問に妹紅ちゃん以外の現場にいた人たちが驚いた。

 

「そこの案内人さんは気付いていたみたいだけど、どういうことかしら早苗?」

 

「はい、例えばチャモウさんに使ってもらった、なきごえですが相手の物理攻撃の威力を軽減する能力があります。」

 

「早苗からバトル中に聞いたけど、その手のワザを使えるポケモンは多いそうよ。あと、私の事は妹紅でいいわよ風見幽香。」

 

「なら、私の事も幽香でいいわ。・・・で、その系統のワザをナギはバトルで使っていなかったってことね。」

 

「はい、グラスミキサーほどのワザを使えるのにその手の変化技を覚えていないはずがないのです。」

 

 確かにその通りでだ。でもこれは正直話したくはなかった。トレーナーからしたらバトル泣かせもいい所だから・・・・。

 

「・・・早苗ちゃんからしたら出鱈目もいい所かもしれないから、正直話したくないけど・・・。」

 

「大丈夫です。ポケモンの事を、ナギさんのことをちゃんと生きている者として受け止めて見せます。」

 

 こっちを真っ直ぐな瞳で見つめてくる早苗ちゃん。そこにはポケモンはゲームの存在という認識はない。そこまで信じて貰えるのなら話しても大丈夫だろう。

 

「早苗ちゃんはポケモンが使えるワザの数は知っている?」

 

「はい、使用できるワザは4つが限界というのが私の知識です。」

 

「それは正解であり、不正解。」

 

「え?」

 

「例えばだけど、たいあたりやひっかくを完全に忘れることってあると思う?」

 

「・・・あ。」

 

「ボクたちポケモンは()()()()使()()()()()が何故か4つまでしか使えないだけで、実際はちゃんと過去に覚えていたワザを完全に忘れているわけではないんだ。ただ、ワザの威力を上げたり、練習していく中で自然と使いやすい4つのワザを優先しているだけだと思う。」

 

 ワザが4つなのはポケモン世界の影響なのかは分からない。でも、おそらくワザにゲームでは見えなかっただけで熟練度みたいなのが実際にはあると思われる。どんなポケモンも最初からワザの威力を100%使える訳ではないのだ。アニメのピカチュウがアイアンテールを習得する時も時間が掛かったし、バトルでも最初は短い時間でアイアンテールを発動していた訳ではない。よって自然で生き抜くために、威力が強いワザや使いやすいワザを使用していると思われる。

 

「そ、そうですよね、たくさん覚えているワザの中でも使いやすいワザを使ってしまうのは当然ですもんね。」

 

「そう。で、ここからはボクの事だけど、ボクは覚えているワザを全てバトルで使うことが出来る。」

 

「なっ!?」

 

 そう、これが普通のポケモンとは違うボクが使える裏ワザみたいなものだ。威力が弱くても威嚇や陽動に使えることも出来る、要は使い方次第なのだ。好きなワザはかなり使い込んでいるけど、旅では何が起こるか分からないから他のワザもそれなりに使いこんでいる。これは人でもあったボクだからこそ思いついた考えである。

 

「・・・反則ではないのでしょうが、確かにこれは見方によっては出鱈目と言ってもいいですね。・・・でも、今の私はそんなことでナギさんを問い詰めたりしません。だって、だからこそナギさんは変化技を使わず、バトルもワザを4つしか使わなかったんですよね?」

 

「うん。これはボクが自分に課しているルールのようなもの。ワザも基本は4つまでで、相手によって変化技も使い分けている。だから、本気を出していなかったわけではないんだ、妹紅ちゃん、幽香。」

 

「「・・・・。」」

 

 早苗ちゃんは納得してくれたみたいだけど、二人はどうだろう。実際にバトル相手の妹紅ちゃんにとっては見下している感じられるし、プライドが高そうな幽香はボクの考えを認めてくれるかな?

 

「・・・バトル初心者の私は何も言えないけど、ナギは真剣に私たちと向き合ってくれた。この気持ちは確かに伝わっているわ。だから、いつか貴方が()()でバトルしてくれるように頑張るわ、待ってなさい!」

 

「チャモ~(もっと強くなるぞ~)!」

 

 よかった、妹紅ちゃんとチャモウは分かってくれた見たいだ。幽香は?

 

「・・・当人たちがそこまで言ってる中でそれを否定なんてしないわ。でも、そこまで言うのなら自分の決めたことには責任をとりなさいねナギ?妹紅たちとの再戦を私も楽しみにしているわ。」

 

「・・・うん、勿論。ありがとう、妹紅ちゃん、チャモウ、幽香。」

 

 こんな暖かい人たちに会えてよかったと心から思う。もうちょっと人を信じてよかったかな。

 

「話しを聞いてなんだけが、ポケモンのワザにはタイプだけでなく種類があるのか?」

 

 ボクたちの話しを聞いていた他の人の代表として先生が質問をしてくる。

 

「ええ、直接攻撃をしてくる物理攻撃と間接攻撃な特殊攻撃、そして先ほどから話している変化技があります。それらの威力は基本ポケモンのステータスやタイプに依存します。」

 

 ボクの代わりに早苗ちゃんが質問に答えてくれた。ボクは補足に回ろうかな。

 

「医者からの視点でステータスに依存しているのは分かるけどタイプというのは何かしら?」

 

「簡単に言えば属性ですね、例えば分かり易いと思いますがナギさんは草タイプでチャモウさんは炎タイプとなっています。そして、ポケモンの出すワザは同じタイプであれば威力が増します。」

 

「なら、私のツクヨのタイプな何かしら?見た目からは想像できないのだけど?」

 

「ツクヨさんのピッピはノーマルタイプといって、私たちで言えば普通の人間といばいいでしょうか?これといった特別なタイプではありませんが、幅広い戦略がとれてますよ。」

 

 あ、そうかルビー・サファイアの知識までの早苗ちゃん知らないのか。

 

「早苗ちゃん、実はね近年の研究でポケモンに新しいタイプが確認できたんだ。」

 

「マジですかっ!?」

 

「そう、フェアリータイプといって、苦手なタイプが鋼と毒で、ドラゴンに有利なタイプなんだ。」

 

「ついにドラゴンにメタなタイプが登場!?」

 

「そして、今まで確認してたポケモンの中にはフェアリータイプが含まれていることも分かった。」

 

「・・・ということは?」

 

「察しが良い、ピッピはフェアリータイプのポケモンなのが認められたよ。」

 

「・・・どうやって分かったのでしょうか?」

 

「カロス地方にいるポケモン研究からと思う。」

 

「カロスっ!?まだまだ知らない地方があるのですね!ああ、頭が活性してきます!」

 

 テンションMaxな早苗ちゃんは置いといて、そこはゲーム開発に色々な事情があったのではと思う。カロス地方から広まったのは間違ないと思うけど、正直分からないからこのままにしておこう。

 

「へぇ、フェアリータイプという事は妖精ということね。ノーマルと違て神秘的な響きで素敵ね。」

 

「ピー(私は可愛い妖精なのですね)♪」

 

 輝夜ちゃんとツクヨは嬉しそうである。

 

「毒というタイプはどんな生物なのかしら?」

 

「毒を持つということじゃないですか師匠?」

 

「いえ、簡単にそう言えないわ。ナギさんが全身が植物なのだから、もしかしたら体そのものが毒で形成している可能性もあるわ。なら毒だけでなく、岩や水で体が出来ている個体もいるかも。」

 

「・・・それ生物っていいウサ?妖怪じゃないの?」

 

 医療関係の知識から毒タイプに興味を示している永琳さんとウドンゲさんとてゐちゃん。永琳さんは頭がいいのだろう、ボクたちの話から得た情報でそこまで考え付くのはたいしたものだ。

 

「毒に鋼にフェアリーか・・・。ナギからタイプについては簡単に聞いただけだったからな、よければこの機会にタイプについて話してくれないか?」

 

「いいわね、時間もあることだしどうかしら?」

 

 先生の提案に永琳さんも賛成し、周りの皆も肯定している。

 

「ワザのタイプや相性などを話すとなると考えているより時間が掛かると思いますよ?」

 

「早苗ちゃんの言うとおりかと、ポケモンのタイプは全部で18個ある。」

 

「18だと!?」

 

「結構多いわね。・・・それなら今日はここに泊まってどうかしら?それなら食事しながらでも話せるわ。」

 

「(永琳ナイス!)そうしてはどうかしら?私は構わないわよ、ツクヨにもポケモンの知識は必要でしょうから。」

 

「ピっ(姫の言うとおりですわ)!」

 

 確かにタイプはポケモンを生す要素では絶対必要な話である。簡単に省略できるようなものではない。

 

「・・・ボクはいいけど、皆は?」

 

「私は構わないわ。家には一人だし、向日葵たちに危害を加える愚か者も最近じゃいなかったしね。」

 

「私は急いで神社にお泊り道具を取ってきます!」

 

「チャモウと私は偶に泊まっているから、気にしないわ。」

 

「チャモ!」

 

「私は明日が授業なので食事まで御一緒しよう。タイプの話には興味があるからな。」

 

「なら決まりね。ウドンゲ、てゐ、お客様を泊める準備をしなさい。診察にくる患者の対応は私がするわ。」

 

「「了解です(ウサ)。」」

 

 そんなこんなでボクたちは永遠亭に泊まることなった。人数も多いから楽しい宿泊になるだろう。

 

「(しかし、異世界からの生物が迷い込むなんてことは今までありえなかった。私たちは月を触媒とした言えば鏡のような世界から幻想郷にきたけど、ナギさんたちはこれとは全くといってもいいほど別もの。今までツクヨたちが幻想郷にいたことといい、あの()()()()()が何もアクションを起こさないのが気になるわね。)」

 

 何か永琳さんが悩んでいるけど、献立でも考えているのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、月の頭脳と言われている永琳が懸念していたこの幻想郷をつくった妖怪の賢者、八雲 紫は、自信の能力で出現させているスキマ空間にいたのだがその表情は曇っていた。

 

「・・・・。」

 

 八雲(やくも) (ゆかり)の傍にはキツネの尻尾が9本生えている女性で式神でもある八雲 (らん)が控えており、彼女たちは真剣は顔つきで正面を向いていた。仮にも妖怪の賢者と言われているわけではなく、彼女と式神の能力や実力は幻想郷トップクラスと言っても良い。そんな彼女たちが冷や汗を掻きながら余裕も見せられないような空気が場を支配している。その中心にいるのは、

 

「パルゥゥゥゥゥッ!」

 

「ディガァァァァァァッ!」

 

「ギィラァァァァァァァッ!」

 

 ポケモン世界で神と呼ばれている、『空間を司る』パルキア、『時を司る』ディアルガ、『世界のあらゆる逆を司る』ギラティナが二人の前に佇んでいた。

 

「・・・紫様。」

 

「黙っていなさい藍。あの物の怪達は私のスキマに自分たちの力で侵入できるほどの力を有しているわ。下手な行動が命とりになるわ。それに・・・」

 

『・・・・・。』

 

「あの3匹の後ろにいる()()には、私は勝てない、それほどの存在よ。」

 

 八雲 紫が言うように、この空間に侵入してきたのは目の前に3匹だけはなかった。3匹の後ろに存在するだけで自分が小さく見えてしまうほどの存在感を持つ大きな存在、まぎれもない『()』がいた。前にいる3匹もとんでもない存在感だが、後ろにいる神はそれ以上に特別な存在なのが分かる。その名も『全てを超越した神』アルセウス。

 

「・・・まったく、何がどうなっているのかしら。」

 

 妖怪の賢者と全てを創造したいわれる伝説がたったいま会合した。この出会は幻想郷に大きな変化をもたらすことになり、その中心に小さな特別な存在である彼を巻き込んでいくことになる。

 




お疲れ様でした。

遅くなりましたが、無事に投稿できてホットしています。

今回のポケモンの技については作者が思っていたことを書かせてもらいました。いくらポケモンが技を覚えるからと言って、体当たりや鳴き声を完全に忘れるかな?という疑問から今回の回答になりました。技が4つなのは世界の心理ということで・・・。
しかし、これは多くのポケモンファンの解釈の1つとして受け取ってくれるとありがたいです。これっといって強調する気もないのであしからず・・・。

そして、ナギのタマゴ能力で幽香と早苗が大・興・奮!なのは書いてとても楽しかったです。・・・彼女達のパートナー考えないと(汗

そして最後になんとあの神々しいお方の登場です。ちょっと考えている幻想郷改造に活躍してもらうので楽しみしておいてください。

次回は短編ということで、ナギ達の話と幻想郷の住人の話になるので短めだと思います。感想や質問、誤字・脱字報告は絶賛受付中です!

ではでは、また次回会いましょう!


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第12話 第二回ポケモン説明、永遠の友

どうもデスです。

お、お待たせしました・・・。
こんな投稿が遅い小説を待ってくださり、ありがとうございます!

ポケモンの作者なりの説明と幻想郷キャラ同志のオリジナル?な設定と関係があるのでご注意ください。

前回のあらすじ

ポケモンのバトルやナギの能力について聞いた皆は、夕食を永遠亭でとることになった。その後で永遠亭組にポケモンについて話すことになったナギだったのだ。

では、本編へどうぞ。



 輝夜ちゃんのお泊りの提案にのることにしたボク達はそれぞれの行動に移った。ボクは秘密基地を作ろうとしたが輝夜ちゃんと妹紅ちゃんの二人から止められ、客間の一室で荷物の整理をしている。妹紅ちゃんは結構な頻度でこの屋敷に泊まっているらしく、専用の部屋が用意されていて必要な物はすでにそろっているようだ。先生はポケモンのタイプの話にすごく興味があるようで、今のうちに帰って出来る範囲の授業の準備をしてくるといって一度帰った。幽香は向日葵の様子見と着替えを取りに帰った。早苗ちゃんは自分のお泊りセットを取りに行くと言って飛んでいき、先生の前に戻ってきた。永遠亭の皆はボク達のお泊りの準備に取り掛かった。

 

「あ、そう言えば、まだちゃんとした自己紹介をしていませんでしたね。私は八意 永琳師匠の弟子で鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバと言います。鈴仙と呼んでください」

 

 部屋の準備を一緒にしていたウドンゲあらため、鈴仙さんから自己紹介をされた。なんだか苦労人な感じがしたのは気のせいかな?

 部屋割はボクと幽香と早苗ちゃんで1室、妹紅ちゃんの部屋に先生が泊まることになった。夕食は人数も多いことから鍋になり、大部屋で皆で食べた。鍋のほかに筍料理のレパートリーに驚いたし、鍋に異常に反応した鈴仙さんが気になった、何かあるのだろうか?食事の最中にポケモンについて幽香や妹紅ちゃんに話した範囲は説明した。

 食事を済ませ、皆で後片付けのあと再び大部屋に集まってポケモンのタイプの話をすることになった。

 

「さて、改めてポケモンの属性、タイプのついて話しましょうか。数は確か18でいいのよねナギさん?」

「はい永琳さん。タイプの種類は草、炎、水と多種多様です。ひと目で分かるようにタイプの相性図がありますのでどうぞ」

 

 ボクがバックから取り出したのは人間の時に元の世界のネットでよく見てたポケモンタイプ相性図だ。縦と横にタイプが順番に書いてあって、攻撃が効果抜群は○、効果なしは×と書かれているあれである。ポケモン世界でポケモンセンターのパソコンを使って作ったものだ。取り出された相性図を皆は取り囲んで覗き込んだ。

 

「おお、これは分かり易いな!○と×の意味は何だ?」

「それは相性ですよ慧音さん。○は受けるダメージが上がって、×はダメ―ジなしです」

「じゃあ、△は効きづらいのね。確かチャモウは水が○になるから、この部分を見ればいいのね」

「草はここね・・・、何か草って弱点が多くないかしら。まあ、相手のタイプを見れば意味は分かるけど何か釈然としないわ」

 

 実際にバトルを見て体験した四人はすぐに相性図の意味に気付いて話し合っている。ボク自信が草タイプだから幽香の指摘には同意見だ。弱点が多いタイプの1つなんだよね草って…。

 

「本当に多種多様ね、ツクヨはフェアリーだから妖ね」

「薬を扱う者としては毒は気になっていたけど、悪って何かしら?」

「悪タイプ、てことですよね。悪魔的な見た目とかでしょうか?」

「ノーマルって何か格闘以外に弱点も優位性とかないウサね。地味枠?」

 

 永遠亭組も意見を言い合っている。あとノーマルは地味枠ではないぞ、てゐちゃん。金銀シリーズでのミルタンクにどれだけ泣かされたことか…、これは同意する人いるかな?

 

「じゃあ、これ見ながら『ワザ』について話す?」

「お願いしますね、山の巫女の話では『変化技』だったかしら?相手のステータスに影響を及ぼす効果があるみたいだけど。」

「ならこれも一緒に見た方が分かり易いかな?」

 

 ボクはバックをあさり、相性図とは別の紙を取り出した。見比べ易いように2つを並べる。

 

「相性図とは別物ね。『HP』『攻撃』『防御』『特攻』『特防』『素早』?」

「ああ、この6つの項目はポケモンのステータスですよ」

 

 ステータス図に困惑るす幽香たちに早苗ちゃんが説明をする。

 

「『HP』とはなんだ?」

「簡単に言えば体力です。」

「『攻撃』と『防御』は何となくわかるが、『特攻』『特防』はどんなステータスなんだ?」

「特殊攻撃と特殊防御という意味で間接的なワザの威力に影響がでるんです。妹紅さんに分かり易く言うと、チャモウさんの『ひのこ』がこの2つに大きな影響を与えています」 

「…なるほど、攻撃側は攻撃、受ける側は防御のステータスが高ければ受けるダメージが少ないのね」

「はい、『素早』は素早さのことでポケモンの素早さについてです」

「なら、このステータスに変化が生じるのが早苗が言っていた『変化技』なのね?」

 

 やはりバトル経験組は情報整理が速い。早苗ちゃんからの少しの情報で理解していく。

 

「となると、タイプによって『攻撃』か『特殊』、『素早』の3つにステータスは偏るのかしら?格闘なら『攻撃』、岩なら『防御』、鳥なら『素早』のステータスが高いとか?」

「永琳さんの意見も間違っていませんが、ポケモンにはタイプを2つ持っている個体もいるのです」

「2つ!?相性はどうなるのしょうか、この○と×が両方ある場合は?」

「打ち消し合って相性図の記号が何もない状態になります」

「うへぇ~、メンドクサイ~」

「2つのタイプによっては相性に大きな変化が現れるのね。ツクヨの相性はしっかりと覚えておきましょう」

「ピィ(感謝します姫様)」

 

 永遠亭組も分からないところは即座に質問をして理解していっている。さすがポケモン経験者の早苗ちゃんだけあって基本知識についてボクからの説明は必要なさそうだ。ボクは補足にまわろう。

 

「タイプによる偏見だけじゃ、痛い目をみるよ。例えばさっき永琳さんが言った『格闘』は攻撃が得意みたいに感じているみたいだけど、『特攻』や『特防』が高い格闘ポケモンもいるよ」

「それは2つのタイプを持つゆえなのかしら?」

「影響を受けていないわけではないよ。でも、格闘技でも『特攻技』はあるんだよ」

「あらそうなの?(やっぱり研究対象として大変興味深いわ。なんとかして細胞の1つでもポケモンたちから採取できないかしら?)」

 

 相性図とステータス図を見ながら皆が考えている中で早苗ちゃんがボクに近づいてきた。

 

「(ナギさん、ナギさん)」

 

 他の皆には聞こえないように小声で話しかけてきた。

 

「(どうしたの?)」

「(いえ、ステータスは私が話したとおりでいいようですが、それは『種族値』ですよね?)」

 

 『種族値』という単語が出て、早苗ちゃんが小声で何を聞きたいか何となく分かった。これまで皆に聞かれては余計は混乱を生むだろう。

 

「(努力値と個体値のこと?)」

「(はい、実際のポケモンではどのようになっているのでしょう?)」

 

 『種族値』『個体値』『努力値』どれもポケモンのゲームをするうえで重要になっていく単語である。しかし、ボクはそこまで考えずに楽しむ側だったのでそういった計算をしたことがない。でも、ゲーム経験者なら早苗ちゃんのようにきなることだろう。

 

「(『種族値』は同種のポケモンたちから計算された平均値みたいなもので、研究する度に変化が起おきているね。でも、生物であるポケモンを数値でステータスを表すのは難しいから、大体は大雑把にこのポケモンはどのステータスが高いとかが一般常識になっているよ)」

「(…そうですよねぇ。では『個体値』『努力値』は?)」

「(人間と同じで生まれ持った才能という感じで『個体値』はあるけど、『努力値』はあまり関係ないかなぁ)」

 

 よくアニメでもあった「このポケモン、異様に何かのステータスが高いぞ!」ということである。これはポケモンでも人間でも変わらない。ボクはそういったことはない。代わりに技制限なしがあるからどうかと思っているけど。

 しかし、『努力値』は無いに等しい。例えば、バトルで勝って『努力値』の結果として『攻撃』や『防御』が上がるのはまだ分かるけど、『HP』が上がるとかどういこうことだと思う。

 

「(まあ、良く考えればそうですよね。『努力値』なんてものがあったとしたら、私は今頃スーパー早苗として覚醒していることでしょうし…)」

 

 考えれば物騒なこと言っていますこの娘。それはポケモンにいい代えれば、『努力値』割り振り済みなのでほとんどのバトルの勝ったことになる。意外に血の気が多いのかな早苗ちゃんって?とりあえず、納得したようなので皆への説明に戻ることにした。確か早苗ちゃんはダイヤ・パール以降のポケモンを知らないのなら『せいかく』とステータスへの影響も知らないはずだ。これも今話すと混乱しそうだから、またの機会にしよう。

 

(あれ?『努力値』が関係ないのならナギさんはなんで『努力値』という単語を知っていたのでしょう?)

 

 皆の方へ視線を戻すと、今度は『変化技』や『ワザ』についてお互いに意見を出し合っていた。

 

「チャモウが覚えているのは『つつく』『ひのこ』『なきごえ』になるのね。あと1つ覚えられるのね」

「チャモ~(どんな技を覚えるのかな~)」

「今まで妖怪に襲われることは殆どなかったが、大きな弱点である水を克服、もしくは補える技が欲しいな。バランスを考えるなら」

「すでに覚えている可能性もあるわね、これは検証が必要ね」

 

「覚えさせる『変化技』はどのステータスに変化を及ぼす技にすればいいのかしら?」

「難しいですね、当たらないようにすれば防御面は解決しようですが、全ての攻撃を知らないのですぐ答えを出す必要はないと思いますよ?」

「ウドンゲの言う事も一理ありますよ姫様。特に毒、超、霊なんかの攻撃は何かしらの癖がありそうで注意したほうがいいかもしれないわ」

「鈴仙のように精神攻撃をしてくるポケモンもいるかもしれないしねウサ~」

 

 永琳さんとてゐちゃんは感がいいな。状態異常についてはまだ説明してないのに既にその可能性に近づいている。

 

「あ、実は常体異常という体の健康状態に影響をだすワザもあってですね…」

 

 早苗ちゃんがさらに補足をするために皆の輪に入っていった。しばらくワザとタイプについて一通りに説明した後、永琳さんがポケモン世界の道具に興味を持ったようで実際にバックから出して話をすることになった。

 

「これがポケモンの名前の由来になったボールなのね。傷薬も種類が多くて興味深いわ」

「ボタン1つでここまで大きさを変えれるなんて…、月の技術超えてません?」

「これ外の世界じゃ作れないウサね~」

「狭くて窮屈じゃないのかしら?」

「ピッピ(どうでしょうか)?」

 

 永遠亭の人たちはポケモン世界の技術力にとても驚き、興味深そうに道具の説明を聞きながら触っていた。中でも、永琳さんと鈴仙さんの2人が熱心に聞いていた。

 

「そういえば、輝夜のツクヨは図鑑じゃどうなっているの?」

 

 妹紅ちゃんの質問から輝夜ちゃんがぜひポケモン世界でのツクヨについて書かれていることを知りたいといってきた。よって、チャモウの時と同じポケモン図鑑をバックから出して皆に説明が聞こえるようにした。図鑑を出した際に始めて見た人たちは驚いていた。…特に早苗ちゃんのテンションが一気に高くなった。

 

『ピッピ、ようせいポケモン、フェアリータイプ。愛くるしい姿や仕草で人気のポケモン。生息地が限定されているのか中々見つからないが満月の夜に発見される場合が多いことから、月と関係があると思われる』

 

「へぇ、ツクヨって人気なのね」

「ポケモン世界では人形があるくらいなので人気でしょうね。実際にゲームでもメロメロになった人が多いでしょうね」

「ピッ(嬉しいかぎりですわ)!」

「月との関係ですか…(何か運命じみたものを感じるわね。姫様と私たちの前に現れた、月に関係するかもしれない別世界の生物か)」

「ああ、実物のポケモン図鑑を見れただけで幸せなのに、使っている瞬間まで見られるなんて…。神よ感謝します」

 

 図鑑の説明に各々反応する皆であった。早苗ちゃんが天に昇りかねないのが心配である。気持ちは分かるけど…

 

「…ねえナギさん、この図鑑って最新の物なのかしら?」

「え?」

 

 図鑑を見ていた輝夜ちゃんから質問がきた。皆が黙ってこっちを注目している。

 

「ポケモン図鑑自体は少し前(X・Yシリーズのタブレット型)の物かもしれないけど、伝手(オーキド博士)からデータは最新に更新しているから、かなりの範囲でポケモンを調べられるけど?」

「ん~、ツクヨの卵から孵った姿が今のじゃないのよ。図鑑の説明にも姿が成長して変化するなんてなかったから、ちょっと気になって…」

「図鑑に載っているのが成体ってことじゃないのか?」

「え?でもチャモウは図鑑に載っている姿で生まれてきたわよ?」

「「…あっ『進化』!!」」

 

 輝夜ちゃんの疑問にボクと早苗ちゃんはすぐに答えに辿り着いた。これはポケモンを語るうえで無視できない重要なことなはずだ。ボクは自力で進化を抑えているから頭から進化が離れていたから話していなかったけど、早苗ちゃんは両手で頭を抱えて仰け反っていた。

 

「ああぁぁぁぁっ!何で進化を忘れていたのでしょうか!?これではポケモントレーナー(ゲーム経験者)失格じゃないですか!」

 

 あまりにの取り乱し方に皆が早苗ちゃんから引いていた。でも、これはボク自信にも少し衝撃だった。

 

「ね、ねえ、ナギ?進化というは成長と違うのかしら?」

 

 ボクたち2人の様子から進化がポケモンに必要な単語なのだと推測した幽香が聞いてきた。

 

「成長と少し違って、姿やステータスが大きく突然変化することがボクたちポケモンの『進化』なんだ」

「ポケモンによって進化しない種族もいなくはないすが殆どのポケモンが進化するといっても過言じゃありません!しかも、タイプが増えたり変化したりするんです!」

「…それってとても大事なことなのでは?」

「それをポケモンでもあるナギが忘れるってどうなのウサ?」

 

 てゐちゃんからの指摘がいたいけど、とりあえず皆に進化を分かり易く説明するために図鑑を操作する。

 

「輝夜ちゃんが言ってたツクヨの姿ってこれ?」

「そう、それよ!」

「ピィですね!」

 

 早苗ちゃんが言ったとおり、図鑑にはピッピの進化前のポケモン『ピィ』が映っていた。

 

「え?輝夜のツクヨってこの姿で生まれてきたの?」

「そうよ、少し時が流れて今の姿になったの」

 

 チャモウもそうだったのでは、と言わんばかりの顔をする輝夜ちゃんに困惑する妹紅ちゃん。

 

「師匠は進化する時に姫様の傍に?」

「いたわ。ツクヨが突如に光りだして姿が変わっていったの」

「チャモ(そうなの)?」

「ピィピィ(その瞬間は力が溢れてくる感覚はありましたわ)」

 

 図鑑を操作してピィとピッピを交互に見比べる皆。あと早苗ちゃんは部屋のすみで体育座りしないで立ち直ってきて。

 

「ナギさん、進化というのはある程度成長すると起こる現象なのかしら?」

「ならチャモウが進化しないの変じゃない?こう見えて長年いっしょにいるのよ?」

「…進化は成長と経験を積めば多くのポケモンがそうなりますが、進化に特別な条件がいる場合もあるんです」

「特別な条件?」

「はい、進化する時間帯や特殊な石を使うんです。輝夜さんのツクヨさんもこの特別な石によって進化が可能です」

 

 幾分たちなおった早苗ちゃんが進化について説明する。少し不足しているので付け加える。

 

「場所によって進化が可能になるポケモンも見つかっているよ。あと、進化しないポケモンや抑えているポケモンだっている、ボクみたいに」

 

 そういってツタージャの姿に戻って人型に再び戻る。

 

「ああ、そうですよね御三家ならまだ2段階の進化がありますもんね。ナギさんの強さから進化しないのはおかしいと思っていたら抑えていたのですね(Bキャンセルですね、分かります)」

「進化を抑えるってできるの?」

「自然と進化するといえばそうだけど、中には今の姿が気に入っている個体もいる。確かに進化すればステータスが大きく変化するしワザも多く覚える場合があるあけど、それがポケモンの全てはないよ」

 

 アニメでサトシのフシギダネが進化を我慢するシーンは初めて見たときは衝撃的だったのを覚えている。

 

「深いわね、進化することがその種族の全てではないっか…」

「色々考えさせる言葉ですね、ポケモン本人が言うのであればなおさらです」

 

 輝夜ちゃんと永琳さんは考え深いように唸っている。何か思う事でもあるのかな?

 

「ねえ、チャモウもナギと同じ御三家なのよね?」

「そうですよ、最初にもらえる初心者用ポケモンの1匹です」

「チャモウも進化するのね?」

「ナギさんの話しから自分で進化の気があるなら自然と進化すると思いますよ?」

 

 妹紅ちゃんはチャモウの進化が気になるようだ。それはすごく分かる気持ちである。ただ、問題はチャモウの進化後の姿を教えていいのかである。

 

「…妹紅ちゃん、チャモウの進化後の姿見てみる?」

「…あっ(察し)」

 

 早苗ちゃんがボクが遠慮がちに進化後の姿を見せる理由を察したようだ。まあ、カッコイイからいいけどいつの日か読んだポケモンマンガでメスのアチャモが進化後の姿にショックを受けた映像が頭によぎる。

 

「う~ん、自然と進化するならそれでいいわ。チャモウにはのびのびと育って欲しいしね」

「チャモ~♪」

 

「「ほっ…」」

 

 うん問題の先送りだと思われるけど、これは本人同士の問題になるだろうから今はこれでいいと思うことにした。

 

「どんな姿になるだろうな?」

「ヒヨコっぽいから赤いニワトリのような感じかしら?」

「火と鳥で鳳凰っぽい姿じゃないですか?」

「いやいや、大穴的にダチョウっぽくなるとふんだウサ」

 

「「うっ!(グサ)」」

 

 皆のチャモウの進化後の姿推論が心にきています。早苗ちゃんも知っているのでボクと同じで良心に痛みを感じている。ホウオウは既に存在しますよ鈴仙さん。

 

「姫様はどうしますか?ツクヨの進化後の姿を見られますか?」

「いいわ、そう私たちが急かす必要もないでしょう。特別な進化のようだし、気長にタイミングを伺いましょう」

「ピッピ(感謝しますわ姫様)」

 

 ツクヨの進化は状況次第になりそうだ。一度進化すれば元に戻れないのでよく考えて欲しいから嬉しい。

 

「では、夜も遅くなるようだし各自部屋に戻りましょう」

 

 永琳さんの号令に従って皆は用意されている部屋に戻っていく。ちょっと説明が長く感じたから、今日はぐっすり眠れそうだ。

 

 

 

 

 夜も深くなり、永遠亭に寝泊まりしている皆も寝静まっている頃に私は起きてしまった。傍に寝ているチャモウと数日後の授業の為に明日は朝早く寺子屋に戻る慧音を起こさないように部屋を出る。

 

「綺麗な月ね…」

 

 部屋を出て一番に目に入るのは開けた廊下から見える外の大きな月と竹林だった。なんとなくすぐに眠れない私は廊下で月を眺めていた。

 

「あら奇遇ね、貴女も起きていたのね」

 

 視線を声の方に向ければそこには浴衣姿の輝夜がたっていた。月光に綺麗な黒髪が光り神秘的な雰囲気を出している。これでもかつては貴族の娘として自覚も自信もあったが、輝夜はそんな私さえ美しいと思えるほど整っている容姿をしている。

 

「そういうアンタも眠れないの?」

「ええ、ナギさんの話を聞いてからちょっと考え事ね…」

「当ててやろうかしら?」

「あら?なら私も貴女が考えていたことを当てて見ましょうか?」

 

 二人で今自分たちが考えていることを同時に言い合う。

 

「「ナギ(さん)との出会い」」

 

 私たちは答えがお互いに合っていることに微笑して縁側に並んで座った。

 

「月を見て、ナギと会ったのもこんな月夜だったなぁって」

「私もよ、都から一人で逃げた先が彼の住処だった」

「なによ、アンタと似たような状況だったのね。私は雨に濡れそうだと思って洞窟に入ったのよ」

「あら奇遇ね。私も洞窟でしばらく彼と一緒に暮らしていたわ」

 

 とことんこの女とは縁があるようだ。おそらく私は輝夜が都から姿を消した後に都を出たから、もしかすると私は此奴が住んだ後の住処でナギに世話になったということになる。

 

「ここまでくれば運命を感じるわね」

「運命、ね…。そういったことは信じないことにしていたのに、ツクヨと貴女に会ってからは信じてしまいそうよ」

「変な感じね」

「そうね、とても変よね」

 

「「……」」

 

 月明かりが差し込む中で時折、虫が無く以外に音は何もなかった。短い時間だったのと思うけど、私は長い時間に感じた。

 

「貴女とこうやって並んで月を見上げながら話すなんて考えもしなかったわ」

「それはこっちも同じよ。アンタを見て憎しみとかそんな感情が湧いてこないことに私自身が驚いたわよ」

「…もし、もしもよ。ナギさんに、ツクヨたちに会えなかったら」

「ええ、私たちはこうやって向かい合うことはなかった」

 

「「それはちょっと、寂しいわね」」

 

 これもお互いに素直な感想だ。きっと殺し合いが日常になっていたと思う。互いに死なない体だ、遠慮もしないでぶつかって死なないことを繰り返す、今になっては寂しい日常だろう。不死にとって一番の恐ろしいことは時間だった。周りが老いていく中で自分だけ世界に取り残されていく感覚が、ナギに会う前のあの頃が一番怖かった。輝夜には永琳がいるけど、私には生涯を共にする存在がいない。慧音もいつかはこの世界から居なくなる。それが許せずに此奴に全ての憎しみを理不尽にぶつける。そんな世界があったかもしれない。

 

「ちょっと怖くてナギさんには聞けなかったわね」

「そうね、ポケモンの寿命について…」

 

 どこまでも同じ意見だ。そう長年姿を変えずに一緒にいてくれるチャモウには感謝してもしきれない。輝夜も同じ気持ちのはずだ。

 

「私は貴女に謝らないといけないかしら?」

「前に言ったけど、謝罪は不要よ。悲しみも憎しみもあったけど、長い時の一瞬だった。今はそれ以上に…」

「そうね、それ以上に…」

 

「「アンタ(貴女)と友達になって嬉しい(わ)」」

 

 そう言って私たちは互いに肩を寄せ合った。私以上に長生きしている此奴が私以上に苦しまなかったことはないはずだ。月でお姫様していた時だってきっと退屈だったと思う。不死の相手を出来るのは不死だけだ。寿命がある者たちが私にくれるのは思い出である。でも長い年月のうちに忘れてしまうかもしれない。色あせていくかもしれない。そんな時に求めるのは同じ境遇の者だ。だからあの子たちにはとても感謝している。コイツとこんな気持ちで出会わせてくれたことを

 

「怒っていいのに…」

「私がそれを許さないわ」

「私が年上よ?」

「私は新参者でまだ人に近いわよ、羨ましいでしょ?」

「どうなのかしらね?」

「分からないなら、長い時間をかけて答えを出せば?」

「退屈にならないかしら?」

「ならないんじゃない、だって…」

「だって…」

 

「「貴女といる楽しい時間はすぐに過ぎていくから、退屈はしないわ」」

 

 そういって笑い合っている時に私は思った。やっぱりこいつは綺麗だなって・・・

 

 




お疲れ様でした。

あまり話てきに進んでいないようですが楽しんで頂ければ幸いです。

今回でこの小説での努力値等について本編で書いたようにアニメよりになっています。努力値というより努力した結果となっておりアニメでよくある特訓でワザの威力が上がったり、スピードを上げたりなるやつです。

輝夜ちゃんと妹紅ちゃんの関係はこの小説では尊くかるい百合的友情になっています。すいみません完全に趣味に走りました。もとはさっぱりした友達関係にしていたんですが、いつの間にか変わっていました。なんでさ?
ま、まあこんな関係な2人もいいんじゃないですか?アニメのマオとスイレンのように!子供時代の二人に尊さを感じました・・・

さあ、本編でもあったチャモウの進化どうしましょうか?正直迷ってます。
次こそは12.5話として短編を考えています。紅魔館をちょっと他2本になるでしょうかねぇ・・・

感想も誤字脱字も受け付けております。

では、また次回会いましょう!


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幕章1 大いなる会合の前の予兆

どうもデスです。

お待たせしました!
ナギ視点以外の話を幕章として投稿することにしました。
今回は紅魔館(主にレミリア)、早苗、文の3名の場面を書きました。新登場のキャラの性格は作者の思い付きと印象になるので嫌いな方は注意です!いまさらですが(笑)!

先に言っておきますが、作者はレミリアと文は大好きです!



◎レミリア視点 

 

ここは紅魔館、夜の支配者ともいえる吸血鬼が住まう屋敷。数ある幻想郷の勢力の中でも群を抜いており、そのトップであるパーフェクト・カリスマ・ヴァンパイア・ロード(自称)と名高い吸血鬼『レミリア・スカーレット』が住み、幻想郷中の人間共を恐怖に震えあがらせている。そう、そのヴァンパイアこそが

 

「私である!!(ドン)」

 

 ふ、決まった。これは完全に決まったわ。今の私の威厳ならあの風見幽香すら戦慄を感じるにきまってるわ。それにしてもさっきの言い回しは気に入ったわ。さっそく寝る前の『レミリア黒の奇跡』に記すとしよう。

 

「……」

「……」ペラ

 

 ふふ、この私に従う頼もしい味方の2人も私の威厳の前に言葉もないようね!さすが私ね!

 

「さっ、我が友たちよ!私の威厳を世界に轟かせるために知恵を出すがいい!」

「レミィ、いいかしら?」

 

 さすが私の友であり長き時を共に過ごした英知の結晶、魔女『パチュリー・ノーレッジ』だ。さっそく私の威厳を見せつける作戦を考えついたのね。でもね、友達と話すなら本から目線を上げてくれないかしら?

 

「何かしらパチェ?」

「飴ちゃん食べるかしら?」

「食べるわ!」

 

 さすがねパチェ、頭を働かせている私に必要な糖分を与えてくれるなんて。あ、今日は梅味なのねスッパ美味しい。

 

「さて、頭に栄養がいきとどいたことだし、さっそく続きを…」

「1ついいかしらレミィ?」

「何かしらパチェ?」

 

 頼もしい私のメイド同等に頼もしい私の親友は何を考え付いたのかしら?

 

「貴女の頼もしいパートナーである咲夜が隣で立ったまま寝てるわよ?」

「咲夜ーーーー!?」

 

 本当に寝ているー!?器用に立ってお盆を両手で抱えてスヤスヤと!

 

「ちょ、ちょっと起きてよ咲夜!まだ作戦会議5分もたってないわ!」

「……(ぱちり)」

「あ、起きたのねさく」

「部屋に行って寝ていいですか?」

「だめぇぇーーっ!!」

 

 行かないで咲夜、まだ真夜中の12時じゃない!まだまだ夜は始まったばかりよ!

 

「咲夜は人間で(まだ)ピッチピチの10代じゃない。健康のためにも寝かせてあげなさいな」

「私のメイドよね!?」

「メイドでも人間という種族は変えられないわ。咲夜、この子は私がお相手してあげるから貴方は部屋に行きなさい」

「ありがとうございますパチェリー様。では、お嬢様お休みなさい」

 

 ああ、咲夜が行ってしまった!なんてこと…

 

「ちょっとパチェ、何するのよ!?これじゃ作戦を感がるメンツが!」

「突然の思いつきで行動するのはいい加減止めなさい。付きあわせられるこっちの身になってくれないかしら?」

「思いついちゃったんだもん!」

「なら仕方ないわね、でも今度からは私だけを呼びなさい。咲夜を呼んだのも人数が多い方が見た目がカッコイイとかでしょ?」

 

 な、なんで私の考えが見透かされているの?エスパーなの?

 

「顔に出ているのよ。で、今度も予想できるけどきっかけはくだらないプライドかしら?」

 

 く、くだらない!?これは私の威厳を保つために必要なことなのに!

 

「そんなお子様みたいな思考から脱せないから、あの子に色々言われるのよ?それにまた騒がしくしていたら…」

 

「お姉さま!」バァァン!!

 

「ひぃぃっ!」

「ほら、やってきたわよ。貴方が一番きにしている問題の種が…」

 

 爆音を鳴らすようにドアを開けて部屋に入ってきたのは、髪の色や羽の形が違っているけど正真正銘の私の妹『フランドール・スカーレット』である。姉の私が言うのもなんだけど、とっても可愛いのだ。どこかというと全部であるから、私はフランに甘いのね。だからフランに強く言い返せないのはそのせいである。キットソウナノヨ・・・

 

「また咲夜を遅くまで起こさせて!」

「さ、咲夜は私のメイドだからいいじゃない。あとZUNZUN(ズンズン)と怖い顔のままこっちこないでぇぇ」

「お姉さま、立って」

「…はい」

「椅子の上に立つんじゃなくて、椅子から降りて立って」

「……ハイ」

 

 妹にそう言われて私は椅子かた降りて、妹を()()()()姿勢で向かい合う。

 

「こう見てみると逆転姉妹ね」

 

 言わないでぇぇぇ!そんな目で見ないでパチェーー!!

 そうなのだ、今パチェが言ったように妹のフランを姉の私が見上げている。その差は頭1つ分くらいあり、私が妹みたいな感じになっている。そのせいか、初見さんは皆が口をそろえて「え?こっちが姉?」と言ってくる始末なのだ!

 

「咲夜は人間だけど、お姉さまに拾われた恩を感じて紅魔館のメイドになって…」

 

 フランが話をしているけど、耳に入ってこない・・・。かわりに私がこの構図から毎度目に入ってくるのは・・・姉を上回る女性の象徴だった。下を向き自前のものに目を向ければ

 

「………」(すとーん)

 

 見事な幼児体型である。すとーん、という効果音が聞こえてきそうなほど見事である。おかしい、数年しか違わない年の妹とのこの差はなんだろう。妹のは私の手を大きく広げて掴むと丁度いい感じのフィット感である。実際に昨日お風呂で確かめたから間違いない、妬ましい。…何か私のキャラではないわね。ここは姉として大人の余裕を見せつけなくてはならない。

 

「何か決心しているところ悪いけど、自分の胸を揉んでいるわよレミィ」

「はっ!!」

 

 しまった!私としたことが!フランは!?

 

「…………」

 

 見ないでぇぇぇぇ!そんな哀れむ目で私を見ないでぇぇぇぇぇぇぇ!!パチェは口を片手で抑えて笑うのを我慢している。おのれ、紅魔館No.2のお胸を持つものは余裕ね!

 

「オーン…オーン…」

 

 私が哀愁漂わせているうちに聞こえてきたこの鳴き声は、フランがいつの間にか育てることになった謎の生物だ。

 

「あらフラン、あの子は置いてきたの?」

「ええ、能力を使って私を探せているの。いつまでも私にべったりじゃいけないもの」

 

 あらやだ、聞きました奥さん。まるで熟練の主婦のような物言いですこと、子供同然の存在に自立を促すような教育…。やはりあれかしら、母性に目覚めると女性は大人になるのかしら?

 

「ってちがーーう!話しがそれちゃってじゃったない!」

 

 妹の成長に嬉しくもあり、妬ましくもある中で本来の目的を思い出したわ!

 

「話しって?」

「さあ?いつも通りにレミィの思いつきかと」

「今度は本当に重要な案件なのよ!見つかったかもしれないのよ!フランが昔に話をしてくれた生物が!」

「それ本当なのお姉さま!?」

 

 私の発言にまっさきに反応したのはフランだった。無理もない、フランだけでもない私にとっても恩人かもしれない人物(?)がこの幻想郷にいるかもしれないのだ。

 昔、フランが地下室に監禁されていることがあった。忌々しい過去だが、当時は自らの能力に振り回されて情緒不安定だったあの娘を思えばと言えば聞こえはいいが、誰もがあの子を怖がっていたのを感じ取ってなのかフランは自ら地下室に入っていった。あの頃の能力をうまく使えなくて、大人の言いなりになっていた自分を呪いたいほど私にとっても忌々しい過去だった。

 私が紅魔館の当主に決まり、遅くなったがフランの自ら課した呪縛から解き放とうとした時だった。あの子は泣きながら地下室から出てきたのだ。必死に胸に小さな命を両手で持ち上げて「この子を死なせたくないの!助けてお姉さま!!」と言ってきた。ひどい泣き顔だったが監禁していた時に比べるといきいきしていた良い顔を今でも覚えている。

 それからのフランは必至だった。能力で他人を傷つけないようにと、吸血鬼の腕力で押しつぶさないようにと成長していった。私も姉として付き合っていたが、フランはすでに私の想像の範疇を超えている。

 

「美鈴にも咲夜お手製の似顔絵で確認をとったから、かなり信憑性は高いわ」

「それは楽しみね、どの図鑑にも載っていない生物だったから気になってなのよ。フランと美鈴の話しにもでてくるその恩人のこともね」

 

 パチェも言っているけど、まさか幻想郷に来る前に門番の役についた美鈴も恩人に会っていたには驚いた。運命を感じたわ。

 

「ああ、どうしましょう!ま、まずはおめかししなくちゃ!それにお迎えする部屋の準備も!」

 

 ちょっと幼くなったような反応の妹を見て安心する姉ってどうなのかしら…

 

「その様子から咲夜に頼んで招待状でも送ったのね、いつ招待するの?」

「明日よ!」

 

 パチェの質問に自信満々に答える。どうかしら!私も褒め称えてもいいのよ!

 

「お姉さまのばかぁ!」パァン!

「なんでよー!」

 

 いきなりの最愛の妹からビンタである。ふ、いい手首の捻りだったわ。

 

「私か美鈴が実際に確認した訳でもないでしょう!もし他人、もとい他の同じ種族だったらどうするのよ!」

「いや、でも…」

「準備期間もないに等しいじゃない!満足いく御もてなしが出来ないかもしれないでしょ!?そもそも来てくれない可能性だってあるじゃない!?」

「………」

 

 この叱るように言っているけど、にやけ顔を必死に隠している真っ赤な表情から妹の心が感じ取れる。ふっ、姉を騙せると思っているのかしらこの可愛い妹は?

 

「つまり心の準備かできないから、会うのが恥ずかしいと?」

「ふんっ!」

「ふげぇいっ!」

 

 ストレート!今度は右ストレートが下からお腹に決まったわよフラン!?乙女が出していい声じゃなかったわ!

 

「おうう………あれ?フランは?」

「フランなら貴方がお腹をおさえている部屋から出てったわ。おそらくその恩人を迎える準備をするのではなくて?」

「えー……」

「レミィこそ、ちょっと早い招待じゃないの?普段の貴方なら自分の威厳を見せつける為に準備を怠らないわよ?」

 

 それは仕方ないのだ。だって

 

「姉として恩人に礼の1つも言えないのは許せないことよ。フランほどじゃないけど私だって感謝してもしきれない恩なのよ、この機会を逃さないようにと必死にもなるわ」

「………」

「それにあの子を見せてあげたいの、貴方のお蔭でフランはこんなに成長したと自慢だってしたいわ」

「………本音は?」

「あの子ばっかり成長してズルくない?フランが身体的にも成長したのは母性に目覚めたからよ、きっと私にも同じように子育てをすればフラン以上のパーフェクトボディに……はっ!?」

 

 な、なんてこと!私の本音を聞き出すとは何という巧みな話術!?魔女の仕業ね!?

 

「ち、ちがうのよ?感謝だって7割くらいあるわよ、本当なのよ!」

「貴方は一言黙っていれば、妹思いの素晴らしい姉に見える最後に台無しになるのよね」

「いぃぃやぁぁぁーーーーーー!!」

 

 友の愉悦極まった顔を確認して夜の少し静かな紅魔館に私の声が響いた。

 

 

 

◎早苗視点

 

 ナギさんが永遠亭に泊まることになったので、不肖この早苗も同じ屋根の下で過ごす為に急いで妖怪の山にある神社へ急いでいた。

 

「えへへ~」

 

 たぶん今の私はとってもにやけていることでしょう。ですが無理もありません。私だけでなく幻想郷の外の人間であ

 

れば皆が羨む経験をしたのです。そう、ポケモンとの会合に!

 私は矢守神社の風祝としてのお勤めもあり、交友関係がよかったとはいえませんでした。神様を見ることができる私を同年代の皆は不気味がって近づかず、神社関係の人たちから重宝されてきました。そんな私の楽しみが自分の部屋で神様でもある諏訪子様や神奈子様と過ごす時間でした。その時間の中でポケモンは幻想郷に来るまでで一番楽しんでいたゲームで幻想郷にきても偶に対戦しています。河童の皆様のお蔭です!

 

「実際のポケモンに合うばかりか、話したり触ったりしてしまいました!これは普段の私の行いへのご褒美に違いありません!」

 

 ナギさんは人にも化けれましたが、そんなのは幻想郷では些細なことです!しかも、私が知らない地方の名前まで出てきました。もしかしたら外の世界では色んな意味で進化したポケモンが発売されているのかもしれません!そう思うとちょっと、ちょっっっと幻想郷に来たことを後悔してしまいますね…

 

「ふふ~ん♪ふふ……ん?」

 

 鼻歌を歌っていたら突然下から紫色の見覚えのある物体が空に上がってきた。

 

「貴女は、小傘さんでしたか」

「げぇっ!妖怪の山の巫女!?」

 

 紫色の唐傘を持つ付喪神という妖怪である。ある異変で出会ってから妙な縁なのか結構な頻度で出会っては、矢守神社の信仰の為に退治する関係になっています。むむ、普段から人を脅かせて(成功する確率が低い)いますが、まるで鬼にあったように驚かなくてもいいではないですか。

 

「こ、ここであったが、ひゃ、百年目!今度こそ驚けぇ~!」

 

 何かヤケクソになっていますが、今の私は急がなくてはなりません。ここはいつものように弾幕ごっこで即効退治して…

 

『ボクたちは空想上の生物じゃないよ。早苗ちゃんの頭の中でバトルのイメージができている見たいだけど、それはちゃんとボクたちを見ている?』

 

「!?」

 

 突然、ナギさんの言葉が頭に浮かんできた。『空想上の生物ではない、ボクたちを見ている?』この言葉は胸に突き刺さった。私だけが見えているのに他の人には見えていなかったのを悲しむ諏訪子様と神奈子様の顔。そんな顔をさせる人たちが嫌いだった。

 では、今の私はどうなのでしょうか?現物のポケモンを見て舞い上がり、喜んでいたのにゲームの延長線としか見ていなくてチャモウさんに怪我をさせてしまった自分。幻想郷に来て外では空想上の生物だった妖怪を見てはしゃいで、ゲームの敵が湧くような感覚で楽しく問答無用で退治している自分。私が嫌いだった神様を無視していた人たちと何が違うのでしょうか?

 

「あ、あれ?早苗さ~ん?」

「……小傘さん」

「は、はいっ!?」

「聞かせてください。貴女は何故、人を驚かせいるのですか?」

「え?ええっと、それは…」

 

 ポケモンバトルで初めてナギさん達をちゃんと見たように、目の前にいる存在を改めて見る為に話を聞くことにしました。聞かされた話は、自分を捨て忘れていった人間たちへの復讐だというのです。『忘れていった』、この言葉に私は胸を打たれました。ここは忘れ去られたモノたちが集う最後の楽園……

 

「小傘さん」

「な、なんでしょうか?」

「最近、人里の人間達を驚かせました?」

 

 霊夢さんや魔理沙さんといった幻想郷の人たちには突然の心境の変化で甘いと思われますが、これは諏訪神社の巫女でもある私の譲れない境界線とします。

 

「え?い、いや、最近人里の中では誰も驚かせていなかったけど?」

「では、私からは何もありません。度が過ぎて人里の人たちから相談がなければ何もしません」

「え、え~と?早苗さん?」

「何も用事がなれけば、ぜひ矢守神社にいらっしゃってください。お茶くらい出します」

「………」

 

 御二神の為に信仰を集める、これは何ものにも譲れないことなのでこれに反しないのであれば私は無用に話せる存在と対しないことにしましょう。ですが、私の信条に外れるなら容赦ばくイジメテあげましょう。

 

「では、私は急ぎますので」

 

 矢守神社に着いたら、まずは人里での信仰の集まりについて報告、その後に御二神の為に夕食と明日の朝食を作ってお泊りの準備をしましょう。ナギさんの事は神社に招待するまでの秘密として驚かせることにしましょう。楽しみです!

 矢守神社に帰って報告と料理をしている私をみて諏訪子様と神奈子様が何を勘違いしてか「大人の階段のぼった?夕飯はお赤飯かな?」「私は見たこともない相手を許しはしないぞ早苗!」など妄言を吐いていたのでちょっとオハナシをして永遠亭に向かいました。まだピッチピッチな私に何を言っているのでしょうか?

 

 

 ちなみにこの後、早苗の反応に多々良小傘は「わちきは許された!」と喜び、調子に乗って幻想郷の素敵な巫女を脅かせては退治されたのであった。それ以降。時折ボロボロになった小傘を慰めている矢守神社の巫女の姿に妖怪の山のうぜぇ丸新聞記者はたいへん驚いたそうな、めでたしめでたし……

 

 

 

◎射命丸 文視点

 

 妖怪の山、天狗の里にある自宅兼仕事場で私こと清く正しい射命丸 文は今回手に入れることが出来たネタをどう新聞にするか悩んでいた。

 

「ん~…いい写真は撮れたけど、これでどんな見出しでいくかですね~」

 

 今回のネタは偶々人里に向かっている途中で繰り広げられていた出来事だった。フラワーマスター、ワーハクタク、竹林の案内人、現人神といった幻想郷で実力者に数えられる皆さんが集まって妖怪みたいな生物を2匹で戦わせていた。

2匹の片方の鳥みたいな生物はいつも妹紅さんが連れているペットのような存在なのは私だけでなく、幻想郷で彼女とかかわりがある人物であれば知っています。でも、もう1匹の緑色の蜥蜴?ぽい生物は始めてみました。やっていたことも代理の弾幕ごっこみたいであったが華やかさでは弾幕ごっこの方が断然上でした。まあ、迫力というか何か込み上げてくるものはありましたけど…

 

「見出しは、『ついに弾幕ごっこに変わる新競技はじまるか!?』……ダメですね」

 

 自分で考えましたが却下です。今の幻想郷の人と妖怪の関係の絶妙な関係は弾幕ごっこのお蔭でもあります。妖怪の賢者と幻想郷の巫女が考えて広めたと言われいますので、そんな彼女たちが何の前触れもなく新たなルールや代わる競技を持ち出すことは考えにくい。そうなるとあの緑蜥蜴は、確かチャモウさんでしたっけ?チャモウさんと同種族なのでしょうか?以前に屋台の女将さんに聞いたことろ「彼女は見た目は鳥ですけど、鳥妖怪でないと思います。火とかふくけど。」といっていました。普通の鳥は火は噴きませんもんね。

 

「『新発見か!謎の新たな種族!?』、おおインパクトもあり中々な見出しでは?」

 

 しかし、フラワーマスターである風見 幽香が関わっているとなると取材は心してかからなければ。もし彼女の不堪をかってしまっては天狗の里おしまい数秒前状態になること必須です。緑蜥蜴を妙に気にしているようでしたので、その辺にも気を付けましょう。迷いの竹林に向かったので、そこで尾行は断念しました。緑蜥蜴が怪我したせいか気が立っている幽香さんに見つかっては何をされるか分かりません。

 

 コンコン

 

 あや?玄関からノック音?こんな時間にお客さんですか?椛でしょうか、それとも大穴ではたて?

 

「はいは~い、どちら様ですか~?ってあやや?」

 

 扉を開けてみれば、あら不思議なことで誰もいなかった。

 

「風の仕業でしょうか?」ちょんちょん

 

 不思議がっていれば肩を突かれたようなので振り返るとそこには

 

「1名様ごあんなぁ~い」

「あやややっやっ!?」

 

 そんな言葉を目尻に私は目玉が沢山の気味の悪い空間にいました。こんな芸当ができるものは幻想郷広しといえど該当者はただ1人。

 

「な、なんのようですか、八雲 紫さん?」

 

 ご本人が目の前に扇子で口元を隠して私の肩に手を置いていました。紫さん自信が動かれるなんて、異変以外では考えられません。特大のネタの香りがしますが、好奇心と同時に不安も積もります。異変が起こる前兆で私の誘拐は事故処理のお願いでしょうか?

 

「目ざとい貴女のことなので、きっと何か情報を掴んでいると踏んで来てもらいました。藍の話だけでは確実性にかけますので」

「はあ、光栄です…」

「あと、いけにe、もといみちづr、ええ協力者は多いほうがいいでしょうから」

「あややややややっ!?」

 

 何やら物騒な言葉が聞こえてきましたよ!?最後の一言で踏みとどまりましたが、生贄と道連れと言いかけましたよこの人!こ、ここはどうにかして逃げなければって!?

 

「い、痛いです!そんなに力を入れて肩を掴まないでください!」

「ダメよ!これも普段の行いが原因として大人しく、そして諦めて受け入れなさい!」

「最初から諦めってなんですかー!?」

 

 貴女が最初から諦めている時点で最上級の厄介事じゃないですか、いやだー!まだ私にはまだ見ぬ神秘(幼女妖精&妖怪)の解明(盗撮)が待っているのです!ここで終わるときではないのです!

 

『八雲 紫よ、その者が先程言っていた人物か?』

「AYA!?」

 

 な、なんですかこの頭に直接声が響く感覚は!?それに、この、全身から込み上げてくる畏れの感情が湧きたてる声は!?鬼の方々とは比べ物にならない畏怖は!?かけなしの勇気を振り絞って大きな存在が感じる方へ振り返るとそこには

 

「ええ、彼女こそ幻想郷でその名を知らない者はいない。情報通として名がたかいカラス天狗の射命丸 文ですわ」

『そうか、それはわざわざご足労すまないな』

「い、いえいえ!滅相にもありません!私なぞ、一介のカラス天狗です!」

 

 そこには確かに神と呼ぶに相応しいモノがいた。いえ、目を向けないように努めていますが別の方向にもこの神より劣るも複数の強大な存在がいるのを感じます。…恨みますよ八雲 紫さん。

 

「では、こちらも自己紹介をしよう」

「え?人間?」

 

 大きすぎる存在のでせいで人間の存在など気付きもしませんでしたが、声を掛けられて初めて存在に気が付きました。妖怪に比べると幼いですが人間だと結構なお年だと感じられ、河童が良く着る白衣を身にまとっていますね。

 

「ええと、幻想郷では見たことありませんよね?どちら様でしょうか?」

「ワシはオーキドと言う者じゃ、よろしく頼みます妖怪さん」

 

 これから長い付き合いとなる異世界の人間との会合は始まったであった。

 

「失礼じゃが、その背中の羽を触ってもいいかの?」

「え?」

「ご愁傷様ですわ」

 

 紫さんがどこか呆れた顔で私と興味深々顔のオーキドさんを見ていた。

 




呼んで下さりありがとうございます!

ということでもうすぐ皆大集合する前の各陣営の補足回となります。
レミィと文が可愛そうとか不憫とか思っている方もいると思いますが、作者は2人が好きです。ただそれ以上に好きなのキャラいるだけです。いじりやすいイメージがあるんですよね、ありません?ここのフランとレミィのような見た目逆転姉妹は大好物なので作者のために餌食になってもらいました。下手で良ければ作者で絵を描いて投稿するか考え中です、イメージの為にも。

早苗ちゃんも小傘も好きなので仲良しにする為に書きました。ちょっと成長した早苗ちゃんは書いて楽しかったです。ちなみに御二神の早苗ちゃんへの反応は

早苗が帰ってきた→何か顔つきが少し大人になった?→なぜ?→ここでケロちゃんが「男でも出来た?」→神奈子が父親魂発揮→早苗OHANASHI

といった流れとなっています。でもあながち間違っていないようなw

文ちゃんには会合後にスムーズ(都合の良いように)に動いてもらうように強制参加です!相棒でもあげて心のケアでもしましょうかね?最後の人物はアルセウス様たちがやってくれました!そして好奇心が刺激されて
「おお、ポケモンでも空間を作るワザはあるがこの空間はどうなっているのか?」と言ってゆかりんのスキマにも顔から突っ込みました。文の背中の羽にも興味深々で触りまくって羽で叩かれた模様ですw

次は話が進みます。というよりポケモンのように急に大きく話が進むかもしれません。紅魔館に向かうだけですが……主人公2人組みは神社でお茶すすっていますねきっと。

誤字、脱字、感想お待ちしています、また次回会いましょう!


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