東方幾能録 (arnehe)
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設定
物語設定 (最初に見ておくと一章までの人間関係が解りやすくなる)


こんにちは、あねへです。 
内容は一話に出た登場人物の説明です。


人物設定

 

倉持彰(くらもちあきら)

 

年齢

・数えるのをやめている

 

能力

・能力を操る程度の能力

 

基本的潜在能力の底上げ、量の調節(魔力、霊力など)例えば理解力を底上げすると話の理解、話の先読みが可能

最後に力とつけば自分相手問わず基本的操れる

 

・転生する程度の能力

 

彰がそう呼んでいるのであって実際には存在しない。能力を操る程度の能力の副作用によって出来た。

死ぬと数秒後に体が再生される、そして痛覚を無くす、その代わり不定期に突然痛みが走るその後大抵行動不能にする

 

容姿

・見た目は18歳身長173センチの男、短めの黒髪、なぜかいまだに着物で過ごす。

 

基本設定

 

・俺口調

 

・最近まで(数年程度)住んでいる館(見た目旅館)の主、結界をはり何も干渉せず暮らしている。

 

・比較的のんびり、温厚、哲学的、やる気はほとんどない(一度決めたことはする)

 

・全能力値を四人(めい、きみ、くお、セレス)に分けているため現在人並みの潜在能力しかない、程度の能力は有効

 

 

めい

 

倉持彰の冷静さのすべてで具現化された

 

年齢

 

・不明

 

能力

 

・霊力を操る程度の能力

 

倉持彰の霊力(無限)を操る

 

・冷静を操る程度の能力

 

相手の冷静さを操る、又は焦りを出させる

 

容姿

見た目15歳 身長152センチ 全体的に青の着物

 

基本設定

・何も興味を示さないとにかく冷たい性格

 

・主に従順

 

・めったに怒らない

 

・かわいそうな目で人を見ている

 

きみ

 

倉持彰の力(腕力など)で具現化された

 

年齢

 

・不明

 

能力

 

・力を操る程度の能力

潜在能力の力を操る、自然界での力(圧力、風力等)を操る

 

・妖力を操る程度の能力

倉持彰の妖力(無限)を操る

 

容姿

 

・見た目16歳身長164センチ 全体的に赤い着物

 

基本設定

 

・めいと違って高圧的、温厚

 

・主に従順

 

・皆の当たりが酷く不遇

 

くお

 

倉持彰の防御力によって具現化された

 

年齢

 

・不明

 

能力

 

・防御力を操る程度の能力

 

自身の体の周りに壁をつくる、その壁を操る

 

・神力を操る程度の能力

 

倉持彰の神力(無限)を操る

 

容姿

 

・見た目15歳身長148センチ全体的に緑の着物

 

基本設定

 

・主に従順

 

・表に出たがらない

 

・優しい性格

 

・主のことになると必死で回りをよく見ない

 

セレス

 

倉持彰の技術力によって具現化された

 

年齢

 

・不明

 

能力

 

・技術力を高める程度の能力

 

精密な行動ができる

 

・魔力を操る程度の能力

 

倉持彰の魔力(無限)を操る(霧雨まりさと似ている)

 

容姿

 

見た目15歳身長157センチ全体的に黄色の着物

 

基本設定

 

・主に従順

 

・軽い性格

 

・結構積極的

 

世界観設定

 

一応異変は原作の異変を終えたあとの話となります。また、主人公は幻想郷の住民たち(一部)とは昔の顔馴染みという設定にします。

 

 

 

 

 

最後に

 

全体の具体的な容姿を出さない理由は読者の想像を広げ個人個人の世界観で見てほしいからです。

この作品には面白くするためにところどころ原作設定が変わってしまうと思いますが大きく変えることはないと思うので今後もよろしくお願いいたします

 

 



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始め
プロローグ


どうも、はじめまして、arnehe (あねへ)です。あねへとおよびください。
正直、初投稿で、処女作なので緊張しています。これからよろしくお願いいたします。


「ご主人様、ご友人様がおいでです。たおしてきていいですか?」

「ん、わかった。とうしておいて、あと客なんだから攻撃しないでよ。」

「分かりました(むす)。」

俺の名前は倉持彰(くらもちあきら)この、昔に友達に作ってもらった館の主だ。森のなかに結界をはって暮らしている。

「それにしても、此処は結界をはっているはずなのに友達といっていうから察せられるが「あら、久し振りね」きたか紫。」

「覚えててくれたの?」

「まぁなこの結界をとおれるのは数少ないからな。」

それもそうよね、といって自画自賛しているのは妖怪の賢者又は幻想郷の管理者八雲紫だ。

「それより酷いのよ!この館に入って早々攻撃されたんだから。」

そこでバン!と扉を開けて入って来たのは様々な武器を持っている女の子四人だった。

左からめい、きみ、くお、セレスだ。

「おい、まさかとは思うが攻撃してないよな?」といって四人をにらむ。明らかに四人は少し焦っているが黙っている、つまり動揺しているのだ。そして少し時間がたち「あ、え~と」といって沈黙を破ったのはセレスだった。

「紫様がいきなり食堂に現れまして、世にゆう空き巣らしき行為をしていましたので・・・」

そしてこんどは紫をにらむ。

紫は目を泳がせながら「そんなことはいいのよ。」とごまかそうとしたので説教タイムへ

 

~~~説教タイム~~~

 

 

「で、用件は?」

と俺は問う。

「約束したわよね幻想郷がしっかりできたら幻想郷に移住するって。」

「別に俺はいいぞ、ていうかもう館ごと移動させただろ。」

「あれ?ばれました?」

と言って持っている扇子で口許を隠す。

やはり紫はところどころ胡散臭い。

「まぁいい、ここの世界の状況は?」

と言って説明を促す。

 

BAba..少女説明中

 

「ふむ、大体わかった。」

「そう、わかってくれたようで良かったわ。」

「まぁ能力があるしね。」

と暗い顔でそう言う。

俺の能力は能力を操る程度の能力、ややこしいが潜在能力の底上げ等ができる。この場合潜在能力の理解力を底上げしていた。それはもう赤子の手を捻る様なものだ。ってそこ幼児虐待言わない!

「ほんと彰は何でもありよね。ところであの子達増えたわね。」

と言ってめい、きみ、くお、セレス四人を指差す。

「そうだな。」彰は浮かない表情を浮かべる。

あの四人は言わば彰の分身のようなものだ、めいは冷静、きみは力、くおは防御力、セレスは技術力、それぞれ彰の能力で作った能力を具現化したひとならざるもの······

 




どうでしょうか?
紫のキャラ崩壊を起こしていないといいんですが···
誤字脱字等有りましたらご報告下さい。


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プロローグ2

どうも、あねへです。
一応プロローグはこれで終わりにしたいです




「あれ?シワ増えました?紫オバサン。」

ときみが地雷を踏む。

「何ですって?私はまだ若いわよ」

と、青筋を額に浮かべていう。周りは必死で笑いをこらえている

いや説得力ねえよと、彰は思う。

「だったら俺はお爺さんだな」

と、皮肉を交えていうと

「そうね「いやいや否定しろよ!」あら、良いじゃない」

(お前いってることと矛盾してるぞ)

「ところでまだ用件があるんだろ?」

と、彰は言うと

「あら、分かるのね、そうよ彰には幻想郷の管理人代理をしてほしいの」

話を聞くにはどうやら異変とやらが頻繁に起こったためこれから起こるだろうという可能性を潰していく時間がほしいらしい

「おう、いいぞ」

「話が早くて助かるわ」

「俺とお前の仲だろ?」

ええそうね、と笑って答える

そして管理人ならスペルカードルールをしってなくてわねと言うことで

スペルカードを製作中

俺はそもそも戦わないからと断った

その後実戦もしようということとなった

 

「では、スペルカードは三枚被弾数五回というルールでいきましょう、では始め!」

と紫はいう

 

まずはめいときみの戦いだ

 

「私は前からきみが気に入らないんです」

「奇遇だなあたいもさ」

「「だから本気でいかしてもらう!!」」

「先手必勝!スペルカード妖符 憂さ晴らし」

発動すると、きみの周りから人一人分の妖力弾が発生するそしてそれはジグザグにめいに向かって行く

「貴女らしく勢いのあるスペルカードですね、しかし」

めいは冷静にそれを対処していく

「勢いだけではかてませ「わかってるよ」何!」

きみは大きい弾幕のなかに小さい無数の妖力弾を忍ばせていた。めいはそれに対処出来なかった。そして小さい妖力弾にめいは当たる。

「よし!まずは一発」

「く、つぎはわたしです 霊符 冷静な導き」

そう言うと今度はめいの周りから霊力弾が幾何学的な隙間のある弾幕をつくる、そしてそれは交差するように移動させる

「へ、この弾幕は動かなければ当たらないな、欠陥品作るなよ」

確かに今のままなら動かない方がいい、いまのままなら

きみは気づかない、いや気づけないのだ動きが遅すぎて弾幕の隅の方から少しずつ中心に向かって動いていく、当然気づかないきみには背中から当たっていく

「つ、後ろとか、卑怯な「気づかない方が悪いのよ」なにぃ?」

口喧嘩が始まった。他の面々は(またか)と思っている

きみが肉弾戦で攻撃しようとしていたので彰は声をかけた

「直接攻撃するな、そもそもスペルカードルールは美しさを競うものだろ」

「はーい」

「ぷぷぷ怒られてますね」

「セレス

もこれ以上煽るな」

はーいとあまり反省してなさそうに返事をする

このあと結局また喧嘩を始めたので決着がつかなかった。くおとセリスはまた今度と言うことで紫に館の主としてのもてなしをして1日を終える

 

彰は明日の予定を紫と話した

 

そして明日はこの幻想郷にある神社に報告しにいくことになった

 

彰は知らなかった今後ある少女によって力をつかわないといけないということに知るよしもなかった。

 




プロローグが終わりました
戦闘描写はやはりむずかしいですね
出来ればそれについてなにかアドバイスをくれると嬉しいです


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一章
博麗神社にて


どうも、あねへです。タグはもしもの時の保険です。タグはもしもの時の保険です。大事なことなので二回言いました。
それでは、第一章の始まりです。


彰は起きて早々動けない。

(あれ?何故縛られてんだ?思い出せ、確か紫と話した後そのまま寝て・・・やっぱり分からん。)

すると、なにか聞こえる。

「むにゃむにゃもう食べられないよ藍。」

「何で紫がここにいるんだよ!」

そこで、「ご主人起きてますか?」どうやらセレスが来たようだ。

「おう、起きてるから起こさなくても「パン!(障子の音)」あ、」

「・・・・・」

沈黙数秒

「ごゆっくり~「ちょっと待て」」

行ってしまった。

サササまず軽やかな音次にドタドタドタドタ

「皆~ご主人が私たちを差し置いて大人の階段登ってる~」

「やっぱり待って!!」

このあと四人にめっさ怒られた。

 

 

少し時間が経って

 

 

「じゃあ博麗神社に行こうか」

そうですねと四人。

「それじゃ隙間、開けるわよ」と紫が言う。

すると、隙間と呼ばれる両端にリボンがついた空間が現れる。

「いつ見ても不気味です」

「いつか慣れるよ。」

彰の発言に同意して紫は先に入っていく。

それに続いて彰たちも入っていく。

 

 

 

 

 

博麗神社

 

 

 

 

 

「はふ~落ち葉払いのあとのお茶は良いわね。」

この神社の巫女、博麗霊夢の飲んでいるお茶は20回を越える回数のお茶であるこの事から結構な貧乏だと容易に察せられる、またこの巫女は勘が鋭い。

(あ~これから五月蝿くなるわね、勘だけど)

ドタン

霊夢は後ろを見る、すると、紫と見知らぬ5人組、見たところうち四人は従者だろうか?

「ごきげんよう霊夢」

「紫ねまた誰か幻想入りさせたの?」

「ええ、私の彼の倉持彰よ「誤解を招くような事を言うな俺は新しく入った館の主の倉持彰だ、そしてこちらの四人がそれぞれめい、きみ、くお、セレスだ」」

「「「「よろしくお願いします」」」」

一応必要最低限の礼儀は教えている。

紫がある程度話を説明すると、

「では本題といきましょう」と紫がしきる。

「博麗の巫女の仕事の分担よ」

ここで霊夢が、

「そもそも結界の維持なんてできるの?」

「違うわ霊夢、彰には妖怪退治の方を任せるの、貴女だって結界の維持は意識すれば簡単でしょ?」

「あんたそう言うけどねこんな、なにも感じない逆に不気味なのが妖怪退治なんてできるの?「オーイ霊夢来てやったぜ」呼んでもないわよ」

そう言ってさりげなく落ち葉の山を守る博麗の巫女

「お、誰なんだぜ兄ちゃん?」

そう尋ねたのは霧雨魔理沙だった。

彰は先程のように自己紹介等をした。

そうすると

「じゃあ兄ちゃんたちは強いんだぜ?」

そうなるなと言うと嬉しそうに

「じゃあ弾幕ごっこしようぜ」

と言ってきたので彰は「くお、戦ってあげなさい「ええ!?ご主人様?」」

こうしてしぶしぶくおと魔理沙は戦うことになった。




博麗の巫女との出会い何か素っ気ないですね、すみません
しかし、此れから内容を濃くしていきたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします。


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くおと魔理沙

どうも、あねへです。
くおの能力活用方法の一部解放です
結構残酷な描写を入れてしまいました。
正直自分も吐きそうになりました。
小説でよかったです。
一応控えめにしたのですが
少し不安です。
では
第1章二話始まり始まり



まだまだ二人は戦うことになってから一歩も譲らない戦いをしている

彰たちは昼食の準備だ彰というと手伝おうとしたら丁重に断られた。なので紫と観戦中だ。

 

「行くぜ 魔符 スターダストレヴァリエ」

 

すると、魔理沙の周りに星を型どった弾幕が発生する

 

くおは防御力を操る能力を使って耐えしのいでいく

「く、防御が固いぜ」

そしてまた弾幕の撃ち合いになる

くおは頃合いを見計らって「神符 神々の気まぐれ」

スペルカードを発動させる

神力弾が魔理沙の周りに四角く発生する、そして弾幕は頂点から魔理沙に向かって行く

しかし、軽々しく避けられる。何故ならくおは防御力に特化しているため攻撃の質が悪いのだ。

「背後が、がら空きだぜ 「ん、!」」

 

「魔空 アステロイドベルト」

 

至近距離で高密度の弾幕を放つ

これには不意をつかれたのもあり被弾

「これでとどめなんだぜ」

 

「恋符 マスタースパーク」

 

魔理沙から放たれる高出力のレーザー

くおはそれを避けようとするが、気付くこの直線上だと間違いなく彰に当たる

すぐさま防御壁を六角形に展開、六角形は物理学的に力を分解しやすい

そして防御壁に接触し霧散していく

土煙だけが今漂っている。

それが晴れると怒りに満ちたくおが立っていた。ほとんど奇声にしか聞こえない声を発する。

顔をしかめ、目は魔理沙に向けられる、ここからは、ほぼ一瞬だった。

くおはすぐに魔理沙の背後をとり地面に叩きつける、ものすごい神力を発していた

くおは魔理沙を地面に叩きつけると

「怒神 防御こそ最大の攻撃」

スペルカードを発動、神力弾を魔理沙に向かって無差別に放つ

すぐに防御壁を展開魔理沙を囲んでいく

魔理沙とっさの出来事に状況が理解できていないが本能的に避け続けている

そして遂に防御壁に囲まれるとそのなかに神力弾を放っていく

神力弾は防御壁に当たると魔理沙に向かって方向転換追尾していく

しかし、恐怖はまだ終わらない。

防御壁が徐々に中心に向かって動いていくこれはただ弾幕が速くなるだけではない

お分かりだろう防御壁が最終的にどうなるか

中にいるものは段々押し潰されていきグシャと原形をとどめない

しかし、これはルール違反なのではないか?と皆も思うだろう。しかし、くおは最初だけ逃げる場所防御壁の隙間を用意していた

事実上逃げることも不可能ではない。これが本当の初見殺しとでも言うのか?

魔理沙がおしつぶされそうなとき、一瞬だった彰と魔理沙の位置が瞬間的に変わった。

「くお!お前ならわかってくれるよな」

そして彰は···

グシャ

と軽快な音を立てて彰の意識は暗転した。

 

周りの複雑な後悔の声が鳴り響いている。




残酷な描写について
魔理沙推しの人はごめんなさい
多分これ以上のことはないと思いますが苦手の方もいらっしゅるとおもいます。
なのでこういうのはダメだよ!というような具体的な意見を募集しています。
ご協力ください


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悲劇はいずこへ

どうも、あねへです。
タグがこのまんまでよいのか困っています。

多分これから増えるかもしれないのでその時は御了承ください

それでは第1章三話始まり始まり


あれ?ここは何処だろう?なにか聞こえる。

 

「私はあなたの??から生まれたの彰様」

 

ああ、あの子かこれは昔の記憶、今どうしてるだろうか?

 

「私の名前はあなたがつけて」「???うんいい名前ね。よろしく彰様!」

 

あれ?ここから先が思い出せない

 

大切な思いでな気がするのに

 

もう終わりか

 

今回は長かったな

 

 

 

__________________________________________

 

突然彰の身体だったものが光だす、そしてそれは身体を構築していきもとに戻る

 

彰が起きると皆が集まってくる一人一人青ざめたり泣いてたり様々だ。

 

俺は言う、いままで久しぶりにあの忌々しい能力の名を

 

「俺の能力は転生する程度の能力なんだ詳しくは中で話そうか。」

彰はみんなを居間に誘導すると説明しだす

「まず俺の能力から説明しよう。俺の能力は転生する程度の能力どんな状況でも生き返る所謂不老不死だ。魔理沙にかわって死んだのも俺の能力だ。」

「それだけでもおかしいんだぜ、だけどもっとおかしいのは瞬間移動、どうやったんだぜ?」

魔理沙はいまだに顔を青ざめて言う。

「移動だけは紫、防御壁は少しややこしいから割愛するが俺は解除出来る。」

実際には違う、紫は途中でどっか行ったし俺の能力で潜在能力をあげつづけた結果だ。しかし、ここで本当のことを言うのはダメだ。目的はただ仕事の許可なのだから要らぬ心配をさせたくはない

「それじゃ許可貰ったし帰るよ。」

そう言って彰たちは行ってしまう。

 

あとに残された二人がなにか話している。

「にしてもあいつ何者よあの風貌どっかで見たんだけど。」

霊夢は悩んでいる

魔理沙は(ぽーーーーー)どこか上の空だ

「て言うか聴いてるの?「お、おおう、聴いてるんだぜ確かに得たいの知れない奴だったけど・・・」」

「けどなんなのよ」

「いや何でもないただ飯を思い浮かべてただけだ。」(あんな風に助けられたのは初めてなんだぜ)

「ふーん魔理沙はお気楽ね。」

 

 

その頃妖怪の山では、

「これはスクープです。今回の講読者はいただきですね」

天狗たちは大急ぎで号外を出す準備をしている

 

 

 

そことは別の場所で

 

「おい!本当にこの計画なら人間を食えるんだろうな?」

ええ、そうよとある人は言う

「だって妖怪は欲のかたまりでしょう?そのお手伝いをしようということなの。」

「なら安心だな」

と言って妖怪たちは笑う

その笑いのなかに薄気味悪い笑顔を浮かべるある人は言う

「速く戻ってキテ、アキラ」

 

 

そんなことを知らない彰ご一行

 

 

くお!お前って奴はと怒なり声が聞こえる

そんななか他の三人は(((どうせ、ご主人様は最終的には許してしまうのでしょう?)))

クスクス笑っているのでした。




第1章完結です。
どうですか序盤は出来るだけなぞを残していきたいと思っているので理解しずらいかもしれません
少し描写力が低くなってしまったと思うのですが、これに愛想をつかさず見ていってほしいです。


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一・五章
吸血鬼姉妹


どうも、あねへです。
これから第2章が、始まります。





どうも、彰です。

今私は紅魔館に来ています。

誇り高い吸血鬼ということで、こちらとしてはしっかり事前に手紙まで出したというのに門番には侵入者と言われ親切な対応(実力行使)までしてくれました。

メイド長が、お叱りそして頭へナイフを全力投球で刺して沈静化してくれました。

そして今、吸血鬼二人と対面しています。

「ご機嫌麗しゅう御座います。私は幻想郷の管理者代理をしております倉持彰と言います。また、こちらにいるのは私の従者であるめい、きみ、くお、セレスで御座います」

御丁寧にありがとうと吸血鬼姉妹は言う

「私は紅魔館の主のレミリア・スカーレットそしてこちらは妹の「フランドール・スカーレットだよ」こちらこそよろしく」

まぁ前置きはこれくらいにして、とレミリアが言う

「咲夜、ティータイムの時間よ「はいお嬢様」」

そして大きなテーブルにつき話を進める

「それでここに来た理由はなにかしら?「ただの挨拶だ」へ?」

レミリアは間の抜けた声を出す。

「それだけ?「うんそれだけ」」

強いて言うならと彰は続ける

「あの頃のふざけた連中とは違うのかどうかかな」少し凄みのある顔で言う

レミリアは驚いていた、来た理由が、それだけと言うのもあるが私たちよりも遥か昔の吸血鬼を知っていることにだ。

少し緊張が漂うなか「じゃあ彰は私たちのお兄様なのね。」

フランだった。

「うんそうなるね」

じゃあお兄様とこれからは言うわね。と無邪気に笑うフラン、

「うん、これからもよろしくフラン」

「こんな難しい話は止めて遊びましょう?お兄様」

そうだな、ただの挨拶だしと彰は言う

 

そして夕方辺りまで来ると

 

「それじゃもう遅いから」とさすがに吸血鬼との生活のサイクルが合わないらしく、くおが寝ている為声をかける

「えっ!もう帰っちゃうの?」

「大丈夫よフランまた、お兄様は来てくれるわ。」

いつの間にかレミリアの彰への呼び方が変わっていた。

「そうなの?分かっナイワ」

フランの様子が突如変わる。

そして紅魔館の天井を破壊して外へ行ってしまう。

フラン! レミリアの叫ぶ声が聞こえる。

レミリアは不信に思い能力を使って見る

しかし、断片的でしっかりと見えない。

(おかしい、おかしいわ)

本来、運命とは決定している未来だ、それが見えないと言うことは

(彰がいることで未来が、変わる?と言うことはわたしもかしら?其よりもフランが吸血鬼は太陽の下では生きられないのに)

レミリアはそう思うが故に焦ってしまう。

「どうしようフランが外へ行ってしまったわ。」

「やはり吸血鬼は気まぐれだな」と彰は皮肉混じりに言う

「しかし、俺の一応妹だし手伝うよ」

「ありがとうお兄様」するとレミリアが宣言する

「我がスカーレット一族は只今を持って倉持彰を全力でサポートするわ!!」 

 

 




紅魔館編
どうでしょうか?
今回は礼儀ある倉持彰を出してみました。
どちらも館の主ですし(和風と洋風では結構違うか?)
とりあえず
これからもよろしくお願いします。


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吸血鬼姉妹(別視点)

どうも、あねへです。
今回は前の主人公たち以外のお話になります



妖怪の山

 

 

「げっ、」

 

妖怪の山天狗の里に今うめき声を上げた天狗の長、天魔がいる

(射命丸が書いた号外、これは酷い言うならばマひでぇドスとかベギラひでぇゴン(ドラクエw)みたいだ)

そう思う天魔の手には一枚の号外が握られている。

題名

帰ってきた倉持彰

 

幻想郷管理人代理、現在居所不明の見た目は人間の人外である。彼は様々な交流関係が広くあり、そうなる理由は幻想郷いちの天狗であっても一部しか、情報がない。彼には4人の従者が存在しておりそれぞれの戦闘力が高い、敵にまわすのは無謀である。(取材協力 博麗神社)

 

と言った内容だ一見射命丸にしてはまともな記事を書いたものが誇らしいが問題はそこではない、そして天魔は射命丸を呼ぶ。

 

「ハイハイ天魔様何でしょう?「何でしょう?じゃあない、なんだこの号外は!」ありがとうございます。ええ、よくかけたんですよね今回は久しぶりに」

「褒めてない!!これではまるで彰が、指名手配されたようなものだ」

彰に怒られてしまうと天魔が、言うと

「本当は私もこうしたくないんですよ。「本音は?」むしろそれを期待してます!だって居場所解りませんし取材したいんです。」

はぁ、と天魔がため息をつく

「ところで、天魔様は倉持彰をご存知なのですか?」

「ああ、あれは私がまだ駆け出しの見張りの頃・・・」

 

ある日私がまだ駆け出しで鬼の縄張りに入ってしまった事があった、

 

「おい!そこのお前、ここを鬼子母神様の統治している土地と知った上の侵入か!?」

「あ、いえ違います。」

そうか、早く帰られよ。と言われたので当時の天魔は帰ろうとするが、肩を掴まれる。

「っ!」

おっと悪い悪いと頭に二つの角を持つ小柄の少女、伊吹萃香が霧から姿を現す。

「驚かせてしまったようだね私は伊吹萃香、鬼四天王の一人だ。」

「四天王!」

鬼四天王と言えば鬼の軍勢をまとめる四人で有名だ、その四天王の一人がここに来ると言うことは、「おい、そこの天狗さすがに侵入者を逃すのは鬼としては見逃せないね、ねぇ赤鬼?」

「すみません萃香のあねさん、こいつ新入りのようでここいらの土地勘がないみたいですわ」

本当にそうなのか?と萃香は聞く

「いえ、確証は無いですが「じゃあ場合によってはこちらを監視しているやつらの一人と言うことはないかい?」」

と言うわけでと萃香は続ける

「残念だけどここで死んでもらうよ!」

そう言って拳が顔面目掛けてとんでくる

(ああ、ここで死ぬのか)

ドゴっと鈍い音がなる。

拳は天魔に当たらなかった。

萃香は天魔前方向けて飛んでいく、天魔は見据える自分の前にたつ人間の姿を。

結構痛いじゃないかいと萃香は人間を睨む

「いゃあなんと言うか、力量の差がありすぎるような気がして助太刀しました」

すると萃香はロケットのような速さで人間を殴りにかかる

するとなんと人間はかわしながら自己紹介をする

「私の名前は倉持彰だよろしく」

三人唖然とする

そこで萃香が

「いゃあこんな人間初めてだよ。鬼の攻撃をかわして自己紹介をする余裕があるなんて普通なら死んでるよ」

「それほめてます?だったらありがとうございます。しかし、鬼がこんな誇り知らずだったとは」

「良いねぇ。鬼にたいしてその態度気に入った、彰勝負しろ」

 

と言うことで始まってしまった。もう天魔が帰る頃合いを失った

「試合は相手が降参か気絶するまで時間無制限では始め!」

試合が始まると萃香が

「早速本気でいかしてもらうよ」

萃香から殴る蹴るの攻撃が始まる

彰はそれをよけ反撃するが、萃香は霧になってその反撃をかわす。そしてまた殴る蹴るの攻撃が始まる

ある程度それを繰り返すと

「私の能力は過疎と密を操る程度能力、私に打撃は効かないよ。」

ご丁寧に能力まで教えてくれた。

そうしてまた、攻撃を再開する

そしてまた反撃のチャンスが来る

また、霧になるのだろうと天魔は思っていた。しかし、その予想は大きく外れる。

彰の能力だ

突然霧化が出来なくなる。

「お前何をした!?ぐふっ!」

そして予想外といいたそうな顔と慢心している顔が混じった萃香の腹にもろに当てる、萃香の後ろには殴った勢いを逃がさないための左手があった。決着は一発だった。

 

しばらく余韻が流れる。

勝利したのは、彰だった。

 

彰が、萃香を抱えてどっか行きそうになる。

それを慌てて止めて「あの、ありがとうございます。」

彰は「別に良いよ。したくてしたわけだし気を付けて帰れよ~」

そう言って彼は行ってしまう

唖然とする空気の中赤鬼に帰ります。と言って天魔は帰った。

その後調べで彰の家が天狗と鬼の縄張りの境に家が在ったことを知って鬼も天狗も驚いたことは最早伝説である。

 

「そんなことがあったんですね。しかし、あの萃香さんを一発とは天狗の掟のなかに倉持彰を攻撃するべからずってのがあるのも頷けますね。」

ところでと天魔は言う

「射命丸、お前なかったことにしてないか?」

すると射命丸は文字通り風の速さで翔んでいってしまう。

はぁ、と天魔の部屋からため息が聞こえてくるのだった。




妖怪の山、天狗の里の過去
取り敢えず彰の過去の一部が公開されました。
まだまだこのあとの話も有ったりしますがそれはまた今度ということと、させていただきます。
それではありがとうございました。


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ご利用は計画的に

どうも、あねへです。
前回は妖怪の山の話でした。
それでは始まりまーす。


計画は順調だ。

アイツの言う通りにすれば人間を楽に食えるだろう

 

「ねぇあなたにお願いしたいんだけど、」

と下級妖怪に言うのは黒の着物を着た少女だった。

「私の能力を貸すから吸血鬼一人仲間にしなさい。簡単でしょ?」

「はいはい分かったよ(このアマこの計画が終わったら殺してやるよ。)」

 

 

霧の湖

 

(あー疲れた。確か紅魔館はここだったな)

簡単らしいから早く終わるか、

 

黒の着物を着た少女が貸した能力

 

欲望を操る程度の能力

 

(取り敢えず使ってみるか)

「開花!」

 

 

 

 

何も起こらねーじゃねーか

やっぱりあのアマ八つ裂きに「ドガン!」

「?!」

 

 

 

「どうやら、成功したようね「そうなのかー?「そうよ」」

そう言って金髪の少女の着いているリボンを外す、すると次の瞬間、紫に負けないほどのBAba待ってその黒い剣こっちに向けないで!女性が立っていた。

「あら?封印が解けたようね。」

「突然だけど封印を解いたついでに手伝ってくれない」

「まぁ面白そうだし恩人の頼みだから良いわよ」

「ありがとう(思って無いくせに)」

 

 

 

 

 

紅魔館

 

じゃあとレミリアは言う。

「パチュと小悪魔はフランの狂気の原因究明を、美鈴は留守番ね、「えーーーーー!」咲夜と私は博麗神社にいってお茶を、いやいや霊夢に協力を頼みにいくわ。」

「じゃあ俺はフランを捜して来るよ。」

(一瞬でもさすがカリスマと思った自分を殴りたい)レミリア以外そう思った。

 

パチュリーノーレッジ

彰のことが気になっている

(人間なのにしかも幻想郷の管理人代理という役職を持っているのに何の力を感じない紫は何を考えている?今こんなのを考えても仕方ないわ。仕事しないと、今回フランの狂気が戻したのは少なくとも私達の中にはいないでしょう、身内の私達にはそのメリットがない、さらに彰たちもそうだこの間代理になり挨拶にきた酔狂なやつがするだろうか?やはり無いでしょう、では外部からはどうかあの部屋には力の類いは感じなかった、外側からなら気付かれず出来ただろうまた私は魔法使いだ魔術の類いを見分けられないはずがない、そうなると固有の力を使ったか?感情を操る程度の能力とか?まぁその辺りが妥当でしょう)

パチュリー様お茶の時間です。と小悪魔が言い思考を止めた

 

「ご主人様、これからどうしますか?」

ん、そうだなぁと彰が答える「取り敢えず少し長くなるかもしれないから屋敷の結界強化と近辺のフランの捜索かな。」

承りましたとめいがさがる

「ところでさぁ、今回の吸血鬼「殺しますか?「物騒だよ!」残念です」

明らかに残念と思う顔をしている四人

(近頃物騒になったな)

と思いため息混じりで叱る彰だった




今回従者影薄い(笑)
正直あの四人さえいなければ案外平和な気がします
こういう場面でなんかキャラ出してほしいとか有ったら受け付けています(私のできる範囲で)
此れからもこの小説をよろしくお願いいたします。


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人里

どうも、あねへです。
事件解決のためにあっちこっちへ


今俺は森を歩いてます。あの四人にはそれぞれの仕事させてるし、俺もフランが心配なので人里目指して歩いてます。よくよく考えてたら俺今飛べないし、誰かに送ってってほしかった。

 

「あっあんた!」

不意に話しかけられる

「や、止めようよチルノちゃん、この人此処等じゃ見かけない人だよ」

大丈夫よあたいはさいきょーなんだからと言うのはさっき緑の妖精にチルノと呼ばれていた妖精だった

「あの、私は大妖精です。そしてこっちはチルノちゃん。」

「俺は倉持彰だよろしく」

「よろしく彰」

チルノが言う

「ところで俺に何のようだ?」

「あ、そうそうすっかり忘れてたわ!彰私と勝負しなさい「嫌だ」へ?」

時が止まる。涼しい風が彼らをよぎる

「何でよ!?、私を恐れて戦う気をなくしたのかしら?」

「まぁそういうことにしといて」

と言って彰は去っていく

「あ、待ってもうなんなのよ!やっぱり私を恐れて逃げたのね♪」

と生き生きとして言う

「チルノちゃん、チルノちゃん寺子屋に遅刻しちゃうよ」

「あーそんなのもあったわね」

といって彼女らは寺子屋へ向かっていく

 

そのあと彰は

「迷った···ここどこだ?いっこうに森から出られない」

そう言っているとひとつの民家が見えてくる

「しょうがない地元民に聞くとするか」

コンコンガチヤ

人形と目が合う

「どうもこんにちわ私は倉持彰です。貴女は?」

「シャンハーイ!」

おっと別の言語だ

じゃあ合わせるとするか

彰は能力を使って聴力、理解力等を上げる

「人間がなにかようですか?」

「いや用と言うわけではないんだ人里への道を訊きたくて」

「そうですかならばこの道を真っ直ぐ行くと見えてくると思いますよ」

「そうかありがとう」

「どういたしまして」

と言って人形は作業に戻るまた彰は言われた道を歩いていく

そして人形は途中で気づく

「!!!!アリス様!」

何?と少女が聞く「人間が私達の言語を理解してました!!」

「何ですって!?」

そんな驚く人形たちを彰は知らず道を歩いていく

 

 

人里

 

 

(やっと着いた)

もう夕焼けが沈んでいく頃になっていた。寺子屋だろうか子供たちが帰っていく姿を見かける

(紫の話だとこの人里には守護者がいるとか一応挨拶しないとな)

と思い人づたいで守護者の家まで着く

(ここか案外狭そうだな守護者だからもっと上から目線っぽい家かと思った(偏見です))

ドクン!

「ぐ!?ぐあぁあ!うぐ、」

突然身体へ激しい痛み

(くそ、人んち前で寝れるかよ!)

必死でその場を去ろうとするが逃さないように痛みが走る。

徐々に血圧が上がり目から鼻から耳からあらゆる穴という穴から血が吹き出る

能力の副作用転生が始まったのだ。

意識が朦朧とするなか誰かの声が聞こえる。

先生!

そこで意識がプツンと途切れる。




人里への道は険しく遠い。
ただ迷っただけだけど
屋敷まで結界をはる理由が次話一部明らかに
お楽しみください


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ワーハクタク

どうも、あねへです。
人里回長くなりそうです。
「いや一応長編設定だからこのはなし」


上白沢慧音は寺子屋の先生兼人里の守護者である。

 

「慧音先生さようなら」「うむ、さようならみんな宿題忘れるなよ」「はーい!」

これで後は日誌の作成と明日の授業の演習しないと

「妹紅、演習に付き合ってくれ」「ん、分かった」

そういって明日の授業の演習を始めていく

ふと妹紅が「そういえば、慧音この間の筍が余ったんだ。ちょっともらってくれない?」

「良いぞ夕飯は筍ご飯だな、楽しみだ」

「よし、じゃあ筍取ってくるよ」

そういって妹紅は飛び立っていく

「もうそのような季節か」と独り言を言う

壁を叩く音がする。

(このような時間に何のようだろうか?妹紅じゃあ無いしな。)

はーい今いきます。と慧音が応えると返しに悲鳴が聞こえた。

ドタドタ慧音が廊下を走る。

開けると一人の男性が壁に沿って横たわっている。

その男には見覚えがあった。

「先生!」

「ん、ああどうしてここに、!慧音か!?」

そうですよ先生と慧音が応え、なかに案内する。

 

 

「それにしても、驚いた。まさか慧音がこの人里の守護者になっていたとは」

「それはこっちの台詞ですよ先生。」

久しぶりの再開を噛み締めながら彰は安堵する。どうやら慧音が来るよりも再生の方が速く済んだようだ。複雑だが

「もう、先生は止めないか?今はそういう関係じゃないだろ」

「何を言うのですか!先生は私に大切なことを教えてくれた、最早先生という呼称もおかしいです。」

そうこの話は慧音が小さく彰の従者がいない頃の話だ。

 

彰はふと路地裏で泣いている角のはえた子供を見かける。

「何故泣いているんだい?」

これが私と先生の出会いだった。

 

「私は倉持彰だ。そうなると君は人とハクタクの混血かな?」

「そうよ私は上白沢慧音、ところで私が恐くないの?」

「何か似たようなことを何度も言われたけど怖くないよ」

「そう・・・」

慧音には今希望のようなものが見えた。私を恐れないこの人なら、と

「貴方は妖怪なの?」

「う~ん難しい質問だな」

(どこがよ)と慧音は思う。

「慧音なりに決めていいよ」

「じゃあ妖怪ね「即答かい」」

と自己紹介が済んだことで

「それじゃあハクタクなら結構知識がないとな」

「ないといけないの?」

「いや、そうじゃないんだが異国へいったときハクタクは知識が豊富だと聴いたのでね」

「異国の地へ行ったの!?」慧音がそう尋ねると

「うんいったよ」

それからは慧音がその事について質問して異国の地の話をしていたが段々と歴史、数学、異国文書に興味を慧音は持ってきた。そして穴蔵でプチ寺子屋みたいのをやり慧音はどんどん知識を増やしていった。何時しか、口調や呼び方も先生に変わり、慧音にとって先生がかけがえないものになっていったのは慧音だけが知っている。そういう慧音が何時も限って質問するのは、

「どうして先生はそんなに知識があるんだ?」だった

彰は「長生きすると色々知ってしまうんだよ。」

と何時もそのように返す。

朝を起きて慧音が朝食の準備してそれから学び、昼食、霊力の使い方、夕食、質問ラッシュ

を繰り返していた

ふと慧音が思う

何時も定期的に先生は居なくなる。何故だろうか?

私は夜居なくなる先生のあとを追った。暗い森だった。

先生が知らない人と話している

「あんな化け物を野放しにしてよいものか?「あれは化け物じゃない一人の人間だ」

バカを言うなと人間は笑っている

「もう、人間には戻れねーよお前も陰陽師ならはやく退治しろよそれの方があの嬢ちゃんも嬉しいだろう?」

「・・・」

ある日彰は何時もの質問に違って応える

「知りたくなくても知ってしまうんだよ知識欲は何時しか身を滅ぼすぞ俺みたいに、だけども慧音は生きろ。生きて楽しめ、人生は元々詰まらないんだそれを面白くするのが俺たち生き物さ」

まるですべてを見透かしたような先生との別れにいった最後の言葉だった。

その後前にいた陰陽師が一人の無惨にバラバラにされていたという。




無惨に殺された陰陽師はどうなったんでしょうね?(フラグ)
楽しんで貰えると嬉しいです。


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蓬莱人

新しい春が来た♪
某ラジオ体操でした。変え歌は悪い気が
「そう思うならやめればいいのに」
それはいってはいけないお約束、ネタですし
「今こいつネタって言いました」
おお、怖い怖い
それでは始まりまーす



藤原妹紅はいま筍を家から取ってきていたが

(何故こうなった?いやいや慧音に男の一人もいないのはおかしいと感じたが、あんな風に楽しく話し合う慧音は初めてだ)

凄くいずらい

この場の誰でもそう思う、いや私しかいないけど

(どうしよう)ドス!

障子に穴が開き妹紅の前に包丁が刺さる

「ひ!?」

誰かいるのか?とあの男の声が聞こえる

そして私は仕方なく部屋に入っていく

「おお、妹紅、筍有り難う」

「ん、ああどういたしまして」

「君が妹紅さんかい?俺の名前は倉持彰だ。よろしく」

彰と名乗る男が自己紹介する。

「こ、こちらこそ藤原妹紅だよろしく」

このあと彰とが慧音の先生と知り余程の者と知った。

私は本題にはいる。

「彰と慧音は先生と生徒だけの関係なのか?」

「ん?それしかないだろう?」と彰は答える

「いゃあ慧音に春が来たと思ってな」

「いやいや慧音と恋人な関係はないから」

そこで慧音が意味を理解する。

「そ、そんなことあるはずがない!確かにそういうのには憧れるけど(ぼそ)」

「慧音、なにかいったか?」

「いえなんでもありません先生!」

明らかに挙動不審だった。

「だいじょうぶか?「大丈夫です!」あ、はい」

「それにしても慧音に男か、慧音は美人だしすぐ見つかるだろ」

それ、目の前ですはい。

妹紅は半場鈍いと飽きれている

慧音が少しムッとして「先生は男の甲斐性やら女の甲斐性を教えてくれないから」

それに困った様子で

「いや、俺はそう言うの初めてだしよくわかんなかったから「え、先生はそういうの初めてなんですか?」面と言われると傷つく」

ここで慧音が希望のようなものを感じている顔しているのを面白がり端から妹紅は見物しているのだった。

「先生もういかれるのですか?」

「ああこっちも仕事があるからね」

「先生今度は生徒に教えることの教養をお願いします」

「分かったいずれまた来るからその時までにでも、ところでここいらで妖怪について詳しい者を知らないか?」

「妖怪ですか?それならば稗田家というのが知っているはずですよ。何故に妖怪を?」

これも仕事なんだと適当にはぐらかし

(稗田家がこの幻想郷にあるとはあいつの言ったとおりになってしまったな。)

 

 

慧音と別れてその稗田家へ行こうとすると、きみが現れる

「やっぱり聴いてた?」

きみは、にやっと笑って

「今回のことは私怒らないし皆に喋らないようにするよ?」

彰は溜め息をつき

「後でお菓子買ってやる」「やた!」

と何時もの光景を目の当たりにするのだった

 

 




交友関係が広いのは彰の特権ですね(嘘)
「締まらねぇな、。あ、彰です」
最近から彰をいれるようになりました。言えないネタ切れなんて言えない
「もろいってるから」
うそぉん
「これからもこの作品をよろしくお願いいたします。」


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稗田家こわい

どもども、あねへです。
国語力を彰にあげてほしいと密かに思ってます。
「絶対しないけど」お、ツンデレか?
「アホか」
軽く彰にいじめられましたが気にせず本編へどうぞ
「お前はもうちょっと気にしろ」


はいどうも~彰ですいま私は柱にくくりつけられてま~す。さっきまで稗田家の玄関にいたのにあれ?何だか目から汗がでてきた。

(現実逃避はこれくらいにしてと)

彰は周りを見渡す。

タンス、古い戸棚、書物等々見た感じ倉庫だろうか?家にしては生活感がない

「やっと起きましたか」

後ろから声が聞こえる。

ビク「!」

「どうも初めまして稗田家当主稗田阿求です。貴方のような新しい住民には必ず伺っています。」

「ああ~幻想郷縁起とやらを書いてくれている方が私のような不届き者になんのようでしょう?私としては貴女のような聡明な方に目をつけられることはしてないので帰りたいのですが?」

「そんなことはありませんよこの新聞によれば話す機会がなさそうなので」

そういって阿求は新聞を懐から取り出す。天狗が発行している文文丸新聞という代物だった。

(口八丁がきかんとはこいつできる!いや、知らないけど)←安定の現実逃避ネタ

「それにこちらにかかれていることで興味がわきまして」

「そうですか、請けますので縄、ほどいてくれません?(くそ、今度天狗にあったら前天魔にしたのと同じように鳥鍋にしないとな(怒))」

平然と営業スマイルを崩さずエグいことを思う。彰であった。

 

質疑応答に答えながら本題にはいる。

「なにもせずに人を豹変させるような妖怪はいるか?」

「そうですね、私の知る限りではウサギ妖怪とかですね。種族は?」

「一応人間です。そのウサギ妖怪はどの場所からでも豹変させることができるのか?」

「いえ、目をあわせなければ作用しません。じゃあ能力は?」

いい加減まともにしゃべってほしい。執筆するのは私ですよ!←おおメタイメタイ

「能力は内緒。」

「えーそれは話が違います」

「俺はあくまで最小限の情報で推理してほしいのだよワトソンくん」

「わとそ、え?」

「まぁ要するに稗田家当主なら俺の事をすぐに知ることもできるだろということ(おい紫、ネタ通じないとか話が違うぞ)」

紫がごめんねーと言っている気がした。

「貴方も変なことを言いますね、良いでしょう稗田家当主として稗田阿求は貴方の謎を解いて見せましょう。」

なので定期的に人里にいるようにと阿求が付け加える。

 

こうして犯人が分からずじまいなのだが一旦館へと帰っていく

「ご主人遅い!」

みんなが口々に遅いコメントを言う。

「悪かったって皆今日はありがとう。明日も出ることになると思うけどまたよろしく」

この先言うであろう予想通りの文句を聞いてないふりをして部屋にこもる。

 

「ご主人様?はいってよろしいですか?」

良いぞと言いなかに促す。

「どうした?」

入ってきたのは従者四人だった。

「ご主人何故いきなり交流を始めたの?」

セレスが主人に対し軽く質問、セレスはもう少し口調を皆と合わせてほしいこの間その事を言ったら「善処します♪」

幾らなんでも軽すぎる

「そうです!ご主人様は一回外と関係を絶っています。」そう言うのは、くおだ。

くおは優しいが思い込みが激しいこの間も魔理沙が俺を攻撃したと勘違いして殺そうとしたし、庭の蝶々とも遊んでいた。根は優しいのに。

「いったい何の心境の変化があったんだ?」

きみが聞いてくる。

「俺はこれから西館の図書室を解放する「「「「え!?」」」」ここまで言えば分かるよな?」

おっときみが困惑してるぞ。そこでめいが助け船を出す。

「不確定要素な出来事がこれから予想されると言うことです。これだから脳筋のきみは」

「んだよ、別にいいじゃねーかよ。」きみが口を尖らして拗ねる。

また喧嘩しそうなので話を始める。

「要は俺たちが来てから起きた出来事によって運命が大きく変わるかもしれないということだよ。その為に今まで残してきた各地の機密情報のある西館を開ける」

あーときみが声を漏らす

紫にさえ入れさせない結界を張っている西館はこの屋敷だけでなく国々や種族の秘密を記してある。勿論俺についても。他にも科学、魔導書なども完備している。

四人が驚くほどの出来事が起こるか分からないがこれだけは言える

「俺が幻想郷管理人代理をしている限りこの問題は俺が解決する。」

あの転生途中でみる夢も関係しているだろう。

 

その頃ある山に妖怪が群がっている。

「さぁ準備は整ったかしら?」

黒い着物の少女は言う。

「それでは始めるぞ合戦(奇襲)よ」




次回のキャプチャーでこの章は完結したいです。と言っても長くしますけど
「統一しろよ」
冷静な突っ込みありがとうございます。(皮肉)
次回もお楽しみに


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二章 
里山防衛戦~上巻~1


どうもあねへです。
前回のあらすじ
今度あったら鳥鍋にしてやる


辺りは夜なのに熱く明るい突然起こった暗闇は私たちを混乱へ招く。

射命丸文はその惨状をただ呆然と立ち尽くす。

ふと声がして振り返ると妖怪が一人口をにやけさせ大振りに手を下ろしていく、突然の出来事につい目を閉じてしまう

「文!」

切り裂く音、他の断末魔と混じって声が聞こえる。

「て、天魔様」

「たく、これでは彰にもてなすことも出来んだろうが、それより文大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます」

(敵の奇襲に対応しきれず約半分ほど相手と差が生じてしまっている。このままでは押し負けるな。)と天魔は考える。

「文、お前は博麗の巫女に助けを求めよ、出来れば彰にもだ」

「しかし、この数いくら天魔様でもキツいです。それに・・・「いけ!」」

「いけ、命令だ」

そして文は無言で羽を伸ばすと飛び立っていく

(彰、お前ならこうするだろう?)

昔に思いふけ、言い放つ

「この山はこの、天魔の名に懸けて死守いたす、総員かかれ!」

声が山に響いて消えていった。

 

博麗神社

 

霊夢は相変わらず呑気に昼に作っておいた焼き芋、栗等の秋の実りを食べている。

すると、障子が吹き飛ぶ

「おい霊夢来てやったぜ「このくだり何回目よ」それより異変だぜ」

(?)

霊夢はわからんといった様子で魔理沙を見据える。

ドゴーン!

今度は反対側が吹き飛ぶ

霊夢はうんざりとして注意をしようとするが

「霊夢さん来てください! 妖怪の山が、妖怪の山が大変なんです!」

焦りを隠せずにいる文だった。

「どうしたって言うのよ?」「やっぱり異変なのか?」

「事情はよくわかりません、分かるのは何者かに奇襲されたことだけです」

ふと妖怪の山をよくみると赤くたたずむ点々としたものが目に写る。

(あれは燃えている!?)

驚愕だった、博麗の巫女が山火事でさえ気づけないのだ

「あと、彰さんがどこにいるか知っていますか?」

「彰の居場所何てわかるはずないんだぜ」

魔理沙がそう言うが霊夢の勘がわかると告げている。

「いや、分かるかもしれないわ、彰の居場所は分からないけどその従者はわかるもの」

「それは本当です!?」

「あの従者は神力、霊力、妖力、魔力が異常に多い。それが密集している場所が彰の居場所よ」

さすが霊夢と魔理沙が感心していると

「早く探しましょう。魔理沙さんは先に天狗の里まで、今は白狼天狗もそれどころではありませんので行ってください」

分かったぜと魔理沙がほうきにまたがり飛んでいく

「私たちもいくわよ」と霊夢が先導して彰の元へ行く

その日の月は何かを象徴するように欠けていた。

 

 

  

   




次回彰視点で始めます


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里山防衛戦~上巻~2

彰邸西館の謎


天狗の里の奇襲されている頃

彰は西館にいた。

「西館には書庫の役割とは別にもうひとつ役割があったんだ」

「別の役割ですか」

めいは繰り返すように言う。

「そう、それを隠すためにこんな大がかりな施設になってしまったんだよ。もう外の世界が大きく変わったから隠す必要はないんだけど」

「ご主人は何を隠してたの?」

「そうだなぁ簡単に言うと昔ではよくわからないものだね」

「よくわからないものなら見た方が早い」

セレスの質問に答えるときみが焦らしてしまっていた。

「ここだな」

「ご主人様、ここはなにもありませんよ?」

くおが控えめに言う、確かにそこにはただ置時計があるだけで周りには扉らしきものもない。

「この、置時計には細工があって時計の針をいじると···」カチャ

なんということでしょう置時計ごと後ろ全域の壁が上に上がっていくではありませんか。それには四人も圧巻としている。

これも友人にいつの間にかつけられていたギミックで壁ごと移動式なので扉等の継ぎ目がない、まぁ大がかりこの上ないけどな。

「これが隠された役割、実験場だ」

いたるところにガラス製の器具やバーナー、本が鎮座していた。

「これは私たちにも理解不能ですね」とことんまで冷静なめいであった。

「あと、これも渡しておく、なくすなよ。」

と言って彰は四人にそれぞれの名前が入った本を手渡す。

「なんなのこれ?」いち早くセレスが疑問を口にする。

「みんなに隠していた秘密とでもいっておこうかな、まぁパラパラめくってみ?」

四人は不信げに本に目を通す。

「え!?なにこれ」いち早く声をあげるきみ、それに続いて周りも事情聞きたそうにこちらを向く。しかし彰は

「それをするかしないかは四人に託す。今のところ俺には必要ないだろうし」

四人は黙りまた彰は無言の肯定と考え部屋を整理、暫くすると四人もそれぞれの仕事に戻っていた。

 

彰邸前

 

「本当にここなのでしょうか?」

「煩いわね文。ここに彰が居ると私の勘が言っているのよ!」その自信はどこからきているのだろうか?

「しかし霊夢さん」と言って辺りを見渡す。

「この辺りには森林しかないって椛がいってましたよ?」

「そうなの?」

と会話をして居ると霊夢と文は何かに接触する。結界だ

「へ?」すると、霊夢は自身の能力で結界に入ってしまう

それに対し文は弾かれるように飛ばされた

「なっ!霊夢さん!」キャーと悲鳴だけが余韻を残していた。

 

霊夢は入ってすぐに襲撃にあった。

「何でこんなとこに結界が?ていうか弾幕多い!」

必死に避けていくと人影が見えた。彰だ。

「ゴメン侵入者だと思ってた「それではすまないわよ!」」

霊夢は殴る。彰は(何故殴られた?)困惑するばかりである

ある程度口論していると

「こんな場合じゃなかった!彰、力かして!」

「ご主人様こちらの侵入者兼たぶらかす女を排除していいですか?」

「「いや、良くないから!」」

妙に息ぴったりの二人である。

 

少女説明中

 

ああ霊夢さん心配しましたよと文が駆け寄る。

「話は聞かしてもらった、直ちに行動にうつす。」

と言って彰は指示を出す。

「くおは周囲の防衛、天狗がいない今めいと文は情報網作れ、セレスはレミリアに報告、きみと霊夢は天狗の里を守れ、それじゃあ解散!」

「「「「は、!」」」」

「妖怪退治はあなたの仕事でしょ?あなたはいかないの?」

「少し調べものがあるんだ。あとで行く」

「ふーんそう、あなたが犯人なんてことないわよね?」

霊夢がそう言うと

「俺が犯人ならとっくに霊夢を殺しているよ」迷いなく答える

その返答に霊夢は少しゾクッとしてこの場をあとにする。

「さぁ始めよう戦争を」

彰が言うと他よりさらに現実味を帯びていた。




まだまだ序盤戦、次も張り切っていきます


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里山防衛戦~上巻~3

やっとのこと彰が見付かり取り敢えずの行動をみせる彰とその一行、先の見えないこの襲撃の意味とは?


「おいおい天狗の里まで攻撃する必要なんてあんのかよ」

沢山の妖怪がいるなかひときわ貫禄のある妖怪が黒い着物をきた女に言う

「これだから元下級妖怪ふぜいは、この襲撃には意味があるの。わかる?」

とことん虐げている。

「んだと!「まぁまぁ良いではないですか我狼様」」

そう言って元下級妖怪の我狼を宥めるのは配下の妖怪達だ。この組織は元々下級妖怪達で構成される一種の会合のようなものだった主にどうやって人間を食うかという話し合いだ。そんな中ここまでの大きな組織にしたのは黒の着物であった。

「そう言うからにはしっかりとした意図があるのでしょう?」

「ええ、今回の目的は人里に隠れている人間を襲撃すること、「その時点で可笑しいだろうが!」だまれ雑魚」

野次を一蹴して話を再開する。

「以前までの異変はほぼ全て博麗の巫女が解決している。しかも異変は一度に一回、それ以上同時に異変は起こっていない。」

「成る程、何時も一回しか起こらない異変を同時に起こすことで相手の混乱を誘うのですね?」

納得するように参謀役の妖怪が言う。

「その程度で参謀だなんて鼻で笑われるわよ?「な、!」それだけではないの、この襲撃では天狗の役割を潰すのもひとつの狙いよ」「天狗の役割?」

黒い着物をきた女は文字通り鼻で笑うと続ける。

「天狗は何時もいち早く新聞を届けることで周囲の情報伝達能力が高いイコール天狗以外で、まず襲撃しようとすると天狗が勘づき話が伝わり沢山の敵に気づかれるのと同じ意味。この襲撃の本当の理由は不確定要素の排除なのよ。」

そう言い終えると周り妖怪から拍手喝采「流石は計画立案者なだけある、しかしこの襲撃で幾らか人員を使ったのでは?」

「何のためにルーミアの封印を解いて仲間にひきいれたと思っているのよ。ひとつ目の襲撃ではルーミアを使っているわ。彼女は暗闇では最強よ。まずは彼女の能力の闇で視界を奪う、そうすればいくら速い天狗でも殺せないわけないでしょ?」

それにと付け加える

「我狼、あんたには力を与えたんだから有効に使いなさいよ」

「ふん、分かってるよ。今回はあんたの方が一枚上手(うわて)だったな。あの吸血鬼も有効に使わせてもらう」

「違うわよ、今回じゃなくて何時も上手よ」

そう言って黒の着物はその場から消える

「何なんだあいつは!俺をバカにしやがって!」

「大丈夫です、あの女は我々に口は悪いですが計画の精度は高いですから」

「あいつに負けてられないぞ、お前たち今回の計画の最終チェックだ「「「「はい!」」」」」

それを遠くから見ている黒の着物

「皮肉なものね、彰様が求めた馴れ合いによって彰様自身の邪魔をするなんて。悪いけどそれでもあんたたちを利用させてもらうわ、それも私による有効的にね。ふふふ···」

そんな裏を知らずに信じている妖怪たちであった。

 

彰邸

 

(幾つか情報は揃った、捨て身で行くか!)

「ご主人様、レミリアスカーレット様御一行がおいでです。」

めいが突然の来客の報告に来た。




計画を知らない霊夢たちはまんまと天狗の里へ行く
原作通りの遠回りっぷり(笑)
次回もお楽しみに


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里山防衛戦~上巻~4

こうまでシリアスで行くとネタを入れたくなる
「もう少し頑張れよ」
どうかな?キリッ
「ウザいです」
あ、はい
・・・じゃあ今回も始めます。(後味わりぃ)


「お兄様いるかしら?」レミリアだ

「ああレミリアか、ごきげんよう。」

彰の挨拶にごきげんようとレミリアも挨拶をする。

彼女らがここに来た理由、それは

「良いのか?」

「お兄様のお願いよ断れないわよそれにこの先の運命を変える出来事が起こりそうなの。見て見ぬふりはできないわ」

「そうか、ありがとう」

礼はあとでじっくりね?といったあとパチュリーと交代する。

そこでめいが入ってくる。

「ご主人様、新しく入った情報です。「分かった下がっていいぞ」情報収集を続けます」

ここで勘のいい人にはわかるだろうが今彰は能力で理解力を上げている。ここまで手こずっているのは何故か、それは能力の制約にある。

能力にはある程度までくると条件ができる。それは、彰の能力にも適応される。例えば理解力をあげようとすると最低限度情報が必要だ。所謂0からは何もうまれないと言うことだ。その最低限度とは知りたい真理に対応する情報を2つ得ること、前、理解力を上げたときをおぼえているだろうか?

そう、紫の場面だ。あのときは紫がきたという事実と前に紫と約束事をした事柄がひとつの心理を導いた。そしてそこから次でる言葉も予想して先読みをしていた。いってしまえばどうということはない只の一次関数のようなもの、直線を導くために2つの座標を知る必要があるのと同じだ。簡単だろう?とにかく今は情報が必要なのだ。

彰は考える。

(めいの情報によると下級妖怪が主犯で参加する妖怪もバラバラだがまとわりがある、チームワークというやつであろうか?それより下級妖怪がここまでの力をつけたことが何よりの疑問だ。それに天狗に何かの恨みでもあったのだろうか?わざわざそんなことのために利益のないプライドだけでここまでの勢力はまずできないだろう···ん?これは!)

彰はさっきめいがくれた報告書に目を通す。それにしてもめいは仕事が速い。

(この戦いに封印されていたはずのルーミアが参戦している?)

この事実からわかることそれと奇襲をしかけている事実、結ばれる真実それは驚愕の事実だった。

「あのねぇきいてる?」

「ん?あ、ああ聞いてるぞ」

パチュリーがフランの狂気を戻した時のことを話していた。

「要はフランは特定の能力で狂気を開花させたということよ」「あのさそのくらいの力があるやつはどんな封印も楽に解けるか?」

う~んとパチュリーが考え込んで言う

「魔法使いの観点からすると少なからずできるというほどね」

そうかありがとう、といって彰はまた考える。

「どうかしたの?」パチュリーが不思議そうに聞いてきた

「ん、俺の能力で相手勢力の大体の数が分かった。これは霊夢には厳しいな。たぶん大丈夫だろうけど」

あともうひとつ分かった、と彰は付け加える。

「フランも関係しているってことをね。」

 

 

天狗の里

 

「おーい魔理沙大丈夫?」

霊夢が瓦礫に埋まる魔理沙に向かって言う。

「大丈夫じゃねー!「その元気があれば大丈夫ね」」

瓦礫を吹き飛ばし大声で言う魔理沙に対し軽く対処する霊夢。

「あら?貴女は博麗の巫女?食べれる人間の。」

ルーミアが言う。

「ルーミアなの?私より女らしくなるなんて生意気よ!」「それ、関係ないぜ」

魔理沙が抑えるように言う

「じゃあ始めましょう?殺し合いをね」

「「これはやっぱり大丈夫じゃあないわ(ぜ)」」

いきなり多くなる妖力にいつもと違う感じを抱く二人だった。

 




ねたやりたいー
「ただこねるなよ」
むーそんなこと言う彰には文にあることないこと・・・
「止めろよ?」
ごめんなさいもうしません
次回こそネタを「やらせねぇよ!」


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里山防衛戦~上巻~5

最近自分の作品や皆さんの作品を読んでいると
「あれ?俺の作品一話一話短くね?」
と思うようになりました。
・・・もう少し努力します


力を求める先によって未来も変わる。

行動する人によって現実も変わる。

世の中に変わるものは多い。

私たちの中に変わらないものとはなんだろうか?

常識なんてないに等しい、なのに大衆に振り回されるのはなんで?

私もその思もう一人かもしれない。

「先手必勝

マスタースパーク!」

「魔理沙あんたそれしかしないでしょ」

「取り敢えず攻撃すればいいんだぜ」

そう言いながら大人ルーミアに向かって攻撃する。

「その程度避けるほどでもないわ」

なんと体にまとう闇でガードしたのだ。光をも通さない闇は光を吸収した。

昔みんなもしたであろう、黒の紙と白の紙を日向において温度の違いを調べる実験を。

黒の紙は燃やせるほど光を吸収する。

これには魔理沙も

「あ、あれ?」

これじゃない感を醸し出す。

「今度はこっちよふふふふ・・・」

黒い球体をたくさん作りこちらに向けて発射

「ヤバいんだぜ」「なに戸惑っているのよ!早くこっちに来なさい」

黒い球体は追尾することなく広く展開し漂う

「これは?危ないんだぜ!」魔理沙が霊夢を突き飛ばす

いきなり突き飛ばされた霊夢はなにが起こったのかわからなかった。

黒い球体は突然光を放ち爆発、威力は低いが軽く至近距離で人を殺せる威力だった。

もろに食らった魔理沙は地面に落下していく。

「魔理沙!」「一人脱落~やっぱり普通の人よねガッカリだわ。」

本来の幻想郷なら否殺傷の攻撃であろうが目的が違う。

魔理沙たちが倒すために攻撃したのと片や殺そうとしたのとでは覚悟も力も足りなかった。

どんどん速度をあげて落下していく。霊夢は魔理沙を助けようとするが追い付けない。

すると下に人影が見えた。きみだ。

「あのさ、いくらここ幻想郷でもなにでもありって訳じゃないんだよね」

きみが支えていた。霊夢も少しほっとして肩を撫で下ろす。

「私も手伝ってあげるよ」

きみが魔理沙を地上に置くと言った。

「あら?見かけない顔ねあなたも殺されたいの?」「生憎あんたと違って闇に生きてないんでね殺されないよ「ふぅん?」」

詰まらなそうにルーミアは言う

「主の命令だ。今回だけだよ?」「ふん十分よ今回は封印がメインだからそこのところしっかりね」

「私を誰だとおもっているんだ?」「知らないわよこないだ会ったばかりでしょ!?」

「あの~私だけ置いてきぼり?」

ルーミアが黒の球体を二人目掛けて当てにいく

「二度も同じ手に引っ掛からないわよ「あら残念」」

霊夢はさっきの事がないように立ち回る。

そして

「夢符

         二重結界」

結界が2つ出現し弾幕が放たれる。それもルーミアには簡単に弾幕が闇に飲み込まれていく。

「ルーミアってこんなに強かったっけ?」「封印が解けたから今までの力が解放されたんだよ」

霊夢は不思議がり、きみがそれに答える

「それにしてもさっきからルーミアっての一切動かないんだけど霊夢なにか知ってる?」

「ルーミアのことなんて知るはず無いじゃない」

次は私からよ、ルーミアがいい

「闇符

         ダークサイドオブザムーン」

ルーミアの周りにいつもと違う黒い玉が展開され動き出す

「ふーん、封印された私も洒落たものを使うのね」

と呑気に感想を言う

「あれは当たると危ないと私の勘がいってる」

霊夢がうんざりした表情で言う

「同感だあれは危ないな」

いつもと違う妖力を感じる

「まっ当たらなければどうってことないな」ドーン「ぐわ!?」

しっかり当たるきみ←しっかりフラグ回収

「何しているんですか?きみ」

「げ、めいじゃん」

「あなた、また突っ込んだんですか?ったくきみはいつもいつも突っ込むことしか能がない。避けるにもコツがあるんですよ。」

と言ってきみにレクチャー

「*あー、だいたいわかったかな?「分かりなさい」はい」

と言ってめいは仕事に戻る。

「きみ!早く戦闘に参加しなさいよ」

霊夢が避けながらしびれを切らし言った

「あー、ちょっと言いにくいんだけど飛べないわ。てへ♪」

あの玉はやはり力を吸収する力を持っておりきみの力の半分をルーミアにとられていた。

「てへ♪じゃあ無いわよ!」「まぁまぁ、一応策はあるからさ」

と言ってきみが力を解放する

「とにかく時間を稼いで、圧符

                  力の申し子」

するときみの手のひらから球体ができ大きくなったりしゅっと小さくなるのを繰り返している

これはきみの専用に考案した彰特製スペカ

[きみのさ、スペルカード創ってみたんだよ。所謂一撃必殺!ってやつ、その代わりに力の大半は使うけど緊急時には使えるよね]

なんと憂さ晴らしに考案したネタカードだった

「わーすごいなーご主人のパワーバランスの悪いスペカを使うことになるとはなー(棒)」

[おっといい忘れてたそれ、使うまでに時間かかるから、まっ使うことなんてそうないからさ安心しなよ]

(しっかり次の日に使うことになりました。やっぱりご主人凄いです)

「ったくしょうがないわね   霊符

                     夢想封印!」

そう宣言すると弾幕を形成し当てにいく

またもや吸収される

しかし霊夢は活路を見いだしていた。

ルーミアはさっきから一切移動せず吸収している

これは余裕で動かないのではなく動けないのだ。

原因は封印を解いたあとの力にあるだろう。

さっき自分のスペカを初めて見たような発言、大振りのマスタースパークを避けるのではなく吸収したこと

そしてここからわかること黒い球体は集中しないと動かせないこと、よって

「今よ、魔理沙!」「分かってるぜ     魔砲

                           ファイナルスパーク!」

時期をうかがっていた魔理沙がルーミアの死角からスペカを放つ

もろに食らったルーミアは落下していく。そして建て直そうとするが

「これで終わりさ。     力の申し子    impact!」

すべてを解放した妖力を当てる。

キーンと耳鳴りがする。

「あー疲れた~もう動けない」きみが言う

「疲れたから私も帰るわ」「私もだぜ」

「えー送ってってくれないの?「「あんたのせいで耳鳴りが酷いのよ(だぜ)!!」」」

歩いて帰るか、きみはそう観念してトボトボ歩いていく

 

力を求める先によって未来も変わる。

行動する人によって現実も変わる。

世の中に変わるものは多い。

私たちの中に変わらないものとはなんだろうか?

常識なんてないに等しい、なのに大衆に振り回されるのはなんで?

分からないけど私は今

「おーい待ってくれよ霊夢ー」

楽しく暮らせてるんだぜ!




今回は長く戦闘描写入れてみました
「お前にしては最近真面目だな」
失礼な私はいつも真面目です
「その自信はどこから来るのやら」
それでは今回はここまで
また来週


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里山防衛戦~中巻~6

前回のあらすじ
ルーミアを倒すことに成功した霊夢たち、しかしそれぞれ満身創痍という状況。挙げ句の果てにきみを置いていく始末
たぶん今ごろ寝ているだろう···


彰はめいに製作された報告書を見ていた

相変わらず並みの速さではない

(一体、いつそんな時間があるのよ、こあにもこのくらいの仕事の速さがあれば)

パチュリーは心のなかで感心する

レミリアと咲夜はいつの間にかフランを探しにいっていて居なくなっていた。

「ねぇ、説明してくれるのよね?」

パチュリーとはさっきまで事件の概要を話し合っていた。

「ん、どこまで話したっけ?」

「この事件とフランの関係よ」

「おお、そうだった」

相変わらず緊張感がないこの男である

「この天狗の里の事件は全体の一部にすぎないってことはわかるよね?「そこからわからないわよ?」そう・・・」

じゃあと彰は続ける

「この天狗の里にいる天狗の数はどのくらいかな?「確か、数百くらいかしら?」その予想くらいでいいよ。次に今回の襲撃に使った敵妖怪の数は?「さっきの報告書によれば百あるかないかくらいよね」そう、しかも構成はルーミアを除いて下級妖怪ばかり「っ!普通妖怪のなかでも速さと団結がとれる天狗がいくら奇襲でも負けるはずがない」そういうこと」

パチュリーは奇襲の真意の一歩手前まできている

「けどどうして何処からでも見えやすい妖怪の山を選んだのかしら?」

疑問と自己意識の海に入ろうとするパチュリーに

「最後のヒーント、何故ではなくそうせざるおえなかった訳だよ」

「?・・・あ!そうだったなぜわからなかったの」

ようやく理解したようだ

「そう、この事件は見せつけるためにしたもの、まずは博麗神社からでも見える場所で事件をおこし霊夢を誘導、そこをルーミアが仕留める。

その時と同時に別で密かに行動する。ここで大切なのは別々になった団体の連絡方法だ。」

それにパチュリーが質問する

「普通に遠隔の魔法を使って連絡はとれないの?」

「それだといざ霊夢と鉢合わせたとき異様な魔力で気づかれる可能性がある。

そもそも下級妖怪が魔法を使えるかどうかも怪しい」

「じゃあ途中にそれぞれの連絡する係りを設定して係りの妖怪自身が移動して連絡するという方法は?」

「成る程わざとアナログな方法にするのか。でもそうなるとこれから襲撃するのに余分な人員を割くことになるんだよ。だからそれはない」

「じゃあなんなの?」

答は簡単でかつ合理的だ

「この事件の襲撃が他の場所にする合図なんだよ」

「なる・・ほどそうなると奇襲の様子が見れる場所で事件を起こすことが予想されるのね」

その場所とは

「「人里だ(よ)」」

しかしここまでは一部にすぎない事件の概要、パチュリーの根本的な質問にまだ答えていない

「だけどまだフランとの関係が見えないわ」

「さっきこの集団の構成に俺はなんていった?」

「下級妖怪ばかりな構成よね?」

「下級妖怪は本来独りで行動している。そんな下級妖怪が言う通りに動くはずがないと思う。やつらが動くときは確信が持てるとき」

「吸血鬼って肩書きがあることがこの集団の大きさを物語っている、そういうことね」

「今までで肩書きがあり失踪した妖怪はいなかった。つまりフランしかこの役目を果たせない」

「さっきまで調べものをしていると思ったらそんなこと調べてたの」

パチュリーが感心して言う

「一応管理人代理ですから」

「まぁ私もフランが居ることに確信を持てたからレミィに伝えておくわ」

「ん、ありがとう」

そういうとパチュリーはいっていまう

「まだまだ分からないことが多いな

だけど時間もないし皆に指示出してからでいいか」

暫くすると三人来たきみは徒歩なので居ない

「ご主人様お呼びですか?」

くおが訊いてきた

「くおは人里でまだ襲撃されていない箇所を守備、めいは戦闘で怪我をしている天狗などを回復、セレスは敵の除去

それじゃあ行動開始」

(きみのことだから絶対被弾しておくれてるよな~、よしきみは置いていこう)

どこまでも不遇なきみなのであった。




やっと中頃かな?
「無駄なところはないと思うけどお前のスキルが危ういな」
いちいち毒舌をいれなくていいんですよ
「ここではこれが俺のアイデンティティーだからな」
そこ誇ってもあまり宜しくないですよ(笑)
「煩い。次回は俺の能力を最大限使う予定だ」


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里山防衛戦~中巻~7

前回のあらすじ
彰は事件の全体の構造を知る
レミリア一行は先に人里に行き、従者にそれぞれに指示をだした
きみは置いていった←報われない存在
以上


皆さんは進化論について知ってるだろうか?

全て生物が進化という長い時間をかけそれぞれの環境に適応していくというものだ

一部では進化論を否定している地域があるがそれには触れないでおこう。

要は環境適応能力が進化論の基礎なのだ

そして彰の能力適応内だ。

 

彰は外へ出る

目を閉じ集中する

すると彰の身体が形を変える背中から羽根が生え爪が伸びる

彰は環境適応能力をあげ地上を走る足より空を飛ぶ翼が効率よいと判断しまた、目も暗闇でも見えるようにふくろうを参考にしていた

 

此のように解釈を変え能力の一部として使用することを<概念解釈の変化>と彰はいっている

意味合いは

能力を操る→能力といっても解釈によっては幾つか増えたり減ったりする→解釈の一部として受け入れる→能力使用

 

となる

最後に解釈を受け入れるとあるがここが一番肝心である最初いった通り地域によって受け入れられているかどうかも変わってくる。

例えば、環境適応能力もそうだが紫のマヨイガでは季節の境界を弄っているが紫自身が(季節は必ず春夏秋冬の順である)と思っていたなら紫は能力は使えない

所謂、信じるものは救われる的な精神で決まるのである

他に霊夢の空を飛ぶ程度の能力はあらゆるものから浮くというのも含まれている。

これも概念解釈の変化のひとつだ。

しかしこの能力は今では幻想郷で最初から暮らしてなければ開花しなかったであろう。

今外では人は飛べないと解釈され社会に浸透人もまたそのように考えているからだ

つまり本人にしか能力の限界をしらないということでもある

しかし科学の進歩がなくては能力も進歩しない。

それがないと今でも進化論は無かったであろう。(皮肉)

幻想と現実を絶妙に信じているのが彰なのだ。

 

話は戻って代理といえど管理人は窮屈なものだ。

事件は博麗の巫女が解決しそれに干渉してはならない。

(助言はよし)

とかいちいち言い訳しなくてはならない

あくまで中立の立場である

だから彰は考えた。

(そうだ!姿形変えれば分からんだろう)

このような暴挙によって今後めんどうなことになるなど

知る由もなかった。

 

昔々今とは違い西洋と東洋は仲が悪かった。

人の世でいう大航海時代のように植民地を求めて妖怪たちがさまようことがあった。

天狗の里も例外ではなかった。

天狗の里には吸血鬼が少し侵攻してきた事があった。

吸血鬼は力が強くまた、西洋の技術にかなわないこともあり

天狗の里、いや山全体が危機に瀕していた

その時はある鬼子母神の友人であった英雄の者が里を救ったという

英雄の姿は正確にはなく今では想像の産物とされているが

その英雄は救ったときに「戦争はよそでしてくださいよ。

こちとらそのせいで墨汁こぼすし服につくし友人の作った建物半壊とか、誰が修理してくれんの?」

はんば八つ当たりであったという。

 

しかし姫海棠はたてはその英雄の姿に憧れて育った。

八つ当たり発言もひとつの照れ隠しとも思っていた。

姫海棠はたては新聞記者だ。

しかし部屋にこもりいつも念写している。

今回なぜ外に出ているかそれは襲撃の件である負傷者の退路を確保すべく

後方支援をしていた。

「負傷者もある程度避難できたわね。」

白狼天狗の一人に声をかける

「はい、あとは私たちとはたてさんだけです」

「そう、私たちも避難しましょうか」

「そうです・・」パン

白狼天狗の一人が右肩から跡形もなく砕け吹き飛び散る。

ショックで気を失ったようだ。

しかし肩から何もなく血だけがほとばしる現状は受け入れがたかった。

何故ならさっきまで普通に話していた白狼天狗が満身創痍の状態で今前を転がっているのだ。

「キャアアアアアア!」

白狼天狗たちは泣き叫んでいた。

はたても泣き叫びたかったがグッとこらえ安否を確認する幸い心臓等は無事のようだった。

「ふふふ、おねぇさんたちもフランとアソンデクレル?」

「こいつは吸血鬼!?あなたたち逃げなさい!」

「は、はい分かりました。すぐに応援を呼んできますね!」

それに呼応して白狼天狗は負傷した者を担ぎ上げこの場を後にする。

(さぁて、勢いでいったけど、どのくらい時間が稼げるかな?)

少し自信なさげに思う

「おねぇさん一人で大丈夫?すぐに壊れちゃうよ!」

吸血鬼が突撃してくる

(はっ、!)

反射的に目を閉じると

ドガ

乾いたように静寂のなかにひとつの音が流れる。

「うう、あれ?痛くない?」

「ふう、間に合った」

あの英雄が立っているように思えた。

実際は見た目烏天狗の彰が立っていた。

「御嬢さん、大丈夫かい?」

「あ、はい大丈夫です」

それはよかった、とニコッと笑い吸血鬼に顔を向ける

(やっと見つけたフラン)「今のところ同胞に傷つけてもらっては天魔に顔向け出来ないな」

ケラケラ笑い吸血鬼を見据える

「お兄様がアソンデクレルノ?」

「そうだよ。今夜はしっかり遊ぼうね?」

「わーい、やっと、やっとアソンデクレルンダネ!

                         禁忌 カゴメカゴメ」

 

そう宣言して彰を囲むように段幕を形成

「うわ、いきなりかよ!参ったな」

今の彰には攻撃はできない

(こうなるならスペルカード創るべきだったか?)

今更後悔してもしょうがないチマチマ避ける

「一気にかたをつける!」

そう言うとぐんとスピードをあげフランに向かっていく

ダメージを受けても構わずフランの元へ

「ははは!ダメージ受けてでも来るなんてお兄様変わってる?」

「くっ!」

ここで副作用が始まっていた。

節々に痛み本来なら転がっていたであろう。

「んー?お兄様つらいの?私が楽にしてあげるよ」

そう言うとこちらに手をかざし

「ぎゅってしてーどがーん♪」

楽しそうに彰の身体を破壊する。

下半身が吹き飛んだ

フランが破裂した筋肉を弄びブチュ、潰していく

はたては見たくなくと言わんばかりに手で目を覆っている

フランは恍惚としている。

おびただしい霧が辺りを立ち込めていく。

しかし彰は諦めなかった。

フランに抱きつき

「お兄様抱きつかないでよ~。はなして。どう?楽になった?」

「フランよく聞け、遊びはおいたを過ぎると怒るぞ?」

そう言って地面に向かって叩きつけてフランの目を見る

その目は普通の彰の目でなく烏天狗の目でもなかった。

赤く月のように丸い吸血鬼フランの兄の目であった。

意識がフランと混濁していく

 

咽び泣く女の子がぽつんと座っている。フランだ。

彰はそれに近づいていくと

「アナタダアレ?」

ふと後ろから声が聞こえ振り向くとこれまたフランと瓜二つの女の子がたっている

「ん、俺はフランのお兄様かな君こそ誰なんだい?」

「ワタシ?ワタシなんて詳しく知るヒツヨウナイヨ言うなればソウ!狂気よ。ソレヨリアナタハワタシヲフラント同じナンテオモハナインダネ」

所々片言だが辛うじて意味を理解する

「まぁ、声も少し違うし外見だけで決めるのは早計だろう?」

「ダケドおねぇさまハワタシヲ同じフランと思っていた。そして監禁した」

少し聞き取れるようになった

「それでも君は君だしフランはフラン別々なのに同じものを指している」

「ダマレ!私のような狂気がヒツヨウトサレテナイコトハ私にもわかってる」

フランに似た狂気は剣を取りだし切りつけてくる

「わわ、落ち着いて」

すると剣を振り回すのをやめて問いかける

「貴方は私とフラン、どちらをダイジニオモッテル?」

「俺は、俺はどちらも大切にしたい!」「コタエニナッテナイヨ」

「それでも!無条件で大切にしたいと思った。大事さの優先順位に理由なんている?」

すると突然狂気が笑い出す

「フフ、貴方は面白いヨクバリナンダネ」

「このくらいじゃないとフランのお兄様なんてやってられないよ」

「愉快愉快、モットハヤクあなたに会いたかった

約五百年マッタカイガアッタ。いってあげなフランの所に私はスコシネムルトスルヨ」

「うん、わかった」

決意を込めて言う

「ああ、あと最後に大切にしてくれてありがとう」

狂気の姿ははかなく消えていく

最後の言葉は透き通るようにしっかりと耳を通っていった

フランの肩に触る。すると光だし現実へと戻された

 

そしてスッと目に光を取り戻しフランは

「ごめんなさい、ひぐ、ごめんなさいお兄様、脚が壊れちゃったよー!」

「いいんだよフラン、お兄様はね吸血鬼でもあるから脚なんて直ぐ治るさ」

落ち着いた調子で言う

「だけどね?フランね、お兄様を傷つけて皆も怒らしちゃった」

「もういいんだフランお兄様はいつも一緒にいて一生離れないから安心していればいいんだよ」

「うわああぁぁぁん!!」

とうとうフランはその場で号泣し項垂れ涙の大粒が溢れては落ち溢れては落ちを繰り返していく。

暫くすると泣き疲れたのか静かに倒れ込んでしまった。

脚もすっかり再生していた。副作用もない。

 

吸血鬼には目で見たものを眷属にするといわれている

実際には精神の隙間に入り込み操るというものだ。

目だけを吸血鬼に変えフランを見ると精神の世界には入れた。

簡単に言うとこうである。

 

「フラン~!」

「はたてさん~援軍ですよー」

呼ぶ声が近づいてきた

「おっとそれじゃこれでまた会おう御嬢さん?」

「待って!貴方は昔に天狗を救ったあの・・・「ご想像にお任せします(ギクッ)」」

彰は大きく翼を広げ行ってしまった。

(あの話まだ伝わってたのか。今度から気を付けよう)

天狗に対して危機感をつのらせながら親玉のところへと飛び立つ

月を隠していた雲が散るのが目に見えるほど分かった




三千字頑張った
こういうのも達成感があっていいと思うのです
今後も続けていけたらなと思います。


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里山防衛戦~中巻~8

最近は桜が咲き始め色鮮やかな春を感じれるようになりました
皆さんは、春が好きですか?
まぁ私は花粉症なんで嫌いですけど(笑)


「おねぇ、さま?」「フラン!心配したのよ」

フランは何があった?と言いたげな表情を浮かべる。

レミリアはフランに近寄り抱き締める。

「お姉さまくすぐったいよ」

「はたてさん援軍を···あれ?」

天狗たちはこのような風景に狐につままれた感じがして目をぱちくりさせている。

「はたてさん凄いです。吸血鬼を倒せたのですね?」

「え?」

自分はなにもしていないと言おうとしたらレミリアが会話にはいる

「貴女ね?フランを落ち着かせてくれてどうもありがとう」

レミリア綺麗にお辞儀をしはたてが弁明しようとするが続けられる

「え?え!違っ「謙遜はいいのよ。それにしても天狗にもこんなに使えるのがいたのね。見直したわ」···はい、ありがとうございます」

言いにくい雰囲気を醸し出すレミリアにたじたじとなりながら返事をして白狼天狗と共に負傷者等の皆のとこへといく

しかしこの状況に納得いかない人がいた。

魔法使いパチュリーノーリッジである。

妙に噛み合わない会話と魔法の痕跡は疑問を加速させていくのだった。

 

黒く染まる着物を着るものは彼らを見据えている。

(感動な再開を邪魔してしまったわね。でも私の痕跡を消さないと後々面倒なのよね~)

どうやら記憶操作をしているようだ

(でも確実に能力を使うわよね?彰様)

着物が小さく風に揺れていた。

 

くおとセレスが人里に向かう

「これは酷い。」

セレスが言う

夜なのに人里には静けさがなく絶望した声、悲鳴が辺りの状況を分かりやすくしている

ふと人里を全体から見ていると炎をだして戦う女や突然消えたり現れたりする女がいるようだ。

(あれがご主人様が言っていた妹紅と慧音さんですか)

「セレス私は、あの戦っている二人に状況を説明してきます。それぞれの仕事をしましょう。

私事はだめですよ?」

「それくおのことでしょ?感情に任せて殺さないでよ?」

「私はしょうがないんですよ重度の人見知りなんですから」

「度が過ぎるんだよね~それに人見知り関係ないし、こないだ魔理沙を殺そうとしてたからさ。

と言うわけで私はもういってきまーす」

めんどくさい会話をシャットダウンしてセレスは妖怪どものもとへいく

「あわわ、待ってくださいよー」

それについていく、くお。

今後のくおの慌てぶりをお楽しみください

 

赤く燃える寺子屋は妖怪たちで溢れていた

「慧音!この寺子屋壊れてもいい?」

「もうとっくに壊れる寸前だぞ妹紅、ったく筍が台無しじゃないか」

筍は赤黒く燃えていた。

「今度新しいのやるから勘弁な?」

のんきに会話してるが二人は敵団体の中心にいる

さっきの会話で妖怪三匹焼き殺し妖怪五匹ふっと飛ばしていた

なんともシュールな光景だろう

ドーン

そこで壁が爆発する土煙がすごく舞う

皆唖然としその方向を見ている

「すみませーんこの団体の責任者いるー?」

セレスが声を発しる

「セレス、それ言って出てくるやついないですよー」

くおが言う

「ていうか民家壊しながらいかないでください。これでも後処理結構面倒なんですよ?」

「しょうがないんだよ私が通る場所には花も咲かないのだ!」

「意味わかんないことでごまかさないでください」

口論が始まった

セレスは行動がとても軽い。こどもか!ってくらい軽い。

「大丈夫だよ建物の所有者に見られなきゃ。戦いのせいです。とか妖怪の仕業でもいいよね?」

笑いながら妖怪より妖怪らしいセレスに対しくおが言う

「良くないです!あわわ、ご主人様になんて言えば」

「あの~ひとついいですか?」

と集団から声が一つ

「この寺子屋私のなんですけど?」

慧音だった

瞬間二人は思った((ヤバい!))

「あー何でだろうねこんな大きな穴が突然空くなんて(棒)」

「セレス、今さら遅いですよー!」

くおの叫びと共に倒壊した。

 




お話が雜になってなければ良いのですが
「心配したってしょうがないだろ」
はい、そうですね。私はそれでも続けていきます
次回もお楽しみに


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里山防衛戦~中巻~9

私事ですが着物いいですね!
「いきなり何を言ってるんだお前は」
しかし私には着物を愛でるにも上手く伝えることができない
嗚呼何て悲しきことか!
「はい、時代がかってますね。可笑しいです」

そんな私ことあねへが里山防衛戦~中巻~9
始めさせていただきます。

あ、このタイトル、人里と妖怪の山を掛けて暗示させたんですけど分かりましたか?


寺子屋だったものが土煙を立てて崩れていく。

「ぷは~危なかった」

セレスが瓦礫の山から這い出てきた。

「危なかったじゃないですよー!」

くおも続く。

「悪かったって大丈夫だよ今から誤魔化せばいけるって」

「そんなわけ「じゃあよろしく!」あっ、ちょっと!」

くおにすべて丸投げして自分だけ逃げるセレス。

「あー私の寺子屋が···」

「ごめん慧音、私が不甲斐ないばかりに」

いつの間にかあとの二人も出てきたようだ。

「あの~ごめんなさい!セレスのせいで寺子屋壊してしまいました。」

くおが素直に謝ると

「いや、いいんだ。もうそろ壊れそうだったし、立て替えようとも思ってたところだから」

辺りにいた妖怪たちは瓦礫の下敷きとなり気を失っていた。

(やっぱり主の見立て通り下級妖怪なのでそこまで強くないか、でも油断は禁物です。)

くおは大切な部分だけかいつまんで状況を教えた。

 

「・・なので私がこの里を守りに来ました。」

「そうでしたか。人里の問題は人が解決する、と言いたいですがそのお心遣い感謝します。

ところでさっきの人も仲間の方ですか?」

「そう、です。適当ですが頼りになりますよ。」

「いえ、そう言うわけではなく。」

そう慧音はいい一呼吸置いて

「寺子屋だけでなく民家までも(怒)

後で灸をすえませんとね?」

「そういうことですか。それならば私も参加しますよ?」

その様子を見ていた妹紅はゾクッと身震いしてくおと慧音を交互に見る

(セレスって子終わったな。)

そうも思う不死鳥だった。

「さぁ雑談してないで私達も行くとするか」

妹紅はそう言い翔んでいく

「そうだな。くおっていったか?里の人たちを頼んだ!」

慧音もあとに続く。

残るは屑と化した寺子屋とくおとなった。

(取り敢えず里の人たちを捜しますか?ん?)

ここであることに気づく

「あっ、聞けばよかった!!」

つくづく上手く立ち回れないくおであった。

 

(天狗の負傷者はこれで全部か)

めいが天狗の治療をしていると

「彰の従者かい?」

ある天狗が訪ねてくる

めいが突然話し掛けられ臨戦態勢に入っていると

「すまんすまん、素性を言うのなら私からだな。私は天魔と申すものである。」

「···そうですか治療の邪魔なんで退いてもらえますか?」

めいが落ち着き払った口調で言う

「分かった。最後に彰に有難うと伝えておいてくれ」

そう言う天魔にめいは

「伝言はしませんし自分で直接会って伝えてください。

あと、まだ安心するのは早いですよ?」

そう言われ天魔が萎縮していると、めいがなにか見つけたようだ。

(ったく。くおはいくつになったら冷静に物事をこなせるようになるのでしょう。)

そう思いキョロキョロと挙動不審な態度をとっているくおの所へいく。

「なに踊ってるのですか?」

冗談めかしくめいが言う

「ひぇっ!めいですか驚かせないでください。

それに踊ってないですし」

「冗談ですよ。分かりませんか?」

「めいが言うとそう聞こえないんですよー!」

必死でそう言うも

「そうですか」

冷ややかに対応される

「それよりどうしたのですか?」

疑問を問い掛けると

「実は住民の居場所を知りたくて、でも聞くの忘れたんですよ」

「霊力探知しなかったんですか?」

「あっ、忘れてました」

「くおはもう少し冷静に動いてほしいですね。良いでしょう私も行こうとしてましたし、ついてきなさい」

「はっ、はい!」

 

「これで全部でしょうか?」

阿求が訊ねると

「いえ、稗田様。中にはまだ人が残っています」

「そうですか、救出を早めてください」

まだまだ人里には取り残されたものたちがいた。

しかしそうこうしていると

「キシャシャニンゲンニンゲン」

嬉々として妖怪が集まっていく

妖怪たちが走っていると

壁が現れ妖怪は風が吹く塵のように飛んでいく。

「間に合ったー大丈夫ですか?」

壁を形成した張本人が言う

「あなた興味深いですね取材してもいいですか?」

「え?えっ?」

「すみません主には素性をさらさぬよう言われましたのでお控えください」

「そうですか。分かりました。それと有難うございました

お陰で救出がはかどりそうです!」

阿求がそう言うと人たちのなかへと紛れていく。

一難去っていく人は安堵していた。

「くおもあれくらいの冷静さを持つべきです。」

めいがそう言うとくおは少し面白くなさそうに

「なにか言いました?」

と言う。

いや、なにも、と何事もないように願望を口にするめいだった。




人里の一難を取り敢えず回避した一行
一難去ってまた一難のスパイラルから抜けだせれるか?
次回
    狼の呪怨

次回もお楽しみに
「三流アニメか!」
いやいやこれも一種の演出ですよ彰。
「どうせすぐやめるんだろ?」
ええ、気が向いたらこういうの書くスタイルなので
「(断言していうことか?)そうか。まぁ頑張れよー」
はい、それではまた
「バイバイ」


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里山防衛戦~下巻~10

どうも~あねへです。
今回は全体的に敵視点をとらえた内容にしています。



「やりました。我狼様、天狗の里は壊滅的になり戦況はこちらが有利、

 あとどのくらいルーミアがもつかによりますが()()()稼いでくれているでしょう。」

「そうか。やっと、やっと!」

(人間どもを殺せる!)

 密かに人間への恨みをもつ我狼は元々ただの狼であった。

 

 外の世界

「この間俺の親友が人間に殺された。」「···俺もだ。」

 そんな会話をよく聞く。

 作物や畜産動物を食べる狼は大抵殺されている。更に人間は自然を破壊する。

 つまり狼は絶滅の一途を進んでいるのだ。

 しかし、

「俺には関係ない。」

 そう言って新しくできた女房と自分の子供のために餌を()りに行くのだった。

(このくらいあれば今年の冬も越せるな。)

 そう思い帰ってきたときの事だった。

 自分たち、いや他の多くの狼が姿を消した。

(私がいない間に散歩でもしていたのだろうか?)

 少なくとも身内のことだけを気にすることにした。

 しかし、二日たち一週間、一ヶ月経っても女房たちは帰ってこなかった。

 段々と不安をつのらせていく我狼。

「他のやつもいないがどうしたのだろうか?」

 ふと思い別の場所を探していた。

 するとコツン

 足になにかが当たったようだ石程度ならこの雪原のなか見逃すはずはない。

(なんだろうか?)

 そう思い足元を見ると白骨化した狼の骨であった。

 驚き跳びのき辺りをよく見渡したり掘り起こしたりした。

 そしておびただしい数の骨が辺りを埋め尽くしているのを悟った。

 向こうから声が聞こえる。

「あー拳銃は最高だな」「ああ、そうだな。そういえばこないだ俺は此処等で狼の群れを見つけたんだ」

 嫌な予感が我狼の頭をよぎった。

 しかし、

(女房たちとは他の群れに行ったんだ)

 そう現実逃避をするしかなかったのだ。

「そしてその時さ、二匹の狼が俺の前に出てきたんだ。親子みたいだったな。」

(もうそれ以上言うな!)

 心のなかで叫んでも声が出なかった。

 男たちは続ける。

「そして俺はその親子を殺した。その子供面白い毛並みでな」

 我狼にはまだ希望があった。

(俺の子供には特徴がある。それさえなければ)

 がさごそがさごそ

 そう言うと男が一つの袋を取り出す

「これがその子供で作った袋だ。ここ見ろよ、綺麗に此処だけ菱形に脱色してんだ。」

 緊張の糸がプツンと切れた。もうその先には怒りしか残らなかった。

「グアァァー!!」

「うわ!何だよ生き残りか?」

 パン!

 乾いた音が静かな森林を揺るがす。

「ずりーよ俺も撃ちたかったぜ。」「次はお前に撃たせてやるから安心しな。」

 男たちは赤くなっていく雪をそのままにしてポイントを変えて行ってしまう。

(おれは死ぬのか。)

 薄れいく意識にもかかわらず不思議と冷静に分析していた。

「そこの貴方、貴方よ狼くん?」

 一人の女がここを見下ろす。

(心が読めるのか?)

「そんなことはいいのよ。貴方はどうしたいの?」

 すごい話の切り替えに面食らったが我狼は思う。

(俺は死んで女房たちに会ってもいいが人間に復讐したい)

「分かりやすくて好きよ、私は。欲望はそうでなくっちゃ!」

 女は指をならし最後に言う

「ようこそ、妖怪の世界へ

 妖怪になっても少しくらい私の言うこときいてよ?」

 赤黒く光る光を身に纏い意識が途絶えた。

 

 昔を思いだしふつふつと怒りを大きくしていると

 じゅるりと参謀長が舌舐めずりをしていた。

 そして

「この作戦は絶対に成功させましょう!」

 と言うのだった。

 それに「ああ。」

 と呼応し作戦の確認を今一度おこなっていた。

 

妖怪が天狗の里にいた妖怪は

「おい逃げろ!あのルーミアがやられたんだぞ。」

ルーミアが倒されたことによって妖怪たちの団結力はないに等しかった。

「妖怪の山を取り戻すぞ!」「「「「「おー!」」」」」

掛け声と共に天狗たちがなだれ込んでくる。

天狗たちも今が好機と勝負を仕掛けたのだ。

「やべーよ」

焦る者や

「俺たちはおしまいだ全て計画は幻想に過ぎなかったんだ。」

諦める者もいた。

当然そのような組織が勝てるわけでもなくあえなく散っていったのだった。

「あやや?霊夢さんは?」

文が戻ってきたようだ。

「え~とはい、寝てますね。」

犬走椛が能力を使い千里を見渡し文に言う。

「戦闘の状況を取材したかったんですが」

がっくしと肩を落とし残念そうに言う。

「しょうがないですよ。もうとっくに夜なので」

椛はその記者根性に呆れを感じながら言う。

「それにしてもよかったです。()()()()()()でしたが妖怪の山を取り戻し平和が戻ったんですから」

それに呼応するかのように文も言う。

「ええ、それもそうですね取材は明日からとしますか。勝利の余韻にも浸りたいですし」

皆を呼ぼうと思い能力を使ってはたてたちを探しているときだった。

「(っ!?)文さん!文さん!人里を見てください何か強大な力がぶつかってます!」

「何ですって椛!これは事件の予感行ってきまーす。」

幻想一の最速は風の速さで行ってしまった。

「文さーん危険ですよー」

椛の声が聞こえるわけもなく忽然と声がこだまするのだった。

「彰か。「てっ天魔様!」」

後ろから声がして驚く

「ビックリしたじゃないですか!」

「まぁまぁそれより見てみよ、あれでもまだ本気を出していないのだよ彰は。」

すると天狗たちが集まってきた。

「なにかあったのですか?人里で!」

最近入ってきた天狗たちだ。

「もう少しで解決するから皆もあやつをみよ」

「はあ?」

天魔の言葉に疑問を隠せずにいた彼らだった。

 

この事件とは別に黒の着物がちゃくちゃくと準備を進める

「今では少しの変化だけどいずれ大きく変わる。

彰様のためにやってるんだもの、喜んでくれるわ!ふふふ」

 




最初にあった設定は全てのことが書かれているわけではなく
設定を章ごとに解ってきたことを追加していくようにしたいです。
なのでこの第2章が終わったら新たに設定を公開していきます。
私の文才が無いばかりにお手数ですが解らないことがある場合、閲覧して頂きたいです。
更に伏線をはるために傍線を入れることにしました。
少し分かりやすくなっていると嬉しいです。
それでは次回の小説をお楽しみください。


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里山防衛戦~下巻~11

この小説シリアスとギャグの比が

大体7:3の気がしてならない
意向としては
日常パート(例1.5や2.5章)辺りでキャラを増やしシリアスパート(例1や2章)でオリジナルなごたくや学術的雰囲気を
出していきたいなー
「はいはい長文お疲れ」
あまり思ってないでしょー!
私悲しい
「まぁ確認事項の前書きをしたところで本文へGOー」


倒しても倒しても減らない妖怪達セレスのあとを追いかける形で敵を迎撃していく。

(いったい誰がこれほどまでの組織を従えているのだろう?)

そんな疑問感じる妹紅である。

そしてセレスに追い付くと

「来ちゃいましたか。そっちの蓬莱人ならいいのですがワーハクタクさんは出来ればそのままくおと共に護衛任務についてほしかったですが」

「私も人里の守護者だ。敵に背を向けるわけにはいかない」

慧音にも意地があるようだ。

「ふーんまぁ何があっても助けないから頑張ってねー」

軽く言葉を返すセレス

「私達は別々に行動させてもらう」

少し反応に不機嫌さを出しつつ離れていく

(これで主も誰も傷つかないよね)

 

「それにしても()多いね」

誰もいないのに誰かと確認をするかのように辺りを見渡すと

「少しくらい焼け野原でも大丈夫だよね」

と言って魔力を生成する。

 

技術力と言われてもピンと来ないだろう。

簡単に言うと技術は扱いに長ける。

性質の細かい変化、繊細な扱い

それらをそつなくこなすのが[技術力を操る程度の能力]だ。

 

「それ、魔力よ形を変えよ♪」

概念解釈の変化を使って[技術とは形を変えられるもの]と解釈、黄色の玉だったものが様々な形を造り出す

その姿は現代では、さながら奇術と思われるだろう。

勿論もとは魔力なので浮かせることも容易い

「さあ、はっじめっるよー♪」

楽しそうな声と裏腹に刃物やらを飛ばす狂った者

「それ、それ!」

「ひぃぃ!?」ザシュ

「来るなー!」スパッ

顔色を一切変えずに笑いながら操り鎌やら剣、刀が妖怪達を錆びにしていく

血に塗れた表情が更に恐怖を仰ぐ

数十分もすると、とっくに妖怪達の戦意は喪失していた。

「うわぁ!?もう許して!」

手足を一本ずつ失った妖怪がその場で倒れこみ懇願する。

「許す?何を?私は主の命令に従ったまでだよー、たまたまそこにいたあなたが悪いの♪

分かったら~」

妖怪はすでに気絶していた。

「死んでね!」

首から上がなくなった妖怪は声も出せず静かに鮮血を撒き散らす。

「ははは、最後に後始末♪」

何事もなかったようにセレスは死体を片付けている。

(多くても下級か、全力出せないなんて私つまらないなー)

物騒なことを思いつつ一応二人を確認

二人は小軍団相手にしていた。

「わあ~あんた達案外強いね!」

「誰だ!···なんだ。セレスってやつだったか?」

「そうそう感心したよ今度手合わせしてほしいな」

そういうセレスのことよりも気になることがあった。

「おいおいこの数を相手にしていたのか?」

妹紅が妖怪の死骸の山を見て言う。

「そうだよ。これが本当の妖怪の山ってね」

不謹慎なことを言うセレスに二人は

「「いや、上手くないぞ(よ)。」」

と冷やかに返すのだった。




狂ったセレスを書いてみました。基本的従者は主人に依存してますね。(ヤンデレってほどの依存ではありません。ここ大事)
くおとかセレスとか
くおは守るためなら何でもする。って感じで
セレスについては···別の機会にどのような依存かを説明していきたいと思っています。
それの他に何か作品(作者)への疑問を答えてほしい場合は内容の鍵にならないものに限り答えさせていただきます。


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里山防衛戦~下巻~12

間隔が短いですが此処等から投稿スペースが落ちます(多分)
これ言っとかないと失踪とか言われそうなんで言いました。


「成功だ。封印第一号おはよう」

声がして目を開けると男の人が前にいました。

「う、おはよう、ございます?」

「何だか元気ないなどうした?」

最初のぎこちない挨拶を元気がないととらえ自己紹介をする

「取り敢えず俺は倉持彰お前の名前は···」

そこで言葉を切り考えている男の人、はっとしたかと思うと

「倉持きみだ!」

いきなり名前が決まった。

しかも意味がよくわからない

「きみですか、その名前に意味があるんですか?」

「俺の友達がいってたんだが、きみとは愛しき人と言うらしい

きみ、お前は俺の分身、いわば俺の娘みたいなものだ。だからこれからよろしく」

主は会ったときからこの接し方でした。

暫くすると私の口調はあたいになり他にも従者を造り、しだいにご主人は思い詰めるようになりました。

主が言うには、いくら自分を分解したところでそれぞれがうまく立ち回らないと

厄介事が多くなるだとか。

正直分かりにくいです。

気にしなくてもいいのに私達は今それだけで幸せですよ。

またあるとき主は私にこう言いました。

「力は人を裏切るか?」

「へ?どうしたんです急に」

いきなりの疑問に対処などできず

「いや、今答えなくていい。だけどこの質問の答えを考えてほしいんだ。

ところで今日の献立なにかなー」

下手にはぐらかされました。

「はぁ?解りました。」

主は時々意味不明なことを口走りますがこのときは真剣な表情でした。

力は人を裏切るか、そもそもの話この疑問すらなぜ出た、みたいに私は思いました。

他の子にも同じように疑問を言っていたそうです。

私達はそれに答えないといけないと本能的に感じました。

私達の造られた目的さえわかれば答えられるかもしれません。

私は主のように頭よくないですしご主人に菓子類をたかるしか能がないですし、

卑下は自嘲して

この問いを答えるには材料が足りませんでした。

ある時紫がここを訪れました。

幻想郷と呼ばれる所に招待したようですが主はそれを断りました。

「俺は一応この世界にやり残したことがあったからごめん。」

確かにご主人はよく出掛けていました。

緑髪の女の子がどうとか。

私にはさっぱりなので二つ返事でOKをだし経過を見守ることにしました。

その後の記録は残すというよりイベントさえ無かったように感じます。

[力は人を裏切るか?]

この質問だけが長い間消えずに残って頭に響いています。

 

今私は皆に置いてきぼりとなり森をさまよっています。

力を使いすぎたとはいえ扱いひどくないですか?

霊夢と魔理沙は帰っちゃうし、めいは私に対して高圧なんですよ。

愚痴を思いつつ進行方向にある屋敷に目を向けていると

「あー!あれはくおの防御壁じゃん」

人里の方に幾何学的模様が赤く広がる大地を包んでいる

「状況を知りたいなー」

そんなことを思っても何もかもが遅すぎである。

そんな悲痛の言葉を誰も聞かない。

 

「貴女にはお礼の言葉しかございません」

「いえいえ、主の命令なので」

防御壁のおかげで里の人を助けられたのは大きい

「貴女の事を幻想郷縁起に書きたいものです。」

「はいはいおだててそっちに持ってかないでほしいですね」

面倒そうにめいが仲裁に入る

「バレましたか」

悪びれながら言う阿求である。

突然後ろから声がする

「あとっ!本もありがとうございました!」

こちらは小鈴と言ったか、本屋をしているようだ。

「いえ、良いのです。これも好意として受け取りください」

明らかに最初よりも多くなっている本の数に困惑しているようだ。

どこからとはいわないが

 

「我狼様そろそろ準備を」

「分かってる」

想像とは違い失敗に終わりそうな妖怪本部あんなにいた妖怪もすべて肉片となり

あとは少数と参謀長と我狼となっていた。

「俺様の手で人間どもを殺してやる!」




一人語りのような構成で書いてみました。
所謂きみ視点ってやつですね。
丁寧口調なのは主のことを話しているからです。
普段は例えると現代の中高生辺りの口調です。(因みにあげぽよーとかのギャル語はありません)
とまぁ設定を少しいった所であとは最終戦となります。(二つに分けるかもしれませんが···)
皆さん長ったらしい彰のごたくに付き合ってくれてありがとうございます。
それではまた


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里山防衛戦~下巻~13

どうもあねへです。
少しきみの口調を直してました。
また執筆環境が悪いです。データがたまに消えるんですよねー
まぁ小ネタはこのくらいにして里山防衛戦13 始まりー始まりー


「キヒヒ吸血鬼の子供を操ったんだ少し位休ませてもらってもバチは当たらんだろう」

「だなだな」

妖怪たちは口々に言う

「へー貴方たちだったのですか、我が妹に手を出した輩は!」

訳あって吸血鬼の姿をした彰が言う。

「ひっ!あなた様が···」

「まずお前に発言権はない」

首をもぎ取り顔についた血を拭うと

「今度は目撃者も始末しませんと」

少しいた妖怪たちは皆きれいに一刺し

妖怪の死骸がゴロゴロと地面に横たわる。

がさがさ「これはスクープ···コソコソ」

どうやら誰かに見られたようだ。

まぁこの格好ならバレないだろう。

いるはずもない吸血鬼の兄が妹を誘拐まがいのことをした犯人を殺した。何も怪しくない=紫に怒られない。

「うん我ながらいいことした。」

このようなときに自画自賛をしている彰であった。

(さぁそろそろ首謀者様のお顔を拝見しますかね。)

冗談を思いながら原型をとどめていない人里を眺める。

(あれかな?)

敵の集団を見つける辺り運がいい。

(あーありゃあ狼だな。仲間意識高そう、戦いたくないなー)

やる気を感じない屋敷の主である。

彰には攻撃方法が無いに等しいのだ。

せいぜい身体能力をあげたりするだけの能力だし副作用あるから使いにくい、今のところスペルカードも創ってない。

(おっとと今さら後悔しても遅いしー)

偵察をしている妖怪一匹こちらの方向を見て首をかしげている。

「おい!あっちなにかいなかったか?」

(きづかれたー)

「止めてくれ俺はそういうの苦手なんだ」「妖怪なのにか!(妖怪なのにか!)」

珍しく妖怪と気が合うところも垣間見え、取り敢えず二匹確保(吊し上げ)をする。

「首謀者はあそこにいる狼で合ってるか?」「あっああ。そそそうだ」「だから···な?見逃してくれ!」

「え~とどうしようかなー(棒)」「分かった。もっと情報がある!言うから見逃してくれ」

何を木に逆さづりにしただけで恐れているのか。しかし、情報があるに越したことはないと彰は考え聞く耳をたてる。

「しょうがないな優しい俺に感謝しろ」

ホッとしたのか安堵の表情を浮かべる。

「あの狼だが我狼ってんだがアイツには妙な力があるんだよ。「へー何々おしえておしえて?」」

興味深いことを述べ彰も先を促す。

「アイツにはどうやら感情の高ぶりがそのまま力に影響するらしい。さしずめ感情を力に変える程度の能力ってとこか。アイツが今まで負けたとこ見たことねぇ。なぁ?」「ああ、そうだな」

「ふーん、あの様子を見るとそこまで人間を食べたいのかね?」

「いや、アイツにはちょっと外の世界でにんげんと一悶着逢ったらしい。」

「そーなのかー」

なんとも興味無さげに聞こえる返答だ。

(面倒なことになったなー)

大々的に人間にアピールするようにたてふだを設置し<コイツら今回の犯人>と書く

「おい!見逃してくれるんじゃないのかよ!」

「俺は見逃したけど人里の守護者は見逃さなかったってことで、それではよい夜を!」

ささっと清々しい妖怪たちから離れていく。

妖怪の悲鳴が聞こえてきそうだ。

 

「どうもどうも私は幻想郷管理人代理をしております。倉持彰と申すものです。

今回はこの騒動を止めさせていただきたく思いまして参上した次第です。」

完全うわべだけの営業スマイルを決め込み相手の行動を窺う。

何処かの誰かさん(セレス)が雑魚どもを殺したようで血だまりと化している戦場は異様な臭いが花をくすぐる。

「お前は人間の味方か?」

団体揃って彰に剣を向けたり爪を突きつけたりしている。「オーコワイコワイ」

絶対に思っていないと誰もが思う。

「私は人間でも妖怪の味方でもありません。」

首を振って言う

「幻想郷の味方です。最後にもう一度言います。この騒動止めていただけませんか?」

彰の半分いや、他の妖怪たちがいるお陰で跡形もなく肉片と化した。

「人間どもは皆殺しだ」「「「おー!」」」

肉片と化した彰を皆が踏み込んでいく。

「あーはいわかりました。」

すぐさま体の再生を終え言い放った。

「止めさせていただきますね!」

彰が後ろから不意打ちぎみで蹴りを背中に決め込む。

拍子に彰の足が折れる。

「げっ!何でもってありかよ」

無言で彰をつかむとまだ少し残る民家に向かって投げる。大きな穴が開いた。

(いつもはこんなことないのに、やっぱり感情を力にか肉弾戦はヤバイな)

そう思っても対抗策はない

(スペルカードを作っといた方がよかったか?)

のしっのしっと我狼が土煙に紛れ近づいてくる音がする。

(あー積んでるわー)

再生があっても長丁場を実感した。

が突然の光に目を潰される。

辺りが明るく照らされていた。

 

周りはまるで密林のように方向感覚を狂わせる。

きみは歩きで人里の方へ歩いている。

(いや、迷ってない···はず!いや、少し歩けば着くきっと。いや、そうだ着く)

意味のない自信をつけ始め、はたからみれば百面相していて面白いことだろう。

「ふふ、そっちは湖よ」

突如何処からか声が聞こえる薄暗く森なのでどこから発せられているのかわからない。

「誰だ!」

「まぁまぁそう警戒しないでよ相変わらず主人のとき以外言葉が汚いわね。それよりいいこと教えようとしたのにー」

「そう言うなら隠れずでてくればいいだろう?」

皮肉を言うようにきみが言う。

「それは出来ないのよね。それよりあなたのご主人の質問もう答えた?」

「なぜお前がその事を知っている?」

きみが驚き暗闇に向かって睨む。

「細かいことはいいのよ、で答えわかるの?」

「それは···」

答えは出ていないようだ。

「あと早く本の内容実行したほうがいわよ。」

「何で!あそこは「隠し部屋のこと?私には関係ないものあの方も酔狂なことをふふ」」

「でも私には主との約束が迷惑をかけたくない「迷惑なんていつものことでしょう?貴女が()()()()()()()はなに?私はあなたの願いを叶えるわ。」私の願い···」

(そうだ迷惑はいつもかけてた欲しいもののために)

「クスクスその艶やかな顔、行きなさい主のもとへ貴女が向いている方向から右よ契約成立ボソッ」

「有難う、難しく考えすぎたようだ。」

その場から右へ走る。あんなに歩いていたのにそれとはうってかわってすぐ抜けられた。

しかし、きみにはどうでもよかった

(私の求めるもの···)

「術式解放

       POWER IS ONLY ILLUSION(力など幻に過ぎない)

見たものは着物の花が咲き誇るかのように錯覚したことだろう。




とうとう首謀者と対面した彰、しかし、無謀にも作戦をたてていなかったあげくの果てにぼこぼこ、またきみが解放したものとは?
次回第二章里山防衛戦ついに完結


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里山防衛戦~下巻~14


第一話UA&PV1000回突破
皆様今後ともこの小説をよろしくお願いします。
え~とこれだけです。では里山防衛戦最終話スタートです。


(これはきみか?)

まばゆい光の中彰は考える。

身体中に妖力を感じる。禍々しいようで暖かい感触、どこかおぞましい感情に彰は身を委ねる。

なんともいえない感情が彰を支配する。

「なんだこの光は!」

我狼は目をおさえながら言っている。

短いが長く感じる時間が経過し光が弱まるとまた我狼が攻撃として剣を振り回す。

「早く終わらせないとな。」

彰は呟き力を解放した。

普段というか今まで使ってきたのは一切封印していない内部干渉(自分だけに作用する)だけだった。

きみに封印した力は外部干渉(自分以外に作用する)だ。

元々複数で一つだったのだ。しかし、これは物理法則さえも変えてしまうものだった。

剣が彰に当たる。がそれから剣が動くことはない。

「なぜ斬れない?」

困惑してわめく我狼、実に滑稽であろう。

 

・一つ目 エネルギー保存の法則

 

剣に作用するエネルギー、圧力、運動エネルギー等を位置エネルギーへと変換。力を無効化する。

剣が普段と力の大きさが違う位置エネルギー、重力による自然落下によって我狼の手から地面に落ちる。

彰は剣を拾い砕く。

妖力が戻ったことで弾幕は出せる。至近距離で妖力弾を放つ。

ボォーンと破裂音が後の静寂を目立たせる。

至近距離というのが効いたか我狼が腹をさすっている。

「いてぇじゃねーか」

まだ諦めていないとでも言うかのように彰に突っ込んで行く。

 

・二つ目 力の三要素 

力の大きさ、向き、作用点(力が始まった場所)を操り設定する。

 

作用点を我狼が足に力を入れ土を蹴った場所から我狼の身体の横へそして

ENTER(実行)

我狼はいつの間にか左側奥にある木に突っ込んでいた。

「お前を追い込んだ人間はここにはいない「うるせぇ!居るんだ何処かに絶対」」

我狼は痛みと怒りを露にし彰を睨み付ける。

そのすべてを力に変え彰の背後にまわる。その速さ刹那。そしてそのまま拳を彰に当てる。

バキバキと音をたて骨を砕かれたことを確認させられる。

すぐさま再生し我狼をちょんと触れ吹き飛ばす。

バラバラ砕いた剣を重力を操り浮かせ地面に倒れる我狼を型どるように刺していく。

「あー、殺すなら殺せ」

我狼は言う。

「なんとなく解ってたんだ。人間どもとあいつらは違うことに···「殺さねぇよ」ああ?」

「殺さない。今回は情状酌量で許してやんよ。」

彰が言う。

「嘘ついたわ俺は幻想郷の味方さ。それは変わらない、けど俺は全ての味方であり敵でもある。

知らねぇ奴だとしても墓くらいしっかり作ってやるよ。なんせ幻想郷管理人代理なんでね。」

「そうかい。その時は他のやつのとむらいもしてやらんとな」

我狼はそう言って気を失った。

「ご主人!大丈夫かい?」

「んっ?ああ、きみか。」

彰がその場から離れるときみが走り寄ってきた。

「あたいになりに考えましたよ。質問の答え、力は人を裏切るか?···」

少しためてからきみが言う。

「どっちでもいいんじゃないですかね?答えなんて」

「ふ、ふふ確かにきみらしい答えだ。「だけどご主人には力、あたいがいるかぎり力は裏切りません。いや、裏切らせません!」うん、そうか。」

意気込むきみと肩を並べて屋敷へと帰っていく。後片付けを他三人に残して、

(何処までも何時までもあなたの慈悲深い愛が満たしていく。)

ニヤッとほくそ笑んだ。

きみの裏を知らない彰は

「宴会どこにしようか?」

暢気に話していました。

 

「酷い姿ね」

「うるせぇ、だけどあいつはすげぇな」

「そうでしょ?我狼があのお方の凄さが分かるようになるとはね」

我狼のそばに座った黒の着物、あの女だ。

「負けちったよ。あんた。」

「ん、負けたっていいんですよ。目的は達成しましたし、だけど」

黒の着物は続けて言う。

「彰様の愛も力も身体も私のものなの、()()をもらったあなたは気に入らない!」

「んなっ!」

「あは、あはは、あはははは···。」

陶酔しきった艶やかな顔で

(もう少し一歩ずつ近づいてますよ彰様。)

その顔で狼を切り刻んでいく。

肩、肘、手首、指先、尺骨形状突起、センチ単位で外す。

内臓も原型をとどめない肉塊と化していた。

虚ろな目が光を失いながらもやっとのことの女房の呪縛の終わりによる嬉し涙か、

一方的に見ない人間にもう会えないと悲し涙を溢したかの答えを知るものいなかった。

もう雫が一つ地面に滲んで乾いていた。




第二章完結
次は宴会の回&設定項目追加
となります。
まぁそれぞれ一話一話執筆させていただきます。
能力解放がやっとされました。最強伝説はここから始まる、的なものを作ろうとしていました。
それではまた次回お会いしましょう


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二・五章
嵐のあとの晴天


今回から日常回スタートしました。


わはは、と聞こえる宴会会場、博麗神社では酒を煽っている。月が三日月のころ、紅葉もチラチラと落ちていくもう秋も終盤になってくる頃合いだ。

メンバーとしては紅魔館組、天狗の里、ルーミアとその仲間たち、因みに人間は人間でお祝いやっているらしい。

「それでね、霊夢はあのあとあたいのことを置いていったんだよ!」

「ふふ、それは酷い」

くおが笑いながら言うが共感しているようには見えない。くおは聞き上手の所もあるのかもしれない。

「しょうがなかったのよ。眠かったんだから」

(博麗の巫女がそれでいいのか)

彰が遠くから聞き心のなかでつっこむ。

「それにしても今回は色々とおかしなものだわ。ルーミアといいスペルカード無視といい統率がとれてないもの。」

「まぁまぁ今はいいじゃないか霊夢、宴会は楽しむもんだぜ。」

魔理沙が珍しいことを言った。

「そうですよ、霊夢さん。それよりルーミアとの戦闘のときの話を···」

「あんたは取材したいだけでしょ文。まぁ確かに気にしてもしょうがないわよね。」

「冗談ですよ、でも本当に助かりました。霊夢さんがいなかったら今ごろどうなっていたか。天魔様は今お礼やらなんやらで忙しいそうなので、代わりに私が。」

綺麗な座礼で文が礼を言う。

「ありがとうございます。」

「良いのよ別に仕事だし(面倒だけど)。それより宴会を続けましょう?」

「おう!」

魔理沙はもう出来上がっていた。

 

紅魔館組とめいが別の場所で話している。

「フラン様は何故唐突にご主人様をお兄様と呼んだのですか?」

めいが尋ねるとフランはすらすらと答えていく。

「う~んなんとなくかな?でもね初めて会った気がしないの、いつの間にかそばにいて支えてくれそうそんな人かなと思ったの。」

「そう、ですか。(危険だな速急に対処せねば)因みにレミリア様は何故ですか?」

「わたし?私はただ面白いと思ったからよ。」

「あまり聞こえがよくないですね。」

少し不満に思ったのか。声のトーンが低く感じる。

「少し語弊があったようね。深い意味はないわよ。特に侮蔑の対象でもないわ、フランの相手してもらってるもの」

レミリアは億劫することなく言う。

「フラン様も戻られたことですし今度はわが屋敷に招待したいとご主人様は申しておりました。」

「良いわよタイミングはいつでもいいのかしら?」

カリスマ?な器のレミリアは二つ返事でOKを出す。

「はい。あと歓迎なので、できれば紅魔館メンバー全員でとのことです」

「分かったわ。美鈴にも言っておくわ。」

美鈴の嬉しい声が聞こえた。

 

「何、黄昏てんだ彰。」

「おお、久しぶりだな。天魔、どうだ?山の方は。」

天魔が宴会から離れたとこにいる彰を見つけ近づいてきた。

「ぼちぼちかな」

「そうか。そういえば天狗が新聞作ってんだって?」

素朴な疑問を彰が言う。

「ああ、上手く人間たちとの交流を安定させないと、と思ってな。」

「思いきったな。反対のやつもいただろう?」

長く生きてる者は変化に反抗的だ。

「昔のやつはほとんど死んだよ」

「そう、か。世代交代は早いな。」

一応知り合いが死んでいることを確認していると

「お前が天翔の曲芸師なんて言われてた頃が懐かしい。」

彰の天狗としての二つ名をポツリと言う天魔。

「止めてくれ。もうあれは伝説の一部で終わっただろう?」

そう、天狗の英雄の話は彰なのだ。

「今でも伝説として伝承してるけどな」

「信じてるやつなんていないって。この事を正確に知ってるのは俺と天魔と萃香ぐらいなもんさ」

「あっ!思い出した。お前がいなくなってからなあいつ酒を···「私がどうかしたって?」うぉい!」

ひょこっと天魔の頭に影が一つ。

「萃香か。」

「うん!久しぶり彰。勇儀と酒飲んでたんだけど、宴会と聞いて跳んできたよ。」

勇儀とは萃香の友であり同胞の鬼だ。

「ところでさっきの話を聞かせてほしいなー」

彰が萃香をがっしりとつかんで天魔の話の先を促す。

「ん?ああ、萃香がお前がいなくなってからやけ酒するように···「やめい!」むご!何だよ。」

「へー酒を?沢山?ほー?」

「ひっ!彰、待て!拳骨だけは」

笑いながら握り拳をつくると怖さが倍増する。

「太るっていってるだろ!」ゴンと音をたてて萃香に命中した。

「痛!むー痛いじゃないか。」

頭をさすって萃香が言う。

「酒を飲むから悪い。」

「だって酒と喧嘩は鬼の特権だよ?」

「そんな特権はない!」

「因みに天狗の酒蔵空になりました。」

天魔が火に油を注ぐ。

「すーいーかー?」

「天魔のバカ、チクるなよ!」

それから萃香がめっぽう叱られました。

「それにしても久しぶりだねぇ。この面々でまた会うの」

萃香が言う。

「初めて会ったのいつだっけ?」

彰が言うと

「私は忘れないよ。あの日のことは···」

 

あれは天狗と鬼が対立していて天魔が見回りの仕事をしていたころだ。

ふと私が気づくと見知らぬ家で寝ていた。傍には引きつった顔の天魔がいたっけ?

その頃はみんな初対面だった。

「私は負けたのか。一発で」

不思議と怒りはなかった。

喧嘩は勝敗が決まる。今回は負けてしまっただけのこと。

なのに自然と涙が溢れて自分の体が心配になった。

「お、気がついたか。ほれお粥。」

喧嘩した相手がお粥をくれたではないか。

「あり、がとう。」

ぎこちなくしか返せなかった。

それもそのはず喧嘩の相手が介抱しているのだ、これ程可笑しいものはない。

「お前強いな。四天王の私が勝てないなんて余程のことだよ?」

「俺は倉持彰ってんだ。塀の中で暮らしてる。」

「「え?」」

天魔と声が重なってしまった。

この塀は天狗と鬼の境目、その場所を中を自分のテリトリーと言うのだ。

「待ってそこは単なる壁だよ?」

そんな疑問に答えるように彰が説明をした。

「···とまぁ、こんな感じで俺の能力だよ」

「あり、得ない」

いまだに信じられないようだ。

更に信じられないことは私は負けた、その事実に対しあいつは言ったんだ。

「えっ?あれは酒の絡みでしょ?」

私が酒で酔ってたせいだと主張した。

なんと的はずれな言葉だろう。

(嘘じゃないところがさらに腹立つ)

そんな思いとは違い皮肉なことにお粥は暖かかった。

「あーもう、調子が狂うなーいつかまた喧嘩するからな?」

「分かった分かった。そんな怒んなって」

それから彰、萃香、天魔は世間話やら酒やら上司の愚痴やらで盛り上がった。

一件から数年後

「それでさー上司がさー仕事押し付けんだよー「あーもう飲み過ぎだ。酒臭いなぁ」」

「ははは、そう言えば彰、あんたの家そろそろ変えたらどうだい?」「あー古いと感じてきたからな~「私が作ってやろうか!」ん、あ、良いの?なら御願いするよ。」

私は彰の家を造ることにした。

また、数ヶ月過ぎて

「立派に造ったな」

天魔が言う。

「酒蔵にしてほしいから···いやしっかりした家で酒を楽しみたいからね。「嘘つけない性格出てるぞー」」

「分かりやすいやつで良かったよ」

「どういう意味さ」

こんなたわいのない話が何時までも続けば良いのにと私も思ってた。

だけどもいつの間にかアイツは屋敷ごと居なくなった。

 

「悪いと思ってるって」

「ほんとかなー?」

萃香は真意を確かめるように彰を見る。

「ほら、外の世界の酒買ってやってんだから我慢しろよ。」

懐から酒瓶を取り出す。

「おー心のともよー。ていうかなにこれ?鬼人ころり?この酒いい度胸じゃないか。幾度の酒を飲み干してきた私への挑戦だな!」

「名前に喧嘩売ってどうするよ」

天魔が突っ込む。

「んだよー良いじゃないか」

「そうだぞ酒も程々にしとけ」

彰も萃香をたしなめる。

「はいはい彰がそういうなら従うよ。それより今までどこほっつき歩いてたんだい?」

「なんだかんだ言って萃香は彰が言うことだけは従うよなー」

天魔がニヤニヤしながら萃香と彰を見比べる。

「んーなにいってるん···「バッバカ!」えー」

(何故か怒られた。)

萃香の変わりように彰が唖然としていると

「そ、それよりさ旅先の話、聞かせてくれよ。」

「分かった、あれは俺が旅に出て数ヶ月といったところかな」

 

宴会は続いていきとうとう夜明け前まできた。太陽光がさんさんと降り注ぐなか

「ははは、で?その神様が、白蛇が絡まってるのをたすけようとしてたのか!ふふ、こどもか!」

「おう、それでな「ご主人様そろそろ締めていただきたいのですが」ん、判った。萃香、また、つぎの機会に」

「判ったよ、行ってきな」

宴会会場は珍しく静まり返っている。寝てるからというのもあるが

「う~んこれは放置がいいんじゃない?」

相変わらずの完璧従者めいは三人を引きずっている。

「そうですね。今のうちに邪魔物も消しておきましょう」

「とうとう物扱いか、あとダメだかんな」

「分かってますよ、チッ」

(あっ!今舌打ちした。)

「んじゃあお開きとするか。解散!」

 

彰は片付けを皆に押し付け(預け)人気のないところへ移動する。

「紫、いるんだろう?」

「宴会でもつまみ食いしすぎだろ。「美味しいから悪いのよ。」

隙間から出てくる紫、

「彰、あのね狼の妖怪が殺された。」

「っ!なんだと?」

「私も詳しくは知らないけどこれは確かな情報よ。相手は的確に私の目を逃れているの、早く始末しないと」

彰は紫の口元に人指し指を添える。

「お前もあんまり焦るなよ。あくまでお前が幻想郷管理人なんだから」

「う、うん!そうよね!そんなことより!」

所々アクセントがおかしくなる紫、すぐ落ち着きを取り戻し

「彰もしっかり管理人代理してるわね」

「受けた仕事はしっかりとこなす、それが俺のポリシーってとこかな」

「だから私は貴方を真っ先に従者にしたかったのにー」

「昔のことはいいんだよ、それにお前がらくしたいだけだろ」

「そんなことはないのにボソッ」

そして彰は紫に言う。

「楽しいなここは」

紫は嬉しそうに笑い

「でしょ?」

と鼻高々に言うのだった。




宴会の回ですひとまず区切りよくしてみました。
活動報告でも言うと思いますが、
アンケートをとりたいと思っています。
今回聞きたいことはズバリ彰の能力についてです
前に私が萃香との戦闘で過疎と密を操る程度の能力を封じた場面がありました。
要は個人の程度の能力の封じる事についてです
正直説明がつけれるのですが今後の物語に支障がきたしてはならないので聞いてみます。(戦闘シーン等々に)
A
今までどうり論理的に能力を解決&封じる(場合によっては封じられないものあり例プリズムリバー三姉妹、難しくなると読者が離れるかも笑)

B
それも能力、適応範囲内だ。(完全にチート化される。以前より戦闘に葛藤がなくなる可能性、内容が淡白化する可能性)

C
妥協案として微妙なラインを引く。

今のところこんな感じです。これからも普通に続けていきますが、この選択で物語がぐるりと変わります。
このアンケートは約二週間後、5/1 AM12:00に終了とさせていただきます。(それ以降のものは無効票とさせていただきます。)
回答は全て活動報告へ
なおこのアンケートに問われる問題は私が今まで論理的に説明してた事が自己中心になってしまっていないかをはかるものです。


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全てはいたずらに 前半

ひとまず続けていきます。運が悪いのか
まぁ今回はアンケートの指標として論理的に解決しようと思います。


紫はあのあと屋敷に散々いれびたったあと仕事だからとまた、姿をくらました。

(食材がなくなった)

彰が昼食をとろうと倉庫を見ると

どうやらついでに倉庫の中も盗ってったようだ、すっからかんと空洞が広がっていた。

「くお!「はい、なんですか?」やっぱり結界強めといてそれも紫が入れないように」

倉庫を見て呆れた顔で

「わかりました。手配します。」

小さくため息をつき仕事に戻ろうとしていると

(お疲れ、くお。お前はいつでも可哀想な存在だよ)

「ぷふぅ。」

セレスがこちらを見て笑っているのに気づく。

この先の行く末が分かるのか彰はそのまま買い出しにいくことにした。

 

人里

(やはりあのあとだからな完全に復興というわけにもいかんか)

彰はそう思うが、実際には見た目とは裏腹に活気があった。

「今年の魚、最後の大安売りだよー」

「とれたての椎茸、松茸山の幸豪勢に盛ったからさ。そこのあんさん買ってくれないかい?」

秋がもうそろ終わろうとしている。

里の様子もそれにあるように在庫減らしに勤しんでいた。

「おねぇさん、その山の幸盛りをざっと買いたいんだけど」

「おっおねぇさんだなんて、あんちゃん買ってくれるのかい、嬉しいねー」

おだてても安く売ってくれなさそうだ。あやつできるな。

正直昔の金なんて扱いに困るくらい屋敷に残していたから金の心配はない。

「あんちゃん!こんな金受け取れないよー!」

「いいんだよ、もちろんお釣り要らないからね」

そう言って彰は他の店へと足を運ぶ。

(ここは、魔理沙が言ってた美味しい団子屋か)

一軒のぼろ屋が姿を現す。

看板はふるさびて外れており名前がわからない。

「この店はやってないのか?」

「ああ、どうやら今年は不作だったみたいで生計が立てられないそうだ。」

周りにいた人に聞いてみた。

(これもしょうがないことなのか···だけどなーせっかく美味しいって教えてくれたのに。意地でも俺が立て直そう)

変な決意を胸にふと思い出す。

(そういえば慧音の教育の手伝いみたいなのしてって頼まれてたっけか)

思い出したときだった、ふっと体の力が抜ける。

急に倒れたからかさっきのおばさんが悲鳴をあげている。

薄目でそれを見ると静かに意識をブラックアウトする。

 

「ん、なぁに?彰様、え?寒くないか淋しくないかですって?貴方はいつも自分より私のことを気にして、私は大丈夫よ。

それよりねぇ早く願って!ここから出たいって私はあなたの願いを叶えるの。」

(あの頃の記憶か)

こんなに近くにいたのに相手の顔が分からない。

そして場面も変わったようだ。

見覚えある顔が並ぶ

「お前たち、そこまで言うならじゃあ行くとするか!」

「「「「はい!」」」」

断片的だ。しかしそれだけでもこのあとの悲劇は覚えてなくても泣きたくなってくる。

 

嫌なフラッシュバックを見てから目をさますと知らぬ天井だった。

「ん、ああまたか、今度は精神的にとか多彩すぎるぞ。ていうかここどこだ?」

部屋をぐるりと見渡す。見事な実験機器が立ち並ぶ。

「俺の好きな分野だな」

さらに見渡すと兎がいた幽霊のように監視するようにこちらを見据えていた。

「あら?もう起きたの。」

後ろから声がしたので振り返る。

そこには赤と青の服で身を固めた銀髪の女性、八意永琳がたっていた。

そうここは永遠亭、傷を癒す病院みたいなものだ。

「おーえーりんじゃないかーひさしいなー」

そう言って部屋から出ていこうとする。

「何出ていこうとしてるの?彰」

「はは、冗談冗談やっぱりあのときのこと怒ってる?」

「同胞にあんなことを言われてほったらかしとか嫌でも怒るわよ。」

永琳は静かな怒りを露にする。

 

彰が最後にいった言葉

「俺には守るべきもの(プライド)があるから」

「守るべきもの?(もしかして私?)何よそれは」

圧倒的に自信過剰で物事を見ている。

ブーブーと警報が鳴る。

「時間無いから、目的地にて会おう。」

「えっええ、わかったわ。(これはぷ、プロポーズでいいのかしら?)」

 

いまだに拭えないこの思いは物凄い行き違いに発展している。

「さぁ教えてもらおうじゃない。あのときの守るべきものって?」

「いや、そんなこと聞くのか?そりゃあプ、いやここで話すのは···何か兎いるし」

じーと後ろからの視線がいたい。

「えっ?いないけど···ああ、うどんげね。警戒しすぎよ。出てきなさい。(今、プ?やっぱりプロポーズだった?)」

さらに勘違いが加速している。最初の文字か同じだけなのに。

「えっと私は鈴仙・優曇華院・イナバといいます。どうぞ気軽に鈴仙とお呼びください。」

「因みにわかってると思うけど君の能力効かないよ。」

彰には彼女が普通に見えていた。

波長を操る程度の能力

波長、いわゆる様々な波を操り感覚などを狂わせる。

通常光には波がありその刺激を人間は感知している。鈴仙はそれを操るのだ。

彰は環境適応力を使っているせいで受動的に波を感知する。

普通との違いは

人間の場合ある決まった波長を目に設定されていてそこから分かるものだけを理解している。

しかし彰は波は力が働いていることで生まれると考えている。

よって今回使っているのは反射波と入射波の関係だ。

縄跳び等を上下に動かし受ける方を固定するしないされている場合、与えられる力が変動する事だ。昔やった縄跳びで蛇ーとか言って波をつくって遊んでいた頃を思い出す。

彰は受ける方、目には波長を読み取りそれに適応する力を備わっている。

波長の波を力ととらえることでそれにあわせて変動を調節する。

一連の流れではこうなる。

つまり鈴仙の能力による目の感覚を狂わせる事は効かないということだ。

証明終了

「師匠!この人、変です!」

「いきなり変人扱いですかそうですか。」

「うどんげ一応患者なのよ。止めなさい。あと席をはずしてくれないかしら?」

「はい、分かりました。」

そう言い鈴仙は部屋から出ていく。

それを確認すると

「でっ?それは?」

「プライドだよ「へ?」」

頭を抱え考えている。

必死さをとても感じる。

(いつからプロポーズだと思っていた?確かに彰には昔からそういう紛らわしいところあったけど···)

「重症ね」

「えっ?永琳なんだって?」

「重症よ、バカ!」

(えー何故に)

いまいち女心が分からない彰である。

 

彰は昔は部隊長をしていた。

「このエリアは殲滅完了です。」

「そうか、ありがとう。おい!もう戻るぞ!」

「「「はい!」」」

訓練所

「腰をもっと下げろ低く保て!」

それぞれの隊が訓練をしている。

この都では妖怪、穢れをとてつもなく嫌う。

その為市民を守るためにこの軍が配備されている。

彰の隊は第五番隊、主に都市周辺の妖怪を殺すのが任務である。

「隊長!このあと呑みにいきませんか?」

「ん?いいぞ。そうと決まればさっさと稽古を終わらせるぞ!」

「「「はい!」」」

毎日大体、訓練、妖怪を殺し仕事後に呑みにいく。

こんなサイクルを続けていた。

居酒屋で

「この隊はいいなー!皆仲いいしノリもいい。死ぬんならお前たちとがいいな。わはは」

そう言うのは第五番隊のムードメーカー王珍(うぉーちん)だ。

「王珍そんなこと言って、今度子供生まれるんだから縁起悪いこと言うなよ。」

「それもそうだが、そのくらい俺たちは仲いいってことよ。」

「フッ違いない。もしかしたら同じ墓かもな。」

清葉(せいは)何時もネガティブ思考なやつだが

「おっ珍しくこう言うときには賛同するよな清葉は」

「うっ煩い」

「わはは、まぁな今回はあながち間違っていないか」

我が部隊は総勢八名、少ない方だが一人一人の戦闘力が高い。

「しかし、死神と言われているし案外死ぬことはないかもな。」

「違いない。」

そこで全体が笑いに包まれる。

一人一人が別々で行動しても帰ってこれる奴らそれを我が隊のことを死神と言われている。

「いつまでも物騒なこといってんじゃねーよ。王珍、俺は絶対に欠けることなく皆で帰るんだ。何時までもこうして酒飲みたいだろう?」

彰がそういうと

「そうですね隊長!」

いつものように王珍が言ってくる。

「まぁこんなに仲良いんだ五番隊全員で同じ墓ってのもいいかもな。」

「隊長が言っちゃうんですかそれ」

隊の唯一の常識人三吉(みよし)が言うと

また笑いの渦と化す。

遠くで黒の着物が言う。

「その願い叶えるわよ彰様」

クスクスと笑い姿を消す。

 




彰のもっとも昔、いわゆる古代スタートと呼ばれている所ですね。
内容を濃くしていきますよーお楽しみに


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全てはいたずらに 後編

「なにげに長くなってしまったな」
はい忙しいし、設定2の作成もしていましたし、あっもうそろ設定2を投稿しますよ
「はいはいそれでは全てはいたずらに後編スタートだ」
私の台詞ですよー(哀)


今彰たち五番隊は都市周辺の殲滅作戦に乗り出していた。

都市の外の妖怪に対抗するための防衛線を築くことも兼ねての事らしい。

五番隊以外にも一番隊や六番隊等も同行している。

一番隊は全ての特攻隊的な仕事だけでなく、都市内の施設の建造にも携わっている。

どうも最初の特攻で砦を建てるのに使えるんだとか

五番隊は今回、その建造する施設の警護だ。

広大な敷地である砦の周りをたった10人いるかいないかの軍勢が警護とは、些か現代では考えられないだろう。

こういった任務を任せられるのは死神の五番隊と言われる由縁だ。

広々とした森で行動していると

「一番隊がきているから案外難しくない任務か?」

王珍が不満そうに言う。

「一概にそうとは言えんだろう」

三吉がそう言い返す。

「確かに一番隊はこういう任務の先駆けだけですぐに乱戦となることは少ないが今回は六番隊もいる」

三吉の言う六番隊は都市内の警備を主に活動している。

「俺たちはどちらかと言うと一対団体での攻撃が得意だが六番隊は一対一の戦闘に慣れている。そういう点で六番隊を使うということはそれだけこの任務が重要なんだろうな」

きょとんと王珍が訊いてくる。

「もしかして、任務長くなるのか?」

「お前もしかして子供置いてきてるから心配とか言わないよな?」

彰が会話に入ってくる。

「ちっ違いますよ隊長!私はまだ安心できないので見回りしていたいだけです」

「おー王珍はいつから仕事熱心になったんだろうなー(棒)」

あくまでも信じない彰と三吉。

「さっさと仕事すれば案外任務が六番隊に移行するかも...」

ここで清葉がにゅっと発言する。それに王珍が驚き

「うおっ!止めてくれよ清葉、それは心臓に悪い。

まぁ確かにその可能性も無きにしもあらずだな。ちゃっちゃっと終わらせますか」

「その意気だ。おっと、御到着かな?」

普段外にでない人間の臭いに誘われたか、妖気が砦の周りに集まっていた。

彰が命令を出す。

「五番隊出撃!」

 

数分経てば終わるこの仕事、点呼をとると一人いないのに気付く

「あれ?王珍は?」

「あーアイツなら多分まだ森じゃないっすかね」

他の隊員が答える。

アイツが妖怪相手に遅れをとるはずがないそれは彰にもわかっていた。

「隊長、何処へ行くんですか?」

「んっいや何でもない」

と言いつつ森の方へ顔を向ける彰であった。

 

「おいおい、俺は虫が嫌いなんだ。」

王珍の前には妖怪が一匹

外見はどことなくムカデに似ている。

虫嫌いでなくても身の毛もよだつ風貌だった。

「ぱぱっとするかな。お前は取り敢えず死ね!」

王珍は近接格闘、二刀流の使い手

一打に力を乗せ一気に振り払う。

ムカデは綺麗に一刀両断、普段見ない変な色の血を撒き、

頭と反対に切られた体はびくんびくんしている。

「お次は頭か」

そう言いきるや否や王珍は動きをなにかに止められる。

「んなっ!」

切り落としたはずの体は触手を伸ばし王珍に巻き付いていた。

ほどこうとしても力強く締め付けられる。

もう妖怪も数メートルと近くなっていた。

「キシャー!」

妖怪の悲鳴なのか奇声を聞き、諦めかけたその時

一本の矢が妖怪に向かって飛ぶのが見えた。

「王珍···やっぱりバカだったか」

清葉の非難の声がする。

「虫退治には俺たち五番隊の仕事だっつの。抜け駆けはずるいぞ?」

三吉も参加している。

「ったく心配させやがって、言っただろ?皆で任務を終らして帰るとな。清葉!虫くらい簡単だろ?」

「隊長は俺をなめすぎですよ」

そう言って清葉は弓を構えるそして、矢を放つと同時に

「行くぞ!」「「「はい!」」」

彰は能力(当時は身体能力をあげる程度の能力だと考えている)を使い一瞬で一匹の懐へと入り込み触手を切る。

矢は綺麗に体の節にさくっとはいりまた新しく妖怪の体は分離する。

三吉も槍で敵の首もとの節を狙い突いていく。

他の隊員も戦闘に参加する。前衛後衛がしっかり仕事をこなす。この隊の統率はとてもとれている。

「キシェー!」

そうこうしていると一匹の妖怪を殺したようだ。

「終わったか?」

隊の誰かが綺麗にフラグをたてて

ぞろぞろと同じ形をした妖怪が十数匹現れた。さっきよりも大きく牙みたいなものも肥大化している。

どうやらこの妖怪は死を感じると仲間を呼ぶようだ。さっきのは子供らしい。

「おいおい、ご家族登場ですかね?」

「ははは、これは呑気にしてられないな。」

「いってる場合か!来るぞ!」

彰、王珍の発言を三吉がたしなめる。

幸いこの妖怪の触手は分裂しない限り出ないようだ。

「皆、頭を狙え!この量を長時間相手してられない、他の隊にも危険が及ぶぞ。さっさとけりをつける。まぁ俺が言いたいのは」

そこで彰は隊全員を見渡す。皆決意に満ち溢れたいい顔ぶれだ。

「やるなら隊全員で暴れるぞ!」

この掛け声に合わせて敵に突っ込んでいく。

 

「おじっ、司令なんですか?」

「今間違えなかった?おじさんって間違えなかった?」

「間違えてません」

きっぱりと言う

彰がおじさんと間違えた人は彰が小さい頃に世話になった人である。今は軍の司令官を勤める。

「なんですか?ではなくてだなハァ

今回のお前の隊の行動、案の定上から隊の処分の件で圧力がかかってきた。おじさん悲しい。で、さすがにこれまで沢山五番隊を支えてきたが庇い切れん。そこで上は五番隊を解散、再構築する方向となった。因みにお前は懲戒解雇だ。···最後に聞く

本当にお前だな?」

「···はい」

「そうかこれは上からの些細な退職金だ。こんな世の中だからな。家で開けろよ」

司令長官は腰かけた椅子を回し彰に背を向ける。

「じゃあなお人好し坊主」

「ああ、おっさん」

と言い残し扉を開けて帰ろうとすると

「何故嘘をつくんですか隊長」

見慣れた顔が彰の前に現れる。

口々に五番隊の皆が不満を言う。

すると彰は

「今度嫁さんの誕生日だろ?···しっかり祝ってやれよ」

適当にはぐらかし彰はもう会うことがない奴等と別れた。

一応説明すると

王珍は所帯を持ち彰には家族がいない。

この都市で再就職は不可能に近い。それはそうだ皆寿命が無いんだ。当然、仕事なんてないに決まってる。

だから彰は家庭を持つ王珍を守ることにした。今回の件で明らかに五番隊の解散が予想された、勿論首謀者は解雇が妥当だろう。

王珍の代わりに罰則を受ける。これが唯一のあいつとその家族を守る手段だった。

「家で開けろ、か」

家といっても軍に支給された仮設住居、これも手放さなくてはならない。

そして封筒開けると本当に些細な金だった。これからどうすればいいか、と彰が封筒を覗きながら思っているとあることに気づく。

封筒の壁がいつもより厚い。

(ん!?)

接着されたとこを綺麗にはがすと一枚の紙があった。

 

極秘文書[新部署 特務課について]

特務課とは政治等によくある不正(横領、機密事項の漏洩等)を極秘に取り締まる。

結果はなんであれ、それを行われなければどんな手段もいとわない。

なお、この部署にて個人を特定されることを防ぐため正確な場所は存在しない。

任務については紙が個人へと依頼される。

また同じ理由で個人の戸籍等は自動的に排除される。

これの志願者を募ることを軍の司令長官に任せる。規則として候補を一人に絞ること。

 

ここで紙の内容は終わっている。

要は司令長官は彰を特務課に推薦した、ということだろう。

「おっさん、あんたの方がお人好しだよ。」

意図を悟ったのか、彰の目に活力がみなぎっている。

 

特務課に移って数年たった。

司令長官が何者かに殺され新しく世代交代も有ったりしたが不思議と哀しく思わなかった彰である。

何かと最近は頻繁に不正が多い。

妖怪の報告書について驚くこと、いや可能性としてはあった、

人と同じく知能を持つようになった報告例[その時の隊員はほぼ瀕死の状態]

を改竄しようとした研究者もいた。世も末だ。

「え~となになに?八意永琳」(確か最近を賑わす都市の頭脳と呼ばれるほどの天才だったか?)

研究に興味がある彰はあることを思い付く。

(丁度いい、俺だけだとうまく進まないとこがあったんだ。)

早速永琳についての情報、潜入のための構想を練り始める。

 

ピンポーン「すみませーん今度そちらで助手をさせていただきます。坂本といいますが」

無声音が続く、相手は生きてるんですかね。

ボーン「生きてます!?」

爆発音が聞こえると笑い事ではない。無礼と思いながら部屋に入る。

「これは派手にやっちゃいましたね」(あぶねぇ!)

女性はこちらに向かいはっとしたように瞳孔を見開き手や足がこちらへ飛んでくる。

「あなたのことはもう調べてるのよ?死神の坂本さん?いや、元五番隊隊長倉持さんの方がいいかしら」

「おー怖い怖い、俺のことは彰でいいよ。八意さん」

「永琳でいいわ。皮肉なものね。軍の死神が官僚の死神になるなんて」

永琳はつんと冷たい表情で言い放つ。

「よく調べたな。もう抹消してるはずなのに流石都市の頭脳と呼ばれるほどの事はあるな」

「止めてちょうだいその呼び方は私好きじゃないの、で何しに来たの特別諜報組織特務課は」

「お前を調べに来たってのは建前で提案があるんだ」

にかっと笑い彰がそう言うと

「···怪しいけど一応聞くわ」

訝しそうに彰を細めた目で見る。

「俺の研究を手伝ってほしい。勿論対価はある。実験台要るだろう?」

と言って自分を指差す。

「あなた正気?私の研究の主は薬よ。五体満足は保証できないのよ?」

「ああ分かってる。だけどその位しないと信じてもらえないからな。」

「研究にかけるその精神気に入ったわ。今度地下室まで案内するわ。」

満足そうにそう言い次の薬の研究について考えている永琳は仲間ができたと言わんばかりに嬉しそうな顔だった。

研究始めてから一週間過ぎた。

「あなたの能力の研究は面白いわね。」

と永琳が言う。

「そうか?元は俺の能力の疑問から来たんだが」

「あなたがいう[概念解釈の変化]は他の能力にも応用が効くわ」

「だけど扱うには不向きとか個人差があるしおれ自身も半信半疑だったしさ。永琳のお陰さ」

「そんなこと無くはないわね。」

「無いのかよ」

「ふふ、そう。無いのよ」

笑い声をこらえきれずえいりんは声を漏らす。

「初めて俺の研究見たお前の顔は爆笑もんだったよ」

「あれは忘れてよ!」

最初に見せた研究は概念解釈の変化を証明する研究だった。

彰は二つの同じコップを持ってきて永琳に持たせる。

重力を片方強めたコップを。

重力を操れることを知ったときの永琳はこの世のものじゃないものを見たような顔で滑稽だった。

「しかしあれは副作用があったから使いにくい。そこで永琳が提案した全てを足せば等しくなる理論。例えばエネルギー保存がそれに当たる理論を俺に教えてくれた。実行すると副作用は和らいだ。」

彰の能力は何をするんでも副作用があった。身体能力を上げると必ず筋肉が損傷し炎症を起こす。

「ここ一週間のあなたの研究の成果ね。私はあなたのお陰で薬の研究は進歩したわ。一度に傷を癒せる回復量もあがったしこれもあなたの身体能力を上げる程度の能力改め、能力を操る程度の能力のお陰だわ。回復力の変動のメカリズムを知れたのだもの。」

「まだまだ一週間だこれからの研究が楽しみだよ。あー久しぶりに充実してる。こんな生活が毎日過ごせればいいのに」

彰が他の人と仲良く何かをすることは無かった。だから彰にとってこの経験はとても新鮮に感じているだろう

「え?あっそうよね続けばいいわよね。」

「おいおい顔赤いぞ。まさか徹夜続きだったからか?気を付けろよ。お前がいないとこっちはこれからどうすればいいのか(研究を)」

「だっ大丈夫、なっなんでもないわよ(私のこと?)」

今またここに勘違いの種を産み付けて永琳は話を変える。

「それよりあなた、料理がうますぎよ。」

「これでも独り暮らしだったんだ、それくらい心得てるさ」

「それでも短時間で仕上げる技には目を見張るものがあるわ。研究者としては一分一秒は惜しいものだもの」

「軍の知識の賜物だよ。」

そう簡単に返す彰であった。

数年後

「今度飛ばすロケットの設計図か?」

「そうよ。また上も考えたものね。地上をどうにかできなくなったからって月に逃げるだなんて」

妖怪は知能をつけ人間の兵器に対抗できるようになりつつあった。

「まぁしょうがないことなんだよ。妖怪と人間は交わることはないんだ。」

「それにしても無茶な提案よね。この低予算でロケット全員分でしょ?人数の名簿は役所からもらってるけど···」

「ん、ああそうだな」

彰は気づいていた。この名簿の中に自分の名前がないことに、戸籍などはとっくに消したのだからのってるはずがない。

それに特務課としての最期の仕事としてこのロケットの護衛任務もある。明らかにここで死ねと伝えられているようだ。永琳の一件がバレたか?

ロケット発射前約一時間

ロケットは完成し一応皆乗れるようだ。一人を除いて

永琳に任務の話をするとひどく悲しんでいた。

これからその任務に向かうところだ。

「彰!待って行かないで私にはあなたが必要なの!(いろんな意味で)」

「ああ、俺もだ(同じ研究者として)だけど行かないと仕事だからそれに守るべきものがあるからさ」

「守るべき、もの?」

そこで警報が鳴った。

「それじゃ妖怪とダンスしに行かなきゃ」

「クスこんなときに何言ってんのよ。守るべきものを答えてよね、月で待ってるから」

「ああ、月でな」

妖怪はもう第二防衛ラインを突破しそうになっていた。

「おいおい、一番隊はどうした、いつから貧弱集団に成ったんだか」

一番隊はほぼ全滅六番隊もそろそろ総崩れしそうな勢いだ。

「仕事の時間だ」

と彰が行動しようとすると

「何一人でいこうとしてんすか隊長?五番隊はみんな同じ墓に入る。そう言ったの隊長ご自身ですよ」

「そうですよいつぞやの王珍みたいに抜け駆けですか」

「あれは違うっつーの」

「王珍五月蝿い。今大事な時間」

「なんだと?」

「まぁまぁそうかっかするなよ」

五番隊の面々が前に立ちふさがる。

「お前らの隊長はもう」

「なにいってんですか?私たちの隊長は貴方だけですよ倉持隊長、ささ早く指示を」

「お前ら···」

突然の三吉の発言に目頭があつくなる。

「物好きなやつがいたもんだ。

いくぞ!我ら五番隊はここ最終防衛ラインを突破されないこと、それだけだ。後は好きに暴れてこい!」

「「「「「はい!」」」」」

久しいメンバーを従え、ようかいたちを待ち受ける。

わーわーと妖怪が押し寄せる混乱の中に十数人の戦士たちが華麗に舞う。

どんな相手でも遅れをとらない五番隊、死神は健在だ。

ロケットは大半が射ち上がる。

ロケット発射終了まで約三十分

「あんた強そうだね。勝負しないかい?」

角を生やした妖怪が彰の前に立つ。

「生憎勝負する気はないな何せこんな乱戦じゃあな」

「戦場で軽口を叩けるなんて気に入った。絶対にいつかお前と戦ってやる。」

「オー怖い怖いまぁ一回くらいならしてやんよ」

と言いながら彰は周りの妖怪、二十数匹を相手にしている。

「私の名は鬼子母神 茜

宜しく」

実にこの状況で宜しくしたいやつなんていないだろうに

「あーはいはい何時か···な!」

華麗な不意打ちは軽くかわされる。

「不意打ちとは卑怯な!」

「勝負事には頭を使わんとな」

屁理屈を言い正当化すると

「確かに一理ある」

納得してしまう茜である。

ロケット発射終了まで約十分

「もうそろか」

辺りいったいを光が照らす。

「なんだなんだ?」

妖怪たちも驚いているようだ。

「あれは核か!」

 

「なんで発射したのよ!」

「いっいえ分かりませんからだが勝手に」

 

これでは妖怪もろとも五番隊のメンバー全員死んでしまう。

(あの大きさだと着弾まで数分とないぞここは都市の中心逃げることは不可能だ。)

すると彰は攻撃をやめ意識を集中する

(やったことないが一か八かだ)

力の方向を設定自分から放射線状に力を発達させる。

そして

「ENTER!」

「んなっ?」

茜も遠くへと吹っ飛ぶ。

「いつか勝負するんだろ?だったら生きろよ」

光は都市を包んだ。

焼け野原に一人の男が佇む。

小さな墓がポツリとそこにはあった。

 

遠くで女の子が見ている。

しかしなぜか誰もしっかりと補足できない。

「彰様、五番隊は。みんな一緒の墓よ」

と言いながら顔は狂喜に満ちていた。

「これで彰様の願いが叶った。嬉しい!」

 

言葉のとんちだけが事態を急速に方向転換を果たしていた。

一人の女の子のイタズラによって

 

そんな過去や行き違いが今を作り出している。

「そっそれで今彰は研究の方はどう?進んでる?」

「いや、これがうまくいかないんだ。横に幅広くはなるんだけど昔みたいに劇的に変化することはなかったよ。」

「それなら久しぶりに手伝いましょうか?」

「お、いいのか?なら助かる。ここへは定期的に来るとするよ。最近友達の仕事手伝ってるからさ」

「分かったわ待ってるから(やったー!)」

そう言い彰は屋敷に帰ることにした。買ってきたキノコと共に

(今度こそ逃さないわよ。彰)

そう永琳は決心していくのだった。




投稿日時が長くなってしまいました。
すみません。
言い訳させてもらうとデータが飛びました(笑)
もとに戻すのに手間と時間が··
そもそも時間がないのにームキー
まぁいつもどうりに戻ったので投稿を再開した次第です。


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設定2
設定 (一.五~二章)


今回は一.五~二章までに新しく追加された設定を記載します。
ざっくりと簡単にしていきますのでゆっくりしていってね


大前提として幻想郷の一部の人と友人関係です。(地霊殿のキャラとかは除かないとバランスが崩壊しますので察していただきたいです。)

能力は今まで自身の能力値を作用させるものが自然界まで能力の幅を増やすことが第二章の内容として大きなウィークポイントとなります。

 

内容を簡潔に説明しますと

様々なとこに挨拶に行こうとする彰一行はまずは紅魔館へと足を運びます。

館の主レミリア、フランドールスカーレッドと共に会食を交わす。

しかし突然のフランの激情に皆なすすべなくフランが外へと飛び出してしまいます。

そしてその頃黒の着物を着る女と狼の妖怪、我狼が下級妖怪を引き連れ人間の里へと攻め込む準備をしていました。

そんなことを知らない彰たちはレミリアたちと協力してフランを探すことを決めたのです。

そして次の日

彰は稗田という妖怪を調べ本に記している人にフランを操った犯人の手がかりがないかと会うことにしました。

ある日

天狗の里が何者かに襲撃されます。

このままでは壊滅的な被害を出す恐れがあると天狗の長、天魔は博麗の巫女と友人である彰を探し手伝ってもらうよう文を送りました。

その後麗霊霊夢とその愉快な仲間たちと共に天狗の里を救い、異変は終わると思われたが

同時刻

人里は襲撃に遭いました。なんとか彰の従者、くおとセレス、めいの三人と慧音、妹紅が人里に迫り来る妖怪を蹴散らす。

密かに彰はフランを救い我狼を倒す。その際に能力を何者かと会話をし、あることを決意したきみによって一部解放する。

 

とまぁこんな感じで二章が終了しました。

私の見解では多分

 

・黒の着物は何を目的としているのか?

 

・本の内容は?

 

・本の何を見て従者たちは驚いたのか?

 

・彰の昔話が多いが何を今までしていたのか?

 

このくらいの疑問が出ていると思うのです。

なので答える範囲で勝手に答えようとおもいます。

まずは黒の着物は何を目的としているのか?ですが

この二章を見る限り彰の能力の解放ですね。またそれがなぜなのかはお答えできません。

次に本の内容ですが簡単に言えばそれぞれのしてきたことがこと細かく記されています。

能力解放の仕方とか、そもそもどんな能力を託されていたのか、等々が内容となります。

その内容に驚いたわけですね皆は。そして最後に彰は昔、何をしていたか?

これは言えません。なぜそれをしていたかも関わってくるからです。

 

次に二章のはたてが登場した際に伝説の話をしていたと思いますがこの話も後に繋がっていき複雑なるので今は話さないで置きます。

また、私が提示した、概念解釈の変化というものをオリジナル設定として追加しています。

正直これがないと彰の能力の説明がしにくくなります。

理論としては

 

自分が考え信じている概念がそのまま能力として現れる。

一言で言うとこんな感じです。

結局は程度の能力なので自分自身も能力の把握をしていないのです。

つまりこの理論は自分が内心できるはずがないと思っていることを取っ払うことで能力の多様性を引き出すということです。

外の世界の人間は科学を、幻想郷では魔法を片方だけを信じているので、どうしても能力にムラがあります。

しかし彰はその境界がありません。(設定として)

この物語が主人公最強と私がタグにした理由です。(まぁほとんどの場合が保険なのですが...)

因みに彰は生物と能力の繋がりに関する研究をしている設定です。

ところで僭越ながら私は着物のデザインの挿絵を書かせていただきましたが投稿したかったんですが動作不良のため直接私のマイページで確認してくれると嬉しいです。

皆さんの想像力の足しになればと思います。(服しか描いていないので幻滅することはないはずです。)

 

繰り返し言いますが

この私の作品では主人公等に謎を散りばめていくスタイルなのであくまでも想像力を引き立てていくのが本筋です。

今回の挿し絵に関しまして読者のご判断にお任せします。(性格と今後の展開のキャラの立ち位置が分かりやすくなると思います。)

 

最後に他に質問がありましたら私はできる限り答えますのでお願いします。



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二・五章
花言葉


どうも久しぶりなあねへです。
投稿ペースは大体毎週月曜日になりそうです。
ではまたまた本編スタートです。


「冬はやっぱり炬燵ね。」

ぬくぬくと炬燵に温まる紫、

「そうだな」

彰が返す。

永琳の一件から大分経ち、そろそろ冬の醍醐味年明けの季節だ。

「炬燵っていいわよね温かくて。でもね...」

と霊夢も同意する。

「わざわざ神社に来る必要ないでしょ!何しに来たのよ!」

「「温まりに」」「息ぴったりか!」

まぁまぁと怒らせた張本人たちが霊夢をなだめる。

「そろそろ年越しだからぱーっと宴会でもするかとおもってな。それのための事前準備について話がしたいんだ。」

宴会場はまた博麗神社になろうとしている。もちろん無断である。

「するにしてもこの季節じゃあそうそう金が集まらないのよ。」

「じゃあ俺が負担しよう。「え!?いいの?」」

彰の思いがけない発言に霊夢は身をのりだし飛び込んできた。

「ああ、思いの外幻想郷の妖怪には俺の知らないやつもいるらしいからな。挨拶がわりに開催したいんだ。」

「あなたそういうところ律儀よね、まぁそこがいいのだけど」

紫が何か言っていたが彰は無視していた。

彰には考えがあった。それはこの宴会と同時に実地調査も兼ねてみようというまさに一石二鳥の考えだ。

「まぁどちらにせよ私は面倒だから後は任せるわ」

と紫はすたこらさっさと帰っていく。

それを呆れながら二人は紫を見ていた。

 

「さぁって仕事にかかるか。」

今彰は太陽の畑へと来ていた。

他の従者は大掃除をしている。

因みに彰はなにもしていないわけでもなくさっさと終わらしていた。

それはあとにして、

見事な花畑に目を奪われていると

「あら?久しぶりに客かと思ってきてみれば貴方だったの、彰」

 

倉持邸 同時刻

 

「終わらないよ!」

「さっさとしなさい。これも仕事よ」

セレスが駄々をこね、めいが叱るこの構図はもう見飽きた光景だった。

「だってご主人ズルいよ。すべて能力で解決しちゃってさ。自室の掃除数秒で終わらしたんだよ!」

彰の能力、ベクトル操作と様々な力のを操る能力はまさに掃除に向いている。

動かしたくないものと塵の重力を変換して塵をまきあげ、大事なものはさらに下へと押し付ける。

その塵を風力か何かで吹き飛ばせはよいのだ。

倉持邸の構造は西館、東館、南館、本館の四つで成り立っている。西館は前にいってたように書物を、食材については東館、南館は客室、そして本館は自室等の多目的ルームとなる。

勿論それぞれに、めい、くお、きみ、セレスが担当している。

そこにパリーンと窓から迷惑な客が来たようだ。

「彰さんはいますかね?」

「いませんのでお帰りください」

「あやや、そうですか。じゃあここらへんで失礼···しませんよ!本人がいないってこ、と、は」

と不気味にクスクス笑い、辺りを見渡す。

「主にパパラッチは禁止なのでお帰りください。」

さっきからめいが的確に対応に当たる。

一応説明すると掃除中は結界は解いてます

「というのはおいといて、もう大掃除ですか?」

文がそう聞くと、

「そうです。我が屋敷はこのくらい早くしないと賄えないので」

「扱いに困るとこですね」

さっきまで窓割った者とは思えない言葉だ。

「窓割った請求は天魔様にお伝えしておきますので」

「あやや、そこをなんとか」

「ご主人様次第ですので私に懇願しないでください。

それにご主人様を待つと言うのであればそれなりに対応させていただきます。いい意味で」

どういう意味だと文が半信半疑で様々なことを思いながら

「じゃあそうさせていただきます。」

よっぽど済ませたい案件なのだろう。あの文が待つといったのだった。

 

花畑は彰を歓迎するかのように風になびいている。

「ふぅん、花束ねぇ」

概要を説明すると悩んでしまった。

「出来ればあそこに咲いているポインセチアの花にして欲しい」

「なんで?他にも花はあると思うけど」

純粋な疑問を幽香が言うと

「人間はこの花を贈ると花言葉で祝福と言う意味になるらしいんだ。年越しに最適だろう?」

ポインセチア、十月~十二月までに咲く時期の花だ。

花言葉ねぇ。私、名前もそうだけど人間が勝手にそう言うだけで花一つ一つに直接の名前はないのよ。本当に人間は自分勝手よね」

「まぁまぁそう言うなよ、たまにはそれにあやかってみるのも一興だろ?」

花をこよなく愛する幽香の不満を彰があいずちを打ちながらも説得する。

「ふふ、何よそれ。まぁたまにはいいわよ。じゃあそれにしましょ」

「とまぁ一応仕事終わったから俺はこれで帰る···わ」

そう言おうとした彰の肩を何かがかすりながら射線上にあった木を横たわらせる。

「まさか、せっかくの再開を何もなく帰らせるわけないじゃない。ねぇちゃんと約束覚えてる?(あなたが欲しい)」

幽香が誰にも近づけさせない冷たい笑顔で口を開く。

「ああ、勝ったほうが相手にひとつ何でもことをきかせる、だっけか?」

「あなたに一回も勝てたことないけど、もう一回挑戦よ」

「わかった始めよう。確か被弾を二回か?」

「ええ。あと何を使ってもよい。」

花畑の中二つの影が対峙する。

「「じゃあ始めよう(ましょう)」」

「元祖マスタースパーク」

「いきなりかよ」

そう言いつつ避ける彰。

「決着は早くしたいの」

そう言うが幽香の顔には焦っているわけではない。

「どうしたの貴方ならもっと速く避けれたでしょ?」

「こっちにも事情があるんだよ!」

彰は妖力弾を形成し放つ。

流石大妖怪と言うべきか軽々と避ける様はまるでドッチボールを避けるように遊んで見える。

一進一退の攻防をしていると彰が花畑に足をつける。

すると

「今よ!」

幽香がそう言うと植物が彰の足に絡み付く。

「んな!?」

彰は反応が鈍り幽香の弾幕に当たってしまう。

「お前植物操れたっけ?」

「違うわ。お願いしたの。足に絡み付くようにね」

幽香はさらに弾幕を追加する。

「そろそろ終わりにしないと心配をかけてしまう。」

西日が眩しくなっていた。

「いくぞ!」

そう叫ぶ彰

それに対し身構える幽香

奇跡的に互いの弾幕がぶつかり合う。

土煙が辺りをたちこめる。

幽香が

「彰、あなたこれを狙ったでしょ。」

「この勝負は御預けだ」

またあなたは逃げるのかと幽香が訝しげに彰を見る。

結局その日はおじゃんとなった。

ポインセチアが幽香を励ますように風に揺れていた。

ポインセチア花言葉

         祝福そして「元気出して」




今回は幽香回になりました。
花言葉の使い方がよくわからなかったので今回使ってみました。
どうですか?
深い内容に仕上げたつもりです。
今後も花言葉は多用させていただきますので
よろしくお願いします。


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天翔の曲芸師

今回は天狗の話になります。



屋敷に帰るとめいが迎えてくれた。

と同時に文もいた。

「酷くないですかね?人の顔見て表情を百八十度変えるなんて」

「物事そんなものさ」

文の不満を受け流そうとする彰。

「理由になってませんよ。後聞きたいことがありまして···」

大掃除のかいあってピカピカになっていた。これもみんなのお陰だ。(文は別)

(後で御褒美でもやらんとセレスが面倒になりそうだ)

セレスが駄々をこねているところを想像してしまう。

「···と言うことで今回は異変と彰さん本人の取材です。」

「なんで今さらもう数ヵ月過ぎてネタの新鮮さにかけるだろう?」

「いえいえ、面白い一枚がとれまして」(はたてには感謝しませんとね。お陰でネタに対し慎重に動くことの大切さに気付きました。)

と言って彰に一枚の写真を手渡す。それはあのとき妖怪を吊るしてた時の写真だ。

「これは?(このときの俺は確か能力で天狗になってたっけ?)」

「天狗の記録に載ってないはぐれ天狗ですよ」

文は写真に写っているものをいいように勘違いしたようだ。

「これについては、はたても追っています。なんと!この方に助けてもらったそうですよ!」

「俺も来たばかりだから、詳しくこのような天狗は知らんな。」

そうとぼける彰、文はまだ話を続ける。

「それにですね。その天狗私たち天狗の里に伝わる伝承の天翔の曲芸師の記述に似ているらしいですよ。」

(これまた驚いた。まだ残ってるのか)

「まぁこの分野に関してはまだわかってないことが多い。またの機会までに調べておこう」

「いいんですか!?」

文はちょっとした情報屋を見つけたかのように喜ぶ。

「このくらい副業にもならんよ(だって本人ですし)」

「ありがとうございます。(これは、はたてには内緒ですね)」

「それではまたの機会に」

と言って文は風のように去っていった。

「めい、結界の強化を」「は!分かりました。すぐ手配します。」

(これはあいつに根回ししないとな)

天魔に念を押すことも明日の予定に入れた。

 

彰は森近霖之助というある意味なんでも売り買いができる店があると魔理沙と霊夢に聞き、挨拶へと向かった。

「あなたが森近さんでいいのかな?」

「霖之助でいいよ。それより君は誰だい?ここらでは見かけない顔だが···」

香霖堂の店主、森近霖之助が姿を表す。

「ん、俺か?これは失礼した。俺は倉持彰数ヵ月前に引っ越したものだ。」

「へー君が彰さんか。」

「彰でいいよ。なんだ俺のこと知ってるのか?」

軽く挨拶をしひとつ質問をする。

「ん、いや魔理沙この前にそんなこと言ってたなと思っただけさ。で、この度何か買い物かい?」

「いや、ただの挨拶だよ。」

旨を伝えると霖之助は

「ふーんそうか。ところでスペルカードルールってのがあるんだが、彰も持ってるかい?」

「持ってないよ。そもそも持たないようにしてるんだ。これでもやっていけるからさ」

「なにもなしに丸腰で妖怪でも遭遇したら大変さ。彰も護身用になにか買ってくといい。」

何かと霖之助が武器を薦めてくるが

「大丈夫さ間に合ってるよ。それに俺も昔は武器のひとつは持ってたさ」

「そうか。その武器はどこに?」

「んー説明が難しいから簡単に言うと俺の手に届かないとこかな。」

「これまた酔狂なことを。まぁそれは個人の勝手だからいいけどな」

これも仕事のうちなので多くは語らないようにする。

どこから情報が漏れるかわからないからだ。

「今度年明けごろにまた宴会でもするんだがどうだ来るか?」

「うーん。正直行ってみたいが場違いも甚だしい」

確かに今さら皆に会うのもなんだかおかしい、御年玉ねだられそうだ。

「そうか。じゃあこれと言ってはなんだが、宴会用に酒でも売ってくれないか?」

「うちはそういうの売ってないんだよなー。まぁあったら安く売らしてもらうよ。」

「じゃあその時に」

簡単な依頼をしてその場を後にする。

「挨拶ねぇ。こんなとこにわざわざ来るものもいるもんだな」

そう言って霖之助は店の奥へと潜っていく。

ある程度進み人気のないとこで姿を変える彰、姿は天狗その者だった。

 

天狗の里 天魔の書斎

「相変わらずお前はいつも眉間にしわよせてんな」

「おお彰、いや、今は翔といった方がいいか?」

そう彰改め翔が顔を出す。

「だな、そうしてもらいたい」

「で、今回はなにか用事でもあるのか?」

「お前んとこの新聞記者が家にまで来たぞ」

「ったくアイツは迷惑かけるなといつもいってるのに。「それと伝承まだ残ってるのか?」ん、ああ」

「あれはしょうがなかったんだ。今は失踪として処分している。」

「まぁいいけどさもう少し記述の中身を薄くしてくれ、まさか写真と比較されるとはおもわなかった。」

翔は天魔に不満をぶちまけると

「···善処する」

少し脱力気味である。

「あと、宴会を近くでやるんだかまたくるか?」

「いや、こないだもやったし天狗の士気が乱れて今度のようなことになるかもしれん、それにどうせ文がそっちいくから」

はぁーと天魔は断ると同時に文に対する諦めを露にする。

「それもそうだな。最後におっちゃんと話がしたい」

「死期が近いことを知ってたのか···」

「まぁなおっちゃんには結構お世話になったし最後くらい挨拶しときたい。翔として」

「そうか。」

と天魔が言うと翔に行動を促す。

 

「よぉ、おっちゃん」

彰が挨拶をすると

「おお、翔かどうしたよ久し振りだな。」

ヨボヨボのじいさんと化している天狗の元長だ。それに天魔を今の地位に推薦したのもこの者だ。

「お前は老いを知らんな。俺はもうじき死ぬ俺にはわかる」

「大丈夫さ。まだまだくたばらない、いやくたばれないだろう?」

「こないだの件はとてもお世話になった。未だに天翔の曲芸師は健在だな。だが」

そう言い片方しかない翼を翔に見せる。

「お前も知っているだろうが、吸血鬼の一件で片方の翼はもう戻らん」

「だけど今も生きてるだろ」

相手はそれを無視して

「お前が天翔の曲芸師と呼ばれてた頃が懐かしい」

「何物思いに耽ってるんだよ名付け親が、あれ結構迷惑してるんだよ。」

「ふん、お前が俺らの前で能力を使ったのはあの一件で初めてだろうに」

拗ねてしまった。

「お前が俺のことを助けたときの姿がまるで西洋の方で言う曲芸師というのに似てると思っただけだ。」

「ああ、そうかい。そろそろ自嘲してくれもう若くないんだろ」

「はいはい分かったよ。」

そのあとは暫く時間を噛み締めるように静かで時間の感覚が変に感じた。

「お前は自由に生きろ。世の中は不条理だ。近くでいがみ合ってた鬼もいつの間にか居なくなってしまった。」

「うん、分かってるよ」

そう言い捨てて部屋をあとにしようとするとおっちゃんが照れ臭そうに足を止めさせる。

「あのときは助けてくれてありがとな。」

翔はそれに笑顔で応え後にする。

 

天翔の曲芸師  山の救世主第六項(古いため一部正式的の名前となっていない)

 

ある日の夜、空を翔る天を翔る鬼(吸血鬼)の団体がひとつ。

それは山全体を覆い、天狗のいや、因縁の山の鬼にも被害が及ぶ。

天狗の長でさえ空の鬼にたじたじであった。

そこに鬼の団体に穴を開けた天狗が一影、その影は物を浮かせ操り鬼の団体に甚大な被害を与える。

その後に山全体に希望を与えるがその天狗は風のごとく失踪し今に至る。

天を翔る遊び人またの名を天翔の曲芸師

皆が、その遊ぶかのように戦う姿、いつの間にかいなくなることから連想させられた。

 

「あの時におこった出来事は忘れられない。いい意味でも悪い意味でも」

「ふーんそう。やっと会えたわ。久し振りね()()()さん?」

あれから人気のなくなった一室に天狗の元長と黒の着物がいる。

「見つかってしまったか。」

「この私がここまで手こずるなんて」

「年寄りをバカにしてはならんと言うことだ」

「まぁいいわ、私の足が着くのは少し良くないの。だから···」

そう言う前に行動するのは流石は天狗の元長だ。

「その体ではうまく動けないでしょう?」

しかし黒の着物は首根っこをつかんでいた。

そして黒の着物は

「死んでくれる?」

握られている首と胴体はとっくに離れていた。

生首は何も返事をしない。

 

倉持邸

きみは起きてから手をグーパー交互に動かしていた。

(おかしい、あの本に書いてある異変がまだ起こっていない)

能力解放にはある制約があった。それは術者の体の崩壊だ。

彰の能力で留まっていた体が解き放たれたのだ。

今頃バラバラになっていてもおかしくない。

なのに未だに体の異変が起こらない

(これは御主人でも知らない何かがあるということか?)

「きみー朝だよー」

セレスの声だ。

(考えるのはしょうに合わないからまぁいっか)

謎は深まるばかりである。




そろそろ宴会をして違うキャラを出していこうと思います。


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一年の終わりにて

どうも、あねへです。立て込んでいて
前も言いましたが約毎週月曜日投稿としたいと思います。
前置きはこのくらいに
では始まりー始まりー


あの件で宴会をしているのにも関わらずまたもや宴会をしている。彼らはとてもお気楽である。

賛同していた彰でさえそう思うものだ。

魔理沙のお陰でたくさんの人が来た。(魔理沙に言ってないのに)

「今年はいいことや悪いことが有りました。」

「だな。」

めいの発言に彰が賛同する。

「生活のリズムも変わりましたし、今後も気を付けたいものです。」

「それができないのが人間であるけどな。なにかしら失敗はするものだ。」

「確かに私もそう思います」

慧音の登場とともにめいが席をはずす。そういうところは従者として仕事をはたす。

「ん、慧音か。だがそんなことがある世の中に俺達は生きている。それは変わらない事実だ。だからこそ、俺達はその失敗を糧に頑張ろうとする。慧音も何かあったら自分の中に仕舞ってないで俺とかに相談しろよ。あとこないだはごめんな寺子屋いけなくて、うまく予定が合わなかった。」

そう言う彰に慧音は大振りに手をふり

「いえいえ、私は大丈夫です。いつでも来てよいので、ところで早速質問なのですが···」

と切り返す慧音

「ん、ああ、慧音のことだからな。そうだと思ったよあれだろ?子供の理解の差についてだろ?」

「何でわかるんですか!?」

「俺は昔からお前を教えてたんだぞ。そのくらい考えたよ。」

「···流石です」

慧音は絶句している。

「慧音は特殊だからな。突き詰めるタイプだからといって子供にそれを求めてはいけない。

子供にもある程度得意不得意があるもんなんだよ」

「でも、私はこの人里に恩返ししたいのです。」

「分かってるよお前の気持ちは、だがな慧音。だからこそ慎重に教えていくものなんだよ、

今度俺が直接子供に教えて見るからさ」

「分かりました。ではあちらで妹紅が喧嘩しそうになってるので静かに(頭突き)してきます。」

「おっおお、頑張れ」

ではと慧音が妹紅のもとへいく後に鈍い音

「あなた案外顔広いわね」

「お、今度は霊夢か。ああ昔のいた友人達だ」

「ふーんそう。それよりあなた、人間かと思ったら妖怪だったの?あの件から妖力が感知できるわよ。」

「そうかい。まぁ今のところは妖怪ということにしといてくれ」

納得いかない顔を彰に見せるが、

「まぁいいわまた今度異変が起きたらその時は宜しくね。」

「おう任せておけ」

と霊夢がどこか行く

今回の宴会メンバーは主に萃香、慧音等の人里メンバー、永琳とかの永遠亭メンバー等である。あ、そこで一人幽香がポツリ花に話しかけてる。

(紅魔館メンバーを除く)

「ふふ、愉快ね」

「紫か。」

「ええ、こんなとき位しか会えないもの。近況報告といきましょう?」

「分かった」

管理人とその代理の近況報告が始まる。

「こないだのあの異変は幻想郷のルールを著しく逸脱してるわ。」

「確かに前も霊夢が言っていたが直接死人が出るのはおかしいらしいな」

「ええ、パワーバランスを保つためのスペルカードルールなのに」

「今後もこういうのが続くとなると対策は必要だな。」

ここまで述べていくと紫が

「ええ、ある程度、度が過ぎると私達が直接出てくるのはどう?」

「それこそパワーバランスという前提から逸脱してるぞ。

それは管理人の権力の誇示と言われても言い訳のしようがない」

「そうなのよね。と言うと霊夢に悪いけど何かしらしてもらわないと」

「そうだな。直接俺達は出てこれない。ここは紫が作った物だからな。台無しにはできない、慎重にいこう」

「いつも思うけどあなた感情が直接すぎるのよ。まぁそれより

どう?スペルカードを持つ気になった?管理人の代理なんだからある程度は必要だと思うけど」

「毎回言ってるが持つ気はない。と言いたいが少しその考えは難しいかもしれない」

「だったら「それでも、俺は持つ気はない」何で?」

「俺は確かに幻想郷管理人の代理だ。でもそれと同時に幻想郷の住人でもあるんだ。だから俺の意向は下級からなんでも仲良く過ごせる世界、そのために対等でいたい。」

「それはエゴよ。その考えはいずれ限界が来るわ。」

「だな、でもここは幻想郷、少し位幻想みても良いだろう?」

紫は少し考える仕草をして

「···結論は出さないわよ。それも幻想だもの」

ふふと笑いながら隙間に入って酒の肴をつまみ食いをする。

(隙間は無法地帯か。)

と考えていると永琳が近づいて来る。

「どう?調子は」

「お陰様でうまくやってるよ」

「そう、ところであの子達はあなたの子供?」

「真顔で言われると怖いからやめろよ

あと違うぞ説明するには難しい存在さ」

「はぐらかし方が悪いわよ。」

「そこはしょうがないさ。楽しんでるか?」

「特に面白い話があるわけではないしあなたとの話の方が楽しいわ。」

「確かに昔はこんな感じで研究の話をしてたな」

「長い期間空いちゃったから聞きたいのだけど?」

とここで永琳が質問する

「本当のところ子供もいないの?」

「確かに目一杯生きていたが子供は持ったことがないな、いや持ちたくないな」

「またなんで?」

「そりゃあ俺自身、自分の体のことが分かってないからな。一応何回も体が再生するから子供は作れるけど

一番の理由は例え産まれた子供がいたとして、俺みたいに永遠を生きるか、俺より先に死ぬなんてこと嫌だろう?

そんな俺みたいな境遇はさせられない」

彰は強く拳を握り意思の強さを露にする。

「そう、ね。そんな悲しいこと、出来ないわよね」

「そんな暗い顔するなよ。別に興味がないわけではないんだ

ただ怖いだけさ」

彰の体は例えばプラナリアみたいな構造であり壊れる前の部分を記憶し、それを急速に再生させる

そのため蓬莱の薬みたいな事はない。

「姫様がいるんだっけ?元気か?」

「そこにいるわ。まぁ元気だけど、外へ出たがらないというかなんというか」

「はぁ?」

「まぁ定期的に体を動か(戦闘)してるけど妹紅と」

「ああ、そう」

そこで話が途切れる。

「楽しそうにしてるならそれでいいさ」

「私もそう思うわ」

そう言って永琳は妹紅たちの方へと足を運んでいく

「やっと見つかりました」

「阿求か今日は多いな」

「貴方、この前人里へ来たと言うのに挨拶もなしですか!」

「あーそう言えば取材だったか?」

「自覚なし」

ため息を漏らす阿求確信したように、

「貴方のこと少しずつわかってきました。」

「ほぉーそれは楽しみだそれで?何が分かったって」

「貴方の正体です」

自信満々に言う

「確か俺は人間といったが?」

「人間は人間でも昔は人間だった。ですよね?

全ての失踪記録、死亡記録、今の名簿すべて照らし合わせました。

昔の人はこの矛盾に気づかないとは駄目ですね」

ピクッと彰は動くのを感じる。

「貴方は死亡記録にはないのにも拘わらず失踪記録に名を刻んでいる。」

阿求の意味合いはあり得ないことを述べている。

失踪とは生死が判らないものを言う。

一般的にも失踪記録はある一定の時間がたつと死亡記録に移される。人間の寿命を遥かに越えたら死んだも同然だからだ。

「あなたもわかっていると思いますが死亡記録に名前がない失踪者など存在しません

貴方、記憶操作したでしょう?」

「っ!?」

明らかに動揺している彰

珍しい

「貴方の能力の転生する程度の能力はそんな全体に対して効果を発揮するとはとても思えない。

そもそも人間の身体能力にも限界がある。

つまり!貴方は転生する程度の能力ではないこと

そして人間ではないこと

証明しました。どうですか?稗田の力は?」

「···う~んいい線行ったんだが惜しい」

と彰があっけらかんと言う

「なっ!?そんなはずは」

「俺は人間じゃない確かにこれは間違いではない

だが、ここから先所謂俺がどうしてそれをしたかをハッキリさせていない。その点で惜しいと言ったんだ

しかしまぁ昔の記録を調べるほどのアホは居ないと思ったが

と言うことで俺の能力は能力を操る程度の能力だ。記憶力を操れば記憶することさえできないだろう?

そして次の問いだ。

何故俺は記憶操作をしなくてはならなかったか?」

「貴方は謎が多すぎて手に負えません。ですが暴いて見せましょうその秘密を」

そう言って阿求は宴会場のどこかへいく

 

暗い森のなか

 

「貴方は私を捨てました。

壊れた私を捨てました。

ふふ、壊した貴方はどこへいく?

壊れた私もどこへいく

貴方と暮らしたあの日々は

私の行動原理なの」

不思議な植物は、黒の着物と共に

「一つ目開花、次は二つ目ふふ、楽しみ···

彰様、貴方の願い叶えます」




ようやく第三章に入ります。
遅くなりました。
最近ハーレム要素少ないですね反省します。
導入までの流れをどうするか、これが問題になってます。
まぁ何となくでいきますよ。


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何もかも突然に

三章の前準備を始めます。


貴方は私を捨てました。

どうしてでしょうか?

私が何かしましたか?

貴方の機嫌を損ねましたか?

私は判らない。

貴方の考えていること

私の行き着く先も

「くそ!どうして、どうして!···」

いつも貴方は悩んでた。

私は(大丈夫、大丈夫だから)

といい続けてましたね。聞こえるはずないのに

「あとすこしなのにどうしてうまくいかない!」

貴方はいつも私を怒りの捌け口にしてましたね。

八つ当たりなど意味ないのに

「あ~あボロボロだ。どうしよう繕うにしても俺できないし」

貴方はいつも私を直してくれようと努めてくれましたね。

結局直りませんでしたが

「···ごめん」

(なぜ?私は怒ってないのにどうして捨てるの?いつも一緒だったじゃない。駄目!捨てないで!)

暗い何かの箱に入れられ何処かへと旅たつ私

右手はとっくになくなってる足もない

ねぇどうして捨てたの?私には判らないよ。

 

「良いわねぇ。その答えを求める欲望、好奇心

とてもいいわ。ねぇ?私が教えて差し上げましょう

人形が求めたその答えを

貴女を捨てた意味を私が。

貴女の感情などどうでもいいわ

協力してもらうわよ。私の願いのために···」

 

宴会場は終わったいつもどうりのメンバーが酔いつぶれている。

「永琳がいて助かったよ有難う。(棒)」

「まさかこれの処理のためにわたしをよんだの?」

「「「「うん!」」」」

彰、従者皆大きく頷く。

怒りがこのまま鈴仙にいくなど思いしていないだろう。

 

現在春

未だに桜は咲かず

博麗神社にいる霊夢は叫ぶ。

「どうして咲いてないの!冬が終わってない訳じゃないのに」

明らかに東方妖々夢の異変とは違うものである

それも霊夢は感じているだろう

幻想郷じゅうが花を咲かせず、いやむしろ枯れかけている

霊夢は近くの木に触れる。

バリバリ

「え!?脆い」「どうしてくれるの?これじゃあ花見もできないじゃない」

隙間から出てきたのは紫だ。

「私にも判らないわよ。貴方管理人ならなにかわかるんじゃないの?」

「何か異物感は有るんだけど、それがなにか判らないのよ。

相手も私の行動を読んでるみたいにすり抜けてくし、今藍たちに捜索させてるわ

あと、どこもかしこも妖力を感じるせいで捜索妨害されてるのよ」

確かに妖力を感じるていうか妖力しか感じない

「見つけられそう?」

「う~ん判らないわ、そもそも花映塚みたいに黒幕がいない可能性もあるし」

少し霊夢が悩み、

「めんどくさいけど取り敢えず、捜索してみるわ。花見のために」

「臨機応変にね」

といって隙間閉じる。

そんな彼女らの対話に見向きもせずに妖精が遊んでいた。

 

「これはあまりよくないな」

人里ではこの問題は深刻なものであった。

「土も死んじゃってるわい。これじゃあ畑仕事もできねぇだ。」

「んだんだ。」

「なにか対策はないかの~?慧音先生」

「これについては判らないことがありすぎるため少しばかり時間をいただきたい。皆さん済まない。」

といって頭を下げる

「別に謝ることないさ、一応まだまだ残り物があるからそれを皆で分けることにするよ。」

田んぼの作物はほぼ枯れてしまっている。

新しく植えるも、土が上手く機能してくれない。

今人里は飢餓の危機にひんしていた。

そんな人里の対応に追われる慧音

そしてその頃彰は西行寺家の屋敷、白玉楼に向かっていた。

「改めて来ると階段多いよなここ。」

すこしばかり不満を漏らし階段を上がっていく。

 

白玉楼

「ふー、やっぱり長かった。」

「あらあら誰かと思ったらあなたじゃないの彰、何?厨房ならあっちに···」「お前の飯を作りに来たんじゃないぞ!」

彰を厨房へと誘おうとしたこの者こそ白玉楼の主西行寺幽々子である。

「一応念のためも兼ねてきたんだよ。」

「フフ、私にはどっちでもいいわ。」

「お前なぁ···」

彰の首筋に冷たいものが

「幽々子様から離れなさい侵入者」

「ふふ、背後とられちゃってるわよ」

妖夢が彰の後ろから刃を突きつけていた。

幽々子は何時も呑気である。

「う~ん及第点もいかないかな?」

「何がですか?」

そう妖夢が訊ねると

「「「「こう言うことです。ご主人様から離れなさい」」」」

背後をとられていたのは妖夢の方だった。

「んなっ!?」

必死に振り向くと

「はい、これどうぞ詰まらないものですが」

「え、あ!はいこれはこれはありがとうございます?」

彰特性大福をあっけらかんと妖夢は受けとる。

それを見て幽々子は扇子を口元に広げ爆笑していた。

 

「この度の非礼まことにすみませんでした!」

「いやいいよ。その方が従者として利にかなってるから」

「しかし、「それより大福、食え食え」あ、はい」

彰に謝る妖夢だが大福を食べ、たちまち落ち込んだ気分を吹き飛ばす。

「これは!美味しいですよ、幽々子様!」

「ふふ、そんなに興奮しないの。知ってるから」

幽々子は大福を頬張りながら言う

「そう言えば妖夢は剣術を極めているというが···妖忌は元気か?」

「正直わかりません。しかし、祖父を知っていると言うことは西行妖の満開の時に?」「いや、俺はそこにはいなかった」

あの時は紫が屋敷を見つけられなかったため知るよしもなかった。

「いえ、まだまだ私は半人前です。誰であっても背後をとられるなど···」

実際に四人も後ろにいたのに気づかなかった。

「じゃあ俺が稽古してやろう。俺も少しは使ってた時期があるからさ。」

「貴方については祖父から聞いています。あの祖父が認める相手···是非お願いします。」

彰の誘いに妖夢は乗った。

 

「もう少しそこにいといてね彰様、何事も準備は大切だもの、ふふ」

何時も通り黒の着物は彰の近くにいる。




後二話くらいで三章入ります。
また、新しく小説を書き出しましたが、投稿ペースとしてはこちら優先でいくので今後とも応援のほどよろしくお願いします。


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異変の産物

あねへです
これでやっと始まります
これでニ.五章完結です。


妖夢と彰は安全を期すため木刀を所持し対峙する。

それをのほほんと見守る幽々子、

「妖忌は妖夢に斬ることで真実を知るということを教えたんだっけ?」

「はい、そうですが」

「事後解釈も必要だし否定はしないが斬る前の真実も大事ってことだよ」

妖夢は少し考えた後

「は、はぁ?勉強になります。」

あまり理解していないようだ。

「あっ後妖忌は妖夢に一対一の戦闘の仕方しか教えてないのか?」

「違うのですか?」

「ん、基本的には変わらないけど1つのことを念頭に置かないといけないことがあるん...危ない!」

彰が何かに気づき妖夢を押す。

「えっ!?」

何が起こったか分からなかった妖夢だがあるものを見た瞬間、絶句する。

西行妖が枝を妖夢に向かって刺そうとしていたのだ。

(西行妖が三部咲きしてる?)

「多分最近地面に妖力が満ちてきたからそれが溢れて冥界に流れてきたとか?」

適当に推論を展開し今の状況を整理する。

「おっと危ない」

枝によって小さなクレーターができる。

考えている余裕はないようだ。

「丁度良い妖夢、指南を始めよう!」

「え、あっはい!」

「まず最初、相手が一対多数の場合、大切なのは後方の敵のみ」

と言って後ろから来る枝を木刀で叩き落とす。

幸い西行妖は満開ではない。頑丈さがない今が封印には丁度良い

「二つ目

それでも相手の数が減らない場合、人間の反射神経を最大限使え」

他方から来る枝を寸前でかわし叩く

「そして三つ目

相手の本陣を狙う場合、行動で相手を巻いてから攻撃の準備」

木刀を上に投げ、後退する枝が追いかけ集まっていく

なぜであろうか?皆さんも相手に殴られそうなとき相手の腕を押さえる等の行動をとったことがあるはずである。

要は攻撃の適応力が高いため西行妖は攻撃を与える木刀に向けて攻撃をしようとした。

攻撃手段を制限しようとしてきたのである。

そうこうしているうちに決着が着くようだ。

「これで終わりだ!」

最後は彰が直接触り力を吸収する。

まだまだ三部咲きだったのが良かったのか、案外速く鎮圧できた。

 

「疲れた。」

「ふふ、お疲れ様お茶よ」

幽々子が淹れてくれたようだ。

「ありがとう」

飲みは終えると

「おかしいわね即効性の睡眠薬入りなのに「ぶふー!何入れてんだ!?」」

「だって貴方にはもう少しここにいてほしいもの」

「俺の人権は!?」

小さな論争が始まる。

「満開の時にも来てほしかったわ。」

端から紫が見ていたようだ。

「しょうがないさ、それに今の俺では満開の西行妖を食い止められない。」

紫の不満にごめんと彰は言う

「あなたの戦闘力が未知数というのがわかったわ」

呆れなのか安心からなのか分からないため息を吐くのだった。

 

一昔のことだ目的を果たすため彰はここを訪れる。

「俺を殺してくれ」

最初に彰はそういった。

「なんで?」

幽々子は訊ねる

しかし彼は答えない。でも何かに絶望したような、そんな虚ろな目をしていた。

暫くすると彼は無言のまま空を見上げていた。

「何を見てるの?」

「空だ。」

「空なんて見て此処なんてあまり良い景色じゃないわよ」

そう幽々子が含み笑いをしながら言うと

また何も答えない。縁側でただ空を見るばかりである。

妖忌が斬ってもよいかを幽々子に訊いていた。

幽々子は少し待ってと言い彰に近づく

「貴方に何があったか知らないけど、そんな思いする位なら死んだ方がマシなのかしらね。

でもあなたを殺せたとしても、私にメリットも何もないわ」

そう言い彰の反応をうかがう。

「それに貴方は今まで生きてきたなかで何でも自分の意思の通りになった?」

はっとしたように彰が幽々子の方を見る

「無いでしょう?だから私は貴方を使い回すと決めたわ。だって殺してくれと頼む者なんて今まで見たこと無いもの。面白そう」

何故か殺してくれと頼んだはずが白玉楼にすむことになる。

あり得ないくらい端的だがこうとしか言いようがない。

そして時間と比例し次第に彰は幽々子に話すようになった。

縁側にて

「前に幽々子は何故空を見るかと言ったな?あれは俺の罪さ」

「行きなりどうしたの?彰」

「これは殺してほしかった理由の一つさ。」

しかしこの話の続きはしなくなった。

 

西行妖を無力化して暫くすると捜索を開始することになった。

「じゃあ、行くとするよ。」

「寂しいわ。面白い話を聞きたかったのに」

幽々子がそう言うと彰は少し考えて

「お花見の時に続きを話してあげるよ。」

「ならいいわ早く異変を終わらせて」

いつまでもわがままを言うものだろうか

「ああ、善処するよ」

 

倉持邸

「ご主人様失礼します。おや?彰様その本は前も読んでましたよ」

めいが彰の書斎へ入ってくる

「そうだったっけ?もう古書一周したか」

「いえ、昨日も読んでおられました。」

「ふ、物忘れとは俺も、もう良い年といったところか」

めいは少し違和感を感じていたがすぐ気のせいと思い

「何にせよ内容を憶えるほど読んでますし、気のせいですね。」

と言ってベットメイクを済ませ退出する。

(明日までに本格的に異変への対策を出さなくては)

彰はそう思い一夜を過ごすのだった。




上手く文章がまとまらない
やはり難しいものです


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第三章
虚無の人形~上巻~1


第三章スタートしました。


今回の異変をまとめると

植物が枯れる、地表面に幅広く妖力が溜まっている。その結果それを吸った西行妖は暴走を始める。

といった具合である。

ここでの疑問は一つこれは何者かによる謀略かもしくは花映塚の時のように外の世界によるものかである。

何にせよ、このままでは農民の食糧が尽き最悪人里に死人がでる。それは避けたい。

しかしそれを判別する術がなく紫は唸るばかりである。

今紫たちは倉持邸図書館(西館)に来ている。

「植物を枯らすことなど偶然が重なったと言えるものではないな。草木一つない位に土地も疲弊しつつあるし。」

彰が考察を述べると

「何か対策が必要なのはわかったわ。元凶らしき物影もないしこのくらい時間がかかっておいて何も起こらないのも何かおかしいのよね」

「例え、元凶が存在しなかったとしてもこちら深い痛手だ。とてつもない飢餓が後を待っている。」

「あるとすればそんなたいそうなことをしようものならすぐ見つかると思うけど、それがない。お手上げね。確めようがないわ」

「ひとまず、食糧難を脱する事を最重要としよう。」

彰はそう言うと

「俺の倉庫を使え。一年分くらいなら余裕である。」

「いいの?」

「何のためにあると思ってるんだ?食糧は食べるためにあるんだよ。それにこないだ食い逃げしたの知ってるんだからな。その分後で返せよ」

「ほほ、なんのことかしら?まぁ有り難く使わせていただくわ」

隙間へと体を吸い込むように入れ倉持邸を離れる紫

「逃げた...」

 

広大な敷地を含む倉持邸には庭が存在する。

主に植物等を育てることに特化しておりまるで植物園のような容貌である。

「調子はどうだ?」

彰がセレスに聞く。

ここではセレスには庭の世話をさせている。

「そうですねー。あんまりよくないと...そもそも雑草一つ生えませんし」

相変わらず軽い口調は取り敢えず置いといて

「食糧の追加は期待できないか

これでも無理に上げてるんだがな」

植物の生命力を上げているのだかそもそもの植物の生命力自体が枯渇しつつあるようだ。

「困ったものだ。ん?雑草一つ?」

雑草と言えば簡単に言うとある植物が周りの植物の成長を阻害するということである(例タンポポ)

つまり彰が言いたいのは雑草さえ生えないほどの広範囲をある植物が阻害しているのではないか?というものだった。

いや、そもそもの話として外の世界に妖怪という概念は吹き飛んでしまっている。

外の世界から妖力が流れてくるというようなものは起こりにくい。

(外の妖怪が新転地を目指してここに来たという場合は別)

「とすると元凶はいるかもしれない!やはり何か調べる術がないだろうか?」

「もう直接掘っちゃえばいいんじゃないですか?」

セレスの提案が意外にまともであった。

「やってみるか。」

ベクトルを設定して

「ENTER!」

ボーリング検査のように長細い土の塊が上がってくる。

中には木の根があった。

当然、土以外にも埋まってるはずである。

しかし今は草木一つない位荒廃した土地だ、逆に根があるのは不自然である。

「地中奥まで雑草だらけだ。やはり植物だったか」

敵を発見したようだ。場所は分からないが犯人の手がかりを知ることができた。

「どうします?紫様たちに知らせておきます?」

「いやそうすると逃げる可能性がある。現に紫に見つからないとすれば、空間を移動していないのだろう。つまり地中だ。」

と言って彰は下を指差す。

「セレス、めいに先行させて妖力の流れを観察しておいてくれ。」

「分かりました。」

彰の指示に従いめいを探しにいくセレス

(目的はなんだ?土地を殺してなんになるというんだ。

何かしらの理由があるにせよ、てかそもそも自我があるかもわからん。対処しようがない)

 

ある森に息を潜める黒の着物と植物

「私は直接出れないからあなたにしてもらいたいの」

「...何で」

「今回の目的は正確にはないわ。ある目的の副産物で起きた異変に過ぎない。彰様の愛の証と計画のために彰様の弱点を狙ってほしいの」

「愛ってそういうものなの?」

「狂ってるとでも言うの?違うわ世界の基準が私と異なるだけ。

まぁあなたにはわからないわよ、だって捨てられたものには愛さえわからないもの」

「これ、私がする必要あるの?」

「分かってないわね。愛は知らないところで成就を願うものなのよ?」

ふーんと植物はどうでも良さそうに言い土の中へと体を埋める。

「これで二つ目の準備が整った後は彰様を待つだけ。ふふ」

黒の着物の目的はわからぬまま時間だけが進んでいく。

 

マヨイガ

「藍、何かわかったことある?」

「いえ、まだまだ十分な情報がないので時間がかかります。あっ!そういえば彰様を見かけましたよ」

藍がそのような話をするのが意外であった。

「なに?彰がどうかしたの?」

「いえ、見かけただけでしたので分かりませんが、何かを探しているようでした。」

すっかり紫は黙ってしまった。

「何か理由があるんでしょう?なら別にいいわ。彰を信用しなさい」

「はい。後、紫様。燈で遊ばないでください」

あらごめんなさいと紫は言い何事もないように仕事に戻る




う~ん特に書くこと無いんですよね。
まぁあるとすれば要望の募集位でしょうか
ということで質問等を受け付けています。(いつも)


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虚無の人形~上巻~2

力は脆く儚いと彰様はよく言っていました。

力を求めるには何かを捨てることが大切とも言っていました。

私の中にあるものは決して消えたりしません。

あなたの求めた冷静さとは私と共にあるのだから。

 

はい。どうも彰です。

今俺は命蓮寺という寺に来ています。

まぁ知り合いがいるからだけど、こっちとしてはやはり聞きたいことがあるんだよね。

「おかしいな久しぶりに会いに来たのにまたも縛られてる。デジャブ?」

声を発するや否や誰かが入ってくる。

しかしその顔を見ることなく。彰は気を失ってしまう。

そう転生する程度の能力である。

 

「陰陽屋さん。陰陽屋さん。今日は仕事いかないの?」

ん?ああ、またあれか。これ案外精神的にくるんだよね。ったくタイミング悪いんだよ。

さっき誰かいただろ。

確かあれは家に取り憑いた座敷わらしと仕事が無い陰陽師の時か

「陰陽屋さん。陰陽屋さん。」

「何だよ~仕事なんて最初から無いんだよ」

「うん知ってる」

「冷やかしか!」

怒る陰陽師とそれを見て笑う座敷わらし。

うん呑気なこの雰囲気はやっぱり好きだ。

「陰陽屋さん。陰陽屋さん。」

「何だ?」

「何で泣いているの?」

「ふん泣いてないさこれは汗だよ。」

明らかに涙だろうにこの陰陽師は意地っ張りだったな。

「陰陽屋さん。陰陽屋さん。あっちに沢山の人が見えるよ」

「ん、そうかもう潮時か」

「それはどういう...きゃ!」

ボロだった家に沢山の人が押し掛ける。

「貴様、妖怪の間者であろう」

この時代の縁者は確か、いまでいうスパイみたいなものだったか?

「はは、こんなしがない陰陽師になんの用でしょう?こちとら丁度仕事ができたばかりなんですが!」

おいおい、この大群に向かうやつがいるかよ。

これは人間と妖怪が信頼関係を持った結果の出来事だ。

このとき俺はその大群に紛れてたっけ?

嵐が過ぎると一つの倒れた男が

さっきの陰陽師だ。

「くそ...」

「おー生きてたか」

「どこの誰かは知らないが、もうそろ俺は死ぬ。いやそんなことはどうでもいい。実は一つ噂があるんだ。

なんの関係もなく、ただ契約者の幸せを保証する。[幸せ屋]てのがあるらしい」

「知ってる」

「なら話は早い。尚更関係無いだろうが不躾ながら一つだけ、ひとつだけ頼まれてほしいことがある」

「言って良いよ」

「そこに震えてる座敷わらし...を頼...んだ...。」

冷たかった。

一言で言えばこれしか言えない。

そのくらいこの上なく冷たかった。

動かない人形と化したその肉塊を眺めることしかできなかった。

そして彰は男の頼みごとを

「承った。」

と小さく言った。

「お兄さん...お兄さん...陰陽屋さんどうしたの?」

座敷わらしが彰に聞いてくる

この子は知っている。

陰陽師がもう起きないことを

「お兄さん...お兄さん...何で起きないの?」

この子は知っている。

この問いに誰も答えないことを

そして突然沸騰するかのような泣く声が聞こえるのだ。

誰が泣いているかもすぐわかる。

ただ聞きたくないと言わんばかりに彰は目を閉じていた。

子供の泣く声は良いものではない。

そう彰は考えたのだ。

「返してよ...ねえ、返してよ!」

彰に当たり散らす。

抵抗することなくそれを受け入れる。

「あそこにあなたはいた。」

あそことは大群が居たところだろう。

「でも攻撃をしていなかった。」

見ていたのだ。

嫌でも焼き付く血の色、生々しく想像を絶する臭いを感じながら、ただあの男が最後まで自分のために

血縁もない家族のために戦ってくれていたところを。

「あなたのこと知ってるよ。幸せ屋でしょ?なら私と陰陽屋さんを幸せにしてよ!仇...取ってよ...」

「それが君のの幸せならば」

一呼吸も置かず即答する。

 

「おっとと。ここは確か命蓮寺か?」

気がついたようだ。

しかし起きるのが遅かった。

「い、生き返った...」

(見られたか!)

すぐさま記憶操作を行う。

簡単に言えば記憶の保有時間を減らすのだ。

約3秒まで下げる。

「あっ彰さんじゃないですか!驚かさないでくださいよ。」

聖白蓮であった。

(疲れた。)

副作用は使った力に応じて疲労を与えること。




見られてしまう彰は咄嗟に能力を使う。この選択はよかったのか?
次回に続きます。


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虚無の人形~上巻~3

上巻早いですが終わりです。


「本堂に誰かいたと思えば彰さんじゃないですか。」

「おお!白蓮だったか。久しぶり」

彰はちゃっかり縄を抜け出していた。

しかし謎である。

彰がここまで来るときに何かがあったそれは確かだ。

だが彰に気付かれなく運べるのは相当の実力者だ。

「どうだ?最近は」

「特に何も何もなく充実してますよ。」

という白蓮だが

今思い出したかのように

「あ!そう言えば最近不作らしくて仏教に救いを求める人が増えたようです。」

「そっそうか」

白蓮には悪いがこれは非常に良くない流れだ。

彰がここを訪れようとしたのはある情報を必要としていたからだ。

それが仏教徒が増えたことで村人の今の信用度が分かる。

他にも市場とかでも確認できるだろうが、今は不作でしっかり機能もしていない。

そして仏教に救いを求めるということはその位切羽詰まっているということでもある。

つまりこのままだと信用と村人の数を失いかねない。

「だけどここは普通に作物とれてますし、そこまで深刻じゃないですか?」

「まぁそういうことなら村人にも分けてあげてやれ」

と言って去ろうとすると白蓮が裾をクイクイと引っ張る。

「いかないでほしいです。あのときのように傍に居てください」

 

彰は陰陽師として過ごしている時期があった。

白蓮とはその時出会う。

最初はただあそこの寺は何かが可笑しいと依頼されていたので彰は命蓮寺へとむかう。

ちゃんと生きていると言えば聞こえはいいが正確には精神が瓦解しかけ辛うじてという状況である。

「何かあったのか?」

そう彰が尋ねると

「ああ...貴方は仏様でしょうか?なら私の贖罪を聞いてくださいますか?」

簡単に言えばこの様なことを言っていた。

幻覚さえ見えていたのだろうか?

そしてそれを簡単にまとめると弟の死によって自分に死が来ることを恐れた。

そしてある術をかけ妖力を吸収する限り永遠を生きることができるようになった。

しかし肝心の妖力を吸収する相手が居ないため、妖怪を保護しその時に少しずつもらうというものだ。

彰からしてみれば

(別に良いんじゃないか?)と思うのだ。

しかし時代がそうはさせてくれない。

妖怪と関わるそれだけで罪なのだ。

「あんたが罪の感じているところはどこだ?」

そうそこが論点である。

「わ、私は保護すると名ばかりで信頼を寄せてくれる者達を裏切っている。そんな自分を許せないのです。」

この心情は今すぐ出来たものではない。

長い時間をかけて少しずつ沸々と罪悪感が沸き上がって行ったのだろう。

「そうか。ならば...」

と言い白蓮の頭に手をのせる。

ビクッと身体を強張らせるが時期に落ち着いてくる。

そして彰は妖力を保有できるように身体を適応させる。

所謂妖怪になるのだ。

「ならばあ俺は白蓮、君のために妖怪となろう。妖力を君に送り続けよう。

君を生かしているその罪をその罪悪感を俺も同時に受け続けよう。俺だけじゃない信頼を寄せる者もいる。

君は一人じゃないさ。だから泣くな。」

(これは俺の贖罪だ。抗いきれなかった不甲斐ない自分への)

 

「だから私は貴方を信頼しています。どこへいこうと私は...貴方を...」

白蓮の気持ちは嬉しい。しかし彰は現時点でそのような感情を持てないのだ。

いや持ってはならないのだ。

だから

「大丈夫、また来るから。安心して」

このくらいのことしか言えないのである。

つくづく自分が恨めしい。




どうでしょう。別キャラになりそうで怖いです。
もうちょっと勉強しないと


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虚無の人形~中巻~4

中巻では敵の登場ですかね


倉持邸

「これは木の根!?」

珍しくくおが驚きの声をあげていた。

東館、西館とうって変わって医療用器具が立ち並ぶ。

そしてここを狙うということは

「薬か!」

薬が沢山ある棚を荒らしていた。

植物が薬を狙うとしたら化学肥料だとくおは行動を整理する。

くおからいつもの余裕の顔はない。

一歩間違えれば彰の信用を失うと考えているからだ。

覚悟を決め敵へと向かう。

 

永遠亭

「何よこれ」

くねくねと動くものの被害はここだけではない。

勿論薬目当てだろう。

永琳は弓を引き根を撃ち落とす。

見事な命中率、次々と落としていく。

「うどんげ!天狗を呼びなさい。援軍を頼むの」

「はい、師匠!」

飛び立つうどんげを一瞥し戦闘に戻る。

 

清々しい風が吹く。

ここで使うには少し語弊がある。

一つに外出たら木の根だらけでした。

二つ目洒落にならんほど襲ってきた。

「冷静にいってる場合じゃねぇ!」

全方位を隠すように攻撃してくる。

当然避けるのは容易だが何処から来ているかが問題だ。

「彰さん!ここにいましたか」

と天狗が一人

文である。

「これも異変ですかね?」

非常に呑気である。

「いったぁ!?」

取り敢えず腹立ったから拳骨くらわした。

「ここはいいから、俺の従者に全体偵察に行けと知らせてくれ。」

「いや、ここだけでなく永遠亭とそちらのお住まいが根っこだらけで」

「なんだそりゃ、じゃあ臨機応変に援護しに行けと伝えとけ」

と言い放ち文を飛び立たせる。

根っこは細かく分散しているため元を断つことが難しい。

(今まで大それた行動しなかったのは、全体に根を張るためか)

そう結論づけ彰は探す。ある目印を

「くそ、見た目だけじゃ分からん。」

彰はまたも力を使う。

体のうちの耳をコウモリのように強化する。

超音波、目がダメなら耳である。

跳ね返った音を拾う。

根を切り視界を確保、同じことを繰り返す。

今回の敵は明らかに彰を狙っている。

それだけはわかるのだ。

わざわざ結界を破ってまで倉持邸を襲撃、文が自由であったが彰の行動を制限し、

関連性があるかわからないが彰の転生の直前を狙い、知り合いの前に置き去り。

ひとつを抜きにしても偶然が出来すぎている。

だから紫に何一つ情報を与えていない。

嫌な予感がするから。

一旦彰は捜索をやめ、帰ることにした。

帰るとくおがうずくまっている。

そしてぶつぶつ呟いていた。

「ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。ご主人様に嫌われる。」

狂ったように只言い続けていた。

どうやら防衛できなかったらしい。

ふとくおが彰と目が合う。

くおが恐れるように部屋の隅へと隠れる。

「まぁ出てきなさい。くお、ガラスが危ないだろう?」

くおはなにも答えず震えるだけ、

「くお、俺はそれくらいで嫌ったりしないから」

「ほ、ほほ、ほ、本当で、ですか?」

「本当さ、で何があったんだ?」

くおはここで起きた出来事を喋り出す。

それを聞いてから彰はくおの頭を抱き締めるのである。

子供をあやすように

薬を根が接種したことが今後ある者の思惑道理にことが運ぶことを意味する。




細切れしすぎると後々面倒なんですね。
第三章は比較的速く終わります。
まぁ登場人物もすくないですし


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虚無の人形~中巻~5

敵の過去編です。


運命、と聞かれたら皆は何を思うだろう?

皆大抵こぞって「そんなのあるはずない」

と言ったものだ。

しかしこれは外の世界の話

幻想郷に明確なルールはない。様々な種族が存在しているから、だから私は提唱したい。運命はあると。

 

私は生まれました。ここで違うのは産まれたではなく生まれたであること。私は意識があった。

周りは皆動かない造物、関節はまるで底無し沼にはまったように動けない。

私は最初金縛りと思った。それと同時にそれは違うとも思った。

私は生きている。それだけはわかっていたのだ。

生きていることを実感した瞬間である。

私自身からは身体を動かすことは出来ない、しかし誰かの手に触れるとたちまち相手に従って動き出す。

ある日のこと店の客であろうか、私に似た造形が売られた。

その子はそれを人形と呼んでいた。

(私は人形か、)

聞いた言葉ではないが直感的に自然と納得させられた。

私はなぜここにいるのだろう。

私は暇で暇でしょうがないのだった。

私が生まれて約三年ほど経った。

私は拍子抜けした。

私はとうとう買われるのだ。

そこが大切などではなく、彼が私を買った事に驚いたのだ。

彼とは陰陽屋さんだ。

簡潔に言うと私は生まれ変わった。

無機物的に記憶だけを受け継いでいた。何故かは知らない。

それでも運命なのだからしょうがない。

陰陽屋さん

この言葉が私の脳裏を過ぎ、囁いていた。

こんなに人が蔓延る中、私たちはまた会えたのだ。

それからはどこまでも嬉しかった。

いつまでも片時も離れることなく傍に居られるのだ。

しかし私は気づいてしまった。終わってしまった。冷めてしまった。

あんなのは陰陽屋さんの形をした別人であると理解した。

私は最後まで信じていた。あの時のように最期まで私を大事にしてくれると。

彼は捨てた私を、こんなの陰陽屋さんでない。そんなはずがない。よくも騙したな。

そんな風に思い出した頃、黒の着物の女がやって来た。

「やっと、使えるようになったわね、いや、こっちの話よ。気にしないで。

そんなことより私に協力しない?貴女を騙した男をあなたの手殺させてあげましょう。

その代わりあなたの意思、命は私が使わせてもらうわ」

承諾した。

そのくらい許せなかった。

あんな男が陰陽屋さんの形を持つことなど

どのように殺したかは気にしないでほしい。勿論この世の恐怖を教えてあげたが。

 

永遠亭では彰の命により、きみが向かっている。

根がどんどん邪魔をする。

永遠亭は輝夜の能力と永琳の弓の矢が飛び交っている。

「慈符 烈愛の業火」

きみはスペルを発動、妖力弾が火の粉のように周りへ飛び散る。

そしてすぐ拡散、相手の根の妖力に反応し大きくなり爆発を起こす。

このスペルは某氷の妖精のように欠点を持つ。

そう近場では効果がない。

「危な!」

ちょうどよく永琳の矢が当たる。

相手の狙いは薬だ。

きみは燃費が悪いスペルを使うと疲労が激しい。

根が背後をとった。

「っえ!?」

きみの後ろにある根がぼとぼとと落ちていく。

「危ないねぇ、こんなどんちゃん騒ぎ。どうして教えてくれなかったんだい?楽しそうじゃないか」

萃香が騒ぎを聞きつけてここに来たようだ。

まるで暇潰しと言わんばかりに根を捌いている、形勢逆転だ。

「お前も酒飲むかい?」

と言って根に被せると酔ったらしく根がフラフラとしている。

「酒をこぼすんじゃないよ!勿体無いじゃないか!」

蹴り飛ばす、それを見ていたきみは

(それはいささか理不尽じゃないですかね?)

と思っているがお構いなしに萃香の猛攻は止まることを知らない。

しばらくすると辺り一体を制圧していた。

ひとまず萃香の大健闘であった。




中編を終わります。


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虚無の人形~中巻~6

これで中編は終わりです。


ある少女が森を散策している。

特に理由がないわけではない。

ただ暇をもて余していたから散策を始めようと考えたまでである。

その少女をアリス・マーガトロイドという。

多数の人形を使いこなし辺りを調べる。

「これ、この前魔理沙が言っていたものかしら?」

キノコをひとつ手に取る。

ここらはキノコの群生地のようだ。

まだらまだらにキノコが生えていた。

「こっちの木の根に生えてるキノコは...」

といいかけたときである。

突然動き始める木の根、

「あれ?ごめんね。ビックリしちゃった?」

その姿はとてもしっかりしていた顔持ちという訳ではないがこれだけは言える。

(木の根が彼女の身体を補っている?)

人形のようにきれいな足から根がはえ顔を形成している。

声帯も備わっているらしく、彼女の口は動いていた。

「あなた達も買われたの?」

人形たちに話しかけている。

「あ!ごめんなさい私ったら礼儀を忘れていたわ。どうも私の名前は二つあるから一つずつ

旧名 御伽(おとぎ)

新名 枝麻(えま)宜しくね。ねぇあなたはどっちの名前で呼んでくれる?」

いきなり自己紹介を始めた。

「私の名前はアリス・マーガトロイド、アリスでいいわ。枝麻」

「あっでもよくよく考えたら旧名は陰陽屋さんと幸せ屋さんしか呼んでないや」

「幸せ屋さん?」

「んーとね、幸せ屋さんは強くて仕事として私たちを守ろうとしてくれてたの。あっでも死ぬことなんてないからアリスは安心していいよ、いつかは幸せにしてくれるから。」

枝麻はアリスの疑問に答えたあと

「そんなことより貴女も遊びましょう?」

彼女の手には木の根で成形した何かがあった。

「良いけど、何するの?」

「人形ごっこ!」

ドス!

何かがアリスの背を貫いた。

太いものではなく何か細いもので

 

彰の従者くおが原因究明のため森を歩く。

(いや、別に片付けもせずに責任を果たそうとしているわけではなく)

自分の中にある野心と理性が葛藤を始めていた。

あわよくばの感情はくおの心を高揚させていく。

(帰ったら...ん?)

何かを見つけたようだ。

木の根だ。木と木の間を移動している。

明らかに怪しい。怪しすぎる。

誰か呼ぼうかと思ったがくおは追いかけることにした。

しかし森の中ではくおにとって不利であった。

いつの間にか背後をとられていた。

どうやら相手は地の利を得ているらしい。

「くっ!」(速い!)

辛うじて避け続ける。

「うーん、あなたいいねこの攻撃を避けるなんて。あっでも」

いいかけて何か考えるように

「あー!自己紹介忘れてた!陰陽屋さんに怒られる。」

青ざめていた。誰かに礼儀作法を習っていたようだ。

「はいはーい!自己紹介いきます。私の名前はひとつ目に御伽、二つ目に枝麻だよ。どっちかで呼んでね。」

アリスの時とは似ているが別個体である。

足ではなく右腕から生えている。

「え!?わ、私はくおといいます?」

慌てて言ったためイントネーションがおかしくなった。

「じゃあお互い終わったことだし、始めようか!」




一話一話ずつ分けていこうと思います。
まず最初はくおの戦闘からです。


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虚無の人形~下巻~7

アリスが森を散策しているとある人形、枝麻と会う。
そしてその頃...


「護符 ボーダーライン」

 

弾幕の密度を濃くして周りに線を引くように散りばめる。

そしてそのまま静止。

今遊びと違う戦いをしている。

それは相手はスペルを使わない点である。

スペルカードルールが適応されていない状態でするわけにはいかない。

きみがスペルを発動してたのは内緒。

(相手が何をしてくるかわからない今取り敢えず足止めで十分のはず。)

くおがそう考えていると相手、枝麻が攻撃を開始した。

根を動かしくおに近づこうとする。

弾幕に当たりほとんど撃ち落とす。

残りの対処をするに当たってはくおの

「展開!」

防御壁が敵と自分を包むように形成される。

くおの防御壁には唯一の弱点がある。

防御壁は自分の周りにしか生成出来ない。

あくまでも自分を守る盾なのだからそれはしょうがない。

ここではひとつだけよかったことがある。

今まで地面に埋まっていた根を防御壁により引きちぎっていた。

くおの能力、防御壁を操る程度の能力それは実は紫の能力と似ている。

自分のテリトリーを生成すること

しかし紫と圧倒的に違うところは境界線がはっきりすること

「ぐっ!切られちゃった。まぁ新しく作るけど」

防御壁にはもうひとつ弱点がある。当事者の疲労の蓄積

「私も行くよ~」

軽いのりとは違って物凄い力を込めて根を動かす。

うねうねとしていて気持ち悪い。

やつは理解している。

この状況の打開策を、スペルを使う必要などない。

無限と生えるその根をただくおにぶつければ良いのだ。

(誰かに伝えなければ)

そろそろ防御壁を維持するのが難しくなってきたようだ。

額に汗を浮かべ最後の一手として

「神符 神の導き」

弾幕がくおに平行に並ぶ、向きは相手にランダムに放出させる。それにともない防御壁が消える。

最後の足掻きは上手く根を直撃させた。

いや、違う。数本残っていた、地中だ。くおのあの隙をぬって進み伸ばしていた。

くおは諦め、目を閉じる。

「啓符 思想の広まり」

くおのそばにあった根が破壊される。

「よく耐えましたね。久し振りに誉めてあげますよ。」

「めい!」

「確かにこれは貴女に荷が重いでしょう。私が相手します。貴女は速くご主人様のもとへ」

はいと、くおは言い退散する。

「全てはご主人様のために、あっあとくおは虐められてしまいましたね。それも入れて責任とれますよね?」

めいが助太刀に来ていた。

「えーあの、ねぇさんじゃないの?せっかく楽できると思ったのにーまぁいいか。それじゃあいっくよー」

「戯符 嫌われた者共へ」

相手は持っていた。

今まで殺そうとしていた相手が、対戦相手が変わったとたん目的を変えるかのように切り替えていた。

弾幕は根から放出される。

誘導弾と普通の弾幕を使い分けている。

弾は四方を回転しながら普通の弾幕を放っている。

しかし、避けようとすると誘導弾を駆使してそれを止めにいく。

ある程度の相手であれば倒せていただろう。

だがめいが相手では話は別、何故なら

「私は冷静を焦りを司るから」

最小限の労力で避ける。

その行動には余裕の顔も見える。

時間が過ぎたようだ。

スペルの効力は無くなる。

「次は私ですよ。精々反省することです。

啓符 思想が導く世界」

弾幕の数は多いが一つ一つが小さい、冷静に対処すればすむ話だろう。

めいの能力を忘れてはいないだろうか?

冷静さを操る程度の能力

つまりめいはどのようにすれば相手の冷静さを欠くことができるかを知っていると言うことだ。

例えば

「えい!」

弾幕の行動を変える誘導弾と思わせて違う。相手の意表をつく事が容易である。

「むー面倒だなー」

枝麻は体を根で隠す。

弾はそれに直撃したが

「いない...」

あとに残るのは人一人分の穴だけであった。




枝麻はいったい何体居るんだろう?
一つ一つの性格が違うのもあります。


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虚無の人形~下巻~8

二体目の枝麻が存在し、くおとめいが対応にあたる。
あと一歩のとこで逃げられてしまうが...



異変といったらこの二人

魔理沙と霊夢である。

彼女らは今まで何をしていたのか。

少し時間を遡ってみよう。

紫に異変が発生していることを確認した頃。

勿論いち早く嗅ぎ付けるのは

「おーい!霊夢ー異変だぞ!」

「さぁどうでしょうね?」

「おいおい今回はノリが悪いんだぜ。」

「今回もよ。今回は関与できなさそうなのよ」

「何故だ?こんなにも分かりやすいのに」

といってそこらの木を箒でつんつんとすると

バギバギ!と折れる。

「ただの干ばつかもしれないでしょ?それに犯人わからないし」

「無理があるんだぜ。それにそんなのいつものことだろ?」

「そんなこと言ってもねー」

あっと言う顔をして魔理沙が言い出す。

「そう言えば昔は春が来ない異変があっただろ?」

「あのときは春のもとの部分を集めていたからでしょ?今回とは違うわよ。寒くないし」

「そうじゃなくて、あのときは迷惑しただろ?」

「確かに寒くて迷惑だったけど」

「それならそれで良いんだぜ。」

「と言って今度は行かないわよ。」

霊夢は意味がわからないというように言うと魔理沙は肩をすくめる。

魔理沙はいつかは来てくれるだろうと考えていたようだ。

博麗神社は対等、これは幻想郷のルールだ。だから無闇に行動するのはよくないと紫に言われていた。

「まぁ待ってやるから。準備しとけよー」

強引なところはある意味いいことなのかもしれない。

「行かないってばー!もう」

遠くなっていく魔理沙の背に向かって叫ぶ。

「どうした霊夢」

慧音が神社に顔を出していた。

 

「ふーん食糧難ねー」

「ああ、これは少し厄介だ。」

事情を話すと

「バランスを保つのが巫女の仕事だし良いわよ。引き受けたわ」

基本面倒臭がり屋の霊夢だが、仕事であれば話は別だ。

「私も同行しよう。これは私の問題でもある。」

異変解決への歩を進めるのである。

 

「私ったら最強...ピチュン」

魔理沙は大概妖精にたいして扱いが雑である。

「また邪魔が入ったぜ。」

冬と勘違いしている。チルノを押し退け、森を突き進む。

ここは親友であるアリスに協力を要請しようと言うことだ。

そして

コンコン「おーい、アリス居るか?」

家に到着はするが返事がない。

もう一度ドアを叩くが当然のように返事がない。

「出かけたのかな?」

そう考え、一人でいくことにした。

「あっ魔理沙か、ここにいたのか」

「ん?」

声がする方を向くと

萃香がいた。

「永遠亭の方でなんか面白そうなことしてるから、魔理沙もくるかい?」

「面白いことって喧嘩でもしてるのか?」

魔理沙は尋ねる。

「うーんそういうわけではないんだけど騒ぎが大きいから楽しそうなのさ」

「ふーんまぁ萃香は行ってきな。私は文屋のとこでもいってくるから」

「お?何かそっちも面白いことするのか?」

「そうだな。簡単に言えば異変だよ。」

萃香このときおかしく感じた。

純粋な疑問だが何故ここまで断定しているのだろう?異変となんて

(まぁいいか)と萃香は思いこの場をあとにする。

 

枯れ葉が溜まりにたまって子供たちが焼き芋を作っていた。

はぁーとため息をつく霊夢は人里の状況を理解する。

この状況に至った過程が分からない。

それが疑問である。

頭の上にクエスチョンマークを浮かべていると

「あれってアリスよね。珍しい今日は人形劇でもしてたっけ?」

「いや、予定ではそんなことなかったが」

慧音がそう答えると

「ねぇあれって魔理沙よね?どこほっつき歩いていたんだか」

「そうだな。」

その時だった。

虚ろな目をしている二人は対峙しているかと思ったら戦闘を始める。

「「はい!?」」

理解不能だ。魔理沙が何かしたのだろうか?

あーいや、やっぱりあったな。魔道書とか。今回とは関係ないだろうが

「...っ!」

「くっ!」

やっぱりおかしい。

「普通ならもう少し怒った声でも聞こえてきそうなのに」

いささかそれは物騒である。

「確かに...「危ない!」」

霊夢がお祓い棒は振るうとなにもないところに何かがお祓い棒に当たる。

「...どうして気づかれた」

枝麻が地面から出てくる。

「勘よ」

勘かよと慧音が思う。

「そう。せっかくあなたたちにも遊びに加わって人形役してほしかったのに」

「人形?」

「あなたが魔理沙たちを操ってるのね?」

「うーんまぁそういうことにしとくよ」

(どうくる?さっき不意討ちしていたが今度も?いやもう効かないと相手も思っているだろう)

「霊夢は二人を頼む。私はこの妖怪を相手する。」

「うんわかったわ、頼んだわよ」

ボコッと地面が穴をあけそこに枝麻が逃げる。

「ちょっ逃げるの?」

霊夢はそう言うと二人の方がこちらを向き接近してくる。

それを見た霊夢はため息を漏らし

「さっさ終わらせるわよ。」

「...っ!」

「くっ!」

魔理沙たちは宣言をせずにスペルを使ってくる。

霊夢の避けたマスタースパークが炸裂し民家を襲う。

「操られてても行動はいつも一緒なのね」

霊夢が反撃しようとスペルカードを用意したがふわっとアリスたちは空中から張りつめていた糸が切れたように地面に落下していった。

(逃げるため時間稼ぎ?それともただ単にさっきいた枝魔が言っていたように遊びだったの?)

疑問は積もるばかりである。

 

意識が混濁するなか魔理沙たちは

(辛い、足も口もまともに動かせない、もどかしい。)

(おねぇさんたち、どう?人形になった気持ちは)

((最悪よ)だぜ)

(ねぇ、枝麻はいつもこんな気持ちだったの?)

アリスが訊くと

(う~んそんなことなかったわよ。だってあの方がいたと思ってたもの。でも偽物だった。)

そう暗く言っていた枝麻だったがすぐに明るい口調で大丈夫と言う。

(あなたたちに危害は加えないわ。約束してあげる。人間どもにはとっくの昔に仕返ししてるし、後は偽物を殺すだけね)

(偽物?)

(あなたたちには関係ないわ、もう少し操られてなさい。)

(あっおいちょっと待つんだぜ!)

(...?どうしたの)

(貴女は昔は御伽という名前だったと言ったわよね?)

アリスがすかさず引き留めのフォローに入る。

(ええ、そうよ)

(いい名前ね。)

(えへへ、そう?やっぱり陰陽屋さんは特別だよ。)

照れるような声が聴こえる。話が無茶苦茶だがこれが限界だった。

(だけどね。感覚を共有してるからあなたたちの意図はわかるのよ?)

(...く!)

(ふふ、私の能力は根を広げる程度の能力。私を中心にネットワークを構築し共有させたりできるの)

(何だぜ筒抜けなのか)

(そういうことになるわね)

(話はこれくらいにしないとそろそろこっちも危ないのよね)

((?それはどういう...))

プツンと音がして感覚が突如戻ってくる。

「うう、眩しいんだぜ」

「何してるのよ魔理沙、黒幕が逃げちゃったじゃない」

「しょうがないぜ。なぁアリス」

「え!?ええそうね」

偽物これは何を示しているのだろう?これ疑問だけがアリスの周りをぐるぐると回っていた。

「アリス!行くわよ」

「わかってるわよ」

 

霊夢とその一行は迷い森を歩く

アリスと魔理沙が最後に記憶していた場所だ。

「ねぇこの根っこどう思う?」

何かを見つけた霊夢が言ってくる。

「明らかに怪しいだろ」

当然のように慧音が答えると

「そうよね。良かったー感覚狂ってなくて」

そう言いながら「御札を貼ろうとするな!」

根っこから姿を現すのは右腕と左足の無い方の枝麻である。

「あー危なかった。妖怪なんだからもう少し優しくしてよ!」

(子供か。)と思う彼女らである。

ふと思って

「誰よ!あなた」

「初対面でそれはないでしょー、私の名前は、旧名、御伽、今は枝麻。」

「枝麻?私たちもさっき枝麻とやらに会ってきたが?」

「ああ、あの子達ね。あれは...」

言い掛けたが、炸裂音にさいぎられる。

「みーつけた」

「...やっと会えた」

枝麻が三人いる。皆は混乱している。

「枝麻が三人!?」

霊夢が声をあげる。

「どこいってたの?」

「しょうがないよ。私たちはもとは一緒でも私たちは感覚を共有出来ないんだから」

「どういうこと?」

疑問をアリスが口にする

 

「私たちは三身一体。私が右腕で」

「...私が左足」

「そして私が本体といったところ。三分割ということは脳機能も感情もみんなバラバラということなの。

ところで確かここにはスカルカードルールというのがあるんだっけ?」

「スペルね、骨じゃないわよ」

アリスが正す。

「そうそれ、折角だしそれに従いましょう。」

「もしかして三人で?」

「いや、全員でかかっていいよ。」

と言って二人は本体に近づき

「私は一人でするから」

本体を貫く。そして三人に植物が取り巻きひとつになる。

「なっ!」

「ん?どうしたの?元に戻っただけだよ。どう?こっちの方がやっぱり動きやすいんだよねー。さあ、体も戻ったことだし始めよう。」

「多少むごいことになってるけど、要はそれでするのね?」

「そう、私対皆でね」

 

一方その頃

(穴をあけた奴はどこへいったのだろうか。)

くおをセレスに預けめいは穴を探索する。

そこは真っ暗もよいところと言えるくらい何も視界に入らない。

風切りの音が空洞を通り、涼しいより寒い。めいといえ服装が和服なだけに寒いだろう。

だが顔に出さないのがめいである。変に見栄を張るのだ。

砂でできた壁はすぐにでも壊れるほどにボロボロとしている。壊れないのだろうが。

めいは疑問を持つと納得するまで突き詰める子だ。

だから彰が渡したあの本も当然読んでいた。

今もその疑問を持ち続けている。

本に書かれていた問題

[私は何を求めたでしょう?]

ふざけた問題だ。

指示語が何一つない解かせる気がないようだ。

しかしめいにはわかっていた。

彰の意図が

(いかんいかん仕事に集中しなくては)

その思考を突いたように声が聞こえてきた。

「なんとまあ誰に似たんだか」

「誰!」

(この私が気付かなかった何者だ?)

「あれ?きみは私のこといってないんだ。意外ね」

洞窟に黒い着物が同化してわからなかったが

めいのすぐそばにいたようだ。

「その様子じゃあ言ってないのね。知らないならそれでいいわ。私は敵であり味方である。これの意味貴女には分かりでしょう?」

「貴女はまさか!?」

驚きを隠せないようだ。

「うん機転が回るところはやっぱりあの人に似てるわね。ってこんな話しに来たんじゃなくて、能力は機能しているのね。模範回答は貴女の中に眠っているわ。あ!あと、早くしないと死ぬかもね。そして最後に嫌な見栄は良くないわよ。」

「っ!貴女は一体...」

風が突然吹き荒れる洞窟なのに。その強風にめいは自分の視界を覆う。

やむ頃には黒い影は無くなっていた。

「...いない」

めいの声が響く

めいの見栄とは何なのだろうか?




第三章最後となりました。

枝魔という少女に翻弄された少女たち
偽物を探していると言うがいったい誰なのだろうか?

次回 虚無の人形最終話 記憶のすみに


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虚無の人形~下巻~9

悲しみの人形は夢を見る。深い深い夢を見る。しかしそれを覚ましてはいけない。
悲しみは消えることなど無いのだから。夢は見続けさせた方がある意味救いなのだろう。


「何よ...これ」

紫は目の前の光景を信じられずにいた。

そこを埋め尽くすのは虚無である。

特に哀しみを思う訳でもなく。

ただそこにある虚無に恐怖を覚えるのだ。

そしてそれは何かをというようにどれかを指すものでなく、もっと根源的なものである。

転がっている何かの死体、彰を見て泣き叫ぶけいねの姿、最後に彰の四肢がない姿である。

 

これのたった数十分前

彰は不法侵入もとい訪問をしてきた文と取材と称してお茶を飲みに来ていた。

「丁度良い、天翔の曲芸師の話でもするか」

「本当ですか!お願いします。」

と目の前まで来ているものだから

「うおっ!まあまあ落ち着け」

驚くのも当然である。

「天翔の曲芸師は正体不明だった。」

「はい!?いきなりすぎて訳わかんないです。」

「まあそうだろうな。天狗の種族はどこの生まれかをはっきりさせるからな。俺が知るにふらふらと現れ一時を過ごし里を襲った吸血鬼の一件のあと姿を消した。」

「そこまでは私も調べました。しかしそれ以上の情報は残ってないんですよ。」

「あいつはあんまり喋らなかったからな。」

(俺のことだけど)

「あいつの能力は風を操る程度の能力又の名を気圧を操る程度の能力。文、お前と一緒だ」

「え?...」

「と言ってもお前と違って風を起こし物を操れるといった具合だな」

皆も分かることだが能力は遺伝する。

つまり

「もしや、いやそれは...ないないない」

文も動揺していた。

(と言っても別に文の親何てことは無いけどな)

そうもちろんそのようなことは億分の一の確率であっても有り得ない。

しかし彰は

(勘違いさせといた方が楽だよなというか覚えてろよ自分の親だぞ)

呆れの中に内心笑う完全に悪役の顔になっていた。

「まあ深く考えるな。実態は誰もわからない」

「はあ、確かにそうですね」

(よし。ひとまずこれで誤魔化したぞ)

「ところでさっき魔理沙さんが異変だとかで私のところへ来てましたね」

「なぜそれを早く言わない!?」

「あの二人だったら解決はするので途中でスクープ目当てに出掛ければよいかと...どこいくんですか?」

「ちょっと急用を思い出した。さっきの件は解り次第連絡するから。」

「はい、そう言うことであればお願いします。」

飛ぼうにも文が居たので徒歩にしようとした。だが

「彰さんまさか歩きですか?良ければ送りますよ?」

「スクープ目当てだろうに。まぁお願いしようかな?」

分かりましたと文は言い、彰を掴み空への旅を始める。

「んーこれは凄い速さだ。さすがは天狗といったところか。」

「やだなー彰さんに言われると照れますよーははは。」

文は何故か色々な飛び方を今披露した。

「あのーそろそろいかないか?」

「あっこれは失礼」

時間のこともあるが別のことに彰は気が気でなかった。

(胸、胸当たってる。)

文の豊満な胸がたゆんと彰を解きほぐす。

(あーこれはめいに怒られるなー)

心の中のなにかが一つポロっと壊れた気がした。

 

「魔理沙今よ」

「分かってるんだぜ。

彗星 ブレイジングスター」

圧倒的高火力で枝麻を押し込む

「やったか!?」

明らかにフラグめいたことを言う慧音が一人

「うーん確かに強いね。さっきの霊夢のスペルといい魔理沙のスペルといい一体ずつの私なら負けてたかもね

でも、真偽 私をどうか導いて 今の私は負けない!」

自分の根を破壊しながら弾幕を作り出す。一つは細くとがった針のように、一つは妖力を弾幕へと

形も様々で四人の二方向に固定弾幕を形成し、そこにランダムに弾幕を放っていた。

「それそれそれー」

霊夢たちは避けるに徹するしかない。

 

この頃めいは

「おかしい、さっきと同じところだ。」

洞窟から出ようとするも行きよりも時間がかかっていた。

洞窟に目印となるような岩を置き、移動したがいつの間にかそれが目の前に

ここでさっきの女の声を思い出す。

「速くしないと死ぬわよ」

「やはりあの女は結界を···ご主人様が!」

走り出す。暗い洞窟をただただ走る。

抜け出せないとわかっていても走ってしまう。

そして途中で

「はっ、私は何を。冷静の顕現である私が焦り?」

またもやあの女の声を思い出す。

「嫌な見栄を張るの良くないわよ」

はっとして辺りを見渡す。

「み、え?」

少しすると何を思い出したのか、明らかにニヤッとほくそ笑み

「そうでした。私には···がありました。私はなんの見栄を張っていたのでしょうね?ふふ」

 

「ねぇ霊夢。」

アリスが霊夢に言う。

「なに?」

「枝麻さっきから動かないんだけど」

ピクピクと口が動き何か喋っているようだ。

といってる間に人格が変わった。

「ごっめーん。何か二人が喧嘩しちゃってさー。私が相手するから。

それじゃいっくよー  彼岸 悲しき恋よ捨てないで」

弾幕の癖が変わり森のなかで使いやすい反射弾を駆使している。その名の通りねちっこく追い掛ける追尾弾もあった。

先程と違い相手を拘束するものではなく枝麻の周りを沢山の弾幕が覆いそれを回りに押し付けていく形だ。

(癖が変わった?どうやらそれぞれを共有していないのは本当だったか。)

慧音が冷静に試行錯誤していると

「慧音危ない!」

追尾弾が背後にあったのだがそれを彰が撃ち落とす。

「先生!」

「「「せっ先生!?」」」

慧音の声に呼応して皆が驚く。

(今驚くとこだろうか?)

彰が思う。

「言ってなかったっけ?」

「「言ってないわよ!」ぜ!」

あらそうかいと彰が霊夢たちの反論を受け流し知らない顔の方へと見る。

「みーつけた。あなたはどっちで呼ぶの?御伽?枝麻?どっちでもいいけど偽物みーっけ!」

他にあたっていたものをすべて彰に向ける

「知ってるよ。御伽」

「っ!しっ幸せ屋さん?いや違う違う違う違う違う違うこいつは偽物なんだ。あのときのように私を騙すつもりなんだよ!

 拒絶 真実を見つめる眼」

(幸せ屋さん?あっ確か)

アリスは枝麻のいっていたことを思い出す。

(守ってくれていたといっていたが何故今偽物として殺そうとするのだろう。)

「あっ!そう言えば」

(枝麻は死なないともいっていた。殺すことで真実を?)

「人格は記憶も共有しないということだわ!」

明らかにこの結論が正しいことを悟った。しかしそれを解決するほど時間がなかった。

だから

「魔理沙!あの人を助けるわよ!」

「え!?アリス?うんわかったぜ。」

「雅符 春の京人形」

「光符 アースライトレイ」

スペルカードを発動する。

それを避けながら枝麻は

「邪魔をするな!!」

周りを吹き飛ばす。

「「「「キャッ!」」」」

ここで枝麻の動きが止まる。人格が変わるようだ。

「幸せ屋さん今だよ。居るんでしょ?殺って!」

御伽が動きを止めていた。

「でも!お前は」

彰は躊躇する。久し振りに会ったからだろうか。

「良いから!殺ってよ!」

もう後はない

「くそっ!」

殺すことを決心し彰は首めがけて動き出す。

三メートル

「ふざけるな御伽!裏切るのか!?」

枝麻が発狂する。

一メートル

「もう終わりだよ。幸せ屋さんは本物なんだよ!」

御伽が最後の力を振り絞る。

三十センチ

「ふーあぶなかった。まさか御伽が裏切るとはね····」

「「「え!?」」」

時間が凍りつく。実際にそういうわけではないがその様に、数秒のことがもっと長く感じた。

集まるときも三人だった。

まだ一人いたのだ人格が。

そいつは彰の攻撃を避けると根を彰に巻き付け地面にうちつける。

「がは!」

内蔵が混ざったような錯覚を覚える。

そして根が彰めがけて刺さる。

「ぐっ!」

根には光る液体が

「それはまさか」

彰の研究施設にあった。実験段階であったが脳神経を一部殺す劇薬。

それは能力を無くすために作られた。

つまり

(ベクトル操作がきかない?)

「これで最期だ···。っ!」

彰を貫こうとしたその時

「術式解放 対価を払う憐れなる者よ」

蒼白い光が彰を包む。

 

「ふーまにあいました。あの方はそれすら見越していたと言うのですかね?」

めいが力を解放していた。

「あなたが悪いんですよ。ご主人様」

隙間が開き

「何がどう悪いのかしらね?」

紫が登場する。

「あなたには関係ないんです。」

「まぁそうよね。それよりあの光はなんなの?」

「ご主人様の能力です。」

「能力?私こんなのあるって知らなかったけど」

「ふふ、信用されていないのですね。とまぁ冗談はおいといて」

とめいが説明に入る。

「ご主人様の能力を説明するにはまず概念解釈の変化を知っていただきたかったのですが、まぁここは省きます。

今のご主人様の能力は[概念解釈の具現化]と言います。今までは力、つまり発現する力について変化をさせることが主でした。

要は元々あるものを変化させたに過ぎないと言うことです。しかし今回の能力は違います。まぁ先を見てみましょう。」

「確かに見た方が速いわ。そうしましょう。」

 

(めいか。この力は)

圧倒される力に身を任せる。

「お前は偽物のはずだ···」

枝麻がさっきとどめをさせなかったことでまた攻撃してくる。

「第肆十弐章参節!」

辺りに蒼白い光が出始める。

森を明るく照らし

「幻!」

蒼白い光からその声に呼応するかのようにあるものが姿を顕す。

それは巻物であった。

 

「巻物?」

紫が訊いてきた。

「間違えてはいませんね。正確には記憶の巻物です。章が人生の分岐点、節がその時の能力です。」

めいがすかさず説明に入る。

「ん?よくわからないわね。その時の能力?」

疑問は解消しなかった。

 

巻物には端がなく光に隠れている。

(この力だけは使いたくなかった。)

そして彰は躊躇無く指先を薄く切る。血が滲み、赤く巻物の上にポタッと一滴落ちていく。

「第什弐章伍節 発現!」

巻物の一部が赤く燃えて字が消える。

そして

彰の体の四肢が強靭なものへと変化した。

「異能力 我狼」

それは四肢だけ見れば我狼そっくりであった。

彰の中にあった様々な感情が力に変換されていく。

「能力なら新しく作ればいいんだ!」

彰は枝麻に向かって走り出す。

根を払いのけ弾幕を揉み消し近づいていく。

「来るな来るな来るな。来ないでよ、修羅 三位一体」

弾幕を形成し彰を狙う。

「第伍章参什壱節 発現 式神 女郎蜘蛛」

これは何処かの陰陽師が使っていた陰陽術。多少の力を吸収、双殺する働きがある

「いけ!」

沢山の女郎蜘蛛が弾幕を吸収する。

「あと少し!」

彰が力を振り絞る。

すると枝麻の前に黒い何かが通る。

それは彰を吹き飛ばし森の樹木を倒す。

「んなっ!」

黒いなにかおぞましい存在と黒の着物がこちらを見てニヤッと笑った。

そして黒の着物は枝麻に話しかけ

「そうよね。初めて意見が合ったわね。逝きましょうか。あの方のもとへ」

目を大きく見開き笑顔を浮かべ根が集まっていく。

「まさか、やめろ!」

根が全て枝麻を貫く。

彰はすぐさま立ち上がる。

枝麻のもとへ一歩二歩三歩

ここで足がもげる。始まったのだ。

苦痛に顔をしかめながら足のないことで腕の力で体を動かす。

あと数十センチ

そして今度は腕がもげていく。

最初に右腕、次に左腕。

数センチ

枝麻を見上げ最期に

首が腐り落ちた。

 

「ご主人様の能力は概念解釈の具現化、今記憶というものを具現化しているの。

我狼とかいった奴の感情を力に変える程度の能力を使用している。」

「そんなことしたらなんでもありじゃない。」

「これだから何も知らない者は···。この能力にも代償はあるのよ?」

「それは?」

見た通りよとめいは言い、彰の方向を指差す。

いつの間にか決着がついていた。

「なによこれ」

周りがなにも残っていない。物質としてはあるがこの戦いはなにも生んでいなかった。

「先生!」

慧音が彰の体?を抱えている。

「なによこれ!」

紫がまた訊いてきた。

彰の代償は体の生命活動、つまり死ぬこと。

他人の能力を使うということは力にみあうように体を変化、適応させる。簡単に言うと適応能力で力を適応させるということ。

しかしそううまくいかないのが現実である。工場の製品一万個のなかに完全に製品として売られるものがいくつあるだろうか?

実際にはいくつかは欠陥商品がある。

つまり適応しきれなかったのだ。

そしてこの副作用は永遠に消えない。制限時間は体が腐りきるまでその間だけ力を使える。ほぼ最終手段である。

そしてもうひとつ、記憶を媒体として能力をしようするので覚えてなくてはならない。

「そしてご主人様記憶を司っているのはこの私。ご主人様の記憶の管理をしているのもこの私」

めいが説明をしていた。平然、あたかも当然のように冷静と焦りを司るめいは死体をただ見て言った。

 

「冷静と焦りは紙一重。結局は自信があるかないか。だからといって記憶がないわけにはいかない。ないからこそ起きる焦りもあるから。だから私が管理する。ご主人様を永遠に世話をして私に依存する事が私の願い。それ以外はなにも要らない。ご主人様、こんな私を頼って」

虚空に話しかけ現場をあとにする。




事件を解決したが皆の不満、疑問を解決することはできなかった。
二つ目の力を解放した今。能力の不具合に違和感を覚える彰だが

次回

事件は会議室で起きている。


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事件は会議室で起きている。

どうもあねへです。
最近の更新に空きが増えていきそうで困ります。
基本的に能力は設定パートでちゃんとした説明をさせていただきますので御参照ください。


重苦しい。

それしか言葉が尽きない。従者四人がひとつの部屋で顔を見合わせている。

その表情にも色々で余裕の表情や、おどおどした表情、そして意味わからないといった表情を振り撒いていた。

今ここは、倉持邸中央二階にある一室

実はこの時、数時間をこの部屋で過ごしている。

そしてその静寂を破るのはめいである。

「今回、いや前回もありましたがここに来てから異変が多く感じます。」

「それもそうですが、それが普通なのではないのですか?」

くおが質問すると

「確かにそうも考えられますが...」

といいきみの方へと向く。

「あなた、知ってますよね?」

そして圧力をかけてきた。

「ははは、嫌だなぁ、あたいがそんなことを知ってるほど頭よくない「黒い着物ボソッ」ぞ?」

「黒の着物、知ってますよね?」

他の二人はなんのこっちゃと頭にクエスチョンマークを浮かべている。

きみはみんなから顔をずらし合わせないようにしている。

「あーばれちまったらしょうがないか」

特に悪びれることもなく

「そうさ。黒の着物に私は会ったよ。だけどそれがどうしたってんだ?」

「私も会ったので皆に確認を、と。」

あれれと聞こえるような顔をきみはする。

ただの確認な訳がない。だったらなぜわざわざきみに念を押すような行為をしたのだろうか。もっとやりようはいくらでもあっただろうに。

「まぁ異変については解決してますし、そこまで言及するべきことでもありません。

それぞれが犯した失態以外はね」

呆れを全面に出しめいは言う。

まず、くお

一回目の異変時より前に暴走

二回目の異変時に倉持邸の襲撃に対処できなかった。

    また、戦闘に向いていないのにも関わらず異変首謀者と対決

 

セレス

二回目異変時 なにもしていないこと。(自宅警備員、人里で団子の試食)

 

めい

二回目異変時 敵の策略により洞窟内を無駄に閉じ込められる。

 

きみ

一回目異変時 迷子

 

「よって財政的状況も芳しくないことでお小遣いなし!」

「「「えー!」」」

不満が爆発した。

「えーじゃないです。特になんですか。セレス、きみ!迷子と仕事してないとか」

「これはしょうがなかったんだよ」

「理由など聞いていません!」

めいは有無を言わさないようだ。それよりお小遣い制ということに驚きたい。

今回の会議の結果三ヶ月お小遣いなし。

 

その頃彰というと

「暇だ。」(いやなんというか。気づいたら布団の中にいたし。いつも定期的にしている会議は「ガールズトークに入らないでください」って感じで入れさせてくれないから悲しくただ天井見ているだけで···いつの間にか説明口調?)

取り敢えず彰は従者に邪険にされるのである。

(暇だから天井の染みでも数えてみよう)

下らない事をしようとする

「あっ数間違えた」

少しして

「あっまた」

そして

「また、ってもうええわ!」

明らかにおかしい。こう頻繁に間違えるというか。

「あれ?あの染み大きくね?」

地味に少しずつ大きくなっていくのがわかる。

(いやいやいや。んな分けないな。うんそうだ。そうだよな?)

一旦目をはなしもう一度見る。

黒い染みは人一人分の大きさになっていた。

(あーもうだめだ。誤魔化せない。)

染みから何かが落ちてきた。

「なっなんだ?」

「うーん、やっぱりこの方法は慣れないわ。」

落ちてきたのは女の子である。

「おっお前はあの時の!」

彰は異変の時のことを思い出す。

あの時枝魔が自殺を図る前に枝魔に言葉を交わした者だ。

「覚えてないのかしら?」

動こうとすると激痛が走る。

「おかしいと思ったでしょう?痛覚は遮断しているのにね?動かさない方がいいわよ。」

彰はなぜその事をと思ったが落ち着きを取り戻し

「あーなんというかまずどかないか?「いや」あっはい。じゃあ質問しとこうかな?あの時御伽になに言った?」

どうしようもないと思ったのか彰は尋ねる。

「なんと言うことでもないわ。ただ、”運命は決まってるから死んだら会えるわよ”って言っただけ」

「それってお前が!?」

仕組んだのか?と彰は怒りを露にする。

「いいえ決断したのはあの子。私は悪くないわ。ただ運命なんていくらでも作れるんだから、核爆弾の時からね」

「お前まさか!何時から知っている?「あらら、時間のようね。くおが来たようね。また会いましょう?彰様。」あっおい!」

普通にふすまを開けて出ていく。

そしてしまると同時にまた同じふすまが開きくおが入ってくる。

「くお、さっきそのふすまから女の子出てこなかったか?」

丁度良く、くおに訊くと

「なんのことです?もしかして浮気ですか!?」

「誰にたいしてなのかな!?」

 

 

縁側にて晩酌を一人でしていると

「怪我人が何してるのかしら?」

「特になにもしてないよ」

してるじゃないと紫が言い、今回の異変について話す。

「今回の異変についてだけど、枝魔は···」

しかし驚くことが発覚した。

「えま?誰のことだ?そもそも異変何てあったのか!?大丈夫だったのか?」

記憶の欠如だ。

(なぜ?なぜ?)

紫は混乱する。

(あの時の事を覚えていない?)

そして思い出すめいの説明の時のことを

「ご主人様の記憶の管理をするのもこの私」

記憶を司ると言っためいだ。

「あのアマーー!!」

なんとも表しにくい感情が紫を支配する。

 

廊下を歩くめいを紫は呼び止める。

「彰が記憶喪失なのだけど?」

「ああ、そりゃあ記憶の改竄ですよ。」

「そんな、平然と」

紫がめいに言うと

「ご主人様のことを知らないくせにいちいち言わないでください。私はご主人様のために都合の悪い記憶を取り除きご主人様の精神状況を安定化されているだけ、ご主人様のためなの。それなのにあなたはそれを破壊しようと言うのですか?」

紫はなにも言えなかった。反論も怒りでさえ出なかった。

思うのは

(確かに私は彰の事をよく知らない。だけど...)

そう紫は暗くなった夜を見上げていた。

 

 

因みにこのあとにあったはずの宴会は彰は出席していない。

だってそもそも彰の中ではなかったことになっているのだから。




せっかく異変を終わらしたが、やはりまだ食糧不足は否めない。
ここで人里では新興宗教に頼るようだ。
それに乗じる博麗霊夢は他の宗教に宣戦布告

次回

神の紛争


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設定3
設定(二.五~三章)


今回は疑問点が多いと思うのでそこ重視でいきます。


二.五章については主に過去編ですので置いといて

 

三章にいきましょう。

内容は

 

原因不明の干ばつが幻想郷を襲う。この異変にはあるひとつの過去が関わっていた。それは枝魔もとい御伽の存在である。御伽は昔、幸せ屋さん、彰の依頼人であり妖怪でもあった。陰陽屋さんと慕われていた男とそっくりの人物を転生した御伽は同一と信じる。しかし御伽は途中で違うと気づき、その怒りをそっくりさんの男にぶつけた。それでも御伽の怒りは収まらずもう一人の人格枝魔に意識を渡す。黒の着物に導かれ新しい能力根を伸ばす程度の能力を会得し幻想郷の異変の犯人として活動していく。その解決を彰たちが行っていくというものでした。

 

まず人形の記憶についてはメディスン・メランコリーというようなものとしてほしいです。説明としては十分だと思います。

次に幸せ屋さんのことだがこの事は次の章に密接に関係しているのでここでは公言しないこととします。

ただこの仕事の行動が彰を悩ませたということは確かです。そして今後も

 

さて話しは変わって彰の能力についてです。

新しい能力を[概念解釈の具現化]と言いました。記憶にある事柄を使用するに当たって実物という所謂本などといった触れるものは創れません。材料無いですし、つまり記憶にあるものを彰が再現するということです。所詮は真似事なので自分の身体では適応できず破壊てしまう訳です。それこそ工場にできる不良品のようにね。

 

Q彰に打たれた薬はどうなった?

 

A毒といったものは適応能力でどうにかできますが、脳細胞は死んでいます。回復には時間がかかります。蓬莱人とは違うので。死んでから体は再生されますのでそのときの彰は無力だったということになります。概念解釈の具現化は破壊された後に手に入れた力ですので薬の効力を受けないということです。

 

Q前に彰が一日前の本を読んでいたのを指摘されていましたがそれと関係はありますか?

 

A関係あります。記憶を司るめいがこれに気づかなかったことが大切な部分です。

 

Q天翔の曲芸師のように他にも名前があるのか?

 

A正直言って次の章にもあります。(笑)

 

話は能力に戻りますが彰の武器は巻物です、それも記憶の。最初は普通に本でいいと思ったのですが過去から今までは途切れることなどないのだからと和風にしたかったというのもあり巻物にしました。

 

Q彰の性格変わってない?

 

A記憶を消される段階で彼のツッコミは失われました。というのもめいがちょっとずつ記憶を消すため自身の性格も改変されてしまってるんです。

 

 

四章についてですが四章では神たちの話が入ります。宗教戦争が胆となります。多分ここから過去の話が大事に

なっていきます。

 

黒の着物の正体の話はまだまだ先です。




いやーなんと言うか三章は
薄かったので書きにくかったのは内緒です。
まあ今更ですがUA&PV共に2000突破しました。この場を
お借りして感謝の気持ちを述べたいと思います。

ありがとうございました。今後とも応援のほどよろしくお願いします。


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三.五章
神の紛争


日常回が始まります。ご注意ください


異変が終わりを迎えやっと花見の季節なのだと実感させられるように桜が咲き乱れていた。

 

「いまこそ我らが守矢神社もこの期に乗じていこうと思うのだが「はいはいそういうの要らない要らない」なんだよ諏訪子いまいいところなんだから」

早速争いを始めるこの二人守矢神社の二柱、守矢諏訪子と八坂神奈子である。この二人は人間界では信仰心を得られないことを悟り幻想郷にやって来た。流石に今は絶好のチャンスと思ったのだろう。

「と言ってもどうするのさ」

諏訪子が尋ねると

「そりゃあ...ね?どうしようか「だと思ったよ」煩いなだったら諏訪子も考えなよ」

神奈子がぶすくれて諏訪子に意見を求める。

「それは簡単だよ早苗に手伝って貰おう。あの子は人間としてもあそこで過ごしているんだ。きっと人間界の知識を活かした信仰集めをしてくれるさ」

 

「え?出来ませんよ?」

早い早すぎる希望を打ち砕くのが。

神奈子と諏訪子は目眩を覚える。

「私そういう情勢とかは特にわからないので」

では、と早苗は夕食の買い出しへ行く。

そこにはへたりこむ諏訪子の姿があった。

「居るかどうか分からないけどあいつを探すかね」

 

早苗が帰る頃には夕焼けがきらびやかに照らすように焦りが消えていってほしく感じていたがその頼みは叶わなかった。

「諏訪子様、神奈子様!ついさっき人里で...」

(遅かったか)

と諏訪子と神奈子は思いある話をはなしだす。

「早苗、この話をしたっけ?」

その表情は落ち着き払っている。早苗には大変な話なのだと感じた。

「守矢神社には昔もう一人の神がいた。ほんの数日だけね。神にとってとても短い間だがあいつはここの神だった。だから記録には残っていないんだ。」

早苗は驚いていたが静かに聞き

「その神様は今どこに?」

「分からないしかしあいつは守護神だ。きっとこの神社も守ることができる。」

「ならば探してきます「情報もなしにかい?」」

神奈子が飛びたとうとした早苗を止めさせる。

「まあ私たちの話を聞いてくれ」

彼女たちははなしだした。

 

宗教といえば幻想郷にはまだまだ宗教がある。

例えば命蓮寺がいい例だ。

聖白蓮を筆頭としたこの寺は妖怪と人間との共存を訴えている。また仙界に住む豊聡耳神子を筆頭とした道教も有名である。いずれにせよこれらはこの幻想郷にある宗教勢力であり敵対関係が少なくともあることは確かである。そう紛争は小さく起こりそれが連鎖していくのだ。

 

「え!ということはその守護神は...妖怪...」




あいつに関してはなしだした諏訪子と神奈子、彼女らが
言うことは早苗を驚愕させた。それはいったい?

次回

第三の柱


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第三の柱

過去編です。ここの部分にはまだまだ続く物語がありますがまだ先ですので、次回のことを言わせてもらうと一旦過去編は止めて現代を書きます。


昔々私は諏訪対戦が終了し神奈子と共に行政を行っていた。その時私の目に飛び込んできた光景は

 

「きゃー!」

草原の中、甲高い声を女性が発し片手を隠していた男を周りを妖怪が囲んでいた。ここは諏訪の国の外、本来なら助ける必要などない。私は助けようとした。何でかは知らない気付いたらそうしていた。しかし届きそうにないと諦めかけたその時。

 

「手を出したならしょうがない。」

するすると片手を隠していた布をはずす。

その手には妖力が備わっていて鬼の腕に相違ない。

その男は女性の目をもう片方の人間の腕で隠し、周りの妖怪どもを蹴散らしていた。

私は遅くではあったが確信したあの男も妖怪なのだとしかし不思議と殺してしまおうなどと思わなかった。

気付いたら襲っていた妖怪は血みどろとなっていた。

これがはじめて会った神となりうる妖怪である。

その者は女性を助けると再び片手を隠し女性にあるものを持たせ別れた。そのものには大妖怪かそれ以上の妖力が込められていた。恐らく他の妖怪に狙われないように御守り代わりなのだろう。私は興味をそそられた。助けたことではなくその女性がその者を崇拝しその者の神力が微力ながら存在し扱えるように宿していたことについてだ。私はあの男に接近を試みた。

「あんたは妖怪かい?」

男は一瞬ビクッとしたがそれを立て直し片手を隠して

「そういう君も人間でないようだが?」

面白い返しだ。単にそう思った。本来ならここはもっと驚くところだろうに

「わかるということはあんたは少々人間離れしているようだ。」

そういうと観念したのか布を取る。

「そうだなー俺は今のところ半人半妖と言ったところかな?」

男はそういった。

「そんな特殊な存在がなぜここに?」

「諏訪対戦ならぬものがあると聞いてな。っと思ったんだが終わったので帰ろうとしていた次第だよ。」

「あんた、面白半分で来ていたなら良かったね。殺されてたよ」

許せなかった。私自身が真剣に思って行動したこの戦いをこの者が馬鹿にしている気がした。だから私はありとあらゆる神としての力を男に行使した。

辺りを撒き散らし野を壊す、神としての力を。

しかしそれは失敗に終わる。男は生きた、もろに受ければ並みの妖怪であっても消し去るその力をその男は生きることで力を証明した。

勿論腕は鬼のまんまである。

あいつは手も足も出なくうなだれる私を撫でていた。何もしゃべらず撫でていた。

 

一時の間を無かったことにし話を続ける。その男はなんと妖怪との戦いで片手に術を施したせいでもとに戻らないと言っていた。しかし依然となぜ鬼なのかは解らなかった。

「ではさっきのお詫びとしてその腕を治してやろう。」

男は嫌々(快く)それに乗った。なんにせよ私はこの者をお持ち帰りすることにしたのである。

 

帰ると神奈子が早速殺しにかかったが男は平然と避ける

。そして私が男を連れてきた理由、興味を持った事を説明すると神奈子も賛同してくれた。男はこの神社の巫女的な扱いとなった。表面上はね。

 

 

初日

とりあえず自己紹介を済ませた。男の名前をゼンと言った。何故か漢字については教えてくれなかった。さあ今日のから神力の扱いといこう。お遊びのつもりだが、もしかしたら同胞となるかもしれない。神としての素質は

充分だ。

 

一週間後

ゼンが空を見ているので何故かと声かけた。ゼンは

「一緒に見てくれた友がいるから」

と言っていた。ゼンは昔のことを話したがらない、だから私は言及することを止めた。

 

数日後

「あんたまた国の外の人間を助けたのかい。酔狂なこった。」

最近というか前からなのかわからないが人間を毎回助けているようだ。

「別に良いだろうそのくらい」

良いけどと私は思うがその都度神力が増加しているように感じた。

 

そのまた数日後

力を扱えるようになったはいいが今後どうしようか。ゼンはたぶん旅たつだろうが...あ!そういえば腕を治していなかったな。そう思い修行で疲れ寝ているゼンの腕を持とうとするとグチョグチョと不規則に変化した。私は恐怖を覚えた、なんなのだと。その腕は気が付くとなんと人間の綺麗で健康的な腕になっていた。

 

次の日

ゼンは治った腕を一瞥するとありがとうと言ったが私としてはなんのことかわからなかったので

「どういたしまして?」

変な抑揚となっていた。ゼンは案の定旅たつといったがこのあとに祭りが控えているからそれまでいてほしいと言うとその提案で納得したようだ。

 

祭り当日

ゼンはこれまで祭りの準備を手伝っていた。そのお礼をしたかったがゼンが見当たらない。何で居なくなった?

お礼位させてほしかった。

 

神在月の宴会場

今日はある話題で一杯だった。それは神たちが諏訪の国の近くで消滅したということだ。なんともそいつらは隣国の神であり諏訪の国を襲撃しに来たらしく。見た目人間の新参者である神にしてやられたそうだ。その新参者の神は自分のことを漸鑑御神(ぜんかがみのみかみ)と名乗った。そして旅の守護神として諏訪の国に残る旅人を守るためだとも言っていたらしい。私たちには心当たりがあった。それはゼンである。

しかし心当たりが確信に変わることなどなかった。

 

迂闊だった。戦闘での傷を自分の治癒力を上げて治そうとしたが急過ぎて定義付けを忘れていた。体だけくっ付けるだけなら良かったが姿も鬼のまんまなんとか直しても片腕だけもとに戻らなかった。

(あーどうしよっかなー)

だらしなくそう考えていてもしょうがないにでとりあえず布で隠すことにした。すると妖怪が前を通りすぎた。どうやらあの旅の娘を襲うらしい。基本的に俺もそこまでお人好しでない。実際諏訪対戦を見に来たということもあり時間がなかった。だから助ける理由もなしにする行動は軽率過ぎる。あ!ひとつあった理由。よくよく考えたらこの片腕じゃどのみち国に入れてくれないよな。姿を変えてと、うん助けようその時に片腕切ってもらって...

 

結果弱すぎて話しにならなかった。どうしようこのままだと入れないだけど!と思ったらついでで助けた娘さんが

「ありがとうございます。つい最近まで大きな戦争があったものですから...」

ん?つい最近まで?ということは終わっちゃたか!何てことだ。帰ろうかな?あっでも家倒壊してたっけ?やっぱあの吸血鬼腹立つわ!これからどうしようかな?とりあえず御守りの代わりの物あげたけど...まあ旅といくか!

 

そうこうしてたら帽子かぶった少女に会った諏訪子というらしい。どう見ても少女だがこの感覚には覚えがあった。それは昔の都でも感じていた。説明は割愛するが要はこいつできる!?みたいな人物なのだろうと思う。

 

成り行きに身を任せたら神社の手伝いされているんだがしかも神奈子とかいうのもいるし、まあそろそろ場所を移転しようとしてたしちょうどいいか。

 

明日になって初めて聞いたんだが彼女らって神だったのな。驚きだな。そうかあの感覚は神力によるものだったのか。ていうか諏訪子とかいったか、あの子がどうやら神力の扱いを教えたいとかで稽古させられているんだが...。まあやって損することなんてないしやるだけやってみるか。なんか出来ました。やったね。と言ってもこれからどうしよう。神なんて俺にはあまり合わないと思っている。だけどあのとき誓った覚悟は神というものに合っていると思える。

 

ある程度時間が過ぎたが旅に出ようと思う。先に逝った彼らのために目一杯話をしてやりたいのだ。と俺は思い当たり彼女らに声をかける。そうするとやはりかと溜め息をついて祭りがあるからそれまでいてほしいと言ってきた。特に俺は急ぎの用などないのでその提案を受け入れる。

 

祭りまでいるといってもまだ時間がある。だから俺はその分今までのお礼として準備を手伝うことにした。守矢神社の人間がそれの準備に勤しむ、これも信仰心の助けになればと思った。そうして手伝っていると不意に握り飯を鍛冶屋のおやっさんから貰ったりと逆に感謝しきれないものを俺にくれた。これが、持ちつ持たれずの関係かと俺は懐かしく思うのであった。

 

祭り当日となった。辺りは賑わいとても心地よい雰囲気を醸出している。俺はじゃあ今のうちにとこの国から出ようとしたその時、おやっさんが出口に立っていた。

「お前ここから出ていこうとしているな?」

俺は顔を合わせられなかった。合わせると戻れない気がしていたからだ。しかし俺のこの気持ちを知らずに

「お前にひとつ渡したいものがあるんだ。」

と言って一つの巻物を手渡す。

この国じゅうの住民の名前が書かれていた。

「一人一人直筆だ。これで忘れることなどないな!」

おやっさんは笑いそのまま祭りの明るく光る方へ歩いていった。些細なものでも嬉しく感じるのはもう末期だったんだろう。ここにいすぎた。でもそれでも俺には快い空間だった。ただそう思い、そう実感し俺はこの国を出た。

 

国を出るとそこにはいくつかの神力が諏訪の国の方向に移動しているのを感じた。意味がわからないが最後の仕事として彼らを祭りに歓迎しようと思った。

「これはこれはご機嫌麗しゅうございます。」

「む?誰だ貴様」

集団のひとりがそう訊ねた。

「私はこの先の諏訪の国で巫女らしき仕事をしていたものです。それよりどうですか?こちら諏訪の国では今祭りを開催しているのですが...皆様も」

友好的に接しようと思いこの言葉となっている。

「生憎我らは祭りを楽しみに来たのではないのだ。」

「...と言いますと?」

「ひひ...今諏訪の国で祭りを開催しているのは我らも知っている自明の理、つまり今の諏訪の国は平和ボケで戦など考えておらんだろうよ。それにこの国で妖怪が出入りしている確かな情報も我々は持っている。それを逆手にとり奇襲をするのだ。」

なんと彼らは諏訪の国を襲撃しようとしていたのだ。

「へー。しかしそれは些か卑怯ではないですか?皆様は高貴な神方、宣戦布告をしてからでも...「我らは今というこの世の残酷さを教えるに過ぎない。何も間違っておらん」ほおー」

俺の口調が変わってしまった。しかし別によかった。

「それでは皆様に祭りを案内しましょう。もう始まっているんですよ?」

「だから我らは...」

神の一人の懐に体を入れる。

「血祭りと言う祭りにね!と言っても血も涙も無いか」

そして神力を吸収した。神は神力を失うと

「貴様今何をした!?いったい何者だ!?」

消滅する。

「俺か?俺はそうだなーじゃあ漸鑑の御神とかと名乗っておこうか。」

漸とは時間の緩やかな流れ、鑑は物事を写すこと。さすらう旅を見届ける者、それが俺のこととする。

激戦のなか、ある神が火を用いた。そしてその火種は巻物へ。俺の中にあった火種も今ゴウゴウと燃え出していた。だが俺は笑った。これで殺す動機ができた。正気の沙汰でないと思うだろうが俺は何回も理不尽な仕打ちを受けてきた。

「あーあもう許す気力もないな。だから...」

その表情に誰もが恐怖した。

()()()()()()()




神の姿である彰を知るものは数少ない。そんな中でもひとつ共通のものがある。それを知ったとき正気のどころでなく狂気の沙汰でないと感じるだろう。

次回
青年よ大志を抱け


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青年よ大志を抱け

さぁさぁやって参りました。
「行きなりどうした。」
もう50話なんだなと思うと涙が···出てない!?
「出てないのかよ」
まぁ感慨深いものを感じている私ですが今回は記念と言われてもなにもしません。ってへ
「...もう突っ込まないぞ」
あら残念。では本編をどうぞ


黒の着物は目的の為なら手段を選ばない。昔からそうであった。枝魔の件であっても古代から運命を設定し操作していた。今回はそんな黒の着物のお話としよう。

 

ここはとっくにつぶれた廃墟。多分外来人が住んでいたが居なくなったのだろう。理由など考える意味などないのだ。誰も住まなくなった建物は自然の猛威をもろに受ける。床は腐り抜け、土地も枯れ果て挙げ句壁であっても大きな穴が空いていた。特にここに黒の着物が住んでいるとは言わないがある目的でここを訪れた。

「うんあったあった。」

黒の着物は小さい箱を見つける。その箱からは異臭が漂い、並の常人では近づくことすら嫌がるだろう。

小さく箱に入れられていたのは洗いもせず赤く血が付いた我狼の爪である。それを見つめ興奮を覚える黒の着物。それを静かに眺めている。理由ならある。それはこの爪は彰との戦闘を表していたから、つまり皮膚片だ。

「この爪が彰様の肩、足、腕を抉っていたと思うと...」

そしてこのコレクションにもうひとつ加わっていく。

枝魔の片腕。彰の能力の我狼を使ったせいでひしゃげている。もちろんこれにも彰の皮膚片が。しかしそれだけではない。

「彰様がこの娘に与えた愛を感じる。もっと感じていたいわ。」

ぎゅっと抱き締め見た目は壊れた人形でしかないが黒の着物にとってこれらは特別であった。

舐めたい衝動に駆られたがすぐ他のものもとってしまうことに気がついた。

「こんな汚れた我...狼だっけ?の爪など舐める気など起きないわ。」

次は何しようか何を使って彰様をと考えていると一人の青年を見つける。黒の着物はニヤッとにやついた。その青年に近付いていく。

「何を探しているの?」

「うわっ!ああ、なんだ人間か。君はここらに住んでいるのか?」

「質問はこっちがしているのだけど?」

ただならぬ雰囲気に気づき青年は質問に答える。

「ああ、悪い。俺は人里の者なんだが最近は異変とやらで物騒になってな。だから修行をしてみようと思った次第だ。」

「ふぅんそう。探してた訳じゃ無いんだ。っで強くなる目処でもたった?」

「いや、この通りてんで見当も付かないよ。」

青年が肩をすくめるところを見て黒の着物はもう一度ニヤッとにやついた。

「じゃあ力を与えましょうか?」

その言葉に青年は鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔をして

「本当か!?」

ええ、と黒の着物は答える。そして邪悪に黒くある玉を目の前まで差し出す。

「これは貴方に何らかの力を与える宝玉みたいなもの触るとそっちに移るわ。」

と言う辺りで青年は手を伸ばす。咄嗟に黒の着物は言う。

「では問いましょう。貴方のその欲望を...」

「俺は里を救いたい。どんな苦労だろうと耐えて見せるだから俺の望みを叶える力をくれ」

玉がそれに反応する化のように赤黒く微かに輝いている。

「百点満点の欲望ね。良いわ。触れなさい。」

青年は触れる。一体誰かも知れぬ輩に、力を求めた、しかし拒むことなど時間がさせない。青年は里を救う一心で玉に触れる。それは触れたとたん割れ光が青年を包む。

「貴方の力を求める欲望をこの身でじっくり味わったから、まぁ力については開花するまで待ちなさい。じゃあ」

この場を去ろうとする黒の着物に青年は

「ありがとう!」

と感謝を言葉にしていた。

「精々力に見合う男になりなさい。」

 

(それにしても私も酔狂なものね。敵に成るかもしれない青年に力を与えるなど)

クスクスと含み笑いをするつもりが少し空気が漏れる。

「あー愉快だ!あらゆるすべてが否定と肯定を繰り返し真実を見つけようと必死になる!」

(まぁあの力は願いに合わないわね。だって)

「妖怪である程度の能力とかね...変ね!未来が見えるわ。あの青年が人々に疎まれ寂しくなる不幸が...そうね。その時はまた遊んであげましょう。妖怪である青年さん。」

 

無情にもその未来通りにことを運ぶ。運命も未来も世の中だって非情で残酷だ。この青年もすぐ知ることになるだろう。




人間の復興への力は強大だ。しかし数々の疲弊で里の人間もまた疲弊しつつある。そんな状況で彼女は何を見つめるのか。

次回
里に悟い誘われて


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里に悟い誘われて

物事に犠牲はつきものでそれは変わらない事実。それをいかに私たちは過ごしているか。今回はそんな彰のお話です。

 

「ご主人様この泥棒を...「言わせないよ!?」」

朝っぱらから紫の襲撃である。南館倉庫が襲われた。それに青筋を浮かべ追いかける従者四人。正直双方ともに自嘲してほしい。

「零符 知らんぷりの澄まし顔」

(あーやっちゃったー。とりあえず片付けはめいに任せるか。)

「なんとか捕まえました。」

めいが報告する。従者四人がかりで紫を捕まえる。流石である。しかしそんなことは彰にとっては意味などない。どちらかと言えば倉持邸南館が崩壊した事に怒るのである。

説教中

「反省の言葉は?」

「「「すみませんでした。」」」「嫌です。」

そう言うのはめいである。めいだけが不満そうにこちらを見つめてくる。

「なぜ!ご主人様は私達にそこまで怒るんですか!?どうしてご主人様は許せるんですか!?どうして!どうして...」そしてそのまま踵を返し飛び去っていく。

「あっおい!」

彰は何もできず何も言葉を出せず小さくなっていくめいの後ろ姿を見るしかなかった。

「めいにしては珍しいねぇ。」

きみがニヤリと笑いながら言う。

「確かにいつも冷静な彼女らしくありません。」

くおもそう感じたようだ。

そしていつもどうりのセレスが

「まぁめいのことはいいので、この泥棒をどうしようか?」

マイペースは本当に空気を読まない。しかしそれでも従者の質問に答える彰。

「封印でもするか」

「えっ!?ちょっとまっ···」

紫を静かにしたところで、

(探しにいかないとな。)

彰は思うのであった。

 

人里に訪れるめいを見つけると小鈴が嬉々として近づいてくる。

「めいさんではないですか。どうしたんです?」

当然このような質問が来るもので流石にちょっとした喧嘩をしたなどと言えるはずもなく。

「···それは···その」

「言いにくいことならいいんですよ。私はただ久し振りに会えたことと助けていただいた恩を返したいと思いましてね。」

「そんな大したことをしたわけではないのでいいんですよ。最近どうですか?仕事とか人里の様子とか」

めいが話を変えたくて強行突破を試みて質問する。

「そうですね。最近は仕事はあまり良くないですね。実質本は暇の合間を縫って読むもの、様子もそうですが人里全体としてあまり良い傾向ではありませんね。」

「···そうですか。」

何となくで言った質問が何とも難しい内容の答えが帰ってきてしまい扱いに困る。実際、彰たちがすぐに退治できなかったせいだからだ。その責任は拭え切れない。勿論ここ数日で死者もでている。本格的に信用を失いかけている気がしてならない。しかしここでは下手に声に出さず人里の現状を知ることが大切に思いめいが今聞いている。それが従者としての存在理由。

 

さっき静かにした紫がなんとか復帰しさっきの出来事について聞いてきた。

「あの、さっきのことだけど···」

「ああ、その事かそれは「それはあたいが説明しようか」」

 

 




彰とめいが思う冷静が違うことを気づけない二人。紫がその説明で聞いたものとは?

次回
   紙一重


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紙一重

諸事情により数ヶ月操作ができませんでした。
以後このようなことがないよう気をつけますがデータ破損等の事情に関しては察していただきたいです。


何事も紙一重であると私は思う。表があり裏があるように相互は近くて遠い。そんな関係が一番安定するのだ。

 

「あいつのところの屋敷は怪しすぎるんだよなー」ヒソヒソ「だよなあれはなにか隠している口だぜ」ヒソヒソ「俺聞いたぞ。あの屋敷は妖怪と交流していて...」「面白い噂ですね。私にも少し聞かせてくれませんか?」「んなっ!おっお前あの屋敷の!」

 

私にとっては昔のこと、ご主人様にとってはつい最近のことであります。あの頃は私が生まれたばかり、世の中になんの不満も不信感も抱いていなかった時です。懐かしい。先程の会話の一例はお恥ずかしながら私の失敗談となっています。今後の展開については察してもらえると嬉しい限りです。まぁ私は悪いとなんて思っていませんが...。

 

この件のあとの話を少ししましょうか。まずはこのときの状況を少しばかり、村の一員としてちょっとそばに屋敷をおかしてもらいました。表現は難しいですがご主人様にとっては造作もないこと。村民の方々もある程度気に入ってくれたり違和感なく過ごせていたりするようで、安定した生活を営むことが出来ると思ってきた時期です。

 

しかし若い者たちはそれを望みませんでした。それは簡単なこと。

『余所者だから』

この一言に限ります。人間は単純かつ脆くそして自分をよく知っていると思い込みます。まぁ私が言いたいのは、自分のことくらい察しろと思うところです。

 

先ほどの会話この村を離れる数日前の会話。案の定若い者どもがあれよあれよと噂をしていてそろそろこちらの暮らしにも支障をきたしかねなくなってました。

この後私はどうしたか?私は言いました人間は単純かつ脆いと…つまり記憶から消してあげました。当然ご主人様には言ってません。それでも後悔なんて言葉は私には不要なのでした。

こんな風に割り切っている私ですがこの頃の私はまだ青臭い子供なのでした。

 

人生始まって以来の殺人、このことに意味を深く考えすぎてしまったのです。

 

「わ…私は悪くない。」

 

ボソリと呟く私がそこにはいる。心の弱い私を守るのはいつもいつも

 

(我らが主人の為にした事なにも悪くない)

 

そんな私を救うのはもう一人の私名前も一緒慕う主人も一緒ただ一つ違うのは任務を遂行する決断力です。彼女は私とは違う力を持っている。程度の能力でなくこういった別の特性を持っているのです。私たちは二人で一人。こんな状況でも彼女は冷静でいる。私はすっかり彼女を頼りにしてました。

 

だからでしょう絶望に沈む瞬間も彼女を頼りにするのは

 

私は彼女を頼りにするときいつも考えてしまいます。どうして私は冷静でいられないのか?どうして焦ってばかりいるのか?そうやって考えて考えて考え抜いてふと人里の方へ目を向けたのです。そのとき

 

「あっ、私が冷静でいるんじゃなくて焦らないように削除すればいいんだ。」

 

そのとき真っ先に出た答えは

 

(お前まさか裏切ったのか!?)

 

?意味がわかりません私はただ尊敬する決断力を持つ私の半身を抹殺しているにすぎません。だって私よりも冷静な彼女がいることで焦っていたのですから、自分より上のものに劣等感を持つのは普通であり常であります。いわゆる単純、そして心の底にあったつながりを簡単に切断つまり脆い。あ〜こうして私は人間に近づいていく。こうして私はご主人様と居られる。あ〜こうして私は冷静で居られる。記憶の抹殺を簡単にこなせるほど私は人間として成長しました。帰ったら褒めてくれるかな?私の好きなご主人様。




過去を知った紫はどうしようもない焦燥感にかられる。そんな中、小鈴とめいの会話は続く。

次回 胡蝶蘭は澄み渡る


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胡蝶蘭は澄み渡る

久しぶりに書いているので感覚が戻ってませんが頑張ります。


私は冷静な私を殺しました。悔いなんてない。それで居られるなら私が冷静でいられるなら。焦らずにいられる。冷静になれない感情などいらない。冷静になれない記憶もいらない。例えそれが主人の記憶だとしても。記憶は脆い。だってそうでしょう?記憶を司る私がそう言うのだからそうなの。それにご主人様のためですもの。勿論理解してくれるはず、そしていつしか私を褒めてくださる。だから今日も記憶を消していこういずれご主人様に褒めてもらうため。

 

いま私はある女性と対峙している。本屋の小鈴。前に解決?した異変の被害者の一人。

 

「めいさんには感謝しているんですよ。」

 

この発言を真剣に捉えられない私もある意味傲慢である。

 

「当然のことをしただけです。(私に感謝される資格などない。)」

 

しかし彼女はそれでも強引に言葉をおくる。そんな押し問答のような会話を終わらせずにいると

 

「があーー!!」「きゃっ!な、なに!?なにが…?」

 

そんな近くだと小鈴が卒倒しそうな大きな声が聴こえてきた。

声主は何処にいるかはわからないゆえ、めいは早速冷静を欠く。

 

その理由は簡単で、

 

(ご主人様の信用が!)

 

これだけである。単純でしょう?でもそれが私…。

 

「私が様子を見に行きます。博麗神社に連絡を!」

 

「は、はい」

 

子鈴の背が小さくなるのを網膜で感じながらめいは現場へと向かうのである。

 

騒動が始まる前

 

力をどう使おうと勝手ではありますが、私のせいにしてもらっては困ります。だから記憶は消去消去ふふふ。

 

一日目

今日は日記というものを書いてみた。もちろん小鈴の本屋で。何故書こうと思っていたのかは忘れやすい俺のために用意してくれたそうだけどいまいち使い方がわからない上今日がいつなのか忘れたので簡単に一から数えていくことにした。それにしても今日は記念日でもある。それは初めて村を守れる力が手に入ったのだ。教えてはくれなかったがいずれ分かるだろうと思い、今日の嬉しさをここの記す。

 

七日目

最近体の調子が良い。畑仕事の後に村の見回りがあるし今日も一所懸命に頑張るとしよう。

 

二十日目

 

今日村はずれで少し鍛えていると頭の悪そうな妖怪が現れた。しょうがなく倒していたが昔ではこんなことも出来なかっただろう。自惚れているわけではないが、力をくれたあの女には感謝しないとな。

 

三十日目

 

おかしい。一言で言い表すことができないが体が不調だ。それに視線が気になってしょうがない。自意識過剰なのかどうかは知らないが気がつくと人を目で追っている。自警団の仕事もあるし明日には治っているといいんだが。

 

今日

 

キヒ!?ニンゲンダ…キヒヒ。

 

 

倉持邸

 

 

「うーんそんなことがねー。」

 

事情を聞いたとしても皮肉か彼女はやはり冷静である。

 

 




今回も遅れ申し訳ありません。どうしても忙しい為このペースになってしまうと思います。(それでも投稿速度をあげられるよう努力します。)
纏まった時間があれば一気に投稿もすると思うので今後もよろしくお願いします。

居ずらくなった雰囲気の中めいはあることに気づいていく。その一方紫と彰は今後についてを話し合うこととなっていた。

次回 管理するもの


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管理するもの

倉持邸

 

騒動が始まる前のこと、紫が訊いためいの昔の話ご主人のためならば人格すら殺す、そんな彼女が里のほうへと向かったことに紫は少し焦りを隠せていないが...。

 

(藍ならどうにかするでしょう。)

 

と、結局気にすることをやめる。そして、口を開き今後について話し合う。

 

「こないだの異変のことだけど...いや、何でもないわ。今後の人間との付き合い方だけどあなたって基本的に人間に無関心だったわよね?人間であるはずなのに。」

 

異変の話をするのをやめたのは、彰が忘れているから。めいがご主人様のためにと記憶を改竄した結果である。その結果、彰は異変の時間分咽かに本を読んでいることになっている。因みにほかの従者たちはそれを容認している。現にセレスに聞いてみると

 

「あの異変についてご主人の為おもうのなら本当のことを言うのはやめてね。あの時のご主人の心、泣いてたから。」

 

と、物凄く悲愴的な目をしていたためそれ以上言及出来なかった。彰が泣いているではなく()が泣いているなどとなぜわかるのか?疑問に思ったが、それよりも彰がどうしてこのような従者に内面全てを管理させているのか?こちらのほうがありえないことなのだ。

人間は脆い、この点において妖怪の種類が一つの理由となるだろう。実際、相手の心を読む妖怪もいるくらいだ。基本的それを人間は嫌う。しかし目の前の彰という男はそんなことなど気にせず平然と緑茶を啜っている。こんなことあってはならない。前に聞いた彰の自称能力を操る程度の能力とかもそうだ。そんな能力を持っているにもかかわらず生物特有の万能感を彰は抱いていない。こんなにも異質感を紫は彰に感じているのだ。実質、紫は彰と過ごした時間はわずかしかない。館はよく移動してるし見つけても強固な結界がそれを阻む。本当は関わりたくもないのではないか。そんな考えが頭によぎる。不安が広がっていくにつれ彰に任せていていいのだろうか、愛する幻想郷が崩壊するのではないかと頼んだのは自分のほうなのに思ってしまうのだ。だから...。

 

「管理人代理の任を解かせくれる?」

 

そう今の不安の解消のために言うしかなかった。異質な理由で解任したのを紫は悪く思っていない。そのくらい彰に向ける笑顔の裏に影が見えていることだろう。そしてそれを能力で理解力を上げて察したのだろう彰はそれを多分分かっていた記憶の欠如のことも紫の不安もだから微笑んでいた。誰を咎めることもせず、ただじっと紫の目を見て。

 

解任を告げた後もう来ることなど最後であろう館を見る。巨大で立派それに尽きる。心で分かっていても拭えなかった。もういいだろうと視点を下げ隙間に入ろうとしたとき、ひとつ気になるところを発見した。それは土の色が少し違うところ。最後に何をしているのだと自分の好奇心に自嘲気味に思いながら掘り返す。あったのは巻物昔のものであろう、文字が読めなかった。ただひとつ好奇心をくすぐられたことがあったため持ち帰る。それは昔のものなのに何かに守られて破れたり分解されたりがなかったこともだが一番は今も書き続けられていること。つまり著者生きているのだ。読むことはできないがいずれ解読することにして今度こそ帰っていった。



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守るということ

お久しぶりです。arneheです。今日は従者のうちのくおの生まれた時の話をします。


煤けた心を奥に秘め貴方は私を見つめてきます。そこにあなたはいないと言われている気がして思わず身震いしてしまいました。たとえあなたにとって必要がなくとも、そばにいさせてくれるあなたを私は愛しています。大好きなのです。優しさがあなたから滲んでいるのではないかと思わせる素の表情。だから私はあなたについていきたいと、そう思ったのです。

 

私が生まれたときすぐ横にセレス、近くにご主人様と、きみ、めいがこちらをのぞき込んでいました。私はあの時見たのです。ご主人様が泣いておられました。そしてそっと

 

「ごめん...ごめんな。」

 

この時の私はどうして泣いておられるのかわかりませんでした。ただ、あの時の泣き顔を永遠に見たくないと、そう思ったのです。ひとしきり泣いた後のこと、ご主人様は私達二人に名前を授けてくださいました。

 

「うーん。そうだなぁ。君の名前はくおだ。なんだそれというような顔をしているな。きみやめいもそうだが、お前たちは本当に似ているな。いや、こちらの話だ。気にしなくていいし説明していないもんな謝らなくていいよ。」

 

ご主人様は咄嗟に顔に出してしまった私を咎めようとはせずに名前の説明をしてくださいました。

その時の後ろに控える二人はすごい喧騒を今にも発しそうにしていました。

 

「くおという言葉には、まぁ、元は久遠というところからきている。意味は遠い過去という意味だ。だけど、くおんという”ん”というところが俺は気に入らなかった。んが終わらせている気がするんだ。過去は過去それは間違いないだけど俺はそれだけにとどめたくない。だからくお、過去を過去というだけに終わらせない、そんな存在でいてほしい。」

 

「ご主人様」

 

「ご主人様私の時より心がこもってたりするんじゃない?」

 

「な、何をいうんだ。そ、そんなわけないだろう?」

 

めいの言い分はもっともです。しょうがないですよ。だって私は彼の方に頼りにされているのだから!!

 

ああ、この方はなんてお優しい、花畑にいくら同じ花があろうとこの方だけは私の心を揺さぶるのです。

 

私の仕事は今の所は無くて周りの方々に聞いて勝手に手伝って居ました。私の生い立ちをこの三人しか知らないとは言えきみ、めいは同じように作ったため周りとは違って年齢が変わることも身長も変わらないようです。

私が生まれたわけを誰も教えてくれません。きみに聞くと

 

「そんなの自分で考えなきゃ。」

 

めいに聞くと

 

「何もしないのであれば私はあなたを殺します。だってご主人様の役に立たない子など要りませんから。」

 

 

二人とも表情がわからないくらいご主人様以外のことになると無表情をして居て少し恐怖も感じて居ました。しかし、私は分かったのです。二人の言葉から私はご主人様のために、ご主人様の役に立つために生まれて来たのだと。その時から考えました。私の力は防御力を操る程度の能力、唯一の防御に特化した能力それならばご主人様の身の回りの警護を担当したい。そう申したところ、二人に反対されました。曰く、私たちがいればそんなこと関係ないらしく私は落胆して居たのですがご主人様は

 

「良いんじゃないか?お前達もやる気になっているのはわかるがそれぞれの担当もあるだろうし忙しいさ。それに今の俺はなんの取り柄がないからね。それでいいか?」

 

ご主人様の愛を感じました。単純だと思いますか?確かにそうなのかもしれません。でも一歩遅ければ私は殺されて居ました。ご主人様が居なければ私の頭は無くなって居たでしょう。まぁ私の防御には無意味ですが。なのでご主人様は命の恩人なのです。押し付けがましいでしょうか?いかれてる?狂ってても良いんです。ただあなた様のそばにいるだけでそれだけでいいんです。だからこの時からきみ、めいに敵対しました。もちろん内側でですよ。ご主人様に迷惑かけられませんし。

不敵に笑い合う状況をご主人様は

 

「もう仲良くなったか。やはり姉妹だな。」

 

気づくことはもう無いでしょう。さぁ戦争です。

 

この頃からご主人様の守る盾となること。

 

これが私の存在理由でした。

 



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燃えた

くお、守るって一体なんだろう?突如開 始される疑問。くおに投げかける。問い かける彰。それは幻想郷管理人代理解雇 の後のお話。

 

扉を閉める音、想定内の自体を告げる音 であった。セレスがこちらに気づいて手 を振る。それを君とくおがたしなめる。 なんともあの後の雰囲気としては、場違 いな感じがしてしまう。しかしこの雰囲 気がいつも通りなのだ。そう、これが元 の彰の世界。

 

部屋から数十冊の本を持ってきた。題名 はない。庭にぽっかりと空いた穴に全て を捨て入れ、

 

「やっと消せる…。」

 

そう言ってマッチで火をつける。メラメ ラと先端で赤く燃えるその炎がアキラの 目に映る。その表情はやっとの思いでこ れらを燃やせる安堵か、それとも悦に 入っているのか。定まらない目の焦点。 そして火にくべられる。その瞬間勢いよ く燃え出す。燃え続ける。そして何に反 応したのか、炎の色が変わっていく。悲 しい青、楽しみの緑、怒りの赤、喜びの 黄。色とりどりの炎が本の周りを踊り狂 う。そう見えているだけなのかもしれない。やはり人の感覚はあてにならないとそう思う彰である。最後は灰となり風にさらわれる。何 もなかったかのように。そこには何も残 らなかった。

 

暫くすると彰は周りの従者に声を掛け る。

 

「さぁ行こうか?」

 

「「「はい!」」」

 

そして結界を張った屋敷の外に出る。ふ と気付いたように彰はこう尋ねる。

 

「めいはどうしたっけ?」

 

従者のくおは優しい目でこう答える。それがただの確認の問いでないことを知っているから。

 

「人里に遊びに行きましたよ。」

 

「そうか、それは良かった。」

 

めいも世間に遊びに行けるほど興味を持て たのかと気の合う仲でも出来たのかと彰は安心して楽しそうに周りに話 しかける。未だ従者は優しい目で彰をみ る。数十分前の真実を知っているから。

 

「ふふ、ははは!あははは。」

 

彰は突然久しぶりの季節の陽気や外の活気を感じ楽しそうに笑い出すと

「外へ出るのは()()()()()。楽しい な?」

 

「それはまことに喜ばしいことであります。」

 

くおがまたそう返した。従者たちは優しい目で彰を見ている。この言葉の意味を従者は知っているから。

 

彼に起こっているのは、前にめいがしたような記憶の欠如だけなのではない。めいは記憶の管理者、ゆえにその能力の本質は記憶を本として今後に残すこと。前に紫が癇癪を起こしたが、全く記憶は消していない。しかしその記憶はたった今消えた。記憶を消したいと思ったわけはこの世界で三人だけだった。



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守るもの

折角だし人里にめいを迎えに行こうか。と彰は提案をして歩いてそこへいくことにした。記憶を消し今現状を知らない彰にとっては何気ない一言なのである。

 

「…どうやら何かあったようだよご主人。」

 

セレスがそう言って人里の方だと思われる方を指差す。

 

こちらに飛んでくるものが一つ。小さい何かは次第に大きくなっていく。しかし彰は特に何を思うわけでもなく。

 

「うーん。めんどくさいから。セレス任せた!」

 

「えー!そりゃないよご主人!」

 

「はは、後で報告よろしく。」

 

そう言って彰らは先を急ぐ。先ほどの事など一切覚えていないようである。

 

「もう、ご主人ったら。人使い荒いよ。」

 

と言いつつニヤケているのは何故だろうか。こうしてセレスは団体から離れ飛んで行った女性へと向かう。

 

先ほどの戦いを観察していためいはある気配に気づく。彰の気配だ。

 

さっきのことでなんとも近寄り難く感じてしまう。そもそも戦闘に参加しない理由はいくつかある。一つ目は管理人代理の務めとしては行き過ぎるから。二つ目相手が人間の可能性が高いから。最後三つ目、めんどくさい。

 

若干最後が理由になっていないがこの際しょうがないと割り切ろう。それに弾幕ごっこなのか違うのかの判断ができないと言うのもある。だから今回は仕方なく彰に指示を仰ぐ必要があると判断するのである。

 

「…めい来たか。」

 

「は!先ほどは私も子供でありました。それでは状況説明を「ん?何かあったっけ?」」

 

一瞬惚けるめいだがすぐに察して落ち着きを取り戻し状況説明始める。

 

「ふーん、で?どっちの方がメリットあると思う?」

 

「と言われましても、明らかに人里方がよろしいかと…。」

 

と言うのは先ほどは直球で帰って来たばかりのセレスだった。

 

「意思疎通のない妖怪など助けても何一ついいことなんてありませんし、そもそも交渉すらできませんよ。」

 

「うん。そうだね。それに買い物できないのも良くないかも。あっそうそう」

 

と妖怪を一瞥し後付けのように一つ質問をする。

 

「くお。折角だ。解いてごらん。守るってなんだろうね?」

 

突然言われたくおは一歩遅れて即座に結論を出す。

 

「双方が納得する、契約への衝動的理由の一種です。」

 

「なるほど、と言うことは君は私との契約だと、そう認識しているのか。」

 

周りの他の従者はしてやったりとクスクスと笑い出す。

 

「じゃあ一つ言おうか。契約には双方の信用がないとそもそも成立しないしその信用は与え失わなければならないと言うことだ。」

 

そこでくおはハッとする。何故わからなかったのかと近くにいても気づかなかった。くおは何も失いも与えもしていない。私はやはりそこまで至れないようだとくおは思った。

 

「くおが考える答えとは合致しないように思うが?」

 

くおはガタガタ震え出す。怒らしたからとかの恐れではない。その震えはしなくてはならない責任だった。

 

「だが、お前の答えは少し急かしすぎだ。自分にさえ自信がないくせに言葉を発するな!」

 

びくっと言葉に呼応して肩が震える。

 

「だから、俺は待ってるから。いつでも待ってるから。だから俺を安心させてくれ。」

 

と泣きそうな顔をされる。くおは自害しようとするのを思い止まった。いましても彰の感情のなんの足しにもならないからと考えたからだ。

 

「は、必ずや。」

 

恭しく頭を下げる。他の従者はなんだこの茶番はとくおを軽蔑していた。

 

「あの哀れな知り合いをじゃあ助けに行くかね。くお、神力少しだけ分けて」

 

「わかりました。」

 

ここで助けると言ったのはわざとだ。助けると守るは似ているが決定的に違うところがある。それを認識できなかったくおにはちょうどいいものである。

 

めいは明らかに空気と化しているきみに聴く。

 

「あの、空気になってるところ悪いけど、ご主人様はまさか…」

 

「ああ、本を燃やしたよ。後あたいは空気じゃないよ!」

 

「照れなくていいのにー」

 

「照れてねーよ!」

 

この軽いやりとりの裏では

 

「ニヤリ」

 

めいは心の中でほくそ笑んだ。それはまるで己の欲望を満たせると思った。そんな顔であった。



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異形

一つの妖怪が人間の山を作る。その一報が聖徳太子のもとに届く。勇んで聖徳太子を急かす物部。そうこの場には信仰の体現、聖徳太子とその従者がいるのである。それを聞いた一同すぐに現場に直行する。形はどうであれ人を助けるのは慣れてはいけないと思い知ることになろうとも。

 

そこには死臭と焼き爛れたような人の顔。シルエットだけ見れば人間の形を持った何かがそこには立っている。このような異形など一つしかいない。

「待ちなさいそこの妖怪!」

 

これをいうのは現代の聖徳太子、豊聡耳神子。今、見知らぬ妖怪と対峙する。それは里の人々を守るため、見知らぬ妖怪はこちらを確認などせず黙々と人だったものをむさぼっていた。背後に従者を従え聖徳太子はその妖怪に呼びかけるもその声は虚しく、見知らぬ妖怪にかき消される。

 

「うがああーーー!」

 

「っ!?」

 

言葉を持てぬ妖怪は最下層、弱小と呼ばれているがそんな常識は今この場で消え失せる。

 

それは知覚する意味を持たない身体能力。力の体現。何者も凌駕するその膂力。そして哀れな何かの姿。それでも弾幕ごっこで培った経験から避ける。その間わずか数センチ。それでも、かの妖怪が姿を亡くしたのだ。

 

「うがああーーー!お、俺は!」

 

聖徳太子は自我を持つ妖怪か?としばし考える。その間も攻撃は繰り返される。横に動く妖怪の爪。バックステップで避ける聖徳太子。この中途半端の異形は何者なのか?そもそも理性を持つのか?そんな疑問が頭の宙に浮く。そこに屠自古らが入って応戦する。

 

「太子様。ここは我らにお任せを!」

 

「任せました。」

 

妖怪の特徴を観察する。人型妖怪にしては獣のような身体能力、獣にしては知性を持つ。明らかに相反した特徴。まるで物語によくある神獣のように圧倒的な力技。狡猾して何分の時間が過ぎたか?

 

「お、俺は。俺はマモルンダ。」

 

ここで屠自古が吹き飛ばされる。道端の石ころとでもいうかのように蹴ってあっという間に物部に標的を変える。連携を崩された彼女らに助けに行く暇すらなかった。弾幕ごっことは違うただの争い。弾幕ごっこにはない容赦の無い力加減。そして死の恐怖。

 

「仮面が一つありましたとさ。」

 

それは昔聞き慣れたフレーズ。

 

「天地の道理を無視する仮面であったそうな。」

 

最後に聞いたあのセリフ

 

「道理はいずこへ?」

 

問いかける、そして

 

「その道理はここにある!」

 

有無を言わさない傲慢な答え。

 

「我らは道化と旅の道を行く漸鑑神子。さぁ!道化芝居を始めよう!」

 

ふざけた謳い文句。確かな存在感。確かに周りに存在を明かす。それがいまの一抹の希望を見る。

 



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敵への情けは捨てるもの

彰は昔やった理論を用いる。

 

防御壁の根本原理。

 

防御とはと考えると盾のようなものや膜のようなものを考えると思うが、それでは衝撃に対しての魔力等を原材料とする結界はすぐ自壊する。ならばサッカーゴールのようなものはどうか?それだけだといつかは壊れるのは当たり前。だから俺の能力で運動エネルギーの変換を行う。形だけは完成する。なおこれはくおの防御壁の下位互角の産物ですぐ壊れる。

 

小手調べに防御壁を展開し相手を見据える。

 

「ガァー!」

 

「さぁさぁこれから始まる喜劇の世界、招待客が協力してくれます。」

 

相手の雄叫びを物ともせず喜劇の前座とでもいうかのように小さい弾幕とくおの下位互角である防御壁を多数出現させ芝居掛かった言葉を羅列する。ヘンテコな音楽が流れる気がする雰囲気を醸し出し敵の攻撃をかわしていく。さながらその姿は西洋ではピエロその性質は天翔の曲芸師を想起させる。ところが膂力の差というべきか速さで負け、どんどん防御壁を破壊される。当の本人はまるで祭りの射的のような感覚である。そして衝撃のうち反作用も使い敵との間を空ける。

 

「おー速いねー。しかも強い。()()()()()さっきので死んでたかもしれないね。」

 

そんな言葉に気にすることなくむやみやたらに特攻を繰り返す。力の向きを変えて相手に返してやる。今の彰の姿では人間の為翼がなく、代わりに作用点を設定して宙に浮いている。どうやら姿を変えても元は人間、結局は空など飛べないという思い込みが勝るのだ。そうしてるうちにこの戯曲は全てを破壊して尚、勢いが止まらない。これでは埒があかないと彰は口を開く。

 

「さぁさぁ喜劇も終盤となりました。今回はお客さん方に楽しんでもらえるように一つ仕掛けを施したのです。それではカウントダウンをお願いします。」

 

そう言いながら各地に作用点を配置。しかし途中でどうやら野生の勘か距離を取ろうとする。

 

「ショーの途中ですよ?お客さん?」

 

従者によるカウントダウンと負傷者たちの喧騒が巻き起こる中、聖徳太子も身の危険を察知。伝達を開始する。

 

「みなさんここから離れてください!」

 

すぐさま退避を勧告する。その間にも敵が森の方へと近づこうとする。その様はあまりに滑稽で彰も思わず嘲笑を浮かべる。

 

「逃がすわけねーだろーが。」

 

そして逃げようとした敵に彰が近づく。そして自身に設定した作用点とともに

 

「爆ぜろ。」

 

瞬間の時の止まりを感じながら従者は退避する。

 

その瞬間地盤が割れた。



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被害者と加害者

薄暗い森の廃墟と化した人や妖怪など来ることもない場所。そこに黒の着物はいた。その不釣り合いな環境下では妖怪となった人間などただの背景と同化して気がつかないのではないかと思えるほど影が薄く感じる。不自然に物が置かれる机と椅子とコレクションの数々。そこに黒の着物はコレクションを眺めながら座っていた。

 

「っ!?」

 

じゃらじゃら

 

「あら、起きたみたいね。久しぶりって言うべきかしら?」

 

そういう黒の着物は椅子から立つと妖怪と化した人間の方へと足を運ぶ。妖怪は自暴自棄なのか、明らかに破壊衝動にかられ周りのものを吹き飛ばし鎖を破壊しようとする。

 

「うんうん!良いわね。その欲望。ねぇせっかく助けたのだし私に協力してみない?」

 

シーンと静かになった。気を失ったのだろうか。

 

「…あの時の人か?」

 

静かになったかと思うと自我が戻ったようだ。それを黒の着物は不機嫌そうに口を尖らせる。

 

「あーあーもう精神が回復がしたの?ちょっと面白くないわね。まぁいいわ。そうよ久し振りね。」

 

本人と発覚して怒りに身を任せようとする。

 

「ははは、そんなに目くじら立てて怒らなくたっていいのに。だって私は力を与えると言ったけど、妖怪にならないなんて言わなかったわよね?」

 

死の宣告を聴かされたような衝撃が心に響く。そして打ちひしがれてしまう。黒の着物はそれを見て。

 

「単純ね。それに感受性も高い。まっそこもいいんだけど。本当よ褒めてるわ。」

 

「…俺はいったいどうなるんだ?」

 

やっと言えた言葉。それも弱々しく。本当に何のために力を貰ったのだろうと、そしてそんな甘い話などないというのに嬉々として乗った自分の浅はかさを大いに恨む。

 

「一つ、あるわよ。力を持ったまま人間に戻ることができる方法が」

 

「っ⁉︎」

 

そこにもたらされる希望。若干計算を感じるが、いまそれしか方法が無いのならと一人の妖怪がやる気に満ちた顔で

 

「俺はお前に従う。だからさっさと始めよう。」

 

「即決ね。流石だわ。その欲望をあの方のために捧げましょう。」

 

そう言って方法を教える。それと同時に計画を話す。

 

「本当にそんなんでいいのか?」

 

「ええ、それだけでいいわ。あなたはこの石を適当に埋めるだけ、それだけで人間に戻れるわよ。」

 

「俺はお前をなんて呼べばいい。」

 

「うーん。別に敬語なんて期待してないから〜。黒、うんこれでいいわ。」

 

男は心の中で名前を反芻する。

 

「…覚えた。それにしてもいいのか?安直すぎるだろ。」

 

「あなたには言われたく無いわ!」



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宗教のすすめ

豊聡耳 神子

 

人は聖徳太子と呼び国の為に遣隋使を派遣するなど自国の貢献に努める。と言っても人間というのはいずれ死が訪れるというもの。聖徳太子は結局志半ばで死を遂げたのである。

 

「太子様その方は……。」

 

「ええ、我々を支えてくれた人柱……。漸さんですね。」

 

我々が死ぬ前に息災を願い身を投じた。死への息災は彼の方が言っていただけど……。

 

「ええ、協力を頼みましょうか。」

 

「「はい!」」

 

物部布都たちが爆発点へと向かう。

 

「近づかないほうが身のためですよ?」

 

「そーだそーだ!」

 

「はっご主人様に近づこうとかやはり見え据えてんな!」

 

喧嘩っ早い従者3人が早速突っかかっていた。

 

「私たちの邪魔をしようと言うのですか?」

 

「私達は太子様の命によって来た。ここに通しなさい。」

 

は〜と声に出してため息をつく二人がいた。それは漸と呼ばれた(彰)男と豊聡耳神子である。

 

「どうしてこうも敵対心を燃やしやすいのでしょうか?」

 

「知らんね。ただそれには俺も激しく同意したい。」

 

半分諦めを感じる物言いなのだがそれを従者といっては

 

「そのヘッドホン女が何かしたのですか!?何かしたんですよね!?きみ、くお、セレス!」

 

「おう。」「はい。」「何?」

 

「殺りますよ。」

 

「「「待ってました!」」」

 

何を躍起になっているのかわからない従者四人をとりあえず拳骨で制する。

 

「「「「いだ!」」」」

 

「ったくお前らはどうしてこうも俺以外を敵と思うんだ?」

 

「私はご主人様の心の平穏のために」

 

「私はご主人様の存在を守るために」

 

「私はご主人様の望むもののために」

 

「私はご主人様の信じるもののために」

 

「割と真面目に答えるんだな!」

 

そんなツッコミが崩壊した人里一角に響いた。

 

「と、言うわけです。」

 

「なるほどわからん。」

 

「ふふ、流石は漸様。今だ心あるお方のようでうれしく思います。」

 

ごり押し良くない。あれおかしいな?今俺断ったよな?俺が間違ってる?

 

ここは人里にある甘味処そんなところで新興宗教みたいな説明されても困ってしまうわけである。そして現代ならば犯罪といえるレベルでの押し付け、ある意味神経の図太いことで......。尚、どうやら先行視察を終えていたらしくめいがこの店を紹介してくれた。本当にできた従者だ。

 

「ご主人様、ここはお任せを。」

 

といって頼もしくスペルを掲げる。ん?スペルを掲げる?

 

「......めい、何しようとしている?」

 

「ただの排除もといお話ですが?」

 

それを聞き彰は呆れ果てながら他の従者も見渡す。その面々は作られたように、示し合わされたように似た感情を浮かべていた。相手の従者も一触即発の雰囲気を見に纏い。久しぶりの知り合いにあったのにも関わらず主に俺の胃がキリキリと痛み始めていた。

 

 

 



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第四章
守護の都〜上巻〜1


今前にいるのは天下に名を轟かせその身を皆の未来のために使う者、その名を聖徳太子、改め豊聡耳 神子。彼女が言うには先の妖怪はこの近辺には生息していない存在のようである。

 

「で?これを俺に言うってことは?」

 

「……はい。私どもと協力してもらいたく、また道教の柱として皆様に紹介したく思っております。」

 

ここまで聞いた俺は考えた。そもそもここはどこなのかも分からぬまま承諾して良いものか?と。彰がここに来る前に燃やした本は幻想郷の記憶に関する一冊、つまりここ数ヶ月のことを記録したものである。そのため、彼は状況把握をうまくできずにいた。

しかしこうやって第一村人を発見した今、周りの今でも攻撃を開始しかねない従者四人を宥めながらこう切り出すことにしたのである。

 

「そもそも、ここはどこか説明してくれるか?」

 

そして帰って来た返事は、

 

「「「へ?」」」

 

尚彼らは顔見知り三人の声である。

 

〜少女たち説明中〜

 

「……つまり何だ?ここはあの妖怪の賢者 八雲紫の作った幻想郷っていうところだっていうのか?」

 

「はい、そうなりますね。図らずともこの世界に来てしまったのはなんと言いますか。ある意味この世界ではエラーに該当するようです。」

 

「えらー?」

 

「はい。基本は八雲のところがこのような住人を管理しているようなので。此度の件は八雲の存ぜぬ存在となっているでしょう。」

 

「ふむ。そういうことか。まぁその時はその時で挨拶していくとしよう。」

 

「あのー……。」

 

以後従者たち心の会話

 

ねぇねぇ。めい。

 

なんですか?セレス。

 

あの幽霊っぽいやついるじゃん?なんかご主人もとい漸様の顔ジロジロ見てて気持ち悪いんだけど。こいつ殺す?殺していいよね?

 

いや、あれはれっきとした亡霊ですから。しかしそれにしてもあの亡霊、名はなんていうんでしたっけ?

 

はー、めいさんもセレスもお行儀が悪いですよ?確かあの人は、蘇我 屠自古と言ったはずです。……ていうか記憶担当はめいさんですよね?

 

あーありがとうね。くお。まぁ、しょうがないのよ。ご主人様以外の記憶なんて必要無いし。ていうか、くお。最近私に冷たくないですか?あの頃のくおが、懐かしいオヨヨ。

 

あの騒動起こした人が何言ってるんですか。それに私たち殺し合った仲ですよ?

 

それもそうだったわね。まぁ話を戻してっとあの蘇我とやらを殺しますか。

 

そうですね。

 

そうだねー。

 

いやいやいや、まてよお前ら。

 

なに邪魔をするんですか。きみ。今蘇我とやらの頭の中を書き換えて発狂させ自害まで追い込もうって時に。

 

さりげなく対応もえげつないな。それはともかく大人しくしとけって。特にお前なんてさっき怒られたばっかだろうが。

 

うーん。そうなんですけど。きみに言われるとなんか嫌になると言いますか。

 

ほほう。お前さては喧嘩売ってるな?残念でしたー。私そんな簡単な挑発のりませんー。

 

万年捨てられた女が何言ってるんですか。きみに、これから先希望が叶うことなんてないですから。

 

前言撤回だ。お前表出ろ!!

 

「あのー、全部聞こえてますよ?」

 

「「「「……あ?」」」」

 

この後、彰とその一行は、彼らの申し出を一時保留にさせてもらい、倉持邸へと説教しに帰るのであった。

 

薄暗い廃墟にて

 

黒と称する女と妖怪となった男が一人。彼はある程度、石を埋めてくるとこう口を開いた。

 

「この石が俺の妖怪化とに関係あるのか?」

 

そう言うと彼女は不敵とも嘲笑ともとれる顔でつらつらと言うのである。

 

「これはね。この土地の龍脈を崩すの。何が起こるかというと……。と言われても貴方あそこのハクタクにそこまで教わってないか。」

 

「慧音先生は関係ないだろう。」

 

そういうかの慧音の生徒の一人であった男に彼女は畳み掛けた。

 

「いいえ。関係ないだなんて言わせないわ。知ってるでしょう?最近守矢神社の動向など宗教の今後介入してくることを。だから此度の一件によってハクタクも博麗の巫女も守矢神社も命蓮寺も道教の者共もみんな理解するのよ。真にこの世を救う存在を。そしていかに自分たちは無力で愚かであるかを。」

 

そう最近彼らの中で異様な行動をしているのは確かであった。ビラ配りに加え宗教の拡大や、人物探し等もしていた。そしてそれはどの宗派も同じである。

 

「だからこの戦ではっきりさせましょう。幻想郷を守るにたる存在とやらをね。」

 

「そのために俺が必要だ。と?」

 

「ええ、あなたとの契約はしっかりと施行するから心配しないで。ふふふ。」

 

黒く笑うその姿に少し見惚れながらその姿を妖怪へと変え一声の雄叫びを放った。



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守護の都〜上巻〜2

英雄と言ったら何を思い浮かべるだろうか?

 

フランスではナポレオンや日本では源義経など、英雄は世の中において敵対する者にとっては異例の存在だと言える。そのため一時は味方であった民衆や仲間も結局裏切りや恐れの存在へと時間とともに認識を変えていった。つまり一つ言えることは普通が一番なのだろう。もしくは裏方に徹したほうが長生きをしたり結局は得になるのだ。

 

「……って言うけど結局はここでのんびりしたいんでしょ!?紫!」

 

「だって霊夢〜いつまでも仕事が多くて休暇も取れやしないわ。」

 

ここまでで分かる通り今博麗神社に八雲紫がいれびたっている。やはり博麗神社の巫女の霊夢としては邪魔なのだろう。いや、めんどくさいだけか。

 

「そんなのんびりしたいなら彰の所に行けばいいじゃない?好きなんでしょう?」

 

「はぁ。良い?霊夢。乙女にはなかなかできないことなのよ?それにもう彰に会えないと思って良いわ。」

 

「へ?なんで?あいつは管理人代理でしょ?」

 

流石に紫の態度を不自然に感じたのか。霊夢が茶化さずに聴いている。

 

「……クビにしたのよ。」

 

「はぁ!?紫がここに連れて来たんでしょ?最後まで責任とりなさいよ。」

 

「彼は自力でこの世界から出ていけるのよ?ここに来るときは場所がわからなかっただけで。もう私でさえ場所を特定できないわ。」

 

「不自然な力の集まりを感じれば、そこに倉持邸ごあるんじゃないの?」

 

「彼の家は強いプロテクトがかかったようだから。もう場所なんて分かりっこないのよ。」

 

「あら?紫にしては諦めが早いのね。」

 

意外そうに霊夢が言葉にする。

 

「ええ、だって彰に喧嘩を売って帰って来たのよ。もう、なんて顔をして会えば良いんだか。」

 

「はぁ。馬鹿ね、紫。」

 

「なんですって?」

 

そう、捨て台詞を言った霊夢に少しばかりムッとしたが紫は冷静に聞いていた。

 

「だってそうでしょ?仲直りしたいならごめんなさいを言う。常識でしょ?紫も私も数々ある異変の首謀者たちと和解してるし、そう言う落とし所をわかっているのかと思ってた。でも、違うみたいね。」

 

紫は何も返せなかった。確かに彼女の言う通りなのだ。勝手にこっちが恐怖して解任したのだから。

 

(だから、いやだからこそ……。)

 

そう思い隙間を抜けていった。その表情に霊夢は不満に思いながら煎餅音を立てて食べ始めた。この後魔理沙が来て煎餅を横取りされるのを博麗の巫女は知らない。

 

博麗神社の周りには季節外れのアジサイが咲いていた。

 

守矢神社

 

「もうこんなに信者を集めてるのかい?早苗。」

 

床や机に沢山のビラがあるのを見て守矢諏訪子が無邪気に訊いて来る。

 

「いいえ諏訪子様。これらはビラと言って宣伝によく用いるのです。」

 

「えっと。そうそれ。わ、私も知ってた知ってた。うん。」

 

(これは知らなかったんだろうな。)

 

そう思い八坂神奈子がこう言った。

 

「まぁこれで信者が増えるとこちらも楽なんだけどね。」

 

「そうですね。でも今は幻想郷の皆さんに私たちのことを知ってもらいたいので。」

 

「ん?こないだ私たちは烏天狗のとこの新聞にのったぞ?」

 

「こちらで言う異変でのことですよね?残念ながらあの時の私たちにあまり良い印象がないので、やはりここで払拭しませんと。」

 

そう意気込む彼女に神々は

 

「まぁ頑張って。」

 

「うむ。期待してるぞ。」

 

そうやって今後のいく末に期待していく。そんな時に

 

トントン

 

「すまぬが此処が守矢神社で間違いないか?」

 

そう不躾に入って来るのは飛鳥の豪族、聖徳太子を上司とする物部布都である。

 

「えーと、どちら様で?」

 

早苗はいきなり現れた彼女に困惑するも尋ねた。

 

「うむ。我は物部布都、道教を信仰する。此度は貴様らに一言言わなくてはならぬことがあって参った次第。」

 

「あっはい。どうぞこちらへ。」

 

いきなりな物言いに流石についていけず、先を促してしまう。

 

数分後

 

「……故に貴様らには太子様の寛大な措置として合併、改宗又は取り壊しを要求する。」

 

此処まで一通り言い終えたのか。ほっと出されていた湯呑みをずずずとすすった。先ほどの過激さは何処へやらちょこんと可愛く座っている。そして

 

「では、そちらの良い返事を期待するぞ。我らも今後新しく入る一柱を迎えねばならぬのでな。暇ではないのだ。さらばである。」

 

そう言って綺麗に茶受けの羊羹も食べ終えさっさと帰って行った。本当に嵐のようであった。

 

「行っちゃいましたね……。」

 

三人は呆然としてその光景を見ていた。

 

「……ねぇ神奈子。」

 

「なんだい?諏訪子。」

 

「喧嘩売られたのかな?神奈子。」

 

「そうなんじゃないか?諏訪子。」

 

「「……。」」

 

そして二柱の神は口を開く。

 

「売られたからには買うのが定石!」

 

「やってやろうじゃないか?道教?知ったことか!信仰闘争など何度もやって来たわ!」

 

「最近神奈子の肌にハリがなくなったところなのさ!だからこの戦争勝たせてもらおうか!」

 

此処に宗教間勃発の新たな異変が始まるのである。

 

「てか、肌のハリとか言うな!お前に私の何がわかってんだ!」

 

「えーん。神奈子が虐めるー。」

 

「えっ!?諏訪子様!?」

 

今日も幻想郷は平和である。



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守護の都〜上巻〜3

「大変だ!」

 

「どうしたのですか?ぬえ?」

 

突然入って来たぬえに白蓮が静かに先を促す、

 

「あのヘッドホンの連中がとうとう戦いの狼煙をあげたんだ!」

 

此処は命蓮寺。今日は定例会で皆を集めていたのであるが此処にぬえがなだれ込んで来たのである。

 

「ぬえ、また騙そうたってそうはいかないよ?」

 

そういうのは亡霊船長の村紗 水蜜。

 

「まだそうと決まったわけではありません。ぬえ、詳しくお願いします。」

 

そう白蓮が諭した。

 

「ん、実は……。」

 

またいたずらしようとぬえが人里に行ったことである。人里に入り最初に目に入るのは、

 

高台の上で演説をしている聖徳太子の姿であった。

 

「幻想の人里皆さん。此度は今回の演説を聞いてくださり真に有り難く思います。皆さんに求めるはひとつだけ私、いや私たちを信じなさい。私達があなた方を導くのです。何も恐れることはありません。私たちは人里の皆さんに幸せになってもらいたいのです。……。」

 

人里の人間が歓声を上げる。滅茶苦茶な話だが博麗の巫女よりも先に人里にあだなす妖怪を倒した。だの人々は言った。

 

「そんなの宗教闘争じゃないか。」

 

「そろそろ動き出すと思ってはいたが。」

 

日輪たちが憤慨し白蓮がまぁまぁと、とりなすと

 

「なるほど、どんな心境の変化かは知りませんがこのままでは仏の道いや、人妖共同の道を途絶えてしまいます。早急に対処せねばなりません。」

 

博麗神社

 

「おーい。霊夢ー!」

 

煎餅音を立てて食べている霊夢は声だけで誰かを察したのか。にべにもくれなく食べ続ける。

 

「なによ。魔理沙。今私大切な昼食中なの。」

 

「……煎餅が昼食って結構困窮してるのな。」

 

と魔理沙は呆れ半分憐れみ半分でその光景を見ていた。

 

「っとそれどころじゃねぇんだったぜ。霊夢、此処は博麗神社を興して「いやよ。」速いな。」

 

思い出しかのようにいう魔理沙の言葉を一言で一蹴すると霊夢は

 

「魔理沙のことだから碌なことがないと思ったのよ。っで?なんだっていうのよ?」

 

こうやってなんだかんだ聞いてやるのは霊夢のいいところと言える。

 

「ああ、博麗神社も宣伝したほうがいいじゃないかと思ったんだよ。」

 

「何でも唐突過ぎない?あんた言葉を慧音のとこで勉強して来たら?」

 

そう呆れ顔で霊夢は言うが

 

「はは、霊夢は冗談面白いな。」

 

「本気よ!」

 

そう叫ぶ霊夢である。

 

「で?そんなふうになんで思ったんだか。」

 

「いやいや、それがさ人里で守矢神社とか命蓮寺の連中が呼び込みみたいなのしてるからよ。自分たちでもやろうかと思ってな。」

 

「いつから私が魔理沙の陣営に入ったのよ。」

 

「いやいやいや、私はあくまで博麗神社の陣営だぜ?」

 

此処まで聞いた霊夢は心底疲れと面倒臭さの溜まった表情で魔理沙をにらんだ。

 

「なんか乗り気じゃないな?」

 

「当たり前よ。」

 

そこで魔理沙はニヤリと笑って

 

「まぁまぁ想像してみろよ。宣伝に成功して賽銭が毎日入る光景をな。」

 

「な、な、な、それは!!」

 

魔理沙はしたり顔で

 

「ふふ、そうだぜ。毎日豪華な食事食べ放題!」

 

「こたつの買い替え。河童の電化製品の購入。安定した生活!」

 

霊夢がこれに同調した時点で察しが付くものである。

 

「魔理沙、それを早く言いなさい!」

 

天下分け目の手のひら返しである。



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守護の都〜上巻〜4

これはどこの誰が始めたのかはわからないが賭けが今人々の間に跋扈していた。内容は最近また盛り返して来た宗教家の方々の勢力の話である。しかし、この賭けに参加するのは人ではない。

 

妖怪である。

 

「っで、どう思う?」

 

「俺は希望で言えば守矢神社に勝ってほしいな。」

 

この妖怪が言うにはその神社はあくまで信仰心をほしいだけでそこまで妖怪に言ってこないだろうというもの。

 

「ほ、ほ、ほ、若いのは分かっておらんの。その神社はいずれ味をしめ、さらにこちらに要求をして来るのは必然。ここは命蓮寺の勝った方が夢があるというもの。」

 

人妖共同を目指す命蓮寺は弱い妖怪などに支持が多い。

 

「おいおい、分かってねぇな。ご老人そこは道教の嬢ちゃんたちだろ。一時よりかは物理行使をしなくなって来たし信じられるんじゃねぇか?」

 

「お前それは冗談が過ぎるぜ。それ人間だけの話だし前よりはって結局あまり変わってねぇんだよ。」

 

例え道教が勝ったとするとそのときは全力で殺しに行くのである。いくら妖怪の賢者に説得されても流石に自分達を殺しに来る人間を殺さぬ理由にならない。

 

「じゃ、じゃあ博麗神社は?」

 

「「「「論外。」」」」

 

「はは、なんだよそれ。博麗神社人望ねぇな。」

 

「ちょっといいかしら?」

 

妖怪たちが盛り上がっているところを水を差す黒の着物。

 

「あぁん?オメェは?」

 

「どうもごきげんよう。皆の欲望の体現、黒の着物と言います。」

 

自己紹介を適当に済ますと

 

「あ!お前は!」

 

「おいあいつを知ってるのか?」

 

「お前しらねぇのかよ。あの我狼とともに異変起こした。黒の着物って奴だよ。」

 

「あら?私のこと知ってるのね。」

 

「失敗には終わったが妖怪たちを手引きし天狗の里を壊滅に追い込む。それだけでも驚きものだが何よりもあの我狼がなんだかんだ従っていた事実が驚きさ。」

 

我狼は乱暴な奴ではあったが事実強く妖怪に関してはカリスマはあった言える。どこかの吸血鬼とは違うのだ。

 

「あなた達は平穏が欲しいんでしょ?」

 

その直接な物言いに少々面食らいながらも

「ああ、そうとも言うな。」

 

「そんなの簡単よ。気に入らないなら妨害すればいいのよ。」

 

「いきなり何を言うかと思えば、そんなぶっ飛んだ話が通るわけが無い。」

 

「あら?でもそれだとあなたたちの意思は?貴方達が推しているどの勢力も真に妖怪の事情を理解しているわけないでしょう?貴方達はただ衰退の一途を辿る子羊?いいえ、そうじゃないでしょ?自分の未来は自分にしか見えないのよ。」

 

「……だが俺達にそんな力は。」

 

今の今まで彼らは人間との共存を承諾し、妖怪の賢者にお願いする形でこの世界にいるのである。裏切ることなどできないはずである。それらの意思を変えるには確率論的に勝てる方につかせなくてはならない。幻想郷に来た今、それが彼らの培った処世術なのである。

 

「ん?力の差なんて関係ないわ。貴方達はただの抗議者。なんのためらいがあるの?やり方がわからないなら私が教えてあげるわよ。確実に勝利へと導きましょう。」

 

その言葉に今まで溜め込んでいた不満は爆発したのである。

 

人里

 

「我ら守矢神社をどうぞよろしく。」

 

「私たちを信じることこそ皆への希望となりうるのです。」

 

「妖怪が人間を襲う時代はとうに終わりました。皆さん我々と共に人妖共同の道を目指しませんか?」

 

「今まで私が異変を解決して来たのよ。どれだけ私に信頼があると思ってるの?今まで通り守ってやるわよ。だから少し、いや一銭でもいいからお賽銭を……。」

 

八雲紫の式神、八雲藍が命を受けてこの場にいる。紫は人里の状況を聞きたいようだ。といっても

 

「何をどうしたらこう混沌とした状況を作れるのか。」

 

この馬鹿らしい光景を見た藍は溜息をつき人里の人々を捕まえ状況を説明を聞くことにした。

 

「ああ、それはあれだ。最近あまり平和と言えないだろう?だから宗教があるってだけでいくらか救われる家庭ってのもあるんだろうな。それこそ虚像に縋る程にな。最近は凶作だしなんだかんだこういう祭り事で気分をそらしたいて言うのもあるんだろうな。」

 

前回の異変が未だに後を引いているようだ。前回は人里には主に枝麻の能力、根をはる程度の能力により辺り一帯を魔力で満たすということをし作物に大ダメージを与えた。そのため今皆にまわっている食料は彰が倉庫から手配した。

 

「最近代理さんは来ないのかい?」

 

「はい?彰のことですか?」

 

「確かそんな名前だっけな。ああそうさ、あいつがいくらか飯を恵んでくれたのさ。」

 

(彼をクビにしたことは人里の不信感を煽る形となったのだろうか?)

 

と一人考え込む藍を人里の人はさらに続ける。

 

「それだけじゃねぇさ。本を子供達に恵んだり干ばつをどうするかを慧音先生と話し合っていたしな。本当に困ったときは助けてくれる人だったよ。」

 

「そうだったのですか。」

 

「ああ、そうだ。だから管理人さんに言っといてくれ。ありがとうってな。」

 

「……はい。機会があれば……こちらで言っておきます。」

 

と少し男は優しくそう言うと去っていった。藍はなんとも言えない気分になった。本当に紫様の判断は正しかったのだろうか?彼女にはわからない。人里に感謝される存在をクビにしたと知ったら私たちを今後どういう目で見るのだろうかと。そうしていると背後から声がかかった。

 

「おや?貴女は紫のとこの。」

 

振り返るとそこには人里に先生と呼ばれている上白沢慧音がいた。

 

慧音宅

 

「どうした。そんな浮かない顔をして。」

 

慧音はそう話を切り出した。

 

「いや、こちらの話だ。関係ない。」

 

「そんな顔されたら誰だって何かあったのは察しがつく。私に話してくれ。」

 

藍は少し迷ったが結局話すことにした。

 

「実は……。」

 

「そうか、しかし先生をクビにするなんてお前の上司は見る目がないな。」

 

「先生?」

 

「ああ、幼少の頃世話になってね。それ以来はそう呼んでいる。」

 

「そうなると、私のアプローチも失敗に終わったか。いや、私のは流石に弱い気がしてたが」

 

「慧音は彰のことが好きなのか?」

 

「ぶふ!直球だな。まぁお慕いしております。ってとこかな。先生は不器用で鈍感なところあるけど優しさだけはみんな平等にしようとするんだ。例え自身を殺そうとした相手でもね。」

 

「あの人のことを知っているのか?」

 

そう聴いてきた藍に慧音は周りを確認して静かに一言こういった。

 

「彼のことを知りたいなら古くからいる人たちに聞くんだ。私の時は幼少の頃だったから全ては知らない。だが、私より前あるいは紀元前といえるくらい前からのもの達を訪ねなさい。」

 

「それは、慧音は彼のなにかを知っていると?」

 

そう藍が聴くと慧音はため息をついて

 

「せっかくだ。くれぐれも先生に私が言ったことを言うなよ?」



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守護の都〜上巻〜5

幼少期

 

森林の香りを嗅ぎながら彼は言った。

 

「これは食べられるものだ。」

 

そう言って彼は私にその山菜を見してきた。

 

「……。ふむ。いきなりそう言われても危険かどうかなんて分かるわけないか。どれ。」

 

私の沈黙を疑っていると勘違いしたのか。彼はその山菜を食べ始めた。

 

「あ!先生それは!」

 

思わず声を上げる私であるが対応虚しく

 

ゴクリ

 

その山菜を飲み込んだらしい。そうやって彼は私に向かってこう言った。

 

「どうだい?食べられるだろう?」

 

あの頃は私も子供だったといえる。先生は自分の言葉に自信があった。最初会った時の全てを悟った遠い目は、いくらか最近は見かけなくなっていた。そうこうしているうちに一つの村に着いたようだ。そして軽く一日中お互いに探索、調査を行い朝のうちにとっておいた宿で私たちは相対する。

 

「先生、今回の村にはどうやら海が近くて山菜を採る習慣が無いと思われます。」

 

そう私が言うと

 

「うーん。そうとは言えないんじゃないかな?」

 

「……それはどういった根拠でしょう?」

 

「漁師達は大雨の中取りに行くのか。」

 

「そう言う観点から見ればそう思われますが。しかし、干物で済ませるかもしれません。」

 

「だけど、この地域は雨が多いから湿気が多いしカビの繁殖するだけだぞ?、また香辛料も無いこの地域はどうやって食料調達するのか。」

 

「それはあくまで地域の概要であって全てのことがそれに当てはまるわけでは無いのでは?」

 

こうやってテーマを決め村人に話を聞いて予想し問答をしていくことでお互いの知識や言葉選びの確認をしていくのである。

 

「じゃあ、この地域の症状を聞いたことはあるかい?」

 

「症状ですか?」

 

魚だけを食べると肝臓や腎臓の働きを著しく落とす。

人よってはカルシウムなどが塊となり尿路を塞ぐとされる。それを尿路結石と呼んだりする。全てがそれに当てはまると言うわけでは無いが何事もバランスが大事だったりするのである。

 

議論の結果食事には山の幸も食べることが大切であり狩人を雇うことを村長にささやかにお願いしてみることにする。すると、

 

「そうは言われますが、この近くの山には妖怪がいつの日か移り住んでおりまして退魔士や陰陽師を雇うには時間も労力も金もない始末で。こちらも困っておりまして……。今我々だけでもやっていけてますゆえ、気持ちだけ受け取りたく。」

 

そうして聞いて来た後。あくまで提案しただけでこちらが動く道理がないと先生は言った。

しかし私はまた旅を再開するために一歩踏み出そうとする先生の服の袖を掴み止めさせた。

 

「先生。」

 

「なんだ慧音?……もしや感情移入でもしたかい?」

 

「先生は察しがいいですね。はっきり言うとそうです。」

 

先生はしょうがないなと言いそうな顔で

 

「もう、慧音はしょうがないな。」

 

本当に言った。

 

「感謝なんてされないぞ?」

 

「重々承知です。」

 

「報酬もない。」

 

「私の覚悟はもう決まってます。」

 

「……わかった。そこまで言うなら近くの山まで行くとしよう。」

 

「ありがとうございます。先生!」

 

そう言って私は先生に抱きついた。

 

ピクピク

 

慧音が赤くなった頬に手を当てて顔を上げるとこめかみを抑えながら話を聞く藍の姿があった。

 

「そう眉毛を顰めて聞くな。こちらも恥ずかしいんだ。」

 

「いやいや、いきなり昔話で惚気を出されるとこちらとしても達し難いと言うか。」

 

「まだまだ話は終わってないんだ。最後まで静かに聞いてくれ。」



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守護の都〜上巻〜6

そして村の近くの山

 

「で?今回の退治する妖怪の種類は?」

 

そう気怠く先生は私にそう聞いて来た。

 

普通のハクタクは妖怪の全てを知りその対処法を伝えたとされる神獣。しかし慧音はワーハクタク。その差はやはり歴然でありその神々しさはない。が、なんだかんだ知識欲に忠実に彼女は生きる。血は争えないといえる。

 

「目撃証言を妖怪の記録と照合した結果、おそらく八尺様と呼ばれる妖怪かと。」

 

元は旅人の霊と言われ独特な声と高い身長で知られる。それに魅入られた者は生きては帰れぬ。主に若い世代を狙う。

 

「それ妖怪だったっけ?まぁいいか。行くとしよう。」

 

「はい!」

 

山はやはりいくつもある樹木が太陽を隠し辺りを暗くしている。確かにこんな不気味なところに進んで入るものはいないだろう。そう考えていた時のことである。木の影から女性が頭を出し目を丸くしながら

 

「そこのお兄さんがた。どうしたの?迷ったの?」

 

慧音はこの場に現れた女性にこの場にいる理由を聞いた。

 

「ああ、確かにおかしいわよね。最近妖怪が出るとうるさいものね。安心して私は夫を探しに来たの。できれば一緒に探してもらえる?」

 

どうやら彼女はこの付近に住む木こりとその女房らしく。夕方には帰るはずが夫が帰って来ないので探していたらしい。

 

「お互いこの山のことはある程度知っているつもりだし迷っているわけではないはずなんだけど。」

 

「そういうことなら。」

 

とことんまでお人よしな慧音に従い彰も夫探しに付き合った。妖怪が夜まで出ないだろうと思ったのである。

 

しばらくもう陽が傾く頃ようやく見つけた小屋があった。そこは不気味にお札を張り巡らせ結界で守っているようにも思う。木こりはここにいると彼らは思った。何故ならそこからは泣き声が聞こえるのである。離れていると思っているがここまで聞こえるのはそれほどの大声で泣いているのだろう。慧音は用心しながら小屋に近づきそっと戸を開けた。

 

「ひ!?誰だ!!お、お前さんはあの妖怪の仲間か?」

 

「なんのことかわからんがお前を探していたが?」

 

そこには小さく縮こまる男の姿があった。ここまで狂乱の姿を見せられるとただ事でないと思ったのか慧音が近寄る。そうして年甲斐も無い男をエスコートし外へ出ると、手助けを頼んだ女性が来ていた。どうやら先の泣き叫びが彼女まで届いたのだろう。心なしか肩で息しているように思える。そして男の姿を見て泣きながらすごい速さで抱きついた。そして男はさらに泣き始めた。

 

「もう、心配したんだから。」

 

妖怪は出なかったが木こりとその女房の温まるいい話を目の当たりにし慧音は

 

「いい話ですね先生。」

 

と一言。

 

そして女性は抱きついたままこちらを向き、

 

「ありがとうございます。夫を見つけることができました。これで……。」

 

「お前ら!助けてくれよ!こいつは俺の!!」

 

女性は大きく口を開けると勢い良く男を食べ始めた。赤にまみれ辺りを一色に染めた。骨があろうとお構いなく。そしてものの数秒でバキバキと音を立てて食べ終えるとニヤリと笑い

 

「逃げた餌を食べられますわ。ポポ」

 

その女こそ妖怪の正体、八尺様と呼ばれる者。

 

「まぁ、だろうなとは思ったよ。」

 

「ポポ、あらそちらのお兄さんは正体を見破られていましたのね。」

 

「いやはや、隠蔽の旨さは良かったよ。妖力をうまく隠せてるしね。でも流石にあの小屋に逃げ込む男の姿を見るとね。分かっちゃうさ。お前を入れさせないための結界というのがね。」

 

「あら、やっぱり分かっちゃうわよね。あの男が小賢しい結界なんてはるから食べれなかったのよ。お兄さん達には感謝してるわ。まぁ次は胃袋の中ですけどね。」

 

そう言って慧音の方へと肉薄する。彼女の爪が慧音を貫くと思われた。しかしそれを止めるものがあるのだ。

 

「すまんな。慧音の戦闘訓練となると思ったが、こっちも我慢の限界だ。可愛い生徒を傷つけるのは嫌なんだ。」

 

私は自身の体を支えるその腕の主を見据える。妖力が漏れ出て、またそのご尊顔は怒りを表していた。姿を変えて鬼の形相へと変わっていく。角が生え爪は伸び顔の形も変わったように見えた。

 

「さあ、蹴られるのと殴られるのどっちがいい?」

 

「ポポ、わたしには効かないわ。だって当たらないもの。」

 

そう文字通り透過し彼の繰り出した拳は風を切った。

 

「あなたは触れられない。だけどわたしは触れられる。ポポ、これの意味わかるかしら?」

 

彼女は女性とは思えない速さで腕を振り抜く。彰はそれを手で受け止めはした。しかし勢いは殺せず腕はあらぬ方向へと吹っ飛んだ。

 

彼女はその腕を拾い食べ出す。

 

「おほ、この腕うまいね。」

 

「それはどうも。」

 

嬉々として感想を言う彼女に彰はうんざりした声でそういった。

 

「慧音、塩あるか?」

 

「へ?あ!さっきの村で少しいただきましたよ。」

 

「その女に向かって撒け。」

 

「はい!」

 

塩は古くから邪気を吸収すると言われるためそれを使えば触れられると思ったのである。つまりそうであるかは適当である。

 

そういっている間に彰の拳が彼女の顔を掠った。

 

「当たった!」

 

そう慧音が言うが結局は一発しかも掠っただけでは有効打とは言えない。それではダメだ。

 

「久しぶりかな。ここまで妖力を出すの。」

 

そう言い彰は砂を拾い宙に投げる。

 

砂が空を舞い地面に落ちるかのように見えた。

 

「ポポ、塩でなく砂でなんてあなた頭おかしいの?当たるわけないじゃない。」

 

「俺は無駄なことはしないよ。聞いたことあるだろう?鬼でなしの雅って名前をさ。」

 

「っ!お前もしかして!あの……。ここで会うとはね。あの村のやつ良い鴨を見つけたって言うから協力してやったのに!!くそ!」

 

そして必死の行動に彰はニヤッと笑い……。

 

「お前の雇い主には大体予想はつくが……。すまんな。お前は死という善意の協力者となるんだから大丈夫さ。快く死ね。」

 

そしてことを終えた彰に慧音は

 

「なんだか拍子抜けです。あの女が妖怪だなんて……。」

 

すっかり騙されていた。慧音は放心としながらそう言う。

 

「慧音。君はもう少し疑うってことを覚えよう。」

 

「はい。面目ありません。でも良いのですか?」

 

ふと思ったのか。彰にそう聞いてみた。

 

「ん?ああ、あの村の村長のこと?あれは別に良いや。殺されかけたけど。」

 

「それは自身が生きてるからですか?」

 

ありえないと言いたげな彼女に彰はこう諭した。

 

「いやいや、違うよ。あれはああやって人を殺さないとあの村が生きていけないからさ。」

 

おそらくあの村はあの八尺様に山へ子供をお供えしているのだろう。しかし子供の人数も底をつき村長は慧音を見て思ったのだろう。良い鴨が来たと。

 

現代

 

「……それは優しさというのか?」

 

「うーんわからないかい?それは優しさだよ。」

 

そう言って慧音は藍の後ろの障子をじっと見る。そこには黒く誰のものかはわからないが知らない影がそこにはあった。

 

「っ!」

 

藍がそれに気づき後ろを振り返るとその影は消えていく。そして障子を開ける頃には

 

「……いない。あれは一体。」

 

「従者だよ。確認不明のね。」

 

その言葉に藍は目を広げ

 

「まさかあの四人が来ているのか!?」

 

「いや、それが実はそれらとは別にいるんだ。」

 

「それはどういう……。」

 

「先生のことを喋ろうとすると監視がつくんだ。それこそ重要なことを言わせないための口封じとしてね。」

 

そこに彰の狂気を感じる藍であるがここで訂正があった。

 

「先生はこのことを知らないんだよ。それを濁らせる仕草も、それに気付く様子もない。あれは正真正銘先生が指示出しているわけではない。」

 

「従者の暴走?」

 

「わからないただこれ以上は私自身が危ないんでね。聞いた君にも監視はつくかもしれないが。まぁなんとかなるだろう。あとは他を渡ってくれ。誤魔化しもここまでしか効かなかったな……。」

 

無責任だなと思いつつ彼についての情報を喋るという必死の行動に少しばかりの敬意を持ち

 

「何故そこまで?」

 

そう聞いてくる藍に慧音は照れ臭そうに

 

「惚れてるからかな。好きな人には幸せに生きていて欲しいんだ従者なんてそんなものの力に頼らずにね。」

 

そういったきり慧音は黙ってしまった。藍は問題抱えたが今は宗教団体をどうにかしないといけないと思うことにした。

 

そうこれから始まる神の修羅場を鎮圧するために。



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守護の都〜中巻〜7

過去の話をしている慧音や藍らと代わって彰一行は。

 

「んーこの団子は上手いな。」

 

「はい。私もそう思います。」

 

「右に同じでーす!」

 

「……。」

 

そう彰が感想を口にすると他も続く。そんな中、きみは団子を瞳に写し見つめていた。

 

「……どうした?きみ、そんなに見つめて。」

 

そう彰が聞くとそのことに興味を持ったのか。めい、セレスがきみに顔を向けた。ちなみに、くおは所用で出かけていた。きみはしばらくその団子を見つめていたが、彰の方を向くと。

 

「素晴らしい!!」

 

一同ハテナマークを頭に浮かべた。そしてきみはお菓子の良さを事細かに説明しだした。

 

「……つまり?その団子が美味しいと?」

 

めいがめんどくさそうにそう訊いた。

 

「おう、やっぱりこの光沢、餡子とのバランスそして何よりこの甘さ。美味!」

 

「つまり美味しいんでしょ?」

 

今度はセレスが確認するように言う。

 

「うん。やっぱり年代物は違うなー。うんうん。ご主人様ここは一五十個ほど買いためて欲しいな。」

 

「ダメですね手遅れです。セレス、手をつけられないほどの馬鹿さ加減を披露してますね。こいつ。」

 

「ああ?テメェになんでそんなこと言われないといけねぇんだよ。」

 

めいに呆れ顔でそう言われ、きみは激昂した。

 

普段適当で周りに当たり散らす、きみとは一風変わって可愛らしくお菓子への愛情を語っている。少し異常ではあるが。

 

「ん?見かけねぇ顔だな。」

 

ふと近くで言葉が聞こえた。彰は声のする方へ振り返る。そこには星のような笑顔を振りまく金髪魔法使い、霧雨魔理沙が店先で立っていた。

 

「そこの従者らは知ってるけど。そこの男は誰だ?」

 

その魔理沙はというと団子を片手にそこの男といったものを怪訝そうな顔で見つめていた。

 

「ああ、お久しぶりですね。魔理沙?さん。」

 

「おう、久し振りだな。確かめいだっけか?」

 

めいがいきなり喧嘩売っているが魔理沙はそこをスルーして続けた。

 

「人の名前くらい覚えていて欲しいものです。」

 

少なくともめいが言えたものではないと思うが魔理沙は知らない男に顔を近づけた。

 

「んー?どっかで見た気がするんだけどな。まぁいっか。私の名前は霧雨魔理沙、魔法使いだぜ。趣味は読書でいいかな?まぁそんなとこだ。お前は?見たところどこかの神だろう?」

 

そう顔を近づけた魔理沙に従者がうるさく言っているので収拾をつけるため彰は仕方なく名前を口にする。

 

「はじめまして、俺は……そうだな漸鑑の御神とでも名乗ろうか。旅人を見届けるもの守護神を務めている。なんでも気軽に呼んでくれ。」

 

「うーんやっぱり知らないしわかんないな。っま、私も神というのにそこまで詳しいわけじゃないけどな。」

 

と魔理沙はそこまで言うと一息お茶をすすった。

 

「っで?私としては驚きだぜ。あの従者らが彰以外に敬っている存在がいるってのがな。ああ、彰ってのはこいつらの主人な。」

 

「聞き及んでいるよ。」

 

そこで従者の暴走が始まる。

 

「何を言いますか。彰様や漸様以外にも翔様や雅様そして……。」

 

「めい!話しすぎだよー。……死ぬ?」

 

「テメェ恩も忘れたわけじゃあねぇよな。」

 

きみとセレスが座った目でめいを見つめた。それに気づくとめいは取り成すように、こほんとわざと可愛く咳払いで間を空け

 

「確かに、少し悦に入っていたのは否定しませんが。殺される気はありませんよ。皆さん?」

 

と応戦の意思を見せた。

 

「上等だ!めい、ここで決着をつけるとするか!」

 

きみの執拗な因縁には周りも辟易としていた。そんな時

 

「何やってるのよ。あんた達団子屋の前で喧嘩なんかして。銭のなくて団子も食べられない私に対して喧嘩売ってるの?」

 

「おー霊夢じゃねーか。どうだ?団子食べるか?」

 

そう言って魔理沙が一つ団子を差し出した。

 

「へ?ああ、ありがとう魔理沙気がきくじゃない。」

 

そう言ってあっという間に食べてしまった。そう食べてしまったのだ。

 

「……それ。私の何だけど?ピクピク。」

 

「あ?知らないわよ文句はあいつにいいなさいよ。」

 

すぐさま魔理沙を囮に使った。

 

「っ私の団子!魔符 菓子の恨み」

 

ネタに走っているのかわからないが少なくともきみは本気で殺しにかかった。それを止めるのは

 

「止まれ。あとで団子買ってやるから。」

 

「はい。」

 

きみが気持ち悪いくらい、しおらしくなっていた。それを見ていた魔理沙は

 

「何だぜ?この茶番は?」

 

「あんたのせいよ!!」

 

青筋を額にあげながら霊夢は叫んでいた。

 

少女落ち着け中……。

 

「っで?こいつらの素性は?」

 

霊夢の意見は最もである。

 

「ああ、こいつらは彰の従者と……。」

 

「俺は漸鑑の御神。気軽に漸とでも呼んでくれ。」

 

ふーんあそ。と霊夢が軽くあしらい。目的を聞いた。

 

「俺は旅の神でね。いろんなとこを回っていたんだが彰がここにいるってんで会いに来たんだ。あいつ幻想郷の管理人代理してるんだろう?」

 

「それはもう終わってる話よ。もうここにはいないし帰ってくることもないわよ。あら?でも従者もあることだしまだいるの?」

 

霊夢はそうセレスに話しかけた。

 

「んー?多分?」

 

「はー、そう言うとこ適当ね。」

 

「私もそこまで予定知らされてないもん。」

 

褒めていないのに無い胸を張った。

 

「あんた達、折角だし私に協力しなさいよ。ちょうどあんた神?らしいし。」

 

「はー最近そういうのが多いな。なんかのイベントなのか?」

 

たしかにここ最近で道教の輩にも勧誘を受けている彰は呆れるようにため息をついた。

 

「?あんた知らないでここにいるの?今わたし達は信者集めて金を巻き上……平和な世の中にするのに頑張ってるの。」

 

「今、素で巻き上げるって言ったぜ。霊夢のやつ。」

 

「見てはダメですよ。そいつは人を金と思ってそうですから。魔理沙さんもたかられますよ。」

 

「本人目の前で何言ってるのかしら?むしろたかられてるのは私の方よ!」

 

怒気を噴出し辺りの村民が道を開けた。ここまでくるといっそ哀れである。

 

そしてその時

 

ドーン!

 

遠くで破壊された音が鳴り響いた。

 

「よ、妖怪だ!妖怪が出たぞ!」

 

「魔理沙!」「分かってるぜ霊夢!」

 

「ご主人様。ここは私が……。」

 

「きみか。分かった。解決したら甘味処に一緒に行こうか。」

 

「よっしゃ!乗ってきた。」

 

純真な心を持つ少女達の戦いが始まったのである。



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守護の都〜中巻〜8

神様が世の中を動かすのは決まって1人だけではない。何処の宗教にも必ず補佐がつき神様の仕事に口出しを行う存在だっている。しかしそんな中日本は特にその傾向には一部を除いて当てはまることがない。他と違い、まず神の在り方に違いがあった。日本は八百万の神、世界では一神教のものもある。つまりは神様一人一人のする事が日本では少ないのだ。それも補佐を必要としない程度に。

 

回る回る。彼女は回る。厄を集め皆を幸せにするために。妖怪の山には様々な存在がいる。厄神もその1つである。その名を鍵山雛という。彼女のそばにいるだけで厄がその身を襲う。それは1つの災害でもある。妖怪と仲良くし己の厄を周りに出さんとするその心はいくらか彼女なりの答えを出していた。

 

人間が好きだが近づけられない。

 

彼女はこの世に存在する限り陽を見ることはないのだ。そう考える雛に今現れた黒色。

 

「悩むわね。あなたもそう思わない?」

 

「……俺は黒について行くだけだ。」

 

「つまらないわね。人選間違えたかしら。」

 

黒の着物はつまらなそうに口を尖らせもう一人の人物を小突いていた。

 

「えっと……あなたたちは一体?」

 

雛が戸惑い気味でそう聞くとハッとしたように目を見開くと薄く笑った。

 

「あらあら、ごめんなさいね。私は黒と呼ばれてるわ。そしてこっちが……。」

 

「……誠也だ。」

 

「私たちがね。あなたの願いを叶えようかと思ってね。」

 

「っ!いえ、厄神である私には現状何も求めては……。」

 

「ふふ、つれないわね。まぁいいわ。話だけでも聞いて行ったら?」

 

正直相手に乗せられている感じがしたが、相手の言う通り話を聞いてみることにした雛である。黒の着物たちは薄暗い森の中にあった倒れている倒木に腰掛ける。

 

「で?話とは?」

 

黒の着物は雛の疑問に逸れた答えを言った。

 

「ふふ、最近では宗教間で何か揉め事があるそうね。」

 

「はい。聞き及んでいますが。あいにく私にはその話は疎いのです。私は厄神妖怪の山などから降りかかる厄を集めるのが私の役目。それしか私にはないのです。」

 

「それこそ聞き及んでいるわ。貴女には簡単な仕事を頼もうかなってね。」

 

「仕事……ですか?」

 

雛にはその仕事がどういったものかはわからない。

 

「ええ、人間と妖怪との間に立てる仕事よ。」

 

「え……?」

 

ニッ

 

「いま悩んだでしょ?悩んだわよね?」

 

我が意得たりと言わんばかりに黒の着物はそう言った。

 

「私は……そんな……。」

 

「いいえ。貴女まだ認めないの?今まで貴女のおかげで人里周辺に厄を蓄えた妖怪が現れないのにも関わらず貴女には感謝どころか無関心。」

 

「ですがそれでも……。「それでも貴女は静かに厄を集めているのよ。健気よね健気だわ。でも……。」

 

そういうと黒の着物は彼女のところまで歩を進め。

 

「分からないわ私には貴女の考えもその優しいと勘違いしているお気楽な頭も。それでも貴女は人が恋しいのよね。触れて触れられた人間はドス黒い厄を身に宿した。経験は裏切らないわよ。結論も変わらない。貴女にはとっくに失うものなんてないのよ。……だから」

 

黒の着物はそうまくし立てた。だが雛には譲れない一線というものがあった。

 

「そんなことどうして貴女に言われないといけないんですか!貴女に何がわかると?疎まれ遠ざかるそして自らも……。そうやって生きてきた私に貴女は何が……。」

 

彼女の喝破を止まった理由は簡単であった。いつのまにか黒の着物が近くで雛の唇を抑えてあるのを見たからである。

 

「いいじゃない。自身にないものを求めても。いいじゃない理解などされなくても。一番は自分自身がどうしたいか。さぁこちらを見なさい。恐れなくていいしそらしてはダメ。」

 

黒の二つの双眸をしっかり見つめている雛を見ながら空気と化していた誠也はじっと経過を見つめていた。

 

「だってそれこそが欲望だもの。ふふ。」

 

静かにそう笑うといつのまにか雛は寝ていた。先ほどの葛藤は嘘のような静けさである。誠也はそんな黒に話しかける。

 

「これでいいのか?」

 

「ええ、順調よ。結局は強引かもしれないけど引き出させた方が早いものね。」

 

「済まないが俺には寺子屋に行った程度の学でしかない。もっとわかりやすく教えてくれ。」

 

誠也の開き直ったその態度に黒の着物は呆れ半分で説明することにする。

 

「はぁ〜あなたって時に本当に協力してるのか分からないのよね。」

 

「すまんがこれが素だ。」

 

「わかってるわよ。まず一つ目これはわかるわよね?」

 

そう言って一つの杭を取り出す。

 

「ああ、俺の妖怪化を止めている釘だ。」

 

「杭よ!杭。これを幻想郷全体に指定のところに埋めるのよ。そしてそれを守護するのがあなた。」

 

「分かっているさ。俺の願いも黒の考えもな。だが……この厄神は一体なぜ……。」

 

「良いのよ。その方が作戦も上手くいくし、何より面白いじゃない?」

 

彼女の計画に抜かりはないと誠也は信じ黒の後ろを連れ歩く。樹木から漏れ出た夕日の光が辺りを照らしていた。

 

そして今

 

大広間には先程あった喧騒とは別の、つまりは妖怪がごった返していた。しかし一つおかしいことがある。そう魔理沙と霊夢は思うのだ。それは妖怪の人里の不干渉である。人里の中を荒らさない代わりに外でというものであるが。

 

「異変……だぜ。霊夢。」

 

ゴクリと唾を飲み込み真剣な顔でそう魔理沙が言う。呆れた顔で霊夢は

 

「見ればわかるわよ。それよりこの状態はなんなのかしらね。余計な仕事増やして欲しくないんだけど。洗濯物だってまだ取り込んでないのに。誰か慧音を呼びなさいよ。」

 

そうのたまうのである。

 

「皆のものよ!」

 

何処からともなく喧騒にも負けない声が演説が聞こえてきた。

 

「かつての我々には神などいませんでした。全てが個人というものが自身を支えていたです。しかし、そんな中でも不確定要素というものは存在します。生き物の力ではどうすることもできないものを我々は神として崇めました。それが天候であり不運であります。それこそ人間の性といえよるでしょう。しかし、我々はなんでしょう?人間のように崇めるものはあるのでしょうか。ここは幻想郷、全ての生き物がすべからく選択をする意義はあります。よって私はこの聖戦とも言える宗教闘争に一石を投じましょう。皆のものよ!手を取りなさい!力を示しなさい!我々にはそれしかないのです。納得させるというならさせて見なさい。人間とも違う。妖怪の宗教とやらを見せてあげましょう。」

 

唖然としたのは魔理沙たちや他の宗教団体も例外ではないだろう。

 

「始まったな。」

 

そういうのは山から遠くを眺める黒の着物と誠也である。

 

「ええ、今度は想定の範囲でことが進むわね。」

 

「それにしても。お前のご執心な奴は一体何してるんだか……。」

 

「……あなた。良い選択をしたわね。少なくとも私の前で彼の方を貶すような真似をすればあなた抜きで計画を始めてたわ。」

 

「……心得た。」

 

「さぁ茶番劇を始めましょう。世界を舞台にした……ね?」



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守護の都〜中巻〜9

異変。それは幻想郷内で起こる大事件。そんな大事件だが比較的簡単に起こせたりするものである。信頼があれば裏切り。初見であればそれだけで天狗が新聞を取り上げる。そして最後は……。

 

「あなたそこで何してるのかしら?」

 

幻想郷管理人。八雲紫はある場所に来ていた。そう博麗神社のコタツの中である。理由は簡単であった。いざ帰ってみれば霊夢らはいなく、待ったら帰ってくるだろうとコタツでぬくぬくと過ごしていたら寝ていた。そうただそれだけである。

 

「少なくともあなたにそう言いたいわね。そこで何してるのかしら?」

 

もうすぐ春になろうとしているこの時期に

 

「コタツで寝てたのよ?見てわからないの?」

 

悪びれもせずにそう言う紫に誠也は一言。

 

「済まないが、お前はバカなのか?」

 

「少なくともお前が言うことじゃないわ!」

 

「……心外だ。」

 

「まぁまぁ、落ち着いてってなんで私がなだめてるのよ。」

 

とりなすように紫はコタツから這い出て

 

「改めて何しに来たのかしら?」

 

「あーそれは。この杭を……。ドグァ!」

 

何かを口走ろうとした誠也を殴り黒の着物は一言。

 

「話が長くなるので始めましょうか?」

 

「ふふ、喧嘩っ早いのね。」

 

黒の着物は鼻で笑って

 

「いいえ、何事にもクールさが必要だと思いまして。例え予想されていなくてもね。」

 

紫は黒の着物と対峙したことはない。たまたま居合わせただけではあるが彼らがここで何かしようとしていたのは見てすぐ分かった。

 

「奇符 ハンガー スプレッド。」

 

先手は誠也であった。まるで吊るすための一本の線が紫に向かう。しかし紫は油断なくその場から離れる。すると一本の線は複雑に周辺を変質し始めた。氷柱のごとく鋭く尖らせ敵の油断を切り崩す。紫はスペルカードルールの創始者であり幾多の経験をしている。しかし彼女でも悪意ある戦いは久々で鈍っていたのだろう。だからこそ紫は線から遠くへ、しかし確実に誠也の元へ迫っていった。しかしスペルカードから察すればわかることであるが大アルカナ吊らされた男は誠也は自らを動くことはない。なぜなら

 

「捕まえた。ふふ、ユートピア。」

 

黒い靄が紫を包む。黒い塊は溶けると跡形をなく消えていった。

 

吊るされた男はいわゆる釣り糸であった。紫は鈍っていたとまではいかないが隙間を一切使わずに舐めていたように思えた。それにしても紫は別次元に飛ばされたのだろうか?それを知るのは今は誰もいない。

 

「ふぅ油断ならないわね。計画が台無しになるところだったんだもの。しっかり絶望してもらいましょう。ねぇ?幻想郷管理人さん?」

 

人里

 

妖怪の宣言は一気に抗争に発展した。人間の陣営はそれこそ宗教の間を超えた信頼とまではいかないが今の窮地を脱したい気持ちは一緒なのだ。

 

「見てなさい妖怪。眼光 十七条のレーザー!」

 

そのレーザーは周囲の妖怪を吹き飛ばした。しかしいつの間にか増えて来た妖怪にその穴を埋められ本丸に突入できずにいた。まるでそれは押しては返す波のようである。また別の場所では

 

「符の弐 陰陽散華!」

 

霊夢が陰陽玉を跳ねさせて妖怪をしっかりと仕留めていく。

 

そう彼らの思いは

 

「私こそ皆を率いるのにふさわしい。)

 

(賽銭賽銭賽銭賽銭賽銭賽銭賽銭賽銭)

 

……どうやら例えには不向きな奴らだったようだ。

 

その隅では狼男のような見た目の妖怪の爪が子供の頬を掠める。薄く血が流れ、恐れた農夫の男の子は泣くことを忘れ呆然としていた。その場を離れなくてはいけないのに体が動かない。それは常に何かがまとわりつき剥がれない感覚である。彼の目にはゆっくりと見えたはずである。

 

「すまねぇが死んでもらう。」

 

喋れたであろう妖怪は短くそう告げると腕を振り上げ……しかし妖怪は素早くその場を退避した。なぜなら退避した場所には既に小さく土が凹んでいたからである。

 

「こちらこそすまんが、こんなわんぱく坊主でも私の寺子屋の生徒なんだ。だからお前には死んでもらう。」

 

寺子屋から今の騒ぎに駆けつけた慧音であった。

 

「ほう、お前は……ああ、同類か……。」

 

妖怪は小さくそう呟く。

 

ピクッと小さく眉を吊り上げ慧音は静かにそう聞いた。

 

「それはどういう?」

 

「お前には関係ないことだ。」

 

妖怪はなんでもない風にそう切り捨てると行動を再開する。

 

きみも襲って来た妖怪に一瞥すると握っていた妖怪の腕と思われる遺体を投げ出した。

 

「汚ねぇな。寄って来んな。こっちはこのあと甘味処でご主人様と二人きりで食べに行くんだよ。」

 

少なくともそんな具体的な約束はしていないのだが……。

 

「仕方ねぇ一瞬で終わらせてやるよ。」

 

そうきみは誰にいうわけでもなくおもむろに妖力を練り出す。明らかなるオーバーキルである。躊躇いもなく放つと妖怪たちは散り散りに……とはならなかった。

 

「厄も妖力も私にかかれば皆無力。むしろ信仰する皆に分けてあげましょう。」

 

そうクルクルと回りながら鍵山雛は莫大な妖力弾を集め出し、そして妖怪たちに付与し出した。自身に忠実な妖怪となった雛にとっては枷の無くなった体を自由に動かす。妖怪達はくるくると回り出した妖気に包まれ腕の破損などの深手もまるでなかったように元通りとなる。先程のきみに投げられた妖怪らもむくりと体を起こし出した。

 

「ッチ!きりがねぇ!おい!そこの紅白お前何か策ねぇのか?」

 

「あんたこそこないだ見たいな一撃で相手を屠れないの?」

 

「あ?もうそれやんねぇよ。あれすると動かなくなるどころかご主人様と甘味処で食事した後静かにベッドインできねぇだろうが!」

 

もはや煩悩の塊と化したきみは霊夢の要求を一蹴。

 

「ちょっあんたそれでも管理人代理の従者!?」

 

「もう解約しただろ!そんなもん!」

 

とことん横暴である。そこで霊夢と行動を共にしていた魔理沙が声をかける。

 

「じゃあ、こう考えようぜ?今きみが一撃必殺な技を出したとする。それをお前のご主人は大層喜びになってそのまま介抱アンド甘味処であんみつをあーんされる。そしてあわよくばご主人の方からきみを襲い……ハッピーエンド〜!」

 

どんどん要求が増えているのはなんなのだろうか?彰にとって異変よりその後の方が危険である。それはもちろん霊夢も

 

「そんなうまく行くわけ……「ナイスアイデア!!」……もう勝手にしなさい。」

 

「よし決心はついたな。これから本丸を落としに行くぜ!」

 

倉持邸

 

「きみだけに行かしといて良かったのでしょうか?」

 

くおが小さくそう聞いて来た。彰はそれについて優しく答える。

 

「ああ、きみにもパスが通っているはずだし正直さっきの規模ならぎりぎり殲滅できるはずだ。」

 

パスとは彰と従者との間に通っている魔力などの導線でありきみの場合妖力が通っている。

 

「そうですよ。これほどで負けてしまってはご主人様に示しがつかないじゃ無いですか。」

 

めいはそんなこともわからないのかと彰に賛同して(常に賛同する立場なのだが)言った。

 

「あれ?セレスが居ないな。」

 

「うーん、恐らくまたどっかほっつき歩いているんでしょう。」

 

「あの人ならあり得そうです。」

 

そしてそんな心配するような二人の従者だが読書する為に移動する彰の後ろを追従するように歩きながらニヤリと笑った。

 

((今きみにはパスは通っていない。この戦いで使い切れば……。))

 

パスとは彼らを繋ぐ線。前回の戦いより彰の力の封印を解いたきみやめいはパスを切っている。彼らの渡された本には一節にこう書かれている。

 

『各々は力に依存する。』と。

 

博麗神社

 

「……あなた達何してるの?」

 

なんともデジャヴな発言をするのは彰の従者の一人セレスである。

 

「またわからないの?杭を打ってるの。」

 

「いやそれこそ見ればわかるから。」

 

腑抜けた解答をする黒幕と思える奴らに呆れたようにそうセレスは言う。

 

「それよりなんでここがわかったの?」

 

「ん?そんなの簡単簡単。だって私は技術力を司ってるんだから。」

 

「……説明になってない。」

 

「別に説明なんていらないよ?だってきみ達ここで死ぬんだから。」

 

そう行ってセレスは思い切り杭を打つ男に突進を仕掛ける。

 

が、不幸なことに杭は深く埋まった。

 

「ぐぁ!」

 

殴られ飛ばされたのはセレスであった。

 

「……遅いな。」

 

吹き飛ぶように姿の見えなくなったセレスは一直線に樹木をを倒して行く。止まるころには見事なエンジェルランプを意匠とした洋風な着物はボロボロになり四肢も先程右腕を再生したばかりである。

 

「あーあー今の常人なら数回は死んでるよね。まだ私も負けるわけにはいかないし、例え尽きても相手を消滅させなければね!」

 

油断。それは今までの経験からすれば初めての経験であった。眼光を鋭くしたセレスは一気に間合いを詰めて視認できない結界に指を通す。瞬間触れたところから腐り落ちて行く。

 

「あああぁ!!……はぁはぁ。」

 

痛みに苦しむセレスは済んでのところで止まり縦線一本引かれ切断されたかのような断片を晒した。

 

「この結界は時間だ。天然の結界とも言える。時間軸をずらし血流さえも速さを変える。ちなみにそこの結界は二倍くらいの時間の差がある。まぁあいつの受け売りだけどな。」

 

「そんなの体が腐る理由にならないよ。」

 

「俺もよくわからないけど多分お前らだけだと思うぞ。力の塊よ。」

 

まだまだ異変は始まったばかりである。



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守護の都〜中巻〜10

姿形を変えても同じだと言う者がいる。いや、見えない物でもあるだったか?まぁそこはいいとしてこれらの問題は証明に至ることがなかなか無いのは、よくわかると思う。それにしても、これらの問題が発生したのだってほとんどが不可解な状況を上手く説明するためというのもある。そう、不可解とはその場を簡単に収めることの出来る魔法の言葉である。

 

人里

 

「おいおいこれって。」

 

「詰みってとこかしらね?」

 

魔理沙の静かな問いに霊夢は軽口で答えた。

 

「もしかしてこの後のこと考えてないとかないよな?」

 

「ふっ、当然だろ?無い‼︎(ドヤァ)」

 

事態は数分遡る。

 

「っで?その作戦とは?あっ特攻とかは無しな。命がいくつあっても足らねぇ。」

 

そう、さも当然のように妖怪の四肢を投げ飛ばしながら、きみがいうと魔理沙が

 

「心配するなって。ちゃんと考えてるぜ。じゃあ作戦会議といこうか。」

 

((本当はなにも考えてないのでは?))

 

そう不安がる二人である。しかしそんな不安をつゆ知らず魔理沙は作戦を話すに当たって必要なことを確認しだす。

 

「きみの一撃は……「一回だ。」」

 

「あたいが賭ける一発には純粋な力とは別のエフェクトが付いているようなんでな。」

 

「へぇ?前回は手加減してたんだ?」

 

そう思うのは当然か。前にきみの戦闘を見たのは牙狼の異変出会った。しかし、あの時とは違う点が一つある。

 

「いや、あたい自身も知らなかったくらいなんだがな。」

 

そうそのエフェクトとは前に皆に配った本に書かれていることである。

 

第十五章 解放条件

 

顕現守護者は皆すべからく封印を用いる。ここでの封印は守護指定が受諾することによりロックを解除する。

 

「っで?端的に言うとその効果は?」

 

「自壊だよ。」

 

「?自壊?それはなんだ?」

 

「簡単に言えば力を自然に返すってところか。」

 

魔理沙の疑問にきみは答えた。

 

「じゃあ私達が戦闘を膠着そして本丸までの道をつくるぜ。そして最後に雛に凄いもん一発くらわせるぞ。」

 

「そんなこと……「出来るって。まぁ後は任せたぜ。」

 

そう言って魔理沙は霊夢と一緒に戦場を駆け出した。

 

鍵山雛討伐をするため各々が作戦を伝えに行く。今は仲間割れをしている場合ではない。皆それを判っているのだ。だからであろうか。戦場に光った一線が煌びやかに見えたのは。

 

「恋符 マスタースパーーク!」

 

魔理沙の暴力的に突き抜けるスペルが敵味方の境界がわかるように吹き飛ばす。

 

例え延々と再生する体を持ってしても妖怪どもはその風圧に負けていった。そしてそれでも残っていた妖怪どもに向かって

 

「神霊 夢想封印」

 

「開海 モーゼの奇跡」

 

「法塔 レイディアントトレジャーガン」

 

 

過剰ともいえるその一手は、その力の奔流は意味をなさない。流れは弧を描き厄神の元へ集まりだす。

 

厄とはすなわち不運、わざわい。多量の力を振るい霊夢達の攻撃は妖怪の厄を鍵山雛が貰い受けることで自然と避けれるようになっているのである。

 

そうであるから当然のようにきみの力も分散していく。

 

そして冒頭に状況が戻った。

 

「無策も良いところね。これじゃあ膠着どころか不利になってるわよ。」

 

呆れながらも状況を観察する霊夢はそう皮肉を吐いた。

 

何度攻撃をしても吸収されるのでは意味がない。彼らの戦闘はまだまだ続く。

 

倉持邸

 

客人達と従者が青筋を立てて対峙してソファに座る。その一触即発な雰囲気は彰から見ても危険だとわかるものであった。なお一人は顔を真っ青していたが。

 

今この場にはお客が二人雪崩れ込んできた。一人目は八雲紫の式神、八雲藍。二人目は弱小新聞記者もとい情報弱者の鴉天狗、姫海棠はたて。別の所属であることからそれぞれ別の問題であると思われるが従者の観点から少し狙い澄ました感じがする為(いや、従者にとっては主人との貴重な時間をぶち壊したこの二人は)粛清対象になりつつある。

 

フカフカのソファであるのだがそんなことなど気にすることができないほどピリリとしていた。

 

「して、アポも無しにこの倉持邸の結界を強引に壊したのは万死に値するのですが、粛清して良いですか?御主人様。」

 

「なるほど、紫の式神か。であれば納得かな?……あと、くお殺気が凄いぞ。引っこめろ。」

 

「ほほう、鴉天狗風情がこの館の結界を超えあまつさえ汚い足で踏み入れたと。殺傷してよろしいですか?御主人様?」

 

「なるほどこっちは天魔からの要請か。……めい?優しく接待しなさい。この子泣きそうだ。」

 

否応の無い従者とそれを制す主人とのささやかな攻防が繰り返された。

 

「で?その異変とやらはいつのことなんだい?もう外は真っ暗なんだが?」

 

「はい?」「へ?」

 

当然のことながら時間が狂い始めた今、ここ周辺と外との時間軸がずれているのであるが(前話参照)生憎の彼らがそれを察することはない。しかし、彼女らにはそう映らないようで

 

「な、何で!?」

 

「……しかし!?」

 

そうここにきた頃は丁度三時のおやつをレミリアが食べていた頃であるため驚くのは当然であった。

 

そして何も知らない彰こう言い始める。

 

「はっはっは、幻想郷ってこんなことも普通に起こりうるんだな。」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

はたてはそう言いながら彰の胸ぐらを掴みゆらゆらと揺らした。一方藍は窓に張り付いてブツブツと何か言っていた。

 

「俺たちは特にお前らのことは知らないから仕方ないが、そうなって来ると外の人は危ないだろうね。」

 

いち早くパニックから脱した藍が真剣そうに

 

「それは一体どういうことで?」

 

「そ、れは、だな!……」

 

未だにパニックのはたては、めいとくおに連れられて別室へ。どうやら死のマナー講座が始まろうとしているようだ。

 

ようやく解放され、ゴキゴキと首を鳴らしながら彰は

 

「じゃあこちらへどうぞ。」

 

時間、それは一重に超えられない壁と捉えても良い。光速を超えると過去に行くという話があるがそれほど時間とは難しい現象なのである。今回時間軸が地域によって変わって来るという現象が起こっている。その線から見ると地域ごとに違うとは、すなわち光とは別個のものが変化したと考えられる。現代科学では流石に否定されるだろうが、魔法概念のあるこの世界ならば一つの不可解を解決しうるのである。

 

しかしだからといって魔法があれば全て解決……とはならないのは当然だ。イメージで魔法が出来れば時間のイメージなど知りうるはずないのだから。だからこそ彰は館の案内を始める。その先は図書館である。西館までの道のりは先ほどいた客室用の和室が東館にあり、そして裏口から簡単に舗装された庭があるため案外近いと言える。

 

図書館に入ると彰はおもむろに手を上げて能力を行使する。当然彰にとってはすべての蔵書を管理しているめい同様に蔵書の位置がわかっている。そのため本の山を築くのは造作もないことだった。

 

「こ、これは?」

 

その圧巻の光景を目にした二人は聞かずにはいられなかった。まるでもうすでに答えは知っているかのように彰は自信満々にこう答える。

 

「問題解決の最適解かな?」

 

本の山は形を変え新しい形状をかたどる。

 

「一つ目光の速度を超えるもしくはそれに近いものが操作した。しかしそれは机上の空論とも言えるふざけた話だ。」

 

「む?」

 

「二つ目完全なる魔力尚且つそれを操作しうる存在がいる。力の操作は難しいこれだけの規模を一度に操作するのは俺でも不可能だ。」

 

突然始まった彰の談義についていけない藍はただクエスチョンマークを浮かべるだけであった。

 

「そして三つ目 龍脈の不調だ。大地のエネルギーが勘違いを起こしたと言えば聞こえはいいか?実際にそれをするのは……。」

 

「龍脈?いやそれならありえるかもしれん。」

 

龍脈という知っている単語を聞いて藍は小さく呟いた。

 

「どういうことだ?」

 

彰はそれを引き出すように尋ねる。

 

「結界を維持するには流石に紫様や霊夢一人ではなかなか難しい。そこで龍脈、つまりは大きいエネルギーを消費して結界は作り出したはずだ。」

 

「ふむ、一考の余地はある……か。」

 

「だが龍脈の操作なんて普通の妖怪ましてや人間には無理だ。いくらなんでも厄神やそれに連なる妖怪であろうとな。」

 

自分でも無理だという藍の説明に彰は深く熟考した。

 

龍脈、厄神の存在、宗教闘争、時間軸のズレ。それらは全て異変と言える一つの繋がりがある。それは、いつかの我狼の異変に似ている同時進行の構造。特定の人物をおびき寄せる意図そしてどれも決定打に欠ける戦。

 

黒の着物。

 

それが彰の脳に一つの解を導き出した。

 

不可解な証明それは今始まったばかりである。



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守護の都〜下巻〜11

セレスが苦戦しうる二つ目の戦それは、いつかの狼を彷彿とさせる甘い戦であった。

 

「案外弱いのね貴女?」

 

誠也の後ろにある賽銭箱の上に優雅に座りながら黒の着物は静かに言い放った。セレスの疲労は誠也とは目に見えて違っていた。

 

「それはどういう?」

 

セレスの身の程をわきまえない傲慢な物言いに心底呆れながら、

 

「貴女程度の欲望、それも自身さえ振り回されるような不安定な欲望なんて使いこなせてないでしょ?適度に発散させるのが賢いやり方」

 

含みのある黒の着物の言葉を静かに聞くが理解できなかったようだ。未だに考えを巡らせている。その様子にさらに黒の着物は

 

「身の程をわきまえろってことよ。」

 

「なるほどなるほど〜。つまりこう言いたいわけだ?」

 

それをわかっているのかわかっていないのか。セレスはゆっくりと歩く。その様子には不敵なそして不遜な態度に誠也でさえ眉をひそめる。

 

「貴女たちはやっぱり敵ってことだね。」

 

瞬間何かが弾けた。それは気体であり空間でありそして世界そのものを。

 

「違うわ。」

 

呆れに近い声音で彼女は言った。

 

粉塵が舞う壊れた世界に黒の着物そして誠也は博麗神社一帯以外を吹き飛ばした現象に眼を見張った。

 

()()貴女じゃないってこと……。」

 

先程のムッとした黒の着物であったが今は慈愛のこもった微笑を浮かべる。何故なら

 

(どうやら戦力差を理解して応援を呼ぶ程度のことはできるようね。あの子たちの中ではなかなか優秀なのかしら?成長……私達にはない成功へと導くもの。そろそろいいのかしら彰様?)

 

何故なら、彼女の思惑をいい意味で裏切り、すでに世界を変えた張本人は綺麗さっぱりと消えていたのだから。

 

倉持邸

 

「つまりなんだ?今回の異変は」

 

「ああ、おそらく何者かが便乗した結果だろうな。」

 

ふむと藍は小さく唸りこれまでの異変を振り返る。

 

我狼により妖怪全体での異変

 

異変の首謀者は死亡

 

枝麻の土地全体の異変

 

これも異変の首謀者は死亡

 

これらから首謀者役にされた者は任を解くとき殺されている。つまりは役目を終えた後真の黒幕に殺された事となる。今回の首謀者となるのは厄神、鍵山雛。彼女も殺されるということか?そう藍は思索を巡らした。

 

しかしと話の流れから彰は思い留まる。不可解なことに殺される理由に心当たりがない。失敗したからというには流石に早急である。首謀者どちらも類稀な能力を保有していた。今後も捨て駒にでも使った方がいくらかマシだと言える。つまり殺すにはそうならざる終えない理由があるはずなのだ。そう理論付けた彰と藍は解決のため夕日の沈む道へと動き始めた。

 

しかしその論理に正解は訪れることはない。

 

人里

 

「失敗に終わっているわけだが?」

 

「これは私にも予想外だったり?」

 

きみの燻る怒気をどうにか抑えながら魔理沙に問う。その姿はさながら背後に龍を彷彿とされる錯覚を起こす。

 

現在魔理沙の考えた策はものの見事に躱され事態は乱戦へと突入しつつある。

 

魔理沙は戯けた態度できみのそれを躱し、自らの予想が外れたことに驚愕し次の策を練る。

 

厄神の能力が厄を溜め込む程度の能力であった筈だ。それを放出しそれを妖怪に付与出来るとなるとそれは最早厄を操っていることになる。力の制御にいくらか苦戦しているとするならそれは一瞬を突く隙と言える。実際自らの手で交戦はせず配下に力を分けるのに注力しているのが今までの戦闘から予測が出来た。つまり、魔理沙たちが行動するなら一点集中の糸を通すような小さくそして戦闘不能にできる一発。それができるのはきみの一撃のみ。

 

「きみはここからあいつ目掛けて一撃かませられるのか?」

 

「いや、無理だ。あたいの力は射程として半径一、二メートルはっきり言って融通はきかない。」

 

(となると、きみを厄神の近くまでエスコートできる奴はあいつだけだ!)

 

事態は収束へと向かいつつある。



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守護の都〜下巻〜12

お久しぶりと言えばいいのでしょうか。わたしには弁明のしようがありませんが

今後ともよろしくお願いします。


辺りはせっかくここ最近盛り返していた人里を再び荒野へと変えられる。人間にとってこれほど心情に訴えかけられる事態はない。

 

猜疑心。

 

人間に根強く染み付いた負の感情。それがたとえ自身に利益があろうと止まらない。人間の浅ましさを理解できる言葉だと言えた。そして荒野と化した自分たちの世界を諌める者もいない。不満は溜まる一方であった。

 

これまでに異変は山ほどあった。そのほとんどが人里に直接の被害を与えてはいない。管理者はわかっていた。少しでも人里内で被害が出れば連鎖的に人間の心が負に染まっていくことを。そしてその時が幻想郷の一種の転換期でもあると。しかしその転換期を見ることはない。

 

何故なら……。

 

紅魔館

 

魔理沙は今、焦燥感と責任感に苛まれていた。そして自分の考えが正しいのであると証明するために彼女は空へ飛び立つ。

 

「お願いだ!門番!」

 

「だから私の名前は……はぁ。何かあったんですか?」

 

紅美鈴は切迫した雰囲気を静かながら感じ取り、落ち着かせるように魔理沙に聞いた。

 

「ああ、人里で……

 

魔理沙は事の顛末をかいつまんで説明した。

 

「なるほど、だからこその私だと。なら早いほうがいいですね。」

 

人里

 

細く紐を通す一撃つまりは、きみの一発。だがそれは射程距離が短すぎる。そこで魔理沙は考えた。圧倒的に初速によってきみ自身を本丸に飛ばせれば相手を仕留められるのではないか?と。

 

「おいおい。まさかあれか?あれをやるのか?」

 

人里で作戦を聞いてまず言い放つのは信じられないとばかり目を見開き魔理沙たちを伺うきみである。

 

「ああ、勿論だぜ。ささ、ぱぁーとやってくれ。二人とも。」

 

魔理沙が考えた策はとてもシンプルで紅美鈴の膂力をさらに命蓮寺の聖白蓮のバフをかけ、きみを蹴り飛ばす。

 

「頭は前方見てないと折れますよ?」

 

美鈴は頭と首を固めるよう指示(強制)する。

 

「お、おう。……じゃなくて!!」

 

「尻をもうちょい出してください。」

 

着々と準備が進む中きみは彼女らを見た。

 

「あたい一応だが女なんだが。「さぁ歯を食いしばってください!」ちょ!ま!」

 

直後きみの尻はビックバンとなった。

 

博麗神社

 

「ほほう、ここに来たのは二人目だ。」

 

誠也は新しい来客を迎えた。彰とその一行を鳥居から見下ろした。

 

めいと、くおは誠也の姿を見た瞬間仕留めようと動くが

 

「聖域を踏むことは許されない。」

 

一歩のところで体が血を見ることなく腐り落ちる。声にならない悲鳴とその感覚に悶絶しながらその場を離れ彰の元に戻る。本来移動できるほどの力はでないのだが主人への意地が彼女らを動かす。

 

「どうやら黒の言っていたことは本当のようだ。所詮力の塊に過ぎない。そして時間の流れに勝ることはないと、な。」

 

誠也は静かに体を起こし

 

「待っていた。噂はかねがね。といっても彼女は自慢話しかしないがな。まぁそんなことはどうだっていい。俺は誠也。ここの守護者をしている。今はそれだけだ。」

 

誠也は地面を大きく踏み込み彰に初手を打ち込む。流石にそれは彰も予想しておりサイドステップで軽く避ける。

 

誠也は勢いを樹木を使って受け流し再び彰へと特攻をかける。彰も再び避けようとする……が。

 

歪む感触とともに誠也は速さを変えた。さっきよりも速くそして鋭く。タイミングのずれた彰はもろに食らい肩口を押さえて倒れ伏す。その姿が人形のように見えてひどく滑稽に見えた。

 

追撃をなすように誠也は倒れた彰の腹に向かって拳を突き出す。そこで誠也の足を掴み向かって来た遠心力を使い背後に蹴りを入れる。しかし誠也はそれをものともせず彰の服をひっぱり地面に叩きつける。

 

「かは!」

 

横隔膜が一時的に痙攣しているが、それに耐え、追撃に備えるために体を起こす。が、瞬間彰の左腕は吹き飛んだ。そして悟った。こいつは人間ではないと。

 

「弱い弱すぎる。こんなのに俺は……。」

 

彰は誠也の話している隙をついてベクトルを多数設定。

 

(ENTER!)

 

そして発動。外部干渉を使ってその場から離れる。

 

(彼の能力はなんだ?どうしてここまで追い詰められる?しかもこの状況。)

 

そう彰の腕は全く再生されていない。時間が狂っているせいなのか。相手の能力なのか?

 

そうこれは彰を殺せるいくつかの方法の一つ。今の環境は彰の転生する程度の能力を無効化している。時間のズレが回復の差を作りエラーを起こしているのだ。それを理解していない彰は忽然と思案していた。

 

いまだに左腕は元に戻らない。その変化は顕著に明らかで他の従者にもわかった。

 

「めい、あれは……!」

 

「ええ、どうやら私たちの理解の及ばない何かが起こっているんでしょう。」

 

彼女らも一貫して時間の壁を超えられていない。そのため一見余裕で飄々としていてもその実は額に汗を滲ませている。

 

彼女らの世界は絶望へと塗り替えられていた。現状打開の一手は打てない。このままいけば彼は、彰様はあの者の手によって分解され元に戻らず実質、死を意味するだろう。その状況に彼女らが動かないなど誰が思うだろうか?

 

「……これで、最後だ!」

 

彰は己の負けを悟り静かに目を閉じ、その時を待った。瞬間誰かが激しく争う音が聞こえる。彰はその音を確認することなく意識を落とした。

 

「驚いた。……確かセレスとやらではここを抜けられないと思ったんだがな。」

 

「時間の解析はもう終わったよ?多少部位が壊れる程度の損傷であるのは否めないけどね。」

 

一度離れていたセレスが彰の前で魔力により象られた刀を出現させ鍔迫り合いをしていた。

 

そうこの時間の壁を越えることこそが彼女の能力、不可能を可能にする能力『技術力を高める程度の能力』である。

 

技術すなわち歴史上の努力の結晶を(理を)理解し扱う。ひとえに扱えるのもそれぞれであるが、あくまでもそれは高める程度なのである。

 

「セレスが何をして超えたかは知らないが、その傷で何ができると言うのだ?」

 

そう彼女の体はもはや皮膚が爛れ腐りかけていた。時間を超える行為の代償としてはあまりに割りに合わない。そして実際に彼女が彰を抱いて移動できるほどの力は無さそうである。

 

誠也はセレスの体を一閃盛大に内容物をぶちまける。

 

「全ては彰様の心の平穏(愛)のためにすること、お前ごときがその道を閉ざすことなど許すはずがないでしょ。」

 

脳内麻薬によってかろうじて動けているのは奇跡に近い。そして微かに残る痛みに耐えセレスはスペルカードを使用した。

 

提言「Proposition of the soul」

 

緑色の弾を直線で放つそれは単純な弾幕であり無作為に飛ばされていた。ランダム弾は反射神経の高い誠也にとってはヌルゲーでしかなくあっさり突破される。

 

「やはり弱い。弱すぎる。彰もその従者も。」

 

そうやって静かに吐き捨てると同時に誠也の手刀がセレスの手足を捉える。

 

四肢を損失する事態へとなった。だが!

 

「はは、あはははは!あーおっかしい!」

 

「気味悪いなんで笑っている。」

 

狂ったかのように笑い出した。それは嘲笑にも似たニュアンスがあり誠也になんとも言えない違和感を与えるには十分であった。

 

「それはね。こういうことだよ!」

 

解析を開始します。

 

セレス内容物解析中、指定地面解析中、草木解析中etc……。

 

笑い続けるセレスに嫌気がさしたのか誠也はとどめを刺しに近づいた。しかしこれは下策である。

 

「私は至上最高の傑作にして災厄。これの意味わかる?」

 

セレスは誠也に聞こえるようにそう言った。瞬間パリンと乾いた音がなったと思ったら今度は誠也が拘束されていた。

 

「聖域のジャミング完了しました。……たく。無茶をしますね。」

 

くおの能力が発動。ここら一帯の制御が彼女に移る。それはつまり障壁により誠也は地面に押し沈められようとしていた。

 

「セレスらしいといえばそうでしょうが確かに無茶ですね。特にご主人様へのポイント稼ぎとしてはですが。」

 

めいが沈み出した誠也を足で踏みながらそう言い放った。

 

「お前ら……どうやって!?半端者のお前らでは時間を超えることなどできないはず。」

 

「そう出来ませんよ?セレスがいなければね。」

 

彼女の技術は所謂解析し自由に組み換えられる。時間こそかかるがありとあらゆる()()()()()()()()()()()()()であればセレスは分解も構築を可能である。

 

例としては粒子単位で分解し新しく構築する。小麦粉をパンにする程度。またはペットボトルを分解し服を作るとかである。

 

めいとくおを元素に変換してそれを再構築する。()()()()()()()()()()()()()だからこそできる芸当。欠陥ものであるが故の行動であった。

 

「なぜ、なぜだ!私は皆を……。」

 

「さぁ始めましょう。お話の時間です。」

 

彼女たちの着物は揺れ、誠也の悲痛な叫びが願いが空間を揺らした。

 

事態の好転は近い。



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