ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結 (WryofuW)
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第一章 ゼロのルイズ
第一話 幻想郷からハルケギニアへ


文字数はたぶんですがいつもばらばらになると思いますがどうぞごゆっくりお楽しみください。


 それはある日の幻想郷での出来事である。

 いつもどおりの日常、異変を起こすものがいればそれを解決する者もいる。

 その異変を解決する側の一人、自称普通の魔法使いである霧雨魔理沙を主人公とした物語である。

 

......

 

 

 「今日もひまねえ・・・いつもどおりあんたはお茶をたかりに来たのかしら?」

 

 「霊夢が寂しそうにしてると思って来てんだぜ?ありがたく思えよ?お茶さんきゅーな」

 

 「まったく・・・別にいてもいいけど私すぐ出かけるわよ?あのスキマに呼ばれてるのよ、結界がどうとかなんとかね」

 

 「そうなのか、そういうことなら引き止めることもついて行くこともできないし仕方ないか、紅魔館にでも遊びにいってくるとするか」

 

 

 あそ、と素っ気無くいう霊夢にへへっ と笑顔で返す魔理沙であり、なんだかんだ仲良しなのだと誰が見てもわかる光景である。

 とここで空間に切れ目ができたかと思うと、暗い空間と赤い目のようなものが複数あらわれる。その中から八雲紫の式神、八雲藍が現れる。

 

 

 「霊夢、迎えに来たぞ ・・・白黒かお前は憑いてこなくていいからな」

 

 「いきなり現れたかと思ったらそれかよ藍!というか私は幽霊か! まあそれについてはさっき言われたから問題ないぜ」

 

 「ほお珍しい・・・いつもはあーだこーだ言って付いてくるくせに学んだか白黒」

 

 「名前で呼べよ、私は霧雨魔理沙!おぼえたか?」

 

 

 このレベルの低い言い合いに霊夢はめんどくさそうに終止符を打つ。

 

 

 「あんたら朝からうるさいわよ、ったく行くなら早くしなさいよ 魔理沙も紅魔館で遊んできなさい」

 

 「霊夢・・・おばさん臭いぜ」

 

 「不覚にも同感だな」

 

 「あんったらねえ!」

 

 

 うひぃ と変な声で返事を返しながらすぐに自身の箒に座り空中へ逃げる魔理沙であった。

 何か言っていた気がするが気にしない。

 

 

 そして今は、魔法の森上空。そこで太陽の光に反射してキラキラと光っている物が気になり紅魔館に行く前に寄り道をすることにした魔理沙は降下していく。

 

 

 「なんだこりゃ・・・鏡か?にしては大きいな・・・魔力を感じるし怪しいな」

 

 

 とてつもなくというほど大きくはなく、ちょうど魔理沙の顔を除いた身長くらいの大きさの鏡がある。魔理沙は魔法使いであるためその鏡から魔力を発しているのを感じることができ警戒する。

 

 

 「近づいても問題はないか、ま、香霖に聞けばわかるか 取り合えず持っていこうっと」

 

 

 と持っていくために鏡に触れたとたん、鏡に飲み込まれるように指が沈んでいく。

 慌てて引っこ抜こうとするがどんどん侵食するかのように淡い光が体を飲み込んでいく。

 

 声も出せずそのまま光に飲まれ鏡とともに消滅する。

 この日幻想郷から一人の女の子が姿を消したー-・・・・。

 

 

 

 場面は変わってここハルケギニアのトリステイン魔法学院。

 

 生徒たちは、ここでの生活は二年目に突入している。二年生となった生徒たちは、今行う授業が待ちに待ったという顔が見て取れる。

 何故かというと、一生に一回かもしれないという使い魔の召喚と儀式、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントを今この場で行うためである。

 

 そのため浮かれているのは仕方ないことだと思うが、いざ召喚をしようとすると緊張してしまうため先生である頭の薄・・ジャン・コルベールが一人ひとり声をかけ緊張を和らげている。

 

 今のところ全員が成功を収めており中には、他の生徒が呼び出した使い魔を圧倒するかのようなモノを召喚した人までいる。

 

 そして一番最後となった桃色の髪であり腰まで届きそうなほどのロングヘアーであるこの子の名前は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと言い上から数えたほうが早いほどの大きな貴族でありヴァリエール家の三女である。

 

 その三女、ルイズが今まさに召喚を行っている。 が他の者と詠唱も変わらないというのに何度も行えど爆発が起きている。

 

 他の生徒も最初はゼロのルイズだのできないのにやるな など罵倒が飛んできたが、今は見向きもしておらずあくびをしているものまで。

 そろそろ時間が押してきている為コルベールが、ルイズへ時間がもう無いため次回へ持ち越ししては? と言う代案を出す。

 外からは罵倒が飛んでいるがすべて無視している。

 

 

 「・・っ・・せ・・先生あと一回だけでいいのでやらせてください、おねがいします」

 

 「ううむ・・わかりました、あなたの今までの努力や忍耐力などを評価しあきらめずにやって下さい。今回できなくとも次回がありますから気を張り詰めないように」

 

 「ありがとうございます!コルベール先生!」

 

 

 そこでどこからか罵声とは違う声が発せられその声にルイズは驚きを隠せない。

 

 

 「ヴァリエール!いつものあんたはどこ行ったのよ!最後まであきらめずシャキッとしなさい」

 

 

 仇敵だと思っていた相手から声援がくるとは思っておらず嬉しさとともに冷静になる。目をつぶり一息つきリラックスすると、顔を上げ強く正面を見定め自身の杖を両手で持ち詠唱を開始する。

 

 

 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン!我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ(さっさと出てきなさいこのアホ!)」

 

 

 余計な思いが入った気がするが口には出していないためセーフである。

 またも爆発が起きやっぱりなと周りの生徒は思っていたが召喚の儀式をしたルイズは、なにか違う感覚があり心の中では確信していた。

 

 「(ついに・・・ついにきたのね!さっきと全然違う感覚間違いないわ!)」

 

 

 そわそわとするルイズ。一方、煙の中から咳き込む声と影があり、回りの生徒が疑問の声を出している。すぐに先生であるコルベールを見るが咳をしてないし煙の中を見ている、生徒からは魔物が人間みたいな咳をするのか や まさかね 等々。

 

 すぐに霧が晴れそこにいたのは、白と黒を主とした服装で少し大きな帽子に片手にどこにでもありそうな箒を携えている。

 回りの生徒からは一瞬の静けさ、そしてすぐに大爆笑の嵐が飛び交う。

 

 ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!、あれ平民じゃなくて自分の家のメイドじゃないか?箒もってるし、こんなことありえるか? できないからと言って自分の家のメイド連れてくるなよな 等々。

 

 当の本人、ルイズも泣きそうな顔をしつつ先生のほうを見、もう一度・・・と言うが拒否されてしまった。

 

 「よく勉強をしているキミにならわかるはずだ、これは神聖な儀式なんだよ?それを成功してもなお二度もやろうとするなんて・・・なんであろうと呼び出しているんだ、さぁコントラクト・サーヴァントしなさい」

 

 

 唇をかみ締め悔しそうにルイズはしているが召喚された霧雨魔理沙はなにがどうなっているのかさっぱりである。

 鏡に触れた瞬間吸い込まれた、と思ったら一瞬のうちにこの見知らぬ地へ移動しているのだ、一瞬スキマ妖怪にやられたか?と思ったが紫は鏡なぞ使わなくてもそのくらいできるであろうと言うのは分かっていることなのでこれは消去。

 

 「{というかこいつら何を喋っているのか分からないな・・・変な服着てるし日本語じゃないのか?幻想郷から外の世界にでもすっ飛ばされたのか?だめだ分からない}」

 

 と考え事をしている魔理沙に召喚した本人、ルイズが近づいていき何かを喋っている(様に見える)。

 となぜか顔を近づけて来て魔理沙は意味が分からんと思い首をかしげるだけでありそのまま抵抗もしないでルイズと魔理沙は口付けをする。

 

 

 「{・・・・・・は?はあああ?なにこいつは?いきなり近づいてきたと思ったらキ・・キスしてきやがった!ここはそういうところなのか?・・・うぇ・・・に・・逃げないと}」

 

 と後ずさりしようとした瞬間左手の甲が焼けるように痛くその腕を抱えうずくまってしまう。

 

 

 「ぴーぴーうっさいわねこれ、人間に見えるけど亜人かなんか?にしてはおとなしいわね・・・」

 

 「うむ無事に成功したようだね さあ召喚した使い魔との交流の時間は昼後の授業で行うからさぁ次の授業に行ってきなさい!」

 

 

 コルベールの言葉が終わる頃に魔理沙は痛みから解放され自身の左手を見ると見慣れない文字が現れ魔理沙は何でこんなものが手にくっついてるんだと触ってみるが汚れではないらしい。

 その手の甲をコルベールが見て驚いた顔をしルイズに一言伝える。

 

 

 「ほお・・・見たこと無い紋章だ 一応記録してもいいかい?」

 

 「あ、はいどうぞ遠慮なく・・・」

 

 

 記録を終えると振り向き物珍しそうに見ている生徒を次の授業を向かわせルイズにもすぐに次の授業に行くようにと催促しコルベール自身は先に図書館のある方向へ向かう。

 

 

 果たしてこの嵐のような急展開に魔理沙はどうなる。

...................

 




修正
:タイトルの一部修正


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第二話 ルイズと霧雨魔理沙①

 一応召喚には成功したルイズではあるが召喚した人のようななにかの正体がさっぱりである。コルベールもとくには触れてはおらず危険は無いのだろう。

 実際には、紋章が気になってしまってすぐに調べたく素っ気無くなってしまっただけなのだが。それでいいのか先生

 

 

「ったくなんで私が平民なんて呼ばなきゃいけないのよ・・・はぁ、であんたはなんなの?その箒はなによ?」

 

 「{何言ってんだこのキス魔は?言葉が違うようでさっぱりわからないぜ・・・}」

 

 「だめだ意思疎通もできないって生物じゃないのかしら?・・・」

 

 

 と他の生徒と一緒に戻らず肩を落としているルイズに歩み寄り声をかける。

 その声にルイズは複雑な顔をするがちゃんと返答することに。

 

 

 「キュルケ・・・そのさ・・さっきはあ・・ありが・・とう」

 

 「あら?あらららら?やけに素直じゃないどーしたのよ、らしくないわねぇ」

 

 「うっうっさいわねキュルケの癖に!」

 

 

 ルイズに声援を送った本人の容姿は、赤髪に赤い瞳をしており褐色肌。ルイズとは二歳程度しか離れていないのだがスタイルはすばらしいもので、それを自覚していて男をよく誘惑して遊んでいるこの女の子は、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと言い、隣国のゲルマニアからの留学生である。

 ルイズとはかなり仲が悪い、とは言ってもルイズが一方的に敵意むき出しなだけでキュルケに関してはそこまで仲が悪いとは思ってない。

 

 とキュルケともう一人いることにルイズは気がつきキュルケに誰? と説明をするよう言う。

 

 

 「一緒のクラスなのに覚えてないの? もう・・・この子はタバサよ ちゃんと覚えてあげなさい」

 

 「ふうん・・・あのでかい翼竜を召喚した人だったわね、タバサ、よろしく」

 

 「ん」

 

 

 愛想が悪いと思うが、これが普通でキュルケは慣れているがルイズは慣れておらず困ったような顔をする。

 それより とキュルケが話題を変えルイズが召喚した人物に対象が移る。

 

 

 「で、ルイズそれはなんなのよ 平民を召喚するなんてほんと面白いわねえ いつも飽きさせないわぁ」

 

 「私だって呼びたくてこんなの呼んだわけじゃないのよ!どうして平民なんて召喚しなきゃならないのよ・・・」

 

 「・・・この人、平民じゃない」

 

 

 タバサのこの一言に、2人はびっくりしどういうことか説明しろと言わんばかりにルイズは肩を揺らしタバサは、表情を変えないまま揺らされるだけ揺らされている。

 キュルケに押さえつけられたルイズは冷静になり今一度どういうことか聞くことに。

 

 

 「・・・ディテクトマジックを使えば分かる」

 

 「ディテクトマジックね・・・と言うことはこの人に魔力があるってこと?私も確かめてみようかしら、あら?ルイズはできないの?かわいそうに」

 

 

 滑らかだが棒読みで言うキュルケに反撃できず唸るだけのルイズは、何故かここで意地になりディテクトマジックを使うことに

 

 

 「ぐぬぬ・・・サモン・サーヴァントもコントラクト・サーヴァントも成功したんだから!これは絶対成功するわ!間違いないわ!」

 

 

 ここで杖を魔理沙に向け、ディテクトマジックのための詠唱をする。

 すぐにキュルケ、タバサは離れルイズの使い魔にご愁傷様とでも言うかのような視線を送る。

 魔理沙は、状況がまったく読めず逃げるタイミングも失った今離れた2人の行動に疑問を抱きつつルイズの行動を待つだけである。

 これでも魔法使いの為魔力には敏感で、ルイズの杖から膨大な魔力を感知することが出来すぐに行動するも時すでに遅しとでも言うかの用に容赦なく爆発が起きる。

 

 ・・・・・

 

 「けふ・・・ちょっとミスっちゃったみたいね・・・」

 

 「あーあ・・・使い魔に同情するわ・・・ルイズ、あなた自分の使い魔を死なせたいわけ?失敗するのわかっててこういう事するんだもの」

 

 「別にそういうわけじゃないの・・・」

 

 「・・・? いきてる」

 

 

 タバサのその言葉にルイズもキュルケも煙の中を目視すると、なにやら変なモノを手に持って構えている姿が分かる。

 その物についてはルイズはおろかキュルケもタバサも見たこと無いもので、ただの丸い箱にしか見えない。

 

 

 「ぺっぺ・・・さすがミニ八卦炉だぜ・・・てか何すんだお前は!さては異変だなこれは!そしてお前らはその犯人だな、霊夢より先に解決してやるぜ」

 

 「・・・・え?あなたの言葉が分かるわ」

 

 「ん?おお私にも分かるぜ、お前の言葉が分かった、んじゃあ改めて言うがなんなんだお前は!このキス魔!」

 

 「は・・はぁ!?貴族の私に向かってキキキキス魔だって!?失礼な奴ね!所詮使い魔のくせにご主人様にたてつくんじゃないわよ!」

 

 「なぁにがご主人様だか使い魔だかわけ分からんこと言ってキス魔はキス魔だぜ」

 

 

 このままでは終わりの見えない低レベルな言い合いの為キュルケが止める。

 

 

 「ねぇあんたたち言い合いは結構だけどもう授業始まるわよ?」

 

 

 じゃあねーと言いながらキュルケとタバサはタバサの使い魔、翼竜であるシルフィードで飛んでいってしまう。

 

 

 「ああああ授業に遅れちゃう! せっかく無遅刻無欠席なのに・・・ああぁお母様に何ていわれるか」

 

 

 そこで唸っているルイズの行動に疑問を感じその疑問を聞いてみることに。

 

 

 「なぁその授業とやらがあるならお前と同じ格好してたやつらみたいに飛んでいけば良いじゃないか あいつらが飛べるんだからお前だって飛べるだろ?」

 

 「またお前って・・・はぁ今は良いわ私は飛べないの!悪い?もう仕方ないから走るわよ!ぎりぎり到着するかも・・あんたもついてきなさい!」

 

 

 

 ふうんと魔理沙は素っ気無く言うとここで恩を着せるという悪知恵が働く。

 ニヤリと笑うとルイズに提案する。

 

 

 「急いでるみたいだしさっきの事は今はおいて置く、そんなに急いでんだったら私が手伝ってやろうか?」

 

 「はぁ?あんたに何が出来るのよ、平み・・・そういえばタバサが違うとか言ってたかしら・・・はぁ良いわ言ってみなさい・・・どうせもう遅れるのは確定してるから言い訳考えておきましょ・・・」

 

 「諦めるのは早いぜ? あんなへんな生物より私のほうが数倍も早いぜ」

 

 

 そういうと魔理沙は、手に持つ箒にまたがり手招きしルイズを乗せる為に後ろへ誘導する。

 ルイズは意味が分からず何をしでかすのかと思うが今の状況にもうあきらめている為ほとんど委ねている状態だ。

 

 魔理沙はルイズが乗ったのを確認すると、お腹あたりの服を掴ませ魔理沙とルイズを固定する。

 ほんじゃ道案内だけは頼むぜ? と言うとふわっと浮かびそれにルイズは驚き、バランスを崩すが魔理沙に強く言われてしまいじっとする。

 

 

 「あんた飛べたのね・・・魔法使えるってことは貴族なのね・・・」

 

 「あーもうそういうのは後って行っただろ!さっさと案内してくれなきゃ困るんだぜ」

 

 「あ、うんそうね とりあえずさっきのキュルケとタバサを追って!」

 

 「さっきの奴らだな!任されたぜ!ちゃんとつかまってろよ?飛ばすぜ!」

 

 

 箒の後方に八卦炉をセットし、出力を上げ後ろにいるルイズにニヤッと笑顔を送るが意味が分からないといった表情で視線を返される。

 と魔理沙が正面を向いた瞬間、とてつもないスピードで発進しさらにスピードを上げる。

 箒から星の炎が出ているかのように光を放ちつつスピードを上げていく。ルイズはさっきより魔理沙を強く掴み引き剥がされないように必死である。

 

 

 「きゃあああああああぁぁー-・・・」

 

 「気持ちいいな!これだから空を飛ぶのは止められないぜ」

 

 

 すぐさまキュルケたちに追いつき、いや簡単に追い越し驚いたキュルケとタバサの顔を見ないまま突っ切っていく

 なんとかルイズは指示を出し曲がれと言うがここでルイズは考える。

 このスピードじゃあ壁にぶつかるんじゃ・・・!? と考えるがもう数秒で激突してしまうだろう。

 もうだめと強く瞑るが一向に強い衝撃はこない、押しつぶされそうな圧力はあったが・・・

 

 

 「あれ・・・壁にぶつかってない・・・」

 

 「私をいったい誰だと思ってるんだ?霧雨魔理沙さまだぜ?あの程度よゆうだぜ!」

 

 

 そこでルイズは後ろを見て驚愕する。

 壁が壊れているではないか、どうしたのかと聞くとスピードを無理やり落とす為のやむを得ない犠牲とのこと 意味分からないわ。

 

 

 「そこから窓が見えるでしょ!あそこの部屋であと2分くらいで授業が始まるわ!そのスピードならちゃんとした道を通っても余裕ね!流石だわ!ありが・・・ふん良くやったわ」

 

 「いちいち言い直さないといけない事なのか?まあ別に良いやじゃあ突っ切るぜ?」

 

 

 ルイズの は? と言う言葉を無視し正規ルートであるドアから入ると言う選択を捨てそのまま窓へ突貫する。

 ルイズの2度目の悲鳴を耳元でうるさいと思いながら窓ガラスへぶつかる瞬間に魔力であらかじめ割っておくことを忘れない。

 手から魔力を放つと星の弾幕が複数放たれ2~3枚のガラスを決して良い音とも思えないような高い音とともに割る。

 内部からは何か悲鳴なのかなんだか人ではない叫びもありひどい状況になっているのが手に取るように分かる、がそれでも魔理沙はスピードを下げつつ中へ。

 

 中に入ろうとした瞬間大蛇のように大きな蛇が窓から抜け出すのを確認したがとりあえずそのまま入ると、僕の使い魔が食われただの私の使い魔が外に逃げて行っちゃった!だのまあひどい有様だ。

 静かに入ったことで運がよかったのかばれていない様子。

 

 

 「あんた一体なんてことしてくれてんのよ・・・」

 

 「私はあんたなんて名前じゃないぜ 霧雨魔理沙 気軽に魔理沙って呼んでくれよな」

 

 「キリサメ マリサ? 植物の名前?」

 

 「そんな植物しらないぜ れっきとした私の名前だ、お前はなんていうんだ?」

 

 「私はヴァリエール家三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ 使い魔の分際でこう話せているだけでも感謝するのね」

 

 「名前なっが・・・でルイズその使い魔って誰のことだよ」

 

 「呼び捨て・・・はぁ、あなたのことよ!手に紋章あるでしょ!?それが何よりの証拠よ!あなたは私の使い魔になったの」

 

 「は?いやいやいや意味分からないって私がルイズの使い魔だ?許可してないぜ」

 

 「どちらにしろもう使い魔の儀式は終わったし決まったことよ諦めなさい」

 

 「・・・また後で話そうぜ、なんかこの部屋で進展があるようだが?」

 

 

 平行線のため魔理沙は話を区切り中にいる先生が原因究明のため残念ながら授業は中止のことで結局急いだ意味がなくなってしまった。

 とここでキュルケとタバサが到着する。

 

 

 「あんたたちはやすぎよ・・・何あの速さタバサのシルフィードを軽く超える速さだしあなた貴族だったのね」

 

 「シルフィードが悔しがってる・・・あなた何者?」

 

 「私は霧雨魔理沙だぜ 普通の魔法使いだ 気軽に魔理沙って呼んでくれよな!」

 

 

 テンプレかのように言うとそこで先生から授業は中止だが宿題を出すと言うことで列になり受け取り次第自室で待機となった。

 今回のこの件については一応誰も怪我は無く強風のため窓枠がさび付いていて壊れたということになった。

........................

 




誤字報告ありがとうございますっ 本当に助かってます


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第三話 ルイズと霧雨魔理沙②

 プリントを受け取った後ルイズは、自室で休憩するとのことをキュルケ、タバサへ伝えそのまま魔理沙を連れ去っていってしまった。

 よほど疲れていたのだろう、平民らしき人を召喚しさらには貴族かもしれないなど頭を抱えるような問題がこの短時間で起きたのだ。それを考慮し気を使いなにも言わずそのまま手を振り見送る二人であった。

 

「まさか貴族を召喚するなんてねーキリサメ?なんて貴族聞いたことないけども」

 

「シルフィードより速い…しかも魔力量が私の数倍数十倍以上…要注意人物…」

 

「へぇ…タバサがそこまで言うなんて余程の人なのね~」

 

 

タバサは頷くだけで返事を返しとりあえず本を読みたい衝動に駆られキュルケに本を読む、と一言だけ伝えそのままこの場は解散となった。

 

 

 

「なぁ怒ってるのか?悪かったって」

 

「別にそう言うことじゃないわ…ただ色々ありすぎて疲れただけ…自室いくからとりあえずそこで魔理沙のこと話して」

 

「良いけどルイズのことやここが何処なのか話してくれよな?」

 

 

はいはい、と適当な返事を返し、無言になるルイズと物珍しそうに周りを見る魔理沙であり他から見ればただの友人と見られるだろう。実際は主人と使い魔なのだが。

 

「やっぱ幻想郷の外なんだなぁ…初めて出たがこんな風景が広がってるんだなぁ外の世界は」

 

 

詳しくは違うのだが、離隔されている幻想郷では外の風景はおろか情報すらほとんど入ってこない所であるため分からないのは仕方ない。

がここで魔理沙は少し疑問に思う。

 

「(でもおかしいな…早苗のやつは外では技術が発展しすぎて魔法や妖怪は幻想…信じられていない忘れられた存在とかいってなかったか?でもここは魔法もあるし変な生物ばっかりだったな…どういうことだ?)」

 

 

考えれば考えるほど疑問が湧いてくるためそこで思考を止めるとルイズが停止し ここよ と魔理沙に伝え鍵を開けそのまま入っていく。

 

 

「ほえー随分綺麗な部屋だな…なんつうかあの吸血鬼姉妹のような部屋だな…」

 

「なにぶつぶつ言ってるのよ?さっさと入りなさい」

 

 

ルイズに言われ部屋にはいると同時にドアを閉める。

ルイズはベッドに座り魔理沙は適当に近くにあった椅子に腰掛ける部分を前にして座る…と言うか跨がる。

 

 

「勝手に…まぁいいわ…て言うか女の子がそんな座り方しないの!」

 

「別にいいじゃないか減るものでもないんだしな、そんな細かいことまで気にしてたら疲れちまうぜ」

 

 「調子狂うなあ・・・まあいいわ、で魔理沙のこと話しなさい!あんた何者よ!」

 

 「私から言うのか?まあいいけどさ 私のいたところは幻想郷って所でもともと日本って国だったらしいんだけど神様や妖怪、妖精とかの存在を信じない世界に変わってしまった結果ある妖怪がその国と離隔した所が幻想郷ってわけだ」

 

 「神様?妖怪?妖精?・・・よく分からないわ 妖精は確かにこっちでもいるかもって言われてるけど・・・神様とかあれは架空の人物じゃないの?」

 

 「実際にいるんだぜ?普通に話したことあるし気前のいいやつだぜ?」

 

 

 到底信用できないなんて顔をしてため息を吐いている。

 魔理沙自身信用してもらおうとも思ってないため特に気にしてない様子。

 

 「あぁそ・・・それは良いわ、それよりあんた空飛んでたってことは魔法つかえるのよね?・・・ということは魔理沙は貴族・・・なの?」

 

 「貴族?なんじゃそりゃ、私はいたって普通の魔法使いだぜ?そんな変なものじゃない」

 

 「へ・・へんな?あんたねぇ・・・貴族を馬鹿にすると痛い目見るわよ?現に今切れそうだもの私・・・」

 

 「あーあ!悪かったよ なんだか良く分からないけどルイズにとって大切なものなんだな?でその貴族ってのはなんなんだ?」

 

 「貴族ってのは高貴な存在でこのトリステイン王国・・・まあほかのも国あるんだけど国を守る騎士のような存在なの、それ以外に魔法が使えるのは貴族しかいないの、逆に言えば平民には使えないわけ」

 

 

 ふんふんと魔理沙は頷き、そのまま続けるようにと催促する。

 ルイズも魔理沙から質問が今のところないためそのまま話を続ける。

 

 

 「で、正直嫌気が差してるのだけど貴族のほとんどは平民を蔑む人が多いのよ 現にこの魔法学院でもそういう行動をしている人が多いし、もちろん私はそんなことしないわ!貴族のプライドはないのかしら」

 

 「ふうんなるほどねえ まあこっちの住んでたところとはまったく違うようだな・・・そうだ使い魔ってのが良く分からん、こっちにも使い魔だしてる奴がいるけどそれとは違うのか?」

 

 

 そういえば忘れてたわね、あんたが使い魔ってこと・・・と良いながらのどが渇いたようで紅茶を2人分用意し魔理沙にも提供し2人で一息つく。

 

 

 「ふーん・・・咲夜の紅茶のほうがうまいがこれもイケるな まぁ私は断然お茶だけどな、こっちにはお茶ないのか?」

 

 「咲夜って誰よ、誰が入れても変わらないと思うんだけど・・・お茶ってのは聞いたことないわね、この学院にメイドや料理係とかいるから暇なときでも聞いてみたら?」

 

 「ありがとなルイズうまかったぜ まあ時間があるときで良いぜ、んで早速教えてくれよ」

 

 「はいはい、で使い魔っていうのはサモン・サーヴァンで召喚したあとコントラクト・サーヴァントで口付けで契約するの、この流れをちゃんと行えば契約完了ね、で使い魔の仕事はまあ使い魔との視野を共有したり薬の材料を確保してきてもらったりなんだけど一番大事なのは使い魔は主人を守る事よ、魔理沙はまあ・・・分からないけど見た目弱そうね・・・」

 

 「なにおう!私だって弾幕ごっこでは神様相手でも勝てるレベルだぞ?これでも多数の異変を解決してきたんだからな、霊夢とだけど」

 

 「はいはい、弾幕ごっこって何よ?」

 

 「説明するのは簡単のようで難しいんだが・・・弾幕を打ち合って相手に弾幕を当てれば勝ちってのと見た目の綺麗な弾幕を競う勝負でもあるな、まあ百聞は一見にしかずって言うじゃないか 機会があれば見せてやるよ、それより使い魔ってのは私は許可なんてしてないぜ?」

 

 「そのとき楽しみにしてるわ、・・・といっても許可なんて普通取らないし仕方ないじゃない、まず人間を召喚するなんて事例自体ないし」

 

 「うーん・・・平行線になりそうだからとりあえず逸れとくな、私はここに長く留まる気がないし幻想郷に帰りたいんだがどうしたらいいんだ?」

 

 「帰る?・・・帰っちゃうの?唯一私が成功した魔法で初めてで一生に一度の使い魔なのに・・・」

 

 「?・・・今まで魔法が成功したことない?爆発おこしてたのに?」

 

 「・・・魔理沙には話しておくわ、私小さいころから今までずっと魔法を使おうとすると大きさは大小あるけど全て爆発しちゃうの、どんな魔法でもね?コモンマジック・・・魔理沙に使おうとしたディテクトマジックとかもああいう風になるのよ」

 

 

 無言で魔理沙は聞いていて時たま頷いたりとしておりルイズはそのまま話を続ける。

 

 

 「勉強はどうにでもなるわ、覚えればいいもの。 だけど魔法に関してはどんなに努力しても駄目でどれも爆発して失敗してみんなからは蔑む言葉ばかり、でも今回の儀式は予想外のことが置きたけど成功はしてるわ。その証拠に魔理沙の手にある紋章が証拠」

 

 

 魔理沙は自分の手を見て なるほどそういうことか と言葉を漏らす。

 

 「まあこんな感じよ・・・何か質問あるかしら?」

 

 「んーそうだな魔法に関してはなんというか多分だけどルイズの魔力操作が下手というか扱いきれてないように思えるぜ?大きな魔力は感じれるし、そのコモンマジックだったか?それが耐え切れなくて結局全部が全部同じ結果になってるっていう予想を私は立てるぜ」

 

 

 人差し指と立てて片目を閉じて笑顔で言う魔理沙の言葉と行動に何故だか胸が熱くなるような感じでうまく声が出ない。

 まさか召喚して初めて会ったその日の後に一度しか見ていない失敗魔法でまさかここまで予測を立てるなんて並みの洞察力ではないとルイズは思う。

 

 

 「あ・・え?えっとそれってどういう・・・こと?私の思っていたような失敗じゃない?」

 

 「あぁそういうことだ、そのくらいなら私にも手伝えるぜ?あのキュルケとタバサだっているんだし頼れよな」

 

 「う・・うんそうね、なんだかやる気出てきたわ、ありがとう魔理沙」

 

 「ふふ、素直が一番だぜ?、まあここまで言っていまさら帰るなんて言わんさ、なんかあればどうせスキマ妖怪がくるだろうしそれまではここを堪能してやるぜ!どんなキノコがあるか見てみたいしな」

 

 「キ・・キノコ?どうして今それがでるのかしら」

 

 「そりゃあ大好きだからな、こんどキノコ料理振舞ってやるぜ楽しみにしてな」

 

 「あーうんそう、まあ楽しみにしててあげるわ(あまり好きじゃないけど)、それよりもうお昼ね、食堂があるからいくわよ 魔理沙だって普通に肉とか食べるんでしょ?」

 

 「ちゃんとした魔法使いになればご飯を食べる必要もなくなるけどまあ私はまだ手を出さないけどな」

 

 

 そっちの魔法使いっていうのは便利な存在ね、とルイズは軽口で答えるがここで深く考えていたら叫んでいただろう。 普通食事を必要としないなんてことありえないことなのだから。

 

 魔理沙はどんなキノコ・・・食事が出るのか楽しみにしながら食堂へとルイズと共に向かうのであった。

.......

 




修正
食べなくても大丈夫 の部分を少々修正。


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第四話 魔理沙の食事問題とシエスタ

 そして場面は変わり魔法学院の食堂

 

 ルイズはいつもの光景なのでそのままスルリと入っていく。

 一方、魔理沙はこんなにも広い部屋でご飯を食べるなんて今までにない体験の為、頭の中はどんなものが出てくるか楽しみでならないといった表情である。

 正直なところ紅魔館より大きい、規模が違うからそりゃそうだと言われればそれまでなのだが・・。

 

 

 「ここでみんな食べるのか?全校生徒?何人いるんだよ」

 

 「知らないわ、てか箒持ってきたのね・・・はぁ、まあいいわ。さっきの質問だけどここが埋まるくらいじゃないの?数百人とかかしら?」

 

 「うはー・・・なんというかむしろ食べにくそうだぜ・・・私には数人程度でいいんだけどな・・・」

 

 「貧相な生活してたのね、可哀想に」

 

 「貧相いうなよ、これでも私の中ではかなり充実してたんだからな?興味の対象が減らないってのは良いことだったしな」

 

 

 

 とここで先にいた生徒であろう人たちが、ルイズと魔理沙を見てなにやら笑っているようだ。たぶん召喚の儀式を見ていた人たちなのであろう。

 

 「あれが召喚した使い魔らしいね・・・ふふっどう見ても人間、平民じゃない」

 

 「いや噂によるとメイドらしいよ?現に箒もってるし」

 

 「私みたみた、煙の中から箒持ちながら咳き込む姿をね」

 

 その視線や心無い言葉にルイズは、悲しそうに俯きその歩みが遅くなる・・・が魔理沙がルイズの正面に立ち振り返り下からのぞくように見る。

 笑顔を絶やさずルイズの頭に手を置き撫でる。

 

 

 「ルイズ、あんなやつらの言葉なんて聞く必要ないんだよ?ま、それ以前にもういつものルイズじゃない、自分の魔力を制御できたときには大体のことは解決しそうだな。今までは一人で足掻いてたんだろうが大丈夫、私がいる、こっちの魔法はさっぱりだと思うが同じ魔法使いとして手助けできることは多いだろう」

 

 

 心配するな、この霧雨魔理沙さまがついてるよ 最後に笑うのはルイズなんだぜ?それが確定してるんだ、私は確信してるぜ! と言葉を続け さぁ行こう と隣に移動しポン、と背中を押す。

 魔理沙の言葉に、胸が締め付けられるようで涙が出そうだが無論我慢だ。

 

 

 「ふん!あたりまえじゃない、むしろ魔理沙のほうがへばって使い物にならないか心配なだけよ!」

 

 「へへっそれでこそルイズだぜ、元気なほうがかわいいぜ?」

 

 「か?かかかか!何言ってんのよ!アホ!」

 

 

 手を大きく上に上げ怒っている様子を見せるが、おぉこれは弄りがいのあるやつだ と口から出そうになる余裕たっぷりの魔理沙だがさすがに胸の奥にしまって置く。

 

 とここでルイズが何かを思い出したかのような短い声を上げゆっくりと魔理沙に向かって申し訳なさそうに顔を見るが魔理沙は何のことだ?と不思議そうな顔をする。

 

 

 「魔理沙・・あのね・・・食事をするときは基本指定席で貴族限定なのよ、つまり空きが基本無いのよ・・・使い魔は別のところで好きなようにご飯食べてるから問題なかったんだけど魔理沙は使い魔だけど人間だし・・・どうしよう」

 

 「あーそういう決まりあるのか・・・まあルイズが悪い訳じゃないから気にしてないぜ、私のことは気にせずゆっくり食べればいいさ」

 

 「本当に・・・ごめんなさい、次からは何とかしてもうように手配してもらうわ」

 

 「だいじょーぶだいじょーぶその辺はなんとか私のほうで頼んでみるからな?でもまあ私はそこらのキノコでも発掘すればなんとかなるだろうしな!」

 

 「またキノコ・・・その帽子の中にキノコでも生えてたりして」

 

 

 それはさすがにないぜ、と笑っているがルイズは半信半疑である。 

 

 

 「魔理沙ってすごいのね・・・そこらへんの雑草でもたべそう・・・」

 

 「まぁ調べながら気になったものを調理するとかやってたし私からしたら普通なんだけどな」

 

 

 「あら、早いわね2人とも。この短時間でかなり仲良くなってるのね、こんなルイズ見たこと無いわぁ」

 

 

 そこにキュルケとタバサが現れ物珍しそうにキュルケは笑いながら言っているがタバサはジッと魔理沙のことを注目しておりそれに気がついたのか魔理沙は なんか用か? と疑問の声を出す。

 

 

 「いやなんでもない・・」

 

 「よくわからんやつだぜ・・・言いたいことあったら何でも言ってくれよな、できる限り答えるぜ?」

 

 「ごめんねぇ魔理沙~召喚の儀式あとですごいスピードで私たちを抜かしたときに悔しかったらしいわよぉ」

 

 「そんなんじゃない、シルフィードはそうだけど・・・」

 

 「ふーんそうなのか、なんか悪かったな、要望があればタバサの使い魔と速さ対決してもいいんだぜ?」

 

 

 ここでチャイムが鳴りルイズからそろそろ時間だからと魔理沙に伝えるとすぐに察し見回っても良いか?とルイズに許可を取る。

 

 

 「いいわよ、一応説明しとくとそこを曲がった先にある外に出る空間あるからそこで使い魔は食事をよく取ってるわ、んで調理場はあっち、さっきのお茶?のこと聞きたければそこにいけば何かわかるかも知れないわね」

 

 「ん、そかそかさんきゅーなルイズ、とりあえず待ち合わせは・・・」

 

 「次の授業が今日最後だけど使い魔召喚したあの場所で自分の使い魔と交流を深めるようだから次のチャイムがなる前にはいればいいわ」

 

 

 じゃあな、と振り返りそのままぶらぶらと調理場方面へ行ってしまい、途中途中通り過ぎる生徒に静かに笑われているがそんなもの屁でもないかのように鼻歌交じりで歩いている。

 

 

 「強い人ね魔理沙って・・・」

 

 

 キュルケがそうつぶやくと同感なのかルイズは頷いている、がタバサはそんなことよりご飯だと言わんばかりにすでに着席しておりそれに苦笑いしつつも2人も席に着く。

 

 

 

 3人と離れた後、周りからの視線を感じつつそれを無視して調理場とやらを探す魔理沙。

 

何故こんなに注目を浴びるのかと言うと、召喚されたということ以外にその服装が注目の的になっている。

 白黒の服に大きな帽子、その場の雰囲気で浮かない訳がなくこのような結果になっている。

 とここでメイドらしき人が料理を運び終わったのか調理場らしき場所へ入っていく。そこを目的に魔理沙は小走りで進んでいく。

 顔だけを覗かせ誰かいるか見てみるが、いない様で大きくも小さくもない声でとりあえず呼ぶ。

 

 

 「あ…あのー誰かいませんかー?」

 

 「あん?だれ…きっ…貴族様…何でございますか?」

 

 「あーなるほどこうなるのなぁ・・・っじゃなくて私は貴族じゃないぜ、ルイズに召喚された使い魔だ」

 

 

 その言葉を聞き、背が高く筋肉質な体格をもつ男がそういえば… と呟きすぐに思い出したかのように腕組をしながらにやりと笑顔になる。

 魔理沙はふと そういえば幻想郷にはこういう人いなかったな・・・外の世界には珍しいものばかりだ と思う。声に出すことはしないが。

 

 

 「たしか午前の授業で平民が召喚されたとかなんとかシエスタがギャーギャー騒いでたな、お前さんのことか!どんなやつかと思えばかわいらしい子じゃないか」

 

 「そうそう、その平民の使い魔が私だぜ 霧雨魔理沙って名前だ気軽に魔理沙って呼んで覚えておいてくれよな?」

 

 「あっはっはっは元気がある子だな、いい事だ 俺はマルトーってんだよろしくな、んでここに何か用か?貴族の飯は運び終わったぞ?」

 

 「いや私の飯の催促・・・もあるがとりあえず先にここにお茶・・・緑茶ってものないのか? 紅茶ばかりしかなさそうでこの国には無いのかなと思ってな」

 

 

 とお茶という言葉に反応したのか目を見開き、とりあえず中はいれと言い魔理沙を中へ入れる。

 適当な場所に椅子を持ってそこに座らせ飲み物を2つ準備する、マルトーと魔理沙の分だ。箒は適当なところに立てかけておいてある。

 

 

 「ほいこれがお茶だ、魔理沙はどうしてお茶を知ってんだ?このお茶はシエスタっていうメイドの出身地であるトリステインのタルブ村っつうところが開発したらしくて試作品としてうちに来たってわけだ」

 

 「へーそのシエスタって子とちょっと話してみたい気がするぜ、とりあえず貰うな?ほんじゃいただきます」

 

 

 ゆっくりと味わうかのように口に含みつつ流し込んでいき適当な量を飲んで口から離し ふぱぁ・・・ふぅ、そうこれだよこれ、やっぱ親しみなれた味は最高だな と納得したかのようににやけながら一人うなずいている。

 

 

 「けっこうこれ苦くて俺やシエスタ以外合わなかったんだが・・・そういえば魔理沙は使い魔・・・召喚されたんだったよな?どっからきたんだ?」

 

 「んー知らないと思うぜ?幻想郷ってとこでへんな鏡触ったらここに来たってわけだ、はた迷惑だと思ってたが今はルイズの手助けしてやらないといけないし色々面白いものばかりで楽しいぜ」

 

 「聞いたこと無いな、そこにお茶もあるってのは何かつながりでもあるんだろうか・・・まあ充実してるなら何もいわんよ 同じ平民同士よろしく頼むぜ あとでシエスタにもこのこと伝えとくから多分すぐにでも会えるだろう」

 

 「こっちこそよろしくな? あ、ついでで悪いんだが食堂って指定席らしいじゃないか?んで私はどこで食べようかと考えてたんだが何かいい方法ないだろうか?」

 

 「そうかそう言う事ならいつもこの後に残り物でメイドたちに飯を作ってやるんだよ、それでいいなら魔理沙も同席しな」

 

 「ほんとか!?いやぁ何から何まで助かるよマルトー」

 

 

 気にすんなって!俺らの仲だろ? と豪快に笑いながら背中を叩いてくる。 正直痛い、女の子にその威力は痛いぜ・・・。

 メイドも同席ってことはそのシエスタって子も来るんだろうか? と思いつつもその時まで暇なので皿洗いなどの手伝いをしていた。

 

 

 「筋がいいな、センスあるぜ?」

 

 「はは・・・ほめられているのかどうか分からないな・・・」

 

 

 そして貴族の昼飯の時間が終わったようでメイドが皿を回収しどんどん積まれていくがマルトーと魔理沙でスムーズに皿洗いをしていくのであった。

........ 

 




修正
食べなくてもなんとでもなる部分を大きく修正


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第五話 ギーシュと魔理沙、そしてちょっぴり勉強会

魔理沙は目をつけられた


 皿洗いも終わりいつの間にか後ろのほうにはものめずらしそうにみる数人のメイドたちでマルトーは簡単に魔理沙のことを紹介する。

 

 

 「ほれこいつが例の貴族が召喚した平民だ、次からは飯はここで食べるようだからよかったら仲良くしてやってくれ」

 

 「紹介された霧雨魔理沙だぜ、よろしくな!」

 

 

 メイドからは拍手が送られ質問攻めにあう。

 どこからきたの?、貴族の使い魔は大変じゃない?、親とか心配してるんじゃないの?等々・・・適当にご飯を食べつつ軽く質問に答えメイドたちの次の仕事まで雰囲気よく話すことができた。

 

 とほかのメイドが時間なのか掃除をしにいったがシエスタと魔理沙はマルトーにちょっと待てと言われ魔理沙はすぐに何故呼び止められたのかと分かる。

 

 

 「おう魔理沙、この子がシエスタだ。さっき説明したろ?お茶の生産地のな」

 

 「もちろん覚えてるぜ、シエスタは黒髪に瞳も黒か。珍しいもんだな、まわりみんな色々な色なのにな」

 

 「確かにそうですね、母が言うには曾祖父が黒髪黒い瞳だったようで遺伝だと思いますね」

 

 「そうかそうか、向こうでも霊夢以外にあまり見たことないな、珍しいんだな・・・まぁ、とりあえずよろしくだぜ」

 

 

 魔理沙の性格もありすぐに仲良くなれたシエスタは終始笑顔で嬉しそうだ。

 マルトーが咳払いし注目させると先ほどのお茶の件をシエスタに話すと驚いた顔をし魔理沙のほうを向く。

 

 

 「ま・・・魔理沙さんお茶を飲んだことあるんですか!?でもお茶ってまだ大きく出回ってないですし今ここにあるのも試作品なのに」

 

 「といってもなぁもともといたところではむしろ紅茶よりお茶のほうが出回ってたぞ?」

 

 

 ウ・・ウソ・・!?とでも言いたげな顔をし口に手を当てて驚いている。 感情の上下が激しいもんだ。

 

 

 「ま。そこんとこは今度でも話しな、ほら魔理沙授業はじまるぞ!シエスタも仕事にもどりな」

 

 

 マルトーの言葉に2人とも頷きシエスタは仕事へ魔理沙はルイズと合流するためその場所へ行こうとする。

 

 

 「あれ?どうしてこんなところに箒が??」

 

 「それは私のだよ、間違えて捨てないでくれよ?」

 

 「え?・・はい、どうぞ」

 

 

 じゃあなシエスタ、と手をひらひらさせながら去っていく魔理沙にシエスタは、本当にメイドを召喚したのかな?と勘違いするのであった。

 

 

 

 そして場面は変わり召喚をおこなった広場

 

 魔理沙は急がず鼻歌交じりにのんびりと向かっていき長い一直線通路になると奥のほうに桃色の髪が目立つ人影が、ルイズである。

 ルイズは魔理沙に気がつくとルイズからも向かっていきちょっぴり不機嫌そうな顔をしており魔理沙がそれについて聞いてみると、遅刻 といわれてしまい魔理沙は、おでこに手を当てながら笑顔のまま謝っている。

 

 

 「悪い悪い、料理長のマルトーさんとメイドのシエスタの2人と話してたら長くなっちまったぜ」

 

 「ふうん・・・どうせ急いで来る気無かったんでしょ?」

 

 「おっと何故ばれたんだろうな?」

 

 

 ルイズにため息を吐かれてしまったが仕方ないだろう、初めての土地で風景を捨ててまっすぐ来いなんて無理なんだから。

 

 

 「まあいいわ今ちょうどはじまるところだから、といってもたいしたことはしないわ、使い魔と接するにあたっての注意とかそんなものよ、その話が終わればとりあえずお終い」

 

 「そっか、なら色々案内してくれよ、後気になったんだけど私のいたところとここの文字が違って読めないんだよ。言葉は分かるがそれはまあ使い魔だからってことになるが」

 

 「それは不便ね・・・まったく仕方ないわ一応恩は返さないとね・・・この私が文字を教えてあげるわ!感謝しなさいよね!」

 

 「へへーありがとうごぜぇやすーダンナサマー」

 

 「うわうっざそれ・・・ふふっ」

 

 「なんだよいきなり笑いやがって変なやつだな」

 

 

 あんたに言われたくないわよ!と反論されるが棘のありそうな言葉だが悪意は全く無い、むしろ雰囲気がやわらかくなっている。

 そんな大きな声で言えば周りからの目線と蔑むような言葉がヒソヒソと、そしてコルベール先生の注意が飛んで来る。

 

 

 「使い魔を召喚できたからといって気を緩めないで下さいね、それが人間であっても動物でもそれは変わりません」

 

 「あっはい、・・すみませんコルベール先生」

 

 「先生大丈夫だぜ!私のほうから強く言っておくからな」

 

 

 横っ腹を殴られた。これは効いた・・・。うぐぐ・・・。

 

 そのまま説明が始まり最後に質問は無いかと生徒に聞いていたが早く使い魔と交流をしたいとか思考があるのだろう質問をする人はいなくそのまま自由行動となりコルベールは颯爽と移動してしまう。なにか急いでいる様子だったがそれの原因は魔理沙の手の甲にある紋章が未だに正体をつかめておらず焦っているといったところだ。

 

 

 「んじゃ魔理沙、文字教えるから自室いきましょ?」

 

 「おうルイズ先生よろしくたのむぜ」

 

 

 「あたしたちをのけ者にするなんて酷いんじゃない?ヴァリエール。」

 

 「そういえばあなたたちもいたのね まあいいわよ・・・といっても魔理沙と私の邪魔しないでくれるかしら?」

 

 「はいはい私も手伝うって言ってるのよ、もう・・・でタバサはどうするの?」

 

 

 キュルケの隣にいたタバサは今己の葛藤との勝負中である。 本を読むか興味の対象である魔理沙と接するべきか と。

 ふぅと一息つくと本を閉じキュルケを見る、キュルケはよし一名追加~ と人差し指を立てながら言う。

 

 

 「おぉなんだか大勢になったなルイズ」

 

 「勘弁してほしいわ・・・」

 

 取り合えず自室に向かわないことには始まらないので移動をし始める。とここで近くから男の声が聞こえて来る。

 

 

 「よく君たちは平民にそんなに親しくできるね、毒されてるんじゃないか?」

 

 「はぁ?・・あぁなんだギーシュか、何か用?私たち暇じゃないんだけど」

 

 「ふんよく言うよ、ヴァリエールともあろうとこか平民を召喚するだけでも笑いものだというのにそんなに仲良くして恥ずかしくないのか?」

 

 「っあんたね!別に私のことを馬鹿にするのはいいわ、だけど魔理沙のことを言うなら相手になるわよ?」

 

 

 両者の言い合いを横から見ているキュルケはルイズのその一言に非常に驚いている。まさかルイズが庇うなんて と。

 とここで言い合いをしているのを魔理沙が止めに入る。

 

 

 「ほーらルイズ私は大丈夫だって、な?その気持ちだけで嬉しいぜ?それよりギーシュとかいったおつむの弱いおぼっちゃん?仲間に入れてほしいのか?」

 

 「・・・っ!平民の癖に僕を侮辱するのかい?」

 

 「おー怖い怖い、貴族さまは怖いことで、じゃあなおぼっちゃん?女性は1人だけに決めておけよ?」

 

 

 その最後の一言にギーシュは怒りが四散し固まっている。何故ばれたのかと、喉まで出掛かっていたがその言葉をなんとか飲み込む。

 

 

 「ギーシュ?どういうことなの?説明しなさい?」

 

 「モ・・モンモランシー、あんな平民の言葉に耳を貸すのかい?大丈夫僕の瞳にはモンモランシー一人しか映ってないさ、心配しないでくれよ」

 

 「・・・ギーシュがそこまで言うなら・・・」

 

 

 なんとか説得しそのまま空いたテーブルで優雅に紅茶を飲んでいるが内心焦っている。

 その様子も見ないで魔理沙はさっさと先へ向かう。

 

 

 そしてルイズたち一行は自室に向かうため徒歩で歩いているがさっきの魔理沙の言葉を改めて聞くことに。

 

 

 「ねぇ魔理沙、さっきのギーシュにいった事ってどういうこと?」

 

 「ん?一人だけにしろってやつか?ありゃハッタリだよ、あいつの立ち振る舞いとか見るとそういう奴なんだなと思って言ってみたらドンピシャだぜ」

 

 「へーやるじゃない魔理沙ぁ、ギーシュにあんなこと言ったの魔理沙が初めてじゃない?あの顔見た?顔面蒼白って感じだったわぁ」

 

 

 キュルケがさっきの様子を思い出し笑いしているとルイズの自室へ到着する。

 

 

 「全く魔理沙には困ったものだわ・・・まああいつにはいい気味ね キュルケ!あんたはなにか魔理沙のために役立ちそうなもの持ってきなさい!」

 

 「はいはいそんなこと分かってるわよ、んじゃあまたね ま り さ」

 

 「あ・・あぁまた後でな・・」

 

 「あんたは私の使い魔に手を出そうとするんじゃない!ばかなのあんた!?」

 

 

 最後まで言い終わる前に自室へ入るキュルケでルイズは冷却装置が働いたかのように熱を外に逃がすために短い呼吸をしている。

 罵倒のひとつでも言う前に自室へ戻っていったため怒りの矛先はどこにも向けられず四散する。

 

 

 「キュルケってあんなやつなのか?」

 

 「すっかり忘れてたわ…と言うか女性にまで手を出す何て…頭いたくなってきたわ…」

 

 「まーま大丈夫だって、限度くらいキュルケにも分かってるだろ?」

 

 

 多分ね、と言うルイズだがやっぱあの時に断れば良かった! と口に出し漏らすがドアが強く開かれ教科書らしきものを抱えるキュルケの姿が。

 とりあえずルイズは仕方ないと思い、テーブルを準備し椅子も数人分準備し魔理沙のための勉強を始め、教えていく。

 喋りつつ勉強をしていくがここで珍しくタバサから魔理沙に声をかける。

 

 

 「あなたの魔法見せて」

 

 「私の?いいけどいつも使ってるスペカは無理だぜ?この部屋が壊れちゃうぜ」

 

 

 そんな危険な魔法なの?とルイズは聞くが魔理沙は否定はせずどんなものかを簡単に説明する。

 

 

 「私のところで戦う時は弾幕ごっこってので決着決めるんだがどんなものかって言うと四方八方に魔力や霊力などを撃つんだぜ」

 

 「霊力ってのがよく分からないけどその弾幕にあたったらどうなるの?」

 

 「痛いぜ?あれにあたったら当たり所の問題だが大抵はアザになったりとか気絶しちゃうときもあるな、んであたったら勝敗が決まるってわけだ」

 

 

 だから代わりに私の魔力見せてやるよ と言い手のひらにひかり輝く黄色の魔力を出現させる。

 三人は余程の綺麗さに見とれ一瞬静かになる。

 

 勉強に集中していると時間もあっという間で勉強会も終わり夕食を済ませあとは寝るだけとなった。

 とここで魔理沙がルイズの自室を見て一つ思うことが。

 

 

 「なぁルイズこの藁ってなんだ?火でも熾すのか?」

 

 「あっ・・えーっとそのね・・・使い魔の寝る場所用につくったんだけどまさか人間が来るとは思わなくて・・・」

 

 「私の寝るところがここ・・・とちょっとこれは体中が痛くなりそうだぜ」

 

 「つ・・つぎからは準備しておくからさ!今はそこにね?あと使い魔としてお仕事、これ洗っておいて!」

 

 「(その大きなベッドを分けてくれるって考えはないんだな・・・)私はメイドじゃないっての・・・はぁ、はいはい今回はしょうがないもんな、んじゃあルイズは寝ろよ?」

 

 「そうねじゃお先にお休み」

 

 

 というとすぐに寝息が聞こえてくる。よほど疲れていたのだろう。

 よし!、と魔理沙は扉を開けそのまま室外へ出る。

 

 そこで魔理沙はあるものを見たとかあることをしていたとか、それは次の話・・・・

.............

 



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第六話 錬金の授業とルイズ

 そして時は過ぎ次の日の早朝。

 まだ生徒のほとんどは寝ている時間でありルイズもその中の一人であるがその使い魔、霧雨魔理沙は欠伸をひとつし昨日言われていた服の洗濯をするため籠を持ちながらとりあえず外へ向かう。

 

 

 「洗濯する場所あるのかね?適当に探すのもありだが時間制限があるってのがなあ・・・こういうときに私と同じように洗濯する人が・・・いたわ」

 

 

 なんと都合のいいタイミング、ただ相手は昨日はいなかったメイドのようで気軽に話せるシエスタがよかったな、と思うが仕方ないので声をかける。

 

 

 「なぁそこのあんたちょっといいかー」

 

 「はい?はっき・・貴族様!なんでございましょう?」

 

 「あーまたこれか・・仕方ないんだけどな。私は貴族じゃないからそんな態度で接しても私が困るんだぜ?普通にはなしてくれよ」

 

 「そ、そうですか・・・それで何か御用で?」

 

 「この服を洗濯したいんだが場所教えてくれるか?」

 

 

 そういうことでしたら、と指差し道を教えてくれる。お礼を一言言うとメイドは一礼し自分の仕事は終わっていたようでそのまま反対方向へ進んでいく。

 

 

 「咲夜よりは柔らかい気がするがまだまだ未熟だなー、いや咲夜が完璧すぎるだけか?・・・みんな元気にしてるかなあ・・・」

 

 

 そんなことを思いながらとぼとぼと歩いていると示された方向で洗濯物を干している人影がありぱっと見ただけでも誰だかわかる姿である。

 幼さを残した顔立ちと出てるところは出ている、つかでかい。ちょびっとだけ分けてほしいと思った。思っただけだぜ・・・。

 

 

 「シエスター!」

 

 「あっ!魔理沙さん!こんな早朝にどうかなされました?」

 

 「ほらこれルイズの服だ、洗って来いなんていわれちまったからな。けっこういい生地使ってるからさ洗い方おしえてくれよ」

 

 「別に私がやってもいいのですよ・・・?」

 

 「まぁ一応使い魔だしな、頼まれたからにはやるさ」

 

 

 そうですかではとりあえず、と洗い方を丁寧に教えてくれ順調に洗い終わっていく。

 ここでシエスタから質問があるようで魔理沙へ聞いてくる。

 

 

 「あの昨日のお茶の件といいなにか関係あるのですね・・・そうだ私の得意料理のヨシェナヴェっていう料理しってますか?私の故郷、タブル村では有名なんですよ?」

 

 「んーヨシ・・・?ちょっと私には知らないな・・・こんど振舞ってくれよ!シエスタが作るんだからきっと美味しいんだろうな」

 

 「えへへ、そんな褒めないでくださいよー!」

 

 「はは・・・(純粋だな、シエスタの今後が心配だ・・・)」

 

 

 シエスタのお陰で洗濯が早く終わり干す作業はやっておくとのことで魔理沙は感謝を述べその場から離れる。

 まだ起こす時間ではなく適当なベンチで帽子の中からルイズが持っているものとは別で少々分厚い本を出す。

 その本にはこの世界での生物の種類が絵付きで載せられており昨日多少文字について勉強したとはいえまだ完璧ではないので図書館から分かりやすそうな物を借りてきたというわけだ。 いつ借りたって?夜中だが?

 

 

 「ふうん、なーんだか知らないのばかりだな、こんなのが実際いるなんてな・・・実際に会って触ってみたい気もするが・・・まずは身の回りの使い魔たちから調査してみっか」

 

 

 人影もなくそよ風が髪をなびかせちょっとうとうとしそうにもなるがそろそろ時間のため片手に本を抱えルイズの部屋へ。

 やはりまだ寝ており幸せそうな顔をしているが怒られたくはないので軽く肩を揺する、が起きない。

 はぁ、とため息を吐く魔理沙で両手を前に小さな魔力弾を片手に一つずつ用意しそれを衝突させるために軽く交わるように投げすぐに魔理沙は耳をふさぐ。

 

 パン と大きな音をたてて破裂する。もちろん被害はルイズだけ、物は大切にするものだぜ。

 ルイズは音の大きさで夢から一気に現実へと引き戻され目を見開き左右を何度も確認している。

 とここで魔理沙と目が合う。

 

 

 「よっルイズ朝がきたぜ?頭も覚醒しただろ、もう少ししたら授業だと思うからな準備しようぜ」

 

 「んーあ?白黒メイド?だれよあんた・・・」

 

 「ちょ…ルイズそりゃないぜ・・・魔理沙だよ、霧雨魔理沙!思い出したか?」

 

 

 ルイズは少し考え込むこと数十秒、そういえば召喚したわね と寝ぼけていながらも思い出す。

 

 

 「ほれちゃちゃっと準備しようぜ?」

 

 「んー 服着せて」

 

 「え・・・?自分で服着れないのか?まじかよ」

 

 「ちがうわよ!それも使い魔の仕事なの!さぁそこに掛かってる服よ!」

 

 

 ふーん、と言いながら服を準備しここでちょっとした悪知恵が働く。

 

 

 「ほーらルイズちゃん、お着替えしましょうねー・・っぷ」

 

 「な・・なな、魔理沙!!アホな事言ってないでさっさとしなさい!」

 

 「ささルイズちゃんまずは服を脱ぐために手を大きく腕に上げてさぁバンザーイ」

 

 

 うぐぐ、と唸るルイズにもう一押しと魔理沙はさらに煽る。

 

 「おぉ?手を上げることもできないのか、仕方ないなぁどれ私も手伝ってやるぜ」

 

 

 ルイズの手を触れようと手を伸ばしたが拒絶されてしまった。

 自分でやる、と言い素直に服を着替え始めささっと準備を終わらせそのまま部屋を出て行ってしまう。

 

 

 「ルイズもまだまだ子どもだな!っと置いてかれちまうぜ」

 

 

 すぐにルイズの後を追いかける魔理沙であった。 鍵のかけ忘れに注意。

 

 

 魔理沙にとってまともに行う初めての授業、赤土という2つ名を持つシュヴルーズと言う女性が担当するようだ。

 やはりここでも平民を召喚したルイズと召喚された本人、魔理沙が中傷の的になっている。

 見た目が特に特徴のない男子生徒ややや太った男子生徒と我慢できなかったのか言い合いをしているルイズに魔理沙はため息を吐き止めようとするがその前にシュヴルーズが杖を一振りすると罵倒してきた生徒の口に赤土の粘土を銜えさせられ注意されている。

 

 いったん授業がリセットされたので改めて再開する。

 

 

 「さて改めまして私、赤土のシュヴルーズが授業を始めさせていただきます。

 私の授業では土系統を主軸に進めて行きたいと思いますのでよろしくお願いしますね」

 

 

 軽い自己紹介のあと魔法の系統についての話を一通り話し終え先生は、実演をするようで杖を出すと同時に3つの石を全員が見やすい位置である教卓の上へ置く。

 

 

 「ではまず基本である錬金の呪文から覚えていきましょう。レル・イン・ヤーム」

 

 

 石へ杖を向け呪文を口ずさむと瞬く間に石が黄金に輝き生徒から驚きの声が広がる、魔理沙も驚いておりくい気味に見ている。

 光が収まりその物体を見てキュルケからゴールドですか?、という質問に先生から真鍮です、という言葉にがっかりしている様子。

 とここで生徒から実演をしてもらうために適当に先生が指を刺し指名する。

 

 

 「ん?えっ?私?」

 

 「おールイズ指名されたぜ?がんばれよ!」

 

 

 魔理沙は純粋に応援しているが周りの生徒からは不満の声が広がると共に不安の声も上がる。

 先生もなぜこんな反応なのか疑問に思うが意思は変えないようでそのままルイズは教卓の正面へ。

 このタイミングでいち早くタバサは抜け出しそのまま部屋から出て外へ向かっていく。

 ほかの生徒は机を盾にするかのように潜り込み目だけを覗かせるように見ている。

 

 ルイズが教卓の正面まで行くとその隣には魔理沙も立っている。

 

 

 「ん?あなたは呼んでいませんけど・・・?」

 

 「私は霧雨魔理沙、ルイズに召喚された平民ってやつだ、使い魔なんだから主人の横にいるのは当たり前だろ?」

 

 「なるほどあなたが・・・ええそうですね では錬金したい金属を強くイメージしつつ始めなさい」

 

 「はいっ・・・!」

 

 

 杖を懐から取り出し石へ向ける、とここで魔理沙から助言が飛んでくる。

 

 

 「ルイズ、力が入りすぎだぜ、かなり弱めでもいいからちょびっとずつ出すようにしてみな」

 

 「・・・っ、やってみる・・・」

 

 「蛇口から水がぽたぽた落ちるくらいのレベルでもルイズの場合十分だと思うからな」

 

 

 生徒から息を呑むような緊張感のある雰囲気がかもし出され先生まで息を呑んでいる。

 魔理沙はルイズの二の腕あたりに手を置くとルイズは少しだけ魔理沙を見るが考えていることを察したのか今やるべき事に集中する。

 ルイズはいったん深呼吸し変えたい物をイメージしつつ先生の言った呪文を口ずさむ。

 ルイズの中にある魔力の流れを読んでいるのか もっと少なくゆっくり、そう、上手いじゃないかそれを持続してみな と助言をする。

 石が光り輝いていきさらに強く発光する。

 そのまま光が収まっていきその姿が見える前に小さな爆発が起きる。

 

 ビクッと生徒全員がしたがこの結果に首を傾げるほど疑問が広がる。

 行ったルイズもあれっ?、と声に出してしまうほどである。 先生はなぜ爆発したのか、のほうが疑問のようだが。

 

 

 「ふむ、なぜ爆発したのかわかりません、石が粉々になっていますし土系統と相性が悪いのかもしれませんね、とりあえず実演ありがとうございますね」

 

 「えっ?・・・あっはい」

 

 「力の制御がなかなか上手くいったな、だけど結局爆発か、ちょっと個人的にも調べてみるか」

 

 「あ・・うん、魔理沙無理しなくてもいいのよ」

 

 「無理でも何でも気になったらすぐに行動しないとな」

 

 

 行動力があるわね、期待しないで待ってるわ、と呟きそのままもといた席に戻るがみんなからの視線が強まり授業どころではなかった。

 さきほどの先生からの制裁もあり授業はそのまま何事もなく終わりルイズはそそくさと戻ってしまい、魔理沙は小走りで追いかける。

 

 次の授業が午前の部最後だが座学で文字がまだ不慣れな魔理沙には難しくなにより世界情勢について今は興味がなく帽子から早朝読んでいた本を再度読み始める。

 ルイズが小声で魔理沙の持つ本について聞いてくる。

 

 

 「ちょっと魔理沙、なによそれそれって図書室のやつじゃないの?」

 

 「おぉさすがルイズ、よくわかったな。その通りだぜ それがどうかしたのか?」

 

 「どうしたもなにもいつ借りにいったのよ そんな時間なかったと思うけど・・・?」

 

 「ルイズが寝た後だけど?ちょっと借りてきただけだぜ?」

 

 「は?夜中?図書室開いてないはずだけど?どういうこと・・・?まさか盗んで・・・」

 

 「大丈夫だルイズ、心配するな死ぬまで借りるだけだからな」

 

 

 驚いた様子で声に出してしまい先生から注意を受けてしまう。頭を抱えるルイズに対し魔理沙は罪の意識はないようでそのまま続きを読み始める。

 そして授業が終わったあとで問い詰められたが魔理沙に昼飯を催促され話をうやむやにされてしまう。

 食堂へ到着し魔理沙は、昼飯はメイドたちと食べるということをルイズに伝えると納得しじゃあまたあとで、と一言いい席へ座る。

 それを確認次第魔理沙は手を振りながら去っていく。 このまま何もなければいいが・・・

...................

 

 




修正
錬金のところの描写を少し増やしました


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第七話 霧雨魔理沙vsギーシュ・ド・グラモン

とうとう戦闘シーンです


 なんなく授業も終わり昼食の時間の為、生徒は全員食堂へ集まっている。もちろんその中にはルイズや魔理沙、キュルケ、タバサもいる。

 シュヴルーズの土系統授業での錬金で、あのような結果で終わりキュルケはタバサに自慢するかのように話している。

 

 その話を近くにいるため聞こえてしまうルイズもいつもの大爆発ではなくあんな小爆発、机すら壊れないような爆破になったのか魔理沙に聞いてみることに。

 

 

 「ねぇ魔理沙、あの時小爆破だったけどどうしていつものような・・・大爆発じゃなかったのかしら」

 

 「だからあの時いっただろ?いつも力みすぎだって、あんな感じでちょろっと出してあげればいいんだよ。まぁその微調整が難しいんだけど、ルイズはセンスあるよ」

 

 「…なんというか魔理沙の洞察力すごいわね、今まで誰もわからなかったのよ、親でさえ…」

 

 「んーなんというか経験や視点が違うからじゃないか?といってもすぐ分かるような気がするんだけどな・・・なんでだろう」

 

 

 と席まで到着してしまったため、魔理沙はマルトーの居る調理場へ向かう。

 もう料理は運び終わったようで、メイドたちも魔理沙と挨拶しながらもどる。

 

 

 「おう魔理沙か、その服装分かりやすいもんだな すまねえが今日も皿洗い手伝ってもらっていいか?休みでちまったのよ」

 

 「ただ飯は嫌だからないつも手伝うよ、私に任せな!」

 

 「あと悪いんだがもうちょっとしたらデザート運ばないといけないんだ、それもやってもらっていいか?」

 

 「いいよ、その時声かけてくれよ」

 

 

 

 そしてルイズたちは程よく食べ終え次のデザートを待ちつつ会話している。

 話題はさっきの錬金である。

 ルイズの小爆発を他の生徒はただ調子が悪かっただけ、と解釈しているがキュルケはいつも失敗を見てきたわけであれは異常だ、と思っている。

 

 

 「ねぇルイズ、錬金のあれはどういうことなの?いつものじゃなかったわね」

 

 「あれね魔理沙が助言してくれたのよ。・・力みすぎ、ほんのちょこっと力を出すだけでいいって」

 

 「ふうん・・・魔理沙には驚かされてばかりだわ、ということはルイズって大きな力持ってたりしてね?」

 

 「分からないわ・・・誰も分からなかったもの、魔理沙には分かるようだけど」

 

 

 とそこに後ろからデザートを持ってきたメイドが 横から失礼するぜ? とデザートを置いていく。

 ルイズは ぜ? とデザートより先にそのメイドを見るとそこには魔理沙の姿が。キュルケも驚いており、その様子を見た魔理沙は大成功だといわんばかりに笑顔になっている。

 が一応これも仕事なので じゃあな と次の人へデザートを運んでいる。その都度驚かれているようであったが。

 

 と他の位置から騒ぎのようなざわつきの声が聞こえてくる。魔理沙もその方向をみると、何故かシエスタがギーシュとかいう男にひざまづき謝っている様子。

 何事かと魔理沙は、デザート運びを中断しその場へ向かいシエスタへ事情を聞く。

 

 

 「シエスタ、これはいったいどういうことなんだ?」

 

 「あっ魔理沙さん・・・これはですね・・・」

 

 「ふん、あのときの余計な言いがかりをつけてきた平民か。 寛大な僕が教えてあげよう、そこのメイドが言い掛かりをつけてきてね、2人の女性を傷つける結果となってしまいこのメイドに罰を与えるところだよ」

 

 

 顔がずぶ濡れで頬が赤くなっている、たたかれたのだろうか?

 あれはギーシュが悪いだろ と後ろから声がかかり魔理沙は らしいけど? と言葉を続ける。

 

 

 「君は見てないからそう言えるんだよ これだから平民は視野が狭くて困るね」

 

 「はぁ・・・ったくこんなんが貴族とは・・・世も末ってやつだな ルイズみたいなしっかりした子はいないのか?」

 

 「へえ、貴族を侮辱するか・・・平民風情が貴族に楯突くとどうなるか知らないようだね・・・いいだろう平民の使い魔、教えてあげるよ、どうなるかをね 決闘だ諸君!」

 

 

 決闘という言葉に一瞬静かになるが、すぐに騒ぎ始める。

 広場で待つ、という言葉と共に背を向け去っていきその決闘を生徒も見るためかついて行っている。しかし魔理沙は意味が分からないようでシエスタに聞くと、震えながら魔理沙に謝っている。

 

 

 「ま・・魔理沙さんごめんなさい・・・ど・・どうしよう」

 

 「はぁ?意味が分からないんだけどどういうことだ?」

 

 「まったく魔理沙は変なことに首突っ込んで・・・あんたどうするのよ!ギーシュに決闘申し込まれたし・・・平民だから大丈夫だと思ったんでしょうね・・・」

 

 「んー?とりあえず広場に向かうか」

 

 「あんた決闘よ!?ギーシュと戦うってことよ?あなたの実力知らないけどなんでそんなに余裕そうなのよ・・・」

 

 「大丈夫だろ、まあ慢心はしないさ それといくつかスペルカードみせてやるよ」

 

 

 いってくるわ とお出かけにいくような軽いステップを踏むように進んでいく。

 ルイズは今までを魔理沙を見てきただけでも実力はあるのだろうと踏んでそこまで心配せずとりあえずシエスタを宥めながら起こしその広場まで向かうことに。

 

 

 召喚の儀式に使ったかなり広めの広場で、そこには人がたむろしており今か今かと待ちわびている様子。

 とここで魔理沙が現れると、騒ぎが大きくなりそれに答えるかのように魔理沙は手を振っている。

 道も開かれギーシュと魔理沙は対峙する。

 ギーシュは余裕なのか自身の杖を横にし口にくわえ髪を弄っている、魔理沙は顔を歪ませている。しわが増えそうだ。

 

 

 「逃げるんじゃないかと思ってたが平民でもちょっとは勇気があるようだね」

 

 「いやいやいや・・・あんた程度に逃げてどうするのさ・・・神様相手でも戦ったってのに・・・」

 

 「意味が分からない戯言は良い 剣も杖もなくそのただの箒で僕のワルキューレと戦うのかい?・・・っぷ、あっはっはっは傑作だね」

 

 「ん?これで戦ってほしいのか?・・・まあいいけどそれやると多分気絶じゃあすまなくなりそうだけどいいのか?」

 

 「なんの心配をしているんだ?寧ろ折って暖炉の燃料にしてあげるよ」

 

 

 まぁ人間相手に使うのは無理だろうしやめとくがね と言った後のタイミングで遅れてきたルイズとシエスタ、キュルケ、タバサを魔理沙が発見し手を振っている。

 なにか叫んでいるようだが周りがうるさく魔理沙まで声が届かない模様。

 

 

 「まぁ御託はいいから早くやろうぜ いやぁ久しぶりに運動する気分だ!」

 

 「ふん威勢がいいな、それを評して剣を貸してやろう それで僕を楽しませてくれよ平民」

 

 

 ギーシュから剣を投げられ使えと言われるがそれを拒否し逆に投げ返す。

 まさかここまでアホなのかとギーシュがみて笑っている。

 

 

 「そんなもので戦うと? 意味分からない平民だな、いいだろう出て来い僕のワルキューレ!」

 

 

 そう言うとギーシュは花びらを数枚出しそこから青銅のゴーレムを出現させる。

 魔理沙は おぉ! と驚き凝視している。

 

 

 「改めて、僕は青銅のギーシュ・ド・グラモン、このワルキューレが相手になるよ」

 

 「へへっそれカッコいいな、今度私も試してみようかなー、おっと自己紹介だったな」

 

 

 と箒を横にし中心あたりに座りながら軽く空中に浮かぶ。

 それをルイズ、キュルケ、タバサを除く全員が驚きを隠せないで声を上げている。

 

 

 「私は霧雨魔理沙、ルイズに召喚された平民で普通の魔法使いだぜ!」

 

 

 堂々と言うと周りの生徒から 浮かんでいるぞ! 平民じゃなくて貴族だったのか!? これってやばいんじゃ・・・? とさまざまな驚きと不安が飛び交う。

 

 

 「き・・・っ君は貴族だったのかい!?魔法使えてるっていうことは」

 

 「そんな訳ないだろ?ルイズたちにも言ったが私は貴族じゃない、断言できる もしかしてそんな理由で逃げるなんて言わないよな?」

 

 「・・っそんな訳ないだろ? ではいかせてもらおう」

 

 「とと!ちょっとまて、先に生徒を空中にでも避難させたいんだが良いか?全員巻き込まれると思うぜ?」

 

 

 魔理沙は動揺していない三人に指示を出しせっせと空中へ避難させる。

 

 

 「さ、お待たせ。威力はかなり抑えるからがんばれよ?」

 

 「・・・っ舐めるな!いけワルキューレ!容赦はするな!」

 

 

 少し離れてから勝負を始めワルキューレが魔理沙を襲うが軽く後方へ飛びつつ避け、黄色い弾幕を仕掛けるが威力が低すぎるのか怯んだだけでそのまま進んでくる。

 弱すぎたか と思いそれじゃあとスペルカードを発動する。

 

 

 「さっそくいくぜ!魔符 スターダストレヴァリエ!」

 

 

 幻想郷でも言ったようにカードを上に掲げ声を出しスペルカードを使う。

 その行動にギーシュはもちろん 上から見ている生徒も何をしているのかよく分かっていない様子。

 

 スペカを使ったあと、7つほどの魔方陣を周囲に出現させ、そこから多種類の色の星型弾幕を停止させる。そのまま魔方陣から弾幕を出現させつつ、魔理沙の周囲を回りながら軌道を逸れていく。

 ギーシュやワルキューレの前後にも軌道上のため星型弾幕が置かれる。ギーシュは、ワルキューレに指示を出し弾幕を切りつけると簡単に綺麗な粒子になる。

 

 他の弾幕も切りつけようとするが、いきなり弾幕が魔理沙へ吸われるかのように集まっていく。

 必死にギーシュは避けているが、いくつか弾幕に当たっており若干涙目である。すぐに無理だと判断し、避けることに集中した結果、ワルキューレの動きは乏しくなり弾幕に何度も何度も衝突している。しかし威力が弱いためか傷はついているがダメージが入ってない様子、しかし転んだり剣を手放してしまったりしている。

 

 そのまま一部の弾幕が魔理沙に当たると思いきや、弾幕はすり抜け適当な方向へ拡散していく。ほかの弾幕は、吸われていたかと思いきやUの字にカーブするかのようにさらに後方へ向かっていく。

 先ほどの魔方陣は、一定の距離まで進みそのままその位置から魔理沙との距離を変えず高速で周りを回っている。その状態から、多数の弾幕を外側へ放っている。見た目重視なのだろう。

 

 上空から見るとまるで花びら1枚1枚違う色で花が咲いているかのように見え、上から見ていた生徒から綺麗… と言葉を言うしか表現できないでいた。

 シルフィールドに乗った3人も、同じような感想で口をあけたままだ。

 

 魔方陣が、あるタイミングで最初と同じような動きで魔理沙のところまで戻りつつ、停止した弾幕を生成していく。

 魔理沙に重なると、魔方陣が素早くもとの位置へ戻る。魔理沙が手を左右に動かすと、その動きに合わせ魔方陣が動き、右へ手を振ると高速で周りを動きつつ弾幕を放っている。

 

・・・

 スペルカードブレイクした、といっていいのか微妙なところだが、時間切れで消滅していく。

 ギーシュはぼろぼろになっており、膝をついて息を吸っては吐いていて集中力がなくなったのか、ワルキューレは倒れている。

 よし絞めだな と呟くとギーシュへにやける。

 さらにギーシュが険しくなるが、お構いなしで次のスペルカードを使う。

 

 

 「次だぜ!星符 ドラゴンメテオ!」

 

 

 八卦炉を取り出すと手の甲が光り輝くが見えていないのか、そのままワルキューレへ走っていく。

 ワルキューレは立ち上がろうとしているが、ありえない速度で走る魔理沙に肩を踏まれ上へジャンプされてしまう。

 

 

 「っ・・は?な・・なんだこの走るスピードやこのジャンプ力・・・私の体に何が起こってるんだ?・・まあいや、締めだぜ!」

 

 

 ジャンプし自由落下が始まる前に魔理沙は、ワルキューレに向け八卦炉を向け極太の激しいビームを放ちその反動で空中に留まっている。

 威力を弱めたはずなのに地面を削り、ワルキューレを粉々にしつつ他のワルキューレも巻き込んでいく。

 

 

 「お、よっ!ルイズ元気か?」

 

 「なななな何が元気よ!圧倒的じゃないの・・・」

 

 「ほんとうにすごいわね・・・というかなんというか綺麗で幻想的な魔法だったわ」

 

 

 タバサもびっくりしている様子で魔理沙を見ている。その間にも高出力ビームが放たれている。

 

 

 「はは、ありがとな やっぱ安全地帯からこうやって狙うのは楽しくて仕方がないな!圧倒的だよほんと」

 

 「それまさかギーシュに当てないわよね・・・?」

 

 「やらないよ これに懲りて反省してくれればいいがまだ何か言うようであればもう一手間かけるけどな」

 

 

 よしこんなもんだろ じゃあまた後でな、と言い出力を止め箒に跨りながら地上へ下降していく。

 

 

 「ねぇルイズ・・・魔理沙って何者なのよ・・・?」

 

 「幻想郷ってところで、神様とか相手にしながらすんでるとかなんとか・・・?」

 

 「意味分からないわ」

 

 

 全くだとでも言いそうになるルイズだがとりあえず高度を下げ魔理沙へ近づく。

 終盤に差し掛かっているのか魔理沙とギーシュが話をし始める。

 

 

 「まだやるかい?ギーシュ?」

 

 「・・・っ僕は・・・陸軍元帥の息子・・・ギーシュ・ド・グラモン・・・こんなところで・・・」

 

 「ん、そっか ならこれで最後だな 諦めな」

 

 

 止めを刺そうと攻撃しようとするが、斜め後ろから声が聞こえ誰かと思ったらギーシュと付き合っていた・・であろう相手のモンモランシーとケティだ。

 ギーシュが何も言わないと、魔理沙はため息を吐きそのまま無視するかのように攻撃を加える。

 後ろやまだ上空にいる生徒が悲鳴を上げる。 そこまでするか、と。

 

 

 「ギーシュ頭冷やせよ スペルカード!恋符 マスタースパーク・・・のような懐中電灯!」

 

 

 ペカーッ、とでも効果音がつきそうなほどあっさりとした光を当てる。

 ギーシュは えっ と言う言葉と共に、なぜだかやる気が一気に削がれバラ状の杖を落とす。

 

 

 「終わりでいいよな?」

 

 「あぁ・・・僕の・・・負けだよ」

 

 

 その言葉がすでに降下していた生徒に聞こえたのか 平民じゃないけど平民が勝ったぞ!と騒ぎになる。

 魔理沙とギーシュを囲みつつ騒ぎが大きくなる。

 

 

 「ギーシュ、調子戻ってきたろ?んじゃ迷惑かけた人たちに謝ってきな、後ろに居る2人はもちろん、シエスタにもな?タイミングは好きにしな」

 

 「あぁ・・・そうだね、先に霧雨魔理沙、ありがとう。目が覚めたよ、こんなにボコボコにされたのは久しぶりだよ・・・改めてありがとう」

 

 「なんだかスッキリしたような雰囲気でてるぜ?いいことだよこれからもがんばりな」

 

 

 霧雨魔理沙はクールに去るぜ と呟き自身の帽子を手で傾けそのままその場を離れるとルイズとキュルケ、タバサもついていく。

 

 

 

 そして間接的に見ていた2人の人物が 緊張の糸が途切れたように大きく息を吐き椅子に座り込む。

 片方はコルベールでもう片方はこの学院の学院長であるオスマンである。

 

 

 「あの子はいったいなんなんじゃ・・・あの子は貴族なのか?コルベール君」

 

 「違うらしいですけど本人に聞いたわけではないのでちょっと・・・ですが未知の魔法を使っています。私はあんな綺麗なものはみたことがありません。」

 

 「長いこと生きてるがワシも見たことは・・・いやあるようなないような・・・ま・・まあ、異質な力じゃ・・・もしあの者が貴族であったらあってはならぬこと・・・あのギーシュは何を思ってそのまま決闘を行ったのか・・・」

 

 「私が直接聞いてきましょうか?」

 

 「いやここに連れてきなさい、ワシが直接聞こう」

 

 「・・・分かりましたお任せします」

 

 

 コルベールがオスマンの指示により外へ出ると一人となり先ほどの戦闘とギーシュの相手である魔理沙のことを考え思いに耽っている。

 

 

 「違うが似ている・・・色や魔力の質は違うが似ている、まるであのときの女性のような・・・」

 

 

 結果的にはギーシュの敗北で終わりゴタゴタもなく無事?に今回の騒ぎは幕を閉じた。

............

 

 




ギーシュ、これが弾幕ごっこだ。がルールの無い世界に弾幕はナンセンスだ。


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第八話 学院の宝物とルイズの特訓

 そしてあの例の戦いのあとコルベールが急いで魔理沙を追うと学院長が呼んでいるということでありルイズと魔理沙は仕方なく授業を休み学院長室へ向かう。

 

 

 「来たか、コルベール君も居てくれて良い さてワシがこの学院長をしているオスマンじゃ」

 

 「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します」

 

 「霧雨魔理沙だぜ、魔理沙って呼んでくれよな!よろしくなじいさん」

 

 「じッ・・!?、こら魔理沙そんなこと言わないの! 魔理沙にはあとで強く言ってときますので・・・」

 

 「ほほ、良い良い それで何故呼ばれたのか分かるかね?」

 

 

 ルイズは はい と言うが魔理沙は部屋の中を見ているため話を聞いていない。

 が魔理沙はルイズに足を踏まれ顔を歪ませながら話を聞くことに。

 

 

 「うむ、とりあえず魔理沙は貴族なのかね?」

 

 「いてて・・・いーや違うぜ?平民ってやつだ、というか貴族って言葉自体しらなかったぐらいだよ」

 

 「そうか・・・グラモンが迷惑かけたようで申し訳ないの」

 

 「気にすんなって あれくらい大丈夫、んで言いたかったことはそれだけか?」

 

 「いや後2つくらいかの、広場近くの建物の壁が壊れていたんじゃがなにか知らないかの?」

 

 「しししし、知りませんわ!わ私は何も見ておりませんのでぇっ!」

 

 「さぁな、しらないね…っておいルイズ…」

 

 

 声が裏返っているルイズに魔理沙もオスマンもため息を吐いている。

 

 

 「本当にしらないのかね?」

 

 「知らないって壁が腐ってたんじゃないのか?」

 

 「新しくしたばかりだったような・・・まぁ知らないならなにも言うまい・・・あとこれだけ聞いておこうかの、君の魔法はこの国・・・いやこの世界でかなり異質な力だと思われる。どこから来たのじゃ君は・・・?」

 

 「幻想郷という場所だよ、確かに私とここのは全くと断言はできないけど違うね というより使い方が違うのかな?」

 

 

 幻想郷という言葉に一瞬表情を変える。がすぐにふうむと唸るオスマン。それを見たコルベールが とりあえず魔理沙さんも疲れていることですしここらで・・・ と解散することを提案し承諾される。

 一礼し2人とも出て行きドアが閉められる。

 

 

 「学院長、気になることは解決しましたか?」

 

 「むしろ謎が深まった感じかの・・・それといつのタイミングであの紋章のことをいうかだの・・・ガンダールヴ・・・」

 

 

 

 学院室から出た2人にキュルケとタバサ、そしてギーシュと付き合っていたモンモランシーが何故かいた。授業は無かったようで結局無駄な心配をしていたルイズであった。

 キュルケはいつもどおりルイズにちょっかいかけていてその後ろで魔理沙を見ているタバサとチラチラと魔理沙を見ているモンモランシー。

 

 

 「あれ?たしかギーシュの彼女さんだったか?」

 

 「えっあ、私モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ、よろしく」

 

 「おぉぅ・・・長い、・・・知ってると思うけど霧雨魔理沙だ よろしく、んでどうしたんだ?校長のじいさんに用か?」

 

 「ううん、あなたに用というかギーシュのことで・・・ギーシュのこと悪く思わないでほしいの!いつもあんな態度だけど根はいいのよ!今回あのことあった後すぐに迷惑かけた人に頭下げたのよ・・・勿論わたしのところにも、あんなギーシュみたのは初めてで、もう大丈夫だとおもうから・・・許してあげて」

 

 「・・・ったくギーシュにこんなに思ってくれる人がいるのに迷惑かけてたんだもんな、まぁモンモランシーがいいなら私は何も言わないぜ?がんばれよ?」

 

 「・・っ!ええ、ありがとう!」

 

 

 じゃいこうぜ という言葉と共に魔理沙は進んでいきその隣にルイズが立ち先ほどの(一方的な)弾幕ごっこについて質問している。

 

 

 「魔理沙の住んでたところじゃあれをやるのが普通なの?」

 

 「んー私からしたらよくやることだしな、でも今回のは私のやってるようなものとは違うからな?あんな一方的なのはちょっとな・・・弾幕ごっこってのは綺麗さを競う遊びだからな?スポーツだよ 楽しくやらないと意味はないぜ? ギーシュには悪かったけどどんなものかは分かっただろ?」

 

 「本当に綺麗だったわ 魔理沙はすごいのね・・・」

 

 「悔しいが私以上の実力を持つのなんていっぱい居たけどな」

 

 

 他愛も無い話をしていると途中で厨房のある食堂がありそこで魔理沙はシエスタの様子を見るといって別行動を取る。

 

 

 そして厨房に向かう時にギーシュの後姿を確認したがもしかしたらあやまった後なのかもしれない。なんだか引っかかっていたものが取れたような顔をしていたような感じがした。

 そしてシエスタとマルトーが話していたがマルトーが大声でびっくりしているような声が聞こえ恐る恐る顔をだしながら2人を呼ぶ。

 

 

 「シエスター・・・マルトーさーん・・・」

 

 「んお?あぁ魔理沙か」

 

 「あっ魔理沙さん!先ほど頭下げに来てくれました!これも魔理沙さんのおかげです!ありがとうごっ・・・」

 

 「まてシエスタ、おい魔理沙、おめぇ平民じゃなかったのか?魔法つかってたらしいじゃねえか?どういうことなんだ?」

 

 

 あの顔でズンズン近づかれちょっと引き気味な魔理沙だがこの質問をちゃんと答えないと厄介なことになると勘が働く。

 

 

 「ちょちょマルトーさん!とりあえず話しきいてくれって!な? ほらお茶でもだして深呼吸な?」

 

 「いいだろう言い訳を聞こうじゃないか」

 

 

・・・・・

 

 「なるほど、住んでる場所が違うとそういうことがあるのか・・・そっちには貴族はいないのか?」

 

 「いない・・・と思うけどあれはどうなんだろうな、まぁとりあえずこっちのように貴族だけが魔法使える、なんていう決まりは無い、素質とかの問題はあるけど」

 

 「・・・事情があるようだ、これ以上は模索はしない 今まで手伝ってくれたりメイドたちと仲良くしていたのは見ていたし悪いやつじゃないのはわかる、そっちとこっちの価値観の違いが早とちりしてしまった、すまない」

 

 「ちょっと焦ったけど分かってくれてよかったよ、そこまで貴族のこと嫌いなんだな・・・」

 

 

 

 マルトーの貴族嫌いがここまで強いものかと発覚したあと少々会話の時間にかけすぎてルイズのことを思い出したときには夕方で慌てて帰る魔理沙を後ろから2人は見送ってくれた。

 

 結果的に言うとルイズに怒られた。遅すぎると、私がなにをしたと・・・ルイズのことちょこっとだけ忘れてたけど。

 

 

 「おーよしよし、な?悪かったって?ほ・・ほらお詫びに手伝えることあったら手伝ってやるからな?」

 

 「・・・、、でいいわ・・・」

 

 「ん?」

 

 「それでいいっていってんのよ! 手伝いなさいよね!今日の夜中!秘密の特訓するつもりだったから!覚悟しなさいよね!」

 

 「うぉぉう・・・分かった分かった、感情の上下がはげしいぜ・・・(たしかこの隣ってキュルケじゃなかったか・・・?どうなるかもう分かるんだが・・・)」

 

 

 そして魔理沙はここでルイズにちょっとだけ暇がほしいと願い、理由と聞くとこの学院の見学だそうだ。しかし前回の窃盗もありルイズは心配になるが、魔理沙の(ごり押し)説得により丸め込まれる。 広場で集合のことで、それまで魔理沙の時間である。

 

 そして今は夕方この学院の中心。本塔近くで人影がほぼなく静かであり、そこに魔理沙一人が本塔へはいっていく。

 中には階段があり上に行けば学院長室、下は宝物庫。魔理沙は隠れながらそそくさと階段を下りていく。

 少し長い通路が続いておりある程度進むと、頑丈そうな扉があり魔理沙の勘が言っている。ここは何かあるぞ と。

 

 しかし魔理沙の通ってきた道から、男女の声が聞こえてくる。慌てて隠れられる柱があったため、そこに隠れ声だけを聞く。

 その男女は、コルベールともう一人は聞いたこと無い声。ちょっと顔を出し見てみると、緑の髪をしていてメガネを掛けている。

 コルベールが今ミス・ロングビルと言っていた。確かミスっていうのは未婚女性と言うのを吸血鬼姉に聞いたような・・・だからあの女性はミスを除いてロングビルという名前の人だろうな。

 

 と、この2人がきた理由が宝物庫の整理とチェックらしい、これは入れるチャンスかもしれない と魔理沙はにやついた顔をしている。

 2人が入ったところでドアが閉められておらず魔理沙は、もし泥棒に入られたらどうすんだろうな?と思いつつ入っていく。

 

 2人が固定化とか物理に弱いとか話しているが私には関係ない。 いいものを探すだけだ。

 今どんな状況か気になりちょこっとだけ2人が注目している先を見てみると鉄格子のような扉の先に大事そうに置かれてる紙切れのような物が見える、どこかで見たような形である。

 

 このお宝の中で、一番大事なものなのだろうと魔理沙は思う。あれをどうにかしようと考えているとチェックが終わりましたか? というロングビルの声が聞こえ終了の合図だと考え、ここで宝物を逃がすのは悔しいがばれるよりはマシ、と考えコソコソと去るが服の端っこがばれたのかコルベールが 誰だ! と声を荒げる。しかし魔理沙は自慢のスピードでさっさと退散する。

 

 

 

 「ふう・・・あぶない・・・コルベール先生は冴えなさそうな顔してるけどけっこう鋭い・・・?」

 

 

 なにもぬす・・・借りれなかったことにがっかりしている。があの紙切れ、コルベール先生が言っていた守護の札と言う物がこの学院で一番の宝物らしい。

 一応無視してはいたが聞こえるものは聞こえるのだ、他にも固定化で守られているが物理攻撃に弱いとかなんとか、逆に言えば魔法耐性は高いということなのだろうか。

 

 と魔理沙はふと自分の身体能力が一時的に向上したのを思い出す。もしかしたら学院長なら、とそのまま階段を上る・・ことはせずそのまま飛んでショートカットしてしまう。あんな螺旋階段いちいち上ってられんね。

 

 

 「おーいじいさん いるかー!」

 

 

 その声は魔理沙かね? 入るといい と許可をもらったので中へ、簡単に用件を話すとオスマンは気難しそうな顔をし 主人がいないが、まぁ良いか と話し始める。

 

 

 「魔理沙、おぬしのその左腕の紋章はの、ガンダールヴといってな、武器であればどんな物でも自由自在に扱えるという能力があるのじゃ 過去にこのガンダールヴを持つ伝説の使い魔を従えたのが始祖ブリミルという逸話じゃ。今はガンダールヴを知っている人はほとんどいないわけじゃが・・・」

 

 「伝説ねぇ・・・なかなか便利なやつなんだな、といっても剣とかいらないし私には八卦炉があるからなぁ、けど身体能力あがるのはびっくりしたな」

 

 「こればかりはワシにも分からないことなのじゃよ 手助けできなくてすまぬな」

 

 「んいやそんな期待はしてなかったけどこのくらい分かれば十分だとおもう」

 

 「ふうむ、そうじゃ時間があるときにでもコルベール君に話を聞いてみるといい、なにか手がかりが掴めるかも知れんぞ?」

 

 「あの人がか・・・わかったさんきゅーなじいさん」

 

 

 特に後は聞きたいことも無い、というか思いつかなかったのでとりあえず移動することにしたはいいが時間まではまだ時間があるので適当にあまり遠くへ行かない程度に空中散歩する。

 しかし夜なので暗く動物はおろか先のほうなんてまず見えずそのまま学院へ戻ることに。

 仕方なく暇つぶしの時間は図書室から借りたこの世界の魔物の本だ。なかなか分厚くて読み応えのある本、しかし地味に重い。

 

 月を見るとちょうどいい時間だと考えここらで広場へ向かうためショートカットのつもりで椅子に座るように箒に乗り空中移動する。

 目的地まで着くとそのままふわっと降下していく。

 

 

 「よっルイズ はやかったな!」

 

 「わっ!!ま、まりさぁ!?どうして後ろに!?え?!」

 

 「ルイズを驚かせようと思ってな、成功だな!」

 

 

 と魔理沙はルイズの後ろにいる人物をみてやはりな と思う。

 予想通りのキュルケとタバサである。 ルイズの声が大きすぎて秘密の特訓(笑)となってしまった。

 ルイズは魔理沙に指摘され恥ずかしいのか顔を見てこようとしていない。

 

 

 「この2人がいるけどどうせなら私の特訓を手伝ってもらうわ! まけてらんないもの!」

 

 「ルイズがこんなにがんばってるなんてねぇ コモンマジックも使えないのに何するって言うのよ」

 

 「えっとそれは・・・」

 

 「ルイズのあの失敗らしき魔法をむしろ逆に使えないか? あれ威力はさまざまだけどコントロールさえなんとかなれば強力な魔法になりそうだけどな」

 

 「あれが使えるの?魔法でもなんでもなさそうなあれが?」

 

 「まぁ折角のいい機会じゃないか、試す価値はあるんじゃないか?」

 

 「そう・・・ね 小さいころとは状況が違う、今は魔理沙も(ついでに)キュルケやタバサもいるから・・・」

 

 「しょうがないわねえ 手伝ってあげるわよ、タバサもいいでしょ?」

 

 「・・・分かった」

 

 

 結果的にキュルケにばれた事は良かったことなのかもしれない、ルイズのやる気も向上した様子で魔理沙は弟子を持つってこんな感じなのだろうか? と思う。

 夜の外出は禁止されているがそれをルイズは知っているはずだ。それでもこの特訓をしたいと言ってきたのは、何となくなのだろうか それとも魔理沙がいるからか・・・

 

.........

 

 



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第九話 特訓後編と土くれのフーケ

 さっそく魔理沙の指導の下、練習を始めることに。

 

 「ほんじゃまぁ私の魔力弾を浮かせるからそれを狙ってみてくれよ、キュルケとタバサは気になったことあったら言ってほしいな」

 

 「はいはい任されたわぁ、ルイズ?魔理沙の期待に応えるのよ?」

 

 「わ…わかってるわよ!見てなさい!上手すぎるって言わせてやるんだから!」

 

 

 あまり気を張りすぎるのは良くないがルイズはこうなってからが本調子のようなものだ、このままにしておこう。

 

 魔理沙の魔力は黄色く輝いており、的としては分かりやすくて便利なものだ。

 ルイズは夜でも見やすい的に向け適当な詠唱を唱えつつ狙いを定める。

 最初は上手くいかず手前で爆破、地面を爆破しており夜と言うのもあるのか距離感が難しいようだ。というよりどういう原理で爆発しているのだろう。

 普通ならばれるであろうこの行動だが何故か反応はないためそのまま続けているが生徒はおろか先生も来る気配はない。平和ボケというものだろうか。

 

 しかしその練習を遠くから隠れるように見ているフードを被る人影が。

 撫で肩でフードの隙間から長い髪が垂れている。

 

 「誰だかは知らないけどこんな時間に鍛錬とはやる気のある学生もいたもんだ、まぁあんなもの障害にすらならないさ・・・さてちゃちゃっと貰う物もらっていこうか」

 

 

 フードを被った者は杖を下から上へ一線すると巨大な岩の塊のゴーレムがあっというまに生成されその肩へ乗るとゴーレムに指示を出し宝物庫へその拳を叩きつける。

 がびくともしていないのか衝撃すら無効化しているかのようでフードの者は舌打ちをする、しかし下のほうに何故かひびの入ったところがあり首を傾げつつチャンスと思いさらにもう一度その場所一点を狙うため振り子のように腕を後ろまで引き力を込め振りぬく、するとその場所だけが固定化が弱化されているのか簡単に突破してしまう。

 何故ひびがあるのかというとその出来事は数分前に戻る。

 

 

 

 少し肌寒くなってきたためそろそろ止めようと考えていた魔理沙。

 ルイズはやる気十分だがキュルケもタバサも座り込んで眠気と戦っていた。

 

 

 「なぁそろそろ終わりにしないか?また次の機会つくればいいじゃないか、2人とも眠そうだぞ?」

 

 「ったくだらしないわね!・・・けどここまで付き合ってくれたわけだし文句は言えないわね・・・じゃあ次ラストでいい?」

 

 

 あいよ と返事をし魔理沙は魔力を適当な位置で固定し少し離れる。

 ルイズは序所に力を込め魔力弾へ向け呪文を放つ。

 

 

 「ここよ!ファイアーボー・・っくしゅっ・・・ル!」

 

 「わっ馬鹿!あぶなっ」

 

 

 なんとタイミングの悪い時にくしゃみをするのか。

 杖は握ったままだがくしゃみをすると同時に下を向いてしまい杖の方向がまったく関係ない方向へ向いてしまいそのまま力を解放してしまう。

 しかも力んだのか魔理沙を召喚したときのような力で放つ。

 1秒後ほどで本塔の下のほうが大爆発し、その衝撃でキュルケもタバサもびっくりし眠気が吹き飛び、目が覚めてしまう。

 

 

 「なにこの地響き!?ってまたルイズぅ?」

 

 「爆発は私だけど地響きは私じゃないわよ!」

 

 「いやな予感がする・・」

 

 「タバサのいうとおりだ 普通じゃないぜこれ そっちか・・・?」

 

 

 といった出来事があり謎のひびはルイズの行ったものである。

 魔理沙たちが着いた時に、何者かが穴から出てくる様子を4人は目撃する。下から見ている4人をフードの者は、振り返り少しだけ観察するとそのまま翻し逃走を計る。

 

 フードの者が逃走を計る瞬間にゴーレムは役目を終えたように腕の先から砕け地面へと落下していく。

 貴族のプライドなのか慢心なのかゴーレムに近寄っていたルイズは、気がついたときにはゴーレムの真下付近にいた。

 フードの者がゴーレムの操作を止めたのか砕けていき、岩が落下してきている。落下してくる岩から逃げるルイズは、一目散に逃げているようで前方しか見えていない模様。

 このままだとルイズに直撃すると予想出来た為、魔理沙はタバサに一言、キュルケはまかせた、指示を出し自身はルイズのため、箒に乗ると同時に八卦炉を後方にセットする。

 

 フルスピードでルイズを追いかけ、あと3秒ほど遅れていたら・・・というぐらいぎりぎりだったが何とか救出に成功する。ぐぇ、とか聞こえたが私は聞いていない。

 そのまま飛ぶのを続けるとルイズが暴れるので仕方なく降ろすことに。この体勢はきついったらありゃしない。

 

 

 「っ・・・はぁはぁ・・っ魔理沙あんたいきなりなにすんのよ!」

 

 「何といわれてもルイズを助けてあげただけだぞ?」

 

 

 はぁ? と言われてしまうが魔理沙は、ルイズのいた場所を指しつつ軽く何があったかを説明する。するとすぐに顔色を悪くしボソッと謝ってくる。

 魔理沙が目線をあわせ、ルイズが助かってよかったよ 怪我はないか?、と笑顔で言うとルイズは顔を赤くしそっぽを向いてしまう。

 

 ルイズはキュルケたちと合流し安堵しているが、この事態を決めかねたルイズは、とりあえず明日報告しよう と提案する。

 

 普通なら今報告するべきと考えるが、今のルイズたちは強い眠気に襲われており正直ここで寝てもいい というくらい限界のようだ。

 思考も働いていないのかふらふらしながら自室までの道を歩いている。

 自室につくとそのまま倒れるように寝てしまう。とここでルイズはふと考える。 あれ魔理沙は? と、しかし眠気には勝てなくそのまま意識を手放す。

 

 ここで魔理沙の動向はというと・・・。

 

 

 ルイズとキュルケの背中を見つめる魔理沙は、追いかけず別の方向へ行こうとし振り向こうとしたが、タバサがこちらを見ている。無言の圧があるような気がした。

 

 しかし魔理沙はビシッと親指を立てると、タバサは何か察したのかそのままキュルケたちを追う。

 ふぅ と一息はくとそのまま宝物庫のほうへ。

 

 

 「こりゃあ大きな穴あいてるな、あいつ盗人だったのか もしかしてだがあれ盗んでないよな・・・?」

 

 

 少し高い位置に穴が開いており、中へ入るため箒とともに空中へ、ゆっくり内部へ入るとまだ埃っぽく顔をゆがませる。

 がそのまま進み、ある一点を見ると魔理沙は愕然とする。例の宝、守護の札が無くなっていた。

 

 

 「そ・・そんな・・・やはりあいつか、フードの奴・・・こんなところで諦めたくはないけど・・」

 

 

 とそこでこんな時間だが人の声が聞こえた為、そのまま穴から出ることに。さすがにこの騒ぎで起きたのだろう。起きなかったら無能すぎるか。

 ばれない様慎重にこの闇夜の中を飛び、ルイズの元へ。部屋近くまで来るとドアも開いていた訳で、これほどまでルイズはよほど疲れていたのか・・と思う魔理沙だった。

 

 そして早朝は、何事もなく起きることができたがまぶたが重く、洗濯中はシエスタに怒られながらもなんとか終わらしていた。涎なんてたらしてないからな。

 

 ルイズを起こすまでの間は、森のほうまで(勝手に)足を運び食料調達も含め調査をする。キノコはあまり無かったな・・・。

 そろそろ時間だと思われるので、魔理沙はすぐに戻ることに。 兵士が、こんな朝早い時間に流星を見たとか可笑しなことを言っていたようだが、信じてはくれなかったようだ。

 

 

 「ほらルイズ朝だぜ いろいろあったのはわかるがそろそろご飯もくるだろうし起きようぜ?私が適当に食料調達してきたから食べさせてあげるぜ?」

 

 「んー・・・いや、いらない」

 

 「ガーンだな、出鼻を挫かれた」

 

 「なによそれ・・・まあいいわさぁ早く着せ・・・いや自分できるからいいわ」

 

 「おっそうかそうか、まあ髪くらは梳かしてやるから着替え終わったらそこ座ってくれ」

 

 

 着替え終わり座ったのを見計らい髪を梳かしていく。

 

 

 「ルイズの髪きれいだな、櫛がつまらなく梳かしやすいもんだ」

 

 「そう?それより魔理沙の髪綺麗よね けっこう雑な生活してそうなのにね」

 

 「うわ、そりゃないぜルイズ これでも髪と肌には気をつけてるんだぜ?」

 

 

 他愛も無い話も終わりご飯も食べ授業が始まるが、授業の最後で先生から全員に聞こえるように伝える。 夜中に合った出来事について知っている人は学院長室へ、とのこと。

 魔理沙たちはもちろん知っているので昨日のことはばれるがそれ以上の出来事なので素直に向かうことに。

 

 

 とりあえず生徒で集合したのは現場にいた4人だけで代表なのか先生は、オスマン、コルベール、シュヴルーズ、そして風を扱うギトーという先生の合計4人集まっている。

 詳細をルイズのほうから話し先生方は集中して聞いているようだ。

 話し終えると罪の擦り付け合いなのかギトーはその日の当直をサボったシュヴルーズを責め立てている。 生徒がいる目の前でこういう事をする大人は碌な人じゃない、と魔理沙は思う。

 

 とここでオスマンからこれを奪ったのは土くれのフーケという盗賊の仕業だということをルイズたちに伝える。

 

 

 「そいつが私の守護の札を・・・」

 

 「??、魔理沙大丈夫?」

 

 

 はは、なんでもないぜ とルイズに笑みを見せ再度話しを聞くことに。 ちょうどいいタイミングだと言わんばかりに緑の長髪にメガネをした秘書、ロングビルが急いだ様子で到着する。

 ここで魔理沙は何か気がついたのか首をかしげている。

 

 

 「遅れました・・・土くれのフーケについて周辺で聞き込みをし終了しましたので報告に来ました。」

 

 「おお!これはさすがミス・ロングビルじゃの、じゃ早速良いかね?」

 

 「はい、農民へ聞き込み調査をしたところ顔は見えなかったがフードをした者が急いで先にある小屋へ入るのを見かけたそうです、その農民に分かる範囲で人物像を描いてもらいました」

 

 

 その描いた紙にはルイズたちが見た月明かりで見えた人物と同じであった。

 ルイズはすぐに返事をし、間違いない と答える。

 

 

 「では学院長、今すぐに王室へ要請し派遣してもらいましょう」

 

 「コルベール君、その行動がどのくらいかかると思うのじゃ、その間にさらに遠くへ行かれてしまうじゃろう? だからここでフーケ捕獲の任務を言い渡す!杖を掲げその勇士を見せるのじゃ!」

 

 

 オスマンはそうはっきりと言うが先生は全員左右どちらかを見ておりオスマンと視線を合わせないようにしている。

 その様子にオスマンは困惑しておりルイズもこんなにも逃げ腰の先生を見ていられず自ら杖を取り出し高く掲げる。

 魔理沙もルイズの勇気を賞賛しつつ杖は無いので箒を少し上げて参加の表明をする。 それにつられキュルケ、タバサも杖を掲げる。

 

 

 「え?タバサあなた・・・どうして」

 

 「心配・・・私がついていないと」

 

 「タバサ・・・ありがとう」

 

 

 この行動にオスマンは満面の笑みを見せ、君たちならそうしてくれると思っておったよ とロングビルに指示を出し準備を整えるよう伝える。

 ここで異を唱えるのはギトー、相手は大盗賊のフーケ、こんな子どもたちを向かわせるのは危険だ ともっともな意見を言う。

 が逆に、君が行けばよいのでは?とオスマンに一言いわれモゴモゴいいながら一歩後ろへ下がりそれっきり何も言わなくなる。

 

 

 「本来であればわしが行くのが普通だろうがわしがここを守らねばならぬ・・・しかし大丈夫だとわしは確信しておる。なんたってこの子達は君たちには無い才能も勇気もある」

 

 

 そう言い続けて説得するように力強い言葉ではっきり伝える。

 

 

 「おぬしらは知らないだろう、ミス・タバサはこの年でシュヴァリエの称号を持つのじゃぞ?、さらにミス・ツェルプストーはゲルマエニアの優秀な軍の家系で見たことはあるだろうか?火の扱いならこの年で右に出るものはおるまい。そしてー・・・ミス・ヴァリエールはー・・・優秀な魔法使いを輩出した家系であり将来優秀な魔法使いになるであろう!しかもその使い魔は、みな見てたじゃろう?あの巧みに操る魔法を、強力かつ美しい魔法を!使い魔はその主人を象徴する物だ、期待せずはおれないじゃろう?」

 

 「気のせいかしら・・・私だけのけ者にされたような気分だわ」

 

 「気のせいだろルイズ、そう思うならこのチャンスを物にしようぜ!」

 

 

 魔理沙の鼓舞が効いたのかさっきまでの下がったテンションでは無くなった。

 オスマンが ではすまぬがよろしく頼む と言うと3人は杖を斜めに掲げ 杖に懸けて! と言う。

 遅れて魔理沙も、箒と八卦炉に懸けて! と。

 満足そうな顔をしオスマンはこの場を解散する。

 

............

 




ロングビルってアニメ内で髪の色変わってるような・・・気のせいか


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第十話 土くれのフーケと守護の札

 オスマンは話し合いが終わったため一足先に、学院長専用席へ移動する。が魔理沙だけがその場に立ち続け待機している。

 ルイズたちは魔理沙の行動に疑問があったが魔理沙自身が 先に行ってくれ と真剣な目線で言うため不満もあるが、ルイズたちは先に行くことに。

 オスマンも気がついたのかこの行動に疑問を感じ振り向き対応する。

 

 

 「じいさん、すまんね 聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

 「人払いもして質問とな?・・・よほど大事とみえるのう、わしに答えられるものであれば聞くがよい」

 

 「あぁ助かるよ 早速だけど、魔力って人によって違いがあるのか?例えばコルベール先生は火だっただろ?キュルケも火だ、これはまったく中身は同じなのか?」

 

 「なるほどなるほど、もちろん違う。人によって様々じゃ、魔力の質は血がつながっていても微妙に違うものだといわれておるの、それがどうしたというのじゃ?」

 

 「んー・・・いや気のせいかもしれないけどもしかしたらフーケと教師の誰かが同じ感じがしてね」

 

 「なんと・・?魔理沙、おぬしはそういう方面にも精通しているのかの?これはかなりすごいことじゃぞ・・・いや今はそれどころじゃなかったの」

 

 

 ゴホンと一咳し、雰囲気を入れ替え改めてその人物が誰だかを聞くことに。

 

 

 「して名前はわかるじゃろうか?そのフーケと同じように感じる魔力の者を」

 

 「ロングビルって名前のやつな さっきそこにいただろ? 誰でも魔力は洩れるものだから分かったよ」

 

 「なんと!まさか・・・いや・・ううむ・・・わかった、魔理沙の言葉を信じよう。だとすると危険じゃのう・・・よしならばこちらからコルベールを派遣しよう」

 

 「あの人が?大丈夫なのか?その・・・言いにくいけど戦力になるとは。」

 

 「戦力的に見ると学院の中では3本指の中に入るぐらいじゃ、心配するでない・・それと宝物の件も解決したい。じゃから泳がせようと思う 良いな?」

 

 

 魔理沙は頷くと、少し遅らせて向かわせるようにするからコルベールの説得は任せなさい。 とオスマンが言うと魔理沙は、まぁこんなものかと思い改めてフーケ捕獲のためルイズたちと合流することに。

 

 

 

 そして今は馬車で移動中。最初はやる気のあった生徒たちだったが数十分もすると同じ光景で飽きてしまったのか寝ていたり本を読んでいたりと自由気ままに時間をつぶしているが魔理沙にいたっては馬車すら初めてなので割とテンションが高めである。

 魔理沙はルイズにあれやこれや嬉しさを共感してほしいのか話しかけている。

 

 

 「馬車って飛ぶのと違って地を走る訳だから楽しいもんだなあ、なぁルイズもそう思うだろ?」

 

 「むしろ私は、馬を扱うほうが圧倒的に多いんだけどね・・・」

 

 「住むとこが違うと変わってくるもんだな!」

 

 

 はははっ と笑う魔理沙であったが次に、フーケかもしれないロングビルへと探りを入れるため、ルイズとの会話を中断し後ろから声をかける

 

 

 「なぁー先生はなんの属性使うんだ?」

 

 「私は土の属性を扱うわ、あなたは何を扱うのかしら?」

 

 「私?ーん…、光…?星かな?まぁそんなことより盗まれた宝ってどんなものなんだ?」

 

 「・・・紙に文字が書いてあるだけの物ですがオスマン学院長を助けた人から譲ってもらったらしいです」

 

 

 へぇ・・・とそれについて興味はあるほかの話題に移ることに。

 ロングビルの出身など聞こうとしたが躊躇われルイズに後頭部を殴られ襟付近を引っ張られ元の位置へ戻されてしまう。

 魔理沙はルイズのこの行動に不満があるのか、ぶすっとした顔をするが渋々従うことに。

 

 ロングビルからもう少しで着きます と言われボーっとしていたルイズたちは、気を引き締める。

 

 

 「これ以上ばれる危険性があります。ので降りて徒歩で行動しましょう」

 

 「えぇえ!?歩く・・むぐっ」

 

 「ルイズ、うるさい。おだまり」

 

 

 ルイズのわがままが炸裂しそうになったがキュルケの迅速な対応でなんとかなったがそれでも不満そうである。

 少し進むと古びた小屋のようなものがそこにはあり人が住んでいないほどに寂れているようだ。

 草で隠れられ目視できる位置まで移動するとそこで作戦を考えることに。

 

 

 「先生、なにか言い案ありますか?」

 

 「そうですね、とりあえず誰かに偵察してもらう、というのはどうでしょう?」

 

 

 他も同意したのか声には出さず頷いておりさらにロングビルは、腕の立つ魔理沙に行かせるのはどうか という提案を出し他の者は文句が無いのか魔理沙を見ているが、魔理沙自身は乗り気ではないようだ。

 何故なら、フーケかもしれない者から目を離すことになるからである。しかしここで拒否すると標的から疑心暗鬼にさせてしまうと考え仕方なく了承することに。

 

 しかしここでひとつ保険としてタバサだけに伝えることに。

 こうなると考え、事前に紙に状況と指示の紙を書いておいたためタバサへ渡す。

 

 

 「タバサ、これを・・・そっちは任せたぜ」

 

 「・・・?・・・わかった」

 

 

 そして魔理沙は古びた小屋へ向かいそれを見計ったようにロングビルは偵察のためルイズたちに一言伝えその場から離れる。

 少し離れたタイミングでちょうどコルベールが到着。またこの予想外の援軍でルイズが驚きの声を上げそうになるがキュルケのすばやい行動で収まりタバサはコルベールに説明と指示を出す。

 

 

 「犯人だと思われる人はそっちへ行った。動いたタイミングで仕掛けてほしい。」

 

 「オスマン学院長の言葉を信じるがまさかあのミス・ロングビルが土くれのフーケだなんて・・」

 

 「え!?ミス・ロングビルがつ・・・むぐっ」

 

 「ルイズって本当に学ばないわねぇ・・・私は、頭がパンクしそうだけど考えないようにしたわ」

 

 

 とここで静かに進んでいた魔理沙が、古びた家前まで着き窓を目だけ出すように確認する。

 遠目から見ても暗く少しだけ天窓から注ぐ光があるだけだが何を思ったかすぐさま立ち上がりドアまで開けてしまう。いまだ隠れているルイズたちに魔理沙は、こっちへ来るよう手招きする。

 

 合流し内部へ入る魔理沙に危険じゃないかとルイズは言うが 魔力の気配が無いと言いそのまま進む。

 

 

 「ほんとうねぇ、埃っぽいし長居したくないわね・・・」

 

 「確かにそうね、ん?魔理沙これが宝とかいう紙切れ?何枚かあるようだけど」

 

 「おお!ちょっと見せてくれよ・・・これだ間違いないぜ!いやぁよかったよかった、とりあえずルイズ持っていてくれよ、私じゃあ無くしちゃいそうだし」

 

 

 机の上に適当に置かれたようにある守護の札をルイズが内ポケットへ丁寧にしまい外に出る。

 

 

 「そんなのが宝なんて変な話よねぇ 宝って行ったら良い書物とか武器とかそういうものなんじゃないの?」

 

 「確かにそうだな、あのじいさんの考えもあったんだろう。とりあえずそれ持って帰ろうぜ」

 

 

 全員が外へ出ると一部の木から火の手が上がっておりルイズは短く悲鳴を上げる。

 しかしその木は倒れており、他には延焼していない様子。 燃えていなくともなぎ倒されている木も多数ありそこで誰かが戦闘している様子でそちらに目をやるとコルベールとロングビルが戦闘をしていた。

 

 しかし火と土では相性が悪いのか苦戦している様子で一瞬の隙を付かれてしまう。その隙を見逃すわけも無く、土くれフーケによって生成した土の手により足を拘束される。

 

 

 「アースハンドか、しまったっ・・発火!」

 

 

 土くれのフーケが行った呪文、アースハンドはドットノスペルで地面から手を生成し相手の足を拘束するだけの呪文であり、火でも簡単に焼き払うことが可能である。使い道は少ないが一瞬だけでも気を他に向けさせることができればフーケからすれば大成功である。

 フーケは下から上へ杖を一線させ素早くゴーレムを生成しその肩に乗る。

 

 

 「・・さてお前たちに聞きたいことあるんだよ その小屋の中で守護の札があったわね?それの使い方を教えてもらおうか、おっとコルベール先生も動かないでもらいたいね、生徒がどうなっても良いのかい?」

 

 「・・・くっ」

 

 「あ・・あんたフーケだったのね!ずっと騙してたなんて・・・許さないから!」

 

 「質問以外のことは黙ってもらおうか」

 

 

 口を噤むルイズと他の生徒だが魔理沙だけは口を噤まずタバサに目線を一瞬送るとタバサは分かったのか視線をフーケへ戻す。

 

 

 「なぁおばさん、私たちにだってこれの使い方知らないんだぜ?というか生徒が知るわけも無いじゃないか」

 

 「おば・・っ口の悪い使い魔だこと、すこしお仕置きが必要な用ね?やりなゴーレム」

 

 

 ゴーレムが腕を大きく振り上げると、魔理沙へ向け振り落とす。が魔理沙は予想済みなのか後ろへ飛び後退する。つもりだったがルイズが魔理沙を守ろうと身を挺して盾になるため前に立ちはだかる。

 これには予想外の行動で魔理沙は、すぐさまルイズをタバサのほうへ向け投げ飛ばしタバサはすぐさまキュルケとルイズを乗せシルフィードで上空まで後退する。

 

 

 「だめ魔理沙!にげて!!」

 

 「こ・・こらルイズ暴れないの!落ちちゃうでしょ!」

 

 「だめ魔理沙が魔理沙が!」

 

 

 コルベールがすぐに魔理沙の下へ向かおうとするがどうやっても振り下ろす速度には追いつけず思わず舌打ちをしてしまう。

 そのままゴーレムの一撃が魔理沙を襲い土煙が舞う。

 ルイズもキュルケも視線をはずし目をつぶってしまう・・・、しかしコルベールは驚いた様子で土煙の中を見る。

 上にいたタバサも声には出さないが目を見開き驚いている様子でそれにキュルケが気がつきルイズも続いてその様子をみる。

 

 

 「・・・ふぃー・・・やっぱこういうやつだったか・・・懐かしい感じがしたと思ったんだが名前と良い予想通りってか・・・嬉しいような複雑な気分だな・・・」

 

 

 

 薄い膜のようなものが小さいが一定範囲に出現しこれはまるで“結界”のようである。

 魔理沙が生きているということだけが嬉しく思わず涙を流しそうになるルイズだが、戦闘は終わったわけではないのでフーケをきつく睨む。

 

 

 「・・!?、守護の札か!、まさか自動発動だなんてね・・・やっかいね」

 

 「・・こんなところで過去の事を躊躇しているわけにはいかない!いけ!蛇よ、ゴーレムを溶かせ!」

 

 

 コルベールがチャンスと思い杖から巨大な炎の蛇のようなものを出しゴーレムへ絡みつかせる。

 焦げる臭いとともに炎の蛇が触れている部分が溶けたりぼろぼろと崩れていく。

 

 

 「な・・なぜ再生しない・・!?きゃっ・・」

 

 「再生できないくらいまで焼き溶かしたからだよ」

 

 

 肩からバランスを崩したフーケは何とか着地するが、背後にいた八卦炉を構えた魔理沙に動きを制限されてしまう。

 フーケはこの時点で、潔く負けと判断し抵抗せずコルベールにより拘束される。と同時に空にいた三人も寄ってくる。

 

 

 「馬鹿!魔理沙の馬鹿!どうしてあんな無理するのよ!」

 

 「え・・?あれ?私が悪いってことになってる?」

 

 「それより魔理沙、どうしてゴーレムの攻撃防げたの?」

 

 

 キュルケが、全員が思っている疑問を口にしたためルイズも魔理沙を見て答えを待つ。

 あぁあれか と魔理沙は言うと手に持っていた灰のようなものを見せてくる。

 

 

 「これ守護の札だよ、使ったから灰になったけどな」

 

 「え!?でも魔理沙使い方知らないって言ってなかった!?」

 

 「そりゃ分からないさ でもこれは持ち主が危険に晒された時に自動で発動してくれるもののようだな」

 

 「あれ?魔理沙って全部ルイズに渡したんじゃないの??」

 

 

 とキュルケの言葉にルイズは、自身の内ポケットを探す。とそこには受け取ったときの数どおりの守護の札がありルイズは困惑する。

 どうして と思い魔理沙を見るが、笑顔のままだ。そこで察したのかルイズは、あの時か! と声を上げる。

 魔理沙に一度だけ手渡した小屋での出来事のときしか考えられない。

 暗かった為、盗んだ行動が分からなかったようだ。

 これにルイズが文句を言おうとしたが、ゴーレムの一撃を助けてくれたものだから唸るだけで何も言えなかった。

 .............

 



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第十一話 オスマンを救助した者

 無事フーケを捕らえることに成功した後、馬車の中で先ほどの戦闘でコルベールの実力の高さの話で賑やかになっている。

 ルイズたちは、コルベールの行動や冴えなさそうな姿を見ているとギャップがあり笑いもこみ上げてくるようだ。

 

 

 「コルベール先生って意外と強かったのね!」

 

 「はぁ、意外とは余計です。私だってトライアングルメイジなんですからねこれくらい普通です!」

 

 「いい火をお使いになさるのね、コルベールせんせっ」

 

 「!?・・は、はは・・・ありがとう」

 

 「うぇ・・・キュルケそれはないわ・・・」

 

 

 流石にこれには魔理沙も引いている様子。顔が引きつっているのが何よりの証拠で、頬に手を当てて元に戻そうとしているが、どうやっても顔を元の状態に戻すことができない。

 フーケは、こんな状況なのにどうしてそんな余裕ができるのかが全く理解できなかった。逃げたらどうするのかを考えないのだろうかと。

 コルベールを信用しているのか。はたまたこの娘の使い魔、霧雨魔理沙をここにいる全員が信用してるのか。

 

 今思えば最初からばれていたのかもしれない。私たちが出て行った後に変態じじいとこの小娘2人っきりで何かを話していたようだが。そして予想外の人物、コルベールが後から現れた。

 この霧雨魔理沙は、ディテクトマジック以上の探知魔法を知っているのか?。

 とここで魔理沙は、視線を感じその方向を見ると土くれのフーケがこちらを見ている。フーケを見ながら首をかしげると短い沈黙の後、フーケは、意を決したのか口を開く。

 

 

 「霧雨魔理沙って言ったね、いつから私がフーケだと思ってたのさ」

 

 「いつから、か・・・違和感を感じたのは、守護の札を盗みに来たあの時な?それ以前に一度だけあんたのことを学院内でみたことあるからさ」

 

 「一度目から・・・そういえば訓練してたのはここにいる奴らだったな。お前は、よほど精度のいいディテクトマジックを覚えているようだね」

 

 「ディテクトマジック?あぁ魔力探知するやつか、そんなの使ってないけどな」

 

 

 なに?、と目を見開きこちらを見るフーケだが魔理沙にとっては別におかしいことでもないと疑問に思う。

 どういうことだ、と質問しようとしたが学院に到着してしまった為、フーケの疑問は晴れる事は無くなってしまった。

 すでにオスマンは、王室へ連絡していたためすでに軍の関係者が数十人待機していた。人数が多いようにも思われるが、相手が大盗賊の土くれのフーケであるため仕方のないことなのだろう。

 

 

 「(あぁ、これで終わりなのね。あの子にはもう会う事さえ)」

 

 

 連行されるフーケの横顔をみた魔理沙は、捕らえられた悔しさではない何か別の悲しみを抱えているようにも思えた。が深くは考えずルイズたちと喜びを分かち合った。

 受け渡しの後、今回の捕獲任務に携わっていたコルベール、ルイズ、キュルケ、タバサ、魔理沙の5人は学院長室でオスマンから感謝の言葉を貰っていた。

 ルイズから守護の札を受け取った後、それを大切そうに眺める。一回頷くと、座っていた席から立ち上がる。

 

 

 「良くやった、本当に良くやった皆のもの!心の底から感謝しておる。コルベール君、今回は無理を承知で行かせてすまぬ」

 

 「いえ、生徒の為ですから気にしないでください」

 

 「うむ、さて今回大盗賊のフーケを捕らえたことにより宮廷は高く評価しているようじゃ。おぬしら三人には、王室からなんらかの褒章があるはずじゃよ」

 

 「ほ、ほんとですか!オスマン学院長!?やったわぁ!」

 

 

 喜ぶキュルケに満足げにうむうむと頷くオスマン。一方ルイズはそれよりと言った様子で、コルベール先生と魔理沙には?と疑問を口にする。オスマンは難しい顔をし言いにくそうだが仕方なく言うことに。

 

 

 「それなんじゃがコルベール君は、訳あって辞退をしたのじゃ。そしてミス魔理沙は貴族ではない為、褒章は受け取れないのじゃ」

 

 「一番活躍したのは魔理沙なのに・・・」

 

 「んー・・褒章が何なのか分からないけど別に私に必要なものじゃないのは確かだ、ルイズ?そんな顔すんなって。褒章とやらより魔法書やきのこ尽くしの方がうれしいってもんだぜ」

 

 

 魔理沙らしいわ。とルイズの表情は晴れオスマンも一安心といったところでコルベールから、フーケ捕獲に成功した君たちを主席とした舞踏会が開かれるから準備してきなさい。と言われルイズたちは、一礼しその場を立ち去る。が魔理沙はどうしても気になることがあるようで舞踏会の時に合流することに。

 

 オスマンも、何となく察しているのかゆったりと椅子に座りこむ。と同時にコルベールもここに留まらせ会話に参加させる。

 

 

 「分かってると思うけどその守護の札についてだ。フーケのやつは、恩人に譲ってもらったとか話してたが実際どうなんだ?」

 

 「ロングビ・・フーケが言ったその事は間違いない。そうあれは30年前の話じゃ・・・」

 

 

 

 

 「わしがまだ若かりし頃、偶然ワイバーンという魔物と出会ってしまったのじゃ。かなり凶暴な性格の魔物での、その時のワイバーンはお腹を空かせていたのか見るもの全てを食い散らかしているようじゃった。

 無謀にもわしは、そのワイバーンと戦おうとしたが一瞬でわしの杖は弾かれ死を待つ以外には残されておらんかったよ」

 

 

 魔理沙もコルベールも、言葉を聞き逃さないように集中して聞いているようで次の言葉を待っている。その様子に頷き話を進める。

 

 

 「その時に助けてくれたのがこの守護の札を譲ってくれた女性じゃ、この雰囲気で言うのはあれじゃが、露出の多い服での。脇が出ていたのが印象的じゃったな、服の色は、赤と白で統一されていて不思議と違和感は感じなかったの。」

 

 

 コルベールはまた下ネタ関連の話か、と思うが魔理沙にいたっては、呼吸困難になるような錯覚に襲われる。息がうまくできなく頭の中が混乱するのが分かる。

 オスマンが心配そうに見るが、魔理沙から気にせず続けてくれと催促され話を続ける。

 

 

 「・・うむ、その時本当に衝撃的じゃった・・・。恩人であるその者は杖を持っておらず“素手”でワイバーンを圧倒していたのじゃ」

 

 「馬鹿な!?そんなありえない!?」

 

 「わしも信じられなかった、だがわしは目の前で見ていたのじゃ。手が血だらけになりながらもワイバーンを圧倒していたあの力を」

 

 

 コルベールには、俄かに信じられない話で戯言かと感じてしまっていた。魔理沙は、森近霖之助から失踪した博麗の巫女についてそんな話を聞いたことがあった為、コルベールほどには驚いていない様子。

 

 

 「撃退した後、その女性から話を聞こうかと思ったのじゃが何か話した後、守護の札を渡してきての。言葉が違うのかちゃんとは聞き取れたか自信はないのう」

 

 「それで何と・・?」

 

 「9代目はきゅれいのみこの一人。と言っていたの、その後は気を失ってしまって気がついたら学院じゃったわい」

 

 「やっぱり・・・か」

 

 

 コルベールは、興奮した様子で続きの話を催促している。一方魔理沙は、腕組をして複雑な表情をしている。その様子を見たオスマンは、魔理沙に様子がおかしい理由を尋ねる事に。

 

 

 「ミス魔理沙、さっきから如何したと言うのだ?」

 

 「うん・・・いや2人には話しておこう。じいさんの話を聞いて確信したんだ、その赤白の巫女は私がいた所の住人だよ。じいさんの発音おかしかったけど正確には“博麗の巫女”な」

 

 「博麗の巫女か、間違いの指摘助かるぞ。して知り合いなのかの?」

 

 「私の親友に博麗の巫女がいるが、それの先代ってところじゃないかな」

 

 

 確か10代目だった気がするしな霊夢は、と言葉を続ける。コルベールは、続きが気になる子供のように目を光らせ、オスマンに催促の目線を向ける。

 コルベールに対しため息を吐くとオスマンは、時計を見てそろそろ始まる為魔理沙の気になる部分だけ質問に答えることに。

 

 

 「そろそろパーティーが始まる時間じゃ、ミス魔理沙が気になることだけ答えたら君たちはもう行くのじゃ」

 

 「もうそんな時間か・・んじゃあじいさんに悪いし1つの質問と2つ提案、というかお願いをな。質問は、その人の行方だ」

 

 「・・・すまぬ、わしにも分からないのじゃ。学院で目が覚めたときには、もういなかったわい・・・」

 

 「折角帰れるきっかけができたと思ったのにな・・・しょうがない自力でがんばるしかないか。・・んでお願いの方だけど、この事ルイズには私の方から話すからさ。あとその守護の札を譲ってくれないか?もしかしたら手がかりがあるかもしれないんだし」

 

 「うむどちらも了承した。ただ守護の札に関しては全ては譲れんぞ?3枚のうち1枚でならの。コルベール君、お主もミス魔理沙の帰るきっかけとやらを、探すのを手伝ってやりなさい」

 

 

 コルベールは、魔理沙に恩を感じているようで素直に頷いている。魔理沙も暗い顔から一変、笑顔になり札を受け取る。

 オスマンが、手を2回ほど叩きパーティー会場へ行くよう催促する。2人が出た後オスマンは、幻想郷・・・どんなところなのかのう、と呟いているのだった

 

・・・

 

 

 そしてパーティーが始まり魔理沙も間に合ったが、正直なとこ場の空気が合わない。居心地が悪くすぐにバルコニーへ出てしまった。

 服だってここいらの正装なわけでもないし、食事も正直に言うと濃すぎる。もう少し薄味でお願いとマルトーにお願いしてみようか?

 中をチラリと見ると、キュルケは男に囲まれ満更でなく楽しんでいる様子。タバサは食事に夢中のようで、周りからの目線を気にしていないようだ。

 

 

 「はぁ、なーんか食べる気もしないしあの中に混じる気もない・・・じいさんからあんな話されちゃあな」

 

 

 バルコニーで黄昏ている魔理沙は、夜空に手をむけ大気中に存在する星成分を集める。それをばら撒くように手を軽く振ると、光の粒子が分散してやがては消えていく。

 室内では一瞬静かになったと思いきやざわめきが大きくなっていた。が魔理沙にはそんなこと関係ないとでも言うように、星成分を集めては離している。

 

 

 「しかしこの国、いやこの世界は私のいた所と本当に違うようだな・・・月も2つだし星成分も違うし、興味は尽きないがどこから手をつけるかだな」

 

 

 空中に光の粒子を集め指揮者のように手を振ると、踊っているかのように動く。ふと近くに住んでいたアリスの人形の動かし方を思い出し、真似てみるが中々上手くいかない。

 センス無いなぁ、と思っていると室内とバルコニーを繋ぐドアが開かれそちらを見る。するといつもとは全く印象が違うルイズが立っていた。

 

 

 「お、おおルイズか?見違えるほど綺麗だぜ?」

 

 「ふふん当たり前でしょ?それよりなに黄昏てるのよ。魔理沙には似合わないわ」

 

 「へへ、色々思うことがあったって事だよ。私は中に入る気はないから楽しんできな」

 

 「そういえば初めて食堂来た時も嫌そうにしてたわね・・・ったくいいわ、私もここにいるから」

 

 

 ん、そっか。と夜空を2人して見つめているとルイズが、申し訳なさそうな顔をしながら言葉を続けていく。

 

 

 「ねぇ?魔理沙、さっきオスマン学院長との話ちょっとだけ聞こえちゃったの。ごめんね聞くつもりは無かったんだけどその・・・」

 

 「そっか、どこまで聞いたか分からないけど私の住んでいた所の人がこっちにも来たらしいからもしかすると帰る手がかりがあるかなー・・・なんてな」

 

 「やっぱり帰りたいんだよね、そりゃあ頭では理解してるつもりだったわ。けど私こういう性格じゃな─」

 

 

 泣きそうになっているルイズの言葉を遮り、頭に手を当てて撫でつつ魔理沙は笑顔で話しかける。

 

 

 「ま、今考えても仕方ないからな。私はルイズがそんな顔するのは好きじゃないからな、これでこの話はお終い!ちゃんちゃんだぜ」

 

 「・・・っ。そうね、魔理沙にはこれからも私のワガママに付き合ってもらうんだから!」

 

 「えぇワガママに付き合うのは勘弁だぜ」

 

 

 今の流れでそれいうの!?、とルイズが噛み付いてくるが魔理沙は、笑顔のままバルコニーの柵へ寄りかかったままルイズと戯れるのであった。

............

 




1章終了

誤字訂正ありがとうございます


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第二章 浮遊大陸アルビオン王国
第一話 伝説の剣、インテリジェンスソード


 舞踏会も終わり数日が経過した。

 魔理沙にとっては明日もいつも通り、授業に参加して勉強するのだとおもっていた。が夜にルイズから、明日は虚無の休日だから買い物行くから早めに起こして と言った後すぐにルイズは寝てしまい事情がわからずその日は終わるのだった。

 

 

 そして虚無の休日の朝。

 いつも通り魔理沙は朝早く起き昨日の伝言を思い出しルイズを起こす。なお今の時間は5時ごろである。

 

 

 「ほらルイズ起きろってあーさーだぞー!」

 

 「・・・?んぁ?まだ5時じゃない・・・」

 

 「ルイズが早く起こせっていったんだろ?さぁ出かける支度しようぜ」

 

 「・・・はい?あんた馬鹿なの?こんな時間にお店が開いてるわけないでしょ・・・9時か10時くらいに起こしてー・・・」

 

 

 多分無意識だったのだろうこの会話は、魔理沙のため息だけが残るのであった。

 ・・・

 

 そして魔理沙は待ちきれないのか9時になった途端、ルイズを起こす為肩を揺らす。

 

 

 「9時だルイズ!あーたーらしいあーさがきた!希望のあさー!」

 

 「うぅん・・・へんな歌・・・すぅ・・・」

 

 「こうなったら・・・窓全開!空気の入れ替え良し!服の準備よし布団剥ぎ取り開始!」

 

 「ちょ・・ま、分かったから起きたから!・・・!もう起きたっつってんでしょ!」

 

 「おぉう!?、ふふっ、ルイズ面白いな」

 

 

 はぁ、とため息をしつつ着替えるルイズだが、魔理沙はそわそわ落ち着かない様子でそこらへんをグルグル歩き回っている。

 やっとこの学院以外の場所へいけるのだから楽しみで仕方ないだろう。

 軽く朝食も済ませ馬小屋まで来たは良いが、魔理沙は馬なんて乗ったことない。その為、移動は飛べばいいと結論付ける。ルイズもまあ良いかと思い、手馴れた動きで馬に乗り、魔理沙をチラリと見るとすぐに出発する。

 魔理沙は、左右後ろから馬という生物を観察しては頷いている。

 

 ルイズの隣の部屋であるキュルケは、ルイズが出発するタイミングで外を眺めておりその様子を見ていた。これは何かあると思いすぐさまタバサに助けを請う為、無理やり部屋に突入する。

 タバサは、嫌そうな表情をするがすぐに本に視線を戻す。

 

 

 「あのルイズが魔理沙とどっか出かけたのよ!タバサも気になるでしょー!?」

 

 「別に」

 

 「あーんもう、お願い!タバサの力が今必要なの!手を貸して追いかけてほしいの!」

 

 

 本を閉じると仕方ない、と思わせるような頷きをするとキュルケは、タバサの両手をつかみブンブン振って喜んでいる。

 シルフィードを呼ぶ為、口笛を吹くとすぐにシルフィードが到着する。すぐさまその背に乗り、急いで2人を追う2人と使い魔であった・・。

 

 そしてルイズたちだが、片道3時間の道のりは思った以上に遠い。しかも直接行くわけでなく途中途中道草食ってルイズをイライラさせていた。

 

 

 「ねぇもう11時になるんだけど」

 

 「おっとまじか、じゃあキノコ取りはこの辺でやめとくか!」

 

 

 ため息を吐くルイズだが、これもいつものことなので許容範囲内である。慣れとは恐ろしいモノだとルイズは思う。

 とここで城下町方面から見覚えのある顔ぶれが。追いかけていたはずのキュルケとタバサである。事情を聞くと、追いかけていたらしい。がいつの間にか追い越していたらしく結果2度手間になった訳である。

 

 

 「ったくキュルケ?タバサをそういう風に扱うのは関心しないわよ?」

 

 「うっ・・・ルイズがそんな鋭い言葉使うなんて。や・・やるわね」

 

 「ほれさっさと行かないと到着が遅れるぜ?」

 

 

 魔理沙以外は、一斉にため息を吐いて 誰のせいだ と思わせてしまうのであった。

 そして到着したはいいが誰かのせいで、1時間遅れとなった。昼食もこの際どうでもいいといわんばかりに適当な店に入っていく。

 

 

 「適当に入ったは良いけど美味しそうなのは無いわね」

 

 「んだよルイズは文句ばっかだなー、ルイズの分まで食べてやるぜ!いただきます!」

 

 「勝手なことしないで!私の肉がっ!」

 

 「なんかルイズの性格が変わりつつあるような・・?」

 

 「・・・気のせいじゃないと、思う」

 

 

 とりあえずはお腹も膨れ次に向かうのは、何故か武器屋だ。なぜ武器屋かというと移動中の会話にそれはあった。

 

 

 「なぁ買い物行くのは良いけどどこいくんだ?もしかして魔法書でも買ってくれるのか?」

 

 「まぁ魔理沙にはそれもいいけど、あんまりお金ないのよねえ」

 

 「おいおい・・・買い物行くのにお金ないってどういうことなんだ・・・」

 

 

 うるさいわね! と反発してくるが正論のため言葉に詰まっている。一度咳払いをし話を続ける。

 

 

 「・・んでどうして買い物行くかっていうと前にフーケの事件あったじゃない?接近戦になって思ったの」

 

 「もしかして剣とかそういうの持たせる気か?私は普通の魔法使いだぜ、魔法使いが剣なんて持たないだろー」

 

 「もし魔理沙の魔力がなくなっちゃったり魔法だけじゃ対処できないとき困るでしょ!?あ、あと使い魔なんだから主人守る手段は多いほうが良いでしょ!?」

 

 「えーでもよ・・・、いやまあそれもありか(確かに思考を変えて物事を考えるのもいいかもな、常識に囚われてはいけない・・・だな)」

 

 

 分かったよ、でも私が選ぶからな と言うとルイズは、笑顔になり頷いている。これが武器屋に行く理由である。

 そしてルイズが知っている店に行くというので付いていってる。まっすぐ進んでいたが途中で、路地裏に入りすぐのところに武器屋がありルイズを先頭に進む。

 

 

 「ん?客・・きっ貴族様!このようなところに何か御用でしょうか?」

 

 「武器を買いに来たのよ、良いのを紹介しなさい」

 

 「へ・・へぇ・・・で、ですがねお嬢様方に剣は難しいのではないでしょうか・・・?」

 

 「私じゃないわ こっちよ」

 

 

 指差されたほうを見ると、年も同じくらいの白黒服の女の子がいる。武器店員は どちらにしろ変わらんやんけ と内心思う。ばれない様にため息を吐くと店の奥に入っていく。すぐに出てきて一本の細い剣、レイピアを手渡して来る。

 

 

 「どう魔理沙?振りやすそうじゃない」

 

 「えぇ・・・かっこ悪くないか?てかこれ突くだけじゃないか、これでルイズを守れってほうが無理だぜ」

 

 「むむむ、確かに。次出しなさい!これはいらないわ!」

 

 

 舌打ちしたそうな店員だが相手は客、しかも貴族のため丁重に扱わなければいけない為笑顔のまま店裏へ。

 

 

 「っくそ、素人の貴族め・・・そうだこれを高値で売ってやるか・・・」

 

 

 すぐさま裏から出て笑顔で次の剣を渡す。煌びやかで所々に宝石のようなものが埋まっている。ブロードソードのような形をしている。

 

 

 「おまたせしやした!この店一番の業物でさ!いかがでしょう?」

 

 「へぇなかなかいいじゃない、どう魔理沙?」

 

 「剣には詳しくないんだけどこれ眩し過ぎじゃね?」

 

 「文句ばっかね・・・キュルケとかタバサはどう?」

 

 「わたしはすごくいいと思うけどねぇ」

 

 「・・・切れ味悪そう」

 

 

 ルイズはこの半分に分かれた意見に頭を抱える。が結局は魔理沙が決めることだ。ルイズはどうする?と聞くと別の声が聞こえてきて周りを見渡す。しかしその声の主は見つからない。

 

 

 「どーこ見てんだい!ここだよがガキんちょども!」

 

 

 その声の主はまさかの剣。はばきの金具をカチカチ鳴らして喋っている様だ。店員は頭を抱え剣に怒鳴っている。

 

 

 「お客さんの邪魔すんじゃねえ!もう怒った、溶かして別の剣にしてもらおうか!」

 

 「おーおーやってみやがれ!もうここにゃ飽き飽きしてたんだよ!」

 

 「え?これってまさか。インテリジェンスソード!?」

 

 「へ、へぇそうでさぁ。売れないままずっとここにいるんですよ、今黙らせますから」

 

 

 とここで魔理沙は、インテリジェンスソードに近づき間近で見ている。ふむふむと言いながら手に持つと左手の紋章が光りインテリジェンスソードは驚く。

 

 

 「おでれぇた!嬢ちゃん使い手か!この中じゃあ俺が一番業物だぜ!さぁ買うしかないだろ!」

 

 「喋る剣なんて見たことないな。おもしろいなあ、ルイズこれほしい!使わなくても喋り相手にはなるな!」

 

 「ぼろぼろで錆びっ錆びじゃない・・・まぁいいわ、魔理沙がいいならいいけどさ・・・これ買うわ、いくらよ」

 

 「へ、へぇ、これを処分していただけるならありがたいでさぁ。100でいかがでしょう?」

 

 

 それを承諾し、剣と鞘を貰い背中に携え運ぶ。その後は適当に見回るだけで買うことはせず帰ることになった。

 帰路でも魔理沙とインテリジェンスソードは仲良く話していた。そのときに自己紹介もあり、デルフリンガーと言う名前らしい。

 

 

 「ほんと面白いな!つか6千年とかさすがに私の知り合いでもいないき・・・いやそれ以上の知り合いいるわ」

 

 「はっ冗談がうめぇな!」

 

 「あーでも自己申告だったからなあ、1億年くらいは生きてるとかいってたな永琳のやつー」

 

 「まじかよ人間じゃねえなそいつ」

 

 「不老不死の薬飲んだらしいからな。さすがに私はそこまでほしいとは思わないな、不老長寿とかそんなものでいいぜ」

 

 「そんな薬あるのかよ、この国は進んだもんだな」

 

 

 魔理沙とデルフが夢中で話す為、ルイズは寂しそうにそちらを見ていた。がキュルケが突っ掛かっている為、結局は暇でもなく寂しくもなくなっていた。そして夕食もおわりデルフがまた話しかけてくる。

 

 

 「おう相棒!ききてぇことあるんだがいいか?」

 

 「あぁ何でもは無理だけど答えられるものならいいぜ」

 

 「一応おれにゃ相棒の剣士としての腕前や今まで使った武器が多少わかるんだよ。んで一つだけ気になる武器があってな」

 

 「もしかしてミニ八卦炉のことか?」

 

 

 そう言うと帽子から六角形のマジックアイテム、ミニ八卦炉を取り出す。ルイズも気になるようで、近くの椅子に座り話に参加する。

 そうそれだ!とデルフが声を上げ話を続ける。

 

 

 「こりゃあすごいもんだぞ!?これほどのものは見たことねぇ」

 

 「へぇ、でもデルフ胡散臭いから信じられないわ」

 

 「いやいやルイズ、デルフの言うとおりだぜ?これは世界に2つとないレベルのマジックアイテムだよ」

 

 「この六角形の白黒が?この小さいので、なにができるのよ?あの巨大な光線みたいなの以外でね」

 

 「んーそうだな。これだけでも最大火力の時は、山を吹き飛ばせるらしい。逆に言えば調節次第で料理の時の火を出す事だってできるぜ?」

 

 

 凄いのか凄くないのか分からないわ。と呆れた顔をするルイズに肩を落とす魔理沙、そしてそれを見て笑うデルフリンガー。

 あ、そうだ! とルイズは声を上げあわてた様子で教科書などの準備をしている。魔理沙は急いでいるルイズに頭を傾げて急いでいる理由を聞く。

 

 

 「明日の授業、ギトーっていう先生なのよ。悪いうわさが絶えない人で評判悪いのよ。」

 

 「ふぅん・・・どんな授業するんだ?」

 

 「聞いただけだから実際は分からないわ。ただ風が一番上っていう持論を持っていてそれ以外を見下してるのよ」

 

 「なるほどな、それじゃあ良い印象持てないな・・それで何かあるといけないから前もって準備していると」

 

 「そういうことよ。いちいちゴタゴタに巻き込まれたくないし」

 

 「あぁそれがいいぜ。私の住んでた所で頭突きばっかりする先生いたなー。私はやられたことないけど」

 

 

 それはそれで嫌だわ。とボソッと呟くルイズだがそろそろ時間の為就寝することに。

 デルフにも一言伝え魔理沙も寝ることに。デルフがぼそりと 俺使ってくれるんだろうか と独り言を言っていたが無視してやった。

 

 

 「(私にはミニ八卦炉あるしデルフは幻想郷への土産だな・・・)」

...........




デルフってフーケ戦より前に手に入れるものでしたね・・

誤字修正ありがとうございます!


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第二話 使い魔お披露目会

 いつもの時間にルイズを起こし、髪を梳かし準備をさせる。そして昨日の買い物で手に入れた剣、デルフを背中に携え魔理沙は先に廊下へ出ることに。

 部屋から出て通路に出ると丁度キュルケと出会い挨拶する。そのまま背をドアに預け話し込む。

 

 

 「おっ、キュルケか。それとフレイムだったか?」

 

 「あら、魔理沙じゃない。ゼロのルイズはまだ寝てるのかしらぁ?」

 

 「もう来ると思うぜ? いてっ!?」

 

 

 と魔理沙が言った途端、魔理沙が後ろに転んでしまい頭を擦っている。魔理沙の背中から謝る声が聞こえ、そちらを見るとドアを開けたまま停止しているルイズがそこに居た。

 

 

 「わわっ魔理沙大丈夫?どうしてそんな所で突っ立ってんのよ、ってキュルケのせいか」

 

 「ちょっと!人のせいにしないでくれる?」

 

 「あんたがもっと遅く出ればこんなことにならなかったでしょ!」

 

 「いっつも喧嘩してるよなールイズとキュルケは」

 

 

 2人の様子を見て自分の場合を考える。

 霊夢はー・・まあ無いな。パチュリーは・・これも無い。アリスは、近いけどここまで酷くは無いな。

 

 

 「おぉ!これはあれだな。喧嘩するほど仲が良い ってやつだな!」

 

 「「そんなわけないじゃない!」」

 

 「おー。そんな漫才しててもいいけどな、授業はじまるんじゃね?」

 

 

 まずい!と思い2人とも魔理沙を置いて走っていってしまう。魔理沙は、別に急ぐことも無いので歩きながら今日の昼飯を考えるのであった。

 

 先に進んだ2人は、無事に時間通り到着し席に着く。そこでルイズは、魔理沙のことを思い出し頭を抱える。しかし授業の鐘と共にギトーが入って来た為、考えるのは後にし授業に望む。

 

 

 「一番最初の授業だ。自己紹介をしてやろう、私はギトー、二つ名を疾風。疾風のギトーと呼ぶが良い」

 

 

 そう言うとギトーは、一人ひとり生徒を見ると馬鹿にしたように鼻を鳴らす。何か気に入らないのか、ため息を吐くとキュルケに指を刺し話しかける。まさか自分が指されるとは思っていなかったが、平常心のまま対応する。

 

 

 「ミス・ツェルプストー、君に質問だ。最強の系統を答えなさい」

 

 「?、虚無じゃないですか?ミスタ・ギトー」

 

 「はぁ、伝説の話をしているわけじゃない。さぁもう一度チャンスをあげよう、答えなさい」

 

 「っ・・・。4系統の中であれば勿論火、ですわ」

 

 

 やれやれといった様子のギトーにキュルケはムッとするが、一応相手は先生なので素直に引き下がる。

 するとギトーは杖を取り出しキュルケに振り向き、にやついた顔を向ける。そのやり取りを、ルイズは見ていてふと魔理沙遅いな・・と思った途端、驚いた顔をする。どういう事かというと・・・

 

 ルイズに置いて行かれた魔理沙は、この広い学院の為盛大に迷っていた。こうなったら徒歩で進むより飛んで探すほうが楽と考え、外に出られる通路から外へ飛び出す。

 

 

「そいやあ陰湿な何とかっていう先生だったよな。ちょっと早めに探したほうがいいかな?お?あのピンク髪、ルイズだ」

 

 

 ここで普通に入ろうとはせず先生の斜め後ろにある窓から顔を出す。すると生徒のほとんどがこちらを見て驚いている様子。ルイズに至っては、開いた口がふさがらない様子。だが魔理沙はそんな気も知らずこちらを見る生徒に手を振っている。

 ギトーは、自分の演説に酔いしれているのか生徒の異変に気がつかない様子。するとギトーはキュルケに対し杖を向け、何かを喋っているようで魔理沙は、何を勘違いしたのか 危ない! と思い窓を勢い良く開けギトーに飛び掛る。

 

 

 「キュルケに何してんだ!」

 

 「おわっ何だね君はっ!?」

 

 

 飛び掛ると同時に魔理沙は、すぐにその場を離れキュルケに近づく。両肩に手を置いて心配してくれている様だがキュルケは、若干引いているようで周りの生徒はざわつき浮き足立っている様子。

 倒れこんだギトーは、何が起きたのか分からず近くに落ちている杖を拾い、周りを見る。と魔理沙を見つけもしやと思い声をかける。

 

 

 「おいそこのお前、今飛び掛ってきたのは君か」

 

 「ん?あぁそうだよ。キュルケになに杖向けてんだ!あぶないだろ!」

 

 「っ貴様!・・・ふぅ、何を言っているんだ?授業の一環を君は邪魔するのか?」

 

 「授業の一環・・?キュルケそれマジか?」

 

 「ん・・まぁ一応そう、ね(ありがと魔理沙っ)」

 

 

 やっちまった、と魔理沙はおでこに手を当て唸っている。一方ギトーは怒りに身を任せ魔法を使おうとしたが、先ほどキュルケにしようとしたことを魔理沙にしようと考え悪巧みを考える笑みになる。

 

 

 「そういえば君はミス・ヴァリエールの使い魔だったか?いいだろう君にも聞くとしよう」

 

 「はぁ?いきなりなんだ?」

 

 「使い魔くん、最強の系統を答えなさい」

 

 

 最強の系統ときいてちょっと考えるが、魔理沙の答えは決まっているようなものだ。何が系統か、私には関係ないとでも言いそうな雰囲気と共に強く発言する。

 

 

 「なーにが最強の系統だ!そんなもの火力次第で変わるじゃないか!火でも火力次第で水に勝てるんだぜ?」

 

 「ふん、これだから平民は何もわかっていない。ならば試してみたまえ、君の系統はしらないが得意な魔法を私に撃つといい。その言葉が間違いだということを証明してあげよう」

 

 「え?得意な魔法?いやいや止めとけって、気絶じゃあすまないかもしれないぞ?」

 

 「ミスタ・グラモンとの勝負に勝ったから、といって慢心しているのだろう。その試合は見ていないが、この場で思い知るが良い」

 

 

 あの試合を見ていた人からしたら、やらせてはいけない と分かっておりざわついている。ギトーの思惑とは違い、生徒の心配する声の対象は、まさかのギトー。 その様子に気がついたギトーは、イライラした様子で催促してくる。

 

 

 「なぜ私の心配をするのかは知らんが、早くしたまえ。時間がなくなるではないか」

 

 「駄目よ魔理沙っ」 「魔理沙だめっこれは命令よ!」 「教室が壊れる」

 

 「なんだよ3人して息のあったチームワークだな。まあ心配すんなってちょっとここが壊れるだけだから」

 

 

 もう知らない、とキュルケは言いタバサを連れ後方にいきルイズも追従する。それを見た生徒も逃げ惑うように後方へ移動する。

 ギトーは、生徒たちの行動に怒りを覚え魔理沙にさっさと行うよう目線で指示する。

 

 

 「服の一枚二枚、自分でなんとかしろよ?恋符、マスタースパーク!」

 

 

 ミニ八卦炉に魔力を込め、その魔力を八卦炉を通し一気に開放する。鈍く甲高い音と共に、巨大なビームをギトーの居た場所もろとも軽く飲み込む。後方にあった黒板、壁、窓ガラスは高濃度の魔力によって消えていく・・・。

 ふう、と魔理沙はひと息つき、八卦炉に流し込んでいた魔力を止めると光はすぐに消え四散する。

 

 

 「あ・・っ・・ま・・まりさっ!あんた馬鹿じゃないの!やりすぎよ!ああああアホ!」

 

 「んー・・・これでもかなーり威力抑えたんだぜ?ギーシュの時の半分以下だぜ」

 

 たはは、と後頭部に手を置く魔理沙とその言葉に、口をパクパクさせるだけで声が出ないルイズ。一方他の生徒はギトーの居た周辺をみると、机も椅子も無い。そして大きな穴がありそこから少し冷たい風が入ってくる。ギトーの姿もそこには無く、これには魔理沙もヤバイと思っているのか如何しようかルイズたちをみている。

 

 そこにへんな頭に装飾されたコルベールが走ってきたのか息を乱し、現状を把握しようと努力してる。

 生徒が頑張って笑いをこらえる中、近くにいたルイズがコルベールを見ないように、穴のほうをみながら説明する。コルベールは気難しい顔をし、穴の先を見る。すると・・・

 

 他の道具と共にギトーが木に引っかかっており、服が所々破れ気を失っている。この後に控えている事を考えると、現実逃避したいコルベール。がしかし、運が良いのかこの教室は正門のある方位とは真逆であるため、一応は安心である。

 

 

 「(やりすぎだとは思うがこれで頭を冷やして物事の考え方を改めてくれればいいですけど・・)」

 

 「そ・・それで先生は何しに?」

 

 「・・!はっそうでした!皆さん急ぎ正装をして正門へ移動してください」

 

 

 生徒はこの言葉に首をかしげ、ざわついている様子。コルベールは一喝し黙らせるとはっきりした口調で伝える。

 

 

 「今日は大変良い日となるでしょう。何故ならばこのトリステイン王国の王女様、アンリエッタ姫殿下が、このトリステイン魔法学院へご来訪なさるのですから。しかし、もう少しで到着されるようですので急ぎ仕度をし出迎えるのです」

 

 

 一瞬の静けさの後、その言葉を理解した生徒はわれ先と教室を飛び出し自室へ向かっていく。勿論ルイズたちも含まれ、魔理沙はまたもや置いていかれることに。グダグダ言われるのも嫌なので魔理沙は、コルベールにばれる前にさっさと穴から飛び降りルイズの部屋へ先に向かう事に。

 

 

・・・・

 

 

 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーーーりーーーっ」

 

 

 馬に角の生えたユニコーンという魔物に馬車を引かせており先へ進んでいく。生徒は口が開きっぱなしになっており早くその目にアンエリッタ姫殿下の姿を見たいようだ。

 キュルケは生徒と同じ方向を見ているが、タバサは興味ないのかばれない様に読書をしているようで魔理沙は 何時も通りだな と苦笑いする。がルイズを見てみると違う方向をみてそちらに意識が持っていかれているのか、一人だけの世界に入っているようだ。

 

 

 「?おいルイズどうしたんだ?何見てんだよ」

 

 「・・・・・」

 

 

 仕方なく同じ方向を見ると大きなグリフォンにのって静かに進んでいる灰色のひげを生やした男がまっすぐ前を見ている。

 魔理沙は ははーん と何かを感じニヤニヤしながらその人物を見る。

 

 

 「(・・・ルイズにゃ悪いけど私好みじゃないな)」

 

 

 そう考えていると行進が止まり一番装飾されていそうな馬車から姫殿下と思われる人物が姿を見せ所々から おぉ と声が漏れている。

 キュルケはその姿を見て ふうん と一言いうと続けて呟く。

 

 

 「私のほうが美人じゃないかしら、ねぇ魔理沙どう思う?」

 

 「え・・?あ・・ぁあどっちも美人だとおもう、ぜ?(キュルケはもう少し化粧を抑えればもっと良くなると思うんだけどな、こんなこと言えないな、はは・・)」

 

 

 

 アンリエッタは護衛と共にオスマンの前まで移動すると、話しかける。

 

 

 「急にきてしまい申し訳ありませんでした。ミスタ・オスマン」

 

 「いえ!いえ滅相もございません。生徒共々お待ちしておりました」

 

 「今回の使い魔お披露目会、楽しみにしていますわ」

 

 「生徒も力が入ることでしょう。楽しみにしていただければと思いますじゃ」

 

 

 その言葉に魔理沙は、首をかしげなんぞそれは・・と呟くとルイズは何かを思い出したかのように口元に手を置き固まっている。キュルケはまさかと思い恐る恐る聞くことに。

 

 

 「ルイズ、まさか・・とは思うけど忘れてたとかいわないわよね?」

 

 「え?そそそんなこと無いわ!も、ももういつでもかかって来なさいってかんじね!!」

 

 「ふうんあらそう。楽しみにしているわね?ゼロのル・イ・ズ?」

 

 「なぁ何なんだそのお披ろ、っ・・!?」

 

 「((後で説明するからだまってなさい!))」

 

 

 なぜ殴られたのかも分からずちょっとだけ気分が悪くなる魔理沙だった。

 

 

 そしてこの日の授業はすべて無くなりお披露目会の準備や練習の時間に割かれることになった。そこで魔理沙にも説明し急いで何をするかを考える。しかし魔理沙は、ニヤリと笑い簡単じゃないか、と言い耳打ちする。

 

 

 「えっ!でもほとんど私出番ないじゃない!」

 

 「まぁそうだけど他の生徒にはできないことだぜ?ルイズのあのときの練習を今みんなに見せ付けるときだぜ」

 

 「・・たしかにそうね、私ができることをするだけよ!恥かかさないでよね魔理沙っ!」

 

 「へへっ、一位とってやろうぜ」

..............



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第三話 使い魔お披露目会と極秘任務

 ついに今日、使い魔お披露目会本番となり、生徒全員が集まり騒いでいる。キュルケも自慢の使い魔、フレイムで1位を取るためいつもより熱く、燃えているようだ。タバサは何時も通り・・と思いきや珍しく、そわそわしながらシルフィードに話しかけている。

 そしてルイズも緊張しているようで若干震えている。武者震いというものだろうか?。これでは本番どうなるかわかったものじゃないと思い、少しだけ緊張を和らげようとルイズを弄る事に。

 

 

 「最初は任せたぜルイズ?」

 

 「え・・えぇ、まままかせてちょうだい」

 

 「グリフォンにのってたひげの人にいいとこ見せるんだろ?」

 

 「グリフォンに乗ってたひげ・・・!?なんであんたそれをっ」

 

 「声かけてもずーっとそっち見てるんだからなーこーれだから」

 

 

 

 ルイズは下を向きながら顔を赤くし唸っている。すると顔をあげ恥ずかしさを隠すように、腕を振り上げ暴力を振ってくる。しかし魔理沙は、子どもと戯れるような感じで簡単に避け続けており、くだらない事をしつつ時間だけが過ぎていく・・。

 そしてタバサとシルフィードは、空中で飛んでいたが頃合いなのか降りてくる。コルベールは、タバサの演技が終わったと思いアナウンスする。

 今までで一番拍手が送られており、アンリエッタも満足そうな顔をしている。そして最後の番であるルイズの出番が回ってきた。事前に魔理沙は学院の敷地外から様子を見ており、ルイズの合図でここから出るようだ。

 

 

 「では続きましてミス、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールっ!」

 

 「はぅ・・もうきちゃったのね。うううがんばれ私!」

 

 

 深呼吸しながら自分に暗示しているのか、先ほどまでの緊張感は無くなった。がしかし、舞台の中央まで来ると、緊張で声が出なくなってしまう。緊張のあまり気が遠くなったような、周りの景色が遠くなるような・・・するとアンリエッタがルイズと目線が合い、軽く小さくばれない様に手を振っている。これにルイズは多少動揺するが、元気が出てきたのか一礼し大きく息を吸い・・吐き、 よし! と心の中で言う。

 

 

 「紹介いたします!私の使い魔の名前は、霧雨魔理沙と言い・・・種族は・・っ、人間であり平民です!」

 

 

 最後の一言を言うと、理解ができないと言わんばかりに静けさが漂い、ルイズにとって辛いものになっていた。その後、魔理沙を知らない人からどよめきと共に、笑い声が上がり護衛の人からも笑われてしまっていた。しかしその平民とやらが何処にいるんだ?、と声が上がるとルイズは杖を上に上げ適当な呪文を唱え・・・空中で爆破させる。

 魔理沙はこれを合図に、スペルカードを発動させる。

 

 

 「形は大事にしないとな!誰も聞いていなくともな。スペルカード!彗星、ブレイジングスターァッ」

 

・・・

 

 

 ルイズは、魔理沙に合図を送り心配そうに上空を見ている。あまり詳細を話してもらえずあることをしてくれれば良い、とだけ言われ今に至る。しんとする場の空気だが、数人が異音に気がつく。それが幻聴ではなく、実際に聞こえてくる音だと全員が判断したときには、山側から巨大な光の塊が星を撒き散らしつつ速い速度で学園へ向かってくる。

 生徒は、浮き足立ち騒いでおり、護衛はアンリエッタの周りに素早く移動し警戒する。

 

 

 「流星・・・?、いやあれは、魔理沙・・よね?・・・・あっそうだ、私の仕事をしないと!力を抑えて・・・抑えて・・いまっ!」

 

 

 魔理沙の通った軌道上に残された星にルイズは杖を向け、適当に呪文を唱え小爆破させる。すると星が3つから4つに分裂し一瞬だけ強く光ると粒子化し見えなくなる。これはまるで、花火のようだ・・・。見る人全てが、騒いでいたのが馬鹿らしく思い、空を見続けている。全員が口を開け唖然としており、ルイズは誇らしく思え嬉しそうに頬を緩める。が最後まで気を抜かず星一つ一つ破壊していく。

 

 魔理沙は旋回しつつ、地上の様子をみているが、なんとなくこちらを見ていると言うのしか分からない。後ろを見ると、途中途中爆破され星が拡散している。魔理沙は、にやけ顔をしつつ後でルイズに、空の旅でもプレゼントしようかな?、と密かに思うのだった。

 

 そしてスペルカードの時間切れとなり、箒に跨った魔理沙がルイズの隣へ降りてくる。ルイズと目線を合わせお互い頷いている。小声でよくがんばったな、と言い締めをルイズに譲ることに。

 

 

 「こちらが私の使い魔、霧雨魔理沙です!これで私の、使い魔お披露目は終わりです!ありがとうございました!」

 

 

 唖然としていて誰も拍手しなかったが、アンエリッタが一番先に拍手をするとそれに釣られ大きく拍手喝采となり口笛まで聞こえてくる。

 ルイズは、頬を赤くしつつ満更でもないようで魔理沙と共に去りながら拍手に対し、手を振ることで返す。

 

 

 「・・・以上を持ちまして使い魔お披露目会を終わりにしたいと思います」

 

 

 順位が発表されると1位はタバサとシルフィード、だけでなくそこにルイズと魔理沙もなんと入っていた。審査員を務めていた人も意見が別れており、タバサのシルフィードはただ飛ぶだけだったがそれが逆にシンプルで良い、なんとも力強そうでグリフォンにも劣らない見た目だ など、魔理沙の場合は、演出がすばらしく見たことない魔法で感動した、フライであんな速度出せるのは異常だが興味が沸いた などなど。

 質問攻めに会う前に、ルイズを箒に乗せそのまま緩いスピードで上昇してくと、見ていた来訪の人たちはざわついていた。

 ここである男は魔理沙を見ながら、睨み付ける様に警戒するように見るのであった。

 

 

 「あれがフーケの言っていた奴か・・・学生よりは強いらしいが私ほどではない・・か。しかしあれはガンダールヴなのだ。それだけでも危険な存在・・今回ので始末できれば上々、いや必ずやらねばならない。今後のために」

 

 

・・・・・

 

 

 「ルイズ今日はおつかれさん、ほんとコントロール上手くなったな 見違えたよ」

 

 「そりゃああれだけ特訓したんだもん、ただ威力がランダムみたいな感じなのよね」

 

 「ま、時間はあるしどんどん試していこうぜ?・・・・!、、ととちょっとお花摘みに・・」

 

 

 うふふ、と口元に手を当てながら外へ出る。ルイズは出て行く魔理沙に、さすがにその言動は似合わない、といわれてしまった。

 

 魔理沙は、長い通路を進んでいるとフードで顔を隠している者とぶつかりそうになったが、自慢の反射神経で華麗に避けた。がしかしフードの者は残念な事に、箒に引っかかってしまい綺麗に仰向けに転んでしまう。その衝撃によりフードで隠していたであろう後ろ髪付近を曝け出してしまう。

 魔理沙があっ・・、と声を出すと、焦っているのかフードの者がこちらに顔を向けず、魔理沙の来た道を素早く走り去ってしまう。

 

 

 「あれって・・・今日見た王女、だっけ?ま、いっか、私はそれ以上に大事なことがあるからな・・・いそげいそげ」

 

 

・・

 

 

 そしてもと来た道を戻り、ルイズの部屋に続く道に差し掛かった時誰かが覗きをしている。遠くからでもわかるあの金髪姿、ギーシュだろう。魔理沙が箒を片手にズンズンと歩いていくがギーシュは、こちらに気がつかずルイズの部屋に飛び込むように進入していく。

 

 

 「あっなにやってんだあいつ!まだ懲りてないのか・・!」

 

 

 急ぎルイズの部屋へ入ると、そこにはアンエリッタに跪くギーシュの姿が・・流石に状況が分からず困惑していた。とルイズとアンリエッタがこちらに気がつき、魔理沙はアンエリッタを見て次にルイズを見てどういう事だ、と目線を送る。とアンリエッタが、あっ!と声を上げ魔理沙に顔を向ける。

 

 

 「あなたはあの時の箒のようなものに乗っていた方ですね!演技すばらしかったですよ」

 

 「はは、そんなに喜んでもらえて作った甲斐があるってもんだな」

 

 「ちょっと魔理沙!!何姫さまにため口きいてんのよ!」

 

 「そんなこといってもな、私にはそんな王女以前に貴族とか無縁なんでね」

 

 

 握りこぶしを作るルイズだがアンリエッタが魔理沙の言葉に疑問を感じ、ルイズへそのことを聞く。

 ルイズは一応魔理沙のことを思い、幻想郷や神様などの事は言わず、住んでいる所をロバ・アル・カリイエと言う。そしてその場所とここの環境はまったく違う、と説明する。

 魔理沙もこのルイズに対応には、頭が上がらない思いをしつつ心の中で感謝するのだった。

 

 

 「そうですか、そんな遠くから・・ルイズ・フランソワーズ、あなたの使い魔なのですから連れて行くのでしょう?」

 

 「はい、そのつもりです」

 

 「何の話なんだ?私何も知らないんだけど、どっか遊びでも行くのか?」

 

 「はぁ、あんたって人はね・・」

 

 

 ルイズが必死に説明をしているが、いまいちなのか魔理沙は微妙な反応だ。

 簡単に説明すると、アンリエッタはゲルマニアという国へ政治婚約するらしい。しかし現在、ゴタゴタで危険な状態のアルビオンと言う国にいる、ウェールズ皇太子に送った手紙が世間にばれると、この話が破談になる可能性がある。

 その為に、一番信頼できるルイズに、ばれる前に回収してもらいたい。と言うことだ。

 

 

 「んでルイズは承諾したと、こいつも連れて行くのか?」

 

 「姫さまが認めたからね仕方ないわ・・」

 

 「君たち本人が目の前にいるのにいいたい放題だな、僕にだって誇りや名誉を大事にするからね。こんなチャンス一生に一度あるかないかのモノだ。やってやるさ」

 

 

 アンエリッタはその様子を羨ましそうに見つめ、表情を改め魔理沙に話しかける。

 

 

 「私の親友をよろしくお願いしますね、使い魔さん」

 

 「ったく私のいないところで話が進んでたけど・・まぁこの霧雨魔理沙さまに任せろよっ・・。んで私たちだけか?いくのは」

 

 「こちらから一人だけ腕のたつ人を護衛に差し向けますので心配しないでください・・とと、もうこんな時間・・・皆さん今回のこの件、よろしくお願いします」

 

 「あんた敬語くらい使いなさいよ・・」

 

 

 アンエリッタは、微笑みながら部屋から出て行きルイズたちは、その姿を最後まで見送っていくのだった・・。

 明日のことを少しだけ話した後、ギーシュとも別れルイズはベットへ座るとため息を吐く。魔理沙は、近くに寄り何か心配事があるのか、ルイズに聞くことに。

 

 

 「ねぇ魔理沙、私心配なのよ。魔法もまともに扱えないのに重大な任務を与えられちゃんと遂行できるか・・。」

 

 「んー、なんというかあの謎魔法を使えるルイズは、この学院でも上位に入るレベルだぞ?遠距離で任意に好きなところを爆破できるとか、相手からしたら恐ろしいものだぞ?」

 

 「そうだけど・・・」

 

 「大丈夫だって!私だっているんだからさ、といっても元々いつも使う弾幕やスペルカードに殺傷能力はない。だからと言って戦えないわけじゃないからな、そこは工夫だよ。ルイズも工夫次第でどうにでもなるんだからさ諦めんなよ」

 

 

 そう言うと魔理沙は、ごく自然に隣に座り頭をなでる。今は感傷的なのか魔理沙を一度見ると、そのまま下を向き抵抗せずそのまま流れに身を任せるように撫でられる。そのままルイズは寝てしまい魔理沙は、まだまだ子どもだな・・と呟くと静かに横に寝かせそのまま魔理沙も同じところで寝るのであった・・・。

.......



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第四話 アルビオン王国へ出発

 そして極秘任務を行う当日の朝。予定時間まではまだまだある為、魔理沙はコルベールの元へ向かうのだった。

 何故向かうというと前にオスマンから、紋章についてはコルベールを頼ると良い、と言われていた為である。女子寮からはちょこっとだけ離れているが、せっかく気持ちのいい朝なんだから徒歩で行こうと考え、魔理沙は鼻歌交じりで向かうのだった。

 

 

 「おーい、コルベール先生いるかー?」

 

 「こんな朝早く誰だい?・・あぁミス・魔理沙かこんな早くからどうしたんだい」

 

 「おこしちまったか?ちょっと出かける前にこの紋章について聞こうかなって」

 

 

 それのことですか・・ふむ少し待って下さい、と言われたため数分待つことに・・。たぶん部屋の整理をやっているのだろう。あんま気にしなくていいのに、私の所もあんま変わらないし・・・うぅ自分で言ってて恥ずかしいな。・・とコルベールに呼ばれたため、改めて失礼することに。

 

 

 「で、その紋章についてだったね」

 

 「そうそう、オスマンのじいさんからコルベール先生を頼れって言ってたからな」

 

 「はぁ、押し付けてるだけじゃないですか。まぁ自分がわかる範囲で教えますよ」

 

 

 しかしこの部屋は、どうしてこんなに臭いがきついのだろうか?でもなんだろう嗅いだ事あるような・・。河童が機械を動かしている時に嗅いだ事のあるものだ。たしか・・・ガソリン?・・。と思考に耽っているとコルベールが話し始めた為、思考を中断し聞くことに。

 

 

 「ガンダールヴと言うのは、火・水・土・風の他に虚無という属性が存在する。その虚無を守るために存在する使い魔が、ガンダールヴってことなんだよ」

 

 「虚無ねぇ、でもそれって失われた系統じゃなかったか?」

 

 「そう言われている。だけどミス・魔理沙の左手にはそれがある・・・けど現在虚無の魔法使いはいない。だからその紋章がガンダールヴというのも分からないんだよ」

 

 「ふーん、まぁ何でも良いや。そこら辺はコルベール先生に任せるからさ よろしく頼むな」

 

 

 その言葉を聞いたコルベールは、肩を落とし 君までそういう扱いして・・、と呟いていたが無視した。それよりこの臭いの元凶、ガラス瓶に入ったものについて聞くことに。

 

 

 「なぁなぁこれって・・・」

 

 「ん?ああすまない、女の子にはきつい臭いだったね。聞いて驚け!これは竜の血なんだよ!昔凄まじい雄たけびとともに2匹の竜が天より現れ、1匹は消え去ったがもう一匹は何処かに落下したらしいんだ。その時に流した血らしく、運よく手に入れることができた為、私が複製しようと研究中というわけだよ」

 

 

 

 ふうん、と魔理沙は首をかしげ自分の意見を言おうとしたがふと、時間を見る。しまった! と声に出してしまいコルベールに一言感謝を伝え、急ぎルイズの部屋へ向かう・・・。

 

 

 「あっミス・魔理沙!話はまだ・・!・・・全く今時の子は元気な子が多いことだ・・私自身からも聞きたいことあったのにな。あの箒に何か秘密がありそうだし何より、あの小さな丸っこい物、また聞く機会があるだろう・・その時でもいいか」

 

 

・・・

 

 

 魔理沙が急ぎ寮へ向かっていたが、先に中央塔付近に集合していた様でルイズとギーシュが馬を連れ待機しているようだ。そこに魔理沙が姿をあらわすと、第一声がルイズの怒鳴り声で相当お怒りのようだ。

 

 

 「どこいってたのよ!いつまでたってもこないから置いていくところだったわよ!」

 

 「わーるい悪いっちょっと用事があったんだよ、時間通りに来たからいいじゃんか、な?」

 

 「あんたって人は・・「ちょっといいかい?」・・・・なによギーシュ」

 

 「僕の使い魔を連れて行きたいんだけど・・?」

 

 「勝手にすればいいじゃない、でもどこにいるのよ」

 

 

 ギーシュの周りを見ても何もいない為、首をかしげるルイズと魔理沙。すると地面が盛り上がり、大きく土が抉れていく。そこに顔を出したのは人間以上の大きさであるジャイアントモール。ルイズは、そういえばギーシュのは・・と思考に耽っていたが、魔理沙はうぉお、と声に出しながら恐る恐る観察している。

 ギーシュの使い魔であるジャイアントモールは、鼻をぴくぴく動かし何かの匂いを探しているようだ。キラッと目が光ったと思ったら、ルイズに飛び掛り押し倒す。

 

 

 

「ってなななっ何すんのよこいつっ!ギーシュこいつ止めさせなさいよ!魔理沙ぁっ」

 

「すまん私にゃどうしようも…って、わっばか!」

 

ジャイアントモールは、ルイズだけでなくまさかの魔理沙までのし掛かり、帽子の中の匂いを嗅いでいるようだ。その結果、帽子の中からミニ八卦炉が転がり落ち、魔理沙は急いで回収し、大切に守るようにミニ八卦炉を抱え込む。

 

 

「やめろよっこれは大切な物なんだっ!ギーシュ!なんとかしてくれぇっ」

 

「ヴェルダンテは宝石を集めるのが得意なのさ。だからルイズのその指輪に反応したのだよ、…しかし魔理沙のそれは宝石じゃないだろうに、うっかり屋さんだなぁヴェルダンテは!ほんと可愛いな!あぁヴェルダンテ!!」

 

「そんなことはいいから助けろってぇっ」

 

 

ジタバタ暴れる魔理沙から帽子が落ち、そこから中に入っていた物も落ちていく。ただの少し太い紐や細長く一部が約90度に曲がった針のような金属など…。

 

とルイズと魔理沙がジャイアントモールに襲われていたが、何処からともなく大きな音をたてつつ、竜巻のようなものがジャイアントモールに直撃する。ついでに魔理沙にも。

ジャイアントモールは飛ばされた後、数回地面をバウンドし仰向けに気絶してしまう。魔理沙はジャイアントモールの腹に着地し、竜巻が現れた方向を睨み付ける。

 

 空から大きな影と共に、大きく羽ばたく音が聞こえルイズやギーシュもその方向を見る。そこに現れたのは、アンエリッタの護衛を勤めていた者で、ルイズがその時見つめていた人物である。

 ルイズは口に手を当て驚いているが、ギーシュは薔薇型の杖を構え威嚇している。しかしそれに臆することなく、グリフォンに乗る者は慣れた手つきで飛び降り着地する。

 

 

 「僕のヴェルダンテに何をする貴様ぁっ」

 

 「いやすまなかったね、私の許婚の相手が魔物に襲われていたと思ったので咄嗟に対処してしまったよ、私は、アンリエッタ様からの任務の護衛を承ったグリフォン隊隊長の、ワルドだ」

 

 「いいなずけっ!?いやそれよりもあの有名な魔法衛士隊の・・!」

 

 「ワ・・ワルド様が今回の護衛でしたの!?」

 

 「あぁそうだよ、久しぶりだね愛しのルイズ。会いたかったよ・・・ふふ、相変わらず軽いなぁルイズは。ちゃんと食べてるかい?」

 

 

 ルイズは、お姫様抱っこをされ、すぐ目の前に憧れの人がいる為か頬を赤らめ目線をはずす。と目線をはずした先に先ほど風の魔法で吹き飛ばされた、魔理沙が腕組をしながら怒っている様子。

 ルイズはワルドに一言言い降ろしてもらい、すぐに魔理沙に近寄り話しかける。

 

 

 「魔理沙ごめんなさいっワルドに悪気はないの!怪我なかった?」

 

 「だいじょーぶそんな軟な体してないからな、つかまさか許婚だとはな。さすがに予想外だわ」

 

 「そ・・それは親が勝手にそう言ってただけで・・」

 

 「ルイズは僕のことが嫌いなのかい・・?」

 

 

 2人が話していると急に後ろから話しかけられ、びくっと肩を震わせルイズはワルドの方向を見る。ルイズは怒っているようだが、ワルドは笑いながら慣れた手つきで怒りを治めつつ、魔理沙に話しかける。

 

 

 「君が噂の平民だけど魔法使いか、私はワルドだ。さっきはすまなかったね、それと使い魔お披露目会ではなかなか楽しませてもらったよ」

 

 「ちょっとびっくりしただけだし気にしなくていいぜ、私は霧雨魔理沙だぜ。自己紹介は終わったんだ、さっさといこーぜ」

 

 

 それに同意したのか頷き、ワルドは乗ってきたグリフォンでルイズと共に乗り込み、ギーシュは馬で移動。もちろん魔理沙は相棒とも呼べる箒に横から座り込み移動する。ギーシュが羨ましそうにこちらを見ている。無視だ無視。なおギーシュの使い魔、ヴェルダンテはお留守番の模様。

 ルイズたちが移動したと同時に、窓を閉めるような音が響いたが気にせず進むのだった・・。

 

 そして移動中、ギーシュがなにやら気になった様子で魔理沙に声をかける。

 

 

 「あ、そうだ。・・・ミス・キリサメ、聞きたいことあるんだけどいいかい?」

 

 「んな今更固い言い方で私を呼ばないでくれよなー、普通に魔理沙でいいよ。でどうした?」

 

「さっきのヴェルダンテが、ミス・魔理沙の武器に反応したことについてだ。今までに関係ない物を持ってくるなんて犯したことはないんだよ、その疑問が気になってね」

 

 

 魔理沙はなるほど、と頷き帽子からミニ八卦炉を取り出す。言い忘れていたが、先程落とした紐やら金属の棒やらは回収済みだ。

 魔理沙は、突き出すようにミニ八卦炉をギーシュに向けて見せる。するとその行動にギーシュは、ひぇっ…と声に出しミニ八卦炉をこちらに向けるな、とジェスチャーしている。多分、あの時の決闘のせいだろう。仕方なく魔理沙は、ギーシュに近づきミニ八卦炉を向けないように見せる。ギーシュは後に言う、違う意味でドキドキしたと…。

 

 

「これはな、ヒヒイロカネっていう物で出来てるんだよ」

 

「聞いたことないな…どんなものなんだい?」

 

「なんでも、どんなに高温でも形を変えず保っているらしいぜ、いわゆる永久不変だな。まぁそのままだとヒヒイロカネだとはいえ、少しずつ劣化するらしいからその為の防止はされているがね」

 

 「本当にそんなものが存在するのかい…?ありえないよ」

 

 「伝説級らしいからな。そう言えば別名があったな、たしか…オリハルコンだったかな?」

 

 「オ・・オリハルコン!?…あ・・あの存在すらあるか分からない伝説の中の伝説だよ…?本当に存在するなんて、どうしてそんな物を持っているんだい!?」

 

 「へぇそっちの名前で知られているのな、まぁそれで間違いないよ。加工して譲ってくれたんだよ、これがないと生活できないねもう」

 

 

  そこまで言うとギーシュは、口を開けたままこっちを見て固まっている。すぐに魔理沙はやばい、と感じ耳を塞ぐ。その後すぐにギーシュから驚いた表情と共に、大声が炸裂する。

 先行していたワルドとルイズは、ビックリした様子でこちらを見ている。ワルドは、グリフォンを反転させこちらに近づいてくる。必死にギーシュが言い訳しているようでごまかしているようだ。そんなに知られたくない物でもないんだけどな、それとも恥ずかしいからか?・・。 

 しかし、幻想郷にいた頃はそんなに大層な物だとは思ってなかったが…なるほど、これ程の物なんだな。流石、香霖だ。帰ったらキノコ鍋をご馳走してあげよう。

.......

 

 




押し倒されるルイズと魔理沙・・・なるほど閃いた!

___

ガソリンの描写を少し訂正


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第五話 長い道のり、宿でもゴタゴタ

ちょっと長くなってしまいました。


 森を抜け、道があまり整備されていない空間まででてきた。ここまで特に異常もなく、フーケ捕獲の時のように、適当な話題をネタに、喋りながら進んでいる魔理沙一行。

 

 ふとここで魔理沙は崖の上で何かが動いたような気がした。その為ギーシュやワルドに、面白い動物が居るかも知れないからちょっと見てくる、と一言伝え移動する。一瞬だが、ワルドの表情が硬くなった気がしたが気のせいだろう。この行動にルイズは、いつものことね とため息吐きあきれている様子だった。

 

 あの学院から何かしら用事がないと出れない為、やはり見知らぬ土地へくるとテンションが上がるのは仕方がないだろう。

 魔理沙は、心躍るのを抑えず笑顔のまま見たことない動物やキノコを求め、少しだけ別行動を取る。目の届く範囲だが。しかしそこに居たのは動物は動物だが・・・人間だ。無精ひげを生やした男性・・・さすがにこれにはイラっときてしまった。

 なにやら武器を片手にすぐに立ち上がれそうな体勢をしている。必死に怒りを抑え話しかける。

 

 

 「おいあんたら、なにしてるんだ?獣狩りでもしてるのか?」

 

 「あ?・・!?なんだてめぇ!さてはお前も強襲対象の一人か・・!おいお前ら獲物がきたぞ!狙え!」

 

 「獲物?わたし?獣狙うんじゃないの?・・・」

 

 

 唖然としている魔理沙に無精ひげを生やした男たちは、弓を構え、矢を引き魔理沙に向け一斉に矢を放つが長年やってきた遊び、弾幕ごっこのお陰でこの程度ではまず当たる訳もない。

 魔理沙は自由自在に空を舞い、あざ笑うかのように1人1つの弾幕を放つ。

 

 先行した魔理沙の異変を先に察知したワルドは、ルイズと共にグリフォンに指示を出し急行する。ギーシュは、忘れられたのか一人ぼっちのまま馬を走らせる・・。

 

 

・・

 

 

 「おいっ相棒いつになったら俺をつかってくれるんだよぉっ!」

 

 「うぉお!?びっくりした!ははっそういえばいたな!忘れてたぜ」

 

 「たのむよなぁ・・・これじゃあ心まで錆びちまうよ」

 

 「とはいってもなー、私デルフで立ち回ろうとしても重くて振れないし」

 

 

 だよなぁ・・ と呟くデルフはしょぼくれた様子だが、魔理沙は気にした様子もなく笑いながら矢を避けている。

 がしかし、後ろからも矢が飛んできていたようで箒の先の部分に刺さっている。気がついたときは二の腕付近の服に掠っていた。魔理沙は 卑怯な!、と言ったが、すぐに自分で書いた言葉を思いだす。

 

 -ルールの無い世界で弾幕はナンセンスだ。-

 

 この世界は幻想郷ではない。忘れていたわけじゃない、と思う・・・。私の弾幕は、当たっても基本死なない。けどこの矢が刺さったら最悪・・・いや今はとにかく終わらせよう。

 

 

 「私の服代は・・・こいつの実験台になることで許してやるぜ!そいっ」

 

 

 背中から少し、大きめの試験管のような物を男たちへ放り投げる。それに対し魔理沙は、試験管へ弾幕を放ちつつ後ろの敵・・つまり、投げた方とは逆の敵に振り向きつつ弾幕を放つ。

 その瞬間カッ・・と眩い光を一瞬だけ放つと、前後から来ていた矢は止まった。光をもろに受けた男たちは目をやられ、もだえ苦しんでおり、地べたに這いつくばっている。

 

 そこに風を切る音、ワルドとルイズが現れ状況を説明すると加勢してくれるようだ。しかし無力化に成功しているから今更な訳で、意味がないと感じてしまう。

 とりあえず、片側より被害がましな方の男たちの元へ。事情聴取ってやつだ。

 

 

 「で、あいつらはなんなんだよ、いきなり襲い掛かってきてよ。当たったらどうすんだよなー」

 

 「・・・ミス・魔理沙、ずいぶん冷静なんだな。まるで慣れているかのような・・それに先ほどの閃光弾らしきもの。いったいどこで・・」

 

 「それはな、乙女の内緒ってやつだぜ」

 

 「ワルド様、いつものことだから、気にしたら負けよ」

 

 「なんだよルイズはー!ひどい言い方だぜー」

 

 

 そんな様子を見ていたワルドは、諦めたらしく矢を放ってきた敵へ尋問すると、ルイズを置いて移動してしまった。助かったな。正直、私にその役目はあわないからな、私は勝負して勝ったり負けたり、そしてもやもやを無くしつつ仲良くお酒を飲むことだ。だけど、この外の世界じゃあそれも叶わないな・・。そう考えていたらお酒が飲みたくなってきた。

 そんなことを考えていたら尋問が終わったようで、ここら辺の物取りらしい。治安が悪いことをすっかり忘れていたワルドは、ルイズと魔理沙に対し謝っている。ギーシュ?あっ・・ワスレテイタワケデハナイ。

 今更ながらギーシュが追いついた様で、夜が来る前に町へ入り宿を取るらしく、馬やグリフォンの負担が大きくならない程度に一向は強行する。

 

 ・・・あれ以来、襲われることもなく思ったより早く無事に町へと到着した。宿も問題なく取れた為魔理沙だけ町で買い物をすることに。

 何故魔理沙だけなのかというと、ルイズとワルドは宿で休憩だそうだ。恋する者の味方、霧雨魔理沙は空気を読むぜ。そして、ギーシュはまぁ疲労なのだろう。馬を使ってるのに疲れるのか?股が痛くなるのだろうか、私にはわからない。飼うなら小さいのがいいな、ツチノコとかそこらへんがいいな。あれ雑食だし楽でいい。

 ・・・余計なことばかり考えてしまうが、これもまた旅をしながらの楽しみだろう。調合用に色々買い込んで宿で作るとしよう。

 

 

・・・・・

 

 

 それから、魔力増強用かつ魔力回復用に必要な材料を買い込んだ。この国では、そういった物はあんまり普及していないらしく、完成状態で売っているわけではないようだ。それはそれで召喚されてから今まで調べてきた甲斐があるってものだ。

 今更ながら、魔力増強に関しては必要ない気もするがまああったほうが良いだろう。頭のいい人は二手、三手先を見るものだと本で読んだからな。

 

 時間後で夜が来るだろうか、夕食が来る前に作り終わろう。明日は船に乗ってアルビオンに行くらしいが・・船ってどんなものだろう。聖のお仲間一行が使ってた、あのでかいのかな?それは楽しみだ。

 

 そして宿に到着した魔理沙は、一階にいたギーシュに挨拶しそのまま借りた一室で調合を開始する。八卦炉でちょろ火を出しつつ、適当な鍋に水や買っていたキノコ、葉などを入れよく煮込む。そこに私の魔力も入れよく混ぜ合わせ色が変わったとこで少しずつ温度を下げるため放置。何故私の魔力を入れるのかというと、服用した時に吸収を良くさせる為、なお且つ甘くなるからな。私の魔力の塊は甘いよ、最初に月のやつが食べたときは吃驚した。あれのおかげで何かと視野が幅広くなったぜ。糖分は乙女の燃料だからな!

 

 ・・・とそこにドアのノックされる音が響く。一声かけ中へ入れさせるとそこにはルイズがいた。嫌そうな顔をしてこちらを見ている。首をかしげると、ルイズが口を開く。

 

 

 「ねぇ何してんのよ、こっちまでその甘苦い臭いがきてるんだけど・・」

 

 「魔力の薬の調合中だよ、飲んでみる?」

 

 「いや結構よ・・・というかあなたできたの!?」

 

 「できたってこれをか?そりゃあ魔法使いだもん、知識は蓄えてるさ」

 

 

 今は疲労回復に効果があるかもしれない魔法薬を作っている。それを見てルイズは、何故か頭を抱え悩んでいるようだ。何に悩んでいるかは分からない、相談してくれれば乗ってあげるのにな。そんなやり取りを行っていると、さらにギーシュがこの部屋に入ってきた。なんでもご飯の時間だそうだ。丁度調合も終わったためそれに従う。

 

・・・

 

 食事をしているときにワルドから話しかけられ一旦手を止めそちらを向く。

 

 

 「使い魔くんはそこにいるギーシュくんと決闘したそうじゃないか」

 

 「ぶっ・・げほっげほっ」

 

 

 不意を付かれたのか、ギーシュは口に含んでいた食べ物を飛ばしながらあせっている。非常に汚いぞ。

 これにはワルドも、しわを寄せているようだ。

 

 

 「うわっギーシュきたねえ!うへぇ・・・でそれがどうしたんだ?」 

 

 「いやなに君の実力が気になってね。よかったら手合わせしてほしい」

 

 「はぁ?私剣なんて振れないぞ?」

 

 「魔法込みでもいいだろう、どうだい?」

 

 「うーん手合わせできる場所がないし剣扱ったことないって言ってるじゃないか」

 

 

 そこまでしたいのか、ワルドの意図が読めないでいるとルイズが止めに入る。どうしてそこまでしたいのか、と。その通りだ、私もルイズに続きワルドへ視線を向ける。観念したのか口を開く。

 

 

 「何故実力を測りたかったのか、だね。もちろん愛しきルイズの為さ、使い魔は主人を守るために存在するものだ。こんなこと言うのは失礼かもしれないがこの際言っておこう。見た目も貧弱そうだ、それに剣も扱えない素人でどうやってルイズを守るのかね?魔法だけでか?枯渇したらどうなる?」

 

 

 さすがにこれ怒って良いよな?町のことを考えて手合わせを断っていたが・・・自分が持っていたグラスが、余計に漏れた魔力によって割れてしまった。握りつぶしたわけではないため、手が傷つく事はなかった。しかしそんなことを気にせずワルドを睨む。ワルドの視線も鋭くなり一触触発状態となり、ギーシュも息を呑むも何も言えず固まっている。ルイズもこれ以上は何もいえないのか、手を握り締め2人を交互に見ている。

 とここでワルドが一息はき、表情が柔らかくなり謝罪してくる。何故挑発じみたことをするのかと聞くと、手合わせ出来ないのであればせめて戦う、守ると言った気持ちだけでも、と言う事らしい。なんとも馬鹿馬鹿しい・・・怒る気も失せてしまった。流石に話す気も起きない、それなら魔法薬を調合したほうが数倍数十倍有意義だ。ここらで失礼させてもらおう。

 

 

 「あそ、なら話は終わりだな。魔法薬の調合がまだあるんでね、先に戻らせてもらうから」

 

 「あっ魔理沙・・・ワルド様!言いすぎですわ!どうして・・」

 

 「・・確かに私も言い過ぎたと思っている。あそこまで理由も言わずうじうじ拒否られてしまって止まらなくなってたよ」

 

 「(どうみてもワルド様が・・・ここは私が行くしかないわ)・・・ちょっと様子見てきます」 

 

 

 ・・・部屋に戻ってきたが非常に気分が悪い。一応言っておくが、ご飯はなかなか美味しかった。あれがなければ良い気持ちのまま眠れたのかもしれない。確か気持ちを安らぐ為の魔法薬も本に書いたはずだ。それを調合しながらまた部屋の中にある星成分を集める。これだけでも集中できるし気持ちが治まる気がする。そこにルイズの声とともにノックが聞こえた為、許可を出す。申し訳なさそうにしていた為、ルイズが悪いわけじゃないからそんな気にするな と言いつつ近くに座らせる。

 

 

 「どーしてルイズがそんな顔すんだよ、もう私は気にしてないぜ?元気が取り柄のルイズがそんな雰囲気出すなんて勿体無いぜ。」

 

 「ワルドに悪気は無いの、許してとは言わないけど・・・」

 

 「いいよもう終わったことだしな、それよりもう少しで気持ちの安らぐ(であろう)薬ができるから飲むか?味は問題ない(はず)ぜ」

 

 「えぇ・・・私を実験台にしようって魂胆じゃないでしょうね」

 

 「そ・・ソンナコトアルワケナイジャナイカ」

 

 「やっ「それよりこれ食べてみないか?おいしいぜ?」・・・なによそのキラキラした星は」

 

 

 魔理沙はふふん、と声に出しルイズの手に乗せる。ほんのり暖かくそこらへんの宝石以上に綺麗なものだ。まるで魔理沙が出す星の成分とやらみたい・・・まさか?

 

 

 「これもしかしてだけど・・魔理沙の出す星?」

 

 「おお!よーくわかったな、珍しく鋭いな」

 

 「珍しいは余計よ。それで食べれるものじゃないでしょ、何を言ってるのかしら」

 

 「一度な弾幕ごっこで戦った相手がこれ食べたんだぜ?そのときは吃驚したよ、カリッ・・甘・・とか言っちゃってよーアホかと思ったぜ」

 

 

 笑いながら言う魔理沙の言葉を聞き、ルイズは渡された星を見つめ、そしてつばを飲み込む。それを見た魔理沙はニヤリと笑み安心させる為、さらに星成分を生成し固め、少しかじる。ルイズは目を見開きその様子を見ている。

 口に含み食べてみたが、魔力が戻る訳じゃないしお腹が膨れるわけじゃない。甘いと感じるだけだと思う。その行動を見たルイズは、少しだけ恐る恐るかじる。

 

 

 「・・!?甘いわ、どういうことなの?口の中で溶けちゃったけど」

 

 「面白いだろ?」

 

 「ええ・・ええ、ほんと不思議・・・」

 

 

 ルイズと話したことでもやもやも無くなり薬が無駄になってしまったが、まぁいつか使うことになるだろう、その時の為に持っておこう。明日出向だったな、早めに寝よう。ルイズを部屋に返し魔理沙は寝る為、ベッドに潜り込むのだった・・。

 

...........

 



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第六話 街にいるから安心というわけではない

遅くなりました、続けていきます


 さて今日もいい天気、朝は早いが、すでに外は賑わっている。とりあえず朝ごはんをもらう為、一階へ降りるとそこにはワルドがいた。向こうもこちらに気がついたのか、その場で立ち上がり帽子を胸付近に持って行き、一礼している。

 

 

 「使い魔くん、昨日のことは申し訳なかったね。悪気があったわけじゃない」

 

 「へいへいもういいって。昨日は昨日、今日は今日だ。で、出航はいつだ?」

 

 「夕方だね、それまでは自由行動だから好きにするといい。集合はこの宿とする」

 

 

 適当に返事をし、軽く食事を取り街の探索を行う。昨日はさっと用事を済ませ宿に戻った為、ちょっと楽しみだ。昨日のことは考えない。こういうときこそお酒の出番じゃないか? 他の国は分からないがワインだけじゃなく、一応米からできたお酒はあるらしい。ワインに慣れた人々には未だ普及していないらしい。だからあの学院には無かったんだな。しかしワインに比べ、米のお酒は値段的に安く一般家庭には普及しているらしい。だから一応店には置いている。それを求めいざ参る・・!

 

・・・

 

 

 「いひひ、思ったより品揃えよかったな。味見ありだったから好みが選べたぜー・・・ん?あのフードから垂れるロングの緑髪はどこかで?ま、いいやそれよりお酒だ!おっさけ」

 

 

 その気がかりの者と交差する瞬間、一瞬目が合わさった。そこでようやく分かった、あの鋭い目線、あいつと同じ魔力。間違いないフーケだ。すぐに振り返るが、そこには誰もいなかった。ただ人々が賑わうその光景だけだ。情報が漏れているのか?と考え、急ぎ宿に戻ることに。

 しかし戻ったはいいがそこには見知った人はおらずギーシュでさえいない。宿を営むおっちゃんに話を聞くと、出かけているらしい。こんな時に限って・・・。宿屋のおっちゃんから少し席を空ける、と伝言を受けたが、軽い気持ちでスルーする。

 

 すると出入り口から2人見知った顔が・・・しかしなぜここに・・キュルケにタバサ。2人に話を聞いてみると、1日かけて自分たちの居場所を探ったらしい。ストーカってやつか?身近にそんな人がいるなんて、恐ろしい。

 キュルケが思考を読み取ったのか、慌てて弁解している。キュルケの性格からして じゃさようなら、と言って帰る訳もない為、他のメンバーを待つ前に今回の事情を軽く話すことに。

 

 

 「ふうん、ルイズが極秘任務ねえ、ああ内容は話さなくていいわ。極秘任務なんでしょ?」

 

 「お、おおそうだぜ、だからついてこなくてもいいんだぜ?」

 

 「あのイケメンが私を待ってるわ!帰るわけないじゃないの!」

 

 「なんだこいつ・・(そ・・そうか頑張ってくれよ)」

 

 「魔理沙・・・言いたいことが、逆・・」

 

 

 タバサに指摘され、ようやく気がつき空笑いをする魔理沙に、キュルケはあきれたため息が出たが まあいいわ、と許しをもらえた。とここで魔理沙は先ほどフーケに似た人が、この街にいる事を2人に話す。信用していない様子だが、前回フーケ捕獲の件での活躍もありそれなりには信用してくれたようだ。

 そうだ、とキュルケが口を開き話しはじめる。この内容に魔理沙は、苦虫を噛み潰したような顔をし難しい顔をする。その内容とは・・。

 

 

 「この街に入って気になったんだけどね。こんな人のいない寂れたとこに、いったい何の用があるのかしら?」

 

 「は?人がいない?んな馬鹿な。むしろこの街は活気であふれかえっていたぞ?買い物したしな」

 

 「???、おかしいわね。ねえタバサ、人いなかったわよね」

 

 「いなかった、ミス・魔理沙の話からするとこの短時間で街を出て行ったか、あるいは・・」

 

 

 とタバサが話を続けようとするが、出入り口からドアを無理やり強く開く音が響き渡る。そこにいたのは同行していたメンバー、ルイズ、ギーシュ、ワルドの三人。あせった様子で入ってきたようだ。

 

 

 「まずいぞ、使い魔くん。この街はもう・・いやちがうな元々、賊どもの住処だったようだ!」

 

 「な・・なんだってー!!!・・・、それってまずくね?」

 

 「というかどうしてこいつらがい「危ないルイズっ!」きゃっ・・」

 

 

 

 入ってきた三人が中央ほど移動したタイミングで、この場にいる者の話を遮るように、木材が何度も折れ破壊される音と共に宿の半分が横に吹き飛ぶ。ルイズは、魔理沙に頭を押さえつけられつつ同時に伏せる。

 衝撃による木屑の破片は、ワルドの使う風の魔法により吹き飛ばす。そのお陰で怪我はなかった。宿を吹き飛ばしたであろうごつごつとした大きな腕、巨大な体…そしてその物体に乗る緑色の髪をした女性、フーケである。見慣れない仮面の人物もおり、二人してこちらを見下している。

 

 

 「あの大きさのゴーレムまさか…フーケ、なの?」

 

 「やっぱりあれは本人だったか!脱獄したのかよ!」

 

 「ふふっ、あの時の使い魔一行じゃない・・・あっ!しまった、仮面の!今すぐあの金髪女の視野から離れな!」

 

 「フーケらしくない、どうしたそう慌てて」

 

 「あの娘っ子には人一倍それぞれの魔力を感知する能力がある!だから見られたら確実にバレるよ」

 

 「・・何故早くそれを言わない・・ふぅ、なら後は任せたぞ」

 

 

 そう言うと仮面の男は、消えるかのようにその場を離れる。フーケはもう一度魔理沙たちを見るとすでに避難したのか、一定の距離が開いている。

 

 一方、魔理沙たちはこの状況を打開するために作戦会議しているようだ。

 

 

 「今回は普通の任務とは違う。出向時間までそれほどないそのため、任務を優先とする」

 

 「賛成、殿となる人は少ないほうがいい。私の考えは、私とキュルケが残るのが好ましいと思う」

 

 「たしかに私たちに、その任務の詳細はわからないわね。それならうってつけじゃない?フーケ程度に遅れはとらないわ」

 

 「そうだね、私もそれでいい。ルイズもいいかい?」

 

 「ええ、大丈夫で「いいや、私はそれにゃ賛成できないぜ」・・・魔理沙?」

 

 「フーケのやろうにもちょっと聞きたいこともあるんでね、ここは私一人に任せてもらおうか」

 

 

 その言葉にルイズは猛烈に抗議するが、ワルドが少し考えながらも魔理沙に同意する。

 理由としては、人は少ない方がいいと言うのと、使い魔には使い魔なりの作戦があるのだろう との事。ワルドに続きタバサも同意してしまう。そこまで言われては、しぶしぶ他の者も納得するしかなく頷く。がしかしタバサは自分の使い魔、シルフィードをここに置いて後で魔理沙への道しるべ役にさせるらしい。

 

 

 「へへ、タバサありがとうな。今後の事を考えてなかったぜ、参謀ってかんじするな!そっちもがんばれよ」

 

 「・・まかせて」

 

 「気をつけるんだぞ、相手はあのフーケだ。倒そうと思わなくていい、武運を祈るよ使い魔くん」

 

 「いまさらだがその使い魔ってのはやめてくれよなー私は霧雨魔理沙っていう人間だぜ?それに使い魔とかそういう立場にになったわけじゃないし」

 

 「??、そうなのかいルイズ?」

 

 「あんまり深くは考えてなかったわね・・。たしかに使い魔っていうより友達とかそういう分類になるのかしら・・あとは姉のような・・ボソッ」

 

 「・・??よく聞こえなかったが・・そうか、失礼したねミス・キリサメ。じゃ任せたよ とりあえず30分程度は持たせてくれよ?」

 

 「へっ、別に倒してしまっても構わないんだよな?」

 

 

 ふっ、と笑いワルドを先頭に、裏道から素早く出ていく。ルイズやキュルケはなにか言いたそうに魔理沙を見ていたが、なにも言わずワルドについていった。

 

 

 「よし…じゃまずは目の前の物取りどもからだな…まぁ足止めだしさっきの閃光玉で大丈夫だな」

 

 

 盗賊たちは、警戒しているのか進みが遅い。そのおかげでこちらの準備も余裕で完了した。

 徐々に進んで来る盗賊たちの後ろに控えるゴーレムとフーケに向け、箒セットした八卦炉のパワーと共に一気に飛び出す。盗賊たちは驚いたのか全員こちらを振り返り、魔理沙はしめしめとニヤけ顔を作りこれでラストだが惜しまず閃光する試験管をすれ違い様に投げ弾幕を当てる。これだけで盗賊は無力化しただろうと考え、振り返らずゴーレムに乗るフーケと目線が合う高さまで上昇し、対峙する。

 

 

 すんなりここまでこれた魔理沙を、フーケは予想通りだと言わんばかりに鼻で笑う。だがしかし学園で見たような光の玉ではなく、何か物を投げて発光した物だけが疑問に残る。

 

 

 「よっ久しぶりだな!牢獄生活は楽しかったかい?」

 

 「ちっ、生意気な小娘!その口私の土で固めてあげようか?」

 

 「おーおー怖いぜ、もう少し冷静に周りを見れるように成長しなって。この霧雨魔理沙様のようにな?」

 

 「減らず口を…気が変わったわ、一瞬で片をつけるつもりだったけどジワジワと痛め付けてあげるわ!」

 

 「だめだこりゃ、まぁいいやさっきのお面のやつのこと話してもらうぜ?」

 

 「あれはどうみても仮面じゃないか!…っ、思わずツッコんでしまったわ……あぁもう!あれのこと話してほしけりゃ倒してみるんだね!」

 

 

 フーケはゴーレムに指示を出すと、魔理沙に向けて大きな腕を叩きつけようとする。…がしかしゴーレムの手や腕が大きい為に挙動の時点でスピードが遅く難なく攻撃範囲外へ回避する。

 

 魔理沙も自信の魔力の玉を、弾幕のように大量に浴びせる…がしかしゴーレムにダメージは殆どなく、少し削れるだけで一瞬のうちに再生している。

 どうしたものかと悩んでいると、フーケがぎゃぁぎゃぁと何か叫びながら土で作ったであろう黒茶色の玉を放っている。当たるわけがないのだが、スピードはなかなかあるようだ。

 

 

 「おい小娘ぇっ、卑怯じゃないか!逃げるんじゃない!」

 

 「うっわぁ…こええ。髪が逆立ってるように見えるぜ…」

 

 

 一向に近づかず少し離れたところから弾幕を放つ魔理沙に、フーケは大きなゴーレムへ指示を出しつつ土の弾幕を放つ。

 ゴーレムは指示を受け、そこら辺の家の破片を持ち、魔理沙へ向け投げつけている。ビュッと風を切る音と共に、魔理沙の乗る箒のブラシ部分が意図も簡単に削れる。

 あまりの早さに冷や汗をかきつつ、ぶつかった衝撃で箒から滑り落ち、落下してしまう。

 

 

 「ふん…あいつによればあの箒はマジックアイテムで、あれのお陰で素早く長距離で飛べてるらしいが…学院の時もそうだったね…さて今頃ペチャンコかしら?…」

 

 

 フーケがそう呟くと バキッ・・という箒が落ち、地面と衝突したであろう音がフーケの耳まで届き笑みを深める。フーケは基本、殺傷を行わないがやるときにはやる女性だ。しかし魔理沙が地面との衝突音は聞こえない。杖を強く握り締め、警戒しながら周囲を見る。

 

 フーケは、あの仮面の男に強襲する前にいくつか任務の指示をされていた。一つは、あの箒の回収もしくは破壊。回収して調べるつもりだが無理な場合は破壊もやむをえない、ということだろう。2つ目はあの使い魔、霧雨魔理沙の排除。お披露目会で一度未知の魔法を見ている仮面の男は、後々邪魔な存在と判断したのだろう。そんなことフーケは、知るわけはないのだが仲間になった以上頷いた、と言うところだろう。

 

 任務遂行の為に止めを刺すべくフーケは、落下地点へゴーレムから飛び降り周囲を確認する。魔力の消費がきつくなってきた為、ゴーレムを自壊させる。

 少し進むと、近くには真っ二つに折れた箒がありフーケは、仕留め終わったら回収しようと画策する。さらに警戒したのかフーケは、懐からナイフを取り出し杖を持つ手と逆の手に持つ。そうすることでもしも接近戦となった場合でも対応可能である。

 

 少し土煙の舞う耳鳴りが起きそうな程の静けさの中フーケは、探索中に何かの音を聞きつけ首をかしげる。キィィィィィ、という聞き慣れない音、その後すぐに後方から漏れた光に気がつきすぐさま杖を一振りしゴーレムを生成し盾にする。

 その後すぐにひとつの言葉、マスタースパーク と力強い言葉と共に巨大な複数の色の光線がフーケを襲う。逃げることは無理と判断し生成したゴーレムの再生スピードを上げようと魔力をつぎ込む。しかし所詮土のゴーレムであり、いくら再生しようと努力してもすぐにゴーレムは破壊、蒸発してしまいフーケは飲み込まれる。

 

 

 「(油断した・・あぁ・・ごめんよ、不甲斐無い姉で・・・強く・・いき、)」

 

 

・・・・

 



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第七話 フーケの事情とルイズの意地

話がまともに進まないのに文字数的にここで投稿します。


 その頃ルイズ一行は・・。

 

 魔理沙に殿をまかせ、裏口から出てきたルイズたちは一直線に目的の場所、アルビオンへ行く船がある港へと向かう。外は真っ暗で月明かりが柔らかく道を照らしている。

 先ほどワルドが言ってた、この街は賊の住処 と言っていたがそれにしては人の気配もなく、襲われるような気配は無い。もしも襲われてもワルドがいるから大丈夫だろう・・。と他人任せの思考が働き無性に自分自身を叩きたい気分になってしまった。

 

 無意識に歯を食いしばっている所をワルドに見られ、心配するように顔を覗かれてしまい恥ずかしがるのを隠すように、顔を横にずらし目線を外す。しかし横にキュルケが居たせいで目線が合ってしまい、別の意味で歯を食いしばってしまった。何故かキュルケに舌打ちされてしまったが。

 

 すると目線の先に大きな木が見え、あれが港の役割を果たしているのだろう。長い階段があり道も整備されている。しかし時間帯が悪いのだろう、一隻を残し後は静けさだけである。乗ろうとしていた船もなくワルドは苦しい表情をしている。

 手段は選べないと一言つぶやきワルドは、一隻の船へ赴く。それに追従するルイズたち、先の展開を読めてしまったルイズたちは、緊張しているのか顔が強張っている。

 ワルドが多少大きな声で呼びかける。

 

 

 「・・・だれかいるか!?船長と話をしたい」

 

 「・・・あぁ!?こんな時間にだれでい!・・あん?だれだお前さんたちは」

 

 「すまんが急遽アルビオンへ向かわなければいけないのだが今すぐ船を出してもらいたい」

 

 「俺らを足につかうとは・・あんま調子にのるなよ小僧・・」

 

 「私は貴族だ、これを意味する事をお前たちがわからない、なんて事がないだろう?」

 

 

 貴族、という言葉に船長はしわを寄せるように顔を歪める。しかしプライドがあるのか弱弱しくも反論している。

 

 

 「き・・貴族様ですか。しかしですね?この時間からの出航は危険や船員の体調が崩れる可能性もあるのですよ?せめて明日の朝でだめでしょうか?」

 

 「いいやダメだ。無論無償というわけではない。ここに積んでいる荷物はなんだ?」

 

 「大量の硫黄と硝石だがそれがどうした・・どうしましたか?」

 

 「ふむ・・では交渉しようではないか?それの倍を私たちを運んでくれたら出そうじゃないか、貴族の名にかけて約束しよう」

 

 「倍ぃ?二倍・・いや三倍じゃないと駄目だ!・・です!」

 

 「では二倍と半分でどうだ」

 

 「ふうっ、まあいいか・・・商談終了、野郎共!出航だ!準備を急げ!今すぐ出るぞ!」

 

 

 このまま一日が終了する予定だった船員は、不満をこぼしながらもテキパキと準備をしている。その素早さにルイズたちは声を漏らし賞賛してる。あっという間に準備が整い出向するが、ルイズがワルドへ声をかける。

 

 

 「ちょちょっとまって!まだ魔理沙がきてないわ!」

 

 「つかい・・ミス・キリサメは私たちに敵が来ないようにするための殿だ。合流はしないだろう、もし合流するならここではない、もっと先だろう。そのためにミス・タバサの使い魔を置いてきたのだ。心配することはない、大丈夫だよ。」

 

 「・・そう・・ね でも流石に一人で残るのは不味かったんじゃ・・」

 

 「心配するのはいい、だけどねルイズ。あの自信や一人で残るという意思を尊重するべきだと私は思う。それに任務を完遂することが今は全てだ、わかるねルイズ?」

 

 

 頷きたくはない。もしも魔理沙になにかあったら・・と思うとルイズは、胸が苦しくなって悲しくなってくるようだった。キュルケはなんとなくそれを察してか、目線をルイズに向けるだけで何もいわない。

 ちょうどその頃、タバサはシルフィードと視野の共有を図るがそこに移るのは魔理沙はおろか、ゴーレム・・フーケの姿さえみえない。シルフィード自身必死に探しているようで、首を上下左右に振って捜している模様。

 もしかしたら・・・とタバサの脳内に魔理沙が倒された状況が流れるが、頭を振るようにネガティブな思考を振り払う。がしかし、この事をルイズに話せば、もしかすると魔理沙を優先してこの船を無理にでも下りる可能性が出てくるだろう。そうしなくとも任務に支障が出るのは予想済み。タバサはルイズの様子を確認するため一旦共有を停止する。

 

 もう船は出発してしまったため、ルイズは魔理沙のいた方向を見ながら祈るように心配するのだった。その頃魔理沙は・・・。

 

・・・

 

 

 「あーあ・・・私の大事な大事な箒が・・・今までご苦労様だぜ。向こうじゃなくてこの国で置いていくのは心苦しいが、さようならだ」

 

 

 地面と衝突した衝撃なのか、真っ二つに折れた箒を目の前に一、二言いうだけでその場を後にする。

 自分の放った得意技、マスタースパークを直撃したフーケは仰向けに倒れており、服がところどころ破け、焦げた後がある。とそこにタバサの使い魔、シルフィードが嬉しそうに速度を上げ向かってくる。着地するときに風圧が凄く、少しだけ吃驚したがさらにその後の出来事で吃驚してしまう。

 

 

 「うぉ・・ちょうどいいタイミングだったな。フーケの奴は私が退治してやったぜ!へへっ」

 

 「きゅいきゅいきゅいぃ!すごいのね!あのでっかいゴーレム倒すなんて!さすが私より速いだけはあるわね!」

 

 「・・・・?・・・は?」

 

 「・・・きゅい・・・ぃ」

 

 

 まさか話せるとは思わなかった。シルフィードがしらばっくれ様としたから問い詰めた、あれやこれ問い詰めまくった。文屋に負けないくらいには。

 そこで分かった事は、シルフィードが風韻竜という絶滅したと言われている古来から住む幻種の一種らしい。シルフィードが話せることは主人であるタバサから止められており、これがばれると杖で頭をたたかれるらしく、内緒にしてほしいとのこと。まぁ面白いものが見れたしそのくらいは別に何ともない。できたらペットにしたいけど、タバサの使い魔だからあきらめるがね。

 

 

 「で、ちょっくらこいつに聞きたいことあるから待ってくれないか?すぐ終わるからさ」

 

 「きゅい、あなたがいいならいいんだけどさ」

 

 

 魔理沙が指示をだしシルフィードは、フーケの頭を突き起こす。しかし起きずでもう一度突こうとしたらカッ・・と目が開く。シルフィードを見て次に隣にいる魔理沙を見る。

 

 

 「(・・私は負けたんだったね)ふう、あんたの好きにするといいさ!煮るなり焼くなり牢獄にぶち込むなりね」

 

 「別におまえの命なんて興味ないよ、それより隣にいたあの仮面はなんだ?どうしてそっち側にいるんだ?いやまぁ何となく分かるけど・・さ」

 

 「まぁ戦う前に約束しちまったし答えるか・・予想通りだよ、あの仮面はお前らと動向している奴・・だと思う」

 

 「なんだその確証がない言い方は」

 

 「そのままさ、信用されてないのかほぼ全て教えてくれてないし、ようは捨て駒ってところね。でそれだけかい?」

 

 「かわいそうな奴だなー、・・・んーあぁそうそう出来るかは分からんけどさ、折れた箒直してくれよ!あれがないと飛ぶ気が起きなくてさー」

 

 「それくらいなら・・っては?飛ぶ気がないってあれがなくても飛べるような言い方するね?」

 

 

 そうだけど?ときょとんとした顔をする魔理沙に、フーケはあの仮面の男に対して 話が違うじゃないか と心の中だけでツッコむ。フーケは、もしこのまま助かれば大切な妹とずっと一緒に居たいと考えていた。今回のレコン・キスタに参加したのだって復讐の為じゃない、いや少しあったけど・・。今まで以上の稼ぎになるかと思ってたのと脱獄の為だ。

 とそんな言い訳を心の奥で考えながら、錬金でうまく修理していく。とはいってもこの程度あっという間なので、すぐに直ってしまった。ついでに固定化もした、どうしてここまでしたのかは自分自身分かることではない。自暴でもしてるのだろうか?

 

 

 「そら、これでいいかい?」

 

 「ほえー便利なもんだなぁ、私には使えないらしいからうらやましいぜ」

 

 「はいはい、でちゃっちゃと私をどうするか決めてもらいたいんだけど?」

 

 「んー?あぁ今後私たちに危害加えないってのが約束できるなら好きにしたら?さすがにお前だけに気を配ってられないぜ」

 

 「甘い娘だね・・けど今回は素直に感謝するよ、もう隠居でもする気分だったからね」

 

 

 ん、そっかじゃあな とそっけない魔理沙に、やれやれとでも言いそうな顔をするが余計なことは言わないで置く。その意思を曲げられちゃ元も子もないからだ。ともう会う事はないだろうと考え最後に一言だけつたえる。

 

 

 「恩を返すようだけどひとつだけ教えてあげるよ」

 

 「ん?まだ話すことあるのか?」

 

 「私がまだロングビルだったときにあの学院長は、よく女性のスカートの中を覗いてたわよ?無論あなたも」

 

 「・・・・は?本当に言ってるのかそれは」

 

 「そうさ、王宮も何故だかあのじじぃに強くいえないのか大ごとにはなってないから大変ね、じゃそういうことでサイナラ」

 

 

 あぁちょっと! と言うがフーケの自慢の身体能力で闇夜に消え見失ってしまう。魔理沙は先ほどのことを脳内で繰り返す。後にシルフィードは言う。あのときの魔理沙は怖かった・・と。あの状況のまま学院長と会っていたら、この世に髪の毛すら残してなかったかもしれない・・とそれくらい怒っていたらしくちょっとしたトラウマになってしまったシルフィードであった。

 

・・

 

 

 「むおっ・・・なんじゃいまのは、うーむなにかわしの身に何かが起きそうな予感じゃな。・・ま、そんな妄想はトイレにでも流そうかの」

 

 

 いつもどおりの気楽な爺さんである。これ以上でも以下でもないマイペース加減。・・

 

・・

 

 

 それからシルフィードと共に空の旅をする魔理沙は、今後起きるであろう展開を予想する。

 あのワルドが向こう・・レコン・キスタ側の人間で、さらには今回の任務も知っている。今、自分とルイズたちとは別行動を取っているという最悪なパターン。近くにキュルケとタバサがいるが、もしもの時に正常な判断が出来るかが心配である。無論私もその一人に入るのだが。

 とは言え、ここでどんなに思考をしても仕方ないのだろう。空を飛ぶにあたり、今は背中に乗せてもらい案内して貰っている。何故かと言うと急いでいる今、箒に八卦炉をセットすればシルフィードを追い抜くことは可能だが、それを使わないとなるとシルフィードのほうが速度が上である。それともう一つ、今後の為に魔力の消費を抑えること。

 魔理沙が急かす様に背中を軽く叩く。

 

 

 「シルフィード急ごう、さっきの会話を聞いたからにはモタモタしてられないぜ」

 

 「きゅいい、まっかせなさい!私の力みせるんだから!」

 

 

 さらにスピードを上げるシルフィードに魔理沙は、先ほどの真面目な思考が吹き飛ばされてしまったのか楽しそうにしていた。そして魔理沙より先に進んだ一行の乗る船の状況だが、まだ到着してないにも関わらずルイズたちはひとつの問題に直面した。任務がここで駄目になる可能性が出るほど。

 

・・

 

 自分たちが乗っていた船が、別の船・・空賊に目をつけられてしまった。向こうは、こちらの船より大きく主砲の数も倍以上あるだろうそれをこちらに向け、乗り込まれてしまった。

 ルイズが抵抗しようとしたがワルドに説得されしぶしぶおとなしくしているのだった。

 

 

 「ほぉ、硫黄に硝石か。いいもんもってるじゃねえか・・それにべっぴんさんばかりだ」

 

 「おれらも空賊だ!なぁ仲間だろ?手を組もうじゃねえか」

 

 「あぁ?これは俺らのものだ。よく言うだろ?お前のものは俺のもの、俺のものは俺のものだ。へへっ」

 

 「っ・・あんた「ルイズ、ここは大人しくしよう。チャンスはまだあるはずだ、今は耐えよう。大丈夫私がいる」・・分かったわ・・」

 

 「よし客室(牢)へ連れて行け、応答はそこで行うからな!」

 

 

 この船の頭だと思われる者が、連れて行かれるルイズたちをニヤニヤと笑いながらジロジロ見ている。がしかしルイズは、そんな目線を突き飛ばすかのように睨み返す。頭は無意識に ほぅ と声に出しており何を考えたのか近づいてくる。

 その行動にワルドは、危機感を覚え必死にルイズの前に立ちはだかろうとするが他の賊に取り押さえられ倒れこんでしまう。

 

 

 「意地汚いあんたらが私に何か用?」

 

 「ははっ、口だけは達者だな。ルート的にアルビオンへの道のりだよな?何の用があるってんだい?」

 

 「ウェールズ皇太子に会うためよ!邪魔するんだったらあんたらただじゃおかないんだから!」 

 

 

 最初の一言に頭は、険しそうな顔を一瞬するがすぐに戻り理由と問いただす。

 

 

 「ほおん、そんなやつよりよこっち側、レコン・キスタ側に付けよ。報酬もたんまりだしな!」

 

 「ばっかじゃないの!そんな下種な方に行くぐらいなら首くくったほうがマシよ!」

 

 「もう!ゼロのばかルイズ!少しくらい自重しなさいよ!」

 

 「うっさい!えろ河童はお黙り!「なぁにがえろ河童よ!もう少しまともな例え無かったのかしら!」突っ込むところそこじゃないでしょ!」

 

 

 ・・・まさかこの空間にいる2人を除き全員が呆れるとは思っても見なかっただろう。一斉にため息を吐いていた・・・。

 

 

 「・・おい!さっさと連れて行け!俺じきじきに行う!・・ったく、なんだってんだ・・」

 

 「へ・・へい!」

 

 

 ・・・ 

 

 頭が丁度牢へ向かおうとした時、ドアが開かれあせった様子で甲板員が入ってくる。

 

 

 「お・・おおおかしら!こ・・甲板に・・!」

 

 「・・・?なんだ?・・・ドラゴンだと?こんな所でなんだってんだ。弓で追い払え!」

 

 「へぃ!・・・!?すぐに雲に隠れていなくなりました!」

 

 「なんだったんだ?・・・それよりおれぁ牢にいってくる」

 

 

 ドラゴンの行動に疑問を感じながら、頭と呼ばれる男は牢へ向かうのだった。ルイズの発した言葉を思いながら・・・。

 そのころ魔理沙は・・。

 

.........



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第八話 空賊と空賊と魔理沙

前回のあらすじ

空賊を説得したワルド。途中までは良かったが仲間割れなのか空賊に襲われてしまい捕らえられた。
外ではドラゴンに威嚇された甲板兵士


 フーケと別れ、飛び立った後から始まる・・・。

 

 使い魔と主人は一心一体らしく、使い魔側からすると何処にいるかも分かるようで直線にタバサのいる方向へ向かっている。

 途中途中艦隊のような姿が遠くに見え、魔理沙は終始 おぉ と歓喜していた。幻想郷だと一度だけ異変と呼べるのか分からないが実際にあった。そこで浮かぶ大きな船を見たことあるがそれに劣らない姿でありそれが多数あるわけだ。興奮しないわけがない。

 

 するとシルフィードから声がかかり魔理沙はそちらを確認する。シルフィードは少しスピードを落としあせった様子でこちらに首を曲げる。

 

 

 「きゅぃ!マリサ!あのね・・、お姉さまたちが怖い人たちに捕まっちゃってるらしいの!ど・・どうしようう」

 

 「落ち着け落ち着け、捕まったってのがよくわからんけどどんな状況なんだ?」

 

 「牢屋に入れられてるのが見えるわ!なんか髭の見るからに怪しい人と話してるようだわ!」

 

 「うぅん・・・よし私が何とかしよう、シルフィは甲板あたりでちょっとでもいいから気を逸らして貰いたいけどいいか?船に傷つけたらだめだぜ?」

 

 「きゅい!まっかせなさい!このシルフィちゃんが余裕でこなしてあげるから!」

 

 

 その言葉に苦笑いしつつ、少しずつ大きくなっていく船の姿を確認した魔理沙は降りる事をシルフィードに伝え、その場から飛び降りる。すぐに箒の付け根部分に跨り、先行するシルフィードを確認しながら船の後方へ向かう。

 

 シルフィードは甲板で何をすればいいかよく分からないがとりあえず気を引けといわれた為、翼を大きく広げ咆哮する。咆哮はあまり得意としていないようで甲高い音を賊へと響き渡らせるだけだった。

 しかしいきなりの奇襲とあって、それだけでもぞろぞろと寄ってきたため、ほくそ笑みつつ攻撃されたくない為その場から退散する。

 

 一方魔理沙は、後方へ行きつつどう潜入するかを考える。1つ目はマスパで船をボコボコにする。2つ目は、ルイズたちを除いた船に搭乗する賊、一人ひとり弾幕で気絶させる。3つ目に、ルイズたちの救出を優先し隠密行動する。

 

 1はありえない、ルイズたちが危険に晒されるのはダメだ!だからこれは無し。2は時間がかかりすぎるのと、せっかくシルフィードに手伝ってもらった意味がない。3はほかに比べれば全然ありだろう、しかし・・・しかしだ。 私らしくない!この一言に尽きる。

 じゃあどうするか?・・、紅魔館にお邪魔するときの様にすればいいじゃないか!門番を倒して図書館へ突撃!やることは変わらない。・・よしやることは決まった。ならば実行あるのみ。

 

 

 「それでこそ私ってものじゃないか、まずは内部へ突撃だな」

 

 

 一人そう呟きながら船の中へズンズンと進んでいく。千切っては投げ、千切っては投げ魔理沙の前に立ちはだかる敵は新しいスペカの実験台となるのだった。

 そして牢に視点は戻る。

 

 

 「でもう一度問う。今アルビオンがどうなってるか知ってるだろう?なぜわざわざ行く必要がある。見た感じなかなか実力はありそうだ、命を捨てに行く必要ないだろう?」

 

 「馬鹿いわないで!誰が命を捨てに行くものですか。私たちはアルビオンでやることしてちゃんと帰って報告しなきゃいけないの!あんたたちこそこんな事をして生きて帰れると思わないことね!」

 

 「へぇ、それだけ大きな任務なのね。じゃ私からも一言ね、ルイズの言うとおりあんたたちこそ知らないわよ?こーんなことして燃やしてあげようかしら」

 

 「はぁどうしてこんな気の強い女ばかりなんだ・・。ん?いまルイズと言ったか、フルネームを教えてくれるとうれしいんだがな」

 

 

 賊頭からの問いにルイズとキュルケは、顔を見合わせ傾げるが名乗れと言われたのだから貴族らしく堂々と宣言する。その隣でどうして私じゃないのよ、と呟いているキュルケをタバサが撫でていた・・・。

 おほん、とワンテンポ遅らせ名乗る。

 

 

 「心して聞きなさい。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ヴァリエール家の三女よ!」

 

 

 その言葉に賊頭は口を開け停止している。気分を良くしたのか ふふん と腰に手を当てドヤ顔を決めていた。ワルドにいたっては顔に手を当て、どうしてそんなに素直に話してしまうのだろうか・・と悩んでしまっていた。

 賊頭は少し考えながら口を開く。

 

 

 「そうか・・・君がアンリエッタの言っていた・・・」

 

 「・・え?アンリエッタって姫殿下のこと!?ど・・どうしてあんたが」

 

 

 双方驚きの会話をしていると階段を乱暴に下りる賊が声を荒げながら賊頭へと報告する。

 

 

 「か・・かしらぁ大変です!箒を持った白と黒のへんな服を着た女が仲間を攻撃しながらこっちへ向かってきています!えらい強くて見たことない魔法を乱発してきています!」

 

 

 船の乗員が報告し終わった時間がたつにつれ、船に軽く衝撃が伝わるのがルイズたちにも嫌でも分かってしまう。先ほどまで腰に手を当てていたルイズでさえ口をつぐみ、眉間にしわを寄せどんどん顔を青くしている。牢に入る者全員が、口々に魔理沙、あの馬鹿魔理沙と共通する 魔理沙 という言葉を放つ。

 

 

 「く・・レコン・キスタが乗り込んできたのか?単身で・・??・・これが終わり次第先ほどの件について話していただいてもよろしいかな?」

 

 「え・・えぇ・・分かりました・・?」

 

 

 今更ながらどうして敬語なんて使ったのか、まるで相手が目上の立場の人間のように感じてしまったのだろうか。しかしそれに気がつかず魔理沙のこの行動で頭がいっぱいのルイズだった。

 すぐに衝撃音が聞こえ、そちらを確認すると白と黒で身を包んだ箒と丸い何かを持った女性、霧雨魔理沙が現れる。

 

 

 「おっ、ここが正解ってやつだな、ルイズお待たせなんだぜ」

 

 「ば・・このお馬鹿!馬鹿魔理沙!アホ魔理沙!もっと静かに来れなかったの!?」

 

 「お?どうしてそんな怒ってるんだ?シワ増えるぞー?」

 

 「シワができるような歳じゃないわよ!だいた「話の途中失礼するよ、さて君は何者だ?」・・・」

 

 「へへっ聞いて驚け!私が正義の味方、普通の魔法使いの霧雨魔理沙だぜ!」

 

 

 魔理沙の笑顔は素敵だが、そのセリフのせいで台無しなのは聞いた側だとすぐにわかってしまった。ルイズが握りこぶしを作りながら耐えている模様、その後ろからワルドがルイズを抑えるのに必死で、慌てている姿が確認された。

 そのまま魔理沙は、相手に有無を言わさせず八卦炉を構え戦闘体勢に入る。ルイズは止めようとするが何故かワルドに止められる。その時のワルドは頬を吊り上げ、少しだけ怖かった・・・。

 

 今いる場所の牢だが想像しているよりは狭くはない、がだからといって魔法を交わえるほどの広さではない。魔理沙も(一応)気を使ってるのか、弾幕はおろかスペカすら使っていない。この賊頭かなりの腕前のようで、それをすぐに判断した魔理沙は背中の剣を抜き構える。

 持った途端に腕の甲にある紋章、ガンダールヴが光り輝く。それを見たワルドは一層笑みを強める一方、それを鋭く見つめるタバサがそこにはいた・・・。

 

 

 「ん・・・?お・・おおぅうぉお!?嬢ちゃん!とうとう俺っちを使ってくれるのか・・・うれしい・・・長生きしてこれほど嬉しさを感じるなんて・・・涙が流せていたら流してたぜ!」

 

 「あーうん、ごめんなデルフ?お前がもっと小さければ使うんだけどな」

 

 「おまえさんはガンダールヴなんだからそういうところは気にすることねえって!ただまぁ・・嬢ちゃんにゃ剣はやっぱ駄目そうだな・・・」

 

 「・・・そういうなって、こんな狭いところでスペカ使えないし折角なら使ってやるっていってんだからな?」

 

 「へいへい、しゃあねぇちょっと手伝ってやるか」

 

 デルフがそう呟くが魔理沙には聞こえていない。剣を触ることすら初心者の魔理沙と完全に戦い慣れしている賊、勝負は一瞬だった。呆気ないかもしれないがこれがガンダールヴだ、と言わんばかりに瞬時に相手の目の前まで移動し、剣を弾き魔理沙の勝利である。

 

 

 「・・・んお?なんか勝手に体が動いたんだけど・・・え?なにこれ、気持ち悪・・おいデルフなんかしたのか?」

 

 「・・・まぁちょこっとな「この変態おばか!」・・えぇえ・・・・・」

 

 「ち・・ちょっと魔理沙あんた!こ・・この人・・・ず・・ずら・・・」

 

 

 賊頭は何もできず剣が弾かれたのが大層驚いたのか、思考停止している様子。その為、ずらが外れているのに気がついていない模様。キュルケは笑いを堪えられない様子で ぶふっ と口から漏れたのを切欠に魔理沙たちが笑ってしまう。ギーシュはずっと端のほうで怯えて震えていたが、これのお陰かいつもの調子でバラ型杖を口にくわえ鼻で笑っていた。、それに気がついた相手は髪を押さえ沈黙している。その後、逃げるように部下に指示を出し、ルイズたちを牢から出させ客室へと案内させるだった。

 そこでワルドは、先ほどの一瞬で終わった戦闘の感想を誰に聞かせるわけでもなく、ぼそりと呟く。

 

 「はやいな・・・しかし目で終えない分けではなかった・・ふふ、腕が未熟だったからかな?もしもの事があってもこれなら・・いける・・!」

 

 

 客室へ到着した後本当の姿をルイズたちに曝け出した。なんとこの賊頭こそ、私たちの任務で会わなくてはならない人、ウェールズ皇太子その人だった。完全に失礼なことをしてしまった私たちは、目線を合わせらず困ってしまっていた。

 ルイズやギーシュに至っては土下座しそうな勢いだ。いやギーシュはもう床に擦り付けている。その行動にウェールズも気にしていない様子で、 照れながら今の状況を説明している。

 

 

 なんでも空賊の真似事をして、敵・・レコンキスタ所属の空賊から荷物を奪っているらしい。何に使うのかというと最後の足掻きらしい・・・。その先にある意味は、 死。 

 それはウェールズのみならずアルビオンにいる抗うもの全員が覚悟しているらしく、その足掻き決行日が明日なのだと。と言う事は、私たちは本当にぎりぎり間に合った・・と言う事だ。

 

 

 それからと言うもの、魔理沙は弾幕を当ててしまった兵士一人ひとりに謝っていた。自主的には絶対にやらないが、これはルイズやタバサに言いくるめられた為である。まさかデルフにまで言われるとは、と嘆いていた。

 と、もう数十分で到着と言う所で兵士から報告があがる。

 

 

 「報告いたします!雲の間から旗を掲げていない艦あり!なおその周囲には他の艦はいない模様。おそらく空賊あたりかと予想します!」

 

 「ふうむ・・・このルートにいられるとアルビオンに入るところを見られる可能性があるな・・・なんとか撃退しないといけない、しかしこんなところで火薬を使うことはできない・・・」

 

 

 ウェールズが困っている姿をルイズたちが目撃していると魔理沙が手を上げてウェールズに提案する。無礼な態度にも関わらずあまり気にしておらず、首を傾げながら発言を許可する。

 

 

 「あんたの国に入るためにその邪魔者がいるって話だったよな?遠距離攻撃ならドンと来いだぜ?たぶんだがこの中で一番遠距離に強いぜ?」

 

 「いや・・しかしだな?大砲もないのにどうやって?残念だがこの船のはあまり使わないでもらいたいが・・」

 

 「うんにゃ?私の魔法、マスタースパークで船なんて一撃さ!私にまかせろって!な?(これ以上かっこ悪いところ見せられないしな・・)」

 

 

 ウェールズは別の意味で困った顔をし、ルイズたちに視線を向けるが信用しているのか賛成の意見が飛んでくる。

 他の手段が無い訳ではないが一応相手はアンリエッタの信頼する者たちの言葉と思い、やらせてみよう・・と考える。が失敗した時の為の別の手段も兵士に準備させる。

 

 

 「準備はいいか?マリサ」

 

 「おう!まっかしとけ!あ、そうそうこれ成功したらさっきの迷惑かけたこと許してくれよ?これでちゃらだと思ってさ!な?」

 

 「別に良いって言ったじゃないか、だがそう言うのであれば良いだろう。無理だと思ったらすぐに言ってくれ、こちらで仕留める事にするから」

 

 「ははっ、あんなに分かり易くてデカイ的だぞ?失敗するほうが難しいって!んでどこ狙えばいいんだ?」

 

 「基本的に船に前後に風石機関が存在するんだ、どちらが故障でもしたらその船は低速でなら移動はできるが戦闘での運用は不可能だ。無論前後機能停止でもすればそれは落下、すなわち相手を殺すことだ。・・・君の仲間は近くに居ないから聞こえない・・だからもう一度聞くよ、分かっているかい?君のような可憐な女の子が人を殺すことになるんだぞ?私たちがなんとかすることだってできる。これでも何年何十年船を運用してきたんだよ?」

 

 「・・・でも、だ!私が元々住んでいる所じゃあ異変はたっくさんあったけど、殺し合いなんてないところだった、でも今はそこじゃないしな・・・正直私の力がどれくらい通用するかは分からないけどな。私だって強くならないといけないんだ・・・心も体も、あいつに追いつく為に・・!それにルイズたちの為に私が今できることをするまでだぜ!」

 

 「・・・意気込みはあるようだね。分かった、じゃあよろしく頼んでもいいかい?」

 

 「おう!わたしのマスパをなめんなよ!さぁ!一撃でしとめてやるぜ!」

 

 「ああ 微速前進、1メイルごとに左へ!敵の背後につけ!!」

 

 

 ウェールズが乗る船がある程度敵艦に近づくと無音走行に入る。空賊は周囲の確認も怠り、何も気がつかないまま数十リーグ後方へ寄せられてしまう。ウェールズが魔理沙へ視線を移し頷く、魔理沙はニヤけ顔で八卦炉に魔力をかき集める。周囲にいる兵士もこの異変に気がつき、ウェールズもごくりと息を呑む。

 

 

 「今日二回目のマスパだぜ!・・・ふっ・・!符の参 マスタースパークッッ!」

 

 

 カッ、と光ったと思ったときには極太の虹色に光るビームが一直線に敵艦後部へ。それと同時にマスパの射撃のせいで強い風が吹き荒れ、船がガタガタと揺れるが魔理沙は容赦なく出力を上げていく。それに連なり風圧も強まり甲板にいる兵士がうずくまり、必死に風に吹き飛ばされないように兵士同士で支えあう姿が見て取れる。

 光が強すぎるのかウェールズも目を細めつつもその姿を最後まで見ている。無論その姿をワルドも見ている。驚いた顔をしつつ、どんどん判明する魔理沙の実力を知れて嬉しいのかにやけている。

 バキバキバキッ・・という木がめちゃくちゃに折れる嫌な音が、遠く離れていても聞こえてくる。出力が落ちてきたのか、光も収まって行き魔力を飛ばす時に発する高音も同時に収まっていく。

 

 すぐにウェールズは兵士から双眼鏡を奪い取り、敵艦を視認する。その目に写ったのは、ぽっかりと端から端まで穴の開いた船の姿・・・すぐに煙を上げ、原型を留めてない船は、落下しつつ空中分解していく。

 

 ボケッとその凄まじい出来事を見ていたウェールズは周囲に敵はいないとはいえ、これほどまでに予想を超えてしまった出来事に、いずれはここに敵が来るだろうと予想した。すぐにも機関を動かすよう指示し素早く雲をかいくぐり、底面あたりからからアルビオンへ進入していく。

 

....

 




マスパ+ガンダールヴ=チート


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第九話 アルビオン滅亡前日の夜

 魔理沙のマスパを見終わったワルドは、唖然としているルイズを連れて少し前に振り分けられた個室へ入っていく。

 先にルイズを座らせワルドは手早くワインを準備し、ルイズと乾杯をするためグラスに注ぐ。

 

 

 「ミス・マリサのあの魔法はすごいな・・・東方の魔法だっけかな?」

 

 「ええ、よく知ってるわね」

 

 「フーケの尋問を私が引き受けてね。そこで聞いたんだよ、・・実際見ると恐ろしい反面頼もしいって思うね」

 

 

 そうね、と弱く呟くと、ワルドはクスッと笑いとりあえずルイズとグラス同士を軽く当て乾杯する。

 一口流し込むとワルドは本題に入る為、グラスをその場に置きルイズ、と名前を呼ぶ。少しだけ雰囲気が変わった事に気がついたのか、首をかしげどうしたのか問う。

 

 

 「まだルイズが小さい頃に親同士が決めた事を覚えているだろうか?私は今でも覚えているしその通りになれたらいいな、と思っている。」

 

 「それって・・・」

 

 「ふふ、気がついたようだね?あのときのは本気だと思っているさ。だから必死に頑張って子爵という立場、魔法衛士隊隊長という立場、どちらもルイズや双方の親に認めて貰う為だ」

 

 「あ・・あう、その・・何ていえば良いのか・・・でもこれだけは分かるわ、嬉しいっていう感情があるのは」

 

 「私も同じ気持ちさ、・・今言う言葉じゃないのかもしれないけどずっと言いたかった、・・私は君と結婚したい。どんな困難があっても守ってみせるよ。絶対に幸せにしてみせる」

 

 

 結婚 という言葉に脳の処理が追いつかなくなってしまったのか、金魚のように口をパクパクさせるだけで言葉がでてこなかった。

 数秒はたっただろうか、ハッと気がついたのか深呼吸し声を出す。

 

 

 「ワ・・ワルド、あのね、私あなたのようにすごい人の隣にいれる人じゃないのよ?魔法もいまだにコモン・マジックさえ使えないの・・・笑えるでしょ?・・・」

 

 「いいやそれは違う、ルイズ、君は偉大なメイジと成れる素質を持っているんだ!そこらのメイジとは違う、圧倒的な力をね。ルイズ自身が気がついていないだけさ」

 

 「うそよ!ありえないわ!今までに何度試したと思ってるのよ・・・何百回やってすべて失敗するんだもん・・・ありえないもん・・・」

 

 「大丈夫、大丈夫だよ愛しのルイズ。苦しいのは今だけだよ、僕がずっとそばにいてあげる、どんな危険な目にも合わせない。約束しよう。 ・・・さっきの・・返事を聞かせて貰って良いかな・・」

 

 

 うぅ とルイズは悩むが、自分の心を理解してくれるのはちいねえさまは勿論、小さい頃から良く面倒を見て貰ったワルドだ。ここまで思ってくれてるなら・・・と考えていたがふと何かが思考中に過ぎった気がした。いや気がしたじゃない過ぎったのだ。それを追いかけるように思考をワルドからそれに向けた。 

 

 そうだ、面倒を見て貰ったのはワルドだけじゃない。むしろワルドより私のことを理解してくれているのかもしれない。そうあの召喚の儀式で現れた人間、霧雨魔理沙だ。

 

 召喚したときは色々あったけど、それからはなにかと励ましてくれたり、魔法の練習にも付き合ってくれた。あの錬金のときは本当にびっくりしたな・・・ と思考に耽ってしまう。

 どちらも努力家で、弱みをあまり見させない見せたくない。だから魔理沙はルイズの気持ちを非常に理解していた。女性同士でもあり年齢が近いっていうのもあるのだろう。コントロールがうまくいったときは自分のことのように喜んでくれた。

 

 ワルドがルイズ、と肩をゆすり気がつかせる。あっ、と思考の海から現実に戻され冷静になっていく。すぐにワルドに謝罪したが苦笑いされてしまい、さらには やっぱり今は答えを出さなくて良いよ。あの使い魔、魔理沙が君の中で僕より大きな存在になってるようだからね、ちょっと寂しいかな。 と呟かれそのまま 少し外に出てくるよ と言い、外へでていってしまった。

  何てことを私は・・・と頭を抱えその場で塞ぎ込んでしまう。

 

 

 視点は戻り甲板にいる魔理沙、マスパを撃ち空賊を倒した事で歓声を浴びていた。がウェールズの指示により元の位置へ戻される兵士たち、それを困った顔で見る魔理沙。

 そこでウェールズから声がかかりそちらに振り向く。

 

 

 「ミス・マリサ・・・ご苦労であった。あの魔法はいったい・・・」

 

 「私の十八番、マスタースパークだぜ」

 

 「・・?あぁそういえば東方のメイジだったな、私たちが知るわけがない・・・か、いや今はそれどころじゃない。今はゆっくり休むんだ。間接的とはいえ相手を殺したんだ。あとは到着まではゆっくりして気持ちを落ち着かせるといい。無理をしてはいけないぞ?」

 

 「はは、まあそのお言葉に甘えますか。・・・んじゃあな」

 

 

 その背中を見たウェールズはなんとなくだが、重そうな足取りで戻るようにも見えた。

 魔理沙は自室へ戻る途中に背負っている剣、デルフリンガーがいきなり話しかけられビクッとしながらも普通に返答する。

 

 

 「おう嬢ちゃん!あんなすげぇもん見たことねえぜ!いやあ面白いもの見させてもらったぜ!おれ自身、使ってもらったしいいもん見たしなんだか今日は気分がスカッとして最高だぜ!」

 

 「そかそか、じゃあもう使わなくていいなっ?」

 

 「え?・・はぁ!?いやいやいやそれとこれとは別だろうが! ああ、こんな話じゃなくてな!いい忘れてたんだがよ、俺の能力を思い出したんだぜ!なあ聞きたいか?なぁなぁ!」

 

 「うわ、めんどくさい」

 

 「なぁ頼むよぉ!聞いてくれよ!「分かったよ!もう・・」・・・よし!」

 

 「おほん!まずガンダールヴってのはな、心理状況によって変わってくるんだ。感情が高ぶれば効力も増す。怒りがまさにそれだな。んでだ竜にのってこの船に来る前に学院長だったか?その爺さんに対して怒ってたろ」

 

 

 魔理沙は あぁあれか と思い出す。手癖の悪い変態学院長と使い魔の変態ねずみのことだ。また怒りが高ぶりそうだったが、とりあえずデルフの話を聞くため冷静になる。それを汲み取ったのか、デルフは言葉を続けていく。

 

 

 「その時のおかげで思い出したぜ!いやぁまさかそんなんで思い出せるなんてなー」

 

 「そんなんでしか思い出せないお前って・・・」

 

 「あっいやそれはだな。・・・いやそれよりその思い出した内容だが、なんとな!この俺様、デルフリンガー様は魔法を吸収する能力があるんだぜ!な?すごいだろ!」

 

 「へーすごいな、んじゃあさ!私のマスパいけるのか!?そしたら認めてやるぜ」

 

 「あ・・いえ、マスパって先ほどのですよね・・・ば・・ばっきゃろ!無理に決まってんだろ!」

 

 

 その言葉を聞いた魔理沙は、その場にデルフを投げつけ見下すような目つきで見る。 あとにデルフはこう言う。

 

 悪くなかった

 

 と。

 

 

 そして時は進みアルビオン内部。

 私たちの目的である、アンリエッタがウェールズへ送った恋文の回収を今ちょうど行うところである。

 思ったよりスムーズに行えたが、私自身それが成功するしないなんて二の次なのだ。ワルドの件さえなければ、そういうこともなかったものを・・。

 

 ワルドの真意はわからない。けどレコン・キスタ側の人間なのは分かっている為、とりあえず信用できる人に話すべきだと思う。信用してくれるしてくれないは別として話さないといけない・・・私だけでどうにかできる相手じゃないのは確かだ。慢心は良くない、今まであった異変でよく勉強したことだ。

 

 そのためにまずは目の前にいるこの国の皇太子、ウェールズに話そうと思う。 ワルドに感ずかれると厄介なのでとりあえずできれば一対一のほうがいい。魔理沙が先に話そうとするが、ワルドが発言し自分たちは退出する。

 すぐに話が終わると言うことで魔理沙はその廊下に立ち待っていた。

 

 

 「魔理沙、いかないの?」

 

 「ウェールズにちょっとなー、あとで三人にも話す内容だからまたあとでな?・・おっとこんなことを言ってたなんてワルドにだけは言うなよ?絶対だからな?」

 

 「ま、魔理沙?どうしたのそんなに強張って・・」

 

 「あとで話すからな?だから他言無用だ」

 

 

 納得いかないという表情をルイズとキュルケはしていたが、タバサは何かを察したのかこちらに目線を合わせ頷いている。

 数分もしないうちにワルドがドアから出てきて声をかけてくる。

 

 

 「殿下に何か用なのかい?」

 

 「あぁどうせ滅ぶんなら何かもえらえるかなーってね!貰える物は貰っておくべきなんだぜ」

 

 「君は・・いや何も言うまい。頼んでみるといい、ただ失礼のないようにな。まぁむりだろうが」

 

 「へいへい、やるだけやるだけなんだぜ じゃな」

 

 

 大きなため息を吐きつつワルドはそう言うと、背中を向け去っていく。それを最後まで見続けた魔理沙はノックもせず一言言うと同時にドアを開け、入っていく。

 もう慣れたのか、困った顔をするだけで特に怒ることもなく用件を問う。

 

 

 「ミス・マリサ船の件では助かったよ。ただあれはやりすぎかな?」

 

 「そんなこといってもなー・・・船にマスパ撃つなんて初めてだから勘弁してくれよな」

 

 「そうだね、もう終わったことだし・・。さてワルド子爵と話していた内容が少し聞こえたけど、何かほしいんだったかな?どうせ滅ぶのだからあげることは可能だよ。使わないのに持っていても仕方ないからな」

 

 

 さぁ何がほしい? と問われるがそれを否定して魔理沙は本題にはいる。その前にウェールズにサイレントの魔法を掛けてもらい、密談状況をつくる。

 

 

 「さて、ここまでしたのは何か大きなことを話すんだね。協力できることがあればできるだけしようと思う」

 

 「すまんね、今から話すことは信じられない、と思っても信じてほしいんだ。これは手紙を渡して返してもらってはいお終い・・・で終わる任務じゃなかったんだよ、もしかしたらルイズやあんたの命に関わることだろうし・・」

 

 「ふむ、まあとりあえず話すといい。判断はこちらで決めるだけだ」

 

 「あぁ・・まず前提として私は東方の魔法使い・・メイジだ。それは知ってるよな?そして人それぞれの魔力を感知することができる。たとえばタバサって子がいただろ?あいつは風だ、あんたも風だ。同じ系統だけど質が違うんだ。タバサは鋭利なものだと例えると、あんたのは柔らかく包み込むような風だ。」

 

 「・・・・ふうむ・・・ディテクト・マジックとは違うのか。向こうには便利な魔法があるものだな・・・してそれがどうしたのだ」

 

 「うん、それでここに来る前にラ・ロシェールで土くれのフーケと対峙したんだよ。そこでもう一人仮面を被ったやつが隣にいてな・・・それがもしかすると私たちと一緒に来た一行の一人かもしれないって話なんだ・・・」

 

 「・・・まさかね、土くれのフーケか・・あの大盗賊のが向こう側にいてさらになぞの人物が近くにいると」

 

 

 あぁ と声には出さないが頷き、ウェールズを見る。険しい顔をしつつ魔理沙に続きを催促する。

 魔理沙は一呼吸起き、口を開く。

 

 

 「その人物ってのがだな・・今さっき話していたワルドだよ」

 

 「・・!・・・まさかそんな、あの名だたる魔法衛士隊の隊長ともあろう人が・・・」

 

 「私一人じゃあどうしようもないんだ!私のようなガキがこんなこと言って信用できないなんて分かってるんだ。けど・・けどルイズたちを守りたくて」

 

 「君の熱意は感じてるよ。・・・けどね半信半疑なんだよ僕も、難しい内容だけにね。さっきワルド子爵からミス・ヴァルリエールと結婚するから僕に立ち会ってくれ、と頼まれたよ。はてさて・・・どうしたものか」

 

 「っ・・・あいつ・・・ルイズたちからは私が言っておく。だから・・」

 

 「大丈夫だよ、警戒して損はないだろう。協会に兵を忍ばせておこう。私自身も備えくらいはしておくとするよ」

 

 「あぁ・・信じてくれてありがとうなんだぜ・・・あとこれを渡しておくよ」

 

 

 

 一切れの紙のようなものをウェールズは受け取るが、なんて書いてあるか分からない文字であり、しわばかりで綺麗な紙とはいえない。

 こんなものを渡してどうしろと、と考えるがその前に魔理沙からこれについて説明がある。

 

 

 「話だけは聞いたことがあると思うんだ。私たちのいる魔法学院にあって頑丈に管理されている宝物の一つ。守護の札ってのをね 今渡したのがそれだよ」

 

 「なにっ!?本当に言ってるのか?どうして君が!?」

 

 「オスマンのじじぃに譲ってもらったんだよ。効果は私のお墨付きだぜ!フーケのゴーレムも一撃なら耐えられるぐらいにはね」

 

 「・・・でこれを渡して見返りとかを求めるってとこかい?」

 

 「いんや?別に私自身まだ2枚もってるし何か合った時のためのお守りってね」

 

 「・・・そうか、私からはあげられる物なんて宝石ばかりだけど・・いるかい?」

 

 

 いらんよ、欲しくてあげたわけじゃないしな。貰えるならもっと私に役立つものの方がいい と断りこの後に控えるアルビオン王国最後の晩餐へ出席するため、魔理沙は退出する。

 

 ふう、と一息つきウェールズは、先ほどの会話の内容を思い出しながら晩餐への準備のため鍵を掛けその場へ向かう・・・。

 

 

 滅びる直前だからなのか、難しく考える必要が無い為なのか分からないがルイズ一行以外全員笑顔で威勢が良いようだ。

 キュルケやギーシュには何となくアルビオンの人たちの気持ちが分かっていたが、ルイズにいたっては何も分からず泣きそうな悲しい顔をして呟いていた。それをあやす魔理沙もやはりなぜ諦めるのか、と・・・。一言でも二言でも言ってやりたがったが、さすがにこれ以上ルイズに迷惑をかける気にはなれない。

 ため息を吐くと同時でルイズが目元を適当に拭き、魔理沙へ顔を向ける。

 

 

 「・・・魔理沙、あのね・・ちょっとバルコニーにいきましょ?話したいことあるの」

 

 「?、あぁ」

 

・・・・

 

 

 「んでどうした?もしかしてあいつらのことか?死にたがりのやつらな。命があればいくらでも挽回できるとおもうんだけどな。とはいえ私にゃ政治のことまで分からんしな」

 

 「あ、いやそれじゃなくてね。船に乗ってるときにワルドにいわれたの・・け・・結婚しようって。あなたは偉大なメイジに成れるとかなんとか。それでね、魔理沙の意見も聞いておきたいかなーなんて・・」

 

 「・・・それは先にウェールズから聞いたぜ。私が何がどうとか言うべきじゃないんだろうけどな、ただ今回は口を出させてもらうんだぜ?私は反対だ。レコンキスタ側の奴なんかにルイズは渡せんさ」

 

 「え?いやワルドはトリステインの魔法衛士隊の隊長よ?何を言って・・」

 

 「フーケの隣にいた仮面の奴な。ワルドと同じ質の魔力だった。私の実力をあそこまで知りたかったのも多分敵対したときのためなんじゃないかなって・・」

 

 「う・・嘘よ!い、いやそんな事聞きたくないわ!魔理沙といえどそんな冗談はやめて頂戴!」

 

 「本当なんだって!なぁわかってくれよ!」

 

 

 ルイズは 嘘だ と言いそのまま飛び出してしまい魔理沙は しくった・・ と一人呟いていた。それからすぐにキュルケ、タバサが心配したようにバルコニーへ出てくる。

 先ほどあった事情を話すと同時に、ワルドの正体を話していく。

 

 

 「ふーん、ルイズは魔理沙のこと信用してなかったのかしらねえ・・それにしてもイケてる顔してそんな裏側があったなんてねえ、あら?タバサそんな驚いてなさそうね?」

 

 「何となく分かっていた。怪しいと思った部分が数回あったから、ただ魔理沙のおかげで確信が持てた。それとルイズの拒絶は多分、逆に魔理沙のこと信用しているのとあれのことも信用しているからこそじゃないかと」

 

 「さすがタバサだな・・・いつだって冷静に物事を見てるんだな!まあルイズのことはみんなで守るしかない」

 

 

 魔理沙は笑いながら褒めると、少し恥ずかしそうにするがそれを隠すように無表情を突き通す。だがキュルケには分かってしまったようでニヤニヤしていた。

 それから自室に戻り、作戦を考え次の日に備え就寝するのだった。

 

 

 

 

 




UAが5万超えていましたね
うれしい気持ちでいっぱいです。最後までがんばりたいと思います。


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第十話 ワルドの目論見と魔理沙の苦難

 そしてその時はやってきた。おいつめられたアルビオン王国は、抗う者を集わせ最後の抵抗が始まろうとしていた。。兵士はすでに船に乗り込み号令を待つだけ。

 

 そんな時だが、今ルイズ一行とウェールズは協会にいるのだった。理由はワルドとルイズが結婚する為だが、何故だかいまこのタイミングで結婚式をやろうとしている。正直誰に聞いても馬鹿馬鹿しい、と思うだろう。しかしルイズとワルドはウェールズの指揮の元順調に進めていく。

 

 

 「新郎、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。愛を誓い、いつまでも妻を幸せにすることを誓いますか?」

 

 「はい 誓います。」

 

 「では新婦、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。愛を誓い夫と共に人生を歩んでいくことを誓いますか?」

 

 「・・そのワルド・・・あ・の・・ごめんなさい・・私結婚はできないわ・・・少なくとも今は」

 

 

 ウェールズの声に完全な拒否の反応しか示さないルイズに、ワルドは少し焦りながらも誓う言葉を言うよう催促する。

 

 

 「な・・・なにをいっているんだ!僕のことは嫌いなのかい?なぁ嘘だといってくれよ!世界だ!私とルイズで世界を手に入れよう!な?だから・・」

 

 「・・・?なるほど。ええ、今ので迷いは無くなったわ。ごめんなさい、こんなに無理やりな結婚式。親もいなければこの雰囲気といい状況も切羽詰ってる。こんな状況で結婚式するなんて、あなたどうかしてるわよ?」

 

 

 ここでようやくウェールズもワルドの無理やりな姿勢に違和感を覚え、ワルドが聖地だとか虚無だとか何かいっているがそれを後回しにして魔理沙たちに目線を送りつつ回りにも目線を向ける。

 

 がその時、ワルドが振り向き様に閃光のような速さでレイピア型杖でウェールズの胸を一突きしてしまう。

 やったか!? とワルドは、にやつく顔を隠さなかったがすぐにその表情は崩れる。その間ルイズは、いったい何がどうなっているのか理解できず放心状態である。

 

 

 「(結婚を迫られたかと思ったらワルドがウェールズ皇太子殿下を刺してる・・・?う・・そ。そんな魔理沙の言うとおり、なの?私は・・わたしは敵に好意を寄せていたの?今まで私に近づいていたのは・・)」

 

 「なっ・・・刺さらないだと!?なんだこの膜みたいなのは・・!?なにがどうなって・・っ!?」

 

 「・・!?こ・・これは守護の札・・・これは・・・きっさまレコン・キスタの者か!」

 

 

 胸に入れておいた魔理沙から渡された紙、守護の札が発動したのか小さな結界が現れる。ワルドが驚いている隙に体当たりで突き飛ばし、ウェールズはルイズを守るように後退していく。

 

 ワルドの考えていた流れとしては、アンリエッタの手紙を奪いルイズにどういう返事とか関係なく連れ去り、さらにはウェールズの命を奪いつつあの使い魔も止めを刺す予定だったが、最初から躓いてしまった。このスムーズな流れをみると自分の正体がばれていた、と予想できる。

 

 そこからのワルドの行動は早かった。突き飛ばされ起きるまでに詠唱を済ませ、ユビキタスによりワルドの分身である偏在を複数出現させる。それと同時に、ウェールズの指示により周囲からメイジであろう兵士が現れると同時に魔法を唱えている。

 しかしワルドや偏在に一切あたることもなく、むしろ逆に隙を狙われてしまい一掃されていく。

 

 ワルド自身はウェールズと戦闘をし、ほかの偏在はアルビオン兵士たちに一人、キュルケとタバサそして放心から多少開放されたルイズに一人、デルフを抜いた魔理沙に対し2人の偏在が相手となっている。

 

 

 2人も偏在を相手にしている魔理沙は一人愚痴っていた。

 

 

 「っ、どーして私に2人も相手なんだよ!一人づつこいよな!」

 

 「「そんな甘ったれた考えは捨てるんだな、これが戦場ということだ!女だろうとも関係ない」」

 

 言われなくとも、と歯を食い縛りながらも猛攻に耐えているが、いつどのタイミングでスペカを使うか悩んでいると詠唱の声が聞こえてくる。

 詠唱を止めるため弾幕を放つが、一人が盾となり弾きその間に後ろで詠唱をしている。閃光と言われたワルドの詠唱は、ほかのメイジの詠唱時間が遥かに早くすぐに魔法が放たれる。

 

 

 「・・・ライトニング・クラウド!」

 

 

 詠唱が完了したと同時に盾役の偏在は横に避け、すさまじい速さで飛ぶ魔法に魔理沙は、これは駄目だ。と諦めそうになったが体が勝手に動きライトニング・クラウドに対し剣先を向けていた。

 そして同時にデルフが叫んでいた。

 

 

 「おい!小娘!そのまま構えて俺を直接あれに当てろ!吸収してやる!だからそのまま走りこんで一人倒せ!ガンダールヴなら行ける!やれ!」

 

 「名前統一してくれよな・・まあいいや任せろ!お前を信じるぜ!デルフ!」

 

 「・・?!、血迷ったかばかめ!その程度の剣でライトニング・クラウドを防げるか!そのまま黒焦げになるんだな!」

 

 

 カッ・・と剣に魔法があたったためか光が弾けるが、それは剣自体が発光しているようでデルフに付着していた錆が落ち、きれいな姿が魔理沙の目に入る。おぉ、と声を漏らすがとりあえず先に偏在の一人を叩き切る為走りこむ。

 

 ザクッ と偏在の胸に剣が突き刺さり、かき消されるかのように風となり消えていく。もう一人の偏在は険しい顔をしながら素早く魔法を完成させる。

 

 

 「あの剣は厄介だが使い魔のほうが戦場に慣れていない!剣の扱い方も雑!所詮なったばかりのガンダールヴ、くらえエア・ハンマーっ!」

 

 「あぶねぇ!魔法がくるぞ、よけろ!」 「無理だ!避けられない!」

 

 

 正面から空気の塊が襲いかかり、こふっ と肺から無理やり空気が押し出され、一瞬息ができなくなると共に視界が暗くなる。胸の他に頭も強打したのだろう。魔理沙の正面からのエア・ハンマー、つまりワルドに向かって吹き飛ばされたことになる。

 そこからの連続技とするためあえてこちらに吹き飛ばしていた。ワルドは目を光らせ、詠唱を唱える。

 

 

 「くらえ!ウィンド・ブレイクっ」

 

 

 ワルドの杖先が光ると同時に強風が塊となり魔理沙の背中を叩きつける。あ、はっ・・と魔理沙これでもかというくらい空気が口から漏れる。

 

 

 「おい!小娘!生きてるな?絶対に俺を離すな!武器を持っていれば痛みや怪我はかなり抑えられる!離したらすぐに意識が吹っ飛ぶぞ!おいきいてんのか!?・・なんだそりゃ!?」

 

 

 デルフが叫ぶ中、魔理沙は吹き飛ばされることに抵抗できず、そのまま窓を突き破り外へ投げ出されてしまう。がしかし無意識だが剣だけは離さなかった。・・・そしてその場には魔理沙の帽子と箒だけが残る。

 

 

 「ふふはは。この箒がなければあの使い魔は飛べんだろう!・・さて、邪魔者は消えた。数分数十分であの使い魔は地面と衝突しているだろう。あとは私の事を知ってしまった連中の始末、だな・・・!?、なんだこれは・・まさか、まだ抵抗するか!?」

 

 

 しかし魔理沙は、吹き飛ばされながらもスペカを一枚使っていた。

 ワルドがしめに入るため、ルイズたちのほうへ向かおうとするが回りに複数の魔方陣が出現する。

 

 ワルドの周りを回るその魔方陣は、やがて赤、青、黄、紫と一つ一つの色の光る球体となっていく。余った魔法陣も球体と交わると、まるで分身するかのように同じ球体となり現れる。

 ワルドはいやな予感がし残りわずかの魔力を消費し、球体に向け魔法を放つ。がしかし唱え終わるのと同時に、球体から細くも力強い光線が放たれる。

 

 

 「へ・・・恋符 ノンディレクショナルレーザーだぜ。まあ普通なら逆側に光線はでるけど今回のは特別製だぜ。お前が実験台だ!」

 

 「なにっ?なぜ生きている?あの箒はマジックアイテムじゃないのか!?まだ未知数か・・・ガンダールヴとやらは!・・」

 

 

 

 

、、、、

 

 

  一方ルイズたちはというと、一人の偏在との戦闘は終盤に向かっていた。

 だがしかしダメージは与えることができず、むしろキュルケたちは魔力の使いすぎか疲労状態である。ワルドはルイズにだけは傷をつけず、避けている様子。いまだにそんな事をされた所でルイズの心が変わるわけも無く、むしろそれが苛立たせる要因でもある。

 

 

 「学生にしてはやるようだが、所詮偏在の俺にも勝てないほどの実力。(だがしかし魔力を消費してしまったのも事実。遊びすぎたというわけか、ならば短期決戦・・接近戦で終わらす!)」

 

 

 肩で息をしているキュルケ、タバサはなんとか頭を回転させ考えるがまず遠距離中距離で戦うワルドに手も足も出ない様子。横目でキュルケとタバサは視線を交わすが、首を左右に振って対策なし という事を伝える。

 そのやり取りをしている間もワルドは悪意を持った笑みを隠さず、煽るようにレイピア杖をゆらゆらと動かし話しかけてくる。止めを刺し、ルイズを連れ去るのだろう。ルイズは動けずまだ本調子ではない模様。その様子にキュルケは舌打ちし、顔をゆがめる。

 

 そこでタバサは、相手の身体状況、心理状況を考える。

 まず魔力はかなり消費しているはずである。何故ならば、偏在を使う時点でかなり分配する必要がある。しかもそれを4体分なのだから1人1人の偏在の魔法量はそこまで多くないのではないか。その為、嫌でも接近戦に持ち込まざるを得ない・・と。

 

 ワルドの挑発も無視し続けた結果、ワルドが時間がかかりすぎたのか焦り始め接近戦に持ち込む。もし冷静だったら接近戦を持ち込むにしても警戒しながら進んでいただろう。未だにアルビオンの雑兵だけしか始末できておらず、主要人物であるウェールズやルイズの一行の始末は未だにできていないでいる。

 

 タバサの予想は的中し、ワルドは回りも見ずキュルケとタバサに向かっていく。

 

 

 「(私は・・いかねばならないのだ、聖地へ・・そのために虚無を・・ルイズを手に入れるまでは・・どんな犠牲を払ってでも!)」

 

 

 そんな思いを消し去るかのように錬金、という言葉が正面から聞こえてきた。ハッと思考を戻すが、すでに足元から違和感を感じ下を見ると先ほどまで石だった床が泥となり、重力に従い徐々に足が沈んで行く。すぐさま脱出しようと試みるが、その前にさらに錬金の魔法を使われてしまい泥から戻すように石へと変化する。

 

 

 「その焦りが致命傷になる。身にもって知った?」

 

 「タバサも言うわねえ。でもまあそんな初歩の初歩のマジックでしかも単純な罠に引っかかるなんて本当アホねぇ」

 

 

 

 ギリッと歯を食いしばるワルドの偏在に対し、キュルケがフレイム・ボールを唱えると、大きな火の玉が現れ吸い込まれるように偏在へ直撃する。数秒燃えていたがジュワっと言う音とともに消えてなくなる。

 2人安堵しながら正面から近づいてくる魔理沙に手を振り答える。

 

 3人から見えていないがただ一人今、この状況がまずい というのに気がついたのが一人。キュルケとは少し離れていたルイズである。

 何がまずいかというと魔理沙の後ろに静かに近づいているワルドの偏在がいるというところだろう。全体が(一応)見えていたルイズにはあの偏在がどこにいたやつなのかも知っている。

 兵士には荷が重かったのか、偏在1体に全滅でありそれが今レイピアを片手に魔理沙の後ろに静かに近づいている。

 

 偏在の目が鋭くなると同時に、レイピアまっすぐ向け突く動作に入る。無意識にルイズは杖を片手に呪文を唱えていた。

 

 

 「・・!魔理沙!ファイアー・ボール!」

 

 「わっ!ルイズ私に杖をむけ・・!?」 「いきなりどうしちゃったの・・!」 「・・・魔理沙うしろっ!・・・」

 

 

 偏在のレイピアもろとも腕が爆発に巻き込まれ、驚愕に満ち溢れた顔をしている。偏在がルイズに顔を向け口を開く。

 

 

 「ルイズ・・・君は、私に杖を向け「うるさいぜ、裏切り者は寝てろよ」」

 

 「・・・ルイズ、助かったよ いいコントロールだったぜ。とっさの判断と言い、あのときの練習は無駄じゃなかったんだなってしみじみ思うぜ?」

 

 「あ・・あう・・でもとっさのことで無意識で・・」

 

 

 と魔理沙はふとウェールズのいた方向へ顔を向ける。そこには壮絶な状況が出来上がっていた。魔理沙につられ、そちらに顔を向けるが全員言葉を失ってしまう。

 ウェールズの背中から剣が生えているのを目撃する。口からは血を吐き体は震えているのがわかる。

 

 目的のひとつ、ウェールズの排除を完了したワルドは、勝った!と確信しレイピアを引き抜くため力を入れる。がしかし、ウェールズの両手がワルドの腕をつかんで離さないでいた。

 

 

 「っ・・・この・・離せ!」

 

 「・・っぐふぅ、聞き入れられないな・・私ではお前には勝てん。・・はぁ・・っ、ならばこのままお前を道連れにしようと思う。いい提案だろう?」

 

 

 馬鹿げた真似をっ と無理やりでも引き抜こうとするが、さらに拘束が強まりワルドの腕に赤く痕ができるほどである。火事場の馬鹿力というものだろう。

 ウェールズは声を張り上げ、私たちに対し、魔理沙に最大出力でマスタースパークを使うよう指示する。魔理沙は意味がわからず聞き返している。

 そんなやり取りを何度もしているとキュルケやタバサからも催促されてしまう。その視線に耐えられなくなった魔理沙は、ルイズへ視線を向けるが首を左右に振り否定する。

 魔理沙は諦め、ワルドを睨みつつ自身で作った魔法薬、魔力増強薬を一気に飲み、ルイズたちを後方に下がらせつつ八卦炉の設定を変え構える。

 

 

 「う・・ウェールズ、うらまないでくれよ・・」

 

 「感謝こそすれ恨むわけないじゃないか、父上・・あの世での先陣はこのウェールズにお任せを・・「うああああああああ!マスタースパーク最大出力!魔砲 ファイナルスパークウウウウ!」・・・ありが・・」

 

 「私の・・夢が・・!聖地が・・!私の虚無がああああルイズウウウウウウ」

 

 

 今まで使ったマスタースパークの比ではない太さと魔力量の光線が、ウェールズとワルドへ直撃する。俗に言うオーバーキルである。

 後方へ下がったルイズたちは目を開けていられなく、手で目元を覆うように隠す。そのため低くも甲高い射撃音だけが聞こえてくる。

 

 数十秒の出来事だったのだろうが、それが何分何十分にも感じられたルイズたちは恐る恐る目を開ける。

 ウェールズたちの場所はもちろん、その後方数メイル数十メイル縦横共にえぐられたような穴が存在した。

 

....




そういえば偏在はいくつ出せたっけかな・・

誤字報告ありがとうございます!


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第十一話 アルビオン脱出、そして・・・

 ファイナルスパークを撃ったその後、ルイズたちと魔理沙の間にギーシュの使い魔、ヴェルダンデとギーシュが顔をだしきょろきょろ周りを確認している。こちらを見つけると声に出しながら穴から体を出し近づいてくる。

 

 

 「キュルケにタバサ、うまく繋げておいたよ。いやぁしかしまさかのヴェルダンデがいるなんて思わなかったよ、あっはははは。でどういう状況なのかな?」

 

 

 実は魔理沙とフーケの戦闘後、シルフィードで空へ向かう時1人と一匹は気がつかなかったが、足に必死に掴む一匹のモグラの姿があった。

 

 魔理沙とルイズはいなかったが、キュルケとタバサ、そしてギーシュが魔理沙の話(ワルドの事)を聞いて念の為に退路を確保するようにギーシュに依頼していた。といったところである。

 ギーシュに状況を教え、そのまま外へと続く退路へと進んでいく。

 

 

 「おーい頼むから俺のこと忘れないでくれよーなぁー相棒の帽子もここにあるんだからよー」

 

 

 へいへい と軽く返事をしながら回収するとその近くに光るものが。・・・なんと風のルビーである。ウェールズの指に填められた指輪が何故ここに。と思うと険しい顔つきになるが、それをポケットへしまいつつウェールズのいた方を見る。

 一礼すると帽子を深く被り、すぐに背を向け外へ続く穴へ入っていく。

 丁度その頃、レコン・キスタに雇われた兵士がアルビオン内に入った後、魔理沙が放ったファイナルスパークにより建物のバランスが崩れ崩壊していく。

 盗賊である雇われ兵はその崩壊に巻き込まれるのだった・・・。

 

 魔理沙の放ったファイナルスパークを目撃するまでは、したり顔をしていたレコン・キスタ総司令官、オリヴァー・クロムウェルは狼狽えながら秘書官、シェフィールドを問い詰める。

 めんどくさそうにシェフィールドはため息を吐いている。

 

 

 「な・・なんなんださっきの光線は!?ミス・シェフィールド!?こ、これは予定とは違うのでは!?あの光線で数隻の船が落とされたというのに!?」

 

 「・・ッチ・・黙りなさい!・・・予定が狂ってしまった・・・あぁ・・ジョゼフ様になんて言われるか。ジョセフ様申し訳ありません・・・・・!傭兵どもを先行させ私たちも内部へ行って確かめねば。。」

 

 「あ・・悪魔、死神が相手にいるのでは!?ミス・シェフィールド!?何とか言ってくだされ!」

 

 「役立たず!お前は雑兵の指揮だけ執って堂々としてればいいのよ!」

 

 そういうとシェフィールドと呼ばれた女性は容赦なく蹴りを浴びせ、ストレスをぶつける様に踏む蹴るを繰り返す。

 

 結局捜索したがウェールズの死体は確認できず、さらにはワルドの姿さえ確認できなかったと言う。

、、、、

 

 

 時は進み今、魔理沙たちはシルフィードの上である。かなり重そうで先ほどから鳴いているが、タバサの強行に文句を言いたげだが仕方なく必死に飛んでいる。

 しかしギーシュ以外疲れているのか、はたまた思う事があったのか口は閉じたままである。

 ここでふと呟く様にルイズの口が開く。

 

 

 「・・・なんだか無性にちいねぇさまに会いたくなってきたわ・・」

 

 「ルイズの姉さんか、別に会いたいなら会えばいいじゃないか」

 

 「魔理沙、普通に考えて無理よ。時間もなければ遠すぎるわ・・そしてなにより怒られるわ!・・あぁこの世にあれほど恐ろしいものもないわ・・」

 

 「ばれない様にすりゃいいだろ。私が送ってやるよ、私も会ってみたいしな」

 

 「そりゃあ見せるんだったら家族全員に魔理沙の事を見せたいわ、けどお忍びでいくんだったらばれた時がやばいわ・・」

 

 

 ふうん、まそんなもんかと軽い返事で返すとそれっきり話は終わってしまった。

 

 数時間ぶっつづけで飛行するのは流石にシルフィードの体力が持たない為、休憩を取りつつ姫殿下へと報告しに王都トリスタニアへと向かうのだった。

 そして休憩中にふと思い出したかのように魔理沙は口を開く。

 

 「私な思うんだけどよ。ただの恋文程度で結婚が駄目になるとは思わないんだよな・・」

 

 「ま・・!キュルケたちがいるのに!「だろうと思ったわ~まぁ察しはついてたけどね」・・・絶対にいうんじゃないわよ!?」

 

 「分かってるわよ、それで魔理沙の話だけどね。ひとつ言うけどその程度じゃびくともしないわ。うちの皇帝はそんな小さい人じゃないわ。なによりこっちの国にもメリットがあるもの」

 

 「ほー・・で、どんなメリットだ?」

 

 「そうね、まあ分かりやすいのを一つ。ここと比べて歴史的に見るとゲルマニアって日が浅いのよねぇ、技術とかは他を凌駕してるけど地盤的にまだ不安定なのよ。それにおたくとの関係も悪いとはいえないし、だれだって恋文くらい書いてるわよ、お姫さんでもなんでもよ」

 

 「なるほどな。まあルイズもちょっとは気がついていたんじゃないか?」

 

 「う・・まぁ・・でも姫様の命令だもの・・」

 

 

 気まずい雰囲気が漂うが、あと数十分でトリスタニアにつく所でキュルケとタバサ・・・そしてギーシュとも別れる。

 その為、ルイズと魔理沙だけで報告しにいくことになってしまった。タバサが2人について行くならヴェルダンデをここに置いて行く、と言った途端ギーシュが泣く泣く諦めたといった事があった。

 後々考えてみればわかるが、置いて行かれた所で問題ないのは主人であるギーシュには分かっているはずである・・。

 

 

 「じゃあねルイズに魔理沙っ。気をつけていくのよ?ここまで付き合ってあげたんだからご飯くらいおごりなさいよね」

 

 「はぁーはいはいツェルプストーに借りなんて残したくないし・・まぁ助かった部分も多いし、勿論タバサにも感謝してるわ。あ・・ありがと・・」

 

 「・・別にいい、いい訓練になったから。でも、奢るのは忘れないように」

 

 

 どこまでも食に関しては貪欲なんだな、と改めて一同思い知らされた。

 雲に手が届きそうなくらいの高さで飛行しており、トリスタニアまで難なく来れた魔理沙たちは、とりあえず城の庭を目標にそのまま降下していく

 

 

 「なぁどうやってアンリエッタにあうんだよ、頭の固そうなやつらに話しても無意味だと思うんだがね?これ極秘任務だし・・」

 

 「う、うーん・・確かにそうね。・・てか姫様相手でも態度変えようと思わないのね・・ウェールズ皇太子にもそうだったけど・・」

 

 「そんなんいまさらだぜ。年代だって変わらんつうのにな、・・さて部屋の場所を教えてくれれば向かっても構わないぜ?」

 

 

 この手紙は直接、渡さなければならない物であり同時に報告もしなくてはならない。たとえ姫殿下の側近だとしても報告を躊躇ってしまうのは仕方ないと思い、それもありか・・と少し考えた後、ルイズは部屋の位置を指差す。

 下では兵士が叫んでおり、素早くマンティコア隊が出撃して来ているのを確認後、魔理沙は逃げるようにその部屋へ入っていく。

 ベランダへ着地しすぐに窓をノックする。が出てきたのはアンリエッタではなくその母、マリアンヌであった。

 

 

 「なにものっ!?」 「・・?ああっルイズ!は・・母上、その方々は私のご友人です。とりあえず中に入れましょう。」

 

 「・・・ふぅ全く・・アン、話してもらうわよ?」

 

 、、、、

 

 

 手紙をアンリエッタに渡すが母、マリアンヌに奪われてしまい、手紙の内容を見た後ため息をついていた。ばれてしまったのは仕方が無い、と思いアンリエッタは報告するよう指示する。

 ルイズは今回あった出来事を一つ一つ細かく報告していく。そしてワルドがレコン・キスタ側の人間であり、裏切りののちウェールズ皇太子殿下を暗殺しようとした事を涙ながらに報告。

 それを聞いたアンリエッタ自身もひざから崩れ頭を抱えてしまう所を母、マリアンヌに宥められる。

 

 渡すタイミングが掴めないが早い段階で渡そうと思い、魔理沙はポケットから拾った指輪、風のルビーをアンリエッタへ返すため近づき差し出すとアンリエッタは勿論、ルイズ自身も驚き何故あるのか質問する。もう何も驚かない、とでも言いたげなマリアンヌは心を宥めつつ静観を貫いている。

 

 

 「・・・ウェールズが私に託したんだぜ、アンリエッタに渡してほしい と。だから・・・返すぜ」

 

 さすがに自分が止めを指したなんて真実は話せない為、今即席でつくった嘘の物語を話す。

 

 

 「・・そうで・・すか。亡命は受け入れられなかった、という事ですね。殿方は・・どうしてこう・・置いていかれる者のことを考えないのでしょう・・か。身勝手なのだから・・・身分の関係上仕方ない・・のでしょうね・・」

 

 「・・・」

 

 

 その質問に答えるものは誰もおらず静まり返るばかりである。

 とそこにノック音が響き渡る。

 

 

 「姫殿下、緊急事態でございます!今不審な物体が飛んでいると報告がありました。只今捜索していますので外へ出られないようお願い申しあげます」

 

 「・・・ふぅ・・その声は魔法衛士隊のマンティコア隊隊長ド・ゼッサールですね?その件につきましては片がつきました。通常任務へ戻っても大丈夫です。」

 

 「名前を覚えてくださり光栄です!し・・しかしまだ見つかってはいないのですが・・・」 「問題ありません。いきなさい」

 

 「・・はっそれでは失れ・・宰相殿!?」 「うげっ・・これは不味いですわ」 「こら!アン、うげなんて言葉使ってはなりません」

 

 「姫殿下、これはどういう事なのでしょうか?無論説明していただけますね?」

 

 「は・・・はーい少々待っていてください!・・・ルイズにマリサ、今回の任務はご苦労様でした。ルイズ、これをお持ちになってください。それに今回の任務完了に伴い報いねばなりませんからね。あとは普通に帰っても平気ですからドアからお願いね?案内させるわ」

 

 「これは・・・水のルビー・・!?しかし姫様 「いいの、ルイズに受け取ってほしいから、私情でこんなに危険な任務をさせてしまったのですから。本当に申し訳ありません、そしてご苦労様でした・・」」

 

 出る時にマザリーニに驚いた顔をされ、とりあえず一礼し背を向け出て行く。後ろではマザリーニの静かだが重い声が響き渡りつづけていた。・・

 そして事後のことはアンリエッタに任せ、魔理沙たちは帰路へ着く・・。

 

 

 「ねぇ魔理沙、私もう疲れたわ・・・部屋に送っていってよ」

 

 「へーへー同感だな もうあんなん勘弁してほしいぜ・・」

 

 

 その夜、ルイズは夢を見た。それは夢だが現実のような・・・。

 

,,,,,,

 

 

 気がついたときは小船の上にいた。ルイズはすぐに秘密でお気に入りのあの湖だ、と気がついた。

 私はそこで泣いていた・・けど宥めてくれた人、ワルドはもういない。魔理沙が・・ころ・・・いや魔理沙は悪くない。悪いのはあいつなんだから・・。

 

 そんなことを考えていると、いつの間にかなんだか古びた変な建物に座っていた。木で作られたボロ家のような、そして目の先には赤い門のようなものが。なんだか気分が安らぐ気がする場所であり、自然に満ち溢れたところなのだろうと・・。

 

 気がついたらいつもの眩しい笑顔の魔理沙がいた。そしてその隣には、赤と白の脇が見えてる変な服の平民。何かを喋っているが聞き取れず険しい顔をしていると、魔理沙がルイズの肩を叩き、赤白の平民と一緒にそのまま飛んでいってしまった。

 すぐに光の玉が交差し、マスタースパークの光線も放たれている。これが弾幕ごっこなのだろう・・とルイズは察することができた。

 

 そしていつの間にか隣にドレスのような服に紫色とオレンジ色の模様が入った服をあわせて着ている女性が座っていた。怪しい笑みをこちらに向けながら口を開く。

 

 

 「ふうん、あなたが魔理沙を呼んだ子ね。私ーーーって言いますわ。よろしくね」

 

 「え?あっ、私ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと言います。あのここは」

 

 「うふふ、気にしなくていいわ。ここはあなたの夢に勝手に写してるだけだから。もう少し時間かかるけどあの子、魔理沙を返して貰うわよ?」

 

 「ゆ・・め?・・・!?だ、だめよ!魔理沙は私が召喚した使い魔なんだから!あんたが誰だが知らないけど勝手なことは許さないわ!」

 

 

 その言葉を言った瞬間 後悔 という言葉が過ぎった。その貴族のような人間から恐ろしく鋭い視線を向けられてしまい、まるで蛇に睨まれた蛙のような状況だった。ナイフを首に、いや全身に突きつけられ、あと数ミリでナイフという異物が体内に入ってくる近さの様・・。

 

 

 「あなたの意見なんて関係ないわ。勝手にうちの子を連れて行ったのよ?食われないだけマシと思いなさい。しかし異世界ねぇ・・そんなのが存在するなんて面白いこともあるのね」

 

 「・・・うぅ・・・」

 

 「あら、そんな脅すつもりは無かったのよ?でもあなたの立場をちゃんと理解してほしかっただけよ。まあまた会う機会があるかもしれないしその時はよろしくね?」

 

 「魔理沙を見つけるのにここまで時間は掛かってしまったわ。私ともあろう者が・・けれどまぁ色々結界の問題点も見つけられそうだしなによりそっちの世界が気になるわね、この子についても色々調べたいし・・・さて夢なんて覚えてないと思うけど魔理沙によろしく伝えてね?、ふふ・・・ではまた近いうちあいましー-・・・・・」

 

 

 

 

 



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第三章 ルイズと魔理沙と幻想郷と
第一話 シエスタの故郷 タルブ村


これが多分最終章だと思われます。


 アンリエッタの私情が詰まった任務を終わらせたルイズと魔理沙は、その日はすぐに寝て次の日となったがちょうど休日だったためいつもより長く寝ていた。

 ルイズが起きたのは太陽が昇りきりそうな高さであり、すでに魔理沙は起きて髪を梳かしていた。

 

 

 「ん・・・ふぁ、魔理沙おはよぅ・・」

 

 「んー?起きたか。私もついさっき起きたばかりだぜ」

 

 

 あそ、と寝ぼけながら答え、着替えるためクローゼットを開けいつもどおり服を選ぶがそこで違和感を感じる。

 

 

 「ねぇ魔理沙、こんなドアあったかしら?」 

 

 「げっ・・あっ、いやそれはだな」 

 

 「・・・?」

 

 

 そこを問答無用で開けると、ずらっと複数の似たり寄ったりの魔理沙の服がハンガーに吊るされていた。魔理沙へ目線を移すが、サッと別の方向を見たり下手糞な口笛を吹いていた。

 

 

 「・・んあ・・?・・!あ・・あんた!なぁにかってに私の部屋いじくってんのよ!つかこれ買うのにドンだけお金つかったのよ!!」

 

 「ん?いあ?私が作ったんだぜ?なかなかうまくいってるだろ?」

 

 

 はぁ?とルイズは何いってんだという目つきで魔理沙を見つつ、改めて服を見るが職人が作ったものと比べても違いがわからないほどであった。質感はトリステインとは違う気がし、そこも含め質問をする。

 

 

 「まぁこれに関してはまあいいわ。けど自分で作ったってどういう意味よ?」

 

 「そのまんまなんだぜ。魔法で普通にちょちょいのちょいなんだぜ。・・っとあのじじぃに報告しにいこうぜ」

 

 「じじい?だ・・はっ、もしかしてオールド・オスマンのこと!?魔理沙あんたあほなの!?そんな呼び名は駄目よ!あっちょっとまって・・服のこと教えなさいよ!!」

 

 

,,,

 

 

 「ふうん、魔理沙が使う魔法ってそんな事までできるのねえ・・・うらやましいわ」

 

 「そうかぁ?こっちの魔法もすごいと思うけどな、お、ついたぜ!おいじじぃはいるぜー!」

 

 「ん?むぅその声はミス・魔理沙か。わしをそんな名前で呼ぶんじゃないぞ、まあ入りなさい・・」

 

 

 魔理沙は入るなりすぐに八卦炉を取りだし、オスマンに向け口を開く。オスマンもルイズも何をしているのかが分からず、首をかしげている。

 

 

 「フーケから聞いたぜ!そのねずみ使って覗きしてるんだってな!?」

 

 「ぶふぉっ・・ごほっ、ミス・魔理沙!とりあえずそれを下げなさい!話はそれからじゃ!」

 

 「いやだね!ルイズお前だって被害にあってるかもしれないんだぜ?」

 

 

 一応ルイズは、オスマンの盗撮疑惑話は知っていたが、それは噂で嘘だろうと思っていた。だがこの動揺を見るからに・・察してしまった。

 

 

 「魔理沙、とりあえず報告だけしましょ?」

 

 「え?あぁ・・分かったぜ(あちゃ、この雰囲気のルイズは怖い。無表情で冷たい目線だもん・・ま、私は大人だからな!ここは譲ってやるんだぜ)」

 

 

 

 詳細は省き、どんな事があっただけを説明し今回の任務を完了したことを報告する。オスマンは一つ一つに頷きただ一言、ご苦労様じゃった。 と、それだけで今は十分身に沁みるのを実際に感じていた。

 先ほどの怒りも四散してしまいこの後の予定をどうするか考えていると、オスマンから再度呼び止められる。

 

 

 「おーおそうじゃった。姫殿下からの贈り物、ではないがミス・ヴァリエールに結婚式の時の巫女役を任せたいそうじゃ。とても名誉なことなのだぞ?それを断るなんてことはせんでくれよ?しないだろうがの ふぉふぉ」

 

 

 そういうと始祖の祈祷書を渡しすぐに下がらせる。

 

 

 「ふぅ・・・あのマジック・アイテムは危険じゃよ・・ほんとうに・・のう?モートソグニルや・・(ちょろくて助かったのぅ・・)」

 

 ちゅうちゅうと鳴いているが、もう勘弁してくれ!あの金髪娘には近づきたくない!・・と言っている様だ。

 

 

,,,

 自室に戻った2人だが、その内容を見るがどのページも白くルイズはため息を吐く。

 

 

 「なによこれ、姫様から送られてきたってことは本物じゃないかと思ったのに・・これも偽物ね・・」

 

 「・・・なぁちょっと私にも見せてくれよ・・・さんきゅ・・ふむふむ」

 

 

 渡した途端、中身を見る前から首をかしげたり裏にしてみたりと試行錯誤してる。

 

 

 「ねぇ何してんのよ」

 

 「んー偽物とかよくわからんけどこれ自体が魔力を持ってるっぽいな。なんかきっかけがないとだめなのかなあー。あーこんなときにパチュリーがいればなあ・・」

 

 「だれ?ぱちゅりーって。魔理沙が頼るってことは凄いのかしら?」

 

 「んーまぁ世話にゃなってるよ、魔法使いが読むような本を借りてるのさ。そのパチュリーがどれくらいすごいかっていうと・・そうだなルイズにわかりやすく言うと・・・あのオスマンのじぃさんが霞むくらいには(多分な)」

 

 

 それを聞いたルイズは、何言ってんだこいつ と目線で訴えかけてくる。私もあのじいさんの実力を知らないからこの例えは良くなかったな。

 

 

 「まあ深くは考えんなって!そのくらい知識と力はあるってことよ。一応100何歳とからしいしよ?・・・話題を戻すぜ?・・私に分かる事は、魔力が秘められた本ってことくらいかな。なんとなくだけどルイズの魔力に似てるな、うん」

 

 「ふーん・・・え?わたしの?どういう意味よそれ・・そういえば色で判別もできるんだったわね。私の色ってどんなんよ?」

 

 「んー一色だけじゃないっぽいんだよな。灰色の時もあれば赤い時も。今は灰色だけど魔法使うときは赤い・・かなぁ。まぁ何かのきっかけで見れるようになるじゃないかと思うんだぜ。とりあえず肌身離さず持っておけよな」

 

 「はっきりしなさいよ。あんたらしくないわ」

 

 

 たはは、と魔理沙は、後頭部に手を置きながら恥ずかしそうにしている。その後、時間も時間のため食堂へ向かうのだった。

 ・・・いつも通り魔理沙はマルトーのとこへ。一度ルイズから貴族テーブルで食べたら?、と言われたが断っていた。単純な話、豪華すぎて気が滅入ると言う物だ。そこで普通にご飯を食べていると、シエスタも食事に加わる。

 

 

 「あ、そうそう。魔理沙さん!私少しお休みして地元へ帰ることにしたんです!もしですが遊びに来ませんか?ヨシェナヴェもご馳走したいです!」

 

 「んぐ・・・?タルブだっけ?んールイズしだいだな。勝手に離れるとうるさいだろうしな、ははっ。許可もらったらついていくぜ」

 

 「えへへ。許可でるといいですね!魔理沙さんの箒に私も乗ってみたいんですよね!私の親にも紹介したいですし、もう一人親のような方がいるのですがその方にも魔理沙さんを会わせたいです!」

 

 

 目をきらきら光らせ期待しているシエスタに苦笑いの魔理沙だが、満更でもない様子。

 

 

 「はは・・会わせたい人ってだれ?」

 

 「私の名前をつけてくれた人でもあるんですよ!村を守る人でものすごく強いんです!祖父とも会ったことがあるらしくて良くお話をしてくれるんですよ」

 

 「ふうん・・・ま、見てからのお楽しみだな!」

 

 

 はい! と元気よく返事をするシエスタともう少しだけ食事を楽しむことに・・。

 

 そして食事も終わりルイズと合流後、休みの日だがとりあえず自室へ戻ることに。

 

 ・・・そして視点は変わり、学院長室。

 

 先ほどからため息を吐いたりめんどくさい、といいつつある手紙を見ながら思っているのだった。

 

 

 「かぁーっ・・王都のガキんちょどもめ・・わしを扱き使いおって・・・自分で調べればよかろうに・・ワシも暇じゃないんじゃぞ・・・!ぐぬぬ」

 

 

 とその時ノックと共にコルベールが訪問してくる。オスマンはこの王都からの任務をコルベールに押し付けようと考えていた。

 

 

 「んんっ来たの。ミスタ・コルベールにお願い・・いややってもらいたい事があるのじゃよ」

 

 「はぁ・・それはいったい・・?」

 

 

 オスマンが持っていた手紙をコルベールに渡し、その内容を読ませるとコルベールも察する。

 その内容とは。

 

 つい最近話題があがった内容で、タルブ村で人間とは思えない者が村で生活しているとのこと。

 

 その者を調査、できれば連行し王都へつれてきてほしい。なお、もしかしたら亜人や吸血鬼の可能性がある為、もっとも信頼できるオールド・オスマンにお任せしたい、とのこと。

 なお王都から実力のある人を派遣するつもりだったが、まったく時間がとれずやむ終えずオスマンへこれが回ってきた。

 

 

 「・・・なるほどそれで私に」

 

 「うむ、実力はこの学院でミスタ・コルベールは上から数えるほうが早いからの。それにもし行ってくれれば研究の費用をまわしてやってもよ「オールド・オスマンからの頼みとあれば断るはずがありません。行かせていただきましょう」・・・うむ・・(はぁ・・扱いやすくていいのぅ)」

 

 「それでは明日にでも出発いたします!それでは準備するので失礼いたします!(これは何というめぐり合わせ・・竜の血の件もある。ふほほ・・・やる気がでてきましたぞ!)」

 

 

 そう言うと素早く翻し、研究室へと向かっていってしまう。

 オスマンも まぁ良いか などと思っておりお茶を一口飲みながら一息つくのだった。

 

 ルイズにシエスタの件を話すと、快諾してもらい数日後に出発することに。ルイズ曰く、魔理沙は私のために良く働いてくれたから少しは休め・・と。ルイズもかなり丸くなったもんだな。

 どうせなら一緒に行こうと誘ったのだが、授業もあるし内容も考えないといけない との事。

 

 

 そして出発前日の夜。

 ルイズが言わなくてはいけない祝詞を考えたため、聞いてほしいとの事。

 

 

 「んっん!じゃあ言うわね。なにか気がついたら遠慮なく言ってね?」

 

 

 魔理沙は頷き、続きを催促する。

 ルイズは一呼吸起き、口を開く。

 

 

 「水の加護 森の魂 無き旅幾歳 己の神祀り想いの灯 西照らしー・・っ」

 

 「あー・・・うんなんつうか他のにしとけって、な?(どっからそんな祝詞でてくるんだよ、つかそれぱくり・・)」

 

 「え?そう?けっこう良さそうなんだけどなー・・」

 

 「(他は知らんけどこの国じゃあ神様、なんて存在居ないと思うんだけどな。)そんな凝ったものじゃなくて普通のでいいじゃないか?火に感謝ー水に感謝ー土に感謝-みたいな」

 

 「・・・そうね。もう一度考えてみるわ!とりあえず横になりながら考えるとするわね。寝るわよ」

 

 

 そういうと始祖の祈祷書と指から外した水のルビーをテーブルの上に置きパチン、と指を鳴らしランプを消す。2人は気がついていないが、始祖の祈祷書と水のルビーが共鳴するかのように少しずつ光を放つようになっていくが、今はまだ微妙に発光するだけで暗いところでしか分からなかった・・。

 

 

 そして当日、シエスタと合流も完了しマルトーにも声をかけ出発することに。

 シエスタの故郷、タルブ村はラ・ロシェールの近くにある村でここから2日はかかる場所らしい。魔理沙もさすがにぶっ続けで飛ぶことはできない為最低1夜は野宿となるだろう。

 

 

 「じゃ、シエスタいくぞ?」

 

 「はい!あの魔理沙さん。乗っても大丈夫ですか・・?私重くないかな」

 

 「なーに心配してんだよ。そら早く乗りなって・・・よしいくぞ?安全運転でいくからな」

 

 「は・・はい・・」

 

 

 ぎゅっ、と魔理沙に抱きつくシエスタに苦しそうな表情をしつつも、時機に慣れてくるだろうと思い何も言わず徐々にスピードを上げていく。

 初めて空を飛ぶのだから怖いのは仕方ないだろう。と思っていたのだが思った以上に慣れるのが早く、左右を何度もみたり元気よく話しかけてきていた。順応性の高い女性だなと新しい一面を見ることができた。

 

 その後ろ姿を見守るように見るルイズと隣に住むキュルケであった・・。

 

 

 「・・・あーーーーやっぱ一緒にいけばよかったわー!」

 

 「・・・ルイズ、こっちまで聞こえてるわよ・・「うげっキュルケぇ!?ななな何であんたが!?」」

 

 「そりゃたまたま見かけたかと思ったら大声で叫ぶ隣人がいるんだもん」

 

 

 あうあう、と頭から煙を出すルイズにキュルケは、そんなに気になるなら追いかける? と提案する。

 

 

 「どうせあんた自身でどうにかできる問題じゃないでしょうに・・・タバサまかせじゃない」

 

 「・・なかなか言うわね。正論だけど・・・ま、いきたくないならいかなくていいわよ?」

 

 「いくに決まってるじゃないの!暇で仕方ないわ!」

 

 

 よし決まり! とキュルケはルイズと合流後タバサに頼むのだが、やはり押しに弱いタバサであったのは言うまでもない。

 

 

 そしてシエスタたちはと言うと、魔理沙のおかげで2日かかるところを1日で到着できそうなほどであった。

 今では鼻歌まじりのご機嫌な様子のシエスタについ嬉しくなる魔理沙だった。ふとシエスタが疑問を口にする。

 

 

 「魔理沙さんは故郷に帰ったりしないんですか?」

 

 「ん。遠いんだよ 私一人じゃ帰れないくらいにはな。」

 

 「・・・帰りたいとは思わないんですか?」

 

 「帰りたいさ。思い出せば思い出すほどな・・・あーあ今も割りと楽しいけど向こうでもたのしかったな。弾幕ごっこがこっちじゃできないし・・あーお酒のみたいなあ・・霊夢に会いたいなあー・・」

 

 「あっ・・なんかすいません。ま、魔理沙さん戻ってきてください!安全運転でおねがいしますぅう!」

 

 若干憂鬱になった魔理沙の不安定な運転に、意識を取り戻そうと必死になるシエスタの悲痛な努力が垣間見えた・・・。

 ・・・夜食の心配はするだけ無駄らしく、野草や木の実などに詳しいシエスタ、そしてキノコなら任せろ!とでも言わんばかりの魔理沙。

 

 シエスタはもしもの場合のために回りに罠を仕掛けており、もし何者かが近づいたら音が鳴るよう線で囲ってあるようだ。まあ、もしもの時は私がなんとかするけどな。

 こうして安心かは分からないが就寝することに・・・

 

.........

 




水の加護 森の魂~ の元ネタは 謳う丘~EXEC_HARVESTASYA.~ の歌詞です。よかったら聞いてみてくださいな


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第二話 タルブ村を30年間守る者

 一方その頃、ルイズにキュルケそしてタバサの三人は、シルフィードに乗りながらタルブへの道を確認しながら飛んでいる。

 今回はさすがにルイズは始祖の祈祷書はもってきていない。がしかし考えるだけならいつでもできる為、先ほどから無言で考え事をしている。

 その様子が非常につまらないキュルケではあるが、集中しているのを邪魔する事は流石にしない。が暇なのは事実である。

 

 そんな状態が数時間、そして夜暗く先がかすかにしか見えないのもあり、さすがに我慢の限界である。

 と思っていた時期がキュルケにもありました・・と。巨大な光線が、ある場所から力強く放たれている。それは木々をもろともせず、突き進んでいく。

 光線が消える前にシルフィードへと指示を出し、その場所へ向かっていく。

 

 一方魔理沙&シエスタ組みはというと。

 

 

 「ふいい、シエスタ怪我はないな?」

 

 「・・ふぁい・・」

 

 

 目の前でマスパを見たシエスタは、口をあけっぱで放心状態になっていた。

 魔理沙がシエスタの頬を優しくペチペチと叩くと、はっ、と我に返り左右を見渡している。

 

 

 「・・!オーク鬼は!?私たちのご飯は!?」

 

 「オーク鬼は塵になったよ。おばあさん、ご飯は数時間前に食べたろう」

 

 「あ、倒してくれたのですね・・本当に助かりました。たぶん逸れたオーク鬼でしょう。ここら辺に巣はないので。(おばあさんって誰のことだろう)」

 

 「・・・なるほどな、んじゃあまた寝なおすか?」

 

 

 魔理沙は二度寝を誘うが、シエスタ自身、頭が冴えてしまい寝るに寝れなくなってしまっていた。とそこに月の光が遮られ辺りが一段と暗くなってしまう。と同時にふと上を見上げるとそこには大きなドラゴンが。

 すぐに八卦炉を構え戦闘態勢にはいるが、そこから見知った顔が降りてくる。キュルケとタバサ、そしてルイズである。

 

 

 「お前らか、お・・ルイズ?なんでここに?」

 

 「えっとその・・ふ・ふん、魔理沙が寂しいと思って急いできたのよ。感謝するなりあの星をくれたりしてもいいのよ?」

 

 「・・・貪欲だし理由考えるの下手だなルイズ。まあいつものことなんだけどさ」

 

 

 ・・・今日はやけに寒い夜と思う一同であった。

 そして朝・・・。

 

 

 軽く朝ごはんを終え、シルフィードの体力も回復したところで改めて出発することに。

 数時間もすればタルブ村も見え、ここからは住民を驚かせないようにと徒歩でいくことに。

 

 先に手紙で伝えていたのか住民数名がシエスタたちを出迎え、家に案内される。

 

 

 「貴族様方、何もないところですがどうぞゆっくりしていって下さい」

 

 「ほんと何もないわね。まぁ期待するだけ無駄かしら」

 

 「こらルイズ!そういうのは思っていても、口に出さないのが上に立つ人の常識だと思うんだぜ?」

 

 「む・・・ふぅ、そうね。前言撤回するわ。ごめんなさいね」

 

 

 キュルケからしたらルイズがここまで丸くなっていたとはまったく思っておらず、成長したわね・・と(謎の)母親目線で見ていると隣のタバサが 30年くらい歳取った? と聞いてしまった。お礼にデコピンをプレゼントをしていた。タバサは何もいわないが、おでこを何度もなでていた。

 

 そしてちょうど昼ごろだったためご飯を食べながら食事をしていると、シエスタが魔理沙を見て 案内したいところがある。と声をかけてくる。

 

 ・・・ご飯も食べ終わり早速、と思ったがキュルケとタバサは少し休憩してから向かうとのこと・・・なので仕方なく魔理沙とルイズを連れ、シエスタはある場所へと向かうのだった。

 

 

 「なぁどこいくんだよ」

 

 「紹介したい人がいるってあの時言ったの覚えてますか?その方のところへ行くんですよー」

 

 「ふうん、だれかしら。魔理沙しってるの?」

 

 「いや?詳しくは教えてもらってなくてな、だから初めてなんだぜ」

 

 「魔理沙が分からないなら私は知るわけないわね。まぁシエスタがそこまで張り切って紹介する人だから外れではないんでしょうけど・・」

 

 「楽しみにしてください!・・・ここですここ!は・・は・・・巫女さーぁーんただいま帰りました!!」

 

 

 シエスタが呼びにいくと魔理沙はその場で立ち止まり、唖然としている。ルイズは急には立ち止まれなく、背中に鼻をぶつけていた。

 

 「・・・ん!?これ・・・これ・・これって・・この木造の家・・みたことある・・これは」

 

 「んぶっ・・・?ちょっと、いきなり立ち止まって魔理沙ぁっ!・・・?大丈夫?このボロ屋に見覚えでもあるの?」

 

 

 ルイズの言葉にも反応しない魔理沙に、ムッとしていたが何かを言う前にシエスタが戻ってきた。その紹介したい人を連れて。

 

 ルイズはその人を見た感想としては、変な服、赤と白で統一されていて派手である。あれ?そういえばオールド・オスマンと魔理沙の話でもそんな人物が話題に上がっていたような・・・?

 

 そんな事を思いつつ魔理沙を見ると、召喚してから今まででそんな顔をするの初めて見た・・あのウェールズ皇太子殿下を魔理沙の手で葬ってしまった時でも、そんな顔はしていなかった。

 今にも泣き出しそうな、嬉しいのか悲しいのか複雑な感情が入り混じっている。そんな感じに思える・・。

 この人は何者?

 

 

 「えへへ紹介しますね!この方ははきゅ・・・えっと巫女さんです!何十年もこの村を守ってくれているんですよ!私が生まれる前から・・祖父とも関わりがあった方です!」

 

 「シエスタ、無理しなくてもいいぞ・・・さてシエスタの友達か、そっちでも上手くやってけてるようで安心だよ。私は巫女、とでも名乗っておくよ。よろしく」

 

 「まだ慣れなくて・・すいません・・・」

 

 

 ルイズは自己紹介しただけなのに、何処かで会った感覚に襲われる。もちろん会ったことはないがこの雰囲気はどこかで。・・そうこれはルイズの母であるカリーヌと似た雰囲気、そして威圧感。その為なのか、無意識に敬語になってしまっていた。

 

 

 「あっ、私はヴァリエール家の三女のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールといいます」

 

 「ほぅ、あのヴァリエール家の・・・そんな大層な所の子と仲良しになるなんて、シエスタは幸せものじゃないか。これからも仲良くやってほしい」

 

 「は、はい!料理上手く気使いもできる子なので頼りにさせてもらってますわ」

 

 

 ルイズの自己紹介も終わり、次は魔理沙の番だと言わんばかりに視線が集まる。がその人物を見てまた固まっている魔理沙にルイズが、蹴りをお見舞いし意識を戻させる。

 

 

 「魔理沙!あんたいつまで寝ぼけてるのよ!自己紹介でしょさっさとしなさいよ」

 

 「いちち・・蹴る事ないだろー・・・ふぅ、私は霧雨魔理沙。気軽に魔理沙って呼んでくれ」

 

 「!?・・・珍しい名前だな。ここらじゃ聞かないが出身はどこなんだ?」

 

 「・・・それは・・「巫女さんとりあえず中でお茶でも飲みながらでもいいのでは?外は寒いですし」」

 

 「そうだったな、気が回らなかったな。さすがシエスタ、気の回るいい子だな」

 

 

 えへへと嬉しそうに喜ぶシエスタを先頭に、一同は中へ入っていく。

 

,,, 

 

 

 「じゃ改めて、私は霧雨魔理沙、住んでたところは・・・多分巫女さん、知ってるはずなんだぜ、いや住んでいたと言うべきか」

 

 「・・?知ってる?すまん分から・・・その名前、私のよく知る場所。まさか」

 

 「私は、幻想郷からこのルイズに召喚されて今に至るんだぜ・・。」

 

 

 先代と名乗る人の雰囲気が一瞬変わった。それはルイズでもシエスタでも分かるほどに。だが先代は口を開かない、険しい顔をしたままこちらをみている。魔理沙はそのまま話を続ける。

 

 

 「この家といい、巫女さんのその服装。博麗の巫女服だろ?30年前に姿を消した攻めの博麗。一応軽くだけどな香霖・・森近霖之助からも話は聞いてるのさ」

 

 「・・・そうかその名前はこのハルケギニアじゃあ無い名前だ。幻想郷から来たと言うなら納得だな。森近霖之助・・・あぁ懐かしい名前だ・・あいつは元気か?服はよくあいつに任せてたよ」

 

 「・・あぁいつも通りじゃないかな。のんびりして外の世界から来る物を集めては店に置いてるよ。多分今もね」

 

 

 ここまで話したがルイズやシエスタが話についていけず、説明するよう2人に求めている。

 それに答え、先に魔理沙から話しが始まる。

 

 

 「すまん、えっとそうだな。ルイズは私が幻想郷から来たってのはしってるよな。会った頃に教えたから忘れちゃったか?」

 

 「おぼろげに覚えてるわ。神様とか妖怪がどうたら・・・あ、あとオールド・オスマンを助けたのが赤白の脇のでて・・・る?あれ?この先代さんと似たような部分あるわね?」

 

 「多分だけどな。あのじじぃを助けたのはこの人だ」

 

 

 そう言われて先代は、顎に手を置き首をかしげること数十秒。ついでに魔理沙の持つ、残りわずかの守護の札を渡すとおぉ、と声をあげ思い出す。

 いい機会だ、と思い守護の札を懐かしそうになでたり、眺めたりしつつ先代はあの時の状況を話す。

 

 

 「あの時の人はいまや学院長か・・すぐに気絶してしまい名前を聞かず今まで知らなかった。・・三十年とちょっとか、幻想郷の魔法の森を歩いていたら、いつの間にかこのハルケギニアにいてな。大きなドラゴンに襲われていた所だったので私が撃退したんだ。まぁまぁの相手だったな」

 

 「それで置いていくわけにも行かないから、ドラゴンとあの時の人の位置を考えて道なりに進んだ。そしたら大きな建物があったのさ。でも怪しまれて厄介払いされたんだ・・・。冷たいやつだなとは思ったけどまぁ仕方ないことだったのかもな。んでその後は適当に進んでたらここに着いたってわけだ。日本語が分かるシエスタの祖父もいたから色々話し相手になってもらえたよ。」

 

 

 ここまでで何か質問あるか? と巫女が聞くと真っ先にシエスタが手を上げる。

 

 

 「私の祖父も巫女さんも魔理沙さんも全員同じ・・その幻想郷というところからきたんですか?」

 

 「私と魔理沙は幻想郷。シエスタの祖父は幻想郷の外の世界・・同じ日本から来た訳だが幻想郷は日本のどこかにはあるが結界によって離隔されてる場所なのさ。言語は同じだからまぁスムーズにここ、タルブ村に留まる事ができたよ。今でも感謝してるさ・・・」

 

 

 初めて聞いたこの話に、シエスタは上手く次の言葉が出てこず黙ってしまう。そして次に恐る恐るルイズが手を上げる。

 

 

 「三十年という長い月日の間・・帰ろうとは・・思わなかったのですか?」

 

 

 言った後に、はっとし自分がなにを言っているのか分からなかった。

 魔理沙の方を向くと同時に、魔理沙が頭をなでてくれていた。察するのがずいぶんと鋭いようだ。

 

 

 「そりゃあ勿論帰りたかったよ。幻想郷は私、博麗の巫女がいないと維持できない所なんだよ。不幸中の幸いというべきか、珍しく私の代は2人いたのさ。まあ結界の事に関してはあいつ・・・守りの博麗に任せてたけどね・・。

 そしてどうやってトリステインに来たのかも分からないのに帰り方なんて分かるわけもなく・・。それにこれだけ長くここに住んでいると恩を感じてしまうから離れるに離れられないのさ」

 

 

 「それに私はおばあちゃんさ・・向こうにいても仕方ないだろう・・・さて、そんなとこかな?そんな所にいないで君たちも入ってきなさい。シエスタのお友達だろう。外は寒い、暖かいものでも出すよ」

 

 

 そういうと申し訳なさそうにキュルケ、タバサが扉を開け入ってくる。普通にお邪魔しようかと思っていたが、内容が内容のためタイミングがつかめず外で話しを聞いていた・・らしい。

 

 ようやく対面したキュルケは、自分のとはまったく別の熱を感じた。私が微熱ならこの人はそれ以上、触れたらやけどではすまなさそう。と判断する。

 タバサは実際に会って分かったことだが、この人も強いと判断した。すぐにディテクトマジックを使ったが、魔力は感じ無いがまた別の力を感じることはできた。それが何なのかは分からず悔しくなる思い、そして幻想郷という場所に興味を抱くのであった。そこに行けばもしかしたら母を治す薬が・・。

 

 とすぐに思考を払うかのように頭を振り余計なことを考えないようにする。

 

 

 「大丈夫タバサ?」

 

 「問題ない(そんな幻想を抱くなんて私らしくない。みんなを巻き込む必要はない。私だけで・・十分。)」

 

 

 魔理沙は思い出したように、ちょこっと気になることを今聞くことに。

 

 

 「なあなあ本名は巫女って名前じゃないだろ?名前くらいはあるだろ?」

 

 「私の代までしか知らないが・・博麗の巫女は幻想郷を守るだけの存在だ。名前を知られる必要もなければ教える必要もないからな。多分つけてもらったんだろうな、忘れてしまったよ。その霊夢、という子が幻想郷に広まってるって言うことは、必要なことなのだろう。時代は変わっていくものさ」

 

 

 少し悲しそうに話すその姿に魔理沙はやってしまった・・と感じ口を閉じてしまう。

 

 暖かいお茶を出した後先代は改めて、今までどうしても聞きたかった事をつい最近まで幻想郷に住んでいた魔理沙に聞くことに。

 

 

 「私から魔理沙に聞きたいのだが・・・。紫・・・八雲紫は私のことを話していたか?紫に任された仕事を放り投げ、ここに来てしまったようなものだからな・・守りの博麗は・・・今最低でも分かることは今でも幻想郷があるということだ・・」

 

 「んーよく分からないけど、紫はたまに博麗神社をボーっと見ている時を見かける。聞いても話してくれないし興味もなかったから追求しなかったけどな。もしかしたらあんたの事だったのか・・」

 

 「そうか・・・して魔理沙のいた頃の幻想郷はどんな感じに変わっているんだ?」

 

 「んとだなまず今の巫女は、博麗霊夢ってやつだよ。弾幕ごっこ、スペルカードを考えた張本人でなー-・・・.....」

 

 

 ルイズたちは全く話についていけなかったが、どれだけ聞いても興味が飽きず真剣に聞いていた。

 

......




ワルドを出すか出さないか迷ってます。

修正
一部の言葉を変更。+台詞の追加


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第三話 タルブ村 巫女の力

 

 9代目博麗の巫女との話の途中、外にいる村人の悲痛な叫びが部屋の中まで届いてくる。それによりここでの話し合いが中断となる。先代が素早く移動し外へ出ると、知らせに来た村人と出くわし詳細を聞く。

 

 内容は、何故だかは分からないがオークの1個小隊が向かってきているとの事。それを後ろで聞いた魔理沙たちは、すぐに察し先代に予測を含めた昨日の出来事を伝える。

 あの時のオーク鬼は実は、逸れた訳ではなく偵察として単独行動していたらしくやられた事を仲間に知られてしまい、後をつけられたという事である。

 

 先代は一つため息を吐き、オーク鬼の来る方向へと歩き続ける。

 

 

 「み・・巫女さん、あなたもう歳なんですからあんまり無理すると・・」

 

 「コラ!いつも言っているだろう?ここに留めて貰ってる代わりにここを守ると。それに私は博麗の巫女だぞ?妖怪退治は得意中の得意だ。」

 

 村人はその様子を見て諦めた表情をしつつ、すぐに避難の誘導を先決する。

 魔理沙たちは巫女を止めようとするが、それを遮りむしろ避難を催促する。

 

 

 「ここは私たちの村だ。客人に手を汚させるわけにはいかんよ。それに少しだけ腕に自身はあるんだ。ここは私に任せてくれ、オーク鬼程度に怪我をするほうがおかしいというものだ。」

 

 

 その言葉を素直に受け入れられないルイズたちに、タバサがせめて戦う姿を見させてほしいと発言する。

 巫女は困った様子で、取りあえずそれで納得する。魔理沙は箒、ルイズたちはシルフィードへ乗り込む。

 巫女が走りそれを追いかけようと、タバサはシルフィードに指示を出す。・・・その瞬間に待った、の声が聞こえてくる。ルイズたちがそちらを見るとそこにいたのは、魔法学院の先生であるコルベールがそこにいた。

 

 

 「え?ミスタ・コルベール!?どーしてここに?」

 

 「いやはやオールド・オスマンからちょっとした依頼があってね。それで訪れたんだけどオーク鬼が迫ってきてるらしい。君たちも早く逃げなさい」

 

 「ミスタ・コルベール!大丈夫ですよ。巫女さんがいますからっ」

 

 「みこ・・?その人はメイジなのですか?」

 

 

 その言葉に、シエスタとタバサが首を振って否定する。じゃあ、コルベールが言葉を続けるが、キュルケがとりあえずコルベールに乗ってもらい観戦することを提案する。

 提案するといってもほとんど強引なのだが、そのやり方の詳細は・・・省く。魔理沙はその様子を見て苦笑いしている。

 

 博麗の巫女を追いかけている途中で違和感を感じる。コルベールは村人の様子を見ていると、何故か怖がっている様子はあまりなく、むしろ冷静に対応している。その様子にコルベールは疑問に思うが、口には出さず観察するだけに留める。

 

 

 

 「おぉ、ルイズ!見てみろもうやりあってるぞ・・・はーすげえな 人間業じゃないんだぜ」

 

 「うわぁ・・なによあれ。私の目、おかしくなっちゃってるのかしら・・・」

 

 「あれが・・・(・・要注意人物か、太陽の光を浴びても問題ない所を見ると吸血鬼では無い・・・宮廷が危険視するのも分かりますね。もし私たちに害する者であれば・・)」

 

 

 キュルケも唖然としており、タバサにいたっては鋭い視線で警戒している模様。シエスタは見慣れた様子で、むしろ楽しそうに応援している。

 

 そして当の本人である博麗の巫女は、オーク鬼を目の前にしても構えを解かず先ほどの柔らかな目線とが違い、相手を射抜くように鋭い目線で相手の出方を待つ。

 

 オーク鬼は思考能力が高くないが、一番後ろにいるボスだろうか通常より1.5倍ほど大きいオーク鬼が指示を出している。そのため囲むように展開している。

 左の一体が、手に持つ棍棒を振り下ろす形で攻撃を仕掛ける。・・しかし9代目巫女は2歩後ろに下がり、自分の目の前に棍棒が通過する瞬間に左腕に霊力を纏わせ、棍棒の柄付近を殴る。

 目にも留まらぬ速さでオーク鬼の手も一緒に巻き込み殴った為か、物がひび割れる音、そして普通じゃあ聞かないであろう何かが砕ける音と共に棍棒の軌道がずれ棍棒が吹き飛んでいく。

 その隙を見逃さず、巫女は霊力を溜めた右腕でオーク鬼の顔面へ容赦なく叩き込む。さしたる反撃もできずオーク鬼は吹き飛び、地面に叩き付けられそのままピクリとも動かなくなる。

 

 

 「さぁこい、これが博麗の巫女だ。タルブ村を守るものだ」

 

 

 元々博麗の巫女の仕事は博麗大結界の維持、幻想郷に住む人間の味方、そして幻想郷にとって害する妖怪の討伐。

 このタルブ村とオーク鬼のような化け物、そしてそこに住む博麗の巫女・・・まさに幻想郷を縮小したような状態である。それに魔理沙は気がつき、心が震え是非とも加勢したくなる気持ちにでいっぱいになっていた。

 

 

 「おお!?相棒の心が震えてる!喜びかこれは?・・いいねいいね!加勢しようぜ!・・あっ俺っち使ってくれよ?」

 

 「デルフは背中から見て満足してなっ!異変解決は人間の仕事だぜ!」

 

 「え?ちょっ!あいぼぅそりゃないぜ・・」

 

 「ミス・魔理沙!危険です待ちなさいっ!」 

 

 

 デルフやコルベールの言葉を無視し、ルイズに一言伝え加勢する為博麗の巫女の元へ急行する。魔理沙の行動に唖然とするが、コルベールやルイズが慌ててタバサへ追いかけるよう願い出ると素直に頷きシルフィードを向かわせる。

 

 

 「(私はいつも戦いに明け暮れているな。40年はたったか?もう少しで向こうで住んでいた時間と同じくらいここにいることになるな・・・)・・ふっ」

 

 

 9代目博麗の巫女は思考に耽っているが、オーク鬼への攻撃は止まず圧倒していく。殴るだけではなく相手の武器を奪いそれで叩いたり、同士討ちを狙ったりと・・・手馴れた様子で多数の相手の攻撃を捌いていく。

 とそこで巫女の近くにいたオーク鬼が、巨大な光線により体の7割が消し飛びそのまま倒れる。巫女は未知の事態に警戒しつつそちらを振り向くと、そこには霧雨魔理沙が笑顔のまま箒に座っていた。

 

 

 「・・まりさ?お前がやったのか。これほどとはやるじゃないか・・・しかし危ないぞ?下がっていなさい」

 

 「私だって異変解決する側なんだぜ?むしろ霊夢と一緒に解決してたんだからな!私も加勢するんだぜ」

 

 「今の幻想郷は変わったんだな。いい意味で・・な。よしなら後方支援でもしてもらおうか」

 

 「ちぇー。まぁここは譲るんだぜ」

 

 

 その様子に困った様子で微笑む巫女に笑顔で返し、魔理沙は少し離れ弾幕を放っていく。数を減らされ焦ったボスはいったん下がらせ、前に出てくる。

 博麗の巫女は一息吐き、手に力を入れ改めて気を引き締める。オーク鬼は棍棒を片手に持っているがそれで攻撃せず、手を前に向けそこから火を放つ。

 

 

 「フレイム・ボール!?オーク鬼が先住魔法だって!?オーク鬼の亜種なのか!?め・・めずらし・・じゃなくて危ない!」

 

 

 コルベールが危険を知らせるが巫女は特に反応せず、避けるどころかそれを正面から受けようとしている。

 魔理沙も焦りながら急行するが到底間に合わない。ルイズは目を背けるがキュルケとタバサは見続けている。

 

 

 「行動が似たり寄ったり・・。亜種だがなんだろうと所詮オーク鬼。頭の中はからっぽ・・・はぁぁっ反射ぁっ」

 

 

 手に高濃度の霊力を集めその手で受け止めた、と思ったときには巫女の体内に吸収される。その後すぐに手を前に突き出し吸収した力を相手へ向け何倍も威力を高め解放する。

 動物の本能なのかこれは耐えられないと判断し、オーク鬼は武器を盾にしさらに自分の腕を犠牲にする覚悟で体の前に出す。

 

 しかしその行動は無意味だと、喰らったオーク鬼を見れば誰でもわかってしまった。上半身は吹き飛び見るも無残な姿となって仰向けに倒れていた。

 それを見た他のオーク鬼はわれ先と来た道を逃げるという形で戻っていった。その瞬間村方面から歓声が上がる。キュルケもタバサも手に汗握る思いだったようで、肺にある空気を吐き出す。

 

 

 「すっげーな巫女さんやるじゃんか。それが能力か?」

 

 「そうだ、反射する程度の能力。扱いにくいけど威力はなかなかさ。魔理沙のあの光線はそれ以上だったと思うが?」

 

 「ま・・まぁな!へへっ私のは魔法を使う程度の能力。さっきのはマスタースパークって技なんだぜ。火力は大事なんだぜ!」

 

 「お!分かってるじゃないか。火力は大事だ!いい酒が飲めそうじゃないか?」

 

 

 

 他愛もない話をしているとルイズたちが降りてくる。一斉に魔理沙と巫女へと声を掛けているが、コルベールが真剣な表情で巫女へと声をかける。

 

 

 「・・・巫女・・さんでよろしかったでしょうか。少しお話を伺いたいのですがよろしいですか?」

 

 「・・・いいだろう。魔理沙たちは先に戻ってご飯でも馳走になったらいい。シエスタ、案内してやってくれ。私は後で向かうよ」

 

 「・・?わかりました。では皆様いきましょう!」

 

 

,,,

 

 

 「で何のようだ?私だけならまだしもあの子達に危害を加えるのであれば容赦はしない。貴様の視線は獰猛な妖怪の様だったぞ。背中からでも感じていた」

 

 「(任務について話したほうがいいですねこれは・・)・・・っ。いえ数々の無礼を失礼しました。私は魔法学院の教師でコルベールといいます。」

 

 「教師か、それで何のようだ?」

 

 「宮廷からあなたのことを調べるよう魔法学院長オールド・オスマンへ声がかかったのです。そこで私が使わされました」

 

 

 その言葉と同時に任務について書かれた紙を手渡す。じっくりとそれを読んだ巫女は、はぁ・・とため息を吐きそれを突き出すように返す。

 巫女は腕組をしイライラしておりあほくさい、という言葉が漏れそうになるが我慢しコルベールへ話しかける。

 

 

 「事情は分かった。で私にどうしろっていうんだ?宮廷とやらにでも行って身の潔白でも証明するのか?それなら却下させてもらう。私はこのタルブ村を守る者だ、そう簡単に出るわけにはいかない」

 

 「いえ宮廷に行く必要はないと思われます。オールド・オスマンの直筆で問題ないことを証明していただければ大丈夫なはずです。」

 

 「ふむ、それで直接会いにいけと言う訳か」

 

 「・・・一言で言えばそうなります。未知の力は周囲に恐怖を植え付け危険視されてしまいます。まさに今がこの状況です、いままでこのようなことがどうして起こらなかったのか・・と言うのは置いて置きますが・・」

 

 「・・・はぁ、村長に話しかけてみるが期待はしないでくれよ・・」

 

 「ええ、よろしくお願いいたします。」

 

 

 めんどくさそうにしながらシエスタがいるであろう家に向かうことにした・・・。

 

............



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第四話 虚無への目覚め

あと3ページほどですかね・・。


 

 めんどくさそうにしながらも巫女は村長へと交渉に入る為、村長宅へお邪魔することに。いきなりの訪問にも動じず、笑顔で向かえられ少し気持ちが和らぐ気がしていた。

 

 

 「すまん。邪魔したか?」

 

 「そんなことありませんよ。むしろ巫女さんならいつでも大歓迎ですよ!それとオーク鬼の討伐、今回もありがとうございます。非力な私たちではどうすることもできませんでした。」

 

 「ここの領主もしっかりしてくれれば問題ないのだがな・・・さて本題を話しても?」

 

 「ええ、とりあえずお茶でも飲んで喉を潤してください」

 

 

 村長の言葉に甘え、一口だけ飲み改めてコルベールに聞かされたことの事情を話す。それを聞いた村長は、何故か頷き笑顔で話しかけてくる。

 

 

 「そうですか。お偉い様に目をつけられるのは厄介ですね・・多分巫女さんは一時的にここを離れるのが心配なのでしょう?」

 

 「・・はいそのとおりです。もし私がいない時に何かあればと思うと・・・」

 

 「でしょうね。しかし心配なされる事は何もないのです。なぜならば私たち村民はずっと考えておりました。あなたに休暇を与えたいと・・・少しくらい休んだって誰も怒りませんよ?それにオーク鬼なんて普通この地域自体くるものじゃないですしの」

 

 

 巫女はその言葉の意味がよく分からなかった。休暇をもらうほど心身共に疲れてない、それに村民?ここの全員を指しているのか?・・と考えれば考えるほど謎が深まり、改めて村長に聞くことに。

 

 村長はやれやれと言わんばかりにため息を吐き、仕方ないと思い口を開く。

 

 

 「巫女さん、あなたはこのタルブ村を何十年も守ってきてくださいました。この恩をどう返そうかと考えておりました・・・。今がそのときなのです!村民の総意なのです!別に出て行けなんて言っているわけではございません。ただ少しくらい」

 

 「あー・・・うん、そうか・・・なんか申し訳ないな。まさかそこまで思いつめていたとは思ってなかった。ふぅ・・分かった、ではお言葉に甘えて一週間くらい貰ってもいいか?」

 

 「一週間とはいわずもっと取ってもいいのですよ?」

 

 「さすがにそれ以上は私が困る。ここを守るのは私の義務だからな・・・」

 

 

 それじゃあ明日にでも行くとしよう。準備があるからまた明日会いにくる。・・と巫女は言葉を残しすぐに神社へ戻っていく。その素早い行動や後ろ姿を見ていつでもこの人は変わらないな・・・と思ってしまう村長だった・・。

 

 ・・・そして出立の時、村人総出でルイズや魔理沙たち、そして9代目博麗の巫女を見送る。

 その時巫女はひとつだけ村長や村人たちに、自分が行った後にやらなければならない事を指示していた。4枚の札とまた別の札を村長へ・・・。

 

・・・

 

 「なぁーなぁ!さっきタルブの人たちになに指示してたんだ?」

 

 「ん?あぁあれはな、もし、もし私のいない間に村に何かあるといけないからな・・・そういう時の為に村を守る札を渡したのさ。東西南北に4枚な。それと村長にその結界の起動の為の札をな」

 

 「へぇ、結界張ることができるんだな!さすが博麗の巫女だな」

 

 「と思うだろ?実は結界張ったり維持したりは苦手なんだ・・あれも何年単位で私が作ったものなんだよ・・」

 

 

 恥ずかしそうに頭に手を置く巫女に対し、魔理沙は 博麗の巫女なのに結界維持が苦手なんだな・・なぁんだ褒め損じゃないか、と正直な感想を口に出していた。すぐに口を噤むがどう見ても遅く、巫女はしょぼんとしていた。

 

 

 「で・・でもな私は妖怪退治が専門だからな。そこらのやつには負けんよ。その代わりに結界の維持とかはあいつ・・守りの博麗にまかせっきりだったけどな」

 

 「ふうん・・その守りの博麗ってのはどんな人なんだ?」

 

 「私より年上だけど敬語とか使われるのが嫌いでな、砕けた話し方だったよ。結界系に関しては一流だったな。うらやましい限りだ・・それでな・・・」

 

 2人の会話の間、ルイズたちは話についていけず文句を言いたそうだったがキュルケの計らいで収まっていた事を魔理沙は知らない・・・。

 

 

 時は過ぎトリステイン魔法学院・・・。

 博麗の巫女を連れたコルベールは早速学院長へ向かうのだが・・後ろには魔理沙も着いてきており戻るよう説得しても駄々をこねる様に否定している。コルベールはため息を吐きながら、ストレスで髪が抜け落ちる気がしてならなかった。

 巫女をドアの前で待たせ、先にコルベールが入っていく

 

 「オールド・オスマン、コルベールただいま戻りました」

 

 「うむ、今は情勢が悪いからのぅ。無事でなによりじゃ・・して礼の件は?」

 

 「オールド・オスマンに直接あわせた方がいいと思い連れてきて参りました。私から見ますに一応信用のできる方だと思います。」

 

 「ふうむ、どんな人かのぅ~女性と小耳に挟んでおるからの~ちょっと楽しみじゃわい。よいかモートソグニル、いつもの配置につくのじゃよ?報告はしっかりとな。」

 

 「・・・このじじぃは・・・んんっごほん・・・巫女さん!どうぞ入ってください!」

 

 

 ドアの向こうにも聞こえるよう少し大きめに声を上げ、巫女に入らせるよう伝える。数回のノックと入る言葉と共にドアが開かれる。

 

 

 「改めてご紹介します。こちらがタルブ村を守っていた方でえーっと・・・巫女さん、でよろしかったでしょうか?」

 

 「問題ないよ。さて・・・久しぶり・・・というべきかな?」

 

 「・・・?はて何処かでお会いしましたかの・・?」

 

 

 ボケるオスマンとまさか覚えていないとは・・・と眉をハの字にしてちょっとだけ落ち込む巫女。それを見た魔理沙は、オスマンに指差しをしながら大笑いしている。それを 女の子がはしたない!女性は口元に手を当ててクスッと笑うものですぞ!と叱るコルベール。カオスとはまさにこのことなのだろう。

 

 

 「あー、本当にわからないか?」

 

 「んー・・すまんのぅ。タルブ村に知り合いはいないしの」

 

 「・・・この赤と白の服、ワイバーン、素手で撃退、守護の札・・ここまでいって分からないことはないだろう・・?」

 

 「ん・・お?・・おおおぉ!?もしやあの時の・・30年前ほどの時の女性か!・・思い出した。すべて思い出した・・このオスマン、命の恩人のことを忘れていたとは一生の不覚・・あの時は態々学院まで運んでくださったのですな・・その後馬鹿どもが追っ払ったと聞いてワシは・・・」

 

 「気にするな、仕方なかったことさ。言葉も通じなかったしな・・それより良かった。これで分からなかったらどうしようかと・・。まぁこれも魔理沙のおかげだよ。ありがとう」

 

 「それをいうなら私よりシエスタだろ?まぁ良かったな!結果おーらいってやつだ」

 

 

 3人がにぎやかに会話する中、いまだに話に入れず寂しそうに見ているコルベールを残し話は進んでいった・・・。

 

 

 その頃ルイズはタバサやキュルケとは別れ、一人自室で魔理沙を待つことに。

 ふと自分がやらなくてはいけないことを思い出し、あわてて始祖の祈祷書を取る。しかしあわてていた為、祈祷書の上にある水のルビーに気がつかず床に落としてしまった。

 すぐに気がつき拾い何かを考えながら指に填めると、始祖の祈祷書と水のルビーが反応し強く光輝く・・・。

 

 

 その頃魔理沙は自分の出番はないと判断しオスマンと巫女、そしてコルベールを残し直接ルイズの居るであろう部屋へ向かう。

 魔理沙はいつも通りノックせずそのまま部屋へ入ると、予想通りルイズが椅子に座っていた。しかしこちらには気がつかず本を凝視していた為、仕方なく声を掛ける・・がそれでも本を凝視しているため近づくとルイズが震えていた。

 

 

 「ル・・ルイズ?どうしたんだ?私なにかやらかしたか?・・」

 

 「・・・ま・・魔理沙・・私・・わたし・・き・・」

 

 「お、おおおちつけ。とりあえず水だ!ほれ、飲んで深呼吸して話せって」

 

 

 ルイズは言われたとおり水を一杯飲み、肩の力を抜いて深呼吸すると冷静になったのか魔理沙をしっかりと見る。

 魔理沙は何を言われるか分からないが、とりあえず身構える。もしかしたら、巫女と話していた時に放置をしすぎたのかもしれないと・・・。

 

 

 「魔理沙おどろかないでね・・・?私の魔法の系統、・・虚無かもしれない・・わ」

 

 「・・・?は?虚無ってえーっと・・ぶりり?・・びりり?・・ぶるるなんとかって人が使ってた魔法だったよな?」

 

 「ブ リ ミ ル!あほかあんたは!・・・ごほん、そうその虚無よ。この始祖の祈祷書と水のルビーが反応したのかしら?頭に流れこむ様にいつのまにか始祖の祈祷書を読めるようになってたのよ!」

 

 「ふーん・・いまだに私には真っ白けっけの本としか見えないけどな」

 

 「そうなの?・・選ばれた人しか見れないのかもしれない。それでこの本に書かれた虚無魔法を覚えたのよ。ただこの本にも注意書きされてたけど本当に危険な魔法らしいわ。えっと・・エクスプロージョン・・自分の視野内の指定した物体を破壊、消滅させる・・らしいの」

 

 

 それを聞いた魔理沙は、火力は大事だけど・・さすがにやり過ぎだと思う・・そしてえげつない魔法だ。いつも失敗していた魔法はそういう事か・・と思い次に考えたのが、ずっと人々に忘れられていた虚無がどうして今更・・と。

 そこまで考えた途端、頭の中で考えていた事がパズルの用に組みあがっていった。今まではごちゃごちゃだったものがこの一件で分かった気がする。

 

 どうして幻想郷住みでさらに数居る生き物の中でどうして私が呼ばれたのか。

 人々に忘れられた虚無、人々に忘れられた幻想郷。幻想郷の魔法使いっていうと数が限られるしその中で性格を考えると私なのか。と想像すると何故だか笑えてくる。

 ルイズが使い魔を呼ぶために、サモン・サーヴァントをすれば必ず私が呼ばれる・・と思われる。運命というのは予め決められているんだろうか?ちょっとだけ縛られてる感じで気持ち悪いけど・・。

 

 

 「くふふ・・あははっ。なるほどそういうカラクリか!いやぁなんだかスッキリしたんだぜ」

 

 「はぁ?なによ!私にも教えなさいよ!」

 

 「へへっ内緒なーんだぜ!」

 

......

 

 



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第五話 幻想郷からの来訪者

 巫女が魔法学院へ来てから数日がたった。

 オールド・オスマンじきじきの計らいで、学生にも巫女に対し礼儀を心がけるよう注意したためか特に問題は起こらなかった。しかしやはり貴族という立場の学生にとっては学院長の言葉であろうとなかなか納得できないでいた。

 

 とはいえ直接手を出そうものならキュルケやタバサが相手になるだろう。それに霧雨魔理沙の存在。あの時のギーシュのようにはなりたくない・・と言う考えもありそれであれば関わらない方が良いと判断していた。

 結局、巫女の周りにいるのはいつものメンバー。今は昼食の時間でありだいぶ慣れた巫女は楽しく会話をしていた。とそこでコルベールが汗を周囲に撒きながら大急ぎで食堂へ入ってくる。

 

 

 「み・・巫女さん!緊急の知らせです・・・!はぁ・・はぁ」

 

 

 コルベールのこの表情を見た巫女は、目を細め真剣な表情になる。しかし息切れが激しくしっかりと声に出せてなかったため水を手渡す。

 

 

 「す・・すみません・・巫女さん、心して聞いてください。あなたの故郷であるタルブ村の近く、ラ・ロシェール上空でレコン・キスタ率いるアルビオン艦隊とトリステイン艦隊の戦闘が発生しました。さらにアルビオンはトリテイン艦隊に対し、宣戦布告をしたようです。つまり・・戦争が始まります。」

 

 「・・なん・・だと?それは本当か?」

 

 

 巫女の気迫に驚きながらもそれを表に出さず、コルベールは話を続ける。周りにいたものも息を呑みコルベールの話を聞いている。

 

 

 「はい・・・領地の兵士は迎撃に向かっているようですがそう長くは持たないでしょう・・・。」

 

 「・・・そうか・・・ミスタ・コルベール。私は向かう、タルブ村を守るために」

 

 「いけません!戦争と言ったでしょう!?命を捨てに行くんですか!?お止めください!」

 

 「私はタルブ村を守ると誓った者だ。理由はそれだけあればいい・・ここで一番早い乗り物は?」

 

 

 この学院からタルブ村まではどうやっても馬で2日はかかるだろう。しかし戦争は今もう始まっているためどうやっても間に合わない。

 馬以外の乗り物というと、シルフィードになるのだろう。コルベールはそう思いタバサへ視線を向けようとしたが、すぐに思いとどまる。

 

 

 「馬で2日・・・それ以外・・(私は馬鹿か!学生をそういう風に使おうなど・・・これでは教師失格だ)」

 

 

 そう思ってしまったコルベールには考えが浮かばず一言謝ると、巫女は肩に手を置きそのまま外へ出て行ってしまう。

 

 

 「巫女さんどちらへ向かうのですか!?」

 

 「タルブ村だよ。時間をかけても私は行かなきゃいけない・・それと馬を借りるよ。キュルケ、シエスタに一言伝えてくれ、行ってくると・・それとタルブ村に越させないようにしてくれよ?」

 

 

 その言葉に頷きながらもキュルケはコルベールにタバサの使い魔、シルフィードをどうかと提案する。しかし  君たちは学生だ。わざわざ戦場に送り込むことはしたくない。 と言い、黙ってしまう。

 と同時に巫女の元へ走るものが一人、魔理沙の姿があった。

 

 

 「巫女さん。馬より速いのがあるんだぜ?」

 

 「?・・本当か!?頼むそれを紹介してくれ!」

 

 「あいよ!んじゃあ私の後ろに乗ってくれ!あ、心配とかはいらないんだぜ?幻想郷最速ではないけど・・かなーり速いんだぜ!」

 

 「・・・魔理沙・・・すまんよろ「こっっらぁ魔理沙ぁ!何勝手なことしてんのよ!」「げっ・・ルイズ!」」

 

 「巫女さん早く乗り込め!さぁ・・飛ばすからな?」

 

 

 ルイズの静止も無視し、魔理沙は八卦炉を後部にセットし飛び立ってしまう。ルイズは跳ねながら怒っている模様だが、すでに2人の姿は米粒ほどだった。

 ルイズも馬で追いかけようとするが、それをコルベールが阻止しいったん自室へ戻るよう指示する。さすがにキュルケも分かっているのか、ルイズに対し行かせないように一言伝える。

 

 

 「ルイズだめよ、あなた追いかけようとしてるでしょ?ゼロのあなたが言ってどうするのよ。魔理沙の邪魔したいの?」

 

 「・・・悪い!?魔理沙が戦場にいっちゃったのよ!どうして私を置いていっちゃうの・・・私の使い魔のくせに・・・これでいなくなっちゃったらまた一人に・・・うぅ・・ぅぁ」

 

 「あああもう。ほらもう泣かないの!言い過ぎたわっ」

 

 「キュルケはいつも一言多い。だから好意に思ってる相手でも「いちいち言わなくていいわよっ!」・・・ふぅ・・」

 

,,,,

 

 ルイズたちを置いてしまったが、とりあえずそれは置いといてタルブ村へ今の魔理沙が出せるスピードで向かっている。

 最初はこのスピードに慣れてない様子で、話しかけても返事が素っ気無いものばかりだったが今は会話がスムーズに行えている。

 

 「巫女さんもうへーきか?」

 

 「あぁすまんな・・。しかし速いな・・ここまでだとは。これなら結界が破壊される前にいけるはずだ」

 

 「ふーん・・あ、そうそうその結界ってどのくらい持つんだ?」

 

 「船の放つ大砲は正直わからん・・・数発は耐えられるはずだが・・・オーク鬼程度なら手を出すこともできんはずだ。触れればその部分が消滅するからな・・村長に渡したあの札で敵味方を分けることができるのさ」

 

 「・・・村に直接砲撃するとは思えないから大丈夫だと思うんだけど・・・すごく良いところだから傷はついてほしくない・・それになんとなく幻想郷を思い出すんだぜ。あそこのタルブ村は・・」

 

 

 魔理沙の言葉に巫女も同意し、一息吐き気を引き締める。

 馬で2日の距離を何倍ものスピードで移動できるとはいえ数時間はかかってしまう。普通なら休憩するのだがタルブを守りたいという魔理沙の思いもあり、ぶっ通しで飛び続けていた。

 近づくにつれ艦隊の姿も見え、雷のような音が聞こえてくる。さらには艦隊から降りる黒い何かも見えてくる。降下していくグリフォンなのだろう。

 

 

 「魔理沙着いたら村でおろしてくれ、そこからは私にまかせて学院へ帰るんだ」

 

 「へへっ嫌だね!ここまできて引き返すなんてアホみたいなことできるわけないじゃないか」

 

 「しかしこれは戦争だ。魔理沙の言う弾幕ごっこではないんだぞ!私だけで十分だ」

 

 

 あまりにも身勝手な巫女の発言に、魔理沙は我慢できなかったのかスピードを維持しながらも声を張って自分の気持ちを伝える。

 

 

 「あほかあんたはっ!村を一人で守ってたと言ってた時は素直にすごいと思ったけどさ、今はっきりしたぜ」

 

 「どうして周りを頼ろうとしないで一人で抱え込もうとするんだ!もっと人を、私を頼ってくれよ。力はそれなりにある、私はやれるっ」

 

 「けど・・・っ!」

 

 

 -あなたはいっつも一人で抱え込もうとする。博麗の巫女として正しい姿だけど、友人としては寂しいわ。この幻想郷のルール上、直接手を出すことは難しいけどもう少し頼ってほしいわ・・・話を聞くにしてもなんにしても・・そんなに信用ないかしら・・・私。-

 

 そうだ・・・あれはあいつが酒に酔った時に零れるように出た愚痴だったか・・その時はよく分からなかったが・・60数年生きてて私はまだ学ばないのか・・。

 

 ふぅと一息吐き、巫女はただ一言 空のほうは任せた。 と伝えると、魔理沙は途端に笑顔になり 任されたぜ! と元気よく言葉を発する。

 

,,,,,,

 

 

 そのころ神聖アルビオン、レコン・キスタ。

 ラ・ロシェール上空には多くの戦艦が浮いており、その中でも大型の分類であるレキシントンからグリフォンが降りていく。それを見守るのは艦長であるサー・ヘンリ・ボーウッド。だが険しい顔をしながらその様子を見ていた。

 

 

 「ボーウッド艦長。気分はどうだい?」

 

 「・・・ワルド子爵か・・・どうもしませんよ。汚いやり方をしている自分に腹が立っているだけです」

 

 「ふふっ、これは戦争だ。ずるいもなにもあるまい」

 

 「・・・そうですね。それより先ほど不可解な報告があがりましてね」

 

 

 

 ボーウッドの言葉にあまり関心を示してはいないが、とりあえず聞くだけ聞くことに。情報という物は、大切だということをワルド自身分かっている為どんなに小さなことでも聞いていた。

 ボーウッドへ視線を向け続きを催促する。

 

 

 「ここから左のほうにタルブ村というのがあるのはご存知で?」

 

 「名前だけな。偏狭の地というだけで特にこれと言ったものはないと思うが?あぁワインが名産だったかな」

 

 「・・・そのタルブ村が謎の薄い膜で覆われているらしく一切の攻撃が通用しないとのこと。大砲はまだ試していませんけど」

 

 「ほぅ・・・そうか、心当たりがないわけでもない。それに外に出てみればわかるだろう。タルブならここからすぐだしな」

 

 

 その言葉にボーウッドは頷き士官に一言伝え甲板へでる。タルブのある方向を見ると、確かに薄く何かがあるのことが分かる。それを見たワルドは獲物を見つけた様な鷹の目をし、ボーウッドへ何もいわずワルド専用のグリフォンへ乗り込む。

 そのままタルブへ降下しながら進んでいく。ボーウッドは何もいわず身を翻し中へ入っていく。

 

 

,,,,

 

 場所は変わり幻想郷の霧の湖に隣接する紅魔館。

 そこには八雲紫をはじめとする名だたる面子がそろっていた。全員魔理沙と深く関ってきた者たちである。

 転移魔法を念入りにチェックするパチュリー・ノーレッジ。そしてそれを心配するように紅魔館の主、レミリア・スカーレットが声をかける。

 

 

 「パチェ、大丈夫そう?」

 

 「えぇ問題ないわ・・・・・よし、これで行けるわよ。ふぅ・・・異世界とつなげるのは流石に時間かかったわね・・」

 

 

 完成を待っていたかのように後ろから一筋の線が現れ、それはすぐ大きくなりそこから八雲紫が姿を見せる。

 来る事を知っていたかのように驚きもせずそちらに視線を向ける2人。

 

 

 「流石ね、こればっかりはあなたにしか出来なかったし報酬は期待していいわよ。・・・さて魔理沙のいる向こうへ送る人は決まったかしら?」

 

 「無論、咲夜と美鈴を行かせるわ。私たちは動けないからな」

 

 「そう、賢明ね。こちらは私自身、そしてアリスあたりも連れて行くわ」

 

 「あなたがいってここは平気なのかしら?」

 

 

 ここ、と言うのは幻想郷を指しておりすぐに察した紫は 藍と霊夢がいるから平気。 と伝えると納得したように返事をする。

 パチュリーがすぐに起動する事を伝えると紫はスキマを使い、アリスを(無理やり)連れてきて魔方陣内へ入る。

 パチュリーが先ほどは流したが思い出したかのように疑問が湧き、紫のほうを見ながら呟く。

 

 

 「しかし霊夢も行くものだと思ってたわよ。よく納得したわね」

 

 「あの子自身がいってたのよ。あんたが行くなら私はお留守番。魔理沙をよろしく ってね。ってさ、全く・・行きたくて飛び足したいのだろうけど我慢しちゃって・・9代目みたいだわ・・」

 

 「・・・そ、じゃあ起動するわよ。位置は魔理沙が召喚された広場。このゲートはとりあえず何回かは往復できるから何かあれば戻ってくることね。アリスも気をつけていきなさい・・じゃ行ってらっしゃい」

 

 「折角の外の世界だから旅行気分で行って来るだけど。人形たちもちゃんと持ってきたし」

 

 「咲夜、美鈴。お土産よろしくね?」

 

 「はい、美鈴の暴走は私が止めますので」

 

 「ちょっ咲夜さんん!?それはなっ」

 

 

 美鈴が言葉を言い終える前に魔方陣が発動し、その中にいた者は魔力の粒子を残し、一瞬にして居なくなった。

 パチュリーもレミリアも魔方陣のあった場所を見て一息つく。

 

 

 「パチェ、ご苦労様。こあ、紅茶2つ分ね。よろしく」

 

 「は、はいぃい!おまかせあれです!咲夜さんのポジションは私がもらったぁぁっっ」

 

 「・・・無事だといいわね」

 

 「ふふ、いっつも心配してたものねパチェは。1年足らずで異世界とのゲートを完成させるんだもの。魔理沙のおかげかしら?」

 

 「レミィ!余計なことは言わなくていいの!・・」

 

 

 シーンとする図書館内でドタドタと走る音に、パチュリーもレミリアも苦笑いをしていた。

 

..............

 

 



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第六話 幻想郷と学院側の実力の差

文字数が長くなってしまったのでここで投稿。なるべく力を入れたいところなのでページ数が増えようとも仕方ない、と思っています。


 魔理沙たちが飛び立ってから数時間が経過し、自室に篭るルイズは意を決し静かに馬小屋へ向かうのだった。

 メイドや生徒は全員自室へ戻され一時待機を命じられていた。その為誰とも会うことなく目的地へ進むことができていた。

 そこで丁度召喚の儀式を行った場所を通りかかり、初めて魔理沙を召喚した時の事を思う。もし魔理沙じゃなくて別のものを召喚していたらどうなっていただろう、と考える。今思うともしも風竜を召喚できたとしても、私はここまで笑ったり泣いたり物事に対する視野が広くなったり・・・あとは性格が丸くなっていただろうか?・・きっと魔理沙以外では難しかっただろう、と考えると胸が熱くなる思いだった。

 だから今度こそ私が魔理沙を・・・。

 

 そう考えていると広場に見たこともない紫色の光が集まっていく。地面を見ると見知らぬ文字のようなラクガキが書かれており、徐々に光が強まっていく。何が起こっているのか分からないルイズはただそこに佇み、その場を見ていた。

 同時刻、学院長室にいたオスマンとコルベールは今後の事の話し合いをしていた。戦争の終わった後、王室から多分学生を対象に徴兵が行われる。他にもここが一つの拠点になる可能性など・・・。

 

 それを考えていると窓の外、広場から高濃度の魔力と共に紫の粒子が集まっていた。オスマンはもしかしたら敵の襲撃という可能性を考え、オスマンとコルベールは広場へと向かうのだった。

 途中で運よくギトーやシュヴルーズと出会うことができ、シュヴルーズには生徒の安全を、ギトーは共に同行してもらうことに。

 

 

 「な・・なによこれ・・も・・もしかしてレコン・キスタ・・!?ど・・どうしようぅ」

 

 「ミス・ヴァリエール!何故あなたがここにいるのですか!自室に居なさいと忠告したでしょう!」

 

 「まぁそうカッカしなさんなミスタ・コルベール。もっと薄くなるぞい?」

 

 「オ・・オールド・オスマン!?それにミスタ・コルベール!あとミスタ・ギトー・・・こっこれはその・・」

 

 「そんなことより、これは何かわかるかね?ミス・ヴァリエール?」

 

 

 ルイズが分からない と発言しようとしたが、一瞬光が激しくなり4人とも光を防ぐ為目を閉じてしまう。

 オスマンとコルベールが先に目を開くと、そこには数人の女性が立ちこちらを見ていた。

 長年の経験から2人は目の前にいるこの女性は危険だ、と判断し静かに杖を抜く。遅れてギトーも杖を抜き相手に向けており、ルイズも目を開け同じ方向を見るが何故か3人とは別の反応をする。

 

 

 「ふぅ、楽でいいわね転移魔方陣は・・・あら?あなた方はお出迎えかしら?」

 

 「・・・何者かね、おぬし等は」

 

 「あら、パチュリー・ノーレッジも気が利くわね。それより名乗るなら自分から名乗るのが普通よ?まぁいいわここじゃ部外者だものね。私は八雲紫、そこの娘とその連れに用があるだけよ?邪魔しないでくれるかしら」

 

 

 紫がそう言いつつルイズへ指差し一歩進む。すぐにコルベールは、ルイズを守るように前へと立ち杖を紫へ向ける。

 杖を向けられても怖がる様子は無く、紫はその場で立ち止まる。オスマンとコルベールは何をするのか分からず、相手の出方次第で使うか使わないかを決めることに。それがどんなに平和ボケしていた行動か、すぐに知ることになるのだった。

 幻想郷から来た3人は、紫が何をするのかすぐに分かった為手を出さず傍観するのだった。

 

 

 「ふうん、話し合いする気無いのかしら?それともこれを取っちゃえば嫌でも話す気になるのかしら?ねぇどう思う?」

 

 「何をい・・!?私の杖はどこへ!?」

 

 「・・・むぅ・・何かに引っ張られるように無くなってしまった・・。これは・・?」

 

 「これのことでしょ?ここの魔法使いは本当弱いわねえ・・。まぁ扱いやすくていいんだけど」

 

 

 紫の手には3つの杖があり、それはオスマンとコルベール、そしてギトーの持っていたものだった。無論紫の持つ力、境界を操る程度の能力である。杖をとられたギトーだがあきらめた様子は無く、懐へ手を入れる。しかしギトー自身、相手の力量を読む経験は無いに等しかったが貴族としての誇りか予備杖を抜き魔法を唱える。

 

 

 「ラナ・デル・ウィンデ・・エア・ハっ・・うぉっ!?」

 

 

 ギトーはエア・ハンマーを唱えようとしたが、いつの間にか杖を盗られ後ろの謎の人物に首元にナイフを突きつけられていた。時間を操る程度の能力を使い時間を止め、相手の無力化をした咲夜である。

 オスマンもコルベールもギトーがいる後ろを見ると、自分たちの目の前にいたメイド服の女性がいつの間にか後ろでナイフを突きつけていた。当の本人のギトーでさえ何が起こったか分からず、唖然としている。

 

 紫は咲夜の行動を特に咎めることなく周囲を一度見るとさて、と紫はどこか話せる場所の提供を求めた。しかし杖を取られた時点で拒否権は無く仕方なく学院長室へ連れて行くことに。

 その間、ルイズは最初に紫と目線を合わせた時から何か恐ろしいものを見てしまったかのように、体が震え動きを停止してしまっていた。しかしその視線にどこか見覚えがあり、どうにか思い出そうと一言も発することをせず考えていた為、今どういう状況か分かってないでいた。

 

 歩いている途中でルイズは恐怖を抑え、紫へ質問をする。

 

 

 「あ・・あの・・・どこかでお会いしたこと・・ありませんか?」

 

 「あら?忘れてるかと思ってたけど意外と覚えてるのねぇ・・じゃあ夢、で分かるかしら?うふふ」

 

 「夢・・?っあ!魔理沙と誰かがだんまくごっこ?見たいなのしてる時に私と話をしてた・・」

 

 「へぇ本当すごいわねぇ、記憶力がいいのね。その通りよ、まぁ目的とか後で話すわ」

 

 「(紫さんっていっつもへらへらしてるけどやるときはやりますよね)」

 

 「(あなたがへらへらしてるとか指摘できる立場?)」

 

 「(いやー・・あはは・・ほら怒らないで?ね?咲夜さんん・・)」

 

 「(・・はぁ、いつもどおり緊張感ないわね・・・私いらなかったと思うんだけど・・)」

 

 

 各々の思いもあるが、この中で一番疲労しているのはどう見てもオスマンとコルベールである。これなら王室からガミガミ言われたほうが楽かもしれない、と思うほどである。オスマンほどの人間なら紫だけでなくアリス、咲夜、美鈴一人ひとりの実力はなんとなく分かってしまっていた。

 どうあがいても勝てない、と。あの頃のワイバーンが可愛いと思えるほど・・・。

 

 そして学院長室、一同が集まり紫の気まぐれか杖を返却しさらに学院側を困惑させる事になっていた。

 

 

 「んんっ・・先ほどは失礼した。わしはこのトリステイン魔法学院長のオスマン、こっちの薄いのがここの教師の一人、コルベール。その隣がギトー君じゃ。そしてそこの子が「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです・・!」・・じゃよ」

 

 「あらご丁寧に。じゃ改めて私、霧雨魔理沙の住む幻想郷を創るのに携わった一人の八雲紫といいますわ。そしてこの子がアリス・マーガトロイド」

 

 「子ども扱いしないでほしいわ」

 

 「うふふ、そしてそこのメイド服のが十六夜咲夜。そしてその隣のチャイナ服のが紅美鈴よ」

 

 「よろしくねー」

 

 

 へらへらと笑いながら美鈴は手をオスマンたちに振っていると、咲夜が軽く前に足を振りそのまま美鈴のすねへかかとを当てる。ひぎぃ、と短く声を上げその場に座り込みすねを擦っている。

 さて、と紫が話しはじめる。

 

 

 「ここの責任者として聞きますわミスタ・オスマン?幻想郷から勝手に霧雨魔理沙を連れ去ってどう責任を取るおつもりで・・?・・んーその前にどうやって連れ去ったのか今一度聞きたいわ」

 

 「・・。召喚の儀というものが2年生になるための試験があるのじゃ。そこでミス・ヴァリエールが召喚したのが霧雨魔理沙・・というわけじゃ。その術者に合った使い魔が召喚されるため対象を選ぶことは出来なのじゃ」

 

 「ふうん・・・博麗大結界に軽い干渉だけですり抜けてくるなんて・・いやこの子に問題があるか・・それより魔理沙はどこにいるのかしら?」

 

 「そ・・それはじゃの・・・」

 

 

 言いにくそうにオスマンが口ごもるが、ルイズは全て知っているため手を上げ発言したそうに紫を見ていた。

 元気な子は好きよ と一言言い発言の機会を与える。

 

 

 「魔理沙は・・・タルブ村って言うところで今戦争が行われています。そこに巫女さんを送るため行ってしまいました・・」

 

 「みこ?珍しい名前ね、それより戦争・・?これだから人間は・・・あの子にそんな経験させたくないのだけれど・・・今すぐにでもあなたたちを殺してやりたいわ・・けどそうしたらあの子も悲しむだろうし考えておいてあげるわ」

 

 「紫は魔理沙に優しい、いや甘いというのか・・」

 

 「あら?私は幻想郷に住むものには優しいわよぉ?」

 

 「どーだか・・」

 

 

 紫とアリスが会話をしながら周囲を見渡すと、オスマンもコルベールもハンカチをおでこに当て汗を拭いている。。

 さて、と改めて魔理沙に会いに行くためそのタルブ村へと案内をさせるべく、その村に行ったことがある者を探すべくオスマンへ聞くと、オスマンが口を開く前にルイズが発言する。

 

 

 「わ・・わたしつい最近いってきました!」

 

 「あら、あらあらこれは好都合じゃない。じゃあ先生方この子借りますわよ。・・言っておくけど拒否権はないわ」

 

 

 みすみす生徒をいい様に扱われようとしているにもかかわらず、手出しができない状態にオスマンもコルベールも力の無さに打ちひしがれていた。

 そんな様子も関係ないとばかりに紫は、ルイズに対し頭に手を置き一言伝える。

 

 

 「そんな怖がらなくていいわ。そのタルブ村という所を強く思い浮かべなさい。もっと言うとそのタルブ村の一番印象に残った場所ね」

 

 「っ・・は・・はい(一番・・一番・・あの赤い門みたいなのとぼろっちいけど安らぐあの木の建物・・)」

 

 

 ルイズの思考を読み取った紫は、その思考内容に目を見開き疑問が生まれる。どうして、と無意識に呟いてしまうほどだ。

 

 

 「(どうして?どうして博麗神社が?いや酷似しているだけっていう可能性・・は無いわね。も・・もしかしてさっきの みこ と言うのは巫女という意味・・?)「紫どうしたの?」・・いえ・・大丈夫よ。さて念には念をこめて先行する人を選ぶわ」

 

 「人間である私が適任かと」

 

 

 そう発言したのは、幻想郷から来た中で唯一人間である十六夜咲夜である。紫も同意見だったのか頷くそれと同時に美鈴も手を上げる。しかし即却下され結局のとこ、ルイズと咲夜で先行することになった。

 オスマンたちの目の前でスキマを使い、タルブ村までの道をつなげる。

 

 

 「!?な・なんじゃそれは・・先住魔法か・・!?」

 

 「で・・ですが今まで見たことないものですぞ・・オールド・オスマン」

 

 「さぁルイズをつれて先行しなさい。適当に手で合図でもすればいいわ」

 

 

 オスマンたちの疑問に答えず咲夜と怖がるルイズをあやしながらタルブ村へのスキマへ入らせる。

 入る前に交流を深めようと思いルイズは一、二言咲夜に質問することに。

 

 

 「あ・・あのずいぶんこういった事に手馴れているようですが、本当にメイドなんでしょうか・・?結構お若そうですけど・・」

 

 「そうよ?紅魔館っていう吸血鬼を主とする屋敷のメイド長よ?」

 

 「ひぃ!?き・・きき吸血鬼ぃ!?で、でも咲夜さんは人間なのでは・・?」

 

 「そうよ?こんなこと普通よ普通。あと若そう、っていうけどあなた・・ルイズと変わらないと思うわ」

 

 「え?私16歳なのですが・・・おいくつで?」

 

 「17よ」

 

 

 その瞬間、ルイズに衝撃走る。あの鋭いナイフの様だが気配りは完璧、学院は愚か、ヴァリエール家のメイドでも比較にもならないだろう。そしてルイズは自分を 天下に冠する美少女、と自己評価していたが一瞬で崩れ去っていた。魔理沙は美少女というより可愛い、という方面なので大丈夫だったが・・。

 その様子に咲夜は意図を読めず、首をかしげながらルイズを連れスキマへ入っていく。

 

 入ったのを確認すると、紫たちはオスマンたちに視線を向ける。アリスもオスマンへ顔を向けようとした時にあるものが気になっていた。

 それに手を伸ばそうとしたが、素早く逃げてしまった。が事前に配備していた人形により退路を立たれ、アリスにつかまってしまう。

 

 

 「あらねずみ・・・普通のねずみではないわね。魔力を持っているしなかなか長生きしてるじゃない。妖怪?」

 

 

 そう呟きつつ、そのねずみと繋がっている魔力の糸(アリスが人形たちを操作する時のものと似ている為、見えるのである)の先を見る。

 すると糸の先には・・オスマンがあわてた様子でこちらをみていた。

 

 

 「ふうん、オールド・オスマンだったかしら?あなたとこのねずみは強い魔力の糸で繋がってるわね。人形じゃないし・・すると使い魔、かしら?」

 

 「う・・うむそうじゃ。魔力の糸とは・・なんじゃね?」

 

 「まあ気にしなくていいわ、その道に精通してるから見えるだけで気にすることでもないわ。なかなか信頼し合える仲みたいね、それに良い子。これからも仲良くしなさい」

 

 

 アリスはそう言うとねずみを優しく離し、オスマンの元へ戻るねずみを見守る。じゃれ合う姿を見るとこれももしかすると自分の夢への知識になるかもしれないと考え始める。

 先ほどから気になっていた質問をコルベールは意を決し、恐る恐るだが聞くことに。

 

 

 「あなた方は杖もなしに見たこともない呪文を使う・・まさかエルフ・・なのですか?」

 

 「エルフ?いいえ違うわ、といっても吸血鬼でもなければ人間じゃないわ」

 

 「では亜人・・でしょうか?」

 

 「んー・・・言い方の違いかしらね?まぁその認識で間違いないわ。私たちの言葉で言うと 妖怪 って言うのよ。覚えておきなさい」

 

 

 コルベールもオスマンもまさか霧雨魔理沙の知り合いに、これほどのものが居たとは思っておらず胃が締め付けられる思いだった。

 

 

........

 

 

 

 

 




年齢は自分で適当に決めています。幻想郷側の人間はだいたい17歳だろうと考えてます。


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第七話 虚無の力

 そして場所と時は戻りタルブ村近く。

 魔理沙と巫女はすでに結界に囲まれたタルブ村を視認できるほど近くにおり、結界前で巫女を下ろすため降下する。

 

 

 「魔理沙、私は村長に話をつけてから地上の敵を掃討する。それまでは頼むよ 威嚇だけでいい」

 

 「あいよ。お任せあれなんだぜ!」

 

 

 下ろし終わった魔理沙は、上空でいったん待機すると結界近くに集まる敵兵士がわんさかといるのがわかる。調べているのだろう、槍で突いたり剣で斬ったりとしている。

 魔理沙は八卦炉で一気に殲滅するか悩む。魔力増幅薬に魔力回復薬は常備している為、とりあえずは問題ない。

 そして巫女はというと・・。

 

 

 「村長待たせたな。大丈夫か?」

 

 「ん?・・・お・・おぉぉ!?巫女さん、戻ってこられたのですか・・・学院からこんなに早く戻ってこられたのですね・・」

 

 「あぁここの危機とあってはな・・まあこの速さも上にいる魔理沙のおかげだよ。さて状況を説明してくれるか?」

 

 「はい、とは言えこの結界を突破されず今だ問題ないですがの・・それもこの領地の兵士の足止めのおかげでもあるのですが・・」

 

 「そうか、ただもうここも限界かもしれんな。亀裂が入りかけている・・もっと結界の学を学んどくべきだったな・・。いやそれより村人を反対側に誘導してすぐにでも逃げられるよう準備しておくんだ」

 

 「それはもう全員完了しておりますじゃ」

 

 「そうか、なら村長も用意しておくんだ。ここは私に任せろ・・何も言うな いいな?」

 

 

 村長は、何か言いたげな表情だったが事前に口止めされた為うなずくだけにする。

 そして敵の集まる前方側へいくと誰かが指揮を執っているようだ。

 

 

 「お前たちは一旦下がれ、私が破壊してみせよ・・ん?誰だお前は」

 

 「ここを守るものだ」

 

 「・・・そうかお前がこれを創ったやつか、卑怯者め」

 

 「お前らが言うか」

 

 

 巫女の視線の先には、ウェールズと共に死んだと思っていたワルドであった。しかし片腕は無く表情に余裕も無い醜い姿だった。

 それを知らぬ巫女はそんな姿をどうでもよく思っており、考えているのは敵でありそこらへんのよりはやる・・という事だけである。

 会話していると上から高出力の魔力と共に何とも言えない高音が鳴り響く。その音にワルドは聞き覚えがあり、すぐさまフライと共に大きく横へ避ける動作をする。

 

 上からの攻撃は、地面を削りながら敵兵に光線が直接当たっていく。光線が通った道の敵兵の鎧は、焼け焦げたり熔けていたりしていた。この一撃でそこにいた多数の敵の8~9割は戦闘不能に陥っていた。残っているのは、ただ射線に入っていなかっただけである。

 

 一掃した魔理沙は出会ってしまう。またか、と面倒くさそうな顔をしながらワルドをみている。

 しかしワルドは獲物を見つけたかのように笑みを見せ、巫女を無視し魔理沙へ顔を向ける。

 

 

 「ふは・・ふははっガンダールヴ!この瞬間を待っていた・・!」

 

 「私は待ってないけどな・・なーんで生きてるかな」

 

 「ふふふ・・あの時のも偏在さ。とは言っても情けないことに精神力は尽きてしまって崩落からは逃げられなかったが・・・しかし生きていればこうして借りを返せるというもの・・・!」

 

 

 あの時、ウェールズが命がけで捕らえていたワルドは偏在だったのである。それを隠れて逃げる算段だったが、思ったより精神力を奪われており這いずりながらの逃亡は、アルビオン崩落という形で妨げられてしまった。

 しかもその崩落により片腕は胴体を離れ、もはやこれまで・・と言うところで運よくワルドの顔を知る盗賊らに発見され、今の状態にいたる。

 

 

 「さぁあの時の決着と行こうじゃないか!ガンダールヴぅ!」

 

 「ストーカーって言うんだよなこういうの・・さすがに引くぜ・・」

 

 

 そう言うとワルドは、グリフォンを呼びつつ自身をフライで浮かせ魔理沙へ向かおうとする。がしかしいつの間にか真後ろにいた巫女に殴られ、地面を軽くバウンドし接地する。

 

 

 「魔理沙、ここは私に任せろ。この程度の相手、問題はない」

 

 「ひょーカッコいいな!私もそんな言葉言ってみたいぜ!」

 

 「・・ぅぐっ・・おのれ平民ごときが私の顔を殴ったな・・ガンダールヴは後だ、まずはお前からだ!」

 

 「戦闘中よく喋るやつほど弱いと相場は決まっている、来るなら来い」

 

 「あーあはは・・ま・・まぁ巫女さんそいつはこの国の裏切り者だから容赦しなくていいんだぜ」

 

 

 巫女の言葉に少し耳の痛い魔理沙は、苦笑いをしつつワルドの事を巫女に任せ自分は別方面からの敵を探すことに。

 

,,,

 

 

 「さぁ行くぞ平民 油断はせん、エア・ハンマー!」

 

 

 巫女の斜め前から見えない風の一撃が降ってくるが、巫女はまるで見えているかのように横をすり抜けワルドへと向かっていく。

 たまたま避けたと思い次は2段構えで仕掛けることに。

 

 

 「デル・ウィンデ・・エア・カッターぁ!」

 

 

 まるで退路を断つかのように扇状に撒くこのエア・カッターも普通なら見えない攻撃である。風が複数の刃となり敵を切り刻むものだが、巫女は自分の当たる攻撃だけを見極め、来たものだけを両手をうまく使い握りつぶすようにしながらワルドへ走っていく。

 無論、握りつぶしているわけではなく霊力を両手に込めてコーティングしたまま、巫女の能力(反射する程度の能力)を使い一時的にエアカッターを吸収していた。吸収しているとはいえ、これを外に出さねば身体に悪影響を及ぼす事になる。

 又、吸収には限度がありそれを超えると水風船に穴が開き、水が漏れる様に体中から対外へ排出される。

 使い勝手の悪いように見えるが、使いこなせれば敵なしと思うほどである。

 

 

 「なんなんだこいつは・・し、しかし近づいてきたのは予測どおり!この距離なら避けれまい!ライトニング・クラウドっ!」

 

 

 光の一線がすさまじい速度で巫女へと向かっていく。巫女もさすがにただ吸収してはい終わり、という訳には行かないだろうと予想するが、こういう時に相手の予想を超える行動をしてこそ勝利がつかめるだろうと考える。

 

 左手を前に向ける事でライトニング・クラウドのダメージをすべて左手で防ぐが、手から煙が出ており痛みに顔をしかめる。がそのままワルドに近づく巫女に対し流石に気味が悪いのか、ワルドはすぐに冷静に思考を変え一旦下がるためフライを唱え浮かぶ。

 しかし体が浮遊している感覚はあるが足がいつまでたっても地上から離れず、さらにはなぜだか足の痛みを感じていた。足元を見ると誰かがワルドのつま先あたりを踏んでいるではないか。痛みの原因もわかりその足の正体を判明させるため、正面を向くと・・・。

 

 

 「きっ・・・きさま・・」

 

 「そうだ、私だ 哀れなやつだ」

 

 

 すぐさま呪文と唱えようとするがフライ中はほかの呪文が使えない。という制約があるが、この状態ではそれ以前の問題だった。

 焼け焦げた左腕でワルドの首をつかみ、右腕で今まで吸い込んだ魔力をパンチと共に開放する。

 

 

 「さらばだ、裏切り者」

 

 「っっっおっごぉぁ・・っ」

 

 

 オークを倒すほどの攻撃に、声にならないほどの痛みにワルドは意識を手放すがすぐに痛みで覚醒してしまう。・・それを何度も繰り返しつつ血を撒きながら森方面へと吹き飛んでいく。

 巫女は先ほどの攻撃により負傷した左腕で首をつかんでいたが、自分の行った能力の衝撃が左腕にも伝わり痛みで離してしまった為、ワルドは吹き飛んでいってしまったのだ。

 

 ふぅ、と一息吐き上空にいるはずの魔理沙を探すがどこにもいなかった。もしや村に先に戻っていると考え、そちらへ方向転換する。何か眩いものを感じ空を見るとそこには・・・・・。

 

,,,

 

 そして時は巫女とワルドと別れた辺りの魔理沙へと視点と共に戻る。

 

 巫女に言われたとおり空からの援護をしようと思っていたが、敵兵は先ほどのマスタースパーク一発と巫女とワルドの一対一の戦いのためこのタルブ村から退避していってしまっていた。

 

 その為地上は無視する形になっていたが、その代わりに空からグリフォンらしきものに乗り込んだ敵が向かってきていた。 

 杖を持っているのを見るとメイジなのだろう。しかしあんな大きな体の魔物に乗り、魔法を使うとなると死角が多く隙を見せやすい。

 その点、魔理沙はそのままの状態で高速戦闘ができ、さらには魔法も詠唱を必要としていない。

 

 結果、敵にすらならないと言うあっけない展開になってしまう。それを2~3回行ったが気がついたときには近づく敵さえいなかった。魔理沙は心底つまらなさそうにため息を吐くと、誰かの声がきこえてきた。

 こんな上空で聞こえてくる人の声は何かに乗っているのだろうと考えるが、その声は頭に響くような声だった。その声はルイズであり、何故か魔理沙の片目に映る視野がタルブ村を見ており これが視野の共有なのか と判断する。

 ルイズが私を必要としているのだろうと思い、急降下しタルブ村へ向かうのだった。

 

 

 そしてタルブ村・・・ルイズと咲夜はスキマ移動から無事到着し、きょろきょろと周りを見ている。

 合図をするため振り返ると、そこには見慣れた建物があり咲夜は唖然としてしまう。

 しかし思考を一旦止め、とりあえずは安全と判断すると咲夜はスキマに向かって合図を送る。すると中から紫、アリス、美鈴が出てくる。咲夜が向こうに誰か置かなくていいのかと聞くと、紫は 何も問題ない と一言いい納得させる。

 

 このタルブ村の異常を紫とアリスが感知しまわりを見ている。

 

 

 「これは・・・結界ね。博麗大結界って訳じゃないけど博麗の雰囲気を感じるわ」

 

 「それもそうだけど、この建物みなさいよ。どうみても・・」

 

 

 幻想郷では見慣れた建物である博麗神社がそこにはあった。だれもが疑問を持ち色々な意見が飛び交う。

 紫はとりあえず思考を止め、ルイズに魔理沙を呼ぶよう指示するが周りを見てもその気配すらない。

 

 

 「契約したのでしょう?それなら呼べるはずよ。あなたが本当に必要と思えば、それが必ず魔理沙に届くわ。使い魔の契約なんてそんなものよ、まああなたの場合は他のとは違うから仕方ないのかもしれないわね」

 

 「・・・分かったわ・・・魔理沙・・私はこの戦争を終わらせたい・・私の使い魔なんだから常に私の近くにいなさいよっ!」

 

 

 余計な感情も含め魔理沙へ今必要としている事を伝えると、その数分後すぐに空中から降りる影を見つける。

 いつもどおり魔理沙は降りてきてルイズに挨拶すると共に、周りに控える人たちに驚く。

 

 

 「うぉぅ・・・紫にアリス、咲夜に美鈴まで・・・そっかとうとう繋がったんだな。まぁパチュリー辺りが頑張ってたのかね」

 

 「その通りよ、結構時間かかっちゃったけど元気そうね」

 

 「おう咲夜もいつも通りで安心なんだぜ」

 

 

 美鈴とは今は言葉を交わさず、笑顔と手を振り合うだけに留める。なんだかんだ美鈴とは意思疎通ができる仲の良い友なのだろう。

 アリスは素っ気無い態度でため息を吐くだけで何ともいえない表情をしていたが、魔理沙は笑顔で ありがとうな と言うと はいはい と返事が返ってきた。

 素っ気無いが、心配しているアリスに魔理沙はいつも通りでこれまた安心していた。

 

 

 「私からも色々聞きたい事があるけど、とりあえず自分たちの国のことの問題くらい自分たちで終わらせなさい。魔理沙もルイズの手助けをしなさい。これが最後かもしれないんですものね」

 

 「・・・あぁ、さてルイズ。あれやるのか?」

 

 「ええ、エクスプロージョンを・・・大丈夫私ならやれるから。そう確信できるわ」

 

 「ん、ならいつも通り空の旅をしようぜ、な?」

 

 

 魔理沙と共に箒に乗ったルイズが魔理沙に捕まるとそのまま上昇していく。

 少し近づき敵の艦隊もよく見える位置で停止するとルイズは深呼吸する。詠唱をする前にルイズは魔理沙を見る。

 

 

 「私がんばるから・・!」

 

 「おう!・・あ、そうそうさっきよ。ワルドがいたんだぜ?」

 

 「えっ!?い・・生きていたの!?」

 

 「そーそー、まぁあの巫女さんが相手にしてるから何というか・まあご愁傷様って感じかな?」

 

 「・・まぁ私自身もうあの人に対して特別な感情なんてないし・・・ふぅなんだかどうでもいい話だったけど魔理沙と話をしたおかげで緊張がほぐれた気がするわ」

 

 「そっかそっか、ならどーんと派手にやったれー!」

 

 

 その言葉にルイズが頷き、杖を敵艦隊へ向け長い詠唱に入る。

 

  ・・-エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド・ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノー・・

 

 

 詠唱の間は無防備のため、使い魔である魔理沙が護衛をしなくてはいけないが敵はこちらに気がついてないようで空に敵はおらず、気持ちのいい風のみだった。

 魔理沙は面白い呪文だな、と関心しつつそれを聞いていた。

 

 ・・-オシェラ・ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル・・・!

 

 

 「(私が指定するのは敵艦の風石のみ・・その中にいる敵を殺す必要はない。・・・もうひとつ指定するもの・・・それはトリステインを裏切り、私を裏切り魔理沙に悲しい決断をさせた張本人・・ワルド・・!・・・・....)」

 

 

 詠唱が終わった途端、ルイズの杖の先を中心に眩い光が大きく・・大きく、さらに大きく拡大していく。遠くから見ていた者は口々に 2つ目の太陽が出現した といっていた。

 

.......



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第八話 再会

遅くなりました。 話が途切れますがとりあえず投稿・・では続きをどうぞ


 ルイズの使った虚無魔法の基本であるエクスプロージョン。それは視野内の相手の艦隊を一撃で撃沈し、勝敗は一瞬で明らかになっていた。

 

 王都、トリスタニア方面にはトリステインの旗が複数ありさらには王女の紋章がある為、そこにアンリエッタがいるのがわかる。

 ルイズはそちら側を見ているが、体は疲労感なのか重く魔理沙に寄りかかっている。

 

 

 「はー・・すごいな・・・ルイズお疲れ様なんだぜ(ちょっとビックリして落ちそうになったとか言えないんだぜ・・)」

 

 「・・・お腹減った・・疲れたわ。あれちょうだい」

 

 「あれ?・・あぁ、あれね。はいはい」

 

 

 あれとは空中に漂う星成分で作られた魔理沙特製のお菓子である。作ってあげればルイズに奪い取られ次を催促してくる。そういったやり取りをしつつタルブ村まで2人は戻っていく。糖分は乙女の燃料とはよく言ったものだ。まさにその通り、ルイズがふにゃっとしていたが、元気を取り戻しつつあるようだ。

 その場面を遠くから見ていた物が一人。双眼鏡から見ていたアンリエッタである。

 

 双眼鏡自体は珍しいものとして献上されたものであり、偶々アンリエッタの手元にあったものをついでにもってきただけなのである。

 

 

 「そんな・・あのピンクの髪と黄色・・いや金髪で分かりやすい2人組み・・・ルイズと使い魔の、マリサさんなの・・・?じゃああの光の玉は・・」

 

 

 光が収まった後に中心にいたものを他は気がついていなかったが、アンリエッタは双眼鏡のおかげで気がついたのだ。隣ではマザリーニが動揺する兵士に対し何か言っていたが、自分自身はそれどころではなかった・・・。

 そんな様子に気がつかず、マザリーニは的確に指示を出していく。

 

 

 「では元帥、落ちた船からまだ敵が襲い掛かる可能性があります。先鋒をお任せします。逃げる相手を無理に追う必要もないでしょうから降伏は受け入れる形で、忘れないよう・・・」

 

 「言われなくともわかっていますぞ・・それでは部隊を引き連れ、私は先に向かいます」

 

 「お気をつけて・・・姫殿下?いかがなされた?・・ふむ、先ほどの光の玉ですかな?」

 

 「・・え・・ええなんなのでしょうね・・」

 

 「・・・なるほど、その物で何か見えたのですな?」

 

 「ぎくっ・・・あ、いえ私はそんな人なんて見てないのです オホホホ・・・」

 

 「ふむ・・・あの方向はちょうどタルブの村がありますな・・そこにいるやもしれませんな。姫殿下タルブの村へ向かいますがよろしいかな?」

 

 「え?あっ・・・いやそれは・・そうですね!行きましょう何かわかるかもしれませんからね!・・」

 

 

 目を光らせアンリエッタにそう告げるとマザリーニは、部隊の指揮へと向かってしまった。完全にやらかした、とアンリエッタは思う。ただ一言言うなら・・ルイズごめん・・。

 

 

・・・9代目の博麗の巫女はタルブ村へ戻る魔理沙たちを発見し、手を振ると向こうも気がついたようで振り返している。すると魔理沙はある場所へ向かえと言わんばかりに腕である方向を示しているが、その方向は自宅として使っている博麗神社がある方向だ。

 もしかしたら何かあったのかも知れないと考え、巫女は走ってその方向へ向かう・・・。

 

 そこで巫女が見たものは・・一生会えないと思っていた人物がそこにはいた。

 

 後姿だが直感で八雲紫だとすぐに判断する。その周りにはアリスや知らないだれかが数人いるようだ。多分今の幻想郷の者なのだろう。今すぐにでも飛びつきたい衝動に駆られるが我慢し、一つあの頃の様に紫へ仕掛けることに。

 

 後ろからゆっくり近づく巫女にアリスが気がつき目を見開いている。巫女は黙ってるよう人差し指を自分の口に持っていき、一つ笑みを見せる。

 

 

 「あの光はなんなのかしらねぇ・・魔理沙はあんなのできないだろうし、あの娘よね。ルイズって言ったかしら・・・「だーれだ?」っっ!?」

 

 

 いきなり現れた巫女に美鈴や咲夜が警戒するが、アリスが静かに宥めこの様子を見守るようだ。

 紫自身この者の気配を探知する前に悪戯をされ能力を使おうと思ったが、アリスたちが静かなのを見るととりあえず様子を含めこの余興に乗ることに。

 とりあえずこの後ろにいる奴が誰であろうと一発は殴ろう、そう考えつつ自分の手で相手の手を触ってみることに。

 

 

 「魔理沙な訳ないわね・・だれよ、声は・・分からないわ。手は・・・しわしわね」

 

 「うぐ・・・しわしわは無いだろう・・そりゃぁもうこんな歳だからな・・なぁ?・・・紫?」

 

 

 自分の名前を呼ばれた途端、まるで走馬灯のようにある思い出が蘇る。

 

 そうそれは異変もなく9代目に会おうと博麗神社へ行った時だ。

 

 ー・・・ ふふ、だーれだっ 、・・!?・・はぁ、あのねぇ気配を断つのが上手いのは分かるわ。けどそれをこんな遊びに使って・・本っ当変わらないわあなたは。 、私は私だよ。やる時はやる、気を抜くときはとことん抜くさ そういう部分は変わらないのは、お前が一番分かっているはずだ なぁ、紫? ・・・-

 

 

 自分の声が震えそうになるが歯を食いしばり、一息つくと目を隠しているその者の腕を優しく触れながら口を開く。

 

 

 「全く・・貴女はいくつになっても変わらないんだから・・・き・・・緊張感が無い・・わ」

 

 「はは・・・こんな事をするのは紫だけだよ。特別さ・・・紫・・・会いたかった。ようやく会えた。長かった・・」

 

 

 会いたかったー・・・... それはこちらのセリフよ と思っても言葉にはできなかった。言ったら情けない姿を見せなくてはいけなさそうだったからだ。

 いつの間にか手も離れ、前が見える状態になり美鈴も咲夜もこの状況を分からないでいた。アリスは会っているから知っているわけだが驚いた様子で自分を見ている。・・・今はそれどころじゃない。振り向かないと・・・。

 

 そうして振り向くと先に魔理沙がこちらをみて笑っているのが視野に入り、そしてそこには9代目の博麗の巫女・・別名、攻めの博麗がいた。

 少しずつ視界がぼやけるのが分かっており、我慢するので必死な紫だったがここで唐突に美鈴が咲夜とアリス、そして魔理沙とルイズに向け休憩できる場所へ移動しようと提案し、ルイズを先頭に無理やり移動を開始するのだった。

 

 

 「えっえっ?ちょ・・ちょっとめ・・めいりんさん・・でいいのよね?急になにするんですか!」

 

 「まぁまぁそんな怒らずに。ね?ささ、案内してくださいよ。魔理沙さんもルイズちゃんと一緒に先頭で案内役になってくださいよ!」

 

 「???・・・あー・・へいへいわぁったよ、ルイズいこーぜ」

 

 「ちょっと魔理沙まで・・あぁんもう!分かったわよ。とりあえず村長さんに話つけなきゃだと思うからそこにいきましょ」

 

 

 そそくさと退散する美鈴、魔理沙、ルイズを見て咲夜は一言 そう言うところは私より鋭いんだから・・ちょっと悔しい気もするわね と呟きそれをアリスが拾うように そこが美鈴の良いところなのでしょう? と小さく笑みを見せついて行くのだった。

 

 

 チラリとルイズは紫の後姿を見ると、水滴一粒ほどのものだろうか、光に反射するものが重力にしたがって落ちるのが一瞬見えたのだった。

 

 その行動に紫は よけいな事を・・ と思いつつも感謝していた。

 

 

 「いつのまにかあなたの手はしわしわね・・?けどあの頃の雰囲気、今でも変わらないわ」

 

 「そうかそうか、私ももうおばあさんになりかけさ。ふふん、いいだろう紫?しわしわの手だ」

 

 「えぇ・・っ・・えぇそうね。私たち妖怪は老化というのを捨てて長生きするわけだから一生自然にはならないもの」

 

 

 巫女は自分の手を見せびらかすように紫に見せ、それを微笑ましくも悲しみの表情を浮かべながら紫は頷いていた。

 巫女は一息吐くと真剣な表情をし、紫に言いたかったことをポツポツと話していく。

 

 「紫、急にいなくなってしまって申し訳なかった・・。許されることではないのは分かっている。どんな罰でも受けよう。ただこれだけは分かってほしい・・故意でこちらに来たわけでもないし、幻想郷が嫌いになったとかそう言う事もない」

 

 「分かってる・・えぇ分かってるわ。あなたがそういう事をする人じゃないのは知ってるし、嫌いじゃないという事も分かってる。と言うより、あなたはあの頃から幻想郷の事が好きだ と豪語してたじゃないの」

 

 「はは・・よく覚えてるな・・・。もう30年・・くらいはたってるんだがな」

 

 「これでも賢者と呼ばれてますから」

 

 

 ごもっともで と笑いながら巫女は言うと、紫は自然と笑顔になっており、気がついたときには心が嬉しさで満たされていたのだった。

 生きていたのは本当によかった、しかしどうしてこの世界にきたのか、どうやってきたのかを明確にしなくてはいけない。

 その様子を察してかとりあえず魔理沙もそこらへんは含めつつ話し合おうと提案する。

 

 

 「そうね。案内してもらってもいいかしら?」

 

 「無論だ。お茶もあるからゆっくりしていくといい」

 

 

・・・・・

 

 

 村長宅へお邪魔した魔理沙たちは、紫たちを待つまでとりあえずここにおいてもらう事に。

 急な訪問だったが、村長自身嫌な顔をせず笑顔で迎えてくれていた。

 

 

 「いやぁ悪いね!村長さん」

 

 「はっはっは、こんな美人さんばかりの訪問ですからむしろ大歓迎ですじゃ。しかし貴族様はお顔が広いですなあ・・・ここトリステインでは見たことない方々のようですが・・シエスタも幸せものですのぅ」

 

 「え?あっ・・そのー・・」

 

 「まぁ気にすんなって!人生色々ある、っていうだろ?」

 

 

 ルイズはおどおどしていたが咄嗟の魔理沙のフォローにより問題なく、それもそうか と村長は深くは突っ込んでこず、納得しそのままお茶を用意し別の部屋へ行ってしまった。

 その様子を目で追いかけつつ申し訳なくなるがそういえば、とルイズは先ほどの美鈴の行動の理由を伺っていた。

 

 

 「さっき美鈴さんが無理やりあの2人と離れたじゃない?どーゆーことなのよ」

 

 「ん?あはは、誰だって知られたくないこともあると思うのですよ。私は詳しくは知らないですけどね?」

 

 「知らないのにあんなこ「美鈴にはそういう能力があるんだよ」・・能力?」

 

 「応用なんですけどね?私は気を使う程度の能力というものを持ってますよ。あの2人の気を読めば何となく雰囲気くらいは感じられますから。応用ですよ?本当ですって」

 

 

 能力といわれてもいまいちピンとこないルイズは、首をかしげ魔理沙に顔を向ける。ルイズの顔を見てふと思い出したように声をこぼす。

 

 

 「そいやぁ私の能力なんて教えたことなかった気がするな。私は魔法を使う程度の能力なんだぜ」

 

 「なにその程度って変なの ていうかずるいわ!私もそれほしい!」

 

 「たはは・・「待たせたわね」 お、遅かったな」

 

 

 巫女を先頭に紫が入ってきたため、ルイズの話はとりあえず中断となった。魔理沙がちょっと紫を弄ろうと思い、ニヤニヤしながら大袈裟な動きを交えつつ、口を開く。

 

 

 「おぉっと!紫!目元赤いんだぜー!シャッターチャンスってやつだな!」

 

 「なっ・・・ちゃんと直してからここにきたはずなのに・・「嘘なんだぜー紫でも自爆するんだな!」・・」

 

 「巫女さんと会って動揺しすぎなんいだだだだだだ。それは・・・いた・・い・・んだぜ,,,」

 

 

 紫は自分の両腕をスキマを経由し、魔理沙の頭の左右でこぶしを作る。そしてそのままグリグリと容赦なく頭を締め上げる。これを笑顔でやる紫にルイズは引いているようだった。

 

 改めて今後のことを含め、貸しきり状態となったこの部屋で会議をすることに。魔理沙は頭を押さえつつ、涙目でヒーヒーいいながら椅子に座っている。そしてそのとなりに哀れみの目で見るルイズ。

 

 

 「…おほん…さて、改めてこの人は霊夢の一応先代に当たるもう一人の博麗の巫女よ」

 

 「紫とアリスは私のことを知っているだろう?9代目の巫女だよろしくたのむ。・・しかしまぁ妖怪と人間が争うだけの時代はとうに過ぎていたんだな」

 

 「うーんこの美鈴と咲夜に関してはレミリア・スカーレットっていう吸血鬼の元で働く紅魔館の門番とメイド長よ。・・まぁ血を流す時代は、スペルカードの導入と共に終わったようなものね。それも今の博麗の巫女、霊夢のおかげね」

 

 

 霊夢がほめられているのだが、何故か魔理沙はニコニコと嬉しそうにしている。ルイズは何故か気分が悪くなり次第にムカムカと感情が不安定になっていた。つまり嫉妬である。

 それに気がついた途端、魔理沙の足を踏んでいた。

 

 

 「いったい!・・???・・。ルイズなにすんだよー!」

 

 「ふんっ知らない!」

 

 「あらあら。ルイズは嫉妬してるのかしらねぇ霊夢に」

 

 「は・・はぁ!?そんなわけないじゃない!まず見たこともない相手に何が嫉妬よ!・・・」

 

 

 ふうん・・・と紫は笑みを隠さず微笑ましく見ており、その視線に耐えられなかったのかルイズはそっぽを向いてしまった。

 魔理沙は気がつかずなにか私が悪い子としたんじゃないか と勘違いをしていたのだった。

 

 

 「しかしあなたも皺くちゃじゃない。魔法使いか仙人にでもなればいいって提案したのにそれを蹴って人間のままでいいっていうんだから」

 

 「はは、アリスも人間になればきっと分かるさ。これでいいんだよ。人はな?老いることも楽しむものなのさ。それに新しい時代を作るのは老いた人じゃない、若いのにそういうのは任せるものだ。世代交代は大切だよ」

 

 「ふうん・・まぁ私は老いるなんて結構よ。そんなんになったらやりたい事ができなくなるもの。まだ目的も達成してないのだから」

 

 

 アリスも変わらないな と苦笑いをする巫女にその言葉、そのまま返すわ と返事をするアリスであった。

 ルイズはここで疑問が出てきたが後で聞くことに。アリスは人間じゃないのか?と・・。

 

..........



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第九話 国の長同士の駆け引き

何千文字消して何度書き直したか・・・完走までもう少し・・ではどうぞ


 まあそれはさておき と紫すぐ気を取り直しこの先の話をする。

 

 

 「9代目、あなたはどうやってこの世界にきたのかしら?」

 

 「どうと言われてもな・・。確か・・・魔法の森を経由してから博麗神社へ帰る途中でいつの間にかこの近くにある森にいたんだかな」

 

 「あそこの森ね・・なるほど。さて次に魔理沙、あなたはどうやってここにきたの?一から説明しなさい」

 

 「一から・・・確か・・私は霊夢とお茶飲もうと神社に行ったけど、忙しいって断られたんだ。そこらへんは藍が知ってるはずなんだぜ。んでしゃあないから紅魔館に遊びに行こうとしたときに魔法の森で光るものがあったんだよ」

 

 

 ルイズ以外は幻想郷住みでありどこに何があるかは知っている為、時々頷いている。・・・がルイズはまったく分からない為つまらないだろう、と思いきや真剣に話を聞いているようだった。

 それは魔理沙を呼び出してしまった責任なのかただ興味があるだけなのかは本人だけが知っているのである。紫はその様子も見つつ話を聞いていた。

 

 

 「?・・続けるぜ?・・それでその光るものが魔力を帯びた鏡だったわけさ。それに触れたら吸い込まれてルイズの目の前にいたってわけだ。それが召喚・・サモンサーヴァントってのだな・・・いやぁあんなに痛い思いはもう嫌なんだぜ・・・ほんと痛かったんだって」

 

 「悪かったわね・・・そんなに痛いものだとは思わなかったし…使い魔の契約って危険なものなのね…」

 

 「ふうん・・2人とも魔法の森絡みなのね・・・。魔法の森のどこらへんなの?」

 

 

 紫のその問いに2人とも 湖付近 と答える。湖とは妖精の住む霧の湖であり近くには紅魔館がある。

 ただの湖ではなく色々訳ありな場所であり、紫自身も少しお世話になった場所である。あまりいい記憶ではないが・・・。

 

紫の力は無理矢理空間をねじ曲げて繋げたりする為、その場所が不安定になるのは当たり前。…その湖で大きな事をしたとはいえ、それだけでは説明にならないのも紫でも分かっている事である。…謎が増えるだけの為とりあえず今わかることを報告する。

 

 

 「なるほどねえ・・・もしかしたらそのサモンサーヴァントってのを行うときに魔理沙が霊夢と遊んでたらきっと召喚されなかったわね。それに何故かあの時だけ結界が緩んでたのよね・・・だから霊夢を呼んだのよ。・・偶然というのか、あの吸血鬼に言わせれば運命というやつのでしょうね」

 

 「なんだかあやふやな答えだな」

 

 「情報が足りないわ。向こうで調べてもさっぱりだもの。本人たちから話を聞けたのはこれが初めてなわけだし」

 

 

 紫の言葉に それもそうか と魔理沙は納得していたが、ルイズがいつの間にか服を引っ張るように握っており、何をしているのか問うと恐る恐るルイズは口を開く。

 

 

 「い・・いま吸血鬼っていわなかった?」

 

 「うん、そうだけど?レミリアって名前の吸血鬼だよ」

 

 「ま・・ままま魔理沙はそのレミリアさんって方と友達なの!?ていうか聞き間違えでもなかったのね!?吸血鬼なのに?もう手遅れ?ゾンビ?」

 

 「意味が分からん。つか落ち着け。レミリアについて聞きたいんならそこのメイドか門番に聞けば分かるんだぜ」

 

 「あっ。えっと咲夜さんの仕えてるとこの同じ方なのね・・さっき言ってたー・・こうまかん?だっけか」

 

 「そうよ、まぁそれはまた後でね。それより魔理沙!」

 

 

 ルイズの言葉も聞きつつ、名前で紹介しなさいよ!なによメイドと門番って と魔理沙に対し二人から言われてしまったが、そんな強く言うほど気にする事じゃないだろうに。

 そんな会話の途中、ドアをノックする音が全員の耳に伝わる。

 巫女が返事をするとドアは開けず、あせった様子の村長の声が聞こえてくる。

 

 要約すると、トリステインの軍・・・しかもアンリエッタ率いる軍が尋ねてきている様子。ここにいるであろうピンクの髪をした貴族の子と金髪の白黒の女性を呼んでほしいとのこと。何故私たちがいるのをしっているのだろうか、もしかして虚無魔法がばれたとか言わないよな・・?居留守でもするか? 

 

 巫女はため息を吐くと 私が出る と言い出入り口のドアへ向かう。

 

 

 「9代目私もいくわ。ここの姫とやらに会っても損はないでしょう?」

 

 「・・そうだな。いきなりスキマで会うよりは数倍マシだからな」

 

 「なによそれ。まるで私が神出鬼没みたいじゃない」

 

 「さすがだな。自分のことだからよく分かっているじゃないか」

 

 

 ・・・そして時は少し戻りアンリエッタ率いるトリステイン軍。神聖アルビオン軍の追撃をしつつタルブ村へ。

 

 「はぁ、親友を売るようでいやな気分だわ・・」

 

 「こんなときでもため息はよしなされ。兵がみているのですぞ」

 

 

 馬上でため息を吐くアンリエッタに、マザリーニが注意をしつつ目前に迫るタルブ村を見る。

 アンリエッタ率いる軍は知らないことだが、村を覆っていた結界はすでに限界を超えており崩壊していた為、問題なく入ってこれたわけである。

 一旦兵の3分の2は待機させ、後は護衛を予ねて連れて行く事になった。全員信頼できる親衛隊である為多少の事ならばすぐに対応できるだろう。

 

 

 ・・・

 

 村へ入ると避難していた村人が驚いており、道の端っこへ移動しその様子を見ている。そこにいた村人へ村長に会いたい、と言うことを伝える。するとすぐに少し大きめの建物へ案内され、スムーズに見つけることができた。

 

 そこで村長が恐る恐る家から出てくるのを確認したため、今回の目的であるルイズと魔理沙に会いたいと言うと 私では判断しかねる為、聞いてくる と返答があった。村長より偉い人がいるのだろうか?とアンリエッタは思う。

 

 すると赤と白の派手で奇妙な服装を身にまとい、私より身長の高い女性と共に同じくらいの身長で金髪のこれまた奇妙な洋服を着ている女性である。少なくともトリステインでは見たこともない。

 

 かなり警戒心がある様子で睨む様に見てくる・・。この戦時中だから仕方ないだろうと思い特に咎める事はしなかった。

 そしてアンリエッタの代わりに護衛としていたアニエスが声を張る。

 

 

 「こちらにいるピンクの髪をした女性と金髪の白黒女性がいるはずなので面会を求めている。呼んでもらえないだろうか?」

 

 

 ドアの向こう側から 白黒女性とは失礼な!それじゃあただのキモチワルイ肌の色をした女性じゃないか! と抗議の声があるが全員無視である。

 とそこで赤と白の服を着た女性、9代目は返答するため一度だけ小さくため息を吐く。

 

 

 「・・面会してどうするのだ?」

 

 「あなた方には関係ない話だろう。先ほども声が聞こえたしいるんだろう?」

 

 「ええ居るわよ?だから何だって言うのかしら。後出しで勝手に連れて行かないでほしいわね」

 

 

 その言葉に思わずアニエスは は? と言葉が零れてしまった。この国のトップからの命令を突っぱねるなど、この平民は死にたいのだろうか? と思っていたがアンリエッタが見る手前でもあり、ここで諦める訳にはいかず言葉を強くしていう。

 

 

 「むむむ・・や・・やわらかく言っているのがいけないのか。こうは言っているが残念だが拒否なんてものはないのは分かっているのだろう?」

 

 「まぁこれくらい長く住んでいれば嫌でも分かるがな・・。けどだめだ。すまんな 出直してくれ」

 

 「うごご・・・あまり調子にのるなっ!こちらが優しくしておればいい気になって!ひっと「アニエス、いつも言っているではありませんか、こういう時こそ冷静になりなさい と」・・はっ・・」

 

 

 興奮する猛獣・・いや興奮するアニエスを軽く注意するアンリエッタがこの様子を見かね、前に出て声をかける。

 その様子に巫女も紫もあきれた様子でため気を吐いている。

 

 

 「どうもこちらの者が失礼をしましたね。おふた方はこの国の人じゃなさそうですが・・・どちらの方かしら?」

 

 「・・ねえ9代目、この娘はどうしてこう警戒心がないのかしら?」

 

 「ん、むまあそうだな・・。いろいろあったからな・・まあ自覚がないといえばそのとおりだがな「姫様っ!」」

 

 「あら!やっぱりいたわね」

 

 

 アンリエッタの声が聞こえたのか素早く家から出てきたルイズであった。そこからぞろぞろと幻想郷側のもの達が出てくる。

 その様子にアンリエッタは驚き、ルイズへ質問をしている。

 ルイズも困りながらも答えているが、近くに控えるマザリーニによって引き離される。

 こっそりと注意をするマザリーニにアンリエッタはいやな顔をするが、先ほど紫にいわれた事が引っかかっており改め気を引き締めた様子だった。

 

 

 「失礼しました。早速なのですが、先ほどの光の玉についてそこの2人に容疑がかかっています。助けられたのは間違いありません・・・がそれで終わらしてはいけない問題でもありますので。なのでトリスタニアまでつれて帰りたいのですがいいですか?」

 

 「まあそうなるのよね。けどごめんなさいね。今すぐ渡すわけにはいかないわ」

 

 「?・・・えっと魔理沙さんと同じとこの人なのでしょうか?東方の地、ロバ・アル・カリイエの方々でしょうか?ルイズとなにかご関係が?」

 

 「そうねぇ・・いう必要はないんだけど、まあこの子の力が私の国に影響があるかもしれない、とだけ教えとくわ。それじゃあ私たちは行くわ。9代目、あなたもくる?」

 

 「・・・そうだな。幻想郷へ戻るのは私の悲願でもあった・・、が骨を埋める場所はここだろう・・ここに戻れるなら同行しよう」

 

 「義理堅いわね本当・・まあ9代目は9代目ね。あなたじゃなかったら許可しないけどいいわよ。けど少しくらいは顔見せなさい・・」

 

 「分かった。有難う、紫」

 

 

 巫女の言葉を聞いた紫は一笑み見せ、すぐに村長の家へと戻っていってしまった。いつも通りだな・・と幻想郷側は思いつつついて行くのだった。

 その様子を止めようとするも巫女や美鈴、咲夜が遮り、その隙にアリスや魔理沙、そしてルイズが進んでいく。口パクだが、ルイズはアンリエッタに伝言を残した。

 必ず戻ってきます。少し離れるだけです・・姫様もいつまでも子供気分じゃ駄目ですよ? と。

 

 それをハッキリと確認したアンリエッタは、少しだけ遠い存在のように見えてしまい寂しくなったが、こんな姿を見せられないと思いすぐに思考を切り替える。

 ルイズを止めようとするアニエスを下がらせる。最後に部屋に入る巫女は村長へ申し訳なさそうに声をかける。

 

 

 「すぐとは行かないかもしれないが必ず戻ります。博麗の巫女の名にかけて必ず・・」

 

 「・・・私には何がどうなっているのかさっぱりです・・・がそれはあなたの長年の夢でしたからの・・少しの間寂しくなりますな。もしシエスタに会えるなら一言声をかけてやってくだされ」

 

 「あぁ・・・では・・姫殿下も何も聞かないでください。今いえることは関わらなければ不利益になることはないです。東方にはこんな言葉があります、触らぬ神にたたりなし・・関わりさえしなければ何も起こらないでしょう。必要以上に関われば・・このく・・いえではこれで」

 

 「・・・あっ・・ル・・ルイズをよろしくお願いします・・」

 

 

 巫女は一つ頷くとそのまま家の中へ入っていくのだった・・・。

 

........

 



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最終話 ルイズと魔理沙

・・・。


 村長の家に入った幻想郷側やルイズに魔理沙であるが、すでに学院長室へのスキマは用意してあった。

 家の中にはすでに紫の姿は無かった為、先に行ったと思いどんどん進んでいく。・・がしかし紫は先にいってなどいなかった。 ではどこに・・・?というと・・。

 

・・・

 

 魔理沙たちがすでに去った後のタルブ村・・・。この出来事で部隊の一部はもちろん、村民でさえ理解ができず混乱している様子。が騒ぐこともなくこの状況を見つめているようだった。

 

 

 

 「・・姫・・・姫殿下!」

 

 「・・・っ!・・何かしら?」

 

 「呆けている場合ではありませんぞ。先ほどのもの達や先ほどの光を放った者たちの捜索などやることが多いでしょう」

 

 「・・ふぅ、その通りだわ。トリスタニアへ帰還後学院へと使いを出すわ、必ず何かしら知っているはず。それともうひとつ・・」

 

 

 アンリエッタの見る先にあるのは・・・変哲もないただの村長の家である。がしかし紫たちが入っていった家だ。もしかしたら、どこかへ繋がる地下空間が存在するのかもしれない。あの者は言っていたが、関わらなければ何もおきない。逆に関われば何かが起きると言っていた。

 この国も問題がたくさんあり、早急に対応しなくてはならずこれ以上問題を増やすわけにはいかない。

 

 とは言ってもまたこれも放置していい問題ではないのは確か。親友が連れ去られ、その使い魔も行ってしまった。ルイズが放ったであろうあの光の玉についても、調べる必要があるだろう。

 やるしかないのだ、と自分に言い聞かせ、馬から降りドアの前まで進んでいく。マザリーニも分かっているだろうが、まさか自分でドアを開けるなど思っておらず止めるよう進言するが頑なに否定していた。この国の問題は自分が解決する、という即位を込めた思いも含まれているのだろう。

 

 とドアノブへ手がけようとした時、アンリエッタの上から先ほどの婦人の声が聞こえてきた。

 何事かと上を見ると屋根から見下ろすようにこちらを見ていた。

 周りからは いつそこに登ったのだ やら 姫殿下を見下ろすなど万死に値する。降りろ! など言っている気がしたが私には聞こえていない。 

 すべてが見透かされるような気がして息が苦しくなる。 他のものには分からないだろうが、紫は妖気をわざと漏らしながら威圧感を放っている。まるで空気がまずくなった・・というより重くなった、というべきか・・危険の信号が頭から発しているが思うように動けない・・・すると八雲紫という者が口を開く。

 

 

 「ふうん、その行動は私たちに関わるって事でいいのよね?あなたの命やこの国、いやこの世界にどんな影響があるかも分からないのに?」

 

 「・・・っ・・・私はやらねばなりません。私の国で勝手なことをされて平気な顔をすることができるわけがありません!私はこの国が好きなのです。平和であってほしい、その為には私が率先して解決していかなくてはいけないのです。あなたが敵か味方か今はわかりません・・・。ですが味方であれば・・手を取り合うことはできないのでしょうか?」

 

 

 その言葉を聞いた紫は呆れた様子だったが、まぁ幻想郷に不利益にならなければいいか と思いつつも少しの期待を込めて言葉をアンリエッタに投げる。

 

 

 「ふうん、あそ。それじゃあ勝手にしたらいいわ」

 

 

 その言葉に悲しそうな顔をするが、すぐに真剣な表情をしドアを開けるためにドアノブに手をかける。ドアを開けるだけなのに如何してこんなに緊張するのだろうか、と内心クスリと笑うアンリエッタであった。

 そして、思いっきりドアを開けた先には・・・。ただ平凡な平民の内装であった。さらに人影はなく地下室への入り口もなさそうである。これはどういう事なのだろうか、と護衛共々思っていると前からまたしても急に八雲紫があらわれた。

 護衛は剣を抜き、紫へ向けていつでも振るえるよう構えている。

 

 

 「・・そ、まあそれでこそ人間ってものね。まぁ取引相手にくらいは信用してあげてもいいわよ」

 

 「は・・はぁ「まあこっちも暇じゃないし・・そうねぇまぁ私に考えがあるから話し合いはその後。いいわね?」・・・これだけは聞きたいのですがルイズや魔理沙さんの安全は確保してもらえるのでしょうね?」

 

 「心配しなくてもいいわ。魔理沙は元々こっちの住人だし、ルイズに関しては今回の重要参考人だし命は保障するわよ」

 

 「そうですか・・トリスタニアに戻ればルイズたちを気にしている余裕は無くなってしまうでしょう・・・ほぼ負け戦をルイズが勝ちに引っ張ってくれたというのに・・・それでも・・・よろしくおねがいするわ」

 

 「・・・あなたはもう少し大人になるべきね。洞察力やら警戒心やら餓鬼のままね。・・・じゃこれをずっと腕につけときなさい。私と連絡するための物だから、まぁ腕じゃなくてもいいけどなくされると困るわ。だから腕につけときなさい」

 

 

 紫自身、どうして私が・・と愚痴を言いつつアンリエッタへひとつのリボンを渡す。それを腕に軽く縛らせるよう指示するとそれに従い、腕につけている。よく分からないまま腕につけたはいいがそれの意味が分からず、それを問おうとしたがすでに八雲紫はそこにはいなかった。

 護衛はアンリエッタの腕・・その腕につけられた紫色のリボンを見つめていた。しかし一部の護衛、アニエスらは紫を見ていた。その為いきなり出てきたり、引っ込んだりの正体が判明した。判明したが説明の仕様がない為困惑していたのだった。

 

・・・・

 

 

 そして学院側・・。

 いつまでたってもこない紫にルイズは心配しているが他の幻想郷側、アリスや咲夜たちは何も心配しておらずソファーにくつろいでいる。オスマンも最初はひやひやしていたが、今はもう開き直っているのか咲夜に注いでもらった紅茶を飲んでいる。

 

 オスマンはいつもの調子で咲夜を口説いているが、その都度ナイフで脅されていた。それをみて笑う美鈴、ねずみとじゃれ合う人形、この部屋のドアから覗きをしていたキュルケやタバサを説教する9代目とコルベール。魔理沙はざまー見ろと言わんばかりに笑いこけてルイズに叩かれている。

 

 帰ってきた紫は なんだいつもの異変解決後の宴会じゃない と呆れていた。

 とそこでふと、アリスは先ほど聞きたかった事を魔理沙へ伝える。

 

 

 「ねぇ魔理沙、あなた剣士にでもなったわけ?背丈に合ってない剣なんて似合わないわよ。というよりどうしてそんなぐるぐる巻きなのよ」

 

 「ん?あっ!ああああ!・・。あー・・・その・・・デ・・デルフ?ごめんな?・・」

 

 

 魔理沙はすっかり忘れていたようで、背中に背負っていた紐でぐるぐる巻きにされたデルフを降ろし解いていく。

 魔理沙の言うには戦闘中にうるさくされるのは簡便、と言うのと落としたら嫌だからと言う事らしい。

 

 

 「ぶっはぁ!はーはー・・。このやろうこぉの娘っこ!てーめぇゆるさ・・・え?な・・なぁ相棒、この状況は一体・・?」

 

 「へぇ剣が話してるのね。悪趣味ねえ魔理沙は」

 

 「魔理沙、とうとう人間を辞めて魔法使いになるのね。その第一歩がこれね。パチュリーが喜ぶわよ」

 

 「んだあああ!違うよ!これは武器屋さんで買ったんだぜ!紹介しよう!ガンダールヴの所持していた伝説の剣デ「デルフリンガー様だ!覚えておけ娘っこども!」・・・しゃべり方は許してやってくれ。まあ幻想郷への土産だよ」

 

 「お、おい!相棒それはないだろ!俺様は武器だ!人を斬る物であって飾るためのもんじゃねえ!」

 

 

 面白そうに紫は見ているがそれはとりあえずおいて置くとして本題に入る事に。

 紫は手をたたき、全員の視線を集めると話し始める。

 

 

 「余計なのがいるからあの広場にポイしてと・・・さてミスタ・オスマンとミスタ・コルベールも話に加わって頂戴ね。私たちはさっさと幻想郷へ帰らないといけないの。向こうを放置できるほど柔な立場じゃないからね」

 

 

 先生2人は頷き、話を進めるよう視線を向ける。ついでだが余計なのとはキュルケにタバサである。スキマで落下させ広場に捨てた、という事だ。すまん2人とも・・お前たちのことは忘れないんだぜ・・。

 

 

 「とりあえずルイズと魔理沙はつれて帰るわ。それとまた来るから魔法陣の保護よろしくね。ちょっとしたことでは壊れないと思うけど変にいじらないで頂戴ね。死んでも知らないわよ?。」

 

 「う・・うむ分かった。コルベール君、今すぐに魔法陣とやらの保護を優先に行動しなさい。それと共に生徒たちに注意するよう伝えなさい」

 

 

 コルベールは承知したと意思表示を込め、頷く。それを確認した紫はすぐに話し始める。

 

 

 「さてそろそろ私たちもいくけどそちらから話すことはあるかしら?」

 

 「・・・では2つほどよろしいかな?」

 

 「いいわよ。答えられる範囲だけどね」

 

 「ではまず1つ。この2人の安全じゃ、ここは学院じゃからのう。親から生徒を任され、学ばせると共に身の安全を確保せねばならないのじゃよ。ミス・ヴァリエール自身もその幻想郷へ向かうのじゃろう?・・・アルビオンにも無断で行ったのじゃ、もう今更と言うべきかの」

 

 「この子次第じゃないかしら?素直に従ってくれれば問題は起きないと思うわ。なぜ断言できないのかというと幻想郷はそんなに安全じゃないから、ってとこね。けどまあ紅魔館辺りに住んでれば平気よ。咲夜もそのつもりで主人を説得しなさい」

 

 「厄介ごとを引き受けたくないけど、まぁパチュリー様が留めるでしょうしそこは私がいなくとも問題ないかと」

 

 

 そういうことになるわ と紫はオスマンの問いに答えるとオスマンは、まぁ止むを得なしか と自身の髭を撫でながら言う。

 そしてもう一つ、とオスマンは息を吸いなおし答える。

 

 

 「ミス・ヴァリエールとミス・魔理沙の関係の問題じゃ。そちらでやることをやってミス・ヴァリエールをこちらに戻すとき、主人と使い魔ということを考えミス・魔理沙も戻すのじゃろうか?それとも引き離す・・・のかの?」

 

 「んーそうね・・・。魔理沙、どうしたいの?」

 

 「もちろんルイズとは離れたくないんだぜ!そりゃあ霊夢とも離れたくないけど・・そのなんというか・・せ・・せめて卒業くらいまでは一緒に居たいんだぜ・・・!」

 

 「ふうん、それだけ?」

 

 「えっ?あっと・・まだあるんだぜ!そ・・それによ、この世界のことと幻想郷の関係を調べなきゃなんないだろ?だからさ幻想郷のみんなの中でハルケギニアを一番知ってるのは私だと思うんだ。だからもし調べ物をするときとかは私に任せたほうが効率がいいと思うんだぜ」

 

 「・・・まぁ利にかなってるわね。けど「紫、あまり魔理沙をいじめてやるな。紫だって分かってるんだろ?」・・・いたい・・あーもう分かってるわよ。もう少し弄ってもいいじゃないの」

 

 

 紫を止めるのは9代目博麗の巫女である。あきれた表情をしつつ、後ろからチョップをかましていた。

 頭を撫でながら魔理沙のほうへ向き、ため息を一つ吐く。

 

 

 「今言った魔理沙の提案は私も考えてたことよ。つまり・・そういうことよ。その時はがんばりなさい」

 

 

 その言葉をきいた瞬間、魔理沙はルイズへ振り返り双方とも嬉しそうに抱き合っていた。

 とここで紫がそういえば と思い出したかのようにいう。

 

 

 「いわゆるあれよね。んー異世界だから・・在ハルケギニア、トリステイン王国幻想郷大使 霧雨魔理沙 ってなるわね うふふ」

 

 「なんだそれ、よく分からんけど名誉なのか?」

 

 「そうね。向こうでも外の国ではよく使われてるくらいだれでも想像くらいはできるでしょうね」

 

 「ふーん・・まぁなんでもいいや。腹に溜まるもんじゃないし魔法とは関係ないっぽいしな!」

 

 「ったく魔理沙はいっつもそうよね。ふふ・・けどまあそれでこそ魔理沙ってとこかしら?」

 

 

 ルイズのちょっかいに魔理沙は気にした様子も無く、笑いながら話を聞いていた。

 と魔理沙はルイズへ振り返り、魔理沙はワンテンポ空け言葉を発する。

 

 

 「・・ルイズ。この先なにがあるか誰も知らないけどな、これからもよろしくなんだぜ!幻想郷の案内は私に任せろ!」

 

 「ふふ、勿論!こちらこそよろしくね?ちょっと怖いけど・・一方で楽しみでもあるのよ?魔理沙に影響されたかしら?言葉まで変わりそうね」

 

 

 その様子を見た紫は一つ頷き、オスマンへ一言 じゃあね と言うと全員を引き連れ出て行ってしまった。

 魔理沙も一言 じゃあまた会おうな と言い続いて出て行った。そしてルイズ・・・。

 

 

 「先生方、私は絶対帰ってきます!それまで他の人には内密で・・キュルケとタバサくらいには話してもいいですけども・・・あ、そうだあとこれ、簡易に書いたものですがもしも・・・お父様やお母様が問い詰めてきたらこの手紙を渡してください。こんなもので止まればいいですけど・・じゃ私はこれで・・」

 

 「生徒を危険な目に合わせてなにが先生だと言いたいじゃろうが・・気をつけていくんじゃぞ・・・」

 

 「ミス・ヴァリエールが帰ってくるのを楽しみにしています。それまで在籍などの事は気にしないでください。それと幻想郷にいくのも重大な任務ですぞ・・。あのものたちと敵対しないようにするのはミス・魔理沙とミス・ヴァリエール次第なのです。・・・お気をつけて」

 

 

 ルイズは手紙を渡し、ひとつ一礼するとそのまま退出していった・・・。

 そしてルイズは全員がいる魔方陣付近へ到着したがそこにはキュルケとタバサがいた。

 

 

 「ルイズ、話は聞いたわ。災難ねえ・・・まあ頑張りなさい、ちゃんと生きて帰ってきなさい。私がつまらなくなるもの」

 

 「・・・お願いがある。内容はそれに書いてあるから向こうで読んで。あと帰ってきたら話聞かせて、興味あるから」

 

 「・・・まぁ色々いいたい事はあるけど・・次会うのは何時になるか分からないけど元気にしてなさい。帰ってきたときにはもしかしたら彼方達より強くなってるかもしれないし精進することね!・・「ルイズ!いくぞ!」あっ、はーい!じゃあねキュルケにタバサ」

 

 

 すぐに振り返り、小走りで魔方陣へと入っていく。魔理沙の隣に立つと一言ずつ言葉を交わす。

 

 

 「ルイズ心配すんな私がついてるからさ。まぁ・・その改めて、これからもよろしくな?」

 

 「ええ、こちらこそ足引っ張らないようにするわね!よろしくね、魔理沙!」

 

 

.......

.....

...

.

 

 




読者様方、ここまでお疲れ様でした。
とりあえず簡易で次のページであとがきとさせていただきます。長々と書くのはあまり好きではないので。


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あとがき

 ここまで読んでいただきありがとうございます。WryofuWです。

 

 約8ヶ月、長かったですね。自分自身こんなにかかると思っていませんでした。いつのまにかこんなに経過していたのかと複雑な気持ちです。

 

 とまぁ長く書く気は無いので適当に・・。

 

 

 とりあえず、この小説は完結です。外伝と称して幻想郷でのちょっとした話(紅魔館勢との会話や霊夢に会ったり山の神にあったりなど)やハルケギニア帰還からのルイズの親との対面など書いてもいいかも・・とは思ったり。

 

 これで終わりで良い、というのであれば完全にこの先は何も書かず完結となります。(それでもいいとも考えていたり・・)

 

 

 とまあそこらへんはお任せします。

 それともう一つ。

 

 

 次回作ですが・・・気力・・やる気があれば可能性はなくはないです(とはいっても次もゼロの使い魔になりますが)

 

 とりあえず反応をみてどうするかですね。一応召喚するキャラも決まってたり・・・他のところみたりして被ってなければいいですが。

 

 

 

 

 とこの話はここまで・・・この先は読まなくても大丈夫です

 

 

 

 

 

 

 本編で話さなかった事がいくつか。どうでもよさそうですが気になっちゃうんでここで。

 

 

 最初の魔理沙が守護の札をオスマンに返した時、オスマンから一枚渡されあと全て返却しました。実はこれ魔理沙は偽物渡してます。 魔理沙が返すわけ無いだろう?

 

 実際本編でも2枚は出してますからね(ウェールズに一枚、9代目に見せるときに1枚)

 

 

 それとあとは最後あたりのルイズの虚無でワルドも巻き込んだ時。

 ・・・言う必要は無いと思うんですけど・・。

 

 巫女とワルド戦で、ワルドは9代目巫女の能力の反射を0距離で喰らってしまいました。

 オーク鬼の力を反射したとはいえ、遠距離から粉砕するほどの威力です。

 

 さてワルドは・・・とまあこんな感じでした。(ルイズはご丁寧に火葬(?)したわけです)

 

 

 あとはライトニング・クラウドを喰らった巫女の腕を、後々見た紫にかなり心配される・・・とかネタは考えてましたがずるずる引きずりそうなので没。

 

 

 長々と書かないとかいいながら900文字・・。

 この辺にしますね。

 

 では改めて、読んでくださった方、お気に入り入れてくれた方、評価や感想、アドバイスなどくれた方、誤字修正してくださった方 本当にありがとうございました。皆様のおかげで続けることができました。

 

 どんな批判でもきても良いように心構えしてましたが、暖かいコメントとアドバイスで見捨てられてないんだなと実感していました。

 

 ではまたいつか・・・どこかで。

 

 

 

 

 




1094文字・・・(ry


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