東方万華鏡 ~人生の延長戦~ (April)
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村人Aの独白

さようなら。

僕の平凡で安全な日々。


―村人A―


言うだけなら簡単な日々だった。

 

 

なんら珍しくもない人生。特別変化のない日々。まさに普通という言葉で全て説明しきれてしまう。そんなありふりた生涯を送ってきた。

 

 

 

「生まれて来てごめんなさい」

 

 

 

努力して、迷って、間違えて、挫折して、付き付けられた結果に絶望して。それから色々な事が面倒になって。その色々な事を考えるのも面倒になって。考える事をやめて、自分の意見とか考えとか主義とか。持つのもなんだか馬鹿らしくなって、そして僕は周囲にただ流されるだけの村人Aのような存在になった。同じ事をするだけの、ただ繰り返すだけのどこにでも居るようなそんな存在に。その方が色々と楽でいい。ただ生きているだけの日々。平和で安全な日々。つまらない世界の生き方。

 

 

 

「それでも安全だ」

 

 

 

別に現実というヤツを目の当たりにして自暴自棄になった訳ではない。ただ、この世界にとって僕という固体の必要性がまるで感じなくなってしまった事に、なんだか妙に気が抜けてしまっただけなのだ。考え過ぎというヤツなのかもしれない。もう少し肩の力を抜けとか。そんな所だろうか。ただ…これ以上何かをやっても結局は意味のないもの。ただの”結果”として残るだけで、現状としては”何も変わらない”のではないのだろうかと。そこまで考えてそんな自分が少し嫌になった。

 

 

 

「世界の中心で愛を叫ぼう」

 

 

 

もしも最初から期待なんてしていなければこんなにも落胆することもなかったのではないだろうか。夢を見てしまうから、望んでしまったからその先の結果に納得がいかなくて、こうも憂鬱な気分になるのだ。あの頃の僕はどうしようもなく考えなしで。バカ正直に自身の掲げた目標に向かって。例え失敗したとしても”次”があるなんて信じていた。『どんなに遠回りしたとしてもその目標にまっすぐ歩いていけばいつか必ず叶う』だなんて。

 

 

 

「そんな時期が僕にもありました」

 

 

 

 

あの頃の僕は色んな事を知って、だからか何でも出来るような気になっていた。勉強もそこそこ出来て。格好付けでスポーツとか、柔道なんか通ってみたり。クラスメイトの相談を聞いてあげたり。教師の愚痴を聞いたり。家で母の手伝ったりと。とにかくがむしゃらに何かに打ち込んでいた。

 

 

「今となっては黒歴史遺産の一つだけど」

 

 

 

そこまでして何がしたかったのかというと。たぶんヒーローになりたかったんだと思う。誰かがピンチの時に駆けつけられるようなヒーローのように。実際は何も出来ないただの一般人。所詮はその程度で。夢の見過ぎた子供の追い討ちが来た。

 

 

努力は必ず報われる。頑張ればいつか叶う。そんな途方もない事を馬鹿みたいに信じていた。上ばかり見て転がっている石に真っ先に躓いたバカ。

 

 

 

「全く。世知辛い世の中だよ」

 

 

 

 

 

 

 

―――世界はいつでも平等だった。

 

 

 

 

 

 

 




どうもこんばんわ。Aprilと申します。感想や『この人出して! 割とマジで!』というリクエストがある方は是非感想欄などを利用してお知らせ下さいませ。


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はじめに【上】

(´・ω・`)


「人がゴミのようだ」

 

どこかに建っている誰も知らない、今にも崩れ落ちそうな廃ビルの屋上の手すりにもたれ掛かりながら僕はそんな戯言を吐き出した。

 

 

「いや、」

 

 

この世はまるで人間たちが吐き出した廃棄塵をたんまり溜めていった腐ったゴミ溜めのようだった。そんな腐った世界からお別れを、別にそんなに惜しまない感じに手すりを足を引っ掛け、越えて、空を飛んだ。

 

 

 

「景色がゴミのようだ」

 

 

 

―――僕は世界から飛び降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生まれてからこの10年間。それは至って普通の人生だった。

 

 

いや、世間一般的には…だけれど。他人から見て普通じゃないというなら、それはきっと普通じゃないのだろう。ただ僕にとってはそれは普通の人生だったのだ。少なくとも、幸せを感じられるくらいにはとても充実した人生だった。そう”だった”。

 

 

10歳、小学四年生低学年。

 

 

あの頃の僕は幸せで平和だった。ちょっと理屈っぽい父親が居て、少し口うるさい母親に、少々我が侭な妹。僕を取り巻く世界は凡そ普通という言葉が似合う環境で、そんなありふれた人生に何の疑問も持たず。不安や閉塞とは無縁の毎日だった。まるで独裁的な義務教育的学校の授業が終わり。家に帰って言い付けられた宿題を片付け、必要な栄養を摂取し、明日の予定に遅れないように早めに就寝。

 

 

これが生まれてから10年間。僕――赤梨黄泉(あかなしよみ)の馬鹿みたいに繰り返していた行為だ。よく飽きなかったなぁと今更ながらに関心する。

 

 

 

 

「私的には。三日前に退院したばかりなのにも関らず性懲りもなくまた病院(ここ)に入院した君に対し、医師としての怒りを通り越して逆に関心してくるよ。なに? マゾなの? 新種の構ってちゃんなの?」

 

 

新種過ぎる。聞いたことないよ。初耳だぜ。

 

 

「おはようございます。七視さん」

 

 

彼女は遺原七視(ゆいはらななみ)さん。この遺原病院に勤める脳神経外科医だ。自称愛され系ナースの七視さんは少し不機嫌そうに笑いながらも「おはよう」と返してくれた。うん。何時も通りだ。

 

体を起こし腕を回してみたり足を曲げてみたりするも、別段と痛むトコはないようだ。目に見える怪我と言えば左腕の包帯くらいか。というかあの高さから落ちて、いったいどうやって助かったんだろう。

 

 

 

 

「僕がここに来てどれくらい経ちました?」

 

「一億と二千年くらい」

 

「三日も寝ていたんですか」

 

 

直ぐ横の机に空っぽの花瓶と常備されたカレンダーを見ると、日付ごとに赤いマーカーで線を引かれていた。そして現在僕のベットの4割を独占している七視さんから舌打ちが聴こえた。あんたは僕とコントがしたいのか。

 

 

「ねぇねぇ、よーくん」

 

「なになに、なっちゃん」

 

さらりと布団を奪われた。窓を開け放しているので少々肌寒い…。まぁ、つまり。これで身を守る外壁がなくなったわけだ。七視さんは相変わらずの微笑で僕に詰め寄る。ああ、撤回だ。これは相当怒ってるぞ。かなり間近に七視さんの顔があり、思わず後ろに後退するが、当然の如く壁にあたる。溜息を吐き、七視さんを睨む。

 

ウィンクされた。

 

 

 

「キミはいつになったら死ぬのをやめるの?」

 

「一億と二千年後くらいですかね」

 

思いっきり頭部を強打される。それはもう容赦なく。病人に暴行を加える自称愛され系ナースの姿がそこにはあった。

 

 

「なに人のネタ取ってんのよ」

 

そこに怒ったのかよ。それと別にこれはあんたのネタじゃねぇ。

 

 

 

 

「ねぇねぇ、よっちゃん」

 

「はいはい、なーくん」

 

 

頭をわしゃわしゃと掻き回される。僕は訳もわからず目を白黒させてると七視さんはにんまりと満足そうに笑って僕の髪から手を離し、溜息混じりに言った。

 

 

「そろそろさ、生きてみなよ。良心的自殺ももう三回目じゃん? 流石にドクターストップだよ」

 

 

「…………」

 

 

良心的自殺…か。言い得て妙だ。まぁ確かに自殺って自発的にやるものだけど。あはは、なんというか…

 

 

「ねーよ」

 

「それを抜きにしても。黄泉くんってさ、かなりのお人好しだよね。自分嫌いのお人好し? っていうのかな。ま、お人好しを抜いたら何も残らないけど」

 

褒められているのか貶されているのかよくわからない評価をされました。たぶん貶してるんだろうなぁ。僕が”××である自分が嫌い”だからお人好しってか? あはは…。

 

 

「ねーよ」

 

マジでねーよJK(常識的に考えて)。お人好しだなんて…。これほど僕に似合わない言葉もないだろうに。七視さんは何を思って僕の事をそう形容したのかはわからないけど、これはどちらかというと悪意的自殺だよ。たぶん。

 

 

 

「ま、黄泉くんと私は他人なわけだし。保護者でもない私がとやかく言う事じゃないけどさ」

 

 

 

ただ、キミを見てるとなんだか危なっかしいんだよね。ふよふよしてて存在が定まらないというか、まるで雲を見てるようだよ。

 

 

 

 




(`・ω・´)


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まじめに【中】

(。・ω・。)


 

 

 

「はぁ…」

 

 

いつものように義務教育を果たすべく…ふぅ。つまりは登校路である。思わず気の遠くなるような急な坂道の地平線を眺めながら溜息を吐いた。

 

 

 

「つまりは空っぽって事ですか」

 

 

 

七視さんのまるで的を射た言葉に思わず可笑しくて笑ってしまう。そっか。やっぱり他者から見て僕はそう映ってしまうのか。そういえば中身のない機械と話しているみたいだと誰かに言われた事がある。誰だったっけ…?

 

 

 

「まぁ、いいか」

 

 

覚えていないということは、それほど大切な内容でもなかったのだろう。それよりも急がなければ。遅刻はしたくないしね。

 

 

 

 

 

 

 

「おっはよーございまぁす! 黄泉せんぱぁーい!」

 

 

不自然に間延びした妙に甘ったるい声がすぐ近くで聞こえ、振り向くと案の定そこには居た。…しかも出来ることなら必要以上に係わり合いになりたくない人種が。

 

 

 

「やぁ。えーと、誰だっけ?」

 

「酷いですよぅ、もぅ。…って、そうじゃなくて」

 

 

この子は僕の通う三瀧原高校の中等部の一年生、絢ノ瀬遥(あやのせはるか)という。かなり直球に言うなら僕のストーカーで。控えめに言うなら僕の熱烈なファン(いったい何のファンなのかは甚だ疑問だが)。ただ、別に僕に対して恋愛感情を抱いているわけではないらしく。それに今の所害を及ぼす程のものじゃないので放っておいている。

 

 

 

「聞いて下さいよぉ! 実はですねぇ…」

 

 

 

ああ、物語のはじまりってもっと穏やかな日常風景を描写するものだと思っていたんだけど。どうやらこの小説はそんなものまってはくれないらしい。

 

 

「……世知辛い世の中だぜ」

 

 

 

そう独り言のように呟いた(独り言だけど)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかしたら”はくれいじんじゃ”はあたりかもしれない」

 

 

一之瀬さんと別れたあの後、学校へ登校義務を果たし、僕は不思議発見部の巣食う廃校舎で貴重な放課後を消費していた。我々発見部の部長にしてこの三瀧原高校の生徒会長である三間坂矢杖は言った。そんな部長を見やり、僕はとりあえず飲み干したお茶のお代わりに部室の倉庫へと注ぎに行くのだった。冷蔵庫からあらかじめ買っておいたペットボトルのお茶を出し空のコップに注いでいく。どうでもいい事だがこのペットボトルには『麦茶、はじめました』という訳のわからないラベルが貼られていたりする。そして自分の席に付き先程淹れたお茶を飲み、一息付いてから福志くんを見やる。まだ同じポーズのまま固まっていた部長を見て、無関心、無表情、無頓着を優々と担ぐ僕にかつてない程の衝撃を与えた。いや動けよ。

 

 

 

 

「どうぞ続けて下さい」

 

「はくれいじんじゃはあたりかもしれない」

 

「それはさっきも聞きました。あと恐らく博麗神社かと」

 

「博麗神社はあたりかもしれない」

 

 

「…………」

 

 

 

なるほど理解。今重要なのは、また傍迷惑な題材を見付け、あまつさえそのスカイブルーの目を爛々に輝かせている部長の相手をする事なんだね。

 

 

 

「な、なんだってー」

 

「驚くのはまだ早い。どうやらこの情報、本当の本当にあたりなのかもしれない! しかも父のコネをフル活用した調べによると博麗神社付近は行方不明者が多いらしいんだよね」

 

「な、なんだってー」

今こいつ堂々とコネとか言いやがったよ。むしろそこに驚いたよ。

 

 

「それに…」

「な、なんだってー」

 

「……赤梨くん」

「はい」

「実は信じてないでしょ?」

 

「はい」

 

 

「……まぁ、いい。とりあえず明日、二時に駅前で集合ね?」

 

「はい?」

 

「遅れないでくりゃしゃんせ」

 

「家からでたくないでござる」

 

「そっか。じゃ、また明日駅でー」

 

 

 

 

「…………」

 

どうやら向こうにはこちらの言葉が何らかの電波障害を受け聞こえない状態にあるらしい。なんてこった。博麗神社は徒歩で向かうとそれなりに時間が掛かりかなり遠い。しかし、電車という交通手段があるので五分もせずに着くと思うが。ただ、こうやって貴重な休みが浪費されていくのかと、しみじみと思った。

 

 

 




(。-ω-)zzz. . . (。゚ω゚) ハッ!


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こまめに【下】

サブタイトルに意味はありません。その場の気分です


 

 

 

部長を待つにあたって。ここで我が発見部の紹介をさせて頂こうと思う。しかし残念ながらこの部の趣旨を僕にはあまりよくわかってないのだ(たぶん立ち上げた本人にも良くわかってない)。ちなみに現在の部員数はたった3名(幽霊部員1人のオマケ付き)もちろんあと部員二名は部長と僕だ。それでも部として成り立っているのはきっとなまじ生徒会長である部長が権限(コネ)を使ったに違いない。

 

 

 

「さて、三時十二分…」

 

 

ちなみに待ち合わせ時間は二時だ。いい加減帰ろうかな…と、わりと本気で思い始めた頃。

 

 

 

 

 

 

「だーれだ?」

 

 

と恋人和気藹々な感じに目隠しやがったので僕は得意な裏拳をかましてやった。すると手に何かを殴った手ごたえのようなものと、後ろでお腹を押さえて地面に膝を付く部長。ついカっとなって殺った。だが後悔はしていない。むしろとても清々しい気分だった。まるで日頃の鬱憤が解消されているような気分だ。

 

 

 

「なるほど。これが自由というやつか」

「いきなり殴る事はないよね!? っていうか私に何か言う事はないかな?」

 

ジト目でそう言ってくる部長。はあ、 部長に言う事ですか? いっぱいあるんですが、そうですね。

 

 

「頑丈ですね、部長」

 

「…もういいよ。っと、そろそろ行こっか」

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

少女移動中(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけでやって来ました噂の博麗神社。といっても作りは至って普通の神社。まぁ、実物で神社というものを見た事は数えるぐらいしかないし、あまりちゃんと見たことはないのであくまで遠目で眺めて『それっぽい』と思った感想である。感想としては到って普通の一言に尽きた。神隠し幽霊が出ると騒いでいるわりには案外拍子抜けである。

 

 

 

「うーん。どう見ても普通だよねー。やっぱガセだったのかな」

 

やっぱりとはなんだこの野郎というツッコミをいちいちしていたらこちらが疲れるので寸での所で飲み込んだ。

 

「とりあえず活動報告として写真撮っておきますか?」

 

「ん、それもそうだね。頼んだ。……ところで赤梨くん」

 

「はい。何ですか?」

 

「この神社を見ての感想は?」

 

「普通…ですかね」

 

 

「そうか」

 

 

 

「でも」

 

 

 

ポケットから携帯端末を取り出しカメラモードに設定すると、部長がいつになく真剣な顔で聞いて来たので。僕はいつものようにちゃかす事はせず、この神社に訪れてからの“違和感”について答えた。(どちらかというとここでボケたら殺されるかと思ったので控えさせてもらった次第である。タイミングと空気を読むことって大切だよね。みんなも気をつけよう!)

 

 

 

「入口に立ち入ら禁止って看板ありましたよね? そのわりには、少し綺麗過ぎると思いませんか? まるで誰かが“毎日掃除している”かのようです」

 

 

 

 

「…確かに綺麗だね」

 

「それから…さっきから気になっていたんですが。この神社に入ってから、ずっとあそこから誰かの視線を感じます」

 

 

そう言って僕は何もない空間を指さす。

 

 

「視線? そこには誰も居なけど?」

 

「はい。ですからもしかしたら幽霊かもしれませんね。良かったじゃないですか(棒読みである)」

 

 

「うっわ…。超興味無さそうな顔だね」

 

「実際、興味無いですし。というか。幽霊が居たって、僕は対して困りませんから」

 

 

かといっても、呪われたり取り憑かれるのは流石に遠慮するが。僕にとって、迷惑さえ掛けなければなんだっていいのだ。他人がどうこうなったとしても僕には関係ない。それこそ他人事なのだから。

 

 

 

「キミってさ。何処でも生きていけそうな気がするよ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「いや、褒めてないから」

 

 

「可愛い部員の心を玩ぶなんてひどいいですよ部長」

 

 

「キミそんなキャラじゃないよね? っていうかどちらかというと弄ばれているのは私だし!」

 

 

「被害妄想激しいですね部長」

 

 

「ケンカ売ってるのかなぁ? ねぇ売ってるの? 買うよ?」

 

 

「あ、近づかないで下さい。妄想が伝染(う)つります」

 

 

「どういう事だろう!? 私にはキミの言ってることが理解できないよ! というかそもそも妄想って伝染するの!?」

 

 

「稀に思春期と共にやってくる厨二病が進行した心病の一種である。また妄想症候群(MS)と形容され、特に高校高学年に発病しやすい。MSを発病すると実際の現実とは違ったいわゆる”自分だけの現実”を持ち、やがて現実と妄想の境目が視覚出来なくなり区別する事も困難になる。周りからはまるで見てはいけないものや同情するようなどこか暖かい目で見られる事になる。離れてても皆あたたかく見守ってくれてるよ。やったね部長」

 

 

「なんだかよくわからないけど馬鹿にしているという事はだけは伝わった。よし。私は今からキミを殴る。大丈夫。心配しないで。殴るのは右頬だけにするから」

 

 

「よし。じゃあ僕は部長の左頬を殴ろう!」

 

 

「なんで!? わけがわからないよ!」

 

 

「わけがわからないよ…ぷ」

 

 

「笑うな!」

 

 

「HAHAHA。もう冗談ですよ。このくらいの冗談で怒るなんて…。さっすが部長私達が出来ないことを平然とやってのけるぜ。そこに痺れるあこが『そのネタは危険だからやめようッ!』」

 

 

 

 

 

 

 

――ヴゥン…

 

 

 

といつものようにギャグめいた雑談をしていると一方手前の地面に大きな裂け目が現れた。近付いて覗いて見ると真っ暗な空間に色とりどりの目玉がギョロギョロと犇めいていた。しかも悪趣味なことに、その隙間の端々には赤いリボンで飾られている。……もしアレが今回の噂の種だとして、しかしあれは幽霊と形容していいものなのか?

 

 

 

「さて。もう夕方ですし。超帰りましょうか」

 

 

「はい待とうね赤梨くん。…ってうわ、心底面倒くさそうな顔しないでよ」

 

 

「だってそれってあれでしょう? 押しちゃダメなボタン的なポジションのヤツでしょう? いやですよ。部長はともかく、僕に何かあったらどうするんですか」

 

 

「そういう時って普通は押すものって知らなかったの? って事でレッツゴー♪」

 

 

 

話を聞かない部長なんて大嫌いだ。腕を拘束され逃げようにも逃げられず。そして間もなくあの怪しげな裂け目に落ちていくのであった。落ちて行く裂け目の中で、もし無事に帰える事が出来たら不思議発見部をやめようと決心するのだった。

 

 

 

 

 

 

 




(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!


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皆目が死んでる~♪

主人公の黄泉が幻想入りした所で設定や主人公に対しての好感度などの簡単な説明をしようかと思います。ネタバレというほどでもないのでご安心ください。


☆主人公☆

 

赤梨 黄泉(あかなしよみ)

 

身長=153cm

学年=三年生

趣味=昼寝

好物=甘味物

苦物=食べられない物

 

好きな言葉=信じる者は救われる。

 

 

《備考》

三瀧原高校三年生一般生徒。まっすぐな茶色の髪を肩まで伸ばしている。紫色の目。色素の抜けた白肌。外見は美少女なのに死んだような生気の無い目が全てを台無しにしている。普段はぼーっとしている事が多い。理屈っぽくて、根本的な所から捻くれている。時々質問を質問で返す。なぜか部長には敬語。意味は無い。

 

 

 

 

★担当女医?★

 

唯原 七視(ゆいはらななみ)

 

身長=165cmm

役職=医師

趣味=人間観察

好物=珍味物

苦物=美味しくない物

好感度=友達以上、他人以下

 

 

好きな言葉=地球は丸かった

 

《備考》

唯原病院に勤める女医。ストレートの黒い髪を腰まで伸ばし。少々釣り目がちで勝気な印象を持つ。赤目。言いたい事ははっきり言うが、『曖昧も美徳』と言う矛盾した主観を持つ残念美人。

 

 

 

 

 

★ストーカー★

 

絢ノ瀬 遥(あやのせはるか)

 

身長=142cm

学年=中学三年

趣味=黄泉観察

好物=林檎飴

苦物=姉のご飯

好感度=病的レベル。逃げろ黄泉

 

 

好きな言葉?=幸せの青い鳥

 

《備考》

毛先とつむじが赤みがかった金髪を腰上まで伸ばし、サイドに結んでいる。深緑の瞳。美少女なのにどこか残念な黄泉の三つ年下の女の子。死んだ目の黄泉に一目ぼれし変態的なストーカー。根から腐っている。

 

 

 

 

 

 

★部長★

 

三間坂 矢杖(みまさかやつえ)

 

身長=153cm

学年=三年生

趣味=読書。機械弄り

好物=カフェイン

苦物=赤梨黄泉

好感度=理性以上、本能以下

 

 

好きな言葉?=不変は絵にならないが、平凡は掛け替えの無いものだ。

 

《備考》

三瀧原高校生徒会長にして不思議発見部の部長。親は財閥系の家庭。ふわりとした黒い髪を腰下まで伸ばし、髪の端を三つ編みにしている。明るい蒼い瞳。何時もキラキラしている。外見は知的な文学少女といったところだろう。しかし中身は外見を裏切ってまるで僕っ子のような喋り方をする。




次からは本編(= ̄ω ̄=)タブンネ


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