あなたもわたしも今日からブラッド! (ごみごりら)
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特殊部隊
神様仏様アラガミ様、どうか。


こういった小説、二次小説の執筆は初めてなもので色々至らぬ点もあるかと思われますが、どうか応援お願いします><


私には何も無い。

 

 

 

昔から、人の足を引っ張ってばかりで、

鈍臭くて、不器用で。

 

分かってる。そんな人間は、今の時代必要無いのだと、不要なのだと。

 

 

でも、君は教えてくれたから。

 

 

自分にしか出来ないことが、きっとある、と。

すごく嬉しかったんだ。

 

 

 

 

 

 

だから、今度は私が――――…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

人類最後の砦、フェンリル。私はその一角である、移動要塞『フライア』へと訪れていた。

 

 

 

「 気を楽になさい、貴方は既に、選ばれて此処に居るのです…」

 

柔らかな声が聞こえてくる。

そうだ、私は選ばれたんだ、『可能性』を認められたんだ…!今日から私も、憧れのゴッドイーターに……!

 

「 は、はい…頑張りますッ…!」

 

しかし、応答するもスピーカー越しでも伝わるその荘厳さに余計緊張して、声が裏返ってしまった。恥ずかしい…!

くすくす、と鈴の鳴るような笑い声が聞こえる。

 

 

なんとか気を取り直し、いや正直まだ全然取り直せてないが…指示されるがままに試験場のド真ん中に置かれた台へ寝転ぶ。続けて、右腕をその隣にある台へと置いた。

それから数秒後のこと、伸ばした右腕の手首に、得体の知れないねちょねちょした物体が絡みついてきた。うわ、これはキモい……

そして、それに蓋をするかのように黒い腕輪を上からさらに巻き付けられる。最早いじめかと疑いたくなるレベルだ。

 

 

 

 

 

……にしても簡単ずぎやしないか?もしかして、これで終わり?

 

 

一瞬でもそう考えていた私が馬鹿だった。

 

いつの間に出てきたのだろう。頭上には特大サイズのドリルが。しかも、あろうことかその先端は私の手首へと向けられている。

 

何だかとっても嫌な予感が。

 

「大丈夫よ、すぐに終わるわ…」

 

「え、え…?!すいませんこれはいっt」

 

 

 

「貴方に祝福があらんことを……」

 

逃げる方法を考える暇なんてどこにも無かった。

 

神様仏様アラガミ様……!誰でもいいから…!助けてっ……!

 

 

 

 

「 うあああああああああああああああああっっ!」

 

 

ドリルが物凄い勢いで私の手首へ突き刺さる。

 

思った通りの、いやそれ以上の激痛が右腕から全身へと広がる。

でも、それはドリルが突き刺さったからでは無い。体中が食われていくような、蝕まれていくような、そんな感覚だった。

視界がぼやけ、白くなっていく。ああ、死ぬのかな、私。

意識が途切れそうになるのをどうにか必死に繋ぎ止めて、途絶えてしまわないよう何か取り敢えず考えるようにした。でも、それから数秒経っても一向に痛みは止まらなくて、少しずつ我慢の限界が近付いて来ていた。

 

 

 

「……適合失敗か?」

 

誰かの声が聞こえる。

 

失敗?

要するに、出来損ないって事?

 

 

じゃあ、結局私、最期まで誰の役にも立つことが出来ず、人間としても出来損ないのままこのまま死ぬの?

 

 

 

 

折角掴んだと思ったのに。こんな自分でも必要としてくれる場所が、人が。居ると思っていたのに。

 

悔しいな……

 

 

 

 

……まだ、駄目だよ。やっぱり死んじゃ駄目だよ

 

 

生きたいよ…………!

 

 

 

 

 

 

その時だった。

体を食い破るように侵食していった『何か』の動きが止まり、痛みが急激に和らぐ。

やがて、それは完全に私の中へと溶けて、私を造る1つの細胞へと変化した……ように感じた。

 

 

必死の思いで呼吸を整え、立ち上がる。いつの間に杖のような物を持っていた。だから、それを使って、ゆっくりと。

 

そして、スピーカーに向かって、その人の耳にちゃんと聞こえるように、大きな声で言い放った。

 

 

 

 

「わ、私は、失敗作なんかではありません!」

 

 

 

 

 

 

 

~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

彼女は、そう言い残しぱたりと倒れていった。

 

聞こえていたのだろうか。

隣に腰掛ける、ラケル=クラウディウスは、愛しい子供を見つめるように、

 

「ふふ、貴方に洗礼を施した時とそっくり……」

 

 

深海の瞳を細め、そう呟いたのだった。

 



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part1:全然全く大丈夫じゃなかったです

『···············当にこの娘が**の····?』

 

 

女の人の嘆く声が聞こえる。どこかで聞いたような、懐かしい、声。

どうやら、その人はまた別の誰かと話しているみたいだ。

 

 

『 ············間違い無········彼女はや········選ばれ·····』

 

さっきから、会話があまり良く聞き取れない。というか、内容が入ってこない。ただ、とても切羽詰った状況なのは分かった。

 

『·····うして·····どうしてこの娘が·········?!』

 

 

会話を聞いていると、少しずつ、篭って聞き取りずらかった声が鮮明になってきた。

 

『······申し訳ないが······こればかりは私にも·······』

 

 

『嗚呼、ごめんなさい、ごめんね。私の所為で、貴女は·········!』

 

 

 

 

 

 

 

 

『初衣········!』

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ふと、目が覚める。

自分の部屋の天井じゃない、ピカピカで汚れ一つ無い天井が見える。

 

ああ、私···········

 

 

ここに至るまでの経緯を説明しよう。

 

 

 

私は、フェンリルからゴッドイーター······通称、神機使いの適合候補の通知を受け取った。

その後、親に説得して直ぐに適合試験を受けに行った。此処、“フライア“へ。

 

しかし、その時私は全く予想だにしていなかった。

適合試験とは、神機が適合候補者を受け入れるか否か、というもの。(後から知った)

適合したら、その神機は私と一生添い遂げる事を意味する。

そりゃ、神機だって反発しますって。

私は、神機の反発(主にドリル)から来たのであろうトンデモナイ痛み(主にドリル)によって、適合直後、一瞬で気を失った、と······

 

 

よし、状況は把握出来た。私は今、フライアのどこかに居るのだろう。多分病室あたり。

 

体がだるい。どんだけ寝てたんだ自分·····

ずきずきと痛む頭を抑えながらゆっくり起き上がる。起き上がると、そこには·······

 

 

 

「ああ、やっと目覚めたのか。」

 

 

 

「 」

 

 

 

 

めちゃカッコイイ男性が、目の前に、座っていた。

 

 

「 大丈夫か?起きたばかりでまだ体中痛むだろう?もう少し安静にするといい。」

 

 

 

「······え····いや、あの····

 

 

 

 

 

 

誰ですか····?!」

 

 

私の友達にこのような美しい男性は居ない。うん、確か、居なかった筈だ·······!

 

 

目の前の彼は、少し考えて、思い出したように、ああ····まだ名乗っていなかったな·····と小さく呟き、更に続けた。

 

 

「俺の名前は、ジュリウス=ヴィスコンティ。お前がこれから配属されるであろう部隊、ブラッドの隊長を務めている。」

 

 

 

「これからよろしく頼むぞ、初衣。」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「あの·····本当ごめんなさい·····貴方のような人に私なんぞの服選びに付き合ってもらうなんて···」

 

 

 

「ん····いや、別に構わない。大した用事も無かったからな。·····仲間が困っているのを見捨てるなんて出来ないだろう?」

 

何だこの容姿だけでなく人格まで出来上がった人間は····!

 

 

 

 

 

······あの後、私は3日ほど病室で過ごした後、無事?退院した。その際、制服を着て退院したのだが、此処フライアでは式典以外では制服をわざわざ着る必要無いんだとか。

 

ただ、その事を知らなかった私は制服と家から着てきたジャンスカ&ブラウスしか持ってなかった訳で····

 

その事を知ったジュリウス隊長は、直ぐに別の衣服を調達しよう、とフライア内に在する小さなショッピングモールへと案内してくれた。

 

 

女物の衣服売り場へと行く。うお····思っていたのよりずっと良さげ·····もっと軍隊みたいな服が沢山あるのかと思ってたけど、フリルの付いたセットアップや、ワンピース等、女の子らしい可愛い衣服が沢山あった。

 

 

ただ。

 

「たっっっっっっっっか·······?!」

 

信じられないような価格に思わず本音が零れる。

これでも中の上あたりの家庭で育ってきた筈なんだが······

 

……よし、これは諦めよう。制服で悪い訳じゃないし、私服も一着·····ある。

 

そう自分に言い聞かせ、店を出ようとする。

しかし。

 

 

「何だ、何も買わないのか?」

 

 

 

 

そうだ、この人連れて来てたんだった······

 

 

「あ、あはは·····ちょっと予算が足りてなくて·····制服で過ごすので、やっぱ大丈夫でーす···」

 

 

「なら俺が払おう。何なら後で返してくれれば良い。」

 

は······?何言ってるんだこの人······?!

 

 

 

「いや、駄目ですって·····お金の貸し借り駄目って学校で教わりませんでしたか?!」

 

 

「いや俺はもう20なのだが·····」

 

「そ、それに」

 

「このような大金ポケットマネーで払える訳····!」

 

 

「今日は少し持ち合わせていた」

 

 

「何でえ?!」

 

てな感じで、どうにか留めて頂こうと説得したのだが、無理だった。どう言っても普通に論破されてしまう。

 

 

 

 

「さて、どれにしようか。」

 

ううううう·····と情けない呻きを上げながら店内へ引きずり戻される。

 

 

 

「もういっその事、ジュリウス隊長が選んでください······私に選ぶ権利などありませぬ·····」

 

隊長は分かった、と一言返し、ゆっくりと店内を見て回る。

 

 

超絶イケメンエリート隊長が私の衣服を選んでくれていると思うと、悪い気はしなかった。むしろ、少し嬉しいくらい。

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

ここからが、長かった。

 

 

隊長は二時間ほど品定めをした後、私を容赦なく試着室へ放り投げ合計2、30組み程の試着をさせられた。

 

店に入って、約5時間後。

選抜された衣装達がジュリウス隊長のポケットマネーで支払われていった。

 

 

「なかなか良い買い物が出来たな····」

 

 

 

「そう、ですね······出来ればもう2度と服屋には行きたくないですね·······」

 

 

満足げな隊長をよそに、私は長く重い溜息を吐いたのだった。

 




遅くなってしまった...!
次回はあのふたりが出ます


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