礼装少年今日も行く (泥人形)
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取り合えず自己紹介的な

画像フォルダ漁ってたら礼装のみの十連の結果があったのよね。
勢いで書いたからよくわからんもんになってる。
ちなみににわかだからFateの魔術とか良く分からなかった。つまり適当設定です。


 

 ある一室の中央、床に刻まれた青白い紋章の前に一人の男が何かを念じるように瞑目し立っており、その背後には大盾を持って少女が控えていた。

 男の手には虹の輝きを放つ40の石。

 しばしの後にてゆっくりと目を開き、手一杯に抱えた石を紋章―魔法陣―に投げ入れた。

 

 瞬間、その場に土下座。恥? 外聞? 何それ食えんの?

 

「うぉおおおおお!? 来いよ来てくれ! いや来てくださいお願いしますぅうううう!!」

 

 そう叫ぶと同時に魔法陣は強く輝き放られた石は四つで一つの光へと姿を変え、陣の周りに浮かぶ。

 少しの間浮かんだあとその光は輝きを増し、甲高い音を立てながら帯を描くように高速で回転。

 

 帯を描き、輪のようになった光の中心にバチバチと音を立てつつ光が何かを象りながら具現化していく。

 

 爆発音にも似た、強烈な音を放ちながら現れたのは――概念礼装、アゾット剣

 

「お、おぅふ…いやまだ9回残してるし…!!」

 

 男の声に応えるように先ほどと同じ光が輪を作り次々と光が具現化していく。

 

 魔導書・黒鍵(赤)・黒鍵(青)・黒鍵(緑)・ルーンストーン・魔力計・魔導書・魔術鉱石…

 

「まだ、まだラストワンチャン…!!」

 

 今までと違い光が一際大きく輝くのを視界に入れ期待が高まりじっと見つめる。

 徐々に形が作られていき、そして飛び出るように現れたのは――モータードキュイラッシェ

 

 死んだような、悟ったような表情で言葉を吐き出す。

 

「………っふ」

 

 なるほど、つまりはそういうことなんだね?

 

「サーヴァントに頼らず己の身のみで人理を修復せよ、と…そういうことか...!」

 

「違います先輩!? 落ち着いてください!?」

 

 

 これは元一般人の青年とそれに付き添う英霊たちの物語である――

 

 

 

―各サーヴァントたちとの関係―

 

 

 

 

―ランサーとの関係―

 

 

 概念礼装とは、基本的に人や物といった物質、歴史や物語といった積み重ねられてきた事象、魔法や魂といった神秘とされるもののことを指す。

 他にも色々とあるが全てに共通して言えることは概念、つまり事物の概括的で大まかな意味、内容といったものが備わっているというである。

 そしてその概念を摘出し、能力として身に着けられるようにしたものを総称して概念礼装と呼ぶ。

 

 つまり、だ。一般的には使えないと言われるものでも召喚によって摘出され概念礼装とされたものは凄まじい力を秘めているのでは、と俺は考えた。

 

「だから、これを使えば俺も英霊たちと少しの間くらいは戦えるって思うんだけどどうだろうか?」

 

「考えは悪くねえと思うがそうするためには今よりもっと戦闘訓練を積まないとダメだろうなぁ」

 

「マジかよめんどくせぇ…いやでもそんなこと言ってる場合でもないか」

 

 

 山のように積み上げられたガラクタ…概念礼装を見上げながら二人の男が会話をしていた。

 一人は良く分からんうちに世界を守るためあちこち奔走しなければいけなくなった元一般人、現魔術師の道草十時。

 もう一人はランサーとして呼び出されたケルト神話の半神半人の大英雄、クー・フーリン。

 

「て、ことで。ちっとばかし訓練つけてくれね? 運動とか全くしてないから体力ないけど」

 

「おう、承った。ガンガン鍛えてやるから覚悟しろよ?」

 

「…やっぱやめます☆」

 

「おう、待ちやがれ」

 

「あぁああああ助けてぇえええええ!!」

 

 嫌な予感を感じ脱兎のごとく全力で出口に逃走するもガシッと襟首を捕まれそのまま訓練所に引きずられていった。

 

 

「さて、それじゃあ始める前に使う武器を決めるか、何使うつもりだ?」

 

「非力な俺では振るえるのがアゾット剣しかないんだなこれが…」

 

「…これから毎日限界まで筋トレな」

 

「何それめっちゃ嫌だ…」

 

 だがまあ文句も言ってられまい、少なくとも黒鍵を振り回せるくらいには筋肉をつけなければ。

 そう意気込み早速腕立て伏せを開始する。

 

「一、二、三、四、五、六、な、な、は…ち、きゅ…う、じゅ…ギブ」

 

「いやギブアップ早すぎだろ!? もっと根性見せやがれ!?」

 

 いや本当にこれ以上は無理っす…いくらピッチピチの十七歳だって言ってもまともな運動なんて学校の体育くらいである。部活? そんなもん入っていたわけがないだろう。

 しかし無理だと言う俺の脇腹をランサーがガスガス蹴ってくるもんだから根性でまた腕立て伏せを開始する。

 

「よしよし、少しは根性あるじゃねーか」

 

「あったりまえよ…! これでも男だからな! 一、二、三、よ…ギブ」

 

「おぃいいいいいい!」

 

 くっ、既に腕が限界だと悲鳴を上げてやがる…!だがそんな時は腕立てをやめて腹筋をやれば良いのだ。

 

「てことで今度は腹筋をやろうと思う」

 

「足は押さえててやるよ」

 

「さんきゅー」

 

 仰向けになり足を押さえてもらい、少しだけ深呼吸。

 

「よし、行くぞ! 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二、十さ…ん、じゅ…よ、ん、十…ギブ」

 

 頭の後ろに組んでいた手をほどき勢いよく落下、頭を思い切り床に打ち付け悶絶していたらランサーが大きくため息を吐いた。

 やめて、そんなマジでこいつどうしよう…みたいな目で俺を見ないであげて…

 

「取り合えずだ、これからは毎日魔術の訓練終わった後は体づくりするぞ。そんなんじゃこの先何かあった時対応できねぇ…」

 

「ええぇぇ…めっちゃ嫌だ」

 

「文句言ってる場合じゃねーだろ…これからも毎度毎度戦地に行くことになるんだからよ」

 

「っく…反論できぬ…」

 

「ま、諦めて素直に従うんだな」

 

「…なるべく優しい教導をお願いしたい」

 

「そいつは無理ってやつだ、諦めろ」

 

 せめて、優しく死にそうな思いにならないような訓練なら…という俺の願いはランサーの満面の笑みにて粉々にされた。

 

 

 その日からカルデアでは毎日悲鳴と怒号が響くようになったとかなんとか。

 

 

 

 

 

―キャスターとの関係―

 

 

 カルデアのある一室、窓は無く床も壁も真っ白な部屋に一組の男女がいた。

 

 男―十時―は席につき、机に置かれた魔術鉱石に手を当て集中して魔力を注ぎ込んでいる。

 

 もう一人は紫や藍の色で統一された、如何にも魔術師のようなローブを羽織り薄い藍色のロングの髪をたらし、そこからエルフの耳を覗かせている妙齢...うん、妙齢の女性。

 こちらも真剣な表情で男の様子を見ていた。

 

 それから数分程経った時、轟音と共に魔術鉱石が爆散した。

 

「つっうおおおおお、くそいってぇ…破片刺さったがな…」

 

「はぁあ…あなたはどうして最後であんなにいきなり魔力を込めるのよ…」

 

「いやあと少しで完成するぜ、って思ったら気が抜けちゃって…」

 

 たははーと苦笑いしながらそう言うとため息が返ってくる。何か最近英霊たちからため息吐かれてばっかりな気がするのは気のせいだろうか。

 

「ま、まあ最初よりは上達してるし? そもそも俺の得意魔法は宝石魔法じゃないし?」

 

 そもそも俺の起源はこういうの不向きだし? そう言うとまたもやため息。

 

「だからと言ってそれだけやっても仕方ないでしょう、折角それなりの才能を幾つか持ってるんだから…」

 

 そうして本日三度目のため息を吐いてこちらを見てくる女性―ギリシャ神話、アルゴナウタイの冒険を成功に導いたといわれるコルキスの王女、裏切り者の魔女メディア。

 そんな人物…英霊に魔術を教えてもらうなんて最近までパンピーやって俺からすれば全然ありがたみがないが魔術師からすればものすごい贅沢なんだろうなぁ、と思うと同時にここまで一生懸命俺のことを考えてくれることに感謝する。

 

「それに私の弟子がお情け程度の魔術しか使えないとかプライド的に許しがたいわ」

 

「あ、そういう」

 

全然俺のためじゃなかったでござる(´・ω・`)

 

「あ、そうだよ、聞きたいことがあったんだった。魔術に概念礼装って使える?」

 

「概念礼装?」

 

「うん、ルーンストーンとか魔導書が山になってんだよね」

 

「なるほどね…」

 

そう言うとメディアは目を閉じ考えるそぶりをした後にゆっくりと口を開く。

 

「使えないことはない…いえ、むしろ上手く扱えたら強力なものになるわ」

 

「おぉ!」

 

 俺の考えも捨てたものではないな! それにようやくごみ処理…概念礼装に日の目を浴びさせることができる。

 

「ただし、それで強くなったとしても所詮道具頼りのもの。これからも訓練は続けるわよ?」

 

「当たり前! これからもよろしくな」

 

「ええ、それじゃあまずは使う礼装持ってきてちょうだい」

 

「ん、持ってきてるよ、ほら」

 

そう言いながら取り出したのはルーンストーンと魔導書、どちらも何度も俺を絶望に叩き落した代物である。

 

「これは…加護と護法のルーンに爆発系の魔導書ね、丁度いいのを持ってきたじゃない」

 

「まあ山に適当に手突っ込んで取ってきたやつなんだけどな」

 

「あなたね…まあいいわ、取り合えず一回これで魔術を使ってみなさい」

 

「了解」

 

 こちらに向かって放られたルーンストーンをうまくキャッチして魔術を発動させるべくまずは魔術回路を生成。

 体中に作られたのを実感した後にルーン魔術を発動すべく魔力を流し込んでいく。

 ルーン魔術は基本文字を何かに刻み付けて発動する魔術、今回は石に刻まれているから俺は発動させるだけ、そして発動させるには言葉が必要なのだがここでルーン魔術の面白さが発揮される。

 ルーン魔術は発動のきっかけと文字さえあれば扱うことができるがその効果は術者の解釈自体で効果や範囲が大きく変わってくるものらしい。

 だから今から発動させる守護系の魔術も俺の解釈によって色々と変わってくるわけだ、例えばただの障壁ではなく病気から守ってみせたり、相手に自動で反撃ささったり、といった具合にである。

 と、ごちゃごちゃ考えてないでそろそろやるか…

 

「すぅ…アルジズ!」

 

 体から魔力が少しだけ抜けていくのと同時に石が光り輝き、俺を中心に全方向へ向けて緑色の障壁が張られ、俺自身を緑色の光が包み込んだ。

 

「おおお…なんぞこれ、かっけぇ…」

 

「上手く発動できたみたいね、まあ、かなりお粗末ではあるけれども」

 

「少しくらいほめてくれても良いんじゃないのかな…」

 

 しかしそんな俺の抗議は相手にされず、

 

「そろそろ実戦形式にも入ろうと思っていたところだし、今度からはトレーニングルームで訓練をするから、忘れないでね」

 

「おお、ついに眠たくなるような座学から脱出! テンション上がるぜ!」

 

 

 

 しかし彼は知らなかった、トレーニングルームで訓練することになったことによりランサーに見つかり魔術と体力づくり、それを同時に行い毎日の運動量が1.5倍になり毎日死にかける羽目になることを…

 

 

 

 

 

―ライダーとの関係―

 

 

 人理継続保障機関・カルデア

 魔術だけでは見えない世界、科学だけでは測れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐために成立された特務機関。

 その本拠は標高何百メートルとも知らない誰にも知られていない山の山頂、常に豪雪に覆われ人の侵入を阻む場所にある。

 故に、その場所が第三者に知られることもなければ、もし敵対者に知られたとしても優秀な魔術師が揃っているため襲撃されても撃退するだけの力も持っていた。

 しかし、現在そのカルデアはほとんどの能力を失い、人員は8割以上を失っていた。

 全ての原因は実験の失敗。近いうちに人類が滅びるという結果を見た彼らは人類史の歪みを正すため、多数の魔術師を過去に送るという壮大な計画を打ち立て、後一歩のところで失敗した。

 失敗により起こった強烈な爆発によりその場にいたほぼ全ての者は死に伏し、残された者たちはほんの十数人という惨状。

 

 

 そんな状況ではまず外に出るものはおらず、暇があれば機械の修理に時間を費やしてるはず…なのだが現在そのカルデア本拠の周辺を二つの影が疾駆していた。

 

 

 

「お待ちください主殿ぉおおおお!」

 

「こっちくんじゃねえ首取り侍ぃいいい!!!」

 

 

 片や訓練の合間に何度も練習しようやく乗りこなせるようになったバイク―概念礼装、モータードキュイラッシェを爆走させる十時。

 片やライダーとして現界したサーヴァント、完全に服装が痴女な牛若丸。

 

 何故この二人が追いかけっこをしているか? それは至極簡単。サーヴァントが圧倒的に少ないカルデアではどこの人理の歪みを正しに行くにも一定のメンバーになる。

 従って骸骨兵や屍兵、影サーヴァントどもと戦うのも一定のメンバーになるわけである。

 そうすると自然とサーヴァントたちとコミュニケーションを取ることにもなり、仲良くなっていくわけだが、牛若丸の場合は少し違った。いや、仲良くはなった、少なくとも仲良くしたいです、絶対に裏切りませんアイアム忠犬と言わんばかりに接してくるのではあるが、友好度が上がるたびに牛若丸、敵の首を持ってくるのである。「主殿! 敵将の首級です!」じゃねーよ! このご時世に敵さんの生首とかいらねーから! お前が強いのは分かったから! だからそれどっかにポイして! おいやめろ、にこやかにそれを押し付けてくるんじゃない、いややめて、お願いだからやめて、ほら、生首さんが恨めし気に俺をにらんでるからぁあああああ!

 

 と、そんな感じのことが続き苦手意識を持った俺は牛若丸をナチュラルに避けるようにして生活してきたのだが、今日のお昼頃何を思ったのか大量の屍兵の生首を網に入れて持ってきやがったのだ。

 当然のごとく俺は脱走。網を持ったまま追いかけてくる牛若丸。

 完全にホラーである。

 しばし走った後にこれは逃げきれないと確信した俺は礼装置き場に逃げ込み目くらましの魔術を連発。その隙にモータードキュイラッシェに乗り込みエンジンを吹かせ未だ雪降るカルデア外に逃げ出したのだが、「あ、鬼ごっこですね! ならば僭越ながら鬼役務めさせて頂きます! では!」とか言いだしたあいつは自分の愛馬―太夫黒―を召喚し追跡してきやがったのだ。

 

 

「だからこっちに来るんじゃねぇええええ」

 

「おお! なんと見事なドリフト! しかしそれでは私に捕まってしまいますぞ? 主殿!」

 

「お前は少しでいいから人の話を聞こうか!!」

 

 碌に整備されていない山道を力任せに突っ走るが距離は離されることなく一定の距離を保ち続けられる。

 彼女の背後でグワングワンと揺れる生首たち(髑髏含む)が恐怖感を煽り更にスピードを上げるべく魔力を全開で流し込み馬力を上げる。

 しかしそれでも距離が開くことはないという事実に涙がこぼれそうになった。

 

「もういいから! せめてこっち来るならそれ捨てろぉおお!!」

 

「それ…とは?」

 

「それはそれだよ! その背後でガチャガチャいってるそれ!」

 

「し、しかしこれは主殿への手土産で…!」

 

「いらんわぁあああ!」

 

 

 この後数時間の間鬼ごっこし続けたとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 ―以上、カルデアに現存する全サーヴァントたちとの関係―

 

 

 「マシュ? あれは俺の唯一の癒しだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話から本格的に人理修復し始めるから…礼装使うから…


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フランスにて

ガチャ引いても引いても礼装しか出ない今日このごろ。


 

 1431年 フランス

 

 俗に、百年戦争と言われる争いが起こっていた時期。そんな時代に俺たちはレイシフト―簡単に言えばタイムトラベルをした。

 いや別に訓練から逃げ出したとかでもなく牛若丸から逃げ出してきたわけではない。これは俺のカルデアでの唯一の存在価値にして、使命。

 すなわち、人理定礎の復元である。

 今回は過去のフランスで歪みが発生し、特異点が出来上がってるってことで来たのだが

 

「何か空に巨大な光の輪が浮かんでるんだけど」

 

「現状ではまだわかりませんね、ここはドクターの言う通りに霊脈を目指しましょう」

 

「ん、そうだな」

 

 そうして晴天の下ナビゲートに従い霊脈に向かって歩き始める。

 道中で疲れ切った兵士たちと交戦したりもしたがこちとら英霊×3+デミサーヴァント+魔術師(素人)である。

 一瞬にして終わってしまった戦闘。殺してはいないが立つこともできないほどに痛めつけた兵士たちに話を聞くとなんと、シャルル王があのジャンヌダルクに焼かれ、殺されてしまい、今では竜の魔女として名を馳せているとかなんとか。

 この話が本当だとするとおかしい。ジャンヌダルクは火刑によって死んでしまったはずだし、そのジャンヌダルクにシャルル7世が殺されたなんて歴史と違いすぎる。この前まで高校生やってたんだ、ちょうど社会でやってたし覚えてる覚えてる。

 しかし不思議だ。歴史によればジャンヌダルクは聖女として崇め奉られほどの聖人なのだ。そんな人物がそんなことをするだろうか、いやそれ以前に処刑されたはずなのに活動してる時点でおかしい。つまりこれは英霊と化したジャンヌダルクによるものなのだと推測できる。

 だがそもそも英霊となったとしても彼女がそんなことをするのだろうか、逸話によって善・悪・混沌を決められる召還システムによって召還されたのならば、彼女は少なくとも善。それもクラスでいえば一番あてはまるのはルーラーってところだ。もしかしたらバーサーカーってことも考えられるが…うーむ、良く分からんな。霊脈を確保した後はジャンヌダルク探しだな。これが今回の特異点の原因だろうし。

 

 あまり出来のよろしくない頭でうんうんと唸りながら考えていると不意に体を引っ張られる。

 

「うぉお!? 何だ何だ?」

 

「呆けてんじゃねえぞ、敵襲だ。それもアホみてぇに数が多い、援護頼んだぜ」

 

 そう言ったランサーは愛槍ゲイボルグを持ち、前方にいる骸骨兵たちに突撃していき、それに続くように牛若丸とメディア、マシュも戦線に加わっていった。

 

「牛若丸と、覚えてもらおう!」

 

「ここで消えてしまいなさい」

 

「武装完了…行きます!」

 

 血のような朱の槍が、光を反射する白い刀が、巨大な十字の盾が振るわれる度に何体もの骸骨兵が地に還り、緑の魔弾が飛ぶたびにその体を粉々にしていった。

そんな四人を援護するように俺はルーン魔術で時には燃やし、時には凍らせ、時には動きを封じていく。

 

「何とかなりそうだな…」

 

 視界一杯に広がっていた骸骨兵たちがみるみる減っていくのを確認して確信したその時、猛烈な悪寒が体中を包み込む。

 勢いよく上空を見るとそこには、緑の鱗をまとい悠然と、しかし勢い良くこちらにやってくるドラゴン…いや、ワイバーン。それも数えるのもアホらしくなるほどの大軍。

 

「くそったれかよ…」

 

 悪態をつきながら懐から取り出すはメモ帳サイズの分厚い札の束。

 それの内一枚を持ち、ワイバーンたちの先頭に向けて魔力を流し込む。

 

「ガンド!」

 

 叫ぶと同時に札から撃ち放たれた赤黒い魔弾はワイバーンの腹に直撃、そのまま貫通してみせた。

 

 本来のガンドという魔術の威力にしてはあり得ない威力。もちろん、俺の技術や魔力量はほとんど関係していない。皆ダイスキー概念礼装の力である。

 概念礼装として呼び出されたガンドの術式が刻まれたそれは現代の魔術と比べて破格の威力を誇っていた。いや、そもそも概念礼装として呼び出された時点で現代のものと比べるのすらおこがましい程のステータスを持っていた。

 それこそ、竜種の強靭な鱗、肉体を貫き通してしまうほどに。

結論、概念礼装パない。

 

「上空から敵襲! 数は分からん、とにかく多い! 後多分ワイバーン!」

 

『了解!』

 

 骸骨兵どもを蹴散らし切った皆がそろって空を見上げ顔をしかめつつもしっかりと返事をしてくれる。

 

 相手は空を駆る竜の軍勢。それだけで攻撃しにくいことこの上ない。こりゃ苦戦するかなぁ、と思ったのも束の間。

 

 本日のお天気は晴れ時々ワイバーンです♪といわんばかりにワイバーンが落ちてくる落ちてくる。血まみれで。ふと空を見れば竜の背を駆け首を切り落としていくランサーとライダー。

 地上から魔弾でワイバーンを穴だらけにしていくメディア。落ちてくる死骸から俺を守ってくれるマシュ。そしてできる限り全力でガンドを撃つ俺。

 再結論、英霊パない。

 

 と、そんな勢いでガンガンと倒していくがいかんせん数が多い。その上援軍のように追加されていくのだからどうしても攻勢に出させてしまう。

 何頭ものワイバーンが大きく口を開いた。

 ギラリと光を反射する牙が並んだ口の奥からは炎熱の塊

 しばしため込まれた後にそれは大気を舐り尽くすように放たれた。

 

「しまっ――」

 

 こいつはまずい、そう思った時暖かな光が体を包み込み、己を焼き尽くすはずの炎を避けた。

 

「お怪我はありませんか!?」

 

 炎の向こうから現れたのは、金の髪を背中で束ね、紫の装束でその手には雄大な旗を持った一人の女性。

 

「私はジャンヌダルク、説明は後にしてまずはあれを撃退しましょう!」

 

「は? へ、あーうん、了解?」

 

 ぶっちゃけ思いっきり混乱している。これがジャンヌダルク? シャルル7世を焼き殺し、魔女とすら呼ばれている女性? まさかまさか、この英霊がそんな存在であるわけがない、いやでももしかしたら――

 考え始めたら止まらない思考、それを無理やり停止させ魔術にのみ思考を傾ける。

 

 無心にしてガンドを放ち続けること十数分、空を覆うものは雲だけとなったころにようやく息をつくことができた。

 

「んで? あんたは一体何者なんだ? 噂の魔女とも思えない」

 

「…はい、私は確かにジャンヌダルク。ですが魔女と言われてる彼女とは別の存在…なのだと思います、少なくとも、私が現界した時には既にその噂が広まっていました」

 

「ふぅん…なるほどね、取りあえずは信じるとする。ただ、悪いけど信用するにも材料が足りないから少なくとももう一人のジャンヌダルクを見つけるまでは一緒に行動してほしい」

 

「分かりました、ですがその前にあなた達のことも聞きたいです」

 

「ああ、そりゃもちろん…てか勝手に進めちゃったけど良かった?」

 

「おう、俺は問題ねぇと思うぜ」

 

「私も、主殿がお決めになったことに従います」

 

「私も特に異論はないわね」

 

「私も同意見です、先輩」

 

「それなら良かった」

「そんじゃ、まずはこっちの事情説明からだな、まず俺たちは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界を救うために人理を修復すべく過去へ…何とも不思議な話ですね」

 

「やっぱ信じられない?」

 

「いえ、貴方の言うことに嘘はないと私は感じます、最初の予定通り共に行きましょう」

 

「ああ、良かった。それじゃこれからしばらくよろしくな、ジャンヌ」

 

「ええ、よろしくお願いします、十時」

 

「そんじゃまずは霊脈確保行くかぁ」

 

そうしてナビに従い歩き続けて一時間、霊脈であるジュラ―ではなく、その手前にある街ラ・シャリテが見えてきたところで違和感を感じる。

 

「街から火が出てる…?」

 

「もしかしてっ」

 

 全員が顔を見合わせ頷き合うと同時にその場から駆け出す。目的地はもちろんラ・シャリテ。

 ようやくついた街の惨状は、無惨の一言に尽きた。

 倒壊した建物、未だ燃え続ける植物、住民であったであろう屍兵たち。

 

 そして、竜に乗りこちらを見下す5騎の英霊たち。

 

 

「――なんて、こと。こんなことが起こるなんて」

「ねぇ、誰か私の頭に水をかけてちょうだい」

「だってそれぐらいしないと、あまりに滑稽で笑い死んでしまいそう!」

 

 先頭にいた、ジャンヌによく似た英霊、いやジャンヌをそのまま黒くしたような…強いて言うなら闇落ちジャンヌとでも言うべき存在が嘲笑とともに嘲りの声を上げた。

 

「あなたは、あなたは一体誰なんです!?」

 

「あら、分からないの? 私はジャンヌダルク、火にかけられた後にまたこの地に蘇った竜の魔女」

 

「な、なぜこんな馬鹿なことを…」

 

「馬鹿なこと、ですって? そんなこともわからないのですか私!」

「国のため、人のために立ち上がりフランスに勝利をもたらしたにも関わらず!」

「信じた者たちに無惨に裏切られ!」

「最後には異端として処刑された!」

「そんな国を信じ真っ当に救おうとしたことの方が馬鹿なことだったのよ!」

「だから、私は全ての人を殺し、この国を死者の国とする。それが私の救国」

 

 その言葉は全て間違いなくジャンヌダルクの本心だったのだろう。

 国に裏切られ、民に裏切られた彼女の真の心の内だったのだろう。

 故に、それを聞いたジャンヌは否定することもできずに呆然とその場に立ちつくしてしまった。

 そんなジャンヌを見て、黒に染まったジャンヌは口を開く。

 

「やはり、あなたは私ではない、ジャンヌダルクではなく私が捨て去った過去。私の搾りかす。もういいわ」

「バーサーク・アサシン、バーサーク・ランサー、好きなだけ、存分に貪り尽くしてしまいなさい」

 

 それを聞くや否や、背後から二騎の英霊が俺たちの前に降り立った。

 

「わたくしは血と肉体をいただきますわ」

 

「ならば吾輩は魂をいただこう」

 

 短く言葉を交わしこちらをにらむ二騎の英霊。

 

「では、行くぞ!」

 

「先輩! 皆さん! 来ます!」

 マシュが叫ぶと同時に黒の装束に身を包んだ白髪の男はその手に長槍を持ちこちらに飛び込んでくる。

 

「ランサー!」

 

「おう!」

 

 それをランサー、クー・フーリンが受け止める。互いの武器がぶつかり合い激しい金属音が空間を揺らす。

 繊細さを失っているものの強烈にして激烈な勢いで攻め立ててくるバーサーク・ランサーとまるで鞭でも扱っているかのように縦横無尽に槍を振るうランサー。

 どちらも俺の目では追いきれないほどの速さで行われる戦闘は熾烈の一言に尽きた。

 

「あら、私を忘れてもらっては困るわよ?」

 

 狂気に染まりながらも美しさを感じられる声が鼓膜を揺らすと同時に緑の魔弾が眼前で爆発した。

 

「っつ…メディア! あれの相手頼めるか!?」

 

「えぇ、任せなさい」

 

 瞬間弾ける色とりどりの魔弾。それは二人の間を凄まじい速さで行き交った。

 バーサーカーとして呼び出され狂化したアサシンのステータスは本来のものよりも上となっており、それ故に荒々しく攻め立ててくる。

 しかしメディアは魔法に等しいとすら言われる魔術を扱う稀代の魔術師。守りに徹していながらも決して押されているわけではなく、完璧に対応してみせていた。

 

 

 

 

「マシュとジャンヌはいつでも宝具を使えるように準備しておいてくれ、牛若丸、残り叩くぞ」

 

「了解です、主殿」

 

「な、先輩!? ダメです前に出てはいけません!?」

 

「大丈夫だって、俺にはとっておきがあるから」

 

 ニヤリと笑ってそう返しながらも懐から数枚のカードを取り出す。

 それを上空に放り言霊を唱える。

 

「信仰こそ人の証し、忘れ去られた神秘をこの手に、水月に届けこの一撃、我これに悔いを残さん」

 

 瞬間それは光を放ち俺の体を包み込む。

 

 概念礼装 鋼の鍛錬

 概念礼装 コードキャスト

 概念礼装 一の太刀

 概念礼装 騎士の矜持

 カードとなった概念は今ここに顕現する。

 それは光に姿を変え持ち主に人ならざる力を与える。

 その光は肉体を人の限界以上にまで押し上げ、運命すら捻じ曲げる必中の一撃を与え、敵対する者の綻びを見抜く力を与える。

 気づけば光は形となりその手に木刀として具現化していた。

 

「さて、と高みの見物してないで俺ともあっそびっましょー!」

 

 英霊にすら匹敵する速さで黒いジャンヌに迫り勢いよく木刀を振り下ろす。

 瞬間、二人の間に入る人影。それは鞘から引き抜いた剣で受け止めて見せた。

 激しい音を響かせながら互いに距離を取り合う。

 

「あんたの名前は?」

 

「私はバーサーク・セイバー、シュバリエ・デオンだ。君たちとは敵対したくないのだがね、体が言うことを聞かない」

 

「そっか、そんじゃさっさと叩き潰して楽にしてやんよ」

 

「出来るものなら、そうしてくれ」

 

 男とも女ともとれる容姿をした英霊の言葉を皮切りに凄まじい剣戟が始まった。

 上下左右、あらゆる方向から放つ俺の攻撃をデオンは何ともないように受け流していく。

 概念礼装によって限界以上まで強化された肉体が悲鳴を上げるほどの速さで全身を扱う。空間を穿つ勢いで放たれた突きも、音すら置き去りにする斬り込みも全て受け流されていく、しかし受け流されるだけ、である。そう、デオンはわざと防御に徹しているのではない。守勢に出ざるを得ないのである。それほどまでに礼装に刻み込まれた魂は、俺の全てを跳ね上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、では私の相手はおぬしか」

 

「あら、野蛮なお方ですね、でもそうね、私を止めてくれるならその方がありがたいわ」

 

「ああ、すぐに息の根ごと止めてみせよう、我が名は牛若丸。そちの名はなんという」

 

「ええ、私はベタニアのマルタ、これでも竜を治めた聖女です」

 

「あい分かった。その名覚えておこう、では!」

 

 瞬間二人は同時に飛び込みぶつかり合う。

 片や日本屈指の大英雄、知らぬものの方が少ないとすら言える知名度を誇る牛若丸、またの名を源義経。

 片やバーサーク・ライダーとして呼び出されていながらも自我を保ち、狂化に抗うことのできる悪竜タラスク鎮めたといわれる聖女マルタ。

 

 白く光る刀と十字の杖がぶつかり合いその場を激しく揺るがした。

 自らの手足のように振るわれる十字の杖、それは一撃一撃に信じられないほどの破壊力が込められている上に自然に織り込まれてくる激しい拳や蹴撃に不覚にも牛若丸は攻勢を許してしまっていた。

 

「っく、お主本当に聖女か!? どう考えても戦い方がヤンキーだぞ!」

 

「あなたは本当に失礼な方ですね!?」

 

 

 

 

  それぞれの戦いは、始まったばかり―

 

 

 

 

 

 

 




王妃とか音楽家の出番を奪っていくスタイル。


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対英霊戦

今回もまた全力で捏造。


 

―聖杯戦争

 それは万物の願いを叶える「聖杯」と呼ばれる聖遺物を奪い合う争いである。

 聖杯を求める7人のマスター、そしてその彼らと契約した7騎のサーヴァントが聖杯を得るため競い合う。

 他の6組が排除された結果、最後に残った1組のみが聖杯を手にすることができ、願いを叶える権利を得る。

 

 この戦争で一番重要になってくるのはマスターの素質もそうだが、やはり呼び出されたサーヴァントの質であろう。

 例えばステータスが平均C程度のサーヴァントが平均Aのサーヴァントに真っ向から挑み勝利するのは難しく、一発逆転の宝具か搦手でどうにかするしかない。

 逆に平均Aのサーヴァントはよほどのモノでなければ平均Cのサーヴァントを返り討ちにできてしまう。

 それはマスターが優秀だろうがそうでなかろうがあまり関係はない。

 

 しかし、カルデアの召還システムはそれがあまり関係してこない。

 正確には、ステータスがあまり意味をなさない、といったところか。

 本来、サーヴァントを召喚する際に必要とするのは聖杯の魔力であり、聖杯とは英霊の座と呼ばれるものから呼び出される英霊にクラスというものを用意し現界させる。

 

 しかしカルデアの召還システムは聖杯の魔力を使わずカルデアにある莫大な魔力を運用し、下りてくる英霊にクラスの他にランダムに器を用意する。

 この器というものは簡単に言うならばレア度であり、それは1から5までのランクに振り分けられる。

 つまり用意された器が大きければ大きい程その英霊はかなりの高性能で動くことが出来るし、また用意された器が小さければ小さい程振るえる能力は低い。

 簡単に説明するならば、レア度5で召喚され、ステータスが平均Cのサーヴァントとレア度1で召喚され、ステータスが平均Aのサーヴァントがいるとする。

 この二人が真っ向からぶつかり合ったとしたらほぼ100%レア度5のサーヴァントが勝利してしまうわけだ。

 つまり、今回の聖杯戦争で一番重要になってくるのはステータスではなく器ということである。

 もちろん、同じレア度となってくればまた話は変わってくるが。

 

 そして現在俺が契約しているサーヴァントたちの全てがレア度3であり、従って彼らの逸話や知名度に反してそこまで戦力は高くはない。

 

 

 体のあちこちに傷を負い、既に行動の八割方が防御と回避に回されているランサーことクー・フーリン。

 纏っていたローブは既に穴だらけ、完全に防御に回ってしまっているキャスターことメディア。

 苦悶の表情に満ち、相手の動きに何とかついていくことしかできないライダーこと牛若丸。

  

 狙ったかのようにレア度が4以上で構成された相手のサーヴァントにこちらの戦線は崩壊させられつつあった。

 

 もう終わりだぁ…そう思う方もいるかもしれない、だがしかしお忘れではないだろうか。

 カルデアの召還システムから呼び出されるのは何もサーヴァントだけではないことを。

 むしろ八割方の確率で呼び出されるアレが、俺の生命線とも言えるものが存在するということを。

 ―そう、概念礼装。

 この概念礼装にはクラスはないが器…レア度は存在する。そしてクラスの代わりにあらゆる能力が備わっている。

 攻撃力を上げる、体力を上げる、特定のクラスのサーヴァントへの特攻性能etcetc…

 

 そして俺はその礼装を現在ほぼ全てコンプリートしている。

 その中には当然レア度が5のものもあるわけで、敵を殲滅しろと命令された体を精神力だけで抗うことによって中途半端-それでも人の身からしたら凄まじい攻撃だが―な攻撃しか出来ない相手の前で新たな礼装を装着するのは容易なことで。

 

 概念礼装 リミテッド/ゼロオーバー

 概念礼装 イマジナリ・アラウンド

 概念礼装 フォーマルクラフト

 

 収斂こそ理想の証。剣を鍛えよ己を燃やせ。

 空想こそ自由の証。影の虚数よ風になりて疾く駆けよ。

 基本こそ最優の証。五大よ優雅にして華麗に舞え。

 

 最高の魂が込められた概念は最大の器を持ち顕現した。

 過去の英雄に、名を馳せ人を超えた者にその力強さを、誉れ高さを示した。

 それに込められし魂を借り受けた青年は遂に人の身にして人ならざるものを凌駕して見せた。

 

 白光に包まれた腕が空間そのものを突き破らんという勢いで突きを放つ。

 それをデオンは紙一重でかわし、次の瞬間振り上げられた木刀に大きく打ち上げられた。

 空中にて何とか態勢を整えようとしてももう遅い。全身を隈なく強化された俺の足は地を蹴れば空高く舞うことができる。

 光が弧を描き、木刀がデオンに迫る。英霊であるだけあって素早く反応しガードをしようとするが間に合わない。

 サーベルの切っ先を砕き胴体のど真ん中にぶち当てられたそれは軽々と肉を抉り、骨を砕いた。

 駆け抜ける痛みを感じる間もなく地に激突、それと同時に木刀はデオンの胸を貫いた。

 

 

 「…敗北だ。これで我が身の呪いも解ける。あなた達に感謝を―」

 

 「…次はしっかりとセイバーで呼んでやるからな」

 

 「ああ、その時はこの身を剣とし、盾としあなたを守り通してみせよう」

 

 「おう、そんときゃよろしくな」

 

 

 その言葉に笑みを作り肯定を示しながらシュバリエ・デオンは金の霞となりて、霧のように霧散した。

 それが消え去るまでじっと見つめた後に先ほどまで闇堕ちジャンヌがいたところを見ると何もおらず、自分の城へ帰ったと判断する。

そして次に未だ戦ってるであろう皆を見るとそこでは次々とやってくるワイバーンをたった二人で、しかし危なげなく相手取るジャンヌとマシュが、そしてその奥では満身創痍の状態でしかし粘り強く戦い続ける三騎の英霊がいた。

 

それを目視すると同時に俺は新たな礼装を取り出した――

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

裏切りの魔女メディア。

そう呼ばれ畏怖される英霊、神秘が色濃い時代を生きていたにも関わらず魔法に等しい魔術を扱うとすら言われた超天才魔術師。

そんな彼女は現在衣服どころかその体までもがボロボロの状態で、圧倒的に攻め立てるどころか逆に圧倒されていた。

もし、これが本来の聖杯戦争だったならばここまでワンサイドゲームにはなっていなかっただろう、むしろ彼女が圧倒的勝利を収めていたかもしれない。

しかし現実にIFなんてものは存在しない。もしかしたら、何て幻想はどこまでも幻想でしかないのだから。

カルデア式召還システムによってできてしまった用意される器の大きさがランダムであるという弊害。本来の力を発揮できなというデメリットがこの戦いにおいて圧倒的な不利を作り上げていた。

 

「あははははっ! 死になさい!」

 

「くっ…」

 

バーサーク・アサシン。しかし彼女は狂化していなくても元からこうなのではないか、そう思わせるほど激烈な性格をした彼女の攻撃の一つ一つが私を少しずつ追い詰めていく。

本来の私にとってはお粗末なものでしかない魔弾も今のこの身の能力では全力の防壁ですら一、二撃で破壊されてしまう。

本来ならば一振りで消し炭にすることすら可能な攻撃や相手の防壁破れないことに焦りを通り越しいらだちが込み上げてくるのを必死に抑え冷静にしかし全力で対応していく。

しかしそれも既に限界が近かった。何とか上手く対処していくも火力に圧倒されてしまう。

荒くなっていく息を整えることすらできない、息をつく間もなく放たれる連撃に何とか対処するのが精一杯である。

全く何て様だ。情けなくて涙が出てくる。マスターでもありながら弟子でもある青年の顔を思い浮かべ、自嘲する。

 

不意に、迫ってくる魔弾が途切れた。

一体何が、そう思うがそれを好機と見て魔弾を全力掃射するもアサシンにはあまりダメージが入らない。満身創痍であるこの身が放つ魔弾の軌道など読みやすかったに違いない。

 それを見て思わず歯ぎしりする私を彼女は高らかに嘲笑った。

 

 「あっははははは! 無様、無様ねぇ、魔術師! 私に歯向かうからそうなるのよ!」

 「でも、その心意気だけは買ってあげる。…だから、あなたの最後は華々しく、真っ赤に染め上げて散らしてあげる!」 

 『全ては幻想の血―』

 

 これはまずい。甲高い嘲笑と共に急激に高まり濃くなっていく魔力に全身の毛が総立ち頭がガンガンと警報を鳴らす。あれを喰らってしまったら流石に再起不能、座に還らざるを得なくなってしまうだろう。

 そうなってしまってはギリギリのところで保っている戦線は完全に崩壊してしまうのはおろか、ただでさえサーヴァントが全然応えてくれないあの子がマスターなのだ、しばらくは他の二騎とデミサーヴァントと礼装だけで戦うことになってしまうだろう。

 

 『けれど少女はこの箱に―』

 

 しかし今の私にそれに抗うだけの力がない。同じように宝具を放てばよいかと思うかもしれないが現在使えるのは『破戒すべき全ての符』しかない。

 これでは真っ当に受けることすら叶わない、これは詰んだか。

 ある種の諦観を抱きつつも今の自分にできる全力で抗おう、そう思い魔弾を装填した直後。

 

 『幻想の鉄処―グボラァッッ!!?」

 

 彼女は白光を纏い駆け抜ける巨大な鉄の塊に吹き飛ばされていき、

 

 「あ、やべ。思いっきりミスった…ま、でも結果オーライってことでオッケーオッケー…!」

 

 鉄の塊―バイクに跨った色々と手を焼かせてくれる愛弟子が不安そうな顔をしてそこに現れた。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 カルデアの召還システムは聖杯による召還に比べて完璧ではない。

 これは俺だけでなくカルデア職員やサーヴァントたちも同じ見解を持っている。

 それは別に器が用意されることではない、問題なのは召喚されたサーヴァントの力が最初は限界まで封印されているということだ。

 つまり召喚されたサーヴァントは格が、分かりやすく言うならばレベルが最低値なのだ。

 そしてその格を、レベルを上げるには種火と呼ばれる霊的物質が必要になってくる。

 これを吸収することによて彼ら彼女らは格を高める、いや、格を元に戻すことが可能なのだがこれまた一気に大量に得られるようなものではない。

 更に、サーヴァントたちは四段階に分けて力を封じられている。

 そしてその封印を解放―即ち霊基再臨をすることで本来の力に戻すことが可能なのだがそのためには蛮神の心臓やら竜の逆鱗やら、入手が難しい物が必要になってくる。

 そして現在契約しているサーヴァントで霊基再臨を出来ているのは牛若丸とクー・フーリンであり、それも一回だけだ。

 メディアに限っては少し前に召還したばかりでレベルすら高いとは言えない程度。

 

 

 そういった事情もあって俺はまずメディアの方へ向かうことを決め、モータードキュイラッシェを顕現させ、思いっきり魔力を流し込む。

 そうして勢いよく駆け出し、このままパワースライドかましてやんぜ、と思ったのはいいものの普通に失敗して側面に思いっきり突撃するという街中であれば顔真っ青になった事態を作り上げてしまった。

 まあでも結果的に宝具の発動をキャンセルできたし左側面の骨をぐっちゃぐちゃにするというナイスプレイが出来たし問題ないよね!! 体から金の霧が漏れ出てきてる辺り相当なダメージだった模様である。少しどころか目をそむけたくなるほどグロい姿だ。

 

 「ぐっ…かっは…!? 何故、あの程度のものでこんなにダメージが…!?」

 

 「ん? そりゃこれ概念礼装だもん。その気になればこれ何百キロでも出るんだぞ? そんなもんがまともに当たったらそうなるだろうよ」

 

 「く…っそ…!!」

 

 しかし彼女もまた一人の英霊。これほどのダメージを負ったとしてもまだ現界し続けるだけの精神力を備えていた。

 その手に持った禍々しい杖を地につき体を支える彼女はゆっくりとこちらに手を向け激情の声を上げる。

 

 「私は…私は! お前のようなものに―」

 

 しかし最後まで言い切らない内に色とりどりの閃光が彼女を彩る。

 それは彼女の顔を苦悶にゆがめるだけには収まらずそれは骨を、全身を砕き、血が流れ出る傷を更に深くしていく。

 杖を握る手が緩んでいき、全身からは金の霞が漏れていく。いや、全身が金の霞になっていく。

 体が限界を迎えているのだ。

 彼女が少しだけ顔を上げる。その顔は悲壮に満ちていた。

 

 「ああ、そう…やっぱり私は――生きても死んでも一人きりという訳ね」

 

 それは誰に向けた言葉だったのか。悲し気に、しかし虚ろな瞳をした彼女はそう言い残し風に溶けるように消えていった。

 

 

 




頑張ってゲームの設定を説明してみたけど凄い雑でしたね、はい。


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