戦姫絶唱シンフォギアGinga S&GX  (ベンジャー)
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1Eve 『ウルトラギンガ作戦第一号』

やっぱり、零無がビクトリーになりました。
ちなみにエタルガーはアレーナがいなくてみ自力でウルトラマンを鏡に封印できる能力を持っています。


惑星ジュラン……、そこは怪獣達と人間が暮らす平和な星……しかし、そんな平和な星に突如として謎の戦士……「時空の戦士エタルガー」と名乗る者がこの星の怪獣や人間たちを襲い始めたのだ。

 

無差別に攻撃を繰り返すエタルガーを止めるため、この世界の2人のウルトラマンはエタルガーへと戦いを挑むのだった……。

 

『シェア!!』

 

赤い姿の戦士……「ウルトラマンコスモス・コロナモード」はエタルガーに向けて蹴りを喰らわせ、怯んだところにさらにもう1人のウルトラマン……「ウルトラマンジャスティス・スタンダードモード」がエタルガーの胸部に向かって拳を放つが……エタルガーはそれを受け止め、ジャスティスの腹部にエタルガーは膝蹴りを叩き込む。

 

『グア!!?』

『ジャスティス!!』

 

さらにエタルガーはコスモスの首を掴み上げて持ち上げるとそのまま倒れ込んでいるジャスティスに向かって放り投げ、立ち上がろうとしたジャスティスはそのままコスモスとぶつかり、2人共々倒れ込んでしまう。

 

倒れ込んでいる2人に向かい、エタルガーは自分がこの世界に来る為に使用した空中浮く要塞……「時空城」から赤い光線を次々とコスモスとジャスティスに降り注がせる。

 

『『ウアアアア!!?』』

 

膝を突くコスモスとジャスティスだが……どうにか力を振り絞って立ち上がり、コスモスは両手にエネルギーを溜めて放つ「ネイバスター光線」を、ジャスティスは両手を前に突き出して放つ「ライトエフェクター」をエタルガーに向かって放ち……エタルガーは2人の光線の直撃をまともに受け、爆発したように見えたのだが……。

 

「フン!!」

『なに!?』

 

しかし、エタルガーは何事もなかったかのように平然とその場に立っており、エタルガーは不適に笑う。

 

「慈愛の戦士……ウルトラマンコスモス、宇宙正義の使い、ウルトラマンジャスティス……貴様等の攻撃はその程度か?」

『お前、一体なにが目的だ!?』

「私の目的はただ1つ、各世界のウルトラマンを9人封印すること……」

 

コスモスの問いに対し、エタルガーはそう答え、ジャスティスはなぜウルトラマンを封印するのかとエタルガーに問いかけるが……エタルガーは「これ以上答えるつもりはない」と言ってこれ以上のことは喋ろうとはしなかった。

 

「最も、各世界1つにつき、1人までしかウルトラマンは封印できんがな。 さて、それではトドメだ。 お前たち2人が最も恐れる宿敵を呼び出してくれよう」

『私たちが最も恐れる宿敵?』

 

するとどこからかどす黒いオーラのようなものが時空城よりも上空に向かって集まって行き、それが一カ所に集結するとそれは超巨大な機械兵器……「ファイナルリセッター ギガエンドラ」が姿を現したのだ。

 

『ギガエンドラ』

『ギガエンドラ……!? バカな!』

 

さらに、ギガエンドラだけではなく……。

 

『サンドロス』

『グローカービショップ』

 

 

「スペースリセッター グローカービショップ」と「異形生命体サンドロス」の2体が出現したのだ。

 

『グローカービショップに……』

『サンドロスまで……どうやら奴は、私たちが最も恐れる相手を実態として呼び出せるらしいな』

 

最初にサンドロスが念力でコスモスとジャスティスの動きを封じ、さらにそこからギガエンドラは目のような部分から放つ破壊光線「ギガズマスパート」、グローカービショップは頭部のモノアイから連続発射する光弾「ブレアビーム」をコスモスとジャスティスに同時に撃ち込んだ。

 

『『ウアアアアア!!!!?』』

 

直撃を喰らったコスモスはルナモードへと戻り、コスモスはジャスティス共々その場へと倒れ込んでしまう。

 

「さて、封印するウルトラマンは……コスモスにでもしておくか」

 

エタルガーは時空城を操り、時空城から放たれた光線をコスモスが受けるとコスモスは時空城に吸い込まれるようにその場から消え去った。

 

『コス……モス……! きさ、ま……コスモスを、どこへ……!?』

「安心しろ、死んではいない。 あの時空城の中にある鏡の中に封印しただけだ。 さて、もうここには用はない。 ついでだから貴様とこの星をあのギンガエンドラを使い木っ端微塵にしてくれる」

『なに……!?』

 

本物のギガエンドラには6本の腕から発射する消滅エネルギーと中央から発射する1000万度の高熱の「イレイザーボール」というものがある。

 

その攻撃はまさに星をも簡単に破壊してしまうという恐ろしいものであり、エタルガーは恐らくそれを使うつもりなのだ。

 

「偽物とはいえ、この星とお前を消し去るくらいは簡単だ」

 

それだけを言い残すとエタルガーは時空上へとジャンプして飛び乗り、上空に次の世界に行く為の巨大な穴を空ける。

 

どうやらエタルガーはギガエンドラがイレイザーボールを発射する前に次の次元に飛ぶつもりらしい。

 

だが……そんな時のことである。

 

『そうは行くかよ!!』

 

時空の壁を突き破り……銀色の鎧を纏った新たなウルトラマン……「ウルティメイトゼロ」が現れたのだ。

 

「ウルトラマンゼロ!?」

 

ゼロは時空城にいるエタルガーに向かって突き進み、右腕に装着された剣……「ウルティメイトゼロソード」をエタルガーに振るうがエタルガーはゼロの右腕を掴んでどうにか攻撃を封じた。

 

「フン、俺の相手をしている暇があるのか?」

『なんだと!?』

 

ゼロは一度エタルガーから離れると上空でエネルギーをチャージしているギガエンドラの存在に気づいた。

 

『チッ、確かに先ずはあいつをどうにかするしかねぇか』

 

ゼロはエタルガーを無視してギガエンドラの元へと飛び立とうとするが……それを阻止しようとサンドロスとグローカービショップが同時に強力な光線をゼロに向かって放ってきたのだ。

 

しかし、それに気づいたゼロはゼロソードで光線を切り裂く。

 

『クソッ、まだ敵がいんのかよ!』

 

そうこうとしている間にエタルガーは時空城と共に穴の中へと消え、次の世界へと旅立ってしまった。

 

『お前も、早く逃げろ……あれが撃たれたら終わりだ……』

『オイオイ、水臭いこと言うなよ。 同じウルトラマンだろ! 諦めるな!! 誰かが言ってたぜ、最後まで諦めず、不可能を可能にする……それがウルトラマンだってな! ここは俺に任せろ!』

 

ゼロはサンドロスとグローカービショップに向き直るとゼロの身体が突然黄金に輝きだす。

 

『本当の戦いは……ここからだ!!』

 

挿入歌「ULTRA FLY」

 

黄金の輝きが収まるとそこには黄金に輝く姿となった「シャイニングウルトラマンゼロ」が立っていた。

 

『シャイニングウルトラマンゼロ!!』

 

グローカービショップは破壊光線「ブレアビーム」、サンドロスは口から放つ火炎弾「ギガレントラッシュ」をゼロに向かって放つが……ゼロは頭部に装着されてある「ゼロスラッガー」を2本手に取り、それをグローカービショップとサンドロスの放った光線に向かって投げつける。

 

ゼロスラッガーは2体の光線を切り裂きながらそのまま本体であるサンドロスとグローカービショップの両腕を切り裂いて破壊する。

 

『シャイニングエメリウムスラッシュ!!』

 

ゼロスラッガーが戻って来るとゼロは左腕を伸ばした後、額のビームランプから放つ巨大な光線……「シャイニングエメリウムスラッシュ」をサンドロスとグローカービショップに同時に喰らわせると2体は上空へと大きく吹き飛ばされる。

 

『ウルティメイトゼロソード!!』

 

ゼロは右腕にウルティメイトゼロソードを出現させ、上空へと吹き飛ばされたサンドロスとグローカービショップに向かって飛行して高速で接近し、すれ違いざまにゼロソードで2体を真っ二つに切り裂き、切り裂かれたサンドロスとグローカービショップは火花を散らして爆発した。

 

『まずい、もう撃たれる!』

 

ジャスティスの言葉を聞き、ゼロはギガエンドラの方を見るとギガエンドラが丁度イレイザーボールを撃ったところだった。

 

『そうは……させるかぁ!!』

 

ゼロはゼロソードをウルティメイトイージスにし、巨大な弓矢型の「ファイナルウルティメイトゼロモード」へと変形させ、それをイレイザーボールに向かって構える。

 

ゼロはエネルギーをすぐにチャージすると巨大な光を纏ったイージスそのものを敵に向かって放つ「シャイニングファイナルウルティメイトゼロ」を放たれたイレイザーボールに向かって放つ。

 

『シャイニングファイナルウルティメイトゼロ!!』

 

シャイニングファイナルウルティメイトゼロはギガエンドラの放ったイレイザーボールとぶかり合うとそのままイレイザーボールをかき消しながら真っすぐギガエンドラに向かって行き……最後はギガエンドラに直撃させるとギガエンドラはそのまま遥か宇宙にまで吹き飛ばされていき、ある程度ジュランから離れるとそこで大爆発を起こし……完全に消滅したのだった。

 

『フィニッシュ!!』

 

ゼロの手にイージスが戻り、ゼロも元の姿へと戻った。

 

『大丈夫か?』

『あ、あぁ……お前は……』

『俺の名前はウルトラマンゼロ、エタルガーを追いかけて別の宇宙から来た』

 

ゼロは自分の名前を名乗ってジャスティスに手を差し伸べるとジャスティスはその手を取って立ち上がる。

 

『私はウルトラマンジャスティスだ』

『よろしく……と、言いたいところだが早く奴を追いかけないと……』

『エタルガー、凄まじい強さだ。 ゼロ、奴は一体何者なのか、分かるか?』

『さぁな。 だが、このままじゃヤバいってことだ』

 

一方、時空城の中にある鏡にコスモスは封印されてしまい、エタルガーは次のターゲット……「ウルトラマンギンガ」を封印するべくギンガの世界へと向かっていた。

 

しかし、その時だ……時空城の最上階に2人のウルトラマンが降り立ちエタルガーの前に立ちはだかったのだ。

 

「んんっ? 貴様等は……ウルトラマンマックスと、ウルトラマンゼノンか」

『お前が様々な世界のウルトラマンを封印しているという奴か』

『貴様が封印したウルトラマン達は、返してもらうぞ』

 

そこに現れたのは「ウルトラマンマックス」と「ウルトラマンゼノン」といった2人のウルトラマン、しかし2大ウルトラマンを前にしても余裕の態度を崩さないエタルガー、するとエタルガーは右手を前に突き出し……2人が最も恐れる相手を「エタルイマージュ」を使い召喚する。

 

『ゼットン』

 

黒い虫のような姿をした怪獣……「宇宙恐竜ゼットン」がマックスとゼノンの前に現れ、エタルガーは「そいつを倒したら相手をしてやろう」とマックスとゼノンを挑発する。

 

『ゼノン、ゼットンは私に任せろ。 君はエタルガーを』

『分かった』

 

マックスの言葉にゼノンは頷き、マックスとゼノンは肩を並べてエタルガーとゼットンを相手に駆け出して行く。

 

戦闘BGM「マックススパーク」

 

「そいつを倒してからだと言ったのに……話を聞かない奴等だ。 まあいい」

 

エタルガーはため息を吐きつつもゼノンが繰り出した蹴りを受け流し、ゼノンの腹部に強烈な拳を一発叩き込んでゼノンを怯ませ……さらにエタルガーは身体中から放つ光線をゼノンに向けて発射する。

 

『グッ!?』

 

ゼノンはそれをどうにかして空中に飛んで回避し、空中から腕をL字に組んで放つ「ゼノ二ウムカノン」をエタルガーに撃ち込むが……エタルガーは直撃を受けたにも関わらず埃を払うかのような動作をした余裕の態度を見せ、ゼノンは驚きの様子を見せる。

 

『なに!?』

 

するとエタルガーはその時驚いたゼノンの不意を突いて高速で接近し……すれ違いざまにその爪でゼノンの身体を斬りつけ、ゼノンは時空城の床へと身体中から火花を散らしながら倒れこむ。

 

『ゼノン!』

 

一方でゼットンと戦うマックス、するとゼットンはゼノンに気を取られて隙だらけになったマックスに向かって波状光線を放つが……マックスは横に飛んで回避し、すぐさま頭部に装着されているブーメラン「マクシウムソード」をゼットンに向かって投げつけるが……。

 

ゼットンは全方位にバリアを張り巡らせてマクシウムソードの攻撃を塞ぐのだが……マックスはマクシウムソードを時空城の床の中へと潜り込ませ……ゼットンはそのマックスの行為に首を傾げるが、その直後ゼットンの足元からマクシウムソードが飛び出てきてゼットンの身体を一閃。

 

「ゼットーン……!?」

 

まさかバリアを張られていない地面から来るとは予想できていなかったためにゼットンはダメージを負い、その隙に左腕のマックススパークにエネルギーをチャージして腕をL字に組んで放つ光線「マクシウムカノン」を発射……ゼットンはマクシウムソードで斬られた直後ということもあってバリア展開が間に合わず、マックスの光線の直撃を受け……火花を散らして爆発した。

 

『ゼノン!』

 

マックスはすぐさまゼノンの元へと駆け寄り、マックスは空中に飛び上がって急降下しながら跳び蹴りをエタルガーに向けて放つがエタルガーはマックスの足を掴みあげて地面へと叩き付ける。

 

『ウアッ!?』

 

続いてゼノンが横からエタルガーに殴り掛かるがエタルガーはゼノンの拳を掴みあげて近距離からの赤い光線を放ってゼノンに喰らわせ、さらには腹部に膝蹴りを喰らわせてゼノンを吹き飛ばす。

 

『グウ!?』

 

ゼノンはマックスの元にまで吹き飛ばされて倒れこみ、マックスの手を借りながらもどうにかして立ち上がる。

 

「フン、貴様等はどうやらメビウスとは違う世界のウルトラマン達のようだな。 ならば手間が省けていい。 どちらかを倒し、封印してくれる」

『そうは行くか!』

『あぁ、私たちはお前を倒し、絶対に他のウルトラマン達を救って見せる!!』

「やれるものならやってみるがいい!!」

 

そしてマックスとゼノンの2人は頷きあい、エタルガーに向かって再び戦いを挑むのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エタルガーが目指していた世界の宇宙……そこでは月の落下を阻止し、世界を救った「ナスターシャ」教授の遺体とフロンティアの異端技術を回収したスペースシャトルが地球へと向かっていた。

 

しかし、そのスペースシャトルはシステムトラブルが発生、後ろから炎をあげながら地球へと墜落していたのだ。

 

「システムの再チェック、軌道を修正しせめて人のいないところに!!」

「そんなの分かってますよ!」

 

シャトルのパイロットの男性2人はどうにかシャトルの軌道を修正し、せめて人のいない場所に向かおうとするのだが……その時、シャトルのレーダーにミサイルが接近してきた。2人は自分たちを撃墜するために国がミサイルを撃ち込んだのかと思い、片方のパイロットは「致し方なしか……」と諦めの声をあげるが……。

 

『へいき、へっちゃらです! だから、生きるのを諦めないで!』

 

そんな時、1人の少女の声が聞こえ……パイロットの1人は驚きの表情を見せる。

 

挿入歌「RADIANT FORCE」

 

するとその時、3人の少女の歌声が宇宙へと鳴り響いた……。

 

そしてシャトルに向かっていたミサイルが分解され、中から3人の少女……「歌」を力に変える「シンフォギア」と呼ばれる物……「ガングニール」を纏った「立花 響」、「天羽々斬」を纏った「風鳴 翼」、「イチイバル」を纏った「雪音 クリス」という少女達が中から現れたのだ。

 

先ず、最初にクリスが巨大なミサイルを出現させてその上に響と翼が飛び乗り、クリスはミサイルを発射、続けて自分もミサイルを発射すると同時に素早くその上に飛び乗る。

 

「まるで、雪音のようなじゃじゃ馬っぷり!」

「だったら乗りこなしてみて下さいよ、先輩!」

 

翼の言葉にクリスが不敵な笑みを浮かべながらそう言い放ち、3人はシャトルに追いつくとシャトルの上に飛び乗り、響と翼はシャトルの前の方へと行くとギアのブースターを使い、クリスはミサイルを出現させて発射はせず、噴射だけをさせてシャトルの落下速度を減速させる。

 

しかし、完全に減速させることはできず、このまま行けば山に激突……。

 

その様子をモニター越しに見ていた響達が所属する組織、超常災害対策機動タスクフォース『S.O.N.G.』の指令室にいた青年「緒川 慎次」はせめて中にいる乗員だけでも救出をと響達に言うが……。

 

響達はそれを拒否した。

 

「そいつは聞けねぇ相談だ!」

「人名と等しく人の尊厳は守らねばならない!」

「ナスターシャ教授が世界を守ってくれたんですよ! なのに帰れないなんておかしいです!!」

 

しかし、既に目の前には巨大な山が迫っており……このままでは激突、乗員だけではなく響達の身も……だがそこでクリスがすかさず行動し、響の元に駆け寄ると腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する「MEGA DETH PARTY」を発射し、山に大量のミサイルが降り注ぐ。

 

「ぶん殴れえええええええ!!」

「ええええ!?」

 

突然の無茶ぶりに驚く響だが、響は兎に角言われた通り飛んで山をぶん殴って山を貫通させ、シャトルは響が殴って破壊した穴を通ってなんとか通り抜けることに成功する。

 

そのままシャトルは山を下ってどんどん物凄い勢いで森の中へと突っ込んで行こうとし、翼は剣型の武器……アームドギアを巨大化させて邪魔な木を切り裂こうとするのだが……そんな時のことだ。

 

突然、彼女の達の目の前に赤い怪獣と黒い怪獣……「双子怪獣レッドギラス」と「双子怪獣ブラックギラス」が出現しレッドギラスとブラックギラスは雄たけびをあげながらシャトルに襲い掛かろうとこちらに向かって来たのだ。

 

「か、怪獣!?」

「なぜここに!? スパークドールズは全てギンガが……」

「んなこと言ってる場合じゃねえ!?」

 

このままではシャトル諸共レッドギラスとブラックギラスに破壊されてしまう……どうすればいいのかと悩んだその時である。

 

『ウルトラゼロキック!!』

「「ギシャアア!?」」

 

次元を超えて現れた「ウルティメイトゼロ」が右足に炎を纏って繰り出した「ウルトラゼロキック」をレッドギラスとブラックギラスは真横から喰らって吹き飛び、ゼロがギラス達を押し退かしてくれたおかげで翼はアームドギアを振るって木を切り裂いて障害を取り除く。

 

「あれは……ウルトラマン!?」

「確か零無くんが変身してた……」

「今はこっちに集中しろ雪音! 立花!」

 

ウルトラマンの登場に驚くクリスと響だったが翼の言う通り、ゼロよりも先ずはシャトルの方が優先、ゼロのことは後回しにして響達はシャトルを無事に止めることだけを考える。

 

『レッドギラスにブラックギラスか……』

『フン、現れたか、ウルトラマンゼロ!』

『っ!? お前……何者だ!?』

 

突然、本来喋れない筈のブラックギラスから聞こえてきた誰かの声にゼロは驚き、問いかけられたブラックキングはどこか自信満々の様子でゼロに答える。

 

『よーく聞け、俺様こそ、宇宙最強の戦士……ガッツ星人ボルスト様だ!!』

『宇宙人が怪獣にライブしてるってことか!? だが、なぜだ!? あの時ギンガが確か……』

 

ブラックギラスにライブしていたのは「分身宇宙人ガッツ星人ボルスト」で、レッドギラスは分身したボルストがライブした個体だ。レッドギラスとブラックギラスは2体同時にゼロへと襲い掛かってくる。

 

それに対してゼロはウルティメイトイージスを解除し、通常携帯に戻るとレッドギラスとブラックギラスを迎え撃つためにゼロもギラス達に向かって駆け出す。

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロのテーマ」

 

『シェア!!』

 

最初に向かって来たレッドギラスに蹴りを叩き込んで後退させた後、背後から襲い掛かってきたブラックギラスに廻し蹴りを喰らわせ、一度ギラス達から離れて距離を取った後、額のビームランプから放つ光線「エメリウムスラッシュ」をレッドギラスに向けて発射。

 

しかしレッドギラスとブラックギラスは光線が当たる前に互いに掴み合うと高速回転して相手の攻撃を跳ね返す「ギラススピン」を繰り出し、ゼロのエメリウムスラッシュを弾く。

 

さらにレッドギラスとブラックギラスの角から光線がゼロに向かって放たれるがゼロは上空へと飛び上がって再び「ウルトラゼロキック」をギラス達に繰り出すが……ギラススピンにゼロは弾かれてしまう。

 

『ぐあああ!!?』

 

弾き飛ばされたゼロは地面へと倒れこむ。その隙に回転を止め、ボルストは自身の分身能力を使いレッドギラス、ブラックギラスをもう1体ずつ出現させ、計4体となったギラス達はさらに両手から光線を放ってゼロを攻撃し、光線の直撃を受けたゼロは身体から火花を散らす。

 

『ぐあああああああ!!?』

 

そしてダメージを受けて倒れたゼロにトドメを刺そうとギラス達は4体全員が掴み合って通常の2倍の威力を誇る「ギラススピン」をゼロに向かって繰り出す。

 

『舐めんじゃねえぞ! それならこっちは分身には分身、回転には回転だ!』

 

立ち上がったゼロは左腕に装着された「ウルティメイトブレスレット」を輝かせると青い姿……「ルナミラクルゼロ」へとチェンジ。

 

『ルナミラクルゼロ! ミラクルゼロスラッガー!!』

 

ゼロは頭部のゼロスラッガーを幾つも分身させて飛ばす「ミラクルゼロスラッガー」を繰り出し、ゼロは分身したゼロスラッガーをギラス達が回転している方とは逆の方向にギラス達の周りに高速回転させ、やがて徐々にギラス達の回転速度が落ちてきたところを狙い、高速でギラス達に接近し、掌から衝撃波を放つ「レボリウムスマッシュ」でギラス達を吹き飛ばす。

 

『ぬわあああああ!!?』

 

さらにゼロはそのままゼロスラッガーを操ってギラス達の角を一気に破壊し、空中へと飛び立つと通常形態に戻り、カラータイマーの両サイドにゼロスラッガーを装着して放つ光線「ゼロツインシュート」を発射し、ギラス達を一気に吹き飛ばす。

 

『ゼロツインシュート!!』

『ば、バカな!? この俺様があんな若造に……!? ぐわあああああああ!!?』

 

ゼロのゼロツインシュートを受けたギラス達は爆発し、ギラス達はスパークドールズに戻ったのだが……ボルストは無事に地面に着地し、ボルストはゼロを指差して怒鳴るように声をあげる。

 

『フン、今回は少し油断しただけだ! この次はお前を確実に倒す!!』

 

それだけを言い残すとボルストはそのままどこかへと消え去り、ゼロは「やれやれ」と溜め息を吐きながらその場から薄っすらと姿を消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、響達は近場の村にシャトルを犠牲者を出すことなく無事に着陸させることに成功させ……それをモニター越しに見ていた弦十郎達や「フロンティア事変」と呼ばれる事件に関わった牢に入っている3人の少女達と1人の青年「マリア・カデンツァヴナ・イヴ」と「月詠 調」「暁 切歌」そして「諸星 零無」はシャトルが無事に到着したことに安堵のため息を吐くのだった。

 

「マムが無事に地球に帰ってこれて良かったな、みんな」

 

零無の言葉にマリア達は互いに笑みを浮かべて頷き合うが……零無は1つだけ気になることがあった。

 

それはもちろん、かつて自分と共に戦ってくれたウルトラマンゼロがなぜこの地球に再び現れたのかということである。

 

「それにしても、なんでゼロが……」

「もしかしたら、零無に会いに来てくれたのかもしれないデスね」

 

切歌にそう言われて零無はどことなく嬉しそうに笑みを浮かべ、「そうだな」と静かに頷いた。

 

一方、シャトルを無事に着陸させた響達はというと……響は緊張の糸が切れたのか地面に寝そべっており、翼とクリスが彼女の元へと駆け寄ると響は突然笑いだし、てっきりクリスは「おかしなところでもぶつけたか?」となぜ響がいきなり笑いだしたのか分からず首を傾げる。

 

「私、シンフォギアを纏える奇跡が嬉しいんです!」

 

嬉しそうにそう語る響を見てクリスと翼は互いに苦笑し、クリスはそんな響に対して「お前、本当のバカだな」と言葉をかけるのだった。

 

「あー、いたいた! おーい!! 響! 翼! クリス‼」

 

そこへ、響達に手を振りながら駆け出して来る1人の青年の姿が目に入り、響は名前を呼ばれたため慌ててその場を立ち上がる。

 

「えっと……どちら様?」

 

が、自分たちの名前を呼んだその青年には響は見覚えがなく、クリスや翼の知り合いかとも思った響だったが、この2人も全く覚えのない人物らしい。

 

と言ってもフロンティア事変でほぼ全国に自分たちのことは放送されたので一方的に知っている人物はいるかもしれないのだが……だからと言ってこんなフレンドリーに……しかもテレビとか無さそうな村にこんな風にまるで知り合いのように話しかけてくる人物を響達は知らない。

 

「あぁ、そうか……こうやって会うのは初めてだったな。 俺の名前は『モロボシ・ラン』、又の名を『ウルトラマンゼロ』だ!」

 

「モロボシ・ラン」と名乗った青年は自分である証拠を見せるかのように左腕のウルティメイトブレスレットを見せ、そのブレスレットは確かにゼロが装着されていたものと同じであるため、すぐに彼の言ってることが本当だと理解した。

 

「ええええ!? ゼロって……頭にトサカがあるウルトラマンですよね!?」

「ポンコツが変身してたウルトラマンだよな確か」

「いやトサカって……。 トサカじゃねえからアレ。 後、ポンコツって零無のことか!?」

 

そんな会話を聞いていた翼は会話の内容からランの言っていることが嘘ではなく本当だということを理解したのだが……なぜ宇宙に帰った筈のゼロがここにいるのかが分からず疑問に思った。……もしやあのレッドギラスやブラックギラスに関係あるのかと思い問いかけたのだが……。

 

ランは首を横に振って否定。

 

「いや、別件だ。 だが何者かがスパークドールズを悪用しようとしているのは確かだろう。 詳しいことはお前等の基地に行ってからの方がいいんじゃないか?」

「確かにな、詳しい話は戻ってからだな。 もう少しで迎えが来る筈だ」

 

ランの言葉に翼が同意し、響達は一度ギアを解除した後……シャトルのパイロット達と共に指令室から送られた指定の場所に向かおうとしたのだが……。

 

その時、突然の地響きが鳴り、ラン達は「地震か!?」と驚きの声をあげるが……すぐにそれがただの地震ではないことが分かった。

 

なぜならラン達の目の前に巨大な青いクリスタルのようなものが突如として出現し、さらには空中に巨大なワームホールらしき物も出現、クリスタルはどんどん地面からワームホールに吸い込まれるように地中から出てくる。

 

「あれは一体……!?」

「おいアレ!!」

 

その時、クリスが指差す方向を見るとクリスタルに続いて地中から背中にそのクリスタルと酷似したものが付いた巨大怪獣……「地底獣シェパードン」が出現したのだ。

 

「グアアアアアアア!!」

 

シェパードンは巨大なクリスタルの元へと向かって行き、一同は一体なにが起きているのか困惑していたが翼は即座に町の人達に被害が出ないように避難誘導をするように響達に指示を送り、響とクリスは翼の指示に従い避難誘導を開始する。

 

「見たところライブした怪獣ではなさそうだな。 俺が行ってあいつを落ち着かせるか? ルナミラクルなら……」

「いや、先ずは様子を見た方がいいだろう。 幸い、あの怪獣はこちらには感心がないようだしな。 最も念のために人は避難させるが」

 

ランの言う通り、今までライブして怪獣変身してきた者達と比べるとシェパードンの動きは人間や宇宙人が変身してるような雰囲気はなく、ただただシェパードンはあのクリスタルを盗られまいと必死にしがみついてクリスタルを押さえつけていた。

 

一方でそれを森の中から見ていた青い服を着た少女……「ガリィ・トゥーマーン」はめんどくさそうにため息を吐きながらその様子を眺めていた。

 

「あー、めんどくさ。 なーんであたしがあんなデカ頭の手伝いなんかしないといけないのよ。 まぁ、あいつの言う通りマジでウルトラマンが来ちゃったからある意味仕方ないんだけど……」

 

ガリィはグチグチと言いながらも1つのあるアイテム……「チブルスパーク」と怪獣の人形「スパークドールズ」を取り出し、チブルスパークの先端をSDの足裏にあるライブサインにタッチするとチブルスパークから音声が鳴り響く。

 

『モンスライブ! EXレッドキング!』

 

そして巨大な腕を持つ怪獣……「どくろ怪獣EXレッドキング」へと変身し、クリスタルを押さえつけているシェパードンに向かって行きその巨大な腕を振るってシェパードンを殴り飛ばしたのだ。

 

「ギシャアア!?」

『さぁて、めんどうだからさっさと済ませよ~』

 

殴り飛ばされて倒れこんだシェパードンに対し、EXレッドキングはその両腕を倒れているシェパードンに向かって振り降ろし、何度もシェパードンを殴りつける。

 

「見てられねえ!!」

 

一方的にやられるシェパードンを見てランはいても経ってもいられなくなったが……その時、EXレッドキングに向かって幾つもの火球が降り注ぎ、それが激突したEXレッドキングはシェパードンから引き離されるように吹き飛ばされたのだ。

 

「あれは……!」

 

そしてEXレッドキングの前に大地に降り立ったのは青いクリスタルを身体に持つ巨人……「ウルトラマンギンガ」だった。

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

「あれは……」

「ウルトラマン……ギンガ!?」

 

当然、宇宙に帰った筈のギンガが現れたことに響達は驚く。

 

『ショウラ!!』

『久しぶりに行くぜ、ギンガ!!』

 

ギンガはEXレッドキングに向かって駆け出して行くとEXレッドキングの腹部を連続で拳を何発も叩き込み、さらに左手でEXレッドキングの頭を押さえてつけて右手で顔面を殴りつける。

 

『デアア!!』

「グアアッ!!?」

 

顔面を殴られてフラつくEXレッドキングだが負けじとEXレッドキングもその巨大な腕を振るってギンガに殴り掛かるも、ギンガに両腕で受け止められ、素早い膝蹴りを腹部に叩き込まれ、さらに廻し蹴りを顔面に喰らい、EXレッドキングは地面へと倒れこむ。

 

『ぐっ……調子こいてんじゃないわよぉ!!』

 

EXレッドキングは素早く立ち上がり、両腕を地面に叩きつけて炎と巨大な氷を走らせる「フレイムロード」と「アイスロード」をギンガへと繰り出す。

 

「EXレッドキングが、氷の技を!?」

 

それを見たランは本来、EXレッドキングが使わない筈の技を使ったことに驚くが……ギンガは全身のクリスタルを黄色く輝かせ、頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」を放つ。

 

『ギンガサンダーボルト!!』

 

EXレッドキングのフレイムロードとアイスロードにぶつけて打ち消し、そのままEXレッドキングに直撃させる……のだが、EXレッドキングはなぜか水のように弾け飛んだ。そこにいたのは本物ではなく身代わりの偽物であることにギンガは驚くが……次の瞬間、ギンガの周りにいつの間にか何体ものEXレッドキングが取り囲んでいたのだ。

 

『さぁて、アンタにどれが本物か分かるかしらぁ?』

 

しかし、今度はギンガがEXレッドキングを上回る数の分身を作り出し……それを見たEXレッドキングは自分以上の分身を作り出したギンガに驚いてたじろくが……すぐに冷静さを取り戻し、手当たり次第にギンガに攻撃を繰り出そうとする。

 

『分身には分身だ!!』

『なっ……そんなもの!!』

 

だが、ギンガはいつの間にか空中へと飛んでおり、クリスタルを赤く発光させ、空中から幾つもの火球を相手にぶつける「ギンガファイヤーボール」を炸裂し、ギンガファイヤーボールは分身と本物を含めた全てのEXレッドキングに直撃し……ダメージを喰らうと本物のEXレッドキングは身体中から火花を散らして地面に倒れこんだ。

 

『シュア!』

 

そして分身を全て消滅させ、ギンガは空中から両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をEXレッドキングに向けて発射。

 

『ギンガクロスシュート!!』

「ギギャアアアアアッ!!?」

『このあたしが……あんな奴にィ!!?』

 

ギンガクロスシュートの直撃を受けたEXレッドキングは火花を散らして爆発し、ギンガはシェパードンの元へと降り立つ。

 

『おい、大丈夫か?』

 

ギンガは倒れて傷ついているシェパードンを心配するが……シェパードンは自分のことよりもあのクリスタルの方が心配らしく、ギンガはクリスタルの方へと目を向けると既にクリスタルはワームホールの中へと吸い込まれて消え去っており、シェパードンはどこかしょんぼりした様子を見せた。

 

「クオォ……」

 

シェパードンはなんとか立ち上がって地中へと帰っていき、ギンガはクリスたちの存在に気づき、彼女たちに向かってサムズアップした。

 

「あいつ……」

 

そんなギンガを見てクリスはどこか嬉しそうな笑みを浮かべるのだった……。

 

そしてギンガは両腕を交差させて姿を消し、ギンガへと変身していた青年「来元(らいもと) コウマ」の姿へと戻ろうとするのだが……。

 

『久しぶりだな、コウマ』

「ギンガ……?」

 

次にコウマが気づいた時にはそこは周りが真っ白な空間であり、目の前には等身大となったギンガが立っていた。

 

「一体どうしたんだ? いきなり俺のところに現れたと思ったらもう1度力を貸してくれなんて」

『急いでいたとはいえ、急なことをしてすまない』

「あのでかいクリスタルみたいなのはなんだったんだ? どうしてスパークドールズが……」

 

ギンガが語るにはあのクリスタルは「ビクトリウム」と呼ばれ、本来は地底世界に住む住人達「ビクトリアン」に存在するものであり、またビクトリウムはビクトリアンにとっては命の源となっているだけでなく、地球の生命そのものであるため全てが失われると地球が滅びるとされる。

 

「つまり、ギンガ……。 誰かがそのビクトリウムを狙ってそれでスパークドールズを利用してるってことなのか?」

 

コウマの問いかけに対し、ギンガに静かに頷くと……それと同時にその白い空間は消滅し、気づけばクリス達のいる村の目の前に立っていた。

 

それからコウマは偶然足元に落ちていたEXレッドキングのスパークドールズを拾い上げ、兎に角今はクリスと久しぶりに再会できると期待して彼は急いで彼女の元へと嬉しそうに笑みを浮かべて走り出し、クリスの姿を見つけるや否や彼女に向かって一気に駆け出す。

 

「クリス!」

「なっ……コウマ、やっぱりお前か!?」

 

コウマは久しぶりに再会したクリスに抱きつこうとするが……何時もの如く、クリスはそれを当然拒もうとコウマに向かってチョップを叩き込んだ。

 

「ぐふっ!? いきなりなにすんだよクリス!?」

「それはこっちの台詞だバカ野郎!! 人前でいきなり抱きつこうとすんじゃねえよ……///」

 

唇を尖らせて不満げに言う彼女だが、それを聞いたコウマは「じゃあ人前じゃなかったらいいんだな?」と笑顔で言うと彼女は顔を赤くし、「ち、違うそういう意味じゃ……!?」とテンパった様子を見せる。

 

「んっ……あれ? アンタは……」

 

そこでコウマはランの存在に気づき、ランは「あぁ、俺は……ウルトラマンゼロだ」と言ってウルティメイトブレスレットをコウマに見せる。

 

「ゼロって……零無が変身してたあのウルトラマン!?」

「あぁ、そうだ。 ところで、零無の奴元気にしてるか?」

 

ランの質問に翼が「意外と楽しんでるみたいだ」と答え、今牢屋にいる筈なのになんで楽しんでるんだとランは疑問に思ったが……楽しんでるのは恐らく「食事」的な意味なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペースシャトルが無事に着陸し、安堵する零無達。

 

「あの娘達には、また感謝しなければね」

「そうだな」

 

マリアと零無の2人はそんな風に何気なく会話をするのだが……マリアはどこか、零無の様子がいつもと違うように感じたため「どうかしたの?」と問いかけると零無はしばらくの間黙り込むが……。

 

零無はこっそりと切歌と調には聞こえないように小さな声でマリアにあることを話す。

 

「最近、変な夢を見るんだ。 しかも毎回同じ夢……」

「夢?」

「あぁ……」

 

零無の言う「夢」とは一体どんなものなのか、マリアがそれを尋ねると零無は自分が見たという夢の内容についてマリアに語りだした……。

 

それは巨大なクリスタルが幾つもある世界……そこでは黒いウルトラマンが先ほど現れた怪獣、シェパードンと戦う夢……。

 

そしてそのビクトリーと呼ばれるウルトラマンは「ビクトリーコンフォート」という技を使用してシェパードンを落ち着かせることに成功し、そこに住む人々達の前から姿を消すのだった。

 

マリアは零無の語ったその夢を聞くとどこか驚いたような表情を浮かべており、零無は「どうかしたか?」とそんな様子のマリアに声をかけると彼女はハッとし、零無に突然ある物を渡した。

 

「マリア? なんだこれ……宝石?」

「あなた、自分がマムと出会う以前の記憶ってある?」

「ある訳ないだろ、俺赤ん坊だぞその時……」

 

実は零無はまだ赤ん坊だった頃にナスターシャに引き取られており、零無本人は両親の顔を知らず、マリアと同じようにナスターシャが母親代わりとなって育てたのだ。

 

「その時が来たら、マムはあなたに話せと言っていた。 いい零無? あなたはね、実は……地底人なのよ」

「……はっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、S.O.N.G.司令室では司令官である弦十郎やオペレーターの2人は来てくれたウルトラマンギンガであるコウマとウルトラマンゼロであるランを快く歓迎して出迎え、ランは自分がこの世界に来た理由、コウマはギンガに聞かされた話を弦十郎達に説明した。

 

「ふむ、成程……エタルガーに新たな敵、ノイズやルギエルの脅威が去ったというのにまた新たな脅威か……」

 

既に数人のウルトラマンを倒したというエタルガーがこちらの世界に向かってきている上、この世界にも新たな敵が出現したという話を聞き、響達は若干不安そうな表情を見せるが……。

 

「心配することなんざねえさ。 この世界には俺や、ギンガ、なによりもアンタ達がいる。 ここにいる全員で力を合わせるんだ。 俺もできる限りアンタ達に協力する、囚われのウルトラマン達も救い出さないといけないしな」

 

ランは響達にそう言い放ち、それに対して翼は「そうだな」と呟くとその手をランに差し伸べる。

 

「ならばこれからよろしく頼むぞ、モロボシ」

「あぁ」

 

それに対してランも翼の手を掴んで握手交わし、弦十郎はそれを見てどこか満足したかのように頷くとランとコウマに「1つ君たちに提案がある」と言ってきたのだ。

 

ランとコウマは「提案?」と首を傾げ、2人は弦十郎の言う「提案」について尋ねる。

 

「あぁ、この中で怪獣達などに1番に対抗することができるのは君たちだ。 それにランくんはその怪獣達についてもそこそこ詳しいだろう? そこで君たちウルトラマン同士にはチームを組んで貰いたいと思ったのだが」

「成程、対怪獣用の防衛チーム的なもんか」

「そんなところだ。 ランくん、君にはそのチームのリーダーを任せたいのだが……どうだろうか?」

 

ランは「俺がリーダーか……」と少しの間考え込んだ後、ヒーローチーム、「ウルティメイトフォース・ゼロ」での経験を活かせるかもしれないと考えた後、ランは「良いぜ」と弦十郎の提案を承諾した。

 

「勿論、俺も参加します! よろしく頼むぜ、先輩!」

「なんかむず痒いが……あぁ、よろしくコウマ」



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2Eve 『その名はビクトリー』

地底世界……ビクトリアン、その遥か昔、かつて「ビクトリーランサー」と呼ばれる神秘のアイテムを巡ってそれを代々受け継ぐ正式な所持者がいたにも関わらず同族間での争いが勃発したことがあった。

 

なぜそんなことになったのかは不明だがその時のビクトリーランサーの所持者はビクトリーランサーを渡さないため、また自分の子が争いに巻きこまれないようにビクトリアンの女王に頼みビクトリーランサーとその子を未来の世界へと送るように頼んだのだ。

 

その「子」とは「諸星 零無」その人であり、彼は女王の伝言とビクトリーランサーと共に未来の世界に送られそこでナスターシャに引き取られたのである。

 

そして今、零無は夢の中で黒い巨人とシェパードンが戦う夢を見るようになり、それは近い将来ビクトリーランサーを使うことになることを物語っているのだと……マリアは零無に説明した。

 

「まぁ、元々はマムが私に預けていたんだけど……生憎今は彼等に渡してるからあなたに渡すことはできないけどれどね。 でもその内返してくれると思うわ。 その時にビクトリーランサーはあなたに渡すわ」

「……」

 

マリアの話を聞いた零無は目を丸くして唖然としており、切歌と調もこの話は始めて聞いたのかどこか驚いたような表情を見せていた。

 

「……えっ、なに? じゃあ俺、地底人なの?」

 

零無の問いかけに対し、マリアは静かにコクッと頷いた。

 

「……マリア……」

「なに?」

 

どこか暗そうな表情を浮かべる零無に対し、マリアは「まぁ、こんなこと言われても困惑するでしょうね」と思い、できる限りフォローはしようと思う彼女だったのだが……。

 

「俺、目にバンソウコなんて張ってないぞ!!」

「はっ?」

「前にあのグレイって奴に聞いたことあるんだよ……地底人って目にバンソウコみたいなの張ってるって」

「零無、それ多分違う地底人デス」

 

そこで調から「っていうか気にするところそこなの?」とツッコミを入れられると零無は「いや、だって覚えてないし……地底人っていうのは受け入れるけどそこまで気にすることじゃない」と言いきり、マリア、切歌、調の3人から「割り切るの早いな!!」というツッコミを受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3か月後、超常災害対策機動タスクフォース『S.O.N.G.』の本部となる潜水艦にて2人のオペレーターである「藤尭 朔也」と「友里 あおい」はコーヒーを飲みながらまったりとした様子で話をしていた。

 

ちなみにコウマは一度海外にいる両親の元に一度帰り、事情を話してしばらくの間は日本にいることになった。

 

尚、コウマの両親はウルトラマンのことについてはコウマが既に話しているため知っている模様だった。

 

「あのシャトルの一件以来、怪獣も出現しないし……ランくんが言っていたエタルガーって言うのも一向に現れない。 はぁ、このまま定年まで給料貰えればいいんだけどな……」

 

なんてフラグまっしぐらな台詞を朔也が言っていると突然のアラートが鳴り、調べて見ると横浜付近に謎の反応を感知……しかし反応はすぐにロストしてしまい、2人はすぐに司令である弦十郎に連絡を入れるのだった。

 

そして同じころ……黒いフードを被った少女らしき人物が何者かから必死になって逃げており、彼女は電話ボックスに身を隠すと手に持っている箱を大事そうに握りしめた。

 

(ドヴェルグ・ダインの遺産……全てが手遅れになる前に、この遺産を届けることが僕ができる償い……)

 

少女は急いでそこから逃げだそうとしたその時、彼女の目の前に突然鳥の頭を持った宇宙人……ガッツ星人 ボルストが姿を現し、少女は「わっ!?」という声をあげてその場に尻もちをついてしまう。

 

『ったく、エクセラーの奴、自分が弱いスパークドールズを俺様に渡した癖に文句垂れやがって!! まあいい、この鬱憤は貴様を痛めつけて晴らさせて貰うとしよう。 勿論そいつを奪ってからだがな』

 

ボルストは両手からビーム状の鞭のようなものを放つと少女を拘束して動きを封じ、少女「くあっ!?」と苦しそうな声をあげるが……それでも少女はドヴェルグ・ダインの遺産と呼ばれる箱を決して手放そうとはしなかった。

 

『往生際が悪いぞ小娘!! ってんっ? こいつ小娘で合ってんのか? まあいいかなんでも。 さっさとそれを手放せ!!』

「い、嫌だ……!?」

 

そんな時のことだ、突然ボルストの右方向から誰かが強烈な跳び蹴りを喰らわせて、蹴りを喰らったボルストは少女の拘束を解き、ボルストは地面を転がって倒れこむ。

 

『ぐっ、誰だァ!!?』

「お前こそなんだ! こんな小さな子供に……!! それでも男か!!」

『なんだと?』

 

ボルストを蹴り飛ばしたのは1人の青年であり、ボルストは先ほどの青年の言葉が癪に触ったのか苛立った様子で青年に向かって殴り掛かって来るが青年はボルストの拳を受け止めてボルストの腹部に「これでもか!」と言うくらい何度も何度もパンチを喰らわせる。

 

「オラオラオラオラ!! ウォラァ!!」

『ぐはああああ!!!?』

 

最後に強烈なパンチをボルストは顔面に喰らって大きく吹き飛ばされ、青年は倒れこんでいる少女の手を掴むと「行くぞ!!」と言ってその場から素早く走り去ってしまう。

 

『ぐっ、クソが!! この宇宙最強のボルストがあんな小僧に遅れを取るとは……許さん!! ってもういないだとぉ!?』

 

ボルストが立ち上がった時には既に周りには誰もおらず、ボルストは苛立ちのあまり手から光弾を幾つも放って「くそぉ!!」と叫びながら周りにあるものを八つ当たりで手あたり次第破壊するのだった。

 

それからボルストから逃げることに成功した青年と少女はというと……青年はボルストが追いかけて来ていないことを確認すると青年は少女の恰好を見て少し戸惑ったが「怪我ねえか?」と尋ねた。

 

「あっ、はい、助けて頂きありがとうございました!」

「あぁ、気にしなくていい。 最近は変なのが多いからな、気をつけて帰れよ」

「えっと、あの……なにかお礼を!」

「それは遠慮させて貰う、ただ子供を痛めつけてるあの焼き鳥野郎がウザかったからぶっ飛ばしただけだし」

 

そう言って青年はその場から立ち去ろうとするが少女はせめて名前だけでも教えて欲しいと言い、青年は「まぁ、それくらいなら」と言って少女に向かって自分の名前を教えた。

 

「俺の名前はカイト……。 早橋(はやばし) カイトだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、リディアン音楽院の通学路にて……。

 

「お前、何時の間にバイクの免許なんて取ったんだよ」

「良いだろー? 彼女をバイクで学校に送り届ける彼氏って♪」

 

コウマが「バイクで学校の校門前まで送って行く」と言ってクリスを後ろに乗せてバイクを走らせており、クリスは少し頬を赤くして「誰が彼女だ!」とコウマに向かって怒鳴りあげる。

 

「いや、彼女だろ……一応俺たち付き合ってんだし……。 それに昨日の夜だって……」

「だぁー!! 朝から変なこと言うなぁ!!////」

 

顔を真っ赤にしてコウマの頭を軽くポカポカ叩くクリスだが、コウマはクスクスと笑みを浮かべるのだった。

 

そんな時、コウマが響達が通学している姿が目に止まり、挨拶をしようと思い彼女たちの元へと一度バイクを停めると「よぉ!」と響達に声をかけた。

 

「あっ! コウマくん! それにクリースちゃーん♪」

 

するといきなり響がクリスに向かって抱きつこうとしたが、クリスは鞄を響に叩き付けて彼女が抱きついてくるのを阻止。

 

そしてクリスは不満そうな顔で「あたしは年上でそれに先輩!!」と響に向かって注意し、響や未来の後ろの方にいる制服を着た切歌や調を見ながら「こいつ等の前に示しがつかねえだろ」と不満を口にする。

 

また切歌や調も響達とは今丁度合流したらしく、未来は2人に向かって「おはよう、切歌ちゃん、調ちゃん」と挨拶し切歌は元気よく「おはようございますデス!!」と挨拶し、調はどこかぎこちない感じで「おはよう、ございます」と頭をペコリと下げて挨拶した。

 

「熱いのに相変わらずね」

 

未来が切歌と調を見てそう呟くと響は切歌と調の2人が手を繋いでいることに気付くと響も未来と同じように「いやぁー、熱いのに相変わらずだね」と言われ、それを指摘されると切歌が言うには「調の手はひんやりしていて気持ちがいいからついつい繋ぎたくなるんデスよ」とのこと。

 

「そう言う切ちゃんだってプニっとした二の腕もひんやりしてて癖になる。 ちなみにこれの第一発見者は零無」

 

コウマはその話を聞いて「あいつが切歌の二の腕プニプニしてんのか」と思うと笑いを堪えずにはいられず、口元を手で押さえこむ。

 

「あいつ最初の頃クールキャラっぽかったのになぁ……」

「零無は元々ポンコツデスよ」

 

切歌からも零無に対してのこの言われよう……、まあ、フォローできないのでどうしうようもないのだが。

 

「っていうかそれ、本当なの!?」

 

すると未来が響の二の腕をプニっと握り始め、響は「やぁー!! やめて止めてやめて止めてやめて止めて!」と叫びながらもどこか嬉しそうにしており、それを見たクリスは顔を真っ赤にして鞄で横一閃に振るって響を吹き飛ばしたのだった。

 

「そういうことは家でやれ……////」

「じゃあ帰ったら楽しみにしとけよクリス」

 

ニヤっとした笑みを浮かべるコウマに気づいたクリスは彼の言った言葉の意味を瞬時に理解し、またもはや顔を真っ赤にして「このバカ……///」と顔を俯かせるのだった。

 

「こっちも朝から熱いデスね」

「クリスもあながち嫌そうではないのがね……」

「うるせえぞお前等2人!!」

 

クリスは切歌と未来に怒鳴り、彼女は「もうここで降ろしてくれ」とコウマに言った後、彼女はそそくさとその場から逃げるように学校へと向かって行くのだった。

 

「んじゃ、俺も行くかな」

「うん、じゃあまったねー! コウマくん!」

 

コウマはバイクを走らせてその場を去って行った。

 

一方同じころ……零無はというとランと一緒に2人で公園のベンチに座っており、零無はかつて共に戦ったウルトラマンゼロであるランと色んなことを話しあっていた。

 

「へぇ、お前が本当は地底人とはね……」

「あぁ、それでこれがマリアから渡された物なんだが……」

 

零無は服の内ポケットにしまってあったビクトリーランサーと……ビクトリウムの石で作られたというペンダントを取り出してそれをランに見せるとランは「確かになにか強いエネルギーを感じる」と答え、零無はやはりこれを使うことで恐らくはあの黒いウルトラマンに変身することができるのだと思い、ジッとビクトリーランサーを見つめた。

 

「そう言えば、俺はスパークドールズになりながらも、お前がダークライブしてた時……お前は心を失うようなことが無かったのを覚えてる。 子供や響を助けようとしたりしてたしな。 あれはお前がビクトリアンだったからなのか?」

「さぁ、俺には分からないけど……そう言えばべリアルも元気なのか?」

 

零無からそう尋ねられたランはどことなく困ったかのような表情を浮かべたが……ランはすぐにべリアルは本来、自分の宿敵であることを零無に話した。

 

「えっ、でも……べリアルもウルトラマンなんだろ?」

「あいつは俺の故郷……光の国で唯一、悪に堕ちたウルトラマンだ。 今はなんか別の世界で怪獣ハントやってるらしいがな」

「そうなのか……なんか、少し残念だな」

 

零無は一度死にかけて……命をゼロとセレナ……そしてべリアルにも救われ、マリア達を止めるために力を貸してくれた。

 

そのため零無はゼロは勿論、べリアルにも恩義を感じており、そのためランから本来べリアルが敵であることを知った零無は少し複雑な心情だったのだ。

 

しかし、零無は何気に公園の時計をふっと見てみると既に夕方の5時……それを見た零無は「やばい、そろそろ行かないと!!」と言ってベンチから立ち上がってランに別れの挨拶をした後、急いでその場から走り去ろうとする。

 

「なんかあんのか?」

「今日、マリアと風鳴 翼のコラボユニットが復活するんだよ! それをみんなで応援する約束してるんだ!」

「そうか。 んじゃぁ気をつけて帰れよ」

 

零無は「あぁ」とランに返事をした後、彼はそのまま約束の場所へと急いで走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんでもってその約束の場所=コウマとクリスが住んでる家。

 

テーブルにはお菓子やらなんやらと食べ物が並べられており、クリスは不機嫌そうな顔をして「どうしてあたし達んとこなんだ!?」と若干不満げに響達に向かって叫ぶ。

 

「すいません、急に押しかけてしまいました」

 

響や未来のクラスメートの1人である詩織がいきなり家に押しかけて来てしまったことを謝罪し、 同じく響や未来と同じクラスメートの創世も「キャリティドッグフェスの中継をみんなで楽しむにはこうするしかない訳でして……」と同じくクリスに向かって謝罪する。

 

「まぁ、コウマとクリスの愛の巣に勝手に押しかけたんだからそりゃ怒るのも当z……」

 

とそこで零無が言いきる前にクリスに顔面パンチを喰らい、拳を叩き込まれた零無は両手で顔を押さえて「うぐおおおおお!!?」と苦痛の声をあげその場に倒れこんで転がりまわった。

 

「だ、だ、誰の家が愛の巣だコラァ!! 変なこと言うんならぶん殴るぞ!!」

「もう殴ってるじゃねえか」

 

顔を赤くして怒鳴るクリスに対し、痛みでまともに声をあげられない零無に代わってツッコミを入れるコウマ。

 

そんなクリスに響は「まぁまぁ落ち着いて」とクリスを一度落ち着かせる。

 

「まぁ、頼れる先輩ってことで! それにやっと自分の夢を追いかけられるようになった翼さんのステージだよ!」

「……みんなで応援、しない訳にはいかないよな!」

 

響の話を聞き、クリスも快くみんながここにいることを承諾し、未来も響に続くように「そしてもう1人」と呟くと切歌と調もどこかウキウキした様子でテレビ画面を見つめる。

 

「マリア……」

「歌姫のコラボユニット、復活デス!」

 

しかし、それもそうだが先ず1つ、それよりも気になることが1つだけ零無とコウマにはあった……それは……。

 

「俺たち、場違いじゃね?」

「周り女ばっかだし、目のやり場に困るんだよな……」

「「主にクリスと切歌のな」」

 

コウマや零無の言う通り、この中だと確かに切歌とクリスが1番露出度は高めであり、切歌に至っては若干ブラらしき物まで見えており、正直言って少しばかり居心地が悪いと感じてしまう2人。

 

しかしクリスも切歌もあんまり気にした様子がないのはなぜだろうか……多分2人ともワザとやっているのではないだろうが……というか他のみんなもなぜそのことにツッコまないのか謎で仕方がなかった。

 

だがこのまま考えても仕方がないし……ここは大人しくみんなと一緒にテレビを見て翼とマリアを応援しようと思ったのだが……コウマも零無も、一応は釘は刺しておこうと思い互いに胸倉を掴み合い……。

 

「「……手ぇ出したらブチのめすぞ」」

 

とお互い睨み合って言い放つと2人は互いの手を離して椅子に座ってテレビ画面を見つめる。

 

「零無~。 どうせなら膝枕してあげてもいいデスよ~?」

 

そんな零無の様子に気づいてか切歌がニシシっと笑みを浮かべ、てっきり零無は慌てるかなにかのリアクションを見してくれると期待したのだが……切歌は予想は大きく外れ、零無は切歌の右隣に座るとそのままスポンっと切歌の方に倒れて来て頭を彼女の膝の上に乗せたのだ。

 

「なっ……!? なにしてるデスか零無!?」

 

顔を真っ赤にして慌てふためく切歌だが零無は「お前が膝枕してもいいって言ったんだろ?」と悪戯っ子のような笑みを浮かべ、まさか自分が慌てふためく結果になるとは思ってもいなかった彼女は悔しそうに顔を俯かせるのだった。

 

「あっ、これ良いな……なんな眠くなりそう」

「どれどれ」

 

零無が切歌の膝枕の感想を言うとそれを聞いて気になった調が左側が空いていたため彼女もまた零無と同じように切歌の方へと倒れて頭を切歌の膝に置くと彼女は目を輝かせて「これは癖になりそう」と零無と調は2人揃ってウトウトし始める。

 

「わぁ!? ちょっと調まで!? くすぐったいデスよぉ!?」

「ってちょっと! 2人とも寝ちゃダメよ」

「切歌ちゃんモテモテね、まるでハーレムアニメの主人公じゃない」

 

ウトウトし始めた零無と調に声をかけて注意する未来、そしてそんな今の切歌の状態をハーレムアニメの主人公に例えるのは未来や響と同じクラスメートの弓美であり、そんな弓美の発言にコウマが「どこに男と女にモテる主人公がいる」とツッコミを入れた。

 

そしてそんな2人を切歌は叩き起こして起き上がらせ、テレビ画面を見ると丁度翼とマリアがデュエット曲である「星天ギャラクシィクロス」を歌い、歌い終わった頃には弓美が大はしゃぎしていた。

 

「うははは~!! こんな2人と友達が世界を救ったなんてまるでアニメだねぇ!」

「あぁ、うん……ホントだよ」

 

弓美の言葉に対し響は苦笑い地味に言うが……。

 

「月の落下とフロンティアの浮上に関する事件を収束させるため、マリアは生贄とされてしまったデス」

「大人たちの体裁を守るためにアイドルを……文字通り偶像を強いられるなんて……」

 

しかし、今のマリアの現状を見てみると改めて今彼女が置かれている状況に調と切歌は辛そうな表情を見せるが……そんな時、未来が2人に向かって「そうじゃないよ」と言ってきたのだ。

 

「マリアさんが守ってるのはきっと誰もが笑っていられる日常なんだと思う……」

 

笑みを浮かべて語る未来の言葉に、切歌と調は顔を見合わせる。

 

「そうデスね」

「だからこそ、私たちがマリアを応援しないと!」

「そうだな……よし、じゃあマリアを応援するために、勿論翼も応援するためにお前等これ付けろ!」

 

零無がそう言って立ち上がり、調と切歌にある物を渡して身に着けさせたのだが……その渡した物というのが……。

 

「いやぁー、すっかりこれ持ってきたの忘れてたよ。 まだあの2人出番あるんだよな?」

「なんデスか、零無……コレ」

 

マリアや翼がプリントされたうちわにTシャツにタオル、さらにはペンライトに「翼もマリアも頑張れ!」と書かれた鉢巻、その上2人をデフォルメしたかのようなキーホルダーといったアイドル応援グッズだったのだ。

 

しかも切歌と調だけでなく人数分ある上にこれ全部零無の手作りらしい。

 

「起用だなオイ!!」

「ここまでしたら翼さんもマリアさんも喜ぶと思うぞ」

 

クリスが最初にツッコミを入れ、コウマも苦笑しながらだが割と出来がいいので翼もマリアも零無がここまでしてくれて応援してくれるなら嬉しいだろうと思い、取りあえずうちわだけ貰っておくことにした。

 

その頃……別の場所では黄色い服を着た女性……「レイア・ダラーヒム」がチブルスパークと1体のスパークドールズを手に持っており、チブルスパークにスパークドールズをリードさせる。

 

「私に地味は似合わない……。 だから派手にやらせて貰う」

『モンスライブ! キングジョー!』

 

するとレイアは「両腕」が銃になっている金色のロボット、「宇宙ロボット キングジョー ダブルカスタム」へと変身した。

 

本来、このキングジョーはダブルカスタムではなく右腕に銃「ペタ二ウムランチャー」を装備した「キングジョー カスタム」なのだがレイアの戦い方の性質上、ダブルカスタムへと変化したのである。

 

そしてキングジョーは両腕のペタ二ウムランチャーから「コイン」の弾丸を幾つも発射して街を破壊し、大火事を起こす。

 

その時点で既に派手にやったのだから当然S.O.N.G.がすぐに感知しない訳がなく、すぐに弦十郎やランからクリスや響、コウマに零無へと連絡が入った。

 

『第七区域に大規模な火災がロボットによって発生している! 消防活動が困難なため君たちに応援要請がかかっている』

『その間、あのロボット……キングジョーはコウマか零無のどちらか1人がどうにかして足止めしろ。 もう1人はライブしてる奴が現れたら拘束、尋問して敵の正体を探るんだ』

「分かりました!」

「「ガレット!!」」

 

響と零無とコウマが返事をし、クリスは無言で頷くと4人は立ち上がって現場に行こうとする。

 

「響……」

「大丈夫! 人助けだから!!」

 

不安そうな未来に対して響はそう言い放ち、そこで調と切歌も立ち上がる「私たちも!」と2人は言うがクリスは「2人は留守番だ!」と引き止められてしまう。

 

「リンカーも無いのに2人に出撃なんてさせないからな!」

 

クリスはそれだけを言うと響やコウマと一緒に外へと飛び出し、2人は頬を膨らませて拗ねるがそれを見た零無が頭にポンっと手を置く。

 

「俺がお前等2人の分まで頑張ってくるから、ここで待っててくれ。 いいな?」

「……はい、デス……」

「うん……」

 

零無に言われてもまだ不満げな表情を崩さない調と切歌だが、取りあえず零無も急いで家を出て現場へと向かって行くことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じころ、マリアが護衛の男性2人と一緒に様々な衣装がマネキンに着せられている部屋を歩いていると窓や隙間などがないにも関わらずなぜか風が吹き抜けてきたのだ。

 

「風……? 誰かいるの!?」

 

マリアと護衛の2人は辺りを警戒体制を取る。

 

「司法取引と情報操作によって仕立て上げられたフロンティア事変の汚れた英雄。 マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

「何者だ!?」

 

するとその時、護衛の1人の目の前に突然緑の服を着た女性……「ファラ・スユーフ」が現れ、なんといきなり護衛に向かって口付けをしたのだ。

 

だが、口付けをされた護衛は何かを吸い取られるようにもがき苦しみ、もう1人の護衛が銃を取り出して「離れろ!!」とファラに向けるが……。

 

既に口付けをされた護衛は肌や髪の色が白くなって倒れ……死亡した。

 

それを見たもう1人の護衛はファラに向かって発砲するがスカートをなびかせて緑の風を起こすと銃弾を弾き、銃弾はその護衛に全て直撃し、最後の一発が頭に直撃して死亡した。

 

「纏うべきシンフォギアを持たぬお前に用はない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、第七区域ではキングジョーが街を破壊しながらもあの時、ボルストが襲った少女をキングジョーに搭載された追跡機能を使い追いかけていた。

 

『見つけたぞ。 踊れ、踊らされるがままに』

 

その頃、コウマ達の乗ったヘリでは現場の状況が弦十郎によって伝えられており、付近一帯の避難はほぼ完了しているのだがあるマンションで多数の人間が閉じ込められているらしく、防火壁の向こう側に閉じ込められているそうだった。

 

『響くんは人命救助に、クリスくんは被害状況の確認を』

「了解です!」

 

外を見ると少し遠目ではあるがキングジョーの姿が確認でき、零無はマリアから託されたビクトリーランサーを取り出し、それをジッと見つめる。

 

「……コウマ」

「んっ?」

「ここは……俺に行かせてくれ。 罪を犯したのは、俺も同じだから。 その償いとして……平和を乱すあいつを倒す!!」

 

零無の言葉に、コウマは笑みを浮かべて無言で頷くと零無も同じように笑みを浮かべて頷いた。

 

「零無、こいつ持って行っとけ」

 

そしてコウマは零無に向かってEXレッドキングのスパークドールズを投げると彼はそれを受け取り、零無はヘリの扉を開くとそのままそこから飛び降りたのだ。

 

「その為に……力を貸してくれ!! ビクトリー!!」

 

零無は「ビクトリーランサー・ランサーモード」に変形させて構えると黒いウルトラマンのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

すると1人のウルトラマンがビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はそのウルトラマンの胸部にあるカラータイマーの中へと入り、零無は黒い巨人……「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させた。

 

そしてキングジョーはあの少女に向かって銃口を向け、コインの弾丸を放とうとした時……キングジョーの頭部に向かってビクトリーが跳び蹴りを喰らわし、キングジョーは吹き飛ばされてその場に転がって倒れこんだ。

 

『ぐっ、貴様……何者だ?』

 

すぐさまキングジョーが尋ねると……彼は答える。

 

『俺は……ウルトラマンビクトリー……!』

 

挿入歌「ウルトラマンビクトリーの歌」

 

「あれは……ウルトラマン、ビクトリー……」

 

さらに少女が自分を助けてくれたウルトラマンを見てそう呟くが、ビクトリーはそれには気づかずキングジョーに向かって駆け出す。

 

『ツェア!!』

 

キングジョーは接近を許すまいと両腕の銃口からコインの銃弾を発射……その速度はかなりの物だったがビクトリーはジャンプして回避し、手前にあったビルを踏み台にさらに高く飛び上がり跳び蹴りをキングジョーに叩き込む。

 

『デヤァ!!』

 

キングジョーは右腕の銃口をビクトリーに向けようとするがビクトリーは左足を振りあげて曲げるとキングジョーの右腕を拘束し、そのままキングジョーの頭部を蹴りつける。

 

『ツェアッ!』

『くっ……やるな。 だが!』

 

ビクトリーはそのままキングジョーに向かって殴り掛かろうとするがキングジョーは4機のメカに分離し、4機のメカそれぞれが光線をビクトリーに放つがビクトリーはバク転をして攻撃を回避したのだが分離したキングジョーの2機アルファー号とベーター号がビクトリーの背後に回り込み、挟み撃ちで4機の分離したキングジョーが光線を放ってビクトリーに直撃させ、ビクトリーは地面に倒れこむ。

 

『うぐっ!?』

 

するとキングジョーは再び合体し、両腕のペタ二ウムランチャーからコインの弾丸が雨のようにビクトリーに向かって降り注ぐ。

 

『ぐああああああっ!?』

 

ダメージを受け、倒れこんでいるビクトリーにキングジョーは掴み掛って立ち上がらせるが……。

 

『かかったな! ビクトリウムバーン!!』

 

頭部のVクリスタルから放つ光線「ビクトリウムバーン」をビクトリーはキングジョーに喰らわせて吹き飛ばし、ビクトリーの中にいる零無はビクトリーランサーでEXレッドキングをリードさせる。

 

『ウルトランス! EXレッドキング・ナックル!!』

 

ビクトリーは右腕がEXレッドキングの右腕に変化した「EXレッドキング・ナックル」に変化し、地面を殴りつけるとマグマが地面から湧きあがる「フレイムロード」を繰り出し、キングジョーは分離が間に合わず攻撃を喰らってしまう。

 

『ぐっ!?』

 

さらにそのままキングジョーに向かって行きEXレッドキング・ナックルによるアッパーカットを繰り出して殴り飛ばすと元の腕に戻し、両手で描いたV字型のエネルギーを右腕に集めてから両腕をL字に組み、右腕の甲にあるVクリスタルを正面に向けて放つ、V字型の必殺光線「ビクトリウムシュート」を放つ。

 

『ビクトリウムシュート!!』

 

ビクトリーの放ったビクトリウムシュートは見事キングジョーに直撃し、キングジョーは火花を散らして爆発……キングジョーはスパークドールズに戻り、ビクトリーは落ちてきたキングジョーのスパークドールズをカラータイマーから吸収した。

 

そしてライブしていたレイアはというと地面に着地し、ビクトリーをジッと見上げる。

 

「まぁいい。 私の目的は奴と戦うことではない」

 

レイアはそれだけを言い残すとその場を去り、ビクトリーは両手を合わせて両手の間から水を放ち、消火活動を開始する。

 

またヘリから降りてランに言われた通り、キングジョーにライブしていたと思われる人物を探していたコウマはというと……。

 

「んっ? ギンガ?」

 

コウマはギンガスパークを取り出し、中央のクリスタル部分が小さく光っていることに気付く。

 

するとコウマの頭の中に1つのイメージ映像のような物……翼が今、ファラと交戦している映像が流れ、それを見たコウマは瞬時に今、翼が謎の敵と戦っているのだということを理解した。

 

「翼さんが戦ってるのか!?」

 

コウマは急いで通信機である「UPG-G2 スマートシーバー」を取り出してランに連絡し、先ほど頭の中で流れた映像のことを説明する。

 

『……成程、向こうでなにかまずいことになってるのかもしれないな。 敵の捜索は消火活動が終わった零無に引き継がせる。 お前は翼達の元に行くんだ』

「ガレット!!」

 

コウマがランとの通信を終えると彼はギンガスパークを構え、両端のブレードを展開させた「変身モード」に変形させると先端からギンガのスパークドールズが現れそれを掴み取ると伸ばした両腕を8の字を描くように振ってからリードし、ギンガスパークを高く掲げる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

「ギンガーーーー!!!!」

 

そして眩い光がコウマを包みこむとコウマは「ウルトラマンギンガ」へと変身を完了させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、響はガングニールを纏ってマンションに取り残された人々を救出しており、同じ頃マリア達のいる場所では天羽々斬を纏った翼がマリアを助けに現れ、ファラと対峙していた。

 

「……待ち焦がれていましたわ」

「貴様は何者だ!?」

 

翼がファラに問いかけるとファラは静かに剣を構え答える。

 

「『オートスコアラー』……」

「オートスコアラー?」

「あなたの歌を聞きに来ましたわ」

 

ファラは剣を右手に持って翼に向かって行き、翼も迎え撃つように剣のアームドギアを振るい、2人は激しくぶつかり合う。

 

そして一度翼はファラと距離を取ると双剣へと変形させたアームドギアの柄を繋ぎ合わせ、炎を纏わせながら振り回し斬りかかる「風輪火斬」を繰り出す。

 

それを喰らったファラは大きく吹き飛ばされて壁に激突し、壁は崩れ舞い上がった煙の中に姿を消す。

 

「やり過ぎだ! 人を相手に……!」

「やり過ぎな物か! 手合わせして分かった、こいつはどうしようもなく……化け物だ!!」

 

翼がそう叫ぶと同時に崩れた壁の瓦礫を吹き飛ばしてファラが現れ、ファラはまるで何事もなかったかのようにケロリとしていた。

 

「聞いてたよりずっとショボい歌ねぇ。 確かにこんなのじゃ、やられてあげる訳には行きまs」

『ショボいのはお前だろ』

 

いつの間にか、ファラの目の前に「銀色の拳」が迫って来ており、ファラの顔面を殴りつけるとファラは大きく吹き飛ばされ床を転がり倒れこんだ。

 

「くっ……!? あなたは……!」

「ギンガ……! 来元!! 来てくれたのか!」

 

そう、そこに現れたのは等身大の「ウルトラマンギンガ」であり、ギンガは翼とマリアの方に振り返るとサムズアップして見せた。

 

「まさか……ウルトラマンが来るとは思っていませんでしたわ」

 

するとファラは黒い球体状の『チブロイドオーブ』を取り出してそれを投げると戦闘兵士であるアンドロイド「傀儡戦士 チブロイド」が複数召喚され一斉にギンガと翼に襲い掛かってくる。

 

「来るぞ来元!!」

『おう!!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

翼は向かって来たチブロイドを大型化させたアームドギアを振るい、巨大な青いエネルギー刃を放ち標的を両断する「蒼ノ一閃」でチブロイド達を切り裂き、ギンガに向かって行ったチブロイド達は一斉にギンガに掴み掛るが……ギンガは全身のクリスタルを輝かせるとチブロイド達を一斉に吹き飛ばした。

 

『ギンガセイバー!!』

 

全身のクリスタルが白く輝くと右腕のクリスタルから剣が生成された「ギンガセイバー」を出現させ、ギンガは翼と共にチブロイドを一気に切り裂いて破壊するとそのまま2人同時に剣をファラに振りかざす。

 

しかしファラは剣でギンガと翼の剣を受け止め、剣に風を纏わせてそのまま振るうとギンガと翼を振り払う。

 

「ウルトラマンも相手にするのでしたら、それなりの力は必要ね」

 

ファラがそう呟くと彼女はチブルスパークとスパークドールズを取り出し、それをライブさせ侍のようなロット……「暗黒機靱 メカザム」へと変身した。

 

『モンスライブ! メカザム!』

 

メカザムはファラの時に使用していた剣を左手に、右腕に装備された剣を構え……2つの剣に風を纏わせてそれを振るって放つ斬撃をギンガと翼に向かって放つがギンガと翼は2人同時に剣を振るってそれを打ち消す。

 

『お前……ラン隊長が言ってた新しい敵か!?』

『さぁ、どうかしらね……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、とある場所でコンビニで弁当を買って帰っている途中のカイトが歩いている時のことだった。

 

「お前が歌ったずんだらべぇの歌ぁ~♪」

 

おかしな歌を歌いながら歩いていると近くで突然「ズドン!!」という大きな音が聞こえ、カイトは何事かと思い慌てて音の方向へと走って行くとそこにはボロボロの状態で肩で息をした等身大の……「ウルトラマンマックス」がいたのだった……。



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3Eve 『ウルトラマンマックス参上!』

3Eve 『ウルトラマンマックス参上!』

 

 

数ヶ月前、人気のないある場所、人気のないある場所でそこでは1人の少女「キャロル・マールス・ディーンハイム」とその護衛としてカジノの女性ディーラーのような容姿をした「レイア・ダラーヒム」が薄暗く、人気のない場所にて1人の異星人……「チブル星人エクセラー」と話をしていた。

 

「それで? お前の目的は俺たちの目的と一致すると?」

『その通り、シンフォギア奏者、そしてウルトラマンにかつて倒された我がグランドマスター、ルギエルの敵を討つべく是非ともあなた方と協力したいと思いましてねぇ?』

「フン、貴様等のような胡散臭い連中と手を組むと思うのか?」

『まぁ、私的にはただ人手が欲しいというだけですからね。 しかし、私の申し出を断ると困るのはあなた方だと思うのですが?』

 

それを聞いてキャロルはエクセラーを睨みつけ、レイアは「どういう意味だ?」と問いかけるとエクセラーは「グフフフ」と不適な笑みを浮かべる。

 

『地球の危機となればウルトラマンは必ず戻ってくるでしょう。 その時はあなた方だけで果たして対処できますかねぇ? 私にはウルトラマンに対抗する手段がある。 ですがあなた達にはそれがない筈です。 それになにより、錬金術と宇宙最高の頭脳であるこの私がいれば、計画はもっと早く進められると思うのですが?』

「……一理あるかもな。 だが、今はまだ判断はできない。 少し考えさせろ」

『えぇ、じっくりとお考えください』

 

それだけを言うとエクセラーはその場から消え去り、自分が乗ってきた宇宙船へと戻ったのだった。

 

現在、燃え盛る街を高い場所から見つめる少女……キャロルは昔のことを思い出しながらその炎を見つめていた。

 

『それが神の奇跡でないのなら人の身に過ぎた悪魔の知恵だッ!!』

『裁きを!! 浄罪の炎でイザークの穢れを清めよッ!!』

 

その記憶は自分の父が街の人々によって火炙りにされ、自分は大人たちに取り押さえられ「パパ! パパぁ!!」と父親を呼ぶことしかできないという光景。

 

しかし、彼女の父親は苦しむ様子を見せず笑みを浮かべて「キャロル」と彼女の名を呼んだのだ。

 

『生きて……もっと世界を知るんだ』

『世界を……?』

『それがキャロルの……』

 

そこで父親は炎に包まれ、今現在のキャロルは静かに「パパ……」と呟いて炎を見つめていた。

 

「消えてしまえばいい思い出……」

 

そんな時、「そんなところにいたら危ないよ!!」という誰かの声が聞こえ、ハッとなったキャロルは自分の足元を見降ろすとそこには響が自分に向かって呼びかけていたのだった。

 

「パパとママとはぐれちゃったのかな!? すぐに行くからお姉ちゃんが行くまで……!」

「黙れ」

 

キャロルは響の言葉を遮り、右手を円を囲むように動かすと緑色の紋章のようなものが出現し、そこから竜巻が響に向かって放たれる。

 

しかし、響は間一髪竜巻による攻撃を後ろに下がって回避し……それと同時に響が耳につけたインカムにクリスからの通信が入る。

 

『敵だ! 敵の襲撃だ! そっちはどうなってる!?』

「……敵……?」

「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術は世界を壊し、万象黙示録を完成させる」

「世界を……壊す?」

 

戸惑う様子を見せる響だが、キャロルはそんなこと気にすることなく左手に先ほどと同じような小さな紋章を浮かび上がらせる、自分の周りに魔法陣のような物が浮かびあがると先ほどと同じ竜巻が6つ同時に響に向かって放たれたのだ。

 

「俺が奇跡を殺すと言っている!!」

 

竜巻は響に直撃することはなかったが風圧により彼女は吹き飛ばされてしまい、彼女は地面に倒れこんだがどうにか立ち上がろうとする。

 

しかしそんな響をキャロルは不思議そうに見降ろす。

 

「なぜシンフォギアを纏わない? 戦おうとしない?」

「戦う……よりも、世界を壊したい理由を聞かせてよ!」

 

そんな風に聞いてくる響に少しムッとした様子を見せるキャロル。

 

するとキャロルは空中に浮かびあがり、ゆっくりと響の元へと降り立つ。

 

「……理由を言えば受け入れるのか?」

「……私は……戦いたくないッ!!」

 

必死にキャロルに対しそう訴える響、それに対しキャロルは「お前と違い、戦ってでも欲しい真実が……俺にはある!!」と言い放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次元の狭間に存在する時空城にて……。

 

そこで「ウルトラマンマックス」と「ウルトラマンゼノン」……2人のウルトラマンとエタルガーによる激闘が繰り広げられていた。

 

『シュアッ!!』

 

マックスの廻し蹴りがエタルガーに繰り出されるがエタルガーはそれを受け流しマックスの頭を掴みあげ勢いよくマックスを床に叩き付けた。

 

『ゼアアアアアア!!!!』

 

そこにエタルガーの頭上からジャンプして右拳を突き出してきたゼノンがいたがエタルガーはゼノンの腕を左手で掴んで受け止め、そのまま左拳によるパンチを何発もゼノンに叩き込んでエタルガーは身体中から発射する赤い光線をゼノンへと喰らわせる。

 

『ウアッ!?』

 

そこで立ち上がったマックスが頭部に収納されてあるブーメラン、「マクシウムソード」をエタルガーに向かって投げつけ……途中で分身させて相手を斬りつける「マクシウムソード分身シュート」を繰り出し、エタルガーを斬りつけるが頑丈なエタルガーのボディには傷1つつく事無くマックスはマクシウムソードを戻す。

 

『フン、その程度か? 最強最速が聞いて呆れるな……ウルトラマンマックス!』

『グッ、シェアッ!!』

『ダアッ!』

 

マックスとゼノンは2人同時にエタルガーへと向かって行き、2人同時にエタルガーの胸部を殴りつけるがやはりエタルガーはビクともせず2人の首を掴みあげると互いをぶつけ合わせて遠くへと投げ飛ばし、マックスとゼノンは倒れこんでしまう。

 

『マックス……こうなれば最後の手段だ。 残されたエネルギーの全てを使い私と君の最大出力のギャラクシーカノンを放つしかない』

『ゼノン……だがそれは我々の命も……』

『これ以上、他のウルトラマン達を奴に封印させないため、その世界に住む人々を巻きこまない為にも……奴をここで食い止めるしかない』

 

ゼノンの言葉に対し、マックスは意を決したかのように頷くとマックスは右手を天に挙げて虹色の光線を手のひらから放ち、空中から召還して右下腕部に装着する武器「マックスギャラクシー」を装着。

 

ゼノンも同じようにマックスギャラクシーに酷似した武器「ゼノンギャラクシー」を装備し、マックスが「行くぞ!!」とゼノンに声をかけるとゼノンは力強く頷き、2人は身体を金色に輝かせ全てのエネルギーをこの一撃に込める。

 

『『ハアアアアア……!! ジュアアアアアアア!!!!!!』』

 

マックスとゼノンは自分たちの全てのエネルギーをマックスギャラクシーとゼノンギャラクシーに送り込み、ゼノンギャラクシーとマックスギャラクシーから放つ必殺光線「ギャラクシーカノン」を合体させた「ダブルギャラクシーカノン」をエタルガーに向けて発射し、エタルガーは「面白い!!」と言って真正面からダブルギャラクシーカノンを受け止めた。

 

『ぬおおおおおおおおおお!!!!』

『『ウオオオオオオオオオオ!!!!!!』』

 

やがて時空城が大きく揺れる程の爆発が起き、エタルガーは軽く吹き飛ばされるがマックスとゼノンはその衝撃で時空城から放り出されてしまい、マックスはその際に出来た時空の穴へと落ちて行ってしまうのだった。

 

『『グアアアアアアアア!!!!?』』

『ぐうう!? おのれ、マックスにゼノンめ……逃がしたか!』

 

エタルガーはマックスとゼノンを探すが2人の姿はどこにもなく、ウルトラマンを封印できなかったことを悔やむが逆に邪魔をする者がいなくなったと考え、エタルガーは急いで次の世界へと向かおうとしたのだが……。

 

『先ほどの爆発で次元移動するための装置がイカれたか……。 これではしばらくは使えないな。 マックスとゼノンめ……! 片方は封印、もう片方はいずれ必ずなぶり殺しにしてくれる……!』

 

そして今現在……マックスは殆どのエネルギーを使い果たし、等身大になってボロボロの状態で草むらに落下……そこで偶然「早橋 カイト」に発見されたところだった。

 

「お、おい大丈夫かアンタ!? 凄い怪我してるじゃないか……ちょ、ちょっと待ってて!! すぐそこにコンビニあるから!!」

『待っ……ぐっ……』

 

そう言うとカイトはそのままコンビニの方へと走って行ってしまい、残されたマックスはというとただでさえ怪我をしている上にエネルギーまで消耗しているため、このままではまずいと感じたマックスは急いで地球人の姿に変身しようとしたのだが……。

 

マックスはそれよりも早くそこで意識が途切れてしまいその場に倒れこんでしまったのだった。

 

だが、数分後にはカイトに叩き起こされて目を覚まし、起き上がったマックスは辺りをキョロキョロと見回す。

 

『ここは……』

「あっ、目が覚めた?」

『君は……いや、それよりも早く地球人の姿にならなければ……』

 

幸い、等身大になっているためエネルギーは少しだけ余裕があった為、エネルギー切れを起こすことはなかったが兎に角マックスは急いで地球人の姿に変身しようとする……のだが……。

 

『……なんだ、これは……』

 

マックスが自分の身体を見ると包帯をグルグルに巻かれており、見た目はまさに「ミイラ」と呼ぶに相応しい恰好になっていた。

 

「いや、すいません! 俺、包帯巻いたことないからどうしていいか分からず……取りあえず全身巻けば良いかなって……! っていうかなんかピコピコ言ってますけど大丈夫なんですか!?」

(少し、パニくってるなこの少年……。 いや、無理もないか)

 

マックスはいきなり自分という「宇宙人」と出会い、その上怪我をしていれば普通は誰だってパニくるだろうと考え、敢えてなにも言わなかった。

 

なのでマックスはその事に関して自分を必死に助けようとしてくれてるのだと理解し、文句を言うつもりはなく、今度こそ地球人……かつて共に戦い、その手で未来を掴み取った青年「トウマ・カイト」の姿へと変身し、それを見たカイトは「おぉ」と驚きの声をあげた。

 

「驚かせてすまない。 私の名はウルトラマンマックス、この姿の時は『トウマ・カイト』だ。 私を助けようとしてくれたこと、礼を言う」

「いやいや。 ってカイト? 俺と同じ名前だね。 俺も早橋 カイトって名前なんだ」

「そうか、君もカイトと言うのか……」

 

彼が同じ「カイト」という名前を聞き、心なしかどこか嬉しそうに笑みを見せるマックス。

 

「色々と私について聞きたいこともあるだろう、だがその前に……」

「んっ?」

「もう少し……この包帯をどうにかしてくれないか……」

 

そしてミイラ状態のマックスはカイトにそう懇願するのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスが響に通信をする数分前のこと……クリスは言われた通り人気のないある場所で1人待機しており、あおいから通信でキングジョーをビクトリーが倒し、人命救助は響のおかげで順調に進んでいるという報告を受けていた。

 

「フン、あいつ等ばかりに良いカッコさせるかよ!」

 

そんな時、「キーン」という金属音のようなものが聞こえ、クリスが慌てて後ろを振り返ると自分を乗せて来てくれたヘリが突如爆発。

 

辺りを見回し、上を見上げるとそこにはレイアが立ってこちらを見降ろしており、クリスは「この仕業はお前か!?」と問いかけるがレイアは何も答えない。

 

レイアは両手にコインを指で挟んで構え……幾つかのコインをクリスに投げつけるが……挑発のつもりなのかコインは彼女に当たることはなかった。

 

「……抜いたな。 だったら貸し借り無しでやらせて貰う。 後で吠え面かくんじゃねえぞ!!」

 

そしてクリスは首のペンダントを取り出し、「歌」を口ずさむとシンフォギア……「イチイバル」をその身に纏い、ボウガンのアームドギアを構えて「歌」を歌いながらレイアとの戦闘を開始する。

 

挿入歌「TRUST HEART」

 

クリスはレイアに幾つものボウガンの矢を放つがレイアは素早い動きでクリスの攻撃を全て回避し、それを見たクリスは瞬時に「この動き、人間離れどころじゃねえ!」とレイアが人間でないことを見抜いた。

 

(この動き……人外そのものだ! つまり、やりやすい!!)

 

クリスは幾つもの矢を連続で発射し、レイアもコインを目にも止まらぬ速さで指で弾いて発射し矢とコインは激しくぶつかり合う。

 

一方、それを物陰から以前カイトが助けた少女がクリスとレイアの戦いを見守っていた。

 

「装者屈指の戦闘力とフォニックゲイン、それでもレイアに通じない! やはり、ドヴェルグ・ダインの遺産を届けないと……!」

 

クリスとレイアは空中で激しくぶつかり合い、クリスは片方のアームドギアをガトリング砲に変形させてレイアを撃つがレイアは壁を走って攻撃を回避し、徐々にクリスとの距離を詰めていくがレイアが跳びあがった瞬間を狙い、腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する「MEGA DETH PARTY」を放つ。

 

「なっ……!」

「直撃……!?」

 

ミサイルは全てレイアに直撃、爆発が起こって煙が起こる。

 

またカイトとマックスのいる場所でその爆発が遠目ながらも確認することができ、2人は何事かと思い驚きの表情を見せる。

 

「なんだ……? 今の爆発は?」

「分からないけど……」

 

カイトに一通りの事情を説明し終わったマックスは傷だらけの身体にも関わらずその場を立ち上がり、爆発の起きた場所へと向かおうとするがカイトはそんなマックスを引き止めようとする。

 

「おい! アンタそんな傷でどこに行こうって言うんだよ! 病院に行った方が……」

「心配はない、包帯もちゃんと巻き直して貰えたし、この程度の傷ならばすぐに治る。 何よりも嫌な予感がしてならないんだ」

 

マックスはそう言って爆発の起こった場所へと向かおうとするがマックスはフラつき、今にも倒れそうになるが慌ててカイトがマックスを支える。

 

「言わんこっちゃない。 マックス、アンタ意外と頑固そうだな。 分かった、俺もついて行く」

「いや……だがそれは危険だ。 関係のない君を巻きこむ訳には……」

「だからってアンタを放っておけないよ。 それにこんな風になにかの縁だ、アンタが嫌だと言ってもついて行く」

「……分かった、では偵察のみにしよう」

 

渋々カイトの動向を許可したマックス、そしてそれを聞いたカイトは笑みを浮かべて「よし!」と頷くと爆発のした場所へと2人は向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でロンドンでは等身大のメカザムに変身したファラがギンガと翼を相手に互角に戦闘を繰り広げており、ギンガはギンガセイバーをしまいギンガスパークを取り出すとそれをトライデント型の槍に変化させた「ギンガスパークランス」を構える。

 

『ショウラ!!』

 

ギンガはギンガスパークランスを振るってメカザムに攻撃を繰り出すがメカザムは右手に装備された剣と左手に持った剣でギンガスパークランスによる攻撃を受け流し続ける。

 

『そろそろ反撃と行こうかしら?』

 

しかしその直後にギンガはギンガスパークランスの尻柄を床に突き立てて身体を浮かびあがらせ、メカザムの腹部に強烈な蹴りを叩き込む。

 

『デアッ!!』

 

さらにそこに翼の振るったアームドギアがメカザムを斬りつけようとするがメカザムは右腕の剣でガードし、押し返すがそこにギンガと翼の蹴りが同時にメカザムに叩き込まれる。

 

『ぐっ……!? 成程、やはり奏者とウルトラマン、手を組めば一筋縄では行かないようね……。 でも申し訳ないけどあなたには用はないの』

 

メカザムはそう言うと足元に風を纏わせてそれによって加速してギンガに向かって接近し、すれ違いざまにギンガを剣で斬りつけるとそのまま剣をギンガの後ろの方にいた翼に向かって突き立てる。

 

だが同じように翼も剣のアームドギアを突きだして2人の刃がぶつかり合うが翼のアームドギアが弾かれてしまう……だがそのアームドギアは翼の意思によって巨大化して変形し、それがメカザムに落下した。

 

「やった……!?」

「この程度、下に叩き落したに過ぎない!」

 

そこでマリアは何かに気づいたかのような表情を浮かべ、翼の腕を掴むとそのまま後ろの方へと走り去って行ってしまう。

 

「退くぞ翼!! 来元コウマ! 私は翼を逃がす!! その間奴を人気のない場所に誘導して足止めしてくれ!!」

『なんか良く分かんねえけど……任されたぜマリアさん!!』

「すまない!」

 

マリアは翼の腕を掴んでそのままその場を離れ、翼は訳が分からず「うえっ!? えぇ!?」と驚きの声をあげていた。

 

(ってかなんで腕掴まれて引っ張られただけで顔赤くしてるんすかねぇ……翼さん)

 

なんてことを思ってる間にメカザムが床から飛び出し、マリアと翼が逃げたことを確認するとギンガを無視して2人を追いかけようとする。

 

しかし、そんなことをギンガが許す筈もなく、ギンガはメカザムに掴み掛ってそのまま壁を突き破り外に出るとメカザムに廻し蹴りを喰らわせる。

 

『あなたに用は無いと言っているのだけれどねぇ……。 まぁいいわ。 少し相手をしてあげましょう』

『へっ! 相手してやんのはこっちだぜ、ショボ女!』

『ショボおん……ッ!?』

 

今まで落ち着いた様子とは違い僅かにギンガの言葉に怒りを見せるメカザム、するとメカザムは両手の剣から竜巻をギンガに放ち、竜巻をギンガを浮かびあがらせるとそのまま動きを拘束して身体の自由を奪ってしまう。

 

そしてメカザムは自らが出した竜巻の中へと入り、術者であるメカザムは竜巻の中を自由に動き廻ってギンガを好きな方向から剣で何回も斬りつける。

 

『ぐああああああ!!?』

 

その衝撃でギンガは竜巻の中から弾きだされて地面へと倒れこみ、竜巻の中から勢いをつけて飛び出したメカザムが2つの剣を突きだしてギンガに直撃させるとギンガは地面を転がって倒れこむ。

 

『ぐっ……あの竜巻……厄介だな! アレをどうにかしねぇと……』

 

そんな時のことだ……突然、コウマの目の前に眩い小さな光が現れ、その光が収まるとそこには1体のスパークドールズが目の前に現れた。

 

そのスパークドールズとは銀色の巨人……「ウルトラマンネクサス」のスパークドールズだったのだ。

 

『これは……スパークドールズ?』

『そうだ、コウマ……。 新たな戦いに勝つために私たちに再び力を貸してくれる者達だ』

『ギンガなのか? 『達』ってことはまだ他にも……』

『そう、今はまだ地球へと到着していない者も多いが……』

 

だが、そこでコウマが不思議に思ったことが1つだけあった。

 

それはランから聞いた話ではネクサスはエタルガーによって封印されている筈、それなのになぜネクサスのスパークドールズがここにあるのか……。

 

『確かに、エタルガーによってティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、メビウスは封印されている。 だが彼等は君の知っているスパークドールズのウルトラマン達とは別次元の存在、正確には同一人物ではない。 最も、ネクサスだけは自分の分身としてこれをこの世界に送ったようだが……』

 

ギンガが説明をし終わるとコウマは「成程な」と呟き、今は兎も角、在り難くネクサスのスパークドールズを使わせて貰うことにし、スパークドールズを手に取るとギンガスパークにそれをリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンネクサス!』

 

ギンガの全身が光輝くと銀色の戦士……「ウルトラマンネクサス アンファンス」に変身し、剣を振るって迫って来たメカザムの攻撃を両腕を交差して高速移動する「マッハムーブ」で回避する。

 

戦闘BGM「ネクサス - Heroic-」

 

『シュアッ!!』

 

右手を胸の前で構え、振り降ろすとネクサスの身体が赤い姿「ジュネッス」へと変化し、メカザムは突然ギンガの姿が変わったことに驚くが構わず先ほどと同じように竜巻をネクサスに向かって放つ。

 

しかしそれに対してネクサスも竜巻を巻き起こす「ネクサスハリケーン」を発動させ、メカザムの放った竜巻を相殺させる。

 

『なんですって!?』

 

そこでネクサスがすかさずメカザムに向かって行き飛び上がって跳び蹴りと廻し蹴りを連続で繰り出す「ジュネッスキック」が炸裂し、メカザムは何とか剣を振るって反撃しようとするがネクサスはバク転をして攻撃を回避する。

 

『デヤァ!!』

 

ネクサスは右腕を空へと突きだすとそこから放つ光線「フェーズシフトウエーブ」を放ち、亜空間「メタフィールド」を形成し、メカザムは周りの景色が突然変わったことに驚く。

 

『これは……!?』

『シュア!!』

 

ネクサスはメカザムに向かって駆け出し、メカザムは向かって来たネクサスに両手の剣を振るうがネクサスはそれを両手で掴んで受け止める。

 

だがメカザムはそれでがら空きになったネクサスの横腹を蹴りつけて自分から引き離し、風を纏わせた斬撃を飛ばすがネクサスは両腕の「アームドネクサス」の刃を光らせて斬撃を弾き、腕を振り、光粒子エネルギーの刃を敵に向かって放つ「パーティクル・フェザー」を放つがメカザムは剣でそれを弾く。

 

(マリアさんに言われた通り、全くの人の来ない所を作ったけど……こいつ強ぇ……!)

 

そこでメカザムが駆け出し左手の剣を振るうがネクサスはそれを右腕のアームドネクサスで受け止め、膝蹴りを叩き込む。

 

『ぐぅ……!?』

『ハアアア!!』

 

怯んだ隙を狙い、ネクサスは光の帯「セービングビュート」を使ってメカザムが左手に持つ剣を奪い取って投げ捨て……それよってさらに生まれた隙を見逃さず、ネクサスは駆け出してスライディングキックでメカザムを蹴り飛ばして倒れこませる。

 

『くあっ!?』

『今だ!!』

 

ネクサスは両腕のアームドネクサスを前方で交差させた後、それをガッツポーズし、そしてV字型に伸ばし、両腕のアームドネクサスをL字型に組んで放つ必殺光線「オーバーレイ・シュトローム」を発射し、メカザムが起き上がったところに光線が直撃し……メカザムは火花を散らして爆発した。

 

『ハアアアアア、シュアアアアアア!!!!』

『くう……くああああああああああ!!!!!?』

 

それと同時にメタフィールドとライブを解除し、コウマはメカザムのスパークドールズを回収してファラの姿を見渡すが彼女の姿はどこにもなかった。

 

「あいつ……まさか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を戻し日本、爆発の起こった炎を見つめながらクリスは「勿体ぶらねえでさっさと出てきやがれ!!」と言い放つと煙が晴れてそこにはバリアを張り巡らせ、クリスの攻撃を耐えきった無傷のレイアの姿があった。

 

そしてレイアはコインの弾丸をクリスに向かって飛ばし、あおいから「何があったのクリスちゃん!?」と通信入り、彼女は「敵だ! 敵の襲撃だ!! そっちはどうなってる!?」と通信越しに答える。

 

ちなみに同じ頃、響にもこの通信による会話が聞こえていた。

 

「危ない!!」

 

突然聞こえてきた声にクリスは反応し、頭上から幾つものクルーザーが降り注いできたのだ。

 

「なんの冗談だぁ!?」

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!!』

 

そんな時、光の球体がクリスを包みこんで空中へと浮かびあがるとクリスに当たることはなかったがクルーザーは地面に激突して爆発、光の球体は巨大化した「ウルトラマンビクトリー」へと変わり、手の平に乗せたクリスをそっと地上へ降ろす。

 

「あっ、サンキュー……ポンコツ」

『お礼を言うか悪口を言うかどっちかにしろ。 って誰がポンコツだよ!?』

「あの2人がお前の事はそう呼べって言ってたんだよ」

『おのれあの切しらコンビ……!』

 

クリスの言う「あの2人」というの間違いなく切歌と調のことだろう……この件が一度落ち着いたらあの2人に説教してやろうと思う零無だった……。

 

「……私に地味は似合わない。 だがこれは、私には派手過ぎる」

 

とか言っているがキングジョーで暴れまわる方が派手過ぎる気はするが……。

 

レイアが見つめる方向にはクルーザーを2つ持った巨大な「影」が潜んでおり、それを確認したビクトリーは戦闘態勢を取るが……。

 

「後は私が……地味にやる」

 

そのレイアの言葉を聞いたからか、「影」は跡形もなくどこかへと消え去った。

 

さらにそれと同時に突然地面が大きく揺れ始め……地面が割れてビクトリウムが出現、それに気付いたビクトリーはビクトリウムがビクトリアンの命の源……同時にこれを全て奪われれば地球も滅びかねないこともあり、ビクトリーは急いでビクトリウムへと向かって駆け出す。

 

『チッ、やはり邪魔をするか! ウルトラマンビクトリー……! だが!! そう易々とは行かんぞ!!』

 

離れた場所でビルの上に立つガッツ星人ボルストがエクセラーから託されたブレスレットの装置でビクトリウムを掘り起こし、後は自動的にビクトリウムがエクセラーの元に転送される為、後のことは放っておきチブルスパークと1体のスパークドールズを取り出すとそれをリードさせてチブルスパークを掲げる。

 

『モンスライブ! ネロンガ!!』

 

するとボルストは「透明怪獣ネロンガ」へとライブし、ビクトリーの目の前に立ち塞がったのだ。

 

『貴様……邪魔をするな!!』

『それはこちらの台詞だ!!』

 

兎に角、ここで戦うのはマズイ……クリスを巻きこんでしまう可能性がある為、ビクトリーはネロンガに掴み掛ってここから離れ、建物もあまり広い場所へと向かって投げ飛ばす。

 

「グオォ!?」

『こいつの相手をしてる暇はないんだがな……』

 

だがネロンガを相手にしなければ周りに被害が及んでしまうかもしれない、それを考慮してビクトリーはジャンプしてネロンガの目の前に降り立つとファイティングポーズを構えてネロンガと対峙する。

 

それと同時に、地中から「地底聖獣シェパードン」が出現し、シェパードンは一度ビクトリーの姿を一度見るが……すぐさまビクトリウムを取り戻そうと空中に浮かんで行くビクトリウムの元へと向かって歩いていく。

 

『おのれ! そうはさせるか!!』

 

するとシェパードンの目の前にボルスト自身の能力で作りだした分身体のネロンガを出現させ、シェパードンは邪魔をするネロンガを右手で殴りつけようとするがネロンガはしゃがみ込んでそれを回避し、角から放つ電撃光線をシェパードンに喰らわせる。

 

「クオオオオオ!!?」

 

さらにネロンガは体当たりをシェパードンへと喰らわせ、右腕を大きく振るってシェパードンの頭を叩きつけ……シェパードンが倒れこんだところにネロンガの蹴りが叩き込まれシェパードンは地面を転がって倒れこむ。

 

『あっ……!』

 

それを見たビクトリーはシェパードンを助けに向かおうとするが本体のネロンガが後頭部の触角2本と鼻先の角を合わせる事で放電して「暴君電撃」を背中を見せたビクトリーへと攻撃を喰らわし、ダメージを受けて膝を突く。

 

『ウグッ!?』

 

次に瞬間移動でネロンガはビクトリーの目の前に現れて足を振りあげてビクトリーを蹴りあげ、ビクトリーは軽く吹き飛ばされるがどうにか体制を立て直して足から放つ矢じり型の光弾「ビクトリウムスラッシュ」をネロンガへと放つ。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

しかしネロンガは身体を透明にすると同時にビクトリウムスラッシュを回避し、ビクトリーは姿をネロンガに驚く様子を見せる。

 

『消えた……!?』

 

一方でクリスは草むらに身を隠してレイアの様子を伺っており、「ハチャメチャしやがる……!」と呟いているとそんな時、「大丈夫ですか?」と誰かからの声が聞こえ、クリスは思わず「あぁ」と返事をして声のした方へと顔を向けるとそこにはあの箱を持った少女がおり、クリスは少女の恰好を見て驚きの声をあげた。

 

「っておま……その恰好!?」

「あなたは……」

「あっ、わ、私は怪傑歌頭巾! 国連とも日本政府とも全然関係なく……!」

「イチイバルのシンフォギア奏者、雪音クリスさんですよね?」

 

するとクリスは先ほど自分に「危ない!」と呼びかけてくれた者とこの少女の声が同じものであることに気付き、少女はフードをあげて「僕の名前はエルフナイン」とクリスに自分の名前を教える。

 

「キャロルの錬金術から世界を守るため、皆さんを探していました」

「……錬金術……だと?」

 

またS.O.N.G.の司令室にてエルフナインやキャロルの姿をモニター越しに確認していた弦十郎達はエルフナインが言う「錬金術」というものについて話しあっていた。

 

「錬金術……科学と魔術が分化する以前のオーバーテクノロジーだったあの錬金術のことなのでしょうか?」

「だとしたら、シンフォギアとは別系統の異端技術が挑んで来ていると……」

 

あおいと朔也の会話を聞き、弦十郎はモニターに映るキャロルを見つめる。

 

「新たな敵……錬金術師か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそのキャロルと響はというと……。

 

「戦ってでも欲しい真実……?」

「そうだ、お前にもあるだろ? だからその歌で月の破壊を食い止めて見せた。 その歌で! シンフォギアで戦って見せた!!」

 

それに対し、響は「違う!」と否定する。

 

「そうするしかなかっただけで……そうしたかった訳じゃない。 私は! 戦いたかったんじゃない!! シンフォギアで……守りたかったんだッ……!」

「……それでも戦え! お前にできることをやって見せろ!」

 

しかし響は「人助けの力で戦うのは嫌だよ」と彼女は一向に戦う様子を見せず、その様子を見てキャロルは不機嫌そうな表情を浮かべる。

 

「っ、お前も人助けをして殺される口なのか!!」

 

キャロルは右手を掲げてその先に巨大なエネルギーを集める。

 

「だって……さっきのキャロルちゃん、泣いてた……。 だから戦うよりもその訳を聞かないと!」

「っ! 見られた……知られた、踏みこまれた……! 世界ごと、ぶっ飛べええええええええ!!!!」

 

キャロルは響に向かって強烈な衝撃波を放つが……。

 

『ウルトラゼロディフェンサー!!』

 

等身大の「ウルトラマンゼロ」が現れ、巨大な光のバリアーを作り出す防御技「ウルトラゼロディフェンサー」でキャロルの攻撃を防ぎ切り、ゼロはバリアを解除して響の方へと振り返る。

 

『大丈夫か響? コウマと零無が手ぇ離せないみたいだからな、代わりに俺が来たって訳だ』

「ラン……さん……」

 

響はキャロルの方を見つめ、「どうして……世界を……?」と問いかけるとキャロルは肩で息をしながらも答える。

 

「父親に託された命題だ。 お前にだってある筈だ……」

「えっ? お父……さんに?」

『父親……だと?』

 

すると崩れた瓦礫の上に座る青い服の少女、ガリィが突然現れ、ガリィは「めんどくさい奴ですねー」とどこか呆れたような声を出した。

 

「……見ていたのか、性根の腐ったガリィらしい……」

 

ガリィは瓦礫の上からキャロルの元へと降り立つ。

 

「やめて下さいよ~。 そういう風にはしたのはマスターじゃないですか?」

「思い出の採集はどうなってる?」

「順調ですよ? でもミカちゃん大喰らいなので足りてませ~ん!」

 

ガリィは泣くような仕草を見せ、キャロルは「なら急げ、こちらも出直しだ」と言うとガリィは泣くような仕草をやめ「りょーかーい♪ ガリィ頑張りまぁ~す!」と敬礼して水の入った小瓶のようなものを地面に投げ、それが割れると魔法陣のようなものが出現しガリィはそれを使って姿を消す。

 

「……次は戦え、でないと……お前の何もかもを打ち砕けないからな」

 

そしてキャロルも同じようにそこから姿を消し、ゼロは敵が撤退したのを確認するとランの姿に戻る。

 

「なんだあいつ等……? 響……?」

 

響の方に振り返ってみるとどうにも彼女の様子がおかしく、ランは首を傾げた。

 

「託された……私には、お父さんから貰った物なんて……」

「お前……自分の親父となにかあったのか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ビクトリー達はというと……。

 

『モンスライブ! ゲロンガ!!』

 

分身体のボルストがチブルスパークを使い、新たに「牛鬼怪獣 ゲロンガ」にライブするとゲロンガは跳びあがってその巨体を生かしたキック攻撃をシェパードンに繰り出し、キックを顔面に受けたシェパードンは地面に倒れこんでしまう。

 

「ギジャアア!!?」

『ツェア!』

 

さらにビクトリウムは既にエクセラーの元へと転送され

 

また本体のボルストがライブしたネロンガと戦うビクトリーは廻し蹴りをネロンガに喰らわせようとするがネロンガは透明になって回避、ビクトリーは辺りを見回す。

 

『透明になるのは厄介だな……!』

『モンスライブ! ゲロンガ!!』

 

すると本体のボルストもゲロンガへとライブし、背後から突進攻撃をビクトリーへと喰らわせる。

 

『ウオッ!?』

『フハハハハ!! どうしたビクトリー? そんなものかァ!!』

 

ビクトリーはゲロンガに掴み掛ろうとするがゲロンガは素早くネロンガに変化して透明化してビクトリーは相手を捕らえることができず、右方向から放たれたネロンガの暴君電撃による攻撃を喰らってしまう。

 

『くっ……!』

 

またその戦いの様子を少し離れた場所でマックスとカイトは見守っていた。

 

「あれが……この世界のウルトラマン……」

「あんなウルトラマン、俺も初めてみるな」

 

マックスは苦戦している様子のビクトリーを見て自分も助けに行くべきか考えたが……この身体では返って足手まといになってしまう可能性があるため、マックスはどうすればいいか思い悩む。

 

「っていうか苦戦してるじゃないか! どうにかして助けないと……!」

「しかし、今の我々では……」

 

そんな時のことだ、ネロンガの放った電撃が偶然ビルに直撃し、ビルが崩れて瓦礫が降り注ぐ。

 

それを見たカイトは何かに気づき、崩れ去るビルの元へと駆け出して行ってしまった。

 

「カイト!? 危ない!!」

 

カイトが向かった先……そこには、一匹の子犬がおり、カイトはその子犬を抱き抱えて庇うようにすぐに走り去ろうとするがこのままでは間に合わない。

 

するとカイトはマックスに向かって子犬を力いっぱいに投げ飛ばし、マックスは子犬をキャッチし、子犬を助け出すことには成功したのだが……代わりにカイトが瓦礫の下敷きとなってしまった。

 

「っ! カイトォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンドンでは……ファラが翼が現れた際に「待ち焦がれていましたわ」という発言から、ファラの狙いが翼であることに気付き、翼のマネージャーの緒川の手助けもあり被害を抑えるためにも車に乗ってファラから逃走している途中だった。

 

だが、既にファラは先回りしてマリア達を待ち構えており、翼はまさかコウマがやられたのかと思ったが……。

 

「いえ、それならばあの姿になってる筈……隙を見てここへ……!」

 

マリアは唇を噛み締めて構わず車のアクセルを踏み込んでファラに突っ込むがファラは横一閃に剣を振るい、マリアと翼は椅子を横倒しにしてどうにか攻撃を回避した。

 

「くっ……!」

 

そして翼は再び「天羽々斬」を纏い、翼はマリアを抱えて車から脱出して地面へと降り立つ。

 

『翼さん!!』

 

そこにメカザムへとウルトライブしたコウマが翼とマリアの元へと降り立ち、メカザムは右手に装備された剣を構える。

 

『すいません、どうやら俺……あいつを逃がしちまったみたいで……』

「気にするな、それより……行くぞ来元!!」

『はい!!』

 

挿入歌「Beyond the BLADE」

 

最初に翼が巨大化させたアームドギアでファラに斬りかかり、ファラはそれを余裕で受け止める。

 

「剣は剣でも私の剣は剣殺し……『ソードブレイカー』」

 

すると翼の剣が破壊されてアームドギアは元の大きさへと戻り、翼は慌ててファラから離れる。

 

そしてファラは小さなガラスのようなものを地面に落とし、それが割れるとそこからなんと……「ノイズ」が複数出現したのだ。

 

「そんな……ノイズ!? どうして!?」

 

また、司令室の方では昨夜確認された反応パターンがこのノイズ達と同じであることが判明し、同じ頃クリスとエルフナインの元にも同じようなノイズが出現していた。

 

翼とメカザムは互いに頷き合うと2人同時にノイズ達に向かって駆け出して行き、2人は剣を振るいながらノイズ達を切り裂く。

 

「来元!!」

 

翼がアームドギアをメカザムに投げ渡すとメカザムは左手でそれを掴み、自分の周りを取り囲んでいるノイズ達を身体を素早く横回転させて切り裂き、同時に翼は逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで周囲を切り裂く「逆羅刹」でノイズ達を切り裂く。

 

そして立ち上がった翼にメカザムはアームドギアを投げて返すと翼はそれをキャッチすると同時にノイズを縦一線に切り裂いた。

 

「あなたの剣……大人しく殺されてくれると助かります」

「そのような可愛げを……私に求めているとは!! 防人の剣は可愛くないと……友が語って聞かせてくれた!」

 

アームドギアを構えながらそう言い放つ翼に対し、マリアは「こ、こんなところで言うことか……!」と少し照れた様子を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺……死んだのか?」

 

同じ頃……子犬を救ったカイトは真っ白な空間に立っていたのだが、そんなカイトの目の前に突然、トウマ・カイトの姿から「ウルトラマンマックス」の姿に変身したマックスが現れる。

 

「マックス!」

『いや、君はまだ死んでいない。 しかし、このままでは君は死ぬ。 今はこの特殊な空間でどうにか生き永らえているだけだ』

「……そう、か……。 あの子犬は?」

『君が救ってくれたおかげで、無事だ』

 

それを聞くとカイトは「良かった」と安心した表情を浮かべて胸を撫で下ろし、それを見たマックスは「なぜ自分の命を顧みずに?」と問いかけるとカイト笑みを浮かべて答えた。

 

「そんなの決まってるだろ、子犬にだって命がある! 目の前で消えそうな命があるなら、俺は迷わず助けに行くよ! 死ぬのは嫌だけど……あのワンコを救えないで死ぬ方がもっと嫌だったし」

『……君の命を救う方法がたった1つだけある。 しかし、それを選んでしまうと君は戦いの中に身を投じることになってしまう』

「……その方法は?」

 

マックスはどこか言い難そうにしつつも「私と一心同体になることだ」と答え、それを聞いたカイトは少し驚いた様子を見せるが……。

 

「それって……俺がウルトラマンになるってこと?」

 

カイトの質問にマックスは静かに頷く。

 

『子犬一匹を救うために命を懸ける君は……私の力を授けても構わないと思った』

「そっか……。 でもさマックス、それってみんなの命を……みんなを助けられるってことだろ? だったら俺は……なるよ、ウルトラマンに……ウルトラマンマックスに!!」

『……本当に、良いんだな?』

 

カイトはマックスの問いかけに力強く頷くと、マックスは金色のアイテム「マックススパーク」をカイトに授ける。

 

『君1人の力では尊い命を守り切れなくなった時、それを使うと良い』

 

カイトはマックススパークを受け取り、それを左手に装着するとカイトはマックススパークから放たれた光に包まれる。

 

そして……ゲロンガとネロンガと戦うビクトリーの元に、赤い巨人……「ウルトラマンマックス」が現れた。

 

『シュア!!』

 

挿入歌「ウルトラマンマックス」

 

『赤い……ウルトラマン……?』

 

マックスはネロンガに向かって駆け出して行くとネロンガに掴み掛って膝蹴りを叩き込み、さらにアッパーカットをネロンガの顎に叩き込む。

 

『フン、誰が来ようが同じことだ!!』

 

すると今度はゲロンガはマックスの背中目掛けて火炎を放つがマックスはジャンプしてそれを避け、空中からの急降下キックをゲロンガの頭部に喰らわせる。

 

「グオォ!?」

『シェア!!』

『おのれ小癪な!』

『モンスライブ! ネロンガ!』

 

ゲロンガはネロンガに姿を変え、2体のネロンガは身体を透明化させるが……。

 

『相手は透明になってるだけで……いなくなってる訳じゃない……。 ということは!』

『ウルトランス! キングジョー!! ランチャー!!』

 

そこで零無がキングジョーのスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせ、ビクトリーは右腕をキングジョーの右腕「キングジョー ランチャー」に変えるとランチャーを地面に向かって銃弾を撃ち込み、砂煙をあげさせる。

 

『あの人なにしてるんだ……?』

『そうか! カイト!!』

 

マックスは煙の中で動く影を発見、シェパードンは既にダメージを受けて動けない状態、ビクトリーも一歩も動いていない、となれば煙の中で動くのは……ネロンガのみ。

 

そしてマックスは頭部に収納されてあるブーメラン「マクシウムソード」を投げて分身体のネロンガと本体のネロンガを斬りつける。

 

『グオォ!? おのれぇ~!!』

 

2体のネロンガは瞬間移動を繰り返してマックスを翻弄させるが……その際、ノイズと戦闘を繰り広げていたクリスがミサイルを2発、ビクトリーがランチャーの銃弾を見事にネロンガ2体に撃ち込んで多少なりのダメージを与えた。

 

『ぬおっ!?』

「フン! どんだけ出ようが今更ノイズ!! 援護の余裕が全くないとでも思ったかよ!」

『油断したな』

『あの小娘共め……!」

 

するとネロンガ2体は「暴君電撃」をマックスに向かって放つが超高速で動く「コメットダッシュ」でネロンガ2体の背後に回り込み、本体のネロンガに掴み掛るとそのまま投げ飛ばし、分身ネロンガはゲロンガに姿を変えて尻尾を振るって攻撃して来るがマックスはそれをしゃがみ込んで回避する。

 

『デュア!!』

 

そしてマックスはゲロンガに向かって駆け出し、ゲロンガを何度も殴りつけた後、勢いをつけた蹴りを叩き込む。

 

さらにマックスはゲロンガに掴み掛って持ちあげるとネロンガに向かって投げ飛ばし、ゲロンガとネロンガは激突して倒れこむ。

 

マックスは左手のマックススパークを天高く掲げて光を集中し、腕を逆L字形に組むことで放つ「マクシウムカノン」を丁度立ち上がったゲロンガとネロンガに向かって放ち、ネロンガに直撃させて撃破した後、そのままゲロンガに光線を直撃させて2体は火花を散らして爆発した。

 

『ハアアア、ジュア!!』

「「グギャアアアアアア!!!!!?」」

 

怪獣が倒されたことを確認し、マックスと同化したカイトはホッと一安心し、1つ気になったことをマックスに聞いてみた。

 

『……ところで、マックスも怪我してたのによくこんなに戦えるな』

『君と同化したことで私の傷も回復したんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、ノイズと戦闘を繰り広げていた翼達とクリスはというと……。

 

翼は武士のようなノイズとアームドギアをぶつけ合わせるとアームドギアはあっさりと消え去り、そのままノイズは翼に突っ込んで行くが翼はそれを慌てて避ける。

 

(剣が……!?)

 

そしてシンフォギアの中心部分と言える胸部のクリスタルにノイズが傷を入れるとシンフォギアが分解を始める。

 

「なん……だと!?」

 

一方でクリスもノイズの攻撃を防いだのは良かったが、その防いだ物がシンフォギアの装備だったために彼女も同じようにギアが分解をし始めてしまう。

 

「ノイズだと……括った高が、そうさせる」

「フフ、敗北ですまされるなんて……思わないことね?」



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4Eve 『力の重圧』

前回、ノイズ……否、ノイズとは別の存在である「アルカノイズ」達の攻撃を受け止めた翼とクリスだったが……アルカノイズの能力なのか、彼女達の纏うシンフォギアが分解を始めてしまっていたのだ。

 

尚、翼は咄嗟に分解する前にもう1つのアームドギアを取り出して自分のギアを分解させたアルカノイズを切り裂いて一太刀浴びせることに成功するが結局はギアが破壊されてしまい、翼はそのままその場に倒れこんでしまう。

 

『翼さん!!』

「翼!!」

 

メカザムにライブしているコウマとマリアは翼の名を叫び、2人はすぐさま翼の元に駆け寄るとメカザムは剣を構えたままアルカノイズ達を翼達に近付けさせまいと立ち塞がり、メカザムはファラを睨み付ける。

 

しかし、ファラは特に何かを仕掛けてくる訳でもなく、「システムの破壊を確認、これでお仕事はひと段落ね」とそれだけを言い残すと足元に魔法陣のようなものが現れてファラはアルカノイズと共に消え去り、その光景を見てメカザムは何が何だか分からず、首を傾げた。

 

『あのショボ女、一体何が目的だったんだ……? ってマリアさん! 翼さんだいじょうb』

「こっちを見るな!!」

『あぁ! えっと、すいません!!///』

 

思わず振り返りそうになってしまうメカザムだったが、マリアに怒鳴られて翼が今はギアが破壊されて裸の状態だったことを思い出し、すぐに顔を背けるのだった。

 

そしてクリスの方でもシンフォギア、イチイバルが完全に分解されて破壊されてしまい、彼女はその際に起きた衝撃により気を失い、その場に倒れこみ、エルフナインは慌ててクリスの元へと駆け寄った。

 

「クリスさん! クリスさん!!」

 

一方でS.O.N.G.の司令室の方でも、シンフォギアが破壊されてしまったことに一同を驚きを隠せず、弦十郎はあのノイズの攻撃は炭化変換によるものではないのかと驚きの声をあげていた。

 

「世界の解剖を目的に作られたアルカノイズを兵器として使えば……」

「シンフォギアに備わる各種防御フィールドを突破することなど、容易い……。 次なる仕上げは次なるキャストに」

 

相手が次はなにをしてくるかは分からないが、兎に角クリスを守らなければならないと思ったエルフナインはレイラからクリスを庇うように彼女の前に立ちはだかり、それを見てレイラは黙ったままだったが……そんな時、「させないデスよ!!」という声が頭上から聞こえるとそこには……。

 

店とかでよく使う旗のようなものを身体に巻いた切歌が建物の上に乗って立っており、旗を払いのけると「歌」を口ずさみ……シンフォギア「イガリマ」を装着し、同時に鎌型のアームドギアを展開させると「歌」を歌いながらアームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する「切・呪リeッTぉ」をアルカノイズ達に炸裂させ、何体かのアルカノイズ達を切り裂き消滅させる。

 

挿入歌「オーバーキルサイズ・ヘル」

 

そのまま切歌はクリス達のいる場所へと降り立つが、その際にリンカーを使っていないため、身体に電気のようなものが走り、切歌は一瞬苦しそうな表情を浮かべるがすぐに肩部プロテクターからバーニアを噴射、コマのように高速回転しアームドギアで周囲を切断する「災輪・TぃN渦ぁBェル」を繰り出し、アルカノイズ達を切り裂いて消滅させていく。

 

「派手にやってくれる……」

『だったらもっと派手にしてやるよ!!』

 

するとそこに空中から等身大になった「ウルトラマンビクトリー」と「ウルトラマンマックス」が現れ、ビクトリーは額から放つ「ビクトリウムバーン」を放ち、マックスは頭部に収納されてあるブーメラン型の武器「マクシウムソード」を投げつけてアルカノイズ達に攻撃を繰り出して倒す。

 

『って切歌!? 何やってんだ!? その様子じゃお前、リンカー投与してないだろ!? それに、お前がいるってことは調も……!』

「その声……なんかカッコいいのになったデスね。 説教は後で聞くデス! っていうか、自分こそ既にタイマーピコピコ点滅して弱ってる癖に!」

『無茶してんのはお互いさまって訳か。 分かったよ、説教は後だ、どうすればいい?』

 

ビクトリーの問いかけに対して切歌は「兎に角暴れろデース!」と言うとビクトリーは「面白い!」と答えて2人は背中合わせに並び立ち、足を振るって放つ光線「ビクトリウムスラッシュ」を、切歌は再び「災輪・TぃN渦ぁBェル」で複数のアルカノイズを消滅させる。

 

しかし、そうこうしている間にアルカノイズ達がエルフナインとクリスの元に近寄ろうとして来るが……シンフォギア「シュルシャガナ」を纏った調のツインテールに装備されたアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」とマックスがマクシウムソードを持って超高速「コメットダッシュ」を使い、一気に周囲のアルカノイズを2人で一層する。

 

「誰だか分からないけど、ありがとう。 ウルトラマンが2人もいれば心強い」

『あぁ! 困った時はお互い様だよツインテちゃん!』

「ツインテちゃんって……」

 

そしてそのまま調はエルフナインを抱えてその場を脱出しようとその場を去る。

 

(ってあれ? あの娘は確か……』

 

その際、マックスはエルフナインを見て以前自分が助けた少女であることを思い出すがそんなことは後回しだ。

 

「派手な立ち回りは陽動……」

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

ビクトリーは右腕をキングジョー・ランチャーに変化させるとレイラとアルカノイズに向かって銃弾を撃ち込み、レイラは直撃こそしなかったものの銃撃によってアルカノイズの何体かが消滅した上にその際に起こった煙のせいで視界を防がれ、その間にクリスに先ほどの旗を彼女の身体に巻いてその場を去って行った。

 

「陽動のまた陽動」

 

しかし、アームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する「非常Σ式 禁月輪」を使いながらこの場を脱出しようとしたのだが途中で調にも先ほどの切歌と同じように身体に電撃が走り、非常Σ式 禁月輪の発動が解除されてしまい、調は苦痛の表情を浮かべる。

 

(くっ、やはり、私たちの融合係数ではギアを上手く扱えない)

『あいつ等、ホントに無茶しやがって……ビクトリウムコンフォート!』

 

するとビクトリーが全身のクリスタルを緑色に輝かせると切歌と調の頭上から緑色の光が降り注がせる……本来は興奮状態の相手などを鎮める技だが、応用として相手を回復させる「ビクトリーコンフォート」を使いほんの少しではあるが切歌と調の負担を減らしたのだ。

 

『気休めでしかないが早く撤退するぞ! 俺達もエネルギーがもう少ない』

 

ビクトリーの言葉に切歌と調が頷くと一同はすぐさまその場を離れ、レイラは予定にない乱入者が現れたため、これからどうすればいいか主人であるキャロルに指示を仰ぐ。

 

『追跡する必要はない、帰島を命じる』

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、切歌と調はマックスとビクトリーの活動エネルギーがそろそろ限界なため、一度立ち止まるとビクトリーとマックスは変身を解き、零無とカイトの姿へと戻った。

 

「さっきは助かった、ありがとう。 えっと……」

「あっ、俺は早橋カイトです! へぇー、やっぱり俺と同じように人間がウルトラマンに変身してたんだなぁ!」

 

カイトはどこか興奮したように零無の周りを歩き廻りながらジロジロ見つめ、零無は「なんか変な奴だなぁ」と思いつつ苦笑いを浮かべ、するとカイトは今度は視線を切歌と調に映す。

 

「そう言えば……君達もアレだよね? フロンティア事変っていう事件を解決した女の子たちの内の2人! うん、実際見ると2人とも可愛いね!」

「褒めてくれるのは在り難いデスが……今はそんなのどうでもいいデス!」

「あっ、えっとごめん。 それよりも、2人ともなんかバチバチ言ってるんだけど大丈夫なの!?」

 

やはり零無によりビクトリーコンフォートの影響で多少はリンカー無しの状態でもマシに動けるようにはしているのだが、やはり地味に彼女達の身体にダメージが蓄積されているらしく、2人とも顔が若干苦しそうに見えた。

 

「追手も来ないし、いい加減ギアくらい解除しろ」

「でも……」

「心配なんだよ、お前等のこと……。 だから、あんまり心配かけんな」

 

零無にそう言われて切歌と調は渋々シンフォギアを解除し、一同はS.O.N.G.の指定したポイントまで歩いて行くことにした。

 

「私たち、どこまで行けるのかな?」

 

歩いてる途中、不意に調がそんなことを呟くとそれに対して切歌は「行けるとこまで……デス」と答えるが、それに対し調は「でもそれじゃ、あの頃と変わらないよ」と返す。

 

「あの頃って……お前等が私設にいた頃か」

「そう、身寄りのない私たちが連れて来られたのは壁も天井も真っ白な世界」

「……そこで出会ったシンフォギアは昨日までの嫌なこと、全部ぶっ飛ばしてくれる……特別な力だと思っていたデスよ……」

 

調と切歌はナスターシャから聞かされた月の落下のことを思い出しながらその事について話しあっており、ナスターシャの「聖遺物の引き起こした最悪から人類を守るには聖遺物の力で対抗するしかない」という話を聞き、切歌と調はそんなナスターシャを手伝いたいと思ったのだと語る。

 

「でも、状況に流されるままに力を振るっても何も変えられない現実だけを思い知らされた」

「マリアやマムのやりたいことじゃない。 あたし達が、あたし達のやるべきことを見つけられなかったからあんな風になってしまったデス!」

「目的もなく、行けるところまで行ったところに望んだゴールがある保証はない……。 ガムシャラなだけじゃダメなんだ……」

 

それを聞いた切歌は「もしかして自分たちを出撃させなかったのはそういうことなのか」と疑問に思ったが……すると今まで2人の話を黙って聞いていた零無は「あー、もう!!」と頭を自分の頭をワシャワシャとかき回す。

 

「だったら探せよ! 目的がないなら探せばいい。 俺もマリアも、お前等も……過ちを犯したのは確かだ。 選択を間違えたかもしれないさ。 けど、同じ過ちを繰り返すほど、俺達は愚かじゃないだろ?」

「簡単に言ってくれるデスよ……零無は……」

「そりゃ言葉で言うだけなら簡単だからな。 でも、実際そういうもんだろ?」

 

零無はポンポンっと切歌と調の頭を軽く叩き、その直後……クリスがゆっくりとだが目を開けて目を覚まし、無事にクリスが目を覚ましたことに調は「良かった」と呟き、切歌は「大丈夫デスか!?」と問いかけるがクリスはどこか苛立った様子で「大丈夫な訳あるかよ!」と怒鳴ったのだ。

 

(守らなくちゃいけない後輩に守られて……大丈夫な訳ないだろ!)

 

その時のクリスは本当に悔しそうな表情を浮かべており、零無はそんなクリスを見て「こりゃさっさとコウマ呼び戻してクリスを励まさせてやるべきかな」となるべくコウマに帰って来るように連絡を入れておくことにした。

 

その後、一同はS.O.N.G.に回収された後、カイトとS.O.N.G.は互いに事情を説明することになるのだった。

 

それからカイトはS.O.N.G.内で設立された対怪獣宇宙人用チームUPGの話を聞いたり、マックスと同化した時の経緯などを説明することになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、零無はというと……数日前、零無の持つビクトリウムのペンダントからホログラムの映像のようなものが突然映し出され、そこには何者かからのメッセージが書かれており、そのメッセージに記された場所……どこかの森の中に零無は立っていた。

 

「ここか……。 けど、何もないぞ?」

 

強いて目立つものと言えば……人がギリギリ入れるか入れないかくらいの穴が開いた巨大な木だけ。

 

何となく零無はその木に近寄ってみた瞬間、突然ペンダントが光輝くと零無はその光に包まれ木の中へと吸い込まれるように入って行ったのだ。

 

「うわぁ!?」

 

そして気が付くとそこにはあのビクトリウムで出来た巨大な山が幾つもある世界……地底世界「ビクトリアン」へと辿り着いており、零無は突然のことで何がなんだか分からず困惑していたのだが……そんな時、彼の後ろから誰かが話しかけてきたのだ。

 

「お待ちしておりました」

 

振り返るとそこには1人の女性が立っており、零無は「あなたは……?」と尋ねると女性は今のビクトリアンの女王……「キサラ」だと名乗り、それと同時に零無の後ろからシェパードンが歩いてやって来るとシェパードンは膝を突いて顔を零無へと近付け、零無は戸惑いつつもシェパードンの頭を優しく撫でたのだ。

 

「クオォ……」

「はは、なんか可愛いな! お前!」

「今回、あなたをお呼びしたのは私です。 恐らく大方の話は聞いていると思いますが今回は詳しい話をするためにあなたに来て頂きました」

 

それを聞き、零無はやはりそうかと思い、零無はキサラの話を聞こうとするのだが……やたらとシェパードンが懐いて来るため、中々話を聞くことが出来ず、それを見てキサラは「シェパードン!」と少し怒鳴るとシェパードンは少し驚いたような声をあげた後、零無から離れてその場にぺたんっと座り込んだのだ。

 

「申し訳ありません。 シェパードンは寿命も長く……代々、あなたの一族に仕えてきた聖獣で……かつてはあなたの父、先代のビクトリーと戦友であり、あなたの世話もしていたそうなのです」

 

あの巨体でどうやって赤ん坊の自分を世話したんだろう……と疑問に思う零無だったが、取りあえずシェパードンが自分に懐いていた理由も何となく分かった。

 

自分は覚えてはいないが、数万年ぶりに自分と再会できたことをシェパードンは喜んでくれたのだと零無は理解し、後でまたシェパードンの頭をを撫でてやろうと思う零無だった。

 

「そうだ、そう言えば結局、ビクトリーランサーを巡った争いはどうなったんですか!?」

「あなたの父がどうなったのか、申し訳ありませんがそこまで詳しいことは分かりません。 ですが、ビクトリーランサーとあなたが今の時代に送られた為、争いはやがて無くなり、今ではビクトリーランサーを欲しがる輩はいなくなりました。 皆、過去の過ちを繰り返さないようにと……。 何より、今の正式な所有者はあなたなのです。 例え欲しがる輩がいたとしてもそれを使うことはできません」

 

「そうですか……」と零無はそれを聞いて一安心し、取りあえずしばらくはキサラからビクトリアンについて様々なことを教えて貰うことにするのだった。

 

また一方でS.O.N.G.本部では彼もウルトラマンということで一応は特別に入室許可が出されているカイトが訪れており、ランに「自分もUPGに入れて欲しい」と頼みこんで来ていた。

 

「……なんでUPGに入りたいんだ?」

「だって、そういうチームなんですよね? 悪い奴をぶっ飛ばす! そういう正義の味方みたいな!」

 

カイトはランになぜUPGに入りたいのかの理由を話すのだが……それを聞いたランはどこか不満そうな表情を浮かべており、ランは「それだけか?」とカイトに問いかける。

 

「それだけって……まぁ、後は……悪い奴から誰かを守ったり……とか」

「なんで守りたいんだ?」

「なんでって……大きな力があるから。 誰かを守らないといけないんだと思います」

 

それを聞き、ランは「じゃあUPGには入れないな」と言い放ち、カイトは「なんでですか!?」とランに詰め寄るとランは……。

 

「誰かを守りたいって思うのは力があるからじゃないだろ」

 

そう返され、カイトは首を傾げて「どういう意味ですか?」と問いかけるがランは「それくらい自分で考えろ」と言われ、ランはそのまま「俺も仕事があるんだよ」と言ってその場をそそくさと去って行き、残されたカイトは渋々家に帰るとするのだった。

 

「マックスは、ランさんの言った意味が分かる?」

『あぁ、だがそれは……君自身が見つけなければならない問題だ。 私が教えることはできない』

「なんだよそれ……」

 

ちなみに……ランが先ほど言っていた「仕事」というのは……。

 

(零無の奴、確かボルストの分身能力に手こずってたな。 ギンガにも分身、マックスにはコメットダッシュで対抗できるが零無には対抗手段があまり無さそうだな。 ってことは相手の分身を破るには……目隠しした零無にボール投げるか)

 

という零無の為のボルストへの分身能力による対抗策を考えていたりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、一方で翼とマリアは本日日本に到着予定の飛行機に乗っていた。

 

尚、コウマ一足先に日本に戻った模様。

 

翼は静かに窓を見つめながら海外進出展開を持ちかけてくれた「トニー・グレイザー」と日本に戻るときにした話を思い出していた。

 

『日本に戻ると?』

『世界を舞台に歌うことは、私の夢でした。 ですが……』

『それが君の意思なら尊重したい。 だが、何時かもう1度自分の夢を追いかけると約束して貰えないだろうか?』

 

この時、翼は「それは……」と言葉を詰まらせてしまい、正直、もう1度自分の夢を追いかけられるかどうか分からず、上手く答えることができなかったのだ。

 

そして空港に到着すると翼とマリア、そして緒川を響、クリス、切歌、調、コウマ、キサラの話を一通り聞き終えた零無が出迎えてくれたのだが……なぜかコウマが零無にアイアンクローをかましていた。

 

「いだだだだ!? やめてやめて爪食い込んでる食い込んでる!?」

「そういやぁさっき切歌達から聞いたんだけど内容的にお前クリスの裸見たの? なぁ、見たの!?」

「み、見てない見てない! 見る暇無かったしすぐに切歌が布みたいなのでくるんだから見てないって!」

 

それを聞いてコウマは「なら、悪い」と言ってすぐに手を離し、零無は顔を両手で押さえ切歌と調に「よしよーし」と頭を撫でられていた。

 

「頭撫でるな!」

「っていうか翼さん達帰って来たよー。 おーい! 翼さーん! マリアさーん!」

 

響が翼とマリアに手を振って挨拶しようとするのだが、するとマリアが「挨拶は後!」と言い放つ。

 

「新たな敵の出現に、今はそれどころではない筈よ!」

 

マリアのその発言を聞き、一同は「おー」と感心の声をあげる。

 

「ちょっと頼もしくてカッコいいデス!」

「やっぱりマリアはこうでなくちゃ!」

「……マリア、マリア」

 

すると零無がマリアを小声で呼び、マリアは「なに?」と首を傾げつつ零無の元へと行くと零無は……。

 

「てっきり歌うのに没頭し過ぎてそのせいでみんなから『すっかり任務を忘れてお楽しみでしたねー』とか言われるんじゃないかと飛行機を降りるのを怖がってるんじゃないかとおm」

「フンッ!!」

 

と零無が言いきる前にマリアは零無にアイアンクローをかます。

 

「いだだだだだッ!? なにこれ!? なにこれ!? アイアンクロー流行ってるの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンフォギア奏者勢揃い……とは、言い難いのかもしれないな」

 

そして本部に戻った一同はというと今回の事件などについての説明などを行うこととなり、オペレーターの2人からアルカノイズに破壊されたシンフォギアについての説明を受けることに。

 

朔也とあおいの説明ではシンフォギアのコアとなる部分は無事なのだがエネルギーとして固着させる機能が損なわれている状態らしく、それを聞きマリアは待機状態のセレナのギアを取り出し、それを見つめる。

 

「セレナのギアと同じ……」

「勿論直るんだよな!」

 

クリスの問いかけに対し、あおいは「櫻井理論が開示されたことで各国の異端技術研究は飛躍的に進行しているわ」と話すのだが朔也は「それでも了子さんでなければシンフォギアシステムの修復は望めない」と難しそうな表情を浮かべながらそう語り、弦十郎は「現在動ける奏者は響くんただ1人だけ」と言い、響は不安そうな顔をしつつ「私だけ……」と呟くのだった。

 

「そ、そんなことないデスよ!」

「私たちだって!」

 

切歌と調が名乗り出るが弦十郎に「ダメだ」ときっぱり言われ、切歌は「どうしてデスか!?」と問いかけると「リンカーで適合係数の不足値を伴わない補わないシンフォギアの運用がどれほど身体の負荷になっているのか……」とあおいに言われ、零無からも「当たり前だな」と言われてしまう。

 

「お前等に合わせて調整したリンカーがない以上、お前等を戦わせる訳にはいかないからな……」

「……どこまで行っても私たちは、役に立たないお子様なのね……」

「結果が想った以上に良くないのは知ってるデスよ……それでも……!」

 

切歌と調は悔しそうな表情を見せるが、そんな2人に零無が額にデコピンを喰らわせ、デコピンを喰らった2人は「ふぎゃ」と小さな悲鳴をあげる。

 

「バァカ、役に立たないなんて思うなよ。 十分役に立ってるさ」

「そうだ、その気持ちだけで十分だ」

 

零無とクリスに言われるが……やはり納得できない様子の2人、そんな2人を零無は頭を少し乱暴に気味に撫で回し、ニカっとした笑みを見せる。

 

「だから、絶対に前みたいな無茶なことすんなよ。 大切な人がいなくなるのは……もう嫌だからさ」

「……零無……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……キャロル達はというと……。

 

「いっきまーす! ちゅ!」

 

ガリィが赤い服を着た少女……「ミカ」に口付けをするとそこから何かのエネルギーのようなものが流れ込み、今まで停止していた「ミカ・ジャウカーン」が動き出した……のだが、ミカはすぐに力が抜け落ちるようにその場に座り込んでしまう。

 

「最大戦力となるミカを動かすだけの思い出を集めるのは存外時間がかかったようだな」

「嫌ですよぉ、これでも頑張ったんですよ? なるべく目立たずにぃ、事を進めるのは大変だったんですからぁ」

「まぁ、問題なかろう。 これでオートスコアラーは全機機動。 計画を次の階梯へ進めることができる……のだが……お前の方は一体どうなっているんだ?」

 

キャロルが視線を向ける先にはボルストとエクセラーが立っており、キャロルは彼等がウルトラマンを倒すためのスパークドールズを使い、ウルトラマンを始末するつもりだったのだが、ボルスト含めて全く役に立たなかったではないかと睨み付ける。

 

『まぁ、私の目的はあくまでビクトリウム。 おまけでウルトラマンが倒せれば良い程度の認識ですからねぇ』

「言い訳か? お前が役に立たないスパークドールズを渡したからではないのか?」

『というか貴様! エクセラーの渡したスパークドールズが役に立たなかったのは確かだが俺まで役立たず扱いとは良い度胸だな!!』

 

ボルストはキャロルに向かって怒鳴り散らすがキャロルはボルストをガン無視し、「次はもっと役に立つ物を渡せ」と言った後、調子が悪そうなミカに気づき、「どうした?」と尋ねるとミカは「お腹が空いて動けないゾ……」と答え、それを聞いたキャロルはガリィの名を呼ぶ。

 

「はいはい、ガリィのお仕事ですよね」

「ついでにもう一仕事、こなしてくるといい……」

「そう言えば、マスター。 エルフナインは連中に保護されたみたいですよ?」

「……把握している」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.の取調室にて一同はエルフナインから事情聴取を行っており、エルフナイン曰く「自分はキャロルに命じられるまま巨大装置の建造に携わっていたのだが、ある時あるデータベースにアクセスした時、その装置が世界をバラバラにする解剖するものだと知ってしまい、目論見を阻止するために逃げだしてきた」のだという。

 

「世界をバラバラにたぁ、穏やかじゃないな」

 

クリスの言葉にエルフナインは同意するように頷き、それを可能とするのが「錬金術」だというのだ。

 

「ノイズのレシピを元に作られたアルカノイズを見れば分かるようにシンフォギアを始めとする万物を分解する力は既にあり、その力を世界規模に拡大するのが建造途中の巨大装置『チフォージュ・シャトー』になります」

「装置の建造に携わっていたということは君もまた、錬金術師なのか?」

 

翼の問いかけにエルフナインは「はい」と頷くが自分はキャロルと同じように全ての知識を有している訳ではなく限定した目的のために造られたに過ぎないというのだ。

 

「造られた?」

「装置の建造に必要な最低限の連勤知識をインストールされただけなのです」

「インストールと言ったわね?」

「必要な情報 を知識として脳に転送複写する事です。 残念ながら、インストールされた僕の知識に計画の詳細はありません。 ですが……世界解剖の装置チフォージュ・シャトーは完成間近だということはわかります! お願いです! 力を貸してください! その為に僕はドヴェルグ=ダインの遺産をここまで持って来たんです!」

 

コウマが「ドベルグ=ダイン?」と首を傾げるとエルフナインは持っていた箱を開けてそこから錬金術師キャロルに対抗するための「ダインスレイヴ」と呼ばれる聖遺物の欠片を取り出したのだ。

 

そこでコウマは「そう言えばあの宇宙人達のことなにか知ってるのか?」と問いかけるとエルフナインは「詳しくは分かりませんが……」と言いつつも自分の知っている情報をコウマ達に教える。

 

「彼等の目的はビクトリアンにある鉱石であるビクトリウムであること、なぜそれを欲しがるのかは僕にも分かりません。 それと同時にウルトラマン専用の用心棒的なことも請け負っているみたいです」

「やっぱ、あいつ等手を組んでたか……」

 

その後、あおいと朔也はエルフナインの健康チェックを行ったところ特に悪いところや怪しいところははなかったのだと言うのだが……あおい曰く「エルフナインちゃんに性別はなく本人曰く自分ただのホムンクルスではなく決して怪しくはない」とエルフナインが言っていたそうなのだ。

 

当然、それを聞いたコウマ達は……。

 

『あ、怪しい……』

「デース」

 

という当然の反応である。

 

「てか自分で怪しい言うなよ」

「性別がないって……じゃあ女子トイレと男子トイレどっち使えばいいのあいつ?」

「お前はなにどうでもいいこと気にしてんの!?」

 

零無の言葉に即座にツッコミを入れるコウマ。

 

「っていうかお前出会った時と性格違って来てないか?」

「いえ、零無は元々あんな感じデスよ。 高校デビューならぬ悪役デビュー目指した結果、クールキャラ目指そうとしてたそうデス」

 

コウマが呆れたような視線を零無に送りつつ「そうなの?」と切歌に尋ねると切歌はこくこくと頷き、零無は両手で顔を覆い「恥ずかしいからやめてくれ」と懇願した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、学校終えた響はクラスメイトの未来達4人と寮を目指して帰っており、また響達の後ろの方で響の護衛役としてコウマとカイトが歩いていた。

 

「あの……コウマさん」

「コウマで良いよ、同い年くらいだろ? 俺達?」

 

コウマはカイトにそう言うとカイトは戸惑いつつも頷き、コウマは「どうかしたのか?」とカイトに尋ねると彼はコウマに「俺、なんでUPGに入れて貰えないんですかね……」とあの時、ランに言われたことをコウマに話した。

 

「ウルトラマンって、守りたいものを守って悪い奴等をぶっ飛ばすための力なんじゃないんですか? だって、あんなに強い力なのに……。 自分で考えないといけないことは分かってるんです。 でも、やっぱりよく分かんなくて……コウマはどうだったのかなって……」

「あー、俺はそういうのは全く考えてなかったなぁ……。 ただ俺は自分のやるべきことを全力で突っ走ってた感じだな。 まぁ、色々あったのは間違いないんだけど」

 

コウマは苦笑しつつ「悪いな」と謝るとカイトは首を横に振って「いえ」と言った後、「ありがとうございます」と頭を下げるのだった。

 

「しっかし、響の奴はなに顔を赤くしてんだ?」

「エロい話でもしてんじゃないですかね」

「ストレートだなお前案外!!」

 

コウマの言う通り、友達と話していた響はなぜかいきなり顔を赤くしており、しばらくすると赤くなった顔は元に戻っており、未来はそんなどこかボーっとしたような響に対し「この頃ずっとそんな感じ」と不満げに言って来たのだ。

 

それに響は「ごめん」と申し訳なさそうに謝った後、本部であった出来事を思い出していた。

 

『……こいつが天羽々斬を破壊したアルカノイズ……?』

 

本部で翼が描いたアルカノイズのイラスト……アルカノイズというよりもどこか「武士」のような見た目をしており、正直全く似ておらず、それを見せられたクリスは「アバンギャルドが過ぎるだろ! 現代美術の方面へでも進出する気か!?」とツッコまれ、同じ現場にいたコウマからも「これ人間じゃないですか」とツッコまれた。

 

『問題はアルカノイズを使役する錬金術師と戦えるシンフォギア奏者がただの1人だという事実よ』

 

そこでマリアが本題に入り、響を見つめながらそう語ると響は「戦わずに分かり合えることは……できないのでしょうか……」と未だに話し合うことに彼女は拘っており、そんな響にマリアは「逃げているの?」と問いかけると響は首を横に振るった。

 

『逃げているつもりじゃありません! だけど、適合してガングニールを自分の力だと実感して以来、この人助けの力で誰かを傷つけることが……凄く嫌なんです……!』

 

響は辛そうにそう言うが、マリアは……。

 

『それは……、力を持つ者の傲慢だ!』

 

そう言い放たれ、響はそのことについて先ほどからずっと考え込んでいたのだ。

 

(私は……そんなつもりじゃないのに)

 

すると後ろから詩織の悲鳴が聞こえ、振り返るとそこにはいつの間にか数人の人間が倒れており、そしてそこにはガリィが木にもたれ掛かっており、それに気づいたカイトとコウマは慌てて響達の元に駆け寄ろうとする。

 

「何時の間に!?」

 

だが、それを遮るようにコウマとカイトの前に2体の宇宙人……1人は金色のスーツを着込んだ1つ目の「変身怪人 ゼットン星人」ともう1人はゼットン星人に酷似しているが目が2つ、後ろにもう1つ目がある「誘拐怪人 ケムール人」の2体である。

 

『おっとぉ! ここから先へはこの僕、『ゼットン星人 ベルメ』と僕の相方の『ケムール人 キューバ』が行かせないよ!』

『そんなことより彼女持ちとか言うリア充のウルトラマンはどっちだぁ!? 非リア充代表としてそんなリア充は俺がぶっ潰してやるよぉ!!』

 

2体の宇宙人は「ベルメ」と「キューバ」と名乗り、コウマとカイトは顔を見合わせてキューバの怒りように「はぁ?」と首を傾げ、正直2人ともこんな奴等を相手にしたくないのでコウマはギンガスパークを取り出してそれを振るい、ベルメとキューバに攻撃を仕掛けるが2体をあっさり避ける。

 

「お前等に構ってる暇はないんだよ!」

『悪いけど、僕たちは君達に用があるんだよ! キューバ!』

『テメェかァ!! リア充爆発させてやるよぉおおおおおおお!!!!』

 

ベルメとキューバはチブルスパークとスパークドールズをそれぞれ取り出し、スパークドールズをチブルスパークにリードさせる。

 

『モンスライブ! ゼットン!』

『モンスライブ! ゴルゴス!』

 

ゼットン星人は「宇宙恐竜 ゼットン」、キューバは「岩石怪獣ゴルゴス」へと2体の巨大怪獣へとライブし、コウマは「くそ!」と言い放ちながらもギンガスパークを取り出し、カイトもマックススパークを取り出そうとするが……。

 

『そうはさせるかぁ!』

 

ゴルゴスが足を振りあげてコウマ達を踏み潰そうとし、コウマとカイトはどうにか避けるがその衝撃でカイトはマックススパークを落とし、さらに打ち所が悪かったのか腕をぶつけてしまい、カイトは悲鳴をあげる。

 

「ぐああああ!?」

「カイト!? こうなりゃ俺だけで……」

 

コウマはギンガスパークのブレードを展開させ、ギンガのスパークドールズが現れるとそれを掴み取りリードさせた後、ギンガスパークを掲げる。

 

「ギンガアアアアアアア!!!!!」

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

そしてコウマは光へと包まれるとその光から「ウルトラマンギンガ」が飛び出すように出現し、コウマは変身を完了させたのだった。

 

『ショウラ!』

 

出てくるなりギンガは跳び蹴りをゼットンに向かって繰り出すがゼットンは両腕を交差して攻撃を防ぎ、ギンガを押し返す。

 

『おっと……ってん? ゼットンってこんなブヨブヨしてた……ってなんだその弱そうなゼットン!?』

 

ギンガの言う通りこのゼットン、本来のゼットンよりも身体がかなり柔らかそうな見た目をしており、見た目的に「ブヨブヨ」という印象が強い姿をしていたのだ。

 

要するにこのゼットンは見た目が完全に「二代目ゼットン」なのである。

 

『フン、君のようなザコを倒すのなんてこのゼットンで十分さ!』

『言ってくれるじゃねえか! 行くぜ!!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

そしてギンガはゼットンとゴルゴスに向かって駆け出して行き、ゴルゴスも迎え撃つようにギンガに突進して行くがギンガはゴルゴスの背中を踏み台にして跳びあがり、そのまま勢いをつけた拳をゼットンに叩き込むが同時にゼットンも拳をギンガに叩き込む。

 

『ぐっ、パワーはそこそこあるらしいな! けどな! だったらスピードで上回ってやるよ!』

 

ゼットンは追撃しようとギンガに何度も殴りかかるがギンガはその全ての攻撃を回避しながら拳を何発もゼットンに確実に当てて行き、流石にまずいと感じたのかゼットンはゴルゴスに援護するように指示。

 

ゴルゴスは背後からギンガに噛みつこうとして来るがギンガはジャンプして避け、ゴルゴスは思わずゼットンの腹部に噛みついてしまう。

 

『ぎゃー!? このバカ! なにしてるんだ!?』

『さ、サーセン……』

 

ゼットンはゴルゴスを突き離し、ゼットンは「コンビネーション攻撃だ!」と言い放つとゼットンはゴルゴスの尻尾を掴みあげるとフルスイングしてギンガに向かって投げつけるがギンガは廻し蹴りで蹴り飛ばす。

 

『ぐがぁ!?』

『シュア!』

 

さらに跳びあがって踵落としをゼットンの頭部に決め込み、ゴルゴスは背後から口から吐く高熱の蒸気を放つがギンガは空中へと飛び立って避けると頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」をゴルゴスへと放つ。

 

『ギンガサンダーボルト!!』

「グアアアアアア!!!!?」

 

ギンガサンダーボルトの直撃を受けてゴルゴスは身体中に電撃が走り、火花を散らして爆発……続けてギンガはゼットンの方へと振り返り両腕を前方で交差させた後、S字を描くように左右に大きく広げてからL字型に組み放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をゼットンへと発射する。

 

『ギンガクロスシュート!!』

『バカめ!! ゼットンには光線を吸収して跳ね返す波状光線が……ってこのゼットン使えなかったってぎゃあああああああ!!!!!?』

 

ゼットンはギンガのギンガクロスシュートを受け、ゼットンは火花を散らして爆発した。

 

同じ頃……響はといと……。

 

「キャロルちゃんの仲間……だよね?」

「そしてあなたの戦うべき敵……」

 

響の問いかけにガリィはそう答えるが響は「違うよ! 私は人助けがしたいんだ! 戦いたくなんかない!」と訴えるがガリィは一度舌打ちした後、瓶のようなものを地面に投げて割ると魔法陣のようなものが出現し、そこからアルカノイズ達が現れ、響達を囲む。

 

「あなたみたいな面倒くさいのを戦わせる方法なんてよぉく知ってるの」

 

嫌らしい笑みを浮かべながらそう言い放つガリィに弓美は「こいつ、性格悪っ!」と言われ、マックススパークを拾い上げてアルカノイズ達をなんとか通り抜けて響達の元に辿り着いたカイトも「こいつは性悪女だな」と呟いた。

 

「ってそんなの言ってる場合じゃないか。 行くぞマックスッ……」

 

カイトはマックスに変身しようとするが腕の痛みに耐えきれず思わずマックスパークを落としてしまう。

 

それを見た響はここは自分が戦うしかないと思い、友達を守るため待機状態のガングニールを取り出し「歌」を口ずさもうとするが……。

 

「っ……ぁ……」

「響?」

「ごほっ、ごほごほっ!」

 

歌を口ずさもうとすると響は咳をしてしまい、響自身なにか驚いたような表情をしていた。

 

「……歌えない……?」

「へっ?」

「聖詠が……胸に浮かばない……? ガングニールが……答えてくれないんだ……!」



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5Eve 『戦士だ! 燃えろ!』

響達がガリィに襲われる少し前のこと、S.O.N.G.本部の訓練場にて・・・・・・そこでは5台ほどのピッチングマシーンのような物が幾つか並べられており、その場には零無とラン、それと零無の様子を見に来ていた切歌と調がいた。

 

零無はなぜランがこんなところに・・・・・・しかもなぜピッチングマシーンなんて物を用意しているのか分からず首を傾げ、ランにこれから何をするのかと問いかけるとランは黒い布のようなものを零無に渡し、それを使って目を隠すように指示する。

 

「あの・・・・・・何するんですか隊長?」

「これからお前に目を隠した状態でピッチングマシーンから出てくるボールを受け止める特訓をして貰う。 ちなみにこのピッチングマシーン、左右に動いたりするからボールがどこから飛んでくるかは予測不能になってる。 まぁ、少なくとも零距離からボール撃って来ることはないから安心しろ」

 

とランに零無は言われるが正直、ランが何を言っているのか零無はよく分からず、切歌や調の方を見ると彼女らもランの言葉の意味を理解していない様子であり、ランもそれに気づいたのか「少し言葉が足りなかったな」と言った後、どういう訳なのかを説明しだした。

 

「あのボルストとか言う奴・・・・・・ガッツ星人は分身による攻撃が得意、俺やマックス、ギンガには対抗策はあるがビクトリーには対抗策が少ない。 対抗できるスパークドールズも今のところないしな。 そこでお前には俺の師匠が昔やった特訓をやって貰う」

「師匠・・・・・・デスか?」

「あぁ、俺の師匠も昔、分身する相手に勝つために『心眼』を手に入れるための特訓を行ったんだ。 若干アレンジはしてあるがこれはそれと同じ修行だよ」

 

それを聞いて一同は成程・・・・・・と納得し、調は「つまり、分身するボルストの本体を見分ける特訓ってこと?」と問いかけるとランは「あぁ」と頷いた。

 

「俺達は上の階の窓から様子を見させて貰う。 一応言っておくが、球は物凄いスピードでお前に襲いかかってくるし正直、かなり危険な特訓だ」

「ちょ、ちょっと待つデス! それホントに危なくないデスか!? それに、ギンガやマックス、それにランさんは分身する相手への対策があるんデスよね!? それなら別にそんな危険な行為をワザワザ零無にさせるのは・・・・・・」

 

切歌は零無の身を案じ、ランにそう言い放ってくるがランは少しばかり溜め息を吐いた後、切歌に向かって少し睨み・・・・・・「甘ったれるな」と厳しく言い返したのだ。

 

「っ・・・・・・」

 

それに対して切歌は少しばかりたじろくが・・・・・・それでも「でも!」とランに反論しようとする。

 

「この世界は・・・・・・この星は零無やコウマ、お前達が守らなくちゃいけない星だ。 他人の力を頼りにしないこと。 だから俺は最低限のことしかしない。 戦う時も必要な時にしかしない。 別にこれを受けるか受けないかは零無、お前次第だ。 だけど、この特訓を終えた時、お前は今よりも今までよりも強くなってる。 どうする?」

「決まってます。 俺はビクトリーに誓った。 自分の罪を償い、平和を守ると・・・・・・。 何よりも大事なものを守ると・・・・・・そのためなら、どんなに危険なことでやります!」

 

零無の返事を聞き、ランは彼の肩を軽く叩き「よく言った!!」と自然と笑みを浮かべた。

 

そして一同は零無の特訓を見守るために上の階へと行こうと移動しようとするのだが・・・・・・切歌が「まだ少しだけ2人で話したいことがあるから」と言ってランと調だけを先に行かせた。

 

「んっ? どうした切歌?」

「ホントに・・・・・・大丈夫デスか?」

 

心配そうな表情を浮かべて自分にそう問いかける切歌に零無は少しだけ笑みを零し、それに対し切歌は「なにがおかしいんデスか!?」と頬を膨らませて怒り出す。

 

「いや、嬉しいんだよ。 お前に心配されてるのがさ。 大丈夫大丈夫、絶対にニュー零無にパワーアップして見せるからさ」

「・・・・・・ダサッ。 なんデスかニュー零無って。 めっちゃダサいデス、ダサダサデース」

「えっ? めっちゃカッコイイと思ったのになぁ・・・・・・」

「カッコイイと本気で思ってたんデスか!?」

 

どうやら本当に零無は「ニュー零無」という響きがカッコイイと思っていたらしく、切歌は呆れた顔を浮かべ、「感性がズレてんのはこっちもデスか」なんて呟いていた。

 

「ほら、そろそろ行かないと」

「頑張ってデス、零無」

「あぁ。 でもその前に・・・・・・」

 

零無はまだランと調が上の階に到着していないことを確認すると切歌の頬にそっと手を添えると彼は彼女と唇を重ね合わせ、すぐに離すと切歌は突然のことに顔を真っ赤にし、零無は「してやったり」とでも言いたげな顔を見せていた。

 

「い、いきなり何するデスか!?」

「やる気チャージ」

「も、もう! それじゃ行きますデスけど・・・・・・頑張ってデス、零無」

「おう、お前のおかげでやる気は1万%になったからな!」

「バカ!!」

 

そして切歌が部屋から出て行ったことを確認すると零無は目隠しをして準備が整い、特訓を開始した。

 

先ず1つ目のボールがピッチングマシーンがそれぞれ動き回りながら様々な箇所からボールを発射し、零無に容赦なく襲いかかる。

 

「ぐあ!?」

 

どこから来るかも分からず・・・・・・顔や頭、胸や肩、足に容赦なくボールが当たり、零無は倒れ込んでも容赦なくボールは零無へと降り注ぐ。

 

「ぐうぅ・・・・・・!!」

 

身体中にボールを当てられながらも必死に耐える零無・・・・・・、零無はどうにかボールを掴もうと手を伸ばすが丁度そこにボールが中指の指先に当たり、零無は痛みのあまり悲痛な声をあげた。

 

「ぐああああああ!!!!?」

「ちょっと、ランさん! 今の零無の指の骨折れたんじゃ・・・・・・!」

 

上の階から見守っていた調が心配そうにランにそう話しかけるが・・・・・・ランは「この程度で根をあげる奴じゃねえよ」と調にそう返し、調は首を傾げながら零無の様子を再び伺うと零無は指を押さえながらもどうにか立ち上がろうとしていた。

 

それでも尚、零無はピッチングマシーンによるボール攻撃を耐え続け・・・・・・どうにかボールを掴もうと必死に踏ん張る。

 

(クソ、耐えるだけじゃダメだ! どこから来るのか、ちゃんと分からなくちゃ・・・・・・!!)

「零無・・・・・・」

 

そしてそんな様子を切歌は心配そうに見つめているが・・・・・・ランの言ったように、切歌も零無がこの程度で諦めるような男ではないことを知っているため、心配ではあるが・・・・・・零無を信じて自分は手を出さず彼を見守るのであった・・・・・・。

 

するとその時、アルカノイズが出現した時に発生する警報が鳴り響き、ランは側にあったマイクを使って零無にアルカノイズが出現したが特訓を続けるように指示し、彼は切歌と調もついて来るように指示する。

 

「できればここに残らせて零無を見守らせてやりたいところだが、お前等目を離すとなにやらかすか分からないからな」

「ぐっ・・・・・・あんまり否定できないデス・・・・・・」

 

それからランは切歌達を司令部に預けた後、自分も現場へと急行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ガングニールを使おうと歌を歌おうとした響だったが・・・・・・なぜか、彼女は歌が歌えず、胸に何時も浮かぶはずの歌「聖詠」が浮かび上がらず、よってギアを纏うことができなかった。

 

『ガングニールを纏えないのか・・・・・・? 響!! みんな!!』

 

ゼットン(二代目)とゴルゴスを倒したギンガは即座に響達を助けるため、等身大になろうとしたが・・・・・・次の瞬間、ギンガの背中に火球が直撃し、ギンガは前のめりに倒れ込んでしまう。

 

『ぐああああ!!?』

『ふぅ~。 いやぁ、危ない危ない。 光線を使う直前にもう1個のこのスパークドールズを使ってなかったら危なかったよ』

 

そこには先ほどのブヨブヨしたゼットンとは違い、初代ゼットンにも酷似した普通の「宇宙恐竜ゼットン」の姿となったベルメと・・・・・・「中心核」が破壊されていなかったため、再生を果たした「岩石怪獣 ゴルゴス」の姿があった。

 

『こいつ等・・・・・・まだ倒されてなかったのか!』

『流石に舐めプしすぎたねぇ、僕の真の実力はここからさ☆』

『リア充を皆殺しにするまでは俺はやられねえ!!』

 

ギンガは「しつこいな!」と悪態をつきながらも向かって来るゴルゴスの突進を足を振り上げて蹴り飛ばし、ギンガはゼットンよりも先に攻撃を仕掛けようとジャンプして跳び蹴りを繰り出すがゼットンは瞬間移動で攻撃を回避し、ギンガの背後に回り込むと火球をギンガの背中に向かって放ち、直撃を受けてギンガは吹き飛ばされてしまう。

 

『シュア!!?』

 

さらに10万トンの重量を誇るゴルゴスがジャンプしてギンガの背中へとのし掛かろうとするがギンガは慌ててそれを回避し、立ち上がるのだが気づいた時には目の前にゼットンが立っており、ゼットンはギンガを強烈なパワーで殴りつけて吹き飛ばす。

 

『ウアッ!?』

 

一方、ギアが纏えないことが分かったガリィはというと・・・・・・。

 

(ギアを纏ったこいつと戦っても意味は無い。 ここは一つ仲良しこよしを粉と挽いてみるべきか?)

 

ガリィがそう思ったその直後、今まで黙っていた詩織が突然一歩前へと「あー、もうまどろっこしいなぁ!」と言いながら踏み出すとガリィに向かって「アンタと立花がどういう関係か知らんけど、だらだらやるんならあたし等巻き込んでくれる!?」と啖呵を切ったのだ。

 

(アレ? あの人ってあんなにちょっと怖い感じの人だったっけ? あんまり知らないけ人だけど、もっとおっとりなイメージが・・・・・・)

 

マックススパークを拾い上げたカイトがそう疑問に思っているとガリィは詩織に「お前、こいつの仲間じゃないのか?」と問いかける。

 

「冗談! たまたま帰り道が同じだけ、ほら、道を開けな」

 

ガリィは少しだけ苛立った様子を見せると彼女は言われた通りアルカノイズ達を下がらせて道を開けさせる。

 

(性根腐ってそうな見た目してるのに親切に道開けてくれるんだな・・・・・・)

「行くよ!」

 

創世のかけ声を合図に、一同はできた一瞬の隙を突きアルカノイズの包囲から脱出することに成功、先ほどの詩織の啖呵は響を助けるための芝居であり、ガリィはしばらくぼーっとした表情を浮かべていたが・・・・・・。

 

「と見せかけてここで希望をばっさり摘み取るのよねぇ!」

 

ガリィはアルカノイズ達に指示を出し、響達を追いかけるようにするが・・・・・・その瞬間、カイトはマックススパークを装着して等身大の「ウルトラマンマックス」へと変身し、マックスは頭部に収納されているブーメラン、マクシウムソードを投げてアルカノイズ達を切り裂く。

 

『シェア!!』

「チッ、邪魔くっさいなぁ・・・・・・!」

『いやぁ、空気になっておいて正解だったな。 こっちに全然アルカノイズ仕向けないんだから。 アンタの相手をしたいとこだけど・・・・・・響達を先ずは助けないと!』

 

マックスは響達を助けに行こうとするがガリィはそうはさせまいと右手に氷の剣を作り出し、それを使ってマックスに斬りかかるが・・・・・・マックスはそれをマクシウムソードで受け止める。

 

『ハァ!!』

 

しかし・・・・・・流石にパワーではマックスが圧倒的に上であるためかガリィの氷の剣をあっさりと砕け散り、彼女は後方へと飛んでスパークドールズを使おうかと一瞬悩むが・・・・・・。

 

(くそ、何体かのアルカノイズは逃してしまった・・・・・・。 こいつさえ邪魔しなければ助けに行けるんだけどな・・・・・・)

 

するとそこには突然、新たな乱入者・・・・・・「ガッツ星人 ボルスト」がガリィの元へと現れ、ガリィは少し怪訝そうな表情を浮かべて「何の用?」と尋ねるとボルストは「ここは俺に任せろ」と言ってきたのだ。

 

『奴には少し借りがあるのでな! お前はさっさと奴等を追え』

「ふん」

 

少し癪ではあるがガリィはボルストに言われた通り、この場をボルストに任せて響達を追いかけ、マックスはガリィを追いかけようとするがボルストの放った光の鞭のようなものに拘束されて動きを封じられてしまう。

 

そのままボルストは電撃のようなものをマックスの身体へと流し込み、マックスは身体中から火花を散らす。

 

『ぐあああああ!!!?』

 

だがマックスはどうにかして力づくで打ち破り、マックスはボルストに向かって殴りかかるがボルストはテレポートで攻撃を回避し、後ろに回り込んで両手から光線を放つがマックスはマクシウムソードで光線を切り裂いてかき消す。

 

『お前のような奴に構ってる暇ないんだよ!』

 

マックスは立ち塞がるボルストを無視して響達を追いかけようとするがボルストは2体に分身してマックスを挟み撃ちにし、2体のボルストは光線をマックスに向かって放つがマックスは高速移動能力である「コメットダッシュ」で攻撃を回避し、ボルストの放った光線は相殺される。

 

『シェア!!』

 

コメットダッシュに乗せた勢いのつけた拳をボルストに素早く繰り出し、ボルストは顔を殴りつけられるがもう1体のボルストが背後からマックスに掴みかかり、動きを封じる。

 

その隙を突いてもう1体のボルストが両手から光線をマックスに向かって放ち、マックスを押さえていたボルストはそれと同時に瞬間移動で姿を消し、光線はマックスへと直撃する。

 

『シュア!?』

『今度こそ、宇宙最強のこの俺様がウルトラマンを始末してやろう』

『古典的な悪役の台詞どうも』

 

一方で響達はというと・・・・・・必死にガリィとアルカノイズ達から逃げているのだがアルカノイズの放った腕の鞭による攻撃のせいで響の履いていた靴が炭化してしまい、その際、彼女はバランスを崩して地面に倒れ込んだ上に、首にぶら下げていた待機状態のガングニールが放り出されてしまったのだ。

 

「しまった! ギアが・・・・・・!!」

 

だが、その時、丁度緒川が運転している車が到着し、それと同時に中からマリアが飛び出し・・・・・・空中のガングニールを掴み取ると「歌」を口ずさむ。

 

すると・・・・・・マリアはかつて纏っていた黒いガングニールをその身に纏い、槍のアームドギアを取り出してそれを掴み取ると一気にアルカノイズ達へと向かって行く。

 

挿入歌「烈槍・ガングニール」

 

しかし、その身体からバチバチと火花のようなものが散っており、切歌や調同様に無理矢理ギアを纏っていることが窺える。

 

だがそれでもマリアは止まることなく駆け出し、アームドギアの刀身を展開し、砲身部から高出力のエネルギー砲撃を「HORIZON†SPEAR」を放ち、アルカノイズ達を消滅させる。

 

(戦える・・・・・・この力さえあれば!)

「黒い・・・・・・ガングニール・・・・・・」

 

そしてマリアは通信により弦十郎からアルカノイズの発光している部分こそがギアを分解する器官であることを聞かされ、マリアは頷いて言われた通り、アルカノイズの発光部分を避けながらアルカノイズ達をアームドギアで切り裂いていく。

 

それを見たガリィはさらにアルカノイズ達を呼び出し、マリアに差し向けるが・・・・・・。

 

『デヤアアアアアア!!!!』

 

ガリィの頭上から右足に炎を纏って相手に叩き込む跳び蹴り・・・・・・「ウルトラゼロキック」を放ちながら等身大の「ウルトラマンゼロ」が現れ、ガリィはゼロの登場に少し驚いた表情を見せたが・・・・・・すぐさま障壁を張り巡らせてゼロの攻撃を受け止める。

 

『へっ! 今のを冷静に受け止めるたぁ、やるじゃねえかよ!』

「想定外による想定外。 捨てておいたポンコツが意外なくらいにやってくれるじゃない・・・・・・。 あぁ、ポンコツってあなたのことじゃないわよ」

『ポンコツ・・・・・・零無のことか!』

 

同じ頃、訓練場で零無がくしゃみしていたとか・・・・・・ついでにその間にボールが顔面に直撃したとか。

 

マリアはアルカノイズの1体にアームドギアを投げつけて突き刺し、拳や蹴りでアルカノイズを何体か吹き飛ばした後、アームドギアを回収しゼロの隣へと並び立つ。

 

「ゼロ、ここは私に任せてギンガの方へ行きなさい。 苦戦してるみたい」

『だが・・・・・・』

「少なくともあの娘達は守り抜いて見せるわ」

 

ゼロはギアを今は無理矢理纏っている状態の彼女が心配だったが・・・・・・マリアの真剣な目を見てゼロは頷き、「任せた」と言い残してギンガの方へと向かう。

 

そして一通りのアルカノイズを倒し終えたマリアはガリィに向かってアームドギアを振りかざすがガリィは氷の障壁で攻撃を防いでしまう。

 

「っ! それでも!!」

 

マリアはアームドギアの先を2つに分離させ、ガリィの障壁を無理矢理こじ開け・・・・・・さらに両手を開かせたことで隙が生まれ、彼女はアームドギア本体にはまだ刃があるため、それをガリィの胸に突き刺そうと振るったのだが・・・・・・。

 

「なっ!?」

 

彼女は胸にも氷の障壁を張り巡らせ攻撃を防いでおり、ガリィは「頭でも冷やせやぁ~!!」と叫びながら氷をトゲのよう溢れ出させるが寸前のところでマリアは後ろに後退して回避する。

 

「決めた! ガリィの相手はアンタよ・・・・・・」

 

そう言うとガリィは高速でマリアの元に接近し、右手に氷の剣を作り出してマリアのギアのコアを破壊しようとするのだが・・・・・・その瞬間、マリアの纏っていたガングニールが強制的に解除され、ガリィはその手を突然止めたのだ。

 

「ぐっ・・・・・・! うぅ!? はぁ、はぁ・・・・・・」

 

マリアは膝と両手を突いて肩で息をし、さらに口や目元からは血が流れ出るという状態となり、ガリィは「それでもこの程度・・・・・・」とどこか不満そうに呟くと小さなガラスの瓶を取り出す。

 

それを地面に落として割らせると魔方陣のようなものが出現し、ガリィは退却したのだった。

 

「なによこれ? まともに歌える奴が1人もいないなんて・・・・・・聞いてないんだけどぉ?」

 

それだけを言い残すと、それを地面に落として割らせると魔方陣のようなものが出現し、ガリィは退却したのだ。

 

同じ頃・・・・・・ゼロはゼットンとゴルゴス、ギンガの間に割って入り、ゼロは頭部にある二本のブーメラン「ゼロスラッガー」をゼットンに投げつけるが・・・・・・ゼットンはバリアを張ってゼロスラッガーによる攻撃を防ぐ。

 

『大丈夫か? コウマ?』

『はい、大丈夫です。 でも、あいつ別のゼットンのスパークドールズ使った途端に急に強くなりやがって・・・・・・』

『ゼットンだからな、そりゃ苦戦はするだろ。 しかも2対1だし。 ゼットンの相手は俺に任せな』

 

ゼロの言葉にギンガは頷き、ゼロはゼットン、ギンガはゴルゴスへと向かって行く。

 

挿入歌「すすめ! ウルトラマンゼロ」

 

『ルナミラクルゼロ!!』

 

ゼロは青き姿・・・・・・「ルナミラクルゼロ」となり、無数に分裂する光のゼロスラッガーで全方向から敵を攻撃する「ミラクルゼロスラッガー」をゼットンに向かって放つがゼットンはテレポートで攻撃を防ぎ、ゼロの背後に回り込んで火球をゼロに向かって放つがゼロもテレポートで攻撃を回避。

 

ゼロは目の前にゼットンに現れ、両手に持った槍型の武器「ウルトラゼロランス」を振るうがゼットンは右腕でウルトラゼロランスを受け止め、押し返すとゼットンは火球をゼロに向かって放つ。

 

しかしゼロは即座にテレポートでそれを回避するのだが・・・・・・それと同時にゼットンもテレポートを使って姿を消し、ゼロとゼットンはそれぞれ互いに少しだけ距離を置いた別の場所に出現し、ゼットンは火球を、ゼロは右手を出して「レボリウムスマッシュ」という衝撃波でゼットンの火球をかき消す。

 

『レボリウムスマッシュ!』

『くっ、流石はウルトラマンゼロだね! しっかーし! 所詮君は僕の噛ませ犬でしかないんだよ!』

『へっ、噛ませ犬がどっちか、教えてやるぜ!!』

 

ゼットンとゼロは互いにテレポートを使って空中で互いに目の前まで来ると互いに拳を叩き込み、ゼロとゼットンは地面へと倒れ込む。

 

『ぐっ! シュア!!』

 

だがゼロはゼットンよりもすぐさま起き上がってテレポートで立ち上がった直後のゼットンの背後に回り込み、ゼットンはそれに気づいて後ろに腕を振りかざすが・・・・・・ゼロはその姿を赤き姿「ストロングコロナゼロ」へと変化させて受け止める。

 

『ストロングコロナゼロ!』

『なにぃ!?』

『捕まえたぜ! ウルトラハリケーン!!』

『おわあああああ!!!!? 目が廻るぅ~!?』

 

竜巻のように高速回転させながら相手を放り投げて空中で磔にするように拘束する「ウルトラハリケーン」をゼロは繰り出し、ゼットンの動きを封じたところで右拳を突き上げて放つ炎状の強力光線「ガルネイドバスター」をゼットンに放ち、目を廻しているベルメはゼットンの能力を使えず、そのままゼットンはゼロの技を喰らい爆発した。

 

『ガルネイドォ!! バスタァー!!』

『まさか、この僕があああああああああああ!!!!!?』

 

戦闘BGM「ウルトラマンギンガのテーマ」

 

またギンガは突進してくるゴルゴスにすかさず顔面に蹴りを叩き込み、その際ゴルゴスの身体が起き上がりそこにギンガは回転するように何発も蹴りを叩き込み、ゴルゴスは蹴り飛ばされる。

 

さらに倒れ込んだゴルゴスにギンガは掴みかかり、ゴルゴスの身体を持ち上げてゴルゴスを投げ飛ばす。

 

『ショウラ!!』

「グオオオオオ!?」

 

そして身体のクリスタルを紫色に輝かせ、頭部のクリスタルから放つ光刃「ギンガスラッシュ」を放ち、直撃を受けたゴルゴスは耐えきれず身体を粉々にされてしまう。

 

『ぐああああ!? ふん、バカめ! ゴルゴスは何度でも復活するんだ!!』

『ギンガセイバー!』

 

ギンガは今度はクリスタルを白く発光させ、右手のクリスタルから光の剣「ギンガセイバー」を作り出し、ギンガセイバーでゴルゴスの光る中心核と思われる部分を見つけ出し、ギンガはそれを素早く切り裂くと中心核は爆発し、ライブしていたキューバは爆発に巻き込まれて空の彼方に吹き飛ばされてしまった。

 

『あんな風に光ってたらあれが弱点だって言ってるようなもんじゃねえか』

『覚えてろぉ~!!』

 

そして場所をマリア達の元へと戻し、マリアは膝を突き・・・・・・目や口から血を流しながら待機状態へと戻ったガングニールを握りしめる。

 

(もし私が、ガングニールを手放していなかったら・・・・・・。 いや、それは未練だ・・・・・・)

 

彼女はフラつきながらもどうにか立ち上がり、そこに等身大へとなったギンガとゼロ、ボルストをどうにか退けたマックスが駆けつける。

 

『マリアさん血が・・・・・・!』

『ギンガコンフォートとフルムーンレクトで・・・・・・』

「私のことは、後回しで良いわ」

 

そう言うとマリアは響達の元へと向かい、残り時間がもう少ないため、一度変身を解除するコウマ、ラン、カイト。

 

「怪我はない?」

 

マリアは響達にそう問いかけると創世がみんなを代表する形で「はい、大丈夫です」と答える。

 

「だけど、マリアさんも傷だらけで・・・・・・」

「歌って戦ってボロボロになって、大丈夫なんですか!?」

 

創世と弓美がマリアを心配し、マリアはくすりと笑みを浮かべると響にガングニールを差し出す。

 

「君のガングニールの「私のガングニールです!!」」

 

すると響はすぐさまマリアの手にあるガングニールを取ると「これは誰かを助けるために使う力!! 私が貰った、私のガングニールなんです!!」と強く言い放つ。

 

「おい、響!! 助けて貰ってその言い草はないだろ!」

 

コウマにそう言われて響はハッとなり、彼女は顔を俯かせつつも「ごめんなさい・・・・・・」とマリアに謝り、そんな姿を見たマリアは「人助けの力で誰かを傷つけることが凄く嫌なんです」と言っていた時のことを思い出す。

 

「っ、そうだ! ガングニールはお前の力だ! だから、目を背けるな・・・・・・!」

「目を・・・・・・背けるな・・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後・・・・・・現場検証などはラン達に任せ、コウマとカイトは響達を寮まで何事もなく無事に送り届け、先に響達の友人の3人組が別れの挨拶を響達に済ませた後、それぞれの部屋へと戻っていった。

 

響と未来も自分たちの部屋へと戻ろうとしたのだが・・・・・・。

 

「響」

「・・・・・・なに? コウマくん?」

 

突然、コウマが響を呼び止め、響はコウマの方へと顔を向けるが・・・・・・その表情はどこか、元気が無く暗かった。

 

「もうちょっと・・・・・・お前と俺、カイトと未来でもう少し、何か話していかないか? 少しは・・・・・・気持ちがスッキリするかもしれないし」

 

コウマのその提案に対して未来は手をあげて「私は賛成」とコウマに同意し、コウマは「カイトも良いかな?」と問いかけるとカイトは自分まで参加して良いのかと少し戸惑いつつも頷く。

 

「もしかして、コウマくん・・・・・・。 私が落ち込んでるのに気を使って・・・・・・? ごめん」

「なに謝ってるんだよ。 人間は落ち込む生き物だし、そんな落ち込んでる奴に力になってなりたいって思うのも人間だろ?」

 

響は苦笑しながらも「ありがとう」とコウマにお礼を述べるが・・・・・・すぐにまた暗い表情へと戻り、彼女は自分の右手を見つめる。

 

「・・・・・・戦えないんだ。 歌を歌って・・・・・・この手で誰かを傷つけることがとても怖くて・・・・・・私の弱さがみんなを危険に巻き込んだ・・・・・・。 なのに・・・・・・!」

 

響はどこか悔しそうに拳を握りしめる。

 

「『力』について悩んでるっていうのは、俺も一緒だね・・・・・。 一体何なんだろうな・・・・・・。 マックスやランさんの言葉の意味が、俺には分からない・・・・・・。 響さんは戦って誰かを傷つけるのが嫌なんだよね? だったら尚更、ウルトラマンが悪い奴を倒さないといけないんじゃないのかな・・・・・・?」

「確かにな。 でも2人とも、『力』っていうのは確かに一般的には大切なものを守り、敵を倒さないといけないものだとは思う。 だけど・・・・・・力っていうのは・・・・・それだけじゃない。 響だったら、きっと分かると思う。 その答えが」

 

コウマにそう言われる響だが・・・・・・それでも響の表情は変わっておらず、未だに悩んでいる様子だったのだが・・・・・・そんな彼女の拳を未来がそっと両手で握りしめる。

 

「私は知ってるよ、響の歌が・・・・・・誰かを傷つける歌じゃないことを・・・・・・」

「っ・・・・・・」

 

そう言われて響は少しだけ笑みを浮かべ、それを見てコウマは「やっぱり響立ち直らせるには未来が1番かな・・・・・・」と小さく呟くのだった。

 

「カイトもさ。 もう1度、よく考えてくれ・・・・・・。 マックスがどうしてお前に力を貸してくれたのかを」

「・・・・・・はい・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響と未来は学校が終わり一緒に帰宅しており、少し離れた位置では念のためにカイトが響達の護衛のために付き添っていたのだが・・・・・・響が「カイトくんもそんな離れたとこにいないでこっち来てなにか話そうよ」と気を利かせてくれたため、カイトもその提案を受け入れて響達と並んで歩くことに。

 

「ごめん、今日コウマの方は零無の様子なんかを見たいからってS.O.N.G.の方に行ってるらしくて・・・・・・。 でも正直、話し相手いなくって心細かったんだ」

「あはは・・・・・・そうなんだ?」

 

それから3人は話ながら寮へと向かって歩くのだが・・・・・・響の表情に未だに曇りがあることに未来は気づき、「やっぱりまだ歌うのは怖い?」と問いかけてきたのだ。

 

「あ・・・・・・、うん。 誰かを傷つけちゃうんじゃ無いかって思うと・・・・・・ねっ」

「・・・・・・響は、初めてシンフォギアを身に纏った時のことって覚えてる?」

 

それに対して響は「どうだったかな? 無我夢中だったし」と少し苦笑しながら答える。

 

「その時の響は、誰かを傷つけたいと思って歌を歌ったのかな?」

「へっ・・・・・・?」

「えっと・・・・・・響さんが初めてシンフォギアを纏った時って?」

 

そこでカイトが少し戸惑い気味ではあるが、その話が気になったカイトは思わず響に尋ね、響はカイトに自分がシンフォギアを纏った時のことを話し始めた。

 

それは翼の新曲のCDを買うために出かけた時、そこでノイズと・・・・・・ノイズに襲われている少女に出くわし、響は必死で襲われていた少女を無我夢中で助け出し、ノイズから必死に逃げながらも守り抜こうとした。

 

そしてもうダメだと思われた時にシンフォギアの力が目覚め、自分はガングニールを纏ったのだと響はカイトへと説明した。

 

「まだシンフォギアを纏えていなかったのに・・・・・・ノイズから女の子を助けたのか? 生身で無茶するなぁ・・・・・・」

『・・・・・・君がそれを言うのか?』

「んっ? なんか言ったかなマックス?」

『いや・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、零無はというと・・・・・・彼は未だにランが用意してくれた訓練を続けており、身体中に痣が出来てしまっているが・・・・・・尚も零無は止めず、特訓を続けていた。

 

だが、そこに切歌達がどうしても零無を誘わないといけない用事が出来たため、ランに頼んで一時特訓を中断することになった。

 

「ぐぅ・・・・・・ぅ・・・・・・」

「零無! 大丈夫デスか!?」

 

苦痛に歪んだ表情を見せながらフラフラと歩く零無に、切歌や調、マリアが今にも倒れそうな彼を支える。

 

「ちょっと! 少しやり過ぎじゃないの!?」

 

零無のボロボロな姿を見てマリアはランを睨み付けながらそう言い放つが零無に「やめろ」と彼女を止める。

 

「これは俺がやると決めたことなんだ・・・・・・。 ラン隊長を責めるのは筋違いだ・・・・・・」

「でも!」

「それより、早く行こうぜ。 マムに会いにさ・・・・・・」

 

この日、零無達はナスターシャのお墓参りをする予定であり、彼等は一通りの準備を済ませるとそのままナスターシャが眠る墓地へと向かった。

 

「ところで切歌、なんでお前醤油なんて持ってるんだ?」

「マムの大好きな日本の味だからデス!」

「私は止めたんだけど、常識人の切ちゃんがどうしてもって・・・・・・」

 

とそれを聞いて「成程!」となぜか納得してしまう零無・・・・・・。

 

「いやツッコめよ!! 『常識人ってなんだっけ・・・・・・』ってツッコめよ!!」

 

そこで偶然近くで話を聞いていたランがいても立ってもいられずに代わりにツッコミ入れるのだった。

 

同じ頃・・・・・・オートスコアラー達についての説明をエルフナインがS.O.N.G.のメンバー達に説明しており、今は翼やクリス、響に襲いかかったファラとレイア、ガリィ・・・・・・そして未だに姿を見せていない戦闘特化の最後のオートスコアラーの1体、ミカについて説明されていた。

 

「人形遊びに付き合わされてこの体たらくかよ!」

「その機械人形は、お姫様を取り巻く護衛の騎士・・・・・・と言ったところでしょうか?」

 

クリスが苛立ち気味に言葉を吐いた後、緒川の言葉に対しエルフナインは「スペックに関する詳細なデータは僕には記載されていません。 ですが・・・・・・」と答えるとそれに続けて翼が「シンフォギアを凌駕する戦闘力から見て、間違いないだろう」とオートスコアラー達の戦闘力は遙かに高いことは明らかだった。

 

「この現状を打開するため、エルフナインくんに計画の立案があった・・・・・・。 プロジェクト『イグナイト』だ」

 

その時、突然警報・・・・・・アルカノイズやオートスコアラーが出現した時に発生する警報が鳴り響き、モニターが映るとそこにはアルカノイズと・・・・・・アルカノイズを引き連れたミカが響達を追いかけ回していたのだ。

 

「響!! 未来!!」

「遂に・・・・・・ミカまでも・・・・・・」

「クリス、俺ちょっと行ってくる!」

 

コウマはクリスにそう言うとクリスは「あぁ! あいつ等をブチのめしてこい!」とだけ伝えてコウマは頷くとすぐさま司令部から出て行き、走りながらギンガスパークを取り出し、スパークドールズを取り出してSDをギンガスパークの先端に押し当ててそれを掲げ、「ウルトラマンギンガ」へと変身する。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

「ギンガアアアアアアアアア!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げないで歌ってほしいゾ! あっ、それとも・・・・・・歌いやすいところに誘ってるのか・・・・・・? うーん、おぉ! それならそうと言って欲しいゾ!」 

「違ーよバカ! 全然そんなんじゃないよ!! ったくもう!」

 

カイトはマックススパークを取り出してマックスに変身しようと突然、なにか「素早い」ものがカイトを突き飛ばし、カイトは軽く吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐあああああ!!?」

『おっとぉ? 大事なものはちゃんとしっかり持っていなくちゃいけませんねぇ?』

 

そこに現れたのは・・・・・・1体の宇宙人・・・・・・その手にはカイトが先ほどまで握っていたマックススパークが握られていた。

 

恐らく、先ほどカイトと衝突した際に奪ったのだろう。

 

「お前・・・・・・何者だ!? それを返せ!!」

『私の名は『スラン星人 クワイラ』。 我がかつての同胞の仇であるウルトラマンマックスに復讐するために参りました』

 

そこに現れた宇宙人は「高速宇宙人スラン星人 クワイラ」という名の宇宙人であり、カイトは「マックススパークを返せ!」とカイトに挑もうとするが・・・・・・周囲にアルカノイズがいるため、響に腕を掴まれて「今は無理だよ!」と彼女に引っ張られて行ってしまう。

 

『ふぅむ、このマックススパークを破壊できればマックスをあっさり倒すことができますが・・・・・・それでは詰まりませんねぇ。 ここは彼が同化している地球人とその友人達、彼等を苦しめることでマックス、あなたを精神的に苦しめることができるかもしれませんねぇ』

 

クワイラはそう言うとミカと共にカイト達を追いかけ始め、カイト達は廃墟に逃げ込み、階段を駆け上がるのだが・・・・・・未来は最後まで登り着きることが出来たが響とカイトの前に目にも止まらぬ速さでクワイラが2人の目の前に現れて道を遮ったのだ。

 

さらには2人とクワイラの間にアルカノイズの放った鞭が階段に触れて階段が消滅、クワイラは空中を飛べるのが可能なので落ちなかったが、響とカイトは2人とも階段から落ちてしまう。

 

『ってちょっとあなた! 今のは私も少しビックリしましたよ! 幾ら空を飛べるからっていきなり足場を消されたら私でもビビります!』

「おぉ~。 それは申し訳ないことをしたゾ」

 

落下したカイトと響は背中を打ち付け、苦痛の声を漏らす。

 

「ぐあああ!!?」

「ぐううう!!? 未来・・・・・・!」

 

響は上にいる未来を見つめるが・・・・・・そこに目の前にミカが現れ、未来を指差しながら「いい加減戦ってくれないと君の大切なもの解剖しちゃうゾ? それでもダメなら街の人間みんなバラバラにしちゃうゾ?」と言い出してきたのだ。

 

「ぐっ、お前仲間から今、響さんが戦えないって聞いてないのか!」

「そんなの知らないゾ」

『あっはっは! 良いですねぇ! 笑えますねぇ。 私から見れば・・・・・・ですが苦しめるべき相手を苦しめることで、マックスにさらなる苦痛を与えられる! どうですかマックス! あなたがいながらなにもできず、守るべき地球人達がこのように苦しんでいく姿! 悔しいでしょうねぇ・・・・・・』

 

響は待機状態のガングニールを取り出し、歌を口ずさもうとするが・・・・・・咳き込んでしまいやはりシンフォギアを纏うことができなかった。

 

それを見てミカは「自分が本気で言ってる訳じゃ無いとでも思ってるのか」とでも考えたのか、ミカは未来を見上げ、アルカノイズ達に襲わせようとする。

 

「おい! 待て、やるなら、俺からやってくれ・・・・・・!」

「・・・・・・ハァ? お前なに言ってるんだ?」

 

カイトはせめて未来が逃げる時間を稼ごうと思い、未来よりも先に自分から殺せと言いだし、ミカは訳が分からないといった顔をしていた。

 

『あっはっは! これまた笑えますねぇ! マックスに変身できない癖にヒーロー気取りですか!』

「だけど! 変身できなくても・・・・・・俺は、2人を守る! どんなことをしてでも!!」

 

カイトはクワイラに対してそう言い放つが・・・・・・それを聞いたクワイラは「フン」と鼻で笑い、ミカの方へと顔を向ける。

 

『ですが残念でした。 ミカさん、マックスと同化しているそいつは最後に始末します! 散々痛めつけてボロ雑巾のようになるまでね!! という訳で先ずはあの小娘からです』

「うーん、まぁ、別に順番なんてどうでもいいから分かったゾ」

「待て! やめろ!! 逃げろ未来さん!!」

「未来逃げて!!」

 

カイトと響がそう叫ぶが・・・・・・未来は逃げず、響に声をかけたのだ。

 

「あのね響!! 響の歌は、誰かを傷つけるためにある歌じゃないよ! 伸ばしたその手も・・・・・・誰かを傷つける手じゃないって私は知ってる!! 私だから知ってる! だって私は・・・・・・響と戦って、救われたんだよ!?」

 

それを聞いた響は「ハッ」とした表情を見せる。

 

「戦って・・・・・・救われた・・・・・・?」

 

そして未来の言葉を聞いたカイトは小さくそう呟いた。

 

「私だけじゃない! 響の歌に救われて響の手で今日に繋がってる人、沢山いるよ! だから怖がらないで!!」

 

そこでミカがアルカノイズ達に指示を出し、アルカノイズ達は先ずは未来の立つ足場を破壊・・・・・・それを見た響は・・・・・・未来の言葉を聞いた彼女は、未来の元へと駆け出す・・・・・・「歌」を、口ずさんで。

 

「私の大好きな・・・・・・響の歌を、みんなのために、歌って・・・・・・」

 

挿入歌「限界突破 G-beat」

 

死を覚悟し、落ちる身体は・・・・・・彼女が、響が抱きかかえて受け止めたのだ。

 

「あっ!」

 

そして地面へと未来を抱きかかえたまま着地する響、その際の衝撃のせいか、彼女の後ろの方にあった天井が崩れて水が大量に流れ込むが・・・・・・その水は雨が止み、差し込んだ日差しのおかげで美しく反射し輝きを放っていた。

 

「・・・・・・ごめん、私、この力と責任から逃げ出してた。 だから聞いて! 私の歌を!」

 

また、それを見ていたカイトとクワイラは・・・・・・。

 

「・・・・・・かっけぇ・・・・・・」

『なんですかアレ。 ちょっとカッコイイじゃないですか・・・・・・』

 

なんて感想を漏らしていたりした。

 

その時、突然誰かがクワイラの肩を「つんつん」と叩き、クワイラが「誰ですか!」と苛立ち気味に振り返るとそこには等身大の「ウルトラマンギンガ」が立っており、振り返った直後にクワイラは顔面パンチを喰らった。

 

『ぐはぁ!!?』

 

その際にギンガはマックススパークを取り返し、カイトの元へと行くとそれをカイトへと渡す。

 

「ありがとうコウマ」

『あぁ』

「マックス! 大丈夫だったか?」

 

カイトはマックスがなにもされてないかと心配し、マックスは「大丈夫だ」と答える。

 

『それよりも、ちゃんと分かっているじゃないか』

「えっ?」

『例えウルトラマンになれなくても・・・・・・力が無くても君は2人をなんとしてでも守ろうとした。 力があるから誰かを守るんじゃ無い、ただ純粋に力が無くても守りたいという意思、それこそが本当の強さだ』

 

マックスに言われ、カイトは少しだけ笑みを浮かべると「確かに、そうだったよ」とマックスに返す。

 

「だけど、それだけじゃない。 さっき未来さんが響さんと戦って救われたって言った。 俺はその話はよく知らないけど・・・・・・それはきっと、時には戦う相手を救わないといけないんだって言うのも分かった。 マックス、俺ももう迷いは無い! 行くぞ!」

『あぁ!』

 

カイトはマックススパークを自分の左腕に押し当てるとそこから眩い光が放たれ、カイトは等身大の「ウルトラマンマックス」へと変身した。

 

「行ってくる!」

「待っている」

 

響と未来がそんなやり取りをした後、響はマックスとギンガの隣に並び立つ。

 

『こうなれば実力行使です! ですがギンガ! あなたは邪魔です! こいつが相手をしますよ!』

 

するとクワイラはチブルスパークとスパークドールズを取り出し、チブルスパークの先端にSDを押し当てる。

 

『モンスライブ! エレキング!』

 

そしてクワイラは光に包まれるとその光は廃墟の外へと飛び出し、そこでクワイラは「宇宙怪獣エレキング」となって出現し、クワイラはテレポートを使ってエレキングと分離し、元の場所に戻ってくる。

 

『あいつはお前をご氏名みたいだし、怪獣は俺に任せろ!』

『頼んだよ』

 

ギンガはエレキングの方へと向かい、マックスは響と共にクワイラ、ミカへと戦いを挑む。

 

ミカはアルカノイズを大量に召喚するが響とマックスはアルカノイズ達をあっさりと撃破し、マックスはミカに向かって拳を叩き込もうとするが・・・・・・ミカは手から剣を出してその拳を受け止める。

 

『シュア!!』

 

しかし、そのままパワーで押し切ってミカを吹き飛ばし、ミカは「お前と戦いたいんじゃないゾ!!」と文句を言い放つ・・・・・・。

 

一方で響はクワイラに殴りかかるがクワイラは自慢の高速移動で攻撃をあっさり回避し、腕から光線を放つが即座に反応して響は上に飛んで回避し、地面に落下すると同時に地面を殴りつけて土煙を巻き上げて煙幕を作る。

 

『くっ!? これは・・・・・・!?』

 

すると突然目の前にできた煙幕にクワイラは戸惑うが・・・・・・。

 

『ですが姿が見えないのは相手も同じ! っていうか私もマックスと戦いたいんですよ!』

 

そう言った直後、煙の中から突然響の拳が現れてクワイラの顔面にその拳が叩き込まれる。

 

『ぐはあああ!!? な、なぜ私の位置が!?』

「・・・・・・声がしたから!」

『・・・・・・確かに!』

 

そしてマックスと響はハイタッチして対戦相手を交換し、マックスはクワイラ、響はミカに向かって行く。

 

挿入歌「ウルトラマンマックス」

 

『シュア!!』

 

クワイラは高速移動を使って分身し、マックスの周囲を取り巻き、全方向からの光線をマックスに喰らわせようとするが・・・・・・マックスはジャンプして攻撃を回避し、頭部に収納してある「マクシウムソード」を横一線に飛ばし、クワイラを切り裂く。

 

『ぐあああ!?』

 

ダメージを喰らったところでマクシウムソードを戻し、マックスはクワイラに向かって殴りかかるがクワイラはしゃがみ込んで回避し、腹部にほぼ零距離からの光線を両手から放つ。

 

『ジュア!?』

 

光線を喰らったマックスは吹き飛ばされてしまい、地面を転がり、クワイラはマックスを起き上がらせまいと高速移動してマックスを蹴り飛ばし、マックスが地面を再び転がった際に再び高速移動してクワイラは倒れ込んだマックスを踏みつける。

 

『フハハハハ! これで終わりです!』

 

クワイラはエネルギーをチャージして強力な一発をマックスにぶつけようとし、マックスは必死にもがく。

 

『さぁ! トドメです!』

『ハア!!』

 

しかしマックスが右手を掲げるとそこから光の波のようなものが放たれ、空中からマックスの今のサイズに合わせて小型化した「マックスギャラクシー」が現れ、マックスギャラクシーはすれ違いざまにその翼でクワイラを切り裂き押し退かす。

 

『ぐおお!!?』

 

そしてマックスは起き上がると変形したマックスギャラクシーを右腕に装着し、マックスギャラクシーから放つ必殺光線「ギャラクシーカノン」をクワイラに撃ち込み、クワイラは火花を散らして爆発した。

 

『ぐあああああああああ!!!!?』

 

一方で響の方もミカ相手に優勢に戦っており、響の放った拳を剣でガードし、一度響は離れて距離を取ると足部ユニットを使って地面を蹴って加速し、身体を回転させて遠心力を利用したパンチをミカに喰らわせて大ダメージを与える。

 

「がああああああああ!!!!?」

 

さらに追撃しようと響はさらに拳をミカに叩き込んだのだが・・・・・・そのミカはなんと・・・・・・水となって弾け飛んだのだ。

 

「なっ・・・・・・!?」

「ざーんねん、それは水に映った幻」

 

響が先ほど殴ったミカは・・・・・・本物ではなく、いつの間にかガリィの作った水で出来た偽物だったのだ。

 

尚、本物は・・・・・・響の真下におり、ミカの放った剣が響の胸部にあったガングニールのコア部分に直撃した。

 

「がっ・・・・・・ああああああああああああ!!!!?」

 

ビルの外にまで放り出された響はコアが破壊され・・・・・・彼女はそのまま、地面へと落下し、それを見た未来とマックスはすぐさま彼女の元へと駆け寄る。

 

『なっ・・・・・・響さん!!』

「響!! しっかりして響!! いや! しっかり響! 響! 響ぃ~!!」

 

そして・・・・・・空は再び曇り、今にも雨が降り出しそうな天気となっていた・・・・・・。

 

 

 




エクこれの方でクワイラは出せそうにないのでギンガの方でせめてと思い出しました。
と言ってもギンガの方ではエックス本編ほど手間暇かかる作戦は展開できないので普通に戦闘員的な役割として登場です。


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6Eve 『襲われたS.O.N.G.本部』

響とマックスがミカとクワイラと戦ってる頃、マックス達がいるビルの外ではギンガもエレキングと戦闘を繰り広げていた。

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

ギンガと対峙しているエレキングは口から発射する三日月状の「放電光線」をギンガへと連射して放つがギンガは両腕のクリスタルを使って放電光線を弾きながらエレキングに向かって駆け出し、そのままエレキングにラリアットを喰らわせる。

 

『ショウラ!!』

「キュウイィ!?」

 

エレキングは地面へと倒れ込み、ギンガは倒れ込んだエレキングに向かって攻撃を仕掛けようとするがエレキングはその長い尻尾を使ってギンガの両足を縛り付けると尻尾を引いて今度はギンガを地面に倒れ込ませギンガの身体に電撃を流し込む。

 

『ウアアア!!?』

 

急いでギンガはエレキングの尻尾を振りほどこうと両足に巻き付いているエレキングの尻尾に手を伸ばすがそうはさせまいとエレキングは放電光線をギンガに撃ち込んで阻止し、ギンガに反撃の隙を与えようとはしない。

 

「キュイイイイ!!」

『クソ・・・・・・! 調子に・・・・・・乗ってんじゃねえこの電気ウナギ!! ギンガセイバー!!』

 

だがギンガは右腕のクリスタルから光の剣「ギンガセイバー」を出現させるとそれを振るってエレキングの尻尾を切り裂き、エレキングの拘束から抜け出して立ち上がり、ジャンプしてエレキングの喉元に跳び蹴りを喰らわせる。

 

「キイイイィィ!!?」

『散々ビリビリさせてくれた礼だ!! 受け取れ!! ギンガサンダーボルト!!』

 

そしてギンガは全身のクリスタルを黄色く輝かせると頭上に発生させた雷の渦を敵に向かって投げつける電撃光線「ギンガサンダーボルト」を放ち、直撃を受けたエレキングは身体中から火花を散らして爆発した。

 

「キイイイイイ!!!!?」

 

爆発したエレキングはスパークドールズへと戻り、それを確認したギンガはコウマの姿へと戻ってエレキングのスパークドールズを回収したのだが……その時。

 

「嫌だ!! 響!! しっかりして!! 響いいいいいい!!!!」

「未来の声……? まさか、響になにかあったのか!?」

 

未来の叫び声を聞いて嫌な予感がしたコウマは急いで響達の元へと駆け出し、彼女たちのいる廃墟ビルの中へと入るとそこではギアが破壊され倒れている響の姿と彼女を必死に呼びかける未来の姿が目に映った。

 

尚、オートスコアラーは既に引き上げた後のようだった。

 

それを見たコウマとクワイラを倒し終えた等身大のウルトラマンマックスが彼女たちの元へと駆け寄り、マックスはまだ響に息があることに気づき彼女を抱える。

 

『まだマックスには活動時間がある。 S.O.N.G.本部の医療室がここから1番近い、俺が彼女をそこまで俺が運ぶ!!』

「分かった、響を頼むカイト!」

 

マックスは無言で頷くと響を抱えて空へと飛び立ち、S.O.N.G.本部へと向かって飛び立ち、コウマは泣きじゃくる未来の肩にそっと手を置く。

 

「大丈夫、あいつはタフな奴だ。 俺たちも行こう」

 

コウマにそう声をかけられた未来は涙を右腕で拭って「うん」と頷き、立ち上がってコウマと一緒にS.O.N.G.本部へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、S.O.N.G.司令部で一部始終を見ていた翼とクリスはこのままではオーストスコアラーに対抗できないと思ったのかエルフナインが発案した「プロジェクト・イグナイトを進めてくれ」と頼んだのだ。

 

「プロジェクト・イグナイト」とはエルフナインが持って来た「魔剣ダインスレイフの欠片」を以って製造しシンフォギアにもエネルギー出力の引き上げや防御フィールドの調整といった強化・改修措置が施す計画のことである。

 

ただこのプロジェクト・イグナイトこと「イグナイトモジュール」と呼ばれるシステムは融合症例のみに観測された暴走のメカニズムを応用・解析し、それを仕様としてシステムに組み込まなければならないためそれなりのリスクを伴ってしまうのだ。

 

だが、このままではウルトラマンが例え力を貸してくれるからと言ってオートスコアラーに勝てないと痛感した翼とクリスはリスクを承知でプロジェクト進めてくれとエルフナインに言うのだった。

 

それから数分後・・・・・・本部へと到着したマックスはカイトの姿に戻るとS.O.N.G.に所属している医者に響を渡して手当をしてくれるように頼み、すぐに彼女の手術が開始され・・・・・・未来やコウマ、カイトに翼やクリスは手術室の扉の前で集まり響のことを心配していた。

 

「響・・・・・・」

 

不安そうな表情をしながら力なく響の名を呟く未来に翼が「大丈夫だ、立花ならきっと・・・・・・」と声をかけ、クリスも「ったりめーだ! あのバカがこんなことくらいで退場するものかよ・・・・・・!」と翼に同意するように言う。

 

「そうだな、バカはしぶといって言うしな!」

「あぁ、その通りだ。 私達とてこのままくすぶったままでいられるか!」

 

コウマと翼がそう言い放つと響の無事を信じ、今は待つことにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間後、響は一命は取り留めたものの・・・・・・一週間経っても彼女は目を覚まさず一同の彼女への心配は未だに拭えないのだった。

 

だが、だからと言って立ち止まっている訳にはいかず、彼女が目覚めることを信じ今はプロジェクト・イグナイトに集中することにし、現在の進捗状況は89%とのことで各動力部のメンテナンスと重なって一時はどうなるかとも一同は心配したが・・・・・・作業や本部機能の維持に必要なエネルギーは外部から供給できたのとエルフナインのおかげで予定よりもずっと早い進行となっており完成までも間もなくとなっていた。

 

「それにしても、シンフォギアの改修となれば機密の中枢に触れるということなのに」

「状況が状況だからな、それに八紘兄貴の口利きもあった」

 

そこで2人の会話を聞いていたクリスが「八紘兄貴って誰だ?」と聞き慣れない名前を聞いて首を傾げると翼が「限りなく非合法に近い実行力を持って安全保障を影から支える政府要人の1人、、超法規措置に対応のねじ込みなど彼にとっては 茶飯事」とのことだが・・・・・・クリスにはまだ少しイマイチ理解できていないようで「とどのつまりなんなんだ!?」と不機嫌そうに翼に尋ねる。

 

「内閣諜報官、風鳴八紘。 司令の兄上であり、翼さんのお父上です」

 

翼の代わりに緒川がそう答えると「だったら最初からそう答えろよな! 蒟蒻問答が過ぎるんだよ」とクリスに翼は言われる。

 

「こ、こんにゃく・・・・・・? たまにクリスって難しい言葉使うよな」

「なんだ? あたしがバカみたいって言いたいのかコウマ!?」

「いや、別にそういう意味じゃないぞ!」

 

そんなコウマとクリスのやり取りを見てランが「痴話喧嘩なら余所でやれ」とジトーっと視線を送りながら言うとクリスは少しだけ顔を赤くして「誰が痴話喧嘩だ!!」とランに怒鳴る。

 

「それよりも私のS.O.N.G.編入を後押ししてくれたのも確かその人物なのだけど。 なるほど、やっぱり親族だったのね」

 

マリアが翼にそう言うとどこか翼は浮かない表情を浮かべ、マリアは「どうした?」と心配そうに問いかけるが・・・・・・翼は「なんでもない」と答えるだけだった。

 

(んっ? もしかして翼さん親子仲悪いのか・・・・・・?)

 

コウマがそんな風に思っていると丁度そこに響のお見舞いに来ていた未来が「響の様子を見てきました」と司令室へと入ってきてこの話は一時中断となった。

 

「生命維持装置に繋がれたままですが、大きな外傷もないし心配入りませんよ」

(クワイラと戦いながら響さんがやられた時の光景遠目から見えたんだけど・・・・・・あの攻撃で大きな外傷無いって凄いな響さん・・・・・・)

『コウマの言う通りタフな娘なんだろう・・・・・・』

 

緒川の話を聞きカイトとマックスがそんな会話をするのだった。

 

ちなみに・・・・・・今ここにはいない切歌と調、零無はというと・・・・・・零無は未だに特訓中で切歌と調はその応援に行っていた。

 

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・大分コツは掴んできたんだけどなぁ・・・・・・」

 

相も変わらず移動してくるピッキングマシーンが撃つボールを避けたり掴み取ったりする特訓をしており大分コツは掴んだのだがまだ完全とは言い切れず、ボールを避けたと思ったら今度は後ろからボールを撃たれて背中に直撃し、ボールを受け止めたと思えば即座に2発目が飛んで来て受け止めきれなかったりと最初の頃と比べればかなり上達はしているのだが・・・・・・零無自身がそれでは納得していないため未だに特訓を続けているのだった。

 

「頑張れ零無ー!! 意地見せるデース!!」

「さっさと終わらせないなら一ヶ月は切ちゃんの膝枕は私だけのものにするからね?」

 

マイクを通して切歌と調から応援(調のそれは応援と言えるのか分からないが)され、零無は思わず苦笑してしまう。

 

「切歌に応援されちゃ頑張るしかないし、調に切歌の膝枕一ヶ月独占されたくもないな」

 

零無は2人に応援されてさらにやる気と気合いを入れ、特訓に励むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後、エルフナインが強化型シンフォギアを制作している部屋にて。

 

エルフナインが強化型シンフォギアの開発に励んでいるとき、不意に扉から「コンコン」という誰かがノックする音が聞こえ、エルフナインが「どうぞ」と言うと部屋にカイトが入ってきたのだ。

 

「よっ! あの時以来だね、エルフナイン・・・・・・だっけ?」

「あなたは・・・・・・確か、カイトさん?」

「あぁ、名前覚えててくれたんだな」

 

あれから色々と忙しかったせいで中々再会することができなかったが、今は時間にも余裕ができたため挨拶くらいはしておこうと思いカイトはエルフナインに会いに来たのだ。

 

そんなカイトにエルフナインは笑みを浮かべて「以前は助けていただいてありがとうございました」頭をペコリと下げてお礼を言い、それに対してカイトは「当然のことしただけだよ」と言葉を返した。

 

「作業は順調? 良ければなにか差し入れでも持ってこようかと思うんだけど・・・・・・」

「いえ、そんなお気遣い無く! カイトさんが来るまでどうやら10分そこら寝落ちてたみたいで・・・・・・でもその分頭も冴えましたから!」

 

そう言って元気よく振る舞うエルフナインだが、カイトからは「もう少しちゃんとした休憩した方が良いんじゃ無いか?」と彼女・・・・・・? 彼? 取りあえず彼女ということにしてカイトは彼女を心配するがエルフナイン曰く「モタモタしている暇はない」とのことでギアの改修を急ぐことに。

 

「・・・・・・」

 

だが、ほんの少しだけエルフナインは手を止め、一瞬なにか思い詰めたような表情を見せるとカイトは首を傾げて「どうした?」と問いかける。

 

「その・・・・・・夢を、見てたんです。 キャロルが僕に転送した彼女の記憶の夢を・・・・・・」

「それってそのキャロルって娘の過去を君が夢で見たってこと?」

 

カイトの質問にエルフナインは静かに頷いて答え、その夢の内容はキャロルと彼女の父イザークが親子仲良く暮らしている時の光景だったらしく、エルフナインはなぜキャロルは自分に錬金術だけではなく彼女の記憶まで転送したのだろうと疑問に思い気になっていたのだ。

 

「うーん、俺にはよく分かんないけど、でも・・・・・・それってやっぱりなにか意味があるんじゃないのかな?」

「どうでしょうか。 ただ・・・・・・僕はキャロルのパパが死ぬ間際に残した『生きて、もっと世界を知るんだ。 それがキャロルの・・・・・・』という言葉の答えを知りたくて僕はキャロルから世界を守ると決めて・・・・・・」

「そっか。 俺にもその答えは分からないけど・・・・・・。 でも、なにか手伝えることがあれば何時でも遠慮無く言ってくれ! 俺達、もう仲間なんだし?」

 

カイトは満面の笑顔を浮かべながら自分の胸をトンッと叩くとカイトの笑顔に釣られるようにエルフナインも笑みを浮かべ「はい、ありがとうございます!」と答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、司令室ではアルカノイズの出現を知らせるアラームが鳴り響きオペレーターの2人が座標を検知するとアルカノイズはこの基地の周囲に出現しており、その様子の映像を見た緒川はすぐに敵の狙いがこの基地の発電施設の破壊であることに気づいた。

 

そしてそこへ司令室に騒ぎを聞きつけた切歌と調の2人も駆けつけ、「なにが起きてるデスか!?」と驚きの声をあげる。

 

しかもアルカノイズが出現したのはこの辺り一帯だけではなく都内各所にも同様の被害が見受けられ、今本部への電力供給絶たれるとギアの改修への影響は間逃れない上に、アルカノイズ達をなんとかしないと響のいるメディカルルームにも影響が起こってしまうことになる。

 

さらに悪いことはそれだけではなく、この困難に乗じて地中からビクトリウムを出現させて奪い取ろうとするエクセラー達も動いており、既にビクトリウムを守ろうとシェパードンとエクセラー側が用意した怪獣、ベルメがライブした「宇宙戦闘獣 超コッヴ」が戦闘を繰り広げており、かなりの出来事が一度に起こっていたのだ。

 

「っ・・・・・・!」

 

そしてメディカルルームの機能も停止してしまう可能性があることを聞いた調はなぜかいきなり眼鏡を出して装着、切歌も突然眼鏡をかけた彼女に驚きつつ「どうしたデス調?」と問いかけると調は「しーっ」と言って切歌と一緒にこっそり司令室から抜け出す。

 

「んっ・・・・・・?」

 

ただ、コウマだけは切歌と調が司令室を出て行ったことに気づき、まさかと思い自分もこっそりと司令室から抜け出すと彼は切歌と調を追いかけて行った。

 

そして切歌と調はというと2人は響の眠るメディカルルームへと向かって走っており、切歌は「いったい急に飛び出してなんのつもりデスか!?」と質問をぶつける。

 

「時間稼ぎ」

「なんですと!?」

「今大切なのは強化型シンフォギアが完成するまでの必要な時間とエネルギーの確保をすること!」

 

確かに調の言う通りだが全く無策ではなにもできないのではないかと切歌は言うが調が言うには「全くの無策じゃないよ」とのことで響のいるメディカルルームに入るのだが・・・・・・だからといってなぜここに来ることがギア改修までの時間稼ぎができるのだろうかと切歌は首を傾げる。

 

「このままだとメディカルルームの維持もできなくなる」

 

調はそう言いながら眠ったままの響を見つめ、そんな彼女の姿に切歌が気づくと切歌は要するに調は「ギア改修云々よりもそこに助けたい人がいる」ということに気づき、切歌は「だったらだったでそう言えば良いデスよ!」と調に言うのだが・・・・・・彼女は「嫌」と首を横に振る。

 

「えっ? どうしてデスか?」

「恥ずかしい・・・・・・。 切ちゃん意外に私の恥ずかしいところは見せたくないもの・・・・・・」

 

少しだけ顔を赤くしてそう切歌に言葉を返すとそんな彼女に切歌は嬉しくなって笑顔を浮かべ「調ー!!」と彼女に抱きつこうとしたがなにかを見つけた調はそちらの方に行ってしまい、切歌はそのまま床に激突し倒れてしまう。

 

(えっ。 ちょっ、切ちゃん意外に恥ずかしいところって・・・・・・あいつ等中でなにしてんだ!?)

 

ちなみにタイミング悪くコウマがメディカルルームの扉の前に来てしまい、中の会話を聞いてしまい変な誤解が生まれそうになっていたが流石にこんな非常時におかしなことはしてないだろうと思い少し戸惑ったが扉を開く。

 

「お前等、なにしてんだ? (色んな意味で)」

 

そこにはあるケースを開き、そこからリンカーを取り出そうとしている調の姿があり、コウマは即座に彼女等がリンカーを使ってギアを安定させ、自分達が戦おうとしていることに。

 

「コウマ・・・・・・さん。 お願い、止めないで! 幾らウルトラマンでもアルカノイズや怪獣を同時に相手にはできないでしょ? 他のウルトラマン達も別のところに行くだろうし、せめてここに来てるアルカノイズ達は私達が引き受ける! アルカノイズ達と戦えるのは今は私と切ちゃんしか・・・・・・」

「別に、止めやしないさ」

 

コウマのその言葉を聞き、切歌と調は2人揃って「えっ?」と首を傾げた。

 

コウマなら多分、絶対そんなこと許さないとか言いそうだったので2人にとっては彼がそんなことを言うなんて少しだけ意外だったのだ。

 

「調、お前メディカルルームにも危険が及ぶって聞いた直後に飛び出したろ? それってさ、シンフォギアのこともそうだけど響を助けたいって思ったからだろ?」

「・・・・・・うっ、それは・・・・・・」

(バレてるデース)

 

コウマはそんな調の頭をポンポンっと軽く叩くとニカっと笑い「だったらこんな風に誰かを守ろうとしてる奴の邪魔なんかしねえ! むしろ手伝ってやる!!」と言い放ち、「3人で外の奴等ブチのめすぞ!!」と高らかに宣言し、切歌は「おーっ!」と右腕をあげる。

 

(ちょっと調子狂うなぁ、この人)

 

尚、なぜ調はここにリンカーがあるのことを知っていたのか・・・・・・それは調曰く「メディカルルームならシンフォギアのバックファイアを押さえる薬があってもおかしくないから」とのことで切歌もよくよく考えたら訓練の後にリカバリーを行うのもここだったので調はここにリンカーがあると思ったのだという。

 

(でもこれってもしかして奏さんの・・・・・・。 ちょっと、こいつ等に使わせてやってくださいね?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、ランとカイトは都内各所に出現したアルカノイズ達へと対処するために一度S.O.N.G.本部へと出るとランは腕のブレスレットから「ウルトラゼロアイ」を、カイトはポケットにしまってあったマックススパークを取り出す。

 

「デュア!!」

 

ランはウルトラゼロアイを目に装着するとランの姿が変わり、「ウルトラマンゼロ」へと変身し、カイトはマックススパークを左腕に押し当てるとそこから「ウルトラマンマックス」の姿へと変身し、ゼロは両腕を交差させた後に広げるとゼロの身体が輝き・・・・・・それぞれ赤き姿「ストロングコロナゼロ」と青き姿「ルナミラクルゼロ」へと分身する。

 

『えっ、そんなのできるの!?』

 

カイトはゼロが2人に別れたのを見て驚くがストロングコロナゼロが「マックスも分身できるだろ。しかも実態あるやつ」と言い、マックスは『まぁ、できないことはないが』と言ってマックスは大量の分身を生み出し2人のゼロもそれぞれ別れて空へと飛び立ち行動をすることに。

 

ちなみに、マックスの分身の一体はシェパードンを助けに向かった。

 

そしてマックス(本体)が担当するのはガリィとキューバのいる場所でマックスが空中から早速頭部にある「マクシウムソード」をアルカノイズに向かって投げつけ、マクシウムソードは地上は空中にいるアルカノイズを数体切り裂いて倒す。

 

「チッ、お邪魔虫が来たわね」

『ってなんだよ、あいつ非リア充じゃんか。 やる気出ねぇ・・・・・・』

「んなこと言ってる場合じゃないでしょーがぁ! 働け、この目玉」

『誰が目玉だ!!』

 

キューバはガリィに文句を言いつつも2人同時にスパークドールズとチブルスパークを取り出し、チブルスパークにスパークドールズをリードさせる。

 

『モンスライブ! レイキュバス!』

『モンスライブ! ガンQ!』

 

ガリィは海老や蟹のような「宇宙海獣 レイキュバス」へ、キューバは全身目玉の「奇獸 ガンQ」へとライブし、2体の怪獣はマックスへと立ちはだかる。

 

『目玉とか言われた直後にこれって・・・・・・』

『良いからさっさと行ってこい目玉!!』

 

レイキュバスに尻部を叩かれてガンQはバランスを崩しながらマックスに向かって突進する形となるが、マックスはストレートパンチでガンQの顔を殴りつけ、ガンQは顔のその巨大な目を×印にして倒れ込む。

 

挿入歌「ウルトラマンマックス」

 

『あの性根腐り人形・・・・・・何時かぶっ飛ばす・・・・・・!』

 

起き上がったガンQは頭部の巨大な目から光弾を放ち、それと同時にレイキュバスは口から炎を吐きだしてマックスに攻撃するがマックスは高速移動する「コメットダッシュ」でレイキュバスとガンQの後ろへと回り込み、レイキュバスに向かって駈け出して行く。

 

『シュア!!』

 

それに対してレイキュバスは振り返りざまに腕を振るって鋏でマックスを捕らえようとするがギリギリのところでマックスはしゃがみ込んでレイキュバスの攻撃を回避し、腹部に拳を叩き込む。

 

『チィ!! それなら!!』

 

するとレイキュバスの「右目のみ」が赤から青へと変わり、口から火炎弾、両手から槍の形をした氷の弾丸を発射するがマックスはマクシウムソードを手に持ってそれらを全て切り裂き、レイキュバスの一瞬の隙を突いてジャンプしレイキュバスをマクシウムソードで斬りつけようとするがレイキュバスは両腕に氷の剣を生成し右腕の剣で攻撃を防ぐ。

 

その隙に背後からガンQが襲いかかってくるがマックスはレイキュバスを蹴り飛ばした後に回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

するとガンQは身体の目玉を3つマックスに向かって飛ばし、マックスを囲むと3つの目はマックスに向かって光弾を撃ち込み、マックスは直撃を受けてしまう。

 

『シュア!?』

 

マックスは様々な方向から飛んでくる目玉から発射される光弾に苦戦するが・・・・・・どうにか再びコメットダッシュを使ってガンQに急接近するとそのままマクシウムソードでガンQの身体を斬りつける。

 

『デヤァ!!』

「キジャアア!!?」

 

挿入歌「GO AHEAD〜すすめ!ウルトラマンゼロ〜」

 

一方ルナミラクルゼロはファラがモンスライブした「高速怪獣 テキサドル」と戦闘を繰り広げており、ゼロは槍型の武器「ウルトラゼロランス」を降るってテキサドルの腹部に叩きつける。

 

テキサドルはどうにかゼロと距離を取って念力波をゼロに向かって放ち、ゼロは瞬間移動能力で攻撃を回避するとテキサドルの背後に現れ、ウルトラゼロランスを降り下げて攻撃を行うがテキサドルは翼を大きく振るってゼロの攻撃を回避すると同時に翼でゼロの身体を叩きつけ、口から「青色破壊光線」という光線を放ちゼロに直撃させる。

 

『ぐあああ!!?』

『レイアじゃありませんけど、ここは派手にやりますかね?』

 

するとテキサドルは空中へと高速で飛び立ち、空中の一定の場所まで来るとそこから先ほどと同じ「青色破壊光線」を地上にいるゼロに発射し・・・・・・ゼロはウルトラゼロランスを高速回転させて光線を防ぐ。

 

『ミラクルゼロスラッガー!!』

 

光線を防ぎきったゼロは無数に分裂する光のゼロスラッガーで全方向から敵を切り裂く「ミラクルゼロスラッガー」をテキサドルに向かって放つがテキサドルは両腕から放つ念力波でミラクルゼロスラッガーの動きを止め、そのままそっくりゼロへと跳ね返す。

 

『なに!?』

 

ゼロは右腕をあげるとそこに雷が集まり、その集まった雷を自分に向かって来たミラクルゼロスラッガーに向かって放ち相殺し・・・・・・そのまま雷はテキサドルに直撃する。

 

「グアアア!!?」

『フッ、やるじゃねえか。 今のは少しビビったぜ』

『くっ・・・・・・あなたこそ・・・・・・!』

 

そしてストロングコロナゼロはレイアがモンスライブした「異次元超人 エースキラー」と戦闘を繰り広げており、エースキラーは右手のナイフを振るうがゼロはその腕を掴みあげて背負い投げを繰り出す。

 

それによって地面に倒れ込むエースキラーだがすぐさま自分の腕を掴んでいるゼロの腕を振り払い、額から放つ「エメリウム光線」をゼロに撃ち込むがゼロは「おっとあぶねぇ!!」と言いながら後ろに後退し、立ち上がったエースキラーは両腕を十時に組んで放つ「スペシウム光線」をゼロに向かって放つ。

 

『ガルネイドォ!! バスタァー!!』

 

左腕のウルティメイトブレスレットを叩いた後、右腕を突き出して放つ炎状の強力光線「ガルネイドバスター」を繰り出し、ゼロはスペシウム光線を相殺する。

 

『成程、ウルトラ兄弟というウルトラマン達の力を使えるだけあって中々派手だな。 このエースキラーというのは・・・・・・中々気に入った。 派手に行かせて貰おう』

 

エースキラーにライブしたレイアがそう言い終わるとエースキラーはナイフをゼロに向かって投げつけ、ゼロはそれをはたき落とすが直後にエースキラーのドロップキックが目の前に飛び込んできていることに気づき、ゼロは咄嗟に両腕を交差してガードする。

 

『チッ!』

 

エースキラーはすかさず攻撃の手を止めずナイフをすぐに拾い上げた後、左腕の鉤爪とナイフを使ってゼロに攻撃を加えようとするがゼロはそれらの攻撃をどうにか避け、炎を纏った拳を敵に叩き込む「ストロングコロナアタック」で反撃し、エースキラーの胸部に何発も拳を連続で叩き込む。

 

『ぐおっ!?』

『そっちが派手にくるってんなら、こっちはド派手にブチかますぜ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を本部に戻し、コウマとリンカーの投与を完了させた調、切歌は外に出て早々、調と切歌の2人はギアを纏ってアルカノイズの軍団の前に立ちはだかる。

 

そしてコウマもギンガスパークと1つのスパークドールズを取り出し、スパークドールズをギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンネオス!』

 

コウマは初代ウルトラマンにも酷似した戦士、「ウルトラマンネオス(等身大)」へと変身し、ネオスは切歌と調の隣に並び立つ。

 

挿入歌「ジェノサイドソウ・ヘヴン」

 

 

調は「歌」を口ずさみながらアルカノイズ達に向かって切歌、ネオスと共に駆け出し、彼女のツインテールの部分のアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」の雨をアルカノイズに喰らわせて消滅させ、切歌は鎌のアームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する「切・呪リeッTぉ」をアルカノイズ達に炸裂する。

 

『シュア!!』

 

手先にエネルギーを集中させて放つチョップ、「ウルトラ・サンダーチョップ」で2体のアルカノイズに繰り出した後、ジャンプして空中から急降下キックをアルカノイズの一体に喰らわせた後、腕を交差させ、パンチと共に光弾を放つ「ネオス・ナックル・シェル」を連射してアルカノイズ達に直撃させ、消滅させる。

 

するとそこにアルカノイズ2体が腕から出した白い触手でネオスの腕を拘束するが・・・・・・その触手を切歌と調がアームドギアで切り裂いてネオスを助け出す。

 

『よし、同時攻撃だ!!』

 

ネオスの言葉に切歌と調は頷いて3人同時にジャンプし、ネオスはエネルギーをリング状にして投げつける光のカッター、「ネオ・スラッシュ」を、切歌と調はそれぞれ先ほどと同じ「切・呪リeッTぉ」と「α式 百輪廻」を繰り出し、アルカノイズ達の身体を次々と切り裂く。

 

『どうだ2人とも? 調子は?』

「悪くないデス!」

 

ネオスの言葉に切歌と調は頷き、3人は再びアルカノイズへと向かって行くのだが・・・・・・その時、司令室から弦十郎の「お前達! なにをやっているのか分かっているのか!?」という怒鳴り声が聞こえて来たが、それには切歌は「分かってるデス!!」と答えた。

 

『なに!?』

「今の内に、強化型シンフォギアの完成をお願いします!」

『っ・・・・・・!』

 

切歌と調はアルカノイズ達のシンフォギアを破壊する発光部分をなるべく避けながら戦い、切歌はアームドギアで横一線に大量のアルカノイズを切り裂く。

 

「当たらなければあああああ!!!」

 

スカートを円状の刃に変形させ、体を回転させて周囲を斬り裂く「Δ式 艶殺アクセル」で調は周りのアルカノイズ達を斬りつけて消滅させ、それを見たネオスは「そのスカート武器になんの!?」とか驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メディカルルームで眠る響は・・・・・・今は夢を見ていた。

 

昔の夢、ツヴァイウイングのライブを観に行き、そこで起きた惨劇によって学校で孤立して嫌がらせを受け、家には家中に貼り付けられた「人殺し」「金泥棒」「お前だけが助かった」等と書かれた張り紙。

 

そんな現実に母の胸の中で泣く自分・・・・・・そして、そんな現状に耐えられず家を出て行こうとする自分の父親・・・・・・。

 

『私、みんなでまた暮らせるようにリハビリ頑張ったよ? なのに、どうして? お父さん・・・・・・!』

 

必死に手を伸ばして父親を引き止めようと手を伸ばす響だったが・・・・・・その手は届かず・・・・・・。

 

そこで響は目尻に涙を浮かべながら今まで閉ざされていた目を開き、目を覚ました彼女は自分が伸ばした手を見つめる。

 

(大切なものを壊してばかりの私・・・・・・でも未来は、そんな私に救われたって励ましてくれた・・・・・・)

 

そんな彼女の気持ちに応えようと響は起き上がるが、胸にぶら下げてあったガングニールが無くなっていることに気づき、彼女はミカに胸のガングニールを壊されたことを思い出した。

 

「そっか・・・・・・確かあの時・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またネオス達が戦っている場所ではミカが高圧縮カーボンロッドを手に持ち戦いに参戦し、最初に切歌へと襲いかかり切歌はアームドギアでミカの攻撃を防ぐ。

 

助太刀しようと近づく調をもう片方の手から出現させたカーボンロッドで切歌を横から殴りつけて吹き飛ばし、調を巻き込んで2人は壁に激突してしまう。

 

『切歌! 調!!』

 

ネオスは2人の元に駆けつけようとネオスの前にテレポートでガッツ星人 ボルストがいきなり出現し、両手から放つ光線をネオスに浴びせ、吹き飛ばす。

 

『ヘアッ!?』

『貴様の相手はこの俺様がしてやる!!』

 

ボルストはチブルスパークと1つのスパークドールズを取り出すとスパークドールズをチブルスパークにリードさせ、ボルストは「超古代怪獣 ファイヤーゴルザ」へとライブし、等身大のままのネオスを踏み潰そうと足を振り上げるが・・・・・・ネオスはそれをどうにか避ける。

 

そしてネオスはゴルザの相手をするために巨大化し、ネオスはゴルザをこの場所から遠ざけるためにジャンプしてゴルザの後ろに回り込み、ゴルザの尻尾を掴んでフルスイングして投げ飛ばす。

 

『切歌、調! すぐ戻ってくるからそれまで耐えろよ!』

「そっちは任せました」

 

調の言葉に頷き、ネオスはゴルザへと向かって駈け出す。

 

挿入歌「ウルトラマンネオス TYPE 2001」

 

それに対しゴルザは頭部から放つ「強化超音波光線」をネオスに向かって放つがネオスはジャンプしてそれを回避し、ゴルザの頭部に向かって跳び蹴りを叩きこむ。

 

『シュア!!』

 

ネオスの攻撃に怯むゴルザだがすぐに尻尾を振るってネオスの身体を叩きつけて反撃し、ネオスは軽く吹き飛ばされてしまう。

 

『グア!?』

「グルアアアアアア!!!!」

 

倒れ込んだネオスに素早く近づいてゴルザはネオスを足で踏みつけようとするがネオスはそれを両手で掴んで受け止め、どうにか押し返しゴルザから離れて立ち上がる。

 

『ジュア!!』

 

ネオスはゴルザに向かって行き胸部に拳を2発叩き込むがゴルザはそれに対してあまり怯むことはなく、逆にネオスを殴りつけて反撃し、ネオスはゴルザの前で膝を突いてしまいゴルザに首を締め上げられるが・・・・・・腕を交差させ、パンチと共に光弾を放つ「ネオス・ナックル・シェル」をゴルザの腹部に近距離から連射して攻撃しゴルザは手を離して腹部に手を押し当てながら後退する。

 

「グルゥ・・・・・・!」

 

一方でミカと戦う切歌と調はというと・・・・・・。

 

「ジャリンコ共ぉ~。 アタシは強いゾ?」

 

ミカはカーボンロッドを向けながら切歌と調にそう言い放つと2人はムッとした表情を浮かべ、2人はさらに新しいリンカーを取り出し、それを司令部で見ていた弦十郎は「2人を連れ戻せ!!」と指示するが・・・・・・。

 

「やらせてあげてください!!」

「っ・・・・・・!」

「これは、あの日道に迷った臆病者達の償いでもあるんです!」

 

そこでマリアが弦十郎を止め、彼は「臆病者達の償い?」と問いかけるとマリアは頷き、彼女は「誰かを信じる勇気が無かったばかりに迷ったまま独走した私達。 だからエルフナインがシンフォギアを蘇らせてくれると信じて戦うことこそ私達の償いなんです!」と弦十郎に言い放ち、彼女は血が出るくらいに唇を噛み締める。

 

「・・・・・・」

 

そして切歌と調は互いに手を重ね合わせ、互いの首筋にリンカーを突きつけ合う。

 

「2人でなら・・・・・・!」

「怖くないデース!」

 

2人は互いにリンカーを身体に投与し、ミカの方へと顔を向けるが・・・・・・直後に調と切歌の鼻からリンカーを2回も投与した影響のせいか、彼女らの鼻からは血が流れていた。

 

「フン、鼻血がなんぼのもんかデース!」

「うん、行こう切ちゃん! 一緒に!」

「切り刻むデス!」

 

挿入歌「Just Loving X-Edge」

 

切歌は2本のアームドギアを合体させ、三日月型の刃を左右に備える大型の鎌を形成した「対鎌・螺Pぅn痛ェる」を構え、調はツインテールに装備されたアームドギアの鋸を巨大化させ、ミカはそんな彼女等のやる気に「おっ! 面白くしてくれるのか!?」とどこか嬉しそうに言いながらカーボンロッドを2人に投げつける。

 

だが2人は素早くそれを避けてミカへと一直線に向かって駈け出し、ミカは両掌の発射口から無数にカーボンロッドを切歌に向かって射出するが・・・・・・切歌は背中の武装のブースターを使って加速しアームドギアでミカに斬りかかるがミカはカーボンロッドでガードするが・・・・・・すぐにそれは砕けミカは後ろへと後退。

 

そこを狙って調が空中からツインテール部分を伸縮可能なアームとして扱い、2枚の巨大鋸を投擲する「γ式 卍火車」を繰り出すが・・・・・・ミカは新たに出したカーボンロッドでそれらを弾くが・・・・・・調はすぐさまアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する「非常Σ式 禁月輪」をミカに繰り出し、ミカはカーボンロッドでそれを受け止め防ぐ。

 

調は一度ミカから離れて切歌と同時に攻撃を繰り出すがミカはそれすらも防ぎ、今のところミカの防戦一方のように見えるが・・・・・・ミカは明らかにまだまだ余裕といった態度を見せており、彼女は不気味な笑みを浮かべる。

 

切歌と調は同時に飛び上がって足に鎌と鋸の装備を出現させて同時に跳び蹴りをミカに向かって繰り出すがミカは炎のバリアでそれを防ぎ・・・・・・「ドカーン」と呟くとバリアが爆発して切歌と調を吹き飛ばす。

 

『切歌!! 調!!』

 

その光景を見たネオスは2人の元に向かおうとするがその隙を突いてゴルザが両手から相手を拘束する光線を放ち、ネオスを拘束して動きを止める。

 

『テメッ! 離せ!!』

『どうやら向こうはもう決着がつきそうだな。 お前はそうして仲間がやられるのをなにも出来ずに見ているが良い!』

 

そして切歌と調は先ほどの爆発のダメージで2人は膝を突いており、悔しそうに声をあげる。

 

「・・・・・・このままじゃ、なにも変わらない。 変えられない・・・・・・!」

「こんなに頑張っているのに! どうしてデスか! こんなの嫌デスよ・・・・・・! 変わりたいデス!!」

 

苦痛にも似た声でそう叫ぶ切歌と調だが・・・・・・ミカはそんな2人の気持ちなどお構いなしに攻撃を仕掛けようとしてくる。

 

「まぁまぁだったゾ! でももう遊びは終わりだゾ!!」

 

嫌らしい笑みを浮かべて次から本気で2人を潰そうとするミカ、頭の2つの縦ロールのブースターで一気に切歌と距離を詰め寄り、手から出したカーボンロッドで胸のシンフォギアのコア部分を破壊し、切歌は吹き飛ばされシンフォギアを破壊されたのだ。

 

「切ちゃん!!」

 

調は切歌の元へと駆けつけようとするが調の前にミカが投げたカーボンロッドが降り注いで爆発し、足止めを喰らってしまう。

 

「・・・・・・っ!」

「余所見してると後ろから狙い撃ちだゾ~?」

「邪魔しないで・・・・・・!」

「仲良しこよしでお前のギアも壊してやるゾ!!」

 

そこでキャロルから「適合係数の低いそいつ等に用はない、好きに始末しろ」と指示を受けたミカは「分かったゾ~」と答えアルカノイズ、さらにチブロイド達を出現させる。

 

先ほどまでいたアルカノイズ達はほぼ倒したというのに、さらなるアルカノイズにチブロイドまで出現し、そんな状況を見た切歌は調に逃げろと言うが・・・・・・。

 

「切ちゃんを置いて逃げるなんてできない! 私の命は切ちゃんに救われた命だもの! 切ちゃんのために全部使うんだ!!」

 

調は2つ増えたアームドギアの鋸を回転させてアルカノイズ達の攻撃をなるべく避けながらアルカノイズ達を切り裂くが・・・・・・チブロイド達も銃を持って光弾を放ってくるため、調は苦戦を強いられてしまう。

 

さらに自分のアームドギアと同じように発光部分を回転させて攻撃してくるアルカノイズの攻撃を受け止めたせいでそれを受け止めたアームドギアの部分が破壊されてしまう。

 

「くっ、どけええええええええ!!!!」

 

次々とやってくるアルカノイズやチブロイド達に調は次第に押されていく。

 

「誰か・・・・・・助けて欲しいデス・・・・・・。 あたしの友達、大好きな調を・・・・・・!」

 

そして遂にアルカノイズの放った触手が調のギアのコア部分を破壊し、その衝撃でギアが破壊されて彼女は倒れ込んでしまい、チブロイドやアルカノイズ達は調と切歌の周りを囲む。

 

『さっさと離せこの鳥頭ァ!!』

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

 

そこでコウマはネオスから「ウルトラマンギンガ」へとライブし、その時の衝撃でゴルザの拘束を解いて彼女等に向かって駈け出す。

 

「あたしは・・・・・・良いんデス! 誰か調を・・・・・・!! 誰かあああああああああ!!!!!」

 

切歌は悲痛そう泣き叫ぶが・・・・・・アルカノイズ達は無情にも彼女等にトドメを刺そうと触手を放つが・・・・・・。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

「『誰か』なんて・・・・・・釣れねえこと言ってくれるなよ?」

 

切歌と調は恐怖で瞑った目をそっと開けると・・・・・・調の目には1つの剣が、切歌には自分を抱きかかえて守ってくれる者が目に映った。

 

「剣・・・・・・?」

「あぁ、振り向けば風が鳴る剣だ!!」

 

調の前にいたのはアルカノイズ達を一瞬で炭化させさらにチブロイド達を破壊した翼とクリスが立っており、同じように一瞬でアルカノイズとチブロイドを倒した等身大に戻ったギンガと「ウルトラマンビクトリー」とが切歌を抱きかかえていたのだ。

 

「零無・・・・・・!」

『悪い、修行が長引いた・・・・・・。 よく、俺達が来るまで頑張ったな』

 

ビクトリー達の姿を見て切歌はほっとした表情を浮かべ、ビクトリーは切歌を降ろすとミカの方へと振り返る。

 

「おぉ~! なんだなんだ!? また遊んでくれ・・・・・・『ウルトランス! EXレッドキング! ナックル!』ぐばはあああああああ!!!!?」

 

そこにビクトリーが話している最中のミカに向かってEXレッドキングナックルを全力で叩きこみ、彼女を吹き飛ばしたのだ。

 

『オイ、デク人形。 遊んで欲しいなら俺が遊んでやるよ・・・・・・!!』




零無だったら修行とか完了云々言わずに来るんじゃ無いかって思うかも知れませんけどその辺の描写は次回に持ち越しです。
今回は入れるタイミング掴めませんでした・・・・・・。


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7Eve 『燃えろ! ギンガストリウム』

ちなみにゼロはまだシャイニングフィールドを使えないことになっています。


ちなみにゼロはまだシャイニングフィールドを使えないことになっています。

 

*********

 

その昔……キャロルは自分の父と共にアルニムという薬効の高い薬草を山へと取りに行ったことがあった。

 

父はその薬草の成分を調べて流行の病を治すための薬を作ろうとしており、その途中父がある場所に目を向ける。

 

「見てごらん、キャロル」

 

そう声をかけられてキャロルは父と同じ方向を見るとそこには大きくて綺麗な湖があり、それを見たキャロルは「わー!」と嬉しそうな声をあげた。

 

『パパはね、世界のすべてを知りたいんだ。 人と人とが分かり合うためにはとても大切なことなんだよ。  さぁ行こう……』

「……あぁ、行くとも。 思い出を力に変えて。 万象黙示録完成のためにな……」

 

自分の記憶の中の父の言葉に返事をするように、現在のキャロルは王座のような椅子から立ち上がり、それを見たエクセラーはニヤリと笑みを浮かべた。

 

『遂に作戦の第一段階最終フェーズに以降する訳ですね? ミス・キャロル?』

「……あぁ。 だが、やはりウルトラマン共は邪魔だ。 いい加減に……」

 

キャロルがそこまで言いかけるとエクセラーはそれを遮るように不気味な笑みを浮かべながら言葉を返す。

 

「分かっていますよ。 そろそろ奴等にも引導を渡してやりましょうか……クフフ!」

 

 

一方でシェパードンへの救援に駆けつけた分身したマックスはシェパードンと共に「宇宙戦闘獣 超コッヴ」と戦闘を繰り広げていた。

 

マックスは超コッヴの振るって来た鎌を右手に持ったマクシウムソードで弾き、そこにシェパードンが超コッヴの腹部を殴りつけた後、それに続くようにマックスも左の拳を超コッヴの腹部へと叩き込んだ。

 

「グギャアア!!?」

『くっ! 一度ならず二度までも君たちのような雑魚に手こずるなんてね……! ならば弱っている方から……!』

 

超コッヴにライブしているベルメはマックスが来る前から痛めつけていたシェパードンに攻撃を集中しようと頭部から光弾を発射。

 

しかしそれを庇うようにマックスがシェパードンの前に立ち、マクシウムソードで光弾を全て切り裂いた後、マクシウムソードを超コッヴへと投げつけ……マクシウムソードは超コッヴの身体を切り刻む。

 

「グアアアア!!!?」

『シュア!!』

 

マックスはマクシウムソードを頭部へと収納した後、左腕を掲げてマックススパークにエネルギーをチャージしてから腕をL字に組んで放つ必殺光線「マクシウムカノン」を放つ。

 

そして光線を受けた超コッヴは身体中から火花を散らして倒れ爆発したのだった。

 

『ハアアア!! シュア!!』

「グルアアアアアアアア!!!!?」

 

さらに別の場所で戦う本体のマックスやストロングコロナゼロ、ルナミラクルゼロはというと……。

 

マックスは右手を空へとかざして右下腕部に装着する武器「マックスギャラクシー」を召喚。

 

それを装備するとマックスギャラクシーの先端から光の剣「ギャラクシーソード」を出現させ、ガンQの放つ光弾を切り裂きながら接近し、すれ違いざまに切り裂いてガンQは真っ二つになり爆発四散した。

 

『シェア!!』

「キュ……キュエエエエエ!!!?」

 

そこにレイキュバスがマックスの背後から口から火炎弾、両手から槍の形をした氷の弾丸を発射するもマックスは即座に振り返ってギャラクシーソードで全て弾いてかき消す。

 

さらにマックスギャラクシーから放つ必殺光線「ギャラクシーカノン」をレイキュバスに向かって発射。

 

レイキュバスの放つ攻撃をギャラクシーカノンはかき消しながらレイキュバスへと直撃し……レイキュバスは倒れ爆発するのだった。

 

「キシャアアア!!!!?」

 

またストロングコロナゼロはエースキラーの振るったナイフを拳で弾き飛ばし、身体へと掴みかかった後に敵を空高く投げ飛ばす「ウルトラハリケーン」を繰り出す。

 

『ウルトラハリケーン!!』

 

それでもエースキラーはどうにか右腕を前に伸ばして放つ光線「M87光線」を発射するが……。

 

ゼロもそれに対して左腕のウルティメイトブレスレットを叩いた後、右腕を突き出して放つ炎状の必殺光線の「ガルネイドバスター」を発射し……互いの光線がぶつかり合う。

 

『ガルネイドォ……バスタァー!!』

 

互いの光線がぶつかり合い……どちらの光線も相殺されてその際に爆発が起こる。

 

エースキラーはその際に起こった爆風に吹き飛ばされないようグッと耐えるのだが……ゼロは爆発の炎の中から飛び出して炎を纏った拳がエースキラーの胸部を貫いたのだ。

 

ゼロそれを引き抜いてエースキラーから離れるとエースキラーは火花をあげて爆発を起こし倒されたのだった。

 

最後にルナミラクルゼロはテレポートで空中を飛ぶテキサドルの背後に回り込んで槍型の武器「ウルトラゼロランス」を振りかす。

 

それによってテキサドルは翼を切り裂かれ、翼を失ったテキサドルは地上へと一直線に落下。

 

『今だ! ミラクルゼロスラッガー!!』

 

ゼロはテキサドルが地面に叩き落とされて倒れ込んだところを狙い、無数に分裂する光のゼロスラッガーで全方向から敵を切り裂く「ミラクルゼロスラッガー」を繰り出す。

 

テキサドルは念力を使って防ごうとしたが間に合わず、ゼロスラッガーはテキサドルを切り裂き、テキサドルは火花を散らし爆発を起こした。

 

「クギャアアアア!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……どうしてくれる? 先輩?」

「反撃……では生温いな、逆襲するぞ!」

『あのデク人形は俺にやらせてくれ……! 切歌と調の分……いや、それ以上にボコす!!』

 

クリス、翼、ビクトリーの順でそう言い放ち、ビクトリーは切歌と調にそれぞれ布を投げ渡した後すぐにここから離れるように言う。

 

「あとは、任せるデス……」

 

切歌は残ったメンバーにそう言い残しすぐさまその場から撤退。

 

そしてミカは先ほどビクトリーに殴られた頬を撫でつつアルカノイズとチブロイド達を召喚する。

 

「鳴らし運転がてらに片付けるぞ!!」

 

その翼の言葉を合図に一斉にアルカノイズ、チブロイド、ミカへと向かって戦いを挑み、またギンガは再び巨大化してファイヤーゴルザと戦闘を再開していた。

 

挿入歌「BAYONET CHARGE」

 

翼とクリスは「歌」を口ずさみながらチブロイド達は銃を構えて一斉に光弾を翼とクリス、ビクトリーに向かって放つ。

 

しかし翼は剣のアームドギアでそれらを全て弾いててチブロイド達に一気に詰め寄ると一瞬でチブロイド達を切り裂いてバラバラにする。

 

またクリスはボウガンのアームドギアから放たれる矢でチブロイド達の放った光弾を正確に撃ち抜き……光弾を撃ち抜いた矢はそのまま勢いを止めずアルカノイズやチブロイド達に直撃して破壊。

 

ビクトリーは「EXレッドキングナックル」でチブロイドとアルカノイズ達を纏めて殴り飛ばす。

 

『ツェア!!』

 

そこからビクトリーはジャンプしてミカのところへと辿り着く。

 

「さっき殴られた礼をしてやるゾ!」

 

ミカはビクトリーに向かってカーボンロッドを放つがビクトリーはEXレッドキングナックルを解除して回し蹴りの要領で足のVクリスタルから放つ「ビクトリウムスラッシュ」でカーボンロッドを相殺。

 

そこから一気にミカへと詰め寄ると拳をミカの顔面へと叩きこみ……ミカは大きく吹き飛ばされた。

 

「ウギャア!!? くっそぉ~! また殴られたゾ!」

『どうした? さっき殴られた礼をするんじゃなかったのか……?』

「お前……ムカつくゾ!」

『奇遇だな……俺もお前がムカつく……!』

 

また司令室では目を覚ました響がそこへと訪れてみんなと一緒に戦いの様子を見守っており、あおいはアルカノイズの発光部分に触れても分解されず、有利に戦っている翼達を見て「これが強化型シンフォギア!?」と驚いていた。

 

エルフナイン曰く「プロジェクト・イグナイトは破損したシンフォギアシステムの修復に留まるものじゃありません」とのことで出力を引き上げると同時に分解効果を解剖機関の分解効果を減衰するようバリアフィールドの調整を施しているのだという。

 

するとミカはカーボンロッドをビクトリーの足下に射出して爆発させてビクトリーの周りに煙幕を作りだし、ビクトリーの視界を完全に防ぐ。

 

「これならどこから攻撃されるか分からないんだゾ……?」

 

しかし、ビクトリーの中にいる零無は目を瞑り……それと同時にビクトリーの目からも光が消え……感覚を研ぎ澄ます……。

 

そして……背後からミカがビクトリーに向かって手に持ったカーボンロッドを振りかざそうとしたその時……。

 

それよりも早くビクトリーは右腕を「キングジョーランチャー」へと変え、振り返りざまにミカの腹部突きつけるとそこからキングジョーランチャーの銃弾を発射し、ミカを大きく吹き飛ばしたのだ。

 

「ぐあああああ!!!!? な、なんで……アタシの居場所が……!」

『修行の成果だよ。 まさかあの鳥頭じゃなくてお前に修行の成果見せることになるとは思わなかったけどな』

 

そう言いながらビクトリーはチラリとある方向を見ると……そこには一瞬ルナミラクルゼロのような姿があり、ビクトリーがこちらを見たことに気づいたゼロは慌てて姿を隠す。

 

(やっぱりいた……)

 

実は零無がここへと来るのに遅れた理由……。

 

それは切歌達がリンカーを持ち出してシンフォギアの改修が終わるまで時間稼ぎをするであろうことはランも何となく予想できており、そんな切歌達のことを知れば零無は修行などほっぽり出して彼女達の元へと向かうだろうと思った彼は零無が修行を終わらせるまで修行部屋から出ないようにしていたのだ。

 

勿論、切歌達が出撃したことを知った零無はすぐに部屋から出ようとしたがビクトリーランサーを持って入っていなかったことからもそう簡単に出られるはずも無く、「ここから出せ!!」と何度も扉を無理矢理こじ開けようとしていた。

 

そんな零無にランは「修行が終われば開く」と伝えたのだが零無は今すぐ出たいため、修行なんてやってる暇なんてないとランに言ったのだが……それでもランは扉を開けることはなく、零無はランに怒りを向けたが……。

 

『大丈夫だ。 いざとなったら俺が切歌達を守る』

 

そう約束した為、零無はそんな彼の言葉を信じ修行に集中することにしたのだ。

 

そして先ほど見つけたゼロは恐らくはルナミラクルゼロの能力によって作り出された分身で……本当にマズい時はそのゼロが切歌達を助けに行こうとしていたのだろうとビクトリーは大方の予想ができたのだ。

 

また最初の方でその分身したゼロが切歌達に加勢しなかったのは基本的にランはこの世界のことはなるべくこの世界の者達の手で守って欲しいことから「本当にマズい状況」や「人手不足」の時以外では手を出さないというスタイルを取っているために加勢をしなかったのだ。

 

(全く……あの人は……)

 

それから翼は周り囲んで一気に飛びかかるチブロイドとアルカノイズ達を巨大化させたアームドギアを横に振るって全て切り裂き、クリスは空中へとジャンプして空から大量の矢を雨のようにチブロイドやアルカノイズ達に放って直撃させて倒す。

 

一方でギンガはファイヤーゴルザの放った「強化超音波光線」を手を前方に出してバリアを展開し、攻撃を無効化させる「ギンガハイパーバリアー」で攻撃を防ぐ。

 

そこからギンガはファイヤーゴルザの方へと駆け出すのだが……突如、ギンガの背中に光線のようなものが直撃して爆発し……ギンガは思わず膝を突いてしまう。

 

『ぐっ……なんだ!?』

 

ギンガが後ろを振り返るとそこには鳥のような赤い怪獣……「超古代竜 メルバ」が立っており、そのメルバには分身したボルストがライブしていた。

 

『フフフッ! 貴様に勝ち目はない!』

 

ファイヤーゴルザは両手から相手を拘束する光線をギンガに向かって放ち、ギンガはかろうじてそれを避けて回避するものの今度はテレポートしたメルバがギンガの目の前に現れ、メルバは両手の鎌を使ってギンガの胸部を斬りつける。

 

『シュア!?』

 

ギンガは反撃しようとメルバに拳を叩き込み、背後から近づいて来たゴルザにギンガは回し蹴りを喰らわせるのだが後ろからメルバの両手から放った拘束光線に捕まってしまい、ギンガはメルバの目からの怪光線は「メルバニックレイ」とゴルザの額から放つ光線「強化超音波光線」をギンガは受け続けてしまう。

 

『ウアアアッ!?』

「コウマ!!」

「諸星! お前は来元の元に行け!!」

 

苦戦するギンガを見て翼はビクトリーの救援に行くように指示し、それにビクトリーは頷く。

 

『そうだな。 アンタ等の分も残しておかないといけないしな。 待ってろコウマ!』

 

ビクトリーはそう言い放ちながら巨大化してジャンプし、跳び蹴りをギンガを拘束しているメルバへと喰らわせて攻撃を受けたメルバはゴルザの足下まで吹き飛んで倒れ込む。

 

挿入歌「ウルトラマンビクトリーの歌」

 

ギンガとビクトリー、ゴルザとメルバは互いに並び立って対峙し、ギンガはゴルザ、ビクトリーはメルバへ駈け出して行き戦いを挑む。

 

ゴルザは殴りかかってきたギンガの攻撃をテレポートして回避し、ギンガの背後に2体に分身して「強化超音波光線」を2体同時に発射して来るがギンガはそれをジャンプして回避し、そのまま片方のゴルザの背後へと降り立つとゴルザの尻尾を掴みあげてフルスイングし、もう1体のゴルザの方へと投げ飛ばす。

 

『ショウラァ!!』

「「グオオオオオ!!!?」」

 

互いにぶつかったゴルザは倒れ込んで一体に戻り、ギンガはマウントを取って拳を何発も叩き込むのだが……負けじとゴルザは立ち上がってギンガを押し退かし、今度は3体に分身してギンガを取り囲む。

 

一方でビクトリーは両腕の鎌を振るってくるメルバの攻撃を回避し、2連続でメルバの腹部に蹴りを叩き込んでから頭部を掴み、メルバの顎に膝蹴りを叩きこむ。

 

「キュエエエ!!!?」

 

メルバは空中へと飛び立ちビクトリーもそれを追いかけて空中へと飛び立つのだが……途中でメルバは3体に分身し、3体のメルバはビクトリーを取り囲んで攻撃の態勢に入る。

 

『どうだ! ゴルザを含めればどれが本物か分かるまい……!』

『無駄だ! お前の技はもう俺には効かない!』

 

零無はビクトリーランサーに「キングジョー」のスパークドールズをリードさせ、ビクトリーの右腕に「キングジョー ランチャー」が装着される。

 

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

『……』

 

ビクトリーの目の光が消え……ビクトリーは目を瞑ってる状態となりどれが本体かを探し……その隙にメルバが攻撃をしようと仕掛けた瞬間ビクトリーは狙いを地上にいるゴルザに向け……キングジョーランチャーの銃弾を発射。

 

「ギシャアアアア!!!!?」

 

本体のゴルザにキングジョーランチャーによる銃弾の雨が降り注ぎ、それを見たギンガもビクトリーが攻撃したゴルザが本体であることに気づき、ギンガは両腕を前方で交差させてからS字を描くように左右に大きく広げてから腕を構え左腕は右肘に拳を当てる構えて放つ必殺光線「ギンガクロスシュート」をゴルザに向かって発射し……直撃を受けたゴルザは倒れて爆発した。

 

『ギンガクロスシュート!!』

『ぬわああああ!!!? バカな、宇宙最強のこの俺様がまたこんな奴等にぃ~!!』

『ぬおっ!? 本体が……!』

 

本体のゴルザがやられたことで分身していたゴルザ達も消滅し、メルバにライブしていた分身ボルストも本体がやられたことに動揺してしまい、その際に分身していたメルバも消滅……ビクトリーはその隙を狙い、解除した右拳でメルバの顔面にパンチをビクトリーは叩き込み……続けざまにかかと落としをメルバの頭部に喰らわせ……メルバは地上へと叩き落とされる。

 

『これで決める!』

 

空中からビクトリーは両手で描いたV字型のエネルギーを右腕に溜めて両腕をL字に組んで右腕の甲にあるVクリスタルを正面に向けて放つV字型の必殺光線「ビクトリウムシュート」をメルバに向かって発射。

 

『ビクトリウムシュート!!』

「キジャアアアア!!!!?」

 

光線を受けたメルバは火花を散らして倒れ爆発し、ビクトリーはギンガの隣へと降り立ち……互いに顔を見合わせると2人は頷き合うのだった。

 

一方同じ頃、翼とクリスはアルカノイズとチブロイド達を全て倒し終え、今度はミカに対して攻撃を仕掛け、翼はX字の青い斬撃を居合いのように飛ばして敵を斬り裂く「蒼刃罰光斬」を繰り出す。

 

ミカは翼の技をジャンプして避けるがそこを狙ってクリスがギアから大型ミサイル2基を生成してから砲撃を行う「MEGA DETH FUGA」をミカへと放ち、ミカは爆発の煙の中に消えるのだが……。

 

「フン、ちょせぇ!」

「いや、待て!」

 

煙が晴れるとその中からバリアを張り巡らせてミカを守ったキャロルと彼女の後ろにはエクセラーも立っており、ミカは「面目ないぞ」とキャロルに謝罪するがキャロルは「いや、手づから凌いでよく分かった。 俺の出番だ」と答え……キャロルとエクセラーの出現にクリスと翼は警戒を強める。

 

「ラスボスのお出ましとはなぁ。 見ねぇ顔もいるみたいだが」

『お初にお目にかかります。 シンフォギア奏者のレディー達! 私の名は宇宙最高の頭脳を持つ、チブル星人エクセラーと申します。 以後お見知りおきを。 今回は既にいらなくなったゲームの駒であるギンガとビクトリーを排除するため、私自らが出向いて参りました』

 

エクセラーは丁寧な口調でクリスや翼に自己紹介と今回自分がやってきた目的を語り、エクセラーの言葉から翼は「今まで現れた宇宙人達の親玉か?」と尋ねるとエクセラーは「グレイト! その通りでございます」と答える。

 

「成程な。 まぁ、良いだろう決着を望むのはこちらも同じこと」

 

キャロルはミカに「全てにおいて優先させるべきは計画の遂行、ここは俺に任せてお前は戻れ」と彼女に撤退するように指示するとミカは「分かったゾ」と頷いてその場から姿を消し去り、クリスはそれを見て「とんずらする気かよ!?」とミカは撤退したことに苛立つが……。

 

「案ずるな、この身1つでお前等2人を相手にするくらい、造作もないこと」

「その風体でヌケヌケと吠える。 それにそこの異星人もそこまでの強者には見えないがな?」

 

そんな翼の言葉にキャロルは口元に笑みを浮かべて微笑し、「成程、ナリを理由に本気を出せなかったなどと言い訳される訳にはいかないな」と呟くとキャロルは錬金術で魔法陣のようなものを作り出し、そこから竪琴型の「ファウストローブ」と呼ばれるものを取り出す。

 

「ならば刮目してみよ!!」

 

キャロルがそう言い放つと同時に彼女はファウストローブの弦を弾いて音色を奏でる。

 

それに司令室では……キャロルが弦を弾いた際にシンフォギアと似た波形であるアウフヴァッヘン波形がファウストローブから検出され、司令室にいたマリアはそれを聞いて「まさか聖遺物の起動!?」と驚きの声をあげる。

 

そして場所を戻し、キャロルは纏っていた服装が変わり、さらに彼女は子供の姿から大人の姿へと急成長したのだ。

 

『ふむ、丁度ギンガとビクトリーもムッシュ・ボルストを倒したようですね? では私も……!』

 

するとボルストの目の前にギンガ、ビクトリー、マックス、ゼロによって倒された怪獣達……回収したファイヤーゴルザ、メルバ、レイキュバス、超コッヴ、ガンQのスパークドールズがエクセラーの周りに出現し、エクセラーはチブローダーを脱ぎ捨ててそこから本体のエクセラーが出てくる。

 

『レディースアーンドジェントルメーン!! お楽しみは、これからですよぉ!! モンスライブ!! ゴルザ! メルバ! レイキュバス! 超コッヴ! ガンQ! 超合体!!』

 

エクセラーがそう高らかに叫ぶと5体の怪獣のスパークドールズはエクセラーの身体の中へと吸収され、エクセラーはファイヤーゴルザ、メルバ、レイキュバス、超コッヴ、ガンQを合体させた巨大な「超合体怪獣 ファイブキング」へと変身し、ギンガとビクトリーの前へと出現したのだ。

 

『なんだこいつ……』

『油断するな、コウマ!』

 

そこへ丁度通常形態のゼロやマックスも帰還し、大地へと降り立つと2人はギンガとビクトリーの隣に並び立つ。

 

『こいつ、俺達がさっき倒した筈の怪獣達が合体したのか!?』

『もう俺達のエネルギーも残り少ない。 一気にケリをつけましょう!』

 

マックスの言葉にギンガ、ビクトリー、ゼロは頷き、4人のウルトラマンは一斉にファイブキングへと戦いを挑む。

 

またキャロルは両手指先にある弦をワイヤーとして扱い、彼女はそれを翼とクリスに飛ばして攻撃するが2人はどうにかそれを回避し、翼は素早くキャロルの方へと駆け出し、同時にクリスもアームドギアでキャロルに射撃を行うが……。

 

キャロルは背部パーツから展開される弦を両手で弾くとそこから巨大な炎と水流が放たれてクリスの銃弾をかき消し、そのままクリスと翼に攻撃を行い、2人はどうにかそれを回避したのだが……キャロルはそこを狙ってワイヤーを飛ばし、クリスは避けたもののワイヤーの攻撃によって起きた爆発に翼は吹き飛ばされてしまう。

 

さらにキャロルは倒れ込んだ翼を狙って背後に出現させた6つの魔法陣のようなものから光線を放ち、クリスは「先輩!!?」と翼の身を案じるが……。

 

「その程度の歌で俺を満足させることなどと!!」

 

キャロルはワイヤーを飛ばして今度はクリスに攻撃を仕掛けるがクリスはジャンプして回避し、大型クロスボウからクリスタル状の巨大な矢を放ち、その矢が無数の小さな矢に分裂……それら全てがエネルギー状の矢に変化して一斉に敵に向かっていく「GIGA ZEPPELIN」をキャロルへと繰り出すが……キャロルはワイヤーを回転させて全ての攻撃を防いでしまったのだ。

 

さらにそのままワイヤーをドリル状へと変化させ竜巻を起こすとそれを喰らったクリスは身動きを封じられ、突進してきたキャロルの攻撃を受け空中から地面へと叩き落とされてしまう。

 

「くあ!?」

 

またこの戦いの様子を見ていた司令室では……。

 

「こんなにも膨大なエネルギー、一体どこから……」

「思い出の償却です。 キャロルやオートスコアラーの力は思い出という脳内の電気信号を変換錬成したもの。 作られて日の浅い者には力に変えるだけの思い出がないので他者から奪う必要があるのですが……数百年を永らえて相応の思い出が蓄えられたキャロルは……」

 

朔也の疑問に答えるようにエルフナインがそう語り、そこまで言いかけたところでマリアが「それだけ強大な力があるということ?」と尋ね、それにエルフナインは頷く。

 

また弦十郎が「力へと変えた思い出はどうなる?」と問いかけるとエルフナインが言うには「燃え尽きて失われてしまいます」と答え、またキャロルはこの戦いで結果を出すつもりなのだとエルフナインは一同へと説明した。

 

そしてウルトラマン達はファイブキングと戦闘を繰り広げており、ギンガはギンガスパークが槍状の武器に変形した「ギンガスパークランス」とゼロは「ウルトラゼロランス」を持ってファイブキングへと振りかざすがファイブキングは右腕のレイキュバスのハサミで攻撃を受け止め、そこから冷気と火炎をギンガとゼロに発射して喰らわせる。

 

『レイキュバスの力!!』

『『グアアア!!!!?』』

 

すると今度はビクトリーとマックスは同時に必殺光線である「ビクトリウムシュート」と「マクシウムカノン」をファイブキングへと放つのだが……ファイブキングは2人の光線のエネルギーを左腕のガンQの盾に吸収させ……それをビクトリーとマックスに向かって撃ち返す。

 

『ガンQの力!!』

『『シュアアアア!!!!?』』

 

吹き飛ばされ倒れ込むマックスとビクトリーだが、マックスはすぐに起き上がって「コメットダッシュ」による高速移動でファイブキングの背後へと回り込み、「マクシウムソード」でファイブキングを斬りつけようとするが尻尾でマックスの身体を拘束して持ち上げ、マックスへと地面へと力強く叩きつけた後、ギンガ達の方へと投げ飛ばされる。

 

『グウウ!!!?』

『さらに超コッヴの力!!』

 

ファイブキングはさらにギンガ、ゼロ、マックス、ビクトリーに超コッヴの光弾を幾つも放って喰らわせ、攻撃を喰らったウルトラマン達は身体中から火花を散らして膝を突いてしまう。

 

『『『『ウアアアアア!!!!?』』』』

『クソ……こうなったら!!』

 

ゼロは左腕のウルティメイトブレスレットを光らせて「ウルティメイトゼロ」へと強化変身しようとするのだが……。

 

『おっとそうはさせませんよぉ! イージスは使わせません!!』

 

イージスを使われる前にファイブキングは頭部からファイヤーゴルザとメルバの「強化超音波光線」と「メルバニックレイ」を同時に発射し、それらをゼロに直撃させ、ゼロは大きく吹き飛ばされる。

 

『ゴルザとメルバの力!!』

『ガアアアアア!!!!?』

『あなたが1番の厄介者ですからね。 先に始末させて貰いますよ!』

 

ファイブキングはゼロに向かってファイヤーゴルザ、メルバの合体光線、超コッヴの無数の光弾、レイキュバスの火炎と冷気の光線を全て同時にゼロに向かって放ち、ゼロはなんとかすぐに立ち上がって左腕を伸ばした後、腕をL字に組んで放つ光線「ワイドゼロショット」を発射。

 

『ワイドゼロショット!!』

 

互いの光線がぶつかり合うが……ゼロの光線はあっさりとファイブキングの光線に飲み込まれてファイブキングの光線はゼロに直撃し、ゼロは身体中から火花を散らしながら吹き飛ばされてしまう。

 

『ぐあああああああ!!!!?』

 

吹き飛ばされたゼロはランの姿へと戻り、彼は身体を地面に強く叩きつけて倒れ込む。

 

「ぐはっ!? クソ……!!」

『ラン隊長……!』

『余所見している暇があるのですか!!?』

 

ファイブキングはランが敗れ、気を取られて隙が出来ていたギンガに向かって右腕のハサミを振るって斬りつける。

 

『グウウ!!?』

 

そこにビクトリーとマックスがファイブキングの両腕に掴みかかって動きを封じようとするがファイブキングは腕を振るってあっさりとビクトリーとマックスを投げ飛ばし、再びファイヤーゴルザ、メルバの合体光線、超コッヴの光弾、レイキュバスの火炎と冷気を発射しギンガ、ビクトリー、マックスはそれらを喰らい続け……遂には力尽き、その場へと倒れ込んでしまったのだ。

 

『『『ウアアアアア!!!!?』』』

 

やがてギンガ、ビクトリーの赤く点滅していたカラータイマーも鳴り止み、2人のウルトラマンはエネルギーが尽きてしまい目からも光が失われてしまったのだ。

 

そしてギンガ、ビクトリーのカラータイマーからコウマ、零無が飛び出し、ギンガ達は彼等の命を救うために自ら一体化を解き、彼等と分離したのだ。

 

「ぐっ……ギンガ……!」

「ビクトリー……」

 

またマックスもエネルギーが完全に尽きる前にカイトの姿へと戻り、カイトはマックススパークを取り出してマックスに呼びかける。

 

「ぐぅっ……! マックス!! 大丈夫か!?」

『あぁ……。 しかし、君も私もかなりのダメージを受けてしまった。 エネルギーも殆どない今、しばらくは戦えそうにない……』

 

ギンガ、ビクトリー、マックス、ゼロを倒したファイブキング……エクセラーは勝ち誇ったような笑い声をあげる。

 

『フッハハハハハ!! どうです? 見ましたか!? ファイブキングの……私の力を!! そしてビクトリアンの諸君もこの光景が見えていますね!? あなた方を守るウルトラマンはもういない!! 大人しく全てのビクトリウムを私に渡すのです!! 猶予はそうですねぇ……ミス・キャロルが奏者達と決着がつくまでの間くらいまでは待ってあげましょう!』

 

エクセラーは「それでは良い返事を待っていますよ」とだけ話し、ファイブキングはジッと立ったままキャロルや翼とクリスの戦いに視線を映すのだった。

 

「クソッタレが……! あの頭でっかち勝手なことばかり言いやがって……!」

「くっ……。 まだ行けるか雪音?」

「アレを試すくらいにはギリギリ大丈夫ってとこかな」

 

また倒れ込んでいたクリスと翼はどうにか立ち上がり、そんな2人を見たキャロルはほくそ笑んだ後、「弾を隠しているなら見せてみろ。 俺はお前等の全ての希望をブチ砕いてやる」と挑発し、クリスは翼の方へと視線を向け「付き合ってくれるよな?」と問いかける。

 

「無論、1人で行かせるものか!」

 

すると翼とクリスは胸部にあるクリスタルを取り外す。

 

「「イグナイトモジュール!! 抜剣!!」」

 

クリスタルは形を変え細長い剣のような形となり、それらは翼とクリスの胸に突き刺さると……2人の身体から赤黒いオーラのようなものが溢れ出し、2人は苦しそうな声をあげる。

 

「ぐう……ぐあああ!!?」

「うぐ……あぁ!? 腸をかき回すような……! これが……この力が!!」

 

翼はエルフナインがイグナイトモジュールの説明を行っていた時のことを思い出し、これこそがキャロル達に対抗するための「プロジェクト・イグナイト」であり、エルフナインが言うにはシンフォギアには幾つかの決戦機能が搭載されているらしく、翼とクリスはそれを聞いてすぐにそれが「絶唱」と「エクスドライブモード」等のことだと理解した。

 

とはいえ絶唱は相討ち前提の肉弾で仕様局面が限られており、エクスドライブは相当量のフォニックゲインが必要となるため、こちらも好きなように使える訳では無い。

 

そこで提案されたのが響が暴走した時のような力であり、その暴走を制御することで純粋な戦闘力へ変換錬成しキャロルへの対抗手段とする……これがプロジェクト・イグナイトの目指す所だとエルフナインは説明したのだ。

 

「モジュールのコアとなるダインスレイフは伝承にある殺戮の魔剣。 その呪いは誰もが心の奥に眠らせる闇を増幅し人為的に暴走状態を引き起こします」

「それでも人の心と英知が破壊衝動を捻じ伏せることができれば……!」

「シンフォギアはキャロルの錬金術に打ち勝てます!」

 

司令室のキャロルと弦十郎がそう言い放つが……クリスと翼は未だに苦しそうな呻き声をあげている。

 

(あのバカはずっとこの衝動に晒されてきたのか……!?)

(気を抜けば…まるで深い闇の底に……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば翼はあるステージの上に倒れ込んでおり、気がつくと彼女は起き上がる。

 

「私はもう1度、ここで大好きな歌を歌うんだ……! 夢を諦めて、なるものか……!」

 

翼が顔をあげるとそこには大量のアルカノイズが客席に立っており、それを見た翼は「私の歌を聴いてくれるのは……敵しかいないのか……?」と唖然とした表情を浮かべる。

 

(新たな脅威の出現に戦いの歌を余儀なくされ……剣に戻ることを強いられた私は……)

 

翼は父に昔「お前が風鳴の娘であるものか。 どこまでも汚れた風鳴の道具に過ぎん」と言われた時のことを思い出し、彼女は「それでも認められたい、だから私は、私はこの身を剣と鍛えた」と考え、だからこそ夢を見ることなど許されない道具……剣だと自分に言い聞かせた。

 

すると目の前にかつての相棒である奏が現れ、奏が翼に笑みを浮かべると彼女は「奏!!」と奏の元へと駆け寄って抱きしめるが……彼女は人形のようにバラバラに崩れ去ってしまう。

 

(私では……誰も抱きしめられない……!)

 

そして翼はその場で膝を突き、泣き崩れてしまう。

 

「うぅ、うあああ……!」

 

またクリスも気がつけば何時も授業を受けている自分の教室で椅子に座っており、今は見たところ授業中のようだった。

 

(教室……? ここは……あたしがいても良いところ……。 ずっと欲しかったものなのにまだ違和感を覚えてしまう……)

 

クリスはそんなことを考えていたが、それでもこの春から切歌と調という新しい後輩ができたと嬉しかがっていたが……彼女は自分の不甲斐なさであの2人がボロボロになってしまい一人ぼっちが仲間とか友達とか先輩とか後輩……恋仲でもあるコウマなんて求めちゃいけないんだとクリスは考えるようになって行ってしまい……。

 

(でないと残酷な世界がみんなを殺しちまって本当に一人ぼっちとなってしまう)

 

気づけばクリスの周りにはボロボロになって倒れている切歌や調、コウマがおり、クリスはそれを見て逃げ出したい気持ちに駆られるが……そんな彼女の手を……翼が掴んだのだ。

 

「すまないな。 雪音の手でも握ってないと底無しの淵に飲み込まれてしまいそうなんだ」

「ヘッ……。 お陰でこっちもいい気付けになったみたいだ…危うくあの夢に溶けてしまいそうで……」

 

すると2人に突き刺さっていた剣も赤黒いオーラと共に消え去り、2人は膝を突く。

 

「……不発?」

『興ざめですね、ミセス・キャロル?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マズい!!」

「奏者、モジュールの使用に失敗!!」

 

司令室ではクリスも翼もイグナイトモジュールの使用に失敗してしまい、その光景を見ていたエルフナインは「僕の錬金術ではキャロルを止めることはできない……」と呟き、俯くが……。

 

「大丈夫、可能性が全て尽きた訳じゃないから」

 

未来がエルフナインにそう語りかけ、そこへ響もエルフナインの元へと歩いてきて「それ……」とエルフナインが握っているものに視線を向ける。

 

「改修したガングニール……」

 

すると響はエルフナインの手を握りしめ彼女に笑みを向ける……。

 

「ギアも可能性も、二度と壊させやしないから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「尽きたのか? それとも折れたのか? いずれにせよ、立ち上がる力くらいは俺がくれてやる!!」

 

するとキャロルは上空に巨大なアルカノイズを召喚し、そのアルカノイズは飛行型のアルカノイズを大量に生み出し、飛行型アルカノイズはノコギリのような形状に変形して次々に市街地に降り注いで被害を出す。

 

「いつまでも地べたに膝をつけていては市街の被害を抑えられまい」

 

それを見て翼とクリスはどうにか立ち上がろうとするが……立ち上がるのがやっとで2人とも肉体へのダメージが深刻でとても戦えるような状態ではなかった。

 

しかし……。

 

『ウルトライブ! メカザム!!』

 

そこへコウマがギンガスパークとメカザムのスパークドールズを使ってライブした「暗黒機靱 メカザム」が現れ、メカザムは右腕に仕込まれた巨大剣「ソードザンバー」で街に降り注ぐアルカノイズを切り裂き、街への被害を押さえ込もうとする。

 

さらに零無はビクトリーランサー・ガンモードにEXレッドキングのスパークドールズをリードさせると銃口を空中にいる巨大アルカノイズに向かってその怪獣の力を宿した光弾を発射する。

 

『ウルトライブ! Go! EXレッドキング!!』

 

だが零無の放った光弾はファイブキングの放った光線にかき消され、ファイブキングはレイキュバスの火炎と冷気をメカザムに向かって発射……メカザムはソードザンバーで受け止めるが……ソードザンバーは砕けメカザムに直撃してしまう。

 

『ぐああああああ!!!!?』

『まさかそう来るとは思いませんでしたよ!』

 

ファイブキングはメカザムに向かってトドメを刺そうと歩いてくるがコウマはすぐさま別のスパークドールズを取り出してギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! エレキング!』

 

メカザムの姿が変わり、今度は「宇宙怪獣 エレキング」へとライブし、エレキングは尻尾でファイブキングの身体を拘束して電撃を流すが……ファイブキングはガンQの力を使い電撃を吸収し、そのままそっくり電撃を纏めて逆流させてエレキングに跳ね返したのだ。

 

『キュウイイイイイ!!!!?』

 

エレキングは火花を散らして倒れ込み、その間にアルカノイズは次々に街に被害を与え続ける。

 

またファイブキングと戦っていたエレキングは倒れ込んだ身体をファイブキングに踏みつけられ、エレキングにライブしていたコウマ自身もかなりボロボロの状態であった。

 

『いい加減しつこいですね! そろそろ諦めたらどうなのです?』

『あいつ等がまだ諦めてないのに……!! 俺が諦める訳……ないだろうがあああああああ!!!!!』

『ウルトライブ! キングジョー!』

 

エレキングは「宇宙ロボット キングジョー」へと姿を変えて精一杯の力を振り絞ってファイブキングを押し退かし、右腕のペタニウムランチャーから銃弾を発射するがファイブキングはガンQの盾でそれらを吸収し、全てキングジョーへと跳ね返す。

 

だがそこに零無の放ったEXレッドキングの光弾がファイブキングの頭部に直撃し、ファイブキングは零無を睨み付ける。

 

『ええい鬱陶しいゴキブリめ!! 行け!! アルカノイズ!! チブロイド!! そのクソガキを排除しろぉ!!』

 

ファイブキングの口から1つの球体と結晶のようなものが地面に落ちるとそこからチブロイドとアルカノイズ達が零無の周りに出現し、一斉に襲いかかろうとするが……。

 

そこに駆けつけたランとカイトが跳び蹴りをアルカノイズとチブロイド達に喰らわせ、2人は零無の元へと駆けつける。

 

「ちょっ、2人とも思いっきりアルカノイズに触ってたけど大丈夫!?」

「なんだ知らねーのか? ノイズやアルカノイズはウルトラマンでも倒せるんだぜ? 地球人の姿しててもウルトラマンと同化しててもな? お前等もギンガスパークやビクトリーランサーの力でアルカノイズに触られても炭化はしない筈だ」

 

それを零無は「えっ? そうなの?」と首を傾げ、アルカノイズが触手を伸ばして零無に攻撃してくるが零無は思わずそれを掴みあげ、フルスイングして投げ飛ばす。

 

「あっ、ホントだ……」

 

だが……ファイブキングの猛攻に遂にキングジョーも力尽きかけ……ファイブキングの放った5体の怪獣の光線を一度に浴びてキングジョーは火花を散らして爆発し……ライブも解除されコウマの姿へと戻り、彼は地面を転がり倒れ込んだ。

 

「ぐっ……あぁ……!! クソ……!! まだ、だ……。 まだ俺は……戦える!!」

『往生際が悪いですねぇ、そろそろ死になさい!!』

 

エクセラーはそう言い放ちながらファイブキングの頭部から超音波光線を発射し……それを見た零無やクリス達は「コウマ!!」と彼の名を叫び……コウマは思わず目を伏せるのだが……何時まで経っても何も起きないため、コウマはそっと目を開けると……。

 

彼の目の前には……何も無い白い空間が広がっており、かつて共に戦った仲間である、ウルトラ兄弟6人目の戦士……「ウルトラマンタロウ」が立っていたのだ。

 

『久しぶりだな、コウマ』

「タロウ……!」

 

挿入歌「ウルトラ六兄弟」

 

タロウだけではない、元の世界では「ゾフィー」「初代ウルトラマン」「ウルトラセブン」「ウルトラマンジャック」「ウルトラマンエース」といった他の兄弟達も現れ、街への被害を抑えるためにジャック、エースがアルカノイズと戦う。

 

『シュア!!』

 

ジャックは腕の「ウルトラブレスレット」を槍型の武器「ウルトラランス」に変形させ、それを回転させて街へと降り注ぐアルカノイズ達の攻撃を防ぐ。

 

『トアアア!!』

 

エースは胸の前で交差した腕を上下に素早く伸ばして右手刀と左手刀の間に大きな三日月型の切断力場を形成し、敵に向かって発射する「バーチカルギロチン」で飛行型アルカノイズ達を次々切り裂く。

 

またゾフィーは等身大となって零無達の元へと駆けつけ、チブロイドやアルカノイズ達を殴り飛ばすが……アルカノイズ達は触手を使ってゾフィーの手足を拘束し……その間にチブロイド達が光線銃を構えるが……ゾフィーは空中へと飛んでそのまま勢いよく急降下し、アルカノイズを地面に叩きつけた後……ゾフィーはチブロイド達に一気に詰め寄り殴り飛ばす。

 

「ゾフィー隊長!! それに……親父達まで!!」

 

そしてウルトラマンとセブンはファイブキングへと向かって行き、ファイブキングはレイキュバスの腕から火炎と冷気を放つがセブンは頭部のブーメラン「アイスラッガー」を、ウルトラマンはリング状の光の刃「八つ裂き光輪」を投げつけて冷気と火炎を切り裂き、ファイブキングの身体を斬りつける。

 

『デュア!!』

 

アイスラッガーを手に持ったセブンはファイブキングを斬りつけようとするがファイブキングはレイキュバスのハサミで受け止めるが……そこに駆け出して接近したウルトラマンがファイブキングの腹部に向かってヤクザキックを叩き込む。

 

『シュア!!』

 

ウルトラマンとアイスラッガーを頭部に戻したセブンはファイブキングの両腕に掴みかかり、2人同時に蹴りを叩き込むのだが……ファイブキングは超コッヴの光弾をウルトラマンとセブンに幾つも浴びせ、レイキュバスのハサミを振るってウルトラマンとセブンを斬りつける。

 

さらにファイブキングは空中へと飛び立ち、街を守るエースとジャックに向かって行きすれ違いざまにハサミで2人を斬りつけ、ジャックとエースは身体から火花を散らして膝を突く。

 

『『シュア!!?』』

『幾らウルトラ兄弟と言えど、ファイブキングに勝つことなど不可能!!』

『それは違うな』

 

そこへ巨大化したゾフィーが現れ、ゾフィーはウルトラマンとセブン、ジャックとエースに視線を向けると4人のウルトラマンは頷く。

 

『我々は貴様を倒すために来たのでは無い。 ギンガとビクトリーを救い、ギンガに新たな力を与えるために来たのだ。 行くぞ兄弟達よ!!』

 

ゾフィーのかけ声にウルトラマン達は力強く頷き、5人のウルトラマンは一斉に必殺光線をファイブキングの足下に撃ち、ファイブキングを後退させ……その隙にゾフィー達はギンガとビクトリーに手を差し伸べるとそこから光の粒子をギンガとビクトリーのカラータイマーに自分達のエネルギーを分け与える。

 

それと同時にコウマとタロウは……。

 

『コウマ、我々ウルトラの意思を受け継ぐ者には素晴らしい仲間がいる』

「ウルトラの……仲間?」

『そうだ、我々はどんな時も仲間と共に力を合わせて戦って来た。 コウマ、君にもウルトラの仲間がついている! その諦めない心と、我々仲間の力が合わされば……あのファイブキングにもきっと勝てるだろう』

 

するとゾフィー達からエネルギーを受け取ったギンガとビクトリーに光が戻り、ギンガとビクトリーはスパークドールズの姿へと戻ってコウマと零無の目の前に現れる。

 

それと同時にコウマとタロウのいる白い空間にゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エースも現れ、6人のウルトラマンはコウマに向けて頷くと6人のウルトラマンは光の球体のような姿になり、それらが1つに重なり合うとその光の中からタロウの顔を模した「ストリウムブレス」が現れ、それがコウマの左腕に装着される。

 

するとコウマの元の空間へと戻り、隣には零無が立っていた。

 

「タロウ……みんな……。 零無、行くぜ!!」

「おう!!」

 

コウマはギンガスパークを取り出し、ブレード部分を展開させるとそこからギンガのスパークドールズが現れ、それを掴み取ってギンガスパークにリードさせた後、コウマはギンガスパークを掲げる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

「ギンガアアアアアア!!!!!」

 

また零無はビクトリーランサーはランサーモードに変形させ、ビクトリーのスパークドールズを出現させ、それを掴み取ってビクトリーランサーにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

そしてコウマは「ウルトラマンギンガ」に、零無は「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させ、2人のウルトラマンは大地へと降り立つのだった。

 

また……クリス達はというと……。

 

「歌えないのなら……分解される者どもの悲鳴をそこで聞け!!」

 

そこへ……S.O.N.G.の放ったミサイルに乗ったガングニールを纏った響が現れ、響は自身の拳とミサイルを同時に空中の巨大アルカノイズに叩き込み、巨大アルカノイズを撃破……他にも放たれたミサイルも空中の他の生き残っていたアルカノイズ達を次々に殲滅する。

 

そして響は翼とクリスの元へと降り立つ。

 

「すまない、おかげで助かった!」

「とんだ醜態を見せちまったけどよ……」

「イグナイトモジュール、もう1度やってみましょう!」

 

響はもう1度イグナイトモジュールを使うことをクリスと翼に言うが、翼もクリスもとても今の自分達が使えるとは思えないと響にそう言葉を返したのだが……。

 

「未来が教えてくれたんです! 自分はシンフォギアの力に救われたって! この力が本当に誰かを救う力なら身に纏った私達もきっと救ってくれるはず!! だから強く信じるんです! ダインスレイフの呪いを破るのは……」

 

響に言い放たれ翼とクリスは……。

 

「いつも一緒だった天羽々斬……」

「あたしを変えてくれたイチイバル……」

「そしてガングニール!! 信じよう!! 胸の歌を!! シンフォギアを!!」

 

響の言葉にクリスは「このバカに乗せられたみたいでかっこつかねえけどな」とクスリと笑い、翼の「もう1度行くぞ!!」という言葉を合図に3人は再びイグナイトモジュールを起動させる。

 

「イグナイトモジュール!!」

「「「抜剣!!」」」

 

3人は胸のクリスタルを取り外して空中へと投げるとクリスタル形を変え細長い剣のような形となり、それらが3人の胸に突き刺さり、再びあの赤黒いオーラが身体に纏わる。

 

「「「うぐああああああ!!!!?」」」

 

響、翼、クリスの3人はイグナイトモジュールを起動させ、彼女達は苦痛の声をあげるが……。

 

「呪いなど切り裂け!!」

「撃ち抜くんデス!!」

「恐れずに砕けばきっと!!」

 

マリアや司令室に戻ってきた切歌や調の声援を受け、響は心の中で「未来が教えてくれたんだ……」と呟く。

 

(力の意味を!! 背負う覚悟を!! だからこの衝動に……塗り潰されて……!!)

(((なるものかああああああ!!!!!)))

 

3人が心の中でそう叫ぶと今度こそイグナイトモジュールが完全に起動し、彼女達の纏うギアは漆黒のギアへと変化したのだ。

 

挿入歌「RADIANT FORCE (IGNITED arrangement)」

 

3人は「歌」を口ずさみ、それを見たキャロルはニヤリと笑みを浮かべて大量のアルカノイズを再び召喚……その数はざっと3000体に及ぶのだが……。

 

「たかだか3000!!」

 

最初に響が先陣を切ってアルカノイズ達を自身の拳で一瞬で貫き、続いて翼は大型化させたアームドギアを横一線に振るい、巨大な青いエネルギー刃を放ち敵を切り裂く「蒼ノ一閃」をアルカノイズ達に炸裂させる。

 

またクリスはガトリング砲と小型ミサイル、大型ミサイル4つを一斉に発射する「MEGA DETH QUARTET」をアルカノイズ達に発射し、一斉にアルカノイズ達を吹き飛ばし……さらに彼女の放った大型ミサイルからさらに小型のミサイルが放たれ、それらは空中のアルカノイズ達も一気に殲滅される。

 

「ヘソ下辺りがむず痒い!!」

 

そこへキャロルが手からワイヤーを飛ばしアルカノイズ共々響達を攻撃するが彼女達はキャロルの攻撃を全て避ける。

 

「強大なキャロルの錬金術……ですが奏者達もまたそれに対抗できる力を……」

 

モニターから戦いを見ていた緒川がそう呟き、未来もまたジッと彼女達の戦いをモニター越しから見つめていた。

 

(それでも響は傷付け傷付く痛みに隠れて泣いてる。 私は何もできないけど響の笑顔は、その裏にある涙は拳に包んだ優しさも全部抱きしめて見せる……。 だから……!)

 

そして未来は……。

 

「負けるなー!!」

 

響達に精一杯のエールを送るのだった。

 

キャロルは響の右腕をワイヤーで拘束させるが……彼女は拘束されていない左手でワイヤーを掴みあげて引っ張りキャロルのバランスを崩させ、その隙を狙い翼の飛ばした斬撃とクリスの放った矢が放たれるがキャロルはワイヤーをドリル状にして攻撃を防ぐ。

 

しかしその直後にその身に炎を纏った響の突進をキャロルは喰らいそのまま彼女は壁に激突し、響は空中へと飛び上がると強力な急降下キックをキャロルへと叩きこんだのだ。

 

「うぐぁああああ!!!?」

 

キャロルは煙の中へと一度消えるが……煙はすぐに晴れ、彼女は大人の姿から子供の姿に戻っており、彼女は荒い息をあげていた。

 

そんなキャロルに響は踏み寄り、「キャロルちゃん、どうして世界をバラバラにしようなんて……?」と彼女に問いかけながら手を差し伸べるが……キャロルはその手を弾く。

 

「忘れたよ、理由なんて……。 思い出を償却、戦う力と変えた時に。 その呪われた旋律で誰かを救えるなどと思い上がるな……」

「っ……」

 

するとキャロルは突然倒れ込み、彼女の身体が緑色に燃え上がったのだ。

 

「えっ? キャロルちゃん……? キャロルちゃん!!? そんな……う、うわああああああああ!!!!!」

 

灰となる彼女の姿を見て響は悲痛な声をあげるが……突然「ドオオン!!」と大きな音が鳴り響くのを聞き、響はハッとなり音のした方へと振り返る。

 

「立花、嘆くのは後にしよう……」

「あぁ、コウマ達はまだ戦ってる。 あたし達も援護するんだ!!」

 

翼とクリスの言葉を受けて響は泣き出しそうな気持ちをグッと堪え「はい!!」と力強く頷き、3人はギンガとビクトリーの元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてギンガとビクトリーはファイブキングと激闘を繰り広げており、ギンガとビクトリーは同時にファイブキングに駆け出すがファイブキングは超コッヴの光弾を幾つも放ってギンガとビクトリーに直撃させ、2人を近寄らせなかった。

 

『ぐぅ、クソ……!』

 

攻撃を受け、膝を突くギンガとビクトリーだったが……。

 

そこに丁度クリスと翼の放ったミサイルとエネルギーによる斬撃がファイブキングの頭部に直撃し、さらに高く飛び上がった響がファイブキングの右の頬に拳を叩き込んだのだ。

 

「オリャアア!!」

『グウウ!?』

 

イグナイトによって強化されているだけあり、ファイブキングも多少とはいえ彼女達の攻撃によってたじろく。

 

『クリス、響、翼さん……!』

『今だコウマ!! 今こそ、ウルトラの仲間の力を使う時だ!』

 

タロウの言葉にコウマは頷き、ストリウムブレスのタロウの顔が描かれたレリーフを横に向け、それにギンガスパークをコウマはリードさせる。

 

『今こそ、1つになる時!』

『ウルトラマンタロウ!』

『ギンガに力を! ギンガストリウム!』

 

するとギンガにタロウの姿が重なり、ギンガは胸のプロテクターや額のビームランプなどがついたタロウにも酷似した姿……「ウルトラマンギンガストリウム」へと強化変身したのだ。

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると「ゾフィー」の力が発動される。

 

『ゾフィーの力よ! Z光線!』

 

両手の先を合わせて発射する稲妻状の光線「Z光線」をギンガはファイブキングに向かって放つがファイブキングは「無駄だ」と言わんばかりにガンQの盾を使って光線を吸収するのだが……。

 

『今だ翼さん!!』

『なに!?』

 

ファイブキングは上空を見上げると翼が空間から大量の青いエネルギー剣を具現化し、上空から落下させ攻撃する「千ノ落涙」がファイブキングの左手首に集中して降り注ぎ、さらに翼の放った「蒼ノ一閃」が放たれ、左手首を完全に破壊される。

 

『ぐおおお!!? なんだとぉ!!?』

 

ギンガは左手を破壊されて同様しているファイブキングに向かって駈け出す。

 

それに気づいたファイブキングは右手のハサミを振るうがギンガは足を振り上げてハサミを蹴って振り払い、懐に飛び込んで超コッヴの腹部に何発の拳を連続で叩き込む。

 

『ハアアア!! ショウラ!!』

 

最後に膝蹴りを叩きこみ、ファイブキングは超コッヴの腹部から光弾を発射。

 

ギンガは直撃を受けて吹き飛ばされるがどうにか空中で身体を回転させて地面に着地する。

 

『グゥ』

 

さらにファイブキングは超コッヴは光弾は執拗にギンガに放つ。

 

しかしそこでクリスがアームドギアをスナイパーライフルに変形させ、ヘッドギアのスコープで標的を捕捉し狙撃を行う「RED HOT BLAZE」で正確に超コッヴの光弾を撃ち抜く。

 

光弾を全て撃ち抜くと続けざまにクリスはファイブキングの光弾を発射する器官を正確に狙い撃ちして破壊。

 

『ぬお!?』

 

それによって動揺したファイブキングの隙を狙い、ビクトリーは右腕を「EXレッドキングナックル」へと変える。

 

『ウルトランス! EXレッドキング! ナックル!』

 

ビクトリーは素早くファイブキングに接近し、EXレッドキングナックルでファイブキングに向かって拳を放つ。

 

『は~い!! じゃーんけーん!』

『じゃ、じゃんけん……!?』

『『ポン!!』』

 

ファイブキングはレイキュバスのハサミでビクトリーを迎え撃とうとしたが……EXレッドキングナックルはグーのため、ハサミで切り裂くこともできなかった。

 

そしてビクトリーはそのまま力任せにファイブキングのハサミを振り払い、顔面を思いっきり殴りつける。

 

『ギシャアアアア!!?』

『よし今だ!! 行け!!』

 

いつの間にかビクトリーの肩に響が乗っており、響はビクトリーの言葉に「了解!!」と敬礼するとジャンプして足部のパワージャッキで一気にファイブキングに詰め寄り、頭部のメルバの部分を拳で殴って破壊する。

 

「喰らえええええ!!!!」

 

頭部のメルバも破壊され、動揺するファイブキング……そこを狙いギンガが再び詰め寄り、ファイブキングに詰め寄ると連続で膝蹴りを何発も腹部に叩きこむのだが……ファイブキングはどうにか頭突きをギンガに喰らわせる。

 

それによってフラつきながらも後退するギンガ。

 

さらにファイブキングは大きくジャンプしてビクトリーにドロップキックを浴びせる。

 

『ウグ!?』

『グルウウウ!!』

 

ファイブキングは空中に飛んでレイキュバスのハサミから冷気と火炎、口から「強化超音波光線」を放つが……。

 

『ウルトラマンの力よ! スペシウム光線!』

『ビクトリウムエスペシャリー!!』

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めて「ウルトラマン」の力を発動。

 

ギンガは両腕を十時に組んで放つ必殺光線「スペシウム光線」を、ビクトリーは全身のVクリスタルから光弾を連発する「ビクトリウムエスペシャリー」を放つ。

 

冷気、火炎、強化超音波光線をかき消し……そのまま2人の光線はファイブキングの翼とハサミを破壊する。

 

『ギシャアアアア!!?』

 

翼を失ったファイブキングは地上へと落下し、ファイブキングはフラフラとしつつもなんとか立ち上がる。

 

『よし、トドメだ!』

『ま、待て君たち! 暴力はいかん!! 話し合おう!! 話し合えば……!!』

 

エクセラーは必死にそう呼びかけるが……今更そんなことを言っても当然無駄であり、コウマはストリウムブレスのターレットを回転させてスイッチを押して止めると「ウルトラマンタロウ」の力が発動される。

 

『ウルトラマンタロウの力よ! ストリウム光線!』

『ビクトリウムシュート!!』

 

ギンガは両腕を引き絞って七色のエネルギーを体内に蓄積させた後、腕をT字に組んで放つ必殺光線「ストリウム光線」を。

 

続いてビクトリーも両手で描いたV字型のエネルギーを右腕に集めてから両腕をL字に組み、右腕の甲にあるVクリスタルを正面に向けて放つ「ビクトリウムシュート」を放つ。

 

2人のウルトラマンの光線はファイブキングに直撃……ファイブキングは火花を散らし、倒れ爆発を起こし……遂に倒されたのだった。

 

『うぐああああああああ!!!!?』

 

その後、ファイブキングを倒したコウマ達は炎に包まれ、散ったキャロルの元へと戻っていた。

 

「呪われた旋律……だれも救えない……。 そんなことはない、そんな風にはしないよ……キャロルちゃん」

 

響はキャロルのいた場所を見つめながら、そう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……キャロルの隠れ家へとチブローダーを着たエクセラーはなんとかどうにか戻ってくることができ、エクセラーは拳を床に叩きつける。

 

『おのれ人間共ぉ……!! 絶対に許さん……! それとお前等その変なポーズやめろ腹立つ!!』

 

エクセラーはオートスコアラーの4人を指差してそ怒鳴るが……。

 

「あらあら、ウルトラマンを倒すのに失敗続きのあなたが私達にそんなことを言う権利があると思っているのかしら?」

 

そのファラの言葉にエクセラーはさらにイラついたような表情を浮かべ、ミカはそんなエクセラーを見てケラケラ笑っていた。

 

(くっ! やはりウルトラマン共を倒すにはあのお方の力が必要か……! 宇宙最高の頭脳を持つ私には宇宙最強の肉体こそが相応しい……!)



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8Eve 『狙われたマリア』

ギンガストリウムは使える能力の幅が増えています。


あれから数日後……事件も一応は一段落したということで零無はあらかじめキサラに許可を貰い、マリア、切歌、調の3人を地底世界に案内しているところだった。

 

「それにしても凄いわね……。 地底世界って……」

「キラキラしたもの……ビクトリウムでしたっけ? それが綺麗で良いところデスね!」

「うん……。 こんな世界があったなんてなんだか信じられないね……」

 

マリアと切歌、調の3人はそれぞれが地底世界に抱いた感想を口にしていた。

 

「喜んで貰えてなにより」

 

零無も3人がこの世界を気に入ってくれたようで嬉しそうにそう呟いた。

 

「実質、零無の実家デスからね!」

「確かに……この世界にいると、なんだか落ち着くんだよなぁ……。 俺がビクトリアンだからかな?」

 

しばらく4人で歩いていると突然「ドスン! ドスン!」という巨大な足音のようなものが聞こえ、マリア達は「な、なに!?」と驚くが……。

 

零無は既にその足音の正体に気づいており、「おーい!!」と声をかけると零無達の目の前にシェパードンが現れたのだ。

 

「お、おぉ! これがシェパードンデスか……」

「シェパードン!! 数日ぶりだな! 怪我はもう大丈夫か?」

 

零無がシェパードンにそう尋ねるとシェパードンは「もう平気!」とでも言うようにガッツポーズを見せた後、マリアたちに視線を向け、首を傾げる。

 

「あぁ、こいつ等は俺の地上の家族!! 地底世界の案内と……お前と会わせようと思ってな!」

 

零無がシェパードンにそう伝えるとシェパードンはその場にぺたんっと座り込み、最初に切歌にすっと右手を差しのばしてきたのだ。

 

それを見た切歌は思わず「ビクッ」と肩を震わせる。

 

そんな切歌に零無は笑みを浮かべて「大丈夫だよ!」と言い、切歌の手を掴んでシェパードンの差し出された手を握らせる。

 

「シェパードンがよろしくってさ」

「こ、こちらこそよろしくデース!」

「クオオオン」

 

そしてそれを見たマリアや調も互いに顔を見合わせた後、切歌に続くように順番にシェパードンの差し伸べされた手を握って握手し、シェパードンはどこか嬉しそうに鳴き声をあげる。

 

「怪獣と対面するのはこれが初めてじゃないデスけど……こんな風に怪獣と触れあえるなんて思っていなかったデス」

「そうね、基本的には戦う相手だったものね」

 

するとシェパードンは一度立ち上がっては今度はゆっくりと俯せになぜか倒れる。

 

その行動に理解できないマリア達は頭に疑問符を浮かべる。

 

「頭の上に乗れって言ってるんだよ」

 

零無からそう伝えられ、多少抵抗はあったものの零無が真っ先にシェパードンの頭の上に乗ったのを見てマリア達も少し警戒しつつ同じようにシェパードンの頭の上に乗る。

 

それから一同はしっかりと捕まり、シェパードンはゆっくりと起き上がるとマリア達は「おぉ!」と声をあげ、辺り一面を見渡す。

 

「いやぁ、こんな高いところから見ると改めてビクトリウムが輝いて綺麗な世界デスね……」

「うん、それにビクトリウムって地球の生命そのものでビクトリアンにとっても命の源なんだよね」

「あぁ、だからこそ……それを狙う宇宙人共の思うようには絶対にさせたら行けないなんだ……。 これ以上奪われない為にも……!」

 

切歌、調、零無がそれぞれの思いを口にし、それを聞いていたマリアは何も言いはしなかったのだが気持ちは零無達と同じだった……。

 

これ以上、宇宙人達の悪いようにはさせてはならないと……、だからこそ……。

 

(だからこそ……! 強くなる必要があるんだ……もっと!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またエクセラーの乗る宇宙船では、前回倒されてスパークドールズに戻ったボルストをエクセラーが再び実体化させられており、ボルストは「全く使えない怪獣を押しつけやがって!!」とエクセラーに対して怒りを露わにしていた。

 

『申し訳ありませんね、ムッシュ・ボルスト。 私としたことがあなたのような有能な人物にひ弱な怪獣を押しつけてしまって』

『いやぁ~、全くだ!! 宇宙最強のこの俺様にあんなもん押しつけるなんざ失礼極まりないだろうがよ!!』

『すぐに図に乗る……。 浅はかな奴だ』

 

調子に乗るボルストにボソっと小さく悪態をつくエクセラー。

 

『んっ? なんか言ったか!?』

『いえいえ。 そこでお詫びにこれを差し上げましょう!』

 

すると突然ボルストの胸に赤いバッチのようなものが張り付き、ボルストは「なんだよこれは!?」と戸惑い驚く。

 

『その名も『チブルサーキット』! いかがです? それがあればあなたの力もライブした怪獣の力もよりパワーアップしますよ?』

『おぉ! 確かに力が漲るぜぇ!!』

『それは何より。 そう言えば、ミス・ガリィがそろそろ出陣するそうですよ? あなたも同行されてその力を試してみては?』

 

エクセラーその提案にボルストは快く頷く。

 

『おう! それは丁度良いな!! 待っていろ!! ウルトラマン共!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

強くなりたい……、翻弄する運命にも立ちはだかる脅威にも負けない力が欲しくて……。

 

求めた強さを手に入れたいという想いを胸に、彼女……マリア達は……仲間達と共にビーチに来ていた。

 

その一方で……。

 

「逃げるなぁー!! かかってこぉーい!!」

「ちょっ、やめてください隊長ぉー!!?」

「死ぬ!! これ絶対死ぬぅ!!?」

 

ランが「お前等はこっち」と称していつもの採石場的な場所に連れて行き、コウマと零無は絶賛ジープに追い回されてるところだった。

 

(シャイニングフィールドが完全に使いこなせれば良かったんだがなぁ……。 まだ使いこなせてないんだよなアレ……)

 

尚、コウマの右手と零無の左手には手錠のようなものがかけられて繋がっており、迫り来るジープを回避するのも一苦労だった。

 

ちなみに、本当なら今日はコウマ達も一緒にクリス達とビーチに行って彼女等と特訓する予定だったのだが……その前にランが「シンフォギア奏者には奏者の特訓があるだろうが、お前等にはお前等の特訓がある」ということで半ば無理矢理この場所に連れ込み、今の状況に至るという訳である。

 

「親父達の力を借りたストリウムブレスがあるとはいえ、エタルガーは強敵だ!! 何時奴がやって来ても良いようにお前等にはもうワンランク強くなって貰う必要がある!! その為にはお前等2人の心を合わせる必要がある!!」

 

さらに言えば、2人が強くなればランは心置きなく次元の狭間に彷徨ってるエタルガーを探しに行けるし、エタルガーと入れ違いになっても2人が強くなってエタルガーを倒してくれればまさに上出来。

 

そうなればランは安心してこの世界を2人に任せられるとして彼は2人をかなり厳しくコウマと零無の2人をしごいていた。

 

するとそこで零無が躓いたせいでコウマ諸共2人はその場に勢いよく転んでしまう。

 

「ってぇ!? お前のせいで鼻打っただろ!? なんで何もないところで転ぶんだよ!!?」

「手を繋がれたまま走れば慌てて転んだりもするだろ!!?」

 

コウマの文句に零無が反論し、2人は喧嘩を始めてしまうのだが……喧嘩してるからってそんなのを待ってくれるランではない。

 

多少スピードは下げたとはいえ、そのままジープで2人を突き飛ばし、吹き飛ばされた2人は地面へと倒れ込んでしまう。

 

「いってぇ……!」

「うぅ、本当なら今頃切歌達と一緒に海に来てた筈なのに……」

「心配しなくとも後で十分切歌達との時間もやる!! ほらほら!! 寝てる暇なんかねえぞ!!」

 

そのまますかさずランはジープを運転してコウマと零無を追いかけ回し、ジープで追い回される彼等の悲鳴が木霊したのだった。

 

『ふむ、昔を思い出す……。 流石は俺の息子だな』

『ゼロもなるべく君たち自身の手でこの世界を守って欲しいという気持ちがあってこその厳しさだ。 頑張るんだ2人とも』

 

ストリウムブレスからそんなセブンとタロウの声が聞こえた気がしたが正直、コウマも零無はそれを気にしている暇は無かった。

 

さらにジープで追い回す特訓が1度終了してからも厳しい訓練は続き、地面にラインカーで白い線を引いてスタートラインを作り、コウマと零無はそこに並び立たせてランは自分の後ろにあるベルを2人で協力して鳴らすように指示。

 

「2人がかりで良い、協力してあのベルを鳴らせ」

「本当に2人がかりで良いんだな……?」

 

零無がそう問いかけるとランは「あぁ」と答え、零無とコウマは互いに顔を見合わせて頷き合うとランの合図を受けて2人同時に駆け出す。

 

そして零無がランに掴みかかって動きを封じ、その隙にコウマがベルを鳴らそうとするのだが……。

 

「オラァ!!」

 

ランは膝蹴りを零無に叩きこんで彼をうずくませ、さらにすぐさまコウマの方へと振り返って高くジャンプし、コウマの頭上を飛び越えるとそのまま彼に回し蹴りを喰らわせる。

 

「そんな方法で俺に勝とうなんざ、2万年早いぜ? さぁ、線に並べ!!」

((うぅ、鬼教官……))

 

尚、シンフォギア組はというと……。

 

シュルシャガナとイガリマも修復が完了し、コンバータ部分を新造して復活したアガートラームをマリアは渡され、それら全てにイグナイトモジュールを組み込んだこともあり、ここららで1つを特訓をしようという弦十郎の提案で一同は海に訪れていた。

 

オートスコアラーとの再戦で強化型シンフォギアとイグナイトモジュールを使いこなすことは急務であり、近く筑波の異端技術機構において調査結果の受領任務があるらしく、弦十郎の計らいでそこで心身の鍛錬に励めとのことだった。

 

のだが……未来やエルフナイン等も一緒に全員水着になってみんな鍛錬というよりもどう見ても遊んでいるようにしか見えず、1人その場に残された唯一の男であるカイトはどことなく居心地の悪さを感じていたのだった。

 

「はぁ……流石に、男1人でこの状況はちょっとキツい……。 エルフナインは女の子にカウントすべきなのか分からないけど」

『安心しろ、私もいるぞカイト』

「あっ、そうだ、マックスもいるんだ……。 ちょっと安心した……」

 

ただラン自身、今はコウマ達を優先しているがその内カイトも特訓に付き合わせるつもりだったりするのだが、それをカイトはまだ知らなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響達のいるビーチの近くにある研究所にて緒川と朔也が訪れており、そこにはナスターシャがフロンティアに残したデータから構築したという「フォトスフィア」という名の光の球体があり、フォトスフィアの今の見た目は両手で掴めるくらいの大きさしか無いのだが……そこの科学者が言うには実際にはもっと巨大なサイズらしい。

 

「フォトスフィアとは一体……?」

 

フォトスフィアと呼ばれる球体を見ながら疑問を口にし、それからフォトスフィアのデータの需要を完了した緒川はそれを翼に携帯で報告し、彼は翼に向こうの特訓はどうかと尋ねているところだった。

 

『くっ……! 中々どうして……! タフなメニューの連続です!!』

「んっ……?」

 

ちなみに今翼達が行っている特訓と言うのが……誰がどう見てもビーチバレーしてみんなで遊んでいるようにしか見えなかった。

 

「翼さん……本気にしちゃってるよ?」

「取りあえず肩の力を抜くためのレクリエーションなんだけどなぁ……ハハハ……」

 

未来と響が苦笑いしながらそんな会話をしており、ビーチバレーはマリアとエルフナインのコンビ、翼とクリスのコンビで対決していた。

 

最初にエルフナインがボールを投げてボールを相手に向かって飛ばそうと手を振るってサーブを打とうとするのだが……手はボールに当たらずスカッと空振りに終わってしまい、エルフナインはそのまま軽く転んでしまう。

 

「アレ……? なんでだろう? 強いサーブを打つための知識はあるのですが……実際やってみると全然違うんですね?」

「背伸びをして誰かの真似をしなくても大丈夫。 下からこう……こんな感じに!」

 

そこでマリアがボールを拾ってエルフナインにボールの打ち方を教え、エルフナインは「すいません……」と謝罪するのだが、それにマリアは彼女に対し優しく声をかける。

 

「優しく打っても大丈夫。 大事なのは自分らしく打つことだから」

「はい! 頑張ります!」

 

それからしばらくするとランと修行を一旦終えて物凄い疲労した顔のコウマや零無が戻って来たのだが……コウマも零無も「もう無理……」とバタリとその場に倒れ込み、それを見て慌ててクリスと切歌が2人の元に駆け寄る。

 

「おいおい大丈夫かよコウマ……?」

「零無、今回はどんな修行してたのか知りませんけどまた随分エゲツないのやらされたみたいデスね……?」

 

そのままコウマはクリスに、零無は切歌に膝枕して貰い、それによってコウマも零無も少しだけ元気を取り戻すのだった。

 

「あぁ、そうだ……。 クリス、俺お前に言わないといけないことがあるの忘れてた……」

「あっ? なんだよ?」

「水着似合ってる、凄く可愛い……。 クリスは赤が似合うな。 こういう台詞、彼氏なら言わないと……だろ?」

 

コウマはクリスの頬に手を添えながら彼女の水着の感想を言い、それを聞いたクリスは頬をほんのり赤くした。

 

「良いから休んでろ……!」

 

クリスは照れ臭そうにそっぽを向き、そんな2人のやり取りを見た切歌はこの後零無も自分の水着の感想とかを言って貰えるのかと期待したのだが……。

 

「ZZzz……」

 

思いっきり切歌の膝の上で爆睡していた。

 

「……」

 

それにイラッとした切歌は思いっきり零無の尻を抓った。

 

「イッツ!!? なんだ!? なんだ!?」

「零無なんて知らないデース!」

 

そのまま立ち上がって切歌は零無から離れるようにその場から離れ、零無は訳が分からないといった顔を浮かべていた。

 

「俺なんかした!?」

 

零無はマリアと調に自分が何かしたのか尋ねるのだが……マリアと調の2人からは「自分で考えろ、バカ」としか言われず、零無は訳が分からず困惑しっぱなしだった。

 

その後も合流したコウマと零無、ランを含めてみんなで海で遊び、今はみんなでサマーベッド等に寝転んで休んでいるところだった。

 

「気がついたら特訓になっていた……」

「どこのどいつだ……? 途中から本意気になったのは?」

「ところでみんな? そう言えばお腹空きません?」

 

とそこで響が一同にそう尋ね、それにはコウマやランも同意だったのだが……。

 

ここは政府所有のビーチで一般の海水浴客もいないので当然、そんなところに売店などある筈もない。

 

そのことから一同は即座に「ならば誰かが買い出し」に行くしか無いということに気づき、その瞬間全員が立ち上がってコンビニ買い出しを決めるじゃんけんを行うことに。

 

『コンビニ買い出しじゃんけんポン!!』

 

じゃんけんの結果……コウマ、響、未来、クリス、マリア、エルフナイン、カイト、ランがグーで翼、切歌、調、零無がチョキを出した為、買い出しは翼、切歌、調、零無の4人に決定するが……翼だけなぜかチョキが指鉄砲であり、それに響は思わず笑い出してしまう。

 

「あはははは!? 翼さん変なチョキ出して負けてるし!?」

「なっ! 変ではない!! カッコイイチョキだ!!」

「なんだよ、カッコイイチョキって……指鉄砲じゃん」

 

翼のチョキの出した方に零無もツッコミを入れるのだが……零無も結構おかしなチョキを出しており、しかもそれが普通の人にはとても真似できないようなチョキであったため、あんまり人のことを言えないでいた。

 

「お前も変なチョキだけどそれ……ヨハ〇チョキじゃねーか。 それできる奴ある意味凄いわ。 それじゃパシリ頼むぞ零無」

「誰がパシリだコラ」

 

また調や切歌も「斬撃武器が……!」「軒並み負けたデス!」とじゃんけんに負けたことを悔しがっていた。

 

「好きなものばかりじゃなくて塩分とミネラルを補給できるものもね!」

 

そんな切歌と調にマリアがそう注意し、彼女はムスっとした表情で自分の出したカッコイイチョキを見つめている翼に「人気者なんだからこれかけて行きなさい」と笑みを浮かべながらサングラスをかける。

 

「……母親のような顔になっているぞ、マリア?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、翼、零無、切歌、調は海の近くにあるコンビニでみんなの食べ物や飲み物などを買い終え、一同は海に戻ることに。

 

尚、切歌と零無は自分の好きなものばかりを買っており、それに調は呆れたような表情を浮かべていた。

 

「切ちゃんも零無も好きな物ばっかり」

「こういうのは役得というのデース!」

「そうだそうだ! しかも俺が1番荷物多く持たされてんだぞ!!」

 

そこは男なのだから当たり前だろうと思う切歌と調はジトっとした視線を零無に送り、そんな零無達3人のやり取りを見て微笑ましく感じたのか翼は思わず小さく笑ってしまう。

 

そして4人が歩いていると壊れた神社の周りに人が集まっていることに気づき、周りにいた学生達はそれが昨日の台風のせいではないかなど話し合っていたのだが……よく見ると周りには氷で出来た柱のようなものが所々見当たり、翼達もすぐにそれがどこかで見覚えのあるものだと気づく。

 

同じ頃、海の方では響と未来が楽しげに談笑しているとそこにエルフナインが駆け寄る。

 

「皆さん! 特訓しなくて平気なんですか!?」

「真面目だなぁ~、エルフナインちゃん!」

「暴走のメカニズム応用したイグナイトモジュールは三段階のセーフティにて制御される危険な機能でもあります!! だから自我を保つための特訓を!!」

 

エルフナインがそこまで言いかけたその時である。

 

突如海の中からオートスコアラーの1人であるガリィが出現し、それに響達は驚く。

 

「夏の思い出作りは十分かしら?」

「んな訳ねえだろ!!」

 

そこへクリスやコウマ、ランやカイトにマリアも駆けつけ、クリスと響は即座に「歌」を口ずさんでイチイバルとガングニールを身に纏う。

 

挿入歌「TRUST HEART」

 

クリスは「歌」を歌いながらガリィに向かってボウガンのアームドギアを構えてエネルギーの矢を幾つも放ち、ガリィはそれを避けて真っ直ぐクリスへと向かって来るのだが……。

 

クリスは見事に自分に向かって来るガリィを矢で撃ち抜くことに成功、しかしそれは水で出来た偽者であり、ガリィは突然響とクリスの背後に現れて響とクリスに攻撃を繰り出して吹き飛ばす。

 

「俺も……!!」

 

コウマも戦いに参加しようとギンガスパークを取り出すのだが……そこにいきなり目の前にガッツ星人 ボルストが現れ、両手から光線を放つ。

 

「うおっ!? あぶね!!?」

 

コウマはそれを素早くどうにか避ける。

 

「お前の相手はこの俺様がしてやるよォ!! ウルトラマンギンガ!!」

 

キューバはチブルスパークとスパークドールズを取り出し、スパークドールズをチブルスパークにリードさせるとキューバはシロクマのような姿をした「雪女怪獣 スノーゴン」へとライブして巨大化。

 

『モンスライブ! スノーゴン!』

 

スノーゴンはコウマを踏み潰そうとするがそれよりも素早くコウマはギンガスパークを掲げてブレード部分を展開、するとそこからギンガのスパークドールズが現れ、それを掴み取ってギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

「ギンガアアアアアア!!!!」

 

ギンガスパークを再び掲げるとコウマは眩い光に包まれ、その中から「ウルトラマンギンガ」へと変身して飛び出し、そのまま勢いをつけてスノーゴンの顎を殴りつける。

 

『マリアさん! ランさん! カイト! エルフナインと未来を連れて逃げてください!!』

 

ギンガの言葉を受けてマリアとラン、カイトは頷き、彼等は戦えない未来とエルフナインを連れて急いでこの場から離れることに。

 

そしてスノーゴンはギンガに向かって突進してくるが……ギンガはそれを両手で受け止め、ここでは響達の戦いの邪魔になると考えスノーゴンを持ち上げてなるべく人のいない山の方へと投げ飛ばし、スノーゴンは倒れ込む。

 

『ショウラ!!』

「グオオオオ!!?」

 

そのままギンガもジャンプしてスノーゴンの元へと行き、倒れ込んでいるスノーゴンに向かって駈け出すのだがスノーゴンは口から冷気ガスを発射しギンガは急いで後方へと飛んで回避する。

 

「グルアアアア!!!!」

 

そして響達の方ではガリィがアルカノイズとチブロイド達を召喚し、響は向かって来るアルカノイズ達とチブロイド達を拳で殴りつけて倒す。

 

2体のチブロイドが背後から光線銃を響に構えて来たが彼女は即座にダッシュしてチブロイド達に詰め寄り、回し蹴りで破壊する。

 

クリスは周りを囲もうとしてくるアルカノイズやチブロイド達に銃弾を撃ち込みながら倒していき、空中にいる飛行型のアルカノイズもミサイルで撃ち落とす。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

そこへ零無が変身した等身大の「ウルトラマンビクトリー」も駆けつけ、回し蹴りの要領で足のVクリスタルから放つ「ビクトリウムスラッシュ」でアルカノイズとチブロイドを破壊。

 

さらに零無はキングジョー カスタムのスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせる。

 

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

右腕を「キングジョーランチャー」に変えたビクトリーはクリスと背中合わせに並び立ち、空中にいる飛行型ノイズを共に撃ち抜いていく。

 

「おい、ポンコツ! 先輩達はどうした!?」

『もう君の俺への呼び方それなのね。 切歌と調はマリア達のとこ向かわせた。 翼さんは避難誘導だ』

 

空中の敵をあらかた片付けたビクトリーはさらに右腕を「EXレッドキングナックル」に変える。

 

『ウルトランス! EXレッドキング! ナックル!』

『響! 一緒にぶん殴るぞ!!』

「うん!!」

 

響とビクトリーは同時に跳び上がって地面を殴りつけ、その際に起こった衝撃波によって数体のチブロイドとアルカノイズ達が吹き飛ばされるのだが……。

 

そこで響はあることに気がついた。

 

「……んっ?」

『どうした?』

「あのオートスコアラーがいない!? まさか、マリアさんの方に!?」

『なに!? だがランさんやカイト、マリアの3人がいるし、切歌達も向かってる。 そうそうヤバいことにはならないと思うが……』

 

だがどの道、もしものことがあってはならないため、急いでアルカノイズとチブロイド達を倒すことにする3人。

 

またスノーゴンと戦闘を繰り広げるギンガは……。

 

スノーゴンはギンガに向かって走り、タックルを喰らわせて突き飛ばすのだがギンガは空中を回転して着地し、全身のクリスタルを赤く発光させて無数に生み出した火炎弾を放つ「ギンガファイヤーボール」をスノーゴンへと放つ。

 

『ギンガファイヤーボール!!』

 

しかしスノーゴンは口と両手から吐き出す冷気ガスでギンガファイヤーボールを凍らせて粉々に砕けてしまい、冷気ガスはそのままギンガに向かって放たれる。

 

『ウア!?』

 

どうにか冷気ガスから抜け出そうとするギンガだがスノーゴンはしつこく冷気ガスを放ちながらギンガを追い回し、ギンガは冷気ガスの攻撃に苦しみ膝を突くが……。

 

『オラァ!!』

 

気合いを入れてなんとか立ち上がったギンガはジャンプして冷気ガスを浴びながらも跳び蹴りをスノーゴンの頭部に叩きこむ。

 

フラつくスノーゴンだが負けじと拳を振るってギンガの顔を殴りつけ、さらにギンガに頭突きを喰らわせる。

 

『グゥ!?』

 

また殴りかかろうとするスノーゴンだがギンガはそれを受け流してカウンターでパンチをスノーゴンの顔面に叩きこむのだが、スノーゴンは即座に反撃してギンガの腹部を蹴りつける。

 

そのまま体当たりでギンガを突き飛ばし、倒れ込んだギンガに蹴りを叩き込んでギンガ地面を転がる。

 

どうにか立ち上がったギンガは全身のクリスタルを白く発光させて右腕のクリスタルから光の剣「ギンガセイバー」を形成し、スノーゴンに向かって斬りかかるのだが……スノーゴンは余裕でギンガの右腕を掴んで胸部に力強いチョップを叩きこむ。

 

さらにスノーゴンは両手から相手を拘束する「金縛り光線」を放ち、ギンガの動きを拘束する。

 

『ハッハッハ!! これがチブルサーキットの力か!! 中々良いじゃ無いか!! それでは呆気ないがこれでトドメだ!!』

 

スノーゴンは口と両手から冷気ガスをギンガに向かって放ち、ギンガの身体は徐々に凍り付いていく。

 

『ウアアア!!!? グウウ!!?』

『フハハハハ!! カチンコチンになってしまえ!!』

『そうは行くかよ!! 行くぜ!!』

 

ギンガの中にいるコウマは左腕のストリウムブレスのタロウの顔が描かれたレリーフを横に向けて変身モードにさせ、ギンガスパークをリードさせる。

 

『今こそ、1つになる時!』

『ウルトラマンタロウ!』

『ギンガに力を! ギンガストリウム!!』

 

ギンガの姿に「ウルトラマンタロウ」の姿が重なり合うとギンガは姿を変え、「ウルトラマンギンガストリウム」へと強化変身し、その際に身体に張り付いていた氷も金縛り光線による拘束も吹き飛び、それにボルストは驚く様子を見せる。

 

『なんだとォ!!?』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

スノーゴンは再び金縛り光線を放ってギンガを拘束しようとするがギンガはジャンプして回避し、そのまま膝蹴りをスノーゴンの顔面に叩きこむ。

 

「ギシャア!!?」

 

さらにスノーゴンに詰め寄ったギンガは連続で何発も拳をスノーゴンの腹部に叩き込む。

 

スノーゴンは攻撃に耐えながらもなんとか反撃しようと右腕を振るったがギンガはそのスノーゴンの腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、スノーゴンは倒れ込む。

 

『シュア!!』

 

倒れ込んだスノーゴンに拳を叩き込もうとするギンガだったがスノーゴンはすぐさま口から冷気を発射、ギンガは即座にスノーゴンから離れる。

 

スノーゴンは立ち上がってそのままギンガに向かって冷気を放ち続けるが、ギンガは跳び上がってスノーゴンの頭上を飛び越えて背後に降り立つと回し蹴りを喰らわせる。

 

『おのれぇ~!! 姿が変わったくらいで調子に乗りやがって!!』

 

するとスノーゴンはボルストの分身能力によって4体に増え、それぞれ4方向から口と両手から冷気ガスを放つのだがギンガは飛行して攻撃を回避する。

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると「ウルトラマンジャック」の力が発動される。

 

『ウルトラマンジャックの力よ!』

『させるかあああああ!!!!』

 

4体のスノーゴンは空中にいるギンガに向かって冷気ガスを放つが……。

 

『ウルトラディフェンダー!』

 

ギンガの左手首に1つのブレスレット、「ウルトラブレスレット」が装着され、銀色に輝く巨大な盾「ウルトラディフェンダー」に変形し、スノーゴンの冷気ガスを防ぐ。

 

さらにそれだけではなくスノーゴンの放った冷気をまとめて跳ね返し、4体のスノーゴンは今度は自分がカチンコチンに凍りついてしまう。

 

『これでトドメだ!!』

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると再びジャックの力を発動させる。

 

『ウルトラマンジャックの力よ! ウルトラショット!!』

 

右手に左手を添えた構えで、右手先から発射する光線「ウルトラショット」を放ち、氷付けにしたスノーゴン4体全てに喰らわせるとスノーゴンは爆発……ライブも強制解除され、ボルストは大地に降り立つ。

 

『おのれ!! 覚えていろ!! ウルトラマンギンガ!!』

 

ボルストはそれだけ言い残してその場を立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来とエルフナインを連れて逃げるマリア、ラン、カイトだったが……ガリィが5体のチブロイドを引き連れて現れ、一同の前に立ち塞がる。

 

「見つけたよ? ハズレ奏者!!」

「っ……!」

 

ガリィは氷の剣を作り出し、マリアに向かって行くが……それに対してマリアもガリィに向かって「歌」を口ずさみながら駈け出す。

 

「~♪」

 

マリアはガリィの剣をギリギリの位置で躱し、そのまま彼女は拳をガリィの顔面に叩き込んで殴り飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

そしてマリアはガリィを殴った左腕からセレナから受け継いだシンフォギア……「アガートラーム」を身に纏う。

 

挿入歌「銀腕・アガートラーム」

 

「マリアさん!? それは……!」

「新生アガートラームです!!」

 

未来はマリアの纏ったアガートラームに驚く様子を見せ、エルフナインはそれが新しく生まれ変わったアガートラームであることを説明する。

 

それを見ていたランとカイトは自分達も加勢しようとするのだが、そこに丁度、ランとカイトに弦十郎からの通信が入った。

 

『大変だ!! 俺達の街の方であのチブロイドというアンドロイド達がビクトリウムを探し回っている! 至急、ウルトラマンの誰かがこっちに向かってくれないか!?』

「分かりました! 俺が行きます!!」

 

弦十郎からの連絡を受けてそれをカイトが承諾し、彼はマックススパークを取り出して腕に装着すると等身大の「ウルトラマンマックス」へと変身し、飛行してマッハのスピードで自分達の住んでる街に戻るのだった。

 

「あん時みたく、失望させないでよ?」

 

ガリィはそう言いながらアルカノイズを複数体召喚し、マリアはすぐさま左腕部ユニットからアームドギアである短剣を引き抜いてそれに連なって引き出された無数の短剣を周囲の空中に展開、一斉に投擲する「INFINITE†CRIME」を繰り出す。

 

短剣はアルカノイズ達の身体を貫き、倒すとマリアは短剣のアームドギアを逆手に持ってかけ出し、向かって来るアルカノイズ達を次々に切り裂く。

 

またランも襲いかかってくるチブロイド達を相手に戦闘を行っており、チブロイドの2体が同時に殴りかかって来るがランは素早く相手の腹部に拳を叩き込んでチブロイド達を後退させる。

 

するとそこで別のチブロイド2体が未来とエルフナインを襲おうと飛びかかるが、ランは即座にあった大きめの石を2つ拾いあげて力いっぱいに投げ、それらがチブロイド2体の顔面に直撃して石が食い込み、2体のチブロイドは火花を散らして倒れ込む。

 

一方でマリアも周り囲んで攻撃を仕掛けてきたアルカノイズ達を一瞬で切り裂き消滅させる。

 

(特訓用のLiNKERが効いている!! 今の内に……!)

 

携えて振るう短剣の刀身を蛇腹剣のように変化させ、あらゆる角度から周囲一帯の敵を斬り裂く「EMPRESS†REBELLION」で残ったアルカノイズを一気に倒すマリア。

 

ランもチブロイドの1体の胸部を拳で貫き、残った最後の2体も取り出した「ウルトラゼロアイ・ガンモード」で光線を放ち、完全に破壊する。

 

「うわぁ~! 私負けちゃうかも~? アッハハハハ!!」

 

そんなことを言っている割に結構余裕そうな態度のガリィ。

 

そしてマリアは残ったガリィを倒すべく、アームドギアをガリィに向かって攻撃を仕掛けるのだが……。

 

「なんてね♪」

 

ガリィはマリアの攻撃をあっさりと回避し、氷の弾丸を放ってそれがマリアに直撃。

 

彼女は吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐぅ……。 強い! だけど……!!」

 

マリアは胸部にあるイグナイトモジュールを発動するためのクリスタルを握りしめ、それを見たガリィはニヤリとした笑みを見せ、ランは逆に不安そうな顔を浮かべる。

 

「聞かせて貰うわ?」

「あいつ、イグナイトを使う気か!?」

「この力で決めて見せる!! イグナイトモジュール!! 抜剣!!」

 

マリアはそう叫んで胸部のクリスタルを取り外し、イグナイトモジュールを起動させる。

 

そしてクリスタルは細長い剣のような形となり、マリアの胸部に突き刺さる。

 

「うぐ……うぅ!? うあああああ!!!!?」

 

するとマリアの身体から黒いオーラのようなものが溢れ出し、彼女は悲痛な声をあげて膝を突き……、そしてその黒いオーラがマリアを包み込もうとする。

 

「弱い自分を、殺す……!! うあああああ!!!!?」

「っ! 弱い自分を、殺す……?」

 

マリアの先ほど呟いた言葉に、ランは思わず首を傾げた。

 

「うぐあああああああ!!!!?」

 

マリアが大きく悲鳴にも似た声をあげたその時、彼女の胸部から赤い光が一瞬眩く輝くと彼女はあの黒いオーラに包まれ、漆黒の姿へと変貌したのだ。

 

それは以前、響が暴走した時の姿にも酷似している。

 

「クソ! 暴走しやがった!?」

 

ランはマリアを止めようとするがそれよりも早く、彼女は雄叫びをあげながらガリィへと襲いかかり、攻撃を繰り出すのだがガリィはマリアの攻撃を次々と回避。

 

「獣と墜ちやがった!」

 

そこに丁度響とクリスも駆けつけたのだが、彼女等は変貌したマリアの姿を見て思わず固まってしまい、驚く。

 

「あれはまさか、暴走!?」

「魔剣の呪いに飲みこまれて……!?」

 

マリアは雄叫びをあげながらさらにガリィに攻撃を繰り出すが、ガリィはマリアの攻撃を余裕で回避し続け、一瞬の隙を突いてマリアの顔を掴みあげる。

 

「いやいや、こんな無理くりなんかでなく、歌って見せろよ!! アイドル大統領!!」

 

ガリィがそのままマリアを地面に叩きつけようとした時……。

 

『シュア!!』

 

そこにランが変身した「ルナミラクルゼロ」が現れ、ガリィの腕を弾き、ガリィの腹部に掌を当てて衝撃波を放ち、相手を吹き飛ばす「レボリウムスマッシュ」を繰り出す。

 

『レボリウムスマッシュ!!』

「ぐああああ!!!?」

 

だが暴走したマリアはゼロにすら攻撃を仕掛けようと右手を大きく挙げて拳を振り下ろすのだが、ゼロはそれを受け流し、マリアにも「レボリウムスマッシュ」を撃ち込んで自分から引き離す。

 

「ウグガアアアア!!!!」

 

それでも尚マリアはゼロに襲いかかろうと突進して来るが……。

 

『ったく、世話がやけるぜ!』

 

相手の周囲を高速回転しながら相手を泡状に包み込む鎮静光線「フルムーンウェーブ」をゼロはマリアへと放つ。

 

『フルムーンウェーブ!!』

「ガアアア!!? ぐっ……うぅ……」

 

ゼロのフルムーンウェーブを受けたことでマリアの暴走はなんとか収まり、彼女はギアが解除されて倒れそうになるがそれをゼロが支える。

 

「チッ、やけっぱちで強くなれるなどとのぼせるな!! 外れ奏者にはガッカリだ!」

 

ガリィは手を拭きながらそんな悪態をつき、足下に魔法陣のようなものを出現させるとそのまま彼女は撤退する。

 

すぐさまクリス達はマリアの元へと駆け寄り、エルフナインは必死に彼女の名を呼ぶ。

 

「……勝てなかった……」

 

幸い、マリアはすぐに意識を取り戻したが……。

 

「私は、何に、負けたんだ……?」

『……分かんねえか?』

「えっ?」

 

ゼロの突然の言葉に、マリアは首を傾げる。

 

『お前が何に負けて、どうしてアイツに勝てなかったのか。 簡単なことだぜ?』

「っ……」

 

そんな風に、ゼロはマリアに声をかけるのだが……彼女には、ゼロの言っている意味が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チフォージュ・シャトー。

 

「派手に立ち回ったな?」

「目的ついでにちょっと寄り道を」

 

ガリィは他のオートスコアラー達の元へと戻って来り、レイアの問いかけにガリィはそう答える。

 

「自分だけペンダント壊せなかったの引きずってるみたいだゾ?」

「うっさい!! だからあのハズレ奏者からむしり取るって決めたのよ!!」

 

ミカの言葉に怒鳴るように叫ぶガリィ、すると彼女は自分と一緒に行動していたボルストの姿を見渡すのだが……どこを見てもボルストの姿は見当たらなかった。

 

「そういや、あのアホ鳥どこ行ったのよ? あいつもまたウルトラマンを倒すの失敗したんでしょ?」

「なんかまたエクセラーのところに文句言いに言ったみたいだゾ?」

 

ガリィはミカからの説明を聞き、「はぁ」とどこか呆れたような溜め息を吐く。

 

「ったく、どいつもこいつも使えない宇宙人ばっかりだな! ったく!!」

「ホント、頑張り屋さんなんだから……。 私もそろそろ動かないとね?」

 

ファラがガリィを見ながらそう呟く。

 

(チッ、1番乗りは譲れない……!)

 

ガリィは心の中でそう言い放ちながら、上を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、コウマ達は別荘の中でキャロルがいなくなったにも関わらず行動するオートスコアラー達について話し合っていた。

 

尚、またチブロイド達がビクトリウムを狙って自分達の街に現れたことから恐らくエクセラーも健在だと思われ、今は零無とカイトを一旦街の方に帰らせている。

 

「主を失って尚襲いかかる人形……」

「どうして優位に事を運んでもトドメを刺さずに撤退を繰り返しているのだろう……?」

 

調がフっと疑問に思ったことを口にすると、確かに今まで奏者に対してトドメを刺すチャンスは幾つかあった。

 

今日だってゼロの相手をベルメかキューバ辺り連れて来てモンスライブさせればもう少し足止めにもなったし、マリアにもトドメを刺せただろう。

 

だがそれすれもしなかったことから、コウマは「余裕のつもり」なのかと考えたが……。

 

「いやでも、それにしては違和感がある気がするしな……。 うーん?」

「気になると言えば、マリアさんも……」

 

そこで未来がマリアのことを思い出し、それに対してマリアと同じく何度か暴走してしまったことのある響は暗い表情を浮かべる。

 

「力の暴走に飲み込まれると、頭の中まで黒く塗り潰されて何もかも分からなくなってしまうんだ……」

 

一方、マリアは頭に包帯を巻き、1人暗い顔を浮かべて下に俯いていた。

 

(あんな風に仲間に救われるとは情けない……。 私が弱いばかりに、魔剣の呪いに抗えないなんて……!)

 

マリアは昼間のことを思い出しながらそんなことを考えており、彼女は力強く自分の右手を強く握りしめた。

 

(強くなりたい)

「ってか?」

「っ!?」

 

不意に突然誰かに声をかけられたマリアは慌てて声のした方を見るとそこには2つの缶ジュースを持って「よっ!」と軽く挨拶をするランの姿があり、ランは缶ジュースの片方をマリアに投げ渡す。

 

「俺の奢りだ」

「ありがとう」

 

するとランは缶ジュースの蓋を開けてなぜかマリアの隣に立ってジュースを飲み始める。

 

「何か、用?」

「いやなに、今のお前を見ていると……俺の故郷、光の国にいたある2人のウルトラ戦士を思い出しちまってな」

「ある2人?」

 

マリアが首を傾げるとランは「あぁ」と笑いながら答える。

 

「そいつ等は今のお前見たいに強さを求めていたんだ。 その内の1人は力を追い求める余り、禁断の力に手を出そうとしたんだ」

 

だがその結果、彼はその力のエネルギーに耐えきることが出来ず、M78宇宙警備法違反により光の国を追放されてしまったのだという。

 

その後、宇宙を彷徨っていた彼は「レイブラッド星人」と呼ばれる宇宙人の手によって怪獣達を操るレイオニクスの力を与えられ、邪悪なウルトラ戦士へ変貌し、悪の道へと墜ちた戦士……「ウルトラマンベリアル」と呼ばれる者がいたのだとランはマリアに説明する。

 

「ウルトラマンの中にも、そんな人がいたのね……」

 

マリアは少しばかりランの話を聞いて驚きの様子を見せるが、話はまだ終わりでは無い。

 

「そしてさっき言った2人目だ。 そいつもバカなことに、自分の弱さが嫌で絶大な力を求めて禁断の力に手を出そうとしたことがあるんだ。 だが、間一髪のところ自分の親父に引き止められてな。 『お前にウルトラ戦士を名乗る資格はない』とまで言われちまった訳だ」

 

ランの話を聞き、結局はマリアは彼が何か言いたいのか分からず首を傾げる。

 

「まっ、要するに目先の強さばかり求めてたらロクなことにならねえってことだ」

「私も、その2人のようになると言いたいの?」

「今のお前ならそうなりかねないな。 いや、きっとそうなるだろうよ」

 

それを聞いてマリアは怪訝そうな表情を浮かべ、ランに怒るように叫ぶ。

 

「だったら、だったらどうすれば……!!」

 

マリアがそこまで言いかけた時である、マリアとランの足下に1つのバレーボールが転がって来たのだ。

 

するとそれを追いかけるようにエルフナインも現れ、どうやらバレーボールの打ち方の練習をしていたらしい。

 

「ごめんなさい! 皆さんの邪魔をしないよう思ってたのに……」

「邪魔だなんて……!」

「おう、子供は外で遊ぶのが1番だぜ?」

 

ランはそんなエルフナインに笑みを浮かべながらワシャワシャと彼女の頭を撫でる。

 

「マリア、練習、付き合ってやったらどうだ?」

「えっ……?」

 

ランの突然のその言葉にマリアは戸惑うが……。

 

「取りあえず、気分転換に付き合えよ」

 

そう言われてマリアは少し考え込むが……すぐに答えは決まった。

 

「そうね、練習に付き合うわ。 エルフナイン」

「あ、ありがとうございます!」

 

そこからマリアはエルフナインのボールを打つ練習に付き合うことになったのだが……、エルフナインは中々上手くボールを打つことが出来ず、彼女は「おかしいなぁ~」と呟きながら首を傾げていた。

 

「上手く行かないな、やっぱり」

 

するとエルフナインを見ていたマリアはフッと思ったことを彼女に問いかけた。

 

「色々な知識に通じているエルフナインなら、分かるのかな?」

「えっ?」

「だとしたら教えて欲しい。 『強い』って……どういうことかしら?」

 

マリアがそうエルフナインに尋ねると……彼女は笑みをマリアに向ける。

 

「それは、マリアさんが僕に教えてくれたじゃないですか!」

「えっ?」

 

エルフナインから返って来た言葉にマリアはキョトンっとした顔を浮かべると……。

 

突如、マリアの背後から大量の水が噴水のように噴き出し、その水の上にはガリィが乗っていた。

 

「お待たせ! ハズレ奏者!」

 

マリアはエルフナインを庇うように立ち、そこに丁度ランも駆けつける。

 

「また来やがったのか!!」

「あん? アンタに用は無いのよ! 目玉!! さっさとウルトラマンゼロの相手してきなさいよ!」

 

するとガリィに呼び出されるようにテレポートでキューバが出現し、キューバはギロリと自分に偉そうに命令してくるガリィを睨み付ける。

 

『目玉って呼ぶなって言ってんだろ!! まぁいい! ウルトラマンゼロ、覚悟しろ!!』

 

キューバはチブルスパークと1つのスパークドールズを取り出し、スパークドールズをチブルスパークにリードさせる。

 

『モンスライブ! バラバ!』

 

キューバは右手が鉄球、左手が鋭い鎌となった「殺し屋超獣 バラバ」にライブし、それに対してランもウルティメイトブレスレットから「ウルトラゼロアイ」を取り出して装着する。

 

「今回は、例外として最初から手を出させて貰うぜ? デュア!!」

 

そしてランは「ウルトラマンゼロ」へと変身し、その際に上空へと飛んでそのまま右足に炎を宿した跳び蹴り「ウルトラゼロキック」をバラバに叩きこんで吹き飛ばし、マリア達から遠ざける。

 

『ウルトラゼロキック!!』

「ギシャアア!!?」

 

倒れ込むバラバだが、バラバはすぐに起き上がり、ゼロに向かって頭部の剣を投げつける。

 

それに対してゼロも頭部にある2つのブーメラン、「ゼロスラッガー」を放つのだが……バラバの剣は2つに分裂して歯車のように回転し、ぶつかり合ったゼロスラッガーを弾いてしまう。

 

『なに!?』

 

ゼロは両手で弾かれたゼロスラッガーをキャッチし、バラバは剣を1つに戻して自分の頭部に戻す。

 

『この俺もチブルサーキットを預けられているんでな!! こっちもパワーアップしてるって訳よぉ!!』

『へっ、面白れぇじゃねえか……。 ブラァックホールが吹き荒れるぞ!!』

 

一方でマリアはというと……彼女は頭の包帯を外してアガートラームを起動させようとしていた。

 

「今度こそ歌えるんでしょうね?」

「っ……」

 

ガリィのその言葉に、マリアは汗を流すが……。

 

「大丈夫です!! マリアさんなら出来ます!!」

 

エルフナインからの声援を受け、マリアは「歌」を口ずさみ、「アガートラーム」を身に纏う。

 

「ハズレで無いのなら、戦いの中で示して見せてよ!!」

 

ガリィはそう言い放ちながらアルカノイズとチブロイド達を召喚し、マリアは短剣のアームドギアを右手で逆手に持ちながらアルカノイズとチブロイド達に突撃し、一気に数体の敵を切り裂く。

 

さらにマリアは短剣のアームドギアを複数個重ね合わせて合体させて鞭のような形にし、それを振るってより広範囲に渡ってチブロイドやアルカノイズ達を切り裂く。

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロのテーマ」

 

そしてゼロはバラバに向かって駈け出し、バラバは左手の鎌でゼロを斬りつけようとするがそれを両手で受け止め、ゼロは膝蹴りをバラバの腹部に叩きこむ。

 

「グルゥ!!」

 

しかし大したダメージも無く、バラバは即座に右手の鉄球を横に振るってゼロの脇腹を殴りつけ、ゼロはフラついてしまう。

 

そのまま追撃しようとして左手の鎌を振りかざすバラバだが、ゼロはそれを受け流してカウンターで拳をバラバの顔面に叩き込む。

 

『シュア!!』

 

さらにそのまま連続で拳をバラバの胸部に叩き込む。

 

「グオオオオ!!!!」

 

バラバは負けじと右手の鉄球でゼロに殴りかかるが、ゼロはその腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、バラバは地面に倒れ込む。

 

『デヤァ!!』

 

ゼロはそのまま倒れ込んだバラバに拳を振り下ろすが、バラバは両腕を交差して攻撃をガードし、剣からショック光線をゼロに喰らわせる。

 

『グゥ!?』

 

火花を散らし、後退するゼロ。

 

さらに即座に立ち上がったバラバはゼロに向かって頭部の剣を投げ……投げられた剣は2つに分裂し、手裏剣のように回転してゼロに襲いかかる。

 

だがゼロは「ゼロスラッガー」を両手に持ってバラバの剣を弾くのだが、その一瞬の隙を突いてバラバは口から火炎放射を発射し、ゼロの身体は炎に包まれてしまう。

 

『ぐあ!!!?』

 

しかしゼロはすぐに炎の中から抜け出してバラバに接近し、ゼロスラッガーを振るってバラバを斬りつける。

 

「グアア!!?」

 

一方でコウマ達がいる別荘の方でもアルカノイズの反応を検知し、窓からバラバも出現し、ゼロが戦っている様子を見てコウマはゼロ、響達はマリアの元へと向かう。

 

だが、コウマ達が外に出て行く際、コウマ達の元に来ていた緒川は廊下をコウマ達と入れ替わるように「何か」が通り過ぎるのを目撃。

 

慌てて彼は部屋を出て確認するのだが、そこには何も無く。

 

「風……?」

「どうしたんですか?」

「あっ、いえ、大丈夫です。 きっと……」

 

未来の問いかけに緒川はそう答え、あれは気のせいだったのかもしれないと彼は思うのだった。

 

また、ゼロの元についたコウマはまだギンガのスパークドールズが使用できないため、零無から借りた怪獣にライブしようとするのだが……。

 

『待て! 今回は特別だ! こいつの相手は俺がやる!!』

「でも!」

『お前はマリアんところに行ってきな!!』

 

ゼロのその言葉にコウマは戸惑いつつも頷き、言われた通り彼もマリアの元へと向かうのだった。

 

そしてガリィと戦うマリアは……。

 

マリアはガリィの放った水流を三角状のバリアで攻撃を防ぐが……即座にガリィは連続で強力な水流を放ち、マリアはどうにかバリアで攻撃を防ぐのだが……。

 

(強く……! 強くならねば……!!)

「マリアさん!!」

 

しかし、ガリィの放った水流はマリアの身体を全体的に包み込み、彼女はその中で凍り付きそれを見たエルフナインはマリアの名を叫ぶ。

 

「う……ぐっ、強く!!」

 

どうにかマリアは氷を砕くことに成功するが、肉体には先ほどの攻撃でかなりのダメージが蓄積されたらしく、彼女は苦痛の声をあげながら膝を突く。

 

「てんで弱すぎる!!」

 

ガリィにそう言い放たれ、マリアは胸のクリスタルのイグナイトモジュールを起動させようとするが……。

 

「その力、弱いアンタに使えるの?」

 

ガリィのその言葉にマリアはハッとなった表情を浮かべ、その手を止める。

 

「私はまだ、弱いまま……。 どうしたら強く……!」

『テメーは何時までそんなことでグダグダ悩んでやがる!!』

 

その時、ゼロの叫ぶような声が聞こえ、マリアは驚いたような表情を浮かべ、顔を上げてゼロの方へと向く。

 

ゼロはバラバの攻撃を受け流しながらカウンターで拳を何発も確実にバラバの顔面、腹部に叩き込みながらもマリアの方へと向き、彼女を指差す。

 

『そんなに自分の弱さが嫌か! 弱さを捨てちまったら、一生はお前強くなんてなれねえ!! 本当の強さ、お前はそれを知ってる筈だ!!』

「彼の、ゼロさんの言う通りです!! マリアさん!! 大事なのは、自分らしくあることです!! それは、マリアさんが僕に教えてくれたことじゃないですか!!」

 

ゼロに続くようにエルフナインはマリアにそう言い放ち、そのエルフナインの言葉はビーチバレーの時に彼女がエルフナインに向かって言った言葉。

 

それを聞き、マリアは再び立ち上がる。

 

「弱い……。 そうだ! 強くなれない私に、エルフナインとゼロが気づかせてくれた。 弱くても自分らしくあること。 エルフナインは弱くても危険を顧みず勇気を持って行動を起こし、私達に希望を届けてくれた!」

 

先ほどとは一変したマリアの雰囲気を感じ取ったガリィは今度こそ彼女が自分の期待に応えてくれるのではと思い、口元に笑みを浮かべる。

 

「エルフナイン、そこで聴いていて欲しい! 君の勇気に答える歌だ!」

『オイオイ、エルフナインの独占は良くねえな。 俺にも聴かせろよ。 そっちの方が戦いもやる気が出るってもんだ!!』

「えぇ、勿論ゼロ、あなたにも聴かせよう! 私の歌を!! イグナイトモジュール、抜剣!!」 

 

そして胸部のクリスタルを起動させ、取り外して空中へと投げるとそれが剣の形となり、マリアの胸部に突き刺さる。

 

「ぬっ、ぐぅ……!」

 

イグナイトモジュールを起動させ、苦痛に歪んだ顔を浮かべるマリア。

 

(狼狽える度、偽りにすがって来た、昨日までの私……!)

 

だが、今度は先ほどとは違い、マリアはその衝動に耐え続ける。

 

「そうだ! らしくあることが強さであるなら!! 私は弱いまま……この呪いに反逆して見せる!!」

 

すると今度はしっかりとイグナイトモジュールは起動し、マリアの纏っていたアガートラームは黒く染まり、イグナイトの起動に成功。

 

挿入歌「銀腕・アガートラーム (IGNITED arrangement)」

 

マリアは右手に短剣のアームドギアを持って構える。

 

「弱さが強さだなんて、トンチをきかせすぎだって!!」

 

ガリィはそう言いながら新たにアルカノイズとチブロイド達を召喚するが、マリアはアームドギアを左腕のアームと合体させ、そこから光の弾丸を幾つも発射して全てのアルカノイズとチブロイド達を貫き、彼女はあっさりとアルカノイズとチブロイドを倒してしまう。

 

「良いね良いねぇ~!!」

 

アルカノイズとチブロイドが倒されるとガリィは不気味に笑いながらマリアに向かって行き、マリアもまたガリィに向かって行き、素早くガリィを切り裂く。

 

しかし、ガリィの身体は切り裂かれる直前に身体を水に変化させており、水になった彼女は幾つもの水の球体となり、シャボン玉のように空中に浮かぶ。

 

それに対しマリアはガリィがその状態で攻撃を仕掛けて来ると読み、攻撃をされる前に光の弾丸で全ての水を撃ち抜く。

 

すると今度は本体のガリィがマリアの背後に突然現れる。

 

「私が1番乗りなんだから!!」

 

マリアのガリィに向かって素早く接近しアームドギアを振りかざすが、ガリィはバリアを張り巡らせて彼女の攻撃を受け止める。

 

だが、マリアのアームドギアの刀身が光るとガリィのバリアはあっさりと砕け散り、そのままマリアはガリィに強烈なアッパーカットを繰り出した。

 

「ぬあ!!?」

 

ガリィは空中へと大きく浮かび上がり、マリアもそれを追うように飛び上がりる。

 

マリアはアームドギアである短剣を左腕部ユニットの肘部側に柄から取付け、刀身を長大に変形させて腰部と左腕部ユニットのバーニアで加速してすれ違い様に敵を斬り裂く「SERE†NADE」を繰り出し、ガリィの身体は真っ二つに破壊され、彼女の身体に亀裂が入るとガリィは粉々に砕け散って倒されたのだった。

 

「1番乗りなんだからぁ~!!」

 

ガリィを倒したその直後に「マリアさん!!」と彼女の名前を呼びながら響達と少し遅れてコウマが駆けつける。

 

「オートスコアラーを倒したのか?」

「どうにかこうにかね……」

 

翼の問いかけにマリアはそう答える。

 

「これがマリアさんの強さ……」

「弱さかもしれない」

 

そのマリアの言葉にエルフナインは「えっ?」となる。

 

「でもそれは私らしくあるための力だ。 教えてくれてありがとう」

 

マリアはエルフナインに笑みを向けながらそうお礼を言うのだった。

 

それに対しエルフナインも嬉しそうに「はい!」と頷く。

 

「あとは……!!」

 

だがまだ戦いは終わっていない、マリアはバラバと戦うゼロに視線を映す。

 

「みんな、今回は……最後まで私とゼロに任せて欲しい」

 

マリアは一同に向かってそう言うと彼女はゼロの方へと駆け出す。

 

そしてゼロはバラバと未だに戦闘を繰り広げており、ゼロはタイプチェンジして一気に決着をつけようとするのだが……。

 

『させるかぁ!!』

 

右手の鉄球から鞭を伸ばしてゼロの首を締め上げ、さらにそこから電撃を流してゼロがタイプチェンジしようとするのを阻止する。

 

『ぐあああ!!?』

 

そのままバラバはゼロを引き寄せると左手の鎌でゼロの身体を斬りつける。

 

『ぐぅ!?』

 

その時だ。

 

マリアは腕部のアームと合体させたアームドギアからイグナイトによって強化された光の弾丸を幾つも発射してバラバの鞭を千切ったのだ。

 

バラバの拘束から解かれるとゼロは赤い姿の「ストロングコロナゼロ」へと変わる。

 

『ストロングコロナゼロ!! 助かったぜ、マリア!!』

 

挿入歌「DREAM FIGHTER」

 

ゼロは両拳に炎を纏い、バラバに向かって駈け出すとその拳を次々と連続で打ち込んでいき、バラバはどうにか反撃しようと炎を吐くがゼロはジャンプして回避。

 

そしてそのまま急降下キックをバラバの頭部に叩き込み、倒れ込む。

 

倒れ込んだところを狙いゼロはバラバの尻尾を掴みあげ、フルスイングして投げ飛ばす。

 

「グオオオオ!!!?」

 

それでもどうにかすぐに立ち上がり、バラバは口から火炎を放つが頭部のゼロスラッガーを掴んで炎を切り裂く。

 

それを見てバラバは頭部の刀を投げつけ、それを2つに分裂させて手裏剣のようにゼロに向かって投げるが……。

 

そこからゼロはゼロスラッガーを頭部に戻して青い姿の「ルナミラクルゼロ」へとチェンジ。

 

『ルナミラクルゼロ! レボリウムスマッシュ!!』

 

右掌から衝撃波を放つ「レボリウムスマッシュ」でゼロはバラバの2つの刀を吹き飛ばし、吹き飛ばされた刀は1つに戻って地面に突き刺さる。

 

『マリア、トドメは一緒にやろうぜ!』

「良いわね、面白そうだわ!」

 

ゼロの言葉にマリアは頷き、ゼロは身体を光の粒子に変換し、粒子はマリアを包み込む。

 

「ハアアア、ハア!!」

 

するとマリアの右手に三日月状の剣「ゼロツインソード」が握られ、マリアはバラバに向かって飛び上がるとゼロツインソードの左右の刃が長く伸び、マリアはそれを横一線に振るって敵を切り裂く「プラズマスパーククラッシュ」をバラバに炸裂。

 

「グルアアアアアア!!!!?」

 

身体を切り裂かれたバラバは爆発して倒され、マリアと分離したゼロは通常形態に戻って地面に着地し、マリアと視線が合うと互いに頷き合うのだった。

 

『俺達に勝とうなんざ……!』

「2万年早いわ!」

『あっ、おい! それ俺のぉ~』

 

またとある場所では……。

 

姿を今まで透明にしていたファラが突如現れ、彼女は静かに呟く。

 

「お疲れ様、ガリィ……。 無事に私は目的を果たせました」

 

同じ頃、チフォージュ・シャトーでは……。

 

ガリィが何時も立っていた場所から眩い青い光が溢れるとその上にあった青いカーテンのようなものに文字のようなものが刻まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、今回はもう特に何も起こることはないだろうということでカイトと零無が戻って来ると夜はみんなで花火をすることに。

 

「ねえ、あなたがさっき話していたことだけど……」

「うん?」

 

するとそこで花火をしながらマリアはランにあることを尋ねていた。

 

「アレって……もしかしてあなたの話でもあったんじゃないの? ベリアルとは別の、もう1人力を求めた人って……」

 

それに対してランは……。

 

「さぁな」

 

と笑みを浮かべて惚けるのだった。

 

それに対してマリアも思わず笑ってしまい、それ以上深くその話について聞くことはしなかったのだった。

 

「マリアが元気になって良かった」

「おかげで気持ちよく東京に帰れそうデスよ!」

「ラン隊長とエルフナインがなんか言ってくれたおかげみたいだな」

 

調も切歌、零無もマリアが元気を取り戻し、ホッと一安心。

 

「ふむ、充実した特訓であったな!」

「それ本気で言ってるんすか?」

 

翼の言葉にクリスは思わずツッコミを入れる。

 

「充実も充実! おかげでお腹が空いてきたと思いません!?」

「何時もお腹空いてるんですね?」

 

エルフナインはそんな響に思わず苦笑するが、コウマも「確かにお腹空いた!!」と言いだした為、昼時と同じくまたみんなで買い出しジャンケンをすることに。

 

結果は響の1人負けであり、それに響は涙目になるが……。

 

「しょうがない。 付き合ってあげる?」

「俺も。 この人数じゃ流石に男手必要だろう?」

「ランさんの言う通り、俺も付き合うよ」

 

とそこで未来とラン、カイトが響の買い出しの手伝いを申し出、それに響は嬉しそうな顔を浮かべる。

 

「えっ!? 良いの!?」

 

未来は響の手を握りしめ、彼女等2人とランとカイトは4人で一緒にコンビニに買い出しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてコンビニに到着したのだが、いつの間にか響がコンビニの外に置いてあった自販機を見つめていた。

 

「もうなにやってるの!?」

「凄いよ未来!! 東京じゃお目にかかれないキノコのジュースがある! あっ、こっちは葱塩納豆味!」

((割と結構気になるジュースばっかなんだけど……))

 

そんな響を未来は微笑ましく見守っていると……。

 

「あれ? 確か君は……未来ちゃん? じゃ、無かったっけ?」

「えっ?」

 

丁度コンビニから1人の男性が出てきて未来に話しかけ、彼女は誰か分からず首を傾げたが……。

 

「ほら、昔ウチの子と遊んでくれていた……」

「どうしたの未来~?」

 

そこに丁度響が未来の元にやってくると彼女はその男性の姿を見て固まり、同じく男性は響の姿を見ると驚いた表情を浮かべた。

 

「響……?」

「っ! お父……さん……?」

 

すると響は突然走り出し、彼女は逃げるようにその場から立ち去ったのだった。。



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9Eve 『聖剣-シェパードンセイバー-』

シェパードンセイバーをビクトリーが手にするシーンは原作とは結構かけ離れたものになります。



エクセラーの宇宙船にて……。

 

エクセラーのいる部屋、そこでは巨大なモニターにシェパードンの姿が映し出されており、エクセラーはシェパードンの背中に生えているビクトリウム鉱石を見て上機嫌に笑い声をあげる。

 

『フフ、アハハハ!! 良いもの見ぃ〜つけた♪』

『んっ? なんだ随分とご機嫌じゃねえか?』

 

そこへ丁度ボルストが現れ、上機嫌な様子のエクセラーに首を傾げながら「なにか良いことでもあったのか?」と尋ねるとエクセラーは「よくぞ聞いてくれました!」とでも言いたげな表情を浮かべる。

 

『ヌフフフ……! 実はですね、あのシェパードンとかいう怪獣、これまでのデータを調べるとどうもあの背中に生えているビクトリウム鉱石は通常のビクトリウムの数十倍のエネルギーがあるとされているのです!!』

『ほほぅ、つまり……そいつの背中の石ころを引っぺがせば良いって訳か!』

『えぇ、ですのでエネルギーの回収にはムッシュ・ボルスト、お願いしますね? ウルトラマン達の相手は主にムッシュ・キューバとムッシュ・ベルメをさせますので』

 

エクセラーがボルストに今回の任務を伝えるとボルストは「任せろ」と自分の胸を自信満々の様子で叩く。

 

『だが、どうせウルトラマンの相手はどの道しなくちゃいけねえだろうし、このチブルサーキットの力を引き出すにはもっと強力なスパークドールズを俺様に寄越しな! 毎度毎度使えないのばっかりだからな!! 今回こそ、良いやつを頼むぜ!』

 

そんなボルストの態度にエクセラーは少し呆れ気味に小さく「はぁ」と呟くとテーブルの上に3つのスパークドールズを出現させ、ボルストはそれを乱暴に手に取ると彼はそのままどこかへと立ち去るのだった。

 

『嫌ですねぇ、ああいう野蛮な人は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リディアン音楽院、響達の教室……。

 

そこでは今日の授業が終了し、教科書を仕舞って帰る準備をする響の姿があるのだが……どこか暗い雰囲気の彼女に気づいてか未来は彼女の元へと歩み寄る。

 

「私、余計なことしたかもしれない」

「えっ? そんなことないよ! 未来のおかげで私も逃げずに向き合おうって決心がついた!」

 

実は前回の出来事から響は自身の父、「立花 洸」から「少し話さないか」という連絡を受けており、彼女はこれからとあるレストランで彼と会うことになっていた。

 

「ありがとう! 未来!」

「……うん、分かった」

 

響は笑みを浮かべて未来にそう言い残し、彼女は未来に手を振って待ち合わせの場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして待ち合わせ場所のとあるレストランにて……。

 

響と洸は席に向かい合う形で座っており、その場には少しばかり重い雰囲気が漂っており、響も少し顔を俯かせて険しい表情を浮かべていた。

 

「……前に月が落ちる落ちないと騒いでた事件があっただろ?」

「っ……」

「あの時のニュース映像に映っていた女の子がお前によく似ててな……。 以来お前のことが気になってもう1度やり直せないかと考えていたんだ」

 

洸は響を今日ここへと呼んだ訳を話し、それを聞いて響は小さく「やり直す……?」と呟く。

 

「勝手なのは分かってる。 でもあの環境でやっていくなんて俺には耐えられなかったんだ……!」

 

実際、あのツヴァイウイングのライブでのノイズ襲撃事件による影響の、当時の悲惨な状況を考えれば常人には先ず耐えられない環境なのは確かであるし、彼が出て行ってしまうのも無理はないかもしれない。

 

それでも当然響はそう簡単に許せるはずもなく、彼女はプルプルと手を僅かに震わせていた。

 

「なっ? またみんなで一緒に……! 母さんに俺のこと伝えてくれないか?」

「……無理だよ、1番一緒にいて欲しい時にいなくなったのは……お父さんじゃない?」

 

顔を俯かせたままそう口にする響に洸は一瞬何も言えなくなってしまい、「あはは……」と苦笑いする。

 

「やっぱ無理か! なんとかなると思ったんだけどな……。 いい加減時間も経ってるし」

 

そんな軽い口調で喋る洸の態度に響は苛立ちを覚えたのか、彼女の両手は拳を作り、拳と肩を震わせる。

 

「覚えてるか響? どうしようもないことをやり過ごす魔法の言葉……。 小さい頃、お父さんが教えたろ?」

 

すると響は苛立ったままその場を立ち上がり、鞄を持ってその場から立ち去ろうとするのだが……それを見て「待ってくれ響!!」と慌てた様子で洸が彼女を呼び止める。

 

「持ち合わせが心許なくてな……」

 

申し訳無さそうな顔を浮かべながら、洸は自分が注文していたサンドウィッチのレシートを彼女に見せ、謝ることもせず……。

 

勝手なことばかり言う上に果てには実の娘に料理を奢らせるといった彼の態度に響は怒りの表情を見せつつも乱暴にレシートを受け取ってその場を走り去って行くのだった。

 

そしてそんな彼女に対して苦笑する洸は再びサンドウィッチを口の中へと頬張るのだったが……。

 

「おい」

「んっ?」

 

いきなり誰かに声をかけられ、声のした方へと顔を向けるとそこにはサングラスをかけ、帽子を被ったカイトが立っていたのだ。

 

実は響がここで洸と会うことを未来から聞かされていたことや前回のことからコウマに響の過去のことを教えて貰ったカイトは彼女のことが心配で変装をして様子を見に来ていたのだ。

 

「君は……」

 

「誰だ?」と尋ねる前にコウマはサングラスを外して洸の胸倉を掴みあげて立ち上がらせ、カイトは洸を強く睨み付ける。

 

それに対し、店員の1人が「お客様!?」と止めようとするがカイトは止めようとしない。

 

「アンタ……父親の癖に娘に1つ謝ることすら出来ないのか!? 果てには響さんに飯を奢らせるってどういう了見だ!!」

「な、なんだ君は!? 娘の彼氏かなにかか!?」

「違う、でも友達だ!! 今すぐアンタをブン殴ってやりたいが……それは俺の役目じゃない。 でももしまた彼女と会って本当の意味で向き合えず、同じようなことをしたら……関係なく俺がアンタをブン殴ってやる!! 分かったな!?」

 

カイトの気迫に押され、洸は冷や汗を大量に流しながら「わわわわ、分かった! 分かった!!」と力強く頷き、カイトは洸の胸倉を離すとカイトはそのままレストランを出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、チフォージュ・シャトーでは……。

 

前回、ガリィがマリアと戦っている間にファラはこっそりとフォトスフィアのデータを奪うことに成功しており、彼女はそのデータの入ったチップを口の中に入れると空中にそのデータが映し出される。

 

「……筑波で地味に入手したらしいな」

「強奪もアリでしたが、防衛の為にデータを壊されては元も子もありません」

 

レイアの言葉にファラはそう答え、ファラはフォトスフィアの説明を行う。

 

「1本1本が地球に巡らされた血管のようなもの。 かつてナスターシャ教授がこのラインに沿わせてフォニックゲインをフロンティアへと収束させました」

「これが……レイラインマップ……」

「世界解剖に必要なメスはここチフォージュ・シャトーに揃いつつありますわ」

 

そんな会話をする2人はどこか不気味な笑みを口元に浮かべる。

 

「そうでなくては。 このままでは暴れたりないと妹も言っている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地底世界では……。

 

「……なんで地底世界に自販機があるんデスか?」

 

切歌、調、零無の3人は学校帰りに地底世界へと訪れており、3人はシェパードンと一緒に散歩していると途中でこの世界にはあまりにも似つかわしくないものが置かれてあるのを発見した。

 

それが自動販売機である。

 

「クオオオン!」

「……ふむ。 んでもキサラ女王がこの前地上に行く用があったらしくてその時、この自販機を気に入ったらしくてな。 それで数日前から色々やってここに置くことになったらしい」

 

シェパードンが零無に対してそう説明し、零無はシェパードンの言葉を通訳してなぜこんなところに自動販売機があるのかを説明し、切歌と調は「キサラ女王って案外変わった人だなー」と2人は呟くのだった。

 

お墓参りのお供え物に醤油を持って行く人にそんなこと言われたくない気もするが……。

 

そして切歌と調は「せっかくなので使ってみよう!」ということで先ずは調が自販機にお金を入れてジュースを購入し、それを彼女は手に取る。

 

「それにしても、話はちょっと変わるデスが、今朝の計測数値ならイグナイトモジュールを使えるかもしれないデスね?」

「うん、あとは……ダインスレイフの衝動に抗うだけの強さがあれば……。 ねぇ、切ちゃん?」

 

調が切歌に何かを尋ねようとするが、切歌はお金は入れたいいものの何を買うべきか迷っており、「迷うくらいならいっそ可能な限り飲み物のボタンを指で同時に押してやろう!」という感じで複数のボタンを同時に押すのだが……出てきたのは苦い缶コーヒーだった。

 

「だぁ〜!? 苦いコーヒーを選んじゃったデスよ〜!?」

「バカか、お前は」

 

そんな切歌に零無は呆れた視線を送り、そんな零無の言葉にムスっとした顔を浮かべる切歌はポカポカと彼の肩を叩く。

 

「ちょっ、痛い痛い!? 音はポカポカ言ってるのに地味に痛い!?」

「誰がバカデスか!! 零無の癖に!!」

「クオオオン!!」

 

その時、シェパードンが鳴き声をあげながら右腕をブンブン動かし、それに零無と切歌は驚きつつ2人はシェパードンに視線を送るとシェパードンはなぜか両腕を交差させて「×」という形にする。

 

「きっと2人に『喧嘩しちゃダメだよ』って言ってるんだよ」

「あはは、分かったデスよ、シェパードンがそう言うなら」

「そうだな」

 

切歌と零無はシェパードンに笑みを浮かべて「分かったよ」と頷き、それに対してシェパードンも頷き返す。

 

「ところで話を戻すけど、ねぇ、切ちゃん? 誰かの足を引っ張らない為にはどうしたら良いんだろう?」

 

調は待機状態のクリスタル状の自分のシンフォギアを服から出して見つめながらそう切歌に尋ね、切歌は缶コーヒーの蓋をあけながらそんな彼女の問いかけに対して自分なりの考えを答える。

 

「きっと自分の選択を後悔しないよう、強い意思を持つことデスよ! およ?」

 

するとそこで調が突然切歌が持っていた缶コーヒーを手に取ると今度は自分が持っていた缶ジュースを切歌の手に渡し、それに対して切歌は不思議そうな顔を浮かべる。

 

「私、ブラックでも平気だもの」

「ご、ごっつぁんデース」

 

調のその言葉に切歌は苦笑し、また零無はそんな2人の肩にポンっと両手を置く。

 

「あんま気張りすぎても身体に毒だぞ? 少しは気楽に行こうぜ!」

 

零無は笑顔でサムズアップして切歌と調にそう言い放つのだが、切歌と調は顔を見合わせる。

 

「「零無は何時も気楽そうで良いよね……」」

「おい、お前等それどういう……」

 

「意味だコラ!?」と零無が言い終わる前に、その時S.O.N.G.の通信が入り、弦十郎からアルカノイズが出現したという連絡が来る。

 

尚、アルカノイズの場所は地下68メートルの共同溝という場所の中らしい。

 

「共同溝……?」

「なんデスかそれは?」

『電線を始めとするエネルギー経路を埋設した地下抗だ!』

 

それから零無、切歌、調は弦十郎に言われた場所へと向かい、本部にいるクリス、マリア、翼も現場に向かっており、響とコウマも現場に今向かっているらしい。

 

ちなみにカイトはあの後、真っ直ぐ本部に行ったらしく、現在は彼女達と一緒に現場に向かっていた。

 

なので代わりに本部に今日は来ていなかったコウマをランの指示もあり、先に行かせている。

 

『緊急事態だが、飛び込むのはあのダブルバカが来てからだぞ!』

 

クリスは通信機で零無達にそう指示を出すのだが……その時のクリスの「ダブルバカ」という発言に零無は思わず笑ってしまう。

 

「ダブルバカって……クフフ……! 響に悪いがコウマの奴言われてやんの……!」

『オメェも人のこと言えねえからなポンコツ!』

「ファッ!?」

 

そんな零無に対し、切歌と調は「そりゃそうでしょ」とでも言いたげな呆れた視線を彼に対して送るのだった。

 

それから切歌、調、零無が現場に到着してすぐにコウマも合流し、しばらくして響も駆けつけて来たのだが……。

 

彼女は目元を右腕で拭い、辛そうな表情を浮かべていたのだった。

 

それを見て調は「なにかあったの?」と心配して問いかけるが、ぶっきらぼう気味に「なんでもない」と調達に背中を見せた状態で答えるのだが、彼女は両手の拳をワナワナと震わせていた。

 

「とてもそうは見えないデス……」

 

そんな彼女の様子に切歌がそう声をかけるのだが、響は苛立ち気味に声をあげる。

 

「みんなには関係のないことだから!!」

 

それに対して事情をよく知っているコウマ以外は驚いたような表情を浮かべ、コウマはそんな響の肩に小さな笑みを浮かべながら宥めるようにポンっと手を置く。

 

「関係なくても、みんなお前を心配してるんだぜ?」

「っ……」

「確かに、私達では力になれないかもしれない。 だけど、それでも……」

 

コウマと調の言葉を聞いて響は顔を俯かせつつも怒鳴ったことに対して「ごめん……どうかしてた」と謝る。

 

「あーもう!! 調も調で力になれないとかネガティブ過ぎんだろ!! 多分切歌も! お前等はもう少しポジティブになれって!! だから笑え笑え!」

 

コウマは二カッと笑いながら調と切歌の頬を引っ張って無理矢理笑わせ、彼女等は「ふにゃ!?」と小さな悲鳴をあげるがすぐさまコウマの両手を振り払う。

 

「痛いデスよぉ、コウマさん……」

「悪い悪い!」

(うぅ、やっぱりこの人苦手かも……)

「それよりダブルバカも来たことだし、取りあえず中入るか!」

「誰がダブルバカだポンコツ!」

 

そこで零無がそろそろ共同溝の中に入ろうと言いだし、コウマ達もそれに頷いて一同は共同溝の中へと足を踏み入れるのだった。

 

「……コウマ、さっきはありがとよ、2人を励ましてくれて」

「暗い雰囲気が嫌いだけさ」

 

零無は小声でコウマにそうお礼を述べ、コウマは右手をブンブン振ってそう答えるのだった。

 

(……拳でどうにかなることって実は簡単な問題ばかりかもしれない……。 だから、さっささと片付けちゃおう!)

 

一方で響は自分の握りしめた右手を見つめ、共同溝の中を歩きながらそんなことを考えており、響はコウマ達に振り返って「行くよみんな!」と笑みを浮かべるのだが……。

 

「なんか無理してないか? アイツ?」

 

零無は響は無理に笑みを作っていることに薄々と気づき、コウマも「あんまり無理すんなよ?」と彼女を心配するのだが響は笑顔を崩さず大丈夫だと主張する。

 

「平気、へっちゃらだもん!」

 

そして響、切歌、調は「歌」を口ずさみ3人はシンフォギアを装着し、コウマも1つのウルトラマンのスパークドールズを取り出し、それをギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンジャスティス!』

 

コウマは身体に赤と黒のカラーリングが施されたウルトラマン、等身大の「ウルトラマンジャスティス スタンダードモード」に変身。

 

さらに零無もビクトリーランサーを取り出してランサーモードに変形させて構えるとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

するとビクトリーの姿がビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はあるカラータイマーの中へと入り、零無は等身大の「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させる。

 

挿入歌「限界突破 G-beat」

 

響は「歌」を歌いながら一同は地下へとジャンプして一斉に降り立ち、アルカノイズの反応のある場所へと駆け出すと早速目の前にアルカノイズ達とチブロイド達が出現。

 

その奥にはミカもおり、彼女は右手を壁にかざしてなにかをやっており、彼女の手前にはベルメとキューバも立っていた。

 

『フフフ、来たね! 雑魚くん達!』

『いい加減お前等ぶっ潰してやるからなァ!!』

「フフン、こいつ等は兎も角、あたしは今日はお前達の相手をしている場合じゃ……」

 

しかし、ミカがそう喋っている間に響は容赦なくベルメとキューバを腕を振るって殴り飛ばし、ミカに一直線に向かって右拳を放つ。

 

『『ウギャアア!?』』

「おわああ!!?」

 

その光景に切歌達は驚いた表情を浮かべ、ミカは「まだ全部言い終わってないんだゾ!」と怒りながらも新たにアルカノイズ達とチブロイド達を召喚。

 

また、響に殴り飛ばされたキューバとベルメもどうにか体勢を立て直しつつチブルスパークとスパークドールズを取り出す。

 

『くっ! よくもやってくれたね!』

『100倍にして返してやっからなぁ!! コノヤロー!!』

 

ベルメとキューバはスパークドールズをチブルスパークにリードさせるとベルメは等身大の「金属生命体 アパテー」、キューバは等身大の「金属生命体 アルギュロス」に変身する。

 

『モンスライブ! アパテー!』

『モンスライブ! アルギュロス!』

 

アパテーとアルギュロスの2体は右手を剣に変形させると2体で同時に響へと襲いかかるが……。

 

『ウルトランス! メカザム! ブレード!』

 

右手をメカザムのスパークドールズを使い、腕をメカザムにしたビクトリーが「ソードザンパー」でアパテーの振るった剣を防ぐ。

 

さらに響に攻撃を仕掛けたアルギュロスはジャスティスの右拳から放つ光線「ジャスティススマッシュ」が直撃し、アルギュロスは軽く吹き飛ばされ壁に激突する。

 

『お前等の相手は……』

『俺達だ!!』

 

ビクトリーはソードザンパーを素早く振るってアパテーに攻撃を繰り出すのだが、アパテーも負けじと右腕を剣を振るってビクトリーの攻撃をどうにか捌く。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

するとビクトリーは一度アパテーから少し距離を取ると足から放つ矢じり型の光弾「ビクトリウムスラッシュ」を放つ。

 

しかしアパテーは身体を6本の槍に変化させてビクトリウムスラッシュを回避。

 

さらにアパテーはその槍の状態のままビクトリーの周りを囲むように移動して地面に突き刺さり、ビクトリーを閉じ込める。

 

それに対してビクトリーはソードザンバーでアパテーの槍を破壊しようとするが触れた瞬間強烈な電撃が槍から放たれて逆にダメージを受けてしまう。

 

『ツェア!?』

「零無!!」

 

そこで調のアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」がアパテーの槍を幾つか弾き飛ばし、ビクトリーはそこから脱出。

 

『ナイスだ調!』

 

だがアパテーの6本の槍は再び空中に浮かび上がって一直線にビクトリーに襲いかかる。

 

『全部撃ち落としてやる!!』

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

零無はキングジョーのスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせ、ビクトリーの右腕が「キングジョー ランチャー」に変わるとそれを構えて銃弾を連続発射し、槍を全て撃ち落とす。

 

撃ち落とされた槍は再びアパテーへと戻り、ダメージを受けたアパテーは膝を突く。

 

またジャスティスは立ち上がったアルギュロスへと向かって高速で駈け出して勢いよく右拳を放ち、アルギュロスの胸部を殴りつける。

 

『シュアアア!!』

 

殴られたアルギュロスは胸部から火花を散らして膝を突き、ジャスティスは追い打ちをかけようとするがアルギュロスは左腕のキャノン砲に変形させて砲弾を発射。

 

攻撃を仕掛けてきたジャスティスに見事直撃し、ジャスティスはダメージを受けて倒れ込むのだが……すぐに起き上がって再び「ジャスティススマッシュ」を放って反撃。

 

それをアルギュロスはどうにか横に飛んで攻撃を避ける。

 

『おい! こいつそっちと比べてちょっと強すぎないか!』

 

それはそうだろう。

 

なにせジャスティスはスタンダードモードの時点でコスモスの強化形態の1つ、「エクリプスモード」と同等の戦闘力を発揮するのだからビクトリーと比べて終始苦戦気味なのは仕方がないだろう。

 

『クッソォ〜!』

 

ビクトリーとジャスティスがアパテーとアルギュロスと戦っているのと同じ頃、響はミカが召喚したチブロイドやアルカノイズ達を片っ端から殴り倒していたのだが……。

 

その様子はどこかおかしく、声もどこか震えているようだった。

 

「やっぱり様子がおかしいデス!!」

 

アルカノイズの1体を切り裂きながら切歌も響の様子が明らかにおかしいことに気づき、一方で響はミカに対して容赦のない攻撃を仕掛けるが……ミカはそれを全て回避し、響の攻撃は全て地面や壁などに当たって空振りに終わってしまう。

 

そんな彼女の目尻には……僅かな涙が流れていた。

 

(なんでそんな簡単にやり直したいとか言えるんだ!)

 

彼女は戦いながらも、父へのあの態度に苛立ちながら八つ当たりをするようにアルカノイズやチブロイド達を殴り飛ばして行く。

 

(壊したのお父さんの癖に!! お父さんの癖に!!)

「突っかかり過ぎデス!!」

 

そんな彼女に対して切歌が声をかけるも響は全く耳に入っておらず、アルカノイズ達を天井に叩きつけると彼女はそこに向かって飛び上がり、伸長した腕部ユニットの勢いをパイルバンカーの要領で叩きこむパンチを炸裂させる。

 

(お父さんの癖にいいいいいいいいい!!!!!)

 

だが、そこで彼女は……。

 

(っ……! 違う、壊したのはきっと私も同じだ……)

 

するとその時、突如として地響きのようなものが起こり、それによって身体のバランスを響は崩してしまい、そこを狙ってミカは右手からカーボンロッドを発射して響に直撃させる。

 

「うくっ!?」

 

直撃を受けた響は壁に激突して倒れ込み、すぐさま彼女の元に切歌が駆けつける。

 

「言わんこっちゃないデス! それにしても、さっきの地響きは……」

 

先ほどの地響き、それはこの近くでビクトリウムがエクセラーの手で又も掘り起こされたのが原因であり、司令部からも通信でそのことが切歌達に伝えられる。

 

『零無! ここは俺に任せろ! お前はビクトリウムを!』

『よし!』

 

ジャスティスの言葉にビクトリーは頷き、全身を眩い光に包ませると彼は地上へと戻って巨大化し、ビクトリウムを取られまいと駆け出す。

 

『フン! 現れたな、ウルトラマンビクトリー!』

 

だが地上のとある場所ではボルストが立っており、ボルストは2体に分身し、互いに頷き合うと2人はチブルスパークとスパークドールズをそれぞれ1つ取り出す。

 

そしてボルストはスパークドールズをチブルスパークにリードさせ、内1体は蛾のような超獣「蛾超獣 ドラゴリー」にライブ。

 

『モンスライブ! ドラゴリー!』

 

さらに内1体も同様にスパークドールズをチブルスパークにリードさせ、巨大な鳥の怪獣「火山怪鳥 バードン」にライブする。

 

『モンスライブ! バードン!』

 

ボルストがライブしたバードンはビクトリウムに向かって走るビクトリーに口から炎を放ってそれをビクトリーに直撃させる。

 

『グゥ!?』

 

さらに背後に回り込んだドラゴリーがビクトリーの背中を殴りつけ、膝を突いたところを狙いすかさずバードンが蹴りをビクトリーの胸部に叩き込む。

 

『ウオッ!?』

 

後ろに倒れ込みそうになるビクトリーをドラゴリーがキャッチして支え、そのまま無理矢理起き上がらせると羽交い締めにしてビクトリーは動きを封じられてしまう。

 

身動きの取れないビクトリーに向かってバードンは嘴で攻撃しようと仕掛けるが、ビクトリーは両足を振り上げてバードンに蹴りを叩き込んで引き離し、さらにドラゴリーを振り払って素早くその場から離れる。

 

『ウルトランス! エレキング! テイル!』

 

零無はエレキングのスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせて右腕にエレキングの尻尾を装備した「エレキングテイル」にするとそのまま電撃を纏った鞭でバードンとドラゴリーを拘束しようと振るう。

 

『ツェア!!』

 

しかし、ドラゴリーを拘束することには成功したがバードンは空を飛んで回避し、空中から火炎を発射してビクトリーを吹き飛ばし、その際にドラゴリーの拘束も解けてしまう。

 

『グア!?』

「キュエエ!!」

「グルアアアア!!」

 

ドラゴリーの隣に降り立ったバードンはドラゴリーと共に口から火炎を放ち、火炎を受けるビクトリーは苦しむがどうにか頭部のVクリスタルから放つ光線「ビクトリウムバーン」で応戦し、バードンとドラゴリーに攻撃を喰らわせることに成功。

 

『ぐおお!? ビクトリウムバーン!!』

「「ギシャア!!?」」

 

しかし、その攻撃に怒ったバードンはボルストの能力によって2体に分裂。

 

『なに!?』

 

またその光景をS.O.N.G.の司令部のモニターから見ていたランは流石に自分か今ここに来ているカイトを増援に向かわせるべきかと考えたが……。

 

「大変です!! 他の地域に大量のロボット怪獣が出現しました!」

「なんだと!?」

 

その時、別の場所でチブロイドがライブしたと思われる「無双鉄人 インペライザー」が複数出現したことがあおいから報告され、カイトはランにどうするべきか尋ねる。

 

「仕方が無い、俺はインペライザーの殲滅に当たる! カイトは零無の救援に」

「了解! 行こう!」

「あぁ」

 

そう言ってランとカイトはそれぞれ「ウルトラマンゼロ」「ウルトラマンマックス」に変身してゼロはインペライザー、マックスはビクトリーのいる場所へと向かうのだった。

 

そして場所は戻り、2体のバードンは空中へと飛んで左右からビクトリーに攻撃を仕掛け、ビクトリーは自分も空中に飛んで攻撃を回避しようとするがボルストの瞬間移動能力によってドラゴリーが背後に回り込み、ビクトリーを後ろから押さえつける。

 

『しまった!?』

 

そのまま2体のバードンはビクトリーの胸部に嘴を突き刺し、さらにドラゴリーはビクトリーの肩に噛みついて3体はそれぞれビクトリーの身体に「毒」を流し込む。

 

『ぐああああああああ!!!!!?』

 

それによってビクトリーのカラータイマーは激しく点滅し、バードンとドラゴリーがそれぞれ嘴と牙を引き抜くとビクトリーは力なくその場に倒れ込み、ドラゴリーと1体に戻ったバードンはトドメを刺そうと近づいたその時。

 

「グオオオオオオン!!!!」

 

地中から「地底怪獣 シェパードン」が出現し、シェパードンはバードンとドラゴリーに体当たりを繰り出してビクトリーから引き離す。

 

『うあっ……シェパー……ドン……』

「クオオオ……」

 

同じ頃、共同溝の方では……。

 

アルギュロスとアパテーがそれぞれ両腕を剣にしてジャスティスと調に襲いかかるが調はその攻撃を左右のツインテールのアームドギアを1本ずつ増やした4本のアームを自由自在に操る「裏γ式 滅多卍切」で防ぎ、彼女の頭上を飛び越えたジャスティスは高速でアパテーとアルギュロスに接近。

 

そのままジャスティスは2体に向かって拳を突き出し、アパテーとアルギュロスを殴り飛ばす。

 

『『ぐおおお!!?』』

 

一方でミカは響の元に駆け寄ってきた切歌を狙って右手から灼熱の炎を放ち、それに気づいた調は急いで2人の元へと向かって駈け出す。

 

「歌わないのか? 歌わないなら、死んじゃうゾ〜!』

『危ない!!』

「2人は私が!!」

 

そしてすかさず調は2本のアームドギアを巨大化させて回転させ盾とし、ミカの炎をどうにか防ぐことに成功するのだが、炎の威力は収まらず……次第に調は追い詰められていく。

 

「うぅ……くっ!?」

「っ……」

 

それを見て切歌はどこか唖然とした表情を浮かべており、調が「切ちゃん」と自分の名前を呼ばれて彼女ようやく我に返った。

 

「大丈夫……?」

 

調は顔だけをこちらに向けてそう尋ねるのだが……。

 

「……んな、訳……ない……デス」

「えっ?」

「大丈夫な訳……ないデス!!」

 

突然怒ったようにそう言い放つ切歌、それに調は驚きの表情を浮かべる。

 

すると切歌はそこで以前クリスが「守らなきゃいけない後輩に守られて、大丈夫な訳ないだろ!」という言葉を思い出し、彼女はイグナイトモジュールに手をかける。

 

「っ……! こうなったらイグナイトモジュールで……!」

「ダメ! 無茶をするのは、私が足手纏いだから!?」

 

『あの人形余裕の笑み浮かべやがって!! 今俺が……』

『おっとぉ〜! そうはいかないよ!』

 

ジャスティスは調達の助けに入ろうとしようとするが、それを邪魔するようにアパテーが剣を振るって攻撃を仕掛け、ジャスティスは剣を掴みあげて受け止める。

 

しかし、そこを狙い左腕を銃に変形させたアルギュロスが砲弾を発射してジャスティスに直撃させ、ジャスティスは軽く吹き飛ばされてしまう。

 

『うぐああ!!?』

 

またミカが調達を追い詰めている時、彼女に対してファラから念話が飛ばされ、「道草はよくないわ?」とミカは彼女から注意を受けてしまう。

 

「正論かもだけど……鼻につくゾ!!」

 

ミカはそう言い放ちながら炎の威力を高めて一気に調、切歌、響の3人を吹き飛ばし、3人は壁に激突して地面に倒れ込んでしまう。

 

『みんな!!』

「預けるゾ〜。 だが、次は歌うんだゾ!」

 

ミカは小さなガラスの瓶を地面に投げつけて割ると彼女の足下に魔法陣のようなものを出現し、そのまま彼女はその中に入って撤退するのだった。

 

『ふむ、どうやら上の方もそろそろ決着がつきそうみたいだね』

『なら、俺達の仕事は今日はここまでだな』

 

そのままアパテーとアルギュロスも姿を消して撤退し、ジャスティスはライブを解除してコウマの姿に戻ると急いで3人の元へと駆け寄った。

 

「響! 切歌! 調!」

 

一方でビクトリーの方では……。

 

地上に現れたシェパードンは背中のビクトリウムからエネルギーを放出し、そのエネルギーによってビクトリーの身体の中のバードンとドラゴリーの毒を浄化しようと試みる。

 

『フフフ、作戦通りビクトリーのピンチに現れたな!』

 

しかしドラゴリーにライブしていたボルストは新たなスパークドールズを取り出し、それをチブルスパークにリードさせる。

 

『モンスライブ! ベムスター!』

 

するとドラゴリーの姿は「宇宙大怪獣 ベムスター」へと変化し、バードンがシェパードンの頭部を殴りつけて跪かせるとバードンはシェパードンを押さえつける。

 

その間にベムスターは自身の腹部を開くとそこからシェパードンの背中のビクトリウムからエネルギーを吸収し始め、シェパードンは苦痛に満ちた鳴き声をあげる。

 

そして吸収したエネルギーはベムスターを通してエクセラーの宇宙船へと転送される。

 

「クオオオオオオン!!?」

『シェパー……ドン……! にげ、ろ……』

 

ビクトリーは朦朧とする意識の中でシェパードンに逃げるように言うのだが、シェパードンは逃げるどころかベムスターにエネルギーを吸収されながらも毒を浄化するためのエネルギーをビクトリーに流し続け、ビクトリーにやめろと言われても頑なに拒否するのだった。

 

『フン! あんまり無駄にエネルギーを使うんじゃねえ!!』

 

だが、そこでバードンは2体に分身し、1体はシェパードンを押さえつけ、もう1体のバードンは倒れ込んでいるビクトリーに蹴りを喰らわせ、シェパードンから引き離す。

 

「クオオオオオオオ!!」

 

だがそれでもシェパードンは自分を押さえつけているバードンを振り払い、ビクトリーの元に駆けつけようとするがすぐにバードンに押さえつけられ、強烈な蹴りを何発も腹部に叩き込まれ、さらに背中を殴りつけられて倒れ込んでしまう。

 

その間にもベムスターはシェパードンのエネルギーをどんどん吸収していき、もう1体のバードンは既に動けないビクトリーに何度も追い打ちをかけるように攻撃する。

 

その時だ、ビクトリーに攻撃していたバードンに向かってどこからか光線が放たれ、直撃を受けてバードンは地面に倒れ込む。

 

『シェア!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンマックス2」

 

そこでその場に「ウルトラマンマックス」が救援として駆けつけ、マックスはバードンに跳び蹴りを喰らわせてビクトリーから引き離す。

 

マックスはそのままバードンに向かって駆け出すが……そこにシェパードンを蹴り飛ばし、もう1体のバードンが炎を放ってマックスに直撃させ、さらにベムスターが角から放つ光弾を放ち、マックスに直撃させるとマックスは身体から火花を散らし後退する。

 

『グッ!?』

 

そこから2体のバードンは空中に飛んでマックスの周りを飛び回り、マックスを翻弄。

 

隙を突いて1体のバードンがマックスに体当たりを喰らわせるともう1体が体当たりを続けざまに喰らわせ、もう1度同じ攻撃を仕掛けようとするが……。

 

『シュア!!』

 

マックスはバードンの体当たりを真正面から受け止め、もう1体のバードンの方に投げ飛ばし、2体のバードンは激突。

 

その際にバードンは元の1体に戻り地面に墜落する。

 

『おのれぇ〜! ウルトラマンマックス! こうなれば貴様もビクトリーと同じ目に……!』

 

しかし、そこへインペライザーを倒し終えたゼロが駆けつけ、それによってエクセラーが一時撤退をするようにボルストに指示が送られる。

 

『チッ! これからだって言うのによ……。 まぁいい、楽しみな後に取っておくとするか』

 

ボルストはそれだけ言うとベムスターとバードンはその場から消え去り、敵がいなくなったことを確認するとマックスはシェパードン、ゼロはビクトリーの元へと駆け寄る。

 

『随分酷くやられちまったな。 待ってろ』

 

ゼロは青い姿「ルナミラクルゼロ」へと変わると彼は右手をビクトリーにかざしてそこから青い粒子のようなものを放ち、ビクトリーの身体の中にある毒を浄化する。

 

『もう少し遅かったらヤバかったかもな』

『シェパードンが毒の進行を遅らせてくれたんだな』

 

 

 

 

 

 

 

その後、少し遅れて翼達も現場に到着したのだが……。

 

「押っ取り刀で駆け付けたのだが……」

「間に合わなければ意味がねえ」

 

辺りの惨状を見てそう呟く翼とクリス。

 

「悪い、俺がさっさとあいつ等ぶっ飛ばせてたら3人を怪我させずに済んだかもしれないのに……」

 

コウマはクリス達に申し訳無さそうな表情を見せ、そんな彼に対してクリスは膨れた顔になり、コウマの頭に軽いチョップを叩きこむ。

 

「オメェが気に病むことじゃねえよ、バーカ」

 

そんなクリスに対し、コウマは苦笑しつつ「そう言ってくれてありがとな」とお礼を言い、彼女は「おう」と少し顔を赤くしつつぶっきらぼうに言葉を返した。

 

「人形はなにを企てていたのか……」

 

またマリアは一体ここでミカがなにを企んでいたのかと疑問に思い、考え込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大きく破損した箇所はいずれも響さん達の攻撃ばかり……んっ?」

 

一方で翼達とは別の場所で周辺の調査をしていた緒川はなにかあるものを発見。

 

「なっ! オートスコアラーの狙いは……まさか!?」

 

なにかを発見した緒川は仲間にすぐに弦十郎に連絡を入れるように指示を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、S.O.N.G.の病室では……。

 

シンフォギア組の中では特に強いダメージを受けていた響はベッドに寝かされてエルフナインから身体検査を受けており、丁度エルフナインから検査結果が今は報告されているところだった。

 

「大きな怪我は見られませんでした。 でも、安静は必要です」

「良かったぁ〜」

 

エルフナインからの報告を聞いてほっと安心する未来だったが……。

 

「でも、零無くんの方は……」

 

未来と響が隣のベッドに視線を映すとそこには響以上に身体にかなりの大きなダメージを受けた零無が寝かされており、彼は未だに眠ったままだった。

 

ただ零無はゼロとシェパードンのおかげで毒を殆ど取り除くことができたので命に別状はないのだが、毒のせいで体力が大きく低下しているために彼もまたしばらくは絶対に安静しないといけないのだという。

 

「零無……」

 

そんな彼の頬を切歌は優しく撫で、心配そうに見つめる。

 

(……これ以上、大切な人達に傷ついて欲しくないデス……)

 

すると切歌はキッと険しい表情となり、彼女は調の方に歩いて行くと彼女は調に対して先ほどの行動が無茶すぎると怒りだし、それに対して調もムッとなったのかそれに反発するように調も言葉を言い返す。

 

「調が悪いんデス!!」

「切ちゃんが無茶するからでしょ!?」

「調が後先考えずに飛び出すからデス!!」

「切ちゃんが、私を足手纏いに思ってるからでしょ!?」

 

そんな風に口論を始める切歌と調、そのまま2人は互いにそっぽを向き、それを見て何時も仲の良い2人が喧嘩するなんて……っと驚きの表情を見せる未来。

 

「傷に障るからやめてください! そんな精神状態ではイグナイトモジュールを制御できませんよ!?」

 

エルフナインに喧嘩を咎められ、一応の口論はやめる2人だったが……少し視線が合いそうになると2人は「フン!」とまた互いに顔を背けてしまうのだった。

 

するとそこへ……。

 

「オイ」

「「へっ? あだっ!?」」

 

突然起き上がった零無が2人の前に立ち、彼は喧嘩をする2人に対して額にそれぞれデコピンをかまわすのだった。

 

「ギャースカギャースカうるせえんだよ、オチオチ眠れねーじゃねーか」

「れ、零無!? 目を覚ましたデスか!? でも、今は安静に……!」

「したくてもお前等がグチグチ喧嘩してたら出来ないんだよ! シェパードンにも言われただろうが、喧嘩しちゃダメだって!!」

 

零無は喧嘩をしている切歌と調にガミガミと説教をするのだが、流石にやはり身体のダメージは残っているようで少し目眩がした彼は転びそうになってしまい、それを切歌が受け止める。

 

「零無! 無茶しちゃダメデスよ!?」

「はぁ、ったく……」

 

頭をブンブン払って零無は椅子に溜め息を吐きながら腰掛け、またそんな切歌と調の様子を見て響は2人の喧嘩の原因は自分にあると思ったのか、「ごめん……2人とも」と2人の手を握って謝罪するのだった。

 

「最初にペースを乱したのは私だ……」

「っ……、さっきはどうしたデスか?」

 

切歌が心配そうに響に一体なにがあったのか尋ねると彼女はあれからまた父と会ったのだということを2人に話す。

 

「ずっと昔の記憶だと、優しくてかっこ良かったのに……凄く嫌な姿を見ちゃったんだ……」

「嫌な姿?」

「自分がしたことが分かってないお父さん、無責任でかっこ悪かった……! 見たくなかった! こんな想いするくらいなら、二度と会いたくなかった……!」

 

どこか辛そうに、今にも泣き出しそうな声で父のことを話す響。

 

「私が悪いの、私が……」

 

そこで未来は目尻に涙を溜めながらそう呟くのだが、それを響は否定。

 

「違うよ、未来は悪くない! 悪いのはお父さんだ……」

「でも!」

 

そんな未来の肩に響は手をかけて涙を拭って彼女は笑顔を見せる。

 

「平気へっちゃら! だから、泣かないで未来?」

「……うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、零無は「シェパードンの様子を見てくる」と言って部屋を出て行き、当然それは切歌や調、エルフナインから怪我をしているのだからと止められたが……。

 

彼は「様子を少しだけだ、すぐ戻る」と言って半ば強引に地底世界へと行ってしまうのだった。

 

「全く、シェパードンが心配なのは分かるデスけど、帰ったら説教デス!」

 

そんな零無に切歌は怒りながら調と一緒に部屋を出るのだが、彼女等2人は顔を合わせると「フン!」とそっぽを向いてしまい、未だに2人は仲直りをすることができないでいた。

 

すると2人の後を追うようにエルフナインも部屋から出てきてある物を切歌と調に渡す。

 

「これを、調さんと切歌さんに」

「これは……モデルK?」

 

それは切歌と調がシンフォギアを使う為に必要なモデルK……リンカーであり、2人はそれを受け取る。

 

「オートスコアラーの最襲撃が予想されます、投与はくれぐれも慎重に。 身体への負担もそうですが、ここに残されているリンカーにも、限りがありますので」

「「……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、S.O.N.G.のシャワールームでは……基地に帰還したクリス達が響の父親のことについて話し合っていた。

 

「やはり父親の一件だったのね?」

「こういう時は……どんな風にすれば良いんだ?」

 

クリスが疑問に思ったことを口にするが、それに対して翼は……。

 

「どうして良いか分からないのは、私も同じだ。 一般的な家庭のあり方を知らぬまま今日に至る私だからな」

「……?」

 

そう答え、そんな彼女の言葉にマリアはどこか引っかかるものがあり、彼女は首を傾げるのだった。

 

また、一方で司令室では……弦十郎が緒川からの連絡を聞いているところだった。

 

「敵の狙いは電気経路の調査だと!?」

『はい、発電施設の破壊によって電力総力が低下した現在、政府の拠点には優先的に電力が供給されています。 ここを辿ることにより……』

「表からは見えない首都構造を探ることが……可能となるか……」

 

緒川からの報告により、弦十郎はオートスコアラーの狙いにそう予想を立てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてチフォージュ・シャトーでは……オートスコアラーの3人が集まっており、ミカは「これで〜どや〜!」と部屋の中央部分に巨大なマップのようなものを映し出す。

 

「派手に引ん剝いたな?」

 

レイアがそう呟き、マップをレイア達に渡した後、ミカは突然どこかへと行こうとする。

 

「どこへ行くの? ミカ? 間も無く思い出のインストールが完了するというのに……」

「自分の任務くらい分かってる!! きちんと遂行するから、後は好きにさせて欲しいゾ」

 

ミカはファラの言葉に反発するようにそう言い返し、そのまま彼女はどこかへと立ち去ってしまうのだった。

 

その様子を影から見ていたエクセラーはミカがどこへ向かったのか予想できたのか、一緒に来ていたボルストとキューバ、ベルメに新たな任務を与える。

 

『先ほどの作戦、完璧とは言えませんが半分は成功したと言えるでしょう。 恐らくミス・ミカはあの切歌と調という小娘の元に向かったと考えるべきですね。 ビクトリーと仲の良い彼女等を追い詰めればまたシェパードンは現れるかもしれません』

『成程な、それであの怪獣出てきたところを狙うって訳だ!』

『僕とキューバはウルトラマン達の足止め……ということで良いかな?』

 

ボルストとキューバの言葉にエクセラーは「えぇ、お願いします」と答え、ボルスト、キューバ、ベルメは早速自分達に与えられた任務に取りかかるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地底世界では……零無がシェパードンの様子を見に来ていた。

 

「クルル……」

 

先ほどの戦いでかなりダメージを負ったシェパードンは今は地底世界でゆっくりと身体の傷を癒やすことに専念していたのだが……。

 

「シェパードン、さっきは助かったよ……。 でも、あんまり無茶なことをしないでくれ! さっきみたいに俺がピンチになっても地上には出て来るな」

 

零無はシェパードンに対してそう言うのだが、シェパードンはそんな彼の言葉にどこか不満そうな様子を見せた。

 

「俺なら大丈夫だ! だから心配するな……。 なっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同じ頃、切歌と調がS.O.N.G.本部から帰宅するために歩いている時だった。

 

未だに2人からは険悪なムードが出ており、調は「私になにか言いたいことがあるんでしょ?」と不機嫌そうに切歌に尋ねる。

 

「それは調の方デス!」

 

それに対して切歌も不満な様子で言葉を返すのだが、その時……突然2人の近くで爆発が起こり、2人はそれに驚きの顔を浮かべる。

 

「これは……!」

「あたし達を焚きつけるつもりデス!」

 

その爆発の原因は空からのミカが放つカーボンロッドが地上に降り注いでいるためであり、すぐに2人はこれがミカの仕業であることに気づく。

 

そして切歌と調の2人は近くの神社の鳥居の上に立つミカの姿を発見し、ミカは挑発するような笑みを2人に向けて浮かべていた。

 

「足手纏いと、軽く見ているのなら!!」

 

調と切歌は待機状態のシンフォギアを手に持ち、「歌」を口ずさんでシュルシャガナとイガリマを装着し、ミカと戦闘を開始。

 

挿入歌「ジェノサイドソウ・ヘヴン」

 

調はアームドギアから小型鋸を大量に射出する「α式 百輪廻」をミカに放つが、ミカは手にしたカーボンロッドを高速回転させてそれら弾き飛ばし、ジャンプして切歌と調に向かって攻撃を仕掛ける。

 

またこの事態に気づいた弦十郎は2人が戦っている様子をモニターに見ながら通信で今から応援を寄越すと報告するのだが……。

 

その時、突然基地である潜水艦が激しく揺れ、何が起こったのかモニターを移し替えるとそこには潜水艦を掴んでいる巨大な人影があるのだった。

 

「海底に巨大な人影だと!?」

「私と妹が地味に支援してやる。 だから存分に暴れろ、ミカ……」

 

それは切歌達の元に応援を送るのを妨害するために現れたレイアと「レイアの妹」であり、さらに妹の隣にキューバとベルメがライブしたアパテーとアルギュロスが立っているのだった。

 

場所は切歌と調の元に戻り、彼女達の元に零無が走って駆けつけてくる。

 

「零無!? まだ体力が回復してないのに何しに来たデスか!?」

「あっ? 援軍に決まってんだろ」

 

切歌の問いかけに零無はそう答えるが当然2人からは「無茶するな!」と怒られてしまうのだが……。

 

「知るか、お前等どうせまだ喧嘩中なんだろ? 心配で放っておけないっての! だから俺がしっかりと見とかないといけないだろうがよ!」

 

零無はそう言い放ってビクトリーランサーを取り出すのだが……。

 

その時、分身した2体のボルストがライブしたバードンとドラゴリーが現れ、バードンは零無に向かって火球を放つ。

 

しかし、零無は即座にビクトリーランサーをランサーモードにさせるとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

「邪魔すんなっての!!」

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

するとビクトリーの姿がビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はあるカラータイマーの中へと入り、零無は「ウルトラマンビクトリー」へと変身し、バードンの火球を拳で打ち破ってそのままの勢いでバードンを殴り飛ばす。

 

「クエエ!!?」

 

大地へと降り立ったビクトリーはバードンとドラゴリーに顔を向け、ファイティングポーズを構える。

 

『さっきの借りを返させて貰う!! そんで切歌達のところに行く為に速攻で倒す!!』

『フン、やれるもんならやってみるが良い!!』

『ツェア!!』

 

ビクトリーはバードンとドラゴリーに向かって駈け出して行き、それに対してバードンは口から火球を放ってビクトリーを迎え撃つ。

 

しかし、ビクトリーはそれを避けながら一気にバードンとドラゴリーに近づき、ジャンプしてバードンに跳び蹴りを放とうとするのだが……。

 

バードンは2体に分身して攻撃を回避。

 

『なに!?』

 

地面に着地したビクトリーはすぐさま振り返って攻撃を仕掛けようとするが、次の瞬間ドラゴリーのドロップキックがビクトリーの胸部に直撃し、吹き飛ばされてしまう。

 

『グアア!!?』

 

さらに倒れ込んだところを2体のバードンがビクトリーの両腕を掴んで無理矢理立ち上がらせ、そこにドラゴリーがビクトリーの身体に毒を流し込もうと近づいて来るが……。

 

その前に零無がビクトリーランサーにキングジョーのスパークドールズをリードさせる。

 

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

右腕を「キングジョーランチャー」に変えたビクトリーはそのまま右腕を押さえつけているバードンに向かって銃弾を撃ち込み引き離し、左腕を掴んでいたバードンもランチャーで頭を殴りつけてどうにか引き離し、ビクトリーはドラゴリーから離れる。

 

『シュア!!』

 

そのままビクトリーはランチャーを使って銃弾を連射しバードン、ドラゴリーに攻撃するのだが……2体のバードンに直撃こそしたもののドラゴリーは空間を割って異次元空間の中に逃げ込み、異次元を通ってビクトリーの背後に現れて押さえつける。

 

『ぐっ、離せ……!!』

 

また、ビクトリーが戦っているのと同じ頃、調と切歌は……。

 

スカートを円状の刃に変形させ、体を回転させて敵を切り裂く「Δ式 艶殺アクセル」を調はミカに対して繰り出すが、ミカは手に持ったカーボンロッドでそれを防ぎ、弾き飛ばす。

 

その直後に連続で切歌の振るった鎌のアームドギアがミカに襲いかかるが、ミカはそれすらも受け流して切歌の背後に回り込み、彼女を蹴り飛ばす。

 

「ぐっ!?」

「これぽっち〜? これじゃギアを強化する前の方がマシだったゾ?」

 

やれやれといった様子のミカに対し、切歌は「そんなこと、あるもんかデス!!」と言葉を返しながら彼女は調の「ダメ!」という言葉を無視してミカへと突っ込んでいき、アームドギアを振るうがミカにはあっさりとジャンプして躱されてしまう。

 

切歌はそれを追うように自分も跳び上がり、アームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばす「切・呪リeッTぉ」をミカに放ち、爆発が起きる。

 

「どんなもんかデス!」

 

これでは少しは効いたかと思った切歌だったが……爆発で起こった霧が晴れるとそこにはツインテールがブースターとなって空を飛び、大量のカーボンロッドを空中に浮かせている無傷のミカの姿があるのだった。

 

「こんなもんだゾ〜!」

 

そのままミカは大量のカーボンロッドを切歌に向かって飛ばし、切歌はどうにかこうにか攻撃を避けるが……。

 

「変形しないと無理だゾ〜」

 

あまりの数に徐々に切歌は行き場を失っていき、それに対して彼女は「躱せないなら受け止めるだけデス!」と正面から攻撃を受けきろうとする。

 

しかし、そんな彼女の前に調が飛び出し、彼女はツインテールに装着されたアームドギアの鋸を回転させて切歌を守るためにミカの攻撃を防ぐ。

 

「なんで……」

 

そんな彼女を見て切歌は……。

 

「後先考えずに庇うデスか!!」

 

彼女は調にそう言って怒鳴りつける。

 

「やっぱり、私を足手纏いと……!」

 

それを聞き、自分も言葉を返そうとするのだが……そんな彼女の言葉を切歌は遮るように言い放つ。

 

「違うデス!! 調が大好きだからデス!!」

「へっ?」

 

すると切歌は調を後ろに下がらせて今度は自分が調を守るようにミカに戦いを挑んでいく。

 

「大好きな調だから、傷だらけになることが許せなかったんデス!!」

「じゃあ、私は……」

「私ががそう思えるのは……あの時調に庇って貰ったからデス!! みんなが私達を大切に想ってくれているからなんデス!!」

 

調はその言葉を聞き、目を見開く。

 

「私達を大切に想ってくれてる……優しい人達が……」

 

その時、ミカと戦っていた切歌はミカが身体から吹き出させた炎によって吹き飛ばされてしまうが、そんな彼女を調はしっかりと受け止める。

 

「なんとなくで勝てる相手じゃないゾ!!」

「マムが残してくれたこの世界で、かっこ悪いまま終わりたくない……!!」

「だったら……かっこよくなるしかないデス!!」

 

調、切歌がそれぞれがそう言い放つ。

 

「自分のしたことに向き合う強さを!! イグナイトモジュール!!」

「「抜剣/デース!!」」

 

そして遂に調と切歌の2人は胸部に装着されたクリスタルを起動させ、取り外して空中へと投げるとそれが剣の形となり、2人の胸部に突き刺さる。

 

「うぐぐ……!!」

「うぅ……!」

「「うあああああ!!!!」」

 

黒く塗り潰されそうな衝動に切歌も調も飲み込まれそうになるが、2人はそれをどうにか耐え抜く。

 

「底知れず、天井知らずに高まる力〜!」

 

それを見てミカはどこか嬉しそうな声をあげながら全身に炎を彼女は纏う。

 

「ごめんね、切ちゃん……!!」

「良い、デスよ……! それよりもみんなに……!!」

「そうだ、みんなに謝らないと! その為に、強くなるんだああああああ!!!!」

 

調が強くそう叫んだ瞬間、2人の纏っていたシンフォギアは黒く染まり、イグナイトモジュールの起動に成功する。

 

挿入歌「Just Loving X-Edge (IGNITED arrangement)」

 

切歌は鎌のアームドギアを持ってミカに接近し、振りかざすがミカはそれをなんとか受け流す。

 

だが続けざまに調が巨大化させたアームドギアのヨーヨーを頭上からミカに振りかざすがミカはそれを両手で受け止め、フルスイングして調ごと投げ飛ばす。

 

「調!!」

「最強のあたしには響かないゾ!! もっと強く激しく歌うんだゾ!!」

 

ミカは両手からカーボンロッドを切歌に連射し、切歌はアームドギアでカーボンロッドを弾くが急接近してきたミカの体当たりを受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「くあっ!?」

 

それでもなんとか立つ切歌だったが、周りにカーボンロッドが突き刺さり、動きを封じられてしまう。

 

その隙にミカが切歌に右手をかざし、攻撃を行おうとするが……。

 

「っ!?」

「向き合うんだ!! 出ないと乗り越えられない!!」

 

そこにアームドギアから小型鋸を大量に射出して敵を攻撃するイグナイトで強化された「α式 百輪廻」がミカに向かって降り注ぐが、ミカは全身の高熱を使って直撃した直後に鋸を全て消し去って灰にし、空中に跳び上がって大きく円を描く。

 

すると描かれた円から巨大な高熱のカーボンロッドから次々調と切歌に向かって降り注ぎ、調と切歌はなんとか走りながらそれを躱す。

 

「闇雲に逃げてるだけじゃジリ貧だゾ?」

「知ってるデス!! だからぁ!!」

 

切歌が高くジャンプすると彼女は一気に空中にいるミカに接近し、ドロップキックを叩きこむ。

 

「そなぼし!?」

 

そしてミカが地上に降り立ったところを切歌の両肩から放つロープでミカを拘束して地面に固定。

 

同時に切歌のアンカーを調のギアと接続し、調はアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する「非常Σ式 禁月輪」を発動。

 

また切歌はギロチン状に変形したアームドギアをローブにセットし、ブースターを噴射させスリングショットのように突撃して敵を切断する「断殺・邪刃ウォttKKK」を発動し、これらの技を合体させた「禁殺邪輪 Zあ破刃エクLィプssSS」をミカに炸裂させる。

 

「足りない出力をかけ合わせてえええ!!!?」

 

2人の合体技を受けたミカは粉微塵に爆発したのだった。

 

「やった……デスね、調!!」

「うん!! でも、まだ終わってない……!」

 

ミカを倒したことに一瞬喜ぶ切歌だったが、調の言葉で確かにまだ終わっていないことを理解し、彼女等2人は急いでビクトリーの元へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ドラゴリーに押さえつけられたビクトリーはというと、ドラゴリーは今度こそまたビクトリーに毒を流し込んでやろうとその牙を向き出しにしてビクトリーへと噛みつく。

 

『ウアアアア!!!!?』

 

毒を流し込まされ、苦しみの声をあげるビクトリー。

 

その時である。

 

「クオオオオオン!!!!」

 

地底からシェパードンが現れてビクトリーを押さえつけているドラゴリーに一直線に向かって行くとシェパードンは腕を振るってドラゴリーを殴り飛ばしてビクトリーから引き離す。

 

そして解放されたビクトリーはこちらに向かって来ていた2体のバードンにどうにか回し蹴りの要領で足のVクリスタルから放つ光弾「ビクトリウムスラッシュ」を放って直撃させる。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

直撃を受けたバードンは倒れ込み、ビクトリーは肩を押さえ、荒い息をあげながらシェパードンの方へと振り返る。

 

『シェパードン!! なんで来た!? ボロボロなのはお前も同じ筈だぞ!!? あの時、奴等はお前の背中のビクトリウムのエネルギーを吸い取ってた。 狙いはお前かもしれないんだぞ!!』

「グルルルル……!」

 

ビクトリーは「地底に帰れ」と言うのだが、シェパードンは一向にそれを聞かず、帰ろうとはしなかった。

 

その時、倒れていた2体のバードンが起き上がり、その内1体は分身したボルストが新たなスパークドールズを使い「宇宙大怪獣 ベムスター」へとライブする。

 

『モンスライブ! ベムスター!』

『フン! やはりビクトリーを追い詰めればお前が出て来ると思っていたぞ!!』

 

するとバードンはボルストのテレポート能力を使い、ビクトリーの背後に回り込んで口から炎を放ち、それを見たシェパードンは慌ててビクトリーを後ろに下がらせると自分が盾となり、攻撃を自ら受けたのだ。

 

「クオオオオン!!!!?」

『シェパードン!!』

 

膝を突くシェパードンだったが、それでも尚ビクトリーを守ろうと立ち上がり、ビクトリーは自分も立とうとするのだがすぐにフラついてしまい、上手く立ち上がることができなかった。

 

そしてさらにまたバードンも容赦なく口からを火炎を吐きだし、シェパードンはビクトリーを守ろうと必死に自らを盾に攻撃を受け続け、その間にベムスターが腹部の口からシェパードンのエネルギーを吸収し、シェパードンは苦痛に満ちた声をあげる。

 

『なぜだ……。 シェパードン!! どうしてそこまで……!!』

「そんなの決まっている!!」

 

そこへ、ミカと戦い終え勝利した切歌と調が駆けつける。

 

『切歌、調……!』

「シェパードンも、きっと私と同じデス。 零無に傷ついて欲しくないから……だから身体を張って守ろうとしてるんデス。 零無が、大好きだから!!」

 

切歌は2本に分裂させたアームドギアをハサミのように合体させ、敵を切り裂くイグナイトで強化された「双斬・死nデRぇラ」をベムスターの背中に炸裂させながらそう言い放つ。

 

「でもね、聞いてシェパードン!!」

 

それによってベムスターは身体を大きく揺らし、その隙に今度は調がアームドギアのヨーヨーを合体・巨大化させ、頭上から振り下ろす「β式 巨円断」をベムスターの頭部に叩きこむ。

 

「キジャアアア!!!!?」

『おのれ〜!! よくもやってくれたな小娘共!!』

 

それによってベムスターの角が折れ、ベムスターは頭を抱えてしゃがみ込む。

 

「あなたの気持ちは私達にも分かる!! でもね、零無だってあなたが傷つくのは嫌な筈だよ!! 私も、あなたと同じように切ちゃんを守ろうと前に出すぎて切ちゃんと喧嘩しちゃった」

「だから、だからシェパードン!! 零無が大好きだから、守ろうとして前に出るんじゃなく……どどうか、零無と『一緒に戦う』『互いに守り合う』ことをして欲しいんデス!!」

 

切歌と調がバードンとドラゴリーの足止めをどうにかしながらシェパードンにそう言い放ち、それを聞いたシェパードンは小さく鳴き声をあげる。

 

『俺が大好きって……。 俺とシェパードンは、会ってまだ数日しか経ってないのに……』

 

その時だ、零無が首からかけていたビクトリウムで出来たペンダントが一瞬光を放ったのは……。

 

すると彼の目に、零無とよく似た……けれども彼よりも大人びた男性が映り、その隣にはお腹が大きく膨らんだ女性が立っていた。

 

『これは……シェパードンの記憶……?』

『もうすぐ俺達の子供が生まれそうなんだ!』

 

男性はどこか嬉しそうにもうすぐ自分の子供が生まれることをシェパードンに告げ、それを聞いてシェパードンも嬉しそうに声をあげる。

 

『そうか、お前も喜んでくれるか! 俺の子供が生まれたら、お前も世話を頼むぞ!』

『私からもよろしくね、シェパードン』

 

それに対してシェパードンは頷き、またこの映像を見て零無はすぐにシェパードンと話している夫婦が自分の両親だということを確信した。

 

『あれは、俺の父さんと母さん……』

 

それから数日後、赤ん坊の零無は無事出産し、夫婦はその赤ん坊だった頃の零無を可愛がって育てていた。

 

またシェパードンも自分に弟が出来たみたいでそのことを嬉しく思い、夫婦と一緒によく零無を面倒を見ていたのだ。

 

だが、零無が生まれ、1年が経過した時……。

 

ビクトリーランサーを巡る争いが起こり、戦争が勃発した。

 

正式なビクトリーランサーの所有者である父は次の所有者でもある我が子を巻き込まず守るためにビクトリーランサーと共に未来の世界へと送った。

 

その際、零無の父はシェパードンに頼んだのだ。

 

『どうか、未来で俺達の息子を守ってくれ、シェパードン……』

 

それを受け、だから、だからシェパードンはその約束を守る為に……そして弟のように思っていた零無を守るためにシェパードンは必死に彼を身を張ってでも守ろうとしていたのだ。

 

『シェパードン……お前の気持ちはよく分かった……。 だけど……そうだな、切歌と調の言う通りだ。 どちらかが守るんじゃない。 互いに守り合う為に、そしてみんなを守るために・・・・・・お前の力を俺に、俺に貸してくれ!!』

「グルルル……!! クオオオオオオオン!!!!!」

 

挿入歌「ウルトラマンビクトリーの歌」

 

次の瞬間、零無のペンダントとシェパードンの背中のクリスタルが眩く光輝き、その光はバードン、ドラゴリー、ベムスターを吹き飛ばす。

 

さらにそれだけではなく、ビクトリーの身体に打ち込まれた毒をも浄化され、ビクトリーは立ち上がる。

 

そしてシェパードンは身体を眩い光に包むと自らの意思でクリスタル状のスパークドールズ、「クリスタルスパークドールズ」へと変わるとビクトリーのカラータイマーの中に入り、インナースペース内の零無の手に渡る。

 

『行くぞシェパードン!!』

 

零無はシェパードンのクリスタルスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせる。

 

『ウルトランス! シェパードン!! セイバー!!』

 

すると地面からシェパードンの力を宿した聖剣……「シェパードンセイバー」が現れ、ビクトリーはそれを手に取る。

 

「シェパードンが……剣に!!」

「やっちゃうデス!! 零無!! シェパードン!!」

 

切歌の言葉にビクトリーは頷き、怪獣達に向かって駈け出す。

 

『それが……どうしたぁ!!?』

 

バードンが口から炎を放つが、ビクトリーはシェパードンセイバーで炎を切り裂きながら接近し、一気に詰め寄るとそのまますれ違いざまにバードンを斬りつける。

 

「ギシャアアア!!!!?」

 

そこでバードンを援護しようとベムスターがビクトリーに向かって空中を飛んで体当たりしようとするも、そこに高く跳び上がった切歌と調が現れ……。

 

空中で調のアームドギアのヨーヨーを切歌のアームドギアの鎌の柄の先に接続し、巨大な刃が付いた車輪状に変化させて回転させながら2人が敵に突撃をする「禁合β式・Zあ破刃惨無uうNN」が放たれ、これを顔に受けたベムスターは大ダメージを負って空中から墜落。

 

そのまま火花を散らしてベムスターは倒れ、爆発する。

 

「キジャアアアア!!!!?」

「やったデス!! どんなもんかデス!!」

「ブイ……」

 

またドラゴリーが空間を割ってその中に入り、異空間を通ってビクトリーの背後に現れ不意打ちを喰らわせようとするが……。

 

「キシャアア!!」

 

シェパードンが零無にそのことを教え、ビクトリーは振り返りざまにシェパードンセイバーを振るって切り裂く。

 

「グルアアアアア!!!!?」

『助かったぞ、シェパードン!!』

 

フラつきながらも残ったドラゴリーとバードンは並び立ち、こうなれば同時攻撃をしようと2体は一斉に駆け出すが……。

 

『好都合だ!! 纏めて倒すぞ!!』

「クオオオン!!」

『これで決める!!』

 

またビクトリーもドラゴリーとバードンに向かって駈け出し、ジャンプするとそのまま敵をV字型に切り裂く「シェパードンセイバーフラッシュ」をバードンとドラゴリーに炸裂させ、切り裂かれたバードンとドラゴリーは火花を散らして倒れ爆発。

 

「「グルアアアアアア!!!!!?」」

 

敵を倒し、シェパードンセイバーはビクトリーの手から離れて元のシェパードンの姿に戻る。

 

『これからも頼りにしてるぜ、相棒?』

「クオオオン!!」

『なに? 『弟分の癖に生意気言うな』? 誰が弟分だ!! 全く……ハハ……』

 

そんなやり取りをした後、シェパードンは地底へと戻り、ビクトリーも零無の姿へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、S.O.N.G.の方では……コウマが「ウルトラマンギンガ」に変身し、レイアの妹から潜水艦を奪還。

 

潜水艦を追いかけようとするアパテーとアルギュロスもギンガの放った頭部のクリスタルから放つ光刃「ギンガスラッシュ」を喰らい妨害される。

 

『お前等の相手は俺だ!! 行くぜタロウ!!』

『よし!!』

 

ギンガの中にいるコウマは左腕のストリウムブレスのタロウの顔が描かれたレリーフを横に向けて変身モードにさせ、ギンガスパークをリードさせる。

 

『今こそ、1つになる時!』

『ウルトラマンタロウ!』

『ギンガに力を! ギンガストリウム!!』

 

ギンガの姿に「ウルトラマンタロウ」の姿が重なり合うとギンガは姿を変え、「ウルトラマンギンガストリウム」へと強化変身する。

 

『ショウラ!!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

アパテーとアルギュロスはそれぞれ右腕を剣に変えてそれを振るってギンガに攻撃を仕掛けるがギンガはそれをしゃがみ込んで回避し、そのまま右拳でアパテー、左拳でアルギュロスの腹部を何度も殴りつける。

 

『ぐううう!!!? ならばこれはどうだ!!』

 

すると身体を6本の槍に変え、アパテーは一斉にギンガに向かって襲いかかるがギンガはバク転して槍を全て躱しきり、槍が地面に突き刺さったところを狙い、コウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると「ウルトラマンエース」の力を発動させる。

 

『ウルトラマンエースの力よ!』

 

そしてギンガは頭部のエネルギーホールから発生させたエネルギーをノコギリ状の刃が付いた光輪に丸めて7発放つ「ウルトラギロチン」を地面に突き刺さっている槍状のアパテーに放つ。

 

『ウルトラギロチン!!』

 

アパテーは地面から抜け出して逃げようとするが、逃げ切れず、全て直撃を受けて爆発した。

 

そこでアルギュロスがギンガの背後に回り込んで腕をキャノン砲に変形させて砲弾を発射するが……ギンガは回し蹴りで砲弾を蹴り飛ばし、そのままコウマはストリウムブレスのターレットを回転させ、スイッチを押して回転を止めると「ウルトラマンタロウ」の力を発動させる。

 

『ウルトラマンタロウの力よ!!』

 

開いた右手を高く上げると同時に左手を腰にあててそこから左手を上げて右手に重ねスパークを起こし、両手を腰に添え大気中の宇宙エネルギーを貯めてから両腕をT字型にして発射する光線「ストリウム光線」をアルギュロスに向かって放つ。

 

『ストリウム光線!!』

『うぐあああああ!!!!?』

 

ギンガのストリウム光線の直撃を受けてアルギュロスは火花を散らし、倒れ爆発四散するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから……戦いが終わり、切歌と調の元へと駆けつけた弦十郎とクリスは切歌と調、零無を叱っていた。

 

「こっちの気も知らないで!!」

「たまには指示に従ったらどうなんだ?」

 

そんな2人に対し、調と切歌、零無は頭を下げて謝罪する。

 

「……独断が過ぎました」

「これからは気をつけるデス……」

「……まぁ、俺も今日はちょっと無茶し過ぎました……」

 

そんな3人に対して弦十郎は「珍しくしおらしいな……」と少し驚く様子を見せる。

 

「私達が背伸びしないでできるのは受け止めて、受け入れること……」

「だから、ごめんなさいデス……」

「……うむ、分かればそれで良い……」

 

それから3人はそれぞれ家に帰され、そんな切歌と調の背中を見ながらクリスはあることをボソっと呟く。

 

「先輩が手を引かなくたっていっちょ前に歩いて来やがる。 あたしとは、違うんだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「足手纏いにならないこと……。 それは強くなることだけじゃない、自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」

「責任……『自らの義に正しくあること』……」

 

調の言葉を聞いて切歌はスマホで「責任」の意味を調べ、読み上げる。

 

「要するにスパイ〇ーマン的なアレだろ? 大いなる力には〜的な」

「それは似てるような、違うような感じはするデスね、零無。 でも、それを正義と言ったら調の嫌いな偽善っぽいデスか?」

「……」

 

すると調は切歌に言われ、かつて自分が響に対して偽善者呼ばわりしたことを思い出し、彼女は暗い表情を浮かべる。

 

「ずっと謝りたかった。 薄っぺらい言葉で響さんを傷つけてしまったことを……!」

 

そこで切歌は調の肩に両手を置く。

 

「ごめんなさいの勇気を出すのは調1人じゃないデスよ……。 調を守るのはあたしの役目デス!!」

「切ちゃん……。 ありがとう、何時も……全部、本当だよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、チフォージュ・シャトーにて……。

 

そこに置かれたある扉が突如ゆっくりと開き、その中から倒されたと思われていたキャロルが現れる。

 

それを見てレイアとファラは彼女の前に跪く。

 

「お目覚めになりましたか」

「……そうか、ガリィとミカが……」

 

キャロルは天井からかけられている文字のようなものが刻まれた赤い布のようなものと青い布のようなを見ると彼女はガリィとミカが破れたことを即座に理解した。

 

「はい、派手に散りました……」

「これからいかがなさいますか?」

「言うまでもない。 万障黙示録を完成させる。 この手で奇跡を皆殺すことこそ数百年間の大願……」

 

キャロルは自身の手を握りしめ、そんな彼女の目には……なぜかここにいない筈の医務室で座る響の姿が映っていた。

 

「聞いた? 調ちゃんと切歌ちゃん強いね! ホントに強くなったと思う、そう思うでしょ? エルフナインちゃんも!」

 

医務室にいるのは響とエルフナインの2人だけ、つまり……エルフナインが見て聞いているものはキャロルにも伝わっていることを意味していたのだ。

 

「……あぁ、思うとも……。 故に、世界の終わりが加速する!!」




ジャスティスは最初に1話で登場したやつではなく、この世界のジャスティスのSDです。
ホントはアパテーとアルギュロスを合体させてミーモス出したかったんですけどね。
長くなりそうだったので持ち越しです。


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10Eve 『目覚めよ翼』

シンフォギアサーガに関連した話。


時空の狭間……。

 

そこではエタルガーがゼノンとマックスと戦った際に傷ついた城、次元を移動するための「時空城」を内部から修理しているところだった。

 

『ふむ、もう少しで修復するな。 おのれ、マックスとゼノン!! 余計な手間をかけさせてくれる』

 

とはいえ、もう少しで城の修理は完了するため、エタルガーは悪態をつきながらも急いで最後の仕上げに入るのだった。

 

だが、彼は気づかなかった。

 

エタルガーはマックスとゼノンのことで頭に血が上っていたためか、はたまたは城の修理に専念していた為か、彼の立つ少し後ろの方で1人の男性が走り去って行くことに。

 

(ふむ、ここ数日間地球人の姿になって城に隠れ、エネルギーも十分回復した。 これなら1人くらいは……)

 

この男性、その正体は人間の姿へと変身した「ウルトラマンゼノン」であり、彼は以前の戦いで城の外に放り出された際、城の一部にしがみついて内部に侵入することに成功したのだ。

 

しかし、エタルガーとの戦いのダメージからゼノンはウルトラマンの姿に変身することができず、城の中でエタルガーに見つからないようこっそりと十分なエネルギーが回復するのを待っていたのだ。

 

そして今、エネルギーを十分に回復したゼノンはエタルガーの目をかいくぐってティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、メビウスが鏡の中に封印された部屋に辿り着くことに成功した。

 

『んっ? 君は誰だ?』

 

それに気づいたコスモスがゼノンに何者かと尋ねるとゼノンはウルトラマンとしての姿に変身し、巨大化、ゼノンは「君たちを助けに来た」と彼等に伝える。

 

『しかし、すまない。 私1人だけの力では1人を助け出すのがやっとなんだ』

『気にすんな。 それにお前が助けた奴が他の奴等を助ければ問題ない筈だぜ?』

 

ゼノンの言葉に対し、ダイナはそう言うのだが、ゼノンは申し訳なさそうに首を横に振る。

 

『無理だ。 君たちの今残されているエネルギーでは他の者達を助け出すことはできない』

『そんな……!! なら、ヒカルさんを……!』

 

1人しか助け出せないのならばウルトラマンティガ……「マドカ・ヒカル」を助け出してくれと頼むダイナだったが、それをティガは首を横に振って拒否した。

 

『いや、アスカ、君が助かるべきだ。 外に出たらエタルガーが次に狙っているというウルトラマンギンガの元に行って彼等の助けになるんだ』

『でも……!!』

『僕も、ヒカルさんには賛成です。 アスカさんは面倒見とか良さそうですし、僕達の中で1番後輩と打ち解けられそうですからね』

 

ティガに続き、ガイアもウルトラマンダイナ……「飛翔 アスカ」が助かるべきだと主張するのだが、それでもやはりダイナはこの中で1番の先輩であるティガこそが助かるべきだろうとメビウスやネクサスにも意見を求める。

 

『いや、アスカさん……君が行くんだ』

『俺も、彼等に賛成だ』

 

メビウスやネクサスもダイナがここから出るべきだと言い、それにダイナは戸惑うが……。

 

『僕達は大丈夫、僕達は君を信じてる!! だから行け、早く!! エタルガーに気づかれる前に!!』

『ヒカルさん……』

 

ティガに強くそう言われて意を決したのか、ダイナは力強く頷き、ゼノンに自分を解放してくれるように頼む。

 

それにゼノンは頷き、あらかじめ右腕に装着されていたマックスギャラクシーに酷似した「ゼノンギャラクシー」を構え、そこにエネルギーをチャージしてそこから光線を発射。

 

光線を受けたダイナの鏡は「パリーン」と心地よい音を立てながら砕け散り、その中から脱出したダイナが地面に着地する。

 

『礼を言うぜ、ゼノン』

『あぁ……。 ぐぅ!?』

 

ダイナはゼノンにお礼を述べるのだが、ゼノンは突然胸を押さえて苦しみながら膝を突き、ダイナは慌ててゼノンに「どうした!?」と尋ねる。

 

『心配するな、まだダメージが少し残っているだけだ』

 

エネルギーがそれなりに回復したと言っても、ゼノンは以前の戦いから完全に傷が癒えた訳ではない。

 

まともな手当ても受けず、ただひたすら身を潜めていたゼノンの身体は既に心身ともにボロボロであり、それを見たメビウスはゼノンに一度故郷のM78星雲に帰って傷の手当てをすべきだと言う。

 

『しかし……』

『あとのことは俺に任せろ』

 

ダイナはゼノンの肩に手を置いて自分の胸を叩き、それを見てゼノンもダイナを信じ、「分かった」と頷くのだった。

 

しかし、その時である。

 

事態に気づいたエタルガーが部屋に入って来たのだ。

 

『ウルトラマンゼノン!! 貴様いつの間に……!! さらにはダイナまで解放してくれるとはな!!』

 

エタルガーは怒りを露わにし、ダイナとゼノンに攻撃を仕掛けようとするのだがダイナはエタルガーの足下に両手を十時に組んで放つ「ソルジェント光線」を放って砂煙を上げ、エタルガーの視界を奪う。

 

『ぐお!? おのれ!!』

 

さらにそこからダイナは両腕を胸の前でクロスさせて広げると青い姿の「ミラクルタイプ」にタイプチェンジし、ゼノンの肩に手を置き、瞬間移動能力「ダイナテレポーテーション」を使い時空城から離脱するのだった。

 

『くっ、しまった!! だが、奴等の行き先は幾つか予想できる。 取りあえずはギンガの世界へと行くとしよう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チフォージュ・シャトーにて。

 

そこでは復活を果たしたキャロルが王座に座っており、彼女はオートスコアラーに指示を出すため立ち上がるのだが……突然彼女は苦しそうな顔を浮かべ、その場に膝を突いてしまう。

 

「マスター?」

「最後の予備個体も不調ですか?」

「負荷を度外視した思い出の高速インストール……、さらに自分を殺した記憶が拒絶反応を起こしているようだ」

 

キャロルはファラの質問にそう答え、レイアはそれを聞いて「いかがなさいますか?」と彼女に尋ねるが、それに対しキャロルは「無論、まかり通る!!」と言い放つ。

 

「歌女どもが揃っている、この瞬間を逃す訳にはいかぬのだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある病院にて響は前回の戦いでの肉体へのダメージなどを調べるため、検査入院しており、今は未来が来て彼女の着替えなどを手伝っているところだった。

 

「もぉ~、ただの検査入院なのに大騒ぎしすぎだよ?」

「響のせいで大騒ぎしてるんでしょ?」

 

響の言葉に未来は呆れたように言い返すと……その時、響のスマホから着信が入り、彼女がスマホを取って画面を見るとそこには「お父さん」と名前が出ていたのだが……。

 

響は着信を拒否して切り、彼女は表情1つ変えようとせず、何時もの様子で「検査、行かなきゃ」と未来に心配させまいとしてか笑顔を見せて立ち上がる。

 

「響……」

 

それに心配そうに響を見つめる未来だが……。

 

「へーき」

「へっちゃらじゃない!!」

 

響が無理に明るく振る舞おうとしているのを見据えてか、未来は響にそう言い放ち、響は一瞬立ち止まる。

 

しかし、それでも彼女はうっすらと口元に笑みを浮かべる。

 

「未来がいる、みんなもいる! だからお父さんがいなくたってへっちゃら!!」

 

響は未来にそう言い残してその場を立ち去り、検査のある部屋へと向かうのだった。

 

だが、その途中、丁度響の見舞いに来ていたカイトとランにバッタリ遭遇し、響は何時ものおちゃらけた様子で「あれぇ? 2人ともどうしたの?」と笑いながら尋ね、そんな響を見てランとカイトは顔を見合わせる。

 

「まぁ、見舞いってところだ。 検査今からだったか?」

「うん、そうだよ」

 

それを聞いてランは「そうか」とだけ答え、少しの間沈黙が走るのだが……途中でカイトが戸惑いつつも口を開く。

 

「あの、響さん。 俺達、いつでも相談に乗ります。 だから、頼ってくださいね?」

「遠回りな言い方してんじゃねえ、要するに響の親父さんのことだろうが」

「ラン隊長はちょっと言い方ストレートなのでは!?」

 

敢えてカイトが言葉を濁していたのに「めんどくせぇ!」と言わんばかりにストレートに響の父親のことについて話すラン。

 

そんなランに響は「あはは……」と苦笑しつつも「でも、大丈夫ですから」と言って検査室に向かおうとするのだが、ランにちょっと待てと呼び止められる。

 

「これだけは言わせてくれ。 俺も、まぁ、ちょいと親父とのいざこざがあった経験があるんでな。 なんかアドバイスくらいしてやれるかもしれない。 それだけは覚えておいてくれ」

「俺からも……。 会える内に会わないと、後悔するかもしれない。 だからもし、次にお父さんと会う機会があるなら……」

 

ランとカイトがそこまで言いかけ、2人がこんなにも気にかけてくれていることを嬉しく思った響は2人に対し「ありがとう」と笑いかけるが……やはりその笑顔にはどこか影があり、ランもカイトも心配そうな顔を浮かべていた。

 

「それじゃ、私もう行かないと!!」

「あぁ、分かった」

 

響はそれだけを言って手を振って2人と別れ、彼女は検査室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ランとカイトがS.O.N.G.本部に帰ると今集められるメンバーは司令室に来るように指示を受け、一同が集まるとオートスコアラーの狙いを探るためにあおいがモニターにある画面を映し出す。

 

「これは……?」

「電力の優先供給地点になります」

 

カイトの質問に朔也が答え、またその画面を見て切歌は「こんなにあるデスか!?」と驚きの声をあげていた。

 

「その中でも一際目立ってるのが……」

「深淵の竜宮……」

 

調と弦十郎が画面を見ながらそう呟く。そこは異端技術に関連した危険物や未解析品を封印した絶対禁区であり、 秘匿レベルの高さからS.O.N.G.にも詳細な情報が伏せられている、拠点中の拠点である。

 

「オートスコアラーがその拠点を割り出していたとなると……」

「狙いはそこにある危険物!!」

 

弦十郎から「深淵の竜宮」の説明を聞き、恐らくオートスコアラーはほぼ間違いなくそこを狙って現れるであろうと翼とマリアは予測する。

 

「だったら話は簡単だ!! 先回りして迎い撃つだけのこと!!」

 

相手が何を狙っているのかが分かれば迎え撃って出れば良いと考えるクリスだったが、そんなクリスに対しコウマは「そんなに上手く行くか?」と疑問を口にする。

 

「それに襲撃予測地点はもう1つある」

 

弦十郎があおいに指示をしてそのもう1つの襲撃地点の場所をモニターに映すとそこは翼にとってとてもよく知る場所であり、それに彼女は驚きの声をあげる。

 

「ここって!?」

 

そこに映し出されていたのは「風鳴八紘邸」……つまりは翼の生家である。

 

「気になる出来事があったので調査部で独自に動いてみました。 報告によると事故や事件による神社や祠の損壊が頻発していまして……」

 

それらの出来事はほぼ間違いなくオートスコアラーによる犯行と思われ、その報告を聞いて零無はそんなことをするオートスコラー達に対して呆れたような顔を浮かべ、溜め息を吐く。

 

「んっ? どうした零無?」

「いや、神社を破壊とか罰当たりなことするなーと思って。 仏様を大事にしない奴は死ぬべきだとか言われても俺知らねーよ」

「誰が言うんだよそんなこと」

 

零無の言葉にコウマは苦笑しながらツッコミを入れた後、2人は再び緒川からの報告の続きを聞く。彼が言うにはそれらの神社にはいずれも明治政府の帝都構想で霊的防衛機能を支えていた龍脈があり、レイラインのコントロールを担っていた要所であるというのだ。

 

「錬金術とレイライン、敵の計画の一環と見て間違いないだろう」

「風鳴の屋敷には要石もある、狙われる道理はあるというわけか……」

 

弦十郎と翼がそれぞれそう口にし、弦十郎は検査入院している響が欠けてしまってはいるが、打って出る好機かもしれないと考え、彼はエルフナインに視線を映すと、エルフナインはそんな弦十郎の考えに同意するように頷く。

 

「キャロルの怨念を、止めてください」

 

真剣な眼差しでコウマ、零無、カイト、ラン、マリア、翼、クリス、切歌、調にそう頼むエルフナインに一同は力強く頷いた。

 

「よし、チームを編成するぞ!!」

 

弦十郎により八紘邸には緒川、ランとマリア、そして翼が行くことになり、深淵の竜宮にはコウマ、零無、クリス、切歌、調が向かい、カイトは市街地などでエクセラー達が行動を起こす可能性を考慮して街に残ることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風鳴八紘邸……車で一同が目的地に到着すると早速屋敷の中へと入り、ラン達はその屋敷にある巨大な要石を発見。

 

今回の任務はこれを守ること……。

 

するとそこへ翼の父である「風鳴 八紘」がSPの男性達と一緒に現れ、八紘は「ご苦労だったな、慎次」と労いの言葉をかける。

 

「それにS.O.N.G.に編入された君たちの活躍も聞いている」

 

八紘の言葉にマリアとランは少し戸惑いつつも「あっ、はい」と答える。

 

「アーネンエルベの神秘学部門よりアルカノイズに関する報告書も届いている。 あとで開示させよう」

「はい」

 

八紘は緒川に対してそれだけを言い残すと彼はその場を立ち去ろうとし、それを見て翼はハッとなって「お父様!!」と八絋に声をかける。

 

「……っ、沙汰もなく、申し訳ありませんでした」

 

翼はあまり八紘に連絡などを入れられなかったことを謝罪する。

 

しかし……。

 

「お前が居なくとも風鳴の家に揺るぎはない。 務めを果たし次第、戦場に戻るがいいだろう」

 

翼に対して少し冷たい印象を与えるような言い方をする八紘。

 

そんな彼に対し、マリアは「今の言い方はないのではないか」と思い彼女は「待ちなさい!!」とまた立ち去ろうとする八紘を呼び止める。

 

「あなた翼のパパさんなんでしょ!? だったらもっと他に……!!」

「マリア!! いいんだ……!」

「翼! でも……!!」

「いいんだ……」

 

八紘に対し文句の1つでも言ってやろうと思ったマリアだったが、翼に必死に止められ、マリアは黙り込み、そんな彼女等の一部始終を黙って見ていたランは小さな溜め息を吐いた。

 

「全く、どこもかしこも親父とのいざこざ抱えてやがんのな……。 だが、今はそれよりも・・・・・・。 そこにいるのは分かってんだぜ!!」

 

ランはウルトラゼロアイ・ガンモードで、緒川は拳銃を取り出してある方向へと弾丸を放つとそれらを光学迷彩で姿を消していたファラが自分の周囲に緑の竜巻を起こし弾丸を弾いて登場。

 

さらに彼女の隣にテレポートしてきたボルストが現れる。

 

「野暮ね? 親子水入らずを邪魔するつもりなんてなかったのに……」

『フハハ、貴様が言っても説得力がないな』

「あら? 酷いわねボルストさん?」

 

ファラの姿を見て翼は「あの時のオートスコアラー!!」と驚きの声をあげ、ファラは要石を壊してレイラインの解放を宣言し、それを聞いてマリアは「やはり狙いは要石か!!」と声をあげる。

 

「ダンス・マカブル!」

 

そしてファラはアルカノイズとチブロイドを召喚し、ボルストは2体に分身してそれぞれスパークドールズとチブルスパークを取り出す。

 

そのまま2体のボルストはチブルスパークにスパークドールズをリードさせ、1体は金色の竜のような姿をした「宇宙竜 ナース」に、もう1体は「宇宙竜 ドラゴドス」にライブする。

 

『モンスライブ! ナース!』

『モンスライブ! ドラゴドス!』

 

ナースとドラゴドスにライブしたボルストは空中へと浮かび上がり、ドラゴドスがランを挑発するように手をクイクイっと手招きし挑発する。

 

『ウルトラマンゼロ!! 今日を貴様の命日にしてやるぜ!!』

「ハッ! やれるもんならやってみやがれ!!」

 

鼻を親指でこすった後、ランはガンモードのウルトラゼロアイを開いて変形させ、目に装着させる。

 

「デュア!!」

 

するとランは光に包まれて「ウルトラマンゼロ」に変身し、空中へと浮かび上がるとここでは戦うには狭いし、何より要石があるためゼロは「ついてこい!!」とナースとドラゴドスに言い放ち、2体を人気のない場所に誘導しようとその場から離れて飛び去る。

 

『フン、成程……確かにここでは戦いづらいか』

 

ボルストも敢えてそれに乗り、ナースとドラゴドスはゼロを追いかける。

 

そして翼とマリアもファラ達と戦うために「歌」を口ずさみ、それぞれ2人はシンフォギアを身に纏う。

 

挿入歌「Beyond the BLADE」

 

翼は剣型のアームドギアでアルカノイズはチブロイド達を切り裂き、マリアはアルカノイズやチブロイドに短剣のアームドギアを投げつけて突き刺し、続けて短剣を連結させた鞭でアルカノイズやチブロイド達を真っ二つに切り裂いていく。

 

「ここは私が!!」

「うむ、務めを果たせ!」

 

八紘は翼にそれだけを言うとSPと一緒にその場を去り、翼は一瞬悲しげな表情を浮かべたが……すぐに険しい表情に戻り、敵に立ち向かう。

 

「さぁ、捕まえてごらんなさい!」

 

ファラは足下に緑色の竜巻を起こして空中に浮かび上がり、翼に向かって行くが彼女はバックステップでそれを躱す。

 

そして空中にいるファラに向かって翼は大型化させた大剣状のアームドギアを振るい、巨大な青いエネルギー刃を放つ「蒼ノ一閃」を繰り出すが……ファラが武器の「ソードブレイカー」を振るって緑の斬撃を放ち、それを相殺。

 

ならばと翼は空中へとジャンプし、空中で投擲したアームドギアを巨大な刃に変形させ、その後部を蹴り込んで切先で敵に突貫する「天ノ逆鱗」を放つ。

 

「フフ、なにかしら?」

 

しかし、ファラはそれをソードブレイカーで受け止めるとソードブレイカーが突如として赤く光り、巨大化した翼のアームドギアは徐々に錆びていく。

 

「なに!?」

 

次の瞬間、翼のアームドギアは粉々に砕け散り、その際に発生した衝撃に翼は吹き飛ばされる。

 

「剣が……砕かれていく!? うわあああ!!?」

 

吹き飛ばされた翼は地面に激突し、気を失ってしまった。

 

「翼!!?」

「私のソードブレイカーは剣と定義されるものであれば高度も強度も問わずに噛み砕く哲学兵装、さぁ? いかがいたしますか?」

 

ファラは余裕の笑みを浮かべながらソードブレイカーを構え、またそれを見た緒川は強化されたシンフォギアでも叶わないのかと驚きの表情を浮かべていた。

 

「てええええい!!!!」

 

すると今度はマリアが複数の短剣のアームドギアをファラに投げつけるのだが、ファラの放つ風の斬撃によりマリアのアームドギアも「剣」であるが為にあっさり砕かれ、そのまま真っ直ぐ斬撃はマリアに向かって行く。

 

それにマリアは慌てて回避するのだが……斬撃は彼女の背後にあった要石に直撃し、要石は粉微塵に破壊されてしまうのだった。

 

「あら? アガートラームも剣と定義されていたかしら?」

「哲学兵装……。 概念を干渉する呪いやゲッシュに近いのか?」

「フフ♪ ごめんなさい、あなたの歌には興味がないの」

 

するとファラは緑色の竜巻に身を包み込む。

 

「剣ちゃんに伝えてくれる? 目が覚めたら改めてあなたの歌を聴きにいかがいます」

 

ファラはそれだけを言い残すとその場から消え去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方・・・・・・ナース、ドラゴドスと戦うゼロは・・・・・・。

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロのテーマ」

 

ドラゴドスの放った高熱火炎を巨大な光のバリアを作り出す「ウルトラゼロディフェンサー」でゼロは防ぎ、尻尾を振るって背後から攻撃してきたナースもゼロは尻尾を掴んで振り回し、地上へと叩き落とす。

 

次にドラゴドスは尻尾の回転鋸を振るって攻撃を仕掛け、ゼロはそれをどうにか避けつつ左腕を伸ばしてから額のビームランプから発射する「エメリウムスラッシュ」を発射。

 

『エメリウムスラッシュ!!』

 

それに対してドラゴドスも高熱火炎を吐いて相殺する。ゼロとドラゴドスの間に爆発が起き、周りは煙幕に包まれてしまい、ゼロは視界を遮られてしまう。

 

『ぐっ!?』

 

ゼロは腕を振るって風を起こし、煙幕を一気に振り払うのだが・・・・・・先ほどまで目の前にいたドラゴドスの姿がおらず、「どこに行きやがった!?」とゼロがドラゴドスの姿を探そうとした瞬間・・・・・・。

 

いつの間にか後ろに回り込んでいたナースがゼロの身体に巻き付いて拘束し、動きを封じる。

 

『この!! それならストロングコロナ・・・・・・!!』

 

ならばと思い、ゼロはパワーに優れた「ストロングコロナ」へとタイプチェンジしようとするのだが・・・・・・そうはさせまいとナースがゼロの肩に噛みつき、ゼロはダメージを受ける。

 

『ぐあっ!?』

 

ゼロのタイプチェンジを阻止したナースは素早く拘束を解いてゼロから離れると上空で待機していたドラゴドスが高熱火炎を放ってゼロに直撃させ、ゼロは地上へと落下する。

 

『貴様にタイプチェンジはさせん!!』

『お前が技を繰り出す前にぶっ倒してやろう!!』

 

ドラゴドスは落下して倒れ込んだゼロに向かって再び高熱火炎を放ち、ゼロはバリアを張るのも回避するのも間に合わず、両腕を交差してなんとかドラゴドスの攻撃を耐える。

 

さらにナースも円盤状に変形し、底部から光弾を連射してゼロを攻撃し、2体はゼロに反撃の隙を与えなかった。

 

『ぐあああっ!!? このままじゃ・・・・・・少し、ヤバいぜ・・・・・・がぁ!!?』

『フン!! これでトドメだ!! ウルトラマンゼロ・・・・・・!!』

 

ドラゴドスとナースがゼロにトドメを刺そうと最後の攻撃を仕掛けようとしたその時である。

 

突如として空に巨大な穴が開き・・・・・・そこから1つの光の球体が現れるとそれはナースとドラゴドスに攻撃し、2体を地上に叩き落とす。

 

『ぬおお!!?』

『な、なんだ・・・・・・!?』

『アレは・・・・・・!!』

 

その球体はゼロの目の前にまでやってくると眩い光を放ち、その中から赤と青の身体に金色のプロテクターを身につけた巨人・・・・・・「ウルトラマンダイナ フラッシュタイプ」が現れたのだ。

 

BGM「ヒーロー登場!」

 

『久しぶりだな、ラン・・・・・・ウルトラマンゼロ?』

『お前は・・・・・・ウルトラマンダイナ!? 飛翔アスカか!?』

 

ダイナは倒れ込むゼロに手を差し伸べ、ゼロはその手を掴んで立ち上がる。

 

『お前、エタルガーに囚われてたんじゃ・・・・・・!?』

『話は後だ。 先ずはアイツ等を!!』

 

ダイナは親指をグイッとドラゴドスとナースに向け、それにゼロは「そうだな」と返し、2人は並び立ち、ドラゴドスとナースに向かって行く。

 

『ウルトラマンダイナだと・・・・・・!?』

『フン!! だが敵が増えようが倒せば良いだけのこと!!』

 

ナースとドラゴドスはダイナの登場に驚くが、すぐさまドラゴドスはダイナ、ナースはゼロに攻撃を仕掛け、ナースは空中を飛び回りながら光弾をゼロへと撃ち込む。

 

だが、ゼロは腕に装着したウルティメイトブレスレットから盾・・・・・・「ウルトラゼロディフェンダー」を取り出して攻撃を防ぎ、そのまま槍型の武器「ウルトラゼロランス」に変形。

 

『ルナミラクルゼロ!!』

 

さらにゼロは青い姿「ルナミラクルゼロ」に変身し、テレポートでナースの頭上に現れるとゼロランスを振るってナースを叩き落とす。

 

『シェア!!』

「グルアアア!!?」

 

戦闘BGM「われらのダイナ」

 

ドラゴドスはダイナに噛みつこうと迫ってくるがダイナは即座にアッパーカットをドラゴドスの顎に叩き込む。

 

しかし、ドラゴドスはすぐに体勢を整えて尻尾を振るい、先の鋸でダイナを斬りつけようとするのだが・・・・・・ダイナはエネルギーを鋸状にして投げつける光のカッター「ダイナスラッシュ」でドラゴドスの尻尾を切断し破壊。

 

「グルアア!!?」

『ショワ!!』

 

さらにダイナは続けてドラゴドスの胸部に蹴りを叩き込んだ後、頭部にチョップを炸裂させる。

 

『ええい!!』

 

それを首を激しく左右に振ってドラゴドスはダイナを振り払い、口から火炎を・・・・・・ダイナは両腕を交差して攻撃を耐える。

 

『ぬぐ・・・・・・!!』

『フハハハ!! このまま焼き殺してくれようぞ!!』

『へっ、こんな炎・・・・・・屁でもないぜ!!』

 

するとダイナはドラゴドスの放つ炎を腕を強く勢いよく振るってかき消し、一気にドラゴドスに接近するとダイナはドラゴドスの顔面に強烈なパンチを叩きこむ。

 

「グウウウ・・・・・・!!」

 

それからダイナはドラゴドスの頭を掴みあげると背負い投げを繰り出し、ドラゴドスは地面に勢いよく激突。

 

そこを狙いダイナは両腕を十字型に組んで放つ青色の光線「ソルジェント光線」をドラゴドスに向かって放ち、直撃を受けたドラゴドスは火花を散らして爆発するのだった。

 

『ハアア、ジュア!!』

「グルアアアアア!!!!?」

 

一方ゼロはというと・・・・・・。

 

ゼロは赤い姿「ストロングコロナゼロ」にタイプチェンジしてナースに掴みかかるとそのままナースを竜巻のように高速回転させながら放り投げ、空中で磔にするように拘束する「ウルトラハリケーン」を繰り出す。

 

『ウルトラハリケーン!!』

「グルウゥ!?」

 

そしてゼロは右拳から放つ炎状の強力光線「ガルネイドバスター」をナースに向かって炸裂させ、直撃を受けたナースは火花を散らして爆発するのだった。

 

『ガルネイドォ!! バスタァー!!!!』

「グルアアアアアア!!!!?」

 

その後・・・・・・ナーガとドラゴドスを倒し終えたゼロとダイナはランとアスカの姿に戻り、2人は互いに一通りの事情を説明。

 

「成程・・・・・・ゼノンが・・・・・・」

「あぁ、今はまだ身体へのダメージが残っているから治療のために光の国に帰って貰ってる」

 

それを聞いてランは「そうか、ゼノンもアスカも無事で良かった」と安堵の溜め息を吐く。

 

「けどまだティガ達は囚われたままだ。 早く助け出さねえと・・・・・・」

「あぁ、だが今の俺達じゃエタルガーに勝つのは難しい。 奴がティガ達に手出ししないことは分かっている。 その間にギンガとビクトリーを鍛え上げねえと・・・・・・」

 

最も、今は作戦行動中でコウマと零無はクリス達と共に深淵の竜宮の防衛に当たっている為、今はあの2人を鍛えあげるということができないのだが・・・・・・。

 

アスカはランの言う任務が終わり次第、自分もコウマと零無の2人の特訓に付き合うと約束し、それにランが笑みを浮かべてアスカの肩にポンっと手を起き「感謝するよ」とお礼を述べる。

 

「取りあえず、翼達の元に戻るぞ。 アイツ等も敵と交戦中だ」

「別の世界の翼達か・・・・・・。 興味深いな」

 

ランとアスカはそんな会話をしながら急いで翼達の元へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから・・・・・・緒川はS.O.N.G.本部にいる弦十郎に要石の防衛に失敗してしまったことを報告。

 

それを受け、弦十郎は「2点を同時に責められるとはな・・・・・・」と怪訝な顔を浮かべ、それを聞いて緒川は「2点?」と首を傾げる。

 

『まさか・・・・・・!』

「あぁ、深淵の竜宮にも侵入者だ! セキュリティが奴等を補足している!」

 

深淵の竜宮の監視カメラを通し、コウマ達はキャロル、ベルメ、キューバ、レイアの4人が侵入しどんどん建物の奥へ奥へと入って行く姿を確認し、一同はあの時死んだと思われたキャロルが生きていることに驚きを隠せないでいた。

 

「閻魔様に土下座して蘇ったのか?」

「アイツ土下座するようなタイプには見えないけどな。 多分、例の錬金術云々でそういう方法があったんだろう」

 

クリスの言葉にコウマがそう応え、まだ弦十郎は「奴等の策に乗るのは癪だが見過ごす訳にはいくまい」として彼の指示を受け、コウマ、零無、クリス、切歌、調の5人でキャロル達を止めに行くことに。

 

やがて潜水艦が目的地に到着するとコウマ達は早速深淵の竜宮に乗り込み、切歌と調は興味深そうに辺りを見回す。

 

「ここが深淵の竜宮・・・・・・?」

「だだっ広いデス!」

「ピクニックじゃねえんだ行くぞ」

「そうだぞ、既に敵が来てんだ。 何があるか分からないんだから気を引き締めていかねーとな」

 

クリスと零無が「あんまりはしゃぐな」とでも言うように切歌と調にそう注意するのだが、零無の手にはピクニックなどで使うバスケットがあり、彼はそこからおにぎりを取り出してムシャムシャと食べていたのだった。

 

「「お前が1番ピクニック気分じゃねえか!!?」」

 

それに対して即座にクリスとコウマが零無にツッコミを入れるのだが・・・・・・。

 

「えっ!? いやそんなことないぞ!! だってそろそろ昼時だろ? 腹が減るかなと思って・・・・・・みんなの分もちゃんとあるぞ!? 武士は食わねど高笑い~って言うだろう!?」

「言わねーよ!! それを言うなら武士は食わねど高楊枝だ!! お前がなんか言うと腹立つんだよそれ!!」

 

などと零無は言い訳し、そんな零無に切歌と調は頭を抱えて「はぁ」と溜め息を吐くのだった。

 

「そういうところが、ポンコツなんだよ零無は」

「いい加減自覚持ってほしいデース」

「調はまだしも切歌にだけは言われたくない!!」

 

兎に角、このポンコツ(零無)は放って置いて先に進むことに。

 

一方で弦十郎達は侵入者達であるキャロル達の現在地の補足を行っていた。

 

「キャロルの目的は世界の破壊。 ここに納められた聖遺物、もしくはそれに類する危険物を手に入れようとしているに違いありません」

 

またエルフナインがキャロルが何を狙っているかの予想を弦十郎に伝え、それを聞き、弦十郎は兎に角今はここからサポートしつつコウマ達を信じることにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんっ・・・・・・」

 

夕方、八紘邸の寝室にて・・・・・・そこではファラとの戦闘で気を失っていた翼が目を覚まし、彼女は辺りを見回した後、ゆっくりと身体を起き上がらせる。

 

「・・・・・・そうか、私はファラと戦って・・・・・・」

 

ファラとの戦闘で自分が敗れたことを思い出し、「身に余る夢を捨てて尚・・・・・・」と考えながら顔を俯かせる翼。

 

(私では届かないのか・・・・・・)

 

そんな時、外から「大丈夫? 翼?」と彼女を心配してやってきたマリアの声が聞こえ、それに対し翼は「すまない、不覚を取った」と謝罪。

 

「動けるのなら来て欲しい、翼のパパさんが呼んでいるわ。 それと・・・・・・新しい仲間の紹介もしないとね?」

「新しい仲間?」

 

マリアの言葉に翼が傾げていると不意にその部屋の扉が勢いよく開かれ「よっ!」と脳天気そうな笑顔を浮かべながら右手をあげながら挨拶をするアスカが入って来たのだ。

 

「俺の名前は飛翔アスカ・・・・・・又の名を、ウルトラマンダイナだ!! よろしくなこっちの翼!!」

「ウルトラマン・・・・・・ダイナ・・・・・・!?」

 

ウルトラマンダイナと名乗る男性に対し、翼は驚きの表情を浮かべる。

 

するとアスカは「ほいっ!」としゃがみ込んで座り込んでいる翼に手を差し出し、それに対して翼は戸惑いつつも「あ、あぁ」と頷いてアスカの手を掴んで握手をし、彼は「怪我してるんなら無理すんなよ?」と言い残した後、彼女から手を離して立ち上がる。

 

「あ、あの・・・・・・こっちの翼ってどういう・・・・・・」

「あぁ、俺も似たような世界から来たからな。 ちなみに俺とお前は俺の世界じゃ幼馴染みなんで・・・・・・まぁ、気軽に接してくれ!!」

 

笑みを浮かべながらサムズアップするアスカに対し、翼は戸惑いつつも「は、はぁ・・・・・・」と頷く。

 

その後、アスカがその場から立ち去ると取りあえず今は八紘のところに行こうと思い、彼女は私服に着替えてマリア、ラン、アスカ、緒川と共に彼の元へと行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある部屋へとやってきた翼、ラン、マリア、アスカ。

 

そこでは緒川と八紘がおり、机の上にはアーネンエルベが調査したというアルカノイズの攻撃によって生じる赤い粒子についての報告書が置かれていたのだった。

 

ちなみに「アーネンエルベ」とはシンフォギアの開発に関わりが深い独国政府の研究機関の名前である。

 

「報告によると赤い物質はプリマ・マテリア。 万能の溶媒アルカ・ヘステによって分解還元された物質の根源要素らしい」

「物質の根源? 分解による?」

 

八紘の言葉に疑問を浮かべ、首を傾げるマリア。

 

「錬金術とは分解と解析、そこからの構築によって成り立つ異端技術の理論体系とありますが・・・・・・」

「キャロルは世界を分解したあと、何を構築しようとしているのかしら・・・・・・」

「・・・・・・? えっ? ちょっと待て、俺途中参戦だから仕方ないのかもしれないけどさっきから何言ってるのかさっぱり分かんないだけど!! アカンベエとかプリズマとか!! 分かりやすく話をプリーズ!!」

 

緒川やマリアの話をイマイチ理解できず、頭から湯気を出して自分にも分かりやすく説明をしてくれるように頼むアスカ。

 

そんなアスカを見てランは「相変わらず頭弱いんだな」と苦笑し、それに対しアスカも「よくバカって言われてんのは伊達じゃないからな!!」と胸を張ってなぜか自慢げにする。

 

「自慢げに言うことじゃねえぞ。 要するに、キャロルは世界を分解してなんかを作ろうとしてるってことだろ。 ざっくり言うと。 取りあえず今はこれくらい覚えておけば良い」

「おう!! それなら分かりやすい!!」

 

すると八紘は不意に翼の名前を呼び、彼女に「傷の具合は?」と尋ねるとそれに翼は一瞬驚いたような表情を浮かべる。

 

「っ・・・・・・はい、痛みは殺せます」

「ならばここを発ち然るべき施設にてこれらの情報の解析を進めるといい。 お前の守るべき要石はもうないのだ」

 

少々冷たい印象の言い方をする八紘に対し、翼は一瞬悲しげな顔を浮かべた後、「分かりました」と返事をし、彼の言う通りにしようとするのだが・・・・・・。

 

それを見たマリアはそんな八紘の厳しめの言葉に対して苛立ち、彼女は八紘に反発した。

 

「それを合理的と言うのかもしれないけど、傷ついた自分の娘にかける言葉にしては冷たすぎるんじゃないかしら!?」

「いいんだマリア!」

 

しかし、そんなマリアを翼は抑え、マリアは「翼・・・・・・!」と彼女の名を呼ぶが・・・・・・。

 

「・・・・・・いいんだ・・・・・・」

 

翼はそう言ってマリアを落ち着くように説得し、またその光景を見ていたランはアスカにそっと耳元で「お前の世界の翼の親父もあんな感じか?」と尋ねるのだが・・・・・・アスカが言うには、自分の世界の八紘とはあんまり会ったことがないそうでよく分からないらしい。

 

「ただ会う度にいっつも俺のこと睨んでたから、少なくとも俺のことはそんなに好きじゃないんじゃないかな」

「・・・・・・そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレはなんだ!! 国家安全保障のスペシャリストかもしれないが家族の繋がりを蔑ろにして!!」

 

先ほどの八紘の態度に対してマリアは怒り、彼女はランやアスカにも「あなた達もそう思わない!?」と問いかけるのだが、話をいきなり振られ、「えっ!?」と困惑する2人。

 

「アスカさんもランもあの父親にしてもあの態度はないと思うだろう!?」

「あー、まぁ、確かにそうなんだが・・・・・・」

「なんつーか、あの人見てるとなーんかデジャヴを感じるというか・・・・・・なんか怒れないっていうか・・・・・・」

 

ランとアスカの返答に対してマリアは「はぁ?」と首を傾げ、アレを見て怒らないとはランもアスカもちょっと八紘に対する評価がそれは甘すぎるのではないかと思うが・・・・・・そんな彼女に対し翼が代わりに「すまない」と謝罪する。

 

「だがあれが私達の在り方なのだ」

 

その後、一同は話の続きは翼の部屋でということで彼女に案内させ、翼が襖を開けると・・・・・・。

 

「っ! 敵襲!? また人形が!?」

「あっ、いや・・・・・・私の不徳だ・・・・・・。 だからって10年間そのままにしとくなんて・・・・・・」

 

そこには散らかしっぱなし翼の10年前から変わらないという汚部屋が広がっており、彼女は顔を赤くし、それを見たランは「やっぱり」と苦笑し、アスカに至っては「やっぱどこの世界でも翼は翼だなぁ!!」と言いながらお腹を抱えながら爆笑していた。

 

「笑われるのは予想できたがあなたはちょっと笑いすぎなのでは!?」

 

それから一同は取りあえずは部屋をみんなで片付けをしながら話をすることに。

 

「幼い頃はこの部屋でお父様に流行歌を聞かせた思い出もあるのに・・・・・・」

「それにしても、この部屋は・・・・・・」

 

マリアは辺りを見回し、翼に「昔からなの?」と疑問に思ったことを尋ねる。

 

「わ、私が片付けられない女ってこと!?」

「そうだよ」

「そうだよ」

「いや、そうじゃないわよ!! 私が言いたいのは翼のパパさんのこと!!」

 

そのことについて、翼は目を瞑り、それについては先ず、自分の祖父のことについて語る必要があった為、それを彼女は話し始める。

 

「私のお爺様・・・・・・現当主風鳴訃堂は老齢の域に差し掛かると跡継ぎを考えるようになった。 候補者は嫡男である父、八紘とその弟の弦十郎叔父様」

「風鳴指令か・・・・・・」

「だが任命されたのはお父様や叔父様を差し置いて生まれたばかりの私だ」

 

それを聞いてマリアは「翼を?」と驚きの声をあげ、ランは「どういうことだ?」と首を傾げる。

 

尚、アスカは元の世界でもそうだったのか、薄々感づいている様子を見せており、表情1つ変えず、ただただ黙って話を聞いていた。

 

「理由は聞いていない。 だが今日まで生きていると伺い知ることもある。 どうやら私にはお父様の血が流れていないらしい」

「なに・・・・・・!?」

「まさか・・・・・・」

 

それを聞き、ランとマリアは驚愕した表情を浮かべる。

 

「風鳴の血を濃く絶やさぬようおじい様がお母様の腹より産ませたのが私だ」

「風鳴訃堂・・・・・・人の道を外れたか!」

「なんて野郎だ・・・・・・」

 

マリアとランは翼の話を聞き、風鳴訃堂に対して激しい怒りを覚える。

 

「以来私はお父様に少しでも受け入れてもらいたくてこの身を人ではなく道具として、『剣』として研鑽してきた。 なのにこの体たらくではますます鬼子として疎まれてしまうな・・・・・・」

 

するとその時、今まで黙って話を聞いていたアスカがガッと翼の両肩を掴みあげ、それに翼は「えっ?」と戸惑う。

 

「それは本当に八紘のおっさんがお前に望んだことなのか!?」

「なにを・・・・・・それくらいしか、私はお父様に受け入れては・・・・・・」

「それを本人が『道具になれ』って言ったのかよ!! お前が勝手に言ってるだけだろ!! そんな不器用な生き方・・・・・・!!」

 

そこまで言いかけてアスカは何かに気づいたかのようにハッとなり、翼の肩を離して「そういうことなのかもしれねえな」と静かに呟き、翼やラン、マリアは首を傾げる。

 

「通りでデジャヴみてーなもんを感じると思ったよ。 やっぱ親子だわ」

「なにを言って・・・・・・」

 

その時である。

 

突然外で大きな爆発音が聞こえきたのだ。

 

「なんだ!?」

「爆発音!?」

「兎に角、行ってみましょう!!」

 

マリアの言葉に他の3人は頷き、一同は急いで爆発の音が聞こえた方向へと一同は走って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、S.O.N.G.の司令室では竜宮の管理システムにアクセスして、そこにあるデータからキャロルの狙いを絞り込んで対策を打とうという作戦が行われており、その時表示されたデータの1つにエルフナインが目を止めた。

 

「ヤントラ・サルヴァスパ!?」

「なんだ? それは?」

 

弦十郎がエルフナインに尋ねると「ヤントラ・サルヴァスパ」とはあらゆる機械の起動と制御を可能にする情報集積体のことだということを説明。

 

「キャロルがトリガーパーツを手に入れれば、ワールド・デストラクター、チフォージュ・シャトーは完成してしまいます」

 

そこで丁度あおいがヤントラ・サルヴァスパの管理区域を割り出すことに成功し、それを受けて弦十郎はコウマ達は急いでそこに向かわせるように指示するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り・・・・・・そこではファラとボルストが建物の1つを破壊し、その騒ぎを聞きつけ、そこに駆けつけた翼とマリアにアスカとラン。

 

「要石を破壊した今、貴様になんの目的がある!?」

「うふ♪ 私は歌が聴きたいだけ」

 

翼の問いかけに対してファラはそう答え、それを聞いてアスカは「なに言ってんだコイツは?」と首を傾げる。

 

『ちなみに俺様はダイナ!! 昼間の借りを返しに来ただけだ!! お前が来なければゼロを倒せたかもしれなかったのに邪魔をしやがってぇ!! 絶対に許さん!!』

 

ボルストはかなり激怒した様子でアスカを指差し、アスカは自身のアイテムであるリーフラッシャーを構える。

 

『貴様を倒すに相応しいスパークドールズをエクセラーの野郎がくれてね。 こいつで貴様を叩きつぶす!!』

 

そう言いながらボルストはチブルスパークとスパークドールズを取り出し、スパークドールズをチブルスパークにリードさせる。

 

『モンスライブ! ゼルガノイド!!』

 

するとボルストは等身大のダイナを怪獣のような姿にした「超合成獣人 ゼルガノイド」へと変身し、それを見たアスカは目を見開いて驚いた。

 

「ゼルガノイドか・・・・・・。 ラン、お前は翼の父親とかを守っといてくれ。 あいつは俺が相手をする。 どうやら俺をご氏名らしいしな」

「分かった」

 

アスカの言葉に頷いてランはその場を立ち去り、アスカもリーフラッシャーを掲げる。

 

「ダイナーーーーー!!!!」

 

そしてアスカはリーフラッシャーの放つ光に包まれて等身大の「ウルトラマンダイナ フラッシュタイプ」へと変身し、またマリアと翼もそれぞれ「歌」を口ずさんでシンフォギアを纏う。

 

『またイチイチ遠くで戦うのも面倒だからな。 さぁ、覚悟しろダイナ!!』

『そっちこそ、覚悟しろよこのパチモン!!』

 

ダイナはゼルガノイドに即座に跳び蹴りを繰り出し、ゼルガノイドはそれを両腕でガード。

 

腕を広げてゼルガノイドはダイナを押し飛ばすがダイナは身体を空中で後ろに回転させ、着地と同時に両腕に溜めた青白いエネルギーを三日月状にして放つカッター、「フラッシュサイクラー」を発射。

 

同時にゼルガノイドもフラッシュサイクラーを発射。

 

ゼルガノイドはダイナ・フラッシュタイプと同じ技を使用できるが、その威力はダイナよりも強化されているため、ゼルガノイドのフラッシュサイクラーはダイナのフラッシュサイクラーを打ち砕き、咄嗟にダイナは両手を広げて光の壁「ウルトラバリヤー」で防ぐが・・・・・・。

 

あっさりとバリアは破られてゼルガノイドのフラッシュサイクラーが直撃し、ダイナは吹き飛ばされて倒れ込む。

 

『ウグアアア!!!?』

『ギシャアアアア!!!!』

 

そのままゼルガノイドはジャンプしてダイナに馬乗りとなり、ダイナの顔を何度も殴りつける。

 

しかし、ダイナはなんとかゼルガノイドの振るった左拳を受け止め、即座に右拳でゼルガノイドの顔を殴りつけて押し退かす。

 

『グウウ!!?』

『ショワッ!!』

 

殴られてフラつくゼルガノイドに立ち上がったダイナは素早く接近して回し蹴りを叩き込み、さらにゼルガノイドを投げ飛ばそうと掴みかかるが・・・・・・。

 

ゼルガノイドはダイナの腕を振り払って両肩に両手でチョップを叩き込み、連続で横腹に蹴りを炸裂し、蹴り飛ばされるダイナ。

 

地面を転がるダイナにゼルガノイドは両腕を十字に組んで放つ必殺光線「ソルジェント光線」を発射。

 

ダイナもすぐに体勢を整えて両腕を十字に組んで放つ必殺光線「ソルジェント光線」を放ち、2人の光線はぶつかり合うが・・・・・・当然ゼルガノイドのソルジェント光線もダイナのものよりも強化されている為、ゼルガノイドのソルジェント光線がダイナの光線を押し戻してダイナに直撃。

 

大ダメージを受けたダイナは背中を強く地面に打ち付けて倒れ込む。

 

『デヤアア!!!?』

 

挿入歌「銀腕・アガートラーム」

 

またマリアは歌を口ずさみながら翼と共にファラへと立ち向かい、2人で同時に攻撃を仕掛けるが・・・・・・ファラは後方へと飛んで回避。

 

武器のソードブレイカーを振るって緑色の風の斬撃をファラは翼とマリアに放ち、2人はなんとか回避。

 

即座にマリアは携えて振るう短剣のアームドギアの刀身を蛇腹剣のように変化させ、それをファラに振るうが・・・・・・それをファラはソードブレイカーから再び風の斬撃を放ってマリアのアームドギアをかき消し、風はマリアを大きく吹き飛ばす。

 

「なっ、うあああああ!!!!?」

「マリア!! くっ、この身は剣!! 切り拓くまで!!」

 

翼は剣のアームドギアを構えながらファラへと向かって駈け出すのだが・・・・・・。

 

「その身が剣で あるのなら、哲学が陵辱しましょう」

 

しかし、ファラの放った緑の突風によって翼は吹き飛ばされそうになり、なんとか踏み止まるものの、徐々に彼女の纏うギアが破損して行く。

 

(砕かれていく・・・・・・。 剣と鍛えたこの身も歌声も・・・・・・!)

 

そして遂には翼はファラの放った突風により吹き飛ばされてしまい、ボロボロになって倒れ込む翼。

 

「くっ・・・・・・! 夢に破れ、それでも縋った誇りで戦ってみたものの・・・・・・どこまで無力なのだ、私は・・・・・・!!」

 

そんな時のことである・・・・・・。

 

「翼!!」

 

そこへ翼の元へと八紘とランが現れ、ゼルガノイドと戦うダイナは「おい、避難させろって言ったろ!!」と怒鳴るが・・・・・・。

 

「すまん。 でもどうしても翼のところに行くって聞かなくてな。 なんでも、言いたいことがあるそうだぜ? なぁ?」

 

ランの言葉に八紘は無言で頷くと彼は翼に向かって言葉をかける。

 

「歌え翼!!」

「っ・・・・・・。 ですが私には、風鳴の道具にも、剣にも・・・・・・」

 

それに対し、翼は「どちらにもなれない自分は風鳴家の役に立たない」と顔を俯かせ、顔を歪める。

 

しかし、そんな翼に八紘は・・・・・・。

 

「ならなくて良い!!」

「お父様・・・・・・?」

「夢を見続けることを恐れるな!!」

 

その八紘の言葉に、翼は「私の、夢?」と静かに呟く。

 

「そうだ!! 翼の部屋は10年間そのままなんかじゃない!! 散らかっていても散り1つなかった!! お前との思い出を無くさないよう、そのまま保たれていたのがあの部屋だ!! 娘を疎んだ父親がすることではない!! いい加減に気づけバカ娘!!」

 

マリアは翼に向かってそう叫び、またゼルガノイドの攻撃を振り払ってダイナは翼の元へと駆け寄り、ダイナは顔をだけを彼女に向かって振り返り、サムズアップする。

 

『ほらな? 俺の言った通りお前が勝手に言ってるだけだった。 お前の親父さんは・・・・・・お前が道具になることを望んでなんかいなかった』

 

ダイナの言葉を聞き、翼は目尻に涙を浮かべる。

 

「まさか、お父様は私が夢をわずかでも追いかけられるよう、風鳴の家より遠ざけてきた・・・・・・。 それが、お父様の望みならば・・・・・・私はもう一度夢を見てもいいのですか・・・・・・?」

 

涙を流しながら八紘にそう問いかける翼。

 

それに八紘は静かに頷き、それを受け、翼は再び立ち上がる。

 

『アハハハ!! お前等やっぱり親子だな!! 俺が感じてたデジャヴ・・・・・・。 そうか、お前等親子共、不器用過ぎるんだよ!! なぁ、翼・・・・・・知ってるか? やり抜く意思があれば、夢ってのは叶うもんなんだぜ?』

「やり抜く意思があれば・・・・・・夢は、叶う・・・・・・」

 

ダイナに言われた言葉を、翼は繰り返すように口にするとダイナは頷き、翼は胸部に装着されたクリスタルに手をかける。

 

「ならば聴いてくださいお父様!! イグナイトモジュール、抜剣!!」

 

翼はクリスタルを取り外して空中へと投げるとそれが剣の形となり、それは彼女の胸部に突き刺さり、彼女の纏う天羽々斬は黒く染まり「イグナイトモジュール」となる。

 

「味見させて頂きます」

 

挿入歌「Beyond the BLADE (IGNITED arrangement)」

 

歌を口ずさみながら翼はファラへと向かって駈け出し、同時にダイナも再びゼルガノイドへと向かって走り出し、翼はジャンプしてアームドギアをファラへと振りかざすが・・・・・・ファラはそれを真上に飛んで回避。

 

それを追いかけるように翼もジャンプしてアームドギアを横一閃に振るうが、ファラはそれも躱して地面に着地。

 

その瞬間、翼は大型化させたアームドギアを振るい、巨大な青いエネルギー刃を放つ「蒼ノ一閃」を繰り出すのだが・・・・・・ファラはそれをソードブレイカーで薙ぎ払う。

 

そのまま翼は急降下してアームドギアを振るうが、ファラはそれをソードブレイカーで受け止め、振り払う。

 

『ン-、ジュア!!』

 

またダイナは両腕を胸の前で交差させ、赤い姿の「ストロングタイプ」となると殴りかかって来たゼルガノイドの拳を左手で受け止め、右拳でゼルガノイドの顔面を殴りつけてから身体を持ち上げ、ファラに向かって投げ飛ばす。

 

『ハアアア、ジュア!!』

『ウグワアアアア!!!?』

「えっ、ちょっ・・・・・・!!」

 

ゼルガノイドは見事ファラに激突。

 

「くっ、何をしているんですかこの鳥頭は・・・・・・!!」

『ぐっ、うるせえ!!』

 

なんとか立ち上がるファラとゼルガノイド、そこへダイナと翼の2人はファラとゼルガノイドを囲むように動き、翼はゼルガノイドに大型化したままのアームドギアを横振りに振るって叩き飛ばす。

 

『グオオオ!!?』

 

さらにダイナはファラに向かって拳を振るい、ファラは咄嗟にソードブレイカーで攻撃を防ぐものの・・・・・・ストロングタイプのパワーに叶わず粉々に砕け散り、そのまま拳を顔面に直撃し、吹き飛ばされる。

 

「くあっ!?」

 

翼はゼルガノイドに蒼ノ一閃を放つがゼルガノイドは亜空間バリアーを張り巡らせて攻撃を防ぐ。

 

しかし、翼は素早い動きでゼルガノイドの背後に回り込み、バリアが解除されると同時に亜空間バリアーを作り出す背中の突起物をアームドギアで全て切り裂いて破壊。

 

『おのれ・・・・・・!!』

 

ゼルガノイドはすぐさま回し蹴りを翼に喰らわせ、翼は軽く蹴り飛ばされるがそれをダイナが受け止める。

 

『大丈夫か?』

「問題ない!!」

 

再び戦う相手を戻し、今度は翼はファラ、ダイナはゼルガノイドに戦いを挑む。

 

翼は跳び上がって空中から大量の青いエネルギー剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」を放つが・・・・・・新たに取り出したソードブレイカーでファラは風を放ち、翼の技はその風にかき消されてしまう。

 

「幾ら出力を増したところで・・・・・・その存在が剣である以上、私には毛ほどの傷も負わせることは叶わない・・・・・・。 戦う相手を戻したのが仇になりましたね。 ずっとあのウルトラマンに任せておけば私を倒すことができたかもしれないのに」

 

そう言い放ちながらファラはソードブレイカーをもう1本取り出し、翼に向かってソードブレイカーを突き出しながら素早い動きで突撃。

 

『夢を見続けることを恐れるな!!』

『やり抜く意思があれば、夢ってのは叶うもんなんだぜ?』

 

翼は八紘とダイナ・・・・・・アスカの言葉を思い出す。

 

「それはどうかな? 今の私は・・・・・・剣にあらず!!」

 

翼は逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで敵を切り裂く「逆羅刹」を繰り出し、ファラの突進を弾き飛ばし、ファラのソードブレイカーの刃を完全に破壊し、それにファラは驚愕の表情を浮かべる。

 

「あり得ない・・・・・・!!? 哲学の牙がなぜ!?」

「貴様はこれを剣と呼ぶのか・・・・・・!! 否!! これは、夢に向かって羽ばたく翼!!」

 

両手に携えた刀のアームドギアと脚部のブレードから炎を発しながら、彼女は空中へと飛び立つ。

 

「貴様の哲学に!! 翼は折れぬと心得よおおおおおお!!!!!」

 

そして空中で高速回転しながら相手に突進し、敵を焼き切る「羅刹 零ノ型」をファラに炸裂させ、ソードブレイカーごと彼女は真っ二つに笑いながら切り裂かれるのだった。

 

「あははははは!!!!」

 

翼がファラと戦っているのと同じ頃、ダイナもまたゼルガノイドと激しい戦闘を繰り広げていた。

 

戦闘BGM「FIGHTING THEME-STRONG-」

 

『本当の戦いは、ここからだぜ!!』

 

ゼルガノイドは両腕を十字に組んでソルジェント光線を放つがダイナはそれをジャンプして躱し、右足に全体重を乗せて急降下キックを放つ「ストロングボム」を炸裂させるが、ゼルガノイドは両腕でガード。

 

しかし、ゼルガノイドはダイナの攻撃を防いだものの吹き飛ばされてしまい、地面に倒れ込み、そこへダイナがゼルガノイドの足を掴んで持ち上げ、地面に叩きつける。

 

『ぐあっ!?』

『ショワッ!!』

 

さらにもう1度持ち上げて再び地面に叩きつけ、ゼルガノイドは苦痛の声をあげるがなんとか足を激しく動かしてダイナの腕を振り払って立ち上がり、ゼルガノイドは勢いよくダイナに駆け出してタックルを繰り出す。

 

それをまともに受けてフラつくダイナ、そこにすかさずゼルガノイドがダイナに向かって駈け出し、拳をダイナに繰り出し・・・・・・それと同時にダイナも拳を振るい、2人のパンチが激突した後・・・・・・2人は素早く反対の腕で拳を振るい・・・・・・互いに「クロスカウンターパンチ」を繰り出した。

 

「やったか!?」

 

その戦いを見てマリアがやってないフラグを立てる台詞を言うのだが・・・・・・。

 

『グアッ・・・・・・』

 

ゼルガノイドの拳は後一歩というところでダイナに届いておらず、逆にダイナの拳は見事にゼルガノイドの拳にクリーンヒットしており、膝を突くゼルガノイド。

 

そのままダイナはゼルガノイドを持ち上げて空中へと投げ飛ばし、胸の前で両拳を合わせて前方に気力を発生させ、それを凝縮して超高熱の赤色破壊エネルギー光弾に変え、右パンチで放つ「ガルネイドボンバー・シューティングバージョン」を放ち、直撃を受けたゼルガノイドは空中で爆発するのだった。

 

『ハアアア、シュアア!!』

『グアアアアアア!!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、竜宮では・・・・・・ヤントラ・サルヴァスパを手に入れたキャロルの元に、等身大のギンガ、ビクトリーにそれぞれ変身したコウマと零無、シンフォギアを纏ったクリス、切歌、調が彼女等と戦闘を繰り広げているところだった。

 

それに対し、キャロル達も当然ギンガ達に応戦し、キューバとベルメは前回と同じくアルギュロスとアパテーにモンスライブし、迎え撃つ。

 

『ショウラ!!』

 

ギンガの放つ蹴りをアパテーは右腕で受け止め、アルギュロスは右腕をキャノン砲に変え、キングジョー・ランチャーを装着したビクトリーと激しい銃撃戦を繰り広げる。

 

またレイアは切歌の攻撃を躱しつつコインの弾丸を投げつけ、そしてクリスはミサイルをキャロルに撃ち込むが・・・・・・彼女はそれをバリアを張って防ぐ。

 

「・・・・・・っぐ!?」

 

しかし、突如として彼女は苦しみだし、バリアが解除され・・・・・・その隙を見逃さずアームドギアから小型鋸を大量に発射する「α式 百輪廻」を繰り出し、キャロルの持っていたヤントラ・サルヴァスパを弾き切断。

 

「ヤントラ・サルヴァスパがっ!?」

『おい!! それ切り裂いて良かったの!?』

『敵の手に落ちるくらいならぶっ壊した方が良いんじゃ無い?』

 

ビクトリーの言葉にギンガがそう答え、そしてその隙を見逃さないとガトリングガンと腰部ミサイル射出器の展開に背部に大型ミサイルを左右に各2基、計4基を連装する射出器を形成し、ミサイルを発射する「MEGA DETH QUARTET」をクリスが放ち、それをレイアがコインを撃ち込んでミサイルをなんとか防ごうとする。

 

「その隙は見逃さねえ!!」

「地味に窮地!!」

 

それでも、全てのミサイルを相殺することはできず、撃ち漏らしたミサイルがキャロルへと迫る。

 

「マスター!!」

 

だが・・・・・・。

 

そこへ突然、誰かがキャロルの目の前に現れ・・・・・・そのミサイルを片手で受け止める人物が現れたのだ。

 

「フハハハ・・・・・・。 久方ぶりの聖遺物、この味は甘くとろけて癖になるぅ~!」

『ゲェ・・・・・・まさかアイツは・・・・・・!』 

「なっ、嘘・・・・・・」

「嘘、デスよ・・・・・・」

 

クリスやギンガも、その人物を見て驚きの表情を浮かべるが・・・・・・2人以上に、ビクトリー、切歌、調が驚きの声をあげ、その人物は自分の髪を勢いよくかき上げる。

 

「嘘なものか。 僕こそが真実の人ォ・・・・・・!! ドクター・ウェルウウウウウ!!!!!」

 

 



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11Eve 『深海の戦い』

ギンガ、ビクトリー、切歌、調、クリスがキャロル達と交戦しているのと同じ頃、竜宮のある牢屋では白衣を着た異形の左腕を持つ男性・・・・・・「ウェル」が不気味な笑みを浮かべていた。

 

「・・・・・・花火が上がった。 騒乱は近い、ならば・・・・・・求められるのは、英雄だ!!」

 

そしてギンガ達の戦闘の影響によって牢屋が破壊され、牢屋から脱出したウェルは左腕にクリスの放ったイチイバルのミサイルを吸収し、キャロルを守るようにして・・・・・・ギンガ達の前に立ちはだかったのだった。

 

彼の姿を見て一同・・・・・・特に、彼と因縁のあるビクトリー、切歌、調は驚愕し、ビクトリーの中にいる零無はウェルの姿を見て心底嫌そうな顔を浮かべ、切歌と調は「嘘・・・・・・」と呟く。

 

「嘘なものか。 僕こそが真実の人ォ・・・・・・!! ドクター・ウェルウウウウウ!!!!! へっへ〜ん。 旧世代のリンカーぶっ込んで、騙し騙しのギア運用と言う訳ね。 優しさで出来たリンカーは、僕が作ったものだけぇ!! そんなので戦わせてるなんてぇ!! 不憫過ぎて笑いが止まr」

『ウルトランス!! キングジョー!! ランチャー!!』

 

ウェルが喋っている途中、右腕を「キングジョーランチャー」に変えたビクトリーはウェルの足下に弾丸を撃ち込んで威嚇射撃し、それに彼は「ひい!!?」と悲鳴をあげながら驚き、思わず尻餅をついてしまう。

 

「お前ぇ!! 僕がまだ喋ってる途中でぇ~!!?」

『悪い、話が長くて半分しか聞いてなかった。 つーか話長ぇよ、校長先生かお前は。 今すぐに牢屋戻れコラ』

「それに不憫に一等賞が何を言ってるデス」

 

ビクトリーと切歌がそんなことを言っていると不意にクリスが「私の一発を止めてくれたな・・・・・・」と忌々しそうに小さく呟き、それを聞いたビクトリーと切歌が不思議そうに彼女を見て首を傾げる。

 

『クリス?』

 

その様子にはギンガも気づくが、クリスは彼等の視線に気づかず、ウェル達を睨み付ける。

 

(後輩の前でかかされた恥は、100万倍にして返してくれる!!)

 

クリスはアームドギアを構えて攻撃の態勢に入るが、それをすぐに切歌と調が止めに入る。

 

「待つデスよ!!」

「ドクターを傷つけるのは・・・・・・」

「何言ってやがる!!?」

 

そんな風に止めに入る切歌と調に対し、クリスは反論するが・・・・・・リンカーを作ることができる人間はウェルだけ・・・・・・。

 

その為に、切歌と調の2人は思わずクリスを引き止めてしまったのだ。

 

「そうとも!! 僕に何かあったら、リンカーは永遠に失われてしまうぞ!!」

「ほっとれば、話を勝手に進めるな」

 

そんな時、今まで黙って彼等の光景を静観していたキャロルがアルカノイズとチブロイドを複数体召喚し、アパテーとアルギュロスが先陣を切ってギンガ達に襲いかかる。

 

「2人が戦えなくても、私は!!」

『取りあえず、降りかかる火の粉を先ずは払うぞ!!』

『あぁ!!』

 

ギンガの言葉にビクトリーは頷き、クリスはアームドギアの弾丸をチブロイド、アルカノイズに浴びせ消滅させ、こちらに向かって駈け出して来るアパテーとアルギュロスにも弾丸を撃ち込む。

 

だが、アパテーは自身の身体から作り出した槍を手に持ち、アルギュロスを後ろに下がらせてそれで弾丸を弾きながら接近し、一定距離まで近づくとアパテーの頭上を飛び越えて右腕を剣にしたアルギュロスがクリスに斬りかかる。

 

それをアームドギアを交差してクリスは防ぎ、腹部に蹴りを入れてアルギュロスから離れて距離を取る。

 

そこに身体を6本の槍に変化させたアパテーがクリスに襲いかかるが・・・・・・ビクトリーの放ったキングジョーランチャーの弾丸により全て撃ち落とされる。

 

『オイオイ、俺とも遊んでくれよ』

『ウルトランス!! レイキュバス!! シザース!!』

 

ビクトリーは右腕をレイキュバスのハサミに変化させ、冷凍ガスを元の姿に戻ったアパテーに発射するがアパテーはバックステップで回避し、槍を手に持ってそれをビクトリーに投げつける。

 

だが、ビクトリーはそれを弾き飛ばし、アパテーへと向かって行く。

 

『ツェア!!』

『ギンガファイヤーボール!!』

 

一方でギンガは空中から無数に生み出した火炎弾「ギンガファイヤーボール」を的確にチブロイドやアルカノイズに直撃させて一気に倒し、アルギュロスと戦うクリスの元に駆け寄ろうとする。

 

「その男の識別不能、マスター、指示をお願いします」

「敵でも味方でもない、英雄だ!!」

 

レイアがキャロルに指示を仰ぐと、ウェルはそんなことを言い放ち、それにクリスはアルギュロスを押し退かして先ほどよりもデカい一発をお見舞いしようと巨大なミサイルを発射する準備に入る。

 

「だったら英雄様に、さっきよりデカいの纏めてくれてやる!!」

 

挿入歌「TRUST HEART」

 

歌を口ずさみながら、クリスはミサイルを撃ち込もうとするが・・・・・・。

 

「このおっちょこちょい!!」

「っ!?」

「どういうつもりか知らないが、そんなの使えば施設も、僕も!! 海の藻屑だぞ!!」

 

ウェルの言葉にハッとなり、クリスはミサイルをしまって通常攻撃に切り替え、背後からアルギュロスが剣を振りかざして来るがギンガが右腕から出現させる光の剣「ギンガセイバー」でそれを受け止め、押し返してさらにアルギュロスに詰め寄り、ギンガセイバーで斬りつける。

 

『うぐうう!!? 貴様ぁ!!』

『おいクリス!! お前なんか、焦ってねえか!? 落ち着け!!』

「私は落ち着いてるよ、コウマ!!」

 

クリスは弾丸を残りのチブロイドやアルカノイズ達に撃ち込んでいくが、またキャロルの指示でレイアも戦闘に参加し、クリスに戦いを挑む。

 

それにクリスはレイアに弾丸を放つが・・・・・・レイアの動きは素早く捕えることがでない。

 

(後輩なんかに任せてられるか!! ここは先輩の私が!!)

 

その時、レイアを追いかけていたクリスのアームドギアの銃口が調に当たりそうになるのだが・・・・・・それをギンガがギンガセイバーでアームドギアを押し退かしたことで、銃弾が調に当たることは無かったのだった。

 

『このドアホ!! それのどこが落ち着いてんだ!! もう少しで調に当たるところだったろうがこの大ボケ!!!!』

「そうデス!! 諸共に、巻き込むつもりデスか!?」

 

流石のギンガ・・・・・・コウマもクリスを怒鳴りつけ、切歌も流石に今のはどうかとと抗議する。

 

「っ・・・・・・。 ハッ!? アイツ等は、どこに行った!?」

 

しかし、その間にキャロル達はどこかに消え去っており、見れば床に大きな穴が開いていて恐らくそこから逃げたのだろうということが分かった。

 

「逃がしちまったのか!?」

「ごめんなさい、ドクターに何かあるとリンカーが作れなくなると思って・・・・・・」

「でも、もう惑わされないデス!! 私達が力を合わせれば今度こそ!!」

 

そう言いながら切歌はクリスに歩み寄るが・・・・・・そんな彼女をクリスは手で押し返す。

 

「後輩の力なんてあてにしない。 お手々繋いで仲良しごっこじゃねえんだ。 私一人でやってみせる!!」

 

そこで変身を解除し、人間の姿に戻ったコウマがクリスの肩を掴んで「ふざけんな!!」と怒鳴る。

 

「いい加減にしろよ、クリス!! そんな言い方ないだろ!! 何をそんなに焦ってんだ!! 冷静にならなくちゃ、またさっきみたいに仲間を誤って攻撃するかもしれないんだぞ!!」

「っ、分かってる。 分かってるよ・・・・・・そんなことは・・・・・・!!」

 

クリスはコウマの手を払い退け、彼女は唇を噛み締める。

 

(一人でやらなきゃ示しがつかねえんだよ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、S.O.N.G.本部でもキャロル達の行方を追いかけようとしていたのだが・・・・・・反応はロストしてしまい、今後は彼女達が大きな動きをしてくれない限り見つけるのは難しいというのが現状であった。

 

「・・・・・・ドクター・ウェル、隔離情報が公開されていればこんなことには・・・・・・」

「ネフィリムの力も健在、厄介だな」

 

朔也とあおいがそれぞれそう呟き、弦十郎は2人はすぐになんとかキャロル達を追跡できるように指示。

 

「最後のパーツ、ヤントラ・サルヴァスパが失われたことでチフォージュ・シャトーの完成は阻止できました。 なのに、キャロルはまだ・・・・・・」

 

エルフナインの言うように、ヤントラ・サルヴァスパが破壊されても尚、画面越しでもキャロルの目に諦めの色は見えず、そのことにエルフナインは悲しげな表情を浮かべながら・・・・・・キャロルからチフォージュ・シャトーの使用目的を聞いた時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『説明してください!! 僕が建造に携わったチフォージュ・シャトーは、僕達のパパの意思を受け継ぐ為だった筈!! 世界をバラバラにするなんて聞いてません!!』

 

そんなエルフナインの言葉にキャロルは不敵な笑みを浮かべながら、彼女の問いに対し「如何にも」と答える。

 

『チフォージュ・シャトーは錬金技術の粋を集めた『ワールドデストラクター』にして巨大なフラスコだ』

『・・・・・・僕を騙すつもりで・・・・・・』

『さて、それを知ってどうする? 力のないお前が俺を止めて見せるのか?』

 

キャロルの挑発するような言葉に対し、エルフナインは不安な顔を浮かべつつも拳を握りしめ、言い放つ。

 

『それでも、それでも、僕が思い出のパパを大好きなように貴方もパパのことが大好きなはずです!!』

 

それを聞き、キャロルを目を見開いて驚愕の表情を浮かべ、「お前、何を!?」驚きの声をあげる。

 

『パパは世界をバラバラにすることなんて望んでいなかった!! 望んでいないことを僕はあなたにさせたくない!!』

 

そう必死に・・・・・・嘆くようにエルフナインはキャロルに訴えるのだが、それを受けて当然キャロルは止まる筈もなく、むしろキャロルはそんなエルフナインに怒りを覚えて彼女を睨み付ける。

 

『思い出を複写されただけの廃棄躯体風情が・・・・・・!! 出来損ないの娘が語ることではないと覚えよ!!』

『っ!』

 

キャロルは力強くエルフナインを怒鳴りつけ、一度息を吸って落ち着くと彼女はエルフナインに「・・・・・・お前をシャトー建造の任から解く」と言い渡し、後はどうとでも好きにしろとキャロルはエルフナインに告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ・・・・・・? 俺は、落ちていたのか?」

 

同じ頃、キャロルは逃走の途中で気を失ってしまっており、彼女は今レイアに抱きかかえられている状態だった。

 

「またしても拒絶反応です。 撤退の途中で意識を・・・・・・高レベルフォニックゲイナーが複数揃う僥倖にはやるのも理解できますが・・・・・・」

「・・・・・・杞憂だ」

 

キャロルがレイアにそう言葉を返した後、彼女はウェルの方へと顔を向ける。

 

「知っているぞ、ドクター・ウェル。 フロンティア事変関係者の1人・・・・・・」

『そう言えば彼は確か、闇の支配者様復活の媒体にもなった方だねぇ』

 

キャロルとライブを解いたベルメがそれぞれそんなことを呟き、キャロルはなぜそんな彼がこんなところにいるのかと尋ねるとウェルは不機嫌そうな顔を浮かべながらも、その問いかけに答える。

 

「フン、我が身可愛さの連中がフロンティア事変も僕の活躍もよってたかって無かったことにしてくれた!! 人権も存在も失った僕は人ではなく物・・・・・・! 回収されたネフィリムの一部として放り込まれていたのさ!!」

「その左腕が・・・・・・」

 

キャロルはジッとウェルのネフィリム化している左腕を見つめる。彼はイチイバルの砲撃も腕の力で受け止めた訳では無く、接触の一瞬にネフィリムの力で喰らって同化し、それによって身体の推進力として制御したのだと自慢げに先ほどのことを説明した。

 

『誰もそこまで聞いてねえよ。 っていうか何言ってるかよく分かんねえんだけどよ・・・・・・つまりお前は俺達に力を貸してくれるっつーことか?』

 

キューバがウェルに話しかけ、ウェルは怪訝そうにベルメとキューバを交互に見つめた後、少し考え込む。

 

「ふむ、君たちはルギエルの配下か何かか?」

『まぁ、そんなところかな? と言っても今は彼を復活させようとしているエクセラーくんという人の元で働いているがね。 君は中々使えそうだし、力を貸してくれるなら君をここから出す手助けをしても良い』

 

ベルメの説明を受け、ウェルは少しベルメに疑いの視線を向けるが・・・・・・彼はすぐに決断を下す。

 

「まあいいだろう。 ルギエルには借りも一応あるからな。 英雄の力が必要とあらば・・・・・・!!」

『とまぁ、こんな感じで勝手に話を進めているが・・・・・・キャロルくんもそれで良いかな?』

 

ベルメがキャロルの方に振り返って尋ねるとキャロルは「構わん」とだけ答え、彼女は「ついて来い」と一同に指示し、どこかに行こうとするのだが・・・・・・。

 

「おっと、その前に騒乱の只中に案内してくれ」

「騒乱の只中?」

「英雄の立つところだ!」

『こいつ言葉だけはいっちょ前にカッコイイな。 変な奴だが』

 

意気揚々と言い放つウェルにキューバが苦笑しながら呟くが、即座にレイアから「変な奴はお前もだろ」とツッコまれた。

 

(いやレイアくんも変なポーズよく取ってるから君も人のこと言えないだろう)

 

なんて心の中でツッコミを入れるベルメだが・・・・・・こいつも人のこと言えない気がする。

 

するとキャロルはウェルに左手を差し出し、ウェルは「んっ?」と首を傾げつつも自分も左手を拭いてその手を握り、握手を交わす。

 

「ネフィリムの左腕、その力の詳細は追っ手を巻きつつ聞かせて貰おう」

「脱出を急がなくても良いのかい?」

「奴等の動きは把握済み、時間稼ぎなど動作もない・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、コウマ達はというと・・・・・・。

 

現在は通信システムのある場所で弦十郎と連絡を取っていたのだが・・・・・・やはり弦十郎自身も先ほどのクリスの行動に思うところがあるらしく、彼女と口論を繰り広げていたのだった。

 

『力を使うなと言っているんじゃない!! その使い方を考えろと言ってるんだ!!』

「新しくなったシンフォギアは、キャロルの錬金術に対抗する力だ!! 使いどころは今を置いて他にねえ!! 眠てえぞおっさん!!」

『ここが深海の施設だと忘れるなと言っている!!』

 

弦十郎の言葉にそう反論するクリスだが、話を聞いていたコウマも「弦十郎さんの言う通りだろ」とクリスに言うのだが・・・・・・。

 

彼女は苛立ちを隠さず、壁を力強く蹴り上げる。

 

「正論で超常と渡り合えるか!!」

「いや、相手が超常だとしてもやっぱり弦十郎さんの言ってることの方が正しいだろどう考えても。 もっと冷静になれって言ってるだろ? はい、深呼吸して!!」

 

そう言いながらコウマはポンポン軽くクリスの頭を優しく叩くのだが、彼女はそんなコウマをキッと睨み付けてその手を払いのける。

 

「うるせえバカコウマ!! んなことやってる場合じゃねえことくらい分かんだろうが!! ここで奴等を取り逃がして取り返しのつかないことになったらどうすんだよ!!」

「だからこそ、落ち着けって俺は言ってるんだろ! 今のお前はどう考えても焦りすぎだ!!」

「あーもう!! お前がそこまで分からず屋とは思わなかったぞ!!」

「それはお前だろうが!!」

 

お互いにメンチを切り合わせるコウマとクリス、そんな2人の輪に入ることもできず、ただただ黙ってみていることしかできない零無、切歌、調。

 

「俺達これどうしたら良いんだよ、切歌と調がこの前喧嘩したと思ったらこれだよ。 あの2人がこんなところでここまで喧嘩するなんて普通に予想外なんだけど・・・・・・」

「そんなの私もデスよ!! 居心地悪いデス!!」

 

そんな時、あおいから念のためと言うことで格ブロックの隔壁やパージスイッチのデータが送られ、一同に彼女は確認をするように頼む。

 

「助け船に感謝・・・・・・!」

「ってこんなにいっぱい覚えられないデスよ!!」

 

切歌の言う通り、そのデータは結構な量で正直短時間で覚えろというのは少々は酷なものであった。

 

「じゃあ切ちゃん、覚えるのは2人で半分こにしよう」

「ナチュラルに俺ハブいてんじゃねえぞ調」

 

その時のことである。

 

『セキリュティシステムに侵入者の痕跡を発見!!』

 

朔也からの通信が入り、クリスはそれを聞いて待ってましたと言わんばかりの表情を浮かべる。

 

「そういう知らせを待っていた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、風鳴八紘邸にて・・・・・・。

 

「これは、先ほどの・・・・・・!!」

 

そこでは緒川が翼が倒したファラの残骸を発見し、それを彼は翼達に報告し、彼女達はほぼ上半身しか残っていないファラをジッと見つめていた。

 

「この状態で・・・・・・可動するの?」

 

マリアが疑問に思ったことを口にすると白目を向いていたファラの瞳が戻り、彼女は突然翼に対して謝罪の言葉を送った。

 

「いつか、ショボいだなんて言って・・・・・・ごめんなさい。 剣ちゃんの歌、本当に素晴らしかったわ」

「はっ? なに? 翼の歌ショボいとか言ってたのかコラ。 それで今になって翼の歌の素晴らしさに気づいたと? 遅すぎだろオイ、ふざけんなよ」

 

額に青筋を浮かべたアスカはファラの頬にその辺に落ちていた木の枝をグリグリと押しつける。それにランが呆れたような顔を浮かべ、「やめい」と後ろからアスカの頭にチョップを叩き込み、アスカをファラから引き離す。

 

「私の・・・・・・歌?」

「フフ、アハハハハ!! まるで身体がバッサリ2つになるくらい素晴らしく呪われた旋律だったわぁ!!」

「いや、自分の身体見てみろよ、マジで身体バッサリ真っ二つにされてっから!」

 

ランがファラにツッコミを入れるが、ファラはそんな彼の言葉を無視して笑い続け、また翼はファラの言葉を受け、以前キャロルも同じようなことを言っていたのを思い出していた。

 

「呪われた旋律・・・・・・確か、以前にもキャロルが言っていた・・・・・・」

「お前、確かファラだったか? 何が狙いか教えて貰うぞ・・・・・・!」

 

ランはファラを睨み付けながら服の上の胸倉を掴みあげ、その言葉の意味を聞き出そうとする。

 

「マスターが世界を分解する為には、どうしても必要なものが幾つかありましたの」

 

ファラはことの真相をラン達に話し始める。先ずその必要なものの1つが、魔剣ダインスレイフの欠片が奏でる「呪いの旋律」であり、それを奏者に歌わせ身体に刻んで収拾することがキャロルがオートスコアラーを作った理由であり、彼女達の役目だというのだ。

 

そして最初にキャロル自身が呪われた旋律を身に受けることで譜面が作成され、後は残りのメンバーにイグナイトモジュールを使わせてオートスコラー達を倒させれば良いだけの話だと、ファラはラン達に話す。

 

「全てが、最初から仕組まれていたのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、コウマ達はキャロル達を追跡して走っていたのだが・・・・・・。

 

どういう訳か、キャロルは巧にコウマ達の追跡を躱しており、クリスは弦十郎に本当に方角は合っているのかと苛立ち気味に尋ねる。

 

「本当にこっちで間違いないんだろうな!!」

「あぁ、だが向こうも巧に追跡を躱して進行している!!」

 

まるでこちらの動きを分かっているかのようなキャロル達の動き。

 

それにあおいが気づくと、弦十郎や朔也もまさかとある考えに至った。

 

「まさか、本部へのハッキング!?」

「知らず、毒を仕込まれていたというのか!?」

 

自分達の追跡を確実に躱すこの現状、完全性遺物の管理官区域を特定したことといい、やはりどう考えてもこちらの情報が相手に漏れてるとしか弦十郎達は思えなかった。

 

「それが仕込まれた毒、内通者の手引きだとしたら・・・・・・」

 

朔也がフッとそんなことを呟くとそれを聞いたエルフナインはハッとなり、この状況で真っ先に1番疑わしいのが自分であることを彼女は即座に理解した。

 

「ち、違います!! 僕は何も・・・・・・僕じゃありません!!」

 

すぐにエルフナインは自分は内通者などではないと否定するのだが・・・・・・その時、どこからかキャロルの声が司令室に響く。

 

『いいや、お前だよ、エルフナイン』

 

すると、エルフナインの身体から投影されるかのようにキャロルが立体映像となって司令室に現れ、それに一同は一体どうなっているのかと驚きの表情を浮かべる。

 

「そんな・・・・・・僕が、毒?」

「一体、どういうことだ!?」

 

弦十郎がキャロルを睨み付けながら尋ねると彼女は不敵な笑みを浮かべる。

 

『とはいえ、エルフナイン自身は自分が仕込まれた毒であるとは知る由もない。 俺が此奴の目を、耳を、感覚器官の全てを一方的にジャックして来たのだからな』

「僕の感覚器官が・・・・・・勝手に・・・・・・!!」

 

その事実を聞いてエルフナインは驚愕して彼女は両手で目を覆い隠してしまう。

 

『同じ素体から作られたホムンクルス躯体だからこそできることだ』

 

それを受け、エルフナインは顔を青ざめさせ、目尻に涙を浮かべながら自分を拘束するように弦十郎達に必死に頼む。

 

「お願いです!! 僕を拘束してください!! 誰も接触できないよう独房にでも閉じ込めて!! いいえ、キャロルの企みを知らしめるという僕の目的は果たされています・・・・・・。 だからいっそ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ファラもキャロルと同じ内容の話を全てラン達に話した後、完全に役目を終えた彼女は自爆。

 

その際、ファラは周囲に粉塵のようなものを撒き散らす。

 

「自爆しやがった!? クソ、つまり奏者にもう用は殆どないってことか」

「だから、こちらの気を引くことをなめらかに・・・・・・!!」

 

ランとマリアは悔しそうに唇を噛み締める。

 

「おい、よく分からんが・・・・・・そのイグアナみたいな名前のやつ、他の奴等にも使わせないよう言った方が良いんじゃねえか!?」

「イグナイトモジュールです!! って今はそんなことはどうでもいい、緒川さん本部に連絡を!! イグナイトモジュールの使用を控えさせないと!!」

 

すぐに翼が緒川に本部に連絡を入れるように頼み、緒川も言われた通りすぐに本部に連絡を入れるのだが・・・・・・電波障害が起こっているらしく、通信が不可能だった。

 

「ダメです! 恐らくこの粉塵が・・・・・・!!」

「おいおい、電波障害までやってやがんのか・・・・・・用意周到なことだなチクショウ」

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、S.O.N.G.本部司令室。

 

「だから、だから・・・・・・いっそ僕を・・・・・・!!」

 

泣きじゃくりながら、エルフナインは自分をと・・・・・・弦十郎達に訴えるが・・・・・・。

 

弦十郎はそんなエルフナインの頭に、そっと優しく手を置いた。

 

「なら良かった! エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて・・・・・・」

「敵に利用されただけだもんな」

 

あおいや朔也はそう言いながら微笑みをエルフナインに向けて優しい言葉をかけ、弦十郎は彼女の頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「君の目的は、キャロルの企みを止めること。 そいつを最後まで見届けること・・・・・・」

 

オペレーター2人と同じように、弦十郎もまたエルフナインに優しく微笑み、「だからここにいろ」と彼はエルフナインに声をかける。

 

「誰に覗き見されようと構うものか」

「は、はい・・・・・・!」

 

それを受け、エルフナインもまた笑みを浮かべるのだが・・・・・・そんな光景をキャロルはつまらなさそうに見つめており、彼女は「チッ」と舌打ちすると投影されていた彼女はそのまま消え去ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「使われるだけの分際で・・・・・・!」

 

するとそこへ、キャロルが弦十郎達と話している間に、コウマ達はなんとかキャロル達の元へと追いついて現れたのだ。

 

「ここまでよ!! キャロル、ドクター!!」

「さっきみたいには行くもんかデス!!」

「お縄を頂戴させて貰う!! って言うんだっけ? こういう時?」

 

調、切歌、零無がキャロル達を睨み付けながらそう言い放つのだが・・・・・・。

 

「だが既に、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している」

「なに? 代わりってなんのことだ!!?」

 

コウマがキャロルの言う「代わり」とは一体なんのことなのかと尋ねるのだが、キャロルは当然答えず、代わりにアルカノイズとチブロイド達を複数体召喚する。

 

「子供に好かれる英雄ってのも悪くないが、生憎僕はケツカッティンでね!!」

「誰がお前なんか!!」

「好かれるどころかPTAから苦情が殺到しそうな奴の癖に!!」

 

ウェルの言葉に切歌と零無がそう返すと一同はそれぞれ戦闘準備に入るために変身アイテムを取り出し、切歌、クリス、調は「歌」を口ずさんでシンフォギアを身に纏う。

 

コウマはギンガスパークを掲げてブレード部分を展開、するとそこからギンガのスパークドールズが現れ、それを掴み取ってギンガスパークにリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!!』

「ギンガアアアアアア!!!!!」

 

光に包まれたコウマは等身大の「ウルトラマンギンガ」に変身。

 

また零無はビクトリーランサーをランサーモードに変形させて構えるとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

するとビクトリーがビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はそのウルトラマンの胸部にあるカラータイマーの中へと入り、零無は等身大の「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させた。

 

それと同じようにキューバとベルメもそれぞれチブルスパークを取り出し、モンスライブしてベルメは「金属生命体 アパテー」に、キューバは「金属生命体 アルギュロス」にそれぞれ等身大になって変身。

 

『まだこれだけじゃねえ!! 奥の手を使うぞベルメ!!』

『よーし、それじゃやりますか!』

 

アルギュロスはアパテーに手を差し伸べるとアパテーは勢いよくその手を掴み、2体の身体が液体状となって1つに纏まり・・・・・・やがて1体の金属生命体となる。

 

『モンスライブ! 合体!! ミーモス!!』

『無茶で無謀と笑われようとも・・・・・・!! 意地が支えの喧嘩道!!』

『壁があったら殴って壊す!! 道が無ければこの手で造る!!』

『『心のマグマが炎と燃える!! 超絶合体!! 金属生命体!! ミーモス!!!!』』

 

そんな名乗り口上を上げながら2体は融合して「金属生命体 ミーモス」へと変わったのだ。

 

『オイ!! その口上諸パクリじゃねえか!!』

『黙れぃ!! 行くぞギンガ!! ビクトリー!!』

 

そう言い放ちながらミーモスは数体のアルカノイズ、チブロイド達を引き連れて一斉にギンガとビクトリーに襲いかかり、また奏者達も他のアルカノイズやチブロイド達との戦闘を開始する。

 

挿入歌「オーバーキルサイズ・ヘル」

 

『ウルトランス! レイキュバス! シザース!!』

 

ビクトリーは右腕をレイキュバスのハサミに変え、ミーモスに斬りかかるがミーモスは両手でそのハサミを掴みあげ・・・・・・あっさりと力尽くで折ってしまう。

 

『なに!?』

 

そのままミーモスはビクトリーの腹部に勢いよく蹴りを叩き込み、続けてギンガがミーモスに殴りかかるのだがミーモスは空中へとジャンプし、全身の突起物のようなものをブーメランのようにして投げつけ、ギンガとビクトリーの身体を斬りつける。

 

『『グアアアア!!!?』』

「今援護するよ!!」

 

そこへ調がアームドギアから小型鋸を大量に射出する「α式 百輪廻」をアルカノイズやチブロイド達を纏めて切り裂きながらミーモスに放つのだが・・・・・・ミーモスは両手に巨大なブーメランを持ち、それを振るって小型鋸を全て弾いてしまう。

 

『ギンガセイバー!!』

 

腕のクリスタルから1本の剣を生成し、「ギンガセイバー」を出したギンガがギンガセイバーをミーモスに何度も振りかざすのだが、ミーモスは絶妙に避け・・・・・・手に持った片方のブーメランを投げつける。

 

なんとか投げつけて来たブーメランを回避するギンガ、そのままギンガは一気に攻め込もうとギンガセイバーをミーモスに振りかざし、ミーモスはもう片方の手に持ったブーメランでそれを受け止める。

 

『コウマ!! 危ない!!』

『なっ!?』

 

そこへ先ほどミーモスが投げたブーメランが旋回してギンガに向かって来ており、それをビクトリーが庇うように立って両腕を交差し、ブーメランによる攻撃をギンガの代わりに受けて吹き飛ばされてしまう。

 

『グアアアアア!!!!?』

『零無!!』

「よくも零無を!! 零無の仇デス!!」

『俺死んでねえぞ切歌!!?』

 

そこへ切歌が肩部プロテクターを展開し、それぞれの先端に鎌を装備させて自在に操る「封伐・PィNo奇ぉ」を発動し、手に持った鎌を合わせて合計5本の鎌でミーモスに攻撃を炸裂するも、ミーモスは両手のブーメランでどうにかそれらを受け流す。

 

『くっ! 流石に相手の手数が・・・・・・!!』

『だが!! 似たような芸当なら俺達にもできるさ!!』

 

ミーモスはギンガを押し退かし身体の4つの突起物を先ほどと同じように外して空中に浮かせ、自在に操ってそれらを飛ばして切歌の左右から攻撃を仕掛ける。

 

それに気づいた彼女はすぐさまミーモスから離れるのだが・・・・・・ブーメランはしつこく追いかけ、弾いたとしてもまた戻って来る為、切歌は苦い表情を浮かべる。

 

「くっ・・・・・・!」

「退け!! 私が!!」

 

そこへ最大火力を使えない為、小型銃のアームドギアでチブロイドやアルカノイズに応戦していたクリスが駆けつけミーモスに銃弾を浴びせようとするのだが、彼女の前にレイアが立ち塞がる。

 

「お前の相手は私だ」

「お決まりの台詞なんて言いやがって!!」

 

レイアはコインで作ったトンファーのような武器を両手に持って使い、クリスに向かって殴りかかる。

 

それをクリスは銃で右手の銃で受け流し、左手の銃で銃弾を撃ち込むのだがレイアはそれを身体を捻るようにして躱し、再びトンファーを振るう。

 

それをクリスはなんとか後退して回避し、銃弾を何発も浴びせようとするが・・・・・・レイアはダンスのような動きで銃弾を全て回避し、巨大な岩石のようなものを床から生やして飛びかかってきたクリスを突き飛ばした。

 

「後は私と宇宙人共・・・・・・それと間も無く到着する妹で対処します」

 

レイアはキャロルの元へと駆け寄ってそれだけを言うとキャロルは「オートスコアラーの務めを」とだけ言い、レイアは頷く。

 

「派手に果たしてみせましょう」

 

そのままキャロルが瓶を床に投げつけると足下に巨大な紋章が現れ、キャロルとウェルの2人は転移して消え去ってしまう。

 

「待ちやがれ!!」

 

すぐさまクリスは2人を引き止めようとするのだが、当然それをレイアは許さずトンファーでクリスの顔を殴りつけ、殴り飛ばす。

 

「ぐあああ!!?」

「マズいデス!! 大火力が使えないからって飛び出しすのは!!」

「ダメ!! 流れが淀む・・・・・・!」

『クリス!!』

 

ギンガがクリスの元へと駆け寄ろうとするのだが、その隙を突いて後ろからミーモスのドロップキックを喰らいギンガは吹き飛ばされてしまう。

 

『ぐうううう!!!?』

『フフフ、今までのは舐めプ!! 所詮ギンガやビクトリーなど、本気を出した僕達の敵ではないのさ!!』

 

ベルメとキューバが余裕そうにギンガ達にそう言い放つとミーモスはさらに2本のブーメランをクリスに向かって投げつける。

 

クリスはそれをなんとかガードしようと両腕を交差するが間に合わず直撃を受けて吹き飛ばされ、壁に激突してしまう。

 

「うあああああ!!!!?」

『クリス!!』

「こんの・・・・・・!! 後ろ獲ったデス!!」

 

ミーモスの背後に回り込んだ切歌がアームドギアを振りかざすのだが・・・・・・ミーモスは回し蹴りで切歌を蹴り飛ばす。

 

「くううう!!!?」

「切ちゃん!!」

 

なんとか直撃は避けたもののその余波で身体がよろめき、切歌は倒れそうになるのだがそれを調が後ろから支える。

 

「ありがとデス、調・・・・・・」

 

だが、その瞬間2人が纏めて一箇所に集まったところにレイアは巨大化したコインを放ち、そのコインで2人を挟み込んだのだ。

 

『切歌!! 調!!』

「うっ・・・・・・くっ・・・・・・」

 

そこで意識が朦朧としている中、倒れ込んでいたクリスがなんとか起き上がり、顔をあげるとそこにはコインに挟み込まれてボロボロの状態で倒れている切歌と調の姿があり、クリスは目を見開く。

 

「っ・・・・・・!」

 

クリスはこの惨状を見てこれが自分がこの2人に対し、無理に先輩として振る舞おうとした結果なのかと衝撃を受け、彼女の瞳からはポロポロと涙が零れる。

 

「1人ぼっちが、仲間とか友達とか先輩とか後輩なんて・・・・・・求めちゃいけないんだ。 でないと、でないと・・・・・・残酷な世界がみんなを殺しちまって本当の1人ぼっちになってしまう! なんで・・・・・・世界はこんなにも残酷なのに・・・・・・。 パパとママは歌で救おうとしたんだ・・・・・・!」

 

クリスはその場に座り込みながら泣きじゃくり、そんな彼女にレイアは容赦なくトンファーを振るい襲いかかって来る。

 

「滂沱と暇があれば、歌え!!」

『少しは空気読め、バカ人形!!』

 

しかし、そんなレイアの顔面をギンガが間髪入れずに蹴り上げ・・・・・・さらに続けざまにレイアの顔面に3発拳を叩き込んで殴り飛ばす。

 

「ぐううう!!? 貴様ぁ!!」

『さっきクリスの顔を殴ってくれた礼だ!! 有り難く受け取れ!!』

 

ギンガはクリスの方へと振り返ると彼女の頭にそっと手を置く。

 

「コウマ・・・・・・バカだよな、私・・・・・・。 今になってお前の心配してたことが分かるなんて・・・・・・。 呆れるよな、お前でも・・・・・・」

『・・・・・・どうかな? 少なくとも、アイツ等はそんな風には思ってないんじゃないか?』

 

ギンガが視線を切歌と調の方へと向けると・・・・・・2人は身体がボロボロの状態ながらも立ち上がっており、レイアの繰り出して来た攻撃をアームドギアで防いでいた。

 

「1人じゃないデスよ!」

「未熟者で、半人前の私達だけど・・・・・・傍にいれば、誰かを1人ぼっちにさせないくらいは・・・・・・!!」

『ショウラ!!』

 

そこへ間髪入れずにギンガが放った跳び蹴りでレイアを蹴り飛ばし、彼女達3人の会話を邪魔させないようにギンガはレイアへと戦いを挑む。

 

「くっ、お前に用はない!! 邪魔だ!!」

『本当に空気読めないのな、お前!! 邪魔なのはお前だ!!』

 

その間に、切歌と調はクリスに自分達の伝えたい言葉を伝える。

 

「後輩を求めちゃいけないとか言われたら、ちょっとショックデスよ・・・・・・」

「私達は・・・・・・先輩が先輩でいてくれること、頼りにしてるのに・・・・・・!」

 

フラつきながらも切歌と調は自分達の想いをクリスに伝え、またレイアと戦いながらギンガ・・・・・・コウマもクリスへと話しかける。

 

『聞いただろ!! クリス!! お前は無理に後輩達に先輩として接する必要なんてないんだ!! そのままのお前を見せれば良い!! 素直じゃなくて・・・・・・ちょっと不器用で、ツンデレで、でも・・・・・・歌が大好きなとっても優しい心を持ったそんな雪音クリスが・・・・・・いつものクリスが、俺は、俺達は好きだぜ!!』

「っ、そっか・・・・・・。 私みたいなのでも先輩やれるとするならば、アイツ等みたいな後輩がいてくれるからなんだよな・・・・・・コウマ?」

 

クリスの言葉にギンガはゆっくりと頷き、涙を拭い去ったクリスは立ち上がる。

 

「もう怖くない! イグナイトモジュール!! 抜剣!!」

 

クリスは胸部に装着されたクリスタルに手をかけ、それを取り外して空中へと投げるとそれが剣の形となり、それは彼女の胸部に突き刺さる。

 

(うがあああああ!!!!? アイツ等が・・・・・・私をギリギリ先輩にしてくれる!! そいつに応えられないなんて! 他の誰かが許しても、私様が許せねえってんだぁ!!)

 

そして、彼女の纏うイチイバルは黒く染まり「イグナイトモジュール」となる。

 

『俺達も行くぜタロウ!!』

『あぁ!』

 

コウマは左腕のストリウムブレスのタロウの顔が描かれたレリーフを横に向けて変身モードにさせ、ギンガスパークをリードさせる。

 

『今こそ、1つになる時!』

『ウルトラマンタロウ!』

『ギンガに力を! ギンガストリウム!!』

 

ギンガの姿に「ウルトラマンタロウ」の姿が重なり合うとギンガは姿を変え、「ウルトラマンギンガストリウム」へと強化変身を完了させ、ギンガはクリスの隣に並び立つ。

 

『零無は切歌達を守れ』

『分かった』

 

挿入歌「TRUST HEART (IGNITED arrangement)」

 

「歌」を口ずさみながらクロスボウのアームドギアからクリスは矢をレイアとミーモスに向かって放つが、レイアはトンファーを回転させ、ミーモスは両手に持ったブーメランで矢を全て弾き飛ばす。

 

ミーモスは両手と身体についている突起物を全てブーメランとしてクリスに向かって飛ばすが・・・・・・それを槍型の武器「ギンガスパークランス」を手に持ったギンガが全て弾き飛ばし、一気にミーモスに詰め寄るとそれを振り下ろし、ミーモスは両腕を交差して攻撃をガードする。

 

『フン!』

 

するとミーモスは弾き落とされたブーメランを操って空中に浮かせ、ギンガの背中に向かって飛ばすのだが・・・・・・それをクリスが正確にブーメランに何発も素早く矢を喰らわせ原型が無くなるほど全て撃ち抜く。

 

『なんだと!?』

『シェア!!』

 

そのままギンガは膝蹴りを喰らわせ、怯んだところにスパークランスを振り下ろしてミーモスを斬りつける。

 

『『ぐあああああ!!!!?』』

 

そこへレイアがトンファーを持ってクリスに向かって来るのだが、クリスはレイアの振りかざすトンファーは避けながら銃に変形させたアームドギアで弾丸を撃ち込もうとするのだが・・・・・・レイアもそれらは見事に躱していく。

 

(失うことの怖さから、折角掴んだ強さも暖かさも全部・・・・・・手放そうとしていた私を止めてくれたのは・・・・・・!!)

 

クリスは一瞬、切歌と調の姿を見つめる。

 

(それにコウマも・・・・・・)

 

その後、クリスはギンガの方にも一瞬だけ視線を向けると・・・・・・それに気づいたギンガは彼女にサムズアップをして見せる。

 

それに笑みを浮かべたクリスはアームドギアをライフルに変形させた「RED HOT BLAZE」を発動、レイアはそれを見てこんな至近距離からライフルで撃つのかと驚いたが・・・・・・そうではなく・・・・・・。

 

「殴るんだよ!!」

「なっ!?」

 

まさかの打撃武器として使用し、レイアの頭を思いっきりクリスは殴ったのだ。

 

(先輩と後輩、この絆は世界がくれたもの! 世界は大切なものを奪うけれど、大切なものをくれたりもする! そうか、パパとママは・・・・・・少しでも貰えるものを多くするため・・・・・・歌で平和を・・・・・・!)

『銃器は鈍器ってことだな。 俺も今度キングジョーランチャーでやってみよう』

「違うと思うデス・・・・・・」

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

武器を失ったミーモスは格闘戦を挑もうとギンガに向かって接近し、拳を何度も振るうのだが・・・・・・ギンガはそれらを全て避け、カウンターの拳をミーモスの顔面に叩き込む。

 

『デヤアアアアア!!!!』

 

さらに連続でミーモスの胸部に拳を叩き込み、さらにもう1発拳をミーモスに放とうとするのだが、ミーモスは片手でそれを受け止める。

 

そのまま足を振り上げてギンガの横腹を蹴りつけ、怯んだところにミーモスはすかさずギンガの首を掴みあげる。

 

『グウウ・・・・・・!!?』

「キシャアアアア・・・・・・!!」

 

だが、ギンガはミーモスの腕を掴みあげ・・・・・・力尽くで引き離すとそのままミーモスの身体に掴みかかって持ち上げ・・・・・・放り投げる。

 

「クオオオン!?」

 

倒れ込んだところにギンガはすかさずミーモスの腕を掴みあげ、無理矢理立ち上がらせるとそのまま背負い投げを繰り出し、地面に叩きつける。

 

『ショウラ!!』

『ちょっ、ちょっと待って・・・・・・!!』

『待たねえ!!』

 

ベルメがギンガにタンマをかけるが当然待って貰える訳もなく・・・・・・ギンガはさらにミーモスを両手で背中から持ち上げ、さらに投げ飛ばして壁に激突させる。

 

『『ぐはああ!!?』』

 

さらにギンガは倒れ込んだミーモスの両足を持ち上げてフルスイングし、レイアに向かって投げ飛ばし、2人は見事に激突する。

 

「『『うぐおおおお!!!!?』』」

 

それにレイアは「なにをする!?」と怒鳴るのだが・・・・・・。

 

『俺達のせいじゃねえってんだよ・・・・・・』

 

クリスはそこに背部に形成した固定式射出器に大型ミサイルを左右に各1基、計2基を連装して生成、射出する「MEGA DETH FUGA」をレイアとミーモスに向かってミサイル1発目を発射。

 

「くっ!」

 

レイアとミーモスは後退しながらレイアはなんとかトンファーでミサイルを破壊。

 

「諸共に巻き込むつもりか・・・・・・!?」

 

そこへクリスが2つ目のミサイルを発射し、彼女とギンガはその上に乗ってレイアとミーモスに向かって来る。

 

『ミサイルに乗って来やがったぞアイツ等!?』

『ギンガファイヤーボール!!』

 

レイアはトンファーのコインを弾丸のようにしてクリスに発射し、クリスはそれをアームドギアの弾丸、ギンガはギンガファイヤーボールでそれらを撃ち落とす。

 

レイアはミサイルの直撃を避けようと上に飛ぶのだが・・・・・・クリスはミサイルの軌道を上に曲げる。

 

「ミサイルを曲げて・・・・・・!!?」

 

ミサイルはレイアに直撃する瞬間、クリスとギンガはジャンプ。

 

『ウルトランス! エレキング! テイル!』

 

そこに右腕をエレキングテイルにし、エレキングの尻尾を伸ばしてビクトリーはギンガを、切歌は肩のアンカーを伸ばしてクリスを拘束し、こちらに引き寄せる。

 

そしてミサイルはレイアに直撃し、爆発。

 

「スイッチの位置は覚えてる!!」

 

調は隔壁のスイッチを押す為にアームドギアから小型鋸を発射し、見事に命中。

 

『まだ俺達が残ってるぞォ!!』

 

爆発の炎の中からミーモスが飛び出すのだが・・・・・・。

 

クリスはガンパット・ガンモードというアイテムを取り出し、それの銃口をミーモスに向ける。

 

エネルギーをチャージし、銃口から放たれるエネルギー弾「ジャンスターダスト」をクリスはミーモスに向かって発射。

 

「ジャンスターダスト!!」

 

コウマはストリウムブレスのターレットを回転させてスイッチを押して止めると「ウルトラマンタロウ」の力が発動される。

 

『ウルトラマンタロウの力よ! ストリウム光線!』

 

ギンガは両腕を引き絞って七色のエネルギーを体内に蓄積させた後、腕をT字に組んで放つ必殺光線「ストリウム光線」をミーモスに向かって放ち、直撃を受けたミーモスは火花を散らし、爆発・・・・・・炎の中へと消えて行くのだった。

 

『『ぐあああああああ!!!!?』』

 

そしてギンガとクリスはビクトリー達の元へと戻り、隔壁が閉じた為・・・・・・こちら側に海水が流れ込んで来ることはなかったのだった。

 

「やったデス!」

「即興のコンビネーションで、全くもってムチャクチャ・・・・・・」

「その無茶は、頼もしい後輩と相棒がいてくれてこそだ」

 

クリスは笑みを浮かべてそう言いながら、切歌と調の手を握りしめる。

 

「ありがとな」

 

それに切歌と調も嬉しくなり、彼女達も思わず笑みが零れる。

 

『いやぁー、良かった良かった』

『俺達も、アイツ等のコンビネーション、見習わないとな。 ラン隊長から課題出されてるし』

『だな』

 

その時、建物が揺れ始める・・・・・・本部からの連絡によれば、クリス達のいる付近が圧壊しつつあるらしく、またこちらに向かってあの巨大なレイアの妹が接近しているとのことだった。

 

『俺達のエネルギーももうないぞ、どうすんだ? リンカーが切れた切歌達を運ぶくらいの余裕はあるが・・・・・・』

『ギンガのエネルギーが少なくても、他のウルトラマンのスパークドールズがある! 急いで脱出するぞ!!』

 

ギンガの言葉にクリス達は頷き、一同は竜宮からの脱出を急ぐのだった。




今回のミーモスはチブルサーキット2つ分の力も持っているので戦闘力も調、切歌、ギンガ、ビクトリーの4人がかりでかかっても苦戦するほどの戦闘力を発揮する。
身体の突起物のブーメランも両手に持って接近武器として使用する。

ただし強化変身したギンガとクリスには叶わなかった模様。


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12Eve 『託されたものを胸に』

コウマ達が竜宮から帰還しようとしている時のこと。

 

同じ頃、S.O.N.G.本部の潜水艦に朔也がこちらに向かって急速接近して来る巨大な物体の存在を確認しており、それを弦十郎に報告しモニターに出すとそこには巨大な人影・・・・・・レイアの妹が映っていた。

 

「いつかの人型兵器か! コウマくん達の脱出状況は!?」

 

現在、コウマ達は丁度潜航艇にに乗り込んで潜水艦に戻って来たところであり、弦十郎は即座に潜水艦を浮上させるように一同に指示を送る。

 

「緊急浮上!!  油圧を切りつつ振り切るんだ!!」

 

弦十郎の指示により、潜水艦は浮上していくが・・・・・・当然妹は逃がさず追いかけてくる。

 

そして潜水艦はなんとか浮上することに成功したのだが、同時に妹も海上から顔を出すように出現し、潜水艦に向かって大きく振りかぶり、チョップを叩きこもうとする。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンジョーニアス!』

『ショワッ!!』

 

しかし、それを星形のカラータイマーに額に星形のマークがあるのが特徴的な巨人、「ウルトラマンジョーニアス」にウルトライブし、変身したコウマがそれを両手を交差して受け止め、そのまま妹に膝蹴りを叩きこむ。

 

『ショワッ!!』

 

さらに怯んだところに妹の顔に拳をジョーニアスは叩き込んで潜水艦から引き離し、ジョーニアスは「今だ!!」と潜水艦の方を振り返って叫ぶ。

 

すると潜水艦からまだイグナイトモジュールを発動させている状態のクリスが飛び出し、アームドギアをロングボウのように形成し、矢の形をしたミサイルで相手を射貫く「ARTHEMIS SPIRAL」を放ち、矢はレイアの妹の身体を見事に貫き、妹は火花を散らして爆発。

 

『やったな、クリス! 本部には傷1つついてないぜ!』

 

ジョーニアスはそう言いながらクリスにサムズアップし、それにクリスも笑みを浮かべてサムズアップを帰そうとするのだが・・・・・・その時・・・・・・。

 

「キシャアアアア!!!!」

 

海中から突如、チョウチンアンコウのような触覚が生えた海蛇のような怪獣「深海獣 ディプラス」が、竜宮や海上で散々騒いだ影響で眠っていたところを目を覚まして出現し、潜水艦に襲いかかって来たのだ。

 

ディプラスは潜水艦に勢いよくその巨大な口を開いて噛みつき、そのまま噛み砕こうとする。

 

「なっ!」

 

突然のことにクリスは驚き、反撃ができず、バランスを崩して海に落ちそうになるがジョーニアスが慌ててディプラスに掴みかかって引き離し、クリスもなんとかバランスを保つ。

 

『シェア!!』

 

ジョーニアスは潜水艦から離れた位置に向かってディプラスを放り投げ、海面に叩きつけられるが触覚から放つ「赤色破壊光線」という光線を発射し、ジョーニアスは直撃を受けて怯む。

 

『グッ、ショワッ!!』

 

しかし、なんとか耐えきって空中に飛び立つとそのままディプラスの頭上に急降下キックを叩きこむ。

 

一方、S.O.N.G.の司令室では先ほどディプラスに攻撃された際、船体が大きく揺れ、それによってあおいの頭上にあった天井の一部が落ちて来たのだ。

 

「危ない!!」

 

だが、それをエルフナインが身を挺して庇い、彼女に覆い被さって代わりに天井の一部を身体に受けてしまったのだ。

 

「うっく・・・・・・エルフナインちゃん!?」

「僕は・・・・・・、誰に操られた訳でもなく・・・・・・」

 

エルフナインはそれだけを言い残すと気を失い、そこへ丁度切歌と調、零無の3人も帰って来て彼女等2人の元に急いで駆け寄る。

 

「大丈夫デスか!?」

「早く手当てしないと!!」

「こりゃ下手に動かさない方が良いかもな。 包帯とか急いで持って来る!!」

 

そう言って零無は急いで医務室へと駆け出し、包帯などを持って来ることに。

 

『シェア!!』

 

一方、ジョーニアスはディプラスに向かって掴みかかるが、触覚から放つ放電攻撃を行い、掴みかかってきたジョーニアスの身体に電撃を流し込んでダメージを与える。

 

『グッ!?』

 

さらにディプラスはジョーニアスの肩に噛みついて身体を持ち上げ、水面に叩きつける。

 

『ウオッ!!?』

「コウマ!!」

 

そこでクリスがアームドギアをクロスボウに変形させて矢を放ち、援護するのだがディプラスは意に返さずジョーニアスに再び噛みついて水中の中へと引きずり込んでいく。

 

『グアッ!?』

「あっ、クソ!! 水中に入られたら迂闊に攻撃できねえ・・・・・・!! どうすれば・・・・・・!!」

 

ディプラスはジョーニアスは深海の底にまで叩き伏せると一度離れ、倒れ込んだジョーニアスに向かって触覚から破壊光線を発射。

 

それをなんとか立ち上がったジョーニアスは後方にバク転して回避し、額のアストロスポットから放つ、星型光弾「スタービーム」を発射し、ディプラスに直撃させて怯ませる。

 

その隙にジョーニアスは跳び蹴りをディプラスに放つのだが、ディプラスはそれを避けてジョーニアスの身体に巻き付き、締め付ける。

 

『ゥオワアア!!?』

 

ディプラスはかなりのパワーでジョーニアスの身体を締め付けており、なんとか振りほどこうとするが全くその気配はなく、ジョーニアスの胸スターシンボルが黄色くなり、その後赤に変わる。

 

『ぐっ・・・・・・こんなところで・・・・・・負けていられるかぁ!!』

 

しかし、ジョーニアスにライブしているコウマは気合いを入れ、ジョーニアスはディプラスに巻き付かれた状態のまま海上に向かってディプラスごと飛行する。

 

『グゥ、ショワッ!!』

 

戦闘BGM「ザ☆ウルトラマン インストゥルメンタルバージョン」

 

それに対してディプラスは放電を行い、ジョーニアスを苦しめるが、ジョーニアスは苦痛に満ちた声を上げながらもなんとか海上へと飛び出す。

 

「出てきた!!」

『クリス、頼む!!』

 

ジョーニアスの言葉にクリスは頷き、背部に形成した射出器に左右それぞれ6基、計12基もの大型ミサイルを連装して生成、一斉掃射を繰り出す「MEGA DETH INFINITY」を発射。

 

それらを全てディプラスの身体に命中させると僅かにディプラスの力が緩み、ジョーニアスは脱出。

 

そのままジョーニアスは手裏剣のように連射する光弾「ウルトラレーザーショット」を発射し、ディプラスの触覚を破壊。

 

「グルアアアアア!!!!?」

 

続けざまにジョーニアスは両手の拳を突き合わせてエネルギーを溜め、生み出した光球を放出する「ロッキングスパーク」を放ち、直撃を受けたディプラスは火花を散らして爆発するのだった。

 

『ハアア、ショワッ!!』

「グアアアアア!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、響はせめてもう1度ということで・・・・・・彼女は前回も訪れたレストランに来ており、父親の洸と会っており、又もや響が奢る形で食事をしていた。

 

「悪いな、腹減ってたんだ」

「・・・・・・うん」

 

一方、また響が洸と会うことをあらかじめ未来から教えられていたカイトも、どうしても彼女のことが気になって心配だった彼は遠くの席に座って帽子を被り、サングラスをして変装した格好でその様子を見つめており、また娘にご飯を奢らせている洸を見て苛立っていた。

 

(あの野郎、また響さんに飯を奢らせてるのか・・・・・・? 俺が前言ったこと、忘れてそうだな・・・・・・)

 

今すぐ出て行って洸に怒鳴るくらいはしてやりたいと思うカイトだったが、ぐっと今は堪えて今はまだ様子見することに彼は専念。

 

響は一瞬、スマホの画面を見るとそこには未来から送られて来たメッセージに「へいき、へっちゃら」という文字が書かれており、それをほんの少しだけ見つめると彼女は意を決した表情を浮かべて洸に話しかける。

 

「あのね、お父さん!」

「どうした?」

「本当に、お母さんとやり直すつもり?」

 

その響の問いかけに洸は「ホントだとも!」と頷いて答える。

 

「お前が口添えしてくれたらお母さんも・・・・・・」

「だったら!! 始めの一歩は、お父さんが踏み出して? 逃げ出したのはお父さんなんだよ? 帰って来るのも、お父さんからじゃないと・・・・・・」

 

響の言うことは尤もだろう、逃げたのは自分なのだから帰って来るのも先ずは自分からでなくては筋が通らない。

 

しかし、洸は「それは、嫌だなぁ・・・・・・」と暗い表情を浮かべながら答える。

 

「何より俺にも、男のプライドがある」

 

その瞬間、その言葉が耳に入ったカイトは「はっ?」と眉を寄せ、唇を噛み締める。

 

(何がプライドだよ!! 娘に飯を奢らせて、その上家族と歩み寄ろうとする最初の一歩すら響に頼ろうとしているのに、プライドもクソもないだろ!!)

 

カイトは物凄く今すぐにでも先ほど思ったことを洸に言ってやりたかったのだが、マックスの「今は堪えろ、カイト」という言葉を受け、カイトはなんとか自分の気持ちを落ち着かせる。

 

「私、もう1度やり直したくて勇気を出して会いに来たんだよ? だからお父さんも、勇気を出してよ!!」

「響・・・・・・。 だけど、やっぱり俺1人では・・・・・・」

 

響は自分は勇気を出して洸に会いに来たのだから、洸も勇気を出して家族と向き合うべきだと訴えるが、それでもやはり洸は臆病風に吹かれてか、勇気を出すことが出来ないでいたのだ。

 

そんな彼に、響は残念そうな顔を浮かべる。

 

「1度壊れた家族は、元に戻らない」

「っ・・・・・・あっ・・・・・・」

 

洸はそんな響に何か言おうとするのだが、言葉が見つからず、黙ったままになってしまう。

 

その時、何気なく外の方に顔を洸が向けるとそこには親子連れがおり、男の子の手には風船が握っていた。

 

しかし、そこで男の子がつまずいて転んでしまい手に持っていた風船が男の子の手から離れて空中へと飛んでいってしまう。

 

その空に浮かんでいく風船を洸が目で追っていると・・・・・・突然、空にヒビが入り、空間が割れたのだ。

 

「なっ、なんなんだ!?」

『空が割れた・・・・・・まさか、ヤプールか!?』

 

空が割れるという現象を目撃し、驚きの声をあげる洸と、その光景を見てまさか「ヤプール」と呼ばれる存在が現れたのかと思うマックス。

 

しかし、そこから現れたのはヤプール等ではなく巨大な城のような存在、「チフォージュ・シャトー」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チフォージュ・シャトー内部にて。

 

そこではキャロルと、ウェルが異形となった左腕・・・・・・そのネフィリムの左腕で何かの装置に触れており、小さく何かを呟きながらどうやらその装置を起動させているようだった。

 

「ワールドデストラクター、セットアップ。 シャトーの全機能オートモードに固定」

 

ウェルはそう呟き終えると左手を装置から離し、不敵に不気味な笑みを浮かべる。

 

「ウヒヒヒ!! どうだ!! 僕の左腕はトリガーパーツなど必要としない!! 僕と繋がった聖遺物は全て意のままに動くのだぁ!!」

「オートスコアラーによって、呪われた旋律は全て揃った。 これで世界はバラバラに噛み砕かれる・・・・・・!」

 

そんなキャロルの言葉を聞き、「あん?」と顔をキャロルの方に向けるウェル。

 

「世界を、噛み砕く?」

「・・・・・・父親に託された命題だ」

 

ウェルにそう答えると彼女は目を瞑り、父の「生きて、もっと世界を知るんだ」という言葉を思い出す。

 

「わかってるって!! だから世界をバラバラにするの!! 解剖して分解すれば万象の全てを理解できるわ!!」

 

突然、狂ったかのように何時もとは違う雰囲気でそう語り出すキャロル。

 

だが、ウェルはそのことに対して特に気にせず、彼はあることをキャロルに尋ねる。

 

「つまりは至高の英知!! ならばレディ? その知を以て何を求める?」

「何もしない」

 

その問いかけの答えに対し、「あぁ?」と怪訝な表情となるウェル。

 

「父親に託された命題は世界を解き明かすこと。 それ以上も以下もない」

「Oh・・・・・・! レディーに夢はないのか? 託されたもの『なんか』で満足してたら底もてっぺんもたかが知れる!!」

 

そんなウェルの言葉を聞いた瞬間、キャロルの中で何かがキレ・・・・・・彼女はウェルを睨み付ける。

 

「『なんか』・・・・・・と言ったか?」

「・・・・・・あっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃エクセラーの宇宙船にて・・・・・・。

 

そこではまたしても任務失敗したばかりにエクスラーに正座させられているベルメとキューバがおり、ボルストもいたのだが彼の場合は腕組みして偉そうに立っている。

 

一方でエクセラーは空中に映し出したモニターには以前、ギンガ達がルギエルと最後に戦った場所である「バビロニアの宝物庫」の風景が映し出されており、そこには大量のノイズとルギエルの胸部の巨大なクリスタルのようなものが映し出されていた。

 

すると、突然ルギエルの胸のクリスタルから赤いエネルギーが大量に放出され、周囲に漂うノイズ達が次々にそれに巻き込まれて焼き尽くされていく。

 

『ファンタスティック!! 眠っているだけであのパワー、完全復活したらどうなるのでしょう?』

 

エクセラーが少しずつバビロニアの宝物庫に送っていたビクトリウムの力によってそれを吸収したルギエルのエネルギーが僅かだが放出していたのだ。

 

尚、本来バビロニアの宝物庫は「ソロモンの杖」が無ければエネルギーを送るなどといった行為は不可能に近いのだが、エクセラーはビクトリウムのエネルギーのみを宝物庫に送る装置を既に完成させており、それを使いルギエルにエネルギーを送っていたのだ。

 

『はぁ、そんなことは良いから早くもっと強い怪獣を寄越しやがれ!! 今度こそウルトラマン共を倒してやる!!』

 

ボルストは苛立った様子でエクセラーに新しいスパークドールズを寄越すように要求するのだが、それにボルスト以上に苛立ったエクセラーは「黙りなさい!!」と怒鳴りあげる。

 

『そのような言葉は既に聞き飽きました。 私は早くグランドマスタールギエルが目覚めるところが見たいんです。 それなのにあなたは何時までもダラダラと・・・・・・フン!!』

『なんだと?』

 

エクセラーはそう言うと右手をボルストにかざし、するとボルストの胸につけていたチブルサーキットが紫の光を放ち、ボルストは苦痛に満ちた声をあげる。

 

『ぐあああああ!!? な、なんだこれは・・・・・・!! 身体の自由が、効かねえ・・・・・・!!?』

『え、エクセラーくん!? 彼に一体なにを・・・・・・!?』

 

そのことにベルメやキューバも驚き、エクセラーは不敵な笑みを浮かべる。

 

『思う存分戦って来てください。 あなた自身の身体で・・・・・・』

『ぐあああ!!? き、さまぁ・・・・・・!!』

 

そしてボルストの目が青から赤く染まると彼の身体は完全にエクセラーに支配され、エクセラーはボルストにウルトラマン達を倒すように指示をするとボルストは無言で頷いて出動するのだった。

 

またエクセラーはベルメとキューバの方へと振り返り、それを見てベルメ達は「ひっ!?」と小さな悲鳴をあげる。

 

『ベルメ!! 急いでこいつを外すんだ!!』

 

キューバはすぐさま自分達もつけているチブルサーキットを取り外そうとするが、全く外れる気配はなく、エクセラー曰く「チブルサーキットは私の意思でしか取り外すことはできません」とのことでその言葉を受けたキューバとベルメの顔は青ざめる。

 

『た、頼むエクセラー!! いや、エクセラー様!! 最後に、最後に俺達にチャンスを・・・・・・!!』

『そ、そうだよエクセラーく・・・・・・エクセラー様!! 僕達にチャンスを・・・・・・!!』

『ふむ、まぁ、あなた方は反抗的なムッシュ・ボルストと違って私に素直に忠実でしたからね。 良いでしょう、最後のチャンスをあげましょう』

 

エクセラーはキューバとベルメの2人にそう言うと、彼等2人は「分かった」と頷き、急いで出撃の準備を始める為、そこを立ち去るのだった。

 

『フン、あんな奴等に果たしてウルトラマン共が倒せるとは思えないがね』

『誰だ!!?』

 

突然、不意に背後から声が聞こえてエクセラーが振り返るとそこには等身大サイズとなったエタルガーが立っており、エクセラーはチブロイド達を呼び出してエタルガーを取り囲む。

 

『まぁ、そう警戒はするな。 俺はお前に協力を仰ぎに来ただけだ』

『ほぅ? と言いますと?』

 

エタルガーは空中に自分の力を示す為かティガ、ガイア、コスモス、ネクサス、メビウスが封印された鏡をエクセラーの目の前に出現させ、それを見たエクセラーは「これは!?」と驚きの声をあげる。

 

『俺の名はエタルガー。 お前と手を組みたくてここに来た』

『ほう? それは何故でしょうか?』

 

チブロイドに囲まれているが、それに対してエタルガーは特に臆することもなく自身の目的をエクセラーに話し始める。

 

『俺の目的は、9人のウルトラマンを捕えること・・・・・・』

『ウルトラマンを捕える?』

 

エタルガーが言うには、自分の目的は最低でも9人のウルトラマンを鏡の中に封印し、そのエネルギーを全て奪い取って消滅させ、より強大な力を手に入れることなのだという。

 

『俺の力は対象の相手が最も恐れるものを幻、または『エタルダミー』というものにさせて実体化させて操ること・・・・・・。 しかし、エタルダミーはオリジナルよりも劣った存在になってしまう。 しかも出て来たエタルダミーが何かは私にも分からないし、出現したエタルダミーよりももっと強い奴と戦ってるのにそいつよりも弱い奴が出て来る、なんてこともある。 だがそこで9人のウルトラマンが必要となってくる訳だ』

 

曰く、対象の相手がいなくてもエタルダミーを実体化させる為、エタルダミーを本物同様の力を持つ存在にする為、相手の記憶からより強大な存在を呼び出す為、9人のウルトラマンの力が必要であり、彼等の力と記憶を自身に取り込むことでエタルガーは自分の能力を強化させるつもりなのだと言う。

 

尚、9人という限定的な人数なのはそれ以上だと自身の身体が耐えきれなくなってしまうからだとか。

 

『そうなればお前にとって邪魔なウルトラマンも消せる。 良い話ではないか?』

『成程・・・・・・確かに良いお話ではありますが・・・・・・』

 

確かに良い条件ではあるのだが、エクセラーはイマイチ信用していない様子。

 

それにエタルガーは「はぁ」と溜め息を吐き、さらに説明を続ける。

 

『この世界にはマックス、ゼロ、ギンガ、ビクトリー・・・・・・そして俺のところから脱出に成功したダイナがいる。 つまり、獲物が大量にいるんだ。 だが、流石に俺でもこの人数をまとめて相手にできるかは分からん。 そこで貴様の力を貸して貰いに来たのだ』

『それは理解しましたが・・・・・・ならばコツコツと他のウルトラマンを捕えに行けば良いのでは?』

 

エクセラーは最もな疑問を口にし、エタルガーにそう問いかけると彼は「確かにそうだな」と頷く。

 

『だがチマチマ集めるのも面倒だ。 それに奴等はかつてガタノゾーア、グランスフィア、ダークザギ、エンペラ星人、ウルトラマンベリアルと戦ったことのある連中だ。 そいつ等を自由に呼び出すことが出来れば・・・・・・素晴らしいと思わないか? 勿論、その力を使ってお前の邪魔をしようなんて思わないし、世界の1つや2つお前の好きにすれば良い。 それにこの世界にはあのダークルギエルが眠っているのだろう?』

『正確にはバビロニアの宝物庫に・・・・・・ですがね』

『ルギエルの力を借りれば、奴等を捕えるのも捗るというものだ』

 

そんなエタルガーの言葉を受け、エクセラーは少し考える素振りを見せる。

 

『しかし、私の最終目的はグランドマスターを復活させること。 ウルトラマンは倒したいですが、グランドマスターさえ復活させれば・・・・・・』

『手を組むに当たってお前に用意したものがある』

 

エタルガーがエクセラーの言葉を遮って右手をエクセラーの前にかざすと空中にモニターのようなものが映し出され、そこには巨大なキャノン砲が映し出される。

 

『これは『ビクトリウム・キャノン』、とある世界で地球人共が作ったという、破壊兵器だ。 俺がかっさらって来た。 こいつはビクトリウムプラントと呼ばれる場所からビクトリウムのエネルギーを取り出し、キャノンの攻撃力として利用することで敵を殲滅する破壊兵器・・・・・・。 最もこれを使うにはビクトリウムクリスタルが必要だが・・・・・・』

『ほほぅ? 中々魅力的な兵器のようですがビクトリウムクリスタルはグランドマスターに・・・・・・』

『最後まで話を聞け。 このビクトリウム・キャノンとルギエルの肉体を融合させることでルギエルは以前よりも強大な力を手に復活させることができる』

 

エタルガーの話を聞き、エクセラーは「そんなことが?」と首を傾げる。

 

『最終的には融合させるのだから、キャノンにビクトリウムを振り分けても問題はない。 だが、それにはまだ後1つ足りないものがある。 ビクトリーの相棒であるシェパードンとか言う怪獣だ。 あの怪獣のエネルギーを使えればルギエルはより最強の存在となるだろう』

『成程、中々興味深い話ですねぇ。 それが本当かどうか私の方でも念のためにシュミレートするので少々返事はお待ち頂きたいのですが・・・・・・』

『構わん。 好きにしろ。 ビクトリウム・キャノンも好きに調べると良い。 シェパードンも俺の方でどうにか調達してやろう』

 

エタルガーは時空城に行く為の異空間を開き、それを受けエクセラー「ではそうさせて貰いましょう」と言って護衛のチブロイド達を引き連れて時空城へと向かうのだった。

 

(そろそろグランドマスターも復活する、エタルガーの言ってることも本当なのだとしたら・・・・・・グフフフ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はカイト達のいるレストランへと戻り・・・・・・。

 

「響さん!!」

「あれ!? カイトくんなんでここに・・・・・・」

 

緊急事態、ということもあり、カイトは帽子とサングラスを外して響の元へと駆け寄り、響はなんでここにカイトがいるのだろうかと首を傾げて疑問に思う。

 

「ごめん、どうしてもお父さんとのこと気になって・・・・・・響さんが心配でこっそり様子見してたんだ・・・・・・」

 

カイトは両手を合わせて響にこっそりと様子見していたことを謝り、それに響は笑って「良いよ別に」と彼を許し、彼女は「それよりも今はアレを・・・・・・」と言いながら空に浮かぶチフォージュ・シャトーを見つめる。

 

その時、あおいから響とカイトのスマホに通信が入り、2人は慌てて電話に出て「はい!」と返事をする。

 

そのことから通信回路に異常がないことをあおいは弦十郎に報告し、弦十郎は現在の状況について響に説明する。

 

『手短に伝えるぞ。 周到に仕組まれていたキャロルの計画が最後の段階に入ったようだ』

「えっ!?」

『敵の攻撃で、エルフナインくんが負傷。 応急処置を施したが、危険な状態だ』

「エルフナインが!?」

 

そんな時消え入りそうなエルフナインの声が2人に聞こえてるくる。

 

『僕は・・・・・・、大丈夫です・・・・・・』

「声苦しそうだぞ、ホントに大丈夫なのか? そこにコウマとかいないのか? コウマならギンガのエネルギーが無くても他の空飛べる奴にライブすれば・・・・・・」

 

カイトはコウマの持つギンガスパークの力ならば例えギンガに変身するエネルギーが無かったとしても他のスパークドールズを使って病院まで一気に運んで貰えないのだろうかと言うのだが・・・・・・。

 

エルフナインが自分の怪我をティプラスを倒し終えたコウマに伝える前に、彼女はコウマに現場に向かって欲しいと通信で強く頼んだのだ。

 

なので彼は先行してこちらに向かっているらしく、他のみんなもコウマを呼び戻してエルフナインを病院に送ろうと言ったのだが・・・・・・彼女は決意は固く、そこから意地でもテコでも動こうとしないのだ。

 

そんなエルフナインに彼女の意思を尊重し、彼女はここに残っている。

 

「分かった。 でも、本当に無理はするな」

『はい、ありがとうございますカイトさん』

 

また弦十郎達も現場である東京に急行中らしく、ラン達もこちらに向かっているらしい。

 

『全員合流次第、君たちは迎撃任務に当たって貰う。 それまでは・・・・・・』

「はい! 避難誘導に当たり、被害の拡大を抑えます」

 

響は弦十郎にそう言葉を返し、洸にも避難誘導を頼もうとするのだが・・・・・・。

 

「お父さん! みんなの避難を・・・・・・!!」

「こういう映像って、どうやってテレビ局に売れば良いんだっけ? 売るならやっぱりKCBとかが良いかな?」

 

洸はスマホの動画機能を使い、シャトーを撮影していたのだった。

 

「お父さん・・・・・・」

 

それの光景にカイトは呆れ、大きな溜め息を吐く。

 

(本当にこの人響さんの父親なのか?)

 

カイトはそんな洸の姿を見て、彼は本当に響の父親なのかと疑問を抱く。

 

響とは出会ってまだ間も無いが・・・・・・それでも彼女が正義感の強い娘であることはよく分かっている。

 

なのに外見こそ面影はあるが、こんな人が本当に響の父親なのかとカイトは疑いたくなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シャトー内部。

 

「父親から託されたものを、『なんか』とお前は切って捨てたか!?」

 

キャロルはウェルの言葉に怒り、彼を睨み付ける。

 

「冒したともさ! ハァンッ! レディがそんなこんなでは、その命題とやらも解き明かせるのか疑わしいものだ!!」

「・・・・・・なに?」

 

ウェルからの返答にキャロルはさらに不快な顔を浮かべるのだが、ウェルはそんなことを気にせず、意気揚々と言葉を続ける。

 

「至高の英知を手にする等、天工を破れるのは英雄だけぇ!! 英雄の器が小学生サイズのレディには、荷が勝ちすぎる!! やはり世界に英雄は僕1人ぼっちぃ・・・・・・! 2人と並ぶものはなぁぁい!!」

 

ウェルは興奮気味にそう叫び、キャロルの後ろの方へと歩いて行く。

 

「やはり僕だ!! 僕が、英雄となって!!」

「・・・・・・どうするつもりだ?」

「無論人類の為!! 善悪を超越した僕が、チフォージュ・シャトーを制御してぇ~!!」

 

ウェルがそこまで言いかけたその時・・・・・・、突如、「ズブリ!!」という音が鳴り響き、それにウェルが目を見開き、自身の腹部に目を向けると・・・・・・。

 

そこには、「ダウルダブラ」の鋭利な部分がウェルの背中から突き刺さって腹部をキャロルによって貫ぬかれていた。

 

「支離にして滅裂・・・・・・。 貴様のような左巻きが、英雄になれるものか・・・・・・」

 

キャロルはそう言うとダウルダブラを引き抜き、左手をかざして緑の紋章を浮かび上がらせるとそこから突風を起こし、ウェルを吹き飛ばし、彼は手すりのある部分に背中からぶつかる。

 

「ぬう、うあああ!!? う、うあ、ダメじゃないか・・・・・・。 楽器を、そんなことに使っちゃ・・・・・・」

「シャトーが起動し、世界分解のプログラムは自立制御されている・・・・・・。 ご苦労だったな、ドクター・ウェル」

「うっ、ああ・・・・・・」

 

キャロルはそう言うとダウルダブラを掲げ、それをウェルに向かって振りかざす。

 

「世界の腑分けは、俺が1人で執刀しよう!!」

「顔はやめて!!? ってうわっ!!?」

 

しかし、キャロルが振りかざすと同時にウェルは驚きのあまり手すり部分から落ちてしまい、そのまま彼はその先の奈落の底のような場所に真っ直ぐと落下してしまうのだった。

 

「あぁ~!!? 嘘ぉ~!!?」

「・・・・・・廃棄予定がいささかに早まったか」

 

キャロルは落ちていくウェルを冷ややかに見つめながらそう呟くと、その時・・・・・・彼女は突然、胸を押さえて苦しみ出す。

 

「うっぐ・・・・・・! くっ、立ち止まれるものか! 計画の、障害は・・・・・・例外なく、排除するのだ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ、マズいかな? あはは・・・・・・」

 

苦笑しながら洸はスマホをポケットにしまい、あまり悪びれた様子のない父の姿に、響は「いい加減にしてよお父さん!!」と怒鳴らずにはいられなかった。

 

「・・・・・・ほう? そいつがお前の父親か?」

 

不意に背後から声が聞こえ、振り返って響やカイト、洸が空を見上げるとそこには空中に浮いたキャロルの姿があり、響は「キャロルちゃん・・・・・・!?」と驚きの声をあげる。

 

「終焉の手始めにお前の悲鳴を聞きたいと馴染まぬ身体が急かすのでな」

「ここでアンタが出てきたってことは、あの城はお前のか!?」

 

カイトの問いかけに対し、キャロルは「いかにも」と応える。

 

「あれこそが俺の城、チフォージュ・シャトー。 アルカノイズを発展応用して世界をバラバラにする解剖機関でもある」

「世界を・・・・・・あの時も、そう言ってたよね?」

 

響はキャロルと初めて出会った時のことを思い出しながら、その時も今と似たことを言っていたのを思い出し、そのことについて改めて問いかける。

 

「あの時、お前は戦えないと寝言を繰り返していたが、今もうそうなのか?」

「・・・・・・っ!」

 

キャロルの言葉を受けて一瞬戸惑いの色を見せた響だったが、すぐさま険しい表情を浮かべ、ペンダントのような形状をした待機状態のガングニールに手をかける。

 

そのことに少し意外そうな顔をしたキャロルだったが、彼女は響にガングニールを纏わせまいと突風を放ち、響が手に持ったペンダントを吹き飛ばし、ペンダントは彼女から離れた位置に落ちてしまう。

 

「っ!?」

「響さん!! お前!! 変身中の攻撃は普通NGだろう!!」

「知るか! そんなの誰が決めたルールだ!! 俺はもうギアを纏わせるつもりは毛ほどもない!!」

 

そう言い放ちながらキャロルは右手を空中に掲げ、緑の魔法陣のようなものを浮かべる。

 

それを合図にするかのようにボルスト、キューバ、ベルメの3人が空から降って来るようにして出現。

 

『僕達も参加させて貰おうかな?』

『俺達自身、もう後も無いのでな!! せめて貴様等を1人でも今度こそ倒してやる!!』

『ウウゥゥ・・・・・・!!!!』

 

突如現れた3人の宇宙人に対し、キャロルは「邪魔だけはするなよ?」と釘を刺すと、彼女は視線を響に戻し、それに対し、響は生身でも立ち向かおうと身構える。

 

「な、なんだよ今度は・・・・・・!?」

 

宇宙人達の出現に洸が驚くのを余所にベルメとキューバはそれぞれチブルスパークと1体のスパークドールズを取り出すと、スパークドールズをチブルスパークにリードさせる。

 

『モンスライブ! ラゴラスエヴォ!』

『モンスライブ! ハイパーゼットン!』

『ウグウオオオオオ!!!!』

 

ベルメは昆虫的なゼットンのフォルムがより洗練され、両腕は剣のような突起となり非常にスタイリッシュな姿になった「宇宙恐竜 ハイパーゼットン・イマーゴ」へと変身し、キューバは全身が赤熱化し、胸部には「マグマコア」と呼ばれるものが露出し、肩から角が生えた「進化怪獣 ラゴラスエヴォ」に変身。

 

さらにボルスト自身が巨大化し、それに対してカイトもマックススパークを構えるが・・・・・・。

 

「っ・・・・・・!!」

 

自分が怪獣達と戦いに行けば、響は生身で戦わなければいけなくなる。

 

そんな考えがカイトの頭を過ぎり、それに洸もいる為、カイトは変身すべきか一瞬迷うが・・・・・・。

 

「行ってカイトくん!!」

「響さん・・・・・・でも!」

「私は大丈夫だから・・・・・・信じて!」

『この場合、止むを得ないか・・・・・・!! カイト!!』

 

響に力強くそう言われ、洸の目の前で変身することもマックスは承諾し、カイトは「ああくそ!!」と悪態をつきつつもマックススパークを左腕に装着し、「ウルトラマンマックス」に変身する。

 

『シェア!!』

「なっ、あの少年が・・・・・・ウルトラマン!!?」

 

当然、カイトがマックスになったことに驚く洸だが、今はそんなことを気にしている場合では無いとマックスはハイパーゼットンに向かって駈け出して行き、ジャンプして跳び蹴りを放つがハイパーゼットンはテレポート能力、「ハイパーゼットンテレポート」を使い、マックスの背後に回り込んで「暗黒火球」という強烈な威力を持つ火球を背中に撃ち込む。

 

『ヌアア!!?』

 

火球を受け、倒れ込んだマックスに対し、ラゴラスエヴォが足を振り上げて蹴り上げ、蹴り飛ばしたところをボルストが両腕を突き出して放つ光線の直撃を受けて地面に倒れるマックス。

 

『グウウウ!!!?』

『ゼットン・・・・・・!』

『グルアアアア!!!!』

『ウガアアア!!!!』

 

ハイパーゼットン、ボルスト、ラゴラスエヴォの3体は並び立ち、フラつきながらも立ち上がろうとするマックスに向かってハイパーゼットンは火球を連射、ラゴラスエヴォはマグマコアからの火炎弾を冷凍光線と同時に発射することで相手に急激な温度差を発生させる技「超温差光線」を発射。

 

『ハアアア、シュア!!』

 

咄嗟にマックスは左腕のマックススパークにエネルギーを集め、腕を逆L字形に組むことで放つ必殺光線「マクシウムカノン」を発射するが・・・・・・それはあっさりと破られてマックスに直撃し、マックスは大きく吹き飛ばされてしまう。

 

『ウアアアアッ!!!?』

『ウガアアアア!!!!』

 

そこからボルストが跳び上がって地面を転がるマックスの元まで行くとマックスの身体を押さえつけ、首を掴み無理矢理立ち上がらせてあげて締め上げる。

 

『グオオッ・・・・・・!!? なんてパワーだッ・・・・・・!!』

『僕達もこれ以上ヘマすると、エクセラーくんに何されるか分かったものじゃないからね! 今回はより強力な怪獣達を使わせて貰うよ!』

 

さらにマックスを苦しめようとハイパーゼットンとラゴラスエヴォはゆっくりとマックスに近づいて来るのだが・・・・・・その時。

 

『ストリウム光線!!』

 

ハイパーゼットンとラゴラスエヴォに1つの光線が撃ち込まれ、それに慌ててハイパーゼットンは「ハイパーゼットンアブソーブ」という技で光線を吸収し、撃って来た相手・・・・・・空中にいる「ウルトラマンギンガストリウム」に撃ち返す。

 

『ウルトラマンジャックの力よ! ウルトラバーリア!』

 

ジャックの力で光の壁を作ってギンガはなんとか攻撃を防ぎ、ギンガはマックスの首を締め上げてるボルストの首筋に向かって急降下キックを叩き込み、マックスから引き離す。

 

『待たせたな! 大丈夫か!?』

『あ、あぁ・・・・・・。 助かる。 今回はかなり強力な怪獣を使ってるらしい。 それに、あの宇宙人も・・・・・・なにか様子が変だけど、凄く強い』

 

ギンガは方膝を突くマックスに手を差し伸べ、マックスはそれを掴むと立ち上がり、2人はハイパーゼットン、ボルスト、ラゴラスエヴォに立ち向かっていく。

 

一方で、響はと言うと・・・・・・。

 

「俺は、父親から託され た命題を胸に世界へと立ちはだかる!!」

「・・・・・・お父さんから、託された・・・・・・」

「誰にだってある筈だ!!」

 

キャロルのその言葉に、響は僅かながらも動揺し、それを受け・・・・・・彼女は目を瞑り、「私は何も・・・・・・!!」とどこか悲しそうな、悔しそうな、そんな感情が入り交じった顔を浮かべる。

 

「・・・・・・託されていない」

「何も無ければ耐えられまいて!!」

 

次の瞬間、キャロルは右手を響に振り下ろしてそこから突風が放たれ、突風は響に襲いかかるが・・・・・・それを洸が咄嗟に彼女を抱きしめて自分事キャロルの攻撃を躱し、洸は響に覆い被さるようにしながら彼女の名を必死に呼びかける。

 

「おい響!! 響!!」

『・・・・・・っ!』

 

その様子を見て、一瞬マックスは動きを止める。

 

『余所見とは余裕だなぁ!!』

 

そんなマックスの隙を見逃さず、ラゴラスエヴォの突進をマックスは受けてしまい、攻撃を受けてよろめくマックスをボルストがさらに羽交い締めにする。

 

『グッ、しまった・・・・・・!!』

 

その隙にラゴラスエヴォが突進して来るが、マックスはなんとか肘打ちをボルストに喰らわせ、ジャンプして攻撃を回避。

 

そのままラゴラスエヴォはボルストに突進を喰らわせ、ボルストは突き飛ばされてしまう。

 

『ヌアアア!!?』

「グルアアアア!!!!」

 

ラゴラスエヴォは自分の背後に着地したマックスに振り返りざまに口から冷凍光線を放ち、マックスは咄嗟に躱し、頭部に収納されている「マクシウムソード」をラゴラスエヴォに投げつける。

 

マクシウムソードは見事ラゴラスエヴォの頭の角の片方を切り裂き、マクシウムソードを頭部に戻したマックスはラゴラスエヴォに向かって駈け出し、殴りかかるのだが・・・・・・。

 

ラゴラスエヴォを庇うようにボルストが立ち塞がり、両手から相手を拘束する光線を放ち、マックスの動きを封じる。

 

その間にラゴラスエヴォは胸部のマグマコアから火球を発車し、直撃を受けたマックスは身体中から火花をあげる。

 

『ウアアア!!!?』

 

一方でギンガはハイパーゼットンに拳を叩き込もうとするのだがテレポート能力「ハイパーゼットンテレポート」によって姿を消し、ギンガの背後に出現。

 

『っ! ショウラ!!』

 

すぐさまそれに気付いたギンガは後ろ回し蹴りを放つがハイパーゼットンは再びテレポートで回避するとまたギンガの背後に出現し、胸部から発射する火球、「暗黒火球」を放ち、それを背中に受けてしまうギンガ。

 

『ウアアアア!!!?』

『ゼットン・・・・・・! ピポポポ・・・・・・!』

 

膝を突くギンガの目の前に今度はハイパーゼットンが突如出現し、足を振り上げてギンガの顎を蹴りつけ、ギンガを吹き飛ばす。

 

さらにハイパーゼットンは空中に投げ出されたギンガの元にテレポートし、大きく振り上げた右腕を振り下ろしてギンガを地上に叩きつける。

 

『グアアア!!?』

 

地面に叩きつけられながらもなんとか立ち上がろうとするギンガだが、ハイパーゼットンは空中から容赦なく暗黒火球の雨を降らせ、ギンガにほんの少しの反撃すら許さなかった。

 

『ウアアアアア!!!!? なんて、野郎だ!!』

『フン、これぞ僕の切り札!! 『ハイパーゼットン』!! 奥の手は最後まで隠しておくものさ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、キャロルは響の父親である洸に狙いを定め、右手をかざし、黄色の魔法陣のようなものを出現させる。

 

それに気付いた洸は怯えた表情を浮かべ、「う、うわああ!!?」と情けない声を出しながら響を放り出して逃げ出してしまったのだ。

 

「・・・・・・お、お父さん・・・・・・?」

「た、助けてくれぇ!! こんなの、どうかしてやがる!!」

 

そんな父の背中を見て、響はかつて家を出て行った洸の姿を思い浮かべ・・・・・・彼女はまた、「自分を置いて逃げ出すのか」と思い、目尻に涙を浮かべる。

 

キャロルはそんな風に逃げる洸を追いかけるように、光弾を撃ち込んで行く。

 

「あははは!! 逃げたぞ!! 娘を放り出して、身軽な男が駈けていきおる!!」

 

やがて洸は尻餅を突き、キャロルは洸の目の前にまで降りてくる。

 

「ひっ!? く、来るな!! 来るなぁ!!」

「大した男だなぁ? お前の父親は? 俺の父親は、最後まで逃げなかった!!」

 

洸はどうにかこうにかその場から立ち上がって再び逃げ出し、キャロルは光弾を再び洸に撃ち込もうとする。

 

そして、響はキャロルの言葉に何も言い返すことができず、顔を俯かせるが・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右下腕部に装着して使用する武器、「マックスギャラクシー」を装備したマックスはマックスギャラクシーから放つ新たな最強光線「ギャラクシーカノン」を発射。

 

『ハアアア、シェアアアア!!!!』

 

それと同時にラゴラスエヴォは火炎弾を冷凍光線と同時に発射する「超温差光線」を放ち、またボルストも両手から光線を放ち、ラゴラスエヴォとの合体光線を繰り出す。

 

それにより、ギャラクシーカノンはあっさりと弾かれ、2体の光線の直撃を受けて身体中から火花を散らし、倒れ込むマックス。

 

そのままマックスギャラクシーも装備が解除され、弱まっていくマックス。

 

『ウアアアアアア!!!!?』

 

またギンガは「ウルトラマンエース」の力を使い、「エースブレード」という日本刀に似た刀を出現させ、ハイパーゼットンをすれ違いざまに切り裂こうとするがハイパーゼットンは両腕でそれをガードし、押し返すと同時に暗黒火球を撃ち込んでギンガを吹き飛ばす。

 

『ヌアアア!!?』

 

吹き飛ばされたギンガは地面に激突し、カラータイマーも激しく点滅。

 

マックスもまた胸のパワータイマーが点滅を始め、ギンガもマックスも簡単には立ち上がれないほどのダメージを受けてしまう。

 

(・・・・・・このまま、負けてしまうのか・・・・・・?)

 

マックス・・・・・・否、カイトの意識は朦朧とし、出来ることなら、響と洸の仲を取り持ってあげたかったな・・・・・・なんてことを思い浮かべていた。

 

最も、洸の態度に怒ってばかりでちゃんとそんなことが自分が出来たかどうかなんて自信は無いが・・・・・・。

 

それでも、「まだ」親も子も生きているなら、なんとか仲直りして欲しいとカイトは願った。

 

(俺には、もう喧嘩する親すらいないからさ・・・・・・)

 

カイトの両親は既に、この世から去っていた。

 

カイトの両親が亡くなった日、その日は両親が自分を喜ばせようとカイトには内緒で誕生日プレゼントを買うために出かけていた。

 

その帰りに、彼の両親は交通事故に合い、そのまま2人は・・・・・・。

 

そしてカイトは両親が出かけた理由を知り、カイトは自分自身を責めた。

 

両親は自分の誕生日プレゼントを買いに行ったから、自分のせいで両親は死んだのだと・・・・・・。

 

その後、カイトは親戚に暖かく引き取られ、今ではなんとか立ち直ったカイトではあったが・・・・・・、両親を失った彼だからこそ、洸の態度に苛立った。

 

だが、それでも響と洸が仲直りして欲しいとも思った。

 

自分とは違い、親が生きているのなら・・・・・・しっかりと親子として2人には向き合って欲しかった。

 

響はまだしも、洸には特にそう思わずにはいられなかった。

 

「響ぃ!! 今の内に逃げろぉ!!」

(・・・・・・っ!)

 

そんな時、洸の叫ぶ声が聞こえて来た。

 

それを聞いた瞬間、カイトの意識はハッと戻り、マックスも顔をあげ、洸と響の方に視線を向ける。

 

「壊れた家族を元に戻すには、そこに響もいなくちゃダメなんだ!!」

 

洸は、決してキャロルから逃げていた訳では無かったのだ。

 

むしろその逆、洸は自分を囮にして響の為に時間を稼ごうと・・・・・・彼なりに娘を守ろうと自分なりにキャロルに立ち向かっていたのだ。

 

しかし、キャロルの放った光弾が洸の目の前で爆発し、彼は吹き飛ばされて地面に倒れ込む。

 

「うわあああ!!!!?」

「っ!!? お父さん!! お父さん!!!!!」

 

そんな洸はボロボロになりながらも、苦しそうにしつつも彼は口元に笑みを浮かべ、響を見つめながらある「言葉」を口にする。

 

「これくらい、へいき、へっちゃらだ」

「・・・・・・っ!!?」

 

それは響が口癖としてもよく使う言葉・・・・・・。

 

その言葉を洸自身の口から聞いた時、響は昔・・・・・・洸が包丁でじゃがいもの皮を剥いていた時のことを思い出した。

 

その時、洸は包丁で親指を少し切ってしまい、血を少し流す洸を見て幼かった頃の響は心配そうな顔を浮かべる。

 

『お父さん、大丈夫?』

『へいき、へっちゃらだ』

 

そんな響に対し、洸は笑みを見せながら彼女の頭に手を乗せ、笑う洸に対し、響も笑顔を見せるのだった。

 

『成程な。 アンタはアンタなりに、真剣に家族と向き合おうとしてたのかもしれないな。 あのふざけた態度も、不器用なだけだったのかもしれない・・・・・・!! ったくもう・・・・・・!!』

 

マックス・・・・・・カイトはそう呟きながらボロボロの身体に鞭を打ってなんとか立ち上がり、ラゴラスエヴォとボルストに立ち向かおうとする。

 

『響さん!! その人は、今、家族と向き合おうとしてる!! 今度は、あなたも!!』

(・・・・・・っ!! そうか、あれは・・・・・・いつもお父さんが言っていた・・・・・・!)

 

マックスは響に対してそう言い放つと、再びラゴラスエヴォとボルストに向かって駈け出し、それに対してボルストもまたマックスに向かって駈け出す。

 

ボルストは右拳を握りしめてそれを突き出すが、マックスは僅かにしゃがみ込んでそれを避け、ラリアットをボルストの腹部に喰らわせる。

 

「・・・・・・逃げたのでは無かったのか?」

 

また、キャロルは怪訝な顔をしながら、洸に逃げたんじゃないのかと問いかけると洸はフラつきながらも立ち上がりながら応える。

 

「・・・・・・逃げたさ! だけど、どこまで逃げても、この娘の父親であることからは逃げられないんだ!!」

「・・・・・・お父さん」

「俺は生半だったかもしれないが、それでも娘は本気で壊れた家族を元に戻そうと勇気を出して向き合ってくれた! だから俺もなけなしの勇気を振り絞ると決めたんだ!」

 

洸はそう言い放ちながら、近くにあった大きめの石を掴んでキャロルに幾つも投げつける。

 

そして、そんな洸の姿を見て、響もまた立ち上がり、その時の彼女の顔は・・・・・・どこか吹っ切れたような力強いものに変わっていた。

 

「響ぃ!! 受け取れえええええええ!!!!」

 

実は、洸がキャロルに石を投げていたのは「フェイント」だった。

 

それでいて実はワザと石を全て外していた洸はどさくさ紛れに手に取ったペンダントを響に放り投げ、それにキャロルが気付いた時にはもう遅く、響はペンダントを・・・・・・洸、父から受け取ったのだ。

 

「~♪」

 

そして歌を口ずさみ、キャロルはギアを纏わせまいと光弾を放ち、響は煙の中に消える。

 

「響いいいい!!!!」

 

しかし、煙の中から・・・・・・ガングニールを纏った響の姿が、現れる。

 

「へいき、へっちゃら」

 

挿入歌「リトルミラクル」

 

「・・・・・・響?」

「私、お父さんから大切なものを受け取ってたよ。 受け取っていたよ?」

 

それは、ツヴァイウイングのライブでノイズに襲われ、大怪我をし、リハビリをして何度もつまずいた時。

 

『へいき、へっちゃら』

 

学校でノイズに襲われ、生き残ってしまった為に起こった悲惨ないじめの時。

 

『へいき、へっちゃら』

 

その頃の彼女を支えていたのは、未来やコウマだけではない。

 

「お父さんは、何時だって挫けそうになる私を支えてくれていた。 いつも、私を支えてくれていた。 ずっと、守っていてくれたんだ!!」

「・・・・・・響・・・・・・」

 

自分の名を呟く、洸に響は頷くと「歌」を口ずさみながらキャロルへと立ち向かう。

 

それと同時に、マックスは倒れているギンガの元に駆け寄り、彼の腕を掴んで起こさせる。

 

『いつまで寝てんだコウマ!! 俺達も、行くぞ!!』

『寝てねえよ!! けど、あぁ!! 俺達も、へいき、へっちゃらさ!!』

 

ギンガの言葉にマックスは頷き、2人のウルトラマンは並び立ってハイパーゼットン、ラゴラスエヴォ、ボルストに向かって走り出す。

 

同時に響もキャロルに向かって拳を握りしめて向かって行き、対するキャロルはアルカノイズやチブロイド達を召喚し、数体のチブロイド達が光線銃を構えて銃撃。

 

だが、響は銃弾を全て躱し、アルカノイズと纏めてチブロイド達を殴り飛ばす。

 

さらにそこから彼女は腰のブースターを使って身体を高速で回転させて竜巻を起こし、数体のアルカノイズとチブロイドを粉々にした後、空中へと跳び上がり、腕部のユニットを変形させて炎を噴出し、加速しながら飛行型のアルカノイズを貫き、そして地上にいるアルカノイズやチブロイドも貫き、破壊する。

 

(じゃあ、やっぱり・・・・・・あの時の女の子は、響だったのか・・・・・・)

 

響の戦う様子を見ながら、洸はフロンティア事変の時、その戦いが世界中で中継された際に洸もその映像を見ており、彼はその時映っていた少女が響であることを確信した。

 

(逃げるばかりの俺と違って、お前は何があっても踏みとどまって・・・・・・ずっと、頑張ってきたんだな・・・・・・)

 

洸は戦う響を見つめながら、そう思っていると・・・・・・。

 

「ぐああ!!?」

 

キャロルの放った突風に響がビルの壁に叩きつけられ、洸は「響!!」と彼女の名を叫ぶ。

 

「く・・・・・・うぅ・・・・・・」

 

そのまま彼女は気を失い、地上へと落下して行くのだが・・・・・・。

 

「負けるなああああああああ!!!!!」

 

洸は響に精一杯の声援を送り、そんな彼を鬱陶しく感じたキャロルは小さな結晶のようなものを洸の足下に投げつける。

 

「っ!!?」

 

だが、次の瞬間・・・・・・父の声を受けた響は目を覚まし、地面に着地するとそのまま勢いよくキャロルに向かって突っ込み、右腕のユニットをブーストさせて加速し、洸に視線を映していたキャロルの大きな隙を見逃さず、彼女の腹部に全力のパンチを炸裂させたのだ。

 

「ぐあああ・・・・・・!!!!!?」

 

挿入歌「ウルトラマンマックス」

 

同じ頃、マックスは殴りかかって来たボルストの拳をしゃがみ込んで躱し、逆に腹部に拳を叩き込み、さらに蹴りを放つがボルストは2人に分身して躱す。

 

『っ!?』

 

そして2体のボルストは両腕から相手を拘束する光線を放ち、マックスの動きを封じる。

 

『ヌアッ!?』

 

だがマックスは拘束された状態で空中に飛び上がり、さらに急降下して地面に降り立ち、ボルストを勢いよく地面に叩きつけ、その衝撃で分身体のボルストは消滅。

 

『シェアアアア!!!!』

『『ガアアア!!!?』』

「グルアアアアア!!!!!」

 

だが、今度はそこにラゴラスエヴォがマックスに向かって駈け出し、ジャンプしてドロップキックを繰り出すが・・・・・・マックスはそれを正面から受け止めようと両腕を広げ、胸部にラゴラスエヴォの蹴りを喰らい、吹き飛ばされそうになるがなんとか持ちこたえ、ラゴラスエヴォの両足を掴みあげる。

 

『デヤアアアアア!!!!!』

 

そのままマックスはラゴラスエヴォをジャイアントスイングしてボルストに向かって投げ飛ばし、2体は激突して倒れ込む。

 

『「グアアアアア!!!!?」』

『シェア!!』

 

一方でギンガは両腕を十時に組んで放つ必殺光線「スペシウム光線」をハイパーゼットンに撃ち込む。

 

『ウルトラマンの力よ! スペシウム光線!』

 

しかしハイパーゼットンはスペシウム光線を吸収し、増幅して撃ち返す「ハイパーゼットンアブソーブ」を繰り出し、ギンガは直撃を受けて吹き飛ばされる。

 

『ウアアアアア!!!!?』

 

地面を転がるギンガに向かってハイパーゼットンは高速移動とも思えるスピードで一気にギンガに接近し、ギンガを踏みつける。

 

『ぐっ!!』

『あははは!! これで終わりだよギンガ!! トドメだ!!』

 

ハイパーゼットンは一度足を退けるとギンガに掴みかかって彼を無理矢理立ち上がらせ、胸部から放つ「暗黒火球」をゼロ距離で発射し、ギンガは身体中から火花を散らしながら吹き飛ばされて倒れ込む。

 

『ウアアアアアアア!!!!!?』

 

大地に倒れ、動かなくなったギンガを見てハイパーゼットンは勝利を確信。

 

『それじゃ、キューバ達の手助けでもしてくるかな。 ちょっと手こずってるみたいだし』

 

そう言ってハイパーゼットンは倒れるギンガに背を向けて立ち去ろうとするのだが・・・・・・。

 

『待てよ・・・・・・』

『んっ? なに!?』

 

しかし、既にボロボロの状態でフラつきながらも、それでもギンガは立ち上がり、それを見たハイパーゼットンは激しく動揺する。

 

『あの攻撃を受けてまだ立ち上がれるのか!?』

『当然だ!! まだカイトが!! 響が!! みんなが戦ってんだよ!! 俺だけウカウカ寝てる訳にはいかねえだろうが!!!!』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌」

 

ギンガがそう言い放つとギンガはハイパーゼットンに向かって駈け出し、跳び蹴りを放つがハイパーゼットンはそれをテレポートで躱し、ギンガの背後に現れる。

 

『ギンガファイヤーボール!!』

 

しかし、即座にギンガは全身のクリスタルを赤く発光させ、自分の周囲に隕石「ギンガファイヤーボール」を振らせることで背後に立っていたハイパーゼットンに幾つか直撃させる。

 

『ぐああ!!? なに!? 攻撃が、当たっただと!?』

『後ろかぁ!! ギンガセイバー!!』

 

さらにハイパーゼットンが後ろにいることに気付いたギンガは今度はクリスタルを白く発光させ、右腕のクリスタルが出現させた光の剣、「ギンガセイバー」を振り返りざまに振るってハイパーゼットンの胸部を斬りつける。

 

『グウウウ!!? おのれぇ!!』

『ショウラ!!』

 

そこからさらに後ろ回し蹴りをすかさずハイパーゼットンにギンガは叩き込み、ハイパーゼットンはそれに怯む。

 

『コウマ、よく言ったな!!』

『タロウ・・・・・・?』

『奴に光線技は通用しない。 だが、ウルトラ兄弟の技が1つになった最強の技がある! 仲間達と共に成長した君なら、その力が使える筈だ!!』

 

ストリウムブレスに宿るタロウからの声を聞き、コウマ・・・・・・ギンガは頷く。

 

『よし、分かった!!』

 

そう言うとコウマはストリウムブレスのスイッチを押し、ウルトラ兄弟の力を1つにする。

 

『ウルトラ兄弟の力を1つに!!』

 

するとゾフィー、ウルトラマン、セブン、ジャック、エース、タロウの幻影がギンガと重なり、伸ばした右腕から下の身体全体から発射する宇宙最強の光線「コスモミラクル光線」をギンガは放つ。

 

『コスモミラクル光線!!』

『ハイパーゼットンに光線技は効かないよ!!』

 

それに対してハイパーゼットンは「ハイパーゼットンアブソーブ」を発動させるため、光線を吸収する為のバリアを張ってコスモミラクル光線を吸収して撃ち返そうとするが・・・・・・。

 

『オリャアアアア!!!!!』

『なっ!? 吸収・・・・・・しきれない!!? ぐあああああ!!!!!?』

 

コスモミラクル光線は強引にハイパーゼットンのバリアを打ち砕き、ハイパーゼットン自身に直撃・・・・・・身体中から火花を散らして倒れ、爆発するのだった。

 

『そんな・・・・・・バカなあああああああ!!!!!?』

 

そしてまた、響はキャロルを思いっきりぶん殴って空中に浮かばせ、そのまま空中へと飛んだ彼女に向かって腰のブースターを使って響は突っ込む。

 

「ヘルメス・トリスメギストス!!」

 

するとキャロルは何重ものバリアを張り巡らせ、彼女の攻撃を防ごうとするが・・・・・・。

 

「知るもんかああああああ!!!!」

 

響は強引に拳でバリアを打ち砕き、そのままキャロルの顔面を殴りつけて地面に叩き落とす。

 

「ぐあっ!!?」

 

そのままの勢いで響は真っ直ぐラゴラスエヴォに向かって行き、もう1度拳を構えてラゴラスエヴォの胸のマグマコアに拳を叩き込む。

 

「グル!?」

「ウオリャアアアアアア!!!!!」

 

さらにそこから何発も連続で拳を響は叩きこんでいき、ラゴラスエヴォにライブしているキューバは「無駄なことを!」と彼女のその行為を嘲笑うが・・・・・・。

 

次の瞬間、『ピシィ!』という音が鳴り響き、ラゴラスエヴォの胸部のコアにヒビが入ったのだ。

 

『なに!? バカな!!?』

「そりゃああああ!!!!」

 

そこからさらに響は勢いをつけた後ろ回し蹴りを繰り出し、それを受けたラゴラスエヴォのマグマコアの半分ほどが砕け散ったのだ。

 

「ガアアアアア!!!!?」

「今だよ!! カイトくん!!」

 

挿入歌「NO LIMITED」

 

響の言葉を受け、マックスは頷いて左手を天に向かってかざすと再び「マックスギャラクシー」を召喚し、短剣のような形に変形させて右腕に装着させ、そこから光の刃を出現させた形態、「マクシウムソード」にさせ、さらに頭部の「マクシウムソード」を左手に持ち、ラゴラスエヴォに向かって駈け出して行く。

 

それに対してラゴラスエヴォは「超温差光線」を放とうとするが、マグマコアが破損している為不発に終わり、その間にマックスはすれ違いざまにマクシウムソードとギャラクシーソードでラゴラスエヴォを斬りつける。

 

「ガアアア!!!?」

『シェアアア!!』

 

マックスの攻撃を受けて膝を突くラゴラスエヴォ。

 

そこへ今度はボルストがマックスに向かって跳び蹴りを放って来たのだがマックスはマクシウムソードを投げてボルストを斬りつけ、身体から火花を散らすボルストは地上に落下。

 

その際、ボルストの胸につけられていたチブルサーキットが衝撃で外れ赤くなっていたボルストの目が元の状態へと戻る。

 

『んっ? 俺は、一体なにを・・・・・・』

 

そしてマックスは一度マクシウムソードを頭部に戻すと、ギャラクシーソードの刃を伸ばしてそれをラゴラスエヴォに向かって振りかざし、ラゴラスエヴォは冷凍光線を口から放つがラゴラスエヴォは光線ごとギャラクシーソードによって真っ二つに切り裂かれ、ラゴラスエヴォは火花を散らして倒れ爆発するのだった。

 

『ハアアア、シェアアアアアア!!!!!』

『ガアアア、ギシャアアアアア!!!!!?』

 

ラゴラスエヴォ、ハイパーゼットンは倒され、ヨロヨロとしながらもギンガがマックスの元に駆け寄る。

 

『やったな!』

『今回は結構、ヤバいのばっかだったな。 でも、まだアイツが残ってる!』

 

マックスは視線をボルストに向け、マックス、ギンガは身構えるが・・・・・・。

 

『待て。 お前等と戦うつもりはない。 どうやら俺は、お前達に助けられたようだな。 俺はエクセラーの野郎に操られていたようだ・・・・・・。 おのれぇ!! よくもこの俺様を・・・・・・!!』

 

そう言ってボルストはギンガ達と戦う意思がないことを伝え、そんなボルストを見てギンガ、マックスは一体どうなっているのか訳が分からず首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった!」

 

響はマックス、ギンガが2体の怪獣を倒したことを喜ぶのだが・・・・・・その時、洸の悲鳴が聞こえ、視線を声のした方に向けるとそこにはキャロルの召喚したアルカノイズに囲まれている洸の姿が・・・・・・。

 

「お父さん!!」

「お前も父親を力と変えるなら、まずはそこから引いてくれる!!」

 

キャロルの指示に従い、アルカノイズ達は触手のようなものを伸ばして洸を炭化させようとするのだが・・・・・・。

 

突如、複数の赤い矢が雨のように降り注ぎ、アルカノイズのみを貫いたのだ。

 

それに驚きつつもキャロルは響に向かって駈け出そうとするが・・・・・・それを阻止するかのように今度は大剣が彼女の目の前に突き刺さり、その尻柄部分には翼が仁王立ちしていた。

 

「チッ・・・・・・ん?」

 

気付けば、とあるビルの上にシンフォギアを纏ったクリス、マリア、調、切歌、ラン、零無、アスカがいつの間にか駆けつけており、またその間に車に乗った緒川がやって来て「ここは危険です!!」と言って洸を車に乗せて安全な場所まで避難させる。

 

「待たせたなお前等ぁ!!」

 

そしてそう言いながらビシッと決めポーズを取るアスカだが・・・・・・。

 

『『「「「「・・・・・・」」」」』』

「んっ? どうしたお前等? そんなに俺の顔を見つめて?」

『『「「「「いや、アンタ誰(デス)!!?」」」」』』

 

コウマ、カイト、零無、切歌、調、クリスの6人はアスカとは初対面である為、全く知らない奴が仲間面して当然のようにいた為、驚かずにはいられなかった。

 

「あー、そういや、翼とマリア以外まだ会ってなかったな。 こいつは飛翔 アスカ、ウルトラマンダイナ。 エタルガーの城から仲間達の力のおかげでなんとか逃げ出せたらしい」

「おう、よろしくな!!」

 

しかし、そんな彼等を余所にキャロルは空中に浮かび上がりながらダウルダブラを構え、未だに戦う意思を見せる彼女に響は「もうやめよう!! キャロルちゃん!!」と呼びかけるが、それに応えるほどキャロルは甘くはない。

 

「本懐を遂げようとしているのだ!! 今更やめられるものか!! 思い出を、何もかもを焼却してでも!!」

 

キャロルはそう言い放ちながらダウルダブラの弦を弾くと彼女は大人の姿となり、シンフォギア似たギア、「ファウストローブ」を身に纏う。

 

「ダウルダブラの、ファウストローブ・・・・・・!! その輝きは、まるでシンフォギアを思わせるが・・・・・・?」

「フン、輝きだけではないと、覚えて貰おうか!」

 

挿入歌「殲琴・ダウルダブラ」

 

『エクセラーを倒す前に、ついでに先ずは貴様から片付けてやろう!!』

 

マリアの言葉にキャロルがそう返すと彼女は「歌」を口ずさみ、ボルストはそんな彼女に向かって駈け出して攻撃を仕掛けるが・・・・・・4つの金色の竜巻がボルストに向かって放たれ、その竜巻はボルストの身体をあっさりと貫く。

 

『ガアアアア!!!!?』

『おい!』

 

それによりボルストは身体中から火花を散らし、自分がやられたのが信じられないといった様子を見せながら片膝を突く。

 

『バカな・・・・・・!! 俺は宇宙最強の・・・・・・!!』

『いい加減鬱陶しいなぁ。 消えろ雑魚』

 

その時、今度はボルストの身体を赤い光弾のようなものが貫き、ボルストは断末魔を上げながら爆発、消滅したのだ。

 

『ぐああああああ!!!!?』

「アイツは・・・・・・!! 遂に来やがったか、エタルガー!!」

 

そこに現れたのはエタルガーであり、ボルストはエタルガーの放った光弾によって倒されたのだ。

 

さらには空中にエタルガーの城である「時空城」も出現。

 

エタルガーの姿を見て、ランはウルトラゼロアイ、アスカはリーフラッシャーとそれぞれの変身アイテムを取り出し、ランは「ウルトラマンゼロ」、アスカは「ウルトラマンダイナ フラッシュタイプ」に変身する。

 

「あいつが、エタルガー・・・・・・!」

 

エタルガーの登場に驚きつつも、零無もビクトリーランサーを取り出してランサーモードに変形させて構えるとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

するとビクトリーの姿がビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はあるカラータイマーの中へと入り、零無は等身大の「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させる。

 

「ほう、貴様がエタルガーか。 エクセラーから話は聞いている。 今までの奴等とは格が違うようだな」

『俺も、エクセラーから聞いているよ。 君がキャロルだな? あぁ、ウルトラマンの方は俺に任せろ』

 

キャロルは一瞬だけ視線をエタルガーに向け、彼女はウルトラマン達の相手をエタルガーに任せると自分は奏者達に今度は視線を映し、再び歌を口ずさんで攻撃を開始する。

 

『気をつけろ、コウマ、零無、カイト! こいつは強敵だ』

『けどな、今度は負けはしないぜ!!』

 

ゼロとダイナはそう言いながらギンガとマックスにエネルギーを分け与え、ギンガ、ビクトリー、ゼロ、マックス、ダイナはエタルガーを囲み、身構える。

 

『流石に俺だけでは貴様等5人を相手にするのはキツいな。 だからこうしよう!』

 

そう言うとエタルガーは右腕を空中に向かって振るい、紫の光弾を放つと光弾は幾つもの雨のようになって降り注ぎ、避難所にいる人々やここから離れた場所にいる人々に向かって直撃するが・・・・・・人体に影響は無かった。

 

『なにをした!?』

『フフ、現れよ! 人間共の最も恐れる宿敵よ!!』

 

すると超巨大化した黒い鎧を纏ったような巨人、かつてギンガ達に倒された「暗黒の魔神 ダークルギエル(エタルダミー)」が出現したのだ。

 

『ダークルギエル!』

『あれは! ダーク・・・・・・!!』

『ルギエル・・・・・・!!』

 

ギンガとビクトリーはルギエルの出現に驚き、ゼロは「アレが奴の能力だ」と動揺するギンガとビクトリーに説明する。

 

『対象とした相手が最も恐れる存在を生み出す力、それがエタルガーの能力だ』

『だからダークルギエルが・・・・・・!』

 

そうこうと喋っている間にエタルガーとダークルギエルはギンガ達に攻撃を仕掛け、一同は2体の攻撃を避けつつルギエルはギンガ、マックスが、エタルガーはダイナ、ゼロ、ビクトリーが相手に戦い合う。

 

『ストロングコロナゼロ!!』

 

ゼロは赤い姿「ストロングコロナゼロ」となると右拳に炎を宿し、エタルガーに向かって拳を叩きつけると同時に炎の光線「ガルネイドバスター」を零距離発射。

 

『ガルネイドバスター!!』

『ぬうう!!』

 

しかし、エタルガーはほんの僅かに怯んだ程度ですぐさま後ろ回し蹴りを繰り出してゼロを蹴り飛ばす。

 

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

今度は右腕を「キングジョーランチャー」にしたビクトリーが銃弾をエタルガーに向かって発射し、ダイナも両腕を十時に組んで放つ「ソルジェント光線」を放つ。

 

『その程度の攻撃!!』

 

エタルガーはそれを敢えてワザと受け、直撃を喰らったのだがやはりエタルガーは平然としており、赤い光弾を飛ばしてダイナとビクトリーに直撃させる。

 

『『ウアアアア!!!!?』』

 

一方でマックスは「ギャラクシーソード」の刃を伸ばしてルギエルを斬りつけようとするが、ルギエルはその刃を掴んでヘシ降り、マックスを蹴り飛ばす。

 

『ヌアアアア!!!?』

 

またギンガは空中に飛んで光の槍、「ギンガスパークランス」を構え、それをルギエルに向かって振り下ろすのだがルギエルはハエを叩くように腕を振るってギンガを弾き飛ばし、ギンガとマックスの2人は地面に倒れ込む。

 

『ウウ・・・・・・!! 俺達自身消耗してるってのもあるんだろうけど・・・・・・偽者でもやっぱり強いな。 ダークルギエル・・・・・・!!』

 

ギンガ達がエタルガーやルギエルと戦っているのと同じくして・・・・・・。

 

キャロルはウルトラマン達の相手をエタルガー達に任せ、自身は再び金色の竜巻を発生させて響達に放ち、攻撃。

 

彼女等はなんとかキャロルのその攻撃を避けるが、それでもその衝撃は強烈であり、翼はその威力はまるで・・・・・・と驚愕した顔を浮かべる。

 

「すっとぼけが効くかよ。 こいつは絶唱だ!!」

 

絶唱、それは本来ならば強力な技なのだが・・・・・・同時にそれを使用する者の肉体に大きな負担がかかるというリスクがある。

 

しかし、キャロルは特にそういった様子が見受けられず、彼女の使う絶唱はつまり、ただの「通常攻撃」なのだ。

 

「絶唱も負荷もなく口にする・・・・・・!」

「錬金術って言うのはなんでもありデスか!?」

 

調や切歌もその事実に驚く他無く、彼女等はなんとかキャロルの放つ竜巻を避ける。

 

「だったらSC2Aで!!」

「寄せ!! あの威力、立花の身体が持たない!!」

「でも・・・・・・!!」

 

響の言葉に対して翼は彼女の肩を掴んで引き止め、ならばどうすれば良いのかと考える響。

 

「翼!! アレを!!」

 

その時、マリアがシャトーの方を見ながら何かに気付き、一同も彼女と同じ方向に顔を向けるとそこではシャトーが緑色に点滅するように光っており、音符のような音が聞こえていた。

 

「明滅、鼓動、共振・・・・・・!?」

 

それは城塞全体が音叉のようにキャロルの歌に共振、エネルギーを増幅させており、シャトーから突然緑の光が地上に向かって降り注ぐとその光刃地球全体を包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この軌道は、まさか!?」

「フォトスフィア・・・・・・?」

 

司令室では弦十郎やキャロルが衛星カメラで今の地球の様子を伺い、それを見て一同は驚愕した顔を浮かべる。

 

そんな時、司令室に洸が入って来た。

 

「いけません!! ここは!!」

「頼む!! 俺はもう二度と娘の頑張りから目を逸らしたくないんだ! 娘の、響の戦いを見守らせてくれ!!」

 

緒川の制止を振り切り、司令室に強引に、せめて響の戦いを見守らろうと入って来る洸。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが世界の分解だぁ!!」

 

場所は戻り、キャロルは高らかにそう叫ぶとそこへ響がキャロルに向かって拳を放って来る。

 

「そんなことぉ!!」

 

しかし、キャロルはワイヤーで響を拘束して動きを止め、そんな彼女を見て不敵に笑うキャロル。

 

「フン、お前にアームドギアがあれば届いたかもな?」

 

その時、マリアがシャトーに向かってジャンプし、それに翼は「マリア!?」と驚きの声をあげる。

 

「私はあの巨大装置を止める!!」

 

それに続くように今度は切歌と調も飛び出し、調はアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で移動する「非常Σ式 禁月輪」を発動させ調は切歌の左手を掴んで彼女も内側に乗せ、調は左手でマリアの手を掴んで彼女も刃の内側に乗せる。

 

「リンカー頼りの私達だけど」

「その絆は、時限式じゃないのデス!!」

 

そんな調と切歌の言葉に、マリアは笑みを浮かべ、3人はシャトーに向かって行く。

 

『切歌! マリア、調・・・・・・! アレを壊しに行ったのか?』

『おい零無!! お前も行って来い!』

 

シャトーに向かう3人を見て、ビクトリーはマリア達がシャトーを壊しに行ったのかと考えていると後ろからポンっと基本形態に戻ったゼロに軽く背中を叩かれる。

 

『零無、お前も行け!』

『ゼロ、だけど・・・・・・!!』

『こっちは心配すんな! 良いから行って来な!』

 

ゼロはビクトリーの背中を押し、それにビクトリーは躊躇うが・・・・・・少し考えた後、ビクトリーは「分かった」と頷き、両腕を交差して等身大になると飛行してマリア達を追いかけるのだった。

 

『なっ、待て!! ビクトリー!!』

『さて、こっちも・・・・・・』

 

エタルガーはそんなビクトリーを追いかけようとするが、ゼロは左腕の「ウルティメイトブレスレット」を光輝かせると銀色の鎧に、右腕に剣、「ウルティメイトゼロソード」を装備した「ウルティメイトゼロ」に姿を変え、エタルガーはゼロに阻まれる。

 

『ウルティメイトゼロ!! 行かせねえよ!!』

『チッ!』

「フン、例えウルトラマンが加勢しようと、シャトーの守りは超えられない。 俺を止めるなど能わない!!」

 

またキャロルはワイヤーで拘束した響を弾き飛ばし、後ろから剣のアームドギアで斬りかかって来た翼の攻撃も躱し、ガトリング砲に変形させたアームドギアで銃弾を撃って来たクリスも銃弾を避けつつ金色の竜巻で彼女を吹き飛ばし、翼と響が繰り出した同時攻撃もワイヤーで防いで弾き飛ばす等・・・・・・キャロルは響達の攻撃を全く寄せ付けなかった。

 

「世界を壊す、歌がある!!」

 

またゼロはゼロソードでエタルガーの右肩を斬りつけ、それを受けてほんの少しだけフラついたエタルガーに向かってドロップキックをダイナが繰り出すが、エタルガーはそれを両手で受け止めてジャイアントスイングをしてゼロに投げつける。

 

『ハアア!!』

『『ウアアア!!!?』』

 

投げられたダイナはゼロにぶつかり、2人は倒れ込むが・・・・・・ゼロはすぐに立ち上がり、ジャンプして右足に炎を宿して繰り出す「ウルトラゼロキック」をエタルガーに叩きこむ。

 

『ウルトラゼロキック!!』

『ぬお!!?』

 

それによって軽く吹き飛ばされそうになるエタルガーだが、耐えきって赤い光弾をゼロに向かって幾つも飛ばす。

 

それを起き上がったダイナがすぐさまゼロの前に出て光の壁を作り出す「ウルトラバリヤー」でダイナが光弾を防いでゼロを守り、2人は肩を並べてエタルガーに向かい駈け出す。

 

さらにダークルギエルは黒い闇の槍型の武器である「ダークスパークランス」をギンガ達に振りかざし、ギンガはギンガスパークランス、マックスはギャラクシーソードで防ぐのだが・・・・・・2人は身体の半分が地面にめり込んでしまい、身動きが取れなくなってしまった。

 

『なに!?』

『動きが・・・・・・!!』

『フン、ハアアアア!!!!』

 

ルギエルはダークスパークランスを振り上げると地面にめり込んだギンガとマックスを容赦なく蹴り飛ばし、2人は空中に放り出されるように吹き飛ばされ、地面に激突する。

 

『『ウアアアアア!!!!?』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でシャトー内部に侵入できそうな場所を見つめたマリア、切歌、調、ビクトリーの4人は早速乗り込もうとするのだが・・・・・・。

 

それを妨害するかのように複数体のチブロイドやアルカノイズが出現し、行く手を阻む。

 

『パーティー会場は、どうやらここで合ってるらしいな』

「えぇ、行くわよ!」

 

マリアの声を合図に、4人は一斉にアルカノイズ、チブロイド達に攻撃を開始し、突破口を切り拓くとそのまま4人は床に空いてある床からシャトー内部に侵入。

 

そしてみんなが戦っている光景を司令室で見つめながら、洸は目を背けず、響達の戦いを見守っている。

 

「・・・・・・二度と、目を反らすものか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんっ・・・・・・?」

 

それから・・・・・・シャトー内部に侵入したマリア達は倒れ込んでおり、マリアが目を覚ますと目の前には・・・・・・。

 

マジックペンを持って今にも自分の顔に落書きしそうな零無の姿が。

 

「あっ」

 

そんな零無の顔面をマリアは無言で殴りつけ、(ギアを纏っているのでかなり手加減している)額に青筋を浮かべながら「こんな時に何してるのよあなたは!!?」と怒鳴りつける。

 

「ぐふっ・・・・・・! いや、なんか・・・・・・使命感的なものが・・・・・・」

「っていうかなんで変身解いてるのあなた?」

「エネルギーの温存だよ!」

 

マリアは零無に呆れた視線を向けていると、零無の後ろの方に何かロボットのようなものが立っていることに気付き、それに「んっ?」とマリアが自分の後ろを見ていることに気付いた零無も後ろを振り返ると、そのロボットは変形して車椅子のような形になる。

 

「あれ、なんか・・・・・・見覚えのある車椅子が・・・・・・」

 

そして、その車椅子が零無達の方に振り返ると・・・・・・そこには零無達が「マム」と呼んで母親のように慕っていた女性・・・・・・死んだ筈の「ナスターシャ教授」がいたのだった。

 

「「・・・・・・マム?」」




尚、ここでエタルガーが出てきたのはギンガ、マックスが消耗しており、尚且つシェパードンセイバーをビクトリーが出したところを狙ってシェパードンを奪う為です。
出来ればウルトラマンも封印したいと考えていますが、1番の狙いはシェパードン。


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13Eve 『永遠なる10勇士』

チフォージュ・シャトー内部に侵入した零無、マリア、切歌、調の4人。

 

そんな4人を待ち構えるかのように現れたのは死んだと思われた筈の・・・・・・4人が「マム」と呼んで母親のように慕っていた女性「ナスターシャ教授」だったのだ。

 

「「・・・・・・マム?」」

「思い出しなさい。 血に汚れたあなたの手を。 どうしてその手で世界を救えると夢想できますか?」

「それでも、私は・・・・・・!!」

 

ナスターシャの言葉を受けて唇を噛み締めるようにしてなんとか言葉を返そうとするマリア。

 

また、零無もマリア動揺、激しく戸惑っていたのだが・・・・・・。

 

「そう、あなたは世界を救いたいと願うのは自分が救われたいが為・・・・・・」

 

だが、先ほどからのナスターシャの言葉を聞いて、零無はすぐにこのナスターシャが偽者であることに気付いた。

 

なぜなら、この状況で、それもこんな時にナスターシャはマリアを精神的に追い詰めるようなことを言う「空気の読めないバカ」ではないからだ。

 

その為、零無が取った行動は・・・・・・。

 

「デエエエエエイ!!!!!」

「ごはああ!!?」

 

ナスターシャに化けてマリアを追い詰めるようなことを言う「偽者」をぶっ飛ばすということだった。

 

零無がマムの顔面目がけてドロップキックを炸裂させ、その光景を見たマリア、切歌、調はあんぐりと口を開けて唖然とする。

 

「ちょっ、零無あなたマムになんてことを!!?」

「あれがマムな訳無いだろうが!! この城の仕掛けかなんかだろどうせ!! あれが本物なら、今この状況でマリアを追い詰めるようなことは言わない筈だ!! 世界が滅びるかもしれないってのに、どんだけ空気読めねえんだよマム!!」

 

いや、確かにそうだし、切歌や調もあれがナスターシャじゃないのは分かっているし、マリアもそのことにはほぼ感づいてはいる。

 

だが、だからと言って相手がナスターシャの姿をしていたら普通もう少し戸惑わないだろうかとマリア達は思わずにいられなかった。

 

「はっ? むしろ相手が偽者だって分かりきって・・・・・・それもマムの姿を真似してマリアを精神的に追い詰めるようなことしてんだから、ムカつくし普通に殴るだろ」

 

どうやら零無としては相手が何者かは分からないがナスターシャの姿を真似して、尚且つマリアを追い詰めるようなことを言ったのが相当ムカついたらしく、それだけで殴る(ドロップキックだったが)理由には十分だとのこと。

 

「だけど、だけど偽者だとしてもこのマムの言っていることは真実だわ!!」

 

すると零無に蹴り飛ばされ、倒れていたナスターシャは車椅子を変形させアーマーにすることでもう1度立ち上がり、ゆっくりと零無に警戒しつつマリアに近づいて来る。

 

「全く、零無は代わりませんね・・・・・・。 それよりも、マリア、あなたは救われたいのですね? 眩しすぎる銀の輝きから・・・・・・」

「・・・・・・っ」

 

ナスターシャの言葉を受け、マリアの脳裏にアガートラームを纏ったセレナの姿が浮かび上がる。

 

その時、シャトーが激しく振動し、上空から瓦礫のようなものが降り注ぎ、調はマリアが今戦えそうな状態ではないこともあり、彼女の腕を引いて一同はナスターシャから逃げるように一先ずここから離れることに。

 

「切ちゃん!! マリア、零無!! 引こう!!」

「しょうがねえか・・・・・・」

「一体どうなってるデスか!?」

「分からない! でも今はこうするしか・・・・・・!!」

 

あれが本物のナスターシャではないことは頭では分かっているのだが、やはり訳が分からず切歌や調も混乱しており、こういう時に速攻で割り切れている零無が少しだけ羨ましいと切歌や調は思うのだった。

 

「うぅ、とってもとっても、罠っぽいデスよ!!」

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.本部、司令室では・・・・・・。

 

そこのモニターでは世界中に光の亀裂が走っており、キャロル的に言えば「世界の分解現象」とも呼べる現象が未だに拡大し続けていた。

 

さらにあおいの調べによれば光の亀裂は間も無く都市部に迫っているとのことで、弦十郎はこの状況どうすれば良いのか分からず怪訝な顔を浮かべる。

 

「これが、計画の最終段階・・・・・・!」

 

その世界の分解現象をモニター越しに見つめながらエルフナインがそう呟くと・・・・・・彼女は身体のバランスを崩し、倒れそうになる。

 

そんな彼女を洸が慌てて支え、洸はエルフナインの傷の様子に気付き「酷い怪我じゃないか!?」と彼女を心配する。

 

「・・・・・・キャロルを止めるのは僕の戦い。 見届けなくきゃいけないんです・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、キャロルと戦う響達は・・・・・・。

 

「なんで・・・・・・錬金術師が歌ってやがる!?」

「7つの惑星と7つの音階、錬金術の深奥だる宇宙の調和は音楽の調和。 ハーモニーより通ずる絶対心理」

 

クリスの疑問に答えるようにキャロルがそう言葉を口にするが、正直その説明ではあまり答えになっていないので翼が「どういうことだ!?」と改めてキャロルに問いかける。

 

っていうか日本語喋れや。

 

「その成り立ちが同じな以上おかしなことではないと言っている! 先史文明期、バラルの呪詛が引き起こした相互理解の不全を克服するため人類は新たな手段を探し求めたと言う。 万象を知ることで通じ、世界を調和するのが錬金術ならば言葉を超えて世界と繋がろうと試みたのが・・・・・・」

「・・・・・・歌?」

「錬金術も歌も、失われた統一言語を取り戻すために創造されたのだ!!」

 

キャロルのその話を聞いて、響、翼、クリスの3人は「まさか!」と揃って口にし、驚いた様子を見せる。

 

「その起源は明らかにされてないが、お前達なら推察するのも容易かろう?」

「「「っ!!」」」

 

それを聞き、響達の脳裏にフィーネの姿が過ぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またエタルガーと戦うウルティメイトゼロと、赤い姿となり、パワーに優れた「ストロングタイプ」となったダイナは2人同時にエタルガーの腹部に蹴りを叩き込み、怯んだところでゼロが右腕に装着された「ウルティメイトゼロソード」で斬りかかるがエタルガーはそれを両手で受け止めて攻撃を防ぐ。

 

(チッ、ビクトリーがシェパードンセイバーとやらを出す瞬間を狙えば良いと思ったが・・・・・・ビクトリーがここにいないのでは・・・・・・!)

 

エタルガーの今の狙いはビクトリーがシェパードンセイバーを出した瞬間、それを奪い取り、本物のルギエルを復活させる為の道具として利用すること。

 

しかし、シェパードンを呼び出すことのできるビクトリーがこの場にいない今、無理にゼロやダイナを相手にする必要はない。

 

なのでエタルガーは早々にビクトリーを追いかけようとシャトーの方に目を向けるのだが・・・・・・。

 

『余所見してんじゃねえ!!』

 

ダイナの放った強烈な拳がエタルガーの顔面に直撃し、多少怯むもののすぐさまエタルガーは赤い光弾を幾つも放ってダイナに直撃させ、それを受けたダイナは片膝を突く。

 

『ダイナ!! この野郎!!』

 

ゼロはどうにかゼロソードを掴んでいるエタルガーの腕を振り払い、膝蹴りをエタルガーの胸部に叩きこもうとするが、エタルガーはそれを受け流し、逆に後ろ回し蹴りをゼロに喰らわせる。

 

『チッ!?』

 

このように、ゼロとダイナが逃がすまいと自分に戦いを仕掛けてくる為、中々ビクトリーを追うことができなかったのだ。

 

(フン、まぁ良い。 奴には少々、特殊なエタルダミーをぶつけやろう。 だが先ずはこいつ等からだ!)

 

エタルガーはダイナを睨み付けると指をパチンと鳴らし、ダイナが恐れる相手・・・・・・「超宇宙合成獣 ネオジオモス(エタルダミー)」と「恐怖エネルギー魔体 モルヴァイア(エタルダミー)」という2体の怪獣が出現。

 

「「グルアアアアア!!!!」」

 

ネオジオモス、モルヴァイアの2体の出現を受けて、ダイナは驚いた様子を見せる。

 

『ネオジオモス・・・・・・それにモルヴァイア!! 成程、俺が恐れる相手の2体か・・・・・・確かにこいつ等苦手なんだよな・・・・・・』

 

モルヴァイアは素早くダイナに駆け出すと鋭く尖った爪でダイナの胸部をすれ違いざまに斬りつけ、ネオジオモスは「破壊電磁波」という電撃光線を放ってダイナに直撃させ、ダイナは軽く吹き飛ばされて倒れ込んでしまう。

 

『ウアアアア!!!?』

『こんの!!』

 

それを見てゼロがネオジオモス、モルヴァイアに向かって行こうとするが、それを阻むようにエタルガーが立ち塞がる。

 

『おっと、貴様の相手は俺だ。 ウルトラマンゼロ!』

『フン、仕方ねえ。 お前を倒せば、エタルダミーも消えるだろうしな。 ならお望み通り、お前から相手してやるよ!!』

 

またギンガストリウムは空中に飛んで両腕をL字に組んで放つ必殺光線「ワイドショット」をダークルギエルに撃ち込むのだが、ダークルギエルはそれを左手で受け止め、右手に持つ「ダークスパークランス」を突き出し、ギンガに攻撃を喰らわせる。

 

『ぐああ!!?』

『シェア!!』

 

すると今度はマックスは頭部のマクシウムソードを投げ、それを遠隔操作してルギエルの身体のいたる部分を斬りつけるのだが、大したダメージにはなっておらず、ダークルギエルは右足を振り上げてマックスを踏みつけようとするが・・・・・・マックスはそれを間一髪で躱す。

 

『タロウ! もう1度コスモミラクル光線撃つことはできないのか!?』

『無理だ! ゼロやダイナからエネルギーを分け与えられたとは言え、既に体力を大きく消耗している上に、あれだけの大技を連続で使うことは不可能に近い。 無理に撃てば君の身体が持たないかもしれないんだぞ!』

 

ギンガにウルトライブしているコウマがストリウムブレスに宿っているタロウにもう1度コスモミラクル光線が使えないかと尋ねるのだが、今の状態で撃てばコウマの身体が持たず、それに何よりもまだエタルガーが残っている。

 

万全な状態ならばマックスと2人がかりでなんとか倒せる相手だろうが・・・・・・既に2人ともハイパーゼットン、ラゴラスエヴォ、ボルストの戦いでのダメージが癒えていない今、ダミーとは言えルギエルほどの強敵に苦戦するのは必然だった。

 

『万事休すってこういうことを言うのかな・・・・・・』

 

片膝を突きながら、マックスがそう呟くが・・・・・・そんなマックスにギンガが肩を貸して彼を立ち上がらせる。

 

『ピンチはチャンスって知らねえのかカイト!! 大丈夫、まだやれる・・・・・・!! 俺達はまだ戦える・・・・・・!! 俺達は勝てる!!』

 

自分を奮い立たせるようにギンガがそう鼓舞すると、ギンガはファイティングポーズを取りながらルギエルに向かって突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャトー内部では・・・・・・。

 

偽者と思われるナスターシャから逃れ、シャトーの内部を走り回っていた零無達4人だったが・・・・・・既にそれなりに走って移動したというのに、罠らしい罠が偽ナスターシャ以降全く無く、切歌は流石に何かが起こるのではと懸念する。

 

「罠なら、仕掛けて来てもおかしくない頃合いなのデスが・・・・・・!」

「案外ザル警備なだけかもよ? とかだったら良かったんだがなぁ・・・・・・」

 

すると、零無達の視線の先に誰かが壁に持たれるように座り込んでいることに気づき、それはこの4人取ってとても見知った顔だった。

 

「罠以下の罠・・・・・・」

「もしかして・・・・・・あたし達を誘導していたのは・・・・・・」

「ドクター・・・・・・ウェル?」

 

そこにいたのはダウルダブラに腹部を貫かれ、奈落に落ちたと思われたウェル博士であり、彼は貫かれた腹部を抑えながら、その場に座り込んでいた。

 

「いやこれある意味罠以上の罠!! そういやこいつ、キャロルと手を組んでるんだったな」

「フン、ご覧の有様でね? 血が足りずシャトーの機能を完全掌握することもままならないから難儀したよ・・・・・・」

 

するとウェルは「さて!」と不敵な笑みを浮かべる。

 

「戦場で僕と取引だよォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一応、ウェルの出した取引に応じた零無達は彼に案内され、チフォージュ・シャトーの制御装置のある場所に辿り着くことに成功。

 

その際、ウェルは切歌が彼の首根っこを掴んで運んでいたのだが、結構雑に投げ捨てられてしまい、それを見た零無はちょっとだけウェルのことが大丈夫かと心配になった。

 

「切歌、一応怪我人なんだからもうちょっと優しくしようぜ?」

「はっ、ドクターだからつい・・・・・・」

 

零無に注意されてハッとなる切歌。

 

「これがチフォージュ・シャトーの制御装置・・・・・・。 つまりこれを破壊すれば・・・・・・!」

「オツムのプロセッサは何世代前なんだい? そんなことをすれば制御不能になるだけさ!!」

 

マリアはシャトーの制御装置を破壊すれば世界を分解する力は失われると考えたのだが、ウェル曰く、事はそんな単純なものではなく、破壊すれば逆に制御が効かなくなり、むしろ止められなくなるというのだ。

 

ならばどうすればと調がウェルに問いかけるのだが・・・・・・その時、シャトーの制御装置を守る為か零無達の周りにアルカノイズ、チブロイド達が複数体召喚され、現れる。

 

『っ!!?』

「君たちが難がる間にも世界の分解が進んでいることを忘れるなよぉ!!」

 

それと同時に、ウェルがそう言い放つと、彼は立ち上がり・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「歌が世界を壊すなんて・・・・・・」

「東京の中心とは張り巡らされたレイラインの終着点。 逆に考えればここを起点に全世界へと歌を電波させられるという道理だ」

 

キャロルの言葉を聞き、翼はそれで彼女が安全弁である要石をオートスコアラー達を使って破壊したのだということに気づく。

 

「もうどうしようもねえのか・・・・・・!!?」

 

クリスは自分達ではキャロルを止める手段は無いのかと思い、自分達が無理なら、ウルトラマンなら・・・・・・と考えた彼女はエタルガー、ルギエル、ネオジオモス、モルヴァイアと戦うギンガ達を見るが・・・・・・。

 

彼等はかなりの苦戦を強いられており、ここで彼等がエタルガー達に勝ったとしても、キャロルを止められるだけの力が残っているとは考えにくい。

 

その為に、もう打つ手は無いのかと思い悩むクリスだが・・・・・・。

 

『無いことなどない!!』

「っ!!」

 

通信機越しにマリアの声が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャトー内部、そこではウェルがシャトーのシステムに接続して何かをやろうとしており、マリア、切歌、調、零無はシステムに接続しているウェルを守るように襲いかかるチブロイドやアルカノイズ達と戦いを繰り広げていた。

 

「例え万策尽きたとしても1万と1つ目の手立てがきっとある!!」

 

もう打つ手は無い・・・・・・そんな考えを持ってしまったクリスの思考を打ち砕くかのように、マリアは強く叫びながら鞭状のアームドギアを振るい、チブロイド達が持つ銃の銃弾を防ぎ、アルカノイズ共々チブロイド達を切り裂く。

 

「私たちが食い止めているうちに!」

「ちゃっちゃと済ませるデス!」

「そんでまだかかるかウェル博士!!?」

 

マリアに続くようにアルカノイズ、チブロイド達を倒しながら調、切歌が叫び、零無はビクトリーランサーにEXレッドキングのスパークドールズをリードしてEXレッドキングのエネルギーを纏った強力な弾丸をアルカノイズとチブロイドに撃ち込みながら、ウェルにまだ時間がかかるのかと問いかける。

 

「血が足りないから踏ん張れないって言っただろ!! 子供は何時も勝手だな!!」

「じゃあ気張れ!! キバって早くやってくれ!!」

「言い方変えただけだろーが!! コントやってるんじゃないんだぞ!!」

 

零無の発言にキレつつもウェルは腹部の痛みに耐えながらシャトーのアクセスを続け・・・・・・そんな時、ウェルの目の前に1つのモニターのようなものが浮かび上がり、そこにはキャロルの姿が映し出されていた。

 

『生きていたのかドクター・ウェル!? 何をしている!!?』

「シャトーのプログラムを書き換えているのさ。 錬金術の根底は分解と解析!! そして・・・・・・」

 

ウェルがそこまで言いかけたところでキャロルは彼が何をしようとしているのかを察し、彼女は唇を噛み締めてウェルを睨み付ける。

 

『機能を反転し、分解した世界を再構築するつもりなのか!? バカな!  そんな運用にシャトーの構造が耐えられるものか! お前達丸ごと飲み込んで・・・・・・!』

「そう! 爆散する!!」

「「えっ?」」

 

キャロルの言葉を遮り、言い放つウェル。

 

そんなウェルの発言に、切歌、調が驚きの声をあげる。

 

「どっちにしても分解は阻止できる!!  ハッ、ほんと嫌がらせってのは・・・・・・最高だぁ!!」

「イキイキしてんなぁ、アイツ・・・・・・」

「ドクター・ウェル・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「世界の分解は止まらない。 些事で止めさせてなるものか・・・・・・!!」

 

ウェルのやろうとしていることに、静かに怒りを見せるキャロル。

 

「止めてみせる!! エルフナインちゃんの想いで!!」

 

響はそう言い放ってイグナイトモジュールを起動させようとするが・・・・・・。

 

「止せ!!」

「イグナイトモジュールはキャロルに利される恐れがある!!」

「・・・・・・えっ?」

 

イグナイトを起動しようとした響をクリスと翼が止め、それに目を見開く響。

 

次の瞬間、地面に忍ばせていたキャロルのワイヤーに響達3人が吹き飛ばされ、キャロルはさらにそこから巨大なエネルギー波を周囲に放つ。

 

「極太のトドメを・・・・・・ぶっ刺してやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

マリアの一撃で一通りアルカノイズとチブロイドを全て倒し切ると、直後に切歌と調がマリアの元まで吹き飛ばされ、そのことに驚いてマリアが2人が飛んで来た方向を見るとそこにはナスターシャの姿が・・・・・・。

 

「・・・・・・マム・・・・・・」

「惑わされるな、あんなの偽者だ」

「零無・・・・・・。 分かってはいる、分かってはいるわ・・・・・・!」

 

零無はビクトリーランサー・ガンモードを構えながらマリアの隣に立ち、あれはナスターシャではないと彼女に言い、マリア自身それは分かっているのだが・・・・・・。

 

やはりまだどこか、動揺の色をマリアは隠せないでいた。

 

「・・・・・・アイツは、俺がぶん殴る!」

 

そんなマリアの姿を見て、零無はまだ正体が分からない以上、人の姿をしていてはウルトラマンになる訳にもいかず、取りあえず先ずは生身で殴ってやろうと駆け出して行き、ナスターシャに向かって拳を叩き込もうとするのだが・・・・・・。

 

突如、零無の目の前に黒いモヤのようなものが出現し、そこから飛び出した「黒い腕」に零無の拳は受け止められてしまう。

 

「なっ!?」

『ゼロダークネス!』

 

そこから現れたのはかつて零無自身が変身していた「ゼロダークネス」というウルトラマンゼロの肉体を「ウルトラマンベリアル」という悪のウルトラマンが融合した戦士が現れる。

 

「ゼロダークネス・・・・・・!!? まさか、エタルガーのエタルダミーか・・・・・・!!」

 

ゼロダークネスは零無の腕を掴みあげて壁に向かって放り投げるが、零無は咄嗟にビクトリーランサーを変形させ、ランサーモードにするとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!!』

 

すると1人のウルトラマンがビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はそのウルトラマンの胸部にあるカラータイマーの中へと入り、零無は「ウルトラマンビクトリー」へと変身を完了させた。

 

変身を完了させたビクトリーは床に着地すると、静かにゼロダークネスを睨み付ける。

 

『貴様は、また大切な者を失うことを恐れている』

『・・・・・・っ!?』

 

不意に、自分と同じ声で喋りだしたゼロダークネスにビクトリーは驚く様子を見せる。

 

『お前はまた大事なものを失い、『夢』を失うことを恐れている・・・・・・』

『・・・・・・』

『だから俺がお前が最も恐れる者として現れた。 乗り越えたつもりだったか? 違うな。 お前はセレナのことを心の奥底ではまだまだ引きずってる。 また同じことが繰り返されるのではないかと・・・・・・』

「「「てええええい!!!!」」」

 

ゼロダークネスがそこまで喋りかけると、不意にゼロダークネスに向かってマリア、切歌、調の跳び蹴りがトリプルでゼロダークネスに繰り出され、蹴りつけられたゼロダークネスは大きく吹き飛ばされてしまう。

 

『ぐあああ!!? き、貴様等ぁ!! 俺が喋っている途中で・・・・・・!!』

「いや、正直時間無いのにだらだら話が長かったし・・・・・・」

「零無だと思うと断然マムより攻撃しやすかったデス。 偽者なので尚更デス」

『ちょっと酷くないお前等!? 特に切歌!! お前一応俺の彼女だよね!!?』

 

マリアや切歌曰く、「零無の偽者とかマムより断然殴りやすい」とのことで本人が目の前にいることもあってか一切の躊躇なくゼロダークネスを蹴り飛ばし、マリアはビクトリーの元へと歩いて来る。

 

「アイツの言葉なんかに、耳を貸す必要なんかないデス。 零無」

「そうだよ。 零無は何も失わない、私達が失わせないから・・・・・・」

 

切歌と調の言葉を受け、ビクトリーは「あぁ、分かってる」と頷く。

 

『でも、ありがとな、励ましてくれて。 ゼロダークネス、お前の言う通り、俺はまだセレナのことを多少なり引きずってるよ』

「・・・・・・零無・・・・・・」

 

ビクトリー・・・・・・零無のその言葉に、どこか複雑そうな表情を浮かべる切歌。

 

『んなことお前に言われなくても分かってる!! 同じようなことをまた繰り返すんじゃないかと思ってる・・・・・・。 でもな、俺に夢を・・・・・・もう1度思い出せてくれた奴等がいる! 昔よりも、頼もしい仲間が多くできた!! そいつ等と一緒なら、きっとこれから先も・・・・・・どんなことでも乗り越えられる!! そいつ等と一緒なら、俺の不安なんざ的中しねえんだよ!!!!』

 

零無の言葉に、切歌、マリア、調は力強く同調するかのように頷く。

 

「あなたもいい加減、正体を現したらどうなの? お前がマムであるものか!!」

 

マリアはナスターシャを睨み付けながら正体を現すように言うと、彼女は姿を変え・・・・・・今度はナスターシャではなく、黒いガングニールを纏ったマリアに姿を変えたのだ。

 

「なっ・・・・・・!?」

 

偽マリアは槍型のアームドギアを構えてそこからアームドギアの刀身を展開して形成した砲身部から、高出力のエネルギービームを放つ「HORIZON†SPEAR」をマリアに放ち、マリアは両腕をガードしてなんとか攻撃を耐えきろうとするが・・・・・・彼女は大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐううう!!? うわああああ!!!?」

『「「マリア!!!!」」」』

「私はフィーネ。 そう、終わりの名を持つ者だ」

 

そんな偽マリアの言葉を聞いて、マリアは床を殴りつけながら立ち上がりつつ、偽マリアがなんなのかを理解した。

 

「そうか・・・・・・。 お前は私、過ちのまま行き着いた私達の成れの果て・・・・・・」

『あのゼロダークネスと、同じような奴だったってことか』

 

ビクトリー、切歌、調は吹き飛ばされたマリアの元に行き、切歌と調はマリアに肩を貸して立ち上がらせるとビクトリー、マリア、切歌、調の4人は並び立つ。

 

「だけど、黒歴史は塗り替えてなんぼデス!!」

「シャトーが爆発する前に、この罪を乗り越えて脱出しよう!!」

 

挿入歌『『ありがとう』を唄いながら』

 

ビクトリーは「歌」を口ずさむマリア、切歌、調と共にゼロダークネス、偽マリアに向かって行き、調は偽マリアをツインテールに装備された回転鋸型のアームドギアで斬りつけようとするが、偽マリアはアームドギアで攻撃を防ぐ。

 

「たああああ!!!!」

 

調が離れると同時にマリアが偽マリアの懐に入り、短剣のアームドギアをすれ違いざまに偽マリアに繰り出すが、それを咄嗟に偽マリアは避ける。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

またビクトリーは回し蹴りの要領で足のVクリスタルから放つV字型の光弾「ビクトリウムスラッシュ」を繰り出すが、ゼロダークネスはそれを頭部の2つの宇宙ブーメラン、「ゼロスラッガー」を手に取って構え、ゼロスラッガーを振るってビクトリウムスラッシュを弾く。

 

だが、直後に切歌がゼロダークネスの背後に回り込み、アームドギアを振るって攻撃を仕掛けるが、それをゼロダークネスは振り返りざまにゼロスラッガーで防ぎ、切歌の腹部を蹴りつける。

 

「ぐっ!?」

 

マリアは短剣のアームドギアを偽マリアに向かって何度も振るうが、偽マリアは変幻自在に動くマントによってガードし、一切の攻撃を通さない。

 

そんな時、マリアの持つ通信機からエルフナインの声が聞こえた。

 

『マリアさん!! 通信機をウェル博士に預けて貰えますか?』

「・・・・・・なに?」

『自分らしく戦います・・・・・・』

 

エルフナインのその言葉を受けて、マリアは言われた通りウェルに通信機を投げ渡す。

 

「ドクター!!」

 

通信機を受け取ったウェルはエルフナインからこの通信機をシャトーに繋いでくれと頼む。

 

『この端末をシャトーに繋いでください!! サポートします!!』

「胸が躍る!! だけどできるのかぁい!?」

 

ウェルは不敵な笑みを浮かべつつ、エルフナインに言われた通り通信機をシャトーに繋ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、司令室。

 

ウェルが通信機をシャトーに繋いだことで司令室の画面にフォトスフィアの画像が映し出され、緒川はエルフナインが何をしようとしているのかを察した。

 

「そうか、フォトスフィアで!!」

「レイラインのモデルデータを元に処理すればここからでも!!」

 

またオペレーターの2人もエルフナインが何をしようとしているのかを理解し、すぐさま弦十郎は朔也に指示を出す。

 

「ナスターシャ教授の忘れ形見、使われるばかりは癪ですからね! やり返してみせますよ!!」

「はい!演算をこちらで肩代わりして負荷を抑えます! 掌握しているシャトーの機能を再構築に全て充ててください!!」

 

エルフナインは一同にそう指示を出し、やがてシャトー全体に電撃のようなものが走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偽マリアは空中から飛び上がり、再びアームドギアから高出力のエネルギービーム「HORIZON†SPEAR」を放ち、マリアは咄嗟にアームドギアのエネルギーを使ってバリアを張り、防ぐが軽く吹き飛ばされそうになる。

 

(ぐうう!!? 私が重ねた罪は、私1人で・・・・・・!!)

 

どうにか偽マリアの攻撃を耐え切ったマリアは、もう時間がなく、ここは自分1人でなんとか食い止めようとビクトリー、切歌、調に先に外にいる仲間達の元に行くように言うのだが・・・・・・。

 

「零無、調、切歌!! ここは私に任せてみんなの加勢を・・・・・・!!」

『シェア・・・・・・!!』

 

その時、ゼロダークネスがゼロスラッガーを、偽マリアがアームドギアをマリアに向かって投げつけるが・・・・・・それを切歌と調の2人がアームドギアを振るって弾き、マリアを守ったのだ。

 

『ウルトランス! キングジョー!! ランチャー!!』

『ツェア!!』

 

さらに右腕を「キングジョー・ランチャー」に変えたビクトリーが銃弾をゼロダークネスと偽マリアに撃ち込み、ゼロダークネスは両腕を交差し、偽マリアはマントでガードしつつなんとか耐える。

 

『バカなこと言ってんじゃねえよ、マリア!!』

「そうだよ! この罪を乗り越えるのは・・・・・・!!」

「4人一緒じゃなきゃいけないのデス!!」

 

ビクトリー、調、切歌の言葉を受け、マリアは自然と笑みを浮かべる。

 

「ありがとう、3人共・・・・・・! ドクター!! 私達の命に代えても守ってみせる!! だから、ドクターは世界を・・・・・・!!」

「フン・・・・・・」

 

マリアにそう言われ、ウェルもまた笑みを浮かべ、後ろはマリア達に任せて彼はシャトーの破壊に集中する。

 

ビクトリーは右腕を元の状態に戻すとゼロダークネスと偽マリアに向かって駈け出し、それに対してゼロダークネスは左腕を伸ばしてから両腕をL字に組んで放つ必殺光線「ダークネスゼロショット」をビクトリーに向かって放つ。

 

『っ!!?』

 

咄嗟に立ち止まったりはしたものの、ビクトリーはそのまま光線の直撃を受け、爆発の煙の中に消えた・・・・・・かに思われたが・・・・・・。

 

『ウルトランス! EXレッドキング!! ナックル!!』

『なに!?』

 

右腕を「EXレッドキング・ナックル」に変えたビクトリーが煙の中から勢いよく飛び出し、ゼロダークネスと偽マリアの足下を殴りつけるとそこから炎が吹き出し、その炎はゼロダークネスと偽マリアに降り注いで2人を吹き飛ばす。

 

『「ぐうう!!?」』

 

ビクトリーは右腕を元の状態に再び戻すと上半身を曲げてビクトリーの背中を踏み台にマリアが高くジャンプし、鞭状にしたアームドギアでゼロダークネスと偽マリアを斬りつける。

 

『今度はお前等だ!! 来い!! 切歌!! 調!!』

 

ビクトリーは上半身を起こし、両腕を平行に伸ばすと切歌と調は互いに頷き合い、今度は切歌と調の2人がビクトリーの肩を踏み台に高く飛び上がり、切歌はゼロダークネス、調は偽マリアをそれぞれアームドギアで縦一線に斬りつける。

 

『「があああ!!!?」』

 

攻撃を受けてゼロダークネスと偽マリアは怯むもののすぐさま偽マリアはアームドギアを構えてマリアに向かって行き、それに対してマリアも短剣のアームドギアを構えて2人は激しくぶつかり合う。

 

同じように、ビクトリーもまた拳をゼロダークネスに放ち、同時にゼロダークネスも自身の拳を放って2人の拳は激しくぶつかり合う。

 

「翼と立つステージは楽しかった。 次があるならその時は・・・・・・朝まであなたと歌い明かしてみたいわね」

『・・・・・・マリア? なにを・・・・・・!?』

 

突然、そんなことを喋り出すマリアに翼は驚いたような声をあげる。

 

「命がけで戦った相手とも仲良くできるクリス先輩は凄いなって、憧れてたデスよ!!」

『お前にだってできる!! できてる!!』

 

今度は切歌がクリスにそんな話をしだし、クリスは彼女にもできていると伝えるが・・・・・・。

 

「ごめんなさい。 あの日、何も知らずに偽善と言ったことを・・・・・・。 ホントは直接謝らないといけないのに!!」

『そんなの気にしてない・・・・・・!! だから!!』

 

調は響に初めて会った時、彼女を偽善と呼んでしまったことを深く謝罪する。

 

『よぉ、コウマ・・・・・・。 まだ礼を言ってなかったな。 俺がもう1度『夢』を持てたのは、お前が何度もぶつかって来てくれたからだ。 ありがとな』

『なに言ってんだ・・・・・・!! 礼なんかいらねえから、早くそっち片付けてこっちに手を貸せっての・・・・・・!!』

 

例えゼロダークネスと偽マリアを撃破しても、もう脱出できるほどのエネルギーが無く、カラータイマーは激しく点滅している為、彼もまた彼もまたマリア達同様に大切なことを伝えようとビクトリー・・・・・・零無はウルトラマンとしてのテレパシー能力を使い、自身がもう1度「夢」を持てたとコウマに感謝の言葉を伝える。

 

 

 

 

「やめろ・・・・・・! 俺の邪魔をやめろ、やめろおおおおお!!!!」

 

既に崩壊寸前のシャトーを見てキャロルはそれを止めようと飛び立つが・・・・・・。

 

シャトー内部から大きな光が漏れ始め、大きな音を立てながらシャトーは破壊されていく。

 

「お願い!! やめて!! 私とパパの邪魔をしないで!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「僕は、僕の錬金術で世界を守る! キャロルに世界を壊させない!!」

 

司令室でエルフナインが強い決意の元、彼女は力強く叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

『来い!! シェパードン!!』

 

ビクトリーのインナースペース内で零無は首にかけていたビクトリウムのペンダントに手を触れ、そこからスパークドールズとなったシェパードンを呼び寄せ、ビクトリーランサーにリードさせる。

 

『ウルトランス! シェパードン! セイバー!!』

『むっ? 遂に使ったか・・・・・・!!』

 

また同じ頃、シェパードンセイバーをビクトリーが発動したのをエタルガーは感じ取っていた。

 

そして聖剣となったシェパードンセイバーをビクトリーは構え、ゼロダークネスはカラータイマーの左右にゼロスラッガーを装着し、そこから放つ強力光線「ダークゼロツインシュート」をビクトリーに向かって放つが、ビクトリーはシェパードンセイバーを縦一線に振るい、光線を真っ二つに切り裂く。

 

『シェア!!』

 

そのまま一気にビクトリーはゼロダークネスと偽マリアに詰め寄り、シェパードンセイバーを今度は横に振るってゼロダークネスと偽マリアの2人に斬撃を浴びせ、怯んだところで今度は左右から切歌がゼロダークネス、調が偽マリアを自身のアームドギアで攻撃し、ゼロダークネスのゼロスラッガーと偽マリアのアームドギアを弾き飛ばしたのだ。

 

「零無!!」

『マリア・・・・・・。 行くぞ、これで決める!!』

 

ビクトリーの言葉にマリアは頷くと彼女はビクトリーと共に走り出し、偽マリアとゼロダークネスに向かって行く。

 

アームドギアである短剣を左腕部ユニットの肘部側に柄から取付け、刀身を長大に変形させ、腰部と左腕部ユニットのバーニアで加速してすれ違い様に相手を切り裂く「SERE†NADE」を繰り出し・・・・・・。

 

ビクトリーもシェパードンセイバーを構えてゼロダークネスと偽マリアに向かって駈け出し、相手をVの字に切り裂く「シェパードンセイバーフラッシュ」をゼロダークネスと偽マリアに向かって放つ。

 

だが、その際、偽マリアはまた別の姿に変わり・・・・・・今度はセレナの姿に変わる。

 

動揺を誘ったつもりだったのかもしれないが、マリアもビクトリーも動じることはなく、ただ・・・・・・ただひたすら真っ直ぐに・・・・・・。

 

『「セレナああああああああ!!!!!」』

 

ビクトリーとマリアは同時にゼロダークネスとセレナとなった偽者を切り裂いたのだ。

 

「やめろおおおおおおおおお!!!!!!」

 

それと同時にウェルがシャトーのシステムを弄くったせいなのか、キャロルの意思とは関係なく、彼女の周りに4つの紋章が現れてそこから光線が放たれ・・・・・・光線はシャトーを貫き、チフォージュ・シャトーは大爆発を起こしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それによって世界の分解は収まり、世界は修復されていく。

 

司令室でもそのことを確認し、一同は一安心したのだが・・・・・・。

 

だが、そのせいでマリア達が犠牲となったことを弦十郎達は悔やみ、弦十郎は悔しそうに唇を噛み締める。

 

「ぐぅ、俺達は太古の神話は明日を繋ぎ止められないのか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ・・・・・・あ・・・・・・。 シャトーが、託された命題が・・・・・・」

 

崩れゆくシャトーを見つめ、キャロルは唖然とした顔を浮かべ、また響達もその光景を見て目を見開き、彼女等はただ涙を流すしかなかった。

 

「みんな・・・・・・」

「なんでだ!! クソッタレ!!」

「くっ、うああああああ!!!!」

 

翼は荒々しくアームドギアの剣を地面に突き刺し、またエタルガー達と戦っていたギンガ、マックス、ゼロ、ダイナもその光景に衝撃を受けていた。

 

『オイ、あの建物・・・・・・ゼロ達の仲間が突入した筈じゃ・・・・・・!!』

『っ・・・・・・!!』

『余所見をしている場合なのか!!?』

 

動揺しているダイナやゼロの隙を突いてエタルガーが素早くゼロに向かって強烈なパンチを叩きこんで吹き飛ばし、ネオジオモスは破壊電磁波、モルヴァイアは口から火炎を放ち、それらの攻撃をダイナに直撃させる。

 

『『ウアアアアア!!!!?』』

 

尚、シャトーがシェパードンセイバーを持つビクトリー諸共崩れたにも関わらず、ゼロ達と違いエタルガーが落ち着いているのは彼が未だに「シェパードンの力の気配」を感じているからだった。

 

零無達がどうなったのかはエタルガーには分からないが、少なくともシェパードンがスパークドールズ化、又はシェパードンセイバーとなっている状態のままならば問題はないと考えた。

 

『この場は任せるぞ』

 

エタルガーはモルヴァイア、ネオジオモス、ダークルギエルにこの場を任せるとエタルガーは金色の球体に身体を変化させてその場を去って行き、ゼロは「待て!!」とエタルガーを追いかけようとする。

 

しかし、ルギエルのその巨大な足に蹴り飛ばされ、地面に倒れ込むゼロ。

 

『ウアアッ!!? この!! お前等なんかに構ってる暇なんてねえんだよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、やめよう。 キャロル・・・・・・。 こんなこと、僕達のパパはきっと望んでない。 火あぶりにされながら・・・・・・世界を知れと言ったのは僕達にこんなことをさせる為じゃない・・・・・・」

 

エルフナインは涙を流しながら、必死にキャロルを説得しようと言葉を投げかける。

 

「っ、そんなの分かってる!! だけど、殺されたパパの無念はどう晴らせば良い!? パパを殺された私達の悲しみは、どう晴らせば良いんだ!!?」

 

キャロルも苦痛に満ちた表情を浮かべ、嘆き、叫ぶキャロルのその声は・・・・・・悲しみに染まっていた。

 

「パパは命題を出しただけでその答えは教えてくれなかったじゃないか!!」

「・・・・・・それは・・・・・・」

 

するとキャロルとエルフナインの会話を聞いていた洸がそっとエルフナインに声をかける。

 

「君たちのお父さんは、何か大事なことを伝えたかったんじゃないのか?」

 

その洸の言葉は、エルフナインの耳と目の感覚が繋がっているキャロルにも聞こえており、キャロルは洸の言葉を聞き、ほんの少しだが動揺した様子を見せる。

 

「命がけの瞬間に出るのは、1番伝えたい言葉だと思うんだが・・・・・・」

「っ、錬金術師であるパパが1番伝えたかったこと・・・・・・」

『ならば真理以外ありえない……』

「錬金術の到達点は、万象を知ることで通じ、世界と調和する……こと……」

 

洸の言葉を聞き、そう呟くエルフナインだったが、洸やエルフナインの言葉を聞いてもキャロルの考えは変わらず、エルフナインの言葉を否定する。

 

『調和だと? パパを拒絶した世界を受け入れろと言うのか!? 言ってない!! パパがそんなこと言うものか!!』

「だったら代わりに解答する・・・・・・命題の答えは……赦し……! 世界の仕打ちを赦せと……パパは僕たちに伝えていたんだ……!!」

 

脇腹の血を滲ませ、苦しそうに呼吸をしながらエルフナインはキャロルに言い放つと、エルフナインは咳をすると同時に血を吐き出してしまう。

 

「ぐっ、ケホ!」

「君!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チフォージュ・シャトーは大破し、万象黙示録の完成という未来は潰えた……。フフ……。ならば!過去を捨て、今を蹂躙してくれるッ!!」

 

しかし、エルフナインから自分の探し求めていたであろう答えを聞いても、キャロルは止まらず、響き達を空中から見下ろすと彼女は全身に金色のオーラのようなものを纏う。

 

「ダメだよ!! そんなことをしては、パパとの思い出も燃え尽きてしまう!!」

 

だがやはりキャロルはエルフナインの叫びに耳を貸さず、キャロルはありったけの思い出を焼却し、戦う力へと練成して行く。

 

「キャロルちゃんなにを!?」

「復讐だ!!」

 

キャロルが言い放つと同時に、彼女は高出力の弦を使って響達を吹き飛ばし、響達は壁に激突する。

 

「「「うわああああああ!!!!?」」」

「……もはや復讐しかありえない」

 

涙を流しながら世界へと復讐しようとするキャロル。

 

しかし、そんなキャロルに対し・・・・・・。

 

『何百年も生きてる癖に、我が儘にも程があんじぇねえのかお前ッ!!』

 

ルギエルの放たれた巨大な足を受け止めながら、キャロルの声を聞いていたギンガは彼女に怒鳴るように言い放つ。

 

そんなギンガに対し、キッと睨み付けるキャロルだが、ギンガは両手でルギエルの足を持ち上げながら投げ飛ばし、ルギエルを地面に倒れ込ませる。

 

『はぁ、はぁ・・・・・・!! さっきからブツブツ何か独り言言ってたが、エルフナインと会話してたんだろうな。 それでエルフナインからお前の父親が本当にお前に伝えたかったことを告げられて、逆キレってところか?』

「逆キレだと・・・・・・?」

『エルフナインが言ったことが何か知らねえが、あいつの言葉を否定できず、言い負かされて悔しくなって暴れるのが逆ギレじゃないならなんだって言うんだよ。 復讐なんて、お前の親父さんが本当に望んでいると思ってんのか!!?』

 

やたらと説教くさいギンガに対し、キャロルは唇を噛み締め、先ほどよりも強くギンガのことを睨む。

 

「黙れ、黙れ、黙れえええええ!!!! お前なんかに、俺の何が分かる!! 私の何が分かるって言うんだ!!」

『分かるよ、だって俺は今・・・・・・お前が猛烈に憎いからな!!』

 

ギンガは左拳を握りしめ、右手でキャロルを指差し、そう言い放つと、それにキャロルは唖然とした表情を浮かべる。

 

「なんだと・・・・・・?」

『お前があんなもん作ったせいで、零無も、マリアさん達も・・・・・・。 お前は、俺のダチを奪ったんだ!! でも、お前に復讐なんてしない。 憎しみは憎しみしか生まないんだ。 だからこそ、俺はこの憎しみを抑える。 だからこそ、お前に復讐なんてさせない!!』

 

そこでギンガに殴りかかって来たルギエルの攻撃をゼロがゼロソードで防ぎ、ゼロはギンガの方へと顔を向ける。

 

『こいつ等の相手は俺達に任せな。 お前はあっちを手伝ってやれ!!』

 

そう言うとゼロはルギエルを押し返して拳を弾き、左手を差し伸べて自身のエネルギーをさらにギンガに分け与える。

 

『ゼロ!! アンタだってもうエネルギーが・・・・・・!』

『へっ、これくらいの奴等、俺達だけで十分だ! 行って来い!!』

『っ・・・・・・。 分かった』

 

ギンガは少しの間だけ戸惑いを見せたものの、彼はゼロの言葉に頷き、身体を縮小させて等身大となるとクリス達と合流する。

 

『こっちの手伝いに来たぜ』

「ありがてぇ」

 

クリス達と合流し、視線をキャロルに再び向けると彼女は顔を俯かせ、何やらブツブツと呟いていた。

 

「・・・・・・黙れ、黙れ・・・・・・黙れ黙れ黙れ黙れ黙れええええええええ!!!!!」

 

余程先ほどのギンガの言葉が勘に触ったのか、彼女は雄叫びのような声をあげると周囲に衝撃波を放ち、ギンガ達はそれをなんとか耐えきる。

 

『チッ、どうやら止まる気はないらしい』

「復讐の炎は……すべての思い出を燃やすまで、消えないのか?!」

「エルフナインは、復讐なんて望んじゃいねえ……!」

「うん……! エルフナインちゃんの望みはッ……!」

 

ボロボロになった身体を引きずりながらも、なんとか響は立ち上がり、胸のイグナイトモジュールに手をかける。

 

「イグナイトって、本気か!?」

 

それを見てクリスは驚愕した表情を浮かべる。

 

「随分と部の悪い賭けじゃねえか」

「だが嫌ではない。 この状況では、尚のこと!!」

 

イグナイトの全開出力などはキャロルに全て筒抜けで知られてしまっている。

 

だが、この状況では使わざる得ない。

 

それになにより、これはエルフナインがくれた力なのだから・・・・・・。

 

「この力は、エルフナインちゃんがくれた力だ!! だから疑うものかッ!イグナイトモジュールッ!!」

「「「ダブル抜剣ッ!」」」

 

モジュールのスイッチを2度押し、セーフティーの解放段階を上げることで力をより増した状態のイグナイトモジュールを響達が身に纏い、ギンガと共にキャロルに向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソードレイ・ウルティメイトゼロ!!』

 

ウルティメイトゼロソード長大な光の刃を伸ばし、それをルギエルに縦一閃にゼロが振るうとルギエルは両腕を交差して攻撃を防ごうとするもののあっさりとゼロに身体を真っ二つに切り裂かれ、ルギエルは断末魔をあげながら倒れ爆発した。

 

『ウウ・・・・・・ヌアアアア!!!!?』

『ハアア、ダアアア!!!!』

 

一方でダイナはネオジオモスに向かって拳を放ち、ネオジオモスは亜空間バリヤーを張って攻撃を防ぐもののそのまま力押しで一気にバリヤーを打ち砕き、拳をネオジオモスの顔面に叩き込む。

 

「ガアアアア!!!!?」

 

さらにすかさず倒れ込んだネオジオモスの尻尾を掴んで大車輪回転をさせてから地面に叩きつける「ガルネイトボンバー・スウィングバージョン」をダイナは繰り出し、地面に叩きつけられたネオジオモスは身体中から火花を散らして耐えきれず爆発するのだった。

 

マックスはモルヴァイアに後ろ回し蹴りを喰らわせ、蹴り飛ばした後、左腕のマックススパークにエネルギーをチャージした後、両腕をL字に組んで放つ「マクシウムカノン」を発射し、直撃を受けたモルヴァイアは火花を散らし、倒れ爆発するのだった。

 

『ハアアア、シェア!!』

「グルアアアアアア!!!!?」

 

どうにかエタルダミーの3体を倒すことに成功したゼロ達だったが、全員既にエネルギーは残り少なく、彼等は強制的に変身が解除され、ラン、アスカ、カイトの姿に戻ってしまう。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・もう、力が・・・・・・」

「後はギンガやクリス達に任せるしかねえか」

 

アスカはカイトに肩を貸しながら、兎に角今はここから少し離れようと提案し、ランもそれに頷くと3人は一度ここから離れることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

挿入歌「限界突破 G-beat (IGNITED arrangement)」

 

「歌」を口ずさみながら先陣を切って響はキャロルに殴りかかるが、キャロルはバリアで彼女の拳を防ぎ、受け流す。

 

その瞬間を見逃さず、クリスはガトリング砲にしたアームドギアで銃弾を撃ち込むが、キャロルはそれも弦を振るって弾丸を防ぎ、翼が背後に回り込んでアームドギアを振るうが、キャロルはそれすらもバリアで防ぎ、弾き返す。

 

『ウルトラマンタロウの力よ! ネオストリウム光線!』

『ショウラ!!』

 

ギンガは両腕をX字に交差させて放つ「ネオストリウム光線」を放つが、キャロルはバリアでガードしつつ、光線を反射させてギンガ自身に光線を直撃させて吹き飛ばす。

 

『ウアアアア!!!!?』

「フン、力押し。 実にらしいし可愛らしい・・・・・・」

 

キャロルに攻撃を全て防がれても、響、翼、クリスは攻撃の手を緩めず、攻撃を続行するが彼女はそれらの攻撃を防ぎ、彼女等の攻撃はまるでキャロルに通用しなかった。

 

『だったらこれはどうだ!!』

『ゾフィーの力よ! M87光線!』

 

ギンガは右手を前方に伸ばして発射する「M87光線」をキャロルに向かって放ち、キャロルはその光線もバリアで防ぐものの・・・・・・バリアはあっさりと砕かれ、それに目を見開いたキャロルは咄嗟に避けたものの彼女の纏うダウルダブラの肩パーツに僅かに当たり、それが抉れる。

 

そして響はその隙を見逃さず、キャロルの横腹に拳を叩き込み、キャロルはそれに僅かに怯むものの・・・・・・すぐさま衝撃波を放って響を吹き飛ばす。

 

「うあああ!!!?」

 

吹き飛ばされた響は翼が両手で掴んで地面に着地し、救い出したもののキャロルは未だに余裕の表情。

 

さらにキャロルは弦を飛ばしてギンガの身体を斬りつけ、ギンガは身体から火花を散らして片膝を突く。

 

『ガアア!!?』

「コウマ!! クソ、イグナイトの二段階励起だぞ!? それに、ギンガストリウムまでいてこれって・・・・・・」

「フン、次はこちらが歌うぞ!」

 

驚愕するクリスを嘲笑いつつ、今度はキャロルが「歌」を口ずさむことでさらに彼女は自身の纏うダウルダブラの出力をあげる。

 

挿入歌「殲琴・ダウルダブラ」

 

「さらに出力を!?」

「一体どれだけのフォニックゲインなんだよ・・・・・・!」

「でも、待っていたのはこの瞬間! 抜剣!! オールセーフティー!!」

 

イグナイトの胸のクリスタルに響、翼、クリスが手をかけるとそのスイッチを押し、さらにイグナイトの出力を底上げする。

 

そうすることで彼女達はイグナイトの出力を使って周囲に吹き荒れるこのフォニックゲインを束ねて撃ち放とうとするのだが・・・・・・。

 

しかし、さらにイグナイトの出力をあげてしまったせいでただでさえ時間制限のあったイグナイトの制限時間は加速してしまう。

 

「イグナイトの出力でねじ伏せて・・・・・・!!」

「吹き荒れるこのフォニックゲインを束ねて撃ち放つ・・・・・・!!」

「S2CA!! トライバーストォ!!!!」

 

だが、キャロルの放つフォニックゲインはあまりにも強大で・・・・・・束ねると言ってもそう簡単なことではなく、響達は吹き飛ばされまいとその場に踏ん張るのもギリギリだった。

 

ギンガも少しでも彼女達の助けになろうと響を支えるクリスと翼の背中を両手で支えるが、結果はあまり変わらず・・・・・・。

 

「このままじゃ暴発する・・・・・・!!」

「イグナイトの最大出力は知っている!! だからこそそのまま捨て置いたのだと分からなかったのか!? 俺の歌は、ただの一人で70億の絶唱を凌駕する、フォニックゲインだああああああ!!」

 

キャロルがそう言い放つと同時にギンガ達の周囲が爆発し、4人は吹き飛ばされて倒れ込む。

 

「ぐっ、ゲホッ・・・・・・」

 

それによってギンガも遂にライブが解除されてコウマの姿に戻ってしまい、4人はボロボロの状態でその場に倒れ込んでしまっていた。

 

「ぐっ、うぅ・・・・・・。 例え万策尽きたとしても、1万と1つ目の手立てはきっと・・・・・・!!」

 

フラつきながらも、決して諦めず、立ち上がろうとする響。

 

だが、そんな時・・・・・・突如空中に巨大な城のようなものが出現し、一瞬コウマ達はシャトーがまた出てきたのかと思ったが・・・・・・よく見るとシャトーとは全く別の城だった。

 

そう、それはシャトーなどではなく、エタルガーが拠点としている城、「時空城」だったのだ。

 

「あれは、ラン隊長が言ってた時空城か!」

 

コウマはあらかじめランから聞いていた時空城の出現に驚きの声をあげるが、なぜこのタイミングで時空城が出て来るのか、それが分からなかった。

 

「一体なにするつもりだってんだ・・・・・・!」

 

エタルガーが何をするつもりかは分からない。

 

そこへやってきたのは脅威だけではなかった。

 

その時・・・・・・コウマ達の耳に、聞き覚えのある3人の歌声が聞こえて来たのだ。

 

それは、絶唱の歌・・・・・・。

 

響が歌の聞こえる方向へと顔を向けると、そこにはイグナイトモジュールを纏ったマリア、切歌、調の3人が無事な姿で立っており、響は彼女達が生きていたことに、笑みを浮かべた。

 

「マリアさんっ・・・・・・!!」

「ぐっ、マリアさん達が・・・・・・ってことは・・・・・・」

 

またコウマもマリア達の存在に気付き、彼女達が生きているならと考えていると、不意に彼の元に「よぉ」と声をかける人物が現れる。

 

「零無・・・・・・!」

「よぉ、お互い、ボロボロだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前、崩壊したチフォージュ・シャトー内にて。

 

そこでどうにかマリアは自分と同じように無事だった切歌や調と合流し、お互いの無事が確認できると切歌と調、マリアはそれぞれ別れて姿の見えない零無とウェルを探すこととなり、2人を探していると・・・・・・。

 

丁度、彼女はそこで瓦礫が身体の上に乗ったウェルの姿がを発見。

 

「ドクター・ウェル!!」

 

マリアが瓦礫に埋もれるウェルの姿を見つけると、急いで彼女はウェルの元に駆け寄る。

 

「ぐっ、うぅ・・・・・・僕が守った。 何もかも・・・・・・」

「まさか、お前・・・・・・!」

「君を助けたのは、僕の英雄的行為を・・・・・・世に知らしめる為・・・・・・」

 

弱々しい声を出すウェルを心配そうにジッと見つめるマリア・・・・・・。

 

「さっささと行って死に損なった恥を晒してこい!! それとも君は、あの時と変わらない、ダメな女のままなのかい?」

 

すると、ウェルはマリアに向かって1枚の何かのメモリを渡す。

 

「愛、ですよ・・・・・・!」

「なぜそこで愛!」

「シンフォギアの適合に奇跡などは介在しない。 その力、自分の物としたいなら・・・・・・! 手を伸ばし続けるが良い・・・・・・!!」

 

マリアはウェルから渡されたメモリを手に取り、そのまま彼の手は・・・・・・力なく地面に落ちる。

 

「・・・・・・マリア、僕は英雄になれたかな?」

「・・・・・・あぁ、お前は最低の・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと、零無はスパークドールズになったシェパードンから発せられるバリアで守られており、彼は起き上がってシェパードンのスパークドールズを見つめる。

 

「お前が守ってくれたのか? ありがとう、シェパードン・・・・・・」

 

零無が目を覚ましたことでシェパードンはバリアを解除し、そこに丁度零無を探しに来ていた切歌と調が駆け寄ってくる。

 

「零無!! 無事だったデスか!?」

「切歌! 調! あぁ、シェパードンが助けてくれたらしい。 マリアと、ウェルは?」

「マリアは無事デス!! でも、まだドクターは・・・・・・」

 

それを聞き、零無は「そうか」とだけ答えると兎に角先ずはマリアと合流しようと3人は歩き出す。

 

少し歩くと、彼等はすぐにマリアと合流することが出来た。

 

「零無! 良かった、あなたは・・・・・・無事だったのね・・・・・・」

「あぁ。 ドクターは見つけたのか?」

 

零無はマリアにウェルはどうしたのかと尋ねると、彼女は顔を俯かせ、暗い表情を浮かべながら首を横に振った。

 

「そう、か・・・・・・」

 

ウェルのことは嫌いだったが、出来ることなら生きていて欲しいと願っていた。

 

それは切歌や調も同様なのか、彼女等2人も複雑そうな表情を浮かべている。

 

「兎に角、一旦外に出ましょ」

 

マリアの言うように、確かに一度外に出た方が良いだろうと思った零無達は外に出るために歩き出そうとしたその時・・・・・・。

 

4人の足下が突然爆発し、4人は軽く吹き飛ばされて倒れ込んでしまう。

 

『わああああ!!!?』

 

その際、零無は手に持っていたシェパードンのスパークドールズを思わず手放してしまい、それを掴みあげる等身大のエタルガー。

 

どうやら、先ほどの攻撃はエタルガーによるものだったようだ。

 

「お前、エタルガー!!」

『フフフ、遂に手に入れたぞ。 シェパードンのスパークドールズ!!』

「お前、シェパードンを返せ!!」

 

零無はシェパードンを取り返そうとエタルガーに手を伸ばすが、エタルガーはその腕を掴んで地面に投げ飛ばす。

 

「うわあ!!?」

 

またシェパードンもエタルガーに反抗しようと自身のエネルギーを放出するのだが、エタルガーには全く効かず、逆にエタルガーの赤いエネルギーを流し込まされ、シェパードンは沈黙する。

 

『さあ、これで本物のルギエルの復活の準備は整った!!』

「ルギエルの、復活だと・・・・・・!?」

 

エタルガーはそれだけを言い残すとその場を立ち去り、零無達は急いでエタルガーを追いかける。

 

「待て!!」

 

外に出ると、丁度そこではキャロルによって吹き飛ばされる響達の姿が見え、零無はビクトリーランサーを構える。

 

「マリア達は響達の元に行ってくれ!! 俺はシェパードンを取り戻す・・・・・・!!」

 

零無はビクトリーに変身しようとするのだが、既に変身できるだけのエネルギーを使い果たしてしまっているため、ビクトリーに変身することは不可能だった。

 

「っ、こんな時に・・・・・・!!」

「落ち着きなさい、零無!」

 

シェパードンを奪われ、焦る零無を落ち着かせようとするマリア。

 

だが、そうは言われても落ち着いてなんていることはできない。

 

見たところ、既に変身が可能なウルトラマンももういない。

 

コウマなら他のウルトラマンに変身することもできるが・・・・・・あの身体では・・・・・・。

 

一体どうすれば良いのか、零無が頭を抱えて悩んでいると・・・・・・。

 

「そう言えば、以前エルフナインがこんなことを言っていたわね・・・・・・」

「えっ?」

 

それはほんの少し前・・・・・・エルフナインがウルトラマン達の戦いの記録映像を興味本位で見ていた時だった。

 

彼女はそれらの映像の中でもルナアタック事件、フロンティア事変での最終決戦の映像を特に興味深く見ており、マリアは何がそんなに気になるのかとエルフナインに尋ねたことがあったのだ。

 

『あっ、いえ・・・・・・。 響さん達がエクスドライブモードになった時、それに平行してウルトラマン達にも力が与えられているのが少し気になって・・・・・・』

 

エクスドライブモードは幾人もの歌を重ね、高レベルフォニックゲインにより機能が開放された姿。

 

ルナアタックの時は響達の通う学校の生徒や街の人々によって発動し、フロンティア事変の時は世界中の人々の力によってエクスドライブは発現した。

 

だが、なぜウルトラマンにまで力が与えられたのか、エルフナインにとってはそれが不思議でならなかったのだ。

 

『もしかしたら、ウルトラマンの光のエネルギーとシンフォギアのエネルギーであるフォニックゲインは、とても酷似したものなのかもしれません』

 

エルフナインの言うように、シンフォギアのフォニックゲインがウルトラマンのエネルギーと酷似したものなら・・・・・・先ほど響達がやろうとした技を今度は6人で受け止め、応用することでウルトラマン達に力を与えることができるかもしれないとマリアは考えたのだ。

 

さらに、時空城が現れたということは、あの城に向かってそれを放てば・・・・・・あの中に囚われているであろうウルトラマン達を復活させることが出来るかもしれないとマリアは思った。

 

「このことも恐らくキャロルに知られてるから対策されてるかもしれない。 でも一か八かだけど、シェパードンを取り返す為にも・・・・・・これに賭けるしかない」

「・・・・・・分かった。 頼む、みんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから現在、零無は手短克つ分かるようにコウマに説明し、コウマもマリアの作戦を理解し、「成程な」と頷く。

 

そしてマリアも手短に響達に自分の作戦を伝えた後、6人はそれぞれ「絶唱」を口ずさむ。

 

「俺を止められるなどと・・・・・・自惚れるなあああああああ!!!!」

 

そう叫ぶと同時にキャロルが響達に向かって強力なフォニックゲインの塊のような光線を放つが、響達はそれをなんとか受け止める。

 

「S2CA!! ヘキサゴンヴァージョン!!」

 

だが、6人揃ったとしてもやはりキャロルの力は強力で・・・・・・吹き飛ばされないようにするだけでも精一杯だった。

 

しかし、彼女達は決して諦めはしない。

 

「今度こそガングニールで束ね・・・・・・!!」

「アガートラームで制御、再配置する!!」

 

マリアは響の背中を左手で支え、腕部のユニットが巨大化すると響の両腕のユニットも巨大化し、響達6人は6つの光に包まれる。

 

その映像を見ていたエルフナインは、その光に手を伸ばし・・・・・・呟く。

 

「最後の奇跡・・・・・・」

「まさか、俺のぶっ放したフォニックゲインを使って・・・・・・!」

 

その光景を見ていたキャロルも、響達は何をしようとしているのかに気付くが・・・・・・もう遅い。

 

「ジェネレイタアアアアア!!!!!」

「エクスドラアアアアアアイブ!!!!!」

 

そして受け止め切ったキャロルのフォニックゲインを吸収し、右腕を掲げるとフォニックゲインの光が空へと放たれ、光は時空城にも向かっていく。

 

『むっ? なんだ!?』

 

丁度、エクセラーの元に行く準備をしていたエタルガーもそのことに気付くが、防ぐ手段も無く時空城に直撃し・・・・・・時空城が大きく揺れ、フォニックゲインが城の中へと入り込み、その中の鏡に封印されていたたウルトラマンにもフォニックゲインの光が降り注ぐ。

 

『なっ、バカな・・・・・・!!? このままでは、封印が・・・・・・!!』

「そ、そんな・・・・・・!!」

 

そのことにキャロルもエタルガーも大きく動揺し、やがてウルトラマン達を封印していた鏡が砕け散ると封印されていたウルトラマン達は時空城から飛び出し、人の姿へと戻ってコウマ達の目の前に降り立つ。

 

「あなた達は・・・・・・」

 

さらに、その時拡散されたフォニックゲインのエネルギーはコウマのギンガスパークや零無のビクトリーランサーにも再変身できるだけの十分なエネルギーを分け与え、ビルの中に避難していたラン、カイト、アスカの持つウルトラゼロアイ、マックススパーク、リーフラッシャーにもエネルギーが分け与えられる。

 

さらにキャロルが空を見上げると、そこにはエクスドライブモードへと強化変身した響、翼、クリス、マリア、切歌、調の姿があり、キャロルは自分のフォニックゲインを利用し、エクスドライブだけでなくウルトラマン達まで復活させたことに彼女は驚愕するしかなかった。

 

「コウマ! 零無!!」

 

そこへコウマと零無の元にラン、アスカ、カイトが駆けつけ、ランはコウマ達の前に立つ青年達の姿を見て笑みを浮かべる。

 

「どうやら、みんな響達に助けられたらしいな」

「あぁ、彼女達には・・・・・・感謝しないとね」

 

響達に助けられたことを代表して、ウルトラマンティガ・・・・・・「マドカ・ヒカル」がそう言うと隣にいたウルトラマンメビウス、「風上 光」が同意するように頷く。

 

「ここから先は、僕達も手伝います」

「助けられた仮は返す」

 

光に続くように、今度はウルトラマンネクサス、「ヒメヤ・シュン」が頷く。

 

「ここから先は、僕達の反撃だ!」

「みんな、行こう!」

 

ウルトラマンガイア、「高山 ツトム」とウルトラマンコスモス、「春歌 ムサシ」の言葉を合図に、それぞれヒカル、アスカ、ツトム、ムサシ、ヒメヤ、カイト、光、ラン、コウマ、零無が並び立つ。

 

ヒカルは「スパークレンス」というアイテムを取り出すとそれを掲げ、光に包まれるとヒカルは身体が赤と紫で金色のプロテクターが装着された巨人・・・・・・、超古代の戦士「ウルトラマンティガ・マルチタイプ」へと変身する。

 

続けてアスカはリーフラッシャーを掲げ、ダイナミックな戦士、「ウルトラマンダイナ・フラッシュタイプ」に変身。

 

「ガイアアアアアアア!!!!」

 

ツトムは三角状のアイテム、「エスプレンダー」を掲げると赤いボディに胸部の黒いプロテクターが特徴的な大地が生んだ赤き巨人、「ウルトラマンガイアV2」へと変身する。

 

「コスモース!!」

 

花の蕾のようなアイテム、「コスモプラック」をムサシが掲げるとコスモプラックが花開くように先端のパーツが三方向へと展開し青い光に包まれ、ムサシは青き巨人、慈愛の勇者、「ウルトラマンコスモス・ルナモード」へと変身する。

 

短剣のようなアイテム、「エボルトラスター」をヒメヤは鞘から引き抜くと、彼はそれを掲げ、光に包まれて銀色の身体に胸部にY字のクリスタル、「エナジーコア」がある巨人、絆を繋いで行く戦士「ウルトラマンネクサス・アンファンス」に変身。

 

カイトはマックススパークを掲げ、左腕に装着すると彼は最強最速の戦士、「ウルトラマンマックス」へと変身。

 

「メビウース!!」

 

光は左腕を構えるとそこに「メビウスブレス」という赤いブレスが出現し、左腕前に装備して中央にあるトラックボール型のクリスタルサークルに手をかざして回転させた後、左腕を掲げると赤いラインを走らせた銀色の身体、頭頂部とこめかみには後方に伸びるヒレ状の突起を持ち、胸にはひし形の『カラータイマー』が特徴的な戦士、光の国の勇者、「ウルトラマンメビウス」へと光は変身する。

 

「デュア!!」

 

ランは左腕のウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを出現させ、それを目に装着すると彼は光に包まれて若き最強戦士「ウルトラマンゼロ」へと変身。

 

ビクトリーランサーをランサーモードにさせるとビクトリーのスパークドールズが現れ、それを掴み取って中央部分にリードさせると先端の矢尻部分が開きビクトリーの顔を象った彫刻が現れる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

するとビクトリーの姿がビクトリーランサーから飛び出し、零無が光に包まれるとその光はあるカラータイマーの中へと入り、零無は地底の守護者「ウルトラマンビクトリー」へと変身。

 

コウマはギンガスパークを取り出し、両端のブレード部分を展開すると先端からギンガの姿をしたソフビ人形のようなアイテム、スパークドールズを手に取り、コウマはスパークドールズを掴み取るとギンガスパークの先端にスパークドールズの足部分に押し当ててリードさせる。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

「ギンガアアアアアア!!!!」

 

そしてコウマは銀河の覇者「ウルトラマンギンガ」へと変身し、ギンガ、ビクトリー、ゼロ、メビウス、マックス、ネクサス、コスモス、ガイア、ダイナ、ティガが並び立つ。

 

そんなエクスドライブとなった響達と、10人揃ったウルトラマン達を映像越しに見つめ、エルフナインは呟く。

 

「これが、奇跡の・・・・・・形・・・・・・!」

 



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14Eve 『明日を懸けた激闘』

『流石に10人ウルトラマンを纏めて相手にするなど、幾ら俺でもキツいか。 全く、こんなヘマをしてしまうとは情けない。 仕方が無い、エクセラー! 聞こえるか!?』

 

エタルガーは捕えていたウルトラマン達が復活し、ウルトラマンが10人も揃ったことに驚愕しつつもエクセラーに通信を行い、状況の説明を行う。

 

『おやおや、どうかいたしましたかムッシュ・エタルガー?』

『予想外の事態が起きた。 地球人共の力で、俺が捕えていたウルトラマン共が復活してしまった』

『ほう、とんだヘマをしてくれたもんですねぇ。 ただでさえギンガ達で手こずっているというのにあなたが捕えていたウルトラマンが全員復活するとは・・・・・・』

 

エクセラーはあれだけ啖呵切っていたエタルガーがギンガ達を倒し、封印するどころかこんなヘマをしてウルトラマンの数を増やしてしまったことに苛立ちを見せるが、それに対してエタルガーは「だが、朗報もある」とエクセラーに伝える。

 

『例のシェパードンのスパークドールズは手に入れた。 こちらからそちらに向かうつもりだったが、こんな状況だ。 奴等は俺をそう簡単には逃がしてくれまい』

『成程・・・・・・つまり、我がグランドマスターの肉体を持って地球まで来い・・・・・・ということですか』

『そうだ。 その間、奴等を足止めしつつビクトリウム・キャノンの準備を行っておく。 俺とさらに強化されたルギエルの力を合わせれば・・・・・・奴等を倒すことも容易い筈だ』

 

エタルガーからの説明を受け、エクセラーは「成程」とニヤリと笑うと、「分かりました」と頷く。

 

そして宇宙船内にいるエクセラーは「さぁて・・・・・・」と呟くと、目の前にボードのような装置を出現させ、それのスイッチを押すと宇宙船の目の前に時空の穴が出現し、そこから生命活動を停止した状態の本物のダークルギエルの肉体が現れる。

 

『フフフ、面倒なことにはなったものの・・・・・・。 エタルガーの言うことが本当なら確かにグランドマスターの力があれば10人程度のウルトラマンなど・・・・・・! 機は熟しました! 我がグランドマスターよ、いざ、地球へ!!』

 

エクセラーがそう言い放つと、紫の電撃を宇宙船からルギエルへと放ち、ルギエルの身体は地球へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、大丈夫か!?」

 

S.O.N.G.司令室にて。

 

洸は荒い息をするエルフナインを支え、声をかけるもののエルフナインは一向に倒れたまま目を覚まさず・・・・・・。

 

その時、エルフナインの目から一粒の涙が流れ、それに洸は目を見開く。

 

「涙・・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「単騎対六騎・・・・・・」

 

一方、同じ頃・・・・・・エクスドライブモードとなった響達奏者は空中でキャロルと対峙していた。

 

「錬金術師であるならば、彼我の戦力差を指折る必要もないであろう?」

「オマケにトドメのエクスドライブ! これ以上はもうしまいだぁ!」

『クリス、それフラグじゃ・・・・・・』

 

エクスドライブへとイグナイト以上のパワーアップを果たした響達。

 

それが6人もいることからマリアや翼はもうキャロルに勝ち目は薄いと感じ、出来ることならキャロルに降伏して欲しいと願う。

 

また、状況的にクリスも余裕のある台詞を吐くのだが・・・・・・遠目の方から様子を伺っていたギンガがそれパワーアップしても苦戦するフラグではないかとツッコまれてしまうのだった。

 

「フン、奇跡を身に纏ったくらいで俺をどうにかできるつもりか?」

 

しかし、やはりというべきかキャロルは降伏などする気など毛頭無く、逆に響達を挑発する。

 

「みんなで紡いだこの力を!」

「奇跡の一言で片付けるデスか!?」

「片付けるともッ!! 奇跡など、あの日、蔓延する疫病より村を救った俺の父親は、衆愚によって研鑽を奇跡へとすり替えられた」

 

キャロルの言葉に反発する調と切歌だったが、キャロルは即座に切歌達の言葉・・・・・・奇跡というものを否定する。

 

「そればかりか資格無き奇跡の代行者として、刎頸の煤とされたのだ……!」

「お父さんを・・・・・・」

「万象に存在する摂理と術理。 それらを隠す覆いを外し、チフォージュ・シャトーに記すことがオレの使命! 即ち万象黙示録の完成だった……! だったのに……!」

 

キャロルは唇を噛み締め、目尻に涙を浮かべて心の底から苛立ち、悔しそうな表情を浮かべる。

 

「キャロルちゃん、泣いて・・・・・・」

「奇跡とは、蔓延る病魔に似た害悪だッ!! 故に俺は殺すと誓ったッ!! だから俺は、奇跡を纏う者だけには負けられんのだ!!」

 

キャロルがそう叫ぶと、彼女は複数の小型のアルカノイズと巨大なアルカノイズ、飛行型アルカノイズに大量のチブロイドを召喚。

 

「まだ、キャロルは……」

「これほどまでのアルカノイズを……」

 

司令室でその光景を見ていたあおいと朔也は未だに諦めぬ尽きぬキャロルの闘志に驚愕し、そのことに弦十郎も驚きを隠せないでいた。

 

「チフォージュ・シャトーを失ったとしても、世界を分解するだけなら不足はないということか・・・・・・!」

「この状況で、僕達に出来るのは……」

「響……。響ッ!」

 

そこで洸が司令室から響に通信で声をかけ、突然聞こえて来た父の声に驚く響。

 

「その声、お父さん!?」

「響、泣いている子が・・・・・・ここにいる!」

 

洸はエルフナインの流す涙を見つめながら、そのこと響に伝え、それを受けた響もキャロルの顔を見つめ、彼女の流す涙を見ると彼女は笑みを浮かべ、響は今・・・・・・自分が1番やらなくてはならないことに気付く。

 

「泣いている子には、手を差し伸べてなくちゃね!」

「何かも、壊れてしまえばあああああ!!!!」

 

だが、次の瞬間キャロルのその言葉を合図に、アルカノイズ達とチブロイド達は暴れ始め、街を破壊し始めたのだ。

 

「翼さん!!」

「分かっている、立花!」

 

翼、クリス、マリア、切歌、調は響がキャロルに手を差し伸べようとしていることを理解し、彼女達は快くそのことに協力する意志を見せ、その為にも先ずはアルカノイズやチブロイドの殲滅を優先する為、翼達はそれぞれのアームドギアを取り出す。

 

「スクリューボールに付き合うのは、初めてじゃねえからな!」

「その為にも散開しつつアルカノイズやチブロイドを各個に打ち破る!!」

『キャロルに手を差し伸べる役目は、そっちに任せたぜ!! 俺達は・・・・・・!!』

 

ギンガ達はキャロルの相手を響達に任せることにし、ギンガは時空城を見上げるが・・・・・・。

 

『お前達の相手は俺ではない。 お前達が最も恐れる宿敵だ・・・・・・!』

 

時空城から戦いの様子を伺っていたエタルガーは指をパチンッと鳴らすと、ギンガ達の目の前にファイヤーゴルザ、メルバ、超コッヴ、ガンQ、レイキュバスの5体の怪獣が合体した「超合体怪獣 ファイブキング」と紫色の身体に頭部に鶏冠状のパーツが装着された人型ロボ、「対カオスヘッダー殲滅兵器 ヘルズキング改」がエタルダミーとして出現。

 

『ファイブキング!』

『ヘルズキング改!』

「グルアアアアア!!!!!」

『こいつは・・・・・・!』

『ファイブキング!?』

 

ファイブキングの出現に驚きの声をあげるギンガとビクトリー。

 

またファイブキングの特徴からティガ、ダイナ、ガイアはファイブキングが即座にかつて自分達が戦ったことのある怪獣であることに気付く。

 

『それに、ヘルズキング改か・・・・・・』

 

それと同時に、コスモスもまたヘルズキングの姿を忌々しそうに見つめる。

 

『俺達が戦った怪獣達が、合体してんのか・・・・・・! フン、上等だ! 本当の戦いは、ここからだぜ!』

『コウマ、零無、君たちの地球は君たち自身で守るんだ!』

『真の勇者である、君たち自身の手でね・・・・・・』

『忘れるな、ギンガ、ビクトリー。 どんな絶望の中でも・・・・・・人の心から、決して光が消え去ることはない!』

 

ダイナ、ガイア、コスモス、ティガがギンガとビクトリーに自分達の言葉を伝えると、2人は「はい!!」と頷き、この場を響達、ティガ、ダイナ、ガイア、コスモスに任せ、ギンガ、ビクトリー、ゼロ、メビウス、マックス、ネクサスは時空城へと向かって飛び立つのだった。

 

戦闘BGM「ティガ登場!〜光を継ぐものの闘争」

 

『さあ!! 俺達も!!』

『行くぞ!!』

 

ティガ、ダイナ、ガイアは一斉にファイブキングに、コスモスはヘルズキングへと向かって行き、途中で襲いかかって来る巨大アルカノイズをなぎ倒しつつダイナとガイアがそれぞれ右腕、左腕に掴みかかって動きを封じると即座にティガのチョップがファイブキングの頭部に叩きこまれる。

 

だが、ファイブキングは両腕を大きく振るってダイナとガイアを振り払い、レイキュバスの右腕から冷気と火炎を同時発射し、それをダイナに直撃させて軽く吹き飛ばす。

 

『ショア!!?』

 

続けてファイブキングはガイアを左腕で殴りつけて怯ませ、ティガにはゴルザ、メルバ、超コッヴのパーツの部分から光線や光弾を連続で発射するが・・・・・・。

 

翼の放った空間から大量の青いエネルギー剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する「千ノ落涙」でそれらを全て相殺され、翼はティガに対して頷くとティガもそれに対して頷き返す。

 

『チャア!!』

 

ティガはファイブキングに向かって駈け出して行き、腹部にストレートキックを叩きこむ。

 

戦闘BGM「光の巨人、再び」

 

だが、ファイブキングは右腕のハサミを振るってティガを斬りつけ、もう1度ハサミを振るってティガを斬りつけようとするがダイナの飛び膝蹴りがレイキュバスの右手に当たり、それによってバランスを崩したところを狙われ、ガイアに顔面を殴りつけられる。

 

「グルアアアアアア!!!!」

 

一度ファイブキングと距離を取るとダイナは両腕に溜めた青白いエネルギーを大型の三日月状にして放つ光のカッター「フラッシュサイクラー」を放つが、ファイブキングは左腕のガンQの盾で光線を吸収してしまう。

 

「ガアアアア!!!!」

 

ファイブキングは光線と光弾を散弾するようにティガ、ダイナ、ガイアに向かって放ち、それらの攻撃によって3人は怯むが・・・・・・。

 

「おおおおりゃあああああ!!!!」

 

響が殴り飛ばした巨大アルカノイズがファイブキングに激突し、それによって攻撃が中断されたところを狙い、ガイアがジャンプして跳び蹴りを放ち、ファイブキングの頭部に直撃させて脳を大きく揺れさせる。

 

戦闘BGM「逆転のクァンタムストリーム」

 

『デュア!!』

 

ガイアは光の剣、「アグルブレード」を出現させるとそれを振るってガンQの左腕を切り裂いて切断し、破壊。

 

「ガアアアア!!!?」

『ダアア!!』

 

そのまま後ろ回し蹴りを喰らわせ、続くようにダイナの拳がファイブキングの胸部に叩きこまれ、さらに続いてティガがファイブキングに飛びかかるとティガはファイブキングの頭を抑えつけて膝蹴りを喰らわせる。

 

『チャッ!!』

「グアア!!?」

 

そこでガイアは両手の間に作り出した赤い破壊光球「リキデイダー」を放ち、ファイブキングに直撃、火花を散らしてファイブキングはダメージを受ける。

 

戦闘BGM「エクリプス誕生」

 

ヘルズキングは両腕に装備されたソアッグビーム砲から強力なビームをこちらに向かって駈け出して来るコスモスに向かって発射するが、コスモスはそれを跳び上がって躱し、跳び蹴りをヘルズキングの喉に叩きこむ。

 

『ヘアアッ!!』

 

それによって身体が揺れるヘルズキングだが、すかさず右腕を振るってコスモスに攻撃を繰り出し、コスモスはそれを左腕で受け止めると右の手の平をヘルズキングの腹部に押し当て、勢いよく突くことでヘルズキングを後退させる。

 

『フウウ、ハアアアア!!』

 

ヘルズキングと距離を取るとそこからコスモスは一定のポーズを取った後、赤い姿・・・・・・「コロナモード」へと姿を変える。

 

コロナモードに姿を変えたコスモスはヘルズキングに向かい走り出すと、ヘルズキングの喉元を殴りつけ、腹部に膝蹴りを喰らわせる。

 

『シェア!!』

 

続けざまにコスモスはもう1度ヘルズキングの喉を攻撃しようと拳を放つが、ヘルズキングはその腕を掴んで背負い投げを繰り出し、地面に激突しそうになるコスモスだが、コスモスは地面に激突する直前に空中で停止し、ヘルズキングからそのまま距離を取る。

 

『ハアアア、シェアアア!!!!』

 

ヘルズキングと距離を離したコスモスは両腕に宇宙エネルギーを集結させ、L字型に組んで放つ破壊光線「ネイバスター光線」をヘルズキングに放ち、同時にヘルズキングも両腕からビームを発射し、両者の光線が激突し合って互いに相殺される。

 

そこでコスモスは先ほどとは違う一定のポーズを行うと、赤と青の模様が混じった強さと優しさ、そして勇気を兼ね備えた姿・・・・・・「エクリプスモード」へと変わる。

 

『ハアアア!!!!』

 

コスモスは高速でヘルズキングに詰め寄ると、ヘルズキングの喉元を何度も素早い動きで殴り続け、ヘルズキングはなんとか反撃しようと腕のソアックビーム砲をコスモスに向けようとするが、それに気付いたコスモスは後ろ回し蹴りを喰らわせることでヘルズキングの攻撃を阻止するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

時空城、第一階層。

 

そこへ辿り着いたギンガ、ビクトリー、ゼロ、メビウス、マックス、ネクサス。

 

すると彼等の目の前には悪魔のような姿をした黒い巨人、エタルダミーとなった「闇の巨人 ダークメフィスト」が現れる。

 

『ダークメフィスト!』

『奴の相手は俺がする』

 

そこでネクサスが一歩前に出ると、自らがメフィストの相手をすると宣言し、ネクサスはギンガとビクトリーに視線を向ける。

 

『光は絆だ。 誰かに受け継がれ、再び輝く』

 

戦闘BGM「ネクサス-Heroic-」

 

メフィストは鉤爪型の武器、「メフィストクロー」を構えながらネクサスと対峙し、お互いに身構える両者・・・・・・。

 

少しの間互いに睨んでいると、先に動いたのはメフィストの方であり、メフィストはクローを振るってネクサスに斬りかかるが、ネクサスは両手でメフィストの右腕を掴んで攻撃を阻止し、腹部に膝蹴りを叩きこむ。

 

『グゥ!?』

 

攻撃を受け、多少怯むもののメフィストはすぐに攻撃に切り替え、クローをネクサスに突き立てようとするが、ネクサスはクローを両手で掴んで受け止め、押し返すと両腕に装備された刃、「アームドネクサス」でメフィストの胸部を斬りつける。

 

『ヘアッ!!』

『ガア!?』

 

さらに攻撃の手を緩めず、ネクサスはメフィストの胸部に勢いをつけた拳を叩き込み、大きく吹き飛ばされるメフィスト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城、第二階層。

 

今度はそこへと辿り着いたギンガ、ビクトリー、ゼロ、メビウス、マックス。

 

『スラン星人!』

 

そこでは「高速宇宙人 スラン星人」がエタルダミーとなって出現し、マックスと一体化しているカイトは「成程な」と納得する。

 

『確かに俺はちょっとトラウマ持ってるかも、こいつに』

『私もだ』

 

スラン星人が相手となればとギンガ達みんなの前に出て、ファイティングポーズを取るマックス。

 

『地球の未来は、君たち自身の手で掴んでくれ』

 

戦闘BGM「ウルトラマンマックス2」

 

マックスはギンガとビクトリーにそれだけを言うと、マックスはスラン星人に向かって行き、スラン星人は両腕から発射する怪光線を放つが、マックスは両腕を交差して攻撃を防ぎながら突っ切り、光線をかき消すとスラン星人の顔面を殴りつける。

 

対するスラン星人も負けじと左拳でマックスの顔面を殴りつけるが、マックスは怯まずスラン星人の胸部に2度拳を叩き込んだ後、スラン星人の両肩を掴んで巴投げを繰り出し、投げ飛ばされたスラン星人は壁に激突して地面に倒れ込む。

 

『シェア!!』

 

だが、すぐに起き上がったスラン星人は超高速でそれによって残像を作り出し、マックスの周囲を囲み、両腕から放つ光線をマックスに直撃させる。

 

『ウアアアッ!!?』

 

それを受けて片膝を突くが、マックスは頭部に収納されてある「マクシウムソード」を複数に分身させて相手に投げる「マクシウムソード分身シュート」を繰り出し、残像を作り出すスラン星人全てにほぼ同時にマクシウムソードを直撃させ、それは見事本体に命中し、スラン星人は火花を散らして倒れ込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は第三階層へと辿り着いたギンガ達。

 

『フッハッハッハ・・・・・・!』

『エンペラ星人!』

 

次に待ち受けていたのは黒いマントを羽織り、禍々しいオーラを纏った「暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人」であり、そのエンペラ星人と対峙するのはメビウス。

 

『最後まで諦めず、不可能を可能にする! それが、ウルトラマンだ!!』

 

戦闘BGM「メビウス!」

 

この場をメビウスが引き受けると、メビウスはエンペラ星人に戦いを挑み、メビウスは蹴りをエンペラ星人に繰り出すが、エンペラ星人はそれを受け流してメビウスの腹部に手の平を押し当て、そこから黒い衝撃波のようなものを放つ。

 

『ウアア!!?』

 

それによって後ろに後退し、身体のバランスを崩したところを狙い、エンペラ星人は右手をかざして強力なサイコキネシスを発動させるがメビウスはそれを受ける前にエンペラ星人の頭上を飛び越えて背後に回り込み、そのままエンペラ星人の背中を蹴りつける。

 

『タアア!!』

 

そこから左腕に装着された「メビウスブレス」から光の剣、「メビュームブレード」を出現させるとそれを振るってエンペラ星人に攻撃を仕掛けるが、エンペラ星人はメビウスの攻撃をことごとく躱し、ブレードを右手で掴みあげる。

 

『セアッ!!』

 

だが、メビウスはブレードを掴まれた状態のまま右拳によるパンチをエンペラ星人の胸部に炸裂させるが、エンペラ星人は多少怯んだだけですぐにブレードを離すと同時に左手の爪を振るってメビウスの胸部を斬りつけ、吹き飛ばす。

 

『ウアア!!?』

 

地面に倒れ込むメビウスだが、すぐに起き上がるとメビウスはメビウスブレスのエネルギーを開放した後、腕を十字に組んで放つ必殺光線「メビュームシュート」をエンペラ星人に発射。

 

エンペラ星人は両腕で交差し、防ぐものの耐えきれず軽く吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城、第四階層・・・・・・。

 

『ウルトラマンベリアル!』

『ベリアル・・・・・・!』

『ウオオオオオ!!!!』

 

そこでは鋭い目つきの黒い巨人、エタルダミーとして現れた「ウルトラマンベリアル」が待ち構えており、どこか複雑そうな視線をビクトリーがベリアルに向ける中、今度はゼロがベリアルと対峙する。

 

『コウマ、零無、この星の未来、お前等に託したぜ?』

 

ゼロはそう言うと右手をギンガに向けてかざし、そこから一筋の光がギンガのカラータイマーの中へと入ると、ギンガのインナースペース内にいるコウマの手にストリウムブレスに似た1つのブレスレット、「ウルトラフュージョンブレス」が現れる。

 

『これが、ゼロが言っていた究極の力・・・・・・』

『だけど、俺達はまだ・・・・・・』

『フン。 弱気なこと言ってんじゃねえよ。 お前達なら、きっとこの戦いで使いこなせることが出来る筈だ。 信じてるぜ』

 

ゼロの言葉を受けて、戸惑うギンガとビクトリーだったが・・・・・・ゼロの言う通り、弱気になっていてはダメだと感じ、ギンガとビクトリーは互いに顔を見合わせた後、「あぁ!!」と力強く頷く。

 

そしてこの場をゼロに任せ、ギンガとビクトリーは最上階にいるエタルガーの元へと向かい、ゼロはベリアルに近づいて両者は互いに強く睨み合う。

 

『フハハハハ・・・・・・!!』

『・・・・・・ベリアル・・・・・・。 行くぜ!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロのテーマ」

 

ゼロは拳、ベリアルは蹴りを繰り出して両者ほぼ同時に攻撃が当たると両者は互いに怯むが、ゼロはすぐさま足に炎を纏わせた連続蹴りをベリアルに繰り出し、ベリアルは両腕でそれを受け流す。

 

『シェア!!』

 

するとベリアルはゼロの右足を掴んで持ち上げるとそのまま地面にゼロを叩きつけ、苦悶の声をあげるゼロ。

 

『ぐぅ!?』

『フハハハ!!』

 

倒れ込んだゼロにベリアルは自身の爪をゼロに向かって突き立てようとするが、ゼロは額のビームランプから放つ「エメリウムスラッシュ」をベリアルに直撃させ、ベリアルを自分から遠ざけることに成功。

 

『エメリウムスラッシュ!!』

『ウオッ!?』

 

勢いよく立ち上がるとゼロは頭部の「ゼロスラッガー」を手に取って構え、ベリアルも両手から伸びた赤い爪を伸ばして敵を切り裂く「カイザーベリアルクロー」を発動し、ゼロとベリアルは互いに激しく斬り合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城最上階にて。

 

そこへギンガとビクトリーが辿り着くと同時に2人はエタルガーが不意打ち気味に放った幾つもの赤い光線の直撃を受け、身体中から火花を散らして片膝を突くギンガとビクトリー。

 

『『ウアアアア!!!!?』』

『来たか。 ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリー・・・・・・』

 

エタルガーの攻撃によってフラつきながらもギンガとビクトリーはなんとか立ち上がり、コウマはフュージョンブレスを使おうとストリウムブレスを外し、早速フュージョンブレスを自身の左腕に装着しようとする。

 

『エタルガー・・・・・・!! 零無、今こそ、ゼロから託されたこいつを使うぞ!!!』

『あぁ!』

 

しかし、フュージョンブレスは腕に装着しようとした瞬間「バチィ!!」という音を立ててコウマの腕から弾かれてしまい、それに目を見開くコウマと零無。

 

『そんな・・・・・・!』

『やっぱり、俺達にはまだ使えないのか・・・・・・!』

 

それを受けて、ギンガはゼロが自分達を信じてフュージョンブレスを託してくれたのにと悔しそうに地面を殴る。

 

『なんだか知らぬが、来ないならこちらから行くぞ!!』

 

しかし、エタルガーはそんな自分達の都合など待ってはくれない。

 

『だったら、タロウ! 行くぞ!!』

『あぁ! ギンガに力を! ギンガストリウム!』

 

フュージョンブレスが使えないならばとギンガは「ギンガストリウム」に強化変身すると、ギンガとビクトリーは共にエタルガーへと立ち向かい、ギンガはエタルガーの胸部に連続で何発もの拳を叩き込むが、エタルガーはビクともせず、逆にギンガの顔面を殴りつけ、ギンガは空中を一回転しながら地面に倒れる。

 

『ウアアッ!?』

『ツェア!!』

『ウルトランス! EXレッドキング! ナックル!』

 

今度は「EXレッドキングナックル」を発動させたビクトリーがエタルガーを殴りつけるが、エタルガーは左手でEXレッドキングナックルを掴み上げるとビクトリーの横腹に強烈なを蹴りを入れ、さらに近距離から複数の赤い光線をビクトリーに撃ち込む。

 

『ウアアアッ!?』

 

さらにその光線はそのまま地面に倒れ込んでいたギンガに直撃し、大ダメージを受ける2人のウルトラマン。

 

『グゥ、ビクトリウムシュート!!』

『セブンの力よ! ネオ・ワイドショット!!』

 

どうにか立ち上がったギンガとビクトリーはV字を描いて形成したエネルギーを右腕に集めてから両腕をL字型に組んで放つV字型の必殺光線「ビクトリウムシュート」を、ギンガは両腕を広げより多めにエネルギーをチャージして放つ「ネオ・ワイドショット」をエタルガーに向かって同時に放ち、直撃を受けたエタルガーは爆発の炎に包まれるが・・・・・・。

 

エタルガーは右腕を振るって炎をかき消すと同時に赤い光線を複数発射し、ギンガとビクトリーに直撃させてダメージを与える。

 

『『ウアアアアア!!!!?』』

 

膝を突き、自分達の攻撃がまるで通用しないことに息を切らしながら驚愕するギンガとビクトリー・・・・・・。

 

『俺達の攻撃が、効かない・・・・・・!』

『それでも、俺達は・・・・・・!! 諦めない!!』

 

それでも、立ち上がろうとするギンガとビクトリーだったが・・・・・・。

 

エタルガーはそんな2人を見てほくそ笑むと、「そろそろか」と呟き、空を見上げる。

 

『なんだ・・・・・・?』

 

エタルガーのその行動にギンガ達が疑問を感じていると、エタルガーは不意に指を「パチン」と鳴らし、時空城の端の方に1つの砲台・・・・・・「ビクトリウム・キャノン」が出現する。

 

『フハハハ・・・・・・』

『あれは・・・・・・! お前! シェパードンに何をした!?』

 

ビクトリウム・キャノンが出現した瞬間、ビクトリーはその中からシェパードンの気配を感じ取り、一体シェパードンに何をしたのかと彼はエタルガーに問い詰める。

 

『フハハハ・・・・・・』

 

しかし、エタルガーは笑うだけで何も答えず、ビクトリーは「返せ!!」とビクトリウム・キャノンに向かって手を伸ばすが、その手をエタルガーが掴み取り、腹部に蹴りを入れるとギンガの方へと投げ飛ばし、2人は激突して倒れ込む。

 

『ウアア!?』

『ガアア!!?』

『シェパードンに何をしたのか、その答え・・・・・・今から教えてやろう』

 

エタルガーがそう言うと親指をクイッと上に向け、ギンガとビクトリーが空を見上げると・・・・・・。

 

『あれは・・・・・・!』

『まさか!!』

 

そこには青い炎の巨大な球体が迫って来ており、その中で薄らと見えた存在に驚愕するギンガとビクトリー・・・・・・。

 

やがてそれはエタルガーの用意したビクトリウム・キャノンに直撃するとビクトリウム・キャノンは青い光を纏い、エクセラーの宇宙船からは今までエクセラーが集めていたビクトリウム鉱石のエネルギーが放出され、それがビクトリウム・キャノンに降り注がれる。

 

そうしてシェパードンのスパークドールズ、ビクトリウム鉱石、ビクトリウム・キャノン、そしてルギエルの肉体が1つとなって合わさり・・・・・・ビクトリウムキャノンはやがてダークルギエルを怪獣化させたような姿・・・・・・「超咆哮獣 ビクトルギエル」へと変化したのだった。

 

『ダークルギエル・・・・・・なのか?』

『ダァーッハッハッハッハ!!! その通り!!』

『っ、その声・・・・・・チブル星人か!』

 

ビクトリウム・キャノンと融合した影響か、ビクトルギエルの身体の中にはコックピットに当たる広い空間が出来上がっており、その中にエクセラーが乗り込むと、エクセラーはビクトルギエルを操り、遂に念願だったルギエルの肉体、しかもより強化されたものを手に入れたことを喜んだ。

 

『宇宙最強の肉体と、宇宙最高の頭脳! それが1つになった究極の生命体・・・・・・その名も、『ビクトルギエル』!!』

 

ビクトルギエルは胸部から「ビクトリウム・キャノン」を出現させると、そこからエネルギーをチャージし・・・・・・一気にそれを発射する巨大な光線を放つ。

 

『早速見せてあげましょう、この力ァ!! ビクトリウム・キャノン、発射ァ!!』

『不味い!!』

『避けろぉ!!』

 

咄嗟にギンガとビクトリーが左右に躱すことで直撃避けられたものの・・・・・・光線は2人の背後にあった山に直撃し、直撃を受けた山は跡形も無く消滅。

 

『っ! なんだよ、あれ!! あんなのをまともに喰らったら・・・・・・!』

『あの武器を使うために、シェパードンのスパークドールズを・・・・・・!!』

 

ギンガもビクトリーもビクトルギエルに備えられたビクトリウム・キャノンの威力に驚愕。

 

『ムッシュ・エタルガー? ここまでして頂いたお礼です。 ギンガとビクトリーは、この私が倒し、あなたへと献上させて頂きましょう。 ビクトルギエルの力も試したいところですしね?』

『良かろう。 ならば俺は、その光景を見学させて貰おうか』

 

エクセラーの言葉を受けて、エタルガーは後ろに下がり、ギンガ達が戦う相手をビクトルギエルと交代させるとビクトルギエルは雄叫びをあげながらギンガとビクトリーに向かって行く。

 

『ショウラ!!』

 

同時にギンガもビクトルギエルに向かって行き、胸部に何発も素早く連続で拳を叩き込むが、ビクトルギエルはビクともせず、右腕を振るってギンガを殴り飛ばす。

 

『ウアアア!!?』

『ウルトランス! キングジョー! ランチャー!』

 

ビクトリーは右腕を「キングジョー・ランチャー」に変えると、ランチャーを構えて幾つもの銃弾を発射。

 

しかし、ビクトルギエルは銃弾を受け続けている状態にも関わらず、真っ直ぐビクトリーへと向かって行き、ビクトリーの首を掴みあげると持ち上げてそのまま地面に叩きつける。

 

『ウアア!!?』

『零無!!』

 

それを見てギンガは後ろからビクトルギエルに飛びかかるのだが、ビクトルギエルはビクトリーを蹴り飛ばし、振り返りざまに左腕の爪を振るってギンガを斬りつけ、ギンガは火花を散らしながら吹き飛ばす。

 

『ウアアア!!!!?』

 

そこでなんとか立ち上がったビクトリーは全身のクリスタルからエネルギー弾を連射する「ビクトリウムエスペシャリー」をビクトルギエルに向かって放ち、同時に片膝を突きながらも「ウルトラマンジャック」の力を発動させて右腕を突き出して放つ必殺光線「ウルトラショット」を放つギンガ。

 

『ビクトリウムエスペシャリー!!』

『ウルトラマンジャックの力よ! ウルトラショット!!』

 

2人の技はビクトルギエルに見事直撃・・・・・・しかし、2人のウルトラマンの必殺技をまともに喰らったにも関わらず、ビクトルギエルは掠り傷1つついておらず、そのことに驚愕するギンガとビクトリー。

 

『こいつも身体が硬いのかよ・・・・・・!!』

『どうすれば・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

また響、翼、クリス、マリア、切歌、調の6人は「歌」を口ずさみながらアルカノイズやチブロイド達に対して次々と攻撃を加えていた。

 

挿入歌「始まりの歌」

 

響は右腕に巨大な槍を装備して空中にいるアルカノイズ達を一気に貫くとそのまま地上に向かって突っ込み、槍で数体アルカノイズやチブロイド達の身体を貫くと、その時に発生した衝撃で他のアルカノイズやチブロイド達が吹き飛ばされる。

 

『あの子も、あたし達と同じだったんデスね・・・・・・』

『踏みにじられて、翻弄されて・・・・・・だけど、何とかしたいともがき続けて・・・・・・!』

 

調と切歌はアームドギアを合体させ、鋸の回転と鎌を利用したギロチンマシンでアルカノイズとチブロイド達を一度に纏めて一気に切り裂き、クリスはチブロイド達から放たれる銃弾を躱しながら、複数のレーザー砲でアルカノイズやチブロイドを撃ち抜く。

 

『救ってあげなきゃな。 何せ、あたしも救われた身だ!』

『その為であれば! 奇跡を纏い、何度だって立ち上がって見せる!』

 

翼は2本の刀のアームドギアを構え、両足ブレードを大型化させて空中にいた巨大な飛行型ノイズを切り裂くが、彼女の目の前にいつの間にかやってきたファイブキングが迫る。

 

「っ!?」

『ショア!!』

 

だが、そこへと割って入ってやってきたダイナの鋭い蹴りがファイブキングの頭部に直撃し、バランスを崩したところを狙い、翼はファイブキングの真横に回り込んでレイキュバスの右腕を切断。

 

「グアアアアア!!!!?」

 

ダイナは翼に対してサムズアップを行うと、翼もそれに応えるかのように頷く。

 

『その為に私達は、この戦いの空に・・・・・・歌を歌う!!!!』

 

響はアルカノイズ達を右腕に装備した槍で貫きながらそう言い放ち、マリアはコスモスと戦うヘルズキングの援護へと向かい、彼女は幾つもの短剣を空中に浮かばせるとそれをピットのように操り、短剣からレーザーを発射。

 

先ほどからずっとコスモスがヘルズキングの喉ばかりを狙っていたことからマリアはヘルズキングの弱点が喉であると理解した為、レーザーはヘルズキングの喉元に集中放火。

 

すると僅かにヘルズキングの喉にヒビが入り、そこをコスモスは見逃さず、拳をヘルズキングの喉に喰らわせる。

 

『ハアアア!!!』

 

エクスドライブとなった響達にとってアルカノイズ、チブロイドなどもはや相手にはならず・・・・・・。

 

さらにファイブキングやヘルズキングの存在があるとはいえ、この2体も徐々に押され始めている上、ティガ、ダイナ、ガイア、コスモスは未だに余裕のある様子だった。

 

また、この戦いを司令室で見ていた緒川も、「これなら!」と勝利を僅かに確信するが・・・・・・。

 

「エクスドライブのパワーであれば・・・・・・!」

「だが、同等のパワーを備えているのがキャロルだ」

 

しかし、弦十郎は未だ油断を許しておらず、気付けばキャロルの周囲には幾つもの魔法陣のようなものが出現しており、エネルギーを増幅させていたのだ。

 

「さっきのアルカノイズやチブロイドは時間稼ぎ!?」

「残った思い出丸ごと焼却するつもりなのか!?」

 

キャロルは血の涙を流しながら、何もかも壊れてしまえと・・・・・・怒りのまま叫ぶ。

 

「何もかも壊れてしまえ・・・・・・。 世界も、奇跡も、俺の思い出もォ!!!!」

 

キャロルがそう叫んだその瞬間、キャロルから眩い光が放たれると同時に強い衝撃波のようなものが放たれ、響達はなんとか吹き飛ばされそうになるのを堪える。

 

それと同時に、その放出されたエネルギーの波はエネルギーの波を受けたファイブキングやヘルズキングにもなぜか影響を与え、切断されたファイブキングの両腕が復活し、ヘルズキングの喉も元に戻ってしまったのだ。

 

なぜファイブキングやヘルズキングの傷が治ったのか、それはもしかすれば響達がキャロルのフォニックゲインを受け止め、そのエネルギーを放出させてティガ達を復活させたのと同じ原理なのかもしれない。

 

『なに!?』

『そんな!?』

 

当然、そのことに驚くティガ達。

 

ここまで追い詰めておいてまさかの再生に4人のウルトラマンは激しく動揺し、ファイブキングは身体の怪獣達の各パーツ部分から光線や光弾、冷気と炎、ヘルズキングは両腕からのビームを放ち、ティガ、ダイナ、ガイア、コスモスは爆発の炎に包まれる。

 

『『『『ウアアアアアア!!!!?』』』』

「ウルトラマン達が・・・・・・!」

「翼! 私達はキャロルを! あの娘を救うと誓った!!」

 

翼は吹き飛ばされるウルトラマン達の身を案じるが、自分達はキャロルを優先しようとマリアは彼女に言い放ち、翼はそれに頷く。

 

「分かった! 共にかけるぞ、マリア!!」

 

すると翼とマリアの二人は重なり、六本の剣を束ねてドリルのように回転してキャロルへと突っ込んでいく。

 

しかし、それはキャロルの張ったバリアに防がれ、翼とマリアはあっさりと弾かれてしまった。

 

「「わあああああ!!!?」」

「先輩!!」

「マリア!!」

 

すると、キャロルは幾つもの弦を伸ばすと、彼女はそれを操り、自身を繭のように包むとやがてそれは形を変え、緑の外装に金色の角のある獅子のような姿・・・・・・。

 

『すべてを無に帰す・・・・・・。 なんだかどうでもよくなってきたが、そうでもしなければ臍の下の疼きが収まらん・・・・・・!!』

 

思い出のほぼ全てを焼却することで、キャロルは「碧の獅子機」となったのだ。

 

『なんだあれゾ〇ド?』

『いや、多分違っ・・・・・・』

『そんなのどうでもいいから! 来るぞ!』

 

そんなダイナとガイアの会話のやり取りを注意しながら、ティガはこちらに向かって来るファイブキングとヘルズキングに警戒する。

 

ファイブキングは素早くダイナに迫ってくると右腕のハサミでダイナの首を掴みあげ、首を掴まれたダイナは苦悶の声を漏らすがそれをガイアが膝蹴りをファイブキングの右腕に喰らわせることでダイナを解放させることに成功。

 

『チャッ!!』

 

その間にティガがファイブキングの左腕を掴みあげ、頭部にチョップを叩きこむ。

 

「ガアアアア!!!!」

 

ファイブキングは左腕を大きく振るってティガを突き放し、腹部から光弾をティガに撃ち込んで直撃させる。

 

『ダアア!!?』

 

一方でコスモスは両腕をクロスして溜めた宇宙エネルギーを右腕を伸ばして放つ必殺光線「コズミューム光線」をヘルズキングの喉元目がけて放ち、直撃を受けるとヘルズキングは大きく吹き飛んで背中から地面に強く激突して倒れ込む。

 

だが、ヘルズキングは両腕だけをコスモスに向け、ビームを発射。

 

それを喰らったコスモスは今度は自分が大きく吹き飛ばされ、地面に倒れ込んでしまうのだった。

 

『ウアアア!!? グゥ・・・・・・!?』

 

またティガ達の戦いと平行して・・・・・・。

 

緑の獅子機は口から強烈な炎をクリス達に吐き出し、クリス達はなんとか上昇することで攻撃を躱すことが出来たが・・・・・・その炎はビルを幾つも貫いて破壊し、大爆発を起こし、その光景を見たクリス達は驚愕の表情を浮かべる。

 

「あの威力、どこまで・・・・・・!!」

「だったらやられる前に、やるだけデス!!」

「おい!!」

 

それならばと切歌と調は撃たれる前にこっちから仕掛ければ良いと判断し、クリスの制止も聞かず、切歌は鎌のアームドギアで獅子機に斬りかかり、調はヨーヨーのアームドギアで獅子機を何度も殴るが・・・・・・獅子機の装甲は硬く、逆に少し獅子機が咆哮をあげただけでその衝撃によって2人は吹き飛ばされてしまう。

 

「「わあああああ!!!!?」」

「あの鉄壁は金城。 散発を繰り返すばかりでは突破できない!!」

「ならば! アームドギアにエクスドライブの全エネルギーを収束し、鎧通すまで!!」

 

そして、そのエネルギーの収束を行うために、翼を中心に、マリア、切歌、調、クリスが地上に降りて彼女達は一箇所に集まる。

 

「身を捨てて拾う、瞬間最大火力!!」

「ついでにその攻撃も同時収束デェス!」

「ご託は後だ!! マシマシが来るぞ!!」

 

獅子機の口かが輝くと、そこから幾つものレーザーのようなものがクリス達に放たれるが・・・・・・それを響が右腕に装着した槍で受け止め、みんなを守る。

 

「ぐぅ、私が受け止めている間に!!」

「やるぞ!!」

 

響が獅子機の攻撃を受け止めている、その隙にとクリス達はそれぞれの身体に装着されたアーマー部分を外すとそれは空中で1つとなり、5つの光輝く塊となる。

 

そしてクリス、翼、マリア、切歌、調が同時に右手を獅子機に向かってかざすと、それは獅子機に真っ直ぐ向かって行き、獅子機に直撃。

 

その攻撃は獅子機の装甲を破るには十分だったのだが、獅子機に乗り込んでいたキャロルには一切のダメージはなく・・・・・・。

 

「アームドギアが一振り足りなかったな」

 

そのことに、キャロルは余裕の笑みを浮かべるが・・・・・・。

 

「っ!?」

 

キャロルの目の前には、槍を掲げて、その一点に拡散したみんなのエネルギーを集める響の姿があり、キャロルはその光景に目を見開き、驚愕した。

 

そう、一度目の攻撃は獅子機の装甲を破るためだけに繰り出した技・・・・・・本命は、響による攻撃だった。

 

「奇跡は殺す!! 皆殺す!! 俺は奇跡の殺戮者にィ!!!!!」

 

キャロルはその光を忌々しげに睨み付けながら、彼女は獅子機の口から光線を吐き出させ、響に攻撃を繰り出し、その光線の直撃を響は受けてしまう。

 

「立花ーーーーー!!!!」

 

それを見て翼は響の名を叫び、キャロルは不敵な笑みを浮かべるが・・・・・・。

 

「繋ぐこの手が、私のアームドギアだぁ!!」

 

そこにはみんなの力を貰ったことで、右腕に装着された巨大な槍を、誇大な腕へと変化させ、キャロルの放った攻撃を受け止めている響の姿があり、その右手は光線を握りつぶしてかき消す。

 

「当たると痛いこの拳、だけど未来は、誰かを傷つけるだけじゃないって教えてくれた!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

挿入歌「英雄の詩」

 

未だティガ、ダイナ、ガイアと互角に戦うファイブキング。

 

しかし、徐々にファイブキングは再び3人のウルトラマンに推されて行き、空中へと飛び立ち、空から攻撃を行おうとするが・・・・・・それを見たティガ、ダイナ、ガイアはそれぞれ姿を変える。

 

ティガは身体が紫色でスピードに優れた「スカイタイプ」に。

 

ダイナはパワーに優れた赤い姿「ストロングタイプ」に。

 

ガイアは自分の持つ大地と海の力を最大限にまで解放して赤と青の形態、「スプリームヴァージョン」にヴァージョンアップ。

 

『チャア!!』

 

ティガはファイブキングを追いかけるように空へと飛び立つと一気にファイブキングよりも高く空中へと飛び、急降下しながらのキックをファイブキングの頭部に喰らわせ、それによってファイブキングは身体のバランスを崩して地上にまで落下。

 

『ガアアア!!!!?』

 

ファイブキングが地上に落下したところでガイアがファイブキングの尻尾を掴みあげ、ジャイアントスイングを繰り出して豪快に投げ、地面に激しく激突する。

 

『ハアアア、ダアアア!!!!』

「グルアアアアア!!!!?」

 

フラつきながらも、なんとか立ち上がるファイブキングだったが、直後にダイナのエネルギーを左手に集めて赤熱化させ、敵に突進してパンチを食らわす「ストロングパンチ」をファイブキングは腹部に受けて身体中から火花を散らす。

 

『ハアア、デヤアア!!』

「グアアアアアア!!!!?」

 

そしてティガを中心にダイナとガイアが並び立つとダイナは胸の前で両拳を合わせて前方にエネルギーを発生させ、それを凝縮して超高熱の赤色光弾に変えてからの右パンチで放つ必殺技「ガルネイドボンバー・シューティングバージョン」を放つ。

 

同時に、上体を後ろに反らし腕にエネルギーを溜め、それを前に持ってくると、合掌した右手を下にずらして自身の持つ最強の必殺光線「フォトンストリーム」をガイアは発射。

 

最後に両腕を胸の前で交差させたあと瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集約し、両手を左腰に置いてから手裏剣を投げるように素早く光弾を放つ必殺技「ランバルト光弾」をティガはファイブキングに向かって放つ。

 

「グルウウウウ!!! ガアアアアア!!!!!?」

 

3人の必殺光線の直撃を受けたファイブキングは耐えきれず、断末魔をあげながら爆発するのだった。

 

『ヘアッ!!』

 

コスモスは右腕にパワーを籠め、敵をストレートパンチで粉砕する「ダイヤモンド・クラッシュ」をヘルズキングに繰り出すが、ヘルズキングはその腕を掴んでコスモスは空中へと投げ飛ばす。

 

だが、コスモスは空中で身体を回転させて地面に着地すると、コスモスの身体が一瞬金色に輝き、さらにエクリプスモードよりも上の強化形態、優しさと強さと勇気、そして「希望」の力が加わった「フューチャーモード」へと変わる。

 

そんなコスモスに向けてヘルズキングはソアッグビーム砲を放つが、青色のバリア「ゴールデンエクストラバリア」を張り巡らせて攻撃を防ぐ。

 

ヘルズキングの攻撃を防ぎきったコスモスはバリアを解除すると同時に一瞬でヘルズキングに詰めより、拳を握りしめてヘルズキングの喉を殴りつけ、その一撃によってヘルズキングの喉に僅かにヒビが入り、コスモスは後ろ回し蹴りを喰らわせる。

 

『ハアア、シェアアア!!!!』

 

そしてコスモスは両手を下向きにクロスさせた後、両腕を広げて右腕を前に突き出して放つ必殺光線「コスモストライク」をヘルズキングの喉に向かって放ち、その部分の装甲が砕け、そのまま剥き出しとなった喉部分を貫くと、ヘルズキングは火花をあげながら爆発するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城第一階層では・・・・・・。

 

メフィストは右腕のメフィストクローから黒い光弾を連射する「ハイパーメフィストショット」をネクサスに向かって放つが、ネクサスは鎧を纏ったかのような銀色の姿、「ジュネッスシルバー」に変わるとそれを右腕のアームドネクサスで受け止め、メフィストの放つ光弾を光のエネルギーに変換して一気に撃ち返す「スピルレイ・ジェネレード」を繰り出し、それを喰らったメフィストは大きく吹き飛ばされる。

 

『グアアアッ!!!?』

 

そしてネクサスは空中へと吹き飛ばされたメフィストに向かって両腕を広げてエネルギーを溜め、そのエネルギーを両腕を十字にクロスさせて発射する必殺光線「ネオクロスレイ・シュトローム」を発射し、直撃を受けたメフィストは青い光に包まれて粒子となって消滅するのだった。

 

『ハアアア、シェアアア!!!!』

『ウグアアア!!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城第二階層。

 

マックスはスラン星人を蹴り飛ばすと、左腕を掲げて「マックスギャラクシー」を召喚し、変形したマックスギャラクシーを右手に装着。

 

スラン星人は高速で移動しながら光弾をマックスに撃ち込んでくるが、マックスはマックスギャラクシーに光の刃を伸ばした「ギャラクシーソード」と頭部に収納されているブーメラン型の武器、「マクシウムソード」を手に取ってスラン星人の光弾を全て切り裂いて防ぐ。

 

『ハアア、ダアアア!!!!』

 

さらにギャラクシーソードの刀身を伸ばし、横一閃に振るうことで高速移動中のスラン星人を切り裂き、切り裂かれたスラン星人は爆発するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城第三階層。

 

メビウスは身体に炎の模様を描いた「バーニングブレイブ」に変わり、エンペラ星人は黒い光弾をメビウスに向かって放つが、メビウスは跳び上がって躱すと同時にエンペラ星人に向かって自身に炎を纏わせながら身体を回転させて繰り出す跳び蹴り「バーニングメビウスピンキック」をエンペラ星人に炸裂させる。

 

『タアアア!!!!』

『グオッ!?』

 

それにたじろくエンペラ星人の隙を見逃さず、メビウスは全身に炎を宿しながらエンペラ星人にしがみつき、自分諸共相手を爆発させる「バーニングメビュームダイナマイト」を繰り出す。

 

『ハアアア、セアアアア!!!!!』

『ぐあああああああああ!!!!?』

 

その後、メビウスは自身の左腕に装着されたメビウスブレスの力により再生し、見事にエンペラ星人を倒したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

時空城第四階層。

 

ゼロは赤い姿「ストロングコロナゼロ」となると、炎を纏わせたパンチを繰り出す「ストロングコロナアタック」を次々にベリアルを叩き込み、そのまま腕から撃ちだす、高熱エネルギー弾「ガルネイドバスター」をアッパーカットの要領でベリアルに放つ。

 

『ガルネイドォ!! バス!! タアアア!!!!』

『ぐあああああああ!!!!?』

 

そのまま今度は青い姿「ルナミラクルゼロ」に姿を変えると、ゼロは跳び上がってベリアルに向かい、光のゼロスラッガーをつくり、それを無数に分裂させて発射する「ミラクルゼロスラッガー」でベリアルの身体を切り刻む。

 

『ミラクルゼロスラッガー!!』

『うあああ!!!?』

 

それを受けたベリアルは地面に背中から強く激突し、ゼロは通常形態に戻ると左腕の「ウルティメイトブレスレット」を銀色の鎧「ウルティメイトイージス」を纏った「ウルティメイトゼロ」へと変わり、地面に降り立つ。

 

『ウルティメイトゼロ!!』

『があああああ!!!!?』

 

そのままイージスを変形させて巨大な弓矢形態「ファイナルウルティメイトゼロモード」に変形させると、それをそのまま撃ち出す単発チャージ版「ファイナルウルティメイトゼロ」を立ち上がった直後のベリアルに炸裂させ、ベリアルは大きく吹き飛ばされて時空城の壁を突き破り、外へと投げ出される。

 

『ファイナルウルティメイトゼロ!!』

 

そこから左腕にブレスレットが戻ると今度は金色の姿、「シャイニングウルトラマンゼロ」へと変わる。

 

『シャイニングウルトラマンゼロ! これでトドメだ!!』

 

外に放り出されたベリアルに向かってその場からゼロは額のビームランプから放つ通常よりも巨大な光線となったエメリウムスラッシュ・・・・・・「シャイニングエメリウムスラッシュ」が放たれ、それはベリアルの身体を貫き、ベリアルは空中で爆発するのだった。

 

『シャイニングエメリウムスラッシュ!!』

『うぐううう!!? うあああああああ!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

挿入歌「Glorious Break」

 

そして・・・・・・キャロルと響は・・・・・・。

 

「枕を潰すッ!! ぐっ!?」

 

忌々しげに響を睨むキャロルだったが、その時、突如として身体に不調が表れ、「こんな時に拒絶反応!?」と驚きの声をあげる。

 

「あ、あが・・・・・・!? 違う、これは、俺を止めようとするパパの思い出・・・・・・!」

 

身体の不調、それはキャロルを止めようとする父、イザークとの思い出であり、彼女の脳裏に父と楽しく過ごしていた時の映像が流れる。

 

「認めるか、認めるものか!! 俺を否定する思い出などいらぬ!! 全部燃やして力と変われえええええええ!!!!!」

 

しかし、キャロルは遂に残っていた父親との思い出までも焼却し、力と変えてしまうと、獅子機は黄金の光線を口から吐き出す。

 

それと同時に、響は巨大な拳のアームドギアを変形させ、さらに巨大な拳のアームドギアとすると、その拳を振りかざし、響の拳がキャロルに向かって放たれる。

 

響の拳と、獅子機の放つ光線が互いに激しく、強くぶつかり合う。

 

「うおおおおおおお!!!!!」

「うおおおおおおお!!!!!」

 

それを受けて、翼達も残った自分達の力を響に分け与えようと彼女達は響に向かって手をかざす。

 

「立花に力を!! 天羽々斬!!」

「イチイバル!!」

「シェルシャガナ!!」

「イガリマ!!」

「アガートラーム!!」

 

6人のシンフォギアの紋章が響の拳で1つに重なり合うと、それは響の力となり、彼女は一気に獅子機の光線を押し返していく。

 

「うおおおおお!!!! ガングニイイイイイイル!!!!!」

 

そして遂に、みんなの想いを載せた響の拳・・・・・・『Glorious Break』は獅子機を殴りつけることに成功し、獅子機の身体にヒビが入っていく。

 

挿入歌「Exterminate」

 

しかし、それの影響で獅子機の中に満ちる膨大なエネルギーが行き場を失ったことで暴走を始め、S.O.N.G.司令室の計算ではこのまま放っておけばあと60秒で獅子機は爆発し、半径20キロが爆心地となり、3キロまでの建造物は深刻な被害に見舞わるという計算がたたき出された。

 

「まるで、小型の太陽・・・・・・」

 

その光景を見て、緒川は静かにそう例えて呟く。

 

「ふふふ、お前に見せて刻んでやる・・・・・・。 歌では何も救えない世界の心理を・・・・・・」

 

それはキャロルの最後の悪あがきだったが、それでも響は決して諦めない。

 

「諦めない!! 奇跡だって手繰って見せる!!」

 

しかし、響はキャロルの出した弦で拘束され、身動きが取れない。

 

「奇跡は呪いだ、すがるものをとり殺す!!」

 

すると、獅子機の身体の各部から次々と爆発が起き、その衝撃でキャロルは外に放り出されて彼女は元の姿に戻り、吹き飛ばされてしまう。

 

「キャロルちゃん!!」

 

だが、そのおかげで響は拘束から抜け出すことができ、響は急いでキャロルの元へと飛んで向かう。

 

『よし、あの娘達はあそこから抜け出したな!』

 

獅子機の大爆発まであと20秒・・・・・・そこでマルチタイプに戻ったティガが両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜めた後、両腕をL字に組んで放つ必殺光線「ゼペリオン光線」を獅子機に向かって放ち、光線を受けた獅子機はそのまま宇宙まで押し出され、宇宙空間で大爆発を起こす。

 

「キャロルちゃん! 手を伸ばすんだ!!」

 

それと同時に、響は必死にキャロルに手を伸ばすが・・・・・・キャロルはその手を未だ拒む。

 

「ふふ、お前の歌で救えるものか!! 誰も救えるものかよぉ!!」

 

それを助けに行こうとするガイアだったが、それをダイナが引き止める。

 

『待て! ここは、俺達が手出しするところじゃない・・・・・・』

『でも!』

『ギリギリまで、アイツ等だけで頑張らせるんだ。 ここは・・・・・・』

 

ダイナはガイアにそう言って納得させ、キャロルに右手を伸ばし続ける響は左手で胸部のモジュールに手を伸ばし、イグナイトモジュールを起動させる。

 

「抜剣!!」

『ダインスレーーーーイブ!!!!』

 

その時、この場にいないエルフナインの声が聞こえ・・・・・・イグナイトモジュールを纏った響に、エルフナインの姿が重なり、彼女もまた・・・・・・キャロルに手を伸ばす。

 

『キャロル!』

 

それと重なるように、今度は響の姿に、自身の父・・・・・・イザークの姿が重なり、彼もまた、響、エルフナインと同じようにキャロルを救う為に・・・・・・必死に手を伸ばす。

 

「っ!!?」

『キャロル、世界を知るんだ・・・・・・!」

「パパ!?」

『何時か人と人とが分かり合うことこそ、僕達に与えられた命題なんだ・・・・・・! 賢いキャロルには分かるよね? そしてその為にどうすれば良いのかも・・・・・・』

 

イザークのその言葉を受けて、キャロルは涙を流しながらも・・・・・・遂に、響の、エルフナインの、イザークの手を取ったのだった。

 

「っ・・・・・・!! パパアアアアア!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャロルの手を取った響は彼女を抱きかかえ、ゆっくりと地上に降り立つ。

 

「助けられて、良かった」

「・・・・・・」

 

響はそう言いながらキャロルに笑みを向けるが、キャロルはぶっきらぼうな表情のまま。

 

そこへ丁度翼、クリス、マリア、切歌、調もやってきて翼達は響が無事にキャロルを救えたことにホッと一安心し、安堵の溜め息を吐く。

 

「良かった。 あとはエタルガーの方を・・・・・・」

 

マリアがそこまで言いかけたその時・・・・・・!

 

『『ウアアアアアア!!!!?』』

 

ギンガとビクトリーが時空城の最上階から叩き落とされて来たのだ。

 

「コウマ!?」

「零無!?」

 

それと同時に、時空城からビクトルギエルが地上に降り立ち、ビクトルギエルのコックピット内でエクセラーは意気揚々に「エクセレント!!」と歓喜の声をあげていた。

 

『見たかこのパワー!! 宇宙最高の頭脳は、宇宙最強の肉体に宿る!! 偉大なるグランドマスター、ルギエル!! これであなたの身体は、完全にふっかt』

 

そこまでエクセラーが言いかけた時、突如としてエクセラーの身体が爆発。

 

コトッとコックピットの床に、エクセラーのスパークドールズが落ち、奥から黒い鎧を纏ったかのような存在が、歩いて来たのだ。

 

『・・・・・・ご苦労だった。 チブル星人』

 

すると、外の空間に小さな穴が開くと、そこから等身大のダークルギエルの幻影が現れる。

 

『我が名はルギエル。 ダークルギエル! 我は今、蘇りたり・・・・・・!』

「ダークルギエル・・・・・・だと!?」

 

それは、ダークルギエルの本当の復活だった・・・・・・。

 

エクセラーが利用するためだけの肉体ではなく、正真正面の・・・・・・ルギエルの復活。

 

「そう言えばさっき、時空城の最上階で隕石みたいなのが落ちて来てたような・・・・・・」

「あれがルギエルだったという訳ね・・・・・・」

 

切歌、マリアの順でそう喋り、一同がルギエルの復活に驚いていると、そこへギンガ達の元にティガ・マルチタイプ、ダイナ・フラッシュタイプ、ガイアSV、コスモス・フューチャーモード、マックス、ネクサス・ジュネッスシルバー、メビウス・バーニングブレイブ、シャイニングゼロが駆けつけて集う。

 

『遂に、ダークルギエルの奴が完全復活しやがったか!』

『ぐぅ、ごめん・・・・・・ゼロ。 結局俺達、フュージョンブレスを使えなかった・・・・・・』

『っ、いや、だが・・・・・・これだけの仲間がいれば!!』

 

 

 



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Final Eve 『みんなの未来』

ティガは両腕を腰の位置まで引き前方で交差させた後、左右に大きく広げて光を変換した破壊エネルギーを集約し、L字型に腕を組んで放つ必殺光線「ゼペリオン光線」をビクトルギエルへと放ち、同時に発射前にポーズを取り、エネルギーを溜めて放つ「強化ソルジェント光線」をダイナは発射し、ティガとダイナの合体光線「TDスペシャル」がビクトルギエルへと放たれる。

 

しかし、ビクトルギエルは胸部に出現させた「ビクトリウム・キャノン」から光線を放ち、互いに光線が激しくぶつかり合うが・・・・・・ティガとダイナのTDスペシャルはあっさりと押し返され、ギリギリでティガとダイナの2人は咄嗟に避けたもののその周囲は爆発の渦に巻き込まれ、ティガもダイナもその爆発の炎に巻き込まれる。

 

『『ウアアアア!!!!?』』

「ギイイイイアアアアアア!!!!」

 

ビクトルギエルは咆哮を上げながら倒れ込んだティガとダイナに向かって歩き出すが・・・・・・そこでコスモスが右腕を突き出してから放つ必殺光線「コスモストライク」をビクトルギエルに直撃させることに成功。

 

『やったか!?』

『あっ、バカ! その台詞を言うなよ!!』

 

ビクトリーがコスモス最強の必殺光線が直撃したことで、多少なりともダメージが入っているかと期待するが・・・・・・そこには平然と立っているビクトルギエルの姿があり、そのことにコスモスは驚愕した様子を見せる。

 

『ハアア、ダアアア!!!!』

 

すると今度は右足を赤熱化させて、急降下キックを放つ「スプリームキック」をガイアはビクトルギエルへと繰り出し、同時にギンガも槍型の武器「ギンガスパークランス」を構えてそれをビクトルギエルへと振りかざすが・・・・・・。

 

ビクトルギエルはギンガスパークランスを左手で、ガイアの足を右手で掴むことで2人の攻撃を阻止し、ガイアを地面に叩きつけ、ギンガスパークランスを奪い取るとそれを逆にギンガに振りかざしてギンガを斬りつける。

 

『ジュア!!?』

『グアア!!?』

 

ビクトルギエルはギンガスパークランスを投げ捨て、全身にある発光体から全方位に無数に発射するレーザー光線、「ダークルギエルビート」を放ち、自分の周囲にいるウルトラマン達に全員に光線を直撃させ、着実にダメージを与える。

 

『ウアアアアア!!!!?』

『10人がかりでそんなものか? ウルトラマン共!』

 

そこでなんとか立ち上がったメビウスが左腕のメビウスブレスから発生した炎のエネルギーを胸の部分に集中させて、巨大な火球を敵に放つ「メビュームバースト」をビクトルギエルに向かい放ち、直撃を受けたビクトルギエルは炎に包まれるが・・・・・・。

 

ビクトルギエルはそのままメビウスに突進し、それに驚いたメビウスは対応が遅れてしまい、ビクトルギエルの炎を纏った体当たりを喰らい、身体中から火花を散らして吹き飛ばされ、背中から地面に激突してしまう。

 

『ウアアアア!!!!?』

『フン』

 

その後は気合いでビクトルギエルは炎を消し飛ばし、そこで零無があらかじめコウマから受け取っていた「ハイパーゼットン イマーゴ」のスパークドールズをビクトリーランサーにリードさせ、ビクトリーは右腕がハイパーゼットンの右腕に変わる。

 

『ウルトランス! ハイパーゼットン! シザース!』

『喰らえ!!』

 

「ハイパーゼットンシザース」となった右腕をビクトルギエルの胸部に突き立てると、そこから超強力な火球を零距離で撃ち込み、ビクトルギエルの左上の胸部の装甲に僅かに傷を負わせることに成功。

 

しかし、すぐさまビクトルギエルはビクトリーの顔を殴りつけ、ビクトリーがそれによって前のめりに倒れ込むとすかさずビクトルギエルは容赦なくビクトリーを蹴り上げる。

 

『グアッ!?』

『ならこいつで!! シャイニングワイドゼロショット!!』

 

そこへ今度はゼロが左腕を伸ばした後、両腕をL字に組んで放つワイドゼロショットを強化した必殺光線「シャイニングワイドゼロショット」をビクトルギエルに放つが・・・・・・ビクトルギエルはそれを右の手の平で受け止める。

 

『なに!?』

 

そのことに驚いたゼロだったが、兎に角光線を撃ち続けてやろうとさらに威力を高めるのだが・・・・・・ビクトルギエルは平然として光線を受け止めたまま真っ直ぐゼロに向かって行き、一気に近寄ると近距離からのダークルギエルビートを全弾ゼロへと撃ち込み、攻撃を受けたゼロはその場に倒れ込んでしまう。

 

『ガアアアアア!!? グゥ・・・・・・!』

『ゼロ!!』

 

倒れ込んだゼロの元にギンガとビクトリーが駆け寄り、マックスは右腕に「マックスギャラクシー」を装備してそこから放つ最強の必殺光線「ギャラクシーカノン」をビクトルギエルに放ち、別方向からネクサスも両腕を広げてエネルギーを溜め、そのエネルギーを両腕を十字にクロスさせて発射する必殺光線「ネオクロスレイ・シュトローム」をビクトルギエルに向けて放つ。

 

だが、ビクトルギエルはダークルギエルビートとビクトリウム・キャノンを同時に発射し、ダークルギエルビートでネクサスの光線を相殺。

 

ビクトリウム・キャノンによる光線はマックスのギャラクシーカノンを押し返し、咄嗟にマックスは躱すものの・・・・・・その際、マックスギャラクシーにビクトリウム・キャノンによる光線の余波を受けてしまったせいか、中央のクリスタル部分が粉々に砕けてしまう。

 

『ぐっ!? マックスギャラクシーが・・・・・・!!』

 

ならばとネクサスは両腕の「アームドネクサス」から出現させた光の剣、「シュトロームツインソード」を構えてビクトルギエルに向かって駈け出して行き、それを振りかざすが、ビクトルギエルの装甲の硬さのせいでシュトロームツインソードはビクトルギエルを斬りつけた瞬間に折れてしまい、ネクサスは顔を掴まれてそのまま地面に叩きつけられてしまう。

 

『ウアアアア!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

また、その光景を遠目に見ていた響達も、既にウルトラマン達全員のカラータイマーは激しく点滅していることからも、このままでは不味いと感じ始めていた。

 

「なんて野郎だよ、あれだけのウルトラマンを相手にして圧倒してやがる・・・・・・!」

 

しかも何人かは多少エネルギーを消費しているとはいえ強化形態や最強技を使用している。

 

にも関わらず、あの強さなのだから一体どんな化け物だとクリスは驚愕するしかなかった。

 

「でも、私達も、ウルトラマンの援護に行こう! 私達にも、きっとなにか出来ることがある筈だよ!」

「・・・・・・デスね。 一緒に戦うデス!」

「そうね、少しでも力になれるのなら!!」

 

響の言葉に翼、クリス、マリア、切歌、調の全員が頷き、響以外のメンバーはアーマー部分をパージして響の武器に変えた為、一度変身し直す必要がある。

 

なのでクリス達は一度変身を解除し、再びシンフォギアを纏うが・・・・・・。

 

「やっぱあたし等はエクスドライブじゃねえか・・・・・・」

 

当然ながらエクスドライブは一度使用すればそう簡単に使えるものではないので、エクスドライブが使えないことに嘆くクリス。

 

響もイグナイトモジュールを使用した為にエクスドライブが解除されてしまい、今は通常形態に戻ってしまっていた。

 

「キャロルちゃんはここにいて! 本部の人になんとか迎えに来て貰えるようになってるから!!」

「あんまり妙な真似すんじゃねえぞ?」

「・・・・・・」

 

それでも響達はギンガ達と共に戦おうとし、響とクリスはキャロルにそれだけを言い残すと一同はビクトルギエルへと向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてウルトラマン達の援護に駆けつけた響達。

 

彼女達はそれぞれ分断し、様々な方向から攻撃を行うことに。

 

先ず、翼は大型化させた大剣状のアームドギアを振るい、巨大な青いエネルギー刃を放ち標的を両断する「蒼ノ一線」を放ち、クリスはアームドギアとして携行型の2連装ガトリングガンを形成し、両手に構えた2丁4門による一斉掃射「BILLION MAIDEN」と背部に形成した固定式射出器に大型ミサイルを左右に各1基、計2基を連装して生成・射出する「MEGA DETH FUGA」を同時にビクトルギエルに向かって放つが・・・・・・。

 

翼の攻撃も、クリスの攻撃も顔にまともに当たったにも関わらず、ビクトルギエルは平然としており、それどころか一瞬翼達の方に視線を向けただけで特に興味を示さず、無視を決め込む始末。

 

「あの野郎ぉ!」

「我々のことなど眼中にないと言うのか・・・・・・!」

 

クリスも翼もそんなビクトルギエルの対応に苛立つが、そこへ今度はマリアがアームドギアである短剣を左腕部ユニットの肘部側から装甲内部に再び納刀するように接続し、左腕部ユニットが多数の光り輝くフィンを有する射撃形態へと変形させ、さらに掌部を変形させ形成した砲身から高出力のエネルギー光波を放つ「HORIZON†CANNON」をビクトルギエルの胸部のビクトリウム・キャノンを狙って撃つが・・・・・・。

 

ビクトルギエルは左手でそれを受け止めると、エネルギー光波を握り潰し、かき消してしまう。

 

「そんな・・・・・・!!」

『いや、だが・・・・・・! あの1番厄介な大砲をぶっ壊せば!!』

 

攻撃こそ阻止されたものの、マリアのビクトリウム・キャノンを狙った攻撃を見てビクトリーは何かを思いつき、そのことにガイアとコスモスも気付いたようで2人は左右からビクトルギエルの両腕を掴んで動きを封じる。

 

『今だ!! この大砲を・・・・・・!!』

 

ガイアがそこまで言いかけた時、ビクトルギエルはダークルギエルビートを空中へと放って雨のようにそれを降らせ、周囲のウルトラマン達や奏者達・・・・・・特に自分を拘束しているガイアとコスモスに光線が直撃し、2人は身体中から火花を散らし、その場に倒れ込んでしまった。

 

『わあああああああ!!!!?』

『『ウアアアアア!!!!?』』

 

倒れ込んだガイアとコスモスは基本形態であるV2、ルナモードへと戻ってしまい、2人の首を締め上げて持ち上げるとそのままっぽいと物を捨てるかのように投げ飛ばし、地面に激突するガイアとコスモス。

 

『ぐっ・・・・・・』

『あ・・・・・・がっ・・・・・・』

『ガイア!! コスモス!!』

「このおおおお!!!」

 

ビクトルギエルを睨み付けながら調はアームドギアのヨーヨーを合体・巨大化させた「β式 巨円断」をビクトルギエルに向かって投げつけるが、ビクトルギエルの頑丈な身体はそれも弾いてしまう。

 

続けざまに、鎌のアームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する「切・呪リeッTぉ」を切歌がビクトルギエルに放つが、やはりこれもあっさりと弾かれる。

 

「全然効かないデスよ!」

「うおおおおお!!!」

 

そこへ今度は響がビクトルギエルの頭部に降り立つと、その頭部を殴りつけ、一度でダメなら何度でもと彼女は何度も何度も何度もビクトルギエルの頭部を殴りまくるが・・・・・・。

 

「ぐっ、あっ・・・・・・!」

 

逆に彼女の拳の方が限界に近づいてしまい、その手から血が滲み、響は苦痛に歪んだ顔を浮かべる。

 

『響! 離れろ!!』

『ゾフィーの力よ! M87光線!』

 

響はギンガに言われた通りその場から離れると、ギンガは右腕を伸ばして放つ必殺光線「M87光線」をビクトルギエルのビクトリウム・キャノンに向かって放つ。

 

それを見てビクトルギエルは流石にゾフィーのM87光線はマズいと判断したのか、ビクトルギエルは慌てて光線を避けようとする。

 

その結果、ビクトリウム・キャノンに直撃こそしなかったものの先ほどビクトリーがハイパーゼットンシザースで傷つけた左上の胸部辺りには直撃し、そこを貫いたのだ。

 

「ギイイイイアアアア!!?」

『よし、効いてる! あの大砲以外にも、あそこの傷口を的確に狙えば・・・・・・!』

 

ギンガはビクトルギエルの傷口を狙えば倒せるかもしれないと判断し、ギンガはビクトルギエルに向かって駈け出すが・・・・・・そこに、空から赤い光線が降り注ぎ、ギンガは吹き飛ばされてしまう。

 

『ウアアアア!!!!?』

 

ギンガに光線を撃ち込んだのはエタルガーであり、エタルガーは今までずっと時空城の最上階でビクトルギエルの戦いを見物していたのだが流石にビクトリウム・キャノンや傷口を狙われるのは厄介だと考え、そのフォローをしに現れたのだ。

 

『クソ、なんかさっきからいねーなとは思ってたが・・・・・・』

 

このタイミングでのエタルガーの参戦にゼロは毒づき、エタルガーは不敵な笑みを浮かべながらビクトルギエルの方へと顔を向ける。

 

『こうして会うのは初めてかな? ルギエル?』

『ほぅ。 貴様か。 我の復活を手助けし、このような強力な肉体を授けてくれた者は? フン、感謝するぞ』

『ならば借りを返して貰おう。 俺の目的は、ここにいるウルトラマン共の封印! ルギエル、お前の力を貸せ・・・・・・』

『・・・・・・良かろう』

 

ビクトルギエル・・・・・・ダークルギエルはエタルガーの申し出を快く受け入れ、ビクトルギエルはダークルギエルビート、エタルガーは全身から赤い光弾をティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウス、ゼロ、ギンガ、ビクトリーに喰らわせ、メビウス、ゼロ、ギンガは通常形態へと戻ってしまう。

 

『ウアアアアアア!!!!?』

『フハハハハ! さて、先ずはギンガとビクトリー・・・・・・お前達から封印してやろう』

 

エタルガーは右手を上空にかざすと時空城から2つの鏡が現れ、鏡から一筋の光を放ち、ギンガとビクトリーの2人を鏡の中に封印しようとする。

 

「コウマ!!」

「零無!! 逃げて!!」

 

クリスと切歌が叫び、そこへ痛みを堪え、咄嗟に起き上がったゼロがギンガとビクトリーの元に駆け出す。

 

『させるかよぉ!』

 

ゼロは鏡から放たれた2つの光をその身に受けると、ゼロは苦悶の声をあげる。

 

『むっ? まあいい。 そのまま貴様を封印してやる!』

 

ゼロがギンガとビクトリーを庇ったのは少し驚いたようだったが、エタルガーはこのまま封印を続行し、ゼロは2つの内、片方の鏡の中へと封印されてしまったのだ。

 

『『ゼロ!!』』

『ぐううう・・・・・・!!? 俺はまだ、お前達を信じてるぜ。 絶対に、諦めるんじゃねえぞ・・・・・・!』

 

エタルガーはそのままゼロを封印した鏡を時空城の中へと引っ込めると、次こそギンガとビクトリーを封印しようとエタルガーは狙いを2人に定める。

 

『みんな! 一度変身を解除するんだ!! ウルトラマンに変身してる状態じゃないと、奴は僕達を鏡の中に封印することはできない!!』

『クソ、やむを得ないか・・・・・・!』

 

既にエネルギーも尽きかけていることもあり、ティガが全員にここは一旦変身を解くように言い放ち、それぞれダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウス、ギンガ、ビクトリーは言われた通り、変身を解除して人間の姿へと戻る。

 

変身を解除したコウマ達は急いで物陰に隠れ、エタルガーは「チッ」とギンガ達をミスミス取り逃がしてしまったことに舌打ちする。

 

『フン、時間が経てばいずれ奴等の方から再び我等の前に現れる筈だ』

『確かに・・・・・・。 それもそうか。 楽しみは後に取っておくとしよう。 それに、面倒な能力ばかり持つウルトラマンゼロも封印することができたしな・・・・・・。 今はそれだけで収穫としておくべきか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソォ!! ゼロは、俺達を庇って・・・・・・!!」

 

物陰に隠れ、ビクトルギエルとエタルガーはその場を離れたのを確認すると、コウマは地面を殴りつけ・・・・・・唇を噛み締めた。

 

「ゼロが俺達を信じてくれたのに、俺達はゼロが与えてくれた力を使いこなすことが出来なかった・・・・・・! いや、でも・・・・・・力を使いこなすことが出来たとして、あんな奴等を2体も相手にして・・・・・・俺達は、本当に勝てるのか?」

 

コウマはこの場から去って行くビクトルギエルとエタルガーの背中を見つめながら、強大な力を持つ2人にゼロから託された力を使えたとしても、本当に勝つことができるのだろうか弱音を吐く。

 

「らしくないぞ、コウマ! そんな弱音を吐くなんて・・・・・・」

 

珍しく弱音を吐くコウマに対し、零無はコウマの肩に手を置くが、コウマはその手を払いのける。

 

「あれだけのウルトラマンがいても、ビクトルギエルにも勝てなかったんだぞ!! なのに、エタルガー共々倒すなんて、俺には出来るとは思えない・・・・・・!!」

 

10人のウルトラマン、それもゼロ、メビウス、ギンガ、ガイア、コスモスはエタルダミー等との戦いである程度消耗しているとはいえ強化形態だった。

 

そこにダイナ、ネクサス、マックス、ビクトリーが加わったにも関わらず、全員ビクトルギエル1体にさえ敵わなかったのに、エタルガーまでいるとなると、勝てる見込みが無いとコウマが思うのも無理はなく・・・・・・心が折れるのも当然と言えた。

 

しかし・・・・・・。

 

「おい」

「えっ? げふう!!?」

 

そこへいつの間にかやってきていたクリスの拳がコウマの右の頬にめり込むように放たれ、コウマは大きく吹き飛ばされて地面に倒れ込む。

 

「いってぇ・・・・・・!!? クリス!?」

 

さらに遅れて、響、翼、切歌、マリア、調もその場へとやってくる。

 

「さっきから何ウダウダ言ってやがる!! あたしの知ってる来元 コウマは!! こんなことで諦めるような男じゃねえ!!」

「クリス、だけど・・・・・・今回は、流石に・・・・・・」

「今回もクソもあるか!! あたしの知ってるお前は、コウマは・・・・・・どんな状況だろうが前しか見ねえ、振り向かねえ、ただひたすら真っ直ぐ前に突き進む奴だ!! あたしを救ってくれた、あたしが惚れたお前は・・・・・・そういう奴だろうが!!」

 

クリスは顔を俯かせるコウマに対し、怒濤の勢いで彼をもう1度奮い立たせようと言葉を紡ぐ。

 

「なあ、コウマ。 知ってるか? 限界を超えた時、初めて見えるものがあるんだ。 掴み取れる、力がな」

「アスカ・・・・・・さん」

 

そんな時、アスカがコウマの肩に手をポンッと置き、そう彼に語りかけながら笑みを浮かべる。

 

「君には、守るものがあるだろ? 沢山の仲間や、そして何よりも大切な人が・・・・・・」

 

アスカに続くように、ヒカルもコウマの声をかけ、それに続くようにツトム、ムサシ、ヒメヤ、カイト、光がそれぞれの言葉をコウマへとかけていく。

 

「君達はまだ戦える。 最後の力が枯れるまでここから一歩も下がったらダメなんだ」

「そうだ。 自分にだけは、決して負けたらダメなんだ」

「何度転んだとしても、また立ち上がれば良い」

「投げ出さないで、希望を掴み取ろう。 コウマ!」

「立ちはだかる闇なんて、越えてしまうんだ!」

 

ヒカル、アスカ、ツトム、ムサシ、ヒメヤ、カイト、光からの励ましの言葉を受け、そして最後にクリスがそっとコウマに向けて手を差し伸べる。

 

「みんなの帰る場所を、守るぞ」

 

それを受けて、コウマはここにいる自分以外のみんなは・・・・・・こんな状況だというのに未だに諦めてはいない、希望を捨ててはいないということを痛感する。

 

それなのに、自分だけが諦めムードを出して、情けないとコウマは嘲笑気味に笑ってしまう。

 

「・・・・・・ごめん、ちょっと疲れてたみたいだ。 クリス達がまだ諦めてないのに、先輩達がまだ諦めてないのに・・・・・・。 俺だけが諦める訳にはいかないよな!!」

 

そしてコウマはみんながまだ諦めていないのに、自分だけが諦めて、負けた気でいる場合ではないとクリスの手を取って立ち上がり、ヒカル達やクリス達の顔を見て、コウマは気合いを入れる。

 

「だけど、変身するだけのエネルギーがもう・・・・・・」

 

しかし既に、ヒカル達にはもう1度ウルトラマンに変身できるだけのエネルギーが殆ど残されていない。

 

コウマだけなら、他のウルトラマンや怪獣のスパークドールズを使うことで変身することが出来るが、流石にたった1人でビクトルギエルとエタルガーに挑むのは無謀過ぎる。

 

「それは、私に少しだけ考えがあるわ」

 

そこでマリアが作戦を立案し、彼女が立案した作戦はこうだ。

 

ビクトルギエルのビクトリウム・キャノンはシェパードンのスパークドールズが主なエネルギー源。

 

つまり、シェパードンを取り返しさえすればビクトルギエルはある程度弱体化する可能性が高い。

 

しかも本部にいる朔也とあおいオペレーターの2人に調べて貰ったところ、ビクトルギエルの身体はいわゆる「ロボット」であり、内部への侵入は可能ということだった。

 

なのでギンガとビクトリーが開けた左上の胸部に開けたビクトルギエルの穴から侵入し、そこからシェパードンのスパークドールズがあると思われる場所に向かい、それを取り返す・・・・・・というのがマリアの作戦だった。

 

「念のために、僕達に残った僅かなエネルギーを君たちに分け与えるよ。 そうすればまたギンガやビクトリーに変身できる筈だ」

「えっ、でも・・・・・・」

 

ヒカル、アスカ、ツトム、ムサシ、ヒメヤ、カイト、光はそれぞれスパークレンス、リーフラッシャー、エスプレンダー、コスモプラック、エボルトラスター、メビウスブレスを取り出すと、コウマと零無の返答を待たずに光のエネルギーを2人の持つギンガスパークとビクトリーランサーに分け与える。

 

「ゼロがお前達を信じたように、俺もお前達を信じる。 力の限り戦え! コウマ、零無!」

「勇気を抱きしめて、熱い鼓動を信じろ。 僕達は・・・・・・」

 

ヒカルが後ろを振り返るとそこには彼等を始末する目的でルギエルが寄越したのか、ゼットン星人ベルメ、ケムール人キューバ、スラン星人クワイラ、サーベル暴君 マグマ星人がチブロイド達を大量に引き連れてそこに現れたのだ。

 

『そうはさせないよ! 君たちの作戦、邪魔させて貰おう! 僕達、ダークルギエル特戦隊がね!!』

『リア充の臭いがプンプンするなぁ! ぶっ飛ばしてやる!!』

『早橋 カイトォ!! ウルトラマンマックス!! それに立花 響!! あの時の恨み、晴らしてやりますよ!!』

『俺、マグマ星人はG編の終盤で出てるから! なんでいんのみたいな感じみんなやめてね!?』

「・・・・・・クワイラ、あいつ生きてたのか」

 

あの時、確かにクワイラはマックスに倒されたが・・・・・・実はその時はクワイラはスパークドールズになっただけで生きており、いつの間にかエクセラーに回収されていたのだ。

 

それをルギエルが復活させ、今ベルメ達とこうして一緒に現れたという訳なのだ。

 

「ここは俺達が食い止める! コウマと零無は先に行け!!」

「立花達も来元達のサポートに行け! ここは私達も・・・・・・やるぞ、マリア!」

「えぇ!!」

 

アスカ、翼、マリアがこの場を任せるようにコウマ達に言うと、コウマと零無は「はい!!」と返事を返し、2人は響、クリス、切歌、調と共にビクトルギエルの方へと向かう。

 

挿入歌「月煌ノ剣」

 

翼は「歌」を口ずさみながら剣のアームドギアを振るってチブロイド達が撃ち込んでくる銃弾を切り裂きながらすれ違いざまにチブロイド達を切り裂く。

 

「オラァ!!」

 

アスカは殴りかかって来たチブロイドの拳を掴んで逆に殴り飛ばすが、そこへ2体のチブロイドがアスカの両腕を掴んで拘束し、動きを封じたところにベルメが拳を放って来るが、それを翼が跳び蹴りを喰らわせて吹き飛ばし、アスカを拘束していた2体のチブロイド達も切り伏せる。

 

「大丈夫ですか飛翔さん!?」

「飛翔さん・・・・・・ねぇ?」

 

アスカは自分のことを「飛翔さん」と呼ぶ翼に対し、どこか複雑な表情を見せるが、その時翼の後ろから飛びかかってきたチブロイド2体に気付いたアスカは咄嗟に翼の持つアームドギアを奪い取って2体のチブロイドを横一閃に切り裂いて破壊する。

 

「悪い、ちょっと借りた」

「問題ありません」

 

一方、ヒカルと光は2人同時に跳び蹴りをキューバに叩き込み、蹴り飛ばされたキューバは地面を転がるがすぐさま起き上がり、キューバは頭の触覚から放つ液体を光とヒカルにかけようとするが2人は左右に躱し、光はメビウスブレスを出現させ、そこに手を添えた後、右手を突き出して放つ光刃「メビュームスラッシュ」を放ち、キューバの触覚を切断する。

 

「ぎゃあああ!!?」

「今です! ヒカルさん!!」

「あぁ!」

 

そこから「ガッツブラスター」という銃を構え、ヒカルはガッツブラスターからレーザー光線を発射し、キューバに直撃させる。

 

「ぐあああ!!?」

 

キューバを撃退した光とヒカルは「よし!」とお互いにハイタッチし、そこでふっと光が少しだけ気になったことを呟く。

 

「それにしても、僕達・・・・・・名前、似てますね」

「光くん、今それ気にするところじゃ・・・・・・でもまぁ、似てるよね。 一人称も一緒だし」

 

クワイラは高速移動能力で一気にカイトに詰めよって彼を殴り飛ばした後、そのまま両腕から放つ光弾をカイトに放つが、そこへ駆けつけたマリアが短剣のアームドギアを振るって攻撃を防ぐ。

 

『チィ、邪魔をするな!』

 

クワイラは再び高速で動き回ることでマリアとカイトを翻弄しようとするが、マリアは短剣のアームドギアを繋ぎ合わせて鞭状にすると、それを横一閃に振るうことでクワイラの身体を斬りつけ、クワイラは片膝を突く。

 

『ぐああ!!?』

「おりゃああ!!」

 

そこへすかさずカイトの拳がクワイラの胸部に叩き込まれ、吹き飛ばされてクワイラは壁に激しく激突する。

 

『があああ!!?』

 

マグマ星人は右腕に装着した「マグマサーベル」でムサシを刺し貫こうとするが、ムサシはサーベルを掴みあげて、マグマ星人は逆に胸部を殴りつけられる。

 

『うおっ!?』

「これでも、喰らえ!!」

 

そこへ駆け出して来たツトムのラリアットがマグマ星人に炸裂し、ヒメヤの持つ「ブラストショット」という銃から放たれる光弾を撃ち込まれ、マグマ星人は大きく吹き飛ばされるのだった。

 

『うぐああああ!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

『我はこの地に、永遠の静寂をもたらす。 生きとし生ける者、この星に息づく命の全て・・・・・・スパークドールズにして時間を止めてやろう』

「そうはさせるかよ」

 

そこへ歩くビクトルギエルとエタルガーの元に、物陰に隠れながらその場にコウマ達が駆けつけ、コウマは視線を響と調に向けると彼女等はビクトルギエルとエタルガーに攻撃を加えていく。

 

「ルギエル!! エタルガー!! これ以上は進ませない!」

『チッ、また来たのか虫けらめが・・・・・・』

『捨て置けば良い。 気にするだけ無駄だ』

 

エタルガーはウルトラマンがいなくてもたった2人だけで自分達に挑もうとしてくる響と調に苛立ちを覚えるが、ルギエルに論されたことでエタルガーは「それもそうだな」と返し、エタルガーもビクトルギエルも彼女を無視してまだ人々のいる市街地に向かおうとする。

 

「これ以上は行かせない!!」

 

それにすかさず高く跳び上がった響の蹴りがビクトルギエルの頭部に叩き込まれるが、やはりビクトルギエルは気にもとめない。

 

それでも例え攻撃が効かなくとも、響と調はエタルガーやビクトルギエルの周囲を走り回りながら攻撃を続け、少しずつではあるがエタルガーとビクトルギエルの2体を苛つかせて行く2人。

 

『流石に鬱陶しいぞ、貴様』

 

ビクトルギエルは響と調を振り払おうと軽く足を振るって彼女等を蹴り飛ばそうとするが、響と調はそれを躱し、両手をパンパン叩いてビクトルギエルを煽る。

 

「全然当たらないよぉ〜! ほらほら私はこっちだよ〜?」

「鬼さんこちら。 手の鳴る方へ」

『っ』

 

ビクトルギエルはそれに若干イラついたようだったが、やはり相手にするだけ無駄だと分かっているので無視を決め込むが・・・・・・ビクトルギエルの注意が僅かに響と調に逸れた瞬間・・・・・・。

 

エタルガーの目を盗みつつ、クリスと切歌がコウマと零無に脇に抱えてジャンプしてギンガとビクトリーの攻撃で開いたビクトルギエルの胸部の傷口から4人はこっそりと侵入し、ビクトルギエルの内部に入り込むことに成功。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビクトルギエルのコックピット内。

 

『フン、成程、あの小娘共は陽動か』

「そういうこったなぁ!」

 

コックピット内にいるルギエルは背後に気配を感じて振り返るとそこにはは響と調が囮になってくれたおかげで無事にビクトルギエルの内部に侵入することができたコウマ、零無、クリス、切歌が立っており、クリスは「アイツ等に釣られてくれてありがとよ」と不敵な笑みを浮かべる。

 

「シェパードンは返して貰うぞ!!」

『貴様等がここに乗り込んでくることなど、最初から想定済みだ』

 

零無はコックピットの奥の方にあるケースに入れられたシェパードンのスパークドールズを見つけると、それをすぐさま取り戻そうと彼はシェパードンに手を伸ばして駆け出すがルギエルはそうはさせまいと赤い電撃を放って零無を吹き飛ばす。

 

「ぐあああ!!?」

「零無!!」

 

床に倒れた零無にルギエルはさらに電撃を放つが、それは切歌が手に持った鎌のアームドギアでそれを受け止めるが、アームドギアはあっさりと砕かれ、切歌はルギエルの電撃を喰らい、悲鳴をあげて両膝を突く。

 

「うあああああ!!!?」

「切歌!!」

「おい!? よくも!!」

 

クリスもガトリング砲のアームドギアを構えて銃弾を撃ち込むが、その攻撃はルギエルの身体をすり抜けてしまい、それに驚愕する一同。

 

「こいつ、ホログラム!?」

「でも、零無と切歌にさっき攻撃が当たって・・・・・・」

 

そう、ここにいるルギエルはホログラムにすぎない。

 

そのため、このルギエルに対して物理的なダメージを与えることはできない。

 

しかし、ルギエルの攻撃自体はなぜか自分達に当たるのだ。

 

「クソ、チートじゃねえか・・・・・・!!」

 

自分は攻撃を一切受けず、逆に自分は攻撃し放題という状況・・・・・・そのことにコウマは悪態を尽くが、ルギエルはそんなコウマ達を待たず両腕から出す赤い電撃でコウマ達を拘束して宙に浮かせるとそのまま勢いよく床に叩きつける。

 

『ぐああああ!!!?』

『もう諦めろ。 ここまで乗り込んだことは褒めてやるが、貴様等に勝ち目はない。 エタルガーも、我も、倒すことなど不可能だ・・・・・・。 我がいれば、この世の全ての生命は憎しみも、悲しみも、怒りもなく・・・・・・苦しむこともなく、ただ幸福の中で生き続けられる。 私はただ、全ての生命にそうした『永遠の命』を与えたいだけなのだ』

 

ルギエルはそう言ってコウマ達に諦めるように呼びかけるが・・・・・・コウマ達は決して諦めようとはしない。

 

むしろ、逆にルギエルの言葉を受けて闘志がさらに燃え、コウマも零無も、クリス達も強く、強くルギエルを睨み付ける。

 

「そんなの幸福じゃねえ! 命ってのは、変化しながら続いていく。 それが命だ!」

『いいや、変化など必要ない。 全てが幸福の中で停止することが生命全ての幸せなのだ!』

 

クリスは永遠の命を全ての生命に与えたいと語るルギエルに対して、そう言葉を返すが・・・・・・ルギエルはそれを否定し、自分の考えを押し通そうとする。

 

「命のサイクルっていうのは、停止したりなんかしないんデス!」

「1つの命が、次の命に続いて行くんだ!」

 

そこで今度は切歌とコウマがそう言い放つが、それでもルギエルの心には何も響かず、ルギエルは「フン」と鼻で笑って一蹴。

 

『どちらにせよ、貴様等にもう打つ手は・・・・・・』

「ここにある!!」

『なに!? ぬおおっ!?』

 

そこへ遅れてビクトルギエルの内部に侵入してきた響と調が現れ、響はルギエルの足下を殴りつけて砂煙を上げさせ、ルギエルの視界を塞ぐ。

 

『チッ、奴等に気を取られすぎたか!』

 

その際にコウマ達の拘束も思わず解いてしまい、切歌が素早く移動してシェパードンが閉じ込められたケースのある場所へと行くとケースからシェパードンを取り出し、それを零無に投げ渡す。

 

「零無!!」

「サンキュー、切歌!」

『貴様等!!』

 

ルギエルは煙を払いのけて電撃を放つが、調はツインテールに装着されたユニット部分を巨大な鋸状に変形させるとそれを盾にして電撃を防ぎきり、調の後ろから飛び出したクリスが足下に銃弾を撃ち込んで再び砂煙をあげさせてルギエルの視界を再び塞ぐとクリスはコウマ、切歌は零無を担いで響、調と共にビクトルギエルの傷口から脱出する。

 

『しまった!!』

『んっ? ようやくまた喋り出したか。 一体先ほどから突っ立ったまま、どうしたのだルギエル?』

 

どうやら、コウマ達と話している間、ビクトルギエルは動きを停止していたようで、エタルガーが声をかけても反応しなかった為、ようやく再び動き出したビクトルギエルに一体何があったのかと尋ねる。

 

『奴等にシェパードンとやらのスパークドールズを取り返された』

『なにぃ!?』

『だが、威力は下がるがビクトリウム・キャノンはチブルの集めたビクトリウム鉱石のエネルギーを使えばあと数回は撃つことができる。 今度こそ奴等に完全にトドメを刺し、再びあのスパークドールズを奪い、我の目的を達成させる・・・・・・!』

 

シェパードンを失った為、多少の威力は落ち、ビクトリウム・キャノンは無限に撃つことが出来なくなったもののあと何回かは使用できるということで未だに余裕の態度を見せるルギエル。

 

そんなルギエルにエタルガーは同意するように頷き、「奴等を倒し、もう1度シェパードンを奪うぞ」と言うと、ビクトルギエルも同じようにエタルガーに頷き返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

地面に着地し、クリスと切歌がそれぞれコウマと零無を降ろすと、コウマと零無はそれぞれギンガスパークとビクトリーランサーを構える。

 

「行くぞ、零無!!」

「あぁ、最後の戦いだ!!」

 

そして、コウマと零無はそれぞれ手に持ったギンガスパークとビクトリーランサーを掲げ、2人は光に包まれ、コウマは「ウルトラマンギンガ」、零無は「ウルトラマンビクトリー」へと変身する。

 

『ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!』

『ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー!』

 

ギンガとビクトリーが現れ、クリスと切歌は2人のウルトラマンをジッと見つめながら・・・・・・「頑張れ」と小さく呟く。

 

『俺達は成長する!』

『昨日までの自分を・・・・・・!!』

『『越えて行く!!』』

 

ギンガとビクトリーはビクトルギエルとエタルガーにそう言い放ち、インナースペース内のコウマはストリウムブレスを取り外して代わりに「ウルトラフュージョンブレス」を装着する。

 

『ゼロが何か力を貴様等に託したようだが、その力、貴様等に使いこなせるのか? 先ほどまでは使えなかったんだろう?』

『あぁ、確かに使えなかった。 それは俺達自身が、心のどこかで『この力は使いこなせないって』思っていて、自分を信じられていなかったからだ。 でも、今は違う!! 先輩達が、仲間が、大切な人が・・・・・・これだけ多くの人が、俺達のことを信じてくれた!!』

『だから、だから俺達も俺達自身を信じる!! みんなが託してくれたものを受け取って!! 心を1つにして、お互いを信じお前達に立ち向かう!!』

 

ギンガとビクトリーがそう言い放つと、インナースペース内のコウマはフュージョンブレス、零無はビクトリーランサーを構える。

 

『『見せてやるぜ、俺達の絆!!』』

 

するとコウマと零無のインナースペースが繋がり、コウマがブレスのレリーフを左に傾けた後、空中でジャンプして一回転し、フュージョンブレスにあるライブサインを零無がビクトリーランサーでリードさせる。

 

『『ウルトラタッチ!!』』

 

すると、ギンガとビクトリーの2人が眩い光に包まれる。

 

『ギンガアアアア!!!!』

『ビクトリイイイイ!!!!』

『『ギンガビクトリー!!!!』』

 

そうして光が収まると、そこにはギンガとビクトリー、2人の特徴を併せ持った1人の巨人・・・・・・「ウルトラマンギンガビクトリー」が大地に降り立ったのだった。

 

『その姿は・・・・・・!?』

 

挿入歌「ウルトラマンギンガの歌 2015」

 

「あれが・・・・・・」

「おおおお!! かっこいい〜!!」

 

響達はギンガビクトリーの姿に興奮し、ビクトルギエルとエタルガーもギンガビクトリーの姿に驚愕していた。

 

しかし、それでも臆せずビクトルギエルは身体中から放つ光線「ダークルギエルビート」を放ち、同じくエタルガーも全身から放つ赤い光線をギンガビクトリーに放つ。

 

だが、ギンガビクトリーは全く怯まず、真っ直ぐビクトルギエルとエタルガーに向かって歩いて来る。

 

『ぐっ! おのれぇ!!』

 

エタルガーはギンガビクトリーに向かって駈け出して行き、殴りかかって来るがギンガビクトリーはその腕を掴んで押し返すとそのまま何発も拳をエタルガーの胸部に連続で叩き込んでいく。

 

『ぬがああ!!?』

『ショウラ!!』

 

最後に強烈な一発をギンガビクトリーはエタルガーの顔面に喰らわせ、エタルガーの仮面を叩き割り、エタルガーはその黄金の髑髏ともいうべき醜く恐ろしげな素顔を晒す。

 

『よくも俺の仮面を・・・・・・!!』

 

そこで頭部のモノアイから発射される赤黒い電撃をビクトルギエルが放ち、直撃を受けたギンガビクトリーは吹き飛ばされるが、すぐさま起き上がって見せる。

 

すると今度はビクトルギエルとエタルガーが同時にギンガビクトリーに向かって行き、エタルガーは蹴りをギンガビクトリーに繰り出すがギンガビクトリーはそれを受け流し、膝蹴りをビクトルギエルに決める。

 

『ヘアッ!!』

 

だがそれと同時にビクトルギエルの振るった爪がギンガビクトリーの胸部を斬りつけ、僅かにたじろいたところを狙い、近距離から放つダークルギエルビートを撃ち込んでギンガビクトリーを大きく怯ませることに成功。

 

『ウアッ!?』

 

さらにギンガビクトリーの腹部にエタルガーの拳が叩き込まれ、エタルガーはギンガビクトリーの顔にも拳を叩き込もうとするが、ギンガビクトリーはすぐさま後退して距離を取る。

 

そこからコウマはレリーフ下のディスクを回転させ、スイッチを押して「ウルトラマンコスモス」の力を発動させる。

 

『『ウルトラマンコスモスの力よ! ハア!!』』

 

コスモス・エクリプスモードの幻影がギンガビクトリーと重なると、ギンガビクトリーは両腕をクロスして溜めた宇宙エネルギーを右腕から放つ必殺光線「コズミューム光線」をビクトルギエルに向かってつ。

 

『『コズミューム光線!!!!』』

 

同時に、エネルギーをチャージしてビクトルギエルは胸部のビクトリウム・キャノンから破壊光線を発射。

 

両者の光線は激しく激突するが・・・・・・。

 

『『ハアアアアア!!!!!』』

 

気合いを入れてさらに威力を高めたギンガビクトリーのコズミューム光線に押し返され、ビクトリウム・キャノンによる光線を押し返し、胸部のビクトリウム・キャノンをそのまま破壊することに成功。

 

『ぬああああ!!!!?』

『ビクトリウム・キャノンが・・・・・・!』

 

さらにそこからインナースペース内の零無はビクトリーランサーにシェパードンのクリスタルスパークドールズをリードさせる。

 

『ウルトランス! シェパードン! セイバー!!』

『行くぞシェパードン!!』

 

シェパードンの力を宿した聖剣、「シェパードンセイバー」を取り出すと、ギンガビクトリーをそれを構えてエタルガーに向かって駈け出し、相手をV字に切り裂く「シェパードンセイバーフラッシュ」を繰り出し、エタルガーを切り刻む。

 

『がああああああ!!!!?』

 

そこでビクトルギエルがギンガビクトリーにダークルギエルビートを放って来るが、ギンガビクトリーは空中に飛んで攻撃を躱し・・・・・・。

 

超高速で敵に突撃して体当たりを食らわせ粉砕する「ギンガビクトリーブレイカー」でビクトルギエルを突き飛ばす。

 

『シュアアア!!!!』

『ぐあああああ!!!!?』

 

そこへエタルガーが一瞬の隙を突いてギンガビクトリーを後ろから羽交い締めし、動きを封じるとエタルガーはビクトルギエルに今の内に攻撃するように言い、ビクトルギエルは起き上がって拘束されたギンガビクトリーを何度も殴りつける。

 

『グウウ!!?』

 

だが、ギンガビクトリーは足を振り上げてビクトルギエルを蹴りつけて引き離すと後頭部による頭突きをエタルガーに喰らわせ、エタルガーの拘束を解くことに成功。

 

『ぬあ!?』

『ウルトランス! EXレッドキング! ナックル!』

 

ギンガビクトリーの右腕が巨大な拳「EXレッドキング・ナックル」となると炎を纏った拳を振り返りざまにエタルガーの顔面に喰らわせ、殴り飛ばす。

 

『がああ!!?』

 

さらにコウマはフュージョンブレスのディスクを回転させ、スイッチを押して今度は「ウルトラマンマックス」の力を発動させる。

 

『『ウルトラマンマックスの力よ! マクシウムカノン!!』』

 

マックスの幻影がギンガビクトリーと重なると、ギンガビクトリーは左腕を掲げてエネルギーを溜めた後、腕を逆L字に組んで放つ必殺光線「マクシウムカノン」をエタルガーに撃ち込み、それを受けたエタルガーは身体中から火花を散らす。

 

『ぐあああああ!!!!?』

 

ビクトルギエルはギンガビクトリーの背後からモノアイから放つ電撃を撃ち込んでくるが、ギンガビクトリーはそれをジャンプして躱し、ビクトルギエルの背後に回り込む。

 

『貴様等ぁ・・・・・・!!』

『エタルガー!! お前の最も恐れているものを当ててやる!』

『なに・・・・・・?』

『それは俺達人間と、ウルトラマンの絆だ!!』

 

コウマにそう言い放たれ、エタルガーは「黙れぇ!!」と怒り狂ったかのように叫び、ギンガビクトリーに殴りかかって来るが、ギンガビクトリーはその拳を受け止め弾くと膝蹴りをエタルガーに喰らわせ、エタルガーはビクトルギエルの足下まで倒れ込む。

 

『ぐおっ!?』

『ルギエル!! スパークドールズに閉じ込めるだけが永遠じゃない! 未来に受け継がれていくのが、永遠の命だ!!』

 

コウマと零無はお互いに顔を見合わせ、頷き合う。

 

『これで決めるぞ、コウマ!』

『あぁ! 受けてみろ! エタルガー!! ルギエル!!』

 

そしてコウマはフュージョンブレスのディスクを回転させ、スイッチを押し、再びディスクを回転させる。

 

『『これが、人間とウルトラマンの力だ!!!!』』

 

するとティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウス、ゼロの幻影がギンガビクトリーと重なるとウルトラ10勇士全員の力を一つにして十字に腕を組んで放つ超絶必殺光線「ウルトラフュージョンシュート」をこちらに向かって走ってくるエタルガーとビクトルギエルに向かって放つ。

 

『『ウルトラシュージョンシュートォ!!!!』』

 

エタルガーとビクトルギエルはウルトラフュージョンシュートの直撃を受け、それでも前進しようと前に進んでくるが・・・・・・。

 

『『うおおおおおおお!!!!!!』』

 

ギンガビクトリーはさらに光線の威力を高め、ウルトラフュージョンシュートはビクトルギエルとエタルガーの2体を飲み込むと遂に2体は耐えきることが出来ず、大爆発を起こすのだった。

 

『うあああああああ!!!!?』

『永遠の、命の力・・・・・・バカなぁ・・・・・・!!!!!?』

 

そして・・・・・・エタルガーが倒されたことにより、鏡に封印されていたゼロも解放され、ゼロはフラつきながらも、ギンガビクトリーの元へとやってくる。

 

『コウマ、零無・・・・・・やったな』

『ゼロ・・・・・・あぁ!』

『勝ったぜ、俺達!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『命に限りがあるからこそ、皆は終わりを恐れ、もがき苦しみ悲しみや過ちが生まれてしまう』』

『ならば、新たな過ちが起きぬよう幸福の中で全ての時を停止させればよい・・・・・・。 それが、決して終わることのない永遠の命だ』

『悲しみや、過ちが起きたとしても、それを乗り越えよりよい未来を次の世代を受け継いで行く。 それこそが、決して終わることのない永遠の命なんだ』

 

ギンガから見ればそれは遠い遠い昔のこと・・・・・・。

 

『永遠の命を信じた私。 それを信じられなかったルギエル。 そこが分かれ道だったんだ』

 

ギンガの作り出した異空間で、ギンガはかつてルギエルと自分が決別した道を進んだことをコウマに伝え、それを受けコウマはギンガとルギエルが元々は1つの存在であったことを理解した。

 

「アンタとルギエルは、元々1つの存在だったんだな」

『光が強ければ、影も濃くなる。 そういう意味で、私とルギエルは1つだったんだ』

 

その時、突然コウマの持っていたストリウムブレスが眩く輝きだすと、ストリウムブレスはタロウの姿へと変わる。

 

『コウマ、君が呼べば私は何時でも駆けつける』

「そっか。 タロウとはここでお別れか・・・・・・ありがとう、タロウ!」

『うむ』

 

タロウはコウマに対して頷くと、タロウは空へと飛び立ち、光の国へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、エネルギーを回復させたティガ・マルチ、ダイナ・フラッシュ、ガイアV2、コスモス・コロナ、ネクサス・ジュネッスシルバー、マックス、メビウス、ゼロは後始末として空中に残っていた時空城を囲んでおり、それぞれ身体を黄金に輝かせると彼等は「クロスオーバーフォーメーション」と呼ばれる技を発動させる。

 

『ゼペリオン光線!!』

『ソルジェント光線!!』

『クァンタムストリーム!!』

『ブレージングウェーブ!!』

『ネオクロスレイ・シュトローム!!』

『マクシウムカノン!!』

『メビュームシュート!!』

『ワイドゼロショット!!』

 

8大ウルトラマンの必殺光線を受けて、時空城を粉々に破壊。

 

「ありがとう、先輩達!」

 

またその光景を見ていたコウマ、零無、響、翼、クリス、マリア、切歌、調の8人は力を貸してくれたゼロ達にお礼を言い、ゼロ達は彼等の元に降り立つ。

 

『さてと、後始末も済んだし・・・・・・俺達はそろそろ行くぜ?』

「えっ? もう行ってしまうのゼロ?」

『この地球での俺の役目は終わったからな』

 

マリアの問いかけに、ゼロはそう応え、ゼロは視線をコウマと零無に向ける。

 

『コウマ、零無! 忘れんなよ。 俺との特訓の成果!』

「あぁ」

「勿論だ」

 

するとマックスは自身のパワータイマーに右手を添え、それを地上に向けるとそこから光が放たれ、光はカイトの姿となって現れる。

 

そう、マックスはカイトと分離したのだ。

 

「マックス・・・・・・君も、行くんだな」

『君の肉体は、完全に回復した。 私も、この地球での役目は終わった。 今までありがとう』

「こちらこそ、ありがとう。 マックス」

『地球の未来は、君たち自身の手で掴んでくれ。 お別れだ』

 

マックスの言葉に、カイトは泣きそうになるのをグッと堪えながらこくりと頷き、そして・・・・・・。

 

ゼロ達は空へと飛び立ち、この地球を飛び去って行く。

 

「ゼロー!! みんなー!! ありがとー!!」

 

そんな去って行くゼロ達を、コウマ達は手を振りながら見送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての戦いを終えたコウマ達。

 

しかし、あの戦いの後、キャロルはどこかへと行ってしまい行方不明となっていたのだ。

 

『すでに決着から72時間経過しています。 これ以上の捜索は・・・・・・』

 

緒川を始めとしたS.O.N.G.の懸命な捜索も空しく、遂にはキャロルを見つけ出すことは出来ず、その報告を受け、弦十郎は「分かった。 捜索を打ち切ってくれ」と司令室から指示を送るのだった。

 

「保護された響ちゃんが無事だったことから生存していると考えられますが・・・・・・」

 

あおいは響が無事だったことから、キャロルも無事である可能性が十分に高いと考えられ、ならばどこにと彼女は頭を悩ませる。

 

「気がかりなのは、キャロルの行方ばかりではありません・・・・・・」

 

それに朔也の言うように気がかりなのはキャロルだけではなく、もう1つ・・・・・・。

 

それは怪我をして、未だにベッドで寝たきりのエルフナインのこと・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな病室で横たわるエルフナインの元に、コウマ、零無、カイト、響、翼、クリス、マリア、切歌、調、未来の10人が彼女のお見舞いに訪れていたのだ。

 

「来てくれて嬉しいです。 毎日すみません・・・・・・」

「謝罪なんて水くさいこと言うなよ、エルフナイン」

 

謝るエルフナインに対し、カイトは笑って気にしなくて良いと言い、「それに夏休みに入ったから大丈夫!」と未来もエルフナインに声をかける。

 

「夏休み・・・・・・?」

「楽しいんだって! 夏休み!」

「あたし達も初めてデス!」

 

調や切歌は初めて自分達が迎える夏休みにとても興奮したようで、響は夏休みがどういったものなのかをエルフナインに教えて行く。

 

「早起きしなくていいし、夜更かしもし放題なんだよ!」

「それ何時ものお前だけじゃねえ?」

「だね、それ響のライフスタイル・・・・・・」

 

コウマと未来は苦笑しながらそれ何時も通りの響なのではとツッコミを入れ、クリスからは呆れられたように「あんま変なこと吹き込むんじゃねーぞ?」と釘を刺される。

 

「夏休みはねぇ? 商店街もお祭りがあるんだ! 焼きそば、綿飴、たこ焼き、焼きイカ! ここだけの話、盛り上がってくるとマリアさんのギアから盆踊りの曲が流れるんだよ!」

「えっ、アガートラームにそんな機能あったの!?」

「ホントですか・・・・・・?」

 

零無とエルフナインは響の言うことを間に受け、マリアに視線を移して真意を確認するが、マリアから当然「ホントな訳ないでしょ!?」という返答が返って来る。

 

「大体そういうのは翼のギアの方がお似合いよ!」

 

マリアがエルフナインにそう言うと、みんなの頭の中でシンフォギアを纏って太古を叩いている翼のイメージが浮かび、その違和感の無さから一同は思わず笑ってしまう。

 

「あははは! 確かに違和感ない!」

「なるほどなるほど、皆が天羽々斬についてどう認識しているかよーく分かった」

 

ただ、当の本人である翼だけは怪訝な顔を浮かべて不機嫌そうではあったが。

 

「僕にもまだ知らないことが沢山あるんですね・・・・・・。 世界や、皆さんについてもっと知ることが出来たら、今よりずっと仲良くなれますでしょうか・・・・・・」

「・・・・・・なれるよ!」

 

そう呟くエルフナインの手を、響がギュッと握りしめる。

 

「だから早く元気にならなくちゃ! ねっ?」

 

響はエルフナインに笑顔を向けながらそう言い放ち、エルフナインもそれに釣られるように笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから見舞いを終わらせ、エルフナインの病室から出る一同。

 

「あー、私、ちょっとトイレに!」

 

その時、響がコウマ達にトイレに行くことを伝え、翼やクリスはそんな響に何か察したようで翼は「そうか」とだけ呟き、言葉を返す。

 

それを受け、響は舌をペロッと出した後、トイレへと向かって行き、クリスはみんなに「行くぞ」と声をかける。

 

「えっ? 戻ってくるの、待たないんデスか?」

「良いのよ」

 

切歌は何がなんだかよく分からず、困惑していたがクリスが切歌と調の腕を引いて彼女達はその場から立ち去り、カイトは「本当に大丈夫なのかな?」と響を心配するが・・・・・・。

 

「まぁ、取り合えず、こういう時いの一番に響のとこに向かう奴に任せておけば良い」

 

響と付き合いの長いコウマはこういう時、どうすれば良いのかを分かっている為、敢えて自分達は何もしないことを決め込むのが最善だとカイトに教える。

 

ただ1人を除いて・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、トイレの手洗い場で響は肩を震わせ、彼女はそこで涙を流していたのだ。

 

彼女が泣いている理由はただ1つ、それはエルフナインの命がもう長くないことを知っていたから。

 

「うぅ、ぐっす・・・・・・うっ・・・・・・」

 

そんな泣きじゃくる彼女の元に、彼女を追いかけて来た未来が現れる。

 

「・・・・・・ごめん、私が泣いてたら元気になる筈のエルフナインちゃんも、元気になれないよね・・・・・・? 世の中、拳でどうにかなることって、簡単な問題ばかりだ。 自分に出来るのが些細なことばかりで、ホントに悔しい・・・・・・」

 

拳を握りしめ、嗚咽混じりに語る響に「そうかもしれない」と声をかけつつ、未来は響の手を握りしめる。

 

「だけどね? 響が正しいと思って握った拳は、特別だよ?」

「特別・・・・・・?」

「世界で1番優しい拳だもの。 いつかきっと、嫌なことを全部解決してくれるんだから」

「未来・・・・・・」

 

目尻に涙を浮かべたまま、響は未来へと抱きつく。

 

「うぅ、ありがとう、やっぱり未来は・・・・・・私の陽だまりだ」

 

そんな響に、未来も優しく彼女を抱きしめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜のこと。

 

エルフナインの病室にて・・・・・・。

 

エルフナインは荒い呼吸をしつつも今は眠りについているところだった。

 

そんな時、不意に病室の扉が開き、彼女の元に1人の少女・・・・・・行方不明となっていたキャロルが現れる。

 

そしてエルフナインはキャロルの気配に気付き、目を覚ますと目の前にキャロルがいることにエルフナインは驚く。

 

「キャロル・・・・・・?」

「・・・・・・キャロル? それが、俺の名前・・・・・・」

「記憶障害・・・・・・。 思い出の殆どを焼却したばっかりに・・・・・・」

 

思い出を全て力と変えて焼却したキャロルは、エルフナインの言うように記憶障害を起こしており、そんなキャロルに、エルフナインは悲しげな視線を向ける。

 

「すべてが断片的で、霞がかったように輪郭が定まらない。 俺は、一体何者なのだ? 目を閉じると瞼に浮かぶお前なら俺のことを知っていると思いここに来た」

「君は、もう1人の僕・・・・・・」

「俺は、もう1人のお前・・・・・・?」

「えぇ。 2人でパパの残した言葉を追いかけて来たんです」

 

自分の傍に寄って来たキャロルに、エルフナインは彼女が知りたがっているであろうことを教え、父のことを教えるとキャロルはそれに強く反応した。

 

「っ、パパの言葉・・・・・・。 そんな大切なことも俺は忘れて・・・・・・。 教えてくれ! こうしている間にも俺は、どんどん・・・・・・!」

 

キャロルはエルフナインに父の言葉はなんだったのか、教えてくれと懇願するが、その時、エルフナインは右手で口元を押さえ込み、激しく苦しそうに咳き込んでしまう。

 

「お前・・・・・・!」

 

咳が治まり、口を押さえていた自分の右手を見るとそこには口から吐き出された血がついており、キャロルはそんなエルフナインを心配そうに見つめる。

 

「順を追うとね、一言で伝えられないです。 僕の身体は、こんなんだから・・・・・・」

 

エルフナインは申し訳無さそうな表情をキャロルを見つめ、キャロルは彼女も命が尽き、消えかけているのだと理解し、キャロルもまたエルフナインを心配そうに見つめる。

 

「俺だけじゃなく、お前も消えかけているんだな・・・・・・」

「うん。 世界を守れるなら、消えても良いと思ってた。 でも・・・・・・」

 

その時、エルフナインはその瞳から悲しげに涙を流す。

 

「今はここから消えたくありません・・・・・・!」

「ならば、もう1度2人で・・・・・・!!」

 

エルフナインのその涙を見たキャロルはエルフナインと口づけを交わし、指を絡めさせ、強く握る。

 

すると、2人の握る手に緑の光が灯り・・・・・・同時に、命を示す心電図が平坦となったのだった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

エルフナインが亡くなった・・・・・・。

 

その連絡を受けたコウマ達は夜遅い時間にも関わらず、エルフナインの元へと急行した。

 

一同は急いで病室に入ると、そこにはエルフナインの姿は既に無く・・・・・・代わりに、自分達に背中を向けたままのキャロルがそこには立っていたのだ。

 

「キャロル・・・・・・ちゃん・・・・・・?」

 

すると、キャロルは響達の方へと振り返り・・・・・・。

 

そこにいたのは、キャロルではなく・・・・・・。

 

「僕は・・・・・・」

 

そこにいたのはキャロルではなく、エルフナインであり、キャロルが彼女と1つになることでエルフナインの命を救ったのだ。

 

この時、一同は何があったのか分からなかったが・・・・・・唯一分かるのは、それはエルフナインの命が助かったこと。

 

それだけで・・・・・・響は涙を流しながらも嬉しそうにエルフナインに抱きついたのだった。

 

そのことに、コウマ達も喜び合うのだった。

 

ED「虹色のフリューゲル」

 

 

 

 

 

 

 

 

響は夏休みを使い、実家のある街に父の洸と共に帰省していた。

 

「この町にはいい思い出なんてない筈なのにね。 今はとても懐かしく感じちゃう」

「それはあの頃よりも、響が強くなったからじゃないかな?」

「えっ?」

「さて俺も・・・・・・頑張らなくちゃ・・・・・・な!」

 

洸は伸びをした後、響は洸の言葉に「うん!」と頷く。

 

「「へいき、へっちゃらだ!!」」

 

響と洸はそう言い合いながらお互いにハイタッチ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しい筈の夏休みはどこへ・・・・・・」

「だけどどうしてクリス先輩やコウマ先輩は余裕なんデスか?」

 

クリスの暮らしている寮で夏休みの宿題をしている切歌と調、そして切歌に「道連れ!」として連れて来られた零無。

 

切歌はなんでソファに寝そべってアイスを食べながら余裕こいてるクリスと同じようにアイスを食べながら遊びに来ていたコウマはこんなに余裕なのかと疑問を浮かべていると、クリスは不敵な笑みを浮かべながら模擬テストの結果が書かれた紙を見せる。

 

「いい機会だから教えてやる! こう見えて学校の成績は悪くないあたしだ!」

「実は俺も、そこまで成績悪い訳じゃないんだよ」

「嘘!?」

 

調の信じられないとばかりの発言や切歌や零無の意外そうな表情ににクリスはキッと3人を睨み付け、それに震える3人。

 

「いいい、今言ったのは調デス!!」

「私を守ってくれる切ちゃんはどこ行ったの・・・・・・?」

「そう言えばコウマの野郎、海外で暮らしてたこともあるから英語とかぺらぺらだったな。 お前も勉強できなさそうなキャラだと思ってたのに!!」

「零無、お前それどういう意味だコラ!!?」

「っていうかちゃっちゃっと宿題片付けろお前等ー!!!!」

 

そんな時のことだ。

 

「んっ?」

 

零無は何か違和感を感じ、ビクトリーランサーを取り出すとそれが何かに反応するかのように小さな光を放っていたのだ。

 

「……なんだ?」

 

それと同時に、地底世界でもキサラが何かを感じたようで彼女はどこか怪訝な顔を浮かべていた。

 

「……何かが、起ころうとしている……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

翼はイギリスへ行くため、緒川と共に空港に来ていたのだが・・・・・・その時、一足先に来ていたと思われるマリアがそこにはいたのだ。

 

「偶さか私もイギリス行きなのよね?」

「ぷっ、偶さかね・・・・・・?」

 

マリアの偶さか発言に翼は思わず笑ってしまい、それにマリアは顔を真っ赤にする。

 

「っ、やっぱりこの剣、可愛くない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見送りもまともにできないなんて、父親失格じゃないか?」

 

空港の駐車場では八紘と弦十郎が訪れており、車に乗った状態のまま八紘は「私達はこれで十分だ」と弦十郎に言葉を返す。

 

「それより弦、今回の魔法少女事変どう考える?」

「米国の失墜に乗じた欧州の胎動・・・・・・」

「或いは・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.の司令室。

 

「遅れましたー!」

 

そこへ今となってはすっかりと元気になったエルフナインが現れ、「遅刻だぞー」と朔也に注意されてしまう。

 

「はうー、ずびばせん〜」

「ふふ、早速データの解析を始めましょうか」

 

あおいに言われ、エルフナインは「はい!」と頷く。

 

すると、司令室のモニターにウェルから託されたメモリーが映る。

 

 

 

 

 

 

響の実家にて。

 

「・・・・・・やり直したいんだ。 みんなで! もう1度! だから・・・・・・!」

 

洸は響の母親と祖母にもう1度やり直したいと響の見守る中手を差し伸べ、響の母はそれに躊躇し、戸惑う。

 

「あっ、あははは・・・・・・勢いなんかで手を繋げないって・・・・・・」

 

洸は苦笑し、これは当然の結果かと思ったが・・・・・・その時、2人の間に割り込んで響が両親の手をそれぞれ左右に繋いで来たのだ。

 

「響・・・・・・?」

「こうすることが正しいって信じて握ってる。 だから・・・・・・! 簡単には離さないよ!」

 

響はそう言いながら笑顔を両親に向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ultraman Victory will return(ウルトラマンビクトリーは帰ってくる)

 



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EX Eve 『怪獣軍団襲撃!』

魔法少女事変、キャロル、チブル星人エクセラーが中心となって起こしたその事件はS.O.N.G.の協力やシンフォギア奏者やウルトラ10勇士達が力を合わせたことで無事に解決することが出来た。

 

しかし、事件は完全に解決したかと言えば、そうではなく・・・・・・。

 

現在、S.O.N.G.の調査によって「フロンティア事変」「魔法少女事変」に深く関与していたと思われる「パヴァリア光明結社」なる組織が存在することが判明し、彼等はエクセラーの残した怪獣に変身する為のアイテム、「チブルスパーク」や「スパークドールズ」を使用し、怪獣の力も悪用していることから奏者やコウマ達ウルトラマンは今はその対処に当たっていたのだ。

 

そして・・・・・・つい数日前まで「ウルトラマンマックス」と同化していた青年、「早橋 カイト」も勿論自分に出来ることなら喜んでS.O.N.G.に協力するという姿勢を見せていたのだが・・・・・・。

 

(・・・・・・寝る以外、することがない・・・・・・)

 

どこの安眠ばかり求める囚われのお姫様ですか?

 

自分の家の、部屋のベッドの上でカイトはS.O.N.G.にこれからも喜んで協力すると申し出たは良いものの、そもそもマックスと一体化する前の自分はなんの変哲も無い平凡な高校生なのだから、協力するにしてもやれることは限られていた。

 

なので今は未来と同じく「民間協力者」という立場にはなってはいるのだが、それで何か特別変わったことがある訳では無く・・・・・・。

 

そのことに思い悩んで、自分と同じ民間協力者の未来に「あんまり、何も手伝えることがないのって辛くないですか?」と相談したことがあるのだが・・・・・・。

 

「確かに辛いよ。 でも、私は響が帰って来る場所であり続けること、響の陽だまりであり続けることが、私の戦いだから・・・・・・」

 

なんて響のヒロインムーヴ吹かせまくってさらに響の正妻感見せつけられるだけで終わってしまい、「カイトくんにも出来ることはあるよ。 カイトくんなりの戦いはきっと」と未来に励まされはしたものの、そう言われても自分なりの戦いなんてすぐには思いつかず・・・・・・。

 

こんな言い方したら未来に失礼だとは思ったが、やはりマックスと一体化していた時の方がよっぽど「みんなと一緒に戦えてる」感があったと思わずにはいられなかった。

 

未来と同じように、誰かの支えになれば今の自分の、未来が言うような自分なりの戦い方が出来るようになるだろうかと思ったが・・・・・・。

 

そんな相手がそもそも自分にはいなかったことを痛感し、カイトはがっくりと項垂れた。

 

コウマ、零無はそもそもが野郎なので論外、そんなことしたら気持ち悪いししかも2人とも彼女持ち。

 

クリスと切歌もコウマと零無がいるのでそういう立ち位置の相手は間に合ってる。

 

マリア、翼は・・・・・・美人で高嶺の花過ぎるということもあって自分が支えようなど何様だという話なのでやはり除外。

 

残りのエルフナイン、調はというと・・・・・・なんか自分に犯罪臭がしかねないのでやはり無しの方向で。

 

しかもエルフナインの場合は錬金術やシンフォギアなどの知識が無いと支えどころか手伝いもロクにできないに違いない。

 

「ちょっと外歩くか」

 

そんなカイトは部屋に閉じこもって、モヤモヤと考え込んでも仕方が無いと思い、もしかしたら歩いている時に良い方法が思い浮かぶかも知れないと考え、気分転換も兼ねて散歩するためにカイトは家を出て特に当てもなく、ぶらぶらと街中を歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「んっ? なんだろう、あれ・・・・・・」

 

ボーッとしながらカイトが街中を歩いていると、妙に多くの人が密集して何やら騒いでいるところを発見し、「誰か道端で大道芸でもやってるのかな?」とでも思ったのだが・・・・・・。

 

どうにも密集している人々の様子を見るに、誰かが芸をやっているとかそういったものではないようで・・・・・・兎にも角にも、人々が密集している理由が気になったカイトは人混みをなんとかかき分けながら、何があるのかを確認すると、そこには口が大きく、金色の身体をした成人男性くらいの大きさの怪獣、「コイン怪獣 カネゴン」が項垂れるようにしてその場に座り込んでいたのだ。

 

「えっ、なにこれ? 怪獣・・・・・・?」

「いやいや、着ぐるみでしょ」

「それにしてはよく出来てる気が・・・・・・」

「でも、どちらにしても可愛いかも・・・・・・」

 

カネゴンを不思議そうに見つめる人々は、カネゴンが着ぐるみなのか、それとも本物の怪獣なのか分からず、かと言ってもし本物だったら怖いので誰も声をかけようとはしなかったのだが、ウルトラマンマックスとして何度も怪獣と戦ったカイトには分かった。

 

この怪獣は着ぐるみなんかじゃなく、「本物の怪獣」であると。

 

しかもカイトはカネゴンという怪獣を見るのは初めてだが、以前コウマ(コウマはタロウから聞いたことがある)からカネゴンについて聞いたことがあった為、彼はすぐにこの怪獣がカネゴンだということが分かり、そのカネゴンがどうしてこんなところに項垂れているのかの理由を察することが出来た。

 

『お腹が、空いたよぅ・・・・・・』

 

このカネゴンという怪獣、お腹にあるメーターの数字が「ゼロ」になると、死んでしまい、死なない為にはお金を食べ続けてメーターの数字を可能な限り維持し続けないといけないというなんとも不憫な生体をしている怪獣なのだ。

 

しかもカイトがそのカネゴンのお腹のメーターを見れば、既に「100」と表示されており、メーターを見た瞬間カネゴンが死にかけてることを瞬時に理解したカイトは、大慌てで手財布を取り出し・・・・・・。

 

「あわわわ・・・・・・!! 行っちゃってください!!」

『うごぉ!?』

 

有り金全部カネゴンの口の中に突っ込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ありがと~、君のおかげで命拾いしたよ~』

「いや、それは別に良いんだけど・・・・・・。 いや、まぁ、確かに今月の小遣い全部無くなったけど。 でも、カネゴンの命が助かったなら軽い代償だよ・・・・・・」

 

緊急事態とは言え、自分の所持金全部カネゴンにつぎ込んだことで、今のカイトは一文無しになってしまったが、それでもカネゴンの命を救うことが出来たのなら軽い代償だと思い、それ以上は特に何かを言うことは無かった。

 

ただ1つだけ、「これからバイト探そう」とだけは呟いていたが。

 

そして今、カイトはカネゴンを引き連れて人気のない公園で2人でブランコに乗ってなんでカネゴンはあんなところで生き倒れていたのかとカネゴンの事情をカイトは聞いていたのだが・・・・・・なんでもカネゴンが言うには、「気付いたらここにいた」とのことで自分でもどうしてあんなところにいたのかは分からないらしい。

 

『ただね~、どこかにお金落ちてないかなぁってお金を探していたらね。 目の前にいきなり人間の心臓・・・・・・? みたいな怪獣が現れたんだ~。 いきなりそんなのが現れて、僕もビックリしたんだけどー。 でも次の瞬間にはさっきの場所にいたんだよねぇ~』

「心臓みたいな怪獣? なんだろう、それも以前コウマから聞いたことがあるような・・・・・・」

『あっ、そうそう、丁度目の前にいる・・・・・・あんな奴』

「えっ?」

 

カネゴンの言う「人の心臓のような見た目をした怪獣」に思い当たる節のあったカイトは、それが一体なんなのか考え込んでいると、不意にカネゴンがいきなりある方向を指差し、カイトもカネゴンの指の先を目で追うと・・・・・・。

 

そこには確かに、人間の心臓のような形をした怪獣・・・・・・というよりも物体と言った方が正しいか、そこにドクンドクンと鼓動のような音を発しながら「四次元怪獣 ブルトン」がカイト達の目の前にいたのだ。

 

「なん・・・・・・だ、あれ・・・・・・?」

 

その不可解な存在に、カイトはブランコから立ち上がって後退り、急いでS.O.N.G.に通信機で連絡しようとするのだが・・・・・・。

 

「もしもし!? カイトです!! 街に怪獣が・・・・・・」

 

しかし、ブルトンの発する「時空を歪める能力」のせいか、ただノイズが聞こえるだけでS.O.N.G.に通信を行うことが出来ず、カイトはどうすればと一瞬悩むが・・・・・・兎に角今はカネゴンを連れて一緒に逃げるべきだろうとその場から離れようとするのだが・・・・・・。

 

その時、ブルトンが身体からアンテナのようなものを出すとブルトンに背を見せて逃げようとするカイトとカネゴンの目の前にワームホールのようなものが出現し、そこから背中が鋭く赤く尖り、四底歩行の黒い怪獣、「溶岩怪獣 グランゴン」が出現。

 

さらに続けて両腕が大爪で赤い身体をした鳥のような怪獣、「超古代竜 メルバ」が出現し、立ち塞がった2体の怪獣を前に、カイトは舌打ちした。

 

「クソ!! なんだってこんな・・・・・・」

『うーん、これは・・・・・・僕がやるしかないかなぁ。 命を救って貰ったお礼もしたいし』

「カネゴン? 何して・・・・・・」

 

すると、カネゴンはどこからともなく細長く、青い四角い箱のようなアイテム、「バトルナイザー」を取り出すと、カネゴンはそれを頭上にかざす。

 

『いけー、『ガギ』』

『バトルナイザー! モンスロード!!』

 

バトルナイザーから音声が鳴り響くと、そこから一筋の光が放たれ、光は 二股に分かれた巨大な爪の間からムチの様な触手が生えており、黄色い角を生やした巨大な怪獣、「バリヤー怪獣 ガギ」となって現れたのだ。

 

「なっ、えっ、えぇ!? 怪獣を、召喚した!!?」

『よーし、先ずはメルバに触手攻撃だー』

 

これにはカイトも心底驚き、カネゴンの指示を受けたガギはメルバ・・・・・・ではなく、グランゴンに触手攻撃・・・・・・ではなく、角から放つ光線を放ち、グランゴンに先制攻撃を浴びせる。

 

「グルアアアアア!!!!」

「ガアア!!?」

「全然言うこと聞いてないけどアイツ!?」

『うーん、やっぱり僕じゃいまいち上手く怪獣を操れないみたい・・・・・・』

 

取りあえず、ガギがメルバとグランゴンを相手にしている間に幾らなんでもここは危なすぎることもあり、カイト達は急いでその場から離れることに。

 

そうしている間に、ガギは触手を振るってメルバを攻撃するのだが、メルバは翼を広げて素早く空中へと飛んで回避。

 

「キュウアアアアア!!!!」

 

そのまま急降下ドロップキックをガギに浴びせようとするのだが、ガギは頭を下げることで攻撃を回避し、攻撃が空振りに終わったメルバはそのまま地面に着地。

 

その隙を狙ってガギが右手の触手を振るい、背後からメルバの首を締め上げると触手から電撃をメルバに流し込む。

 

「キュアアアア!!!!?」

 

しかし、そこへグランゴンがメルバを助け出すかの如くガギに突進を繰り出し、突き飛ばすとその際にガギはメルバの拘束を解いてしまい、並び立ったメルバとグランゴンはそれぞれ目から発射する山吹色の破壊光弾「メルバニックレイ」をメルバが、口から吐き出す火炎弾をガギに向かって放つ。

 

「グルルル!! グルアアアアアア!!!!」

 

しかし、ガギは自身の前方に透明のバリアを張り巡らせることでメルバとグランゴンの攻撃を防ぐ。

 

「カネゴンの怪獣、強いな・・・・・・」

 

またガギの戦いぶりを離れた場所で見ていたカイトは2対1という状況にも関わらず、互角以上に戦うガギの強さに感心していた。

 

「キュアアアアア!!!!」

 

一方で、光線技ではガギのバリアを突破するのは不可能と考えたメルバは、素早くガギの背後に回り込むと両腕の大爪「スラッシュクロー」でガギの背中を斬りつけることに成功し、それに怯むガギ。

 

「ガアアアア!!!!」

 

その仕返しとばかりガギがタックルをメルバにかますと、メルバは吹き飛んでビルに激突。

 

そこから追い打ちとばかり触手を両方とも引っ込めたガギが倒れ込んだメルバに爪を振り下ろそうとするが、棘のついた尻尾を振るってきたグランゴンの攻撃を受けてガギは吹き飛ばされる。

 

「グルアア!!? グウウウ・・・・・・!!」

 

それに怒り、グランゴンとメルバを睨み付けるガギだったが・・・・・・その時、ガギの背中が何者かに斬りつけられ、ガギは悲痛な声を上げる。

 

「ガアアアア!!!!?」

 

そこには胸には青いクリスタル、ライフゲージが胸に存在する銀色の人型の怪獣「金属生命体 アパテー(強化装甲状態)」が、ブルトンに新たに呼び出され、そこにいたのだ。

 

「クオオオン!!」

「新手!?」

「ガアアアア!!!」

「キュアアアアア!!!!」

 

アパテーに膝蹴りを喰らい、大きく後退ったところにグランゴンの火炎弾とメルバのメルバニックレイが放たれ、バリアの展開も間に合わず直撃を受けるガギ。

 

「グルアアアアア!!!!?」

 

さらに腕を剣に変形させたアパテーがすれ違いざまにガギを斬りつけ、ガギは片膝を突いてしまう。

 

「3対1・・・・・・。 幾らあの怪獣が強くても、これじゃ・・・・・・。 カネゴン、なんとか逆転できないのか!?」

 

最初こそ、メルバやグランゴン相手に善戦していたガギだったが、アパテーが参戦したことにより、一気に形成は不利となり、カイトは何か他に手は無いのかとカネゴンに訴えるが・・・・・・。

 

『うーん。 もう1体怪獣を持ってはいるんだけど・・・・・・。 これを上手く使いこなせない僕じゃ、1体しか怪獣を呼び出せないんだよ~・・・・・・。 僕にも『レイオニクス』の素質はある筈なんだけどなぁ』

 

一応、カネゴンはまだ後1体だけ出していない怪獣がいるというのだが、バトルナイザーを上手く使いこなすことが出来ない自分では呼び出せる怪獣はせいぜい1体が限界らしく、その為に援軍も呼び出すことが出来ないということで、もはや状況は絶望的だった。

 

せめてコウマか零無、奏者の誰かでも早く来てくれればと思うものの、もしかしたら、ブルトンが時空を歪めてるせいで出動が遅れているのか、一向に彼等が現れる気配は無い。

 

「クソ、俺に何か出来ることはないのか・・・・・・ッ!」

 

カイトは唇を噛み締め、拳を握りしめ、今この場にいる自分が、何も出来ないことにもどかしさを感じ、苛立ちを覚える。

 

『・・・・・・』

 

そんな風に嘆くカイトを、カネゴンはジッと見つめた後、自分の手に持つバトルナイザーに視線を落とす。

 

『・・・・・・僕にはこれを上手く扱えないし、一か八か、物は試しだよね』

 

カネゴンがそう呟くと、カネゴンはカイトの方へと歩み寄り、そっと自分の手に持つバトルナイザーをカイトに差し出したのだ。

 

「っ、カネゴン・・・・・・? これは・・・・・・」

『君が使ってみて。 上手く使いこなせるかどうかは分からないけど』

「でもこれは、君の物だろう?」

『さっきも言ったけど、僕じゃこれを上手く扱えないんだ。 僕が持ってても宝の持ち腐れだよ。 最も、君に『レイブラッド』の遺伝子が無ければ、どの道扱えはしないんだけど・・・・・・』

「レイブラッド・・・・・・?」

 

「レイブラッド星人」、それはヤプールやヒッポリト星人さえも恐れた全知全能の宇宙人であり、かつて何万年にも渡って宇宙を支配していた、宇宙の支配者のことであり、同時に「レイオニクス」と呼ばれる者達が競い、争う「レイオニクスバトル」の主催者でもある存在。

 

「レイオニクス」とはそしてカネゴンのように「バトルナイザー」を用いて怪獣を操る者のことであり、レイオニクスとはレイブラッドが自身の後継者を決めるために宇宙にレイブラッドの遺伝子を撒き、様々な惑星で誕生させた怪獣使い達のことである。

 

最もそのレイオニクスバトルは随分と昔に「地球のレイオニクス」がその主催者であるレイブラッド星人ごと叩きつぶした為に今は終結しているのだが、カネゴンはその「レイオニクス」達の生き残りの1人であるというのだ。

 

『君がこれを使いこなせる可能性は限りなく低いけど、もしかしたらってあるかもしれない。 君にその素質があるのなら、怪獣の僕を分け隔て無く助けてくれた君なら、ガギや『彼』も、君の言うことを聞いてくれるかもしれない。 だから、これを・・・・・・試すだけ、試してみて?』

 

カネゴンにそう言われながら、戸惑いつつもカイトはバトルナイザーを受け取ると、バトルナイザーを手に持った瞬間・・・・・・バトルナイザーが眩い光を放ったのだ。

 

『おぉ~、おめでとう。 君にもレイオニクスの素質はあったみたいだね~』

「俺に・・・・・・、俺が、レイオニクス・・・・・・?」

『さぁ、ガギを助けよう! 『彼』を呼び出して!』

 

カネゴンにそう声をかけられたカイトは、力強く頷くとバトルナイザーを天高く掲げる。

 

「行け!! 『アルギュロス』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガアアア!!!?」

 

メルバの右腕のスラッシュクローによる斬撃を受けて、火花を散らしながら倒れ込むガギ。

 

そんなガギにトドメを刺そうと、剣を構えたアパテーが近づくが・・・・・・。

 

それを阻止するかのように、銀色の拳がアパテーの顔面に直撃し、殴り飛ばしたのだ。

 

「クオオオオ!!?」

「・・・・・・」

 

アパテーを殴ったのは、アパテーとはまた違う西洋の騎士のような姿をした銀色の人型の怪獣・・・・・・「金属生命体 アルギュロス」だったのだ。

 

「!!? !!?」

 

自身と同じ、「金属生命体」に殴られたことでアパテーはそのことに困惑するが、カイトはその隙を見逃さない。

 

「動揺してる隙を見逃すな!! 行け!! アルギュロス!!」

 

カイトの指示を受けて、アルギュロスが「コクリ」と頷くとアルギュロスは一気にアパテーに詰めより、拳をアパテーの胸部に叩き込む。

 

「クオオオ!!?」

「ガギももう少しだけ頑張ってくれ!! 立て!! ガギ!!」

 

カイトがバトルナイザーをかざしながらそう叫ぶと、一瞬ガギの目がギラリと輝き、起き上がると同時にこちらに迫って来ていたメルバとグランゴンを爪で斬りつけ、2体を引き離し、アルギュロスと並び立つ。

 

「グルアアアアア!!!!」

 

挿入歌「エターナル・トラベラー」

 

一方で最初こそ同族のアルギュロスに攻撃されたことで動揺していたアパテーはそこでようやくアルギュロスが自身の敵だということを認識したのか、アパテーは身体を6本の槍に変形すると4本の槍はアルギュロスとガギに向かって飛んでいく。

 

「ガギ!! アルギュロス!! 槍を撃ち落とせ!!」

 

だが、カイトの指示を受けたガギは角から放つ破壊光線で、アルギュロスは右腕をキャノン砲に変形させて砲弾を放ち、槍を全て撃ち落とす。

 

「クオオオオ!!!!?」

 

撃ち落とされた槍は地面に落下するとすぐにアパテーの姿に戻り、右腕を元の状態に戻すとアルギュロスが倒れ込んだ状態のアパテーに容赦なく跳び蹴りを繰り出す。

 

しかし、アパテーはそれを地面を転がることで回避し、立ち上がると左手に槍を作り出し、それをアルギュロスに投げるが、アルギュロスはそれを腕を振るって叩き落とす。

 

「!!?」

 

だが、直後にアパテーのドロップキックがアルギュロスに炸裂し、アルギュロス大きく後退ると背後からメルバが羽交い締めにしてきたのだ。

 

「キュアアアア!!!!」

「!?」

 

動きを止めたところにアパテーがアルギュロスの胸部に拳を叩き込んで行くが、そこへグランゴンと戦っていたガギがグランゴンを蹴り飛ばし、触手を振るってアパテーの首を拘束すると触手を振るってグランゴンの方へと投げ飛ばし、2体は激突。

 

「グルアアアア!!!!」

 

アルギュロスは肘打ちをメルバの腹部に叩きこむことでメルバの拘束を抜け出し、離れると右腕を再びキャノン砲に変形させ、砲弾を振り返りざまにメルバに何度も撃ち込み、それらの直撃を受けたメルバは火花を散らしながら倒れ、爆発。

 

「キュアアアアア!!!!?」

 

またグランゴンは大ジャンプを繰り出してガギに突撃して来たのだが、ガギは触手を振るってグランゴンを叩き落とすと、触手を仕舞って鋭く伸ばした爪を使い、すれ違いざまにグランゴンを切り裂く。

 

「ガアアアア!!!!」

「グウウウ・・・・・・ガアアアアア!!!!?」

 

切り裂かれたグランゴンは断末魔をあげながら倒れ、爆発四散。

 

残されたアパテーは右腕を剣に変形させ、ガギとアルギュロスに向かって駈け出して行くが、ガギが角から破壊光線を撃ち込むとアパテーは一瞬動きを止め、その瞬間を狙って左腕を剣に変形させたアルギュロスがアパテーに向かってジャンプし、剣を振りかざすとアパテーは真っ二つに切り裂かれ、爆発を起こして倒されたのだった。

 

「クオオオオオオオン!!!!?」

 

そして、残りはブルトンだとアルギュロスとガギはブルトンの方へと顔を向けるのだが・・・・・・。

 

形勢が不利と判断したのか、ブルトンは上空にワームホールのようなものを出現させるとその中へと逃げ込んでいき、それにガギとアルギュロスが吸い込まれそうになると、カイトは慌ててガギとアルギュロスの2体をバトルナイザーに呼び戻す。

 

「マズい!! 戻れ!! 2体とも!!」

 

アルギュロスとガギが小さな光になると2体はバトルナイザーを吸い込まれるようにして戻り、ブルトンはワームホールに逃げ込んでそれを閉じると、その場からいなくなってしまったのだった。

 

「逃がしたか・・・・・・」

 

ブルトンには逃げられたが、それでも再び戦う力を手にしたカイトは、これでまたコウマ達と共に戦えることを喜び、バトルナイザーを渡してくれたカネゴンにお礼を述べようとするのだが・・・・・・。

 

「ありがとう、カネゴン。 君のおかげで・・・・・・って、アレ?」

 

しかし、先ほどまで確かに隣にいた筈のカネゴンがいつの間にかいなくなっており、カイトは辺りを見回すのだが・・・・・・カネゴンの姿はどこにも見当たらなかった。

 

「まさか、アイツ・・・・・・」

 

一瞬、カイトはブルトンの作ったワームホールに吸い込まれてしまったのだろうかと考えたが、だとしたら傍にいた自分も吸い込まれていた可能性もあった為、それは無いかと考え、同時にカネゴンの性格上、またお金でも探しに行ったのだろうと彼は思うのだった。

 

「また生き倒れたりしなければいいけど・・・・・・ちょっとこの辺探してみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あっれ~? ここどこ~?』

 

先ほどのカイトのカネゴンへの予想だが、実は半分正解で半分は不正解。

 

カネゴンは「お腹が空いたのでまたお金を探しに行った」という部分は間違い無くカイトの予想通りだった。

 

しかし、アルギュロスやガギが戦ってるにも関わらず、我慢できなかったカネゴンは戦いを最後まで見届けずにお金を探しに行ってしまい、その結果カネゴンは運悪くブルトンの作り出したワームホールに吸い込まれる位置にいてしまった為、カネゴンはそれに吸い込まれてしまったのだ。

 

結果、カネゴンはまた見知らぬ地に放り出されることとなってしまった。

 

『まぁ、いっか~。 それよりもお金お金~』

 

しかし、マイペースな性格のカネゴンはそれよりも先ずはお腹を満たすことの方が優先だった為、再びどこかにお金でも落ちてないかと探し始めるのだった。

 

「虹ヶ咲学園」と書かれた場所に、フラフラと歩きながら侵入して。






このガギ、部分的にバリアを展開したり、触手を任意で仕舞ったり、触手から電撃流れたりします。

当初は一応カイトが戦う相手だからグランゴンとラゴラスにしようと思ったんですけど、こいつ等同士討ちするじゃんと思い同じく「1話に2体登場した怪獣」繋がりでメルバに出て貰いました。
ラゴラス没にしたのはもうエヴォが出てるので。
尚、アパテーは当初出す予定は無く、「あれ? これアパテーVSアルギュロスって面白くない?」と思ったから出しました。

カイトが使う怪獣ならマックスからじゃないの? って思うかもしれませんが、思いつきの方にも説明してましたが、レイがQ、マン、セブンの怪獣を使っているのでこちらはTDGから選出。
ぶっちゃけると自分の好みの怪獣選んだとも言います。
異論は認めない。

あと、思いつきのやつ見たらネタバレしてますけど、カイトの操る怪獣3体目はガイガレード予定です。



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