バトルスピリッツシンフォギアG (alutimito)
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第一話 ガングニールの少女

「魔を払え!聖なる鏡、神獣鏡よ!!」

青年が鏡を掲げる。すると、目の前に存在する巨大な存在がそれに怖れたかのように動きを鈍らせる。聖遺物を活かした技術が存在しないこの時代、そういった技術を使わずとも使用できた、当時は完全聖遺物であったこの鏡は、目の前で暴れる存在の持つ驚異的な力からその持ち主を守る役割を果たしていた。

「燃え上がれ!熱き魂の龍よ!あらゆる炎を統べる皇となれ!召喚、戦国龍皇バーニング・ソウルドラゴン!」

大海の真上に浮上した巨大な大陸。そこを統べる、堕天使の落とし子。それと対峙するのは、赤い髪に緑色の瞳をした青年。赤を基調としたマシンに乗り、赤いジャケットを羽織るその青年の目の前に現れたのは、赤い巨大な鎧を纏ったドラゴン。二本の槍を操るその巨大な紅蓮の龍は、青い瞳を輝かせて落とし子の前に立ちはだかる。

「剣武龍ムラマサ・ドラゴンでアタック!S(ソウル)バースト発動!炎龍刀オニマル!バーニング・ソウルドラゴンにBP+10000!さらに、バーニング・ソウルドラゴンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!」

額から刃をはやした赤い鎧を纏ったオレンジ色の皮膚を持つドラゴン、ムラマサ・ドラゴンの力により、バーストカードが起動する。同時に一本の刀が出現し、バーニング・ソウルドラゴンの手の槍が一本地面に突き立てられ、赤く燃える炎のような刀身を持つ刀がその手に握られる。

「さらにマジック、ソウルオーラ!ムラマサ・ドラゴン、お前から不足コストを確保する!これで、合体(ブレイヴ)スピリットにBP+3000!勝負だ!合体(ブレイヴ)スピリットよ、太陽を、神を断ち切れ!!」

太陽の光輪を輝かせる、赤い毛並みを持つ白き巨大龍が、バーニング・ソウルドラゴンの前に立ちはだかる。全身から灼熱の炎を放出し、バーニング・ソウルドラゴンへとその炎の刃を襲わせるが、その刃を捌き、斬り、避けながら龍の眼前へと迫るバーニング・ソウルドラゴン。そして、

「燃えろ、熱き魂!燃え上がれ、バーニング・ソウルドラゴン!!」

バーニング・ソウルドラゴンの振り上げた刃が、龍を切り裂く。その一刀によって撃破される龍。しかし、まだ青年のアタックステップは終了してすらいない。それを証明するかのようにオニマルが強く輝く。

「オニマルの効果により、合体(ブレイヴ)スピリットにソウルコアを追加し回復させる!!決めろ、合体(ブレイヴ)アタック!!」

バーニング・ソウルドラゴンが炎の刃を振り上げる。そしてそれは、墜ちた落とし子の身体を両断し、大爆発を引き起こす。そして、その大爆発に呑まれた落とし子は大陸と共に沈んでいく。その光景を見届け、青年は自分が乗るマシンを操作して沈みゆく大陸から脱出していくのだった。


「ノイズが襲撃してきました!」

「くっ……!」

 

重火器で武装された屈強な男たちが乗り込んだ装甲車の群れ。その中で屈強な男たちの中に似合わない二人の少女がいた。黄色が混ざり、白に近い茶色の髪の少女、立花響と白に近い灰色の髪の少女、雪音クリス。日本が保有するシンフォギアを纏う三人の装者の内の二人が何故、こんなところにいるのか。それは、目の前の灰色の髪に眼鏡をかけた白衣の男性、ウェルが持つ、ソロモンの杖を収納したケースにある。

 

「ウェル博士は安全な車両の最前部に!」

「わかりました!」

 

険しい声で告げる響の言葉に従うように、ウェルが大事そうにケースを抱えながら移動する。半年前、地球に落下しようとする月の欠片を神々の砲台、カ・ディンギルを用いて破壊。ルナアタックと呼ばれるこの事件は、世界中に衝撃を与えることとなる。この一件を機に日本政府が公開した桜井理論、そしてシンフォギアの存在。装者が誰なのかは秘匿されたままではあるが、こうして上層部に関しては既に公開情報として存在している現状があり、アメリカの要請を受けてソロモンの杖をアメリカの基地へと輸送する途中にノイズが襲撃してきたこととなる。

 

「へっ、数はそれなりってところか……しかし」

 

シンフォギアを纏い、響とクリスが車両の外に出る。そこで待っていたのは、大量のノイズ達。そのノイズ達が、周囲を覆うように、そしてぎりぎりエクストリームゾーンに引き込まれない距離を保ちながら現在は様子見と言わんばかりに浮いている。

 

「よーし、ここは手分けをして……」

「ちょっ、待てって!ここで私たちが同時にゲートを開こうものなら、一部は大丈夫でも残りは止められないだろ!?」

「……あ、確かにそうだったね」

「……ったく。もうあいつがいないんだから、私たちが何かやらかしたら、それで取り返しのつかないことになってももうどうしようもないんだぞ?」

 

苦笑する響にやれやれと言った様子で言葉を返すクリス。半年前、この時代から姿を消した一人のカードバトラー。ブレイヴ使いの二つ名を持つ男、馬神弾。神々の砲台の引き金となり、月の欠片を破壊した、この世界を救った、名を遺されなかった英雄。過去の人間である彼は、最初から存在しないこととなっており、神々の砲台を使って世界を救ったのは三人の装者であるとされている。無論、完全な間違いというわけではなく、響達三人がいなければ砲台は機能しなかっただろう。その点で言えば確かに彼女達も英雄だ。しかし、最も英雄として称えられなければならない男を退けてまで英雄視されるのは、彼女達としても本意ではない。

 

「……そうだよね。今度は、私たちが頑張らないと!」

「……取り敢えず、ここは様子見だな。私たちが動かない限りはこいつらも動くことはなさそうだ……だが」

 

まるで意思を持っているかのような動き。無論、ノイズにはバトルスピリッツを行うための思考ぐらいはあるだろう。だが、バトルをするための思考プログラムのみであり、それ以外は本能のようなものに従うしかないはず。そのノイズが、まるで統率されたかのような動きをしている。つまり、

 

(操られてる……何が目的……って、考えるまでもないか)

 

ウェルが現在持っているソロモンの杖が狙いだろう。ノイズを御する力を持つ完全性遺物、ソロモンの杖を奪い取って何をするかはわからないが。周囲を索敵しながらここからどう動こうかを考えていたクリスだったが、ここでふと、自分たちが進む進路上にトンネルがあることに気付く。

 

「!響、伏せろ!」

「えっ?」

 

クリスに言われるがままに姿勢を低くする。クリスも姿勢を低くし、車体の上ではなく、車体の横へと降りていく。そしてトンネルの中に入り、響はあのまま上に立っていたら頭を思い切り打ち付けていたであろうという事実に気付いて冷や汗を流す。

 

「……おっ?」

 

そして、自分たちを追ってトンネルの中に進入していくノイズ達。所狭しと敷き詰められ、波のようにこちらに向かってくるその姿を見て、響はこれはチャンスではないかと考える。

 

「これなら!」

「おい!?響!?」

「これだけ密集していれば、まとめて引き込める!」

 

響の纏うシンフォギアのパーツであるパワージャッキがブーツから出現する。そして装甲車を蹴りつけて勢いを付けると、ノイズの眼前まで飛び出し、ゲートを開く。

 

「ゲートオープン!界放!!」

 

響がそう宣言した瞬間、ノイズ達が一斉に虚空に開いたゲートに吸い込まれていき、エクストリームゾーンへと移動する。そして装甲車の方に残されたクリスは、ノイズ達が全て消えた目の前の状況を見ながら、驚いたように口を開いた。

 

「ノイズ達もトンネルで視界を遮られたらこちらに狙いを付けられない……もし操られているのならそれも尚更。だから、トンネルの内部に入るしかないけど、そうなればノイズ達は自然と一点に固まることになる。それを纏めて引き込んだのか……あいつ、どこまで……」

 

強くなるんだ。その言葉は口にせずに呑み込んでいく。そして、エクストリームゾーンに降り立った響の様子は確認できないため、彼女の勝利を信じるしかないだろう。とはいえ、たかがノイズ程度に彼女が負けるとは微塵にも感じられないため、クリスはあちらに任せている分は任せておき、まだ残っているノイズがいるかどうかの警戒を始めるのだった。

 

「……よし!」

 

エクストリームゾーンに入った響は、目の前で一つの個体に収束していき、一般男性程度の大きさに縮小していくノイズを見る。そしてノイズがバトルの準備を完了させたのを見て、バトルをスタートさせていく。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ダーク・ディノニクソーをLv2で召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【ダーク・ディノニクソー:赤(緑)・スピリット

コスト2(軽減:赤2):「系統:地竜」

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:赤(緑)】

 

響のフィールドに赤のシンボルが出現し、それが砕ける音と共に一体の小さな恐竜が現れる。黒い皮膚を持つその小さな恐竜の身体には丸鋸が回転している様子が目に映り、瞳が赤く、アンテナのようなものが立っている。Lv2・3のとき、緑のスピリットとしても扱うようになるスピリットを先方として立たせ、最初のターンは様子見に出る。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。オニグモンを召喚(リザーブ:5→4)

 

【オニグモン:紫・スピリット

コスト0:「系統:霊獣」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫】

 

ノイズのフィールドに出現した紫のシンボルが砕かれ、その中から一体の小型の蜘蛛の姿をしたスピリットが現れる。小型と言ってもそのサイズはダーク・ディノニクソーほどであり、見る人からすれば鳥肌ものだろう。赤い不気味な模様を輝かせながら、額から伸びる角を揺らして現れた蜘蛛を、響は警戒して見る。

 

『ネクサス、黄昏のキャメロット城をLv2で配置(リザーブ:4→0)

 

【黄昏のキャメロット城:紫・ネクサス

コスト3(軽減:紫2)

コア2:Lv2

シンボル:紫】

 

ノイズが紫のネクサスを配置する。すると、ノイズの背後の空が日没でも迎えたかのように暗くなり、雲のない空に夕焼けの名残である赤さが広がっていく。そんな幻想的な空の下に出現した、明るい黄色で彩られた一つの城。その城は下部を白い雲のような霧で包まれている姿が確認できる。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)!メインステップ!ブロンズ・ヴルムを召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【ブロンズ・ヴルム:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:星竜」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

ダークディノニクソーの隣に現れる、銅色の胴体を持つドラゴン。四本足で立つその赤い目を持つドラゴンは、青銅の色の兜を身につけており、稲妻の装飾が施されているのが確認できる。そして、このスピリットの召喚が、ノイズのネクサスの効果を発揮させることとなる。

 

『黄昏のキャメロット城、Lv1・2効果。相手のメインステップ時、相手のスピリットが召喚されたとき、自分のデッキの上から3枚をトラッシュに置くことができる』

 

ノイズがデッキからトラッシュに置くカードは三枚。マインドコントロール、骨孩児、銀狼角。破棄ではないため、デッキ破棄対策の効果を受け付けずに行える効果でトラッシュを肥やしていく。

 

「バーストをセットしてアタックステップ!」

 

響の場に出現する、バーストカード。これで備えは万端。後は、このターンで行うアタックを宣言する。

 

「ダーク・ディノニクソーでアタック!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)

 

ダーク・ディノニクソーが飛び上がり、自身が持つ丸鋸の回転力をさらに高めてノイズへと叩き付ける。その一撃が、ノイズのライフを砕く音と共にそのライフを破壊していき、ノイズの持つ五つのライフに傷を付けていく。

 

「ターンエンド!」

 

このバーストがライフ減少なのか、スピリット破壊なのかを相手に予測させないためにブロンズ・ヴウムを残してターンを終える。そして、先制攻撃でライフを削られたノイズの第四ターンが始まる。

 

スタートステップ(ターン04)。黄昏のキャメロット城、Lv2自分のスタートステップ時効果発揮』

 

自分のトラッシュにある系統:「雄将」/「魔影」を持つスピリットカード1枚を手札に戻すことができる。その効果によりノイズは先ほどのターンにブロンズ・ヴルムの召喚に反応してトラッシュへ送り込んだ系統:「雄将」を持つ骨孩児を手札に回収する。

 

コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)、メインステップ。金狐角を召喚(リザーブ:4→2)

 

【金狐角:紫・スピリット

コスト3(軽減:紫2):「系統:雄将・霊獣」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:紫】

 

新たに出現する、紅葫蘆と呼ばれるヒョウタンを背負った、二枚の翼によって作られた軍配のような武器、芭蕉扇を背負った金色の毛並みの狐。額から一本の角を生やし、白い和服を着用した狐が召喚されると共に嘶きを上げ、その鳴き声はトラッシュに眠る相方を呼び寄せる。

 

『金狐角、召喚時効果。自分のトラッシュにある銀狼角1枚を、コストを支払わずに召喚(リザーブ:2→1)できる』

 

【銀狼角:紫・スピリット

コスト2(軽減:紫2):「雄将・霊獣」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫】

 

ノイズの背後に山が出現し、それが動かされる。山を動かす術を得意とする金狐角の相方である銀狼角が山より駆けて現れ、背中に一本の剣、七星剣を背負った日本の角を生やした銀色の毛並みの狼が現れる。鎖帷子のような防具を纏った新たな霊獣の出現で場を固めたノイズは、そのままの勢いで攻撃を開始する。

 

『バーストをセット、アタックステップ。銀狼角でアタック』

「ブロンズ・ヴルムでブロック!」

 

ブロンズヴルムが突進してくる銀狼角に体当たりを仕掛け、その身体を吹き飛ばす。吹き飛ばされた銀狼角が紫色の光に包まれて消えていく。

 

『金狐角でアタック』

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

金狐角が響の眼前の地面を蹴り、跳び上がる。そして額から生えた角が光を反射して一瞬の輝きを見せ、鋭い突きをライフで受ける宣言をした響の目の前に出現した紫色の半透明のバリアに浴びせていく。突き刺さった刃がバリアを砕き、その衝撃が響のライフを一つ破壊し、その身体を僅かに揺らす。

 

「ライフ減少によりバースト発動!絶甲氷盾!ボイドからコア1個をライフ(ライフ:4→5)に追加!」

 

しかし、ライフ減少によって響のフィールドにセットされていた白のバーストカードが起動。その力によって響の減ったライフが増え、元通りとなる。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)、よし!リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)!メインステップ!」

 

ドローステップで引いてきたカードを見て、頷いた様子を見せる。これならば、この状況をどうにかできるカードとしてこの場で活躍できることだろう。

 

「鎧竜エドモントソードを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【鎧竜エドモントソード:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤3・緑1):【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

巨大な四本の刃のような角を持つ、四足歩行をする恐竜型スピリット、エドモントソードを呼び出す響。通常の効果の後に対応する色のシンボルが自分の場に存在すれば続けて発揮される効果、連鎖(ラッシュ)を持つ強力なスピリットだ。

 

『黄昏のキャメロット城、Lv1・2効果』

 

しかし、その召喚に反応される形で再びネクサスの効果が起動する。リブートコード、ガイミムス、ソウルホースの三枚がトラッシュへと墜ちていく。

 

「バーストをセットしてアタックステップ!鎧竜エドモントソードでアタック!アタック時効果により、系統:「地竜」を持つ自分のスピリット1体につき、BP4000以下の相手スピリット1体を破壊する!1強化(チャージ)追加でBP5000以下のスピリット2体を破壊!」

 

系統:「地竜」を持つスピリットはダーク・ディノニクソーとエドモントソードの二体。そこにBP破壊上限を一つにつき+1000する赤の強化(チャージ)が追加され、BP5000以下の相手スピリット二体を破壊する効果となった斬撃がエドモントソードから伸びた刃から放たれ、オニグモンと金狐角を貫き、破壊する。

 

「さらに連鎖(ラッシュ)発揮!ボイドからコア1個をエドモントソードに追加!」

 

【鎧竜エドモントソード

コア1→2】

 

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:4→5)

 

エドモントソードの突進がノイズへとさらなるダメージを叩き込む。鋭い一撃を叩き込まれ、二つ目のライフを砕かれたノイズ。しかし、そのダメージが伏せられた罠を発動させる手段となる。

 

『自分のライフ減少後、バースト発動。妖華吸血爪 (コスト5(軽減:紫2))。自分はデッキから2枚ドローする。その後コストを支払うことで、このカードのフラッシュ効果を発揮(リザーブ:5→1)する。自分の手札を好きなだけ破棄する。 その破棄したカード1枚につき、相手のスピリット1体のコア1個を相手のトラッシュに置く。手札を二枚破棄』

「!?」

 

銀狼角、サジッタフレイム。ノイズのトラッシュへと送り込まれていく、破棄されたカード達。その数は二枚。よって、響のフィールドのトラッシュへと置かれるコアの数も二個となる。ノイズがトラッシュへと送るコアを乗せたスピリットは、

 

『鎧竜エドモントソードを指定』

 

【鎧竜エドモントソード

コア2→0】

 

エドモントソードの姿が紫色の爪のような光に包まれ、消えていく。トラッシュにコアを送り込まれては、次のターンでマジックのコストのために使うこともできない。

 

「ダーク・ディノニクソーでアタック!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:1→2)

 

ダーク・ディノニクソーが跳び上がり、丸鋸を叩き付けてさらに追撃を加える。しかし、ブロンズ・ヴルムがアタックしてダメージを与えたところで全てのライフは削りきれない。そう判断した響はここで攻撃を中止することにする。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン06)

 

このスタートステップ時に黄昏のキャメロット城、Lv2効果が適用され、トラッシュの系統:「雄将」を持つ銀狼角が手札に加えられていく。

 

コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→8)、メインステップ。黄昏のキャメロット城をLv1にダウン(リザーブ:8→10)

 

【黄昏のキャメロット城

コア2→0:Lv2→1】

 

『銀狼角を召喚(リザーブ:10→8)

 

【銀狼角

コスト2(軽減:紫2)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫】

 

トラッシュから回収された銀狼角が再度召喚される。その召喚により、銀狼角の方が持つ効果が発揮されることとなる。

 

『銀狼角、召喚時効果。自分のトラッシュにある金狐角1枚をコストを支払わずに召喚(リザーブ:8→6)

 

【金狐角

コスト3(軽減:紫2)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:紫】

 

銀狼角に呼ばれるようにフィールドに出現する金狐角。銀角が金角を呼び、金角が銀角を呼ぶ。まさにモチーフとなっている兄弟魔王の繋がりを表している能力だといえるだろう。そして、銀狼角の効果で召喚されたスピリットは召喚時効果が発揮されないという制限はない。つまり、

 

『金狐角、召喚時効果。銀狼角を召喚(リザーブ:6→5)

 

【銀狼角

コスト2(軽減:紫2)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫】

 

トラッシュから二体目の銀狼角が呼び出されると言うこと。たった一枚の手札から呼び出された三体のスピリットは、驚異的の一言しかない。

 

『牛骨魔王を召喚(リザーブ:5→1)

 

【牛骨魔王:紫・スピリット

コスト5(軽減:紫2):「系統:雄将・無魔」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:紫】

 

紫色の霧がフィールドを包み込む。霧の中から巨大な白牛が出現する。体長は3330メートル、体高はは2666メートルというその巨体は、一つの人型へと変貌を遂げていき、黒と金を基調とした鎧を纏い、赤いマントをなびかせる姿となる。額からは金色の二本の角を生やしていき、その右手には大剣が握られ、その剣からは青い稲妻が迸っている。

 

「……!」

 

今までとは一線を越えたその存在に、響も警戒の色を強める。そして、ノイズは揃えたスピリット達を手に、アタックステップを宣言する。

 

『アタックステップ。牛骨魔王でアタック。アタック時効果。系統:「覇皇」/「雄将」を持つ自分のスピリット1体につき、相手のスピリットのコア1個を相手のリザーブに置く』

 

該当する系統:「雄将」を持つスピリットは銀狼角二体、金狐角、牛骨魔王の合計四体。よって、響の場に存在するスピリット達に置かれたコア、合計四個がリザーブへとシュートされることとなる。

 

【ダーク・ディノニクソー

コア2→0】

 

【ブロンズ・ヴルム

コア1→0】

 

牛骨魔王が振り上げた剣に纏われた稲妻が斬撃となって放たれ、ダーク・ディノニクソーとブロンズ・ヴルムを包み込んでいく。二体の持つ合計コア三個が全てリザーブへとシュートされたことでスピリットは消滅、響は一気に防御面で不利に陥ることになる。

 

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:3→4)!」

 

牛骨魔王の振り抜いた剣が響のライフをさらに破壊する。牛骨魔王が作り出した更地のフィールドは、今やノイズにとって格好の的。さらに銀狼角達が鳴き声を上げる。

 

『銀狼角でアタック』

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:4→5)!」

 

銀狼角の二本の角が振り上げられ、響へと叩き付けられる。牛骨魔王に続いてまた一つとライフを破壊され、一気に残りライフ3に追い込まれる。だが、まだノイズのアタックは終了しない。

 

『銀狼角でアタック』

 

続く二体目の銀狼角のアタック。その宣言を聞いた響は、ここがチャンスだと言わんばかりに伏せたバーストを発動させる。

 

「相手スピリットのアタックによりバースト発動!トライアングルバースト(コスト3(軽減:緑1))!手札のコスト4以下のスピリット、ダーク・ディノニクソーをLv2で召喚(リザーブ:5→3)!」

 

【ダーク・ディノニクソー

コスト2(軽減:赤2)

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:赤(緑)】

 

「さらに、フラッシュ効果発揮(リザーブ:3→1)!金狐角を疲労!」

 

金狐角を中心とした魔方陣が地面に刻まれていく。そこから放たれた光の糸が金狐角を縛っていき、大地に縫い付けてその動きを封じてしまう。

 

「このアタックはライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

そして、アタックを続行している銀狼角のアタックはライフで受けることで次のターンに使えるコアを増やすことを考える。そしてすべてのスピリットを疲労させられた結果になったノイズも、感情が存在しないが故か、特に慌てることもせずにただ淡々とノイズ混じりの音声を発する。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:1→2)リフレッシュステップ(リザーブ:3→10)!メインステップ!」

 

ドローステップで引いた一枚のカード。それを見て、響は静かに頷く。今の自分にはあの時に使用したアルティメット、戦国六武将を操れる状態、通称、エクスドライブにはなれない。それでも、この半年で弾がいなくても戦えるように、皆と一緒に特訓を繰り広げてきたのだ。その成果を、今こそ活かすとき。この戦いに勝つということで、その覚悟を、想いを証明するために、少女は歌う。

 

「響け、金色の稲妻!!アルティメット・ジークヴルム、Lv5で召喚(リザーブ:10→1)!」

 

【アルティメット・ジークヴルム:赤・アルティメット

コスト6(軽減:赤3):「系統:新生・星竜・竜人」:【真・激突】

コア4:Lv5:BP17000

シンボル:極】

 

空が暗雲で黒く塗りつぶされ、そこから雷鳴が鳴り響く。雷鳴の中から現れたのは、黄金の鎧を纏う、紅蓮の皮膚を持つ雷の龍。ジークヴルムが別の方向性へと進化した、可能性が生み出した新たな姿。強き力を持ち、ジークヴルムがアルティメットへと昇華された存在、アルティメット・ジークヴルム。その存在が、咆哮と共に証明される。

 

「アタックステップ!アルティメット・ジークヴルムでアタック!!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!!」

 

響の握られた拳から放たれた光弾がノイズのデッキトップのカードをトラッシュへと移動させる。U(アルティメット)トリガーによる効果で相手のデッキトップからトラッシュへ置かれたカード、そのコストがトリガーを発揮したアルティメットのコスト未満のコストを持つカードであれば、そのトリガーはヒットとなり、強力な効果を発揮できる。ノイズのデッキからトラッシュへ置かれたのは騎士王蛇ペンドラゴン。コスト5のカードであるため、このトリガーはヒットとなる。

 

「ヒット!アルティメット・ジークヴルムにBP+10000!」

 

【アルティメット・ジークヴルム

BP17000+10000→27000】

 

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:1→2)

 

アルティメット・ジークヴルムの振り上げた拳がノイズにさらなるダメージを与える。これで残りライフは後一つ。ダーク・ディノニクソーのアタックで響の勝利が決まる状況だ。

 

「ダーク・ディノニクソーでアタック!」

 

ここは防がれるリスクを承知で敢えて攻める。そして、このアタックを受ければ敗北となるノイズはその手札からこの状況を打開することを可能とするカードを使用する。

 

『フラッシュタイミング。妖華吸血爪(コスト5(軽減:紫2))使用(リザーブ:2→0)。不足コストは銀狼角から確保』

 

【銀狼角

コア1→0】

 

ノイズの手札の二枚のカード、骨孩児と黄昏のキャメロット城が破棄される。それにより、ダーク・ディノニクソーの持つ二つのコアがトラッシュへと送られ、コアが0個になったことで消滅する。

 

【ダーク・ディノニクソー

コア2→0】

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:0→1)リフレッシュステップ(リザーブ:1→9)、メインステップ。牛骨魔王、銀狼角をLv3、黄昏のキャメロット城をLv2にアップ(リザーブ:9→0)

 

【牛骨魔王

コア1→5:Lv1→3:BP4000→10000】

 

【銀狼角

コア1→4:Lv1→3:BP1000→5000】

 

【黄昏のキャメロット城

コア0→2:Lv1→2】

 

『アタックステップ。銀狼角でアタック』

「フラッシュタイミング!」

 

ここでこのアタックを止めなければ、続くアタックで敗北する。だが、このアタックを止める手段は既に手札にある。そのカードを使い、強固な防壁を作り上げるのだ。

 

絶甲氷盾(コスト4(軽減:白1))使用(リザーブ:1→0)!不足コストはアルティメット・ジークヴルムより確保!」

 

【アルティメット・ジークヴルム

コア4→1:Lv3→1:BP17000→10000】

 

「バトル終了時、アタックステップを終了する!このアタックはライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:0→1)!」

『ターンエンド』

 

銀狼角が再度角を振り上げ、ライフを奪う。しかし、その直後に発生した巨大な氷の壁が後続のスピリット達を阻み、アタックステップを無理矢理終わらせることで響を生存させる。

 

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:0→1)リフレッシュステップ(リザーブ:2→13)!メインステップ!貫け、ガングニール!その拳を響かせろ!撃爪アダーラ、召喚(リザーブ:13→8)!!」

 

【撃爪アダーラ:緑・ブレイヴ

コスト2(軽減:緑1):「系統:剣刃」:【スピリットソウル:緑】

コア3:Lv1:BP1000

シンボル:なし】

 

響がドローしたのは、この状況で勝利を手にするために必要となるキーカード。己のアームドギアがブレイヴとなった姿、撃爪アダーラ。天より落ちてくる、鋭い爪が生えた緑を基調とした篭手。それは、アルティメット・ジークヴルムと重なることで新たな形態を見せることとなる。

 

「撃爪アダーラを、アルティメット・ジークヴルムに合体(ブレイヴ)!!」

 

【アルティメット・ジークヴルム:赤+緑

コスト6+2→8

コア1→4:Lv1→3:BP10000→17000+1000→18000】

 

アルティメット・ジークヴルムの両腕にアダーラが装着され、その身体から緑色の光が放たれる。新たな姿、合体(ブレイヴ)アルティメットとなったアルティメット・ジークヴルムが咆哮を上げ、勝利をもぎ取るために動く。

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!!」

 

響の手から放たれた光弾がノイズのデッキトップにあったコスト3のカード、金狐角をトラッシュへと落とす。それにより、再びトリガーがヒット、アルティメット・ジークヴルムのBPは+10000となる。

 

【アルティメット・ジークヴルム

BP17000+1000+10000→28000】

 

「さらに、アタック時効果!真・激突!!」

『牛骨魔王でブロック』

 

真・激突の効果を持つスピリットがアタックしたとき、その効果を受けた相手スピリットは必ずどれ一体でブロックしなければならない。牛骨魔王が剣を振り上げ、アルティメット・ジークヴルムへと襲いかかるが、その刀身を左手でいとも簡単に掴んで止めてみせると、逆にアルティメット・ジークヴルムは右手の撃爪を勢いよくその腹へとめり込ませ、鋭い爪によってその身体を貫いて破壊してみせる。

 

「撃爪アダーラ、合体(ブレイヴ)時効果!BPを比べ、相手のスピリット/アルティメットだけを破壊したことで、相手のライフ(ライフ:1→0)をリザーブに置く!貫け、私のアルティメット!!」

 

アルティメット・ジークヴルムが今一度拳を構える。そして勢いよく大地を蹴って飛び出し、ノイズへ向けてその拳を叩き付け、その身体を黒く、粉々に粉砕された炭素へと変えていく。バトルに勝利した。その事実を噛みしめながら、響が自分たちの勝利を喜ぶかのように、声を張り上げるのだった。

 

「これが、私のシンフォギアだ!!」

 



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第二話 紅きシンフォギア

四期と五期はどうなるんでしょうね。もう、未来がお前らのシンフォギアが元になって発展した聖遺物技術のせいで滅んだから過去の装者もシンフォギアも全部ぶっ壊して未来救う!みたいな未来組の物語とか、別次元から装者のそっくりさんが来て侵略を始めたりとか、ナスカの地上絵が実は聖遺物でその力を宿したダーク装者が出てきて戦うことになるとか、私と貴女でオーバーレイしたり、装者の誰かが前世の記憶蘇った結果裏切ったり、世界の起源の聖遺物が現れてそれを巡って戦ったりするのかもしれないし、世界作り上げた神様が出てくるかもしれないし、欲望に溢れた三好君の好きそうなオッPの絶望の神様が現れてシンフォギア次元を滅ぼそうとするかもしれない。

色々期待が膨らみますね。


「これで無事に任務は完了となります」

 

屈強な軍人の安堵したような声が基地の前で静かに響く。ノイズとの戦いは、やはりわかっていても命がけだ。アメリカの選りすぐりの対ノイズ専用のカードバトラー部隊であっても、その戦いで一度もライフを砕かれずに生存したのは実に半分。そう言われるほどのあまりに危険な戦闘部隊ではあるが、今回はなんと死傷者ゼロ。だからこそそこから生還したことへの安心感がいつもより大きくあるのだろう。尚、ノイズを倒した後、バトルの間も進み始めていた車両に置いてかれることになり、慌てて響はシンフォギアで増強させた脚力を使って跳ぶようにしてクリスのところに戻ってきたのだが、それは別の話。

 

「二課の皆様、お疲れ様でした」

「ありがとうございます」

 

藍色の髪にスーツを着た女性、友里あおいが男性へ応える。今回、日本側から護衛に二人の装者を付けたが、子供だけというわけにも行かない。そこで、お目付役という名目で二課と連絡を取り合うための要因としてあおいがこの一件に配属されることとなったのだ。

 

「全く、お前が自由にやるせいでこっちは大変だったんだぞ……」

「あはは、ごめんねクリスちゃん」

 

苦笑いしながら頭を掻く響。響がノイズのほとんどを相手にしてくれたおかげで随分とやりやすくはなったのだが、それでもはやり残り物があった。そしてそれは必然的にクリスが相手せざるを得なくなり、その結果、クリスも響と同様に置いてけぼりを喰らってしまい、二人して全力疾走して装甲車の群れに戻るというマラソンのようなことをやっていたばっかりだ。と、そんなときだった。

 

「確かめさせていただきましたよ」

 

軍人達の後ろからウェルが現れる。ソロモンの杖を収納したケースを手に、ウェルは晴れやかな笑顔を向けて二人の少女を褒め称える。

 

「流石、ルナアタックの英雄と呼ばれる人達です。素晴らしい実力だ」

「え、英雄ですか……」

 

英雄。その言葉は確かに悪い言葉ではない。響も、悪い気はしない。だが、響もクリスも、その言葉を素直に受け止められはしない。それはもう一人の装者も同じだろう。何故なら、真に英雄として称えられなければならない人間がいるから。

 

「はは、そうですかね……」

 

しかし、その複雑な感情を表に出すことはせず、軽く笑いながらウェルの言葉を受け止めることにする。しかし、その様子が謙虚に見えたのだろう。ウェルは一層晴れやかな笑顔を見せながら口を開いていく。

 

「いえいえ、謙遜することはありませんよ。むしろ、世界はこんな状況です。だからこそ、僕達は英雄を求めるのですよ。そう、誰からも信奉される、真の英雄の姿を!」

 

ウェルの英雄談義は、彼の持つ英雄像を語る内容へと変化していく。しかし、ウェルが期待するような、そんな英雄になるつもりは響にもクリスにもない。おそらく、彼もだろう。

 

「っと、話が脱線してしまいましたね。とにかく、皆さんが守ってくれたものは、僕が必ず役立てて見せますよ。未来に向かってね」

 

ソロモンの杖のケースを見せるように持ち上げながら終始笑みを崩さずに語るウェル。と、その声が、最後の最後で僅かに鋭く、低くなったことを響とクリスは知らない。

 

「はい!よろしくお願いします!」

「頼んだからな」

 

二人の返した言葉を受け、一度ウェルが礼をする。そして男たちに守られながら基地の中に入っていく姿を見届けて、響は任務が終わったことを実感するように大きく溜息を吐く。

 

「へへ、これなら夕方の翼さんのライブに間に合いそうだね!クリスちゃん!」

「まぁ、そうだな」

「……はい、わかりました」

 

和気藹々とした雰囲気を見せる響とクリス。そんな二人を見ながら本部と通信を取っていたあおいは、二人に吉報を届ける。

 

「二人が頑張ってくれたから、司令がヘリを出してくれるって」

「本当ですか!?やっ」

 

しかし、その言葉は最後まで言い切ることはできなかった。いや、厳密には、その声をかき消されたと言うべきか。

 

「「「……」」」

 

突然の事態に驚きながら、基地を見る三人。そこには、大爆発の音を響かせ、炎に包まれ、ノイズの蠢く変わり果てた基地の姿があった。

 

「またノイズが!?行こう、クリスちゃん!」

「ああ!」

 

響とクリスが爆発の中に現れたノイズを見て即座に思考を切り替えて走り出す。基地の中には屈強なカードバトラー部隊が言えど、一撃でもらえばアウトだ。ここは自分たちが出向くしかない。二人の戦士が基地に突撃する様子を見ながら、あおいは本部と回線を繋ぎ、連絡を試みる。

 

「ここは手分けするぞ!」

「わかった!」

 

響とクリスは二手に分かれて動くことにする。素早く生存者を発見し、ノイズを倒すために。そして爆煙の中をシンフォギアを纏うことで熱などからその身を守り、悪くなる視界をスコープを兼ねたバイザーを使いクリスはノイズの居場所を索敵して導き出す。

 

「あそこか!」

 

そしてノイズを発見し、そちらへ向かう。そしてノイズ達の前に立ちはだかると、クリスはゲートを開く。

 

「ゲートオープン!界放!!」

 

ノイズ達とクリスがエクストリームゾーンへと移動する。そして、目の前に立つノイズを叩き潰すためにスタートステップを宣言する。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!天使マカエルをLv2で召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【天使マカエル:黄・スピリット

コスト2(軽減:黄2):「系統:天霊」:【強化(チャージ)

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:黄】

 

クリスのフィールドに出現する黄色のシンボル。そこから光が漏れ、シンボルが砕ける音と共に白い翼が広げられる。黄色と白の二色を基調とした装甲を纏った赤い縮れた髪を宙になびかせる天使、マカエルが二本の剣を得物として現れる。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ロウ・コウチューを召喚(リザーブ:5→0)

 

【ロウ・コウチュー:緑・スピリット

コスト4(軽減:緑2):「系統:雄将・華兵」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

ノイズが召喚したのは、緑のスピリット。額から長い毛が生えたような形をしている兜をかぶり、鱗のような装飾が施された鎧を纏い、自身の得物である弓を構える猿のスピリットが着地するのと同時に小さく土煙が上がる。

 

『アタックステップ。ロウ・コウチューでアタック』

 

ロウ・コウチューが矢を構える。それと同時にノイズのリザーブに青い光が追加されていく。

 

『ロウ・コウチュー、アタック時効果。ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く(リザーブ:0→1)

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ロウ・コウチューが放った矢がクリスへと飛んでいく。ライフで受ける宣言をしたクリスを守るように緑色の半透明なバリアが出現し、矢がそれを砕き、同時にクリスのライフを一つ穿つ。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)!メインステップ!天使グレットをLv2で召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【天使グレット:黄・スピリット

コスト3(軽減:黄2):「系統:天霊」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:黄】

 

クリスが続けて一体の天使を呼び出す。白黒の細身の全身を包むタイツスーツを纏った、ブラウン色の髪に赤い目を持つ白い翼の天使。その肩や腰、膝には装甲が装着され、左腕には一本の弓が装備されている。

 

「アタックステップ!天使グレットでアタック!アタック時効果でバトルの間、相手スピリット1体をBP-3000!1強化(チャージ)追加でBP-4000!ロウ・コウチューを指定!」

 

マカエルの身体が発光し、黄色い光の糸でグレットと繋がる。黄色の強化(チャージ)が持つ効果は、自分のBP-効果にさらに-1000を加える効果。グレットのアタック時効果で行われるBP-効果は3000。そこにマカエル1体分の強化(チャージ)が加わり、その数値は4000となるのだ。

 

【ロウ・コウチュー

BP3000-(3000+1000)→0】

 

グレットの弓に黄色い光の矢が生成される。弓の先端に黄色い魔方陣が出現し、グレットの照準を定めさせ、ロウ・コウチューへ向けてその矢を解き放つ。放たれた矢はその身体を貫き、ロウ・コウチューの力がみるみるうちに奪われていく。

 

「このアタック時効果で相手スピリットのBPが0になったとき、そのスピリットを破壊する!」

 

ロウ・コウチューの身体が爆発して消えていく。さらにグレットは、その腕に再び出現させた光の矢を、ノイズへと向ける。

 

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:2→3)

 

グレットが放つ二撃目の矢。それはノイズの身体を貫き、そのライフを奪い取っていく。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:4→8)、メインステップ。タマムッシュをLv2で召喚(リザーブ:8→1)

 

【タマムッシュ:緑・スピリット

コスト3(軽減:緑1):「系統:殻虫」

コア4:Lv2:BP5000

シンボル:緑】

 

ロウ・コウチューを先ほどのターンに破壊されたノイズが呼び出したのは、青く輝く殻にその身を包んだタマムシ型のスピリット。緑の強力なコアブースト能力を保有するスピリットを呼び出したことで、ノイズはさらなるコアブーストを仕掛ける。

 

『タマムッシュ、召喚時効果。ボイドから、このスピリットのLvと同じ個数のコアをこのスピリットに置く』

 

【タマムッシュ

コア4→6】

 

タマムッシュがLv2で召喚されたことにより、増えるコアの個数もそのLvの数、2個分となる。さらなるコアブーストを決めたノイズは、その増えたコアを使い、新たなカードを場に繰り出す。

 

『タマムッシュをLv1にダウン(リザーブ:1→6)

 

【タマムッシュ

コア6→1:Lv2→1:BP5000→2000】

 

『ネクサス、神焔の高天ヶ原を配置(リザーブ:6→2)

(赤のネクサス……?)

 

【神焔の高天ヶ原:赤・ネクサス

コスト4(軽減:赤2)

コア0:Lv1

シンボル:赤】

 

ノイズの背後の空が暗く染まっていく。その中で黄色く燃えるように輝く太陽。それをバックにして巨大な鳥居が出現し、その周辺に溶岩の流れる巨大な山脈が立ち並ぶ。緑のスピリット達に赤のネクサスを組み合わせる。一体、どんなデッキなのかまだ全容は見えないが、警戒心を上げざるを得ないだろう。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)!メインステップ!ネクサス、天の階を配置(リザーブ:3→1)!」

 

【天の階:黄・ネクサス

コスト4(軽減:黄2)

コア0:Lv1

シンボル:黄】

 

クリスの背後の空から光が差し込む。その光は、大地から空へと伸びていく階段を照らしていき、その先には深い雲に隠れてうっすらとしか認識できない城門が確認できる。

 

「アタックステップ!天使グレットでアタック!アタック時効果に1強化(チャージ)追加でタマムッシュにBP-4000!」

 

【タマムッシュ

BP2000-(3000+1000)→0】

 

再びグレットの弓から放たれた矢がタマムッシュを貫く。タマムッシュを貫いたその矢はグレットの力によってその力を奪い取っていき、そのBPが0となったことでタマムッシュが破壊される。

 

「そしてこれがメインのアタック!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:3→4)

 

そして、先程のターンと同じようにグレットの放った一撃がノイズの身体を再び貫き、再度そのライフを奪い取る。そしてノイズのライフが減ったのを確認してクリスは冷静に次の命令を下す。

 

「ターンエンドだ」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:5→12)、メインステップ。コーカサス・リョフ・ビートルを召喚(リザーブ:12→2)

 

【コーカサス・リョフ・ビートル:緑・スピリット

コスト9(軽減:緑4):「系統:覇皇・華兵」

コア1:Lv1:BP7000

シンボル:緑】

 

瞬間。砂煙がフィールドに吹き荒れる。続けて銅鑼の音が三回鳴り響き、大地がひび割れてそこから巨大な昆虫が現れる。青白い巨大な殻に包まれ、額から三本の角を生やした、巨大なコーカサスオオカブトの頭を持つスピリット。その頭からは巨大な紫の帯が二本映えており、背中からは五枚の羽が確認できる。巨大な二本足で立ち、二本の腕で一本の方天画戟と呼ばれる片側にのみ三日月状の月牙と呼ばれる横刃が取り付けられた鉾が握られているのが見える。

 

「ここで大型か……!」

『バーストをセット。アタックステップ。神焔の高天ヶ原、自分のアタックステップ時効果発揮』

 

系統:「覇皇」を持つ自分のスピリットが、ターンの最初にアタックするとき、相手のスピリット1体に指定アタックできる。そして、その効果を受けるのは、コーカサス・リョフ・ビートルだ。

 

『コーカサス・リョフ・ビートルで天使グレットに指定アタック。Lv1・2・3アタック時効果。このスピリットをBP+10000する』

 

【コーカサス・リョフ・ビートル:緑・スピリット

BP7000+10000→17000】

 

コーカサス・リョフ・ビートルが鉾を振り上げ、グレットへと襲いかかる。なぎ払うように振るわれた鉾は、グレットの身体をいとも簡単に吹き飛ばし、宙を舞うグレットの身体が光と共に消えていく。

 

「く……!」

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:4→6)!メインステップ!光楯の守護者イーディスをLv2で召喚(リザーブ:6→3)!」

 

【光楯の守護者イーディス:黄・スピリット

コスト3(軽減:黄2):「系統:天霊」:【強化(チャージ)

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:黄】

 

続く第七ターン。クリスは再び天霊スピリットを呼び出す。マカエルの隣に出現する、後ろで一本に束ねた金髪をなびかせる、緑色の瞳に白いドレスのような羽衣を纏った女性。その背中には一本の剣が背負われており、左手には盾が握られているのが確認できる。さらに、この召喚によってクリスが展開しておいた天の階の効果が発揮されることとなる。

 

「天の階の効果でトラッシュの天使グレットを手札に!」

 

天から降り注ぐ光はクリスのトラッシュへと向けられる。そこに、天使グレットのカードが浮上するように出現し、宙に浮かび上がったそのカードをクリスが手に取る。天の階、Lv1・2効果により、系統:「天霊」を持つ自分のスピリットが召喚されたとき、自分のトラッシュにある系統:「天霊」を持つコスト4以下のスピリットカード1枚を手札に戻すこととなる。この効果を用いることで、コーカサス・リョフ・ビートルのアタックによって破壊されたスピリットを即座に回収してみせたのだ。

 

「続けて、手札に戻した天使グレットをLv2で召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【天使グレット:黄・スピリット

コスト3(軽減:黄2):「系統:天霊」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:黄】

 

さらに手札に回収した天使グレットを召喚して戦線を支える。いくらスピリットを並べてもコーカサス・リョフ・ビートルを倒せなければただ倒されるだけの壁でしかない。ならば、やられる前にやればいい。そう結論付け、クリスはアタックを仕掛ける。

 

「アタックステップ!天使グレットでアタック!アタック時効果でこのバトルの間、コーカサス・リョフ・ビートルにBP-3000!2強化(チャージ)追加でBP-5000!」

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

BP7000-(3000+1000×2)→2000】

 

グレットの放った矢がリョフに突き刺さり、力を奪う。しかし、その矢をコーカサス・リョフ・ビートルは力任せに引き抜いて投げ捨ててしまう。

 

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:2→3)

 

ブロッカーのいないグレットの一撃は、ノイズの三つ目のライフを奪い取る。しかし、そのアタックはノイズの仕掛けたバーストを起動させるための引き金となる。

 

『自分のライフ減少後、バースト発動。烈風神空覇』

 

ノイズのフィールドに吹き荒れる烈風。系統を1つ指定することで、その系統を持つ自分のスピリットを3体まで回復させる強力なバースト。その効果を使い、ノイズはコーカサス・リョフ・ビートルを回復させる。

 

『系統:「華兵」を指定』

 

しかし、そのコストは軽減を含めても7。フラッシュ効果は使われることはない。しかし、烈風を受けたコーカサス・リョフ・ビートルは再び起き上がる。

 

「く……ターンエンド」

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:4→13)、メインステップ。マジック、フェイタルドロー(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:13→10)。デッキから2枚ドローする』

 

手札補充を行い、緑のデッキの悩みの種である枯渇しやすい手札問題を対処する。そしてドローしたカードの中から一枚を取り出し、ノイズはそれを場に繰り出す。

 

『バーバリ・チョウヒをLv2で召喚(リザーブ:10→3)

 

【バーバリ・チョウヒ:緑・スピリット

コスト5(軽減:緑3):「系統:雄将・華兵」

コア3:Lv2:BP6000

シンボル:緑】

 

ノイズの背後から一体のライオンが出現する。四本の足首に銀色のリングをはめ、その長いたてがみが新たな腕を作り出している姿をした、巨大なバーバリライオン。たてがみからのびるその腕の先には、蛇矛と呼ばれる刃が蛇のようにくねくねと曲がっている矛が握られているのが確認できる。

 

『コーカサス・リョフ・ビートルをLv2にアップ(リザーブ:3→0)

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

コア1→4:Lv1→2:BP7000→11000】

 

『アタックステップ。バーバリ・チョウヒ、Lv1・2自分のアタックステップ時効果。このスピリットのコア1個につき、このスピリットをBP+1000』

 

【バーバリ・チョウヒ

BP6000+1000×3→9000】

 

『コーカサス・リョフ・ビートルで光楯の守護者イーディスに指定アタック』

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

BP11000+10000→21000】

 

神焔の高天ヶ原の効果を受け、コーカサス・リョフ・ビートルがイーディスへ指定アタックを行い、自身のアタック時効果によりBPに+10000が行われる。鉾を振り上げたコーカサス・リョフ・ビートルを前に盾を構えてその攻撃を受け止めようと目論むイーディス。しかし、コーカサス・リョフ・ビートルが突き出した鉾は盾ごとイーディスの身体を貫くと、そのまま地面に叩き付けて破壊してしまう。

 

『コーカサス・リョフ・ビートル、Lv2・3アタック時効果。相手のスピリットが破壊されたとき、そのスピリットと同じ系統を持つ相手のスピリットすべてを疲労させる』

 

イーディスが持つ系統は天霊。よって、クリスのフィールドに存在する系統:「天霊」を持つ回復状態のスピリット、天使マカエルがその効果を受けて疲労してしまう。

 

「さらに疲労効果のおまけ付きかよ……!」

『バーバリ・チョウヒ、Lv2自分のアタックステップ時効果。系統:「覇皇」/「雄将」を持つ自分のスピリットは、BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき回復する』

 

さらにバーバリ・チョウヒの効果を受け、再びコーカサス・リョフ・ビートルが起き上がる。指定アタックであいてスピリットを破壊してブロッカーを封じ、さらに回復する。厄介なコンボだ。

 

『バーバリ・チョウヒでアタック。フラッシュタイミング、双光気弾(コスト3(軽減:赤1))を使用。不足コストはバーバリ・チョウヒより確保』

 

【バーバリ・チョウヒ

コア3→1:Lv2→1:BP6000+1000×3→3000+1000→4000】

 

『天の階を破壊』

 

バーバリ・チョウヒのコアが減ったことで、Lvと同時にアタックステップ時の効果で上がるBPもダウンする。それによってコアが確保されたことで発動されたマジックが作り出す二つの巨大な炎。それが天から降り注ぎ、ネクサス、天の階を燃やし尽くしていく。

 

「くそ……ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:2→3)!」

 

バーバリ・チョウヒの振り上げた鉾が、強靱なライオンの脚力によって宙へ蹴り上げられたことによって得た高度から一気に振り下ろされる。それを受け止める緑色の半透明のバリア。それがバーバリ・チョウヒを弾き飛ばすと共に砕かれ、クリスへとダメージを与える。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:4→6)!メインステップ!天使スピエルをLv2で召喚(リザーブ:6→4)!」

 

【天使スピエル:黄・スピリット

コスト0:「系統:天霊」:【強化(チャージ)

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:黄】

 

灰色の髪に赤い目の少女が現れる。黒い装甲と白いドレスを纏ったその天使は、その手に一本の槍を握って現れ、その黒い帽子を風に揺らす。

 

「射抜け、イチイバル!ぶち抜け、アームドギア!星銃フォーマルハウト、召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【星銃フォーマルハウト:白・ブレイヴ

コスト4(軽減:白1・極1):「系統:剣刃」

シンボル:なし】

 

クリスのフィールドに出現する、彼女のシンフォギア、イチイバルのアームドギアが変化したことによって誕生したブレイヴ、フォーマルハウト。青と白の二色で構築されたその銃は、戦端が魚のようなものになっており、そのブレイヴから感じ取れる気配だけで、それが持つ聖遺物の強力な力を秘めているということがわかる。

 

「フォーマルハウトを、天使グレットに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!」

 

【天使グレット:黄+白

コスト3+4→7

BP3000+3000→6000】

 

グレットの左手の弓が消滅し、その右手にフォーマルハウトが握られる。ブレイヴを手にしたグレットの全身から白い光が解き放たれ、グレットの力がさらに強大になったことを証明する。

 

「フォーマルハウト、召喚時効果!BP8000以下の相手スピリット/アルティメット1体を手札に戻す!バーバリ・チョウヒを手札に!」

 

フォーマルハウトから白い砲撃が放たれる。放たれた砲撃はバーバリ・チョウヒを包み込み、その身体を消し飛ばしてノイズの手札へと戻していく。

 

「バーストをセットしてアタックステップ!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!グレットのアタック時効果に2強化(チャージ)追加でコーカサス・リョフ・ビートルにBP-5000!」

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

BP11000-(3000+1000×2)→6000】

 

フォーマルハウトから放たれた砲撃がコーカサス・リョフ・ビートルを呑み込み、力を削いでいく。

 

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:1→2)

 

そして、グレットが手にした銃から放たれた一撃が、ノイズのライフを破壊する。これで残りのライフは1つ。残りニ体のスピリットで一気にライフを狙えるだろう。ここは我慢しない。一気に攻め込み、勝利を狙うときだと判断したクリスはもう一体のスピリットに手を伸ばす。

 

「天使スピエルでアタック!」

『コーカサス・リョフ・ビートルでブロック』

 

スピエルの槍を鉾で力任せにへし折ると、その頭を掴んで地面へと投げ飛ばし、その身体を破壊するコーカサス・リョフ・ビートル。この攻撃が防がれることに関しては予想の範囲内だ。寧ろ、残りライフが一つしかない相手はこうするしかないだろう。が、これでいい。

 

「天使マカエルでアタック!」

『フラッシュタイミング。マジック、ドリームグレイシア (コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:2→0)。不足コストはコーカサス・リョフ・ビートルより確保』

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

コア4→2:Lv2→1:BP11000→7000】

 

『自分のスピリット1体を回復させる。コーカサス・リョフ・ビートルを指定』

「!」

 

コーカサス・リョフ・ビートルの身体を白い光が包み込む。白マジックの効果によって回復したコーカサス・リョフ・ビートルは起き上がると、その巨体でマカエルの前に立ち塞がる。

 

『コーカサス・リョフ・ビートルでブロック』

 

そして鉾を振り上げたコーカサス・リョフ・ビートルはそれを真横へと振り抜いてマカエルの剣をへし折り、壁へと叩きつけて破壊する。

 

「くそ……エンドステップ!星銃フォーマルハウト、合体(ブレイヴ)時効果により、合体(ブレイヴ)スピリットを回復させる!ターンエンドだ!」

スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:1→14)、メインステップ。オウギ・エンショーをLv2で召喚(リザーブ:14→7)

 

【オウギ・エンショー:緑・スピリット

コスト5(軽減:緑3):「系統:華兵・爪鳥」

コア3:Lv2:BP6000

シンボル:緑】

 

天へと広げられる金色の翼。腰に一本の刀剣を差し、金色の衣に身を包んだ鳥がノイズのフィールドに出現する。バーバリ・チョウヒではなくこのスピリットを呼び出したその意図は何なのか。その理由は、すぐに明らかとなる。

 

『オウギ・エンショー、召喚時効果。自分の手札にある系統:「華兵」/「爪鳥」を持つスピリットカード1枚を、コストを支払わずに召喚できる。ただし、そのスピリットの、このスピリットの召喚時効果は発揮されない』

(だからバーバリ・チョウヒを……)

『バーバリ・チョウヒをLv2で召喚(リザーブ:7→4)

 

【バーバリ・チョウヒ

コスト5(軽減:緑3)

コア3:Lv2:BP6000

シンボル:緑】

 

オウギ・エンショーの力によって再びバーバリ・チョウヒが呼び出される。コーカサス・リョフ・ビートルと共に並び、三体のスピリットがそれぞれの得物を抜いて構える。

 

『コーカサス・リョフ・ビートルをLv3にアップ(リザーブ:4→0)

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

コア2→6:Lv1→3:BP7000→14000】

 

『アタックステップ』

 

【バーバリ・チョウヒ

BP6000+1000×3→9000】

 

バーバリ・チョウヒが自身の効果により、そのコアの数×1000のBPを得る。だが、このBP上昇はこの後に行うアタックを考えれば大きな意味を持たないだろう。

 

『コーカサス・リョフ・ビートルで合体(ブレイヴ)スピリットに指定アタック』

 

フォーマルハウトを手に持つグレットへと襲い掛かるコーカサス・リョフ・ビートル。フォーマルハウトの引き金を引く暇すら与えずにその身体を吹き飛ばし、グレットを破壊、分離されたフォーマルハウトが地面へと落ちていく。

 

【星銃フォーマルハウト

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

神焔の高天ヶ原の効果による指定アタックでバトルに勝利したコーカサス・リョフ・ビートルはバーバリ・チョウヒの効果によって回復し、再びクリスの前に立ち塞がる。

 

『オウギ・エンショーでアタック』

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:5→6)!」

 

刀剣を引き抜き、オウギ・エンショーがその刃をクリスへと叩き付ける。再びライフを奪い取られたクリスの身体が衝撃に揺れ、さらにノイズの場のスピリット達が動き出す。

 

『バーバリ・チョウヒでアタック』

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:6→7)!」

 

さらにバーバリ・チョウヒが振り上げた矛がクリスの残るライフを砕いていく。しかし、このままコーカサス・リョフ・ビートルにまでアタックをさせるわけにはいかない。

 

「ライフ減少によりバースト発動!アルティメットウォール!バースト終了時、アタックステップを終了させる!」

 

巨大な吹雪がフィールドを覆う。フィールドを覆う吹雪がクリスを敵から守り、そのステップを強制的に飛ばす事となる。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:7→8)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:8→12)!メインステップ!天使プリマをLv2で召喚(リザーブ:12→6)!」

 

【天使プリマ:黄・スピリット

コスト4(軽減:黄2):「系統:天霊」

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:黄】

 

桃色の鎧のようなドレスを纏い、チューリップのような花の形をした杖を手に持つ女性型のスピリットが現れる。このスピリットの召喚で条件は整った。そう言わんばかりにクリスはその手の中で金色の光を放つそのカードを呼び出す為に歌を紡いでいく。

 

「来たれ、我が砲台!その一撃で、戦況を切り開け!砲天使長ファイエル、召喚(リザーブ:6→0)!」

 

【砲天使長ファイエル:黄・アルティメット

コスト6(軽減:黄3・極1):「系統:次代・天霊」

コア1:Lv1:BP10000

シンボル:極】

 

鳴り響くプラズマの音。出現したプラズマが作り出した激しい閃光が虚空より解き放たれ、その中よりプラズマを帯びた水色のツインテールに青い目の白を基調とした全身を包むインナースーツを着用した少女が現れる。彼女の背中と両肩には巨大な白い機械翼が装着され、その手には巨大なライフルが握られている姿が見える。

 

「そして、ファイエルにフォーマルハウトを合体(ブレイヴ)!」

 

【砲天使長ファイエル:黄+白

コスト6+4→10

コア1→2:Lv1→2:BP10000→13000+3000→16000】

 

ファイエルの手のライフルが消滅し、その手にフォーマルハウトが握られる。そして、ファイエルの全身から自身が得た色である白の光が放たれ、フィールドを染め上げる。

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

クリスの手に出現した弓から放たれた矢がノイズのデッキトップのカードをトラッシュへと落とす。そして落とされたカードは、マー・バチョウ。コスト3のカードであるため、このトリガーはヒットとなる。しかし、ファイエルのトリガーはこの状況では使用できない。が、このアルティメットは自分のライフが3以下であれば通常のトリガーの後に続けて発揮できる新たなトリガーガある。

 

「さらに、XU(クロスアルティメット)トリガー、ロックオン!!」

 

クリスの両手にボウガンが出現し、そこから放たれた矢が再びノイズのデッキを破壊する。そしてトラッシュへと落ちたカードは、烈風神空覇。そのコストは8のため、このトリガーもヒットとなる。

 

「ヒット!トラッシュのコア2個をライフ(ライフ:1→3)置く(トラッシュ:9→7)ことで相手スピリットすべてのBPをこのバトルの間、-10000!」

 

【オウギ・エンショー

BP6000-10000→0】

 

【バーバリ・チョウヒ

BP6000-10000→0】

 

【コーカサス・リョフ・ビートル

BP14000-10000→4000】

 

ファイエルの握る銃から放たれた砲撃が次々とスピリット達を呑み込んでいく。さらに、ここでプリマの持つLv2・3効果が起動。お互いのアタックステップ時、BP0になった相手スピリットすべてを破壊する効果によってオウギ・エンショーとバーバリ・チョウヒが破壊。これによりノイズは、最後の手札を使って自分のスピリットを回復させてブロックを行いこのターンを凌ぐという手段を取ることが不可能となってしまった。

 

「これがメインのアタックだ!」

『コーカサス・リョフ・ビートルでブロック』

 

鉾を振り上げるコーカサス・リョフ・ビートル。しかし、一発の銃声がその得物をいとも簡単に吹き飛ばし、コーカサス・リョフ・ビートルを素手へと変える。得物を失ったコーカサス・リョフ・ビートルだったが、即座に思考を切り変えて飛び上がり、ファイエルへと殴りかかる。が、その心臓を撃ち抜かれたことで大地へと堕ち、大爆発を引き起こして破壊されてしまう。

 

「こいつで終わりだ!天使プリマでアタック!」

ライフ(ライフ:1→0)で受ける』

 

ファイエルが繋いだ確実なチャンス。そこを狙って飛び出すプリマ。光を纏った杖を振り上げ、ノイズへと叩きつけられたその一撃は、ノイズの身体を無数の消し炭へと変えて散らせるのだった。

 

 

 

 

「……これは」

 

その頃。暗い、様々な機械が立ち並ぶ部屋に存在する一人の女性が何かを感知し、その情報を映すモニターに眉を寄せる。

 

(日本周辺に二つの反応。しかも片方はフロンティアのすぐ近く……)

 

この時期にこのような事態。近々、調べてみる必要があるだろう。自分達の目的を達成する為には、その邪魔となる因子を可能な限り明らかとし、その対処を練っていかなければならない。そう、自らを鬼にするかのように自分の心の中で復唱すると、隻眼の高齢の女性は、静かに画面を操作し始めるのだった。




午の効果、自前単体になった真・連刃のような効果にコスト8ってぶっ飛んでませんか……?だって、これに裏牡牛座つけてシンボル1つ以下の相手スピリットかアルティメット殴れば裏牡牛座の効果でライフ2つ以上、走破でライフ3つ持っていって2枚でワンキルできるんですよ……


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第三話 蒼の閃光

エグゼシードってベオ・ウルフでもワンキルいけるし、ジークブレイヴ付けてメテオストームでもいけるという罠。確実性なら裏牡牛座が一番だけど、フラッシュタイミングでの消滅のリスクを承知で行くのならベオが一番相性いいのかもしれない。

どちらにせよエグゼシードワンキルデッキは確実に出てきますね(確信)。また赤緑か、壊れるなぁ(ベオシードorタウラスシードを予想しながら)


「ウェル博士とソロモンの杖の所在は不明……」

 

ノイズ達を倒し、大量の黒い炭素が周囲に漂い、積もる中、大量の炭素を吸い込む特性の掃除機や消化のためのホースを職員達が使って事後処理を行う姿を見ながら、あおいは基地の職員から被害状況について聞いていた。

 

「ノイズの衝撃の中で紛失……ですか」

 

その中で特に大きな衝撃となったのは、やはりウェルとソロモンの杖の紛失だろう。しかし、この後のことはこちらの方で処理してくれる筈。自ら最前線に立ち、ノイズを倒してみせた功労者である響とクリスにこれ以上何かをやらせるのも酷な話。というわけで、一通りの処理をあおいが行った後に三人は本部より用意してくれたヘリを使い、翼の待つライブ会場へと向かうのだった。

 

「……はい、そうですか。分かりました」

 

一方、ライブ会場の控室。そこで二課の指令である男、風鳴弦十朗からの報告を受けているのは、黒いスーツに身を包んだ短い髪の眼鏡をかけた男性、緒川慎次。彼もまた、日本が保有する表には出されない組織、特異災害対策機動部二課の職員の一人である。が、それは本業の話。表向きは有名なアーティスト、風鳴翼のマネージャーとして活動している。

 

「司令から一体何を?」

 

慎次が通信を切ったタイミングを見計らって、青い髪に青い目の少女、風鳴翼が質問する。今回、慎次が使用していたのは二課の面々と通信を取る時に使用する端末だったため、指令である弦十朗から何ならかの連絡が入ったと思ったのだろう。

 

「はい。どうやらノイズの襲撃があったようで……とはいえ、その数からみても響さん達がそれに対応している以上、翼さんが加勢に行く必要はないと」

「……そうですか」

 

少しだけ目を細めながら何かを考えるような素振りを見せる。どこか不満そうな表情をしているということだろうか。それは分からないが、翼は一度溜め息を吐くと、丁度いいタイミングで控室の扉がノックされた音を聞く。

 

「そろそろお時間です!お願いします!」

「はい!今行きます!」

 

響達が対応しているなら大丈夫だろう。この半年の間、自分達はルナ・アタックの前よりも強くなった。翼が加勢に行く必要がないと弦十朗が言っているのだから、自分が向かう必要もないだろう。彼女達がこのライブを見に来れないのは少々残念ではあるが、今回はそうだと割り切っておく。

 

「遂に始まるねぇ!」

 

そして、今か今かとライブが始まる時を待つ人々。既に熱気が高まってきているその会場の中、二つの空いた席がある。そこの近くには四人の少女が座っている姿があった。その中の一人、茶髪のツインテールが特徴的な少女、板場弓美は、ペンライトを手にワクワクした様子を見せている。

 

「……」

 

そんな中、黒髪の少女、小日向未来が心配そうに空いた席を見る。彼女達が持つチケットが指定する席の一つ。そこに座る筈であった親友の姿が、ライブ開始直前のこの時間になっても見えない事に不安を感じずにはいられないのだろう。

 

「ビッキー……これなさそう?」

 

その親友、響をビッキーと呼ぶのは、灰色の髪に紫色の瞳を持つこの四人の中で一番背の高い少女、安藤創世。彼女の言葉に少しだけ残念そうに頷きながら、未来は言葉を返す。

 

「うん……今終わったんだって。ライブの開始時間には間に合わないって」

「そうですか……でも、立花さんならこういうとき、いつもみたいに言ってそうですね。呪われてるかもって」

「……ふふ、そうかもね」

 

金髪に黄色い目の少女、寺島詩織の言葉に未来はくすっと笑う。響が来れないのは残念だが、彼女自身は何事も無く、無事だったのだ。それならば何も問題はないだろう。後で彼女がライブに間に合わなかったことについて話すのも一つの話の種になるかもしれない。そう考えると、これもまたそんなに悪くないことなのかもしれない。

 

「おお!出てきた出てきた!やっぱり生の迫力が違うよ!」

 

弓美の興奮した声に三人もステージを見る。そこには一つの黒を基調としたドレスに身を包んだ、桃色の長い髪の女性が現れ、観客達に笑顔で手を振る様子がある。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。僅か数ヶ月で世界の歌姫と呼ばれる程にまで上り詰めた彼女のライブは全世界の注目の的であり、日本の代表的なアーティストである風鳴翼と共に行われるこのライブもまた、世界中の主要都市に中継が成されているほどの大規模なものとなっている。

 

「おお!」

 

空が暗くなり、照明が消えていく。それと共にマリアの姿が消え、彼女の背後にあった巨大なモニターに表示された、このライブイベントの名称であるQUEEN of MUSICの黄金の文字が消えていく。続けて表示されたのは、Maria×Tubasaの黄金の文字。それと共に、稼働する足場に乗って二人が会場に出現する。

 

「見せてもらうわよ!戦場に立つ貴女の姿を!」

 

マリアのその言葉と共に二人の姿がライトアップされる。あの一瞬で別の服装へと変わり、白と灰色を基調としたドレスに身を包んだマリアと、黒を基調とした小さなマントを左肩にかけた、へそ出しの青を基調とした衣装に身を包んだ翼が現れる。そして二人はその手に今回用意された装飾品であるマイクが取り付けられた剣を手に、今夜限りの特別ユニットによるライブを開始する。二人の歌によって高まる熱気。彼女達の紡ぎ出す一曲は、会場を最大限に盛り上げ、限界にまでその力を高めていく。

 

「ありがとう皆!」

 

曲の演出として宙を舞っていく、不死鳥の羽を模した赤い羽根の雨。曲が終わり、翼とマリアが観客達に手を振っていく。そして、人々の盛り上がりがほんの少しだけ落ちついたタイミングを無意識の内に感じ取り、一歩前に出て口を開く。

 

「私は、いつもたくさんの人達に勇気をもらっている。だから今日は、私の歌を聴いてもらっている人達に少しでも勇気を分けてあげられたらと思っている!」

 

翼の言葉に会場が一気に湧き立つ。そして、その言葉に続くかのようにマリアもまた、口を開く。

 

「私の歌を世界中に届けてあげる!振り返らない、全力疾走だ!ついてこれる奴だけついてこい!最高に高めた歌で最強のステージを手に入れてやる!」

 

それに油、いやガソリンを投下するかのように声を張り上げるマリア。その声に呼応するかのように観客達も更なる盛り上がりを見せ、先程の歌によって盛り上がったその限界をさらに超えていく。

 

「今日のライブに参加できたことを感謝している。そしてこの大舞台に、日本の有名なアーティスト、風鳴翼とユニットを組んで歌えたことを」

「私も、素晴らしいアーティストと出会えたことを光栄に思う」

 

手を差し出す翼。その手を握り、握手を交わす二人。その姿を目にした皆が例えようのない高揚感をその身に宿していき、さらに会場の熱気が高まっていく。この後に歌われるであろう二曲目。それが、その熱気をさらなる盛り上がりへと昇華させてくれると確信して。

 

「一緒に伝えていきましょう。歌には力があるということを」

「それは、世界を変えていける力だ」

 

歌は世界を変える。その言葉を、確かにその通りだと無言で頷いたマリアは、さらなる歌を歌うために翼に背を向けて少し距離を取る。

 

「……そしてもう一つ」

 

その後、彼女が紡いだ言葉はどこか冷たかった。翼の言っている言葉の正当性も、そして観客達が求めるものも、正しいことだ。その要求にマリアは全力で応えようとしている。ただし、その歌は彼等の期待に必ずしも応えるものでは決してない。マリアが腕を振るうと、その動きによってスカートがなびいていく。それと同時に観客達とステージの間。そのスペースに次々と光が降り注いでいき、そこからノイズが現れる。

 

「なっ……!?」

 

突然の時代に驚きを隠せない翼。しかし、彼女はまだこういう事態に慣れているからこそ、驚きながらもはっきりと思考を保つことができていた。しかし、一般人達は違う。突然現れたノイズに思考を放棄させられ、続けて津波のように襲いかかる恐怖に声があがる。一人が声を上げれば、後は恐怖の連鎖(ラッシュ)だ。人々へと伝染し、限界まで強化(チャージ)されたそれは、一気に弾け、会場を恐怖の叫び一色へ染め上げた。

 

「何……だと……?」

「どういうことなの……」

「ぎにゃあああああああああああああああああ!?」

「ハルトォオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「ヤメローシニタクナーイ!!」

「どういうことだってばよ!?」

「何なのだ、これは!どうすればいいのだ?!」

「げえっノイズ」

「誰か説明してくれよぉ!」

「……狼狽えるな」

 

その状況を見ながら、マリアが小さく呟く。一番近くにいる翼でさえも聞き取れないほど小声で呟いたその言葉は、誰でもない、自分に向けたもの。もう取り返しのつかないスタート地点に立った自分を鼓舞し、前に突き進むためにマリアはその声を上げる。

 

「狼狽えるな!!」

 

まさに、絶対者の一喝。恐怖に支配された人々は、ノイズを呼び出した張本人であるマリアの言葉にその声を無理矢理止めさせられていた。今、自分たちの命を握っているのが彼女だと、そう本能で察しているから。

 

「あ、アニメじゃないのよ!?」

「何でまたこんなことに……!?」

「……響」

 

ノイズの出現に、未来達も驚いた表情を見せていた。しかし、既にそういった修羅場を経験済みであった彼女たちも、この中でしっかりと自我を保つことができていた例外と言うべきだろう。

 

「……了解です。装者二名と共に急行します。時間は、約四十分です」

 

一方、響とクリスもヘリを使い、ライブ会場へと急いでいた。ヘリに備え付けられたテレビ画面に映し出された、ノイズの出現したライブ会場。翼自体を心配する気持ちはないが、他の観客達がいるという条件が備わってくると都合が違ってくる。本部と連絡を取った後にあおいは、響とクリスに視線を送る。

 

「連戦になるけど、二人に事態の収拾をお願いするわね」

 

あおいの言葉に無言で頷く響とクリス。そして、テレビ画面に映る、待つことを命じられたかのように動かないノイズ達を見ながら二人は先程の二連戦を思い出していた。今にして思えばまるで計ったかのように現れたノイズ達。まだ詳細はわからないが、これがライブ会場に現れた、操られているかのような動きをしているノイズ達と無関係だとは考えにくいだろう。そして、そのライブ会場で、万が一の事態に備えて翼は自身のシンフォギアである天ノ羽々斬のペンダントを握る。その姿を捉えながら、マリアは不適な笑みを浮かべて口を開く。

 

「怖い娘ね」

 

マイクを使わず、翼にだけ話しかけた声。小さく呟かされたその声は、観客にも聞こえず、翼にしか聞こえていない。いや、その声が敢えて翼にだけ聞こえる声で語りかけたことに翼が気付くのは容易なことだった。

 

「この状況にあっても私に飛びかかる機会を狙っているなんてね。でもまだよ。今はまだ動くときではない。まさか、彼等がノイズからその身を守れると思って?」

「……」

 

悔しそうに唇を噛む翼。彼女の言うとおりだ。この状況で下手に動けば皆が犠牲になるのだから。完全に手詰まりであることを実感している翼に、余裕を持った声でマリアはさらに言葉を続ける。

 

「それに、ライブは世界中に中継されているのよ?日本政府はシンフォギアのことを明らかにはしているけど、装者までは明らかにしていない筈じゃなかったかしら?」

(……こいつ)

 

翼が装者だと知っている。この分だと、響やクリスのことも知っているだろう。

 

「甘く見ないでもらいたい。そうとでも言えば、私が躊躇うと思ったか」

「私好みの答えだ……貴女のように、誰もが誰かのために戦うことができていたら、世界はもう少しまともだったかもしれないわね」

「?貴様はいったい……」

 

彼女は何が目的なのか。翼の抱いたその疑問を解消するかのようにマリアは会場中を見渡す。そしてマイクの電源を再び入れて会場全体に声が響くようにする。

 

「私たちはノイズを操る術を手にして、この星の全ての国家に要求する!」

「!?世界を敵に回すというのか……!?」

「そして!」

 

マリアがその手にした剣を高く投げる。剣が宙を舞い、人々の視線がそれに釘付けとなる中、マリアが勢いよく音を立てるように床を蹴る。静かとなっていた会場内に響いた音は、再び皆の視線をマリアへと釘付けにし、そこでマリアは、歌った。彼等が望んでいたものとは違う、戦いのための歌を。

 

「!?」

 

そして、歌の中で翼ははっきりと聞いた。ガングニールという言葉を。

 

「まさか……!?」

 

オレンジと黒を基調としたインナースーツがマリアの身体を包み、響の装着していたもののカラーリングが白から黒へと変わった籠手、そしてグリーブを装着し、黒いマントが風になびく。そして落ちてきた剣を再び握ると、そのマイクで高らかに宣言した。

 

「私達はフィーネ!終わりの名を持つ者だ!!」

「黒い……ガングニール……だと……!?」

 

二課が所有する聖遺物、ガングニール。奏の死亡時に彼女が纏っていたギア諸共消滅し、現在は響の胸に埋め込まれたものを除いて既にガングニールは存在しないはず。しかし、それに対する答えに近いものを、二課の本部では一人の男性から聞いていた。

 

「そんなことが……」

 

白髪の男性、斯波田賢仁。外務省事務次官である彼から、今回の一件に関連していると思われる情報を二課は受け取っていた。少し前、米国の聖遺物研究機関でトラブルが起こり、聖遺物の一部が紛失、さらに研究データも損失したというのだ。桜井了子、いやフィーネは米国とも通じていた。もし、ツヴァイウイングのライブの時に別のガングニールの破片を回収、それをギアとしたものをマリアが所持しているとしたら。彼女たちの背景も自ずと見えてくる。

 

「急ぎ、対応に当たります」

「おう、頼むぜ」

 

賢仁との通信が切られ、二課は敵の背景を洗い出すために様々な方面での調査を開始する。そして会場では、翼は動くに動けないままでいた。その様子を見ながら、マリアは彼女が動けない理由を察した上で予想外の言葉を口にした。

 

「いいわ。そんなに力を振るいたいなら、見定めてあげる。そのための舞台を、私が作ってあげるわ」

「何……!?」

「オーディエンス諸君よ!お前達を解放しよう!」

「何!?人質とは手元に置いておくものではないのか!?」

 

マイクを使い、声を上げたマリアの言葉に驚くしかない翼。しかし、彼女の瞳を見て、翼は察した。彼女の中に熱く燃える魂があることを。

 

「こんなに大勢の人質がいたところで、動くのに邪魔だ!私の人質はたった一人で十分!」

 

もっともらしい大義名分をつけ、会場から人々を無理矢理追い出す。僅か数分で人々が消えていく中、マリアは一人の女性からの通信を受け取っていた。

 

「何故、自ら優位性を崩すようなことを?」

「……どのみち、奴らは最大の障害として立ち塞がる。その力を実際に見極めてみたい、そう思っただけよ。当然、この場であちらは使わないわ」

「……いいでしょう。ですが忘れないで、血に汚れることを恐れてはならないことを。念のため、切歌と調を向かわせています。作戦の誤差の範囲内で自由におやりなさい」

「了解マム、ありがとう」

 

一言礼を述べる。それを合図として通信が切れ、マリアは翼に笑いかける。これでもう邪魔者はない。私達のステージを邪魔するものはないと言わんばかりに。そして一歩、また一歩と翼の前に歩み寄る彼女を前に、翼は耳元にはめ込んだ小型のイヤホンから慎次の通信を聞き取る。そして、彼女もまた口元に笑みを浮かべながら言葉を紡いでいく。

 

「マリア。まだこのステージには足りないものがある」

「……何?」

「私達の戦いに、観客などいらない!」

「!?」

 

それを宣言した瞬間、会場の全電源が落ちる。それによって中継が遮断され、翼とマリアの姿を誰も捉える事が出来なくなった瞬間、翼の口から歌が紡がれる。その歌は、彼女の身体に蒼きシンフォギアを纏わせていき、一人の戦士の姿を作り出す。

 

「く……誰が中継を!?」

「さぁいくぞ、マリア!貴様のガングニールを見せてみるがいい!!」

「ふん、これで全力で戦えるというのなら、見せてみろ!」

 

ノイズの出現と共に舞台裏で動き出していた慎次。彼は翼が全力で戦うことを可能とするために中継を遮断させたのだ。そして二人の戦士は、戦いの舞台を次の舞台へ移す。己の両手の篭手を槍へと変形させたマリアと、刀を手にした翼が真正面からぶつかりあおうとした瞬間、二人はその叫びを上げた。

 

「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 

エクストリームゾーンに入る翼とマリア。相手は世界の歌姫と評される存在。そのバトルスピリッツの腕前もお墨付きだ。加えて言うなら、アルティメットとアームドギアもある筈。そこを重点的に考えながら翼はターンを開始していく。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ウバタマンを召喚(リザーブ:4→1)!」

 

【ウバタマン:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1・青1):「系統:殻人」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:緑】

 

翼のフィールドに緑のシンボルが出現し、その中からウバタマムシをモチーフとした二足歩行をする昆虫型スピリットが現れる。赤い水晶を埋め込んだ杖を握るそのスピリットを最初に呼び出して様子見をする。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!真紅の女神マッハを召喚(リザーブ:5→1)!」

 

【真紅の女神マッハ:白・スピリット

コスト3(軽減:白1):「系統:氷姫」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:白】

 

マリアのフィールドに出現した白のシンボルが砕かれ、その中から赤く燃える炎のたてがみを持つ一頭の白い馬が出現する。その馬に跨るのは、深紅のドレスとマントに身を包んだ氷の身体を持つ女性。無機質なその表情と白い氷の長髪をなびかせながら、小さな杖のようなものを握り、真紅の女神としてこの場に君臨する。

 

(やはり、氷姫デッキ……!)

「バーストをセット、そしてアタックステップ!真紅の女神マッハでアタック!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

マッハが杖を振り抜くと、焔が出現する。出現した焔はウバタマンを素通りして翼へと襲い掛かり、翼を守るように出現した白い半透明のバリアを砕き、その衝撃を翼に与える。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→5)!メインステップ!ウバタマンの効果により、青のシンボルを追加!」

 

【ウバタマン

シンボル:緑+青】

 

ウバタマン、Lv1・2効果により、お互いのメインステップの間、このスピリットには青のシンボル1つが追加される。それによって発揮される効果もあるが、この場においてはそれは然程意味を成さないだろう。

 

「碧海の剣聖マーマリアンを召喚(リザーブ:5→3)!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン:青・スピリット

コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣使・異合・創手」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:青】

 

翼のフィールドに緑の長髪を揺らす青い鎧に身を包んだ人魚が現れる。その右手にはトライデントのように三つに刀身が分かれた剣が握られているのが確認できる。

 

「続けて、ハイドラ・アームズを召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【ハイドラ・アームズ:青・ブレイヴ

コスト5(軽減:青3):「系統:海首」

シンボル:なし】

 

さらに翼が呼び出したのは、白い三つの機械的な首が装着され、それらと身体を青白い炎のようなもので繋いでる奇妙な姿をした海竜。それがブレイヴである事に気付いたマリアは、これから翼が行おうとしていることもすぐに悟る。

 

「……!」

「ハイドラ・アームズを碧海の剣聖マーマリアンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コスト3+5→8:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

BP3000+4000→7000】

 

ハイドラ・アームズの三つの首が分離し、その身体が消滅する。そして三つの首はマーマリアンの右肩、左肩、そして胸の三ヶ所と重なり合い、竜の口を模した新たな肩当てと装甲をマーマリアンへと与えていき、ブレイヴと一つになったマーマリアンから青い光が解き放たれる。

 

「ハイドラ・アームズ、召喚時効果!相手のライフの数だけ相手のコスト3以下のスピリットを破壊する!真紅の女神マッハを破壊!」

 

ハイドラ・アームズと一つになったマーマリアンが振り抜いた剣から放たれた斬撃がマッハを両断する。疲労状態でのブロックを可能とする、序盤から攻めと防御を両立させてくれるスピリットを早々に対処されたことに、声には出さずともマリアは少しだけ眉を顰める。

 

「バーストをセット、そしてアタックステップ!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!マーマリアン、合体(ブレイヴ)時効果によりデッキから2枚ドロー、そして手札1枚を破棄する!」

 

マーマリアンの効果によって手札を増やし、そこから巨人大帝アレクサンダーを破棄する。さらに、ウバタマンが持つ緑のシンボルがマーマリアンの連鎖(ラッシュ)を発揮させることとなる。

 

「さらに連鎖(ラッシュ)発揮!ボイドからコア1個をこのスピリットに置く!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コア1→2:Lv1→2:BP3000→5000+4000→9000】

 

「まだだ!ハイドラ・アームズ、合体(ブレイヴ)時効果により自分の手札が3枚以下の間、このスピリットに青のシンボル1つを追加する!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

シンボル:青+青】

 

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:2→4)!」

 

マーマリアンが振り上げた刃がマリアを襲う。青い半透明のバリアを突き抜けて発生したダブルシンボル分のダメージをその身に受けながら、マリアは伏せられたバーストカードを起動させる。

 

「ライフ減少によりバースト発動!!」

「!」

 

マリアの伏せられた白のバーストカードがオープンされる。それと同時にフィールド全域に激しい吹雪が吹き荒れていく。

 

「氷の覇王よ、来たるがいい!!氷聖女ジャンヌダルク、Lv3でバースト召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【氷聖女ジャンヌダルク:白・スピリット

コスト7(軽減:白3):「軽減:覇皇・氷姫」:【氷壁:赤/紫/緑/白】

コア4:Lv3:BP8000

シンボル:白】

 

吹雪が突如として鳴り止む。そして消えていく吹雪の中から現れた、白銀の鎧にその身を包んだ氷の聖女。一振りの剣を携え、金色の馬に跨って現れたそのスピリットこそ、マリアのデッキのキースピリット。

 

「やはり来たか……!ターンエンドだ」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!誓約の女神ヴァールをLv2で召喚(リザーブ:4→0)!不足コストはジャンヌより確保!」

 

【氷聖女ジャンヌダルク

コア4→3:Lv3→2:BP8000→7000】

 

【誓約の女神ヴァール:白・スピリット

コスト4(軽減:白2):「系統:氷姫」:【氷壁:赤/緑/黄】

コア2:Lv2:BP5000

シンボル:白】

 

マリアのフィールドに出現する、氷の紋章を象った様な杖を握る氷の身体の美女。黒い露出の大きなドレスを羽織る女性を呼び出したマリアは、この二体を携えて攻撃を開始する。

 

「アタックステップ!誓約の女神ヴァールでアタック!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ヴァールが杖を振るうと、氷の礫が出現し、それが翼へと叩きつけられる。ライフを奪われた翼。しかし、まだマリアの攻撃は終わる事はない。

 

「氷聖女ジャンヌダルクでアタック!」

「こちらもライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

ジャンヌダルクが剣を抜き、馬を走らせる。翼の眼前へと迫ったジャンヌダルクが振り上げた剣は、翼の身体を切り裂き、そのライフをさらに削り取る。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)!メインステップ!ウバタマンをLv2、合体(ブレイヴ)スピリットをLv3にアップ(リザーブ:7→3)!」

 

【ウバタマン

コア1→3:Lv1→2:BP2000→3000】

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コア2→4:Lv2→3:BP5000→6000+4000→10000】

 

「アタックステップ!」

「誓約の女神ヴァール、Lv2・3効果により、相手のアタックステップ開始時、氷壁を持つ自分のスピリットすべてを回復させる!」

 

二体のスピリットが起き上がる。氷壁を持つスピリットが回復状態で存在する限り、翼は迂闊にマジックを使用できない。

 

「構うものか!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!アタック時効果により、デッキから2枚ドローし、1枚を破棄!さらに連鎖(ラッシュ)でコアを追加!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コア4→5】

 

海帝国の秘宝を破棄し、さらに手札を増やす。今の翼の手札は五枚。よって、ハイドラ・アームズの効果によるシンボル増加は行われる事はない。

 

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

一つのシンボルしか持たなくなったマーマリアンの斬撃がマリアに命中する。そして着実に追い詰められながらもマリアは余裕を崩さない。

 

(ふふ、確かに良い腕……これじゃ、中々厳しいかもしれないわね。でも、せめて貴女の象徴であるアルティメットを出すまでは、頑張ってもらうわよ!)

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→5)!メインステップ!獅魂の剣刃レオンエクスカリバーを召喚(リザーブ:5→3)!」

 

【獅魂の剣刃レオンエクスカリバー:白・ブレイヴ

コスト4(軽減:白2):「系統:剣刃」

シンボル:白】

 

マリアが一振りの剣を呼び起こす。二頭の獅子の顔が鍔に施された、牙のように左右に二本ずつ伸びる特徴的な刃。柄の部分は金と黒の縞模様で成り立っており、刀身が光を反射し、輝きを見せている。

 

「白のブレイヴか!?」

「獅魂の剣刃レオンエクスカリバー、氷聖女ジャンヌダルクへと直接合体(ダイレクトブレイヴ)!」

 

【氷聖女ジャンヌダルク

コスト7+4→11

BP7000+4000→11000

シンボル:白+白】

 

ジャンヌダルクの手にレオンエクスカリバーが握られる。それによって新たな白のシンボルを得たジャンヌダルク。

 

「獅魂の剣刃レオンエクスカリバーの召喚時効果でコスト4以下の相手スピリット、ウバタマンを手札に戻す!」

 

レオンエクスカリバーから白い光が放たれ、ウバタマンの姿が消えていく。これだけでも十分な威力だが、その破壊力をさらに高めるため、マリアはジャンヌダルクのための塔を呼び出す。

 

「さらにネクサス、氷聖女の塔を配置(リザーブ:3→1)!」

 

【氷聖女の塔:白・ネクサス

コスト4(軽減:白2)

コア0:Lv1

シンボル:白】

 

マリアの背後に巨大な塔が出現する。翼を生やした天使を象った彫刻が施された塔は、まさにジャンヌダルクのために作られた塔とも言えるだろう。

 

「このネクサスがある限り、系統:「覇皇」/「雄将」を持つ自分のスピリットすべてに氷壁:紫/黄/青が与えられる」

 

【氷聖女ジャンヌダルク

【氷壁:紫/黄/青】】

 

(ジャンヌダルクが欠いていた黄と青の氷壁を与えた……?)

「これが貴女を仕留める一枚となる。マジック、ムーンボウクローク(コスト3(軽減:白2))使用(リザーブ:1→0)!氷壁を持つ合体(ブレイヴ)スピリットを指定することで、このターン、合体(ブレイヴ)スピリットが持つ氷壁と同じ色の相手スピリットからブロックされなくなる!」

「!?まさか!」

 

今、ジャンヌダルクは全色の氷壁を得ている。ブロックされなくなったダブルシンボルのアタックで翼を仕留めるつもりなのだ。

 

「アタックステップ!ゆけ、合体(ブレイヴ)スピリット!ジャンヌダルク、Lv2・3合体(ブレイヴ)時効果により、氷壁を持つ自分のスピリットのアタック時、そのスピリットが持つ氷壁と同じ色の相手スピリットを手札に戻す!合体(ブレイヴ)スピリットを指定!」

「く……ハイドラ・アームズは分離(リザーブ:6→10)!」

 

【ハイドラ・アームズ

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:なし】

 

マーマリアンの姿が消え、分離した三つの首に再び胴体が復活し、スピリットの状態へと戻るブレイヴ。しかし、それでジャンヌダルクのアタックは止まらない。

 

「さぁ、消えるがいい!!」

「……いいや、まだだ!相手スピリットのアタックによりバースト発動!トライアングルバースト(コスト3(軽減:緑1))!手札のコスト4以下のスピリットをノーコストで召喚(リザーブ:10→9)する!再び現れろ!マーマリアン!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コスト3(軽減:青1・緑1)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:青】

 

翼が起動したバーストによって手札から再度出現するマーマリアン。しかし、これだけでは防げない。だからこそ、翼は更なる効果を発揮させる。

 

「さらにフラッシュ効果発揮(リザーブ:9→6)!誓約の女神ヴァールを疲労!」

 

トライアングルバーストが放つ光がヴァールを包みこみ、疲労させる。これで後続は封じた。後は目の前の敵だけだ。

 

「フラッシュタイミング!双光気弾(コスト3(軽減:赤1))使用(リザーブ:6→3)!ブレイヴ、獅魂の剣刃レオンエクスカリバーを破壊する!」

「っ、そう来たか……!」

 

炎がレオンエクスカリバーを燃やし尽くす。それによってBPとシンボルを失い、致命傷を与えきれなくなったジャンヌダルクは失った得物の代わりに腰に差していた己の剣を抜く。

 

【氷聖女ジャンヌダルク

BP7000

シンボル:白】

 

「このアタックは、ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:3→4)!!」

 

そしてジャンヌダルクのアタックが翼のライフを破壊する。が、これでこのターンは凌ぎきった。この一撃で仕留められなかったことを悔しく思いながらマリアはターンエンドを宣言することとなる。

 

「ターンエンドよ」

「ここで決めさせてもらう!スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:5→11)!メインステップ!門番アルパーカーを召喚(リザーブ:11→9)!」

 

【門番アルパーカー:青(緑)・スピリット

コスト1:「系統:獣頭・創手」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青(緑)】

 

麦わら帽子と青のオーバーオールが印象的な白い毛並みのアルパカが出現する。これで準備は整ったと言わんばかりに目を閉じ、集中していく翼。その姿を見て、マリアも彼女の雰囲気が変わったことを察する。

 

(遂に出てくるみたいね……!)

「我が刃よ、防人の歌と共にその剣を顕現せよ!アルティメット・オライオン、召喚(リザーブ:9→2)!」

 

【アルティメット・オライオン:青・アルティメット

コスト8(軽減:青3・極1):「系統:新生・闘神」

コア1:Lv1:BP15000

シンボル:極】

 

歌によって高められるフォニックゲイン。翼の歌と共に大地がひび割れていき、そこから巨大な土煙が大地が崩壊する音と共に出現していく。煙の中からゆっくりと現れる、金色の装甲を両腕や腰、胸などに纏った、金髪の巨人。その赤い目と青い皮膚に秘められた戦士としての覚悟と、その巨大な剣に刻まれた力を翳し、アルティメット・オライオンは降臨する。

 

「おぉ……これが……!」

「召喚時U(アルティメット)トリガー、ロックオン!!」

 

翼の手に出現した一本の短刀が、マリアのデッキを破壊する。そしてトラッシュへと置かれたカードは、クリスタルオーラ。コスト5のカードだ。

 

「ヒット!コスト合計12まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!氷聖女ジャンヌダルクと誓約の女神ヴァールを破壊!」

 

コスト合計は11、よって破壊が可能となる。アルティメット・オライオンの手の剣から蒼の一閃が放たれ、二体のスピリットを同時に呑みこんで破壊する。

 

「くっ……!?これが……!」

「アタックステップ!マーマリアンでアタック!」

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:5→6)!」

 

マーマリアンの刃がマリアのライフを最後の一つへと減らす。そして、最後のライフを奪い取るため、その言葉を、アルティメット・オライオンへと命じた。

 

「アルティメット・オライオンでアタック!」

ライフ(ライフ:1→0)で受ける!」

 

アルティメット・オライオンがマリアの眼前に迫る。そして振り下ろされた刃は、マリアの最後のライフを砕き、エクストリームゾーンから吹き飛ばしたのだった。




すまない……氷壁の持ち味をほとんど活かしきれていないだらしない作者ですまない……


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第四話 灼熱の人形

サブタイで何のキャラが出るかわかった人がいたら……って思ったけど二つ名を考えればすぐに出てくるか。


時は遡る。

 

「……」

 

深い闇の中に沈んでいた意識。彼のその意識は、何かに引っ張り上げられたかのように明るくなる。

 

「……これは」

 

赤茶色の霧のような景色の中、目を覚ました青年。何故、こんなところで目覚めたのか。その理由は、青年が辺りを見渡す事によって明らかとなる。

 

「十二宮Xレア!?」

 

金色の角と緑色の装甲を纏った、白に近い紫色の毛並みを持つ牡羊座の十二宮Xレア、白羊樹神セフィロ・アリエス。

 

翼を生やした巨大な牛の姿をした赤いドラゴン、牡牛座の十二宮Xレア、金牛龍神ドラゴニック・タウラス。

 

白と黒の人型が背中合わせに一つになった奇術師、双子座の十二宮Xレア、魔導双神ジェミナイズ。

 

巨大な爪を持つ、強固な緑の鎧に身を包んだ蟹座の十二宮Xレア、巨蟹武神キャンサード。

 

白銀の装甲に身を包んだ獅子、獅子座の十二宮Xレア、獅機龍神ストライクヴルム・レオ。

 

薄い桃色のドレスに身を包んだ長い金髪の女性、乙女座の十二宮Xレア、戦神乙女ヴィエルジェ。

 

両肩から天秤の巨大な台座の姿が確認出来る巨大なゴーレム、天秤座の十二宮Xレア、天秤造神リブラ・ゴレム。

 

尻尾が巨大な槍となっている青い蠍、蠍座の十二宮Xレア、天蠍神騎スコル・スピア。

 

四本の脚でその身を支える、一本の巨大な弓を構えるドラゴン、射手座の十二宮Xレア、光龍騎神サジット・アポロドラゴン。

 

山羊の角を見せる黒に近い紫色の皮膚を持つ悪魔、山羊座の十二宮Xレア、魔羯邪神シュタイン・ボルグ。

 

二本の剣を携え、背中に二つの水瓶を背負った白いスピリット、水瓶座の十二宮Xレア、宝瓶神機アクア・エリシオン。

 

二つの巨大な魚の口を見せる船、魚座の十二宮Xレア、双魚賊神ピスケガレオン。

 

太古の神々の力を宿したとされる、十二宮Xレア。無論、青年の生きた時代にも存在自体はしているだろう。しかし、これらの十二体のスピリットから感じ取れる気配は、より先の未来に存在しているようにも感じ取れた。

 

「……」

 

彼等に言葉はない。言葉はなくとも、彼等が伝えようとしていることははっきりと理解できた。そして、その意思を青年が感じ取ったのと同時に彼等の姿が消え、青年は差し込む朝日の中で目を覚ますのだった。

 

「……」

 

彼等が、再び自分をあの時代へと呼んでいる。何故なのか。それはわからない。だが、そう頼まれれば余程のことでもない限りは断らずになんとか対応しようとする損な性格は昔から変わらないようだ。

 

(このあたりか……)

 

数分後。青年がたどり着いたのは緑の見えた建物の屋上。かつて異世界での戦いを、魔族時代での戦いの始まりを告げたこの場所で、再び自分は新たな戦いへと向かおうとしている。その瞬間が着実に近付いていることを感じ取りながら時が経過するのを待っていると、彼の背中に一人の女性の声がかけられる。

 

「どうしたの?」

「まゐ」

 

その女性の名前を呼びながら後ろを振り向く青年。そこには、白い長袖のシャツを着た、紫のショートヘアの女性が立っていた。まゐと呼ばれたその女性は、青年の隣に立つと、もうわかっているといった様子で話しかける。

 

「私もね、感じたんだ。弾が前言ってた、私たちがいった未来よりも、ずっと先の未来の話。そこから何かが来たんだって。だから、きっと弾ならここに来るって思ってた」

 

赤い髪に茶色の目の青年、弾を見ながら、まゐは優しく笑いかける。どうしようもない人だと言っているかのように苦笑しながら、彼女は言葉を続けていく。

 

「だから、今度は私もついていこうかな」

「そうしたら、元の時代には多分戻れなくなる。俺が行こうとしている時代は、魔族達の自体のように過去から来た人を本来の時代に戻せる技術はもうない」

「わかってる。だからこそ、一緒に行きたいのよ。貴方を一人だけ行かせたら、どんな無茶をするかわからないもの」

「……」

 

そう言われたらもう返す言葉はないだろう。現に自分は今にして思えばかなりの無茶をしてその命を投げ出しかねないことまでしていたのだから。それに、彼女の意思も堅い。ならば自分がこれ以上何かを言う意味はないだろう。

 

「それに、本当は楽しみなんでしょ?また、ライフを砕き合うあのバトルが」

「ああ……でも、今度はデッキは置いていかない」

 

かつて魔族時代に行った際にはこの時代で弾が使っていたデッキを置いていった。それは、過去に対して後ろめたさや激突王と呼ばれることを嫌がっていた時期があったからだ。だが、今は違う。多くの戦いを経験し、過去と向き合う力を取り戻した今、戦い抜く為には今の自分に繋がる全てを手に戦う必要があるのだ。

 

「激突王として、ブレイヴ使いとして俺は戦う。行こう、まゐ」

「……うん」

 

二人の目の前に、長方形の形をした光のゲートが出現する。十二宮Xレア達の呼び掛けに応えるかのように弾はまゐを抱き抱えると、共に建物の屋上から飛び出してゲートの中に入っていく。そして、無数の光の奔流の中で自分達の感覚が一瞬無くなったかのような状態に陥る。そんな中で弾は、一体の龍の咆哮を聞いた。

 

(……これは)

 

そして、弾の視界がはっきりとしてくる。全身に感覚が戻っていることを確かめながら辺りを見渡した弾は、そこにまゐの姿がない事に気付く。

 

「……まゐがいない?それに、ここは……」

 

弾がいた場所は、一つの部屋のようにも見えた。地球儀や本などのあらゆるものが散乱し、乱雑に積み上げられた空間。一見すれば無秩序のように見えても仕方がないが、秩序の元に組み上げられた宇宙であると言えるだろう。あの男の言葉、今ならば弾にも分かる。

 

「知恵の間か?でも、どうしてここに……」

「馬神弾。お前は俺が呼んだ」

「!」

 

聞き覚えのある一人の声。ふと、弾のデッキから赤い光が放たれ、それは部屋の中にある一つの抜け殻のように立つ黒い人形の中へと吸い込まれていく。光を吸い込んだ黒い人型の無機質な人形の瞳が赤く光り、その人形は意志を、心を持って動き出し、弾の前に立つ。

 

「パンテーラ……?」

 

黒い肌に白い縦線が入ったその人造人間は、かつて自身の身体に宿したカードを弾に託して消えた存在だった。異界王が作り出した人形であり、既に姿を消した彼が何故この場にいるのか。

 

「お前をこの時代へ呼んだのは俺だ。あの戦いの後、俺は姿を消し、俺の持つ力の一部がお前の持つそのカードに宿った。そしてお前と閣下の戦いの後に散った俺の魂、いや心と言うべき欠片が永い時を経てこの場で一つとなり、この遺跡を知恵の間として再構築するに至るまでの力を手に入れた」

 

地球の英知が集められた部屋、知恵の間。この場は元々、別の遺跡だったようだがそれをパンテーラがこの姿へと作り上げた。そして、弾がまゐと分かれる形となってこの場にいるのは、今の弾のデッキの最大のカードに宿るパンテーラの力が弾をここに引き寄せたからということなのだろう。

 

「今、この時代は大きな危機に瀕している。多くの危機を迎えようとするこの世界にはお前が必要だ。そう思った俺は、俺が持つグランドコアの特性を利用し、十二宮Xレアのシンボルと通じ合わせてお前を過去から呼び寄せた。しかし、同時に俺はお前の実力を試したくなった。だからこそ、お前を、ノヴァを通ずることによってこの場に呼んだ」

「……ああ、俺もまたお前と戦う事ができるって思ったら、とても楽しみで仕方がないよ」

「その目に焼き付けておけ、馬神弾。時代を超えた俺の進化したデッキを。いくぞ」

「「ゲートオープン!界放!!」」

 

弾とパンテーラの姿が消えていく。別の空間に存在するバトルフィールド、かつてグラン・ロロで戦った時に用いていたもののレプリカと言うべき空間に現れた弾とパンテーラ。パンテーラの胸の5つの青い球体がライフのように輝き、弾のバトルフォームが再構築されていく。

 

「このバトルフォームは……」

「この時代で戦うお前への贈り物だ。かつてお前が使用していたバトルフォーム……今のお前が再びノイズと戦う時に必要となるだろう」

「そうか」

 

身体を赤、両肩を金でコーティングされた、逆三角形を作り出すアーマー。両肩からは金色の角のようなものが一本ずつ生えており、アーマーには五つの黒い隙間がある。そこに青い小さな結晶、ライフが出現、弾のライフを構築していく。異界王との戦いにすら耐えうる強力なバトルフォーム、これ程のものがあればこの時代で激化していく戦いにも耐えていけるだろう。弾は元の時代では流通しているカードの都合上使用できないこの時代での戦いで使用できるデッキを取り出し、それをボードにセットする。

 

「先行はもらう。スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。リザドエッジ、モルゲザウルスを召喚(リザーブ:4→0)

 

【リザドエッジ:赤・スピリット

コスト0:「系統:爬獣」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【モルゲザウルス:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:地竜」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:赤】

 

先行を取ったパンテーラが二体のスピリットを呼び出す。パンテーラのフィールドに出現した二つの赤のシンボルが砕かれ、その中から背中からエッジを生やした小さな爬虫類、リザドエッジが出現する。そしてワンテンポ遅れてもう一つのシンボルが砕かれ、その中から尻尾の先に鉄球が付いた、鎧でその身を武装した赤い恐竜、モルゲザウルスが出現する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ブレイドラ、銀河竜アンドロメテオスを召喚(リザーブ:5→0)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【銀河竜アンドロメテオス:赤・スピリット

コスト4(軽減:赤2・青1):「系統:星竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

続く第二ターン。剣の翼をもつオレンジ色の体毛にその身を包んだ小さなドラゴン、ブレイドラが召喚される。続けて、全身を鎖で縛った紅蓮の皮膚のドラゴンが現れる。その翼の中では銀河が映し出されており、額や肩から炎のような刃が覗かせている。

 

「アタックステップ。アンドロメテオスでアタック。アタック時効果によりデッキを上から2枚オープン」

 

星海獣シー・サーペンダー、太陽龍ジーク・アポロドラゴン。二枚のカードがオープンされていき、その中の一枚のカード、太陽龍ジーク・アポロドラゴンが赤い光を放つ。

 

「この中に系統:「星竜」を持つスピリットがあれば1枚を手札に加え、残りは好きな順番でデッキの下に戻す。太陽龍ジーク・アポロドラゴンを手札に加える」

(太陽龍ジーク・アポロドラゴン……)

 

弾が太陽龍ジーク・アポロドラゴンを手札に加えたことを確認し、パンテーラは警戒した様子を見せる。しかし、その事実は一先ず頭の奥底へと追いやり、今は目の前のアタックへ意識を向ける。

 

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

アンドロメテオスが翼を広げ、パンテーラへと襲い掛かる。振り上げた額の角が赤い半透明のバリアを作り出したパンテーラへと叩きつけられ、先制攻撃と言わんばかりにその身体にダメージを叩きこむ。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)、メインステップ。レイニードルをLv2で召喚(リザーブ:4→2)

 

【レイニードル:赤・スピリット

コスト1(軽減:赤1):「系統:星竜」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:赤】

 

続けてパンテーラが呼び出したのは、青い鱗にその身を包んだ一体の竜。背中から二枚の白い翼を生やして空を舞うそのドラゴンをさらに防御のための人員として呼び出し、手札に存在する一枚のマジックを使用する。

 

「さらにマジック、三札之術(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:2→0)。デッキから2枚ドローし、さらにデッキを上から1枚オープン」

 

魔帝龍騎ダーク・クリムゾンのカードがパンテーラのデッキからオープンされる。この効果でオープンされたカードが赤のスピリットであればそれを手札に加え、それ以外であればデッキの上に戻す。そしてオープンされたのは赤のスピリットカード。そのため、パンテーラはそれを手札に加えることとなる。

 

(こちらにはジーク・アポロドラゴン、そしてパンテーラにはダーク・クリムゾン……お互いに牽制し合う状態か)

「バーストをセット。ターンエンドだ」

 

ここでバーストを仕掛け、防御に重点を置いてターンを終える。そして続く第四ターン、弾がジーク・アポロドラゴンを呼ぶのかどうかを窺う。

 

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。ブレイヴ、砲凰竜フェニック・キャノンを召喚(リザーブ:4→0)

「!そう来たか!?」

 

【砲凰竜フェニック・キャノン:赤・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・白2):「系統:機竜・星魂」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

ジーク・アポロドラゴンを呼び出すか、それともスピリットを新たに呼び出すか。弾が選択したのはある意味で後者だと言えるだろう。しかし、それは守りに入る召喚ではない。寧ろ、相手を燃やし尽くす攻めの一手だ。

 

「フェニック・キャノン、召喚時効果によりBP4000以下のスピリット2体を破壊する!モルゲザウルスとレイニードルを破壊!」

 

弾が召喚した赤い機械のフェニックスの二台の砲門が火を噴き、モルゲザウルスとレイニードルに灼熱の弾丸を叩きこむ。弾丸を喰らわされたモルゲザウルスとレイニードルが爆散し、パンテーラの表情に僅かな驚きが浮かぶ。

 

「赤のBP破壊効果で攻めてきたか……!」

「まだまだいくぞ、パンテーラ!砲凰竜フェニック・キャノンを銀河竜アンドロメテオスに合体(ブレイヴ)!」

 

【銀河竜アンドロメテオス:赤(青)

コスト4+5→9:【激突】

コア1→2:Lv1→2:BP3000→5000+3000→8000

シンボル:赤(青)】

 

フェニック・キャノンの二台の砲門とその翼が分離する。翼はアンドロメテオスの背中に装着され、二台の砲門はアンドロメテオスの両腕に装着され、全身から赤い閃光を迸らせる。同時に弾のアーマーのライフが埋め込まれた黒い空洞の箇所が一瞬だけ赤く燃えるように輝き、再び黒色へと戻っていく。

 

「やはり合体(ブレイヴ)スピリットで来るか」

「ああ、いくぞ!アタックステップ!合体(ブレイヴ)アタック!」

 

アンドロメテオス、アタック時効果により弾はデッキを上から2枚オープンする。しかし、オープンされたカードは牙皇ケルベロード、戦竜エルギニアス。よって手札にカードは加えられず、弾は牙皇ケルベロード、戦竜エルギニアスの順番でカードをデッキの下に戻した。

 

「だが、こちらもやられたままじゃない。フラッシュタイミング!マジック、ブレイヴデストラクション(コスト3(軽減:赤2))使用(リザーブ:3→1)!」

「!」

「相手の合体(ブレイヴ)スピリットのブレイヴ1つを破壊する!フェニック・キャノンを破壊!」

 

パンテーラが呼び出した灼熱の炎がアンドロメテオスに襲い掛かる。その炎はアンドロメテオスが合体(ブレイヴ)していたフェニック・キャノンを燃やし尽くし、逆に引き剥がしてしまう。

 

【銀河竜アンドロメテオス

BP5000】

 

「これで、フェニック・キャノンが与えていた激突は失われる。よって、リザドエッジでブロックする必要性はない!ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

アンドロメテオスの刃が再びパンテーラのライフを破壊する。しかし、今度はこのライフを削らせた行為に一つの意味を持たせることとなる。その意味を明らかとするため、パンテーラは己の伏せたバーストを起動させる。

 

「ライフ減少によりバースト発動!エナジーバースト!BP7000まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!ブレイドラ、銀河竜アンドロメテオスのBP合計は6000!よって二体を破壊する!」

 

瞬間、更なる灼熱の炎弾が雨のように降り注ぎ、ブレイドラとアンドロメテオスを破壊する。二体のスピリットを同時に焼き尽くされ、逆にフィールドを更地へと変えられてしまった弾は、面白くなってきたと言わんばかりに口元に笑みを浮かべる。

 

「まさか逆にしてやられるなんてな。流石は灼熱のパンテーラだ」

「こちらもフェニック・キャノンを呼び出してくるとは考えてはいなかった。激突の扱い方は今も尚色褪せないな」

 

そう言葉を返すパンテーラもまた、口元に笑みが浮かんでいる。熱く燃える魂をぶつけ合う二人のバトルは、更に激化していくこととなる。

 

「ターンエンドだ」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)、メインステップ。いくぞ、弾!」

「!先に仕掛けてくるか!」

「最強の竜騎士軍団、皇十二竜騎(インペリアルドラグーン)を従える魔帝龍騎ダーク・クリムゾンを召喚(リザーブ:7→0)!」

 

【魔帝龍騎ダーク・クリムゾン:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤4):「系統:竜騎・龍帝」

コア1:Lv1:BP6000

シンボル:赤】

 

パンテーラのフィールドに虚空から出現する光り輝く赤いシンボル。それが砕かれる音と空に暗雲が出現し、そこから降り注いだ光の中から黒に近い皮膚をもつ、全身に鎖が絡みついたドラゴンが出現する。その手には自身の得物である槍が握られており、龍帝達を率いる戦士としてフィールドに降り立つ。

 

「来たか……ダーク・クリムゾン!」

「ダーク・クリムゾン、召喚時効果!デッキを上から7枚オープン!」

 

ガイミムス、竜騎集う円卓、ニーベルングリング、モルゲザウルス、ネクサスコラプス、サジッタフレイム、魔龍帝ジークフリード。オープンされた七枚のカード、その中の一枚である魔龍帝ジークフリードをその視線で捉えると、パンテーラはそのカードを手に取る。

 

「その中の系統:「龍帝」/「竜騎」を持つスピリットカードすべてをノーコストで転召させずに召喚し、残ったカードは破棄する!魔龍帝ジークフリードを召喚!不足コストはリザドエッジより確保!」

 

【リザドエッジ

コア1→0】

 

【魔龍帝ジークフリード:赤・スピリット

コスト9(軽減:赤5):「系統:龍帝・古竜」:【転召:コスト6以上/ボイド】

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤赤】

 

稲妻が鳴り響き、大地に巨大な亀裂が出現する。亀裂の中から大地を粉々に砕きながら現れたのは、巨大な胴体を持つ漆黒のドラゴン。巨大な両手で大気を震わせながら現れたドラゴンは、見る者全てを畏怖させるかのような巨大な咆哮を解き放つ。

 

「アタックステップ!魔龍帝ジークフリードでアタック!」

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:3→5)!」

 

魔龍帝が巨大な腕を振り上げて弾の目前へと迫る。そして叩きつけられた一撃は弾のライフ二つを一撃で削り取り、一気にライフの差を埋めてしまう。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:6→9)、メインステップ。ブレイドラ2体をLv1とLv2で召喚(リザーブ:9→6)

 

【ブレイドラ

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【ブレイドラ

コスト0

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:赤】

 

まず二体のブレイドラをフィールドに呼び出す。その前後の、先程と比べて気配が異なった弾の雰囲気を感じ取り、パンテーラは警戒心を強めていく。

 

「駆け上がれ!神の名を持つ赤き龍!太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:6→0)!」

「!ジーク・アポロドラゴン以外のカードを手札に引いていたのか!」

 

【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤3):「系統:神星・星竜」

コア1:Lv1:BP6000

シンボル:赤】

 

弾の眼前。フィールドの上空で真っ赤に燃える太陽が出現し、大地を熱していく。その熱は地中の中に眠るその龍を呼び起こし、激しい風圧が吹き荒れると共に地面が砕け散る。砕けた地面から出現する、太陽のように赤く燃える紅蓮の身体。膝、両肩、胸、頭に埋め込まれた光り輝く翠色の宝石。金色の装甲が全身を包み、空へと金色の翼を広げ、太陽神龍は太陽の炎を払い、降臨する。

 

「バーストをセットし、アタックステップ!太陽神龍ライジング・アポロドラゴンでアタック!」

(ダーク・クリムゾンとBPは互角。それを承知でアタックしてきたという事は、バーストに仕掛けがあるということか?)

 

ここまで苦労して召喚したスピリットを、ただ相討ちにさせるという目的で突撃させるとは思えない。バーストの発動条件がスピリットの破壊であると考えるべきか。それとも、それを匂わせる弾のブラフか。

 

「……いいや、ここは迷う事はしない。ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ブロックすれば何が待っていてもダーク・クリムゾンが破壊される事は避けられない。そう考えればパンテーラにとって、このアタックはライフで受ける以外の選択肢が存在しないだろう。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→8)、メインステップ。リザドエッジをLv2で召喚(リザーブ:8→6)

 

【リザドエッジ

コスト0

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:赤】

 

「ダーク・クリムゾンをLv2に、魔龍帝ジークフリードをLv3にアップ(リザーブ:6→0)!」

 

【魔帝龍騎ダーク・クリムゾン

コア1→3:Lv1→2:BP6000→8000】

 

【魔龍帝ジークフリード

コア1→5:Lv1→3:BP5000→12000】

 

「アタックステップ。ダーク・クリムゾンでアタック!Lv2・3アタック時効果により、Lv2のブレイドラを破壊する!」

 

ダーク・クリムゾンが手に握る槍をブレイドラへと投げる。突然槍を投げられたブレイドラはその一撃を前に反応することすらできず、その身を貫かれて爆散する。が、その犠牲は無駄にはならない。

 

「スピリット破壊によりバースト発動!双光気弾!デッキから2枚ドローする!フラッシュ効果は使用しない!」

「アタックはまだ続いている!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:2→3)!」

 

ブレイドラを貫き、地面に突き刺さった槍を回収し、それを弾へと叩き付けるダーク・クリムゾン。その一撃は弾のライフを破壊し、着実に追い込んでいく。

 

「このターンでは仕留めきれないか。だが、アタックステップは終わらない!魔龍帝、アタック!」

「ブレイドラでブロック!フラッシュタイミング、マジック、救世神撃覇(コスト4(軽減:赤3))使用(リザーブ:3→1)!デッキから1枚ドローし、バーストをセット!」

 

このアタックをブロックしなければ弾は敗北することとなる。よって、ブレイドラでこのアタックを阻むしかない。が、魔龍帝の前に立つブレイドラは余りにも無力。その翼の羽ばたきによって発生した風だけで簡単に吹き飛び、消えてしまう。

 

「魔龍帝、Lv2・3効果により、このスピリットのアタック時、BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、デッキから1枚ドローする!」

「だが、スピリットの破壊によりこちらもバーストを発動!フレイムブラスト!デッキから2枚ドロー!こちらもフラッシュ効果は使用しない!」

 

デッキから一枚のカードを引き、くすりと笑ったかのような姿を見せるパンテーラ。このドローで何を引いてきたのか。それは分からないが、警戒しておくべきだろう。

 

(何を引いてきた?)

「ターンエンド。さぁ、来るがいい、馬神弾!今のお前の力を、俺にぶつけてみろ!」

「ああ!スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→10)、メインステップ。戦竜エルギニアスを召喚(リザーブ:10→9)

 

【戦竜エルギニアス:青(赤)・スピリット

コスト1(軽減:青1・赤1):「系統:戦竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青(赤)】

 

弾がここで呼び出したのは、自身を赤としても扱う青のスピリット。緑色の皮膚を持ち、青い装甲にその身を包んだその牛は出現と共に雄叫びを上げる。

 

「そしてマジック、ビッグバンエナジー(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:9→7)!このターンの間、手札にある系統:「星竜」を持つスピリットカードのコストは、自分のライフと同じになる!」

 

弾の現在のライフは2。よって、弾の手札に存在する系統:「星竜」を持つスピリットは手札に存在する限り、コスト2となる。

 

「来るか……!」

「太陽よ、炎をまといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴン、ノーコストで召喚(リザーブ:7→6)!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト6(赤2・青2):「神星・星竜」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

背後で炎が燃える。そしてバトルフィールドの外から赤き身体を持つ、身体中に真っ白な龍エネルギーを秘めた球体を埋め込んだ龍が一歩、また一歩と静かに、だがその風格を感じさせながら内側へと入ってくる。弾の前で立ち上がった太陽龍は、更なる進化を起こす為の咆哮を上げる。

 

「さらに太陽龍ジーク・アポロドラゴンを転召!!」

「ここで転召だと!?」

「龍の原点!創星伝説!超神星龍ジークヴルム・ノヴァ、Lv3で召喚(リザーブ:6→1)!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【転召:コスト6以上/ボイド】【激突】

コア5:Lv3:BP15000

シンボル:赤赤】

 

弾がカードを掲げる。瞬間、そのカードから紅蓮の光が遥か天高くへと放たれ、空を明るく染め上げる。それと同時にジーク・アポロドラゴンの身体が激しく燃え上がり、そのコアがボイドへと移動していく。そして天へと放たれた光は無数の流星となってドラゴンに降り注いでいき、一つの超新星の光を作り出していく。その光は巨大な赤のシンボルとなって砕かれ、その中から身体を巨大な赤い翼で覆ったドラゴンが出現する。その背中から薄い桃色の光の翼が二枚出現し、自身の赤い翼を広げると、その下にある緑色の光の眼を輝かせる、白い鎧を纏った紅蓮の龍が姿を現す。そして出現した超神星龍は大地に降り立つと、咆哮と共に大地を砕きながら足元から劫火を立ち昇らせる。

 

「これは……!」

「パンテーラ、お前が俺に託してくれたノヴァの力だ!アタックステップ!」

 

アタックステップ。そう宣言した弾のアーマーの背中から伸びた金色の角のような形となっていたスラスターが音と共に開かれ、虹色の光の翼を出現させる。

 

「超神星龍ジークヴルム・ノヴァでアタック!Lv2・3アタック時効果によりBP合計10000まで好きなスピリットを破壊する!ダーク・クリムゾンとリザドエッジを破壊!」

 

ジークヴルム・ノヴァが翼を広げ、虹色の無数の光弾の雨を降らす。その雨はダーク・クリムゾンとリザドエッジを呑み込み、一瞬にして仕留めていく。

 

「さらに太陽神龍ライジング・アポロドラゴンの効果により、系統:「星竜」を持つジークヴルム・ノヴァで魔龍帝ジークフリードに指定アタック!!」

「フラッシュタイミング!フレイムガスト(コスト6(軽減:赤3))使用(リザーブ:5→1)!BP6000以下の相手スピリット1体、ライジング・アポロドラゴンを破壊!」

 

既に指定アタックが成立している今、ライジング・アポロドラゴンを潰した所でバトルは回避できない。だが、ここは一体でもスピリットを減らし、このターンでの敗北を避けるのが目的だ。天から放たれた劫火がライジング・アポロドラゴンを焼き尽くして破壊し、その爆煙を吹き飛ばすかのように魔龍帝とジークヴルム・ノヴァが真正面から激突する。

 

「フレイムガストをドローしたのか……だが、次はこっちのフラッシュタイミングだ!ジークヴルム・ノヴァにメテオストーム(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:2→0)!」

 

弾が使用したマジックから放たれた炎が天へと降り注ぎ、巨大な黒雲を作り出す。流星が次々と降り注ぐ中、魔龍帝はジークヴルム・ノヴァを仕留める為に灼熱のブレス放つ。しかし、その炎を真正面から突破すると、ジークヴルム・ノヴァはその身体を突進によって貫き、破壊する。

 

「メテオストームの効果により、ジークヴルム・ノヴァがBPを比べ、相手のスピリットだけを破壊したことでジークヴルム・ノヴァのシンボルの数だけ相手のライフ(ライフ:2→0)をリザーブに置く!」

「くっ……ここまでか!」

 

天から降り注ぐ一際巨大なメテオ。それがパンテーラへと直撃し、そのライフを二つ、一気に破壊してみせた。

 

 

 

 

「「ありがとうございました、いいバトルでした」」

 

知恵の間へと戻った二人はそう言うと握手を交わす。疑いようのない良いバトルだった。そして、時代を超えて進化したお互いの力を確かめあえた事に喜び合いながらも弾は知恵の間に起こり始めた異変に気付く。

 

「……?」

 

辺りの景色が徐々に歪んできている。いや、あるべき景色に戻ろうとしているという事か。パンテーラは、手元からカードを取り出し、さらに胸を砕きながら右腕を突っ込み、身体の内部から一つの赤いシンボルの形をしたペンダントを弾へ渡す。

 

「これは?」

「かつて俺の中にあったグランドコアをより小型化したものだ。無論、お前の知るものと比べれば大きく性能は落ちるだろうが、これを使えばあのバトルフォームを作り出せる筈だ。このカードは……俺からの餞別だ」

「そうか……大切に使わせてもらうよ」

 

それを受け取り、笑いかける弾。その表情を見ながらパンテーラは笑うと、徐々に薄くなっていく自分の身体の変化を感じ取りながら、最後に弾と戦えたことを喜びながら彼に最後の言葉を告げるのだった。

 

「外に行けばコアブリットがある。ここは日本の近くだ、ノイズの反応がある場所に向かえばかつての仲間達と会えるだろう。いけ、馬神弾」

「ああ……ありがとう、パンテーラ。俺をもう一度この時代へ呼んでくれて。俺は……戦うよ」

 

お前ならそう言うと思っていた。そう言わんばかりに笑うと、パンテーラの姿が知恵の間と共に消えていく。そして、古びた柱や壁画が姿を見せる寂れた遺跡が広がっていく。だが、その中で弾はコアブリットを発見する。まるで、今まで手入れをされていたかのように一つだけ存在するそれに乗り込むと、慣れた手つきでコアブリットを起動させ、遺跡から飛び出したのだった。




多分何故少年激覇のバトルフォームにしたの?ってなる人が出てくると思うから予め書いておくと、多分こっちじゃないとできないことがあるからです。加えて言うなら、この時のアーマーが一番好きだから(ぇ


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第五話 夜明けを告げる太陽

それは、彼女達の視点から見て一時間前のことだった。日本海付近に存在する、永き時を経て復活したパンテーラの力が作り出した遺跡の中からコアブリットを用いて外へと飛び出した弾は、コアブリットに備え付けられていたノイズを感知するレーダーとオートパイロットプログラムを用いて目的地まで向かう。その途中でデッキを構築している弾がある場所へ向かおうとしている中、翼との戦いに敗れたマリアがエクストリームゾーンより吹き飛ばされ、大きく転倒する。

 

「くっ!」

 

しかし、両腕の篭手を合わせ槍へと再構築させたそれを右手で掴んで地面に突き刺し、数メートル抉りながら徐々に吹き飛ぶ己の速度を減速させ、空中で体勢を立て直す。そして無事に着地すると槍を抜く。

 

「負けてもギアを解除しないとは……!」

 

かつて、装者がバトルに敗北した際にはそのダメージでギアが一時的に解除されるということがあった。しかし、戦闘に敗北したとしても己の纏うアーマーを失わないままでいられるのはフィーネ、そして弾と戦った響が証明している。例え敗北したとしても強い精神力でアーマーを維持し続けられるという事実こそが真理だと半年前の戦いで証明済みだ。つまり、彼女はそれほどの精神力を未だに持っているという事になる。

 

「だがマリア・カデンツァヴナ・イヴ!これで終わりだ!その身、拘束させてもらうぞ!」

「……それはどうかしら?」

「!?」

 

刹那。空から気配を感じ取り、翼は反射的に後ろに跳ぶ。次の瞬間、二人の間に二つの影が落ちてくる。

 

「新手だと!?」

 

そこにいたのは、黒いツインテールの少女と、金髪の少女。ツインテールの部分が筒のようなもので覆われており、黒とピンクのインナースーツを着用した黒髪の少女は、ブーツに小型の車輪を仕込んでいるというのが確認出来る。一方の金髪の少女は魔女の帽子を彷彿とさせるヘッドギアと肩にプロテクターを装着しており、黒と緑を基調としたインナースーツを着用している。その手には巨大な緑色の刀身を持つ鎌が確認出来る。

 

「危機一髪」

「間に合ってよかったデス」

「さらに二人の装者だと!?」

「調と切歌に救われなくても、貴女如きに不覚を取る私ではないわ。もうこんなものは不要よ」

 

そう言うと、懐から先程の翼との戦いで使用していたデッキを取り出す。そしてそれを懐にしまったかと思えば槍の中から一つのデッキを取り出す。

 

「!新たなデッキ……まさか、手を抜いていたというのか!?」

「いえ、少なくともあれは私の全力ではあったわ。そう、私の全力でデッキの力を上げていたけど、貴女には届かなかった。でも今の私に合った本当のデッキならどうかしら?既にアルティメットというシンフォギアの力の全てを見せた貴女と、まだアルティメットを公開していない私の間には大きな情報面での大きな差がある!」

「……?」

 

こちらとて真打ちこそ出していないが、それは相手も同じ。アルティメットも繰り出していないのだ。先程のバトルは単純に自分の力量を図る為のものであったと考えるのが自然だろう。が、そのマリアの言い方にどこか引っかかりを覚える翼。しかし、すぐに思考を目の前の戦闘へと集中させる。

 

「ともかく、これで三対一。形勢逆転ね」

「それはどうかな?」

「……!上か!?」

 

先程のお返しと言わんばかりに口を開く翼。その言葉の意味を瞬時に理解したマリアが上だと叫ぶのと同時に他の二人も上を見る。そこにはギアを纏った響とクリスが上空を飛ぶヘリから落下してくる姿があった。

 

「翼さん!」

 

ヘリで急行していた二人が間に合ったのだ。クリスが自分たちが着地する場所を作るために両腕のボウガンをバルカンへと変形させ、弾丸の雨を降らせる。その弾丸を前に切歌は地面を跳び、調がブーツの車輪を動かして素早く移動して攻撃を回避、マリアがマントを盾のように展開して弾丸を受け止め、隙を見てその場から飛び出す。

 

「ちっ、救援が間に合ったか……!」

 

再び三人で一ヶ所に固まり、孤立しないようにする。対する響とクリスも着地した後、即座に翼の近くに駆け寄り、三人の装者を見る。そして、

 

「こいつらが例の……」

「やめようよ、こんな戦い!私たちが争う理由なんてないよ!」

 

響が叫ぶ。彼女を知る人間ならば彼女のその言葉は当然のものだと感じることだろう。しかし、その言葉は彼女を知らない人間からすればただの妄言に過ぎない。

 

「……そんな綺麗事を」

 

その言葉にイラッときたのか、調が少し表情を険しくしながら響を睨み付ける。

 

「……え?」

「綺麗事で戦う奴の言うことなんか、信じられるものかデス!」

「そんな……」

 

さらに切歌も鎌の先端を向けながら吐き捨てる。しかし、響は知っている。半年前の戦いでも、話し合えばわかり合えると言うことを。人は分かり合える生き物であると言うことを。だからこそ、それを信じて言葉を続けていく。

 

「話し合えば分かり合えるよ!だって……」

「偽善者……」

「……!」

 

冷たく、鋭く響を射貫く調の瞳。本当に言葉だけで人々が分かり合えるなら、こんなことにはなっていない筈だ。それができないからこそ、口先ばかりの理想を語り、行動を取ろうとしない者達がいるからこそ、この世界は今のままなのだ。

 

「この世界には貴女のような偽善者が多すぎる……!痛みを知らないような人が、妄言を事実のように語るな!!」

 

調の感情的な叫びに気圧されたように一歩下がる響。交渉は決裂。それが決定した瞬間だった。

 

「人数は丁度三人。ここで一気に二課の装者とやらを仕留めるのも……?」

「構えろ……?」

 

今にも襲いかからんとする装者達。彼女達を前に翼とクリスも構え、響も戦わなければならないのかと迷いを生じさせたその時だった。マリア達と響達、お互いに通信が入ってきたのは。

 

「!?どういうこと、マム!?敵はこいつらだけじゃなかったの!?」

「数時間前にフロンティア周辺と別の場所で発生した謎のエネルギー反応。内一つが会場へ向けて飛行しています」

 

女性からの通信を受け、マリア、切歌、調の三人は眉を寄せる。まさか、二課がさらに戦力を投入したのか。しかし、響達へと視線を向けたマリアは、自分達が思ったその仮説が間違っていることを悟る。

 

「それが所持するエネルギーの総量は……シンフォギア装者以上!」

「な、なんでいきなりそんなものが来てんだ!?まさか、こいつらの用意した伏兵か!?」

「いや……彼女達の反応を見た限りではそれも違うようだ……!」

 

二課でもまた、そのエネルギーを観測し、その情報を装者達へと伝える。六人はお互いの反応からこの場に訪れようとしている何かがどちらの勢力にも属さない第三者だと理解する。そしてマリア達はマムと呼んだ女性からこのイレギュラーに対しどうすればいいのか判断を仰ぐ。

 

「……撤退です。単純にエネルギー量から見ても装者と同程度、ここで実力は装者以下などという甘い見積もりはできません。それが到着し、先に攻撃した方がこちらであれば追い込まれる。逆の場合は見返りもありますが、ここは賭けに出る時ではありません。最終手段を用いて撤退を」

「……了解」

 

マリアが返事を返す。次の瞬間、会場の中心に巨大な緑色の閃光が出現し、そこから巨大な緑色の物体が出てくる。新たなノイズの出現に響達が驚いた様子を見せていると、マリアは槍の先端から一筋の光線をそのノイズに炸裂させ、切歌、調と共に撤退を行う。

 

「なっ!?」

 

その光線を受けたノイズの身体が次々と分裂していき、さらに増殖を繰り返していく。衝撃を受ければそれに応じてさらに戦力を増やしていくそのノイズを相手にちまちまやってもどうしようもないだろう。かといってノイズを外に出す訳にもいかない。外には会場に来ていた観客達がいるのだから。

 

「悪戯にやっても仕方がない……!」

「ちっ、完全に手詰まりかよ!?」

 

焦りの声を漏らす翼とクリス。どうしようもできないのか。そう思った次の瞬間だった。会場の上空に一つの巨大な光の球体が発生したのは。

 

「……え?」

「あれは……バトルフィールド!?」

「でも、誰が!?」

 

その球体は、赤、白、紫、緑、黄、青の六色のリングに包まれていた。空中に発生したそのバトルフィールドの中へと全て吸い込まれていく増殖したノイズ達。ノイズ達の増殖によって発生するそのエネルギーは六色のリングが持つエネルギー蓄積能力によって吸収され、これ以上の増殖を封じる。そして吸い込まれるようにバトルフィールドの中へと消えていったノイズを仕留めるために空から飛んできた一つの機械のようなものが中へと飛び込んでいったのは。

 

「あれはコアブリット!?馬鹿な、この時代に存在する唯一のコアブリットは二課が管理している筈!」

「!エネルギー反応の解析結果出ました!これは……コアエネルギーです!」

「コアエネルギーだと!?」

 

コアエネルギー。太古の時代に用いられていたエネルギーであり、グラン・ロロより地球へと伝来してからは一時期主なエネルギーのすべてがコアエネルギーで賄われていた時代もあったほど。

 

「あれは……」

「バトルフィールド……フィーネの遺した研究資料にあった、バトルの内外によって発生する巨大なエネルギーを蓄積させる機能を持つ特殊なフィールド……今の時代で使う事はないと思いましたが……まさか使う猛者だったとは。しかし、こちらはこちらで効率よくエネルギーは回収できる」

 

無論、神々の砲台を起動させるような膨大なエネルギーはたった一回のバトルでは回収できないだろう。が、

 

(エネルギーを抽出する方法は既にフィーネが確立させている)

 

彼女達の目的を達成させるには十分な程のエネルギーが既に回収できた。バトルフィールドから回収した、ノイズ達の分裂、増殖する際に発生する絶唱に匹敵するほどのエネルギー。それを分け与えた一つの小さな鼓動を刻む物体は、確かな鼓動を起こしていた。

 

「な、なんですかあのピカピカは!?」

「大きい……」

「……」

 

それが何なのかは分からないまま、撤退を行う三人。予め会場の外に止めておいた車を用いて距離を取り、そこでマムと落ち合う事になっている。そしてマムが、二課がバトルフィールドの中へとアクセスした先で目撃したのは。

 

「なっ!?彼は!?」

「弾君!?何故弾君がここに!?」

 

ノイズと対峙する馬神弾の姿だった。会場上空に近付いた彼は巨大なノイズの姿を目撃し、即座にゲートを開く。そしてそこにノイズ達を引き込み、撃退に打って出たのだ。

 

(彼は、一体……?)

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ」

 

ドローステップでドローしたカードを引いた弾は、そのカードを僅かに凝視する。パンテーラから受け取ったカードの枚数は九枚。今回は試験的に二種類のカードを合計三枚デッキに投入してみたが、その内の一枚がこのドローで手札にきたようだ。

 

「ブレイドラをLv3で召喚(リザーブ:4→1)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア3:Lv3:BP3000

シンボル:赤】

 

まず弾が様子見を兼ねて呼び出したのは剣の翼を持つオレンジ色の体毛の小さなドラゴン。可愛らしい鳴き声を上げるブレイドラを最初に呼び出し、相手の出方を窺う事にする。

 

「ターンエンド」

「嘘……弾、さんが……?」

「あいつ……生きていたのか……?」

「しかし、どうして今になって……」

 

弾が戦っている。その報告を受けた響達には驚きの一言しかない。カ・ディンギルを巡るフィーネとの戦いの果てに存在が消えた青年。この時代から消え、半年以上が経過しても尚何の音沙汰も無い彼は、どこかで生きていると信じてはいてももうこの世界にはいないと思っていたのだ。その彼がここにいる。その事実がどれだけ嬉しかったか、最早言葉では言い表せないほどだろう。

 

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ヒトデムをLv2で召喚(リザーブ:5→1)

 

【ヒトデム:白・スピリット

コスト2(軽減:白1):「系統:空魚」:【装甲:赤】

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:白】

 

白いシンボルが出現し、その中から現れる鋼鉄に覆われたヒトデ型スピリット、ヒトデム。所々そのコーティングされている鋼の装甲が剥がれ落ちており、そこから内側にある赤い装甲が姿を見せている。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ブレイドラをLv1にダウン(リザーブ:2→4)

 

【ブレイドラ

コア3→1:Lv3→1:BP3000→1000】

 

「いくぞ、パンテーラ!お前のくれた力、使わせてもらう!星鎧龍ジーク・ブレイヴ、召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:星竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

空が暗く染まり、稲妻が響く。そして天から出現する、赤い機械の身体を持つジークヴルムを模したスピリット。その瞳を白く輝かせ、額の赤い結晶を輝かせながら降り立ち、黄色い翼を広げて咆哮を上げる。

 

「ジーク・ブレイヴ……見たことのないブレイヴだ」

「一体どんな力が……」

 

弾が使用していたジークヴルム・ノヴァや響の使用するライト・ジークヴルムと比べると一回り小型のドラゴン。そのドラゴンには足はあれど手は存在しない。しかし、それこそがそのブレイヴのあるべき姿なのだろう。

 

「ターンエンド」

 

しかし、そのブレイヴの力はまだ明らかとならない。合体(ブレイヴ)してからが本番ということだろう。

 

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)、メインステップ。一角魚モノケロックをLv2で召喚(リザーブ:4→0)

 

【一角魚モノケロック:白・スピリット

コスト3(軽減:白1):「系統:空魚」:【装甲:紫/白/青】

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:白】

 

続く第四ターン。ノイズが呼び出したのは巨大な一角を持つ巨大魚、モノケロック。ユニコーンを連想させる極端に細長い一本の角を持つモノケロスを模したクジラであり牙が変化した姿である角を強調させながらフィールドに浮き上がる。

 

『アタックステップ。ヒトデムでアタック』

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ヒトデムの全身が高速回転して浮上する。一つの丸鋸のようになったヒトデムの強力な体当たりがライフで受ける宣言をした弾が出現させた白い半透明のバリアを突き抜け、そのライフを砕いていく。

 

「……ふっ」

 

弾のアーマーに付いた五つの青いコアの内の一つが砕かれて消えていく。その痛みと衝撃が全身を襲い、身体の内側から燃え上がるその闘志を身体で感じ取る。

 

「……彼のバトルフォームはあんな形をしていたか?」

「そういえば……以前はもっと無骨というか……完全に鎧という感じでしたが、今の彼が纏っているのはぱっと見はどちらかというとシンフォギアのような鎧に見えない形状ですね……」

 

ノイズのアタックを受けても炭化していないということは以前彼が纏っていたアーマーと同じ、ノイズに対する装甲が働いているのは明白だ。しかし、以前と異なり、鎧と言うにはあまりにもスマートで洗練されたフォルムの見慣れないアーマーを得た弾。彼が自分たちの前から消えた時間の中で変化があったことは明白だろうと考えながら弦十朗は弾のバトルに視線を向ける。どこでコアブリットを手に入れたのかについても後で聞く必要があるだろう。

 

『一角魚モノケロックでアタック』

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

モノケロックが弾へ向かって突進する。額の角が勢いよく突き付けられることによってそのバリアが破壊され、一ターンで二つのライフを一気に奪われる。が、弾の表情は寧ろ好都合だと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべている。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→6)、メインステップ」

 

コアは十分に揃った。これらを用いて弾は手札に眠る一体のスピリットを呼び出す。自分がこの世界に現れたこと。己の戦いの幕を開ける夜明けを告げる太陽を昇らせるために。

 

「太陽よ、炎をまといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:6→0)!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤2・青2):「系統:神星・星竜」

コア2:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

弾の背後から出現する巨大な紅蓮のドラゴン。黄金の角、肩当てとひざ当てを持ち、白い翼を羽ばたかせる太陽のような赤い皮膚のドラゴンがゆっくりとバトルフィールドの壁をよじ登り、四本脚を使って一歩一歩、壁を、大地を踏みしめるようにしてバトルフィールドへと入ってくる。そしてフィールドの中に入ると、二本脚で立ち上がり、全身に埋め込まれた白い球体を光で反射させる。

 

「星鎧龍ジーク・ブレイヴを太陽龍ジーク・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!!Lv2に!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コスト6+4→10

コア2→3:Lv1→2:BP4000→6000+5000→11000

シンボル:赤+赤】

 

ジーク・ブレイヴの額の赤の結晶が光り輝き、その姿が天へと羽ばたく。そしてその翼が分離して身体が消滅し、自身の翼を消滅させた太陽龍の背中に装着され、雷皇龍を連想とさせる黄色い六枚の羽によって構築される右翼と左翼へと変わっていく。また、それと同時に太陽龍の身体の白い球体全てが赤く染まり、全身から紅蓮の閃光を放ちながら咆哮を上げる。

 

「アタックステップ!天を裂け、合体(ブレイヴ)スピリット!」

 

ジーク・アポロドラゴンが飛翔する。次の瞬間、その翼に稲妻が宿り、さらに全身を炎が包み込む。炎と稲妻を同時に纏ったジーク・アポロドラゴンは一角魚モノケロックへと突進、その身体を一瞬で燃やし尽くす。

 

「ジーク・ブレイヴ、合体(ブレイヴ)時効果によりBP4000以下の相手スピリットを破壊する!そしてこれがメインのアタック!」

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:2→4)

 

そしてジーク・アポロドラゴンの突進は止まることを知らず、ノイズへと襲い掛かる。ジーク・ブレイヴとの合体(ブレイヴ)によって得た赤のシンボルを加えたダブルシンボルの一撃がノイズのライフ二つを穿つ。

 

「さらにブレイドラでアタック!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:4→5)

 

まだアタックステップは終わらない。そう言わんばかりに弾はさらに責め立てる。ブレイドラが大地を駆け、ノイズの目の前で飛び上がり、火炎放射をノイズへとぶつけていく。

 

「ターンエンド」

(何と言うカード捌き……しかも、このタイミングで敢えてフルアタックを仕掛ける豪胆さ……もし彼があの場で敵として立ち塞がる事となっていたとしたら、明らかに不利になったのは私達だった。やはり撤退を選択して正解だったようですね……)

「何だ、丁度中継しているなら僕にも見せてくださいよ。ナスターシャ教授」

 

弾の実力を分析している中、マムのいる部屋に入ってきたのは白髪の男性。その右手にはソロモンの杖が握られており、眼鏡の位置をソロモンの杖を握っていない左手で調節しながらナスターシャと呼んだ女性、ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤに話しかける。

 

「戻っていましたか。ドクター・ウェル」

「ええ、つい先程にね。しかし驚きました。まさか貴女があそこで撤退を指示するなんてね……」

「最善の一手を取らせてもらいました。しかし、その判断もこれを見た限りでは正しかったと思うばかりです」

「ふむ……」

 

マムに話しかけたのは、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。昼間にノイズに襲われた響とクリスと共にいた人物であり、ソロモンの杖輸送後に最終目的地であった基地のノイズ襲撃を受けて行方不明となった人物であった。基地を自らが呼び出したノイズによって壊滅させ、その混乱に乗じて自分はその場から離脱するという自作自演の行動によってソロモンの杖を奪取することに成功、この会場に出現させたノイズ達も、ウェルが呼び出したものである。

 

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:6→8)、メインステップ。ヒトデムを召喚(リザーブ:8→6)

 

【ヒトデム

コスト2(軽減:白1):【装甲:赤】

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:白】

 

金剛(ダイヤ)戦艦ドレッドノーグ、召喚(リザーブ:6→0)

 

金剛(ダイヤ)戦艦ドレッドノーグ:白・スピリット

コスト7(軽減:白3):「系統:空魚・機獣」:【重装甲:赤/紫】

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:白白】

 

ここでノイズが呼び出したのは巨大なウバザメ型の戦艦スピリット。サメの口の中には巨大な砲門が姿を見せており、尾びれには巨大なブースターが装着されているのが確認できる。

 

(ここでダブルシンボルか……)

『アタックステップ。金剛(ダイヤ)戦艦ドレッドノーグでアタック』

 

ドレッドノーグの口の中でエネルギーが充填されていく。このアタックが放たれれば、弾のライフを一気に奪い取り、最後のライフもヒトデムのアタックで吹き飛ばす事が可能となるだろう。しかし、前のターンに弾は何も考えずにフルアタックを宣言したわけではない。

 

「フラッシュタイミング、マジック、トライアングルトラップ(コスト3(軽減:緑2))。コストは合体(ブレイヴ)スピリットとブレイドラより確保!」

 

【ブレイドラ

コア1→0】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア3→1:Lv2→1:BP6000→4000+5000→9000】

 

不足コストを確保するためにブレイドラが消滅する。ブレイドラの命を奪って起動した緑のマジックが三角形の光のネットを作り出し、二体のヒトデムを包みこみ、疲労させる。

 

「コスト4以下の相手スピリット3体、ヒトデム2体を疲労させる。このアタックはライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:0→2)!」

 

ドレッドノーグが放つ砲撃が弾に襲い掛かる、残りライフ1にまで減らされながらもどうにか持ち堪えた弾。しかし、その行動はある意味で計算づく。リスクを承知で攻めたことで大きな見返りを得ることができたようだ。

 

『ターンエンド』

「ほぅ、中々ギリギリを攻める。しかもシンフォギアのようにノイズに対する耐性をバトルフォームが持っていると見た。確かにあれが第三者として現れればその動き方で戦況が変わったと言っても過言ではない」

 

弾の戦い方を見て、ウェルもナスターシャの判断は正しかったことを認める。彼とてカードバトラー。弾が手練れのカードバトラーであることは瞬時に理解した。それも、下手をすればマリア達に匹敵するであろう程の実力があるということも。

 

「ヒナ……あれって、あの時に見たのだよね」

 

バトルが行われている会場の外。封鎖された会場内に進入できず、事のあらましをあおいから聞かされていた未来達は、そのバトルフィールドがルナアタック事件の際に使用されていた決戦の舞台であったことに気付いていた。

 

「うん、でも誰が使ってるんだろ……もしかして響達?」

「……はい、ええ……え!?弾君が!?」

「「「「!」」」」

 

一瞬驚いた声を漏らし、慌てて声量を抑えながら通信相手に聞き返すあおい。通信を行っていた相手である二課の男性オペレーター、藤尭朔也は、バトルフィールドの中で弾が戦っている姿を見ながらその情報は確かだとあおいに伝える。そしてあおいの漏らしたその言葉を聞いた未来達も顔を見合わせる。

 

「あの、今の話……弾さんが戦ってるって」

 

恐る恐るといった様子であおいに聞く未来。あおいも少し信じられないといった表情を最初は見せていたが、徐々にその事実を呑み込み始め、彼が生きていたという事実に安堵した様子を見せながら頷く。その様子を見て、未来達四人も嬉しそうな表情を見せる。

 

「生きてたんだ……!」

「良かったです……」

「こういうアニメみたいな展開は私、大歓迎よ!」

「弾さん……」

「彼が戻ってきてくれたのなら、大丈夫よ。きっと、何とかしてくれる」

 

五人は天空のバトルフィールドを見上げる。そこで弾が勝利してくれることを信じながら。

 

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:3→4)

 

ドローしたカード。それを見て弾の表情が微かに固まる。そのカードもまた、パンテーラから託されたカードだ。それを改めて手に取ると、そのカードからそれを託したパンテーラの想いが聞こえてくる。

 

『弾。お前に託したこの剣刃(つるぎ)は太古の時代にオリジナルが失われて以後、永き時を経てその破片があの遺跡に辿り着いたものをカードとして再構築させたものだ。本来の力は失われてこそいるが、それによりこれに適合せずとも使用することが可能となっている。この力はお前だけではなく、お前が共に戦う者達にも役に立つ筈だ』

(……ああ。その使い心地、太刀筋をこの場で確かめさせてもらう!)

 

パンテーラの声を目を閉じて感じ取る。そしてその言葉に返事を返すと、今一度強い決意を込めて続くステップを宣言する。

 

リフレッシュステップ(リザーブ:3→10)、メインステップ。来たれ、光の刃よ!輝きの聖剣シャイニング・ソード、召喚(リザーブ:10→4)!」

 

【輝きの聖剣シャイニング・ソード:赤・ブレイヴ

コスト7(軽減:赤3):「系統:剣刃」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

瞬間、天から一筋の光が放たれ、同時に大地を震わせて一本の巨大な剣が大地に突き刺さる。黒い柄を持ち、太陽を象った鍔を持つ、金色の刃と赤い刀身を持つ剣。

 

「こ、これは!?」

「ルナアタック直後に二課が回収した十二枚のブレイヴ、それら一枚一枚には劣りますが……聖遺物の反応が出ています!」

「剣のブレイヴ……まさか、了子君が言っていた、十二の光と闇の剣の内の一本だというのか!?」

「シャイニング・ソード、召喚時効果!BP3000以下の相手スピリットすべてを破壊し、破壊したスピリット1体につき1枚、カードをドローする!シャイニング・ソード自身が強化(チャージ)を持つことで、BP4000以下の相手スピリットすべてを破壊する!」

 

シャイニング・ソードが赤い光を帯び、鍔に光は集っていく。そして光は巨大な炎となって放たれ、ノイズのフィールドに存在する、スピリット/マジック/ネクサスの対応する色の効果しか防げない装甲:赤を持つヒトデム二体を燃やし尽くす。その炎はBP4000のドレッドノーグにも伸びていくが、その炎はドレッドノーグを包むように出現した赤いバリアに阻まれる。

 

「重装甲で防がれたか。だが2体を破壊したことで2枚ドロー!」

 

重装甲は指定した色のスピリット/マジック/ネクサスに加えてブレイヴの効果まで遮断する。重装甲:赤を所持していることでドレッドノーグはどうにか生き延びたようだ。

 

合体(ブレイヴ)スピリットをLv3にアップ(リザーブ:4→0)!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア1→5:Lv1→3:BP4000→9000+5000→14000】

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アタック!」

 

ジーク・ブレイヴが持つBP4000以下の相手スピリットを破壊する合体(ブレイヴ)時効果とジーク・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果が発揮され、BP4000以下とBP9000以下の相手スピリットがこのタイミングで破壊される。しかし、その効果はドレッドノーグが持つ重装甲:赤に阻まれ、効果は受け付けなくされてしまう。

 

『フラッシュタイミング。マジック、エマージェンシー(コスト3(軽減:白1))使用(リザーブ:3→1)。疲労状態の自分のスピリットすべてを回復させる』

 

ドレッドノーグの身体が白い光に包まれて回復する。ダブルシンボルのアタックを受ければ敗北は免れないため、ここで防御を行うのは必然だろう。このアタックさえ防げば、後はシンボル1つしか持たないシャイニング・ソードしか相手の場には存在しないのだから。

 

金剛(ダイヤ)戦艦ドレッドノーグでブロック』

「それを待っていた!フラッシュタイミング、マジック、メテオストーム(コスト4(軽減:赤2))!不足コストは合体(ブレイヴ)スピリットより確保!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア5→3:Lv3→2:BP9000→6000+5000→11000】

 

合体(ブレイヴ)スピリットを指定!このターンの間、指定したヴルムと入っている自分のスピリットがBPを比べ相手スピリットだけを破壊したとき、このスピリットが持つシンボルと同じ数、相手のライフのコアを相手のリザーブに置く!今、合体(ブレイヴ)スピリットはジーク・ブレイヴの力によりジークヴルムとして扱われている!」

 

星鎧龍ジーク・ブレイヴには二つの合体(ブレイヴ)時効果がある。一つはBP4000以下の相手スピリットを破壊する効果。そしてもう一つは、合体(ブレイヴ)したスピリットはカード名にジークヴルムが入っているものとして扱う効果。これにより、メテオストームの効果の対象であるカード名にヴルムと入ったスピリットと言う条件を満たし、メテオストームの効果によって合体(ブレイヴ)スピリットは新たなアタック時効果を得たのだ。

 

「いけ、合体(ブレイヴ)スピリット!!」

 

天空が黒く染まり、赤く燃える流星が降り注ぐ。さらに弾のアーマーのブースターが開き、そこから虹色の翼が出現する。このまま空さえも飛びかねない。それほどの勢いで吹き出す翼が、弾の燃える闘志を表現していると言っても過言ではない。ドレッドノーグの放つ砲撃を、その口から放つ巨大な火炎のブレスで相殺、さらにドレッドノーグに飛び掛かり、稲妻を纏わせた高熱の翼でその身体を両断、ドレッドノーグを一撃で破壊する。

 

「メテオストームの効果でライフ(ライフ:2→0)2つを破壊する!!」

 

そして空からメテオが大地へと降り注ぐ。大地を抉りながらノイズへ迫っていくメテオ。最後に一際巨大なメテオが落下し、ノイズの全身を押し潰してその身体を粉々に粉砕し、炭へと変えていく。バトルの終了、それを目撃しナスターシャは中継を切る。

 

「いざ終わってみれば、数値の上でこそ互角でしたが彼の圧勝でしたね。いやはや、こんなものがまだ眠っていたとは……」

「太陽龍……成程、確かに的確なスピリットです。これが、私達の目的のための夜明けを告げる太陽となったのですから」

「イレギュラーな事態ではありましたが……無事に達成されましたね」

 

そこには、一つの小さな生命体のようなものがあった。そして、バトルフィールドから抽出された高密度のエネルギー。バトルの終了と共にそのすべてが投与され、遂にそれは目覚めた。それを見て、ウェルはナスターシャには見えないように不敵な、そして獰猛な笑みを浮かばせるのだった。

 

「……ふぅ」

 

バトルフィールドの外に出た弾はコアブリットを操縦して会場内に着陸する。どこに停めればいいのかわからなかったが、取り敢えずノイズ達が大量にいたおかげで人のいないここに着陸するのが一番いいだろうと考えたのだ。バトルフォームが消えた姿でコアブリットの中から現れた弾は、そこで目の前に立つ三人の少女を目の当たりにする。

 

「……本当に、弾さんですよね?」

「?響、翼、クリスか……大体一ヶ月半ぶりか?」

「い、一ヶ月半だと!?何寝ぼけたこと言ってんだ!?」

 

驚いたように声を上げるクリス。その反応には思わず弾の方が驚く。確かに過去に戻ってまゐと再会し、二人で暮らし始めてから丁度一ヶ月半経ってから戻ってきたのだが、彼女達が自分がいなくなってからの世界で過ごした時間は違うという事か。

 

「半年以上もいなくなっていたんだぞ……全く、だが、無事でよかった」

「わあああ!本物の弾さんだー!」

 

喜びながら弾に抱き付く響。翼の半年以上もいなくなっていたという発言を聞き、弾は納得しながら抱き付いてきた響を見る。

 

「そうか……時間の経過は違うからな。取り敢えずそこについては後で話すよ」

「そうしてもらうさ……だが、皆喜ぶ筈だ。弾が戻ってきたと知ればな」

「ああ……」

 

また皆と会える事を喜びながらも、弾は気がかりな様子を見せる。そして空を見上げ、彼女のことを想うのだった。

 

(まゐ……お前もこの時代に一緒に来た筈だ。だとしたら……お前はどこにいるんだ?)




当初の予定でも氷姫デッキは一発限りの登場の予定でしたが、一度使ってみてもしまだいけそうだったらデッキ変更はなしにしようかなとも考えていました。

結果、こんなん使ってたらマリアがただの役に立てないマリア、略してたやマになりかねないのでデッキ変更を行う事に。まともに氷姫デッキを扱えない非力な私を許してくれ……


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第六話 十二宮Xレア再臨

エグゼシード見ながら適当にデッキ作ってみた。

ライト・ブレイドラ:3
ベアードイーグル:3
超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:3
戦国超龍 磁威駆武流無・乃刃:3
午の十二神皇エグゼシード:3
金牛星鎧ブレイヴタウラス:3
星鎧龍ジーク・ブレイヴ:3
刃狼ベオ・ウルフ:3
彷徨う天空寺院:3
十二神皇の社:3
ブレイヴドロー:3
メテオストーム:3
双光気弾:1
絶甲氷盾:3

取り敢えずワンショットで決めろという浪漫に溢れたデッキ。ノヴァ達はただの回復剤で、余裕があればメテオストームとブレイヴでワンキル決めるのが役割。事故率?そんなの知らな管


「パンテーラ……弾君の生きた時代で出会った人形が託した力、か」

 

響達と再会を果たした翌日。二課に再度保護されることとなった弾はパンテーラから託された赤いシンボルの形をしたペンダントを二課に預け、分析してもらっていた。コアブリットに関してはルナアタック事件の際に二課が回収したものと形式などは同一のものであるため、特に触れられる事はない。強いて言うなら、パンテーラから託されたものの方が品質が良いというところだろうか。

 

(……そういえば、今日は弦十朗に呼ばれていたな。渡したいものがあるって言っていたけど)

 

フィーネとの戦いによって大破され、新たな本部として用意された潜水艦の中で用意された仮眠室で起き上がる弾。そろそろグランドコアのペンダントとソードブレイヴ達の解析も終わった頃だろうと思い弦十朗の元へ向かう。

 

「おお、弾君。丁度、解析は終わった所だ」

「そうか……それで、俺に渡したいものっていうのは?」

「これですよ」

 

慎次からペンダントを受け取り、その後改めて渡される十二枚のカード。一体何のカードだろうかと思いながら受け取って一枚一枚確認していく。

 

「これは……!」

 

そのカードを見て、弾の表情が驚きに変わる。そこにあった十二枚のカードは、以前弾が使用していたカード、十二宮Xレアを連想させるブレイヴカードだった。

 

「弾君が消えた際、十三の流星群が降り注ぎました。内、日本近海に落ちた十二の流星群の正体であるこれらのカードを回収しました。二課の分析結果によると、おそらく裁きの神剣やこの時代の神々の砲台の影響を受けたことによって変質し、表と分かれた裏の面……所謂裏十二宮ブレイヴを」

「裏十二宮ブレイヴ……!」

 

こんなものがあったとは。しかもそれがブレイヴカードとくれば、ブレイヴ使いとしてその名を馳せていた弾からすれば興味を持たないわけがない。嬉々とした表情を見せる弾を満足げに見ながら弦十朗も深く頷く。

 

「どうやら気に入ってくれたようだな。そして、残りのブレイヴ、ソードブレイヴについてだが……」

「いや、それは俺よりも響達に渡してやってくれ」

「響君達に?」

「パンテーラは俺だけじゃなく、俺と共に戦う人達にも役に立つといっていた。現にこの剣を使ってみたが、俺のデッキよりも響達のデッキの方がそれぞれ相性が良い筈だ……それに」

 

ソードブレイヴを受け取ることを拒みながら、弾はその手に存在する十二枚の裏十二宮ブレイヴを見て、笑う。

 

「今の俺ならそうするんじゃないかってパンテーラも思ってるだろうしな」

「……そうか。分かった、これは後で俺が責任もって預けておこう」

「助かるよ」

 

そう言い、弾は部屋を出ていく。彼がこの新たなカードを使ってデッキを組もうとしている事は明白だろう。そう考えながら、弦十朗と慎次はその背中を見送っていく。

 

「そちらの首尾はどうなっている?」

「ええ、大方特定はしました」

 

弾には今はデッキの構築に専念してもらいたいということで弾の姿が見えなくなってから武装組織の足取りに付いて話し合う弦十朗と慎次。この短時間、寝ずに動き続けていた慎次は、用途不明の計測機器や医療器具、食糧などがヤクザなどを通じて表にはばれないようにどこかへと流されていることを突き止め、それらを元に調査を開始していたのだ。そして、その場所は目撃されようとしていたのだった。

 

 

 

 

今は寂れた病院。近くに大海原が見える、もし整備されていたら海の見える自然に溢れた所となっていたであろうということがわかるこの空間。その病院の中でナスターシャは弾のバトルを再度確認していた。

 

「メテオストーム!!」

 

相手のライフを残り二つに追い込み、ダブルシンボルのアタックで無理矢理防御を誘い、そこにメテオストームでトドメを刺す。バトル終盤の映像を見ながら、深く考え込んでいた。

 

(突如として現れた謎の青年。ブレイヴを巧みに操り、彼のデッキには投入されていないヴルムスピリット専用のサポートの使用を可能とし、敢えてギリギリの所で戦いながら圧倒的な実力で勝利を手にした……)

「……もしや、彼が真の英雄なのでは?」

「……どういうことですか?ドクター・ウェル」

 

弾の姿を見ながら、彼自身探りながらといった様子で声を漏らす。その言葉を聞いたナスターシャが投げかけた言葉に、ウェルは軽く笑いながら自分の仮説を説明する。

 

「桜井理論によって誕生したシンフォギア。その力の延長線に絶唱という、その身を、命を代価として放つ力があり、その力を以て三人の装者が地球に落ちようとする月の欠片を破壊、その後大気圏外から地球へ帰還した……というのが日本政府が公開した理論。僕も、いえ、僕だけではなく貴女もそれが真実だと思っていた……現に、フィーネの遺した研究資料などを見ても、それ以外の方法はなかったのだから。が、カ・ディンギルを発射するためには引き金になる人間が必要となる筈」

「その引き金となった人間が、彼であると?」

「ええ。少なくとも、彼女達が自分達を英雄と呼ばれることに対して負い目を感じている所からも、真の英雄の存在自体はある程度予測していました。まぁ、それが彼というのは現状ではあまりにも暴論かもしれませんが。それに……彼が二課と何ならかの関係で繋がっていることもあの場所で確認できましたしね。完全に無関係とは言い切れないでしょう」

 

響達のことを英雄だと言った際の彼女たちの反応を元に予測を立てる。そしてその真の英雄こそが弾であるという事に関しては科学者としての予想などではなく、カードバトラーとしての直感が告げるものでしかない。やはり、彼が本当の英雄だったのかどうかは実際に手合わせしなければわからないだろう。

 

「とはいえ、彼がバトルフィールドを展開してくれたおかげで無事にエネルギーはたまり、ネフィリムは目覚めた。さて……?」

 

ふと、ウェルの言葉が途中で止まる。突如として鳴り響いた警報。突然のことに少しだけ驚きつつも、その正体を察しながらやれやれと溜め息を漏らす。

 

「やれやれ、随分とやんちゃな落とし子だ」

「すぐに処置をしておきましょう」

 

キーボードを操作していく。同時に画面に映し出されたのは、異形の姿をした、獣のような化け物。四本の脚で這い、目の見えない口を使って目の前に落とされた聖遺物の破片を喰らい始めていく。

 

(これこそが、伝承に名を遺す共食いすらも厭わぬ破壊衝動。かつて失われし破壊された八番目の大陸をその力にて動かして時代を滅びを避けられぬところまで破壊に追い込み、その力の大半を神獣鏡によって封印されたとによって人々は再び再建の時代を築いたという太古の伝承は……)

「人の身に過ぎた先史文明期の遺産……当時の人達が完全聖遺物であった神獣鏡を用いても浄化しきれなかった力も、今となれば英雄の身の丈に合ったものであればそれで良いと思いますけどね」

「……どちらにせよ、この力は慎重に管理していく必要がありそうです」

 

ネフィリムの暴走が鎮まったのを確認し、ウェルはそう言えばさっき自分は何をナスターシャに聞いていたのかということを思い出すように顎に手を当てる。と、その時だった。二人のいる部屋の扉が開き、切歌、調、マリアの三人が慌てた様子で駆けこんでくる。

 

「マム!さっきの警報は!?」

「ネフィリムが暴れていただけですよ。もう聖遺物の欠片を食事として与えたので問題ありません……ああ、それよりもそろそろ視察の時間では?」

 

そうだ。さっき自分が聞きたかったのはそのことだった。そう内心で思いながらナスターシャに聞くウェル。それを欠かすわけにはいかないとナスターシャも頷きながら口を開き、言葉を返していく。

 

「フロンティアは計画遂行のためのもう一つの要。あの謎の青年が現れた時にフロンティア周辺の遺跡に出現した反応もまた気がかりなところ。仮にあれがあの青年と同等の力を持つ存在だったと仮定し、少々こちらに戦力を割きますが構いませんか?」

「ええ。こちらはただの留守番程度ですからね。それよりも、可能な限り不確定な要素は排除しておくことに専念していただきたい」

「わかりました。予定時刻には帰還します。後はお願いします」

 

そう言い、電動の車いすを動かして部屋を出ていくナスターシャ達。そしてウェル一人をその場に残して四人はそのフロンティアへと向かうのだった。

 

 

 

 

「いきなり拘束されるなんて、どういうこと?」

 

海中の中にあるその遺跡。それは、昨日まで存在していない、いや、存在はしていたのだろうがそれは海底のさらに下に沈んでいたのだろう。しかし、この時代に彼女が飛ばされたときに遺跡が海面付近にまで浮上し、その遺跡の中は空洞となり、空気に満ち溢れた空間となっていた。そして、そこに調査に入った三人の装者がそこで保護、もとい拘束したのが目の前の女性。紫色のショートヘアが印象的なその女性は、突如として現れた三人に両腕を拘束されたまま彼女達が移動のために使用している大型ヘリに連行されたのだ。

 

「いきなりの無礼に対しては謝罪しましょう。ですが貴女は……あのヴィオレ魔ゐで間違いありませんね?」

「……ふーん……知ってるんだ」

 

この時代はもう魔族がいない時代。何故魔族がいなくなったのか。弾が言うには、地球に魔族が適合した結果、元の人間に戻ったからじゃないのかとも言っていたなと思いながらそう呼ばれた女性、紫乃宮まゐはナスターシャに声を返す。

 

「ええ。昨日突如として現れた反応と共に地中深くより海面付近に浮上してきた遺跡。その中にある壁画などを彼女たちが資料として撮影してきてくれたおかげで、貴女のこともある程度分かりました」

 

ナスターシャが表示していく壁画の数々。そこには、魔族時代で行われた十二宮Xレアを巡る戦い、そしてその戦いの中で戦ったカードバトラー達の名前が記されていた。

 

「暴将、月光、暗闇……いっぱいあるのね。ブレイヴ使いに……私のことも。それで?何が目的で私をこんな所に?」

「……今、この世界は滅びへ向かっています」

「?」

 

ルナアタック。そう呼ばれる、カ・ディンギルの一撃によって破壊され、分離された月の一部。それをフィーネの手によって地球に降らせ、星を破壊しようとした事件。それを再びカ・ディンギルを動かし、装者達が月の一部を粉々に砕き、無数の破片としたことによって星を救ったのだ。しかし、それはあくまで延命処置に過ぎない。その欠片は、近い将来、十年も満たない間に全て地球へ落下し、星を滅ぼそうとしているのだ。

 

「それって……」

 

弾はこの時代の人間ではない。だからこそ、日本政府によって多少事実が捻じ曲げられているのだろう。だが、弾がやったことは新たな危機を生んでいたとは。

 

(だから、私達が呼ばれた……十二宮Xレアの力で未来に。でも、これじゃあの時と一緒……)

 

かつて、異界王と戦い、世界を救った。しかし、それによって様々な問題が起こり、結果として弾達の手によって変わる事となった未来は破滅を迎えようとしていた。この時代も同じだ。となると、一つの不安が彼女の中に生まれる事となる。故に、彼女達が自分に何を求めているのかを確認する。

 

「話は分かったわ。それで私に何をさせようというの?」

「私達は表向きは世界を敵に回したテロリスト。しかし、そうならなければ、滅びを近付くこの世界で自分達だけ助かろうとし、真実を公表しない国家上層部の権力と言う束縛から逃れることは不可能。そして、私達の敵はシンフォギア装者だけではありません。敵として過去に伝説を遺せし英雄、ブレイヴ使い、馬神弾が相手となる以上……貴女の力が必要なのです。お願いです。私達と、いえ、彼女達と共に戦ってほしい」

「……」

 

一言一言理解していくまゐ。確かに彼女達の言っている事は理解できる。そして弾が彼女達の敵となっていることを。弾ならばきっと自分達の目的を話せば協力してくれるはずだろう、しかし、もしそれであの時のように、自分の行動が影響して招いた危機を解決するためにあの行動を起こそうとしたら。

 

「分かったわ。貴女達はこの世界を救うために世界の敵になろうとしている。確かに協力してあげてもいい」

「……そうですか」

「でも私、実力も分からない人達と肩並べて戦うのは少し躊躇っちゃうわ。この時代のカードを使わせてデッキを組ませてちょうだい。互角の環境でどれだけ私の力が通用するのか、貴女達の力がどれほどのものか確かめてみたいの」

「……いいでしょう。一時間です。マリア、彼女を部屋に案内してあげて」

「分かったわ、マム」

 

マリアに連れられ、操縦室を出ていくまゐ。その途中で手錠を外され、一人で部屋に閉じこもる。そして操縦室に残った切歌と調は、まゐの第一印象に付いて話し合う。

 

「あの人、何なんデス?」

「過去から来たカードバトラーって言ってたけど……でも、あの顔は本気だった」

「確かに……」

 

彼女の本意は分からない。しかし、その顔は嘘偽りがない本気のものであるということだけは一目で分かった。戦いを見続け、実際に戦いの中にその身を置いた武人であるからこその洗練されたその気配は、彼女達でも感じ取ることができた。同時に、どこか彼女の言葉には重みがあったという事を。

 

「二人ともデッキとギアの準備を。彼女の相手には、二人で挑んでもらいます」

「「!」」

 

ナスターシャが確認した壁画から読み取ったその強さが真実ならば、これぐらいは当然のものだろう。二人で挑めという言葉に切歌と調は驚いたように顔を見合わせるが、ナスターシャにも何か意図があるのだろうと思い、納得したように頷き返す。そして時間は経過し、デッキを完成させたまゐがマリアに連れられて二人の前に現れる。

 

「デッキは完成したようですね」

「ええ、おかげでね。それで、私の相手は?」

「彼女達二人です」

「切歌と調が……?」

 

マリアが少し驚いた声を漏らす。しかしまゐは戦う二人を見て、不敵な笑みを浮かべていく。

 

「分かったわ。例え相手が二人掛かりだったとしても容赦なく倒させてもらうわ」

「む……二人に勝てるわけないデス!」

「その口だけの余裕、すぐに壊してあげる」

 

まゐの挑発に乗せられたのか、二人も闘争心をむき出しにする。それを見て、まゐは軽く笑いながら、彼女達と共にゲートを開く。

 

「「「ゲートオープン!界放!!」」」

 

エクストリームゾーン。弾から聞いた、この世界に存在する、ノイズらとの戦いで主に使用する空間。そこに入る直前にまゐは二人の歌を聞いた。

 

(歌……これが、彼女達のバトルフォーム)

 

彼女達の歌がギアを鎧へと再構築し、それを纏う事でバトルフォームへと変化させる。緑と黒を基調としたインナースーツに魔女の帽子を思わせるヘッドギアと、自身を守る肩の装甲を見せる少女、切歌と筒のようなもので自身のツインテールを覆った黒とピンクのインナースーツの姿を見せる少女、切歌は、目の前に立つまゐの姿を見る。

 

「……まだ着れたみたい。いや、作ってくれたってことかな」

「見たことのないバトルフォーム……」

「あれが過去のバトルフォームデスか……?」

 

肩を出した、白い羽の装飾が特徴的な青いドレスに身を包んだまゐ。その胸元には五つの青い結晶が連結したような装飾がはめられており、彼女の両足には青いブーツがはめられているのが見える。魔族時代で彼女が使用していたバトルフォームを持ち出したまゐのバトルフォームを構築したのは、彼女のデッキに存在する力のおかげなのだろう。しかし、当時使用していた髪飾りは短髪に戻したこともあってか存在していない。

 

「先行はあげるわ。かかってきなさい」

「その余裕、いつまで持つか見物デス!」

(そう言えば、この時代のタッグバトルって色縛りについては大丈夫なのかな?)

 

尤も、未来のことでそんなことを求めるのは野暮というものか。胸元に通常に加えて増えた更なる三つのライフを確認しながらまゐは、初期ライフ8で行われるバトルの先行を取ることを相手へと促していく。

 

「調、ここは私が先に行くデス!」

「うん、お願い、切ちゃん」

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!」

 

1対2で行われる今回の変則タッグバトルでは、ターンの順番は切歌→まゐ→調→まゐの順番で繰り返されることとなる。また、リフレッシュステップで回復出来るカードはターンプレイヤーがコントロールしているカードに限られる。また、自分フィールドを対象とする効果は自軍フィールドを対象とする効果に置きかえられるという通常のバトルとの違いがある。

 

「ケンゴーキジを召喚(リザーブ:4→1)!」

 

【ケンゴーキジ:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1):「系統:爪鳥」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

切歌が一体のキジの姿をしたスピリットを呼び起こす。鋼の鎧を纏い、二振りの刃を携えたそのスピリットに先陣を切らせて相手の様子を見る。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ブレイドラを召喚(リザーブ:5→4)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

弾も使用した赤の0コストスピリット、ブレイドラ。このスピリットを呼び出し、最低限の防御を確保しながらまゐはドローマジックを用いて手札を増やそうとする。

 

「マジック、ブレイヴドロー(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:4→0)。デッキから2枚ドロー、その後、デッキを上から3枚オープンし、その中にブレイヴがあれば手札に加え残りは好きな順番でデッキの上に戻す」

 

二枚のカードがドローされ、その後、オープンされる三枚のカード。バーニングサン、金牛龍神ドラゴニック・タウラス、輝竜シャイン・ブレイザー。内、ブレイヴカードである輝竜シャイン・ブレイザーを手札に加え、残ったカードは金牛龍神ドラゴニック・タウラス、バーニングサンの順番でデッキの上に戻す。

 

「ターンエンド」

「いきなり三枚の手札補充……スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)、メインステップ。ホーンバイパーを召喚(リザーブ:4→0)

 

【ホーンバイパー:紫・スピリット

コスト3(軽減:紫1):「系統:妖蛇」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:紫】

 

調が呼び出したのは紫のスピリット。額から悪魔のような角を生やし、悪魔のような翼と腕を持つその黒に近い紫色の皮膚を持つ蛇は出現と同時に長い下を伸ばしながら鳴き声を上げる。

 

「へえ……紫のカードを使うんだ」

「召喚時効果で1枚ドロー。ターンエンド」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:1→5)、メインステップ。マジック、ゾディアックコンダクト(コスト5(軽減:赤4))使用(リザーブ:5→1)。デッキを上から4枚オープン」

 

金牛龍神ドラゴニック・タウラス、マガツ・ドラグーン、ニジノコ、サジッタフレイム。まゐのデッキの上から四枚のカードがオープンされ、その中の一枚、金牛龍神ドラゴニック・タウラスのカードが赤く光り出す。

 

「その中の系統:「光導」をもつスピリットカード1枚をコストを支払わずに召喚、残りは破棄する」

「「!」」

「ブレイヴドローでオープンしたカードを見て、確実に決めてきた……!?」

「やはり、あの時代に生きたカードバトラー。十二宮Xレアの扱いは心得ているようです」

 

ドラゴニック・タウラスがまゐの手に収まる。そしてそれをまゐが掲げると、無数の星が天へと舞い上がる。

 

「牡牛座より来たれ、金色の神よ!金牛龍神ドラゴニック・タウラス、召喚(リザーブ:1→0)!」

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤4):「系統:光導・古竜」:【激突】

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

天空へ放たれた無数の光は巨大な暗雲を作り出し、それに牡牛座を描く。そして描かれた牡牛座から無数の光が大地へと降り注ぎ、その力が大地を砕き、破壊して巨大な砂煙を上げる。その中から二枚の翼が空へと広げられ、巨大な二本の角が姿を見せる赤く巨大な牛の姿をした龍がその姿を現す。

 

「な、なんデスかこれは……!?」

「……」

「どうやら、あの遺跡には太古の時代、神々の砲台射出後に行方不明となり、時を経て戻ってきた十二宮Xレアが祀られていたようです。そして時を経てその遺跡は海に沈み、地中に埋もれる事となった……」

(このデッキは、十二宮Xレアとあのカードを元に作り上げたデッキ。今の私がこの時代で戦うにはきっとこの力が必要になる……そして、彼女達の戦いの果てには、きっと……)

 

牡牛座の十二宮Xレア、ドラゴニック・タウラス。まだ今はその力を出し切れはしないが、現状ならばこれぐらいの能力でも問題は一切ない。

 

「アタックステップ。金牛龍神ドラゴニック・タウラスでアタック!アタック時効果、激突!」

「っ、ケンゴーキジで……」

「ホーンバイパーでブロック!」

 

切歌が自分のケンゴーキジでのブロックを宣言しようとするのを遮って調が自分のスピリットでのブロックを宣言する。ドラゴニック・タウラスはホーンバイパーの身体を掴むとそのまま身体を持ち上げて叩き付けることでブロッカーを破壊する。

 

「ターンエンド」

「調……」

「大丈夫。ホーンバイパーは召喚時効果だけが仕事のようなものだから」

「助かったデス!スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→5)!メインステップ!暴皇ティーズ・ドラゴンを召喚(リザーブ:5→1)!」

 

【暴皇ティーズ・ドラゴン:赤・スピリット

コスト4(軽減:赤2・緑1):「系統:星竜・星魂」:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

ここで切歌が呼び出したのは赤のスピリット。赤い角と緑色の皮膚をもつ、鞭を手にしたそのドラゴンは召喚されると共に雄叫びを上げる。

 

「アタックステップ!暴皇ティーズ・ドラゴンでアタック!アタック時効果で1枚ドロー、さらに緑のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮デス!相手スピリット1体を疲労!ブレイドラを疲労させるデス!」

 

ケンゴーキジの持つ緑のシンボルが輝き、ティーズ・ドラゴンが鞭を振るう。それによって生じた風がブレイドラを襲い、その力を奪い取って疲労させる。

 

「そしてこれがメインのアタックデス!」

ライフ(ライフ:8→7)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

タッグバトルでは初期ライフは8で各陣営で共通のものとなる。ティーズ・ドラゴンの振り下ろした鞭がまゐを守るように出現した赤いバリアを破壊し、その胸元に埋め込まれた8つの青い結晶の内の一つを砕き、その結晶は色が青から灰色へと変わっていく。

 

「さらにケンゴーキジでアタック!」

ライフ(ライフ:7→6)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

続けてケンゴーキジが刀を抜いてまゐへと襲い掛かる。今度は緑のバリアによって阻まれたその攻撃は再びまゐのライフを砕き、ライフを一気に二つ砕かれたまゐは、それで終わりかと言わんばかりに挑発的な笑みを浮かべていく。

 

「……た、ターンエンド」

 

ドラゴニック・タウラスの激突で破壊されないようにアタックを宣言したのは決して間違った選択じゃない。しかし、まゐのどこか底の見えないその雰囲気に切歌も調も警戒心が跳ね上がっていた。

 

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)

 

まゐのリザーブにコアが戻っていく。それを見ながらまゐはふと、切歌と調に語りかける。

 

「貴女達、何のために戦ってるの?」

「……そんなこと聞いて何になるの。それに、貴女だって何で自分の居場所があるのにわざわざこんな未来にまで来たの」

「私が未来に来た理由……か。うん、確かにそうなるよね」

 

逆に質問を返されるまゐ。しかし、それも当然のことかと思いながら、彼女は何故自分が未来に来たのか、その理由を口にする。

 

「切っ掛け自体は彼が未来に行こうとしていたから私も一緒に来たってことかな」

「……彼?そんな理由で自分の周りにあったもの全てを捨ててまでこんな所に来たの」

「確かに馬鹿らしいって笑われちゃうかもね。でも、それが真実。全てを捨ててでも未来に行きたい理由があったから来た。それだけよ」

「「……」」

 

ぽかーんと口を開いたまま呆然となる切歌と調。マリアもまゐの言葉を聞いて、少し理解できないといった表情を見せていた。しかし、三人はこれだけは理解できていた。よく分からないが何故か憧れる所があるということを。

 

「じゃあ、次は貴女達の番。私が帰る場所を失ってまで来た理由を語ったんだもの、貴女達も下手をすればもう同じ所に帰る場所がないのにこんなことをした理由を話してくれないとフェアじゃないわ」

「……帰る場所なんてないデスよ。あったとしても、世間から隔離された施設だけデス。そんな所で生きてるなんて言えないデス!」

「……」

 

装者は極秘情報。弾からそのことを聞いていたまゐは、彼女達がどういう境遇にいたのかを何となくだが察し始める。聖遺物との適性があることを見込まれた彼女達はどこかの国の施設で過ごしていたのだろう。が、そんなところにいたからこそ、ある意味で国のトップに近い所にいたからこそ気付けたのだ。この世界に迫った真のタイムリミットを。故に、彼女達は行動を起こした。一人でも多くの人を救う為に。この、無謀に近い、でも実現しなければならない目的を達成させるために。

 

「……そう、それで世界を救えたら立派な英雄?」

「英雄……別にそんなものに興味はない」

「ええ、ないでしょうね。英雄になろうと思って戦ってる時点で誰もが認める英雄にはなれないのだから。でも……もし目的が叶ったらどう足掻いても周りから持ち上げられちゃうものよ」

「「……?」」

 

最後の方はどこか声のトーンを低くしながら漏らすまゐ。その言葉を聞きとれなかった二人は何を言ったのか分からずに首を傾げるが、まゐはそのことについては触れずにメインステップを宣言する。

 

「メインステップ、ソウルホースを召喚(リザーブ:7→6)

 

【ソウルホース:紫(赤)・スピリット

コスト1(軽減:紫1・赤1):「系統:魔影」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫(赤)】

 

ここで呼び出したのは自身の色とシンボルを赤として扱う、紫の毛並みを持つ四本の足に炎を灯した馬型スピリット、ソウルホース。嘶きを上げながら現れたソウルホースと共に、このターンは三体のスピリットを用いて攻撃を行う。

 

「金牛龍神ドラゴニック・タウラスをLv2にアップ(リザーブ:6→4)させ、アタックステップ」

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

コア1→3:Lv1→2:BP5000→8000】

 

「ブレイドラでアタック。フラッシュタイミング、マジック、グリーディコア(コスト5(軽減:紫2))使用(リザーブ:4→0)!」

「!ここでグリーディコアが出てくるなんて……!」

合体(ブレイヴ)していない相手スピリットのコア2個を相手のリザーブに置く。ケンゴーキジとティーズ・ドラゴンのコア1個ずつをリザーブに!」

 

【ケンゴーキジ

コア1→0】

 

【暴皇ティーズ・ドラゴン

コア1→0】

 

ケンゴーキジとティーズ・ドラゴンを紫の光が包み込み、そのコアを全て奪い取る。コアを奪い取られ、消えていったスピリット達。速攻でブロッカーを全て排除され、壁を失った二人が選択できるのは一つだけだ。

 

「「ライフ(ライフ:8→7)受ける(リザーブ:3→4)!」」

 

ブレイドラが飛び上がり、その口から放った炎を二人へ叩き付ける。先程のお返しとばかりに叩き込まれたライフを砕ける衝撃に二人はその身を揺らす中、まゐは更なる追撃を仕掛ける。

 

「ソウルホースでアタック!」

「「ライフ(ライフ:7→6)受ける(リザーブ:4→5)!」」

 

ソウルホースの体当たりが二人の身体を襲う。一気に二つのライフを奪い取ったまゐは、ここが引き時かと言うかのようにアタックステップの終了を告げる。

 

「ターンエンド」

「ドラゴニック・タウラスは温存デスか……!」

「これだけコアがあれば多分何とかなる。スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:6→9)、メインステップ。マジック、マインドコントロール(コスト4(軽減:紫3))使用(リザーブ:9→5)

(ここでマインドコントロール……!)

 

お互いにそれぞれ自分のスピリット上にコアが置いてあれば、それを4個まで可能な限り持ち主のトラッシュに置くマジック、マインドコントロール。しかし、この効果を発揮する調達のフィールドにスピリットは存在せず、このマジックの効果は一切受けない。しかし、まゐのフィールドはそうはいかない。

 

「ブレイドラ、ソウルホースより1コア、ドラゴニック・タウラスから2コアをトラッシュに移動」

 

【ブレイドラ

コア1→0】

 

【ソウルホース

コア1→0】

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

コア3→1:Lv2→1:BP8000→5000】

 

一気に消滅を迎えていくスピリット達。とはいえ、先程のターンにアタックしたことで一応最低限の仕事は果たしたとはいえるだろう。

 

「ヤン・オーガを召喚(リザーブ:5→0)

 

【ヤン・オーガ:緑・スピリット

コスト4(軽減:緑2・紫2):「系統:殻人」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

ここで調が呼び出したのは緑色の巨大なオニヤンマ。額からは鬼を連想させる一本のつのが生やされており、破壊時にコアブーストを行う頼れる性能を所持している。

 

(色がかぶってるけど……やっぱり大丈夫なんだ)

「ターンエンド」

 

理想はLv3で破壊させることではあるが、この状況では次のターンにドラゴニック・タウラスの激突で破壊させて切歌に繋げようという算段なのだろう。ならば、ここはそれに乗ってやるとしよう。ただし、彼女達の予想の右斜め上の方向で。

 

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:1→9)、メインステップ。ドラゴニック・タウラスをLv3にアップ(リザーブ:9→5)

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

コア1→5:Lv1→3:BP5000→10000】

 

「アタックステップ。ドラゴニック・タウラス、激突!」

「ヤン・オーガでブロック」

「この瞬間、ドラゴニック・タウラス、Lv2・3アタック時効果発揮!」

 

金牛龍神ドラゴニック・タウラス、Lv2・3アタック時効果。相手スピリットがブロックしたとき、そのスピリットとシンボルの数を比べ、そのスピリットより多いシンボル1つにつき、相手のライフ1個を相手のリザーブに置く。

 

「でも、シンボルはどっちも1つデス!」

「Lv3アタック時効果!」

 

さらに、Lv3アタック時効果により、アタックしたドラゴニック・タウラス自身が持つ効果でシンボルの数を比べるとき、系統:「神星」/「光導」を持つ自分のスピリット1体につき1つ、赤のシンボルが追加される。今、フィールドに対応しているスピリットはドラゴニック・タウラス1体のみ。よって、追加される赤のシンボルは1つとなる。

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

シンボル:赤+赤】

 

「し、シンボルの数が!」

「シンボルはこちらが1つ多い。よって相手のライフ(ライフ:6→5)1個をリザーブに置く(リザーブ:0→1)!」

 

ドラゴニック・タウラスから赤のシンボルが二つ出現し、対峙するヤン・オーガから緑のシンボル一つが出現する。そして二体のシンボルが正面からぶつかり合い、緑と赤のシンボル一つが互いに衝突して砕け散る。そして残った赤のシンボルが切歌と調へと襲い掛かり、そのライフを破壊する。

 

「……っ」

「今の一撃は効いたデス……!」

 

そしてドラゴニック・タウラスが先程と同様にヤン・オーガを簡単に叩き潰す。しかし、その行動によってヤン・オーガの持つ破壊時効果が起動することとなる。

 

「ヤン・オーガ、破壊時効果でボイドからこのスピリットのLvと同じ個数のコアを自分のリザーブに置く。ヤン・オーガはLv1だったから1コアをリザーブに置く(リザーブ:1→2)

 

そしてヤン・オーガの持つ1コアがリザーブへ移動し、3コアがリザーブに移動することとなる。しかし、既にアタックができない以上、今のまゐのターンでそのコアが使われる事はないだろう。

 

「まだまだ終わらないわよ?ターンエンド」

 

そして静かにターンエンドを告げるまゐ。ブロッカーのいない、そんな無防備なフィールドを見せて、彼女はこう告げているのだ。さぁ、どう攻めてくるのか見せてみろと。それを理解し、三巡目を迎える9ターン目を切歌は宣言し、調と共にまゐへと挑むのだった。




今作から活動報告の方でも触れたようにタッグにおける色縛りは完全無視の方向でいきます。烈火伝で色かぶりでも普通にやってたしね。仕方ないね。


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第七話 双璧射抜く光

切歌・調 ライフ:5 リザーブ:3 トラッシュ:8

 

切歌 手札:5

 

調 手札:4

 

 

まゐ ライフ:6 リザーブ:5 手札:5

 

フィールド

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤4):「系統:光導・古竜」:【激突】

コア5:Lv3:BP10000

シンボル:赤】

 

 

第九ターンを迎える、まゐ、切歌、調の二対一の変則タッグバトル。現在、切歌と調の場にはカードがなく、対するまゐのフィールドには牡牛座の十二宮Xレア、金牛龍神ドラゴニック・タウラスが疲労状態で存在している。そして続くターンを行うのは切歌だ。

 

「いくデス!スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:4→12)!メインステップ!森林のセッコーキジをLv2、ケンゴーキジをLv1で召喚(リザーブ:12→7)デス!」

 

【森林のセッコーキジ:緑(赤)・スピリット

コスト1(軽減:緑1・赤1):「系統:爪鳥」

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:緑(赤)】

 

【ケンゴーキジ:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1):「系統:爪鳥」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

何も存在しないフィールドに出現する二つの緑のシンボル。その中から強固な白銀の鎧を纏った剣豪、ケンゴーキジ、そして身軽な鎧にその身を包んだ刃を携えるキジ、森林のセッコーキジが同時に出現する。

 

「まだまだこっからデス!賢龍ケイローンを召喚(リザーブ:7→3)!」

 

【賢龍ケイローン:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤2・緑1):「系統:星将・古竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

続けて切歌が呼び出したのは、木々によって四本の足を構築しているケンタウロス。龍の上半身を持ち、その手には木で作られた弓があるのが確認できる。

 

「このスピリットの召喚時、BP5000以下の相手スピリット1体を破壊することで1枚ドローするデスが……」

「私のフィールドにはBP10000のドラゴニック・タウラスだけ。その効果は無意味のようね?」

「でも連鎖(ラッシュ)は別デス!緑のシンボル1つがあることでボイドからコア1個をケイローンに!さらに緑のシンボルが2つあることでさらなる連鎖(ラッシュ)発揮!続けてボイドからコア1個をケイローンに!これで2コアブーストデス!」

 

【賢龍ケイローン

コア1→2→3:Lv1→2:BP5000→8000】

 

森林のセッコーキジとケンゴーキジの持つ緑のシンボルが作用し、ケイローンのLvが2へと上がる。だが、まだターンは終わらない。この連続召喚で消費した手札を補充する為に一枚のマジックを使用する。

 

「マジック、チャージドロー(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:3→0)!デッキから2枚ドロー、その後デッキを上から2枚オープンし、その中の強化(チャージ)を持つカードをすべて手札に加え、残りはデッキの上に戻すデス!」

 

最初に二枚のカードをドロー。その後、切歌のデッキの上から2枚のカードがオープンされる。そこに現れたのは、風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーンとケンゴーキジの二枚。どちらも強化(チャージ)を持つカードであるため、切歌はそれらを手札へと加えた。

 

「アタックステップ!森林のセッコーキジでアタック!」

ライフ(ライフ:6→5)受ける(リザーブ:5→6)!」

 

ケンゴーキジとケイローンを温存し、刃を振り上げた森林のセッコーキジがまゐへと振り下ろす。再びライフを削り取られたまゐは、この程度では効かないと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべ、無言のままでいながら挑発を仕掛けていく。

 

「ターンエンドデス!」

「あら、仕掛けてこないの?」

「ここでフルアタックしたって倒しきれるわけでもないのに攻める訳がないデス!」

「ふふ、そう。スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:6→7)ドローステップ(手札:5→6)、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

ドローステップで引いたカードを見ながら、呼び出すならばここが頃合いかと考える。今、トラッシュにあるカードの枚数を考えれば、この状況で呼び出すことでこのカードの力を最大限に活かせるだろうから。

 

「新たな十二宮Xレアをここに!山羊座より遣わされし魔神!魔羯邪神シュタイン・ボルグ、召喚(リザーブ:7→0)!」

 

【魔羯邪神シュタイン・ボルグ:紫・スピリット

コスト6(軽減:紫3):「系統:光導・冥主」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:紫】

 

瞬間、まゐの目の前に紫色の光が出現する。そこから分裂するように空へと放たれた無数の星の光は、再びまゐの目の前に集って山羊座を作り出し、星々が強い光を放つ。次の瞬間、禍々しい紫の力の渦がそこに出現し、そこからゆっくりと渦を纏いながら山羊の巨大な角と一本の杖、そしてそれを携える主が現れる。青い身体を持ち、悪魔のような翼を持つ、山羊の顔をしたその魔神は、渦を弾き飛ばしながらゆっくりとまゐのフィールドに移動し、そこで胡坐を掻いて静かに待機する。

 

「ここで新たな十二宮Xレアを……!?」

「山羊座の十二宮Xレア……禍々しい奴だね」

「魔羯邪神シュタイン・ボルグ、召喚時効果!トラッシュのグリーディコアとソウルホースを手札に!」

 

魔羯邪神シュタイン・ボルグ、召喚時効果。系統:「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリット1体につき、自分のトラッシュにある紫のカード1枚を手札に戻す。現在、まゐのフィールドには系統:「光導」を持つシュタイン・ボルグとドラゴニック・タウラスがいる。よって、手札に戻る紫のカードは2枚であり、それによってトラッシュのグリーディコアとソウルホースを回収したのだ。

 

「と、トラッシュから回収デスか!?」

「しかも1枚で一気に2枚を……」

「アタックステップ。ドラゴニック・タウラスでアタック!さらにこの瞬間、シュタイン・ボルグの効果でケンゴーキジのコアをリザーブに!」

 

【ケンゴーキジ

コア1→0】

 

「なっ!?」

「コアシュート能力まで……!」

 

魔羯邪神シュタイン・ボルグの効果。自分のアタックステップ時、系統:「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットがアタックしたとき、相手のスピリットのコア1個を相手のリザーブに置く。この効果を受けたドラゴニック・タウラスのアタックと共に杖を振るい、紫の衝撃を放ったシュタイン・ボルグはその力でコアが1つしかないケンゴーキジを消滅させたのだ。そして、切歌がドラゴニック・タウラスへぶつけるために呼び出した筈のケンゴーキジが消えた事により、ドラゴニック・タウラスが持つ激突の効果を受けるのはケイローン一体だけとなってしまう。

 

「ドラゴニック・タウラス、アタック時効果!激突!」

「け、ケイローンでブロックデス!」

 

この瞬間、金牛龍神ドラゴニック・タウラス、Lv2・3アタック時効果が発揮される。相手スピリットにブロックされたとき、そのスピリットとシンボルの数を比べ、ドラゴニック・タウラスの方が多ければその数値分相手のライフをリザーブに置く。さらにLv3アタック時効果により、ドラゴニック・タウラスが自身の効果でシンボルの数を比べるとき、系統:「神星」/「光導」を持つ自分のスピリットの数だけ赤のシンボルを追加する。現在、対応するスピリットはドラゴニック・タウラスとシュタイン・ボルグの二体、よって追加される赤のシンボルも二つとなる。

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

シンボル:赤+赤赤】

 

「シンボルの差は2つ、ライフ(ライフ:5→3)2つをリザーブに置く(リザーブ:1→3)!」

 

ケイローンから出現した赤のシンボル一つとドラゴニック・タウラスから出現した赤のシンボル三つがぶつかり合う。互いに赤のシンボル一つずつがぶつかり合って砕け、残った二つのシンボルが切歌と調へと襲い掛かり、そのライフを一気に破壊する。

 

「くぅ……本当に厄介なスピリットデス!!」

「あれを放置するのは不味いかも……」

「そしてこれがメインのバトル!」

 

ケイローンに飛び掛かり、その身体を押し倒したドラゴニック・タウラスが振り上げた前足をケイローンの顔面へと叩きこみ、容赦なくその身体を破壊する。そして敵を破壊したことを証明するかのようにドラゴニック・タウラスは雄叫びを上げる。

 

「ターンエンド」

「……このままやられっぱなしじゃいられない。スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:6→7)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:7→15)、メインステップ。騎士王蛇ペンドラゴンを召喚《リザーブ:15→10》」

 

【騎士王蛇ペンドラゴン:紫・ブレイヴ

コスト5(軽減:紫2・赤2):「軽減:妖蛇・星魂」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:なし】

 

調がこのタイミングで呼び出したのは、紫のブレイヴカード。緑色に光る目を持つ二本の剣が連結したような姿を持つ蛇のようなドラゴンが滑らかな動きで体を器用に曲げながら現れ、その光る目で敵を見据える。

 

「ペンドラゴン、召喚時効果で相手スピリット1体のコア2個を相手のリザーブに置く。ドラゴニック・タウラスを指定」

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

コア5→3:Lv3→2:BP10000→8000】

 

ペンドラゴンの口が開かれ、そこから放たれた紫色の光線がドラゴニック・タウラスへ命中する。その身で弾丸を受けたドラゴニック・タウラスからコアが失われていくが、その動きを見ながらまゐは少し奇妙なものを感じる。

 

(……わざわざドラゴニック・タウラスを狙った?何の狙いが……)

「現れて、私の力!十剣聖コブラージャ、召喚(リザーブ:10→4)!維持コストはペンドラゴンから確保!」

 

【騎士王蛇ペンドラゴン

コア1→0】

 

【十剣聖コブラージャ:紫・スピリット

コスト6(軽減:紫3):「系統:剣使・妖蛇」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:紫】

 

ペンドラゴンからコアが外れ、消滅する。そして調のフィールドに禍々しい紫色の霧が集t原始、その中から刀身が波のように曲がっている剣を手にした一体の巨大な蛇が現れる。金色の鎧にその身を包み、禍々しい雰囲気を見せるスピリット、コブラージャ。その召喚が、さらに調に攻撃のための力を与えていく。

 

「コブラージャ、召喚時効果。トラッシュのブレイヴ1枚を手札に戻す。ペンドラゴンを手札に戻し、再び召喚(リザーブ:4→0)

 

【騎士王蛇ペンドラゴン

コスト5(軽減:紫2・赤2)

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:なし】

 

「ペンドラゴンの召喚時効果で再びドラゴニック・タウラスのコア2個をリザーブに」

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

コア3→1:Lv2→1:BP8000→5000】

 

「コブラージャに合体(ブレイヴ)!」

 

【十剣聖コブラージャ

コスト6+5→11

コア1→2:BP5000+4000→9000

シンボル:紫】

 

調のトラッシュから浮き上がったペンドラゴンが回収され、それを再び召喚する。そしてペンドラゴンの身体が分離して二本の剣となり、それをコブラージャが己の剣を捨ててペンドラゴンの双剣を握り、全身から紫色の光を解き放つ。

 

「!合体(ブレイヴ)スピリット……!」

「アタックステップ。合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!コブラージャ、アタック時効果で相手スピリットのコア1個をリザーブに置く!ドラゴニック・タウラスを指定!」

 

【金牛龍神ドラゴニック・タウラス

コア1→0】

 

コブラージャが剣を振るうと紫色の斬撃が放たれ、ドラゴニック・タウラスを切り裂く。それによってコアを全て失い、ドラゴニック・タウラスの身体が爆散していく。

 

「さらにペンドラゴン、合体(ブレイヴ)時効果発揮。相手の合体(ブレイヴ)していないスピリット、シュタイン・ボルグのコア1個をリザーブに置く」

 

【魔羯邪神シュタイン・ボルグ

コア1→0】

 

シュタイン・ボルグのコアが消えていき、その身体も消滅する。ペンドラゴンの効果を二度使い、さらにコブラージャの効果と合わせて一気に二体の十二宮Xレアを消滅させてきたそのプレイングに素直に驚かされるまゐ。しかし同時に、こうでなければ面白くないという感情もまた、彼女の中に湧き上がる。

 

「相手の手札にはグリーディコアがある。でも、その効果は合体(ブレイヴ)スピリットには通用しない!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:6→7)!」

 

コブラージャがまゐの目の前に迫り、刃を振り上げる。その刃を叩きつけられたまゐの身体がよろめくが、まだまだこの程度と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。

 

「ターンエンド」

「いいデスよ調!今度は相手のフィールドが更地デス!」

「ええそうね。でも……まだバトルは終わってないわよ?」

「「!」」

スタートステップ(ターン12)コアステップ(リザーブ:7→8)ドローステップ(手札:7→8)リフレッシュステップ(リザーブ:8→14)、メインステップ。ソウルホースをLv2で召喚(リザーブ:14→11)

 

【ソウルホース:紫(赤)・スピリット

コスト1(軽減:紫1・赤1):「系統:魔影」

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:紫(赤)】

 

まゐのフィールドに出現する、シュタイン・ボルグの効果で回収された馬型スピリット、ソウルホース。その召喚でこれを呼び出す為の今の自分ができる準備は全て終えた。

 

「闇の王!滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ、Lv3で召喚(リザーブ:11→0)!」

 

【滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ:紫・スピリット

コスト7(軽減:紫4):「系統:星竜・夜族」

コア5:Lv3:BP13000

シンボル:紫紫】

 

空より黒き雷鳴が地に幾度となく降り注ぐ。雷鳴が放たれた空から漆黒の装甲を纏った黒い龍がフィールドにゆっくりと降り立つ。両肩や両膝、手首の装甲からは黄色く輝くトゲのように鋭い武器となりうる防具が取り付けられ、所々が青く輝いている。六つの緑の目を光らせ、背中から見惚れるほどに綺麗な白い光の翼を生やし、ジークヴルム・ノヴァと対を成す闇のノヴァがその姿を現す。

 

「……なっ」

「こ、これは……!?」

 

その存在が放つ圧倒的なプレッシャーに二人は絶句する。まゐが満を持して呼び出したこのカード。それは魔族時代で彼女が戦った際に用いた片翼であり、元の時代に帰還した際にもそれを所持したままであった。そして、この時代に来てデッキを構築する際にまゐが投入した、十二宮Xレアとノヴァを組み合わせたデッキ。その力であるダークヴルム・ノヴァが咆哮を上げて襲い掛かる。

 

「アタックステップ!ダークヴルム・ノヴァで合体(ブレイヴ)スピリットに指定アタック!」

合体(ブレイヴ)スピリットに対して指定アタック!?」

 

ダークヴルム・ノヴァは合体(ブレイヴ)できないというデメリット効果がある。しかし、それ故にこのスピリットが持つのは、対合体(ブレイヴ)スピリットに特化した力。このスピリットのアタック時、相手の合体(ブレイヴ)スピリットを指定してアタックすることができるのだ。

 

「この瞬間、Lv2・3バトル時効果発揮!相手の合体(ブレイヴ)スピリットとバトルしたとき、このスピリットにBP+10000!」

 

【滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ

BP13000+10000→23000】

 

「BP23000!?」

 

ダークヴルム・ノヴァがコブラージャへと殴りかかる。両手の剣を振り上げて迎撃しようとするコブラージャだったが、その剣に拳をぶつけてへし折ると、そのまま身体を勢いよく蹴り飛ばす。そして両手を合わせると巨大な重力球が出現し、それをコブラージャへぶつけてブレイヴ毎その中へ吸い込ませ、跡形も無く消し飛ばす。

 

「ペンドラゴンも分離できない……!?」

「ダークヴルム・ノヴァがLv3で存在する限り、相手はブレイヴをスピリット状態にはできない。私はこれでターンエンド」

「こんなの、ただのブレイヴ殺しじゃないデスか!?」

「そうよ。これがブレイヴキラー、私のデッキに投入されたXレアの一枚。さぁ、見せてみなさい。貴女達が世界を敵に回してでも成し遂げたいということ。それに対しての覚悟を!」

「……そんなに見たいんだったら、すぐにでも見せてやるデス!スタートステップ(ターン13)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:3→16)!メインステップ!」

 

ドローしたカードを見ながら、その気配が変わったのをまゐは感じ取る。おそらく彼女は、そのカードをドローするまでは先程の自分のターンに手札に加えたシャイニング・ドラゴン・ハリケーンを呼び出そうと考えていたのだろう。しかし、そのカードを見たことで彼女はその選択肢を変更させることとなる。

 

「……切ちゃん、来たんだね」

「……いくデス」

「……!」

 

目を閉じ、より集中力を増す。そしてフィールド全体が一瞬の静寂に包まれた後に、切歌はその歌を紡ぎ始める。その歌は、フォニックゲインをより高く、より強く形勢していき、彼女の手に握られた一枚のカードはその力を受けて、金色の光を解き放つ。

 

「生命を支配し、その動きを刈り取る魔の刃よ、ここに現れろ!アルティメット・トレントン、Lv4で召喚(リザーブ:16→8)!」

 

【アルティメット・トレントン:緑・アルティメット

コスト7(軽減:緑3):「軽減:新生・樹魔」

コア2:Lv4:BP14000

シンボル:極】

 

彼女の歌が、緑色の閃光をフィールドへと生まれさせる。その閃光が二振りの刃で切り裂かれ、そこから細長い指の形をした装甲が姿を現す。鎌のような、曲線を描いた二本の刃が装着された篭手を両手に装着した、群青色の装甲で成り立つ細身の人型のアルティメット。樹木の枝のように伸びるその兜の中からは青い光の一つの目が認識でき、背中からは七枚の赤と青が混ざり合い、グラデーションを彩った光の翼が生やされていく。

 

(これが……アルティメット……!)

 

その存在が放つ威圧感は、確かに先程まで彼女達が使用していたスピリットとは比べ物にならなかった。歌が作り出す力、アルティメット。その姿を前に、まゐも背筋に流れる冷や汗の感覚をより強く感じ取る。

 

「へえ、こんな凄いものがあったんだ」

「私の切り札が、こんなもので終わるかデス!アルティメット・トレントン、召喚時効果!手札の緑のスピリットをノーコストで召喚するデス!風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーン!Lv2で召喚(リザーブ:8→5)!」

 

【風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーン:緑・スピリット

コスト6(軽減:緑3):「系統:星竜」

コア3:Lv2:BP7000

シンボル:緑】

 

アルティメット・トレントンが手を真上へと掲げる。それと共に天空から巨大な旋風が巻き起こり、飛来するように緑色の風を全身に纏う、濃い緑色の皮膚を持つ白銀の鎧を纏ったドラゴンが出現する。

 

「シャイニング・ドラゴン・ハリケーン、召喚時効果!相手スピリット1体を疲労!ソウルホースを疲労!」

 

シャイニング・ドラゴン・ハリケーンの口から風が放たれる。ソウルホースを疲労させ、まゐのスピリット達を全て疲労状態へと追い込んでいく。また、この風でスピリットが疲労したことでシャイニング・ドラゴン・ハリケーンの更なる力が発揮される。

 

「そしてこの効果で相手スピリットが疲労させたとき、さらに手札のコスト3以下のスピリットをノーコストで召喚できる!ケンゴーキジをLv2で召喚(リザーブ:5→2)!」

 

【ケンゴーキジ

コスト2(軽減:緑1):【強化(チャージ)

コア3:Lv2:BP5000

シンボル:緑】

 

「森林のセッコーキジに1コア追加(リザーブ:2→1)!」

 

【森林のセッコーキジ

コア2→3】

 

「アタックステップ!アルティメット・トレントンでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!!」

 

切歌の手に緑色の刀身を持つ鎌が出現する。それを握り、勢いよく振り降ろすと緑色の斬撃が放たれ、それがまゐのデッキトップのカードをトラッシュへと送り込む。

 

「……光龍騎神サジット・アポロドラゴン、コスト8」

「ぐぬ……ガードデスか……!ヒットしていればこのアルティメットをスピリットでブロックする場合、相手はスピリット3体でないとブロックできなくなるデスのに……」

「でも……今の一枚は」

 

サジット・アポロドラゴン。そのカードがトラッシュへ落ちたのを見たまゐの顔が僅かに強張ったのを調は見逃さなかった。おそらく、あれが彼女のデッキの切り札だったのだ。つまり、この落ち方は二人にとって良いものであったと捉えられる。

 

「回復マジックを使ってまで防ぐ気はないわ。ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

アルティメット・トレントンがその鋭い篭手に装着された刃をまゐへと叩き付ける。通常のスピリットを超える威力を誇るアルティメットの攻撃の予想以上の衝撃をその身で受けたまゐは、続く切歌のアタックを受け切る為に構える。

 

「ここは、一気に仕留めるデス!シャイニング・ドラゴン・ハリケーンでアタック!!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

続けて拳を振り上げたシャイニング・ドラゴン・ハリケーンの一撃がまゐへ振り下ろされる。相手の残りライフはこれで二つ。ここは、一気に勝負に出る。

 

「ケンゴーキジでアタック!」

「フラッシュタイミング!マジック、ソウルスライド(コスト5(軽減:紫2))使用(リザーブ:2→0)!不足コストはソウルホースより確保、よってLv1にダウン!」

 

【ソウルホース

コア2→1:Lv2→1:BP2000→1000】

 

「「!」」

「相手スピリット2体のコアを、それぞれ1個だけ残し残りを全てリザーブに置く!森林のセッコーキジとケンゴーキジを指定!」

 

【森林のセッコーキジ

コア3→1:Lv2→1:BP2000→1000】

 

【ケンゴーキジ

コア3→1:Lv2→1:BP5000→3000】

 

「コアが1個だけに……これじゃあ!?」

「さらにマジック、グリーディコア(コスト5(軽減:紫2))を使用。不足コストは滅神星龍より確保!」

 

【滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ

コア5→2:Lv3→1:BP13000→5000】

 

「森林のセッコーキジとケンゴーキジからコアを1つずつリザーブへ!」

 

【森林のセッコーキジ

コア1→0】

 

【ケンゴーキジ

コア1→0】

 

コアを失った森林のセッコーキジとケンゴーキジが消滅していく。それによってアタックは強制的に終了させられ、切歌は相手のライフを二つ残しておきながら攻めきれなくなってしまう。

 

「……た、ターンエンドデス」

スタートステップ(ターン14)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→14)、メインステップ。ソウルホースとダークヴルム・ノヴァを最高Lvにアップ(リザーブ:14→0)!」

 

【ソウルホース

コア1→8:Lv1→2:BP1000→2000】

 

【滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ

コア2→9:Lv1→3:BP5000→13000】

 

「アタックステップ!ダークヴルム・ノヴァでアタック!」

「切ちゃん!」

「任せるデス!フラッシュタイミング、ウィンドウォール(コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:7→3)!このアタックは」

「「ライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:3→5)!!」」

 

ダブルシンボルを持つダークヴルム・ノヴァの両手が合わさって作り出されたエネルギー球が二人に襲い掛かる。そのダブルシンボルの一撃によって残り三つ残っていたライフもたった一つだけを残して全て破壊されてしまう。しかし、勝負は最後まで生き残れば生き残った方が勝ちなのだ。ここはライフを犠牲にして凌ぐ策を打ち出す。

 

「このバトルが終了したとき、アタックステップを終了させるデス!さらにマジック使用時に緑のシンボルがあったことで連鎖(ラッシュ)発揮!相手スピリット1体、ソウルホースを疲労!」

 

アタックステップを終了させると共に発揮される疲労効果。それによって再び疲労するソウルホース。しかし、これをまゐに止める策はない。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン15)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:6→16)、メインステップ。コブライガをLv2で召喚(リザーブ:16→10)

 

【コブライガ:紫・スピリット

コスト4(軽減:紫3):「系統:妖蛇」

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:紫】

 

ここで調が呼び出したのは、蝙蝠を連想させる翼を生やした紫色の蛇。その翼は片翼が骨だけとなっており、そのスピリットの印象強さを象徴している。

 

「コブライガ、召喚時効果。スピリット1体のコアを1個だけ残してそれ以外を持ち主のリザーブに置く。ダークヴルム・ノヴァを指定」

 

【滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ

コア9→1:Lv3→1:BP13000→5000】

 

「これで、このカードを使ってダークヴルム・ノヴァを倒す……」

「……」

 

調の纏う雰囲気が変わっていく。より集中力を高めていくその素振りを先程の切歌の状態と重ねたまゐは、彼女が呼び出そうとしている存在に思い当たる。それと同時に調もまた、歌を口ずさんでいく。そして輝く、彼女の手に握られたアルティメットカード。それを、調は解き放つ。

 

「来て、無数の魂を切り刻む虚無の姿。アルティメット・バァラル、Lv5で召喚(リザーブ:10→0)!不足コストはシャイニング・ドラゴン・ハリケーンより確保!」

 

【風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーン

コア3→1:Lv2→1:BP7000→4000】

 

【アルティメット・バァラル:紫・アルティメット

コスト10(紫・極2):「系統:新生・虚神」

コア4:Lv5:BP23000

シンボル:極】

 

瞬間、大地がひび割れていき、そこから巨大な爆炎が上がる。突如として出現した炎の中、そこで細長い紫の首を持ち、額に妖しい光を灯す一つ目を宿した一体の悪魔が炎の中より現れる。金色の鎧を纏い、二本の細い脚で地面に立つと、両肩から生えた紫色の棘を光らせ、細長い尻尾を大地にゆっくりと垂らす。そして、炎の翼を広げて咆哮を上げた。

 

「アルティメットが二体……!」

「驚いたみたいだけど、だからといって手加減はしないから。アルティメット・バァラル、召喚時効果。このターンの間、相手スピリットすべてのLvコストを+2する!これで、Lv1を維持するのに3コアが必要になるダークヴルム・ノヴァは消滅する!」

 

【滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ

Lv1→0】

 

ダークヴルム・ノヴァをスピリットとアルティメットの効果を合わせて消し飛ばす調。強力なダブルシンボルさえ消してしまえば、今の段階で恐れるものはほとんどない。

 

「アタックステップ。コブライガでアタック!」

「フラッシュタイミング!マジック、フェーズチェンジ(コスト4(軽減:白2・紫1))使用(リザーブ:9→6)!このターンの間、自分のライフは、相手のスピリットの効果と、コスト4以上のスピリットのアタックでは0にならない!」

 

まゐの目の前に出現する巨大な魔法陣の防壁。この壁の前ではコスト4以上のコブライガとシャイニング・ドラゴン・ハリケーンのアタックでまゐを倒す事は叶わない。しかし、まゐがこのカードをこのタイミングで使用したことには、別の目的がある。寧ろ、こちらの方が本命だ。

 

「さらに紫のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!自分のトラッシュにあるコスト8以上のスピリットカード1枚を召喚できる!」

「!トラッシュ……って、まさか!?」

 

ソウルホースが持つ紫のシンボルが輝き、まゐのトラッシュからコスト8のスピリット、光龍騎神サジット・アポロドラゴンのカードが浮かび上がり、まゐの手に戻る。そしてそれを掲げ、まゐはこのタイミングでの切り札召喚を行う。

 

「龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ!光龍騎神サジット・アポロドラゴン、Lv3で召喚(リザーブ:6→0)!不足コストはソウルホースより確保!」

 

【ソウルホース

コア8→0】

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤4):「系統:光導・神星」

コア7:Lv3:BP13000

シンボル:赤】

 

まゐの背後で太陽が出現する。燃え上がるその太陽の中で暴れ狂うプロミネンスの中を駆ける白き馬の足。その上半身には赤、金、緑の三色の鎧を纏う巨大なドラゴンの姿が見える。その右手には巨大な弓が構えられており、背中には龍の翼が生えている。それが、炎を纏ってフィールドへと現れ、紅く燃えるように輝く射手座の星座の光と共に咆哮を上げる。

 

「サジット・アポロドラゴン……!?」

「い、いきなりトラッシュからこんなものを!?」

「何なのこの威圧感は……!?」

 

それを目の当たりにした三人は思わず固まる。単純に力が溢れているとか、威圧感がとんでもないとか、そういうのとは最早次元が違う。そう思わせられる洗練された雰囲気が、その龍からは感じ取れた。

 

「そのアタックはサジット・アポロドラゴンでブロック!」

 

そして向かって来るコブライガに狙いを付けると、一本の矢を放ってコブライガを仕留める。これでは、アルティメット・バァラルでアタックしてもライフを削りきれない。

 

「ターンエンド……!ごめん、切ちゃん。このターンで何とかしきれなかった」

「気にしないデス!まだ、勝機はあるデス!」

(二人とも支え合ってるんだ。そして二人とも、いや、二人だけじゃない。おそらく外にいる二人も、この星を救うために……なら、私がするべきなのは……例え、世界を敵に回してでも彼のように……)

 

その様子を見て、まゐは改めて一つの決意を固める。彼女達と共に戦うということへの決意を。そして、その決意を手に己のターンを進めていく。

 

スタートステップ(ターン16)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→11)、メインステップ。その翼、奇跡の光を纏う!輝竜シャイン・ブレイザーを召喚(リザーブ:11→6)!」

 

【輝竜シャイン・ブレイザー:赤・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:星竜・機竜」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

白く輝く翼をもつ機械竜、シャイン・ブレイザーが出現する。この状況で呼び出されたブレイヴが何をするのかを予想することは、誰だろうと容易なことだろう。

 

「光龍騎神サジット・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!!」

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン

コスト8+5→13

コア7→8:BP13000+5000→18000

シンボル:赤+赤】

 

シャイン・ブレイザーがの身体が消滅していく。翼だけとが残ったシャイン・ブレイザーに応えるようにサジット・アポロドラゴンの翼も消滅し、新たな翼となるように合体すると、サジット・アポロドラゴンは全身から赤い光を放ちながら咆哮を上げる。

 

「ここで合体(ブレイヴ)スピリット!?」

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アタック!サジット・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果により、このスピリットのブレイヴ1つにつき、BP10000以下の相手スピリット1体を破壊する!シャイニング・ドラゴン・ハリケーンを破壊!」

 

サジット・アポロドラゴンが炎の矢を放ち、シャイニング・ドラゴン・ハリケーンを貫く。それによって大爆発が引き起こされて作り出された一瞬の闇を咆哮と共に吹き飛ばし、サジット・アポロドラゴンが二人へと襲い掛かる。

 

「っ、アルティメット・バァラルでブロック!」

「フラッシュタイミング!マジック、ウィンドウォール(コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:3→0)デス!不足コストはアルティメット・トレントンから確保するデス!」

 

【アルティメット・トレントン

コア2→1:Lv4→3:BP14000→11000】

 

「二枚目……」

「これでアタックステップは終わりデス!そして合体(ブレイヴ)スピリットも調のアルティメットで返り討ちデス!」

「あら、それはどうかしら?フラッシュタイミング!マジック、バーニングサン(コスト3(軽減:赤2))使用(リザーブ:6→5)!」

「「!?」」

 

まゐがここで繰り出したマジック。それはバーニングサン。手札からブレイヴをノーコストで召喚し、カード名にアポロと入っている自分のスピリット1体に合体(ブレイヴ)させる効果がある。しかし、サジット・アポロドラゴンは既に合体(ブレイヴ)しており、このマジックは使えない筈。が、サジット・アポロドラゴンにはそれを可能とする効果がある。

 

「手札のブレイヴ、トレス・ベルーガをノーコストで召喚し合体(ブレイヴ)!さらに回復!」

 

【トレス・ベルーガ:青・ブレイヴ

コスト5(軽減:青2・赤2):「系統:異合」

シンボル:青】

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤+青

コスト8+5+5→18

BP13000+5000+6000→24000

シンボル:赤+赤+青】

 

まゐが発動したマジックにより、解き放たれる獣、トレス・ベルーガ。三つの首を持つ青き獣がサジット・アポロドラゴンの後ろから光を纏って衝突。瞬間、激しい閃光と共にその全身を金色の鎧へと変え、背中の翼を更に強く、大きく広げさせることとなる。

 

「だ、ダブル合体(ブレイヴ)……!?」

「これが、十二宮Xレアの力!?」

「サジット・アポロドラゴン、BP13000……シャイン・ブレイザー、BP5000……トレス・ベルーガ、BP6000……合計BP24000!?スピリットがこんなBPを簡単に出せるの!?」

 

二本の矢が放たれ、アルティメット・バァラルの翼が射抜かれ、空へと飛ぶ術が失われる。炎が一瞬で消し飛んだアルティメット・バァラルへ向けて剣に変形した弓を振り下ろすサジット・アポロドラゴン。その剣を口で掴むことで止め、その細い足を器用に動かしてサジット・アポロドラゴンの首を締めにかかるアルティメット・バァラル。が、その細い首をサジット・アポロドラゴンが剣を握っていない空いた左手で締めると、その痛みに耐えきれずに口が僅かに動き、剣が外れる。その剣を一旦抜くと、そのままそれを額の瞳を両断するように脳に深く突き刺して大量の劫火を体内へと注ぎ込み、その身体を爆発させる。

 

「あ、アルティメット・バァラル……!?」

「ターンエンド」

「っ、このまま終わらせるかデス!!調の分までこのターンで決着を付けてやるデス!スタートステップ(ターン17)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:5→21)!メインステップ!アルティメット・トレントンをLv5にアップ(リザーブ:21→17)!」

 

【アルティメット・トレントン

コア1→5:Lv1→3:BP11000→22000】

 

「アタックステップ!アルティメット・トレントンでアタック!!U(アルティメット)トリガー!ロックオン!!」

 

これがヒットすれば、そのブロック制限効果によってアルティメット・トレントンのアタックをまゐが防ぐ事はできず、切歌達の勝利が確定する。だが、もし外れればその逆となる。この勝敗をこの一撃にかけて、振り下ろされる鎌から放たれる緑の斬撃。それはまゐのデッキの上のカードを吹き飛ばし、トラッシュへとゆっくりと落ちていく。そこにあったカードは、

 

「……魔導双神ジェミナイズ。コスト7!」

「「!!」」

 

ガードとなるコスト7のカード、双子座の十二宮Xレア、魔導双神ジェミナイズだった。これにより、まゐはスピリット1体でもブロックが可能となる。

 

「ダブル合体(ブレイヴ)スピリットでブロック!!」

 

アルティメット・トレントンが篭手から横へ伸びた刃を鎌のように扱い、俊敏に動いてサジット・アポロドラゴンの首を刈り取ろうとする。しかし、刃が首に入る直前にその手首を掴み取ると、そのまま真上へと持ち上げて大地へ叩き付ける。機動力を殺されたアルティメット・トレントンはそれでももがくが、抵抗さえも許さないと言わんばかりに手にした剣に高密度の炎を纏わせると、それを用いてアルティメット・トレントンの身体を両断し、その身体を爆発させる。

 

「……そんな……ターン、エンドデス……」

スタートステップ(ターン18)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:6→11)

 

もうアルティメットを失い、フィールドには何もいない。誰がどう見ても、まゐの勝利は最早明らかだった。

 

「……このバトルを通じて、私は二人のことを少しは知ることができたと思う」

「「……?」」

「二人がお互いをどう思っているのか。どうしてそこまでして目的のために動こうとしているのか。完全にとは言えないかもしれない。でも、バトルスピリッツと言う対話を通じて、少しは知れたと思うの」

「「……」」

 

何となくだが。彼女の言っている言葉には説得力があった。そんなふうに二人は感じ取っていた。理屈や理論というわけではない。感覚的に。

 

「だから私も、貴女達のこと、放っておけなくなっちゃった。一緒に戦うわ。この世界を救うため……なんて大それたことは言えないけど、貴女達を助けるために」

「……何でついさっき会ったばっかりの私達のためになんて……」

「彼を見てたから。右も左も分からない、そんな場所に突然呼び出されて、そこで困っている男の子がいたから、困っている人がいたからその人達のために世界に喧嘩を売りにいった。そんな真っ直ぐな彼みたいに私も何かしてみたい、そう思ったの。それだけよ」

 

そんな偽善者みたいなこと。そうは言えなかった。彼女の戦い方、カード捌き、言葉、そして何より、遥か過去でその名が残っているほど戦士だという事実。それが、彼女の言葉がただ理想や妄想に塗れた薄っぺらいものではないということを他の何よりも協調していた。

 

「紫乃宮まゐよ」

「……え?」

「まだ自己紹介していなかったから。これから一緒に戦う人の名前ぐらい覚えてもらわないとね」

「あ……そうデスよね。私は暁切歌デス!」

「……私は月読調」

 

だからこそ、彼女のことは信じてもいい。心を開いてくれた二人に優しく笑いかけながら、まゐはその手をダブル合体(ブレイヴ)スピリットに伸ばす。

 

「これからよろしくね。メインステップはこのまま、アタックステップ!ダブル合体(ブレイヴ)アタック!」

「「ライフ(ライフ:1→0)で受ける!!」」

 

サジット・アポロドラゴンが飛び上がり、剣を振り下ろす。その剣を何の防御の策も残っていない二人がライフで受ける。そして全てのライフが砕かれ、ギアが消滅すると共にエクストリームゾーンの外へと飛んでいく。そんな中で、二人はどこか嬉しそうな、楽しそうな笑顔を浮かべるのだった。

 

 

 

 

「確かに確かめさせてもらいました。ヴィオレ魔ゐ、その力を」

「ヴィオレ魔ゐ……か。懐かしい名前ね。でも……戦う私の名前としては、それが一番なんだろうな」

 

エクストリームゾーンの外に戻ってきた三人。そのバトルを見て、ナスターシャはやはり彼女が自分達と共に戦う戦士の一人として必要であることを再認識させられる事となる。

 

「でも私、まだまだ知らない事はたくさんあるから。教えてくれると助かるわ」

「分かりました。それについてはまた後ほどということで、一先ず戻りましょう……我々の隠れ家へと」

 

そして、過去から来たカードバトラー、紫乃宮まゐ。いや、ヴィオレ魔ゐは彼女達と共に戦う事になる。そして、そのことを弾達が知る時は、まだもう少し先の話となるのだった。




天魔王ゴッド・ゼクス -終ノ型-の相方はロロで確定でしょう(確信)。実は公式はロロデッキ破壊やロロアイズだけではなくこれを見越して制限にした可能性が微レ存……?


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第八話 仕掛けられたもの

日付が変わり、夜も更けた時間帯。警備も何も見えない廃病院を警戒したように見る、建物の物陰に潜む三人の少女達がいた。

 

「いいか?今、弾君もそちらへ向かっている。今夜中に終わらせるつもりでいくぞ!」

 

弦十朗の声が通信機を通して彼女達の耳に届く。その通信を受けた、二課の調査の結果割り出した敵の装者達がアジトとして使用している可能性の高い今は使用されていない廃病院。様々な方面で調べた情報を元にその信憑性などについては既に証明済みであり、その報告を受けて響達がそちらへ向かったのだ。

 

「街のすぐ近くに彼女達が潜んでいたなんて……」

 

少し驚いたように響が声を漏らす。確かに、あれだけのことをやらかしたマリア達が、人の目が届く場所であるこの場所をアジトとして使用していたとは。予想を裏切られるその響の反応こそが、自分達の近くにアジトを用意してはいないだろうという先入観を利用して敵が用意したものであることは明白だった。

 

「ま、尻尾が出ていないのならこっちから掴んでやろうってわけか。さっさと終わらせてやる!」

「いくぞ!」

 

建物の陰から出て、一気に廃病院の中に駆けていく響、翼、クリスの三人。その姿を見て、建物の中に唯一残っていた男性、ウェルはモニターに映る響達の姿を見ながら、機械を操作していく。それと共に廃病院内を満たしていく特殊な気体。この廃病院という、建物であるからこそ出来る芸当。高密度の特殊な気体を外に逃がさず、内部に充満させることで装者達が纏う鎧、シンフォギアとの適合係数を減少させることでアーマーを纏えなくさせるという恐るべき性能を秘めたそれを使い、ウェルは彼女達を倒す為のフィールドを構築していく。

 

「……三人が、シンフォギアを維持しきれない?」

 

そして、その異常は、響達の元へ向かおうとしている弾の元にも届けられる。二課との通信を開いたままにしながら、弾は響達の身に何が起こったのかを確かめながら彼女達の元へと急ぐ。

 

「ああ、どうやら敵もとんでもない対策を取っていたようだ……」

「このままでは、三人とも戦闘の続行が不可能になります!」

 

病院内に充満したガスのせいで適合係数を徐々に下げられていき、一戦毎の体力の消耗が尋常では無くなっていく三人。ウェルがソロモンの杖を用いて一定の感覚で三人を襲うノイズを召喚していき、後はシンフォギアを維持できる時間が切れるまで彼女達を戦わせ続ける。その単純明快な作戦は、呆れるほどに効果的な効果を三人に及ぼしていた。

 

「はぁ……はぁ……!」

「くそ……倒しても倒しても湧いてきやがる……!」

「く……ギアの出力が低下させられるとは……何と言う卑劣な!貴様、それでもカードバトラーか!?」

 

病院の中にある廊下。そこでノイズ達との連戦によって消耗する響達。そんな彼女達の前には、大胆にもその姿を現したウェルがソロモンの杖を手に、傍らにネフィリムを保管した鋼の檻という名のケージを置いて立っていた。何故自分が生きているのかについてのネタばらしをした彼は、敵合計数を下げる特殊な薬品を用いて作り出した霧で響達の身体により負担をかけているという事実を公開。時間制限を強いられることになった三人は、再びウェルが呼び出したノイズによって追い詰められていた。

 

「リアリストです。まぁ、英雄だなんだと言われていても、所詮この程度だったってことですか?全く……私を失望させないでもらいたい」

「私達が英雄……だと?ふざけた妄言も大概にしろ!」

 

そんな世間の押し付けた印象を事実であるかのように語るなと翼は叫ぶ。しかし、既に彼女達が真の英雄ではないことをある程度悟っているウェルはそう反射的に否定する翼の姿を面白そうに見ながら、ソロモンの杖を手にノイズ達に視線を移す。

 

「妄言だというなら、ここで死んでいけばいい。もし真実だというのなら、戦って勝てばいい。だってそうでしょう?英雄とは例え負けることがあっても、最終的には勝つ存在なのだから。勝者こそ、英雄なのだから!」

 

そうだ。最終的に勝った者が英雄だ。ならば、自分達は英雄ですらない。そう声を上げたかった。しかし、そうやって会話を続けている間にも時間は経過し、この空間は自分達の身体を蝕み始めていく。

 

「見せてくださいよ!その力って奴を!さぁいけ!ノイ……!?」

 

ソロモンの杖を振り、命令を下そうとしたウェル。三人もノイズが襲ってくることを予感して既に重くなっているその身体でどうにか構える。しかし、ウェルの言葉が最後まで告げられ、命令が実行される事はなかった。その直前に壁を破壊して彼等の間に飛来した一つの物体によって。

 

「な、なんだこれは!?」

「コアブリット……まさか!」

 

流石のウェルも予想外の事態に驚いたように声を上げる。そんな彼の目の前でノイズと自分、そして響達を分断するように現れたのは、一基のコアブリット。そしてコアブリットが開けた穴から建物内に充満していた装者を蝕む気体が外へ放出されていき、新鮮な空気が中へと入れ替わるように入ってくる。その空気を吸っていく内に先程よりは少しは重い身体もマシになっていく響達。そして彼女達は、コアブリットの中から現れた弾の姿を見る。

 

「弾さん!」

「っ、お前は……あの時の!!」

「へっ、漸く到着かよ……」

「少しデッキ調整に手間取ってね……だが、どうにか最悪の結果になる前に間に合ったみたいだ」

「弾君、装者三人との合流を確認!」

 

そして弾の合流と共に、弦十朗は装者達に指示を飛ばしていく。弾がコアブリットを用いて廃病院の壁に激突、粉砕することによって生まれた今の状況、これを利用しない手はない。

 

「よし!装者達はコアブリットの激突によって生まれた穴より外へと一時避難!適合係数を低下させる気体の影響を受けないところで回復に努め、弾君の援護をいつでもできるように備えろ!」

 

弦十朗の指示を受け、三人は顔を見合わせて頷く。シンフォギア、いや聖遺物と人体の適合係数を低下させるこの気体は、確かに自分達にとっては毒だといえるだろう。しかし、弾に関してはそれは関係ない。弾の所持している裏十二宮ブレイヴはそもそも単純にカードとして使用する分には適合も何も関係ないし、弾自身が現在使用しているパンテーラから受け取ったアーマーもまた、弾本人は適合して使用しているわけではなく、ただ纏っている、着用しているだけに過ぎない。故に、この空間でウェルが用意した罠を、弾だけが唯一何の影響も受けずに戦えるのだ。

 

「後は任せた!」

「ヘマすんなよ!」

「弾さん、すぐ戻ってきますから!」

 

弾が開けた穴から外へ飛び降りていく三人。その姿をウェルと弾が見ていくが、ウェルはノイズ達を動かそうとはしない。彼女達が何の迷いも無く弾を置いて離脱した。その行動と、以前のバトルの二つが馬神弾という人間の脅威をさらに跳ね上げていたからだ。同時に、この一連の流れが彼の中で生まれていたある仮説をより濃厚にさせることにも繋がる。

 

「さて……よかったのですか?三人をここから離脱させて。まさか貴方一人でどうにかなるとでも?」

「やれるだけやるさ。それが……俺の仕事だ。いくぞ、ゲートオープン!界放!!」

 

その光が、ノイズを、ウェルを包んでいく。開かれたゲートの先、弾がパンテーラから受け取ったペンダントが輝き、その身に細身の逆三角形の金色と赤のアーマーが纏われていく。その両肩からブースターが出現し、目の前に現れたノイズ達が収束した個体を見据える。

 

(丁度いい。彼と手合わせしたかったが……その前に彼のカード捌きを目の前で見れるのなら、是非焼き付けさせてもらおう)

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ネクサス、夢中漂う桃幻郷を配置(リザーブ:4→0)

 

【夢中漂う桃幻郷:黄・ネクサス

コスト4(軽減:黄2)

コア0:Lv1

シンボル:黄】

 

瞬間、ノイズの背後の空が急に明るくなっていく。それと共に白い雲が霧のように漂う、和風造りの建造物と白い川が姿を見せる桃源郷が姿を見せていく。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ブレイドラをLv3、ニジノコをLv1で召喚(リザーブ:5→0)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア3:Lv3:BP3000

シンボル:赤】

 

【ニジノコ:黄(赤)・スピリット

コスト1:「系統:戯狩」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄(赤)】

 

ブレイドラと虹色の皮膚を持つ小さな手足を持たない蛇のような姿をしたドラゴン、ニジノコが現れる。現れたニジノコは元気そうに鳴き声を上げながら小さな火の粉を口から漏らす。

 

「アタックステップ。ブレイドラ、ニジノコでアタック」

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:0→2)

 

ブレイドラが地面を駆け、ニジノコが地面を跳びながら移動し、ノイズへ迫る。一体もブロッカーを持たないノイズはそれをライフで受けるしかなく、二体の体当たりがどちらもノイズへと命中してそのライフ二つを一気に削っていく。

 

「ターンエンド」

(やはり迷いがない……真っ直ぐなバトルだ。どこか純粋でありながら、その実洗練された動き。まったく……こんな男を前にして戦っているのがたかがノイズだと考えてしまうと……)

 

カードバトラーとして残念だと思わざるを得ない。科学者として彼の力をより分析するためだと考えればこれが最善の一手なのだが、カードバトラーとしての性が相反する要素として自分の中に渦巻いてしまう。ウェルはそんな葛藤を脳裏に浮かばせながらまるで見守るように静かにバトルに見入るのだった。

 

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)、メインステップ。イワザールをLv2で召喚(リザーブ:7→3)

 

【イワザール:黄(紫)・スピリット

コスト3(軽減:紫1・黄1):「系統:想獣・戯狩」

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:黄(紫)】

 

ノイズのフィールドに現れる、白い毛並みの猿。胸元にオレンジ色の宝石を埋め込み、口の周りには四本の札を張り付けた、Lv2でいる間、紫のスピリットとしても扱われる黄色のスピリット、イワザール。その召喚により、ノイズが最初のターンに張っておいたネクサス、夢中漂う桃幻郷の効果が起動する。

 

「やはり想獣スピリットで固めているか……」

 

夢中漂う桃幻郷、Lv1・2効果。自分のメインステップ時、自分か相手が系統::「想獣」を持つスピリットを召喚したとき、自分はデッキから1枚ドローする。その効果を受けて損失した手札を補充したノイズは、さらなるスピリットを展開する。

 

『ガトーブレパスをLv2で召喚(リザーブ:3→0)

 

【ガトーブレパス:黄・スピリット

コスト3(軽減:黄2):「系統:想獣」:【聖命】

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:黄】

 

続けて召喚されるのは、イワザールと同じく系統:「想獣」を持つ、青いたてがみに黒い翼を生やした、角を持つ四本脚の生き物、カトブレパスを模したスピリット。ガトーブレパスの召喚に成功したことにより、再びネクサスの効果が起動、ノイズはデッキからカードを1枚ドローする。

 

『アタックステップ。ガトーブレパスでアタック』

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ガトーブレパスが大地を駆け、弾へその角を叩き付ける。叩きつけられた角が弾のライフを破壊し、それと同時にガトーブレパスの持つ聖命の力が発揮される。

 

『ガトーブレパス、アタック時効果、聖命発揮。このスピリットのアタックによって相手のライフを減らしたとき、ボイドからコア1個を自分のライフ(ライフ:3→4)に置く』

 

ノイズのライフカウンターに追加される新たなライフ。主に黄色のスピリットが操ることとなるキーワード能力である聖命、その力を持つスピリットのアタックで相手のライフが減らされたときに自分のライフを増やす効果であり、間接的にコアブーストを行う効果でもある。

 

『ターンエンド』

「ライフを増やしてきたか……なら、こちらはそれごと砕くまでだ。スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→3)、メインステップ」

 

ドローしたカードを見てほんの僅かに、それを凝視する。本当に集中してみなければ分からないほどの変化を見せた後に平常に戻った弾はそれを手札に加え、そのカードではない別のカードを取り出す。

 

(あのカードは一体……)

「太陽よ、炎をまといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:3→0)!ブレイドラ、ニジノコより不足コストを確保し、Lv2で召喚する!」

 

【ブレイドラ

コア3→0】

 

【ニジノコ

コア1→0】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤2・青2):「系統:神星・星竜」

コア3:Lv2:BP6000

シンボル:赤】

 

弾の背後から出現する巨大な紅蓮のドラゴン。黄金の角、肩当てとひざ当てを持ち、白い翼を羽ばたかせる太陽のような赤い皮膚のドラゴンがゆっくりとバトルフィールドの壁をよじ登り、四本脚を使って一歩一歩、壁を、大地を踏みしめるようにしてバトルフィールドへと入ってくる。そしてフィールドの中に入ると、二本脚で立ち上がり、全身に埋め込まれた白い球体を光で反射させる。

 

(来た来た、キースピリット……!)

 

弾のデッキのキースピリットの一体である太陽龍の出現ににやりと笑うウェル。果たして二体のスピリットを犠牲にしてまで呼び出したこの太陽龍をどう使うのか。それを楽しみにしながら弾の次なる手を待つ。

 

「バーストをセットし、アタックステップ!ジーク・アポロドラゴンでイワザールに指定アタック!」

 

ジーク・アポロドラゴンが咆哮御を上げ、イワザールへと激突、その身体を吹き飛ばして破壊する。太陽龍ジーク・アポロドラゴンは、アタック時効果により回復状態の相手スピリット1体を指定し、そのスピリットにアタックできるのだ。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:3→6)、メインステップ。アイラヴァターを召喚(リザーブ:6→3)

 

【アイラヴァター:黄・スピリット

コスト4(軽減:黄1):「系統:想獣」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:黄】

 

四本の白い角を生やした灰色の皮膚の巨大な象のスピリットが現れる。その背中からは黒い瘴気の翼が生えており、瞳は黒と赤に染まり、禍々しく光っている。

 

『アイラヴァター、召喚時効果。自分はデッキを上から1枚オープンできる』

 

そのカードが系統:「想獣」を持つスピリットであれば手札に加え、それ以外ならば破棄される。アイラヴァターの効果によってオープンされるノイズのデッキのカード。それは、神獣ハクタク。系統:「想獣」を持つスピリットであったためにノイズの手札に加わり、さらにネクサスの効果によってもう1枚カードをドローする。が、この召喚時効果は、弾にとっても狙っていたものである。

 

「召喚時効果に対しバースト発動!双翼乱舞!デッキから2枚ドローする!メイン効果は使用しない!」

『アイラヴァターを転召。神獣ハクタクを召喚(リザーブ:3→0)

 

【神獣ハクタク:黄・スピリット

コスト4(軽減:黄2):「系統:想獣」:【転召:コスト3以上/トラッシュ】

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:黄】

 

アイラヴァターの姿が光と共に消えていく。そして出現した光が二本の巨大な角を持つ、赤いたてがみと尻尾を持つ白い獣へと姿を変えていく。四本の足には桃色の炎のようなものが揺らいでおり、三つの瞳を動かして静かにフィールドに降り立っていく。

 

「……!」

『神獣ハクタク、召喚時効果。系統:「想獣」か「獣頭」を選び、その系統を持つ自分のスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする。系統:「想獣」を指定』

 

ノイズの場に存在する系統:「想獣」を持つスピリットは神獣ハクタク、ガトーブレパスの二体。よって、デッキから二枚のカードをドロー、さらにネクサスの効果を合わせて合計三枚のカードを一度の召喚で手にする事となる。

 

『バーストをセット。アタックステップ、ガトーブレパスでアタック』

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

再びガトーブレパスのアタックが弾のライフを削る。それにより、再度聖命が発揮される事となり、ノイズのライフカウンターに光が集っていく。

 

『アタック時効果、聖命発揮(ライフ:4→5)

 

ノイズのライフが回復していき、初期ライフと同じ数値、5にまで引き戻される。しかし、そのアタックステップが終わる事はない。このままハクタクを棒立ちにしたところで次のターン、ジーク・アポロドラゴンの格好の餌食になるだけだからだ。

 

『神獣ハクタクでアタック』

「こちらもライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

ハクタクが雄叫びを上げて弾へと突進する。ハクタクが振り上げた角が赤いバリアを突き抜けてその衝撃を弾へと浴びせ、弾の身体は僅かに揺らめく。

 

『ターンエンド』

(さて……ここからどう出るか)

 

ライフの上で大きな差を作ることになった弾。しかし、それは使えるコアが増えたことを証明する要素でしかない。この増えたコアを使い、弾がどう出るのか。ウェルが期待する視線を弾へと向けていく。ウェルから一種の期待の視線を向けられているも知らないまま、弾は訪れた自分のターンで出来ることをやり始めていく。

 

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)、メインステップ。ブレイドラをLv2、さらにブレイヴ、牙皇ケルベロードを召喚(リザーブ:7→0)

 

【ブレイドラ

コスト0

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:赤】

 

【牙皇ケルベロード:青・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:異合・皇獣」

コア2:Lv1:BP5000

シンボル:青】

 

青のブレイヴが弾の手から呼び出される。赤い装飾が施された黒い身体を持ち、その顔には目元を隠す鋼の兜が確認できる。

 

(ここにきてブレイヴか……)

「牙皇ケルベロード、太陽龍ジーク・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!Lv3に!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤+青

コスト6+5→11

コア3→5:Lv2→3:BP6000→9000+5000→14000

シンボル:赤+青】

 

牙皇ケルベロードが空高く跳び上がり、空中で回転する。その回転の中で光を放ちながらその胴体が変形していき、翼となるケルベロード。その赤い翼はジーク・アポロドラゴンの新たな翼となり、両肩、そして胸を覆う黒を基調とした装甲がその身を覆っていく。同時に額の角、そして身体に埋め込まれた白い球体が青色に変わり、その全身から青の光を解き放っていく。

 

「バーストをセットし、アタックステップ!翔けろ、合体(ブレイヴ)スピリット!ジーク・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果発揮!BP9000以下の相手スピリットを破壊する!神獣ハクタクを指定!」

 

ジーク・アポロドラゴンが飛翔し、その口から炎が放たれる。放たれた炎はハクタクへと命中し、その身体を燃やし尽くす。

 

「さらに牙皇ケルベロード、合体(ブレイヴ)時効果によりデッキから5枚破棄することでターンに1回、このスピリットを回復する!」

 

星鎧龍ジーク・ブレイヴ、ニジノコ、星鎧龍ジーク・ブレイヴ、太陽石の神殿、ブレイヴドロー。五枚のカードが破棄されることを引き金として回復するジーク・アポロドラゴン。回復したジーク・アポロドラゴンは、前のターンにフルアタックを行ったことでブロッカーを失ったノイズへと拳を振り上げる。

 

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:1→3)

 

拳がノイズのライフをダブルシンボルによる一撃で削る。しかし、ジーク・アポロドラゴンのアタックはまだ残っている。

 

「さらに合体(ブレイヴ)アタック!ジーク・アポロドラゴンの効果でガトーブレパスを破壊する!」

 

ジーク・アポロドラゴンの放つ炎がガトーブレパスを燃やす。それによってガトーブレパスのカードがトラッシュへ移動、それにより、ノイズの仕掛けたバーストが起動することとなる。

 

「!」

『相手による自分のスピリット破壊後、バースト発動。ウォークライ(コスト4(軽減:緑2))

 

ウォークライ。バースト効果によりLv1のスピリットすべてを疲労させる。が、今フィールドにはLv2以上のスピリットのみ。だが、ここでウォークライのフラッシュ効果が機能する。

 

『フラッシュ効果を発揮(リザーブ:5→1)。Lv2のスピリットすべてを疲労させる』

 

Lv2のスピリット、ブレイドラが疲労することで弾はトドメの一撃を刺す事ができなくなる。しかし、このアタックは最早止められはしない。

 

ライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:1→3)

 

二度目のジーク・アポロドラゴンの拳がノイズのライフをさらに奪い取り、最後の一つにまで追い込む。しかし、倒しきれなけれなかった以上、次のターンで手痛い返しを受ける可能性は高い。そのことを強く認識しながら弾はターンの終了を宣言する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:8→9)リフレッシュステップ(リザーブ:4→13)、メインステップ。プーカ、イワザールをLv2で召喚(リザーブ:13→7)

 

【プーカ:黄(紫)・スピリット

コスト1:「系統:楽族」

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:黄(紫)】

 

【イワザール:黄(紫)・スピリット

コスト3(軽減:紫1・黄1):「系統:想獣・戯狩」

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:黄(紫)】

 

ここでノイズが呼び出したのは、紫としても扱われるオレンジ色のたてがみを持つ黒い馬のスピリット、プーカ。このスピリットを呼び出す事によって紫のシンボルを用意し、それでを用いて最大軽減でイワザールを呼び出し、ネクサスの効果でデッキからカードをさらにドローしていく。そして、

 

『幻竜皇ジラント、Lv2で召喚(リザーブ:7→0)

 

【幻竜皇ジラント:黄・スピリット

コスト7(軽減:黄3):「系統:想獣」:【連鎖(ラッシュ):条件《紫シンボル》】【聖命】

コア3:Lv2:BP6000

シンボル:黄】

 

瞬間、空が黒く染まり、巨大な竜が飛来してくる。ワイバーンのような筋肉質な肉が確認出来るオレンジ色の翼、竜のような黒く堅い皮膚を持ち、二本の角が姿を見せるその竜、ジラントが想獣達を治める存在としてこの場に君臨する。

 

「幻竜皇……」

 

このスピリットもまた、系統:「想獣」を持つことで再びカードをドローする。そして、ノイズはアタックステップへ突入する。

 

『アタックステップ。幻竜皇ジラントでアタック』

 

幻竜皇ジラント、アタック時効果。このスピリットはコスト5/6以外のスピリットからブロックされない。しかし、こちらの効果は今は発揮される必要性はない。が、この効果はノイズのフィールドに紫のシンボルがあることで更なる効果を発揮させることが可能となる。

 

連鎖(ラッシュ)発揮。相手のスピリットのコア2個を相手のトラッシュに置く。ブレイドラを指定』

 

【ブレイドラ

コア2→0】

 

ジラントの咆哮がブレイドラを吹き飛び、コアの力を全て奪い取って破壊する。しかし、ブレイドラを殺すためだけにジラントはアタックしたわけではない。

 

『フラッシュタイミング。マジック、ダンスマカブル(コスト4(軽減:紫2))を使用。不足コストはプーカとイワザールより確保』

 

【プーカ

コア2→1:Lv2→1:BP2000→1000】

 

【イワザール

コア2→1:Lv2→1:BP4000→3000】

 

『自分の手札を好きなだけ破棄する。その破棄したカード1枚につき、相手のスピリット1体のコア1個を相手のトラッシュに置く。手札を5枚破棄し、合体(ブレイヴ)スピリットを指定』

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア5→0】

 

四雲庵、夢中漂う桃幻郷、ガトーブレパス、アイラヴァター、幻竜皇ジラントの五枚が破棄され、ジーク・アポロドラゴンのコアが全て外される。弾のリザーブにもフィールドにもコアは残らなくなってしまったため、牙皇ケルベロードも分離して残ることもできない。

 

(……絶望的な状況。はてさて、どう逆転しようというのか……)

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ジラントの巨体を活かした体当たりが弾の残り二つのライフの内の一つを砕く。こうしてライフを砕いた事により、ジラントが持つLv2効果の聖命が発揮される。

 

『Lv2アタック時効果。聖命発揮(ライフ:1→2)

「ライフ減少によりバースト発動!ディメンションシールド!バトル終了時、アタックステップを終了する!フラッシュ効果は使わない!」

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:2→12)、メインステップ。マジック、トランスマイグレーション(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:12→7)。自分の上から3枚オープンする」

 

弾のデッキの上から三枚のカードがオープンされていく。ブレイヴドロー、双光気弾。二枚のマジックが続き、そして一枚のカードがオープンされる。そのカードは、超神星龍ジークヴルム・ノヴァ。

 

「その中に転召を持つスピリットがあればノーコストで転召を発揮したものとして1体召喚できる」

(!転召を持つスピリット……)

 

おそらくはブレイヴドローなどを用いて確実に成功させることができるタイミングでこのカードを使い、それができなければ適当なBP上昇マジックとしてこのカードを運用するつもりだったのだろう。そして、そのメイン効果でオープンされたカードの中で転召を持つカード、超神星龍ジークヴルム・ノヴァが弾の手に掴まれ、残ったカードはすべて破棄される。

 

「紅蓮の星より生まれし龍よ!来たれ!超新星龍ジークヴルム・ノヴァ、Lv3で召喚(リザーブ:7→2)!!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【転召:コスト6以上/ボイド】【激突】

コア5:Lv3:BP15000

シンボル:赤赤】

 

弾がカードを掲げる。瞬間、そのカードから紅蓮の光が遥か天高くへと放たれ、空を明るく染め上げる。天へと無数の光が放たれていき、それは空から降り注ぐ無数の流星となって大地に激突する。激突した流星は一つに集い、超新星の光を作り出すと、巨大な赤のシンボルとなる。赤のシンボルは誕生と共に砕かれ、その中から身体を巨大な赤い翼で覆ったドラゴンが出現する。その背中から薄い桃色の光の翼が二枚出現し、自身の赤い翼を広げると、その下にある緑色の光の眼を輝かせる、白い鎧を纏った紅蓮の龍が姿を現す。そして降臨した超神星龍は大地に降り立つと、咆哮と共に大地を砕きながら足元から劫火を立ち昇らせる。

 

(こ、このスピリットは……!)

「アタックステップ!」

 

アタックステップ。そう宣言した次の瞬間、弾の両肩のスラスターが音を立てて開かれ、そこから巨大な光が溢れ出る。溢れ出た光は虹色の翼となり、弾とノヴァを通じ合わせるかのように互いの翼をより強く、より大きく輝かせていく。

 

「いけ、ジークヴルム・ノヴァ!!Lv2・3アタック時効果!BP合計10000まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!プーカ、イワザール、幻竜皇ジラントを破壊!」

 

プーカ、BP1000。イワザール、BP3000。幻竜皇ジラント、BP6000。そのBPの合計は10000。ジークヴルム・ノヴァが広げた虹色の翼から降り注ぐ光の雨が全てのスピリットを破壊していく。

 

(間違いない。この男こそ、真の……!)

ライフ(ライフ:2→0)で受ける』

 

そして、ジークヴルム・ノヴァが炎を纏ってノイズの目の前に迫る。自身が巨大な流星と化したジークヴルム・ノヴァの一撃は、ノイズの全身を貫き、炭素の固まりへと変えて完全に破壊するのだった。

 

 

 

 

「いやはや、素晴らしい……予想以上の力だ」

「……あんたがソロモンの杖を使ってるのか。生憎だが……俺はこの空間でも普通に戦える。それとも、それで俺が倒れるのを気長に待つか?」

 

ソロモンの杖を手にするウェルを静かに見る弾。挑発するかのように繰り出した弾の言葉に不敵な笑みを返すと、ウェルはソロモンの杖を見て、すぐに視線を外し、首を横に振る。

 

「いえ、それは確実に倒れる保証があったらの話。装者達は近い時間に倒れるという確信があったからこそノイズをばらまきましたが、貴方に関しては通用しないと見るしかない……そして、ノイズ程度では勝てないとなれば当然、私が出るしかない」

「……へえ」

 

ウェルの纏っている、どこか不気味なカードバトラーとしての闘志を感じ取り、弾も面白そうな笑みを浮かべる。ウェルがソロモンの杖を左手に持ち替え、右手を腰あたりに移動させ、一つのカードケースに手を触れる。そして、弾とウェルは、同時に声を上げるのだった。

 

「「ゲートオープン!界放!!」」




コアブリットだからって滅茶苦茶やりすぎ?ソフィア号や獄龍隊の船をぶち抜いても特に損傷のない上にミサイルぶち込まれても中の人が数日寝れば完全回復するぐらいの怪我しかしない機械だから問題ないね(まぁミサイルは単純にバローネがタフだったのもあるけど)

でも獅子座のアタックでは壊れるという謎仕様


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第九話 ドクター・ウェル

すまない……ウェルのデッキを決めた理由が安直すぎるだらしない作者ですまない……


エクストリームゾーンを開いた二人はそれぞれのバトルフォームを纏い、フィールドに立つ。白衣の上から5つのコアを埋め込んだ銀色の鎧を纏ったウェルは、その鎧を慣れた様子で触りながら視線を弾へ移す。

 

(魔族時代の人類軍のアーマーか。確か、この時代でも各軍で使われているものだったな)

「さて、自己紹介がまだでしたね。僕はジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。まぁ長ったらしいんで他の人はウェルと呼んでますがね」

「馬神弾だ。ウェル、あんたは何でこんなことを?」

「さぁ、何ででしょうね?」

 

自己紹介をして、弾はウェルに問いかける。しかしそれをぼかしてウェルは弾に言葉を返していく。

 

「先行は譲りますよ。僕は後攻の方がコアが増えて好きなので」

「……スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ニジノコ2体を召喚(リザーブ:4→0)

 

【ニジノコ:黄(赤)・スピリット

コスト1:「系統:戯狩」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄(赤)】

 

【ニジノコ

コスト1

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄(赤)】

 

先行第一ターン。弾がまず呼び出したのは二体のニジノコ。黄色と赤だけでなく、Lvによって紫、白の合計四色を同時に賄えるスピリットを出して弾はウェルの一手を確認する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。珊瑚蟹シオマネキッドをLv2で召喚(リザーブ:5→0)!」

 

【珊瑚蟹シオマネキッド:白・スピリット

コスト3(軽減:白3):「系統:甲獣・殻虫」:【装甲:赤/白】

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:白】

 

ウェルはどんなカードを使うのか。そう考えていた弾の目の前で呼び出されたのア、赤いサンゴのような色をした強固な殻にその身を包んだ一体の蟹。左右非対称な大きさをした、小さな左手の鋏と巨大な右の鋏を持つシオマネキを連想とさせるスピリットは出現と共に右の鋏の刃を合わせて金属音を鳴らす。

 

(シオマネキッド……緑を軸にしたデッキか?)

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)、メインステップ。ネクサス、太陽石の神殿を配置(リザーブ:3→0)

 

【太陽石の神殿:赤・ネクサス

コスト5(軽減:赤3)

コア0:Lv1

シンボル:赤】

 

瞬間、弾の周辺の大地が揺れていき、弾の背後から巨大な石造りの神殿が出現する。天へと伸びたその神殿の頂上には赤いシンボルが存在し、それが太陽のように光を放っているのが確認できる。

 

「太陽石の神殿……?」

「ターンエンド」

 

どんな効果を秘めているのかは見当もつかない。しかし、今の自分の手札ではあのネクサスをどうすることも出来ないので、一先ずは置いておくしかない。

 

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。タマムッシュを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【タマムッシュ:緑・スピリット

コスト3(軽減:緑1):「系統:殻虫」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:緑】

 

コアブーストを行う青く輝く殻にその身を包んだタマムシ型のスピリット、タマムッシュを召喚するウェル。その効果を起動させ、僅かに不敵な笑みを見せる。

 

「召喚時効果、コアブースト!」

 

【タマムッシュ

コア1→2】

 

タマムッシュの召喚時効果により、ボイドからタマムッシュのLv]と同じ個数のコアがこのスピリットに置かれる。そして、緑のスピリットが現れたことでシオマネキッドの更なる効果が起動する。

 

「そしてシオマネキッド、Lv2効果!自分の緑のスピリットすべてに装甲:赤/白が与えられる!」

 

【タマムッシュ

【装甲:赤/白】】

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ」

 

ドローしたカード。それを手札に加えてもう一枚のカードを手に取っていく弾。その何気ない動きに、ウェルは自分の中のカードバトラーとしての本能が鳴らす警鐘を感じ取り、僅かに瞳を細める。

 

「双子座より来たれ、天空の術師と対を成す鎧!双児星鎧ブレイヴジェミニ、召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【双児星鎧ブレイヴジェミニ:黄・スピリット

コスト5(軽減:黄2):「系統:四道・光導」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:黄】

 

上空に出現する黄色の双子座。その光の中から二体の無機質な機械のフォルムを持つ、白と黒の二色で構築された二つの人型が姿を見せる。ブレイヴジェミニ、そう呼ばれるそのブレイヴは、黄色い帯を靡かせ、二つの人の姿を背中合わせにするようにしてフィールドに降り立つ。

 

「このブレイヴは……?」

 

今まで見たことのないブレイヴ。その姿を見てウェルも流石に驚きの表情を見せる。裏十二宮ブレイヴ、双児星鎧ブレイヴジェミニ。その出現を観測した二課も、弾とウェルの戦いを見守っていく。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。タマムッシュのコアを使い、カッチュウムシを召喚!」

 

【タマムッシュ

コア2→1】

 

【カッチュウムシ:緑・スピリット

コスト0:「系統:殻虫」:【装甲:赤/白】

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑】

 

手始めにウェルが緑の兜の殻を持つカブトムシを召喚する。まるで甲冑のように兜を纏っているその姿は、その殻が堅そうだと思わせる。そしてこのスピリットもまた緑のスピリットであるため、シオマネキッドの効果により装甲:赤/白が与えられる事となる。

 

「さらにネクサス、大樹茂る天守閣をLv2で配置(リザーブ:4→0)!」

 

【大樹茂る天守閣:緑・ネクサス

コスト3(軽減:緑1)

コア2:Lv2

シンボル:緑】

 

そしてウェルの背後から巨大な城が出現する。その城の最上部には巨大な大樹が姿を見せており、城の屋根や窓を突き抜けて生えている姿が確認できている。

 

「ターンエンド。今はまだ動く時ではない……」

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。ここは……先に仕掛ける!」

「……!」

「太陽よ、炎をまといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:4→0)!不足コストは、ニジノコ1体より確保!」

 

【ニジノコ

コア1→0】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤2・青2):「系統:神星・星竜」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

弾の横から紅蓮の皮膚と全身に埋め込んだ白い球体が特徴的なドラゴン、ジーク・アポロドラゴンが出現し、ゆっくりと這ってくるようにフィールドに降り立つ。そして立ち上がり、咆哮を上げると共にニジノコ1体が消滅する。

 

「来ましたか、ジーク・アポロドラゴン……!」

「その力、確かめさせてもらう!双児星鎧ブレイヴジェミニ、太陽龍ジーク・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!!」

「!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤+黄

コスト6+5→11

コア1→2:BP4000+5000→9000

シンボル:赤+黄】

 

ブレイヴジェミニの全身が光に包まれていき、その姿がジーク・アポロドラゴンと重なる。次の瞬間、ジーク・アポロドラゴンの右肩が黒い球体の装甲に包まれ、そこから右腕にかけて黒く、細身な装甲が装着されていく。対する左肩は白い球体の装甲に包まれ、左腕は右腕と同じく細身の白い装甲が装着されていく。右膝もブレイヴジェミニの膝が変化した黒い装甲が装着され、左膝も同じく白い装甲が装着される。そして背中から黄色い六本の光の帯が出現し、それを風に靡かせながら咆哮を上げ、全身から黄色い閃光を解き放った。

 

「なっ、これは……!」

「アタックステップ!いけ、合体(ブレイヴ)アタック!」

「大樹茂る天守閣、Lv2効果!相手のアタックステップ時、相手スピリットがアタックしたとき、デッキを上から1枚オープンできる!そしてそのカードが系統:「怪虫」/「殻虫」/「殻人」を持つスピリットならノーコストで召喚し、召喚しない場合や他のカードのときは破棄する!」

 

ウェルのデッキの上からオープンされていくカード。そしてそのカードを見て、ウェルは獰猛な笑みを浮かべる。何故なら、彼の視線の先にあったのは、系統:「殻人」を持つスピリットカード、コジュウ・カマキロウだったからだ。

 

「コジュウ・カマキロウ、ノーコストで召喚!不足コストはネクサスから確保する!」

 

【大樹茂る天守閣

コア2→1:Lv2→1】

 

【コジュウ・カマキロウ:緑・スピリット

コスト5(軽減:緑2):「系統:殻人」:【装甲:赤/白】

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:緑】

 

ウェルのフィールドに一つの風が巻き起こる。その風は左腕に弓の形をした殻をもつ、強固な殻に覆われた人型をしたカミキリムシのようなスピリット、コジュウ・カマキロウが姿を現す。

 

「!」

「このスピリットの召喚時、系統:「殻人」を持つ自分のスピリット1体につき、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く(リザーブ:0→1)!」

 

現在、ウェルのフィールドに存在する系統:「殻人」を持つスピリットは残念ながらコジュウ・カマキロウのみであるために増えるコアの数は1つだけ。しかし、ノーコストで呼び出された上に1コア増やしたのであればあまりにも上々だ。

 

「そしてコジュウ・カマキロウの効果で系統:「怪虫」/「殻虫」/「殻人」を持つ自分のスピリットすべてをBP+1000!」

 

【珊瑚蟹シオマネキッド

BP3000+1000→4000】

 

【タマムッシュ

BP2000+1000→3000】

 

【カッチュウムシ

BP1000+1000→2000】

 

【コジュウ・カマキロウ

BP4000+1000→5000】

 

「コジュウ・カマキロウにもシオマネキッドの効果で装甲:赤/白が追加されている!指定アタックは受けない!」

「ならどうでる?」

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:1→3)!」

 

コアが増え、スピリット達も並んで来たからか。それとも本人にエンジンがかかってきたからか。今までの丁寧な紳士のような雰囲気は剥がれ落ち、彼本人が持つ、獰猛なカードバトラーとしての人格が姿を見せている。それを象徴するかのように獰猛な笑みを浮かべたウェルに向けて両手を合わせ、光の球体を生み出したジーク・アポロドラゴンがダブルシンボルの一撃である球体を叩き付ける。その痛みと衝撃にウェルの身体が大きくよろめくものの、それに耐えるとウェルは不敵な笑みを浮かべる。

 

「くく……これが英雄の攻撃かぁ!」

「?何を言ってるんだ?」

 

羨望するかのように感嘆の声を漏らすウェル。流石の弾も彼の言葉の意味が理解できなかったのか首を傾げながら聞き返す。そんな弾の反応を見て、ウェルは喜びながら両手を広げ、声を張り上げる。

 

「文字通りの意味だよ!もう僕は目星を付けてるんだ!お前が、あのルナアタックの真の英雄なんだろう!?」

「ルナアタックの真の英雄?」

「またまたとぼけちゃって!地球に落ちようとする月の一部!このままでは星が滅んでしまう!そんな絶望的な状況で放たれた引き金!その引き金になったのはあんたなんだろう!?なぁ、英雄さんよ!」

 

オーバーリアクションを交えながら興奮気味に語り出すウェル。そこまで言われて弾は、あああのときかと漸く合点がいったような様子を見せる。確かにウェルの言っている事は何一つとして間違ってはいない。

 

「生憎だが俺は英雄じゃない」

「いいや英雄さ!真実が捻じ曲げられてるだけで、もし真実が公表されていればあんたが間違いなく英雄になっているんだから!」

「たとえそうだったとしても、そんな名誉も名声もくだらないね」

 

英雄に固執するウェルに対し、弾は逆に不敵な笑みを浮かべて英雄ということを否定する。否定し、英雄に対して自分がどう思っているのかをぶつけていく。

 

「そんなもので縛られるよりもただバトルがしたい、それだけさ。周りがどんな期待をしていようと、俺はその期待に応えるつもりはない。ただ、俺がやりたいようにやるだけさ」

「流石英雄だ。言う事が違う」

「確かに、一度そうならないと言えない言葉かもな」

 

不敵な笑みを崩さず、だが弾は静かに言う。対するウェルは、身振り手振りで相変わらずオーバーリアクションで語っていく。まさに静と動。英雄になることを求める男と、英雄であることをどうでもいいと一蹴する男。ある意味対極の存在に自分達は存在しているということを認識し、二人は会話を止めてバトルへと戻っていく。

 

「ターンエンド」

「くく、僕は英雄になるんだ!そのためにお前をぶっ潰し、更なる高みへ昇ってやる!スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:4→6)、メインステップ。さらにネクサス、無限蟻の地底都市をLv2で配置(リザーブ:6→3)!」

 

【無限蟻の地底都市:緑・ネクサス

コスト4(軽減:緑2)

コア1:Lv2

シンボル:緑】

 

ウェルの背後に聳え立つ巨大な天守閣。その隣に砂を唾液などで固めて作られたと思われる巨大な黄色い建物が出現する。地底深くに保存されていたであろうそのネクサスは、ウェルのスピリット達をサポートする強力な一枚としてこの場に顕現する。

 

「さらに!カッチュウムシと大樹茂る天守閣をLv2にアップ(リザーブ:3→0)!」

 

【大樹茂る天守閣

コア1→2:Lv1→2】

 

【カッチュウムシ

コア1→3:Lv1→2:BP1000→3000+1000→4000】

 

「アタックステップ!カッチュウムシでアタック!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

カッチュウムシが空へ浮き上がり、甲冑からジェット噴射を起こして弾へ一直線に突進する。そのアタックを受け止めた弾、それと同時にジーク・アポロドラゴンが纏うブレイヴジェミニが輝く。

 

「!」

「ブレイヴジェミニ、合体(ブレイヴ)時効果発揮!相手スピリットのアタックで自分のライフが減ったとき、デッキから1枚ドローする!」

「そんなもので止まるか!シオマネキッドでアタック!!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

シオマネキッドが見た目に反した俊敏な動きで弾へ迫り、その巨大な鋏を叩き付ける。再び弾のライフが削られ、ブレイヴジェミニの効果で弾はさらに1枚カードをドローする。

 

「タマムッシュでアタックゥ!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:2→3)!」

 

シオマネキッドと入れ替わりになる形でタマムッシュの体当たりも弾のライフを奪う。そしてドローされるカード。そしてこれで終いだと言わんばかりにウェルはコジュウ・カマキロウのカードに手をかける。

 

「コジュウ・カマキロウでアタック!!」

「ニジノコでブロック!」

 

緑の貫通効果持ちのスピリットが後に出てくる可能性を危惧し、ここはニジノコでブロックを宣言する。コジュウ・カマキロウの放った矢がニジノコを簡単に貫いて破壊し、弾のブロッカーを確実に消し飛ばす。

 

「エンドステップ!無限蟻の地底都市、Lv2効果で系統:「殻虫」/「殻人」をもつ自分のスピリットすべてを回復させる!」

 

ウェルのフィールドに存在する全てのスピリットがどちらかの系統を所持している。この効果で回復することも織り込んだ上でのこのターンのフルアタックなのだろう。一見すると荒っぽいバトルでありながらその実はとても練られた理論的なバトルを行う人物だと弾はウェルを評価していく。そして、彼の戦いはその、英雄になりたい、もっと上に行きたいという素直な欲求の上にある。彼がここにいるのも、そのために必要だと彼が感じているものがあるからなのだろう。

 

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:5→9)、メインステップ。ブレイヴジェミニを分離(リザーブ:9→8)!」

「何……自らブレイヴを分離させるだと?」

 

【双児星鎧ブレイヴジェミニ

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:黄】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤

コスト6

BP4000

シンボル:赤】

 

ジーク・アポロドラゴンが全身から黄色の光を放ちながらアーマーパージを行う。吹き飛んでいったアーマー達は再び一つになり、ブレイヴジェミニとなって再構築される。

 

「新たにブレイヴ、砲凰竜フェニック・キャノンを召喚(リザーブ:8→2)!」

 

【砲凰竜フェニック・キャノン:赤・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・白2):「系統:機竜・星魂」

コア3:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

何故合体(ブレイヴ)を解除したのか。ウェルが抱いたその疑問を、弾は新たなブレイヴを呼び出す事によって解決する。赤い機械の翼で空を滑るように飛ぶ、赤い二台の砲門が姿を覗かせたフェニックスを模したそのブレイヴはその照準をウェルの場に向ける。

 

「フェニック・キャノン、召喚時効果!BP4000以下の相手スピリット2体、またはBP4000以下の相手スピリットと相手のネクサス1つずつを破壊する!珊瑚蟹シオマネキッドと大樹茂る天守閣を破壊!」

 

コジュウ・カマキロウのBPパンプを受けてもギリギリBPは4000。そして装甲ではブレイヴの召喚時効果を防ぐ事は不可能なため、シオマネキッドと大樹茂る天守閣はフェニック・キャノンが放った無数の炎に包まれて焼き払われる。

 

「くっ……!ブレイヴで突破してきたか……!」

「シオマネキッドの効果を知らない内に過信しすぎたみたいだな。シオマネキッドが消えたことで装甲は消滅し、全てのスピリットがジーク・アポロドラゴンの的になる!フェニック・キャノンを、ジーク・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!Lv3に!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コスト6+5→11:【激突】

コア2→5:Lv1→3:BP4000→9000+3000→12000】

 

フェニック・キャノンの翼が消滅し、胴体がジーク・アポロドラゴンの背中に装着される。そして二台の砲門が両腕に装着され、全身から赤い光を放つ。

 

「ブレイヴを付け替えただと……!」

「ブレイドラをLv2で召喚(リザーブ:2→0)し、バーストセット!アタックステップ!」

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:赤】

 

オレンジ色の毛並みに剣の翼。弾の愛用する0コストスピリットを壁として呼び出し、アタックステップを宣言する。狙うのは、装甲を失ったウェルのスピリット達だ。

 

「いけ、合体(ブレイヴ)スピリット!ジーク・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果により、BP9000以下の相手スピリットを破壊する!コジュウ・カマキロウを破壊!」

 

ジーク・アポロドラゴンの翼が広げられ、飛び出す。そしてコジュウ・カマキロウに向けて砲門を向け、そこから放った炎の弾丸がコジュウ・カマキロウを貫き、燃やし尽くす。

 

【カッチュウムシ

BP3000】

 

【タマムッシュ

BP2000】

 

「さらに、ジーク・アポロドラゴンの効果により、回復状態の相手スピリットに指定アタックを行う!カッチュウムシを指定アタック!」

 

間髪いれずにジーク・アポロドラゴンがカッチュウムシを蹴り飛ばす。カッチュウムシが爆散すると、それと同時に弾の背後に聳えるネクサスの最上部に存在する赤のシンボルが強い光を放つ。

 

「この瞬間、太陽石の神殿の効果が発揮される!」

「っ、相手スピリットの破壊をトリガーにするネクサスだったのか!?」

「激突を持つ自分のスピリット1体が自分のターンの最初のアタックをし、BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、BP合計分の相手スピリットを好きなだけ破壊できる!タマムッシュを破壊!」

 

カッチュウムシのBPは3000、そしてタマムッシュのBPは2000。よってタマムッシュは太陽石の神殿の効果による破壊が可能となり、空から降り注ぐ炎の流星に押し潰されて破壊されてしまう。

 

「さらにブレイドラでアタック!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:9→10)!」

 

ブロッカーが存在せず、がら空きとなったウェルのフィールドに果敢に攻め込むブレイドラ。ウェルの眼前へ飛び上がったブレイドラが放った炎がウェルのライフを砕いていく。

 

「続けてブレイヴジェミニでアタック!」

「フラッシュタイミング!マジック、ブリザードウォール(コスト5(軽減:白4))使用(リザーブ:10→5)!このアタックはライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:5→6)!」

 

ブレイヴジェミニが飛び出し、ウェルへ光を纏った四本の手を振り降ろしてダメージを与える。その直後にウェルを守るように強烈な吹雪が吹き荒れていく。

 

「ブリザードウォールか……」

「このカードの発動後、このターンの間ブロックされなかった相手スピリットのアタックでは自分のライフは1しか減らされない!」

「ターンエンド!」

 

ギリギリまで自分を追い込み、勝利を追求するカードバトラー、ウェル。英雄を追い求める彼の姿は、ある意味で更なる高みを求めるカードバトラーとしてあるべき形であると言えるだろう。故に、彼のバトルにはどこか純粋な感情がある。目的のためにあらゆる戦術を、手を講じる彼を勝つには、弾がこの場で行う事のできる全力をぶつけるしかない。尤も、弾を勝つためには今の自分が持つ、使用できるカード達のポテンシャルを可能な限り引き出さなければいけないというのはウェルも感じ取っている事だろう。

 

スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:6→7)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:7→14)、メインステップ。さぁ出番だ!」

 

ドローしたカードを見て、ウェルはにやりと笑う。彼のデッキにおける最大のカード、それを呼び出し、弾を一気に仕留めにかかる。

 

「四つの天を束ねる影の王!今、その存在を雄叫びと共に呼び起こせ!始甲帝、Lv2で召喚(リザーブ:14→2)!」

 

【始甲帝:緑・スピリット

コスト8(軽減:緑3):「系統:殻人」

コア4:Lv2:BP15000

シンボル:緑緑】

 

空から落ちてくる巨大な姿。紅蓮の殻にその身を包み、四枚の羽を広げたそれは、額や肩、胸から緑の角を生やし、その右手には巨大な剣が握られているのが見える。

 

「!キースピリット、遂に出してきたか!」

「アタックステップ!始甲帝でアタック!この瞬間、Lv2アタック時効果を発揮!ターンに1回、自分の手札にある系統:「殻人」を持つスピリットカード1枚を、コストを支払わずに召喚することで、このスピリットは回復する!さぁこい!!蜂王フォン・ニード!召喚(リザーブ:2→1)!」

「!」

 

ウェルの手から放たれたカードが一筋の旋風と共にフィールドへと現れる。フィールドに出現する緑のシンボル。それが砕かれると同時に地中から緑色の閃光が溢れ出し、それは一つの球体となって空へと浮かんでいき、それが一筋の斬撃と共に両断され、その中から四枚の羽をもつ、金色の殻に身を包んだ巨大な蜂型スピリットが姿を現し、その手に握った槍を弾へと構える。

 

「!フォンニードか!」

「召喚時効果発揮!ボイドからコア3個をこのスピリットに置く!」

 

【蜂王フォン・ニード

コア1→4:Lv1→2:BP6000→10000】

 

「ならばこちらもその召喚時効果に対しバースト発動!双翼乱舞!デッキから2枚ドロー!」

「はっ、ドローしたところで始甲帝はダブルシンボル!こいつを防げるか!?」

「フラッシュタイミング!マジック、リブートコード(コスト3(軽減:白1))を使用!不足コストはブレイドラと合体(ブレイヴ)スピリットより確保!」

 

【ブレイドラ

コア2→1:Lv2→1:BP2000→1000】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア5→3:Lv3→2:BP9000→6000+3000→9000】

 

「自分のスピリットすべてを回復させる!このアタックはブレイドラでブロック!」

 

始甲帝の振り上げた剣がブレイドラを斬り捨てる。しかし始甲帝は回復している。ウェルはブロッカーが二体存在している弾のフィールドを見て、不敵な笑みを浮かべる。

 

「これで防いだつもりか!?僕のフォン・ニードがこんなもので止められるかよぉ!」

「さあ、それはどうかな?」

「止められるっていうなら、止めてみろ!フォン・ニードでアタック!アタック時効果発揮!BP合計10000まで相手スピリットを好きなだけ疲労させる!ブレイヴジェミニを疲労!」

 

フォン・ニードが槍を振り上げると、旋風が巻き起こりブレイヴジェミニを縛り付ける。そしてブロッカーはジーク・アポロドラゴンのみ。

 

合体(ブレイヴ)スピリットでブロック!」

「ライフ削ったら回復するから、防ぐしかないよなぁ!!」

 

ジーク・アポロドラゴンが構えた砲台から大量の弾丸が放たれ、フォン・ニードを襲う。それを華麗な動きで避けていくと、フォン・ニードは槍を構え、一瞬のチャンスを狙ってジーク・アポロドラゴンの額を貫き、その身体を破壊する。

 

「フェニック・キャノン、分離!」

 

【砲凰竜フェニック・キャノン

コア3:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

フェニック・キャノンが分離し、弾のフィールドに現れる。しかし、これで弾のフィールドは最早がら空き。そこを狙い、ウェルは更なる攻撃の命令を始甲帝へ与える。

 

「始甲帝でアタック!このダブルシンボルで終わりだぁ!」

「フラッシュタイミング!」

「何!?」

「マジック、ミストバラッジ(コスト2(軽減:白1))使用(リザーブ:1→0)!不足コストはフェニック・キャノンより確保!」

 

【砲凰竜フェニック・キャノン

コア3→2】

 

「始甲帝を指定し、このターンの間、指定されたスピリットのアタック/効果では自分のライフを減らせない!」

「だったらこちらもフラッシュタイミング、タフネスリカバリー(コスト3(軽減:緑2))使用(リザーブ:1→0)!フォン・ニードにBP+2000!」

 

【蜂王フォン・ニード

BP10000+2000→12000】

 

「その後、そのスピリットがBP10000以上ならそのスピリットを回復させる!フォン・ニード、回復!」

「このアタックはライフだ!」

 

始甲帝が振り上げた剣に霧が纏わり付く。霧はクッションとなって弾を剣から守り、始甲帝を逆にウェルのフィールドへと吹き飛ばしていく。

 

「フォン・ニードでアタック!!」

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

フォン・ニードの振り上げた槍が弾へと叩きつけられ、遂にライフが砕かれる。そしてライフが砕かれた事で、ウェルはフォン・ニードが持つ更なる効果を起動させる。

 

「フォン・ニード、Lv2アタック時効果!相手のライフを減らしたとき、このスピリットのコア3個を自分のトラッシュに置くことでこのスピリットは回復する!」

 

【蜂王フォン・ニード

コア4→1:Lv2→1:BP10000→6000】

 

「フォン・ニード、再度アタック!!これで終わりだ!」

「フラッシュタイミング!マジック、リブートコード(コスト3(軽減:白1))使用(リザーブ:1→0)!」

「!?二枚仕込んでいたのか!?」

「不足コストはフェニック・キャノンより確保!」

 

【砲凰竜フェニック・キャノン

コア2→0】

 

「ブレイヴジェミニを回復!このアタックはブレイヴジェミニでブロック!」

 

フォン・ニードが再度振り上げた槍は、弾ではなくブレイヴジェミニへと叩きつけられる、そしてブレイヴジェミニの身体が吹き飛んでいき、弾はこのターンを何とか凌ぐこととなる。

 

「エンドステップ、無限蟻の地底都市の効果でフォン・ニードと始甲帝を回復!ターンエンドだ!」

「お前の全力、受け止めた!次はこっちが来たカードと共に全力をぶつける番だ!スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→13)、メインステップ。ブレイドラ、星鎧龍ジーク・ブレイヴを召喚(リザーブ:13→8)、ブレイドラはLv2で召喚する」

 

【ブレイドラ

コスト0

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:赤】

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:星竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

空が暗く染まり、稲妻が響く。そして天から出現する、赤い機械の身体を持つドラゴン。その瞳を白く輝かせ、額の赤い結晶を輝かせ、背中から生えた黄色い翼を広げて咆哮を上げる。

 

「ここにきて、新たなブレイヴだと……!」

「駆け上がれ!神の名を持つ赤き龍!太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、Lv2で召喚(リザーブ:8→0)!」

 

【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤3):「系統:神星・星竜」

コア4:Lv2:BP9000

シンボル:赤】

 

弾の眼前。上空で真っ赤に燃える太陽が出現し、大地を焦がそうとする。その熱は地中深くに眠る太陽を呼び起こし、激しい風圧が吹き荒れると共に地面が砕け散る。砕けた地面から出現するのは、太陽のように赤く燃える紅蓮の身体。膝、両肩、胸、頭に埋め込まれた輝く翠色の宝石。金色の装甲が全身を包み、空へと金色の翼を広げ、太陽神龍は太陽の炎を払って降臨する。

 

「っ、ジーク・アポロドラゴンの上をいくスピリットだと!?」

「星鎧龍ジーク・ブレイヴを太陽神龍ライジング・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!Lv3に!」

 

【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン

コスト7+4→11

コア4→5:Lv2→3:BP9000→11000+5000→16000

シンボル:赤+赤】

 

ジーク・ブレイヴの額の赤の結晶が光り輝き、その姿が天へと羽ばたく。そしてその翼が分離して身体が消滅し、自身の翼を消滅させた太陽神龍の背中と一つとなる。そして黄色い六枚の羽が左右両方に広げられ、ライジング・アポロドラゴンが全身から赤い閃光を漲らせる。

 

「アタックステップ!」

 

ジーク・ブレイヴと一つになったライジング・アポロドラゴンと共にアタックステップへ。それを宣言した次の瞬間、弾のアーマーのスラスターが開かれ、虹色の翼が出現していく。

 

「いけ、合体(ブレイヴ)スピリット!ライジング・アポロドラゴンの効果により、始甲帝を指定アタック!」

 

ライジング・アポロドラゴンが翼を広げ、始甲帝へと襲い掛かる。炎を纏って突進してきたライジング・アポロドラゴンを前に剣を構え、迎え撃とうとする始甲帝。だが、弾の攻撃はこの程度で終わるほど優しくはない。

 

「フラッシュタイミング!マジック、メテオストーム(コスト4(軽減:赤2))!不足コストはブレイドラより確保!」

 

【ブレイドラ

コア2→0】

 

ヴルムを対象として発動されるマジック、メテオストーム。その効果は、ジーク・ブレイヴの合体(ブレイヴ)時効果によってカード名にジークヴルムが入っているものとして扱われるライジング・アポロドラゴンに適用され、このターンの間、新たなアタック時効果を得る。

 

「く……!」

 

炎を纏ったライジング・アポロドラゴンと剣が激突する。一瞬の均衡、それは、剣が破壊される音で崩れ、始甲帝はその身体を燃やし尽くされて消えていく。

 

「ライジング・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果!BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、相手のスピリット/ブレイヴ/ネクサス、どれか1つを破壊する!蜂王フォン・ニードを破壊!」

 

さらに間髪いれずにライジング・アポロドラゴンは天高く飛翔し、そこから炎をフォン・ニードへと浴びせていく。炎を浴びぜられたフォン・ニードはその身体を燃やし尽くされ、全てのスピリットをウェルは失う事となる。

 

「さらに、メテオストームによって得たアタック時効果発揮!BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、このスピリットが持つシンボルと同じ数、相手のライフのコアを相手のリザーブに置く!合体(ブレイヴ)スピリットのシンボルは二つ!よってお前のライフ(ライフ:1→0)を二つ破壊する!!」

「これが……英雄……!!」

 

空から降り注ぐ大量の流星。その中でも一際巨大なものがウェルへと降り注ぎ、それはウェルの最後のライフを破壊してその身体をエクストリームゾーンの外へと吹き飛ばすのだった。



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第十話 終わりに挑む者

エクストリームゾーンから出た弾は、地面に大の字で倒れるウェルの姿を見る。彼はゆっくりと起き上がり、ソロモンの杖を地面に突き立てて自分の身体を支えながら立ち上がると、懐に置いてあったケージに手を伸ばす。

 

「あんたの負けだ……さあ、どうする?大人しくしているか?」

「ええ、そうさせてもらいます……僕はね」

「!」

 

そしてそのケージをあらん限りの力を込めて放り投げる。同時にウェルの握った杖から空へ放たれた緑の閃光が一つの飛行型ノイズを作り出し、そのノイズがケージを自分の一部として取り込んで海へと飛翔していく。

 

「何!?」

「このまま直進すると、海に出ます!」

(さて、身軽になった所でそろそろ戻ってくるであろう彼女達を待ちますかね……)

 

どこか明るくなりかけた空を見ながら、ウェルはそのノイズを見る。一方、ウェルが所持していたケージをノイズに取り込ませて逃がそうとしていることを観測した弦十朗達は、通信を通じて響達へと語りかける。

 

「装者達はノイズを仕留め、ケージを奪い取れ!同時に弾君の元へ向かい、彼を確実に拘束するんだ!」

 

弾の働きかけによって適合係数も通常のレベルにまで改善することができた装者達は空を飛び、一直線に海面へと向かうノイズを見た後に顔を見合わせる。

 

「あいつは私が何とかする!二人は弾の元へ!」

 

翼はそう言うと、シンフォギアによって上昇した身体能力を活かしてノイズを追い掛けていく。残った響とクリスは顔を見合わせると弾の元へ向かうために地面を蹴って弾がコアブリットでぶち抜いた穴の中に入る。そして新たに増えた二人の装者を見て、ウェルもこれ以上抵抗はしないという合図をするかのように両手を上げて降参のポーズを取る。

 

「翼さん、逃走するノイズに追いつきつつあります!ですが……!」

 

一方、翼もウェルが放った逃走するノイズとの距離を縮めていく。大地を素早く駆けていく彼女、しかし、その追いかけっこも限界が近付いていた。それは、地面という限界。翼が蹴り、速度を上げるために必要となる地面がもうすぐ無くなろうとしているのだ。

 

「位置を調節!」

 

そのための策として弦十朗は素早く指示を飛ばす。そして、

 

「飛べ!翼!!」

「飛ぶ?」

 

素早く指示を与える。飛べとはどういうことか。一瞬疑問を抱いた彼女に慎次が付け足すように短く、簡潔に通信を伝えていく。

 

「海に飛んでください!」

 

海に飛べ。それが何を意味するのかは理解できない。しかし、彼等の狙いはおそらくこの状況を打開する術となる筈だ。そう確信した翼は勢いよく地を蹴って空へと飛び出す。そのまま高度を高めていき、高度だけであればノイズと同じ位置にまで辿り着く。しかし、そこから先は放物線を描きながら落下するだけ。そして翼が海面に着水しそうになった瞬間。

 

「仮説本部、急速浮上!!」

 

翼の真下の海面に影ができる。その影は、巨大な潜水艦となって海中から水面へと勢いよく飛び出し、その上に着地した翼は下から上へと押し出す力も受けながら今一度大きく潜水艦を蹴って空へと飛び出し、ノイズの真上を取ることに成功する。そしてノイズの姿を捉えると、ゲートを開くために口を開く。

 

「ゲートオープン!界……!?」

 

が、その言葉は最後まで出てはこなかった。咄嗟に空からの殺気を感じ取って剣を上に向ける。次の瞬間、水平線の向こう側から差し込んだ朝日と共に空から一本の槍が翼へと放たれ、それが刀身とぶつかって甲高い音を響かせると共に翼を海面へと叩き落とす。

 

「っ!?」

「つ、翼さん!?」

 

丁度、ウェルを拘束して仮説本部である潜水艦に彼を移動させるために移動してきた響とクリスも、翼が何ならかの攻撃によって撃墜される様子を確認する。

 

「あれは……槍かよ!?」

 

そしてノイズが音を立てて砕け、その中にあったケージが突如として透明になって消えていく。だが、それよりも翼は自分に襲い掛かったそれに目を奪われていた。金色の刃を持つ黒い槍。それが自分の得物と衝突した際に空へと弾き飛ばされながらも急に回転などを止めて海面に突き立てられたかのように浮き上がる。それを見てクリスが驚いた様な声を上げた直後、廃病院から飛び出したコアブリットが響達の近くに着陸し、弾がコアブリットの中から出てくる。

 

「槍……あれが、例の黒いガングニール……」

 

少しだけ厳しい声音を漏らす弾。彼等の目の前に浮き上がる一本の槍。その上から、黒いマントと黒い装甲を纏った桃色の髪の女性がゆっくりと降り立つことで槍が一度上下に動き、それによって槍の先端が海面に触れることでその振動が小さな波を作り出す。

 

「あいつは……!」

 

水平線より出現した太陽の光。それをバックに現れたのは、敵の装者の一人。黒いガングニールの装者、マリア。何故彼女がここに。そう、口には出さずとも疑問を抱いた響とクリス。そんな彼女達に、遠からずも近からずな答えを告げるようにウェルはゆっくりと口を開いていく。

 

「時間どおりですよ、フィーネ」

「「!?」」

 

ウェルが零した言葉、フィーネ。それが意味していることはただ一つ。

 

「フィーネ……だと……!?」

「終わりを意味する名は、我々組織の象徴であり、彼女の二つ名である」

「まさか、じゃあ……あの人が!?」

(フィーネの新たな転生体……)

「新たに目覚めし、再誕したフィーネです!」

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴ。彼女こそが、新たにフィーネの魂を宿した存在であるということ。その証明に他ならない。響達の中に駆け巡ったその衝撃の真実を証明するかのように、フロンティアの調査から戻ってきたマリアは、冷酷な瞳を翼へと向けた。

 

「フィーネ……」

 

輪廻を巡り、転生を繰り返す者。つまり、敵は聖遺物に関した異端技術を所持しているからこそフィーネと名乗っていた訳ではなく、彼女達の象徴たるガングニールの装者、マリアがフィーネの新たな転生体として目覚め、組織を統べているからということか。

 

「……またしても先史文明期の亡霊が俺達の前に立ちはだかるのか……」

 

やりきれない。そう言うかのように悔しそうに、苦しそうに声を漏らす弦十朗。彼の脳裏に浮かんでいたのは、かつて自分達の仲間であった、ルナアタック事件を引き起こしたあの戦いにおける黒幕。

 

「また戦わなくちゃいけないのか……了子君……!」

「……でも、そんなのって……」

 

マリアが新たなフィーネ。そう告げられた響は、呆然となりながら声を漏らす。あのとき、フィーネは、いや了子は確かに自分達に未来を託して消えていった。そんな彼女が、再び自分達の前に立ち塞がろうというのか。

 

「リインカーネーション……」

 

身体を失ったフィーネの魂は、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者がコアエネルギーによって動いた、神の手によって統一言語が失われる以前の聖遺物とは違う、統一言語喪失後に創られた、歌によって得られるエネルギー、フォニックゲインが持つアウフヴァッヘン波形に触れることでその遺伝子に刻まれた記憶が宿主の魂を転召させることによって目覚める。そしてその際、宿主の持つ魂、肉体はフィーネに侵食されて消えてなくなる。それをそのままマリアに当てはめると。

 

「じゃ、じゃあもうアーティストのマリアさんはいないってことですか!?」

「さて……それに関しては自分も知りたい所ですね……」

 

眼鏡の奥のウェルの瞳が細められる。その視線の先に立つマリアは、空へ消えたケージを仰ぐかのように一度空に視線を向けながら、静かに思考を展開していく。

 

(ネフィリムを死守できたのは行幸……とはいえ、この状況はどう動くべきかしら)

「ふっ!」

「!」

 

これからの動きを模索していくマリア。そんな彼女の行動を決定づけたのは、海面から飛び出し、潜水艦の上に着地した翼の姿。見れば、彼女の身体には攻撃を防御されていたということもあり、あまりダメージは見えない。一度潜水艦の上に着地した翼は、潜水艦を蹴って海面に飛び出すと、両脚から剣を出現させ、そこからブースターを吹かせて海面を滑るように移動し、マリアへと迫る。

 

「あの程度の攻撃で仕留められるなどと甘く見るな!」

「甘く見てなどいない!」

 

一度槍を蹴ってさらに空へと舞い上がるマリア。そして空へと飛び出すと共に彼女が乗っていた槍が空へ上がり、それを手に握って翼の頭上を取る。

 

「だからこそ、今度は全力で戦わせてもらう!!」

「貴様の真の太刀筋、断ち切らせてもらう!私の天羽々斬で!!」

 

海面を蹴って翼が空へと飛び出す。そして二人は、互いの持つ真の力を相手へと叩き付け、勝利を手にするためにその言葉を口にする。

 

「「ゲートオープン!界放!!」」

 

二人の身体が光に包まれて消えていく。そしてエクストリームゾーンへと入った二人は、互いに以前とは相手の気配がどこか違うことを感じ取る。よくは分からないが、敢えて言うなら共に戦う何者かが新たに現れたことで以前よりも少しだけ心に余裕ができている。そんな感覚。だが、今更そんなことに言及する必要性はない。そう切り捨ててマリアは口を開く。

 

「先行は頂く!スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!まずはこいつよ!ゲッコ・ゴレム、召喚(リザーブ:4→2)!」

 

【ゲッコ・ゴレム:青・スピリット

コスト1(軽減:青1):「系統:甲竜・造兵」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青】

 

茶色の皮膚をもつヤモリ型のスピリットを呼び出すマリア。その四本の足はそれぞれ五つの指に分かれており、その先端には鋭い爪が見える。そして胴体からは青い水晶の刃のようなものが無数に生えており、瞳もまた青い水晶のようになっている。

 

「このスピリットは……」

「ゲッコ・ゴレムをただの青のスピリットと思わないことね!自分のメインステップ時、ゲッコ・ゴレムには白のシンボル2つが追加される!」

 

【ゲッコ・ゴレム

シンボル:青+白白】

 

マリアが手を翳すと、ゲッコ・ゴレムの頭上に二つの白のシンボルが出現する。出現した白のシンボルはゲッコ・ゴレムの中に吸収され、マリアのフィールドに置いてあるゲッコ・ゴレムのカードの青のシンボルの横に白のシンボル二つが同時に出現する。

 

「さらにネクサス、デッキマウンテンを配置(リザーブ:2→0)!」

 

【デッキマウンテン:白・ネクサス

コスト4(軽減:白3)

コア0:Lv1

シンボル:白】

 

巨大な地鳴りが響き渡る。その音と共にマリアの背後から巨大な山が出現する。いや、山と思っていたそれはただの山ではない。無数の砲台がまるで山を覆う森のように生えている鉄壁の古城となったそれは、マリアという司令官が収める鉄壁の城として顕現する。

 

「ターンエンドよ」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!」

 

メインステップを宣言し、手札から1枚のスピリットを呼び出そうとする翼。それを手にかけた瞬間、彼女はそのスピリットの軽減シンボルが1つ消えていることに気付く。

 

「!?軽減シンボルが……」

「気付いたようね!これがデッキマウンテンの効果!お互いの手札にあるコスト3以下のスピリット/アルティメットすべての白/青以外の軽減シンボルは無いものとして扱う!」

「だからか……だが、その程度だ!ウバタマンを召喚(リザーブ:5→2)!」

 

【ウバタマン:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1・青1):「系統:殻人」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:緑】

 

緑の軽減シンボルを失っていたウバタマムシをモチーフとした二足歩行をする昆虫型スピリット、ウバタマンを呼び出す。彼女のデッキにおいてこのスピリットは連鎖(ラッシュ)を発揮するための足掛かりとしても有意義な存在である。

 

「ウバタマンはお互いのメインステップ時、青のシンボル1つが追加される!」

 

【ウバタマン

シンボル:緑+青】

 

「これによりマジック、ストロングドロー(コスト3(軽減:青2))使用(リザーブ:2→0)!デッキから3枚ドローし、その後手札2枚を破棄!」

 

海帝国の秘宝、魔王蟲の根城。二枚のカードがトラッシュへと破棄されていく。そしてこのターンでできる全ての行動を終えた翼は静かにターンを終了させる。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!ゲッコ・ゴレム、デッキマウンテンを共にLv2にアップ(リザーブ:4→2)!」

 

【ゲッコ・ゴレム

コア1→2:Lv1→2:BP1000→2000】

 

【デッキマウンテン

コア0→1:Lv1→2】

 

「続けてターコイズ・ドラゴンを召喚(リザーブ:2→0)!」

 

【ターコイズ・ドラゴン:白・スピリット

コスト3(軽減:白1・青1):「系統:甲竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:白】

 

一体の見るからに固く加工された白銀の装甲に身を包まれたドラゴンがゲッコ・ゴレムの隣に出現する。その四本の足にはターコイズブルーの爪が生えており、背中からは青いブースターが翼のように生えている。背中からは巨大な砲台のようなものが姿を見せており、青い機械の瞳を光らせながらどこか機械的な咆哮を上げる。

 

「アタックステップ!ターコイズ・ドラゴンでアタック!」

「!もう攻めてくるか……」

 

ターコイズ・ドラゴンが今一度咆哮を上げて地を蹴って浮かび上がり、ブースターを用いて空を飛ぶ。それと同時にデッキマウンテンが輝き、ターコイズ・ドラゴンの効果を発揮させる。

 

「この瞬間、デッキマウンテン、Lv2効果発揮!系統:「甲竜」を持つ自分のスピリット/アルティメットのブロック時効果はアタック時に発揮される!」

「ブロック時効果をアタック時に!?」

 

次の瞬間、ターコイズ・ドラゴンの背中から二つの光が天へと打ち上げられ、それをターコイズ・ドラゴンがその身に浴びていく。次の瞬間、フィールドのターコイズ・ドラゴンのカードの上に二つのコアが増えていく。

 

「アタック時となったターコイズ・ドラゴンのブロック時効果発揮!ボイドからコア2個をこのスピリットに置き、BP+3000!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア1→3:Lv1→2:BP2000→4000+3000→7000】

 

「さらに青の連鎖(ラッシュ)が発揮され、ターンに1回、コスト10以上の自分のスピリットすべてを回復させるけ、こちらの効果はこのスピリットの本来の役割を考えればほぼ無意味なもの!さぁ、このアタックはどう受けるつもりかしら!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ターコイズ・ドラゴンが翼の眼前へと迫り、その首を上げる。そして勢いよく顔を叩き付けることで翼のライフを破壊し、先制攻撃を命中させる。

 

「……っ」

「ターンエンドよ。防人と自負している力、まさかその程度ではないでしょう?」

「ふっ、その余裕、いつまで見せていられるか!スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→6)!メインステップ!碧海の剣聖マーマリアンを召喚(リザーブ:6→3)!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン:青・スピリット

コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣使・異合・創手」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:青】

 

翼のフィールドに緑の長髪を揺らす青い鎧に身を包んだ人魚が現れる。その右手にはトライデントのように三つに刀身が分かれた剣が握られているのが確認できる。ブレイヴと合わせることでその力を発揮させるスピリットだが、デッキマウンテンの力を受けて本来は軽減される筈の1コスト分が余計に支払わされることとなってしまった。

 

「次はこちらから行かせてもらう!フォビッド・バルチャー、召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【フォビッド・バルチャー:青・ブレイヴ

コスト5(軽減:青2):「系統:戦獣・爪鳥」

シンボル:なし】

 

瞬間、鳥の嘶きが響き渡る。嘶きと共に舞い上がる漆黒の翼をもつ長い首を持つ巨鳥。獣のように荒々しい獰猛な爪を地面に突き立て、全身に絡みついた鎖を揺らして音を鳴らす。

 

「!ブレイヴか!?」

「フォビッド・バルチャーをマーマリアンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コスト3+5→8:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

BP3000+4000→7000】

 

フォビッド・バルチャーの身体に纏われた鎖や身体が消滅し、翼だけが残る。その翼はマーマリアンの背中と重なって一つとなり、マーマリアンは空を舞う翼を手にする。

 

「フォビッド・バルチャー、召喚時効果!トラッシュにある紫/緑/青のネクサスすべてをノーコストで配置する!海帝国の秘宝、魔王蟲の根城を配置!」

 

【海帝国の秘宝:青・ネクサス

コスト4(軽減:青2)

コア0:Lv1

シンボル:青青】

 

【魔王蟲の根城:緑青・ネクサス

コスト5(軽減:緑2・青1)

コア0:Lv1

シンボル:緑青】

 

フォビッド・バルチャーの効果によりトラッシュから現れる二枚のネクサス。三体の龍がとぐろを巻き、赤い光が渦巻く水晶を囲む形状をしたネクサス、海帝国の秘宝が出現し、彼女の背後に安置される。さらにその背後に一本の樹が出現する。秘宝を遥かに超える巨大なその樹木は、無数の枝に白い繊維のようなものを固めて作り上げた不格好な住居が絡みついており、正に虫達の根城と言う印象を見受けられる。

 

「っ……全くもって、可愛げのない……!」

「可愛げなど、とうに投げ捨てたつもりだ!アタックステップ!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!」

 

マーマリアンが剣を振り抜き、マリアへ向かって飛び上がる。それと同時にマーマリアンが持つその合体(ブレイヴ)時効果を発揮させる。

 

「この瞬間、マーマリアン、合体(ブレイヴ)時効果発揮!デッキから2枚ドローし、手札1枚を破棄する!」

 

二枚のカードを引き、手札から海帝国の秘宝を破棄する。もしデッキマウンテンが無ければこのカードを破棄することもなかったのだが、この際仕方のないことだ。

 

「さらに緑のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!ボイドからコア1個をこのスピリットに置く!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コア1→2:Lv1→2:BP3000→5000+4000→9000】

 

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

このアタックをゲッコ・ゴレムで受けるのは今は都合が悪い。そう判断したマリアはマーマリアンの一撃を自らのライフで受ける決断をする。マーマリアンの振り下ろした刃が自分のライフを砕く。砕かれたとほぼ同時に翼がフォビッド・バルチャーの効果で配置した魔王蟲の根城が光を放つ。

 

「この瞬間、魔王蟲の根城の効果発揮!連鎖(ラッシュ)を持つ自分のスピリットのアタックで相手のライフが減ったとき、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く(リザーブ:0→1)!私はこれでターンエンド!」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→3)!メインステップ!ターコイズ・ドラゴンをLv1にダウン(リザーブ:3→5)!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア3→1:Lv2→1:BP4000→2000】

 

フェイタルドロー(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:5→1)!デッキから2枚ドローする!そしてバーストをセット!」

 

赤のマジックによってドローした一枚のカード。それを確認した後にバーストとしてそれをセットする。これでメインステップに行う行動は全てやった。後は、アタックを宣言するだけだ。

 

「アタックステップ、ターコイズ・ドラゴンでアタック!デッキマウンテンの効果によってブロック時効果をアタック時に発揮!ボイドからコア2個をこのスピリットに置き、BP+3000!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア1→3:Lv1→2:BP2000→4000+3000→7000】

 

再びターコイズ・ドラゴンが翼へと襲い掛かる。今回のアタックも、ウバタマンでブロックすること自体は可能だが、敢えてそれはしない。

 

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

ターコイズ・ドラゴンの頭が再度翼のライフを破壊する。しかし、それと同時にマーマリアンが纏ったフォビッド・バルチャーの翼が広げられ、旋風が二つのフィールドを遮断する。

 

「!」

「フォビッド・バルチャー、合体(ブレイヴ)時効果!コスト4以下のスピリットがアタックしているバトルが終了したとき、アタックステップを終了する!」

「既にコアブーストは完了している!問題はない!ターンエンド!」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→8)!メインステップ!バルカンバイソンをLv2で召喚(リザーブ:8→4)!1コアは合体(ブレイヴ)スピリットから移動させる!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コア2→1:Lv2→1:BP5000→3000+4000→7000】

 

【バルカンバイソン:青・スピリット

コスト6(軽減:青3・極1):「系統:異合」:【強襲:1】

コア2:Lv2:BP7000

シンボル:青】

 

畳みかけるように翼が呼び出したのは、深緑色のアーマーに身を包んだ二本の後ろ脚で二足歩行を行うバイソン。その前足には一本の巨大なバルカンが握られており、黒い銃身を光で反射させる。Lv2以上である間、強襲を得る頼れるスピリットを呼び出し、さらにリザーブにあるコアをばらまいていく。

 

「海帝国の秘宝と魔王蟲の根城をLv2にアップ(リザーブ:4→1)!」

 

【海帝国の秘宝

コア0→1:Lv1→2】

 

【魔王蟲の根城

コア0→2:Lv1→2】

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アタック!」

 

マーマリアンが剣を振り上げ、ゲッコ・ゴレムしかブロッカーが存在しないマリアのフィールドへと攻め込む。それによって再びマーマリアンの合体(ブレイヴ)時効果が起動し、翼はデッキから2枚ドローする。しかし、ここでさらにネクサス、海帝国の秘宝の効果が発動される事となる。

 

「海帝国の秘宝、Lv2効果!自分のアタックステップ時、自分の青のスピリット/アルティメットの効果で破棄される自分の手札の枚数を-1枚する!よって、マーマリアンの効果で破棄される1枚のカードは破棄されなくなる!さらに連鎖(ラッシュ)によりコアを1つ追加!」

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コア1→2:Lv1→2:BP3000→5000+4000→9000】

 

「まだ終わらない!フラッシュタイミング!魔王蟲の根城、Lv2効果発揮!お互いのアタックステップ時、神速でスピリット/ブレイヴを召喚するとき、ターンに1回、ノーコストで召喚できる!ダーク・ジガワスプ、神速召喚(リザーブ:1→0)!」

 

【ダーク・ジガワスプ:緑・スピリット

コスト3(軽減:緑2):「系統:怪虫」:【神速】【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑】

 

翼のフィールドに出現する、紫色の身体をもつ蜂のような姿をしたスピリット。その身体には毒々しい深緑色のラインが刻まれており、赤く光る瞳を向け、鋭い歯を見せる。

 

「ちっ……コストを踏み倒されては、デッキマウンテンも効果がない!」

「青のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!コスト3以下の相手スピリットを破壊する!ターコイズ・ドラゴンを破壊!」

 

ダーク・ジガワスプの尻尾の針が発射され、ターコイズ・ドラゴンの装甲と装甲の間にある柔らかい関節部分に突き刺さっていく。それによってターコイズ・ドラゴンの身体の中から徐々に電気がスパークとなって溢れ出し、大爆発を引き起こす。

 

「まだアタックは続いている!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:4→5)!」

 

マーマリアンの刃がマリアに突き立てられる。ライフが砕かれ、それを引き金としてネクサス、魔王蟲の根城が光を放つ。

 

「魔王蟲の根城の効果でボイドからコアをリザーブに置く(リザーブ:0→1)!」

「こちらもライフ減少によりバースト発動!絶甲氷盾(コスト4(軽減:白1))!ボイドからコア1個を自分のライフ(ライフ:3→4)に置く!さらにフラッシュ効果発揮(リザーブ:5→2)!このバトル終了時、アタックステップを終了させる!」

 

今度は氷の壁が二人のフィールドを分断する。再び攻め手を失った翼は少し悔しそうな表情を一瞬だけ浮かべるものの、すぐに思考を切り替える。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→10)!メインステップ!甲剣士ブリザードをLv2で召喚(リザーブ:10→6)!」

 

【甲剣士ブリザード:白・スピリット

コスト5(軽減:白2・青2):「系統:剣使・甲竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア2:Lv2:BP7000

シンボル:白】

 

ゲッコ・ゴレムが自身の効果で増やした白のシンボルを使って軽減され呼び出される新たなスピリット。白のシンボルが砕かれ、その中から黒い鎧を纏った青いドラゴンが現れる。その手には無数の刃がワイヤーのようなものを通じて連結している連結剣が握られているのが確認できる。

 

「こちらもブレイヴでいかせてもらうわ!現れなさい!突機竜アーケランサー、召喚(リザーブ:6→1)!」

 

【突機竜アーケランサー:赤・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・白2):「系統:空牙・機竜」

コア2:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

続けてマリアが召喚したのは、二本の槍を携えた金色の機械翼を持つ戦闘機。赤い尾が糸を引く、八台の赤いジェットエンジンを用いて空を飛ぶそのブレイヴは、最初は空を舞っていたがその標的を翼のネクサスへと向ける。

 

「!」

「召喚時効果!デッキから1枚ドローし、相手のネクサス1つを破壊する!魔王蟲の根城を破壊!」

 

アーケランサーが魔王蟲の根城へと突っ込んでいき、その樹木の幹を貫く。幹を貫かれた魔王蟲の根城は、アーケランサーのエンジンから放たれていた高熱によって燃え上がり、一瞬にして炭になって燃え尽き、消えていく。

 

「く……!」

「さらに、アーケランサーを甲剣士ブリザードに合体(ブレイヴ)!Lv3に!」

 

【甲剣士ブリザード:白+赤

コスト5+5→10

コア2→4:Lv2→3:BP7000→8000+3000→11000】

 

アーケランサーのエンジン部分が一気に消滅し、二本の槍と残った羽の部分が分離する。そして赤い柄の槍は剣を手放したブリザードの両手に握られ、その背中にアーケランサーの羽が装着、同時に全身の黒い鎧が赤く染まり、ブリザードの全身から赤い光が放たれる。

 

「っ……やはり合体(ブレイヴ)スピリットで来たか……!」

「アタックステップ!いけ、合体(ブレイヴ)スピリット!甲剣士ブリザード、バトル時効果により、BP5000以下の相手スピリット1体を手札に戻す!ウバタマンを指定!」

 

ブリザードが槍を振り抜くと、白い斬撃が放たれてウバタマンを吹き飛ばす。光と共に吹き飛んだウバタマンはそのまま翼の手札に戻っていき、槍を構え直したブリザードは翼へと迫る。

 

「さらに青のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!デッキから2枚ドローし、手札1枚を破棄!」

 

手札を増やし、サンストーン・ドラグーンを破棄する。さらにマリアはその手にドローした1枚のカードを発動させる。

 

「フラッシュタイミング!マジック、双光気弾(コスト3(軽減:赤1))使用(リザーブ:1→0)!不足コストはゲッコ・ゴレムとデッキマウンテンより確保!」

 

【ゲッコ・ゴレム

コア2→1:Lv2→1:BP2000→1000】

 

【デッキマウンテン

コア1→0:Lv2→1】

 

「マーマリアンと合体(ブレイヴ)しているフォビッド・バルチャーを破壊!」

 

間髪いれずに放たれたマジック。二発の炎がフォビッド・バルチャーへと放たれ、それが両翼を焼き尽くし、マーマリアンを撃墜させる。

 

【碧海の剣聖マーマリアン

コスト3

BP5000】

 

「くっ……ダーク・ジガワスプでブロック!」

 

ブリザードの振り上げた槍がダーク・ジガワスプを貫く。そしてダーク・ジガワスプが無数の光となって霧散するように消えていき、ブリザードは槍を収める。

 

「ターンエンド」

 

一気に攻め込んできたマリアの攻撃をどうにか凌ぐ翼。しかし、彼女の目に最初から諦めの色はあるわけがない。まだ自分の勝利を疑わない翼は、自分の手札に眠る一枚の青のブレイヴカードに目を向けるのだった。



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第十一話 魔を断つ剣

マリア ライフ:4 リザーブ:0 トラッシュ:8 手札:4

 

フィールド

 

【ゲッコ・ゴレム:青・スピリット

コスト1(軽減:青1):「系統:甲竜・造兵」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青】

 

【甲剣士ブリザード:白+赤・スピリット

コスト5(軽減:白2・青2):「系統:剣使・甲竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア4:Lv3:BP8000+3000→11000

シンボル:青】

【突機竜アーケランサー】

 

ネクサス

 

【デッキマウンテン:白・ネクサス

コスト4(軽減:白3)

コア0:Lv1

シンボル:白】

 

 

翼 ライフ:3 リザーブ:5 トラッシュ:3 手札:6

 

フィールド

 

【碧海の剣聖マーマリアン:青・スピリット

コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣使・異合・創手」

コア2:Lv2:BP5000

シンボル:青】

 

【バルカンバイソン:青・スピリット

コスト6(軽減:青3・極1):「系統:異合」:【強襲:1】

コア2:Lv2:BP7000

シンボル:青】

 

 

ネクサス

 

【海帝国の秘宝:青・ネクサス

コスト4(軽減:青2)

コア1:Lv2

シンボル:青青】

 

 

第七ターンが終了し、マリアの場には回復状態のゲッコ・ゴレムと突機竜アーケランサーと合体(ブレイヴ)した疲労状態の甲剣士ブリザードが存在している。対する翼の場には疲労状態の碧海の剣聖マーマリアンと回復状態のバルカンバイソンが存在している。ネクサスはマリアのデッキマウンテン、翼の海帝国の秘宝、共に回復状態で存在している。そして続く第八ターン、ターンプレイヤーとなるのは翼だ。

 

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:6→9)!メインステップ!アトライア・ハイドラ、ウバタマンを召喚(リザーブ:9→4)!」

 

【アトライア・ハイドラ:青・スピリット

コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:海首・異合」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:青】

 

【ウバタマン:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1・青1):「系統:殻人」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:緑】

 

翼のフィールドに出現する、ウバタマムシを連想させる白に近い茶色の羽や殻に身を包んだ杖を握る人型の昆虫スピリット、ウバタマン。三つの首を持ち、海竜のものと思われるヒレが翼のようにひろげられた、白いたてがみを見せる黄色い瞳の青いドラゴン。トライデントを一番右の頭が口で掴み、中央の額には角が生えている姿が確認出来る、アトライア・ハイドラ。手札に存在している間、緑の軽減シンボルを失っていたこの二枚のカード、その理由はマリアの繰り出した一枚のネクサスによるものだ。

 

「ぞろぞろと……けど、デッキマウンテンの効果でお互いのメインステップ時、お互いに手札にあるコスト3以下のスピリット/アルティメットの白/青以外の軽減シンボルすべては無いものとして扱われる!」

「承知している!マリア……いや、フィーネ!お前に私の新たな刃を見せてやる!」

「新たな……!?」

 

翼が手札に眠るそのブレイヴに手をかける。そのカードは、弾がパンテーラから受け取り、二課に移った後に翼達に譲渡されたカードの内の一枚。その力を、今こそ見せるときだ。

 

「来い!蒼海の大剣メイルシュトロム!召喚(リザーブ:4→0)!!」

 

【蒼海の大剣メイルシュトロム:青・ブレイヴ

コスト6(軽減:青3):「系統:剣刃」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:青】

 

空から水流を纏って落ちる一振りの剣。青を基調としたその剣の刀身には渦巻きを連想させる螺旋を描いたかのようにも見える模様が確認でき、その柄の先には黒い鎖が繋がれている。その鎖の先には銀色の錨のようなものがついているのが見える。

 

(な……何なの!?このブレイヴは……今まで見たことも、聞いた事もない!?)

「お前がフィーネだというなら、この剣も無論知っている筈だ!!」

 

太古の時代。先史文明期よりも遥か前、弾の生きていた時代よりもさらに昔の、フィーネが輪廻を繰り返す起源があるその世界でソードアイズ達が振るった十二本の剣のブレイヴ、ソードブレイヴ。その内の一枚、青の光のソードブレイヴ、メイルシュトロム。当時からの記憶を宿すフィーネならば、それを知っている筈。そう思っていた翼だったが、対照的にマリアの顔は驚きを隠しきれないといった様子になっている。辛うじて声は出さなかったが、その反応を見て翼は少し違和感を感じ取る。

 

「……?」

 

まさか、この剣のことを知らないというのか。いや、そんなわけがないだろうと考え始めた所でマリアは翼が疑惑を向けている事に気付き、焦りを隠しながら平常を装い、口を開く。

 

「ふふ、流石に驚いたわ……それを一体どこで手に入れたのかしら?」

「答える必要はない!蒼海の大剣メイルシュトロムをバルカンバイソンに合体(ブレイヴ)!」

 

【バルカンバイソン

コスト6+6→12:【強化(チャージ)

コア2→3:BP7000+5000→12000

シンボル:青+青】

 

バルカンバイソンの手からバルカンが投げ捨てられる。そして地面に突き刺さったメイルシュトロムをその手に掴むと、それを引き抜いて構え、それと同時に巻き起こった青い閃光がバルカンバイソンの深緑色の装甲を光らせる。

 

「っ……!」

「バーストをセットし、アタックステップ!いけ、合体(ブレイヴ)アタック!この瞬間、メイルシュトロム、合体(ブレイヴ)時効果により強襲:1発揮!ネクサス、海帝国の秘宝を疲労させることでバルカンバイソンを回復!」

 

海帝国の秘宝が光を放ち、バルカンバイソンの身体がそれと同時に回復する。さらに回復と同時にバルカンバイソンが持つ効果が発揮される事となる。

 

「自分のアタックステップ時、強襲で自分のネクサスが疲労したことでバルカンバイソンの効果発揮!デッキから2枚ドローし、その後手札1枚を破棄する!ここでネクサス、海帝国の秘宝、Lv2効果を発揮!自分のアタックステップ時、自分の青のスピリット/アルティメットの効果で破棄する自分の手札の枚数を-1枚する!よって私の手札は破棄されない!」

 

手札を増やし、ダブルシンボルの二連続の攻撃で一気にマリアを仕留めにかかる翼。他のスピリットと合わせて一気に物量押しを狙う彼女の攻撃を前にマリアは不敵な笑みを浮かべると、

 

合体(ブレイヴ)スピリットでブロック!」

「っ!?疲労状態でブロックが可能なのか!?」

「甲剣士ブリザードは合体(ブレイヴ)時効果により疲労状態でのブロックが可能となる!さらにブリザード、バトル時効果!BP5000以下の相手スピリット1体を手札に戻す!ウバタマンを手札に!」

 

ブリザードが起き上がると共に振り抜いた槍。そこから放たれた一閃が再度ウバタマンをバウンスする。

 

「さらに青のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!デッキから2枚ドローし、手札1枚を破棄!」

 

二枚のカードをドローし、一瞬だけどれを破棄するかを悩むかのような間をおいた後にマリアは甲竜の狩り場を破棄する。

 

「だが、ブロックしたとしてもそのBPはバルカンバイソンの方が上!」

「想定内だ!突機竜アーケランサー、合体(ブレイヴ)時効果!フラッシュ時、自分のスピリット1体を疲労させることでこのターンの間、このスピリットにBP+3000!ゲッコ・ゴレムを疲労!」

 

【甲剣士ブリザード

BP8000+3000+3000→14000】

 

「っ……」

「これでBPはこちらが上回った!」

 

メイルシュトロムを手に斬りかかったバルカンバイソンの一撃を右手に握ったアーケランサーの槍で受け止め、左手に握った槍で装甲諸共バルカンバイソンを吹き飛ばす。そしてブリザードは体勢を崩しながら吹き飛んだバルカンバイソンへトドメの一撃を仕掛ける為に飛び出す。

 

「ここで引きはしない!フラッシュタイミング!マジック、ストロングドロー(コスト3(軽減:青2))使用(リザーブ:1→0)合体(ブレイヴ)スピリットにBP+3000!」

 

【バルカンバイソン

BP7000+5000+3000→15000】

 

「手札にマジックがあっただと!?」

 

槍を手にバルカンバイソンへと飛び掛かるブリザード。しかし次の瞬間、空中で器用に体勢を復帰させたバルカンバイソンは着地と共に刃を振り抜き、ブリザードの槍を一撃で弾き飛ばす。そして得物を失ったブリザードへと斬りかかり、その身体を両断する。

 

「く……アーケランサー、分離(リザーブ:0→3)!」

 

【突機竜アーケランサー:赤・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・白2):「系統:空牙・機竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

弾かれた槍とブリザードの背中に装着されていた羽は一つに重なり、八つのエンジンが出現して元の機械竜の姿へと戻っていく。

 

「さらに畳みかける!碧海の剣聖マーマリアンでアタック!」

「フラッシュタイミング!マジック、絶甲氷盾(コスト4(軽減:白1))使用(リザーブ:3→0)!このアタックはライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

人魚の姿をしたスピリット、マーマリアンがトライデントのように三つに分かれた刀身をもつ剣を振り上げ、マリアのライフを奪い取る。しかし、それが終わった後に氷の壁がマリアの前に出現し、後続のアタックを防いでしまう。

 

「絶甲氷盾の効果により、バトル終了時、アタックステップを終了させる!」

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→13)!メインステップ!ゲッコ・ゴレムの効果発揮!自分のメインステップ時、このスピリットに白のシンボル2つを追加させる!」

 

【ゲッコ・ゴレム

シンボル:青+白白】

 

「そしてネクサス、甲竜の狩り場を配置(リザーブ:13→12)!」

 

【甲竜の狩り場:白青・ネクサス

コスト4(軽減:白2・青1)

コア0:Lv1

シンボル:白青】

 

マリアの背後に聳え立つ無数の砲台の生えた山、デッキマウンテン。その麓に無数のがらくたが投棄されて造られたかのような広場が広がっていく。

 

「これで準備は整ったわ!現れなさい!我がデッキに眠る最大の戦艦!甲竜戦艦エンタープライズ!召喚(リザーブ:12→6)!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ:白・スピリット

コスト10(軽減:白5・青1):「系統:甲竜」:【超装甲:赤/紫/白/黄】【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP10000

シンボル:白白】

 

瞬間、デッキマウンテンのさらに背後から光が空へと放たれる。その光の道を駆け抜け、空へと飛翔する巨大な戦艦。いや、戦艦のように見えていたのは巨大な鋼鉄のドラゴン。彼女のフィールドに既に存在するアーケランサーさえも小型に見えるほどのその巨大な甲竜は、大地を揺らしながら降り立ち、白に近いオレンジ色に輝く瞳を光らせながら咆哮を大気を揺らす咆哮を張り上げる。

 

「ま、まだこんなものを用意していたのか!?」

「エンタープライズは我がデッキに眠る最大のスピリット!青のシンボル2つが存在することでその連鎖(ラッシュ)が発揮され、エンタープライズは最高Lvとなり、私のスピリットのブロック時効果はアタック時にも発揮されるようになる!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

Lv1→3:BP10000→15000】

 

ゲッコ・ゴレムと甲竜の狩り場が持つ青のシンボルが輝き、エンタープライズが全身から強烈な光を放つ。それにより、そのBPは一気に15000にまで上昇することとなる。

 

「まだよ!突機竜アーケランサーを甲竜戦艦エンタープライズに合体(ブレイヴ)!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ:白+赤

コスト10+5→15

コア1→2:BP15000+3000→18000】

 

アーケランサーから槍だけが分離する。そして機体の方は戦艦であるエンタープライズの中へ収容され、槍はエンタープライズの口の左右に装着されていき、全身から赤い光を解き放つ。

 

「私は貴女を全力で叩き潰す。故に……私は歌わせてもらう!」

「何だと!?」

 

マリアが目を閉じる。そして、彼女の口から奏でられる、世界の歌姫と評されるに値される歌。しかし、人々を魅了していたその歌声は、自分を追い詰め、破壊する為の鋭い槍となる。

 

「歪みし己の身体に宿る呪いよ、今魔龍となって降臨せよ!魔龍帝アルティメット・ジークフリード、召喚(リザーブ:6→0)!Lv5にするために合体(ブレイヴ)スピリットからコアを移動させるわ!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

コア2→1】

 

【魔龍帝アルティメット・ジークフリード:白・アルティメット

コスト7(軽減:白4):「系統:新生・龍帝」

コア4:Lv5:BP20000

シンボル:極】

 

空から一筋の光が地上へと放たれ、巨大な砂埃が溢れる。その中から現れる、白銀の身体に身を包んだ巨大なドラゴン。金色の装甲を纏い、赤い翼を広げ、二本の黒い角を生やしたそのドラゴンは、かつて奏が使用していたアルティメット、アルティメット・ジークフリードやアルティメット・ジークフリーデンの面影が残っているように見えた。

 

「アルティメット・ジークフリード……!」

(……魔龍帝のアルティメット。どんな力を秘めている?)

 

コアブリットの中からエクストリームゾーンに繋ぎ、映像を出す弾。コアブリットが表示できる映像は小さく、弾しか見れないが、二人がエクストリームゾーンに入ったタイミングで弾は映像を出すために色々と四苦八苦していたことが原因でいざバトルを見れた時には既にバトルも終盤に入ってきているようだ。

 

「……」

 

響達はウェルの監視をしている。翼のバトルのことを言えば彼女達も喰いついてくるだろう。しかし、その間にウェルが万が一逃亡してはまずい。ウェルは確かに自分に負けはしたが、ただでは負けはしないという意志を感じていた。だからこそ、彼は監視する必要があるだろうといつでも動けるようにしておきながらコアブリットの中のモニターに再び意識を向ける。

 

「バーストをセットしてアタックステップ!甲竜の狩り場の効果により、お互いのアタックステップ時、系統:「甲竜」を持つ自分のスピリット/アルティメットすべてをBP+2000!」

 

【ゲッコ・ゴレム

BP1000+2000→3000】

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

BP15000+3000+2000→20000】

 

「アタックステップ!魔龍帝アルティメット・ジークフリードでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

マリアが手を右に突き出すと、そこに槍が出現する。その槍を握って掲げると、その先端に光が集い、それを翼へ向けて突き出すと共に一筋の光線となって放たれる。

 

「っ……巨人大帝アレクサンダー、コスト6……!」

「ヒット!」

 

その光線は翼のデッキに命中し、デッキトップのカードがトラッシュへと落ちていく。そのカードのコストは6、魔龍帝アルティメット・ジークフリードのコストは7のため、ヒットとなる。

 

「アトライア・ハイドラでブロック!」

「ブロックしたわね!この瞬間、トリガーがヒットしたことで効果発揮!トリガーがヒットしたこのアルティメットのアタックを相手スピリットがブロックしたとき、相手のライフ(ライフ:3→2)のコア1個をリザーブに置く(リザーブ:0→1)!」

 

魔龍帝アルティメット・ジークフリードがアトライア・ハイドラを力任せに押し潰し、その口に白銀の光を集約させる。そして翼を見た次の瞬間にその光を砲撃として放ち、魔龍帝のブレスは翼を呑み込んでそのライフを破壊する。

 

「っ、くぅううう!!」

「流石にこれには応えたみたいね!」

「……まだまだだ!この程度で倒れるか!!」

 

その衝撃に大きく後ろへと押し出される翼。その衝撃を全身を使って耐え抜き、膝を地に付かずに最後まで立ち続ける。そしてアトライア・ハイドラの破壊を確認してバーストを起動させる。

 

「スピリット破壊によりバースト発動!夢幻祈祷!ボイドからコア1個を自分のライフ(ライフ:2→3)に置く!」

「そんな変わり種を……だが、やることは変わらない!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!」

合体(ブレイヴ)スピリットでブロック!」

 

メイルシュトロムを手にエンタープライズを迎え撃とうとするバルカンバイソン。しかし、その体格差、そしてBP差は埋まる訳がない。

 

「ふん、その程度のスピリットでどうにかなるとでも!」

「どうにかしてみせるだけだ!フラッシュタイミング!マジック、秘剣燕返(コスト4(軽減:青3))使用(リザーブ:2→1)!相手の合体(ブレイヴ)スピリットのブレイヴ1つを破壊する!突機竜アーケランサーを破壊!」

「く……超装甲:青を持っていないのがここで響いたか……!」

 

メイルシュトロムを構え、一気に振り抜くバルカンバイソン。それと同時に放たれた斬撃はツバメのような姿となってエンタープラズニルが装着していた二本の槍を両断して斬り落とす。

 

【甲竜戦艦エンタープライズ:白

コスト10

BP15000+2000→17000】

 

「さらにこの効果発揮後、コスト3以下の相手スピリット1体を破壊する!ゲッコ・ゴレムを破壊!」

 

さらに間髪いれずに二発目の斬撃を放ち、最初のターンからフィールドにいたゲッコ・ゴレムを仕留める。そしてゲッコ・ゴレムを消す事が、アーケランサーを除去することと合わせて翼の狙っていた行動でもある。

 

「これにより、青のシンボルは1つだけ!エンタープライズの連鎖(ラッシュ)は成立せず、Lvは1に下がる!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

Lv3→1:BP15000→10000+2000→12000】

 

「これでBPは互角!相討ちだ!」

「マジックがそちらにしかないと思わないことね!フラッシュタイミング!マジック、メテオフォール(コスト2(軽減:赤1))使用(リザーブ:1→0)!不足コストは魔龍帝アルティメット・ジークフリードより確保!」

 

【魔龍帝アルティメット・ジークフリード

コア4→3:Lv5→4:BP20000→15000】

 

「このターンの間、自分のスピリット1体の色とシンボルを青として扱い、さらにBP+2000する!エンタープライズを指定!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ:白→青

BP10000+2000+2000→14000

シンボル:白白→青青】

 

「自らの白のシンボルを青に変えた!?」

「これにより、青のシンボル2つがあることで再び連鎖(ラッシュ)発揮!最大Lvとなり、ブロック時効果はアタック時に発揮される!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

Lv1→3:BP10000→15000+2000+2000→19000】

 

BPを上げ、エンタープライズはその巨体で力任せにバルカンバイソンを押し潰す。そして再び戦艦が浮上すると同時に大爆発がバルカンバイソンを襲い、メイルシュトロムが空を舞い、地面に突き刺さる。

 

「メイルシュトロム、分離(リザーブ:1→3)!」

 

【蒼海の大剣メイルシュトロム

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:青】

 

「自身の連鎖(ラッシュ)によってアタック時となったエンタープライズの効果を発揮!BPを比べ相手のスピリット/アルティメットだけを破壊したとき、このスピリットを回復し、相手のライフ(ライフ:3→1)のコア2個を相手のリザーブに置く(リザーブ:3→5)!」

 

エンタープライズの口から放たれた砲撃が翼のライフをさらに破壊する。一気に二つのライフを削り取られた翼は、回復状態となって目の前に聳えるエンタープライズを見る。

 

「これで終わりよ!エンタープライズでアタック!」

「……フラッシュタイミング!マジック、ラークドライブ(コスト6(軽減:白3))使用(リザーブ:5→0)!不足コストはネクサスから確保!」

 

【海帝国の秘宝

コア1→0:Lv2→1】

 

「ら、ラークドライブ!?何でそんなものが!?」

「敵の意表を突いた戦術を操るのも防人の戦い方だ!今行っているバトルをただちに終了させる!この効果は超装甲でも防げまい!」

「く……スピリットじゃなくルールに干渉してくるマジックなんて……!ターンエンド!」

 

再び砲撃を放とうとしたエンタープライズだったが、その砲撃は強制的に中断させられる。それにより、翼は辛うじて最後のライフを保つことができた。しかし、次のターンで少なくともエンタープライズは処理できなければ、翼の敗北はより濃厚なものになると言ってもいい。このターンが鍵となるだろう。

 

スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)!」

 

ドローステップ。このカード次第と言っても過言ではないであろうその一枚を見て、内心でそのカードが来たことに安堵する。このカードならば、きっとあのスピリットを倒してくれると確信して。

 

リフレッシュステップ(リザーブ:1→15)!メインステップ!ウバタマンをLv2で召喚(リザーブ:15→11)!」

 

【ウバタマン

コスト2(軽減:緑1・青1)

コア3:Lv2:BP3000

シンボル:緑】

 

「これで、準備は整った!」

「何……!?」

「斬り裂け、天羽々斬!出現せよ、アームドギア!!星銃剣アンタレス、召喚(リザーブ:11→9)!」

 

【星銃剣アンタレス:青・ブレイヴ

コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣刃」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:なし】

 

翼のフィールドに出現する青い一振りの剣。その剣には銃のパーツであるスコープやトリガーが確認でき、さらにその剣は剣の先に銃口が装着されているのが確認出来る。剣と銃が一体となった、近中距離での戦闘を可能としたこのブレイヴこそ、翼の纏うギア、天羽々斬のアームドギアがブレイヴとなった姿なのだ。

 

(っ、また見たことのないブレイヴを……!)

「これで、条件は揃った!」

「条件……っ!そういうことね……!」

 

そして、アンタレスの出現により、翼の場には三体以上の青のスピリットが並ぶこととなる。これにより、このアルティメットは召喚条件を満たすこととなる。今度は彼女の口から紡がれていく歌。それが、力となってその姿を見せる。

 

「我が刃よ、防人の歌と共にその剣を顕現せよ!アルティメット・オライオン、Lv4で召喚(リザーブ:9→0)!」

 

【アルティメット・オライオン:青・アルティメット

コスト8(軽減:青3・極1):「系統:新生・闘神」

コア4:Lv4:BP25000

シンボル:極】

 

歌によって高められるフォニックゲイン。翼の歌と共に大地がひび割れていき、そこから巨大な土煙が大地が崩壊する音と共に出現していく。煙の中からゆっくりと現れる、金色の装甲を両腕や腰、胸などに纏った、金髪の巨人。その赤い目と青い皮膚に秘められた戦士としての覚悟と、その巨大な剣に刻まれた力を翳し、アルティメット・オライオンは降臨する。

 

「召喚時効果!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

翼の手から投げられる一本の剣。それがマリアのデッキを破壊し、そこにあったカードをトラッシュへと叩き落とす。

 

「デッキマウンテン……コスト4……!」

「クリティカルヒット!まずはコスト合計12まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!消し飛べ、甲竜戦艦エンタープライズ!!」

 

アルティメット・オライオンが刃を真上に構える。そして一呼吸置き、一気に振り下ろされた刃は巨大な斬撃を生み出し、大地を抉りながら天へと伸びていく。蒼の一閃となったその一撃はエンタープライズの額に命中すると、その全身を両断し、撃墜させる。

 

「っ……こうも簡単に……!」

「さらに、ヒットしたカードのコストが5以下であったことで相手のデッキを12枚破棄!!」

 

甲竜戦艦エンタープライズ、フェイタルドロー、デッキマウンテン、サジッタフレイム、マラカイト・ドラゴン、甲剣士ブリザード、ゲッコ・ゴレム、サジッタフレイム、突機竜アーケランサー、フェイタルドロー、サンストーン・ドラグーン、ターコイズ・ドラゴン。ただスピリットを破壊されただけでなくデッキまで大幅に破壊され、思わずマリアは舌打ちをする。

 

「まだ終わりはしない!見せてやる、これが、私達が辿り着いた、アームドギアの新たな境地!星銃剣アンタレスをアルティメット・オライオンに合体(ブレイヴ)!!」

 

【アルティメット・オライオン

コスト8+3→11:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア4→5:BP25000+2000→27000】

 

アンタレスを左手で掴み、二本の剣を携えるアルティメット・オライオン。アンタレスの内に秘められたブレイヴの強大な力をその身に宿し、アルティメット・オライオンの全身から蒼い閃光が迸る。

 

「何!?ブレイヴはスピリットとしか合体(ブレイヴ)できないのではないのか!?」

「!?」

 

え?何それそんなの聞いてない。そう言わんばかりに驚きの表情を見せるマリアの反応に翼の方が思わず面食らう。自分達がアームドギアをブレイヴへと変換してアルティメットに合体(ブレイヴ)させることも元は彼女が身を以て叩き込んだようなものである筈。ならば彼女がそれを知らない事は本来は有り得ないのだ。しかし、今の反応は明らかにそのことを知らないという反応。それが意味していること、それは。

 

「……マリア。お前は自分こそが新たなフィーネだと言ったな」

「そ、そうよ!それが……」

「ならば何故、この程度もことも知らない!貴様、本当にフィーネか!」

「っ!?」

 

一瞬、マリアの思考が完全に真っ白になる。翼の追及するかのような厳しい言葉を前に、マリアは激しくなっていく心臓の鼓動を感じ取りながら必死でその焦りを表面に出さずに不敵な笑みを浮かべると、冷や汗を流しながら翼に向けて口を開く。

 

「……ふふ、生憎私はまだ完全に記憶の再生が済んでないのよ。だからこそ、マリア・カデンツァヴナ・イヴの意識が所々に残っている……というかシンフォギアそんなことできたんだ」

 

最後の方は自分以外誰にも聞こえないように漏らした声。まだマリアはフィーネとしては完全に目覚めていない。その情報を聞いた翼は、まだ力が完全に戻っていない今の内に彼女を止めるべきだと考える。

 

「真相は、ベッドの上で聞かせてもらう!アタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!アンタレス、合体(ブレイヴ)時効果によりBP+3000!さらに緑のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!緑のシンボル1つを追加!」

 

【アルティメット・オライオン

BP25000+2000+3000→30000

シンボル:極+緑】

 

ライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:1→3)!」

 

アルティメット・オライオンが二つの剣を同時にマリアへと叩き付ける。まさかのアルティメットから放たれた二つのシンボルによって一気に二つのライフを削り取られるマリア、しかし、ここまで来て諦める訳にはいかない。

 

「ライフ減少によりバースト発動!絶甲氷盾(コスト4(軽減:白1))ライフ(ライフ:1→2)にボイドからコア1個を追加し、フラッシュ効果発揮(リザーブ:3→0)!これで、アタックステップは終了よ!」

「ターンエンド!」

 

ライフを回復させ、最後の絶甲氷盾を用いて凌いだマリア。しかし、以前として翼のフィールドには三体のスピリットが残っている。次のターンで決めなければならない。

 

スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:0→1)リフレッシュステップ(リザーブ:1→15)!メインステップ!魔龍帝アルティメット・ジークフリードをLv5にアップ(リザーブ:15→14)!」

 

【魔龍帝アルティメット・ジークフリード

コア3→4:Lv4→5:BP15000→20000】

 

「アタックステップ!魔龍帝アルティメット・ジークフリードでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

「バルカン・アームズ、コスト5!」

「ヒット!これで貴女の負けよ!前のターン、アルティメットでアタックしなければ防げていた!今のは貴女のプレイングミスよ!」

 

トリガーのヒットを確認し、マリアが口元に笑みを浮かべる。今、翼の場にいるブロッカーはスピリットのみ。このアタックをブロックしたが最後、翼の最後のライフは魔龍帝アルティメット・ジークフリードの効果で削り取られることとなる。しかし、だからといってライフで受けても結末は変わらない。どう足掻いても敗北しかない。

 

「私がミスだと?とんだロマンチストだな!」

「!?」

 

が、それは以前までの翼であればの話だ。しかし、アームドギアをブレイヴとして変換する術を手に入れた今の翼であれば使う事のできるカードがある。

 

「フラッシュタイミング!マジック、アルティメットゲイン(コスト5(軽減:緑2・極1))!不足コストは合体(ブレイヴ)アルティメットとウバタマンより確保!」

 

【アルティメット・オライオン

コア5→4】

 

【ウバタマン

コア3→1:Lv2→1:BP3000→2000】

 

「自分の合体(ブレイヴ)アルティメットすべてを回復させる!迎え撃て、合体(ブレイヴ)アルティメット!!」

 

空へと飛翔する魔龍帝アルティメット・ジークフリード。そのままアルティメット・オライオンへと降下し、質量に身を任せた一撃を放つ。それを剣を交差させて受けとめたアルティメット・オライオンは一旦魔龍帝アルティメット・ジークフリードを弾き飛ばして無理矢理距離を取ると、二つの剣の柄を合わせる。すると、二つの剣が合わさった個所から強烈な閃光が放たれ、二つの剣が一体となった、ダブルブレードへと変化する。それを頭上で強く、速く回転させていくと、刀身を炎が包み込み、更なる力を宿していく。そしてそれを右手に持ち替えて右手だけで回転速度を維持しながら吹き飛んだ魔龍帝アルティメット・ジークフリードへ突っ込んでいき、すれ違い様にその身体を両断。一撃で両断し、破壊してみせる。

 

「馬鹿な……こんなことが……くっ、ターンエンド……!」

「絶対に負けはしない!このターンで終わらせる!スタートステップ(ターン12)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:0→1)リフレッシュステップ(リザーブ:1→11)!メインステップはこのまま、アタックステップ!いけ、合体(ブレイヴ)アルティメット!連鎖(ラッシュ)により緑のシンボルを追加!」

 

【アルティメット・オライオン

BP25000+2000+3000→30000

シンボル:極+緑】

 

「……マム……!」

 

アルティメット・オライオンがダブルブレードを振り上げる。ダブルシンボルの威力を秘めたその刃はマリアへと振り下ろされ、その残った二つのライフを刈り取ったのだった。

 

 

 

 

「ぐぅ……!!」

 

遂にギアを解除され、海面に浮き上がる潜水艦の上に転がるマリア。まさか自分が敗北しようとは思わなかったのだろう。しかし、敗北したことは紛れもない事実だ。それを告げるかのように、ギアを纏ったまま外に現れた翼がマリアに徐々に近づいてくる。

 

「……これは意外な決着だ」

「翼さんが勝ったんだ!」

 

ウェルも、勝つのはマリアの方だと思っていたのだろう。今の翼とマリアの状態を見比べながら驚いた表情を見せる。が、すぐに不敵な笑みを浮かべると、

 

「……まぁ、そろそろ時間ですかね」

「何……!?」

 

瞬間、空から気配を感じ、クリスが空を見上げる。そこには、ギアを纏った切歌と調が空から落下してくる姿があった。

 

「あ、あの二人は……!?」

 

無数の小さな丸鋸が射出され、それが響とクリスからウェルを離れさせる。さらに丸鋸は弾の乗っていたコアブリットにも迫っていき、弾はコアブリットを操作して彼女達の射程から逃れるように空へと飛び出していく。アームドギアが飛び交う乱戦になってしまった場合、一番弱いのはこの中ではウェルと弾になってしまうからだ。

 

「……くそ、あれは逃がしちゃったデス!」

「今の私達の目的はそれとは違うよ、切ちゃん」

「分かってるデス!」

 

切歌と調は落下しながら顔を見合わせると、足を合わせてお互いを蹴り、空中から別々の方向へと飛んでいく。そしてマリアと翼の上に移動した切歌は鎌を三つの刃が連結した、まるで爪のような形状へと変化させるとそれを振り下ろす事で緑の斬撃の雨を降らす。

 

「っ!」

 

二本の剣を取り出し、それを連結してダブルブレードへと変えてそれを回し、攻撃を防ぐ翼。しかし、その間に切歌はマリアの近くに着地すると、マリアを抱えて即座に離脱。調もまた、中心が空洞になっている巨大な丸鋸を作り出し、その空洞の中に自身を収め、丸鋸を回転させながら響とクリスへ迫っていく。

 

「「っ!」」

 

二人が回避行動を取り、避ける。しかし戦闘するつもりのない調はそのまますれ違い様に乱雑にウェルの腕を掴むと、そのまま海へ飛び出していく。そこで漸く、響達は空に何があるのかに気付く。

 

「な、何あれ!?」

「飛行艇か!?」

 

何故、今まで見えなかったのか。四人が空を飛んでいる機体の中に入り、その出入り口が閉じられていく。それと同時に飛行艇は透明になっていき、すぐに見えなくなってしまい、飛行艇が見えていた場所をコアブリットが虚しく通過していく。

 

「消えた……だと……?」

「くっ、反応は!?」

「駄目です!何にも出てきません!」

「く……これも、異端技術によるものだというのか……!?」

 

二課の誇るレーダー、観測技術諸々を用いてもその飛行艇の存在を確認できたのは、飛行艇が姿を見せていた間だけ。

 

「翼さん!大丈夫ですか!?」

「ああ、私は問題ない……しかし、あれは……」

 

潜水艦の上に降り立つ響とクリス。三人の傍に先程まで空にいたコアブリットがゆっくりと止まり、その中から弾が現れる。

 

「姿が見えない、か……厄介だな」

「っていうかお前、何の躊躇いも無くあの中に突っ込む気でいただろ……それがぶっ壊れたらどうするんだ?」

「別に船を貫いたところで壊れはしないさ」

「へ、へえ……」

 

ギアを解除した三人を見て、取り敢えず問題ないようだと確認して弾は内心安堵する。そして、彼女達が消えた空を仰ぐ。

 

「あれが、俺達の戦う装者達か……」

「……あの、弾さん」

「?どうしたんだ、響」

 

世界の敵になってまで戦う彼女達。彼女達は、以前会った際に響のことを偽善者と言い捨てた。そのことを、再び彼女達を見たことで思い出したのだろう。少し不安げな表情で弾を見ながら、口を開く。

 

「私のやってることって、偽善なんですかね?」

「偽善……?」

「はい……だって、本当なら私達が戦う理由ってないじゃないですか」

「「……」」

 

翼とクリスもあのときのことを思い出したのだろう。響の言っていることは確かに間違っている訳ではない。が、間違っていないというだけだ。それを受け入れられるかどうかは別問題となる。響の言葉を聞いて少しだけ考える素振りを弾は見せていたが、ゆっくりと口を開き始める。

 

「そうだな。確かに偽善かもしれないな」

「……え」

「でも、実現もしない理想を掲げることを偽善だって言うんだったら、それはあいつらも同じ偽善でしかないんじゃないか?」

「「「?」」」

「偽善だ綺麗事で済むのか。正義、思想として形に残るのか。それは結局、最後まで自分であり続けられるかどうかで決まるんじゃないか?」

 

自分の思想、考え方を否定されることなど慣れている。だからこそ、弾はいつだって、それがただの綺麗事、偽善で終わらせない。そのために戦ったのだ。バトルスピリッツと言う対話を通じて。迷うこともあるだろう。そして、それは決して間違いではない。大事なのは、迷った先で果たして自分は止まるのか、それとも進むのかということなのだ。弾らしいそんな返答に、響は苦笑しながら声を漏らすのだった。

 

「……やっぱり弾さんにはまだ敵わないなぁ……」




何年もギア使っていた筈なのにフィーネと戦うまでお前も知らなかっただろうとは言ってはいけない


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第十二話 姿を変える槍

(神獣鏡の機能解析の過程で発見したステルス機能。これがある限り、私達のアドバンテージは今だ保たれている……)

 

マリア達が使用する大型ヘリ。そこのコックピットでナスターシャは思考を広げていた。切歌と調達にマリアとウェルを回収させ、どうにか戦力の喪失だけは防いだ。が、今回の一件は自分達と敵の圧倒的な差を見せつけられることとなってしまった。

 

(アームドギアをブレイヴカードへと再構築することでアルティメットへの合体(ブレイヴ)を可能とする……フィーネすらも遺していない、いや遺さなかったというべき機能……)

 

ウェルとマリアを回収してから二日が経過している。あの後、ウェルとまゐは顔を初めて会わせることとなったのだが、ウェルも彼女が過去から来た名のあるカードバトラーであり、切歌と調を同時に相手取って戦う力があると聞いて喜んで受け入れる様子を見せていた。しかし、二課の手によって自分達が使用していたアジトが使用不能になったのは事実であり、これからの行動にも少しは影響が出てくる事が考えられる。が、今はそのことよりも二課の装者達が辿り着いた境地、アームドギアのブレイヴ化について考えるべきだろう。

 

(まさか一人だけ、などということは考えられない……他の二人も既にこの術を習得していると見るのが自然……そして)

 

モニターにあるバトルを映していく。弾とウェルのバトル、そこでウェルは弾のキースピリットの一体である太陽龍を倒し、弾自身も限界まで追い詰める活躍を見せていた。しかし、最後のマジックの応酬で裏双子座の効果で手札を増やしていた弾が一歩上を行き、最後の最後で敗北してしまう。が、もしあの場にいたのが装者だけであれば勝利していたのは確実にウェルの方であり、そういう意味ではノイズとも戦えるただのカードバトラーに過ぎない弾がいたことは相手が悪かったと言わざるを得ない。

 

(ブレイヴ使い。やはり歴史に名を刻んだ、世界を救った人の英雄であることは確かであったということですね……)

 

現在はウェルとの今後に向けての話し合いで今はまだ動く時ではない、という意見を出し合ったことで現在は人目の付かない場所に止めたこの大型ヘリの中で各々が自由にしていた。

 

「……」

 

ちらと、コックピットに供えられた一つのペンダントに目を向ける。神獣鏡を加工したそれは、シンフォギアのようにも見える。しかし、それに適合した存在はいない。いないからこそ、その力を機械的に増幅してステルス機能として使用しているにすぎないのだ。

 

「……マリア。彼女を連れて少し来てください」

 

通信を入れ、マリア達を呼び出すナスターシャ。今の自分達が得なければならないもの。それはアームドギアをブレイヴ化させることだ。三人ともギアの扱い方で言えば二課の装者に引けは取らない筈の技量を持っている筈。つまり、理論的に言えば彼女達も新たなブレイヴを手にすることは可能なのだ。そこで、ウェルが前々から個人的に興味を抱いていたというカ・ディンギルに向かい、彼がいないこの間にマリア達とまゐを呼んで三人にギアの新たな力を試運転させ、次に彼女達とぶつかるときにはそれを万全に扱えるようになっていなければならない。

 

「マム、どうしたの?」

「マリア、アームドギアの調子は?」

「アームドギア……ええ、ブレイヴ化自体は既にできるわ」

 

三人の装者達も、ただその事実を知らなかっただけでいざやろうとすれば簡単にできるのだ。しかし、それを使いこなせるかどうかというと別問題。そのことを理解したまゐは、何故彼女が自分まで呼んだのか、その理由に思い当たる。

 

「ああ、私も呼んだのってそういう……」

「そう。まゐ、貴女には彼女達がアームドギアをしっかりと扱えているかどうかを確かめてほしいのです」

「……いいわよ。私はいつでも」

 

くすりと笑い、マリアに向き直るまゐ。その姿を見ながら、マリアはいざ対峙してみて漸く気付く事となる。彼女のカードバトラーとしての洗練された気配に。だが同時に、こうも思っていた。少なくとも彼女とまともに戦える程度の実力がなければ、とてもこの先の戦いを勝ち抜いてはいけないということを。

 

「全力でいかせてもらうわ。この力を自分のものにするために!」

 

マリアもまた、彼女の闘志に全力で応えようとする。その意志を見て、面白そうに口元にまゐが笑みを浮かべたのを確認し、二人は同時に口を開くのだった。

 

「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 

「マリアとまゐがバトルを……?」

 

二人がゲートを開き、エクストリームゾーンへと行った丁度同時期。そのことをナスターシャから聞いた切歌と調がモニターを開いてエクストリームゾーンを開く。

 

「……マリア。もし強く歌い続けてしまえばフィーネの浸食が進んでしまうデス……」

「……今はマリアの強い精神力と魂でフィーネの浸食を出来る限り抑えているって言っていたけど……」

 

二人の心配そうな視線がマリアへと向けられる。しかし、同時に心配になるのはまゐのこと。今のマリアのデッキにはガングニールの力をより強く反映したカードが更にもう一枚あるのだから。彼女の実力は知っている、しかし彼女は耐えられるのかどうか。そう考えると不安にならざるを得なくなる。

 

「先行は取らせてもらうわ。スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。イグア・バギーをLv2で召喚(リザーブ:4→1)

 

【イグア・バギー:白(赤)・スピリット

コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:白(赤)】

 

先行を取ったまゐが召喚したのは緑色の車体に銀色の砲門を背負った四輪バギー型スピリット、イグア・バギー。恵まれた系統と赤と白のシンボルを同時に賄ってくれる効果は、きっと便利に働いてくれることだろう。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ターコイズ・ドラゴンを召喚(リザーブ:5→1)!」

 

【ターコイズ・ドラゴン:白・スピリット

コスト3(軽減:白1・青1):「系統:甲竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:白】

 

先陣を切らせたのは、ターコイズブルーの爪とブースターの翼を持つ鋼の装甲に身を包んだドラゴン。強力なブロック時効果を持つこのスピリットでまゐを牽制する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→3)、メインステップ。イグア・バギーをLv1にダウン(リザーブ:3→4)

 

【イグア・バギー

コア2→1:Lv2→1:BP3000→1000】

 

「ダンデラビットを召喚(リザーブ:4→0)

 

【ダンデラビット:緑・スピリット

コスト3(軽減:緑1):「系統:遊精・星魂」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑】

 

イグア・バギーのLvを下げ、耳から植物を生やした白い兎のスピリット、ダンデラビットがまゐのフィールドに現れる。

 

「ダンデラビット、召喚時効果。ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く(リザーブ:0→1)。さらにボイドからコア1個をこのスピリット以外の系統:「星魂」を持つスピリットに追加する。イグア・バギーを指定」

 

【イグア・バギー

コア1→2:Lv1→2:BP1000→3000】

 

一気に二つのコアを追加し、後のターンへの布石を整えていく。しかし、このターンはまだ動くつもりはないようだ。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→5)!メインステップ!ネクサス、甲竜の狩り場を配置(リザーブ:5→2)!」

 

【甲竜の狩り場:白青・ネクサス

コスト4(軽減:白2・青1)

コア0:Lv1

シンボル:白青】

 

マリアの背後に聳え立つ無数の塔などのジャンクが転がる広場、いや狩り場。そのネクサスが持つ青のシンボルは、彼女の戦線を支える上でより重要なものとなる。

 

「そしてサンストーン・ドラグーンを召喚(リザーブ:2→0)!」

 

【サンストーン・ドラグーン:白・スピリット

コスト4(軽減:白2・青1):「系統:甲竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:白】

 

身体のいたる所からサンストーンの鉱石を生やした黄色い機械の翼と身体をもつ竜が現れる。両腕を持たず、二本の脚で着地したサンストーン・ドラグーンは機械的な音声で作られた咆哮を上げる。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→5)、メインステップ。こちらから仕掛けさせてもらうわ」

「!」

「蟹座より来たれ、緑の十二宮Xレア!巨蟹武神キャンサード、召喚(リザーブ:5→0)!不足コストはイグア・バギーより確保!」

 

【イグア・バギー

コア2→1:Lv2→1:BP3000→1000】

 

【巨蟹武神キャンサード:緑・スピリット

コスト6(軽減:緑3):「系統:光導・殻人」

コア1:Lv1:BP6000

シンボル:緑】

 

まゐがカードを掲げると共に天空に無数の星が浮かび上がる。それは緑色の光を輝かせる蟹座の星座となり、そこから泡に包まれた巨大なスピリットが現れる。和を連想とさせる深緑色の兜や鎧を纏い、背中から蟹の脚に酷似した機械の脚が生えているのが確認出来る。また、その巨体を支える二本の足もまた所持しており、両手から生えた金色の鋏で泡を勢いよく砕いてその巨体を空へ投げ出し、大地へと着地して地面を揺らす。

 

「これも、十二宮Xレアの一体……!?」

「アタックステップ。巨蟹武神キャンサードでアタック!」

 

キャンサードが鋏を合わせて音を鳴らしながら走り出す。それを見て、マリアも自分のスピリットに指示を出す。

 

「ターコイズ・ドラゴン!」

「キャンサード、アタックステップ時効果!系統:「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットがアタックしたとき、相手はスピリット2体でなければブロックできない!」

「っ!?ら、ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

キャンサードが鋏を勢いよく叩き付け、マリアのライフを奪う。ここまでの一連の流れを見て、少しだけ気になったのかまゐはマリアに疑問を投げかける。

 

「ねえ、マリア。貴女、フィーネっていう人の魂に目覚めている……っていう話だったよね?」

「?ええ、そうだけど……」

「じゃあ、キャンサードの効果を知っている筈だと思うんだけど……」

「え?」

 

思わず素の声が漏れるマリア。慌てて一度咳払いをすると、弁明するように冷や汗を流しながらまゐに質問に対する返答を行う。

 

「まだ完全には私の魂はフィーネに侵食されていないの。というか、今バトルをしているのはフィーネじゃなくてまだマリアよ。だから、彼女の持ってる知識や知恵も、その魂に干渉しなければ得ることはできない。この戦いでそれを行えば私の自我が喰われていく……無駄にそんなことをする必要はないわ」

「……そう。ターンエンド」

 

気丈に振る舞っているが、実際に自分の魂が浸食されていき、段々自分と言うものがなくなっていくのはどんな感覚なのだろうか。まゐ自身がそんな体験をした訳ではないし、既に浸食されきった後であると思われる人にしか会った事がないため、マリアのことはわからない。だが、彼女の今の反応は、いつか自分が消えるかもしれないということに対する恐怖や悲しみ、ましてや諦めの感情などは一切感じられなかった。寧ろ、そういったこととは別のことに対する焦りのようなもの。それをまゐは感じ取っていた。

 

「いくわよ、まゐ!スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→6)!メインステップ!サンストーン・ドラグーンをLv3にアップ(リザーブ:6→1)!」

 

【サンストーン・ドラグーン

連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1→6:Lv1→3:BP3000→8000】

 

「バーストをセットし、アタックステップ!サンストーン・ドラグーンでアタック!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

サンストーン・ドラグーンが空へと飛び上がり、その足をまゐへと叩き付ける。叩きつけられた足がライフを破壊していく中、まゐは静かに元のフィールドへと戻っていくサンストーン・ドラグーンを見る。

 

「ターンエンドよ」

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→7)、メインステップ。イグア・バギー、ダンデラビット、巨蟹武神キャンサードをLv2にアップ(リザーブ:7→1)

 

【イグア・バギー

コア1→2:Lv1→2:BP1000→3000】

 

【ダンデラビット

コア1→3:Lv1→2:BP1000→3000】

 

【巨蟹武神キャンサード

コア1→4:Lv1→2:BP6000→10000】

 

「アタックステップ」

「このアタックステップ開始時、サンストーン・ドラグーン、Lv2・3効果発揮!相手スピリット1体を指定し、そのスピリットは可能なら必ずアタックする!イグア・バギーを指定!さらに青のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!ステップ開始時、相手スピリット1体を指定し、そのスピリットはアタックできない!ダンデラビットを指定!」

 

サンストーン・ドラグーンの翼から光がイグア・バギーとダンデラビットに当てられる。その光に抑え込まれ、ダンデラビットは動けなくなり、その引力に引き寄せられるようにイグア・バギーが突進していく。

 

「こんな効果……でも、キャンサードがいる限りは2体じゃないとブロック出来ないわよ?」

「承知しているわ!相手スピリットのアタックによりバースト発動!光速三段突(コスト6(軽減:白3))!このターンの間、自分のスピリットすべてをBP+3000!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

BP2000+3000→5000】

 

【サンストーン・ドラグーン

BP8000+3000→11000】

 

「さらにフラッシュ効果発揮(リザーブ:1→0)!不足コストはサンストーン・ドラグーンより確保!」

 

【サンストーン・ドラグーン

コア6→4:Lv3→2:BP8000→4000】

 

「巨蟹武神キャンサードを指定し、デッキの下に戻す!」

 

さらにバースト発動によって放たれた光がキャンサードを包み、デッキの下へとバウンスしていく。キャンサードが消えた事により、まゐのスピリット達が得ていたスピリット2体でなければブロック出来ない力の効力が消えていく。

 

「ターコイズ・ドラゴンでブロック!ブロック時効果によりボイドからコア2個をこのスピリットに置き、BP+3000!さらに甲竜の狩り場の効果でお互いのアタックステップの間、系統:「甲竜」を持つスピリット/アルティメットすべてにBP+2000!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア1→3:Lv1→2:BP2000→4000+3000+2000+3000→12000】

 

イグア・バギーの身体がターコイズ・ドラゴンの身体とぶつかり、簡単に弾き飛ばされて破壊される。残ったダンデラビットも、サンストーン・ドラゴンの効果でアタックができなくなっているため、まゐはこれ以上動けなくなる。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!ここは……このカードで一気に畳みかける!」

「!」

 

マリアの瞳が閉じられる。その行動が意味しているもの。彼女が呼び出そうとしているもの。それに思い当たる。まゐが辿り着いたその存在、それを裏付けるかのようにマリアは歌を紡ぎ出す。

 

「歪みし己の身体に宿る呪いよ、今魔龍となって降臨せよ!魔龍帝アルティメット・ジークフリード、召喚(リザーブ:4→0)!ターコイズ・ドラゴンとサンストーン・ドラゴンよりコアを確保し、Lv5で召喚する!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア3→1:Lv2→1:BP4000→2000】

 

【サンストーン・ドラグーン

コア4→2】

 

【魔龍帝アルティメット・ジークフリード:白・アルティメット

コスト7(軽減:白4):「系統:新生・龍帝」

コア4:Lv5:BP20000

シンボル:極】

 

天より飛来する、赤い翼を広げた白銀のドラゴン。金色の鎧を纏い、二本の青いプラズマが流れる黒い角を生やし、その瞳を青色に光らせて魔龍帝アルティメット・ジークフリードはマリアの元へ降臨する。

 

「アタックステップ!魔龍帝アルティメット・ジークフリードでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

マリアの手に出現した槍から放たれた一筋の光がまゐのデッキを破壊する。そしてトラッシュに落ちたカードを見て、まゐは静かにそのコストを宣言する。

 

「白羊樹神セフィロ・アリエス、コスト6」

「ヒット!いきなさい、魔龍帝アルティメット・ジークフリード!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:7→8)!」

 

胸の鎧に埋め込まれた白い巨大な宝石を輝かせながら魔龍帝アルティメット・ジークフリードが右手を振り上げる。そしてその一撃をまゐへと振り下ろし、そのライフを砕く。

 

「さらにサンストーン・ドラグーンでアタック!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:8→9)!」

 

魔龍帝アルティメット・ジークフリードに続くかのようにサンストーン・ドラグーンが飛び上がり、まゐにその鋭い両足を叩き付ける。一気に二つのライフを奪ったマリアは、ターコイズ・ドラゴンをブロッカーとして残し、ターンを終了する。

 

「ターンエンド!」

「……?」

 

ふと、まゐはどこか急いでいるのか、語気が強くなっているマリアの姿に先程抱いた疑問を再び蘇らせる。彼女を始めとしたフィーネの装者達は、LiNKERと呼ばれる聖遺物への適性を上げる特殊な薬物を用いることで漸くバックファイアなしでギアを纏う事が可能となる。その制限時間が来たのだろうかと疑問に思い、まゐは口を開く。

 

「大丈夫?もしかして、貴女達が使っているって言うあの薬の効果が……」

「だ、大丈夫よ、まだLiNKERは限界に来ていないわ」

 

今の返答からしても、彼女の焦りがLiNKERから来るようなものではないのは明らかだ。ならば、どこからその焦りが来ているのか。そのことを思い出すようにマリアと先程交わした会話を思い出し、まゐはある可能性に至った。自分が彼女がフィーネではないということを聞いた事で焦っているのではないかと。プレイングの面では彼女は何もミスを犯していないし、彼女のデッキらしい戦い方をしているだろう。しかし、彼女の内心は確実に揺れている。フィーネであるかどうかを追及した自分に。つまり―――

 

(彼女、実はフィーネを宿していない?)

 

マリア、切歌、調の三人は元はフィーネの転生体候補として集められた存在だ。もし、マリアが自らがフィーネを演じることで自分達は違うと切歌や調を安心させているとしたら。

 

「……そう。貴女、優しいのね」

「……へ?」

「何でもないわ……このバトル、貴女がフィーネにならない内に、マリアである内に全力で叩き潰してあげる。フィーネが出てくる暇もないぐらいの勢いでね」

「……あら、アルティメットを持たない貴女にそれが可能かしら?」

「アルティメットだけがキーカードになるわけじゃないのよ?」

 

まゐの言葉に誤魔化せたかと安堵するかのように先程よりも少し落ちついた声音で言葉を返すマリア。その対応が、まゐに完全に自らの考えていた仮説が真実だと証明させているのだが、そのことは敢えて触れずに自分のターンを開始する。

 

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:9→10)ドローステップ(手札:5→6)、メインステップ。ブレイドラを召喚(リザーブ:10→9)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

相手がアルティメットを呼び出してきたのなら、こちらもこのスピリットで対抗するしかないだろう。オレンジ色の毛並みの剣の翼をもつスピリット、ブレイドラを召喚すると、まゐはその手からかつて彼が切り札として使用したスピリットを呼び出す。

 

「……来る……!」

「龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ!光龍騎神サジット・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:9→1)!」

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤4):「系統:光導・神星」

コア1:Lv1:BP6000

シンボル:赤】

 

まゐの背後で太陽が出現する。燃え上がるその太陽の中で暴れ狂うプロミネンスの中を駆ける白き馬の足。その上半身には赤、金、緑の三色の鎧を纏う巨大なドラゴンの姿が見える。その右手には巨大な弓が構えられており、背中には龍の翼が生えている。それが、炎を纏ってフィールドへと現れ、紅く燃えるように輝く射手座の星座の光と共に咆哮を上げる。

 

「っ……このターンで引いたというの……!」

「さらにマジック、双光気弾(コスト3(軽減:赤1))使用(リザーブ:1→0)。不足コストはダンデラビットより確保!」

 

【ダンデラビット

コア3→2:Lv2→1:BP3000→1000】

 

「ネクサス、甲竜の狩り場を破壊!」

 

まゐの発動したマジックから二つの炎弾が放たれ、それはマリアの背後に存在する甲竜の狩り場へと降り注ぐ。炎を受け、燃えていく甲竜の狩り場、このカードが消えたことでマリアは連鎖(ラッシュ)用の青のシンボルを失う事となる。

 

「アタックステップ」

 

このタイミングでサンストーン・ドラグーンのアタック強制効果が発動できるが、マリアはそれを行わない。そんなことをしてもこの状況では大きな意味は無いと思っているからだろうか。

 

「光龍騎神サジット・アポロドラゴンでサンストーン・ドラグーンに指定アタック!」

 

弓を構え、サンストーン・ドラグーンへと狙いをつけるサジット・アポロドラゴン。一瞬の刹那の後に放たれたその一撃は、サンストーン・ドラグーンの額に深く突き刺さり、その身体を破壊する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)!メインステップ!ゲッコ・ゴレムをLv1、ターコイズ・ドラゴンをLv2で召喚(リザーブ:7→1)!」

 

【ゲッコ・ゴレム:青・スピリット

コスト1(軽減:青1):「系統:甲竜・造兵」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青】

 

【ターコイズ・ドラゴン

コスト3(軽減:白1・青1)

コア3:Lv2:BP4000

シンボル:白】

 

ここで一気に低コストスピリット達を並べ始めるマリア。茶色い皮膚を持つ人工的に造られたかのような装甲を持つヤモリ型スピリット、ゲッコ・ゴレム。そして二体目のターコイズ・ドラゴンを呼び起こすと、その手から遂に槍を放つ。

 

「来たれ、我が烈槍、ガングニールよ!!星海槍アスピディスケ、召喚(リザーブ:1→0)!」

 

【星海槍アスピディスケ:青緑・ブレイヴ

コスト2(軽減:青1・緑1):「系統:剣刃」

シンボル:なし】

 

空から現れたのは、青い三つの刃を持つトライデント。青と緑の二色で彩られた柄には、刃の取り付けられたその反対側に青と緑が渦巻いて幻想的な光景を描く宝石が埋め込まれている姿が見える。

 

「これが……アームドギア……」

「まゐ。私が得た新たな力、これを以て全力で貴女を倒す!星海槍アスピディスケ、魔龍帝アルティメット・ジークフリードに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!」

 

【魔龍帝アルティメット・ジークフリード:白+青緑

コスト7+2→9

BP20000+2000→22000】

 

地面に深く突き刺さったアスピディスケを引き抜き、両手で構える魔龍帝アルティメット・ジークフリード。新たな得物、ガングニールのアームドギアの新たな姿である星海槍アスピディスケを握った瞬間にその身体から力が溢れ出し、全身から青と緑の閃光を解き放つ。

 

「これが、アルティメットとの合体(ブレイヴ)……!」

「マリア、本気で叩き潰すつもりデスね……」

「二人とも……」

 

アルティメットと一つになるブレイヴ、アームドギア。元々このバトルの目的はその力を使い、次に二課の装者達と激突した際に互角に渡り合えるようにするためのものだ。以前の自分達とのバトルでは、そのアームドギアがなかったからこそ少しは衝撃は緩和されていただろう。だが、今のマリアとのバトルではそれはない。果たしてまゐはマリアの攻撃に最後まで耐えられるのか。そんな不安が二人の中を駆け巡る中、マリアはアタックステップを宣言する。

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!星海槍アスピディスケ、合体(ブレイヴ)時効果により、相手の合体(ブレイヴ)していないスピリット1体を疲労させる!ブレイドラを疲労!」

 

槍を180度回転させて球体の方をブレイドラへ向けると、緑の光が球体から放たれてブレイドラへと直撃し、疲労させる。

 

「そしてU(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

マリアの槍から放ったその光はデッキトップの双魚賊神ピスケガレオンがトラッシュへと移動させる。そのコストは6、よってヒットとなる。

 

「ヒット!」

「フラッシュタイミング!マジック、ドラゴニックウォール(コスト4(軽減:赤2・極1))を使用!不足コストはダンデラビットより確保!」

 

【ダンデラビット

コア2→0】

 

「自分の赤のスピリット、ブレイドラを破壊することでバトル終了時、アタックステップを終了する!このアタックはライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

星海槍アスピディスケの一撃が振り下ろされ、まゐのライフが後一つを残してすべて砕かれる。しかし、フラッシュタイミングで発動されていたマジックによって破壊されたブレイドラが作り出した巨大な炎の壁が後続のスピリット達を阻む事となる。

 

「っ……ターンエンドよ」

「ふふ、驚いちゃった。こんな凄い力があるなんて……でも、次はこっちの番。スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:3→14)、メインステップ」

 

手札のカードを見ながら、まゐはマリアの魔龍帝アルティメット・ジークフリードを視線に入れる。彼女が付けざるを得なかった仮面、それこそがあの魔龍帝なのだ。しかし、彼女はあらゆる苦しみを、悲しみを得たとしてもそれを上回る優しさがあるからこそその仮面を身に付け、演じようとしている。だからこそ、その仮面を壊しはしない。

 

「輝竜シャイン・ブレイザーを召喚(リザーブ:14→6)

 

【輝竜シャイン・ブレイザー:赤・ブレイヴ

コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:星竜・機竜」

コア4:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

白く輝く翼をもつ機械竜、シャイン・ブレイザーが出現する。サジット・アポロドラゴンの翼となるこのブレイヴは、まゐの手によって一つとなる。

 

「龍騎神サジット・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!Lv3に!」

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン

コスト8+5→13

コア1→5:Lv1→3:BP6000→13000+5000→18000

シンボル:赤+赤】

 

シャイン・ブレイザーがの身体が消滅していく。翼だけとが残ったシャイン・ブレイザーに応えるようにサジット・アポロドラゴンの翼も消滅し、新たな翼となるように合体すると、サジット・アポロドラゴンは全身から赤い光を放ちながら咆哮を上げる。

 

「っ、やっぱりブレイヴが……!」

「アタックステップ、合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!光龍騎神サジット・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果でターコイズ・ドラゴンを破壊!さらにゲッコ・ゴレムを指定アタック!」

 

炎の矢が放たれ、ターコイズ・ドラゴンが一撃で爆散する。さらにゲッコ・ゴレムへ指定アタックを宣言し、フラッシュタイミングでマジックを使用する。

 

「フラッシュタイミング!マジック、バーニングサン(コスト3(軽減:赤2))使用(リザーブ:6→5)!手札のトレス・ベルーガをノーコストで召喚し、合体(ブレイヴ)スピリットに合体(ブレイヴ)!さらに回復!」

 

【トレス・ベルーガ:青・ブレイヴ

コスト5(軽減:青2・赤2):「系統:異合」

シンボル:青】

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤+青

コスト8+5+5→18

BP13000+5000+6000→24000

シンボル:赤+赤+青】

 

まゐが発動したマジックにより、解き放たれる獣、トレス・ベルーガ。三つの首を持つ青き獣がサジット・アポロドラゴンの後ろから光を纏って衝突。瞬間、激しい閃光と共にその全身を金色の鎧へと変え、背中の翼を更に強く、大きく広げさせることとなる。

 

「っ、手札にそんなマジックまで……!」

 

ゲッコ・ゴレムが炎の矢に貫かれて消える。そして回復したダブル合体(ブレイヴ)スピリットを従え、まゐは更なるアタックを宣言する。

 

「ダブル合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!Lv3アタック時効果でブレイヴ1つにつき1体、BP10000以下の相手スピリットを破壊する!二体目のターコイズ・ドラゴンを破壊!」

 

そして放たれる三本目の矢。一気にスピリットすべてを焼き払ったサジット・アポロドラゴンはマリアのライフを奪い取りにかかる。

 

「トレス・ベルーガ、合体(ブレイヴ)時効果!デッキから6枚破棄し、BP+6000!」

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン

BP13000+5000+6000+6000→30000】

 

サジッタフレイム、サイレントロック、ブレイドラ、ソウルホース、六分儀剣のルリ・オーサ、蛇皇神帝アスクレピオーズ。六枚のカードが破棄され、最後に破棄されたアスクレピオーズのカードが強い光を放つ。

 

「この効果で系統:「光導」を持つ蛇皇神帝アスクレピオーズが破棄されたことでダブル合体(ブレイヴ)スピリットは回復する!」

「ら、ライフ(ライフ:4→1)受ける(リザーブ:5→8)!」

 

弓を剣へと変形させ、燃えるように輝く刀身を作り出したサジット・アポロドラゴンがマリアへと斬りかかる。トリプルシンボルのアタックがマリアのライフを一気に三つ消し飛ばすと、回復したサジット・アポロドラゴンは一気に勝負を決めにかかる。

 

「最後まで、貴女らしくいれることを願うわ。ダブル合体(ブレイヴ)アタック!」

「っ……まゐ、貴女もしかしてもう……ううん、ありがとう。このアタック、ライフ(ライフ:1→0)で受けるわ!」

 

多くの言葉はいらない。そう言うかのように短く礼を述べたマリアは、サジット・アポロドラゴンの振り上げた剣をその身で受け、最後のライフを飛ばすのだった。

 

 

 

 

「ふむ、カ・ディンギル跡地……いやはや、もう使い道がないほどに破壊されてしまっているものだ」

 

既に周囲が更地となった、かつて弾達がフィーネと戦った場所に訪れたウェル。何か思う所があってそこに訪れたウェルは、ふと足元に赤い欠片のようなものが転がっている事に気付く。

 

「これは……聖遺物の欠片か?まぁ、そうだったらそうでネフィリムの餌になるし、違くても別に荷物になるわけじゃないからいいか」

 

それを白衣の中にしまいこみ、辺りを見渡す。この場所は、装者達と一戦を交えるときに何ならかの要因として使えそうである。そう考えながら、月夜が照らすこの場所に背中を向けてその場から去っていくのだった。




弾さんの年齢が高校生ということを感想で見て、少し考えてみました。

まず少年激覇開始時点で12歳。グラン・ロロでの旅が少なからず1年以上なので13歳。その後ブレイヴまで2年の空白期があるので15歳。そしてブレイヴで約一年なので16歳以上。そのためGに入った現在はビッキー達と同い年の可能性があるという衝撃の事実。

しかも身長的に見ても、ブレイヴ開始時点で160cmらしいから、ブレイヴ内で急成長したと考えても翼さんと同じか少し下ぐらいの身長になるから……どういうことなの……


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第十三話 ヴィオレ魔ゐ

「……これでどうだ?」

「おお!凄いよお兄さん!!これで連続九問正解!このまま、残り六問を全部制覇できるかな!?」

 

青年の静かな声と、興奮したような少女の大声が上がる。それと共に周りから感嘆の声が漏れていく。少女が赤い髪の青年の前のプレイマットの上のカードとコアをしまい、手元にあるクリップボードをめくってその上に書いた布陣にカードを置いていく。それを見ながら、彼女達の興奮の対象であった青年、弾は一息入れるように溜め息を漏らし、顔を上げるのだった。

 

(……文化祭、か)

 

全ては、響のある言葉がきっかけだった。

 

『そうだ、弾さん!今度文化祭があるんですけど、来ませんか?』

 

秋桜祭。そういう名称で呼ばれてはいるが要するに文化祭だ。一年に一度、学生達が自分達の出し物を一生懸命に作り上げていくイベント。弾にとっては中学から高校にかけての年代はほとんど人としての青春を棒に振った様なものであったために存在自体を忘れていたようなものであり、響にそのことを言われるまで弾自身関心を寄せることすら不可能であったものだ。

 

加えて、弾の過去のことを知る弦十朗達からも折角だから行ってみろと言われ、取り敢えずやってきた弾は、最初に目についた詰めバトスピを出しているこの店の中に入り、現在に至る。

 

「凄い盛り上がりデス」

「でも、おかげで侵入することは簡単に出来た……後切ちゃん?何食べてるの?」

「ああ、これは揚げたコロネにアイスを入れたっていうパンデス」

「……私達の目的分かってる?」

 

そして、折角の祭の中で隅っこの目立たない店で黙々とバトスピに弾が打ち込んでいる一方、離れた場所でアイスコルネットを美味しそうに頬張っていた切歌を冷めた目で見つめる調。何故、敵の装者である彼女達がマリアとナスターシャに留守を頼んでここにいるのか。それは、ある目的を達成させるためだ。

 

「確かにやらなきゃいけないことはあるけど……だからって、祭を楽しんじゃいけないってわけじゃないと思うよ?調」

「まゐ……でも、私達は聖遺物の欠片を集めるために……んぐ」

 

マリアやナスターシャからの期待に応えないと。そんな使命感めいたものを背負っているが故なのか、少し余裕が無くなってきている調の口に放りこまれる何か。成されるがままにそれを食べていく調を見ながら、彼女の口の中に食べ物を放りこんだまゐはくすりと優しく笑いかける。

 

「まずは落ち着いて。確かにやらなきゃいけないことはあるけど、そんなに焦っているとできることもできなくなっちゃうよ?」

「……」

 

二人だけでは心許無いということでナスターシャから一緒に行くようにと言われ、同行したまゐ。彼女の手には小さな紙袋があり、その中にはブレイドラの焼き痕がスタンプされた小さな球体のカステラが多く入っている。

 

「まずはゆっくりと見ていきましょう?それでその人達がいなかったのなら、その時が来るまで少しは楽しんでも罰は当たらないと思うしね」

「そうデスよ調!まゐもこう言っているんデス!楽しんでいいんデスよ!」

「……そう、かな?」

「そうだよ」

 

まゐの返事を聞いて、どこか表情が柔らかくなっていく調。その様子を見ながら、まゐも少し安心したように何故、自分達がここにいるのかの理由を思い出すのだった。

 

(世界を救うために必要となる獣、ネフィリム……か。私にはあれがそんなものだとは思えないんだけど……)

 

彼女達の所有するネフィリム。それこそが、この星を救う鍵であるとナスターシャとウェルは語っていた。そして、目覚めたネフィリムを育てる餌となるのは聖遺物。そのため、ナスターシャ達が所有する聖遺物の欠片を餌として与え、ネフィリムの暴走を防いできたのだが、そのストックも心細くなってきている。そこでウェルが新たな餌として狙いを付けたのが、翼やクリスが持つシンフォギアのペンダント。それを奪うためにという目的で三人は彼女達の通う学校であるリディアンに向かう事となって現在に至っている。

 

「……あ」

「?どうかした?」

 

ふと、調が驚いた様なそんな声を漏らす。一体何を見つけたのか。調が指差した方向を見てみると、そこには響と未来、クリスの三人の姿があった。

 

「あの二人は……私達の敵デス!」

「……」

 

立花響。雪音クリス。二人の事はまゐもナスターシャから聞かされていた。自分たちの戦いの先に立ちはだかるであろう敵だと。しかし、可能なら彼女達にも協力してもらい、世界を救うべきなのではないだろうか。寧ろ、弾から聞いていた彼女達の性格からすれば、喜んで協力してくれそうなものでもあるのだが。そして、それに対するナスターシャの言葉は、彼女達とは何も関係のない別の要因による否定の答えであった。

 

『彼女達の背後には国がある。だからこそ手を取り合う事はできないのですよ』

 

彼女達は全てを捨ててきた自分達とは違う。捨てようと思えば全てを捨てられる自分達とは違うからこそ、仮に彼女達と手を取り合い、協力したとしても彼女達の身の回りの者たちが国に追い詰められることで結果として彼女達も自分達と共に戦う事はできなくなってしまう。だからこそ、こうして敵対するしかないのだと。

 

(……どっちもどっち、ってことかな。だから私は、こっちで戦う事にするね)

 

心の中でそう呟き、まゐは響達の所に歩いていこうとする。その姿を見て、切歌と調が驚いた様な声を上げる。

 

「ちょ、ちょっとまゐ!?」

「い、幾らなんでも不用心すぎるデス!?」

「まあ任せておいて。二人だって、ここで事を大きくはしたくないでしょ?」

「た、確かにそうデスけど……」

「だからって……」

「大丈夫。私、これぐらいで怯むほど臆病じゃないから」

 

悠々と、何時も通りな様子で響達に近付いていくまゐ。三人もまゐの姿に気付いたが、あくまで今日来た一般客だと思っているのだろう。特に警戒心を持つ事は無く彼女の横をすれ違おうとしたそのときだった。

 

「「「……?」」」

 

声が聞こえてきた。上手く聞きとれなかったが、まるで自分達に向けられたかのような声だ。気のせいだったのだろうか。そう思いながら響達がまゐを見ると、まゐは軽く笑いかけながら、彼女達に向かって口を開いた。

 

「バトスピしようぜ?」

 

気のせいではない。確実に彼女は自分達に向けて言ったのだ。しかし、まゐのその言葉を聞いたクリスはどこか困惑した様子で言葉を返す。

 

「バトスピって……あんた、幾らなんでも突然すぎないか?」

「あの、貴女は……」

「……ふふ」

 

未来に名を聞かれながらもまゐはその場から少し移動する。彼女達の周りを少しだけ周るように移動すると、少しだけ立ち位置をずらす。すると、先程まで彼女がいて見えなかったその視界の先に切歌と調の姿が現れ、響とクリスが驚いたように目を開く。

 

「なっ、あいつらは!?」

「な、なんであの二人が……」

「だから、ちょっとあっちに行かない?出来る限り、静かな所で……ね?」

 

まゐの真剣な声に響とクリスは彼女達から視線を外してまゐに視線を向ける。まさか、彼女もあの二人の仲間だというのか。いや、彼女の言い方からそれは簡単に理解出来ることだ。響とクリスは一度互いに顔を見合わせると、響は未来に向き直る。

 

「未来……」

「うん、分かった……」

 

響が自分にしてほしい事を理解した未来がその場を去っていく。彼女は装者でも何でもない一般人だ。だからこそ、まゐも切歌も調も彼女が消えていくことに関しては特に触れはしない。だが、響達にとってはこれでいい。これで彼女が翼や弾にこのことを知らせ、二人を救援に向かわせてくれるだろうから。

 

「……どこに連れていくつもりだよ」

「さあ?」

 

そう言うとその場から歩き出すまゐ。そして切歌、調と共に学校の外へと歩いていく三人の姿を見失わないために響とクリスも彼女達の後を付いていくように歩き出す。そして五人は、リディアンの近くにある比較的人通りの少ない通りに移動し、そこでまゐは響とクリスに振り返る。

 

「ここでいいかしら」

「「……」」

「バトルしましょう?」

「……バトル?」

「ええ……もし私が負けたら、私達三人は素直に自首するわ」

「「「「!?」」」」

 

何て大胆な宣言だ。流石にこれは予想しきれていなかったのか、切歌も調も驚いた表情をまゐへ向けている。

 

「ま、まゐ!?いくらなんでもそれは……」

「勝てばいいのよ」

「……随分と簡単に言ってくれるじゃねえか……!」

 

言いようのない不安、それを感じ取りながらクリスが挑発的な笑みを浮かべる。そしてまゐは、その挑発的な笑みに応えるかのように不敵な笑みを浮かべる。

 

「その代わり、私が勝ったら私の言葉を実行してもらおうかしら」

「はっ、勝てたらな……ここで一気に終わらせてやらあ!」

「ふふ、こちらも全力で行かせてもらうわ」

 

一瞬の静寂が場を包む。そしてまゐとクリスはゲートを開く為に声を上げるのだった。

 

「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 

「……何なんだ、そのバトルフォームは……」

 

エクストリームゾーンに入り、シンフォギアを纏ったクリスは、バトルフォームを纏ったまゐの姿を見て再び驚く。今まで見たことのないバトルフォーム、それを纏った彼女がどんなバトルをするのか。まるで未知数の相手にクリスの中の警戒心はこれ以上ないほどに高まることとなる。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったわね。ヴィオレ魔ゐ。それが……今の私の名前よ」

「……ヴィオレ魔ゐ」

 

かつて、戦う彼女が名乗っていた名前、ヴィオレ魔ゐ。彼女と対峙するクリスは、その名前に聞き覚えがないという結論を下しながら、先行を取る。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!光楯の守護者イーディスを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【光楯の守護者イーディス:黄・スピリット

コスト3(軽減:黄2):「系統:天霊」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄】

 

先手を取ったクリスが呼び出したのは黄色の守護者。長い金髪を靡かせ、綺麗な翼を広げて現れた女性は、緑の瞳をゆっくりと光らせながらその手に握られた盾を構える。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ジャイナガンを召喚(リザーブ:5→0)

 

【ジャイナガン:紫・スピリット

コスト4(軽減:紫2・白2):「系統:妖蛇・星魂」:【不死:コスト7/8】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:紫】

 

続く第二ターン。場に現れた紫色の縄のような光りの中から無数の棘のようなものを身体から生やしたヘビ型スピリット、ジャイナガンが姿を見せ、四つの赤い目を光らせる。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!天使スピエル2体を召喚(リザーブ:4→2)!」

 

【天使スピエル:黄・スピリット

コスト0:「系統:天霊」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄】

 

【天使スピエル

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄】

 

灰色の髪に黒い装甲を見せる赤い目の少女がイーディスの隣に現れる。出現した白い翼を広げる新たな二体の天使、スピエルを並べたクリスは間髪入れずに手札に眠るマジックを繰り出す。

 

「そしてマジック、マジカルドロー(コスト5(軽減:黄3))使用(リザーブ:2→0)!デッキから1枚ドロー、そしてデッキを上から5枚オープン!」

 

天使マカエル、天の階、アルティメットウォール、星銃フォーマルハウト、砲天使長ファイエル。デッキの上から5枚のカードがオープンされ、その中にある強化(チャージ)を持つスピリットカード、天使マカエルのみがクリスの手札に加わる。そして残ったカードは砲天使長ファイエル、星銃フォーマルハウト、アルティメットウォール、天の階の順番でデッキの上に戻した。

 

「……ここは少し勿体ないが、こっちでいかせてもらう!天使マカエルを召喚!不足コストは天使スピエルから確保させてもらう!」

「……?」

 

【天使スピエル

コア1→0】

 

【天使マカエル:黄・スピリット

コスト2(軽減:黄2):「系統:天霊」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:黄】

 

スピエル一体の姿が消え、入れ替わりになるように二本の剣を握る赤い髪の天使が現れる。新たに白い翼を広げたその女性は凛々しい表情を見せ、己の得物を構える。

 

「……自分のスピリットをわざわざ消した?」

「一体何を狙って……」

「バーストをセット!そしてアタックステップ!天使スピエルでアタック!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

スピエルが槍を振り上げ、まゐへとその一撃を叩き付ける。この不自然な動きは彼女の仕掛けたバーストに何か繋がるものがあると考えるのが必然だ。ならば、そのことを念頭に置いてプレイングをしていかなければならない。

 

「さらに天使マカエルでアタック!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

マカエルの振り上げた剣もまゐへと叩きつけられ、そのライフが奪われる。それを確認し、クリスはここで攻めを中断する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)、メインステップ。ソウルホース2体を召喚(リザーブ:7→5)

 

【ソウルホース:紫(赤)・スピリット

コスト1(軽減:紫1・赤1):「系統:魔影」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫(赤)】

 

【ソウルホース

コスト1(軽減:紫1・赤1)

 

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫(赤)】

クリスに一気に二つのライフを奪われたまゐが呼び出したのはまゐのデッキで多くのスピリット達を支える低コストスピリットの一体、ソウルホース。これで準備は整った。そう言わんばかりに彼女はその手から一体のスピリットを呼び出す。

 

「蛇遣い座より来たれ、背徳のXレア!蛇皇神帝アスクレピオーズ、召喚(リザーブ:5→0)!不足コストはソウルホース2体より確保!」

 

【ソウルホース

コア1→0】

 

【ソウルホース

コア1→0】

 

【蛇皇神帝アスクレピオーズ:紫・スピリット

コスト9(コスト5):「系統:光導・魔神」

コア1:Lv1:BP7000

シンボル:紫】

 

瞬間、無数の蛇が解き放たれる。紫の半透明の光の蛇達はそのまま天空へと渦巻くように伸びる竜巻となり、それは大地へと次々降り注いで地面に蛇遣い座を描く。そこから溢れた青い炎の中から、無数の蛇となった足を持つ巨大な人型のスピリットが現れる。黒を基調とした、紅い装飾の施された鎧を纏い、その手には二匹の蛇が絡み合った杖を握る、本来存在しない筈の十三番目の十二宮Xレア。その姿を見た響とクリスは、明らかな動揺を見せる。

 

「な……何でそいつをお前が持ってやがる!?」

「十二宮Xレア!?何故十二宮Xレアがここに!?」

 

弾が神々の砲台の引き金となって放たれた際、神々の砲台などのエネルギーを受けて変質した裏十二宮ブレイヴ。しかし、表の十二宮スピリット達は消えていたため、響もクリスも表が完全に裏に変質してしまったのではないのかと思いこんでいた。しかし、その十二宮Xレア達を何故まゐが所持しているのか。それが分からないのだった。

 

「何で私が持っているのか。知りたかったら……実力で確かめてみるといいわ。アスクレピオーズ、召喚時効果により系統:「星魂」を持つジャイナガンを破壊し、デッキから3枚ドロー!」

 

ジャイナガンの姿が消え、消えた手札を一気に取り戻すまゐ。そして、このジャイナガンの破壊は、その破壊時効果を起動させる助けとなる。

 

「さらにジャイナガン、破壊時効果!相手スピリットのコア1個をトラッシュに置く!天使マカエルを指定!」

 

【天使マカエル

コア1→0】

 

マカエルがジャイナガンの効果によってコアが消え、消滅する。疲労効果を警戒しての行動なのだろう。そしてスピリットを手際よく消滅させたまゐは、ジャイナガンが持っていたコアを使い、新たなスピリットを呼び出していく。

 

「ブレイドラを召喚(リザーブ:1→0)し、バーストセット」

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

最後にブレイドラを呼び出してバーストを出す。これで準備は整った。そう言わんばかりに口元に不敵な笑みを浮かべると、まゐはアタックステップを宣言していく。

 

「アタックステップ。蛇皇神帝アスクレピオーズでアタック!」

 

アスクレピオーズが杖を振り翳す。次の瞬間、杖の先端に紫色の巨大な魔力が収束していき、そのエネルギーが大気を振動させようとする。それを見たクリスは、自分の場で唯一回復状態で存在するイーディスに視線を向け、次の一手を宣言する。

 

「イーディスでブロック!」

 

イーディスが盾を構え、アスクレピオーズの前に立ち塞がる。しかし、杖の先端に巨大な紫の魔法陣を作り出すと、アスクレピオーズはその魔法陣から巨大な光線を放ち、盾ごとイーディスを呑み込み、一撃で消し飛ばしてしまう。だが、それこそクリスの臨んでいたものである。

 

「自分のスピリットが破壊されたことでバースト発動!光の覇王ルナアーク・カグヤ!自分のトラッシュに黄のカードが3枚以上あることでボイドからコア1個を自分のリザーブに置く(リザーブ:1→2)!」

 

クリスのトラッシュからマジカルドロー、天使スピエル、天使マカエルの三枚のカードが一瞬だけ浮かび上がる。おそらく、前のターンで敢えて天使スピエルを消滅させたのは、他のスピリットの破壊でルナアーク・カグヤの召喚条件を満たせるようにするためだったのだろう。結果として、ジャイナガンの効果による消滅が引き起こされたせいで一枚無駄になってしまったが。

 

「そしてその効果発揮後、このスピリットを召喚(リザーブ:2→0)!Lv2だ!」

 

【光の覇王ルナアーク・カグヤ:黄・スピリット

コスト7(軽減:黄3):「系統:覇皇・想獣」

コア2:Lv2:BP6000

シンボル:黄】

 

天空から光が降り注ぎ、そこから煌びやかな和服に身を包んだ一人の女性が現れる。鳥の身体を持ち、鳥の足と翼が着物から見える中、顔の部分だけは美しい女性となっており、赤いその長い髪を揺らしながらフィールドに降臨する。

 

「バースト召喚!決まった!」

「ターンエンド」

 

ルナアーク・カグヤの召喚を決め、ブレイドラのアタックを封じたクリス。相手と同様、こちらもXレアを呼び出したことでまだ勝負は分からなくなったと言っていいだろう。

 

「……」

 

そしてその頃。翼を見つけ、ことのあらましを聞かされたことで彼女と共に弾を探していた未来は丁度詰めバトスピを全て解き終えて店を出てきた弾の姿を見つける。二人から響とクリスが敵と出会い、交戦しているという話を聞いて未来をリディアンに残して二人の元へと駆け付けながら弾は弦十朗と通信を続ける。

 

「それで、敵は……十二宮Xレアを使っている」

「十二宮Xレアを……魔族達の生きた時代からこの時代に流れたものを使っているということか?」

「?十二宮Xレアはこの時代だと裏十二宮ブレイヴになっている筈では……」

 

翼にバイクを運転してもらい、その後ろに乗って急いで現場へと駆け付けようとする。そんな中で弾と二課の通信の内容を聞いていた翼が疑問の声を上げる。

 

「十二宮Xレアの力の一部がこの時代の神々の砲台の力と合わさって分裂した姿が多分裏十二宮ブレイヴの筈だ。だから、表の十二宮Xレア自体は存在していたとしてもおかしくはない。他には……?」

「あ、ああ……今、クリス君と交戦している相手が……ヴィオレ魔ゐと名乗っていたということぐらいだが……」

「まゐ!?」

「!?」

 

思わず漏れた弾の驚きの声に翼も驚く。彼がここまで動揺するとはとても思わなかったからだろう。しかし、今の反応から弦十朗はそのヴィオレ魔ゐという人物が弾の知っている人なのかと推測し始める。

 

「弾君、知っている人なのか?」

「ああ……俺のいた時代からこっちに一緒に来た仲間だ。けど……まゐが敵対している装者達と一緒にいるってことはもしかして……」

 

考えこむように徐々に声を小さくし、最終的には無言になっていく弾。彼なりに何か考えている事があるのだろう。そう思った弦十朗は一先ず彼との通信を切って、目の前の巨大モニターに映る二人のバトルに視線を戻すのだった。

 

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!」

 

砲天使長ファイエルのカードをドローしたクリスは、それを手札に加えてフィールドを見る。このアルティメットの力を最大限に活かせるのは自分のライフが3以下になってから。しかし、現在の自分のライフはまだ5。ならばこれの召喚を狙う事は無い。となれば、今狙うのは手札にあるこのカード。弾の手土産をありがたく使わせてもらう事としよう。

 

「現れろ!光翼の神剣エンジェリックフェザー!召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【光翼の神剣エンジェリックフェザー:黄・ブレイヴ

コスト5(軽減:黄2):「系統:剣刃」:【強化(チャージ)

シンボル:黄】

 

天から光と共に舞い落ちる、光の剣。金色の翼のような柄と鍔を持ち、その翼は刃の刀身の一つになるかのように刃の先端に伸びている。

 

「な、何デスかこの剣は!?」

「まさか、マリアとの戦いで使ったあの剣と同じ……」

「……!」

 

エンジェリックフェザーを初めて見る全員がその姿に目を奪われていた。クリスがソードブレイヴを持っていることを知っている響は嬉しそうな、そして敵がその剣を出しことを目撃した切歌と調は驚きと共にマリアと翼の戦いで翼が使用した青の光のソードブレイヴ、メイルシュトロムのことを思い出す。

 

「光の覇王ルナアーク・カグヤに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!」

 

【光の覇王ルナアーク・カグヤ

強化(チャージ)

BP6000+5000→11000

シンボル:黄+黄】

 

ルナアーク・カグヤの足に握られるエンジェリックフェザー。エンジェリック・フェザーをルナアーク・カグヤが掴んだ瞬間、その全身から黄色い閃光が溢れ出し、自身の更なる力を象徴させる。

 

「さらに天使スピエルをLv2にアップ(リザーブ:1→0)!」

 

【天使スピエル

コア1→2:Lv1→2:BP1000→2000】

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!エンジェリックフェザー、合体(ブレイヴ)時効果で相手スピリット1体をBP-3000!1強化(チャージ)追加でブレイドラにBP-4000!」

 

【ブレイドラ

BP1000-(3000+1000×1)→0】

 

エンジェリック・フェザーの刀身に黄色い光が灯る。その光を剣を振るう事によって斬撃として放ち、ブレイドラを吹き飛ばす。

 

「そして、このアタック時効果で相手スピリットのBPがターンで初めて0になったとき、このスピリットは回復する!」

 

ルナアーク・カグヤが回復し、まゐへと襲い掛かる。目の前に迫るダブルシンボルの一撃。それを前にまゐが下した決断は。

 

ライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:0→2)!」

 

ライフで受ける宣言をしたまゐの眼前へと迫るエンジェリックフェザー。ルナアーク・カグヤが振り抜いたその一閃はまゐのライフを一気に二つ吹き飛ばし、最後の一つのライフを残すだけとなる。

 

「もう一度合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!エンジェリックフェザー、合体(ブレイヴ)時効果でアスクレピオーズにBP-4000!」

 

【蛇皇神帝アスクレピオーズ

BP7000-(3000+1000×1)→3000】

 

続けてエンジェリックフェザーの光の刃がアスクレピオーズを裂く。しかし、今度はBPが0にはならなかったためにダブルシンボルとなったルナアーク・カグヤが再び回復することはない。

 

「ブレイドラでブロック」

 

まゐへ振り下ろされようとするエンジェリックフェザー。それに割り込むようにブレイドラがルナアーク・カグヤの目の前に飛び出し、その刃で切り裂かれることによって引き起こされた爆発がルナアーク・カグヤを強制的にまゐの目の前から吹き飛ばさせる。

 

「スピリット破壊によりバースト発動!マーク・オブ・ゾロ!デッキから1枚ドローし、天使スピエルのコア2個をトラッシュに!」

 

【天使スピエル

コア2→0】

 

まゐの繰り出したバーストが空に紫の光でZを描き、その光がスピエルのコアを全てトラッシュへと落とす。

 

「くそ……ターンエンド!」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→9)、メインステップ。ブレイドラ、戦竜エルギニアス、ソウルホースを召喚(リザーブ:9→6)

 

【ブレイドラ

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【戦竜エルギニアス:青(赤)・スピリット

コスト1(軽減:青1・赤1):「系統:戦獣」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青(赤)】

 

【ソウルホース

コスト1(軽減:紫1・赤1)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:紫(赤)】

 

三体のスピリットを並べていくまゐ。ブレイドラ、緑の皮膚に青い装甲を持つ牛方スピリット、戦竜エルギニアス、そして三体目のソウルホース。赤のシンボルを並べ、手札から更なるスピリットを呼び起こすためのマジックを使用する。

 

「マジック、ゾディアックコンダクト(コスト5(軽減:赤4))使用(リザーブ:6→4)。デッキから4枚オープンし、その中の系統:「光導」を持つスピリット1枚をノーコストで召喚し、残りは破棄する」

 

輝竜シャイン・ブレイザー、滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ、トレス・ベルーガ、光龍騎神サジット・アポロドラゴン。四枚のカードがオープンされ、その中に存在する系統:「光導」を持つスピリット、光龍騎神サジット・アポロドラゴンがまゐの手に渡る。

 

「嘘だろ……あのカードまで持ってんのかよ……!?」

「光龍騎神サジット・アポロドラゴン!召喚(リザーブ:4→3)!」

 

【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤4):「系統:光導・神星」

コア1:Lv1:BP6000

シンボル:赤】

 

まゐの背後で燃え上がる太陽の中を駆け抜け、フィールドに一体のドラゴンが炎を纏って現れる。白い馬の四本の足と赤いドラゴンの上半身をもつ、巨大な弓を構えたそのドラゴンは、金と緑、赤の三色を基調とした鎧を纏い、その黄色く燃えるように光る瞳を輝かせ、赤く燃える射手座の光を解き放つ。

 

「そんな……弾さんの切り札まで……」

「さらに2枚目のゾディアックコンダクト(コスト5(軽減:赤4))使用(リザーブ:3→2)!」

「!?積んでたのか!?」

 

トレス・ベルーガ、大地の狩人コンドラッド、サジッタフレイム、天秤造神リブラ・ゴレム。再び四枚のカードがオープンされ、該当するカード、リブラ・ゴレムがまゐの手札へと加わる。

 

「新たに十二宮Xレアをここに!天秤座より来たれ、天秤造神リブラ・ゴレム!召喚(リザーブ:1→0)!」

 

【天秤造神リブラ・ゴレム:青・スピリット

コスト8(軽減:青4):「系統:光導・造兵」:【粉砕】

コア1:Lv1:BP6000

シンボル:青】

 

立ち昇った無数の光が、大地へと天秤座を刻みこむ。刻まれた天秤座の青い光を地面ごと砕き、地中から両肩に巨大な秤を担いだ青と白を基調としたゴーレムが出現する。その手には自身の得物である、金色の鎖に繋がれた槍が握られており、十二宮Xレアが持つその威圧感をその身体から放っている。

 

「て……天秤座の十二宮Xレアだと!?」

「アスクレピオーズをLv2にアップ(リザーブ:2→0)!不足コストはブレイドラより確保!」

 

【ブレイドラ

コア1→0】

 

【蛇皇神帝アスクレピオーズ

コア1→4:Lv1→2:BP7000→12000】

 

「アタックステップ!天秤造神リブラ・ゴレムでアタック!アタック時効果、粉砕!」

 

自身のLvの数だけ相手のデッキを上から破棄する効果、粉砕。その力でリブラ・ゴレムのLvの数、つまり1枚がリブラ・ゴレムの放つ光によってクリスのデッキから破棄されていく。星銃フォーマルハウトが破棄されるが回復される事は無い。回復がないのなら。そうクリスが思った次の瞬間だった。

 

「サジット・アポロドラゴンの効果により、系統:「光導」を持つリブラ・ゴレムは相手スピリットに指定アタックができる!合体(ブレイヴ)スピリットへ指定アタック!」

「え!?」

「なっ……BPはこっちの方が上だぞ!?」

 

リブラ・ゴレムが槍を振り上げ、ルナアーク・カグヤへ襲い掛かる。しかしその槍を簡単に両断すると、その身体を斬り、ルナアーク・カグヤがリブラ・ゴレムをいとも簡単に迎撃してしまう。

 

「……普通に破壊された……」

「バーストを仕掛けているわけでもないデス……なのに何故……!?」

 

そして四人はその異変に気付く。まゐのフィールドに紫色の光の蛇が一ヶ所に集っていく姿を。そして蛇達は、再びリブラ・ゴレムの姿を作り出す。

 

「なっ、リブラ・ゴレムが復活した!?」

「蛇皇神帝アスクレピオーズ、Lv2・3効果!自分のアタックステップ時、BPを比べ系統:「光導」/「妖蛇」を持つ自分のスピリットが破壊されたとき、そのスピリットを回復状態でフィールドに残す!」

「か、回復状態ってことは……まさか!?」

「リブラ・ゴレムは再びアタックできる!合体(ブレイヴ)スピリットに指定アタック!粉砕発揮!」

 

リブラ・ゴレムが槍を振るうと放たれた衝撃がクリスのデッキの上のアルティメットウォールを吹き飛ばす。そして前進してくるリブラ・ゴレムはデッキを破棄したときの衝撃で崩れ落ちていく。しかし、その身体に無数の光の蛇が侵入し、その身体を再構築していく。

 

「アスクレピオーズの効果で回復状態で場に残す!再び指定アタック!」

 

指定アタック、粉砕、回復状態で残る。その無限ループを止める術はクリスの手札には最早存在してはいない。天の階、天使スピエル、天使プリマと連続で破棄されていくカード達。十枚、二十枚、そして三十枚と次々とカードが破棄されていき、遂にデッキは最後の一枚を残すだけとなる。

 

「これで終わりよ。リブラ・ゴレムで指定アタック!粉砕!」

 

クリスのデッキに残っていた最後のカード、砲天使カノンが破棄される。そして、クリスのデッキは全て破棄され、彼女の末路は敗北以外消えて無くなってしまった。

 

「ターンエンド」

「……そんな、クリスちゃんが……」

「くそ……!スタートステップ……!」

 

スタートステップを宣言するクリス。しかし、彼女のデッキは0。デッキアウトの状態でスタートステップを宣言したプレイヤーは敗北となる。そして、敗者となった者を吹き飛ばす大爆発が引き起こされ、クリスをエクストリームゾーンの外へと吹き飛ばしたのだった。

 

 

 

 

「クリスちゃん!」

「っ……!」

 

地面を数回撥ねて転がっていくクリスを受け止める響。彼女の身体に大きな疲労が溜まっている事は目に見えて明らかだ。

 

「まゐの勝ちデス!」

「それじゃあ約束通り……」

「くそ……!」

 

クリスの身を案じている響の前にエクストリームゾーンから現れるまゐ、切歌、調の三人。切歌と調が勝者が得る報酬としてクリスの持つシンフォギアのペンダントを奪い取ろうと口を開いた、まさにその時だった。彼女達と響達の間に一台のバイクが乱入してきたのは。

 

「「「「「!」」」」」

 

そのバイクには響とクリスは見覚えがあった。確か、翼が愛用していたバイクだった筈だ。そして、そのバイクには二人の人物が乗っていた。リディアンの制服の上からライダージャケットを羽織った翼、そしてもう一人は、

 

「弾さん!翼さん!」

「大丈夫か!?立花!雪音!」

「……まゐ」

「……来ちゃったんだ、弾」

 

馬神弾。しかし、弾は響達の身を案じる翼とは違い、バイクから降りてその視線をずっとまゐに向けていた。まゐもまた、弾に視線を向けたまま外そうとはしない。因縁。そんなものでは語れないような、もっと凄い何かが二人の間にある。それだけはこの場にいる誰もが理解できた。

 

「まゐ、教えてほしい。何の目的のために戦っているんだ」

「……私は貴方とは違う。この時代に大切なものが一つしかないからこそ、そしてそれを信じているからこそ、私は彼女達と一緒に戦っている。それだけよ」

 

まゐが視線で切歌と調に合図を送る。その合図が不利になったこの状況から逃げ出すための合図だと気付いた二人はすぐに頷くと歌によってシンフォギアを展開させる。

 

「!まゐ!」

「また会いましょう。その時はヴィオレ魔ゐと……激突王、そしてブレイヴ使いとしてね」

「弾!」

 

調が丸鋸を作り出し、それを弾へと発射する。これを喰らわせては不味い。反射的に判断した翼が弾の目の前に立ち塞がってシンフォギアを展開、丸鋸を断ち切るがその一瞬の隙に二人はまゐを連れて飛び上がり、空の果てへと消えてしまったのだった。




学園祭なら、楽しい描写が多くなるかなと思って書いたら全然そんなことはなかった。


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第十四話 センゴクノリュウ

「成程……では、後一歩という所まで追い詰めておきながら撤退したと?」

「ええ、そうよ」

 

マリア達が移動する本拠として現在使用している大型ヘリ、エアキャリア。弾達の元から撤退したまゐ達はナスターシャに作戦の失敗を報告せざるを得なくなっていた。

 

「……」

 

まゐから撤退した時の状況を聞き、溜め息を漏らす。彼女達は十分にやってくれただろうし、何より装者に勝利したというその事実は大きい。そして、同時に彼女は馬神弾の出現と同時に撤退を決断したその判断こそが、馬神弾の実力の高さを示していた。

 

「作戦は失敗しましたが、一人も欠けずに戻ってきた事は不幸中の幸いと言ったところでしょう。しかし、これでは……」

「僕にいい考えがある」

 

と、ここで黙って二人の話を聞いていたウェルが口を開く。そして彼は懐にしまった赤い欠片を触ると、それを回収した場所であるカ・ディンギル跡地を想い浮かべる。

 

「ドクター・ウェル。考えとは?」

「ネフィリムの試運転がてら、ついでに自分の手で狩りをしてもらえばいいのですよ。ちょっとバトルをして、倒してペンダントを奪う。ネフィリムが持つその膨大な力を使えば不可能ではない」

 

こんな簡単なこと、何で今まで思い付かなかったのだろうか。そう言うかのような晴れやかな笑みで自身の提案を口にするウェル。そして、その話を聞いたナスターシャは少しの間考えるような仕草を見せていたが、次第に首を縦に振り、ウェルの作戦を肯定する。

 

「分かりました。現状、他に案が浮かばない以上、貴方の一手に賭けてみましょう。しかし、どこで彼女達を迎え撃つつもりですか?」

「それは勿論……」

 

カ・ディンギル跡地ですよ。そう言い、ウェルは笑いかけた。その笑顔の裏に、どす黒い感情を滲ませながら。

 

 

 

 

「ヴィオレ魔ゐ……じゃなくて紫乃宮まゐ……か。驚いたな。弾の奴、一緒に女も連れてきていたのかよ」

「その言い方だと大分語弊があるような気がするが……」

 

まゐ達と弾達が出会ったその日の夜。二課のヘリを使い、ある場所へ向かう響、翼、クリスの三人。しかし、そこに弾の姿は無い。彼は、まゐとの関係や彼女がどんな人物なのかについてを二課に報告する必要があったため、今回は共に出る事はできなかったのだ。

 

「でも、弾さんの仲間なら……なんで私達の敵になっているんでしょうか?」

「そこまでは分からないけど……取り敢えず、あいつら捕まえて、そこは洗いざらい吐いてもらうしかねえな」

 

両手を合わせて不敵な笑みを浮かべるクリス。確かにそれが一番手っ取り早いだろう。何故十二宮Xレアを彼女が持っているのかについてもその時に一緒に吐いてもらおう。

 

「意気込むのはいいが、そもそも彼女達がいるという保証はないだろう……」

「……まあ、いたらいたでいいんだよ」

 

溜め息を漏らしながら口を開いた翼に返答するクリス。昼間の敗北のせいで少しは意気消沈しているかと思ったが、この様子を見る限り逆に闘志を漲らせているようにも見える。となれば、戦力として特に問題ないだろう。

 

「三人とも、もうすぐ到着する!準備はいいか!」

 

通信を通してヘリの中に響く弦十朗の声。その声を合図に三人は顔を見合わせて立ち上がり、ヘリの扉を開いて下を見る。カ・ディンギル跡地。荒地となったその場所は現在、外から巨大な鉄の壁で隔離されており、塔の周辺にはノイズが蠢いている姿が上空からでも確認できる。

 

「何時でも行けます!」

「へっ、軽くぶち抜いてやらあ!」

「問題ない!いくぞ、二人とも!」

 

カ・ディンギル跡地に突然出現したノイズ。まるで自分達を誘っているかのようなその反応に今回の出撃を躊躇った弦十朗だったがどのみち対応しなければ近隣住民に被害が出るだけ。そこで、丁度色々な情報を聞くことも兼ねて弾を残し、これが陽動であったとしても本命の方を弾に対応させられるようにしておく。それが、二課が打ち出した現状、最善と言える動き方だった。

 

「……やっとお出ましのようだ」

 

ヘリから飛び出し、落下時の衝撃を耐えるためにシンフォギアを纏う装者達。その姿を見ながら、ウェルは地面に突き刺したソロモンの杖を抜き、ノイズ達を一目見た後、空から降り注ぐ三つの光に向かって杖を突き出す。

 

「さあいけ、ノイズ達!今日の食事に添え物なんていらないからな!狙うのは……ガングニールと融合した装者!立花響だ!」

「「「!?」」」

 

三人が着地した正にその直後。響の目の前の地面にヒビが入り、そこから異形の獣、ネフィリムが出現する。

 

「立花!!」

「響!!」

「……!」

 

そして現れたネフィリムはその巨大な口を開き、響を呑み込もうとする。不味い。そう響が本能的に判断すると共に、反射的にその口は開かれていた。

 

「ゲートオープン!界放!!」

 

瞬間、生じた光がネフィリムと響の間に出現し、その光が互いを呑み込んでいく。さらに光は周囲にいた翼やクリス、そしてウェルを呑み込んでいき、四人と一体をエクストリームゾーンへと誘う。

 

「どうにか難を逃れたか……!」

「けど、何だよありゃあ……!?」

 

取り敢えずバトルに持ちこめたことに安堵するように胸を撫で下ろす翼。しかし、自体はそう楽観視できない。バトルを行わなずにエクストリームゾーンに入った彼女達とバトルを行う響の目の前に立つネフィリム。四本の足を地面に付けて立つその背中が盛り上がり、皮膚を突き破って黒い人の姿が生えるように出現する。その異常な光景を目の当たりにしたウェル以外の全員は思わず言葉を失う。

 

「……な、何あれ……」

「あんなの、聞いてないデス……」

「あれが、ネフィリムの真の姿だというの……?」

「厳密には、今のネフィリムの真の姿、というべきでしょう」

 

カ・ディンギル跡地から少し離れた場所でその光景を目の当たりにしていたマリア達も、その姿に驚きを露わとしていた。が、そんな中でまゐはある疑問を口にする。

 

「待って。確か目的は二人のペンダントの筈でしょう?彼女を狙うことは無意味の筈よ」

「……彼なりの考えがあるのでしょう……」

 

そう口には出しつつも、ナスターシャ自身もよからぬ予感を感じ得ずにはいられないようだ。その表情は平静を取り繕いつつも僅かに強張っているのが確認できる。

 

「なんてものを飼っているんだ……!」

「響ちゃん……大丈夫かしら」

「……弾君。いつでも出れるようにコアブリットでスタンバイしておいてくれ」

「ああ、わかった」

 

二課の方も、ネフィリムを一目見てその異常性を確認することは容易にできた。万が一に備えて弾をいつでも出せるように準備させておき、モニターに映る未知の存在、ネフィリムのバトルに視線を向けるのだった。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ドラマル、軍師クローダードラゴンを召喚(リザーブ:S+3→0)

 

【ドラマル:赤・スピリット

コスト0:「系統:武竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【軍師クローダードラゴン:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:武竜・竜人」

コアS:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

先行を取ったのはネフィリム。まずネフィリムが呼び出したのは、黄色い皮膚に青紫色の鎧を纏い、その手に一本の薙刀を握ったブレイドラ。武士となったブレイドラ、ドラマルに続けて現れたのは、白い縦髪を靡かせる竜人。緑と黒を基調とした和装束に身を包んだそのドラゴンは、出現と共に雄叫びを上げる。

 

「あのスピリットは、一体……」

「いや、それよりもクローダードラゴンの上にあるコアは!?」

 

クローダードラゴンのカードの上に置かれた青いコアではなく、赤い互角形のコア。かつて、シンフォギアをエクスドライブへと顕現させたときに彼女達が使用した力、ソウルコア。バトル開始時に通常のコア3個とソウルコア1個の合計4個でネフィリムはバトルを始めていたのだ。

 

「何でソウルコアを……!?」

(ソウルコア。成程……どうやらネフィリムが暴れていた過去の時代ではこのソウルコアが数々のギミックの中で重要な役割を担っていたようだ)

 

ソウルコアを用いてバトルを行う場合、ゲームスタート時に通常のコア三個とソウルコア一個をリザーブに置いてスタートする。無論、ソウルコアの使用は任意となっているため、ソウルコアを現状では持たないノイズは通常のコア四個でバトルを行っている。また、ソウルコアに限り、ソウルコアを置いてあるカードとそれ以外のコアを置いてあるカードのコアは交換することが可能となる。また、コアシュートによってソウルコアが乗っているカードのコアがリザーブやトラッシュに移動するとき、移動させるコアの種類をその持ち主が選択でき、またソウルコアはボイドに移動せず、特殊な効果以外ではライフに移動しないルールが存在している。

 

『ターンエンド』

「ソウルコアを使うなんて……スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ダーク・ディノニクソーをLv2で召喚(リザーブ:5→1)!」

 

【ダーク・ディノニクソー:赤(緑)・スピリット

コスト2(軽減:赤2):「系統:地竜」

コア2:Lv2:BP4000

シンボル:赤(緑)】

 

響が呼び出したのは彼女のデッキで緑のシンボルを確保するために重要な役割を果たしてくれるスピリット、ダーク・ディノニクソー。黒い皮膚を持ち、丸鋸が体内で回転しているその小さな恐竜型スピリットは、登場と共に可愛い鳴き声を上げる。

 

「バーストをセットしてターンエンド!」

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)、メインステップ。ドラマルのコアと軍師クローダードラゴンのソウルコアを交換』

 

【ドラマル

コア1→S】

 

【軍師クローダードラゴン

コアS→1】

 

「ソウルコアを交換した!?」

(成程、こういうこともできると……)

 

ソウルコアを交換したのはあくまで準備の前段階に過ぎない。交換を終えたドラマルは、小さく鳴きながら背中の翼を一つに合わせ、天の文字を作り出して光を放ち、新たな赤のシンボルをその身に取り込む。

 

【ドラマル

シンボル:赤+赤】

 

『サムライ・ドラゴン、召喚(リザーブ:3→0)

 

【サムライ・ドラゴン:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤3):「系統:武竜」:【覚醒】

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

瞬間、一筋の光がフィールドを包む。その光を切り裂いて現れたのは、赤を基調とした装束に身を包んだ青い皮膚の侍、サムライ・ドラゴン。風に青い髪を靡かせながら自身の愛刀たる炎雷を握り、その瞳を赤く輝かせながら降臨する。

 

「また新しいスピリットを……!」

 

ドラマルは、名前にサムライ・ドラゴン、またはソウルドラゴンと入っているスピリットを召喚する場合、自身に赤のシンボルを1つ追加する便利な効果を持っている。その効果を使い、サムライ・ドラゴンを最大軽減で呼び出したのだ。

 

『アタックステップ。サムライ・ドラゴンでアタック。軍師クローダードラゴン、自分のアタックステップ時効果。覚醒を持つサムライ・ドラゴンのアタックによりデッキから1枚ドロー』

 

軍師クローダードラゴン、自分のアタックステップ時効果。覚醒、真・激突、一騎打、連刃、無限刃のどれか1つでも持っている自分のスピリットがアタックしたとき、デッキから1枚ドローする。今回アタックしたサムライ・ドラゴンは覚醒を持っているため、ドローの条件は満たすこととなる。

 

「覚醒……ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

サムライ・ドラゴンが刀を振り上げ、響へと迫る。ダーク・ディノニクソーでブロックしても覚醒で強化される恐れがあるため、ここはライフで受けることを狙う。サムライ・ドラゴンの刃が響のライフを破壊し、一つを吹き飛ばす。しかし、まだノイズのアタックは終わらない。

 

『ドラマルでアタック』

「ダーク・ディノニクソーでブロック!」

 

ドラマルには覚醒は無い。BP1000ならダーク・ディノニクソーで十分に仕留められる筈だと踏み、ダーク・ディノニクソーでのブロックを宣言する。

 

『サムライ・ドラゴン、フラッシュ効果、覚醒。ドラマルのコアをすべてこのスピリットに移動』

 

【ドラマル

コアS→0】

 

【サムライ・ドラゴン

コア1→1+S:Lv1→2:BP3000→6000】

 

覚醒。それは自分のスピリットのコアを、好きなだけ効果を発揮したスピリットに置くことができる効果。その効果を使えばBP負けしそうになっているスピリットのコアを別のスピリットに移動し、Lvを上げたりと柔軟な動きが可能となる。が、その覚醒と言うコアを移動させる能力は、ソウルコアという新たな力が加わることで更なる真価を発揮する。

 

『サムライ・ドラゴン、Lv2・3アタックステップ時効果。覚醒でソウルコアがこのスピリットに置かれたとき、ターンに1回このスピリットは回復し、このターンの間、BP+5000』

 

【サムライ・ドラゴン

BP6000+5000→11000】

 

「っ!?回復だけじゃなく、BPアップまで!?」

 

コアを失ったドラマルが消える。そして回復したサムライ・ドラゴンが再びその刃を構え、響へと襲い掛かる。

 

『サムライ・ドラゴンでアタック。クローダー・ドラゴンの効果により1枚ドロー』

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:2→3)!」

 

サムライ・ドラゴンの二度目の一撃が再度ライフを切り裂く。しかし、これ以上はただでは受けられない。そう言わんばかりに響は仕掛けておいたバーストを起動させる。

 

「ライフ減少によりバースト発動!絶甲氷盾(コスト4(軽減:白1))!ライフを1つ回復(ライフ:3→4)!さらにフラッシュ効果発揮(リザーブ:3→0)!不足コストはダーク・ディノニクソーより確保!」

 

【ダーク・ディノニクソー:赤(緑)→赤

コア2→1:Lv2→1:BP4000→2000

シンボル:赤(緑)→赤】

 

「バトル終了時、アタックステップを終了させる!」

(ちっ、凌いだか……いや、ネフィリムがどれほどの力を秘めているのかを確認するということを考えてみれば多少はやってくれないとこちらも困る)

 

氷の壁が出現し、響のライフ回復とクローダードラゴンのアタックに対する防御を同時にこなしていく。サムライ・ドラゴン、その強大な力は確かに脅威に成り得るものだろう。しかし、だからといってこちらも負ける訳にはいかない。

 

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→7)!メインステップ!」

 

ドローステップでドローしたカードを見ながら、よしと内心で呟く。このカードなら、例えソウルコアを持ち出した敵が相手であっても真正面から渡り合ってくれる筈であると。そう信じて響はターンを進める。

 

「ダーク・ディノニクソーをLv2にアップ(リザーブ:7→6)!」

 

【ダーク・ディノニクソー:赤→赤(緑)

コア1→2:Lv1→2:BP2000→4000

シンボル:赤→赤(緑)】

 

「……」

(……来たか)

 

そして一枚のカードを手に、意識を集中させる。それと共に彼女の口から紡がれていく歌声。アルティメットを呼び出すためのフォニックゲインが高められていき、その歌声は響の魂を燃やし、そのカードを現出させる。

 

「響け、金色の稲妻!!アルティメット・ジークヴルム、召喚(リザーブ:6→0)!!」

 

【アルティメット・ジークヴルム:赤・アルティメット

コスト6(軽減:赤3):「系統:新生・星竜・竜人」:【真・激突】

コア1:Lv1:BP10000

シンボル:極】

 

空が暗雲で黒く塗りつぶされ、そこから雷鳴が鳴り響く。雷鳴の中から現れたのは、黄金の鎧を纏う、紅蓮の皮膚を持つ雷の龍。ジークヴルムが別の方向性へと進化した、可能性が生み出した新たな姿。強き力を持ち、ジークヴルムがアルティメットへと昇華された存在、アルティメット・ジークヴルム。その存在が、咆哮と共に証明される。

 

「よし!一気に畳みかけろ、響!」

「貫け、ガングニール!その拳を響かせろ!撃爪アダーラ、召喚!不足コストはダーク・ディノニクソーより確保!」

 

【ダーク・ディノニクソー:赤(緑)→赤

コア2→1:Lv2→1:BP4000→2000

シンボル:赤(緑)→赤】

 

【撃爪アダーラ:緑・ブレイヴ

コスト2(軽減:緑1):「系統:剣刃」:【スピリットソウル:緑】

シンボル:なし】

 

天より落ちてくる、鋭い爪が生えた緑を基調とした篭手、撃爪アダーラ。響が変化させたガングニールの力を使い、果敢に攻める。

 

「アルティメット・ジークヴルムに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!」

 

【アルティメット・ジークヴルム:赤+緑

コスト6+2→8

BP10000+1000→11000】

 

アルティメット・ジークヴルムの両腕にアダーラが装着され、その身体から緑色の光が放たれる。アダーラから得た新たな力を両手に宿し、アルティメット・ジークヴルムは咆哮を張り上げる。

 

(ブレイヴも握っていたか……)

「バーストをセットしてアタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!真・激突!」

『クローダードラゴンでブロック』

 

アルティメット・ジークヴルムがアダーラをはめた右手を振り上げ、クローダードラゴンへと必殺の一撃を叩き付ける。その一撃でクローダードラゴンの身体が一瞬で弾け飛ぶと共にアダーラが光を放つ。

 

「撃爪アダーラ、合体(ブレイヴ)時効果!BPを比べ、相手だけを破壊したとき、相手のライフ(ライフ:5→4)1個をリザーブに置く(リザーブ:0→1)!」

 

光を放つアダーラを思い切り振り抜く。それと共に閃光が放たれ、ネフィリムへと命中してそのライフを破壊する。

 

「よし!まずは一発!」

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:3→5)、メインステップ。陀武竜ドロー(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:5→2)。デッキから2枚ドロー。その後、自分のトラッシュにある系統:「武竜」を持つスピリット1枚を手札に戻す。ドラマルを手札に戻す』

 

2枚のカードとトラッシュのドラマル、合計3枚のカードを手札に加え、一気に手札補充を進めていく。コアは十分とは言えないが、手札の枚数は単純に驚異的だ。

 

『ドラマルを召喚(リザーブ:2→0)。ソウルコアをサムライ・ドラゴンより移しLv2で召喚する』

 

【サムライ・ドラゴン

コア1+S→1:Lv2→1:BP6000→3000】

 

【ドラマル

コスト0

コア2+S:Lv2:BP3000

シンボル:赤】

 

『アタックステップ。サムライ・ドラゴンでアタック』

「ダーク・ディノニクソーでブロック!」

 

サムライ・ドラゴンが振り抜いた刃がダーク・ディノニクソーを両断する。しかし、その破壊が響の仕掛けたバーストを起動させる引き金となる。

 

「スピリット破壊によりバースト発動!双光気弾!デッキから2枚ドロー、フラッシュ効果は使わない!」

『ターンエンド』

「……次のターン、アルティメット・ジークヴルムの貫通効果に対する警戒ね……」

 

ここまでの様子を見ながらマリアが呟く。アルティメット・ジークヴルムのアタックをドラマルでブロックし、覚醒でコアをすべてサムライ・ドラゴンに移動させればLvとBPを上げた上に回復してブロッカーにでき、アダーラの効果発揮条件であるBP勝負による破壊をも回避できる。

 

「ガングニールでも随分性能が違うのね」

「アームドギアとは使い手の想いなどによって形状を変化させるもの……故に、姿も効果も違うのはある意味必然でしょう」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→8)!メインステップ!ライト・ブレイドラ、ピナコチャザウルス、鎧竜エドモントソードを召喚(リザーブ:8→1)!」

 

【ライト・ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:星竜」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【ピナコチャザウルス:赤(緑)・スピリット

コスト1(軽減:赤1):「系統:地竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤(緑)】

 

【鎧竜エドモントソード:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤3・緑1):「系統:地竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア2:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

双光気弾で増えた手札を如何なく使い、一気に三体のスピリットを召喚する響。銀色のブレイドラ、ライト・ブレイドラ。小さいピナコサウルスを模した恐竜スピリット、ピナコチャザウルス。四本脚で前進する巨大な二本の剣を角として生やした強固な殻に守られた地竜、鎧竜エドモントソード。この三体を使い、一気にこの状況を打破する。

 

合体(ブレイヴ)アルティメットをLv4にアップ(リザーブ:1→0)!」

 

【アルティメット・ジークヴルム

コア1→2:Lv3→4:BP10000→13000+1000→14000】

 

「アタックステップ!鎧竜エドモントソードでアタック!アタック時効果で系統:「地竜」を持つ自分のスピリットの数だけBP4000以下の相手スピリットを破壊する!1強化(チャージ)追加でBP5000以下の相手スピリット2体を破壊!」

 

現在、響のフィールドに存在する系統:「地竜」を持つスピリットはピナコチャザウルスとエドモントソードの二体。よって、BP5000以下の相手スピリット二体、ドラマルとサムライ・ドラゴンにエドモントソードの角から放たれた斬撃が突き刺さり、その身体を爆発させる。

 

「よし、一掃した!」

「一気に攻めてやれ!」

「さらに緑のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!ボイドからコア1個を自分のスピリットに置く!エドモントソードに1コア追加!」

 

【鎧竜エドモントソード

コア2→3:Lv1→2:BP4000→6000】

 

『フラッシュタイミング。マジック、鉄壁ウォール(コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:3+S→0)

「「「!?」」」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:0→1)

 

ネフィリムがエドモントソードの鋭い突きを受ける。しかし、それと共に鉄壁と言うべき巨大な白い壁が出現し、それはエドモントソードを弾き飛ばしてしまう。

 

『バトル終了時、アタックステップを終了する』

「っ……見たことも無いウォールマジックを!」

「あれも太古のものなのか……!」

「ターンエンド……!」

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:2→8+S)、メインステップ。ドラマルを召喚(リザーブ:8+S→7+S)

 

【ドラマル

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

二体目のドラマルが召喚される。召喚されたドラマルは出現と同時に己の翼を合わせ、天の文字を作り出して再び赤のシンボルを得る。

 

【ドラマル

シンボル:赤+赤】

 

『剣豪龍サムライ・ドラゴン・(アマツ)、Lv2で召喚(リザーブ:7+S→1)

 

【剣豪龍サムライ・ドラゴン・(アマツ):赤・スピリット

コスト6(軽減:赤3):「系統:家臣・武竜」:【無限刃】【覚醒】

コア2+S:Lv2:BP7000

シンボル:赤】

 

ネフィリムのフィールドに炎と共に現れる新たなサムライ・ドラゴン。赤を基調とした鎧にその身を包み、その両手に炎雷と新たな刀、流星を携え、炎を無限の斬撃で切り裂きながら登場する。

 

「新たなサムライ・ドラゴンだと!?」

『アタックステップ。サムライ・ドラゴン・(アマツ)、無限刃発揮。鎧竜エドモントソードに指定アタック』

 

無限刃。この能力を持つスピリットにソウルコアが置かれている間、疲労せずに指定アタックを行える強力な効果である。その効果の対象となるのは、当然スピリットだけではなく、アルティメットもまた例外ではないのだ。

 

「っ……疲労しないでアタックできるなんて……!」

 

エドモントソードが眼前へと迫ったサムライ・ドラゴン・(アマツ)の刀の一振りで両断させられる。さらに間髪いれずに次なる標的としてピナコチャザウルスを指定し両断、さらにライト・ブレイドラを指定して一気に三体のスピリットを斬り捨ててしまった。

 

「くっ……アルティメット以外全滅だと……!」

『ターンエンド』

 

とはいえ、この状況ではアルティメットを指定アタックすることもできず、かといって普通にアタックしてもブロックされてしまう。故にこの状況でできるのは他のスピリットを一掃することだけ。だが、損失面でいえば十分すぎる成果をサムライ・ドラゴン・(アマツ)は叩き出していた。

 

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:1→2)リフレッシュステップ(リザーブ:6→9)!メインステップ!マジック、三札之術(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:9→4)!デッキから2枚ドローし、デッキを上から1枚オープン!それが赤のスピリットなら手札に加える!」

 

2枚のカードをドローし、オープンされたカードはライト・ブレイドラ。赤のスピリットカードであったため、響はそれを手札へと加える。

 

「ライト・ブレイドラを召喚(リザーブ:4→3)!」

 

【ライト・ブレイドラ

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

「続けてマジック、フレイムスパーク(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:3→0)!不足コストは合体(ブレイヴ)アルティメットより確保!」

 

【アルティメット・ジークヴルム

コア2→1:Lv4→3:BP13000→10000+1000→11000】

 

「BP合計5000まで相手スピリットを好きなだけ破壊!1強化(チャージ)追加でBP6000まで!ドラマルを破壊!」

 

雷鳴の混ざった炎がドラマルを包みこむ。さらにこの効果でスピリットを破壊したことで響はトラッシュのスピリット、ライト・ブレイドラを手札に加える。

 

((アマツ)を確実に潰しに来たか……)

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!真・激突!」

『サムライ・ドラゴン・(アマツ)でブロック』

 

二本の刀が生み出す無限の斬撃に炎の爪で挑むアルティメット・ジークヴルム。その無数の斬撃の中に生まれた一瞬の隙間、そこをくぐり抜けて放たれた炎の爪は、サムライ・ドラゴン・(アマツ)の赤い鎧を砕いてその身を貫き、貫かれたその身はゆっくりと崩れ落ちていく。

 

「アダーラ、合体(ブレイヴ)時効果でライフ(ライフ:4→3)をリザーブに置く(リザーブ:2→3)!ターンエンド!」

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:5+S→6+S)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:6+S→10+S)、メインステップ。剣武龍ムラマサ・ドラゴンをLv3で召喚(リザーブ:10+S→1)

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤3):「系統:起動者・武竜」:【起動:全色】

コア4+S:Lv3:BP8000

シンボル:赤】

 

再びノイズの場に巨大な炎が燃え上がる。その炎の中から現れたのは、赤い鎧に身を包んだ、額から刀を生やしたオレンジ色の皮膚をもつドラゴン、ムラマサ・ドラゴン。新たな主格スピリットの登場に響は再び嫌な予感を感じ取る。

 

『バーストをセット、そしてアタックステップ。剣武龍ムラマサ・ドラゴンでアタック。この瞬間、ソウルコアをトラッシュに置き、S(ソウル)バースト発動。鎧龍刃ゴウテン』

S(ソウル)バースト!?」

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コア4+S→4】

 

起動。その効果を持つスピリットは効果発揮時にソウルコアをトラッシュに置くことで成立するその効果は、そのスピリットの起動が対応している色のセットされているバースト、通常は普通のバーストとして使用できる特殊なバースト、S(ソウル)バーストを発揮条件を無視して発揮できる強力な効果である。

 

『鎧龍刃ゴウテン、バースト効果によりBP5000以下の相手スピリット、ライト・ブレイドラを破壊』

 

背中からマゼンタ色の刃の翼を生やした赤い機械竜が出現し、その翼でライト・ブレイドラを切り裂く。ライト・ブレイドラを破壊したゴウテンはそのままムラマサ・ドラゴンの上空へと移動していく。

 

『この効果発揮後、このブレイヴを召喚する。剣武龍ムラマサ・ドラゴンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コスト5+4→9

BP8000+3000→11000

シンボル:赤+赤】

 

ゴウテンの翼が二本の剣となり、胴体が消滅していく。そして落下するその二本の剣を手に取り、額の刀と合わせて三刀流となったムラマサ・ドラゴンはダブルシンボルの一撃を響へと叩き付けるために振り上げる。

 

「ら、ライフ(ライフ:4→2)受ける(リザーブ:1→3)!」

 

ダブルシンボルの強烈な一撃が響のライフを切り裂く。先程までとは桁が違うその衝撃と痛みに表情を苦しく変えるも、何とか膝は付かずに立ち止まる。

 

「立花!大丈夫か!?」

「はい!まだまだいけます!」

『ターンエンド』

(本当に面白い……僕もこんな力を使えれば……だが、彼女達はまだ知らないんだよなぁ……当時はこの時代のように力のあるアルティメットなんてほとんどいなくて、一般流通しているカード達と同じような感覚でアルティメットがごろごろしているということを)

 

そしてそれが何を意味しているのかを。そう考えると彼女達の無知っぷりに思わず笑ってしまいそうになる。それを必死にウェルが隠そうとしている事にも気付かず、響は次の己のターンを開始する。

 

スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:3→12)!メインステップ!ライト・ブレイドラを召喚(リザーブ:12→11)!」

 

【ライト・ブレイドラ

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

「赤き光よ、その鼓動を響かせろ!雷光龍ライト・ジークヴルム、Lv3で召喚(リザーブ:11→1)!」

 

【雷光龍ライト・ジークヴルム:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤3):「系統:星竜」:【強化(チャージ)

コア5:Lv3:BP9000

シンボル:赤】

 

雷鳴が響の背後で轟く。そして背後から這い出るように現れたのは、銀色のドラゴンの身体を持つジークヴルム。紫色の目を持つ光の力によって変化したライト・ジークヴルムが登場と共に咆哮を張り上げる。

 

合体(ブレイヴ)アルティメットをLv4にアップ(リザーブ:1→0)!」

 

【アルティメット・ジークヴルム

コア1→2:Lv3→4:BP10000→13000+1000→14000】

 

「アタックステップ!ライト・ジークヴルムでアタック!」

 

ライト・ジークヴルムが咆哮を上げて突進する。しかし、ノイズは動かない。動かずにただ、淡々とした鳴き声のような声を漏らしながら選択する。

 

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:1→2)

 

ライト・ジークヴルムの口から放たれた電光がネフィリムのライフを砕く。さらに響はライト・ブレイドラを動かし、追撃に出る。

 

「ライト・ブレイドラでアタック!フラッシュタイミング!ストームアタック(コスト4(軽減:緑2))を使用!不足コストはライト・ジークヴルムより確保!」

 

【雷光龍ライト・ジークヴルム

コア5→1:Lv3→1:BP9000→4000】

 

「ライト・ジークヴルムを回復!」

『フラッシュタイミング。マジック、鉄壁ウォール(コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:2→0)。不足コストは合体(ブレイヴ)スピリットより確保』

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コア4→2:Lv3→1:BP8000→4000+3000→7000】

 

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:0→1)

「くそ、二枚仕込んでたのか……!」

「ターンエンド……!」

 

バトル終了後、アタックステップが終了する。そして響のターンは終了し、ネフィリムへと次なるターンが移行することとなる。

 

スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→11+S)、メインステップ。合体(ブレイヴ)スピリットをLv3にアップ(リザーブ:11+S→9)

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コア2→4+S:Lv1→3:BP4000→8000+3000→11000】

『マジック、フュージブラスト(コスト3(軽減:白2))使用(リザーブ:9→6)。相手の合体(ブレイヴ)しているブレイヴ1つをデッキの上に戻す。撃爪アダーラを指定』

「っ!?ブレイヴが!?」

 

【アルティメット・ジークヴルム:赤

コスト6

BP13000】

 

白い光がアルティメット・ジークヴルムの両手に放たれ、篭手が消滅する。まさか破壊以外の方法でブレイヴを引き剥がしてこようとは。流石にこれは響達にとっても予想外すぎた。

 

『バーストをセットし、アタックステップ。合体(ブレイヴ)スピリットでアタック。S(ソウル)バースト発動、獅子王』

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コア4+S→4】

 

バーストが起動し、現れたのは獅子の鍔を持つ赤い刀身の刀。それは地面に突き刺さると共にその刀身から巨大な炎を放つ。

 

『獅子王、バースト効果。BP7000以下のライト・ジークヴルムを破壊。さらに起動でこのバーストが発動したことにより、BP15000以下のスピリット/アルティメットを破壊する』

「「「「「「!?」」」」」」

 

アルティメットを破壊する。その言葉に六人の装者全員が固まる。しかし、彼女達の止まった思考を無理矢理動かすかのように獅子王から放たれた炎はライト・ジークヴルムとアルティメット・ジークヴルムを包みこみ、跡形も無く消し飛ばしてしまう。

 

「アルティメット・ジークヴルム!?」

(そう……こういうことも普通に起こり得る……!だが、それを容易にするこの力、やはり僕が……!)

『効果発揮後、獅子王を召喚(リザーブ:6→5)

 

【獅子王:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:剣刃」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

『鎧龍刃ゴウテン、合体(ブレイヴ)時効果。BP6000以下のライト・ブレイドラを破壊』

 

そして最後に残ったライト・ブレイドラを破壊し、全てのブロッカーを蹴散らす。そして三本の刃を構え、ムラマサ・ドラゴンは響の目の前へと現れる。

 

「……あ」

「立花!!」

「響!!」

 

そして振り下ろされる刃。二つのライフが砕ける音と共にエクストリームゾーンが消滅していく。そして一瞬の浮遊感を味わいながら、三人はウェルの声を聞いた。

 

「喰らい付け」

 

瞬間、響は左腕に何か違和感を感じ取っていた。何かに挟まれたかのような、そんな感覚を。だが、その正体が明らかとなったのは、現実空間に戻ってきたとき。

 

「……え?」

 

元の獣の姿となったネフィリムの口に、自分の左腕が呑まれている。瞬間、遅れて外に現れた翼とクリスが辺りを見渡して響の姿を捉えた、まさにその瞬間。ネフィリムは、響の左腕をいとも簡単に食い千切った。




特に理由のない戦国ギミックが響を襲う―――!

デッキの中には普通にへヴンとかリバイバル版双光気弾とか投入されているのは内緒だ。


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第十五話 激突、ネフィリムVS馬神弾

正に一瞬の出来事だった。ノイズの反応を追ってカ・ディンギル跡地に現れた三人を待ち構えていた、ネフィリムの餌である聖遺物を狙うウェル。ノイズを使って自分達の敵がノイズとウェルだけだと思わせ、その意識の外にあった、予想すらもしていなかったネフィリムの襲撃で響をバトルへと引きずりこむ。そしてネフィリムの手によって敗北した響は、自分達がエクストリームゾーンから外に出た、本当にその一瞬の間にその左腕を喰われ、いとも簡単に引き千切らされたのは。

 

「……え?」

 

鮮血が空を舞う。全ての感覚が消え、視界の先に鮮血を残して消えた左腕が映る。そして、その左腕を喰らった目の前の獣、ネフィリムが口を動かし、喰らった左腕の装甲、骨を噛み砕く。その音と共に、目の前で起こった非情なる現実によって止まらせていた三人の時は、動き出す。

 

「あ、あああああああああああああああ!!!!」

「立花!!」

「響!!」

 

激痛が失われた左腕を起点として全身へ広がっていく。同時に響の中に広がる、左腕が消えた事によって生じた喪失感、恐怖。全身が震え、力を失ったように崩れ落ち、左腕を抑えながら悲鳴を上げ続ける響の元に翼とクリスが駆け寄る。

 

「大丈夫か!?おい、しっかりしろ!」

「くっ……ウェル……貴様ァ……!!」

「はーはっははは!!まずは左腕が逝ったぁあああああ!!」

 

興奮と歓喜に満ち溢れた表情で叫ぶウェル。殺気を込めた翼の視線などお構いなしのウェル。そんな彼等の姿を見て、切歌達もウェルの狂気に塗れた行動に顔を蒼白に染めていた。

 

「あ、あいつ……!?」

「……最低……!」

「……」

 

震える手を強く握り締めながら無言のままでいるマリア。しかしその表情はウェルに対する激しい怒りに満ち溢れており、それを必死で抑え込むために声を出さずに耐えているようにも見える。

 

「酷い……それに、そもそもの目的が違うじゃない!」

「そうデス!元々ネフィリムの餌として狙っていたのは風鳴翼と雪音クリスの二人が持つペンダントだけだった筈デス!」

「でも、あの動き方は完全に立花響を狙っていた……!」

 

聞かされていた内容と違う。そう言うかのようにいつになく感情を荒げる切歌と調。ナスターシャ自身も、ウェルの行動に対して遺憾の想いを抱かざるを得ない。

 

「貴様、一体何が狙いだ!!何のためにここまでする!何が貴様を駆り立てる!!」

「質問が多いんだよ!まあいいさ、何でネフィリムを育てるか?それは育てなきゃいけないからさ!そして僕達の目的は、この星を救う事なんだよォ!」

「星を救う!?人の腕食い千切っといて何ほざいてやがる!」

 

とことんにまでヘイトを集めていくウェル。しかし、今の彼にとってはそのヘイトすらも逆に気持ちのいいものになっている。だからこそ、彼は気前よく叫ぶ。

 

「ルナアタックによって破壊され、誕生した月の欠片……それは近い将来、この星に落下しようとしている!数年も満たない内にな!」

「数年だと!?」

「馬鹿な……世界中の研究機関で打ち出されている計算結果では数百年後だった筈です!」

「……少し計算してくれ!大まかでいい!」

「既にやっていますよ!」

 

ウェルの言葉が偽りという可能性もなくはない。しかし、彼等の行動原理が星を救う事であったというのなら、そしてその言葉が嘘ではないとしたら。弦十朗の命令を受ける前に既に行動を起こしていた朔也は、すぐにその結果を導き出す。

 

「……本当に大雑把ですが……彼の言うとおり、研究機関が打ち出した結果が出鱈目であることは分かりました」

「……どうやら、世界中の国々のお偉いさんがわざと隠蔽していると見ていいようだな……」

 

その理由は、表向きは人々に不安などを与えたくないなどの理由で幾らでも飾れるだろう。しかしその本当の理由は何か。秘密裏に自分達を救う方法を模索し、自分達だけでも助かろうとしているのだろう。そして、多くの人々が犠牲となり、星が滅ぶかもしれない近い未来を解決するために武装組織フィーネは世界を敵に回すこの行動に打って出たのだ。

 

(だから、あんな派手なことを……)

 

アメリカにいても、政府などの機関からの圧力でどうせ動けない。離反して秘密裏に行動していても何れアメリカがいち早く自分達の存在を導き出し、それを世界の敵だなんだと公開するだけ。いずればれるならこちらから宣戦布告と共に自分達の力を誇示し、自分達の脅威を印象付けることでそれを抑止力としたのだ。現に、同じシンフォギア、また装者に匹敵する実力を持つ弾がいる二課が自由に動いている中、他の国家は主にノイズを操る手段があるという事実のせいで動くに動けないという状態に陥っているのだから彼等のライブでのパフォーマンスは大成功であったといえるだろう。

 

「さて……やはり考えていた通りだ。見ろ!ネフィリムは一気に成長したぞ!」

 

ウェルの言葉と共にネフィリムが咆哮を上げる。さらに一回り大きくなったネフィリムは、食欲に満ちたその獰猛な口を開き、翼達を見る。

 

「「っ……!」」

「……」

 

翼とクリスが響を庇うようにネフィリムの前に立つ。新たな餌が目の前に現れたとでも感じ取ったのだろうか。どこか嬉しそうな鳴き声を漏らしながらその口からよだれを垂らす。

 

「……うぐ!?」

「!?響!?」

 

目の前の脅威に意識を向けている中、自分達の後ろにいる響にも異変が起こっていた。左腕の喪失、徐々に生命機能が低下していく身体。そして、その身に埋め込まれ、シンフォギア使用の度に融合が進んでいくガングニール。それらが合わさり、響の中であまりに危険すぎる異常現象が引き起こされようとしていた。

 

「おい、しっかりしろ!おい!」

 

急に身体が痙攣し出し、目の焦点がずれていく。そのまま倒れ込む響の容態を確認しようとクリスがしゃがみこんだ、その時だった。

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

「「「!?」」」

 

人のものとはとても思えない咆哮が轟いた。その咆哮を上げたのはネフィリムではない。なんと、響だった。胸から巨大な光が溢れ出し、全身を黒く染め上げる。そしてその瞳は真っ赤に染まり、全身から巨大な闘気が溢れ出していく。その闘気に一番近くにいた翼とクリスはいとも簡単に吹き飛ばされ、ネフィリムでさえも数メートル後退させられる。

 

「うぁあ!」

「ぐぅう!?」

「うわああああ!?」

 

そしてウェルはその風に耐えられず、数メートル吹き飛び、勢いよく地面を転がっていく。その衝撃に呑み込まれたノイズ達の身体が次々と吹き飛び、消滅していく。だが、そんなことすら気にならないほどの異変が響の身体に引き起こされていた。

 

「何……だと……!?」

 

千切れた響の左腕。そこから無数の黒い腕のようなものが生え出し、それらは一つに束ねられてガントレットを装着した新たな左腕へと変わっていく。

 

「腕が……生えた……!?」

「まさか、アームドギアを形成するように左腕を形成したというのか……!?」

 

その異質な光景、それを前にしたネフィリムは一つの決断をしたかのようにその場から飛び出していく。ネフィリムが選んだのは、自らの欲望に従うという選択肢。それに従ったネフィリムは響へと飛びかかろうとして、空から一直線に突っ込んできたコアブリットと真正面から激突して吹き飛ばされていった。

 

「これは……コアブリット!」

「来るのが遅すぎる!」

「大丈夫か!響!」

 

地面を数メートル抉りながら直進していくコアブリットを開き、その中から飛び出して暴走状態に陥る響の元へ駆け寄る弾。さらに翼とクリスも彼女の元に駆け寄ると、まるで糸が切れたように黒く染まった全身は色を取り戻していき、元のリディアンの制服を着たいつもの彼女の姿となって意識を失って倒れ込む。

 

(……左腕が、ある……?シンフォギアによって作り出された一時的なものではない……?)

「……ふぅ、取り敢えず無事そうだな……」

「響は任せた。俺は……ネフィリムを倒す」

 

コアブリットによって吹き飛ばされたネフィリムが弾の姿を捉える。そしてネフィリムが弾達へ向けて突進してきた瞬間、弾はネフィリムとの戦いに臨むためのゲートを開く。

 

「ゲートオープン!界放!!」

 

弾の開いたゲートがネフィリム諸共引き込む。そして弾の身体を炎が覆っていき、それは金と赤で彩られた青い五つのコアを埋め込んだアーマーへと変わっていく。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ブレイドラ

召喚(リザーブ:4→3)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

「さらにマジック、リバイブドロー(コスト4(軽減:赤1))使用(リザーブ:3→0)。デッキからカードを2枚ドロー、ターンエンド」

 

弾が召喚したオレンジ色の体毛に剣の翼をもつ小さなドラゴン、ブレイドラ。その召喚と共に使われたドローマジックで手札を増やし、ネフィリムの最初の一手を見ることにする。

 

スタートステップ(ターン02)

 

その身体から黒い人のような姿を生やしたネフィリムが人の口を動かしてターンの開始を宣言する。その左手に握られた四枚の手札を僅かに動かしながら次のステップを宣言する。

 

コアステップ(リザーブ:S+3→S+4)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。軍師クローダードラゴンを召喚(リザーブ:S+4→1)

 

【軍師クローダードラゴン:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:武竜・竜人」

コアS:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

最初にノイズが呼び出したのは黒いマントを羽織る一体の竜人。響とのバトルでもサムライ・ドラゴンと組み合わせて驚異的なドロー力を発揮したクローダードラゴンは召喚と共に咆哮を上げ、弾を威嚇する。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。マジック、ブレイヴドロー(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:4→0)

 

デッキからカードを二枚ドロー、その後デッキを上から三枚オープンし、その中のブレイヴ一枚を手札に加えて残りは好きな順番でデッキの上に戻すマジック、ブレイヴドロー。手札を確実に増やし、デッキの上から三枚、ストームアタック、太陽龍ジーク・アポロドラゴン、金牛星鎧ブレイヴタウラスがオープンされる。その内のブレイヴ、金牛星鎧ブレイヴタウラスを手札に加え、残りはストームアタック、太陽龍ジーク・アポロドラゴンの順番で弾はデッキの上に戻した。

 

「バーストをセットしてターンエンド」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:2→5)、メインステップ。マジック、陀武竜ドロー(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:5→2)。デッキから2枚ドロー』

 

ここまでお互いに手札とスピリットを増やしていく。ネフィリムもまた、ドローマジックを使って手札を増やし、さらに余ったコアを使ってスピリットを強化していく。

 

『クローダードラゴンをLv2にアップ(リザーブ:2→0)

 

【軍師クローダードラゴン

コアS→S+2:Lv1→2:BP3000→5000】

 

『バーストをセット。ターンエンド』

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:7→8)リフレッシュステップ(リザーブ:1→5)、メインステップ。森林のセッコーキジをLv2で召喚(リザーブ:5→3)

 

【森林のセッコーキジ:緑(赤)・スピリット

コスト1(軽減:緑1・赤1):「系統:爪鳥」

コア2:Lv2:BP2000

シンボル:緑(赤)】

 

緑の羽をもつ、二本の刀を携えたキジ型スピリット、森林のセッコーキジを場に並べる。スピリットを増やして軽減シンボルを並べたのを確認し、弾はその手に眠る一枚のカードを取り出す。

 

「来たれ、牡羊座の力宿りし星鎧!牡羊星鎧アリエスブレイヴ、召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【牡羊星鎧アリエスブレイヴ:緑・ブレイヴ

コスト4(軽減:緑2・赤1):「系統:遊精・光導」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:緑】

 

弾がカードを掲げると、無数の星が天へと立ち昇っていく。天へと放たれた光は牡羊座を作り出し、そこから緑と薄い紫の二色で彩られた装甲を纏う、四本の金色の蹄と二本の角を光に反射させる羊のような姿をしたブレイヴが出現し、フィールドに降り立つ。

 

「牡羊座の裏十二宮ブレイヴ!」

「この状況では合体(ブレイヴ)はできませんが、威嚇としては十分ですね……!」

「ターンエンド」

(弾君も動き始めてきたか。となると、相手もそろそろ動き始めると見ていいだろう。頼んだぞ、弾君……!)

 

響の方は特に容態に異常は見えないらしい。いや、無くなった左腕が生えたという時点で十分に異常は起こっているのだが、現状では目に見える命に関わるといった危険な症状などは出ていない。そう翼とクリスから報告され、そのことに安堵しながら弦十朗はエクストリームゾーンの方に目を向ける。

 

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。サムライ・ドラゴンを召喚(リザーブ:4→0)。不足コストはクローダードラゴンより確保』

 

【軍師クローダードラゴン

コアS+2→S+1:Lv2→1:BP5000→3000】

 

【サムライ・ドラゴン:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤3):「系統:武竜」:【覚醒】

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

ここでネフィリムは赤と白を基調とした和服にその身を包んだ青いドラゴン、サムライ・ドラゴンを召喚する。青い髪を靡かせ、その手に己の愛刀を握る姿はまさしく侍であると言えるだろう。

 

(……来たか)

『アタックステップ。サムライ・ドラゴンでアタック』

 

サムライ・ドラゴンが刀を構え、一直線に飛び出す。同時に覚醒をもつスピリットがアタックしたことでクローダードラゴンの持つ効果が発揮されることとなる。

 

『軍師クローダードラゴンの効果により1枚ドロー』

 

覚醒、真・激突、一騎打ち、連刃、無限刃のどれか一つでも持っている自分のスピリットのアタック時、デッキから1枚ドローする。その効果で手札を増やし、さらに覚醒によってサムライ・ドラゴンは更なる力を発揮させる。

 

『フラッシュタイミング、覚醒。クローダードラゴンのソウルコアをサムライ・ドラゴンへ移動』

 

【軍師クローダードラゴン

コアS+1→1】

 

【サムライ・ドラゴン

コア1→1+S:Lv1→2:BP3000→6000】

 

クローダードラゴンが持つソウルコアがサムライ・ドラゴンへと移動し、サムライ・ドラゴンのLvが2へと上がる。それにより、更なるサムライ・ドラゴンの効果が起動。覚醒でソウルコアが置かれた事でターンに1回、サムライ・ドラゴンは回復し、ターンの間、BP+5000されることとなる。

 

【サムライ・ドラゴン

BP6000+5000→11000】

 

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ライフで受ける宣言をした弾を守るように赤いバリアが出現し、それがサムライ・ドラゴンの攻撃を受け止める。サムライ・ドラゴンが叩き付けた刃がバリアを砕き、弾のライフを破壊してその衝撃、痛みを弾へと与える。

 

「……ふっ、ライフ減少によりバースト発動!ディメンションシールド!バトル終了時、アタックステップを終了する!」

 

その衝撃を面白そうに笑うと、バーストを発動させてアタックステップを終了させる。サムライ・ドラゴンは二度目のアタックを阻まれたことで回復状態のまま棒立ちにならざるを得なくなり、目の前で生じた巨大な光の防壁が消えるのを見届けるしかない。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:2→4)、メインステップ」

 

デッキの上のストームアタックをドローし、手札に加える。そして手札にある一枚のカードを取り出すと、アリエスブレイヴの力を引き出す為のスピリットを呼び起こす。

 

「太陽よ、炎をまといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:4→0)!不足コストは、森林のセッコーキジのLvを下げて確保!」

 

【森林のセッコーキジ

コア2→1:Lv2→1:BP2000→1000】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤2・青2):「系統:神星・星竜」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

弾の背後から出現する巨大な紅蓮のドラゴン。黄金の角、肩当てとひざ当てを持ち、白い翼を羽ばたかせる太陽のような赤い皮膚のドラゴンがゆっくりとバトルフィールドの壁をよじ登り、四本脚を使って一歩一歩、壁を、大地を踏みしめるようにしてバトルフィールドへと入ってくる。そしてフィールドの中に入ると、二本脚で立ち上がり、全身に埋め込まれた白い球体を光で反射させる。

 

「牡羊星鎧アリエスブレイヴを太陽龍ジーク・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!さらにブレイドラのコアを移動し、Lv2へ!」

 

【ブレイドラ

コア1→0】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤+緑

コスト6+4→10

コア1→3:Lv1→2:BP4000→6000+3000→9000

シンボル:赤+緑】

 

瞬間、アリエスブレイヴの全身が緑の光に包まれ、空へと放たれる。光となって空へ放たれたアリエスブレイヴはジーク・アポロドラゴンへと激突、激しい閃光が広がっていく。その先行の中でジーク・アポロドラゴンの全身に埋め込まれた白い球体が緑色に輝き、顔から二本の金色の角が出現する。両肩から胸にかけて緑色のラインを刻んだ薄紫色の肩当てと胸当てが出現し、両腕と両膝に四つの薄紫色を基調とした、両手と両足に金色の篭手とブーツが取り付けられた新たな装甲が追加される。そして合体(ブレイヴ)を終えると、咆哮と共に緑色の光を解き放った。

 

「な、何デスかこれ……」

「……ブレイヴジェミニと同じ、十二宮Xレアと同じ星座を司るブレイヴ……」

 

弾とネフィリムの戦いの映像を見ていたのは二課だけではない。当然、まゐ達もそれを見ていた。そして彼女達の目の前で行われる、裏牡羊座と太陽龍の合体(ブレイヴ)。裏牡羊座の真の力を得たジーク・アポロドラゴンはその力を発揮し、ネフィリムへと襲い掛かる。

 

「アタックステップ!いけ、合体(ブレイヴ)アタック!」

 

弾が合体(ブレイヴ)スピリットでのアタックを宣言した瞬間、ネフィリムの仕掛けたバーストが突然緑色の光に包まれ、動かなくなる。牡羊星鎧アリエスブレイヴ、合体(ブレイヴ)時効果により、このスピリットのバトル時、相手はバーストを発動することができないのだ。

 

「サムライ・ドラゴンに指定アタック!」

 

太陽龍ジーク・アポロドラゴンにはアタック時効果で回復状態の相手スピリット1体を指定し、そのスピリットにアタックできる強力な効果がある。その効果を使い、ジーク・アポロドラゴンは翼を広げて急上昇、そこからサムライ・ドラゴンへと急降下し、その金色の拳をサムライ・ドラゴンの構えた刀へと叩き付け、刀ごとその身体を破壊する。

 

「ターンエンド」

 

ネフィリムが仕掛けていたバーストはスピリットの破壊を引き金とするカード、武将転生。しかし、アリエスブレイヴのせいでその発動はできず、むざむざとサムライ・ドラゴンを破壊させられる結果になってしまった。いや、弾がそのような結果にさせたというべきか。

 

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:S+1→S+2)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:S+2→S+6)、メインステップ。ドラマルを召喚(リザーブ:S+6→S+5)

 

【ドラマル:赤・スピリット

コスト0:「系統:武竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

ここでネフィリムのデッキの0コストスピリット、薙刀などで身を固めた足軽になったブレイドラ、ドラマルが出現する。ドラマルは出現と同時に己の両翼を背中の上で一つに合わせて天の文字を作り出し、己に赤のシンボル1つを追加させる。

 

【ドラマル

シンボル:赤+赤】

 

ソウルドラゴン、またはサムライ・ドラゴンとカード名に入っているスピリットを召喚するとき、赤のシンボル1つをこのスピリットに召喚する効果。それを使う事でネフィリムの手札に眠るサムライ・ドラゴンは最大軽減で呼び出す事が可能となる。

 

『剣豪龍サムライ・ドラゴン・(アマツ)召喚(リザーブ:S+5→0)

 

【剣豪龍サムライ・ドラゴン・(アマツ):赤・スピリット

コスト6(軽減:赤3):「系統:家臣・武竜」:【無限刃】【覚醒】

コア2+S:Lv1→2:BP5000→7000

シンボル:赤】

 

サムライ・ドラゴンよりもより強固な赤い鎧に身を包み、さらに黒い袴のようなものを着用した進化したサムライ・ドラゴン。その手には二本の刀が握られ、その瞳を赤く光らせながら咆哮を上げる。

 

(来たか……無限刃……)

『アタックステップ。サムライ・ドラゴン・(アマツ)で森林のセッコーキジに指定アタック』

 

無限刃の効果により、ソウルコアが置かれている間、指定アタックが可能となる。さらにそのアタックではサムライ・ドラゴン・(アマツ)は疲労しないという強力な効果。加えてクローダードラゴンの効果の対象でもあるため、ネフィリムはデッキからカードを1枚ドローする。そして森林のセッコーキジをサムライ・ドラゴン・(アマツ)は切り捨てると、次の標的として弾にその目を向ける。

 

『サムライ・ドラゴン・(アマツ)でアタック。クローダードラゴンの効果で1枚ドロー』

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

サムライ・ドラゴン・(アマツ)の刃が弾へと襲い掛かる。振り下ろされた二本の刃は弾の二つ目のライフを吹き飛ばし、確実に弾を追い詰めていく。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:3→7)、メインステップ。合体(ブレイヴ)スピリットをLv3にアップ(リザーブ:7→5)

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア3→5:Lv2→3:BP6000→9000+3000→12000】

 

「イグア・バギーをLv2で召喚(リザーブ:5→3)

 

【イグア・バギー:白(赤)・スピリット

コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:白(赤)】

 

合体(ブレイヴ)スピリットを最大Lvにまで上昇させ、次に緑色の機体に二台の砲門を背負った四輪バギーのスピリット、イグア・バギーを召喚する弾。少々心許無いところではあるが、今の自分の手札で合体(ブレイヴ)スピリットがアタックして空いた守りを埋めるのに適任と言えるのはこのスピリットしかいないだろう。そう結論付けながら。

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アタック!アリエスブレイヴ、合体(ブレイヴ)時効果でこのバトルの間、バーストは使えない!さらにジーク・アポロドラゴン、Lv3合体(ブレイヴ)時効果によりBP9000以下の相手スピリット1体を破壊する!サムライ・ドラゴン・(アマツ)を破壊!」

 

ジーク・アポロドラゴンの口が開かれ、巨大な炎のブレスがサムライ・ドラゴン・(アマツ)へと襲い掛かる。両手の刀を交差させて防御の様子を見せるが、そんな防御は無駄だと言わんばかりにサムライ・ドラゴン・(アマツ)はより炎の勢いを強めて防御を突き破り、サムライ・ドラゴン・(アマツ)を破壊する。

 

「フラッシュタイミング!マジック、サジッタフレイム(コスト5(軽減:赤2・青1))使用(リザーブ:3→0)!BP合計5000まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!ドラマルとクローダードラゴンを破壊!」

 

天から炎を纏った無数の星の矢が降り注ぎ、BP1000のドラマルとBP3000のクローダードラゴンを同時に焼き尽くしていく。一気に三体のブロッカーを焼き払われ、がら空きとなったフィールドへ踏み込んだジーク・アポロドラゴンはネフィリムへその拳を振り上げる。

 

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:4+S→6+S)

 

ジーク・アポロドラゴンの拳が勢いよくネフィリムへと振り下ろされる。その拳は赤と緑のダブルシンボルの一撃をネフィリムへと叩きこみ、一気に二つのライフを破壊する。一気にライフ差を埋めた弾は、ここは深追いすることはせずにただ予想通りといった様子で静かにターンの終了を宣言するのだった。

 

「ターンエンド」




遂にダブルドライブが始まりましたね。

OPなどを見た限りでは弾君オマージュの要素が多いですね。ただ、主人公に関してはバトスピでは割と知名度があるところは弾君っぽいけど、挙動とかはどっちかというとツルギっぽい。ただ主人公はもっとドMになって、どうぞ。しかし、ギュウモンジにはCG用意されるんですかねぇ?

流石に主人公の家族が一話限りというわけではないでしょうし、また異世界と地球が融合しそうですねぇ……まさか、今後は解説コーナーにしか登場しないという訳ではないだろうし。

他にもヴァイオレット号みたいな船とかブレイヴで硯が乗り回していたバイクとかホライゾンラダーみたいなものもあったりと、気になる所もおおいですね。来週からも楽しみデス。


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第十六話 時を超える神

戦姫絶晶神フォギア


弾 ライフ:3 リザーブ:0 トラッシュ:3 手札:5

 

フィールド

 

【イグア・バギー:白(赤)・スピリット

コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:白(赤)】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤+緑・スピリット

コスト6(軽減:赤2・青2)+4→10:「系統:神星・星竜」

コア5:Lv3:BP4000→9000+3000→12000

シンボル:赤+緑】

【牡羊星鎧アリエスブレイヴ】

 

 

ネフィリム ライフ:3 リザーブ:6+S トラッシュ:3 手札:7 バースト:あり

 

 

弾の第九ターンを終え、第十ターンに入ろうとする弾とネフィリムの戦い。ソウルコアを用いた武竜スピリット達の猛攻を前に真正面からぶつかり合い、互角以上に渡り合う弾。しかし、弾のフィールドには回復状態のスピリットはイグア・バギーしか存在せず、疲労状態の合体(ブレイヴ)スピリットが一体存在しているだけ。バーストも存在せず、簡単に引っ繰り返されてもおかしくない状態。それに、ネフィリムはまだ、奥の手を隠しているようにすら感じ取れる。弾はその事を念頭に置きながら、ネフィリムのターンを迎える。

 

スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:6+S→7+S)ドローステップ(手札:7→8)リフレッシュステップ(リザーブ:7+S→10+S)、メインステップ。ドラマル2体を召喚(リザーブ:10+S→8+S)

 

【ドラマル:赤・スピリット

コスト0:「系統:武竜」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【ドラマル

コスト0

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

まずネフィリムが召喚したのは薙刀を持つ、武将となったブレイドラ、ドラマル。コスト0のスピリット二体をこの状況でネフィリムが召喚したその意図。それは一つしかない。

 

『時統べる幻龍神アマテラスをLv2で召喚(リザーブ:8+S→0)

 

【時統べる幻龍神アマテラス:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤3):「系統:絶晶神」

コア2+S:Lv2:BP12000

シンボル:赤】

 

「!」

 

瞬間、空が真っ暗に染め上がる。暗雲が立ち込め、全ての光を遮断していくその暗雲は、突如として切り裂かれ、一筋の閃光がフィールドへと降り注ぐ。まるで太陽のような強烈な光を降り注がせた暗雲の上に存在するその存在は、ゆっくりと暗雲の下へと降下し、その赤と白の皮膚をもつ長い竜の身体を見せる。二本の足と二本の腕を持ち、十枚の翼を持つそのドラゴンは紫色の瞳をゆっくりと開き、額の上に輝く金色の太陽を模した装飾を僅かに光に反射させ、背中から巨大な光輪を出現させる。光輪が出現したと同時に大気を震わせる咆哮が響き渡り、その咆哮は全ての暗雲を消し飛ばして雲一つない青空を作り出す。

 

「アマテラス……!?」

「何だこのスピリットは!?」

「っ、このスピリットだけ、秘めているエネルギーが尋常じゃない!?」

「まさか、これがネフィリムの切り札……!?」

 

そのスピリットの出現と同時に引き起こされた現象は、二課の全員を震撼させるにはあまりにも十分すぎるものであった。いや、震撼させられたのは二課の面々だけではない。フィーネの面々もまた、その力を前に驚かされざるを得なくなっていた。

 

「これが……ネフィリムの持つ最大の力……!?」

「時統べる幻龍神アマテラス……成程、時を超えて目覚めたその存在に相応しい名ということですか……」

「な、なんてやばそうなスピリット……!」

「これじゃ、あいつもまずいんじゃないんデスか!?」

(……弾)

『アマテラス、召喚時効果。相手のスピリット1体を破壊する。合体(ブレイヴ)スピリットを指定』

 

アマテラスの背中で輝く光輪が更に光を強める。より強くなったその光は無数のレーザーとなってフィールド全域へと放たれ、四方八方からジーク・アポロドラゴンを襲い、その身を焼き尽くし、大爆発の中にその命を沈めていく。そして爆発の中から緑と薄い紫の二色で彩られた装甲を纏う、四本の金色の蹄と二本の角を光に反射させる羊のような姿をしたブレイヴがスピリットとして飛び出していく。

 

「何てパワーだ……牡羊星鎧アリエスブレイヴを分離!」

 

【牡羊星鎧アリエスブレイヴ:緑・ブレイヴ

コスト4(軽減:緑2・赤1):「系統:遊精・光導」

コア5:Lv1:BP5000

シンボル:緑】

 

その一撃によって生じた破壊の衝撃。その余波でさえも気を抜くと吹き飛ばされそうな程のものとなっている。それを全身で受け、流石の弾も背中に心地の良い汗を感じ取る。しかし、これ程の相手が目の前にいるというのなら、こちらも逆に燃えてくるというものだ。にやりと不敵な笑みが思わず零れていく弾。しかし、それを見たとしてもネフィリムの対応が何か変わるものでもない。ただ淡々と自分のバトルを進めていく。

 

「……いいね……!そうでなくちゃ……!」

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。イグア・バギー、森林のセッコーキジ2体を召喚(リザーブ:4→2)

 

【森林のセッコーキジ:緑(赤)・スピリット

コスト1(軽減:緑1・赤1):「系統:爪鳥」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑(赤)】

 

【森林のセッコーキジ

コスト1(軽減:緑1・赤1)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑(赤)】

 

ジーク・アポロドラゴンを失い、攻め手の基盤となるスピリットを失った弾は、二本の刀を所持するキジ型スピリット、森林のセッコーキジ二体を呼び出し、低コストのスピリット達を並べて防御を強めていく。同時に、シンボルを確保することで次なる攻め手を用意するための行動も両立して進めていく。

 

「マジック、ブレイヴドロー(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:2→0)。デッキから2枚ドロー、その後デッキを上から3枚オープン、その中のブレイヴ1枚を手札に加え、残りは好きな順番でデッキの上に戻す」

 

デッキから2枚ドロー。その後オープンされたカードは太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、超神星龍ジークヴルム・ノヴァ、巨蟹星鎧ブレイヴキャンサーの三枚。内、ブレイヴである巨蟹星鎧ブレイヴキャンサーを手札に加えると太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、超神星龍ジークヴルム・ノヴァの順番で弾はデッキの上にカードを戻す。そして、

 

「蟹座より来たれ!裏十二宮ブレイヴよ!巨蟹星鎧ブレイヴキャンサー、召喚!不足コストはアリエスブレイヴより確保!」

 

【牡羊星鎧アリエスブレイヴ

コア5→1】

 

【巨蟹星鎧ブレイヴキャンサー:緑・ブレイヴ

コスト6(軽減:緑3):「系統:殻虫・光導」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:緑】

 

上空に深い霧が出現する。そこから緑色の蟹座の光と共に現れたのは緑色の強固な殻につつまれた巨大な蟹。表の蟹座であるキャンサードと比べるとより蟹らしく、機械的ではなくなった、生物に近い姿をした蟹のブレイヴがスピリットとして地面に落下し、金属のように固い鋏を合わせて音を響かせる。

 

「一気にスピリットを並べ、防衛ラインを築き上げた……けど、五体でフルアタックしてもライフは削り取れない……」

合体(ブレイヴ)する対象もいない今、折角の裏十二宮ブレイヴも少し高めのBPを持つスピリットとして運用するしかない……」

「バーストをセット。ターンエンド」

 

防御を固め、次のターンに望みを託すしかない。だが、そうした所でネフィリムは容赦なく弾の場に攻め込んでくるだろう。それをどのようにして防ぐのか。そこに全てがかかっていると言っても過言ではないだろう。

 

スタートステップ(ターン12)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:1→7)、メインステップ。センゴク・グレンドラゴンをLv2で召喚(リザーブ:7→1)

 

【センゴク・グレンドラゴン:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤3):「系統:武竜」:【真・激突】

コア3:Lv2:BP7000

シンボル:赤】

 

ネフィリムのフィールドに新たな炎が立ち昇る。その炎の中から現れたのは、赤い鎧にその身を包んだドラゴン。四本の脚で大地に降り立ったそのドラゴンの背中からは二本の腕が生えており、その両手には一本ずつ剣が握られているのが確認できる。

 

「ここで新しいスピリットか!」

『ドラマル2体のコアをアマテラスへ移動。Lv3にアップ』

 

【ドラマル

コア1→0】

 

【ドラマル

コア1→0】

 

【時統べる幻龍神アマテラス

コア2+S→4+S:Lv2→3:BP12000→15000】

 

『センゴク・グレンドラゴンのコアとアマテラスのソウルコアを交換』

 

【センゴク・グレンドラゴン

コア3→2+S】

 

【時統べる幻龍神アマテラス

コア4+S→5】

 

『アタックステップ。時統べる幻龍神アマテラスでアタック』

 

アマテラスが咆哮を上げ、弾へと襲い掛かろうとする。弾がそのアタックをライフで受けようと口を開きかけた瞬間。ネフィリムから生えたその黒い人の姿をした仮初の姿がその判断に制止をかけるかのように口を開く。

 

『フラッシュタイミング。マジック、アグレッシブレイジ(コスト3(軽減:赤2))使用(リザーブ:1→0)。このターンの間、自分のスピリット1体に激突を与える。時統べる幻龍神アマテラスを指定』

 

【時統べる幻龍神アマテラス

【激突】】

 

激突が追加されたことで弾はスピリットでのブロックを宣言するしかなくなる。自分の場にいるスピリット達を一目見渡すと弾は迷わずにその内の一体をブロックへ回す。

 

「森林のセッコーキジでブロック!」

 

アマテラスが刀を抜き、果敢にも走り込んでくる森林のセッコーキジの上空を通過する。ただそれだけで発生した風圧が森林のセッコーキジを吹き飛ばし、一瞬で破壊する。だが、その破壊が弾の仕掛けていたバーストを起動させる鍵となる。

 

「スピリットの破壊によりバースト発動!双光気弾!デッキから2枚ドローし、フラッシュ効果は使用しない!」

『センゴク・グレンドラゴンでアタック。アタック時効果、BP+5000』

 

【センゴク・グレンドラゴン

BP7000+5000→12000】

 

センゴク・グレンドラゴンが翼を広げ、滑空するようにして弾へと迫る。二本の刀の刀身を光らせて迫るセンゴク・グレンドラゴン。その効果の一つである真・激突が発揮され、弾へとブロックを強制させる。

 

「森林のセッコーキジでブロック!」

 

二体目の森林のセッコーキジが刀を抜き、センゴク・グレンドラゴンへ立ち向かおうとする。しかし、その身体を簡単に切り捨てると、センゴク・グレンドラゴンは弾の眼前へと迫る。

 

「っ!」

『センゴク・グレンドラゴン、Lv2・3効果。このスピリットにソウルコアが置かれている間、ブロックしている相手のスピリットが消滅/破壊されたとき、相手のライフ(ライフ:3→2)のコア1個を相手のリザーブに置く(リザーブ:0→1)

 

センゴク・グレンドラゴンの刀が同時に弾へと振り下ろされ、ライフを貫通させられる。その激しい衝撃と痛みを全身で感じ取りながら、弾はセンゴク・グレンドラゴンが持つ強力な効果を感じ取っていた。消滅でさえも効果を起動させるという事は、マジックで逃れることができないことだと。

 

『ターンエンド。時統べる幻龍神アマテラス、Lv3アタック時効果。ターンに1回、BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、自分のターン終了時、自分の赤のスピリットすべてを回復させ、アタックステップとエンドステップを順番に1回ずつ行う』

「!」

 

明日もまた陽は昇る。アマテラスが持つ、再び己のアタックステップを行うという強力な効果が、センゴク・グレンドラゴンとアマテラスを回復させて弾へと迫る。ターンの終了を迎えたことでアマテラスが持っていたアグレッシブレイジの効果とセンゴク・グレンドラゴンに適用されていたBPアップ効果は消えているが、それでも再びセンゴク・グレンドラゴンの効果が襲い掛かるこの状況は不味いといえるだろう。

 

『センゴク・グレンドラゴンでアタック。アタック時効果、BP+5000』

 

【センゴク・グレンドラゴン

BP7000+5000→12000】

 

「アリエスブレイヴ、ブロックだ!」

 

アリエスブレイヴがセンゴク・グレンドラゴンの眼前へと走り込む。そして勢いよく体当たりをするが、センゴク・グレンドラゴンはその体当たりを頭突きでいとも簡単に吹き飛ばす。そして両腕の刀を構えると、吹き飛んだアリエスブレイヴの真下を通過しながらその身体をX状に切り裂き、一撃で仕留める。

 

『センゴク・グレンドラゴンの効果。ライフ(ライフ:2→1)をリザーブに置く(リザーブ:2→3)

 

再び弾のライフが破壊され、コアがリザーブに移動する。そしてアリエスブレイヴが完全に消し飛び、そのコアがリザーブへと移動する。センゴク・グレンドラゴンの咆哮によって消し飛んだ弾のライフ。そこに追撃をかけるかのようにネフィリムは再びアマテラスを動かす。

 

『時統べる幻龍神アマテラスでアタック』

「イグア・バギーでブロック!」

 

イグア・バギーが飛び出し、アマテラスの尻尾によって吹き飛ばされる。その姿を見ながら、流石の弾も少しだけ苦しそうな表情を見せる事となる。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン13)コアステップ(リザーブ:6→7)ドローステップ(手札:6→7)リフレッシュステップ(リザーブ:7→12)、メインステップ」

 

ドローしたカードに目を通しながら、手札に加えていく。そして、先程ブレイヴドローで確認し、双光気弾の効果によって手札に加えた一枚のカードを召喚するため、弾はそのカードを構える。

 

「コスト6の巨蟹星鎧ブレイヴキャンサーを転召!!」

 

弾がカードを掲げる。瞬間、そのカードから紅蓮の光が遥か天高くへと放たれ、空を明るく染め上げる。それと同時にブレイヴキャンサーの身体が激しく燃え上がり、そのコアがボイドへと移動していく。

 

「紅蓮の星より生まれし龍よ!来たれ!超新星龍ジークヴルム・ノヴァ、Lv3で召喚(リザーブ:12→0)!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【転召:コスト6以上/ボイド】【激突】

コア5:Lv3:BP15000

シンボル:赤赤】

 

天へと放たれた光は無数の流星となってドラゴンに降り注いでいき、一つの超新星の光を作り出していく。その光は巨大な赤のシンボルとなって砕かれ、その中から身体を巨大な赤い翼で覆ったドラゴンが出現する。その背中から薄い桃色の光の翼が二枚出現し、自身の赤い翼を広げると、その下にある緑色の光の眼を輝かせる、白い鎧を纏った紅蓮の龍が姿を現す。そして出現した超神星龍は大地に降り立つと、咆哮と共に大地を砕きながら足元から劫火を立ち昇らせる。

 

「こ、これは……赤いノヴァ!?」

「まゐが使っていたダークヴルム・ノヴァと同じ……」

「そう……これが激突王、馬神弾のキースピリット……超神星龍」

「超神星龍……」

「こんなスピリットが……」

 

その雄々しき姿に戦いを見ていた全ての人が見惚れていた。弾のデッキにおける最強のスピリットは今、その咆哮と共にネフィリムへ向かって飛び立つ。

 

「アタックステップ!」

 

アタックステップ。それを宣言した次の瞬間、弾のアーマーに装着されていたスラスターが音を立てて開かれ、虹色の光が激しい音と共に吹き出していく。光は二枚の翼を作り出し、弾と、そしてジークヴルム・ノヴァへ更なる力を与えていくかのように強く輝いていく。

 

「いけ、ジークヴルム・ノヴァ!Lv2・3アタック時効果により、BP合計10000まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!センゴク・グレンドラゴンを破壊!」

 

ジークヴルム・ノヴァが翼を広げ、飛翔する。センゴク・グレンドラゴンの頭上を取ったジークヴルム・ノヴァの身体が虹色の光に包まれていき、その翼から無数の光弾が流星群のように降り注ぎ、センゴク・グレンドラゴンを包みこんでいく。その弾幕はセンゴク・グレンドラゴンの身体を貫いていき、倒れたセンゴク・グレンドラゴンの身体が大爆発を引き起こす。しかし、

 

『バースト発動。武将転生(コスト4(軽減:赤2))

「!」

 

ジークヴルム・ノヴァのアタックによって相手による自分のスピリット破壊後のバーストを踏んでしまったようだ。破壊され、トラッシュへと消えていった筈のセンゴク・グレンドラゴンが炎と共に再びフィールドへ舞い戻る。

 

『このバースト発動時に破壊された、自分のトラッシュにある系統:「武竜」を持つスピリットカード1枚をコストを支払わずに召喚する。センゴク・グレンドラゴンを召喚』

 

【センゴク・グレンドラゴン

コスト6(軽減:赤3)

コア2+S:Lv2:BP7000

シンボル:赤】

 

「ジークヴルム・ノヴァ、Lv3アタック時効果!激突!」

『センゴク・グレンドラゴンでブロック』

 

回復状態で召喚されたセンゴク・グレンドラゴンへジークヴルム・ノヴァが炎を纏って激突する。巨大な炎の弾丸となったジークヴルム・ノヴァの激突を刀を交差させて受け止めるセンゴク・グレンドラゴン。しかし、徐々にセンゴク・グレンドラゴンは後ずさっていき、センゴク・グレンドラゴンが立つ地面が勢いよく砕ける音と共にそのバランスが崩れ、体勢が崩れたことでジークヴルム・ノヴァの一撃を受け止められなくなり、刀が弾かれてその身体にジークヴルム・ノヴァの一撃が命中、そのままセンゴク・グレンドラゴンの身体を燃やしながら吹き飛ばし、壁へと叩きつけられたセンゴク・グレンドラゴンは今度こそ完全に破壊されることとなる。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン14)コアステップ(リザーブ:2+S→3+S)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3+S→7+S)、メインステップ。剣武龍ムラマサ・ドラゴンをLv3で召喚(リザーブ:7+S→0)

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン;赤・スピリット

コスト5(軽減:赤3):「系統:起動者・武竜」:【起動:全色】

コア3+S:Lv3:BP8000

シンボル:赤】

 

さらに炎が上がる。ネフィリムが呼び出したのは起動によってS(ソウル)バーストを発動させることのできる武竜、ムラマサ・ドラゴン。赤い翼を広げ、赤い鎧と額から生えた一本の刀の刀身を光らせ、緑色の瞳を輝かせて現れたオレンジ色の皮膚を持つそのドラゴンは、出現と共に咆哮を上げる。

 

『バーストをセット。そしてアタックステップ。ムラマサ・ドラゴンでアタック。S(ソウル)バースト発動』

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コア3+S→3:Lv3→2:BP8000→6000】

 

ムラマサ・ドラゴンの持つソウルコアがトラッシュへと置かれることでムラマサ・ドラゴンが持つ起動が発動、セットされたS(ソウル)バーストが発動される。

 

『鎧龍刃ゴウテン。BP5000以下の相手スピリット1体か相手のネクサス1つを破壊する。森林のセッコーキジを破壊』

 

オープンされたバーストカードから現れた額から赤い刃を生やし、背中から剣の翼を二枚生やした、赤い鎧の龍が森林のセッコーキジを両断する。

 

『効果発揮後、このブレイヴをコストを支払わずに召喚する。維持コストはムラマサ・ドラゴンより確保』

 

【剣武龍ムラマサ・ドラゴン

コア3→2:Lv2→1:BP6000→4000】

 

【鎧龍刃ゴウテン:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:機竜」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:赤】

 

ここでゴウテンを合体(ブレイヴ)させないのは、弾の手札にストームアタックがあるからだろう。合体(ブレイヴ)したムラマサ・ドラゴンのアタックに対してストームアタックを使用し、ジークヴルム・ノヴァを回復させてアマテラスを疲労させればターンを凌ぐことが可能となる。だが、アタッカーを3体に増やしてしまえばストームアタックでも凌ぎきれない、ということだろう。

 

「フラッシュタイミング!マジック、デルタバリア(コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:1→0)!不足コストはジークヴルム・ノヴァより確保!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

コア5→2:Lv3→1:BP15000→7000】

 

弾がカードを掲げ、逆三角形を描く。瞬間、弾の目の前に白い三角形の光のバリアが出現し、そのバリアがムラマサ・ドラゴンのアタックを受け止める。

 

「このターンの間、相手のスピリット/マジックの効果と、コスト4以上の相手のスピリットのアタックでは、自分のライフは0にならない!このアタックはライフで受ける!」

『ターンエンド』

 

ムラマサ・ドラゴンがデルタバリアによって弾き飛ばされる。他のスピリット達もコストは4以上であるため、デルタバリアの効果で弾のライフを削り切ることはできない。ネフィリムはやることを失い、ターンエンドを宣言するしかなくなってしまう。

 

スタートステップ(ターン15)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:1→12)、メインステップ」

 

ドローした一枚のマジックを見て、弾は確信する。ここが一気に仕掛けるタイミングであると。そう信じ、一枚目のブレイヴドローで手札へ加えたブレイヴを右手に取り出す。

 

「牡牛座より来たれ!金色の星鎧よ!金牛星鎧ブレイヴタウラス、召喚(リザーブ:12→5)!」

 

【金牛星鎧ブレイヴタウラス:赤・ブレイヴ

コスト6(軽減:赤3):「系統:皇獣・光導」

コア3:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

天空へと立ち昇る無数の光の柱。それは牡牛座となり、そこから一体の新たな星鎧をフィールドへと降り立たせる。金色の角を生やし、赤を基調とした装甲を持つ牛の姿をしたブレイヴ、ブレイヴタウラスが青白く光る稲妻を四本の足に纏いながら大地に立ち、青い二つの瞳を強く輝かせる。

 

「三体目の光導ブレイヴ……!?」

「金牛星鎧ブレイヴタウラスを超神星龍ジークヴルム・ノヴァに合体(ブレイヴ)!Lv3にアップ!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

コスト8+6→14:【真・激突】

コア2→5:Lv1→3:BP7000→15000+3000→18000

シンボル:赤赤+赤】

 

金牛星鎧ブレイヴタウラスが赤い光を纏い、ジークヴルム・ノヴァに激突する。その瞬間、ジークヴルム・ノヴァの持つ白い鎧が赤く染まっていき、両腕と両足に赤と紫を基調とした新たな篭手とグリーブが出現する。そして両肩からブレイヴタウラスの持つ金色の角が生え、背中から生える翼は青白い稲妻を纏い始める。

 

(ジークヴルム・ノヴァの合体(ブレイヴ)……!)

「アタックステップ!いけ、合体(ブレイヴ)スピリット!!ジークヴルム・ノヴァ、Lv3アタック時効果でムラマサ・ドラゴンとゴウテンを破壊する!」

 

空へと飛び上がり、広げられた光の翼から無数の光弾が降り注ぐ。青白い稲妻を纏った無数の光の一撃はBP4000のムラマサ・ドラゴンとBP2000のゴウテンを同時に貫き、一気に二体のスピリットを吹き飛ばす。

 

「ブレイヴタウラス、合体(ブレイヴ)時効果!真・激突!!」

『時統べる幻龍神アマテラスでブロック』

 

アマテラスが咆哮を張り上げて飛翔し、ジークヴルム・ノヴァの前に立ち塞がる。次の瞬間、ブレイヴタウラスと合体(ブレイヴ)したジークヴルム・ノヴァの真の力がネフィリムへと襲い掛かる。

 

「ブレイヴタウラスの更なる合体(ブレイヴ)時効果発揮!ブロックした相手のスピリット/アルティメットとシンボルの数を比べ、多かった自分のシンボル1つにつき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置く!」

 

ブレイヴタウラスと合体(ブレイヴ)したジークヴルム・ノヴァから三つの赤のシンボルが、そしてアマテラスの背中から赤のシンボル一つが出現する。そして互いのシンボルがぶつかり合い、ジークヴルム・ノヴァの二つの赤のシンボルだけが残る。

 

「シンボルの数は1つと3つ!よって相手のライフ(ライフ:3→1)2つをリザーブに置く(リザーブ:3→5)!」

 

二つの赤のシンボルがネフィリムへと襲い掛かり、そのライフを一気に破壊する。そして残りライフ1つだけを残すこととなったネフィリムは、その手から一枚のマジックを繰り出す。

 

『フラッシュタイミング。マジック、鉄壁ウォール(コスト4(軽減:白2))使用(リザーブ:5→1)。このバトルが終了したとき、アタックステップを終了する』

 

ストームアタックで回復され、再度アタックされることを防ぐためのアタックステップ終了マジックを繰り出すネフィリム。しかし、弾は最初から二度目のアタックを行うつもりなどない。このアタックでネフィリムを仕留めるための一枚をその手から放つ。

 

「次のターンは無い!フラッシュタイミング!合体(ブレイヴ)スピリットに対しマジック、メテオストーム(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:5→3)!」

 

メテオストーム。その発動を宣言した瞬間、青い空が空が赤黒い暗雲によって隠れていき、小さな流星群が雨のように降り注いでいく。その中でメテオストームの力を受け、赤く燃え上がる一筋の弾丸となったジークヴルム・ノヴァが暗雲のさらに上へと突き抜け、自らを流星群としてアマテラスへと激突する。

 

「よし!合体(ブレイヴ)スピリットのBPは18000!」

「対してアマテラスのBPは15000!いける!」

 

アマテラスが二本の腕でジークヴルム・ノヴァの一撃を受け止め、力任せに止めようとする。しかし、激しく回転し続けるジークヴルム・ノヴァの攻撃は無理矢理握り潰そうとするアマテラスの腕を吹き飛ばしてその胴体へ一撃を命中、そのまま腹を突き抜けて天へ舞い上がり、再びその翼を広げる。

 

「メテオストームの効果により、BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したことで合体(ブレイヴ)スピリットのシンボルと同じ数、相手のライフ(ライフ:1→0)を破壊する!」

 

胴体を貫かれたアマテラスが大爆発を引き起こし、その爆発が雲を吹き飛ばす。そして再び青空が広がったその先でネフィリムが見たのは、巨大な流星。それはネフィリムを押し潰し、最後のライフを破壊するのだった。

 

 

 

 

『GULOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!?』

「「!!」」

 

エクストリームゾーンから吹き飛ばされ、地面を大きく転がっていくネフィリム。その腕が、そして足が次々と千切れ飛んでいき、一際巨大な突起に背中を激突して宙を大きく舞い、地面に落ちると同時にその衝撃で背中に先程の一撃で生まれていた傷から白い小さな臓器のようなものが空へと放たれ、すぐに見えなくなっていく。

 

「う、嘘だ……ネフィリムが……ネフィリムがぁ……!?」

 

よろよろと響の暴走の際の衝撃で吹き飛ばされ、漸く戻ってきたウェルがソロモンの杖を使って何とか自分の体重を支えながらネフィリムに近付いていく。しかし、ネフィリムはその全身を無数の光る粒子へと変化させ、跡形も無く消えていってしまう。千切れ飛んだ腕も、足も全て。

 

「う、あ、うわあああああああああ!?」

「っ、逃がすかよ!!」

「待て雪音!」

 

ネフィリムの死亡。それを見て、絶叫しながらその場から逃げだすウェル。その姿を見てクリスが飛び出そうとするが、慌てた様子で翼がそれを制止する。

 

「まだあいつはソロモンの杖を持っている……今、立花が動けない以上深追いするのは得策ではない!」

「っ……でも……!」

 

ウェルに、いやソロモンの杖に対して何ならかの想いがあるのだろう。翼に制止されたことをそれが正しいことだと理解はしながらも納得できない様子を見せるクリス。しかし、ウェルはもう彼女達の目の前から姿を消してしまっており、そこには弾達四人だけが立つだけとなっていた。

 

「……ネフィリムが負けた……」

(鍵であるネフィリムが消えた以上……もう我々に勝機は……)

 

ここまでか。弾とネフィリムの戦いの結果を見届け、ナスターシャが諦めの感情と共に目を閉じた、その時だった。

 

「っ……!?」

「!マム!?」

「!」

 

突然咳込み始めるナスターシャ。慌ててマリアがナスターシャの容態を確認し始め、応急措置を施していく。

 

「発作が始まったわ……」

「発作……」

「マムの身体は病に蝕まれているデス……」

「それも、もう長くないって……」

「……」

 

切歌と調の言葉を受け、まゐもナスターシャ自身に死と言うタイムリミットが近づいているという事実を知る。彼女自身にも限界が近付いているからこそ、このような手段に出ざるを得なかったというべきか。そのことを痛感しながら、ナスターシャをヘリの中の医務室へ連れて行こうとするマリアの姿を静かに見送るのだった。



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第十七話 浸食の聖遺物

飛翔は超覚醒の無限アタックギミックを組み合わせることで簡単に無限アタックが可能になりそうですね……コノハガニンを使う場合は青緑連鎖にゲイル入れるだけで当たり前のように無限アタックできそうですし。


「……はぁ、はぁ……」

 

人の気配を感じさせないカ・ディンギル跡地。所々抉れた地面などが見えるその場所に、完全に疲弊し、やつれた表情のウェルがソロモンの杖を支えに何とか現れる。

 

「ああ、僕の……僕の英雄になるための方程式がぁ……こんな、こんなの絶対おかしいよ……」

 

目の焦点も合っていないように見える。そしてネフィリムが弾によって倒され、消滅した場所に足を踏み入れた瞬間、凸凹な地面に足を取られて派手に転倒し、そのまま転がり落ちていく。

 

「ぶるあぁああああああああ!?」

 

全身を勢いよく打ち付け、激痛に悶えるウェル。しかし、その激痛で少しだけ我を取り戻したのか、視界に飛び込んできた青空から降り注ぐ朝日の光に思わず目を閉じたまま静かに数分の時を過ごしていた時だった。耳元に二つの心臓の鼓動のような音が聞こえてくる。

 

(……二つ?)

 

一つは自分のものだろう。ではもう一つは何なのだろうか。この場に自分以外の生き物はいない。弾達が消えた今なら尚の事、自分以外の鼓動が聞こえてくることはありえない。

 

「……」

 

一体何があるのか。半ば現実逃避をするかのようにゆっくりと起き上がり、その正体を確かめるように一歩、また一歩と鼓動を聞き取った場所へと歩いていく。そして、大きめの岩と地面の隙間の中に手を突っ込むと、生温かい何かに触れた感触を感じ取る。

 

「……これは……!」

 

規則正しいリズムで動いているところからも、それが先程聞いた鼓動の正体だと確信できる。そしてそれをウェルが隙間から取り出して見た瞬間。その表情が驚愕と歓喜によって激しく歪む。

 

「ああ……!よかった……よかったぞぉ!!これで……これで僕は、まだ英雄になれる!なれるんだああああああ!!!はーはははははは!!」

 

そして、一人の壊れた男の甲高い笑い声が、その空間に響き渡っていくのだった。

 

 

 

 

「ど、どういうことだよそれ……!?」

「……そのままだ。このままシンフォギアを使用し続ければ、響君は……死ぬ」

 

それはあまりにも無慈悲すぎる宣告だった。いや、よく考えていれば真っ先にそのことは気付けていた筈だったのだ。響の身体の中に埋め込まれたガングニールの破片は、響の身体を浸食していき、とくにギアの使用時にはその影響をより強めているということは。そして、響の体がその許容限界を超え始めた時、今まで力となっていたガングニールは一転、響自身を喰らい、貫き尽くす槍となり、その命を奪う爆弾となる。

 

「……そんなことが……」

「……本来であれば、もっと早く気付かなければならなかったことだった……すまない……!」

 

弦十朗が悔しそうに声を漏らす。響の身に迫る事実を突き付けられた弾、翼、クリスの三人は、ネフィリムに腕を千切られ、その後に腕を再生した姿を思い出す。

 

(……あれも、ガングニールの浸食が進んだ影響……響自身をシンフォギアへと変えようとしているということなのか……)

 

何故、今までこの事が明らかにならなかったのか。それは、聖遺物との融合を一つの完成形とした了子の存在が大きいのだろう。彼女はガングニールの浸食によって響の命に影響が出るという事実は一切出していなかった。加えて彼女はガングニールのシンフォギア以上のポテンシャルを誇るネフシュタンと融合し、ついでではあったかもしれないが世界を支配する為に長寿を得ようとしていた。だからこそ、弦十朗達も了子の存在があったからこそ、今の今まで響に迫る脅威のことを知ることができていなかったのだ。

 

「……なあ、このこと……響には言ったのか?」

「いやまだだ。一応響君には、ネフィリムとの戦いで負ったダメージで何かしらの影響がまだ身体に残っているかもしれないから、それについて結論が出るまでは一切の戦闘行為を禁じるという指示を出すだけに留めている……が、暫くして解決策が出なかった場合は素直に真実を明かすつもりだ」

 

今は響自身ネフィリムとの戦いで色々と思う所がある筈だろう。そんな彼女に畳みかけるようにこの事実を突き付けるのは流石に酷だと弦十朗も判断してのことか。そして、話が終わったこの場を、静寂が支配していくのだった。

 

 

 

 

「……」

 

青空の広がる午後。階段を下りながら響は左腕に目を向けていた。握っては開いてを繰り返し、軽く腕を振って感覚を確かめる。

 

(あの時、確かに私の左腕は……)

 

ネフィリムに喰われた筈だ。痛みも伝わらない左腕の感覚も、全部現実のものだった。しかし、その後意識が朦朧とした後に自分に何が起こったのか分からない。次に意識が戻った時には全てが終わっていて、ベッドの上で左腕がいつのまにか元通りになっていた姿で寝ていた。何故左腕が元通りになっているのか。その理由として自分の中にあるガングニールが何か作用したことこそ明言されているものの、何故そうなったのかなどの理由はまだ明らかとなっていない。そのため、この異常の原因が解明されるまでは万が一を考えて戦闘行為を禁止させる、という名目の指令を受けたことで響はこうして街に出てきたのだ。

 

「響ー!一人で先行かないでよー!」

「……え?」

 

今気付いたと言わんばかりの声を漏らし、辺りを見る。そして自分以外誰もいないことを確認して後ろを振り向くと、そこには未来、弓美、創世、詩織の四人が階段の上で一人先走って行こうとしていた響をやれやれといった様子で見ていた。

 

「あ、ごめん」

「もう……何か響、考えこんでるみたいだったから気分転換に皆でどこかに行こうって話だったでしょ?」

「あはは……そうだったね」

 

苦笑しながら降りてくる四人を見る響。そんな四人の姿を見ながら、自分が意識を失った後に何が自分の体に起こって左腕がまた現れたのかと難しく考え込んでいる自分の思考を、自分がいくら考えたところで答えなど出てこないと頭の隅へと追いやる。

 

「ビッキー……何か気になる事でもあったの?」

「うーん……気になるというか、どうにも引っかかることがあるっていうか……」

「でも立花さん。深く考えても答えは多分出ないと思いますよ?」

「まぁ響はアニメでいうところの難しく考えはするけど答えはほとんど出てこないって言う感じの立ち位置だから……」

「酷い!?」

 

響の悲鳴が木霊する。その悲鳴を聞きながら笑う四人。その様子を見ながら、響も笑い出す。そうだ、今は色々とあるが難しい事はその時に考えればいい。今は彼女達と楽しい一時を……

 

「「「「「!?」」」」」

 

と、次の瞬間。響達の眼前を黒服の男達を乗せた数台の黒い車が通過したかと思えば彼女達の視界から外れた先で何かに衝突でもしたのか大爆発の音を響かせる。

 

「い、今のって……!?」

「……!」

 

響が走り出す。二課から戦闘行為の一切を禁じられているが、すぐ近くでこんな異常事態が発生した以上は禁止令も糞も無い。四人も少し遅れて響と共に現場で走り出し、そこで彼女達は一人の男と出会う。

 

「!?な、何でお前がこんなところに!?」

「!ドクター……ウェル……!?」

 

ノイズ達を携え、大事そうに白い布で包まれた小物を持つウェルの姿だった。身体の至る所が砂埃に塗れて汚れており、表情も焦燥に染まっているように感じられる。ここで二課の連中には出会いたくない。そう思っていたのだろう、響達を拒絶するかのようにソロモンの杖を突きだすと、

 

「来るな、来るな!これ以上僕に近付くなあああああああ!!」

 

叫ぶ。その叫びに呼応するかのようにノイズ達がその場から飛び出していく。ノイズ達は無差別に響達に襲い掛かろうとしている。不味い、そう思ったその瞬間には響がノイズ達の前に立ち塞がる。

 

「ゲートオープン!」

 

響がゲートを開こうと口を開いたその時、事態を察した未来達がその場から退避するように背を向けて走り出す。この場にいて響に余計な負担を掛けさせる訳にはいかないという彼女達なりの配慮だろう。しかし、彼女達が見ていないその先。予想以上に早く迫るノイズ達はその身体を響の体へと触れさせた。

 

「界放!!」

「何……だと……!?」

 

そして開かれるエクストリームゾーンへの扉。エクストリームゾーンへノイズ達が、響が、そしてウェルが引き込まれようとする中、ウェルは先程見た衝撃的な光景に絶句していた。

 

「馬鹿な、生身でノイズに触れただと……!?」

 

いや、その行為自体は別におかしくはないのだ。しかし、その後に響の体が炭化されていない点が明らかにおかしい。しかし、響もその異変には気付いていない様子で、ギアを纏うと手慣れた動きでバトルを開始する。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ピナコチャザウルスをLv2で召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【ピナコチャザウルス:赤(緑)・スピリット

コスト1(軽減:赤1):「系統:地竜」

コア3:Lv2:BP3000

シンボル:赤(緑)】

 

短い四本の足をもつ、四足歩行を取る小型の恐竜型スピリット、ピナコチャザウルスが呼び出される。手始めに一体のスピリットを呼び出した響はそのスピリットで様子を見る事にする。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ネクサス、五芒星の城を配置(リザーブ:5→1)

 

【五芒星の城:紫・ネクサス

コスト4(軽減:紫2)

コア0:Lv1

シンボル:紫】

 

ノイズの背後に五つの紫色の塔が出現する。それらの塔はそれぞれが起点となって五芒星の陣を作り出し、その中心部分から巨大な城を出現させる。

 

(紫のネクサス……)

『バーストをセット。ターンエンド』

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→2)!メインステップ!ピナコチャザウルスをLv1にダウン(リザーブ:2→4)!」

 

【ピナコチャザウルス

コア3→1:Lv2→1:BP3000→1000】

 

「ブロンソードザウルスを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【ブロンソードザウルス:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:地竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア2:Lv1:BP2000

シンボル:赤】

 

長い首の恐竜型スピリットが現れる。その尻尾は無数の刃が装着された長い剣の尻尾となっており、それを軽々と持ち上げるブロンソードザウルスが登場と共に鳴き声を上げる。

 

「ブロンソードザウルス、召喚時効果!相手のネクサス1つを破壊する!五芒星の城を破壊!」

 

ブロンソードザウルスの尻尾が炎を纏い、炎の斬撃を放つ。その一撃はノイズの背後に存在する巨大な城へと命中し、五芒星ごと塔を破壊し、ネクサスを完全に陥落させる。

 

「さらに緑のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!ボイドからコア1個をブロンソードザウルスに置く!Lv2へアップ!」

 

【ブロンソードザウルス

コア2→3:Lv1→2:BP2000→4000】

 

「アタックステップ!ブロンソードザウルスでアタック!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:1→2)

 

ブロンソードザウルスがノイズへ向かって走り出す。尻尾を振り上げ、その刃を勢いよくノイズへと振り下ろす。振り下ろされた刃はノイズのライフを破壊し、先制攻撃を命中させる。

 

『自分のライフ減少後、バースト発動。妖華吸血爪。自分はデッキから2枚ドローする』

 

手札を増やすノイズ。しかしそのままフラッシュ効果を使用することはできず、このバーストでドローするに留めた。

 

「ピナコチャザウルスでアタック!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:2→3)

 

さらにブロッカーのいないフィールドにピナコチャザウルスが攻め込む。地面を蹴って飛び出し、その身体を勢いよくノイズへ叩きつけてライフを奪い、さらにダメージを刻んでいく。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:4→8)、メインステップ。五芒星の城を配置(リザーブ:8→4)

 

【五芒星の城

コスト4(軽減:紫2)

コア0:Lv1

シンボル:紫】

 

二枚目の五芒星の城が配置され、ブロンソードザウルスの効果によって被った損失を回復させる。そして、

 

『ツンドッグ・ゴレムを召喚(リザーブ:4→0)

 

【ツンドッグ・ゴレム:青・スピリット

コスト3(軽減:青2):「系統:造兵・雄将」:【粉砕】

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:青】

 

ネクサスの配置後に召喚される青い機体によってその身体を構築した犬型の機械スピリット、ツンドッグ・ゴレム。背中には二台のレーザー砲が装着された武器を背負っている姿が確認でき、黄色く光る眼が響を射抜く。

 

『バーストをセット。ターンエンド』

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)!メインステップ!ボルカニックキャニオンをLv2で配置(リザーブ:3→0)!」

 

【ボルカニックキャニオン:赤・ネクサス

コスト3(軽減:赤2)

コア0:Lv1

シンボル:赤】

 

響きの背後に煙を立ち昇らせる巨大な山脈が出現する。樹の生えていない切り立った崖や地層が重なり連なっているその地は、地竜達に強い力を与えるものとなる。

 

「アタックステップ!ボルガニックキャニオンの効果により、自分のアタックステップの間、系統:「地竜」を持つ自分のスピリット1体につき、自分のスピリットすべてをBP+1000!」

 

【ピナコチャザウルス

BP1000+1000×2→3000】

 

【ブロンソードザウルス

BP4000+1000×2→6000】

 

「ブロンソードザウルスでアタック!」

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:0→1)

 

再びブロンソードザウルスの刃が振るわれ、ノイズの三つ目のライフが砕かれる。しかし、そのダメージがノイズの仕掛けたバーストを起動させるための引き金として活用される。

 

『自分のライフ減少後、バースト発動。古の獣王ギルガメシュ。自分のライフが3以下のとき、このスピリットカードを召喚(リザーブ:1→0)する』

 

【古の獣王ギルガメシュ:青・スピリット

コスト7(軽減:青3):「系統:覇皇・獣頭」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:青】

 

ノイズの仕掛けたバーストカードがオープンされ、そこから一体のスピリットが場に出現する。強靭な肉体を持つ、獅子のような獣の顔をしたそのスピリットの下半身や両肩などには金と青の二色で構築された鎧が纏われており、その右手には鍛え抜かれた剣が握られている。

 

「ば、バースト召喚……ターンエンド!」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→8)、メインステップ。グガランナーをLv2で召喚(リザーブ:8→4)

 

【グガランナー:青・スピリット

コスト3(軽減:青2):「系統:雄将・異合」

コア3:Lv2:BP5000

シンボル:青】

 

二本の巨大な角が印象的な、青い後ろ脚と青紫色の前足をもつ牛の姿をした異形の怪物、グガランナーが現れる。その背中からは無数の棘が生えている姿が確認できる。

 

『ツンドッグ・ゴレム、古の獣王ギルガメシュをLv2にアップ(リザーブ:4→1)

 

【ツンドッグ・ゴレム

コア1→2:Lv1→2:BP3000→4000】

 

【古の獣王ギルガメシュ

コア1→3:Lv1→2:BP5000→8000】

 

『アタックステップ。ツンドッグ・ゴレムでアタック。アタック時効果、粉砕発揮』

 

ツンドッグ・ゴレムの背中から放たれたレーザーが響のデッキへ命中する。ツンドッグ・ゴレムのLvは2。よって響のデッキの上から2枚のカードがトラッシュへと破棄されていく。

 

「っ!?しまっ……」

 

そして破棄されたカードは、撃爪アダーラ、フレイムスパーク。フィールドに出される前にデッキ破壊を受けてしまえばトラッシュのブレイヴを回収する手段のない響にとっては最早完全に使用を封じられたも同意義だ。

 

「アームドギアが使えなくなるなんて……」

『古の獣王ギルガメシュ、Lv2・3自分のアタックステップ時効果。系統:「覇皇」/「雄将」を持つ自分のスピリットがアタックしたとき、相手は、相手のリザーブのコア2個を相手のトラッシュに置かなければブロックできない』

「リザーブ……!?」

 

響のリザーブにはコアが一つも残っていない。そんな現状では系統:「雄将」を持つツンドッグ・ゴレムのアタックを防ぐ事は不可能だ。

 

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

ツンドッグ・ゴレムの背中のレーザー砲の照準がデッキから響へと向けられる。そして二発のレーザーが放たれ、青い半透明のバリアを砕いて響のライフを奪う。と、その時だった。

 

「……!?」

 

一瞬。僅かに一瞬だが呼吸が苦しくなったような感覚に陥る響。全身が一瞬強張り、金縛りにあったかのような痺れが駆け巡った。そう表現するような状態に何故陥ったのか、響自身驚いた様な表情を出すが、その間にもノイズはアタックステップを続けていく。

 

『古の獣王ギルガメシュでアタック』

「ら、ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

ギルガメシュ自身も系統:「覇皇」を持っているため、このアタックもリザーブからコア2個をトラッシュに置かねばブロックできない。ギルガメシュの振り上げた刃が響のライフを貫き、リザーブに二個目のコアを移動させる。そして、再びライフを砕かれた瞬間に響は先程と同じ異変を感じ取る。

 

「っ……!?」

『ターンエンド』

 

身体がどこか熱い。まさか、こうなるかもしれないから今の自分は戦うなと言っていたのだろうか。だとすると、可能な限り早くこのバトルを終了させる必要がありそうだ。そう結論付けながらも頭だけは何とか冷静に保とうとする。

 

「く……でも、アームドギアがなくても!スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→4)!メインステップ!」

 

アームドギアがなくなったとしても、ノイズを倒すための武器が一つ消えただけだ。まだ自分には、アームドギアを最大限に操るためのカードが残っている。そのカードを、歌と共に呼び出す。

 

「響け、金色の稲妻!!アルティメット・ジークヴルム、Lv4で召喚(リザーブ:4→0)!不足コストはブロンソードザウルスより確保!」

 

【ブロンソードザウルス

コア3→2:Lv2→1:BP4000→3000】

 

【アルティメット・ジークヴルム:赤・アルティメット

コスト6(軽減:赤3):「系統:新生・星竜・竜人」:【真・激突】

コア2:Lv4:BP13000

シンボル:極】

 

黒く染まる空。雷鳴の鳴り響く暗雲の中から現れるのは金色を基調とした青の装飾が施された鎧を纏う、雷の龍。響のアルティメット、アルティメット・ジークヴルムは出現と共に咆哮を上げ、その姿を見る者全てに焼き付けさせる。

 

「アタックステップ!」

 

【ピナコチャザウルス

BP1000+1000×2→3000】

 

【ブロンソードザウルス

BP3000+1000×2→5000】

 

「アルティメット・ジークヴルムでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

響の手から放たれた光弾がノイズのデッキを射抜く。そしてトラッシュへと送られたカードはコスト0のランマー・ゴレム。よって、

 

「ヒット!BP+10000!」

 

【アルティメット・ジークヴルム

BP13000+10000→27000】

 

「さらに真・激突!」

『グガランナーでブロック』

 

グガランナーがアルティメット・ジークヴルムへと突進する。しかしその身体を掴んで軽々と持ち上げると、逆に地面に叩き付けることでアルティメット・ジークヴルムはグガランナーを破壊する。

 

『相手による自分のスピリット破壊後、バースト発動。双光気弾(コスト3(軽減:赤2))。自分はデッキから2枚ドローする。その後コストを支払うことで、このカードのフラッシュ効果を発揮(リザーブ:4→1)する。相手の合体(ブレイヴ)スピリットのブレイヴ1つを破壊する。または、、相手のネクサス1つを破壊する。ボルカニックキャニオンを破壊』

 

ノイズの放ったバーストから放たれた二発の炎が響の張ったネクサス、ボルカニックキャニオンを焼き尽くす。それにより、スピリット達が受けていたBPの強化が消え、元のBPへと戻っていく。

 

【ピナコチャザウルス

BP1000】

 

【ブロンソードザウルス

BP3000】

 

「っ……ブロンソードザウルスでアタック!」

『フラッシュタイミング。マジック、雷神轟招来(コスト6(軽減:青3))使用(リザーブ:1→0)。不足コストはツンドッグ・ゴレム、古の獣王ギルガメシュより確保』

 

【ツンドッグ・ゴレム

コア2→1:Lv2→1:BP4000→3000】

 

【古の獣王ギルガメシュ

コア3→1:Lv2→1:BP8000→5000】

 

『コスト5以下の相手スピリット1体を破壊する。ブロンソードザウルスを指定』

 

天から青白い雷が地に落ち、ブロンソードザウルスの体を燃やし尽くす。ブロンソードザウルスをマジックで破壊されたことで響はこのターンでライフを全て奪う事は不可能になってしまう。

 

「ターンエンド……!」

スタートステップ(ターン08)

 

ノイズがスタートステップを宣言すると、今までもノイズのスタートステップ宣言時に不気味な光を放っていた五芒星の城が一際強く輝く。五つの塔の先端に紫色の光が出現し、それらから中心へ向けて一筋の光線が放たれる。

 

『五芒星の城、Lv1・2自分のスタートステップ時効果。相手のリザーブのコアすべてを、相手のトラッシュに置く(リザーブ:4→0)

「リザーブのコアを……!?」

 

中心で一つに束ねられた光は響のリザーブへと放たれる。それにより、前のターンにネクサスとスピリットの破壊によってリザーブに移動していたコア全てがトラッシュに消え、ギルガメシュの効果を受けたスピリットのアタックをブロックするために必要なコアをすべて消し飛ばす。

 

コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→9)、メインステップ。ヤギュード・ジューベイをLv2で召喚(リザーブ:9→3)

 

【ヤギュード・ジューベイ:青・スピリット

コスト4(軽減:青2):「系統:覇皇・異合」

コア4:Lv2:BP7000

シンボル:青】

 

四本の脚に全身を覆う鱗。そして青い背びれと尾びれ。着緑色の長い縦髪に、背中から伸びる二本の腕、そしてその両腕が握る一本の刀。そんな異形の姿をした、二本の角を持つ牛を辛うじて連想させる姿をした、額からも一本の刀を生やしたスピリット、ヤギュード・ジューベイは召喚されると共に咆哮を上げる。

 

『ランマー・ゴレムをLv2で召喚(リザーブ:3→0)

 

【ランマー・ゴレム:青・スピリット

コスト0:「系統:造兵」

コア3:Lv2:BP3000

シンボル:青】

 

さらにランマーの姿をした、両腕と顔を追加したゴーレムが召喚される。スピリットを並べ、一気に押し切るつもりということだろうか。

 

『アタックステップ。ヤギュード・ジューベイ、Lv2自分のアタックステップ時効果。系統:「覇皇」を持つ自分のスピリットすべてを、そのスピリットが持つ最高Lvとして扱う』

 

【古の獣王ギルガメシュ

Lv1→3:BP5000→11000】

 

ヤギュード・ジューベイが剣を掲げる。すると、そこから放たれた光がギルガメシュに命中し、そのLvとBPを最大にまで上昇させる。Lvが2以上になったことでギルガメシュの効果も起動、系統:「覇皇」/「雄将」を持つ三体のスピリットがアンブロッカル効果を得ることとなる。

 

『ヤギュード・ジューベイでアタック』

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:0→1)……!」

 

ヤギュード・ジューベイの両手に握られた剣が振るわれ、響へと襲い掛かる。その剣から放たれた斬撃がその身を切り裂き、同時に響の体に起こっていた異変が再び発生し、先程よりもより強いものとなってその身を襲う。

 

(く、苦しい……でも、最後まで立ってなきゃ……!)

 

一瞬でも気を抜けばすぐにでも意識を奪われそうなほどの苦しさが響を襲う。しかし、皆が自分を信じているのだ。彼女達に応える為にも自分がここで倒れる訳にはいかない。その一心で何とか膝は付かずに持ち堪える。

 

(……何だ、いつもと気配が……?)

『ツンドッグ・ゴレムでアタック。アタック時効果、粉砕』

 

響のデッキから破棄される雷光龍ライト・ジークヴルム。そのカードを見て、響は悔しそうな表情を見せる。

 

「雷光龍まで……!ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

ツンドッグ・ゴレムのレーザーがその身を貫く。その一撃が、響の身体に起こっていた異変をさらに悪化させることとなる。

 

「……」

『ターンエンド』

 

響の身体を薄くオレンジ色の光が覆っていく。この異変の影響なのだろうか。それは分からない。だが、このバトルをこれ以上長引かせると、確実に自分がやばい。それだけは響自身も理解していた。だからこそ、次のターンで決着を付けるために自分のターンを宣言する。

 

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:3→10)!メインステップ!ライト・ブレイドラ、砲竜バル・ガンナーを召喚(リザーブ:10→6)!」

 

【ライト・ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:星竜」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:赤】

 

【砲竜バル・ガンナー:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:地竜・星竜」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:赤】

 

響の場に出現していく銀色の体毛を持つ剣の翼をもつ小さなドラゴン、ライト・ブレイドラと二台の砲門を背負った赤い竜、砲竜バル・ガンナー。スピリットとブレイヴを一体ずつ呼び出したのは、数で押すためではない。手札に存在するあるスピリットを呼ぶためだ。

 

「降り注げ、そして響け!流星の鼓動!龍星皇メテオヴルム、Lv2で召喚(リザーブ:6→0)!不足コストはライト・ブレイドラ、ピナコチャザウルス、アルティメット・ジークヴルムより確保!」

 

【ライト・ブレイドラ

コア1→0】

 

【ピナコチャザウルス

コア1→0】

 

【アルティメット・ジークヴルム

コア2→1:Lv4→3:BP13000→10000】

 

【龍星皇メテオヴルム:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【激突】

コア5:Lv2:BP7000

シンボル:赤】

 

雷鳴を響かせる音と共に空に黒い暗雲が広がっていく。その雲を突き抜けて降り注いだ流星群が地面に衝突して爆発し、その中の一つが爆煙を振り払い、オレンジ色の翼が広げられる。緑色の眼を光らせ、そのオレンジ色の龍の身体を光に反射させ、メテオヴルムが紅蓮の炎と共に現れる。

 

「これなら……いける!砲竜バル・ガンナーをメテオヴルムに合体(ブレイヴ)!Lv3にアップ!」

 

【龍星皇メテオヴルム

コスト7+4→11

コア5→6:Lv2→3:BP7000→11000+2000→13000

シンボル:赤+赤】

 

バル・ガンナーの体が消滅し、背中の二台の砲門が翼を消滅させたメテオヴルムの背中に装着される。そして赤い閃光がその身から解き放たれていく。

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!砲竜バル・ガンナー、合体(ブレイヴ)時効果でデッキから1枚ドロー、そしてBP4000以下の相手スピリット、ランマー・ゴレムを破壊!」

 

メテオヴルムの背中の砲台から放たれた炎の弾丸がランマー・ゴレムを貫く。だが、合体(ブレイヴ)スピリットにはまだ効果が残っている。

 

「さらにメテオヴルム、Lv3効果により古の獣王ギルガメシュに指定アタック!!」

 

メテオヴルムの背中から放たれた無数の弾丸がギルガメシュへ襲い掛かる。それを左右へと走って避けていき、避けきれぬものは剣で弾き、受け流して凌ぎながらメテオヴルムへと接近するギルガメシュ。懐に潜り込んだギルガメシュが勢いよく剣を振り下ろすがそれを白羽取りで受け止めると、メテオヴルムはそのまま力任せに剣をへし折り、勢いよく頭突きを喰らわせて吹き飛ばす。そして宙に舞ったギルガメシュへ向けて背中の砲竜バル・ガンナーの弾丸を叩きこみ、その身を吹き飛ばす。

 

「アルティメット・ジークヴルムでアタック!フラッシュタイミング、マジック、タフネスリカバリー(コスト3(軽減:緑2))を使用!不足コストは合体(ブレイヴ)スピリットより確保!」

 

【龍星皇メテオヴルム

コア6→3:Lv3→2:BP11000→7000+2000→9000】

 

合体(ブレイヴ)スピリットにBP+2000!」

 

【龍星皇メテオヴルム

BP7000+2000+2000→11000】

 

「その後、そのスピリットがBP10000以上のとき、そのスピリットを回復させる!」

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:4→5)

 

アルティメット・ジークヴルムの振り上げた拳がノイズへと勢いよく叩きつけられる。そして最後のライフを穿つのは、回復したメテオヴルム。

 

「再び合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!砲竜バル・ガンナー、合体(ブレイヴ)時効果で1枚ドローし、ツンドッグ・ゴレムを破壊!これで終わりだ!!」

 

再び砲竜バル・ガンナーが火を噴き、ツンドッグ・ゴレムを破壊する。続けて背中の砲台がノイズへと照準を向け、そこから巨大な一撃を放つ。

 

ライフ(ライフ:1→0)で受ける』

 

そしてその一撃がノイズを消し飛ばし、響とウェルを外へと吹き飛ばす。そして外に飛ばされたノイズという壁を失ったウェルの眼前にソロモンの杖を奪おうと響が迫る。

 

「っう!?」

 

そしてノイズを呼び出そうとするが、絶対に間に合わない。ここまでか。そうウェルが確信した瞬間、その眼前が真っ暗にフェードアウトしていくのだった。




アルティメット相手でもブロック制限効果を発揮させる滅茶苦茶有能なギルガメシュ。唯一の欠点は覇皇や雄将サポートがほぼ完全に打ち切られていること……もしかしたら青の十二神皇が獣頭でそっち路線でワンチャンあるかもしれませんが、青の十二神皇はどうなるんでしょうか。


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第十八話 暴走鎌

「マリア!マムは……」

 

時は半日ほど遡る。持病の発作に襲われ倒れたマムに対して応急手当をすることで一先ずは症状を緩和させることに成功するマリア。しかし、その表情は浮かない様子であり、自分がしていることがこれだけでは気休めにしかならないことを既に理解していた。

 

「……本格的な処置をするには、ドクター・ウェルの手が必要よ……」

「あいつなんかの手を借りなくちゃいけないデスか!?」

 

ウェルは医療についての知識もあり、自分たちではどうしようもできないナスターシャの処置に対しても答えを出してくれるはずだ。そのことはマリアだけではなく切歌や調も理解している。しかし、ウェルが時折見せていた狂気、それが膨れあがったあの姿を見たことで、ただでさえ低かったその好感度も一気に失っていた。

 

「……けど……」

 

すぐに嫌悪感を露わにする切歌と調。しかし、ここでウェルを突き放したが最後、ナスターシャはすぐに天に召されることとなるだろう。今はまゐが見てくれているが、もし再び発作が起きてしまったら、彼女にもどうにもできないだろう。外面的な怪我などであれば手当はできるが、内面的な症状に関しては手当のしようがないのだから。

 

「・・・・・・気持ちはわかるわ。でも、そうするしかマムを助ける方法はないのよ・・・・・・」

 

マリアも悔しそうに声を漏らす。彼女自身も可能ならウェルに頼ることは絶対にしたくないのだろう。だが、そうするしかないという事実に無力感を強く感じてしまっていた。

 

「……わかった。私が探してくる」

「調……」

「だから二人は……」

「だったら、私も行くデスよ。一人より二人の方が見つけやすくなる筈デス!」

「切ちゃん……うん、そうだね」

 

二人が外へと出て行く。ウェルがどこへ行ったかはわからないが、カ・ディンギル跡地からそんなに遠くない場所にいることだけは確かだろう。うまく見つけてくれることを祈りながら、マリアは二人が機体の外へと出て行く姿から目を外すのだった。

 

 

 

 

「「……!?」」

 

そして現在。響とウェルは、自分達の間を分断するその巨大な黒い円形の物体に驚きを露わにしていた。その黒い物体に拳が命中し、そのまま押し返された響はそれから距離を取るように後ずさり、膝から崩れ落ちる。

 

「はぁ……はぁ……!!」

 

全身を包むオレンジ色の光が徐々に強くなっていく。呼吸も先程と比べて荒く、苦しくなっていきながら目の前に立ち塞がるその盾が消えていく様を見ていく。

 

「貴女達は……まゐさんと一緒にいた……!」

 

その黒い盾のようなものを出したのは、調。彼女の纏うシンフォギア、シュルシャガナの持つ武装が響とウェルの視界を黒く染める形で分断し、その盾として使用された丸鋸が引っ込むと同時にイガリマのシンフォギアを纏った切歌が鎌を振り上げ響へ襲い掛かる。

 

「っ!?」

「もらったデス!!」

 

今の響はどこか様子がおかしい。過剰なまでに疲労しているのかどうかは分からないが、この状況ではそれは自分達にとってプラスに働く要因になる。鎌を振り上げて迫る切歌を前に、響は覚悟を決めたように再びゲートを開こうと口を開き始めた、その瞬間だった。

 

「危ない!切ちゃん!!」

「えっ?」

 

調の声にはっとなったように右を見る。するとそこには、こちらに向かって一直線に突き進んでくるコアブリットの姿があった。

 

「どぉおおおおおおお!?」

 

慌てて鎌を振り下ろし、地面に突き刺す切歌。もう少し遅れていれば振り下ろされる鎌は響のいる位置に突き刺さっていたことだろう。

 

(これって……コアブリット……?まさか、弾さん……!)

 

鎌を地面に突き刺し、柄の部分を自分の体重でしならせ、元に戻ろうとするその反動で空へ飛び出す切歌。その直後、地面に突き刺さった鎌がコアブリットと激突し、地面から抜けて吹き飛んでいく。

 

「ひ、ひぃいい……いきなりは心臓に悪すぎるデス……」

「大丈夫?切ちゃん」

「な、何とか……」

 

地面に着地し、傍に駆け寄った調に言葉を返しながら止まったコアブリットの中から現れた青年の姿を見る。馬神弾。その姿を見て、ウェルは目に見えてうろたえ始める。

 

「……!」

「大丈夫か?響」

「だ、弾さん……どうしてここに……」

「ノイズの出現の後にいきなりガングニールの反応が出てきたからな。ウェルがいろんな所にノイズをばら撒いていたせいですぐには来れなかったし、翼とクリスもまだすぐには来れそうにはないが……」

 

響の容態を見て、可能な限り早く目の前のウェル達をどうにかしたほうがいいと理解した弾は三人を見る。弾から視線を向けられ、切歌と調は臨戦態勢を取りながら冷や汗を流す。

 

「避けられそうにないデスね……二人なら勝機はありそうデスけど、そうなるとあれが……」

「一人は残るべきなんだろうけど……」

「だったら、いいものがある」

「!?」

 

瞬間、二人は首筋に何かを当てられた感覚を感じ取る。そして何か針のようなものが自分達の首に突き刺さり、液体のようなものが体内へと注がれていく。

 

「……な、何を……!」

「LiNKERだよ!通常は非適合者を適合者へ仕立て上げる為の薬剤だが、こいつを過剰に投与してより適合係数を上昇させればどうなるか?聖遺物からの負荷なども軽減されて、今なら過剰出力でもやりたい放題!それこそ、絶唱でもねぇ!!」

「「「!?」」」

 

絶唱。それはシンフォギアの出力を過剰なまでに引き上げる方法であり、限界を超えた力をその身に宿させる、己の身を犠牲にすることで発揮される、ハイリスクな強化方法。しかし、それをやろうものなら、長時間の戦闘はほぼ不可能となる。それをやるとするなら、間違いなくライフ5で行われる1対1のバトル以外の選択肢は取れないだろう。

 

「駄目……絶唱は、したら……!」

「お前達がここにいる目的は分かってんだよぉ!だって好んでお前達が僕を迎えに来る訳がないからなぁ!どうせあのばあさんがくたばりそうだから一緒に来て助けてほしいって理由だルルォ!?だったら絶唱で肉体ごとそいつをぶっ潰してやんな!!」

 

絶唱が何を引き起こすか。それを見たことのある響が制止の声を漏らす。しかし、それを掻き消すかのようにウェルが心底楽しそうに叫ぶ。自分の身体の中にLiNKERが投与され、その影響でシンフォギアとのシンクロ率が上がっていくのを感じ取りながら切歌は覚悟を決めたように口を開く。

 

「……調は、ここに残るデス」

「っ!?切ちゃん、ここは私が……」

「二人揃って絶唱なんかしたら、両方動けなくなるデス……だから、ここは私がやるデス!」

「……相手が誰だろうと、俺は負けない」

「弾さん……戦ったら……」

 

響が言いたいことも理解できる。だが、切歌がバトルにかける覚悟、それを理解した弾は、その覚悟から逃げる道など最初からない。例えこの戦いで自分の身が砕け散ることになったとしても目の前のバトルから逃げはしない。バトルの中でどれだけその身が砕けようとも最後まで己のバトルを貫き続ける。相手の覚悟を真正面から受け止め、受け止めた上で真正面から倒す。そのために弾もまた、切歌とのバトルに臨む。

 

「響、言いたい事は分かる。けど……俺はこうすることしか知らない。だから……戦わせてもらう。その結果がどうなろうと、俺は迷いはしない!」

「ネフィリムに勝ったぐらいで、いい気になるなデス!」

 

切歌が右手を突き出すと、吹き飛ばされた鎌が浮き上がり、回転しながら切歌の手に戻っていく。そして二人は、同時に口を開く。

 

「「ゲートオープン!界放!!」」

 

ゲートオープン。そう叫んだ瞬間、周囲にいた全員がエクストリームゾーンへと誘われていく。そして、その中で弾はバトルフォームを纏いながら切歌の絶唱を聞き取る。

 

(これが、絶唱……)

 

絶唱を唱えた切歌は、予めエクストリームゾーンに備え付けられていた台の上には立っていなかった。人二人分はあるかという巨大な大きさへと変化した空に浮く鎌に乗って空に浮いており、その全身を緑色の光のようなものが覆っている姿が確認できる。

 

「そう言えば、まだ君達の名前を聞いていなかったな。馬神弾だ」

「暁切歌。あっちは月読調……これで十分デス。さっさとバトルを始めるデス!」

「そう言うなら、ありがたく先行はもらう。スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ブレイドラをLv3で召喚(リザーブ:4→1)

 

【ブレイドラ:赤・スピリット

コスト0:「系統:翼竜」

コア3:Lv3:BP3000

シンボル:赤】

 

「ターンエンド」

 

オレンジ色の毛並みを靡かせる可愛らしいデザインをした小さなドラゴン、ブレイドラ。可愛らしい鳴き声と共に背中の剣の翼を広げ、威嚇しているかのような姿を見せる。

 

「ガンガン攻めさせてもらうデス!スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ケンゴーキジをLv2で召喚(リザーブ:5→0)!」

 

【ケンゴーキジ:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1):「系統:爪鳥」:【強化(チャージ)

コア3:Lv2:BP5000

シンボル:緑】

 

銀色の鎧を纏い、左腕に刀が取り付けられた篭手を装着したキジが現れる。その右手には一本の刀が握られており、銀色の兜の下から鋭い視線を覗かせる。

 

「アタックステップ!ケンゴーキジでアタック!」

「!ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:1→2)!」

「絶唱の威力、味わうデス!!」

 

ケンゴーキジが弾の眼前へ迫り、地を蹴って飛び出す。その手に握られた刀が緑色の光を帯びていき、一本の巨大な鎌へ変貌を遂げたかと思うと、何の躊躇も無く弾にその一撃を振り下ろしていく。放たれた一撃を受け止める、無数の緑色の光の六角形を束ねたかのような小さなバリア。その威力は中心へと集約されていき、鋭い光線となって弾のライフを貫いた。

 

「っ……!」

 

思わず弾の口からも苦悶の声が漏れる。弾の右肩へ埋め込まれたコアへ放たれたその光線は、弾のバトルフォームに傷跡を遺しながら砕き、巨大な衝撃と痛みを弾へ与えたのだから。

 

「!?弾さんのバトルフォームが……!?」

「これがイガリマの絶唱……その刃に触れたあらゆるものを切り裂く刃!ターンエンド!」

(驚いたな……バトルフォームに傷が付けられるなんて)

 

これ程の痛みを受けたのはいつ以来だろう。フィーネとのバトル以来だろう。しかし、あの時と違うのは、あの時は十二宮Xレア全員の力を総動員させたバトルフォームに対し、今回はまだパンテーラから託された力の大部分を出し切れていないこのバトルフォームを自分が使用しているということだろう。

 

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ネクサス、太陽石の神殿を配置(リザーブ:3→0)。不足コストはブレイドラより確保」

 

【ブレイドラ

コア3→2:Lv3→2:BP3000→2000】

 

【太陽石の神殿:赤・ネクサス

コスト5(軽減:赤3)

コア0:Lv1

シンボル:赤】

 

弾の背後から巨大な神殿が出現する。最上部で赤いシンボルが太陽のように輝く神殿を背後に携え、弾は静かに宣言する。

 

「バーストをセットしターンエンド」

「そっちが動かないなら、こっちはガンガンいくデス!スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)!メインステップ!森林のセッコーキジを召喚(リザーブ:3→2)!」

 

【森林のセッコーキジ:緑(赤)・スピリット

コスト1(軽減:緑1・赤1):「系統:爪鳥」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑(赤)】

 

切歌のフィールドにケンゴーキジにどこか似ているキジ型スピリットが現れる。ケンゴーキジと違うのは、ケンゴーキジと比べるとその武装は軽装であり、太刀と脇差しを所持しているというところだろう。

 

(どこか急いでいる……絶唱のバックファイアを警戒しているのか。だが……ここまでの流れを見た限りでは、彼女はまだ自分自身のバトルを見失っていない……)

「賢龍ケイローンを召喚(リザーブ:2→0)!不足コストはケンゴーキジから確保するデス!」

 

【ケンゴーキジ

コア3→1:Lv2→1:BP5000→3000】

 

【賢龍ケイローン:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤2・緑1):「系統:星将・古竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

畳みかけるかのように切歌の場に身体の至る所から大樹などが生え、下半身は完全に樹木で構築されたケンタウロスが現れる。その上半身は竜の姿となっており、右手には巨大な樹の弓が見える。

 

「賢龍ケイローン、召喚時効果!BP5000以下の相手スピリット1体を破壊し、デッキから1枚ドロー!ブレイドラを破壊!」

 

ケイローンの弓から放たれた一本の矢がブレイドラへと刺さる。ブレイドラへ突き刺さったその矢はブレイドラの身体を即座に燃やしていき、フィールドから消してしまう。

 

「さらに連鎖(ラッシュ)発揮!緑のシンボル1つがあることでボイドからコア1個をこのスピリットに、緑のシンボル2つがあることでさらにもう1個コアをケイローンに追加するデス!」

 

【賢龍ケイローン

コア1→3:Lv1→2:BP5000→8000】

 

「スピリット破壊によりバースト発動!双光気弾!デッキから2枚ドロー、フラッシュ効果は使用しない!」

「関係ないデス!アタックステップ!ケンゴーキジでアタック!」

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:2→3)!」

 

得物を以上な切れ味を誇る鎌へと変形させたケンゴーキジがその刃を弾へ叩き付ける。再び尋常ならざる痛みが弾の身体を襲い、左肩のコアを砕くと共に背中に装着されていたスラスターがその斬撃で斬り落とされる。

 

「!だ、弾さん!?」

「いいね……この痛み、心地いい!」

「「!?」」

 

獰猛な笑みを浮かべながら喜びの声を露わにする弾。その反応に思わず切歌と調は戸惑ったような様子を見せる。

 

「……な、何を言ってるデスか!?絶唱で底上げされたダメージ……それを喰らって心地いい!?あんた、頭のねじがぶっ飛んでるんじゃないデスか!?」

「かもな……さぁ、まだアタックは続けるか?」

「っ……森林のセッコーキジでアタック!!」

 

絶唱のダメージ。一応自分たちならば耐えることは可能だろう。しかし、耐えられるからといって、目の前の男のようにそれを心地いいと言い切って楽しむことなどできるのか。いや、不可能だろう。ならば何故、この男はその状況で平然と楽しめるのか。

 

ライフ(ライフ:3→2)受ける(リザーブ:3→4)!」

 

森林のセッコーキジもまた、イガリマの恩恵を受けて鎌へと変化した刃を弾へ叩き付ける。その一撃は弾の右胸あたりに埋め込まれた青いコアを砕き、そこのバトルフォームにも強烈な傷跡を刻んでいく。

 

「……ふっ」

「……!」

 

既に三つもこの痛みを味わっている。なのに何故耐えられるのか。思わず背筋が寒くなるような、そんな不気味な感覚を覚え、切歌は冷や汗を流しながら次の一手を宣言する。

 

「ここで気圧されてたまるかデス!賢龍ケイローン、お前もいくデス!」

 

ケイローンが矢を放つ。放たれた矢は緑色の光に包まれて鎌となり、回転しながら弾へと襲い掛かる。その一撃を見ながら弾はただ平然と口を開く。

 

ライフ(ライフ:2→1)受ける(リザーブ:4→5)!」

 

その一撃は左胸のライフを破壊し、さらに鎧を傷つける。しかし、痛みが発生した場所を弾は嬉しそうに擦りながら切歌を見返す。いい一撃だった。そう言うかのように。

 

「た、ターンエンドデス!」

 

まさか、これが過去から現れた男。自分達にはもう想像することすらままならない幾多の戦いをその僅かな時の間に刻み続けてきた男の姿だというのか。その姿を目の当たりにしながら切歌と調は息を呑む。

 

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:6→10)、メインステップ。イグア・バギーを召喚(リザーブ:10→9)

 

【イグア・バギー:白(赤)・スピリット

コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:白(赤)】

 

太陽石の神殿が持つ赤のシンボルを使ってノーコストで呼び出される緑色の車体の四輪バギー型スピリット、イグア・バギー。このスピリットを呼び出すことで最低限の準備は揃っただろう。そう結論付け、弾は手札から一体のスピリットを呼び出す。

 

「太陽よ、炎をまといて龍となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴン、召喚(リザーブ:9→3)!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン:赤・スピリット

コスト6(軽減:赤2・青2):「系統:神星・星竜」

コア2:Lv1:BP4000

シンボル:赤】

 

弾の背後から出現する巨大な紅蓮のドラゴン。黄金の角、肩当てとひざ当てを持ち、白い翼を羽ばたかせる太陽のような赤い皮膚のドラゴンがゆっくりとバトルフィールドの壁をよじ登り、四本脚を使って一歩一歩、壁を、大地を踏みしめるようにしてバトルフィールドへと入ってくる。そしてフィールドの中に入ると、二本脚で立ち上がり、全身に埋め込まれた白い球体を光で反射させる。

 

「来たようデスね……!」

「さらにブレイヴ、星鎧龍ジーク・ブレイヴを召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:星竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

空が暗く染まり、稲妻が響く。そして天から出現する、赤い機械の身体を持つジークヴルムを模したスピリット。その瞳を白く輝かせ、額の赤い結晶を輝かせながら降り立ち、黄色い翼を広げて咆哮を上げる。

 

「ブレイヴももう……!?」

「星鎧龍ジーク・ブレイヴを太陽龍ジーク・アポロドラゴンに合体(ブレイヴ)!!」

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コスト6+4→10

コア2→3:Lv1→2:BP4000→6000+5000→11000

シンボル:赤+赤】

 

ジーク・ブレイヴの額の赤の結晶が光り輝き、その姿が天へと羽ばたく。そしてその翼が分離して身体が消滅し、自身の翼を消滅させた太陽龍の背中に装着され、雷皇龍を連想とさせる黄色い六枚の羽によって構築される右翼と左翼へと変わっていく。また、それと同時に太陽龍の身体の白い球体全てが赤く染まり、全身から紅蓮の閃光を放ちながら咆哮を上げる。

 

「っ……!」

「アタックステップ!天を裂け、合体(ブレイヴ)スピリット!星鎧龍ジーク・ブレイヴ、合体(ブレイヴ)時効果によりBP4000以下の相手スピリット、ケンゴーキジを破壊!」

 

ジーク・アポロドラゴンの口が開かれ、炎が放たれる。放たれた炎はケンゴーキジを一撃で燃やし、その上でダブルシンボルのアタックを切歌へと仕掛ける。

 

ライフ(ライフ:5→3)受ける(リザーブ:1→3)!」

 

炎と稲妻を纏い、ジーク・アポロドラゴンが切歌へと突進する。そのアタックは切歌を守るように出現した赤い半透明の球体のバリアに阻まれたが、そのバリアが砕ける音と共に衝撃を受けた切歌が鎌の上から落ちそうになる。

 

「わあああ!?」

「切ちゃん!」

「っとと……」

 

慌てて柄を掴んで落下を阻止し、その上によじ登る。ダブルシンボルの強烈な一撃が命中したことを確認した弾は静かにターンの終了を宣言する。

 

「ターンエンド」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:4→7)!メインステップ!マジック、チャージドロー(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:7→4)!デッキから2枚ドローし、その後デッキを上から2枚オープン、その中に強化(チャージ)を持つスピリットかブレイヴがあれば全て手札に加えるデス!」

 

二枚のカードをドロー後、デッキからオープンされるカード。オープンされたのは、毒蛇鎌アルファルド、ケンゴーキジ。よって強化(チャージ)を持つカードであるケンゴーキジを手札に加え、毒蛇鎌アルファルドをデッキの上に戻した。

 

「そして二体のケンゴーキジを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【ケンゴーキジ

コスト2(軽減:緑1)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

【ケンゴーキジ

コスト2(軽減:緑1)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

最初から手札にいたのとこのドローで引いてきたのとを合わせて召喚する。弾の場にブロッカーは一体しかいないが、何かを手札に隠していると読んで大量召喚をしたのだろう。が、どうやらこの行動を見る限りは手札に緑の疲労効果は存在しなかったようだ。

 

「随分と展開するんだな」

「全力で叩き潰すためデス!アタックステップ!ケンゴーキジでアタック!」

「イグア・バギーでブロック。フラッシュタイミング、サイレントロック(コスト4(軽減:白4))を使用。不足コストはイグア・バギーと合体(ブレイヴ)スピリットより確保する」

 

【イグア・バギー

コア1→0】

 

【太陽龍ジーク・アポロドラゴン

コア3→1:Lv2→1:BP6000→4000+5000→9000】

 

合体(ブレイヴ)していないスピリットのバトル終了時、アタックステップを終了する」

 

イグア・バギーがケンゴーキジへ突進し、その途中で消えてなくなり、消滅する。それと共にマジックの効果が適用され、切歌はアタックを中断させられる事となる。

 

「く……残りライフ1でしぶとい!ターンエンドデス!」

「どんなバトルでも俺は最後まで諦めなくてね……バトルスピリッツは対話だ。俺はこのバトルを通じて、君の事を理解したいと思っている」

「は、はあ!?変なこと言ってるんじゃないデス!大体、そんな綺麗事を言って戦うのは止めようとか言い出すつもりデスか!?」

 

怒りを露わにしたかのように叫ぶ切歌。そんな綺麗事を並べたところで、自分達を止められると思っているのか。そう突き付けるように声を上げるが、弾はその言葉を分かっているというかのように逆に挑発するように口を開く。

 

「俺はそんな事は言わないさ。戦わないってことはバトスピができないってことだからな。だが……これだけは言わせてもらう」

「……?」

「切歌、確かにあんたの言うとおり、さっき俺が言った事は綺麗事かもしれない」

「……だったら黙ってバトルを……」

「でも、それは成し遂げられなかったらの話だ。どれだけ多くの思想、目的、感情があろうと、それを成し遂げるには自ら責任を背負い勝ち続けるしかない。俺に勝ってすらいない今、お前が俺に対して投げかけた言葉も、責任すら果たされていない綺麗事の一つでしかない!」

「なっ!?」

 

はっきりと言い切った弾の言葉に切歌は思わず言葉を詰まらせる。自分達のやろうとしていることが、自分達が綺麗事だと言ったその人物と同じだと言い切られたのだ。その返しは予想していなかったのだろう、切歌も調も返す言葉を即座に思い付く事はできない。それでも苦し紛れのように何とかして弾の言葉の穴を探すように切歌が苦しそうに声を漏らし始める。

 

「そ、そう言うんだったら、お前の言葉だって綺麗事……」

「それがどうした?俺は負ける未来なんてイメージしない。俺は俺の戦う理由を、そして目的をお前に叩き付ける!だからお前も全てを俺にぶつけろ!それを受け止めた上で、理解した上で叩き潰す!それだけだ!」

「「っ!!」」

「弾さん……」

 

真っ直ぐすぎる馬鹿と言えばそれまで。しかし、弾らしいといえばとても弾らしい。そんな姿を見ながら、響は苦しい状態に陥り続けながらもどこか安心していた。ライフ1に追い込まれても、弾が負けるという可能性がまるで見えないということを感じて。

 

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:1→10)、メインステップ、いくぞ!合体(ブレイヴ)スピリットを転召!!」

 

弾がカードを掲げ、そのカードから放たれた紅蓮の光が天へと昇っていく。空が巨大な爆発によって明るく染め上がり、ジーク・ブレイヴと一つになっていたジーク・アポロドラゴンが咆哮と共に巨大な炎に包まれていく。

 

「こ、ここで転召!?もう手札に切り札を……!」

「太陽の龍よ!新たな龍の命となれ!超神星龍ジークヴルム・ノヴァ、Lv2で召喚(リザーブ:10→1)!!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【転召:コスト6以上/ボイド】

コア4:Lv2:BP10000

シンボル:赤赤】

 

天へと放たれた光が無数の流星となってドラゴンに降り注ぐ。その流星は一つに束ねられ、超新星の光を作り出していく。その光は巨大な赤のシンボルとなって出現し、それが砕かれる音と共にその中から身体を巨大な赤い翼で覆ったドラゴンが出現する。その背中から薄い桃色の光の翼が二枚出現し、自身の赤い翼を広げると、その下にある緑色の光の眼を輝かせる、白い鎧を纏った紅蓮の龍が姿を現す。そして降臨した超神星龍は大地に降り立つと、咆哮と共に大地を砕きながら足元から劫火を立ち昇らせる。

 

「ジーク・ブレイヴを分離(リザーブ:1→0)!」

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

そしてその傍らにジーク・ブレイヴが降り立つ。この状況で切り札を呼び出してきた。その事実に思わず驚く切歌だったが、すぐに冷静に思考を動かす。

 

「へっ、ここで転召したって、所詮残りライフ1じゃ……!」

「いいや、ジークヴルム・ノヴァには召喚時効果がある!」

「なっ……!?」

 

瞬間、弾の胸元から強い赤い光が放たれ、それがバトルフォームごと弾の身体を包みこんでいく。光は炎となって弾のアーマーの損傷した部分に埋め込まれるように注がれていくと、次々とバトルフォームが修復されていき、さらに失われた四つのライフが再び出現していく。

 

「ば、バトルフォームが……!?」

「し、しかもライフまで!?何がどうなってるデス!?」

「超神星龍ジークヴルム・ノヴァ、召喚時効果により、カード名にジークヴルムと入っているスピリットで転召したとき、自分のライフが5になるように、ボイドからコアを自分のライフに置く!」

「っ、ジーク・アポロドラゴンはジークヴルムじゃないデス!」

「ジーク・ブレイヴと合体(ブレイヴ)しているジーク・アポロドラゴンはカード名にジークヴルムが入っているものとして扱われる!ライフ回復の条件は満たしているぞ!」

「ぐぬぬ……!」

 

修復されたバトルフォームに強い光が灯っていく。ノヴァを通じ、パンテーラの力を通じてグランドコアの力の一部が秘められた弾のバトルフォームを生み出す力が、以前よりもその出力を強め、弾の砕かれたバトルフォームをより強く、より強固に再構築させたのだ。

 

「まだバトルは終わらせないさ……さぁ、もっとやろうぜ。どちらかが倒れるまで!」




実は前作ひっくるめても絶唱やったのまだ二回目だというとんでもない事実。だってこの作品だとシンフォギア強化とダメージ強化以外の一切の利点が存在しないから、リアルファイトじゃなくてカードゲームで決着つける都合上どう足掻いても糞スキルだったりします。一応初期案だと絶唱で六武将出現とかの設定も考えていたんですけどねぇ……


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第十九話 太陽石の輝き

弾 ライフ:5 リザーブ:0 トラッシュ:5 手札:2

 

フィールド

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:星竜」

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤・スピリット

コスト8(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【転召:コスト6以上/ボイド】

コア4:Lv2:BP10000

シンボル:赤赤】

 

ネクサス

 

【太陽石の神殿:赤・ネクサス

コスト5(軽減:赤3)

コア0:Lv1

シンボル:赤】

 

 

切歌 ライフ:3 リザーブ:0 トラッシュ:5 手札:5

 

フィールド

 

【ケンゴーキジ:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1):「系統:爪鳥」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

【ケンゴーキジ:緑・スピリット

コスト2(軽減:緑1):「系統:爪鳥」:【強化(チャージ)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:緑】

 

【森林のセッコーキジ:緑(赤)・スピリット

コスト1(軽減:緑1・赤1):「系統:爪鳥」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑(赤)】

 

【賢龍ケイローン:赤・スピリット

コスト5(軽減:赤2・緑1):「系統:星将・古竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《緑シンボル》】

コア3:Lv2:BP8000

シンボル:赤】

 

 

第七ターンを迎える弾と切歌のバトル。切歌の場には一体のケンゴーキジを残して全て回復状態で存在しており、対する弾の場には回復状態のジークヴルム・ノヴァとジーク・ブレイヴの二体が存在する。現在のターンプレイヤーは弾、そしてメインステップの最中となる。

 

「弾さんのライフが一気に5まで戻った!」

(くそ、あんな効果を隠していたのか……)

「負けの一歩手前で蘇った……!」

「星鎧龍ジーク・ブレイヴを超神星龍ジークヴルム・ノヴァに合体(ブレイヴ)!!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

コスト8+4→12:【激突】

コア4→5:Lv2→3:BP10000→15000+5000→20000

シンボル:赤赤+赤】

 

ジーク・ブレイヴの瞳が輝き、その身体が天へと放たれる。そして光が胴体から溢れ出し、二枚の翼を除いてその身体が消滅、その金色の羽をもつ翼がジークヴルム・ノヴァの持つ赤い翼と入れ替わるように装着され、その全身が雷鳴と共に燃え上がる。

 

「何……この力は……!?」

 

その炎が、翼の一振りで雷鳴と共に掻き消され、霧散していく。そしてその中から現れた、合体(ブレイヴ)スピリットとなったジークヴルム・ノヴァが今一度紅蓮の光と共に咆哮を放ち、対気を震わせる。

 

「まだアタックすらしてないのに……!?」

 

その咆哮は切歌を後ろへと僅かに吹き飛ばす。即座に立て直し、バランスを取り戻すが鋭く光る緑色の眼差しは容赦なく切歌を射抜く。

 

「!!」

「アタックステップ!」

 

アタックステップ。その言葉を宣言した次の瞬間、弾のバトルフォームの両肩に装着されているスラスターが短い稼働音と共に開かれ、そこから勢いよく虹色の光が吹き出されていく。放たれた虹色の光は弾の背中に生える二枚の翼となり、その翼の出現を喜ぶかのように再びジークヴルム・ノヴァが咆哮を上げる。

 

合体(ブレイヴ)スピリットでアタック!ジークヴルム・ノヴァ、Lv2・3アタック時効果!BP合計10000まで相手スピリットを好きなだけ破壊する!賢龍ケイローン、森林のセッコーキジを破壊!」

 

BP8000のケイローンとBP1000の森林のセッコーキジへ向け、空高く飛翔したジークヴルム・ノヴァが光の翼を広げる。それと共にジークヴルム・ノヴァの全身を虹色の光が包みこんでいき、その光は無数の光弾の雨となって大地へと降り注いでいく。大地を抉り、土煙を上げながら雨はケイローンと森林のセッコーキジを貫いていき、一瞬で二体を葬り去っていく。

 

「こ、こうも簡単に……!」

「っ、切ちゃん!!」

「まだジーク・ブレイヴの合体(ブレイヴ)時効果が残っている!BP4000以下の相手スピリットを破壊する!破壊するのは、疲労していないケンゴーキジだ!」

 

さらに広げられたジーク・ブレイヴの金色の翼から雷鳴が降り注ぎ、ケンゴーキジを燃やし尽くす。回復状態のスピリットを一気に焼かれ、ブロッカーを失った残りライフ3の切歌に、ジークヴルム・ノヴァが迫る。

 

合体(ブレイヴ)スピリットはトリプルシンボル……これなら!」

「まだ、終わってなんかいないデス!フラッシュタイミング!マジック、ストームアタック(コスト4(軽減:緑2))使用(リザーブ:5→2)!ケンゴーキジを回復!」

「ジークヴルム・ノヴァ、Lv3アタック時効果!激突!」

 

回復したケンゴーキジが刀を構える。しかし、ジークヴルム・ノヴァの前ではその行為は何の意味も持たず、激突の的となったケンゴーキジは尻尾で軽く吹き飛ばされ、破壊されていく。

 

「ターンエンド」

(何とか凌いだけど……切ちゃん……)

「……」

 

汗を流しながら、一呼吸を置く切歌。その汗は、冷や汗のようにも見えたが、実際は違う。少し。ほんの少しではあるが、どこか違和感があるのだ。その違和感を恐れているが故に出てきた汗。その違和感が何なのか、それは切歌自身がよく理解していた。

 

(さて……7ターンが終わった段階でこれなら、一応後13ターンはいけそうデス……尤も、その前に終わるデスけど)

 

絶唱によって生まれたタイムリミット。しかし、相手の追加の増援がいつか来ることを考えれば最初からタイムリミットがあるも同然だ。そのことは気にはならない。

 

「まぁまずは……あれをどうにかすることが先決みたいデスね!スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:4→12)!メインステップ!マジック、タフネスリカバリー(コスト3(軽減:緑2))使用(リザーブ:12→9)!」

(自分のスピリットがいない状況でタフネスリカバリー……何が狙いだ?)

「このターンの間、スピリット1体をBP+2000するデス!合体(ブレイヴ)スピリットを指定!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

BP15000+5000+2000→22000】

 

「さらに、この効果を受けたスピリットがBP10000以上の場合、そのスピリットは回復!」

「何でわざわざ弾さんの合体(ブレイヴ)スピリットを……?」

「それは、このデッキの最強のマジックを使うためデス!マジック、カシオペアシール(コスト5(軽減:緑3))使用(リザーブ:9→4)!」

「そういうことか……!」

 

瞬間、空から無数の緑の光が降り注ぎ、その光はジークヴルム・ノヴァを大地へと縫いつけていく。大地に縫いつけられ、疲労させられたジークヴルム・ノヴァは静かに崩れ落ちていく。

 

「く……!」

「相手スピリット1体を疲労、その後、自分のエンドステップが5回行われるまでそのスピリットはいかなる方法を用いても回復できないデス!」

「5ターンも!?」

 

その際、カシオペアシールの効果によってボイドからコア5個を自分のデッキの横に置き、自分のエンドステップが来る度にそのコアを1個ずつボイドへ置き、ターンカウントを行う。

 

「とはいえ、これでコアは使い過ぎたデス。エンドステップ(カシオペアシール:5→4)!ターンエンド!」

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:1→6)

 

弾がリフレッシュステップを宣言するが、ジークヴルム・ノヴァはカシオペアシールによって縛り付けられており、動く事はできない。しかし、すでに起こった事を気にしているような場合ではないだろうとすぐにメインステップへ移行する。

 

「メインステップ。マジック、ブレイヴドロー(コスト5(軽減:赤3))使用(リザーブ:6→4)。デッキから2枚ドロー、その後、デッキを上から3枚オープンし、その中のブレイヴを手札に加え、残りを好きな順番でデッキの上に戻す」

 

二枚のドロー後、デッキの上からイグア・バギー、宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアス、六分儀剣(セクスタント)のルリ・オーサの三枚がオープンされる。その内のブレイヴ、宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアスを弾は手札に加え、残りはイグア・バギー、六分儀剣(セクスタント)のルリ・オーサの順番でデッキの上に戻した。

 

「ジーク・ブレイヴを分離(リザーブ:4→3)!」

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2)

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:赤】

 

ジークヴルム・ノヴァの背中の金色の翼が分離し、それが鎧の姿を象った赤いドラゴンへと変化していく。分離したことでカシオペアシールの効果は通用しなくなるが、疲労状態の合体(ブレイヴ)スピリットから分離したことで疲労状態でスピリットとして現れることになってしまう。

 

「水瓶座の力宿りし星鎧よ!来たれ!宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアス、召喚(リザーブ:3→0)!不足コストはジークヴルム・ノヴァより確保!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

コア5→2:Lv3→1:BP15000→7000】

 

【宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアス:白・ブレイヴ

コスト5(軽減:白2):「系統:武装・光導」

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:白】

 

瞬間、空が暗くなる。無数の星が輝く夜空へと変わった空から二つのブースターから星々の光を放ちながら一体の戦闘機のようにも見える機械が弾のフィールドへと降り立つ。水瓶の形をした二つのブースター、そしてそれらを守るかのように装着された、水瓶の側面では湾曲を描き、その先で直線に整えられた刃。青と白を基調とした装甲を持つ、前方の頭と思われる部分から緑色に光る機械の瞳を見せる新たな裏十二宮ブレイヴ、ブレイヴアクエリアス。この状況で呼び出された新たなブレイヴに、切歌は嫌でも警戒心を強くする。しかし、

 

「いくらブレイヴを読んだところで、肝心のジークヴルム・ノヴァは疲労状態!それでも合体(ブレイヴ)するというデスか!?」

「そのつもりだ!宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアスをジークヴルム・ノヴァに合体(ブレイヴ)!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤+白

コスト8+5→13:【超装甲:赤/白】

コア2→3:Lv1→2:BP7000→10000+7000→17000

シンボル:赤赤+白】

 

ブレイヴアクエリアスが全身から白い閃光を放ち、剣が装着された二つのブースターと胴体、そして頭部を分離させる。分離した装甲がジークヴルム・ノヴァに重なると再び白い閃光が放たれ、その光と共に装甲がジークヴルム・ノヴァの白い鎧に統合されていき、青いラインを刻んだものへと変化していく。そして両腕に新たな篭手として水瓶のブースターが装着、新たなブレイヴを得たジークヴルム・ノヴァが全身からさらに強い白い閃光を放ちながら咆哮を張り上げる。

 

「水瓶座の裏十二宮ブレイヴ……」

「エンドステップ、ブレイヴアクエリアス、合体(ブレイヴ)時効果発揮。自分の合体(ブレイヴ)スピリットの召喚時効果を持たないブレイヴ1つを手札に戻し、ボイドからコア1個を自分のスピリットに置く。ブレイヴアクエリアスを手札に戻し、ボイドからコアをジークヴルム・ノヴァに追加する」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤

コア3→4:BP10000

シンボル:赤赤】

 

「ターンエンド」

「だ、弾さんがコアブーストを……」

(動けないならせめてコアブースト……ってところデスか)

 

それだけではない。手札を増やし、ジークヴルム・ノヴァの効果で回復したライフを使って次のターンを耐え、続く弾のターンでルリ・オーサを用いて更なるコアブーストを狙い、ジークヴルム・ノヴァが回復することができるようになる時まで凌ぎきろうという算段か。

 

「ジークヴルム・ノヴァが回復するときなんてもう来ないデス!」

「もし来たら、その時は俺がお前を倒す時だからな。尤も、その前に俺が勝つかもしれないけどな」

「好き放題言ってくれるデスね……そこまで調子に乗っているのなら、その首筋に鋭いの突き付けてやるデス!スタートステップ(ターン10)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:5→13)!メインステップ!森林のセッコーキジを召喚(リザーブ:13→11)!」

 

【森林のセッコーキジ:緑(赤)・スピリット

コスト1(軽減:緑1・赤1):「系統:爪鳥」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:緑(赤)】

 

切歌がここで緑色の翼をもつ、軽装の鎧に身を包んだキジ型スピリット、森林のセッコーキジを召喚する。ここで森林のセッコーキジを呼ぶことで、彼女の手札に眠るそのカードの召喚条件を満たす。

 

(雰囲気が変わった……これは、出してくるな。そうだ……俺は待っていた。お前のアルティメットを!)

「さぁ……生命を支配し、その動きを刈り取る魔の刃よ、ここに現れろ!アルティメット・トレントン、Lv4で召喚(リザーブ:11→3)!!」

 

【アルティメット・トレントン:緑・アルティメット

コスト7(軽減:緑3):「軽減:新生・樹魔」

コア2:Lv4:BP14000

シンボル:極】

 

彼女の歌が、緑色の閃光をフィールドへと生まれさせる。その閃光が二振りの刃で切り裂かれ、そこから細長い指の形をした装甲が姿を現す。鎌のような、曲線を描いた二本の刃が装着された篭手を両手に装着した、群青色の装甲で成り立つ細身の人型のアルティメット。樹木の枝のように伸びるその兜の中からは青い光の一つの目が認識でき、背中からは七枚の赤と青が混ざり合い、グラデーションを彩った光の翼が生やされる。

 

「あれが……切歌ちゃんのアルティメット……」

「……待ってたよ。お前を……!」

「アルティメット・トレントン、召喚時効果!手札の緑のスピリットをノーコストで召喚できる!風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーン、Lv2で召喚(リザーブ:3→0)!」

 

【風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーン:緑・スピリット

コスト6(軽減:緑3):「系統:星竜」

コア3:Lv2:BP7000

シンボル:緑】

 

アルティメット・トレントンが手を真上へと掲げる。それと共に天空から巨大な旋風が巻き起こり、飛来するように緑色の風を全身に纏う、濃い緑色の皮膚を持つ白銀の鎧を纏ったドラゴンが出現する。

 

「アルティメットの召喚に続け、ノーコストで後続スピリットを召喚……良い効果だ」

「感心したって、手加減なんてしないデス!本来なら召喚時効果があるデスが、相手スピリット全部疲労してるんじゃどうしようもない……だったら、アタックステップデス!アルティメット・トレントンでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

トリガーを宣言した瞬間、切歌が勢いよく鎌の柄を蹴って空へ飛び出す。すると、彼女が足場として使用していた、その身体に明らかに不釣り合いな大きさの鎌がその手に握られ、それが振り下ろされると共に巨大な斬撃が弾へと襲い掛かる。

 

「っ!」

 

その斬撃が弾のデッキトップのコスト4のカード、六分儀剣(セクスタント)のルリ・オーサがトラッシュへと落ちる。しかし、異変はそれだけに止まらず、衝撃が重く弾へと圧し掛かる。しかし、弾のバトルフォームのスラスターから吹き出す虹色の光が弾をその場に押し留め、バトルフォームもまたその衝撃を無傷で受け止めきる。

 

(バトルフォームがさっきよりも強くなってる……?)

 

斬撃を放った切歌が鎌を手放すと、鎌は切歌よりも早く落下し、宙に浮く。その上に着地し、切歌はトリガーヒットを宣言する。

 

「ヒット!このアルティメットをスピリットでブロックする場合、相手はスピリット3体でないとブロックできないデス!」

ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:0→1)!」

 

アルティメット・トレントンの両手から腕の方へ向けて伸びた刃が鎌のように弾へ迫る。その斬撃が弾のバトルフォームに埋め込まれた青いコアを破壊する。しかし、以前のようにバトルフォームの身体に傷を刻む事はできず、弾自身もその強烈な痛みを受けながら笑う。

 

「森林のセッコーキジでアタック!」

「こちらもライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:1→2)!」

 

森林のセッコーキジの振り上げた刀が鎌となり、弾へと突き刺さる。一気に二つのライフを奪われる弾。しかし、その心は切歌の呼び出した切り札をどう攻略するか。その一点にのみ向けられていた。

 

ターンエンド(カシオペアシール:4→3)デス!」

「これが君のアルティメットの攻撃……良い攻撃だ……」

「褒めたって、何も出ないデス」

「これだけ強いのに、何故君は、いや君達はあんな行動をしているんだ?」

「「?」」

「……」

 

その言葉は、弾の心の声だった。まゐが彼女達と一緒にいることからも、彼女達にはこのような手段に出なければならない理由があることは明白だった。そしてその目的が、世界を滅ぼすことや世界を征服するといった邪なものではないだろうということを。本当にウェルが語ったようにこの星を救う為に動いているのなら、何故全てを捨ててまで戦うのか。彼女達を突き動かしているその感情を、弾は知りたかったのだ。

 

「世界を敵にしてまで世界を救おうとして……その道が決して辛くない事なんて誰が見ても分かる筈だ。何が君達を動かしている」

「……元よりこうするしか方法がないだけデス。手段なんて……最初から選んでいられない、それだけデス!さぁ、さっさとお前のターンを進めるデス!」

「そうか……ならなおさら勝たなきゃな。スタートステップ(ターン11)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:5→6)リフレッシュステップ(リザーブ:3→10)、メインステップ。イグア・バギー、宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアスを召喚(リザーブ:10→3)。イグア・バギーはLv2で召喚する」

 

【イグア・バギー:白(赤)・スピリット

コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」

コア2:Lv2:BP3000

シンボル:白(赤)】

 

【宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアス

コスト5(軽減:白2)

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:白】

 

緑色の車体の四輪バギーと手札のブレイヴアクエリアスの二体が場に出現する。そして再度出現したブレイヴアクエリアス、その姿は再びジークヴルム・ノヴァと重なろうとしていた。

 

「宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアスを再びジークヴルム・ノヴァに合体(ブレイヴ)!Lv3に!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤+白

コスト8+5→13:【超装甲:赤/白】【激突】

コア4→5:Lv2→3:BP10000→15000+7000→22000

シンボル:赤赤+白】

 

ブレイヴアクエリアスの姿がジークヴルム・ノヴァと一つになり、再び装甲が纏われる。しかし、いくら合体(ブレイヴ)しようとどうしようもない。またコアブーストを狙おうとしているのだろうか。

 

「太陽石の神殿をLv2にアップ(リザーブ:3→2)し、ターンエンド」

 

【太陽石の神殿

コア0→1:Lv1→2】

 

(コアブーストをしない……?)

 

あくまでブレイヴを手札に戻しコアブーストを行う効果は行うか否かは自由に選択できる。しかし、動けないジークヴルム・ノヴァにはそれぐらいしか今は利用価値がないだろうに、何故敢えてしなかったのだろうか。超装甲で守りを強化するのが狙いなのだろうか。

 

「……まあいいデス。スタートステップ(ターン12)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:1→2)リフレッシュステップ(リザーブ:1→8)!メインステップ!森林のセッコーキジをLv2、風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーンをLv3、そしてアルティメット・トレントンをLv5にアップ(リザーブ:8→2)!」

 

【森林のセッコーキジ

コア1→2:Lv1→2:BP1000→2000】

 

【風龍シャイニング・ドラゴン・ハリケーン

強化(チャージ)

コア3→5:Lv2→3:BP7000→9000】

 

【アルティメット・トレントン

コア2→5:Lv2→3:BP14000→22000】

 

「さぁ……現れるデス!全てを刈り取る、イガリマの刃よ!毒蛇鎌アルファルド、召喚(リザーブ:2→0)!」

 

【毒蛇鎌アルファルド:紫・ブレイヴ

コスト2(軽減:紫1):「系統:剣刃」:【スピリットソウル:紫】

シンボル:なし】

 

心臓のように脈を打つ紫色の光を放つ球体。それを埋め込んだ、所々で湾曲している柄を見せる紫色の巨大な鎌。その刃と柄を繋ぐ部分には蝙蝠の羽のような装飾が施されているのが確認できる。

 

「これが……」

(イガリマの、アームドギア……)

「アルファルドを、アルティメット・トレントンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!」

 

【アルティメット・トレントン:緑+紫

コスト7+2→9

BP22000+1000→23000】

 

アルファルドがアルティメット・トレントンの両手に握られ、全身から紫色の光が迸る。合体(ブレイヴ)アルティメットへと進化を遂げたアルティメット・トレントンはその翼を広げ、弾へと襲い掛かる。

 

「アタックステップ!合体(ブレイヴ)アルティメットでアタック!U(アルティメット)トリガー、ロックオン!」

 

切歌の放った斬撃が弾のデッキへ向けられる。そして一枚のカードが弾き飛ばされ、宙を舞う。

 

(このバトルで俺が勝つにはノヴァの力がおそらく必要になる。そのためには、このトリガーをガードしなければならない……来てくれ!この状況で、勝利に繋ぐことのできる、あのカード!)

 

弾の静かな熱意。絶対に負けないという切歌の意志。そしてその場にいる全員の意識が弾のデッキからトラッシュへ落ちていくカードへ向けられる。一瞬の静寂、それを崩すようにトラッシュの上に小さく落ちた音を響かせるカード。そのカードを見て、弾は静かに笑った。

 

「……デッキは応えてくれた。次は、俺達が勝利へ向かって突き進む番だ!」

「なっ……超龍皇アルティメットドラゴン!?なんでそんなカードが……!」

「隠し玉という奴さ。まぁこんな形で使う事になるなんて思わなかったけどな」

 

コスト9のカードを引き当て、アルティメット・トレントンのトリガーがガードとなる。これにより、このアルティメットのアタックをスピリット1体でブロックすることが可能となる。

 

「くっ、けど……BPの低いスピリットじゃ私のアルティメットは倒せないデス!」

「いいや倒す!目の前に立ち塞がるあらゆるものは、俺が俺のやり方で倒す!お前達が自分のやり方を捨て、なりふり構わずに突き進むのなら、俺は俺のやり方で最後まで戦い抜いて勝つだけだ!フラッシュタイミング!マジック、エターナルディフェンス(コスト3(軽減:白3))使用(リザーブ:2→1)合体(ブレイヴ)スピリットを指定し、指定されたスピリットは疲労状態でのブロックを可能とする!ブロックだ!!」

「なっ、カシオペアシールで封じたのにコアブーストし始めるだけに留まらず、ブロックまで!?」

 

ジークヴルム・ノヴァが己を縛り付ける無数の緑の光を全身から炎を放ち、無理矢理焼き尽くす。そして自由を取り戻したジークヴルム・ノヴァが両手の刃を交差させるようにしてアルティメット・トレントンへと激突、振り抜かれた一撃が鎌の刃に命中して甲高い金属音がフィールドに響き渡る。

 

「け、けどまだBPはこっちの方が……!」

「これで終わったと思うな!フラッシュタイミング、マジック、ブレイヴセメタリー(コスト2(軽減:紫1))使用(リザーブ:1→0)!不足コストはイグア・バギーより確保!」

 

【イグア・バギー

コア2→1:BP3000→1000】

 

合体(ブレイヴ)スピリットにBP+1000!これでBPは23000だ!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

BP15000+7000+1000→23000】

 

「BPが並んだ!!」

「嘘、ダブル合体(ブレイヴ)スピリットでもないのに……!?」

 

ジークヴルム・ノヴァが両手を勢いよく振り抜き、その一撃がアルファルドを空へと弾き飛ばす。そしてがら空きとなった胴体を勢いよく蹴り飛ばしてアルティメット・トレントンを吹き飛ばすと、炎を纏って突進する。その突進を吹き飛ばされた先にあった壁を蹴って右の方へ飛び出す事で避けると、方向転換して炎を纏してきたジークヴルム・ノヴァに追い付かれる前に弾き飛ばされたアルファルドを手にする。そして振り向き様に振り下ろした刃がジークヴルム・ノヴァの胸を貫き、ジークヴルム・ノヴァの両手の刃が再び激突し合い、激しい火花を散らす。

 

「相討ちで終わらせはしない!さらにフラッシュタイミング、マジック、フリージングパリィ(コスト3(軽減:白3))を使用!不足コストはジーク・ブレイヴより確保!」

 

【星鎧龍ジーク・ブレイヴ

コア1→0】

 

「このバトルの間、ブロックしている自分のスピリットが破壊されたとき、そのスピリットを疲労状態で自分のフィールドに残す!」

「そんな……それじゃあ!?」

 

二体が互いに得物をぶつけ合い、その衝撃で互いに弾き飛ばされ、再び空中で羽ばたいて速度を上げて相手へと突っ込んでいく。そして何度かの衝突の後に決着の時は突然訪れる事となる。互いの胸を貫く相手の得物。そのまま地面に降下し、激突する二体。その激突と共に巨大な爆煙が放たれ、その中からフリージングパリィの効果によって生存したジークヴルム・ノヴァが咆哮を上げて現れる。

 

「だ、弾さんが勝った!」

「く……毒蛇鎌アルファルドの効果は相討ちじゃ使えない……しかも、合体(ブレイヴ)スピリットは疲労状態でブロックできる……!!毒蛇鎌アルファルド、分離!」

 

【毒蛇鎌アルファルド

コスト2(軽減:紫1)

コア5:Lv1:BP1000

シンボル:なし】

 

煙の中からアルティメット・トレントンの姿は消え、地面に突き刺さったアルファルドだけが残った。アルファルドにはアタック時、BPを比べてこのアルティメットだけが破壊されたとき、バトルした相手のスピリット/アルティメットを破壊する効果があった。しかし、その効果も相討ちでは発揮される機会は無い。

 

「……でも、まだジークヴルム・ノヴァは動けない……まだ、勝機はある!ターンエンド(カシオペアシール:3→2)!」

 

アルティメットを破壊された事はあまりにも予想外だった。しかし、まだだ。まだジークヴルム・ノヴァは四ターンは動けない。まさか二度も三度もあんなマジックを仕込んでいるという可能性もないだろう。そう結論付け、この異常事態をどうにか受け入れて次を見ようとする。しかし、既に遅い。そう言わんばかりに弾は自分のターンを宣言する。

 

スタートステップ(ターン13)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:1→9)、メインステップ。ブレイヴアクエリアスを分離(リザーブ:9→8)!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ:赤

コスト8

BP15000

シンボル:赤赤】

 

【宝瓶星鎧ブレイヴアクエリアス

コスト5(軽減:白2)

コア1:Lv1:BP4000

シンボル:白】

 

再びカシオペアシールによって地面に縫いつけられたジークヴルム・ノヴァのアーマーがパージされ、それがブレイヴアクエリアスとなって再構築させられる。その姿を見ながら、弾は新たなブレイヴを手札から呼び出す。

 

「新たな裏十二宮ブレイヴをここに!牡牛座より来たれ!金色の星鎧よ!金牛星鎧ブレイヴタウラス、召喚(リザーブ:8→4)!」

 

【金牛星鎧ブレイヴタウラス:赤・ブレイヴ

コスト6(軽減:赤3):「系統:皇獣・光導」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

天空へと立ち昇る無数の光の柱。それは牡牛座となり、そこから一体の新たな星鎧をフィールドへと降り立たせる。金色の角を生やし、赤を基調とした装甲を持つ牛の姿をしたブレイヴ、ブレイヴタウラスが青白く光る稲妻を四本の足に纏いながら大地に立ち、青い二つの瞳を強く輝かせる。

 

「こ、こいつはあの時の!?」

「金牛星鎧ブレイヴタウラスを超神星龍ジークヴルム・ノヴァに合体(ブレイヴ)!!」

 

【超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

コスト8+6→14:【真・激突】

コア5→6:BP15000+3000→18000

シンボル:赤赤+赤】

 

金牛星鎧ブレイヴタウラスが赤い光を纏い、ジークヴルム・ノヴァに激突する。その瞬間、ジークヴルム・ノヴァの持つ白い鎧が赤く染まっていき、両腕と両足に赤と紫を基調とした新たな篭手とグリーブが出現する。そして両肩からブレイヴタウラスの持つ金色の角が生え、背中から生える翼は青白い稲妻を纏い始める。

 

「また別のブレイヴを……でも、疲労状態じゃ精々ブロックが限界……」

「限界がどこにあるのかは俺が決める!他人に決められはしない!アタックステップ!イグア・バギーでアタック!」

「森林のセッコーキジでブロック!」

 

イグア・バギーの前進と森林のセッコーキジの走り込み。二体が正面衝突しそうになったその瞬間、弾はこの状況を打開するマジックをその手に掲げる。

 

「フラッシュタイミング!マジック、アルティメットフレイム(コスト6(軽減:赤2・極4))使用(リザーブ:4→0)合体(ブレイヴ)スピリットをすべて破壊する!」

「……は?」

「……え?」

「……へ?」

 

響、切歌、調の三人の言葉が思わずはもる。合体(ブレイヴ)スピリットを破壊するマジック。しかし、切歌の場に合体(ブレイヴ)スピリットなど存在しておらず、それが存在しているのは弾の場にいるジークヴルム・ノヴァのみだ。大量の炎がジークヴルム・ノヴァに降り注ぎ、その身を燃やしていく。

 

「な、何をやっているんデスか!?わざわざ自分のスピリットを焼くなんて……気でも狂ったデスか!?」

「俺はバトルに対してはいつだって真剣さ。それに……この炎は俺達を焼く炎じゃない!鎖を焼き切る炎だ!」

「鎖……って、え!?」

 

瞬間、弾の背後に聳え立つ太陽石の神殿が強く輝く。最上部に存在する赤い石から今まで切歌や調が見たことがないほどの赤い光が放たれ、その光に呼応するかのように弾の虹色の光の翼の勢いもより強まっていく。

 

「太陽石の神殿、Lv2効果!自分のアタックステップ時、激突を持つ自分のスピリットが破壊されたとき、自分のライフ(ライフ:3→2)1個をボイドに置くことで回復状態で自分フィールドに残す!」

 

森林のセッコーキジがイグア・バギーを両断する。しかし、イグア・バギーは希望を繋げた。アルティメットフレイムによって放たれた炎。その炎はジークヴルム・ノヴァを包みこむと同時に太陽石の神殿が光を放つ。そして弾のライフが一つ消え、鎖を焼き落とされたジークヴルム・ノヴァが咆哮と共に炎の中から飛び立ち、弾の目の前にゆっくりと降り立った。

 

「し、しまった……カシオペアシールが縛っているのは回復する行為のみ……!回復状態で残すのは防げない……!」

「切ちゃん!!」

「これで終わらせる!燃え上がれ、合体(ブレイヴ)アタック!!ジークヴルム・ノヴァ、Lv2・3アタック時効果により森林のセッコーキジと毒蛇鎌アルファルドを破壊!」

 

ジークヴルム・ノヴァの広げられた翼から雷鳴を纏った光弾の雨が放たれる。再び降り注いだ雨はブレイヴとスピリットを焼き尽くし、切歌の場にシャイニング・ドラゴン・ハリケーンのみを残させる。

 

「ブレイヴタウラス、合体(ブレイヴ)時効果!真・激突!」

 

シャイニング・ドラゴン・ハリケーンがこのアタックをブロックしたことでブレイヴタウラスの更なる合体(ブレイヴ)時効果が発揮される。ブロックした相手スピリット/アルティメットとシンボルの数を比べ、多かった自分のシンボル1つにつき、相手のライフのコア1個をリザーブに置く。シャイニング・ドラゴン・ハリケーンのシンボルは1つ。対する合体(ブレイヴ)スピリットはトリプルシンボル。よって、

 

「相手のライフ(ライフ:3→1)2つを破壊(リザーブ:7→9)する!」

「きゃああああ!」

「切ちゃん!?」

 

ジークヴルム・ノヴァの背後から出現した三つの赤のシンボル。それがシャイニング・ドラゴン・ハリケーンの最後から出現した一つの緑のシンボルと衝突し、互いに一つのシンボルを砕く。そして残った二つのシンボルが弾丸となって切歌へ命中し、そのライフを一気に奪い取る。

 

「でも……このアタックを防げばアタッカーは残らない!次のドローで……!」

「次は無い!フラッシュタイミング!マジック、メテオストーム(コスト4(軽減:赤2))使用(リザーブ:1→0)!不足コストはネクサスより確保!」

 

【太陽石の神殿

コア1→0:Lv2→1】

 

合体(ブレイヴ)スピリットを指定し、BPを比べ相手スピリットのみを破壊したとき、このスピリットのシンボル分相手のライフをリザーブに置く!」

「そ、そんなマジックまで……!?」

 

シャイニング・ドラゴン・ハリケーンの頭に振り降ろされるジークヴルム・ノヴァの拳。その拳が深く脳天にめり込み、続けてジークヴルム・ノヴァがシャイニング・ドラゴン・ハリケーンに強烈な回し蹴りを決めて吹き飛ばして破壊すると、咆哮と共に空を赤く、そして暗く染め、無数の流星を降らせる。

 

合体(ブレイヴ)スピリットはトリプルシンボル!よって、ライフ(ライフ:1→0)3つを奪う!!」

「っ、あああああああ!!」

 

巨大なメテオが切歌へと落ちる。そのメテオが最後のライフを砕き、絶唱によって形状変化を引き起こしたシンフォギアごとその身を粉々に砕き、再びペンダントへと変換させる。そしてバトルの終了と共にそこにいた全ての者たちが、外へと飛ばされていったのだった。

 

 

 

 

「切ちゃん!大丈夫……?」

「……大丈夫デス……?」

 

現実空間に戻り、地面に寝転がる切歌に調が駆け寄る。そして彼女に返事を返しながら、切歌はある異変に気付く。思ったより身体に負荷がかかってないことに。

 

(絶唱状態でそれなりに戦ったのに、どうして……まさか)

 

弾とのバトルの影響なのか。弾が自分を倒した時、絶唱によって生じた莫大なエネルギーをその身で受けないようにシンフォギアごとそのエネルギーをジークヴルム・ノヴァとブレイヴタウラスが破壊したとでもいうのか。

 

(……助けられた、ってことデスか……敵である筈の私を……)

 

自分のやり方を貫き通すと宣言した弾。自分がこうして生きていることも、彼の言う自分のやり方ということなのか。

 

「響!」

「……未来……?」

 

ふと聞こえてきた新たな声に全員の意識がそちらへ向けられる。そこには息を切らした様子の未来が立っている姿があり、それを見た響が驚いたように声を漏らす。

 

「何でここに……」

「ごめん。でも……響のことが心配で……」

「まぁ、そろそろ時間でしょう。もうじき、他の装者達も集まりそうだ。さっさと僕を連れて行かないと、まずいのでは?」

「……」

 

ウェルの言葉に嫌々そうな表情を見せる調。しかし、彼の言葉も正論であるが故に反論はできない。何も言わないまま切歌を背負うと、ウェルの腕を雑に掴んでその場から離脱するように走り去る。

 

「……う……!」

「ひ、響!?」

 

それが合図となったかのように響が倒れ込む。纏っていたシンフォギアが消えるが、しきりに胸を抑え、呼吸を荒げている様子からみても彼女の容態がより悪化しているのは言うまでも無い。

 

「響!響!?ねぇ、響!」

「落ち着くんだ、未来。まずは響を二課に運ぶ。コアブリットに……」

「いやこんな状況のこいつを乗せたらコアブリットの速度的に考えてもどうなるか分かんないだろ!?」

「!クリスか」

「くっ……やはりこうなったか……!」

 

ウェルが放ったと思われる、こちらの戦力を裂く為のノイズ達を殲滅し終えて駆け付けた翼とクリスが響と弾の姿を見て口を開く。どちらも、この状況を予測していたかのような、だがそれが現実になってしまったことに対する焦りが見える。

 

「今、クリス君を運んでいたヘリが近くにいる!すぐに向かわせるからその間、響君を頼む!」

 

通信機から弦十朗の声が聞こえる。彼も切羽詰まった様な声音になっており、その声が事態の深刻さを物語るのだった。




裏牡牛座「別に俺がいようがいまいが関係なかったが、出たかったから出た」

ちなみに投稿した後にバトルの内容だけでいうなら裏牡牛座いてもなくてもメテオストームで十分だったことに気付いたんだよなぁ……まぁ、牡牛座が絶唱ごとシンフォギアとライフ破壊したっていうことだから別に問題は無いんだけど……


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第二十話 戦士の代価

ちょっと未さんあっけなさすぎませんか……(震え声)

個人的には封印されたせいで除去もままならないからひたすらデッキを破壊してライフ身代わり効果を使えなくして殴り倒す未来を想像していたんですが……そして次回、予告を見た限りでは漸くアニメで久しぶりにタッグが出てきそうな予感。どんなルールになるかは分かりませんが……やり方的には異界デッキバトルになるのか、それともバシン&幸村の特別回みたいな感じになるのか。楽しみですねぇ……

駿太がいつか青のデッキ破壊と対戦した時にデッキからギュウモンジとブレイヴタウラスがさらっと破棄されたら多分笑う自信がある


(ネフィリムの心臓はある……まあ、少しばかし時期は早い気がするが……このおばさんも自分の死期が近いと悟ってるから仕方ないっちゃあ仕方ないか)

 

ウェル達が撤退に成功した翌日。ウェルの手によって最悪の事態を免れたナスターシャは、ウェルがネフィリムの心臓を持っていたことを知り、切歌と調を残してある場所へ向かっていた。

 

(それに馬神弾の力はあまりにも予想外だった。流石は過去の英雄……そう言ってしまえばそれまでだが、絶唱状態にあるシンフォギア装者を相手に勝利するとは……)

 

その道中、ウェルは弾のカードバトラーとしての実力を改めて思い出す。彼にはネフィリムも、そして絶唱状態のシンフォギアでも太刀打ちできなかった。となれば、もし彼を倒す事ができるとすれば、それはただ一つ。

 

(フロンティアの封印を解き、そこにある巨大な力しかない)

 

フロンティアが眠る海域、その上空へヘリを移動させるナスターシャ。そしてウェルに視線を向け、ウェルもまた彼女がやろうとしていることを察して無言で頷く。それを確認したナスターシャが機械を操作し、ヘリの中から多くのビットが出現し、海域上空で球体を描くかのように定位置へとついていく。

 

(聖遺物の力を打ち消す力を持ち、魔を払うカウンターの力を秘めた聖遺物、神獣鏡。その力を機械的に増幅させ、乱反射を繰り返すその力を無数のビットを使う事で屈折、反射させて一ヶ所へ集約、一束の力へと変えてフロンティアへ照射し、封印を破壊する……さぁ、英雄は目の前だ)

 

声だけは出さないように気を付けながら、隠しきれない興奮した笑みを浮かべながらヘリから四方八方へと放たれた光がビットを通して一ヶ所へ集っていく光景を見る。一つ、また一つと力は束ねられていき、それら全てが一つに重なった瞬間に光は真下に眠るフロンティアへと放たれ、その一撃が海面を振動させていく。

 

「……何?」

 

そして、何も起こらなかった。その事実に思わず声を漏らし、訝しげな表情を見せるウェル。まさかエネルギーが足りなかったのか。いや、ならば何故ナスターシャはここに自分だけを連れてきたのか。フロンティアの封印が解けられるようになってから呼ぶのならまだしも、これではまるで。そこまで考えてウェルはナスターシャがここに来た目的を漸く悟る。

 

「あんた……前にここに来た時に既に知っていたな!?現状ではどう足掻いても封印は解除できないと!」

「聖遺物の力を心を持たぬ機械では十分に発揮させることはできません……神獣鏡の力を人が使えない今、我々にはもう、一切の勝機がないと言っても過言ではない」

「……ぐ……!!」

 

どうにもならない現実を突き付けられ、ウェルは言葉を失う。しかし、そんな中でウェルはある可能性を見出していた。限りなく苦しい、そして厳しいものではある。しかし、藁にも縋る思いで自分はその可能性に賭けなければならないのだ。そう、ナスターシャにも気付かれないように静かに決意するのだった。

 

 

 

 

「……これが、今の響君の身に起こっている全てだ」

「そんな……」

 

ウェル達が撤退し、響がシンフォギアの使用によって倒れた翌日。弦十朗から聞かされた響の現在はあまりにも酷いものであった。それこそシンフォギアを用いたバトルは当然、シンフォギアを用いないバトルすらも下手をすればその身体に悪影響を起こしかねないという状況、響の身体のことを考えればカードバトラーとしては絶望的な状況にいるといっていい。

 

「……とはいえ、時代は常に進歩し続けているんだ。きっと、いや必ず響君を救う方法を生み出してやる。だから難しい事は全部、俺達大人に任せとけ!」

 

しかし、絶望する必要はないと自分の胸を叩きながら弦十朗が未来に笑いかける。響の容態、そして今の戦況と様々な要因の中で弦十朗も苦労している筈だが、それを一切見せずに宣言する彼の姿を見せて少しでも未来を安心させようとする。

 

「そう、ですよね……絶対にダメってわけじゃない。ダメかもしれないってだけですよね」

 

未来も、弦十朗の言葉を受けながら自分を奮い立たせるかのようにできるだけポジティブな言葉を並べていく。そうして自分を落ちつけようとするが、その表情に暗さが残ってしまうのはやはり仕方のない事なのかもしれない。

 

「私の身体、どうなっちゃうんでしょうね」

 

未来が弦十朗から響のことを聞かされているその時、響のいる医務室に顔を出していた弾はそんな質問を投げかけられていた。弾は少しの間、目を閉じ、顎に手を当てて考えこむような素振りをみせていたが、次第に考えがまとまったのだろう、静かに目と口を開く。

 

「弦十朗の言った通りだ。今後、バトルをしなければそれなりに長くは生きられる……という話だ」

 

ここで変に気を使って取り繕うのも逆効果でしかないだろう。そう判断した弾は弦十朗から聞いていたことを包み隠さずに伝える。

 

「そうですか……何か、やっぱり私、呪われているんですかね……よく損とかしますし」

 

長い溜め息をついてポツリ、ポツリと言葉を漏らし始める響。呪われている、確かにそうかもしれない。これほど波乱に満ちた人生など、他の人物が経験することは無いのだから。シンフォギアに出会い、その身に宿し、その身を浸食させ続けながら戦い、その挙句に戦う事すらもできない身体になってしまったのだから、大損していることについては間違いないだろう。

 

「……笑っちゃいますよね。シンフォギアを使って、人を助けられるって思っていたのに、結局こうなっちゃうんですから……」

「……でも、こうなったのも響が自分で選んだことだろ?」

 

だからこそ自分で責任を取れという訳ではない。そんな後ろ向きなものでは決してない。寧ろその逆だというかのように弾は優しく笑いかける。

 

「だったら、何も迷う事なんてないさ。寧ろ、誇ればいい。確かに今の響はこんな状態かもしれないけど、響のおかげで助かった人達もいるだろ?」

「それは……」

 

事態を後ろ向きに捉える事なら誰にだってできる。だが大事なのは、自分のやってきた行為に後ろめたさを感じず、受け止めた上で過去を今に、そして未来に繋げる事じゃないのだろうか。

 

「それでも迷いがあるなら、バトルでもするか?何か見えるかもしれないぞ?」

「いやバトルしたら悪化するって弾さんがさっき言ったじゃないですか!?」

「そうだな」

 

いきなり何を言い出すのだと言わんばかりに声を上げる響。とここで気付く。これはもしかして弾の冗談だったのではないのかと。しかし、それにしては冗談に聞こえ無さすぎる。というよりも、

 

「はは……弾さんでも冗談を言う時ってあるんですね」

「俺だって冗談ぐらい言うさ」

(ほ、本当かな……?)

 

弾が冗談を言う所がほとんど想像できない響。とはいえ、弾だってグラン・ロロで旅していた時などは冗談を言ったりすることはあった。異界王との戦いが終わり、魔族時代に行ってからはほとんど言った事がなかったが。

 

「俺は響みたいな身体になったことはないから言える事はないけど、これだけは言えると思うよ」

「これだけは……ですか?」

「ああ、仲間さ。どんなに辛い時でも、自分を支えてくれる、心の底から信じることのできる仲間。響の近くにはたくさんの仲間がいるだろ?」

 

かつて、異界王の手によってバトルを行えない精神状態に陥った時。魔族時代での戦いで負傷し、肉体的にバトルを行えなくなった時。そして世界に追い詰められ、生きる力を失った時。自分を救ってくれたのはいつだって信じていた仲間達だった。そして、それは響にも言える筈だ。何故なら、彼女の近くには多くの仲間達がいるのだから。

 

「仲間……」

 

今、自分は辛い状況にある。もしかしたらこのまま呆気なく消えていくだけかもしれない。それぐらいの状況にいると言ってもいいだろう。そんな自分が本当にしなければならない事は何なのか。それは、この状況を受け入れて前を見ること。そして、仲間と共に、再び立てるその時を待つ事なのではないだろうか。

 

「それに響がいなくても俺がやることは変わらないしな。寧ろ、響がいなくなったことで俺がもっと戦えるようになるかもな」

「……私って、結構邪魔だったりします?」

「どうかな……俺はそろそろ行くよ」

 

そう言い、席を立つ。そして医務室から出ていく。そんな弾の背中を、どこかふっきれた表情で響は見送りながら、その脳裏に未来の姿を思い浮かべ、笑うのだった。

 

 

 

 

 

(全く、あのババアは何を考えているんだか)

 

数日後。喫茶店でコーヒーを一口飲みながら、ウェルは近くに聳え立つスカイタワーを窓越しに見ていた。その懐には布でくるまれて姿を見せないようにしたソロモンの杖があり、彼は若干の怒りを滲ませながらスカイタワーを見上げ、内心で一人呟く。

 

(いやはや……全くもって騙されてしまったもんだ。まさかマリアがフィーネの魂を宿していないとは……記憶の再生が済んでいない。あまりに便利すぎる良い訳じゃないか……こっちには真偽を確かめる術はないのだから、その言葉通りに受け止めるしかない)

 

遡ること一日、二日前。フロンティアが浮上できない、その事実を突き付けられたウェルはナスターシャが次にどんな手を打つのか警戒し、彼女にばれないようにその行動を監視していた。そんな中、自分達が隠れ家として使用していた湖のある森の中、マリアと共に外に出た二人の会話の内容を聞き、流石のウェルも困惑することとなったのだ。マリアの魂にフィーネが宿っていない。さらに切歌と調にも宿っていない、つまりフィーネが宿っているという嘘は自分を協力させるためのものであったことにウェルはこのとき、初めて気付いたのだ。

 

(世界に任せておいたら本当の意味で世界なんて救えないからとあれだけ好き勝手やって、もうどうしようもないからアメリカ政府に和平交渉を申し出て、世界を救って欲しいと頼む。成程、実に清々しい掌返しだ……だが、そちらがその気ならその掌、もう一度セットさせてもらおうか)

 

その後のマリアとの会話でナスターシャはアメリカ政府に和平交渉を申し出ることを決定していた。もし本当にそれが成立すればたまったものではない。ウェルは目を鋭く細めながらソロモンの杖を握る。

 

「確かに頂いた。これは大切に使わせてもらう」

 

そしてウェルが視線を向けるスカイタワーの最上部に位置する一室。そこでナスターシャとマリアは、黒服に身を包んだ男たちを前にしていた。男たちの代表格と思われる緑色のレンズを付けたヘルメットをかぶった男がナスターシャからUSBメモリを受け取ったマリアからそれを手渡され、確かに受け取った事を確認し、それを7人の男達に見せていく。

 

「確かに確認した」

「是非、お願いします。これで世界を……」

「やれ」

 

代表格の男が筋肉質な両腕を見せる金髪の男性にUSBを無造作に投げ渡す。それを両手でキャッチしたドレッドと呼ばれた男はそれを頭の上へと上げたかと思うと勢いよく地面に叩き付け、USBメモリを力任せに捻じ曲げてしまう。

 

「なっ!?」

「ふん!」

 

さらに黒いレンズをつけたバイザーを付けた男が間髪いれずに警棒を取り出し、それをUSBへと振り降ろして破壊する。明らかな敵意を感じ、マリアが口を開こうとしたその時だった。

 

「どちらにせよ、動かぬ事だ。こいつが起爆してもいいのならな」

「っ!」

 

さらに警棒をもつ男と同じようなバイザーを見に付けた男がグレネード弾のようなものを投げるフォームで待機していた。その姿を見てマリアも思わず行動を止められる事となる。

 

「妙な真似はしないことだ。お前が歌うよりも、ゲートを開くよりも早く我々は彼女の命を奪う事ができるのだから」

 

残る肩まで伸びた茶髪が印象的な男性、巨体の男たちが銃を取り出してマリアとナスターシャに突き付ける。男たちのその動きを見て、マリアが怒りに手を震わせる。

 

「……最初から交渉などする気がなかったということですか」

「ふぅん、負け犬如きが粋がるな。消えるがいい、虚無の果てへ……!?」

 

そして男たちが引き金を引こうとしたその瞬間だった。部屋の窓から差し込む光が消え、影が室内を包みこんでいく。

 

「何……!?」

 

予想もしなかった事態に僅かに男たちがざわめく。そして次の瞬間。

 

「……何……だと……?」

 

窓が割れる音と共に無数の影が男たちへ襲い掛かる。巨漢の男の腕がその影に触れるのと同時に黒く染まり、崩れ落ちていく。

 

「馬鹿な、腕が……ぐああああああ!?」

「まさかこれは、ノイズ!?く、おおおおおお!!」

 

それがノイズだと判断した男達の行動は早かった。標的をマリアとナスターシャからノイズへと変え、銃口などを向けて一気に攻撃を仕掛ける。しかし、男達ではノイズを相手にするのはあまりに分が悪い。

 

「っ、マム!今の内に!」

 

その隙にナスターシャを抱えて部屋から飛び出すマリア。背後から聞こえてくる銃声は次々と止んでいき、ノイズ達が部屋から飛び出して外にいる人間であるマリア達を狙い出す。まさか自然発生したノイズか。いや、そう考えるにはあまりにタイミングが良すぎる。やはり、

 

(あの男か……!)

 

ウェルの姿が脳裏をよぎり、悔しそうに唇を噛み締める。あの男が自分達の行動を知り、ソロモンの杖でノイズを操って襲撃し妨害を仕掛けたのだ。とはいえ、その妨害によって自分達は助かったのだから皮肉としか言いようがない。

 

「マリア、この場から離脱を」

「分かってるわ、マム!」

 

逃げ出そうとする二人の前にノイズ達が壁を、床を通り抜けて現れる。横も、後ろもノイズ達が通路を埋め尽くし、マリアとナスターシャを襲おうとする。

 

「生きているのなら生きているで構わない……けど、死んだら死んだで問題ない。僕が英雄になる為の計画の完全な障害となり果てたババアと、フィーネの魂なんかこれっぽっちも宿っていない嘘吐き女なんてね。あいつらにこっちの情報さえ渡らなければ別にどうだっていいのさ」

 

ノイズ達を手駒として人々を蹂躙する。スカイタワーを破壊していく自分の行動にある種の興奮を覚えながらウェルが声を漏らす。そして、そろそろ頃合いかとスカイタワーから目を外し、会計を終えて喫茶店から外へ出ていく。

 

(まあ、折角の機会だ……ついでに、仕立て上げられそうな人材でも探してみますかね)

 

どこか晴れ晴れとした気分でウェルが移動している中、ノイズ達に囲まれて窮地に追い詰められたマリアは覚悟を決めてガングニールのペンダントを握りしめ、声を上げるのだった。

 

「ゲートオープン!界放!!」

 

マリアの身体を黒いガングニールが覆っていく。そしてノイズ達を纏めてエクストリームゾーンへ引き込んだマリアは、自分達を襲うノイズ達に様々な怒りを叩き付ける。

 

スタートステップ(ターン01)ドローステップ(手札:4→5)!メインステップ!ターコイズ・ドラゴンを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【ターコイズ・ドラゴン:白・スピリット

コスト3(軽減:白1・青1):「系統:甲竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:白】

 

白銀の装甲に身を包まれたドラゴンが先陣を切るかのように白のシンボルの中から現れる。四本の足にはターコイズブルーの色をした爪が生えており、背中からは青いスラスターの翼が見える。背中からは巨大な砲台のようなものがあり、青い機械の瞳を光らせながら生物ではなく機械音声の咆哮を上げる。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン02)コアステップ(リザーブ:4→5)ドローステップ(手札:4→5)、メインステップ。ホワイトホール・ドラゴンをLv2で召喚(リザーブ:5→0)

 

【ホワイトホール・ドラゴン:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:星竜」

コア2:Lv2:BP5000

シンボル:赤】

 

ノイズの場に出現した赤いシンボルの中から青い毛並みと翼をもつドラゴンが現れる。胸元で白い光の渦が輝く、白と青の身体の小さなドラゴンがゆっくりと場に降り立っていく。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン03)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!サンストーン・ドラグーンを召喚(リザーブ:4→0)!」

 

【サンストーン・ドラグーン:白・スピリット

コスト4(軽減:白2・青1):「系統:甲竜」:【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア1:Lv1:BP3000

シンボル:白】

 

身体のいたる所からサンストーンの鉱石を生やした黄色い機械の翼と身体をもつ竜が現れる。両腕を持たず、二本の脚で着地したサンストーン・ドラグーンはターコイズ・ドラゴンと同様の機械音声で作られた咆哮を上げる。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン04)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)、メインステップ。ホワイトホール・ドラゴンをLv1にダウン(リザーブ:4→5)

 

【ホワイトホール・ドラゴン

コア2→1:Lv2→1:BP5000→3000】

 

『スターリー・リューマン、炎楯の守護者コロナ・ドラゴンを召喚(リザーブ:5→0)

 

【スターリー・リューマン:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤1・極1):「系統:竜人・星竜」

コア1:Lv2:BP6000

シンボル:赤】

 

【炎楯の守護者コロナ・ドラゴン:赤・スピリット

コスト3(軽減:赤2):「系統:星竜」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:赤】

 

ノイズの場に白い鎧に身を包みこんだ竜人が二本の剣をそれぞれの手に持ちながら現れる。その隣に続けて現れるように赤い剣と二本の槍の装飾が施された白銀の盾を握る灰色の胴体をもつドラゴン、コロナ・ドラゴンが出現し、その黒い翼を広げる。

 

(っ、めんどくさい布陣を……!)

 

炎楯の守護者コロナ・ドラゴンが存在する限り、コスト3以下の自分のスピリットすべては相手の効果で破壊されたとき、疲労状態で場に残る事ができる。この効果がある限り、今のノイズの場のスピリット達を効果で破壊することは不可能、さらにお互いの効果で、系統:「星竜」を持つ自分のスピリットすべてのコアを0個にすることを封じる効果をスターリー・リューマンが発揮しているため消滅による除去も不可能、極めつけは白のバウンスを封じる、自分の赤のスピリット/アルティメットすべては、相手の効果では、フィールドから手札やデッキに戻らなくさせるホワイトホール・ドラゴンの存在。こいつがいるだけでまだ手札には来ていないもののマリアのデッキの貴重な除去マジックである光速三段突はマジックとしての役割が既に見えなくなっていると言っていい。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン05)コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:1→4)!メインステップ!ネクサス、デッキマウンテンをLv2で配置(リザーブ:4→1)!」

 

【デッキマウンテン:白・ネクサス

コスト4(軽減:白3)

コア1:Lv1

シンボル:白】

 

【デッキマウンテン:白・ネクサス

コスト4(軽減:白3)

コア0:Lv1

シンボル:白】

 

巨大な地鳴りが響き渡る。その音と共にマリアの背後から巨大な山が出現する。いや、山と思っていたそれはただの山ではない。無数の砲台がまるで山を覆う森のように生えている鉄壁の古城となった城が、二体の甲竜達と呼応するかのように白い光を放つ。

 

「サンストーン・ドラグーンをLv2にアップ(リザーブ:1→0)させ、アタックステップ!」

 

【サンストーン・ドラグーン

コア1→2:Lv1→2:BP3000→4000】

 

「ターコイズ・ドラゴンでアタック!」

 

ターコイズ・ドラゴンのアタックによりマリアの配置したネクサス、デッキマウンテン、Lv2効果が発揮される。その効果によって系統:「甲竜」をもつ自分のスピリット/アルティメットすべてのブロック時効果がアタック時効果で発揮されるようになる。

 

「アタック時効果となったターコイズ・ドラゴンのブロック時効果でボイドからコア2個をこのスピリットに置き、BP+3000!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア1→3:Lv1→2:BP2000→4000+3000→7000】

 

『スターリー・リューマンでブロック。スターリー・リューマン、ブロック時効果。BP6000以下の相手スピリット1体を破壊する。サンストーン・ドラグーンを破壊』

 

スターリー・リューマンの両手の剣に炎が纏われ、それを交差させるように振り抜いてXの形をした炎の斬撃を放つ。放たれた炎はサンストーン・ドラグーンの身体を切り裂いて破壊し、攻撃した隙を突かれて飛び掛かってきたターコイズ・ドラゴンの爪で鎧ごとその身体を裂かれ、破壊されてしまう。

 

「ターンエンド……!」

スタートステップ(ターン06)コアステップ(リザーブ:1→2)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:2→5)、メインステップ。砲竜バル・ガンナーを召喚(リザーブ:5→2)

 

【砲竜バル・ガンナー:赤・ブレイヴ

コスト4(軽減:赤2):「系統:地竜・星竜」

コア1:Lv1:BP2000

シンボル:赤】

 

背中に二台の砲門を背負った赤い小型のドラゴンがノイズの場に召喚される。小型ながらも強力な効果を秘めたブレイヴをまずは呼び出し、続けて更なる攻めの一手を用意する。

 

『ホワイトホール・ドラゴンをLv2にアップ(リザーブ:2→1)

 

【ホワイトホール・ドラゴン

コア1→2:Lv1→2:BP3000→5000】

 

『バーストをセット。アタックステップ、砲竜バル・ガンナーでアタック』

 

バル・ガンナーが雄叫びを上げて走り出す。それと共にホワイトホール・ドラゴンの胸元の光の渦が輝く。

 

「!」

『ホワイトホール・ドラゴン、Lv2フラッシュ時効果。自分のアタックステップ時、自分のバースト1つを破棄することで、相手のネクサス1つを破壊する。デッキマウンテンを破壊』

 

ノイズの伏せたバースト、三札之術がトラッシュへと破棄される。そしてホワイトホール・ドラゴンの胸元から一筋の光がデッキマウンテンへと放たれ、その一撃によってネクサスが光の中へ消えてしまう。

 

「っ、デッキマウンテンが……!ライフ(ライフ:5→4)受ける(リザーブ:3→4)!」

 

バル・ガンナーの背中の砲台がマリアへ向けられ、一発の炎弾がぶつけられる。それによってライフが破壊され、その衝撃でマリアの身体が僅かによろめく。

 

『炎楯の守護者コロナ・ドラゴンでアタック』

ライフ(ライフ:4→3)受ける(リザーブ:4→5)!」

 

コロナ・ドラゴンが振り上げた剣がマリアの二つ目のライフを破壊する。1ターンで一気に二発のライフを破壊したノイズは二体の星竜の効果による鉄壁の防御を築いた上で高いBPをもつホワイトホール・ドラゴンを守りに入れながらターンの終了を宣言する。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン07)コアステップ(リザーブ:5→6)ドローステップ(手札:4→5)リフレッシュステップ(リザーブ:6→8)!メインステップ!ゲッコ・ゴレムを召喚(リザーブ:8→6)!」

 

【ゲッコ・ゴレム:青・スピリット

コスト1(軽減:青1):「甲竜・造兵」

コア1:Lv1:BP1000

シンボル:青】

 

茶色の皮膚が印象的なヤモリ型のスピリット、ゲッコ・ゴレム。その四本の足はそれぞれ五つの指に分かれており、その先端には鋭い爪が見える。そして胴体からは青い水晶の刃のようなものが無数に生えており、瞳もまた青い水晶のようになっており、その身体には自分のメインステップ時のみ白のシンボル2つが追加される事となる。

 

【ゲッコ・ゴレム

シンボル:青+白白】

 

「現れなさい!我がデッキに眠る最大の戦艦!甲竜戦艦エンタープライズ!召喚(リザーブ:6→0)!不足コストはターコイズ・ドラゴンより確保し、Lv2で召喚する!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア3→1:Lv2→1:BP5000→2000】

 

【甲竜戦艦エンタープライズ:白・スピリット

コスト10(軽減:白5・青1):「系統:甲竜」:【超装甲:赤/紫/白/黄】【連鎖(ラッシュ):条件《青シンボル》】

コア2:Lv2:BP12000

シンボル:白白】

 

マリアの背後から光が空へと放たれる。その光の道を駆け抜け、空へと飛翔する巨大な戦艦。いや、戦艦のように見えていたのは巨大な鋼鉄のドラゴンだ。彼女のフィールドに既に存在するターコイズ・ドラゴンでさえも小型に見えるほどのその巨大な甲竜は、大地を揺らしながら降り立ち、白に近いオレンジ色に輝く瞳を光らせながら咆哮を大気を揺らす咆哮を張り上げる。

 

「たかがノイズにアルティメットを使う意義もない!アタックステップ!エンタープライズでアタック!」

『ホワイトホール・ドラゴンでブロック』

 

エンタープライズの口が開かれ、そこから放たれた巨大な白いレーザーのようなブレスがホワイトホール・ドラゴンを焼き尽くす。ダブルシンボルのアタックをブロックした事実を受け止め、僅かに悔しそうな表情を見せるが、すぐに厄介なスピリットを除去できたとそのことをプラスに考える。

 

「ターンエンド!」

スタートステップ(ターン08)コアステップ(リザーブ:3→4)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:4→6)、メインステップ。太陽凶龍アポロ・ガンディノスを召喚(リザーブ:6→0)

 

【太陽凶龍アポロ・ガンディノス:赤・スピリット

コスト7(軽減:赤2・青2):「系統:星竜・地竜」

コア1:Lv1:BP5000

シンボル:赤】

 

堅い鎧のような深緑色の鎧を纏った竜が現れる。その身体の至る所に赤紫色の紋章のようなものが刻まれており、赤紫色に光る角と黄色い瞳を輝かせながらそのドラゴンはノイズの隣からゆっくりと這い出て来るかのようにバトルフィールドに現れ、起き上がると共に咆哮を上げる。

 

(っ……こんなものを……!)

『砲竜バル・ガンナーを太陽凶龍アポロ・ガンディノスに合体(ブレイヴ)

 

【太陽凶龍アポロ・ガンディノス

コスト7+4→11

コア1→2:BP5000+2000→7000

シンボル:赤+赤】

 

アポロ・ガンディノスの背中の翼とバル・ガンナーの胴体が消滅し、アポロ・ガンディノスの背中に砲台だけとなったバル・ガンナーが装着される。それによってブレイヴの力を得たアポロ・ガンディノスが咆哮を上げる。

 

『アタックステップ。合体(ブレイヴ)スピリットでアタック。太陽凶龍アポロ・ガンディノス、アタック時効果。BP5000以下の相手スピリット1体を破壊する。ターコイズ・ドラゴンを指定』

 

ターコイズ・ドラゴンへ向けてアポロ・ガンディノスの口が開かれ、そこから放たれた炎がターコイズ・ドラゴンを焼き尽くす。この効果によって破壊することに成功したことでアポロ・ガンディノスは更なる効果を発揮させる。

 

『この効果でスピリットを破壊したとき、ターンに1回、このスピリットは回復する。砲竜バル・ガンナー、合体(ブレイヴ)時効果。デッキから1枚ドローし、BP4000以下の相手スピリット1体を破壊する。ゲッコ・ゴレムを指定』

 

ゲッコ・ゴレムの身体を焼き尽くすバル・ガンナーの弾丸。その炎がブロッカーを一気に焼き尽くし、回復した合体(ブレイヴ)スピリットがマリアへと迫る。

 

「フラッシュタイミング!絶甲氷盾(コスト4(軽減:白1))使用(リザーブ:2→0)!不足コストはエンタープライズより確保!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

コア2→1:Lv2→1:BP12000→10000】

 

「バトル終了時、アタックステップを終了する!このアタックはライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:0→2)!」

 

アポロ・ガンディノスの背中の砲台がマリアへ向けられ、引き金が引かれる。ダブルシンボル分の強烈なダメージをその身に受けながらもどうにか耐えたマリアはノイズを睨みつける。

 

『ターンエンド』

スタートステップ(ターン09)コアステップ(リザーブ:2→3)ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(リザーブ:3→13)!メインステップ!ターコイズ・ドラゴンをLv2で召喚(リザーブ:13→8)!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コスト3(軽減:白1・青1)

コア3:Lv2:BP4000

シンボル:白】

 

「さらにエンタープライズをLv3にアップ(リザーブ:8→6)!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ

コア1→3:Lv1→3:BP10000→15000】

 

「たかがノイズ程度に私のアルティメットは必要ない!アタックステップ!エンタープライズでアタック!」

『炎楯の守護者コロナ・ドラゴンでブロック』

 

コロナ・ドラゴンでのブロック。それを見た瞬間にマリアは口元を緩める。エンタープライズが万全の力を発揮できない今はライフで受けずにスピリットでブロックする。その行動を選択してくれたおかげでこのカードを使用できるということに。

 

「フラッシュタイミング!メテオフォール(コスト2(軽減:赤1))使用(リザーブ:6→4)!エンタープライズの色とシンボルを青として扱い、BP+2000!」

 

【甲竜戦艦エンタープライズ:赤→青

BP15000+2000→17000

シンボル:白白→青青】

 

エンタープライズの色が青へと変わり、全身から青い閃光を解き放つ。解き放たれた青の閃光がフィールド全域を照らし、ブロックしたコロナ・ドラゴンを武装ごと破壊する。

 

「青のシンボル2つがあることでエンタープライズの連鎖(ラッシュ)発揮!自分のスピリットすべてのブロック時効果をアタック時効果として発揮する!アタック時効果となったエンタープライズのブロック時効果により、BPを比べ相手スピリット/アルティメットだけを破壊したことでこのスピリットを回復、さらに相手のライフ(ライフ:5→3)2個をリザーブに置く(リザーブ:0→2)!」

 

エンタープライズの咆哮が大気を揺らし、ノイズのライフを破壊する。さらに追撃はまだ終わらない。

 

「エンタープライズ、二度目のアタック!」

ライフ(ライフ:3→1)受ける(リザーブ:3→5)

 

エンタープライズの口から放たれた砲撃がノイズのライフをさらに削る。そして、ここで次のターンを渡しはしない。このターンで一気に決着を付ける為にターコイズ・ドラゴンにも指示を出す。

 

「ターコイズ・ドラゴンでアタック!エンタープライズの効果によってブロック時効果をアタック時に発揮!ボイドからコア2個をこのスピリットに置きBP+3000!」

 

【ターコイズ・ドラゴン

コア3→5:BP4000+3000→7000】

 

「さらに青のシンボルがあることで連鎖(ラッシュ)発揮!ターンに1回、コスト10以上の自分のスピリットすべてを回復させる!エンタープライズ、回復!」

合体(ブレイヴ)スピリットでブロック』

 

ターコイズ・ドラゴンの突進がアポロ・ガンディノスと激突し、互いの身体が爆発して消えていく。しかし、その先に再び回復状態となったエンタープライズがノイズへ迫る。

 

「エンタープライズ、三度目のアタック!これで、終わりよ!!」

ライフ(ライフ:1→0)で受ける』

 

そして、ノイズの最後のライフが砕け散り、その身体が霧散していく。その光景を目の当たりにしながらマリアはエクストリームゾーンの外へと出ていくのだった。




ちなみに今回登場したモブは実を言うと、バトスピシンフォギアGを書き始める前に一気に思い付いたノイズにやられるためだけに生まれたファンタ、カスト、コリバル、エース、マイティ、グブロ、ドレッド、ゼネラルという名前まである謎のモブ。こいつらもしかして……って思った人とはきっとYU-JYOの握手ができる(確信)


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第二十一話 消えユく友

「切ちゃん、身体本当に大丈夫?」

「へへ、当たり前デス!」

 

ウェルの手によってLiNKERを過剰投与されたことでその効力が完全に抜け切るまではギアの使用を禁じられた切歌と調は不足してきた食材の買い出しに出てきていた。幸いにもまだ自分達の顔は明らかとなっていない。ならば、二課と関連のある人物達が住む地域から離れた場所なら問題なく動く事ができると考えて少し遠い場所に足を運んできたのだ。

 

「しかし、マリアもマムもどこ行っちゃったんデスかね?」

「うん、大切な用事があるって言ってたけど……」

 

二人の脳裏にマリアとナスターシャの姿が過る。大事な用事があるといって二人で外出していった二人。彼女達がどんな目に遭っているのかまだ知らぬままに休憩するかのように人のいない工事現場に置いてあるシートをかぶせられた材木に座りこむ。

 

(……)

 

自分達は果たして、世界を救えるのか。そんな不安がふと、切歌の脳裏をよぎる。自分達がやってきたように相手の戦う意思を、目的を偽善だ綺麗事だと言い真正面から砕いた男、馬神弾。アルティメットを使ってすらいないのにあれほどの強さをもつあの男を相手に、勝つことはできなかった。しかも、それだけに留まらずに彼はその力で自分を救った。何故、そこまでお人よしな行動をするのか。

 

『お前達が自分のやり方を捨て、なりふり構わずに突き進むのなら、俺は俺のやり方で最後まで戦い抜いて勝つだけだ!』

 

ふと、弾とのバトルで弾が言った言葉が思い出される。自分のやり方を最後まで貫こうとする弾と、この世界を、星を救う為に全てを捨て、己さえも捨てようとする自分達。その間にそこまでの差があるということなのか。

 

「……切ちゃん?」

「……ひゃい!?」

 

ふと、考えこんでいて周りに意識が向けられなくなってきた切歌の頬に不意打ち気味に調の指が刺さる。変な声を漏らしながら切歌は慌てた様子で調を見る。

 

「い、いきなり何するデスか!?」

「いや、何か難しく考えてたから」

「別にそんなもんじゃないデスけど……まあ、どうやったら次は勝てるかってのは考えてたデス」

「あー」

 

理解したように頷く調。自身に敗北を与えた弾に対してどうすれば勝てるのかを考えるのはカードバトラーとしてはある意味当然のことだろう。それに、自分達が戦い続ければ弾は再び立ち塞がるのだから、自分の力だけで勝てるようにならなければならない。

 

(……それにしても)

 

先程から変な音が聞こえてくる。何かがみしみしと言う嫌な音。一体何なのかが気になって顔を上に向けると、そこにはワイヤーで鉄骨の束がシートで一纏めにされて吊るされている光景があった。

 

(……!?)

 

何だ、あれかと納得した直後だった。ワイヤーがブチンと切れる音と共に鉄骨同士が擦れあい、バラバラになりながら自分達に向けて落ちてきたのは。

 

「危ない!調!!」

「えっ……」

 

調を右手で突き飛ばし、上から落ちてくる鉄骨が自分に激突する事実を確信して思わず目を閉じて左手を上に向けて開く。完全に防げないだろうが、一本でも受け止められれば。そう思って突き出した左手だったが、そこに鉄骨が触れる感触は無い。

 

(……何で……?)

 

おそるおそる目を開くと、目を閉じて意識を失った調が床に倒れていた。しかし、彼女の身体に目立った外傷は見えず、一先ず切歌は安堵したように息を漏らす。続けて、何故自分が無事なのか確認するように自分の左手を見て、絶句した。

 

(……嘘……!?)

 

自分と調を包むかのように。光のドームが出現し、そのドームが自分達を守っていた。

 

(だって、そんな……マリアがフィーネの器だったんじゃ……!?)

 

このような力が扱えるのはフィーネだけ。しかし、それが自分達を守るために発揮されている。この事実が意味することはただ一つ。マリアやナスターシャの言っていた、マリアがフィーネの転生体であるという言葉は嘘であり、マリアに最初からフィーネが宿っていないという事。そして、実際にフィーネが宿っていたのは―――

 

 

 

 

「……」

 

時は遡る。どこかぼーっとした目で目の前の窓から広がる街並みを見る響。この日、彼女達は不運にもスカイタワーを訪れていたのだ。

 

「どうしたの?響。何かぼーっとしてるけど」

「あ……未来、ちょっとね……」

 

コイン式の双眼鏡やベンチなどが置かれたその開けた空間には響や未来だけではなく他にも一般人の姿が多くある。今日が世間的には休日だからだろう。しかし、響の表情は優れない。それもそうだろう。今まで彼女自身がよかれと思ってやっていたことが自分の命を蝕んでいて、その結果自分はこうして長く生きることすらままならない身体になってしまったのだから。そして、今までできていたことができなくなってしまうということへの不安感や寂しさなどが、多少は割り切ってもやはり残ってしまうのだろう。

 

「……確かに、色々あったのは分かるけど、折角遊びに来たんだからそんな暗い顔しちゃ駄目だよ」

「あはは……そうだよね」

 

苦笑する姿を見せる響。しかし、彼女が無理をして笑っているという事は最早誰でも分かることだろう。しかし、そのことを指摘することなどとてもできるわけがない。彼女自身も何とかしようとしてこうしているだろうから。

 

「それじゃ、次は下の水族館の方に行こうよ」

「うん、そうだね」

 

何となくかもしれないが、ここに居続けたくないという思いが生まれてしまったのかもしれない。次の目的地を決めてそこへ行こうという響の言葉に頷き、共に移動しようとしたその時だった。響はそのその何となくで感じていたこの場にいたくないという思いが、戦士としての直感から生まれたものであることを知るのは。

 

「「っ!?」」

 

大爆発の音と建物全体に響く巨大な揺れが二人を襲う。特殊な加工をされている筈の窓ガラスに巨大なひびが刻まれて割れていき、窓の外で自分達のいる階層よりもさらに上の階層へ向かって上昇していくノイズ達の姿が目に入る。

 

「ノイズ……!」

 

ノイズを見た次の瞬間。響の頭の中からはシンフォギアを纏ってはいけないことや、戦ってはいけなこと。それらの注意事項は全て吹き飛び、ここにいる人達を守りたいという想いだけが残る事となる。そして自分の中に残るその感情に従うように走り出そうとしたその時だった。

 

「駄目、響!!」

「っ、未来……でも、ノイズが」

「だからって、響が今戦ったら、今度こそ響が死んじゃうかもしれないんだよ!?」

「……」

 

未来の言葉に自分の今の身体がどうなっているかを重ね、暗い表情を見せる響。響にとって、この場でしなければならない自分らしい行動は人々をノイズから守り、助けることの筈。しかし、自分の身体がそれを許さない。自分らしくいることを許してくれず、することができない。そんな自分に悲しささえ覚えてくる。

 

「うん、分かった。戦う事はしない。でも……私、他の人を助けたいんだ。ノイズが皆を襲い始めたら、どうしようもなくなっちゃうから……」

「響……うん、分かった」

 

戦う事はできなくても、ギアは纏えなくてもできる事はある筈だ。それすらもやらずにただ逃げる事だけはしたくない。今できることを必死に探して見つけたこと。それを否定することなど、未来にはできるわけもない。しかし。

 

「えっ……?」

「ひ、響!!」

 

突然の爆発音と何かが崩れる音と共に響の身体が宙に浮き上がる。いや、響の身体が浮き上がったのではない。響の立っていた床が崩れて地面へと落ちていき、それによって響の足が床から離れて宙に浮いたのだ。しかし、投げ出された響の身体は途中で落下することを止めさせられる。その理由は簡単。落下する響の腕を未来が掴んで必死に落下を阻止していたからだ。

 

「未来……」

 

しかし、今の状況が自分が助かったことに対して安心できない事は響にも分かっていた。自分の手を掴む未来の手が徐々に外側に引っ張られ、落ちようとしているのだ。先程の爆発などの衝撃で僅かに外側へ床が傾いてしまい、さらに支えになるものも近くにないのだろう。このまま自分を引っ張り上げようとしたら、未来ごと落ちてしまうのかもしれない。そう考えた響はある決意をする。

 

「未来、私……」

「大丈夫。これ以上響を傷つけさせないから……だから」

「……ありがと」

 

静かに、礼を口にする。何故、礼を言うのか。そう問いかけようとするが、声が出てこない。下にいる響の顔を覗き込む事が、今の未来には精一杯のことだった。

 

「だからさ、今はまだ、もうちょっとだけ私の好きにやらせてほしいんだ。それで、もう本当の本当に駄目かもしれないって時に助けてほしいんだ」

「ひび……」

 

しかし、その言葉は最後まで続かなかった。未来の手を握るその力がなくなり、滑り落ちていく。そして空に投げ出され、地面へと急降下していく響の身体。もう迷いはない。例えこの命が更に燃え尽きることになろうと、最後まで戦い抜く為に、響はその歌を紡ぐ。そして、一筋の光が大地へと降り注いだ。

 

「……」

 

風に靡く白いマフラー。ひび割れ、へこむ地面。勢いよく着地を決めた、ギアを纏った響はすぐさま未来を救うために顔を上げた、正にその瞬間だった。先程まで響と未来のいた階層が大爆発を引き起こしたのは。

 

「……み……く……?」

 

爆発によってスカイタワーが二つに真っ二つになり、先端が傾く。しかし、そんなことはどうでもいい。その爆発は、未来を確実に巻き込んだ。巻き込まれていないかもしれない、そんな希望を抱かせるほどの暇すら与えぬ程にそれは素早く起こり、未来と自分の間に爆風という壁を作ってその景色を遮断させることによって、友の最悪の終わりを響に告げたのだ。

 

「未来ゥゥウウウウウウウウウウウウウウウ!!!」

 

そんな現実を受けとめたくない。そう言うかのような悲痛な叫びが上がる。しかし、その返事に答えてくれる人は誰もいない。一歩遅れ、全身から力が抜けたように膝を付く響。顔を上げたままの彼女の視線の先で、傾いていたスカイタワーの先端部分が千切れる音と共に自分のいる場所へ向けて落下してくる。しかし、視界に見えている筈のその事実に対応する気力すらも、響には湧いてこない。そんな、無防備な彼女へ激突しようとした、その時だった。

 

「ぼーっとしてんじゃねえ!!」

 

響の背後から飛ばされてくる二基の小型ミサイル。響に当たらないように、かつ落下物を破壊して破片の雨にして変に被害が拡大しないように微妙な火力調整を行われた後に発射されたそれが落下物に激突して爆発し、吹き飛ばす。が、間髪いれずにその落下物が壁になる形になっていたせいで視認することができなかった大量のノイズ達がその姿を現し、真下にいる響へと襲い掛かろうとする。

 

「雪音、立花を頼む!ここは、私が対処する!!」

「あいよ!」

 

そして響を飛び越えるようにシンフォギアを纏った翼が現れ、ノイズ達を相手にする。その間に響の隣に降り立ったクリスが響を持ち上げるとそのまま退避するようにその場から飛び出す。

 

「貴様等は、ここで断ち切らせてもらおう!ゲートオープン!界放!!」

 

エクストリームゾーンへ消えていく翼とノイズ達。その光景を見ながら、二課の職員達が待機しているノイズ出現地から離れた場所へと移動を開始するクリスは、苦しげな表情を見せていた。

 

(くそ、どうしてこんなことに……やっぱり、私が……!)

 

歯ぎしりをする。しか