遊戯王GXR (女神)
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序章
序話〜神様の失態


ーーー序話ーーー

こんにちは、今現在の俺の状態を説明する。

中学校の帰りに暴走車に出くわす→よけようとする→運動音痴を発揮→よけきれず衝突→意識飛ぶ→なぜか町中に突っ立てる。

なぜ?って、

分からない。

ただ分かる事は、今現在俺がいる場所は、”童実野町”である事といつの間にか左腕につけているデュエルディスクがあること、つまりここが遊戯王の世界である事は分かる。

なぜ俺はこうなったのか考えたが全く分からない。

 

ガチャ

 

ん?

足になにか固いものが当たった。

自分の足下を見てみるとそこには、銀色アタッシュケースが2つ置かれていた。自身の足下に置かれているのだから恐らく俺のモノなのかと思い回りを見渡すも誰も俺に見向きもしない。

何か寂しい様な寂しくない様な思いをしながら2つのアタッシュケースを持ち上げ近くの公園のベンチに腰を降ろしケースの中身を確認する。

中には、見覚えのあるカードがケースびっしりに入っていた。

遊戯王カードだ。

しかも入っているカードから見て、俺が持っていたカードたちだろう。

 

「ほほほ。若者よ、何を考えておるのじゃ」

 

ふとそんな声が前方より聞こえてきたので顔を上げると目の前には、真っ白で首が隠れる程長い髭を蓄え白髪のじじぃ・・・お爺さんが立っていた。

また面倒くさそうな奴に絡まれたと思った。

 

「そう面倒に思うな、若者よ。いや桐谷遊よ」

 

「なんで俺の心が読めるんだよ、てかどうして俺の名前を知ってんだ」

 

「それは、儂が全知全能の神様だからじゃよ」

 

「・・・」

俺は、静かにその場を立ち去ろうとした。そんな俺の姿を見てお爺さん自称神様は、驚く様子一つ身せず話を続ける。

 

「何故自分がこの世界に来たのかを知りたいとは思わんか」

 

「じじぃ・・ゴホンお爺さんは、知っているので」

俺は、足を止めお爺さんの方に向きそう問いかける

 

「知っておるとも。なにせおぬしをこの世界に呼んだのはこの儂なのだから」

 

はぁー!!お前が呼んだ。ふざけんなよこのやろーと心で思ったが口には出さずにただお爺さんを睨みつける

 

「口に出さずとも心を読める儂には、出さないだけでは不十分じゃよ」

 

そう言われあっと思ってしまう。確かにそうだな、というよりも本当に心を読めることに驚いている。

 

「何で俺をこの世界に呼んだので」

俺が疑問に思っている事を素直に聞いてみる

 

「なに簡単な事、ちと手違いでお前さんを死なせてしまってのぅ。」

 

「はっ!?どういう意味」

 

「じゃから手違いで・・・おぬしが交通事故で病院に搬送された際、本当は助かるはずじゃったのだが間違うて死なせてしまってのぅ。しかしおぬしは、特段悪い事をした訳ではない。いい事といえば子猫を助けたぐらいじゃがちと可哀想でなぁ。それでこの世界に転生させたのじゃ」

 

絶句。生きれるはずが手違いで死んでしまい、可哀想という事で転生させられた。

衝撃的な事実。

『現実は小説よりも奇なり』とはよく言ったものだ。

ん?そもそも全知全能だったんじゃないの?どうしてこうなった?

 

「まぁ今更どうこう言っても後の祭りか」

諦め気味にそう言うと神様は、苦笑いしながらこちらを見ている

 

「おぬしには、悪いがこれからはこの世界で生きていってもらう」

 

「ふぅー。仕方ない」

この状況を受け入れざるを得ない状況で喚いても仕方ない

「俺は、これからどうすればいい」

この先の事を神様に聞いてみた。

さすがに何も知らない世界に一人で生きていくのは無理があるので第一目標ぐらい教えてもらわなければ

 

「うむ。まずは、明日海馬ランドに向かいなさい。そこでデュエルアカデミアの入学試験を受けてもらう。」

 

「入学試験?」

 

「そう。すでに筆記試験は終わっている。儂が受けておいた」

そう言ってなぜかドヤ顔の神様。

神様が筆記試験なんか受けたら満点に決まってんだろと内心でツッコミを入れてしまう。

 

「まぁそう思うな。程々に間違えておいたから大丈夫じゃよ。後は実技試験のみ」

実技試験・・つまりデュエルをするという事。

というよりも程々に間違えておいたって何だ。

 

「はぁ」

ため息が漏れるが仕方ない。

やるしかないようだ

 

この日から俺のすべてが変わった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーお知らせーーーーーーーーーーーーー

この作品は、作者女神の処女作です。

初めての作品で至らぬこともありますがどうかご容赦ください。

 

本作品におきましては、作者の都合により少し世界観が壊れる可能性があります。また作者は、素人ですので文章力に乏しいので同じ表現が度々出たり間違った日本語を使用する可能性があります。

なるべくGXのキャラクターは性格変更なしで御送りしたいと思います。

 

 

 

 

 



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第1章
第一話 入学試験


第一話 入学試験

 

神様と会ったのが昨日。

昨夜は、神様が取ってくれたホテルで夜は過ごした。

神様がホテルを取ってくれるなんて事おそらく一生涯でもそうそうない事だと思う。というよりも何で神様が人間のホテルを予約しているのか疑問だ。

ホテルでは、今日の試験のために自分が持っているデッキを調整していた。

調整自体は、早く終わったがいかんせん自身に起きた事は、衝撃的で今も夢ではないかと思ってしまう。

そして気がついたらすでに朝になっていた。

 

「さてと、行きますか」

俺は、自分の荷物を持って部屋を後にした。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あれよあれよとしているうちに目的地の海馬ランドに到着した。

受験会場は、すでに受験生でごった返しの状態になっていた。この中に今から自分も入らなければならないと思うと僅かに憂鬱になる。

 

「俺の受験番号は・・・4番か」

憂鬱に感じながらも会場に入り自分の受験番号を確認した。

4番。

何とも言えぬ番号だ。一度死んでいるからもう関係ないか。そう思う事にしよう。

 

ドォォォン

 

大きな音が響く

客席から下を見るとそこには、白い制服を着た学生が試験官相手に見事勝利した様だ。

 

「さすが受験番号1番。デュエルの腕も優秀らしいな」

 

「あぁ。1番って事は、筆記試験首席ってことだろ」

 

「そうだぜ。すごいよな」

 

近くの受験生らしき人たちの会話を耳にして受験番号が筆記試験の結果だと知り神様がしっかり受験していた事に驚きを隠せない俺。

そして今の白い制服の学生が筆記一番だと言う。いずれデュエルしてみたいなぁと思いながら自分の受験番号を呼ばれたので急いでその場所に向かう。

 

ーーーデュエル上ーーーー

 

「君が試験番号4番か」

 

サングラスをかけた試験官が訊ねてきたのでハイと答える。

サングラスのせいか少し怖く見えるので内心で結構焦ってしまう。

 

「では実技試験を行う。リラックスしていつもの様にデュエルしなさい」

 

「では」

 

「「デュエル」」

 

「私から行かせてもらう。先攻ドロー」

試験官がそう言いデッキからカードをドローする。

 

試験官:4000 手札6

桐谷遊:4000 手札5

 

「私は、[ブラットヴォルス]を攻撃表示で召還」

 

ブラットヴォルス ☆4/闇属性/獣戦士族 攻/守 1900/1200

 

「さらに装備魔法[デーモンの斧]を[ブラッドヴォルス]に装備」

 

デーモンの斧 装備モンスター一体の攻撃力を1000アップさせる

 

ブラッドヴォルス 攻/守 2900/1200

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンド」

 

試験官:4000 手札3 モンスター(m)1/魔法罠(s)2

桐谷遊:4000 手札5

 

「俺のターン、ドロー」

なんか行けそうな気がする。・・・気がする。

 

試験官:4000 手札3 モンスター(m)1/魔法罠(s)2

桐谷遊:4000 手札6

 

「俺は、手札より[愚かな埋葬]を発動。その効果でデッキからモンスター一体を墓地に送る」

 

おろかな埋葬 魔法 デッキからモンスター一体を墓地に送る

 

「俺が墓地に送るのは[クィーンズ・ナイト]」

 

「[クィーンズ・ナイト]だと!!あの絵札の三銃士の一枚か」

試験官が驚いた様に声を上げ、試験会場がざわめき始める。

それもそうだ。絵札の三銃士は、伝説の決闘王が使用していたカードで非常に高価なもでありなかなか手に入らない代物なのだ。

 

「だがそれを墓地に送ってどうするつもりだ」

試験官が冷静さを取り戻しながらそう問いかけてきた

 

「こうします。速攻魔法カード[サイクロン]を発動。フィールドのカード一枚を破壊。その伏せカードを破壊する」

青黒い竜巻が試験官の場の伏せカード吹き飛ばす

伏せカードは[奈落の落とし穴]であった。

 

内心では危ねーと思いながらプレイを続ける

「さらに魔法カード[死者蘇生]を発動!墓地の[クィーンズ・ナイト]を特殊召還する」

 

クィーンズ・ナイト ☆4/光族性/戦士族/攻/守 1500/1600

 

死者蘇生 魔法 墓地のモンスター一体を自分フィールド上に特殊召還する

 

「そして手札から[キングス・ナイト]を召還。このカードの召還に成功した時デッキかた[ジャックス・ナイト]一体を特殊召還できる。来い[ジャックス・ナイト]」

遊がそう叫ぶと遊の場に絵札の三銃士が並び立った。

 

「「「「おぉぉぉ!!」」」」

会場が沸き立つ

試験官までも絵札の三銃士の姿に感銘を受けていた。しかしそれも一瞬ですぐに前を見て状況精査していた

 

「すばらしい。だが絵札の三銃士では、私の[ブラッドヴォルス]に勝てない」

試験官がこちらを見据えながらそう言う。

 

「確かに今の状態では、攻撃力2900の[ブラッドヴォルス]には、勝てませんがこうすれば勝てます。魔法カード[融合]を発動!絵札の三銃士を一つに!!」

 

「[融合]だと!!」

 

「絵札の三銃士よ 今ひとつとなりて 眼敵を切り裂け 融合召還!!現れろ[アルカナ ナイト ジョーカー]!!!」

 

アルカナ ナイト ジョーカー ☆9/光属性/戦士族/攻/守 3800/2500

効果モンスター

一ターンに一度フィールドのこのカードを対象とする、モンスター効果、魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類の手札一枚を捨てて発動出来る。その効果を無効にする。

 

「なっ![アルカナ ナイト ジョーカー]!!」

試験官は驚愕の顔をしてアルカナ ナイト ジョーカーを見ている

 

「バトル!![アルカナ ナイト ジョーカー]で[ブラッドヴォルス]を攻撃!」

 

「ぐぁああ!!」

 

アルカナ ナイト ジョーカーの斬撃でブラッドヴォルスは真っ二つにされる

 

試験官:3100 手札3 

桐谷遊:4000 手札1 m/1

 

「くっ」

 

「まだだ!魔法カード[融合解除]!!我が元に戻ってこい絵札の三銃士!!」

 

クィーンズ・ナイト ☆4/光属性/戦士族/攻/守 1500/1600

キングス・ナイト  ☆4/光属性/戦士族/攻/守 1600/1400

ジャックス・ナイト ☆5/光属性/戦士族/攻/守 1900/1000

 

再び遊のフィールド上に絵札の三銃士が並び立つ

「バトルフェイズ中の特殊召還により攻撃権がこの三体には、ある」

 

「あぁ、その通りだ」

試験官は自らの負けを悟りそう答える

 

「行け!絵札の三銃士!!」

 

試験官に向かって絵札の三銃士が斬撃を繰り出す。その斬撃を受け試験官のライフが0になった。

 

「おめでとうデュエルは、君の勝ちだ。合否は追っ手連絡する。まぁ心配ないだろう」

試験官はそう言いながらデュエル上を後にする。

 

「ありがとうございました」

遊は、丁寧にお礼を言うと再び観覧席に戻った。

 

 

ーーーーその後ーーーー

受験番号110番の学生が試験官の[古代の機械巨人]を倒しているのを観覧席で眺めていた。

その試験官は、何やら憤慨している様だが他の試験官に引きずられながらデュエル場を後にした。

 

これから面白くなりそうだ。

内心でそう思いながら口元が緩んでいるのが自分でも分かる。

 

そう思っているのは、遊以外にも幾人か会場内にいた事を遊は知る由もない。

 

 

 



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第二話 接触

第二話 接触

 

入学試験から数日が経ち今現在俺たちは、デュエルアカデミアへ向かう船の中で過ごしている。

船に乗船してから数時間が経った頃俺は、船の船首付近で遠くの海を見ながら今までの事、そしてこれからの事を考えていた。

 

遊戯王の世界に転生したという事は、この世界ではデュエルがすべてなのだ。

ここ数日この世界で生活して分かった。この世界では、揉め事が起きれば殴り合いなどせずに何でもデュエルで解決しようとするのだ。警察でさえ犯罪者をデュエルで逮捕しようとするのだ。

前の世界では、あり得ない・・・うん。あり得ないよな。

国の三界と言えば、経済界、政界、カード界って言う程の世界に来てしまった自分が何とも言えぬ気持ちになってしまう。

こんな世界なら戦争とかも起きないだろうなと思いきやこの世界でも戦車などを使った戦争や紛争は起きている。・・・・何でや!?

戦争なんかせずに国のトップ同士デュエルで解決すればいいのに・・・。

 

話がそれたな・・・。

 

この世界が俺の知っている遊戯王の世界ならまだシンクロ、エクシーズ、ペンデュラム召還は実在していないだろう。

という事は、俺も使わない方がいいかもしれない。

・・・何かあったら使うけど。

 

そんな事を考えていたら急に肩を誰かに叩かれたので驚いて振り向くとそこには茶髪の少年と眼鏡を掛けた水色の髪色の少年、そして筆記試験1番の男が立っていた。

 

「なぁ お前だろう実技試験で絵札の三銃士を出してワンターンキルした奴って」

茶髪の少年は、そう言うと目をキラキラさせながら顔をこちらに突き出し聞いてくる。

 

「・・・」

 

「なぁ!なぁ!?」

こちらが言い淀んでいると少年はさらにグイグイ聞いてくる。

 

「十代くん!まずは自己紹介から」

 

眼鏡の少年にそう言われ茶髪の少年は渋々ながら顔を引っ込める。

この二人の事は知っている。遊戯王gxの主人公”遊城十代”とその腰巾着”丸藤翔”だ。そして後ろにいる一番君は【ラーイエロー】の”三沢大地”。

 

「俺は、遊城十代。よろしくな!」

 

「僕は、丸藤翔っす。よろしく」

 

「俺は、三沢大地。よろしく!」

 

三人が順番に簡単な自己紹介をする。そしてこちらを見ている。

    

「俺は、”桐谷遊”。よろしく」

 

「遊って言うのか!よろしくな遊!」

十代はそう言うと俺の前に手を出してきた。俺はその手を取ってよろしくと返す

 

内心では、結構興奮している俺。何せ漫画の中だけのキャラクターと話しているのだから。それに結構好きなキャラクターだったし、これは仲良くなるチャンスではと思っていると

 

「なぁ遊!さっきの質問だけど遊が絵札の三銃士で試験官を倒したのか?」

十代は、聞きたくてしょうがないのだろう。再び目をキラキラ輝かせながら聞いてくる。

 

「そうだぜ」

十代にそう答えるとマジかすげぇ〜と笑っている。

 

「じゃぁさ じゃぁさ、俺とデュエルしよぜ遊!」

 

Σ(゚Д゚) 

どうしてそうなる!?

この世界では、本当によくそうなる。挨拶をした後にごく自然にデュエルを行う様をこの世界に転生してから本当によく目にする。

十代も例に漏れない様だと内心で思いながら答える。

 

「よし!じゃぁ島に着いたらデュエルしようぜ!」

 

「よっしゃぁ!約束だぜ遊!島に着いたらデュエルしよう!」

十代は、本当に嬉しそうに俺の返答に反応している。そのはしゃぎようは、まるで誕生日プレゼントを貰って喜んでいる子どもの様だ。

 

「ほぅこれは見物だな。方や伝説の絵札の三銃士でワンターンキルをした男と方や試験官の[古代の機械巨人]を倒し逆転勝利を納めたミラクルボーイ。どちらが勝つか」

三沢は、そう言いながら遊と十代を交互に見やる。

すると船体の方から声が聞こえる

 

「へぇなんか面白そうな話しているね」

 

そう言いながらこちらに近づいてくる少年は、和やかに微笑みながら黒のシャツに黒のズボンというシンプルな格好をしている。

 

「誰だ?」

 

俺がそう呟くと答えは三沢が教えてくれた

 

「彼は、受験番号7番。実技試験では、遊同様に試験官をワンターンキルした俺の同僚になる男だ」

 

三沢の話を聞きへぇとなる俺。十代は、どうやらこの7番にも興味を持ったらしく自らさっき俺にした様に自己紹介を仕始めた

 

「俺は、”遊城十代”。よろしくな!・・・えぇと」

       

「僕の名前は”司玲治”。そこの彼と同じ【ラーイエロー】だよ。これからよろしく」

 

「玲治か。よろしく。まぁ俺は、【オシリスレッド】だけどさ」

 

「僕は、”丸藤翔”っす。十代くんと同じく【オシリスレッド】なんだ」

 

「俺は、”三沢大地”。よろしく同僚」

 

俺以外の面々が自己紹介したので残るは俺だけになったので俺も挨拶しておこう

 

「俺は、”桐谷遊”。俺も三沢や玲治と同じ【ラーイエロー】だ。これからよろしく」

 

俺がそう言うと玲治は、ニコニコしながらこちらを見ている。何だろう。訊こうとした時、俺より先に十代が話し始めた

 

「なぁ玲治も島に着いたら一緒にデュエルしようぜ!」

 

「へぇ面白そうだね。いいよやろう!」

玲治は、十代の提案を快諾し言葉をつなぐ

 

「[古代の機械巨人]を倒したミラクルボーイと伝説の絵札の三銃士の力を見てみたいしね」

 

「よっしゃ!決まりだな」

十代は、デュエル出来る事が本当に嬉しい様だ。

 

「十代くん、本当にデュエル好きっすね」

 

「まったくだ」

 

翔と三沢がそんな十代の様子を見て苦笑いしていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

新1年生たちが来た場所は、太平洋にある南国気候の孤島【デュエルアカデミア】である。

 

生徒たちは、まず大講義室で目の前にある巨大モニターに映る学校長のお祝いの言葉を聞いている。

その中には、当然十代や翔、三沢、そして俺も入っている。すでに十代は立ちながら寝ている。器用な奴だ

 

その後解散となり俺は、同じ【ラーイエロー】の三沢と玲治と共にイエロー寮に向かった。

イエロー寮は、【オベリスクブルー】のブルー寮程ではないが一人部屋で一般的な場所の様だ。

部屋に持って来た荷物を置いていると誰かが扉を叩く音がした

 

「誰だ?」

 

扉の前でそう訊ねると玲治だと答えた。何だ玲治かと思い扉を開き彼を向い入れる。

 

「どうした?」

 

俺が玲治に訊ねるとこれから十代の所に行ってデュエルしないと言う提案だった。そう言えばこの島に来る前の船の中でそう言う約束をしていたなと思い俺は、それを了承し十代にPDAで連絡を入れたところすぐにしようと返信があった。

そうして集合場所の校舎前に集まった俺たちは、どこかデュエルできる場所を探していた

 

「どっか広い場所ないかな〜」

 

「人目の付きにくい場所がいい」

 

「どこでもいいから早くデュエルしよぜ!」

 

「アニキ・・・」

 

上から玲治、俺、十代、翔の順に喋っている。俺と玲治は、基本的に人前でデュエルしたくない部類らしい。

俺は、単純に恥ずかしい気持ちと何より下手にデュエルをすると自分の存在がばれる可能性がある様な感じがするからである。

シンクロ召還やエクシーズ召還なんかは、この世界ではまだ使えない。しかしペンデュラム召還にいたってはデュエルディスクが対応していないのでまぁ問題ないだろう。

 

玲治は、男の嫉妬は醜いからねと答えになっていない様な返しだったのであまり深くは聞かなかった。

 

「うん?」

 

「十代どうした?」

 

十代が急に立ち止まり何やら考えている。どうしたのだろう?

 

「あっちだ!」

 

「はっ!何が!?どこ行くんだよ十代!!」

 

急に十代が走り出したので俺たちは、急いでその後を追う

 

「こっちからデュエルの匂いがする!」

 

「デュエルの匂い?」

 

「そんな匂いするっすか?」

 

「いや、全く」

 

「そもそもデュエルに匂いなんてあるの?」

 

「本当だって!」

 

「おい!十代!!」

 

そうして付いた場所は、【オベリスク】の紋章が付いた扉の前。

十代曰くこの奥からでデュエルの匂いがするらしい。

本当にするのかよと疑問に思っているのはおそらく俺だけではないはず、しかし図らずも扉の奥では、現在誰かがデュエルしている様だ。

 

「よし入ろうぜ」

 

「お〜い勝手に入っていいのか」

 

十代が扉の中に入っていこうとするので玲治が静止するも十代は大丈夫だってと言い中に入っていってしまった。

そしてその後に続いて他の奴らも入って行った。

入って行くとすぐに眼鏡を掛けたいかにもモブキャラのような男に止められた。

どうやら此処は、【オベリスクブルー】専用のデュエル場らしい。

十代は納得いかない様だが・・・

 

「落ちこぼれのレッドと中途半端なイエローは、此処に入ってくんな!」

 

「そうだ!出て行け!」

 

モブキャラがそう言うと隣にいたもう一人のモブキャラがそれに呼応して言葉を発した。

そしてそれを聞いてカチンと気てしまった。

何か言い返してやろうと思って口を開きかけた時、デュエル場で大きな爆発が起きた。見るとそこには、倒れている男とそれに近づいて行く男の二人がいた。制服を見る限りどちらも【オベリスクブルー】の様だ。

 

男は、倒れているもう一人の男からデッキを奪い品定めをするかの様にデッキの中身を一瞥しその中から一枚を取り出した。

 

「約束通り、このカードは俺が貰って行く」

 

男は、そう言いながら倒れている男を見下ろしている。いや見下している。

そしてその男がこちらに気付いたようでこっちに歩いてくる。

 

「こんな所で何をしている。此処は貴様らが規定居場所ではないぞ。分かったらさっさと出て行け」

 

男は、こちらを見下ろしながらそう言って来た。

 

「何だよ!お前!?」

 

「お前!?”万丈目”さんを知らないのか!?」

 

「この方は、中等部を首席で卒業され今や未来の決闘王になると言われている万丈目さんだ!!」

 

十代の問いにモブキャラ二人が大層な紹介をしている。

 

「へぇ。未来の決闘王とは、大げさな紹介だね。・・・くっくく」

 

どうやら玲治は、堪えきれずに笑ってしまっている。かくいう俺も笑いを抑えるのに必死だった。

高校1年生だったら誰でも未来の決闘王になれる可能性があるだろうに、さも自分だけがそうであるかの様なおかしな紹介は、あまりにもバカバカしい。

ただ【オベリスクブルー】の奴らはその反応がお気に召さなかった様だ。

 

「何がおかしい!!この落ちこぼれと中途半端どもが!!身の程をわきまえろ!」

 

眼鏡を掛けたモブキャラが声を荒げて反応している。万丈目自身も少し苛ついているようで方眉をヒクヒクさせている。

 

「うるせぇー!モブキャラ!!」

 

ついに言ってしまった。俺の口から・・・

それを聞いた玲治と十代は、爆笑し翔は、苦笑いを浮かべていた。そして言われた本人はというと

 

「何だと!!この中途半端!!もう一度言ってみろ!!」

 

どうやら憤慨のご様子。

というよりもさっきからそれしか言ってない。他の言葉を知らないのか?

 

「取巻!そう怒るな。」

 

そう言ったのは、彼らの後ろにいた万丈目である。

 

「万丈目さん?」

 

取巻は万丈目の方見やる。万丈目の顔は、何か悪巧みを考えている顔をしていた。

 

「そこのお前とお前。お前は入試の時に伝説の絵札の三銃士を使った奴、お前は入試でクロノス教諭を倒した奴だったな!?ならお前たちの実力この俺が見定めてやろう」

 

万丈目はこちらを指差しながらそう言った。

本当上から目線でやな奴だぜ。しかしちょうどいい散々俺らを痩けにしやがった借りは返させて貰えそうだ。

 

「いっ「いいぜそのデュエル受けて立つ!!」」

 

「俺の台詞取るなよ十代!!」

 

「あっごめんて。」

 

「いい度胸だ。なら上がってこい。まずは落ちこぼれのレッドからだ。」

 

万丈目は、そう言い十代が上に登ろうとする。

すると突然

 

「何しているの!?」

 

と声が響いた。声のする方を見るとそこには、金髪で整った顔と何ともグラマラスば身体をした女性が立っていた。制服を見るからに【オベリスクブルー】のようだ。

その女性を見るや否や万丈目たちは、慌てた様子で弁明をしている。

 

「もうすぐ歓迎会の時間だから、もう帰りなさい」

 

女性がそう言うと万丈目たちは、渋々帰っていた。

 

「あなたたちもあいつらとは、関わらない方がいいわ。あいつら碌でもない奴らだから」

 

女性の言葉を聞きうんうんと納得している玲治と何でそんなに教えてくれるのだろうと思う十代。

 

「お前、なんでそんなに俺らに教えてくれるんだ?ひょっとして俺に一目惚れか」

 

「・・・ふっふふ」

 

十代の問いに笑ってしまった女性。その様子を見て何か恥ずかしい十代。面白い絵図らだ。

そんな事を考えていると女性がもう歓迎会が始まる時間だと言う。

 

「おっやっべ!!急いで寮に戻ろうぜ翔!!」

 

「俺らも戻るか玲治」

 

「そうだな」

 

「そう言えばお前!名前なんて言うの?」

 

「・・・明日香。天上院明日香」

 

「明日香か。じゃっ又今度な明日香!!」

 

「まってよ!アニキ〜」

 

俺たちは、慌ただしくその場を後にした。

 

「遊城十代。面白そうな奴」

 

そう明日香が呟いたことを俺たちは、知る由もなかった。

 




今回はデュエルがありませんでしたが次回はあります。

素人の作品で読みにくいとは思いますがどうぞよろしく御願いします。

次回
第三話 遊城十代とE・HERO


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第三話 遊城十代とE・HERO

第三話 遊城十代とE・HERO

 

その後なんとか自分たちの寮の歓迎会に間に合って今は、自室で一休み中。

自室のベットの上でデッキの調整を行っていた。

さすがにシンクロやエクシーズは使えないがそれでもこの世界に通用するデッキを作る事は、簡単だった。

今現在、俺が持っているカード群はこの世界にないカードも多く効果も強力なものが多い。恐らく何の問題もなくデュエルできるだろう。

そんな事を考えながらデッキ調整を行っていた時、不意にPDAから受信音がする。

それは、さっきの万丈目からであった。

 

<やぁ、中途半端なイエロー君。今夜互いのエースカードをかけてデュエルをしよう。無論、勇気がないなら無理強いはしない。午前0時さっきのデュエル場で待つ>

 

何とも安い挑発だ。そもそも未来の決闘王がアンティールールで勝負を挑むとは、明日香の言う通り本当に碌でもない奴らだ。

こんな挑発で誰が行くのかバカバカしい。

そう思った瞬間

 

バン!!

 

「遊!!今からブルーのへっぽこ三人衆を始末しに行くから一緒に行こ!!」

 

「はぁあ!?」

 

突然扉を勢いよく開け放ち中に入ってきた玲治。どうやら彼の元にも万丈目からの有難くない招待状が届いた様だが、その様子は非常にご立腹だ。

 

「どうしたんだよ。そんなに怒って?」

 

「どうしたも、こうしたもないよ!あの野郎僕に対して『臆病者は、来なくてもいいが』なんて言いやがったんだ!!許せるかいこんな暴言を!!いや許せない!腹立たしい!!!遊もそう思うだろ!!!」

 

「はぁあ。」

 

どうやら臆病者呼ばわりされた事が気に喰わなかったらしい。しかしそんな安い挑発にどうしてそんなに怒りを表すのか。

 

「臆病者を馬鹿にする奴は許せない!!」

 

そっちか怒ってる理由は!?

臆病者呼ばわりされた事を怒ってる訳ではないのか。でもやはりどうしてそこまで怒っているのか分からない。

 

「どうしてそんなに怒ってるの?って顔してるね」

 

不意にそんな事を言われる。

図星であったため一瞬固まってしまう俺。そんな俺の様子を見て玲治は少し微笑み笑う。そんな分かりやすい顔をしていたのかと考えてしまう。

 

「僕が怒ってるのは、あいつらの臆病者を馬鹿にした言い方が腹立つんだよ。ましてや卑怯者風情が頭に乗っているのも気に入らん」

 

そう言うと彼は、俺の部屋からそそくさと出て行く。多分万丈目たちの所に行くのだろう。

 

「行かないの遊は?」

扉の向こうから顔だけ出して訊ねてくる玲治。その顔は、早く来いと言わんばかり顔だ。

仕方ない。自分の所にも招待状は来ているのだから玲治の連れとして行ってもいいか。そう思い俺は、玲治の後を追って自分の部屋を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

 

俺たちがさっきのデュエル場に付いた時には、すでに万丈目たちがおり他にも十代と翔が来ていた。

 

「遊!玲治!お前らの所にも万丈目から来たのか?」

 

「万丈目さん・だ!!このドロップアウトが」

 

十代の言葉に噛み付く万丈目。正直どちらでもいいだろう『さん』なんてと思ってしまうが、万丈目には自分が格下だと思う相手に呼び捨てされるのは気に喰わないらしい。まぁそんな事はどうでもいいので無視して十代の問いに答える。

 

「あぁ。俺らの所にもこいつから欲しくもない招待状が届いてな。それで玲治がどうもその招待状が気に食わないからこいつら始末するって熱り立っちゃって・・・」

 

遊が万丈目たちを指差しながら玲治と十代たちを見る。

 

「ふっはははは、この俺を始末するだと。【ラーイエロー】如きがつけあがるな!!」

 

万丈目は語気を強めながらデュエル場からこちらを見下ろしてくる。

本当に救いようがない程、俺たちの事を見下し侮っている様だ。こいつらいると本当に苛々してくる。

 

「万丈目さん。こんな奴ら万丈目さんのお手を煩わせる程の事もありません。俺がやります!!」

 

「ふん!良かろう。やってやれ取巻!!」

 

「御任せください!こんな屑野郎ども俺一人で十分です!!どうせ持ってるカードも屑でしょーし!」

 

カチーン

言わせておけば俺らだけじゃなくデッキのカードの悪口まで言われるさすがに堪忍袋の緒は切れる。俺の中で沸々と込み上げてくる怒り。

そんな俺の様子の変化に最初に気付いたのは、玲治であった。玲治はそれを見るとなぜか楽しそうに微笑み万丈目たちの方を向き口を開ける。

 

「では、まず彼の相手からしてもらいましょうかね。万丈目の取り巻きさん?」

 

玲治は、俺のを見ながら取巻にそう告げる。取巻もそれでいいと承諾した。

そして俺と取巻は、デュエル場に登ってお互いに向かい合いデュエルディスクを構える。

 

「一瞬で終わらせてやるぜ。中途半端のイエローさんよ」

 

「その減らず口すぐに叩けなくしてやろう」

 

「はっ!調子に乗りやがって。エリートである俺との格の違いを教えてやるよ!」

 

「「デュエル」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

 

遊  LP4000 手札5

取巻 LP4000 手札5 先攻

 

「先攻は貰う!ドロー」

 

取巻が先攻を取りデッキからカードをドローする。

 

「エリートの力存分に味わうがいい。俺は、[ゴブリン突撃部隊]を攻撃表示で召還」

 

ゴブリン突撃部隊 ☆4 A2300/D0

 

「カードを一枚セットしターンエンド」

 

取巻 LP4000 手札(t)4 フィールド(f)2

 

取巻がエンド宣言をし俺のターンが来た。

 

「せいぜい頑張るんだな」

いちいちうるさいヤローだ。これは早々に決着を着けたいな、十代のデュエルが後に控えているし。

 

「俺のターン。ドロー・・・!」

 

「どうした?さては引いたカードが良くなかったのか。まぁイエローのデッキだから仕方ないよな!」

 

そう言いながら俺の事を見下した眼でこちらを見る取巻に苛立ちを感じつつ自分の手札を見る。

この手札、かなりヤバい。

 

「ふっ」

 

「何がおかしい!1」

 

「いや。これは、このターンで終わりそうだと思ってな」

 

「あぁ?何言ってやがる。さっさとターンを進めろよ!屑が!!」

 

本当に腹立つコイツ。

 

「手札から[未来融合フューチャーフュージョン]を発動。デッキより[ストロング・ウィングドラゴン][ヘルドラゴン]×2[神竜ラグナロク][ボマードラゴン]の5体のドラゴンを墓地の送る。」

 

未来融合フューチャーフュージョン。元の世界では、禁止カードだったんだよな。まぁ此処では関係ないけどな。

 

「5体のドラゴン・・・まさか!!」

 

「ご名答。俺が呼び出すのは、デュエルモンスター史上最高の攻撃力を誇るドラゴン。[F・G・D]」

 

「なっ!!だが4ターンしない内に俺が終わらせてやるよ」

 

「大丈夫。お前が楽しみにしている[F・G・D]なら今すぐ見せてやる。魔法カード、[ドラゴンズミラー]を発動。墓地の融合素材をゲームから除外してドラゴン族融合モンスター一体を融合召還する。来い[F・G・D]!!」

 

F・G・D ファイブ・ゴット・ドラゴン ☆12 A5000/D5000

 

轟音と共に地面から出てくる巨大な5つの首を持つドラゴン。そのドラゴンは、眼前のブルーの制服を着た男子生徒を見下ろし睨みつけている。

睨まれている取巻は、あまりの迫力に尻餅をつき怯えた様子でF・G・Dを見上げて口を開く。

 

「な・・なんで・・・なんでお前みたいな奴がそんなカードを持ってんだ!!」

 

「すっげぇ!!」

 

「初めて見たっすF・G・D!!」

 

「F・G・D!!まさかイエロー風情がこんな」

 

「へぇ~やっぱり遊は、面白そうだ。」

 

「1ターン目からF・G・Dだなんて・・・すごい」

 

「あの坊や面白そうね」

 

上から取巻、十代、翔、万丈目、玲治、そしていつの間にかいた明日香ともう一人紫色の髪をしたブルーの女子生徒がこちらを見ていた。

そしていつの間にか仲良くなっている玲治と女子二人。

なにやってんだアイツ・・・

まぁいい、さっさとこいつ片付けて十代にバトンパスしよう

 

「よし続けるぞ!」

 

その声に反応にしてよろめきながら立ち上がる取巻。そしてどこか強がる様にこちらを見て話す。

 

「ふぁっ[F・G・D]。確かに強いカードだが、所詮一体だけだからな何の問題もない!!」

 

眼が完全に逝ってるぞお前・・・

一思いに終わらせてやろう。

 

「手札から速攻魔法サイクロン!その伏せカードを破壊」

 

「あっ!俺の[魔法の筒]が!!」

 

魔法の筒!!アッブねー攻撃してたら俺の負けだったな・・・ふぅ。

 

「魔法カード[攻撃封じ]を発動。相手モンスター一体を守備表示にする。さらに装備魔法[ビックバン・シュート]を[F・G・D]に装備」

 

F・G・D ☆12 A5400/D5000

 

「なに!!」

 

「言うまでもないだろうが、[ビックバン・シュート]を装備したモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合攻撃力が守備力を越えていればその数値の差だけ相手にダメージを与える。」

 

「この俺が!!エリートのこの俺が!!こんな奴に!!!」

 

「これで終だ・・・行け![F・G・D]!!!」

 

F・G・Dは、5つの口から地・水・火・風・闇の攻撃を繰り出しその攻撃は取巻の守備表示の[ゴブリン突撃部隊]に命中し大きな爆発が起きる。

煙がはれるとそこには、ぐったりと倒れている取巻とデュエル場から降りようとしている遊の姿が見える。

 

取巻 LP4000 →0

 

全員が唖然とした様子で遊と取巻を見ていた。

そんな中最初に口を開いたのは十代だった。

 

「すっげぇ!すげぇよ遊!!」

 

「本当にすごいっす!遊君!!」

 

「えぇ。本当にすごいわ」

 

「面白いわ、坊や んふふふ」

 

「・・・」

 

その後万丈目のもう一人の取り巻きが取巻を抱えて後ろに下がり万丈目と十代がデュエル場に向かい合って立った。

 

「さっきのイエローは、なかなかだったが、ドロップアウトには期待できんな。さっさと終わらせるぞ」

 

「勝つのは俺だぜ!万丈目!」

 

「さん・だ!!ふっ。全く口の聞き方と言うのを教えてやろう」

 

「「デュエル」」

 

十代  LP4000 手札5

万丈目 LP4000 手札5 先攻

 

「俺の先攻ドロー!俺は、[ヘルソルジャー]を攻撃表示で召還。カードを一枚伏せてターンエンド。」

 

万丈目 LP4000 手札4 場2

 

「俺のターンドロー!俺は手札から魔法カード[融合]を発動。[E・HEROフェザーマン]と[E・HEROバーストレディー]を手札融合。現れろマイフェイバリットヒーロー[E・HEROフレイムウィングマン]。」

 

「出たな。フレイムウィングマン!ならば罠発動!![ヘルポリマー]!!」

 

「なっ!!」

 

「[ヘルポリマー]ってなんっすか?」

 

「・・・翔。」

 

「はぁ。」

 

驚く十代。

一方、翔の思わぬ質問に黙り込んでしまう俺。呆れるブルー女子。

 

「・・・[ヘルポリマー]は、対融合モンスターカードだよ」

 

そんな翔に説明をしてあげる玲治。明日香もそれに続く。

 

「そうよ。融合召還された際に自分のモンスター一体を生け贄にする事でその融合モンスターのコントロール得る事が出来るの」

 

「へぇ」

 

「感心してるんじゃねーよ」

 

「別に関心なんか!」

 

「坊や、勉強不足よ。」

 

「うっ・・・」

 

最後に紫の髪色をしたブルー女子に指摘され黙ってしまった翔。というか

 

「どちら様?」

 

俺がその女性を見て訊く。

 

「あら。坊やには、まだ自己紹介していなかったわね。私は、【オベリスクブルー】の”藤原雪乃”。よろしくね坊や」

 

「坊やって・・・俺は”桐谷遊”。よろしく」

 

「遊ね。んふふふ」

 

なんかこの人怖いんですけど。なんか獲物を見る様な眼で見てくるんですけどなにこの人。

 

「俺は、[ヘルソルジャー]を生け贄に[フレイムウィングマン]のコントロールを得る。どうだ自慢のモンスターを取られた気分は」

 

「くっそ~。だが俺にはまだ通常召還権が残っている。[E・HEROクレイマン]を守備表示で召還。ターンエンド」

 

十代 LP4000 手札2 場1

 

「ふん!俺のターン、ドロー!俺は、[二重召還]を発動!手札より[リボーンゾンビ]を召還。さらに[リボーンゾンビ]を生け贄に[地獄将軍・メフィスト]を召還。行くぞ!フレイムウィングマンでクレイマンを攻撃!!」

 

フレイムウィングマン A2100

クレイマン      D2000 破壊

 

フレイムウィングマンの攻撃によりクレマンは、為す術無く破壊される。

 

「さらにフレイムウィングマンの効果!戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!!」

 

「くっ」

 

十代 LP4000 →3200

 

「まだだ!!メフィストでダイレクトアタック!!」

 

地獄将軍・メフィスト A1800

 

「ぐぁあああ」

 

十代 LP3200 →1400

 

「ふん。この程度か。やはり貴様が”クロノス”教諭に勝ったのはなグレだった様だな。さっさとサレンダーしたらどうだ」

 

 

「冗談。こんな面白いデュエル途中でほっぽり出せるかよ!俺のターンドロー」

 

<<クリクリ~>>

 

「相棒!ナイスタイミングだぜ。俺は[ハネクリボー]を守備表示で召還。ターンエンド」

 

十代 LP1400 手札2 場2

 

「ふん、所詮落ち零れは落ち零れ。そんな雑魚モンスターで何になる」

 

「俺の相棒を雑魚呼ばわりは許さねー!!」

 

「雑魚に雑魚と言って何が悪い。俺のターン。俺はメフィストでその雑魚を粉砕する!!メフィストが守備表示モンスターを破壊した場合攻撃力が守備力を越えていた場合その差の分だけダメージを与える!!」

 

万丈目がそう言うとメフィストの大きな武器がハネクリボーに直撃しハネクリボーは、跡形もなく消滅する。

 

「・・・なぜ貴様のライフが減っていない!!」

 

「[ハネクリボー]が破壊されたターン俺が受けるダメージはゼロ」

 

「何!!」

 

その様子を見ていた俺としては、本来OCGでは不可能だがこの世界では可能なんだよなと思っていた。入試の時もそうだったらしいし。

どうもこの世界では、OCG効果ではなくアニメ効果の様だ。禁止カードや制限カードもOCGとは、異なっていた。

ていうか入試で使ってたなら分かるだろ万丈目。

何驚いているんだか

 

「くっ小癪な。ターンエンド」

 

万丈目 LP4000 手札3 場2

 

「俺のターンドロー!魔法カード[融合回収]を発動。墓地から[クレイマン]と[融合]を手札に加える。そして手札の[クレイマン]と[E・HEROスパークマン]を手札融合、現れろ![E・HEROサンダージャイアント]」

 

「くっ!!」

 

「サンダージャイアントの効果発動!相手フィールド上の元々の攻撃力がこのカードより低いモンスターを一体破壊する。」

 

「何!!」

 

「フレイムウィングマンを破壊。ヴェイパー・スパーク!!」

 

「くそ!!」

 

「そして俺は魔法カード[死者蘇生]を発動!蘇れフレイムウィングマン!!」

 

「何だと!!此処で[死者蘇生]だと!!」

 

万丈目が驚愕していた時、それを見ていた俺たちは、そんな万丈目の姿を悠々とした気持ちで見ていた。

先ほどまで、押していたのは間違いなく万丈目だ。しかし此処でしっかりと死者蘇生を引いたあたり十代のドロー力?・・・が優れているのが分かる。

もしこのターンを耐えられれば万丈目は再びこの状況を立て直し攻勢に転じるだろう。ここで仕留めないとまた十代が窮地に立たされる事になる。

 

「詰んだな万丈目」

 

「そうだね。【オベリスクブルー】のエリートを気取っていた割には、大した事なかったね。僕ガッカリだ」

 

俺と玲治は、デュエルの状況をみて十代が勝つ事を確信した。

 

「行くぜ!万丈目!!」

 

「万丈目さん・だ!!」

 

「フレイムウィングマンで[地獄将軍・メフィスト]を攻撃!フレイムシュート!!」

 

フレイムウィングマン A2100

メフィスト      A1800 破壊

 

「くっ!!」

 

万丈目 LP4000 →3700

 

「フレイムウィングマンの効果、戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」

 

「ぐっ!!」

 

万丈目 LP3700 →1900

 

「これで決まりだ!!サンダージャイアントでダイレクトアタック!!ボルテック・サンダー!!!」

 

「ぐぁあああ!!」

 

サンダージャイアントの激しい雷撃が万丈目に直撃し万丈目が膝をつく。そんな万丈目に近づいて行く十代。

 

「この俺が【オシリスレッド】の落ちこぼれに負けるだと!なぜ」

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ万丈目!!」

 

「くっ!万丈目さん・だ!!・・・えーいルールはルールだ。好きなカードを持って行け!!」

 

そう言っている万丈目は、本当に悔しそうで悲痛な顔をしていた。

まぁ今までの発言があるから同情はしないが。

 

「いらねぇよ。そんなもん。カード、大事にしろよな万丈目」

 

「さん・だ!くっこの俺に情けをかけるつもりか」

 

「そんなんじゃねぇって!」

 

そう言ったやり取りがしばらく続いた後不意に明日香が何かに気付いた様に声を上げる。

 

「ガードマンよ!此処にいる事がバレたら最悪退学かもしれないわ!!」

 

「えっ!そんな校則あんのかよ!?」

 

「あなた生徒手帳読まないの」

 

「読んでたら知ってると思うよ」

 

「確かに」

 

「アニキ・・・」

 

「なんだよ!お前ら!その眼!」

 

「ってそんな事言っている場合じゃない」

 

「くっ!十代!この借りは必ず返す。首を洗って待ってろ!!」

 

そう言いながら万丈目は取巻を連れてデュエル場を後にした。

 

「ほら、俺たちもさっさと帰るぞ」

 

俺たちも急ぎその場を後にした。

校舎前でそれぞれの寮へと分かれて帰る。

今日は十代の実力の一端を見れたから良しとしよう。

そう言えば十代のデッキはE・HEROだから俺の持ってるカードをあげてもいいかもな。今度あった時にでも渡しておくか。

ん?今日玲治デュエルしてないよな・・・変わりに俺がデュエルしてたし。

まぁいいか。




女神です
本小説を読んでくださった方、又コメントくださった方ありがとうございます。
処女作ですので誤字脱、間違った事を書いている可能性もあります。ご了承ください

そう言えば、主人公の遊と仲間の玲治は完全オリキャラですのでキャラクター紹介しておきたいと思います
次話「簡単なキャラクター紹介」



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簡単なキャラクター紹介

此処で書く事は、ネタバレにならない様に書かせて頂きます。

しかしすぐに関係してくる様な事は、記載させて頂きます。


<登場人物>

主人公:桐谷遊(きりたに ゆう)

年齢:16歳

デッキ:戦士族、ドラゴン族

エースモンスター:アルカナ・ナイト・ジョーカー、F・G・D、

所属:ラーイエロー1年生

性格:クール系さばさばしている。

   カードを大事にしている。

   転生者である事は黙っている。

   順応力が高い

   スポーツ全般駄目、運動神経最悪

   チェス将棋が得意インドア派

   転生者

 

オリキャラ

名前:司玲治(つかさ れいじ)

年齢:16歳

デッキ:不明

所属:ラーイエロー1年生

性格:いつも笑顔

   すごく我儘(わがまま)

 

<原作登場人物>

主人公:遊城十代

デッキ:E-HERO

所属:オシリスレッド1年生

特徴:精霊が見える

   諦めない

   デュエル大好き

 

名前:丸藤翔

デッキ:ロイド

所属:オシリスレッド1年生

特徴:眼鏡

   気弱

   すぐ調子に乗る

   十代をアニキと慕っている

 

名前:三沢大地

デッキ:7つ持ってる

所属:ラーイエロー1年生

特徴:頭脳明晰、冷静沈着

   空気(ごめん)

 

名前:天上院明日香

デッキ:サイバーブレイダー 

所属:オベリスクブルー

特徴:勝気が強い

   オベリスクブルーの女王

   男子学生の憧れ

   十代に興味あり

   兄の心配をしている

 

名前:藤原雪乃

デッキ:デミスデッキ

所属:オベリスクブルー

特徴:エロい

   肉食系女子

   遊に興味あり

 

名前:丸藤亮

デッキ:サイバー流

所属:オベリスクブルー

特徴:カイザーの異名がある

   リスペクトデュエルを心がけている

   翔の実の兄

 

名前:万丈目準

デッキ:地獄デッキ

所属:オベリスクブルー

特徴:他人を見下す傾向がある

   中等部首席

   十代を目の敵にしている

   明日香に惚れる

 

名前:クロノス・デ・メリッチ

デッキ:古代の機械デッキ

所属:デュエルアカデミア実技最高責任者 兼 オベリスクブルー寮長

特徴:オシリスレッドをドロップアウトとして見下している

   入学試験で十代に負けて目の敵にしている

   プライドが高い

   教え子にプロデュエリストがいる

 

名前:大徳寺

デッキ:錬金術デッキ

所属:オシリスレッドの寮長

特徴:語尾に『にゃ』が付く

   眼鏡の糸目

   愛猫がファラオ

 

名前:鮫島校長

デッキ:サイバー流

所属:デュエルアカデミア校長

特徴:スキンヘッド

   トメさん大好き

 

 

アカデミア外部キャラ・組織・大会

<キャラ>

海馬瀬人:海馬コーポレーション社長

海馬モクバ:瀬人の弟

磯野:海馬コーポレーションの職員

ペガサス・J・クロフォード:I2社会長

D・D:WDC10年連続チャンピョン 世界ランク1位 三皇帝

犬神:DCS無敗王  世界ランク3位 三皇帝

海堂:世界ランク2 三皇帝

 

 

<組織>

海馬コーポレーション

I2社

デュエルアカデミア倫理委員会

万丈目グープ

 

<大会>

ワールド・デュエル・チャンピョン(WDC)

デュエル・チャンピョン・シップ(DCS)




今後本編に関係してくるキャラクター・組織です。
名前だけの人もいます。

セブンスターズ編になる前に出てくるキャラ・組織の紹介でした

次話「VS 天上院明日香」


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第四話 VS天上院明日香

今回は少し長めです


第4話 VS天上院明日香

 

デュエルアカデミア、今は、クロノス教諭のデュエル学の講義を受けている

明日香がクロノス教諭に当てられデュエルモンスターのカードについて説明をし、その説明を聞いたクロノス教諭は、満足そうに笑っている。

そして次に誰を当てるか考えている。

 

「では、シニョール丸藤。フィールド魔法についての説明を」

 

「はっハイ!ふぃっ・・フィールド魔法は、えっと、あの、その・・・」

 

「・・・もう結構で~すノ。フィールド魔法は、基礎中の基礎。こんな事も分からないと~は」

 

「ハイ・・・」

 

回りの【オベリスクブルー】の生徒たちから笑い声が起きる。笑われた翔は、落ち込みながら席に座る。

 

「はぁ・・・本当は、分かってるのに僕あがり症だから」

 

翔は、フィールド魔法の事は分かっていたみたいだがあがり症が故にすぐに口から出なかったのだろう。

仕方ない。人前で話をするのは、結構難しいのだから。

そんな落ち込んでいる翔に助け舟を出したのが隣に座っている翔のアニキこと遊城十代だった。

 

「でも先生、知識と実戦は関係ないですよね。だって俺入試で先生に勝っちゃてますから」

 

そう十代に言われ悔しそうにハンカチを噛み締めているクロノス教諭。そしてそれを聞いて笑う生徒たち。

 

「またそう言う事言うと変なちょっかい掛けられる事になるだろうに」

 

「まぁ、事実だし仕様がないんじゃない」

 

俺の懸念に玲治が答える。まぁ事実だし仕方ないか。けど

 

「それでも知識も大事だけどな」

 

「それは否定しない」

 

そうして講義が終り、次に練金術の講義が【オシリスレッド】の寮長”大徳寺”先生によって行われる。

そして同時刻、講義を終え自身の執務室に戻ったクロノス教諭は十代に対して何かをするための準備をしていた。

 

「むふ~ん。かきかきかき。これでよ~し。後は」

 

クロノス教諭は自身に口紅を塗り、その口で手紙に封をした。

手紙の封には、クロノスl教諭の唇の後がくっきりとつきそれがのり代わりになっていた。

 

「これで完璧なの~ネ。遊城十代、この私を痩けにした罪償ってもらいます~の。うじゃじゃじゃじゃ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

 

今日の授業も終り、晩飯も食べ終え、今は自室で寛いでいると不意にPDAの着信音が鳴り響く。

その着信は、十代からであった。

 

「十代。どうした?こんな時間に」

 

「悪い遊。実は翔が何者かに連れ攫われたみたいで、今すぐ女子寮まで来いって。それで遊にも一緒に来てほしいんだ」

 

「はぁ、分かった女子寮だな。すぐ行く」

 

「サンキュー遊。話が早くて助かるぜ!!」

 

「はいよ。じゃぁ又後で」

 

「おう!」

 

はぁ、なんで女子寮?そもそもあこ男子禁制だしそんなとこに呼び出すなんて何かありそうだな。

本当に世話が焼ける。

 

<<・・・>>

 

あれ今誰かの声が聞こえた様な・・・気のせいか。

早く行かなきゃな。待ってろ十代、翔!

 

<<・・・>>

 

そう言えば十代にカードを渡さなきゃだな。これとこれとこれを持って行こう

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

 

女子寮裏手の湖の対岸

 

「よっ!十代来たか」

 

「遊。なんでこんなとこに来たんだ?早く女子寮に行こうぜ」

 

「バカ!真正面から女子寮に入れる訳ないだろ」

 

「何でだよ。頼めば入れてくれるって」

 

「な訳あるか!そもそも女子寮は、男子禁制だぞ」

 

「え!そうなのか。ってうん?じゃぁ何で翔は女子寮にいるんだ?」

 

「さぁあな。さっさと行こうぜ、とそれと十代、俺が持ってるE・HEROのカード何枚かあるからこれ十代にやるよ」

 

「えっ!いいのかよこれ」

 

「俺が持ってたって宝の持ち腐れだからな。お前ならそいつらも活躍出来るだろうからな」

 

「サンキュー!遊」

 

「おう!」

 

そう言うと俺と十代はボートに乗って女子寮を目指す。

するとすでにそこには、女子生徒4人と赤色の制服を着た眼鏡の少年が立っていた。女子生徒は、明日香と雪乃と他二人。眼鏡の少年は、翔だ。なぜか紐で縛られているが・・・

何となくこの状況が分かった気がする。

 

「翔!!これは一体どういう事だ!」

 

「アニキ・・・それが話せば長い様な長くない様な」

 

「コイツが女子寮の風呂場を覗いてたのよ!」

 

「だから覗いてないって!!僕はただ呼び出されただけ!!」

 

「翔!!」

 

「遊君?」

 

「女子風呂を覗く事は、ある意味で男のロマンかもしれない。しかし本当に覗いてしまったらそれはただの犯罪だ。男なら潔く罪を認め吐いちまえ!!」

 

「だから僕は覗いてないってぇ!!」

 

「まだ言うの?いい加減白状なさい!このエロ眼鏡」

 

「誰がエロ眼鏡だ!ゴラァア!!」

 

「坊やの・こ・と・よ」

 

「はぁ」

 

このやり取りを見ていた明日香は一つため息を漏らしそして十代の方を見る

 

「ねぇ、あなたたち私とデュエルしない。あなたたちが勝ったら風呂場覗きの事は黙っててあげる。どう?」

 

「たちって事は、俺もやるのかデュエル」

 

「もちろんそのつもりよ」

 

「なんだか良くわかんねぇけど、売られたデュエルは買うのが男!いいぜそのデュエル受けて立つ!!」

 

「はぁ」

 

その後男と女でボートに分かれ湖の中央で向かい合いデュエルディスクを構える十代と明日香。

 

「「デュエル」」

 

十代  LP4000 手札5

明日香 LP4000 手札5 先攻

 

「私の先攻ドロー。私は、[エトワール・サイバー]を攻撃表示で召還。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

明日香 LP4000 手札4 場2

 

「俺のターン、ドロー!俺は[E・HEROスパークマン]を攻撃表示で召還。スパークマンでエトワール・サイバーを攻撃だ!!」

 

E・HEROスパークマン  A1600

エトワール・サイバー   A1200

 

「(私の伏せカードなんて眼中にないって言うの)罠発動!![ドゥーブル・パッセ]!!」

 

「なっ!」

 

「このカードは、相手モンスター一体の攻撃をダイレクトアタックにする事が出来る。そして攻撃対象になった、自分のモンスターは相手プレイヤーにダイレクトアタック出来る!!」

 

「何!!」

 

スパークマンの雷撃は[エトワール・サイバー]をよけ明日香に向って飛んで行く。そして明日香はそれを両手で受ける

 

「くっ!お返しよ!エトワール・サイバーでダイレクトアタック!!エトワール・サイバーはダイレクトアタックする時攻撃力が600ポイントアップする!」

 

「ぐぁあ!」

 

十代  LP4000 →2200

明日香 LP4000 →2400

 

エトワール・サイバーの攻撃を受け片膝を付いてしまう十代。

 

「アニキ!」

 

「十代!大丈夫か!」

 

「あぁ、なんとか・・・」

 

「しっかしなんて女だ。自分のライフもいとわずこんな罠を仕掛けてくるなんて!」

 

「どうしたの、もう終わり?」

 

「くっ、ターンエンド」

 

「そぉ」

 

十代  LP2200 手札5 場1

 

「私のターンドロー!私は[ブレード・スケーター]を召還。さらに魔法カード[融合]、エトワール・サイバーとブレイドスケーターを融合!![サイバーブレイダー]を融合召還!」

 

サイバーブレイダー A2100

 

「サイバーブレイダーでスパークマンを攻撃!!」

 

「くっ!」

 

E・HEROスパークマン  A1600

サイバーブレイダー    A2100

 

サイバーブレイダーの攻撃によってスパークマンは、消滅する

 

十代  LP2200 →1700

 

「私は、これでターンエンド」

 

明日香 LP2400 手札3 場1

 

「くそぉ。俺のターンドロー!フィールド魔法[フュージョンゲート]を発動。手札の[E・HEROフェザーマン]と[E・HEROバーストレディー]をゲームから除外して[E・HEROフレイムウィングマン]を攻撃表示で融合召還!」

 

「出た!アニキのフェイバリットモンスター!!」

 

「だが攻撃力は、同じどうする十代」

 

「まぁ見てろって。俺は、魔法カード[早すぎた埋葬]を発動。ライフ800ポイトを支払い墓地のモンスター一体を特殊召還できる。蘇れスパークマン!」

 

十代 LP1700 →900

 

「おぉおお!」

 

早すぎた埋葬、俺の世界では禁止だったがこの当時は、まだ制限カードとして残っているらしい。氷結界のシンクロモンスターがまだ居ないからそこまで凶悪化していないらしい。

 

「さらにフレイムウィングマンとスパークマンをゲームから除外し[E・HEROシャイニング・フレアウィングマン]を融合召還!」

 

E・HEROシャイニング・フレアウィングマン A2500

 

「シャイニング・フレアウィングマンは、戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える。行け!シャイニング・フレアウィングマン!」

 

E・HEROシャイニング・フレアウィングマン A2500

サイバーブレイダー A2100

 

サイバーブレイダーは、E・HEROシャイニング・フレアウィングマンの攻撃を受け爆発した。これで十代の勝ちかと思われたが煙のはれるとそこには、サイバーブレイダーが毅然と立っていた。

それに驚く十代と翔。

 

「何で!?」

 

「どうしてサイバーブレイダーがまだいるっすか?」

 

「パ・ド・ドゥ」

 

「えっ」

 

「サイバーブレイダーのモンスター効果。相手モンスターが一体だけの場合このカードは戦闘破壊されないの」

 

「なに!!くっ。だがダメージは受けてもらうぜ」

 

「うぅ」

 

明日香 LP2400 →2000

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP900 手札0 場2

 

「なかなかやるわね。私のターン。ふっ私は手札から装備魔法[フュージョン・ウェポン]をサイバーブレイダーに装備」

 

サイバーブレイダー A3600

 

「なっマジか!一気に攻撃力3600かよ!!」

 

「覚悟なさい。サイバーブレイダーでシャイニング・フレアウィングマンを攻撃!!トライデント・ショック!!」

 

「あぁあ!アニキのシャイニング・フレアウィングマンの攻撃力は2500、この攻撃が通るとアニキの負けっす!!」

 

「十代!!」

 

「罠発動!![ヒーローバリア]!!」

 

「なっ!」

 

「このカードは、自分フィールド場にE・HEROが存在する時一度だけ攻撃を無効に出来る」

 

「くっターンエンド。」

 

明日香 LP2000 手札2 場2

 

「俺のターン、ドロー!俺は、魔法カード[強欲な壷]を発動!さらに二枚ドロー。そして魔法カード[R-ライトジャスティス]を発動!この効果で自分フィールド上に存在するE・HERO一体につき一枚フィールドの魔法罠カードを破壊出来る」

 

「何ですって!?」

 

「[フュージョン・ウェポン]を破壊!」

 

サイバーブレイダー A3600 →2100

 

「そして俺は、手札から[E・HEROクレイマン]を召還!フィールド魔法[フュージョン・ゲート]の効果で[E・HEROシャイニング・フレアウィングマン]と[E・HEROクレイマン]を融合!現れろ[E・HERO THEシャイニング]!!」

 

E・HERO THEシャイニング A2600

 

「フィールド魔法。発動後フィールド全体に効果を及ぼす特殊なカード」

 

「THEシャイニング、見た事ないHEROですわ」

 

「THEシャイニングって!十代!!」

 

「あぁ!さっき遊から貰った新しいヒーローさ!」

 

「・・・だから何?私のサイバーブレイダーは戦闘では破壊されないのよ。分かってるの。攻撃力2600じゃ私に与えられるダメージは、たったの500ポイントよ」

 

「分かってるぜ。THEシャイニングは、ゲームから除外されているE・HEROの数×300ポイント攻撃力がアップする。ゲームから除外されているE・HEROは、6体、よって」

 

THEシャイニング A2600 →4400

 

「そん・・・な」

 

THEシャイニングの攻撃力を見て愕然とする明日香。

 

「行くぜ!THEシャイニングでサイバーブレイダーを攻撃!!オプティカル・ストーム!!」

 

THEシャイニング  A4400

サイバーブレイダー A2100

 

THEシャイニングから発せられる眩い光がサイバーブレイダーを包みそのまま明日香のライフポイトを削り取った。

 

明日香 LP-300

 

「・・・」

 

「やった!アニキが勝った!!」

 

「イエェイ!ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ明日香!!」

 

「えぇ」

 

「・・・ふん!まぐれで勝ったからっていい気にならない事ね!」

 

「やめてジュンコ。負けは負けよ。見苦しいマネはしないでね。」

 

「明日香さん」

 

「いや、そいつの言う通りかもしれない」

 

「えっ?」

 

「あんた強いよ」

 

「まぁ何はともあれ、これで一見解決だな。よし帰ろう」

 

「あら?何言っているの。あなたもデュエルするのよ」

 

「うぇ!!覚えてたの・・・」

 

「もちろん」

 

「・・・仕方ない。やるか」

 

せっかくこれで解散出来ると思ったのだが、どうやらまだ解散出来そうにないな。

しかしまぁ俺もデュエリストの端くれ、売られたデュエルは買うしかない。

デッキケースから自分のデッキを取りデュエルディスクにセットする。その様子を見て明日香はふっと笑う。

 

「やる気になったみたいね」

 

「あぁ」

 

「なら早速始めましょう」

 

そしてお互いに向かい合いデュエルディスクを構える

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「「デュエル」」

 

遊   LP4000 手札5 先攻

明日香 LP4000 手札5

 

「俺の先攻!ドロー。俺は、魔法カード[予想GUY]を発動。このカードは、デッキからレベル4以下の通常モンスター一体を特殊召還できる。俺は[クィーンズ・ナイト]を特殊召還!」

 

「戦士族デッキで来たわね」

 

「あぁ!そして[キングス・ナイト]を攻撃表示で召還。そして効果発動!デッキから[ジャックス・ナイト]を特殊召還!!」

 

クィーンズ・ナイト A1500/D1600

キングス・ナイト  A1600/D1400

ジャックス・ナイト A1900/D1000

 

「一気に揃えて来たわね。伝説の絵札の三銃士」

 

「おぉ!!すっげぇ!!遊すごいな!!」

 

「絵札の三銃士!入試の時も見てたっすけどやっぱりかっこいいっす!!」

 

「ふふふ。ますます興味が沸いてくるわ坊や」

 

明日香、十代、翔、雪乃が各々感想を述べている。大体の人は、この絵札の三銃士を生で見ると皆同じ様な反応をする。俺自身も初めてソリットビジョンで生で見たときの感動は今でも覚えている。

 

「俺は、カードを一枚伏せてターンエンド」

 

遊  LP4000 手札3 場4

 

「私のターンドロー!」

 

明日香は、ドローカードと手札を素早く確認すると一瞬口元上げてすぐにこちらを見据えて来た。

何か仕掛けてくるのだろう

 

「私は、手札から[沼地の魔神王]の効果を発動。このカードを手札から捨てる事でデッキから[融合]のカード一枚を手札に加える。そして魔法カード[融合]!!」

 

「なっ!」

 

「手札の[エトワール・サイバー]と[ブレード・スケーター]を融合![サイバーブレイダー]を融合召還!!」

 

「おぉおお!明日香もすっげぇ!!」

 

「アニキ・・・」

 

「もうお出ましか、サイバーブレイダー!!」

 

「さらに装備魔法[団結の力]を装備!」

 

サイバーブレイダー A2900

 

「マジか!」

 

「サイバーブレイダーでクィーンズ・ナイトを攻撃!!」

 

サイバーブレイダーは、湖面を滑る様にしてクィーンズ・ナイトに近づきそのまま蹴り技を繰り出しクィーンズ・ナイトを撃破して行った。

 

「くっ!!」

 

遊  LP4000 →2600

 

「一枚伏せてターンエンドよ」

 

明日香  LP4000 手札1 場3

 

「くっ、俺のターンドロー。罠発動![リビングデットの呼び声]、墓地よりクィーンズ・ナイトを特殊召還。さらに魔法カード[融合]を発動!!」

 

「融合!」

 

「おぉお!って事は!?あれが見れるのか遊!?」

 

「おう!十代!今から見せてやる。俺のエース1兼切り込み隊長を!!」

 

「エース1?」

 

「切り込み隊長?」

 

何を言っているんだという顔でこちらを見ている十代や翔。明日香や雪乃たちも頭の上に?マークが出ている。

 

「絵札の三銃士よ、今一つとなりて、眼前の敵を切り裂け!融合召還!!現れろ[アルカナ・ナイト・ジョーカー]!!!」

 

アルカナ・ナイト・ジョーカー A3800/D2500

 

「出たわね。あなたのエースモンスター・・・」

 

「あぁ」

 

「でもエース1ってなんすか?」

 

「さぁ?けど遊の事だし何かあるんだぜきっと」

 

「行くぞ!速攻魔法[サイクロン]を発動。その伏せカードを破壊!」

 

「くっ私の[ドゥドゥル・パッセ]が!」

 

「アルカナ・ナイト・ジョーカーでサイバーブレイダーを攻撃!!」

 

アルカナ・ナイト・ジョーカーが明日香の場のサイバーブレイダーめがけて剣を振り下ろす。

 

「けどサイバーブレイダーの効果で破壊は免れる。」

 

「だがダメージは、受けてもらう」

 

「くっ」

 

明日香 LP4000 →3100

 

「一枚伏せてターンエンド」

 

遊 LP2600 手札2 場2

 

「私のターン、ドロー。魔法カード[地割れ]を発動!!」

 

「まっマジかよ!?」

 

「あれ?アルカナ・ナイト・ジョーカーってカード効果耐性あるっすよね?なのにどうしてそんなにあせってるっすか?」

 

確かに翔の言う通りアルカナ・ナイト・ジョーカーには、このカードを対象にした罠魔法モンスター効果を無効に出来る能力がある。しかしそれは、あくまでこのカードを対象にした場合のみ。

 

「対象を取っていない[地割れ]の様なカードには、無力って事ね」

 

「くっ!」

 

アルカナ・ナイト・ジョーカーは、湖面に突如現れた大きな手によって水中に引きずり込まれてしまった。

 

「これで壁モンスターは、いない。けどその伏せカードも壊しておくわ」

 

「なっ!?」

 

「さっきのお返し、速攻魔法[サイクロン]」

 

明日香の持つカードから黒い竜巻が発生しその竜巻が俺の伏せカードを貫いて行く。

 

「伏せカードは、[攻撃の無力化]。でもこれであなたは、裸同然。覚悟なさい!サイバーブレイダーでプレイヤーにダイレクトアタック!!」

 

「これが決まれば明日香様の勝ちですわ!」

 

「遊!!」

 

「遊君!!」

 

「ふっ。手札から[クリボー]を墓地に送り効果発動!!一度だけ戦闘ダメージを0にする」

 

すると突如クリボーが現れ、サイバーブレイダーの強烈な蹴りを自らを顧みず俺を救ってくれた。

ありがとうクリボー、お前が居て助かった。心でそう思いながら明日香の方に目をやる。

 

「そんな、今の攻撃に耐えたですって!」

 

「クリボーのおかげで助かったぜ」

 

<<クリクリ>>

 

「!?(今クリボーの声が聞こえた様な・・・)」

 

「くっ・・・ターンエンドよ」

 

明日香 LP3100 手札0 場2

 

「ふぅ・・・俺のターンドロー!」

 

このカード次第で俺の命運も決まる。そう思いながらゆっくりとカードを見る。

 

「よし。俺は魔法カード[命削りの宝札]を発動!その効果で5枚になる様にドロー!魔法カード[融合回収]を発動。墓地から[融合]と[キングス・ナイト]を手札に加える。さらに魔法カード[黙する死者]を発動!墓地の通常モンスター一体を特殊召還できる。蘇れ[クィーンズ・ナイト]!さらに魔法カード[地獄の暴走召還]を発動!このカード効果によりデッキから[クィーンズ・ナイト]2体を特殊召還!!」

 

クィーンズ・ナイト A1500/D1600

クィーンズ・ナイト A1500/D1600

クィーンズ・ナイト A1500/D1600

 

「それが何になるの!?攻撃力1500をいくら並べた所でサイバーブレイダーには、敵わないわ。それに手札の[キングス・ナイト]をだしてデッキから[ジャックス・ナイト]を読んで融合して[アルカナ・ナイト・ジョーカー]を出したとしてもあなたのフィールドのモンスターが3体になった事でサイバーブレイダーの3つ目の効果が発動して・・・いくらあなたでもさすがに万策尽きたんじゃない」

 

「いやいや、[キングス・ナイト]を召還して効果発動!デッキから[ジャックス・ナイト]を特殊召還!これにより俺の場のモンスターは5体。これによりサイバーブレイダーの効果は、3つっとも使えない、そして魔法カード[融合]を発動!」

 

「くっまたアルカナ・ナイト・ジョーカー?」

 

「いいや、俺は、[クィーンズ・ナイト]2体を融合して、来い!![始祖竜ワイアーム]!!」

 

途端、空に現れたのは、四肢を持たず巨大な羽で空を飛ぶ青いドラゴン。

その大きさと言ったらまぁでかい。本当にでかい。

 

始祖竜ワイアーム A2700/D2000

 

「なっ!!」

 

「すっげぇ!!」

 

「めちゃくちゃ大きいっす!!」

 

さすがに皆その大きさに驚いてるな。さてと・・・

 

「これならフィールドには4体のモンスターで3つ目効果も発動しない。まだまだ行くぜ!!さらに装備魔法[デーモンの斧]を装備!攻撃力1000ポイントアップ!」

 

始祖竜ワイアーム  A3700

 

「くっ!?」

 

「そんな!?」

 

「始祖竜ワイアームでサイバーブレイダーを攻撃!!」

 

始祖竜ワイアーム  A3700

サイバーブレイダー A2900

 

「くっ!」

 

ワイアームが口から放つ火の玉をサイバーブレイダーは見事に避けワイアームの所まで飛ぶも弾き飛ばされてしまい、そのまま破壊されてしまう。

 

「サイバーブレイダー!?」

 

「これで終だ!絵札の三銃士でダイレクトアタック!!」

 

俺の指示に従い三銃士が明日香に斬撃を繰り出す。その斬撃をくらい明日香は片膝を付いた。

 

明日香 LP0

 

「あっ明日香様!大丈夫ですか?」

 

「えぇ」

 

「すっげぇ!遊!やっぱお前はすごいぜ!!」

 

「本当に一時はどうなる事かと思ったっス」

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ明日香!」

 

「あっ!!それ俺が言う台詞だぞ十代!」

 

「あっ!ごめんごめん」

 

「まぁ、これで風呂場覗きの件は他言無用という事で」

 

「えぇ約束は守るわ」

 

「ふふふ。坊やまたいらっしゃい」

 

「あははは・・・」

 

そうしてようやく翔を取り返して、俺たちはそれぞれの寮へと帰って行った。遊たちが帰ってあたりが静かになり彼女たちもそれぞれの自室にもどろうとしている。

 

「あの坊やたち、面白いわ。明日香もそう思うでしょ?」

 

「えぇ、というよりもあなたは、単純に遊君が好みなだけじゃなくて?」

 

「二人とも好みよ」

 

「あぁ・・・そう」

 

「あなたも素直じゃないわね」

 

「どういう意味?」

 

「ふふふ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

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女子寮港の対岸の森

その場所は、十代明日香戦、遊明日香戦が行われていた場所を見渡せる位置である。

この二つのデュエルはその場に居た当人たち以外に二人の人間に見られていた。一人は、今回のきっかけを作ったクロノス教諭、もう一人は、この場所でその様子を見ていた司玲治である。

 

「やっぱり、遊は面白いね。それに十代。あの二人はいいよ。君たちもそう思うだろ?」

 

はたから見ると一人で話している様に見えるが、彼には見えているのだその話している相手が。

彼は、その後、夜の森の中へと消えて行った。




謝罪
第三話、十代VS万丈目戦で十代が死者蘇生でフレイムウィングマンを墓地から特殊召還した描写についてフレイムウィングマンは、融合召還以外では特殊召還出来ない事になっているはずではとご指摘いただきました。
その通りございました。
OCGでは、出来ない。アニメでは、第1話で三沢君が出来ないと言っていました。第2話で十代が蘇生しようとしていた事を受けて書いたのですが、OCG,三沢君共に駄目と言っているので次話よりはそれは致しません。

コメントでご指摘くださいました方ありがとうございます。
また、読んでくださいました方々、ややこしくてすみません。

このような至らぬ小説ですが、今後とも読んで下さいますと幸いです。


次話「月一昇格試験」


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第五話 月一昇格試験

第5話 月一昇格試験

 

早いようで、もう入学してから一ヶ月が経とうとしている。そして今俺はテスト勉強中なのである。なぜかというと明日、月一で行われる寮昇格試験があるからだ。

最近は、十代たちと一緒に行動している事が多く、よく十代や翔と共にデュエル三昧だ。だが問題もある。

十代は卓上デュエルの時の引きは普通なのにスタンディングデュエルの際には驚異的な引きを発揮する。どうなってんだアイツの引きは?

それからデュエル好きすぎて試験前日なのにデュエルしようと言ってくる。大丈夫か明日?

他にも玲治がやたら俺と十代に抱きついてくる。

藤原雪乃には、獲物を見る様な眼で見られる。

と結構色々問題が出ている。

後は、【オベリスクブルー】の男子たちが本当にしつこく嫌みを言ってくる。なのでこの前は、【オベリスクブルー】を10人程倒してやった。

本当に面倒な奴らだ。

よしもう寝よう・・・

 

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翌日

試験会場に入りし自分の席につき試験が始まる。・・・?

十代が来ていない?あれ?翔は来ているのに、どうしたのだろう?

玲治や三沢、明日香たちもそれに気付き気になっている様だ。

しばらくして十代が入って来て、その10分後盛大ないびきを掻いて回りの人間に不満を与えていた。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「あちゃー、寝ちゃったっす。せっかく勉強したのに」

 

「まぁそう言う事もあるさ」

 

「三沢は、どうだった?」

 

「愚問だな。完璧さ遊」

 

「おぉお!さすが!、で十代はなんでお前は遅れたの?」

 

「いやさぁ、起きたらもう遅刻だったんだけど、もう一つトメさん助けてたら思いっきり遅れたんだよ」

 

「はぁ、ま、人助けしたからいいのかもしれないけど・・・」

 

「まっ実技試験もあるしな」

 

「おう!本番はそこからだぜ!」

 

「いや、筆記も本番だぞ!」

 

「えっ?」

 

「「「・・・」」」

 

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

実技試験

 

俺たちは、今会場の観覧席で他の生徒たちがデュエルしている所を見ている。ちなみにメンバーは、俺、十代、翔、前田隼人、三沢、玲治、明日香、雪乃。

前田隼人は、【オシリスレッド】で十代や翔と同じ部屋で留年しているらしい。

十代を通して知り合った。

そしてブルー女子二人が居るのはもう当然の様になって来ている。特に玲治と雪乃、明日香は、なぜかいつも話が盛り上がっている。

何やってんだ玲治・・・

そんな事を思っていると回りからの視線、特に【オベリスクブルー】の男子からの視線が痛い。めっちゃ睨んで来てるんですけど。

まぁ明日香と雪乃はマドンナだもんな。

睨みたくなる気持ちも分からなくはない。

そしてアナウンスで呼ばれる、俺、十代、玲治。

デュエル場に行くと、俺たちの相手はそれぞれブルーの生徒の様だ。しかも万丈目とその取巻連中だ。

 

「シニョールたちは、筆記試験、実力ともに申し分ない結果を残していますーの。故に今回は昇格を掛けてブルーの生徒と戦って頂きますーノ。よろしいですね?」

 

クロノス教諭は、俺たち三人に向ってそう言う。

後ろでは、万丈目たちがこちらをものすごい顔で睨んで来てる。

 

「僕は、いいですよ」

 

「俺もいいぜ!」

 

「シニョール遊?」

 

「俺もそれでかまいません」

 

「よろしい。ではそれぞれ持ち場に着ケターラ!準備出来た所からはじめるノーネ!!」

 

その言葉と共に俺たちは、各々のフィールドに向った。

十代の相手は、やはり万丈目で俺の相手は、この間の取巻、そして玲治の相手は、二人目の万丈目の取り巻きであった。

 

「お前の相手は、この俺だ!今度こそお前の息の根を止めてやる。そして俺の顔に泥を塗った事を後悔させてやる!!」

 

取巻は、向かい合うや否やそう言ってくる。

知らねーよ。お前の顔の泥なんか、そんなに気になるなら顔でも洗ってこい

 

「面倒くせぇ・・・」

 

「何だとこらぁ!イエロー如きが調子に乗るな!」

 

「だったら力で示せよ。そんな事言ってる暇に」

 

「ちっ。いいだろう。ぶちのめしてやる!」

 

「出来るもんならな」

 

ーーーーーーーーーー

 

「「デュエル」」

 

遊  LP4000 手札5 先攻

取巻 LP4000 手札5 

 

「俺の先攻!ドロー。俺は、永続魔法[未来融合・フューチャーフュージョン]を発動!デッキから[タイラント・ドラゴン]×2[ヘルドラゴン][ボマードラゴン]×2を墓地に送る」

 

「はっ!!性懲りもなくまた[F・G・D]か!!」

 

「そう言う事は、コイツを倒してから言うんだな!魔法カード[竜の鏡]を発動。これによって墓地の融合素材をゲームから除外してドラゴン族融合モンスターを融合召還する。来い[F・G・D]!!」

 

F・G・D A5000/D5000

 

F・G・Dの登場に会場はものすごい歓声と戸惑いの声が鳴り響く。 そしてその歓声と戸惑いの声をかき消す程の雄叫びを上げるF・G・D。

 

「やっぱり遊君はすごいっす!」 

 

「あぁ、さすがだ」

 

「えぇ、本当に」

 

「[F・G・D]、初めて見たんだな」

 

「そっか隼人君、最初のときは来てなかったもんね」

 

観覧席では、翔たちが何やら話しているが、そんな事を気にする必要もないか・・・

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

遊  LP4000 手札3 場3

 

「イエロー如きが!エリートの本当の実力見せてやる!!俺のターン、俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

取巻  LP4000 手札4 場2

 

「?伏せカードだけ・・・まぁいいか。俺のターン、俺は[神竜ラグナロク]を攻撃表示で召還!」

 

神竜ラグナロク A1500/D1000

 

「神竜ラグナロクでプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

「罠発動![ドラゴン族・封印の壷]!!」

 

「なっ!?」

 

「このカードがフィールド上に存在する限り、ドラゴン族はすべて守備表示となり、表示形式を変更出来ない!!」

 

「くっ」

 

「はっははは!!どうだこれでお前のドラゴンは攻撃出来ない」

 

「(サイクロンが来るのを待つしかないか)カードを1枚伏せてターンエンド」

 

遊  LP4000 手札2 場5

 

「行くぞ!俺のターンドロー!!俺は、[ゴブリン突撃部隊]を攻撃表示で召還!さらに装備魔法[ビックバン・シュート]を装備!」

 

ゴブリン突撃部隊 A2700/D0

 

「さらにリバースカードオープン魔法カード[ミクロ光線]!![F・G・D]の守備力を0にする」

 

「なっ!!」

 

「ミクロ光線・・・モンスター一体の守備力を0にする魔法なんだな」

 

「ビックバン・シュートととのコンボで遊に大ダメージを与える事ができる」

 

「腐っても【オベリスクブルー】という事ね」

 

「さぁ坊や、どうする?」

 

驚く俺、そして観覧席で俺たちのデュエルを見ていた隼人、三沢、明日香も驚いている・・・様には見えないな、うん。

冷静に解説してやがる。

 

「はっはは!行くぞイエロー!!ゴブリン突撃部隊で[F・G・D]を攻撃!!」

 

ゴブリン突撃部隊の攻撃を受けてF・G・Dが爆発する。しかしF・G・Dは遊の場に健在であった。

 

「何!」

 

「F・G・Dは、闇、地、風、炎、水属性モンスターとの戦闘では、破壊されない」

 

「くっ、だが貫通ダメージは、受けてもらう!」

 

遊  LP4000 →1300

 

「どうだ!これがエリートの実力だ!イエロー風情が調子に乗るんじゃねー!分かったか!!」

 

「うるさいなぁ。さっさとターンを進めろ」

 

「ちっ、攻撃を行った[ゴブリン突撃部隊]は、守備表示になる。ターンエンドだ」

 

取巻 手札2 場4

 

「俺のターンドロー!この瞬間、[未来融合フューチャーフュージョン]の効果が発動。来い![F・G・D]!」

 

F・G・D A5000/D5000

 

「だがドラゴン族はすべて守備表示になる!」

 

「手札魔法カード[強欲な壷]を発動!その効果で二枚ドロー!魔法カード[簡易融合]を発動!ライフ1000ポイントを支払ってエクストラデッキからレベル5以下の融合モンスター一体を融合召還扱いで特殊召還する。来い![重装機甲パンツァードラゴン]!!」

 

遊  LP1300 →300

 

重装機甲パンツァードラゴン A1000/D2600

 

「だから何だよ。ドラゴン族はすべて守備表示になる。そんな事も分かってねぇのか。所詮イエローだな」

 

「重装機甲パンツァードラゴンは、機械族だ」

 

「なっ!だが[簡易融合]で出したモンスターは攻撃出来ず、エンドフェイズにはかされる!!」

 

「その通り。だがそれでいい」

 

「はっ?何言ってやがる?」

 

「罠発動![激流葬]!そしてチェーンして速攻魔法[神秘の中華なべ]をF・G・Dに発動!」

 

「なに!?」

 

「効果処理によってまず神秘の中華なべによって俺は、5000ポイントライフを回復、次に激流葬でフィールドのモンスターすべを破壊する」

 

遊  LP300 →5300

 

「そんな!?」

 

「そして破壊された重装機甲パンツァードラゴンの効果、このカードが破壊され墓地に送られた時フィールドのカード一枚を破壊出来る。俺は、[ドラゴン族封印の壷]を破壊!!」

 

「くそ!!だがお前の場にもモンスターは居ない」

 

「俺は、ライフ2000ポイントを支払い魔法カード[次元融合]を発動!このカードはゲームから除外されているモンスターを可能な限りにフィールド場に特殊召還できる!!」

 

「馬鹿な!」

 

次元融合、OCGではすでに禁止カードに入れられている魔法カード。この世界では、現在カイザーこと丸藤亮や数人のデュエリストたちが使用している。この世界では、普通のカードである。元の世界なら[D・D・R]を使用する事になるのかな。手札コストありで一体だけだから俺的には、次元融合の方が使いやすいんだよなぁ

ていうか禁止カードってつよいよなぁ・・・うん。

 

遊 LP5300 →3300

 

「俺は、[タイラントドラゴン]×2[ヘルドラゴン][ボマードラゴン]×2の5体を特殊召還!!」

 

「くっ、俺に出せるモンスターは、いない」

 

「行くぞ!取巻!!タイラントドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「甘いぜ!イエロー!!罠発動![聖なるバリアミラーフォース]!!」

 

「そっちこそ甘いぜ!!カウンター罠発動![神の宣告]!!」

 

「な!?」

 

「ライフを半分支払い、魔法罠の発動及びモンスターの召還、反転召還、特殊召還を無効にし破壊する!!」

 

遊 LP1650

 

「しまった!」

 

「これで[聖なるバリアミラーフォース]の発動は無効となり破壊される。行け!俺のドラゴンたちよ!アイツの伸びきった鼻をへし折ってやれ!!」

 

「ひぃい!」

 

俺の指示に従いドラゴンたちは、取巻へと炎の塊を口から吐き出しその炎の塊が取巻に命中し爆発した。

煙がはれた時そこには、地に倒れている取巻がいた。

やっと終わったと思い玲治の方を見ると、そこにはすでに誰もおらず十代の方を見てみると十代と万丈目のデュエルがまだ続いており、十代の後ろには玲治が立っていた。

すると玲治が俺に気付いたようでこちらに手を振っている。その玲治に近づき状況を聞く。

 

「十代はどうだ?」

 

「う~ん。まぁ絶体絶命のピンチってとこ」

 

「大丈夫かそれ」

 

「まぁ、本人はまだ諦めてない様だし。大丈夫じゃない」

 

「軽いな」

 

「ふふ」

 

万丈目のLP4000、場に[VWXYZードラゴン・カタパルト・キャノン]は存在する。対する十代の場には伏せカードが2枚。本当に絶体絶命だな。

 

「ふははは!十代!これが最後だ!行け![VWXYZードラゴン・カタパルト・キャノン]。十代にダイレクトアタック!」

 

VWXYZードラゴン・カタパルト・キャノン A3000

 

カタパルト・キャノンと言うだけあってこのモンスターの両肩には、巨大な砲がついている。その砲を十代に向け、けたたましい音と共に黄色い尾を引く弾が十代に向って行く。

 

「来たぜ!相棒!速攻魔法[クリボーを呼ぶ笛]を発動!」

 

カードが光ると、そこには十代の相棒こと[ハネクリボー]がいた。ハネクリボーの出現によりVWXYZードラゴン・カタパルト・キャノンの攻撃は途中で消える。

そして会場は、可愛いの歓声が巻き起こる。

 

「ちっ、だがそんな雑魚モンスターで何が出来る!?」

 

<<クリクリ!!>>

 

「ふん!いっちょまえに怒ってやがる」

 

「俺の相棒を雑魚呼ばわりは許さない!」

 

「ならばせいぜい頑張ってみるんだな。行け![VWXYZードラゴン・カタパルト・キャノン]!その雑魚を粉砕しろ!!」

 

再びけたたましい音と共にVWXYZードラゴン・カタパルト・キャノンから発射される砲撃。その砲撃を見ながら十代はしっかり前を見ている。

 

「行くぜ!手札二枚をコストに速攻魔法[進化する翼]を発動!!」

 

「何!進化する翼だと!?」

 

「このカードによりハネクリボーは進化し[ハネクリボーLv10]となる!そしてこのカードを生け贄する事で相手フィールド上の攻撃表示モンスターをすべて破壊し、破壊したモンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手に与える!!」

 

「何!!?」

 

途端、ハネクリボーLv10が光り輝き、その光にVWXYZードラゴン・カタパルト・キャノンも包まれそして消滅して行く。

 

万丈目 LP4000 →1000

 

「くっ、ターンエンドだ」

 

万丈目のLPは1000、フィールドにカードなし。対する十代は手札0、フィールド0の状態。次の十代のドローカード次第では勝敗は、大きく変わるだろう。

 

「万丈目!行くぜ!」

 

「くっ」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

会場全体の視線が十代に注がれる。

そして十代は、引いたカードを上に掲げる。そのカードは、[E・HEROフェザーマン]だった。攻撃力1000のモンスターだ。

そのカードを見た万丈目は驚愕の表情を浮かべていた。

 

「来い!フェザーマン!!」

 

十代のフィールドに現れそのまま万丈目にダイレクトアタックを仕掛ける。

 

万丈目のLPは、0になり会場は歓声に包まれた。まぁ声を出しているのは、レッドが中心だけれども。

するとデュエルを見ていた校長からお褒めの言葉を頂いた。そして俺と、玲治、十代はそれぞれ【オベリスクブルー】と【ラーイエロー】に昇格出来るらしい。

ブルーの奴らがすっげぇ睨んで来ているけれど、気にしたら負けか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

その後

 

「で、何で十代は昇格を断ったんだ?」

 

「何でって、俺はレッドが好きなんだよ!情熱の赤、燃える血汐。そう俺は、レッド寮で強くなるんだよ!!」

 

「良かったっす。アニキが残ってくれて嬉しいっす!」

 

「お前らは、ブルーの行くのか?」

 

「あぁ」

 

「もちろん!ブルー狩りって面白そうじゃん!」

 

「玲治・・・眼が輝いてる」

 

眼を輝かしながらそう言っている玲治。子どもの様だがこんな子ども嫌だな。

 

「そうか、寂しくなるな」

 

「たまに遊びに行くぜ、三沢」

 

「あぁ、楽しみしている」

 

「そう言えば、結局俺ら玲治の試合を見れてないんだけどどうだった?」

 

「そう言えば私たちもあまり見れてないわ」

 

「・・・余裕だよ。ワンキルだったし」

 

玲治は、満面の笑みでそう答える。本当に怖いよお前・・・はぁ。

 

こうして月一昇格試験は幕を閉じた。

ちなみに後で聞いた話では、クロノス教諭は十代が勝ってハンカチを噛みちぎっていたらしい。そんなに十代の負ける所が見たいのかね、全く。

あっ今度十代と一緒にデッキ構築するんだった、新しいHERO持って行かないと

 

 

 

 




次話「闇のデュエル(前編)〜脅威のデーモンデッキ」


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第六話 闇のデュエル(前編)

第六、七話は少し長くなってしまいましたが読んで下さると嬉しいです。


第6話 闇のデュエル(前編)~脅威のデーモンデッキ

 

月一昇格試験を終えはれて【オベリスクブルー】になった俺と玲治。引っ越した当日からブルーの奴らに絡まれて大変で仕方ない。

本当に面倒な奴らだ。

ちなみに、聞いた話では、玲治は今ブルー狩りと称するデュエルを頻繁に行い同期、先輩のブルー生を潰しまくっているらしい。そして負けたブルー生の多くは、服を剥ぎ取られ玲治に泣き寝入りするしかない様だ。教師が注意しようものなら教師にもデュエルを挑んでくるらしい。

剥ぎ取った服の事は、本人曰く「リサイクルする」らしい。どういう意味だろ。

でそれが今の玲治のマイブームらしい。ついでに小説まで書いているらしいから暇なのかアイツ。

 

まぁそんなこんなでもう寝ようと思っていたとき、不意にPDAの着信がなる。これから島の中にある廃寮に行こうと言う十代からのお誘いだった。

どうやらレッド寮で怪談話をしている時に大徳寺先生が話していたそうだ。ってかその怪談話の時になぜ呼んでくれなかったし。

仕方ない、過ぎた事は、どうにもならんし廃寮探検だけでもご一緒するかな

 

<<・・・>>

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

 

「よっ!十代!!」

 

「遊!来たな。じゃぁ早速行こうぜ」

 

「あぁ」

 

「あれ?玲治君はこなかったスか?」

 

「あぁ、声は、掛けたんだけど、夜は怖いから外に出ないだってさ」

 

「ずいぶん可愛らしい理由っすね」

 

「だな」

 

玲治は、本当に怖がってるのかどうか分からないけどそう言う奴には、見えないんだけどなぁ。まぁ本人が来たがらないから仕方がないな。

それで今一緒に来ているのは、十代、翔、隼人の3人だな。それで4人で廃寮に向う。

 

「なぁ、廃寮ってのは、何なんだ?」

 

俺が十代に聞いてみる。

 

「さぁ、わかんね」

 

はい、聞く相手を間違えました。十代に聞いたのが間違いでした。翔に聞くか。

 

「もぉ、アニキ大徳寺先生が言ってたじゃないっすか。旧ブルー寮の特待生寮だったって」

 

「へぇ、旧ブルー寮なんだ」

 

「なんでも、闇のデュエルの実験を行ってたらしいっす」

 

「闇のデュエル!!」

 

「そんで行方不明者続出したらしいっす」

 

「マジか!?」

 

「遊。そんな迷信信じてんのか?」

 

「十代・・・」

 

忘れてた。そう言えば確かに旧ブルー寮でこの後タイタンとかいう大男に襲われるんだった。その後本物の闇のデュエルに巻き込まれるんだったよな。

ん?デュエルに巻き込まれる。・・・しまった戦士とドラゴンデッキ忘れた!

ヤバいぞ、残り一つのデッキは、アレなんだよなぁ。前の世界ならともかく、この世界じゃなぁ。

はぁ、なんで忘れてたんだろうな

てか、あれ?前の世界の記憶が少し曖昧になっている様な・・・

気のせいか

 

 

「見えて来たぜ!廃寮」

 

「!?おぅ」

 

「うわぁ、不気味っすね」

 

「本当になんだな」

 

本当に気味悪い場所だ。使われなくなってだいぶ立つのだろう、正面の扉は外れつるが巻き付いている。窓ガラスも割れ、雑草が無尽蔵に生え茂っている。

すると近くの茂みが突然揺れた。

その音に驚き翔は、十代に隼人は俺に抱きついて来た。十代はいいよ、抱きついて来たのが小さい翔なのだから。俺は、俺より大きい男に抱きつかれていろんな意味で苦しい。

 

「誰だ?」

 

十代がそう茂みの中に話しかける。するとそこから出てきたのは、【オベリスクブルー】ならびに【デュエルアカデミア】のマドンナこと”天上院明日香”であった。

 

「明日香!お前こんな所で何してんだ?」

 

「それは、こっちの台詞よ。あなたたち此処で何してるの?」

 

「僕たちは、廃寮探検を・・・」

 

「此処が危険な場所だって分かってるの?この場所で何人もの人が行方不明になっているのよ!」

 

「そんな迷信信じねぇよ」

 

「あなたねぇ!!」

 

どうやら十代の言葉は、火に油を注ぐ事になる。もともと怒っていた明日香は、さらに声を上げて帰る様に促してくる。

 

「どうしてそんなにその行方不明の事を信じているんだ?」

 

十代がそう問うと明日香は、突然黙ってしまう。そう言えば此処で明日香の兄さんが行方不明になっているんだよな。そりゃ心配になるし信じるわ。と言うより当事者だし。

 

「私の兄がここで行方不明になったのよ」

 

「「「えっ」」」」

 

俺以外の三人は驚きを隠せないという顔をしている。目の前に証拠があるんだ信じない訳にはいかない。知り合いの家族まで行方不明になっているんだから尚更だ。

 

「分かったでしょ!此処は、危険な場所なのだかr」

 

「悪い明日香。それでも俺ら行くわ」

 

「えっ」

 

今度驚いたのは、俺。十代君さっきの話聞いてましたか?どうして行くの?危ないよ!辞めようよ行くの

 

「っ、勝手になさい」

 

そう言い明日香は、その場から立ち去った。

 

「・・・よし俺らは、中に入ろうぜ」

 

「ちょ!!」

 

本当に行くんですか!?マジで!もう少し冷静になって考えようよ

そんな事を思っているとすでに他のメンバーは敷地内に入って行ってしまった。

 

「おっ置いて行かないで!!」

 

その後を急いで追う俺。こんな所で一人になってしまったら恐ろしくて仕方ない。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

しばらく中を調べていると部屋の中に写真がある事に気がつきそれを拾い上げてみて見るとそこには、一人の男性の肖像が写っていた。右下にはサインだろうか『10join』と書かれていた。

なかなかのセンスだよなこのサイン、『10join』か・・・

その時、突然女性の悲鳴が聞こえる。

 

「今の悲鳴!」

 

「あぁ!明日香の声だ!!すぐ行こう!!」

 

俺たちは、急いで悲鳴の聞こえた方へ向う。そこは大きな広間のようでその床には、明日香のエトワール・サイバーが落ちていた。

さらに周囲を見渡すと他にも明日香のカードが落ちており、それはまるで俺たちを誘うかの様に一本の道しるべとなっていた。

そしてたどり着いた場所には、黒いコートのデュエルディスクをつけ仮面にハットを被っている大男と棺桶の中で眠らされている明日香の姿があった。

 

「お前か!明日香を攫ったのは?」

 

「いかにも」

 

十代の問いにその大男が野太い声で答える。そして自身の自己紹介を始める。

 

「我が名は、”タイタン”。闇のデュエリストだ」

 

「闇のデュエルリスト!?」

 

「そんなもんただの迷信だろ!」

 

「そぉ思うか小僧。良かろう、ならばその身で篤と味わうがいい。我が闇のデュエルを」

 

「望む所だ!明日香に酷い事しやがったお前は、俺が倒す」

 

悪いこのシリアスな状況で俺は今、十代が主人公している事に猛烈に感動している。十代、なんで卒業前に明日香と付き合わなかったんだ。

はぁ、本当にお前はいい意味ですごいいい奴だよ。十代。

 

「俺が勝ったら明日香を解放しろ!」

 

「良かろう、私が勝ったら貴様には消えてもらう」

 

「へっ!やれるもんならやってみな!」

 

「「デュエル!!」」

 

十代   LP4000 手札5 先攻

タイタン LP4000 手札5

 

「俺の先攻ドロー!・・・俺は、[E・HEROバブルマン]を召還。バブルマンの効果、自分フィールドがこのカードだけの場合デッキから2枚ドローできる」

 

バブルマンは、OCG効果とアニメ効果ではだいぶ違うカード。アニメ効果だと大体ドローできるがOCGだとまず無理かな。

アニメのバブルマンはまるで強欲な壷だから、視聴者にそう呼ばれている。

 

「さらに魔法カード[融合]!手札のフェザーマンとバーストレディーを融合して[E・HEROフレイムウィングマン]を融合召還!カードを一枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP4000 手札3 場3

 

「ふっふっふ。私のターン、ドロォ。私は、魔法カード[天使の施し]を発動。デッキから3枚ドローし2枚墓地に捨てる。さらに手札からフィールド魔法[伏魔殿ー悪魔の迷宮]を発動。このカードがフィールド上にある限り自分フィールドの悪魔族モンスターの攻撃力は500アップする」

 

「くっ」

 

「そして私は、手札から[デーモンの騎兵]を攻撃表示で召還。さらに手札から[デーモンの将星]を特殊召還。このカードは、自分フィールドにデーモンと名の付いたモンスターがいる時特殊召還できる。その後自分フィールド上のデーモンと名の付いたカード一枚を選択し破壊する。私は、[デーモンの騎兵]を選択!!」

 

するとデーモン騎兵は、爆散する。

 

「なっ!?自分のモンスターを!?」

 

「これでいいのだ。[デーモンの騎兵]がカード効果によって破壊され墓地に送られた場合、墓地のデーモンの騎兵以外のデーモンと名の付いたモンスター一体を特殊召還出来る」

 

「何!?」

 

「墓地より蘇れ[戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン]!!」

 

デーモンの将星 A2500/D1200 →A3000

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A3000/D2000 →A3500

 

「・・・さっきの天使の施しの時か」

 

「その通り。そして私のターンは、まだ終わっていない。私は、フィールド魔法[伏魔殿ー悪魔の迷宮]の効果を発動。自分フィールド上のデーモンと名の付いたモンスター一体を選択しその後選択したモンスター以外の悪魔族モンスターを一体ゲームから除外する事で選択したモンスターと同じレベルのデーモンと名の付いたモンスター一体を手札、デッキ、墓地から特殊召還出来る」

 

「マジかよ!?」

 

「私はデーモンの将星をゲームから除外しデッキからジェネシス・デーモンと同じレベルの[ヘル・エンプレス・デーモン]を特殊召還する!」

 

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A3000/D2000 →A3500

ヘル・エンプレス・デーモン A2900/D2100 →A3400

 

「行くぞ!ヘル・エンプレス・デーモンでフレイムウィングマンを攻撃!」

 

ヘル・エンプレス・デーモンの攻撃で四散してしまうフレイムウィングマン。

 

十代  LP2700

 

「くっ!だが俺も負けちゃいないぜ!罠発動[ヒーロー逆襲]!!自分フィールドのE・HEROが戦闘で破壊された時に発動出来る。自分の手札から相手は、ランダムに選択する。選択したカードがE・HEROの場合、相手フィールドのモンスター一体を破壊しそのモンスターを特殊する!!さぁ選べ!」

 

「ぬぅうお、真ん中のカードだ。」

 

「よし、お前が選んだカードは、これだ!来い[E・HEROエッジマン]!」

 

E・HEROエッジマン A2600/D1800

 

「さらにもう一つの効果!相手モンスター一体を破壊する!俺は、・・・」

 

此処の選択は、結構重要だぞ十代。

 

「十代!ヘル・エンプレス・デーモンには、このカード以外の悪魔族・闇属性モンスターが破壊される変わりに墓地の悪魔族・闇属性をゲームから除外する事が出来る効果があるんだ!!」

 

「へぇ。そうなんだ」

 

十代は、遊からヘル・エンプレス・デーモンの効果を聞きタイタンの方を見る。

 

「ぐぅう。小僧が!よけいな事を」

 

「闇のデュエリスト相手にこれぐらいの事は問題ないだろ」

 

「へっ!俺は、ヘル・エンプレス・デーモンを選択し破壊する!!」

 

十代がそう宣言するとヘル・エンプレス・デーモンは爆散した。その様子を見ていたタイタンは、悔しそうに口元が歪む。

 

「おのれぃ・・・ジェネシス・デーモンは、このターン攻撃出来ない。カードを一枚伏せてターンエンド。だが貴様は、ライフを1300失った。故に貴様の身体を1300ポイント分消させてもらう」

 

タイタンがそう言うと懐から金色の逆ピラミッド型のモノを取り出した。それの1面には、眼のような形のものが付いておりその場所が光った後十代の身体の一部が透明になってしまった。

 

「わぁ!!アニキの右手が!」

 

「いや左足なんだな!!」

 

「いやいや腹の部分だろ!!」

 

「「「えっ!?」」」

 

「これこそが我が”千年パズル”の力だぁ!」

 

タイタン  LP4000 手札2 場3

 

「くっ、俺のターンドロー。魔法カード[融合回収]を発動。墓地の融合とフェザーマンを回収し[融合]を発動!バブルマンとフェザーマンを融合して[E・HEROアブソリュートZero]を融合召還!!」

 

E・HEROアブソリュートZero A2500/D2000

 

「何だぁそのモンスターは!?初めて見るぞ!!」

 

「あっ!!あれってこの前、遊君がレッド寮に来た時にアニキに上げてたカード!!」

 

「そうだぜ!遊!お前のおかげで俺はもっと強くなる!」

 

「ちっ、だが貴様のそのモンスターでは私のジェネシス・デーモンに敵わん!」

 

確かにアブソリュートZeroとエッジマンの攻撃力はそれぞれ、2500と2600だ。対するジェネシス・デーモンの攻撃力は、伏魔殿ー悪魔の迷宮の効果もあり3500となっている。このままでは勝てない。

 

「俺は、カードを一枚伏せてターンエンド」

 

十代 LP2700 手札2 場3

 

「ふっははは、所詮この程度か。私のターン、ドロー。私は、[デーモン・ソルジャー]を召還。」

 

デーモン・ソルジャー A1900/D1500 →A2400

 

「伏魔殿の効果により500攻撃力をアップする。伏魔殿のもう一つの効果!デーモン・ソルジャーをゲームから除外しデッキから[戦慄の凶皇ジェネシス・デーモン]を攻撃表示で特殊召還!」

 

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A3500/D2000

 

「くっ、二体目か・・・」

 

「ふっははは、これで私のフィールドには攻撃力3500が二体。もはや勝ち目は、ないな」

 

「それは、どうかな?」

 

「何?」

 

「デュエルは、最後まで何が起きるか分からないから楽しいんだ!」

 

「十代」

 

「アニキ」

 

遊城十代。この状況でもなおデュエルを楽しもうとしている。どこまでもまっすぐな奴だ。まぁすこし危なっかしいけどそれが十代の良さでもある。

頑張れよ十代。

 

「その強がりもいつまで続くかな?ジェネシス・デーモンの効果発動!1ターンに1度手札・墓地のデーモンと名の付いたモンスター一体をゲームから除外する事でフィールドのカード1枚を破壊する!」

 

「何!?」

 

「私は、墓地の[デーモンの騎兵]を除外しエッジマンを破壊!さらにもう一体のジェネシス・デーモンの効果、ヘル・エンプレス・デーモンを除外しアブソリュートZeroを破壊する!!」

 

「あぁ!アニキのモンスターが!!」

 

「全滅なんだな!!」

 

「いや、これでいいんだ」

 

「「えっ!?」」

 

「アブソリュートZeroの効果発動!このカードがフィールドを離れた時相手フィールドのモンスターをすべて破壊する!!」

 

「何だと!?」

 

十代のフィールドからタイタンのフィールドに向って氷が押し寄せタイタンのモンスターをすべて凍らせて破壊する。

 

「私のデーモンたちが!?」

 

「これでお前のモンスターは、全滅だ!」

 

「ぐぅう。ターンエンド」

 

タイタン 手札2 場2

 

「俺のターンドロー!俺は、魔法カード[E・HEROワイルドマン]を攻撃表示で召還!ワイルドマンでダイレクトアタック!」

 

E・HEROワイルドマン A1500/D1600

 

「甘いわ!罠発動![デーモンの雄叫び]。ライフ500ポイントを支払い墓地のデーモンと名の付いたモンスター一体をエンドフェイズまで特殊召還する!私が蘇らせるモンスターは[デーモンの騎兵]。」

 

デーモンの騎兵 A1900/D0

 

タイタン LP3500

 

「クッソ、攻撃中止。」

 

十代 LP2700 手札2 場2

 

「あー。惜しかったス」

 

翔が悔しそうに十代とタイタンを見ている。

タイタンもライフを500支払ったので身体の一部が透明になって行く。

 

「あの男も右手の一部が消えてんだな」

 

「えっ!?左足じゃないっすか」

 

「いや頭だろ」

 

「「「・・・どうなってんだ(っスか)(だな?)」」」

 

どうも俺たちが見えている事が違う様だ。

何でだろう?そう思いふとタイタンが持っている千年パズルが眼に入る。

あれ・・・千年パズルってあんなに綺麗な面してたっけ?こう、もっとつなぎ目があって・・・そもそもあれって遊戯さんが持ってて遊戯さんとアテムさんの戦いの後地下に消えて行ったんじゃなかったっけ?

あぁ、そう言う事か。

 

「・・・」

 

「遊君どうしたんすか?」

 

「いや、あのオッサンのインチキの種が分かったんだ」

 

「えっ!?インチキ!!」

 

「なっ何を言っている!?」

 

「どういう事だ遊!?」

 

十代が俺に聞いてくる。

 

「つまりそいつの闇のデュエルはインチキだってことだな。多分コイツは、マジシャンか何かで俺たち全員に催眠術を掛けていたんだ。だから皆見えている事が違ったんだ」

 

「馬鹿な!私は、正真正銘闇のデュエリストだ!」

 

「なら、千年アイテムが何個あるか答えてみろ!」

 

おっ十代!いい質問だぜ。これで答えれなかったらアイツは、偽物だ。

 

「ぐぅう。な・・なぁ」

 

タイタンは、かなり悩みながら7と答えた。もうその姿で偽物って分かるけど。

 

「あってるんだな」

 

数字はね。けどもう態度がアウトだろ。

 

「ふっははっは、7だぁ!」

 

だからアウトだってオッサン。数字当てただけでそこまで喜ぶか。

 

「私は、この世に7つ存在する千年パズルの1つを所持する闇のデュエリストの一人だぁ!!」

 

そして墓穴を掘るか。

 

「ふっ、残念だったな」

 

「なぁに?」

 

そうだ十代!!言ってやれソイツに!!

 

「千年アイテムは7つある。だが千年パズルが7つある訳じゃない!」

 

「ぐぅうう」

 

「墓穴を掘ったなオッサン」

 

するとタイタンは、構えていたデュエルディスクを下げる。

 

「くっ、バレてしまっては仕方ない。依頼を途中で辞めるのは、気に喰わんがやもえん。これ以上デュエルを続ける理由もない。これで失礼する」

 

そう言うとタイタンは、千年パズルと言っていたものを地面に叩き付ける。するとそれは、小さな爆発を起こしそこから煙が立ち上る。

煙玉の様だ。

 

「クッソ!逃がすか!!」

 

「十代!」

 

逃げるタイタンを追いかけようとする十代に駆け寄る。するとフィールドの回りにあった蛇の顔の様なモノの口が光り出す。

何かヤバい感じがする・・・

そのまま俺と十代、タイタンの三人は黒い世界に閉じ込められた

 

「なんだぁ!これは!?」

 

「おい!お前!!又性懲りも無く!!」

 

「違う!?私ではない!!」

 

「十代!何か変なものが出てきたぞ!!」

 

俺の指差す方から黒いスライムの様な顔の付いた何かが俺たちの方へ向ってくる。

何あれ?

嫌な予感しかしない・・・どうしよう。

 

 

 




次話「闇のデュエル(後編)〜戦う力」



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第七話 闇のデュエル(後編)

第7話 闇のデュエル(後半)~シンクロ召還

 

俺の指差す方から黒いスライムの様な顔の付いた何かが俺たちの方へ向ってくる。すると十代のデッキから羽の生えたクリボーが出てきた。

 

<<クリクリ!>>

 

「相棒!」

 

「はっハネクリボー!!どうして!?」

 

<<クリクリ!>>

 

途端、自分の腰あたりからクリボーの声が聞こえる。って言うか何か腰の当たりにいる。視線を落とし自分の腰を見ると、デッキケースの隙間からクリボーが一生懸命這い出てくる。出てきたクリボーは、そのまま俺の顔の前まで飛んでて来てハネクリボーと共に俺と十代を一瞥すると俺たちの回りにいた黒いスライムの様な奴らを威嚇している。

すると回りにいた黒いスライム状の何かは、俺と十代から離れて行く。

 

「コイツら、ハネクリボーたちが怖いのか?」

 

「いや、分からん」

 

十代の問いに答えられる程、知識を持っている訳ではないので分からんとしか答えられん。

そう思っていたら不意にタイタンは、どうなっただろうと思いタイタンに眼を向けるとタイタンは、すでに黒いスライムの様なものに身体を纏われ付かれ、身動きが取れない状況であった。

 

「くっ!まさか本当に闇のゲームが存在したというのかぁ!!」

 

タイタンがそう言うとスライム状の何かは、タイタンの口の中へと入って行く。

気持ち悪いなぁ・・・

 

「おい!大丈夫か、お前?」

 

十代は、タイタンの身を案じてそう問う。だがタイタンは、何も答えずムクッと立ち上がり十代と遊を見る。

その眼は仮面の上なのに赤く光っている。

その異様な様子に遊と十代は、自然に身構える。

 

「すでに闇のデュエルは、始まっている。デュエルが終わるまでこの場所から出る事は出来ない」

 

「なっ、コイツまだ闇のデュエルとか言ってんのかよ!」

 

「気を付けろ!十代。ここからは、本当に闇のデュエルだ!」

 

「その通り。このデュエルでは、負けたものは闇の世界に閉じ込められる。そして二度と元の世界に帰る事は出来ない」

 

「要は、お前に勝てばいいんだな」

 

「勝てればの話だ。そして貴様にもデュエルしてもらう」

 

タイタンは、遊の方を指差しながらそう言う。つまり

 

「タッグデュエルってことか」

 

「その通り」

 

「だがお前のパートナーは、どうする?」

 

タッグデュエルである以上タイタンにもパートナーが必要だがこの空間には、俺と十代とタイタンの他には、あの気味の悪いスライムの様なものとクリボーとハネクリボーしかいない。これではタッグデュエルが成立しない。

 

「ふふふ。心配するな私のパートナーはコイツだ」

 

タイタンがそう言った後、タイタンの回りにいた黒い何かが集まって行き人の様なものになった後タイタンと同じ姿になったのだ。

俺と十代が驚いて見ているともう一人のタイタンがルールを説明する

 

「ルールは、先ほどのデュエルの続きで最初のターンはお互いに攻撃出来ない。ライフは別、フィールドも別、異存はあるか?」

 

「いいや、ない」

 

「俺もだ」

 

「では、先ほどのターンの続きをしてもらう」

 

「あぁ」

 

遊         LP4000 手札5 場0

十代        LP2700 手札2 場2

タイタンA     LP3500 手札2 場2

タイタンB      LP4000 手札5 場0

 

「俺は、ターンエンド」

 

十代は何もせずにターンエンドした

 

十代  LP2700 手札2 場2

 

「エンドフェイズに私のデーモンの騎兵は破壊される。そしてデーモンの騎兵の効果発動!墓地より蘇れ[戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン]!!」

 

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A3500/D2000

 

「そして私のターン、ドロー。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

タイタンA LP3500 手札2 場3

 

 

どうしたものか。このデッキは、戦士族でもドラゴン族でもないデッキ。このデッキは、この世界に存在しないカード。シンクロを主軸としたデッキ。

さっきのデュエルを見ていて大体相手のデッキは分かった。恐らくこのデッキなら何の問題もなく勝てるだろう。

しかしそれは、あくまでシンクロ召還したらの場合でシンクロ召還せずに戦うとなると基礎戦闘力で劣る俺のモンスターでは、デーモンの高攻撃力には太刀打ち出来ないだろう。

まじでまずい状況だ。デュエルを受けなければここから出られず、受ければこのデッキで戦わざるをえない。それは、自分の正体が露見する可能性を高める事になる。

そんな事になれば、皆が俺から離れるかもしれない。

どうする・・・どうすればいい。

 

「遊?」

 

「!?」

 

「大丈夫か?」

 

十代は、俺がターンを進めない事に疑問を感じ、俺を心配してくれていた。

この闇のデュエルの状況で俺の心配をしてくれる十代は、本当にいい奴だ。まぁまだ闇のデュエルを信じていないと言う事もあるだろうが、それでも自分の事を心配してくれる十代の気持ちは、本当に嬉しい。反面十代に隠し事をしている事に酷く罪悪感を感じる。

嘘をついている俺を十代は受け入れてくれるだろうか、仲間だと思ってくれるだろうか。そんな事が頭をよぎる。

 

「遊。無理すんなよ」

 

「十代」

 

「ん?」

 

「・・・もし俺が十代に嘘付いてたとしたら十代はどうする?」

 

「何だよこんな時?」

 

「・・・」

 

自分でも何を聞いているのだろうと思う。だけどどうしても知りたいと思っている自分がいる。安心したいと思っている自分がいる。

弱いな俺は・・・

 

「いや、やっぱりいいや」

 

「・・・」

 

その遊の表情は、どこか悲しいような辛い様なものだった。

十代には、それを放っておく事は出来なかった。ちゃんと答えなければと思った。遊の眼は、寂しいと感じている眼だ。十代には、分かる。

なぜなら十代も昔、そんな眼をしていたから

 

「俺は、遊が俺に嘘付いてたらちょっと悲しいし寂しいかな」

 

「十代・・・」

 

「別に嘘が駄目だって訳じゃない。嘘にだって色々あるだろ?人を傷つける嘘、人を貶める嘘、人を苦しめる嘘だけじゃない・・・嘘には、人を喜ばす嘘、誰かを安心させる嘘、自分を守る嘘。こう考えると、遊が『どんな』嘘を付いたのかより『どうして』嘘を付いたのかって言う方が俺は気になるし知りたい」

 

「・・・」

 

「俺は、遊が俺を騙すためや傷つけるために嘘を付いたとは思えない。遊は、俺の友達で仲間だから。だからこそ教えてほしかったし信用してほしかったって思うかな」

 

「十代・・・」

 

十代は最後、遊に優しく笑いかける。その笑みは、遊を安心させるのに十分すぎるものであった。

 

「ありがとう。十代」

 

十代は何も答えなかった。ただ先ほどの笑みを絶やさずに遊を見ている。

 

我ながら本当に臆病だ。

十代に安心させてもらいようやく戦う気力が出てくるのだから。

ただ十代が友達と言ってくれた、仲間だと言ってくれた、その言葉が今の俺にはとても心地の良い響きであり、心から嬉しいと感じた。

十代の為に仲間のために戦おう。

 

「ふぅ」

 

俺は、大きく深呼吸をしてからタイタンを見る。

 

「ようやくやる気になった様だな」

 

どうやらタイタンは、俺がやる気になるのを待っていたらしい。なんと律義な男だ。本当に闇のデュエリスとなのかと思ってしまう。

 

「あぁ!待たせたな、行くぜ!!俺のターンドロー!!」

 

このデッキは、元の世界で頻繁に使用していた愛用デッキの一つだ。この世界に来てから一度もデュエルはしていないが、それでも毎日調整は怠らなかった。

それがまさかこんな状況で使う事になるとは

いやこんな状況でなければ使わないか。

 

「俺は、魔法カード[ワン・フォー・ワン]を発動。手札一枚を墓地に送りデッキからレベル1のモンスター一体を特殊召還する!来い!レベル1チューナーモンスター[グローアップバルブ]!!」

 

「「「チューナーモンスター!?」」」

 

十代とタイタンは、聞いた事のない種類のモンスターに驚いている。

 

「初め見るモンスターだぜ!遊!!」

 

「十代、あとで全部ちゃんと説明するから今は力を貸してほしい」

 

「・・・おぅ!!まかしとけ相棒!!」

 

<< <<クリクリ!>> >>

 

十代は、遊の顔をしっかりと見てそれでいてニカッと笑う。回りにいたクリボーとハネクリボーも嬉しそうに鳴いていた。

再びタイタンの方に顔を向け構える

 

「行くぞ!タイタン!!墓地の[ボルトヘッジホック]の効果発動!このカードは、自分フィールドにチューナーが存在している時、墓地から特殊召還出来る。そしてレベル2[ボルトヘッジホック]にレベル1[グローアップバルブ]をチューニング!!」

 

ボルトヘッジホックはゲームから除外される。

 

「チューニング!?」

 

「シンクロ召還!レベル3[ゴヨウ・ディフェンダー]!!」

 

「シンクロ召還だとぉ!?」

 

「すげぇ!?初めて見たぜ!!」

 

「まだだ![ゴヨウディフェンダー]の効果発動!自分のフィールド上に地属性、戦士族、シンクロ(S)モンスターのみの場合、エクストラデッキから[ゴヨウディフェンダー]を一体特殊召還する。さらにディフェンダーの効果でもう一体特殊召還する!」

 

ゴヨウディフェンダー A1000 /D1000 ☆3

ゴヨウディフェンダー A1000 /D1000 ☆3

ゴヨウディフェンダー A1000 /D1000 ☆3

 

「いっきに三体のモンスターを」

 

「さらに手札からチューナーモンスター[ゾンビキャリア]を召還。レベル3[ゴヨウディフェンダー]にレベル2[ゾンビキャリア]をチューニング!シンクロ召還レベル5[TGハイパーライブラリアン]!!」

 

ゴヨウディフェンダー A1000 /D1000 ☆3

ゴヨウディフェンダー A1000 /D1000 ☆3

TGハイパーライブラリアン A2400 /D1800 ☆5

 

「うぉお!またシンクロ召還!!」

 

「まだまだ行くぜ!墓地の[ゾンビキャリア]の効果を発動!手札一枚をデッキの上に戻す事でこのカードを墓地から特殊召還する!さらに墓地の[グローアップバルブ]は、デッキの一番の上にカード墓地に送る事で一度だけ墓地から特殊召還出来る。レベル3[ゴヨウディフェンダー]二体にレベル2[ゾンビキャリア]をチューニング!シンクロ召還!飛翔せよ!!レベル8[スターダストドラゴン]!!」

 

ゾンビキャリア、ゲームから除外される。

 

「なぁに!?」

 

「すげぇえ!?綺麗だなぁ」

 

遊のフィールド上に現れた白い竜は咆哮を上げながら遊を守りかの様にタイタンと遊の間に現れる。

 

「そしてこの瞬間、ハイパーライブラリアンの効果発動!シンクロ召還に成功した時デッキからカードを一枚ドローする」

 

「おのれぇえ・・・」

 

「さっきデッキの上から墓地に行った[レベルスティーラー]の効果、自分フィールドのレベル5以上のモンスター一体のレベルを一つ下げこのカードを墓地から特殊召還する。レベル8のスターダストのレベルを一つ下げ[レベルスティーラー]を特殊召還。レベル5[ TG ハイパーライブラリアン]とレベル1[レベルスティーラー]にレベル1[グローアップバルブ]をチューニング!シンクロ召還!レベル7[クリアウィング・シンクロドラゴン]!!」

 

二体目の白い竜が遊の場に現れるとタイタンと十代は、もう何が起きているのか分からないっと言った表情で遊の事を見ていた。

 

スターダストドラゴン A2500/D2000 ☆7

クリアウィング・シンクロドラゴン A2500/D2000 ☆7

 

「くっ、だが攻撃力2500では、我がデーモンたちの敵ではない!」

 

「俺は、カードを一枚伏せターンエンド」

 

遊 LP4000 手札2 場3

 

「私のターンドロー、私は魔法カード[愚かな埋葬]発動。デッキよりジェネシスデーモンを墓地に送る。そして私は、手札から[デーモンの騎兵]を攻撃表示で召還。さらに手札から[デーモンの将星]を特殊召還。その後自分フィールド上のデーモンと名の付いたカード一枚を選択し破壊する。私は、[デーモンの騎兵]を選択!!」

 

「最初と同じコンボか!」

 

「[デーモンの騎兵]騎兵の効果により墓地より[戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン]を特殊召還!!」

 

「マジかよ!?」

 

「まだだ、伏魔殿の効果!私はデーモンの将星をゲームから除外しデッキからジェネシス・デーモンと同じレベルの[ヘル・エンプレス・デーモン]を特殊召還する!さらに魔法カード[異次元からの埋葬]を発動。ゲームから除外されているモンスターを三枚まで墓地に戻す事が出来る」

 

デーモンの将星 2体

デーモンソルジャー 1体

 

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A3500

ヘル・エンプレス・デーモン A3400

 

「行くぞ!小僧!!ジェネシス・デーモンの効果!墓地の[デーモンの騎兵]をゲームから除外し[スターダスト・ドラゴン]を破壊する!」

 

「甘い!スターダストの効果、『フィールド上のカードを破壊する効果』をもつ魔法罠効果モンスターの効果が発動した時、このカードを生け贄にする事で発動を無効にし破壊する!!」

 

「なぁにぃ!!?ならばヘル・エンプレス・デーモンの効果!墓地の[デーモンの将星]をゲームから除外し破壊の変わりとする!!」

 

「ならば[クリアウィング・シンクロドラゴン]の効果!レベル5以上のモンスターが効果を発動した時にその効果を無効に破壊する!!」

 

「なぁに!?」

 

「さらに破壊したモンスターの元々の攻撃力分だけこのカードの攻撃力をエンドフェイズまでアップさせる!」

 

クリアウィング・シンクロドラゴン A5400/D2000

 

「おのれぇ!!」

 

「すげぇぜ遊!!」

 

遊と十代は、顔を見合わせお互いに親指を立てる

 

「私はカードを一枚伏せターンエンドだ」

 

タイタンB LP4000 手札2 場1

 

「この瞬間[クリアウィング・シンクロドラゴン]の攻撃力は、元に戻る。そして、スターダストが効果により帰還する」

 

クリアウィング・シンクロドラゴン A2500/D2000

スターダスト・ドラゴン A2500/D2000

 

「なっ再生効果まで併せ持つのか、そのモンスターは!?」

 

「つぇえなスターダスト・ドラゴン、何かワクワクしてくるぜ!!俺のターン!遊が魅せたんだから俺も魅せてやるぜ!俺は、手札から[E・HEROキャプテン・ゴールド]を墓地に送りデッキからフィールド魔法[摩天楼ースカイスクレイパー]を手札に加える」

 

「そしてスカイスクレイパーを発動!」

 

十代が新たに発動したフィールド魔法によってタイタンが発動していた伏魔殿が消滅していく。

そしてその後超高層ビル群によってフィールドが囲まれる。

 

「なっわっ私の、私のフィールドが消えて行く!?」

 

「ここが俺のヒーローたちが戦う舞台だ!さらに俺は、魔法カード[ミラクルフュージョン]を発動!」

 

「ミラクルフュージョン!?」

 

「フィールドと墓地から融合素材モンスターをゲームから除外する事で融合召還出来るE・HERO専用カード!俺は、墓地のフェザーマンとバーストレディーをゲームから除外して[E・HEROグレイト・トルネード]を融合召還!!」

 

E・HEROグレイト・トルネード A2800/D2200

 

「また新しいヒーローか!?」

 

「そうだ!そしてこのカードの召還に成功した時相手フィールドのモンスターすべての攻撃力・守備力を半分にする!」

 

「なぁに!?」

 

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A3500/D2000 →A1750/D1000

 

「おのれぇ、小癪なぁ」

 

「行くぜ!バトル!!ワイルドマンでジェネシス・デーモンを攻撃!!」

 

E・HEROワイルドマン A1500 →A2500

戦慄の凶皇ージェネシス・デーモン A1750

 

ワイルドマンの斬撃によりタイタンAのジェネシス・デーモンは真っ二つに切り裂かれ爆散する。

 

タイタンA LP2750

 

「くっ!?」

 

「まだだ!グレイト・トルネードでダイレクトアタック!」

 

「甘い!罠発動![聖なるバリアーミラーフォース]!!」

 

「そのカードの発動に対してスターダストの効果を発動!!ミラーフォースの発動を無効にし破壊する!」

 

「ならばカウンター罠発動![神の宣告]!」

 

タイタンB LP2000

 

俺のスターダストドラゴンの効果に対してカウンターを行ったのは、タイタンB。

しかしそんな事は予想がついている

 

「その[神の宣告]に対してカウンター罠[神の宣告]を発動!」

 

遊 LP2000

 

「おのれぇ!」

 

「サンキュー、遊!!」

 

「おう!」

 

「行け!グレイト・トルネード!!」

 

十代の指示に従い、グレイト・トルネードがタイタンAに向かい攻撃を仕掛ける。

その攻撃を受けタイタンAのライフは0となり、その場に膝を屈する。

これにより十代の次は、俺となる。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

十代 LP2700 手札1 場4

 

十代のエンドフェイズにスターダストドラゴンが帰還する

 

「俺のターン、」

 

俺がドローすると残ったもう一人のタイタンはいま忌々しそうにこちらを見る。すでに相手のフィールドには、モンスターはなく伏せカードもない。

 

「俺は、スターダストドラゴンでダイレクトアタック!シューティングソニック!!」

 

スターダストの口から放たれる光のブレスがタイタンに直撃しタイタンは自身の後ろへと吹き飛ばされる。

 

「よっしゃー!勝ったぜ遊!」

 

「あぁあ!十代!!」

 

俺と十代は、互いに手を挙げ手を合わせる。その直後、デュエル中回りにいた得体の知れない何かは、タイタンの方に群がりそのままタイタンを飲み込んでしまう。

かなりグロッキーな絵柄だ。

 

<<クリクリ!>>

 

「ハネクリボー、あれが出口だな!?」

 

「早く行こう十代!」

 

「おう!」

 

俺と十代は空間に出来た裂け目に飛び込む。するとそこは、最初にタイタンとデュエルしていた地下空間であった。

 

「アニキ!遊君!」

 

「無事だったんだな!?」

 

翔と隼人が駆け寄ってくる。すると先ほどまで居たであろう黒い球体は、回りの空気を吸い込みながら小さくなっていき最終的には、破裂した。

その際、吸い込まれそうになった気絶している明日香を十代が支えているのが見えた。

十代は、本当に格好いい奴だ。

 

「まぁそんな事より早くここから出よう」

 

俺がそう言うと全員が納得しここから出ようと動き始める

明日香は、十代が背負い連れ出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

外に出て暫くすると気絶していた明日香が眼を覚ます。

それに気付いて十代たちが駆け寄る。

 

「大丈夫か明日香?」

 

「じゅ・・う・だい?」

 

明日香に話しかける十代。

 

「明日香を誘拐した奴なら俺らが追い払ったぜ!」

 

「あっあなたたちが助けてくれたの?」

 

「おう!俺と遊だぜ」

 

「俺何もしてないけど」

 

「えっ?まぁ気にすんな。それより明日香、これ」

 

十代は、明日香のデッキのカードと寮内で見つけた写真を明日香に手渡す。

 

「これ!?兄さんの!!」

 

「ごめんな、これぐらいしか見つからなくて。もう少し役に立てるかと思ったんだけど」

 

「あなた、そのために!?」

 

「十代、そうだったの!?」

 

明日香と俺は、十代の行動の理由を知り驚く。

 

「あれ?何驚いてんだよ遊」

 

「・・・いや何でもない」

 

「ふーん。まぁ明日香、あんまり役に立てなくて悪かった」

 

ちゅっちゅっチュと小鳥がさえずり始める。すでに日が昇り始めている。

 

「やっべ!皆が起き始める前に帰らないと!じゃっじゃあな遊!明日香!!」

 

十代は、走って行く。その後に翔と隼人が急いで付いて行く。

そんな十代たちを見送りながら明日香がボソッと呟いた

 

「お節介な人ね」

 

「それがまたいい所だと思うぜ」

 

その表情は、とても穏やかで優しいものであった。

ちなみに後で十代が明日香を背負って連れ出した事を伝えると、明日香は顔を真っ赤にして驚いていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

 

廃寮地下デュエル場

 

オベリスクブルーの制服を着た生徒が中央で膝を付き手を地面に付けている

 

「そこで何をしている」

 

生徒に後ろから声を掛けた人物がいた。その人物は、眼鏡を掛け長い髪を後ろで結んでいる。

生徒が体勢を保ちつつ目線だけそちらの人物に向ける。

 

「そのお言葉、そのままお返ししますよ。先生」

 

先生と言われた人物は、何も言わない

 

「今日は随分雰囲気が違いますね」

 

「お互い様だ」

 

生徒はうっすらと笑みを見せると、生徒の右腕に紫色に光る痣が浮かび上がる。

さらに足下から紫色の炎が吹き出す

 

「私はこれで失礼します」

 

生徒は、そう言うと炎に包まれ姿が消える。その場に残された先生は、その後薄ら笑みを浮かべていた。

 

 

 




次話「派閥争い」

読んで下さいました方々誠にありがとうございます。
次話もなにとぞよろしくお願いいたします。


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第八話 派閥争い

第八話 派閥争い

 

デュエルアカデミア本校舎。

 

「退学!?」

 

ある一室から十代の声が響く。

 

「遊城十代、丸藤翔。両名は、昨日侵入禁止の旧ブルー寮に入った事が確認されている。言い逃れは出来ん」

 

巨大モニターに映る女性が十代たちを睨みながらそお言い切る。

 

「だから!不審者がいたんだって!」

 

十代が必死に昨日あった事を説明をするがクロノス教諭の反論にあい合えなく撃沈。

これ以上は、十代たちの処分が決定しかねないので査問委員会の部屋に入る遊。

 

「なんだ貴様は!」

 

モニターに映る女性がこちらを睨みながら怒声を上げる。

 

「今は、査問委員会中なの~ネ。速やかに退室する~ノシニョール遊」

 

クロノス教諭がそう言うも退室する気配がない遊

 

「よかった。ここが査問委員会であっていましたか。いや道に迷っちゃって」

 

遊が頭を掻きながら十代に近づく

 

「だからさっさと退室しろ!」

 

「それは出来ません」

 

遊が毅然と拒否する。その答えに女性の顔がさらに怒りに満ちていく

 

「俺も昨日、旧ブルー寮の敷地内に入りました。十代がその件で退学になるのなら俺も退学にされるべきです」

 

「なっ!?」

 

「他にも【オベリスクブルー】の天上院明日香や【オシリスレッド】の前田隼人も寮内に入りました。理由だってあります」

 

遊の発言に驚くモニター内の面々。特にクロノス教諭は驚いた表情をしていた。

 

「不審者ですか」

 

「はい。昨日の夜、廃寮近くで明日香が攫われたのを助けるために寮内に侵入しました」

 

「(あれ?俺らが入ってから攫われたんじゃ・・・)」

 

「(細かい事は気にするな十代)退学にするなら5人全員を退学にするべきでは?」

 

「・・・」

 

「不審者が居たと言う証拠は?」

 

女性委員が食い下がる

遊は、そんな女性委員を睨みながら応える

 

「そもそも、どうして十代と翔だけで俺たちの事は気付かなかったので。本当に調査したのですか、どんな調査をしたら5人中3人も見落とすんですか?教えて下さいよ」

 

遊が嫌みたらしく言うと女性委員の顔が眼に見えて歪む

 

「なっ!貴様!我々を愚弄する気か!!」

 

声を荒げる女性委員

 

「碌に調査もしてねぇのに偉そうにすんな!『不審者がいた証拠』?そんなモノ自分たちで調査しろよ!学園の治安の維持はあんたらの仕事だろ!そもそも廃寮に入ったら退学って生徒手帳に書いてました?書いてなかったと思うんですけどそれでいきなり退学ってどんな高校ですか?訴えますよマジで」

 

「きっ貴様!!」

 

「まぁまぁそう怒られますな」

 

そう言って女性委員を制したのは鮫島校長であった。

 

「桐谷君の意見にも一理あります。しっかりと調査し精査した上で採決は、行われるべきだと私も思います」

 

「くっしかし廃寮に侵入したのは事実です!」

 

「もちろん不審者がいたにせよ、入ったのも事実。罰は、受けます」

 

「まっ待ってくれ遊。明日香は、攫われて入ったんだからノーカンだろ!」

 

「・・・それもそうか」

 

十代、自分がヤバい状況でも明日香を気遣うか。

やっぱお前は、いい奴だよ

 

「分かりました。ではこうしましょう。君たち三人には、制裁デュエルを受けてもらいましょう」

 

「「えっ!?」」

 

「なっ!?」

 

「それは、いいの~ネ(ドロップアウトはともかくシニョール桐谷は【オベリスクブルー】なの~ネ。退学なんてさせる訳にはいかないの~ネ)あっでした~ら、シニョール遊城とシニョール丸藤はタッグデュエル。シニョール桐谷はシングルデュエルを行ってもらいましょう」

 

「俺は、それで構いません」

 

「俺も」

 

「・・・」

 

「丸藤くん?」

 

「あっ僕も・・構いません」

 

「仮に負けた場合は、デュエル理論レポート20枚提出という事で。本来であれば退学処分ですが今回は大目に見ましょう」

 

「・・・」

 

「では、これで解散とします」

 

「くっ」

 

「シニョール前田はどうします~ノ」

 

「・・・彼は、もういいでしょう」

 

えっ、いいの?それで。あっモニターが消えた。

女の委員は何か不服そうだったけど

まぁいいか。終わったし

 

「あっ!十代、この後少しいいか?」

 

「うん?あぁいいぜ。翔は先に帰っておいてくれ」

 

「う・・うん」

 

「大丈夫か?翔の奴」

 

翔の奴は大分落ち込んでいる様だ。まぁ仕方ないわな、いきなり退学だもんな。信じられないなこの学園。いきなり退学って・・・まぁ違うからいいけど

その後、俺と十代はブルー寮の俺の部屋に向った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

 

【オベリスクブルー】の寮の近くの道

その場所を複数人で歩いているのは、【オベリスクブルー】の制服を着ている男子生徒、司玲治である。

彼の後ろには、3人のブルー生が付いて来ている。

今や玲治は、度重なる”ブルー狩り”と”追い剥ぎ”等の影響があり学内では【オベリスクブルー】の【大王】と呼ばれる様になっていた。

 

現在この学園のブルー生内では、大きく分けて4つの派閥が存在する。

まずは、学園最強にして【カイザー】の異名を持つ丸藤亮を筆頭にするサイバー流。学園内最大規模の派閥で1~3年生の生徒が所属している。

二つ目は少数派閥と言われる存在。

数人ないし数十人程度の派閥で複数存在している。万丈目の派閥もこの一つである。

三つ目は無所属と言われる存在。

基本的に一人で行動している者たちで、中に凄腕のデュエリストもいるらしい

そして四つ目が大王派と呼ばれる新興勢力である。

すでにその規模は、少数派閥を次々に飲み込みサイバー流に近づく程。その派閥のリーダーこそが司玲治なのである。

 

基本的に玲治は暴君である。

派閥内部の者は、彼と会うたびに御菓子をせびられ、ジュースをせびられ、派閥外の者のデータを収集させられる。見返りは、デッキ構築を手伝ってくれる。

遊城十代の事を馬鹿にすると激高し明日香に手を出そうとするとデュエルでワンキルされるので派閥内タブーとなっている。

何故十代と明日香に拘るのかは不明

 

ちなみにブルー女子内では、三大女王と呼ばれている人物たちが居る。

それは、天上院明日香 藤原雪乃 そして海堂あかり。

この三人が三大女王と呼ばれている。

 

ただこう云った派閥が多数存在すると起きるのが派閥間闘争である。

そして今、玲治たちの前に立ち塞がっているのはサイバー流の生徒であった。

 

「おい一年。道を譲れ」

 

「おや、先輩はご存知ない?デュエルアカデミアは実力主義である事を」

 

「だから、一年が二年に勝てる分けないだろ」

 

「おやおや、年上だからといって負けない理由になりませんよ。現に僕、先輩より強い自信ありますよ」

 

「なっ!?ふっいいだろう。ならここで俺が貴様を倒して格の違いを教えてやろう!!」

 

「それは、面白い。では、ご教授願います。先輩」

 

玲治    LP4000

ブルー二年 LP4000

 

「「デュエル」」

 

ーーーーーーーー

 

「ジャイアントオークでダイレクトアタック」

 

「ぐあぁあ!!」

 

ブルー二年生 LP0

 

「馬鹿な、俺が一年如きに」

 

「この程度か。ありがとうデッキ返すよ」

 

玲治は膝を付くブルー生を一瞥するとすぐに振り返り自身の取り巻きの一人にデッキを返す。

 

「なっ!他人のデッキでデュエルしていたのか!」

 

こちらを見ていたもう一人のサイバー流ブルー生が食って掛かってくる。

そんなブルー生を冷えた眼で見る玲治

 

「だって雑魚相手に自分のデッキを使うよりさっき組んだ彼のデッキの回し方を見せた方が僕らに取って得でしょ?」

 

「舐めやがって!一年が!!」

 

ブルー生が玲治に詰め寄ろうとした時

 

「そこまでだ」

 

唐突に声がする。そちらを見るとそこにはブルーの制服を着た男女が立っていた。

それは、学園内最大派閥のサイバー流免許皆伝者【カイザー】こと”丸藤亮”と【オベリスクブルー女子】の女王の一人”天上院明日香”であった。

 

「お前たちデュエリストならデュエルで語れ。それ以外は、デュエリストの恥だ!」

 

カイザーに見つかった事でブルー二年生は、トボトボとその場を後にした。

その様子を見送ったカイザーは、玲治に近づく

 

「これはこれは、このような場所でお会い出来るなんて、カイザー亮」

 

玲治は笑みを絶やさずカイザーに言う。

 

「あなたこんな所で何しているの」

 

「いやぁ、ただのお遊びだよ。【オベリスクブルー】の生徒は無駄にプライドが高いから」

 

「俺の所の者が迷惑を掛けて済まない」

 

カイザーは、玲治に軽く頭を下げる。その様子を見た玲治は、驚いたような顔を一瞬したがすぐにいつもの和やか笑みを浮かべる

 

「でしたら今度デュエルの御相手でもして下さい」

 

「あぁ、俺も君のデュエルに興味があるからな。また今度デュエルしよう。ではこれで失礼する」

 

「じゃぁね~」

 

玲治は、去り行く明日香とカイザーに笑顔で手を振る。

そして玲治は、何も言わずにその場を後にした。

その顔は、何かを企んでいる悪い笑みを含んでいた。

 




次話「遊VS十代」


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第九話 遊VS十代

第9話 遊VS十代

 

玲治がカイザーたちと話をしている時、【オベリスクブルー】の男子寮のひと一部屋で遊と十代がソファーに腰掛け話していた。

 

「つまり遊は、別世界から来たデュエリストってことか?」

 

「まぁ、そんなとこになるのかなぁ」

 

遊は、十代に自身がこの世界の人間ではなく別の世界のデュエリストであり、その世界では、融合や儀式以外にシンクロ・エクシーズ・ペンデュラム召還が存在していたこと、この世界とは違うルールで行われていた事など。

たださすがに原作知識については、言わなかった。話がおかしくなりそうだから。

 

「でも、別世界かぁ、信じられないなぁ。て言っても目の前にその証拠があるしなぁ」

 

十代の前には、遊が保有している一部のシンクロ・エクシーズ・ペンデュラムモンスターが机の上に置かれていた。

 

「なぁ、って事はさ。俺にくれたヒーローたちも遊の世界にあったカードってことか!?」

 

「あぁ、そうだよ」

 

「なら、他にも俺の知らないヒーローたちが居るのか!?」

 

「もちろん居ると思うぜ。ていうかこの事は、くれぐれも内密で頼むぜ十代」

 

「おう!任せとけ!!」

 

「サンキュー」

 

「そんかわり、俺とデュエルしてくれよ!もちろんシンクロとかありのデッキで!!」

 

「マジで!?」

 

「マジで」

 

「・・・」

 

「なぁ、頼むよ~。遊~」

 

「はぁ。分かったよ。けど人目の付かない場所でだぞ」

 

「おう!!サンキュー遊!!」

 

十代は、遊とデュエル出来る事がとても喜んでいる。

 

「なら、早速行こうぜ!デュエルしに!!」

 

「おう!」

 

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーー

デュエルアカデミアの火山の裏手の海岸

 

「十代。よくこんなに場所知ってたな」

 

「入学してから学園内を隅々まで探検したからな。さっ早くやろうぜデュエル!!」

 

「はいよ!」

 

「「デュエル」」

 

遊  LP4000 手札5

十代 LP4000 手札5 先攻

 

「俺の先攻!ドロー!![E・HEROプリズマー]を召還!プリズマーの効果発動!デッキから融合素材モンスターを墓地に送りそのモンスターと同名カードとなる。俺は[E・HEROフェザーマン]を墓地に送る。そして魔法カード[ミラクルフュージョン]を発動!」

 

「いきなりかよ!」

 

「行くぜ遊!プリズマーとフェザーマンを融合、[E・HERO・THEシャイニング]を融合召還!!」

 

E・HERO・THEシャイニング  A2600

 

「早速ですか」

 

遊は、十代の引きの強さに感嘆していた。

 

「さらにTHEシャイニングはゲームから除外されているE・HERO数×300攻撃力が上がる!」

 

E・HERO・THEシャイニング A3200

 

「いきなり攻撃力3200か!」

 

「おう!俺はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP4000 手札2 場3

 

「なら俺も全力で行く!俺のターンドロー。俺は手札から[BF-逆風のガスト]を特殊召還!このカードは、自分フィールド上にカードが存在しない場合手札から特殊召還出来る」

 

BF-逆風のガスト A900/D1400 ☆2

 

「さらに手札から[BF-疾風のゲイル]と[BF-黒槍のブラスト]を特殊召還!この二体は、自分フィールド上にBFモンスターが存在している場合特殊召還出来る!」

 

BF-逆風のガスト A900/D1400 ☆2

BF-疾風のゲイル A1300/D400 ☆3 チューナー

BF-黒槍のブラスト A1700/D800 ☆4

 

「いっきに三体のモンスター!しかもチューナーモンスターまで!!」

 

「だがまだまだ行くぜ!十代!!」

 

「あぁ!来い遊!!」

 

「俺は、レベル4黒槍のブラストにレベル3疾風のゲイルをチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召還!降り注げ、レベル7[A BF-驟雨のライキリ]!」

 

A BF-驟雨のライキリ A2600/D2000

 

「うぉおお!かっけぇ!」

 

ライキリを見て喜ぶ十代。本当にデュエルが大好きなのが見ていて伝わってくる。

 

「まだ俺は、通常召還していない。俺は手札から[BF-極北のブリザード]を召還!その効果で墓地の黒槍のブラストを特殊召還!そして驟雨のライキリの効果、1ターンに1度自分フィールドのBFの数だけ相手フィールドのカードを破壊する!!」

 

「なに!」

 

十代の場のカードはすべて破壊されてしまう。

これで十代の場はがら空き

 

「これで終だ十代!!全モンスターでダイレクトアタック!!」

 

「ぐぅ!」

 

十代 LP0

遊  勝利

 

「マジかよ遊。こんなに簡単に終わっちまうのかよ」

 

「まぁ、初見でBFの展開力に対応するのは難しいって」

 

「けどよぉ」

 

確かにBFは、GXの次の5Dsのカード群である。それだけならまだE・HEROでも余裕で対応出来るだろう。しかしBFは、その後二世代後のARC-Vにも登場して強化されている。しかも初見、普通に考えて無理ゲーだよな。

 

「くー!よし!!もう一回デュエルだ遊!!」

 

「なっ!?」

 

「なぁ、いいだろう遊」

 

なんでここで子犬みたいな眼で見てくるんだ。

どこで覚えたそんな技!!

 

「なぁあ、ゆ~う?」

 

「あぁあ、分かった!分かった!」

 

「うっしゃぁあ!サンキュー遊!」

 

はぁ、うれしそうだなぁ十代・・・この先は長いそうだ。

 

<<クリクリ>>

 

ハネクリボーが十代の後ろから出てきて十代に何かを伝えている

 

「分かったって相棒」

 

「ハネクリボーは何て?」

 

「いやぁ、早く戻って制裁デュエルの準備をしろってって・・・」

 

「うん?」

 

急に十代が黙って眼を見開いてこちらを見ている。

俺何かまずい事言っただろうか・・・うん?

 

「あっいや。遊、ハネクリボーが見えるのか?」

 

あぁ、そう言う事か。精霊は見える人と見えない人が居るんだったな。

つまり俺が精霊を見れている事に驚いてるんだな十代は。

 

「あぁ。タイタン戦以来見える様になったんだ」

 

「そんなのか!って事は、遊の部屋に居た精霊たちも見えていたんだな」

 

「もちろん。扉開けた瞬間仁王立ちの絵札の三銃士とか机の上に広げたカードの上で飛び跳ねてるF・G・Dとかベットの上をこらがり回ってたクリボーとか」

 

「あははは」

 

「十代にも見えてたんだな」

 

「あぁ、俺もあれ以来見える様になったんだ」

 

「そうか。まぁ、つもる話がまた増えた様な気がするがまずは制裁デュエルの事をしっかり取り組もう。さっきの翔の様子だと今頃どうして居るかわからないし。頑張れよ十代!」

 

「おう!遊も頑張れよ!!俺は早速、翔と訓練してくるぜ!またな遊!!」

 

「あぁ!!」

 

そう言って十代は、レッド寮へと帰って行った。

その後十代から翔が姿を消したと連絡を受け十代たちと共に翔を探す事に

そう言えば原作でもそんな事があった様な気がする。

本当に世話の焼ける野郎だ。

野郎の世話何て焼きたくないんだがなぁ。

仕方ない

 

ーーーーーー

ーーーー

 

十代と遊のデュエルを岩場の影から見ていた男が居た。

その男は、【オベリスクブルー】の制服を着ている。

 

「シンクロ召還かぁ。遊やっぱり君もこの世界の住人では、ないんだね」

 

男はそう呟くとその場を後にした。

 

この時のデュエルが、この後の桐谷遊の学園生活を波乱のものとすることになる事を遊は、まだ知らない。

 

 




次話「ヒーローVS機械竜」


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第十話 ヒーローVS機械竜

第十話 ヒーローVS機械竜

 

十代と分かれて数時間が経過したとき十代よりPDAで連絡があり、翔が姿を晦ましたと。

すぐに十代たちと合流して事の顛末を聞く。

要するに

 

十代と翔が訓練デュエルする→翔が十代に説教される?→翔逃亡。

 

うん全体的に翔がおかしいのでは?と思うがそれを言うと話がややこしくなるだろうから言わずに、まず翔を探そう。

世話の焼ける奴だ。

 

「で、なんで僕まで呼び出されたの」

 

俺の後ろから非常に不満そうな声と視線を俺に浴びせてくる玲治。どうやらこれから晩ご飯を食べようとしていたらしい。俺に呼び出されたせいで食べ損じたので機嫌が悪いのだ。

後で何か強要されそうで怖い。

仕方ないけど。十代と翔に責任を取ってもらおう。うん、そうしよう。

 

「頼むよ玲治。十代のためだと思って、な?」

 

「・・・仕方ない。代金は、遊に支払ってもらおう」

 

「げっ!?マジで?」

 

「マジで」

 

玲治は、俺に対してそう言い放つ。今度の制裁デュエルまで俺は無事で居られるだろうか。俺は、男とはしたくないのに。

翔、マジ恨むぜ。

 

「それで、翔は見つかったの?」

 

「それを今から探すんだよ」

 

「ほっとけば?」

 

「十代が探してほしいだってよ」

 

「良し探しに行こう!」

 

さっき「ほっとけば」と言っていたのに変わり身はえーな玲治。

そう思いながら俺は、歩き始めている玲治の後を追い森に入って行く。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

見つけました。

丸藤翔を見つけました。

十代と一緒に海水浴楽しんでいる模様。

憎き敵、丸藤翔。お前のせいで俺の節操は玲治によって崩される。

くそ~。

 

「遊、口に出てるよ」

 

「えっ!?」

 

ふいに俺の隣で玲治が口を開く。

 

「遊の節操って言うのは知らないけど、あの二人は海水浴してるの?」

 

「えっあっあぁ」

 

「ふ~ん、僕には溺れている様に見えるけど」

 

「あの辺は、膝下あたりが海面だから普通あんな所で溺れねぇよ」

 

「そうなの?あっ本当だ、コアラ(前田隼人)の膝下ぐらいしかない」

 

「だろ?」

 

そんな事を言っていると崖下の方で何やら言い合いをしている。

 

「アニキには、僕みたいな臆病者の気持ち分かるはずないよ!」

 

「翔」

 

そんなやり取りを聞いていると、隣に立っていた玲治の顔は険しいものになっていた。

 

「どうした。怖い顔して」

 

「ん?いや、今の翔の発言が癇に障って」

 

「なに?」

 

「臆病者の気持ちって言っていたけど、翔は、臆病者だろうか?勿論、勝てない戦いを避ける行為や負けない様に逃げる行為は、臆病者と呼ばれるかもしれない。しかしそれは戦略的であって勝つための手段の一つだ。当然、責任もある。臆病者と罵倒されるかもしれないがそれは甘んじて受ける。戦わなければならない時は、戦う。それが臆病者だと僕は思う」

 

「・・・」

 

「しかし翔は、どうだろう?事の発端は、十代なので制裁デュエルを受けたくないと言うのであればその旨を学園側に親告すべきだろう。せめて十代の新しいタックパートナーを見つける事ぐらいはするべきだと思う。仮にも自身の意志で廃寮に侵入しんだからさ。彼の今の行動は、身勝手で卑怯だろ」

 

「臆病者じゃなくて卑怯者ってことか」

 

「少なくても僕はそう思うよ」

 

なかなか翔に厳しい意見を言う玲治。まぁ俺も無責任だと思うけど。

そんな感じのやり取りをしていると翔の実兄、カイザーこと丸藤亮と天上院明日香が十代たちの前に現れる。

 

「・・・お兄さん」

 

「逃げ出すのか翔・・・それもいいだろう」

 

「・・・」

 

カイザーに情けないと言わんばかりの顔で翔を見ていた。そしてその言葉には、失望の色が感じ取れる。

そんな兄の態度に下を向く翔。

 

「行っちまうってよ!あんたの弟!」

 

そんな翔の姿を見て十代がカイザーに言う。しかしカイザーは、十代の言葉にも顔色一つ変えずに仕方ないと言う。

さすがに驚きを見せる明日香。

 

「ならせめて餞別でも上げてやらねーか!俺とあんたのデュエルで!」

 

十代の提案に驚く面々。

 

「君とデュエル、いいだろう上がって来たまえ遊城十代」

 

カイザーが未だ海の中に足を入れている十代に上がってくる様促すと一行は一旦互いにデュエルディスクを取りに寮へ戻り、夜の港で再び落ち合う事になった。

 

「僕たちは、どうする?二人のデュエル見に行く?」

 

「俺は、行くつもりだけど、玲治は来なくてもいいぞ」

 

「いやいや、僕も見に行くよ。遊に今回の分の代金を貰わなきゃ」

 

「なっ!?何もしてねぇだろ!!」

 

「僕の時間を消費したからね。その分の代金はキッチリ貰うよ」

 

玲治は、そう言うと怪しい笑みを浮かべる。

その感じに遊は悪寒を感じずにはいられなかった。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーー

 

夜の港

その場所には、遊・玲治・十代・カイザー・明日香・隼人そして翔が居る。

十代とカイザーが向かい合いデュエルディスクを構え今二人のデュエルが始まる

そんな二人の事を不安そうに見つめる翔。

 

「「デュエル」」

 

十代   LP4000 5枚 先攻

カイザー LP4000 5枚

 

「俺の先攻ドロー!俺は、[E・HEROエアーマン]を攻撃表示で召還!」

 

E・HEROエアーマン A1800/D300

 

「エアーマン」

 

カイザーが怪訝そうに十代のヒーローを見る。

 

「エアーマンの効果を発動!デッキから[HERO]モンスター一体を手札に加える。俺は[E・HEROキャプテンゴールド]を手札に加える。さらにキャプテンゴールドの効果を発動!このカードを手札から墓地に送りデッキから[摩天楼ースカイスクレイパー]を手札に加え発動!!」

 

十代がフィールド魔法を発動すると辺り一帯に超高層建築物が並立して行く。

 

「俺は、カードを二枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP4000 手札3 場4

 

「俺のターン、ドロー。俺は、[サイバードラゴン]を攻撃表示で特殊召還!」

 

サイバードラゴン A2100/D1600

 

「なっ!?レベル5のモンスターを生け贄なしで召還だと!?」

 

十代が驚いた様子でカイザーのサイバードラゴンを見ている。

 

「[サイバードラゴン]の効果だ。サイバードラゴンは、君の場にモンスターが存在し俺の場にモンスターが存在しない場合手札から特殊召還出来る。」

 

カイザーの説明を聞きすげぇと羨望の眼差しを向ける十代。

心なしかサイバードラゴンが誇らしげな顔をしている様に見える。

 

「俺は、手札から速攻魔法[禁じられた聖槍]をエアーマンに発動!この効果によりこのターンエアーマンは、攻撃力が700ポイントダウンしこのカード以外のカード効果を受けない!」

 

E・HEROエアーマン A1800→1100

 

「何!?」

 

「これによりエアーマンは、スカイスクレイパーの効果を受けなくなる。サイバードラゴンでエアーマンを攻撃!エボリューションバースト!!」

 

サイバードラゴンの攻撃により十代の場のエアーマンは、消滅する。

 

十代  LP3000

 

「くっ、だが俺はトラップカード[ヒーロー逆襲]を発動!自分フィールドのE・HEROが戦闘で破壊された時、自分の手札から相手は、一枚を選択し選択したカードがE・HEROモンスターであった場合そのモンスターを特殊召還し相手フィールドのモンスター一体を破壊する。さぁあ、カードを選べ!カイザー!!」

 

「真ん中のカードだ」

 

カイザーは、少し考え真ん中のカードを選択した。

 

「よっしゃ!あんたが選んだのはコイツだ!来い![E・HEROバーストレディー]!」

 

E・HEROバーストレディー A1200

 

「そして[ヒーロー逆襲]のもう一つの効果によりサイバードラゴンを破壊!!」

 

カイザーの場に居たサイバードラゴンはヒーロー逆襲のカードから放たれる光に当たり爆散する。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

カイザー  LP4000 手札3 場1

 

「俺のターンドロー![E・HEROプリズマー]を召還!プリズマーの効果でデッキから[E・HEROクレイマン]を墓地に送る」

 

E・HEROプリズマー A1700

 

「良し!プリズマーとバーストレディーで『トラップ発動![威嚇する咆哮]』なっ!?くっ、ターンエンド」

 

十代 LP3000 手札2 場4

 

「くぅうう!楽しいぜ!こんなワクワクするデュエル!!」

 

「ふっ、俺もだ」

 

十代がデュエルの感想を言うとカイザーもそれに同意を示す。

そんな兄の顔を見て翔は、何かに驚いている様だ

 

「お兄さんがアニキを認めている」

 

翔が呟いている事に本人たちは気付いていない

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード[強欲な壷]を発動。デッキから二枚ドロー。魔法カード[大嵐]、フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する」

 

カイザーの発動した大嵐によって十代の場の伏せカードとフィールド魔法が破壊される。その様子に十代も危機感を感じているようで冷や汗をかいている。

 

「そして魔法カード[融合]を発動。手札の[サイバードラゴン]二体を融合![サイバーツインドラゴン]を融合召還!!」

 

サイバーツインドラゴン A2800/2100

 

「なっ!攻撃力2800!」

 

「それだけではない。サイバーツインドラゴンは、一度のバトルフェイズに二回攻撃が出来る」

 

「二回攻撃!!」

 

「そんな事が!?」

 

サイバーツインドラゴンの効果を聞き驚きを隠さない隼人と翔。明日香もさすがにまずい状況だと感じては居るが十代ならと思っている節が若干見られる。

 

「サイバーツインドラゴンでプリズマーとバーストレディーを攻撃!エボリューションツインバースト!!」

 

「ぐぅあ!」

 

サイバーツインドラゴンの連続攻撃により十代の場がら空き状態になる。

 

十代  LP300

 

「ターンエンド」

 

カイザー  LP4000 手札1 場1

 

「俺のターン、ドロー![E・HEROバブルマン]を召還。バブルマンの効果、召喚時に自分フィールドがこのカードのみの場合デッキから二枚ドローできる。魔法カード[天使の施し]を発動してデッキから三枚ドローし二枚手札を捨てる。そして魔法カード[戦士の生還]を発動!墓地から[E・HEROクレイマン]を手札に加える。魔法カード[融合]を発動!手札のバブルマンと場のクレイマンを融合![E・HEROマッドボールマン]を守備表示で融合召還!」

 

E・HEROマッドボールマン A1900/D3000

 

「よし!守備力3000ならそう簡単に越えられないんだな!!」

 

「俺は、カードを二枚伏せてターンエンド」

 

十代  LP300 手札0 場3

 

「俺のターン、ドロー」

 

カイザーは、ドローカードを確認すると一瞬口元緩めすぐに十代に目線を向ける。

 

「遊城十代。君のデュエルに敬意を示し俺も全力で君を倒しに行こう」

 

カイザーの言葉を聞き、十代は苦笑いを浮かべながらカイザーを見ている。そしてカイザーの言葉に最も反応を示したのはカイザーの弟、翔であった。

翔は、二人のデュエルで何かを感じたらしく先程までのおどおどした様子は無くなりまっすぐ二人を見ている。

 

「俺は、魔法カード[天よりの宝札]を発動!互いのプレイヤーは、手札が6枚になる様にドローする。魔法カード[死者蘇生]を発動!墓地の[サイバードラゴン]を特殊召還!さらに魔法カード[リミッター解除]を発動!このカードの発動時に自分フィールドに存在した機械族モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで二倍にする」

 

サイバーツインドラゴン A5600/D2100

サイバードラゴン    A4200/D1600

 

「攻撃力5600と4200!?」

 

「しかもサイバーツインドラゴンは、一度のバトルフェイズに二回攻撃出来る!亮はこのターンで決めに行くつもりね」

 

驚く隼人と明日香、しかし遊と玲治は表情一つ変えずまっすぐ二人のデュエルを見ている。

 

「行くぞ遊城十代!サイバーツインドラゴンでマッドボールマンを攻撃!」

 

「トラップ発動![ヒーローバリア]一度だけ攻撃を無効にする!」

 

「だがサイバーツインドラゴンはもう一度攻撃出来る!行け!エボリューションツインバースト!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法[融合解除]!!」

 

マッドボールマンの融合が解除されバブルマンとクレマンが表側守備表示で特殊召還される。

 

「ならばサイバードラゴンでクレイマンを攻撃!エボリューションバースト!!」

 

サイバードラゴンの攻撃でクレマンが破壊される。

 

「くっ!だが耐えたぜカイザー!!」

 

「まだだ!十代!速攻魔法[融合解除]!サイバーツインドラゴンの融合を解除する。来い[サイバードラゴン]!!」

 

サイバードラゴン  A2100/D1600

サイバードラゴン  A2100/D1600

 

カイザーの場にサイバードラゴン二体が特殊召還される。

 

「そんな!?」

 

「すごいタクティクスなんだな!」

 

「お兄さんは本気で!」

 

上から明日香、隼人、翔である。凄まじい攻防が続くデュエルを目の当たりにし呆然と見ている三人。

 

「こんなデュエルなかなか見れないね」

 

「あぁ、お互い全力を出しているからなのかね」

 

玲治と遊は二人のデュエルを見て感嘆していた。

 

「行け!サイバードラゴン!バーストレディーを攻撃!!エボリューションバースト!!」

 

「くっ!」

 

「もう一体のサイバードラゴンで十代にダイレクトアタック!」

 

「まだまだ!墓地の[ネクロガードナー]の効果を発動!このカードをゲームから除外して一度だけ戦闘を無効に出来る!」

 

十代の前にネクロガードナーの影が現れサイバードラゴンの攻撃から十代を守る。

 

「すごいんだな!十代!!」

 

「さっきの天使の施しの時に墓地に送っていたのね」

 

「アニキ!」

 

十代のタクティクスに感嘆する3人。

しかしそれで終わらないのがカイザーである。

 

「俺は、速攻魔法[瞬間融合]を発動!俺の場の[サイバードラゴン]三体を融合![サイバーエンドドラゴン]を融合召還!」

 

サイバーエンドドラゴン A4000/D2800

 

それは、先程のサイバーツインドラゴンを上回る大きさの三つ首の機械竜であった。

 

「マジかよ!」

 

十代は、驚いていた。今の攻防は、今までの自分の中でも最高の出来だった。しかしカイザーは、それを上回るタクティクスを見せつけて来たのだ。

悔しさを通り越して愉快にすら感じる。

そんな状況で十代は、まっすぐカイザーを見据えていた。

 

「これで終だ!サイバーエンドドラゴンの攻撃エターナルエボリューションバースト!!」

 

サイバーエンドドラゴンの攻撃に十代の僅かなLPは0になる。

デュエルに勝利したカイザーは、何も言わずにその場を後にしたがその顔は満足した様子であった。

 

「アニキ!」

 

「十代!!」

 

翔と隼人は十代に駆け寄る。明日香は、その場を後にしたカイザーを追って行った。

 

「どうだった?学園最強の実力は」

 

「うん?まぁさすがって感じだよな」

 

玲治の質問に遊は、すこし考えて応える。

 

「まぁ、でも翔が何かを掴んだっぽいからそれで十分」

 

「ふ~ん」

 

玲治は、そう言いながらその場を後にした。

遊も十代たちを見やった後、玲治の後を追いブルー寮に戻って行った。

この時、先に行った玲治が怪しい笑みを浮かべている事を遊は知る由もなかった。

 

 




次話「制裁デュエル ()」

前編、後編に分けるかどうか決めかねているので()付けときます。

昨日からゴールデンウィークと言う方も多いかと思いますがどうかお体に気をつけて御過ごしください。
コメントをくださった皆様ありがとうございます
今後は、この場でお礼申し上げます


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