鯖民がリアルデジタライズしたようです (棃音)
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※この小説はMickserverのプレイヤーがRPG的なストーリーとかを作ったら面白いんじゃね!?と思って書かれたものです、また、作者は.hackが大好きなので、.hackの話をすることもあります、そして、Mickserverに中毒性はありません、とても楽しいサーバーで、なんの危険性もありません(Mick中毒者のセリフ


花粉辛いな……今日はとても辛い、いろいろと、それよりインしなくては(使命感

まあ、今は外だし、端末持ってないからログインはできない

 

《RIONN》としてMickserverで活動

年齢は明かしていない

妹がよく話題に出る

 

「……ん?」

歩いていると何かを蹴った、かなーり薄いものだが蹴ったで間違いは無い、踏んだりはしていない、そしてその蹴ったものを確認する

「なんだこれ…?」

どこかで見たようなケースに入ったディスク、何か書いてるわけでもないしDVDに比べるとかなり小さい

「……これ、どっかで…あー?」

頭に浮かんだのは.hack//linkの黒いディスクじゃね?と、いや、そんなわけはない、厨二病には少し遅すぎる、現実を見る、だが……

「……ゴミ、なんだよな?」

ここですこし試してみてもいいが流石に誰かに見られても困る、一旦家に帰り試してみようと考えたわけだ

家なう

「……」

試したい、だが……

「……もういいや、今度にしよう」

と適当にボックスに放り込む、そして端末からMinecraftPEを選択、Mickserverを迷わず選択

「はぁー……」

ため息をつきながらチャットを開き挨拶をしようとする

「……ん?」

GUIがない

「GUI消したっけ……」

その時気づいた

「……おいおい…嘘だろ…どこだよここ…」

画面がない、そして次に思ったこと

「あ……これリアル司状態じゃね?」

なんとも呑気だ

「……ってそんなこと言ってる場合じゃねぇし!なんだよこれ!?……何か?モルガナか?AIDAか?これどうなってんだ?やばいワクワクしてきた……って違う……まずチャットを…」

『チャット』という言葉に反応したのかチャット欄が現れる

「……なるほど」

この世界のルールを少し理解した

「オプション」

オプションが現れる、迷わずログアウトを選択結果は期待通りログアウト不可

リアルの自分?周りの心配?知るか!リアルなんてクソみたいな世界だし、気にしなくていいや

という考えに

「とりあえずチャットを……」

チャット欄を開くとキーボーモが出る、キーボードを使い、チャットを打つ

《よーー 》

《どうもー》

とりあえず情報を集める

《なんか異常ないか?》

《え?》

《テスト鯖だからじゃね?》

周りには異常はないらしい、まあ、仕方ない、しばらくこの世界で暮らすか、一生暮らしたいくらいだけどな、そして、人の形、つまりだ、自分のスキン(自作のバーテンダー)の服を着ているようだ、普通と人っぽい手とかしてるし周りと協力していろいろ調べるかな




※今回メイン陣営は出ない(遅すぎ
*更新不定期
*暇なときに書く
*Mickは面白い
*.hackも面白い


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マジかよ……

ひっさびさの更新だなぁ……


「……飽きたな」

困ったことにhubにはだれもこない、NPCはマイクラのスキンと変わらないカクカクした形をしている、こいつらから情報……なんてことは無理だろうからやらない、てかこいつ嫌い(Mickのルールを教える自称スティーブ)こいつ以外に聞きたい、まともな人間に、てか目線が痛いし早く離れよう

※NPCは常にプレイヤーを見ている

しかしこのhubワールドを出ればモンスターが湧き放題の危険区域、かなり覚悟がいるだろう、速攻で酒場に入ろうと思う、だが丸腰でいくわけにもいかない

「インベントリ」

まず目に入ったのは弓と大量の矢、これは一番得意な武器だ、実際に使えるかは別として

「試してダメなら剣を振るか」

そう思い弓を構える、矢は自動装填、ここがゲームの楽なところだ、そして弓を引く

キリキリキリ……

「……ふー…」

息を整え、前方の柱を狙い、撃つ

トッ

狙った場所より微妙に低いところに刺さる

「チッ……だが初めて使うにしては上出来か、もう一度……」

今度はやや上を狙い撃つ

トッ

今度は狙い通りの場所だ

「……まあ、いいか、これで、もう少し早く撃てるように練習しとこうか、インベントリ」

インベントリを開きダイヤの剣を掴みとる

インベントリのアイテムは掴むと取れる

「お、両手持ちができる、ver.1.9みたいだな」

鞘みたいなものが欲しいところだ、それさえあればすぐに剣が使えるのだから

「さて、行くか」

「な、なにこれ!?」

「……は?」

どこかで、いや、ものすごい聞き覚えのある声が耳に入ってくる

「いや、ない……よな…?」

リスポーン地点は180°後ろだ、振り向くのはとても勇気がいる、だがないと決めつけ振り向いてみる

「……なんでいるんだよ!」

別の姿だが一瞬でわかった、一応血縁者だし(ジョースター的なのはないけど)、そのスキン作ったの自分だし

「え?ちょ……まさか…兄さん?」

「嘘だろ……こんなのマジで笑えねぇんだけど…てか……お前なにインしてんの!?禁止したよね!?」

ダイヤ剣を片手に近寄る

「ちょっ!?まっ待って!す、すこーし気になって!ごめんなさい!謝るから!殺さないで!」

「あ、い、いや、殺しはしないよ……」

こいつはもう察している方も多いだろうが妹である

NERO

13

兄に背が低いということなどいろいろリアルの話を周りにされる

「ほ、ほんと?」

「殺したら情報搾取できねぇだろ」

「拷問でもする気!?」

「いや、あー……まあいいや、リアルの自分意識不明でぶっ倒れてんのによくゲームできんな」

「え?端末のそばにはだれもいなかったよ」

「!?……電源は」

「入ってなかった〜」

「……てことはリアルデジタライズでもしたのか!?」

「端末からじゃなく黒いディスクからだよね、それ、あと4年後だよ」

「いや、帰りにディスクを拾ったのよ実は」

「てかそんなことよりさ、兄さんの身長リアル通りだね、多分」

「……そういやお前も違和感なかったわ」

「とりあえず操作方法だけ教えとく」

 

 

 

「ってこと、わかったな?」

「一応ね」

「んじゃあいくぞ!」

「……どうか生きてたどり着けますように」

「狂犬のように!敵を殲滅してくれるわっ!ヒャァッハァァ!」

「……アンデットとか怖い系ダメなくせに(ボソッ」

 

 

 

 

「……なんも出なかった」

「よかったねー」

「……ワープ、か、体バラバラになったりしねぇよな?」

「怖いこと言わないでよ!?」

「……先行け」

「妹を実験台にする気!?!?」

「あんたNPCだかなんだか知らないがこいつ送ってくれないか?」

NPCはこくりと頷いた

「え!?ちょっ!?」

姿は一瞬で消えた、瞬間移動とかなら体がぐちゃぐちゃになるだろう、ワープなら安全ということか?さて、どんどん迫ってきやがるな、この死体が!

「チッ……マジでこういうの見れねぇんだよ!いい加減にしやがれ……」

一撃で仕留めるなんてのは不可能なんだろうか……とりあえず、弓を弾ける距離はないため剣を握る

「悪いな、先に本物の戦闘ってのを……味あわせてもらうっ!」

まず横に斬り裂く、腕が落ちた、どうやら、部位破壊があるようだ

「……へぇ…仕留めるか…死ねやっ!」

何度も斬りつける、恐怖をそれに押し付けるように、気づけば相手は消滅していた

「……はぁ…」

そろそろ腹決めて進むしかねぇな

「頼む」

 

 

 

 




小説ぐらいカッコよくなりたいよね、RIONNって自分です、次回からMickで出たいって言った人たちいれますね(設定詳しく書かなかったやつ入れない


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ヤバイだろこれ……

「兄さん!?なんで私だけ送ったの!?」

「っせぇよ……さっさと行くぞ」

「……?すごい汗だくだけど」

「発汗とかすんのかよ……いよいよリアルだな」

感圧版を踏みドアを開け、届かないレバーを剣で叩いて下ろす、スタッフルームから再生のポーションを選ぶ、ゴクゴクと音を立て、飲み干す

「マズイ……」

だが喉は潤う、水分補給も必要なゲーム……か

「はっこんなのただのサバイバルゲームだろ……」

そう言い聞かせ、水入り瓶をネロに投げつける

「わっ!?ちょっ!?投げるときは言ってよ!?」

「っせえよ……」

ログを見ているとログインが承認された人が出た

Windowzxp55が世界にやってきました

「うぃんさんきたぞ」

「ほーい」

《ノ》

《ノ》

《え!?ネロ端末持てたの!?》

「借りたことにしとけ」

《借り物ですー》

「……ウィンさんだけ反応しねぇな」

「……ねぇ」

「見てくる」

/hubを打ち込む

ドン

「っと」

移動地点に人がいたらしい

「大丈夫ですか……?って聞こえないか」

「誰?」

「喋っ……あなたこそ誰でしょうか」

「……」

「ゲームネームで構いません」

「Windowzxp55」

「うぃんさん!?自分です!棃音ですよ!」

「リオン!?まさかリオンも!?」

「ネロもです」

hatirokumasaが世界にやってきました

「うわっ!?」

「…このタイミング……」

「……!?!?」

「……hatirokumasaさんですか?」

「…はい」

「丁度いい、この世界のことをお教えします」

「おれにも頼む」

「……あなたは誰ですか?」

「sabamiso_sabuと言えばいいんですかね、あとhikariさんもいます」

「なんだよこれ……」

説明中

 

 

「わかりましたか?」

「うん、一生遊んでくらせんのか」

「いや、死ぬかもしれない」

「一回は戦ったリオンに全部任せる」

「あんたら全員武器持ちだろうが……酒場行きますよ」

「おー」

 

 

「お、牛……」

「よし、ぬっころして食べよう」

うぃんさんが剣を持ち近く、一撃で斬り伏せ肉と皮が落ちた

「十分戦力じゃないですか」

「ちょっ!?後ろ!」

鯖味噌氏が叫ぶ、後ろには蜘蛛やエンダー、死体、つまりモンスターが迫っていた、こんなに一度に出るものなのか!?……待て、今何人だ?5人固まっている、その状態で止まってると?

 

鬼湧き不可避

 

「案内人のところまで戦いますよ!」

剣を握りエンダーの脚を斬った……ハズだった、が消えた、マズイ、他の人たちは弓や県で応戦を始めているが焦っている、誰も戦闘には慣れていないのだ、このままではまずい

「ッ!?」

背後から重い一撃、エンダーマンだ、振り返ると同時に斬るが当たらない、hikariさんは蜘蛛を弓で撃ちぬき、仕留めた、hatirokumasaさんも死体を始末した、うぃんさんはすでに終わらせていたらしい、早く済ませないと

「どう戦えってんだよ……」

エンダーが距離を詰めてくる

「そこだ!」

剣を突くように前に押し出す

ブォン

消えた、だがエフェクトの先は……

「左斜め後方!」

脚を斬った感覚がある、攻撃を食らう前に

「トドメ!」

エンダーの倒れてきた体を、斬りあげ仕留めた

2回の戦闘でここまで強くなった(気がする)経験積むべきだ

「他のが湧く前に動きますよ!」

案内人のもとにたどり着きワープする

「っぶねぇ……」

「助かったぁ……」

「かなりキツイな」

「ネロのとこ行きますよ」

「ネロたんのリアルの顔見れんのか!」

「あ、これ顔スキンのもののようですよ」

「チッ……」

「あ、でもバーテンダーの服だからあいつ髪金色なんだよな」

「ロリでパツキンとかww」

「あいつマジでちっさいか…らっ!?」

階段を下りる途中に矢が頬をかすめる

撃ったやつはわかりきっている、おとなしく手を上げよう

「やめろ、降伏」

「なんて言ったのかな?」

「なーんも言ってなーい」

「兄がなんて言ったか知ってます?」

みなさんお優しい、首を振り否定してくれた

「チッ……愚妹め……(ボソッ」

「なんか言った?」

「撃ってみろ…よ!?」

マジで撃ってきやがった、周りの人が目に入ってないな、しかし剣で防げなかったらヤバかったわ

「お、おいネロ……」

「…?」

「人、いるんだぞ?」

急に縮んだ気がする、ネロは人が周りにいると口数が減る、人見知りの酷い版なのだ、これにより自分は助かった

「……」

「…みなさん楽にしててください、こいつどうにかしてきます」

スタッフルームに連れて行き、クォーツの椅子に座らせる、チェストからカーペットを取り出し、テーブルで重ね、毛布のようなものを作る、この世界にはレシピは存在しないようだ、好きなものを好きなように作れるのだ

「ほれ、これ被って寝てろ」

「布団…は?」

ねぇよんなもん……と言いたいが

「羊毛余ってるからベッド勝手に作れ、じゃあな」

とりあえずネロの人見知りは寝ぼけてる間……というか起きてすぐはならないため少し寝かせることにした

 

さて、この世界での活動方針の会議と行こうか



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目線が痛い

新参者はまだ出ないぞ、今いる奴だけで大変なんだから


「……暇だ」

「……」

このNPC、冒険者少女は何もしゃべらず佇む、動いたり話したりしないと怖いよはっきり言って

「りおんー、酒」

「酒という名の毒で死にたいんですか?わかりました」

「遠慮します」

うぃんさんは即発言を撤回しクォーツに座り机に顔を当てている

「ったく……」

そういやこの間エンチャントが実装されエンチャントスペースができた、そこの本棚の本でも見てみるか

ふっつうに本が取れてびっくりだ、600ページくらいか?この本

「なんの本だ……?」

ページを開くと予想外なものが目に入る

図、何かのパーツの図に材料表の様なもの、これは面白い、1ページ読むのにかかる時間?20秒もいらない、読み続ける、どんどん加速する、読めば読むほど面白くなるのだ、昔メカニックに憧れたがこれならそれになれるかもしれないな

一つ気になったものがありページをめくる手が止まる

「……へぇ」

「さっきから何熱心に読んでたの?」

「黙ってろ、面白いものができる」

話す時間がもったいない、焼き石を割り、削り、鉄を溶かし、型に流し込む、その型を水に投げ入れ他の型を作る

「暑い……」

カン カン カン

音を立て鉄を整形する

あの本の図の通り形を作る

水から型を取り出し、中からバネの形をした鉄を取り出す

「しっかりできてるな……」

鉄同士を組み合わせ、だんだん形が出来る

「オモチャじゃない本物……!」

そして次は火薬を取り出し、何かの入れ物に入れる、丁寧に、量を調整しながら

息を止め、火薬を入れ、その作業を終えたらまた新たなパーツを作っては合わせる

カチャ ギッ カッカタン

うまくはまったそれは見たことのある形になった

「ハンドガン……本物の」

スタッフルームには誰も入れない、いや、ネロは入れるのだが、暑くて出て行ったのでこの部屋はとても散らかり、困った状態だ、だがそんなことは全く気にせず長い時間をかけて作ったそれを眺めている

「……これ、撃てるのか?」

マガジンに弾を入れ、撃てるようにする

「……いい重さだな、まさに本物だ」

誤射をしないようにセーフティーはかかっている、ちなみにこれはデザートイーグルというお気に入りの銃だ、高火力だが反動が酷いらしい

「…試すか」

スタッフルームから出て一応声をかけて店を出る

「少し出てきます、騒音が聞こえるかもしれません」

運がいいのか悪いのか、目の前にはアンデット、セーフティーを外しながら構え、狙いをつけ

「……ッ!」

バァン

大きな発砲音に目を瞑ってしまう

「痛い……」

手が痺れる、目の前のアンデットはHPが0になったらしい、種が落ちている

「これ、使うには厳しいんじゃねぇの?」

他の銃を作るべきかもしれないな

「手の痺れ、これ、すぐ治るのは助かるな…しかし……リアルとほとんど変わらない……か」

店に戻ると何にかが寄ってくる

「なんの音だったんだ?」

「爆発音みたいでしたが……」

言えば試したくなるだろう、危険物だ、おもちゃにしちゃいけない

「いや?匠でも爆発したんじゃないかな」

マインクラフターからすればそれは十分納得できる理由となる

「そっか」

「ちょっと用があるから、んじゃ」

スタッフルームに入り次は他の本をとる、正直興奮が収まらない

「え……」

目に入ったのは剣、それもただの剣ではなく

「双……剣!?」

鉄をうち、その形を作る、できたそれはまさに憧れの勇者の剣だった

「…こりゃあ…また、素晴らしいものを」

何度か握り、少し振ってみる

「これを機会に近接、やってもいいな」

剣を置き、他のページをめくる

「……そう、か」

どんどんページをめくり続ける

「いいな……これ」

そう思い、また作る、カウンターには人の山、作業をしてるのがわかる程度だ、詳細はわからない

「狂犬、いいな」

棃音の手にはドスが握られていた

いろいろな本にいろいろな武器のレシピ……

「面白い、かな」

作った武器を持ち、カウンターに向かう

「みなさこれをご覧ください」

「ドス!?」

「剣……?」

「こんなの作れたか……?」

「どうやら、この世界には新たなレシピがあるらしい……このサーバーを、より楽しめるって考えていいのではないでしょうか」

「だな」

「あ!俺にもなんか武器を!」

「同じく!」

適当に作れるものを選ぶ

「よし、これだな」

鉄を溶かし型に流す

最終的に日本刀が出来上がった、刀身が少し長い、刃の部分を研ぐのは自分でやれということにして形だけの日本刀を木製の鞘に収め、運ぶ、砥石になりそうな石も、持って行き、配る

「切れ味は自分次第って事で」

「了解」

「こういうの苦手なんだが」

「んなことより衣服を用意したい」

「……」

ちょっとすれば黙々と研いでいる、おもちゃじゃないのは承知してるんだろうな?と聞きたい

「……さて、ネ〜ロ〜」

「何」

「人見知りモードってか……」

双剣を渡す

「近接の武器ないだろ、持っとけ」

「うん」

……ドスしかねぇ……せめて兄さんならまともに使えたんだろうが

「練習あるのみか」

ここの本だけじゃ足りない

もっと色々欲しい、そう思った

 

 

 

 



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許可しない

「……あ」

棃音は思った

「ここにいなくても社宅(w)にいけばいいじゃん」

「は?」

「え?何それ」

「この敷地内にある家、数人は寝泊まりできるか……ストップ!NO!そのキラキラ光る刃物こっちに向けないで!」

酒場から警戒しつつ外に出て畑を超え木造の建物に逃げ込む

「ふぃ〜、危なかったぁ…」

「何もいないのに?」

そんな会話が聞こえる中気づいた

「あの馬鹿いないぞ」

馬鹿とはネロの事である

「え?」

「あ、ほんとだいない」

「んな呑気してる場合か!?」

全くである

「hatirokumasaさんも居なくないか?」

「……あの馬鹿だけならまだしも……探すか」

「え……外でたら死ぬかもしれないのに」

「何のための武器だ」

「自分を守るため」

呆れる

シャァァァ……

ドスを抜く

「ほな、いっちょやろか」

「わぁったよ、いきますよ」

だが人数が集まりすぎた、エンダー、死体、蜘蛛、お豚様

「お豚様には触れるな!散って探せ!」

この敷地内ならすぐ見つかるだろうが……もし外なら、それに二人とも別々なら

「危険……か」

死体がよってくる

「ッ!だから!その面ァ見せんじゃねぇよ!寒気がするんだよッ!」

0距離で何度も切りつける

1撃のダメージは5、だが剣より早く攻撃ができる点ではこちらの方が上だ

クシャクシャ

「この音……蜘蛛か!」

頭上から落ちてくる蜘蛛にドスを投げる、綺麗に刺さり、悲鳴を上げ絶命した、ドスだけ落ちてくるがキャッチは不可能と判断して回避

「っぶな……」

ドスを抜き、構えたまま周囲を警戒する

「一度開けた場所に出るか」

開けた場所に居れば発見される可能性は高くとも安全を確保しやすいのだ、他の人の状況も確認できるだろう

しかし場所が悪かった、一気に何体ものターゲットをもらってしまった

「……じ、冗談きつくね?」

無慈悲にも長身の体から繰り出される鉄槌をくらう

そこに追い打ちとばかりに蜘蛛や死体が迫る

「……くッ…」

恐怖……いや、怒りだ

「こいつら……」

殺してやる

初めてのダメージ、そんなの別に構わない

だが、何かわからないが沸き立つものがある

怒りでグラグラと煮えた頭を地面から拾った雪で冷やしながらドスを握る手に力を込めた……筈だった

「……!な、ない!」

殴られた時にドスを手放してしまったのだ

敵は迫っている、絶望的状況、怒るまま死ぬのか

そう思った

ザシュッ ズバッ

死体と蜘蛛の首が飛ぶ

「……来たんですか」

シュッ

最後の太刀筋は見事だ、とても綺麗に切れた

「ありがとうございます、助かりました、うぃんさん」

「リオンだけ帰ってこないから見に来たけど、なんでこんなタゲもらってんの?w」

「笑えないんですけど」

遠くに見えるお豚様が絶命した、hikariさんの一撃で

この人たちは強くなっている

「hatirokumasaさんは見つかりましたか?」

「ネロたんは心配しないのかw居たよ、2人とも」

「それならよかった……自分は少し、行ってきます」

近くに落ちていたドスを拾い、握りしめ、遠くに見える死体に向かい走る

「ちょっ!」

シュッ

軽く切りつける

シャッ シュッ シャシャッ

何度も斬りつける、怒りを思いっきりぶつける

「死人にそれは酷くない?」

HPを削り切ったがまだ気が済まない

しかし今はこれ以上はできない

 

 

「ねぇ兄さん?」

「あ?」

「あんな面倒な作業しなくてもこの本の作業台とかかまどとかで作れるよ?」

「……は?」

その本は何が書いてあるか読めない、いや、文字ですらないのだ

「あのねー、んじゃあまずくラフティングテーブルを4つクラフトして〜」

「超クラフティングテーブル!?なにこれ」

それを設置、2×2のサイズで10×10の網目があった

「んで、丸石をそれにこう並べて」

何かの台のような形に並べたものが形となり、工業用の何かになった

「で、鉄を精錬したりするといいよ」

「かまどかよ」

精錬済みの鉄などから型を選び作れるらしい

「……誰でもできんじゃん」

「そだねー、兄さん用済みかな?」

「……そりゃさ、自分には何の才能もないゴミ屑のような(ry」

「言い過ぎじゃない?w」

「いつもの仕返し〜」

 

 

 

 




後半のものつくりはネロ著となります
ネロ「ま、こんなものでしょ?」
棃音「……僕って……僕の存在する意味って何……」
ネロ「ないんじゃない?」
棃音「……」←HP10/0


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魔法使いとはなんぞ

三人称、hikari氏side

hikari氏が武器をエンチャントしてみようとエンチャントテーブルに近づいた

パラパラパラ

本のページがめくれる

シュウゥゥゥ

文字が集まりページに文章が現れる

「……?」

何かの説明のようだった

「ブレインコントロール?この魔法を使いしもの、魔導師の素質ありし者、自らの脳に傷をつけながらも相手を操ることができる、脳の傷はすぐ治るであろう、知恵もちしものに使えば傷は大きくなることを覚悟せよ……?」

なぜ言葉にしたのだろう、読み終えたと同時に棒のついた本が現れた、魔典という奴だ

「お、おぉ?」

パラパラパラ

またページがめくれる

「また、か?」

今度は文字が現れたものの読むことはできない

パラパラパラ

「まだ捲れるか」

次は読めるものだった

「人を癒そうとする魔法を与えん、ヒール」

書いてある文字はそれだけだった、だがその文字は魔典に吸い込まれていく

「これで使える、のか?」

パラパラ

「またかw次は攻撃系で頼むw」

これも読める

「氷を操る資質のあるものよ、この魔法を与えよう、アイススピア」

また文字が吸い込まれる

そのあとしばらく待ったがページは変わらなかった

 

 

 

「逐一酒場と社宅往復するの大変だな」

そんなことを言っている彼に危機が迫っているとは誰が知っていようか

「ヴァァァ」

死体だ

「魔法を試してみるか、アンデットにはヒールって効くのか?ヒール」

体が操られるように動く、魔典を向け、そのまま固まる、周囲に暖かい光のようなウェーブが現われる

「な、なんだこれ?」

だがすぐ理解する、これは詠唱のようなものなのだろうと

光が強くなり消える

「ヒール!」

死体に向け放たれたそれは一撃で消し去る、攻撃魔法と勘違いしてはいけない、回復魔法だ、アンデットにはダメージになるだけで

キシィィィィ

蜘蛛が迫っているようだ

「ブレインコントロール」

緑色のウェーブが現れる

詠唱は短く2.3秒で終わった

「ブレインコントロール!」

視界が変わる、色あせた風景に自分の姿、蜘蛛に憑依したかのように、だが蜘蛛を操ることができるわけではないらしい

「後ろを向け」

命令してみる、その通りに向く、その先にはエンダーがいる

「エンダーを攻撃しろ」

蜘蛛が距離を詰め攻撃する、エンダーマンの反撃を蜘蛛が受けると激しい頭痛とともに視界が元に戻る、どうやらダメージはこちらに来るらしい、モンスターは仲間割れをしている、今最後の魔法を試すチャンスかもしれない

「アイススピア」

氷が取り囲むように現れ、静かに消える

「くらえ!」

二体のモンスターはHPが0になり消えた

ダメージは

-280

凄い威力だ、これは報告するべきかもしれない

 

 

RIONNに戻ります

「え?魔法?そんなゲームみたいな」

「これゲームだし」

「……」

なに?頼んでもないツッコミありがとう、だけど今はふざけてる場合じゃないからね?

 

 

 

 

 

「エンチャントテーブル作るべきだな(確信」

「へー」

そして作られたエンチャントテーブル

パラパラパラパラ

「なんだ書いてるんだ?」

「え?日本語じゃん、読めないの?」

他の人も読めないらしい、つまり誰かに適性があるらしくうんたらかんたら

「じゃあ読むね、アースクェイク、範囲内の敵を一度に攻撃できる、地面から岩が突き出し敵を貫く」

「イルーナじゃねぇか!?」

思わず突っ込んでしまった……

「あ、これも読める、メテオストーム、広範囲に隕石が降り注ぐ」

「だからそれもイルーナじゃねぇか!しかもハイウィザードの!それ絶対僕のだろ!」

「読めないってことは魔法使いの素質ないんじゃないんですかねえ?」

「あきらメロン」

周りがうっさい

「次〜、クイックスペル、周りの人のスキル発動を早くするってさ」

「もう突っ込まない、どこかで似たようなの見たけど突っ込まない」

「あ、これはー」

とネロだけが読めるエンチャントテーブルを見続けたのであった、だが中には誰も読めないものもあった、酒場のものはhikari氏しか読めない……(みんなで見てきた

「あれ?これ一人ひとついるんじゃないか?読めないのは強くなれば解放されるとか?」

と思ったことを言ってみる

「遅いよ〜?」

「は?」

ネロがエンチャントテーブルの本を閉じる

ここの文字、読めるよね?

英語でNEROと彫ってあった、ざけんなこの野郎

つまり一人一つ作れと……命かけてロマンをと思ったやつは少なくないらしい

「行こうか、地獄の資源ワールドに」

やはり馬鹿だろ(褒め言葉

まあ、遊ぶなら思いっきり遊ばにゃならん、楽しんだ方が勝ちなんだ

「んじゃ、頑張りますか!」



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まさに地獄

「覚悟決めますか」

「死んだら許さんからな」

「魔法使い二人頑張ってね」

「……」

「あかん人見知りモードやん」

 

そんなこと喋りながら資源へのゲートをくぐる

「……飛ぶか」

「水に浸かりながら行こうね」

「ここで死んだら笑えないからな」

「水は下に流れてるわけではない、だから問題ない」

確かに水源であって水流ではないな

トポン

そんな音ともに水につかる

「冷たっ!?ふ、服もびしょびしょに!」

「「「www」」」

マジで冷たい、リアルのように服も濡れている

「あ、足つった!ちょっだれか!」

もちろん嘘だ、笑い転げてる愚妹を引きずり込む口実だ

「ちょっ!?に、にいさん!あれ!」

「……うそだろ……」

遠くにガストが見えた

「ま、まずい!早く地下に潜りますよ!」

とりあえず水中に潜り移動している

もうすぐ陸だ、息継ぎもしているため問題はない

「待って、自分が先行します」

自ら出てすぐに物陰に転がり込む

周りにモブはいない

「来てください」

段差のある場所に隠れるのにはそう時間がかからなかった

「……よし、ここを掘っていきますよ」

インベントリからツルハシを引っ張り出す

2×2の広さで掘り進めようとする

「これどう掘ればいいんだ?」

採掘なんてリアルでしたことあるやつがいるわけもなく……

「……仕方ない、ここを階段掘りしよう」

スコップを取り出し土を掘ろうとする

カン

「……は?」

そりゃ驚くわ、変な音立てて弾かれたんだから

「……こんにゃろ!」

土をスコップで殴る、するとアイテム化した

はぁー、殴れってかそこからは土や石をひたすら殴りまくった、いつもの場所まで行けば方向を変えひたすら掘る

「あった」

ダイヤモンドを取得、これでエンチャントテーブルを作れる

「hubに直通しますか」

「待って、本のための皮をとっておこう、サトウキビも」

「危険だけど…仕方ないか」

地上に少し顔を出す

トッ

真横に矢が刺さる、スケルトン、いや、ノリスケだ、ぬっ殺すのはきつい、逃げなくては

「んの前に!一発!」

デザートイーグルを打ち込む、骨が砕け消え去る

「ってぇ…早く動く!ほかきたら対処できませんよ!」

「いいなぁ……ハンドガン」

「んなこと言ってる場合ですか!」

「きた!!メテオストーム!」

隕石が降り注ぐ、周りのモブが消滅するが地形もボコボコになる

「それ乱発禁止!皮落ちたぞ!」

サトウキビは確保できていたらしい、皮も手に入った、あとは逃げるだ……

「がっ……」

ウィンさんが打ち上げられる

「アイアンゴーレムだ!」

「ブレイズも来たぞ!」

「ブレインコントロールをするまでの時間を稼いで!」

「「了解!」」

「ウィンさんの落下地点に移動して確保!」

「わかった」

ウィンさんはその0.2秒後に無事着水、そんな長い間空中にいるわけないだろう

「防衛するんだ!攻撃はせずに守れ!」

ひたすらに防御を続ける、カウンターをしたり攻撃を流したりしている、詠唱はどれだけかかるんだ!

「ブレインコントロール!」

ブレイズの動きが止まる

「ぅっ……うぅ…あ……」

「大丈夫ですか!?」

hikariさんの様子がおかしい

「や、やれ……アイアンゴーレムを……」

ブレイズがアイアンゴーレムを攻撃し始める

「……っはぁ…はぁ…ボス相手はきついな」

「早くコマンドを」

目当てのものを入手し、撤退に成功したこの戦いは勝利と言えるのではないだろうか




他の方が出るのはしばらく先


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自分のジョブは?

「……」

今、自分はきれそうになっている

「なんでicに入ってるダイヤを最初から出さないんですか!」

「忘れてたんだよ……」

「同じく」

「使えるとは」

簡単に言うと危険なことせずに普通にicから出せばよかったのにそれを誰一人覚えてなかったらしい

「……まあ、作りますか」

ダイヤモンドを手に取る

ただのガラスとは違う何か怪しい美しさが見えるような……だがこれが欲しいとは思えない、女の人の気持ちは理解できないなと思いながエンチャントテーブルを作る

「さてこれは誰のだろう」

手のひらサイズのエンチャントテーブルを地面に置くと普通の大きさになる

パラパラパラ

ページがめくれるが問答無用で閉じる

パタン

RIONN

「よっしゃ!」

声に出して喜んでしまう

「あれ?私の…これ魔法じゃない」

ネロの発言が気になり様子を見る

「舞武……虎輪刃……三爪炎痕」

「ふざけんなよ!魔法にスキルとか羨ましいわ!」

本音をぶちまける

他の人もどんどんエンチャントテーブルを作る、どうやらみんな自分のものができたらしい

「あ、この本の背表紙……ツインユーザー」

「双剣士とか……なら仕方ない」

カイトと同じジョブなら魔法使えても仕方ないわ()

「そこにジョブがあるのか」

「俺のは……クレリック?」

「盗賊ですね」

「自分のは……ガンナーか」

「まだ表示されてない」

「ウィザード」

ガンナーのスキルってなんだよ……自分で練習して上手くなるのが良いんだろうが

「スキルはと」

サーマル

ナイトビジョン

「……案外使えるなこれ」

他は……

死の風

かっこいいなオイ

ウィンドサーチ

敵の居場所がわかんのか?ありがたい

「俺のはギガヒール、ブレス、シンヒール、キアリー、シルバースペルだってさ」

一通りの習得は終えたらしいウィンさん

「スリ、ピオリム、イカサマ、覗き見、嗅覚ってのが使えるらしいです」

「ラスト二つがめちゃくちゃ使えそうだから教えろください」

「ウィンさん何考えてるか話してみます?」

「いや、いいわ」

「ところでみんな武器はもらったの?私帰った後エンチャントテーブルみたら双剣あたよー」

「短剣が、メチャクチャ鋭いです」

「杖かな?」

「あるわけない」

「……え?」

大急ぎでエンチャントテーブルを確認する

パラパラパラ

「設計……図?」

スナイパーライフルからハンドガンまでだいたい何でも作れそうな設計図だ

パラパラパラパラ

同時に全てのエンチャントテーブルがめくれる

「「「「「?」」」」」

各自自分のエンチャントテーブルを確認する

マナコンタクト

それが表示されたと同時に目に文字が飛び込む

視界が歪む、ぼやけ、青に染まる

「なんだ……これ」

驚くほど落ち着いた声

自分のマナ、いやMPといえばわかりやすいのかが右下に確認できるようになった

MP46957/46957

「なるほど、これが初期値にしちゃひでぇな?」

「わたしのMPも5万あるよ」

「俺は10万」

「俺のは17万、攻撃専門との差か」

「4万です」

「7万だった」

だがそんなことより今は銃を作る

「ちょっと作るものあるから」

 

 

 

 

 

「ヤベェわ……弾も簡単に作れたし……」

とか言いながらスナイパーライフルを持ってくる、ハンドガンは両膝に、バトルライフルを背中に装備している、この世界に重さの概念はないのだ

「いいなそれ」

「チョイ貸してよ」

「無理、これをおもちゃのようには使わせられません」

「えー」

という自分も早く試したく仕方ないのだが……

今度一人で狙撃の練習をするか



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あれ……?

「資源で行動できるようにしたいな」

とソファで新しい装備を作る棃音

「なんで?ここでもお肉とかなんでも手に入るじゃん」

と暖炉の日に当たるネロ

「帰らないにしてもこの世界を遊び尽くさない理由はない、こんなところで退屈する必要もない」

と完成したギリースーツを眺める棃音

「同意」

と本とにらめっこをしていたhatirokumasa

「確かに……装備もあるからそんなに死なないだろうし」

と葉っぱをいじっていたsabamiso_sabu

「スキルや力を試したいのもある」

と魔典を構えるhikari

「反対者はネロだけだな、ネロはここで待ってるか?」

「……」

黙って頷くネロ、だが確実に来る、その理由は簡単だ

・今は雨が降っており、天候が悪い

・ネロは雷が苦手

ここまででわk

ゴロゴロ ピシャァーン!

「ひっ!?」

「一人でお留守番頑張れ」

目に涙を浮かべ力なく首を横に振る

「雷が苦手ってホントガキだな」

昔にも言ったよこれ

雷が苦手ってホントガキだなっと前に言った時は昔は他の子も怖がってたし私だけじゃないとのこと、泣くほどのことでもなかろうが……

しかし今回は本当に鳴ってるので何かを言う余裕もない様子

「んで?来るの?来ないの?お留守番嫌なら来るしかないけど?」

周りのやつは笑っている、いや、笑いをこらえている

「……」

「んじゃ、お留守番……」

「行く!」

これ去年買い物に行く時に同じことしたな

あの頃はもう少し素直についてきたのに

「んじゃ、/hub」

 

 

 

どこにいくか……4番?1番?2番?3は死角が多いので無し

「1、いきますか……」

「しかし重量ないとはいえそれガチャガチャしてるな……」

「ま、仕方ないでしょ……ちなみにインベントリにサブマシンガンと大量の弾が」

「「なぜ装備してる」」

「そりゃあ……したいからだよ」

呆れた声やため息が聞こえる

周りを無視してギリースーツを着てスナイパーライフルをもちさっさとポータルを通る

周りも慌てながらポータルを通る

 

「はて、どこに隠れよう」

ギリースーツの力を見せるために先に隠れようという考えだ、水を渡りすぐの茂みに転がり込む、その直後に他の奴が飛ばされてきた

「リオンどこだ?」

「いない?」

「えー…マジか」

「兄さんなら隠れてる」

そう言ってネロが着水、別方向に向かってるようで安心

「さって……ちょいと遊ぶか」

匍匐前進、少し高いところまで行くとスナイパーライフルを構える、スコープを覗き静かに狙う

「……」

ネロ達の前方に死体、試し撃ちと行くか

「……ここか」

確実なヘッドショットを狙い、引き金を引く

パアァァァァッン

大きな銃声と反動とともに対象のHPが消え去る

「ダメージは……」

ダメージを確認するためスコープを除く

-100

-700

ふむ、100が基本ダメージだろう、700はヘッドショットボーナスとかかな?

スコープを覗いていてるとウィンさんの挙動がおかしい

その視線の先にいたのはゴーレムだった

「あ!」

ウィンさんが一人で凸った、あんたヒーラーだろ!と突っ込む余裕なんてない、ネロとhikariさんが詠唱を始めているらしい、こちらも後方支援開始だ、sabamiso_sabuさんとhatirokumasaさんが射線にいて撃てないけどね

ウィンさんが吹き飛ばされたと同時に叫び声?が聞こえる

「シルバースペル!」

ふむ?視界の右側に謎のバフがある

「魔力強化?」

魔職には使えそうだが関係ない、伏せたままでは撃てない、立ち上がり近くに木を設置、それを台にして狙いを定める

ゴーレムとの近距離戦闘は危険だ、それを理解してるようで逃げながら戦っている

hatirokumasaさんの周りに花札の様なものが浮かんだと思ったらゴーレムがダメージを受けて吹き飛ぶ

「なら、被害でないか」

死の風、そんなの名前だけで対象の周りに火薬の混じった風が吹くだけだ、だが威力は出るんじゃないだろうか

「死ね」

引き金を引く

頭をぶち抜いただろう、それと同時に爆発が起きる、ひどいオーバーキルだ、だれも怪我はしてないようだし問題ない

「ウィンドサーチ」

こんなの誰かに見られたらチーター疑惑が……っと、誰もいなかった、安心……なんだけどおかしいよな

 

 

 

「ネロ以外のみなさんご無事ですか」

「お、おう」

「皆さん気づいてますか?この世界、チャットも止まり、今まで人と会わなかった、これはおそらく、この世界、もう人いませんよ」

「え?」

「いやどういうことだよ」

「言葉のとおり人がいないんですよ」

「えっと……」

「あれ……?私たち本当に誰とも会ってない?」

「多分、もう会えないでしょうね、あとsabamiso_sabuさんレベルアップおめでとうございます」

「え?あ、ああ」

「そろそろ戻りましょう」

「……」

この世界に人がいないのではない、別の世界をこの世界と言っているのだ

それを知るものはどこにもいない

外のものは知らずに世界につなぐ

そして……



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異常

「……」

灰色のギリースーツを着て石に紛れ酒場の入り口を見張る、今のライフルは威力と引き換えに消音生を手に入れた貫通性の弾を使うライフルだ

「……来たな」

この世界はやはりminecraftなんかじゃない、モブがどんどん賢く動くようになり、団体で動くようになったのだ

8.9……11か

スコープで死体の頭に照準を合わせ撃つ

ビスッ

貫通性が高いおかげで2体同時に撃ち抜けたようだ

「ラッキー……つぎは」

蜘蛛かエンダーか、そう思った途端蜘蛛とエンダーの首が落ちる、残りの三体はバラバラに切り裂かれた

「獲物取らないでもらえますかね」

「なかなか使いやすいスキルなもんで」

「伝説の勇者のスキル使いたいんで」

鯖味噌氏はあのあとエンチャントテーブルに忍者と出た、どうやらレベルの問題らしい、そして今のスキルは首落とし、切れ味がいい間は一撃必殺(雑魚のみ)という技だ、そして鯖味噌氏は刀を二本持っているため2体同時に倒せるのだ、かなり強い、そしてネロの双剣士のスキル夢幻操武、綺麗な舞のような斬り方だが実際はかなりグロい技だ、人間相手にやったと考えるととても恐ろしい、この技、いつの間にか習得できるようになっていたらしい

そんな時我々の視界に何かが現れる、全員が構える

「ちょっ待って!」

一人ではないそれは間違いない、プレイヤーだ

「RAIDAAAです」

「hakurou」

「generalです」

「……なるほど、酒場にご案内します」

もうわかった、この世界に新しく取り込まれた人がいるのだ

「とりあえずこの世界のことを話します」

武器、スキル、職業、情報をほとんど話した、必要ないもの忘れたものは話さない

「…………」

頭を抱える人、黙りこんでしまう人、顔面をブロックに押し付けて頭を冷やそうと必死な人、まあ確かにわからなくもない、だが次は

「貴方方はどうやってこの世界に来ましたか?」

一番聞きたいのはこれだ

重い口が開かれたのは数分経った後のことだった

なんでも三人以外にも何人も取り込まれた人がおり、いろんなモンスターがhubを攻めてくるため危険だからいろんなポータルに散り情報を集めているらしい、資源にも行った人がいるとか……そしてどうやって入ったかはMickにつないで気づいたら、という事らしい

「ふむ……仕方ない、資源の危険性はよくわかっています、至急救出に向かいましょう、みなさん準備を」

装備を整え、いつでも動けるようにしている

エンチャントテーブルは一グループほど助けてから渡せばいいだろう、そう思いながらライフルを確認してギリースーツを纏う

「しばらくここでお待ち下さい、助けられると断言はできません、ですが最善を尽くします」

 

 

 







次回
救出開始








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救出戦!

後書き=NG集的なノリで書こう、面白くないけど


「……モブが湧く前に乗り込みますよ!」

資源1のポータルに突っ込む

「……って…あ!?」

勢いよすぎて転げ落ちた、水がなかったら死んでたかもしれんな

水中ではさすがに打てないためインベントリに詰め込む、ネロたちも続々と降りてくるが全員で探すのは時間がかかりそうな気もする

「居ない…」

平原のそばの小さな丘に登り頂上から探してみる

「この辺にはいないんじゃない?」

遠くに何かが見えた、すぐにスナイパーライフルを構えスコープを覗く、その先には人、minecraftの人ではない人間の形をした人がいた、あんなスキンの人がいたのか…?見た感じスティーブのような……

まあ向かわねばならない

「1時の方角にいます、進みましょう」

走って進む、川をわたり、人影を追う、人影が見えてきたが何かおかしい

「あれ……青い名前が付いてないか?」

我々ユーザーには何故かネームプレートがないのだ

しかし奴にはある、スコープで何が書いてあるかを確認する

[危険なスティーブ]

「は?」

足を止めてしまった、その足を止めた場所は少し高い丘で、その下にはそのスティーブが30、いや、40はいるだろう

何が起こったかわからない人が出ても仕方ない、もう一度説明する、スティーブを追っているとネームプレートに気づく、確認すると変な名前だったため足を止めたらありえない量のスティーブがいた、ちなみにその追っていたスティーブは反対側の丘にいてその下のくぼみには気づかなかった、てか……

「誰か捕まってる?」

真ん中あたりにオークの木があり、ロープで縛り付けられていた、相当ボロボロだ、ネームプレートもなく紫の髪が目立つ

「紫の髪……」

思い当たる人がいた

「皆さん紫色の髪のスキンの人に覚えは」

「「hiroさん」」

やっぱそうだよね、ネロはなんで知ってるんだ...?

「……まさか」

スティーブの一人が剣を持ち近づいてきた、あれはマズイ、直感がそう言っている

「皆さん戦えますよね、バラけて銃声がしたら突撃してやつらを倒してください、ネロ、お前は武器を渡してくれ」

「かしこまりっ」

「「「了解」」」

みなさんバラけたはいいけど…あれやっぱり危険なんだろうか……いや、間違いない剣を振り上げた、あれは振り下ろしトドメを刺すつもりだ、ならまずは

剣を狙い……

パアァァァァァァン

剣が吹き飛び他のスティーブに刺さった、この際ユーザーでも仕方ない、だが背丈がみんな同じなんてそうそうないのだからNPCだろう、こちらに気づいたスティーブが迫ってくる

「ああー!こんなむさくるしいおっさんが迫ってきても何にもなんねぇよ!」

AKを取り出し連射し続ける

ババババババババババ

弾丸がスティーブを貫きHPを削り取る、突っ立っているといつ近づかれるかわからないため走りながら撃つ、遠くにウィンさんが見える、前線で何してはるん?ちょっと自分の居る場所を間違えてませんかね?

その側に鯖味噌氏、敵のヘイトをウィンさんが稼ぎすぎたため倒すのが大変そうだな、hatirokumasaさんはネロの側にいるようだ、ネロが踊るように切り裂いた敵に確実にとどめを刺したり技の途中に敵を吹き飛ばし援護をしている、直ぐにhiroさん?に武器を届けてくれることだろう

足を止め近く敵がいない事を確認しスナイパーライフルで援護を始める、敵を狙ったのだがその敵は氷の槍に貫かれ消滅、hikariさんの魔法だ、仲間割れをする敵も現れ始めた、とりあえず縄を撃ちきっておけばいいだろう

ネロ達が武器を届けたが混乱してるようで対応に悩んでいるようだ、ならこちらは殲滅をして話を聞けるようにしておこう

 

 

 

殲滅にはそう時間はかからなかった

「貴方はhiroさんですよね?」

「…お、おう……」

反応に困っているようだ

「心配はありません、助けにきました、このワールドに他の人はいますか?」

「いや、いないと思う」

「ならよかったです、一度酒場に向かいましょう、hakurouさん達もいます、あ、あと自分は棃音です」

「リオン!?なんでこの世界に!?どういうことか説明してくれ!」

知らない人だと思っていたら知ってる人だったから一気にグイグイきたけど今説明するのも面倒だから一度酒場に向かってもらおう

「皆さん戻りましょう、説明、武器の手入れのために」

 

 

 

説明等はこれ以降もしない事にします(一部のみ

 

 

「……」

この人は黙り込むタイプの人だった

「まあ、そんなに落ち込まないでください、皆さんにとってとても夢のようなものが手に入るのですから

4人はきょとんと、我々はニヤニヤとしている

「どうぞ」

エンチャントテーブルを一人一つ配る

「設置してまずは表紙を確認してください、自分の名前のものを使用、名前を確認したら背表紙の確認をお願いします」

「これは……hakurouのだ」

「RAIDAAさん」

「あ、おれのはそのままだった」

「generalって書いてた」

この状況はなんだか和むというか……

「これ……弓師?」

「侍って……」

「パラディン?」

「マルチウェポンって書いてる」

うんうん、壁に遠距離に火力にソロ専……え?

あ、我が妹よ同じような反応はせんでいい

「今、なんて?」

「俺?」

「そう、ふむゆる、なんといった」

「ま、マルチウェポン」

……ああ、この世界にろくな勇者なんていないのだな

「はいはい、詰みか、次の勇者候補は誰だろうなぁ〜」

現実逃避だ、勇者候補が一番低レベルでした(笑)なんで結果望んでねぇよ、マジで本物のハセヲ来てくれないかな()

「次、エンチャントテーブルをしっかり確認しましょう、武器があるはずです」

「弓が…マイクラのじゃなくてなんかトゲトゲしい…あとコンタクト?」

「盾と鎧と剣が」

「武将が着てそうな鎧、兜、刀と槍がありますね」

「小さな金色の剣が二本」

お、おう、最後のって回式・芥骨だよね、わかるよ?見なくてもわかるレベル()

まあそんなの気にしなくていい

「そんじゃ、次はスキルを覚えてください、そうすればあなた方は戦う力を手に入れることができるでしょう」

 

この世界のどこかにいる誰かへ

この世界はとても危険だし苦しいものです、この世界に皆さんを置いておくのはもし万が一のことがあってはならない、そのためこの世界を出ることとします

絶望的な状況でも、きっとなんとかなると願って

 

by××××××××




hiroさんがボロボロ……これは誰得なんだ?()
(R`・ω・)「とりあえずスティーブぬっころしてきます(忠誠心カンスト」
(N*・ω・)「いてらさ」

えぬじー集
剣を狙い……撃つ
「あ」
だが着弾点はhiroさんと思われる人の額だった

「とばします!」
hatirokumasaさんの援護、しかしネロは丁度スキルを終えたところだった
「いやぁぁぁ!」


「っしゃぁぁ!」
凸るウィンさん
「ちょっ、危な」
なんとか援護する鯖味噌氏
「きつい…仕方ない十字咲き!……あ」
「腕飛んだんですけどwwヒールかけてるから痛くねぇわwww」
「あは、あはは……(笑えねぇ…)」


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大きな違い

パラディン
基本スキル
精霊の盾
周囲10メートルの敵のダメージを自分の持つ盾が受ける、盾が壊れやすいので予備があるといい
基本スキル
デュアルアタック
縦に身を隠し突進、そして連続で敵を切り裂くスキル
相手の攻撃時に発動すると相手の攻撃を弾き、相手の体勢を崩す



基本スキル
抜刀二閃
抜刀時に高速で一回転し、2連の斬撃を繰り出す、ガードを崩すなどにも有効
猪突猛斬
基本スキル
猪のように迫り刀を突き刺す、勢いを利用し斜め下方向に刃を振り抜き、連続で斬ることも可能


弓師
基本スキル
ホークアイ
鋭い眼光で敵を察知する
至近距離で使えば一時的に相手を止められる
サウンドサーチ
物音から場所を把握する
小さな物音も聞こえるため信用性は低い


マルチウェポン
基本スキル
疾風双刃
素早い動きで敵を切り刻む
動きが早くなるため体がついていかない可能性が…?
パッシブスキル
換装
武器を換装しながら戦える、ただし双剣、大剣、鎌以外はスキルが発動せず、アンロック前の武器を使ってもスキルはない


「では頼みます」

現在のパーティー構成

A.棃音 ネロ ふむゆる hakurou

B.hiro general hikari hatirokumasa sabamiso_sabu Windowzxp55

パーティーを二つに分けることで別々の資源を探索し救出を早く済ませようという作戦だ

 

Aチーム

資源4

「ここは落下死の危険性、モブのわきの多さ、かなり危険エリアです、できるだけ見つけたモブはすぐ倒しましょう」

とは言ったが結構不安だ、もしまた捕まっていたらどうするか、手遅れになっては困る

「……あれ、なんだ…?」

ふむゆるが遠くを指す、スコープで覗く

「……え?」

 

 

 

Bチーム

資源3

「よし行こう、ホークアイ」

鋭い眼光で周りの敵はすぐにでも察知されてしまうだろう、だがそれは動けばの話だ

「ついでにサウンドサーチ」

これで確認もできる、心強い……筈だった

「…!イカサマ!」

hatirokumasaのスキルによりhiroは押され、こけた

「何を…!」

hiroの居た場所から少し離れた場所にダメージ判定があり、500のダメージがある

「……遠距離攻撃…?ま、まずい!隠れろ!」

周りの木々に隠れ敵の位置を探る

あの着弾点と自分の居た場所から簡単に敵の位置はつかめた、そこを目を凝らし見る

「え……?」

 

 

 

Aチーム

「侍…か?」

安土桃山…いや、戦国時代と言っておこう、そんな時代からタイムスリップした武将のような姿の人間、いやスティーブが、これには我慢できず少し笑いが溢れる

「敵ってことか?」

「さあ…」

「どういう事だろうな…」

そんな会話をしつつ気づかれず接近する

「hakurouさんはとりあえず最初に出てようすみ、攻撃してくるなら武器を弾いたりして敵を無力化」

「私たちは援護と」

「了解」

hakurouさんがスティーブの前に出る

「ちょっと話が聞きたいんだけど……」

その言葉は続かず金属音が鳴り響く、戦闘が始まった

「ちょっとくらい話しようよ…!」

かなり重い一撃のようでそれを受けるのに必死だ、スティーブがバックステップ、納刀し、抜刀の構えをとる

「ネロ!ふむゆる!援護!」

ハンドガンでの威嚇射撃と同時に二人が飛び出す、しかしそんなこと御構い無しにスティーブはhakurouさんの方に走り出し

「……抜刀二閃」

機械のようなプツプツした声、いや音だった

初撃を盾で受ける、スティーブは盾を切り裂いたように刀を動かしその場で一回転、抜刀のような動きで盾を切りあげる、これにはたまらず盾を手放してしまったhakurouさん、このままでは危険だ足元を狙い2.3発撃つが動じない、刀を構え直しトドメを狙っているその様子に二人も恐怖しているらしい、固まっている

「…このままじゃ死ぬ……」

そう呟き奴の頭に照準をあわせる

 

風を切る音だった

ただ風を切るように

首を刎ねた

誰がやったか、そう思い周りを見ると

hakurouさんは切り上げられたまま倒れ、ネロ、ふむゆるは混乱しているようだった

誰かわからないが、助かった、しかし見えなかった、盗賊のスキルか?と疑ったが盗賊の筋力で首をはねることなどできるわけがない

 

 

 

Bチーム

「す、スナイパー!」

間違いなくスナイパーだ、周りに他の人影もない、なら勝てる見込みは十分にある

「回り込みます、盗賊の素早さで」

「いや俺がやる、忍者の方が早い」

そう言って二人が飛び出す、しかしやつは銃口の向きを動かさない

「hikariはどの位置からならやつを攻撃できる」

「あと5…いや、40mは近づかないと…」

「……」

動けない四人が頭を抱える

「……ッ!」

誰かの声と同時に小爆発が落きる

「爆発!?」

爆発したと思われる場所はスナイパーのいた方角、思わず顔を出してしまう、スナイパーのいた場所は煙が立ち上っているがだんだん薄くなったと思うと奴の持っていたライフルの残骸が転がっているようだ

おそらく……

「戻った、死んでた、誰か攻撃した?」

鯖味噌が戻り聞く、だが全員が首を振る、これは勝ち、なのだろうか……誰か、別の人間がいるのではないのか?

それは間違い無いだろう

誰もがそう思っている……

 

 

 

 

???

「チェスってなかなかわからないな……まさかそんなところから駒が乱入するなんて、こんなチェスは初めてだよ」

玉座のようなものに座り笑みを浮かべる男

「ま、ゲームは序盤、ポーンは敗れたが侍とスナイパーは、使えるみたいだね」

彼のチェス盤は世界だった

そしてその駒は……普通のチェスのものではなく

人の形をしていた




「援護!」
「了k……あ、ここセリフいらない?」
「みすんなよ…リテイク」


「スナイp痛っ……舌噛んだ」
「wwwretakeお願いしま〜すw」


「イカサマ!……あ」
ミスってウィンさんを押してしまったようだ
「すいませんw」


映画とかドラマみたいな感じで収録してる風景が頭に浮かんだからこうした
あ、スキルとかは聞かれれば答える


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脱出せよ!

忍者
基本スキル
首落とし
武器の切れ味が最大値から-50までは一撃で敵を倒せる(ボスは不可能
応用スキル
十時咲き
両手に刀を持っていないと発動不可
十字に敵を切り裂く、広範囲に攻撃できる
sabamiso_sabu
アンロックスキル
分身の術
同時に3体の分身を生み出す、別の技と合わせると分身を増やすことができる
死中求活
HPを回復する、HPが少ない時に発動すると分身が2体ふえる(最高9まで
分身乱舞
分身と同時に斬りかかる、一瞬で大量のダメージを与えることができる、範囲攻撃可

ウィザード
基本スキル
ブレインコントロール
敵の脳を魔力でコントロールする、プレイヤーやボスに使うと負荷が大きい、相手が強いほど不可が増える
基本スキル
アイススピア
氷の槍が敵を貫く、威力は寒い場所、天候が雪なら上がり砂漠なら激減する
hikari
アンロックスキル
奥義スキル
エクスプロージョン
とてつもない威力の爆発を起こす魔法
一撃で大量のマナ、体力を消耗する
威力が全ての魔法の最強を誇るため奥義でもある
パッシブスキル
デュアルマタック
確率で魔法が二連で発動できる
発動した場合はマナが消費されない
パッシブスキル
マナラストリスカリ
確率でマナを消費せず魔法が打てる

双剣士
基本スキル
虎輪刃
回転しながら敵を斬り刻む、小範囲攻撃可能
基本スキル
舞武
敵を舞うように斬り刻む
NERO
アンロックスキル
基本スキル
夢幻操武
踊るように斬り刻み敵を倒す、一撃の威力が高いが発動時間が長く緊急時に発動すると厄介なスキル
パッシブスキル
マジックアタッカー
ある程度の攻撃魔法が習得できる
パッシブスキル
連撃
味方との連携が取りやすくなる
廉劇発動時相手に防御値など無視で500のダメージを与える

盗賊
基本スキル
スリ
敵対しているモブなどからアイテムを奪う、イカサマなどのスキルと合わせた場合誰にも気づくことはできないだろう
パッシブスキル
嗅覚
嗅覚が鋭くなり敵の大体の位置をつかめる
hatirokumasa
アンロックスキル
基本スキル
ドス刺しの極み
壁、台のそばで発動すると手の甲を短刀で突き刺す
基本スキル
潜伏
周りが自分に反応しなくなる、効果時間は短いため緊急時に使うのも可
パッシブスキル
見交わし
敵の動きを先読みしてかわすことができる

ガンナー
パッシブスキル
ナイトビジョン
暗い場所でもよく見えるようになる
パッシブスキル
サーマル
温度を見る眼になる
基本スキル死の風
敵の周りに火薬をまとった風を吹かせる、撃って爆発させれば威力が上がる
パッシブスキル
ウィンドサーチ
敵のいる位置を風で探る
完全な位置は探れない
RIONN
アンロックスキル
なし


Aチーム

「……いませんね」

我々を助けてくれたと思われる人を探すがいない

「ねぇ、探すのもうやめにしない?」

ネロがいきなりそういう

「疲れたってか?」

ふざけながら聞いてみる

「それだけならいいのにね、こっちみなよ」

ネロの見ている方角を見るために高台に登ろうとする

「待って、こっちに来て」

何がしたいのだ…そう思いながら嫌々といった感じでネロに近づき指す方角を見る

「なっ……!」

サムライスティーブの大群

先ほどの戦いで死にかけた我々を絶望させるには十分すぎた、だが今引くわけにもいかない

スナイパーライフルを設置してスコープを覗く

「ここで少しは片付ける!生け捕りにする必要なんてない、倒せ!」

「わ、わかった」

「「了解」」

バァァァァァァァァン

その音とともに、一人の頭から血が噴き出す

次!

バァァァァァァァァン

また一人

バァァァァァァァァン

また一人消える、だが侍スティーブは隊列を崩さず迫る

「……」

言葉に表せない焦り、奴らの冷静な進み方から何かあるような気がしてしまう

「周りを警戒!」

そう言ってスナイパーライフルをしまいライトマシンガンを取り出す

「……ああああああ!!」

恐怖、それは判断のミスを生む

ダダダダダダダダダダダダダッ

自分は冷静なつもりでも冷静さなんてかけらもない、頭を狙って放つ弾丸も足や腕にあたりほとんど頭には当たらない

「……ッ!」

どうしようもなく怖い、冷静な動きが

「……撤退!」

「え……?」

「誰かいるかもしれないのにか!?」

「あいつには勝てない!ここで死ぬよりはマシだ!」

バカなことを言ってるのはわかる、、だが無理だ

「……わかった、確かに今の俺たちじゃ無理だ、ひこう」

意外なことに賛成する奴が現れた、ならありがたくとコマンドを打った……のだが

「「戦闘中は転送できません?」」

となると戦うしかないのか?

「……やろうか…」

と言ってる間にもな 敵はすぐそこまで迫っている

「……あー、hakurouさんは攻撃を弾いてください、とどめは自分たちがやります、ふむゆるは周辺注意

「俺の役だけ……」

「一番低レベルが戦っても死ぬだけだ」

「……ま、ごもっともだな」

「スティーブは3×10の隊列、3人撃破6人負傷、もし同時に来た場合各自最善と思う行動を!」

「「「了解」」」

ザザザザザザ

やはり何人ものスティーブが来る、刀を狙い撃つ

キィン

刀が弾かれたスティーブは手を押さえる、衝撃に耐えられないようだ、だが一部のスティーブは槍を持ち突撃をしてきている

「hakurouさん!」

「了解!」

槍を立てで受け流し体勢を崩す、そこに攻撃をするがそこまでの威力はなく仕留められない、倒れた敵を近距離で倒すのは邪魔になるため撃つ、他の敵も同じようにしているのたが回り込んで斬りこむ敵も増えてくる

「やあっ!」

ネロが刀を弾きながら隙を見て蹴り、からの突きでトドメを刺す、hakurouさんは敵の攻撃を受け流すがたまにダメージを受けている、こちらは援護射撃を続ける

敵の刀を弾き、敵にとどめを刺し、次のタイミングを待つ

「はっ!」

「えい!」

どんどん数が減る

やはり捕まえるのと倒すのとでは全然違う、やはり倒すほうがやりやすいのだ

「ラストきたよ!」

「ラアッ!」

「えいっ!」

最後のスティーブを倒した、なかなか大変だったがこれで帰れる

/hub

そのコマンドを打ち転送される瞬間に見た黒い、山ような大きな影を

それを見た瞬間寒気がして……死を見せられたようだった……



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武器強化

説明すること?尽きた((


hubにて、A.B各チーム合流

「「「「「「「「あ……」」」」」」」」

 

「……」

沈黙し時が過ぎる

5分か?10分か?それとも1時間か?

両チームの顔が絶望していた

なぜ?その理由は簡単だ……

資源から出るときにみたあの影

山のようなあの影、あの影の前の敵に既に苦戦していたのだ、あの戦闘の祭怪我をしたものがいなかったわけではない、軽い怪我をしたものもいるのだ、この世界の戦闘が如何に厳しいものがわかった、そして、その先のもっと大きな敵のような存在がいることを知ってしまった

だがBチームは何故か?それを説明しよう

謎の爆発が起きた後、剣を持ったスティーブの軍勢が迫ってきたのだ

とても面倒なことに倒しても倒してもキリがなく湧いてくる、そこにスティーブ達全てを飲み込むようにして大きな影が現れたのだ、木々を体で踏み潰しその体で地面を滑り大きな口で地面ごと全てを飲み込む

その勢いにスティーブたちは消え去り次は貴様と言わんばかりにこちらを向いた、だがコマンドを打ち大急ぎで逃げ出したのだ

ちなみにこれはほぼ同時刻である、ここまで言えば分かる方も多いだろう…

お互い新たな強敵の存在を教えるのはとても伝えにくい、伝えて戦って勝てるだろうか

頭にあるのは死の1文字だ、戦って勝てるなら苦労はしない、だが本能が言うのだアレは「ヤバイ」とあれとは戦うな、と

「……あの」

沈黙を破ったのはネロだった、決意したような顔をしている、その時ネロは改めて周りの顔を見る、やはり何か辛い表情で、喋ろうとしたことを飲み込みそうになる、だが少しの間を起き口を開く

「多分…なんですけど、そちらにも…何かあったんですよね、私たちのほうもあったんです」

言葉を続ける

「私たちの方は侍みたいな敵がたくさん来てやっとの事で倒して逃げ出そうとしたらよくわからない…大きな、真っ黒な…何かが…でもコマンドを打ち終わった後だったからなんとか戦わずに済んだんだけど、その敵は私たちじゃとても勝てないような…そんな感じで……」

勝てない

その言葉は深く突き刺さる

確かに勝てない、が認めたくなかった、それを認めて仕舞えば戦う気力なんてなくなる

そしてBチームからの話も似たようなものだった

笑うことすらできずに戻った

だが、一人謎の笑みを浮かべたものがいた、ネロだった、何故笑える、そう問いたかった、こんな辛い状況で笑えるあいつが…憎くて仕方なかった、希望なんてない

この世界で……

酒場に戻りネロは一人家へと駈ける、家というのは社宅のことだ

「……なんであいつは…」

出かかった言葉は喉にかかり、誰にも聞かれず消えた

酒場のスタッフルームに入った後何をすることもできずいた、だが不意に頭にエンチャントテーブルが頭に思い浮かぶ、ネロが向かったのもそれが理由ではないかと思い社宅に向かう、やはりそれが理由だったらしくエンチャントテーブルを見ながら目を輝かせている

「……」

声をかけるのは悪い気がして自分のテーブルに向かう

こう書いてあった

スキル アンロック

パッシブ

ガン=カタ

「……」

言葉は発してないがニヤけているだろう、当たり前だ、素晴らしい力を手に入れたのだから

だがそれ以上アンロックされたスキルはなかった

他の人がアンロックしたスキルを聞いてみようと酒場に向かい呼ぶ

事情を説明すると見え隠れするかすかな希望にすがろうと人が集まる

結果として、ネロがほぼ無印のスキルすべて(データドレイン、お札を除く)を修得し、さらには防具まで手に入れたらしい…んだがその防具作成を押し付けられる、設計図は本をエンチャント台に設置する事で写す事ができるらしい

そしてみた設計図には…なんとも笑える防具があった、そして裏面にはその装備にぴったりの武器もあった

「本当にこれでいいんだな?w」

そう訊いたが答えはok、作成を決意する、まず革を並べ糸で繋ぐ、そして帽子のエンブレムに鉄を使い、作成するそして武器は木の中に蜘蛛の目を埋めこみ、黒く怪しい輝きを放つ刀身を眺め、羨ましい気持ちとこれを作った事に対する誇らしい気持ちがある、そしてそれを装備したネロの姿は

そう…….hack//G.U.の人気キャラ、復讐鬼と化したハセヲのターゲット

トライエッジの姿だ

「この世界にもなかなかいいもんがそろってんな」

そういい自分の新しい武器をとる

九七式自動包

対物ライフルである

「……ハンドガンやスナイパーライフル、アサルトライフルなんていろいろ手に入れた、がこれまであるとはな……」

周りの人も新しい武器、スキルを手に入れ満足そうだ

だが、まだ、この世界にいると思われる人の救出を終わらせていない、だが、まずは……あの影を倒さなくてはならないのだろう

 

 

 




えぬじー集?面倒でしt((


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NPCと敵対モブと

昨日書けなかったから2回書く


「よし、この装備ならきっと戦える!」

そんなわけ無い、だがそう言って変わることは無いのだ、だから、プラスに考えようとしているらしい

パラパラパラパラ

エンチャントテーブルが開く

ヘルスコンタクト

目の前が赤い光に包まれる、そして周りが見えるようになったとき左下にHPが現れた、周りのHP表示されている

「これで全部か?」

パラパラパラパラパラ

コミュニティリスト

黄色い光に包まれた、次はパーティーメンバーの名前が表示されるらしい、ギルド名もある

パラパラパラパラ

EXP

そしてEXPの表示

レベルや経験値が表示された、これは最初からあるべきだと思う

パラ

またページが変わる、だが次は文字がびっしりあった

《やあ諸君、初めまして、私はこの世界の神だ、君たちは素晴らしい戦略を見せてくれる、私もチェスが楽しくて仕方ないよ、ただ、この世界には私たち以外の第三勢力がいる、君たちの味方になるか敵になるか……そうそう、こんど新しい駒を試させてもらおう、楽しませてくれることを期待しているよ?》

これを読み、理解した

「……どうやら、この神様をぶっ倒さなきゃダメなんだろうな」

「ですね」

「新しい駒…怖いやつ、かな」

「みなさん、外に出ましょう、新しい敵が増えればとても誰かを助けるなんてできません、今日さがし出しましょう」

 

 

hubワールド

「あのでっかいやつがいたら即退却!誰か見つけたら守りながら酒場に移動!それじゃあ行きましょう!」

「「「「了解」」」」

資源4チーム

RIONN NERO hakurou general hatirokumasa

資源3チーム

hiro RAIDAA hikari Windowzxp55 sabamiso_sabu

 

 

資源4

「いつでも狙撃はできる!」

「護衛は任せてください」

「見える範囲で人を探してみる」

「任せといて」

「頑張りますか」

遠距離攻撃として棃音が高台に上り、hatirokumasaが護衛、そして近接攻撃班としてhakurouが壁となりgeneral、NEROが攻撃をするということだ

「……来たな、って……あれ…壁職か?」

体を隠すほどの盾に身を隠しつつ前進してくる

「あれは狙撃できないぞ……いや、こいつなら」

九七式、それに体重をかけ前に倒れる様にして撃つ準備をする

チャットを飛ばす

《伏せろ》

3人の頭がみえなくなる

「まず一人」

ダァァァァァァァァァァァン

大きい音に思わず目を瞑る、目を開けた先のスティーブは盾ごと消え去っている

「リロードっと」

この銃は一発ごとにリロードが必要だ

「もう一発!」

ダァァァァァァァァァァァン

また一人、だがこのままでは三人が動けない

「移動しましょう」

《動いてok》

そう書いてSVD、ドラグノフを取り出し撃てる位置に向かう

generalさんが盾を切り上げそこにネロがトドメを刺す、しかし効率が悪くダメージを受けそうになったりする

「……よし」

ピスッ

盾に、身を隠し突撃しようとする敵を撃つ、盾に弾が当たると敵は後ろにバランスを崩し倒れる、このライフルは弾を何発も入れられるためリロードの回数を抑えられる、がコッキングがあるため少し時間はかかる

ネロが敵の盾をかけ登り中で一回転、敵の盾が空中を向いたところにgeneralさんが斬りつけそしてネロが思いっきり盾を踏みつける、なんかエフェクト出てる、アースクエイクみたいな、なんかそんなスキルあるのかすげーな双剣士()

hakurouさんが敵の攻撃を弾きそこにトドメの狙撃をいれる、早く片付けて捜索しないと

そう思った時ネロが吹き飛んだ、そして次にgeneralさん、吹き飛んだ方向の逆を見る、砂煙りで何も見えない

「hatirokumasaさん!2人の治療を!」

「了解」

一瞬、そう一瞬だけスコープから目を離した、そして次スコープを覗こうとしたとき、目に火花が散り、強い衝撃を受け吹き飛ぶ

「アハハハハッ、外の人間って脆いものだね、俺がわざわざ出てきたんだ、楽しませてくれよ!」

吹き飛ばされた場所で体をなんとか起こし目を開ける

顔の半分を覆う面に全身が青い服、そして持ってるのはおそらく双剣

「な…なにもの…だ…」

HPは2割削られた、蹴り一撃でだ、武器を使われたら即死かもしれない

「んー…恐ろしい双剣士サマってとこかな、君たちに紹介された新しい駒の1人さ」

「何故そこまで話せる…人間…なのか…?」

「AIサ、君たちの知らないこの世界のヤ・ミ」

「……」

言っていることがわからない何が言いたいんだこいつは

「怖い怖い、だけど、キミ達は俺たちに勝てないの、この世界に君たちはいて良い存在でもない、まあ、今回はご挨拶だけだから心配いらないヨ」

このことを早くhiroさんたちに伝えなくては……

「あ、キミのお仲間たち、死んではないけどもう瀕死みたいだネ、そうだなァ…んじゃっジャックって名乗っておこうかナ、キミ達のお仲間をやったのはクィーンサ、キミ達には勝てない相手だね」

そういいぼろぼろのhakurouさんを見せつける

「!……」

「そこの隠れてる3人モ、よぉく覚えておいてネ」

そう言ってhakurouさんを投げ捨てる

「……」

誰もしゃべらない、ジャックと名乗ったやつは青い炎とともにきえた




次回はネロ著にしようかな


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救出と絶望

資源3チーム

「早く見つけるぞ」

「了解」

「敵影なし!」

資源3のチームの視界に敵はない

だが死角に敵はいるのだ

恐ろしく強い

クィーンが

「遊べるくらいの実力はあるのかしら?」

そう呟き敵は彼らの頭上から攻め方を考える

「どうやって殺そうかしら、5分は持ってほしいわね」

そう言い彼女は武器を取る、黒い和服を動きやすく短く、切れ目を入れたような服、そして武器は細長い刀だ、強い衝撃で簡単に壊れそうな細い刀だがその刀身は淡く輝く赤で、その強度は予想がつかないほどの硬さだ

「さあ、試させてもらおうかしら!」

そう言って木を蹴り、地面に着陸する、砂煙り、周りの誰もが困惑しながら武器を構えただろうカチャカチャと音がする

「だ、誰だ!」

そんな声に答える気なんてない、この長い刀を左手で持っているが、それを支点とし、右手を力点して刀を振るう、風をきる音とともに刃が何かを切り裂く感覚と悲鳴が聞こえてくる

「ああぁっ!!」

「斬られっ…回復を!」

そして次、今回は殺すなと言われているからある程度遊ぶだけにしようか

「初めまして、貴方方の敵の駒、ダイヤの12、クィーンって呼ばれてるわ、貴方方を殺しに…いや、殺すのは今度で挨拶に来たのよ」

「……」

誰かが切ったヤツを回復させてしまったわね…そして周りの敵は私を殺そうとしているわね…

ピッ

あら、11も攻撃を開始したいらしいわね

「そうそう、幾つか教えてあげる、実は私駒の…いえ、幹部の中で12番目の位置にいるの、そして幹部は全員で13人、これでわかるかしら、そう、私って弱いらしいの、あとあなた達のお友達、今から酷い目に合うみたいね、帰ったらお互いにボロボロじゃないのかしら」

あらあらわかりやすいアイコンタクトね、その弓を放っても、私には当たらないのに

シュッ

弓が放たれる

「ふふ…」

横に1歩、そして前に1歩、これで矢はかわせた、そしてどう仕留めようかしら?

「刀円死華」

体を回転させながら軽く飛ぶ、そして落下と同時に斬り下ろす、回転に合わせクルクルと、スキルの名前の通り刀が円を作り、死の華を咲かせる

「ッ!」

「あ…!」

回復魔法を使う子と双剣士のような金色の剣を二本持った子はダウンしたわね、後方から忍、首を狙っているのでしょう

「あなた空中での移動はできるのかしら?」

峰を向け左に一歩

「なっ…!」

死角から確実に仕留めたとでも思ったのでしょうね、峰をその忍の首に当て地面に向かい振り抜く

「がっ…!」

ぐしゃりと小気味いい音がする、残り2人、魔法使いさんは巻き込まないように攻撃はできず弓師は撃ってもかわされるのを理解し、戦略を考える

「さて、次は誰かしらね?」

そうは言いながらも決めている、あの魔法使いさん

長い刀と共に舞う、魔法使いの方に一歩踏み込み峰を首に当てながら言う

「動くと飛ぶわよ、その首」

スタスタと魔法使いの方に歩き捕まえる

「大人しい子は嫌いじゃないわ、さて…弓師の子はどうしてくれるのかしら?何もできずに倒れちゃう?」

唇を噛み締め何もできない自分を悔やむよう

魔法使いの子に峰ではなく刃を向ける、そして弓師に近づく

「お終いね、さようなら」

峰で弓師をなぎ払い、魔法使いは後頭部を掴み地面に押し付ける

「まあ、楽しかったわ、でも相手になるくらいには強くなってちょうだい」

そう言い12は消えた、その場にはボロボロの人間しかいない

回復もできず動けないまま…




ネロ著


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13(サーティーン)襲来!

資源4チーム

「……とりあえず、あれが出る前に探そう…これ以上敵が来ても戦えない…」

無言だが頷く、目標を見失っていないのは良かった、何のために戦おうとしているのかわからないのが一番辛い

 

 

 

約30分後

 

 

「……ぁ…」

殆ど死んでいるような状態のユーザーを見つけた、おぶってコマンドを打ちhubから酒場に向かう

 

 

 

 

資源3チーム

「……生きてるのか…?」

誰かの声が聞こえる

「ヒール」

体が軽くなる、回復魔法をかけてもらえたらしい、痛みも多少引いたようだ

「……っ…」

「生きてた…か、良かった」

「……だ…れ…だ」

声を振り絞ってそういったが声は届かず意識が薄れていく

 

 

 

酒場月の番人

「問題はないですね」

「……」

「とりあえず、名前を聞いておきたいのですが」

「gesso」

「げっそーさん…どうしてそんなボロボロに…」

「爆発がなんども起きて…何度も吹き飛ばされて……」

「爆弾…とかですかね?」

「わからない…」

「とりあえず職業を」

「いや、それはもう持ってる…」

「え?」

「マジシャン、支援魔法が多くて攻撃技がない」

「な、なるほど」

「……」

それ以降何も喋らなかった

 

資源3

「…ぅ……」

ようやく目を覚ましたらしい

しかし他の4人はまだ起きない

シュッ

起き上った者の目の前に杖が向けられる

「誰だ」

「hiro……」

「……ここで何があったのか聞かせてもらいたい」

hiroは事情を説明した

「………」

男は黙り込む

「……っ…」

倒れていた仲間たちが起き上がる、だがボロボロで立っているのがやっとらしい

「……ヒール」

何人かにヒールがかかる

「……カサシノだ、クレリックをやっている」

「えっあ……えー……」

混乱を隠さない

「マジでか……」

と声を漏らすものもいる

「とりあえず…酒場に行こう」

 

 

???

「んー……悪くないところだね」

少年はそうつぶやく

「ったく…サーティーンは…雑用係じゃないのになぁ…」

若い、いや、少年の姿のそれは緑色の軽装に身を包んでいる、二艇のサブマシンガンを持ちアサルトライフルを背中に装備している

「さて、もう少ししたら遊び行くかな」

少年はニコニコと襲うべき場所を眺める

 

 

 

月の番人

 

「……まじですか…」

クレリック、マジシャンの加入、まだこの世界に人がいるならと思い近くに人はいたかと問うが答えはいいえ、詳しく話を聞いてみようとどんな聞き方をしてもほとんど情報はない

「……仕方ありません…次、行きましょうか……」

そう思ったときドアが開く音と同時に銃撃が始まる

「ふせて!」

ドパパパパパパパパパパパ

「……敵のガンナーか…!」

ハンドガンを持つ、だがこのまま出ても蜂の巣なのはわかりきっている、マガジンを一つつかみ横方向に投げる

カカカカカンッ

レンガやマガジンにあたる

今しかない、机から飛び出しハンドガンで敵の武器を狙い撃つ

ギャッ

「ッ!」

敵のサブマシンガンを破壊し、敵は表情を歪め、アサルトライフルを取り出す

こちらは先にライトマシンガンを取り出しテーブルに設置

「……」

敵は引き金には指をかけない

「……何者だ、何が目的でここにきた」

「サーティーン、幹部の中で13番めの強さを誇る、最下位の者だ、貴様らを殺せと言われてきた」

「随分ベラベラ喋るんだな」

「どのみち死ぬのは貴様らだからな……奴らのような挨拶ではすまない……死んでもらう」

 

 

 

 

 



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戦闘

「さて、サーティーンは暇じゃないんだ……死の?」

ゴクリと唾を飲む、引き金に指をかければそれよりさきに撃ってくるだろう、だが相手も警戒を続けいている、この状況、実はとても疲れる、緊張感のせいで疲労を感じない今はまだしも終われば動けなくなるだろう

他の方はみんな動く準備をしている、だが飛び出せば最後、蜂の巣になるであろうことは重々承知である

「……この場合、先に引き金に指をかけたほうが勝ちだ、なのにそれはできない…理由は打ち合いになれば確実にお互い瀕死になる、間違いなく」

「そうだね…どちらが勝っても死ぬ可能性が高いねぇ、サーティーンは死ぬ気はないよ」

「ここは引いてもらえませんか?」

「いや、だって引いたらボスに殺されちゃうもん、ざんねんだけど引かないよん」

サーティーンと名乗る少年も冷や汗をかいているようだ、どうするか…だがあの眼は今にも殺しにくる目だ、どうするか……

《装備魔法をかける、10秒間物理攻撃を弾ける、その間に任せた》

げっそーさんからのチャットだ

げっそーさんに合図を送ることはできない、向こうのタイミングに任せるしかない

《飛び出してくれればそのタイミングにかける》

なるほど、ならばこのマシンガンは捨て、ハンドガンで無力化するべきかもしれない

心の中でカウントダウンを開始する

相手に勘付かれないようにライトマシンガンを握る手に力を込める

3…2…1………0!

そのタイミングに右側に走り出す、アサルトライフルの銃声と弾丸、弾が向かってくるのが見える

「マジックプレート!」

体を包むように透明な鎧のような何かが現れる、弾はそれに弾かれる、この10秒に全てを賭ける

「アドレナリン!」

その声が聞こえたと同時に全ての動きがおそく感じる、弾の軌道が見えるようだ

「ッ!こんなの反則だろっ!」

そういい銃口を向けトリガーを引き続けるサーティーン

カカカッこの音は間違いない

弾切れだ

「はあっ!」

相手の腕を掴み前方に引く、それにより相手の体勢は前のめりになる、左足で脇腹めがけての蹴り、綺麗に決まり、相手は呻き声を上げる、だがこれで終わりではない、掴んでいた手を離し手を振り上げ両手で大きな拳を作り、トドメの一撃とばかりに振り下ろす、首に当たり、サーティーンは何もしゃべることなく意識を失った、それと同時にアドレナリンとプレートも消える

つまりこの間10秒

「とりあえず…こいつを縛って情報を搾取しましょうか」

どこからか恐ろしい発言が聞こえたがまあその手に乗らないわけはない、数分後頑丈なロープで縛られ、椅子に固定されたサーティーンができあがった



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拷問と食事

「……はっ」

「起きたか……」

少年の目の前にはニヤリと笑う先ほどまで撃ち合い、いや、タコ殴りにしてきてヤツだ

「……何故殺さない」

理由はわかっている、拷問だろう

「何を聞きたい」

喋るつもりはない、何を知ろうとしているのかが情報になるのだ

「そっちが話したくないことだな」

どうやら相手は情報を落とす気はないらしい

「……」

「黙ったか……」

相手としてもこれは嬉しくないようだ、ボスのために黙り、死ぬべきだろう……

ボスはサーティーンを助けてくれるのだろうか…… 見捨てられたりしてないだろうか……

不安になる

彼らAIは主人である彼らの「ボス」に忠誠を誓わせられている、誓うつもりなんてないもの、心から誓うもの、理解をしてないものがいる、サーティーンにとってボスは親であり、忠誠という単語は理解できない、サーティーンは親であるボスに褒められたいがために動いているのだ

「……はぁ…黙られると何もできませんね…」

そのまま悩めばいい

体感で今は夕飯時だろうか…空腹を感じる

だが食べ物で口を割るほど子供じゃない(※12歳くらいの子供です)

「……なんか腹減ったなぁ…」

一人がそう言う、確かに空腹だ

「確かに」

ちっこいのがそれに同意

「……ま、1日ですべてを教えてもらえるとは思ってませんし……今日はこれで質問をやめますか…」

質問?拷問だろう…

「さて、何か食べ物は…と」

チェフトを漁る男、数分後に大量のパンを持っている

「やっぱこれしかないよなぁ……」

「ステーキとか味付けないと肉すぎて飽きますよね」

そのパンをよく見る、どうやらあの不味いパンらしい、どうせサーティーンは食べられないから関係ないけどね

ちっこいのとあのタコ殴りにしてきたやつが話している、ちっこいやつが頷いてパンを持って近づいてくる、見せつける気か、それとも食べたければ話せとでも言うのか?

「口開けて〜?」

予想外の言葉に思わずぽかーんとする

その開いた口にパンを押し込まれる

「むごっ!?」

「食べにくよね、手塞がってると…」

同情するような目で見るな!と叫びたいがパンで口が塞がってしゃべることもできない

「ねぇ、大丈夫?息できてる?」

そういいパンを口から取り出す

「……」

「うーん…起こった?」

無視だ、無視しよう、それが一番だ

「うーん、じゃあこうしよっか、はい口開けてね〜」

今度はパンを一口大にちぎってくれたらしい、だが食べる気なんてない、無視をする

「……うーん…やっぱり美味しくないから嫌なのかな?」

まあ、マズイな、なんていうか……味の付いてない生の穀物を食べてるみたいだ

「もっと美味しいものが食べられればいいのに…食材はあるんだけどなぁ…」

こいつらは何を言ってるんだ、普通に料理することもできないのか?

「うーん…リアルみたいな美味しいもの食べられたらなぁ……カロリーメイトとか食べたいよ〜…」

「かろりー…めいと……?」

聞いたことない単語に思わず反応してしまう

「うん、そう、カロリーメイト、クッキーみたいで美味しいしポロポロ崩れて食べやすいんだよー!」

「クッキーが…ポロポロ?お前は何を言ってるんだ」

「む……食べたことない人にわからないだけで美味しいんだよ!?」

「ふん、外の人間はわからないな…」

「はぁ……じゃあハンバーガーはわかる?」

「なんだそれは」

「やっぱりわからないか〜……」

「それはどういうものだ」

「えっとねー、玉ねぎとケチャップを和えたものとハンバーグとピクルスをパンに挟むの、おいしいよ〜」

「……よくわからんな…何を使ってるんだ」

「ケチャップはトマトで〜、ハンバーグはお肉に味をつけたやつ!ピクルスはきゅうりだよ〜」

「ふむ……そのきゅうりやとまととやらはサーティーンは知らないがもしかしたら10なら知っているかもしれないな……」

「10?10って何?」

「10は10、ダイヤの10だ」

「ダイヤの10…トランプみたいだね」

「そうだな、サーティーン達はトランプのカードのような存在だとボスが言っていた、そして10は料理を用意してくれるやつだ、一見弱々しくて優しそうなやつなんだがな……」

「え?優しくないの?」

「あいつはな、傷を治す力を利用してサーティーンたちをボロボロにしてくるんだ、いや、あの杖で串刺しにしてそのあと治すを繰り返してくるというべきか」

「なにそれ怖い……」

「怖いよ…でもボスには相談できないんだ、そしてクィーンと11がサーティーンを庇ってくれるんだけどもっと酷いんだ……いちばんひどい時は包丁を体に刺さったまま治癒されて皮膚と包丁をくっつけられてた……」

「ごめん…もう聞きたくないというか聞けない…私そういうのほんとダメ」

「無理してたのか、それはすまない」

「てか何歳なの……そんなのされて大変だったね……」

「12だ…と思うぞ」

「え?じゃあ私の方が年上〜」

「は…?そんなちっこいのにか?」

「……なんて言ったのかな?」

ちっこいやつはにっこりとしながら頬をつねってくる

「わ、わふはっは!ゆふひへくへ!」

「何言ってるかわからないな〜」

ニコニコとそう言う

「ネロ、その辺にしとけ」

「はーい…」

タコ殴りにして来てきたやつがちっこいのを止める、そうか、こいつはネロと言うのか

「はぁ…どうするかなぁ……」

頭をボリボリと頭をかくタコ(ry

「ねぇ兄さん?武器もないんだから解放してあげてもいいんじゃないの?」

「所詮バカか?逃げられでもしたら増援とともにやってきてこっちがやられるだけだ」

「そっかぁ……ごめんね…」

両手を合わせ謝ってくる、なぜ謝るんだ?

「おい、なんかもっとマシなものを食うべきだぞ、そんなもんしか食ってないのか?可哀想な奴らだな」

タコが拳を握って殴ろうとするのをネロが必死に止めている、どうやら頭にくる言い方をしてしまったようだ…

「食べられるものがこれしかないんだ、黙れ」

「……そうだな、10を殺して情報を得ればマシなものは食えるぞ、これと引き換えにサーティーンにマトモなものを食わせろ」

「そりゃ頑張ってそいつを叩きのめす必要が出てきたな……食べ物については考えこう」

「10は屑だら酷い殺し方をしてやるといい、やつはクレリックだが、マジシャンの技能を身につけている」

「よく喋るな」

「嫌いな奴が死ぬんだ、手助けしない奴はいない」

「そーかいそーかい」




なんだろう…サーティーン設定考えて純粋にボスに従う男の子にしたら拷問しちゃダメだってなった


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奇襲

「んで、その10は…本当にそれが苦手なんですか?」

 

「なぜ嘘をつく必要がある、唯一弱みを見せるのがそれだ」

 

「……水か…流すんじゃなく落とすのが楽だよな…あとそいつはどこに」

 

「基本6と一緒にいたが最近仲が悪くなって一人で山を散歩している、お前らのいう資源ワールドの2番の一番高いところだ」

 

資源2…まだ探索していない場所だ

そこに人がいるなら同時に助けるべきだな

 

「わかりました、ネロ、hakurouさんは見張りを」

 

「把握」

 

「りょーかーい」

 

「今回は団体行動になりますが確実に敵を仕留めましょう、いや、捕まえて情報を聞き出すべきですね」

 

「まともなものが食えるなら頑張るしかない」

 

「よし行きますか!」

 

みんなやる気十分だ、そりゃあうまいものが食えるならみんな大喜びで戦う、だってまずいものしか食えなかったのだから

 

「じゃあ、しっかり見張りも頼みましたよ」

 

 

 

 

資源2

 

ここは村がある、だが人は居ない

言うならゴーストタウンだ

 

「……おりますか」

 

水に浸かりながら降りる、沢山の家がある

 

「……?鉄…の匂い?」

 

「鉱石の匂いなんか…確かに鉄の匂いが」

 

何を言ってるか一瞬分からなかった、だが鉄の匂い…間違いないだろう、顔を見合わせ頷き匂いの元に向かう

 

バタン

 

大きな音を立てドアを開ける

 

鎖に繋がれた人がいた

 

傷はないのに血まみれだった

 

「間違いないようですね」

 

「だな、誰か2人連れていけるやつを」

 

「なら俺が行く、治療できる奴が一人はいたほうがいい」

 

「おれも行こう」

 

gessoさんとカサシノさんが血まみれの人を連れてワープする

 

「ここに戻ってくるのを待つより探しましょうか」

 

「何故」

 

「ここに他の奴が来た場合、間違いなく勝てないとおもうので」

 

「戦闘職が来たらアウトってことか」

 

「よし、行くか」

 

山を登り始める、忍者のパッシブスキル盾登りというスキルがあるらしい、それを応用し崖を上りロープをたらすという方法をとる

 

上からロープが投げられる

 

「順に登りましょう」

 

一人登り切ってまた一人、というように登り続ける

 

「あ…」

 

「おそらくあいつでしょうね」

 

狙う敵と思われる女が遠くを歩いている、一応相手がこちらに気づいているかの確認のためにスコープで調べる

 

相手は遠くを見ながらのんびりとしている

見た感じピンクの髪をした優しい表情の女だ

 

「こちらには気づいてません、奇襲しましょう」

 

「了解、速攻で向かう」

 

鯖味噌氏のもう一つのパッシプスキル

抜き足差し足忍び足

その名前で分かるが静かに歩くスキルである

これはとても静かで真後ろからいきなりホールドアップされたことがある

 

こちらを向かないように見張る

 

女が杖を持ち鯖味噌氏の方に向く、気づかれたか…と思ったが女は杖を落とし手を挙げ降伏の意を示す

案外素直に負けを認めるな…

そう思い自分たちも向かう

 



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奇襲2

おっとりとした目をしているその女は、確かに13の言う特徴通りの人間だった…つまり

 

「あんたが10か」

 

「ひっ…あ、あの…私に何か用でも…」

 

怯えた声を出すその女はなんとかこの場を去りたいようだ

 

「……」

 

本当にこいつなのだろうか、全然聞いてたほど精神異常者な感じはしない、だが先ほどのあの光景をこいつがやったとしたらと考えると恐ろしく見えてくる

 

「あの…私何かしましたか?邪魔とかなら消えますからお許しを…」

 

どういうことだ…聞いてた特徴は容姿しか当てはまらない…

 

 

酒場

 

「もし…」

 

「?」

 

「もし…奴らが10と交戦したのなら、簡単に勝てるだろう」

 

「え?」

 

「奴の戦闘能力は低い方だ、もちろん雑魚相手なら片手で潰せるほどの力はある、だがな…奴が怖いのは…」

 

 

 

資源

「……つまり本当に何も知らないと」

 

「は、はい…私が何かを作ってもダメになるだけですし…」

 

「無駄足だったか…」

 

「こいつどうするか…このままってわけにも…」

 

「…あ、あの、この場のことは絶対に言いませんから!」

 

「うーん…」

 

 

 

「奴が怖いのは…無意識に…術をかける点にある、詠唱なんていらない、軽い洗脳…」

 

 

 

 

「……まあ、ここは引くか」

 

「信じてみるか」

 

 

 

 

「それに気づかず…奴の術中にハマれば…」

 

 

 

 

10に背を向け歩き始める

 

 

 

「奴は確実に動きを封じ、死ぬまで遊び道具にするだろう」

 

 

 

女は凶悪な笑みを浮かべ、ゆっくりと杖を向ける、そしてドス黒いウェーブが現れ…

 

「シャドウバインド」

 

影が伸び、地面を離れ、捕まえようと襲いかかる

気づけば時すでに遅し、影に飲まれ地面に磔にされる

 

 

 

「もし油断したとしたら…」

 

 

「「おしまい」」

 

「だと思う…あいつを捕まえるのは不可能だ」

 

 

10はカツ…カツ…とゆっくり音を立てて磔にした玩具に近づき、それを見る、どう遊ぼうかと目を輝かせ、手をパンとうち、手帳を取り出す

 

 

「うふふ…あなた達は私のモルモットなんです…モルモットに過ぎない…所詮そんなものなんです…!あハハッ!」

 

狂った女は本性を晒す

みたものを恐怖させるその笑みは…滑稽だった

 

「くッ…w」

 

「ふはっw」

 

磔にされたまま笑う、その姿を見てまず疑問になり、笑いを隠さないその姿に腹をたてる

 

「何!?何がおかしい!?」

 

その時だった、首元に刃が向けられているのに気づく

 

「魔法を解け」

 

言われた通り魔法を解く、それと同時に大量の武器が向けられる

 

「……なるほどね」

 

捕まえた忍者は分身、本物はいま刃を向けているこっちだった訳だ

 

「うふふ…少し、詰めが甘かったわ…」

 

そう言うと杖を手放す、カランと音をたて杖が倒れると忍者は前方に移動する

 

「でもあなた達はもっと甘いのよッ!」

 

そういい刃を掴み前方に引き忍者をこちらに寄せ盾にする

傷は継続回復の魔法をかけているためないも同じ、こちらに武器を向けているやつは戸惑っている

 

「この子一人とあなた達全員、どっちを選ぶのかしら!?」

 

絶叫のような大声で叫びながら問う、その答えは耳元に帰ってくる

 

「両方だ!」

 

肩を殴られ忍者を話してしまう、容赦なしの一撃、骨が砕かれたようだ、そして後ろを向けば誰もいない…と思った瞬間足に衝撃、体制ごと持っていかれる、トドメの一撃と倒れた体に拳が迫るがこれを地面を転がり回避、回復魔法を使い骨を治し戦いを覚悟する

 

「あなた誰よ!私の素晴らしい時間を邪魔して!いいわ!貴方からいじめてあげるわ!」

 

そう言うと同時にナイフを取り出す、そして魔法だ

 

「マジックプレート!」

 

そういい武器を持たない乱入者に迫る

 

「ッ!」

 

乱入者は防戦一方だ、足をすくいナイフを振り上げる

 

ダァァァァァァァァァァァァン

 

大きい音ともにプレートは崩され吹き飛ぶ

 

致命傷の威力の攻撃を食らえば一撃で破壊されるのだ、10秒間確実にダメージを防げるのは致命傷ではない威力の攻撃だけ

 

呻き声を上げ吹き飛ばされる、プレートともに大きい音をたて飛んできた何かは消滅し、私だけが吹き飛ぶ、地面に衝突し、何度かはねたが勢いは消えずぐるぐると視界が回る、魔法により回復を続けているため残るのは不快感だけだ、ついに地面から離れたと思えばその先は…

 

 

「……水に落ちたか」

 

プカプカと浮いているそれを見て勝利を確信する、おそらく意識もない、もし意識があっても水のせいで自由に動けないだろう

 

 

 

 

「さて、意識は戻ったか?」

 

そう言われ目を開ける10、足が水に浸かり、両足両手首は縛られている

 

「……」

 

「聞きたいのは2つ、食料とあんたらについてだ」

 

「……言うと思ってるの?」

 

誰かに頭を踏まれ水に顔が浸かる

 

「ぼがっ!?」

 

「あんたがやったのは…そういうことだよ」

 

髪を掴み顔を水から引き上げられる

 

「ゴホッゴホッ…わかった…言うわよ!食料はここから北に向かったところにある静かな山に行けば沢山野菜や調味料があるの!そこから持って行きなさいよ!」

 

「次だ」

 

「それは言わない、私たちへの被害が大きすぎるもの」

 

「言え」

 

また水につけられる、見ているこちらも良い気にはならない

 

「がほっ!何度やったってしゃべるつもりはないわ!!外の人間ども!あんたらなんて……」

 

言葉は続かなかった…講義の言葉は遮られ、その表情は二度と変わらない…先程までと違うことがあるとすれば…目と目の間に一つ穴ができ、血が流れ続けていることだろう

 

この光景に誰もが言葉を奪われた、喋ることはできず…この光景を理解したがらず…

 

10は…消されたのだ

親愛なるボスに、命令を下され、静かに殺しを行い、口を完全に封じるものが居たのだ…

 

 

 

 

 

???

「……すまないな、10、お前が口を割るとは思えないが…死んでもらう」

 

悔しさを噛みしめる……それは友を殺した自分への怒りかそれとも自分の安全のためにボスに従う弱さへか……

 

 

 

 

 

 

 

 

???

「そうか、このチェス、第3の勢力が…くくく…」

 

笑う、チェス盤を見て…

悩むことなんてない、楽しませてもらおう…



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ジャックとクィーン

「……」

 

目の前で人が死ぬ

人が死ぬのはかなりのショックがある、雑魚敵なんかは殆ど喋らないから人と認識できないという点もあるのだろうそういう気持ちにはならない

だが、10は対話できる人間き見えたのだ、それにより、血の生々しさと恐ろしさでショックを受け誰もが言葉を失う

 

 

 

時は遡り10が目覚める少し前

乱入者への問いが始まった

 

「あなたは誰でしょう」

 

「taco1046」

 

「tacoさん!?お久しぶりです!」

 

最古参メンバーの一人のtacoさんには忠誠を誓ってると言っても過言ではない言動をよくするRIONNだった

その後この世界のことを話し、彼のジョブが拳闘士であり、それなりの強さを持つことまでを話したのだった

 

 

 

 

この時の全員はすぐそば、いや、高い位置に誰かがいることにも気づけなかった

 

ヒュッ

 

風を切る音ともに何かが地面に落ち衝撃が走る

 

地面がえぐれた後、その先には何もなく飛んできたと思われる方向に視線を走らせる

 

「フフッ、ほとんど時間が経ってないのに10を殺せるほど強くなったんだネ」

 

「予想外だったわ、まあその子が死んでも誰も損はないんですもの、ボスからのお叱りも受けないし気が楽ね」

 

「!」

 

全員が驚く

山の中腹あたりに居るのは…

少し前に挨拶と言って勝負を仕掛けてきた二人であった

 

「「ジャック/クィーン…!」」

 

即座に遠距離武器を持つ二人が構え、魔法使いが杖を向ける

 

「今回は、いたぶりにきたヨ」

 

「ほんとはどうでも良いその子を連れに来たのよ?」

 

「……」

 

静かに時が過ぎる

 

先に動いたのは…

 

ジャックだった、そのスピードは双剣士としてもかなり早いものだと思う、その構えた二つの刃は黒い炎を纏っていた

 

「まずハ…キ、ミ」

 

ヒュッヒュッ

 

風を切る音がしたと思えば誰かが体勢を崩す、そのものの姿を見れば足を斬られていた、気づけば一人に包囲されていたのだ、その速さはどう動いても抑えられるものではなかった

 

「……!」

 

だが…ジャックに気を取られすぎたのだ

 

「私を忘れないでほしいわねッ!」

 

上空から体を捻り回転しながらその長い刀を振るう、くらえば一刀両断、何かで防いでも骨ごと砕かれるのは言うまでもない、回避行動の直後に地面にクレーターができあがる

 

「こんな…刀の威力かよ!?これが!」

 

ありえない、だがこれが現実なのだ…

 

「ジャックを抑えながらクィーンを仕留めろ!」

 

誰かが叫ぶ

 

「そんなこと…デキルノカナッ!」

 

一人やられた、致命傷ではないだろうが傷は深く血の池ができる、そちらに注目してしまった瞬間何かに貫かれる

 

「がッ…!」

 

また一人、刃が抜かれると同時にそれは力なく倒れ、また血の池ができる

 

恐怖

 

恐怖に囚われたのだ、誰も動けない

 

凶悪に歪む2人の口元

 

まさに狙い通り…!

 

の筈だった

 

「……面白いじゃん」

 

そう呟く、それと同時に武器を構える

 

「ゲームなんだ…楽しむしかないじゃん…」

 

自分を震わせようと必死な声だった

なんとか戦おうとしている

 

「そんなこと考えられなくしてあげるヨッ!」

 

「叩き潰してあげるわッ!」

 

剣が迫る前も後ろも回避方法はないだろう…

なのに姿が消えた

 

「「なっ/消えタ…!?」」

 

クィーンの刀に衝撃が加わると同時にジャックと衝突する

 

そして二人の顎に蹴りが決まる、ジャックとクィーンがよろけたところに銃が突きつけられる

 

「ナイスですtacoさん」

 

何が起こったか、剣が迫ったときにグラップラーのスキル、スラッシュムーブを発動したのだ、基本的に横、前後方向に移動する技なのだが地面に向かい移動したことで地面に張り付くような体勢になり視界から消えたのだ、そして二人の剣が合わさった時に顎めがけての蹴りを放った、それがクリーンヒットしたのだ

 

「くッ…なめやがっテ!」

 

声を荒げるジャック、だが次の瞬間に状況が全て変わる

 

ぽうっ

 

青い炎になり2人が消えたのだ

「ふふふ…少し遊びすぎたわね」

 

「ッ〜…チョット痛かったヨ、次は本当に許さないからナ」

 

出血を続けているPCはHPが減る

斬られた二人を回復しすぐ北へと向かう

 

 

 

 



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謎の場所

北へどれだけ進んだだろう

山岳が道を阻み山を登りながら進んでいる

 

「……はぁ…きっつ…」

 

戦闘の後にこれはキツイ

 

ずっと歩き続け登り続ける

 

2時間は経っただろう時に異変を感じ取る

 

少し後ろは綺麗な資格のブロックの世界、だが目の前はボコボコとした普通の場所…いや、リアルのような場所だった

 

「ここは…」

 

「そうだナ、言うならバ地形を読み込めず向こうの世界のデータを基盤にしちゃった感じだネ」

 

後方からの声、振り返るタイミングに武器を向ける

 

「おっト、やめたほうがいいヨ?そちら側でハ武器が使えなイ」

 

ジャックだった、全員の表情が険しくなる

 

試しに引き金を引く、が、1と0となり消えてしまう

 

「ここは仕様の外側、仕様外のセカイ、君たちハセカイノカゴを失イ、武器を失うのサ」

 

「なら…そこに踏み込めば武器を叩き込めるんだよなぁ!」

 

「そうはいかないヨ?」

 

影の小さいバージョンが現れる

 

「喰エ!喰い殺してしまエ!」

 

人一人程度軽く飲み込めそうな大きさだ、地面を喰らいながら進みこちらに向かってくる

 

「……!」

 

「フフフ…君たちの目的のものはもう目の前だけド、諦めてみル?」

 

ジャックが指す先には小さな小屋があった

 

「ソコにはキミたちの探ス外のセカイの食料があるのサ、でモ、キミたちは、ここで死ぬんだけどネ」

 

気づけば影は3体いた、こちらを囲むようにぐるぐると回っている、地面が抉れこちらに円が縮みながら迫ってくる

 

「絶対絶命、ダネ」

 

どこかで見たような光景だった、まるで漫画のようだった

だが漫画のような力はない、どうするか

 

「……3体の隙間は6m…次のやつがそこを通るまで約4秒…いける」

 

順に間を通り抜ける

だが円が縮むほど時間は短くなるのだ、最後の一人が抜けようとするには1秒もない

 

「……どうすればいいんだこれ…」

 

気づけば影は口をこちらに向けていた、どう交わすこともできない

力なき人間ならば

 

「二連跳び膝蹴り!」

 

グラップラーの基本スキル、飛び膝蹴りを両膝で連続で行う技だ

 

「ヒュ〜♪スキルを失わないっていうのはわかったんだネ」

 

影は頭上からの蹴りに耐えられず口を閉じる、ただの突進でしかないそれをくらっても二人は吹き飛ぶだけでダメージはない、そして追いかけてきた影がスッと吞み込む

 

「共食い…どんな口だよ…」

 

そう呟くがその影はすぐにこちらを捉え、向かってくる

 

「来るぞ!離れろ!」

 

逃げながら、逃げながら小屋に向かう

 

「こっちで引きつける!」

 

忍者とグラップラーがヘイトを稼ぐ

なかなかいい作戦だろう

 

バン

 

大きな音を立ててドアを蹴破る、チェストではなく棚が並んでいる、そこには色んな調味料や野菜があった、肉や魚は現地で調達しろということだろう、人参や玉葱もみあたらない、インベントリに取れるだけ詰め込むがダブっても無駄なため容量がない奴はダブらないように物を詰め込む

ようにする

 

「よし、こっちはおわりました!」

 

「これ…フルーツもあるな!よしもっと詰め込むぞ!」

 

「おっしゃ!」

 

「欲を出さないほうが…!早くしないとあの二人が危険です!」

 

約8分ほどした頃に全員が食料や調味料を詰め終わる

 

「先に引いてください!あの二人を呼んできます!」

 

 

 

 

「ッ!この!」

 

「まず…!」

 

小さい影が増え2人は苦戦してるようだった

 

「終わりました!ワープしてください!」

 

「無理だっての!こんな状態じゃコマンド打つ暇もないわ!」

 

「同意…ッ!あぶないな!」

 

「どうすれば……あ…2人ともこっちに来て自分にしがみついてください!こっちでコマンドを打ちます!」

 

「なるっほど…いけるか!?」

 

「多分!」

 

/hubと速攻で打ち込む、2人が走ってくる、tacoさんが腕を掴む、鯖味噌氏が走ってくる

 

「tacoさん手を伸ばして!」

 

鯖味噌さんの手をtacoさんが掴むと同時にコマンドの効果を発動させワープする

 

影が数瞬までいた場所の地面をえぐる

 

「へぇ…そろそロ…俺モ頑張らないとかナ?」

 

ジャックの姿が炎のように消えた



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食事と雑談

肉の焼ける音と香ばしい匂いが食用を誘う

 

戦闘の後の疲れた体はその肉を欲したまま食欲を露わにする

 

「マジでリアルみたいだ…」

 

ウマそう

 

その一言で充分だ、マズイ旨味も何もない料理を鉄板で焼き、塩胡椒を少しかけるだけでありえない変わりようだ

 

「サーティーンにもわけろ…」

 

「っせぇよw捕虜のくせにw」

 

どうやら待機組は仲良くなっているらしい、サーティーンの口元にも少しの笑顔が見える

 

「っと、ホイできた、そっちは」

 

「んー…かまどって苦手、でも美味しそ〜」

 

誰かが持ち帰った大量の米でステーキセット(ソースはなし)が完成する、数分すれば席は食事と人で埋まる

 

「いやぁ、頑張った甲斐あった!」

 

「まあ、キツかったな…」

 

「……手枷を外してくれないと食えないんだが」

 

「食べさせてあげようか?」

 

「みっともないからやめろと何度言わせるのだ…まずサーティーンはそういうことをされるほど子供ではないぞ」

 

「えー?13歳のくせに?」

 

「あと2年で戴冠式だ、サーティーンは十分大人だ」

 

「はいはいw」

 

たい…かん…?

 

「ちょい待て今戴冠式って言ったよな…こいつ次期国王か!?どこの!」

 

「ふっ、サーティーンの偉大さに気づいたか」

 

「……いや、交渉材料になるんでねぇの?」

 

「ダメだよー、可哀想だし…」

 

「敵だけどな」

 

「む……」

 

「こんな事なら単騎で攻めるべきではなかったか…ん?そう言えばサーティーンのティアラは何処だ…?」

 

「これ?これ男の子がつけるものじゃないよね?」

 

「何を言っている?サーティーンは女だぞ」

 

「あーはいはい…え?」

 

全員が沈黙する

 

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

「いやお前…どう見ても男だろ!」

 

「うん、ないわ」

 

「あ、冗談か、一瞬騙された」

 

「男の子っぽいお姫様か…アリだな」

 

冷静さ(約1名は変態的)を取り戻し考える4人に混乱する他の姿を見るのはなかなか面白いものだったりする

 

「……本当だぞ?まあ、そうだな、知らないのも無理はないだろう、外側には縁のない国だ…ネット…と言えばいいのか、この世界の統制する国は何百とある、それを管理する一番上の国だ、30.40年前から存在していたのだがな、とある一件がきっかけでサーティーンの国が1番の力を得た、お前たちは知らないだろうが…ネットにも人は住み…生活している、それをNPCと呼んでいるな、その者達はみんなネットの世界の治安維持を手伝っている、中には逆の…世界を破壊しようとする者もいるのだが…」

 

そこで言葉が途切れた

 

「そこまでだヨ」

 

「ここにいらしましたか…探しましたよ……」

 

ジャックとクィーンだった

 

「おぉ、来たのか」

 

全員が臨戦態勢をとる

 

「待て、武器をおさめろ」

 

「しかシ…」

 

「……仰せのままに」

 

ジャックとクィーンはなぜかサーティーンに従う

 

「どういうことだ…?」

 

「……この2人はサーティーンの近衛兵でな…ここなら明かしてもいい、聞けることはないだろう」

 

「……そうですカ…」

 

「…私達は姫の近衛兵兼世話係、紫蘭と申します…」

 

「俺はそのままジャックダ」

 

「……さて、我も名を偽ることもない、ニア・シエルと言う、我は父を殺したこの世界の神と名乗るものを罰するために来たのだ、データなのだ、簡単に死ぬ、1と0の間は不安定でな」

 

「あのー…なんで自分らがこの世界にいるんですかねぇ」

 

「本来我らはこのサーバーと言うのか?に足を踏み入れることは禁じられている、だが来てしまった、だから不安定な世界がさらに不安定になり、お前たちが巻き込まれたのだ」

 

「……なるほど…」

 

ため息が聞こえる

 

「すまなかった、だが案ずるな、我の目標が達成された時、お前達を帰す手伝いを微力ながらさせてもらおう」

 

「……で、その神とやらはどこにいるんだ?」

 

変わり身の早い奴らである

 

「わからん、だが…いや、もっと説明が必要だろう、紫蘭」

 

「はい、昨年のことにございました…現国王ということになっておられるお方が死んだのです、理由は簡単、ウイルスプログラムを植え付けられ、死にました、そしてそれをやったのは小さな世界しか知らない神と名乗るものだったと、ですがそれは意外にも強固な壁に守られていたのです、ここは本当に突破に手間取りました…」

 

「さすがレイさんとしか言いようがないな」

 

「レイ…?」

 

「このサーバーの主ですよ、こちら側の世界の人間ですから別人です」

 

「ふむ…我が国の技術者にほしいくらいだ、かなりの凄腕だったぞ」

 

「で、続きは?」

 

「この世界に来た後の話です、私たちは奴に接近しました、奴はあるものを渡してきました、仮面と髪飾りです、その時のやつの周りには何人もの配下がおりましたゆえどうしても倒せませんでした、そしてのそ仮面と髪飾りを私たちがつけた後は軽い記憶障害がございます…アレには洗脳のような効果があるのだと…そして姫のティアラにも…我々は2度の戦闘のうち1度めのときに一瞬外れ正気に戻りました、しかし洗脳されたままのふりをしてる方が都合が良いためフリをして追ましたが先ほどばれてしまい逃亡してまいりました…最初の後は一度も奴には会えませんでした…刺し違えることもかなわない…こんな非力な私めをどうかお許しください、姫…」

 

「よい、これでわかったか?嘘ではないと」

 

みんな苦虫をすりつぶしたような顔をしている、ただネロはなぜか嬉々としていた

 

「どした…?」

 

「いや、女の子の友達が増えるなぁ…と」

 

「お、おう…」

 

「引いた!?今引いたよね!?

 

「そんな事より!お前達は我らに協力してくれるのか?」

 

「変える方法がないなら…仕方ないかな」

 

「まあ、いいんじゃない?なんか調子乗った文送りつけてきたし鼻っ柱叩き折ろうよ!」

 

「なら、一つ頼みたい」

 

「???」

 

「我の枷を外してはくれんか…空腹で仕方ないのだ」

 

「姫!そんなはしたない…!」

 

「ま、いーんじゃなイ?たまにはおとなしくしてもらうのモ?」

 

どうやら楽しくなりそうだ



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No.unknown No.6&4

「……」

 

男は空を見た

 

その目には星が写った

 

その目を閉じ、また開いたときは血が映った

 

「……俺は…何をしているのだろう」

 

彼の声は虚空にかき消された

 

彼は血を弄び

 

虚空の中へ姿を溶かす

 

「……アンタは…俺が生きる理由であって…くれるんだよな?」

 

怯えた問いに問われた者が困惑の表情を見せる、が、すぐに落ち着き、優しい目のままに答えた

 

「ああ、お前が力を振るい続ける限り、そうあろう」

 

 

 

 

 

 

 

No.6&No.4

 

嗚呼、なんと素晴らしき…

 

女は鳥だった

 

鉄の羽と鉄の爪を持つ鳥だった

 

神経の無い傀儡の鳥

 

「ねぇ…今日も…飛ばせてくれるの?」

 

「もちろん」

 

女の問いに少女は答える

 

「私は…本当に鳥になれた瞬間が心地いい…3番目に大好き」

 

「2番目は?」

 

「自分の苦痛」

 

「じゃあ1番」

 

「誰かの悲痛な叫び!」

 

嬉々として問答をする、少女が杖を天に投げ、風を起こす、風は自由に動き回り、女を持ち上げる

 

「嗚呼…なんて素晴らしい時間…」

 

そう言っていた女の目の色が変わる

 

目線の先には兵士がいた、約100、最近は頻繁にある

 

どこぞの姫君が近衛兵とともに消えたらしい

 

そんなことに興味なんて全くない

 

「ふふふ…良い叫び声を…聞かせてくれるのかしらねッ!」

 

体を前に倒す、鉄の体は落下をするように素早く敵の方へと向かう、上空5mほどの位置で態勢を整え、足にナイフをぐさりとつき刺す

 

「ッ〜!」

 

顔を恍惚とさせる、その悲鳴にも近い快楽を訴える声に兵士が気づき槍を向ける

 

「少し待って…嗚呼!嗚呼!」

 

爪先に3本、かかとに1本突き刺さる、その足はまるで鳥のようになった

 

「ふふっ…ヒール」

 

傷口が塞がりその足を自分のものとした女は天に昇りくるりと回転する

 

「嗚呼!ああ!アア!」

 

壊れたように叫ぶ女は地面へと最高速度で一直線に落ちる、いや、飛ぶ、何度も羽ばたく翼がその勢いを手伝うことでどんどんスピードが上がり地面に衝突した時は大きなクレーターと砂煙を作り出す

 

「な、なんだ…こいつは!」

 

兵士たちは恐怖していた

 

「ふふっ私はNo.6、セリル=6=ペインよ、あなた達は今ここで死ぬわ…いえ、1人くらい気に入れば連れて帰ってあげてもいいわよ」

 

鉄の翼が羽ばたき

 

鉄の爪が兵士をいたぶる

 

兵士の悲痛な叫びがさらに女を狂わせた

 

「アハハハッサイコウネ!」

 

1人残らず動けなくしたところで順に吟味する

 

ぐさりぐさりと音を立て、足で踏みつけていく、仲間の悲鳴に恐怖し次の自分の番を恐れた

 

「ああぁっ!!!頼む!やめてくれ!殺してくれぇっ!」

 

もう5分は続いている、どうやらこいつがお気に召したようだ、顔を恍惚とさせ、何度も踏みつける、その音は刺す音ではなく、肉体をかき混ぜるようなぐちゃぐちゃという音だった、悲鳴は途絶えることはない、致死量の血もすでに流れた、なのに生きている、ヒールだ、魔法により何度も再生してしまう、半永久的に玩具とされるのだ

 

「がっ…ごぼっ…や、やめ…」

 

何時間経っただろう、表情は冷め、冷たく見下す目で見ている、兵士は血を吐き、喋ることもできない

 

「……飽きてしまった…さようならだ」

 

そういい首を蹴るようにはねる

 

「……ふむ…あの子にもう少し飛ばせてもらおうかしら」

 

ガチャリガチャリと鉄の羽が音を立てる

 

一度地につけば飛ぶことはできない羽

 

さくりさくりと地面を指す足

 

地面は花を咲かせていた、人からの養分で咲かせたのだろう花を、その花はなんの皮肉か…とても美しかった…どうじに…とても儚く散った



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名前なき傀儡

カタカタカタ カラカラカタカラ

 

木の音がなる

 

「……来たか…」

 

兵士は剣を構える

 

カラカラカラカラ

 

その音は次第に大きくなる

 

「知ってるかい?この傀儡の名を」

 

1人の少女がそう言う

 

「この傀儡は名前がない」

 

1人の少年がそういう

 

「どの傀儡も名無し…悲しいよね…」

 

男の人形が現れそういう

 

「だからあなた達の名を…頂戴な」

 

女がそう言うと血飛沫が飛び散る

 

「あらあら…」

 

「あなた達の名は…誰もお気に召さなかったようね」

 

「へぇ…そうかい、ウチの部下の名は気に食わなかったか」

 

大きな剣を担いだ青い髪の男が言う

 

「……貴方も…つまらない名前なのでしょうね…」

 

「どうかな、試してみるかい?」

 

剣が金属音を鳴らし切っ先が女に向く

 

「ああ、いいわよ…私の獲物だから少し待ちなさい」

 

女が何かを呟く

 

「ったく…独り言は明るいとこでしてほしいねぇ…!」

 

そういい女に向け剣を振るう、少年がそれを受ける、が、音を立てて崩れ去ってしまう

 

「あら?酷い人ね」

 

少女が走ってくるが視線は女に釘付けのまま首を刎ね、距離を詰める

 

「ッ…!」

 

男の人形が女を守るように立つが、それを剣で貫き女に剣を突き刺す

 

「かはっ…なんて言うと思った?」

 

「何!?」

 

女と男が崩れる

 

「傀儡使いが姿を見せると思っているのか?」

 

反響し位置がつかめない、上空から金属音が鳴り響く、上を向けば何かが落ちる衝撃で倒される、腹に激痛が走り悲痛な叫びをあげる、その叫び声に反応するかのように何度も踏みつけられる

 

「いいわぁ…ねぇ、もらっていいかしら?」

 

「いいよ」

 

傀儡使いは闇に住み闇に消えた…

 

 

 

 

 

「え…んじゃあ10は復活しちまうの?」

 

「いや、ウイルスが侵食しているだろう、だからそれはない」

 

「私が確認したところウイルスに侵食されており、触れれば感染、物を当てたところ1と0となり消滅しました」

 

「うっわぁ…」

 

「我を殺す勢いだったしいい気味だ」

 

「流石ニ、姫君にやっていいことじゃないよネ」

 

「んで、自分たちが敵を倒しても復活するところまではわかりましたが猶予は」

 

「短くて3日、長ければ何百年、いや、何億か、数えられる限りではないのだ」

 

「3日でかたをつけろ…ってわけか」

 

「何を迷っている、ウイルスプログラムを使い殺せばいいだろう」

 

「流石に殺人犯はね…」

 

「てか…そろそろ行動しないと…もうここにきて2週間だよ」

 

「そういやもうそんなに経つのか…」

 

「我もいい加減出たい、が…しかしここのプロテクトは強固での、出るに出れんのじゃ」

 

「……さて…神とやらを叩くには側近とかを殴って居場所を聞くってところまでは決まりましたし行動しますか」

 

「我も出よう」

 

「いえ、私が代わりに、姫は戦闘が苦手なのは先日の戦闘で露見しております」

 

「むぅ…」

 

「んじゃあ何人か護衛班、行動する自分たちは固まって敵を捕獲する動きをしましょう」

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

「クリア」

 

「クリア、敵影なし」

 

現在資源3にある謎の要塞に来ている

 

これは先ほど偶然見つけたもので前はなかっただろう物だ

 

「……おい、これは…」

 

tacoさんが見る先には大量の人間…いや、かなり精巧に作られた人形があった

 

「……こういうのってホラーの定番で動くよね」

 

「これが動いたら即死する自信がある」

 

薄暗くとても怖いのだ、ホラー耐性のない奴が動く人形を見れば恐怖しかない

 

「ほんっとに耐性ないね」

 

「ポーションで耐性つけばいいのにな」

 

「男のくせに情けないね、兄のくせに情けないね」

 

「死ねばいいのに」

 

軽い口喧嘩とともに進む

 

奥に進むと何も見えなくなっていた

 

「……光」

 

「こうかな?」

 

ネロが剣に炎を灯す、使い捨ての双剣・こきり

材質が木なので松明の代わりもなる

 

「ナイトビジョンあるからやめろ」

 

ナイトビジョンに光をあてると軽くムスカとなってしまうのだ

 

「……とまれ、人がいる…1…10…50はいるぞ」

 

「敵か?」

 

「……いや、死んでる…足元に血溜まりが見える」

 

「……」

 

沈黙の時が流れる

 

「進もう」

 

静かに…確実に迫るものに誰も気づいてはいなかった



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黒い炎

 

「……何処にも…ない…」

 

男は探す、半身を

 

「……このままでは…!」

 

怒りをぶつけるように木を殴る、木はパチパチ音を立て燃え始める

 

「……やはり…」

 

炎は黒かった

 

「……またか」

 

男は観る

 

敵の姿を

 

焼かれ、死に、消えていく敵の姿を

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ひっ!?むご!?むぐぬ」

 

ネロが悲鳴をあげるが口を抑えて声が出ないようにする

 

「お前声出すなって言わなかったか?」

 

小声で言う

 

「ぷは…なんかヌルッとしたものが…」

 

手のひらを見せてくる、血がべったり付いてるなんて言えばまた声を出すため騙そうと思う

 

「……あ、あー…」

 

が何も思いつかない、どうしたものか

 

「うん、ただの水だろ、行くぞ」

 

さっさと進み後で好きなだけ叫けばせよう、どうでもいいし

 

そう考えながら姿勢を低くして進む

 

「……あれは…ッ!?」

 

背後からの鈍い痛みを受け倒れる

 

「……ど、どうしたんだ…?」

 

「おい…?」

 

「大丈夫か!?」

 

「ぅ…ぁ…」

 

頭を押さえる、ぬるりとしたものがつくのがわかる

 

「だ、だれか…い、いる…て、敵…が…」

 

意識が薄れる

 

「ヒール」

 

その一言で意識を引き戻される、しかし痛みは消えず気を抜けば沼に引きずり込まれるかのごとく意識を取り込まれるだろう

 

「……ぁ…前方に…5…後ろに…数不明…」

 

ネロが火をつけキョロキョロと周りを見る

 

「……居ない?」

 

「いや、上だ!」

 

鋭いツメが天井に食い込ませ天井に張り付いている、人間のような体をしている、頭は岩のような形

 

「なんだ…こいつ」

 

おもわず声を漏らすものがいると思えば武器を向けるものもいる、しかし周りが明るくないせいでしっかりと姿を捉えられていない、明かりから抜け出されれば即見失うだろう

 

カラカラカラカラカラカラ

 

そんな音をたてふわふわと浮いた人のようなものが近づいてくる

 

「……囲まれてる!」

 

誰かが叫ぶ、後方のあの人形も動いたようだ

 

「どんなホラーゲームなんだよ!」

 

確かにそうだ、となるとおきまりの展開は

 

GAMEOVER

 

「……死んでたまるか!」

 

どうやら同じ考えの人がいたらしい、武器を向ける

 

「隠密行動とかじゃなくていいなら明るくするぞ!」

 

「OK!やれ!」

 

「みんな忘れてるんだろうけど松明ってものがあるんだよ?」

 

「「「「「「……あ…」」」」」」

 

確かにここマイクラだったなと思う

 

「誰か石炭が木炭と木の棒!」

 

急に場が和んだが状況が変わったわけではない、暗視の効果が消える前に殲滅しようとライフルを構え頭を撃ち抜く

 

ダン ガッ カチ ダン ガッ カチ

 

一発ごとのコッキングを済ませながら確実に頭を撃ち抜いていく

 

「やっぱ人形は頭ブチ抜いても死なねぇよな」

 

音を立てながら迫る人形になすすべはない、松明はまだできないし頭上の敵は固まっている

 

「……あれ?」

 

もしかしたらと思い考える

 

「できた…えっと…あ、あーー」

 

誰かが松明を壁に投げる、冗談キツイな

 

「何やってんだよ!?」

 

「まてって…あー…こんなん立たせられるか!?」

 

ごもっともではあるのだが…まあいい、とりあえず

 

「おそらく敵の人形は全部同時には操れない!同時に動かすと正確な動きはできないぞ!」

 

なぜそう言えるか、今までの行動で正確に攻撃してきたのは頭上の一体だけ、他はゆらゆらとしているだけで攻撃をしてこないからだ

 

「ククク、いい判断だね、奥までおいで…生きてられるなら…ね」

 

幼い子供の声だ、高いので女の子のような印象を受ける

 

「死…死…」

 

人形が呟いたようだった

 

その姿はやはりB級ホラーを思わせる

 

「流石にそろそろぶっ倒れそうだ」

 

 

そんな冗談を吐く余裕なんて全くないのにな




久々のあとがきー!
今回はみなさん(NPC組)にインタビューしてみます!!

ではまず!残念と言われ続けたサーティーンことニアシエルさん!

「お、おう…そんな風に言われてたのか…?」

ええ、そりゃもう、残念とかいろいろ

「…自信なくすぞ」

何を今更w

「……我は…何か悪いことでもしたか…?」

してないと思うよー(適当

続いて11ことジャックさん

「あ、ちょ!おい!」


「……あれいいのかナ?」

いいんだよ、終わって新シリーズのほのぼの系で出張の大役あげるから

「へー…これからどうなるか知ってる身だと羨ましくて仕方ないネ」

でもなんかおー!!ってなる展開だろう?

「ま、まあネ…だけど…キミの文才でなんとかなるのかイ?」

あ、いや、あはは…なんともなりません

「だよネ、せめて面白くなければ殺しに行くヨ」

小説から出るところから始めましょうか

次、クィーンこと紫蘭さん

「なにかしら」

近衛兵なのに内政や戦争のとき舞台を引き連れて進行させられることになってますが日々の苦労はありますか?

「ない…って事にしたいけど…これ聞こえないのよね?」

もちろん(聞いてますよ、姫様が

「実は昔から活発だから勝手にどこか行っちゃって大変で…」

つまり餓鬼だと

「そうね」

だそうです

「へー」

「あ、いや、その…これには訳が…」

「どんな訳だ?紫蘭、聞いてやろう」

喧嘩はどっか遠くでやっててくださいな

てわけでなんか気になることとか裏の設定など聞きたいことを聞いて貰えばここで答えましょう


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傀儡使い

「っらぁ!」

 

シールドバッシュで人形を弾いたところに刀が襲いかかる

 

「まずいぞ…後方の方が敵が多い、これは奥への誘い込みだ…」

 

「ったく!あんとき焼いときゃよかった!」

 

「舞武!」

 

「無駄口叩いてる暇ないな…」

 

銃声と木材の擦れる音が一際大きく耳に入る

 

「チッ…逃げるか進むか!?」

 

「体力消耗してるし逃げたいところではあるけど…消耗しすぎなければワンチャン戦って勝てるかもしれない…」

 

「次の増援が来る前に…目の前のやつ吹き飛ばすか」

 

棃音がRPGを構える

 

「これをうったら進むか逃げるか!自分の選んだ方に走ってください!」

 

RPGの反動に体勢を崩しながらも人形を爆風で消し飛ばす、棃音は体制を戻し前後もわからないまま走る

 

走り続けた、灯りのない道を

 

「ぐえっ」

 

壁にぶつかり変な声が出る

 

「っつ…」

 

傍から光が見える

 

「……ナイトビジョン」

 

周りに人影は…ある、てかありすぎた

 

「え、敵?」

 

「夜目が効いて羨ましいな」

 

「……どうやら人形はないのかな?サーマル」

 

全員に体温がある、どうやら人であることは間違いないらしい、サーマルを切り、光の方向を見る

 

紫の光だ

 

「……なんだと思いますか」

 

「「「鬼火/月の光」」」

 

意見が綺麗に割れた

 

「月の光ならいいな」

 

ホラー苦手なやつに鬼火とか拷問すぎんだろ、さっきのも何あれほんと怖いわ

 

「……進みましょうか」

 

ライフルを構え、敵がいないのを確認しながら進む

 

「ククク…待ってたよ」

 

「!?」

 

前方にはやはり鬼火がふわふわと浮き、黒い着物の少女を囲んでいた、少女の手は着物に包まれて見えずその着物の折り目から糸と人形が垂れていた

 

「……誰だ」

 

「我が名はNo.3、だけどあなたたちの探す敵ではない、でも味方じゃないの」

 

「……どういう意味だ」

 

「のちに分かる話、それより、ここに封じ込められ暇なの、遊んでよ」

 

「遊ぶ…?」

 

「そう、この前来た兵士みたいにね」

 

「どういうことだ」

 

「こういうこと」

 

天井から人形が降りてくる

 

「……そうだなぁ…ただの人形じゃ簡単でしょ?」

 

「は?」

 

「見せてあげようか?傀儡使いの凄さ」

 

少女の顔が照らされる、目には包帯が巻かれているが口は笑っている

 

「あのねあのね…んー…そうだ、このことが強いよ?」

 

カラカラと音を立て緑の衣装に包まれた人形が現れる

 

「この子は…そうだな…見た目の通りかな?」

 

どう見たって軍人だ、だが…戦場に出るような服装ではない…どちらかというと遠くでふんぞり返っているイメージだ、兵をコマのように使う…

 

「……まさか…傀儡使いの人形が…兵を?」

 

首が背中の方に傾いていたがしっかりとした所まで来るとその姿に寒気がする

 

「……ほとんど人間だろこれ」

 

人間のような…だが…これも傀儡なのだろう、凄いできだ…

 

「死…死…死…」

 

左手をこちらに向けてくる、右手の近くにはチェス盤とよくわからないコマが大量に出てくる

 

右手が駒をチェス盤におくと兵が出現する、カービン銃を持っているあたりにどこか仲間な感じがしたがこちらに向かい進んでくるところで危機を感じた

 

「……撃ち合いになる…hakurouさん壁役!hiroさん射撃準備!他は隠れてろ!」

 

hakurouさんの盾の後ろに隠れ一度息を整え飛び出して射撃、少ない人数を仕留める、ヘイトがこちらに向いたタイミングで他の兵に矢が刺さる

 

「次!」

 

「リロード!」

 

遮蔽物が少なすぎる…!防弾チョッキぐらいくれてもいいじゃないか…!

 

「ッ!…本体を撃っても無駄…兵はほとんど無限湧き…クリアの仕方は…!」

 

ゲームとして考える、この場合はどこかへ行く、時間が過ぎるのを待つ、本体を倒す、いろいろあるが…どれが正解なんだ…道はない、コマは尽きる気配はないしタイマーもない、本体への攻撃は無意味に終わる

 

「……どうする…」

 

hakurouさんの盾はかなり傷が目立つ、かなりの弾丸を受けている

 

「……撤退することもできない…どうすればいいんだ…」

 

もしクリアフラグがないゲームなら…それはクソゲーだ

 

「クソゲー過ぎんだろ…」

 

思わず呟く

 

「敗けを認めるか」

 

敗北があるなら勝利もある

 

勝利ない敗北なんて存在しないのだ

 

「つまりあんたに敗けを認めさせればいいわけか!」

 

ようやく見つけたクリアフラグ、本物だと信じ、戦うしかない

 

「ッらぁ!」

 

グレネードランチャー(最近作れるようになったため一応作った)を撃つ、爆風で本体が吹き飛ぶ、チェス盤から駒が落ちる

 

「!もしかしたら!」

 

コマに狙いをつけもう一発

 

駒が粉微塵に吹き飛ぶ、本体は腰からハンドガンを出す

 

「45口径(フォーティーファイブ)か」

 

「……」

 

人形が笑顔になった気がした、こちらに何発か撃ち込んでくるがダッシュで逃げ、ハンドガンを取り出す

 

「hiroさん、ちょっと直接やりたいので手出しなしでお願いします」

 

どうやらにやけているらしい、なおそうにもなおせない

 

「……さて、どうするか」

 

馬鹿みたいに直接突撃するわけはない、ハンドガンでの真っ向勝負

 

カチ カチ カチ

 

3発マガジンから取り出す

 

もしかしたら…かかるかもしれない

 

右に一つ

 

 

カン

 

左に一つ

 

カチン

 

右にもう一つ

 

 

カン

 

ダン

 

銃声が鳴る

 

弾の音に釣られ、引っかかったのだろう

 

「くらえ!」

 

右に飛び出し両膝を打った後銃を持った手を撃つ、カラカラと音を立て人形が崩れる

 

「……やった…!」

 

「……まさか」

 

「敗けを認めますか?」

 

銃口の向きを移動させる

 

「引き金を引いてみなさいよ」

 

「……どういう意味でしょう」

 

「貴方に、私は、殺せない」

 

「どっかで聞いたセリフを…それは弾切れって意味ですか?この銃の装弾数は6、残りは3…あ」

 

「そう、さっき捨てたんだもの、もう撃てないでしょう?」

 

「……」

 

「それにあなたがクリアしたのはステージ1、まだまだ遊びましょう」

 

「……冗談キツすぎる…」



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戦いに勝者なんて

「……はぁ…はぁ…」

 

「ぐっ…」

 

「あー…」

 

鉄の翼に鉄の爪を持つ人の形をした鳥を全員でかかりようやく倒す、だが全員ボロボロだ

 

「……ふぅ…なかなか面白かったぞ…久々に疲れてもう一体も動かせないだろう」

 

「……はぁ…このまま…終わるとでも?」

 

全員が武器を向ける

 

「ふ…だが、そんなことする暇はあるのか?」

 

「……?」

 

全員に疑問符が浮かぶ

 

「……いや、まず、説明せねばならぬかな」

 

少女がカラカラと音を立て地面におりる

 

「……私は神に作られし傀儡、名はユキ」

 

神…

 

「おっと、貴様らの考えた神なんて私の神に比べればちっぽけなもの、勘違いするでない、私の思う神の名、それは『Sister Ray』正確には親と言えばいいのだろうが、神のような存在だ」

 

「レイさん…?どういう事でしょうか」

 

「私は3つの初期AIのうちの一つ、一番の劣化AI、私の特徴は何かを覚え、そのままの動きをすること、物を作ること」

 

「……そんなAIをレイさんが作ったと」

 

「そうだな」

 

もうなんかのゲームを一から作ったらどうですかね?レイさん、ぜひ買いますよ?

 

と思う

 

「そして他2人は死を操るカリスマ的魅力を持つAI、そして敵をあらゆる方法で抹殺する無慈悲なAI、だがその2人は私にはよくわからん、私の力さえまだまだわからんのだ、だが、本来廃棄されるAIだった私たちは偶然にも廃棄されなかった、私達は神を愛し、この世界でおとなしく過ごしていた、だが他の2人のうち…死を操る方の……初期型、死人、と言うか、そいつが自分が神だなどと言い出した、ココを基盤にしてあらゆるネット世界に進出し奴はあらゆる知識を奪った、死を操る力は神がチャット欄とやらを赤く染めるために作ったものらしい」

 

やばい、めっちゃ強い奴だ(確信

 

「そしてこの前このJPサーバーのヌシを殺したとぬかしおった、何の冗談かと思ったがここしばらくの騒動で事実だと知った…だが、私は奴に協力するつもりはない、無慈悲な方…なんと言うか、クロとでも言おう、そいつに頼まれたのだ、お前たちを足止めしろと」

 

「足止め?」

 

「お前さんらが守る姫さんを1師団で攫う計画らしい」

 

「なっ…」

 

「そして先ほど成功の伝えがあった、だがこれは奴のためではない、お前達のためなのだ」

 

「……」

 

「タイミングはいつでもよかった、お前たちがここに来た時の実力を図り、そしてお前たちに成長して欲しかった」

 

「成長?」

 

「お前達は…いや、なんでもない、頼みがある、私の神に、こう伝えてくれ『親愛なる私の神よ、私は貴方に教えられた優しさというものを今、知りました、貴方の教えてくれたことをきっと貴方の友に役立てましょう』と……」

 

「……自分で言えばいいのでは?あと友ってほどじゃなく鯖主と鯖民の関係なんですが」

 

「…そうだな、それが叶う時が来るならば、そうしよう、もしそうならなかったら、頼む、さて、奴らは4にいるだろう、今から行けばギリギリ間に合うだろうな」

 

「……それでは」

 

「そうだ、敗けを認めろと言ったな、だがな、戦いに勝者なんて居らん、いたとすれば優越感に浸り、それを盾にすることしかできないやつだ、それは勝ちではないというのを知ることは永遠にないがな」

 

「お、おう…なんか深い…」

 

「そろそろ行け、お前たちなら勝てるぞ、私が保証しよう」

 

「……ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 

 

資源4

 

「周りにいるか!?」

 

「居ない…」

 

「ちょい待て…あれ」

 

スナイパーライフルのスコープを覗く、その先には両手を頭に置きひざまづいたニアとニアに銃を突きつける軍人がいた

 

「……ここからなら銃だけなら弾けるか?」

 

周りに伏兵がいても困る、できるだけ気づかれたくもない

 

「……前方、距離およそ500、進みながら索敵」

 

「「「了解」」」

 

さて、例え銃を弾いてもすぐに攻撃できるんだろう、まだ撃てない、救出準備ができていないのだ、全員が広がりながら近づく、およそ残り400あとどれだけかかる…!いつ引き金に指をかけるか気が気ではない

 

「……まだかよ…」

 

そう思いながらも静かに待つ、指をかけたら即引き金を引くつもりだ

 

その時

 

ヒュルヒュルヒュル

 

まるで花火の上がる音、火矢だ

 

「ようやくかよッ!」

 

引き金を引く指に必要以上に力を込める、意味はないのだが

 

ビスッ

 

その音ともに銃弾が発射される

静かに空気を抜けながら進むその弾丸は確実に敵の銃を撃ち抜く、だが破壊はできない、弾かれた、それだけで十分だ、敵は手を抑える、そこに待ってましたと近距離班が向かう、敵の軍人は危機を感じて退がるがそこは問題ではない、今は救出優先だ、救出は成功、なんかチビが抱き合ってたがそれを無視して敵がいるかを確認

 

「……敵はいないか」

 

ゆっくりと進む、だが前方に先ほどの軍人が立つ

 

「やってくれたわね」

 

ボタンが右側だ、つまり女性用…これ昔のやつじゃねぇの?と思う

 

「やってやりましたが?」

 

挑発するようにそういう

 

「あんたのお仲間、ココ見えないのよね」

 

「それで?何か?1対1で負ける気もないんですが」

 

「へぇ?誰が一対一って?」

 

いつの間にか現れたチェス盤

 

「……まさか…!」

 

バックステップ、壁に当たるが乗り越えられる高さなのでその壁を遮蔽物にする

 

「なに?その反応速度、気持ち悪いわね、まるで知ってるみたい」

 

「……」

 

「……まあいいわ、私はNo.7、あなた達を殺してあげる」

 

「1人を大勢での間違いでは?」

 

嘲笑するように言う

 

「なっ!」

 

相手を怒らせる、冷静さを簡単にかく指揮官など恐るるにたらず

 

「それに死ぬのはあなただ、あなた程度の人間が殺せるとでも?笑ってしまう、とても面白い冗談だ、次の冗談もとても面白いんでしょうね?」

 

「…いいわ、見せてあげる、私の力を!」

 

敵はチェス盤から大量の駒を雑にとり雑に並べる、だがそのチェス盤は下側からも透けて見える、つまり

 

「そこ!」

 

出てくる場所がわかるのだ、簡単に出待ちが成功

 

「……!?!?」

 

次は右前方、左後方、右だ、だがこのまま無駄に戦うつもりはない、本物の伏兵はこちらにどんどん近づきヤツを詰みにさせるだろう

 

「な、なんで…なんでわかるのよ!」

 

「予習済みってね!」

 

敵を追い詰めたと言ってもいい、もう伏兵は距離もなくいつでも攻撃できるのだから

 

「今!」

 

「なんで!?なんでわかったのよ!?」

 

背後からの総攻撃、数人がニアさんを護衛し他は全員で攻撃、奴はチェス盤を失いあっけなく倒される

 

「もう見たんですよ、あなたの戦い方、数倍難しい状態で」

 

「……ッ!」

 

「ここで仕留めるより手柄なしで帰る方が軍としては辛いと聞きます、どうぞ罰を受けるがいいです」

 

だが反抗できないようにしっかりと両手を縛り手を動かせなくしている、これで立つのは大変だろう



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姫の苦労と息抜き

「……」

 

「……」

 

「もういいからいい加減顔を上げてくれ、こっちが疲れる」

 

現在護衛班(ジャックと紫蘭)があっさりニアを連れて行かれたことを反省するため頭を下げっぱなしなのである

 

「……誠に申し訳ございません、この罪死を持って償わせて頂けます」

 

「やめろ、本当にやめろ」

 

「切腹をさせてください、この罪を償わなくては…!」

 

「お前は必死で守ろうとしてくれたんだ、お前に罪はない」

 

なんかニアが偉い人に見えた(小並感

 

「セップク…?」

 

ちょい待てジャック、お前切腹知らないってお前日本の…いや、まあ、ネットの住人だし…でもなんで紫蘭がそういうことを言い出しても意味がわからないんだ?結構長く一緒にいるわけじゃないのか…?

 

「……すまんが、そろそろ助けてくれ、もうしんどいのだ」

 

「え…」

 

「こんな私では近衛兵長は務まりません、近衛兵長は他のものに…」

 

「待て、お前以外に適任がおらんだろう」

 

「いえ、姫が知らないだけで私より優れたものはたくさんいるのです」

 

「だが信用できん」

 

「やはり私の非は姫もご理解しておられたのですね」

 

「いや、そうではない」

 

ややこしくなってんなぁ…

 

「どう違うのです、私なんかでは今回のような場合対処できません、このままでは姫の身がより危険に…!」

 

「一回待て、例えそうだとしても今話して何が変わるのだ、この場におる者で変えはきくまい」

 

「……しかし…」

 

お、終わるかな?

 

「しかし、帰ってからは忙しくなるでしょう、今、決めておくべきではございませんか?」

 

あ、これはまだまだ続くパターンだ

 

 

 

 

 

〜2時間後〜

 

「っしゃあ!あがり!」

 

「あー!…ん?ジョーカーであがったな?禁止あがり!大貧民〜!」

 

「禁止…?それなんですか〜?」

 

「ザマァww」

 

 

 

「っしゃあ!ババとったな!NDKNDK」

 

「うっぜぇ!お前マジでうざいわ!w」

 

「ほら次だよ、あくしろよ」

 

「そーだよ(適当」

 

 

 

 

「じゃあ自分がディーラーですね、どうぞ」

 

「……ヒット…スタンド、勝負」

 

「ヒット…バースト!くそぉ…まじでか…」

 

「あ、俺いらない、ナチュラルブラックジャックだからwザマァw」

 

 

 

 

「何遊んでるんだ!?もうこっちはフラフラなのに貴様らはなぜ遊んでいる!?」

 

「……暇」

 

「……もういい、私も入れてくれ、頭が痛いのだ、たまには遊びに現を抜かすのもよかろう」

 

「僭越ながら私も…」

 

「俺はトランプは苦手だナ」

 

「んじゃあ俺と神経衰弱でもするか」

 

「OK、相手してやるよ」

 

「ニアちゃん、私とスピードしよう」

 

「ああ、いいぞ」

 

「「いつの間に仲良く…?」」

 

「……ギャンブルはお得意で?」

 

「……そうだな、ブラックジャックはディーラーばかりだ」

 

「……一回勝負してみますか?」

 

「へぇ、私に勝負を挑むなんて…何か賭けない?」

 

「ふむ…今晩の夕食のおかずなんていかがでしょう、今あるお金はこの世界でも使えませんし賭けに使うには」

 

「ふふふ、子どもっぽいけどいいわ、ただ、負け惜しみは言わないことね」

 

 

 

「あれ?これ5だろ…おかしいだろうがこれは…」

 

「よし、ペア〜」

 

 

「あ、そことられたか〜…あ、あー…置けない…」

 

「ふ、甘いぞ」

 

 

 

「……そのシャッフル、少し変わってますね?」

 

「えぇ、そうなの、よく言われるけど私のやり方なの、文句でも?」

 

「ないですよ?イカサマしてるカードを戻してくれるなら」

 

「…へぇ、楽しめそうね」

 

「次のイカサマがばれたら負けはどうですか?」

 

「良いわよ?単純な運勝負もなかなか楽しめるわ」

 

 

「あ、おい待てお前!8何枚持ってんの!?3枚目だろ!8切りいっぺんに済ませろよ!」

 

「地味な嫌がらせ☆w」

 

「うっぜぇw」

 

「次俺の番だからお前出そうとすんなしw」

 

 

「ババ引いたぁ〜w」

 

「チッ」

 

「次俺なんだけどまだですかー」

 

「いや、俺だけど?なに間違えてるんだよ」

 

 

 

遊びに現を抜かすのもまたいいものではある

 

だが、周りを見ることを忘れれば闇に気づくことなく葬られてしまうのだ




久々の質問タイム!

まず、ニアさん!紫蘭さんも気にしてたように(作中では自分もしてたけどね)いつの間にネロと仲良くなったのか

「ん?ああ、食事を食べさせてくれたりしてたときからネロには名を明かしていたのだ、その頃からだな、最初は私の性別を疑われたが…まあ、その、いろいろあって信じてもらえた」

ふむ、ちなみにこの設定はめたいけどネロが決めた事です(返答の中でいろいろの部分とかいろいろ付け加えてるけどね)ちなみに理由は「だって女の人来てないし…私だけって寂しいよ?」とのこと


ニアさんの国について

「む?うーむ、そうだな、JPサーバーと呼ばれているぞ、国全体を統治しているわけではなく地方にいろいろな管理施設を設置している、だがなかなか地方の統治がうまくいかないらしい、外で言うサイトと言うものはもはや数えきれんのだがな、その中のひとくくりを纏める組合は確か我が国だけで40000はあるという、帰ればほぼ毎日報告ということばの海に溺れておるわ」

だんだん愚痴になりそうだし次、その口調は

「ああ、数年前に仕込まれたものだが戻そうと思えば戻せるぞ、威厳を守るためにこの口調なのだ」

質問は以上です、ありがとうございました


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No.4

「……はぁー」

 

「んじゃ全員で行動でいいな?」

 

「異議なし」

 

「さて、さっさと行動するか」

 

遊びを終え、ニアを行動の際連れて行くかどうかの議論だった

結果的に守る人数も増えることとなるので賛成となった

 

 

 

 

 

資源2

 

「さて…ん?」

 

前方に杖を持ち、堂々と立つ少女がいた

 

「誰だ、奴は」

 

「敵でしょうね」

 

「行くか」

 

少女に近く、進む度に風が強くなるのを感じた

 

「…お前たちに絶望を」

 

左手を銃の形にして向けてくる、だがその細い指で作られた鉄砲の形の手には恐怖も何も感じないのだ

 

「ぱーん」

 

その声とともに何かが頭に侵入してきたような不快感と激痛が走る

 

「っあ…!」

 

「うっ…」

 

「ああ!」

 

ニア、紫蘭、ジャックの三人を残し他の全員が痛みにのたうちまわる

 

「な、何が起こってるんだ!?どうした!?」

 

「なぜ私たちにダメージがないのでしょう…」

 

「ふふふ、そろそろいいか…くっ…やはりこの人数だとこちらにも負荷があるな」

 

「……なにを…」

 

「お前達の脳内のデータをすべて抜き取った、勿論コピー程度だ、思考回路、好きなものや嫌いなもの、そしてトラウマ」

 

「……」

 

「そして私の力は創造、この力で絶望を…」

 

「……まさか…!?」

 

ウィンさんが真っ先に反応する

 

「その力があれば「ウィン黙れ」うっす」

 

うん、次に発された言葉によってはね

 

「てか…待って弱みとか色々握られてんの?w」

 

hikariさんが笑いながら言う

 

「ほう、なかなか察しがいいな、例えばだ…ん…そっちのちまいやつはだ、体型のことが言われるのが嫌か、ならこの大勢の前で「ストーップ!ストップ!」なぜ敵の言うことを聞く必要があるのか、そしてわかっただろう?」

 

「いや、全然、だから続きをお願いします」

 

ウィンさん今言うことかよ…

 

「と言われてるが」

 

「もうわかったから!!私がわかったから!どうせなら他の人にしない!?」

 

「お、おう、じゃあチビと同じ服のそいつにするか」

 

「え、なんで自分…まあいいけど」

 

「マジで妹を殺したい…?ごめん、こっちが引くわ…あ、だめだお前たちどんな喧嘩してるん?私が困るくらいなんだけど」

 

「悪いかね((」

 

「えーと?ネロか、お前本当に気をつけとけよ」

 

「うん、大丈夫、完全犯罪をできない限りはしないまず私が死んだら真っ先に疑われるから」

 

「……」

 

「なんかすごい真実味があるんだけど…」

 

「それな、なぜか信じてしまう」

 

「お前らもお前らだな…」

 

まあ、仕方ないのかもしれない

 

「おいお前たち、なんで敵とのんびり話ししてるんだ」

 

「あ…」

 

「そうだな、ならそろそろ私も攻撃させてもらおうか」

 

全員が身構える

 

「貴様らにトラウマを与えてやろう」

 

黒い煙がもくもくと辺りを包む

 

「……?」

 

腕のようなものが生成され始める

 

「げ…いやげってレベルじゃねぇだろ…マジでか?」

 

棃音はその腕を見て顔を青くする

 

「え?兄さんマイクラだよ?この世界一応マイクラだよ?この世界にいるわけないよー」

 

ネロも声が震えている、2人揃ってトラウマのあいつと予測される

 

だんだん形が見えてくる、黒い石人形、そして片手の赤いケルト十字架の杖、赤く輝く3つの目

 

「……スケィス…!やっぱりスケィスか…!」

 

「これはもう勝てない(確信」

 

「ちょっと待て誰かデータドレインできるやつ来てくれ(涙目」

 

「無理無理、私の装備腕輪ないし(泣」

 

もうネロは涙声になっている、てか泣いてる、なぜならもう何十回とやられた相手だからである、だがそれはリアルでやった別ゲーの話

 

「…ここはマイクラ、ここはマイクラなんだ、ならきっと攻撃が通じるはず…」

 

そういいRPG-7を向ける棃音、その顔は青くひどく焦っていた

 

「もうどうにでもなれぇ!」

 

悲鳴に近い叫び声とともにスケィスにロケット弾等が発射、直撃する

 

「やったか!」

 

外野のフラグ委員会が煩い

 

「冗談の通じる状況じゃないんですが!?何言ってるんですか!?まず一撃で沈んでくれるわけ!」

 

「兄さん、スケィスは無傷で生きてるよ(泣」

 

煙が晴れるとスケィスはもとからある体のひび以外の傷はなかった、そしてその目はこちらを捉える

 

「……逃げろ!確実に殺されるぞ!」

 

やはり死の恐怖は死の恐怖だ、もしイニスやメイガスにあってもあいつらならまだスケィスよりは…でもあれはカイトのレベルが上がってるからで…普通にスケィスよりつよいんじゃないかな(吐血

 

「待って!本当に待って!?なんかまだまだ湧いてるよ!?」

 

黒い翼の天使?が上空に見えた、そして多数の人影

 

「創造の能力とかマジでざけんなよ…」

 

そういいながら全員が/hubを打ちこむ、ニア達は真っ先に撤退するように言ってるため撤退は済んでいるだろう

 

遠くに人影が見えた

 

青いマフラーにとても大きな左腕の拘束具、赤く妖しく光るその眼鏡の奥の目は、強い意志を感じた

 

 




はい、みなさんトラウマがきたお〜(^p^)


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謎の追跡者

「ぁ…ああ!」

 

hubワールド奥地

 

「が…ぁぁ!」

 

半身を追うものはすでに理性を失いつつあった

 

直感

 

そうとしか言えない何かであった

半身がすぐそばにいる、間違いない、と確信し全てを投げ出し歩き出す

酷い頭痛だ

もう自我を維持できるのはあと数分だろう

 

「ぁ…あぁ!…」

 

半身を求め進む、視界が歪み周りが見えない、だがしっかりと半身の位置はわかる

 

「……っ……が」

 

誰かが喋る声が聞こえる

しかしその声に耳を傾けることは出来ない、一秒でも無駄にすればもう戻れないから

 

「おい!」

 

この声は確実に聞こえた

そしてわかった、声の主が、先遣隊としてここに送られた際半身に護衛させた姫君だ

 

ジ…ジジ……ジ…

 

ノイズが聞こえる、後方からだ

 

「ぁ…ぁぁ…!」

 

本能が危険を知らせる、しかしその危険は自分のものではない、姫のものだ

 

「ッ!」

 

足を止めた、止めてしまった

 

今止めたこの足は、半身を捨てる事を意味した

 

「ッ!あぁ!うわぁぁぁぁぁぁッ!」

 

振り向きざまに一閃

 

巨大な石像だった、踏みつけようと足をおろしてきた

目を瞑り静かに心を落ち着ける

 

体が熱い、火が灯ったのだ

 

「うわぁぁぁぁぁぁッ!」

 

踏みつけてきた足をかわし、その足を駆け上がり空中で大きな回転をつけ敵の脳天を砕く

石像は一瞬で崩れる、だがもう自我を維持できるはずもない

もうダメだろう

 

「逃…げ…」

 

意識を暗い闇が取り込む

闇を超えると暗い光に取り込まれた

 

「ぁ…」

 

目の前にいるのは何者だろう

 

「ふふふ、危ないところね」

 

その一言共に全てが見えなくなった

体が動く感覚はある

痛みもある

だが…自分では動かせない

 

 

 

 

 

 

 

 

ニアside

前方から懐かしき顔が見えた

 

だがふらふらとしていた

 

傷は見えない、精神的な疲れか病か

 

この世界にも病はある、外の病などを研究する物好きが生み出したものだ

 

「大丈夫か!?」

 

声を掛けるが反応はない

 

「姫、様子がおかしいです、近づかないほうが」

 

「……なにがあっタ…」

 

「クレイ!どうしたんだ!おい!クレイ!」

 

反応はない、だが確実に歩を進めてくる

 

その時だった、クレイの後方に巨大な石塊が現れた、それの足元には謎の男がいた

 

「貴様に死を与えたとき、この駒にも死を」

 

恐怖を覚えた、背中がゾクッとした死を宣告された、本物の死が迫るかの如く

 

「ククク」

 

男は霧になり消えた

 

「ああ!」

 

クレイが足を止めた

 

狂った叫び声を上げ石塊に攻撃をする、赤々とした炎がクレイを包み、そして次の瞬間クレイが石塊を破壊した、地面に着地したと同時に膝をつき、炎が黒く染まった、死に対する恐怖ではない

知っていたものが変わることに対する恐怖だ

 

「クレイ!」

 

「に…げ…」

 

こちらの声は聞こえないらしい、そして呟いた言葉は何か不安を煽った

 

「クレイ…」

 

「……」

 

クレイが迫る、間違いない、攻撃の意思があることはわかる

 

ガキィ

 

クレイとの間にhakurouが出る

 

「ぐ……!がぁっ!」

 

盾で抑えていたが盾が割れ、吹き飛ばされる

 

「新手!?とりあえず逃げますよ!」

 

「大丈夫か!?」

 

どうやら全員が資源2とやらから撤退してきたらしい

 

「……すまない、クレイ、許せ」

 

クレイを傷つけるのは心が痛む、今は引くしかないのだ



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注意不足

酒場・月の番人

 

「誰だ…アイツ…」

 

hubワールドにいた謎の敵、今までとは格が違うのだ

 

「案ずるな」

 

頭上からカラカラという音とともに声が聞こえる

 

「……誰だ」

 

ニアは警戒をするが探索に行ったものは安堵の表情を浮かべる

 

「おお、あなたが姫君か、私はユキ、この世界の神に作られし傀儡、あなたの配下の魂のかけらを預かりました」

 

「どういうことだ」

 

「……ヤツらは、彼を駒にしようとしている、私は一足早く彼に接触して魂を少し預かりました、彼の魂は今は一体の傀儡にある、彼は今洗脳された、気づかなかっただろうが、既に彼の意識はボロボロだった、そして今は、完全にあなたに敵意を向けている」

 

「……」

 

「彼の洗脳を解くことは可能だ、だが彼を倒さないで解くなんてことできない、そして彼はあなたの殺害と私に渡した魂を探している」

 

「……で?なんだ」

 

「私はこれを伝えに来ただけです、リミットは……30日だと」

 

「……やつの魂は「そうじゃない」ではなんだと」

 

「貴方方の目は節穴なのか、周りをよく見ていただきたい」

 

全員がキョロキョロと周りを見る

 

「……あれ?小麦ってあんなにリアルだっけ?」

 

「草のグラフィックが……違わなくねぇか?」

 

「階段が上り下りしやすくなった?」

 

「……なんか、周りのものがリアルっぽいのか……?あ!松明なんか本物の火が付いてんぞ!?」

 

「どういうことだってばよ」

 

「あと30日で、全てがリアルとなるだろう、あなた方のな」

 

「……は?」

 

「噛み砕いて話してください」

 

「簡単だ、お前達が、抜け出せるのは…あと30日以内、それだけだ」

 

「……嘘だろ…でもまあ…」

 

「それな、リアルよりはずっといい世界ではある」

 

「だけど俺はやりたいこと山ほどあるし……帰る努力はするけど残る気持ちでやるわ」

 

「同意」

 

「まあ、それでいんじゃね?面倒なことしなくて良いし」

 

「どのみち敵はぶっ倒さねぇと危険だからな」

 

「安全なゲームの世界とか最高じゃん、なあ!」

 

「「せやな」」

 

「……ふ、あはは…我が神の造りし世界は……愛されていたか」

 

「もちろん、れいたんの鯖だから楽しいんじゃん」

 

「自分もこの世界、大好きですよ、さてと、努力はするんですよね?のんびりする時間はない、装備を整えよう」

 

「待て、一つだけ言おう、30日たった先、会えなくなるものもいることをしっかりと理解しておけ」

 

「もち、人間関係の面倒な部分からも解放されんだよね」

 

「せやな」

 

「……はぁ、まあいい、私がここを見張ろう、さあ、全力を出す準備をしろ」

 

 

 

 

「……さて?なんだこれ…」

 

「お、新しいスキル」

 

「こっちは装備か」

 

「……へぇ」

 

「よし、最後まで戦い抜くぞ」

 

「待って欲しい」

 

「ん?」

 

「あのさ、少なくとも2人は勝てない敵がいる、PS的な意味ではない、システム的にだ」

 

「そ、そして1人と一体がただしーと思う」

 

「え、なんなの?そんなのいるの?」

 

「マジでかー」

 

「死の恐怖、スケィス、そして」

 

「あのメガネは間違いなくオーヴァン、コルベニクやられたら即逃げないとね」

 

「……まぁ、無理な戦いでもやらねぇとな」

 

「ダメで元々か、まあしゃあない」

 

「あ、せや、俺らのスキル通じるんちゃうん?」

 

「体力が表示されるようになってますよね?敵含め、それRPG使いましたがバグ表記でやはり入らないんです、出来てプロテクトブレイク、無理なら全滅。

そして誰かデータに直接干渉するものがいる」

 

「んで?なんだよその笑顔は」

 

変わった形のハンドガンをグルグルと回す

 

「え……あれ?うそ…ブリーラー・レッスル!?本当に!?」

 

「そう、ただ、これが通じるかが問題なんだよなぁ」

 

「あ、そうか……The・world内のシステムなのかMick内のシステムなのか…」

 

「The・worldでもイリーガルすぎるものだ、石化できたら最高くらいだろう…Mickだったらシステムを消すか、ただそれ通じねぇと思うんですわ」

 

「……いちおうは希望が見えてる訳か」

 

「なんか羨ましいわ」

 

「いや、これ使うのは誰でもいいんですよ」

 

「くれ(」

 

「俺にくれ」

 

「無理です、射撃スキルの補正が今ついてるんです、なぜか、これを使うしかない、そして射程が凄く短い、プロテクトブレイクしてもね」

 

「……まあいいや、さっさとやろうか」

 

「セフィロスいたんだけど」

 

「セフィロス!」

 

「塩酸しめじヒラメ出目金」

 

「ブラピいたぞ」

 

「とりあえず敵戦力は不明ですし、召喚してきたやつを叩きましょうか?」

 

「俺に任せろ、忍びの力見せてやるよ」

 

「……よし、行動開始じゃぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

「終わったか、行くぞ」

 

「いや、待て」

 

ジジジ…ジ…ジジ

 

「ノ、ノイズ!?ちょ……まさかいきなり禍々しい波が来るのか!?」

 

「確かにスケィス一番目だし…」

 

「……回復全力でしろよ!?マジで負ける!」

 

予測通り黒い石人形が姿をあらわす

 

「だぁぁ!死ねよ!なんで出てきた!」

 

発狂したように叫ぶ

 

「全員攻撃開始!」

 

誰かが叫ぶ、ユキさんはニアさんを連れて離れる

 

「狙撃する!前衛はダメージを抑えろ!」

 

九七は本当にいいと思うよ、杖を持つ手に銃口を向ける

 

「データドレインくる!逃げて!腕輪ないよ!?」

 

hakurouさんが危うくデータドレインを食らいそうになる

 

「らぁっ!」

 

「はっ!」

 

確実な一撃を全員が与える

 

「そっち危険!あ、全員ヤバイよ!?

 

「まず!?死の波動くるぞ!離れろ!その次全体が凍る!ダメージ受けるから回復しろ!」

 

瞬間移動に近いそれは人を嬲る事を楽しんでいるようにさえ見える

 

「……!」

 

スケィスが残像を伴いこちらへと向かってくる、たまらず狙いをつけずに弾を放つが偶然にも直撃、ダメージはないがノックバックを与える

 

「もろに十字架食らうと即死もあり得るんだぞ!離れろ!」

 

hiroさんの応用スキル、ファイアーレインが降り注ぐ、1本の矢を放つだけだが空中で質量を持った分身とともに敵を射撃する某真島の兄さんもビックリの技である

 

「プロテクトブレイクはまだか…!」

 

全員が攻撃をやめない、まだ即死級のダメージを受けたものはいないがゲームなら既に15回くらい仲間が死んでそうなものだ

 

「あー!ちくしょう!」

 

コントローラーを二つほど使えなくした(線が切れたり割れたりした)思い出を思い出しながらダメージを与える

 

「無理だ!引こう!」

 

「あと一撃かもしれない!まだ戦えるんなら戦うしかないだろうが!」

 

逃げたい奴と残り倒そうとするやつで別れ始める

 

「逃げたきゃ逃げろ!誰も咎めない!」

 

全員がスキルを乱発する

 

「魔法使う!離れろ!」

 

hikariさんが高いところに登る

 

「エクスプロージョン!」

 

その爆風でたまらず吹き飛ぶものもいる

 

「ありえねぇなこの威力…」

 

「さすがにこれなら……」

 

「だよな…」

 

甘い

 

わかる、確かにこの威力はすさまじい、だが

 

ジジ…ジ……ジジジ

 

傷一つないのだ、ヤツは

 

「ヤツは生きてるぞ!油断するな!」

 

鯖味噌氏の目の前にスケィスが現れる

 

「え……」

 

とっさに防御しようとするが遅い

 

ぐしゃっ

 

酷い音ともに壁に叩きつけられる、HPはもうない、瀕死だ、さすがに壁職ではないがあの減り方はやはり異常なのだ

 

「回復!ぼうっと突っ立ってるなら消えろ!ヘイトを稼ぐならもっと動け!」

 

指示を飛ばす、全員がハッとするがこれはもう無駄だ、逃げるしかない、最後にブリーラー・レッスルを少し撃ち込む、それで時間稼ぎでもできるだろうか

 

「引け!もう無駄だ!」

 

その言葉を待ってたとばかりにコマンドを打つために全員が止まる

 

「何止まってるの!?止まっちゃダメですよ!?」

 

ネロは一応走りながら音声入力しているらしい、ニアさん達も引いた、ここを早く離れないと間違いなく死ぬ

 

「あ!あぁ……!」

 

ウィンさんが……捕まった

 

十字架に磔にされ左腕を向けられる、その左腕の紋章

 

「「データドレイン…!」」

 

「誤射ったらごめんなさい!」

 

そう言って対物をスケィスの腕に打ち込む、データドレインをやめ、うぃんさんは落ちる、数メートルの高さから落ち、ボロボロだがなんとか離脱したらしい

どうやらタゲをもらったらしいが他はネロくらいで全員離脱している

 

「ブリーラー・レッスル!」

 

撃つ、撃つ撃つ撃つ

 

何発も何発も、目の前に操作ウィンドウが現れたからすぐに目を通す、石化があるから押す、しかし実行されない

 

「なら…!」

 

スケィスをオブジェクトにする

 

スケィスは固まった、一瞬だ、だがすぐに腕を振り、十字架を向ける

 

「グッバイ」

 

時間は稼いだのだ、もういい、次はプロテクトブレイクしてからやることなのだ、コマンドを打つ時間さえ稼げれば問題なんてない

 

 

 

hubワールド

 

「……」

 

「嘘だろ……どんだけエグいんだよ」

 

「カイトは偉大だわ」

 

「ゲームの話してる場合かよ!?」

 

「レベルさえあげればなんとかなるんじゃないですか?プロテクトブレイクは確実にある、きっと」

 

そう、あるのだ、どんなシステムにも弱点がある

どんなプロテクトも破れる

 

「ほら、本体やったら死ぬパターンかも、さっさと探しましょう」

 

明るく振る舞えば明るくなる

そう思う事にした

 

知りたいことは山ほどあるが……やつらは……なんなんだ

 

「自分らは…なんなんでしょうね」



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狂犬

hubワールド

 

「ヤバイわ、あのトチ狂った性能はエグい…だがマジで格好いい、無印のスケィスこそ至高!」

 

「末期だね、同意ではあるけど」

 

「……お前ら頭おかしいの?なんでそんなこと言ってられんの?」

 

「んー……あ、龍が如くってあんじゃん」

 

「うん?」

 

「真島の兄さんめっちゃ人気出てるじゃん、それと似たようなもん」

 

「え?」

 

「DIO様とかと同じ、カリスマではない人を惹くなにか」

 

「んー?」

 

「わかるよーな」

 

「でもあのトチ狂ってんのは好きにはなれねぇ」

 

「はいはい、ところで」

 

「ん??」

 

「スケィスから逃げると次はイニスがきそうだな(ニコッ」

 

「こわっ!?イニスそこまででもないけど怖い!」

 

「さて、「のんびりするのはそこまでだ」!?」

 

全員の知らない声ではないのだが…

一部の人間は知らないであろう声だ

 

「ゆっくりと遊んでやる」

 

よくわからない、どこにいるか場所のつかめない気色悪い声だ

 

「スケィスは……再誕の鍵……俺は、その形を問わない、お前達が何者かは知らないが、しばらく様子を見よう」

 

声は消える、そして一部の人間の(と言っても2人だが)考えが固まる

 

「「再誕起こせば帰れるんじゃないの!?/か!?」」

 

再誕、すべての未帰還者を救う方法

 

「だけどここでも通用すんのか……?」

 

「まずハセヲ…あ、待って!スケィスの杖って……」

 

「楚良が捕まってる!ktkr!」

 

「あ、でも碑文使いPCじゃない」

 

.hackをかじっていればわかるであろう適当な話だ、そんな仮説を立てている暇はどれだけあるのだろうか

 

「なんやお前ら……ようやく人と会えたわ、ちょいと聞いてええか?」

 

関西弁、その変わった雰囲気の口調は真島弁とも呼ばれる

 

「ここはどこや」

 

真島吾郎、たしかに桃源郷のにいさんは強かった

 

 

「お前ら答えんかい……ん?女子供ばっかやないかい!お前ら家帰らなすぐ暗ぁなるで?最近はお天道さん沈むの早いからな……聞いとんのか?」

 

 

「え?ええ、と……わかりました」

 

誰かが言葉を濁した返事をする

 

「まあ、ええわ、ところでお前ら物騒なもんもっとんな……ドス…やなくて短剣か、日本刀、メリケン、チャカ、ガキのおもちゃやあないな、ワイもその辺は見ればわかる」

 

「……」

 

「お前らほんま何もんや」

 

「……」

 

 

「答えんか!」

 

眼帯の中の目に心が見透かされた気持ちになる

 

「一般人です、ゲーマーの」

 

「ゲーマー?お前ら若いんやろ、ゲームばっかりしたあかん」

 

「は、はい」

 

「ん?そっちのねえちゃんえらいべっぴんさんやな、どうや?ワイの女に…」

 

「お断りね」

 

「そうかぁ……」

 

 

 



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喧嘩好きと傍観者

「っちゅうことは、ここには桐生チャンはおらへんしワシはそのガキに作られたんか?」

 

「そうなります」

 

「……ほぉ、ならワシが桐生ちゃんのとこ行けばワシ二人で桐生ちゃんと喧嘩できるんか!はよ帰らなあかんで〜!」

 

あかん

 

「んで、そのガキぃ、どこにおんねん」

 

「さあ、わかりませんが…もしかしたらまだあそこにいるかもしれません」

 

「ほなさっさと行くでぇ〜!」

 

 

 

「な、なんやここ」

 

「うわ…」

 

全員が固まる

つい先ほどまで静かだったであろう資源ワールド

そこは血の海と化している

そして2種類ほどの羽が浮かんでいた

地形もひどい変わりようで穴ぼこだらけだ

 

「……うぇ…」

 

吐き気を催すのも無理はない

血の海と言っても一色ではない

何色も混じりどす黒い色と化した血の海だ、かなり離れているが悪臭を感じる、近づけばその臭いに倒れるだろう

 

「なんやこれ…神室町の下水道よりひどいやないか」

 

「……いた」

 

hiroさんが遠くを見る、その先には白い大蛇のようなものがいた、遠すぎてわからないがその大蛇にちょこんと何かがいるように見える

 

「あれか…」

 

このひどい海を避けられないものか…

 

「……距離的に当てられるか?」

 

「この距離なら」

 

「無駄だぞ?」

 

黙り込んでいたニアが話す

 

「お前たちはあいつを殺すウイルスがないし先ずお前たちは殺す前に情報がいるんだろう」

 

「…メンドくさ…」

 

「さて、この海を通らずに行くには相当回り道だ」

 

「せめて臭いくらい…」

 

「っさいのぉ、ガキには刺激が強すぎんねやったら帰れや、ガキと話すだけにお前らはいらんのや」

 

「……」

 

「さっさと行くか、2.300m動けば臭いもないだろう」

 

「せやな」

 

全員が高台から降りて進む

臭いのひどいところはなぜか早歩きになる

歩いても歩いても進んだ気はしない、血の海からは気のせいだとは思うが煙がもくもくと出ている

ボコボコと沸騰したかのような泡まである

 

「……無理、吐く……」

 

「待て!ここで吐くな!」

 

辛い、匂いで死ぬ

 

「誰か風を起こして臭い払うとか出来んのか」

 

「……」

 

無言でダイナマイト(作成レシピは紙+赤い染料でできる赤い紙に火薬と水と土でできるニトログリセリン(ここはおかしい)と蔦を3つで作れる植物性の糸をクラフトで完成する

 

「……なんかそれが天の恵みに見えるな

 

 

貸せ!」

 

ダイナマイトを分捕り火をつける

 

おい待てどうする気だ

 

「それどうする…」

 

「爆発させる」

 

「馬鹿!」

 

tacoさんがダイナマイトを蹴り上げる、15mほどの高さまで上がったそれは爆発し新鮮な空気をその爆発後の空間に入れてくれる

 

「生き返る……」

 

それで煙が少し晴れ視界が良くなる

 

「……生き返ってる暇なさそうなんですが」

 

よくわからない人型のものがドロドロと近づいてくる

 

「ちょ、キモイ!」

 

「なんやこれ?」

 

「……弾いとこう」

 

頭をぶち抜く、倒れもせずドロドロと近づいてくるそれは異臭を放つ、これ以上近寄られたらどうなるかわからない

 

「……逃げろ!」

 

誰かが叫んだ、その声を合図に全員が進む、狙いの敵は煙に隠れて見えなくなる、前方に白い何かが見える、赤く光る二つの眼を見た瞬間全員が止まる

 

蛇に睨まれたカエルだ

 

「……!?」

 

全員の体が硬直したまま動かない

言葉も発せない、恐怖に支配されたのだ

恐怖に負ければそれは死に直結する

 

しかし

 

「なんやえらいでかいのぉ」

 

一人でも恐怖に支配されないものがいれば別だ

 

その声に安心し体が動いた

 

「……いぃぃぃっやぁぁぁっ!」

 

ぐるりと回転しながらドスを突き刺す、そしてドスを持ち直し引抜く、蛇に乗りズバズバと肉を斬る

 

ぎじやぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

蛇の方向に全員が怯む…いや違う1人を除いたものがだ

 

「遠慮せんと死ねやぁ!」

 

グサリと止めの一撃を突き刺す

 

じゃぁぁぁぁ!ぎゃじゃぁぁぁぁぁぁ!

 

蛇がぐたりと倒れる

 

「……てごたえがないのぉ…」

 

絶命したのだろうか

 

「さて、さっさといこか」

 

ドロドロとした何かはグチャグチャになっている、あの咆哮で潰されたのだろうか

 

しかしここまで我々は傍観者だ、まるで何もできていない

 

「……もうそろそろか」

 

悪臭のする場所を抜けたという達成感を感じる

実は300m程度しか動いていないのにこの疲労感だ、ボス戦間近になればだいたいHPが削られてるアレと同じような感じだ

 

「お疲れ、大変だったねぇ?うちのペットが暴れてゴメンね?」

 

「白色の蛇にちょこんと座ったガキ、こいつか」

 

「ん?ああ、誰かのトラウマから生み出した…真島吾郎だっけ」

 

「なんやワシのこと知っとんのか」

 

「そりゃね、で?偽物とはいえ存在を作り出してもらった人にたてついて何?」

 

「さっさとワシをもとん世界帰さんかい!桐生ちゃんと喧嘩したぁて堪らんのや!」

 

「そこの子達仕留めればいいけど」

 

「……はぁ…断る、ワシがなんでガキ殺さなあかんねん」

 

「いいから、殺しなよ」

 

「お断りや、さっさとかえさんかい」

 

「……わかった」

 

シュッと一瞬で男の姿はなくなった

 

「生み出したものを消すなんて簡単なんだ、いらないものは消えなよ」

 

「……!」

 

「さっきも沢山いたけど味方同士で殺しあっちゃってさぁ!見てて楽しいんだァ!」

 

「んで?生き残った方は」

 

「消した、2人ほど羽の生えたやついたけどあれは使えそうだから残して……」

 

ヒュッと音がしてNo.4の首が落ちる

 

「……」

 

黒に包まれた男は流れるように首を落とした

 

「なにを…お…ま……」

 

No.4の姿が消えた、それを見ると舌打ちをして男は去る

誰も言葉を発せずにいた、ありえない長さの刀を持っているという印象しかなかった

 

「……おい、何をボサッとしてる、ヤツが消えたことは大きい、今のうちに他のを捕まえて情報を得よう、復活まで2日はかかる」

 

「……」

 

生唾を飲み込むゴクリという音がする

 

「行きますか……」

 

 



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No.7再来

「……」

 

カチッと音がした

 

「……」

 

コマを進める、そのカチッという音は心地よい

軍がどんどん進む音

1師団での殲滅作戦

200のコマを配置した

仲間が死のうがドウデモイイ

ワタシノ…プライドノモンダイダ

 

 

 

 

 

「そろそろ戻りますかぁ…」

 

匂いもすっかり晴れた、白蛇は静かに地面に潜り攻撃の様子も全くない

 

「……そうだな」

 

全員の声が静かに聞こえる

それが良かったのだ、そうでなければ誰も気付けなかった

 

「……?」

 

真っ先に反応したのは遠距離攻撃を使う二人

 

「……どれくらいだろうな」

 

「……2000、6000…10000…一個師団、約25000と考えていいかと」

 

「……!?」

 

「退くか」

 

「いや、逃げても他の場所にいないとも限りません」

 

「迎え撃つべきだろう」

 

「……スナイパー!物陰に隠れろ!」

 

声と同時に全員が身を隠しはじめる

 

「……やるか」

 

「了解!」

 

嬉々として武器を構える

さっきは戦う気だったのに不完全燃焼、黙って戻るのも…ということか、全員が臨戦態勢だ

 

「あれ…あん時の雑魚か」

 

「山ほどいた雑魚がまた出てきたって…無限湧き?」

 

「もしかしたら誰か呼び出してる奴がいるかも」

 

ガチッと音を鳴らし薬室に弾を入れる

 

「321で仕留めるぞ」

 

「321はい!」

 

発砲音の後風を切る音と共に二つの窓が地面にぐしゃりと落ちる

 

「弓の射程ギリギリだろあれ」

 

「こっちの射程は余裕ですけどね、近いやつ任せたんですから文句はなしで」

 

ダダダダダダ

 

「左右!侍と…えーと…」

 

「もういいから!」

 

「よくない!パラディン!俺のジョブ!」

 

「先陣切る!」

 

tacoさんがメリケンを手にはめ、敵に近く

 

「っらぁ!!」

 

パラディンの大盾にメリケンの拳が刺さるような勢いで衝突する

 

「っああああああ!」

 

連続で繰り出される拳は盾との衝突で火花を放つ、メリケンに火が灯るような勢いだ

 

「……!」

 

NPCは喋らないが驚きをあらわにする

 

ピシっ

 

盾にヒビが入り次の拳の一撃で盾が割れる

 

「オラァッ!」

 

盾の奥の敵への一撃は盾の奥にある剣に阻まれる

 

ギィィィィィッ!

 

メリケンと剣が衝突し押し合う、お互いの力の押し合いは体力のないNPCに理があるとさえ思える

 

「せい!」

 

横からの一閃

その一撃で敵の体勢が崩れ胴がガラ空きになる

 

「トドメ!」

 

NPCの顔面へのシールドバッシュとメリケンのアッパーカット、とんでもない威力の二撃に地に伏す

 

「異様に硬ぇな」

 

「これじゃあ時間かかるぞ!」

 

 

 

「はあっ!」

 

侍同士の斬り合いは一瞬で決まる

 

袈裟切りで一人仕留めその勢いを殺さず反対の者を左切り上げで倒す

そして唐竹で敵を割る

さらに刺突で敵を突く

 

刀を抜き振るう、血が降る

 

「……はぁ…はぁ…」

 

背後から敵が迫る、気づきはするものの反応が数瞬遅れた

 

「イカサマ!」

 

その敵の胸に短刀が刺さる

ぐさりと刺さったその担当を左に胸を切り裂くようにして引抜く

 

「……大丈夫ですか…」

 

「助かった」

 

 

 

「さて!今度こそ詠唱できるか!?」

 

「私に頼みって護衛ですか?」

 

「ごめん!1分くらいでいいから」

 

「わかりました…はぁ…それ!」

 

的に迫り姿勢を低くし回転する、右足を軸に回転しながらの切りつけは足から上をどんどんミンチにするように近づいたものを切り裂く、回転の勢いがおさまるタイミングで少し飛び上がり横方向の回転で敵を割るように切る、刀ではないが唐竹だ

 

「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法、エクスプロージョン!」

 

うっとりとしながら詠唱をし魔法を放つ、離れた距離の敵の軍隊を一撃で吹き飛ばす

 

「……!!」

 

感動を覚えたらしく立ち尽くしているその状態は格好の的だ、敵が寄ってくる

 

「三爪炎痕!」

 

敵をバラバラに切り裂くあおい炎の剣撃は見る者を魅了し死のサインを遺す

 

「しっかりしてください!」

 

「ごめん、ボーッとなってた!」

 

 

 

「うおっ!?」

 

「ヒール!」

 

金色の剣は敵を斬りさくたびに放つ血に視界を歪ませる

 

敵が絶えずに迫る、この中でノーダメージは無理があるだろう

 

「そらっ!」

 

「よっ!」

 

かぼちゃの被り物が視界を奪うせいかなかなかに戦いにくそうに見える

 

「チッ!キリがない!」

 

「後ろ!ヒールかける身にもなれっての!どんだけいやがるんだ!」

 

 

 

「そいよっと」

 

「ほれ」

 

攻撃職などいない

二人とも支援職なのだ

ヒーラーにマジシャン

2人係の攻撃は敵を圧倒しながら斃す

 

 

「今!」

 

「そいやあっと!」

 

「ナイス!」

 

「よし!次!」

 

 

 

 

 

 

 

「っ!らぁぁぁぁ!」

 

ガガガガガガッ

 

何発もの拳に敵は圧倒される、侍の魂である刀を折られたNPCは律儀に自害という謎の仕様だ

 

「っらぁ!」

 

「盾が前に出るか!?」

 

「壁は性に合わん!」

 

「わかる!」

 

前方に走り出し敵の脇腹に食らいつく、垂直な+の形になり敵を回転させ足で周りの敵を蹴り倒す、そして敵の右手を90°に開かせその右手に垂直な形になる

頭上から落ちる勢いを敵に押し付け敵の後頭部を地面に打ち付ける

 

「っし!いけた!」

 

「そらっ!そっちとばす!」

 

シールドバッシュで吹き飛ばされた敵をラリアットではなく鋼鉄の拳がお迎えする

 

「いきなりはやめろ!」

 

「よし!どんどんやるぞ!」

 

 

 



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No.7再来2

「ふっ!!」

 

「せいやぁ!」

 

ズバッと敵を切り裂く剣戟にドカンと爆発の衝撃にも等しい拳に襲われれば堪らない、形を維持することもできないだろう

 

「ふぅ…こっちも使ってみるか」

 

と何かを持つ

 

メリケンサックがつながったような形だ、そのメリケンに指を通す

手の甲を離すとスランという音とともに凶悪に光る針が現れる

黒く輝くそれは恐ろしいと言うより……

 

「……いくぞ!」

 

闘いを愉しむような怪しさがある

 

声を上げ、ダンと地面を踏み込み針を敵に突き立てる

その鋭さに鎧など髪にも等しく貫かれる

 

「……!」

 

右のメリケンには針は鋭く長く凶悪な針が

左のメリケンには穴が空いている

明らかにその穴の深さでは針は収まらないのだが穴から突き出ることはなくまるで消えたように収納されるのだ

 

そのメリケンの性能に満足し拳を敵に向け直す

 

「んじゃあ俺も」

 

身の丈程の盾をインベントリに収納し長方形の盾を出す

すらりと長い剣には紅く染まる炎のような紋が刃についていた

 

「!」

 

敵の剣戟が襲いくる

 

盾を少し持ち上げ地面につき刺す、先端が尖り深くに突き刺さる

 

ガキィ

 

敵の攻撃の衝撃は地面に流れて消える、防御のたびにくる衝撃は少しはマシに、いや衝撃そのものがないとまで感じられる

 

「らあっ!」

 

盾を軸にぐるりと回転しながらの右なぎ、盾の刺さった地面は抉れて少々土が柔らかくなる

 

「っせい!」

 

敵を頭からかち割るように斬り裂く、斬られた場所から火が出て燃え死ぬ

 

「飛ばすぞ!」

 

鋭い蹴りに飛ばされた敵を盾が潰す

グシャリ

嫌な音だ、普通の人間なら骨が折れて顔も潰れているだろう

 

「そら!」

 

ダダッと強い打撃音がなり敵を地に伏させる

 

「はあっ!」

 

ズバッと言う音とともに敵の体は燃え元の形がわからなくなる

 

この二人の周りには潰れた死体と焼死体が積み上げられるだろう

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

「アイススピア!」

 

「虎輪刃!」

 

ピーキーなコンビだ、一撃の重い魔法使いに素早い双剣士

この二人のコンビはどれだけ上手く戦ってもなかなかに上手くいかない

攻撃力は高いが防御が点でダメな2人組はどう戦ってもダメージを受ける、回復役や盾役が最も必要だろう

 

「っせいやぁ!」

 

ズバババババ!

 

姿勢を低くしながら回転し敵を切りさく攻撃は機動力を奪う、その場で回転を続ければ仕留め切れるがあくまで足止めが狙いの攻撃らしい、回転しながらの攻撃で動きを抑えめきを仕留めるのは魔法使いの仕事だ

 

「アイススピア!」

 

動けなくなった的に無慈悲の氷の槍が襲いかかる

無慈悲に貫くその槍に敵はなすすべもなく地に伏す

 

「ナイス!」

 

「こっちはナイスじゃないです!」

 

 

 

 

「右3!」

 

「そっちいるぞ!」

 

声を上げながらの戦い

お互いに敵の位置を教えあい支援する

 

「そっちの射程!」

 

前方に走りながら岩を蹴り高く飛びバク宙、そこに追いかけてきた敵の脳天に鉛玉がぶつかる

 

「射程内に3!」

 

「あいよ!ファイアーレイン!」

 

火の矢の雨が降り注ぐ

 

「「はぁっ!!」」

 

互いの背後の敵を仕留める

敵を仕留める前に味方の頭をぶち抜いてしまうなんてこともなくお互いの背中を護る

 

「ナイス」

 

「hiroさんも、結構ヒヤッてしますね」

 

「だな」

 

雑談をする余裕があるこの二人は一番安定しているだろう

射撃や身体能力はこの世界ではありえないような補正がかかる

敵を一瞬で葬る飛び道具はどんな火力の武器ともタメを晴れるだろう

 

 

 

 

「キニクワナイ」

 

歯をくいしばる

 

「ねぇ?あなた達は……どんな血飛沫を上げるの?」

 

誰も気づかない、気づけない

 

「さぁ?そろそろ…」

 

 

 



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No.7再来3

「ソロソロ……ソロソロ…」

 

 

 

 

 

taco&hakurouペア

 

「危ない!」

 

姿勢を崩しイナバウアーのような状態になったところに顔面に刀が振り下ろされる

 

「がっ!!」

 

がキィ

 

白刃を歯で挟み止める

 

「ぐ!!ちょっと待ってろ!こっちも敵が!」

 

盾で流し敵を切り裂きながら声をかける

 

「……!」

 

右足で刀を振り下ろしてきた敵の頭を蹴る、たまらず刀を離し一歩引く、そして右足を地面につける頃には体制が反転、かがむような状態になり口を開け刀を落とし柄を手のひらで押す

 

「っらぁぁ!」

 

ひゅるるるるるるるるる

 

風を割く独特な音を立て敵の脇腹に刺さる

 

「刀もらうぞ」

 

そして追撃するようにその刀を脇腹を割くように斬り刀を奪う

 

「いいねぇいろいろ使えて」

 

「誰でもどんな武器でも使えるけどとってないだけだろ」

 

「こっちの方が強いし」

 

「まあメリケンの方が強いが危なっかしいからな」

 

 

 

 

 

 

 

RIONN&hiroペア

 

「よっと」

 

フルオートの拳銃を敵に突きつけ無慈悲に引き金を引く

 

ダダダダダダダダ

 

マシンピストルとも呼ばれるその勢いは流石としか言えない

 

「…多くないか?」

 

キリキリと弓を絞り思わずつぶやく

 

「いやぁマガジンがスタックできて良かった」

 

いい笑顔でそういう

 

「あーはいはい」

 

弓を放つ、しゅるるるるると風を貫きその一撃は無慈悲に敵に風穴をあける、偶然にもその後ろに続いた敵の脳天にもあたる

 

「っしゃ二枚通し」

 

「へぇ…」

 

「もちょっと上手くやらねぇと弾薬たりねぇよ?」

 

「言いますね……」

 

「見てきたけど遠いな、1キロ2キロじゃないぞ」

 

「うお!?」

 

「し、心臓に悪いです鯖味噌氏」

 

「ん」

 

「どうぞ、背後からズドン、でお願いします」

 

ブリーラー・レッスルをインベントリから出して渡す

 

「……?その腰にぶら下げてるやつは渡さないのか」

 

「これは自分用、のこりは必要な時に渡すよう」

 

「なんだ量産してたのか」

 

「ぬかりないですよっと」

 

目の前の敵を仕留める

 

「さて?」

 

「ん、やるのか」

 

「了解」

 

「周りに人は?」

 

「敵なら数え切れないほど」

 

「味方はなしね、了解」

 

「いっちょ盛大に爆殺しますか」

 

「マジで物騒ですね」

 

「出す」

 

鯖味噌氏がグルグルと回転しながらインベントリからダイナマイトをつなぎ合わせたものを引っ張り出す

 

「よし、この矢に」

 

「OK打て」

 

敵の間を縫うように通り抜け風を貫き木に刺さる、ダイナマイトは線となる

 

「BANG」

 

ダイナマイトを撃ち抜く、爆発は連鎖し周りの敵を木っ端微塵にする

 

「次」

 

「あいよ」

 

「撃つ」

 

3回これを繰り返す、1回64のダイナマイトを爆破するためありえない威力を発揮する

 

「こんだけ蹴散らせば動きやすいな」

 

「んじゃあ」

 

「じゃ、こっちはこっちでやる」

 

 

 

 

 

 

sabamiso_sabu

 

「……いるな」

 

背後に回るのは簡単だ

チェス盤を食い入るように眺めている

 

「何故もう爆発した……まだコマンドは……っ!」

 

一瞬こちらに視線を向ける

危うく見つかる、いやもしかすれば見つかったかもしれない

補正のかかったこの状態でもギリギリなのだ

他のジョブなら速攻見つかっただろう

 

『有効射程距離は確か3メートル』

 

3メートル…案外ヤバイかもしれない

 

「くッ……あと10…いや……」

 

何を言っている……?

 

「……無理か、No.9ソロソロテキヲタオシテクレ……」

 

片言な言葉だ、そしてNo.9

 

キィィィィィ

 

金属音

 

シャァァァァァァァ

 

風を切る音

 

「っ!?」

 

バク転して場所の移動、さっきまでいた場所ににクナイが刺さる、岩に背中を押し当てる

 

「……」

 

「……」

 

何かいる

 

「死ね」

 

背後の岩からヌッと腕が現れる、短刀を握ったその腕は確実に心臓を狙った突きを繰り出す

 

「っ!」

 

姿勢を低くし岩を蹴り移動する、間一髪、屈んだ時心臓の位置に頭が移動してしまったせいで頬を少し斬られたらしい、傷が風に晒され痛む

 

「……ネェ…キミ…」

 

No.7が呼びかける

 

「……ナカマノ死体ミタイ?ミタイヨネェ!?」

 

狂った目をしている

そうとしか言えない

すぐ視線をそらす、見ていれば引き込まれるような恐ろしい目だ

 

「2万人の兵に自爆用のプログラムを組み込んでいる…!全部が同時に爆発する!たとえ死んだコマだとしても!ハハハ!」

 

「……!」

 

「止めるには殺すしかない、さあ、No.9、あいつを半殺しにしてやろうよ、いたぶっていたぶって……そして死体を見せて絶望させようよ!!」

 

「……下衆が」

 

No.9と呼ばれた男は岩から出てこちらを向いている

黒い覆面をつけた昔ながらの忍びという様子

 

「……」

 

刀をあえて抜かずに構える

 

「……いくぞ!」

 

No.9のスピードは目で追うのがやっとだろう

別のジョブには

背後に回って左足を軸にした回転をしながらの斬撃だ、まさに神速の勢いだった

 

「……!」

 

しかし斬撃を無視し敵の首への一撃を振るう



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No.7再来4

「!!!」

 

ブォン

 

風の唸る音ともに男の姿が消える

 

「……マジでか」

 

ブォブォブォブォン

 

今度は音の数の姿になる

 

「……ある程度わかった、幻術のようなものか」

 

「……素晴らしい、だが、解くことはできまいて…」

 

「……ああ、そうだな、マイクラにはこういう状態異常的なものを回復する術はない」

 

腰に手を伸ばしながらそう言う

 

「…マインクラフトの『仕様の中には』…な」

 

預かった銃を手に握りこめかみに向ける

 

ダン

 

こめかみを撃ち抜き目の前に出てくるパネルを流す

下の欄にある状態異常解除の欄を叩く

 

「でもどうやらあんたら含めこれも仕様外のシステムなんだろう、これなら解除できそうなもんだ」

 

視界から男が消える

 

「……チッ」

 

「……どこにいる」

 

「死ねぇぇぇぇ!!」

 

背後からの声、刀の鞘で背後への突き、確かな感触はあるがうめき声や何かが聞こえるわけではない、止められたのだろう

 

「……冷静だな」

 

前方に駆け出す、鞘から刃が姿をあらわす

 

「当たり前だろう」

 

ある程度駆け、軽く飛び回転する

 

「……貴様なら…マシな戦いができるかもしれんな」

 

柄を左手に乗せ頭上に上げる

刃はしっかり相手を捉える

 

「くくく……」

 

男は手を開き刀を落とし両腕を大きく振るう

 

ジャキン

 

鉤爪が姿を現し鉤爪の先が光る

 

「……」

 

「……」

 

静かに時が流れる

 

「くらえ!」

 

男が刀の柄を蹴りこちらに飛ばす

 

ひゅるるるるるるるるるる

 

「ッ!」

 

がキィ

 

刀で叩き落とす

 

「かかったな!」

 

気づけば目の前に鉤爪が迫っている

 

「っ!!!」

 

刀を地面に突き刺し垂直に立て防ぐ

 

「ふ……」

 

鼻で笑われる

 

「強いな…」

 

「当たり前だろう」

 

後ろに飛び鉤爪を構え直す、その様子を見て刀を地面から抜き構え直す

 

「基礎中の基礎を見せてやろう……分身」

 

ゆらりと揺れ分身が現れる、その数本体含め3、3対1となったわけだ

 

「……はぁ…」

 

ため息をつき刀をゆっくりとみつめる

 

「くらえぇ!!」

 

右、左、空

3方向から襲い来る

 

「!!!」

 

ぎぃぃぃ

 

1人が刀を鉤爪で押さえつけてくる、その分身を蹴りとばし空中から来る方に対空の突きを放つ

 

がギィ

 

左の鉤爪で刀をいなし右の鉤爪で切りかかってくる

 

「っ!」

 

刀の峰を蹴り柄で鉤爪を防ぎバク転し距離を離す

右手を前に出し大きく振るう

すると刀は何かに引かれるように手に収まる

 

「……糸付きか」

 

「ご名答!」

 

背後に刀を回し背後からの奇襲を防ぐ

 

「……」

 

「来いよ」

 

「はははは!」

 

同時に鉤爪を振るい迫る

一撃が重く流すのがやっとの状態だ

敵の攻撃をやっと流したと思うと一人が背中を見せる

 

「!!……」

 

落ち着き冷静に背後から背中をねらい突く

 

きぃぃぃぃぃ

 

しかしその突きは右から現れた鉤爪に防がれた

 

「!」

 

ぎぃぃぃぃぃぃぃ ギィン

 

嫌な音ともに剣の先が飛ぶ

 

「なっ!??」

 

刀の刃先が折れたのだ

 

「くくく…残念だったなぁ」

 

「いい勝負ができそうだったがもう終わりか」

 

「……!」

 

回転しながら剣を振るい間合いを作る

 

「……出し惜しみなしで行く…!分身の術」

 

「いまさらか、武器もそんな状態で分身なんて怖くもないわ」

 

「遅かった、そういうことだ…ククク…おいおい、分身も出てないじゃないか」

 

「……分身乱舞」

 

一瞬で間合いを詰める

そして分身とともに敵を切り刻む

 

「ぬぁぁっ!?」

 

「……!…!」

 

「なっ…」

 

「お前のと俺のとでは違う…今度は……俺の番だ…分身乱舞!」

 

9の光る刃が敵を切り刻む

たとえ一撃を受け止められようとも二撃を受け止められようとも数瞬後には腕が落ち首が飛ぶ

 

「例え刃先が折れても…全体の切れ味が変わるわけではない」

 

「……見くびっていたようだな」

 

「そうだな」

 

「…だが俺は負けん!」

 

ヒュッと音が鳴り首に針が刺さる

 

「……!いつ仕込んで…!」

 

「敵に隙を与えた貴様が悪い、詰めが甘かったな?」

 

「ぐ……」

 

膝をつく

そして静かに前方へ倒れこむ

地面に体が落ち土煙が立つ

 

「……?」

 

その土煙が大きくなり体を包む

いや、土けむりにしては大きすぎた

 

「なんだ…!?」

 

数秒後には煙が消えた、しかし其処には何もない

sabamiso_sabuなど倒れていなかった

 

「な……!?」

 

ジャキッ

 

「詰めが甘いのはどちらだったかな」

 

首元に刃を突きつける

 

「……く…負け…か…」

 

「……知ってること、しゃべってもらおうか」

 

「口はわらん、しかしその前にお前はあいつを止めなくていいのか?直ぐに仲間は死ぬぞ」

 

「……それはどうかな」

 

「……貴様を賞賛しよう、そしてその強さに見合うものを…くれてやろう」

 

懐に手を入れ小太刀ほどの剣を取りだす

 

「……くれてやる」

 

「……どういう…」

 

「さあ、殺せ……」

 

「……」

 

「早くしたほうがいいんじゃないのか」

 

「……ああ」

 

腰から銃を取り出し撃ち抜く

コマンドで石化を選ぶ

石となった男は覆面の下の笑みを見せた



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No.7再来5

「コマンド……E!」

 

手を動かしコマンドを発動させようとする

 

ざざざざざざざざざ

 

「……アア、ヤツハ……マケタンダネ」

 

「はぁっ!」

 

ザシュッ

 

「アァァァァァガァァァ!?」

 

両腕が落ちた

その忍びの手には先ほどまでなかった小太刀があった

 

「ガ……アアア!」

 

「もうこれで何もできないだろう、終わりだ」

 

「……クガガガ!ハハハハハ!」

 

斬られた腕から血がドバドバと流れ出す

リアルの人間ならもう出血多量じゃなくカラッカラに干からびているレベルだ

 

「グルァァァァァァァァ!」

 

体を回し血を振りまき続ける

血がうねり流れる

だんだんその血が形を持ち始めた

まるで…大きな手のような形となった

 

「な……!?」

 

「ククカッ……ワタシハ…AI…ダ…AIノ…データ改変ナゾ……簡単…ダ……」

 

「死なないやつをどう倒せって…!?」

 

「クカカカ!……?アァ……ソウダ…………ホゥ…ナラ……ワカッテルノカ」

 

「……?」

 

「……マカセタ」

 

ドポンと音を立てて地面のデータにNo.7が沈む

 

「……!?」

 

「イマハ……ヒコウ……」

 

 

 

 

 

 

「っらぁ!」

 

「まだおわんないのか!?」

 

「多過ぎ笑えねぇ」

 

「それな」

 

全員が一まとめになるほどに押され

全員が同じ場所に集められる

 

「チィッ!」

 

「この……!」

 

全員が闇雲に戦う

敵の量は減っても減ってもまた増える

 

「はぁ……もう無理…」

 

全員の体力が限界に近づき始める

 

「マガジンラスト1st…」

 

「こっちは矢12stあるぞ…さすがに撃ち続けられるって言ってもマガジンだろ……?」

 

「マシンピストルの、ですよ、アサルトも尽きてるんであとはスナイパーだけ、実質尽きたと言っても問題ないでしょ……」

 

「つーかもうさっさと終わらんのかなこれ」

 

敵一体一体の強さはそこまででもない、だから喋りながらでも戦える

しかしそんな余裕を見せれば怪我をするのも当たり前だ

 

「退くか!」

 

「しょーがないね」

 

「誰か爆弾はよ!」

 

「対物でブチ抜いたろかゴルァ!」

 

「崩壊した!w」

 

「撤退用の道は!?」

 

「爆破でもなんでもして作る!」

 

「……!クラフター的戦術は!?」

 

「あー、いいね」

 

「穴掘れー!」

 

「おい待てピッケルあんのか?」

 

「hikari氏もう一回敵吹っ飛ばせますか!?」

 

「MP切れじゃァ!」

 

「もういいや、ブチ抜くわ、魔法使いサマはどうぞお休みを」

 

「つるはし用の気はねぇのか!?」

 

「武器で壊せばいいだろうが!」

 

「そんなことできたら苦労しないからな!?」

 

「さっさとしろよ!?」

 

「岩どう崩すんだよ!」

 

 

 

「分身乱舞!」

 

前方の敵が消える

 

「鯖味噌氏!」

 

「これ以上敵は増えない!そこまで量もいなかった!今仕留め切る!」

 

「マジか!」

 

「っしゃもうちょっと本気でやろか!」

 

「っしゃぁぁ!」

 

全員の士気が上がる

 

「穴掘るとか言ったやつ誰だよ!w」

 

「うおっしゃあー!魔法もう一発撃つぞ!」

 

「MPは?」

 

「回復した」

 

「んじゃ景気良く対物ライフルでも撃ちますか」

 

「マジでか!?それはあかん!」

 

爆音が鳴り響き敵が吹き飛ぶ

 

「!?」

 

「……逃げろ」



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新しい場所

「……」

 

爆風の中から現れたのは白衣をまといメガネをかけた謎の男だった

 

「……逃げろ」

 

「……は?」

 

「私は…人に希望を与えるのが好きだ」

 

「……」

 

「狂ったように生にしがみつく人間に手を差し伸べたい、それだけだ」

 

全員が黙る

何も喋らないまま時が過ぎる

 

「だが…な」

 

その重たい口が開かれる

 

「私が一番好きなのは、安心しきった瞬間の人間を殺すことだ」

 

ゾクッ

 

恐怖を感じる

背中に何か虫が這うような感覚を覚える

動きが止まる

怖い、どうすればいい

混乱する

 

「だがな、私はお前たちの敵ではない」

 

「……」

 

「姫様を守る、近衛兵の1人だ」

 

「……」

 

「信じろとは言わん、私はここにいる、またいつか来るといい、あと、姫様は新しい場所にいると言っていたぞ」

 

 

 

 

hubワールド

 

「なんだあいつ…」

 

「さあ、つーかこれ脱出できなきゃマジできついやつじゃん」

 

「現実と変わんねーよ、危険なのは同じ、自然災害あるし」

 

「どうでもいいんで親玉し留めましょうよ」

 

「とりあえず新しい場所を探すか」

 

「……まあそうだな」

 

hubワールドをまずは探索する

 

地面や天井に変わった様子はない

遠くを眺めやっと人影を見つける

 

「……」

 

喋らない

NPCだ

 

「……?」

 

「ショップワールド?」

 

「いんじゃね?行って見ようや」

 

「せやな」

 

 

ショップワールド

 

大きい浮島のような場所だ

目の前には木製の噴水のようなものが二つ並びその奥には大きな入り口がお出迎えだ

 

「ふーん」

 

「……あれ?」

 

ここで違和感

 

「待てよ?」

 

「……マイクラじゃなくね?」

 

そう、ブロックではない

ホンモノ

でできていた

 

「……いくか」

 

「ああ」

 

 

 

「広すぎる…」

 

案内所のようなところは誰もおらず寂しさを感じさせる

しかしその奥は水が流れ植木が並ぶ

2階もあるらしくとても広い

そして道にくっつくようにたくさんのベンチとテナントと思われる場所がある

なぜか家具が並びまるで家具店のような印象だ

そして天井はガラスのようでたくさんの日光が入る

 

「ま、探すか、全員気をつけて」

 

「んじゃあバラバラにな」

 

 

 

 

NERO side

 

 

奥に進み角のあたり

 

「……な!……れ……と!?……しろ!」

 

叫び声に反応し近く

すると気配を感じ取ったようにこちらに顔を現すものがいる

ニアがこちらに顔を出す

 

「……聞かれたか?」

 

「うーん、ほとんど聞こえなかったよ、途切れ途切れにしか、だから何言ってたかさっぱり」

 

「……そうか、ならいい」

 

「ここであってたんだよね?いるし」

 

「そうだな、ここを新たな拠点としたいと思う」

 

「いいね!広いし椅子とかいろいろあるし!」

 

「ああ、少しはマシになると思う」

 

「みんなに声かけるねー!」

 

「ああ……すまない」

 

 

 

 

 

NOside

 

「さてと」

 

「一通り荷物の移動は終わったな」

 

「食料運べてよかった、スケィスいたら死んでたな」

 

「せやな」

 

「つーかここなら自室作れんじゃね?」

 

「いいね!今日は自分の部屋作る!で」

 

「うぃ〜」

 

「お、おう」

 

 

 

「さてと、まあ武器庫にしようかな、山ほど部屋にできる場所はあるんだし」

 

そういいまずは作業台を置き銃器弾薬を並べる

たくさんの武器を並べた事で殺伐としている

まともに眠れねぇや

そう呟きゆっくりと自分の部屋を眺める

ベッドを置き、間を仕切り、本を置けばリアルの自分の部屋に近づくだろう

部屋は二つにガラリと分かれている

一つは落ち着いた読書のスペース

あとは趣味のスペース

この場合武器庫が趣味になるだろう

 

「さて、どうするかな」

 

 

 

 

バリン!

 

ガラスが割れたかのような音がなる

そしてその1回目に続くように何度も音がなる

 

「なんだ!?」

 

M4を手に取り部屋をでる、周りを眺めそして上空を睨む

ここは入り口から左側にある真ん中あたりの場所だ

そして上空のガラスはところどころ割れている

次の瞬間細長い何かが降りてくる

すぐにロープだと理解する

 

「まさか!」

 

ロープが地面に着く、そこに銃口を向けるが途中で話せば意味はない

つまりだ

今のうちに他の武器をとる

山ほどインベントリに詰め込み植木に近寄り隠れながら様子を伺う

 

「……な」

 

言葉を失う

降りてきたのは敵だ

そしてその手にはアサルトライフル

ここにいるやつの中で何人銃を持った敵と戦えるだろう

そして5つのロープから約30人が降りてくる

そしてその部隊を指揮するかのように喋る奴は

ニアだった

ジャック、紫蘭もいる

つまり裏切られたのだろう

他の奴らはのんきに部屋でも作っているのか出てくる様子はない

バサっと音を立てて何かが降りてくる

なんとも言えない格好をした…

黄色いローブをしたやつが降りてくる

はっきり言えばダサい

手には杖、おそらく魔法使いか、そしてさらにもう1人

そのローブの中から短剣を持った魔法使いがかぶるような帽子をかぶった男が出てくる

手に籠手をつけているのでおそらく近接使いだろうが申し訳程度の魔法使い要素からマジシャンだと推測できる

ここからでは聞こえない危険を承知で接近する

大回りしては時間がかかるため水に入る

服が濡れる

冷たいと叫びたくなる

今は何月だろうとどうでもいいことが頭をよぎるが静かに水に体を沈め静かに進む

ある程度進み階段下で自ら出て植木の中に隠れる

 

「ククク、ご英断感謝するよ」

 

「……約束は果たすのだな」

 

「ああ、裏切り者となってまで、ご苦労だったな」

 

「貴様!」

 

「紫蘭!……やめろ」

 

「しかし!」

 

「ハハハハハ!さっさと仕事を済ませてくだされ、俺もそんな暇じゃないんだ」

 

チャット欄を開きNEROにtellを送る「裏切られた、ニアが敵を誘い込んだ、拡散するように」これですぐに動き始めるだろう

 

「……」

 

ニアが黙り込む

ギリッと歯をくいしばる音が聞こえるような気がした

だが何を代償に裏切ったのだ

何を理由に裏切ったのだ

敵討ちのために来たはずなのに何故

 

「……もう1度聞く」

 

「しつこいぞ」

 

「本当に『私の力を戻すんだな』」

 

「ああ」

 

どういうことだ

力?権力が物理の力か

 

「私に政治を行う力を戻すなんてよくお前単独で」

 

「いいや?ボスも了承してる」

 

「な……!?」

 

「…姫」

 

「わかっている、嘘じゃないんだな?」

 

「ああ」

 

「……なあ、No.2、俺はオモチャを見つけた」

 

おそらくマジシャンと思われる方のやつだ

 

「ほう?」

 

「いいか?」

 

「勿論だ」

 

バサッと音がするとこちらの目の前に黒い空間が現れる

 

ヒュッ

 

風を貫き短刀が喉元に迫ってきた

何が起こったかわからず大袈裟にかわす

そのせいで水に音を立てて落ちてしまう

 

「……!」

 

「RIONNか…」

 

「聴かれてた、か」

 

「はぁ……バレちゃったか」

 

余裕ぶる

だがマズイ

敵のアサルトライフルの銃口はこちらをとらえる

 

「……」

 

「…そうだ…お前とは因縁があった」

 

ニアが言う

 

「あの時は散々にやられたがあれはあくまで噛ませである事を演じただけだ、だが、次は本気でリベンジをさせてもらおう」

 

「え!?あれ本気じゃなかったとは」

 

挑発する

 

「ああ」

 

失敗

 

「……チッ」

 

舌打ちして立ち上がる

銃口を向けてる雑魚には興味なんてない

 

「あんたと…ねぇ……」

 

時間を稼ぐ

せめて全員が戦える状態になるまでの

 

「この不利な状況じゃあちと厳しいか」

 

「他のものに手出しはさせん」

 

「……」

 

「よかろう」

 

「……まあいいさ、さてと」

 

水から出る

濡れた服が重い

足取りも重くどうしたものかと考える

 

「あんたはどう戦うつもりで?」

 

「あの時と同じ、銃だよ」

 

「同じ装備、か」

 

「同じじゃないだろう?」

 

「そうですね」

 

インベントリから大口径のハンドガンを取り出す

作成をしたあと全く使わなかったとっておきだ

いつか使おうと思ったが使うに使えなかった

デザートイーグル

反動が強すぎて反動をそのまま腕で受けたら腕がつぶれるだろう

 

「……僕はこれひとつでいい」

 

「…フッ…何を言っている、なめているのか?」

 

左目に殺意がこもっている

包帯に隠された右目は一体なんなのか包帯の奥に引き込まれるかのような感覚に襲われる

 

「大マジですよ」

 

「……死んでも知らんぞ」

 

「殺すのが目的でしょう?裏切ったんだから」

 

「ッ!……ああ!」

 

「……なるほど、否定してくれないか」

 

残念だとオーバーアクションに肩をすくめてみせる

ニアはいつの間にかAKと思われる真っ黒なアサルトを手にしている

 

「まあでも既に、僕の仕事は終了してますけどね…自分以外の人もぞろぞろ出てきてますからね」

 

包囲するかのように全員が出てきた

武器を構え戦う準備を進めている

 

「見え見えの時間稼ぎに気づかないとでも?紫蘭、剣を持った2人を相手してやれ、ジャック、お前は……ネロを」

 

「「了解」」

 

「さあ、始めよう」



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私が信じる正しい事のために

「……」

 

時が流れる

発砲と同時に戦いは始まるだろう

全員が動かない

静かな時が流れる

緊張からか汗が頬を伝う

静かに流れたその汗は

 

ポツリ

 

地面に落ちた

 

刹那、お互いの銃口からマズルフラッシュとともに弾が吐き散らかされる

フルオートの大口径のイーグルからは一発

そう、たったの一発だ

しかしアサルトライフルは容赦無く弾をばら撒く

数瞬後には弾丸はお互いを貫くだろう

しかし違った

倒れたのは1人だった

 

ニアは手を押さえていた

足元には銃口が折れたAK

しかし立っている

傷はない

全くの無傷だ

 

 

「……」

 

言葉を発することもなく相手を見る

 

仰向けに大の字に倒れていた

しかし妙だ

出血がないように見える

 

「あっぶな……」

 

「な…!?」

 

「運が良かったというかなんというか…あー怖い怖い、こんなこと二度としたくないな」

 

そう言いながら体を起こす

 

「50口径弾丸を受けたライフル持ってたんですから、そりゃあなんともないわけないですよねぇ?」

 

「な、なぜ生きている!?なぜ当たらなかった!」

 

「そりゃあ簡単な話ですよ、反動を体で受けて倒れた、普通に倒れるより早く倒れるからギリギリ助かったけどココ、掠ってます」

 

銃のフレームを指してそういう

確かに何かが掠ったような痕があった

しかしそんなこと気にすることでもない

 

「その手じゃあ、戦えませんね?」

 

「……ふ…ふふ…舐めるなぁ!」

 

グロッグのような銃を手に持ちこちらに向けて発砲

右に回転して階段の下に入り視界を遮る

しかし膠着状態に入ることもなく

ニアがこちらに迫る

銃口はブレながらもその眼はハッキリこちらを見ている

手はやはり痺れているらしく

銃を持つ右手を必死で左手で押さえている

銃は打つたび手が大きく震えている

このまま撃ち続けることはできないだろう

しかしこのままではその前にあたる

植木を倒し花壇を蹴る

ゴロゴロと迫る花壇を飛び越えようとそちらに気が向いてしまう

刹那右手に対する蹴り

銃は地面に落ちるとツーと滑り遠くに行く

ハッとしたニアの眼前には大きな銃口が迫り息を吸うこともままならないような喉の詰まりを感じる

 

「……!」

 

「噛ませのまんま、ですか?」

 

ニアは舌打ちをして悔しそうに黙り込む

 

「使えんな…」

 

No.2と呼ばれた魔法使いのような奴がしゃべる

 

「は?」

 

「やれ、撃ち殺せ」

 

ダパパパパパパ

30人に囲まれての一斉射撃

間一髪伏せるのが間に合いダメージはないもののあれを受ければひとたまりもない

 

「どういうことですかねぇ、なんで味方に撃たれてるんですか貴方」

 

「私ごと始末するのが本心だからに決まってるだろう!そんなことより早く反撃をしないと……」

 

「無理でしょう、織田軍ばりの三段戦法で弾切れしたら次のやつが撃つからその間にリロード、弾が切れる前に死にますよ」

 

「諦めるのか!?」

 

「さあ、できればいきたいですけどね、つーかいろいろ聞きたいんですが」

 

「今そういう状況じゃないだろう!?」

 

銃撃の音で声は向こうまで届かない

それは周りに異常を伝えられないが逆に作戦を立てられる

好都合である

 

「手、いや指一本でも出せば死ぬ、つーことで」

 

匍匐前進をしながら階段の下に入り立ち上がる

 

「向こうからこれを投げます」

 

そういい手榴弾を出す

 

「そして何人か仕留めたいんであのグロッグ、ヘッドショットぐらいできますよね」

 

「……ああ」

 

「次裏切ったら瞬間死んでもらいます、さすがにこれ以上危険な目にあいたくはないんで」

 

そういいタンタンと跳ねフーッと息を吐く

静かに死角の最奥に行きゆっくりとピンに指をかける

 

カチン

その音とともに前方に走り手榴弾を投げる

投げた後は知ったことではない

スライディングで植木に隠れるが銃弾が腕を掠める

痛いというより火傷したように熱い

そしてこちらに攻撃が向いたと確信した

それと同時に爆音が鳴り響く

つまり成功だろう

そして背後で発砲音

グロッグのような軽さを持った発砲音は安心を与えてくれた

つまり敵を倒してくれたのだろう

そして発砲音が止む

銃口の先には死体が積まれていた

 

「チェックメイト」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた方に恨みはありませんがどうかここで死んでください」

 

「……!」

 

「どうするよ」

 

「倒すしかないだろ」

 

 

刀を抜き剣を振るう

金属音と共に火花が散る

逆袈裟で剣を切り上げる事で隙を作り

そして左薙ぎ

しかしそれはパラディンの盾に防がれる

 

「2対1は分が悪いわね」

 

そう呟きクルクルと太刀を振り回す

身長ほどある太刀をぐるりと振り回せば相手には隙が出来る

かわすために一歩下がればそこが墓だ

回転を止め突く

ひゅっと風を切り敵を貫く

 

「そこ」

 

ノーガードだ

ガードすることができるわけもない

勝利を確信した

しかし何もできずに貫かれるはずが金属にあたる

そんな感覚が手に伝わる

しかし目の前の相手にはしっかり胸に当たっている

手に力を込め押す

しかし動く気配はない

 

「俺の盾の範囲内だ…!」

 

パラディンがここまで面倒だと思わなかった

 

「10メートル以内の攻撃は全て俺の盾で受けてやる!決めろ!」

 

「応!」

 

金属音がまた鳴り響く

連続で何度もうちあう

袈裟切りや唐竹をすべて受けながら反撃の一太刀を狙う

 

「ああぁぁぁ!」

 

大声を上げ威嚇

一瞬無防備になる

その瞬間は手練れは見逃さない

 

「真剣・桜吹雪の太刀」

 

太刀が唸るように何度も斬りかかってくる

連続で体を切り裂く攻撃だ

しかしその刃は届かなかった

 

「来い!」

 

「ああ!」

 

一撃目を刀で受けながらそう言う

 

「デュアルアタック!」

 

盾での突進は太刀を受け止めるだけでは済まず太刀を弾き飛ばしたそして盾の裏からの一閃

 

「秘剣・隠れ討ち」

 

視界の外からの一閃

これにより紫蘭は動くことも無くなった

しかし満足そうに倒れた

これには2人とも困惑するしかなかった

 

「まあ、峰打ちだ、死ぬことはないだろう」

 

「言ってみたい台詞だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィッと音を立てて地面に火花が現れる

 

「よくここまで持つネ…」

 

勝負はほとんど決まっている

刃は溢れ、体中は傷だらけ

ボロボロな状態だ

 

「まだ…戦える…」

 

そういいながら戦いを引き伸ばす

まだ誰か援軍が来ることを願って

 

キィッギィィィィィ

 

金属が擦れる音がする

誰かが来た

そう確信した

それと同時にフラリと地面に倒れてしまった

まあよく戦った方だろう

圧倒されながらよく食いついた方だろう

 

 

「ぐっ……!」

 

「チッ!邪魔を…するナァ!」

 

援軍は金の双剣を持ったマルチウェポンだった

双剣は火花を散らし壮絶な打ち合いを始める

手数での戦いだ

一瞬でも早く一撃を放った方が勝てる

刹那

ジャックの右腕が視界から消える

 

「……ナ…!?」

 

やや後方にコロンと転がっていた

 

「……!」

 

ここぞとばかりに攻撃を繰り出す

しかしジャックは数瞬後青い炎に包まれて腕の元に移動する

瞬間移動のようだ

しかし軌道は目で追うことはできる

そしてその腕とともに炎に包まれると何故か腕は戻った

 

「ズルいだろ…」

 

「そう、俺はズルいのサ」

 

お互いに構え直す

ジャックの火が燃え盛る

地面にも火が灯る

その日は

血溜まりの少女を容赦なく包んだ

地ごと燃やしたのだ

これでおそらく息の根を止めたのだろう

 

「マズは…1人ネ」

 

「……!」

 

ジャックから炎は消える

しかしネロを燃やす炎は消えない

しかし炎の形は変わった

横に長い長方形のような形が立った

と考えればわかるだろうか

 

「……!?」

 

「……」

 

炎は次第に消え始める

炎の中からは火傷なんてしてない

しかしボロボロなままの少女があらわれる

 

「……なんデだ…!?」

 

「蒼炎の騎士って知ってる?青い炎を纏って戦う双剣士なんだ」

 

「だからどうした、そんなボロボロなままデ」

 

「つまり私がカイトの後継者だね!」

 

「今そんなどうでもいい話をするな!」

 

「どうでもよくないよ!」

 

なんでもないことで口論になる

そしてその隙は大きすぎた

 

「……!」

 

言葉を発さず仕留めようと剣を振るう

 

しかし剣は当たらなかった

 

「はっきり言ってさー、勝てないよね?」

 

一歩下がったところからそういう

 

「だって炎の体なんてどう倒しても修復できちゃうんじゃ意味ないよね」

 

「……ヘェ、脳はあるんだネ」

 

「だけどさー、私が他に加勢したらどうなると思う?」

 

「……ア?」

 

「簡単な事、ニアちゃんのとこに行けばいいって話、もう銃撃も止んでるし下の戦いも終わってるかもよ?」

 

「……ヘェ、あっそウ」

 

ジャックは静かに剣を収めた

 

「もシ、こっちが勝ってたラ、速攻君タチを殺すヨ?」

 

「もしって負けることを見越してるような……」

 

「そりゃあ姫は勝つために戦ってるんじゃない、自分の信じることのために戦う、そう言ってたからネ」

 

「……?なにそれ」

 

「さアね」

 

「俺蚊帳の外」

 

「とりあえず様子見に行かない?」

 

「何故そうなったし」

 

「知らない〜」

 

「ダメダコリャ」

 

 

 

 

 

「さて大物と小物1つずつか」

 

「どうするかな」

 

 

「アイススピア!」

 

ダダダダッと音を立てて氷の槍が刺さる

 

「誰だ」

 

「俺です」

 

hikari氏がここまでかっこいいと思えたのは初めてだわ(失礼

 

「さて俺らも戦いますか」

 

赤いパーカーにヘッドホン

鉄の剣を担ぎ魔法陣を展開する

そしてその隣には2人の盗賊

 

「gessoさんとhatirokumasaさんと豆腐氏」

 

 

 

「ほう…楽しめそうだな、『No.1』」

 

No.1つまり幹部の最高位を意味するその番号にこの場の全員が驚愕する

 

 

 

 

 

「さっさと聞きたいことだけ訊きましょう、なぜ裏切った」

 

「…私の信じる正しいことのために私は戦う、これでいいか」

 

「……めんどくせぇ…」

 

ボソッとそうつぶやく

そして武器を構え直し

戦いの準備と行こうか

ガラスを見れば何人かが戦っているのが見える

 

「上がりますよ」

 

「……ああ」

 

 

 

 



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数字なんか

階段を駆け上がる

靴音がなりそして息切れ

かなりの高さを登る

カツカツカツ

階段の出口が見えるが壁を背にして息を整える

互いの目を見ると何かの決意が見えた気がした

腰のホルダーからポイと一艇なげる

それを受け取ったのを確認すると満足そうに頷く

それに応えるかのようにコクリと頷きハンマーを倒す

引き金に手をかけいつでも撃てる状態だ

 

ダンッ

 

何かが地面に落ちたらしい音

その音にハッとして飛び出す

キラキラと何かが舞っている

すぐ理解できる、ガラスだ

しかしそれに目を奪われたことは

 

 

 

死に限りなく近かった

 

風を切りながら一本の矢が迫ることに気付けなかった

気づいた頃にはかわすことはできない距離だった

わずか数センチのところでその飛んできた矢は吹き飛ばされたいや、貫かれた

 

「危なかったな」

 

そういいながら弓師は静かに弓を絞る

 

「hiroさん…!」

 

「敵は」

 

「……あれは誤報かなんかか?上とこの先だよ」

 

上空には黒い影があった

ポタリポタリと血を滴らせ飛行する鳥のような人のような存在

 

「……!」

 

「あなた達は…良い声を聞かせてくれる?」

 

「……ぁ…」

 

ニアの顔色が青くなる

そしてすぐにその青は消え怒りの色となる

 

「よくも…!よくも!

 

ダンダンダン

 

迷わず撃った

しかしその弾は弾かれた

鋼鉄の羽となるナイフがどんな攻撃をも通さず弾くのだ

 

「……!くそッ!」

 

次の瞬間ヒュルルルルルと急降下

しかしそれは誰かを狙ったわけではなくガラスの地面を踏みつけるだけでまた飛び上がる

 

「動け!いい的だ!」

 

その声とともにバラバラと走り始める

ダンッ ダンッ

何度も地面を踏みつけながら追いかけてくる鉄の鳥には手榴弾をプレゼントしたが好みに合わないらしい

 

「敵の弓師は!?」

 

「1時の方向、だけど撃てない!」

 

「何故だ!」

 

「位置を教えることになる!」

 

「そんなの気にしてたら…!」

 

「相手は確実に首を射抜いてくるぞ!」

 

 

 

 

 

「アイススピア!ファイアウィップ!」

 

「そんな魔法効かぬ!ショックインフィニティ!」

 

地震だ

地面が揺れる

いや、揺れるのは俺だけで本当は揺れてなどいないのに

 

「マジックテレポート!」

 

魔法の効果だけを交換する技を使い相手にこの状態異常を押し付ける

 

「ふっショックエアドライブ!」

 

二つの竜巻が縦横無尽に駆け回る

地面や壁に当たればそこにありえないほどの威力をわからせる痕跡を残す

 

「マジカルドライブ!」

 

魔力が前方に向かい高い威力で噴出される技だ

この技が竜巻を相殺する

 

「さてと……天井がある限りは……」

 

とエクスプロージョンを諦めながら戦法を考え続ける



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44話

ヒュッ シャッ

音ともに刃が交わる

魔法の力を付与されたその刃は

確実に

正確に

無慈悲に

敵を嬲り殺そうとする

踏み込みが甘いのは遊んでいるのかそれとも

盗賊2人の攻撃を籠手でいなす

小柄な身体を利用しスルリと2人の間を抜ける

狙いはマジシャン右手の刀を引き首を狙う

ハッとした表情を見せたことに満足をしながら

刀を首に向け突き出す

しかしその刃が届く前に距離がおかしくなる

首を後ろから掴まれたらしい

しかもこの距離の移動から考えて盗賊のスキル

掴んでる手に刃を向けると体が自由になる

くるりと反転し盗賊めがけて切り掛かる

右からの一閃

かわされた、かまわない

刀を一瞬浮かせ峰と刃の向きを入れ替える

中でくるりと回転した刀で左からもう一撃

たまらずガードした

これでいい

ギギギと音を立てる刃に人差し指で触れる

魔法を付与する

魔法陣がついたことに気づき離れるが遅い

数瞬後には目の前で爆発が起き水の中に落ちた

おそらく無事だろう

火傷一つないはずだ

だって最下級の魔法だ

そんな簡単な魔法で怪我されちゃこっちがこまる

左手に持ち直し刀を握る拳を左肩に近づける

距離を詰め真下に振り下ろす

何にも当たらない

そう、それでいい

 

「ボクの剣舞を見せてあげる」

 

その勢いを利用し左腕を動かす

左腕が頭のところまで来たら手を開く

クルクルと短刀が舞う

一瞬誰もが目を奪われるだろう

綺麗なエフェクトだ

雷の魔法を付与した

円を描きながら上空に飛ぶ短刀は綺麗で

短刀に目を奪われた相手はとても無防備で

簡単に斃せる

籠手にも雷の魔法は付与されている

この魔法では少し痺れて動けない程度だが

魔力調整でいくらでも威力はあげられる

右足で強く踏み込む

折りたたまれたような体を開く

右手の甲が

籠手が

無防備な腹に当たる

呻き声とともに痺れて動けなくなる

剣舞?騙された方が悪い

そんなつもりなんて毛頭なかった

足を上げ踵を横にスライドさせて顔を蹴る

ぐるんと体が回る

その様が威力を物語る

そして左手での正拳突き

吹き飛んだ、文字通り

その小さな身体にはどれだけの力が秘められているのか

それとも魔法なのか

短刀がくるくると落下してくる右足を振り上げる

柄に足を当て振り下ろす

左足で軽く飛んでいるため中で一回転だ

背後から迫る敵は剣で止めるがどうってことない

弾かれただけだ

金属音と共に地面に叩きつけられた短刀は左手に

着地と同時に足払い

間一髪避けられるが問題ない

シュッと短刀を投げつける

左腕に刺さった

しかし浅い

左腕に目が行ってる間に視界から出る

背後に回る

相手の目がこちらを捉える前に短刀に手を伸ばす

血とともに短刀を抜き取れば相手は左腕を抑える

バックステップ

間合いを開けまた短刀を投げる

向こうからの剣撃

かわす

いやかわし切れるか微妙だ

籠手で受ける

重い

両手に全体重を乗せ斬りかかってくる

しかしバチっとやれば隙ができる

蹴りを当てて距離をとる

前方に走る

短刀が落ちてきた

軽く跳ぶ

ぐるぐると回転をかけながら柄を蹴る

反応する暇なんて与えない

グサリと右胸に刺さる

苦しみ悶える

なかなかに強かったが終りはあっけないものだ

強かったね

素直にそう声をかけたそして胸を切り裂くように短刀を抜く

血を飛ばすように振るう

 

「ボクらの数字なんて気にしちゃダメだよ、実はボク、弱いし」

 

笑うように言った

まだやってるであろう魔法使いの戦いはどれだけ激戦か見せてもらおう

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

業火に焼かれるような錯覚を覚えた

幻覚をも見せられた

何をしろという

何を攻撃しろという

フラフラと倒れそうになるが魔典を杖代わりに立つ

上空で大きな音がする

何かが地面に落下してるのか?

どうでもいい

気を散らせば死ぬ

しかし音が頭に響く

つい上空を見た

 

「……!」

 

言葉を発せない

だが今俺の顔は満面の笑みだろう

上空のガラスはところどころヒビだらけだ

"フチの部分"が

 

「……さて」

 

あとは時間稼ぎさえすればいい

 

「こっちはボロボロ、しかしそっちはピンピンしてる」

 

「降伏するか?」

 

「いや?まだ勝てる」

 

「なに?」

 

「なあ、互いに次で終わりにしないか?最強の魔法を使う、それで終わる」

 

「……どういう意味だ?」

 

「終わるならお互いに全力を出して終わりたい、それだけだ」

 

「いいだろう!しかしちょっと時間をくれ、魔力を調整せねばならんのだ」

 

予想外だが好都合だ

 

「それはこっちもだ、構わない」

 

静かに目を瞑る

 

上空でピシッと音がした

 

そろそろか

 

「前座の始まりだ」

 

そう言って

 

駆ける

 

階段を上がり大きく飛び水に着地する

 

でたらめに走る

 

「なんのつもりだ…?」

 

ピシピシッ

 

あと何秒だ?

 

あれは何秒で落ちる?

 

何秒で地面に落ちる?

 

がむしゃらにデタラメに動く

 

刹那

 

ガラスの破片が眼前に落ちる

 

「……っ!」

 

その破片を見てからの反応は早かった

 

アドレナリンが出てるのだろう

 

ダッと後方に駆ける

 

数瞬前までいた場所には特大のガラスが落ちてきた

 

「な、なんだ!?」

 

相手は今頃気づいたらしい

 

「前座だって言ったろ?」

 

スッと階段下に潜り込む

 

天井がそのまま落ちてきたらしい

 

しかし割れてる

 

「ショックブレス!」

 

なんとか割って凌いだか?

 

地面にズゥンと音を立てて落ちたらしい

 

そしてガラスは割れる

 

破片が太陽光を反射する

 

これほど綺麗なものはリアルにはないだろう

 

階段下から這い出てすぐに敵を探す

 

視界に入れば最後だ

 

「黒より黒く、闇より暗き漆黒に

わが真紅の混交に望み給もう

覚醒の時来たれリ、無謬の境界に堕ちし理

むぎょうの歪みと成りて現出せよ!

踊れ、踊れ、踊れ

我が力の奔流に望むは崩壊なり

並ぶ者なき崩壊なり

万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ!

これが人類最大の威力の攻撃手段!!これこそが!究極の攻撃魔法

エクスプロージョン!!!」

 

絶叫にも近いその詠唱と共にありえない規模の爆発が起きる

 

しかし異常が起きる

 

マナが減らない

 

マナラストスカリの効果だ

 

「遅いっての……」

 

ついすわりこむ

 

 

 

 

「素晴らしい」

 

しかし奴の声は……消えなかった

 

「最強とは……死なない事、そうだとは思わないか?」

 

「な……!?」

 

「この魔法は限りなく細胞の修復を早くしてくれる、その魔法1発では倒せんよ」

 

「……!」

 

 

 

どうする…

 

「あれほどの魔法だ、体力も限界、マナも尽きただろう」

 

相手はマナ切れだと勘違いをしている

 

いまやるか

 

やって勝てるのか?

 

考えろ…

 

考えろ……

 

勝たなきゃどうなる?逃げるのか?

 

「ロマン砲ってさ……一撃の威力はすごいけどクールタイムが長いわけだ」

 

逃げ切れるわけもない、死ぬだけなんだ

 

「なにがいいたい」

 

「でもさぁ……考えてもみろよ…」

 

ならやるしかない

 

やってやる

 

勝ってやる

 

俺は……負けない!

 

「そのクールタイムがないって!最ッ高だよなぁ!?」

 

立ち上がり魔典を向ける

 

「アイスバインドッ!」

 

氷の拘束具が敵を押さえつける

 

「黒より黒く……」

 

「なんだ?まだ使えたのか、だがどのみち貴様の魔法では死なん!」

 

「闇より暗き漆黒に

わが真紅の混交に望み給もう

覚醒の時来たれリ、無謬の境界に堕ちし理

むぎょうの歪みと成りて現出せよ!

踊れ、踊れ、踊れ!

我が力の奔流に望むは崩壊なり!

並ぶ者なき崩壊なり!

万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ!

これが人類最大の威力の攻撃手段!!これこそが!究極の攻撃魔法

エクスプロォォージョンッ!!!」

 

光の柱が見えた

 

その柱が膨らみ

 

爆発を起こした

 

デュアルアタック

 

そう表示された

 

思わず笑みがこぼれた

 

新たに現れた光の柱が敵を消し去ってくれると願って

 

 

 

 

 

 

 

思わぬ形で終り?を迎えた魔法使いの戦い

 

思わず感嘆の声を漏らす

 

「どーせ死んでない、よね」

 

そういい面倒な生命力を持ったゴキブリ並みのやつに近く

 

「No.……1!手を…貸してくれ……!」

 

ローブは修復が終わっていた

 

「キミにはもう用はないんだ」

 

ローブに手をかける

 

「……!キサマァ!」

 

「…あの魔法使いさんにお疲れ様って言っといて」

 

ドスッと音を立て首に短刀を突き刺した

 

「キミは…ローブに魔力を込めた、そのローブは空間を移動できるから逃げたんでしょ?でも、本当に威力が強すぎたんだね、簡単に死んじゃうようなキミは……イラナイ、このローブは君の魔力があるうちは勝手に治る、実に使いやすいね」

 

 

そういいローブを羽織る

 

「所詮番号なんて無意味なんだよ、キミやボクよりサーティーンやNo.9、No.10の方が強いと思うよ?でも、こんな力を得たから番号をもらった……そうか、キミも被害者なんだ……ごめんね」



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誰かの信じた正義

ダンッ ダンッ

 

ガラスが舞う

 

煙のように視界を遮る

 

「っざけんなよ!」

 

「ッ!」

 

遅すぎた!

 

今頃気づいても何もできない!

 

天井の真ん中に誘導された

 

そしてフチを何度も攻撃しヒビを入れる

 

つまり天井を落とすってことだ

 

「あー!いい加減にしろや!」

 

「……」

 

「敵の弓兵がまた面倒な…!」

 

喚くもの2名静かに走るもの1名

 

「チッ!サーマル!!」

 

サーマルを発動するが真っ先に入るのは太陽光だ

 

「!!」

 

視線を下にそらす

 

恐る恐るという感じに目線を持ち上げる

 

「止まるな!」

 

その声とともに身体が突き飛ばされた

 

ニアだった

 

非力な腕でよく動かせたと言えるだろう

 

二の腕に矢が刺さっていた

 

「……!hiroさんどれくらいの距離なら撃てますか!」

 

「おい!今は下がるべきだろ___」

 

「いいから!」

 

「……こっからなら250くらいまでだ」

 

「1時の方向!」

 

「え?」

 

「いいから構えて!」

 

「……ああ」

 

「2度上に修正!違う16度下げて!そこ、左に8度…違う右に3度!左に4度!なんで避けにぶれてるんですか!」

 

「うるさい!細いんだよ!」

 

「ッ!」

 

左足に矢が刺さる

 

どうやらここに釘付けにしたいらしい

 

「そこ、限界まで引き絞って…」

 

「この先に敵が居るんだろうな…」

 

「いいえ?居ませんよ?何を言ってるんですか」

 

「はぁ!?なんで…ふざけんなよ!?」

 

「まあうってください、撃てばわかります」

 

「死んだら絶対ェゆるさねぇ」

 

矢が飛んだ先には何がいるのか又は何があったのか

 

音はない

 

どういうことだろうか

 

「…動くぞ」

 

「その必要は無くなったと思いません?敵はもううってきませんし」

 

「いつうってくるかわかんねぇだろうが!?ふざけてんのか!?」

 

「ふざけなきゃやってられませんよ、楽しんでふざけて狂わないとこんなの」

 

「……!」

 

何か言いたげな表情を見せるがグッとこらえたらしい

 

「さて、あの鳥の処理だけですね、残りは」

 

「ひとつ聞かせろ、うった先には何がいた」

 

「何もいません」

 

「冗談は___

 

「弓がポンポン乱射される機会がありました、あんだけ長い時間うち続ければ熱を持ちますね」

 

「じゃああの人影は!」

 

「人型だからヘイト稼ぎになります、これでいいですか?」

 

「じゃあなんで音はしない!?乱射ってどういう意味だ」

 

「ジャムが起きた、乱射してたから足に刺さったり頭狙ったり、意味不明な打ち方なんですよ、ジャムってのは弾づまり、発射口を狙いうったのですが破壊できずその穴に刺さり音もなく詰まったんです」

 

「……はぁ…」

 

明らかに悪口を叩きたいであろう表情だが知ったことではない

 

狂う

 

楽しむ

 

それしか生きる術はない

 

リアルにおいても何においても

 

狂え!

 

とことん

 

楽しめ!

 

何もかもを

 

「あの鳥はどう仕留めるかな」

 

「……」

 

「俺は周りに避難をするよう言う、2人はできるだけ離れろ」

 

「はいはい」

 

「……」

 

hiroさんはサッサと安全確保のための報告に消える

 

後頭部にひやりとしたものが触れているのがわかる

 

「せっかく渡した銃をこう使われるのは……嫌か?」

 

「予想通りですね」

 

「そうか」

 

「あなたが死ぬ気は毛頭ないでしょうしあの場で手を組むのが一番良かったんでしょう?そして裏切る、死にますよ?」

 

風の音にガラスを踏む音

 

ホラーゲームバリのBGMだ

 

「……私なら…」

 

「貴女なら?」

 

「私なら、お前たちを苦しめずに殺してやれる、お前達を帰してやれる」

 

「……は?意味がわからないんですけど」

 

「聞いたんだ…ここを見つけてすぐのことだ、No.7の使者を名乗る者が来たって…そんなに素早く居場所が割れると思わなかったよ」

 

自嘲気味に笑う

 

「いい話がある、裏切って欲しいと言ってきたそうだ、そいつは私に壊れたこのネット世界の国の政権を戻し、統治に最大限協力するといった、だがそんなもの……呑める訳はない」

 

その声はどこか……

 

悔しさが混じっているように感じた

 

「……は?じゃあなんで裏切ったんですか?」

 

「それは魅力的だった、だが一番大きいのは…あいつらは死ねば帰れる、死が帰還の鍵だと言う発言だった」

 

「……」

 

言葉を失った

 

誰もが簡単に使えるコマンド/kill

 

それで帰れる?信じられない話だ

 

「……っはぁ…」

 

足の矢に手をかける

 

「その手に刺さった矢、早く抜いたほうがいい、その銃を持ち続けられなくなる」

 

下唇を噛み締めながら引抜く

 

思わず叫びそうになる

 

痛い、凄く

 

「……ぐ…!」

 

うめきながらも手に刺さった矢は抜けたらしい

 

「さて」

 

立ち上がる

 

銃口は眉間に向いていた

 

「一つ、二つ……えーといくつかな」

 

困ったように笑って見せる

 

「まず一つ目……あんたらに殺されてやる義理はねぇし!そんなもの信じられるわけがない!あんたは政権って魅力に取り憑かれただけの操り人形だ!」

 

「……!」

 

「二つ目、ここで死ななくてもボス潰せば帰れんでしょ?あんたらに殺されて帰れるってのも信じたとして攻略できるところまで攻略しまくってやりきった!ってなって帰りたいと思いますよ、みんな」

 

「……辛いぞ?苦しいと思うぞ?」

 

「三つ目、この状況を楽しんでる奴もいるわけなんで全力で抵抗する、だってオフ会みたいだからね、リアルバレとかすきくないからこういうオフ会はすっごい楽しい」

 

「四つ目、あんたらは殺そうとしてくれて構わない」

 

「……どういう意味だ」

 

「あんたらに負けようが誰に負けようがそこまで、その程度の実力だ…その引き金を引かれ、死ねばそこまで」

 

「……引くぞ、最も楽に死なせてやりたい、それには脳幹を一瞬で__

 

「そうすれば痙攣一つ起こさず死ぬ、ああそう、引いてみなよ、でも、やっぱあんた詰めが甘いわ」

 

「……なっ!」

 

「セーフティー、外してませんよ?」

「そ、そんなはずは!?」

 

確認しようと目線をセーフティーに持っていく

 

そこからは早かった

 

怪我してる足をこきつかって足払いをかけて転ばせた

 

銃を向けてくるが銃口がこちらに向く前に射線からはなれて左手で手首を持ち腕を右脇に挟み抑えた

 

左手に力を込めれば力なく銃を離した

 

「まだ生きてられますね、僕は」

 

「…後悔するぞ」

 

「これで終わるとは思ってません、さて、立ってください、落ちる時どうすれば最小限に衝撃を抑えられますか?」

 

「知るか!」

 

「下を見てください、滝があります、そこに落ちるんです」

 

「……助かるか?」

 

「さあ?生きてたらラストの勝負といきましょうか」

 

「…そうだな、最後の一戦で私も諦めをつけなきゃ」

 

「……口調変わりましたね」

 

「そうか?」

 

ケラケラと笑う

 

「この世界はリアルより怖い、死の淵に常にいる…だから狂う、狂い狂って楽しむしかないんですよ、そうしないと…本当に狂ってしまう」

 

 

ずぅぅぅん

 

どこかで何かが落ちる音

 

すごい衝撃らしい、衝撃波がこっちまで来た

 

「さて、鳥になる準備は?」

 

「なんだその比喩表現は、もっとマシな表現をしてくれ、鳥なんていいものじゃない」

 

ガラスでできた天井が大きな音を立て

 

大量の破片こぼしながら落ちる

 

「……ってまずいまずいまずい!」

 

「これはやばいだろ!ガラスが割れる!おいどうにかしろ!?」

 

そう、下には木でできた滝がある

 

しかしその木に当たればこんなガラスは

 

割れるだろう

 

「……!」

 

「マズッ!?不幸は連鎖するってか!?」

 

「ハロー!いい声を上げてねぇ!」

 

変態のような鳥か現れた、いや鳥のような変態か?

 

どうでもいい

 

銃撃で応戦するが翼が銃弾を弾く

 

「こんなのにどう戦えってんだよ!」

 

ぶっちゃけ3メートルまで近づいてくれば勝機はある

 

「くッ……!」

 

だがそのブリーラー・レッスルはというと銃を飾る棚に並べてしまったわけだ

 

しかし影は好きに動くだろう

 

クルクルと回転しながら

 

ヒュルヒュルと風を切りながら

 

その鳥の背後を取り小太刀を突き立てた

 

「あぁっ…!」

 

「……寒気したんですが」

 

「喘ぐな!」

 

ドMの気質も兼ね揃えてるようですがレベル高すぎませんかね

 

「分身乱舞……!?」

 

「鉄鳥・雨小刀」

 

鯖味噌氏が変態から放たれるナイフの雨に切り裂かれる

 

ズタズタに

 

グロテスクに

 

内臓などが見えるような気がした

 

吐き気を催す

 

「分身だ」

 

本人はなんかセリフを言って満足してるけど

 

「刃が通らない…引く」

 

「鯖味噌氏字が違う!字が違う!」

 

そんな声は届かず鳥を蹴って何処かへ向かう

 

それを追うように鳥も飛んでいった

 

刹那

 

ガラスが割れる

 

「……もし失敗したら…悔いが残るよな」

 

「マジっすか…この状況はちょっときつくないっすかねぇ!?」

 

絶叫にも近い声になった

 

予想通り向けられた銃を蹴り弾く

 

戦闘不能くらいならいいかとこちらも銃を出すが蹴られた

 

「……!」

 

「やる気十分だな!」

 

右ストレートを受け止め同じ技をと思ったがそううまくはいかない

 

その手を利用し引っ張って、顎へひざ蹴りだ

 

「ふっ、どうした」

 

それを抑えることで両手が使えない

 

左手が飛んできた

 

「っ!」

 

モロに受けた

 

 

 

 

 

 

痛くない

 

どうしよう痛くない

 

この子「ふっどうした(キリッ」とか言ってたよ!?

 

やばいどうしよう

 

え、これマジでどうすればいいの?

 

(^p^)<うわー

 

とか言って倒れればいいの?

 

よく銃持てたな、よく撃って肩が無事だったな

 

これは今は無かったことにしてあとでgessoさんに頼んで身体強化の魔法をかけてあげてもらうか?

 

とか思ってたらなんかこの子攻撃続けてるよ

 

左手でジャブとかやってるよ

 

それを捌く

 

そして蹴りが迫る

 

あれ?なんか威力が上がった?と錯覚を覚えた

 

このままでは地面に直落下だ

 

左手をつかみ大きく回転して滝に向かって投げる

 

後は野となれ山となれ、同じく突っ込んだ

 

はなや口で水を飲んだ

 

息ができなくなりそうだった、いやできない

 

そのまま意識は黒い湖が引き取った




本当はガラスを飛び移りながらやるあついバトル!のハズだったが柔腕の女のパンチなんて痛くないだろ
だってうちのやつと変わらん身長、年齢の設定なんだぜ?
そりゃあ仕方ねぇよ()


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No.3

「ッ!」

 

「ねぇねぇ遊ぼうよ!いい声で鳴いてよ!」

 

「ざけんなッ……!」

 

ガラスを飛び移る

 

ガラスに太陽光が射す

 

光は複雑に軌道を変える

 

大きなガラスが目の前にあるのでそれに着地

 

いや、横なので壁に一瞬張り付くようなものだ

 

それを強く蹴り上に上にガラスを飛び移る

 

「逃がすかァ!」

 

取りの動きがガラスに映る

 

笑みがこぼれただろうか

 

笑うしかない

 

この場で倒すことはできなくとも確実に視界から出られる

 

うまくやれば撒ける

 

今倒さなくていい

 

機会を見て仕留める

 

ガラスを蹴る

 

ダンッ

 

ガラスがぐるぐると回った

 

ダンッ

 

ガラスがぶつかり割れた

 

「……見逃すなよ」

 

「?!」

 

ガラスを蹴る

 

ただそれだけで視界から消えた

 

何をしたか?簡単だ

 

俺の後ろのガラスが割れた

 

鳥との間には2枚のガラスがある

 

そしてそのガラスが割れた

 

複雑に反射する光で俺の姿は消えたはずだ

 

バリリリリリ

 

ガラスが何枚も割れる音がする

 

ナイフを打ってきた

 

すぐに見つかるだろう

 

「見逃さなかったよぉ?」

 

否、見つかった

 

だがこれでも構わない

 

第二第三の策くらい用意した

 

「前座だっていうのにそんなせっかちな」

 

嘲笑して体を捻る

 

ナイフをかわし体を捻りガラスに手をつける

 

その手をしっかりとガラスに当てつま先を当てる

 

ナイフが迫ってるのがわかる

 

手を離し身体が逆さまになると同時にガラスを蹴る

 

ガラスはけられた反動でナイフを防ぐ盾となる

 

ガラスに映る姿は……

 

上へと飛んだ姿だった

 

それを追い鉄の鳥が迫る

 

三角飛び、ガラスを蹴る

 

数瞬後奴はガラスに映った姿を追ったと気づく

 

数瞬後奴はガラスにぶつかる

 

しかしその姿も音も声もなかったのはなぜだろうか

 

足場にして飛ぼうとしたガラスが回転し下を向く

 

張り付き方向が変わるのを待つがそれが間違いだ

 

回転なんかしない

 

まっ逆さまだ

 

つまり潰される……!

 

地面が迫る

 

さあ、最後に念仏でも唱えるか…

 

残念だな、こんなとこで…

 

グワン

 

ガラスに衝撃が走る

 

「!?」

 

ガラスに映るのは靴底だ、誰かが戦っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「らあっ!!」

 

バババババと繰り出されるジャブはメリケンで威力が上がり鉄をも砕くだろう

 

しかしその攻撃はいなされ敵の蹴りが迫る

 

なんとか左腕を盾にしてそれを防ぎ左足で踏み込み右ストレート

 

鋭い針に重心を乗せ放つ一撃は届かない

 

右腕は沈み込む

 

左足を軸に前方に倒れるような体制になる

 

左手の拳がガラスに突き刺さりそれを軸に変更して右踵落とし

 

「ごふっ!?」

 

これを食らい敵は血を吐く

 

「そこだ!」

 

右ストレートが敵の方に突き刺さる

 

「……ククッははは!」

 

狂気に歪んだ顔に一瞬寒気が走る

 

「死ねぇ!」

 

踵を水平にスライドさせる

 

脇腹にクリーンヒット

 

悶えながら倒れるがすぐに持ち直す

 

「No.3の名は伊達じゃねぇんだよ…ククッああ、いいことを思いついた……なぁ?眼の前で、仕留めてやるよ、護衛対象、我らのターゲットをよォ?」

 

「な…!?」

 

「くッくくく……くッアーッハッハッハッ!無様に顔がゆがむ様を見せろ!俺に服従させてやろう!」

 

「……っらぁぁ!」

 

無視して殴りかかる

 

しかしその拳は届かない

 

やつの掌を……いや指のリングを見て動きを止めた

 

「ククク?どうした?殴れよ」

 

「……」

 

「そうか、じゃあ……俺の名はキーン、先遣隊の生き残りとしよう……これでお前の仲間って事にできる……頼んだぜ?」

 

「……ああ」

 

リングにはどんな秘密があるのかどうやら人を操るらしい

 

「……!?いつからそこにいた!」

 

 

 

 

 

「!!」

 

気づかれた

 

確実に死ぬ

 

「……もう20秒もせず地面だ、そのまま潰れるがいい!行くぞ、水に飛び込む」

 

「……ああ」

 

助けてくれる奴なんていない、いや、助けられる奴がいない、そんな能力がある奴なんていないだろう

 

 

刹那

 

光と爆風に包まれた

 

「うおっ!?」

 

「!?」

 

2人は水に落ちたらしい、水の音がした

 

俺はガラスから吹き飛ばされ壁に叩きつけられた

 

地面は運よく近い

 

だが出血があるらしい

 

俺は……

 

意識は沼のようにそこのない闇に包まれた



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スパイ

ガラスを引っ掻き回す

死体を探す

見つけなくては

見つけないと安心できない

 

「どこだ…!」

 

「……こっちには、ない」

 

「ッチ!」

 

血溜まりが見える

だが肉塊はない

 

「こんだけの血が流れて生きてるはずはない…が」

 

ガラスを踏みつける

 

後方に殺気

俺に対するものかこのツレに対するものか

 

「……誰だ」

 

ツレを利用しよう、先にこいつを振りかえらせる

 

「…tacoさん?」

 

「ああ、sabamiso_sabuがガラスの下敷きになって探したんだが……」

 

「そんな…」

 

「……今まで犠牲者が出なかったのは…奇跡だったらしいな…」

 

「…………そっちは」

 

「先遣隊の生き残りのキーンと言います、先ほどここに到着し、このtacoという方と合流しました」

 

「先遣隊?」

 

「…あレ??派遣されたなんで話ハ…」

 

「残念ながら通信が途絶えてしまいそれ以降何度も調査に向かいました、しかし帰還することができず本体も動けずのまま……私のいた隊も……運よく逃げ切れましたが…1人の力では何もできず…こんな自分が不甲斐ない……」

 

双剣士3人か

俺の魔法には言葉を使うものと指輪を使うものがある

MPを抑える指輪を使うことと言葉で敵を洗脳すること

だが、もう一つある

MPを大量に使い一斉に洗脳する技だ

 

「……そっカ…」

 

「…戻るか…他に敵がいるかもしれない」

 

「……」

 

「…あの…私は……」

 

「…ああ、来るといいヨ、報告が必要だロ?」

 

「はっ」

 

今、洗脳は始まった

奴らは俺の手駒に過ぎないのさ

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぅ…」

 

目を覚ます

インベントリの中からできるだけ軽めの得物を取り出す

重さの概念ではない

気持ち的に軽いものを持ちたい

サブマシンガンを持ち起き上がる

水に落ちたはずだが地べたに寝ていた

ニアは……

 

 

少し離れたところにいた

うめき声をあげている

 

手を差し伸べた

しかしその手は拒否される

 

「ここにいるより動くべきだ、あなたはその体で動けるんですか?」

 

服が重い

身体が痛い

ニアも外傷が目立つ

ニアのほうが動けないはずだ

 

「……」

 

言葉の後の手はとってもらえた

 

「……すまん」

 

「まずは…安全を確保しましょう」

 

近くに一部屋あった

階段が近い

奥の一角だった

ここは二階らしい、地面が見える

 

ゴトッ

 

天井で物音

 

「……」

 

声を殺しながら壁による

ニアを座らせ部屋を出る

 

ゴクリと生唾をのむ音がした

こっちの動きに気づかれたらしい

お互いに危険ということか?

なら

 

「……誰だ、答えなければ撃つ」

 

「…り……か…?」

 

「…聞こえないぞ」

 

「りお…ん……か…?」

 

小太刀を持った腕が見えた

 

キズだらけだ

 

「鯖味噌氏…!?」

 

インベントリから肩ベルト付きのライフルを出す

地面に立てそれに乗る

そして天井に手をかけてのぼりベルトを引っ張る

 

「……ぅ…」

 

血だらけあざだらけ

壁を見ればガラスが刺さっている

よく見れば体にも細かいガラスが突き刺さっていた

 

「…バカやらかしたよ……分身切れに…気づかなかった」

 

「しゃべらないでいいです、今は降りて隠れましょう、応急処置もできませんが…誰かを探します」

 

「……悪いな…」

 

気を失ったらしい

目を開けない

だが息はある

このまま動かせば傷に響くか…

 

インベントリからスコープを取り出す

周りを眺める

 

「……居た!」

 

スコープを投げ捨て飛び出す

 

その先にいたかぼちゃの被り物ともう1人のクレリックに声をかけようと迫る

 

「……!?どうした!?」

 

「ボロボロじゃねぇか」

 

「鯖味噌氏とニアさんの方が怪我はひどいです、あの2人を手当てしてもらえませんか!?」

 

歩けばガラスを踏み音がなる

ジャリ

 

「……あっちにいるんです、はやく!命に関わる!」

 

「わ、わかった」

 

「了解」

 

ボロボロの体にはまだ鞭を打つことになりそうだ

 

軍靴の音がする

 

「……大暴れってとこかな」

 

インベントリを見て吹き出した

コルトダブルイーグル2艇

AMMO500

九七式

弾40

 

冷静になれば冷や汗がたらりと垂れる

 

「こんな装備でどう戦うんだよ……」

 

ハンドガン2艇持ち

 

「……」

 

落ち着き静かに敵を待つ

 

「発見、ここだ」

 

軍歌の音からわかってはいたが

 

「なかなか好みの制服だな」

 

「まだ軽口を叩く余裕があるか」

 

ナチスドイツの制服

No.7の仕事だとしたらなかなかやるな

銃口はこちらを捉えている

だがアサルトライフルよりハンドガンが多い

勝機はある

 

ダンッダンッ

 

向ける前にコルトダブルイーグルは弾かれた

 

「諦めろ」

 

No.7だ

 

通常通りの姿を保っている

あの報告通りなら…と考える余裕はない

 

「あいつを我々に突き出すだけでお前たちの安全は保障しよう」

 

「……」

 

「この差にお前は武器がないだろう?あるなら出してみろ」

 

「お望み通り」

 

九七式

 

いや、これは狙撃銃としても使えるように改良をしている

凶悪な威力を残し、だが軽く

 

これは九七式とはもう呼ぶべきではないかもしれない

 

「……なんだその銃は」

 

「…もとは九七式自動砲、だけど今これを呼ぶなら…Heinous blowってとこかな」

 

「凶悪な一撃……対物狙撃銃らしい名前だが、ここでは役に立つまい、20の人間に囲まれたままそれを放つことは1人を仕留めることができても全員を仕留めることはできない」

 

「…否定はできないな」

 

「だろう?降伏しろ、そうすれば奴の命と交換でお前たちを助けてやろう」

 

「…それはありがたい話だ」

 

肩をすくめる

 

「ニアさんには散々な目にあわされたしなぁ…武器もこれじゃ何にもできませんからねぇ」

 

「じゃあ、奴の居場所に案内してもらおう」

 

「……」

 

Heinous blowを水平に構える

 

その先にはガラスの水槽

 

「……どうした?」

 

「くッ…」

 

「なんだ」

 

「くくくッ」

 

「なにがおかしい」

 

「かませ犬乙w」

 

嘲笑する

 

「なっ!?」

 

ダァァンッ

 

左側にあるガラスが消し飛ぶ

水ごとだ

 

全員が防御態勢を取っていた

まさに阿呆だ

 

「阿呆どもが!テメェらなんかに頭下げるくらいなら死ぬまで抵抗してやるよ!」

 

風穴を通る

 

後ろから発砲してきても気にせず逃げる

距離を開けて通路に飛び出し人の塊に銃口を向ける

 

「死ねぇぇっ!」

 

肩が吹き飛びそうだ

放たれた弾丸は人に穴をあける

肩や腕が吹き飛んだものもいる

腹に大穴が開いた敵もいた

敵を撃ち殺す?違う

消し去る

ギラギラとした何かが暴走したようだった

 

「ッ!」

 

肩を弾がかする

 

一発でも当たればそれは敗北だ

時間を稼ぐ?倒す?

そんな事は考えてない

生きるために戦え

自分を守ることで周りを守ることにつながる

守るために殺せ

殺されたら何もかもを失う

銃を向けた

それはお互いの死を意味する

自分の死を宣告し

相手の死を宣告し

相手の命を奪い

自分の命を奪う

人間の寿命は永遠ではない

だが銃を持てばその寿命は激減したも同然だ

 

「やれ!殺せ!」

 

「誰に命令してんだよッ!」

 

もう奴の部下は倒した

 

「残ってんのはテメェだけだ!お山の大将がぁぁ!」

 

気づけば間合いはない

右足で踏み込んで蹴る

 

「ごふっ!?」

 

身体を揺らし体制を整えようとすれば眼前には冷たい銃口

 

「……はぁ…チェックメイト」

 

「…それは私には通じない」

 

「……あ?」

 

「私は生き返る、死んでも生き返る奴には殺すという脅しは通じない」

 

「……ああ、そうか、ところで醜い腕はどうした」

 

「あんなものすぐ治る、私はデータと一体化した…」

 

「だから私は……」

 

気づかなかった

背後にもう1人いたなんて

 

しかしそのもう1人は首が落ちて消滅した

 

「…ごふっ…」

 

「鯖味噌氏!?」

 

「はやく、そいつを……!」

 

ダァァァァン

 

「くくくッ、次は……」

 

パラパラと光になりNo.7は消滅した

 

「鯖味噌氏!大丈夫ですか!?」

 

「…無茶したせいで…動けねぇや……」

 

「棃音!sabamiso_sabuはー……大丈夫だったか、無理して飛び出しやがって…」

 

「ハハハ…」

 

「まだ敵は倒しきれてないことがわかりました、一度引いて立て直しましょう…合流は二の次三の次です……」

 

「ああ……」




ふむゆるが書き始めた小説につなげる気はありません
これはこれで後日談が別にあります
さて、そろそろ50が迫りましたね
Mickserver民以外の人が見ても楽しめるといいな!
50過ぎたらなんかやるかも


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スパイ2

「……ごふっ」

 

血を吐く

酷使されすぎた身体は魔法で癒える

だが

精神は癒えない

 

「無理してんなぁ……」

 

「俺らいなかったら死んでたろ」

 

「やばいしばらく遊んでたいニコ動見ながら絵描いたりゴロゴロしながら小説読みたい」

 

「前線組は息も絶え絶え」

 

「脳筋クレリックがぁぁ」

 

「変態クレリックガァァ」

 

「んなことやってる場合か……?」

 

「ニアさんは?」

 

「寝てる、うごかせなかった」

 

「てか待って、体動かない」

 

「……回復…効いてない……」

 

「……え?あれ?見た感じ傷は…」

 

「どこに目ん玉ついてんの、HP」

 

sabamiso_sabu

HP:50000/35

 

「これはヤバイな」

 

「つーか50000か」

 

「結構成長したがカンストの模様……」

 

「5万のHPが回復されないと動けないとかやばいな」

 

「それな」

 

「さて…生きてるかな」

 

小さな何かを取り出し耳にあてる

 

「……!生きてた!水に濡れてダメかと思ったぞ…嬉しいわ」

 

「あ?」

 

「ククク、いつやつと敵対するかわからんのでな」

 

小さな何かをいじる

 

 

 

 

 

 

 

「つまりそういう事だ」

 

「先遣隊、ねぇ」

 

こいつらはなかなかにかかりにくいな

 

「申し訳ない、気分が悪いから新鮮な空気吸ってくる」

 

盗賊が1人消えた

 

「……」

 

「ところで、姫は?」

 

「それがどこにいるか、この辺りの敵を全滅させなければ探すに探せないだろう」

 

「リオンとかいると思うし大丈夫じゃね?」

 

「ん、合流してんの?あの2人」

 

「へー」

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、どうやら新しいのがきたわけか」

 

「おまっ盗聴かよ」

 

「ヒヒヒ、変な動きしたらあいつだけでも殺せるようにな」

 

「ヤバいこいつマジキチだ」

 

「嫌な兄だねぇ」

 

「50まで回復」

 

「……マナ回復してみない?」

 

「何故に?」

 

「マナ=気力、気力があればなんとかなる説」

 

「クレリックの頭を治すことが最優先だな」

 

「まあまあ試しに」

 

「マナセーブマナリジェネ」

 

「……お、回復速度上がった」

 

「ファ!?」

 

「つーかどうでもいいからさ、ニア動かさね?」

 

「それな」

 

「自分これ聴いてるし起こしてきてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早く探索に行かないと」

 

「いや、だがなかなか出るに出れんのだ」

 

「gesoo」

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「いや、ちょっとこいつに話があるだけ」

 

「魔法職同士仲良くな」

 

 

 

 

 

 

特に変な部分はなし、か

 

 

 

 

 

 

 

「……悪い…ブレインコントロー…」

 

「どういうつもりだ」

 

詠唱より早く喉元に剣が向けられた

言葉が詰まる

 

「俺は、キーンってやつが魔法を使ってるってわかる」

 

「……は?」

 

「俺のパッシブスキルに魔法を感知するものがある、だから洗脳系なら俺が精神をコントロールすればかからないと思った」

 

「…そんなの俺もわかってる、魔法をかけるタイミングがない…」

 

「だから俺が気分悪くなったのか…」

 

「hatirokumasaか」

 

「俺の魔法に魔法を弾くやつがあるんだが詠唱のタイミングがない」

 

「ならhatirokumasaに先にかけてくれ、エクスプロージョンを打つ、そのあとは俺は動けないからhatirokumasa、どこかに隠してくれ」

 

「ふむ、悪くない手だが今まで動けたろ」

 

「マナが減りすぎるとHPが削れる、そのHPも使えばギリギリしか残らないんだ」

 

「……よしわかった」

 

「マジックカウンタ」

 

「いくぞ、戻ってろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な爆発音がする

大きな光とともに

 

「なんだ!?」

 

「エクスプロージョン!?」

 

爆音に紛れて一部の者に魔法がかかる

どんな大声もかき消される

 

「……さて様子見だな」

 

 

「スパイを倒……せ」



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スパイ3

あの爆発はなんなんだ

 

「ポンポン打ちやがって…」

 

「何をですか?」

 

「奥義クラスのスキル、エクスプロージョン」

 

「へぇ…」

 

冗談じゃないぞ!?あれで奥義じゃなかったらやばいがぽんぽん!?そんなに打てるのか!?

もう余裕はない……

体力の消費は辛いができるだけ術をかけてみるか

 

「ところでみなさん…そろそろ動きませんか?」

 

何人かが立ち上がった

こいつらはかかったか

 

「姫を探さないと___」

 

言葉は眼前の刃に遮られる

 

「なんでしょう、ジャック殿」

 

「その魔法ハ……何のつもりダ?」

 

「魔法?残念ながら私には使える魔法が……」

 

「ナイ?そうか、じゃあ正体を現してもらおうカ?」

 

「……チッ……殺れ」

 

何人もが立ち上がった

洗脳済みの兵士だ

紫蘭にもかかったらしい、これはついてやがる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っしゃぁぁ!」

 

嬉しさに飛び上がる姿に周りは疑問を覚えた

 

「ネロ敵〜!これで敵を倒すという大義名分が……!」

 

「ど、どういうことだ?」

 

「簡単に言えば、洗脳されたくさいです、んで、カサシノさん、洗脳されてここにあの人たち連れてきてください」

 

「……は?」

 

「だってそうじゃないとネロを殺せ……ごほん、ホコリが飛んでるな、テキヲタオセナイジャナイカ」

 

「すっごいカタコトだ」

 

「まあ死なないだろうしいいけど」

 

 

「さて、洗脳の大元仕留めればいいわけですが……」

 

インベントリにハンドガンを放り込む

 

「おい、それは……」

 

「落し物ですね」

 

「そ、そうか」

 

鹵獲した兵器を使わない理由はない

 

「さて、ニアさん、あなたには囮になってもらう」

 

「な!?」

 

「大丈夫、遠距離が使えるやつはhiroさんだけ、狙撃しましょう」

 

「私は本当に囮か……」

 

「さてと、鯖味噌氏、ウィンさん、いいですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くくくくく」

 

「……」

 

息をしていない、これは死んだか?

 

「残念だったなァ?ジャックよォ?」

 

「……ごふっ」

 

「まだ生きてるのか……とどめは後で刺すとして姫はどこだろうなぁ……」

 

視界の端に鳥が映る

 

「……知ってるかもしれないなぁ…あいつは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、遊びますかー」

 

「お前なぁ!」

 

「存分に狂うんですよ、こういうのは」

 

「……来た」

 

「先陣は……?貰いますね」

 

「死ぬなよ……ネロ」

 

「うん、普通に殺しそう」

 

「いやまさか妹を殺すほどのクズでは……」

 

「息の根止める前にじっくり今までのストレス発散しますよ、マガジンが尽きるまで撃ちまくって肉塊にしてくれるわっ!」

 

「前言撤回」

 

 

 

 

 

「……」

 

「さーてどう殺そうかな、傀儡さんよ」

 

「……」

 

「えー、無反応かー、まあ傀儡じゃなくなろうと殺すけども」

 

「おいリオン!殺すな!」

 

「そぅちはそっちでやってろください」

 

ハンドガンを握り直す

 

2丁拳銃はなかなか扱いに困るがこの場合はむしろ好都合だろう

 

「さあ、こいよ」

 

初撃は決まって右斜め下からの切り上げ

わかってるのだからそれを撃ち弾く

 

「……!」

 

「お、落とさないんだ、傀儡だけあるがどんだけ頑張ってもそのうち痺れて感覚なくなるだけだ、つーかよく持ってられんなぁ」

 

「……」

 

「動かないなら眉間に穴空くのがお望みってことか?」

 

次は左から飛び上がって水平に回転して切り掛かってくるかな

今度はカンに頼る

 

「大当たりィ!」

 

弾かれた場所が空中なだけに吹き飛ぶ

階段の上にいるわけだから落下の距離もそれなりにあるわけで

 

まああとで白い目で見られるのも嫌だしマフラーを掴んでおけば最悪死にはしないだろうと思い掴むが

 

「ぅ…」

 

首が絞まったらしい慌てずそのままにしたい気持ちを抑え緩めてやる

 

「死んだ?これ死んだの?やったぜ、事故だ事故、これなら罪にもなるまい」

 

「生きてるから!?」

 

「んや?傀儡から戻った様子だな愚妹よ、今なら事故で片付くし死ね、ここで、なんなら殺してやるが」

 

「いやだ、そっちが死ねば?」

 

「アァ!?今殺してやるよ無残な肉片にしてやらぁ!」

 

「ミンチ肉にしてあげる!」

 

ここでは銃の発砲音と金属音が鳴り続けていたが

それはまた後に語るとしよう



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No.3の腹案

カッカッカッと地面を蹴り走る

洗脳された手駒を敵に向ける

味方同士での殺しあい

躊躇いは死の宣告だ

背後から何人かついてくる

そういえば5人しか向かわせてないな

 

「君達には……援護にまわってもらうか」

 

侍とマジシャンと盗賊と弓師か

グラップラーは動かす理由もない

 

「さあ、行け」

 

手を振る

 

しかし動かない

 

「どうした、動け」

 

「……」

 

侍が刀を抜いた

 

「……へぇ、まさかそうくるとはおもってなかったね」

 

「はぁぁ!」

 

突き

右目を狙った突きは届く前にかわす

 

「ファイヤーレイン」

 

火矢の雨か

 

「キックブーム」

 

足に魔力を纏わせて飛ばす

火矢は弾かれた

 

「イカサマ!」

 

イカサマは初動でどこを狙っているかがわかる

この場合左肩なので冷静に回避

 

「サンダー、ファイヤー」

 

マジシャンは武器に雷と炎を纏わせ迫る

切り掛かってきてもそれは躱せる

 

「その程度かな?もっと速く、鋭い攻撃をしてみなよ」

 

前方に踏み込みハイキック

ローキックハイキックのコンボ

全員が下がる

距離が開いた

 

「その脳に焼付く戒めを、その脳の警戒を、全てとき我に従え」

 

周囲の者を問答無用で洗脳する

詠唱が必須となるため使いにくい

が、これでどんな魔法で防いでいても俺の支配下となる

 

「くくくくく、ホラ、やってみろよ、俺に武器を向けろよ」

 

 

傀儡は何も言わない

 

2人を除いて

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

「……」

 

「クレリックに対して攻撃職は辛いだろ!」

 

sabamiso_sabuの攻撃は届かず盾に防がれる

Windowzxp55になすすべはなく防戦一方である

 

「どうする、傷つけるわけにも…」

 

「んなこと言ってられない!」

 

「なら……すまん!分身乱舞……!?堅い、刃が通らない…!」

 

「うっそだろお前!」

 

「チッ!……どうする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダァン ギィィィィ ダンダン ギィン

 

「粘るねぇ」

 

「当然!ここで倒す!」

 

まだ続いていた

 

「剣を離した瞬間肉塊レベルまで撃つから」

 

「酷い!私とのこと(勝負)はお遊びだったのね!」

 

「……どこでそういうの仕入れてくるわけ?」

 

「ママのビデオ」

 

「……うちの親ってほんとクソだな」

 

「それね」

 

会話の間も戦いは続く

 

剣の軌道に合わせ撃つ

それを剣は防ぐ

それしかない

 

「対処的行動って知ってる?」

 

「さあね」

 

「まさに兄さんのことだよ!」

 

前方に向かって飛ぶフェイク

それに引っかかり発砲

ネロは姿勢を低くして剣を構える

回転をしながら跳ぶ

しかしその剣はかわされた

地面に手をつき再度飛ぼうとする

しかし手が動かない

剣を踏まれ動けないのだ

 

「コルベニク戦のカイトってさ」

 

ハッとして見上げる

冷たい銃口が向けられていた

 

「ツインユーザーならではのスピードでドレインハートをかわし、コルベニクに迫ったんだよね」

 

「……で?」

 

「お前は速さに頼ったとしても振り回されっぱなし、頼れなくて回転に頼ったがそれも失敗……死ぬ?」

 

「なんでそうなるのかなぁ」

 

「もっと考えて動きなよ、まあ、来世にでも頑張ってくだされww」

 

引き金を引こうとする指に力が入っているのがわかる

左手の剣を失えば短剣使い

こんなに広いところで戦っても部が悪いだけ

本当にそうか

戦い方さえ工夫すれば

 

 

≡≡≡≡≡

 

さて、どれだけ楽しませてくれるやら

銃口が眉間に当たっているわけではない

口径も小さい

死ぬか死なないかはわからない

まあヘッドショット=即死ではないのだ

大丈夫だと思おう

もう待つのも飽きた

 

「考えたまま死んでろ」

 

引き金を無情に引く

 

しかし着弾点には誰もいない

足元の剣はそのままに

 

「一本しか持たないで、へぇ」

 

前方に全速力で走っている姿が見えたので追っておく

 

 

≡≡≡≡≡

 

逃げたはいいがまともに戦っても勝てない

奇襲か補正を利用した撹乱作戦か

スケィス並みのスピードが欲しい

瞬間移動のようなあの速さなら負けることはないだろう

諦め気味に一室に飛び込む

走ってくる音がする

ここで倒せなければ剣を取り返す

それを優先しよう

武器を構え直す

一本しかない勇者の双剣はどこか頼りなさを感じた

 

「はぁ…がんばろう」

 

そう決めたと同時に怒鳴り声だ

 

「どこだぁ!!」

 

完全に殺す気ですねこの人

ギリギリまで耐えよう

クラウチングスタートだったかの体制になり

足の裏を壁につける

双剣士のスピードには身体がついていかない

壁を蹴る前に体がぶつかる

だからなかなか使いこなせなかった

正直まだ無理

 

「……掃射したい」

 

ダメだこの人そのうちミニガンとか持ってくる

 

ダッ

壁を蹴る

 

「!?今何か……」

 

目の前を通っても不意には何が通ったかはわからないはず

上空に向かい地面を蹴る

空中で態勢を整え地面に向かい天井を蹴る

地面に着く前に体勢を変え地面を蹴る準備をする

前方に向かい跳ぶ

あとは足を狙い斬る

左足を斬りつければかんたんに体勢を崩す

背後から飛び上がり刃を突きつけてやる!

絶対にここで決着をつける

ゴンッ

額に何かが当たり体勢が崩れ地面に落ちる

説明すると額だけ固定されて体が地面と水平になるくらいまで持ち上がりそのまま落ちた

つまり寝てるようなものだ

 

「いったぁぁぁ…!」

 

「当たり前だ、銃床に衝突したらそりゃ痛い、よく血も出さずにいるな」

 

「重症?」

 

「銃床、読み方は同じだが別の言葉だ、そしてお前の負けだ」

 

「えー……」

 

自然な流れで身体を起こした

私に主演女優賞をもらいたいね!

 

「何体起こしてんだねてろ、永遠に」

 

「それ死ねってことだよね」

 

「え?当たり前じゃん」

 

あれ?何言ってんだこいつって目で見られてる

私変な事言った?

まあ足を地面につけられたから問題ないね

 

「あと私全力で抵抗するから」

 

ダンッと地面を蹴る

 

銃声はない

静かに歩いて追ってきている

なんで?

足はまあ斬った

それが理由

でもなぜ撃たない?

 

≡≡≡≡≡

 

ジャムとかまじざけんなよ…

と言いつつジャムを解消する

両手に双剣を持たせてしまった

どう殺そう

とりあえずあとで装備ととのえよ

 

≡≡≡≡≡≡

 

さて、剣は手に入れた

次の一回で決まる

 

「勝負!!」

 

前方にダッシュ

今度は撃ってくる

かわしながら走りながら迫る

まるでコルベニクの…

足元への射撃をジャンプでかわす

 

のこり6m

 

ニィッ

 

凶悪に笑う

何が目的か射撃をやめた

……やるしかない

 

タンッ

 

跳び上がる

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

回転をかけそして

双剣での突き

 

ギギギギギギ

 

金属音がなる

 

「残念でした、お前はカイトにはなれない」

 

銃2艇の銃床で押さえつけている

 

突きはどんなに力を込めても届かない

 

「そしてだ、この銃をすこし動かせばお前に撃てるんだけど」

 

「撃てば?」

 

「容赦無く撃たせていただきます、暴れてたんで仕方なかった、ok?」

 

「良くない、私が治ったにもかかわらず撃たれたって言うからね」

 

「えー……めんどくせぇ」

 

「……これで撃てないね」

 

「わかった撃ち殺そう」

 

「なんで!?」

 

「証拠を残してはならんのだよ!」

 

「えー?」

 

「面倒なことにならんように引き分け交渉って事で」

 

「いや私の勝ち」

 

「無理こっちの勝ち」

 

 

刹那2人の視界には血が映った

 

「!?」

 

「え!?」

 

「……」

 

紫蘭

 

 

「チッ…!誰の血だ…」

 

「……兄さん?」

 

重い何かが落ちた音がするとともに視界が変わる

地に伏したのか

動けない

いや動かせる部位がないのか?

感覚を失った気分だ

ようやくわかった、自分の血か

 

「……ぁ…?」

 

「なんで…目立った傷は……」

 

「……」

 

体が破裂しそうだ

 

内出血か?

それでもこんな感覚はないか

もう頭が働かない

 

 

 

≡≡≡≡≡

え?これ喜んでいいの?

どうすればいいんだろう…

とりあえず戦えばいいんだろうか

 

バァンッバァンッ

 

背後から銃声

 

倒れて動けないはずなのに

 

「もう疲れたよパトラッ……(ガクッ」

 

「兄さん死んだ?今の発言は死んだよね?」

 

嬉々として紫蘭に向き直る

紫蘭は足を撃たれて動くに動けないらしい

 

「キュッとすれば元に戻るのかな?」

 

首しまってたし

殺されかけてたし

 

さて、がんばろっと



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No.3の腹案2

剣が合わさるたび火花が散る

 

「……ッ!」

 

足を撃たれてもこの強さ

とても侮れたものではなかった

しかし動けない敵に対してのヒットアンドアウェイ

ジリジリと消耗させていた

スピードを最大限使い跳ぶ

ぐるりと回転して反対に飛び斬りかかる

 

「動き方が似てるから…勝てる」

 

そう似ていた

対処的行動だ

同じ行動方法だ

棃音はネロの双剣を銃で対処していた

その行動はどうしても紫蘭と似ている

 

「さて、そろそろ決めるよ!」

 

ぐるりと回転し跳ぶ

回転をかけ敵を切り裂くための剣戟を放つ

それに対し対処をしようとする

しかし脚でブレーキをかける

数瞬後紫蘭の視界に人は映らなかった

背後から太もも、二の腕を軽く切られ行動を制限された

 

「お終い」

 

 

≡≡≡≡≡

 

攻撃が通らない

こうなると戦いようがない

 

「どうするか」

 

「無理」

 

どうするか

攻撃が効かない相手を倒すことは不可能に近い

 

「さて」

 

小太刀をくるくる回す

 

「そろそろいい時間じゃないか?」

 

「まあ役目は果たせたな」

 

「んじゃあドロンしますかー」

 

撤退開始

敵は追ってこない

予定通りだ

 

「……」

 

さてと

予定ではこの先には

 

≡≡≡≡≡

 

「いやぁ大手柄だ」

 

「くッ…」

 

「あんた連れて帰れば俺は大手柄、あんたはどうなるかなぁ!ははは!」

 

「……洗脳魔法使いか」

 

「正しくは格闘家、魔法はついでの魔法だ」

 

「…その魔法ついでにしては強力だな」

 

「くくっ、のし上がるためなんだ、当たり前だろう?」

 

「……」

 

「さて、そろそろボスのとこにお連れさせてもらおう」

 

「ああ、忘れていた」

 

「なんだ?時間稼ぎか?」

 

「頼まれてたんだ、うるさい奴を黙らせろと、寝るからとな」

 

「は?」

 

「つまりこういうことだ」

 

コルトガバメント

引き金を引きマガジン内の弾をマズルフラッシュとともに吐き出す

そしてリロードしまた撃つ

容赦せず撃ち続ける

2つ目のマガジンが空になりリロードはしても撃つのはやめる

 

「黙るか?」

 

返答はない

そう確信していた

しかし

 

「テメェ……」

 

「なっ…なぜ生きて……」

 

「絶対ぇ殺す!」

 

もう一度撃つ

弾は"弾かれた"

 

「なぜ……!?」

 

「…マジシャンがいるからなぁ?さて、どう殺されたい?」

 

「く……」

 

No.3にクナイが飛ぶ

しかしまた弾かれる

 

「……先に貴様だ」

 

どうする

勝てないか?

おそらくマジシャンの魔法は対象への攻撃を防ぐ魔法

時間制限があるはずだがあの様子だとずっとかけさせているのか

対象がもし、No.3だけなら…

あいつの服の穴は銃によるものだ

ならばやれるか?

体は…少しなら動くか

無理をしてみるかな

 

「ハッハァ!!どうしたよ!もっとやってこいよ!」

 

蹴りに翻弄される

 

「テメェに見られた時はヒヤヒヤしたぜ!だがもう実行された計画だ!関係ない!死ねぇ!」

 

小太刀で防いで入るが手数で押されている

これはじきにやられる

さて、そろそろ動こうか

体に鞭を打ち起こす

 

「おい、間抜け、お前の相手はこっちだ」

 

振り返りざまに一発

 

パリン

 

割れた

割れたのだ、リングが

 

「な…!?テメ__」

 

その言葉の続きが出る前に拳が視界を遮り吹き飛ばす

 

「……!解けたのか!チッ!!テメェら全員殺してやる!」

 

「俺の獲物だ、手を出すなよ?」

 

「ああ」

 

「taco殿は殴り合いがお好き」

 

「誰がサシでやってやるといった……来い、No.『0』」

 

「ナンバー……0?」

 

「ゼロだ!?ンなのいるのかよ!」

 

炎が燃え盛る

黒い炎が燃え盛る

 

「……!」

 

「…ァ……ァァ……」

 

「……そうだ、お前に全部やるよ、1人で全滅させろ」

 

「なんでお前が……クレイ!」

 

操られるが如く炎を燃やして迫る



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グラップラーvs

「…ァ…!」

 

黒い炎が刀のように暴れ回る

敵を切り裂き目の前の敵は燃え尽きる

 

「分身乱舞!……!?」

 

9つに分かれた刃は敵を正確に捉え切り裂く

しかしそれは捉えられたならだ

スキル発動の時点でもう視界にはいない

 

「…ガ、アアァァァァッ!」

 

彼は背中に焼けるような痛みを感じただろう

それと同時にHPはかなり吹き飛んだ

目立った外傷といえば背中に大きいやけどくらいだ

だがこれで死ぬわけではない

 

「俺と同じスタイルか」

 

「ヒールかける!」

 

メリケンサックをはめた手を振りそういう

実際当たりだ

この2人は"HPを削るスタイル"だ

メリケンサックは強力だ

しかし基本一撃で仕留められるほどの大技はない

頭や心臓、肺への攻撃は除くが

そして炎も凶悪だ

しかし炎の刃は浅くしか切りつけられない

だが一度当たると無数の刃が切りつける

"この世界の判定"は無慈悲だ

かするだけで容赦なくHPを削る

かするのと直撃でのHPの減り方は同じだ

HPの減り方に差が出ることがあるとすれば

どれだけそこが傷ついてるかくらいだろう

銃、矢には連続被弾として一発に判定が複数ある

まあスキルを使えばその限りではないが

 

「さて、どんだけやれるかね」

 

力の差はわかっているらしい

勝てないと分かった上での戦闘か

目標は時間稼ぎだ

人数を増やして総攻撃で仕留めるということか

 

「…ァ…」

 

視界がギロリと捉える

ゴクリと無意識に生唾を飲む

それは恐怖か緊張か

 

お互いの間合い一歩外

踏み込めば拳が先か炎が先か

パッシブスキルに初速+80がある

これは忍者や双剣士にも勝る(尚効果は1秒

 

「……」

 

「……」

 

たとえどちらが先に攻撃を放とうともその攻撃を受けたとしても攻撃を止めずに戦うだろう

となると一撃での決着しか望めない

一撃が失敗すれば泥沼の戦いとなるだろう

 

刹那

同時だ

どんな機械でも

どんな確実な方法であろうと

何をもってしても同時だったであろう

炎がグラップラーに迫る

しかしそのスピードには炎も追いつけない

一瞬で迫り間合いはゼロ

拳が突き出されるが炎に阻まれる

炎にいなされた腕は曲げられ大きくからぶる

しかしその回転を利用し踵で蹴る

それを左手で防がれる

 

「……っ!!」

 

「!!」

 

無言

しかし数瞬のうちに繰り出される攻撃は疾い

連続のジャブをかわされ炎の刃をかわす

蹴りを止められ炎を拳が粉砕する

 

「デュアルコンボ!」

 

「ガァァァッ!」

 

初速の勢いに全体重を乗せたパンチ

そこからの背後にまさに瞬間移動のように回り込んでのハイキックが襲う

しかし爆炎で吹き飛ばされる

地面に手をつきくるりと回る

反対方向に地面を蹴り走る

 

「神速二鉄!」

 

次に地面を蹴った瞬間には炎が見えた

しかし炎がこちらを捉える前にその炎は届かない

まさに神速

初速の早さ加えた速さ

まさに神速その名に恥じぬ速さだろう

繰り出された二連撃は鉄を砕くだろう

炎の盾はなくノーガードのままくらう

背後からの攻撃に背骨は砕かれたはずだ

 

「このままきめる…!鉄嵐!」

 

スキルにより威力を増した拳が襲い掛かる

一撃や二撃ではない

嵐のごとく拳が迫る

 

「ガァァァァァ!!」

 

脳天に一撃

 

「……!深層炎武!」

 

炎が対をなす剣のように襲いかかる

くるりくるりと人を切り裂くように

 

「なんだ…!?いきなり正確に急所を…!」

 

スタイルが変わったのだ

一撃で仕留めるような攻撃方法だ

 

「……!」

 

「!」

 

剣を拳が弾き拳を剣がおさえる

 

「……」

 

「……!」

 

 

≡≡≡≡≡

 

 

 

「……ああ…きたんダ…そろそろ、かとは…思ってたケド、ここで、カ……」

 

ボロボロの体を立たせふらふらとせまる

 

 



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53話

「やっぱ…キツイか!」

 

拳と炎が合わさる

明らかに劣勢になり始める

 

「……!」

 

互いの目には殺意が篭る

 

「っらぁぁぁぁぁ!」

 

「アァァァァァ!!」

 

右ストレートがNo.0の顔面にクリーンヒットする

しかし左ふくらはぎを焼かれた

ガードをする余裕なんてない

 

左や右、上下

いろんなところから拳が襲う

そして同時に炎も剣となり襲いかかる

 

ノーガードの殴り合い

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「アァァァァァァ!!」

 

左フックが敵の脇腹にあたる

炎の攻撃が止まった

勝ったのか?

だがまだ終われない

連続の攻撃を繰り出す

 

「アァァァァァ!!!」

 

鳩尾に衝撃を受ける

燃えるような熱に鋭く鈍い痛み

ゴホッと何かを吐き出す

口の中が鉄の味しかしない

一瞬で理解した

炎を纏い殴ってきている

わざわざ同じ土俵に立ってくれる

これで負けたらやってらんねぇ

 

≡≡≡≡≡

 

 

 

鈍い音はなり続ける

互いにアザだらけだ

どちらかが膝をついてもおかしくない

いや、両者がそうなるだろう

そう見える

だが膝をつくにはまだ早い

互の眼が死なぬ限り

互いの気力がなくならない限り

どこかで妥協してしまうか?

これで満足すればあるのは死

相手が倒れなければ死ぬ

だから倒れられない

なによりここまで本気の敵に対して妥協して斃れるなんてありえない

 

互いの拳が体にぶつかる

 

もう足がガクガクだ

こんな状態では体重をかけた拳は放てない

 

おそらく次が今出せる全力

そしてその拳を耐え切れなかったものは

斃れるだろう

 

互いの顔面をとらえ拳を振り抜く

炎に焼かれ鉄に砕かれる

互いに地面に横たわる

 

立ち上がった方が生き延びるのだろうかそれとも

援軍がした方が生き延びるのか

 

いや、援軍以前にまだいた

この戦いに何も口出しせず見ていた2人が

 

さてと呟きニアがフラフラと立ち上がる

しかし遠くから足音がした

No.0の目は誰をも捉えずに虚空をにらんだ

 

足音は全員に聞こえるまでに近づいた

 

「……やァ…やはリ、いたんだネ……クレイ…」

 

ジャックだった

見るからにボロボロでふらふらと歩きながらクレイに近く

その足は5歩と進まず止まった

 

「……」

 

何も言わなかった

仮面の奥の眼光が見えた気がした

 

「……ァァ…」

 

「…!…逃げろ!」

 

一瞬迷ったようなそぶりを見せジャックが叫ぶ

No.0かクレイか

炎に起こされゆらりと立ち上がり爆炎で周りのものを吹き飛ばした

ニアもガラスの壁に叩きつけられた

そばにいたグラップラーとクレリックの姿は、ない

床が消滅していた

 

「チッ!面倒ったらありゃしないネ!」

 

凄まじいスピードで迫り剣を向ける

刃が届こうかという瞬間に剣が弾かれた

弾かれた剣を数瞬で炎が奪う

ケケケと笑うような狂った笑みを浮かべ目を見開く

そしてニアの方に向き直る

 

「……ァァァァ!」

 

奪った剣を向けつき刺す

肉を裂く音がして血が飛び散る

ニアが唖然とした表情で立ち尽くした

 

「……まダ、生きてル相手を無視しちゃダメ……デショ……」

 

ジャックの脇腹に突き刺さっていた

短剣を持つその手を両手で掴み力を込める

 

「オレ…だってサ、半身だってサ、全力尽くせば……お前ヲ……傷つけることくらいはできるんだヨ……ボロボロになるまでナァ!!」

 

「アァァァァァ!!」

 

つかまれた腕が青い炎に焼かれる

 

黒い炎と青い炎は交わらない

 

≡≡≡≡≡

 

「……ごめんなさいね…」

 

「いえ!問題ありません!」

 

清々しい顔の少女が歩く手伝いをする苦しそうな顔の女性は静かに歩く

 

「むしろ私が撃たれた足を更に切らなければよかったのに」

 

「えぇと……あなた…いや、もう何も言わないわ」

 

何があったか

簡単だ、あのあと棃音は居なかった

血だまりだけが生々しく残りその姿はなかった

おそらく死んだと見て間違いないと

もし生き返るにしても数日後

生き返らなければどうなるかわからない

 

それをきいたネロは嬉々として

「じゃあ生き返ったら好きなだけ殺せるし生き返らなかったら面倒な兄はいないんですね!」と笑ったという

 

爆音が鳴り響いた

 

「……!」

 

「何の音…?」

 

「行きなさい、私がいたら手遅れになるかもしれない」

 

「……わかりました」

 

地面を蹴り壁を蹴る

素早く音に向かう

 

≡≡≡≡≡

 

「アァァァァァァァァ!!!」

 

「ゴフッ…」

 

青い炎が消えかかる

 

「怪我してたのは……大きい、カ?」

 

一歩後ろに下がると同時に傷口から血が噴き出す

 

「アァァァァァ!!」

 

大きく振るわれる剣にニアを守るように広げられた右腕が飛ぶ

ニアが膝から崩れた

血が線を描き回転しながら飛んでいく右腕をみた

ズバズバと切り裂かれた

しかし笑っていた

 

「…ハハハ…クレイ……ナぁ…自分ヲ……完成させようヨ…ナア!」

 

体が炎に包まれる

 

「俺ハ俺ヲ咎めはシナイ!だからお前は俺とシテ生キロヨ!ナァ!」

 

どういう意味か

そう問う前に炎は弾けた

その炎の中からもう一つの短剣が現れクレイを斬りつけた

 

その傷口から血がだらりと垂れる

炎がその傷口に入り込む

焼けるように傷口が塞がり始める

燃え盛る黒い炎が紫色の業火へと姿を変えた



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激情の焔

誰も彼も喋らない

いや、爆炎に呑まれ、重傷を負った

回復をすることができる人間はおらずもう全員の意識がぼうっとしたもので言葉を発することさえできなかった

 

「………」

 

クレイと呼ばれた存在はジャックの遺品と言えるだろう仮面を拾う

欠けた、ヒビだらけの

 

「……!」

 

膝をつき、血を吐く

改めて自分を見ると体は傷だらけで大量の血が流れている

このままというのもよくない

手に持った仮面を顔につける

すぅっと息を肺に取り込む

なんとも新鮮でいい気分だ この痛みを除けば

 

「……」

 

炎に包まれるとともに存在は姿を消す

ニアの目は虚ろながらもその存在を捉え続けていた

 

 

 

 

 

 

 

スタッと音を立ててこの惨劇の舞台にたどり着いたのは数十秒後だった

しかし、冷静物事を判断した彼女は即座に回復をかけて全員の傷を癒し刺さった破片を取り除いた

全員の傷はひどくまともに喋れるものはおらず全員がゼェゼェと息をしていた

回復にはどれほどの時間がかかるのだろう

これはHPを削られただけのダメージではない

なにが起きているのかわからない

いや、これはもしかすると日にちが経ち過ぎたのか?

リアルに近づき過ぎたのか?

そう考えるともう待つ余裕はない

1人ででも行かなくては

 

「待て……」

 

察したのであろうニアが息を荒げながら声をかけた

 

「行くな……もう…2人………死んだ………」

 

「2人?」

 

「……頼む…行くな……」

 

大穴を覗き込む

川に血がこびりついたようなどす黒い赤だけが残っている

 

「……感覚が麻痺しちゃった…あはは…」

 

そう言って不快感を覚える

脳にこびりついた不快感を振り払い向きなおる

 

「こんなことになったなら……なおさら急がないといけない」

 

「やめ…___

 

言葉は遮られた

 

「姫、これ以上の時間の浪費は彼女達のためを思うのであればおやめください」

 

「……紫蘭」

 

「私の役目は護衛です共に行動はできませんがこの方達の介抱はさせていただきます」

 

「……ありがとうございます」

 

彼女が真っ先に向かったのは屋上とは名ばかりのガラス張りの天井

猛ダッシュで走り続ける

ダンッと地面を蹴り風を切り登り切る

何かがあるわけではない

ガラスは落ちてしまい天井などなかったかのような空間だ

バカと煙になりたかったのだ

跳躍し上に上に飛ぶ

 

あぁ…とつぶやき虚空を見つめる

 

「この世界に居続けちゃいけないんだ……私は」

 

肯定も否定もない

静寂だ

フッと何かが切れた

天井のない空間へと飛び込む

落ちる

堕ちる

落ちる

 

落ちた先はhubワールド

 

「どこにいけばいいのかな……」

一言言うと迷いなく赤石の方へ歩く

 

禍々しい紫のゲートを見る

迷いなく進むと同時に足元が爆発した

バックステップした先に振り返り剣を振るう

 

雑魚がバラバラと崩れる

 

「なんでこんなのが……」

 

ダッと足元に何かが当たる

穴が開いていた

銃弾で開けられたような……

振り返ろうとした時首に衝撃を感じ意識が沈んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、邪魔者は消えたな」

 

少女を放り投げる

 

「ああ……あー……そうだな、いくか」

 

「もう全員殺してやるよ」

 

「ははは、これも殺しとくか」

 

「後で嬲り殺せばいいさ、目も覚めんだろう」

 

「……はぁ、いくか」

 

紫色のゲートを砕き

誰も入ることができなくなったことを確認し彼らは動いた



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荒々しい鎮火

「っらぁぁぁぁぁぁ」

 

眩い光は火花だろうか男が振るう拳が壁を砕く

魔城とでも言おうか

そんな城の門を無視し城壁に大きな穴をあける様を見るものが1人

 

「開いたぜ、ヒャハハ」

 

「門から入れよ、ボケが」

 

二人組は堂々と入り込む

その様を見るのは3人

 

チラリと1人が振り返る

 

「…部外者はけーん」

 

「ん?どうした?」

 

「なんでもない」

 

嫌な汗がたらりとたれる

 

絶対にバレたと確信をする

 

3人は物陰を伝い高台へ向かう

 

「待ち伏せされてるかもしれません、内部構造を把握することはできなくても外部から情報を得てから忍び込みましょう」

 

そのとき城が崩れる

 

「………は?」

 

「………え?」

 

全員が唖然とした

 

「いやいやいや!どんなコメディだよ!なんだこれ!」

 

そして次の瞬間爆発し火柱が上がる

 

熱風に吹き飛ばされそうになる、離れていてもこの威力

最早太刀打ちできるのかと考える気力さえ起きない

 

「なァ?」

 

背後からの声

全員が固まる

 

「お前ら俺の敵か?ア?」

 

無言のまま1人が武器をおき両手をあげる

 

「別に戦う意思がなくても俺は敵なら殺すぞ?どっちだ?」

 

「ナニモンかわからん以上答えかねる、その辺の雑魚の親玉なら敵だ…が」

 

「雑魚?お前何言って…」

 

振り向きざまに手刀を顔面にかます

 

「ぶっ!?」

 

相手が理解する前に腹に膝蹴りをかましたところで背中側からも膝蹴りをかます拳闘士

 

「ごふっ…!」

 

「バインド」

 

拘束魔法で即座に拘束する

それとともに1人が上空に何かを投げる

シューッという音ともに煙に包まれる

 

「答えろ、お前の質問の時間は終わりだ」

 

置いた武器を拾い向けながら問いかける

 

「答えらんねーのはお互い様だろうがよ」

 

「まあな、だから話せそうなやつを………伏せろ!!!」

 

全員が地面に顔を押し付けたと同時に風を斬る音とともに何かが通り過ぎる、それは途絶えることがなかな飛び続ける

 

「スモークだってのに見えてるのか…?いや、記憶して…!?」

 

「敵の位置は!」

 

「動きながら撃ってるぞ、相当な手練れだ」

 

「おいおいどうすんだよこれ」

 

「死ぬしかないじゃない!」

 

「るっせぇ黙って死んでろ!」

 

「おい、気温があがってないか?」

 

全員の脳に嫌なシーンがよぎる

 

「「離れろぉぉぉぉぉぉっ!!」」

 

小高い丘から飛び出すと同時に白を破壊した火柱が天を駆ける

 

「だぁぁぁっ!頭おかしいんだよ!!」

 

「絶対やばい!狙撃くるぞ!」

 

全員が散り散りに逃げ出す

 

 

 

 

 

 

 

「まずは一匹」

顔面を掴まれたまま持ち上げられもがくことも叶わず四肢がぶらりと垂れる

 

「ヒーラーなんぞこんなもんか、さっさと他を潰したいんだが、いいか?」

 

「了解した」

 

「しかしこんな雑魚が雑魚の親玉か?なんて訊いてくるとはなぁ!!」

 

地面に叩きつけぐしゃりと潰れた音がする

首から上は最早何なのかわからなかった

 

「行くぞ」

 

「おう」

 

そう返事をした瞬間、一転

 

視界が暗く歪み鮮血がほとばしる

右足を貫く痛みに悶え絶叫する

 

「がぁぁっうわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「おいっ、お前!目が…」

 

喋り始めた頃には既にシャワーの栓を捻ったように大量の鉛が降り注ぐ

 

ドドドドド

地面から土煙が舞い上がる

 

撃ち尽くしたのか晴れた土煙の中にはうつぶせに倒れた男が1人、もう1人は姿を消したようだった

 

「…おい、お前はもう許されるレベルじゃねぇぞ?」

 

火柱をあげた男の声がする

 

「いい度胸だな、お前の火なんて俺に通用すると思ってんのか…来いよ」

 

フードをハラリと外しグラップラーがメリケンサックをはめる

そのメリケンサックは指を通した先にもう一対の指を通す穴がある

両手の指を通し

ゆっくりと両手を離す

存在し得ない鉄の棒が両手の間から現れスラリと金属音を鳴らしその先をむき出しにする

 

「っらぁぁぁぁぁぁ!」

 

突如虚空に拳を振るう

その拳は何かに当たったように止まる

そしてまた鮮血がほとばしる

 

「つぁぁぁぁぁぁッ…!」

 

火柱の男が姿をあらわす、男の拳に針が突き刺さる

 

「なぜわかった……!」

 

「生憎忍びの仲間がいたもんでねェ!」

 

グラップラーの眼には機械が付いていた

温度を感知し、風を感知し、地形を把握する機械

 

「うおおおおおおぉっ」

 

拳を動かさず

ただ振り上げた足を地面に踏み降ろす

地形は崩れマグマのような何かが上がってくる

 

「その技は効かんと言っただ…」

 

ゴウッと音がする

言葉が遮られる

 

「………なれろ!」

 

グラップラーの仲間はささっと物陰に身をひそめる

 

大きく火柱が上がる

しかしその火柱は根本から

斬り裂かれた

 

焔を纏い針が斬り裂く

もう片方の虚空の穴の空いた拳を地面に振り落とすと炎を吸い取った

 

「テメーはここまでか?まだ生きるか?選べ」

 

「殺して生きるに決まってんだろうがぁぁぁッ」

 

やけくそとも取れる攻撃は防がれ

関節部に針が刺さった

もう動くことも叶わず男はただただ血だまりを作った

大地とその血を犠牲にして炎は途切れた



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敵の根城を

二つの死体はポリゴンとなって消えた

果たして死体と呼べたのだろうか

その疑問は不意に消える

 

「侮り過ぎた、ああ、侮り過ぎたさ」

 

「そうだな…確実にここで殺す」

 

死んだはずの2人は頭上にいた

 

「あんまりおいたが過ぎないようにしないといけませんよ?」

 

その後ろから何かの声がする

人型の何かが落ちてきた

スタッと音を立てて着地するとこちらをチラリと見る

 

「サア、ここは俺が相手しよウ」

 

見慣れた顔半分を覆うマスクに全員が強張る

紫の業火が己を焼き尽くさんとし

チリとなり…

 

「ジャック!!!!!」

 

「去ね」

 

背後から声が聞こえる、振り向く前に体は前方に走り出した

背後から熱風とともに爆発が起こる

吹き飛ばされた、その先でも爆発が起こる

吹き飛ばされればまたその先で

まるでラリーしているときのボールのように

爆風に巻き込まず、殺さず

吹き飛ばす

何度も、何度も

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もだ

 

真下からの爆発で宙に吹き飛ばされる

その時見たのは消失した地面だった

いや、空なのだろうか

天地がわからないほど高いだけなのか?

 

不意に仮面が全員の前に現れる

 

「サヨナラ」

 

全員の意識が途切れた瞬間であった

 

 

 

 

______________

 

無音、そして孤独を感じる

 

 

 

 

 

___「狂王よ、狂王様よ、敵を殺しました」

 

ヤツの声がする

 

甲高く笑い

泣く声がする

笑っている、嘲笑っている

そうか、嘲笑っていやがるのか

だけど、なぜか…泣いてるような声だ

 

 

俺には違う

嬉しさの絶頂のような声がする

でも少し寂しそうだな

 

僕は…無性に腹立つ声だなって

 

ああ………

わかった、俺もだ

泣いてるのは俺だ

あいつはただの狂人だ

 

俺もだ、寂しいのは俺だ

あいつはただの狂人だ

 

僕も…自分に苛立っているのかもしれない

あいつは…まるで捨て犬だな

 

マイノリティは迫害を受けるぞ?

 

そうだよ

 

人の感性は違うものでしょう

 

そうだな、でも捨て犬にさえ情けは書ける余裕はない

 

縊り殺すしかない

 

ならばやるしかない

 

 

 

最終決戦へ

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと目がさめた

四角い世界だ

まるで、ゲームの中のように

天井のグロウストーンを見つめる

 

「さあやろうぜ、狂王」

 

「狂王に付き従う奴は全員敵だ」

 

「ラストヒットの取り合いの開始だ」

 

起き上がり視点を起こす

ああ、ここだ

はじまりはここだ

死後に戻るのもここだ

このHUBワールドから全てが始まった

そして、いろんなワールドに入った

でも、まだ、探索はしきれなかった

「あの玉座へ、今、あの玉座へ」

全員が唱えた

 

「さあ、舞台は整った、いざ進軍」

 

 

素っ頓狂な叫び声が聞こえた

チラリとそちらに目をやると大量のモンスターに囲まれたモノが壁に捕まり攻撃をかわしつつ必死に逃げる様が見えた

 

せっかくキメた瞬間だったのにと普段擁護する奴さえもが無視を考えた

しかし戦力としては重要か

 

お互いの頭がそう理解したら行動は早い

その辺に転がってる雑魚など秒とかからず消滅する

 

「何やってんだ?なんだその顔」

 

「え、え…」

 

驚きの顔だった

いや、ものすごく残念がられてるのが正しいか

 

「二度と見たくないそうなので顔面吹っ飛ばして地中に埋めてやろうと思うんですが」

 

「相変わらず物騒なことで…なんで生きてるの?」

 

当然だろう、死んだと思われていたのだ、あの場から何も言わず、何もせず消える、それは焼失したと思われても全く違和感のないことだ

 

「死んださ、みんなで」

 

「………データみたいだね、やっぱり」

 

ふっと手が伸びる

グラップラーの方へ伸ばす

 

「よく見といてよ…」

 

「え、ちょネ………え?」

 

グラップラーには触れることはなかった

投影された絵のようにすり抜けた

 

「もう、3人ともこっちの世界の人なんだ……残念だね」

 

3人は理解を拒んだ

脳は拒絶した

いや?脳などあるのか?

全てを拒む、フィルターに触れただけに過ぎない

そう感じた

 

「でも、こっちの世界のものには干渉できるんだよね、さっきの見る限り」

 

幼いツインソードは声を発する

 

「他の人は、全員1人残らず重症、ヒールは効かない、おそらくこっちの人間になりかけてる、どんなことが起こるかわからないしこのままにできない!敵を、根源を…!今!叩きたい!」

 

「考えはおなじみたいだな…?」

 

「ええ、そのようで」

 

「敵の本拠地は、おそらく、第一建築ワールドの城、二つあるうちのどちらか」

 

「魔改造が施されてるはずだ…今すぐ叩かない手はない」

 

「やるぞ!」

 

「「「応/おー!!」」」



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決戦への道

ああ、こんなことになるなら!

全員がそう思う

ただひたすらに波をかき分け

もがき、戦い、進む

 

「くそがッ!!」

 

一言一言でどんどん体力を磨耗して行く

 

喋ることは無駄だ

限りなく無駄だ邪魔なことだ

今の自分を苦しめるだけなのだ

それを理解しても

もがくために

足掻くために、それだけのためだけに

ただひたすら吠え続ける

誰にも届かない声で吠える

 

たった4人の小隊は

ただ、ただひたすらに______

 

_______城へ

 

 

 

 

 

 

 

 

「嗚呼、嗚呼、哀しきかな、姫君、狂王を放り置いてはただ寝るだけか?」

 

「………そのような言い回しは似合わないな」

 

「ははは、のう…姫君よ、いや、西洋にこんな言葉がある、『メシア』、それになるだけの器が、あなたにはあるだろう…なあ、当主様?」

 

「………」

 

「てん、てん、てん、じゃない、考えても分かるわけがない、自由気ままな貴方なのか?今、寝てた間に考えて何かを高めたとでもいうのか?」

 

「…わかっている、何1つ、わからない、私には……もう何もできないのだ」

 

「違う、できるではないか……そうだ、私がここに来た理由を知っているか?」

 

「なぜ私が知っていると思う」

 

「これを返しに来た」

 

傀儡使いはカケラを取り出した

燃ゆることのない魂のカケラ

 

「……ハハハ…面白いものだな、私に返すべきものではないだろう、人を間違えるほどその包帯の奥の眼は腐りきったか?!そんなもの!そんなもの…!」

 

「その小さな頭では何もわからぬか、仕方ない、このガキめ」

 

「ガキだと!?貴様!第1貴様よりはまだマシな頭を持っている!」

 

「ふっ…」

 

「…………何がおかしい」

 

「まだ……元気そうで、安心した、このカケラを受け取り、呑み込め」

 

「だからさっきから何を…」

 

「いいか、よく聞け、この世の電脳世界はお前のカケラだ、その器がある、先代は素晴らしい王だったかも知らん、しかし、その器はない」

 

「私の父を侮辱したいのか?」

 

「違う、お前にこそ、やって欲しいのだ、ならねばならぬ、なるしかないのだ、偽物にこの世界を手中に収められるのは気に食わないのだ、お前なら動ける、だろう、お前の体はもう、治っているのだろう」

 

すらりと音を立て太刀が傀儡使いの首筋にふれる

 

「姫はまだ動ける身体ではない、貴様にそのような判断をする資格などない」

 

「やめろ紫蘭、こやつの言う通りだ、私が甘えていただけなのだ、彼女らの強さに、人形師、それを寄越せ」

 

「……忠告しておこう」

 

「なんだ」

 

「貴女は……貴女ではなくなるかもしれない、得体の知れない何かになり、悪と成り果て、正義に討ち倒される、そんな存在になるかも知れない」

 

「……何を今更、覚悟の上だ、さらにその時は…なぁ、紫蘭」

 

「ええ、私は姫がどうなろうと、お側にあります、今迄なら見限りかねませんでしたかも知れません、しかし、今回の一件で素晴らしい成長を垣間見ることができました、側近として幸せな限り、もう悔いはありません」

 

「…素晴らしい従者がいるのだな…私の従者なぞ、心もない、話もできないものだけだ」

 

「お前に従者などおらん、お前は孤独だ、しかしそのカケラはお前のカケラでもある、私は、お前とも、永遠を過ごすのだろう」

 

「辛辣なお言葉だな」

 

「私は…もう覚悟は良い、いや、覚悟なんかじゃない、これは願いだな、ただただ、成長を、強さを、優しさを願う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

「後方!敵増援!」

 

「無視だ無視!ただただ前に進め!」

 

「応!」

 

銃使いの掃射が付近の敵を払いのけ双剣士と拳闘士の2人が狭き道を作り上げる

回復が続くことによりなんとか持ちこたえるが全員の精神が摩耗し、喉が枯れ始め、足取りが重い

 

「進むんだ!進め!進めぇぇ!」

 

いつの間にか分断される

 

後衛の銃使いの姿は見えず

しかし発砲音は途切れない

 

妙な安心感を感じたと同時にそれは轟音を立て崩れ去る

 

後方で大爆発

 

大きな雲が出来上がるのがみえる

誰もが一瞬動きを止めた

まるで時を止めたような瞬間だった

そしてさらに遠く、遥か遠くからの大爆発

比較にはならない威力だった

まるで街1つを破壊し尽くすような範囲の爆発に全員が吹き飛ばされる

所狭しと並んだ敵と一緒に吹き飛ばされるのだ

そして次の瞬間宙を見て全員がソレを察知した

 

「オイオイ…なんてもん作ってたんだあいつ…いや、敵の武器か?」

 

全員が息を飲む

爆発の後から立ち上るその特徴的な雲

キノコ雲と呼ばれるそれから導き出された答えは1つ

 

 

「…核爆…」

 

「放射線の影響、こっちでもあるのかな…」

 

その考えをした次の瞬間第二波の熱風が吹き荒れる

身体が溶けそうな熱さに悶え、そばの物陰に隠れる

化け物なんぞにそんな知識は当然ない

熱風に焼かれ、消滅するのだ

 

呻き声は全てが死の灰となった後も止まない

魂がただ彷徨うかのような世界と化した

 

まだ、気温は高いが決して死ぬような熱さではない

一口水を口に含み吐き捨てる

 

さあ、あの玉座へ狂王を討つべくして



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進軍は止まらない

「正面20万!壊滅!」

 

「ああ、なかなかの戦果だ、何が起こった?」

 

「超規模の爆発にございます!一瞬で全軍が壊滅しました!」

 

「なかなか面白いものを持ってたようだな」

 

「クレイ…よ…」

 

「はい、狂王様」

 

「…楽しいな」

 

「ええ」

 

「愉しい……愉しい、愉しい…愉シイ愉シイ愉シイ愉シイ愉シイ!」

 

「それはよかった」

 

「全軍!正面広場で待機!敵兵を全て殺し尽くせ!」

 

「「「「「はっ!!!」」」」」

 

「奴らは何に挑んだ!?」

 

「「神です!」」

 

「奴らの気は確かか!?」

 

「そのようなこと有り得ません!」

 

「貴様らは何だ!」

 

「「神より神託を承りし兵卒です!」」

 

「よし、行け!兵卒どもよ!」

 

「狂王さま、集中運用は危険では?」

 

「いや、ああ、あのようなものはもうこの世界には存在せん」

 

「まさか存在を知っておられたので?」

 

「我はこの世界の神だ、気づかぬはずがない!」

 

「失礼を…しかしなぜ黙っておられたのです」

 

「死を、観たいからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………これで良いのか?」

 

「ああ、そのまなこを見せておくれ」

 

右目にかかる包帯がはらりと解け落ちる

 

久しい感覚

両目に、右目に光が溜まる感覚

 

「……」

 

「どうした」

 

「いや、愚直な質問をしたくなってな」

 

「ほう?」

 

「…救えるのか?」

 

「愚直だな、お前がそう言ったのだ、私がメシアになる、と」

 

「…そうだったな」

 

「私の目に光が戻ったんだ、私は今、何でもできるよ」

 

「…」

 

「だから、私は…願おう、祈ろう、そして、戦おう」

 

「いいな、その覚悟、しかと最後まで見届けよう」

 

「はは、それは心強い」

 

「それに…お前には、もう20に近い軍勢があるであろう?」

 

「彼らは私の軍などでは…」

 

「お前の軍さ、彼らはお前を信じ、ここにいる、この場にある全ての人間の目を見ろ、まっすぐと、前だけを見ているだろう…?」

 

「そうだな…それでこそ、人間なのだ、私たちは電子の世界の住人だ…だから限りなく学習ができる、しかし、答えは見つからない」

 

「人間には限界がある、だから人は一人一人の答えができる」

 

「君たちに問いたい、君たちは…私と共に戦ってくれるか?」

 

「「「「応!」」」」

 

「ここまできたんだ!」

 

「俺たちはもう腹は決まってる!」

 

「勝手に行きやがったアホどもを追いかけるぞ!」

 

「…そうか、そうだよな!そうでなくては!よし!行くぞみんな!全員!進軍開始!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ…あっついなぁ…

焼けた焼けた、いい焼け具合だ

すげー気分がいい…

死の間際とは…ここまで落ち着き、静かなものなのか?

 

大量の魂が呻いている

へぇ?ふーん…なるほどな、どうりで

こいつらただの化け物じゃない

あいつの軍隊だ

ニアの国の軍隊だ

つまり…死ねば死ぬほど、敵が増えるわけ…か

 

なあ魂ども、地獄で楽しもうや、せいぜい、大暴れしようや…

日本人らしくない兵器なんて使って、どれだけの人に叱られるかなぁ…?

さあ、横になってないでそろそろ動くか



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一歩前へ

全員が口を開くことをやめた

固まり、迫る敵のみを倒した

離れた敵は無視した

追う気力はない

城の中へ入る前に倒れる、そう確信した

進むことをやめ、ただ、生きながらえる

それだけを目的とした

撤退はなぜかしなかった

ここで退けばもう来ないことはわかっていた

人として生きる、最後の渇望だ

最後の足掻きだ

それを理解し、立ち尽くした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様、ワタシは、あなたのみに仕えます

私は意のままに、脚を乱さぬ兵を使えます

あの様な王などワタシには目障りでしかないのです

あなたの影など…あなたの光のみをみていたいのです

 

これはわがままです、プライドです

のこされたNo.は3つ…あなたに仕えるものです

最期の、戦いを…!

神よ!ワタシを使ってください!

 

 

 

 

…ありがとうございます、彼女たちも喜ぶでしょう

悲鳴を聞きたいと、言ってましたので

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ…」

 

「そうだな、大したもんだよ、こんなに酷いところは見たことない」

 

「大バカ者め…奴はどうだ?」

 

「完全に死んでるな、跡形もなく蒸発しているようだな、これがその証だ」

 

溶けた、黒い鉄塊を拾い上げる

 

「あらら」

 

「ここで激戦があったのは間違いないな、気を引き締めろ」

 

「そいつ自身は?」

 

「問題ない」

 

「なあ、そろそろ、頼むわ」

 

「よし、こいつは10秒しか持たないからな」

 

「他の先に頼む、この大盾がどれだけ持つかはわからん」

 

「よし、バフをかけろ、先行部隊は進撃開始!かけたと同時に飛ばすぞ!」

 

「かけながら飛ぼうや!」

 

「そいつはいい!」

 

「進め!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!敵が減った!突破できる!」

 

「どこ!?」

 

「そこだ!」

 

「行きます!疾風双刃!」

 

確かに、確かに、入り口に穴が空いた

敵兵の塊に通り道ができたのだ

 

「いまだ!突っ込め!」

 

「っしゃ!」

 

広場に出た、がらんと、誰もいない広場だ

ここの中心で再度自分の身を守る戦いを繰り返す

同じことの繰り返し…

そうとはいかなかった

 

「…ッ!マズイ!」

 

「囲まれてる!?」

 

城壁に所狭しとカービン銃を持った兵士が並ぶ

その銃口は言わずもがな己に向けられている

 

「……ここまでか…!?」

 

「いや、弾ける!」

 

「スピードが売りなんだ!やるしかない!」

 

己を鼓舞し、士気を上げる

動かない体を引きずってでも振り回す

 

発砲音と同時に鉛玉が降り注ぐそれを切り落とし、弾き落とす

何方向からも来る、それを全て破壊し尽くすのは容易ではない

追い詰められたからこそ、限界点を超えたのかもしれない

 

「そろそろリロードするはずだ!」

 

「走るか!」

 

その考えは甘い、甘すぎたのだ

発砲音が減り始めた

それに安堵したが故に絶望が大きい

城壁の人影が入れ替わりまた発砲を始める

リロードを行う者と射撃を行うもの

別れていたのだ

増える銃声に絶望し、身体が震え始める

泣きたくなるとはこんな感情か?

そう思った直後鮮血が迸る

ここまで共に戦った双剣士の脚が止まったのを視認した

何もかもが止まった世界に感じられた

その瞬間に全てを見ることができた

絶望しきった目にだらりと力なく垂れた腕

もう諦めたのだ

彼女はもう諦めた、抵抗をやめた

そして脚を貫かれた

彼女にもう、動く気力はない

このまま前方に倒れ、蜂の巣になるだろう

わかっている、いや、わかっていたと言うべきか

いつかは、折れた

自分さえもが折れるとわかっていた

 

常人ならこの絶望で折れた、当然だ

当たり前だ

だが、しかし、負けたくはない、ここを耐え、守り切る

それだけが頭によぎる

ただ、ただ、疲れた、それさえも吹き飛ばしてやりたくなった

 

「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

咆哮

獣の雄叫びだ、一瞬敵が怯んだのがわかる、発砲がやんだ

大きく息を吸う

暑くて、苦くて、マズイ空気だ、異物が口の中に入った気がした

唾を吐き捨てる

 

「来いよ…何びびってんだ?雑魚ども」

 

クレリックはただただ立ち尽くしていた

 

「動け、早く回復しろ」

 

その言葉で油の刺されたゼンマイ人形のようにヒールをかけ始める

それとほぼ同時か

 

一斉発射

 

スロウに、ゆっくり

弾道を見た

難しい計算なんていらないのだ

神速のごとき速さで全てを叩き落とす

弾き飛ばすのだ

ビリヤードの玉のように他の弾にあたり勢いを失うものも多かった

しかしそれ以上に多い

玉は無限のように迫り来る

わかっている

一瞬でいいんだ、どうにかこの間をしのぎ、進まなくては!

ふと、何を察知したのかわからない

味方の方は目をやると

かわせない、止められない位置に弾丸が迫っていた

脳は理解した、悟りもした

ああ、すまない、ただ、すまない

 

轟音と共に土煙が上がる

視界を失い跳び下がろうとしたとき襟首をつかまれ壁に叩きつけられる

いや、こんなど真ん中に壁なんかあっただろうか

そして誰につかまれたのか…

刹那その壁から爆音が鳴り響く

いや、まるで銃弾を受けているかのような…

土煙が晴れ、ようやく一寸先見えようかと言うとき、見知った顔を見ることができた

 

「……もっと、早く来いよ…」

 

「マジシャンの登場は遅い方が映えるんだ」

 

そんな馬鹿みたいにキザなセリフに安心しきってしまう

 

「お疲れ、今まで、ここからは俺たちも戦う」

 

ガーディアンと呼ぶにふさわしい大盾で銃弾を防ぎながら言った

 

「gesso…hakurou…」

 

「俺らを忘れんなよ!」

 

そんな声と共にもときた道から数人が走り込み的に攻撃を始める

 

「エクスプロージョン!」

 

敵兵を城壁ごと木っ端微塵に吹き飛ばす

落ちようが侍に斬られ、逃げようが弓士に撃ち抜かれる

大太刀をかわす間も無く斬り刻まれる

それでも逃げたとしたら忍びが憑いている

数瞬にして敵の指揮統制は乱れ、バラバラと動き

殲滅されていく

 

「……流石だな」

 

敵を倒しきった広場に堂々と乗り込みながらニアは言った

 

「だから、これだからいいのだ、なあ」

 

「ああ」

 

「……みんな、これたのか」

 

グラップラーの問いにニアは笑顔で答えた

 

「ああ」

 

「今、お前がどんな表情をしてるのか見れないのが残念で仕方がない」

 

傀儡士はどこか悲しげに笑いながら言う

 

「言わなくてもわかるだろう、満面の笑みだ」

 

「そう、だな」

 

彷徨う魂はとても楽しげだ



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攻城戦

「敵軍!城内部侵入!このままではここまで到達するのに3時間ともちませぬ!」

 

「構わん!殲滅せよ!」

 

「狂王さま」

 

「いいだろう、行け!クレイ」

 

「ありがたきお言葉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内部の構造は実際の世界より入り組んでいた

わかってはいたが異様に大きく、入り組んでいたのだ

少し周りを見れば柱から伏兵が襲い来る

曲がり角は常に出待ち、全員消耗を余儀なくされる

 

「行くぞ!続けェェ!」

 

『おぉぉぉぉぉぉ!』

 

精霊の盾を構えたパラディンに続く

マジシャンのバフはいつまで耐えられるのか

考えてる余裕はまるでない

どうにか、少しでも休める場所を見つけなくては

その一心で進む

精霊の盾を敵の攻撃は透過しない

その範囲の中にいる味方はどんな攻撃もダメージを受けない

まさに無敵

パラディンの突進に全員が続く

伏兵さえも出て来ても各個撃破されるだけだ

しかしスキル時間とクールタイム

そして回復待ちによりこの効果はどうしても途切れてしまうのだ

 

「効果切れるぞ!」

 

「進軍停止!後方警戒しつつ防衛線を張れ!」

 

的確な指示と共に前方には人形兵が展開される

人形兵が静かに前を見つめ、剣を構え、盾で身を隠す

 

 

総勢20万の防衛がいる城を攻略するのは容易ではない

通常、攻城戦には防衛側の三倍の人数が必要だとよく言われるものだ

なんて楽しそうな戦いだろう

そう思いながら壁を登る

ああ、ああ、ああ!この高揚した気持ちを抑えることはできない

 

「早く、その時を…!」

 

 

 

「進軍!」

 

何度も繰り返される

倒した敵は五千にも満たない

いや、千を倒せたのか、それさえわからない

数える暇などないのだ

 

「なあ、そういえばさ…一応、一応訊く」

 

「あぁ!?」

 

「あいつは、居ないのか?」

 

1人いないのは全員がわかっていた

それは誰も口にしなかった

 

「そっちは見てないのか」

 

「…こんなものを拾った」

 

亀の甲羅のような形の鉄のプレート

少し欠けていたり溶けているが…

文字が刻まれている

それを誰も見ようともしなかった

 

「…前方!砲兵!」

 

爆音がして通路全体に煙が立ち込める

 

「ヤバい!奇襲されるぞ!」

 

「壁壊せ!」

 

爆音が鳴り響く

フッと外から熱風が流れる

この空気がえらく綺麗に感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張ってるネ…」

 

はるか前方から迫る軍団を見てそう言う

 

その軍団から矢が飛んで来た

一寸の狂いもない

 

「ヘェ?」

 

敵は、こちらを、静かに…

 

 

 

 

「ジャック…」

 

「もう奴は敵だ、気を許すな……………何が何でも仕留めろ」

 

「うわぁぁぁぁぁッ!?」

 

前方で悲鳴

そちらを見た瞬間に黒煙が舞い上がる

黒煙は目にも留まらぬ速さで足元を駆け回る

 

「サヨナラ」

 

足元がガラガラと音を立てて崩れ始める

 

「クレイ…!」

 

「落ちるぞ!」

 

「死なないように踏ん張れよ!」

 

どこまで落ちるのか、それはわからない



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辛き時

リアルダメージに悶えながら見ていただけると幸いです


「…全員無事か?」

 

「すでに死者1名でてるぞ…」

 

「そいつは忘れろ」

 

「元気そうだな…立てるか?」

 

お互いの安否を確認し、暗闇に眼を慣らそうとする

カッカッと何かを擦る音と共に明かりが灯る

 

「松明だ、狭い範囲しか照らせないが、ないよりはマシだろう」

 

その言葉にハッとして顔を見合わせる

 

「そうか、そうだよ、この世界は、そうだったんだ」

 

「すっかり忘れてたな」

 

全員がインベントリから松明を取り出し撒き散らす

 

「さあ、明かりは山ほどある!行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー…はー…あっつ…まだ登りきれないのか…」

 

すでに屋根には登ったがまだまだ目指す場所は先だ

ゴロンと寝転がり周りを見る

 

「…よう、雑魚ども」

 

歩哨と思われる敵兵に声をかける

しかし誰も反応しない

不思議に思い手を伸ばす

 

ジ…ジジ…

 

不意になるノイズに違和感を覚え身体が強張る

 

「……なんだ、これ」

 

数瞬後には理解できた

 

「マズイな、時間切れか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に襲撃もなく、学校にあるような階段の前にたどり着く

しかし、全員が異質な雰囲気を感じ取っていた

 

「…イケるか?」

 

「いや、道は、ないんだ、仕方ない」

 

「異様に禍々しいのはわかるが、なんでこんなに…重いんだ、空気が」

 

弓師が息を飲む

足を1段目にかける

突如大声をあげ倒れ、もんどりを打ち、暴れまわる

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やめろ!行くな!見るなぁぁぁぁぁ!」

 

「見るな?」

 

「大丈夫か?ダメージはなさそうだが…どうした?」

 

「…」

 

忍者が少し足をつける

 

「えっ、あ、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

絶叫

ただただ絶叫する

手と膝を地面に着き額を地面に叩きつける

 

「…何が…いったい何が…」

 

「…俺は、俺はもう、何が起こるか理解した、絶対に行きたくない、しかし、覚悟はした…俺は行くぞ!」

 

パラディンが足をかけると同時に後ろに倒れ絶叫をしたのは言うまでもなかった

 

「…これ、もしかして、あれか」

 

「そうだ…黒歴史だよ!自分飲みたく無い黒歴史が!頭に!流れ込んでくるんだよ!」

 

弓師の絶叫は虚しく反響した

 

「こやつら、一体何を見たのじゃ」

 

「私のデータには黒歴史とは…端的にいうと思い出すと死にたくなる過去を指す」

 

「…ほう、興味深いな」

 

「行って見るか?」

 

「ああ」

 

2人の身に異常はなかった…?

 

「…少し、気分を害されたな」

 

「浮いてるからか何も流れんぞ…この上なく残念な限りだ」

 

「私も行って見ようかな…」

 

ツインソード は 座り込んだ ▽

 

「…昔は良かったんだよ…昔は…うん」

 

「何がだ…?」

 

「昔は気遣いができたんだよ…うん、悲しいよね、人間ってこういうものってよくわかるよ」

 

「…なんか怖いわ」

 

 

 

 

5時間後

 

「この踊り場難易度高すぎィ!」

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!俺の!それ俺の秘蔵の!」

 

「嘘だろなんで知ってんだよぉぉぉぉぉ!」

 

「これはやめろぉぉぉぉぉ!」

 

「…………」

 

「楽しそう、だな」

 

「性格悪いなお前」



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ピエロと踊れ、最後まで①

「……」

 

全員の闘志がみなぎる

この階段が見せるのは、ほんの少し前の過去

登るにつれて嫌な過去から、決意の今を見ることができた

決意は固い

 

誰も言葉を発さず息を飲んだ

 

紫の炎が止まったろうそくがある、それだけだ

怪奇現象?違う

ヤツがいる

 

「どーも、どーも」

 

思ったより軽めの口調だがそれにより全員にビリビリとした空気が流れる

 

「こんにちは、いい天気……とは言い難い、姫君、どうか大人しく投降してはくれまいか、君のせいで何人も死ぬのは、嫌だろう」

 

「いや?それはない」

 

「ほぅ、全員死んでもいいと?」

 

「いや、この者たちは……わたしの駒ではない、自分の意思を持った戦士でありながら兵士でもある」

 

「なんとすばらしきカナ……ねェ?ヒ、メ」

 

「……お前とは決別の時だ、クレイ」

 

「残念残念、ここで終わりニしたかったのにナァ」

 

ニアは半分しかない仮面を取り出し、指先でなぞる

 

「その仮面持ってたんだ?それジャ、決別できてないじゃなイ?」

 

「決別にも色々な形がある、私が選ぶのは、これだ」

 

顔を伏せ、手を当てる

次に顔を上げた時には顔半分は仮面により埋まっていた

 

「ン?ンー?ドウイウコト?説明してほしいナァ?」

 

「今のお前を否定する、過去のお前は認める…いや、認めていた、過去のお前のみを私の記憶に残し、今のお前とは、違う道を歩む」

 

「そうか、ソウカ!ソウカソウカ!スバラシイ!」

 

声が反響し、地響きが怒ったような錯覚に陥る

 

「ナラバ、俺も本気で行くぞ、ニア」

 

仮面は本来顔半分を隠すものではない、顔の輪郭や目元、いろいろあるがその人だ、と分からなくしてやっと意味がある

そしてクレイの仮面も同じ、意味が仮面にある

 

クレイの仮面はニアの持つ仮面の対照的なもの

色は真逆、そして十字の交差から風景を読み取るニアの仮面とは違い何かを見る穴はない

 

「俺、スペアなら持ってたんだ、でも、本物の方が、好きだなぁ……」

 

ガラリと変わる雰囲気に息を飲まずにはいられなかった

 

「だから、ちょうどいい、それ、返せよ」

 

言葉を発するとともに両手に双剣を握る

しかし刀身はなく、あるはずのそこにはトランプがバラバラと降り注ぐのみだ

まるで、刃を形成するかのように舞い踊る

 

「さあさあ!始まりましてはしがない道化師のナイフショーにござい!今回のお相手はこの方……いや、観客の皆様もお相手願います!地獄の殺戮ショーを始めましょう!」

 

どこからか歓声と拍手、それとともに大量の敵が降り注ぐ

 

「……地獄か、ここは!」

 

 



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ピエロや踊れ、最後まで②

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

雄叫びとも悲鳴とも取れる声を上げて敵がなだれ込む

全員が全員接近戦ができるわけではないのだ

近づかれぬよう守る陣形を組み、戦う

しかしそうもいかないのが現実である

 

「誰か、忘れてんじゃないの?」

 

天井に立ち、こちらを見上げている、いや、見下ろす形で佇んでいる

 

「紫炎・紙爆遊戯」

 

燃えながら紙が落ちていく

黒く燃え尽きた紙は爆発し、誘爆する

 

それは敵味方を考えることもなく爆発する

そして紙ゆえに鎧の中、足元、どこにでも入り込む

 

「まずい!足が!」

 

「取ってくれ!取ってくれぇぇぇ!」

 

阿鼻叫喚

正にそんな言葉が似つかわしい

 

「精霊の盾!」

 

味方の爆発は盾が受け続ける

しかしそれも限界がある

 

「……!ヒビが!マズイ!あいつを止めろ!」

 

「無理だ!くそ!畜生!」

 

そう叫んだ時紙はもう降り止んだと気づいた

 

「……なんでだ?」

 

静寂の中にポツリと一言

 

クレイの姿はなく、敵兵の死体のみが道を占拠している

しかし道の真ん中にはぽっかりと空洞があり、誘っているかのようだった

 

「……進めってことか」

 

危険承知で進む

そして時々敵が襲いかかってくる

武器は刃が溢れ、防具はヒビだらけになる

全員が体力を消費しきっていた

ユキが陣形を貼り

バリケードを作る

その間に少しずつ体力を回復する

しかしどう足掻いても、ここまでだ

だが、ここで全てが終わる

しかし全員の士気は下がるばかりだ

 

息を荒げ、何とか呼吸しようと息を大きく吸い込む

まずく、何かが口に残る

 

つばを吐き捨て先を見据える

 

まだ、終わってない

 

 

柱が大量に立った広間へと誘われる

気づくのが遅かった

出口は縦持ちの兵隊に阻まれ前方には玉座

 

そして玉座には黒い軽装の男が佇んでいた

その隣にはクレイ

じっと見つめているだけだった

 

 

 

 

「……旅人よ……」

 

少し震えた、重い声

 

「0と1の旅人よ、お前たちは我らの同胞を殺した……しかしそれは正当な行為だ」

 

皇帝の意見だった

全員が顔を見合わせた

 

「だが、確かに、正当だ、だが私にはわからないことがある」

 

 

 

「貴様らは、なぜ、なぜ愛される、我らは一瞬にして全てがかき消されるのになぜ貴様らは!貴様らだけが!何も!失わない!私達だけが!すべてを今のいま!この場で!何もかも失う恐怖に怯えなければいけない!」

 

咆哮

 

獣の咆哮の様な声はやはり震え、どこか悲しげだった

 

「貴様らは!同じだというのだろう!失うと!しかしこの小さき世界は!お前たちを永劫に記録せねばならぬ!私たちを捨て置き!私たちを抹消し!貴様らだけは!大事なものだと残されるのだ!」

 

狂王の声は広間に響き、どこからともなく大勢の雄叫びが木霊する

 

「いいか!貴様らは!私達が記録されるための道具として死ぬのだ!」



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ピエロや踊れ、最後まで③

何が起こったのだったか

少し思い出してみよう

 

友軍の兵は、一瞬にして消滅した

 

雄叫びとともに上層の大量の大窓から兵士が降り注いだ、敵軍を駆逐するために

敵はもう今にも倒せる、だからこその最終攻撃だったのだ

しかし期待は一瞬にして打ち砕かれる

そう、乱入者のせいだった

 

何が起こったか、そう

それは一発の銃声から全てが変わった

 

その音とともに天井の一角がボロボロと落ちた

 

「よう!最高のパーティーをおっ始めるらしいな!なら、花火が必要だろう!」

 

王の間に響くその声に全員が動きを止めた

 

「奢りだ!盛大に楽しめ!」

 

上空から誰かが落下傘とともに落ちてくる

そしてバラバラバラと何かバールのようなものが降り注ぐ

そして手のひらサイズの楕円球

それが何か、わかった時にはみんながダメージを受けていた

爆撃、最大級の爆撃

手榴弾の雨あられだ

しかしそれで終わりではなかった

 

「無敵バフかけろ!全員備えろ!」

 

その声にハッとしたマジシャンは詠唱を始めパラディンは最後の力を振り絞り盾を掲げる

 

ヤツは落下傘を剣で切り離しそして己の体ほどもある何かにつかまりながら落下してきた

 

その形に全員が狂気を感じた

そしてその姿に狂王は瞳を輝かせた

 

ヤツはソレを地面に叩きつけた

すると

その場は消失した

 

朝は消え去り

夜にもならない

そんな世界に成り果てる

 

「さ、て?まだ、死んじゃいない、そうでしょう」

 

玉座は氷に包まれ、氷は溶けず

爆心地にいたはずの人間は死ななかった

 

「盾、潰れちゃいましたね、いやぁ、残念だ、この機会にせっかくだし剣士にジョブチェンジしません?」

 

くるりとむきなおりそう言う

 

「お前!何を!」

 

味方のはずの人間からのヤジ

それもそのはず一歩間違えれば即死する

味方を巻き込んで、それをやったのだから非難轟々は当たり前である

 

「敵は壊滅的打撃を……ゴホン、敵の雑兵は壊滅しました、敵将2人は存命ですが、これによりある程度戦いが楽になるはずです、あのままでは勝てる見込みはない」

 

数に対抗するにはそれを焼き払う手段が必要だった

 

「それに、まずなんで助かった、それは、女神の加護といったところか、先刻、そこの女神風の何かに蘇生され、透明にされ、爆破ダメージ無効の効果がつけられた感じですね」

 

「まだまだ持ってそうだからな?現に今起爆したものを持っていた」

 

「さぁて、ここまではよし……」

 

不満の色は決意の表情は切り替わる

 

「最終局面?いいや、前哨戦だ」

 

スラリと音を立ててドット絵の剣を取り出し、狂王へと向ける

ダイヤの剣……本来の世界の最強武器

 

「夕暮れ龍の加護のあらんことを!」

 

そう叫び進軍

 

軍靴の音をならせ

規則正しさを捨て、縦横無尽に駆けろ

戦え、そして

 

 

死ね

 

 

 

 

「さあ行くぞ!余所者!我が世界に貴様らはいらぬ!ここで決着といこうではないか!クレイよ、あれを用意しておけ」

 

「御意」

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、あーあ……ホントにバカだネ、ミンナ」

ピエロは泣かない

一人の人間として泣く



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ピエロと踊れ、最後まで④

狂王の攻撃は思ってたのよりはるかに上だった

いや、防御力が高いのかもしれない

カウンター主体の戦術故に迂闊に手を出せず

かといって立ち止まれば魔法の光矢に貫かれる

馬鹿げた全体攻撃機能付きときた、どこかの石人形を思い出す

 

グラップラーが血を吐き捨てて神速のごとき速さで懐へと潜り込む

しかしそのアッパーカットは易々とカウンターパンチに拳ごと粉砕される

 

「これでもダメか……」

 

壁に叩きつけられ、膝をつく

意識が朦朧とする中でヒールにより強制的に覚醒させられる

幾分痛みはマシになるものの不快感により気絶した方がマジだと感じた

 

遠距離攻撃自体はダメージすら通っていないのか

敵に対する攻撃は何かに弾かれる

 

「あれ、もしかして飛び道具を防ぐバリアが貼ってあるのかもしれない」

 

「いや、それはないでしょう、向こうは魔力の矢を飛ばしてます」

 

「なら何が…」

 

「おそらくSPを纏わせた攻撃、もしくはSPのみ……こちらは人体が通れる時点で除外できるかと」

 

「つまり大技なら通るかもって?」

 

「生憎僕はSP付きの銃弾なんて持ってないんで、この辺で」

 

「了解っ!」

 

数瞬後2人がいた場所は瓦解した

 

空中へと飛び出しマシンガンからの掃射

ちらりと狂王がそちらを見やる

それこそが狙い、これこそが勝利への一手

 

「くらえっ!」

 

しかし、ヤツも狂王と呼ばれる存在、そう甘くはない

魔力の矢を形成し

放たれる無限の矢を撃ち落とす

 

「ウソだろ!……なぁーんて…GO!」

 

「待ってましたァ!エクスプロージョン!」

 

核爆発が効かない理由は魔力を伴わないから

それならば魔法を直接ぶち当てる

爆心地は塵と化す勢いの衝撃

身体が溶けそうだと錯覚する高温を発する

 

 

「回復しろ!増援が来る前に!」

 

勝利したとは思わない

まだまだ敵はなるだろう、クレイが控えているのは承知の上だ

 

「そうだね、そんな時間あるのかな?」

 

砂埃の中から姿を現わす

クルクルと槍を回しながら近づいてくる

 

「君たちはここで終わりさ、さようなら」

 

カッ

音を立て槍を突き刺す

 

「ガァァァァァァァァァァッ」

 

咆哮

獣の咆哮

それとともに無傷の狂王が目を光らせる

 

「さあ!全員死ぬのだ!」

 

槍を手に持つ

 

禍々しい?

とんでもない

恐ろしく大きい?

それでもない

三又に別れた先端

金の装飾を施された柄の部分

それは戦士が持つにふさわしい槍だった

 

「貴様らは私が、我が誇りにかけて!必ず倒す!」

 

一層光を放つ目に全員が怯む

 

「久しき我が友よ!いざ!暴れるぞ!」

 

槍を地面と打ち鳴らし

一番槍と言わんばかりに飛びかかる



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ピエロと踊れ、最後まで⑤

「ッシャァァァァァァ!!!」

 

飛びかかり地面に向けて槍を突く

地面が大きく割れ、足元が不安定になる

 

「やれ!」

 

侍と忍の前後からの同時攻撃

 

1対多数の有利な状況を利用した多方面からの攻撃

それが弾かれる

 

憑き物の落ちたような狂王は瞳を絶え間なく動かし

槍を寸分の狂いなく突き刺す

 

「無理だ!かわしきれない!」

 

「あの槍を受けきることなんか無理だ!」

 

「くそが…だが……」

 

紫の炎が上がる

 

ぼうっと火が燃え続ける

 

「コッチコッチ!」

 

ふわりふわりと遊ぶように近づき斬りかかる

だがそれを交わすのは容易だ

 

「……」

 

無言のアイコンタクト

クレイを無視し、まず狂王を!

 

それを崩したのは2人だった

 

トランプを切り裂き撃ち抜く

2人がかりの攻勢にクレイの足は止まる

 

「……イイノ?」

 

「放っておけばのちに何か起こりかねない…遊んでやりましょう……盛大にね」

 

「同じ双剣使いとして私がやらなきゃね!」

 

カチャリカチャリと音を鳴らして立ちはだかる2人に満足げな笑みを浮かべ、剣を構える

 

なラ…ここデ、全テを……

 

 

 

 

 

 

「槍を見切ることができるものはおらんようだなッ!」

 

ぶぅんと払い、一瞬の静寂が訪れる

 

「……は……いる…」

 

錬装士が呟く

 

「…ん?…どうした…」

 

狂王が槍の先を向ける

 

「俺が相手してやる…そう言ってるんだ!」

 

飛びかかり

空中から斬りかかる

 

「なぜこんなことを…許せんな、貴様のその甘い考えが、私に負けることを躊躇わんのか?死を恐れんのか?やはり、記録される、記憶に残る、それはそれほどに幸福で尊いものだというのだろう……だからこそそれをこのように扱う貴様を許すわけにはいかん!」

 

槍を突き刺すそれは何もかもを貫くはずだった

まばゆい光を放ち、金属音を鳴り響かせ火花が舞い散る

 

「これは…!なんと……!」

 

錬装士は本来複数の武器を扱う

しかし、一つしか扱えなかった

それは力へと向き合う時間の不足

力の扱い方を知らなさすぎたが故に

 

それを知った者の手には大きな大剣が握られていた

チェーンソーのように小さな刃が回転し、なにもかもを切り裂く、恐ろしい威力を発揮する

 

「ジョブエクステンドォォッ!」

 

槍と交わったその刃は槍を削り切る

たまらず槍を引いたその瞬間が全てを変えた

 

一歩下り

そして再度飛びかかる

大きく振りながら回転し斬りかかる

遠心力を使ったその斬撃は受けるには重く

交わすには早い

 

狂王は槍を下げるべきではなかったのだ

槍を前へと押し出す

そうすればお互いは傷つきながらも仕留めることができたはずだったのに

 

「勝てた闘いか…いや、違う、私は彼らに負けていたんだ、彼らは、失うことを恐れていないわけではない、恐れて、でもそれを呑み込んで生きていた……という事だな」

 

斬撃は大きく体をえぐり

吹き飛ばす

回転をしながら地面へと吸い込まれる

 

暖かく、眠い

電子にしてはいささか瑞々しい、そして柔らかく包み込む

土一つがこんなに、優しいものだとは思っても見なかった

 

「女神の軍勢は狂王を見事討ち取ったわけだ」

 

女神はその言葉に顔を歪める

 

「なぜ笑っている、なぜそんな事が言える?本心は、辛く、苦しく、泣きたいはずだ、泣き叫び、泣き喚き、悔いるはずだ、死の間際とはそういうものだ」

 

「……泣かないんじゃない、泣けないんだ、私は何一つ成し遂げられなかった、私がすべての根源ではないのだ、君たちを引きつけることが私の役目……それだけだった…私は怖くて、受け入れられていたくて、信じていたくて……」

 

フッと鼻で笑う

 

「彼は…今、歴史にその名を刻む瞬間を作ろうとしている、人類を内側から支配するそれが望みだ、人々に自分の存在を知らしめる事、自分が生きた証を……」

 

「案ずるな、記録に残らずとも、貴様はこの戦いで皆の記憶にしかと刻まれた、だが、それは悪しき記憶……わかるか、このままでは、悪しき記憶のまま、終わるのだ、全高を最後に積むのも、悪くはないんじゃないか?」

 

沈黙

 

「彼に……最期を…」

 

その目は強くクレイを見つめていた



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ピエロは踊った最期まで⑥

「ねェ、教えテ?こうまデ俺ヲ止める理由はナニ?」

 

「悲しいんですよねぇ?」

 

「その泣き顔見てらんないから」

 

クレイの面は目の位置に円弧が少し

そしてその下にある涙のマーク

対照的な面だ

ニアの面は目が見え、そして十字の線

だがこちらは何も見えない

 

「馬鹿だなァ、単なるマークなのニ」

 

回転しながらの剣舞に合わせながらポツリと呟いた

そのはずだった

 

「なら、お面外せば?」

 

面は外せない

どうかは笑い、笑わせるのが仕事だ

涙を見せることはあってはならない

 

「別に泣いてようがどうだろうが関係ない、単純に、嘘つきの顔を盛大に歪めてやりたいだけでしたが……」

 

「「気が変わった、やっぱり泣かせる」」

 

銃士は武器を捨て腰からスラリとダイヤの剣を引き抜く

 

「やっぱり、これが一番慣れてるのかもしれない、まだゲームなんだ、と信じていたいだけなのかもしれないが」

 

2vs1の剣舞

 

切り上げ、袈裟斬り

突き刺し、斬りおろす

 

お互いにいなし

かわし

鋭く繰り出す

 

「以外…ダナ、銃限定なのかト思ってたヨ」

 

「ライフルよりナイフが有利な間合いもある!」

 

大振りな攻撃

 

スキだらけだ

何を企んでいる……違うな、今ので仕留めるつもりが外しただけだ

連携らしいものは何もない

この攻撃は剣を扱う回数が少なかったから行ったまさに

自殺行為

 

 

両腕を大きくふるった攻撃は体をも引っ張った

体は地面を向き、すぐ切り上げることはできない

そして武器を消した様子もない

少し剣を引いた、突きの構えになる

再度こちらに向けようとその鋭さを最大限に発揮するほどの実力はないとみた

 

「それは剣として扱うならばの話だ」

 

考えを読まれた?

いや、想定通りなのか

 

確かに、突きの構えに見えた

片手が刃に触れ、なぞり、半歩下がる

剣先は上を、クレイを捉えていた

だが

柄には糸が、刀身はしなった木に添えられている

 

理解に時間は必要がない

弓矢だ

まるであの剣を矢にすると言わんばかりの

いや、そのつもりだ、そしてその勢いは想像を絶する鋭さを生み出すだろう

 

バシュッと音がする

これを食らえば、体は持って行かれるな

間違いなく

今ここで死ぬ

 

「紙奏!紙遊戯!」

 

トランプにまみれ、何一つ見えない

前も、後ろも

だがこれでいい、姿を隠した

空中では体制を変えられない

がこの瞬間の紙束は足場として働く

たとえ0.3秒でも0.1秒でも動けるならば

 

放たれた矢は、血を纏った

ほんの僅かな

そして膨大なデータを、奪い去った

 

紙が消え、ドサっと体が落ちる

 

「危なかっタ…本当ニ……!危なイ…だが!」

 

眼前の敵に得物はない!

 

 

 

「そう、僕はもう、武器はないけれど……」

 

 

はっと振り向いた瞬間ダイヤの剣で殴打される

刀身を横に向け、大きく平べったい硬い刀身で殴られた

 

その犯人は空中でひらりと回転し、しなやかに地面に降り立つ

そしてダイヤの剣を投げ返す

 

「どうやら受け止められるらしいなぁ、おっそろしい話しさ、元から2人の相手だってんだから仕方ない事なのかもしれないが」

 

「……」

 

「ちゃーんと忘れずに見てもらわないとね?」

 

剣士と成り果てた銃士は面を拾う

ハッとして顔を触れるがもはやそこにはない

先ほど殴られた時に飛んで行ったのか

 

「面の裏で泣こうが、関係ない、今からは面の外で泣いてもらう」

 

上空に投げた面を叩き斬る

ろ過されたように美しい水滴が際限なく流れ落ちる

 

「……あァ……俺ハ…ここまデ……カ」

 

ピエロは泣かない、泣いてはいけない

けれどもうピエロはおわりだ

ピエロとして生きることはできず、ここで死ぬしかない

溜め込んだデータが解放される、それはすなわち暴走に直結する

 

「貴方はもう十分だ、死ぬより辛いだろう、貴方が剣を向けるのは、もう、剣を向けたくはないのだろう」

 

「戦意なんテ関係ないんダ……俺は……アレガ…最後ノ…瞬間ニ……」

 

大粒の涙をこぼす

声を殺して泣き続ける

 

「涙をためて、恨んで、それを吐き出すなら、相手をしましょう」

 

「hey?落し物」

 

2艇のハンドガンを拾い、片方を投げる

そして片方は太ももの可愛的な鞘に収納する

 

「ネコババはやめとけ、扱いきれんぞ、そんな細腕じゃな」

 

「言ってくれるねー……かなり重いから確かにそうかも」

 

形を崩し、もはや何なのかわからない

憎悪を表したような物質へと変わり、そして地面と同化する

 

「ニアニ…ツタエ……」

 

「モチロン…最期はカッコよく、僕等のために、ニアさんのために、犠牲となった…貴方の恨む相手はきっと…」

 

「きっとじゃなくて間違いなく倒すよ」

 

「そうだったかな、まあ、後はゆっくり寝ててください…後始末は慣れてるんだ」

 

「ア……ガ……トウ…」

 

地面が形を変えドームのように2人を包み込む

この最期を他の者に見られたくない

そんな意地を張っているのかもしれない

ドームの天井からぶらぶらと触手のようなものが垂れ下がる

そして壁の一部が膨れ上がり、丸い球体が転がりでる

透明なそれの中に脈動する赤い玉

心臓だと思いつくのに時間はかからなかった

 

「やれっかなぁ…ま、いけるか」

 

「多分……」

 

ぶんぶんと触手を振るい襲いかかってくる

単純な動きを切り裂き、かわし

距離を詰める

ふた方向からの同時攻撃

剣を突き立てた

しかし心臓は遠すぎる、刃が届かない

2人の答えは一致した

共に剣を殴りつけた

勢いに乗ったそれは心臓を確かに斬り、そして互いの手に収まった

 

「今更ジョブチェンジか」

 

「剣士って初心者職だよね」

 

互いの獲物を不思議そうに持ちながら周りの触手を切り刻む

 

「わかんねー、わっすれたわ」

 

触手は確かに弱い、が数が無限に現れる

次第に追われ始める

 

「ちょっとキツくなってない?」

 

「そっちだけだろコッチは余裕だ」

 

「冗談、余裕はこっち」

 

気づけば銃士の背中に双剣士の後頭部がぶつかる

 

「肩甲骨?痛いんだけど」

 

「勝手にぶつかっといてそれか、背を伸ばすんだな」

 

ばっと離れてお互いの武器を投げ返す

 

「ラチがあかないときは……こうすりゃいい」

 

ニ艇のハンドガンを向ける

先ほど抜き取ったらしい

 

「あっいつの間に!ドロボー」

 

「どっちが…ぐっ…」

 

一瞬気を晒された

だから攻撃を受けたのだろう

ハンドガンを弾き飛ばされた

しかしそれは確実に双剣士へのパスになった

 

「んー…まあいいか、そいつは貸しにしとく」

 

「借り、の間違いでしょ」

 

肩を並べ、銃を向ける

そしてそのスライドの上に寝かせた銃を置く

 

「やっぱ、これに落ち着くらしい」

 

「私は落ち着かないんだけどね」

 

「「jackpot」」

 

会話に挟まれる銃声

そして銃弾は心臓を確実に貫き、消滅させた



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Game time

ボロボロと崩れたドームの中から2人が現れる

 

「いい仕事した」

 

「そうとは言えないと思うけど…?」

 

女神は立ち上がり、近づく

 

「……」

 

「ごめん……ニア…」

 

「いいんだ、すまない、君にこんな事をやらせてしまい……」

 

一見すれば子供同士が馴れ合い、そして泣いてるだけだ

しかし芯には本当に深い辛さと悲しみ、悔しさが溢れんばかりにあるのだ

 

「……やはり、子供なのだな、精神は」

 

狂王は口にする

 

「禁句さ、そいつはな」

 

緊張が解けたような、落ち着きを取り戻す

 

「…こんな子たちが、ネットワーク世界を救うのか、こんな事、本当に記録するべき、伝えられるべきことはこれではないか…」

 

「ははは、そうだな、それは大賛成」

 

全くとかごもっともだとかそんな声がする

 

「ならば、私も後押しをさせてくれ……」

 

ハッと狂王をみればもはや瓦礫と呼べるように崩壊を始めている

体がボロボロと風化したように崩れている

 

「!」

 

「何が起こって……!」

 

それぞれが動揺を口にする

 

「私の体は、実際は存在しない、AIというデータだけだ、そして、私は土塊のからくりとも言えよう、ここまで傷つけば修復は不可能、消失する」

 

小さな間

 

「奴は、もう一つの城にいる、本当は、何もない、ただの広間のみの城…いや、そこに玉座がある以外は変化がない、最後だ、そこが最後の決戦をする場所になるだろう」

 

「……あそこか」

 

「懐かしいな」

 

「建築1に始まり1に終わる?」

 

「……頑張ってくれ、私には……もう、見届ける…ことは……できない…」

 

目元が消失する

 

「……あの子達は…破壊と…創造…になる……そう思う…私の能力は…シュミ…レー…………しか…し…きみ…た……は……私の……予測を…こ……え……」

 

崩れた顔でニッと笑い完全に崩れ去った

 

「……おっさん…」

 

「いいおっさんだったよ、マジで」

 

「仕様外だから、できたんだろうな……」

 

「…ああ……わけわかんねー…」

 

「でも、ラストだ、さ、戦いますか…」

 

「あれ?」

 

「おわりじゃないのはわかってたさ、初期のAiは3体、ユキ、コイツ……そしてもう一体、コイツは影の方だろうか?カリスマの方だろうか」

 

「影ではないな、あんな輝いた目で戦うのは」

 

「なら、影がホンモノの的なわけだ」

 

「さて、いっちょやりますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

やあやあ諸君

最後のゲームといこうじゃないか

シュミレーターはぶっ壊れ、今から起こるのは総力戦

データと一体になる

素晴らしい瞬間だ

無限のポーンを作り出し

無限の可能性を作り変える

無限の絶望を生み出し

無限の絶望で敵を呑み込む

嗚呼なんと甘美な事か

私の舞台は魑魅魍魎

新しい死者のデータは2つだけ

死者のデータを操る力

過去の死者のデータなら、いくらでもある

本当の時間に取り残された哀れな彼らを

本当の時間に戻してあげよう

彼らはメインストリートを堂々と登る

なら、もう今がいい

 

ぱちっと指を鳴らして呟いた

 

「Game start.」

 

建物の屋根から大量の兵士が落ちる

どこか、既視感を

強い既視感を覚える

 

「……やっば」

 

「死んだらアンデットってやつか」

 

「何回死んだ?」

 

「お前は今まで買ったパンの枚数を覚えているのか?」

 

「13枚、和食派」

 

「マジに数え切れないなぁ」

 

大量のスティーブ兵の謎が解けた

そういう事さ

全てが分かるだろう?

 

「Standby!!」

 

スラリとそれぞれが剣を抜き

弓矢を構える

 

「まあ待て、ここは、私がやる」

 

傀儡士がふわりふわりと前に出る

 

「すまんが、糸が足りない、包帯を解いてくれ」

 

包帯の結び目を解くとハラリとそれは落ちる

目は腐り果ててなどいない

ましてや虚空でもないのだろう

しかし見ることはできない

目を閉じたまま、落ちる包帯は裂けていく

気づけば包帯は見えない線と成り果てた

 

「少し、このような事をされては、頭にくるのでな……こういう時はなんというのか?……あーゆーれでぃー?」

 

「GO!!!!」

 

波となる

大波となり押し寄せる

 

 

 

 

 

 

 

 

「再度死ぬなら、これがいいか、震撼せよ」

 

嫌な甲高い鳴き声

その直後火球が降り注ぐ

爆発が巻き起こる

大爆発

爆撃のような勢い

誰も上を見たいとは思わないが

 

ガストだ

それもネームドを大量に

 

「まだまだゆくぞ」

 

上空から火球とは呼べない立方体が落ちる

それは火を撒き散らし暴れる

 

マグマキューブ

 

「オマケしてやろう」

 

エンダードラゴンとエンドクリスタル

これもネームドモンスターとして扱われている

 

確実に、全てを破壊し尽くす

 

しかし突如ガスト軍団が爆音と共に消滅する

 

「heyhey、どーなってんの?」

 

先程の敵とは打って変わって近代的な銃火器を持った者と何も持たぬ者

創造が容易だ

 

「あん時の奴らかー」

 

「……やるか」

 

「いぇあ」

 

まるでドッペルゲンガー

そういうことか?

一度死んだ銃士と拳闘士

それのコピー品、すでに一度戦った

容姿は違い性格は違っても

変わらない

死ぬ度に覚えるのはゲームの醍醐味

 

「カモーン!ニセモノ!相手してやる!完全に!破壊してくれるぜ!」

 

それに答えるように跳躍

眼前に降り立つ

 

「俺たちは死なない、ポリゴンになっても、すぐ元に戻る」

 

「そしてまた、学ぶ!」

 

凄まじい勢いの右ストレート

間違いなく当たれば即死もの

 

「そしてオリジナルを超えた」

 

「はてどうかな」

 

互いに銃口を突きつける

 

「思考は似てるらしいけど…どこが超えたんだか?」

 

引き金を引こうとした

しかしそれを止められる

 

「ねぇ、コピーなんでしょ?なら私がやっても文句ないわけじゃん?」

 

ツインソードが言う

 

「ハッ、丁度いい、どうする」

 

「消耗はない、構わん、順序を変えるだけだ」

 

「じゃー勝て、超えたと言うならな、かーなりできの悪いコピーじゃない限り負けはしないだろうが」

 

「じゃあそっちはこっちでもらおうか」

 

弓師と盗賊

 

「なんだ、2vs1か?随分と憶病なんだな?」

 

「遠距離が得意なんだ、勘弁してくれよ?」

 

「おいおい……やること取られちゃやってらんねぇな」

 

「まだいるだろう?」

 

上空を見る

クリスタルとドラゴン相手に戦う鳥……いや、変態鳥女がいた

 

「アレはヤベェな」

 

「迎撃用意しておくか」

 

「さて!やりますか!」



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FINAL Party

「さあてさてさて?」

 

挑発のような声をかける

髪を揺らし腰の剣を揺らす

 

「コピー品には負けないかなー?」

 

「言ってられるのも今だけだ、ガキ、貴様は見ているだけで腹がたつ、さっさと構えろ」

 

しかし武器を手に取る様子はない

 

「知ってる?双剣士って魔法攻撃力も高いんだよね、知らないかな、外のことだし」

 

「随分と舐めた真似を……後悔させてくれる!」

 

銃士が構えなおした瞬間

いや、瞬きの瞬間か

視界から即座に姿を消した

これが意味するのは3つ

まず敵を探さなくてはならない

いつ強襲を受けるかわからない

そしてなにより

狙いをつけて撃っても当たるかどうかわからない程疾い

 

「ッ!」

 

スッと肩に手が置かれる

そしてその手をちらりと見るとお札のようなものがあった

 

「オラジュゾット」

 

瞬間足元から木があらわれ枝が体を突き刺さんと襲いかかる

それをかわすことすら苦しい今選べるのは

 

「舐めんなァ!」

 

自爆

いや、体力的には耐え切れる

現実なら木っ端微塵の選択

しかしそれは木を破壊するにとどまる

 

「ファバクルズ!」

 

複数の火球

いや、業火が襲い掛かる

確かに木は壊せる

が、魔力の火は消すのに苦労するだろう

簡単に防戦一方へと変わる

 

「まっだまだいくよー!ライドーン!ガンゾット!バクドーン!」

 

雷土そして極め付きは隕石

痺れた体はもはや言うことを聞きはしなかった

 

「はー……コレ使ってるとすぐにSP切れて走れなくなっちゃうから終わって良かった」

 

双剣を腰から抜くことはなく手にした勝利に満足げにパンパンと手を打つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたァッ!」

 

弓なのが悪いのか?違うな

短刀ではリーチが短いか?

そうでもない

 

「術中にハマってるってわからんかね」

 

「わからんのじゃろ」

 

スッとスウェイをして攻撃をかわす

 

業火を発動させ、爆炎とともに放たれる格闘技

 

コレが見たかった

炎を楽々と操るのは確かに素晴らしい力だが

次回はどうなるか

鏃を変えて弓を絞る

放った矢は信号用のモノ

ひゅろろろろろと音を立てて迫るが無論弾かれる

 

「レインアロー!」

 

くるりと体をひねりこみ上空へ弓を向け放つ

馬鹿でかい音に思わず耳を塞ぎたくなる

 

「イカサマ」

 

スパッと足首を切りさく

 

そして抵抗もできずに膝をつく

炎の壁は作り矢を弾く

 

いつまで持つか?

 

否、もう持つ必要はないのだ

 

「ザ、エンドってね」

 

「ジ・エンド」

 

短刀を喉元に刺されそして大型の矢が脳天に突き刺さる

 

ばたりと倒れた

 

「ペースは、こっちだったんだ」

 

「それだけさ」

 

 

 

 

 

「ポリゴンには戻らないようですが…予定外ですか?えぇ?」

 

チェス盤を眺める軍人に声をかける

 

「ああ、あの腐れ王は何をしたんだか」

 

「死者への冒涜を防いだ、と考えますが?」

 

「そうか、なら現状の戦力で終わりなわけだ」

 

「そうなる訳ですね」

 

「なあ、最後は潔く決闘、と行かないか?」

 

小さな間

 

「いいでしょう」

 

「拳銃を用意してある」

 

「いや、自前のもので結構?それともご不満かな」

 

「……構わん」

 

ブリーラーレッスルを向ける

 

「こいつ自体に殺傷力はない……なぜコレを選んだか、わかるでしょう」

 

「……」

 

「不死身は石にするに限る」

 

「バレてたか!」

 

バラバラバラと上空から爆薬が降り注ぐ

 

「なるほど、奥の手はこいつか、そのチェス盤、もっとうまく使えば良いものを」

 

ブリーラーレッスルでハンドガンを撃ち後方に投げる

それが壁とならそれにピタリと張り付く

爆発の衝撃で押しやられるがそれを利用し距離を詰める

予定だった

 

「わぁお、ほんとに、もっと早くそうしときゃ負けることは無かったのに」

 

ゼロ距離にいたはずなのに

本当にそばにいたはずなのに

 

「そのチェス盤は、人の位置まで操作できたのか」

 

「新たな力さ」

 

「ふざけた力だ」

 

「私もそう思うさ、だがなぁ…お前の負けだ!」

 

銃弾の雨に爆発の嵐

いつまで耐えられるか

射線を切ってもすぐに移動させられる

 

「苦しいなぁ、苦しい」

 

奇跡的にまだ被弾はない

 

上空から肩を弾丸が貫いた

 

否、なかった

 

劣勢に毒づきながら現状を考え直す

敵は対象の場所を変更でき

それは弾丸や爆弾もである

ただしコレは発砲済みの弾丸ばかりである

 

刃物などは趣味かは知らないが飛んでこない

 

体制は変更されないようだ

ならば答えは決めた

 

「Foo!」

 

天井を撃ちミラーボールを作り上げる

 

「ふざけた真似を……!よくもそんな余裕があるものだな!」

 

「さあ喰らえ、ラストだ」

 

四方の地面を撃ち抜き蒸気を噴出させるトラップ床にする

 

そして姿が消えた

 

祈れ

願え

叶え

 

蒸気に前転のように飛び込む

 

下手すれば確実に焼け死ぬ

 

「貴様が終わりだァァァァァッ!」

 

射程三メートル

この縛りをどう掻い潜るか

当たるのか

そしてどこにワープするのか

ワープさせてくれるのか

それはわからない

だが……

運だけには自信がある

 

ぐるりと転がった

そして広報斜め上に銃を向け、見ることなく引き金を引いた

 

 

 

 

 

静寂

 

 

 

「フッ…ハハハハハ!外したな!外した!」

 

声は目の前からする、しかし眼を開けない

 

「終わりだ……死ね」

 

「そうだな……」

 

だらんと腕を下げる

 

「ならせめて道連れになってやろうか」

 

地面を撃つ

そして浮遊感

銃声がするが被弾はしない

 

「正直もう運に全てを賭けた……そしたら負けた気がしたんだわ……でも結局は……勝者は僕だ」

 

蒸気パネルの上にワープした

そしてこのまま蒸気を浴びれば焼け死ぬだろう

だが確実に撃てば当たる

普通こんな状況の射撃なんてあたりはしないが当たる気しかしない

だからこそ相手もそう感じる

 

「ァァァァァッッ!」

 

焦り

確定した勝利が揺らぐ瞬間に怯えている

そして自分に迫る死に絶望し、逃げようとしている

それ故の、結果

チェス盤を吹き飛ばし、銃を乱射する

 

「とって食ぃやしねぇってのに……ありがとう、おかげでまだ生きてられそうだ」

 

チェス盤の上の駒は吹き飛び、別の場所へ

 

「チェック!さようなら、そして、ありがとう」

 

銃声とともに石化が始まる

 

「疲れ果てた、それだけだな、詰めが甘いんだ、反省してな……さて、向こうはどうなったかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほらほらほらって!」

 

上空からナイフの雨が降る

そしてそのナイフに紛れ鷲のように…

急降下して襲いかかる

 

「ぐふっ…!」

 

忍者が捕まった

足の鉤爪…

いや、指が全てナイフになっているのだが

それが突き刺さり、まさに体を鷲掴みにする

肉を切り裂かれる激痛に悲鳴をあげたくなる

 

「泣けッ!鳴け…ッ!鳴けッッ!!」

 

体をえぐっても必死に声を殺す姿にだんだんとイラつきをみせる

 

「ふざけんなッ!鳴け!鳴けェッ!」

 

「テメェが泣き叫べッ!」

 

拳闘士のかかとが鳥女を吹き飛ばす

 

自慢とかすら火花を散らしながら向き直る

 

「コイツならとおっか!?」

 

「あたぼうよ!」

 

パラディンと侍の剣が天高く持ち上げられ十字を作る

 

「「落ちろッ!!/スラッシュッ!!」

 

「ぎぃッッ!」

 

翼を十字の剣が切り裂く

羽はもうない

 

「あぁッああぁッ!私の羽がッ」

 

「アイススピアッ!」

 

四肢を地面に固定する

 

「アハハハハッ!アハハハハハハハハハッ!怖い!怖いわ!最高!これが本当の死……!これが……ッ!」

 

鳥女の姿が何かの陰に隠れる

それは

複数の人影

 

「お返しだァッ分身乱舞ッッ!!」

 

 

「サヨナラ、私の世界」

 

 

 

 

1人、いや、ひとつ、また駒が消えた

チェスでキングのみに追い込まれればまず勝ちはない

がこれはチェスゲームではない

奥の手は、本当に最後に勝るものだ

 

 

 

「最後のパーティーを始めよう」

 

全員の脳に響く

 

ハッと前を見れば全員が玉座の前にいた

 

「全員無事、か」

 

玉座からの声

しかしその姿はよく見えない

 

この世界に呼び、力を与え、戦いをさせた、何故かわかるか」

 

静寂

 

ぼんやりと姿が見え始めた

 

黒い短髪に褐色の肌

そして白いマントは良く映えた

 

「なあ、楽しませてくれよ、そのための力だッ!」

 

パンと手を打ち鳴らすともはやここはブロックの世界ではなくなった

まさにリアル

品のある王宮のように見える

そして、全てを喰らい尽くす影が天井を食い破ってぼとりぼとりと落ちてくる

 

「口に触るな!一瞬で死ぬぞ!」

 

警戒しながら臨戦態勢になる

 

 

有効打は?わからない

何が効くんだ

 

何もわからない、ただ

ただヤバイ

それ以外に何も



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最終話 最後に見たもの

影に襲いかかられ防戦一方の戦い

長く持つわけはない

喰われる前にどうにかするしかないのだ

 

だが手段はない

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に?

 

何人かが気づいた

もしかしてなんとかできるんじゃあないか

って

 

 

 

 

 

 

 

何を喰わせても、どんな攻撃も効かなくても

 

 

書き換えればいいんじゃないか?

 

全員には行き渡らなかったが数人がブリーラー・レッスルを構え撃ち込む

やはりだ

動きは止まった、そして石となる

いける、いや……勝った

 

あとはただ処理するだけだ

 

 

 

 

「つまんねー……つまんないつまんないつまんないつまんないつまんないつまんない!!!!」

 

玉座を見る

イラついた表情を向けられているのに気づいた

 

「ハァ?巫山戯んなよ?もうそんなつまんねぇことしてんの?楽しませろよ、もっとさ、もっともっともっと!もっとくれよ!」

 

 

ふわりふわりと浮き上がる

息を呑み、全員が武器を向けながら距離を詰める

 

じわりじわりと近づき

そして汗を垂らし、今にも射殺さんと睨みつける

火蓋を切って落とすのは

 

否、そんなものはない、すでに敗北していた

 

左手を前に向ける

そしてその腕に謎の紋章が浮かび上がる

 

「……え?」

 

「なんだあれ…」

 

ここにきての隠し球、ここにきての……

 

 

「「ドレイン……ハート…!!」」

 

次の瞬間その左手から大量のエネルギー波を矢印にしたたようなものが放たれる

それは縦横無尽に色々な場所を駆け巡り

通り過ぎ、回転し謎の挙動をする

 

「なんだ…なんだこれ…!」

 

誰も油断しなかった、いや、できなかった

これは日々口にする恐ろしいなんてレベルではない

本能を制圧する恐怖

誰もが抗えない恐怖

 

ただ立ち竦む者

必死に動き回る者

そしてなんとか、勝ち筋を見つけようとする者

 

 

犠牲者が出るのに時間はそこまでかからなかった

 

「うわっうわぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ドレインハートに貫かれたものを半透明な六角形が卵のように包み込む

そして間も無く消滅した

データを全て抹消された、故に復活のない消滅

 

貫かれた

消滅した

貫かれた

消滅した

 

「ここまでかッ……!」

 

ドレインハートにまた1人貫かれる

 

「hiroさんッ!!」

 

「畜生ッ…!ここまできて!畜生ッ!!」

 

「win!!!」

 

ニアも、ユキも紫蘭も、太刀打ちのできない、この戦い

いや一方的な殺戮

これにもはや対処など不可能

 

貫かれる

貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる貫かれる

 

「ハハハハッ!もっと!もっとだ!」

 

 

絶望の顔色をしたまま立ち尽くす

勝ち目はないのかと考える余裕もない

仕方ないのかもしれない、仲間がほぼ、全滅ときた

どうやら順番が来たらしい

少女に迫る

 

そして貫いた

 

ああどうして…

ああどうして……!

どうして!!!

 

少女はドレインハートに貫かれなかった

 

 

「ほら、やれよ……最後は双剣士が決まるもんだろ…?せっかく譲ってやんだからカッコつけてこいよ」

 

銃士は貫かれた胸を押さえて倒れた

 

 

 

 

再び迫る

再びドレインハートが迫り来る

しかし少女の目は闘志に満ちていた

 

 

「あきらめて…たまるかぁぁぁぁぁっ!!」

 

振り返り、玉座へ向け走りだす

ドレインハートの勢いは落ちず貫かんとする

それをステップを踏むかのようにかわし迫る

ドレインハートをかわせるのか、それは不可能だろう

なぜならこれは回避不能な追尾スキルだ

 

しかしそれをかわして見せる

これは最早特権だろう

双剣士は女神に愛された

それ故の、このイレギュラー

イリーガルなこの場所において一番のイレギュラー

少女そう成り果てたのだろう

つまづき、こけそうになりながらも

貫かれそうになりながらも

それをかわし、確実に迫り

ここで倒ささんと迫る

 

「あぁ!?ふざけんなっ当たれ…当たれッ当たれって!当たれェェッ!」

 

そんな叫びなんて聞こえない

疾る

疾る

 

そして飛び上がる

 

「同じ高さになった」

 

ニマッと笑いそういう

 

「ハッ!」

 

くるりと回転しかわし

空を蹴り

凄まじい勢いで迫る

 

そして少女が最後に見たのは

彼女に刃を突き立てたニアの笑顔だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さばでじ
完結になります
しかし物語はここでは語られなかったことばかり
そんなあなたに
デジタルリアライズ
https://syosetu.org/novel/153532/
これをお読みください


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