休日、珍しく
来週は砂切の姉が誕生日を迎える。なので何か欲しい物はないかと訊いたところ、
「なっちゃんのくれる物ならなんでも!」
などと言われてしまったため、平たく言えば困っていた。とりあえず隣町のショッピングモールにでも行ってみて、いろいろ眺めているうちに何か良い物を閃きはしないかという考えで今日は動いている。
ホームで電車が来るのを待つ。彼のこういった微妙に暇な時の過ごし方は決まっている。目につく距離の女性をとりあえず眺めることである。
「…………えっ」
砂切はおかしなことに気がつく。一人の女性を見ていると違和感が生まれ、その正体を探ろうとしたところ不可解な物を見た。その女性はホームから一歩先へ、足場の存在しない場所に立っていた。つまりは線路上に立っていたのだ。本当に、線路の「上」に。
……浮いている? どういうトリックかは不明だが、その女性は確かに宙に浮いていた。しかしその位置は、電車が来てしまえば轢かれてしまうような場所だ。
砂切は女性を止めようと立ち上がった。どんな魔術だか奇術だかを使っているのかは知らないが、あんな危なっかしい場所に居る人を放っておく人もいるまい。
「あのー」
女性に声をかける。しかし反応を示したのはその後ろに、普通に足場に立って電車を待つ男性だった。
そんなことは気にせず、目にも留めず女性に声をかける。
「あの、もしもし」
……これっぽっちの反応も得られない。無視されているのだろうか?
しかしこの時になって砂切はようやく一つの事実に気がついた。女性をよく見ると服も体も、全てが薄っすらと透けてその向こう側の景色が見えるではないか。
もしかすると彼女はこの世の者ではないのではないか。
「あの、すみません」
女性の顔の前で手の平をひらひらと振る。すると反応があった。女性は驚いたように砂切の方を振り返ったのだ。
「そう、あなたです。あなたに話しかけています」
女性は恐る恐る、怯えるように自分の顔を指差した。砂切は大きく頷く。
「私が見えるんですか……?」
「はい。あの、少し場所を変えて話せませんか? せめて線路の上以外で」
女性は戸惑うこともなくホームの足場、その中央の方へと移動した。移動する時、明らかに足は動かしていなかった。
砂切も線路の方へ背を向け女性について行く。直後、乗る予定だった電車がホームへと入るった。少しの風圧が砂切に吹きかかる。
「もしかして乗りますか?」
「え、あぁ、そのつもりでしたけど。……そんなことよりも」
砂切の興味はもう目の前の女性に、おそらくは霊的な類であろう女性に集中していた。
「よければ乗って話しませんか」
「いいんですか?」
願ってもない話だが、彼女の方はそれでいいのだろうか?
「全然大丈夫です。でもそれなら急がないと」
車両のドアが開いている時間はそう長くない。砂切は走りだした。彼女もそれに続いて、どうやっているのかはわからないが飛行する。
決死の駆け込み乗車の結果無事乗り込むことに成功し、席も空いていた。砂切は座るが、女性の方はふわふわと彼の目の前に浮かぶだけ。
「ふう、危ない」
一息ついた。非日常な状況でも砂切は一旦落ち着く。むしろ落ち着いていないのは非日常の根源たる女性の方だった。
「あの、とりあえず乗りましたけど……話しますか?」
彼女の視線はそわそわと落ち着きがない。
「よければ、是非」
「でも、その、なんと言いますか、変人に見られますよ……?」
その忠告は少しばかり遅すぎた説がある。どこか宙を見て「何か」と話す砂切の存在はすっかり車内から浮いていた。先ほど砂切が女性に話しかけた時、後ろに立っていた男性が一番不審そうに砂切を見ている。
車内のほぼ全ての人が砂切を見る。見るが、絶対に目を合わせようとはしない。誰しも頭のおかしいやつには関わりたくないと思うものだ。
「いいですよ別に。そんなことより僕はあなたのことが気になります」
天井付近に貼られている広告と話でもしているのか? 周囲の人間はそう思っていただろう。
実際に彼が話している相手は空中に浮遊する、少し透けた女性なのだけれど。女性の歳はそう、二十代半ばくらいだろうか。
「私は、別にそんな大した者じゃありません」
「そうですか? 単刀直入に言って、幽霊なのではと思ったのですけど」
笑う者はいなかった。女性自身も、周囲の人も。周囲の者は皆表情を硬直させるか、引きつらせるかのどちらかだ。
顔色一つ変えないまま女性は答えた。
「そうです、幽霊ですよ」
「ですよね」
宙に浮いていて、少し透けている。絵に描いたような幽霊だ。それに加えて、なにやら危なっかしい場所に居たというのも気になるところだが。
「そういうあなたは何者ですか? 霊能力者とか? もしくは単に霊感が強いとか」
「いえいえ。霊感なんて考えたこともないですよ」
砂切は、今の今まで幽霊を信じていなかった。かと言って完全否定するわけでもなく、存在するのかもしれないけど自分は一生関わることはないだろうと、そう思っていた。
喋る猫や座敷わらしに会っている貴重な人類のくせに一般的な考えだと言えよう。そういう経緯があったから、今回の彼女を即座に幽霊だと見れたのかもしれないが。
「そうですか? ならどうして見えたんでしょう……。今まで私が見えている様子の人なんて見たことがなかったのですけど」
……一つ、心当たりと呼べるかも微妙な仮説が彼の中に浮かぶ。
もしもあの時線路上で浮いていた幽霊が男性なら、見えていなかったかもしれない。直感的にそう思ったのだ。
もちろんそんなことを口に出すわけにはいかない。いや、出かかったのだが寸前ギリギリで思いとどまった。
「……なんででしょうね。相性とか?」
砂切が当初降りる予定だった駅はとうに通り過ぎた。彼はそれを気にする素振りなんて見せなかったし、実際一ミリたりとも気にしていないだろう。
「相性?」
「ほら、占いとかであるじゃないですか。AタイプはBタイプと相性がいい、みたいな。そんな感じで偶然相性が良くて見えたけ。……とか?」
ううむ、と考える素振りを見せた彼女はその回答に満足はしていなさそうだった。
しかし、自分でもそれ以上の答えは見いだせなかったらしい。仕方がなさそうに、興味がなさそうに、
「偶然、か。まぁそういうことにしておきましょうか」
と言った。
砂切のまわりからは人が減りつつあった。見えない何かと話す気味の悪い少年から離れるため、車両を移動した人が多いのだろう。新たな駅に着くたび数人の人が乗り込んで来て、またその人たちが同じ目に遭うのだけれど。
そしてどうでもいいことだが、砂切のことを少年と認識した人はいないはずだ。皆霊感少女か、頭のおかしいメンヘラ女として彼のことを見ただろう。
彼を少年だと思っていないのはきっと幽霊の彼女も同じだ。
「えぇ、そういうことにしましょう。運命の人同士ということにしておきましょう」
だからこんな冗談も通じない。
「そうですね」
あっさりとジョークをスルーされた砂切は多少つまらなそうだったが、すぐに気持ちは切りかわったらしい。
「ところでどうして幽霊に? 何かこの世に未練でも?」
彼女が死んだ時の姿をしているのならまだ若いだろうし、当然気になることだった。
特に砂切にとっては目の前の女性が化けて出るほどの未練、思いというものが非常に気になるものだった。
「未練ね。もちろんある」
「……」
黙って話の先を促す。
「未練がなければ霊になんてならなかったはずだし、ね。内容だけど、私は見ての通り若くして死んだ。それが未練にならないはずがないでしょう?」
それはまぁ、そうだろう。死にたいと思って死んだのでもない限り、二十年とそこらの時間で人生を終えるのは惜しいだろう。
ただ勝手な先入観の話をさせてもらうのだとすれば、砂切の中には疑問が残った。
「失礼なことを訊いてもいいですか?」
「いいですよ。霊に失礼もなにもないと思いますけど」
どうだろうか? 霊にこそ失礼があってはならないのではないか? 祟りとか、そういう怖いものがあるというし。目の前の女性はそんなことをしたりはしないだろうが。
「どうして、死んでしまったのですか? なにか事故で?」
「いや、自殺しました。さっき居た駅で」
「やっぱり」、砂切の顔にはそう書いてあった。なんとなく、霊は死んだ場所に居つく気がしたのだ。地縛霊とか、何かそういう話を聞きかじるうちにそんな先入観はできていた。
「自分で死んだからって、死んだことに納得してるわけではないですし」
「なるほど……」
彼女の言うことに砂切はそれなりの衝撃を受け、そして反省した。それはそうだ、自ら死んだ者が皆納得して死んだなんてことがあるわけない。
例えばいじめを苦にして死んだ人がいたとすれば、その人は死ぬ間際に、ようやく死ねるとでも思っただろうか? きっと最後までなぜ自分がこんな目に遭わなければならないのかと、そう思っていたはずだ。死に納得できる人は、きっとその時自殺をしようなんて考える人生を送っていない。
だとすれば目の前の女性だってそうだろう。
「もし話すことで少しでも気が晴れるのなら、話してくれませんか」
「優しいんですね」
「興味本位です。だから少しでも嫌だったら」
「話します」
間髪入れない即答だった。実際彼女は話したかったのだろう。霊になった理由を訊かれた時から、その前までとは何かが違っていた。感情が前に出てきたのか、もっと別の暗い物が出てきたのか。
「生きていた頃、友達に借金の保証人を頼まれましてね。中学から仲良くしていた子だったから、受けちゃったんです。あとはわかりますよね?」
「まぁ……」
金銭的な苦で自殺。世界のどこかでは今もそんなことが起こっているかもしれない。なにも珍しい話ではない。しかしだからこそ、よくあることであるならば、
「でも、なにか方法はなかったんですか?」
「方法?」
「額がわからないのでなんとも言えませんけど、例えば親に助けを求めるとか……」
そんな手段はとっくに全部試して、それでいてダメだったのかもしれない。どっちにしたってすでに死んでしまっているのにそんなことを言ったって仕方がないだろう。
だが砂切はそれでも言わざるを得なかった。なにも死ぬことはなかったのではと、手遅れだとわかっていながらどうしても思ってしまうから。
しかし、女性の返答はそんな世界にはなかった。
「そんなことできませんよ。自分の責任で借金作って、返せないから助けてくれなんて親に頭下げて、それでどんな面して生きていけと言うんですか」
「…………」
砂切は言葉を失う。彼の考えていたものと実際の出来事は違った。プライドで死んだ女性を、プライドに殺された女性を今見ているのか。そう思えば、彼の人生では初めての体験だ。
「……それで、それで、死んだんですか。だったら未練って」
どうしようもなくて死ぬことしか道が見いだせなかったのなら仕方ない。しかし彼女は、そうではなかったのではないか。そうなると未練というものが一体なんなのか、砂切にはわからないようだった。
「もちろん、逃げた相手を殺すこと。呪ってでもなんでも……」
「……」
砂切は第一印象でその女性を平和な人だと、友好的な人だと思っていた。しかしこれは、彼自身を対象にするわけではないものの……。
「なんてね、冗談です」
「えっ」
「友達だって自分のことで必死だったんです。そりゃ逃げますよ。そんなことはどうでもよくて、未練はまだまだやり残したことがあることなんです」
その時の砂切の驚きようといえばとんでもなかった。実際女性の凄味というか、迫るものが凄まじかったせいでもあるのだけれど。
「やり残したこと……?」
「具体的なことではないんですけどね。でも、生きていればきっと何かはあったでしょう?」
もちろんその通りだ。生きていれば何かしらの出来事は起こる。それが意図せぬものであれ必然的なものであれ。幸運なものであれ不幸なものであれ。
「それはそうでしょうけど」
「だったら、私はその何かを逃したことになる。もしかしたら、数多くの幸運を逃していたかもしれない。そう思うと、成仏なんてできなかった」
なら死ななければよかったのに。砂切はそう思ったし、誰が今の話を聞いてもそう思っただろう。そして誰も、それを口には出さないだろう。
「……なら、幽霊としてこの世に残っていれば一つでも多くの「何か」に出会えますか?」
当然の質問。返ってくる答えもまた平凡だった。平凡で、救いがない。
「いいえ全然。それどころか、もう歩く感覚を忘れてしまった。触れる感覚もそう。失うことの方が多くて……」
彼女は初めて悲しそうな顔をした。死んだことよりも、失うことの方が重要で悲しい。そういうことだろうか。
砂切はそんな彼女を見ていられなかった。そんなというのは、失ってばかりの彼女をという意味ではない。終わりのない旅を続けている彼女を、ということだ。
「あなたは何も失っていない。むしろ新たなものを得ているんですよ」
「え……?」
「歩く感覚を失ったんじゃない、歩かずに移動する方法と感覚を得た。触れる感覚を失ったんじゃない、触れることのできない感覚を得たんです」
今度は女性が言葉を失った。驚いた表情の顔からは、目から落ちる鱗が見えそうだった。
「……そういう考え方もあるんですね。なるほど……」
深い思考に潜ろうとするように女性は動きを停止し、それほど経たないうちに我に帰ったかのように動いた。
「ありがとう。なんだか、救われた気がします」
確かにそう思えただろう。しかし砂切は別段彼女を救ったつもりはなかったし、救うつもりもなかったに違いない。
「いえ、別に。しかしですね、元から得るだの失うだのいう話はそういうことですよ」
「……? どういうことですか?」
「何かを得たら、必ず何かを失うんです。髪を切れば短髪の自分を得て長髪の自分を失います。その逆も。全てがそうなんです」
それは砂切の持論だった。得ることと失うことが常にプラスマイナスゼロになるとは言わない。しかし、プラスしかないことやマイナスしかない事もまた存在しない。彼はそう思って生きている。
「世の中プラマイゼロってことですね」
「違います。プラスの方が大きいこともあれば、マイナスの方が大きいこともあります」
女性は困ったような顔をする。話が飲み込めないからそんな顔をする。
「つまり……?」
「普通、できるだけ自分にとってプラスが大きくなるようにしますよね。それは何か目標があるからできることです。また髪の話をしますが、自分が短い髪になりたいと思って切ればそれは長髪を失うマイナスよりも短髪を得るプラスの方が大きいでしょう。しかしもし長髪を意地したいのに髪を切ってしまったのなら、それはマイナスの方が大きくなります」
「それはまぁ、そうですよね。それはわかります」
「今の話はプラスマイナスを天秤に掛けた場合の話です。いいですか、プラスとマイナスは常にあって、どちらかだけということは絶対に無いんです」
現実的には砂切の考えは微妙なところだった。彼の考えには、ほとんど存在しないような小さなプラスはプラスと呼べるのか、という問題が付きまとう。マイナスの方も同様に。
しかし今重要なことはそんなことではない。
「具体的な手段でプラスを多くしようとすれば、きっとできるでしょう。でも、完全にプラスだけ、マイナスだけという状態にはできません。どういうことかわかりますか」
「いや……」
「生きていれば何かがあったはず。そうすればその何かによってできる経験ができる。その経験を死ぬことによって失った。あなたはそう言いましたよね」
「そう、ですね。はい」
「しかし、仮に生きていてその何かを経験すれば、それによって失うこともあるんです。何をどうしても、生きていても死んでいても、常に何かを失うんですよ」
「あ……」
女性はまた驚いた顔をする。今度はさっきとは違い、根底にあることに気づいた顔をしていた。
知らなければよかったことを知ってしまったような、そんな顔をしていた。
「だから、得られるはずだった「何か」を追い求めるなんて、僕は終わりのない話だと思いますけどね。あなたはすでに得られなかったはずのものを得て、失うはずだったものを失わずに済んでいるのだから」
電車はついに終点に着いた。開いたドアはしばらくそのままで、車内の人はほとんど入れ替わっただろう。
当然のように座ったままの砂切を見る女性はおそるおそる、初めに自分の顔を指差した時のように訊いた。
「……降りないんですか?」
その声は震えていて、今度こそ本当に怯えていたに違いない。
「実は一駅だけ移動するつもりだったので、このまま折り返します」
「そ、それはすみません……!」
頭を下げる女性の姿は砂切以外には見えない。新たに乗り込んでくる人々が彼のことを不審そうな目で見て行く。決して目は合わせないように。
「気にしなくて大丈夫ですよ。暇なので」
長らく開いていたドアは閉まり、今まで走ってきた線路を戻るように電車は走る。ガタゴトガタゴトと、車内で一番響く音はなんのことはないリズムだけ。
宙に浮く少し透けた女性はなにも話さなかった。砂切も自分から話を始めたりはしなかった。ただ偶に女性が砂切のことを見て、即座に目を逸らすことを繰り返す。周囲の乗客のそれとほとんど変わらない動きに思えた。
いくつもの駅を通り、徐々に人も増えてくる。砂切が喋らないので別の車両に移動する乗客もほぼ出てこない。吊り革に掴まり立つ人も多くなってきた頃、元々透けていた女性の存在は限りなく視認しづらくなった。
透明度が増したのか、人混みのせいなのか、誰にもわからなかった。
目的の駅まで帰ってきた。ホームへと降りた砂切の背中に声がかけられる。
「あ、あの……」
振り返ると宙に浮いた女性がいた。透明度は……どうだろう? 薄くなった気も、変わらない気もする程度だった。
「お時間取ってしまって、すみませんでした……」
「お気になさらず」
「それと、……ありがとうございました」
ホームに行き交う人が砂切を不審な目で見ては通りすぎていく。
「なにもしてませんよ?」
「いえ、救ってもらいました。本当にありがとうございます」
そう言う女性の体はみるみるうちに薄くなっていく。足の方に至ってはもう見えないくらいに。
「まぁ、それならよかったですけど。なにもしてませんが」
「あなたはそう思うかもしれないけれど、私はそうは思いません。未練がなくなるほどのことがあったと、そう思えたんです」
もう下半身は完全に見えなくなり、腹のあたりまでも見えなくなっていく。……消えていく。
「私、あなたと話せたことで満足です。得るもの得ました」
「僕なんかでですか?」
女好きの女装男と話せて満足と? 砂切はそう思うが、そんなことを思っているのは本人だけだ。そもそも誰も彼の正体には気づかない。
「はい。あなたくらい歳の離れた人と、あんなに良い話ができたなんて大満足です。もうこの世に未練はありません。……何かを得るなら、きっと成仏することででも出来るでしょう?」
いよいよ肩まで薄くなっていく。消えていく。一人の人間が、消えていく。
「えぇ、そうでしょうとも」
「……では、本当にありがとうございました!」
砂切が最後の感謝の言葉を聞いた時には、もう女性はいなかった。
「……」
自分はきっと正しいことをした。砂切はそう思った。思うがしかし、本当に最善だったのかとも考えてしまう。その思考からは逃れられない。
いつまでも霊としてこの世を彷徨うよりは、成仏した方が良いことだろう。それでも、人が消えるきっかけとなってしまったことは、すんなりと飲み込めることではない。彼ははっきりとした自分は正しいという思いは持てないまま改札に向かう。
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