FAIRY TAIL 妖精の凍てつく雷神 (タイトルホルダー)
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平和の崩れ

どーもー。デュラララの平和島静雄にはまったタイトルホルダーです。

これからだいたいのペースで投稿していくんでヨロシク




ここは、工業も産業も、そして魔法もそこそこ発達した町。どの場所でもそうだが、人が暮らしている限り、子供も産まれ、育っていく。

 

「なあなあ見てくれよ!ついにおれも“魔法”っていうの覚えたんだぜ!」

 

「どんな魔法なの?見せてみてよ!」

 

ある金髪の少年がピンク髪の少女へ魔法が使えるようになったのを嬉しそうに話す。話しかけられた少女も興味深そうに聞いてくる。

 

「まあ見てなって。えいっ」

 

魔法を出した少年の手から黒紫色の球状の魔力をだす。

 

「へへーん、どうだ?すごいだろ!父ちゃんから教えてもらったんだ!ちなみにこの魔法は“暗黒魔法”って言うんだぜ」

 

少年は教わった魔法を自慢するが、

 

「うわぁ、なんか不気味だなぁ。名前もなんか怖そうだし」

 

怪しそうな色に少女は思わず顔をしかめて不満を洩らす。

 

「そ、そんなこと言うなよー!この魔法は一応俺の家が代々受け継いできたんだぞ!」

 

「でも不気味は不気味じゃん」

 

「うぐっ。でも不気味な魔法使うからって使うやつが不気味なやつとは限らないんだよ。使う人の心によって魔法は善にも悪にもなるって父ちゃんがいってたぞ」

 

「でもいいなあ。魔法を教えてもらって。私にも魔法を教えてほしいよ」

 

だが、不気味に見えても魔法は魔法であったため、少女は魔法が使える少年を羨ましく思った。

 

「俺のちょっとした名言は無視!?まあ父ちゃんに教えてもらえるかどうか聞いてみるよ。もちろん、きれいな魔法をね」

 

「ホント?やったー!ありがとね!」

 

少女は少年が頼んでくれるといった瞬間、パアッと明るくなり、笑顔を見せる。少年も少女につられて笑顔になる。すると少女がそういえば、と思い出しながら少年に質問をする。

 

「ねえ、さっきの魔法ってお姉さんや妹ちゃんも教えてもらったの?」

 

少女は、少年には姉と妹がいたことを思いだし、同じように教えてもらったのか気になったので少年に尋ねた。

 

「いや、教えてもらってないよ。本当は姉ちゃんが教えてもらうはずだったんだけど、『私には合わない』とかいって教わらなかったんだ。だから俺が教えてもらったんだ。本当は2年後くらいに教えてもらうつもりだったんだけどね。妹もまだ教えてもらう年じゃなかったけど、妹は医者になりたがってたから少なくとも俺と同じ魔法は覚えないんじゃないかな?」

 

「へー、そうだったんだ」

 

少女は少年から詳しいことを聞き、納得したように返事した。

 

 

 

少年と少女は町を歩きながらいろんなことを話していた。そしてその話の内容はいつしか魔法のことを話していた。

 

「ねぇ、大きくなったら魔導士ギルドに入るの?」

 

「そうだなあ、いつかは入るんじゃないかな?」

 

「じゃあさ、その時は一緒のギルドに入ろうね、トール!お姉さんや妹ちゃんも一緒に!」

 

「ああ!楽しみだな、メルディ!」

 

金髪の少年トールとピンク髪の少女メルディはこんな平和な毎日を暮らしていた。

 

 

 

だが、そんな平和は意図も簡単に壊された。

 

その町は闇ギルドに襲われた。

 

その町は“ゼレフの鍵”が眠る地だったらしく、その町の住人は全員殺されることになった。そして───

 

 

 

 

「ハハッ、いい加減諦めろよオッチャン。あんたじゃオレには勝てないぜ」

 

「だまれ!たとえお前に勝てなくても、俺の家族は誰にも殺らせはしない!」

 

「父ちゃん、俺も戦う!俺だって魔法を使えるんだ」

 

「お前は逃げろ!敵う相手じゃねえ!」

 

町を襲った人達の中の一人が町の住人の一人と戦っていた。その者は金髪の少年トールの父親たった。そして、トールも一緒にいた。

 

「ハハッ、安心しな。親子まとめてあの世へ送ってやる。せいぜいあの世で仲良く暮らすんだな」

 

だが、闇ギルドの魔導士とトールの父親の魔力の差は歴然で、父親には勝ち目がなく、闇ギルドの魔導士は止めを指すために父親に巨大な魔力の塊をぶつける。

 

「「うわあああああ!」」

 

トールの父親はトールを庇ったが、二人とも攻撃をくらい、吹き飛ばされていった。

 

 

 

 

 

 

 

───一方その頃───

 

 

「うあーん。うあーん。」

 

「もう大丈夫よ。泣きやんでちょうだい。」

 

別の場所ではトールと仲良くしていたピンク髪の少女メルディが泣いており、メルディをある女性が泣き止ましていた。ただ、その女性には仲間がおり、その仲間の二人が女性に近寄ってくる。

 

「何だよそのガキは」

 

「生き残りよ」

 

「だ・・だだ・・・・だったら潰しちますッス」

 

一人は少女を見て不思議に思い、もう一人はアイスクリームを舐めながらその少女を殺そうとする。

 

「・・・・・・私がこの子の面倒を見るわ」

 

少女を見て何か思ったのか女性は少女の面倒を見ることを決意するが、他の二人は反対する。

 

「なーに言ってんだよ。“ゼレフの鍵”が眠る地の民は殲滅っていう命令だってよ?」

 

「昔の自分を見てるようなの。大丈夫・・・・。この子は魔導の深淵に近づけるわ」

 

「・・・」

 

「ウーウェ・・・」

 

その言葉に二人はだまってしまった。

 

 

 

こうして少女は女性たちと一緒に行動を共にするのだった。

 

 

 

 

 

 

───いつか少年と敵対することを知らずに───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───翌日───

 

 

 

かつて平和だった町は一夜にして崩れ去った。町の様子も最早廃墟としか言えなくなった。そんな町にはもう生存者などいないと思ったが、

 

「いってて・・・」

 

瓦礫の中から金髪の少年トールがあらわれた。トールは父親に庇われていたので何とか生きていた。

 

「町のみんなは・・・。父ちゃんは・・・姉ちゃんたちは・・・メルディは・・・」

 

トールは町のみんなが無事かどうかを確認するために町中を歩き、生存者を探しにいった。もしかしたら自分のように誰かが生きているかもいれないからだ。

 

 

 

 

 

だが現実はそう甘くはなかった。

 

 

 

 

 

彼を待っていたのは生存者ではなく、荒れ果てた町と転がっている死体だった。

 

自分の近くで死んでいた父親、自分の家の前で死んでいた母親、近所のおじさんやおばさん、子供、老人。誰を見ても死人ばかりだった。

 

だが、自分の姉と妹、ピンク髪の少女だけは何処を探しても全く見つからなかった。金髪二人とピンク髪だからすぐに見つかると思っていたが、一日かけても手掛かりすらなかった。

 

少年は歓喜した。これだけ探しても全く見つからないということは何処かで必ず生きていると思ったからだ。

 

「そうと決まれば早速探しにいかなきゃ。待っててな、すぐ見つけてやるから」

 

少年は町を出て、少女たちを探す旅を始めた。




はい、見たらわかると思いますが、主人公の町は“ゼレフの鍵”が眠る場所です。


一応妹の方はオリキャラを予定してるけど姉の方は迷っているんですよねー。考えてはいるけど。

主人公の持ってた魔法は残念ながら当分は出番なしです



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東洋竜キュレム

ドラゴン登場!

家族設定とドラゴンの設定を同時に使いたかったのでこんな感じになっちゃいました。


どれだけ歩いただろうか。

 

町を出てからいろんな人と出会った。

 

船に紛れ込んで海も渡った。

 

でも、見つからなかった。

 

手掛かりはあったけど、全部ハズレだった。

 

いつしか俺は東洋というところにいた。

 

今いるところは雪山だ。

 

ちょっと寒いけどこれなら耐えられるな。

 

魔法の効果で何とか寒さを凌いでいる。

 

ーーーーーーぐう~~。ーーーーーー

 

・・・こればかりはどうにもならない。

 

この前分けてもらった食べ物ももうない。

 

4日くらいは何も食べてないかな。

 

・・・どうしよう。そろそろまともに歩けなくなった。

 

いつの間にか吹雪もかなり強くなり、前が見えなくなった。

 

ああ、もうだめだ。もう一歩も歩ける気がしない。

 

トールは遂に雪山で倒れてしまった。さらに、トールが倒れたことにより小規模な雪崩が起こってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーほう、こんなところに人間が来るとは珍しい。しょうがないから看病くらいはしてやるか。こいつから特殊な魔力を感じる。こいつなら我が滅竜魔法を取得するのにふさわしいかもしれん。ありがたく思えよ、少年。本当なら西洋の(ドラゴン)と違って、我等東洋の竜に会うのはとても珍しいのだぞ。まあそれは400年前のはなしだが。今となっては西洋の竜はなんたらギアとか言うドラゴンしかおらんからな。・・・そういえば、そのドラゴンを倒すために400年前に西洋の竜が不思議な術を使うといってたな。なんたらギア・・・なんたら・・・ああ、思い出した。アクノロギアだったな、ああそんな名前だった。まあ、我等の土地を荒らすなら仲間を連れて叩き潰してやるがな。だが、我ももうそろそろ寿命が尽きる。子孫はもう残してあるし、とっくに自立している。ただ死ぬくらいならこいつに滅竜魔法を教えてアクノロギアを倒してもらうのもいいかもしれんな。倒してくれれば子孫が狙われることもないし、西洋の竜の願いも叶えられる。人間の言葉で言う一石二鳥、いや、一石二羽だったか?まあどちらでも良いわ。とりあえずこいつに飯を与えてやるか。話はそれからだ。

 

雪崩によって現れた洞穴から出てきたドラゴンは雪山の洞穴にトールを連れて入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

ここはどこだ?確か俺は雪山で腹がへって、そこで倒れたんだっけ。あれ、なんだか暖かいな。いくら寒さを凌げるからって寒いもんは寒いからな。もしかして雪山で俺を見つけてくれたのか。いや~どなたか存じませんがありがとうございますね~あなたは俺の命の恩人ですよ。助かりまし、た・・・

 

 

 

・・・って、は?

 

 

 

 

自分の目の前には炎があり、炎の向かい側には人ではなく、竜がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

トールはあまりの光景に唖然としていた。自分を助けてくれたのが人だと思っていたから礼を言おうとしたが、目の前にいるのは竜であったため、開いた口が塞がらなかった。

 

「(え、何?この生き物ってドラゴン?なんでこんなところに?)」

 

「ほう、竜を見たのは初めてか。まあ当たり前だな。竜なんてそうそうみられるもんじゃないからな、」

 

「あの、あなたは?」

 

「我の名はキュレム。氷の竜である。そなたはなぜこのような雪山におったのだ?ここは人間が暮らすには寒すぎるぞ。」

 

「人を探していたんだ。俺と同じ金髪の姉妹とピンク髪の少女。おじさんは知らない?」

 

「知らんな。生憎我はここ数年人には会っておらんのでな。あと年齢的にはおじいさんだがおじさん言うな。キュレムと呼べ」

 

「わかった。知らないならいいや。ありがとうキュレム。俺の名前はトールだよ」

 

「ふむ。トールか、良い名前だな。」

 

「へへっ、ありがとよ。じゃあ俺はもう行くわ。さっき言った奴等を探さなくちゃならないからな」

 

二人の自己紹介が終わり、トールはキュレムに

別れを告げようとした。だが、トールの体はまだ回復しておらず、歩こうとしてもすぐにまた倒れてしまう。

 

「まあそう急ぐな。そいつらを見つける前にお前がくたばっちまったら意味がないだろうが。ほら、飯はおいてあるからさっさと食え」

 

「そんなものどこで手に入ったの?人間とは数年は会ってないんでしょ?」

 

「こんなもん、この雪山の気候や地形を変えれば動物たちがたまに落ちてきたりする。その動物の肉を我は食べている。」

 

「そういえばこの炎は?キュレムが出したとしても、キュレムは氷の竜じゃなかった?」

 

ふと、どうやって炎を出したのか気になったのでトールはキュレムに尋ねた。すると、キュレムの口から炎が吹き出された。

 

「おおーすげー!てか氷の竜なのに炎を吐くの?」

 

「東洋の竜なら火を吐くことくらいお手のものだ。他にも妖術なるものもできるのだぞ、西洋の竜と違ってな」

 

「うおー東洋竜ってすげー!キュレムってすげー!」

 

「そうじゃろうそうじゃろう。他にもいろんなことを教えてやろう。まずはだな・・・・・・」

 

 

 

トールとキュレムは互いに時間を忘れて二人で話し合っていた。

その姿はまるで仲良く話をしている親子の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールとキュレムが出会ってから数日がたった。

 

「ふう、だいたい我の知っていることはほとんど話したかな」

 

「キュレムっていろんなこと知ってるんだね」

 

「まあな、何十年以上も生きているからな。」

 

トールはキュレムと一緒にいる時間がとても楽しかった。体を鍛えてもらったり、自分の持っている魔法を見てもらったり、キュレムの魔法を見せてもらっていた。父親とも同じようなことはしていたがキュレムと一緒にいた時と父親と一緒にいた時はとても似ていて、トールはキュレムのことをいつの間にか父親のように接していた。

 

 

 

 

だが、そんな時間にも終わりは訪れる。

 

「トールよ、伝えたいことがある」

 

「どしたの?」

 

「そろそろ我の寿命が尽きる。」

 

「!!!

・・・そっか。そういえばキュレムはおじいさんだったもんな」

 

「おじいさん言うな。どんな生き物にも老いには勝てんのだ。だから貴様に頼みたいことがある」

 

「何?」

 

「我の魔法、氷の滅竜魔法を覚えてくれまいか?」

 

「え?いいの?」

 

「ああ、ただし、普通に教えるには我の寿命が持たん。そこでじゃ、我を食え」

 

「はあ!?そんなん無理だよ。だいたいそんなでかい体食べれないぞ」

 

「誰がそのまま食えといった。我が死ぬ前に魔水晶(ラクリマ)となるからそれを食ってくれということだ。我等東洋の竜は人間に滅竜魔法を取得させるとき、ドラゴン自らが魔水晶となり、人間に取得させるのだ。というわけで、我を食え」

 

「・・・でも!」

 

「それに、お前はいつまでここにいるつもりだ。お前には探し人がいたのだろう?こんなところにいてはいつまでたっても会えないぞ。我としても、お前の探し人が見つかってほしいし、普通に死ぬよりはお前に食ってほしいしな」

 

「・・・わかった。」

 

キュレムの体が魔水晶へと変わっていく

 

「お前が信じていれば探し人はみつかる。大丈夫だ。己の信念を、力を信じろ。そうすればいつか出会える。」

 

「・・・ああ」

 

「お前と一緒にいた時間は楽しかったぞ」

 

「・・・俺もだ・・・」

 

トールは泣くのを我慢して震えながらもなんとか声をだす。

 

 

 

そしてキュレムは完全に魔水晶となった。

 

トールは魔水晶となったキュレムを抑えきれなくなった涙を流しながらゆっくりとかみ砕き、飲み込んだ。

 

 

 

こうしてトールは氷の滅竜魔導士となった。

 

 

 

「・・・さて、そろそろ行くか。東に来てもいないということは一旦町に戻って西のほうへ行くか」

 

 

 

 

 

トールは流した涙を拭い、雪山を出発した。

不思議とすぐに雪山を出ることができた気がする。

 

雪山を降りてトールは再び旅をはじめた。

 

 




トールに乗り物酔いをさせないためにこんな感じの設定ができちゃいました。

次回はあの3人が出ます。


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卵と3姉弟とギルド加入

キュレムと別れてから数週間たった。生まれ故郷に帰るにはまた船に乗らなければならなかったので、なんとか乗れる船を探した。すると、探している途中に船にのせてくれる人を見つけた。その人は海を渡って貿易をする商人で、船の手伝いをすることで乗せてもらえることになった。船は陸に到着し、俺は船乗りの人と別れを告げ、また旅を始めた。

 

 

 

 

しばらくすると、町が見えた。俺が生まれ育った町だ。出発した時とあまり変わらない。変わっているとすれば、所々に出ていた煙がなくなったということくらいか。俺は出発する前に作った両親の墓の場所にいき、墓参りをしたあとで町を歩き回った。歩き回ってはみたものの、やっぱりいい感じはしない。あの日の出来事が頭にちらつく。思わず手に力をいれてしまう。あのとき俺がもっと魔法を使いこなしていたら、もっと魔力があれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。でも、そんなことを今更いっても仕方がない。これからはちゃんと守る。誰一人として俺の目の前で死なせはしない。力を抜き、町を出る。東にはいったので今度は西のほうへいく。西の方なら魔導士ギルドも盛んだし、人も多いからきっと見つかるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西のほうへ行っているとき、森を通っていた。緑が生い茂っていい森だ。

そんなことを考えながらリンゴを食べていると奇妙な3人を見つけた。いや、2人は普通だが1人は顔を隠している。3人が俺の方を見ると、顔を隠した少女と思わしき者が顔をそらし、他の2人は少女を庇うために怯えながら前にたつ。すると、

 

ーーーぐう~ーーー

 

前の2人の女の方がお腹をならす。お腹がなったのが恥ずかしかったのか、顔を赤くする。

 

「リンゴ、食べる?」

 

俺はカバンの中からリンゴをとりだす。

 

「いいの?」

 

「いいよ。腹減ってるんだろ」

 

「でも・・・」

 

「いいから。ほら、あんたらも」

 

「お前は・・私が怖くないのか?」

 

「あ?全然怖くねえわ。なんでお前を見て怖がらなけれりゃならないんだよ」

 

「だって・・・私は悪魔に取り憑かれたから・・・」

 

そう言いながらフードをかぶった少女は自分の右手を出し、暗い表情で話す。

 

「悪魔に取り憑かれたからなんだ。そんなもん知ったことか。むしろ腹がへってるやつに飯をあげないやつのほうが悪魔のようなやつだと思うけどな」

 

トールがそういうとフードをかぶった少女は驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。

 

「・・ふふっ・・。変わったやつだな」

 

「そりゃお互い様だ」

 

「君、名前は?」

 

「俺はトール・イエスタ。あんたらは?」

 

「あたしはミラジェーン」

 

「俺はエルフマン」

 

「私はリサーナだよ」

 

「そっか。よろしくな」

 

少女たちはリンゴをもらって食べていく。しばらくすると、それを見ていた動物たちたちが大量に寄ってきた。欲しいんだろうかと思い、とりあえず残りのリンゴ2つをカバンの中から取りだし、10等分に分ける。分けた後に動物たちに分け与えると直ぐにリンゴを食べた。よっぽどお腹が空いていたのか、食べるのがすごく早かった。

 

「すごく食べるのが早いね」

 

「ああ。何も食ってなかったのかな」

 

小さい方の少女も同じことを考えていたのか、動物たちの様子に疑問を感じる。

すると動物たちが、お礼なのか卵を取り出して、俺に渡そうとする。どうやら近くで拾ったらしい。その卵には橙色の不思議な模様があった。

 

「くれるの?」

 

「キキッ」

 

「ありがとよ!」

 

「ええー、いいなー」

 

リサーナは羨ましく思いながら俺は動物たちから卵をもらうと、

 

「うほー!まだまだ食い足りねえ!おいお前のその卵!俺によこせ!」

 

前から森バルカンがあらわれた。

動物たちは怯えるように自分の後ろに隠れた。

 

「きっとこいつが食べ物をうばったんだ!」

 

「だから動物たちは食べ物を欲しがってたのか」

 

「いいからよこせ!」

 

森バルカンがパンチしてきたのでそれをよける。

 

「くらえ!氷結竜の咆哮!」

 

俺はキュレムからもらった滅竜魔法で森バルカンを凍らせた。

 

「すごいね、トール!」

 

「へへーん、すごいだろ!」

 

「トールって、口から氷を出せるのか?」

 

「そういう魔法を覚えたんだ。ミラジェーンがさっき見せた右手もたぶん魔法だと思うよ。詳しいことはわからないけど」

 

「ほんとか!?」

 

「たぶんだけどな。そうだ!聞きたいことがあるんだけどさ」

 

「何?」

 

「金髪の女の子2人とピンク髪の女の子知らない?」

 

「知らないよ」

 

「そ、そっか・・・。知らないならいいや。じゃあ俺はもういくから」

 

「どこいくの?」

 

「町に行ってギルドを探す。ギルドの人なら何か知っているかもしれない」

 

「なら、私たちも行っていい?」

 

「そっちが良いなら別にいいよ」

 

「いいでしょ?ミラ姉?エルフ兄ちゃん?」

 

「あたしはいいよ」

 

「俺もいいよ」

 

「やったあ!じゃあよろしくね、トール!」

 

「ああ!よろしくな!ミラジェーン、エルフマン、リサーナ」

 

「ミラでいいよトール」

 

「わかった。よろしくな、ミラ」

 

こうして俺とミラ、エルフマン、リサーナ(ついでに卵)の旅が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ~、トールって私より2つ年下なんだね」

 

「俺も驚いたわ」

 

「なあ、さっきいってた人たちはトールとどんな関係があるんだ?」

 

リサーナが俺との年齢差に驚き、俺も驚いたことを話しているとミラが質問をしてきた。

 

「3人とも俺と同じ町にすんでたんだ。金髪の2人は俺の姉と妹だ」

 

「なんでそいつらを探しているんだ?」

 

「実は・・・」

 

俺は町で起きた出来事を全て話した。

 

 

 

 

「そっか。そんなことが・・」

 

「でも、まだお姉さんたちはまだ生きているかもしれないんてしょ。だったら信じようよ!」

 

「ああ、ありがとな。そういえば、3人は何であんな森にいたんだ?その腕が関係してるのか?」

 

「村の教会にいた悪魔を退治したんだけど、その時に悪魔に取り憑かれたんだ。それでアタシたちは村を出ていったんだ」

 

「そうだったんだ。悪いな、嫌なこと思い出せちゃって」

 

「いいんだ。気にしないでくれ」

 

「ねえ、その卵は結局どうするの?」

 

「これもギルドの人に聞いてみようと思うんだ。何かの卵なら育てようと思うんだ」

 

「もし本当に何かの卵なら私も育てるの手伝っていい?」

 

「おう、いいぜ。名前も今のうちに決めとこっかなー」

 

ピクッ

 

四人で話をしていると、卵が少し動いた。

 

「今動いたぞ」

 

「やっぱり何かの卵なんだよ!」

 

「どんな生き物が生まれるのかな」

 

俺とリサーナとエルフマンが卵の話をしていると、ミラが建物の中にいる子供たちを見ていた。その子供たちは楽しそうに喋っていた。

 

「どうした?入らんのか?」

 

その時、後ろから老人が話しかけてきた。

 

「あの、あなたは?」

 

「わしはマカロフ。ここのギルドのマスターじゃ」

 

「ギルド?」

 

「ほれ、あれが名前じゃ」

 

マカロフが持っていた杖を上に向けたので、俺たちが上を見るとそこにはこう書いてあった。

 

───妖精の尻尾(フェアリーテイル)と───

 

 

 

 

「それは接収(テイクオーバー)。魔法の1種じゃよ。悪魔に取り憑かれているのではない。悪魔の力を自分の体に宿しておるのじゃ」

 

「・・・悪魔の力・・・

(そんなのいらない・・・)」

 

「じーさん!聞きたいことがあるんだけどさ」

 

「なんじゃ?」

 

「このへんに俺と同じくらいの背の金髪かピンク髪の女の子見なかったか?」

 

「ふむ・・・。いや、見なかったぞ」

 

「そっかぁ。じーさんも知らないか」

 

「何かあったのか?」

 

俺は町での出来事を話した。

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、辛かったじゃろう。どうじゃお前さん、うちのギルドに入らないか?」

 

「え、なんで?」

 

「ここには身寄りのないガキはいっぱいおる。それに、宛もなく探すより、1ヶ所に留まっていろんな情報を集めるほうがよいかもしれんぞ。ここに現れるかもしれんしな」

 

「強くなって有名になれば向こうから来るかもしれない、か。よし、決めた!俺ここのギルドに入る!もともとどっかのギルドには入るつもりだったしな。んじゃ、これからよろしく、マスター!」

 

「おう!よろしくのぉ!」

 

その直後、ギルドの人達から歓迎の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

「んで、マスター。もうひとつ聞きたいことがあるんだけどさ」

 

「なんじゃ?なんでも言ってごらん」

 

「この卵のことなんだけどさ」

 

俺はそういって動物たちからもらった卵をだす。

 

「一応動きはしたから何かの卵とは思うんだけどさ、何の生き物が生まれるのか知らないかな?」

 

「いや、こんな卵始めて見るのお」

 

「だとしたら新種の生き物かな?とにかく孵化してみるよ。どうやって卵を孵化すればいいの?」

 

「頑張って暖めることじゃな」

 

「う~ん、炎じゃ焦がしてしまうから自力で頑張るしかないか」

 

産まれるまで楽しみだな。

 




リサーナとエルフマンがミラに魔法を見せるところは主人公あんま関係ないので省きます。
氷の良い名前ないかな?炎だったら煉獄とか焔とかあるけど氷はいまいちピンとこないわ。いまのところは氷結竜か氷雪竜か極寒竜か極氷竜ていうのを考えてます。なんか良いのがあったら感想にでも書いてくれればうれしいです。



あれ?なんかミラにもフラグがたちそうになるぞ。



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勝負

キャラ変の一人はラクサスです。


そんなにかわんないけど


「おい、お前!」

 

トール「ん?」

 

俺のことを呼ばれたのか呼ばれた方向に顔を向ける

 

トール「俺?」

 

「そうだ!お前からドラゴンの匂いがするのは何でだ?」

 

トール「ああ、俺は氷の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)なんだ」

 

そういった途端周りが静かになり、俺の方を見る。

 

『おおー!!すげー!!』

 

『ナツの他にもいたんだ!』

 

ナツ「そうだったのか!俺はナツ。よろしくな!」

 

トール「俺はトール・イエスタだ。よろしく、ナツ」

 

ナツ「おう!で、どんなやつに滅竜魔法教えてもらったんだ?」

 

トール「氷の東洋竜キュレムだよ」

 

ナツ「東洋竜?」

 

トール「うん。キュレムの話だと・・・

 

 

───トールの回想───

 

 

キュレム『いいかトール。東洋竜と西洋竜の違いを教えてやる。まず、西洋竜は東洋竜より体が大きい。そして、やつらは五感がとても優れており、自分の使う魔法と同じ属性の魔法を食べることができる。それに対して、我等東洋竜はやつらより体が小さい、または首だけが長い竜なのだ。それに、五感も優れておらんし、同じ属性の魔法を食べることはできない』

 

トール『東洋竜ダメダメじゃん』

 

キュレム『話を最後まで聞けい!まあ、確かにそういう面では我等のほうが劣っているな。だが、やつらより我等のほうが魔力は高いやつが多かったのだぞ。我もやつらより高かったしな。それに、我等はやつらにできない妖術というものを使えるのだぞ』

 

トール『おおー!やっぱりすげー!!』

 

 

 

───現在───

 

・・・というわけだ。」

 

ナツ「ソイツ今どこにいるんだ?」

 

トール「もう寿命だったからいない。でも、死ぬ前に魔水晶(ラクリマ)になった。キュレムがいってたんだ。『東洋の竜が人間に滅竜魔法を取得させるためには、ドラゴン自信がラクリマとなり、人間に食べさせることで滅竜魔導士が誕生する』ってね」

 

ナツ「へえ~そうだったのか。よしトール、俺と勝負しろ!」

 

トール「え~、嫌だよ。入って早々ケンカなんて」

 

グレイ「心配すんな。腕試しのようなもんだ。お前だって仲間の実力を知りたいだろ。ああ、俺はグレイだ、よろしくな」

 

グレイが自己紹介したのをきっかけにいろんな人が自己紹介していく。

 

トール「みんなよろしくな。ところでさっきから気になってたんだけどさ」

 

グレイ「なんだよ?」

 

トール「グレイの裸の格好はそういう種族として認識していいの?」

 

グレイ「おわっ、いつの間に!」

 

ナツ「そんなことより勝負だ!」

 

グレイ「そんなことってどういうことだこのつり目野郎!」

 

ナツ「やんのかこのたれ目野郎!」

 

エルザ「止めんか!」

 

「「はいー!!!」」

 

トール「あの2人を怒鳴りだけでひびらせるエルザって怖っ」

 

エルザ「それで、勝負するんじゃなかったのか、ナツ」

 

ナツ「おお、勝負だ、勝負!」

 

トール「え、でも・・・」

 

エルザ「勝負してやったらどうだ?私もお前の実力を知りたいしな」

 

トール「ああ、わかった」

 

『おおー!西洋竜VS東洋竜か。これは見物だな』

 

『お前どっちに賭ける?』

 

『俺はナツだな』

 

『じゃあ俺はトールだな。勝ったら酒奢りな』

 

そんなことがありながらギルドの裏の海岸へ移動していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

エルザ「お前はどう思う、ラクサス」

 

ラクサス「トールだな。あのガキから不思議な魔力を感じる。おそらくなんか隠してやがるぜ」

 

リサーナ「トール頑張れー!」

 

ちなみに卵はリサーナに預かってもらっている。

 

マカロフ「それでは初め!」

 

ナツ「おっしゃー!火竜の咆哮!」

 

トール「かえんほうしゃ!」

 

ドガアアアン!!!!

 

お互いの技がぶつかり、爆発をおこす。

 

ナツ「お前氷のドラゴンスレイヤーじゃなかったのか!?」

 

トール「言っただろ?東洋竜は妖術を使えるって。“かえんほうしゃ”も妖術の1つだぜ」

 

ナツ「おもしれえ!火竜の鉄拳!」

 

ナツが手に炎を纏ってトールにパンチをくりだすが、トールは避けてナツの体を上手く持ち上げ、上に放り投げた。

 

トール「氷結竜の咆哮!」

 

トールは上にいるナツに氷のブレスをぶちこむ。

 

ナツ「わああああ!」

 

ブレスは避けられないナツに直撃し、ナツは倒れてしまう。

 

マカロフ「勝者!トール!」

 

「「「「うおおおおおおおお!」」」」

 

『あのナツを一撃で倒した!?』

 

『あいつまだ9歳だろ!?』

 

『賭けは俺の勝ちだな、そんなわけで酒代よこせや』

 

『くっそー!持ってけドロボー!』

 

トール「ふぅ、疲れた疲れた。」

 

カナ「すごく強いんだね!」

 

トール「そーなの?強さの基準がわからないから比べようがないけど」

 

エルザ「ナツを一撃で倒したんだ。充分すごいぞ。どうだ、今度は私と「いや、俺とやってもらうぞ」」

 

エルザの言葉を遮ってトールに勝負を挑んだのはラクサスだった。

 

グレイ「ラクサス!」

 

ラクサス「それに、こいつからは只者じゃない魔力を感じる。いいよな、ジジイ」

 

マカロフ「別によいが、トールはまだ9歳じゃ。無茶はさせるなよ」

 

ラクサス「わかってるよ。つーわけで、いいよな?」

 

トール「いいけど30分くらい休憩させてくれない?俺ここに来るまでずっと歩いてたからさ」

 

ラクサス「よし、30分だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

───30分後───

 

ラクサス「よし、じゃあ始めるぞ」

 

トール「おし!やるか」

 

マカロフ「それでは初め!」

 

ラクサス「おらぁ!」

 

ラクサスはトールに雷をぶつけるが、

 

トール「せいっ!」

 

トールは指先から雷光のブレードを噴出し、ラクサスの雷と激突する。

 

ラクサス「(これが不思議な魔力の正体か。いや、まだあるな。洗いざらいはいてもらうぜ!!)そいつは妖術とは違うようだな」

 

トール「ああ、こいつは雷神魔法といってな。北欧神話の『雷神』の名を冠することで得た魔法なんだ。ちょうど俺の名前もトールだし」

 

ラクサス「ほう、珍しい魔法もってんだな。だが、雷を使う俺にとってはその魔法は聞かないぜ!

鳴り響くは召雷の轟き、天より落ちて灰燼と化せ!」

 

マカロフ「(ラクサスめ、やり過ぎるなと言うたのに。)」

 

マカロフがそんなことを考えてているうちに雷は集まっていく。

 

ラクサス「レイジングボルト!」

 

ラクサスはトールの頭上に集めた雷を、空中から叩き落とした。

 

トール「滅神モード!!」

 

ラクサス「!!!」

 

ラクサスはトールの言葉が聞こえたのと同時に、魔力の質が変わったのを感じたが、雷は地上に落ちて爆発した。

 

リサーナ「トール!」

 

グレイ「いくら何でもやり過ぎだぞ!」

 

ラクサス「・・・いや、そんなことはねえさ(俺が感じていた魔力の一番の原因はこれか)」

 

そこには雷を食べているトールの姿があった。

 

グレイ「なっ!?」

 

レビィ「雷を食べてる!?」

 

トール「そっ、俺は氷の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であると同時に氷と雷の滅神魔導士(ゴッドスレイヤー)でもあるんだぜ」

 

トールはそういい、右手に黒い雷を、左手に黒い氷を出現させた。

 

カナ「すごい・・・」

 

エルフマン「こんなにすごいものを隠してたんだ!」

 

エルザ「だが、なぜそんなに魔法をもっているんだ?」

 

その場にいた誰もが驚いた。だがエルザはそれよりも使う魔法の多さに疑問を感じていた。

 

トール「滅竜魔法は偶然だよ。でも、2つの滅神魔法は雷神魔法と全能神魔法の暴走を抑えるためでもあったんだ」

 

エルザ「全能神魔法?」

 

トール「ああ、元々神話の中のトールは雷神と言われているけど、そもそもは農耕、製造、気象、季節、天候、災害などのあらゆる全てを司った全能の神なんだ。」

 

ナツ「何言ってんのか全然わかんねえ」

 

グレイ「俺も」

 

エルフマン「俺も」

 

リサーナ「私も」

 

トールはちゃんと説明したつもりだったが、大半の人は意味がわからないような顔をしていた。

 

トール「要するに、神話のトールの力を使う魔法なんだ。その魔法の暴走を抑えるために滅神魔法を覚えたっていうことだ。神と神殺しは一緒にはいられないからな。」

 

ラクサス「なるほど、そういうことか。だからさっき『滅神モード』って言ってたのか。まあ、雷神に雷が通用するとは思わねえけどな」

 

グレイ「で、その全能神魔法ってどんな魔法なんだ?」

 

マカロフ「自分が絶対に勝てる位置に、または絶対に負けない位置に地球ごと移動させる魔法じゃ。」

 

エルザ「知ってたのですかマスター!?」

 

マカロフ「ああ、じゃが使いすぎると自転や公転の誤差が修正しきれなくなるんじゃ」

 

エルザ「(なるほど、だから滅神魔法を。だがトールの言い方からすると、すでに暴走を起こしたことがあるということか)」

 

トール「おまけに消耗も激しいしな。こればっかりは強くなるしかねえか。で、どうする、ラクサス。そっちの魔法は聞かないぜ」

 

ラクサス「そうだな。だがな、拳は効くだろうが!」

 

ラクサスは雷のスピードでトールを殴った。

 

トール「力比べか。分は悪いけど、負けらんねえ!」

 

ラクサス「おらぁ!」

 

トール「はぁっ!」

 

マカロフ「(ラクサスめ、楽しそうにしおって・・・)」

 

2人の殴りあいを見てマカロフは嬉しそうにラクサスを見る。そして2人の勝負は決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立っていたのはラクサスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

マカロフ「勝者!ラクサス!」

 

『いい勝負だったな!』

 

ナツ「すっげえ!ラクサスもトールも絶対に倒してやる!」

 

グレイ「トールに一撃でやられたのに無理に決まってんだろ」

 

ナツ「なんだとグレイ!」

 

グレイ「やんのかナツ!」

 

エルザ「ケンカは止めんか!」

 

「「はいー!!!」」

 

トール「くっそー!負けちまったかー。体も鍛えないとな」

 

ラクサス「ふっ、まだまだ俺には届かねえな」

 

トール「次は負けねえぞラクサス!」

 

ラクサス「上等だ、そんときは返り討ちにしてやるぜ」

 

 

トールは立ち上がってラクサスと握手した。

 

 




ラクサスが仲間思いということを印象づけたかったのでまだ荒れてないようにしました。

ラクサスが変わった原因をマスターがイワンを破門にしたこととリサーナが死んだ(エドラスにいった)ときのギルドの雰囲気ということにいようかと思って。

トールの雷神魔法と全能神魔法は禁書のトールの魔術そのままだからわからなかったら禁書のWikipediaでも見てください。霊装は後から造ったという設定ですのでその辺もいろいろご了承ください

雷を使うから雷が効かないなんてことはないんですよね、ラクサスはドラゴンスレイヤーということを隠しているからみんなその時は納得するんだろうけど。

トールがラクサスに勝つのはもっと後ということにします。実をいうとラクサスを強化することにしました。個人的にラクサス好きなんでね。


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誕生

───ナツやラクサスとの試合から数日後───

 

トールside

 

トール「う~ん。そろそろ産まれると思うんだけどなー」

 

グレイ「まだ産まれねえのか?」

 

俺が卵のことについて悩んでいると半裸のグレイが現れた。

 

トール「うん、卵から産まれる時期も分からねえしな。あとグレイ服」

 

グレイ「のわっ!?いつの間に」

 

そこにナツやリサーナたちがやってきた。

 

リサーナ「私も手伝ってるけど、動く回数も増えているからもうすぐじゃない?」

 

ナツ「卵を暖めればいいんだろ?だったら俺が暖めてやるよ!」

 

そう言ってナツが炎を吹こうとしたので、俺とリサーナは卵の前にたつ。

 

リサーナ「だめだよナツ!」

 

トール「そうだよ!ナツがやったら卵が焦げちゃうよ」

 

ナツ「なんだとー!」

 

トール「だってナツの炎は強力だから卵を暖めるのに適さないよ」

 

ナツ「そ、そうか!俺の炎は強いのか!うひょー!!そうと決まれば早速エルザを倒してやる!エルザはどこだぁ!!」

 

ナツは嬉しくなって炎を吐きながらギルドを飛び出していった。

 

トール「行っちゃった」

 

グレイ「おだてんのうめえなトールは」

 

カナ「あれはナツが単純なだけじゃないの?」

 

グレイ「ははっ、ちげえねえ!」

 

トール「んじゃあ気分転換に仕事でも行こっかな」

 

リサーナ「卵はどうするの?」

 

トール「一緒に連れてく」

 

カナ「誰かに預けたら?」

 

トール「いや、いいんだ。俺決めたんだ。生まれてくる生き物とずっと一緒に生きていくって」

 

俺がそう言ったそのとき、

 

 

 

 

ーーーピキッーーー

 

 

何かが割れるような音がした瞬間、ギルドにいた全員が卵をみた。すると卵にはヒビが入っていた。

 

『おおー!!』

 

『ついに産まれるのか!?』

 

『おい押すなよ!』

 

リサーナ「どんな子が産まれるのかな?」

 

ーーーピキピキピキッーーー

 

ヒビが卵全体に広がっていく。

 

誰もが卵に夢中になっていた。

 

ピカ一ーーーーーー!!!!

 

卵が割れ、産まれる生き物が光っている。

 

光が薄れ、見えるようになると、

 

 

 

 

 

 

 

そこには羽の生えたネコがいた。

 

『ネコ!?』

 

トール・リサーナ「わあっ!!!」

 

「羽はえてんぞ・・・鳥か?」

 

「いや、ネコだろ」

 

「オレンジのネコだ」

 

そのネコは小さな羽で俺の頭まで何とか飛び、頭の上に着地した。

 

リサーナ「かわいー!!!」

 

『かわいー!!!』

 

「・・・んんっ」

 

ギルドのみんなが騒いでいると、ネコが目を開けた。

俺は頭の上に乗っているネコを抱き抱える。

 

トール「おはよう!」

 

「・・・・おはよう?」

 

トール「俺はトール。よろしくな!」

 

「・・・トール・・・・・・ずっと一緒・・・」

 

トール「!!!」

 

リサーナ「さっきの話聞いてたんだ!」

 

トール「ああ、ずっと一緒だ!」

 

「・・・えへへっ」

 

リサーナ「ねえ、名前はどうするの?」

 

トール「無難にミカンってのはどうかな?」

 

グレイ「それは流石に単純すぎだろ」

 

トール「それもそうだな。うーん、じゃあっアニスてのはどうだ?」

 

リサーナ「それいいね!」

 

トール「よし、今日からお前の名前はアニスだ!」

 

アニス「うん!よろしくね、トール!」

 

 

こうしてアニスはフェアリーテイルに入り、トールのパートナーとなった。




名前つけるのに以外と苦労しました。

はじめは本当にミカンにしようと思ったけど食べ物が名前は流石にどうかと思ったのでこうなりました。


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最強のおやじ

最強さん登場


三人目のオリキャラを出します


トールside

 

 

アニスが産まれてから1ヶ月ほどたった。

ミラはギルドに入ったときはほとんどしゃべらなかったが、今ではエルザと張り合い、自他共に認めるほどのライバル関係となっている。きっとエルフマンとリサーナが何とかしてくれたんだろう、同じ魔法を覚えていたからな。あと、ナツが卵を拾ってきた。模様は違うけど同じ形だったからリサーナと一緒に手伝った。すると案の定、青いネコが産まれた。ナツはそのネコをハッピーと名付けていた。俺はナツほどではないけどギルドの仲間と手合わせしている。エルザやミラには互角以上の戦いはできるけど、ラクサスにはどうしても勝てない。あいつの魔法は俺には効かないからいつも拳で勝負するが、いつも負けてしまう。いつか絶対勝ってやる。

 

 

 

そして今俺とアニスは水薬草という草を採るために森にいる。なんでも水薬草は薬草よりも水分がとても多く、そのまますりつぶさずに食べることができるとかなんとか。

 

トール「よし、これだけ揃えば大丈夫だろ」

 

アニス「あんまり取りすぎると生えなくなっちゃうしね」

 

トール「そんじゃあさっさと依頼人のところに行って仕事を終わらせるか」

 

アニス「早くプリン食べたいな~」

 

俺とアニスの最近の流行りはプリンだったりする。あれは今まで食べた中で一番に美味かった。あれより美味いものが他にあるのかと言いたいくらい。

 

そんなことを話していると、森の中で不思議な光景を目にした。

 

アニス「なんだろねあれ」

 

トール「あれは・・・人じゃないか!?」

 

森の中で人が倒れていたから俺とアニスは走り出す。

近づいていくと、その人は女の子で怪我をしていて、意識が朦朧としていた。

トール「おい、しっかりしろ!大丈夫か!?」

 

アニス「そうだ!水薬草があれば!」

 

トール「傷を治せる、か。よし、わかった!」

 

俺は水薬草を1つ取り、その子の口へ入れる。

 

トール「ほら、これを飲み込め!これを飲み込めば大丈夫だ!」

 

女の子は薬草を何とか飲み込んだ。すると女の子の体にあった傷がどんどん引いていった。そして少女は虚ろだった目を閉じ、意識をうしなった。

 

アニス「すごいねこの薬草」

 

トール「とりあえず良かったな」

 

しばらくして、少女の目が覚めた。

 

「ん・・・。ここは・・・」

 

トール「お、気がついた」

 

アニス「大丈夫?もう痛くない?」

 

俺とアニスは目覚めた少女に声をかけるが、

 

「いや!来ないで!」

 

少女は俺たちを見て怯えるように後ずさりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者(と少女)side

 

「ほら、これを飲み込め!これを飲み込めば大丈夫だ!」

 

少女は意識が朦朧とするなか、少年の声が聞こえたのと同時に口のなかに何かを入れられた。少女は吐き出そうとしたが、怪我のため体がいうことをきかなかった。それに、少女は少年の言葉に偽りがないとなんとなく思えた。少女は口のなかに入れられたものを飲み込むと、体が軽くなったのを感じた。

 

「(傷が治ったのかな?)」

 

少女は傷が引いていくのを見ようとすると、意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・ここは・・・」

 

少女はしばらくして目が覚めた。

 

トール「お、気がついた」

 

アニス「もう痛くない?」

 

「いや!来ないで!」

 

少女は目の前にいたトールとアニスに怯えてしまう。

だがトールはそんな少女の様子を気にせず少女に寄ってくる。

 

「(怖い・・・!!怖い・・・!!)」

 

少女は近づいてくるトールに恐怖を感じる。少女はトールに暴力を振るわれるのではないかと思い、体が固まって動かなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、少女が次に感じたのは恐怖ではなく、何かに抱かれたようだった。

 

トールが少女に抱きついたのだった。

 

トール「大丈夫。もう怖くないぜ」

 

トールは少女の気持ちを落ちつかせようとする。

 

「(・・・・・あったかい・・・)」

 

トール「今はまだ話さなくていいから。心が落ち着いてから話してくれないか?」

 

「・・・うん」

 

少女はしばらくトールに抱かれたままでいた。アニスはその様子を見守っていた。

 

しばらくして、少女の口が動いた。

 

「・・・私のいた町、闇ギルドに襲われて、それで私は命かながら逃げ出して・・・傷は全部転んだときについたの」

 

少女は自分の過去を話した。

 

トール「・・・そっか。俺も同じだ」

 

その言葉を聞いた瞬間、少女は顔を上げてトールを見る。

 

トール「俺の町も闇ギルドに、襲われてな。両親も、町のみんなも死んだ。でもさ、それでも俺は希望があった。姉ちゃんや妹、それに一人の友達はもしかしたら生きているかもしてないんだ。だから俺は諦めない。絶対生きてるって信じてるから」

 

「・・・そうなんだ・・・」

 

トールは少女を抱いていた手をはなす。

 

トール「それにさ、今俺たちギルドに入ってるんだ」

 

「ギルド?」

 

アニス「うん。魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)っていうんだよ」

 

トール「どうだ?お前もウチにくるか?ウチなら来るもの拒まずだぜ」

 

アニス「みんな優しいからね」

 

「いいの?」

 

トール「大丈夫さ。で、どうすんだ?」

 

「行く!私にも居場所がほしい!」

 

アニス「決まりだね!」

 

トール「そうと決まれば早くギルドに戻るか。この水薬草を届けてからな。そういや、まだ名前いってなかったな。俺はトール・イエスタだ」

 

アニス「私はアニスだよ」

 

パオラ「わたしはパオラ・マラミア。これからよろしくね、トール!アニス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「・・・というわけで、パオラをウチに招待しました」

 

パオラ「よ、よろしくお願いします」

 

マカロフ「おう、よろしく!」

 

『よろしくー!!!』

 

ナツ「おいお前!俺と勝負しろ!」

 

グレイ「いきなりそれかよ!」

 

パオラ「ひっ。私はまだ魔法使えないよ」

 

ナツがパオラに勝負を挑むがパオラは怯えてトールの後ろに隠れる。

 

アニス「だめじゃない、女の子を怖がらせちゃ」

 

ナツ「ご、ごめん・・・」

 

トール「まあ魔法ならそのうち覚えればいいさ」

 

リサーナ「そうそう、仲良くやろうよ、パオラ」

 

パオラ「うん、よろしく!」

 

ミラ「トールが連れてきたってことはエルザ派じゃあねえな」

 

エルザ「仲間なんだからどっちでもいいだろう」

 

ミラ「なんだとこのガチガチ女が!」

 

エルザ「へそだし女が!」

 

エルフマン「また始まっちゃった・・・」

 

グレイ「エルザのやつ、あれで俺たちにケンカすんなって言うんだから頭くるぜ」

 

ナツ「くそー!エルザもミラもいつかまとめてぶったおしてやる」

 

ハッピー「きっと無理だと思うよ」

 

ギルドの雰囲気がいつも通りになってきたそのとき、

 

 

 

ゴーンゴゴーン!!!

 

トール「なんだろう?」

 

アニス「鐘の音?」

 

ナツ「ギルダーツだ!!!」

 

グレイ「帰ってきたのか!」

 

「マグノリアをギルダーツシフトへ変えます。町民のみなさん!!すみやかに所定の位置へ!!」

 

その瞬間町が割れた。そして、ギルドの

入り口にギルダーツが現れた

 

ギルダーツ「ふう、ただいま」

 

マカロフ「ギルダーツ。仕事のほうは?」

 

ギルダーツ「ああ。バッチリ終わらせてきたぜ」

 

マカロフ「おおそーか。新しく入ってきた子たちじゃ。ほれ、挨拶せんかい」

 

そう言われてミラ、エルフマン、リサーナ、トール、パオラ、アニス、ハッピーの順に挨拶していく

 

ギルダーツ「おおー!ネコが2匹いて喋りながら浮いてんぞ!」

 

ナツ「ギルダーツ!俺と勝負しろ!」

 

そう言ってナツがギルダーツに突っ込んでいくが、

 

ドゴン!!!

 

ギルダーツはナツを手刀一撃だけで倒してしまった。

 

ギルダーツ「さぁ、次に来るのはどいつだ?」

 

ミラ「アタシはいいや」

 

トール「俺も遠慮しとこ」

 

新人たちはギルダーツの強さを思い知った。

 

 

 

 

 

 

 




一応いっておくけど、主人公とパオラの町は違う町です。


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もっと強くなる

───782年───

 

トールはアニスとパオラと仕事に出かけていた。仕事の内容は『村で暴れる魔物の退治──報酬10万ジュエル』とのことだ。今トールたちはその魔物の前にいる。

 

「ガアアアア!!」

 

パオラ「今よトール!」

 

トール「ああ、氷神の怒号!」

 

ドゴォォォォン!!!

 

トールの魔法をくらった魔物は力尽きて倒れてしまった。

 

パオラ「ふう、終わった終わった~」

 

アニス「お疲れ!」

 

トール「さ、報酬貰ってとっとと帰ろうぜ」

 

「「うん!」」

 

 

 

 

───マグノリア───

 

 

トール「ただいまー」

 

グレイ(パンツ)「よお、帰ってきたか」

 

パオラ「グレイ服!」

 

グレイ「うおっ!」

 

アニス「羞恥心もへったくれもないね」

 

トール「てゆーか、ナツと喧嘩してないんだな、めずらしい」

 

グレイ「いや、ナツは今日はギルドに来てないぞ」

 

パオラ「それもめずらしいね」

 

トール「面白そうだから見に行こうぜアニス」

 

アニス「いいよー」

 

トール「パオラは?」

 

パオラ「私はいいや。疲れたから帰って寝るよ」

 

トール「わかった。じゃーな」

 

パオラ「また明日ね!」

 

アニス「暖かくして寝なさいよー」

 

トール「おのれはおかんか。グレイはどうする?」

 

グレイ「めんどくせえからいいわ」

 

トール「んじゃあいくかアニス」

 

アニス「日が落ちたら流石に帰ろうね。正直私はどうでもいいから」

 

トール「わかってるって、ちよっと気になっただけだから。町中をちょっと歩き回るだけていいだろ。あといい加減服着ろよグレイ、いつの間にパンツ脱いだんだよ」

 

グレイ(全裸)「ぬあっ!!」

 

トールとアニスは家に帰ったパオラと未だに全裸のグレイと別れ、軽い気持ちでナツを探しにいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「どこにいんのかな?」

 

アニス「やっぱりギルドにいないなら家にいるんじゃない?」

 

トール「それもそうだな。あーなんかめんどくさくなってきたな。とっとと帰るか」

 

「おーいトール、アニス!」

 

トールたちが家に帰ろうとした瞬間声が聞こえた。

声をかけたのはミラだった。隣にはエルフマンがいる。

 

アニス「どうしたの?二人とも」

 

エルフマン「二人とも、リサーナを知らないか?これから仕事に行こうと思って」

 

トール「いや知らねえぞ。どんな仕事なんだ?」

 

エルフマン「獣の王“ザ・ビースト”っていうモンスターを倒すんだ」

 

トール「へえ、面白そうだな!俺らも一緒に行っていい?モンスターも気になるしよ」

 

ミラ「ああいいぜ。いい経験になるしな」

 

エルフマン「パオラはどうしたんだ?」

 

アニス「疲れたからって言って帰ったよ」

 

ミラ「まあいいや。早くリサーナを見つけて仕事に行くぞ」

 

 

 

 

トールたちはリサーナを探していると、リサーナの声が聞こえたので声の方向を向くとリサーナの他にナツとハッピーがいた。

 

ハッピー「ナツったらひどいんだ!オイラの魚全部食べちゃったんだ!」

 

ナツ「ケチくせえこと言うなよ!」

 

ナツとハッピーが言い争いをしている。その話をリサーナが近くで聞いていた。

 

トール「いたじゃん。」

 

アニス「ナツとハッピーもいるよ」

 

ミラ「そうみたいだな」

 

エルフマン「おーいリサーナ!仕事だ仕事!」

 

リサーナ「え?だってまだ戻ってきたばかりじゃない」

 

エルフマン「S級だよ、S級。姉ちゃんが受けた仕事のサポートにいくんだ」

 

ナツ「ずりぃぞ!なんだそれ!」

 

ハッピー「どんな仕事?」

 

ミラ「緊急討伐さ。獣の王“ザ・ビースト”ってモンスターをシメに行くのさ」

 

トール「俺らも行くんだぜ!」

 

ミラ「ナツ、お前も一緒に来ねえか?いい経験になるしよ」

 

エルフマン「まじか。俺は反対だ!漢たるもの、一人で家族を守るべし!!!」

 

ナツ「だー!!!ケチくせえこと言わねえで連れてってくれ!」

 

 

 

なんやかんやで仕事にはミラ、エルフマン、リサーナ、トール、アニスでいくことになった。

 

 

 

 

 

後でエルフマンは後悔した。せめてナツを連れていけば、あんなことにはならなかったんじゃないか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

ミラ「エルフマン!!しっかりしろ、エルフマン!!!」

 

トール「う・・くっ・・・」

 

エルフマンはミラを庇ってビーストを接収(テイクオーバー)しようとしたが、ビーストの魔力は強大すぎて理性を失ってしまった。トールは理性を失ったエルフマンを元に戻すためにエルフマンを弱らせようとしたが、エルフマンの攻撃をガードしたとはいえくらってしまったので体があまりいうことをきかず、意識が朦朧としていた。

 

リサーナ「ミラ姉!!」

 

アニス「トール!!」

 

町民の避難をしていたリサーナとアニスが戻ってきた。だが、戦況はあまり変わらない。早くエルフマンの正気を取り戻さなければ、ビーストに取り込まれてしまう。

 

そのとき、リサーナがエルフマンのもとへ歩いた。

 

ミラ「リサーナ!何を!」

 

リサーナ「エルフ兄ちゃん。どうしたの?妹のリサーナだよ。ミラ姉のことも忘れちゃったの?」

 

「グルルル・・・」

 

リサーナ「エルフ兄ちゃんが私たちのことを忘れるわけないよね。だって私たちエルフ兄ちゃんのこと、大好きだもん!」

 

「グォォォォォ!!!」

 

リサーナ「さあ、もうおうちへ帰ろ!エルフ兄ちゃん!」

 

 

 

だが、リサーナの声は届かず、エルフマンはリサーナを攻撃してしまい、リサーナはぶっとばされてしまった。

 

「「「リサーナ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

そして、リサーナは死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───数日後───

 

トール「・・・」

 

パオラ「トール・・・」

 

アニス「・・・」

 

トールたちは今、ナツと作ったお墓の前にいた。その場所は、リサーナが夕日がキレイといっていたばしょだった。

 

トール「へへっ、情けねえよなあ。どれだけ力があろうが、大切なものを守れなきゃ、その力は全く意味がないんだよな」

 

パオラ「そんなこと・・・!」

 

トール「あのときだってそうだったんだ。俺にもっと力があれば、父さんは・・・みんなは・・・」

 

アニス「トール・・・」

 

トール「俺は・・どうすりゃあいいんだよ・・・」

 

「だったら強くなるしかねえだろ」

 

そこに現れたのはラクサスだった。

 

トール「ラクサス・・・」

 

ラクサス「ここでくよくよしてるのが、リサーナの望んだことなのか」

 

トール「・・・」

 

ラクサス「このまま過去に引きずられていくのか、乗り越えてさらに強くなるのか、どっちがいいかなんて簡単だろう」

 

そう言ってラクサスはこの場を立ち去っていった。

 

パオラ「トール!!!」

 

トール「パオラ・・・」

 

パオラ「強くなろう!今度は失わないために!」

 

アニス「そうだよ!それに、お姉さんたちを見つけるんでしょ!」

 

トール「アニス、パオラ・・・。そうだな、こんなとこで立ち止まってても、なんの意味もないよな!」

 

パオラ「うん!」

 

アニス「さあ、明日からまた頑張ろう!」

 

「「ああ!(うん!)」」

 

3人は決意を固め、未来へ向かって歩き出すのだった。

 

トール「(今度は絶対仲間を守る!そのためならどんな魔法だって身につけてやる!仲間を守るために!!)」

 

 

 

 

 

ラクサスside

 

リサーナが死んだことで、ギルドの雰囲気はこれ以上ないくらい暗くなっている。当然だ、仲間が死んだのだから。もうあいつらにこんな思いはさせねえ・・・!!これ以上仲間を失わないためには・・、俺が強くしてやる!!誰にも負けることのない最強のギルドにな・・・!!!

 

 

 

 

 

このあと、ラクサスは変わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌年783年、トールはS級試験に合格し、S級魔導士となった。




なんでエルフマンはトールには言わず、ナツには反対したかって?


これぞご都合主義だヽ( ̄▽ ̄)ノ

はい、すいません


仲間を失わないために
トール→魔法の種類を増やす
ラクサス→ギルドを強くする

ていうような感じです。ラクサスをこんな風に書いたのは仲間思いということを出したかったからです。

ちなみにトールの試験のパートナーはアニスです。

オリ主は
歳のわりにはチート(ギルド加入時~)
魔法の種類がチート、実力はエルザ以上ラクサス未満(リサーナ死後~)
パーフェクトチート(大魔闘演武前の3ヶ月~)
というふうにします


これでやっと原作に入れる、よな?

てゆーかパーフェクトチートてなんだよ
パーフェクトセルみたいだな


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オリキャラ紹介

オリキャラ紹介

 

 

〇トール・イエスタ

 

 

異名

『凍てつく雷神』

 

 

年齢

15歳(ルーシィ加入時)

 

 

ギルド

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

マーク

へその左下辺り

 

 

容姿

黄色と黒を基調にしたぴったりとした上着とズボンを着用し、肩にはストールを纏っている。髪は、線の細くて腰まである長い金髪である。

(とある魔術の禁書目録のトール)

 

たまに女性と間違われることがある。その時は相手次第ではすごく怒ることもある。

 

性格

大人しくて普段はあまりケンカをしない。でも、ノリがいい時やキレた時にはケンカに参加している。以前は少し戦闘狂だった。怒ると気性が少し荒くなり、怒りが治まるまで時間がかかる。

 

 

身長

169㎝

 

 

体重

59kg

 

 

使用魔法

 

[雷神魔法]

北欧神話における『雷神』の名を冠することで得た魔法。指先や足から雷光のブレードを噴出する魔法。通常は20mだが、トールの持っているハンマー『投擲の槌(ミョルニル)』に接続し、永続的に力の供給を受けることで、雷光を最大2kmまで伸ばすことができる。フルパワーの出力を出すと、人体をも容易く溶かしてしまう。

 

[変身魔法]

北欧神話のトールの伝承に乗っ取った魔法のため、女性にしか変身できない。

 

[全能神魔法]

自分が相手に必ず勝てる位置に地球ごと移動させる魔法。魔力の消費が激しく、使いすぎると自転や公転の誤差が修正しきれなくなるのであまり使わない。

 

[氷の滅竜魔法]

キュレムに教えてもらった魔法。

モードブラックキュレム:身体能力が上昇し、雷を纏う。

モードホワイトキュレム:魔法効果が上昇し、炎を纏う。

 

[氷と雷の滅神魔法]

雷神魔法と全能神魔法の暴走しないように力を抑えるために覚えた。

 

[暗黒魔法]

闇系統の魔法の中で最高位の魔法。この魔法を覚えていることで幻影の魔法は効かないが、幻影の魔法を解除することはできない。一番最初に覚えた魔法で、この魔法は父親から教わった。

 

etc.

 

好きなもの

アニス(エクシード) プリン

 

嫌いなもの

幽霊、苦いもの

 

 

趣味

武器の開発、甘いもの巡り

 

 

持っている武器

投擲の槌(ミョルニル):2~3mほどのハンマー。結構重い。

メギンギョルズ:重たいものを持ち上げることができる力帯。でも、トールは使わなくても一応力持ちではある。

ドラグーン:魔導ミニ飛行艇。2人乗り。イメージはカービィのドラグーン。

 

 

概要

とある町に平和に暮らしていたが、悪魔の心臓(グリモアハート)に襲われて町は壊滅した(トールは襲ったのが悪魔の心臓(グリモアハート)とは知らない)。世界を渡り歩いていくうちに東洋に行き着き、776年に氷の東洋竜キュレムに雪山で出会った。777年7月7日に滅竜魔法を修得した後にキュレムと別れて西洋に渡り、旅の途中にミラたちと出会い、ミラたちと妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入る。ミラたちとS級試験に行き、リサーナを目の前で失い、このままでは仲間を守れないと思い、いろんな魔法を覚えるようになった。また、リサーナを失ったことでかなり落ち込んでいたが、アニスやパオラ、ラクサスに励まされたことで立ち直っている。783年にS級魔導士になる(当時14歳)。生まれつき魔力の回復速度が異常に速い。

ギルドの仲間とは誰でも仲が良く(ラクサスやミストガン含む)、特にパオラ、リサーナ、ナツ、グレイとは仲が良かった。実はエルザとミラとミストガンのS級試験のパートナーになったことがある。アニスとはいつも一緒にいて、頭の上や、フードの中(フード付きの服を着ているとき)にいる。恋愛事には鈍感なため、パオラの好意に気づいていない。

普通の酒には強いが、アルコール度数が高い酒にはめっぽう弱い。

姉と妹がいるが現在行方不明。いろいろと秘密がある様子。

 

 

 

〇アニス

 

 

特徴

橙色のエクシード

 

 

好きなもの

トール、プリン、お菓子

 

 

嫌いなもの

ネバネバしたもの

 

 

使用魔法

 

[サイコキネシス]

物や人を浮かせたりすることができる

 

[(エーラ)]

 

 

概要

トールがミラたちとギルドに入る前にミラたちと一緒に卵を孵したときに産まれた。

 

 

 

〇パオラ・マラミア

 

 

異名

『流星の巫女』

 

 

年齢

15歳(ルーシィ加入時)

 

 

ギルド

妖精の尻尾

マーク

へその左下辺り

 

 

容姿

水色髪のショートカット

(ソードアートオンラインのシノン)

 

 

性格

基本的には優しいが、怒ると怖い。

 

 

身長

162cm

 

 

体重

秘密

 

 

使用魔法

[流星魔法(メテオマジック)]

天体魔法に似た魔法。属性は大地系、わざによっては光や炎もある。

 

 

好きなもの

甘いもの、トール

 

嫌いなもの

酸っぱいもの、過去の記憶

 

 

趣味

音楽鑑賞

 

 

所持している武器

破邪の弓:邪悪なるものを討ち滅ぼすといわれている弓。流星魔法とも組み合わせることができる。

 

概要

町が闇ギルドに襲われて村は全滅し、独りで森のなかを歩いていたところ、トールとアニスに発見された。そしてトールたちに招待されて妖精の尻尾に入った。

トールのことが好きなのだが、鈍感なため気づいてくれず、悩みの種となっている。

 

 

●東洋竜

 

 

その名の通り東洋に住んでいて、首の長い竜や西洋竜より体が小さい竜ばかりである。西洋竜と違って自分と同じ属性の魔法を食べることができず、五感も優れていない。だが、魔力は桁違いにあり、自分の属性以外の魔法も使える。また、東洋竜の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は乗り物酔いをしない。

東洋竜はドラゴンによって強さがバラバラだが、伝説と呼ばれるドラゴンたちは他のドラゴンより遥かに強く、アクノロギアと互角かもしれないと言われていた。東洋竜は人間と共存派だったが争いを好まず、竜王祭には参加すらしなかったが、自分の縄張りに入ってきたものには容赦がなかった。人間が東洋竜に会うのはとても難しく、竜族でも難しかったため、現代まで生き延びている。東洋竜は自分が滅竜魔法のラクリマとなって滅竜魔導士に食べさせることで修得させている。竜を信仰しているものたちが食料などの貢ぎ物をドラゴンに授けているという噂がある。

 

 

 

〇キュレム

 

 

特徴 東洋竜の氷のドラゴン

 

 

概要

トールに滅竜魔法を教えた育ての親。

 

使える妖術

サイコキネシス

かえんほうしゃ

10まんボルト

ソーラービーム




主人公は禁書のトールそのままです。でも性格はギルドに入ってからリサーナがエドラスにいくまではちょっと戦闘狂です。格好は禁書のトールそのままですが、ミョルニルはハンマーにして持たせることにしました。魔法は使ってた魔術より威力は小さ目です。滅神魔法は雷神と全能神の魔法の暴走を抑えるためと書いたけど本当は対ゼレフ用に加えました。ただ単にゼレフはアンクセラム神の呪いにかかったので滅神魔法なら呪いを消せるのではと思ったからです。闇の魔法はポケモンXDやイナズマイレブンの技を使いたかったという理由です。

東洋竜の妖術というのはポケモンの技ということにしました。ポケモンらしく4つにしました。技はキュレムとレシラムとゼクロムが覚える技から選びました。キュレムは映画とゲームで少し違うんですよね。映画はゼクロムとレシラムの力を併せ持つという設定ですけど、ゲームは大昔に一匹であったドラゴンポケモンがレシラム・ゼクロムの2匹に分かれたとき、『抜け殻』として残ったのがキュレムという設定なんですね。
詳しいことは調べてください。


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鉄の森
その列車はナツを乗せていく


───784年───

 

 

トールとアニス、パオラは盗賊の退治の仕事をしていた。

 

トール「もう逃げられねえぜ!」

 

パオラ「観念しなさい!」

 

「くっそー!こうなったら!」

 

盗賊のひとりが懐から煙玉を取り出して下へ投げつけた。

 

トール「煙幕か!」

 

パオラ「めんどくさいわね!」

 

盗賊たちは今のうちに逃げようとしたが、

 

「なっ!」

 

「動けねえ!何でだ!?」

 

盗賊たちは動けなくなっていた。やがて煙がなくなると、オレンジ色のネコの目が光っていた。

 

「くっ、これはサイコキネシス!?」

 

「たかがネコ風情がなぜ魔法を!?」

 

盗賊たちがそういうとトールが自慢気に話す。

 

トール「ふふん。そりゃあ俺がアニスに教えたからな」

 

パオラ「さあ、これで終わりよ!メテオブラスト!!」

 

トール「氷結竜の咆哮!!」

 

パオラは両手を前に突き出して魔法を放ち、トールは氷のブレスを放った。

 

「「「ぎゃあああああああ!!!」」」

 

盗賊たちはトールたちの攻撃を受けて倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、しっかり歩け!」

 

「ううっ、くっそ」

 

盗賊たちは評議院たちに連れていかれていく。そのときトールたちは評議院の1人、ラハールと話していた。

 

ラハール「ご苦労様です」

 

パオラ「あとはよろしくね」

 

ラハール「はい。しかし、いつも被害が少ないのは流石ですね」

 

トール「まあ、被害を少なくしようとしてますしね」

 

ラハール「他のメンバーの人達にも出来れば見習ってほしいのですが・・・」

 

ラハールがそういった瞬間、トールたちは炎を吹くナツや裸のグレイを頭に浮かべた。

 

トール「・・・なんかすいません」

 

ラハール「そちらも大変なんですね」

 

アニス「あははは・・・」

 

パオラ「それじゃ、そろそろギルドに帰ります」

 

トール「そちらも頑張ってください、ラハールさん」

 

ラハール「はい、お疲れ様でした」

 

トールたちはラハールたち評議院と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「あー終わった終わったー」

 

パオラ「依頼料も15万だったから良い仕事だったね」

 

アニス「そろそろギルドにつくよー」

 

「「「ただいまー!」」」

 

トールたちはギルドの扉を開けた。

 

 

 

───時は少し遡り───

 

ロキ「ナツ!グレイ!まずいぞ!」

 

ナツ・グレイ「「あ?」」

 

ロキ「エルザが帰ってきた!!」

 

ナツ・グレイ「あ"!?」

 

ロキの言葉を聞いた瞬間、ナツとグレイだけでなく、ギルドにいるほとんどのひとが焦り、ギルドがざわついていく。

 

ズシィン!!!ズシィン!!!ズシィン!!!

 

そして妖精の尻尾では数少ないS級魔導士エルザ・スカーレットがギルドに帰ってきていた。

 

エルザ「今戻った。マスターはおられるか?」

 

ミラ「お帰り!!マスターは定例会よ」

 

エルザ「そうか」

 

みんながエルザにビビるなか、現役を引退したミラが受け答えする。

 

「エ、エルザさん・・・。そ、そのバカでかいの何ですかい?」

 

エルザ「ん?これか。討伐した魔物の角に地元の者が飾りをほどこしてくれてな。綺麗だったのでここへの土産にしようと思ってな。迷惑か?」

 

「い、いえ滅相もない!」

 

「討伐した魔物の角か・・・」

 

「すげ・・・」

 

エルザ「それよりお前たち、また問題ばかり起こしているようだな。マスターが許しても私は許さんぞ」

 

ルーシィ「な、なにこの人・・・」

 

ハッピー「エルザ!!とっても強いんだ」

 

エルザはギルドのみんなに注意をしていく。その姿は最近入った新人のルーシィにとっては風紀委員に見えた。

 

エルザ「ところで、トールとパオラはいるか?」

 

ミラ「まだ仕事中よ」

 

エルザ「そうか。なら、ナツとグレイはいるか?」

 

ハッピー「あい」

 

グレイ「や、やあエルザ・・オ、オレたち今日も仲よし・・よく・・や、やってるぜぃ」

 

ナツ「あ゙い」

 

ルーシィ「ナツがハッピーみたいになった!!

・・・てゆうか、トールとパオラ?」

 

ルーシィはナツの変化に驚くが、先程の会話で出た人物が気になった。

 

ハッピー「あい、現時点で多分最強チームだと思うよ」

 

ルーシィ「へえーそうなんだ。どんな人達なの?」

 

ハッピー「それはね「「「ただいまー!」」」今帰ってきた人達だよ」

 

そしてトールたちが帰ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ただいまー!」」」

 

ミラ「3人ともお帰りなさい!」

 

トールたちが帰ってきて声を一番最初にかけたのはミラだった。

 

パオラ「うん。ただいま、ミラ」

 

トール「あれ、エルザも帰ってきたのか」

 

エルザ「ああ。お前たちに頼みがある。ナツとグレイもな」

 

アニス「どうしたの?」

 

ルーシィ「ハッピーと同じネコ!?」

 

ルーシィがアニスの存在に驚くがエルザは気にせず話をつづける。

 

エルザ「仕事先で厄介な話を耳にしてしまった。本来ならマスターの判断をあおぐトコなんだが、早期解決が望ましいと私は判断した。みんなの力を貸してほしい、ついてきてくれるな?」

 

グレイ「え!?」

 

ナツ「はい!?」

 

驚いたのは2人だけでなく、ギルドのみんなが驚く。

 

カナ「ど、どういうこと!?」

 

「あのエルザが誰かを誘うとこなんてトールやパオラ以外で初めて見たぞ!!」

 

ハッピー「何事なんだ・・・」

 

エルザ「出発は明日だ。準備をしておけ」

 

グレイ「あ、いや、ちょっ・・・」

 

ナツ「行くなんていったかよ!!」

 

トール「えー、エルザに加えてナツも一緒?もう仕事場所がぶっ壊れるのがすぐ頭に浮かんだんだけど」ヒソヒソ

 

パオラ「やっぱり?あたしも思った」ヒソヒソ

 

エルザ「何かいったか?」

 

「「「「いえ、なにも・・・」」」」

 

ミラ「エルザとトールとパオラとナツとグレイ・・・。今まで想像したこともなかったけど・・・」

 

ルーシィ「?」

 

ミラ「これってフェアリーテイル最強チームかも・・・」

 

ルーシィ「!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───マグノリア駅───

 

ナツ「なんでエルザみてーなバケモンがオレたちの力を借りてーんだよ」

 

グレイ「知らねえよ、つーか助けならオレ一人で十分なんだよ」

 

ナツ「じゃあオマエ一人で行けよっ!!オレは行きたくねえ!!!」

 

グレイ「じゃあ来んなよ!後でエルザに殺されちまえ!!!」

 

ルーシィ「迷惑だからやめなさい!!!もおっ!アンタたち何でそんなに仲悪いのよぉ」

 

ナツ「何しに来たんだよ」

 

ルーシィ「頼まれたのよ!ミラさんに。てゆーかトールさんとパオラさんは?」

 

グレイ「あそこだ」

 

グレイが指差したところにはトールとパオラとアニスがいた。

だが、3人がいたところはお菓子売り場だった。

 

トール「なんかうまそーなお菓子ないかなあ」

 

パオラ「これなんか美味しそうじゃない?」

 

アニス「おやつは300円までだよ」

 

ルーシィ「遠足前の子供か!」

 

そうこうしているうちにトールたちはお菓子を買ってナツたちと合流する。

 

トール「ナツたち早いね」

 

パオラ「あれ?あなたは?」

 

ルーシィ「あたしルーシィといいます!ミラさんに頼まれて同行することになりました。よろしくお願いします」

 

グレイ「ルーシィ、敬語で話す必要ないぞ」

 

ルーシィ「えっ?」

 

ハッピー「2人ともルーシィより年下だよ」

 

トール「俺はトールです。よろしくね」

 

パオラ「あたしはパオラ。よろしくね、ルーシィ」

 

アニス「あたしはアニス。よろしくね」

 

ルーシィ「よろしく!3人とも!そっかー、2人は私より年下なんだ。あ、敬語はいいからね」

 

グレイ「ああくっそ、冗談じゃねえ!トールやパオラはともかく、何でナツと一緒に仕事しなくちゃならねえ!胃が痛くなってきた・・・」

 

ハッピー「魚食べる?」

 

グレイ「いるか!!」

 

ナツ「ルーシィ何でおまえがいるんだ?」

 

ルーシィ「何も聞いてなかったの!?」

 

みんなで話していると、エルザがやってきた。

 

エルザ「すまない、待たせたか?」

 

──たくさんの荷物を持って。

 

ルーシィ「荷物多っ!」

 

グレイ「今日も元気にいってみよー!」

 

ナツ「あいさー!」

 

ルーシィ「出た、ハッピー2号!」

 

エルザ「ん?君は昨日妖精の尻尾にいたな・・・」

 

ルーシィ「あ、はい。新人のルーシィといいます。ミラさんに頼まれて同行することになりました。よろしくお願いします」

 

エルザ「私はエルザだ、よろしくな。そうか、ギルドの連中が騒いでいた娘とは君のことか。傭兵ゴリラを倒したとか何とか、頼もしいな」

 

トール「ほんとに?すげーなルーシィ」

 

パオラ「(てゆーか胸でかっ)」

 

エルザ「今回は少々危険な橋を渡るかもしれないがその活躍ぶりなら平気そうだな」

 

ルーシィ「危険!!!?」

 

ナツ「フン。何の用事か知らねぇが今回はついていってやる、条件付きでな」

 

エルザ「条件?」

 

グレイ「バ、バカ!オ、オレはエルザのためなら無償で働くぜっ」

 

アニス「なんか面白いセリフだね」

 

エルザ「言ってみろ」

 

ナツ「帰ってきたらオレと勝負しろ。あの時とは違うんだ」

 

『!!!!』

 

グレイ「オ、オイ!はやまるなっ!!死にてえのか!!?」

 

エルザ「確かにおまえは成長した。私はいささか自信がないが・・・いいだろう、受けてたつ」

 

ナツ「自信がねえってなんだよっ!!!本気で来いよな!!!」

 

エルザ「フフ・・わかっている。だがお前は強い。そう言いたかっただけだ。グレイ、お前も勝負したいのか?私と」

 

グレイ「」ブルンブルンブルン

 

トール「(うわ、すごい首の振り方・・・)」

 

その瞬間、グレイは首をちぎれるほど横に振り、トールはそんなグレイを見て少し驚いていた。

 

ナツ「あとトール!お前とも勝負だ!今度こそお前にも勝つ!!」

 

トール「えー、嫌だよ。めんどくさいよ」

 

パオラ「じゃあ勝ったらご飯を奢るってことで良いんじゃない?」

 

トール「帰ってからな、ナツ」

 

アニス・グレイ「「((単純・・・))」」

 

ナツ「おしっ!!!燃えてきたァ!!!やってやろうじゃねーかっ!!!!」

 

そうしたことがあって、トールたちは列車に乗っていった。

 

 

 

 

 

 




主人公よりラハールの方が年上だと思うけどラハールならほぼいつも敬語だと思うのでお互いに敬語を話すことにしました。


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鉄の森(アイゼンヴァルト)

───列車の中───

 

ナツ「はあ、はあ、はあ、はあ」

 

グレイ「なっさけねえなぁナツはよォ。うっとおしいからトールたちの席行けよ。つーか列車乗るな!走れ!」

 

パオラ「こっち来るのはいいけど吐かないでね」

 

ナツ「う・・・」

 

ルーシィ「まいどの事だけどつらそうね・・」

 

トール「あらら、大変ですな」ボリボリ

 

アニス「酔い止めの薬持ってくればいいのに」パクパク

 

ルーシィ「お菓子食べてるあんたらはのんきね」

 

ちなみに席順は

 

エルザ   ナツ

ルーシィ  グレイ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

    通路

_________

トール   パオラ

アニス

 

となっている。

 

エルザ「まったく、しょうがないな。私の隣に来い」

 

ナツ「あい・・」

 

ルーシィ「どけってことかしら・・・」ボソッ

 

ルーシィとナツが席を入れ替え、ナツがエルザの隣に座ると、

 

ボスッ!!!!!

 

エルザがナツの腹に一撃を加えてナツを気絶させた。これにはルーシィとハッピーは唖然とし、グレイとトール、パオラ、アニスは見て見ぬふりをした。

そこでルーシィが場の空気を変えるために話題を口にした。

 

ルーシィ「そういやあたし、妖精の尻尾でナツ以外の魔法を見たことないかも。エルザさんはどんな魔法を使うんですか?」

 

エルザ「エルザでいい」

 

アニス「エルザの魔法は綺麗だよね」

 

ハッピー「あい。血がいっぱいでるんだ、相手の」

 

ルーシィ「キレイなの?それ」

 

エルザ「たいしたことはない。私はグレイの魔法のほうが綺麗だと思うぞ」

 

グレイ「そうか?ふん!!」

 

エルザに言われてグレイは氷で妖精の尻尾の紋章を造り出した。

 

ルーシィ「わあっ!!!」

 

グレイ「氷の魔法さ」

 

ルーシィ「氷ってアンタ似合わないわね」

 

グレイ「ほっとけっての」

 

ルーシィ「ん?氷!火!ああ!だからアンタたち仲悪いのね!」

 

エルザ「そうだったのか?」

 

グレイ「どうでもいいだろそんな事ァ。トールだって氷の魔法をもってるんだぞ」

 

ルーシィ「え?そうなの?」

 

トール「そうだよ」

 

パオラ「他にもいろんな魔法をもってるんだよ」

 

グレイ「つーかそろそろ本題に入ろうぜエルザ。一体何事なんだ。」

 

トール「そういや、エルザほどの奴がこんなに人の力を借りたいなんてよほどのことだよな」

 

エルザ「そうだな、話しておこう。先の仕事の帰りだ、オニバスで魔導士が集まる酒場へ寄った時に少々気になる連中がいてな・・・」

 

 

 

 

 

『コラァ!酒遅ェぞ!』

 

『す、すみません』

 

『ったくよォなにモタモタしてんだよ!!』

 

『ビアード、そうカッカすんな』

 

『うん』

 

『これがイラつかずにいられるかってんだ!!せえっかくララバイの隠し場所を見つけたってのにあの封印だ!何なんだよアレはよォ!!まったく解けやしねえ!!!』

 

『バカ!声がでけぇよ』

 

『うん。うるせ』

 

『くそぉっ!!』

 

ビアードと呼ばれる男は仲間に注意されるが、あまりのイラつきに酒をがぶ飲みしている。すると今まで黙っていた男が話し出した。

 

『あの魔法の封印は人数がいれば解けるなんてものじゃないよ』

 

『あ?』

 

『後は僕がやるからみんなはギルドに戻ってるといいよ。エリゴールさんに伝えといて、必ず三日以内にララバイを持って帰るって』

 

『まじか!?解き方を思い付いたのか?』

 

『おお!!さすがカゲちゃん!!』

 

 

 

 

 

グレイ「ララバイ?」

 

ルーシィ「子守唄・・・。眠りの魔法かしら」

 

パオラ「ララバイ・・・どっかで聞いたような・・・」

 

エルザ「わからない・・・しかし封印されているという話を聞くとかなり強力な魔法だと思われる」

 

トール「別にそれだけなら問題ないんじゃないの?得体のしれない魔法の封印を解こうとしてる奴等がいるくらいなら」

 

グレイ「ああ。仕事かもしれねえし、なんて事ァねえだろ」

 

エルザ「そうだ、私も初めはそう気にかけてなかった。エリゴールという名を思い出すまではな」

 

トール「鉄の森(アイゼンヴァルト)のエース、死神エリゴールだな」

 

ルーシィ「し、死神!?」

 

エルザ「暗殺系の依頼ばかりを遂行し続け、ついた字だ。本来暗殺依頼は評議会の意向で禁止されているのだが鉄の森は金を選んだ」

 

列車を降りても話は続く。

 

エルザ「結果、6年前に魔導士ギルド連盟を追放。現在は闇ギルドというカテゴリーに分類されている」

 

ルーシィ「闇ギルドぉ!!?」

 

ハッピー「ルーシィ汁いっぱい出てるよ」

 

ルーシィ「汗よ!」

 

グレイ「なるほどねぇ」

 

トール「実はウチも問題ばかり起こして評議院に目を付けられてるとはルーシィには言わない方がいいかもね」ボソッ

 

パオラ「入ったばっかりだしね」ボソッ

 

アニス「多分もう知ってると思うよ」ボソッ

 

エルザが説明していながらも3人はぼそぼそと話し合う。

 

ルーシィ「ちょっと待って!!追放・・って処罰はされなかったの?」

 

アニス「されたよ。当時鉄の森のマスターは逮捕されてギルドは解散命令を出されたはずだよ」

 

エルザ「しかし闇ギルドの大半が解散命令を無視して活動し続けてるギルドの事なのさ」

 

ルーシィ「・・・帰ろっかな」

 

ハッピー「出た」

 

トール「ビビりすぎだって。正直大したことないだろ」

 

エルザ「不覚だった。あの時エリゴールの名に気づいていれば、全員血祭りにしてやったものを・・・」ゴゴゴゴ

 

ルーシィ「ひいいっ」

 

アニス「その場にいた連中だけならエルザ一人で何とかなったかもしれないけど・・・」

 

グレイ「ギルド一つまるまる相手となると・・ってことか」

 

エルザ「ああ。奴等はララバイなる魔法を入手し、何かを企んでいる。私はこの事実を看過する事はできないと判断した。鉄の森に乗り込むぞ」

 

グレイ「面白そうだな」

 

ルーシィ「来るんじゃなかった」

 

パオラ「まあまあそんな事言わずに」

 

ハッピー「汁出すぎだって」

 

ルーシィ「汁って言うな」

 

アニス「鉄の森の場所は知ってるの?」

 

エルザ「それをこの町で調べるんだ」

 

トール「喧嘩の前の前哨戦ってところか、面白くなってきたな、ナツ!・・・ってあれ?」

 

ルーシィ「やだ、嘘でしょ!?ナツがいないんだけどっ!!!」

 

『・・・・・・』

 

ナツを列車に置いてきちゃいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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死神

今回は少し長く書きました。


───オニバス駅───

 

エルザ「何ということだっ!!」

 

エルザはナツを列車に置いていったことを気づかなかった事に後悔していた。

 

エルザ「話に夢中なあまりナツを列車においていたっ!あいつは乗り物に弱いというのに!私の過失だ、とりあえず私を殴ってくれないか!!」

 

トール「いや《とりあえず》って・・・」

 

ルーシィ「まあまあまあ」

 

エルザ「そういう訳だ!列車を止める!」

 

「ど、どういうわけ?」

 

ルーシィ「妖精の尻尾の人はやっぱみんなこーゆー感じなだぁ・・・」

 

グレイ「オイ!オレはまともだぞ」

 

アニス「それは露出魔の言うセリフじゃないと思う」

 

パオラ「どうやら常識人はあたしとトールだけだね」ドヤァ

 

トール「そんなどや顔で言わなくても・・・」

 

ルーシィ「確かにそうよね。なんで?」

 

トール「人間って自分よりおかしな人を見ると自分はちゃんとしようって思うんだよ」

 

ルーシィ「・・・アンタたちも大変ね」

 

パオラ「これからはルーシィもおんなじ目に合うんだよ」

 

トール・アニス「「ドンマイ」」

 

その言葉を聞いた瞬間、ルーシィはこれからの自分を想像してゲンナリとした顔をした。そのとき、

 

ジリリリリリリリリ!!!!

 

エルザに命じられ、ハッピーが押した緊急停止信号がなった。

 

エルザ「ナツを追うぞ!すまない、荷物を『ホテル チリ』まで頼む」

 

「誰、アンタ・・・」

 

トール「エルザ、その人一般人・・・」

 

エルザは通りかかった一般人に荷物を渡そうとし、それをトールが注意していた。

 

パオラ「もうめちゃくちゃ・・」

 

グレイ「だな」

 

ルーシィ「服!なんで!?」

 

上着を脱いだグレイも相変わらずだった。

 

 

 

エルザの運転で魔道四輪車を乗っていると

 

ガシャァン!!!!

 

列車の窓からナツが飛び出してきた。

 

エルザ「ナツ!?」

 

グレイ「何で列車から飛んでくるんだよォ!!」

 

ルーシィ「どーなってんのよ!!」

 

ナツ「うぉあっ」

 

トール「いくぞアニス!」

 

アニス「うん!」

 

「「サイコキネシス!!」」

 

その瞬間、ナツの体はグレイから離れていき、地面にゆっくりと着地した。

 

ナツ「おお!浮いてる!ありがとよトール!アニス!」

 

ルーシィ「今のって・・・」

 

ハッピー「サイコキネシス。人や物を浮かせたりする魔法だよ」

 

ルーシィ「トールだけじゃなくてアニスも使えるんだ」

 

ハッピー「アニスはトールから教わったって言ってたよ。もちろんアニスはオイラと同じ翼も使えるんだよ」

 

ルーシィ「へぇ~。あんたは他に何か魔法使えるの?」

 

ハッピー「ナツー置いていってごめんねー」

 

ルーシィ「・・・要するに使えないってことね」

 

エルザ「無事でなによりだ、よかった」

 

ゴチン!!!!

 

ナツ「硬っ!って無事なもんか!列車で変な奴にからまれたんだ!」

 

エルザ「?」

 

トール「どんな人?」

 

ナツ「何つったかな?アイ・・ゼン・・バルト?「バカモノぉっ!!!」ごあっ!」

 

ナツはエルザに引っ叩かれ、飛んでいった。

 

エルザ「鉄の森は私たちの追っている者だ!」

 

ナツ「そんな話初めて聞いたぞ・・・」

 

エルザ「なぜ私の話をちゃんと聞いていない!!」

 

ナツ「?」

 

ルーシィ「(あんたが気絶させたせいだからっ)」

 

トール「(ドンマイナツ)」

 

パオラ「(可哀想に・・・)」

 

エルザ「さっきの列車に乗っているのだな、今すぐ追うぞ!どんな特徴をしていた?」

 

そういってエルザは魔道四輪車についてるSE(SELF

ENERGY)プラグを腕に取り付ける。

 

ナツ「あんまり特徴なかったなぁ。なんかドクロっぽい、笛持ってた。三つ目があるドクロだ」

 

アニス「なにそれ」

 

グレイ「趣味悪ィ奴だな」

 

ルーシィ「三つ目のドクロの笛・・」

 

ハッピー「どうしたのルーシィ」

 

ルーシィ「ううん、まさかね・・・あんなの作り話よ、でも・・・もしもその笛が呪歌だとしたら ・・・眠り・・・死・・・その「思い出した!その笛がララバイだよ!“死”の魔法、呪歌(ララバイ)!!」ってあたしのセリフ!!!」

 

ルーシィのセリフをパオラが被せて話した。

 

エルザ「何!?」

 

グレイ「呪歌?」

 

ルーシィ「あたしは本でしか読んだことないんだけど、禁止されている魔法の1つに呪殺ってあるでしょ」

 

エルザ「ああ、その名の通り対象者を呪い、“死”を与える黒魔法だ」

 

パオラ「ララバイはもっと恐ろしいんだよ」

 

 

 

 

 

───クヌギ駅───

 

 

 

エリゴール「客も運転手も全部降ろせ~い。この列車は鉄の森が頂く」

 

鉄の森が列車をハイジャックし、乗っていた乗客を全員降ろした。

 

エリゴール「この列車で戻ると聞いて待ちわびていたぞカゲヤマ」

 

カゲヤマ「へへっ、何とか封印は解きましたよ」

 

そういってカゲヤマはエリゴールにララバイを渡した。

 

エリゴール「ホウ、これが・・これがあの禁断の魔法か・・・」

 

『おおっ!!』

 

ビアード「さすがカゲちゃん!!」

 

レイユール「これで計画は完璧になった訳だな!!」

 

エリゴール「この笛は元々“呪殺”のための道具にすぎなかった。しかし偉大なる黒魔導士ゼレフがさらなる魔笛へと進化させた。まったく・・・恐ろしい物を作ったものだ。この笛の音を聴いたもの全てを呪殺する“集団呪殺魔法”呪歌(ララバイ)!!!」

 

 

「始めよう!!作戦開始だ!!!」

 

 

 

 

 

 

ざわざわざわざわ

 

 

「いきなり大鎌を持った男たちが乗り込んできたんです!」

 

「ワシは知っとるぞ!あいつ等はこの辺にいる闇ギルドの者だ」

 

「女房より大切な商売道具を列車に置いてきちまったんだ」

 

鉄の森のせいで降りざるをえなかったひとたちが騒いでいた。最後の人は隣にいる女房が物凄い顔で睨んでいた。

 

ルーシィ「あいつ等・・・列車を乗っ取ったの!?」

 

ハッピー「みたいだね」

 

ルーシィ「馬車や船とかならわかるけど列車って・・・」

 

ハッピー「あい。レールの上しか走れないし奪ってもそれほどのメリットないよね」

 

パオラ「でもスピードはあるよ」

 

グレイ「何かをしでかすために奴等は急がざるをえないということか?」ヌギヌギ

 

アニス「何で脱ぐの?」

 

ルーシィ「もう軍隊も動いているし、捕まるのは時間の問題なんじゃない?」

 

エルザ「だといいんだがな・・・」

 

トール「なーんか違和感を感じるなぁ・・・」

 

ギャギャギャギャギャ!!!

 

トール「てゆーか飛ばしすぎじゃない!?」

 

グレイ「SEプラグが膨張してんじゃねーか」

 

エルザ「あの笛が吹かれれば大勢の人が死ぬ。音色を聴いただけで人の命が消えてしまうんだぞ」

 

パオラ「でもあいつらの目的もはっきりした訳じゃないんでしょ」

 

グレイ「それに、一戦交える可能性もある」

 

アニス「あんまりスピード出しすぎるといざってときに魔力が無くなっちゃうよ」

 

トール「運転変わる?」

 

エルザ「大丈夫だ。いよいよとなれば棒切れでも持って戦うさ。それにお前たちがいるしな」

 

そういわれてグレイたちは黙ってしまう。

 

ハッピー「何かルーシィに言うことあった気がする。忘れたけど」

 

ルーシィ「何?」

 

ハッピー「だから忘れたんだって」

 

ルーシィ「気になるじゃない。思い出しなさいよ」

 

ハッピー「う~ん」

 

ナツ「キモチ・・悪・・」

 

トール「ナツ、いっそのこと吐く?」

 

パオラ「スッキリするかもしれないよ」

 

ハッピー「・・・キモ・チ・・ワ・・ル・・ハク・・スッキリ・・。・・ハッ!!!!」

 

ルーシィ「それかい!!ほらナツ!落ちるわよ」

 

ナツ「ゔお゙お゙・・・落として・・くれ・・」

 

パオラ「よしトール、ナツに腹パンよ!」

 

トール「任せとけ!」

 

ルーシィ「だからやめなさい!」

 

ハッピー「うーんなんだろ?ルーシィ、変、魚、おいしい、ルーシィ、変」

 

ルーシィ「変って」イラッ

 

エルザ「!!なんだあれは・・」

 

エルザの見たオシバナ駅からは煙が出ていた。

 

 

 

 

───オシバナ駅───

 

『みなさん!お下がりください!ここは危険です!ただいま列車の脱線事故により駅へは入れません!』

 

鉄の森によって駅が封鎖されたため、駅員は一般人の誘導を行っていた。

 

「脱線?」

 

「いや、テロらしいよ」

 

『内部の安全が保証されるまで駅は封鎖します』

 

エルザ「行くぞ!」

 

ルーシィ「でも封鎖って」

 

トール「んなもん聞いてたら中に入れないぞ」

 

ナツ「うぷっ」

 

グレイ「人酔いしてんじゃねえ!!」

 

エルザ「駅内(なか)の様子は?」

 

「な、なんだね君!」

 

ゴッ!

 

「うほっ!」

 

ルーシィ「!!!」

 

エルザ「駅内の様子は?」

 

「は?」

 

ゴッ!

 

エルザ「駅内の様子は?」

 

「ひっ!」

 

ルーシィ「即答できる人しかいらないってことなのね」

 

グレイ「だんだんわかってきたろ?」

 

そういう二人の顔はビクビクしていた。

 

トール「あーあ、だからエルザと一緒はいやだったんだよ・・・」

 

アニス「可哀想に」

 

パオラ「他人のふり他人のふり」

 

ルーシィ「てか、これってあたしの役!?」

 

ナツ「」←これ

 

エルザ「中へ行くぞ」

 

グレイ「おう」

 

トール「よし」

 

パオラ「ええ」

 

アニス「うん」

 

ハッピー「あいさ」

 

ルーシィ「シカト・・・」

 

全員から無視される悲しいルーシィであったが、結局一人で頑張ったのだった。駅の中へ入ると、

 

ルーシィ「ひいいっ!」

 

ハッピー「全滅!!」

 

パオラ「相手は全員魔導士だから軍の小隊じゃやっぱり太刀打ちできないわね」

 

グレイ「急げ!ホームはこっちだ!」

 

そうして駅のホームへ急ぐと、

 

エリゴール「やはり来たな、妖精の尻尾。待ってたぜぇ」

 

ルーシィ「な、なに、この数・・・」

 

エルザ「貴様がエリゴールだな」

 

ビアード「あれ、あの鎧の姉ちゃん・・」

 

カラッカ「なるほど、計画バレたのおまえのせいじゃん」

 

ルーシィ「ナツ起きてっ!仕事よ!」

 

ハッピー「無理だよ!列車→魔道四輪車→ルーシィの3コンボだ」

 

アニス「プッ」

 

ルーシィ「あたしは乗り物なの!?てか笑うなアニス!」

 

カゲヤマ「ハエがぁ~。おまえらのせいで・・」

 

レイユール「落ち着けよカゲちゃぁん」

 

ナツ「ん?この声・・」

 

エルザ「貴様らの目的はなんだ?返答次第ではただでは済まさんぞ」

 

エリゴール「遊びてぇんだよ。仕事も無ェし、暇なもんでよォ」

 

『ぎゃはははは!!』

 

エリゴール「まだわかんねえのか?駅にはなにがある」

 

そういってエリゴールは風の魔法で上に飛んだ。そしてスピーカーを軽く叩いた。

 

エルザ「ララバイを放送するつもりか!?」

 

ルーシィ「ええ!?」

 

グレイ「なんだと!?」

 

エリゴール「ふははははっ!!!この駅の周辺には何百、何千もの野次馬どもが集まっている。いや、音量を上げれば町中に響くかな、死のメロディが」

 

エルザ「大量無差別殺人だと!?」

 

エリゴール「これは粛清なのだ。権利を奪われた者の存在を知らずに権利を掲げ生活を保全している愚か者どもへのな。この不公平な世界を知らずに生きるのは罪だ。よって死神が罰を与えに来た、“死”という罰をな!!」

 

トール「ふーん、じゃあ吹けば?」

 

トールの放った言葉にその場が一瞬で静かになった。

 

グレイ「はあっ!?なにいってんだトール!」

 

エルザ「そうだぞ!もし今吹いたら町中の人達が・・・」

 

トール「いいじゃないか吹かせてやれば。もっとも、自分の仲間の命がどうなってもいいんならなぁ!!」

 

その瞬間、鉄の森の連中からはニヤつき顔が消え、ざわつき始めた。

 

トール「それでもいいってんならここでピーヒャラピーヒャラ吹けばいい」

 

そして、トールの言っている事がわかったパオラとアニスは鉄の森の連中をからかい始めた。

 

パオラ「そうよそうよ!そんなに吹きたいならピヒャラっとけばいいわ!」

 

アニス「そうよ!ここでピヒャラッときなさい!」

 

ルーシィ「“ピヒャラッとく”ってなによ・・・」

 

エリゴール「ちっ!(まずいな、ここで狙いに気付かれたら厄介になる!)お前らやっちまえ!」

 

カゲヤマ「残念だなハエども!」

 

ナツ「この声!」

 

カゲヤマ「闇の時代を見ることなく死んじまうとは!!」

 

ナツ「やっぱりお前かぁぁぁぁ!!!」

 

ボゴォ!!!!

 

カゲヤマがルーシィに魔法で攻撃するが、ナツによって阻まれてしまう。

 

カゲヤマ「てめ・・」

 

ナツ「今度は地上戦だな!!」

 

ナツが復活し、本格的に戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 




やっぱ地の文を書くのは難しいですね。こればかりは自力で何とかしないと。

でも元々あったセリフをオリキャラに分担させるのは楽ですね。


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戦闘

遅れてすいません。なんやかんやで忙しかったり、疲れたからそのまま寝てしまったりしてしまいました。ほんとは二日前くらいに投稿する予定だったんです。



今回ちょっとトールがキレます。


すぐに治まるけどね


ルーシィ「こっちは妖精の尻尾最強チームよ!覚悟しなさい!!」

 

ルーシィの言葉と同時に両者が睨みあい、緊張感が高まっていく。

 

エリゴール「後はまかせたぞ。オレは笛を吹きに行く」

 

エルザ「!!!」

 

トール「あの野郎、やっぱ狙いは別だったか」

 

エリゴール「身のほど知らずのハエどもに、鉄の森の闇の力を思い知らせてやれぃ」

 

そういってエリゴールは駅の窓ガラスを割って移動していった。

 

パオラ「あ、逃げた!」

 

グレイ「くそっ!向こうのブロックか!?」

 

エルザ「ナツ!グレイ!二人で奴を追うんだ」

 

「「む」」

 

エルザ「おまえたち二人が力を合わせればエリゴールにだって負けるハズがない」

 

「「むむ・・」」

 

ナツとグレイは“二人で”というのが気に入らないのか、少し嫌そうな顔をする。そして徐々に二人はお互いにガンを飛ばして睨みあう。

 

トール「んじゃ、ここは俺らがなんとかするか」

 

ルーシィ「なんとか・・って、あの数を私たちで?」

 

エルザ「エリゴールはララバイをどこかで使うつもりだ。それだけはなんとしても阻止せねばならない」

 

だがナツとグレイはエルザの話など聞いておらず、ずっと睨みあっている。その様子をパオラとアニスは呆れて見ていた。

 

エルザ「聞いているのか!!」

 

「「も、もちろん!!!」」

 

エルザ「行け!」

 

「「あいさー」」

 

ルーシィ「最強チーム解散!」

 

ナツとグレイはエルザの言葉ですぐにケンカを止め、エルザの指示通りに従い、肩を組みながらエリゴールを追いかけていった。

 

「あの二人逃げた!」

 

「エリゴールさんを追う気か!」

 

レイユール「まかせな。オレが仕留めてくる!!」

 

カゲヤマ「こっちも!あの桜頭だけは許せねえ!!」

 

そういってレイユールは指の根元から紐のようなもので上にある手すりに巻きつけ、カゲヤマは影となってナツ達を追っていった。

 

ビアード「あらあら、レイユールとカゲは好戦的だのう。あんなの放っておいてお姉ちゃんと遊んだ方が楽しいのに」

 

カラッカ「作戦のためだよ。オマエよりずぅーっとエライ」

 

エルザ「こいつらを片付けたら私たちもすぐに追うぞ」

 

ルーシィ「うん」

 

パオラ「意外と数が多いわね」

 

トール「なあに、大丈夫さ。こいつらそんなにたいしたことないだろ」

 

トールたちは闘いに入ろうとした。

 

だが、次に鉄の森のメンバーたちが発した言葉にエルザたちは固まってしまう。

 

ビアード「女だけで何ができるのやら。それにしても全員いい女だなぁ」

 

「殺すにはおしいぜ」

 

「取っ捕まえて売っちまおう」

 

「待て待て、妖精の脱衣ショー見てからだ」

 

 

 

 

鉄の森のメンバーたちは残っているエルザたちを全員女(ハッピーとアニスを除く)だといった。

 

 

 

 

 

 

 

つまり、トールを女だと間違えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「・・・あ゙?」

 

 

 

トールは女と間違われたとわかった瞬間、全身に力をいれて魔力を解放していた。額には怒りのマークがついており、目からは殺気が放たれていた。

 

「「「げっ」」」

 

ルーシィ「ひぃっ!!!」

 

そんなトールを見て、エルザとパオラとアニスはまずいものを見てしまったような顔をし、ルーシィは解放された魔力とトールの怒りにビビっていた。

 

トール「・・おいアニス」

 

アニス「ど、どうしたの?」

 

トール「あいつら今、俺のことを女と間違えやがったな」

 

アニス「う、うん・・そうだね・・・」

 

アニスの声は震えていた。そのときエルザたちは関わらないようにトールから目を背けていた。

 

トール「エルザ。パオラ」

 

エルザ「ど、どうした?」

 

トール「半分くれ。速攻で終わらせてやる」

 

エルザ「わ、わかった。ではもう半分は私たちで片付ける」

 

パオラ「私も手伝うよ、エルザ」

 

トールはエルザたちより前に出て、右手に2~3mほどのハンマーを出現させた。

 

ルーシィ「あれってハンマー?」

 

アニス「そうだよ。投擲の槌(ミョルニル)っていうんだけど、あれって結構重いんだよ」

 

「ハンマーなんかで俺らに勝てると思ってんのか!」

 

トール「そっちこそ、お前らみたいな雑魚が俺に勝てると思ってんのか?」

 

トールは最初に攻撃してきた男を投擲の槌で攻撃し、他の仲間の方へふっとばした。

 

トール「まだまだ!氷結竜の鉄拳!」

 

次にトールは腕に氷を纏い、相手を殴った。

 

ルーシィ「“氷結竜”ってことはトールもドラゴンスレイヤー!?」

 

アニス「氷の東洋竜キュレムに滅竜魔法を教わったんだよ」

 

ここでルーシィはアニスの言ったある部分に疑問を浮かべた。

 

ルーシィ「ん?東洋竜?ナツとは違うの?」

 

アニス「違うらしいよ。詳しくはトールに聞いてみたら?」

 

二人が話しているうちに半分の敵がトールによって倒された。

 

パオラ「流石だねトール!」

 

カラッカ「ん?トール?」

 

トール「そんじゃあ後はまかせたぜ」

 

エルザ「よし、では行くぞ!」

 

そういってエルザは剣を取り出した。

 

ルーシィ「剣が出てきた!魔法剣!!」

 

「めずらしくもねえ!」

 

「こっちにも魔法剣士はぞろぞろいるぜえ」

 

「その鎧ひんむいてやるわぁ!!」

 

だがエルザの実力は鉄の森のメンバーより遥かに強く、次々に敵を倒していく。エルザは剣だけでなく槍や双剣、斧などの武器で攻撃していった。

 

「こ、この女・・何て速さで“換装”するんだ!?」

 

ルーシィ「換装?」

 

ハッピー「魔法剣はルーシィの星霊と似てて別空間にストックされてる武器を呼び出すっていう原理なんだ」

 

アニス「その武器を持ちかえることを換装っていうのよ」

 

ルーシィ「へぇ~。すごいなあ」

 

パオラ「それじゃああたしもやりますか!」

 

トール「おう、がんばれよ!」

 

アニス「がんばれ~パオラ!」

 

ハッピー「エルザのすごいとこはこれからだよ」

 

ルーシィ「え?」

 

カラッカ「エルザ?パオラ?」

 

エルザ「まだこんなにいたのか。面倒だ。パオラ、一掃するぞ」

 

パオラ「了解!」

 

「おおっ!なんか鎧がはがれてく!」

 

「うひょー!」

 

ハッピー「魔法剣士は通常“武器”を換装しながら戦う。けどエルザは自分の能力を高める“魔法の鎧”にも換装しながら戦うことができるんだ。それがエルザの魔法、騎士(ザ・ナイト)!!」

 

ルーシィ「うわぁ!」

 

「「「おおおっ!!」」」

 

ルーシィたちが驚いているうちにエルザのまわりにはたくさんの剣が出現していた。

 

エルザ「舞え、剣たちよ。循環の剣(サークルソード)

 

エルザの攻撃に敵はほとんど倒れてしまった。

 

ビアード「こんのヤロォ!オレ様が相手じゃあ!」

 

残ったビアードとカラッカのうち、ビアードがエルザに向かってくるが、パオラが立ち塞がった。

 

パオラ「あなたの相手は私よ!メテオバースト!」

 

ビアード「ごあっ!」

 

パオラは左腕に魔方陣を出し、ビーム状の攻撃でビアードにぶつけて一撃で倒した。。

 

カラッカ「間違いねえ!コイツら、『妖精女王(ティターニア)』のエルザに『流星の巫女』のパオラ、さっきのやつは『凍てつく雷神』のトールだ!!!」

 

ルーシィ「すごーい!ちょっとホレそ♡」

 

トール「お疲れパオラ」

 

パオラ「うん。ありがと!」

 

カラッカ「くそっ!勝てるわけねえ!」

 

残ったカラッカは勝機が無いとわかり、どこかへ逃げていった。

 

エルザ「エリゴールの所へ向かうかもしれん。ルーシィ追うんだ」

 

ルーシィ「えー!あたしが!?」

 

エルザ「頼む」ギロッ

 

ルーシィ「はいいっ!!」

 

パオラ「よし、じゃああたしは外の人たちを避難させてくるね」

 

エルザ「わたしもいく」

 

トール「俺は中に残っている軍の人たちをどうにかするか」

 

アニス「応急措置もしてあげないとね」

 

エルザ「(やはり魔道四輪をとばしすぎたのがこたえたな。だが私が出なくてもナツやトールがなんとかしてくれるだろう)」

 

ルーシィとハッピーは逃げていったカラッカを追いかけていき、トールとアニスは軍の小隊のもとへ行き、パオラとエルザは駅の外へでた。エルザは他の者より魔力の消費が激しく、少しふらついたがそんな様子を他人には見せずにパオラについていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




流星魔法はイメージでいえば天体魔法の色がオレンジのような感じです。


うーん、戦闘描写はやはり難しい。


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処女宮の星霊

すんません。タイトル書くの忘れてましたわ。

小説確認したら13話ってタイトルだったから『題名が13話ってなんだよ』って思ってたら普通に書き忘れでした。(・ω<)


───地方ギルドマスター連盟 定例会会場───

 

ボブ「マカロフちゃん、あんたんトコの魔導士ちゃんは元気があっていいわぁ~♡」

 

酒を飲んでいるマカロフに話しかけたのは魔導士ギルド青い天馬(ブルーペガサス)のマスター・ボブ。

 

オカマのような感じではあるが一応男だ。

 

ボブ「聞いたわよ、どっかの権力者コテンパンにしちゃったとかぁ」

 

マカロフ「おー!新入りのルーシィじゃあ!あいつはいいぞぉっ!特に乳がいいっ!!」

 

ボブ「きゃ~エッチ~♡」

 

ゴールドマイン「元気があるのはいいがてめぇんとこはちぃとやりすぎなんじゃないかい?」

 

酔っているマカロフに注意を促したのは帽子にサングラスをかけた魔導士ギルド四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のマスター・ゴールドマインだった。

 

ゴールドマイン「評議員の中じゃいつか妖精の尻尾が町一コ潰すんじゃねえかって懸念してる奴もいるらしいぞ」

 

マカロフ「うひょひょ!潰されてみたいのう、ルーシィのおっぱいで~」

 

ボブ「もう♡ダメよ!自分トコの魔導士ちゃんに手ぇだしちゃ」

 

「マカロフ様、ミラジェーン様からお手紙が届いてます」

 

マカロフ「ん?」

 

そんななか、マカロフに一通の手紙が届いた。マカロフは手紙を受け取り、中身を開けるとミラジェーンのホログラムが出てきた。

 

ミラ『マスター、定例会ご苦労様です』

 

マカロフ「どうじゃ!こいつがウチの看板娘じゃ!め~ん~こ~い~じゃろぉ!」

 

「「「おおおっ!!」」」

 

ミラ『実はマスターが留守の間とてもすてきなことがありました。エルザとあのナツとグレイ、トールとパオラがチームを組んだんです。もちろん、アニスとルーシィとハッピーも』

 

マカロフ「!!!」

 

ミラ『ね?素敵でしょ?』

 

だが、マカロフの顔は優れておらず、むしろ大量の汗をかいていた。

 

ミラ『私が思うにこれって妖精の尻尾最強チームかと思うんです。一応報告しておこうと思ってお手紙しました♡それでは~』

 

ついにマカロフは倒れてしまった。

 

マカロフ「(な、なんて事じゃあ!!本当に町一つ潰しかねん!!定例会は今日終わるし明日には帰れるが、・・・。それにトールが何とかしてくれるかもしれんが、それまでなんとかもってくれぇぇぇっ!!!頼む!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

───オシバナ駅───

 

「一体中で何が起きているんだ?」

 

「軍隊が突入したけどまだ戻ってきてねえぞ」

 

「まさかテロリストたちにやられちまったのか?」

 

駅の前にはたくさんの人がおり、ざわざわとしていた。そんななか、駅からエルザとパオラが出てきた。それを見た駅員はエルザたちに話しかけた。

 

「き、君!さっき強引に中に入った人だね。中の様子はどうなんだね!?」

 

エルザは駅員から拡声器を奪い、スイッチを入れて話した。

 

エルザ「命が惜しい者は今すぐこの場を離れよ!駅は邪悪なる魔導士どもに占拠されている!そしてその魔導士はここにいる人間すべてを殺すだけの魔法を放とうとしている!できるだけ遠くへ避難するんだ!!」

 

野次馬たちはしーんとなったが言われた言葉を理解できた瞬間、全員が全力で駅から離れだした。

 

「き、君!なぜそんなパニックになるような事を!!」

 

パオラ「人が大勢死ぬよりはマシでしょ。言ったことはホントなんだし」

 

エルザ「もちろん私たちは全力で阻止するつもりだが、万が一という可能性がある。君たちも避難した方がいい」

 

エルザのその言葉を聞いて駅員たちも避難していった。

 

パオラ「さて、私たちもエリゴールを探さないと」

 

エルザ「ああ。・・・これは!?」

 

パオラ「駅が風に包まれている!」

 

二人はエリゴールが使った魔風壁によって駅が風に包まれているのを見て驚いているとエリゴールがやってきた。

 

エリゴール「ん?なぜハエが外に二匹・・・。そうか。野次馬どもを逃がしたのはてめえらか」

 

パオラ「エリゴール!」

 

エルザ「貴様がこれを!?」

 

エリゴール「生憎貴様らの相手をしている暇はないんでな、中でじっとしてな」

 

すると、エルザとパオラはエリゴールの風の魔法で魔風壁のなかに入れられた。エルザは魔風壁を出ようとしたが、魔風壁は外からの一方通行となっているので右腕がボロボロになってしまった。そしてエリゴールはどこかへ行ってしまった。

 

エルザ「くそっ。一体どうなっているんだ」

 

パオラ「あたしたちをこの駅に閉じ込めてどこへいくのかしら」

 

エルザたちは倒した鉄の森のメンバーから魔風壁を解く方法を聞き出しにいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「よし、これで応急措置は全員終わったな」

 

アニス「あとは外に出て病院で見てもらうだけ・・・・って思ったんだけど」

 

「「何これ?」」

 

トールとアニスの前にはエリゴールが作った魔風壁があった。

 

トール「とりあえずエルザのところへ行くか」

 

アニス「そうだね」

 

トールとアニスはエルザたちのもとへ走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「エルザ!軍の人達の応急措置は終わったぜ」

 

アニス「後は外に行ければいいんだけれど、この風が邪魔で出られないんだよ」

 

パオラ「お疲れ、二人とも」

 

トール「で、今どんな状況?」

 

パオラ「それが・・・」

 

パオラはトールとアニスにさっきまでの出来事を話した。

 

トール「なるほど。じゃあ俺の魔法で「あーーー!!!」ってなんだ?」

 

ハッピー「ルーシィ!思い出したよ!」

 

ルーシィ「な、何が?」

 

ハッピー「来るとき言ってたことだよぉ!」

 

そういって取り出したのは王道十二門の処女宮の星霊バルゴだった。

 

ルーシィ「ダメじゃない!勝手に持ってきちゃー!」

 

ハッピー「違うよ、バルゴ本人がルーシィへって」

 

ルーシィ「ええ!?」

 

トール「あれは星霊を呼び出す鍵か」

 

アニス「ということはルーシィは星霊魔導士なんだ」

 

そんなとき、ハッピーが思いもよらぬ言葉を口にした。

 

ハッピー「バルゴは地面の中を潜れるし魔風壁の下を通って出られるかなって思ったんだ」

 

エルザ「何!?」

 

グレイ「まじかよ!?」

 

パオラ「なるほど!」

 

ナツ「え、えーっと・・・・」

 

ルーシィ「そっか!やるじゃないハッピー!もう、何でそれを早く言わないのよ!」

 

ハッピー「ルーシィがつねったから」

 

ルーシィ「ゴメンゴメン。後で何かお詫びするから!しますから!させていただきますから!とにかく鍵を貸して!」

 

ハッピー「あい!お詫びよろしくね!」

 

ルーシィは見事にハッピーの口車に乗せられたのだった。

 

ルーシィ「我、星霊界との道をつなぐ者。汝、その呼びかけに応え(ゲート)をくぐれ。開け、

処女宮の扉!バルゴ!!」

 

バルゴ「お呼びでしょうか?御主人様」

 

そこにはピンク色の髪のメイド服を着た星霊がいた。

 

ルーシィ「・・・誰?」

 

トール「!!!(・・ピンク色の髪!?)」

 

トールは驚きが隠せなかった。今まで手掛かりこそあれど、発見には至らなかった。そもそもピンク色の髪をした者など普通はいない。だが、星霊とはいえ、いきなりそれらしき人物が表れたことに動揺していた。その動揺は仲間の誰にも見られなかったが、すぐに冷静さを取り戻した。

 

トール「(・・・落ち着け!あいつは星霊じゃねえ!だいたいあいつがメイド服なんて着てるわけがねえ!・・落ち着け・・)」

 

ナツ「よおマルコ。激やせしたな」

 

バルゴ「バルゴです。あのときはご迷惑をお掛けしました」

 

ルーシィ「痩せたっていうか別人!」

 

パオラ「別人?」

 

アニス「どういうこと?」

 

ルーシィ「あ、あんたその格好・・」

 

バルゴ「私は御主人様の忠実なる星霊。御主人様の望む姿にて仕事をさせていただきます」

 

ナツ「前のほうが迫力あって強そうだったぞ」

 

バルゴ「そうですか。では・・」

 

そういってバルゴは巨大な姿へ変身した。その姿を見たことがない者たちはびっくりしていた。

 

バルゴ「元の姿に・・・」

 

ルーシィ「余計なことは言わないの!痩せた方でいいから!」

 

バルゴ「承知しました」

 

ルーシィ「ふう。とにかく、時間がないの!契約後回しでいい!?」

 

バルゴ「かしこまりました。御主人様」

 

ルーシィ「てか御主人様はやめてよ」

 

その時バルゴはルーシィが腰にかけていた鞭を見ていた。

 

バルゴ「では女王様と」

 

ルーシィ「却下!!」

 

バルゴ「では姫と」

 

ルーシィ「そんなとこかしらね」

 

パオラ「そんなとこなのね」

 

ナツ「つーか急げよ」

 

バルゴ「では、行きます!」

 

グレイ「おお!潜った!」

 

エルザ「いいぞ!ルーシィ!」ガン!

 

ルーシィ「硬!」

 

トール「よし、あの穴を通っていくか!」

 

アニス「ん?どうしたのナツ?」

 

ナツは負傷したカゲヤマも連れて行こうとしていた。

 

ナツ「俺と戦った後に死なれちゃ後味悪ィんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイ「出られたぞ!」

 

エルザ「先を急ごう!」

 

パオラ「にしてもすごい風ね」

 

バルゴ「姫!下着が見えそうです!」

 

ルーシィ「・・・自分の隠せば?」

 

パオラ「トールは見ちゃダメ!」ビシッ

 

トール「ギャアアア!目があああ!!」

 

魔風壁のせいで風が凄まじいため、バルゴはルーシィの下着が見えないようにするがバルゴ自身の下着が見えており、パオラはトールが見えないように目をチョップした。

 

カゲヤマ「・・・ムリだ。今からじゃ追いつけるハズがねえ。俺たちの勝ちだよ。」

 

エルザ「・・・ん?ナツはどうした?」

 

ルーシィ「あれ?」

 

グレイ「ハッピーもいねえぞ」

 

パオラ「もしかしてエリゴールを追いにいったんじゃない?」

 

トール「よし、俺たちも追うぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーシィ「これ、あたしたちがレンタルした魔道四輪車じゃないじゃん!」

 

グレイ「鉄の森の周到さには頭が下がる。ご丁寧に破壊されてやがった」

 

パオラ「あたしたちが弁償するのね。はぁ」

 

カゲヤマ「ケッそれで他の車盗んでちゃせわないよね」

 

ルーシィ「借りただけよ!エルザが言うには」

 

カゲヤマ「・・・なぜ僕を連れてく・・?」

 

ルーシィ「しょうがないじゃない。町に誰もひとがいないんだから」

 

パオラ「クローバーの医者に連れてってあげるっていってんのよ。感謝しなさいよ」

 

カゲヤマ「違う!何で助ける!?敵だぞ!!そうかわかったぞ。僕を人質にエリゴールと交渉を・・・。無駄だよ、あの人は冷血そのものさ、僕なんかの・・・」ブツブツ

 

パオラ「うわ暗・・」

 

グレイ「そんなに死にてえなら殺してやろか?」

 

ルーシィ「ちょっとグレイ!」

 

グレイ「生き死にだけが決着の全てじゃねえだろ?もう少し前を向いて生きろよ、オマエ等全員さ・・・」

 

カゲヤマ「・・・・・」

 

ガタン!!

 

そのとき、車内が急に揺れた。原因はエルザの魔力の使いすぎで視界が霞んできたからだった。揺れた衝動でルーシィの尻がカゲヤマの顔にあたり、パオラはトールに抱きつかれるような形になった。

 

トール「おっと、大丈夫か?」

 

パオラ「う、うん。ありがと・・・///」

 

パオラはトールに抱き締められたことがわかると顔が赤くなった。すぐに離れて顔を背けたので気づかれることはなかった。

 

カゲヤマ「でけえケツしてんじゃねえよ・・・」

 

ルーシィ「ひー!セクハラよ!グレイこいつ殺して!」

 

グレイ「おい、俺の名言チャラにしてんじゃねえ・・・」

 

トール「おいエルザ!魔力の使いすぎだ!俺が運転変わる!」

 

エルザ「そうか、すまない」

 

トール「気にすんな。俺はまだ魔力をあんまり消費してないからな」

 

そのままトールが運転していると、ナツがエリゴールを倒したところが見えた。

 

トール「ナツ!」

 

ナツ「お!遅かったじゃねえか、もう終わったぞ」

 

ハッピー「あい」

 

エルザ「さすがだな」

 

グレイ「ケッ」

 

カゲヤマ「そ、そんな!エリゴールさんが負けたのか!」

 

グレイ「こんなのに苦戦しやがって。妖精の尻尾の格が下がるぜ」

 

ナツ「苦戦?どこが!?圧勝だよな?ハッピー」

 

ハッピー「微妙なとこです」

 

トール「つーか上着は?」

 

グレイ「裸にマフラーって変態みてーだぞ」

 

アニス「グレイが言う?」

 

ナツ「ルーシィ服貸してくれ」

 

ルーシィ「なんであたしなの!?」

 

エルザ「何はともあれ見事だナツ。これでマスターたちは守られた」

 

パオラ「ついでだから定例会まで行こうよ。事件の報告と笛の処分についてマスターに聞いてみましょ!」

 

トール「クローバーはすぐそこだしな」

 

そのとき魔道四輪車が急に動いた。運転席にはカゲヤマがおり、カゲヤマの手にはララバイがあった。

 

エルザ「カゲ!」

 

グレイ「危ねーなァ動かすならそういえよ!」

 

カゲヤマ「油断したなハエども!笛は、ララバイはここだ!ざまあみろー!!」

 

ナツ「あんのやろぉぉ!」

 

ルーシィ「何なのよ助けてあげたのに!」

 

パオラ「さっさと追わないと!」

 

トールたちはカゲヤマを追いにいった。




バルゴとメルディは似てねえだろとかそういうのはナシの方向でお願いします。ただ髪の色が同じだからという意味でやっただけですから。あまり深くは考えないでいただきたいです。


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呪歌(ララバイ)

基本的には漫画の方中心になるけど、アニメの方になるときもあります。


「「あぁ~疲れた~」」

 

トールたちは今やっと定例会会場についていた。そして今疲れたと力の抜けた声で言ったのはトールとアニスだった。

 

こうなったのも少し前の出来事が原因である。

 

 

 

───少し前───

 

エルザ「早く追うぞ!」

 

ルーシィ「でも魔道四輪車には追いつけないよ」

 

トール「じゃあこれならどうだ?」

 

トールが取り出したのは魔導ミニ飛行艇“ドラグーン”だった。

 

トール「二人乗りだけど、これなら魔道四輪車に追いつくぜ」

 

エルザ「よし、全員で乗るぞ!」

 

トール「いや話聞いてた!?二人乗りだから!二人だけ先に行ってララバイを止めに行くほうがいいだろ!」

 

グレイ「じゃあ乗れない人はトールとアニスがサイコキネシスで運ぶってのはどうだ?」

 

ルーシィ「それだ!」

 

というわけでドラグーンにはグレイとルーシィが乗り、他の人はサイコキネシスで浮いて行くことになった。

 

 

 

───現在───

 

アニス「や、やっとついた~」

 

トール「ゆっくり休んでくれアニス」

 

アニスはトールの頭の上で休憩している。

 

グレイ「いた!」

 

ナツ「じっちゃん!」

 

エルザ「マスター!」

 

ボブ「しーっ。今いいとこなんだから見てなさい♡」

 

「「「「ひっ!」」」」

 

ボブ「てかあんたたち可愛いわね~、超タイプ~♡」

 

パオラ「な、なにこの人・・・」

 

エルザ「マスター・ボブ!」

 

ボブ「あらエルザちゃん大きくなったわね」

 

ルーシィ「この人が青い天馬(ブルーペガサス)のマスター!?」

 

マカロフ「どうした?早くせんか」

 

カゲヤマは笛を構えてはいるが未だに吹こうとはしない。

 

パオラ「いけない!」

 

ゴールドマイン「だから黙ってなって、面白えとこなんだからよ」

 

トール「マスターゴールドマイン!お久しぶりです!」

 

ゴールドマイン「おう、前よりも男らしくなったな」

 

ルーシィ「この人が四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の!?」

 

マカロフ「さあ」

 

カゲヤマ「!!!吹けば・・・吹けばいいだけだ。それで全てが変わる!」

 

マカロフ「・・・何も変わらんよ」

 

カゲヤマ「!!!」

 

マカロフ「弱い人間はいつまでたっても弱いまま。しかしその全てが悪ではない。元々人間なんて弱い生き物じゃ。一人が不安だからギルドがある。仲間がいる。強く生きるために寄り添いあって歩いていく。不器用なものは人より多くの壁にぶつかるし遠回りをするかもしれん。明日を信じて踏み出せばおのずと力はいてくる、強く生きようと笑っていける。そんな笛に頼らなくてもな」

 

カゲヤマはマカロフの言葉が心に効いたのか、ララバイを地面におき、膝をついた。

 

カゲヤマ「参りました」

 

『マスター!!』

 

マカロフ「ぬぉおぉっ!!なぜ貴様らがここに!?」

 

エルザ「さすがです!今の言葉目頭が熱くなりました!」

 

マカロフ「硬っ!」

 

ナツ「すげえなじっちゃん!」

 

マカロフ「ペシペシせんでくれい」

 

パオラ「一件落着だね!」

 

そのとき、笛から煙とともに声がした。

 

ララバイ「どいつもこいつも根性のねェ魔導士どもだ」

 

『!!!』

 

ララバイ「もうガマンできん。ワシが自ら喰ってやろう。貴様らの魂をな!!!」

 

そういってララバイは巨大な木の怪物となった。

 

ルーシィ「でかすぎ!」

 

ハッピー「そこつっこむの!?」

 

カゲヤマ「なんだこいつは!こんなのは知らないぞ!」

 

パオラ「どうしよう!」

 

トール「こいつはゼレフ書の悪魔だ!」

 

「こりゃちとまずいのう」

 

「助太刀に行くか」

 

「腰が痛いんじゃが・・」

 

ルーシィ「なんで笛から怪物が・・・」

 

ゴールドマイン「あの怪物がララバイそのものなのさ。つまり、生きた魔法。それがゼレフの魔法」

 

エルザ「生きた魔法!?」

 

グレイ「ゼレフってあの大昔の!?」

 

ボブ「黒魔導士ゼレフ。魔法界の歴史上最も凶悪だった魔導士。何百年も前の負の遺産がこんな時代に姿を現すなんてね・・・」

 

ララバイ「さあて・・どいつの魂から頂こうかな」

 

ナツ「なんだとぉ!なあ、魂ってうめえのか?」

 

グレイ「知るか。つか俺に聞くな」

 

ルーシィ「やっぱそこに食いつく・・」

 

エルザ「ナツ、グレイ。みんなを遠くへ」

 

ナツ「偉そうに」ボソッ

 

グレイ「命令すんじゃねえ」ボソッ

 

エルザ「頼んだ」ギロ

 

「「あいさー!」」

 

ルーシィ「でた、ハッピー二号」

 

そのとき、フィオーレ軍がララバイを攻撃しようとしたが、ララバイの攻撃により山が一つ消え、フィオーレ軍は退散していった。

 

ララバイ「さあて決めたぞ。貴様ら全員の魂を頂く・・」

 

ナツ「面白え!」

 

トール「やれるもんならやってみやがれ!」

 

『がんばれよ~』

 

他のギルドマスターたちとルーシィは離れて見ていた。

 

ルーシィ「たった五人でなにするつもり・・」

 

ハッピー「ルーシィは?」

 

ルーシィ「今日はもう使える星霊いないし、みんなの足引っ張るかもしれないし・・・」

 

ハッピー「言い訳だ」

 

ルーシィ「うっさい猫!」

 

そのとき、ララバイが激しいおたけびをあげた。

 

ボブ「あらひどい声」

 

ルーシィ「なにこの不快感・・!?」

 

ゴールドマイン「・・始まったか」

 

「いかん!ララバイじゃ!」

 

「魂を喰われるぞ!」

 

エルザ「行くぞ!」

 

「「「「おう!!」」」」

 

そういって五人全員が飛び出した。

 

エルザ「換装!天輪の鎧!」

 

エルザのからだが光に包まれていく。そして天輪の鎧に換装してララバイを切り裂いた。

 

グレイ「アイスメイク“槍騎兵(ランス)”!」

 

ララバイ「ぐおおおお!!!」

 

ナツ「これでもくらえ!火竜の鉄拳!」

 

パオラ「あたしもいくわよ!メテオシャワー!」

 

トール「貫け!魔貫雷殺砲!」

 

グレイは氷の槍でララバイを突き刺し、ナツは炎のパンチでララバイの顔を殴り、パオラはララバイより上空から流星群のように降り注いでダメージを与え、トールは人差し指の中指に凝縮した黒雷をララバイへ放ち、ララバイの右肩を貫いた。

 

ララバイ「うぜえぞ!てめえら!」

 

ララバイが攻撃してくるが、全員が避けてさらにダメージを与える。

 

カゲヤマ「すごいな!こんな連携攻撃みたことない!」

 

ルーシィ「息ぴったり!」

 

ハッピー「あい!」

 

ララバイ「ぬうううううおおおおおおお!!!!」

 

ルーシィ「なんかやばそう!」

 

ハッピー「ララバイくるよ!」

 

ララバイのおたけびによって木々が枯れていく。これはララバイに吸われていくのを意味していた。

 

ララバイ「貴様らの魂頂く!うおおおお!」

 

みんなが笛の音色を聴かないように耳を塞ぐが、

 

ぷすぅぅぅ~~

 

というなんともマヌケな音がした。

 

ルーシィ「なにそれ!?」

 

ハッピー「すかしっ屁!?」

 

さりげなく一人耳栓をしていたハッピー。

 

ララバイ「なんじゃこの音は!?わしの自慢の音色はいったいどこに!?」

 

カゲヤマ「そ、そうか。さっきの攻撃で・・」

 

ルーシィ「たくさん穴開けたからちゃんとした音が出ないのね・・・。てゆーか、さんざん引っ張っておいてこのオチ!?」

 

ハッピー「オイラお腹空いちゃった」

 

あまりの結末にララバイすらも驚いており、ハッピーに至ってはお腹減ったといい、少し飽きてきている。

 

ララバイ「ざけんなぁ!!」

 

するとララバイがキレだし、近くの山を蹴り飛ばした。

 

「キレおったぞ!」

 

「でかいぶんたちが悪いわ!」

 

ララバイ「だああああ!!」

 

今度はララバイがギルドマスターたちにむかって破壊光線を放ち、爆発がおきた。

 

グレイ「アイスメイク(シールド)!」

 

だがそれはグレイによってギルドマスターたちに届くことはなかった。

 

「速い!」

 

「一瞬でこれほどの造形魔法を!?」

 

ルーシィ「造形魔法?」

 

ハッピー「魔力に形を与える魔法だよ。そして形を奪う魔法でもある」

 

ルーシィはハッピーの説明に少しゾクッとしていた。

 

ララバイ「くそぉぉ!」

 

突然ララバイは飛び上がり、地面にいたトールを自然落下に伴ってぶん殴った。

 

ルーシィ「トール!」

 

ハッピー「大丈夫だよ。よくみてごらん」

 

ルーシィはハッピーのいう通りにトールを見てみると、ララバイの拳を受け止めているトールの姿が見えた。

 

トール「へっ、まあまあいいパンチしてんじゃねーか」

 

ルーシィ「うそぉ!?トールってあんなに怪力だったの!?」

 

ハッピー「それはちょっと違うよ。トールの腰にはメギンギョルズっていう力帯があるんだけど、あれは簡単にいえば重たいものを簡単に持ち上げられる魔導具なんだよ」

 

ルーシィ「へえ~あたしもほしいな~」

 

ララバイ「おのれぇ!・・・ん?」

 

ララバイの視線の先には、先ほど起こった爆発による爆炎を食べているナツがいた。

 

ナツ「ぷはっ、食ったら力が湧いてきた!」

 

ララバイ「こ、この、バケモンか貴様は!」

 

ナツ「んだとコラァ!」

 

ララバイはナツを殴ろうとするが、ナツはその腕を登り、頭のほうへ走っていく。

 

エルザ「換装!」

 

エルザは天輪の鎧から黒羽の鎧へとかえる。

 

「おおっ!黒羽の鎧!」

 

「一撃の破壊力を増加させる魔法の鎧じゃ!」

 

グレイ「アイスメイク“円盤(ソーサー)”」

 

氷の円盤は回転しながらララバイを切り裂いた。

 

トール「雷神の怒号!」

 

トールは黒雷のブレスでララバイを攻撃し、宙に浮かせた。

 

ルーシィ「黒い雷!?」

 

ハッピー「あれは雷の滅神魔法。トールは氷のドラゴンスレイヤーでもあるけど、氷と雷ののゴッドスレイヤーでもあるんだよ」

 

ルーシィ「なにそのチート!?反則じゃない!?」

 

ハッピー「他にもいろんな魔法を覚えているんだよ」

 

ルーシィはハッピーの言葉に唖然とした。

 

トール「ナツ!パオラ!」

 

グレイ「いまだ!」

 

ナツ「おっしゃあ!右手と炎と左手の炎。二つの炎を合わせて!うおおおお!これでも食ってろ!火竜の煌炎!」

 

パオラ「これで終わりよ!スーパーノヴァ!」

 

ララバイ「ぐわぁぁぁぁぁぉぁ!!!」

 

ナツは巨大な火球で、パオラは巨大なオレンジ色のエネルギー玉で攻撃し、ララバイを倒した。

 

マカロフ「見事!」

 

ボブ「素敵♡」

 

ゴールドマイン「ゼレフの悪魔をこうもあっさりと・・」

 

カゲヤマ「す、すごい・・!これが、これが妖精の尻尾の魔導士か!!」

 

ルーシィ「すごい!さすが最強チーム!超かっこいい!」

 

ハッピー「あい!」

 

マカロフ「どうじゃ!すごいじゃろ!」

 

ルーシィ「みんなやったね!」

 

トール「たいしたことなかったな」

 

グレイ「ちょろいもんだ」

 

カゲヤマ「っはは、やっぱバカだあいつら。・・叶わねえや・・」

 

ボブ「ほら、あんたはお医者さんにいかなきゃね~」

 

ボブはカゲヤマのほっぺをじょりじょりしていた。

 

ゴールドマイン「ま、経緯は分からんが、妖精の尻尾には借りができちまったな」

 

「・・・・しかしこれは・・・」

 

『やりすぎじゃー!!』

 

パオラ「定例会の会場どころか・・・」

 

アニス「山一つ消えてるね」

 

マカロフ「」ファー

 

マカロフはあまりの惨劇に魂が抜けていた。

 

ルーシィ「あぁ!マスター!」

 

ハッピー「なんか出た!」

 

ナツ「だっはは!見事にぶっ壊れちまったな!」

 

「お前がいうな!」

 

ゴールドマイン「へっ。こう、親に似るっつうかよ」

 

ボブ「現役時代を思い出すわね~♡」

 

カゲヤマ「ば、ばかだ・・」

 

ボブ「カゲちゃんも私の若い頃にそっくり~♡」

 

カゲヤマ「なっ!!!」

 

ボブ「あの頃は楽しかったわ。みんなでめちゃくちゃやって評議院に怒られてばっかだったけどねぇ」

 

ボブの頭には昔の写真を思い浮かべていた。

※写真はアニメ参照

 

ボブ「あ、ちなみにこのイケメンが私だぞ♡」

 

カゲヤマ「別人だろ!?」

 

ボブ「ね、カゲちゃん!クリソツクリソツ~♡」

 

カゲヤマ「似てねえって!!」

 

あまりの衝撃にカゲヤマは落ち込んでいた。

 

ゴールドマイン「なんにせよ、おめえさんも少しは感じるところがあるだろ」

 

ボブ「ギルドは楽しいってこと」

 

ゴールドマイン「なんか出たぞ」

 

ボブ「あら」

 

───魂が抜けるほどに。

 

ナツ「よーし、俺が捕まえてやる!」

 

『お前は捕まる側だ!!』

 

こうして妖精の尻尾のメンバーはギルドへ走って帰ることになった。

 

 

 

 




メテオシャワー :流星群のように降り注いで広範囲にダメージを与える魔法。イメージはイナズマイレブンのメテオシャワー

スーパーノヴァ:イメージはドラゴンボールのスーパーノヴァ(フリーザやクウラの必殺技)

魔貫雷殺砲:イメージはドラゴンボールのピッコロの必殺技魔貫光殺砲の雷バージョン



うーん、トールとアニスとパオラを最強チームに入れるか迷ってます。
原作の最強チームはハッピーいれて五人だからそこにいろんなひとたちがはいったらもはやチームじゃなくていじめになるしな。報酬も減るし。まあオリキャラ三人はウェンディやシャルルのような立場にしようかなって思ってます。



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ナツ、村を喰う

今週のマガジンみたけどド外道やな・・・
ワンピースでもミンク族はそれ以上のことをされてるけど。

やっぱおれはああいうのダメだわ



投稿遅れてすんませんm(__)m

リアルが忙しくって

今回はタイトル通りアニメオリジナルです!


ルーシィ「あーもう!ちょっとハッピー!あんたまた迷ったでしょ!歩いても歩いてもマグノリアの町に着かないじゃないの!この方向音痴ネコ!」

 

ここは、太古の地震によって無数の断層が走る通称“雲の巣”だが、ここに迷いこんで帰ってこなかったものが数多くいるという。

 

ハッピー「またって失礼しちゃうな、こないだは迷わなかったよ。今回が初めてなんだ」

 

アニス「初めてでも何でも、迷ったのには違いないじゃない・・」

 

みんなが溜め息をつく。そんななか、ナツはみんなが聞きたくないことを口にした。

 

ナツ「は~、腹減ったな~」

 

グレイ「言うな!余計腹減るだろうが!」

 

ナツ「減ったモンは減ったんだ!」

 

グレイ「だから、減った減った言うんじゃねぇ!」

 

マカロフ「確かに、減ったの~」

 

「「だーかーらー!」」

 

エルザ「よせ(グ~~~!)」

 

エルザの腹からすごい音がした。

 

ナツ「今グ~~~っていったぞ、グ~~~って」

 

エルザ「鳴ってない、空耳だ!」

 

グレイ「すごい言い訳だなおい・・」

 

ルーシィ「ねえ、トールたち行きにお菓子買ってたでしょ?残ってないの?」

 

トール「買ったけど全部食べちゃった」

 

パオラ「てへっ」

 

アニス「ぺろっ」

 

ルーシィ「なんか腹立つわね・・・」

 

トールは食べたお菓子の袋を出し、パオラやアニスに至ってはふざけた感じに片目をウインクしたり、舌をぺろっと出している。そんな光景を見てルーシィは少しイラッとしていた。すると突然ハッピーが叫んだ。

 

ハッピー「あー!あ~~~!!」

 

ナツ「なに騒いでんだよ?」

 

ハッピー「ナツ、あれ見て!」

 

崖下を見ると、羽の生えた魚が舞っていた。

 

アニス「あれって羽魚じゃない」

 

ハッピー「幻の珍味って呼ばれてるんだよ!あれむちゃくちゃ美味しんだ~」

 

パオラ「なにあのアホ面」

 

ハッピーが羽魚を食べたい一心で狂ったように騒ぎ、パオラは汚物を見るような目でみている。

 

グレイ「幻の珍味…」

 

エルザ「羽魚…」

 

ナツ「美味そうだな!」

 

トール「でかしたハッピー!」

 

マカロフ「よく見つけたの~」

 

グ~~

グ~~

グ~~

グ~~

グ~~

グ~~

 

あちこちからお腹がなっている。

 

ルーシィ「皆お腹空き過ぎです。(グ~~)」

 

グレイ「おまえもな」

 

ルーシィ「あい・・・」

 

ハッピー「よーし、釣るぞ!」

 

しばらく釣りをしていたが、まったく釣れない。

 

ナツ「くそー、こいつら釣れそうで釣れねーな…」

 

ハッピー「おいら、頑張るぞー!」

 

ルーシィ「なんか、あんまり美味しそうに見えないんだけど…」

 

パオラ「正直私は食べたくないわ」

 

エルザ「黙って釣れ!この際食えればいい!」

 

トール「(そこまで減ってたのか?)」

 

ハッピー「羽魚食べたいぞー!美味しいぞー!幻の珍味だぞぉぉぉぉぉぉ!!」

 

鬼気迫るハッピー。だが、

 

ハッピー「飽きて来ました」

 

ルーシィ「意思弱っ!?」

 

速攻で諦めてしまった。

 

ハッピー「だって全然釣れないんだもん・・・」

 

ルーシィ「お腹空いてるんでしょ?だったら頑張ろうよ。諦めないで!」

 

ハッピー「・・・・・・ルーシィの意地悪ぅー!」

 

ルーシィ「えー!?励ましたんですけどーー!?」

 

結局一匹しか釣れなかった。ナツが燃やして焼き魚にした。

 

ナツ「ハッピー食えよ!」

 

トール「(今変色しなかったか!?・・もう食べる気無くしたわ・・)」

 

ハッピー「でもおいら一人だけじゃ…」

 

グレイ「そんなのちょびっとずつ分けて食ったら、余計腹減るわ!」

 

マカロフ「遠慮するなぁ、食え食えー!」

 

ハッピー「そう?じゃ頂きまーす!」

 

ナツとグレイとマスターが、やっぱ食いたかったーみたいな感じで悶えている。エルザは後ろを向いていた。多分見たらだめだと自分に言い聞かしてるのだろう。トールとアニスは後ろを向き、耳を塞いで食べている音を聞かないようにしている。パオラは無心で腹が減っているということを頭の中から消し去っている。

そして羽魚を美味しそうに食べるハッピー。

 

ルーシィ「こんな魚を美味しそうに食べられるなんて、あんた本当に幸せね」

 

ハッピー「マズッ!!?」

 

ルーシィ「不味いんかい!?」

 

そんなこんなで、村が見えてきた。

 

トール「村だ!」

 

グレイ「家だ!」

 

パオラ「だったら!」

 

ナツ「食いモンだーーーー!」

 

だが、村に入ってみてもそこには誰も居なかった。

すると我慢出来なくなったのか、ナツとグレイとパオラは近くの民家に入っていった。その家のテーブルには出来立ての料理があった。にもかかわらず、家のなかにも誰もいない。ナツが我慢できずにパンを食べようとするが、エルザの強烈な睨みによって萎縮してしまう。エルザの指示により、ナツとグレイとルーシィはキノコを取りに行き、他の人は町を調査していた。

 

 

 

 

 

 

マカロフ「・・・・」

 

そんななか、マカロフはある家の中にいた。そしてマカロフの目の前にはすき焼きのような料理が置いてあり、卵を割ってかき混ぜ、食べる準備をするが、

 

エルザ「マスター・・・」

 

マカロフ「いいいや違う!調べようとしてただけじゃ!」

 

エルザの強烈な睨みによって料理を食べることができなかった。

 

そして数分後、

 

エルザ「どうでした?」

 

マカロフ「やはり誰もおらん、この村は廃村じゃ」

 

エルザ「というよりは、つい最近まで人が住んでいた形跡が、ん?」

 

エルザは足元の亀裂に気付いた。

 

エルザ「この線は、何だ?」

 

エルザが見つけた線は遠くまで続いていた。

 

エルザ「単なる石の隙間じゃありませんね。明らかに意図的に掘られている」

 

それからも町を歩いてみたが、線はいたるところにあった。

 

エルザ「ここには別の線が・・・」

 

マカロフ「・・・」

 

トール「おーい!」

 

すると、トールとアニスとパオラがエルザとマカロフのところへやってきた。

 

マカロフ「どうじゃった?」

 

パオラ「ダメ。いろんな家を見たけど誰もいない」

 

アニス「それどころかこの村よくわかんない線があるよ」

 

エルザ「ああ、私たちも見つけている。・・・・どうかしたか?」

 

トール「い、いや・・・この村、まだなんか秘密を隠していそうだなと思って」

 

トールはこの村の異常さを答えたが、心のなかでは違うことを考えていた。アニスとパオラは町を見る振りをしてエルザやマカロフと目線を合わさないようにしている。

 

 

実を言うとこの三人、家にあった料理を食べてしまったのだ。エルザはマカロフと不思議な線を調べていたため、気付かれることはなかった。

 

 

そのとき、怪物のような鳴き声が聞こえた。

 

エルザ「・・・何だ?」

 

すると、黒かった線が赤く光始めた。それと同時にナツ達が戻ってきた。そして家がゆらゆらと動き始めた。

 

ナツ「な、なんだこりゃ・・」

 

ルーシィ「どどどういうこと!?」

 

ハッピー「オイラ家が動くのなんて始めて見たよ!」

 

ルーシィ「なんでそこがつぼ!?」

 

トール「これは・・・!?」

 

グレイ「やるぜ、じーさん」

 

グレイが魔法でなんとか止めようとするが、マカロフによって止められてしまう。

 

マカロフ「待てぃ!」

 

グレイ「何でだよ!?」

 

マカロフ「高いところへ登るんじゃ。確かめたいことがある」

 

エルザ「みんなこい。離れるなよ!」

 

高いところへ登ると、村が光り出して建物が怪物になった。

 

ナツ「ひゃー、わけわかんねえぞこれ」

 

エルザ「マスター、あれは魔方陣では?」

 

「「「「ええっ!?」」」」

 

マカロフ「ああ、お前がいくつも見つけたあのいくつもの線は魔方陣の一部じゃ。そしてこの魔方陣は、かつて禁止された封印魔法、アライブを発動させる為のものじゃ!」

 

アライブ、無機物を生物に変える魔法。

そして、それを行ったのはこの村の住人、闇ギルドが行ったものだという。

しかも住人達は、生物化した怪物達の餌食となったようだ。

 

ルーシィ「でも、なんでこんな危ない魔法を?」

 

パオラ「そうか!この村は闇ギルドの村なんだ!」

 

ナツ「なに!?」

 

トール「ある家の中には魔法に使用する道具を見つけたんだけど、全部まともなもんじゃなかったんだよ」

 

マカロフ「闇ギルドのことじゃ。どうせよからぬ企みをして、そのせいで自滅したのじゃろう。じゃが!!これぞ不幸中の幸い!やつらは生き物じゃ、だから大抵のものは・・・食える!!!」

 

ルーシィ「ええっ!?」

 

ナツ・グレイ「へへっ・・・」

 

ルーシィ「キモい笑顔でなにぬいでんのよ!」

 

グ~~~~~~~~と響いた。ルーシィの突っ込みは今のナツたちには届かない。

 

ナツ「しゃー、食うかー!」

 

ハッピー「わーい、ご飯の時間だー!」

 

グレイ「この際、味がどうのなんて言ってらんねー!」

 

その時、エルザが真っ先に駆け出した。すごく腹減っていたのか、いつもより行動が素早かった。そのあとにナツ・グレイ・ハッピーが続き、ルーシィもゆっくりとだが降りていった。

 

トール「エルザ・・・。そんなに腹減ってたのかよ」

 

マカロフ「ところでトールたち」

 

トール「ん?」

 

アニス「どしたの?マスター」

 

マカロフ「なんか食ったじゃろ?」

 

パオラ「・・・なんでバレたの?」

 

マカロフ「合流したときに気付いておったわい。・・・で、わかっておるな?」

 

トール「ふっふっふ。パンを二つほど拝借してきましたお代官様」

 

マカロフ「ぬしらも悪よのぅ?」

 

トール「いえいえ、お代官様ほどではありません」

 

「「「「ふっふっふっふっ・・・」」」」

 

そういってマカロフはもらったパンを高速で食べてエルザたちに見つからないようにした。そのころ、エルザたちはそれぞれの魔法で食べれるようにしていく。だが、

 

「「「「マズイッ!??」」」」

 

マカロフ「ん?どうした?」

 

ナツ「なんだあれ!?じっちゃんあんなの食えねえぞ!?」

 

グレイ「不味いにも程があるぞ!!」

 

エルザ「ああ、食べられたものじゃないな」

 

ルーシィ「あたしに食べさせてからいわないでください!!」

 

そうこうしているうちに怪物たちが回りを囲む。

 

グレイ「まずい奴らめ・・」

 

エルザ「腹が立つな」

 

トール「マスター、こいつらを消し飛ばせばいいんだろ?」

 

マカロフ「ああ、そうじゃが?」

 

トール「だったら魔法そのものを解除すればいい!

賢者魔法、“いてつくはどう”!!」

 

その瞬間、怪物たちが消え、怪物たちがいたところは瓦礫ばかりになり、魔方陣も消え去った。

 

ルーシィ「やったー!!」

 

エルザ「ふっ、さすがだな」

 

すると怪物たちの消えた場所には人がたくさんいた。どうやら魔方陣をつくったらあの化物が現れてみんな接収(テイクオーバー)されてしまったようだ。トールたちが村に入ってきて、魔方陣が刺激されて動いてしまったらしい。

マカロフはもう二度と悪さをしないなら評議会への報告はなしにすると良い、闇ギルドの連中も反省したようだ。さすがにあんなおっかない目にあうのはもうゴメンらしい。

 

グレイ「とりあえず一件落着か?」

 

ナツ「にしても・・・」

 

「「「「「「「「腹減ったーー」」」」」」」」 

 

 

 

 

 

 




いてつくはどう:賢者魔法の一種。魔法を解除する魔法。

賢者魔法:主に補助系の魔法ばかりである。イメージはドラクエ9の賢者。

自分はドラクエは9とジョーカーしかやってないからこの小説ではドラクエ関係は9が魔法とかのメインになります。
解除魔法を覚えさせたのはある理由があるからです。そんなに話に関係していくのかと言われれば答えづらいですね。


次回はエルザ対ナツです。トールも少しだけ闘います。


そういえば現実で腹がへって食べ物がないときって、グロテスクなことや残酷なことを考えていると食欲がなくなるってきいたことが・・・。
あれ?笑いをこらえるときだったっけ?忘れたわ。


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悪魔の島
ナツvsエルザ


『』はルーシィの手紙に書いてある内容ということで。


───魔法評議会会場ERA───

 

「今回は大きな事件になる前に収束したが、闇ギルドはまだ無数に存在する。またゼレフの魔法なんぞを持ち出されたら次こそ死人が出るやもしれんぞ」

 

頭にコウモリのようなものを乗せた評議員、オーグ老師が封印の施された呪歌(ララバイ)を持ち上げながら苦々しい表情でそう訴える。

 

「そもそもこれほどの魔法がなスてこうも簡単に持ち出されてしまったのか」

 

「責任問題は管理側にまで及びそうじゃな」

 

「それにしても、あれほどけむたがっていた妖精の尻尾に今回ばかりは助けられたみてえだな」

 

「たった数人でギルド一つを潰しちゃうんだもの。すごいわね」

 

青い髪に顔にタトゥーをしたジークレインと黒い長髪のウルティアの放った一言に一部の人はあまりいい顔をしなかった。

 

「認めたくないのもわかるがこれは事実さ。もしもララバイでギルドマスターたちが殺されていたら事態は最悪だった。ここにいる俺たちの何人かは確実に首がとんでいた」

 

「バカな!責任問題をここまで持ち上げるつもりか!?」

 

「話にならん!奴らの派手な暴れっぷりには今回も頭を抱えておるんじゃ!!」

 

「素直に労いの言葉でもかけておくんだな」

 

 

 

 

 

 

 

鉄の森(アイゼンヴァルト)によるギルドマスターの定例会を狙ったテロ事件は、一躍大ニュースとなり国中に知れ渡ったの。あんな大事件の中心に自分がいたなんて未だに信じられないけど、あたしはいつもと同じ日常を送ってます。たまにあの時の事を思い出してドキドキしてるけどね。風の噂じゃあのカゲって人や鉄の森のメンバーはほとんどが捕まっちゃったみたい。ま・・・当たり前か。一つ怖いのはエリゴールだけは捕まってないらしいの。妖精の尻尾に復讐とかしに来たらどうしよう!?・・・でも大丈夫よね。妖精の尻尾にはナツ・グレイ・エルザ・トール・パオラの最強チーム+アニスとハッピーとあたしがいるからね♪』

 

ルーシィは机の上で手紙を書いている。

 

『このギルドは最高よ。だからママも心配しないでね。あたしは元気にやっています。

 

P.S パパには秘密にしてね』

 

 

ルーシィ「ふぅー。今日は買い物しよーっと。ハラハラドキドキの大冒険もいいけど、やっぱりじぶん家はあちつくなぁ」

 

「これで家賃7万Jは確かに安いなぁ」

 

ルーシィ「ん?」

 

すると自分しかいるはずのない家で声が聞こえてきた。

ルーシィが声がした方向に振り向くと・・・

 

グレイ「いいトコ見つかったなルーシィ」

 

ルーシィ「不法侵入ーーーーっ!!」

 

パンツ一丁のグレイがソファーに座ってくつろいでいた。

 

ルーシィ「しかも人ん家で服脱ぐなー!!」

 

グレイ「ぐほぉ!」

 

ルーシィはグレイに凄まじい蹴りをお見舞いする。

 

グレイ「ちょっと待って!誤解だ!!脱いでから来たんだが」

 

ルーシィ「帰れ!!」

 

グレイ「例のアレ、今日だぞ。忘れてんじゃねーかと思って来てやったのによぉ」

 

ルーシィ「アレ?」

 

グレイの言葉に首を傾げるルーシィ。

 

グレイ「やっぱり忘れてんじゃねーか。出発前にナツが言ってただろ?」

 

 

 

 

 

 

グレイ「ナツとエルザとトールが戦うんだ」

 

 

 

 

───ギルド前───

 

 

ルーシィ「ちょっと!本気なの三人とも!?」

 

ルーシィは人を掻き分けてミラたちのところへやってきた。

 

ミラ「あらルーシィ」

 

エルフマン「本気も本気。本気でやらねば漢でない!」

 

ミラ「エルザは女の子よ」

 

マカオ「怪物のメスさ」

 

パオラ「そんなこといってると後が怖いわよ・・・」

 

ちなみにアニスは今パオラに抱えられている。

 

ルーシィ「だって、最強チームの二人が激突したら・・」

 

グレイ「最強チーム?なんだそりゃ」

 

ルーシィ「あんたたちのことよ!妖精の尻尾の最強チームじゃない!」

 

グレイ「はあ?くだんね。誰がそんなこといったんだよ」

 

そのくだらないことをいった張本人のミラは満面の笑みをしていたが、

 

ミラ「うっうっうっうっ・・」シクシク

 

結局泣いてしまった。

 

グレイ「あ・・ミラちゃんだったんだ・・」

 

ルーシィ「泣かした」

 

アニス「泣ーかしたー泣ーかしたー」

 

パオラ「(てゆうか私たちってホントにチームなの?だとしたら前途多難ね・・)」

 

エルフマン「確かにナツやグレイの漢気は認めるが、最強と言われると黙っておけねえな。妖精の尻尾にはまだまだ強者が大勢いるんだ。俺とか!!」

 

レビィ「最強の女はエルザで間違いないと思うけどね」

 

ジェット「最強の男となるとトールやミストガン、ラクサスもいるし」

 

ドロイ「あのおやじも外すわけにはいかねえな」

 

ミラ「私はただエルザたちが一番相性が良いと思ったのよ」シクシク

 

ルーシィ「あれー仲が悪いのが心配っていってませんでした・・?」

 

エルフマン「なんにせよ、面白い戦いになりそうだな」

 

グレイ「そうか?オレの予想じゃエルザやトールの圧勝だが」

 

トール「ナツ、どっちからやる?」

 

ナツ「エルザからだ!そのあとトールと勝負だ!」

 

エルザ「いいだろう。では私が勝ったらトールとやらせてもらおうか」

 

トール「へっ、のぞむところだ。」

 

エルザ「私も本気でいかせてもらうぞ。久しぶりに自分の力を試したい。すべてをぶつけて来い!!」

 

マカオ「炎帝の鎧!耐火能力の鎧だ!」

 

ラキ「これじゃナツの炎が半減されちゃう!!」

 

ワカバ「エルザ!そりゃあ本気すぎだぜ!」

 

ハッピー「・・・・やっぱりエルザにかけていい?」

 

ルーシィ「何て愛のないネコなの!てかあたしこーゆーのダメ!!どっちにも負けてほしくないもん!」

 

グレイ「意外と純情なのな」

 

そんな会話をしていると・・・

 

ナツ「炎帝の鎧かぁ・・、そうこなくちゃ。これで心おきなく全力が出せるぞ!!」

 

ナツがそう言って両手に炎を纏った。

そしてお互いがお互いを睨み合い・・・

 

マカロフ「始めいっ!!」

 

マカロフと声を合図に衝突した。

 

ナツ「だりゃっ!!」

 

先に動いたナツが拳でエルザに殴りかかる。

しかしエルザは後ろに下がることによってそれをかわし、剣を振る。ナツはそれ回避するとすぐに蹴りを放つがエルザはそれも回避して斬りかかる。ナツはそれに反応してかわすが、エルザに蹴りを喰らいバランスを崩す。

だがすぐに立て直し、ナツは口から炎を放つがエルザは跳躍してかわすが足にかすってしまう。その際に周りに炎が飛び散るがそんなことを気にしてはいられない。

 

そしてエルザの剣とナツの炎を纏った拳が交わりあうその時、

 

パァァン!

 

という音がなり、剣と拳はあたる直前で止まった。

 

「そこまでだ。全員その場を動くな。私は評議員の使者である!」

 

レビィ「評議員!?」

 

ドロイ「使者だって!?」

 

ジェット「何でこんな所に!?」

 

ルーシィ「あのビジュアルについてはスルーなのね…」

 

レビィ達シャドウ・ギアが驚いた。

そして使者について突っ込むルーシィ。

 

「先日のアイゼンヴァルト事件において、器物損害罪他11件の罪の容疑で、エルザ・スカーレット、トール・イエスタを逮捕する!」

 

エルザ・トール「「えっ?」」

 

パオラ「なっ!?」

 

ナツ「なんだとぉぉ!?」

 

 

 

 

 

 

 

エルザとトールが逮捕されて数時間後、ギルドは静まり返っていた。だが、小さなトカゲになってグラスの中に閉じ込められているナツは騒いでいた。

 

ナツ「出せー!!オレをここからだせぇっ!!」

 

ミラ「ナツ・・・うるさいよ」

 

ナツ「出せーーっ!!」

 

ミラ「出したら暴れるでしょ?」

 

ナツ「暴れねぇよ!!つーか元に戻せよっ!」

 

ミラ「そしてらナツは「助けにいく!!」って言うでしょ?」

 

ナツ「言わねえよ!!誰がエルザやトールなんかっ!!」

 

ナツはミラに反論している。

 

グレイ「今回ばかりは相手が評議院じゃ手の打ちどころねぇ・・・」

 

ナツ「出せーーーっ!!オレは一言言ってやるんだ!!評議員だかなんだかしらねぇが、間違ってんのはあっちだろ!!」

 

グレイ「白いモンでも評議員が黒って言えば黒になるんだ。ウチらの言い分なんか聞くモンか」

 

エルフマン「しっかしなぁ。・・・今まで散々やってきた事が何で今回にかぎって」

 

ロキ「ああ・・理解に苦しむね」

 

ルーシィ「絶対・・・絶対なにか裏があるんだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───評議院フィオーレ支部───

 

エルザとトールはここで裁かれるというのだが、評議院の使者に連れられているエルザとトールの前に二人の男女が現れた。

 

その者達の名はジークレインとウルティアだった。

 

評議院の使者は二人を前に膝をつく。ウルティアはジークレインとエルザから少し離れたところで喋るためにトールを自分のところへ来させた。

 

ウルティア「あなたがトール・イエスタね。私はウルティア、よろしくね」

 

トール「ど、どうも・・」

 

トールがウルティアと話始めると、エルザはジークレインを前に身構える。

 

ジークレイン「久しぶりだな、エルザ。そう身構えるな、これは思念体だ。オレ達の“体”はERA(エラ)にある」

 

ジークレインはエルザと話しているが、ウルティアとトールのところも話は続いていた。

 

トール「つまりはスケープゴートってやつですか?」

 

ウルティア「ええそうよ。あの人達は責任問題が自分達に及ぶのを怖れてすべての責任を押しつける対象をつくらざるをえなかったのよ。じゃあ扉の向こうで待ってるわ、評議員の一人としてね」

 

トール「あ、はい」

 

トールはウルティアとの話を終え、エルザの方に顔を向けるとエルザの方でも話が終わっており、ジークレインの思念体は消えていた。

 

「あ、あんた・・・すごい人と知り合いなんだな・・」

 

エルザ「“悪”だ」

 

トール「?」

 

「え?」

 

トールも評議院の使者もエルザの言った意味はわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルティア「彼があの娘の言っていたトールねぇ。ふふっ、可愛いじゃない・・・。彼ならもしかしたら大魔法世界に行けるかも知れないわね・・・・」

 

ウルティアの言った呟きは周りに誰もいないため、誰にも聞かれることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより魔導裁判を開廷する。まず、被告人エルザ・スカーレットよ、証言台へ」

 

エルザはトールと並んでいたが、言われた通りに証言台に立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーシィ「やっぱり放っておけないっ!!証言をしに行きましょ!!」

 

ナブ「ルーシィ」

 

マカロフ「まあ待て」

 

その頃妖精の尻尾のギルドでは、ルーシィが証言をしにいこうとするがマカロフに止められる。

 

ルーシィ「何言ってんの!!これは不当逮捕よ!!判決が出てからじゃ間に合わない!!」

 

マカロフ「今からではどれだけ急いでも判決には間に合わん」

 

ルーシィ「でも!!」

 

ナツ「出せー!!オレをだせー!!」

 

マカロフ「本当に出してもよいのか?」

 

未だに騒いでいるナツだがマカロフが問いかけた途端、ナツは急に黙りこんでしまう。ナツの反応にはみんなが疑問をもった。

 

マカロフ「どうしたナツ、急に元気がなくなったな」

 

マカロフはそう言ってニッと笑う。そしてナツに向かって魔法をかける。

 

するとトカゲはナツ・・・ではなくマカオの姿になった。

 

レビィ「マカオ!?」

 

ジェット「えーーーっ!!」

 

今までナツだと思っていた、マカロフ以外のギルドメンバー全員が驚く。

 

「「「なんで!?」」」

 

マカオ「す、すまねぇ・・・ナツには借りがあってよ。ナツに見せかける為に自分でトカゲに変身したんだ」

 

ルーシィ「じゃあ本物のナツは!?」

 

グレイ「まさかエルザを追って・・・!!」

 

マカオ「ああ・・・たぶん」

 

エルフマン「シャレになんねえぞ!!アイツなら評議員すら殴りそうだ!!」

 

アニス「・・・あれ?パオラは?」

 

ルーシィ「そういえば・・」

 

グレイ「いないな・・・。・・・まさか!?」

 

マカオ「ああ、ナツと一緒にいったぞ」

 

マカロフ「全員黙っておれぃ!静かに結果を待てばよい」

 

 

 

 

 

 

「被告人エルザ・スカーレットよ、先日の鉄の森によるテロ事件において主はオシバナ駅一部損壊、リュシカ峡谷鉄橋破壊、クローバーの洋館全壊、これら破壊行為の容疑かけられている。目撃証言によると、犯人は鎧を着た女魔導士と肩にストールをまいた男魔導士であり」

 

すると、裁判所のドアが破壊された。突然の事態にざわつき始める。

 

「何事!?」

 

そして扉の近くには、

 

ナツ「オレがトールだー!捕まえれるものなら捕まえてみやがれぇぇ!!!」

 

トールのような髪型のカツラをかぶり、マフラーをストールに見せて炎を吹いているナツが、

 

パオラ「あ、ああああ、あた、あたしがエルザよ!何の罪か言ってみなさい!!!」

 

エルザの髪型のカツラをかぶり、あたふたしているパオラがいた。

 

ナツ「それぁギルドマスターの命よりも重てぇ罪なんだろうなァ!!あ?」

 

しーーーーーん

 

「・・・・四人を牢へ」

 

エルザ「も、申し訳ありません」

 

トール「・・・すいませんでした」

 

ナツ「エルザ!トール!こんなやつに謝ることなんかねえ!!あ、いや、オレがトールだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

エルザ「おまえたちにはあきれて言葉もない。これはただの儀式だったんだ」

 

ナツ「ぎ、儀式?」

 

トール「形だけの逮捕だ。魔法界全体の秩序を守るために評議会としても取り締まる姿勢を見せておかないといけないんだよ」

 

ナツ「なんだよそりゃ・・意味わかんねー」

 

エルザ「つまり有罪にはされるが“罰”は受けない。今日中にでも帰れたんだ。おまえ達が暴れなければな」

 

ナツ「えーっ!!?」

 

トール「まったく・・」

 

パオラ「・・・・」

 

トール「・・・どうしたんだパオラ?」

 

すると今まで黙っていたパオラはトールに抱きついた。

 

トール「ちょ、パオラ!?」

 

パオラ「・・・ゴメントール・・・。あたし、我慢出来なくて・・心配で・・。でもトールにとっては迷惑だったんだよね。ゴメン・・・」

 

そういってパオラは悲しそうな声で言った。元々怒る気がなかったトールだったが、少し戸惑ってしまう。

 

トール「迷惑なんかじゃねえさ。それに変装までして助けに来てくれたんだろ?俺は嬉しかったぜ。ありがとなパオラ」

 

パオラ「うん・・・////」

 

トールは両手でパオラの体を包んで、お互いが抱きしめあうようになった。これにはパオラも恥ずかしかったので顔を真っ赤にして返事した。

 

エルザは嬉しさのあまりナツを自分の胸に当てるが、鎧を着ていたためにナツの頭が当たった瞬間、ゴチンという音がした。

 

 

 

 

 

ジークレイン「なるほど、妖精の尻尾にいたのか、ナツ・ドラグニル」

 

そんなジークレインの呟きは誰にも聞かれることはなかった。

 

 

 




いや~ほんとは
「あた、あた、あたたたたあたしがエルザよ!!」
ってしようと思ったんだけど、これじゃ北斗神拳みたいだから“あ”の方を連発させました。


・・・なんか最後だけ雰囲気おかしいだろ(笑)

まあパオラは普段は大人しいというか冷静だけどトールのことになると少し空回りするようになってます。


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S級クエスト

ミストガンと(久しぶりに)ラクサス登場!


それではいきましょう。

せーの、




ラクサァァァァァァス!!!(フリード風)


ナツ「やっぱりシャバの空気はうめえ!最高にうめえ!」

 

牢から出られたナツはいつも通り妖精の尻尾(フェアリーテイル)で騒がしい日を過ごしていた。

ちなみに、トールとパオラとアニスは今カウンターにいる。実はトールたちが帰ってきたとき、アニスがトールに抱きついてきたのだ。アニスの様子を見てトールはアニスにも心配をかけたと思い、アニスとパオラに何か奢ることにしていた。

 

ナツ「自由って素晴らしいっ!!フリーダァーッム!!」

 

ジェット「うるせえな」

 

ドロイ「やかましいっ!」

 

ルーシィ「結局“形式だけ”の逮捕だったなんてね。心配して損しちゃった」

 

グレイ「そうか!カエルの使いだけにすぐに帰る!」

 

パオラ「うわ・・寒・・」

 

エルフマン「・・・で、エルザとトールとの漢の勝負はどうなったんだよナツ」

 

ルーシィ「漢!?」

 

ナツ「そうだ!!忘れてたっ!!今度はお前と勝負だ!トール!」

 

トール「じゃあ勝ったら飯を奢るってことで」

 

ナツ「行くぞー!!」

 

トールとの勝負に燃えるナツは手に炎を纏って殴りかかる

 

トール「ふん!!」

 

ナツ「ギャバァ!!!」

 

しかし、トールがナツを投擲の槌(ミョルニル)で一撃で戦闘不能となった。

 

グレイ「ぎゃはははっ!だせーぞナツ!!」

 

エルフマン「やっぱりトールは強ェ!」

 

パオラ「流石ねトール!」

 

トール「そんなわけで、飯代は頂いたぜ」

 

トールはナツの財布から金を抜き取り、カウンターへ戻っていった。

 

ルーシィ「あーあ・・・また店壊しちゃってぇ」

 

ミラ「ふふっ」

 

マカロフ「ふぬ」

 

ミラ「どうしました?マスター」

 

マカロフ「いや・・・眠い・・・」

 

トール「(!あいつか・・・!)」

 

マカロフ「・・・奴じゃ」

 

ミラ「あ」カクン

 

すると、ミラが深い眠りに落ちた。

 

エルフマン「!」

 

グレイ「これは!!」

 

エルザ「くっ・・・」

 

パオラ「眠・・・」

 

ルーシィ「」パタン

 

ミラだけではない、フェアリーテイルのほとんどの魔導士が眠りについた。

 

トール「・・・・・」

 

だがトールは起きていた。トールは寝ているアニスを抱きかかえてギルドの入口を見ていた。トールとマカロフ以外の魔導士が眠りについたころ、ギルドの扉を開けて入ってきた男がいた。その男は顔を布で覆っていて、知らない人から見たら怪し過ぎる格好だった。

 

トール「よおミストガン。調子はどうだ?」

 

ミストガン「トールか・・・相変わらずのようだな」

 

トール「そっちこそ相変わらずだな。なんかあったら俺にいってくれよ、仲間なんだしよ」

 

ミストガン「・・・・・」

 

トール「お前が普段なにやってるかは知らないけど詮索はしない。仲間と言えど秘密の一つや二つはあるだろうしな。でも俺はお前のやってることが正しいことだと信じているぜ」

 

ミストガン「・・・感謝する・・・」

 

ミストガンは依頼板の前に立ち依頼書を取る。そして依頼書をマカロフに見せて出発の準備をする。

 

ミストガン「行ってくる」

 

マカロフ「これっ!!眠りの魔法を解かんかっ!!!」

 

ミストガン「伍・・・四・・・参・・・弐・・・壱・・・」

 

カウントダウンと共にミストガンはギルドをあとにした。

 

ルーシィ「っ!!」パチッ

 

エルザ「っ!!」パチッ

 

グレイ「っ!!」パチッ

 

パオラ「っ!!」パチッ

 

ナツ「zzz・・・」

 

ミストガンがいなくなると同時にギルドのメンバーは目を冷ます。・・・約一名、ミストガンの眠りの魔法が解けても眠ったままだが。

 

ジェット「この感じはミストガンか!!?」

 

レビィ「相変わらず強力な眠りの魔法だね・・・」

 

ルーシィ「ミストガン?」

 

パオラ「フェアリーテイル最強候補の一人よ」

 

ルーシィ「最強候補って・・・エルザと同じくらい強いって事!?」

 

アニス「どういう訳か誰にも姿を見られたくないらしくて、仕事をとる時はいつもこうやって全員を眠らせていくのよ」

 

ルーシィ「何それ怪しすぎっ!!」

 

グレイ「だからマスター以外誰もミストガンの顔を知らねえんだ」

 

 

 

 

「いんや・・・オレとトールは知ってっぞ」

 

 

2階から声が響く

 

エルフマン「ラクサス!!」

 

ワカバ「いたのか」

 

マカオ「めずらしいなっ!!」

 

ルーシィ「誰・・・?」

 

グレイ「もう一人の最強候補だ」

 

ラクサス「ミストガンはシャイなんだ、あんまり詮索してやるな」

 

ナツ「(ピクッ)ラクサスーッ!!オレと勝負しろーっ!!」

 

ラクサスの声に目が覚めたナツはいつものようにラクサスに喧嘩を売る。

 

パオラ「さっきトールにやられたばっかじゃない」

 

ラクサス「そうそう、トールに勝てねえようじゃオレには勝てねえよ。まずはエルザを倒すことから始めるんだな」

 

エルザ「どういう意味だ」ゴゴゴゴ

 

グレイ「おおい、落ち着けよエルザ・・・」

 

挑発的な言葉に腹を立てるエルザをグレイはビビりながらも注意する。

 

ラクサス「俺が最強って事さ。なあ、トール?」

 

トール「・・・ああ、そうだな。俺やエルザよりラクサスのほうが強いしな」

 

アニス「そんなあっさり認めていいの?」

 

トール「実際俺はラクサスに一度も勝ててないし」

 

ラクサス「そういうこった。おいトール」

 

トール「?」

 

ラクサス「ちゃんとS級クエストも受けろよ。S級魔導士の格が下がっちまうぜ」

 

トール「ああ、そうだな。最近受けてなかったからするか」

 

そういってトールはアニスをつれて2階へ登っていった。だが、周りの嫌悪な雰囲気はまだ続いている。

 

ナツ「降りてこい!コノヤロウ!!!」

 

ラクサス「お前が上がってこい」

 

ナツ「上等だ!!」

 

ナツが急いで2階に上ろうとするが、マカロフがに止められる。

 

マカロフ「2階に上がってはならん・・・まだな」

 

ラクサス「ははっ!!怒られてやんの」

 

ナツ「ぐぅ・・・」

 

マカロフ「ラクサスもよさんか」

 

ラクサス「フェアリーテイル最強の座は誰にも渡さねえよ。トールにもエルザにもミストガンにも、そしてあのオヤジにもな!オレが・・・最強だ!!!」

 

そしてラクサスは奥のほうへいき、代わりにトールとアニスが2階から降りてきて依頼書をマカロフに見せて魔導ミニ飛行艇ドラグーンで出発していった。

 

 

 

 

 

 

 

アニス「ねえトール」

 

トール「ん?」

 

二人はドラグーンにのりながら話していた。

 

アニス「なんでラクサスが最強って言ったの?ギルダーツのほうが強いんじゃない?」

 

トール「・・・まあ、否定はしない。でも正直いうと半分くらいは願望も混じってる」

 

アニス「願望?ラクサスがギルダーツに勝ってほしいっていうこと?」

 

トール「・・・まあな」

 

トールはラクサスのことを憧れていたし、いつかは勝ちたいとも思っていた。だから何度も勝負もしていた。・・・残念ながら一勝もしていないが。でもリサーナの一件以降、ラクサスは変わってしまい、トールとラクサスの勝負を見たものは一人もいなかった。

トールはラクサスに勝ち逃げされたようで悔しいし、同時に勝負が出来ず、寂しいと思っていた。

 

トール「一体どうしちまったんだよ、ラクサス・・・」

 

トールの呟きは風のせいでアニスに聞かれることはなかった。

 

 

 

 

 

 

その夜・・・

 

 

ルーシィ「さっきマスターが言ってたでしょ?2階には上がっちゃいけないってどうゆう意味で

すか?」

 

ミラ「ルーシィにはまだ早い話だけどね、2階の依頼板には1階とは比べ物にならないくらい難しい仕事が貼ってあるの。S級のクエストよ」

 

ルーシィ「S級!!?」

 

パオラ「一瞬の判断ミスが死を招くような危険な仕事よ。その分報酬もいいけどね」

 

ルーシィ「うわ・・・」

 

ミラ「S級の仕事はマスターに認めれれた魔導士しか受けられないの。資格があるのはエルザ、ラクサス、ミストガンを含めてまだ6人しかいないのよ」

 

パオラ「トールもそのうちの一人よ」

 

ルーシィ「へえーそうなんだ。だからトールは2階に上がっても何も言われなかったし、パオラがトールと仕事に行かないのね」

 

ミラ「S級なんて目指すものじゃないわよ。本当に命がいくつあっても足りない仕事ばかりなんだから♡」

 

ルーシィ「みたいですね」

 

パオラ「あたしは目指すわよ。トールと同じ景色を見てみたいし。・・ってやばっ、もうこんな時間!じゃああたしは行くね」

 

ルーシィ「どこへ?」

 

パオラ「エルザと仕事に行くんだけど夜行列車で行かないと間に合わないの。エルザと駅で待ち合わせているから。じゃあね!」

 

そういってパオラは駅へ向かっていった。

 

ルーシィ「じゃああたしも帰ろっかな。明日は買い物でもしよっかな~」

 

だがルーシィはその夜、ナツやハッピーに誘われ、報酬が世界に12個しかない黄道十二門の鍵に惹かれ、買い物ではなくS級の仕事にギルドに無断で行ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃・・・

 

トールとアニスは仕事先の途中にあるホテルに泊まっていた。そして風呂にも入り、寝る準備万端だったが、二人は話をしていた。

 

アニス「ねえトール。受けた依頼って今日やったやつだけじゃないでしょ?」

 

トール「そうだけど?」

 

アニス「疲れない?」

 

トール「大丈夫だって」

 

トールたちはホテルに泊まる前に一つ仕事を終えてきたのだ。依頼内容は『巨大彩鳥バシリスクの討伐 報酬300000ジュエル』。だがこれだけではない。翌日には『ガルダン橋の整備 報酬30000ジュエル』、そしてS級クエスト『疾風迅雷の獣“ジンオウガ”の討伐 報酬9000000ジュエル』の2つをうける。なぜそんなに受けたのかというと、理由は簡単、仕事先が近いからである。

そんな中トールは別のことを考えていた。

 

トール「(それにしてもミストガンのやつ・・・)」

 

トールはミストガンのことを考えていた。姿を隠してはいるが、ギルドに害を与えるわけではないと信じているから別にいい。だが、ごくたまに奇妙な動きをする。

 

それはトールを見て少し、ほんの少しだけ笑いを堪えているように見えるのだ。気のせいかもしれないが少しだけ顔が震えている時があった。もちろん確証が全くないので本人には言わないが。

 

トール「やっぱ不思議なやつだなアイツ・・」ボソッ

 

アニス「どうしたの?」

 

トール「いや、何でもねえさ」

 

アニス「じゃあおやすみ」

 

トール「ああ、おやすみ」

 

そうして二人は眠りについた。




トールがラクサスに抱いている感情はナツがギルダーツに抱いている感情と似たようなものです。憧れていて何時かは越えたいと思っているという気持ちです。



最後のはちゃんと意味がありますよプクク。エドラスのための伏線ということでクスクス。

いや~エドラス編が楽しみですな~(笑)


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連れ戻し

ラインハルトの言ってたアイリーン様ってエルザの親かな?
まあ残りのスプリガン12かもしれないしな。もしそうだとしたら顔も姿も不明なのはあと一人になるな。
マカロフとあった6人と名前だけ知ってる3人とジェイコブ・レッシオが出ているから。


ミラ「マスター! 大変です、二階の依頼書が一枚紛失しています!!」

 

マカロフ「ぶふううぅぅ!!」

 

 ミラジェーンの言葉に、マカロフは口にしていた飲み物を盛大に吹き出し、ギルド中が騒然となった。

 

ラクサス「ああ、それなら昨日どろぼう猫がちぎって行ったぞ。羽のはえた・・・な」

 

ミラ「ハッピー!?」

 

「つーことはナツとルーシィも一緒か!?」

 

アルザック「何考えてんだあいつ等!」

 

ビスカ「バカだとは思ってたけどここまでとはね・・・」

 

「S級クエストに勝手に行っちまったのか!?」

 

ラクサス「これは重大なルール違反だ。じじい!奴等は帰り次第破門・・・だよな。つーかあの程度の実力でS級に挑むたァ帰っちゃこねえだろうがな」

 

マカロフ「・・・・」

 

ラクサスの言葉に、ギルドはさらに騒がしくなる。その中で、ミラジェーンはラクサスに詰め寄った。

 

ミラ「ラクサス! 何で見てたのに止めなかったの!?」

 

ラクサス「俺はアニスがとっていったと思ったんだよ。まさかあれがハッピーでナツがS級行っちまったなんて思いもよらなかったなァ」

 

ミラ「・・・」

 

ラクサス「お?アンタのそんな顔久しぶりだなァ」

 

ラクサスの言葉に、ミラジェーンは怒りの表情を浮かべる。アニスは現在トールとS級クエストに行っているので必然的にハッピーが取っていったということになる。昨日トールたちが出発したときにラクサスはまだギルドにいた。今アニスがいないことなど知っていただろう。

つまりはハッピーだとわかってて見逃したということだ。だがラクサスは悪くない。元はと言えば勝手にS級に行ったナツたちが悪いのだから。

 

2階でのやり取りに、他の魔導士が肝を冷やす中……マカロフはマスターとして指示を出す。

 

マカロフ「マズイのう。消えた依頼書は?」

 

ミラ「呪われた島、ガルナです」

 

マカロフ「なんと!?」

 

マカオ・ワカバ「「ガルナ島!?」」

 

ラキ「そんな無茶な!?」

 

アルザック・ビスカ「あいつらやっぱりバカだ!!」

 

マカロフ「ラクサス、連れ戻して来い!!」

 

ガルナ島という言葉を聞き、周りの人はさらにざわつく。

 

ラクサス「冗談、俺はこれから仕事なんだよ。てめえのケツをふけねえ魔導士はこのギルドにはいねえ。だろ?」

 

マカロフ「今ここにいる中でオマエ以外に誰がナツを力ずくで連れ戻せる!?」

 

トールはアニスとS級に行っており、エルザはパオラと仕事に行っている。そうなるとラクサスしかいないがラクサスは断ってしまう。

 

その時、ガタン、と音を立てて立った者がいた。

 

グレイ「じーさん。それは聞き捨てならねーな」

 

それはグレイだった。グレイはそう言うと、ギルドを出て、駅に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そのグレイはナツたちを連れ戻そうとしたがナツに気絶させられてしまい、島について結局はグレイもS級を無断で参加してしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時がたち、トールとアニスは仕事が終わったので帰りにハルジオンの市場で観光がてらに夕食の買い物をしていた。

 

トール「さて、今日の晩飯はどうすっかなー」

 

アニス「あたしは速く帰って寝たいよ~」

 

トール「ま、ちゃっちゃと用を済ませて帰って飯食って寝ようぜ」

 

するとトールの持っていた通信用ラクリマが鳴りだした。スイッチを入れるとミラの顔が出てきて後ろにはマカロフがいた。

 

ミラ『トール!仕事はおわった?』

 

トール「どうしたんだミラ?まあ仕事はもう終わって今ハルジオンで買い物してるんだけど」

 

アニス「何かあったの?」

 

トールたちはミラからナツ達が無断でS級の仕事に行った事を簡単に説明された。二人は呆れていた。

 

トール「 でも、一応グレイも行かせたんですよね?だったら・・・」

 

マカロフ『ああ。じゃが、まだ帰ってきてない。お主らはもう仕事は終わっているのじゃろ? エルザとパオラが少し前にギルドを出たからお前たちもガルナ島へ向かってもらいたいんじゃ』

 

トール「了解です。じゃあ、エルザたちが来たら合流しま「あ、トール!エルザとパオラだよ」・・ん?」

 

アニスの見ている先を見るとエルザとパオラがトールとアニスの方へ走ってきていた。

 

トール「ホントだ。とりあえず、エルザたちと合流します」

 

ミラ『お願いね』

 

そう言うと、トールは通信を切り、アニスと一緒にエルザとパオラの元へ行った。

 

エルザ「トール!悪いが一緒に来てもらうぞ!」

 

トール「ミラとマスターから話は聞いてる。エルザたちと合流しろってさ」

 

パオラ「じゃあ速く船を見つけましょ!さっさと終わらして速く帰りたいわ」

 

エルザ「サイコキネシスでいかないのか?」

 

アニス「ナツたちを連れて帰るんだから船じゃないと疲れるでしょ」

 

トール「それにほら。ちょうどいいところにちょうどいい船があるじゃん」

 

トールが指差した船は海のならず者たちの船、つまり海賊船だ。

 

パオラ「・・・海賊ならせめて見にくいところに置きなさいよ」

 

パオラは呆れているが準備は万端だった。そして全員で海賊たちを襲う。突然のことで海賊たちは戸惑ったのか、船の制圧は簡単だった。そして海賊船はガルナ島へ向けて出港した。

 

 

「あ、あんな島に何しに行くつもりでぇ」

 

エルザ「いいから舵をとれ」

 

「ひっ」

 

エルザの声に海賊はびびってしまう。

 

アニス「機嫌悪いね」

 

パオラ「そりゃギルドのルールを破ってるからね」

 

「かんべんしてくれよ・・。ガルナ島は呪いの島だ。噂じゃあ人が悪魔になっちまうって・・・」

 

エルザ「興味無いな」

 

トール「ああ・・・」

 

エルザ「掟を破った者どもを仕置きに行く、ただそれだけだ」

 

エルザたちはもうすぐガルナ島へ着こうとしていた。

 

 

 

 




今回ちょっと少ないかな。

ま、許しておくれ。
最近SAOのSSにはまっておるのだ。


原作もアニメも見てないのにな(笑)


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グレイの選択、デリオラの復活

すいません。すこし遅れました。

ナインハルトの魔法は死んだ人しか出せないのかな?もしそうだとしたらシモンのこととか考えなくちゃな。でもそれで言うと斑鳩はもう死んだということになるな。

もっと12(トゥエルブ)のこと詳しく書いて欲しいな。


パオラ「まったく、なんでこんなことになったのよ」

 

パオラはイライラしていた。無理もない。本当ならギルドに戻って家に帰り、すでに休んでいるはずだったのに、勝手にS級に行ったナツたちを連れ戻しに行くことになったのだから。

 

トール「まあそう怒るなって」

 

アニス「ZZZ………」

 

そんなパオラをトールが落ち着かせる。ちなみにアニスはトールに抱えられて寝ている。

 

パオラ「勝手にS級に行ってマスターに認められるんなら誰だって行ってるわよ。てゆうか入ってすぐギルドのルールを破るってルーシィは何がしたいのよ」

 

トール「(絶対報酬に目が眩んだな)」

 

エルザ「パオラの言うとおりだ。ケジメはしっかりつけるぞ。でないと示しがつかない」

 

トール「ま、破門関係なしに()()はあるだろうな。いやー楽しみ楽しみ」

 

エルザ「ふふ、今から腕がなるな。楽しみだ」

 

そんな話をしていると、島の海岸へと向かっている巨大なネズミがいた。しかもそのネズミは空を飛んでいる。ネズミをいち早く見つけたパオラはみんなに知らせる。

 

パオラ「ねえ、あれって何なの?」

 

パオラが指差した方向を見ると、さっきパオラが見たものと同じ光景を見た。

 

トール「ネズミ……か?なんかあの顔見ると腹立ってくるな………」

 

パオラ「あ、落ちたよ!」

 

エルザ「行ってみるか。何か手がかりくらいはつかめるかもしれん」

 

エルザたちはネズミを追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーシィ「や、やだ……、足が動かない………!」

 

何とか元蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士シェリーを倒したルーシィだったが、魔力の消費と戦闘の疲労でまともに動けなかった。

そこに彼女のパートナーである大ネズミのアンジェリカが上空に飛びあがって、ルーシィを押し潰そうとしていたのだ。

 

ルーシィ「きゃあああああああ!!!」

 

ルーシィは眼を閉じて悲鳴を上げた。だが、いつまでたっても自分の身に何も起こらない。

 

不思議に思って強く閉じていた眼を開けてみると、

 

トール「よおルーシィ」

 

アンジェリカの巨体を持ち上げているトールがいた。

 

ルーシィ「トール!」

 

トール「全然重くねえな。メギンギョルズを使うまでもねえ」

 

アンジェリカ「チュウウウウウ!!!」

 

アンジェリカがトールに向けて拳を振りかざそうとするが、

 

パオラ「メテオブラスト!」

 

エルザ「ハァッ!!」

 

そのアンジェリカをパオラは流星魔法で、エルザは剣で攻撃した。

 

ルーシィ「パオラ!エルザ!」

 

エルザ「」ギロッ

 

ルーシィ「………さん」

 

ルーシィはエルザたちがやってきたことに嬉しく思ったが、同時に何でここにいるかを理解した。

 

ルーシィ「(そうだ!あたしたちギルドの掟破って勝手にS級クエストへきちゃったんだ!!)」

 

エルザ「私たちがなぜここにいるか、分かっているな、ルーシィ?」

 

ルーシィ「あ、いや、その……連れ戻しに……ですよね?」

 

ルーシィはエルザの剣呑な雰囲気に圧され、砂の上で正座しながら彼女の問いに答えた。

 

ハッピー「よかったー!ルーシィ無事だったぁ?」

 

その時ハッピーが(エーラ)を使ってルーシィを探しに来たが、エルザたちが来ているのを見て全力で逃走を図る。

 

エルザ「トール」

 

トール「あいよ」

 

だが、トールのサイコキネシスによってすぐに捕まった。今はエルザに尻尾を掴まれて宙吊りにされている。

 

パオラ「ナツとグレイは一緒じゃないの?」

 

ルーシィ「そのことなんだけど……ちょっと聞いて欲しいの。勝手にS級に来ちゃったのは謝るけど、今この島は大変なことになってるの!氷付けの悪魔を復活させようとしてる奴等がいたり、村の人たちはそいつ等の魔力で苦しめられたり、とにかく大変なの!!!あたしたち………なんとか、この島の人たちを助けてあげたいんだ」

 

エルザ「興味無いな」

 

ルーシィ「じゃ…じゃあ、せめて最後まで仕事を……」

 

ルーシィの話に興味がないように、エルザは取り出した剣をルーシィの喉元に話の途中で突き付けた。

 

エルザ「仕事? 違うぞ、ルーシィ。貴様等はマスターを、ギルドを裏切ったのだ。ただで済むと思うなよ」

 

ルーシィ「(こ……怖い………)!」

 

エルザの強い敵意と迫力に、ルーシィは恐怖の涙を浮かべる。

思わずルーシィはトールとパオラに救いを求めるような目線を向けるが、

 

パオラ「……言っとくけど、あたしはかばうつもりはないから」

 

トール「ま、自分で巻いた種だ。自分で枯らせるんだな」

 

ルーシィ「そ、そんな~」

 

二人から救いの言葉は発せられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイ「どこだここは?」

 

翌朝、グレイは村の資材置き場の仮設テントで目を覚ました。

デリオラ復活の儀式を行っている遺跡の頂上で兄弟子・リオンに敗れ、ナツに運ばれる途中で気絶し、その後村が魔導士達の攻撃によって壊滅してしまい、翌日になって目を覚ました。

村人に昨夜起こった事を説明されたグレイは、指定されたテントに傷の痛みに顔を顰めながら何とか到着し、入り口をくぐった。

 

そこに自分たちを連れ戻しにきた者たちがいることを知らずに。

 

グレイ「!!!エルザ!?トールにアニス、パオラも!?」

 

そこに居たのはエルザ、トール、アニス、パオラ(アニスは寝ている)。そして縄で縛られているルーシィにハッピー。

自身はナツたちを止める側だったが、結局は自分もS級クエストに参加しているグレイは、思わずビビってしまう。

 

トール「だいたいの事情はルーシィから聞いたけど、つーかグレイはナツたちを止める側じゃなかったのかよ?」

 

グレイ「………」

 

エルザ「あきれて物も言えんぞ」

 

グレイ「ナ、ナツは?」

 

エルザ「それは私が聞きたい」

 

グレイ「ルーシィ…ナツはどうした?」

 

ルーシィ「わ、わからない。村で零帝の手下たちと戦ってたはずなんだけど。そいつ等は片付けられてたのにナツの姿が見当たらなかったの。それでとりあえずグレイの所へつれてけって言われて」

 

グレイ「よくこの場所がわかったな。村の資材置き場だと聞いたぞ」

 

ハッピー「オイラが空から探したんだよ。縛られたまま」

 

エルザ「つまりナツは此処が分からなくてフラフラしてる訳だな」

 

パオラ「もしかしたら遺跡にいるんじゃないの?」

 

エルザ「よし、ナツを探しに行くぞ。見つけ次第ギルドに戻る」

 

グレイ「な、何言ってんだエルザ……。事情を聞いたなら今この島で何が起こっているか知ってんだろ」

 

エルザ「それが何か?」

 

エルザの一言にグレイは唖然とする。

 

エルザ「私たちはギルドの掟を破った者を連れ戻しにきた。残るはナツ一人だ。それ以外のことには一切の興味がない」

 

グレイ「この島の人たちの姿を見たんじゃねーのかよ。それを放っておけというのか!?」

 

エルザ「依頼書は各ギルドに発行されている。正式に受理されたギルドの魔導士にまかせるのが筋ではないのか」

 

グレイ「見損なったぞ……エルザ」

 

エルザ「何だと?」

 

ハッピー「グレイ!エルザ様に何てことを!!」

 

ルーシィ「様……!?」

 

エルザ「おまえまでギルドの掟を破るつもりか。ただではすまさんぞ」

 

エルザは剣を取りだし、グレイの首先へと向ける。

 

だが、グレイはエルザがだした剣を掴んだ。

 

グレイ「勝手にしやがれ!!これはオレが選んだ道だ!!!やらなきゃならねえことなんだ」

 

剣を強く握ったグレイの手からは血が出るがグレイはそんなことは気にしない。

 

グレイ「最後までやらせてもらう。斬りたきゃ斬れよ」

 

そういってグレイはテントから出ていった。

 

トール「どーするよ?エルザ」

 

エルザはルーシィとハッピーのほうへ向かっていった。

 

ルーシィ「ちょ、エルザ…おおお落ち着いて………」

 

ハッピー「そうそう。グレイは昔の友達に負けて気が立ってんだよぉ~」

 

エルザは構わず剣を振り上げる。二人は悲鳴をあげる。だが切れたのは縄だけだった。

 

エルザ「行くぞ」

 

ルーシィ「え?」

 

パオラ「これじゃ、話にならないしね」

 

トール「まずは仕事を片付けてからだな。そろそろ起きろアニス」

 

アニス「ん……わかった……」

 

エルザたちのひとことにルーシィとハッピーは喜ぶが、

 

エルザ「勘違いするなよ。罰は受けてもらうぞ」

 

そのひとことに少しテンションが下がってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺跡へ向かっている途中、エルザたちはグレイから零帝リオンが厄災の悪魔デリオラを復活させる目的を聞いていた。

 

ルーシィ「デリオラを倒す?それがあいつの目的なの!?」

 

トール「わざわざ氷漬けになっている奴をか?めんどくせーな」

 

パオラ「なんでそんなことするの?」

 

グレイ「…リオンは昔から、ウルを超える事だけを目標にしてきた。だから、そのウルがいなくなった今、ウルも倒せなかったデリオラを倒す事で、ウルを超えようとしている」

 

ルーシィ「そっか…死んだ人を超えるには、その方法しか……」

 

ハッピー「あい」

 

グレイ「いや、あいつは…リオンは知らないんだ」

 

パオラ「えっ!?」

 

グレイ「確かにウルは、俺達の前から居なくなった。だけど……、ウルはまだ生きている!」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

エルザ「どうゆう事だ?」

 

衝撃の事実にさすがのエルザも驚いている。

 

グレイ「十年前だ」

 

 

十年前、デリオラの襲撃で壊滅した街の中にグレイだけが生き残り、ウルに拾われて弟子入りして、リオンと一緒に修行もした。

すべては、家族を奪ったデリオラを倒すために。

しばらくして、町でデリオラの情報を聞いてウル達の制止も聞かずに一人で向かったグレイ、圧倒的な力を持つデリオラに挑み、あっさり負けて恐怖するが、そこにウルが駆け付けた。リオンが絶対氷結

(アイス・ド・シェル)をかけようとしたがウルに止められる。そしてウルが絶対氷結(アイス・ド・シェル)を行い、ウルはデリオラを覆う氷となったのだった。

 

 

そしてやっと遺跡が見える所まで来たが、遺跡の様子がおかしかった。

 

ルーシィ「え~と、遺跡が…傾いてる?」

 

遺跡が傾いているのだった。

 

アニス「どうなってるの?」

 

エルザ「ナツだな」

 

ハッピー「ナツだね」

 

トール「つかナツしかいないだろ」

 

パオラ「うん」

 

グレイ「どうやったか知らねぇが、こんなデタラメな事するのはあいつしかいねぇ。狙ったのか偶然か、どちらにせよ、これで月の光はデリオラには当たらねぇ」

 

ルーシィ「あちこち壊しちゃう癖が、こんなとこで役に立つなんて…」

 

ハッピー「おいら知ってるよ、そーゆうのを伏線て言うんだよ」

 

すると茂みの中から、多数の投剣が飛んで来た。

 

トール「危ねえ!」

 

トールが雷神魔法で指先から雷光のブレードを出し、投剣すべてを粉々にした。すると奥から顔を隠した連中が現れた。

 

エルザ「何者!」

 

「見つけたぞ、フェアリーテイル!」

 

「零帝様の邪魔は許さん!」

 

トール「こいつら…」

 

グレイ「リオンの手下か?」

 

ルーシィ「囲まれちゃった!?」

 

パオラ「めんどくさいわね…」

 

エルザ「ここは私達に任せろ!」

 

エルザは魔法剣を取り出した。

 

エルザ「行けグレイ、リオンとの決着を付けてこい!」

 

トール「そうゆう訳だ。行って来い!」

 

パオラ「大丈夫!あたし達も居るから、行って!」

 

アニス「うん!」

 

ルーシィ「あたしたちもやるわよ!」

 

ハッピー「あいさー!」

 

グレイ「お前ら…(あいつは、ウルが生きている事を知らねぇ、止められるのは俺だけだ!)」

 

こうしてグレイはリオンを止めにいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、敵のなかで立っているものはいなかった。

 

トール「あー終わった終わった」

 

パオラ「早く遺跡に行こうよ」

 

その時、地震が起きた。そして今まで傾いていた遺跡が元に戻っていた。

 

エルザ「なんの音だ?」

 

トール「おいあれ!」

 

アニス「そ、そんな!?」

 

パオラ「傾いてた遺跡が元に戻ってる!?」

 

ハッピー「嘘~!?」

 

ルーシィ「何で!?」

 

皆唖然としていた。

 

トール「これじゃ、月の光がデリオラに当たっちまうぞ」

 

ルーシィ「どうなってるのよ~!?」

 

エルザ「早く遺跡にいくぞ!」

 

ルーシィ「……ん?あの光ってまさか!?」

 

ハッピー「月の光だ!誰かが儀式を再開してるんだ!」

 

トール「アニス!サイコキネシスで全員を連れ出すぞ!」

 

アニス「オッケー!」

 

そうして一行は遺跡のてっぺんへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしててっぺんに行くと、犬のようなひとが一人で儀式をやっていた。エルザはすぐに剣を取りだし、犬のようなひと、トビーを斬りつけた。

 

ルーシィ「やった!月の雫(ムーンドリップ)が止まった!」

 

トール「つーかコイツひとりでやってたのかよ……」

 

これでデリオラ復活は阻止されたと思われたが、

 

『グオオオオオオオオォォォォォォッッッ!!!』

 

ルーシィ「ひっ!?」

 

トール「なんつー声のデカさだ!?」

 

パオラ「そんな……」

 

エルザ「まさか、デリオラが!?」

 

凄まじい雄叫びと共に、とうとう厄災の悪魔デリオラが復活してしまった。

 

 

 

 

 




トールの言った“自分の巻いた種は自分で枯らせろ”というのはドラゴンボールのクウラが言ったセリフなんです。それを使わせていただきました。

俺結構クウラの最終形態好きなんですよねー。あの変身するときとかしたあとの闘いとか。

できればドラゴンボールの敵キャラ出そっかナ~。もちろん強さとかは変わるけど。



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BURST  ~届け、あの空に~

OVAの妖精たちの罰ゲームを見ました。あそこにもしジェラールがいたらジェラールがエルザに、ミラがエルフマンに罰をあたえるのかな?
それはそれで面白そうだな。


P.S.鼻づまりって結構腹立ちますね。


ナツ「一秒後にお前をぶっ飛ばす!! “火竜の鉄拳”!!!」

 

ザルティ「きゃあああああああああ!!」

 

炎の滅竜魔導士ナツは、失われた魔法(ロストマジック)・時のアークの使い手である仮面をつけた男ザルティと激闘の末、ナツの拳によりザルティの頬を捉えて吹き飛ばし、岩場に叩きつけた。これでデリオラ復活は免れたように思われたが、

 

『グォオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

「!!!」

 

ものすごい声が洞窟内だけではなく、遺跡中に響いた。そしてそこに居たのは、

 

 

絶対氷結(アイスドシェル)の封印が溶け、強烈な雄叫びをあげている巨大な怪物だった。

 

 

 

 

リオンとの決闘を制し、遺跡の地下の洞窟に到着したグレイが見たのは、家族を奪い、師匠に命をかけて封じられた悪魔の復活した姿だった。悪魔の発する怒号は周囲の空気を震えさせている。

そして、デリオラの威圧感が物理的な力を持っているかのように周囲の水を逆立て小さな波を起こしている。その水はデリオラを封じていた氷のなれの果て。絶対氷結(アイスドシェル)で氷となった師匠のウルそのものだった。

 

グレイ「(ウル……)」

 

その水を手ですくうが、液体であるゆえにすぐに手から零れ落ちる。

 

ナツ「グレイ、いたのか!」

 

グレイ「ナツ…」

 

二人はデリオラのもとへ集まっていく。

 

ナツ「こうなったらやるしかねえ! あいつぶっ倒すぞ!!!」

 

 

 

「ククク……」

 

 

 

だが、ナツに応えたのはグレイではなかった。

暗闇から響くような掠れた笑い声。その声に含まれた狂喜とも呼べるような感情に、一同は声の主……リオンを見る。

 

リオン「お前らでは、無理、だ。アレは、俺、が……ウルを超える、ために……ククク……」

 

先ほどグレイにやられ、ボロボロの姿で立つこともままならず、震える手で這いずりながら進むリオンの顔には虚ろな笑みを浮かべている。

 

ナツ「お前の方が無理だよ! 引っ込んでろ!」

 

リオン「やっと……会えたな。デリオラ……!」

 

ナツの言葉はリオンには届かない。息を荒くしながらも、リオンは震える足を踏ん張ってなんとか立ち上がろうとする。

 

リオン「あのウルが……唯一、勝てなかった、怪物……今、この手で……!」

 

最強の魔導士と名高いウルに弟子入りを志願し、彼女を超えるためだけに己を磨いてきた。彼女がいなくなった後も、リオンは師匠を超える事にこだわり、仲間を集めて頑張ってきた。その長年の野望を叶えるために限界を超えていた身体に力を与え、リオンは震えながらも立ち上がる。

 

リオン「俺は、今……アンタを超える……!!」

 

だがそんなリオンにグレイは首もとに手刀を向ける。

 

リオン「ガ……!!」

 

グレイ「リオン、もういいよ。後は俺に任せろ」

 

リオンの首筋を打った手刀には殆ど力がこもっていなかったが、既に限界を超えたリオンの身体は彼の意思に反して、あっさりと地に伏した。

 

グレイ「デリオラは俺が封じる!!」

 

 

 

 

 

 

 

トールたちはデリオラを倒すために遺跡のてっぺんから地下へと向かっていた。そしてようやくつき、デリオラの姿が見えた。近くにはナツとグレイとリオンがいる。

 

トール「な!?」

 

エルザ「これは……!?」

 

だがそこでトールたちは見たのは、デリオラがバラバラに崩れていく姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

一度腕に入ったひびは全身へとつたわっていく。先ほどの雄叫びがまるで嘘みたいな光景である。

 

リオン「そんな、まさか……デリオラは、すでに死んで……?」

 

そしてデリオラは粉々になり、その破片は水のなかへと消えていった。

 

リオン「10年間、ウルの氷の中で徐々に命を奪われ……俺たちはその最期を見ているというのか……」

 

あまりの真実に、リオンは拳で岩を叩いた。

 

リオン「敵わん……俺にはウルを越えられない」

 

師を超えるための最後の手段をなくし、師匠の偉大さを知り、涙を流すリオン。

 

ナツ「す、スゲーな、お前の師匠!」

 

 

 

 

 

 

『お前の闇は、私が封じよう』

 

 

 

 

 

 

 

かつて自分を育ててくれた師匠の言葉を思いだし、グレイは涙を流した。

 

グレイ「ありがとうございます……師匠」

 

 

 

 

 

───ガルナ島海岸───

 

 

ナツ「いやー、終わった終わったー!」

 

ハッピー「あいさー!」

 

ルーシィ「本当…、一時はどうなるかと思ったよ。すごいねウルさんって」

 

ナツ「これで俺たちも、S級クエスト達成だー!」

 

ハッピー「やったー!」

 

ルーシィ「もしかしてあたし達、二階へ行けるのかなぁ!」

 

グレイ「はは……」

 

ナツたちはS級クエストを無事クリアしたことを喜んでいる。だが彼らの喜びは長くは続かなかった。

 

トール「はしゃいでるとこ悪いけど、今の状況つかめてんのか?」

 

今まで騒いでいた者たちがこちらの方を向く。すると怖い顔をしているエルザに目が入る。

そしてナツ、ハッピー、ルーシィ、グレイの四人は、忘れていた事を思い出した。それと同時に表情が強張ってしまう。

 

 

ルーシィ「そうだ!?お仕置きが待ってたんだ!?」

 

パオラ「その前にやる事があるでしょ。悪魔にされた村人を救う事が、今回の仕事の本当の目的じゃ無いの?」

 

エルザ「S級クエストはまだ終わってないぞ」

 

ルーシィ「だ、だってデリオラは死んじゃったし……村の呪いだってこれで………」

 

エルザ「いや……あの呪いとかいう現象はデリオラの影響ではない。月の雫(ムーンドリップ)の膨大な魔力が人々に害を及ぼしたのだ。デリオラが崩壊(・・)したならといって事態が改善する訳がないだろう」

 

パオラ「それについては関係ありそうな人に聞けばいいんじゃない?」

 

と、パオラがそういうとある男に視線が集まる。

 

リオン「オレは知らんぞ」

 

ナツ「何だとォ!」

 

ハッピー「とォ!」

 

ルーシィ「だってあんたたちが知らなかったらほかにどうやって呪いを」

 

リオン「3年前この島に来たとき村が存在するのは知っていた。しかし俺たちは村の人々には干渉しなかった。奴等から会いに来ることも一度もなかったしな」

 

アニス「三年間で一度も!?」

 

トール「遺跡からほぼ毎晩のように月の雫の光がおりていたのにここを調査しなかったのはおかしな話だな。一番の疑問といえば、三年間同じ光を浴びていたリオンたちがなぜ村の人たちのようにならないのかってことだな」

 

「「「「!!!!!」」」」

 

リオン「気をつけな。奴等は何かを隠してる。ま、ここからはギルドの仕事だろ」

 

ナツ「そうはいかねえ。お前らは村をぶっこ「ぐっ」」

 

エルザはナツの口を塞ぎ、少し前のことを思い出していた。

 

 

 

 

トビー『シェリーや……オ…オレたちはみんな……デリオラに家族を……殺された者同士だ……。それでリオンに協力してんだよ……。リオンならデリオラを倒してくれる……俺たちの恨みをきっと晴らしてくれる……』

 

 

 

 

エルザ「奴も奴なりの正義があった。過去を難じる必要はもうない」

 

トール「んじゃ、早く村にいってなんとかしないとな。さっさと帰りたいし」

 

パオラ「ほんとよ。まったく勝手にS級やってるくせに自分たちで解決できないってなによ」

 

ハッピー「うっ……」

 

ルーシィ「正論すぎてぐうの音もでません……」

 

みんなが村へと向かっていくなか、グレイはリオンの方を向いていた。

 

リオン「何見てやがる」

 

グレイ「おまえもどっかのギルドに入れよ。仲間がいてライバルがいて、きっと新しい目標が見つかる」

 

リオン「く、くだらん……さっさと行け」

 

 

───資材置き場───

 

トール「…って、誰もいねえぞオイ」

 

アニス「どこかに行っちゃったのかな?」

 

ナツ「ここにみんないたのか?」

 

ルーシィ「村がなくなったからね。でもどうしたんだろう」

 

ハッピー「おーい!」

 

グレイ「とりあえずキズ薬と包帯もらっとくぞ」

 

すると村人の一人が急いでやってきた。村人によると村まで来てほしいといっている。

 

そして村に着くと、

 

 

そこには壊れたはずの村が元通りになっていた。

 

 

 

 

 

 

ルーシィ「な、何これ……」

 

ハッピー「昨日村はボロボロになっちゃったのに……」

 

ナツ「元に戻ってる…」

 

ナツたちは村が元通りになっていることを不思議に思った。

 

そう、まるで村が壊れる前に()()()ように。

 

ナツは少し心当たりがあったのか思い当たる顔を浮かべるが、すぐに否定する。

 

そして村長がいつ月を壊すのかルーシィに問い詰めていた。

 

エルザ「月を破壊するのはたやすい……」

 

村長「!!」

 

グレイ「おい、とんでもない事をしれっと言ってるぞ…」

 

ハッピー「あい、それがエルザです…」

 

エルザ「しかしその前に確認したいことがある。皆を集めてくれないか」

 

エルザの疑問を言う為に、村中の人達を集めた。

 

エルザ「整理しておこう。君たちは紫の月が出てからそのような姿になってしまった。間違いないか?」

 

村長「ほがぁ…正確にはあの月が出ている間だけこのような姿に…」

 

エルザ「話をまとめると、それは三年前からということになる」

 

「確かにそれくらい経つかも…」

 

「ああ…」

 

エルザ「しかし、この島では三年間毎日月の雫が行われてた。遺跡にら一筋の光が毎日のように見えてたハズ」

 

だがそのとき、

 

エルザ「キャッ!?」

 

ルーシィが作っていた落とし穴に落ちてしまった。

 

ハッピー「あっ!?落とし穴まで復活してたの!?」

 

ナツ「キャ…キャッて言った…ぞ…」

 

グレイ「か、可愛いな…」

 

アニス「エルザって意外とマヌケだよね…」

 

トール「お前ら…プフッ……だまれ……ククッ」

 

パオラ「シッ!笑っちゃダメ!殺されるわよ!」

 

ルーシィ「あたしの所為じゃない!?あたしの所為じゃない!?」

 

その後、何事も無かった様に振舞った。

エルザは村人たちになぜ遺跡を調査しなかったのか尋ねた。

 

村人たち曰く、

何度も遺跡に向かっても近づけないということ

 

トール「…なるほど…」

 

エルザ「やはり…か」

 

ルーシィ「え?」

 

 

 

 

 

そのとき、その様子を遠くで見ているものがいた。

 

ザルティ「さすがは妖精女王(ティターニア)に凍てつく雷神。もうこのからくりに気がつくとはねえ」

 

左頬がナツによって殴られたから腫れているがそんなことは気にしていなかった。

そしてザルティの視線は一人の少年に向いていた。

 

ザルティ「さて、彼はどうするつもりなのか……」

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよ月を壊す事になった。

エルザは投擲力を上げる鎧、巨人の鎧に換装し、破邪の槍をだす。

 

ナツ「それをブン投げて月を壊すのか!うおおっ!!すっげ!!!」

 

「「「「(いやいや、無理だから!?)」」」」

 

エルザ「しかし、それだけでは月までは届かんだろう。だから、ナツの火力でブーストさせたい。トールとパオラも手伝ってくれ」

 

ナツ「ん!?」

 

トール「?」

 

パオラ「何すればいいの?」

 

エルザ「ナツ、お前は私が槍を投げる時、石突の部分を、思いっきり殴るんだ。巨人の鎧の投擲力と、ナツの火力を合わせて月を壊す。パオラ、確か破邪の弓を持っていただろう。パオラの放った弓をトールのサイコキネシスで届くようにしてくれ」

 

ナツ「おーし、分かった!」

 

トール「やってやんよ!」

 

パオラ「り、りょうかい……」

 

エルザ「行くぞ!」

 

エルザとナツは高台の上に立ち、パオラは弓を射る用意をして、トールはアニスに支えてもらって空中にいる。

 

グレイ「あいつら…何であんなにノリノリなんだよ…」

 

ルーシィ「まさか本当に、月が壊れたりしないよね…」

 

さすがに二人は気が気じゃない様子。そんななか、高台の上で準備が整い、エルザは月に狙いを定めた。

 

エルザ「ナツ!」

 

ナツ「うおらぁーーーー!!」

 

破邪の槍の石突に炎の拳が入った。その反動で高台の屋根が吹き飛ぶ。

 

ハッピー「すごーい!」

 

グレイ「おいおい…」

 

ルーシィ「また壊すんかい!?」

 

パオラ「行くわよトール!」

 

トール「いっけえェェーーー!!」

 

パオラの放った矢にトールのサイコキネシスが加わり、槍と同様に月へ飛んでいく。

 

エルザ「届けぇぇぇーーーーーっ!!」

 

エルザは叫んだ。

そして、槍と矢は届いたのか、月に亀裂が走った。

 

「「「「「「おおおっ!!」」」」」」

 

「「嘘だぁーーーーーーー!!??」」

 

村人は歓喜を上げ、グレイとルーシィは驚愕した。

そして徐々に、亀裂が月全体に広がった。

その時、

 

 

   パリーン!!

 

 

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

ナツ「月!?」

 

村長「これは!?」

 

紫の月が割れ、黄金色の月が姿を現した。

 

ルーシィ「割れたのは月じゃない!?空が割れた!?」

 

パオラ「どうなってるの!?」

 

エルザ「この島は、邪気の膜で覆われていたんだ」

 

ハッピー「膜?」

 

トール「月の雫によって発生した排気ガスのようなもんだ。それが結晶化して空に膜をはってたんだよ。だから月は紫に見えていたっていう訳だ。まあ、この島だけ月が紫に見えるということは、この島と月の間に何かがあるってことだろ」

 

そして村人達は光り出し、元の姿に戻るはずが、戻らなかった。

いや、元に戻ったのは姿ではなく、記憶であった。

つまり、

 

エルザ「彼らは元々悪魔だったんだ」

 

「「「ええええぇぇーーーー!!?」」」

 

グレイ「マ、マジ!?」

 

「う…うむ、言われてみれば…まだちょいと、混乱してますが…」

 

月の雫による記憶障害は悪魔にだけ効果があるらしく、そのためにリオンたちには聞かなかったのだ。そして村人たちが遺跡に近づけないのも、村人たちが悪魔だからであり、聖なる光をたくわえた遺跡には闇の者は近づけないのが理由だった。

そして、村に誰か来たようだ。

 

ボボ「君達に任せてよかった」

 

「「「えっ!!??」」」

 

ボボ「魔導士さん、ありがとう!」

 

「「幽霊!!??」」

 

グレイ「船乗りのおっさんか!?」

 

アニス「えっ!?どういうこと?」

 

村長「ボ…ボボ!?」

 

村長達が信じられないモノでも見たような顔をしていた。

 

グレイ「あ…あんた…船の上から…消えたろ「シュンッ」」

 

ボボは羽を生やして空を飛んでいた。

 

ボボ「あの時は本当の事が言えなくて済まなかった。俺は一人だけ記憶が戻っちまって、この島を離れてたんだ。自分達を人間だと思い込んでる村の皆が怖くて怖くて」

 

ボボ「ボ……ボボ…」

 

村長は泣きながら翼を生やし、ボボのもとに飛んでった。

 

村長「ボボォーーーーー!」

 

ボボ「やっと正気に戻ったな、親父!」

 

村人達は翼を生やし、二人の所まで飛んでいった。それを温かく見守る妖精の尻尾の面々。

 

エルザ「ふっ、悪魔の島か」

 

ナツ「でもよ、皆の顔見てっと、悪魔というより…天使みてぇだな」

 

皆が微笑んだ。

 

「今宵は宴じゃー!悪魔の宴じゃーー!!」

 

ルーシィ「悪魔の宴って、すごい響きね…」

 

ハッピー「あい」

 

 

 

 

 

 

皆が宴を楽しんでしばらくすると、リオンの仲間であるユウカとシェリーがやってきた。敵討ちに来たかと思ったら今回のことを謝罪しにきたのだった。仲直りもして、二人も宴に参加することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、

 

「な、なんと!?報酬は受け取れない…と?」

 

エルザ「ああ、気持ちだけで結構だ。感謝する」

 

「ほがぁ、しかし…」

 

トール「今回の件は、ギルド側で正式に受理された依頼じゃないんだ。ナツたちが先走って遂行した仕事なんだ」

 

「ほがぁ…、それでも我々が救われたことにはかわりません。これはギルドへの報酬ではなく友人へのお礼というかたちで受け取ってくれませぬかの?」

 

エルザ「……そう言われると拒みづらいな」

 

だがエルザは受けとるとギルドの理念に反すると言って、追加報酬の鍵だけを受けとることになった。

 

「では、せめてハルジオンまで送りますよ」

 

トール「いや、船は用意出来ているぞ」

 

言ってる意味がわからない人たちは不思議に思うが、海岸へたどり着くと、そこには海賊船があった。

 

グレイ「海賊船!?」

 

ハッピー「まさか、強奪したの!?」

 

パオラ「まあそう思うわよね…」

 

アニス「そこまでしてないけどね」

 

ナツ「泳ぐなら付き合うぞ」

 

ルーシィ「無理!!」

 

すると、海賊船から声がしてきた。

 

「姐さ~ん!」

 

ルーシィ「あ…姐さん!?」

 

エルザ「なにやら気が合ってな」

 

ハッピー「さすがエルザ様!」

 

ルーシィ「だから様って…」

 

「舎弟の皆さんも、乗ってくだせぇ~!」

 

「皆さーん!ありがとうございまーす!」

 

ルーシィ「元気でねー!」

 

 

 

そして崖の上にいたリオン達は、妖精の尻尾をみていた。

 

ユウカ「行っちまったな」

 

トビー「な、泣いてなんかないんだからね!!」

 

ユウカ「…………」

 

このとき、ユウカは昨晩の出来事を思い出していた。

 

 

 

トール『なあ、お前らって元蛇姫の鱗(ラミアスケイル)だったんだよな?』

 

ユウカ『ああ、ギルドに戻って罰を受けてでももう一度やり直すさ』

 

トール『じゃあさ、───によろしくいっといてくれねえか?』

 

ユウカ『!!……わかった。伝えておくよ』

 

 

 

 

 

ユウカ「(はあ、ギルドに帰ったらアイツはともかく、ジュラさんやオババにもきちんと謝罪しないとな)」

 

シェリー「いいんですの?せっかくわかりあえた弟弟子さん…。すなわち“愛”」

 

リオン「いいんだ。……なあ、ギルドって楽しいか?」

 

リオンは清々しい顔をしてシェリーに質問する。

 

そして、トールの口からでた謎の男、その男がトールの前に現れるのはそう遠くないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───マグノリア───

 

 

ナツ「帰ってきたぞー!」

 

ハッピー「来たぞー!」

 

グレイ「しっかし、あれだけ苦労して報酬は鍵一個か…」

 

ハッピー「折角のS級クエストなのにね」

 

エルザ「正式な仕事ではなかったんだ、これくらいが丁度いい」

 

ルーシィ「そうそう、文句言わないの♪」

 

ハッピー「売ろうよそれ」

 

ルーシィ「何てこと言うドラネコかしら!?」

 

貴重な鍵を売ろうとするハッピーに嫌がる素振りをするルーシィ。

 

トール「で、今回貰った鍵はどんなのなんだ?」

 

ルーシィ「人馬宮のサジタリウス!」

 

グレイ「人馬だと!?」

 

グレイは頭が馬で体が人間という姿を想像した。

 

パオラ「いや、こうでしょ」

 

パオラは人間の下半身が馬になってるのを想像した。

 

そしてナツは、人顔の花にタコの様な足があるのを想像した。

 

ルーシィ「馬でも人でもないよ、それ…」

 

しかし、無情にも陽気な彼らに絶望が降りかかる事に気付いてなかった。

 

エルザ「のん気な事だな。まさか帰ったら処分が降るのを忘れたわけではあるまいな?」

 

「「えっ!?」」

 

ナツ「処分!?」

 

ルーシィ「ちょっと待って!?それってもう、お咎め無しになったんじゃ!?」

 

トール「んなアホな。お咎めなしにしたらまたナツたちS級にいくだろ」

 

無情にも死刑宣告をするがごとく、四人に絶望が降りかかる。

 

エルザ「お前達の行動を認めたのは、あくまで私の現場判断だ!罰は罰として受けて貰わねばならん」

 

「「げっ!?」」

 

ルーシィ「そんな~!?」

 

エルザ「私は今回の件について概ね海容してもいいと思っている。しかし判断を下すのはマスターだ。私は弁護するつもりは無い。もちろんトールもパオラもだ。そうゆうわけだから、それなりの罰は覚悟しておけ」

 

ルーシィ「えー!?ちょっとは弁護してくれても……」

 

パオラ「いやよ」

 

トール「さーて問題です。ギルドに入ったばかりにも関わらず、報酬目当てに勝手にS級クエストにいったのはどこのどいつでしょうかぁ?」

 

アニス「残念だったねルーシィ。まあ自業自得だけど」

 

ルーシィの頼みをパオラはバッサリと切り捨て、トールに至っては弁護どころかおちょくっている始末。アニスも庇う気は一切ないらしい。これで最後の希望は崩れ落ちた。

 

ハッピー「まさか…「アレ」を遣らされるんじゃ!?」

 

ハッピーがアレと口にしてしまい、ナツとグレイは更に絶望してしまった。

 

グレイ「ちょと待てー!?アレだけは、もう二度と遣りたくネェェェェェ!!?」

 

グレイは頭を抱えて座り込んでしまった。

 

ルーシィ「アレって何?」

 

ナツ「気にすんな。よくやったって褒めてくれるさ!じっちゃんなら」

 

ルーシィ「すこぶるポジティブね…」

 

大丈夫だろうと思っているナツ。だが現実はそう甘くはなかった。

 

エルザ「いや、アレはほぼ決定だろう。腕が鳴るな」

 

エルザの一言で、さっきまで笑顔だった顔がみるみる引きつれていき、汗という汗が大量に出た。

その様子を見てたルーシィは思いっきり引いていた。

 

ナツ「嫌だぁぁぁぁぁーーーーーー!!?」

 

そういってナツは、エルザに引きずられて行ってしまった。とぼとぼとこの世の終わりが来たように歩くグレイとハッピー。アレの意味がわからないルーシィ。罰ゲームを見ることを楽しみにしているパオラとトールとアニス。

 

 

 

 

 

だが、ギルドについたとき、彼らが見たものは

 

 

 

ボロボロになったギルドの姿だった。

 

 

 

 

 




すいません。遅れたお詫びに倍近く書きました。

やっとファントム編にいけるぜ。とか言いつつ、今から大魔闘演武のことを考えてます(笑)。


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幽鬼の支配者
幽鬼の支配者


ここからちょいちょい他作品の技が出てきます。


SAOのSSを大体読んで一段落ついたと思ったら今度は暗殺教室のSSにはまっちゃうというなんちゃって無限ループ。

最新話まで読み終わるとその小説をお気に入りに追加し、次読む小説を探していく。そしてお気に入り小説が一個ずつ増えていくというのを3月中旬くらいからずっと続けています。

次は何にはまるのかな?でもとりあえず受験で見てなかったアニメも見とかないとな。ニセコイやら暗殺教室やら。



ナツ「オレたちのギルドを……」

 

アニス「一体誰が……」

 

エルザ「何があったというのだ……」

 

ミラ「ファントム」

 

半壊したギルドを見て動揺しているナツたちの後ろから声が聞こえた。

 

ミラ「悔しいけど……やられちゃったの………」

 

トール「!!!……ファントムだと………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──妖精の尻尾・ギルド地下一階──

 

上が半壊しているため、ギルドの皆は地下で活動していた。普段は物置ぐらいにしか使われていないが、今は所属魔導士のほとんどがそこに集まっていた。しかし、普段のような楽しいばか騒ぎではなく、怒りに満ちた雰囲気であった。

 

フィオーレを代表する魔導士ギルド・幽鬼の支配者(ファントムロード)妖精の尻尾(フェアリーテイル)は犬猿の仲で、仕事先で両者の魔導士がかち合えば小競り合いが起きるのが常であった。それ故に、今回の件でファントムへ報復を考えている者たちもいる。

 

ガルナ島からの帰還組はミラの後を付いて行く形でギルドの地下を歩き、マカロフの元へ報告に向かっていた。

 

マカロフ「よっ、おかえり」

 

ギルド全体が陰気な雰囲気の中で、彼らを迎えたマカロフはいつものように酒を飲みながら片手を上げて軽く声を掛けただけだった。

 

エルザ「……ただいま戻りました」

 

ナツ「じっちゃん!! 酒なんか飲んでる場合じゃねえだろ!!」

 

マカロフ「おー、そうじゃった……おまえたち! 勝手にS級クエストなんぞに行きおってからに!! 」

 

ルーシィ「え!?」

 

グレイ「はぁ!?」

 

マカロフ「罰じゃ!今から罰を与える!覚悟せい!!」

 

ナツ「それどころじゃねーだろ!!」

 

ギルド半壊という異常事態によって罰の存在が脳内から吹き飛んでいた3人が驚くも、罰の内容はマカロフのチョップ一発と言う軽いものだった。

 

─────だがルーシィだけはお尻を叩かれていた(セクハラされていた)

 

そしてエルザはマカロフのふざけた態度に声を荒げた。

 

エルザ「マスター!! 今がどんな事態か分かっているんですか!!」

 

ナツ「ギルドが壊されたんだぞ!!」

 

だがマカロフはエルザたちとは違って冷静だった。

 

マカロフ「まあまあ、落ち着きなさいよ。騒ぐほどの事でも無かろうに。ファントムだぁ? 誰もいないギルドなんか狙って何が嬉しいのやら」

 

パオラ「誰もいない……?」

 

ミラ「ええ。やられたのは夜中らしいの」

 

トール「チッ、なーんか釈然としねえなぁ」

 

マカロフ「不意打ちしかできんような奴らに目くじら立てる事はねえ。放っておけ」

 

ミラの言葉に不本意ながらも一応トールは納得する。酒を飲んでいたマカロフも、アルコールに顔を赤くしながら鼻で笑っていたのが、やはりナツは怒りを抑えられなかった。

 

ナツ「納得いかねえよ!! 俺はアイツら潰さなきゃ気が済まねえ!!!」

 

マカロフ「この話はおしまいじゃ。仕事の受注は上が直るまでここでするぞ」

 

ナツ「仕事なんかしてる場合じゃねえよ!!」

 

マカロフ「ナツゥ!! いい加減にせんか!!」

 

痺れを切らしたマカロフは手が出るが、その矛先はまたもやルーシィ。

 

ルーシィ「……だからなんであたしのお尻?」

 

ミラ「マスター……怒りますよ」

 

マカロフ「……いかん、漏れそうじゃ」

 

そういってマカロフはトイレにいってしまった。

 

ナツ「なんで平気なんだよ、じっちゃん……」

 

全然納得していないナツに、ミラが答えた。

 

ミラ「悔しいのはマスターも一緒なのよ、ナツ。でもギルド間の抗争は評議会で禁止されてるのよ」

 

ナツ「先に手ェ出したのはあっちだろ!!」

 

ミラ「そういう問題じゃないのよ」

 

未だに怒りがおさまらないナツをミラが宥める。

 

エルザ「マスターがそう言うなら……仕方ないな」

 

パオラ「そうね……」

 

エルザとパオラも感情では納得できていないみたいで、俯いて悔しそうにしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、家への帰り道にルーシィは川のそばを歩いていた

 

ルーシィ「なーんか、大変な事になっちゃったなぁ……」

 

ルーシィはプルーに話しかける。

 

ルーシィ「でもあたし本当はどっち入ろうか迷ってたんだー。だって、こっちと同じくらいぶっとんでるらしいし」

 

そしてやっと家の前についた。

 

ルーシィ「でも、今はこっちはいって良かったと思ってる。だってフェアリーテイルは―――」

 

ルーシィが自分の家のドアを開ける

 

グレイ「おかえり」

 

ハッピー「おかー」

 

エルザ「いい部屋だな」

 

ナツ「よォ」

 

トール「おじゃましてるぜ」

 

パオラ「結構レトロな感じね」

 

アニス「やっと来たんだ」

 

ルーシィ「サイコーーーー!!!!?」

 

ナツたちが既に家にいる事に驚くルーシィ。ナツだけは未だにムスッとしているが。

 

ルーシィ「多いっての!!」

 

エルザ「ファントムの件だが、奴等がこの街まで来たという事は、我々の住所も調べられてるかもしれないんだ」

 

ルーシィ「え?」ゾゾッ

 

グレイ「まさかとは思うが一人の時を狙ってくるかもしれねぇだろ?」

 

ハッピー「だからしばらくは皆でいた方が安全だ……ってミラが」

 

ルーシィ「そ、そうなの!?」

 

トール「ああ。俺とアニスとパオラはエルザに誘われてきたんだ」

 

アニス「ホントは3人でいようと思ったんだけどね」

 

パオラ「人数は多い方が良いって、エルザが」

 

エルザ「お前も年頃の娘だしな……ナツとグレイが泊まるのは私としても気がひける、だから私たちも同席する事にしたという訳だ」

 

ルーシィ「ナツとグレイが泊まるのは確定なんだ……」

 

話によると、他のギルドメンバー全員がファントム対策にみんなでお泊まり会を開いているらしい。

 

そして今ナツたちはというとルーシィの部屋を物色している

 

ナツ「おお!!プルー!!何だその食モン!?俺にもくれ」

 

グレイ「俺はもう寝っからよぉ、騒ぐなよ」

 

ハッピー「エルザ見てー、エロい下着見つけた」

 

エルザ「す……すごいな………こんなのをつけているのか」

 

トール「見ろよアニス、パオラ。これルーシィの書いた小説じゃねえか?」

 

パオラ「へえ、小説なんて書いてるのね」

 

アニス「見せて見せてー!」

 

ルーシィ「清々しいほど人ん家エンジョイしてるわね。てか小説は見ないで!恥ずかしいから!」

 

エルザ「それにしてもお前たち……汗くさいな、同じ部屋に寝るんだから風呂くらい入れ」

 

ナツ「やだよ、めんどくせぇ」

 

グレイ「オレは眠ーんだよ」

 

エルザ「仕方ないな……昔みたいに一緒に入ってやってもいいが………」

 

エルザがナツとグレイを引き寄せてそう言った。二人とも少し顔が紅くなっている。

 

ルーシィ「アンタらどんな関係よ!!!!」

 

 

 

 

 

 

寛いでいくうちに時間は過ぎていく。

 

 

 

ルーシィ「ねえ……例のファントムって何で急に襲って来たのかなぁ?」

 

風呂上がりのルーシィがみんなに質問する。

 

エルザ「さあな……今まで小競り合いはよくあったが、こんな直接的な攻撃は初めての事だ」

 

ナツ「じっちゃんもビビってねえでガツンとやっちまえばいいんだ」

 

イラついてるナツが呟く

 

グレイ「じーさんはビビってる訳じゃねえだろ、あれでも一応『聖十大魔道』の一人だぞ」

 

ルーシィ「聖十大魔道?」

 

エルザ「魔法評議会議長が定めた大陸で最も優れてた魔導士10人につけられた称号だ」

 

アニス「ファントムのマスターも聖十大魔道だったよね?」

 

ハッピー「マスター・ジョゼだよ」

 

エルザ「(そしてジークレイン(あの男)もな……)」

 

パオラ「そう言えば、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラって人も聖十大魔道じゃなかった?」

 

トール「ああ、あの人はいい人だぜ。謙虚な人でまさに魔道士の見本みたいな人だ。……それに比べてマスター・ジョゼはクソだな」

 

ナツ「ビビってんだよ!ファントムって数多いしさ!!」

 

机を叩いて立ち上がるナツ。

 

グレイ「だから違ぇーだろ。マスターもミラちゃんも二つのギルドが争えばどうなるかわかってるから戦いを避けてんだ……魔法界全体の秩序のためにな」

 

グレイの一言に思わず生唾を飲み込むルーシィ

 

ルーシィ「そんなにすごいの?ファントムって」

 

ナツ「大したことねーよ、あんな奴ら」

 

エルザ「いや……実際に争えば潰し合いは必至……戦力は均衡している」

 

グレイ「……まあ、そうだな」

 

エルザ「マスター・マカロフと互角の魔力をもつと言われている聖十大魔道のマスター・ジョゼ。向こうでのS級魔導士にあたるエレメント4。そして今回のギルド強襲の犯人と思われる男が『黒鉄のガジル』。『鉄の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)』」

 

ルーシィ「滅竜魔導士!!!?」

 

アニス「炎の滅竜魔導士は炎を食べるんだから、ガジルって奴は鉄を食べるのかな……」

 

パオラ「火や氷ならまだしも、鉄を食べるってなんか不気味ね」

 

エルザ「さらに一番厄介とされているのが『炎帝』ゼルマ・シュトルとエミリア・オルエンテスという男女二人組。炎帝と呼ばれるゼルマは、たしか()()()の使い手だときいている」

 

ルーシィ「蒼い炎?」

 

グレイ「なんじゃそりゃ。ナツ(クソ炎)となんか違うのか?」

 

すると今まで黙っていたトールが口を開いた。

 

トール「……それは滅悪魔法。あいつは炎の滅悪魔道士(デビルスレイヤー)だ」

 

パオラ「デビルスレイヤー?」

 

トール「ああ、その名の通り悪魔を滅する魔法だ。デリオラとかをな」

 

グレイ「へえ、そんな魔法もあんのか」

 

エルザ「ずいぶん詳しいな。知り合いか?」

 

トール「……まあ、昔馴染みみたいなもんだ。ついでに言えば、あいつと戦うならナツとグレイは相性が悪い」

 

ナツ「あ?なんでだよ?」

 

エルザ「スレイヤー系魔道士に同じ属性の魔法は効かないだろう」

 

グレイ「じゃあなんで俺まで相性悪いんだよ」

 

トール「あいつは炎の滅悪魔法の他に、炎系最高位の魔法、業火の息吹(アグニッシュワッタス)っていう魔法をもってんだよ。」

 

エルザ「業火の息吹(アグニッシュワッタス)か……。なるほど、それが『炎帝』たる由縁か」

 

アニス「どんな魔法なの?」

 

ここにいるほとんどが気になった質問をアニスがする。

 

エルザ「言わばマイクロウェーブだ。つまりは氷で攻撃しても、奴に触れると簡単に溶かされる。それに、むやみに近づくと分子振動で体を溶かされてしまう」

 

その言葉に、グレイとルーシィ、パオラはゾッとした。

 

トール「それに………いや、なんでもねえ。とにかく、あいつは確かに気が短くて喧嘩っ早いが、一本筋は通してる奴だ。本気を出せばガジルなんか敵じゃねえハズなんだ。あのクソ野郎なにやってやがる……!!」

 

アニス「まあまあ落ち着いてよトール。仕事でいないかもしれないじゃん」

 

トールは拳を握って怒りをあらわにするが、アニスにおさえられる。

 

パオラ「ねえ、エミリアってひとはどういうひとかしらないの?」

 

その言葉にはトールもエルザも首を横に振った。

 

エルザ「だが、わりと最近入ったとは聴いている。どんな魔法を使うかは知らないがな。さあもう寝よう。明日はギルドを修理するぞ」

 

そういって電気を消して寝る準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──幽鬼の支配者ギルド支部──

 

 

そこにはガジガジと食べ物を食べる音とはまったく違う音がしていた。それもそのはず、食べているのは鉄なのだから。

 

その男の名はガジル・レッドフォックス。黒鉄のガジルにして、鉄のドラゴンスレイヤーである。そんな男に一人の仲間が歩み寄ってきた。

 

「ガジル~聞いたぜ~妖精の尻尾に攻撃仕掛けたんだって!?うはぁスゲェ!」

 

ガジルは尚も鉄を食べ続けている。

 

「ひゃっはァ、あいつら今頃スゲェブルーだろうなっ!!ザマァみろってんだ!!!」

 

そのとき、その男は何者かに吹っ飛ばされた。他でもない、ガジルに。

 

その光景を見た他の仲間はゲラゲラと笑っている。

 

ガジル「メシ食ってる時ァ話しかけんなっていつも言ってんだろーがよォクズが」

 

先程男を殴ったために鉄の棍に変化させていた左手を元に戻し、立ち上がる。

 

ガジル「妖精の尻尾(ケツ)がなんだってんだ。強ェのはオレたちの方だろうがよ」

 

「火種はまかれた。見事ですよガジルさん」

 

次に話しかけたのは幽鬼の支配者(ファントムロード)マスター ジョゼ・ポーラ。ガジルはジョゼの声に気づき、振り向くと同時にニヤリと笑った。

 

ガジル「あめぇよマスター。あれくらいじゃクズどもは動かねえ。だからもうひとつプレゼントを置いてきた」

 

ジョゼ「それはそれは……。ただし……間違っても“奴”は殺してはダメですよ」

 

ガジル「ギヒッ。……そういやマスター、あの二人どうするんだ?確かあの二人は戦争に反対だったが」

 

ジョゼ「なあに、あの二人が仕事から帰って来るまでに終わらせれば良いんですよ。それに、いざとなれば脅してでも参加させますよ」

 

そういってジョゼは不気味な笑いをしながらギルドの奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

マグノリアの街、南口公園

 

 

いつもは人気のない公園だが、今日に限って何故か大きなひとだかりが出来ている。人々はあるものを見てざわついていた。

 

エルザ「すまん通してくれ、ギルドの者だ」

 

グレイ「!!!」

 

トール「おい……!!」

 

ルーシィ「う……」

 

ナツ「ぐっ……!!!」

 

公園にかけつけたナツたちが怒りに身を震わせる

 

 

そこで目にしたものとは、公園の巨木に鉄で縛られ磔にされたレビィたちの姿だった

 

 

ルーシィ「レビィちゃん・・・」

 

グレイ「ジェット!!ドロイ!!」

 

 

ボロボロのレビィたちの姿を見たルーシィが目に涙を浮かべている。

 

ナツとエルザは言葉にならないほど怒り、その場で体を震わせている。

 

そこへ、マスターであるマカロフが杖をつきながらやってきた。町民たちはマカロフのために道をあける。

 

マカロフ「ボロ酒場までなら我慢できたんじゃがな…ガキの血を見て黙ってる親はいねぇんだよ!!」

 

マカロフは持っていた杖を握力で握りつぶし、怒りの表情を浮かべた。

 

マカロフ「戦争じゃ」ゴゴゴゴ

 

そこにいた者たちで止めようとするものは誰一人いなかった。

 

 




業火の息吹(アグニッシュワッタス):炎系最高位の魔法。分子振動で物体を溶かす。イメージはNEEDLESSのアルカ・シルトのフラグメント 炎神の息吹(アグニッシュワッタス)

“炎神の”っていうとこのせかいでは滅神魔法になっちゃうから少し変えました。

おれ結構NEEDLESS好きなんですよね。好きなフラグメントは

1:第四波動
2:変身(ドッペルゲンガー)
3:炎神の息吹(アグニッシュワッタス)
4:特殊磁界(マグネティックワールド)
5:念動力(サイコキネシス)

です。やっぱ第四波動は別格ですね。


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襲撃、撤退

オッス!オラタイトルホルダー!水曜日に投稿しようと思ったのにこんな時間になっちまって、オラワクワクすっぞ!


嘘です。今眠たいです。



ブラッドマンって結局なんなんでしょうね。ゼレフ書の悪魔?呪力の塊(もしくは魔障粒子の塊)みたいなもの?なんですかね?

個人的に、もしかしたらジョゼが出てくるのではないかと思ってます。だって、今までの敵のなかで、死亡、改心、復讐など、二度も出てないボスキャラはジョゼくらいですよね?エリゴールは星空の鍵で出ているし。




そういえば華院=ヒカルは何してるんでしょうね?




マグノリア病院

 

 

公園の騒ぎの後、レビィたちはすぐに病院に運ばれ、治療をうけた。今は安静にしている。

 

ベットのそばにはルーシィがおり、苦悶の表情を浮かべている。

 

ルーシィ「ヒドイ事するんだなぁ……ファントムって………」

 

ルーシィにとってレビィは自分の書いた小説の読者第一号になるつもりだった。その事もあって親友であるレビィや同チームのジェット、ドロイが傷つき、ルーシィはファントムへと怒りを募らせる。

 

ルーシィ「許せないよ、あいつら………」

 

 

 

 

 

 

ここはある山のある場所。普段は緑が生い茂っており、のどかであった。だが1ヶ所だけ木々がないところが目に見える。

 

そこに一人の少年と一人の少女がいた。そして、彼らのすぐそばにはかなり大きい猪が十体ほど横たわっていた、大量の血を流しながら。

 

「ふぅ……。これで仕事は終わりか」

 

持っている槍を立てている少年 ゼルマ・シュトルは額についた汗をぬぐった。ちなみに頬や腕には猪の血がついている。

 

ファサッ

 

そのとき、ゼルマの頭にタオルがかかる。

 

「お疲れさま。こっちも終わったよ」

 

ゼルマの頭にタオルをかけた少女 エミリア・オルエンテスがゼルマのもとへやってきた。ゼルマはそのタオルで血や汗を拭いていく。

 

エミリア「ねぇ、1ついい?」

 

ゼルマ「あ?どした?」

 

エミリア「なんで戦争に反対なの?」

 

エミリアがそういった瞬間、少しの沈黙が続いた。

 

エミリア「まあ私は面倒くさいから反対なんだけどさ、ゼルマはこの機会にトールって人を倒すこともできるんじゃないの?」

 

ゼルマ「……俺が筋の通らないことが嫌いだって知ってんだろ。確かにあいつと戦うのも悪くないがな…」

 

エミリア「ついでにどっちが強いの?」

 

ゼルマ「んなもん俺に決まってんだろ。そろそろ戻るぞ」

 

こうして二人はギルドへと戻っていった。そこが戦場になっているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

フィオーレ王国北東・オークの街

 

 

この街には魔導士ギルド『幽鬼の支配者(ファントムロード)』がある。

 

 

「だっはー!最高だぜー!!」

 

「妖精のケツはボロボロだってよ!!」

 

「ガジルのやつ、そのうえ3人もやったらしいぜ!」

 

中からは大きな笑い声とともにフェアリーテイルを罵倒する声が響いていた

 

「さあて、仕事行くか」

 

「俺らも帰りに妖精の羽根ムシって来ようぜ」

 

高笑いしながら男たちが扉に手をかけ、ギルドを出発する。

 

 

その時、爆炎と共に扉と男が吹き飛んだ。

 

その瞬間、扉があった方へと視線が集まる。

 

 

 

マカロフ「フェアリーテイルじゃあああ!!!!」

 

爆炎が晴れ、現れたのはフェアリーテイルのメンバーほぼ全員。そしてお互い相手に向かって攻撃を始める。

 

ナツ「おおおああ……らぁ!!!」

 

先陣切って飛びだしたナツが拳の炎でファントムのメンバーを次々と焼き払う

 

ナツ「誰でもいい!!かかってこいやぁぁ!!」

 

「調子に乗るんじゃねえぞコラ!!」

 

「やっちまえー!!」

 

マカオ「パープルネット!」

 

マカオによって何人かが粘着性のある紫の炎に捕まる。

 

マカオ「ワカバ!」

 

ワカバ「あいよ!スモークラッシュ」

 

そしてワカバの煙魔法でパイプから煙をだし、相手を殴り倒していく。一方こちらでも闘いがおこっていた。

 

トール「いくぞパオラ!!!」

 

パオラ「ええ!」

 

アニス「私もいくよ!サイコキネシス!!」

 

アニスのサイコキネシスによってファントムの魔道士が20人ほど宙に浮かぶ。

 

パオラ「メテオシャワー!」

 

トール「氷結竜の咆哮!」

 

「「「「うわぁぁぁぁ!!!!!!」」」」

 

マカオやワカバに続いてパオラとトールがファントムメンバーを蹴散らしていく

 

アルザック「銃弾魔法(ガンズマジック)!スパークショット!」

 

アルザックのガンズマジックで、敵を痺れさせた。そのとき、アルザックの後ろから敵が現れるが他の人の銃弾に撃たれてしまった。その正体はアルザックの相棒であり、想いを寄せているビスカであった。

 

アルザック「ナイスショット!ビスカ」

 

ビスカ「爪が甘いよ、アル。ターゲット・ロックオン!ホーミングシュート!」

 

ビスカの銃士(ザ・ガンナー)で、敵だけを狙い撃った。

 

カナ「カード魔法(マジック)!ライトニング・リバースタワー・ラバーズ、落雷の運命!」

 

ロキ「指輪魔法(リングマジック)、ツイスター!」

 

リーダス「絵画魔法(ビクトマジック)、野生の暴走!」

 

ラキ「ウッドメイク、恥らう恋のダム!」

 

「意味解んねぇーーー!?」

 

カナはカードで周りの敵に電撃を浴びせ、ロキは竜巻を起こし、リーダスは自分の腹に猪の絵を描き、その絵が飛び出して敵にぶつかる。

ラキの木の造形魔法で、大量の木造が飛び出した。

───ラキのネーミングセンスはまったく解らないが。

 

 

 

 

 

 

マカロフ「かあーっ!!!!」

 

ファントムはマスターであるマカロフを大人数で襲いかかるが、巨大化したマカロフが押しつぶす。

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

「ばっ………バケモノ!!!」

 

マカロフ「貴様等はそのバケモノのガキに手ェ出したんだ……人間の法律で自分を守れるなどと夢々思うなよ」

 

「つ、強ぇ……」

 

「兵隊どももハンパじゃねえ!!!」

 

「こいつらメチャクチャだよ!!!」

 

マカロフ「ジョゼー!出てこんかぁっ!!!」

 

エルザ「どこだ!!ガジルとエレメント4はどこにいる!?」

 

トール「どこだゼルマァ!さっさと出てきやがれェ!!」

 

マカロフの戦闘により、士気が上がるフェアリーテイル

 

 

 

そんな戦いをガジルは上から見下ろしていた。

 

ガジル「あれがティターニアのエルザに凍てつく雷神のトールか……。ギルダーツ、ラクサス、ミストガンは参戦せずか………なめやがって」

 

自分たちがやられているにも関わらず、ニヤリと笑うガジル。

 

ガジル「しかし、これほどまでマスター・ジョゼの計画通りに事が進むとはな……。せいぜい暴れまわれ、クズどもが」

 

 

 

 

「これでもくらえ!!」

 

ファントムもやられるだけでなく、魔法で交戦する。その際に爆発がおきるが、爆炎がナツによって食べられていく。

 

ナツ「へへっ、食ったら力が湧いてきた!!」

 

「なんだこいつ!」

 

「火を食ったぞ!」

 

「まさかこいつが!?」

 

ナツ「まとめてぶっ飛べ!火竜の咆哮!」

 

グレイ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)!」

 

エルザ「ハァッ!!」

 

トール「氷結竜の鉄拳!」

 

ラキ「ウッドメイク、二人の愛はフォーエバー!」

 

「やっぱ意味わかんねぇ!!」

 

アルザック「ガンズマジック!マッドショット!!」

 

ビスカ「換装、魔道散弾!ワイドシュート!」

 

パオラ「メテオブラスト!」

 

エルフマン「ぬぁぁぁ!!漢!漢!!漢ォ!!!」

 

片腕を接収させて、ファントムの者たちを殴り飛ばしていくエルフマン。

 

エルフマン「漢なら・・・漢だぁああぁあっ!!!!」

 

「ぐぁああ!!」

 

「な、何言ってんだアイツ!?」

 

接収(テイクオーバー)だ!!あの大男、腕に魔物を接収させてやがる!!」

 

「そ、そんな魔法あんのかよ!」

 

「倒した魔物の力を腕に吸収していく…ビーストアームのエルフマンだ!!」

 

 

それに続き、グレイやロキたちも兵隊を蹴散らしていく。

 

マカロフ「エルザ!トール!ここはお前らに任せる……。ジョゼはおそらく最上階、ワシが息の根を止めてくる」

 

エルザ「お気をつけて」

 

トール「油断すんなよマスター」

 

マカロフが最上階目指してドアをぶち壊し、階段を上っていった。

 

 

 

 

 

そしてついにこの男が動き出した。

 

ガジル「へへっ・・・一番やっかいなのが消えたトコで・・・ひと暴れしようかね」

 

マカロフがいなくなった後、ガジルは上から下へ飛び降りる。この男も反撃開始ののろしをあげた。

 

 

 

 

 

トールはファントムを倒しながらも、目はあちこちを向いていた。

 

トール「ゼルマはなにやってやがる。まさか高見の見物とかふざけたことしてんじゃねぇんだろォなァ……」

 

 

「あいつなら今仕事中だぜ」

 

そのとき、トールの上から声が聞こえ、上を向くと同時に鉄の棍棒が降ってきた。トールはバックステップでかわし、鉄の棍棒は地面にぶつかって砂煙をあげる。やがて煙がはれると人影が見えてきて、姿がわかってきた。

 

トール「黒鉄のガジル……」

 

ガジル「テメェとは一度やりあってみたかったんだぜ、凍てつく雷神。なんせあのゼルマが気にしてたんだからな」

 

トール「なんであの野郎は仕事なんかに行ってんだよ」

 

ガジル「ギヒッ。あいつもエミリアのやつも、あんま乗り気じゃねぇんだよ。もったいないねえ、折角妖精を潰せるってのに」

 

トール「ふーんなるほどね。ギルド襲撃も知らねえのか」

 

ガジル「ま、あいつらが帰って来るまでにテメェらを潰せば問題ねえんだよ!!鉄竜棍!!」

 

そういってガジルは足を棍棒に変化させて攻撃してきた。だがトールは左手で棍棒の先を掴む。

 

トール「それで終わりか?」

 

ガジル「ほおやるねえ。じゃあこんなのはどうだ?」

 

するとガジルは足の真ん中からあちこちに鉄の棍棒を飛び出させた。トールは足を掴みながら顔を動かして避けたが、周りにいたファントムの仲間にお構いなしにぶつけていく。

 

トール「おいおい、敵と味方の区別もできねえのかよ」

 

ガジル「ギヒッ。よけられねえのが悪いんだよ」

 

トール「だったらこっちからも「ガジルゥーーー!!」うおッ!?」

 

トールを踏み台にしたナツがガジルを殴りかかり、ガジルをぶっ飛ばした。

 

「ガジルが吹っ飛ばされた!?」

 

「こんなトコ初めて見たぞ!?」

 

周りのファントムが騒ぐ、そこにナツが大声で叫ぶ。

 

ナツ「俺がフェアリーテイルのドラゴンスレイヤーだぁ!!」

 

トール「ナツ!テメェ、俺を踏み台にしやがっ「トール、こいつ寄こせ!」…あぁ!?」

 

すると、ガジルはすぐ起きあがり、ナツを鉄竜棍でふっとばす。だがナツは両手で押さえつける。

 

ナツ「こいつがギルドやレビィたちを……」

 

ガジル「!!!」

 

ナツ「くたばれぇっ!!!!」

 

ナツはガジルを空中へとぶん投げた。投げられたガジルは体制を建て直し、ナツのほうへと向かっていった。だがナツはガジルの拳をガードし、火竜の鉄拳で壁までふきとばした。

 

ワカバ「うほー、はりきってやがんなぁ」

 

マカオ「若いってのはいいねぇ」

 

エルフマン「フン……」

 

エルザ「さすがだな」

 

トール「ナツ、遠慮なんかいらねえからな」

 

ナツ「ああ!ぶちのめしてやるよ!」

 

瓦礫のなかからガジルがでてきた。あまり効いてなさそうだ。

 

ガジル「効かねえな」

 

ナツ「そうは見えねえぞ?」

 

ガジル「そうかい!」

 

ガジルはナツに高速で近づき、パンチを繰り出す。ナツはまともにくらい、ふきとんでいった。

 

グレイ「おいおい……」

 

パオラ「メチャクチャね……」

 

ガジル「おらこいよ、テメェも効いちゃいねぇんだろ?」

 

ナツはすぐにたちあがり、炎を纏う。

 

ナツ「よくわかってんじゃねえか!」

 

二人は殴る、蹴るの猛攻が続く。するとガジルはナツのパンチを避け、空中を漂う。そして足裏に刃物を出現させて木に逆立ちで止まった。

 

ガジル「で?それが本気か?火竜(サラマンダー)

 

ナツ「安心しろよ、ただのあいさつだ。竜のケンカのまえのな」

 

二人ともまだ闘いはこれからだと言わんばかりにボルテージは高まっていく。

 

 

その時、地面が唐突に揺れ始めた。圧倒的な魔力に建物が堪え切れなくなり、所々に亀裂が走る。

 

「な…何だ!?」

 

「地震!?」

 

慌て始めるファントムとは対照的に、フェアリーテイルの全員は笑みを浮かべる。

もちろん起こしているのが誰か分かっている。この地震を引き起こした人物を。

 

エルザ「これはマスター・マカロフの“怒り”だ。巨人の逆鱗……もはや誰にも止められんぞ」

 

「ひ…ひぃ!!」

 

「ウソだろ!?ギルド全体が震えて…ッ!」

 

エルフマン「それが漢、マスター・マカロフ」

 

パオラ「覚悟しなさい。マスターがいる限り、私達に負けはないわよ」

 

震え立つほど力強い魔力に、フェアリーテイルの士気が高まる。

 

 

 

 

 

だが、ここで1つの誤算が生じた。

 

 

 

 

 

ズドォォォン!!!!!

 

 

上の階から何かが落ちてきた。それは地面にぶつかると砂煙を撒き散らした。煙がはれると、

 

マカロフ「(なんじゃこれは!?力が出ん…!)魔力が……ワシの魔力が…」

 

ナツ「じっちゃん!」

 

エルザ「マスター!!」

 

魔力が尽きたマカロフが倒れていた。魔力の枯渇のせいで顔色がかなり悪い。

 

パオラ「マスター!しっかり!」

 

グレイ「どうなってんだ!?あのマスターからまったく魔力を感じねえ!!」

 

エルフマン「お、おい……それじゃ、ただのじーさんになっちまったのか」

 

アニス「な、なんで!?どうなってるの!?」

 

その様子をガジルは上から見ていた。

 

ガジル「ちぇっ、もうお楽しみは終わりかよ」

 

グレイ「ありえねえ!どうやったらマスターがやられるんだ!?」

 

トール「一体、上で何があったんだ…」

 

マスターがやられたことで、ギルド内は動揺が広がる。

逆に、相手側の士気は一気に膨れ上がった。

 

「いけるぞ!これで奴等の戦力は半減だ!」

 

「今だ!ぶっ潰せ!!」

 

形勢逆転。隙が出来たことを見逃さず、怒涛の如く攻め始めるファントム達。

あまりにも不味い展開にエルザが指示を出す。

 

エルザ「撤退だ!全員ギルドに戻れ!!」

 

グレイ「バカな!なにいってんだ!」

 

エルフマン「漢は引かんのだー!」

 

パオラ「わたしはまだやれるわよ!」

 

アニス「私だって!」

 

みんなが戦う意志を強調するが、動揺したままで勝てるほど恐らくファントムは弱くない。このままでは分が悪い、まさに最悪の状況だ。

 

エルザ「だめだ!マスターなしではジョゼには勝てん!撤退する!命令だ!!」

 

現状を冷静に判断したエルザがそう指示すると、渋々だが撤退の様子を見せ始めた。

だが相手もみすみす見逃してくれるわけもなく、追い打ちをかけるために責めてくる。

 

 

 

 

ガジル「あらあら、もうケツまくんのかい?根性足りねえなぁ妖精さんはよぉ」

 

ガジルはそのまま上でフェアリーテイルがうろたえ、撤退していくのをつまらなそうに見ていた。そこへ先程マカロフの魔力を空にしたアリアがやってきた。

 

アリア「撤退とは悲しい……悲しすぎる……」

 

ガジル「アリアか。相変わらず不気味なヤローだなオメェは。にしてもよくあのじじいをやれたな」

 

アリア「すべてはマスター・ジョゼの作戦。素晴らしい!!」

 

ガジル「いちいち泣くんじゃねえよ、うぜえからよ。……で?ルーシィとやらは捕まえたのかい?」

 

ナツ「!!!」ピクッ

 

その声に気づいたのはナツだけだった。

 

アリア「悲しいな。ルーシィのいう小娘なら本部に幽閉している」

 

ガジル「手厚いご招待ってやつか」

 

ナツ「何!?」

 

ハッピー「どうしたのナツ?」

 

ナツ「ガ、ガジル!!」

 

ガジル「いずれ決着をつけようぜ、火竜(サラマンダー)

 

こうしてガジルはアリアと共に虚空の彼方へと消えていった。

 

ナツ「ルーシィが捕まった?」

 

ハッピー「え!!?」

 

トール「なんだと!?」

 

ナツの言葉はトールにも聞こえていた。

 

トール「どうするナツ?」

 

ナツ「俺が助けにいく!あとは任せたぞトール!」

 

トール「ちょ、おい!?」

 

ナツとハッピーは近くにいたファントムの魔道士一人を連れて行った。

 

エルザ「撤退だ!退けぇ!!」

 

グレイ「アホ抜かせ!こんなところで退けるかよ!!レビィたちの仇をとるんだ!!!」

 

するとエルザはグレイの手を掴み、グレイに寄り添う。

 

エルザ「頼む……」

 

グレイ「!!……エルザ……」

 

普段のエルザと違う、弱気な行動にグレイは戸惑う。

 

エルザ「今は引くしかないんだ…。マスターの抜けた穴は大きすぎる……」

 

グレイは渋々納得し、みんなに続いて撤退していく。

 

 

 

 

 

「逃がすかァ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!」

 

「くたばれぇっ!!!!」

 

トール「………調子のってんじゃねぇぞ格下風情が」

 

メンバーが退いていくなか、トールだけは入り口で立ち止まった。

 

トール「先にいってろエルザ!」

 

エルザ「トール!流石にお前1人では………!!!」

 

すると突然、トールの魔力が格段に上がり始めた。これにはファントムだけでなくフェアリーテイルも思わず緊張が走る。

 

トール「いいからさっさと行け。安心しろ、ただの時間稼ぎだ」

 

そうしている間にもファントムは攻撃を緩めない。逃げる妖精たちに追い討ちをかけようと遠距離魔法を放つが、

 

トール「いてつくはどう!」

 

トールによって打ち消され、阻まれてしまう。そしてエルザも納得したのか、トールに忠告をする。

 

エルザ「必ず帰って来るんだぞ!」

 

トール「当たり前だ」

 

「逃がすな!やれー!」

 

「おおぉおぉ!!」

 

「たった1人でなにができる!」

 

「そうだ!やっちまえ!」

 

トールはエルザには時間稼ぎだといったが、それは半分正解で半分間違いだ。確かにエルザたちが逃げ切るまで時間は稼ぐが、トールとしては全滅させる気でいた。

 

トール「おらぁ!!」

 

トールは雷神魔法で指先に雷光のブレードを出し、ファントムを凪ぎ払っていく。

 

トール「悪いがお前ら、入り口で増援が来ないか見張っててくれねえか?」

 

トールは後ろにいる仲間、アニスとパオラに声をかける。

 

パオラ「構わないわよ、別に。……でも、」

 

アニス「無茶しないでね?」

 

トール「わかってるよ。すぐに終わらせてやる。後ろは任せたぜ」

 

その言葉と同時にトールは投擲の槌(ミョルニル)を取りだし、アニスとパオラは入口へと向かっていった。

 

トール「破壊の鉄槌!」

 

トールはミョルニルを持ちながら、二回転しながらミョルニルを振りかぶり、地面に叩きつけた。その衝撃で半径十メートル内にいた者たちはふきとんでいった。

 

トール「滅神モード」

 

さらにトールの魔力の質が変わった。そしてトールの周りには黒雷がバチバチと溢れ出ている。ミョルニルを手放し、両手を前へと出して手に魔力を圧縮させる。

 

トール「くらえ。雷神の荷電粒子砲」

 

黒雷の一撃は直線上にいた者たちを一撃で葬り、凪ぎ払っていく。

 

「な、なんだよコイツ!?」

 

「なんて魔力だ!」

 

「これが凍てつく雷神!!」

 

「ひ、怯むな!この人数でかかればなんとかなる!!」

 

そうはいっても先程のように突っ込んでくるものはいない。皆、武器を握りしめたり、一歩下がったりしている、

 

トール「なんとかならないかもしれないから襲いかかってこないんだろ」

 

反論したいが言葉がでない。皆が悔しそうな表情を浮かべるが、ふとファントムの魔道士たちは気づく。ギルド内が少し薄暗くなっていることを。

 

その答えは上を見るとすぐわかった。自分達の上には雲が浮かんでいた。

 

「な、なんだあの雲は!?」

 

よく見ると黒い電気がほとばしっている。そしてこれが何を意味しているかを理解した。

 

トール「さあて、そろそろ終わらせるか」

 

「ま、待て!」

 

「やめろぉ!」

 

「助けてくれ!!」

 

トール「黒万雷雨」

 

その瞬間、ギルドの中に無数の黒雷が放たれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「終わったぜ」

 

トールは扉を開けてすぐ近くにいたアニスとパオラに声をかけた。

 

パオラ「お疲れ。怪我はない?」

 

トール「心配ねえよ。かすり傷もつかなかったしな」

 

アニス「じゃあ速くギルドに戻ろ!みんな心配してるよ」

 

こうして三人はファントムのギルド支部を出発した。

 

 

 

トールがギルドを出た後、ファントムのギルドの中には1つの山があった。

 

 

 

ただしそれは木や土でできた山ではなく、

 

 

 

人の体を山積みにしてできた山だった。

 

 




破壊の鉄槌:ミョルニルを持ちながら、二回転しながらミョルニルを振りかぶり、地面に叩きつける。その際、半径十メートル内で衝撃波が生み出される(一応言っておくけどまほうじゃありません。ハンマー技です)。イメージは黒子のバスケの紫原の破壊の鉄槌(トールハンマー)。ただし、バスケットボールじゃなくてミョルニル、半回転じゃなくて二回転です。

最後のは新訳禁書10巻でのイーエスコウ城のミミルの泉でのグレムリンメンバーみたいな感じです。


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15分

主人公を異世界へいってすこし活躍するような話を書きたい所存。



くだらない閑話みたいな題名でやってみようかな


 

 

ゼルマ「おいおいなんだこれは……」

 

ゼルマとエミリアはギルドに戻ると、いつものような汚い笑いはなく、ただ人の山が静かにあるだけだった。あまりの光景に驚きを隠せないでいる。

 

エミリア「これって妖精の仕業?だとしてもちょっとだけざまぁって思ったのは私だけかな」

 

ゼルマ「安心しろ、俺もだ。」

 

悲しいことを言っているが二人は別に仲間意識がないというわけではない。むしろギルドのなかではあるほうであり、二人の仲はギルド一良い。ただ、自分達のことを仲間と思っていない奴等には仲間というつもりはないだけである。

 

ゼルマ「にしても派手にやられてんなあオイ。こんなことができるのは…………あいつしかいねえわな」

 

そのとき、ゼルマの周りの温度が急激に上昇し、一気に猛暑地帯となった。

 

エミリア「目的地は向こうのギルド?」

 

ゼルマ「ああ、どうせ本部が近くまで移動してるんだろ。あとさ、戦争勃発の理由がくだらなかったらジョゼもやっちまおうぜ」

 

エミリア「なんでそうなるのよ」

 

ゼルマ「あいつの言いなりになるなんて真っ平ごめんだ。俺はザコにいつまでも従ってる趣味はない。今まであいつのわがままにつきあってたけどそろそろイラついてきたわ」

 

エミリア「それじゃあ速くいきましょ!ここあなたのせいですごい暑くなっているから」

 

ゼルマ「りょーかい。………今回俺は幽鬼の支配者(ファントムロード)としてでなく、ゼルマ・シュトル個人としてケンカをかってやる。間違っても俺以外のやつに負けんじゃねえぞトール」

 

こうして二人はギルドの連中をほったらかしにしてフェアリーテイルへ向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

フェアリーテイル、ギルド地下一階

 

 

ここで負傷者の手当てや、ファントムの作戦会議を行っている。

 

「痛て…」

 

「あーくそっ!!」

 

「まさかオレたちが撤退するハメになるとは!!!」

 

「悔しいぜえ!!!」

 

「ギルドやレビィたちの仇もとれてねぇ!!!」

 

「ちくしょォ!!」

 

相手を倒すつもりが撤退せざるをえなくなり、みんな悔しくて怒りの声をあげている。

 

「奴等の本部はここだ」

 

「南西の高台から遠距離魔法で狙撃すれば…」

 

「今度は爆弾ラクリマをありったけ持っていくんだ!」

 

所有(ホルダー)系魔道士用の強力な魔法書を倉庫から持ってこい!」

 

そんななか、ルーシィは申し訳なさそうな顔でギルドを見ていた。

 

グレイ「どーした?まだ不安か?」

 

ルーシィの様子をみてグレイは声をかける。

 

ルーシィ「ううん……そういうんじゃないんだ。なんか……ごめん」

 

エルフマン「まぁ、金持ちのお嬢様は狙われる運命よ。そしてそれを守るのが漢」

 

グレイ「そういう事いうんじゃねえよ」

 

ハッピー「でもオイラ驚いたな。ルーシィ、なんで隠してたの?」

 

ルーシィ「隠してたわけじゃないんだけど…家出中だからね……。あまり話す気にもなれなくて……一年間も家出した娘に関心なかったクセに……急に連れ戻そうとするもんな……パパがあたしを連れ戻すためにこんな事したんだ……最低だよ」

 

ルーシィはただただ自分を責めるばかりだった

 

ルーシィ「でも、元を正せば、あたしが家出なんかしたせいなんだよね……」

 

エルフマン「そ、そりゃ違うだろ!!!悪いのはパパ「バカ!!」あ、いや……ファントムだ!!!」

 

ルーシィ「あたしの身勝手な行動で……まさかみんなに、こんな迷惑かけちゃうなんて………本当にごめんね……あたしが家に戻ればすむ話なんだよね」

 

 

 

 

 

 

ナツ「そーかなあ」

 

 

 

すると黙っていたナツがルーシィに話しかけた。

 

ナツ「つーか、ルーシィが『お嬢様』って変な響きだよな」

 

 

ルーシィ「!」

 

 

ナツ「この汚ねー酒場で笑ってさ……騒ぎながら冒険してる方がルーシィって感じだぜ」

 

ルーシィ「!!!」

 

ナツ「ここにいたいって言ったよな。戻りたくねえ場所に戻ってなにがあんの?おまえは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のルーシィだろ!ここがお前の帰る場所だ」

 

ルーシィ「………!!!!」グスッ

 

ナツの言葉にルーシィは思わず泣き出した。

 

グレイ「泣くなよォ、らしくねえ」

 

エルフマン「そうだ!漢は涙に弱い!!」

 

ルーシィは涙を流しながらも元気を取り戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方こちらでは静かな空気が続いていた。

 

カナ「………」

 

カナはテーブルの上に並べられたカードをじっと見つめている。そして中央のカードをめくるが、途端にカードを撒き散らす。

 

カナ「ダメ!!ミストガンの居場所はわからないっ!」

 

ミストガンの居場所を探っていたようだが残念ながら見つからなかった。

 

ミラ「そう……残念ね」

 

通信用ラクリマの前に立つミラが残念そうに呟いた

 

カナ「ルーシィが目的だとすると奴等はまた攻めてくるよ。ケガ人も多いし……ちょっとマズイわね」

 

カナに返事を返していたミラの前にある通信用魔水晶(ラクリマ)は電源が入っていた。

 

ミラ「マスターは重傷、ミストガンの行方は分からない、頼れるのはあなたしかいないのよ」

 

その話し相手は、

 

ミラ「ラクサス」

 

ラクサス『あ?』

 

 

ラクサスだった。

 

 

ミラ「お願い……戻ってきて。フェアリーテイルのピンチなの」

 

ラクサス『あのクソジジイもザマぁねえなァ!!!!はははっ』

 

戦果を聞いたラクサスは高笑いしながらミラを見る

 

ラクサス『凍てつく雷神さんなら何とかしてくれるんじゃねえの?まあ、オレには関係ねえ話だ、勝手にやってちょうだいよ』

 

カナ「ラクサス!!!あんた!!!」

 

ラクサス『だってそうだろ?じじいの始めた戦争だ、何でオレたちがケツを拭くんだ?』

 

ミラ「ルーシィが……仲間が狙われてるの」

 

ラクサス『あ?誰だそいつァ。ああ…あの乳のでけェ新人か』

 

ラクサスは再び笑いだす。

 

ラクサス『オレの女になるなら助けてやってもいいと伝えとけ』

 

カナ「あんたって人は……」

 

カナはラクサスの態度に歯をギリッと噛み締める。しかしラクサスはお構い無しに話を続ける。

 

ラクサス『オイオイ、それが人にものを頼む態度かよ。それとジジイにはさっさと引退してオレにマスターの座をよこせと伝えといてくれ。ッハハハハハハ──』

 

だがラクサスの笑いは途中で終わった。それもそのはず、ミラがラクサスを黙らせるかのように通信用ラクリマを砕いたのだった。

 

カナ「ミラ……」

 

ミラ「信じられない……こんな人が……本当にフェアリーテイルの一員なの……?」

 

涙を流すミラはラクサスに対する怒りに満ちていた

 

ミラ「こうなったら、次は私も戦う!!!」

 

カナ「何言ってんのよ!!!」

 

ミラ「だって、私がいたのにルーシィがさらわれちゃって……!!!」

 

カナ「ダメよ、今のアンタじゃ足手まといになる……たとえ元・S級魔導士でもね」

 

ミラ「……………」グスッ

 

カナ「それに、トールたちだって、きっと無事に帰ってくるさ。ラクサスの言った通りになるのはシャクだけど、トールなら何とかしてくれるわよ」

 

ミラ「……うん。そうね……トールならきっと……」

 

 

 

そしてそのとき、

 

 

ガチャ

 

 

扉の開ける音がした。入ってきたのは、時間稼ぎとしてファントムのギルドに残っていたトール、アニス、パオラだった。

 

トール「よう」

 

ミラ「トール!パオラ!アニス!」

 

グレイ「無事だったか!」

 

エルフマン「これぞ漢!!」

 

パオラ「実際あたしたちはなにもしてないわよ。トールが一人で全滅させたから」

 

アニス「もう!あたしたち外で待ってるとき心配してたんだからね!」

 

トール「はいはい、悪かっ「「はいは一回!」」……はい」

 

カナ「トールが尻に敷かれてる……」

 

マックス「珍しい光景だな……」

 

少し緊張が解けて安心する表情を浮かべる者たちが増えたが、

 

 

 

 

 

ドズゥゥゥゥン!!!!!!!

 

 

 

 

 

突然大きな揺れがギルドを襲った

 

アニス「な、なんなのこの音!」

 

アルザック「外だー!!」

 

外で見張りをしていたアルザックが中のものたちに伝える。

 

みんなが慌てて外へ飛び出すと

 

そこに現れたのは、六本の足が生えたファントムの本部だった

 

パオラ「な、なによ…アレ……」

 

ファントム本部は歩くたびに地面が揺れ、大きな水しぶきを引き起こし、ゆっくりとフェアリーテイルに向かって迫ってくる

 

ハッピー「ギルドが歩いてるよ!?」

 

ロキ「ファントム………か!?」

 

歩くギルドなど見たことがなく、ナツたちは驚愕と絶望の表情を隠せずにいた

 

エルザ「想定外だ………こんな方法で攻めてくるとは……」

 

グレイ「ど、どうすんだよ!?」

 

 

 

 

ジョゼ「魔導集束砲『ジュピター』用意」

 

 

 

ジョゼがギルドの部下に指令を言い渡す

 

 

動いていたファントムギルドが静止し、中央から巨大な大砲が現れる

 

 

 

 

 

ジョゼ「消せ」

 

 

 

 

 

ジョゼの命令を受け、準備をする。砲撃の口には魔力が蓄えられる。

 

エルザ「マズイ!!全員ふせろォォォ!!!」

 

エルザは叫んだ後、急いでファントムギルドへ向かって走った

 

カナ「換装!?」

 

ロキ「お、おい!」

 

エルザ「ギルドはやらせん!!!」

 

すると、エルザは防御力の高い『金剛の鎧』を換装する

 

アニス「金剛の鎧!!?」

 

ビスカ「まさか受け止めるつもりじゃ!?」

 

アルザック「いくら超防御力を誇るその鎧でも!?」

 

ワカバ「よせエルザ!死んじまうぞ!」

 

エルザ「伏せろォォォ!!!」

 

ナツ「エルザー!!!」

 

グレイ「ナツ!!ここはエルザを信じるしかねぇんだ!!」

 

エルザを止めようとするナツを必死に抑えるグレイ

 

 

 

 

 

そしてジュピターが放たれた

 

放たれただけでもものすごい轟音が響く。圧縮された魔力は凄まじい速さで迫ってくる。そのジュピターに対して、盾をもち、鎧と共に受け止めるエルザ

 

ナツ「エルザーー!!」

 

次第に鎧が砕けていくが必死に耐える。

 

 

すると金剛の鎧と盾が粉々に砕け散り、エルザは後方へ吹き飛んでしまった。

 

 

同時にジュピターの魔力が消えた

 

 

マカオ「すげえ……アレを止めちまった………」

 

エルフマン「助かった……流石だぜ……」

 

パオラ「けど……」

 

エルザはジュピターを受けてボロボロだった。

 

ナツ「エルザ!!しっかりしろ!!」

 

ナツたちが倒れているエルザに駆け寄る

 

 

しかしジョゼはお構い無しに続ける。

 

ジョゼ「おやおや、ジュピターを止めてしまうとは流石は妖精女王(ティターニア)。では……」

 

するとジュピターの砲台にまた魔力が圧縮されていく。

 

ジョゼ「もう一発は防げますかねぇ」

 

カナ「まさかもう一度撃つ気!?」

 

グレイ「おい、冗談じゃねえぞ!」

 

 

そのとき、みんなの前に立つものがいた。

 

 

トール「何発こようが……!!」

 

 

トールだ。

 

 

トール「関係ねぇ!今度は俺が止めてやる!!」

 

グレイ「やめろトール!」

 

ハッピー「トールもただじゃすまないよ!!」

 

 

 

パオラ「じゃあ二人なら問題ないでしょ」

 

 

 

トールのすぐ後ろにパオラが立つ。

 

パオラ「なにも一人で背負わなくてもいいのよ?」

 

トール「………援護、頼めるか?」

 

パオラ「当たり前じゃない!」

 

パオラは両手をトールの背中につけ、トールは両手を前へと突きだし、魔力でできた盾を出現させる。

 

 

「「イージスバリア!!」」

 

 

そして再びジュピターが放たれた。

 

先程と同じで町に当たれば一瞬で粉々になるほどの魔力がおしよせてくる。

 

魔力でできた盾とジュピターがぶつかる。二人が力を合わせて止めている状況を他のものはただ見ていることしかできなかった。

 

トール「ぐっ……!!」

 

パオラ「もう少し……!!」

 

 

二人で魔力を補充することで一人にかかる負担を減らしていた。そしてついにジュピターの魔力が消えた。二人で防いだ分、個人のダメージは少ないが、ダメージを受けていることにはかわりない。二人は地面に膝をつき、動けはするものの、肩で呼吸をするほど消耗していた。

 

ジョゼ『マカロフ……エルザ……そしてトールも戦闘不能……もう貴様等に凱歌は上がらねぇ』

 

 

ファントム本部からジョゼの声が響く

 

 

 

ジョゼ『ルーシィ・ハートフィリアを渡せ、今すぐだ』

 

ジョゼの言葉に対し、ギルドの皆が言いかえす

 

アルザック「ふざけんな!!」

 

ビスカ「仲間を敵にさしだすギルドがどこにある!!」

 

マカオ「ルーシィは仲間なんだ!!」

 

ギルドのみんなが反論し続ける

 

 

 

ジョゼ『渡せ』

 

さらに怒気に満ちた声でジョゼは言った

 

ルーシィ「………あたし………」

 

エルザ「仲間を売るくらいなら死んだほうがマシだ!!」

 

ナツ「オレたちの答えは何があっても変わらねえっ!!お前らをぶっ潰してやる!!!」

 

 

その一言にギルド全員が士気を上げ、叫び続ける、ルーシィを守るために。

 

 

それを見たルーシィは嬉しさのあまり口元を押さえて涙を流す

 

 

 

ジョゼ「ならばさらに特大のジュピターをくらわせてやる!!装填までの15分恐怖の中であがけぇ!!!」

 

 

すると、ジュピターに再び魔力を込める準備が始まる。前の二回よりも特大のをくらわせるために。

 

アニス「またジュピターを撃つ気なの……」

 

グレイ「くそっ、エルザたちでさえ一発防ぐのがやっとなんだぞ!」

 

 

さらにジョゼは自分の魔法で幽兵(シェイド)という兵士を作り出し、ギルドのもとへちかづいてくる。

 

ジョゼ「地獄を見ろ、フェアリーテイル……貴様らに残された選択肢は二つ……我が兵に殺されるか、ジュピターで消し飛ぶかだ」

 

 

 

ジュピター発射まであと15分

 

 

ギルドのメンバーがシェイドと戦っているとき、トールは魔力の回復につとめていた。

 

マカオ「くそっ、ジュピターの発射を待ちながらシェイドと戦うのはキツイぜ」

 

トール「大丈夫だ。15分あれば消耗した魔力の半分くらいは回復できる。次も止める」

 

アニス「だめよ!今度はさっきのよりも格段に大きい!パオラとやったってさっきのようにはいかないよ!!」

 

カナ「撃たれる前にジュピターをなんとかしないと……」

 

ジュピター発射まで時間がない。ギルドの皆の焦りが募る

 

 

ナツ「俺がぶっ壊してくる」

 

カナ「ナツ!」

 

ナツがジュピター破壊に名乗りをあげた。

 

ナツ「15分だろ?上等じゃねえか」

 

ナツの言葉にカナは静かに頷く。

 

ナツ「よっしゃー、燃えてきたぁ!!」

 

ナツはハッピーに掴まってファントム本部へ向かった。

 

グレイ「俺たちも乗り込むぞぞエルフマン!!」

 

エルフマン「おっしゃーーっ!!!」

 

カナ「こっちはあたしたちで守りを固める!いいね!!」

 

「「「「「おう!!!!」」」」」

 

 

 

妖精と幽鬼の戦いは第二ラウンドに突入した。

 

 




イージスバリア:魔力でできた盾をつくり、敵の攻撃を防ぐ。ジュピターのように攻撃力が高いと防いだとしても衝撃で自分にもダメージがくる。



主人公プラスオリキャラ六人、合わせて七人にすごい魔法を覚えさせようと考えているんだけど、下手するとオリキャラたちが強くなりすぎてしますかもしれないんだよなぁ。もちろん強さの調整はするし、デメリットももたせるし、それをもたせた理由も考えてあるんだけど……。どうしようか……


ついでに言えばゼルマもエミリアも顔のイメージがまだ曖昧です。容姿のイメージ誰にしようかな。


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戦闘開始

ジュピター再装填後、ナツがジュピターの中にはいってから約15分。砲撃からは圧縮された魔力が見えてくる。

 

 

トール「そろそろ15分たつ。発射されたら俺はジュピターを防ぐ」

 

アニス「ダメだよ!今度は体が持たないよ!」

 

トール「心配すんな。うまく角度を計算して反らせばいい。アニス、もしものときはサイコキネシスで反らすのを手伝ってくれ」

 

アニス「う、うん!任せて!」

 

その時、ジュピターが爆発した。根本から先へ順に爆発していく。

ナツが破壊に成功した様だ。

 

ビスカ「あれ見て!砲台が!」

 

アルザック「やったぞ!ジュピターの破壊に成功したぞぉぉぉぉぉ!!」

 

「「「「「「「オオーーー!!」」」」」」」

 

 

 

ジュピターの破壊によって喜んでいたが、喜んでいるのもつかの間、急に城が変形して人型になっていった。

 

 

 

魔導巨人ファントムMk-Ⅱ。

 

 

 

ファントムロード最強の兵器が誕生し、ゆっくりと前進してきた。

 

『平伏すがいい、クソガキ共!そしてその身の程を知れ!絶望の中で己の最後をたっぷりと味わうがいい!』

 

歩いてくる巨人。

そして向かって来るシェイド。

 

アルザック「シェイドがまた来るぞ!」

 

ビスカ「巨人と幽霊!?どうしろっていうのよ!?」

 

カナ「あたしらはシェイドに集中!巨人は、ナツがきっと止めてくれる筈!」

 

ワカバ「つってもよぅ…」

 

マカオ「ナツは乗り物…」

 

「「「「「「「ああ~………」」」」」」」

 

真っ白になる一同。

 

トール「仕方ない。いくぞ二人とも!」

 

「「了解!!」」

 

 

トールはアニスとパオラと一緒に建物の中へと侵入するが、巨人の指がゆっくりと動き始める。

すると巨人の指から線が浮かびあがり、文字が書かれていく。

 

パオラ「これって………魔方陣!?」

 

トール「しかもこれは煉獄砕破(アビスブレイク)じゃねえか!ジョゼの野郎禁忌魔法のひとつまで使いやがって、評議院がいたらどうするつもりだったんだ!」

 

すると巨人の中からハッピーがでできた。

 

ハッピー「おーい!!」

 

アニス「ハッピー!」

 

ハッピー「これって煉獄砕破(アビスブレイク)でしょ!?」

 

トール「ああ、しかもこのサイズだと町が暗黒の波動で消し飛ぶぞ!」

 

パオラ「とりあえず、ナツたちのところへ案内して」

 

トールたちはハッピーについていくと、ナツのほかにグレイとエルフマンがいた。外の状況を話すと、三人も驚きを隠せないでいる。

 

ナツ「なんだそりゃー!?ありえねー!?」

 

グレイ「手分けして、この巨人の動力源を探すしかねぇな」

 

エルフマン「ったく、次から次へと…」

 

パオラ「こうしてはいられないわ!早く動力源かなにかを止めましょ!」

 

「「「「オウ!」」」」

 

そういってみんなバラバラに散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「なかなか見つかんねえな」

 

アニス「この建物広いしね」

 

トールとアニスは中を探していた。すると

 

「見ーつけたぁ!」

 

何処からともなく聞こえてきた声と共に前方の壁が爆発した。そして壊れた壁から人影が見えてくる。その人物は背中に槍を携え、赤くて短い髪をしていた。

 

トール「ゼルマ……」

 

ゼルマ「よおトール。何年ぶりだ?」

 

トール「7、8年くらいは会ってないだろ。だがそんなことはどうでもいい。今回の戦争の件は──」

 

ゼルマ「知らんぜ、オレは。オレにとっちゃ今回の戦争のことがどうでもいい。なんせ──」

 

その瞬間、ゼルマのまわりに蒼い炎がまきあがる。すぐにトールを倒したいと願わんばかりに。

 

ゼルマ「やっとお前をぶちのめすことができるんだからなぁ!」

 

そういってゼルマはトールのほうへと走りだしてくる。トールも迎え撃つように腕に冷気を纏わせる。

 

トール「上等だ。お前がくだらないことに加担してないことはわかった。つーわけでちょっと眠っとけや!」

 

お互いの拳が、魔力が炸裂する。

 

 

 

 

 

 

一方こちらでは

 

エルフマン「ぬおおお!漢エルフマン!フェアリーテイルはこの命にかえても守ってみせる!!!」

 

エルフマンは建物の中を走り回っていた。するとさっき踏んだ地面に違和感を感じて立ち止まる。振り返ると緑色の髪に茶色の服を着た痩せ型の男が地面から現れた。

 

ソル「やあ(サリュ)

 

エルフマン「エレメント4か。ちょうどいい、この巨人の止め方を吐かせてやる」

 

 

 

 

 

そしてこちらでも

 

パオラ「はあ、少し迷ったわね」

 

パオラは広い建物のなかを探していたら迷ってしまった。

 

パオラ「……トールと合流しようかしら」

 

 

「だめよ、今彼はゼルマと戦っているから」

 

 

その声は上から聞こえた。

 

エミリア「あなたがあたしの相手よ」

 

サイドテールで茶髪の女性、エミリアが空中から降りてくる。

 

パオラ「やるしかないわね。行くわよ!」

 

あちこちで戦いが始まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョゼ「おやおや、これは意外……まさかあの二人が参加してくれるとは」

 

ジョゼは顔に見せずとも内心では少し驚いていた。まさか戦争に反対といっていた二人が、何を思ったか知らないが今は参加している。だがジョゼにとっては嬉しい誤算でしかなかった。自分が出る手間が省けるからだ。ジョゼはエミリアはエレメント4には少し劣るが、ゼルマの実力は充分に理解している。

 

というのも、実はゼルマはギルドに入る前に一度ジョゼと戦い、負けていた。

 

そのときジョゼは、ゼルマを手の内に入れなかったら後々厄介なことになると直感で思った。

 

そしてジョゼはゼルマをギルドに誘った。最初は嫌そうな顔をしていたが、何を思ったのか知らないが、了承してくれた。

そのときのゼルマの目はギラギラとしていた。だがそれはギルドが楽しみというわけではなく、なにか野望がある目だ。

ジョゼにはそれがすぐにわかった。何故なら自分にも野望があるからだ。『最強のギルドをつくりあげる』という野望が。

 

そしておそらくゼルマの野望とは、いつか自分を倒すということだろう。そのためにゼルマはファントムロードにはいったのだろう。

向上心があることは良いことだが、子供のクセに自分を倒すというのは気に入らない。

エミリアは八ヶ月ほど前、ゼルマが連れてきた少女だ。ゼルマが連れてきたということは、もしかしたら彼女もゼルマと一緒に自分に牙を向けるかもしれない。

いつかは裏切るだろう。だったらこれを機に用済みにしてやろう。

 

ジョゼ「この戦争が終わったら、そろそろ二人には消えてもらいましょうかねぇ……」

 

ジョゼの言葉は近くにいた部下には聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 



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邪魔者

アイリーンの世界再構築魔法『ユニバースワン』って禁書のオティヌスみたいですね。


エルフマン「グレイ!」

 

グレイ「エルフマン!?…ってあれ?なんでミラちゃんまで…」

 

 

グレイは先程エレメント4のジュビアと戦い、撃破していた。

 

 

さらに先程エルフマンもエレメント4のソルと戦っていた。エルフマンは妹を失ったことがトラウマとなり、片腕しか接収(テイクオーバー)できず苦戦していたが、姉であるミラが苦しんでいるところを見て、これ以上姉のミラを悲しませないためにトラウマを克服。そしてソルを撃破した。

 

ミラ「あとひとり、あとひとり倒せばアビスブレイクを止められるわ」

 

グレイ「ほんとか!?」

 

エルフマン「この魔法や巨人の動力源はエレメント4が動力だったんだ」

 

ミラ「まだ間に合う!いけるわ!!」

 

 

 

 

 

一方こちらでは戦いが拮抗していた。

 

 

パオラ「メテオバースト!」

 

エミリア「はっ!!」

 

パオラは手に集めた魔力をビーム状に放つが、エミリアは自身の魔法、浮力魔法(フロートマジック)で瓦礫を浮かしてエミリア自身に届かないようにした。

 

パオラ「はぁ…はぁ……」

 

エミリア「ふう……」

 

パオラはジュピターのダメージがあったが善戦していた。だがそれにはもうひとつ理由があった。

 

パオラ「あなた、魔法を使い始めたばかりって言ってたのに結構やるじゃない」

 

そう、エミリアは魔導士としてあまり日がたっていなかった。エミリアはファントムロードに最近入ったと同時に魔導士となったのだ。

 

エミリア「ふふん、そこは将来に期待ってことよ」

 

パオラ「……身体もね」

 

エミリア「なっ!!人が気にしてるところを……!!なによ!人よりちょ~っと大きいからって!!!」

 

エミリアは胸の話をされて怒って瓦礫を浮かして攻撃するが、

 

パオラ「気づいてるわよ、浮かせられるのが5つまでってことは」

 

そういってパオラはメテオシャワーで瓦礫を上回る量で攻撃した。瓦礫は相殺され、残りの攻撃がエミリアにあたり、ダメージを受けた。

 

エミリア「くっ!!」

 

パオラ「これで終わりよ、メテオインパクト!!!」

 

パオラは素早くエミリアに近づき、流星の魔力を腕に纏わせて渾身の力で殴った。エミリアはダメージによって気絶した。

 

パオラ「これで…私の勝ち、よ……」

 

エミリアを倒したあとでパオラも魔力切れで倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

すると突如、ファントム本部の巨人が激しい揺れと共に足元から崩れさる

 

 

それと同時に、巨人の描いていた魔法陣も消え去った

 

グレイ「急に揺れが……!」

 

エルフマン「まさか、ナツの奴がやったのか!?」

 

ミラ「止まったのよ!!!アビスブレイクは消滅したんだわ!!!!」

 

 

しかしその喜びも束の間、ファントム本部からジョゼの声が響く

 

 

『フェアリーテイルの皆さん、我々はルーシィを捕獲しました』

 

 

エルフマン「何!!?」

 

グレイ「捕獲したって………」

 

ミラ「そんな!隠れ家がバレたの!!?」

 

『一つ目の目的は達成されたのです』

 

 

『きゃああああ!!!!』

 

 

ジョゼの言葉とともにルーシィの叫び声があたり一面に響き渡る

 

エルフマン「ルーシィの声!!!」

 

ミラ「やめて……!!」

 

『我々に残された目的はあと一つ、貴様等の皆殺しだ……クソガキども』

 

 

 

 

 

 

そしてこちらでも戦いが続いていた。

 

 

ドガアアァァァァン!!!!!

 

 

 

トール「ちぃっ……!!」

 

ゼルマ「くそが……!!」

 

両者一歩も引かないでいた。この場にいるものは、先程のアビスブレイクの消滅、ジョゼの言葉、ルーシィの悲鳴など聞こえていなかった。そんななか、アニスはトールと戦っているゼルマに驚いていた。

 

アニス「(すごい……兵隊との戦いとジュピター防御の消耗があるとはいえ、トールと互角に戦っているなんて……)」

 

二人の攻防は激しさを増していく。その様子をアニスはただ見ていることしかできず、アニスは悔しさのあまり小さな拳を握りしめた。

 

トール「氷結竜の咆哮!」

 

ゼルマ「炎魔の激昂!」

 

お互いのブレスがぶつかりあい、何度目かの爆発がおこる。

 

トール「滅神モード!」

 

ゼルマ「喰らいやがれ!!」

 

すると互いの魔力の質が変わり、魔力が高まる。

 

トール「氷神の怒号!!」

 

ゼルマ「ヒート・エクスプロージョン!!」

 

トールは黒い氷のブレスを放つ。だがゼルマはその氷をマイクロウェーブで全て溶かしていった。

 

ゼルマ「ッハハ、オレに氷なんざ通用しねえってのはわかってんだろうが」

 

トール「じゃあこれならどうだ?雷神の……」

 

ゼルマ「ケッ、だったら……」

 

「荷電粒子咆!!」

 

業火の閃光(アグニッシュアーカーシャ)!!」

 

凝縮されて放たれた黒雷と超高熱の炎のビームが激突する。

 

トール「はああっ!」

 

ゼルマ「オオオ!!」

 

互いの魔力がぶつかりあい、どちらも一歩も引かない。一瞬でも気を抜いたら負ける、お互いにとってそれほどの強敵だった。

すると二人の攻撃に耐えられなくなった床が崩れてしまい、二人は下へ落ちてしまった。

 

下へ落ちながらも二人は体勢を立て直し、上手く着地した。

 

 

すると、二人の目の前に二人の少女がいた。

 

「「!!!」」

 

それは先程戦っていたパオラとエミリアだった。

 

トール「パオラ!」

 

ゼルマ「エミリア!」

 

トールとゼルマが二人のもとへ近づく。一緒に上にいたアニスも降りてくる。

 

アニス「これって一体……」

 

トール「二人が戦ってたんだろう」

 

ゼルマ「相討ちか、それとも力尽きたか……」

 

すると突然トールの隣にいたアニスが吹き飛ばされた。

 

アニス「うわあぁぁぁ!!!」

 

トール「アニス!」

 

トールは飛ばされたアニスの方向を向くが、突如トールの脇腹が何かに貫かれた。

 

トール「が、はっ……」

 

トールの脇腹を貫いたのは闇の魔力の塊だった。

 

魔法が放たれたと思われる所を見るとそこにはゼルマがいた。

 

トールは驚いた。なぜなら

 

ゼルマ「ゴハァ………!!」

 

ゼルマの身体も貫かれていたからだ。

 

 

そしてゼルマのさらに奥にいたのは

 

 

 

 

 

マスター・ジョゼだった。

 

トール「マスター・ジョゼ……」

 

ゼルマ「て、テメェ……!!」

 

ジョゼ「ご苦労さまでしたよ、ゼルマさん」

 

 

その言葉とともにトールとゼルマは倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




浮力魔法(フロートマジック):物体を浮かす魔法。ただし、まだ制御が不完全だから一度に5つまでしか浮かせることができない。

エミリアが未熟ということにしたかったから魔法の威力を弱くしました。それでも互角だったのはパオラがジュピターのせいで万全の状態ではなかったということです。

ちなみにパオラとエミリアが戦っていた場所はトールとゼルマが戦っていた場所の真下です。

ちょっと終わりが微妙だな。すいません、あと2、3話くらいあればファントム編は終わると思います


ついでに言えばパオラの胸はそこそこで、エミリアはあまりありません。


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共闘

遅れてすんません。レポートが大体片付いたのでしばらくは大丈夫です

結局ガジルは生きてましたね。その上ゼーラが一時的に復活するとは……。アイリーンはエルザと会ったらどうなるのだろうか。

ニセコイももう少しすると終わっちゃうかな。それにしても宮本の告白シーンのあと可愛かったな、舞子を出し抜いたときの笑顔。小野寺か橘か奏倉先生がいいなと思ってたけど宮本が一番になったかも。

あと今のジャンプで自分が意外とはまっているのは斉木楠雄のΨ難とたくあんとバツの日常閻魔帳なんです。このふたつ自分的には結構面白いんですよ。ただ、たくあんとバツの方はすぐに終わらないことを祈るばかりです。


エルザたちは残りの敵であるジョゼ、ゼルマ、エミリアを探しに建物を走り回っていた。ジョゼを倒さなければこの戦争は終わらない。マスターであるマカロフがいない今は自分達で何とかするしかない。そう思いながら走っていると、奇妙な部屋を見つけた。その部屋は真ん中付近の床が崩れてなくなっていた。

 

グレイ「ん?なんだありゃ」

 

エルザたちは不思議に思い、崩れた床に近づいて下を覗く。

 

 

するとそこにはトール、パオラ、アニス、そしてゼルマとエミリアが倒れていた。

 

ミラ「トール!」

 

エルザ「パオラ!アニス!」

 

グレイ「すくそばにはファントムの二人も倒れているぞ」

 

エルフマン「ここで何があったんだ……」

 

エルザたちは下に降りてトールたちの介抱をしようとする。

 

 

 

ゾクッ!!!!

 

 

その時、エルザ達は凄まじい魔力を感知する。それは決して良いものではなく、体に寒気が走るような邪悪な魔力だ。

 

グレイ「な、何だこの感じは!!?」

 

エルフマン「ぬぉぉ!!漢にあるまじき寒気がっ!!!」

 

ミラ「なに……コレ………」

 

 

 

 

「いやいや……見事でしたよ皆さん」

 

 

悪寒が走る魔力を帯び、拍手をしながらエルザたちに近づくものがいた。

 

ジョゼ「まさかここまで楽しませてくれるとは正直思っていませんでしたよ」

 

それはファントムロードのマスター・ジョゼだった。

 

グレイ「(こいつが……)」

 

エルフマン「(ファントムのマスター………)」

 

ミラ「(なんて邪悪な魔力なの……!?向かい合ってるだけで吐き気がする)」

 

ジョゼを前にしたグレイたちの体が硬直してしまう。

 

ジョゼ「さて……楽しませてくれたお礼をしませんとなァ、たっぷりとね………」

 

エルザ「よけろォ!!!!」

 

グレイ「がはっ!!!!」

 

エルフマン「ぬぁあっ!!!!」

 

凄まじい魔力の攻撃を受けたグレイとエルフマンは一撃でダウンする。

 

ミラ「エルフマン!!グレイ!!」

 

エルザ「くっ……!!」

 

倒れるグレイとエルフマンの姿を見たエルザは残っている力を振り絞ってジョゼに斬りかかる。

攻撃を避けたジョゼはエルザの足首を掴んで投げ飛ばす。

しかしエルザは体勢を立て直すため、空中で回転しながら着地した。

 

エルザ「ハァ……ハァ………」

 

ジョゼ「貴様……確かジュピターをまともにくらったハズ」

 

エルザ「仲間が私の心を強くする、愛する者たちの為ならこの体などいらぬわ」

 

ジョゼ「強くて気丈で美しい……なんて殺しがいのある娘でしょう…………」

 

剣を構えるエルザに対し、不敵な笑みを浮かべるジョゼであった。

 

 

 

 

 

 

ゼルマside

 

 

う、く………。傷が痛む………。油断したぜ、ジョゼが後ろにいることを気づかないなんて。クソッ……ジョゼの野郎、俺とトールの決闘をよくも邪魔しやがったな……。

あのやろうは絶対にぶっ潰す。これは決定事項だ。だれがなんと言おうとぶっ潰す。

………だが俺一人でできるほど甘くないし、そこまで周りが見えてない訳じゃない。消耗も激しいからなおさらだ。

となると……チッ、この際手段は選んでられないか。ちょうどトール(あの野郎)も同じようなこと考えてやがるしな。今は妖精女王(ティターニア)がジョゼの相手をしているからこっちには目を向けてない。

 

 

 

さて、ムカつく野郎をぶっ潰すために下準備するか。トールとの決闘はジョゼを潰してからだ。

 

 

 

 

トールside

 

 

ジョゼの野郎……、まさか味方であるゼルマも一緒にやっちまうとはな。クズは性格もやることもクズってことかよ。あぁムカつく。クソムカつく。よくも俺とゼルマのケンカを邪魔しやがったな。あのクソはぶっ飛ばさねえと気が収まらねえ。

でも魔力が足りねえ。大分回復はしたが、あの野郎をぶっ飛ばすには一撃必殺ほどの強大な魔力で一撃で仕留めしないと魔力の無駄遣いになっちまう。

そのためには……はぁ、ゼルマと協力した方がいいな。あいつのことだからジョゼのことは許さねえつもりだろう。それにおそらくゼルマのやつも同じことを考えてるだろうしな。幸いエルザがジョゼと戦っているから、そっちに気をとられているうちにゼルマと話をつけるか。

 

 

ゼルマとのケンカはジョゼをぶっ飛ばしてからだ。

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 

エルザはジョゼの攻撃に耐えているなか、トールとゼルマは二人に気づかれないように小声で話していた。

 

ゼルマ「……言いたいことはわかってるな、トール」

 

トール「ああ。二人であいつをぶっ飛ばす……だろ?」

 

ゼルマ「だが二人で魔法をぶつけるだけじゃダメだ。あの野郎を倒すためには……」

 

トール「わかってる。一撃であいつを倒さなきゃダメだ。なぁ、お前の炎……貸してくんね?」

 

ゼルマ「は?どういうことだ?」

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「なるほど、俺とお前の全魔力でそれを放てば……」

 

トール「あいつをぶっ飛ばせるってことだ」

 

ドオォォォォォン!!!

 

二人が話していると突然爆発音が聞こえた。この音はナツがガジルを倒した際の音だった。

 

トール「ちょうどナツがガジルを倒したし、残るはジョゼだけだ」

 

ゼルマ「んじゃ、ジョゼを倒したら……」

 

「「次はテメェの番だ」」

 

そういって二人はジョゼを倒す準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

ジョゼ「クク……よく暴れまわる竜だ」

 

エルザ「ハァ…ハァ…」

 

キズだらけで剣を構えているエルザと余裕綽々のジョゼが対峙している。

 

壁の隅の方にはトール、パオラ、アニス、そしてゼルマ、エミリア。エルザの後ろにはグレイ、エルフマン、そしてミラまでも倒れている。

 

エルザ「ナツの戦闘力を計算できてなかったようだな………。わ…私と同等か、それ以上の力を持っているということを……」

 

ジョゼ「謙遜はよしたまえティターニア。君の魔力は素晴らしい。現にこの私と戦い、ここまでもちこたえた魔導士は初めてだ。ジュピターのダメージさえなければ、もう少しいい勝負をしていた可能性もある」

 

エルザ「くっ…」

 

ジョゼ「そんな強大な魔導士がねぇ……」

 

 

 

 

 

 

ジョゼ「マカロフのギルドに他にもいたとあっては気に食わんのですよ!!!」

 

エルザ「うあぁぁぁっ!!!」

 

ジョゼは右腕に集中させた魔力をエルザに向けて放ち、エルザを吹き飛ばす。吹き飛ばされたエルザは壁に激突する。

 

ジョゼ「なぜ私がマカロフを殺さなかったかおわかりですか?」

 

エルザ「!!」

 

ジョゼは攻撃の手を止めずにエルザを襲う。

 

ジョゼ「絶望。絶望を与えるためです」

 

エルザ「なんだとっ!?」

 

ジョゼ「目が覚めた時、愛するギルドと仲間が全滅していたらどうでしょう。くくく、悲しむでしょうねぇ……あの男には絶望と悲しみを与えてから殺す!ただでは殺さん!!苦しんで苦しんで苦しませてから殺すのだぁ!!!」

 

エルザ「下劣な……!!」

 

エルザはジョゼの攻撃をうまくかわしながら反撃するが、ジョゼにいとも簡単に受け止められてしまう。

 

ジョゼ「幽鬼の支配者(ファントムロード)はずっと一番だった。この国で一番の魔力、一番の人材、一番の金があった。

だが、ここ数年でフェアリーテイルは急激に力をつけてきた。エルザにトール、ラクサスにミストガン。その名は我が町にまで届き、火竜(サラマンダー)の噂は国中に広がった。いつしか幽鬼の支配者(ファントムロード)妖精の尻尾(フェアリーテイル)はこの国を代表する二つのギルドとなった。

気に入らんのだよ、もともとクソみてーに弱っちぃギルドだったくせにィ!!」

 

エルザ「この戦争はその下らん妬みが引き起こしたというのか!?」

 

ジョゼ「妬み?違うなぁ。我々はものの優劣をハッキリさせたいのだよ」

 

エルザ「そんな…そんな下らん理由で……!!」

 

ブアアアッッ!!!

 

ジョゼの魔法がエルザを縛り付け、動けなくさせる。

 

エルザ「うっ!!!」

 

ジョゼ「前々から気にくわんギルドだったが、この戦争の引き金は些細な事だった。ハートフィリア財閥のお嬢様を連れ戻してくれという依頼さ」

 

 

エルザ「う…く…(ルーシィ!?)」

 

ジョゼ「この国有数の資産家の娘がフェアリーテイルにいるだと!!?キサマらはどこまで大きくなれば気が済むんだ!!!」

 

エルザ「ぐっ……あぁ……!!」

 

ジョゼ「ハートフィリアの金をキサマらが自由に使えたとしたら間違いなく我々よりも巨大な力を手に入れる!!それだけは許してはおけんのだァ!!!」

 

エルザ「がっ……あああああ!!!」

 

ジョゼが力を入れると共に拘束が強くなり、エルザをより苦しめる。

 

だが、ジョゼはエルザが微かに笑っているのが聞こえた。

 

エルザ「どっちが上だ下だだと騒いでいること自体が嘆かわしい。…が、貴様らの情報収集力のなさにも呆れるな…。それでよく一番のギルドと言えたものだ……」

 

ジョゼ「なんだと?」

 

エルザ「ルーシィは……家出してきたんだ……家の金など使えるものか………」

 

ジョゼ「!!!」

 

エルザ「家賃7万の家に住み、私たちと共に行動して……共に戦い、共に笑い、共に泣く……同じギルドの仲間だ!

戦争の引き金? ハートフィリア家の娘だと?花が咲く場所を選べないように子だって親を選べない」

 

ジョゼ「………」

 

エルザ「貴様に涙を流すルーシィの何が分かる!!!」

 

エルザはさらに力を入れ、拘束を引きちぎろうとする。

 

ジョゼ「……これから知っていくさ」

 

だが、ジョゼは不敵な笑みを浮かべる。

 

ジョゼ「ただで父親に引き渡すと思うか? 金が無くなるまで飼い続けてやる、ハートフィリアの財産全ては私の手に渡るのだ!!」

 

エルザ「貴様!!」

 

ジョゼ「ただで父親に引き渡すと思うか?金がなくなるまで飼いつづけてやる。ハートフィリア家の財産全ては私が使うのだ」

 

エルザ「おのれぇ!!!」

 

ジョゼ「力まん方がいい、余計に苦しむぞ」

 

ジョゼは更に力を入れてエルザを苦しめる。

 

 

エルザ「ぐっ……ぁぁ……はあああああ!!!!」

 

 

だがジョゼの拘束はエルザに引きちぎられてしまった。

 

 

ジョゼ「何!?私の魔法が……貴様の実力では解けないはずだ!どうなっている!?」

 

そのとき、エルザとジョゼは辺りいったいの温度が高くなっていることに気づいた。

 

エルザ「なんだ……?この熱は……?」

 

ジョゼ「ゼルマさんですか……。まだくたばってなかったんですねぇ」

 

ジョゼとエルザがゼルマの方を向くと、ゼルマが立ち上がり、ジョゼを睨みつけていた。

 

ゼルマ「ゴハァ!!……ダマレ。テメェは絶対ぶっ潰す」

 

ゼルマは血を吐きながらも答える。

 

ジョゼ「そんな状態で何ができる?」

 

 

 

 

 

トール「テメェをぶちのめすくらいはできるぜ」

 

 

 

するとゼルマの横からトールが現れた。だがそのトールの右腕には眩しい光で覆われた膨大な魔力を纏っていた。

 

エルザ「この魔力は……」

 

ジョゼ「光……いや、熱の魔法ですか。そんなもの蹴散らして……」

 

トール「そんな暇与えるとでも思ってんのか」

 

トールはジョゼに向けて右腕を突き出す。

 

トール「くたばれ!ソーラービーム 発射!!!」

 

トールはソーラービームをジョゼに放った。普通なら反応できたのだが、ジョゼは反応できなかった。なぜなら、エルザの少し近くにいたトールが、()()()()()()()()()()現れたからだった。そして間髪入れずにソーラービームを放った。

 

ジョゼは対応できず、光線をまともにくらってしまった。

 

 

 

トール「ざまあ見やがれ……」

 

するとトールのもとへエルザがやってくる。

 

エルザ「トール。あの光は何だ?何故一瞬でジョゼのもとへ移動できた?」

 

トール「あの光はソーラービーム。太陽の光と熱を吸収して一気に放つ。だが今回はその代わりにゼルマの炎で代用したんだ」

 

ゼルマ「ジョゼを倒すには半端な魔法じゃ無意味だからな」

 

エルザ「じゃあ一瞬でジョゼに近づいたのは……そうか、全能神魔法か……」

 

 

全能神魔法。トールだけが使える魔法で、自分が相手に必ず勝てる位置に地球ごと移動させる魔法である。ただし、魔力の消費が激しく、使いすぎると自転や公転の誤差が修正しきれなくなるのであまり使わないのであった。

だが今回使ったのは、ジョゼに余裕を与えないためであり、一気に仕留めるためでもあった。

 

 

トール「ああ。不意にこいつをくらったからにはもう動けねえはずだ」

 

ゼルマ「よし、邪魔者もいなくなったことだし、続きやるぞ」

 

 

 

 

ジョゼ「よくもやってくれたなぁクソガキども……!!」

 

「「「!!!!」」」

 

三人が振り向くとそこにはボロボロの状態でたっているジョゼがいた。

 

ジョゼ「今のは危なかった……。フルパワーの魔力だったら倒れていただろう……」

 

トール「嘘だろ……」

 

エルザ「あ、あり得ん……」

 

ゼルマ「まだ立ってられんのかよ……」

 

ジョゼ「だが貴様らを消すほどの魔力は残っているぞ!!」

 

トール「くそっ!!」

 

ゼルマ「もう魔力が……!!」

 

ジョゼはトールたちに向けて魔法を放った。

 

だが、ジョゼの魔法は何者かの魔法によって妨げられ、爆発を起こす。

 

ジョゼ「魔法!?誰だ!」

 

 

 

 

 

「いくつもの血が流れた・・・子供の血じゃ」

 

 

爆炎のなかから怒りを秘めた声が聞こえる

 

トール「(この魔力は……)」

 

 

「できの悪ィ親のせいで子は痛み、涙を流した……互いにな。もう十分じゃ……」

 

 

 

 

 

マカロフ「終わらせねばならん!!!!」

 

ジョゼの攻撃をかき消した正体はマカロフだった

 

エルザ「マスター………!!」

 

トール「よかった……」

 

ゼルマ「あれがマスター・マカロフ……」

 

 

 

戦争は最終局面を迎える

 




ソーラービーム:太陽の光と熱を吸収して一気に放つ。炎系の魔法を代用して吸収することもできる。

全能神魔法:自分が相手に必ず勝てる位置に地球ごと移動させる魔法。魔力の消費が激しく、使いすぎると自転や公転の誤差が修正しきれなくなるのであまり使わない。

次で戦争は終わりです。


やっと……やっと全能神魔法が出せた………。今回の説明でわからなかったら禁書のウィキペディアで調べてみてください。


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妖精の法律

一日に二話投稿しちゃいました。ても今回は少し短いです。
お、お許しを~。


マカロフ「大したモンじゃ、その若さでその魔力……聖十の称号を持つだけの事はある」

 

復活したマカロフがジョゼと対峙する。

 

ジョゼ「マカロフ……こうして直接会うのは6年ぶりですね、その間にフェアリーテイルはここまで大きなギルドになっていようとは……。ふふっ、もう潰れちゃいましたけどね」

 

マカロフ「その魔力を正しい事に使い、若い世代の見本となっておれば魔法界の発展へとつながっていたであろう」

 

ジョゼ「説教、ですかな?」

 

マカロフ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)審判のしきたりにより、貴様に三つ数えるまでの猶予を与える」

 

 

凄まじい魔力があふれ出すとともにマカロフの身体が巨大化する

 

 

 

マカロフ「ひざまずけ」

 

 

ジョゼ「は?」

 

 

 

マカロフ「一つ」

 

 

ジョゼ「ははっ、何を言い出すのかと思えば、ひざまづけだぁ!?」

 

 

 

マカロフ「二つ」

 

 

マカロフの両手に光の魔力が集まる。

 

 

ジョゼ「王国一のギルドが貴様に屈しろだと!!?冗談じゃない!!私もかなりの手負いだが貴様も手負い!これなら互角に戦える!いや非常になれる分私の方が強い!!」

 

 

マカロフ「三つ」

 

 

ジョゼ「ひざまづくのは貴様らの方だ!!消えろ!塵となって歴史上から消滅しろ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!」

 

 

ジョゼの両手に邪悪な魔力が纏まりつく。

 

 

マカロフ「そこまで」

 

 

猶予の時間が過ぎ、準備が終わる。

 

 

ジョゼ「消え去れ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!」

 

 

ジョゼはマカロフに最大魔力で攻撃する。

 

しかし、マカロフが両手を合わせるとジョゼの魔法が消え去ってしまう。

 

そして天が渦を巻き、輝かしい光がファントムギルド全体に降り注ぐ

 

 

 

 

マカロフ「妖精の法律 発動」

 

 

 

ジョゼ「!!!」

 

 

マカロフの言葉と共にファントムギルドが光に包まれる

 

 

その光は外にいたジョゼの創り出した幽兵を消し去り、ジョゼ本人をも飲み込んだ

 

 

 

 

 

パオラ「なに……この暖かい魔法………」

 

先程目を覚ましたパオラがマカロフの魔法を見て呟く。パオラに続いてグレイたちもマカロフの魔法によって目を覚ましていく。

 

エルザ「フェアリーロウだ」

 

グレイ「フェアリーロウ?」

 

エルザ「聖なる光をもって闇を討つ、術者が敵と認識したものだけを討つ」

 

トール「あれは伝説の一つに数えられる超魔法だ」

 

 

 

 

妖精の法律を食らったジョゼはその場で衰弱していた。

 

マカロフ「二度とフェアリーテイルに近づくな……これだけハデにやらかしちゃ評議院も黙っておらんじゃろ、これからはひとまずてめえの身を心配する事だ……お互いにな」

 

 

するとマカロフの後ろに気配を殺したアリアが現れた。

 

アリア「(悲しいなぁ。あのときと同じ隙だらけ!もらった!!)」

 

だがアリアは何者かによって殴られ、壁まで飛ばされた。

 

 

それはゼルマだった。

 

ゼルマ「もうやめろ。俺たちは見ての通り“負けた”んだ。これ以上は無駄だ」

 

マカロフ「お主……」

 

ゼルマ「俺は別に戦争のことなんざどうでもいい。ただトールと決着がつけたかっただけだからな。……まあ、あんたの仲間がやられた分はこれで勘弁してくれ。あと、トールにいつか決着をつけるっていっといてくれ」

 

そういってゼルマは気を失っているエミリアを抱えていなくなった。

 

マカロフ「すまんな。さて……ギルド同士のケジメはつけた。これ以上を望むならそれは“掃滅” 跡形もなく消すぞ……ジョゼをつれて帰れ。今すぐに」

 

アリアにそう言ったマカロフはファントム本部をあとにした。

 

 

『勝ったぁ!!ファントムに勝ったぞぉ!!!』

 

 

マカロフ「この勝利……わしだけの力ではない。家族の勝利じゃ………」

 

マカロフは家族に向かって言う。

 

 

 

 

 

 

 

マカロフ「こりゃあ また……ハデにやられたのう………」

 

マカロフがファントムによって崩されたギルドを見て呟く。

 

ルーシィ「あ、あの…マスター……」

 

マカロフ「んー?おまえも随分大変な目にあったのう」

 

穏やかな顔で言うマカロフ。だが、ルーシィの顔は依然として暗いままである。

 

 

 

 

「そんな顔しないのルーちゃん」

 

 

そんなルーシィの元に傷後だらけのレビィたちが声をかける

 

レビィ「みんなで力を合わせた大勝利なんだよ」

 

ドロイ「ギルドは壊れちゃったけどな」

 

ジェット「そんなのまた建てればいいんだよ」

 

リーダス「ウィ」

 

ルーシィ「レビィちゃん……リーダス……ジェット……ドロイ……」

 

レビィ「心配かけてゴメンね、ルーちゃん」

 

ルーシィ「違、う…それはあたしの……」

 

リーダス「オレ…役に立てなくて……あの……ゴメン……」

 

リーダスたちの言葉に対し、必死に口元を押さえて首を横に振るルーシィ。そんなルーシィにマカロフが声をかける。

 

マカロフ「ルーシィ、楽しい事も悲しい事も全てとまではいかないがある程度までは共有できる。それがギルドじゃ。

一人の幸せは皆の幸せ、一人の怒りは皆の怒り……そして一人の涙は皆の涙、自責の念にかられる必要はない……君にはみんなの心が届いているハズじゃ」

 

ルーシィ「………」グスッ

 

マカロフ「顔をあげなさい、君は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだから」

 

マカロフの言葉を聞いたルーシィはその場に膝をつき、泣き崩れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「ふう、これで一件落着か」

 

トールはみんなより少し離れた建物の角にいた。手には寝ているアニスを抱えている。

そして角を曲がったところにいる男に話しかける。

 

トール「助かったぜミストガン。他の支部の奴等を蹴散らしてくれたり、マスターの魔力をかき集めてたんだろ?」

 

ミストガン「……これでも私はギルドの一員だからな。これくらいなら容易いことだ。……今回のことは」

 

トール「はいはいわかってるよ。誰にも言うな、だろ?言わねえから安心しろ」

 

ミストガン「感謝する。……ではまた………」

 

トール「おう、そっちもがんば………っていなくなるの速いな……」

 

トールは既に気配がなくなったのを感じて呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 




次で久しぶりにラクサス登場。昔のトールのこともちょっとだけ明らかに。ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけだけど。


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NEXT GENERATION

ルーシィの家の話はしょーりゃく!


メンゴメンゴ


ミラ「みんなー!!今日から仕事の受注を再会するわよー!仮設の受付カウンターだけどガンガン仕事やろーね!!!」

 

「うおぉおおぉっ!!!!」

 

「仕事だ仕事ー!!!」

 

仮設ギルドのカウンター前でミラが笑顔で皆に呼び掛ける。すると大勢のギルドメンバー達が一斉に依頼盤へ向かって走り出す。ちなみに一番に依頼番に向かったのはナブだった。(だが結局は受けなかった。)

 

ルーシィ「何アレぇ、普段はお酒飲んでダラダラしてるだけなのにィ」

 

ミラ「皆、仕事が恋しくなったんでしょ」

 

パオラ「まったく行かない人もいるけどね」

 

カウンターに座っているルーシィとパオラがその光景を見て呆れかえる。

 

ルーシィ「そういやロキいないのかなぁ」

 

ミラ「あーあ……ルーシィもとうとうロキの魔手にかかっちゃったのね」

 

ルーシィ「違います!!」

 

パオラ「あれ?ルーシィはナツの魔の手にかかったんじゃないの?」

 

ルーシィ「な、なんでそうなるのよ!?」

 

ルーシィは顔を紅くしながら反論する。

 

パオラ「ナツが好きだから勝手に家に入ってるのを許しているんでしょ?」

 

ルーシィ「好きでもないし許してもないわよ!」

 

ミラ「そういうパオラはトールの魔の手にかかったんじゃないの?」

 

パオラ「なっ……/////」

 

今度はパオラが顔を紅くする。

 

ミラ「月一くらいでトールたちにご飯作ってあげているって聞いたわよ?」

 

パオラ「だ、誰がそんなことを!?」カァァ

 

パオラの顔が更に紅くなり、もはやトマトみたいと言われても可笑しくないほどだった。

 

ルーシィ「へえ~、そんなことあったんだぁ」ニヤニヤ

 

ミラ「昔から仲良かったもんね」ニコニコ

 

パオラ「ニヤニヤもニコニコもするな!」

 

 

 

ミラの言う通り、パオラは何回もトールの家に遊びにいって、月一でご飯をご馳走していた。ちょいちょいアピールしてきたが、トールが顔を紅くするくらいであまり進展していない。更に言えば、パオラ自体が恥ずかしがっているため、あと一歩、二歩が足りないでいた。

 

───ついでに言えば、お泊まり会をしたとき、エルザに誘われるまではトールの家に行こうとしていたので少し残念がっていたという。

 

 

 

パオラ「そ、そんなことより、なんでロキなんか探しているのよ?」

 

ルーシィ「(話反らした……)なんか、鍵見つけてくれたみたいで……お礼したいなって…」

 

ミラ「見かけたら伝えとくわ。それより、星霊たちに怒られなかった?鍵落として…」

 

ルーシィ「ええ、まあ……」

 

ルーシィ曰く、怒られるだけでは済まなかったらしい。特にアクエリアスは鍵を落とされるのが嫌いらしく、強烈な顔で睨まれ、お仕置きされたらしい。

 

思い出して尻を抑えるルーシィに、

 

グレイ「冷やしてやろうか?」

 

ルーシィ「さりげないセクハラよそれ」

 

冷気を纏ったグレイや、

 

ハッピー「ルーシィ~赤いお尻見せてー」ニヤニヤ

 

ルーシィ「堂々としたセクハラよそれ!!」

 

あからさまにニヤニヤしながら飛んで近づいてくるハッピーや、

 

ナツ「もっとヒリヒリさせたらどんな顔すっかな」

 

ルーシィ「鬼かおまえは!!」

 

炎を纏ったナツが絡んできたりした。

 

 

 

 

 

エルザ「もう一ぺん言ってみろ!!!!」

 

 

そんななか、エルザの叫び声がギルド内に響く。

ギルドメンバー達は何事かと一斉にエルザの方を向いた。

 

ルーシィ「エルザ?」

 

ルーシィたちも慌ててエルザの方を向く

 

周りの人達もエルザの方へ視線が集まる。

 

エルザは目の前にいる男に怒鳴りつけていた。

 

ラクサス「この際だ、ハッキリ言ってやるよ……弱ェ奴はこのギルドに必要ねェ」

 

それはフェアリーテイルのS級魔導士のひとりであるラクサスだった。

 

エルザ「貴様…」

 

ラクサス「情けねえなあオイ。ファントムごときになめられやがって……恥ずかしくて外も歩けねーよ。つーか、オメェら名前知らねえや」

 

「「ううっ……」」

 

ラクサスは後ろにいるジェットとドロイに顔を向ける。ジェットとドロイは何も言い返せないでいる。

 

ラクサス「それに元凶のテメェ、星霊使いのお嬢様。お前のせいで……」

 

ミラ「ラクサス!!!」

 

カウンター席を叩いたミラがラクサスに向かって言い放つ。

 

ミラ「もう全部終わったのよ、誰のせいとかそういう話だって初めからないの!戦争に参加しなかったラクサスにもお咎めなし、マスターはそう言ってるのよ」

 

ラクサス「そりゃそうだろ、オレには関係ねえ事だ……ま、オレがいたらこんな無様な目にはあわなかったがな」

 

エルザ「貴様ァ!「待てやコラァ!!!」ナツ!!!」

 

ナツがラクサスに殴りかかる。しかし、ラクサスは自分の身体を雷に変え、ナツの攻撃をかわし、後ろにたった。

 

ナツ「ラクサス!!オレと勝負しろォ!!この薄情モンがァ!!」

 

ラクサス「あははっ、オレをとらえられねえ奴がなんの勝負になる?」

 

ナツ「ラクサステメェ!!!」

 

トール「落ち着けナツ」

 

再び殴りかかろうとするナツをトールが止める。

 

ラクサス「お前も文句でもあんのかトール」

 

トール「別に……。ただ、折角聖十大魔道の一人を合法的にぶちのめすことができたのに、とはおもったけどな」

 

エルザ「おいトール!」

 

ラクサス「おっと、そんな考えもあるんだな。それは失念だった。流石は『凍てつく雷神』だ。

 

 

いや、『()()()()()』って言った方がいいか?」

 

トール「!!!!!」

 

 

 

 

 

『トール!』

 

 

 

 

 

トール「(リサーナ……!)」

 

アニス「トール……」

 

パオラ「………」

 

ミラ「………」

 

トールはミラとエルフマンの妹であったリサーナのことを思い出し、強く拳を握りしめる。それをアニスたちは心配そうに見ていた。

 

他のみんなも心配そうに見ている。

 

ルーシィ「戦争代理人?」

 

だが、最近はいったルーシィにはわからなかった。

 

ラクサス「お前が初めから本気出してたらこんなザマにはならなかったんじゃねえのか」

 

トール「それは……」

 

ミラ「ラクサス!!」

 

ラクサスの言葉にトールは俯き、ミラがラクサスを注意する。

 

ラクサス「まあいいさ。オレがギルドを継いだら弱ェモンは全て削除する!!そしてはむかう奴も全てだ!!!最強のギルドをつくる!誰にもなめられねえ史上最強のギルドだ!!!!」

 

 

そう言ったラクサスは高笑いしながら去って行った

 

 

 

ルーシィ「継ぐ……って、何ぶっとんだ事言ってんのよ」

 

ミラ「それがそうでもないのよ。ラクサスはマスターの孫なの」

 

ルーシィ「ええーっ!!!?」

 

ラクサスがマスターの孫だと聞いてルーシィは驚いていた。

 

ミラ「だからマスターが引退したら次のマスターはラクサスの可能性はすごく高いの」

 

ルーシィ「そ、そんな……。あたしはいやだな……仲間の事をあんな風に思ってるひとがマスターになるなんて……」

 

トール「そんなことねぇ!!!」

 

ルーシィの言葉にトールが怒鳴った。

 

トール「あいつは昔と変わってねえハズなんだ!ただ………あいつは………!!!」

 

トールは適当にあった依頼書を引きちぎってミラに突きだした。

 

トール「悪い……これいってくる」

 

ミラ「うん、わかったわ」

 

トール「行くぞアニス、パオラ」

 

アニス「う、うん」

 

パオラ「わかったわ」

 

 

そういってトールはアニスとパオラを連れて仕事に行ってしまった。

 

 

 

 

ルーシィ「ねえ、戦争代理人ってなに?」

 

ルーシィは近くにいたグレイやハッピーに聞いてみた。

 

ハッピー「二年前くらいまで言われていたトールの異名だよ」

 

グレイ「そういや、あの頃はトールとラクサスはほぼ毎日喧嘩してたっけな」

 

ルーシィ「そうなの!?」

 

ハッピー「うん。トールは一度もラクサスに勝ったことがないけどね」

 

グレイ「しかも誰かが喧嘩に乱入してもほぼ一撃でやられちまったてたな。主にナツが」

 

ナツ「んだとおしゃべりパンツ!」

 

グレイ「事実だろうが脳筋単細胞!」

 

こうして二人は喧嘩してしまった。そしてなぜ今はそう呼ばれなくなったのか、ルーシィはそう質問しようとしても答えが返ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

パオラ「ねえ、まだあのときのこと引きずってるの?」

 

トール「……別に………」

 

パオラはトールに尋ねる。ちなみに今トールたちはドラグーンで仕事場へと向かっている。パオラは振り落とされないように前にいるトールの腰に手をつけて抱きつき、アニスは首筋に手を添えて抱きついていた。

 

ギュッ

 

トール「!!!」

 

パオラは力を入れてよりきつく抱きしめた。

 

 

パオラ「もうあんなことを起こさないために強くなるって三人で約束したじゃない」

 

トール「……ああ」

 

パオラ「それに、あたしもアニスもついてる。……言ったでしょ、一人で背負わなくてもいいって」

 

トール「!……ああ、そうだな。んじゃあ気を取り直していくか!」

 

アニス「うん!で、どんな仕事受けたの?」

 

トール「えーと、『魔法学校のお手伝い。

一週間のあいだ、魔法についてのコツや心構えなどを子供たちに教えてあげてください。報酬 100000ジュエル』か。てゆうかこれ一週間むこうに泊まるってことか。めんどくせえな」

 

パオラ「いいじゃないそれくらい。学校っていうのがどういうものか見てみたいし」

 

トール「それもそうか」

 

 

こうして三人は依頼人がいる魔法学校へとむかっていった。

 

 

 




やっぱトールといったら戦争代理人かなぁと思いまして。

昔の異名を言われると昔のことを思いだし、必然的にリサーナのことも思い出すようにしました。


次回はナツたちの『フレデリックとヤンデリカ』をトールたちが観賞します。そしてあの子がでます。


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特別講師 前編

すいません。テスト勉強などで遅れてしまいました。


これからペース取り戻していくぜェ!


トールside

 

 

トール「ここか…」

 

俺たちはギルドを出てから二、三時間後、ようやく目的地に着いた。二階建てで横に少し長い作りになっている。これが学校っていうとこか。

 

パオラ「へえ、学校ってこんなんなのね」

 

パオラは珍しそうに辺りをキョロキョロ見ている。まあギルドに入っているから学校に入る意味もないしな。

 

アニス「それより、早く中に入ろうよ。“職員室”っていうところに行かないと」

 

アニスの一言により、俺たちは中に入る。まずは“職員室”っていうところに行かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依頼書に学校のなかの簡単な地図が書かれてあったので割りとすぐに着いた。その際部屋の中にいた子供たちに見られていた。きっと俺たちが来ることを聞かされていたのだろう。

 

「あのぉ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の方々ですか?」

 

職員室に入ろうとすると後ろから声をかけられたので振り向く。すると若い女性がいた、おそらくこの方が声をかけたのだろう。

 

パオラ「そうですけど、あなたは?」

 

マヤ「私はこの魔法学校の先生をしているマヤです。本日は来てくださってありがとうございます!」

 

トール「そんなかしこまらなくてもいいですよ」

 

マヤ「あ、すいません。クセでつい……。さ、どうぞ中へ!」

 

俺たちはマヤさんに言われて職員室へ入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「で、今回の依頼について詳しく聞きたいんだけどいいですか?」

 

アニス「子供たちが不真面目だから何とかしてほしいとか?」

 

マヤ「(猫が喋ってる……)い、いえ。子供たちは真面目で元気です」

 

パオラ「?じゃあどういう?」

 

マヤ「この学校では三年生から魔法の実技を習うのですが、子供たちは魔導士とはどういうものなのか、どうあるべきか、などがわからないんです。魔法は人によって善にも悪にもなると言います。あの子たちには闇ギルドに入らずに立派な魔導士になってほしいんです。でも私は先生で、本格的に魔導士ギルドに入っていたことのあるひとはこの学校にはいないんです」

 

パオラ「だからギルドにはいっている私達を呼んで色々と教えてほしい、てこと?」

 

マヤ「はい。毎年違うところに依頼していて、今回は妖精の尻尾(フェアリーテイル)さんに依頼したんです。お願いできないでしょうか?」

 

トール「任せてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マヤ「はいみんな~!今日は魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)からお兄さんとお姉さん(と喋る猫?)が来てくれたよー!」

 

『わあああああ!!!!』

 

子供たちは嬉しそうに騒ぐ。今目の前にいる子供たちは小学三年生という、8歳と9歳の学級だ。

 

トール「俺はトールだ。よろしくな!」

 

パオラ「あたしはパオラ、よろしくね」

 

アニス「わたしはアニスだよ!」

 

 

シーーン……

 

 

なんだ?急に静かになったぞ。

 

『猫が喋ったーー!!!???』

 

みんな驚いている。まあ、喋る猫なんて普通は見ないし聞かないだろう。

 

『でもかわいーー!』

 

だが子供たちには人気のようだ。

 

マヤ「じゃあ、何か質問があるひとは手をあげてねー」

 

マヤ先生がそういうと『はい!はい!』という声とともに手が挙がった。

 

 

「トール先生たちはどんな魔法を使うの?」

 

という質問がきたので、

 

トール「そうだな……おれは主に氷と雷だな」

 

『おぉー!』

 

そういって右手に氷、左手に雷を出すと歓声がおこった。なんか嬉しいな。

 

パオラ「わたしは流星魔法。大地属性の魔法ね」

 

『すごーい!!』

 

パオラも同じようにして子供たちを喜ばせている。

 

アニス「わたしはサイコキネシスや(エーラ)で空を飛ぶことができるよ!」

 

『おぉー!…って、猫が飛んでる!?』

 

アニスの方は歓声と同時に驚愕も混じっている。その反応を見てアニスはドヤ顔している。

……そのドヤ顔いるか?

 

 

 

「トール先生とパオラ先生、どっちが強いの?」

 

次にこのような質問がきたので、

 

パオラ「残念ながら私じゃトールには敵わないわ」

 

と、パオラが答えた。まあパオラの実力じゃまだまだ俺には勝てないな。

 

トール「まあ、これから一週間くらいの間だけどよろしくな」

 

『よろしくお願いしまーす!!!』

 

こうして俺たちは特別講師として招かれることになった。

 




ぬおおおおおおおおおお!!!!!!!

久しぶりにかいたのに量が少ないぃぃぃぃ!!!!
ごべんだざい゙……。

次に演劇を書きます。

そしてあの少女も出します。


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特別講師 後編

一ヶ月もサボってすいませんでした!!

免許の合宿に行ってたりプールに行ったりで……。

これからはちゃんとします。


8/30日に設定を少し変更させていただきました。ご了承ください。


トールside

 

依頼が始まってから翌日、俺たちは子供たちとすぐに仲良くなり、魔法だけでなく勉強のほうも教えるようになった。

 

ちなみにパオラはあまり勉強は得意ではないらしく、冗談で

 

『おまえも授業受けてみたらどうだ(笑)』

 

といったら、

 

脇腹に強烈な右ストレートをくらわされた。

 

マジ馬鹿にしてすいませんでした。

 

 

そして一番俺になついた子供は

 

 

 

シェリア「トール先生♪」

 

 

 

この子だ。

 

この子は所謂どじっ子で、自他ともに認めるほどドジ性が強い。

 

 

 

 

 

 

そういえばこの子にこんなことを聞かれた。

 

 

 

第三者side

 

 

シェリア「ねえトール先生」

 

シェリアはいつもより少し真剣な顔で言った。それを見てトールは腰を落とし、目線をシェリアと合わせるようにする。

 

トール「どうしたんだシェリア」

 

シェリア「トール先生は何のために魔法を覚えたの?」

 

トールは思わぬ質問に首をかしげた。

 

シェリア「わたし……昔から何をやってもドジばかりで……それで自信なくしちゃって……。だから、何か強い信念のようなものがあれば、自分を変えられるかなって思ったんです」

 

シェリアは今までのことを思いだし、顔を俯きながら答えた。

 

トール「そうだな……俺は自分の大切なものを守るために魔法を覚えたつもりだ」

 

シェリア「大切なものを……守る?」

 

トール「ああ。これはあくまでも俺の考えだが、想いの力っていうのは確かに存在すると思うんだ。大切なものを守りたい、自分をもっと高めたい、家族や愛する人を守りたい、そういった想いの力、愛の力っていうのは感情論だし目に見えた強さじゃないけど、そういう力はここぞというときに頼りになってくれる」

 

シェリア「想いの力……愛の力……」

 

トール「ま、お前はまだ子供なんだ。今はゆっくり考えればいいさ」

 

そういってトールはシェリアの頭を優しく撫で、微笑んだ。シェリアは恥ずかしそうに頬を赤く染めたが、嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

あれから他の子供たちよりももっとあの子と話すようになった。ついでに言えば、この子に

 

『トール先生とパオラ先生って付き合ってるの?』

 

と言われ、パオラはあたふたし始め、俺が付き合ってないと即答すると、

 

尻にタイキックしてきた。

 

 

あれは強烈に痛かった。

 

 

ちなみにそれを聞いてシェリアが小さくガッツポーズしていたのは知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

そして外で魔法の実技の授業をしていると、空から大量の紙が落ちてきた。それはよく見るとチラシだった。

 

ふと見ると、見知った人……いや、猫がチラシを配っていた。

 

トール「あれってハッピーだよな?」

 

アニス「うん。おーい!ハッピー!」

 

するとアニスの声にハッピーが気づき、こっちへ来た。

 

ハッピー「どうしたの?こんなところで」

 

トール「仕事だ仕事。そっちはなんだ?チラシ配りか?」

 

ハッピー「違うよ。演劇の仕事だよ」

 

演劇。そう聞いて俺とアニスは貴族の衣装を着て演技をするような人達を思い浮かべた。

 

トール「演劇か……」

 

アニス「それって裏方の仕事でしょ?その劇場あまり人手がないの?」

 

ハッピー「あまりどころか、役者が全員いなくなっちゃって団長さんしかいないからオイラたちも劇に出るようになったんだ」

 

それはご愁傷さまとしか言えないな。役者が全員逃げ出すなんてよっぽどのことがないとそんなこと起きないぞ。

 

トール「……ちなみにウチから誰が出るんだ?」

 

ハッピー「あい!ナツとグレイとエルザとルーシィだよ!」

 

………マジかよ。

 

アニス「あ~あ、その劇場ももう廃業かなぁ」

 

ハッピー「失礼だよ~!オイラたちだって物を壊さないときだってあるんだよ!」

 

まあそうなることを祈るしかないな。

 

ハッピー「そういうトールたちは何の仕事なの?」

 

トール「教師だよ。特別講師としてな」

 

ハッピー「え~トールたちが先生って大丈夫なの?」

 

ハッピーがさっきの仕返しかこっちをばかにした顔で言ってくる。正直お前らトラブルメーカーの寄せ集めよりはかなりマシだと思うぞ。

 

ハッピー「そうだ!せっかくなら子供たちも連れて見に来てよ!」

 

トール「許可が降りたらな」

 

アニス「頑張ってね~!」

 

こうしてハッピーはチラシを配るために空を飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

パオラ「え!?エルザたちが演劇!?……その劇場ももう廃業かもね」

 

アニス「私たちと同じ反応してるね」

 

パオラとマヤ先生に演劇のことを話すと、パオラも同じような反応のした。というかアニス、“私たち”って言ったけど俺はそんな反応はしてないぞ。

 

……心のなかでは思ったけど。

 

マヤ「演劇ですか……たまにはいいと思います!子供たちもきっと喜ぶと思いますし」

 

トール「うし。じゃあ決まりだな!」

 

パオラ「で?何て名前の劇なの?」

 

トール「ああ。『フレデリックとヤンデリカ』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演劇公開日

 

 

ついにこの日がやって来た。俺たちはもうシェラザード劇団があるオシバナ駅を降り、劇場まで歩いている。俺は今尚心配である。

 

何せナツたちが劇に出るのだからだ。

 

まずナツは言わずもがな、あいつが何かを壊さない時などあったかというくらい仕事で物を壊している。うっかり壊しちゃいましたということがないようにしてもらいたい。

 

次にグレイだ。グレイはナツよりはまだマシな方だが、その分裸になることで問題になっている。まさか上映中に脱いじゃいましたなんてことは今回ばかりはないだろう……たぶん……。

 

次にルーシィ。ルーシィはたぶん大丈夫だろう。というより、ルーシィじゃなくて星霊の方が問題なのだろう。バルゴの天然とタウロスの変態行為がミックスしなければまあなんとかなるだろう。正直アクエリアスが破壊行為としては一番問題だろうが、恐らく今回は水などは使わないだろう。グレイの氷を通して現れることもないと思われる。

 

一番問題なさそうで問題なのがエルザだ。エルザは真面目な性格であり、注意すればナツやグレイは一瞬でびびってしまう。だが問題をおこしているのはエルザも同様だ。むしろ時によってはエルザが一番被害が大きくなることだってあるだろう。

 

まあ、いざとなったらサイコキネシスなどでフォローするしかないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たち全員が劇場に入ったところで、俺とアニスとパオラはマヤ先生に了解を得て席をはずし、ある部屋の前にいる。

 

その部屋のドアを軽くノックし、中から返事が帰ってきたから中へと入る。

 

ナツ「よお!」

 

ルーシィ「いらっしゃい!」

 

その部屋とは控え室だ。もう衣装は着替えており、いつでも準備万端というかたちである。

 

トール「子供たちも楽しみにしてるぜ」

 

グレイ「そういやお前らも仕事中だったな」

 

エルザ「ふっ、任せておけ。きっとお前らも感動するぞ!」

 

そういってエルザは目をキラキラさせながら発生練習を開始した。これなら大丈夫そうだな。ルーシィたちも特に緊張しているというわけでもないし。

 

パオラ「じゃあ私たちはもういくね」

 

アニス「頑張ってね~!」

 

こうして俺たちは取っておいた席へ戻った。

 

 

 

 

 

 

そしてついに幕が挙がった。

 

 

 

リラ「♪ 遠~い 遠~い 昔のこと ♪」

 

 

まず最初にルーシィの星霊 琴座のリラの歌から始まった。

 

いい音色だ。劇に引き寄せられるような感覚がする。観客も心地良さそうに聞いている。

 

そして歌の途中で赤い模様があるクリーム色の服に灰色のズボン、緑のマントを羽織ったフレデリック(エルザ役)が照明にあてられて登場する。髪型を見る限り男装だな。

 

フレデリックは右手を右上に、左手を自分の胸に置いて目線を右手の奥の方へと向ける。……が、ポーズをするだけで何もしゃべらない。

 

リラの歌が終わったのに、まだ喋らない。観客もざわつきはじめた。

 

フレデリック「ぅわ、わ我が名はフ、フ、フレ…フレデ、デ、デ、リック……」

 

……ん?

 

フレデリック「ひ、ひ、姫をた、助けに……ま、まった!」

 

おいおいガチガチじゃねえか。大根役者かお前は。本番前の調子はなんだったんだよ。

 

これはあれか。本番に弱いタイプか。まさかこんなところでエルザのポンコツなところが見られるとは……。

 

フレデリック「う、うぅわっとぅえ、わ、たしにはじ、じじじゅうの、十の、つ、剣が……」

 

すると魔方陣が出てきていくつもの剣が客席目掛けて飛んできた。子供たちには当たらなかったが危ないな。

 

おいおい大丈夫かコレ。開始数秒、しかもたった一人でグダグタになってしまったぞ。

 

速くも仕事失敗の予感がしたときに、ピンク色のドレスを着たヤンデリカ姫(ルーシィ役)が縄で吊るされた状態で上から現れた。

 

ヤンデリカ「ああ、助けてくださいフレデリック様。私はあのセインハルトに捕まってしまいました」

 

いや、()()って言われても観客(こっち)は全然わからないんだけど。

 

すると今度は右から青い服にマントが掛かった姿のジュリオス(グレイ役)が現れた。

 

ジュリオス「我が名はジュリオス!姫を救いたければ、私と勝負したまえ!」

 

おい。セインハルトはどこいったんだよ。全然意味がわからないぞ。

 

フレデリック「し、ししししし勝負……!勝負……!勝負……!勝負……!勝負……!勝負……!」

 

おいエルザの顔色がどんどん悪くなってくぞ。ちゃんと呼吸してんのか?

 

ジュリオス「(やべえ!エルザのやつ限界だ!)」

 

ヤンデリカ「(あたしに任せて!

開け!時計座の扉 ホロロギウム!)」

 

ボン!!

 

舞台を覆うほどの煙がでて、煙がはれるとホロロギウムが現れ、中にエルザが眼を渦巻き状にしながら体育座りでいた。

 

ホロロギウム「しょ、勝負、勝負、と申しております」

 

ジュリオス「なにやってんだよルーシィ」ボソボソ

 

ヤンデリカ「だってあそこでフレデリックが倒れちゃったら話が先に進まないんだもん」ボソボソ

 

ルーシィ……、舞台が静かだからグレイはともかくお前の声が丸聞こえだぞ………。

 

ヤンデリカ「よくきた大時計よ!暫しフレデリック様を休ませておくれ!」

 

するとフレデリックの顔色がどんどん優れてきて、ホロロギウムから出てきた。

 

フレデリック「酸欠が治った……!復活!!」

 

『おおー!』

 

ジュリオス「くらえ!氷の剣!」

 

『おおー!!』

 

フレデリックの復活のすぐあとにジュリオスが氷で剣を作り出す。子供たちも凄そうに見ている。やっと劇らしくなったか。

 

フレデリック「なんの……!わわわ私には十の剣があるー!」

 

そういってフレデリックは十本の剣を出現させ、ジュリオスの足下に飛ばす。

 

すでに台詞は棒読みに近くなっている。

 

ジュリオス「どわぁああ!お助けー!!!」

 

ジュリオスはビビって退散していった。

 

 

ジュリオス弱っ

 

 

その間にフレデリックはヤンデリカ姫を縛っている縄を解いて助け出した。

 

ヤンデリカ「フレデリック様、ありがとうございます!」

 

フレデリックは助けたヤンデリカの前で膝をつき、右手を差し出した。

 

フレデリック「や、ヤンデリカ姫、たくさん子供を作りましょう!三十人くらい!!」

 

なんでそうなるんだよ。気が早すぎだろ。まだ緊張してんのか?

 

するとジュリオスが何食わぬ顔で戻ってきた。

 

ジュリオス「つかぬ間の平和もこれまででござる!」

 

なんだよ“ござる”って……。キャラ変えるならせめて髪型や服装変えろよ。

 

いや、これは一人二役か?そういや人手が足りないっていってたな。

 

ジュリオス「これで終わりだ!いでよ、我が僕のドラゴンよ!!!」

 

ジュリオスが合図をするとホロロギウムが星霊界へと帰っていった。そして舞台の真ん中からドラゴン(ナツ役)が現れた。そのドラゴンをハッピーが上から吊るして黒子の衣装で姿を見えないようにしている。

 

ドラゴン「やっと出番かぁ!ぐおーー!俺様はすべてを破壊するドラゴンだぁー!」

 

ドラゴンは炎を吹きながら宙を暴れまわっている。

 

ジュリオス「くっ!……こうなったら手を組むしかない!」

 

フレデリック「お、おう!それはたのもしい!」

 

お前が呼んだんだろうが。どうやったらそんな展開になるんだよ。

 

ヤンデリカ「私が足止めします!二人は逃げてください!」

 

いやなにいってんのヤンデリカ姫!?お前は守られる側だろ。

 

フレデリック「た、助かったぞ!」

 

ジュリオス「おう!」

 

お前らまで何してんだよ………。

 

シェリア「ねえトール先生!あれって駆け落ち?まさに“愛”だね!」

 

ほらぁ、お前らのせいでなんか勘違いしちまったじゃねーか。

 

 

てゆうかこの劇……テンパってこんな風になったのか?それとももともとこんな脚本なのか?だとしたらかなりクソの劇だぞ。

 

 

すると今まで中にいたドラゴンがいきなり地面へと重力に伴って落ちてきた。

 

ドガアァァァン!!!!

 

舞台が煙に覆われる。……これも演出か?

 

と思っていると、ヤンデリカ姫のドレスにドラゴンの炎が飛び散って炎が移ってしまった。

 

ルーシィ「きゃー!グレイ助けて!氷!こおりー!!!」

 

本番中なのにもはや役名ですら呼んでない。だがそれほどルーシィは慌てている。

 

グレイ「よし!アイスメイク「ドンッ!」うおっ!!」

 

フレデリックがジュリオスを踏み台にして高く飛び上がり、

 

 

 

スパパパパン!!!

 

 

 

ヤンデリカの服をバラバラに切り刻んだ。

 

観客は大喜びだ。

 

エルザ「姫、大丈夫ですかな?」

 

ルーシィ「下手なくせに役に入りすぎ!!」

 

ナツ「痛え…痛え!イテェーー!!!」

 

するとナツが舞台に落ちた衝撃に耐えられず、辺り一面に炎を撒き散らした。

 

グレイ「止めねえかナツ!」

 

グレイはナツを止めようとするが、下からいきなり金牛宮のタウロスが現れた。

 

タウロス「Moオー!ヤンデリカ姫のナイスバディサイコォー!!!」

 

『サイコォー!!!!!』

 

フレデリック「こうなったら……全員…成敗いたしす!!!」

 

壊れていたエルザがさらに壊れ始めた。そしてナツとグレイとエルザの三人の喧嘩が始まった。

 

 

 

そして三人の喧嘩に舞台が耐えられるわけがなく、

 

 

 

劇場が粉々になってしまった。

 

 

 

 

 

ボブ「あ~らら♪」

 

マカロフ「なんでこうなるんじゃ!?」

 

ヤジマ「マー坊……早よぉ引退せえよ」

 

ミラ「あらら……」

 

ガルナ島村長「月の呪いですじゃ!」

 

さすがにマスターたちも呆れ返っていたが、

 

 

『うおおおおおお!!!!』

 

 

観客には大ウケだった。てゆうかガルナ島の村長もいたのかよ。

 

ナツたちはまだ喧嘩している。

 

トール「取り敢えず子供たちの無事を確かめないと…」

 

マヤ「大丈夫です。アニスちゃんが助けてくれて……」

 

アニスは瓦礫が落ちてきたとき、咄嗟にサイコキネシスで子供たちを守ったのだ。

 

トール「そっか。ありがとなアニス」

 

アニス「どういたしまして!」

 

マヤ「それじゃあそろそろ帰りましょうか。みんな~!学校に帰るわよー!」

 

『はーい!』

 

パオラ「それにしても、なんでエルザたちの仕事ではいつも何かが壊れるのよ……」

 

トール「月の呪いってことにしとけ。ほら、俺たちも帰るぞ」

 

 

 

 

 

帰りの電車に乗っていると子供たちは演劇の感想を話していた。子供たちは何故だかわからないけど面白かったらしい。

 

同じギルドの者としては恥ずかしいけどな。

 

マヤ「い、いやぁ、それにしてもなかなかユニークな演劇でしたね……」

 

パオラ「無理しなくてもいいわよマヤ先生」

 

アニス「私たちから見てもひどかったんだよ」

 

二人も苦笑いして答える。無理はしてるかもしれないが、“ユニーク”とか“個性的”とかいう言葉を使うときは大体はダメってことだぞ。

 

 

そう思っていた時、

 

 

 

ガシャァン!!

 

 

 

突然窓ガラスが割れ、何者かが列車に侵入してきた。

 

「どーもー!ハイジャック犯でーす!」

 

「お客さんの荷物を全部もらいに来ましたー!」

 

「俺らこれでも魔導士なんでぇ……」

 

「抵抗はしないほうが身のためだぜえ!」

 

『ギャハハハハハハハ!!!』

 

こんな感じでイカれた連中が20人ほど現れた。

 

マヤ「な、なんですかあの人達は……」

 

アニス「ハイジャック犯っていってたけど」

 

パオラ「ずいぶんとうるさいハイジャック犯ね」

 

「はーい、じゃあ痛い目にあいたくなかったら全員金目の物全部出してねぇ」

 

トール「いくぞふたりとも」

 

「「オッケー!」」

 

俺たちはハイジャック犯の近くへと進む。

 

「あ?なんだお前ら」

 

「おいおい、物だけじゃなくて体までくれるんかよ!」

 

パオラ「生憎あんたたちにやる物なんか一つもないわ」

 

トール「つーわけで観念しやがれ!」

 

「なんだとテメェら!」

 

「やっちまえ!」

 

そういって雄叫びあげながらかかってきた。

 

パオラ「メテオストライク!」

 

トール「氷結竜の鉄拳!」

 

だが、パオラの蹴りと俺の拳があたると簡単に元の場所へ吹き飛んでいった。

 

それでも怯まずに次々とやって来たが所詮無駄な足掻きだった。奴等が魔導士であっても全然俺たちの敵じゃない。数だけ中途半端に多いだけの連中だ。

 

「くそっ!なんでこんな強い魔導士がこんなところにいるんだよ!?」

 

「こうなったら他の乗客を人質に……!」

 

アニス「そうはさせないよ!サイコキネシス!」

 

奴等が乗客を人質にとろうとしたが、アニスによって阻まれた。サイコキネシスによって動きを封じられている。

 

トール「さて、そろそろ駅だ。お前ら全員そろって評議院の世話になるんだな」

 

 

こうしてハイジャック犯たちの計画は阻止された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マヤ「凄かったですね三人とも!」

 

トール「いやぁ、大したことないですよ」

 

今は列車を降りて学校に向けて歩いている。列車を降りてハイジャック犯たちを評議院に突き渡すときも乗客のみんなに感謝された。

 

 

さて、後三日ほどでこの仕事は終わる。そう思うと寂しいな。

 

 

 

 

 

 

 

三日後

 

 

マヤ「本当にありがとうございました。いろいろお世話になって」

 

パオラ「いえ、こちらこそいい勉強になりました」

 

ついに別れの時がやってきた。子供たち皆が寂しそうにしている。

 

トール「こらこら、そんな顔するな。もう会えないって訳じゃないんだぞ」

 

「でも……」

 

「寂しい……」

 

マヤ「この人達はギルドに帰るの。そんな顔してたらトール先生たちが悲しくなるじゃない。だからほら、みんなで笑って見送りましょ!」

 

『はーい!』

 

シェリア「あの!トール先生!」

 

俺が振り向くと、シェリアが花束を持っていた。

 

シェリア「私たち皆の気持ちです!受け取ってください!」

 

トール「おう。ありがたく受け取っておくよ」

 

シェリア「それからパオラ先生!」

 

パオラ「?どうしたの?」

 

シェリアは花束を俺にくれたあと、パオラに駆け寄っていった。

 

シェリア「負けませんからね!」ボソッ

 

パオラ「なっ!?」カァァ

 

パオラがシェリアに耳を貸すと、パオラの顔が紅くなった。

 

何の話してるんだ?後で聞いてみるか。

 

トール「それじゃあなお前ら!元気でやるんだぞ!」

 

アニス「マヤ先生に迷惑かけちゃダメだよー!」

 

『さようならー!トール先生ー!パオラ先生ー!アニスちゃーん!』

 

マヤ「また遊びにきてくださいね!」

 

 

こうして俺たちはギルドへ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェリアside

 

 

トール先生たちが行っちゃった。まだ私は寂しいと思っている。でもいつまてもそんなこと言ってはいられないよね。私ももっと頑張らなくちゃ!魔法も。恋愛も!

 

 

パオラ先生!負けないからね!

 

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

 

トール「そういや、最後シェリアに何て言われたんだ?」

 

アニス「あ!私も気になる!」

 

俺たちはパオラに聞いてみたが、

 

パオラ「な、なんでもないわよ!」

 

「「?」」

 

顔を紅くしてあたふたし始めた。俺たちには何のことだか分からなかった。

 

 

 

ちなみにギルドに帰るとナツたちがいなかったのでミラに聞くと、未だに演劇の仕事から帰ってないらしい。

 

 

後に本人たちから聞くと一日三公演もしていたらしい。

 

あの演劇を一日三回もするとは大変だったな。

 




56巻のあとがきによると12(トゥエルブ)の使う魔法はみんなチート魔法ばっかなんですね。チートや。チーターや!
屍のヒストリアはたとえ生きていたとしても本人が死んだはずとか思えばヒストリアとして出てくるんですかねぇ。斑鳩は本当は死んでないかもしれないけどエルザの中では死んだかもしれないと思っていればいいのかな?

まあいいや。次からは楽園の塔編です。


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楽園の塔
胡蝶の夢


 

 

ナツ「星霊だぁ!?」

 

ロキ「んー……まぁ、そーゆー事」

 

ナツがロキをじろじろと見続ける。

 

 

かつての獅子宮のレオ(ロキ)の鍵の所有者だった青い天馬(ブルーペガサス)のカレン・リリカは星霊を所有物扱いしており、男が言い寄る度に白羊宮のアリエスを呼び出して無理やり相手をさせたり、攻撃の盾にするなどしていた。その扱いの酷さからマスター・ボブに警告を受けるも、これをアリエスが彼に何か吹き込んだからと思い込み、無理やり人間界に拘束しようとまでした。

だがアリエスを救うために無理矢理彼女と入れ替わったレオ(ロキ)は契約解除を強制したがカレンは聞き入れず、自分の仲間であるアリエスをどうしても救いたかったロキは契約を解除するまで星霊界に戻らないという手段をとった。

 

しかし、星霊がいつまでも人間界に留まっていられるはずもなく、ロキは月日が経つにつれどんどん衰弱していった。そして数ヵ月後、カレンは星霊を呼び出せないまま仕事に向かい、死んでしまった。

 

間接的に契約者を殺した罪で星霊界から追放され、命の限界を悟ったロキをルーシィが助け、星霊王に許してもらい、自分を助けてくれたルーシィを守るために新たにルーシィと契約を結んだそうだ

 

 

 

トール「星霊界に帰れなくなる星霊なんているんだな」

 

ナツ「ちょっと待て!!お前牛でも馬でもねーじゃねーか」

 

ロキ「ナツの知ってるバルゴだって人の形だろ?」

 

アニス「でもゴリラにもなるんだよ!」

 

ロキ「そういえばそうだったね……」

 

トール「あれってゴリラか?」

 

グレイ「さあ……ただ処女宮の名前通りだとは言えないな」

 

ルーシィ「ロキは獅子宮の星霊よ」

 

ナツ・ハッピー「「獅子ー!!!」」

 

ロキが獅子の星霊だと聞いたナツたちが声を合わせて驚く

 

ハッピー「獅子って大人になった猫でしょ!?」

 

ロキ「そうだね」

 

ルーシィ「違ーう!!!」

 

パオラ「あんなに女遊びしてたロキが獅子なんて……」

 

グレイ「つーか、お前これまで通りで大丈夫なのか?」

 

ロキ「これからはそうはいかないね、ルーシィが所有者(オーナー)になってくれたからね。ルーシィのピンチに現れる白馬の王子様役ってとこかな。そういうわけで二人の今後について話し合おうか」

 

するとロキがルーシィを抱き上げる

 

ルーシィ「こらこら下ろしなさい!!」

 

ナツ「いいなぁー、俺も星霊ほしいぞ」

 

ハッピー「どんな星霊がほしいの?」

 

ナツ「そりゃドラゴンだろ!!せっかく滅竜魔法覚えたのに本物の竜と闘えねーのは甲斐がねえってモンだ!」

 

ルーシィ「星霊は力比べの為に呼び出すものじゃないの!!」

 

ロキ「そうそう、星霊は愛を語る為に……」

 

ルーシィ「あんたももう帰りなさい」

 

ルーシィは強制閉門する為、ロキにカギを向けるが、それを止め、ポケットからチケットを取り出す。

 

ルーシィ「何コレ?」

 

ロキ「リゾートホテルのチケットさ、ガールフレンドたちを誘って行こうと思ってたんだけど……君たちにはいろいろ世話になったし、これあげるから行っといでよ」

 

ルーシィ「海!!」

 

チケットを見て、満面の笑みをこぼすルーシィ

 

パオラ「これってアカネビーチじゃない!!」

 

ナツ「おおおっ!!!」

 

トール「マジか!?」

 

グレイ「こんな高ェホテル泊まった事ねえ!」

 

ロキ「エルザにもさっき渡しておいた、楽しんでおいで」

 

そう言ったロキは星霊界へと帰っていった。

 

そこへ荷物を引きずりながらエルザがやってきた。

 

エルザ「貴様等、何をモタモタしている。おいていかれたいのか」

 

いつもより多くの荷物を持って。

 

「「「「気ィ早ェよ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロキからアカネリゾートのチケットをもらったトールたちは、リゾートに着いたら水着に着替え、ビーチに来ていた。

 

アカネビーチの海はとても綺麗で、海に浸かっても足が見えるほど透明であった(グレイは相変わらず海パンを履かず、大事なものが他人からも丸見えだった)。

 

トールたちは海で泳いでいたり、スイカ割りをしたり、ビーチバレーをしたりしてそれぞれ休日を楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時が経ち、夜からはリゾートホテルの内部にあるカジノで遊び呆けていた

 

ナツとハッピーはルーレット場で遊んでいたのだが、

 

ナツ「ふぅー……ふぅー……!!」

 

ディーラー「お、お客様困ります!!」

 

ナツ「だって17に入ってたぞ、オレは見たんだ!!」

 

ハッピー「あい!!」

 

ディーラー「そんな事あるわけないでしょ………」

 

ナツのクレームに困るディーラーであった。

 

 

 

 

 

 

トール「お!これやってみねえか?」

 

トールとアニスとパオラはある機械の前にいた。その機械とは、

 

アニス「これって……」

 

パオラ「ホッケー?なんでカジノに?」

 

ホッケーだった。100ジュエル入れることで遊べるものだ。

 

トール「まあいいじゃねえか!早くやろうぜ!なんなら2対1でもいいぜ」

 

アニス「ムッ」

 

パオラ「負かして吠え面かかせてやるわ!」

 

その言葉に二人の目が変わり、真剣な表情になった。

 

 

 

 

 

 

ナツ「見たんだって!!オレの目はごまかせねーぞ!!!」

 

今だに引き下がらずにいるナツにナツたちに一人の男の声がかかる

 

「ボーイ、大人の遊び場はダンディにたしなむものだぜ」

 

ナツ・ハッピー「「か……かくかく!!?」」

 

ナツたちの前に現れたのは全身ポリゴンのような形をした男だった。

 

「ボーイ。一ついいコトを教えてやるぜ、男には二つの道しかねえのサ」

 

すると男は回転式の椅子を回しはじめ、素早くナツに近づき、地面に押し倒して口に銃口を突きつけた。

 

「ダンディに生きるか……止まって死ぬか…だゼ」

 

ナツ「がわ゛っ………」

 

ハッピー「な……何するんだー!!」

 

「二ィ」

 

ナツ「()……がんがごいぐ(なんだこいつ)……」

 

 

 

 

 

 

 

一方、グレイはカジノのバーに来て隣人と酒を嗜んでいた。その者の名はジュビア・ロクサー。元幽鬼の支配者(ファントムロード)のエレメント4であり、先の戦争ではグレイと対戦し、グレイに負けて惚れていたのだった。

 

グレイ「聞いたよ。ファントムは解散したんだって?」

 

ジュビア「はい。ジュビアはフリーの魔導士になったのです」

 

そう言うジュビアの胸元には、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマークの形をした首飾りが輝いていた。

 

グレイ「それで妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りてえっての?」

 

ジュビア「ジュビア入りたい!」

 

グレイ「しっかし、あんな事の後だからなぁ。オレは構わねーが、マスターが何て言うか」

 

グレイとジュビアの二人がそんな会話をしていると、二人を覆う陰が現れる。

 

「「?」」

 

突然二人の背後に巨漢の男が現れ、

 

 

バチィン!

 

 

ジュビア「あひぃ!!」

 

グレイ「なっ!?ジュビア!!!」

 

いきなりジュビアを叩き飛ばした。

 

グレイ「何だテメェ!?」

 

グレイは巨漢の男を睨みつける。

 

「グレイ・フルバスターだな。エルザはどこにいる?」

 

 

 

 

 

 

 

トール「ちっ……!」

 

アニス「むう……」

 

パオラ「くっ……」

 

三人はこれ以上無いくらい真剣な顔で睨みあっていた。

 

三人の間にあるものはホッケー板。そのすぐ横には9対9と表示されている得点板。

 

そう、このゲームは10点取れば勝ちであるので、両者共にマッチポイントである。

 

トール「いくぞ!」

 

トールは機械から出てきたパックをマレットで全力で打つ。しかも斜めに打ったのでアニスとパオラは跳ね返りを計算して打たなければならない。

 

パオラ「それ!」

 

パオラも同じように打ち返す。トールはどんな風に打ち返そうと考えながらパックを待っていると、

 

 

「みゃあ~!ネコネコだ~!」

 

 

突然現れた茶髪でネコ風の女性がアニスを抱き締めた。

 

アニス「え?なに!?」

 

トール「て、テメェ!アニスに何しやがる!「ガシャン!」ってあー!しまったぁー!」

 

トールがよそ見している間にパックが自分のゴールに入り、アニスとパオラ側に点が入り、負けてしまった。

 

だがトールはそんなことをすぐに忘れ、ネコ少女を睨み付ける。

 

パオラ「ちょっとトール!落ち着きなさいよ!」

 

「そ、そうだよ!ミリアーナも余計なことしないで早くエルザを探そうよ!」

 

パオラがトールを落ち着かせようとするが、そこへ肩までかかるほどの銀髪のオドオドした女性が現れる。

 

パオラ「え?誰?」

 

トール「!?お前……。もしかして……マユミ……か?」

 

マユミ「う、うん。久しぶりだね……」

 

パオラ「知り合い?……ってちょっと待って。さっきエルザを探すって……?」

 

突然現れた謎の二人にパオラはわけがわからなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポーカーテーブルの上には5枚のカードが並べられている

 

カードは全てスペードで統一されており、10からAの数字が綺麗にそろっている。

ロイヤルストレートフラッシュという、ポーカーで最も強いカードの並びである。

 

ルーシィ「すごいエルザ!!」

 

エルザ「ふふ……今日はついてるな」

 

勝ち続けるエルザに思わず歓声をあげるルーシィと周りの観客たち

 

そんな中、褐色の肌をした男がエルザの目の前に立つ

 

「ディーラーチェンジだ」

 

エルザ「今なら誰が相手でも負ける気はせんぞ」

 

ルーシィ「だね」

 

「だったら特別なゲームを楽しまないか?賭けるものはコインじゃない」

 

そう言った褐色男はカードをシャッフルした後、テーブルに5枚のカードを並べた

 

そのカードには数字ではなくD、E、A、T、Hの文字が記されていた

 

 

エルザ「?」

 

「命、かけて遊ぼ……エルザ姉さん」

 

エルザ「ショウ………?」

 

エルザは声を震わせながら呟いた。

 

ルーシィ「え?え?」

 

ルーシィはいまいち状況が飲み込めずにいる

 

ショウ「久しぶりだね、姉さん」

 

エルザ「無事……だったのか?」

 

ショウ「無事?」

 

エルザ「あ……いや………」

 

ショウの声を聞くたび、エルザはその身を震わせていた

 

 

 

 

 

 

 

グレイとジュビアも謎の巨漢の男と対峙していた。

 

「エルザはどこだ?」

 

グレイ「ア?」

 

「どこだ?」

 

グレイ「誰なんだテメェ……」

 

巨漢の男にそう問い掛けるグレイ。すると、彼等の間に身体を水にしたジュビアが割り込み、グレイを守るように立つ。

 

ジュビア「グレイ様には指一本触れさせない。ジュビアが相手します」

 

グレイ「ジュビア」

 

ジュビア「エルザさんの下へ…危険が迫っています」

 

エルザの下へ行くようにグレイに促すジュビア。すると、突然巨漢の男が自分の頭に指を翳す。

 

「ん? もう見つかっただと?ほう……そうか。じゃあ片付けていいんだな? 了解」

 

巨漢の男が一人ブツブツとそう呟くと、突如として周りが暗闇に包まれる。そして、周りが一切見えないほどの真っ暗な空間となった。

 

ジュビア「え!?」

 

グレイ「な……なんだコレは!?」

 

「闇の系譜の魔法…闇刹那」

 

突然の出来事に二人は対処できなかった。

 

 

 

 

 

 

ナツ「が…がんが(なんだ)!?こんごわ(こんどは)!!」

 

ナツは四角い男に拳銃を口の中に突っ込まれ、さらには辺り一面が真っ暗になったことに戸惑っていた。

 

ハッピー「ナツー!どこー!!」

 

ナツ「ここが(ここだ)はっふぃー(ハッピー)!」

 

暗闇のなかでハッピーはナツを探せないでいた。すると……

 

「グッナイ…ボーイ」

 

 

ダァンッ!!

 

 

ハッピー「ナツー!!」

 

銃声が鳴り、ハッピーの悲鳴が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「なんだ一体!?急に暗くなりやがって……アニス!パオラ!どこだ!」

 

トールは暗闇のなかでアニスたちを探していたが、視界が急に暗くなったので目がなれず、周りが見えずにいた。

 

マユミ「ミリアーナちゃん。ショウがエルザを見つけたって。は、早く引き上げよう!」

 

トール「なんだと!?」

 

パオラ「あんたたちエルザをどうする気なの!」

 

ミリアーナ「みゃあ!早くエルちゃんに会いたいから急ぐよ!」

 

パオラの言葉を無視するとミリアーナはトールからは見えないが、トールの身体をチューブが拘束した。身体中のあちこちを拘束し、両手と両足を繋ぐことでエビ反りのようになる。さらに、拘束してからもよりキツくなり、このままでは身体が逆の方へ曲がってしまう。だがこんなものは魔法で壊せればいい話なのだが、

 

トール「くそっ!なんだこれは!?魔法が使えねえぞ!」

 

トールは拘束された途端に魔法が使えなくなってしまった。おそらくチューブに拘束されると魔法が使えなくなってしまうのだろう。それに加えてどんどん絞まっていく。

 

パオラ「トール!どこ!」

 

マユミ「お、お姉さんもゴメンね!」

 

バチバチバチ!!!

 

パオラ「ぐうっ!!これは……雷……!」

 

パオラはマユミにスタンガンの要領で雷をぶつけられ、気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてエルザ達も突然の暗闇に戸惑っていた。

 

ルーシィ「な…なにコレ!? 暗っ!」

 

エルザ「何が起きた!?」

 

戸惑いながら暗闇の中を見渡す。すると、ボンヤリと暗闇が薄くなり始めた。

その時、

 

ルーシィ「きゃあ!!」

 

エルザ「ルーシィ!どこだ!?」

 

エルザの隣にいたルーシィが突然いなくなった。

 

しばらくすると光が完全に戻った。そしてエルザはすぐさまショウの居た場所に視線を向けるが、そこにショウの姿はなかった。もちろんルーシィの姿も見当たらない。

 

エルザ「ルーシィ!ショウ!」

 

ルーシィ『エルザ!』

 

すると足元の方からルーシィの声がした。下を向くと、ルーシィがカードの中に閉じ込められていた。

 

エルザ「な!?ルーシィ!どうなっている!?ショウはどこいった!?」

 

ショウ「こっちだよ、姉さん」

 

声がした方向を向くと、ショウが立っており、彼の足元には数枚のカードが散らばっていた。エルザはルーシィを閉じ込めたのがショウだとすぐにわかった。

 

エルザ「か、カードの中に人が!?」

 

そのカードをよく見ると先ほどまでカジノにいた客や従業員たちも同様に閉じ込められていた。

 

ショウ「不思議? オレも魔法を使えるようになったんだよ」

 

エルザ「魔法!? お前、一体……」

 

ショウ「ククク……」

 

エルザの問いには答えず、不気味な笑みを浮かべるショウ。すると、

 

 

 

「みゃあ」

 

 

ネコのような少女がテーブルに座っていた。

 

 

「みゃあ。元気最強?」

 

エルザ「ミリアーナ!?」

 

エルザはミリアーナを見て驚愕する。そしてよく見ると手に橙色のネコが眠っていた。アニスの身体にもチューブが巻きつけられている。隣にはマユミもいる。

 

エルザ「アニス!?」

 

アニス「すぅ……すぅ……」

 

エルザ「お前も魔法を……?」

 

ミリアーナ「久しぶり~エルちゃん♪」

 

エルザ「何をしている! ルーシィとアニスは私の仲間だ!!!」

 

ミリアーナ「みゃあ? 仲間?」

 

ショウ「僕たちだって仲間だったでしょ? 姉さん」

 

エルザ「う…ああ…」

 

ショウの言葉を聞いて、エルザを震える。そして……

 

ショウ「姉さんがオレたちを裏切るまではね」

 

エルザ「…………」

 

 

次のショウの言葉で、エルザは震えながら自分の身を抱き締めた。

 

 

「そうエルザをいじめてやるな、ショウ。ダンディな男は感情を抑えるもんだぜ。すっかり色っぽくなっちまいやがってヨ」

 

 

するとそこへ、先ほどナツたちの前に現れた四角い男が姿を現した。

 

エルザ「そ…その声はウォーリー?」

 

ウォーリー「気付かねえのも無理はねえ。狂犬ウォーリーと呼ばれてたあの頃に比べて、オレも()()くなったしな」

 

エルザ「お前も…魔法を……」

 

 

「驚くことはない」

 

 

続けて、グレイとジュビアの前に対峙していた巨漢の男が光と共に姿を現す。

 

 

「コツさえ掴めば誰にでも魔法が使える。なあ、エルザ」

 

 

エルザ「シモン!?」

 

カードの中に閉じ込められていたルーシィが声をあげる。

 

ルーシィ「エルザ……こいつら何なの!?姉さんってどういうこと!?」

 

エルザ「本当の弟じゃない。かつての仲間たちだ」

 

エルザのその言葉に、ルーシィは目を見開く。

 

ルーシィ「仲間……って、エルザは幼い頃から妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいたんでしょ!!!」

 

エルザ「それ以前ということだ。お前たちが何故ここに……ルーシィとアニスを解放してくれ」

 

ウォーリー「あんたを連れ戻しにサ」

 

ミリアーナ「みゃあ」

 

マユミ「………」

 

ショウ「帰ろう、姉さん」

 

ウォーリー「言う事聞いてくれねえとヨォ」

 

そう言うと、ウォーリーはカードのルーシィに銃を向ける。

 

ルーシィ『ひぃい!』

 

エルザ「よ…よせ!頼む!やめてくれ!!」

 

エルザはウォーリーに止めるように懇願する。すると銃を持ったウォーリーの右腕が消え、エルザの背後に出現し、エルザを後ろから撃ち抜いた。

 

ルーシィ『エルザー!』

 

エルザはそのまま力尽きて倒れこむ。

 

ウォーリー「睡眠弾だゼ」

 

シモン「目標確保」

 

マユミ「じ、じゃあ早く帰ろう」

 

ルーシィ『ちょっと!エルザをどこに連れて行くのよ!返しなさいよ!!』

 

拘束されながらもエルザを連れて去ろうとする五人に叫ぶルーシィ。

 

ウォーリー「カードの中じゃなにもできないゼ。……そういやミリアーナ。君にプレゼントだゼ」

 

ウォーリーがそう言うと、彼の手に眠らされたハッピーが現れる。

 

ミリアーナ「みゃあ!ネコネコ~! 貰っていいの~!?これで二匹のネコネコ~!!」

 

ハッピーとアニスを抱き締めながら喜ぶミリアーナ。

 

ショウ「姉さん…帰って来てくれるんだね」

 

そしてショウは涙を浮かべながら口を開いた。

 

ショウ「“楽園の塔”へ。きっとジェラールも喜ぶよ」

 

それを聞いたエルザは、朦朧とする意識の中で驚愕した。

 

エルザ「(楽園の塔!?か…完成していたのか!!?)」

 

そして今度こそエルザは意識を手放したのであった。

 

 

 

 

 




またオリキャラのとおぅじょおう!


次回はオリキャラ?祭りだー!


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楽園の塔

ポケモンXYZアニメもう終わりますね。なんやかんやでアニメ観てたから残念です。そして次は………へとかわる……。

ひとついっておく。おれはあの絵は認めん。

サ〇シはXYZでおわるのだ。今宵はサ〇シの弔い合戦じゃぁあああああ!!!(狂)


トール「くそっ、こんなもん…………はあっ!」

 

トールは瞬間的に魔力と腕力を解放することによってチューブを引き裂いた。

 

トール「やっと解けた。くそが……あのネコ女アニスを拉致りやがって……見つけ次第ぶちのめしてやる!」

 

パオラ「……その前に聞きたいことがあるんだけど」

 

トールが辺りを見回していると、トールの声にパオラが目覚めた。

 

トール「何が?」

 

パオラ「あの“マユミ”って人、誰なの?」

 

パオラはマユミのことについて聞いた。心なしか目が笑っておらず、黒いオーラがトールの目に映る。

 

トール「あん?別に、只の昔馴染みだ」

 

パオラ「ふーん………」

 

トール「そんなことより早くナツたちと合流するぞ」

 

トールはそのまま他の場所を探しに行った。パオラはしぶしぶトールについていった。

 

 

 

 

 

トールが最初に着いた場所には誰もいなかった。あれだけ人がいたのに誰もいないのは流石におかしいとおもったので辺りを見回していると、ふと見ると地面にたくさんのカードがばらまいてあった。

 

トール「どうなってやがる……」

 

トールはあまりの光景にそう呟いた。

 

 

 

ルーシィ『その声……トール!?』

 

するとカードの中に閉じ込められていたルーシィが声をあげる。

 

トール「ルーシィか?どこだ!?」

 

トールはルーシィの入っているカードをさがした。正直、間違い探しみたいですこし苦労したがようやくみつけた。

 

トール「なんでカードの中に入ってるんだよ」

 

パオラ「とゆうよりどうやって入ったのよ」

 

そこへ遅れてきたパオラが合流する。

 

ルーシィ『とりあえずここから出してくれない?』

 

トール「わかった。パオラ、下がってろ」

 

トールはパオラを下がらせてから、賢者魔法《いてつくはどう》を発動。するとルーシィだけでなく、他の客やスタッフの人達が出現した。

 

「おお!カードからでられた!!」

 

「助かったわ!」

 

「ありがとよ兄ちゃん!」

 

周りの人達がトールに礼をするが、本人はあまり聞いていなかった。

 

トール「で?なにがどうなってんだよ。アニスは?エルザは?」

 

ルーシィ「ひとまずグレイとナツと合流しましょ!その時に一緒に話すから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず最初に見つけたのがグレイだった。だがそのグレイは意識を失っているように見え、ルーシィは心配してグレイを介抱する。

すると突然、グレイの身体がバラバラに砕け散ってしまった。まさかの出来事にルーシィは『やってしまった……』と思ったが、すぐ近くに水浸しの人間がグレイを庇って出現してきた。その者の名前は元幽鬼の支配者(ファントムロード)のエレメント4、大海のジュビアこと、ジュビア・ロクサーであった。ジュビアは自分の身体を水にして、水流拘束(ウォーターロック)でグレイを自分の身体のなかで守ったのだ。

 

──その際、ジュビアがルーシィのことをグレイの恋敵と思っていたので(※違います)、ルーシィに対抗していたところは見なかったことにしよう。

 

グレイと合流できたことで、次は未だにいないナツを探す。

 

パオラ「グレイ、ナツは?一緒じゃないの?」

 

グレイ「いや、ナツならハッピーと一緒にいたはずだ」

 

トール「じゃあさっさとナツを探すぞ。あいつなら鼻が良いから追跡できるはず……」

 

 

トールが言いきる前に、物凄い爆炎が上がった。

 

 

ナツ「痛えーーーっ!!!!」

 

ルーシィ「ナツ!!」

 

飛び上がるナツは大口を開けて叫んだ。

 

ナツ「普通口の中に鉛玉なんかぶち込むかヨ!!?あァ!?痛えだろ!!ヘタすりゃ大ケガだぞ!!!」

 

ルーシィ「普通の人間なら完全にアウトなんだけどね……」

 

パオラ「獣ね」

 

トール「相変わらずバケモン染みてるなぁナツは」

 

グレイ「お前もな」

 

さらりとバケモノ扱いされて心の中で落ち込むトールだった。

 

ナツ「あんの四角野郎ォ!逃がすかコラァアアーー!!!」

 

するとナツが勢いよくカジノを飛び出していった。

 

パオラ「良し、行きましょ!」

 

ルーシィ「本当にナツに任せて大丈夫なの!?」

 

グレイ「良いんだよ。ほら、俺たちも続くぞ。舟を用意しねえと……」

 

トール「そうだな……」

 

 

──………ん?舟?──

 

 

そこでトールは思い出した。今エルザたちを探す手掛かりで、頼りの綱であるナツは何がニガテであるかを。

 

 

 

 

 

 

海の真ん中に一隻の船が浮かんでいる

 

その船のドックの柱にエルザは縛り付けられていた

 

エルザ「くっ……ここはどこだ!?」

 

眠りから覚めたエルザは慌てて辺りを見渡す

 

ショウ「船の中だよ、姉さん」

 

するとショウが階段を使って甲板から下りてくる

 

エルザ「船……?」

 

ショウ「そう。楽園の塔へと向かう船さ」

 

エルザ「そうか……そうだったな………」

 

そこでエルザはふと思い出す。

 

エルザ「そういえば一人、知らないものがいたな。お前たち……まさか、奴等と同じように子供刈りを……!」

 

エルザはショウを睨みながら言う。その言葉には怒気も含まれている。

だがショウはそれを否定する。

 

ショウ「ああ、マユミのことだね。これはシモンから聞いたんだけど……」

 

 

ショウはエルザに伝えた。

 

マユミは楽園の塔付近に漂流していて、それをシモンが見つけて助け出し、目を覚ましたところでシモンが魔法を使ってマユミを洗脳し、言うことを聞くように仕向けたのだと。そしてジェラールに頼んで楽園の塔完成を手伝わせた事を。

 

 

エルザはしばらく黙っていたが、少し考えた後、ショウに向かって言う。

 

エルザ「この縄をほどいてくれないか?抵抗する気はない」

 

ショウ「そうはいかないよ、姉さんは裏切り者だからね」

 

エルザ「くっ……!!」

 

頼みが聞き入れてもらえなかったエルザは、自分で縄をほどこうとする。

 

だが縄は締まるばかりで緩むことはなかった。

 

ショウ「無駄だよ、ミリアーナのチューブは魔法を封じる力がある。自分の力じゃどうにもならないよ。いくら姉さんでもね」

 

エルザ「わ、分かった……じゃあ、せめて鎧に換装させてくれないか……。怖いんだ……あの塔に戻るのが………」

 

エルザは震えた声で言う。

 

エルザ「鎧をまとってないと不安で……」

 

ショウ「その服も似合ってるよ、姉さん」

 

ショウは柔らかな笑みでそう言うと、縛り付けられているエルザに抱きついた。

 

エルザ「ショウ……」

 

ショウ「本当はこんな事したくなかったんだよ」

 

エルザ「………」

 

ショウ「会いたかったんだ、本当に……」

 

抱きしめているショウの腕の力が強まる。気がつくとショウは涙を流していた

 

ショウ「姉さん……なんで……オレたちを………ジェラールを裏切ったァ!!!」

 

そう叫んだショウの顔は額に青筋を浮かべ、目を大きく見開いていた。

 

エルザ「(ジェラール……)」

 

 

 

 

 

一方、楽園の塔

 

顔が隠れるほどフードを被った青年が地面に届くほどの長髪をした男性と、水色髪で肩までかかるほどの長さの小柄な少女と向き合っていた。

 

「ジェラール様、エルザの捕獲に成功したとの知らせが入りました。こちらに向かってるようです」

 

長髪の男の報告に、フードの青年 ジェラールは静かにニヤリと笑う。そんな青年を見て、少女が口を開く。

 

「でもジェラールさんってば、なんで今になってあの女を連れ戻すの? あなたほどの魔力があれば、簡単に始末できたんじゃないのぉ?」

 

ジェラール「ふふ…ははは……それじゃあダメだ。()()()()()()()()()()

 

「はぁ…?」

 

「ふぅん……」

 

ジェラールの言葉に長髪の男は首を傾げ、少女はどうでもよさそうに返事した。

 

ジェラール「しかし〝楽園の塔〟が完成した今、これ以上生かしておくと面倒な事になりかねん。時は来たのだ」

 

 

 

 

 

 

ジェラール「オレの理想(ゆめ)の為に生け贄となれ。エルザ・スカーレット」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シモン「儀式は明日の正午、それまでそこにいろ」

 

エルザ「(儀式……Rシステムを作動させるのか!?)」

 

楽園の塔に連れられたエルザは地下の牢獄に幽閉されていた。両腕は縄で檻にかけられて縛られている。

 

ショウ「しょうがないよね、裏切った姉さんが悪いんだ……ジェラールは怒っている」

 

すると、ショウが牢獄の入り口を開け、中に入ってくる。

 

ショウ「儀式の生贄は姉さんに決まったんだよ」

 

エルザ「………」

 

ショウ「もう姉さんには会えなくなるね、でも全ては楽園のため……」

 

淡々と話すショウは、途中でエルザの縛られている腕が震えているのに気づいた。

 

ショウ「震えてるの?生贄になるのが怖い?それともここが()()場所だから?」

 

そう言われたエルザは昔を思い出す。ショウの代わりに懲罰房に入れられた時の事を。

 

ショウ「あの時はごめんよ姉さん……ここから抜け出そうとした立案者はオレだった」

 

エルザ「…………」

 

ショウ「でも怖くて言い出せなかった。……ホント……ズルいよね」

 

エルザ「そんな事はもういい、それよりお前たちはRシステムで人を蘇らせることの危険性を理解しているのか?」

 

ショウ「へぇ……Rシステムが何なのか知っていたのか、意外だね」

 

エルザはショウを鋭い眼差しで見つめながら話す。

 

エルザ「R(リバイブ)システム。一人の生贄の代わりに一人の死者を蘇らす、人道を外れた禁忌の魔法」

 

ショウ「魔法に元々人道なんてないよ、全ての魔法はヒューマニズムを衰退させる」

 

エルザ「黒魔導術的な思想だな、まるで『奴等』と同じだ」

 

ショウ「奴等はRシステムをただの反魂の術、『生き返りの魔法』としか認識してなかったんだよ。

 

だけどジェラールは違う」

 

不気味な笑みを浮かべるショウはエルザに顔を近づける。

 

ショウ「その先の楽園にオレたちを導いてくれる」

 

エルザ「楽園?」

 

ショウ「ジェラールが『あの方』を復活させる時、世界は生まれ変わるんだよ。オレたちは支配者となる」

 

ショウの目の色が邪悪へと変わっていく。

 

ショウ「自由を奪った『奴等』の残党に……オレたちを裏切った姉さんの仲間たちに……何も知らずにのうのうと生きてる愚民どもに……評議院の能無しどもに……全てのものに恐怖と悲しみを与えてやる!そして全てのものの自由を奪ってやる!!オレたちが世界の支配者となるのだァァァーー!!!」

 

ショウが狂ったように笑い、叫び出す。

だがそれを見たエルザはショウの顎にひざ蹴りをした。

 

ショウ「がっ……!?」

 

蹴られたショウは気を失い、倒れ込んでしまった。

 

その隙にエルザは自分の腕を縛り付けている紐を噛みちぎる。

 

エルザ「何をすれば人はここまで変われる!?」

 

 

───姉さん!───

 

 

昔のショウの無邪気な笑顔を思い浮かべたエルザが怒り震える。

 

そして普段着ている鎧に換装した。

 

エルザ「ジェラール……貴様のせいか………!!」

 

そう言ったエルザの声には怒りが込められており、上にいるであろうジェラールに怒りの顔を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイ「どこだよここはよォ!!!」

 

海のど真ん中からグレイの叫び声が響く

 

エルザを攫われた夜から一夜が明け、海のど真ん中を小舟で漂流していた

 

パオラ「完全に見失ったわね」

 

ジュビア「ジュビアたち迷ってしまったんでしょうか?」

 

ルーシィ「ねぇナツ、本当にこっちであってるの?」

 

ナツ「お……おお……おお……」

 

トール「…………」

 

ルーシィ「こんなときでもトールは冷静ね……」

 

ナツは完全に乗り物酔いしていた。その中でトールはただ一人黙っていたのをみてルーシィは少し感心していた。

 

トール「まあな……今はただアニスをさらったネコ女をどうやってぶっ飛ばそうか考えてただけだ」

 

ルーシィ「怖い怖い!今の状況をどうするか考えて!」

 

トールはアニスを心配するあまり、周りが見えていないだけだった。

 

グレイ「オメーの鼻を頼りに来たんだぞ!しっかりしやがれ!」

 

ジュビア「グレイ様の期待を裏切るなんて信じられません」

 

グレイ「くそっ!!よりによってオレたちがのされてる間にエルザとハッピーとアニスが連れてかれたなんてよ……!」

 

パオラ「はあ……情けない話よね」

 

ジュビア「本当ですね……エルザさんほどの魔導士がやられてしまうなんて………」

 

トール「やられてねえっつーの、エルザの事全然知らねえ癖に知った風な口聞くんじゃねえぞ」ギロッ

 

トールはジュビアに対して、顔は動かさずに目だけを動かし、鋭い目つきで睨みつけて言った。

 

ジュビアの一言がトールの気に障ったようだ

 

ジュビア「ご、ごめんなさい……」

 

ルーシィ「ちょっと!落ち着いてよトール!!」

 

パオラ「今怒ったって何にもならないわよ」

 

トール「チッ……」

 

グレイ「悪いなジュビア。トール今機嫌悪いからそっとしといてくれねえか」

 

ジュビア「は、はい……」

 

気が立っているトールをルーシィとパオラが宥め、怯えたジュビアをグレイが励ました。

 

ルーシィ「あいつらエルザの昔の仲間って言ってた……あたしたちだってエルザの事、ぜんぜんわかってないよ」

 

ルーシィの言葉を聞いて全員言葉を失ってしまう。

 

トール「……ついでに言えば、エルザの仲間と一緒に俺の知り合いも一緒にいた」

 

その言葉を聞いてパオラはマユミのことを思い出した。

 

パオラ「マユミって人のこと?」

 

トール「ああ。ファントムにいたゼルマもあいつのことを知ってる」

 

ジュビア「ゼルマくんも!?」

 

ジュビアは少し意外に思った。

 

ゼルマはギルドにいるとき、他のメンバーとは殆ど話さず、いつもはエミリアと一緒にいて、昔のことなど一言も聞いたことがなかった。

 

グレイ「なんで一緒にいたのか知らないのか?」

 

トール「知らん。前に会ったのは7,8年も前だからな」

 

するとその時、船の針路先に孤島にそびえ立つ高い塔が見えてきた。

 

ルーシィ「あ、塔だ」

 

グレイ「あれが楽園の塔か……」

 

パオラ「趣味の悪い外観ね……」

 

トール「さっさと乗り込むぞ!」

 

トールたちは小舟を孤島に近づけて、上陸する。

 

しばらく歩くと塔に続く階段が見えた。だが階段にはたくさんの見張りがついている。

 

グレイ「見張りの数が多いな」

 

ナツ「気にする事ァねえ!!突破だ!!」

 

パオラ「待って。今すぐ出て行くのは危険よ」

 

ルーシィ「そうよ、エルザたちが捕まってるんだから、ヘタな事したらエルザたちが危険になるのよ」

 

グレイ「しかも塔らしきものはずっと先の方だ、ここでバレたら分が悪いな」

 

岩陰に潜み、潜入方法を考えていると、海の水面からジュビアが顔を出す。

 

ジュビア「ジュビアは水中から塔の地下への抜け道を見つけました」

 

グレイ「マジか!?でかしたジュビア!!」

 

グレイに褒められたジュビアは誇らしげな表情を浮かべ、ルーシィに歩み寄る。

 

ジュビア「グレイ様にほめられました、あなたではなくジュビアが……です」

 

ルーシィ「はいはい」

 

ジュビア「水中で10分ほど進みますが、平気でしょうか?」

 

ナツ「10分くれえ何ともねーよ」

 

グレイ「だな」

 

ルーシィ「無理に決まってんでしょ!!!」

 

ルーシィが反論する。

 

するとジュビアは手のひらの上に水の球体を作りだした

 

ジュビア「これをかぶってください、酸素を水で閉じ込めてあるので水中でも息が出来ます」

 

ナツ「ほぉー、つーかオマエ誰だ?」

 

そう言いながらもナツは水の球体を頭に被り、先に潜っていった。

 

トールたちも後に続いて潜っていった。

 

 

 

 

 

 

 

グレイ「どうやらここがあの塔の地下か」

 

トールたちが水面から陸地に上がる。

 

ルーシィ「へー、便利ねコレ……マヌケだけど」

 

そう言ったルーシィは頭に被っていた球体を外す。

 

ジュビア「ルーシィさんだけちょっと小さめに作ったのに、よく息が続きましたね」

 

ルーシィ「オイオイ!!」

 

グレイ「塔の地下と分かりゃ話は早い、とっとと乗り込もうぜ」

 

パオラ「エルザとアニスとハッピーがこのどこかに……」

 

 

 

 

「何だ貴様等は!!!」

 

すると、たくさんの見張りの兵士に見つかってしまった

 

ルーシィ「やば!」

 

グレイ「ここまで来たらやるしかねえだろ」

 

トール「当たり前だ!」

 

ナツ「何だ貴様等はァ……だと!?上等くれた相手も知らねえのかヨ!!!」

 

ナツ「フェアリーテイルだバカヤロウ!!!」

 

ナツが兵たちが立っていた木材の橋を炎で破壊した。

 

そしてトールたちも戦闘を開始する。

 

ルーシィ「開け!!!巨蟹宮の扉!!!キャンサー!!!」

 

キャンサー「久しぶりエビ!!」

 

「ぐあっ!」

 

ルーシィはキャンサーで相手の髪の毛を斬っていった。

 

「何だコイツ!?」

 

「槍が刺さらねえ!!?」

 

ジュビアの体に攻撃を仕向けるが、水でできているために攻撃が効かなかった。

 

ジュビア「水流斬破(ウォータースライサー)!」

 

「「ぐああああ!!!」」

 

グレイ「アイスメイク大槌兵(ハンマー)!!」

 

「ぎゃああ!」

 

「ぐはっ」

 

グレイは氷で大きなハンマーを造形し、敵を上から潰した。

 

パオラ「メテオアロー!!」

 

「「がああああああ!!!」」

 

パオラは破邪の弓を使って、矢に流星魔法の魔力を流し込み、複数の敵を撃ち抜いた。

 

トール「黒万雷雨!」

 

「「「ぎゃああああああ!!!」」」

 

トールは無数の黒雷を降らせて敵を片づけていく。

 

トールたちの猛攻を前に、兵士たちは為す術もなく次々と倒れていく。

 

そしてたった数分で兵士たちは全滅した。

 

ナツ「おい!上見ろ!!」

 

ナツが指差す方向には、上の階へと続く通路があった。

 

パオラ「あの通路、さっきまで閉じてたはずよ」

 

グレイ「上へ来いってか?」

 

トール「舐めやがって……!」

 

トールたちは通路を登っていった。

 

 

 

 

 

 

楽園の塔 最上階

 

「いいの?ジェラールさん。侵入者をひき入れたりなんかして」

 

ジェラール「これはゲームだ、奴等はステージをクリアした……それだけの事だ」

 

フードを被った青年はニヤリと笑ってそう言った

 

ジェラール「面白くなってきやがった、ははは」

 

「しかし、儀式を早めなくてはいずれ評議院に感づかれますぞ」

 

ジェラール「ウィダルダス………まだそんな事を心配してるのか?止められやしない、評議院のカスどもにはな」

 

 

そういったジェラールの顔は余裕そうに笑っていた。




ボツ案

パオラを泳げない設定にしてトールにおんぶしてもらい、パオラが顔を紅くしながら潜っていく

だったらなんで茜リゾートに行ったんだよってことになるので却下




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ジェラール

ドラゴンボール超みておもったんですけど、設定ガバガバ放り込んできますよね、ポタラしかり、全王様しかり。でも親子ギャリック砲やファイナルかめはめ波が見れたのは嬉しいです。
あと復活のFをたまたま見てたんですけど、マキシマムザホルモンさんの挿入歌「F」。いいですよねぇ、あの激しい戦いに熱い曲が流れるのは。でも自分的には神と神の挿入歌、FROWのHEROのほうが鳥肌たちましたね。


ナツ「エルザー!助けに来たぞー!!」

 

ルーシィ「ちょっと!ここは敵の本陣なんだから、大声出さないの!!」

 

ナツ「もが……わりぃ」

 

叫ぶナツの口をルーシィは手で覆う。

 

グレイ「下であれだけハデにやったんだ、今さらこそこそしても仕方ねえだろ」

 

パオラ「まだ気づいてないわけないよね」

 

ジュビア「はい、この扉は誰かが開けたものじゃありません、魔法の力で遠隔操作されています」

 

ジュビアが通ってきた通路の扉を見ながら言った

 

トール「気づいているにもかかわらず侵入を許したのか……」

 

ルーシィ「だったら扉を開く意味が余計に分かんないじゃない」

 

グレイ「挑発してんのかよ」

 

全員で何か裏があるのではないかと理由を探る。

 

パオラ「あれ?ルーシィ、服変えた?」

 

すると、ふとパオラがルーシィの服装がさっきと違っている事に気づく。

水着姿ではなく、豪華なドレスを着ていた。

 

ルーシィ「星霊界の服よ!濡れたままの服着てんのも気持ち悪いし、さっきついでにキャンサーに頼んだの」

 

似合ってるのは分かってるんだから、と付け足す得意げな表情のルーシィ。

 

ルーシィ「水になれるジュビアはおいといて、アンタら よく濡れたままの服着てられるわね」

 

グレイ「こうすりゃすぐ乾く」

 

トール「つーわけだ」

 

炎を纏ったナツの周りで服を乾かすグレイたち。

 

ルーシィ「あら!!こんな近くに乾燥機が!!!」

 

 

 

「いたぞー!侵入者だー!!」

 

援軍の兵士たちが流れ込むようにトールたちに押し寄せる

 

トール「うざっ!なんなんだよコイツら」

 

ナツ「こりねぇ奴らだな」

 

トールたちは再び戦闘態勢に入る。

 

だが、兵士の大群は何かに斬られたかのように一瞬で全滅した。

 

その背後には綺麗な緋色の髪をなびかせ、二本の剣で敵を斬っていくエルザがいた。

 

ナツ「エルザ!!」

 

ルーシィ「良かった!!無事だったんだね!!!」

 

ジュビア「か……かっこいい」

 

エルザ「!?」

 

トールたちに気づいたエルザがゆっくりと歩み寄る

 

エルザ「お、お前たちが何故ここに……!?」

 

ナツ「何故もくそもねえんだよ!!なめられたまま引っ込んだらフェアリーテイルの名折れだろ!!」

 

パオラ「エルザを助けに来たのよ」

 

トール「ついでに俺らを襲った奴等をぶっとばしに来た」

 

するとエルザは視線をナツからジュビアに移す

 

エルザの鋭い視線を感じたジュビアはビクッと身体を震わせる。

 

ジュビア「あの……ジュビアはその………」

 

エルザ「帰れ」

 

エルザはジュビアを含め、この場にいる全員に冷たい言葉を吐き捨てた

 

エルザ「ここはお前たちの来る場所ではない」

 

トール「そんなこと言ってる場合じゃねえんだよエルザ。アニスとハッピーが捕まってんだ。黙っていられるか!」

 

ナツ「そうだ!このまま戻る訳にはいかねー!」

 

エルザ「ハッピーもか!?まさかミリアーナ……」

 

ナツ「そいつはどこだ!!」

 

ナツはエルザが呟いた人物の居場所を聞く

 

エルザ「さ……さあな」

 

しかし、エルザは質問に答えず俯いた。曖昧な答えにトールは舌打ちするが、すぐに切り替える。

 

トール「行くぞナツ!こうなったら自力で探すしかねえ!サイコキネシスで外から行くぞ!!」

 

ナツ「よっしゃー!待ってろハッピー!アニス!」

 

トールはナツにサイコキネシスをかけて、一緒に窓から出て猛スピードで飛んでいった。

 

パオラ「あ、コラ!」

 

それを見たパオラたちはトールとナツを追いかけようとするが、エルザに剣を突き付けられ止められる

 

エルザ「ダメだ、帰れ」

 

グレイ「エルザ!!」

 

エルザ「ミリアーナは無類の愛猫家だ、アニスとハッピーに危害を加えるとは思えん。ナツたちは私が責任をもって連れ帰る、お前たちはすぐにここを離れろ」

 

ルーシィ「そんなの出来るわけない!!エルザも一緒じゃなきゃイヤだよ!!」

 

エルザ「これは私の問題だ、お前たちを巻き込みたくない」

 

グレイ「もう十分巻き込まれてんだよ、トールたちを見ただろ」

 

ルーシィ「エルザ……この塔は何?ジェラールって誰なの?」

 

ルーシィの問いにエルザは答えず、黙ったままでいる。

 

パオラ「ねえエルザ。そんなに私たちのことが信用できない?」

 

エルザ「!そ、そんなこと──「昔の仲間があいつらなら、今の仲間は私たちよ」」

 

エルザが反論しようとするが、パオラが言葉を遮る。

 

パオラ「どんな時でも、私たちはエルザの味方。ちょっとは頼ることも覚えなさいよ」

 

パオラに続けてグレイが言う。

 

グレイ「らしくねーな、エルザさんよォ………。いつもみてーに四の五の言わずついて来いって言えばいーじゃんヨ。

誰が敵だろうと俺たちは力を貸す、エルザにだって怖いと思う時があってもいいじゃねえか」

 

ルーシィたちがそう言うと、エルザが目に涙を浮かべながら振り返る

 

その姿にグレイは思わずドキッとし、エルザの涙を見たことのないパオラとルーシィは驚きを隠せないでいる。

 

エルザ「この戦い……勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消す事になる………」

 

涙を拭いながらエルザは話す。

 

ルーシィ「え!?」

 

グレイ「ど、どういうこった!!?」

 

エルザ「これは抗う事のできない未来、だから私が存在しているうちに全てを話しておこう」

 

 

 

そしてエルザは語り始めた

 

 

エルザ「この塔の名は《楽園の塔》。別名『Rシステム』。………10年以上前だ。黒魔術を信仰する魔法教団が“死者を蘇らす魔法”の塔を建設しようとしていた」

 

ルーシィ「死者を蘇らす魔法!!?」

 

パオラ「そんなこと評議院が黙ってないんじゃ……!?」

 

エルザ「政府も魔法評議会も非公認の建設だった為、各地からさらってきた人々を奴隷としてこの塔の建設にあたらせた。……幼かった私もここで働かされていた一人だったのだ」

 

パオラ「えっ……!?」

 

グレイ「なにっ!?」

 

エルザが元奴隷だった事を知り、驚愕するグレイたち

 

エルザ「ジェラールと私はその時知り合った……奴隷だった私を助けてくれたのがジェラールだった」

 

ジェラールは当時、拷問を受けていたエルザを庇い、身代わりとなって懲罰房へ入った。

 

ジェラールを救うために、幼いエルザは当時の奴隷仲間であったシモンたちを率いて、反乱を起こしたのであった。

 

エルザ「あの頃のジェラールは皆のリーダーで正義感が強くて、私の憧れだった……」

 

過去を語るエルザの表情がだんだん暗くなっていく。

 

エルザ「しかしある日を境にジェラールは別人のように変わってしまった……。もし人を悪と呼べるなら、私はジェラールをそう呼ぶだろう」

 

 

エルザは自分の過去を語り続けた

 

 

反乱を起こしたエルザたちは見事ジェラールの救出に成功した。

 

だが救出されたジェラールには以前のような面影は残されていなかった。

 

 

 

───もう逃げることはないんだ、エルザ。本当の自由はここにある───

 

 

 

そこにいたのはゼレフの亡霊に取り憑かれたジェラールだった。

 

ジェラールは〝ゼレフ〟を蘇らせると言い、自分たちを支配していた魔法教団を壊滅させたのだった。

 

 

当然エルザはジェラールに反発したが、敵うことはなく、塔の外へと放り出されてしまった。

 

 

もし楽園の塔の事が政府や魔法評議会にバレたり、エルザ自身がこの塔に近づけば、奴隷仲間のショウたちを殺すと脅される。

 

 

 

 

───それがお前の自由だ!仲間の命を背負って生きろ、エルザァァーー!!!───

 

 

 

そして、8年の月日が経ち、偶然にも再びこの塔に戻ってきたエルザはある事を決心した

 

 

 

───ジェラールと戦うことを。

 

 

そう言ったエルザの左目からは大粒の涙が流れていた。

 

 

パオラ「エルザ……」

 

エルザの過去を知り、パオラたちは言葉を失っていた。

 

 

そんな中、グレイがエルザに問いかける

 

グレイ「ちょっと待てよエルザ……話の中に出てきたゼレフって……」

 

エルザ「ああ……魔法界の歴史上、最凶最悪と言われた伝説の黒魔導士」

 

涙を拭ったエルザは、表情を切り替えた

 

ルーシィ「た、確か……呪歌(ララバイ)から出てきた怪物もゼレフ書の悪魔って言ってたよね」

 

エルザ「それだけじゃない。恐らく……あのデリオラもゼレフ書の悪魔の一体だ」

 

グレイ「!!」

 

パオラ「あんな化け物を造りだせるということは相当の大魔導士だったってことね……」

 

ジュビア「ジェラールはそのゼレフを復活させようとしてるって事ですか」

 

エルザ「動機はわからんがな。ショウ……かつての仲間の話ではゼレフ復活の暁には()()にて支配者になれるとかどうとか……」

 

顔を俯かせながらエルザは言った

 

 

ルーシィ「そういえば、あのかつての仲間たちの事って どうしても腑に落ちないんだけど……」

 

ルーシィが怪訝そうな表情を浮かべる

 

ルーシィ「あいつ等はエルザを裏切り者って言ってたけど……裏切ったのはジェラールじゃないの?」

 

パオラ「エルザが楽園の塔を追い出された後にジェラールに何かを吹き込まれたって考えたほうが得策ね……」

 

ルーシィ「そんな……」

 

エルザ「しかし私は8年も彼等を放置した、裏切った事にはかわりはない」

 

ルーシィ「でも、それはジェラールに仲間の命を脅されてたから近づけなかったんじゃない!!それなのにあいつら……!」

 

エルザ「もういいんだ、ルーシィ……。私がジェラールを倒せば全てが終わる」

 

エルザの言葉を聞いて、グレイだけが別のことも考えていた。

 

グレイ「(エルザ……本当にそう思ってるのか………!?)」

 

 

 

 

───この戦い……勝とうが負けようが、私は表の世界から姿を消す事になる───

 

 

 

 

グレイはこの言葉には何か裏があるのではないかと考えていると、ショウがよろめきながら近づいてくる。

 

 

ショウ「姉さん……その話……ど、どういう事だよ?」

 

エルザ「ショウ……」

 

ショウ「そんな与太話で仲間の同情を引くつもりなのか!ふざけるな!!真実はぜんぜん違う!!!」

 

ショウが血相を変えて、怒鳴り散らす

 

あの時ショウたちがジェラールから聞かされた話はまったく違う話だった。

 

その話とは、八年前、エルザはショウたちの船に爆弾を仕掛けて一人で逃げたという話だった。

 

 

ショウ「ジェラールは言った!!これが〝魔法〟を正しい形で習得できなかった者の末路だと!姉さんは魔法の力に酔ってしまってオレたちのような過去を全て捨て去ろうとしてるんだと!!」

 

 

グレイ「ジェラールが……()()()?」

 

グレイが大事な部分を強調する。

 

ルーシィ「あなたの知ってるエルザはそんな事する人だったのかな?」

 

パオラ「あなたはエルザのことを信じなかったの?」

 

ショウ「お前たちに何が分かる!!オレたちの事何も知らないくせに!!」

 

グレイ「テメェのほうこそ、エルザが8年間どんな思いでいたかわかってんのか!」

 

一瞬言葉に詰まるショウだったが、再びエルザたちに向かって叫ぶ。

 

ショウ「オレにはジェラールの言葉だけが救いだったんだ!!!だから8年もかけてこの塔を完成させた!!!ジェラールの為に!!!」

 

エルザはショウの言葉を聞いて黙りこんでいた。

 

ショウ「その全てがウソだって?正しいのは姉さんで、間違っているのはジェラールだと言うのか!!?」

 

 

 

 

「そうだ」

 

「ごめんね。ショウくん」

 

ショウの叫びに答える声

 

その正体はカジノでグレイとジュビアと対峙したシモンと、ミリアーナと一緒にいたマユミだった。

 

エルザ「シモン!?」

 

パオラ「あなた確か……マユミさん?」

 

シモンが現れたことによってグレイが突っかかろうとするが、ジュビアに止められてしまう。

 

ジュビア「あの方はあの時グレイ様が氷の人形(みがわり)と知ってて攻撃したんです。暗闇の術者が辺りを見えてないわけないんです」

 

シモン「さすがは噂に名高いファントムのエレメント4だな」

 

パオラ「ということは……」

 

シモン「誰も殺す気はなかった、ショウたちの目を欺くために気絶させようと思ったが、氷ならもっとハデに死体を演出できると思ったんだ」

 

ショウ「お、オレたちの目を欺くだと!?」

 

シモン「お前も、ウォーリーもミリアーナも……皆ジェラールに騙されているんだ………機が熟すまでオレも騙されているフリをしていた」

 

エルザ「シモン……お前……!」

 

シモン「そしてショウからマユミを洗脳したと聞いていると思うが、それも嘘だ。漂流していて助けたときに、協力してジェラールの野望を止めるために今まで黙っていてくれたんだ」

 

マユミ「シモンくんは命の恩人だからね!わ、私も協力することにしたの!」

 

マユミはおどおどしながらも答える。

 

シモン「オレは初めからエルザを信じてる………8年間ずっとな」

 

気恥ずかしそうに頬を掻き、微笑みながら言うシモン

 

そんなシモンの姿は、8年前のように優しい笑顔がエルザには映った。

 

エルザはそんなシモンの姿を見て、歓喜の笑みを浮かべた

 

 

シモン「会えて嬉しいよ、エルザ。心から……」

 

エルザ「シモン……」

 

二人は抱き合い、共に再会を喜び合った

 

ショウ「なんでみんな……そこまで姉さんを信じられる……。何でオレは姉さんを……信じられなかったんだ」

 

その光景を見たショウは、その場に泣き崩れた。

 

 

ショウ「くそぉおおおっ!!!うわぁああああ!!!!」

 

ショウが悲痛な叫び声は止まらない。

 

ショウ「何が真実なんだ!?オレは何を信じればいいんだ!!!」

 

泣き叫ぶショウにエルザが近づき、ショウと目線を合わせる。

 

エルザ「今すぐに全てを受け入れるのは難しいだろう、だがこれだけは言わせてくれ」

 

 

 

 

エルザ「私は8年間、お前たちの事を忘れた事は一度もない」

 

 

エルザがショウの頭を抱く

 

 

エルザ「何もできなかった……。私はとても弱くて……すまなかった」

 

 

シモン「だが今ならできる。……そうだろ?」

 

シモンの呼びかけにエルザは静かに頷く。

 

シモン「ずっとこの時を待っていたんだ、強大な魔導士がここに集うこの時を」

 

ルーシィ「強大な魔導士?」

 

 

 

シモン「ジェラールと戦うんだ。オレたちの力を合わせて」

 

そういったシモンの声には強い決意が込められていた。

 




思ったんですけど、パオラのキャラ設定なんですが、容姿のイメージがSAOの水色髪のシノン(GGOアバター)で、名前をかえただけなんですけど、名前変更いりました?
なんか珍しそうな名前にしようと思ったんですけど今となってはどっちでもよくなってきた……。
後からでてくるオリキャラたちも一緒で、名前とかどうしようか迷ってます。(ーдー)


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キャットファイト?と新たな刺客

FAIRYTAIL、ラクサスの外伝読みました。ラクサスと雷神衆の出合い、ブルーペガサスでの出来事などが載ってあります。結構面白いので、お金に余裕があれば是非買って見てください。

次の外伝はあるとしたら誰が主役だろうな。ガジル、双竜、ラクサスときたら、次はミラたちか、六魔将軍(オラシオンセイス)か、エルザか、ウェンディですかね。ウェンディが一番あり得そう


「ふあ~あ……退屈だなぁ」

 

楽園の塔のある場所で監視魔水晶(ラクリマ)によって塔の中のあらゆるところを椅子に座って見ていた白いボサボサ髪の少年がいた。

 

すると、ある魔水晶(ラクリマ)に目が移る。

 

「およ?こいつのストール、見たことが……もしかしてコイツ………」

 

それは外を見渡す魔水晶(ラクリマ)であり、そこに映っていたのは空を飛んでいるストールを首に巻いている金髪で中性的な顔をした少年とその少年に手を持ってもらっている桜色の髪に鱗のようなマフラーをした少年が映っていた。

 

「おおー!?トールじゃねえか!こんなところで発見しちゃうとは、マユミが狙いだったのにこいつはついてるぜ!」

 

白髪の少年は椅子から立ち上がり、陽気な鼻唄を歌いながらその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「どうだナツ、アニスたちの匂いはするか?」

 

ナツ「大分近くなったぞ!そろそろ中に入ってくれ!」

 

アニスとハッピーを探しに飛び出ていったトールとナツは、現在塔の外側にいた。

 

というのも、トールはナツの両腕を持ってサイコキネシスで空に浮き、ナツがアニスとハッピーの匂いが一番感じるところで塔の中に入って二人を探すという作戦で外にいたのだ。

 

そして匂いが強く感じることができるということは、近くに二人がいるということになる。

 

ナツ「あそこだ!あの部屋から匂いがするぞ!」

 

トール「よし!突撃だ!」

 

二人は匂いが近い窓から中へはいり、近くにあった部屋に入る。

 

 

その入った部屋は

 

 

「「に、にゃんだこの部屋は……?」」

 

 

猫のぬいぐるみ、猫のソファ、猫のベッドなど、猫だらけの部屋だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シモン、ショウ、マユミを加えたエルザたちはナツたちを探して塔の中を走っていた。

 

シモン「くそっ! ウォーリーもミリアーナも通信を遮断してやがる……これじゃどこにいるのかわからねえ!」

 

パオラ「通信?」

 

マユミ「し、思念伝達魔法の事だよ」

 

シモンの言ったことに引っかかったルーシィにおどおどしながらもマユミが説明する。

 

その中でショウ一人だけが皆より少し遅れて階段を上り、それを見たエルザが声をかける。

 

エルザ「大丈夫か?ショウ」

 

ショウ「うん。姉さんがいてくれるから……」

 

ショウの言葉を聞いたエルザが笑みを浮かべた。

 

グレイ「なぁ……アイツ、本当に信用していいのか? 確かにオレたちを殺そうとしなかったのは認めるが、あの時ナツとルーシィは死んでもおかしくねえ状況だったぞ」

 

グレイは隣にいるジュビアに対してシモンに疑惑の視線を向けるように話す。すると、それが聞こえていたのか、シモンがグレイに聞こえるように言う。

 

シモン「言い訳をするつもりはない。あの程度で死んでしまうような魔導士ならば、到底ジェラールとは戦えない」

 

聞いてやがったのか、とグレイが呟く。さらにシモンが続けて話す。

 

シモン「それにオレには確信があった。ナツは死なない」

 

ルーシィ「あの…あたしは?」

 

そう尋ねるルーシィを無視して、シモンは続ける。

 

シモン「お前たちはあいつの本当の力に気付いてない」

 

ルーシィ「本当の力?」

 

シモンの言葉にルーシィは首を傾げる。

 

シモン「そうだ。ナツに真のドラゴンの力が宿る時、邪悪は滅びゆく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナツ「あははっ! なんかいいなコレー!!」

 

そのころナツは部屋にあったネコの被り物を被っていた。

 

トール「……なにやってんだよナツ」

 

そんなナツをみて呆れた目を向けるトール。

 

ナツ「いいじゃねえかトール!お前もこれ着けてみろよ!」

 

そういってナツはトールに別の猫の被り物を渡す。

 

トール「ったく、しょうがねえな」

 

そこですんなりと着けてしまうトールはノリが良かった。

 

ナツのは黄緑色にたいして、トールのは白色だ。

 

トール「うん……まあ悪くないな」

 

 

こうして二人は部屋の中をゴロゴロしたり、猫の動きをしたり、漫才をしてみたり、片腕をグルグル回しながら(チ〇ー〇ュー〇〇イン風に)時計回りに体を動かしたりして楽しんでいた。

 

トール「はぁ……飽きた。そろそろ取るか」

 

ナツ「だな。はやくハッピーたちを見つけないと……」

 

そう言って二人は被り物を取ろうとする。

 

 

ぐぐっ…

 

 

ナツ「…………」

 

トール「…………」

 

ぎゅううう……ぎゅぎゅううう………

 

 

一度取ろうとしても簡単には抜けず、今度は力を入れて被り物を引っ張るが、全く取れる気配がない。

 

 

ナツ「あれ?ぬけねー」

 

トール「おかしいな。お互いに引っ張りあうか」

 

そういってナツはトールのを、トールはナツのを力ずくで引っ張る。だが、

 

ぐいぃぃぃ………

 

「「ふんぬぬぬぐぐぐ………!!!」」

 

一向に抜ける気配がない。

 

ナツ「おお……まいったなぁ。まあ面白れえから、いいかな」

 

トール「いや面白くにゃいぞ。にゃんとかしてこれをとらにゃいと、他の奴等にこんにゃとこ見せたくにゃいぞ」

 

……猫語で話すところを見ると、トールも面白がっているのだろう。

 

ナツ「うひひ…ハッピー驚くだろーなコレ。ついでにエルザも脅かしてやっかな」

 

トール「パオラが見たらどんな反応すんのかな……気になるな……」

 

ナツ「待てよ……ルーシィの方がリアクション面白そうだな」

 

トール「ぶははは!確かに。とりあえず絶叫は確定だろうな!」

 

そんな感じで二人は周りの反応を予想していた。

 

ナツ「グレイならどんな反応を……へっぶし!うわ口の回りがふけねえ!キモチワリィ!」

 

トール「取れるまで我慢だな……」

 

 

 

その背後でウォーリーが静かに銃を構えていた。

 

ウォーリー「ジ・エンドだゼ、ダブルボーイ」

 

ウォーリーの銃の引き金が引かれ、銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

一方こちらではまだ話が続いていた。

 

マユミ「そ、それに……トールが真の力を解放したら、ジ、ジェラールに勝てるよ」

 

パオラ「どういうこと?」

 

マユミ「一度、トールの力が暴走したのを見たことがあるんだけど……」

 

 

昔のことを思い出したのか、次第にマユミの顔が少し暗くなる。

 

 

それは思い出したくない過去と一緒にでてくる記憶。

終わったはずなのに今もなお怯えてしまうほど、圧倒的に印象が残ってしまっていた。

 

マユミ「()()はホントに異常だったよ……。し、正直すごく怖かった……」

 

グレイ「一度見たってことは8年前か?」

 

パオラ「……ねえ、あんたといい、トールといい、ゼルマといい、一体あんたたちに何があったのよ」

 

パオラがマユミたちの過去を聞くが、マユミの顔は優れないままだった。

 

マユミ「………ごめんなさい。それはいえない。で、でも、もしトールが自分のフルパワーを完全にコントロール出来れば、きっとジェラールにも……で、でもジェラールの実力はわからないし、トールがどれくらい強くなったのか知らないし……はっ!ご、ごめんなさい!私、自分で言ったことに自信がもてなくて!」

 

グレイ「いやいいけど……大分気弱なんだな……」

 

マユミのあまりの気弱っぷりに思わずグレイがつっこんだ。

 

そんななか、パオラは心のなかでトールのことを思っていた。

 

パオラ「(トール……あなたにはどんな過去があったの……?あたしには話してくれないの……?あたしじゃ隣に立つのはまだ早いってこと……?)」

 

パオラは願った。いつかすべてを話してほしいと。もっと自分を頼ってほしいことを。たとえ彼が世界を敵にまわしても、自分だけでも彼のそばにいれるようになりたいと。

 

 

 

 

 

 

 

一方、トールたちのところは、ウォーリーの弾が二人の頭を撃ち抜いた

 

 

ミリアーナ「ダメーーー!!!」

 

ウォーリー「ミ、ミリアーナ!!!」

 

 

ズキュン!

 

 

「「!!」」

 

 

と思ったら、突然ミリアーナが乱入し、間一髪のところで弾丸が逸れた。そして銃声に気がついたナツとトールは同時に振り返る。

 

ナツ「四角!」

 

トール「猫女!」

 

ウォーリー「な…何をするんだ!せっかくのチャンスを!」

 

仕留めるチャンスを逃されたウォーリーはミリアーナを怒鳴る。

 

ミリアーナ「ネコネコいじめちゃダメなのー!」

 

ウォーリー「ネコじゃねぇゼ!見りゃわかんだろ!!」

 

「「………………」」

 

 

二人のそんな会話を聞いた二人は顔を見合わせ、同時に頷く。

 

「「にゃー」」

 

ミリアーナ「ホラー!」

 

ウォーリー「テメェらっ!!」

 

そしてネコの鳴き真似をしただけで完全にミリアーナは騙され、ウォーリーはそんなミリアーナにツッコミを入れる。

 

 

だがウォーリーはすぐに戦闘体勢を取る。

 

 

ウォーリー「どけミリア!奴等は敵だゼ!!!」

 

ミリアーナ「みゃあ!」

 

 

ウォーリーはミリアーナを押し退けると、自身の四角い身体をバラバラに分解してナツとトールに向かって飛ばす。

 

 

ナツ「おっと!」

 

トール「ほれっ!」

 

 

ウォーリーの攻撃を余裕でかわす二人。

 

 

ミリアーナ「てき? ネコネコなのに?」

 

ウォーリー「だからネコじゃねーって言ってんだろ!中に人が入ってるんだゼ!」

 

ミリアーナ「みゃっ!?」

 

ミリアーナを説得している間にも、ウォーリーは攻撃を続ける。だがナツとトールには一発も当たらない。

 

ナツ「ネコファイア!」

 

トール「ネコキネシス!」

 

ナツは炎の拳で飛んでくるポリゴンを粉砕し、トールはサイコキネシスでポリゴン同士をぶつけて相殺する。

 

ウォーリー「チィ……さすがはジェラールが気をつけろと言うだけある。ミリア、援護してくれ!!」

 

ミリアーナ「みゃあ!人なのにネコネコのフリするなんて元気最悪ーー!!」

 

「「お前はどーなのよ?」」

 

ミリアーナの発言に二人はツッコミを入れる。

 

ミリアーナ「ネ拘束チューブ!」

 

ミリアーナの手からチューブが螺旋回転で近づいてくる。

 

二人を拘束しようとするが、トールのサイコキネシスによって動きが止まる。

 

トール「要は捕まらなければいいんだろ?だったらそのチューブを近づけさせなけりゃいいってわけだ」

 

そのままトールはサイコキネシスによってチューブでミリアーナを拘束しようとするが、チューブをウォーリーが撃ち抜くことでチューブを消す。

 

ウォーリー「まだまだこれからダゼ!秒間32フレームアタック!」

 

ウォーリーは多くのポリゴンを操り、ナツとトールに向けて攻撃する。だが同じように二人は相殺する。

 

しかし、今度は違った。ポリゴンを壊したところからチューブが出てきたのだ。

 

トール「(しまった!隠し玉(ブラインド)か!?)」

 

隠し玉(ブラインド)

弾の真後ろに弾を撃つことで、相手に後に撃った弾を見えなくさせるという技術である。

今回はポリゴンの後ろにチューブを繰り出すことで、油断したところを拘束するという方法だ。

 

ウォーリー「よくやったゼ、ミリアーナ!」

 

ミリアーナ「ウォーリー!うそネコたちをやっつけちゃって!」

 

腕に巻きついたチューブが延びて身体に巻かれ、あっという間に縛られてしまった。

 

ナツ「うぎゃっ!」

 

トール「おわっ!?」

 

ウォーリー「どうやらここまでようだな、火竜(サラマンダー)に凍てつく雷神。プリレンダリングポリゴンショットでも喰らいやがれ」

 

そう言って縛られている二人に向かって銃を向ける。

 

二人は何とか動こうとしてもがくが、縛られている為に自由に動けない。

 

ウォーリー「おっと……ダンディなキメゼリフを忘れてたゼ」

 

そう言うと、ウォーリーは一拍置いて、キメゼリフを口にする。

 

 

ウォーリー「お前の運命はオレと出合った時に終わっ『ドゴン!』べぱ!?」

 

 

ウォーリーがキメゼリフを言っていたその時、どこからか飛んで来たハッピーとアニスがウォーリ-に体当たりでぶつかった。

 

ナツ「ハッピー!」

 

トール「アニス!」

 

ハッピー「ナツー!無事でよかった!」

 

アニス「てか何、その被り物は?」

 

ミリアーナ「ネコネコが飛んでる!」

 

ウォーリー「コイツらオレのキメゼリフをよくもっ!」

 

キメゼリフを途中で止められ、台無しにされたウォーリーはハッピーとアニスに発砲する。しかし、それは味方であるミリアーナに止められた。

 

ミリアーナ「ダメー!ネコネコをいじめないでー!!」

 

ウォーリー「ネコは飛ばねえ!しゃべってもいいが飛んじゃいけねぇ!!!」

 

トール「よし、チャンスだ!」

 

ナツ「これ解いてくれ!」

 

ハッピー「あいさー!」

 

アニス「任せて!」

 

二人がケンカをしている間に、ナツはハッピーに、トールはアニスにチューブを解くように頼む。

 

ウォーリー「させるか!」

 

ミリアーナ「だからダメなのー!」

 

ウォーリー「ネコじゃねぇ!あのうそネコどもをやるんだゼ!!」

 

それを阻止しようと銃を構えるウォーリーだが、またしてもミリアーナに止められる。

 

 

そのうちに二人のチューブを解こうとするが、解けているようには見えない。

 

ナツ「くそっ!こうなったらアレをやるぞトール!」

 

トール「おうよ!最終奥義だ!」

 

 

ナツ・トール「「必殺!!!」」

 

 

ウォーリー・ミリアーナ「「!!?」」

 

 

 

「「『苦しんでるネコ』!!」」

 

すると、被り物の目から涙が出てきた。

 

トール「にゃあぁぁん……」

 

 

ミリアーナ「あ……」

 

 

ナツ「にゃあぁぁ……!」

 

 

ミリアーナ「うぅ……!」

 

 

パサリ

 

 

そして見事に作戦は成功した。その証拠に二人を拘束していたチューブが緩み、解けてしまった。

 

 

ウォーリー「何してんだミリアーナ!?」

 

ミリアーナ「だってネコネコが……」

 

拘束を解いたミリアーナを責めるウォーリーと、敵にも関わらず被り物の猫の心配をしているミリアーナ。

 

ナツ「オレは四角でトールはネコ女だ!」

 

トール「ハナからそのつもりだ!」

 

ハッピー「いけー、二人ともー!」

 

アニス「頑張れー!」

 

 

ナツ「火竜の…」

 

トール「氷結竜の…」

 

 

ナツは両手に炎を、トールは両手に氷を纏い、

 

 

「「翼撃!」」

 

 

ナツはウォーリーを、トールはミリアーナを吹き飛ばした。

 

ウォーリー「イエーース!」

 

ミリアーナ「みゃああ!」

 

二人はまともに技をくらって床に転がり、そのまま気を失った。

 

ナツ「ふいーーっ! 四角へのリベンジ完了したぞー!!」

 

トール「俺も猫女へのリベンジしゅーりょーっと」

 

 

スッキリしたように言うナツと、少し気だるそうに言うトール。

 

アニス「二人ともいつまで被ってんのソレ」

 

「「とれないんだよ」」

 

 

アニスの問い掛けに、二人は揃ってそう言ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、玉座の間では、

 

 

ジェラール「ショウとシモン、マユミは裏切った。ウォーリーとミリアーナは火竜(サラマンダー)

と凍てつく雷神が撃墜……と」

 

ジェラールはチェスの碁盤の上に、ナツたちをチェスの1つの駒に見立てて、塔の状況を確認している。

 

ジェラール「やはりゲームはこうでないとな。一方的な展開ほど、退屈なゲームはない」

 

「もう、ジェラールさんってば……」

 

チェスの駒をいじりながら呟くジェラールに対して小さくため息をつく少女。すると、見かねたヴィダルダスが口を開く。

 

ヴィダルダス「ジェラール様、はやくエルザを捕らえて〝儀〟を行いましょう。もう遊んでいる場合じゃありませんぞ」

 

 

 

ジェラール「ならばお前がいくか?ヴィダルダス」

 

ヴィダルダスの言葉にジェラールは簡単に返す。ジェラールの言葉にヴィダルダスはピクリと反応する。

 

ヴィダルダス「……よろしいので?」

 

ジェラール「次は……こちらのターンだろ?」

 

そう言ってチェス盤の上に新たな駒を五つ乗せる。それを見たヴィダルダスはニヤリと笑う。

 

 

「それじゃあ私たちも……行動開始といくか」

 

すると小柄の少女の雰囲気が変わり、男のような口調でそう言うと、奥からもう一人、白いボサボサ髪の少年が現れて少女に言う。

 

「そろそろ俺たちの出番か?」

 

「ああ。仕事の時間だぜ」

 

 

そう言って女性は不敵な笑みを浮かべる。

 

 

ヴィダルダス「うぉぉおおおお!!!」

 

 

突然魔力を込め、雄叫びを上げるヴィダルダスは次第に姿は変わっていく。

 

 

ジェラール「暗殺ギルド、髑髏会、特別遊撃部隊《三羽鴉(トリニティレイブン)》。そして、インフィニット・クロノス、《時の番人(クロノナンバーズ)》。お前たちの出番だ」

 

そして次の瞬間、ジェラールの目の前にヴィダルダスの他に四人の人物が立っていた。

 

 

ヴィダルダス「ゴートゥヘェェル!地獄だ!最高で最低の地獄を見せてやるぜぇーー!!!」

 

先ほどまでの真面目そうな性格とは違い、顔にメイクがされており、エレキギターで激しいロックを奏でている男《ヴィダルダス・タカ》。

 

 

「ホーホホウ」

 

背中にロケットを背負い、そのまんまフクロウのような顔をした男《(フクロウ)》。

 

 

「散りゆくは~、愛と命の~、さだめかな~。今宵は祭りどす」

 

着物を着て、舞子のような喋り方をする女性

三羽鴉(トリニティレイブン)隊長《斑鳩(イカルガ)

 

 

「祭りといっても血祭りだけどな」

 

先程まで小悪魔のような甘ったるい声と喋り方をしていたが、今は男のような攻撃的口調で喋る少女、時の番人(クロノナンバーズ)のNo.Ⅳ《ベータ》

 

 

「ふぁ~あ……やっと暴れることができる」

 

あくびをしながらもやっときた仕事にやる気をみせるボサボサ白髪の少年、時の番人(クロノナンバーズ)のNo.Ⅷ《コウマ》

 

 

 

戦いはさらに激しさを増していく。

 




インフィニット・クロノス:正体不明の謎のギルド。マスターは不明だが、時の番人(クロノナンバーズ)という13人の幹部がいる。


ベータ:肩までかかる水色髪の小柄な少女。時の番人(クロノナンバーズ)No.Ⅳにあたる人物。(イメージ:イナズマイレブンgoのベータ)


コウマ:白いボサボサ髪の少年。時の番人(クロノナンバーズ)No.Ⅷにあたる人物。

クロノナンバーズはブラックキャットから使わせてもらいました。他の人はまだ出てこないのでその辺も今後を楽しみにしていてください。


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楽園ゲーム

二ヶ月も放置してすいませんでした。

フェアリーテイルの小説、トラブルツインズを読みました。結構面白かったです。

大分前に買っていたんですが、なかなか読む機会がなかったのでちょうどの機会ということで。

あと、禁書のトールを再確認してました。新訳の5巻と6巻、10巻のトールの戦闘を見てました。

もちろんここのトールと全く一緒じゃないんですけどね。


ウォーリーとミリアーナを撃破したトールとナツ。その二人は現在、

 

ナツ「ぬおおお!」

 

トール「もげるーー!」

 

猫の被り物を取っていた。

 

二人は相棒の猫に被り物を引っ張ってもらっていた。だがなかなか取れず、首がとれそうな痛みに思わず二人は叫ぶ。

 

すると、スポーン!、と言う音と共に被り物が取れ、二人の顔が露になる。

 

ナツ「とれた!」

 

トール「よっしゃー!」

 

ようやく被り物が取れた事に喜ぶ二人。その被り物はというと、トールの被っていた白い被り物は壁に当たってコロコロと地面に落ちる。ナツの被っていた黄緑色の被り物はくるくると宙を舞い、

 

 

ウォーリー「ぬ?」

 

 

起き上がろうと顔をあげていたウォーリーの顔にスポン!と、綺麗にはまった。

 

ナツ「今度は四角にはまった!」

 

トール・アニス「「ぶはははは!」」

 

ハッピー「あのマスクの被り口はどうなってるんだろう?」

 

それを見たナツとトールとアニスは爆笑し、ハッピーは被り物に驚いていた。

 

ウォーリー「まだ勝負はついてェゼ、テメェら……ぐっ!?」

 

被り物をはずしてウォーリーは立ち上がる。しかしナツから受けたダメージが大きく、再び膝を着いてしまう。

 

ナツ「もうカリも返したし、エルザもハッピーも無事ってんなら、これ以上やる意味はこっちにはねーんだけどな」

 

トール「だな。目的は果たしたし、ぶっちゃけだるいし、さっさと帰りてぇんだけどな。まあそんなわけにはいかねえけど」

 

ナツとトールがそう言い、ハッピーもうんうんと頷く。

 

ウォーリー「オレたちは……楽園へ行くんだ………」

 

アニス「楽園……?」

 

ウォーリー「ジェラールの言う真の自由。人々を支配できる世界へ……」

 

怪我に堪えながら呟くウォーリー。

 

トール「ふん。人を支配する世界か……。そんなのは単なる幻想だ。少なくとも真の自由とは言えねえよ」

 

ナツ「だよな、全然面白くなさそうだぜ」

 

ウォーリー「そ、それってどういう……」

 

すると突然、壁や天井に無数の口があらわれた。

 

ハッピー「何これナツー!」

 

ナツ「口!?そこら中に……」

 

トール「趣味悪すぎんぞコレ……」

 

アニス「うぅ……怖いよトール」

 

その現象にナツとハッピーは驚き、トールは顔色を少し悪くし、アニスはトールに飛びつき、怖さを紛らわすように抱きしめる。

 

 

 

 

『ようこそみなさん。楽園の塔へ』

 

 

 

口から開かれた言葉を発したのは、この塔のボス、ジェラールだ。

 

 

 

 

そしてこの現象は、エルザたちのところでも起こる。

 

グレイ「何だこの口は!?」

 

ジュビア「し、しゃべりましたよ!?」

 

パオラ「テレパシーみたいね」

 

マユミ「ここ、この声って、も、もしかして……」

 

シモン「ジェラールだ。塔全体に聞こえるように話している」

 

ルーシィ「塔全体にこの口が……」

 

グレイたちは気味悪さを感じるが、一同はその声に耳を傾ける。

 

 

ジェラール『オレはジェラール。この塔の支配者だ。互いの駒はそろった。そろそろ始めようじゃないか』

 

 

 

 

 

 

『楽園ゲームを』

 

 

 

 

 

ジェラール『ルールは簡単だ、オレはエルザを生贄としゼレフを復活の儀を行いたい……。

すなわち楽園への扉が開けばオレの勝ち、もしお前たちが阻止できればそちらの勝ち』

 

 

グレイ「ふざけやがって」

 

ショウ「ジェラール……」

 

ジェラールのふざけた提案に、グレイたちは怒りをあらわにする

 

ジェラール『ただ……それだけでは面白くないのでな、こちらは五人の戦士を配置する』

 

ジェラールの〝五人の戦士〟と言う言葉にマユミとシモンが反応する。

 

マユミ「あれ?わ、私たち以外に強い人なんていたのかな?」

 

シモン「何者なんだ……?」

 

 

ジェラール『そこを突破できなければオレにはたどり着けん、つまりは5対10のバトルロワイヤル』

 

 

 

パオラ「バトルロワイヤル………」

 

 

ジェラール『最後に一つ特別ルールの説明をしておこう、評議院が衛星魔法陣(サテライトスクエア)でここを攻撃してくる可能性がある……。全てを消滅させる究極の破壊魔法《エーテリオン》だ』

 

 

エーテリオンという言葉に全員が驚く

 

 

 

ジェラール『残り時間は不明、しかしエーテリオンが落ちる時、それは全員の死。

勝者なきゲームオーバーを意味する』

 

 

するとジェラールは楽しそうな声で言う

 

 

ジェラール『さあ、楽しもう』

 

 

そう言うと、辺り一面の口が消えた。

 

ルーシィ「そ、そんな……何考えてんのよジェラールって奴……。自分まで死ぬかもしれない中でゲームなんて………」

 

エルザ「エーテリオンだと!?評議院が?あ、ありえん!!だって………」

 

ジェラールの言葉に驚くエルザ。

 

そんなエルザをショウが突然カードの中に閉じ込めてしまう。

 

グレイ「エルザ!!」

 

シモン「ショウ!!おまえ何を!!!」

 

ショウ「姉さんには誰にも指一本触れさせない。ジェラールはこのオレが倒す!!!」

 

そう言ってショウはエルザの入ったカードを持って、塔の最上階目指して走りだしていった。

 

シモン「よせ!一人じゃ無理だ!」

 

マユミ「ま、待ってよー!」

 

シモンは走り去っていくショウを追いかけていき、そのシモンを追いにマユミが走っていった。

 

グレイ「だー!どいつもコイツも!!」

 

パオラ「落ち着きなさいよグレイ」

 

勝手に動く二人に怒るグレイをパオラが落ち着かせる。

 

現在残った4人はどうするかを考えていた。

 

グレイ「俺はやっぱりエルザのことがほっとけねえからあいつらを追いかける。ナツたちのことは任せたぞ!」

 

ルーシィ「わかった。無理しないでね!」

 

ルーシィの言葉にグレイは頷き、シモンたちを追いかけていった。

 

 

ジュビア「あ、あの感じ……やっぱり恋敵!」

 

ルーシィ「だから違うわよ!」

 

パオラ「はぁ……落ち着きなさいってば」

 

パオラはグレイのことでまだ揉めている(ルーシィは揉めるつもりはないのだが)二人に呆れていた。

 

 

 

 

 

 

ナツ「何が何だかわかんねーが、ジェラールって奴を倒せばこの喧嘩は終わりか。おし、燃えてきたぞ」

 

トール「エーテリオンか……なんか引っ掛かるな……」

 

一方こちらでは掌に拳をぶつけるナツに対してトールは何かを考えていた。

 

ウォーリー「な、何なんだよジェラール……エーテリオンってよう……。そんなの喰らったら、みんな死んじまうんだゼ。オレたちは真の自由が欲しいだけなのに……」

 

声を震わせながらそう呟くウォーリー。その様子を見てトールとナツが声をかける。

 

トール「なるほど、お前らとジェラールとで意見の食い違いがあったようだな。」

 

ナツ「どんな自由が欲しいかは知らねーけど、妖精の尻尾(フェアリーテイル)も自由で面白ぇぞ」

 

二人のその言葉に、呆然とするウォーリー。

 

トール「ナツ、こっからは別行動だ。マユミと話すことがある」

 

ナツ「わかった。でも誰が相手でも負けんなよ!このままじゃ──」

 

トール「わかってんよ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れ、だろ?」

 

そう言うと二人はニヤリと笑い、互いの拳をコツン、とあわせて、トールとアニスは階段を昇っていった。

 

ナツ「ハッピー!ゲームには裏技ってのがあるよな?」

 

ハッピー「あい!」

 

 

 

 

 

ナツ「一気に最上階まで行くぞ!」

 

ハッピー「あいさー!」

 

残ったナツたち二人は窓から最上階に向かって飛んでいってしまった。

 

 

 

 

 

 

グレイと別れた三人はナツたちと合流するために声を出して呼んでいた。というのも、ナツは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のため、耳がいいから遠くにいても聴こえるだろうといった。

 

その言葉にジュビアはガジルと一緒だから鼻もいいだろうといった。

 

その際、ジュビアがガジルのことを〝ガジルくん〟と、()()付けしたためにパオラとルーシィが不思議に思ったが、二人ともスルーすることにした。

 

パオラ「そういえば、ジュビアってグレイのことが好きなんでしょ?どういうところを好きになったの?」

 

すると、ふとパオラがジュビアにグレイのことを聞いた。当然そんな話をされると思っていなかったジュビアは顔を紅くした。

 

ジュビア「ええっ!?そ、それはその………////」

 

パオラ「ふふっ。可愛いとこあるじゃない」

 

ルーシィ「そういうパオラはトールのどこを好きになったの?」

 

今度はルーシィにそう言われたパオラが顔を紅くした。

 

パオラ「ええっ!?そ、それはその………////」

 

ルーシィ「あははっ!パオラったらジュビアと同じ反応してるわよ!」

 

パオラ「もぉー!」

 

パオラは自分をからかったルーシィに文句をいった。だがルーシィは何のその、という感じで流した。

 

ジュビア「パオラさんはトールさんのことが好きなんですか?」

 

パオラ「〝さん〟なんていらないわよ。まあ、そうなんだけど、トールは全く気づいてくれないのよねぇ」

 

そういってパオラは小さいため息をついた。

 

ルーシィ「いいなぁ二人とも、好きな人がいて。私にもそんな人が現れないかなぁ」

 

パオラ「言っとくけどトールのテリトリーには入らないでね」

 

ジュビア「グレイ様のテリトリーにも入らないでくださいね」

 

ルーシィ「はいはい。入らないから安心してね」

 

なんかすごくめんどくさくなってしまった、とルーシィは心のなかで呟いた。

 

 

すると突然、激しいギター音が辺り一帯に鳴り響いた

 

 

パオラ「何よいきなり!?」

 

ルーシィ「な、何この騒音!?……ギター!!?」

 

 

ギター音が徐々に大きくなる。音程が変わる度に耳にうるさく伝わってくる。

 

 

ルーシィ「てか、うるさっ!!」

 

ジュビア「ジュビアは上手だと思うわ」

 

パオラ「ズレてるわね、アンタ……っ!来たわよ!」

 

 

パオラの声を聞き、二人が音のする方を見据える。

 

するとギターを弾きながら頭をグルグルと回すことでとても長い髪を靡かせて、こちらに歩み寄ってくる長髪の男が見えた。

 

 

「ヘイ、ヤー!!!ファッキンガールズ!!!」

 

舌を出してパオラたちを見てくる。

 

ヴィダルダス「地獄のライブだ、デストローイ、アーウッ!!!」

 

ルーシィ「うわっ、髪ながっ!!」

 

パオラ「なるほどね……こいつが……」

 

ジュビア「ジェラールの言ってた五人の戦士?」

 

 

 

ヴィダルダス「暗殺ギルド、髑髏会!オイ、スカルだぜ!!!イカした名前だろ、三羽鴉(トリニティレイブン)の一羽 ヴィダルタス・タカとはオレの事よ!!!」

 

ルーシィ「暗殺ギルド!?」

 

ジュビア「闇ギルドの派生ですね」

 

だがパオラは別のことに驚いていた。

 

パオラ「(トリニティ、ってことは三人よね。じゃああと二人はなんなの……?)」

 

それが同じギルドの者か、または別のギルドか、答えはパオラにはわからなかった。

 

 

ヴィダルダス「ロックユー!!!」

 

先制攻撃として、ヴィダルダスの髪が伸びてパオラたちに襲いかかってきた。

 

ルーシィ「ひぃっ!」

 

パオラ「はっ!」

 

ルーシィとパオラは伸びた髪の毛による攻撃を避ける。

 

しかし、ジュビアだけは攻撃を避けず、その身を水に変えて受け流した。

 

 

ヴィダルダス「おもしれえボディしてんなァオイ!!!キャハハハハ!!!」

 

 

ジュビア「ジュビアの体は水で出来ている。ゆえに、いかなる攻撃もきかない………しんしんと」

 

ルーシィ「すごい!!」

 

パオラ「今度はこっちからよ!メテオブラスト!」

 

パオラは両手から流星の魔力を放つ。だがヴィダルダスは動揺せず、不敵な笑みを浮かべる。

 

ヴィダルダス「ロックターン!」

 

激しい音による振動で攻撃を反らす。反らされた攻撃は遠くの壁へとぶつかっていった。

 

ヴィダルダス「ヒャーハー!まだまだいくぜぇー!!!」

 

ヴィダルダスが再びギターに手をかける。

 

すると、激しい音とともにヴィダルダスの前に三つの音の塊が現れる。

 

ヴィダルダス「サウンドバズーカ!」

 

音の塊は轟音とともに三人のところへ高速で迫ってきた。

 

パオラ「メテオシャワー!」

 

迫り来る音の塊に対して、パオラは三つ以上の魔力弾で応戦する。お互いの魔法が相殺されるが、残ったパオラの魔力弾がヴィダルダスに向かっていく。

 

ヴィダルダスは焦らずに避けていく。避けるたびに長い髪を靡かせるように避ける様子に、ルーシィは「うわ……」と、気味悪がっていた。

 

ヴィダルダス「なかなかやるじゃねえか」

 

パオラ「あんたも意外と身軽じゃない」

 

ルーシィ「私たちも負けてられない!」

 

ジュビア「ジュビアもいきます!」

 

今度はジュビアがヴィダルダスに攻撃を仕掛ける。

 

ジュビア「水流拘束(ウォーターロック)!!」

 

ヴィダルダス「ロック!!?お前もROCKか!!?」

 

 

喜んでいた割にはあっさりと水の球体に閉じ込められたヴィダルダス

 

 

ジュビア「口ほどにもない」

 

ルーシィ「さすが元エレメント4ね!」

 

 

このままいけばヴィダルダスは水のなかで息ができなくなり、戦闘不能になってしまうだろう。

 

 

だが、パオラはあることに気づいた。

 

 

パオラ「ねえ。あの水……どんどん小さくなってない?」

 

ルーシィ「え!?」

 

ジュビア「!!!」

 

 

パオラが水の球体を指差すと、二人も水球が小さくなっていることに気づく。

 

その正体は、球体の水がヴィダルダスの髪に全て吸収されていたのだった。

 

ヴィダルダス「ふっ」

 

ヴィダルダスは自慢気に髪を靡かせ、不敵に笑った。その姿にルーシィとパオラは体に寒気がはしった。

 

 

ジュビア「ジュビアの水流拘束(ウォーターロック)が……消えた!!?」

 

ルーシィ「そしてキモい!!!」

 

ヴィダルダス「寝グセには水洗いがいいんだぜ、朝シャンは良くねえ……髪をいためる」

 

ジュビア「貴様……どうやって水流拘束(ウォーターロック)を……」

 

ジュビアは動揺が隠せないでいた。そんなジュビアにヴィダルダスは得意気に話す。

 

ヴィダルダス「オレの髪は液体を吸収する。油やアルコールはごめんだぜ?髪が痛んじまう」

 

ヴィダルダスがそういうと、ジュビアは驚きを隠せないでいた。

 

ジュビア「水が……効かない……!?」

 

パオラ「つまり、ジュビアの魔法のほとんどが効かないってことね。厄介なことになったわ」

 

ルーシィ「そんな……」

 

ヴィダルダス「それにしてもい女だな、三人とも。へへっ………」

 

ルーシィ「出たよ!!いつもの!!」

 

ジュビア「な、何のこと?」

 

ヴィダルダスの視線を感じ取ったルーシィは即座に戦う構えをとる。

 

 

ルーシィ「かわいいってのもトラブルのもとよねぇ」

 

パオラ「………………」

 

ルーシィ「ゴメン謝るからそんなに冷たい目線を向けないで!?」

 

自分に酔っているように緊張感の欠片もないことを言っているルーシィに向けたパオラの目は、パートナーの異名と同じく、まさに凍てつく視線だった。

 

 

ヴィダルダス「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な」

 

 

ヴィダルダスが三人を順番に指差す

 

 

ヴィダルダス「じ・ご・く・の・あ・く・ま・の・い・う・と・お・り!!」

 

 

最後に指先が止まったのは厚着の服を着て青色の髪をしている女、ジュビアだった。

 

 

ヴィダルダス「決めたぜ!!お前が今日のサキュバスだ!!!」

 

ジュビア「サキュバス?」

 

ヴィダルダス「ロック オブサキュバス!!」

 

 

そう叫んだヴィダルダスはギター音を響かせた

 

 

ジュビア「あ、ああ………な、何!?この音!?」

 

音を聞いたジュビアが突然苦しみ出す

 

ルーシィ「ジュビア!どうしたの!?」

 

ジュビア「イヤ!やめて!入ってこないで!!!」

 

悲痛な叫びをあげながら、ジュビアは謎の光に包まれた

 

 

ルーシィ「ジュビア!!」

 

パオラ「ジュビアしっかり!負けちゃだめ!!」

 

 

 

ヴィダルダス「トリコになりな」

 

 

 

そして謎の光に包まれたジュビアが再び姿を現す

 

 

 

ジュビア「地獄地獄地獄ゥ!!!!最高で最低の地獄を見せてやるよメスブタがァ!!!!」

 

ルーシィ「ジュ……ジュビア?」

 

パオラ「ど、どういうことよこれ………」

 

今までジュビアは厚着の服を着ていたが、現れたジュビアの姿はパンク系のファッションでヴィダルダスと似たような格好だった。

 

そして口調も以前とは別人のようになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

楽園の塔 最上階

 

 

ここではジェラールがただ一人、チェスのような駒と盤が乗った机の前にある椅子に座っていた。

 

ジェラール「水女はここまでだな」

 

カツン、と駒で駒を倒す。どうやら持っていた駒はヴィダルダス、倒れた駒はジュビアを指していたようだ。

 

ジェラール「さあどうする〝流星の巫女〟。ぐずぐずしていると〝星霊使い〟も堕ちてしまうぞ。俺の魔法と似たような魔法 《流星魔法》の力、見せてみろ」

 

 

そう言ったジェラールはフードを被っていながらニヤリと笑っていた。

 




ロックターン:激しい音の振動で魔法攻撃を反らす。

サウンドバズーカ:ギターによる音で音の塊を作り出し、くらうと強い振動が体を襲う。


ポケモン サン・ムーンのアニメ、なんだかんだいいながら結局毎週見ています。絵はともかく、話は面白いですし。

今年の映画はどういうものか分かりませんが、もし良かったら、どこかの大会に出て選抜メンバーを組んでバトルしてほしいですね。ダイヤモンド・パールのときみたいに。

ついでに言えば今までのライバルも出てほしいですね。


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パオラVSヴィダルダス

今週のマガジンでオーガストの驚愕の真実!いつもは一回見て他の漫画を見てまたフェアリーテイルを見るんですが、今日は思わず三度見してしまいました。

あれぞ言葉のトリックによるミスリードってやつですかね。……うん、なんか違うね。


エルザをカードに閉じ込めたショウをシモンと一緒に追いかけていたマユミだったが、

 

マユミ「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……!あ、あれ……はぐれちゃった……」

 

途中で道を間違えたのか、周りにはショウもシモンも見当たらない。

 

乱れた息を徐々に回復させつつ、どの道を進もうか考えようとした。

 

マユミ「う~ん……このままシモン君を探すかな、それとも一度トールと話をして状況を確認しあおうかな……」

 

その場をぐるぐる回りながら考えていたマユミだったが、

 

 

 

 

シュルルルルル!!!

 

 

 

突如、金属の細いワイヤーが自分の体を巻きつけた。

 

 

 

マユミ「っ!!?」

 

 

足を肩幅ほどに広げていたのでこけることはなかったが、腕も足も巻きつけられたため、身動きがとれずにいた。

 

それでもワイヤーをなんとかしようとするがびくともしない。なら魔法で、と思ったマユミは電撃を纏うが、グググッと少しだけワイヤーが動くだけで効果は薄い。

 

 

 

 

「無駄だぜ。コウマのワイヤーにオレの付加術(エンチャント)で耐電能力を与えてるからな」

 

「マユミちゃーん。無理しちゃダメだぜー」

 

 

 

何処からか聞こえてきた声に振り向くと、肩までかかる水色のふわっとした髪の攻撃的な話し方をする小柄な少女と、白いボサボサ頭でゆったりとした話し方をする少年がマユミの方へ向かって歩いてきていた。

 

 

マユミ「あなたたち……ベータとコウマ!?な、なんでこんなところに!?」

 

マユミは驚いた表情で言う。それに対してベータとコウマは変わらぬ態度で話しかける。

 

ベータ「そりゃあ勿論、オマエを連れて行くためさ。〝海底神殿〟へな」

 

マユミ「か、海底神殿ですって!?で、でも、あなたたちジェラールの言ってた五人の戦士のうちの二人なんでしょ!だったらなんでジェラールと協力しているの!?」

 

コウマ「俺たちは俺たちの目的のためにジェラールと一時的に協力してたんだ。お前を捕らえるために。そしたら今ここにトールもいるじゃねーか!いやー、わざわざ探しにいく手間が省けたってもんだぜ!」

 

ベータ「Rシステムは、まあ興味がなかったと言えば嘘になるけど、正直オレたちにはどうでもよかったからな。向こうは向こうで勝手にやってろ、てことさ」

 

コウマ「さ、一緒にきてもらうぜー」

 

そのまま二人がマユミに向かって歩き続ける。マユミはワイヤーを必死に振りほどこうとするが全く意味を為さない。

 

するとそのとき、

 

 

 

 

「《いてつくはどう》!」

 

 

マユミの後ろの方からそんな声がすると、青白い光が発動した。

 

そしてマユミを縛っていたワイヤーが消えて無くなった。

 

ベータの付加を受けたコウマの魔法が解除されたのだった。ワイヤーが無くなったことでマユミは解放され、そのままドサッと地面に倒れこんだ。

 

 

ベータ「さっきの声……」

 

コウマ「ああ、間違いない」

 

 

 

「「トールだ」」

 

 

 

 

トール「マユミ!」

 

 

魔法解除を行ったトールは、マユミのもとへ走ってきていた。倒れたマユミの隣にしゃがみこみ、マユミと目線をあわせる。

 

トール「大丈夫か、マユミ」

 

マユミ「うん。ありがと、トール」

 

トール「ああ……それよりまず、お前がなんでこんなところにいる?」

 

 

それからマユミはトールに今までの自分の成り行きと、今の状況を簡単に話した。

 

 

トール「そっか。おまえもあのあと色々大変だったんだな。………ていうか道に迷ったって、ゼルマじゃないんだからよ……」

 

マユミ「う……」

 

途中からジト目でマユミを見るトールに、少し恥ずかしくなってトールから目を逸らす。

トールはマユミから視線を外すと今度はベータとコウマに目を向ける。

 

トール「んで、俺を探す手間が省けたってのはどういうこった?今俺がギルドに入ってるくらいわかってるんだろうが」

 

そうトールが言うと、コウマは肩を竦める。

 

コウマ「勿論わかってるさ。けどよ、だからって馬鹿正直にギルドへ特攻かますほど俺らも頭悪くはねえってことさ」

 

トール「ま、それもそうか」

 

ベータ「一応聞いとくけど、オレたちと一緒にくるなら別になにもしないけど」

 

トール「んなもん、聞くまでもねえ」

 

そう言うとトールは両手の指先に2~3メートルほどの熔断ブレードを噴出させる。

 

トール「俺は海底神殿に行く気はないし、マユミも連れさせはしない。力ずくでも引いてもらうぞ」

 

マユミ「わ、私だって戦う!トールばかりに頼っていられない!」

 

マユミも同じように両手に雷を纏い、戦闘の構えをとる。

 

コウマ「へー、戦闘を望むか。なら……」

 

ベータ「オレたちがオマエたちを捻じ伏せて返り討ちにしてやるぜ!」

 

コウマは金属を錬成して無数のトゲがついたボクシンググローブを出す。

 

ベータは右手に爆炎を付加(エンチャント)させることで、炎を纏わせる。

 

 

全員の魔法が物凄い轟音と共に激しくぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、パオラとルーシィはヴィダルダスによって洗脳されたジュビアが敵になってしまい、苦しい状況に陥っていた。

 

ジュビア「ヒャハハハ!地獄につれてってやんよメスブタどもがああァァァ!!!」

 

舌を出してパオラたちに向かって叫ぶジュビア

 

ルーシィ「な、何よコレぇ……。ジュビア……しっかりしてよ………」

 

パオラ「こんなこともできるなんて……!」

 

ヴィダルダス「へへっ、サキュバスのトリコになった女はオレの命令しかきかねぇ」

 

ルーシィ「あのギター音でジュビアが……ってあれ?何であたしたちは大丈夫なのかしら?」

 

ヴィダルダス「いいコトに気がついたなぁ」

 

 

ルーシィの問いにヴィダルダスが高笑いしながら答える。

 

 

ヴィダルダス「全員トリコにしちまったらゲームの面白みがねえ!!!オレが見てえのは女同士のキャットファイトよ!!!『服が破けてポロリもあるよ』ってやつさ!!!」

 

 

ルーシィ・パオラ「「最低ね」」

 

ヴィダルダス「〝最低〟こそ最高の賛辞だぜー!!!イヤァァア!!!」

 

ジュビア「ロックも知らないネンネは死んどきなー!!!」

 

パオラ「やるしかないようね。いくわよルーシィ!」

 

ルーシィ「そ、そんな……」

 

パオラはすかさず戦闘準備をとるが、ルーシィは受け入れられずにいた。

 

パオラ「大丈夫よ。ジュビア自身を攻撃する訳じゃないわ」ボソッ

 

ルーシィ「?どういうこと?」ボソッ

 

パオラ「あの長髪男をさっさと倒せば、ジュビアももとに戻るでしょ?」ボソッ

 

ルーシィ「そっか、なるほどね」ボソッ

 

パオラの作戦に納得するルーシィ。二人がボソボソ話しているが、相手は待ってはくれない。

 

ジュビア「ヒャッハー!!!」

 

ジュビアは身体を水に変え、大きな波を引き起こす。

 

波によって二人の服と全身が濡れてしまう。ルーシィは楽園の塔に来てから一度服を着替えているので、着替えた服がまた濡れてしまったことで『折角着替えたのに……』と、悔しそうに嘆いていた。

 

すると、ルーシィの足元の水から、ジュビアが飛び出してきた。

 

 

ジュビア「どこから食いちぎってやろうかねぇ!!!」

 

ルーシィ「ちょっと!!!ジュビア本気!!?」

 

だがジュビアの手はすでにルーシィの服にあり、

 

 

ビリビリビリィィィッ!!!

 

 

ジュビア「その無駄にでけぇチチだなっ!!!!」

 

ルーシィの服を胸元から思い切り破った。

 

ルーシィ「ひいいいっ!!!/////」

 

パオラ「ルーシィ!」

 

ヴィダルダス「ヒャーッホウ!!コレだよコレ!!!」

 

ルーシィ「な、なにすんのよ!」

 

ルーシィはすぐに頭に巻いていたバンダナを自分の胸を隠すためにブラジャー代わりに巻く。

 

 

ジュビア「変態ドM女共!!!ジュビアの中で砕け散りな!!!!」

 

身体を水に変え、襲いかかってくるジュビア

 

 

「「きゃぁぁあああ!!!」」

 

 

ジュビアが造りだした水流に二人は激突し、閉じ込められながらも流されて行く。

 

 

 

パオラ「(ダメ、完全に操られてる……。どうしよう……せっかく仲良くなったジュビアに攻撃なんて……)」

 

 

 

 

 

『パオラさん。ルーシィさん』

 

 

 

その時、水流の中にいる二人の心にジュビアの声が響いた。

 

 

パオラ「(これは……!?)」

 

ルーシィ「(ジュビアの声!!?)」

 

ジュビア「キャハハハッ、苦しめ苦しめぇ!!!」

 

 

 

『こんなのはジュビアじゃないです!!!』

 

 

 

二人は今水流の中にいる。つまり、ジュビアの中にいるのと同じなので、ジュビアの心も聞こえていたのだった。

 

 

 

『ジュビアは仲間をキズつけたくない……。やっぱり仲間……なんておこがましいかしら。折角パオラさんとも仲良くお話できたとおもったのに………』

 

 

 

パオラ「(ジュビア……)」

 

 

『ジュビアはフェアリーテイルが大好きになりました。

 

仲間想いで、楽しくて、あたたかくて……雨が降っててもギルドの中はお日様が出てるみたい………』

 

 

ジュビアの話を聞いて、ルーシィはギルドの仲間を思い浮かべていた。

 

いつもいつもやることなすこと問題ばかりで、仕事先で物を壊して家賃が払えなかったり、評議院にも目を付けられたりしているが、居心地は最高だった。

 

ファントムの件も、自分を助けるために命をかけて戦ってくれた。

 

父親とは決別してしまったが、後悔はしていなかった。その際も、仲間たちは自分のことが心配で駆けつけてくれた。

 

 

だからルーシィは、ギルドの絆を大切にする妖精の尻尾(フェアリーテイル)が大好きだ。

 

 

そして、その気持ちはジュビアにも感じていたのだった。

 

 

 

『せっかく皆さんと仲良くなれそうだったのに………ジュビアはやっぱり不幸を呼ぶ女』

 

 

水流の中に、また別の水流が流れ出した。だがそれは、さっきまでの水とは違う、ジュビアの悲しみの涙をあらわしていた。

 

 

パオラ「(涙……)」

 

 

パオラとルーシィが水流の外へ投げ飛ばされ、地面を滑っていく。

 

ジュビアの外見は変わらないが、ジュビアの気持ちは二人には届いた。

 

二人のやることは決まった。仲間を助けだし、敵を倒すだけだ。

 

パオラとルーシィは目を合わせて、同時に頷いた。

 

 

ヴィダルダス「ジュビアちゃん!!!そろそろトドメさしちゃって!!!」

 

 

ルーシィ「仲間の為に涙を流せる人を、フェアリーテイルが拒むハズがない!!」

 

ジュビア「っ!!」

 

ヴィダルダスの声に負けないくらい大声で叫ぶルーシィ。

 

パオラ「あんたの気持ちは分かったわジュビア!あんたはもうフェアリーテイルの仲間よ!だから──」

 

 

パオラ・ルーシィ「「私たちは必ず、ジュビア(仲間)を助ける!!!」」

 

 

ジュビア「(パオラさん……!ルーシィさん……!)」

 

ヴィダルダス「くだんねぇ!とっととイカしてやりなジュビアちゃんよォ!!!」

 

ジュビア「水流激鋸(ウォータージグソー)でバラバラになりなァ!!!(二人ともよけてぇ!!!)」

 

ジュビアは水を纏って回転しながら突撃し、切り刻もうとする。心では二人を攻撃したくないが、体が自由に動かない。

 

だからせめて避けるように心のなかで叫ぶが、

 

パオラ「はああああああああああ!!!」

 

パオラはその場を一歩も動かずに水を纏ったジュビアを受け止めた。

 

ヴィダルダス「ひゃはははぁ!そのままバラバラになっちまえぇ!!!」

 

今パオラの腕は水の刃であちこちに傷がつけられている。そのたびにパオラに激痛が走るが、一歩も引く気はない。仲間を助けるためなら、怪我なんて怖くない。

 

パオラ「今よルーシィ!」

 

ルーシィ「うん!開け!宝瓶宮の扉!」

 

すると、パオラの後ろに控えていたルーシィが水の中に鍵を入れる。その際ルーシィの手も傷を負っていくが、鍵を離さずに力を入れ続ける。

 

ルーシィ「アクエリアス!!!」

 

そしてジュビアの後ろから、下半身が人魚で両手に壺を持ち、水色の長い髪をした水着姿の星霊、アクエリアスを呼び寄せた。

 

ヴィダルダス「!!!」

 

ジュビア「ジュビアの()を使って星霊を!?」

 

ルーシィ「水があれば最強の星霊アクエリアスが呼べる!あんたのおかげよジュビア!!!」

 

あとはこのままアクエリアスにヴィダルダスを倒してもらうだけだ。

 

 

だがここで誤算が生じた。それは、

 

 

 

アクエリアス「やかましいわ小娘どもがァ!!!」

 

 

 

味方にも攻撃してきたことだった。

 

巨大な激流にジュビアもパオラも、そしてオーナーであるルーシィさえも呑み込まれて流されていった。

 

 

まあ、アクエリアスは呼ばれるたびにルーシィもろとも流してしまうので、ルーシィにとっては誤算というよりただ忘れていただけであるが。

 

 

そして、ヴィダルダスも同様に流れていく

 

 

ヴィダルダス「効かんなァ!!!俺の髪は水を吸収するよ言っただろーがヨ!!!」

 

 

と思ったら流されず、逆に水を吸収していく。

 

だが、パオラはそのことを覚えていたので、いち速く激流から脱出し、ヴィダルダスに止めを刺そうとする。

 

パオラ「これで終わりよ!」

 

ヴィダルダス「そうはいくか!俺の最高のロックでイカしてやるぜェ!!!爆音波!!!」

 

ヴィダルダスはギターを今までで一番激しく鳴らして、巨大な音の衝撃をパオラにぶつける。

 

パオラ「くうぅぅううう………!!!」

 

ヴィダルダス「さあ終わりだ!諦めちまいな!!!」

 

 

パオラは全身に衝撃と激痛が走り、押し返されそうになる。ヴィダルダスはもうひと押しと言わんばかりにさらに出力をあげる。

 

 

パオラ「こんなところで……こんなところで躓いていたら、トールの隣になんか一生立てない……!あんた程度にやられるわけにはいかないのよ!!!」

 

 

その時、ヴィダルダスはパオラから強大な魔力が開放されたのを感じた。

 

ヴィダルダス「な、なんだ……この魔力は……!?」

 

パオラは押し返されそうだったが立ち直し、さらに魔力を込めて前へと進む。

 

パオラ「メテオストライク!!!」

 

ガシャァン!!!

 

そして魔力を纏った蹴りでヴィダルダスのギターを一発で破壊した。

 

壊れたギターはあちこちの水溜まりに残骸となってバラバラに散らばっていった。

 

 

ヴィダルダス「お、俺のギターが……!!」

 

 

パオラ「メテオバースト!!!」

 

 

両手に流星の魔力を集め、破壊光線と化した光はヴィダルダスを呑み込んだ。

 

 

ヴィダルダス「スパーキング……!」

 

パオラの渾身の一撃をくらったヴィダルダスは髪が全て外れ、丸坊主となった。

 

 

 

パオラ「音楽は好きだけど、あんたの音楽(ノイズ)じゃあたしの心には響かないわ。絶対にね」

 

 

 

ルーシィ「やった!!私たちの勝ちね!!!」

 

 

ジュビア「ジュビア元に戻れた!!!」

 

 

ルーシィとジュビアが思わず抱き合って勝利を喜ぶ。

それを見てパオラも笑みを浮かべた。

 

 

アクエリアス「つーかとんでもないところから呼び出すんじゃないよ」

 

 

ただ、アクエリアスはいつも通りルーシィにキレていた。更には二週間彼氏と旅行するから呼びだすな、という、身勝手極まりないことを言ったが、逆らうとどうなるか恐ろしく感じるので、素直にゆっくりと頷いた。

 

ちなみにアクエリアスが帰る前に〝お前も早く男をつくれ〟と言ったが、お前には無理か、と馬鹿にして帰っていった。

 

パオラ「とにかく、五人の内の一人は倒したわよ!」

 

ルーシィ「うん、ジェラールの思い通りになんかならないわよ」

 

ジュビア「ごめんなさい二人とも。本当にご迷惑をおかけして……」

 

暗い表情で俯きながら呟くジュビア。

 

パオラ「なにいってんのよ。ジュビアのおかげで勝てた部分もあるのよ」

 

ルーシィ「うん!三人で、ね!」

 

ジュビア「パオラさん……ルーシィさん……」

 

微笑む二人を見て、ジュビアは目に涙を浮かべる。涙をぬぐっても止まらない。

 

ルーシィ「()()付けなんかしなくていいよ、仲間なんだし」

 

パオラ「そうよ。これからもよろしくね」

 

ジュビア「あれ……ジュビア……目から雨が降ってきました」

 

パオラ「目から雨って……」

 

ルーシィ「あははっ、面白い表現ね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェラール「ヴィダルダスを倒したか。流石じゃないか流星の巫女」

 

ジェラールはギターを模ったチェス駒を倒す。

 

ジェラール「こちらも、もう一歩駒を進めよう」

 

 

 




爆音波:極限まで高めた音を発射させる。

メテオストライク:流星の魔力を纏った蹴り。

メテオバースト:流星の魔力で破壊光線を放つ。

敵のなかでハイテンションのイカれた奴は大抵すぐやられるという法則……。

クロノナンバーズの使う魔法や特徴などの情報をある程度纏めました。

ゼルマくんのようだとはどういうことだろう(棒

海底神殿とはどんなところなんだろう(棒


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超電磁砲

フェアリーテイル終わっちゃいましたね(哀)。まあアニメがまたするのでそれまで気長に待ちましょう。



パオラとルーシィがヴィダルダスを倒した時、別の場所では今も尚闘いが続いていた。

 

その場所はあっちこっちで床の塗装が剥がれていたり焦げていたりした。

 

コウマ「ふぅ……どうした?そんなんじゃ俺たちを止められねーぜ?」

 

トール「はぁ…はぁ……わかってはいたが、やっぱ一筋縄ではいかねえな」

 

余裕の表情を見せながらも段々疲れが出始めたコウマに対し、トールは額の汗を腕で拭い、鬱陶しそうに言う。マユミも否定しないのか、歯がゆい表情を見せる。

 

ベータとコウマは実際に動いているのはコウマのほうが激しく動いているが、魔力の消費具合はむしろコウマの後ろにいるベータのほうが激しかった。

 

 

ここで紹介しておくと、コウマの魔法 《錬金術》は、金属を錬成、操作することができる。

それに対してマユミの魔法 《電磁魔法》は、電気や磁気を操ることができる。

これだけだと完全にトールの下位版だが、実はマユミにしかできないこともある。それは扱う雷の色によって性質が違うということだ。例えば触れても感電しない雷や、粘着性のある雷など、性質を変えることで雷の色が変わっていくのだ。

 

また、電熱を操作することで金属を溶かし、間接的に操ることができる。これにより、コウマよりマユミのほうが有利になるはずだった。

 

だが、それを阻止しているのがベータなのだ。

 

ベータの魔法は《付加術》。それにより、雷に対して耐性を持たせるだけでなく、コウマの作り出す金属を絶縁体にして、電撃を通さないようにすることでマユミをほぼ無効化させているのだ。

 

トール「ほんと、厄介極まりないぜ」

 

ただ、これだけならトールは問題ない。賢者魔法により解除魔法を使えるので付加術を無効化できる。

 

もちろん、そうしようとトールは付加術を無効化しようとした。

だが、ベータはそれを読んでいた。だからベータはコウマに付加させる前に、トールに一定期間魔法を封じる魔法《魔法拘束(マジックバインド)》を何度も重ねがけることで、賢者魔法だけでなく、雷神魔法以外の魔法を使えなくさせた。

 

これにより、トールはベータを倒さない限り、雷神魔法しか使えないことになった。

 

そうなると、ベータの意識を奪えばベータのすべての魔法が解除され、トールは元通りになり、コウマにも電撃が効くようになる。

 

だが、ベータを狙おうとすれば、コウマが妨害する。

コウマを狙おうとすれば、ベータが遠距離から妨害する。二人の連携は抜群で、とっさに組んだトールとマユミよりもお互いのことを理解している。

 

こんなことならアニスと別れなければ良かった、とトールは思った。

 

 

 

トール『アニス。お前はパオラたちを外へ非難させてくれ。俺やエルザがこっから脱出するときにさっさと行けるようにな』

 

アニス『うん。エーテリオンなんか落とされたらひとたまりもないからね』

 

トール『まあ、その件に関して少し疑問があるがな。いざとなったらエーテリオンが落ちる前にエルザやナツを抱えて脱出するさ。アニスもそのままパオラたちと脱出……』

 

アニス『………』

 

トール『……は嫌だ、って顔してるから、途中から戻ってきてくれ』

 

アニス『トールをおいていくなんて嫌だもん。でもなんで途中からなの?』

 

トール『俺がジェラールと闘うことになったら自分で飛べなくなる。そうなったときにお前が俺を連れ出すためだ。だいたいこんな気味悪いところなんかさっさとおさらばしたいのによ』

 

アニス『ぷっ。そういえばトールって怖いのニガテだったよね』

 

トール『うっせ』

 

 

 

 

 

と言う風に別れたトールだったが、今の状況の悪さから、早く来てほしいなーなんて思っている。

 

だが、無い物ねだりをしても仕方ないのですぐに切り替える。

 

トール「オラァ!」

 

トールはコウマに高速で接近し、右手に溶断ブレードをだし、下から振り上げる。

 

コウマ「おっと」

 

それをコウマはジャンプで避ける。コウマのいた先にはベータがおり、ブレードとコウマによってベータが見えないでいた。

 

ベータ「溶断ブレードに付加(エンチャント)。爆破!!」

 

ベータから見れば隙だらけのトールは至近距離からの爆発をくらわされる。

 

トール「がはっ!く、くそったれが……!」

 

トールは口に溜まった血を吐き捨てる。

 

マユミ「トール!大丈夫!?」

 

コウマ「よそ見禁物だぜ!」

 

トールの攻撃を避けていたコウマはマユミの前まで移動していた。コウマは鋼鉄のレガースを左足に錬成してマユミを蹴っ飛ばし、マユミは20メートル後方に飛ばされた。

 

トール「大丈夫かマユミ!?」

 

マユミ「う、うん。だ、大丈夫……」

 

トールはマユミのもとへいき、様子を伺う。どうやらそれほど問題ではないようだ。

 

トール「しかし、このままじゃジリ貧だな……」

 

トールは現在雷神魔法しか使えない。しかも今の出力ではベータとコウマには致命傷をあたえることはできない。

 

トールは一度ブレードをしまう。それを見てトール以外の全員が怪訝な顔をする。

 

トール「………しょうがない」

 

マユミ「?」

 

 

 

出力が足りないなら、

 

 

 

トール「出力を上げるか」

 

ベータ「あ?」

 

コウマ「なんだと?」

 

 

増やせばいい。

 

 

トールはニヤリと不適な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

ルーシィ「あぁ~動きたくな~い」

 

ジュビア「だらしないですよルーシィさん」

 

ルーシィ「いいじゃん別にー。なんか今は体がだるいし」

 

と言って、ルーシィは水溜まりに服を濡らしながらくつろぐ。

 

パオラ「仮にもお嬢様だったんでしょアンタ」

 

ルーシィ「元だから良いじゃない」

 

その言葉にパオラは小さくため息をつく。

 

 

するとそこへ、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

 

 

アニス「おーいパオラー!」

 

パオラ「アニス!」

 

パオラはアニスの声が聞こえた方を振り向くと、アニスが飛びながら此方へやってきた。

 

そしてそのままパオラの胸に飛び込んだ。

 

パオラ「ちょ!?どうしたの?」

 

パオラはいきなりのことに驚きながらも尋ねる。

 

 

 

するとまた同じ方向から声がした。

 

 

 

ミリアーナ「みゃあー!逃げることないじゃんアニスちゃん!もっとモフモフさせてー!」

 

ウォーリー「ちょ、早い……待つんだゼ、ミリアーナ!そんなことよりまずはそいつらに事情を説明しないとダゼ!」

 

 

それは両手を広げて猛スピードでやってくるミリアーナ。

 

そして息を切らしながらも何とかついてきているウォーリー。

 

パオラは理解した。そして心のなかでアニスに同情した。

 

ああ、〝あれ〟から逃げてきたのか、と。

 

 

 

アニス「うう……こんなことならトールと一緒にいれば良かった……」

 

とりあえず少し落ち着いたのか、アニスがパオラの後ろで飛びながらしゃべる。

 

パオラたちを探していると、シモンから連絡を受けたウォーリーとミリアーナが現れたので、飛びながらウォーリーから話は聞いていたが、ミリアーナの奇行からとりあえず逃げていたというわけだ。

 

パオラ「で、アニスがアンタたちと一緒に(?)来たってことは、一応味方でいいのよね?」

 

ウォーリー「ああ。さっきシモンから連絡があった。『グレイが三羽鴉(トリニティレイブン)の一人を倒した』ってサ。」

 

ルーシィ「やった!あたしたちも一人倒したから、これであと三人ね!」

 

ジュビア「流石ですグレイ様!」

 

ウォーリーの言葉を聞いてルーシィは左手でガッツポーズをし、ジュビアは目をハートにして体をくねくねさせていた。

 

ウォーリー「んで、マユミはトールと合流して二人の敵と交戦中、だとサ。なんでも、ベータとコウマって言ってたらしいんダゼ」

 

パオラ「ふぅん……誰だか知らないけど、とりあえず私たちは急いでここから脱出しましょ。エーテリオンの巻き添えをくらうわ」

 

ルーシィ「でも、エルザのことも心配だし、トールたちの加勢に行かないと!」

 

ルーシィは慌てた様子で言うが、パオラは動じずに話す。

 

パオラ「エルザなら大丈夫よ。エルザの強さなら私たちが知ってるでしょ?それに、トールだって大丈夫よ。すぐに倒して帰ってきてくれるわよ」

 

ルーシィ「だといいんだけど……」

 

ミリアーナ「みゃあ!アニスちゃんは私が抱っこしてあげるー!」

 

アニス「いやだー!私を抱っこしたいのならトールに許可もらってからじゃないとダメ!」

 

ルーシィの前では平静を装っていたが、パオラは心のなかでは心配していた。

 

パオラ「(大丈夫よねトール……。私、信じてるからね……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

ベータ「出力をあげるだって?」

 

トール「そういったんだ」

 

そう言うとトールはゆっくりと両手を横に広げる。

 

 

 

トール「投擲の槌(ミョルニル)、接続の最終確認。完了後に供給開始」

 

そう呟いた直後に、トールの目の色が変わった。

 

物理的な意味で。

 

その髪に、指先に、青白く淡い光が点いていく。

 

やがて両手に点いたブレードは一本20メートルもの長さとなった。

 

右手の小指からでるブレードが大きな瓦礫を突き破り、やがて崩れる。その瓦礫にはブレードによる超高温の電熱でオレンジ色に発光していた。それが視界に入っていたベータは首筋に少し汗が垂れ落ちる。

 

ベータ「この魔力……この圧迫感……!!!」

 

トール「懐かしいだろ?あの頃よりちゃんと制御できてるんだぜ?まあ8年も経ってるんだから当然と言えば当然なんだけど」

 

コウマ「だが外部からの供給で出力を上げたということは、〝滅神魔法の効力は効いてる〟んだな。あん時はただブレード出しただけでアホみたいな出力だったしな」

 

トール「ありゃ、やっぱわかっちまうか。まあいいや、もう御託はいいだろ……いくぞ」

 

そう言ってトールは右手をコウマの方へ振りかざした。

 

コウマは鋼の斧を出してブレードに対抗しようとしたが、

 

コウマ「!!?」

 

鋼の斧がブレードとぶつかったとき、少しの鍔迫り合いのあとに刃が溶け始めたので、すぐに斧を手放し、ブレードを避ける。数秒後に斧は全て熔けてしまった。

 

トール「さらに出力を二倍!」

 

そう言うとブレードは40メートルに伸び、コウマの後ろにいるベータに向かってゆく。

 

ベータ「ちぃっ!」

 

ベータから見て前から水平に振るわれる溶断ブレードを身を屈めてやり過ごす。

 

その際、頭が当たりそうだったので耐電・耐熱の付加(エンチャント)をかけていた両手で上に反らそうとしたが、触れてすぐに手が火傷してしまった。そのため、すぐに手をブレードから手放し、さらに身を低くして溶断ブレードを避けた。

 

ベータ「なんて威力だ……」

 

マユミ「すごい……。これなら勝てる……!!!」

 

コウマ「ケッ。舐めたこといってんじゃねーぞ!」

 

ベータとマユミが驚いていると、コウマが右手に大きなドリルを錬金させて、トールの方へ突進してきた。

 

コウマ「ブレード出してる間は接近戦には弱いってことだ!そんな重たいもん、いちいち小回りなんか利かねーだろーが!!!ドリルスマッシャー!!!」

 

右手のドリルがまるでトールの体を貫通させるかのように物凄い音を出しながらトールに迫る。

 

だが、トールの表情は変わらない。

 

トール「おいおい。片方を伸ばせばもう片方を縮めればいいだけだろうが」

 

コウマ「なっ、しまった!?」

 

そう言うと、いつの間にか溶断ブレードを収縮していた左手から再び溶断ブレードを急激に出し、コウマのドリルを溶かす。

 

コウマ「ぐわあぁ!!!」

 

溶断ブレードとぶつかった衝撃で後ろへ飛ばされた。

 

それを見てベータは付加術(エンチャント)で自分の手と起き上がるコウマに、自然回復力を高めた。それでもベータたちが劣勢であることには変わりない。

 

ベータ「くっ…!防御を上げてもこんなにダメージかくるのかよ」

 

トール「さあどうする?このままいけばベータの魔力が切れる。そうすれば全ての付加術が解除され、そっちが負けるのは時間の問題だぜ。

 

 

だが、その前にお前らに聞きたいことがある」

 

トールはブレードをしまい、余裕があるように言うが、顔は少しも笑っていない。

 

トール「なんで俺たちを今更海底神殿なんかに連れていくんだ。〝あの件〟はもう終わったはずだろ?」

 

その問いに対して二人は淡々と返す。

 

ベータ「確かに、終わったもんは終わったけどな、新しく用ができちまったんだよ。」

 

コウマ「まったくもったいないぜ。これはおまえらにとっても有益な話なんだぜ?」

 

トール「有益ねえ……」

 

その用とは何なのか。それを聞いてもどうせ答えないだろうからトールとマユミは聞かない。

 

 

そしてコウマが右手をトールたちがいる前方に向け、左手で右手首を掴むと、ベータはコウマの背中を両手で触る。

 

コウマ「まー安心しろ。次目覚めたら知らない天井で、周りには懐かしー奴等が勢揃いになるさっ!」

 

すると、コウマの右手から直径5メートル程の金を錬成する。

 

コウマ「確かに、お前の雷神魔法は出力を上げれば俺の魔法を溶かし尽くす。だが無敵というわけではない」

 

大きな金が大砲よりも大きい槍の形へ変わり、螺旋回転を始める。

 

コウマ「その溶断ブレードは勢いよくぶつかれば弾かれることもあるし、長く出しすぎるとお前の手首が耐えられなくなる」

 

ベータ「いくら金属を溶かそうが、それ以上に金属を錬成すればオレたちがくらうことはない!」

 

コウマ「行け!ゴールドロンギヌス!!!」

 

コウマの言葉と同時に金色の槍が回転しながらトールとマユミに向かってきた。さらに、ベータがコウマを援助することでコウマの錬金速度が増し、どんどん槍が長くなってゆく。

 

トール「はぁっ!!!」

 

トールは手の十本全ての指からブレードを出し、向かってくる槍を塞き止める。コウマの予想通り、ブレードが当たっている槍の先端から溶け出しているが、錬金速度を増していることでトールたちが押されていることは明らかだ。

 

トール「まだまだぁ!更に出力を十倍だ!!!」

 

ここでトールも押されるままでは黙っておらず、出力を十倍増して応戦する。

 

そのトールを見て、マユミも黙ってはおられず、トールの横にたつ。

 

マユミ「私もやる…!サンダーボルトハリケーン!!!」

 

マユミの両手から、まるで台風のような雷を横向きに放つ。トールとマユミの力でロンギヌスをどんどん溶かして押し込み、もう少しでロンギヌスを完全に弾き返すことができるところまできた。

 

 

だが、ここでトールも予想つかないことがおきた。

 

 

ベータ「ロンギヌスに……〝滅神〟の魔力を付加(エンチャント)!!!」

 

ベータの両手からコウマの体を伝わり、ロンギヌスに淡い光が宿った。

 

すると、ロンギヌスを押し返そうとしていたブレードが弱まっていくのが感じられた。いや、正確にはロンギヌスとぶつかっているブレードの先端が槍を押し返せなくなっていた。

 

トール「な、なんだと!?まだ新たにエンチャントできる魔力が残ってるって言うのか!!?下手すれば体がぶっ壊れるかも知れねえんだぞ!!!」

 

ベータ「これも……オレ達の理想のためだ!!!」

 

これでトールたちは再び劣勢になった。

 

 

付加術(エンチャント)は、通常人や物などに魔法付加を与える魔法だが、魔導士としてのレベルが高く、ある一定量の魔力の器を越えると、複数の物体に付加させることができる。

 

勿論それには限度があり、無理に重ねれば重ねるほど暴発が起こりやすくなり、魔力も大幅に削られ、全ての付加術が解除されてしまう。

 

だが、その限度をベータは無理矢理飛び越えた。

 

ベータ「限界までやんねえと強くなれねえだろうが!限界は〝迎える〟もんじゃねえ、〝越える〟もんだろうが!!!

 

 

その覚悟を見せてやる!『鉄血転化』ァ!!!」

 

 

 

 

その時、トールは形容しがたい寒気が身体中を巡った。

 

ベータから感じる魔力が急激に高まったのを感じた。

 

トール「(『鉄血転化(てっけつてんか)』………身体能力が上昇し、魔力の器を強制的に成長させることで限界を越えた力を手にすることができる。その後魔力の器は成長させた時の大きさとなり、使える魔力が多くなるが数日は身体中に激痛が走る。

 

つまり魔力の器を強制的に成長させ、俺のブレードを弱体化させるようにしたってことかよ……!!!)」

 

マユミ「(なんて強い信念なの……!!!このままじゃやられる!!!)」

 

トール「ベータ…コウマ…おまえらすげえよ。あの時から俺は死に物狂いで努力した。でも、おまえらはそれに負けないくらい努力したんだな」

 

あまりの信念に、トールは言葉をもらす。

 

トール「だが……俺はこんなところで……負けるわけにはいかねえんだよ!!!」

 

トールは両足に力をいれ、さらに魔力を高めようとする。

 

トール「マユミ!俺のブレードをお前の魔法で一つにまとめてくれ!早く!」

 

マユミ「う、うん!」

 

トールがそう言うとマユミはトールの後ろに行き、両手から紫色の雷をだす。

 

マユミ「ヴィオーラ・バレーノ」

 

紫色の雷は、トールの十本の溶断ブレードの周りのあちこちに張り巡り、一つの大きい溶断ブレードとなった。

 

コウマ「へっ。いくらブレードを一つにまとめようが、〝滅神〟の力をもったこのロンギヌスの前には無力だ!」

 

コウマは力をいれ、決着をつけようとする。

 

トール「そっちが限界を越えたなら、こっちだって越えてやる!ブレード同士がぶつかると弾かれて手がイカれちまうが、マユミによってそれもなくなった。これで何も心配することはない!

 

くらえ、さらに出力を十倍にした百倍のブレード、超電磁砲(レールガン)!!!」

 

出力を急激に増したブレードは付加されたロンギヌスを物ともせずに押し返し、

 

 

 

「「なにっ!!?」」

 

 

打ち破った。

 

 

ベータとコウマは爆発と衝撃をくらって意識を奪われ、後方へと吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

 

 

 

大きな爆発と轟音が治まると、前方の壁が砕け散って、空と海が見えていた。

 

レールガンに押しきられたロンギヌスごと壁を破壊してしまったようだ。

 

マユミ「な、なんとか勝てたね……」

 

トール「ああ。だが奴等はまだ生きてる」

 

マユミ「え!!?」

 

倒したと思って安堵していたマユミだったがトールの一言で地面に座るのを止める。

 

トール「恐らくコウマが最後まで錬成していた金が盾になってそのまま外まで吹き飛んでいったんだろう。生身を貫いた感覚がなかった」

 

マユミ「そ、そういうのって、感覚でわかるものなの?」

 

トール「指にかかる僅かな感覚でな。まああいつらももう魔力は残ってねえ。もう襲ってくることはねえだろ」

 

トールは大量の魔力を使ったことによる脱力感に流されるままにその場に座りこむ。それにならってマユミも座った。

 

トール「これでベータたちのことは一先ず大丈夫だ。次は「あ、ちょっと待って」……どうした?」

 

マユミ「ショウから連絡が入った。私も一応シモンたちに連絡するね」

 

トール「おお、そうだな」

 

 

マユミは思念伝達魔法でシモンたちに連絡をとりあう。トールはベータに封じ込まれていた魔法をいくつか出すことでちゃんと戻っていることを確認する。

しばらくすると会話が終わり、トールに報告する。

 

マユミ「ショウくんからの連絡で、最後の一人を倒したって!」

 

トール「そうか。だが問題はジェラールとエーテリオンだ」

 

喜ぶのは早いとばかりにマユミにそう告げる。

 

トール「エーテリオンなんて撃たれたら俺たちは全員あの世行きだ。それはジェラールも例外じゃない。だがジェラールは物怖じとしてない。いや、むしろ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

マユミ「!?そ、そういえば確かに……」

 

トールは立ち上がり、ズボンについた汚れを手で払う。

 

トール「何が目的かは知らねえけど、早くジェラールを倒してここから離れねえと大変なことになるぞ。おまえは脱出してみんなと合流するんだ。俺はジェラールのところへ行く」

 

マユミ「そ、そんな!?む、無茶だよ!多少魔力が回復したとしてもジェラールはまだ無傷なのよ!」

 

トール「それでもやるしかねえんだ。マユミも早く脱出するんだ」

 

これ以上は何をいっても無駄だと思い、マユミも諦める。

 

マユミ「……わかった。で、でも、ちゃんと帰ってくるって約束してね!」

 

そういってマユミはトールと別れ、階段を降りていった。

 

残ったトールはマユミと反対方向を進み出す。

 

トール「多分もうエルザはジェラールのところにいるだろう。加勢する必要なんかねえと思うが、もしエルザがジェラールと一緒に死ぬつもりなら……そんなことは絶対させねえ!みんなでギルドに帰るんだ!!!」

 

そう言って、サイコキネシスでスピードを上げながらジェラールのもとへむかう。

 

 

 

エーテリオン投下まで、あとわずか

 

 





魔法拘束(マジックバインド):相手の魔法を封じる、付加術の一種。

ドリルスマッシャー:手に大きなドリルを錬金させる。

ゴールドロンギヌス:大砲よりも大きい槍を錬成し、回転させて放つ。錬成し続けることで槍を長くすることもできる。

サンダーボルトハリケーン:台風のような雷を放つ。

ヴィオーラ・バレーノ:紫電の雷をだす。この色の雷は粘着力が強い。

超電磁砲(レールガン):高出力の溶断ブレードを一つにまとめ、超強力なブレードとして放つ。普段トールはサイコキネシスでブレードをまとめている。

鉄血転化:身体能力が上昇し、魔力の器を強制的に成長させることで限界を越えた力を手にすることができる。その後魔力の器は成長させた時の大きさとなり、使える魔力が多くなるが数日は身体中に激痛が走る。



なんか、今回の闘いをなんとかこの話で終わらせたいなぁとかもうちょっと話を付け加えないと不自然になるかなぁとか思ってたら、保存してたときの倍近くの文字数になっちゃった。自分でもこんなに書いたんかとびっくりしてます。

なのでこの話で起きたことを簡単にまとめます。

前回四人が会合し、闘いが始まる。

そのうち、ベータによるトールの雷神魔法以外の拘束とコウマのだす金属を絶縁体にする付加術でトールたち劣勢。

このとき、パオラたちとウォーリーたちが合流して脱出。

トールがミョルニルによる溶断ブレードの強化。形成逆転。

ここでコウマとベータが大技で逆転を狙う。トールはブレードの出力を十倍に上げて、マユミと一緒に押しきろうとする。

しかし、ベータの付加術で槍に〝滅神〟の力を与えてブレードを弱体化させる。

付加術の併用のしすぎで暴発しそうになるところをベータ鉄血転化で乗りきる。

トールはマユミに自分の十本のブレードを一つの大きいブレードにまとめさせて、出力を百倍にして二人を撃退

トールはマユミと別れてジェラールのところへ向かう。

という感じですかね。



錬金だか錬成だかをめっちゃ書いた気がします。このときはこの言葉だろとかは大目に見てください。

鉄血転化は、魔法と言うよりは秘術に近いですね。ホワイトドライブやシャドウドライブと似たようなものです。さらに詳しいことはまた今度にします。


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運命と光と偽り

先に言っときます。

トールはジェラールとは戦いません。ナツに頑張ってもらいます。


 

──魔法評議会本部ERA──

 

 

時は少々遡り、評議院の議長が体調を崩して欠席しているなか、残りの9人でエーテリオンを投下するか否かを決定していた。

 

初めは賛成2と反対7で否決されたが、ジェラールの正体と目的をジークレインが話すことによって他の評議員も一転。マカロフと昔から親展のあるヤジマ以外は全員が賛成し、楽園の塔へのエーテリオン投下が決定された。

 

そして時間が過ぎ、着々とエーテリオン発射準備が整ってゆく。

それを眺めるジークレインにウルティアが話しかける。

 

ウルティア「いよいよですわね。ジークレイン様。あなたの8年の想いが実現するのです」

 

ジークレイン「お前は怖くないのか、ウルティア」

 

ウルティア「ええ、少しも。私はいつでもジーク様を信じてますから」

 

ウルティアはジークレインの隣に立つ。

 

ジークレイン「そりゃあそうか。()()()()()()()()()()()。だが、オレは少し震えてるよ」

 

 

ジークレインはエーテリオンの射出台を見上げる。

 

 

 

ジークレイン「失敗したらオレは死ぬ」

 

 

 

ヤジマ「(失敗(スっぱい)したら()ぬ……?)」

 

ヤジマは、二人の会話を魔法で隠れながら聞いていると気になる言葉が入ってきた。

 

ジークレイン「だが、命をかける価値は十分ある

 

これがオレの理想だからだ」

 

ヤジマ「(………?)」

 

ジークレインの言葉にウルティアも同意する。その様子にヤジマは怪訝な顔をする。

 

そのときのジークレインの口は邪悪な笑みに歪んでいた。

 

 

 

──楽園の塔近海──

 

アニス「あ、いた!おーいグレイ!ハッピー!」

 

グレイ「アニス!ルーシィ!ジュビア!」

 

ハッピー「みんな無事だったんだね!」

 

行きに乗ってきたボートに先に乗っていたグレイとハッピーにアニスは声をかけ、全員で無事を確認する。

 

ハッピー「でもオイラたち全員で乗るには大きさが足りないんじゃないかな?」

 

グレイ「しょうがねえだろ。これしかなかったんだからよ」

 

パオラ「さて、あとはトールとナツとエルザに……」

 

ウォーリー「ショウとマユミ、ダゼ」

 

ルーシィ「そして敵はジェラールだけね」

 

そうしていると今度はショウが合流し、続けてマユミがやってきた。

 

グレイ「ちっ!まずいぞ……あと少しでエーテリオンが落ちてしまう!」

 

ジュビア「ジェラールを倒せば早くここから脱出できるんですけどね……」

 

ルーシィ「ねえ、ジェラールってどれくらい強いの?」

 

ここでルーシィは疑問に思ったことを言うが、マユミたちはすぐに口を開くことはなかった。その理由は、ジェラールの強さを知らないからである。

 

ミリアーナ「みゃあ。私たちってジェラールが戦っているところを見たことないし」

 

マユミ「で、でも、シモンくんが言ってたんだけど、ジ、ジェラールにはジークレインっていうお兄さんがいて、その人は評議院なんだけど聖十大魔導の一人でもあるって」

 

パオラ「ということは、ジェラールもそいつと同等クラスってことよね」

 

そう言うが、自分達ではどうすることもできない。グレイたちは戦闘で体力と魔力を消耗しており、自分達が行ったところで足手まといにしかならない。

 

だから自分達にできることと言えば、戦っている者の勝利を信じることである。

 

 

 

 

 

──楽園の塔最上階──

 

ここにただ一人椅子に座っているジェラールが三羽鴉に見立てた駒を倒し、不気味に微笑んだ。

 

ジェラール「やれやれ、ゲームはもう終わりか」

 

エルザ「人の命で遊ぶのがそんなに楽しいか」

 

階段を上りきり、最上階へとたどり着いたエルザの声は怒りがこもっている。

 

ジェラール「楽しいねぇ、生と死こそが全ての感情が集約される万物の根源。……逆にいえば命ほどつまらなく、虚しいものもない」

 

エルザの問いに対し、ジェラールは楽しそうな声で答えた。

 

ジェラール「久しぶりだな、エルザ」

 

エルザ「ジェラール」

 

ジェラール「その気になればいつでも逃げ出せたハズだが?」

 

エルザ「私はかつての仲間たちを解放する」

 

ジェラール「かまわんよ、もう必要ない。楽園の塔は完成した」

 

エルザ「あと10分足らずで破壊されるとしてもか?」

 

ジェラール「エーテリオンの事か?ククク……」

 

椅子から立ち、笑いながらエルザに近づくジェラール。

 

エルザ「その余裕……やはりハッタリだったか」

 

ジェラール「いや……エーテリオンは落ちるよ」

 

エルザは力強く刀を握り、ジェラールを睨みつける

 

 

エルザ「それを聞いて安心した!!!10分貴様をここに足止めしておけば、全ての決着がつく!!!」

 

 

ジェラール「いや、オマエはゼレフの生贄となり死んでいく、もう決まっている………それが運命(デスティニー)だ」

 

 

エルザに対しジェラールは被っていたフードを取り、冷静に言った。

 

ジェラール「正確に言えばあと7分だ。あと7分でエーテリオンはここに落ちる、この7分間を楽しもう、エルザ」

 

エルザ「今の私に怖れるものは無い、たとえあと何分でエーテリオンが落ちようと、貴様を道づれにできれば本望」

 

ジェラール「行くぞ!!!」

 

剣を構えるエルザにジェラールが闇の怨念の塊を繰り出して攻撃する。

 

しかしエルザは素早くかわし、怨念を斬り捨てる。

 

その隙にジェラールは飛び上がるエルザの腹部を狙って衝撃波で吹き飛ばす。

 

エルザ「ぐっ!?」

 

吹き飛ばされたエルザは、塔の壁を突き抜けて落下するが、一緒に落ちてくるガレキを足場にして再びジェラールに斬りかかる。

 

エルザ「せっかく建てた塔を自分の手で壊しては世話がないな」

 

ジェラール「柱の一本や二本、ただの飾りにすぎんよ」

 

エルザ「その飾りを造る為にショウたちは8年もお前を信じていたんだぞ!!!」

 

更に怒りを込め、剣をふるうエルザ。だがジェラールの余裕は変わらない。

 

ジェラール「いちいち言葉のあげ足をとるなよ。重要なのはRシステム。その為の8年なんだよ。そしてそれは完成したのだ!!!」

 

エルザ「がはっ!!」

 

ジェラールの右手に込めた魔力で放った怨念がエルザの体にまとわりついた。

 

 

ジェラール「!!」

 

 

しかしエルザは自慢の剣術で怨念を全て斬り払う。

 

エルザ「はぁ!!!」

 

ジェラール「ぐあっ!?」

 

エルザの攻撃がジェラールの腹部をとらえ、ジェラールはそのまま後ろへ吹き飛ばされた。

 

ジェラール「(これが………あのエルザだと!!?)」

 

斬撃による痛覚でジェラールは怯んでしまう。

 

エルザはその隙をついてジェラールを取り押さえ、左手でジェラールの右手首をつかみ、首元に剣を突き付ける。ジェラールの左手は足で拘束している。

 

ジェラール「くっ…!」

 

エルザ「お前の本当の目的は何だ?本当はRシステムなど完成してはいないのだろう?」

 

ジェラール「!!!」

 

エルザ「私とて8年間何もしてなかった訳ではない、Rシステムについて調べていた……確かに構造や原理は当時の設計図通りで間違っていない。しかしRシステムの完成には肝心なものが足りてない」

 

ジェラール「言ったハズだ……生贄はお前だと……」

 

エルザ「それ以前の問題だ。足りてないものとは〝魔力〟。

この大がかりな魔法を発動させるには27億イデアもの魔力が必要になる。これは大陸中の魔導士を集めてもやっと足りるかどうかというほどの魔力だ」

 

ジェラールは確信づいた事を言われ、冷や汗を流す。

 

エルザ「人間個人ではもちろん、この塔にもそれほどの魔力を蓄積できるハズなどないのだ……そのうえお前は評議院の攻撃を知っていながら逃げようともしない………お前は何を考えているんだ」

 

ジェラール「エーテリオンまで……あと3分だ……」

 

エルザ「ジェラール!!!お前の理想(ゆめ)はとっくに終わっているんだ!!!!」

 

ジェラールの手首を握りしめるエルザ。その痛みでジェラールは顔を歪める。

 

エルザ「ならば共にいくのみだ!!!私はこの手を最後の瞬間まで放さんぞ!!!」

 

ジェラール「あぁ。それも悪くない……」

 

半ば観念したような表情を浮かべるジェラール。

 

ジェラール「オレの体はゼレフの亡霊にとり憑かれた。もう何も言うことをきかない………ゼレフの肉体を蘇らす為の人形なんだ」

 

エルザ「とり憑かれた?」

 

ジェラール「オレはオレを救えなかった……仲間も誰もオレを救える者はいなかった。楽園など……自由など……どこにもなかったんだよ」

 

エルザ「!」

 

ジェラール「全ては始まる前に終わっていたんだ」

 

ジェラールがそう言ったのち、空に一筋の光が生まれる。その中から巨大な魔法陣が現れ、魔力が集まってゆく。

 

それと同時に楽園の塔とその近海が大きく揺れ始める。

 

エルザ「Rシステムなど完成するハズがないと分かっていた。でも、ゼレフの亡霊はオレをやめさせなかった……。もう、止まれないんだよ、オレは壊れた機関車なんだ………」

 

 

するとジェラールはエルザを見据え、その瞳に決意を浮かべて言った。

 

 

ジェラール「エルザ。おまえの勝ちだ……オレを殺してくれ。その為に来たんだろ?」

 

 

エルザ「……私が手を下すまでもない。この地鳴り……すでに衛星魔法陣(サテライトスクエア)が塔の上空に展開されている」

 

そう言ったエルザは握っていた剣を捨てる。

 

エルザ「終わりだ……お前も、私もな」

 

ジェラール「不器用な奴だな………」

 

エルザは握っていたジェラールの手首を放し、ジェラールの上から降りる。ジェラールは体を上半身だけ起こす。

 

エルザ「お前も……ゼレフの被害者だったのだな」

 

ジェラール「これは自分り弱さに負けたオレの罪さ……理想(ゆめ)現実(げんじつ)のあまりの差に、オレの心がついていけなかった」

 

エルザ「自分の中の弱さや足りないものを埋めてくれるのが……仲間という存在ではないのか?」

 

ジェラール「エルザ……」

 

エルザ「私もお前を救えなかった罪を償おう」

 

ジェラール「オレは……救われたよ」

 

そう言ったジェラールは強引にエルザを抱き寄せた。

 

エルザはそのジェラールの行動に抵抗もせずに受け入れた。

 

 

そしてその直後、眩い光が塔全体に降り注ぐ

 

 

 

トール「この光……!!!」

 

最上階まで走っていたトールは迸る光に思わず眼を細め、足が止まる。

 

 

 

シモン「間に合わなかったか………」

 

壁に項垂れるシモンは空からの光を見て諦めるように呟いた。

 

 

 

ナツ「エルザァ!!!」

 

階段をのぼっていたナツも外の光が激しく光っているのを感じる。

 

 

 

そしてついに衛星魔法陣(サテライトスクエア)に魔力がフル充填され、

 

 

裁きの光、エーテリオンが発射されて楽園の塔に降り注ぐ。

 

 

 

 

その際、ジェラールに抱き寄せられていたエルザは、

 

 

 

 

自分の見えないところで

 

 

 

 

 

ジェラールが笑っていることに気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

オーグ「むぅ……」

 

オーグ老師は後悔していた。自分達の選択は本当に正しかったのかを。

 

いくらゼレフ復活を阻止するためとはいえ、犠牲者の命は戻ってこない。自分達の行動をどう正当化しようが、犠牲者の家族の心は癒されないのだ。

 

 

だが、ここで監視用魔水晶(ラクリマ)に異変がおこる。

 

 

「ほ、報告します!爆心地中央にエーテルナノ中和物を確認!融合体濃度急速に低下!別エネルギーと思われる高魔力発生!!!」

 

魔水晶の操作役の者たちが監視用魔水晶の映像を回復させようと動きだし、タッチパネルを操作して修正を始める。

 

「映像、回復します!」

 

魔水晶(ラクリマ)の映像が鮮明になってきた。本来なら、『エーテリオン』が落ちたことでただの海上に変わり果てているはずの映像を見ることになる。

 

 

しかし、監視用魔水晶(ラクリマ)に映ったそれは、誰もが予想できない結果となってしまった。

 

 

 

 

エーテリオンによる爆煙がだんだん晴れてくると、ちらほらと水色の何かが見えてくる。

 

ハッピー「あれって……水晶……?」

 

グレイ「いや……魔水晶(ラクリマ)だ」

 

パオラ「なんで、あんなものが……」

 

 

 

 

 

 

トール「何だこれは……エーテリオンは落ちたんじゃなかったのか……」

 

 

 

ナツ「いってぇ……何がどうなってやがる」

 

 

 

シモン「な、なぜ……オレは生きてる……?」

 

 

 

 

 

 

エーテリオン投下の煙が晴れるとそこには今まで気味の悪かった建物の代わりに、途方もない魔力が込められた水晶が楽園の塔とほぼ同じ大きさと形で立っていた。

 

ルーシィ「な、なに…あれ?」

 

ショウ「Rシステムだ」

 

パオラ「あ、あれが……」

 

ショウの言葉に息を飲むルーシィたち。

 

ウォーリー「アレが俺たちが造っていた楽園の塔の本当の姿だゼ」

 

マユミ「さ、作動してる」

 

ルーシィ「作動って……ゼレフが復活するの!?」

 

ショウ「わからない。俺たちだって作動しているのは初めて見たんだ」

 

 

 

 

 

 

そして戸惑っているのは中にいた者たちも同じ。目を開けたエルザが目にしたものは、辺り一面が輝く水晶に囲まれていた。

 

エルザ「な、なんだこれは……いったい何が起こった?」

 

エルザが周りを見ていると抱きしめていたジェラールがエルザから離れ、立ち上がった。

 

ジェラール「くく………アハハハハハっ!!!!ついに……ついにこの時が来た!!」

 

ジェラールは腕を広げ、大いに喜んだ。

 

エルザ「お、お前…」

 

ジェラール「驚いたかエルザ。これが楽園の塔の真の姿、巨大な魔水晶なのだ。そして評議院のエーテリオンにより、27億イデアの魔力を吸収することに成功した!!!ここにRシステムが完成したのだぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

映像が晴れ、楽園の塔が消えたと思ったらそこには巨大な魔水晶の塔が立っており評議院は困惑していた。

 

「なんだあの塔は!?」

 

「凄まじい魔力反応です!」

 

「あんな魔力を一ヶ所に留めておいたら暴発するぞ!!!」

 

評議院のメンバーは慌ただしく、確認を行うが何が起こっているかわからない。

 

しかし、ヤジマには起こったことが理解できた。いや、できてしまった。

 

ヤジマ「やられた……やられたっ!!!くそぉっ!!!」

 

ヤジマはジークレインの罠にはまったことに気づき、ジークレインを探す。

 

ヤジマ「あやつはどこにおるっ!!!」

 

するとERAの建物にヒビが入り崩れていく。

 

「何だこれは!?」

 

「建物が急速に老朽化している!!?」

 

オーグ「失われた魔法(ロストマジック)、時のアークじゃと!!?」

 

建物の崩壊で全員が慌てて逃げる中、ヤジマはその中央で魔法を行使しているウルティアが目に入った。

 

ヤジマ「ウルティア!?」

 

ウルティア「全てはジーク様……いえ、ジェラール様のため。あの方の理想(ゆめ)は今ここに、叶えられるのです」

 

 

 

 

 

 

エルザ「貴様……騙したのか……」

 

騙されたことによる怒りでエルザは震えるが、まだ気持ちの整理がついていない。そこに声がかけられる。

 

「可愛かったぞ。エルザ」

 

エルザ「え…!?」

 

エルザがその声のもとを振り返るとそこにはERAにいるはずのジークレインが立っていた。

 

エルザ「ジークレイン!?」

 

ジークレイン「ジェラールは本来の力を出せなかったんだよ。本気でやばかったから騙すしかなかった」

 

ジークレインがそう言いながら、ジェラールの隣に立つ。

 

エルザ「な……なぜ貴様がここに!?」

 

ジークレイン「初めて会った時の事を思い出すよエルザ。マカロフと共に始末書を提出しに来た時か、ジェラールと間違えてオレに襲いかかってきた」

 

エルザは驚きの連続に頭が追いつかないでいた。

 

ジークレイン「双子と聞いて、やっと納得してくれたよな。しかし、お前は敵意を剥き出しにしていたな」

 

エルザ「当たり前だ!貴様は兄でありながらジェラールのことを黙っていた!いや、それどころか貴様は私を監視していた!!!」

 

ジークレインはエルザの問いに答えずに話し、エルザも言い返すがジークレインは不敵な笑みを浮かべるだけだった。

 

ジークレイン「そうだな……そこはオレのミスだった。あの時は〝ジェラールを必ず見つけ出して殺す〟とか言っておくべきだった。しかし、せっかく評議院に入れたのにお前に出会ってしまったのが一番の計算ミスだな」

 

ジェラール「とっさの言い訳ほど苦しいものはない」

 

エルザ「そうか……やはり貴様らは結託していたんだな」

 

ジェラールとジークレインの物言いに確信を得たエルザは2人にそう言ったが2人の言葉はまだ終わらなかった。

 

ジークレイン「結託?」

 

ジェラール「それは違うぞエルザ」

 

 

その言葉の直後、ジークレインの体にノイズが走る。

 

 

「「俺たちは元々一人の人間だ。最初からな」」

 

 

 

その瞬間、ジークレインはジェラールと重なり、1人になった。

 

 

エルザ「そんな……まさか、思念体!?」

 

ジェラール「そう、ジークは俺が作り出した思念体だ」

 

 

そう。つまりジェラールは一人二役だったのだ。一人は楽園の塔を完成させるために、もう一人は評議院に忍び込んでエーテリオンを打つために。

 

ジェラール「仮初めの自由は楽しかったかエルザ?全てはゼレフを甦らすための布石だったんだよ」

 

エルザ「貴様はいったいどれだけのものを欺いて生きて来たんだァ!!!」

 

エルザは怒りに打ち震える。

 

それに対して、ジェラールは力をいれ、魔力を高めてゆく。

 

 

ジェラール「フフ……力が、魔力が戻って来たぞ」

 

ジェラールは分割していた魔力が元に戻るのを実感し、計画は最終段階へと進んでいく。

 



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天体魔法

そういえば皆さんはフェアリーテイルのopとedの中でどの曲が好きですか?中々の名曲揃いだと思いますが。

自分としては一番いいのはopでは「R.P.G.〜Rockin' Playing Game」、edでは「Landscape」ですね。


トールside

 

 

トール「いってぇ……」

 

エーテリオンが落ちて時間がたつ。眩しい光が収まって目が冴えてくると、辺りを見渡せば周りすべてが淡い水色の魔水晶(ラクリマ)が目にはいった。

 

この状況から判断すると、俺たちがさっきまでいた塔がエーテリオンを取り込んだとでも言うのか。んでもって、Rシステムが完成してしまったということか。

 

だがおかしい。それだと評議院にジェラールの味方がいないと成り立たない。買収でもしたか?

 

いや待てよ……確か俺とエルザがララバイの件で評議院に行ったときに、エルザがジークレインのことを〝悪〟とかなんとか言ってたな。それにマユミによると、ジークレインとジェラールは兄弟らしいな。ということは、エルザの過去とジェラールたちとの関係から予想するにあたって、やはりジークレインがグルってことか。

 

となると、ウルティアはどうなんだろうな……何も関係ないのか、または関係大アリなのか。

 

まあ今それを考えてもしょうがない。多分ナツもまだ残っているはずだから、一緒にエルザと合流しておくか。早くここから脱出しないと、万が一もう一発打ってこられたらマジで終わりだからな。

 

トール「それにしても、思った以上に魔力の消耗が激しいな……仮にジェラールがジョゼと同じくらいの強さだとしたらちょっと分が悪いな……」

 

 

自分の体の調子を確認しながらラクリマを触って調べていると、

 

 

 

 

ぐにゃり

 

 

 

 

 

 

という音と共に、足場がぐらつき始めた。

 

 

トール「うおっ!?な、なんだ!?」

 

突然のことに驚いてしまい、バックステップで離れるが、

 

 

 

 

 

ブニョン…ブニョン…

 

 

 

 

 

トール「うわ気持ち悪っ!?」

 

避けた先でも足場が安定しないので、サイコキネシスで浮かび上がる。まるでいきなり泥のなかに入ったような感じだったな……。

 

まさかこの塔……エーテリオンの膨大な魔力を維持できていないのか……?

 

だとしたらまずいぞ。こんな不安定な状態は遅かれ早かれ崩壊する。

 

さっきこの塔は俺を取り入れることで安定させようとしていたんだ。俺を殺す気か。

 

むぅ……どうしようか。俺がラクリマとひとつになって魔力を逃がすという作戦は俺の命が保証できないので最終手段にしよう。とすれば、ちょっとずつ魔力を放出していくか?いや、これも危険だな。ある程度は上手くいっても途中で暴走するのがオチだ。

 

今のところのベストは、巨大なイージスバリアでこの塔を覆うしかないか。暴走を止めることはできないかもしれねえけど、被害は最小限に抑えることができるかもしれねえ。幸運なことに、ここにはエーテリオンの魔力がある。こいつを使ってバリアを張ればなんとかなるだろう。

 

 

そうと決まれば、エルザたちと合流しよう。あっちのほうがどうなっているかも知りたい。

 

 

 

 

 

 

 

──楽園の塔最上階跡──

第三者side

 

 

ジェラール「ほらほら、さっきまでの威勢はどうした? 斑鳩との戦いで魔力を使い果たしていたか?」

 

エルザ「ジェラール!!!」

 

ジェラールの言葉に、エルザは剣を換装し、ジェラールに向かって振りかざす。しかしジェラールに簡単に避けられる。

 

ジェラール「今頃評議院は完全に機能を停止している。ウルティアには感謝しなければな。あいつはよくやってくれた。楽園にて、すべての人々が一つになれるのなら死をも怖れぬと……まったく、バカな女であることに感謝せねばな」

 

エルザ「貴様が利用してきた者たち全てに呪い殺されるがいい!」

 

 

そう言うとエルザはもう一度剣を構え直し、ジェラールに向かって突進していく。すると突然エルザの動きが止まった。

 

エルザ「な、何だこれは……!?」

 

 

エルザは自分の体を見ると、そこには蛇のような模様が浮かびながら身体中を巡り、その蛇の模様がエルザの体を縛り付ける。その際力が入らなくなって、剣を落としてしまう。

 

 

ジェラール「拘束の蛇(バインドスネーク)、さっき抱き合った時につけておいたものだ」

 

エルザ「か、体が……動かん……!!!」

 

 

これにより、完全に動きを封じられたエルザ。

 

ジェラール「Rシステム作動の為の魔力は手に入った。あとは生け贄があれば、ゼレフが復活する。もうお前と遊んでる場合じゃないんだよエルザ。この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶(ラクリマ)にお前の体を融合する。そしてお前の体は分解され、ゼレフの体へと再構築される」

 

エルザ「がっ……!」

 

ジェラールがそう言うと同時に、エルザの体が近くのラクリマに吸い込まれ始める。

 

ジェラール「お前の事は愛していたよ、エルザ」

 

エルザ「ああああああ!!!くそっ!くそぉっ!!!」

 

 

ジェラールの言葉など聞こえず、エルザは段々とラクリマに吸い込まれていく。

 

 

ジェラール「偉大なるゼレフよ!!!今ここに!!!この女の肉体を捧げる!!!」

 

エルザ「ジェラール………」

 

ジェラールが両手を挙げてそう宣言するとラクリマから魔力が溢れ始める。

 

 

エルザ「ジェラァーーールゥゥーーー!!!!」

 

 

エルザが左目から涙を流しながら悔しそうにジェラールの名を叫ぶ。だがジェラールは耳を貸さない。そして完全にラクリマに取り込まれそうになったその時……

 

 

 

ナツ「おっと」

 

 

 

 

ジェラールへと伸ばしていた手をナツががっしりと掴み、ラクリマからエルザを引っ張り出した。

 

ナツ「エルザは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だ。渡さねーぞ」

 

 

ニヤッと笑いながらそう言うナツはエルザを横にする。

 

 

エルザ「ナツ……」

 

ナツ「な~にしてんだよ。早く帰って仕事行かねーと今月の家賃払えねーぞ、ルーシィが」

 

エルザ「ス…スマン……体が……動かなくて…」

 

ナツ「ほ~う」

 

 

それを聞いたナツは意地の悪い笑みを浮かべる。すると、ナツはエルザの体をくすぐり始めた。

 

ナツ「普段ヒデェ目にあってるからな!これでもくらえっ!」

 

エルザ「や…やめっ」

 

ナツ「かっかっかーーっ!」

 

しばらくくすぐっていたが、すぐに飽きたので辞める。

 

エルザ「ナツ……今すぐここを離れるんだ……」

 

ナツ「やだね。お前が無理なら代わりにオレがやってやる」

 

エルザ「よせ…相手が悪い……おまえはあいつを知らなすぎる」

 

ナツ「知らなきゃ勝てねえもんなのか?」

 

エルザ「頼む。言う事をきいてくれ……」

 

 

そう懇願するエルザの目には涙が浮かんでいた。すると、それを見たナツがエルザを立ち上がらせ、抱きかかえる。

 

ナツ「エルザ、オレもお前を全然知らねえ」

 

エルザ「え?」

 

ナツ「けど──」

 

 

ナツは左拳を強く握り、

 

 

ナツ「勝てる!!!」

 

 

エルザの腹を殴り、エルザを気絶させる。この行動にはジェラールも驚いていた。そしてナツは再びエルザを寝かせる。

 

ジェラール「噂以上の傍若無人ぶりだな。身動きできねー仲間を痛めつけて満足か」

 

 

ナツ「エルザが……泣いてた。

 

 

弱音をはいて、声を震わせていた。そんなエルザは見たくねえ。エルザは強くて凶暴でいいじゃねえか。

 

 

(悪い夢)が覚めた時、いつものエルザでいて欲しいから」

 

 

ナツは魔力を解放し、

 

 

ナツ「オレが戦うんだ!!!」

 

 

ジェラール「面白い。見せてもらおうか、ドラゴンの魔導士の力を」

 

 

ジェラールを強く睨み付けた。それに対してジェラールは笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コウマ「………ん。ここは……?」

 

ベータ「目が覚めました?」

 

とある海岸で、意識を失っていたコウマが目を覚まし、すでに起きていたベータが声を掛ける。コウマたちの周りには誰もいなく、打ち寄せる波の音がよく聞こえる。

 

コウマ「楽園の塔、じゃない……?」

 

ベータ「わたしたちももう魔力が残ってないし、エーテリオンが落とされたので、わたしたちがあそこにいる意味はもうないから撤退しました」

 

周りをキョロキョロ見渡しながら疑問を浮かべるコウマにベータが告げる。

 

コウマ「……いーのか?トールはともかく、マユミはこの機会を逃せば探しにくくなっちまうぞ?」

 

ベータ「しょうがないでしょう?トールがあそこまでやるとは思いませんでした。今さら戻ったところで何もできません。

 

それに、マユミさんのことならわたしに考えがあります。ひとまず海底神殿に戻りましょう。話はそれからです」

 

コウマ「そうかい。まあ今は海底神殿に戻って休むとするか。あいつらもいるだろうし」

 

ベータ「ええ。パーツとなるものは直に揃っていきます。焦らずにいきましょ!ふふっ」

 

コウマ「あぁ。すべては俺たちの理想のために……」

 

ベータがコウマに微笑みながら言うと、コウマは立ち上がりながら同意する。しばらくすると眩しい光が発生し、光が収まるとそこには誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェラール「それが本気か?」

 

ナツの攻撃を受け続けていたジェラールだったが、ナツの火竜の咆哮を受けると、魔力を込めた手でブレスを払いのける。ジェラールはある程度攻撃をくらっていたが、まだまだピンピンしていた。

 

ジェラール「この手で消滅させちまう前に一度滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の破壊力を味わってみたかったんだがな。この程度なら怖れるに足らんな」

 

ナツ「なんだとォーーっ!!!」

 

その言葉を聞いてナツは怒ってジェラールに向かって走り出す。

 

ジェラール「よくも儀式の邪魔をしてくれたな。オレの〝天体魔法〟のチリにしてやるぞ。流星(ミーティア)!!!」

 

そう言うと、ジェラールの体を光が包み込み、ナツの目の前から消える。それによってナツはその場に留まる。

 

そして次の瞬間には、ナツの背後に回りこみ、ナツを殴り飛ばした。

 

ナツ「ぐはっ!こんの…!」

 

ジェラール「フッ!」

 

ナツは背後にいるジェラールを攻撃しようとするが、ジェラールはまた高速で避けて、今度は正面から蹴り飛ばす。

 

ナツ「速ぇな…こういうときは目で追っちゃいけねえ。臭い…音…感覚…動きの予測…集中…集中……!」

 

ナツは走り回りながらも頭を冷静にして対策を練る。

 

ナツ「っ!そこだぁ!!!」

 

自分の感覚を研ぎ澄ました末に、自分の左後ろに向かって火竜の鉄拳を繰り出す。

 

炎をだした時、そこにはなんとナツのタイミング通りにジェラールが来ようとしていた。

 

ジェラール「(ほう…流石は火竜(サラマンダー)だな。戦闘の経験値が群を抜いている。だが……)甘いな……」

 

ジェラールにナツの拳があたりそうになったとき、さらに流星(ミーティア)の速度を上げた。

 

そしてジェラールはナツの後ろに移動した。

 

ナツ「(まだ速くなるのか!!?)」

 

ジェラール「お前の攻撃など、二度と当たらんよ!!!」

 

そこからは連撃連打の嵐。ナツが反応できないほどの速度でパンチとキックを繰り返す。ナツはガードもできず、ただされるがままに攻撃を受け続けていた。

 

ジェラール「止めだ。お前に本当の破壊魔法を見せてやる」

 

そう言うとジェラールは上昇し、空に七つの魔法陣が浮かび上がる。

 

ジェラール「七つの星に裁かれよ。七星剣(グランシャリオ)!!!」

 

 

 

七つの光はナツを攻撃し、ナツのいるラクリマ諸共破壊した。

 

 

 

 

 

 

ジェラール「隕石にも相当する破壊力を持った魔法なんだがな……よく体が残ったもんだ」

 

ジェラールは周りを見渡すと、ラクリマから少量の魔力が気化していた。

 

ジェラール「少しハデにやりすぎたか。これ以上Rシステムにダメージを与えるのはマズイな……魔力が漏洩し始めている。急がねば………なあエルザ」

 

 

そう言って気を失っているエルザに視線を送り、エルザに近づいていくジェラール。すると……

 

コロ…コロ……

 

 

ジェラール「!」

 

 

ジェラールの足元に水晶のカケラが転がってきた。

 

 

ナツ「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

 

振り向くとそこにはボロボロのナツがジェラールに向かってラクリマの欠片を投げつけていた。何度か投げていくうちに、一粒の欠片がジェラールの胸元に軽く当たった。

 

 

ナツ「へへ…当たったぞ……攻撃」

 

そう言ってヨロヨロと立ち上がるナツ。

 

ナツ「この塔…つーか魔水晶(ラクリマ)? 壊されちゃマズイって訳か」

 

ジェラール「っ!」

 

 

ナツ「運が悪かったなぁっ!!!」

 

 

そう言うと、ナツはラクリマに拳を叩き込み、ラクリマに亀裂が広がる。

 

 

ジェラール「よせ!!!」

 

 

それを見たジェラールは怒りの表情を浮かべる。

 

 

ナツ「壊すのは得意なんだよ……妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士は」

 

 

そう言うとナツは右手に炎を纏わせた。

 

 

ナツ「燃えてきたぞ、今までで最高にだ!!!」

 

 

ジェラール「このガキがぁぁあああ!!!」

 

 

ジェラールはナツへの怒りで魔力を増幅させた。

 




うーん……原作コピーに引っ掛からないか心配だ


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コールドフレア

ちょっと戦闘を原作と変えてますけど……いいですよね?ssだもんね?


ジェラール「一瞬で終わらせてやる。立ち上がった事を後悔しながら、地獄へ行け」

 

ナツ「へへっ。しぶとさには自信があるんだ。やれるモンならやってみろや!」

 

怒るジェラールをさらに挑発するナツ。

 

 

ジェラール「つぇぁあ!」

 

 

ジェラールはナツに向かって複数の魔力弾を放つ。

 

 

七星剣(グランシャリオ)によって大ダメージを負ったナツだが、これくらい避けるのは容易いことだ。

 

 

ナツ「火竜の咆哮!!!」

 

そのままジェラールに近づき、火竜の咆哮を放つ。かなり近かったために、ジェラールはもろにブレスをくらう。

 

 

ジェラール「はああっ!!!」

 

 

だがジェラールは咄嗟にガードしていたのか、自身の魔力で炎を爆散させる。

 

そしてナツを魔法で遠くへと吹き飛ばした。

 

 

ナツ「うぐぐぐぐぐぐ……!!!」

 

 

ナツはジェラールから放たれた魔法を足で地面のラクリマを削りながらガードし続ける。

 

そしてある程度スピードを殺したとき、魔法を破壊した。

 

 

ナツ「おらどうしたぁ!塔が壊れんのが怖くて実力出せねえってか!!!全っ然聞かねえなぁ!!!」

 

ジェラール「いつまでも調子に乗ってんじゃねえぞ、ガキが!!!」

 

ナツ「がっ!!?」

 

 

ナツが突進しながらジェラールを挑発すると、苛立ちを募らせていたジェラールは流星(ミーティア)でナツの顔面を殴り飛ばした。

 

 

しかし、ナツは空中で体勢を立て直し、

 

 

ナツ「火竜の煌炎!!!」

 

 

ジェラールでなく、ラクリマへと炎の塊を両手で叩き込んだ。

 

 

その際、ラクリマから多大な魔力が漏洩し、空気中のエーテルナノと同化し、霧散していった。

 

 

エルザ「あいつ、塔を……」

 

 

ナツとジェラールの闘いの衝撃音で目が覚めたエルザは現在の光景を見て驚愕し、ジェラールはナツへの怒りで力強く握られた拳が震えていた。

 

 

ジェラール「オレが8年もかけて築き上げてきたものを…貴様ぁ…!!!」

 

ナツ「へっ、そりゃあご愁傷さま。言っただろ?壊すのは得意なんだよ。妖精の尻尾の魔道士は……」

 

そう言ったナツは余裕そうだったが、エルザから見れば立っているのがやっとのように見えた。

 

 

ジェラール「許さんぞぉ!!!」

 

 

ジェラールは怒号を上げながら腕を上で交差させると、彼から強大な魔力が溢れ出す。両手の上には夜空よりも暗い純黒の魔力の塊が造り出されていく。

 

 

ナツ「な、何だこの魔力は……気持ち悪ぃ……!!?」

 

 

エルザ「影が光源と逆に伸びている!?まずい……この魔法は……!!!」

 

 

ジェラール「無限の闇に落ちろ!!!ドラゴンの魔導士ィ!!!」

 

 

ジェラールがナツに魔法を放とうと魔力を高めているその時、

 

 

エルザ「ジェラール!!!貴様に私が殺せるか!!!」

 

 

ナツを守るように、エルザが立ち塞がった。この行動にナツもジェラールも驚き、ジェラールは魔力の上昇が止まっている。

 

エルザ「ゼレフ復活に必要な肉体なのだろう!!?」

 

ジェラール「ああ……おおよその条件は聖十大魔道にも匹敵する魔導士の体が必要だ。しかし……今となっては別にお前でなくてもよい。例えば……トール・イエスタとかな」

 

 

エルザ「!!?」

 

 

ジェラールはそう言うと、純黒の魔力がさらに大きくなる。

 

 

ジェラール「お前より強いトールなら生け贄に相応しいだろう。残念だったなエルザ。二人そろって砕け散れ!!!」

 

ナツ「エルザ!どけっ!」

 

エルザに逃げるように説得するナツ。

 

だが、エルザに動く気配はない。

 

 

エルザ「お前は何も心配するな。私が守ってやる」

 

 

ナツ「やめろォぉぉ!!!」

 

 

 

ジェラール「天体魔法、暗黒の楽園(アルテアリス)!!!」

 

 

ナツの叫びも虚しく、ジェラールは二人に向かって球体を放った。

 

 

エルザは鎧に換装もせず、腕をクロスにしてガードの構えをとる。

 

 

これほどの膨大な魔力を使った魔法をくらえば二人は人溜まりもなくなるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「間に合った……!!!」

 

 

「ここは俺らに任せな、お二人さん」

 

 

 

 

 

 

だが、聞き覚えのある声がナツとエルザの耳に入り、

 

 

 

 

 

 

 

 

暗黒の楽園(アルテアリス)が何かと衝突して爆破した。

 

エルザ「ぐっ……!?」

 

ナツ「な、何だ!?」

 

膨大な魔力が拡散したことによって爆煙と爆風が充満する。

 

 

ナツとエルザは何が起こったかわからず、咳をしながら爆煙が収まるのを待つ。

 

 

 

するとそこには、ナツとエルザを攻撃から守る強固なバリアと、

 

 

 

そのバリアを張っているトールとシモンが立っていた。

 

 

ジェラール「なっ!!?俺の暗黒の楽園(アルテアリス)を……一体どうやって……!!?」

 

トール「イージスバリア。ジュピターだって防いだ防御魔法だ。これくらいだって分けねえさ。ま、シモンにも協力してもらったけどな」

 

ジェラール「くっ…!」

 

淡々と話すトールに対して睨み付けるジェラール。

 

エルザ「お前たちまだ塔に……」

 

シモン「やっぱりお前たちが心配でな……トールと合流して来たんだ」

 

トール「苦戦してるなら加勢しようかと思ったけど……大丈夫か、ナツ?」

 

ナツ「あぁ!ジェラールは俺が倒す!秘策も思いついたしな!」

 

そう言うとナツは落ちていた魔水晶(ラクリマ)を手に取り、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口に入れて噛み砕いた。

 

 

ジェラール「なっ!?」

 

エルザ「お、おい…ナツ……」

 

その様子にジェラールは驚き、エルザはやっていることがいまいち理解できずにいた。

 

ナツ「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

口に入れたラクリマを飲み込んだナツは、沸き上がる魔力を開放する。

 

 

そしてさっきまでとは比べほどにもないスピードでジェラールを殴った。

 

 

ジェラール「ぐはっ!!!」

 

 

殴られたジェラールはそのまま後ろへと飛んで行った。

 

 

ナツ「がはぁっ!!!」

 

 

だが、殴ったほうのナツはラクリマに似た色の少量の液体をこぼし、首元を抑えて苦しみ出した。

 

それを遠目で見たジェラールはニヤリと笑う。

 

 

ジェラール「(強力な魔力を炎の代わりに喰えば、パワーアップするとでも思ったか!その短絡的な考えが自滅をもたらした……)」

 

 

通常、エーテルナノには炎だけでなく、水や風、土などの複数の魔力がある。ナツは炎の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)であるため、炎を食べればパワーアップするが、それ以外の属性の魔力を食べれば逆に体を悪くしてしまう。

 

 

このまま自滅していくかのように見えたが、

 

 

トール「ナツ!!!これは貸し一だからな!!!モード〝ホワイトキュレム〟」

 

 

ナツの状態を見たトールが急激に魔力を高めた。体から溢れ出る魔力に、氷のような冷たい魔力と、炎のような燃える魔力が感じられる。

 

エルザ「トール!?一体何を!?」

 

トール「氷結竜の──」

 

トールはエルザの言葉を無視し、口をぷくっと膨らませ、

 

 

 

トール「コールドフレア!!!」

 

 

 

蒼白い炎のような氷のブレスをナツに向けて発射した。

 

 

トール「その氷は炎の属性を含んでいる!!!そいつを食べるんだ!!!」

 

ナツ「!!!」

 

僅かに聞こえたトールの声を便りにナツは目の前に迫るブレスを食べる。

 

すると、トールのブレスをすべて食べたナツの体に異変が起きた。

 

ナツの体から、ドラゴンのような魔力が噴出し、体のいくつかにドラゴンの鱗のようなものが浮き出て、歯が鋭くなった。

 

 

ジェラール「(なに!!?)」

 

 

それを見て、驚愕するジェラール。今のナツからはまるでドラゴンを彷彿とさせている。

 

 

ナツ「ごちそうさま。ありがとなトール」

 

トール「礼なんか要らねえさ。その代わり、さっさと勝ってこい!」

 

ナツ「あぁ!」

 

トールの返事に答えると、ナツは超速のスピードでジェラールを蹴りあげる。

 

そしてジェラールの頭を掴み、地面に叩きつけた。

 

ナツ「うおおおぉぉぉぉぁぁぁあああ!!!」

 

そのまま何枚も地面を砕きながら下へ落ちていく。

 

ジェラール「くっ……こざかしい!!!流星(ミーティア)!!!」

 

 

ナツの攻撃の連続にジェラールも黙ってはおれず、流星(ミーティア)で上昇して脱出する。

 

 

ジェラール「この速さにはついて来れまい!!!」

 

 

だが、ナツは両足と両手に力を入れて落下する体をストップさせる。

 

そして流星(ミーティア)にも劣らないスピードで飛び、ジェラールの腹にスピードがプラスされた拳を炸裂させた。

 

ジェラール「がはぁっ!!!?」

 

殴られたジェラールは天井のラクリマをも壊して上空へと吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

エルザ「トール。あのナツの状態は一体……」

 

上空へ吹き飛ばされたジェラールを見てエルザはトールに訪ねる。それに対してトールはナツから目を離し、エルザを向いて答える。

 

トール「〝ドラゴンフォース〟。滅竜魔法の最終形態で、その力はドラゴンにも匹敵すると言われている」

 

エルザ「そうか……シモンはこれを知ってたんだな」

 

エルザの言葉にシモンは頷く。

 

トール「本来エーテリオンなんか食ったら、他属性の魔力……ナツにとっては多量の毒を食うことになる。だが、俺の氷と炎が混ざったブレスも食ったことで、ナツの体がエーテリオンを受け入れるようになったんだ」

 

シモン「なるほど。だからナツに……」

 

トール「今のナツには通常の何倍もの力が溢れているだろうな。もうジェラールなんざ敵じゃねえさ」

 

トールは再びナツに目を向け、ニヤリと笑って呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェラール「まだだ!オレは負けられない!!!自由の国をつくるのだ!!!!」

 

吹き飛びながらも上手く体制を立て直し、ジェラールはナツを蹴飛ばす。

 

 

ジェラール「痛みと恐怖の中でゼレフはオレにささやいた。真の自由がほしいかとつぶやいた!!!そうさ……ゼレフはオレにしか感じる事ができない!!!オレは選ばれし者だ!!!オレがゼレフと共に真の自由国家をつくるのだ!!!!」

 

 

ナツ「それは人の自由を奪ってつくるもんなのかァァーっ!!!」

 

 

邪悪な笑みを浮かべるジェラールに怒りの気持ちを叫ぶナツ。

 

上空から降り注ぐジェラールの天体魔法をナツは確実に避けていく。

 

ジェラール「世界を変えようとする意志だけが歴史を動かす事ができる!貴様等にはなぜそれが分からんのだァ!!!」

 

 

そう叫んだジェラールは高速で空中に魔法陣を描いていく。

 

 

エルザ「煉獄砕破(アビスブレイク)!!?貴様、塔ごと消滅させるつもりか!!!」

 

ジェラール「また8年……いや、今度は5年で完成させてみせる……ゼレフ、待っていろ………っ!!?」

 

 

エルザの言葉に余裕の笑みで返すジェラールだったが、煉獄消滅(アビスブレイク)を放とうとした瞬間、エーテリオン投下前にエルザに斬られた傷が痛み、魔方陣が消えてジェラールに隙ができる。

 

 

そして、その隙をナツが逃すはずもない。

 

 

ナツ「お前は自由になんかなれねぇ!!!亡霊に縛られてる奴に自由なんかねえんだよ!!!」

 

 

先程よりも綺麗に輝く炎を纏っているナツを見て、ジェラールにはまるでドラゴンそのもののように見えた。

 

 

ナツの渾身の力を込めた一撃をジェラールは避けようともがくが、疲労とダメージで体がうまく動かない。

 

 

 

ナツ「自分を解放しろ!ジェラァアァァアァァル!!!」

 

 

 

己の拳を振りおろし、ジェラールを塔の中心へと叩きつけた。

 

ジェラールとぶつかった衝撃でラクリマが粉々に砕け、蓄えられていた魔力と共に水晶が粉塵と共に散っていく。

 

その光景は海の上にいるルーシィたちにもハッキリと見え、そして勝者が誰なのか確信した。これだけ派手なことをするのはナツしかいないと。

 

 

 

 

 

 

エルザ「(これがナツの真の力……)」

 

 

 

ジェラールを倒したナツは上空から降りてくる。

 

 

 

エルザ「(これが……滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)!!!)」

 

 

ナツの圧倒的な力にエルザはドラゴンスレイヤーの力を実感し、シモンは喜びに満ち震え、トールはナツの勝利に小さく拳を握って喜んだ。

 




ちなみにナツはドラゴンフォース時、トールのブレスも食べているので、原作より強めです。

シモンを生存させるかはどっちでもよかったんですが、死なせたら『トール何やっとったんや』みたいな感じになるかなーと思ったんで生存させました。

さあ、あと2、3話くらいで楽園の塔終わりです。

長かった……!!!


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不安と安心

なんだか調子が良いので割と早く投稿できました。


エルザ「(あのジェラールを倒した……私の……8年に渡る戦いは終わったんだ……)」

 

エルザが安堵の笑みを浮かべると、ナツは力を使い果たし、ガクッと倒れそうになる。

 

 

エルザ「ナツ!」

 

 

エルザは急いで駆け寄ってナツを抱き締めるように受け止める。

 

 

エルザ「お前はすごい奴だ。本当に」

 

 

そう言ってナツの頭を撫でる。

 

 

そこにトールとシモンが駆け寄ってくる。

 

 

シモン「二人とも大丈夫か?」

 

エルザ「私は大丈夫だ。ナツもしばらくすれば意識を取り戻すだろう」

 

トール「いやーこれで一件落着──

 

 

──というのは早いぞ二人共」

 

『!!?』

 

 

トールがあっけらかんとした態度で話しかけてくるが、突然真面目な態度に変わり、塔全体が激しく揺れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園の塔から大小規模を問わず爆発が発生する。それを外から見ていたグレイたちは驚愕する。

 

ミリアーナ「何アレ!?」

 

パオラ「エーテリオンが……暴走している!!?」

 

ルーシィ「暴走!!?」

 

ハッピー「元々、あんなに膨大な魔力を一ヶ所に留めておくこと事態が不安定だったんだ……」

 

ジュビア「行き場をなくした魔力の渦が、大爆発を起こす」

 

楽園の塔の緊急事態に他の者達にも動揺がはしる。

 

ウォーリー「ちょ!?こんな所にいたら、オレたちまで」

 

ショウ「中にいる姉さんたちは!?」

 

グレイ「誰が助かるとか助からねえとか以前の問題だ。オレたちを含めて……全滅だ」

 

 

グレイの言葉が周りに重くのしかかる。

 

 

 

 

 

 

「そんなの……嫌だ……」

 

 

 

そんな声が水の球体の中で静かに響いた。

 

 

アニス「約束したもん……〝戻ってきてくれ〟って」

 

 

アニスは背中に(エーラ)を出現させる。

 

 

パオラ「だめよ!今楽園の塔の周りはエーテルナノ濃度が高すぎるし、いつ大爆発するかわからないわ!」

 

アニス「それでも……私は行く!!!」

 

そう言うとアニスは水の球体から飛び出し、サイコキネシスでさらに速度を上げて飛び出していった。

 

グレイ「よせアニス!!!」

 

パオラ「あのバカ……!!!」

 

ミリアーナ「アニスちゃーん!!!」

 

 

周りの静止も気に止めずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻って楽園の塔内部では、外よりもまずい状況になっていた。

 

 

トール「この塔はもうダメだ。いつ崩壊してもおかしくねえ。俺がここに来る前から俺を取り込もうとしていたからな。それほど不安定だったってことだ」

 

エルザ「くっ……何か方法はないのか!?この状況を打開する方法は……」

 

エルザは悔しさで拳を握りしめる。

 

トール「……一応、方法がないことはない」

 

シモン「どんな方法なんだ?」

 

 

トールはエルザたちに解決方法を静かに話す。その方法を聴いて、エルザたちは耳を疑った。

 

 

 

それは、『自分の体にできるだけエーテリオンの魔力を取り込み、残りを空へと放出する』という、とても危険な方法だった。

 

 

 

シモン「な!?正気か!?」

 

エルザ「無茶だ!そんなことをしたら、お前の体が!」

 

トール「いや、俺の計算ではうまくいくはずだ」

 

 

トールはそのまま説明を始める。

 

 

トール「この塔はエーテリオンの魔力、27億イデアもの魔力を持っている。だが、魔力が漏洩し続けることで現在は半分近い魔力量になっている」

 

そう言うとトールはその場でしゃがみ、両手で地面をコンコンと叩く。

 

トール「そんなとき、残りの魔力の約半分を俺が吸収し、その魔力を使ってもう半分の魔力を空に放出すれば?」

 

 

トールの言葉にエルザはハッとするが、すぐに冷静になる。

 

エルザ「いや待て。そんなに多くの魔力を吸収できるわけ……っ!?」

 

 

トール「気づいたか?

 

 

 

 

 

そのためのコールドフレアだったんだよ」

 

 

驚くエルザに対してトールはまるで事が思い通りにいったように嬉しそうな顔をして立ち上がる。

 

 

トール「ベータたちとの戦い、ジェラールの攻撃を防御したイージスバリア、そしてナツに放ったコールドフレア。これだけ魔力を消耗したんだ。なるとかなるさ。と言うわけで──」

 

 

トールはちらっと見えた外から来たなにかを見てニヤリと笑い、エルザたち三人にサイコキネシスをかける。

 

シモン「こ、これはサイコキネシス!?」

 

エルザ「待てトール!一人じゃ無理だ!」

 

 

エルザはトールを説得しようとするがトールはサイコキネシスを解除しようとしない。

 

 

トール「心配すんな。俺はこんなとこで死なねえ。だから、待っててくれ」

 

 

そしてトールは三人をそのまま真っ直ぐ飛ばし、楽園の塔から脱出させた。

 

 

 

飛ばさせる最中、エルザは自分達とは反対に塔に近づく光がちらっと見えたが、それがアニスであることは、塔から脱出して、パオラたちに救助された少し後だった。

 

 

 

 

 

 

エルザ『待てトール!一人じゃ無理だ!』

 

 

トール「一人じゃねえさエルザ。なぜなら俺には………」

 

 

トールは先程エルザに言われたことを一人で否定する。

 

 

そして塔にやってくる光を待つ。

 

 

トール「最高のパートナーがいるからな」

 

 

 

 

 

アニス「トール!!!」

 

 

光の正体であるアニスが超速でやってくる。そして胸元に飛び込み、トールもアニスを抱き締める。

 

トール「来ると思ったぜ」

 

アニス「トールとの約束だもん」

 

二人は抱擁を緩め、顔を合わせる。

 

アニス「早くここから出ようよ!みんな外で待ってるよ!」

 

トール「いや、まだだ。まだこの塔を離れるわけにはいかない。今離れるとエーテリオンの魔力の暴発で全員死ぬ」

 

アニス「でも、逃げる以外に方法なんてないよ……」

 

 

 

落ち込むアニスに対して、トールはエルザたちに話した方法を話す。

 

 

トール「つー訳で、お前は俺が魔力を空へと逃がしたときに、速攻で俺を抱えて脱出するんだ」

 

アニス「その方法って……できるの?」

 

トール「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。俺は〝凍てつく雷神〟トールさんだぞ。だがそれ以前に……お前のパートナーだ」

 

アニス「………うん!!!」

 

 

トールがそう言うと、アニスは満面の笑顔で答えた。

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

 

俺はアニスを背に乗せたまま、地面のラクリマに両手を握り締めて突き刺す。

 

 

それにより、体内にエーテリオンの魔力が流れ込んでくるのを感じる。

 

 

………これがエーテリオンの魔力か。確かに力が沸き上がってくるのを感じるが、やはり体に合わないのか、少しの吐き気が襲いかかってくる。

 

 

おそらくナツは俺以上に体に負荷がかかっていただろう。

 

 

そう思うと、改めてナツの精神的な強さがわかる。

 

 

 

 

……もし、俺が同じ立場だったら、ナツのようにはいかないだろう。

 

 

俺は心が脆いから、そのまま自滅してしまうかもしれない。

 

 

そういう意味では、ナツが羨ましい。パートナーであるハッピーと離れていても、全く問題無さそうにしている。

 

 

それは無条件で信頼し合う仲だからだろうか。それは俺とアニスだって同じだ。

 

 

だが、俺はアニスが近くにいないと不安になる。俺は本当に一人でできるか不安になる。

 

 

 

 

だが逆に、一緒にいればその不安は無くなる。

 

 

どこへいくにも、何をするにも、アニスと一緒なら安心できる。

 

 

 

 

なぁアニス。お前は自分が足を引っ張っているんじゃないか、とか思ってるかも知れねえけど、

 

 

 

 

 

 

俺にとっては十分すぎるくらいに助けてもらってるんだぜ?

 

 

 

 

 

 

そして、魔力の吸収が完了し、その魔力を使って残りの魔力を空へと解き放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 

外にいた者達はその光景に驚いた。

 

 

今まで大小関係なしにランダムに爆発していた塔が突然治まり、塔に残存していたエーテリオンの魔力が空へと解き放たれた姿を。

 

 

シモン「塔が……」

 

ルーシィ「私たち……助かったの?」

 

グレイ「そう言いたいけど、トールとアニスは……」

 

パオラ「トール……アニス……」

 

皆が助かった現実をすぐに受け入れずにいるが、パオラはただ祈るように目を瞑り、両手を合わせる。

 

 

 

すると、塔から何かが光って出てきたのが見えた。

 

よく見るとその光は遠回りだが此方へと向かってきている。

 

 

ハッピー「ねえあれって!」

 

グレイ「あぁ!間違いねえ!!!」

 

 

パオラは目を開けてその光を見る。その光の正体は自分が想いを寄せている少年と、その少年を抱えて飛んでいる少年のパートナー。

 

 

 

パオラ「心配ばかりかけて……あのバカ」

 

 

そう言ったパオラは心の底から安堵し、皆は抱き合ったりハイタッチなどをして喜びを分かち合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「あー疲れた。これはアレだぞ。数日は体がだるんだるんになるやつだぞ」

 

アニス「今は心がだるんだるんだね」

 

現在アニスに抱えられながら飛んでいるトールは数日後の自分を想像して嘆き、アニスに突っ込まれていた。

 

 

そんななか、アニスはトールに訪ねた。

 

アニス「ねえトール。今回私、役にたってた?」

 

トール「あぁ」

 

 

少し不安そうに言うアニスに対してトールは

 

 

 

トール「最高だったぜ」

 

 

と言い、それを聴いたアニスとトールの間には同じような笑顔と、形には見えない確かな信頼関係がそこにあった。




ちょっと短かったかな(・_・;


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投稿早いなとか思った人もいるかもしれません。実を言うと、先月くらいにこの話と次回を書いてあったんです。

なぜかと言うと、なんかそこの部分が書きたくなったからです。


ナツ「んごぉおおお…ぐがぁぁあ…がるるる…」

 

楽園の塔が崩壊してから3日後。アカネビーチのホテルの一室では、ナツがベッドの上でいびきを上げながら寝ていた。

 

グレイ「大丈夫かこいつ?」

 

ルーシィ「さすがに3日間も眠りっぱなしってのはねぇ……」

 

ハッピー「ナツー。ルーシィがメイドのコスプレで歌って踊ってみんなひいてるよ!」

 

アニス「それで反応したらすごいね」

 

そう言うとナツは反応したのか、小さく笑った。

 

ルーシィ「寝ながら笑うな!」

 

トール「まあまあ。俺のブレスも一緒に取り込んだとは言え、ナツにとって〝毒〟に等しいものを食べたんだ。もうちょい休ましてやれよ」

 

グレイ「あー、エーテリオンを食ったんだっけか?お前らだんだん化け物になってきたな」

 

トール「なんて失敬な」

 

グレイの軽口にトールは軽く怒る。そんななか、エルザはトールたちに向けて申し訳なさそうな顔をする。

 

エルザ「今回の件では皆にも迷惑をかけたな……本当に、何と言えばいいのか……」

 

ルーシィ「もう……そのセリフ何回言ってるのよ」

 

パオラ「そこは〝助けてくれてありがとう〟で良いのよ」

 

エルザ「そうだな……助けてくれて感謝する」

 

トール「そこはまんま言わねえのかよ」

 

トールがそう言うと周りも笑みがこぼれた。ふと、エルザは辺りを見渡すと違和感を感じた。

 

エルザ「そう言えば、あのエレメント4の娘は?」

 

そう、楽園の塔で共に戦ったジュビアの姿がなかったのだ。

 

グレイ「ああ……ジュビアか。もう帰っちまったよ。妖精の尻尾に一刻も早く入りてぇから、マスターに頼みに行くんだって」

 

エルザ「そうか…聞けば世話になったようだし、私からマスターに稟請してもよかったのだがな」

 

パオラ「ホントジュビアってば行動力あるわね」

 

ルーシィ「まったくね……ってハッピー!アンタ何してんの!?」

 

ハッピー「あい!魚食べれば元気になると思って」

 

そんな会話をしている間に、ハッピーはナツの口に生魚を突っ込んでいた。

 

パオラ「それよりトール、寝てなくて大丈夫なの?」

 

トール「んあ?あぁ、大丈夫だろ。エーテリオンを取り込みすぎてお腹壊したけど、もう治ったし。むしろお腹一杯で食欲が全くないってところだな」

 

アニス「もう!こうやって無事に帰ってこれたから良かったけど、本当に心配したんだからね!」

 

能天気な事を言うトールにアニスが怒りつける。

 

トール「悪かったって。機嫌直せよ」

 

そういってトールはポンっとアニスの頭に手を置き、優しく撫でる。するとアニスは「うみゅ…」気持ち良さそうな声をだしてトールに寄りかかった。

 

グレイ「なにはともあれ、さすがはトールだな。同じことしてくたばってるマヌケとはエライ違いだ」

 

ナツ「今なんつったグレーーイ!!!」

 

ハッピー「起きたー!」

 

グレイがナツを見ながら皮肉そうに言うと、ピクッと反応して怒号を上げながらナツは目を覚ました。しかしグレイは構わず、皮肉を言い続ける。

 

グレイ「素敵な食生活デスネって言ったんだよバーカ。てかお前フクロウのエサになってなかったか? 食う方か? 食われる方か? どっちだよ食物連鎖野郎」

 

ナツ「ぐぬぬぬぬ……!」

 

グレイの皮肉の連続にナツは悔しそうに唸るが、

 

 

ナツ「くかー」

 

ハッピー「寝たーー!!!」

 

グレイ「絡む気がねえなら起きんじゃねえ!!!」

 

再びベッドの上で寝息を立て始めた。

 

 

エルザ「ハァ…まったく……」

 

ルーシィ「あはははっ!」

 

 

その様子を見てエルザたちは闘いが終わったことを改めて実感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミリアーナ「ごめんなさい、エルちゃん」

 

ウォーリー「あ、あのよ……すまなかったゼエルザ」

 

エルザ「私の方こそ8年も何もできなかった………本当にすまない」

 

アカネビーチの海岸にて、エルザはかつての仲間たちであるシモンたちとお互いに謝罪していた。ウォーリーやミリアーナは自分達が誤解していたことを、エルザは自分の無力さを。

 

ショウ「姉さんはジェラールに脅されてたんだ。オレたちを守る為に近づけなかったんじゃないか」

 

エルザ「今となってはそんな言い訳も虚しいな……」

 

そう言ったエルザの顔は晴れないままだ。エルザにとって、ジェラールを救えなかったことはとても大きい心の傷となってしまった。

 

その事に勘づいているシモンは思ったことを口に出す。

 

シモン「過去ばかり見ていては未来へは行けない。楽園の塔が亡くなって、俺たちは本当の自由を手に入れることができたんだからな。俺たちの未来はまだまだこれからなんだ」

 

ショウ「自由か……」

 

ミリアーナ「みゃあ……突然すぎて考えられないよ……」

 

シモンの言葉にショウたちはどうすればいいかわからないみたいだ。

するとエルザから驚きの提案が出た。

 

エルザ「行く宛がないなら妖精の尻尾に来ればいい。お前たちなら大歓迎だ」

 

ショウ「え!?」

 

ウォーリー「妖精の尻尾に!?」

 

ミリアーナ「みゃあ!?私たちが!!?」

 

シモン「い、いいのか?」

 

その言葉にシモンたちは驚く。

 

エルザ「お前たちの求めていた自由とは違うかもしれんが十分に自由なギルドだ。きっと楽しいぞ」

 

ウォーリー「そういや火竜(サラマンダー)もそんなような事言ってたゼ!」

 

ミリアーナ「元気最強のギルドだぁー!」

 

ショウ「また…一緒にいられるんだ……!」

 

エルザ「それにお前たちとも、ずっと一緒にいたいしな」

 

シモン「……………」

 

エルザが微笑みながらそう言うと、シモンは一人…考え込むように顔を俯かせた。

 

 

エルザ「さあ戻ろう。ナツたちにもお前たちをキチンと紹介せねばな」

 

ウォーリー「オレの事は世界一ダンディな男と言ってくれヨ」

 

ミリアーナ「私はハッピーちゃんやアニスちゃんとお友達になるー!」

 

 

そんな会話をしながらホテルへと歩き出す一同。だがその時、

 

 

 

 

 

 

『強くなったな、エルザ』

 

 

 

エルザ「(ジェラール!!?)」

 

 

エルザの耳に、ジェラールの声が聞こえ、慌てて振り返るが、そこには広大な海が広がり、さざ波が風で強く聞こえるだけであった。

 

エルザ「(……そんな訳、ないか……)」

 

そしてエルザは、自分にそう言い聞かせると、再びホテルに向かって歩き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

ここだけの話だが、ナツが寝ている間にトールはエルザにあることを話していた。

 

それは、楽園の塔崩壊のときの出来事だった。

 

27億イデアもの魔力を空へと逃がすことができたのは、実はジェラールの協力があってこそだったのではないかということを。

 

その話を聞いたエルザは少しでもジェラールを救えたのかと思い、顔にこそ出さなかったが心が晴れたような気がした。

 

 

 

 

 

 

みんなで夕食を食べて大いに楽しんだその夜、アカネビーチの夜の海岸ではショウたち四人が小舟を用意していた

 

ウォーリー「本当にオレたちやっていけるのかナ、外の世界でヨ」

 

ミリアーナ「みゃあ」

 

ショウ「やっていけるかどうかじゃないよ!やっていかなきゃダメなんだ」

 

シモン「あぁ。これ以上エルザに迷惑をかけられない」

 

海岸と小舟を繋いでいた縄をほどく。

 

実は、エルザに黙って旅立とうと提案したのはシモンだった。シモンからすれば他の三人から反論がくるかと思いきや、ショウがシモンの考えに同意し、続いてウォーリーとミリアーナも賛成した。

 

 

ショウ「行こう!姉さんたちがオレたちに気づく前に出発するんだ!」

 

ウォーリー「だな!何とかなるゼ!!」

 

ミリアーナ「元気最強ー!!!」

 

 

小舟を海へと押し出し、出港しようとしたその時、

 

 

 

エルザ「おまえたち!!!」

 

 

エルザの大声が、四人の足を止める

 

 

 

ショウ「姉さん!!」

 

 

ミリアーナ「エルちゃん……」

 

 

ウォーリー「くうぅ…噂をすれば何とか……だゼ」

 

 

こちらへと近づくエルザを見据える四人。

 

 

 

 

ウォーリー「と、止めるつもりなら無駄だゼ、オレたちは自分で決めたんだ……」

 

エルザは足を止め、静かに四人へと視線を向ける。

 

そんなエルザを見たショウが拳を握りしめながら言った。

 

 

ショウ「オレたちはずっと塔の中で育ってきた、これから初めて〝外〟の世界に出ようとしてる……。わからない事や不安な事が一杯だけど、自分たちの目でこの外の世界を見てみたい。

 

もう誰かに頼って生きていくのはイヤだし、誰からの為に生きていくのもごめんだ。

 

これからは自分自身の為に生きて、やりたいことは自分で見つけたい!」

 

 

そう言ったショウは真っ直ぐな瞳でエルザを見る

 

 

 

ショウ「それがオレたちの自由なんだ」

 

シモン「わかってくれ、エルザ」

 

決意を固めた様子のショウとシモン。

 

その姿を見たエルザは笑みを浮かべて言った

 

 

エルザ「その強い意志があればお前たちは何でもできる、安心したよ。

 

だが、フェアリーテイルを抜ける者には三つの掟を伝えねばならない。心して聞け」

 

 

するとエルザは鎧を換装する。

 

 

 

ウォーリー「ちょ!?抜けるって……入ってもねェのに」

 

シモン「エルザ……」

 

鎧姿に換装したエルザは、フェアリーテイルのマークが描かれている旗を持っていた。

 

 

エルザ「一つ!フェアリーテイルの不利益になる情報は生涯他言してはならない !!! 二つ!過去の依頼者に濫りに接触し、個人的な利益を生んではならない!!!」

 

ウォーリー「ギルドの不利益になる情報なんて持ってねえゼ」

 

ミリアーナ「依頼者って何?」

 

ショウ「姉さん……」

 

シモン「………」

 

エルザが言うギルドの掟を聞くが、四人にとってはわからない。

 

じわじわと目に涙が溜まっていたエルザは、最後の掟を叫ぶ。

 

 

エルザ「三つ!!!たとえ道は違えど、強く……力の限り生きなければならない!!! 決して自らの命を、小さなものとして見てはならない!!!」

 

 

堪え切れず、涙を流すエルザ。

 

 

 

エルザ「愛した友の事を忘れてはならない………!!!」

 

 

 

エルザが言い放つ言葉に、ショウたちは涙を流す。

 

 

 

 

エルザ「フェアリーテイル壮行会!!!始めェ!!!!」

 

 

『おぉ!!!』

 

 

旗を掲げたエルザが高らかに叫び、後ろにいたトールたちがそれぞれ魔法の準備をする。

 

 

一人一人が自分の魔力で空へ魔法を派手に打ち上げる。四人が空を見てみると、

 

 

 

そこには綺麗な花火が輝いていた。

 

 

 

打ち上げられた花火を、ショウたちは涙を流しながら見上げる。

 

 

 

 

エルザ「私だって本当は、お前たちとずっといたいと思っている。だが、それがお前たちの足枷になるのなら……この旅立ちを、私は祝福したい」

 

 

ミリアーナ「逆だよぉぉ、エルちゃぁん」

 

ウォーリー「オレたちがいたら、エルザはつらい事ばかり思い出しちまう」

 

ウォーリーとミリアーナは、顔をくしゃくしゃに歪ませて言った。

 

シモンとショウも堪えてはいるが、両目には涙が光っていた。

 

 

 

エルザ「どこにいようとお前たちの事を忘れはしない。つらい思い出は明日への糧となり、私たちを強くする。人間にはそうできる力がある」

 

 

フェアリーテイルの旗を空へと掲げるエルザ

 

 

その顔は、涙を流しながらも笑っていた

 

 

かつての友を笑顔で見送る為に。

 

 

 

エルザ「強く歩け、私も強く歩き続ける。この日を忘れなければまた会える………元気でな」

 

 

シモン「ああ……!!!また会えるさ……!!!」

 

 

ショウ「姉さんこそ……!!!」

 

 

ミリアーナ「バイバイ、エルちゃーん!!!」

 

 

ウォーリー「ゼッタイまた会おうぜ!!!約束だゼ!!!」

 

 

 

エルザ「約束だ」

 

 

再開を約束し、エルザたちはショウたちの出航を見送った。

 

 

友を見送ったエルザの義眼である右目には、出るはずのない涙が左目から流れる涙と一緒に

 

 

 

 

月の光で美しく輝いていた。




やっと楽園の塔編が終わった……。


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新たなギルド

今回の話は書きためしておいたものから付け加えたものなんですが、気づいたら9000字を越していました。

フェアリーテイルが再びアニメするので、どんなOPとEDになるのか楽しみです


あと、前話にマユミが出てなかった件についてNEXSUさんに指摘されたんですが、文章の都合のために今回書かせてもらいました。NEXSUさんわざわざありがとうございました。


 

グレイ「さて、そろそろギルドに帰るか」

 

ルーシィ「仕事して家賃稼がないとねぇ」

 

パオラ「その前にギルドを再建させないと」

 

エルザ「忘れ物はするなよお前たち」

 

ハッピー「荷物多いエルザが一番忘れ物多そうだけど……言ったら怒られるからやめておこうっと」

 

エルザ「聞こえているぞ」ギリギリ

 

ハッピー「ご、ごべんだざい」ミシミシ

 

ナツ「Zzz……」

 

 

シモンたちと別れた翌日、トールたちはギルドへ帰るための支度をしていた。といっても、ナツはまだ寝ているし、ハッピーは余計なことを言ってエルザにアイアンクローをくらわされている。

 

 

トール「………」

 

 

そんななか、トールはただ一人黙っていた。それを見てアニスは声をかける。

 

 

アニス「どうしたのトール?さっきからずっと黙って」

 

トール「んにゃ、別に……」

 

そう言うとトールは荷物を纏め終える。

 

 

グレイ「おおかたマユミのことでも考えてたんだろ?エルザみたいに8年振りの再会だったらしいしな」

 

ハッピー「どぅえきてるぅ」

 

ルーシィ「ぷっ!これはピンチなんじゃないのパオラ?」

 

パオラ「なんですって?」ギリギリ

 

「「なんでもないです……」」ミシミシ

 

 

グレイの考察を聞いてトールをおちょくるハッピーと面白がってパオラを弄るルーシィをパオラは両手のアイアンクローで黙らせる。

 

 

グレイは半ば適当言ったのだが、実際当たっていた。

 

 

正確にはシモンたちと別れた数日前。

 

 

マユミと別れた日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

アカネリゾート入り口付近。俺はマユミから話があると言われてみんなから離れてここに来た。

 

トール「もう行っちまうのか?」

 

マユミ「う、うん。も、もう決めたことだから。ミリアーナちゃんたちともちゃんとお別れを言ったし」

 

トール「そうかい。ナツが起きるまで待ってもいいのに」

 

俺がそう言うとマユミは申し訳なさそうな顔をする。まあ、マユミ自身で決めたことだから俺が口出しするべきじゃないんだけとな。

 

 

それよりも、と俺は話を変える。

 

トール「まあそれはいいさ。それより、ベータたちのことだ」

 

 

その話になると、マユミの顔は真剣になる。

 

 

トール「今回はなんとかあいつらを退けられたが、次会うときはそうはいかねえかもしれねぇ。気をつけるんだぞ」

 

マユミ「うん。旅するときに特訓もしておくから大丈夫!」

 

トール「……普段からそうやって気をしっかりしていれば問題ないんだけどな」

 

マユミ「え、えへへ」

 

 

凛々しい姿を見せたと思ったらすぐにおどおどとした様子を見せるマユミにトールは少し呆れた顔をする。

 

 

マユミ「それじゃあもう行くから。またね!」

 

トール「ああ、元気でな」

 

 

マユミが俺に向かって笑顔で手を振ってきたので、俺も合わせて手を振った。お互いに顔が見えなくなるまで。

 

 

トール「さて、アニスたちのところへ戻るか。あんまり腹へってねえけど」

 

 

そうして俺は泊まっているホテルへと戻ろうとする。

 

 

 

だが、ベータとコウマのことは頭から離れずにいた。

 

 

 

トール「時の番人(クロノナンバーズ)か。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなものはもう存在しねえのにな」

 

 

 

 

 

 

 

 

コウマ「あーあ、トールはおろかマユミすらも連れて来れず。結局俺達何しに楽園の塔へ行ったんだか」

 

その頃、とある場所でコウマは自身が作り出した鉄のナイフを器用に回しながら不満を漏らしていた。

 

 

ベータ「あら、そんなことはないですよぉ。ちゃんと収穫もありましたから」

 

 

不機嫌なコウマに声をかけたベータは光輝く物体を複数取り出してコウマの前に放り出す。

 

コウマ「なんじゃこりゃ?魔水晶(ラクリマ)?」

 

ベータ「ええ。しかもこれは、エーテリオンの魔力を取り込んだラクリマです」

 

コウマ「マジか!?」

 

コウマは驚いて回していたナイフを落とす。落としたナイフは地面に着くと結晶となって崩れていった。

 

ベータ「流石にこれくらいのことはしないと割りに合わないですからね」

 

コウマ「よっ、流石ベータ!」

 

ベータ「ふふ、もっと誉めてもいいんですよ?」

 

コウマに誉められてベータも満更でもなく喜ぶ。

 

コウマ「かわいいかしこいベータちゃん!」

 

ベータ「ほらほらもっともっと♪」

 

コウマ「キレたら男口調になる腹黒ベータちゃん!」

 

ベータ「誰が腹黒だコラァ!!!」

 

コウマ「そういうとこグボェ!!?」

 

調子に乗りすぎてラクリマを投げつけられるコウマ。

 

 

 

 

……この二人が再びトールのもとへ現れるのも、そう遠くない未来である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楽園の塔の一件が解決し、アカネリゾートから帰ってきたトールたちは、自分たちのギルドを見て驚いていた。

 

 

グレイ「こ、これは……!!」

 

ルーシィ「うわぁ!!」

 

パオラ「へぇ」

 

ナツ「おおっ」

 

エルザ「驚いたな……」

 

トール「マジか!」

 

ハッピー「すげー!!!」

 

アニス「完成してたんだー!」

 

 

驚愕を露にするトールたちの目の前には、昔のような古ぼけた様子はなく、大きくて豪華な新しい妖精の尻尾(フェアリーテイル)が佇んでいた。

 

 

 

 

 

トール「オープンカフェもあんのか」

 

アニス「入口にはグッズショップまであるよトール!」

 

グッズショップの方を見ると、そこにはギルドメンバーの一人、砂を操る魔導士 マックス・アローゼが立っていた。

 

マックス「いらっしゃい!!つーかオマエらか、おかえりー」

 

アニス「あー!マックスが売り子やってるーー!」

 

 

マックスが商品を丁寧に説明していく。Tシャツやリストバンド、マグカップ、タオル、オリジナル魔水晶(ラクリマ)といったものがおいてある。

 

 

アニス「わー!トールのぬいぐるみがあるー!かわいい~!わたしこれ買いたい!」

 

アニスは自分自身より少し小さめの大きさのぬいぐるみの中からトールに似たぬいぐるみを取り出し、抱きしめる。

 

トール「お前いつの間にこんなにそろえてんだよ……」

 

マックス「あはは……いやつい創作心に火がついちまって……」

 

トールの指摘に後頭部を掻きながら苦笑いするマックス。

 

アニス「あ、でもアカネリゾートでお金たくさん使ったから今財布の中空だったんだ……トールぅ…」

 

トール「うっ…わかったわかった。俺が買ってやるから………自分で自分のぬいぐるみを買うってなんか複雑だな」

 

アニス「ありがとー!」

 

グレイ「お前ら相変わらず仲良いな」

 

泣きそうな目でトールを見て、財布を取り出しながら呟くトールに感謝するアニス。

 

そんな中、ハッピーがある商品を手に取り、それをルーシィに向ける。

 

ハッピー「見て見てー!ルーシィのフィギュアがあるよー!!」

 

ルーシィ「えーーっ!!?」

 

それを見たルーシィが自分のフィギュアを手に取り、まじまじと見つめ、少し肩を落とす。

 

ルーシィ「勝手にこーゆーの作らないでよォ……恥ずかしい」

 

ハッピー「オイラはよく出来てると思うけど」

 

マックス「そうだろうそうだろう。そしてもちろんキャストオフも可能!」

 

すると突然、フィギュアの来ていた服が弾け飛んだ。

 

 

ルーシィ「イヤーーー!!」

 

 

自分のフィギュアの服が弾け飛ぶのを見たルーシィが顔を紅潮させ悲鳴を上げる。

 

グレイ「つーか俺のは何で最初から裸なんだ」

 

パオラ「すぐに脱いじゃうんだからいらないでしょあんたは」

 

エルザ「私のも出来が良いとはいえんな。甲冑に本物の鎧を使うべきだ。そもそも私の肌はこんなに硬くないぞ」

 

マックス「いやだってフィギュアだし……」

 

トール「エルザ。それ以上は止めてあげて」

 

アニス「あ、これ」

 

アニスはたまたま目に入ったものを手に取る。

 

アニス「トールのフィギュアもあるよ!しかもこのポーズって週ソラに載ったときのやつじゃない?」

 

アニスが手に取ったトールのフィギュアは、髪の毛が揺らぎ、右手に溶断ブレードを出しながらポーズをとっていた。

 

グレイ「へぇ~ブレードまで作ったのか。感触は柔らかいけど」

 

パオラ「見た目は結構凝ってんじゃない」

 

マックス「はは。せっかくだからと思ってよ」

 

 

ちなみにパオラが帰宅前にトールに関する全種類の商品を買ったのをトールは知らない。

 

 

ルーシィ「ん?週ソラに載ったときのやつって?」

 

アニス「これだよ!」

 

ここでルーシィは気になった言葉を思いだし、アニスに問いかける。アニスはどこから取り出したのか、両手で週ソラの雑誌を広げてルーシィに見せる。

 

ルーシィ「へぇ~すごいわね」

 

パオラ「それ去年トールが取材を引き受けたのよ。S級魔道士になったから」

 

アニス「因みに、これは十冊しかない初回限定版なんだよ!」

 

トール「も、もういいだろ!てゆうかアニス!どこに隠し持ってたんだよその週ソラ!!」

 

アニス「むふふー内緒ー!」

 

ルーシィ「(何を限定させたのかしら……)」

 

やはり恥ずかしいのか、トールが顔を赤くしながらアニスに問い詰める。ルーシィは限定版と聞いて、限定品でもあるのかと思った。

 

カナ「あんたら帰ってきたのかい?」

 

後ろからカナがやってきて、トールに声をかけた。

 

トール「お、おぉカナ。ただいま」

 

カナ「早く中に入んなよ、中は特別広く作ってるんだ」

 

 

カナに案内され、ギルドの中に入る。そして中の風景に全員が驚いた。

 

 

グレイ「おおっ!!!」

 

パオラ「綺麗ねぇ」

 

エルザ「うん……素晴らしいじゃないか」

 

ギルド内を見て、再び感嘆の声を上げるルーシィたち。

 

アニスはもう気に入ったのか、ギルド内を飛び回っている。

 

グレイ「どーしたよナツ」

 

ナツ「前と違う」

 

ただ、ナツだけは気に入らないのか一人ムスッとしていて、口元をマフラーで隠したままだった。

 

 

また、可愛らしいウェイトレス服を着た女性がトールたちを笑顔で出迎える。

 

 

グレイ「ウェイトレスの服が変わってる」

 

エルザ「可愛くていいじゃないか」

 

ルーシィ「マスターの趣味かしら……ていうか、ミラさんも着るのかな」

 

ナツ「違ってる」

 

カナ「新しいギルドはそれだけじゃないよ、なんと酒場の奥にはプールが!!!」

 

カナの目線の先には大きくて広いプールがあった。

 

レビィ「ルーちゃん、おかえりー!」

 

ルーシィ「あ、レビィちゃん!」

 

水着姿でビーチボールを抱えるレビィが言った。

 

他にもアルザックやビスカたちもいる。

 

 

カナ「地下には遊技場もあるのさ!!」

 

ルーシィ「至れり尽くせり……」

 

トール「リーダスがビリヤードやってる……てかあの腹は邪魔なんじゃね」

 

ナツ「違ってる」

 

ビリヤードに真剣な眼差しで挑むリーダスを見たトールが不思議そうに呟く。

 

リーダスのほかにもマカオやラキたちもいて、ワカバはその奥のダーツで遊んでいる。

 

カナ「そして一番変わったのは2階!!誰でも2階へ上がっていい事になったのよ。もちろんS級クエストに行くにはS級魔導士の同行が条件だけどね」

 

ルーシィ「2階に行ってもいいのー!?」

 

パオラ「もうなんでもありね」

 

よく見ると二階からエルフマンがこちらと目が合い、手を振ってきた。今まで二階はS級魔道士しか行けなかったためか、他にも二階にいる者は大勢いる。

 

ギルド再築による変化に盛り上がる帰還組の元に、マカロフがやってきた。

 

 

マカロフ「帰ってきたかバカタレども」

 

エルザ「マスター!」

 

グレイ「お!」

 

グレイはマカロフの方に視線を向け、驚きの声を上げる。

 

いや、正確にはマカロフの隣にいる、見覚えのある女性にだ。

 

 

 

マカロフ「新メンバーのジュビアじゃ、かわえーじゃろォ」

 

ジュビア「よろしくお願いします!」

 

 

髪を切って服を新調し、どこか暗いイメージがあったが、気持ちを新たにした様子のジュビアは明るさが見えている。

 

グレイ「ははっ、ほんとに入っちまうとはな」

 

エルザ「ジュビア……アカネでは世話になったな」

 

ジュビア「みなさんのおかげです!!ジュビアは頑張ります!!!」

 

 

ジュビアは満面の笑みで返した。

 

一同はジュビアを快く仲間に迎え入れたようだ。

 

 

ルーシィ「よろしくね!」

 

ジュビア「恋敵…」

 

ルーシィ「違うけど…」

 

ただし、ジュビアはルーシィに対してだけは敵意を向けていた。ルーシィはジュビアから発せられる怨念の目(笑)と禍々しい圧力を浴びながら、〝恋のライバル〟ということを否定した。

 

 

マカロフ「知り合いじゃったか。ならば知ってると思うが、こやつは元々ファントムの……」

 

パオラ「大丈夫よマスター。もう今は仲間なんだから。ね、ジュビア?」

 

ジュビア「はい!これからもよろしくお願いします!」

 

マカロフ「ほーかほーか。ま、仲良く頼むわい」

 

 

特にパオラと仲良くなっているジュビア。パオラの言葉を聞いて、事情を知っているのがわかってマカロフは一先ず安心した。

 

 

 

マカロフ「それならあと二人の新メンバーも紹介しとこうかの。ホレ、挨拶せんか」

 

アニス「二人?」

 

トール「ん?……ておいおいマジかよ」

 

 

 

 

「よお、久しぶりだなトール」

 

 

その男は炎髪灼眼の短髪で、かつてファントム戦でトールと戦った魔道士

 

 

 

トール「ゼルマ!?」

 

エルザ「あいつか……」

 

ファントム最強の魔道士〝炎帝〟こと、ゼルマ・シュトルであった。

 

グレイ「あぁ、そういやあん時の…」

 

ゼルマ「そうそう。トールと戦っていた途中にジョゼにトール諸共攻撃をくらわされた哀れな男ゼルマだよ」

 

グレイ「落ち着けそこまで言ってねえ。ていうか、だからあの時倒れてたのか」

 

ゼルマの言葉に突っ込みつつ、あの時の状況を理解したグレイ。

 

トール「つーかお前どうやってここに入ったんだよ」

 

パオラ「エミリアはどうしたの?」

 

ゼルマ「いやそれがさ……俺らあのあと解散になって、フリーの魔道士としてちょっと仕事しながらのんびりしてたんだけどよ──」

 

 

 

 

 

ゼルマside

 

 

ゼルマ「もう行くのか?」

 

エミリア「うん。これ以上ゼルマに迷惑はかけたくないし」

 

ギルド解散からしばらくして、俺はファントムのときに一緒にいた少女、エミリアと話していた。

 

元々エミリアは捨て子で、俺が会ったときは親に捨てられたショックで何をするにもやる気が起きず、何の気力もなく、ただぼうっとしているだけだった。

 

俺は何故か見てられなかった。だから自然とエミリアに手をさしのべていた。多分、それで少しでも彼女に何かに対して目標をもってやる気になってほしかったから。

 

そのエミリアが俺に話してきた。『もっと多くの町を巡り、多くの場所を冒険してみたい。ファントムが終わり、再びやることがなくなった今だからこそ』と。

 

俺は正直意外だったが嬉しかった。初めて会ったときから少しだけでも変わってくれて。

 

ゼルマ「そうか。なら大丈夫だな」

 

エミリア「うん……ありがとねゼルマ」

 

ゼルマ「気にすんなよ。あの時お前をほっとくのが気にくわなかっただけだ」

 

エミリア「お?今のはデレかな?」

 

ゼルマ「うっせ、はよ行け!」

 

エミリア「ふふっ……じゃあね!たまには連絡してよね!」

 

 

こうしてエミリアと別れた。まあ心配かと言われれば心配だが、俺がいたところで邪魔になるだろう。

 

俺は俺で新しい道を進むだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 

ゼルマ「──というわけさ」

 

「「へえ~」」

 

 

ゼルマの話を聞いて納得するトールとパオラ。

 

ゼルマ「そっからマカロフ(マスター)とたまたま会って、このギルドに誘ってもらったっていうわけさ」

 

グレイ「そこの話は簡単なんだな」

 

ゼルマ「まあそんなわけで、お手柔らかによろしく頼むぜ?」

 

ゼルマがトールに右手を差し出すと、それに呼応し、右手をだす。

 

トール「まあいろいろ思うところもあるけど、改めてよろしくなゼルマ」

 

そして二人は笑顔で握手する

 

トール「………」ニコニコ

 

ゼルマ「………」ニマニマ

 

 

…が、二人とも手を離さない。

 

ゼルマ「……これからたっぷり決着つけることができるぜ」

 

トール「!……あぁ。今からうずうずしちまうぜ」

 

「「フフフフフフ………」」

 

そのまま二人は力をいれながら不敵に笑いだした。

 

パオラ「はいはい止めなさいふたりとも」

 

ゼルマ「わかってるよ」

 

トール「ちぇーっ」

 

パオラがすぐ二人を止めると、今度はエルザがゼルマに近づく。

 

エルザ「まあ、今日からは仲間なんだ。よろしく頼むぞゼルマ」

 

ゼルマ「おうよ。それなりに頑張るわ」

 

ルーシィ「それなりにって……」

 

グレイ「ははっ。また面白そうなやつがはいってきたな」

 

ゼルマ「チミの格好もなかなか面白いと思うぞ半裸職人。しかも下半身が裸て」

 

グレイ「ありゃいつの間に!?」

 

ゼルマの指摘によりグレイはズボンをはき直し、周りの者は笑いだす。

 

ハッピー「マスター。あと一人は?」

 

マカロフ「あと一人はあやつじゃ。ほれ、お主も来んか」

 

ハッピーの疑問にマカロフはテーブル席に座っている男に声をかける。

 

その男は何やら硬い物を食べた後、ゆっくりと振り返る。

 

 

ルーシィ「え!!?」

 

グレイ「オ、オイ嘘だろ!!?」

 

パオラ「どういうことよ…!」

 

ルーシィたちがその男を見て驚く。

 

何せその男はフェアリーテイルに壊滅的な被害を与えた張本人であったからだ。

 

ガジル「あ゙ん?」

 

ナツ「ガジル!!?」

 

グレイ「何でコイツが!!!」

 

ルーシィ「きゃあぁああ!!!」

 

 

鉄の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)の〝黒鉄のガジル〟こと、ガジルを見て騒ぎ立てるルーシィたち。ルーシィに至っては痛めつけられもしたので当然とも言える。

 

グレイ「マスター!こりゃ一体どういう事だよ!!!」

 

ジュビア「待って!ジュビアが紹介したんです」

 

エルザ「ジュビアやゼルマはともかく、コイツはギルドを破壊した張本人だ」

 

ガジル「フン」

 

グレイとエルザはガジルに対し、敵意ある視線を向ける。当のガジルはそっぽを向いている。

 

トール「おいマスター。何のつもりだよ」

 

マカロフ「まぁまぁ、あん時はジョゼの命令で仕方なくやった事じゃ、昨日の敵は今日の友ってゆーじゃろうが」

 

流石にトールも黙ってはおれずマカロフに聞くが、宥められる。

 

ゼルマ「まあそれを言うならおれは戦争とかどうでもよかったんだけどな」

 

レビィ「うん……私もぜんぜん気にしてないよ……」

 

ルーシィ「レビィちゃん」

 

影から顔を覗かせるレビィはおどおどしていて、全然気にしていないようには見えず、身体は恐怖で震えていた。そばにいるジェットとドロイはガジルを睨んでいる。

 

 

 

ナツ「冗談じゃねえ!!こんな奴と仕事できるかぁ!!!」

 

ガジル「安心しろ、慣れ合うつもりはねえ」

 

ガジルはナツの方を見てガンを飛ばしながら言い、ナツもカチンときていた。

 

どうやら同じ滅竜魔道士であり、ファントム戦で戦ったので敵意識が強く残っているようだ。

 

ガジル「オレは仕事がほしいだけだ。別にどのギルドでもよかったしな。まさか一番ムカツクギルドで働くことになるとはうんざりだぜ」

 

ナツ「んだとォ!!?」

 

ジュビア「ガジルくんっていつも孤独でジュビアは放っておけなくて……あの、好きとかそーゆーんじゃないんです!!」

 

ガジルは余計なことを口にしてナツを怒らせる。ジュビアは慌てながら説明しようとするが、グレイはガジルから目を離さず、ジュビアの話も聞いていない。

 

 

マカロフ「道を間違えた若者を正しき道に導くのもまた老兵の役目。彼も根はいい奴なんじゃよ………と信じたい」

 

マカロフは周りに説得しようとするが、最後の言葉は少し小さかった。

 

エルザ「それがマスターの判断なら従いますが、しばらくは奴を監視してた方がいいと思いますよ」

 

マカロフ「はい」

 

エルザの発言にマカロフの声は少し萎縮していた。

 

「「ガルルルル……!!!」」

 

マカオ「あれは竜って言うより犬だな犬」

 

ハッピー「あい!猫より程度が低いよね」

 

ナツとガジルのにらみ合いを見てマカオとハッピーは早速二人を馬鹿にしていた。

 

 

しばらくすると部屋一体の明かりが消え、暗闇に包まれた。

 

そして前方にある大きなステージにスポットライトが当てられる。

 

ステージ幕が開けられると、そこにはギターを構え、座っていたミラの姿があった。

 

周りのギルドメンバーたちからの歓声が部屋一帯に響き渡る。

 

 

「待ってたぞー!ミラー!!」

 

「ミラちゃーん!!!」

 

「ミラジェーン!!!」

 

 

ミラ『あなたのいない机をなでて───

 

影をおとす今日も一人──♪』

 

 

綺麗な音楽を奏でながら歌うミラジェーン

 

スポットライトによって美しい容姿が一層際立ち、妖艶な魅力を秘めていた。

 

ルーシィ「いい歌ー!」

 

カナ「仕事に出る魔導士への歌よ」

 

ミラが歌を歌い終えると、拍手喝采が起こった。

 

 

「ミラちゃーん!!」

 

「最高ー!!」

 

「いいぞー!!」

 

 

アニス「ミラってほんとに歌うまいよねー!」

 

トール「それな。気持ち良い声がまだ頭のなかに残って……Zzz……」

 

ゼルマ「寝んのかい」

 

 

そしてスポットライトがまた消える。次に歌う人がいるということだ。

 

マカオ「いいぞー!次は誰だー!」

 

周りはミラの歌で盛り上がっており、次を楽しみにしている。

 

 

 

だが、ここで誰も予想しないことが起こった。それは、

 

 

 

スポットライトがステージに点くと同時に見えたのは

 

 

 

 

 

 

白いスーツ姿でギターを構え、椅子に座って足を組み、準備万端のガジルがいたことだった。

 

 

『!!!???』

 

ナツ「な、なんだ!?」

 

トール「え?は!?」

 

ゼルマ「ガジル!?てかいつの間に……」

 

さっきまで近くで退屈そうに座っていたのに、と言葉を漏らすゼルマ。

 

 

 

ガジル『♪オレを雇ってくれるギルドは数少ねえ♪』

 

トール「おいあいつ何か語りだしたぞ」

 

ガジル『♪飢えた狼だって、拾われたらなつくモンだぜ♪たとえかつての敵だとしても、友と思い歌ってみせよう♪』

 

グレイ「ギターへたいけど、何気にいい事言ってるじゃねーか…」

 

ジュビア「頑張れ、ガジル君!」

 

一通り語り終えたあと、ギターを鳴らすガジル。

 

 

ガジル『俺の作った曲だ。「BEST(ベスト) FRIEND(フレンド)」聴いてくれ』

 

 

 

周りの野次が発生するがガジルは気にせずに始める。

 

 

ガジル『カラフルカラフル~、シュビドゥバー!恋の旋律~鉄色メタリック~♪』

 

周りの面々はまさに体がメタリックになったかのように固まって硬直状態にヒビが入り、皆が唖然としていた。

 

レビィ「あぁ……」

 

レビィも流石の歌の下手さになにがなんだかわからないでいた。

 

 

 

だがまあ勿論例外はいるようで、

 

エルフマン「やるじゃねーか!」

 

ジュビア「がんばれガジル君!」

 

「「「良いぞー!」」」

 

一部のメンバーは好評だった。

 

 

もちろん他の観客には不評なので物を投げて大波乱になる。ガジルはそれに構わず歌い続けた。

 

ガジル『トゥットゥットゥッシャララ~、シュビドゥヴァー、シャララ~、ガジっと噛んだら甘い蜜~♪』

 

ナツ「こんなヒデー歌初めて聴いたぞ!?」

 

両耳を抑えながらナツが言ったと同時にガジルはギターを投げ付け、ナツの顔面にぶつけた。

 

ガジル『プェープェップェップェッ!』

 

ハーモニカ咥えながら文句を言うガジル。当然、何を言ったのか全くわからない。

 

ナツ「やんのかコラー!」

 

ガジル「シュビドゥバー!」

 

ナツ「何すんだテメー!」

 

ガジル「シュビドゥバーだこのヤロー!」

 

案の定、ナツとガジルは乱闘を始めた。

 

マカオ「誰かこいつらを止めろ!」

 

といっても誰も止めることなどできず、それどころか止める気すらない。

 

むしろこれを気にみんなが騒ぎだした。

 

そんななか、ナツの頭にカップが見事に命中し、ナツの怒りは更に増す。

 

ナツ「今物投げたの誰だコラァ!!」

 

その辺のテーブルをひっくり返し、ナツが叫ぶ。

 

グレイ「ナツ!!てめぇ暴れるんじゃねえ!!」

 

そう言って、突然立ちあがったグレイの肩が隣にいたエルザの肩とぶつかる。

 

その衝撃でエルザは持っていたケーキを落としてしまい、エルザの顔は蒼白となった。

 

エルザ「私の……いちごケーキ………」

 

そして落としたケーキをさらにエルフマンが踏み潰す。

 

エルフマン「てめぇら!!漢ならギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!!」

 

エルザ「やかましいっ!!!」

 

叫ぶエルフマンに怒るエルザの蹴りが炸裂し、おもいきり吹っ飛ばされる。

 

そしていつの間にかナツとガジルの喧嘩が周りに伝染していき、部屋全体を巻き込んだ大乱闘になってしまった。

 

ゼルマ「なんだこのギルド……」

 

トール「まあこれがいつもの俺らだからな」

 

ギルドの状態に呆れていたゼルマにトールが眼を瞑りながら説明する。

 

すると、ゼルマの頭に木製の皿がぶつかる。

 

トール「………どんまい」

 

ゼルマ「……オイ、騙されると思ってんのか。お前がサイコキネシスで遠隔操作してたんだろ。眼を閉じる前に一瞬眼が光ってたぞ」

 

トール「あら、バレちゃった。サイコキネシスをするときに眼が光るってよくわかったな」

 

 

そう、実はトールはサイコキネシスをする際、眼が光る。そして皿をぶつけられはしたが、ゼルマはそれを見逃さなかった。

 

 

ゼルマ「………」

 

トール「……………」

 

 

二人は数秒の時間の後、

 

 

「「おらぁっ!!!」」

 

 

周りと同様にケンカを始めた。

 

 

 

周りが騒がしくなったのを感じ、ナツは辺りを見渡す。

 

ナツ「こういうほうが妖精の尻尾(フェアリーテイル)っぽいよブホォア!!?」

 

その様子を見て前の雰囲気と同じものを感じとって笑顔になるが、ガジルの追撃がクリーンヒットし、喧嘩が再開されることになった。




※ちょっとした小ネタ

ベータ「エーテリオンを取り込んだラクリマです」

コウマ「マジか!?ちょっといただきまーす」


ガリッ


コウマ「まずっ!?がああああああああ!!!ぐえええええええええええ!!!」

ベータ「超神水飲んだ悟空ですか」



はい、というわけでゼルマさんも妖精の尻尾加入です。



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お約束?

 

アニス「起きてトールー。朝だよー」

 

トール「ん……おぉ。おはようアニス」

 

アニス「おはよ!じゃあわたしは洗濯物を干してくるからね」

 

トール「おう。その間に朝飯作ってるから……ふあぁ…」

 

気持ちよく寝ていたトールは、アニスに体を揺さぶられながら起こされる。トールは目を覚ますがまだ完全には目覚めておらず、何度も欠伸によってもう一度寝てしまいそうになる。

 

だが、朝食を作らないといけないので、洗面台にいって顔を洗い、眠気を覚ます。

 

 

そして朝食を作る最中、先日の事件を少し思い出していた。

 

 

トール「しっかし、ジェラールの顔があんなんだったとはな……そりゃ()()()もあんな風になるわ」

 

 

思い出すのは楽園の搭の事件での首謀者、そして、自分の親友である───。

 

 

トール「ま、他にも理由はありそうだけど」

 

 

といって頭のなかをリセットし、料理に集中していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「ふあぁ……」

 

元ファントムの三人が加入して翌日、ゼルマは9時頃にギルドに来てテーブルで朝食を食べていた。

 

頼んだメニューはホットドッグと野菜スープ、飲み物として冷たい紅茶をカウンターにいたミラジェーンに注文していた。

 

ゼルマ「……うまっ」

 

野菜スープの旨さに舌鼓を打っていると、同じテーブルの向かい側に誰かが座った。

 

 

トール「どうだ?ミラの作った料理うめえだろ?」

 

 

その正体はトールで、隣に座ったアニスと一緒にチョコレートパフェを食べ始めていた。アニスも一口食べて満足そうに頬を緩ませている。

 

 

ゼルマ「……朝からんなもん食ってたら太るぞ」

 

トール「余計なお世話だ。つうか朝飯なら家で食べたし。………それに、不摂生な食事で言うならお前も変わんねえだろ」

 

 

と言ってトールはホットドッグを指差す。

 

 

 

その、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ホットドッグを。

 

 

ゼルマ「ホットドッグ食うときはいつもこんなくらいだぞ?」

 

トール「お前のほうが太るだろうが!」

 

アニス「ゼルマってケチャラーなんだね」

 

ゼルマ「心配するな。自覚はある」

 

 

その見映えが悪いホットドッグを掴んで齧り付く。その際にケチャップが零れ落ちないのは何度も食べているからこそである。

 

ゼルマ「んで、なんか話でもあんのか?」

 

トール「ああ、それなんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

    マユミとベータ、コウマと会った」

 

 

ゼルマ「!!?」

 

 

ゼルマは驚いてホットドッグを食べる手を止める。が、すぐに食べ進めていった。

 

 

トールは楽園の塔での件をゼルマに話した。ゼルマは朝食を食べながらもしっかりと聞いており、話が終わる頃には既に食べ終わっていた。

 

 

ゼルマ「……そうか。俺がここにいるのがわかんのも時間の問題だな。あいつらへの対策も少しは考えねえと……」

 

トール「そうだな………まあ、それはさておいてだな!」

 

トールは先程の空気を変えるように明るく話を切り替える。

 

トール「お前も昨日わかったと思うが、このギルドはファントムと似たり寄ったりで騒がしいからな。退屈はしねえぜ?」

 

ゼルマ「……まあ、確かに。雰囲気は大分違うが」

 

トールは隣にいるアニスを自分の膝に乗せて頭を撫でる。

 

トール「そのうち腕試しという名のケンカ吹っ掛けられるかもな。俺もケンカ売られたし」

 

アニス「ナツやグレイなんか要注意だよ~」

 

ゼルマ「……それは腕試しとかじゃなくて〝見せしめ〟だろ。『新参者は調子乗んなよ』ていうよ」

 

 

くだらない、と吐き捨てる。なかなか冷たい態度をとるゼルマだが、それは過去の経験からなっている。

 

 

ゼルマが幽鬼の支配者(ファントムロード)に入った際、年齢が低かったにも関わらずケンカを売られた。その理由は、新しく入ったやつに自分達が舐められないためである。

 

もっとも、ゼルマは挑んできた魔導士全員を叩き伏せてしまったため、周りの者たちの目論見は失敗してしまったのである。

 

 

 

ナツ「おい、ゼルマ!」

 

 

少し過去を思い出していたゼルマに、ナツから声がかかる。その後ろにはハッピーやルーシィ、グレイもエルザもいる。トールは早速来たな、と思ってナツの第一声を期待している。

 

そしてナツが発する一言、

 

 

 

 

ナツ「お前も俺と同じ炎の魔導士なんだろ?勝負しようぜ!」

 

「「ぷっ!」」

 

ゼルマ「……ハァ」

 

 

この一言にゼルマは小さく溜め息をし、トールとアニスは我慢できずに吹き出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイ「だははは!!!そりゃおもしれぇな!!!」

 

ルーシィ「一応止めといたらって言ったんだけどね」

 

トールはナツたちに先程話していたことを話すと、グレイは大爆笑し、ルーシィは苦笑いをした。

 

エルザ「まあ、ナツとグレイも喧嘩早いからな。仕方ないだろう」

 

ナツ「あぁ!?こんなカチコチ野郎と一緒にすんじゃねえよ!」

 

グレイ「そりゃこっちの台詞だこの猪突猛進野郎!」

 

このギルドでは、こうした些細なことでよく喧嘩がおこる。そしてもちろん近くには、

 

エルザ「ケンカは……」

 

「「よくないですよねハイ!!!」」

 

 

鬼神サマ(エルザ)がいるのですぐに終わる。

 

そこで、逸れていった話をトールが戻す。

 

トール「で?どうすんだよゼルマ、ケンカすんの?」

 

ゼルマ「そうだなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パオラ「……で、結局するのね。アイツもうちの連中と変わんないじゃない」

 

 

ギルドの裏にある海岸にて、家の掃除や洗濯などをして遅れてきたパオラにトールは先程の出来事を話す。そして、それを聞いてパオラは呆れた表情を浮かべた。

 

 

しかし、ここでパオラは疑問に思った。

 

 

パオラ「でも、それだったらなんでゼルマの前にいるのがナツじゃなくて………

 

 

 

 

     エルザなのよ」

 

 

パオラの目には準備体操をしているエルザが映っている。これではゼルマvsナツでなく、ゼルマvsエルザになる。

 

 

トール「いや実は話はまだ続きがあってな……」

 

 

そして時は少し前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナツ「なぁ、炎の滅悪魔法ってどんな味なんだ?」

 

ナツたちがトールたちのテーブルに座ると、ナツは自分のなかで気になったことを言う。こんなこと言うのはスレイヤー系の魔導士くらいであり、他の魔導士から見れば意味不明な質問である。

 

 

ゼルマ「どんな味って言われても自分の炎は食えねえしなぁ。じゃあ試しに食ってみるか?」

 

そう言うとゼルマは右手に滅悪の魔力が込められた炎を出して、隣にいるナツに渡す。

 

 

ナツ「おぉ!いただきまーす」

 

 

ゼルマの炎を両手で受け取ったナツは一口で食べきった。

 

 

トール「どうだナツ。感想は?」

 

 

ここにいる者達の視線がナツに集まる。

 

その評価は

 

 

ナツ「うんめえ!めちゃくちゃうまかったぞゼルマ!」

 

 

大好評だった。

 

 

ナツ「前に食べたトールの炎とは違った旨さだったぞ」

 

ルーシィ「炎に旨さってあるのね……」

 

トール「炎だけじゃねえぞ?氷も雷も、同じ属性でも人によって全然違うものだからな」

 

 

ちなみにナツ曰く、トールの炎はお菓子のようで、ゼルマの炎はジュースのような旨さらしい。

 

ルーシィたちにはよくわからない理論だった。

 

 

ゼルマ「じゃあナツ、お前の炎はどんな味がするんだ?俺にも食わせろよ」

 

ナツ「おう!いいぜ!」

 

 

そう言うとナツは左手に滅竜の魔力が込められた炎を出してゼルマに渡した。

 

それをゼルマは味を噛みしめるように食べていった。

 

 

ゼルマ「荒々しいな」

 

食い終わりの最初の一言はそれだった。

 

ゼルマ「荒々しいが、そのなかに芯の強さを感じる。俺もこんな旨い炎は久々に食った。旨い肉を食ったような感覚だった」

 

そういったゼルマの顔からは笑顔がでていた。

 

 

ゼルマ「魔法の味なんかはその人の気持ちや心を表していたりする。つまりお前は荒ぶる感情を持ちながらも、その心のなかには何かを大切に思う強さがあるんだろうな。そんなものはファントムの奴等には無かったものだ」

 

ナツ「へへっ、ありがとよ!」

 

ゼルマ「(その強さを知ることができれば…俺はもっと強くなるんだろうか……)これから仲良くしようぜ、ナツ。このギルドにいれば、俺はもっといろんな意味で強くなれそうだ」

 

ナツ「あぁ!よろしくな、ゼルマ!」

 

 

二人はがっちりと握手を交わし、お互いの仲を深め合った。

 

 

ゼルマ「しかしあれだな。俺もナツも炎のスレイヤー系魔導士。お互い炎が効かないんじゃ闘ってもただの作業になりそうだ」

 

ルーシィ「確かにそうよねぇ……」

 

ナツ「でも俺はトントン丸とか言うやつには勝ったぞ?」

 

ハッピー「ナツ……兎兎丸だよ……」

 

ナツの物忘れに呆れるハッピー。

 

ゼルマ「あいつは他人のも含めた炎を操ることができるだけで、炎への耐性は強いがあいつ自信に炎は効くんだよ。それはスレイヤー系魔道士(俺たち)も同じで、全く効かないわけじゃない」

 

グレイ「つうか別にお前は倒してねえだろ。俺があいつを凍らせてエルフマンが遠くへ飛ばしたんだからよ」

 

ナツ「あー、そうだっけ?」

 

ルーシィ「記憶力無さすぎ……」

 

今度はルーシィがナツに呆れていた。

 

エルザ「まったくお前は……そうだ、せっかくだから私と手合わせしてもらえるか、ゼルマ?私もお前の実力は気になるからな」

 

ゼルマ「……へぇ?」

 

エルザの言葉に対して意外そうな顔をするゼルマ。

 

そして、意外だと思ったのはトールやグレイも同じだった。

 

グレイ「(珍しいな……エルザからそんな風に言うことって今までにあったか?)」

 

トール「(いや、俺のときも似たような感じだったような……まあ、今も昔もエルザはアマゾネスだったし」

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

グレイとトールはヒソヒソと話していたが、トールの声が途中からエルザに丸聞こえだったので、拳骨という名のエルザの制裁がトールの頭に落ち、テーブルに突っ伏した。

 

グレイ「(今のは擁護できない)」

 

ついさっきまでトールと話していたグレイは心のなかでトールに合掌した。

 

 

一方で、ゼルマはエルザの誘いには興味津々だった。

 

ゼルマ「いいぜ。トールと同じS級魔導士のお前の実力は俺も気になってたんだ。その誘い、ありがたく乗らせてもらうわ。妖精女王(ティターニア)のエルザ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

周りの者たちは早速二人の勝敗を賭けたりして盛り上がっている。

 

 

パオラ「トールはどっちが勝つと思うのよ」

 

トール「さあな。ファントム戦で闘ったとはいえ、あいつの実力を全部見た訳じゃねえからな」

 

アニス「じゃあ、どっちが有利だと思うの?」

 

トール「そりゃおそらく………ゼルマだろ」

 

トールは少し考えて答えを出す。

 

トール「ゼルマには業火の息吹(アグニッシュワッタス)があるから炎帝の鎧くらいは軽く蹴散らせる……だがまあエルザならなんか対策たてるんじゃねえの?」

 

 

そして、当の二人は目の前の相手を探っていた。

 

エルザ「(ゼルマ・シュトル……炎系最強の魔法〝業火の息吹(アグニッシュワッタス)〟と、炎の滅悪魔法を持つファントム最強の魔導士。奴の放つ熱量に対抗するには炎帝の鎧だけでは足りないかもしれない……)」

 

エルザはまず様子を見ようと思い、炎帝の鎧を換装させ、両手で一本の剣を持つ。

 

ゼルマ「(エルザ・スカーレット……剣だけでなく鎧も換装させて闘う魔法〝騎士(ザ・ナイト)〟を駆使する女剣士。恐らく俺のことはトールから聴いているから耐熱対策はしてくるだろうな。さてどうしようか……)」

 

ゼルマも様子見をするために、滅悪魔法の蒼い炎を身に纏いながら、光を発する槍〝閃光槍〟を手にもつ。

 

ゼルマはギルド間の戦争の件には興味なかったが、妖精の尻尾の魔導士には興味があった。

 

自分の知っているトールがいるのも理由の一つだが、他にも興味深い魔導士は多くいた。

 

他のS級魔導士は勿論、炎の滅竜魔法を使うナツ、氷の造形魔法を使うグレイ、流星魔法を使うパオラなど、強そうな魔導士がちらほらいるのは噂などで聞いていた。

 

 

二人から発する空気が変わったことで、周りの者たちは静かになる。

 

そして、海岸に打ち寄せる波の音が静まると同時に、

 

 

「「っ!!!」」

 

 

ガキィィン!!!

 

 

高速で接近し、お互いの武器がぶつかりあった。

 

お互い力で己の武器を押し、鍔迫り合いを征そうとする。

 

エルザ「ハァッ!」

 

エルザはそのまま剣を左手に持ち、右手でゼルマの腹に強烈な張り手を与える。

 

だが、ゼルマは腹に当たる直前に腹に左腕でガードながら後ろへ跳び、衝撃を逃がしてダメージを無効化させる。

 

ゼルマ「螺旋焔(らせんほむら)!」

 

今度はこっちの番だと言わんばかりにゼルマが空中で蒼炎の渦をエルザに向かって放つ。

 

それに対してエルザは剣の切っ先を上に向け、大きく降り下ろして炎を一刀両断した。

切りつけられた炎は二つに別れ、エルザを挟んで横切ると爆発を起こした。

 

ゼルマは地面につくと再び高速で接近し、槍を振り下ろす。

 

それに対してエルザは少し違和感を感じたが、気にせずに剣の代わりに槍を換装させて迎え撃ち、槍と槍がぶつかった衝撃が周りに響いた。

 

 

 

ナツ「おおーすげー!」

 

パオラ「二人ともすごいわね。武器の扱いといい闘いの技術といい……」

 

グレイ「だが、ゼルマの槍の技術……あれは槍や薙刀というより……」

 

トール「ああ。あれはなんというか……()()()()()()()()()()()

 

ルーシィ「そうなの?」

 

見物組のなかでも実力の高い者たちはこのことに気づいている。

 

 

そしてもちろん、エルザも気づいている。

 

 

エルザがその事を言おうとしたが、その前にゼルマが口にした。

 

 

ゼルマ「なんか、槍持ってるのに全然槍らしく扱ってないみたいな声がちらほら聞こえるから今のうちに言っておくわ。確かに俺は槍よりも剣のほうが扱いやすい」

 

エルザ「では何故槍を持っているんだ」

 

ここにいる者たちのごもっともな意見をエルザが代弁する。

 

ゼルマ「いやホントに対したことじゃねえぞ?ただ単に仕事の依頼でこの槍を貰ったからつかっているだけだ」

 

ゼルマは槍をくるくる回しながらお気楽に喋る。

 

ゼルマ「いや俺ってさ、業火の息吹(アグニッシュワッタス)の魔法持ってるからよぉ、持ってる武器を溶かしちまうことがよくあんだよ」

 

パオラ「なら剣を新しく買えばいいんじゃないの?」

 

ゼルマ「そうはいかねえ。俺は自分の武器には愛着を持つんでな、そう簡単に変えらんねえよ」

 

そう聞いて周りの者たちは感心する。

 

グレイ「へぇ……なぁ、その槍はどんな効果があるんだ?」

 

ルーシィ「高熱にも耐えられるとか?」

 

槍の効果についてグレイとルーシィが訪ねる。

 

ゼルマ「この槍〝閃光槍〟はな……」

 

 

ゼルマは槍の取っ手についてあるスイッチを押し、

 

 

ゼルマ「スイッチ押すと先端が光るんだよ」

 

 

『普通の槍だった……』

 

 

先端を光らせ、自慢気に話した。

 

だが、周りの反応はイマイチだった。

 

 

トール「……んじゃ、もしその槍が壊れたら俺が良い刀を紹介してやるよ」

 

ゼルマ「マジか!じゃあお願いするわ。さて、続きやろうぜエルザ。準備運動はもういいだろ」

 

エルザ「ああ。そうだな」

 

そう言うとエルザは槍をしまい、別の剣をだす。

 

ルーシィ「あれって……」

 

ハッピー「海王の剣だよ」

 

アニス「炎帝の鎧で炎のダメージを軽減させて、海王の剣で炎を退けつつ攻撃するってことだね」

 

 

エルザの変化に対し、ゼルマは槍に蒼い炎を纏わせる。

 

ゼルマ「行くぞ…!」

 

エルザ「来い!」

 

今度は先にゼルマが動いた。

 

ゼルマは槍の先端から炎を放出する。エルザは海王の剣で炎を打ち消し、剣に水を纏ってゼルマに斬りかかる。

 

対してゼルマは炎を纏った槍を水平に持ち、体を半身にして集中する。

 

 

エルザ「海王・大海の剣(アクアスライサー)!!!」

 

ゼルマ「炎貫突(えんかんとつ)!!!」

 

エルザの水の斬撃とゼルマの炎の突きが激しくぶつかる。

 

 

水と炎の衝撃により、水蒸気爆発が起こった。

 

 

 

トール「おーおーハデにやってるねぇ二人して熱くなって」

 

ルーシィ「いやこれやりすぎでしょ!?」

 

パオラ「でもさ、エルザの顔つき……何だか楽しそうよね」

 

観戦側のトールたちは二人の勝負を見ながらその状況をコメントする。そんななか、パオラはエルザに着目していた。

 

ハッピー「あい!いきいきしてるよね!」

 

グレイ「そりゃああれだろ。楽園の搭の件が終わって、エルザの肩の力が抜かれたからじゃねえか?」

 

グレイの言葉を聞いてみんなが納得する。爆発の煙が晴れ、先程と同じ場所にエルザはいた。確かによく見てみると、エルザはまるで悪いものが体から取れたかのように笑っていた。

 

ルーシィ「(よかったね、エルザ……)」

 

ルーシィは嬉しそうにエルザを見ていた。

 

 

だが、そこにゼルマがいないことにアニスが気づいた。

 

アニス「あれ?ゼルマは?」

 

トール「上だ」

 

アニスがゼルマを探していると、トールがゼルマの方向に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「流石だな。やっぱ闘いは力が拮抗しているほど面白いもんだ」

 

ゼルマは両足の裏に炎のブースターを点火させることで宙に浮きながらエルザの実力を評価していた。

 

 

ゼルマ「だが、勝負ってのは……勝たなきゃ面白くないんでな」

 

 

ゼルマは槍の先端部に魔力を集中させる。するとそこに炎の塊があらわれ、

 

 

ゼルマ「ブリリアント・デトネーション!!!」

 

無数の炎の塊を雨のように降り注いだ。

 

 

 

それを下から見ていたエルザは、天輪の鎧に換装し、こちらも無数の剣を出現させる。

 

 

エルザ「天輪・繚乱の剣(ブルーメンブラット)!!!」

 

 

無数の剣と無数の炎。

 

一つ一つがぶつかり合い、連鎖爆発を引き起こした。

 

 

すると、その爆煙の中からゼルマが猛スピードで急降下してきた。

 

ゼルマ「おらぁっ!!!」

 

ゼルマは持っていた槍に再び炎を纏わせ、エルザに向かって勢いよく放り投げた。

 

 

エルザ「はぁっ!!!」

 

 

エルザは向かってくる槍に物怖じせず、剣を振り上げて槍の軌道を反らした。反らされた槍は砂浜にザクッと突き刺さる。

 

 

だがそれはゼルマには想定内の行動であり、右手には蒼い炎でなく、ナツと同じような赤い炎がエルザの目に映り、魔力の質が変わったのを感じた。

 

 

そして、エルザのなかに緊張感が鋭く走り、

 

 

エルザ「(あれが炎系最強の魔法───)」

 

 

ゼルマ「業火の息吹(アグニッシュワッタス)!!!」

 

 

ゼルマの必殺の一撃が放たれた。

 

 

エルザ「くっ!」

 

 

エルザはゼルマの攻撃を左に緊急回避しながら剣でガードし、

 

 

 

大爆発が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼルマ「参ったな……あれを避けちまうか」

 

 

煙が晴れると、地面に右手をつけていたゼルマは右にいる、先ほどの攻撃を避けたエルザを見た。

 

 

ゼルマ「滅悪魔法で攻めつつ、ここぞと言うときに規模を抑えた業火の息吹(アグニッシュワッタス)で決めようと思ったんだが……」

 

エルザ「規模を抑えた、だと?」

 

一方でエルザの持っていた剣は根本付近まで溶け、エルザは背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。

 

ゼルマ「本気でやりすぎたらお前の体まで溶かしてしまうからな。一緒のギルドにいるんだからその辺ちゃんと考えなきゃダメだろ」

 

 

そう言ってゼルマは槍を手に取る。

 

 

 

 

ジュゥゥゥゥゥ

 

 

 

 

ゼルマ「あ」

 

 

 

その()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『あ……』

 

 

周りの者たちはゼルマの槍が溶けていくのを見ながらそう呟き、槍は五秒も経たずに溶けきってしまった。

 

 

ゼルマ「しまった……またやっちまった」

 

トール「闘いの途中で言ってたことがホントに起きちまったな」

 

エルザ「どうするゼルマ。続けるか?」

 

エルザは手で顔を隠して目を瞑っているゼルマに声をかけるが、

 

 

ゼルマ「あー……なんか冷めちまったし……この辺で止めようぜ」

 

 

ゼルマはケンカの中止をエルザに提案した。それを聞くとエルザは炎帝の鎧と剣をしまい、普段の鎧の姿へと換装する。

 

エルザ「うむ、わかった。また機会があれば手合わせしてくれるか?」

 

ゼルマ「あぁ、もちろん」

 

二人は手合わせの約束をし、ガッチリと握手を交わしたのだった。

 

 




螺旋焔(らせんほむら):螺旋状に回転させた炎を撃つ。

大海の剣(アクアスライサー):水を纏った斬撃を相手に放つ。

炎貫突(えんかんとつ):炎を纏った刺突。

ブリリアント・デトネーション:無数の炎の塊を雨のように降らせる。


ちなみに、エルザが使った海王の剣は、海王の鎧とセットの剣でなく、アルバレス編のアジィール戦で使ったやつです。

マヨラーは良く聞くのに、ケチャラーは全然聞かないんだよなぁ……。


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幼い刀鍛冶

久し振りですいません。なんとか1ヶ月おきでも投稿したかったんですが、授業のダルさから、こっちまでダルくなってしまいました。

実を言えば、ちょこっとずつ書きつつ他の作品を見ながらずっとスタンバってました……( TДT)。

そしてリリカルなのはにはまってしまった…!ちなみにお気に入りはティアナとノーヴェです。


あと、今回でクロスオーバーのキャラが出てきます。まあほとんどの人が知らないでしょうが。


 

エルザとゼルマの手合わせが終わり、周りの者たちはギルドへと戻っていく最中、パオラがゼルマに話しかけた。

 

パオラ「そういえばあの槍、ホントに良かったの?」

 

ゼルマ「まあしょうがないさ。あそこまでやっちまったらな。トール、昼からでいいから良い刀を紹介してくれ」

 

トール「……いや、せっかくだから今から行くぞ。寄り道もあるし」

 

ゼルマはトールに刀を紹介するように頼むが、トールは少し考えてからゼルマとの予定を変更させる。

 

ゼルマ「寄り道?」

 

アニス「うん!店主の好物を買っていくんだよ!」

 

パオラ「なんなのよ好物って」

 

 

パオラの言葉にトールは単語ひとつでこう答えた。

 

 

 

〝団子〟と。

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

ゼルマ「なぁ、なんでそんな早めに鍛冶屋行くんだよ。いや早いことに越したことはねえんだけどよ、あむっ」

 

パオラ「そうよね、昼からでも空いてる確率は高いわけだし、ぱくっ」

 

アニス「ゼルマに用事でもあるの?もきゅっ」

 

確かにエルザとゼルマの戦いが終わってからまだ一時間も経っておらず、というか三十分程しか経っていない。

 

そんな早くから行くのは勿論理由がある。

 

 

一つは刀を早く造ってもらうため。

 

 

もう一つは、

 

 

トール「仕事行くんだよ仕事。それもS級のな、むしゃ」

 

 

S級クエストに行くためだ。

 

 

ちなみにさっきから俺たちが食べているのは団子であり、俺とゼルマが三色団子、アニスとパオラがみたらし団子だ。

 

もちろん、俺の奢りである。

 

もっとも、三色団子は玉が三つ、みたらし団子は玉が四つなのですぐに食べ終わった。

 

パオラ「この四人でってこと?」

 

ゼルマ「へっ、いいねぇそりゃ。初仕事がS級クエストとは腕がなるぜ」

 

驚くパオラと嬉しそうなゼルマ。

 

 

などと話していると、マグノリアの町の外れ付近まで歩き、目的地に到達する。

 

 

トール「ここだ」

 

 

そこの店にはこう書いてあった。

 

 

 

星咬(ほしがみ)〟と。

 

 

 

 

 

 

 

 

第三称side

 

 

ナツ「あれ?ゼルマのやつどこいったんだ?もっかいあいつの炎食いたかったのに」

 

ハッピー「ギルドにはいないかもしれないね」

 

一方その頃ギルドにて、ナツはゼルマを探してハッピーと一緒にあちこち走り回っていた。

 

その際、お前らはなにか壊さないと気がすまないのかと言いたいほど、机や椅子が散漫している。

 

エルザ「そういえば、トールたちもいないな」

 

グレイ「確かに……」

 

ルーシィ「どこ行ったんだろ?」

 

 

ミラ「たぶん、仕事にいったと思うわよ?」

 

 

一緒にいた5人の疑問にカウンターからやって来たミラが答える。

 

ハッピー「仕事ってどんな仕事?」

 

ハッピーの質問に、ミラはトールが受注した仕事の依頼書をナツたちに見せる。

 

その依頼書に書いてある内容は、こう書いてあった。

 

 

 

『巨獣〝アトラス〟の捕獲 報酬7200000ジュエル』

 

 

 

そして依頼書の端には、〝S〟の印が記されてあった。

 

 

S級クエストである。

 

 

ルーシィ「これってS級クエストじゃない!?報酬高っ!」

 

少し前にルーシィたちが無断で行ったガルナ島のS級クエストが7百万ジュエルであるので、それよりも2十万ジュエル報酬が多いことになる。

 

グレイ「つうかゼルマの奴はいきなりS級クエストに行くことになるのかよ!?」

 

ナツ「だあぁぁぁ!!!ずりぃぞゼルマのやつ!俺も行きてえ!!!」

 

ルーシィ「でも、なんで急に?」

 

 

ルーシィの疑問に、エルザが答える。

 

 

エルザ「トールはマスターにゼルマの面倒を見るように頼まれていたからな。何故S級クエストかは知らないが……まあ、深い意味はないのだろう」

 

エルザがそう言うとルーシィとグレイは納得した。ただ、ナツは未だにむすっとしているが。

 

ミラ「案外報酬が目当てだったりするかもね」

 

ルーシィ「報酬!?」

 

ミラの言葉にルーシィが目敏く反応する。それを見てグレイは内心「こいつ大丈夫か…」と心配する。

 

そんななか、ナツにハッピーが依頼書を見せながら話しかける。

 

ハッピー「うーん……ナツにはこの仕事は無理だよ」

 

ナツ「何ぃ!?んなことねえぞハッピー!その気になりゃ俺だって──」

 

エルザ「いや、無理だ」

 

グレイ「あぁ、無理だ」

 

ルーシィ「うん、無理ね」

 

ナツ「んなっ!?なんで俺じゃ無理なんだよ!」

 

満場一致の四人の意見にナツは机をバンバン叩きながら怒る。

 

 

だがしかし、四人の態度は冷静である。

 

 

グレイ「良く見ろよ。依頼書の内容を」

 

ナツたちがよく受ける〝討伐〟系の仕事ではなく〝捕獲〟の仕事である。さらに言えば、〝捕獲対象を殺さないこと〟と念押しして書かれてある。

 

つまり、普段から町の建物や自然のものを破壊するナツでは、捕獲対象をやり過ぎて殺してしまうであろうと言うことだ。

 

 

ナツ「何をぉ!?その言い方じゃ俺が毎回物壊してるって言いてえのか!」

 

グレイ「事実じゃねえかバーカ」

 

ナツ「んだとコラァ!」

 

グレイ「やんのかコラァ!」

 

エルザ「ええいやめんか貴様ら!!!」

 

 

結局はナツとグレイがケンカを始め、それをエルザが鉄拳制裁でおさめるといういつも通りの展開に、ハッピーとルーシィは呆れながら見ていた。

 

ルーシィ「それにしても……対象の捕獲で7200000ジュエルなんて……どんだけ狂暴なのかしら」

 

 

ふと、そんな疑問がこぼれたルーシィであったが、

 

 

───まあ、トールたちならうまくやるでしょ。

 

 

と、そう思いながらエルザによってKOされたナツとグレイを慣れた目で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トールside

 

 

ゼルマ「へぇここが……」

 

アニス「うん!ここがマグノリア唯一の刀鍛冶屋さん〝星咬(ほしがみ)〟だよ!」

 

パオラ「……あれ?ここの隣の家って……」

 

トール「あぁ。俺たちの家だ」

 

そう。ここの鍛冶屋は俺んちの隣にあるので、お隣さんとして仲が良い。

 

アニス「じゃあ店主を呼んでみるね。おーい、皐月(さつき)ちゃーん!皐月ムジカちゃーん!」

 

ただ、俺は刀を使わないので刀を買いはしないが、ここは刀だけでなく包丁も売っているので、包丁の切れ味が悪くなったら研いでもらっているし、古くなりすぎたら新しいのをここで買っている。俺もアニスも料理するので、必然的に包丁も必要になってくる。

 

 

話は逸れるが、俺よりもパオラのほうが料理は旨かったりする。やはり女子力の差だろうか。

 

 

パオラ「ムジカちゃんって、ここの店主は女の子なの?」

 

ちなみに刀と言えばフェアリーテイルではエルザも刀を使うが、エルザの剣と鎧はすべてハートクロイツ製なのでこの星咬には来ない。

 

アニス「うん。この店はその子一人で遣り繰りしてるんだよ。そういえばムジカちゃんは東洋出身だっていってたような……」

 

本来、ハートクロイツ社は武器は製造していないのだが、エルザの強引な脅…頼みによってエルザにだけ特別に製造している。

 

ゼルマ「ほぉ……すげえなそりゃ」

 

余談だが、一度だけエルザに剣を造ってくれと頼まれたことがある。

 

断る理由はないのだが正直に言えばめんどくさかったので断ろうとしたが、造ってくれたらスイーツバイキングの無料チケットをくれると言ったので、ここの場所を借りて、ここの店主のムジカちゃんと一緒に造った。

 

決して無料チケットに吊られたわけではない、エルザに頼まれたから造っただけである。

 

……ついでに言えば、そのスイーツバイキングはとても美味であったと記憶している。

 

 

ただまあ、普通に造るのもつまんねえから少し……いや、めっちゃ強いのを造ってやった。少なくとも、鎧を着たままでは絶対に使うことはできない。

 

ということを説明したら『それでは使えないではないか!』と言われ、鉄拳制裁により地面に頭がめり込まされた。

 

別に鎧じゃなくて、着物とか着てればいいのによ。

 

 

パオラ「何してんのトール。中に入るわよ?」

 

トール「おう、今行く」

 

と、一人で考え事してるとアニスとゼルマは既に中に入っているようだ。

 

パオラに続いて俺も中に入ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ムジカ「お久し振りですトールさん、アニスさん」

 

中に入ると、この鍛冶屋の店主である、後ろにリボンで髪を纏めたワインのような紅い髪の少女、皐月(さつき)ムジカが正座で座っていた。

 

トール「おう、久しぶり。これ団子ね」

 

ムジカ「あ、ありがとうございます…!」

 

じゅるり、とよだれをたらしながら団子を受け取って食べていく。

 

すべて食べ終わると、ほくほくとした顔をする。

 

……が、みたらしのタレがついてるぞ。

 

トール「ほら、行儀悪いぞ」

 

そういって口に付いたタレを指で拭い、自分の口に運んだ。

 

ムジカ「……////。そ、それで今日はどうかしましたか?」

 

さすがに恥ずかしかったのか、顔を赤らめ、下を向きながら質問する。

 

俺はゼルマのほうを向き、自分から言うように目で伝える。

 

ゼルマ「実は君に刀を造ってほしいんだよ」

 

ゼルマは俺の意図を理解し、自分で説明する。

 

ゼルマ「ただ、一つ条件がある。俺は炎の魔導士だから今まで結構な刀の数を自分の熱で壊しちまって。だから高熱に対する強い耐性を持った刀にしてほしいんだよ」

 

ムジカ「なるほど……炎の魔導士というのなら、高熱に対する耐性というよりは、熱を吸収して蓄えたり放射したりすることができるようにすればいいですね。熱の操作ができる魔水晶(ラクリマ)を使えばなんとかなると思われます」

 

 

と言うと、ムジカはメモ用紙を取りだし、必要なものなどをメモしていく。

 

 

ムジカ「2~3週間ください。その間に最高の刀を造ってみせます」

 

ゼルマ「よし、交渉成立だ!よろしく頼むぜ!」

 

 

よし。これでゼルマの刀のことはオッケーだな。

 

 

その後は仕事に行くために、星咬を出てから駅へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはその後店を出て、依頼を発注した村へと電車で向かった。

 

依頼の場所は山奥付近にあるので、最寄り駅からは歩きである。

 

ここまでの道のりでの雑談で、新人であるゼルマにそれぞれの魔法やギルドのことを話していた。

 

パオラ「しかし2~3週間後っていったら、ファンタジアが終わってからね」

 

ゼルマ「ファンタジア?なんじゃそりゃ」

 

アニス「フェアリーテイルが毎年参加する収穫祭だよ。パレードとかをやったりしてるの」

 

 

聞き慣れない単語を聞いたゼルマに、俺の頭の上に乗っているアニスが答える。

 

しかし、もうそんな時期か。楽しみではあるが、正直いってあれに出るのは少し恥ずかしいんだよな。

 

 

パオラ「あんたも参加するかもね」

 

ゼルマ「なんかめんどくさそうだなー」

 

そういって腕を組みながら空を見上げる。

 

 

まあ確かにおまえはやんなさそうだよな。

 

 

……そういや、やらなさそうといえば、ラクサスや雷神衆は参加しなさそうだな。つーか雷神衆に至っては半年くらい帰ってねえんじゃねぇか?

 

まあ、ミストガンが参加するほうがもっとありえねえが。

 

今はとりあえず、依頼に集中しねえとな。

 

 

パオラ「にしてもすごい花の数ね。この鱗粉、いや花粉?…それもすごい量」

 

トール「あぁ。これは解毒草だな」

 

アニス「解毒草?」

 

トール「その名の通り解毒効果がある草だ。花粉にも同じ効果がある」

 

ゼルマ「その花粉は俺の炎で燃えカスになるんだけどな」

 

トール「やめてさしあげろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

トール「さてと、困ったもんだ」

 

どうやら、依頼書に書いてあることより、複雑な依頼であるようだ。

 

 

依頼人の話を聞き、依頼の内容をまとめると、この山に住み着いているのは捕獲対象である巨獣〝アトラス〟とその仲間か同族と思われる複数の〝ギガンテス〟。

 

アトラスはギガンテスたちを束ねるリーダーのような存在だが、元々彼らとこの村は、食糧を分けあったり、危険から身を守り合ったりという風に共存していたらしい。

 

しかし、三ヶ月前に山頂から原因不明の霧が起こってからアトラスたちの様子が激変してしまった。

 

急に暴れだし、村だけでなくあちこちを壊し回り、村の住人では抑えられなくなってしまった。

 

ちなみに、その霧は人間には効かないようだ。

 

それならば山の頂上などに行って霧の原因などを調査するべきだと主張したが、そこへ行く途中にアトラスたちが邪魔をしてくるので、まずはアトラスを捕獲してほしいとのことだ。そうすれば、ギガンテスたちも大人しくしてくれるかもしれないらしい。

 

その時にあわよくば山頂に行って調査するらしい。

 

 

 

というかこれじゃ〝捕獲〟の依頼じゃなくて〝調査〟の依頼だな。

 

 

 

これならわざわざS級に指定しなくてもいいと思うが、そんなにうまくいかないのが現実である。

 

 

そのアトラスとやらがとても強いらしいのだ。

 

 

その上、ギガンテスたちの連携攻撃が凄まじくて手に負えないとのことだ。

 

故に、多くの魔導士が返り討ちにあい、依頼料が少しずつ上がっていき、ついにはS級に指定されたようだ。

 

 

そりゃ御苦労様だ。しかし、

 

 

ゼルマ「しかしまあ、他のやつらと俺らを一緒にしてもらうのは困るってもんだ」

 

パオラ「そうね。さっさと終わらせてしまいましょ。この村の近くに有名な温泉があるらしいわよ」

 

アニス「温泉入りたいー!」

 

 

……うん。まあそうなんだけどさ、

 

 

トール「わかってると思うが、無理をしないこと。それと、やりすぎないことな」

 

ゼルマ「わかってんよ、センパイ」

 

トール「イラッ……なんかその物言い腹立つ」

 

パオラ「っ!来たわよ!」

 

 

そうこうしているうちに向こうからお出でなすったようだ。

 

 

体の色がオレンジ色、頭のてっぺんの角に一つ目、デカイ棍棒とデカイ図体。

 

 

依頼人に聞いた通りの特徴、つまりこいつがアトラスということか。

 

 

後ろにわんさかいるアトラスの水色タイプみてえなやつらがギガンテスか。

 

 

トール「確認事項だが、こいつら全員殺しちゃいけねえからな」

 

パオラ「それくらい……」

 

ゼルマ「わかってんよ!」

 

そういって二人とも戦闘体制に入る。パオラは破邪の弓を構え、ゼルマは滅悪の炎を灯す。

 

 

すると向こうはこっちのことなど関係なしに襲いかかってきた。

 

 

パオラ「メテオアロー!」

 

ゼルマ「炎魔の激昂!」

 

 

パオラは一度に五本の流星の矢を放ち、ギガンテスたちへぶつける。そしてゼルマのブレスは直接アトラスへと進んでいった。

 

 

それにしてもパオラのやつ、また少し魔力上がったか?

 

 

と、関心していたのも束の間。パオラの攻撃を受けたギガンテスたちはダメージを受けたがまだまだ余裕そうである。アトラスに至っては直撃の寸前で魔力を込めた棍棒を盾にして事なきを得ていた。

 

 

だったらこれなら……。

 

トール「サイコキネシス!」

 

 

サイコキネシスなら、動きを封じ込めることが、

 

 

『グゥゥ………ガアァ!!!』

 

 

───できなかった。

 

アニス「トールのサイコキネシスを力でやぶるなんて!?」

 

パオラ「流石はS級指定のモンスターね」

 

まあまだ本気ではないがな。

 

しかし、並の魔導士では解けないサイコキネシスをよく解けたもんだ。

 

 

ただまあ、

 

 

トール「上方不注意だぞ」

 

 

時間は十分稼げた。

 

 

『!!?』

 

トール「こいつらの特徴は力や連携攻撃よりもタフさにある。並の攻撃では通じねえし、通じてもすぐに回復する」

 

 

奴等の上に黒い雲が広がっていく。

 

 

トール「だったら強力な攻撃を何度も打ち続ければいいだけだ」

 

 

そして黒い雲から黒い稲妻が迸る。

 

 

トール「黒万雷雨!!!」

 

 

天上から数多の雷が、アトラスたちに何度も降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

トール「とりあえず、これくらいやれば暫くは起き上がってこれねえだろ」

 

パオラ「すごいタフだったわね」

 

あの後俺の黒万雷雨を何度も受けてもまだ立ち上がり、棍棒で反撃してきたのだが、ゼルマとパオラの追撃を受けてやっと気絶した。

 

ゼルマ「さすが、腕は落ちてねえようだな」

 

トール「うっせ」

 

さてと、アトラスを村まで引きずっていくのもいいが、それだと村で暴れる可能性もあるからアニスに依頼人を連れてきてもらうか。

 

 

『ッ……ちょうじょ、う……だ』

 

 

すると、アトラスが目を覚まし、俺たちに向けてなにかを呟いた。

 

 

アニス「人じゃないのに喋った!?」

 

パオラ「あんたが言うのそれ…」

 

ゼルマ「話ずれてるぞ」

 

トール「頂上がどうかしたのか?」

 

 

俺の問いにアトラスは続けて言う。

 

 

『山の、頂上に……。おかしな植物が……それから俺、たちは………』

 

トール「理性を失って暴走したってとこか……」

 

ゼルマ「やっぱり、頂上をよく調べないといけないようだな」

 

 

俺たちの意見も一致したので、急いで山頂へ行くことになった。

 

 

アニス「ねえ、さっきいってたおかしな植物ってどんなんだろうね?」

 

ゼルマ「さぁ?気色悪い形してるんじゃねぇか」

 

パオラ「その植物の発する瘴気が彼らをおかしくした、と推測するのが妥当かしらね」

 

パオラの推測は正しいであろう。俺も同じ推測に至ったからな。

 

アニス「うぅ~寒いぃ……」

 

歩き続けているとアニスが宙に浮きながらではあるが、寒がり始めた。

 

パオラ「確かに寒いわね……」

 

ゼルマ「気圧が低くなってるからな」

 

ここの山はハコベ山ほど標高は高くないが、下にある村と比べればやはり寒いのであろう。

 

パオラも寒そうだが俺は氷を使うので冷気には耐性があり、ゼルマは炎を使うのでこのくらいの冷気は何ともないだろう。

 

 

まあ、何とかしてやるか。

 

 

トール「ほら、これ。アニスは俺んとこ来い」

 

パオラ「?」

 

アニス「わかった……」

 

パオラに近づいて俺が首に巻いているストールをパオラの首に巻いていく。これなら少しは寒さを凌げるだろう。

 

トール「これで我慢してくれ」

 

パオラ「……ありがと」

 

アニス「わたしには何かあるの?」

 

そう言ってくるアニスに俺は魔法をかける。

 

するとアニスの体から青白いオーラが出てきて、アニスの震えが止まった。

 

トール「植物の発する毒ガスは人間には効かないらしいが、お前は効くかもしれねえからな。これで毒ガスの影響を受けることはねえだろ。ついでに寒くもなくなってるはずだ」

 

アニス「ありがとー!」

 

そう言うと俺の胸の前で(エーラ)を解除した。

 

 

抱えろってことか?まあ別にいいけど。

 

 

パオラ「(あんなことされたらまともに顔見れないじゃない……バカ)」

 

ゼルマ「(トールくんはプレイボーイだねぇ。見てておもしれえけどな、ウケケ)」

 

 

後ろの二人はなんか考えてるようだが……放っといてもいいか。特にゼルマの方見るとなんか腹立ってくるし。

 

 

俺はそのままアニスを抱えながら山頂へと歩いていった。

 

 

 

そして、山の頂上に辿り着いた。

 

その真ん中には俺たちの予想通り、明らかに異形な形をした大きな植物が存在していた。

 

 

パオラ「なに、これ………」

 

トール「あれが元凶だろう」

 

 

パオラは異形な生物をみて驚きを隠せないでいる。

 

その生物は大量の触手を四方八方に張り巡らせ、あちこちから毒ガスのような緑色の煙を排出している。

 

 

ゼルマ「おそらくあの体から出ているガスがここに来たアトラスたちの体に入り込んで、あんな風になったんだろうな」

 

ゼルマがそう言うと俺も頷いて同意する。

 

パオラ「でもそれだと下の方にもっとガスが蔓延しているはずよ?」

 

トール「いや、それはねえ。なぜなら、そのガスを消す方法として………下には〝アレ〟があるからだ」

 

アニス「アレ?……そっか!解毒草があったね!」

 

 

アニスの言葉に俺はニヤリと笑う。

 

 

今回の件をまとめると、

 

 

まず、いつからか知らないがあの気色悪い植物がこの山に住み着いた。

 

その植物の体からは緑色の毒ガスを発する。

 

ガスは人間には効かないがアトラスたちには効くので、ガスを吸い込んでおかしくなった。

 

だがその毒ガスは解毒草によって消えるため、この山から別のところへ蔓延することもなく消滅する。

 

しかしながら、解毒草の花粉はアトラスたちがいるところまでは到達しないので、アトラスたちはガスに苦しみ続けている。

 

 

事の顛末はこんなもんだろう。

 

 

だが、それも今日で終わりだ。俺たちがこいつを倒せば済む話だからだ。

 

アニス「でも、コイツさえ倒してしまえば解決だよね!」

 

ゼルマ「あぁ。細胞一つ残らず塵にしてやるぜ」

 

トール「いくぞ!」

 

みんなは同じ結論であるので、気を引き締めて構える。

 

 

 

さあ、化物退治の時間だ。S級に指定されたんなら少しは楽しませろよ?

 




前書きで言ったキャラとは、真島ヒロ先生がFAIRY TAILの連載中にマガジンででた読み切り〝星咬の皐月〟のキャラです。

その読み切りはマガジンポケットにあるので、興味がある人は是非見てください。結構面白かったです。


遅くなりましたが、言わせてもらおう。


とある魔術の禁書目録とFAIRYTAIL、そしてソードアート・オンライン。アニメ化おめでとう!

特に禁書なんかPV見て鳥肌たちました。旧約全部行くだろうか……。

おそらく2クールだろうが、なんなら4クールかけて旧約を終わらせても損はないと思うのだが。

そして最終回でグレムリンの連中をチラッと出してほしい。

そう、(/ω・\)チラッとね。


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山頂での決戦

書く気が全くわかないまま約一年半が過ぎてしまいました。その間に色々ありましたがこうして戻ってきました。

頭の中では今後の展開をイメージできているんですが、それを文字に移すとなると別の話ですね。元々論文をスムーズに書くために始めましたが、既に卒論も終わり、就職活動も終わり、家でゴロゴロしているだけですが、なんとかこっちも進めようと思います。


こんな駄作を見ている人は少ないでしょうが、細々と進めていきたいと思います。


トール「いくぞ!」

 

俺たちが植物の化物に向かって走り出したら、化物は雄叫びと共に大量の触手を俺たちに向けて突き刺そうとする。

 

 

だが、そんなものは俺たちには何の意味もない。

 

 

十本の指から成る5mほどの溶断ブレードで。

 

メテオシャワーで触手を根本から。

 

炎を纏った両手の連打で。

 

 

それぞれすべて焼き切っていく。

 

 

『ギィィ!!?』

 

 

化物は驚くような声をあげるが、すぐに新たに触手を生やしていく。どうやら再生能力も高いようだ。

 

 

そして今度は緑色の毒ガスを散布してきた。

 

 

トール「アニス!気を付けろよ!」

 

アニス「わかってる!そんな毒は吹き飛ばしてやるんだから!」

 

そう言うとアニスはサイコキネシスで風を操作し、毒ガスを一点に凝縮させた。

 

トール「よーしよくやった!」

 

凝縮させることで黒く濁った玉のようになった毒ガスを溶断ブレードの電熱で焼き切る。

 

 

トール「こっからギア上げてくぜ───投擲の鎚(ミョルニル)!!!」

 

 

そして両手を開きながらミョルニルで出力をあげ、20mもの長さのブレード十本を化物に収束させて攻撃する。

 

『ギィィィアァァァア!!!』

 

化物は溶断ブレードが危険なものであると気づいているので、触手の先からヘドロ状の毒を連続で発射して対抗しようとする。

 

 

トール「無駄だぁ!!!」

 

 

しかし、俺の溶断ブレードはその程度じゃ止まらない。

 

ヘドロ状の毒を物ともせず、その先の触手をも焼き切っていった。

 

両指を操作してそのままブレードを植物本体にぶつけようとしたとき、

 

 

 

鼓膜を引き裂くような大音量の奇声が周囲に響き渡った。

 

 

 

トール「ぐっ…!?」

 

ゼルマ「なんつー奇声……」

 

パオラ「うるさいわね……」

 

アニス「なんなのこれー!?」

 

 

思わずブレードをしまってパオラたちと同じように耳を塞ぐ。

 

耳を塞ぐことで少しは楽になるが、奇声は止まらない。

 

 

30秒ほど続いた奇声は、突然何事も無かったかのように収まったが、今度は徐々に大きくなっていく地響きが聞こえ始めた。

 

 

真下からではなく、さっきまでいた場所から。

 

 

ゼルマ「マジかよ……」

 

 

地響きのする方向を見て、ゼルマが言葉をこぼす。

 

 

この地響きの正体は、先ほどやられてダウンしているはずのアトラスたちが一斉にかけあがってくる音であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 

ゼルマ「なーんでアトラスたちがこっちに来るのかねぇ」

 

トール「多分……つーか絶対あのバケモンのせいだろ」

 

ゼルマの疑問にトールが答える。いや、ゼルマも薄々わかっていたのだろう。先程の奇声でアトラスたちを呼び寄せたということを。

 

パオラ「ちょっとどうすんのよ。早くあの植物を何とかしないと、私達がやられるのも時間の問題よ」

 

そう言って、パオラはトールの方向を向く。

 

 

パオラ「トール?」

 

 

しかし、そこにトールはいなかった。

 

厳密には、サイコキネシスで空に浮かんでいた。

 

 

トール「ちょっくら下まで行って解毒草を取ってくるんで。それまで時間稼ぎ頼むわー」

 

アニス「あ、ちょっと!」

 

 

かと思えば、用件だけ伝えて猛スピードで下へと飛び出していった。つまり、残された三人でトールが戻ってくるまで時間稼ぎをしなくてはならなくなった。

 

 

しかし、ゼルマだけはトールの行動に対して違う捉え方をしていた。

 

 

───あの野郎、俺たちを試してやがるな。

 

 

ゼルマは幽鬼の支配者(ファントムロード)ではトップの実力であり、周りの者たちからはファントム最強とまで言われたこともある。

 

 

だが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではそうはいかない。

 

 

自分と恐らくは互角であろうトールはギルドでもトップクラスの魔導士ではあるが、トールと互角以上の強さを持つ者たちがいる。

 

 

具体的に言えば、ラクサスやギルダーツなどの戦争に参加していなかった者たちである。

 

………厳密には、ミストガンは裏でマカロフの魔力を集めたり、ファントムの他の支部を一人で潰していたのだが、ゼルマはそれを知る由はない。

 

 

それ故に、自分がまだまだ弱いということを自覚させられた。

 

 

なら、どうすればよいのか。

 

 

答えは簡単、強くなればいい。

 

 

ありがたいことに、S級クエストなどは自分を強くするのには打ってつけである。このようなチャンスを無駄にするわけにはいかない。

 

 

そしてこんなチャンスを与えたトールは遠回しにこう言ったのだろう。

 

 

このくらいおまえにならできるだろ、と。

 

 

トールの思惑に乗せられているようであまり気分はよくないが、今はこのチャンスを有意に活かすことに集中する。

 

ゼルマ「願ってもない状況だ。おい二人とも、このまま俺たちであの植物をぶっ殺しちまおうぜ」

 

ゼルマの発言に二人は驚きながらゼルマの方を向く。

 

アニス「え?でもトールは時間稼ぎしてろって……」

 

ゼルマ「あの花粉で解毒させるのはアトラスたちなんだろ?まああのバケモンにも効くかもしれねえが、諸悪の根源を倒しておかなきゃこの依頼は終わんねえのは事実だ」

 

アニス「でも……トールに怒られないかな?」

 

ゼルマ「んなもん構わねえさ。これくらいトール抜きでやんなきゃいつまでたってもS級魔導士になれねえし、トールを越えることなんざできねえ」

 

その言葉にパオラがピクッと反応する。彼女にとって、トールと並ぶことは目標でもあり、いつまでも守ってもらうというのは彼女のプライドに障るようだ。

 

パオラ「………まあ、私もいつまでもトールに甘んじるわけじゃないけど………その言い方、なんだか私たちがやられるフラグが建ってしまいそうね」

 

ゼルマ「ハッ、フラグなんざすべて焼き払ってやるぜ」

 

ゼルマはパオラの言ったことを嘲笑いながら右手に蒼い炎───炎の滅悪魔法を纏う。

 

右手から発する蒼炎により、周囲の温度も少し上がる。

 

ゼルマ「悪魔殺しの力で、こいつを滅する!」

 

そう言うとゼルマは植物の化物へとダッシュで向かった。

 

対する化物は、いくつかの触手でゼルマをはたき落とし、自身にぶつかる前に爆発させようと試みる。

 

ゼルマ「炎魔──」

 

それを見たゼルマは最小限の動きで触手を躱し、本体へと近づいていく。

 

『ギギィ!!?』

 

本能で不味いと判断し、咄嗟に自分の前に大量の触手を盾のように配置し、本体の身を守ろうとするが一部間に合わない。そしてゼルマは相手の状況もお構いなしに拳を奮う。

 

ゼルマ「断滅拳!!!」

 

蒼炎の拳がそのまま触手に向けて放たれた。

 

本能の判断が功を成したのか、結果的には自身の致命傷を避けたが、防御に使った触手はすべて焼き焦げていた。それを見てゼルマは次の行動に移す。

 

ゼルマ「炎魔──」

 

 

今度は左手に魔力を溜め───放つ。

 

 

ゼルマ「断滅波!!!」

 

 

近距離から放たれた炎のレーザーは残りの触手を焼き切り、本体から放たれた猛毒性のある溶解液と衝突して爆発する。

 

その様子を見てゼルマはふっと笑う。

 

ゼルマ「相性的にも俺が有利だ。このまま俺がやる」

 

パオラ「あら、私の流星魔法にも炎系の魔法はあるのよ?あんただけに美味しいとこ取りはさせないわよ。アニス、私を抱えて飛んで」

 

アニス「オッケー!」

 

パオラがそう言うとアニスは頷き、パオラの着ている服の襟部分を持ちながら(エーラ)で飛ぶ。

 

アニス「二人とも気をつけてね。この植物は触手の再生能力が高いから」

 

そう言った矢先に、植物の化物は再び触手を再生させた。

 

パオラ「あとアトラスたちにもね!ゼルマ後ろ!」

 

ゼルマ「っと!」

 

いつの間にか背後で自分を殴りかかろうとしていたギガンテスの攻撃を少し危なげに躱す。

 

ゼルマ「はぁっ!」

 

そのままジャンプしてギガンテスの後ろ首の少し上を狙って蹴りを放った。

 

 

すると、首の後ろを手刀により気を失う人間のように、ギガンテスも衝撃を受けて膝をつき、そのまま倒れ込んだ。

 

ギガンテスたちの攻撃と植物の触手から何度も躱しつつ、二人は魔力を溜めていく。

 

そして、パオラはアニスによって急上昇し、魔力を解放する。対してゼルマは攻撃をアクロバティックに避けつつ、化物に狙いを定める。

 

パオラ「スーパーノヴァ!」

 

ゼルマ「炎魔の激昂!」

 

パオラは大きな球状に溜めた魔力を、ゼルマは空中のまま植物の方を向いて悪魔殺しの灼熱のブレスを放つ。

それにより、化物は爆煙に包まれ、余波で突風が吹き荒れる。

 

『ギィ……ギャギャギャギャ!!!』

 

爆煙が漂うなか、耳障りな音が聞こえると煙の中から大量の触手がでてくる。

 

ゼルマ「こんなもんっ……!」

 

ゼルマは直進してくる触手をジャンプして避ける。しかし、自分以外の方向に飛び出た触手が自分を狙っていないことに気づく。

 

ゼルマ「どういうことだ?」

 

アニス「二人とも、あれ!」

 

ゼルマが不思議に思っていると、やがて触手がギガンテスたちに向かっていることにアニスは気づく。

 

そしてその触手がギガンテスたちの体に引っ付くと、彼らの体と触手が緑色に光だした。

 

パオラ「もしかして……魔力を吸ってる!?」

 

その言葉通りギガンテスたちから魔力を吸った植物は触手による風圧で煙を払う。

その姿は今までの大きさよりも遥かに大きくなっていた。

 

ゼルマ「もう何でもありかコイツふざけんな」

 

パオラ「不死身とまではいかないけど……それを彷彿とさせるわね」

 

化物のタフさや多様さに飽きれ、驚愕する。そして不本意ながらも理解した。

 

 

これがS級クエストであると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあとも強化された化物との攻防は続いた。魔力を吸いとったことにより、ギガンテスたちは戦闘不能になったが、それを植物の化物は上回る強さであった。

 

 

本体や触手の速さ、固さ、力。すべてが先程よりも上回っている。

 

 

それにより、魔力と体力の消費が多くなり、ゼルマたちは苦戦を強いられていた。

 

 

ゼルマ「やべぇな……」

 

パオラ「そろそろ魔力が尽きるわ……」

 

 

2人の状況も危うくなってきたその時、

 

アニス「ごめんパオラ!魔力が切れちゃう!」

 

パオラ「ちょっ…!?」

 

ついにアニスの魔力が限界となり、パオラを連れてゆっくりと下へと落ちていく。

 

それを見逃さずに溶解液をパオラたちに向けて放つ。

 

 

バリバリバチバチバチッ!!!

 

 

しかし、それは鳴り響く(いかづち)によってその攻撃は阻止された。

 

トール「待たせたなぁ!」

 

ようやくトールが戻ってきたことにより、アニスとパオラは喜び、安心する。

 

ゼルマ「トールおっせえぞコラァ!」

 

トール「うるせえぞゼルマ!これでも飛ばしてきたんだぞ!俺たちが来たときに毒消しの花粉を飛ばしてたからまた花粉出すまで時間がかかるんだよ!」

 

パオラ「こんなときに喧嘩するんじゃないわよアンタ達!」

 

どうやら花粉の採取に時間がかかったらしく、2人が始めた喧嘩にパオラが怒り、アニスは呆れていた。しかしながら採取は無事完了したようで、上空には大量の花粉が漂っていた。

 

トール「お待ちかねの解毒剤だ!受け取りやがれ!」

 

その言葉と共に花粉を操作してギガンテスたちに巻き散らした。その花粉を吸いこむによって彼らの体が白く光りだし、やがて光が治まると、正気に戻った者が現れ始めた。

 

これで再び操られることはなくなった。

 

アニス「やった!これでもう自由になったんだね!」

 

トール「ああ、あとはこの化物を片づけるだけだ」

 

パオラ「そのことなんだけど、ちょっといい?」

 

ゼルマ「なんだなんだ?どうしたんだ?」

 

トールが化物向かって走り出そうとしたとき、パオラがトールの右肩を抑えて止め、それに気づいたゼルマがトールたちのほうへと寄る。

 

植物の化物を見ながら少し話すとトールとゼルマは頷く。

 

「「うおおおおおお!!!」」

 

そして再び魔力を解放すると、化物へと突っ込んでいき、そのまま左右に分かれて同時に触手を牽制しつつ、防御されながらも攻撃を繰り出していった。

 

 

2人のあまりの攻撃の厄介さ故に、2人を排除するために全力を注ぎ始めた。

 

 

それによって、パオラを認識から外してしまったことに気づかずに。

 

 

2対1の攻防を見ながらパオラは集中力を高め、残り少ない魔力を絞りだす。

 

パオラ「メテオアデス」

 

2人を見送ったパオラは、速度を急激に上げる術“メテオアデス”により、今までよりも格段に速いスピードで突っ込んでいった。

 

パオラ「はぁぁぁぁああああ!!!」

 

その速さと魔力により化物も気づくが、トールとゼルマが更に激しく攻撃することで身動きがとれず、防御の術がとれない。

 

ゼルマ「おっと、まだ付き合ってくれよ」

 

トール「もっと遊ぼうぜベイビー」

 

追い撃ちにサイコキネシスで動きを封じ、周りを炎で監獄のように閉じ込める。これでパオラにとって絶好の機会となった。

 

パオラ「これで決めるわ!」

 

 

先程2人に話した内容はこうである。

 

 

自分に策があるから二人で隙をつくってほしい。そして自分が合図をしたらすぐに2人でとどめを刺してくれ、と。

 

 

 

パオラ「メテオマグナム!!!」

 

 

超高速の移動術と流星の魔力を右手に集めた高速の鉄拳により、植物の化物の体に直撃した。

 

『ギギギギギャギャギャギャ!!?』

 

痛覚が働いているのか、悲鳴のような奇声をあげる。しかし、防御の体制をとることができず、抗うすべがない。

 

 

やがて植物の本体を突き破り、ついに体に風穴を開けることができた。

 

 

パオラ「今よ!」

 

パオラの声が2人に届いたとき、既に2人は動いていた。

 

トール「雷神の──」

 

ゼルマ「炎魔の──」

 

 

 

 

「「怒号(激昂)ォ!!!」」

 

 

 

最後の一撃として放たれた神殺しの雷と悪魔殺しの炎の二つのブレス。

 

 

真面に直撃した化物はなす術もなく打ち倒され、そこに残ったものは雷と炎によって焼き焦がされた触手だけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アニス「やったね3人とも!特に最後はすごかったよ!」

 

戦いが終わり、アニスが3人の下にかけよってくる。その表情はとても嬉しそうである。

 

トール「パオラの作戦通りうまくいったな」

 

ゼルマ「ん?何持ってんだそれ」

 

パオラ「今回の騒動の元凶よ」

 

パオラのほうを見たゼルマが何かを持っていることに気づき、ゼルマの質問にパオラは右手を出して答える。

 

アニス「それってもしかして……」

 

パオラ「ええ、これがあの植物の正体───毒の魔水晶(ラクリマ)よ」

 

このあと、パオラは3人に自分の考えを説明した。

 

この毒の魔水晶が偶然この山に流れ着き、一般的な植物と融合することであの化物が生まれた可能性が高い、と。

 

あとは戦う前にトールが推測した通り、その化物が毒ガスを撒き散らすことでアトラスたちが暴走したことが結論となる。

 

パオラ「ていう感じなんだけど……トール、間違ってない?」

 

トール「ああ、あってると思うぜ。それによく魔水晶を見つけたな、それも戦いの最中に」

 

パオラ「ぐ、偶然よ。トールに助けられたときにたまたま魔水晶の光が見えたの」

 

自分の考えがあっていたことも含めてトールに褒められたパオラは、目を逸らして照れながらも説明する。

 

ゼルマ「まあこれで一件落着だな。ほら、さっさと村まで戻ろうぜ」

 

そういってゼルマは山を下り、トールたちも続いて降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村についたトールたちはことの顛末を依頼人に話し、依頼が完結したことを告げた。体が丈夫なために村まで降りてきたアトラスたちの治療も早く終わり、村人たちとアトラスたちは諍いなく和解することができた。

 

また、毒の魔水晶についてはトールたちはいらないので、換金して村で分けるように話し、依頼人もそれで合意した。

 

報酬の7200000ジュエルをもらい、村人たちとアトラスたちに感謝されながら仕事を終えたことでトールたちも満足げである。

 

 

そして、ついでの目的であった温泉も満喫し、今は帰りの電車で寛いでいた。

 

トール「いやーいい仕事だった」

 

アニス「村人みんなに感謝されてよかったね!」

 

ゼルマ「余計な被害も出してないから報酬の減額もないしな。こっちだって何一つ文句はないさ」

 

フェアリーテイルでの初仕事であったゼルマは無事にこなしたことで幸先の良いスタートができたことに満足する。

 

トール「でも、欲をいうならもっと戦いたかったなー」

 

アニス「贅沢なこと言っちゃだめだよ。S級の仕事は何が起きるかわからないんだから」

 

トール「仕方ねえだろ。解毒草の花粉を取りに行く必要があったとはいえもっとあのバケモンとやりあいたかったぜ」

 

アニス「また今度の仕事で頑張ればいいじゃない!」

 

トール「はいはいわかったよ」

 

ゼルマ「どうしてもってんなら、今なら〝コイツ〟で相手になるぜ」

 

そういってゼルマは、鞄からあるものを取り出し、ドンッと机に置く。

 

それは彼らの年で少しずつ飲み始めるものであり、大人が好んで嗜む飲み物。

 

そう、酒である。

 

アニス「村で何か買ってるのは見たけどお酒買ってたんだ」

 

ゼルマ「仕事終わりに祝杯を、ってな。どっちが先に潰れるか勝負だ!」

 

トール「いいぜその喧嘩買った!」

 

そういうと電車内で売店をしている駅員にコップを2つもらい、酒を入れるとすぐに2人で飲み始めた。

 

アニス「はぁ、始まった。この2人もナツたちみたいにムキになって……ねえパオラ」

 

ふと、さっきから会話に入ってこないパオラを不思議に思い、アニスの向かい側に座っているパオラに目を向ける。

 

 

しかし、パオラはアニスの返事に答えることはなく、ただ目を閉じて座椅子の肘掛けに凭れながら眠っていた。

 

 

アニス「そっか、疲れて眠っちゃったんだね」

 

初めてのS級クエストでプレッシャーも感じて余計に疲れが溜まり、仕事を終えたことで溜まった疲労によって眠ってしまったのだろう。

 

アニス「(わたしももっと頑張らないと!)」

 

アニスはパオラをそっとしておくことにして、自分ももっと強くなることを決意し、先程からノンストップで酒を飲み続けている2人に目をやることにした。

 

 

トール「まだまだぁ!」

 

ゼルマ「まだまだぁ!」

 

 

 

「「まだまだまだまだまだァァァァァ!!!!!」」

 

 

 

 

 

その後調子にのって二本目三本目に突入し、酒の酔いと電車の揺れが重なって2人同時に酔いつぶれ、パオラに怒られることになるのはあと数時間後の話であった。

 




トールたち側と相手側のパワーバランスが難しいですが、とりあえずなんとかなりました。


先に言っておきますが、ジェイソンの雑誌取材はアニメのほうに寄せるので、ラクサス反抗期編が終わってからにします。


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