Lがデスノートを拾った世界 (梅酒24)
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序章:死神界

カラカラ…

骸骨が二つ転がる。

暗闇の中で荒れた荒野で二人の死神は賭け事をしていた。ここには人間が一人も存在しない死神の世界である。

「髑髏二つ。また俺の勝ちだ。ケケケ」

魔法使いの持っているような骨の杖を持つ死神が発言した。

「ケッ」

真っ黒の長い角を持つ死神は、何度も賭け事に負け思わず捨て台詞を吐こうとしたが、その場で息を飲んだ。


(あれから五日か…)

賭け事をしている二人の死神を一瞥したが、どちらが勝ったとか負けたとか興味はなかった。なぜなら死神界には飽きていたからだ。

すでに死神界のマンネリ化した日常には自分の求めるものはほとんど無いと考えていた。

だからリスクを冒して自分のデスノート以外にもう一冊のデスノートを入手して人間界にわざとノートを落としたのである。

「そろそろいくか」

真っ黒なパンクの見た目に真っ黒の大きい羽根を持つ死神は立ち上がった。

「ん。どこに行くんだ。リューク?」

賭け事に勝利した死神は尋ねた。

「死神界はどこに行ったって不毛だぜ。ヒヒ」

賭け事に負けた死神は自分が賭け事に勝てないことが不毛なのと同じように死神界全体が不毛であることを伝えた。

(……一応言っておくか)

伝えるべきか少し考えたが、口に出すことにした。

「デスノート落とししまった」

「ギャハハ!今度はまた、すげードジしたな」


賭け事に勝利した死神は笑いながら言った。


「つーか、おめー死神大王騙くらかして二冊デスノートを持ってたじゃねーか。二冊共落したのかよ?」


(……めんどくさい)

「でどこに落としたかわかってるわけ?けけけ」


賭け事に勝った死神は興味を持って聞いている。マンネリ化したこの世界では誰かが何かを無くしたということでも刺激があるのである。

「人間界」

リュークはぶっきら棒に答えた。

「え!?」


二人の死神は驚きの顔を隠せなかった。リュークが何てことをしたかすぐに理解できなかったからだ。冷静に考えてみたときには死神界にリュークの姿は無かった。


リュークが人間界に落とした一冊のノートから

二人の選ばれし者のもう一つの戦いが始まる。


この世で起きた一番の難事件と言えば「ロサンゼルスBB連続事件」である。その事件を解決した探偵はLと呼ばれていた。

 

Lは、ドヌーヴ、エラルド=コイルとしても難事件と言われる事件を解決していきた。

 

 

世界一の探偵が何度も事件を解決していても世の中にはびこる犯罪は減ることはない。

 

法律があろうが警察の取り締まりを強化しようが過去に犯罪が無かった時期は無かったように未来も一定数の犯罪があるのだろうと感じていた。

 

それに関しては悲しくはない。むしろ悲しいとか嬉しいとか楽しいとかわくわくするという人として必要な感情が無くなっているのではないかと感じている。

 

圧倒的な推理力と引き換えに大事な何かが欠落してしまった。

 

 

事件を担当すること自体嫌悪してしまうのも時間の問題であるとも考えていた。せめてその時間を少しでも遅らせる為に事件解決するときは大好きな甘い物を食べながら事件を担当することで事件に対する思い出を甘いもので上書きしていた。

 

家の中で大好きな甘いものを食べながら、世間では難事件と言われるLにとっての易事件を解決していった。

 

 

難事件をいとも簡単に解決していった結果、世界の三大探偵になった。ここまで有名になると当然命も狙われる立場になることは容易に推測できた。しかし、L個人の情報は外部に漏れることはない。だからといってセキュリティは甘くするどころか、大変厳しくしていたのである。

 

 

 

 

 食べログで☆4.7の評価がついているモンブランケーキ専門店のモンブランケーキをワタリに買って来てもらっていたものを思い出し、冷蔵庫に取りに行った。

 

白い大きな冷蔵庫は台所にあり、台所からは外に見える。防犯対策の為とあるビルの25階をすべて所有しており、外からは侵入することは難しい。

 

また25階が最上階であり屋上へはLしか行けない。そういう意味ではかなり安全と言える。しかし、ふとベランダに黒い何かが落ちたのを見逃さなかった。

 

 

 

この不思議な現象に対して難事件と言われる仕事よりもこの現象の方に興味を持ち、はだしでベランダに出た。

 

 

 

この時すでに自身の人生が変わるような感覚に襲われていた。

 

このセキュリティシステムでノートが一冊ベランダに落ちてくるなんてことはありえないことであり、ありえないことがありえているという事実がLに今までにない感覚を与えたのかも知れない。

 

 

――ありえないことが起こっているがこのことを認めるしかない……そしてこの黒いものは……ノートですか……良く見ると何か英語で書いてありますね……デスノート?直訳で死のノート

 

 

Lは、得体のしれない者を見るかのように黒いノートの隅を摘まんで表紙を見つめていた。

 

 

「これは死神のノートです……ほぉ」

 

 

依頼される難事件と言われる易事件よりもこのデスノートの方が自分自身を楽しませてくれると直感した。だから、ノートを捲ってみた。そしてその直感は当たっていた。

 

直感というのは実は合理的なものである。Lはこの25階に不審物が落ちることなどありえるはずがないと思っていた。予期せぬ事が起きた……これこそLにとっての事件であり、それはただならぬモノであるということを理解していたのである。

 

Lはデスノートのあるページに目を止めた。そこには英文で何か長文が書かれているようである。Lが英語が得意であるかと言えば得意であると答える。たまたま英語が得意であったのではなく、それが英語でなくともスラスラ読めた。たまたまプピュラーだった英語ではあったが、Lは現存する全ての言葉を解読できるのである。

 

「HOW TO USE。全部英語ですか……一番ポピュラーな言語を使っている……いや、ここがイギリスだからと考えるべきか……それとも一番使われているからかなのか……後者の場合はより注意深くこのノートに向き合う必要がある……」

 

読み進めていくとあるページでLの目が大きくまんまるになっていった。

 

 

「このノートに名前を書かれた人物は死ぬ。ほぉ」

 

 

――こういうくだらないこと結構好きです。そもそも人生なんてくだらないことばかりですが、そのくだらないことの中から幸せとかは見つけたりするもんなんですよね。関連性で言えば、不幸の手紙なんかもいい発想でしたね。

 

 

興味を持ったので台所に戻った。そして冷蔵庫からワタリが苦労して買ってきたモンブランを取り出し机の上にモンブランケーキと紅茶を用意した。ごちゃごちゃしているのが好きではないLの机の上には今用意したケーキセット以外は何も置かれていない。そして雑巾で机を拭くと椅子に体育座りで座った。

 

モンブランケーキのてっぺんには栗が乗っている。しかし、栗ではなくケーキの部分を口に加えながら続きを読み始めた。

 

もぐもぐもぐ……

 

『書く人物の顔が頭に入ってないと効果はない

 

ゆえに同姓同名の人物にいっぺんに効果は得られない』

 

『名前の後に人間単位で 40秒以内に

 

死因を書くとその通りになる』

 

『死因を書かなければ 全てが心臓麻痺となる』

 

『死因を書くとさらに6分40秒 詳しい死の状況を記載する 時間が与えられる』

 

――なるほど。楽に死なせたり苦しませて死なせることができるだけでなくいつでもどこからでも自分の手を下さず人を殺すことができるということですか

 

「悪戯もここまで手が込んでいるとはなかなかです」

 




えっと食べログの回し者ではないですよ(


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2冊目:夜神 月

■夜神月パート■

 

高校三年生は部活が無いため、学校が終わるとほとんどの学生はすぐに帰宅する。

 

 

この日模擬試験の結果が返却もされており、どこの大学へ行きたいとかどのように勉強しているかなどを話しながら高校生の男子三人は話していた。

 

 

「じゃあな」

 

 

二人の友達と別れて自宅に到着した。

 

バタン。

 

 

扉を開けるとそこには、ニコニコと笑顔の母親が待ち構えていた。

 

 

模擬試験の返却の日はいつもそうだ。いつから待ち構えているのだろうか。

 

 

 

専業主婦とは気楽なものである。警視庁を父に持つ夜神家には普通の家庭よりも年収が多く専業主婦をできるだけの財力があった。

 

 

そういう意味でも女性の場合は結婚相手のよって今後のライフスタイルは大きく変わるのではないだろうか。

 

 

 

「ただいま」

 

 

夜神月はぶっきら棒に答えた。

 

 

 

母は、手を合わせ何かを待っていた。そのしぐさが何を期待しているのかがすぐに分かった。

 

 

 

他の家庭では「え、何か用?」「用じゃないわよ。模擬試験の結果見せてよ」などのやり取りがあるのだろう。しかし、それくらいは今日の出来事を論理的に考えればわかることであった。

 

 

 

「はい」

 

ライトは鞄のチャックを開けた。

 

模擬試験の結果はすぐに取り出せた。なぜなら鞄は几帳面に整理されているからである。

 

 

 

「まぁ。また全国模試1位」

 

 

母親も一位であると考えていた。

 

 

月は階段を登りながら振り向くことなく

 

 

 

「まあね。じゃあ勉強するから邪魔しないでね」

 

 

 

と言い階段の中段まで登っていた。

 

 

「あ、ライト。何か欲しいものはない?なんでもいって」

ライトの背中越しに声をかける。

 

 

「ないよ、母さん」

 

チラっと母親を見るライトの目がいつもと違いキラキラしているようにも思えた。

 

ここ最近ライトは小学生の頃のようなキラキラした瞳や笑顔を見せるようになっていた。それは何かライトが興味を持てることを見つけたということであることを母親は確信していた。

 

そのキラキラした目は全国模試で1位を取ることよりも大事であることは小学生の時のような輝きの目で察していた。新たな興味に関して母親に報告をしないのは寂しい。しかし、何か打ち込めるものができたというのは母親にとっては嬉しいことであった。

 

 

 

 

 

――欲しいものは手に入った……

 

 

ふぅ。深呼吸をして鍵を閉めた。

 

 

夜神月もまた退屈だったのだ。頭を使うことでわくわくすることは日々の日常で少なくなっていった。

 

 

新しいことをはじめてもすぐに理解しできるようになっていく。その成長度は経験や知識が増えるとより一層早くなった。

 

 

早くなると飽きが来るのも早まっていく。大人になる頃には面白いことなんてなくなってしまうのではないかと考えていた矢先、ライトを本気にさせる出来事が起こった。

 

 

 

机から黒いノートを取り出した。そこには別の世界では「DEATH NOTE」と書かれていたものであるが、今回は何も書かれていない黒色の大学ノートであった。

 

しかし、そこにはあの時と同じ52人の一週間に心臓麻痺で死亡した人の名前がきれいに書かれていた。

 

 

 




>これが本当の「ライト(月)ノベル^p^」<



原作ではデスノートを手にすることで日常の退屈から抜け出しました。


しかし、Lがデスノートを拾ってもキラという大量殺人鬼が現れることでライトの日常からの退屈から抜け出します。



「あ、ライト。何か欲しいものはない?なんでもいって」



「ないよ、母さん」



そして部屋へ入った。誰も部屋に入ってないことを確認してもちろんシャーシンは元に戻した。



――欲しいものは手に入った……



この流れはかつてない、大事件ということで本当にやりたいことを見つけ
少しずつ自分も父親のように警察庁へ入り、世界平和の為に活躍したいという現れです。

ライトはデスノートを拾っていなければきっと幸せになれたのではないでしょうか……


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3冊目:リュークとの顔合わせ

ワタリが買ってきた食べログ☆4・5のりんごタルトを食べていた。

名古屋まで買いに行かせた割には、りんごがすっぱく☆4・5とは思えない味だった。


――まぁ、所詮は食べログ。目安程度です。こういうこともありますね


そしてかじりかけのりんごを皿のはじによせてタルト部分をフォークにさしてデスノートを読み返していた。


「気に入ってるようだな」

 

 

パンクのような恰好をした大きな黒い羽根を羽ばたかせながらタルトを食べるぼざぼさ頭の青年に話しかけた。

 

 

「いえ、このタルトハズレです。もっと美味しいものはいくらでも食べたことがあります」

 

 

淡々と話すLに逆にリュークが驚いた。

 

「タルトの話ではない」

 

 

「冗談です。ノートのことですね」

 

 

デスノートの角を持ち、死神に見せた。Lのまん丸の目は確かに死神を捉えたが、微動だもしなかった。そしてタルトを口にした。

 

 

「何故驚かない。デスノートの落とし主の死神のリュークだ。その様子だともうそれが普通のノートじゃないと分かってるんだろ?」

 

「確かに普通の人間だったら大多数は驚くと思います。

しかし、デスノートを利用しいろいろなことを直視経験することでますます確信を持って行動できます。

あ、聞きたいことがあるのですがいいですか?」

 

 

Lはリュークの目をじっと見つめた。リュークの目にはLの顔が写っている。

 

リュークはLに対して純粋な子供のようなとても純粋な目をしていると感じた。

 

 

デスノートを使った人間はこれとは対照的な目をしているのを過去の経験から学んでいた。

 

 

――こいつは普通じゃない。俺の求めてるものを持ってる

リュークが欲しいものを提供してくれる相手であるとその目から感じた。

 

 

Lはノートの端と端を摘まんで開いてリュークに見せた。

 

「くくっ……これは凄い。逆にこっちが驚かされた」

 

 

リュークはそのノートを受け取り、一心不乱に読み始めた。

 

「過去にデスノートが人間界に出回った話は何度か聞いたがここまで殺ったのはおまえが初めてだ。並じゃビビッてここまで書けない」

 

 

 

「私はこの死神のノートの効果を分かっていて使いました。そして死神のあなだが来ました……私はどうなりますか?

まぁ、その様子じゃ魂を取る取られるという話ではなさそうですが」

 

 

Lはこの死神にすぐに魂を取られるとはこれっぽっちも思っていなかった。

 

その理由はすでにこれまでのやりとりで明らかであったからである。

 

 

「ん?ああ。魂を取るとか人間の作った勝手な空想だろ?」

 

 

 

リュークは一呼吸置いた。

 

 

「俺はおまえに何もしない。人間界の地に着いた時点でノートは人間界の物になる」

 

 

Lは目をまんまるにして聞いている。リュークはLに指を指して続けて言った。

 

 

「もうおまえの物だ」

 

 

「言われなくても私の物です。返しませんよ」

 

 

Lはノートを抱きしめながら言った。渡したくない意思は体にも表れている。

 

 

リュークは窓を開けながら返答した。

 

 

「強情な奴だな。まぁ、お前ならほかの人に渡すという考え方はないと思うが万が一必要なくなったら、

他人に回せ。その時はおまえのデスノートに関する記憶だけ消させてもらう」

 

 

ベランダにリュークは出た。そしてそこから外に羽ばたいた。25階の空中に浮いている。

 

 

「そして……」

 

リュークが一呼吸置いた矢先Lはその先を予想し続けて言った。

 

「ノートを使った人にしか死神は見えない。ノートを回したらその時点で死神は見えなくなる。おそらく声も同じでしょう」

 

 

「あ、今言おうとしたんだが。凄いなお前」

 

 

「見えてたり聞こえてたら今こうしてのんきにタルトを食べてませんからね。合理的に考えたまでです」

 

 

Lははにかみながら言った。自分でも久しぶりにはにかんだと思った。

 

やっとみつけた面白いことをしてどうなるのかL自身も分からなかったからである。

 

このような感覚は幼い時に忘れてしまった感覚であることを久しぶりに思い出した。

 

 

「デスノートが人間L=ローライトと死神リュークを繋ぐ絆だ」

 

 

「ほぉ……絆ですか……」

 

 

――L=ローライトというのは、おそらく私の本名だろう。

 

 

本名は私でも知らないものであるがそれをこの死神リュークが知っているということは死神特有の能力であることはまず間違いない。

 

 

 

 

このことはいずれ必要になることが来るだろうが。まだその時ではない、頭の片隅にでも置いておこう。

 

 

 

本名が分かるというのはこのノートと相性が良いですからね。

 

 

 

「そういえば、なぜ私を選んだのですか?」

 

 

 

「はぁ?俺はただノートを落としただけだ。賢い自分が選ばれたとでも思っているのか?たまたまこの辺りに落ち……たまたまおまえが拾った……だから人間界で一番ポピュラーな英語で説明つけたんだぞ」

 

 

 

「まぁ。いいでしょう。質問を変えます。落とした理由はなんでしょうか?丁寧に使い方を書いていたから間違って落としたのではなく故意に落としたのですよね?」

 

 

 

「何故かって?」

 

 

リュークは口元が緩んだ。

 

 

「退屈だったから」

 

 

Lに指を指して続けた。

 

 

「死神がこんな事言うのもおかしいが生きてるって気がしなくてな……」

 

 

 

死神界の博打をしている二人を思い浮かべながら続けた。

 

 

「実際死神というのは暇でね。昼寝をしてるか博打をうってるかだ。下手にデスノートで人間の名前を書いてると「何ガンバッちゃってるの?」って笑われる」

 

リュークの目は死んだ魚のような目をしていた。そして淡々と話を続けた。

 

この様子からも死神だが死神界は死んでいるような生活だったことは想像しやすい。

 

 

「自分は死神界に居るのに面白くもなんともない。だからと言って死神界の奴をノートに書いても死なないんだからな」

 

 

そして窓の外に顔を向け明後日の方向を見ている。目に生気が宿り始めた。

 

 

「こっちに居たほうが面白いと踏んだ」

 

 

――その気持ち私も分からなくはない

 

 

「そして面白いと確信できた」

 

「私も退屈でした。同様に面白くなると確信しました。もちろん最初は信じなかった。しかし、そのノートには人間ならだれでも一度は試したくなる魔力があります……」

 

 

 

Lは椅子に座り天井を見つめた。そして、デスノートを手にした時の回想をし始めた。

 




L「言われなくても私の物です。返しませんよ」


Lはノートを抱きしめながら言った。


リューク(なんか熊のぬいぐるみを抱きしめて渡したくない幼女みたいだなwww)


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4冊目:回想

■前回のフィードバック

「こっちに居たほうが面白いと踏んだ」

――その気持ち私も分からなくはない

「そして面白いと確信できた」

「私も退屈でした。同様に面白くなると確信しました。もちろん最初は信じなかった。しかし、そのノートには人間ならだれでも一度は試したくなる魔力があります……」

Lは椅子に座り天井を見つめた。そして、デスノートを手にした時の回想をし始めた。


残しておいた上に乗っていた栗を食べ完食した。

そしてデスノートを見つめてもしこのノートが本物であった場合のことを考え始めた。

 

 

――万が一死んだら私は殺人犯になりますね

 

――殺してもいい人間……しかも私とは全く無関係な人間の方がよい……さらに言えば国も違う方がいい……まぁデスノートが本物だったらと危惧して身近な人を避ける考えがあれば自国の人間を実験台にするのも避けるのは当たり前ですが

 

 

テーブルに角砂糖を積み上げながら13個目の角砂糖を積み上げた時にシュミレーションは終わっていた。

 

 

――この計画でいこう。第一条件としては先進国であり警察が熱心に動いてくれる事が望ましい。統率が取れるという意味では単一国家が良い。その一方である程度の難題に関しては自国では解決出来ない無能さがある国。そして解決することに行き詰ったときに他国に援助を求める国。私の評価を高くしておりかつ、その責任を相手になすりつけるような国……つまり、日本。

 

 

 

 

Lは日本のテレビに切りかえた。大画面には10×10以上あるテレビが映っている。日本で放映されているすべてのチャンネルが見通せる。

 

そしてあるチャンネルに目が止まった。

 

 

黒いリモコンを操作しある一つの番組だけを拡大表示した。

 

 

 

「昨日新宿の繁華街で無差別に六人もの人を殺傷した通り魔は今もなお幼児と保母八人を人質にこの保育園にたてこまっております」

 

 

Lは角砂糖を一つ飴のように舐め始めた。

 

 

――これにしましょうか。条件は揃っている。悪魔のサイコロを振ってみましょう。

 

 

 

「警視庁は犯人を音原田九郎 無職42歳と断定……」

 

 

 

――ご丁寧に顔写真まで載せてくれるのはいいですね。

 

 

 

Lは、ボールペンで「音原田九郎」と書き殴った。過去に覚えた外国語の1つである日本語を久しぶりに書いた。そして時計をじっと見つめた。

 

 

 

――40秒で心臓麻痺でしたね……さて……40秒経ちましたが……

 

 

 

「あっ、人質が出てきました!!」

 

 

 

アナウンサーは興奮気味で声を高らかに上げた。

 

 

 

「皆、無事の様です。入れ替わるように警察隊が突入!!犯人逮捕か!?」

 

 

 

アナウンサーの喋る速度が少しずつ早くなっている。

 

各キー局や新聞社も野次馬のように集まっている。ざわ……ざわ……

 

 

 

「犯人らしい者は出てきませんね……いったいどうなってるのでしょうか」

 

 

 

アナウンサーは他のライバル社に負けまいと危険を承知で前のめりで1秒でも早く国民に真実を告げようとしていた。

 

 

 

「今情報が入りました!!犯人は保育園内で死亡!!犯人は死亡した模様です」

 

 

 

――ほぉ。

 

 

Lは回転椅子に体育座りに座っていた。遠心力でぐるぐると椅子を回転し始めた。

 

 

 

――偶然の可能性は捨てきれないが、ほぼこのノートは本物と考えてみよう

 

 

 

「警官が射殺したのではないと強調しております。人質の証言では犯人は突然倒れたと……」

 

 

 

Lはそのテレビを最後まで見ないまま、外へ出かけて行った。

 

 

 

数時間後戻ってきたLは、ハーゲンダッツを7つ買ってきていた。アイスミルクやラクトアイスではなく正真正銘アイスクリームである。アイスの種類は特にアイスクリームを好んだ。

 

 

 

――さて検証の結果、このノートは本物と断定。そしてリンド=L=テイラーとの交渉もできた。

 

 

あとは日本の誰をスケープゴートにするか……世の中腐ってる、腐ってるやつは死んだ方がいいという考えを持っていて、

 

なおかつ正義という倫理で行動しそうな相手がいい。

 

 

大人になると、自身の利益で動く可能性があると考えると子供……

 

 

しかし、小学生や中学生なら怖くて使いこなすのは至難。では高校生から大学生でかつ、頭の回転が早くできれば事件の詳細を手に入りやすい立場にある人間がいい……となると警察庁、警視庁、政治家の子供あたりが適任。

 

 

音原田のことも考えると日本の中でも東京都が舞台にするのがいいだろう。まぁ1日もあれば私のスケープゴートが見つかるだろう。

 

 

 




【悲報】音原田九郎は二度死ぬ!!!!






パラレルワールドでも生贄なんですね。。。


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6冊目:ICPO

某先進国

 

先進国とは世界に約200か国ある国の中でも特に産業や医療、政治など様々な分野で進んでおり、他の世界と比べても裕福な暮らしをしている人たちが

多い国を示す。アメリカ、日本、イギリス、フランスなどが先進国に該当する。

 

 

■ICPO 国際刑事警察機構会議■

 

 

様々な国の警察関係者でそれなりの権力を持つ人たちが集まっている。

大多数が高年齢の男性であり世界のスローガンとして「男女平等」が掲げられてはいるが男性優位な国が多いのが実情である。

 

目の前には映画のスクリーンのように大画面が映し出されている。

 

 

今「ICPO INTERPOL」と書かれた天秤に剣の刺さった画像が映し出されている。

 

 

人も集まりざわめいていた。

 

 

「ここ一週間でわかっているだけで52人です」

 

 

「そのすべてが心臓麻痺です」

 

 

「すべて追い続けてきた、もしくは警察署に留置されていた犯罪者」

 

 

 

「普通に考えて居場所の分からない指名手配犯の多くも死んでますな」

 

 

 

「そう考えると軽く100人以上……」

 

 

 

その様子をアップル社の白いパソコン越しに見ていた。

 

 

「そうか……ICPOもやっと重い腰を上げたか」

 

 

ICPOとは対照的に重い腰を上げないLは地べたに座りながらICPOの様子を観察していた。

 

 

「予想通り1週間だったな。やっとお前の計画が進んでいくな」

 

 

死神のリュークは言った。

 

 

 

「ここまでの事件になったら警察は私の手を借りないわけにはいくまい」

 

 

ICPOでは好き勝手に発言をする人で溢れかえり収集がつかなくなっていた。

誰がどの発言をしているかとてもじゃないが分からない。

 

「こう犯罪者に死なれては警察の威厳がね……」

 

 

「威厳の問題じゃないでしょう」

 

 

「しかし、死刑囚に執行前に死なれるのが困るのは確かだ」

 

 

「こうなるとまたLに解決してもらうしかありませんな」

 

JAPANと書かれたプレートが置かれている席に二人の男性が座っていた。一人は少し白髪の混じったオールバックにメガネとヒゲ。ガタイも姿勢もしっかりしている。もう一人は髪の毛で耳が隠れていて姿勢もなよなよしていて少し頼りなさそうです。頼りなさそうな男がその隣の男に話しかけた。

 

「な……なんです「L」って局長……」

 

 

質問をされたその男は警察局長であり、夜神総一郎という名前である。

 

 

 

「ああ、君はこの会議初めてだったな。Lというのは名前も居場所も顔すら誰も知らない……しかし、どんな事件でも必ず解決してしまう。

 

一応探偵と言えばいいのか……いや、と、とにかくその正体はわからないのだが……

 

世界の迷宮入りの事件を解いてきた。この世界の影のトップ……最後の切り札……そんな所だ……」

 

 

総一郎が説明し終えたとき、場はLの話になっていた。

 

 

「しかし、Lは自分が興味を持った事件しか動かないわがままな人物というじゃないか」

 

 

 

「そうそうそれに我々からはコンタクトも取れない」

 

 

 

その時

 

 

「Lはもう動いています」

 

 

その声は合成された声であり、機械音であることはすぐに分かった。

 

黒づくめの男が大スクリーンの前に堂々と立っていた。

黒いシルクハットに黒いコート。顔は見えない。

声も合成されているため何歳なのかすら予想ができない。

 

「Lはとっくにこの事件の捜査を始めています」

 

 

 

「ワタリ……!!」

 

 

その男はワタリという名前らしい。

 

 

 

ざわ……ざわ……

 

 

 

■Lの部屋■

 

 

 

「あれ、ワタリってお菓子とか持ってきてくれるじじいじゃないか」

 

 

Lはリュークを見つめた。腑に落ちない点を一つ見つけたからだ。

 

 

「あれ?出てきたときに分かるものなんじゃないですか?死神の目で見た相手の本名と寿命が分かるとおっしゃっていましたよね」

 

 

リュークの反応は「ワタリ」と聞いて気付いた様子だったのを見逃さなかった

 

 

「ああ。言ってなかったが、顔を隠されていると本名も寿命も見えない」

 

 

Lはゆっくりと顔をリュークの方に向けた。

 

 

「なるほど。リュークさんは大雑把ですね。そして忘れていることも多い。

今まで聞いたルールも多少漏れてることがありそうですね。まぁあとでルールなどは洗い直しますよ」

 

 

「え、まじか……」

 

 

「あなたの好きなりんごをワタリに買いに行かせますから」

 

 

「うほっ。それならいいか」

 

 

「顔もどの程度なら死神の目を使えるかなど実験することは多そうです。今夜は寝かせません」

 

 

そんな軽いやりとりをしているうちにパソコンからワタリの声が聞こえてきた。

 

 

「「お静かにお願いします。Lの声を今お聞かせいたします」」

 

 

「ほら、自演タイムだぞ」

 

 

Lはマイクを装着して、ボタンを押した。

 

「ICPOの皆様。Lです」

 

 

ガクッポイドというボーカロイドの声がICPOで流れている。

 

 

「あれwこれお前の声じゃないじゃんwなにこれ」

 

 

――機械音です。まだ、私の声を世間に公表すべきではありませんので。

 

 

 

「この事件はかつてない大規模で難しい……そして……」

 

 

Lは深呼吸をしている。深く息を吸い込みそして大きな声を出した。

 

 

「絶対に許してはならない凶悪な大量殺人です!!」

 

 

この凶悪の大量殺人を起こしているのを知っているのは人間界で犯人のL以外ではリュークだけだった。

 

 

大量殺人を起こしている犯人に頭を下げて頼っている人間の姿、そしてそれを冷静かつ表現豊かに話すLの姿に思わず笑ってしまった。

 

 

「人間って面白っっっ!!!!」

 

 

リュークは思わず声に出して噴出した。リュークの声はLにしか届かない。そんなリュークには反応せずに話を続けた。

 

 

 

「この事件を解決するためにぜひ全世界ICPOの皆さんが私に全面協力してくださることをこの会議で決議して頂きたい」

 

 

 

ざわざわ……

 

 

そしてスイッチをONからOFFに切り替えた。

 

 

「まぁ私の考えでは99%全面協力になるでしょう」

 

 

 

■日本 東京■

 

 

 

放課後に受験生の3人は下校していた。

 

 

夜神月は寄り道することなく家に足を運んだ。母親にただいまと一言伝えたあとに部屋に閉じこもった。そして引出にしまった黒いノートを取り出した。

 

 

 

「こいつを見るまで学校に行ってたりする間はずっと落ち着かない」




修正しました


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7冊目:リンドLテイラー登場

■月の家■

 

月は机に座りキラ事件について考えをまとめていた

 

 

ガーッ……

 

 

「ん?」

 

突然テレビが切り替わった。

 

 

「番組の途中ですがICPOからの全世界同時特別生中継を行います。

 

日本語同時訳はヨシオ・アンダーソン」

 

 

ミディアムの髪型にスーツを着た男が座っていた。

 

 

「私は全世界の警察を動かせる唯一の人間リンド・L・テイラー。通称Lです」

 

 

 

「な……なんだこいつ!?これはまずいぞ」

 

 

 

■凶悪犯連続殺人特別捜査部■

 

日本の警察関係者は皆生放送の緊急テレビに集中していた。

 

「ついに始まったな」

 

 

「ほう。これがLか……」

 

 

 

「しかし、今まで顔出さなかったんですよね?な、なんで……」

 

 

 

「これはLも本気ということか」

 

総一郎は部下の雑談を聞いてはいたが沈黙は保ち別のことを考えていた。

 

 

――さぁL。こっちは言われた通りやってるんだ。ICPO会議で言った事を証明してもらおう

 

総一郎は過去のことを思い出していた。

 

 

●総一郎の回想●

 

 

 

ワタリがICPOに対して話をしている。

 

 

「L……ICPOの皆さんが全面協力してくださることを可決しました」

 

 

パソコン画面から機械音が聞こえてくる。

 

 

『わかりました。特に日本の警察の協力を強く要請します』

 

 

 

「えっ」

 

 

「な、なぜ日本なんだ!?」

 

 

総一郎を中心に他の国の人たちも同じことを口に出した。

 

 

 

「犯人は複数であれ単独であれ日本人である可能性が極めて高い。日本人でないにせよ。日本に潜伏している」

 

 

 

総一郎に冷や汗が流れた。

 

 

 

「そ……そんな……何を根拠に?」

 

 

『なぜ日本なのか……それは……』

 

 

そのあとに続く言葉を死神リュークは予想していた。

 

「あ、分かった。最初の実験は確か日本人だったな。それか」

 

 

Lはこぶしをリュークに向けて親指を立てた。グットという意味らしい。

 

 

『近々犯人との直接対決でお見せできると思います。とにかく捜査本部は日本に置いて頂きたい』

 

 

 

 

 

 

 

総一郎の回想は終わった。すると閉ざしていた周囲の声が聞こえだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時言ってた直接対決が始まるってことか」

 

 

捜査員たちは、テレビを凝視している。

 

 

 

テレビを凝視しているのはLも同じ。

 

 

『私はこの犯罪の首謀者。俗に言われているキラを必ず捕まえます』

 

 

「こいつもLというのか。お前を捕まえるってよ。大丈夫か?」

 

 

 

「まぁ、見ててください」

 

 

 

 

『キラおまえがどのような考えでこのようなことをしているか大体想像はつく。しかしお前のしている事は……』

 

 

 

『悪だ!!!!』

 

 

 

■その頃夜神家では■

 

「まずいぞ……こんな挑発をしたらこいつキラに殺される……

 

僕の推理だとキラは直接手を下さなくても殺人をすることができる。

それは指名手配犯が次々に殺されていることからも想像がつく。

 

つまり、神的な超人的な何かが起きていると思っている」

 

ライトは黒いノートを捲り始めた。

 

 

「そうだ。これだ。殺されていない凶悪犯罪者がいるがその特徴として、顔が分かっていない。

 

名前に誤りがあったなどだ。おそらく顔と名前の二つが必要なのではないかと考えている」

 

 

 

ライトはテレビを凝視している。そして不吉なことを考えそれは真のことになる。

 

 

「キラがこの番組を見ていたら殺される……」

 

 

「すでに全世界の警察が捜査を始めている」

 

 

するとリンドLテイラーは次の言葉を発しなくなった。

 

 

 

ライトは複雑な気持ちに襲われていた。

 

 

――もしこのリンドLテイラーが死ぬなら、キラの力は人間の域を超えていてさらに名前と顔が必要であるという可能性も上がる。

 

いや、人間の命を軽々しく考えてはいけない。

 

 

 

リンドLテイラーは心臓部分に右手を当て、苦しみだした。そしてそのまま机に倒れてぴくりとも動かなくなった。

 

 

 

――くっ。やはり……

 

 

 

二人のSPらしき人がリンドLテイラーを運びだした。そのSPは黒服にサングラスをかけている。

 

 

 

――顔を隠している……向こうも顔と名前が必要であると気付いていたのではないか……だとしたらおかしいぞ。この状況……

顔を晒すとまずいと分かっているのに顔を出したままあの場に出てきたのか……いや……

 

 

 

ガガガ……

 

 

 

 

テレビから機械音が流れ始めた

 

 

 

 

「もしやと思って試してみたが、まさかこんな事が……」

 

 

 

 

機械音声が流れ始めた。良くテレビで個人の特定を防ぐためにモザイクと一緒に使われる声である。

 

 

 

 

「キラ……おまえは直接手をくださずに人を殺せるのか……」

 

 

 

 

「何っ」

 

 

 

ライトはこの現状に対して驚いた。そして素早く何が起こっているか整理しようと努めた。

 

 

 

「この目で見るまでは信じられなかったが、お前のやってきたことはこのくらいでないとできない……」

 

 

 

「よく聞け!キラ。もし今お前がテレビに映っていたリンドLテイラーを

 

 

殺したのならそれは今日この時間に死刑になる予定だった男だ……私ではない」

 

 

「テレビやネットでは報道されてない警察が極秘に捕まえた犯罪者だ。さすがのお前もこんな犯罪者の情報は手に入れてないようだな……」

 

 

 

「だがLという私は実在する。さあ!私を殺してみろ!!」

 

 

 

■警察庁では■

 

 

「なんだ……凄いことになってるぞ……」

 

 

 

「死ぬ気か……L」

 

 

 

■新宿アルタ前では■

 

 

 

大スクリーンに映像が流れている。多くの人々がそのスクリーンに注目している。

 

 

 

「なにこれ?」

 

 

 

「キラ対Lだよ」

 

 

 

「キラって本当にいたのか?」

 

 

 

「えっLって?」

 

 

 

「こわ~い」

 




えっと、この後の展開を考えると

私も「こわ~い」


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第8冊:自演

小説の書き方は試行錯誤なので今回はスペースはあまり空けずに詰めて書きました。

トライ&エラーでやらせていただきます。



■Lの家■

 

「くくっ良くやるな。」

 

Lはリュークの声を聞きながらもそちらには顔を向けずにマイクに話しかけた。

 

「どうやら私は殺せないようだな」

 

「もしキラがほかの誰かで今回と同じようにリンドLテイラーを利用してたら一番ほっとしていたのはお前自身だったな。そもそも安全だからこういう芝居ができるのであってお前がキラじゃなかったらこんなスタンドプレイしないか」

 

――いいえ。仮に他の誰かがデスノートを拾い凶悪犯を次々に殺し、あくまでいつも通りにLとして捜査をしていた場合でも今と同じようにしたと思います。

 

Lはなんとなくだがそんな気がしていた。またマイクに向かって話す。

「殺せない人間もいる。いいヒントをもらった」

 

「お返しといっては何だがもう一ついいことを教えてやろう。この中継は全世界同時中継と銘打ったが、日本の関東地区にしか放映されていない。時間差で各地区に流す予定だったが、もうその必要もなくなった」

 

Lは一呼吸置いた。

 

「お前は今日本の関東に居る」

 

「くくっ。こんなにベラベラ話す必要あるのか?」

 

――そのうち狙いが分かります

 

「小さな事件で警察は見逃していたがこの一連の事件の最初の犠牲者は新宿の通り魔だ。大犯罪者が心臓麻痺で死んでいく中でこの通り魔の罪は目立って軽い。しかもこの事件は日本でしか報道されていなかった……これだけで十分推理できた」

 

「キラ。お前が日本に居ること。そしてこの犠牲者第一号はお前の殺しの実験台だったということが!!人口の集中する関東に最初に中継しそこにお前がいたのはラッキーだった。ここまで自分の思惑通りいくとは正直思っていなかったが、キラ!お前を死刑台に送るのはそう遠くはないのかもしれない」

 

――日本の警視庁には色々とヒントを与えていたのですが。誰も日本にキラがいるという所までたどり着く人はいなかった。私が想定しているよりも日本は無能だったのかも知れない。この放送ではじめてキラが日本にいるかも知れないと思ってしまうようではこの先が思いやられる。そうではないと願いたいが。

 

警視庁では皆仕事を辞めテレビに注目していた。

 

夜神の部下である松田は口を開いた。

 

「やっぱりさすがですね。Lって……」

 

「うむ。キラの存在……殺人……日本に居ることを証明した……」

 

「キラ、お前どんな手段で殺人を行っているかとても興味がある……しかし、そんなことはお前を捕まえれば分かることだ!!

 

■夜神家■

 

ライトは立ち姿で机に両手を当てて考え事をしていた。

 

「キラを死刑台に送るだと……キラ……」

 

「必ずキラを探し出して始末する!!!!僕が正義だ」

 




L「自演の才能もあるみたいです^p^」
リューク「うほっ」


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第9冊:ワタリ

原作ではLとキラの能力値はさほど変わらない設定だと聞いたことがあるため
Lが月の立場でも同じようなセリフを言うし、月がLの立場でも同じようなセリフを言うという前提の元話は進むのではないかと思います。



Lは窓の前に体育座りをしていた。

 

「ずいぶん気の抜けた顔だな、L……」

 

「小休止ってとこですね。まぁ、警察の働きぶりを見たいのが理由です」

 

ポンデリングを口に加えながら続けた。

 

「それにちょっと疲れました。もし私がキラでなければ結構楽しいのかもしれませんが、はは」

 

Lはむくっと立ち上がりぺろりとポンデリングを丸呑みした。そして雑誌を取り出し角っこを摘まんだ。摘ままれた雑誌はぶらんとしている。どうやら週刊誌の様だ。

 

「ICPOも動かせる名探偵LVS超能力で人を殺せるキラ。そうかと思えばLもキラも実在しない。犯罪者を抹殺している警察の作り物など書いてる雑誌もあります。外やテレビ、ラジオなどでもそんなのばかりです。キラ本人がこんなのに振り回されていても気疲れするだけです」

 

「大切なことはたまにはのんびり精神を休めることです」

 

「のんびりか……。俺からすると結構のんびりしてると思うし、そんなことで振り回される性格じゃないだろ」

 

「……」

 

ピンポーン

 

「ワタリです」

 

モニター画面を見るとロングコートを着たワタリが経っていた。しわしわの顔に白いひげワタリ本人である。

 

「ワタリか……なんですか?」

 

 

リュークはLに顔を近づけてきた。

 

「気をつけろよL……」

 

Lはリュークを一瞥した。

 

「今机の中にあるデスノート。触られたら触った人間には俺の姿が見える」

 

――そういう大切なことを今頃……この死神は……

 

 

ぴぴぴ。ワタリのスマートフォンの音が鳴り響く。

 

「はい、ワタリです。………………はい。分かりました。Lに繋げます」

 

 

「L」

 

「なんだ、ワタリ?」

 

「捜査本部の報告が始まります」

 

凶悪犯連続殺人特別捜査本部

 

 

「では次」

 

ガタッ。七三分けをするガタイの良い男が立ち上がった。

 

「はいっ。今までに明らかになった被害者と思われる心臓麻痺死者のすべては日本で情報を得ることが可能だった者と裏付けが取れました。そして……」

 

死亡推定時刻の統計調査、一般情報、気づいた点などの報告をしていった。

 

「また少し犯人に近づけましたね」

 

「はは。Lの手も借りずとも我々で解決できそうですね」

 

松田も両手でガッツポーズを作りながら答えた。

 

宇生田も続いた。

 

「そうですね。殺されるとか怯えている人もいますが、僕は絶対に死ぬ気しないんですよね。実はもうすぐ結婚しますし」

 

少し照れながらここで結婚することの報告を皆に告げ和やかな雰囲気に近づいた。

 

――なぜあの事に気づかないんだ……仕方ないここは私の方からヒントをだしましょう。

 

「また注文で申し訳ないのですが、犠牲になった犯罪者の写真や映像が出ていたがもう一度よく調べて頂きたい」

 

 

――私が殺されなかったのは顔も本名を出していなくて、凶悪犯罪者でもどちらかひとつでも欠けている人は殺されずに心臓麻痺で殺された人は全員顔と名前が分かっていたという点に気付いてもよさそうですが、さすがにあれから日も経って気付かないので今回は誘導しておきましょう。

 

――さてここいらでもう一つコマを進めましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後

 

 

「何っ!?また昨日も心臓麻痺の犠牲者が23人!?」

 

「は、はい」

 

「それもまた一昨日と同じように死んだとすぐ分かる刑務所内の犯罪者が23人が……きっかり1時間おきに一人ずつ……」

総一郎は慌てていた。額から汗が零れ落ちた。

 

「平日に二日もこれが続くという事は……犯人が学生という線も怪しくなってきたな……」

 

「いや学校を二日くらい休むなんて誰でも……」

 

「じゃあ二日学校を休んだ人がキラですね」

 

Lは捜査本部の会話を聞いていてうずうずしていた。

 

「そうじゃない!確かに学生の線は消えたが、キラが伝えたいことは死の時間を自由に操れるという事……そして警察の情報を知る手段を持っているということだ」

 

思わずヒントを与えるつもりが答えを言ってしまったのである。

 

 

■廃工場跡地■

 

「へーLおまえそんなことしてたのか」

 

リュークは久しぶりのLとの外出で羽根をバタバタさせていた。

 

「予定通り事は進んでいます。次の計画の為にわざと残してある50人の犯罪者を使っていきましょう」

 

「ほー」

 

リュークは地面に降り片足を着いた。

 

「しかし、こっちにも解決しなければならない問題がある」

 

「問題?」

 

リュークは廃工場の中へ入り木材が積んである場所を選び体育座りをし始めた。

 

「触ったらリュークの姿が見えます。しかし、だからと言って肌身離さず持ち歩く事は可能であってもしたくはありません。今まではワタリに見られれてもキラ事件の資料としてのメモと言えばどうにかなりました。いえ、ワタリのことなので私の物を許可なく触ることはありえません」

 

 

Lはリュークをじっと見た。言葉を溜めているようだ。

 

「私はギリギリの綱ワタリをしています。下手すれば……キラは……自分のワタリを殺すことになります」

 

 




綱渡り 綱ワタリ


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第11冊:工作

ライトは黒いノートを見返しながらパソコンを利用して父親のパソコンに侵入している。何の痕跡も残さずに常に捜査状況を把握できる。

――犠牲者の死亡推定時刻からキラは学生の可能性が高いと発表。その翌日から二日連続で一時間ごとに23目の犯罪者を葬っている。これはキラが死の時間を操ることができることを示している。大事なことはキラは捜査本部の情報を得る手段を持っている……そっちだ。ここまで情報を落としたキラの狙いは何だ……キラは何をしようとしている。警察の情報がキラに漏れている。この事実を素通りにはできない……仕方ない内部告発という形で匿名希望でこの事を伝えるとしよう。僕が狙っているのはその先。確かめたいことがある。





凶悪犯連続殺人特別捜査班と書かれた部屋に3人の長身の男が伏し目がちになりながら夜神局長の前に立っていた。

 

 

 

そして3人が同時に封筒くらいの大きさの紙を机に置いた。そこには二文字「辞表」と書かれている。辞表というのは仕事を辞めるときに出すものである。

 

夜神局長は疲れていた。連日のキラ操作で精神的にも肉体的にも休まらない。人手不足であり、人事部に今年の警察官の採用枠を増やして欲しいとつい先日相談しにいってきたくらいである。そんな折のでき事だった。この忙しく人手の足りない時にありえない行動をしていて何が起こっているか理解できなかった。いや、理解はしていたがこの状況でそれができるかという心理を理解できなかった。思わず

 

「なんだこれは!?」

 

辞表!叫ばずにはいられない。

 

「見ての通り辞表です」

 

――そんなことは分かっている。コントでもしているつもりなのか。そういうことを聞いているのではない

 

そして真ん中の男が口を開いた。

 

「命が欲しいからですよ。私がキラなら自分を捕まえようとする人間は殺します。前にLはテレビで「私を殺してみろ」とスタンドプレーをしました。しかし、Lは自分の名前どころか顔も出していない。そしてLが命じたのは「犠牲になった者が日本でどう報じられていたか」「犠牲になった犯罪者の顔が映像ででていたかどうか」です」

 

男は息を飲み勢いよく机を叩き付けた。

 

「その通りでした。犠牲者は全員日本の報道で顔と名前が確認できた者でした。つまり、私たちはLと違って警察手帳という写真の入った身分証明書を持って捜査しているんです。つまり、いつキラに殺されてもおかしくない。これが辞表の理由です」

 

そして三人は部屋を出て行った。

 

「お、おい……君たち。ま、待ちたまえ……」

 

局長の声はすでに三人には届かなかった。

 

 

■Lの家■

 

「割と簡単にできました」

Lは机を見ながら言った。

 

「ん、ノートを隠せたということか?」

 

「この引き出しの中です」

Lは指で机を指し示した。

 

「……そこって隠したことになるのか?」

引き出しには鍵はついている。その机を開けた。

そこには『駄菓子日記』と書かれた日記帳が一冊入っていた。

 

「デスノートじゃなく、ただの日記帳じゃないか」

 

「ほとんどの人間はこの私が一生懸命食べ比べしたお菓子の評価を読むことでこの秘密に満足するでしょう。でも本当の鍵はこっちです」

 

するとペン立の中から一本のボールペンを取り出した。

 

「机の周辺にどこに転がっていても不思議ではないボールペンの芯です」

 

引出の裏を覗き込み始めた。

「ここです。引き出しの裏によく見ないとわからない小さな穴があります。その穴にこれを入れます」

すると薄い板が持ち上がりその中から黒いデスノートがでてきた。

 

「なるほど二重底か……どうりでホームセンターって所で板を念入りに選んでいたはずだ。まぁ日記のフェイクもあるし、見つからないだろう」

 

「それだけじゃありません。ここに電気を通さないプラスチック製の芯を挟まなければ電流が流れその瞬間薄いビニールに入ったガソリンに火がつきます」

 

Lは薄い板を外して板の裏にあるゴムを指差した・

 

「中底を閉めるときはこのゴムが金具の間に挟まって絶縁体となり電流は流れません。つまり、プラスチックのボールペンを選択し小さい穴から差し込まない限り、点火します。引き出しを強引に引き上げたりすればその瞬間ノートは燃え完全に証拠は隠滅されます……」

 

「火事になった原因聞かれるだろ」

 

「燃やした理由は本当の日記を隠していて見られたくなかったでまぁ通ります。そもそもノートですし」

 

リュークは笑った。初めての体験だからである。

「デスノートを人間が持った時その隠し場所に一番困るという話は聞いていたがここまでやったのもL、たぶんお前がはじめてだ」

 

「それにしても危険な細工だな」

 

「手順を間違えただけで自分が大やけどするぞ」

 

「私は最初から危険を冒していますよ。そしてその危険は逆に私を安全にしてくれます。家から小火が出るのと死刑になるのどっちがいいかは考えなくても分かります」

 




ギャグが滑ってるのは分かってますよ


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第14冊:幼稚

玄関の前に着いた。

 

――後ろを振り返りたい気持ちはあるが、あえて気付かない振りをしていた。その方が情報が落ちるのではないかと考えたからだ。尾行者はキラではない。キラが僕を尾行するメリットはなく、むしろキラだとばれるリスクの方が大きいだろう。そういう意味ではLが日本以外の組織に依頼して警察関係者を調べさせているという考えの方が筋が通る。

 

塾から帰る時間は玄関の鍵は空いている。ドアノブを握りしめ、ドアを開けて「ただいま」と一言言ってそのまま二階にある自分の部屋まで歩き始めた。

 

――Lが警察関係者を使って日本の警察を調べる理由は、Lがキラであってもそうでなくても存在する。Lがキラではない場合、警察関係者にキラがいる可能性が高いという理由からキラ逮捕の為に警察関係者を調べさせているなら納得できる。Lがキラだとしても内部告発者がいるからその人物を探し出すという意味でキラ捜査の名目で調べさせている可能性がある。またあえてキラを一生懸命探すという演技をするために形式上警察関係者を調べさせている可能性もある。どれも可能性であり、当たっていることの方が少ないだろう。

 

部屋の前に立ち注意深く、ドアノブを凝視している。

ドアノブを右に回し、扉を開けるとピンク色のポストイットがひらりと床に落ちた。

 

――当然部屋までは入っていない。

 

――根拠はないが、Lが指揮を執り動かしていると確信している。

 

ライトは上着を床に投げ捨て椅子に座った。

 

――情報が漏れてからまだ6日だというのにもう僕に尾行が2日……。おそらく警察関係者を調べている人数は少ないはずだ……十数人くらいからだろう。仮に10人で調べていたとしても僕が疑われる可能性はまずない。なぜなら僕はキラではないからだ。それにもっと怪しい人物はいるだろう。しかし、何か月も放っておけば僕がキラである可能性は0であると判断して僕に対して関心を失うだろう。それは駄目だ。

 

ライトは引き出しから黒いキラ事件ノートを取り出した。

 

ライトはキラ事件のまとめノートを読みつつある書き殴りが目に付いた『キラは幼稚で負けず嫌いではないか?』

 

――そうだ。僕自身が幼稚で負けず嫌いである性格だったから、感じた。今までの事件の事実を追うよりもキラの性格を把握した上でキラに対しての罠にかけられればもしかしたら……リンドLテイラーがキラに宣戦布告した時にそれまで犯罪者しか殺してなかったと思われるキラはためらうことなく、テレビに映っていたテイラーを殺した。そして日本の関東にキラが潜伏していると言えば日本の犯罪者を中心に殺し始めた。もちろんこれはL=キラではないときのキラの性格分析だ。しかし、L=キラならこれは自作自演。何の為にこんなことをしているのか……僕には少し分かる気がする。いずれにしても僕はLにあう必要がある。そしてどうすればLに会えるかを考えていた。父さんに言っても無駄だ。しかし、会わざるを得ない状況を作るとするなら……それは……

 

ライトは目を瞑っていた。それがどんなに危険なのかを分かっていたからだ。

 

 

本来のデスノートとは少しずつ歯車がずれ始めて行った。

 



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第15冊:実験

2話同時投稿は単にミスです。。




「ワタリ。FBIが調べ始めた警察関係者リスト確かに受け取った」

 

――警察の中だけで捜査本部の情報を得られた者が141人もいたとは……この141人の中、あるいはこの141人の身近な所に必ずXはいる……

 

Lは141人の警察関係者の情報冊子を眺めながら、アイスまんじゅうを食べていた。アイスクリームの中にたくさんのつぶあんが入っているアイスである。

 

――念のためこのデスノートの性能を試してみましょうか

 

「『死因を書くと更に6分40秒詳しい死の状況を記載する時間が与えられる』まずこの『死の詳しい状況』がどの範囲まで自由にできるのか試してみましょう」

 

リュークはりんごをかじりながら聞いていた。

 

「L、お前のことだからいろいろ試しているのとばかり思ってたぞ」

 

Lは食べ終えた後のアイスまんじゅうの棒を口にいれながら答えた。

 

「本来なら隅々まで調べておいた方がよいでしょう。ただLという地位を持ちながらキラであるとなかなか退屈なんですよね。きっと自分は死ぬことはないし追い込まれる状況ではないからなのでしょう。だからかも知れませんが必要になったときにはじめて試したり調べるようにしようと思っています」

 

Lは刺激が欲しかった。もし自分がデスノートを拾わずに他の人が手にしていたらこのような刺激のない生活とはお別れしていたのかも知れないと……ただ、Lは期待していた。L=キラと考え、同じ土俵に立ちお互いに命を懸けて勝負できる相手を。

 

『悪犯罪特別捜査班』と書かれている部屋の中に総一郎が座っていた。

プルルルルルと電話がなり2コール目で受話器を持ち上げた。

「ああ私だ。……また刑務所内の犯罪者が六人……心臓麻痺か……キラだな……何!?」

 

『いえ死因は心臓麻痺なのですがその直前に絵を描いていた者、遺書らしきものを書いていた者……』

 

「待ってくれ。その被害者達の状況は詳しくデータに入れておきたい。ゆっくり頼む」

 

パソコンのメールには3枚の写真が添付されていた。

 

一枚目は刑務所の壁に自分の指を切った血で○の中に☆を書いていた。

 

二枚目は紙に次なようなことを書いていた

 

かんがえ

ると

いずれしけいになるか

てまねきしているあい

つにころされるだけだ。

しってい

る。おれは、キラのそんざいを

えものにされる。

 

三枚目は

 

男子トイレの5つ並ぶ小便器の前でうつ伏せになって死んでいる。牢を脱走してなぜか職員用のトイレで死亡していたらしい。

 

 

 

ライトは慣れた手つきで父親のPCの極秘情報を閲覧している。

 

――キラにおびえた文章……いやすべてひらがなで変な風に改行してある……上の文字だけ拾って読めば『えるしっているか』……ただ単に犯罪者がとった行動とも取れるが……キラは死の時間も操れた……もしも死の直前の行動も操れるとしたら……犯罪者で実験をしている……何をする気だ……

 

 

Lはパソコンで警察の極秘情報を閲覧していた。

「見てください、リューク。すでに6人のテスト結果が打ち込まれています。思った通りの結果です。使えますね、デスノートは」

 

リュークは3個目のりんごを一口かじり質問した。

 

「どういう結果なんだ?」

 

「一人は脱走しノートに指定したトイレに行き、もう一人は私がノートに書いた○に☆を書く絵を壁に書き、もう一人はノートに書いた文章と同じ文章を書きました。この三人についてはノートの後に私が書いた通りの行動をしている……死亡時刻もたぶんあっています」

 

一呼吸おいてさらに続けた。

 

「他の三人はわざとかなり無理のある死の状況を書いてみました。まず『今日の午後6時にフランスのエッフェル塔前で死ぬ』5時半ごろ日本の刑務所にいた人間が6時にフランスなんて物理的に無理です。だからそれは実現せずに6時にただ心臓麻痺しました。次は刑務所の壁にXそっくりの似顔絵を描くと書きましたが知らない人間の顔は描けないようです。そして最後に『「俺はLが日本警察を疑っている事を知っている」と書く』とデスノートに書きました。本人の知らない情報や考えもしないことは書けないということでしょう。つまりデスノートでもありえない事はできません。しかしその人間がやってもおかしくない範囲の行動ならいくらでも動かしてから死なせる事ができます」

 

「ほう」

 

「まぁこれはテストのテストですがね。次のテストで決まります。このテストの結果は明日の朝刊で十分です。警察もキラとは結び付けないですしね」

 

次の日

 

すずめの声がちゅんちゅんと聞こえてきた。

 




自分の題名を斜め読みでもさせて、キー情報を書こうかなと思いましたが止めました。

に、してもLも結局ライトと同じことをしちゃうんですね。



Lならデスノートの使い方をあらかじめ一つ一つ検証をしそうなのにこの話ではじめて検証をしたという解答が

・Lにとってかなり余裕がある立場である点。Lは自分が追い詰められるとは考えていないだろうということです。おそらくこのLは原作のライトやリュークが当初毎日が退屈であったのと同時にデスノートを持った時点でも心は満たされていません。

ライトは、世の中を平和にするという使命・目標があるためそれに向かって試行錯誤し努力をしていきます。しかし、Lの性格を考えると世の中の平和とかは割とどうでもいいんだと思います。

なぜ犯罪者を殺すのかはまだ投稿していない第5冊で語られる予定です。
Lが犯罪者を殺す理由もライトとは違います。

結果は同じでもその過程や感情にはLとライトで異なる場面があり、その対比もこの作品で描きたい部分です。


・心のどこかで自分を苦しめる・追い詰めてくれる存在を求めていると思います。
つまりLはマゾヒストである可能性があると考えています。

警察関係者にはうまくヒントを出すことで捜査状況のスピードを出しますが、
ヒントや答えに近いヒントを出して進展するレベルの人にとってはLの求める快感を提供できないでしょう。

Lが本気で人生を楽しいと思える時は、ライトがLの斜め上に立ち回り何の能力もない青年がじわりじわりとLを追い詰めていき、それに対してどう対応して切り抜けるかそれこそ命がけの心理戦が始まった時です。そしてライトがLの上に立ち初めて自分よりを超す存在が現れた時に快楽は絶頂となると同時に初めての敗北・挫折をし、そこからLもはじめて出す本気というのをライトにぶつけていくことになるでしょう。



話は脱線しましたが、

ロールプレングゲームでも最初の町から見える魔王の城に即座に行き、一撃でそのボスを倒せるようだとつまらないと思います。


目に見える魔王城だとそんなにすぐに到達できない。少しずつレベルを上げ、魔王の情報を得ながら成長していくという方が楽しいのだと思います。


そういう意味で早い段階から検証できることを検証しなくてもいいとLは考えたのでしょう。


特にLはリュークの事をワタリと同レベルの愛情があると考えリュークに新しい実験を見せた時の表情や感想を楽しみにしているという部分もあるからこそ、少しずつ小出しにしているのではないかと思います。

原作の流れを壊さないという縛りがあるのでこのような性格なのではないかと思いました。



縛りが無くなると、Lならいきなりすべての検証をし、いきなり日本警察は詰みということもありそうです。


むしろ原作ライトは検証するのがもっと早くからでもよかったのではと思いました。


黒帽子さん修正ありがとうございます><


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第16冊:遭遇

次の日、今日は土曜日だった。

Lは朝刊を読んでいた。そしてその右端と左端をつまんでリュークに見せた。

「テスト結果発表か」

 

その新聞の見出しには『コンビニ強盗 逆に店員に刺され死亡』と書いてあった。

 

「すごいですね。デスノート

 

Lの持つデスノートには

 

中岡字 松四郎 出血多量死

 

セブンイレブンにナイフを持って押し入り、その日の売り上げを要求。警察に連絡しようとしたコンビニ店員に対して即座にナイフで切りつけようとするが揉みあいになる。持っていたナイフが自分の腹部にナイフが刺さり1時30分に死亡。

 

と書かれていた。

 

Lは何も言わずにリュークに箱いっぱいのりんごを差し出した。

「何だよ」

 

「すみませんが、リュークにお手伝いして貰うことがあります。その前払いです」

 

「どういうことだ?」

 

Lはパソコンの犯罪者リストのNEWの所を閲覧していた。恐田奇一郎の写真を見て昨日ニュースでやっていた銀行を襲ったが金を奪えず銀行員と一般人を撃って逃げた麻薬常習犯を見ていた。

 

「今回の実験には死神であるリュークが必要です。すぐ目の前にあるスペースランド行きのバス停で行いますので目と鼻の先です。30分も取らせないので手伝ってもらえませんか?」

 

リュークには断る理由はなかった。なぜならLの買うりんごはどれもおいしいからである。

「分かったよ、別にお前の為じゃなくてりんごの為だからな」

 

 

ライトは少しおしゃれをして外を出た。

 

――おそらく、初の土曜日。僕を疑っているならあの日系の人物は尾行してくるだろう。そしてバスという狭い空間なら尾行者も必ず乗ってくる。そして奈美子を巻き込むのは危険だと思ったが、彼女もどうしても協力したいという事から今回この日にスペースランドに行くことにした。

 

「夜神くーん」

ナミコはミニスカにロングブーツという塾の時とは違うおしゃれをしていた。ライトが視界にはいるとすぐに手を振り始めた。

 

「ごめん、遅かった?」

 

「まだ約束のバスが着くまで5分前だよ。遅くないって。スペースランドは中学生の時以来だから楽しみー」

 

「夜神君と二人きりだし……」という言葉は言えなかった。

 

レイはその二人の様子を影から見ていた。

――平日は外出と言えば学校と予備校に行くくらい。たまの休みにデートか……いたって普通。いや真面目な受験生だ……夜神局長の息子月。疑う余地なし。この家族の娘までは調べる必要ないな……まぁ、とりあえず今日一日の行動を観て終わりだ。

 

レイは少し駆け足でそのバスに乗り込んだ。ライトは後ろから2番目の二人席をナミコと座っていた。一番後ろの5人席は空いていたので尾行するなら必ず後ろに座ってくると考えたからである。予想通りレイはライトたちの後ろに着席した。

 

バスの扉が閉まった時に一人の男が乗ろうとした。プシューともう一度扉が開くと人相の悪い男がポッケに手を入れながら乗り込んできた。

 

ライトはその人物をどこかで見た気がしたがそれよりも今は後ろに座る人物に対して警戒するためにその男への関心を無くそうとしたときだった……

 

その男はポッケから黒い何かを取り出した。カチャという男がすると運転手の頭にその鉄の塊を押し付けた。

 

運転手は「えっ」とだけ言った。

 

「このバスは俺が乗っ取った!!」

 

ライトは思い出した。昨夜銀行強盗をした麻薬常習犯だ。確かに都内の事件であったがこのまちにきていたとは……と考えた。その犯人のことよりも別のことを考えていた。

 

乗客はおどおどしていた。女性客の中には「キャー」と叫ぶ人もいた。

 

 

「騒ぐんじゃねぇ。少しでも騒いだり動いたりした奴はぶっ殺す」

 

リュークは逆立ちしてみたりくるくる回ったりしてみたが誰も気付いてないようだ。

――Lの奴何がしたいんだ?多分のこの小柄の男が死にそうな気がするけど……今回はどうなるか見てないし、ひとりでLみたいな推理してみるか

 

ナミコは震えていた。それはそうだ。拳銃ですら一般人はテレビの中でしか見たことない。しかも相手は麻薬常習犯であり、何をしでかすか分からない。警察局長の息子である僕がなんとかしなければならない。

ライトはナミコのふとももを二回トントンと叩いた。

 

そしてある紙を渡した。声を出すと殺される可能性がでてくるからだ。

 

レイはその紙を凝視した。

 

ナミコちゃん大丈夫安心して

犯人の隙をみて僕が

ピストルを持った手を押さえる

こういう時の対処は刑事である

父に教わっている

犯人は小柄で弱弱しい

僕の方が力もある

 

ナミコはそれを見て、夜神君は本物だと感じた。頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗、そしてこのような状況でも勇敢に立ち向かおうとしながらも女の子に対して気を使える。

好きでよかったと思った。

 

――ほう。この男なかなかかっこいいことしてるなぁ。夜神月というのか。あれ、どこかで聞いたことある名前のような。どこだっけ

 

リュークはバスの中の人物を一人一人観察してみた。




次回の題名は「二個」


次の話は、デスノート原作を拡大解釈をしつつ、伏線などを張りました。
この「二個」に関わることが次のテーマの話の主軸です。

どんな話になるか予想してみると楽しいかもしれません。とんでもない話なので正解はしにくいと思います。


-------------------------------------------------------------------------------



ついにリュークと月が遭遇しました。犯人との遭遇もかけてあります。


このスペースランドの話は、立場上キラであるLが搭乗するという考えがありました。

しかし、Lはレイの本名も名前も入手できる立場にあるのでわざわざ乗り合わせる必要はありません。


そこでナミコという新キャラを投入することで、リュークの代わりにストーカー娘というキャラがストーカーの過程で尾行に気付き、ライトは尾行者からキラやLなどの情報が落ちるのではと考え尾行されてることに気付かない振りをして何とか尾行者が何者であるかを追います。

ナミコ役はユリという選択肢もありました。ユリは本来ならスペースランドに搭乗する子です。この子は明るくて積極的の為、私の思い描くストーカー女のイメージと違うため、ユリが名前を出した明治大学を目指しているナミコという名前だけでたけれど同じ塾?あるいは同じ中学?であっただろう子を起用しました。

ユリさんの友達なのできっと可愛い。そして明治大学志望ということもあり頭の回転も高めであろうという子がしっくりきました。


そうすることで原作の流れを途切れさせずに今後の話の展開にも繋がっていきます。

もちろんライトの側近の女の子を使うということは、皆様が予想しているであろう

「ミサ」の登場で大きな弊害になってくると思います。


そもそも「ミサ」はキラであるL側につくのか?

はたまたキラの能力の無いライト側につくのか?

L=キラだとしたらどこでミサはそれを気付くのか

キラで無いライトをどうやって好きになり、ミサがキラであることを伝えるのか伝えないのか。


「ミサ」は、大きな分岐点となります。

原作ではライトはリュークやサユと会話をする場面がありますが、それがこちらの創作ではLとリューク、ワタリに置き換えてたりするのでたまにワタリがサユだと思わないばかりのかわいらしい発言をしてくれるかと思いますw


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第17話:二個

リュークはバスの中の人物を一人一人観察してみた。気になる人物は拳銃を持つ男と夜神月とその後ろに座るレイ=ペンバーである。あとはモブキャラであると思った。

 

 

 

レイはそれを見て思わず立ち上がった。

 

「危険だやめろ。その時は私がやる」

 

はじめてライトに接点を作った。ライトは一瞥した。写真でも何度も見た男。間違いない。僕を尾行している男である。

 

ライトは紙に筆談しようと何かを書き始めた。しかし、レイは

 

「大丈夫だ。走行音があるから小声なら会話は犯人に聞こえない」

「失礼ですがその喋り方、日本人ではないですよね?」

 

「ああ、日系のアメリカ人だ」

 

――ここが重要。相手が誰であるかを知るには身分証を見るのが手っ取り早い。そしてこのような突発的な事件だから相手は冷静ではない。この偶然にも起こった状況を逃したらもうこの相手が誰なのかを知ることはできないと考えた。ストレートに聞くのではない。相手が身分証を出さないといけない状況を作る。僕ならいける。

 

「あの犯人の共犯者ではないという証拠はありますか?」

ナミコはおどおどしながら小声で言った。

 

「きょ……共犯……?」

 

――ナイスだ。お互いに不信感を感じている方がいい。良くわかってる。

 

「よくあるケースだよ。犯人は一人と思わせていざという時の為にあらかじめ後方からの見張りに共犯者を置いていく……」

 

レイは黙り込んだ。

 

――まだ一押し欲しいか

 

「や……やだまさか本当に……」

 

「乗客は犯人を除いて7人そして空席の方が多い状況。なのにあえて僕たちの真後ろに座るというのは違和感を感じる。例えば電車でも空席がある状況で見知らぬ人の真横に座ることはほとんどない。心理的に空いている所に座る。電車内で空席が多い状況で若い女の子の隣におじさんが座ってくるということも度々報告されている。僕の父も席が空いているのに僕と同じくらいの年ごろの女の子の隣に座りたがる。何か理由があれば空席がある状態でも座る。この状況を考えて空席がまだ沢山あるにも関わらず真後ろに座るのは理由があるから、つまり共犯だからだ、どうしました?図星でした?」

 

――確かにこのような空席の状況であえて真後ろに座っていたら疑われるのもおかしくない。弁明ももちろんできるがこの状況で話してもますます疑われるだけだろう。夜神月がキラである訳がない……キラなら犯人を心臓麻痺で殺せるんだ……

 

レイは色々思考していたこの夜神月に信用して貰う方法が一つあるのは分かっている。できればそれ以外の方法が良かった。しかし、今その案を思い浮かべることはできなかった。それよりもこの場の事件を大きくしない方が重要であると考えた。

 

レイはカードケースを前に差し出した。

 

「これが証拠だ」

 

 

 

――FBI!!そうかLはFBIを使って日本警察関係者を調べていたのか……名前レイ=ペンバー。貴重な情報だ。あとはこの麻薬常習犯をどうにかしなくては……一人も殺させない。みんな無事に生還させたい。

 

「信用します。今はあえてなぜFBIの捜査官がここに乗り合わせたのかは聞きません。銃は?」

 

「持っている」

 

「ではいざというときはお任せしてもいいですね?」

 

「ああ……」

適当に返事をした。

 

――銃を使うのはあくまで最終手段だ……日本の警察に何のために日本に居たのかと聞かれてしまう……ただアメリカの犯罪者が最も多くキラに殺されているという事実からFBIが独自に捜査をしているという言い訳はできる。

 

その時バスが揺れてライトのメモが地面に転がった。

 

 

そのメモは座席の奥まで転がっていった。ライトは通路に他のメモがあることに気付いた。

 

 

 

 

 

 




黒歴史のギャグは削除削除 


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第18冊:化物語

その時バスが揺れてライトのメモが地面に転がった。

 

 

「おい、なんだその紙は……動くなよ!」

男はピストルを持ちながら後方部まで向かってきている。

 

「てめーら乗客同士でメモ回して何か相談していたのか」

 

 

レイは驚いた顔をした。

――まずい。あのメモを見られたら隙を見て奴に飛びかかろうとしていたことが……

 

 

リュークはクククと笑っている。

 

――みんな怯えているなぁ。そしてこれからどうなるんだろう。って俺はここにいる必要あったのか

 

男は紙を拾った。しかし。その紙はライトが拾った紙ではなく予めだれかが落としていた紙のようだった

 

「アイスまんじゅう 二個」

 

「けっ買い物の紙かよ。くだらねぇ。いいかてめぇら。今度妙な動きしたらその時は……」

 

男の視界に得体の知れないものが入ってきた。

 

「な……なんだてめーは!!そ……そこの一番後ろの奴」

 

レイはびくりとした。服の内側に拳銃を隠していていつでも撃てるように構えていたからだ。それがばれた。今すぐ拳銃を撃つか撃たないかを考えた瞬間

 

レイではない方向に向かって叫びはじめた。

「何ふざけてやがる。い……いつからそこに居たーーーーーっ!?」

 

「あん?俺のことか?おまえ俺の姿が見えるのか?」

 

 

男は後ろ向きで少しずつ移動し距離を取り始めた。

 

「動くんじゃねぇ。う……撃つぞ化け物……」

 

――化け物?幻覚でも見てるのか

 

ライトは冷静にこの状況を見ていた。ナミコの頭を深く地面に向かって下げさせその上をライトが覆いかぶさった。前の座席のイスもあり覆いかぶさることで少しでも拳銃の被弾する可能性を下げた。最悪自分が犠牲になってもいいと考え、その考えはナミコにも伝わっていた。

 

「まずい麻薬中毒者特有の幻覚を見ている。みんな伏せろ!」

レイは大声で日本語で叫んだ。

 

リュークは男の目をじっと見ている。

 

「あっそうか。Lはあらかじめこのバスにメモを落としておいた。あの状況ならこいつがメモを触らせるのは明白。もしかするとこのメモを拾うことすらもLは詳細に書いていたのかも知れないな。あったまいー」

 

男は拳銃の引き金を引き、リュークに向かって撃ちはじめた。拳銃の弾は死神に吸い込まれていくように見えた。

 

「悪いな。俺は死神だからそんなものじゃ死なないんだ。『俺はLの近くにいなければならない』『デスノートに触った者には俺の姿が見える』『死神はどこを拳銃でぶち抜かれても死なない』みんな俺がLに言ったことだ」

 

全ての拳銃の弾をリュークに撃ちつけた。

 

「俺がLからどの距離までなら離れられるか、本当に拳銃でもしなないのか、本当にノートに触った人間は死神が見えるのか……このあたりのテストだったという訳だな。一つの殺しで3つの情報をゲットか……」

 

弾切れになり、男は運転手の所まで駆け寄り車を止めてドアを開けろと言った。バスを止めると一目散にそのバスから飛び降りた。

 

不幸なことにバスを降りたときに事故に遭い死亡した。

 




こじつけですが、あくまでLの実験とライトやレイが遭遇したことは偶然なんじゃないかと思います。

もしかしたらこのLはあえて夜神月を目につけこのようなことを仕組んだ可能性もありますが現時点では不明です。


第一巻完!!



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19冊:秘密

ついに2巻目突入!小説にすると周りの風景や情景や細かい心理もあるので長くなりますね。


「小鳥君」

 

一言だけ発言して間が空く。この手の間は言いにくい事が続くことをライトは経験で学んでいた。相手に発言を促す為に一言だけ返し誘導した。

 

「はい?」

「実は私は極秘の調査で日本に来ていて日本の警察には……その……」

 

レイが何を言いたいかを察してその後の意味を考慮した上で発言した。

 

「……わかりました。あなたに会ったことは誰にも言いません」

 

一瞥するとまだ物足りない表情だった。

 

誰に言って欲しくないのか、そんなこと決まっている。だから後に続けた。

 

「もちろん父にも」

 

しかし、まだ足りない表情だった。何かを思い出しハッとした。

 

 

レイは言いたいことを即座に理解したライトに即座に理解を示さない上司や後輩の顔を浮かべた。即座に理解してくれたことを褒めようか考えたが、辞めた。その代りに

 

「じゃあ私はここで……警察が来ると面倒なので……」

 

言いかけた言葉は「帰ります」だろう。そして今回の事件は数分後には警察が来るのであろう。

 

――僕だってFBI捜査官と接触したなんて警察に知られたくない。父に知れれば必ずLに伝わる。Lは僕がLをキラだと疑っていることを全く疑っていない。今ここで起きたことは警察にただの事故として処理される。

 

「……」

「なんかせっかくスペースランドに行こうと思ってたのにこんな怖い目にあっちゃ……」

 

出来る事なら家に帰ってL=キラの仮説について吟味したかった。しかし、ライトの予想に反し

 

「私は大丈夫ですよ、せっかくなので行きましょう」

 

彼女はライトに腕組みししたかった。しかし、今は隣にいるだけでも幸せだった。

――こういう時の女の子は強いんだな

 

レイはバスジャックの事を思い浮かべ、待ち合わせのホテルへ足を運んだ。

――さて、この事を話すべきか……

 

ドアの前でカードキーを取り出し、ナオミの反応を見てから話すか話さないかを決めればいいやと思った。ナオミというのはレイのフィアンセである黒髪ロングストレートの日本女性である。

扉を開けるとナオミは待ち構えていたかのようにイスから立ち上がった。レイは部屋に入るまでが仕事モードだったので部屋に入るや否や、スーツを脱ぎだした。そしてソファにそのスーツを投げた。あとでハンガーにかけておけばいいと思ったのである。

 

イスに深く座り、天井を見上げて大きなため息をついた。

 

――さて話すべきか

 

そんなことを考えてるレイに対してナオミは間髪入れずに質問した。

「何かあったの?」

 

疑問形で聞いてはいるがナオミにとって確信していた。

 

――間違いなく何かあった。なにか秘密を隠している。

 

レイは一目散に椅子に座り天井を見上げる時は、何かがあり話すか話さないか迷っている時だった。そんな時は何があったかと誘導してあげることで話しやすくなることを二人で過ごした時間から学んでいた。

 

 








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20冊:男ってチョロい生き物なんですね

「偶然にバスジャックに巻き込まれた」

 

――え。偶然?いや、後で聞けばいいか。ここは……

 

「バスジャック?」

 

長話になると思ったのでインスタントコーヒーを用意し始めた。レイはコーヒーにこだわりが無い。

「ああ。二日前に銀行を襲った犯人が今度はバスジャックさ。日本も怖い国になったものだ」

 

レイは日本は世界一治安がいい国だと他の国と比べ相対的に感じていた。例えばアメリカなら40秒に1人が誘拐される割合日常的ではあるが日本では誘拐事件が起きれば大事件となり連日テレビで報道される。

 

――偶然とは対極の言葉が当てはまるかも知れない……もしかすると……いや、まずはもう少し情報を集めなくては

直接に仕事の話を聞くレイが嫌がるのを知っていた。結婚というゴール目前の目標もあり言い争いは避けたかった。しかし、その話はナオミの興味をそそるものでありもう少し聞いてみたいと感じた。だから折り合いをつけたところ、間接的に聞いていくのが良いと判断した。

 

「そのバスにあなたも乗り合わせたって事?」

興味はありませんという顔はできなかった。だから背を向けたまま話しかけた。

 

「そうさ。結局犯人はバスを飛び下りて車にはねられたけどね」

男の人はちょろい。

 

「その犯人死んだの?」

冷静になったナオミは二つのコーヒーを運んで持ってきた。

 

「ああ。多分な。関わらない方がいいと判断して見届けなかったが」

――偶然じゃない。そう、必然。

 

そう思って再び冷静でいられなくなった。言葉が体からあふれ出した。

「それって本当に偶然だったのかしら?」

 

レイはびっくりした顔になった。

「だって誰かを調べていてそのバスに乗ったんでしょ?そこで犯罪者がおそらく死んだ……」

レイはうつむいた。

 

「なぁ。君は確かに優秀なFBI捜査官だった」

俯いた顔をあげ、ナオミを見つめた。

 

「しかし今は僕のフィアンセでしかない。もう君は捜査官じゃないんだ」

――しまった熱くなりすぎた。逆にコーヒーは冷めてしまった。

 

コーヒーを渡すのを忘れていたナオミはテーブルの上にコーヒーを二つ置いた。

 

「キラ事件には口を出さない。危険な行動は取らない。そういう約束で日本にいる君の両親に挨拶する為に一緒に連れて来たんだ」

――また、この話

 

ナオミもイスに腰掛けた。

「分かったわ、レイ。つい癖で……ごめんなさい」

 

レイが自分を思っての発言だというのは分かっている。優しい性格の彼は先に謝ることで気を使ってくれることも知っている。レイは日本人の男性より日本人らしい真面目な人であると肌に感じていた。だからこそ親にも胸を張って紹介できると考えていた。

 

「ああ……ごめん。そんなに気にするなよ。家族ができれば自分が捜査官だったことを忘れるくらい忙しくなって癖なんて出る暇もなくなってしまうさ」

レイは話題を転換しようと思った。女性が熱くなったときは、相手を肯定するかしっかり聞くという手法を使えばいいと恋愛心理学の本に書いてあった。しかし、相手を否定してしまったので他の方法を思い出していた。それができない場合はポジティブな話に転換、つまり話のすり替えが重要であると書いてあった。これだと思った。

 

「それよりあのお父さんになんて挨拶したら好感度が上がるが考えてくれよ」

 

「ふふふ」

 

ナオミは今日初めての笑顔を見せた。恋愛心理学の本は頼りになると思った。女はちょろい。

 

結局男女の関係においてお互いにちょろいと思わせる方が長く続くのではないだろうか。

 




ここの二人の関係性は好きです。


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21冊:信条

 

 

ノートを広げ、今後の展開をどのルートにするか考えていた。

 

「さっそく、ライトと出会わせた捜査官の名前を書くって訳か?」

 

「いや違いますよ。彼の名前を書くのは、一週間後です」

 

黄色のマカロンと隣り合わせの紫色のマカロンも口に運んだ。まだ少し黄色のマカロンは口に残っており紫のマカロンと黄色のマカロンの味が合体する。

 

「会ってすぐに書くよりももっとたくさんの警察関係者を動かしてからの方がいいでしょう。そして一週間後に名前を書くときは彼に日本に入ったFBI全員の顔の入ったファイルを夜神月が入手してからだ」

 

「?」

 

Lの頭の中で張り巡らしていることをリュークは理解できなかった。

 

「まぁ。楽しみはその時までとっておいてください。いずれ分かります。まずはまた刑務所内の犯罪者を使って実験してみます」

 

――とりあえず横読みすると「えるしっているか」となる文章の続きにあたる「死神は」「りんごしか食べない」書いておきましょうか。まぁ、もちろん私は知っているのですが。これすら気づけない警察の人は切り捨てましょう。

 

ピピピ

 

ノートパソコンに黒ずくめの男のアイコンが現れた。

「L」

 

一瞥した。ここに連絡してくれるのは分かってる。

「なんだワタリ」

 

「また遺書の様な物が書き残した犠牲者がでました」

ふぅ。

 

――やっと見つけたのか。予想よりも遙かに遅い

 

「よし画像を送ってくれ」

 

「死神は……死神が存在するとでも言いたいのか?キラ……」

 

Lは真面目に発言した。なぜならワタリと通話中だからだ。

 

「おいおい。それをお前が言うか」

 

後ろでゲラゲラ笑っているリュークである。すっとぼけには笑いやすいことをLは体感していた。別にリュークを笑わせる為にまじめにすっとぼけてるのではないが逆にそれがシリアスな笑いを生んでいるのだろう。

 

「ワタリ。これからも何か書き残す者が出るかも知れない。刑務所から目を離さないように警察に伝えてくれ」

――刑務所からしっかり目を離さなければもっと早く私に連絡がきただろうに。

 

「分かりました」

 

――そう。あえて犯罪者を裁いている。私は犯罪者が一人もいない世界なんて作りたいとは思わないしそれは非現実的であるとも考えている。しかし、このノートを使うと決めた以上誰かを殺さなければならない。犯罪者だから殺していいとは言えない。犯罪者であろうとそうでなかろうと同じ人間であるからだ。しかし、一般論では犯罪者と犯罪をしたことが無い人どちらが死ぬべきかとアンケートを取れば前者の方が多くなる。あくまで一般論に乗っかることでこの事を深くは考えないようにした。無罪で逮捕された人も一定数いるだろう。そして運が悪くデスノートによって死んでしまった人もいるのではないだろうか。

 

ピンク色のマカロンを口に入れた。この考えを切り替えようと思った。

 

――そう。話を戻そう。人を殺すにあたって犯罪者でもそうでもなくても同じ人間ならランダムに殺すこともできた。ダーツを投げて刺さった人を殺すなんてことすれば平等なのかも知れない。適当にダーツを投げた時に体格のいい不良青年に刺さった。SMAPのとあるメンバーのあだ名に似ていた気がするので記憶に少し残っている。しかし、犯罪者に絞った理由として統一感を持たせたかったことも一つの理由である。犯罪者に絞ることで、犯人は悪を根絶しようとする狂った正義感の持ち主という印象を与えることができるのと、警察側は犯罪者に注目することができる。そして一般人は犯罪をすれば、殺されるかも知れないと考え抑止力になる。普通に考えれば犯罪者に注目すべきであるか、日本の警察は再三忠告したにも関わらず横読みのメッセージすらこちらが上手く誘導することで見つけ出した程度である。私の実験について早く正確な情報を手に入れるためには警察が犯罪者に注目して貰わなければならない」

 

 



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22冊:保身

一週間後

 

ライトの父総一郎は、額から汗がこぼれた。

 

「何?FBIが?」

 

「はい。東京で四人。神奈川で二人。千葉・埼玉で一人ずつ。皆心臓麻痺です!」

 

「FBI捜査官が日本で心臓麻痺?」

 

「なんだって?」

 

ワタリはノートパソコンを折りたたみ始めた。

 

「その捜査官の手帳から私たち日本の警察を調べていた形跡が……」

 

「ど……どういうことだ?」

 

「今すぐFBIに連絡を取れ!」

 

ワタリは混乱に乗じ一言も喋らず部屋を後にした。

ピピピ。ワタリの携帯電話が鳴り響いた。廊下は部屋とは対照的に静かであった。

 

「ワタリ。私だ。Lに繋いでくれ」

 

その声はFBI長官であった。重要な案件であると判断しLの許可を取らずにつなげた。

 

「L、日本から捜査官が死亡したとの知らせが入った。念の為日本に入った捜査官12人全員に連絡を取ってみたが誰とも連絡が取れない」

息を飲む気配がした。FBI長官は責任を感じているだろう。

 

「キラに全員殺されたとしか思えない」

――筋書通り

 

「長官落ち着いて聞いて下さい」

 

冷静を保とうとしているが、長官の声がいつもよりやや高く、息が荒く、しゃべるうちに話が早くなっていることから客観的には冷静を保とうと努力しているようにしか見えなかった。

 

「日本に入った捜査官全員の顔を知っている者は?いやそれをファイルとして持っている者は?」

 

長話はしたくなりので具体的な質問をしてあとは簡単なキャッチボールでこの会話を終わらせようと思った。

 

「昨日までは私だけだったのだが……」

その後に何が続くかは分かっていたが形式上質問をした。

 

「昨日までは?」

 

「そうだ」

 

「今日日本に入った仲間を確認しておきたいと言う者がいてその捜査官のパソコンファイルを送った……」

 

「それです!!」

いつも以上に声を大きく発言した。

 

「とんだ茶番だな」

 

リュークは笑い続けている。

 

「キラはその捜査官に接触しなんらかの方法でそのファイルを盗み見た!!」

一呼吸置いた。

 

「ファイルを送ったという捜査官は誰ですか?」

 

「その捜査官は……」

 

長官は間を開けた。しかし、間を開けてもLは何が返ってくるか分かっていたので驚くことはない。

 

「日本に入った捜査官全員だ……」

 

「全員……」

 

「急に何人も日本に入った仲間を知っておきたいと言い出したので私は彼らが皆でファイルを持つことを決めたのだと思った」

――つまり、この事実確認もせずに思い込みで判断したのか……それで長官が務まるとは……

 

「最初の四人には自らファイルを送り」

 

――つまり、残りは面倒になってその四人から回して貰う形にでも命令したのだろう

 

「あとは残りの者へ渡せと指示した」

 

「……」

 

「全員ががファイルを持っていた……キラは死の直前の行動を操られるのだとしたら……誰かのファイルを見て全員にファイルを持つように操って殺すことは可能だ……」

 

Lは、長官からの日本の捜査打ち切りの言葉を待っていた。

 

「L申し訳ないが……」

――筋書通り

 

「FBIは日本での操作を打ち切る」

 

長官はやっとこの言葉が言えて安堵した。

 

――この長官は今安堵しているに違いない。手を引く理由は一般的な事実を並べるが結局の所自分の命が欲しいという内容でしょう

リュークだけに聞こえる程度で呟いた。

 

 



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23冊:歩動

「アメリカの犯罪者が一番多くキラの犠牲になったのは事実だがあなたがキラの潜伏場所を日本の関東と断定してからは犠牲者が日本に集中している。日本で殺されているのは犯罪者だが我々は何の罪もない捜査官を失った。この犠牲は大きい」

 

「L、お前の言うとおり一般論と事実並べてきたなぁ」

 

リュークは続きが気になっている。

「今回急だったので私の独断で捜査官を日本に入れたんだ。私は国に責任を問われる。それに私は顔を公表されているんだ……私も命は欲しい……だからFBIは日本から手を引く……」

 

「本当に命が欲しそうだなぁ、良くわかるな」

 

リュークはが返答をするとは考えてないか話し続ける。

 

「長官日本の警察庁の夜神局長から電話です。2番です」

 

若い女性事務員が電話対応したようだ。

 

「ふふっさっそく日本の捜査本部から電話だ……あなたの指示で我々FBIは動いたと言いますよ……いいですね……L?」

――責任逃れか。

 

「では……」

 

――返答してないですよ。まぁ。これで私も出ていかなければなりませんね。

 

総一郎は声をあらげていた。

 

「FBIはLの指示でここの本部関係者を洗っていた?本当ですか、それは!?」

 

「Lはやはり信用できないな……」

 

「それよりキラはFBIも殺したってことだろ……自分を見つけようとする者は殺すってことだ」

 

「自分に楯突く者は犯罪者でなくとも殺す……本当の殺人鬼だなキラは……」

 

「ああ人間のやることじゃないない……」

 

連日続く残業のイライラはLへと向けられるようになった。そうすると皆それぞれうっぷんをLのせいにしていた。オフィス内で皆それぞれ仕事をミスしてイライラしていたが、それを言うと一層雰囲気が悪くなることを感じていた。そんな折絶好の標的、しかもこの中にはいない相手だったのでLを使って上手くガス抜きができた。

 

ライトは引出に閉まってある黒いノートと山手線で手に入れたFBI12名の個人情報を見比べていた。

 

「日本を調査し殺されたFBIは12人。そのうちバスで出会ったレイベンパーは僕の事を調べていた。だったら近いうちに僕の事を徹底的に調べるだろう。と言っても恐らく監視カメラや盗聴器などを用いるくらいのレベルではあると思うが。現段階でキラ=L説はあるが、根拠のない理由での決めつけだけだ。監視カメラ、いや盗聴器でもどちらかあるいは両方が設置された時は、キラ自身首を絞めることになる。そしてLがキラなら間違いなく僕をキラとしてスケープゴートにするだろう。そうなるとあとは直接対決になる」

 

「キラ、お前は今回大きく動いた。12人のうち誰かに接触し、大きな手がかりを必ず残している。そして今回の件でFBIが怒り日本への増員を考えたとしても、良く練ったうえでずっと先の事になるだろう。今Lの動かせるコマはもうほとんどいないだろう……さあ、そろそろ自分の足で動くんだ……」

 

 

 

 

 

歩道橋の上に彼女は立っていた。そこから風景はきれいだった。数々のビルが光り輝く中で彼女は泣いていた。

 

「死んだ……レイが……いいえ、キラに殺された……」




月、L、ナオミが今後大きく動きだす!


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24冊:ザ・グレイトフル・ダッド

――死んだFBI捜査官は12人全てが日本に入った仲間の写真入りファイルを持っていた

キラが死の直前の行動を操れるとして12人全員にファイルを持たせ殺すには……まず12人の顔と名前が必要。もしLがキラではないならファイルを持った時間が早かった者にキラは接触しそのファイルを見て全員にファイルを持たすように操って殺す。注目すべきは死の順番ではなくファイルを持った順番。しかし、Lがキラならそもそも12名の顔と名前は知っている。つまり、ファイルを手にした上位の者はブラフとなる……


これから家族会議があると聞いているがキラ事件のことを深く考えていた。


総一郎は言葉を発しないまま、リビングの4人席のテーブルに座り腕を組んだままでいる。母は、お茶を4人に出した。母親はすでにこれから父が話す内容を知っているように思えた。毎年新年にはこうして家族会議はあるのだが、新年の挨拶には3日早い。

 

サユはにこにこしている。もしかしたらお年玉でも貰えると思っているのだろうか。なんなら僕の集めたラブライブのレアカードを譲ってあげてもいい。

 

そして父は重い口を開き始めた。

 

「隠しておいてもいずれわかる事だ。ここで言っておく。私は今キラ事件の捜査本部の指揮を執る立場にある」

 

サユは頭を腕で組んでにこにこしている。

「そうなんだーなんとなく知っていたけどやっぱすごいねーお父さんって」

 

 

 

「いや。本題はここからだ」

 

 

 

「実は昨日……キラを見つけ出す為に日本に入ったFBI12人全員が亡くなった……」

 

 

 

「キラに殺されちゃったのー??」さゆも驚きながら質問しだした。

 

「つまりキラを捕まえようとする者は殺されるかもしれない……現に部下もこの事件からはどんどん降りている。あんな冷酷で残虐なかつてない恐ろしい犯罪だ。降りていく部下と止めることもできない」

 

総一郎は伏し目がちになった。正直、家族に反対されると考えているからだ。家族の顔がみれなかった……

 

さゆはテーブルに体を乗り出した。

「お父さんが死んだら嫌だよー。止めてよー」

 

間髪いれずに母親も

「そうよ、立場とかそんなものよりも大事なことがあるでしょ」

 

――そうだ。母さん。父さんには大事なものがある……

 

「いや私は絶対この事件から降りない……悪に屈してはならない」

 

「……」

ライトは言葉を発せなかった。前髪に目が隠れて見えていない。

 

 

 

 

 

 

「立派だよ。父さん。僕は父さんを誇りに思う」

ライトはテーブルに両手を置いた。

 

――そうだ。今はキラ事件の事を考えなくてはいけない。そして父さんは命をかけて戦おうとしている。

 

ライトの顔は急に険しく、憎むべきキラのことを考え始めた。

「父さんにもしもの事があったら……」

ライトは席を立ちさゆの後ろに回った。

 

そしてクールな顔で

「必ず僕がキラを死刑台に送る」

 

 

本気で出たことであり、非常に重い言葉である。心から全身からその言葉がでてきた。嘘ではない真実の言葉。総一郎はそんな息子の顔を見て安堵した。

 

父は口を閉じたままだったが、母は「ライト……」と一言発し、さゆも「お兄ちゃん」と一言発した。「お兄ちゃんだけ、うまく煙に巻いてずるい……父さんの話はこれからが長いのに……」と言おうとしたけど辞めた。

 




次回、24.5冊:ザ・グレイトフル・ダッド!!!!

本当の偉大なる父親の行動は君はまだ知らない!


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25冊:偽キラ

新宿駅地下鉄に足を運んだ。日本の中でも東京都は人口のおよそ10分の1である1300万人ほどが住んでいる。そして日本一人口の多い東京都の中でも新宿駅は最も人口が集中する場所でもある。ライトはニット帽を深く被っていた。それはこれからすることを誰にもばれないようにするためである。

 

LINEの通話電話は繋がったままである。

 

「来ました」

ナミコの声が聞こえた。ライトは遠目からスーツ姿に左手で鞄を持つ男の後ろについた。

 

「レイ=ペンバーさん振り向いたら殺します」

少しトーンを下げて言った。

 

「キラです。振り向いたり、ポッケに手を入れたりしたらその瞬間に殺します」

 

――ま……まさか……しかしこの声どこかで……

 

「まずキラだという証拠を見せます」

――本題はここからだ。僕はキラではない……しかし、キラであると信じさせることはできる

 

「今、あなたから見える喫茶店。あそこで働いているメガネをかけた男を2分後に殺します」

 

男はがたいが良く金髪にメガネである。イヤホンで何か聞きながらポッケに手を入れたままブラシをかけていてとても真面目には見えなかった。

 

――大丈夫。

 

ナミコはどこかにLINEで通話しだした「1分後に倒れて下さい。自然にお願いしますよ、あくまで自然に……」

 

すると、その店員はドサッと倒れこんだ。他の視線はその男にくぎ付けだった。

 

「最低一人は殺してみせないと信じてもらえないので仕方ありません。あの男は婦女暴行を数件繰り返しながら証拠不十分で検察が起訴できなかった……さばきを受けて当然の社会悪です。もうLから聞いて知っているように私は殺そうと思う者の顔が分からなければ殺せません。逆に言えばここから見えるすべての人間を殺せるということです。リクエストがあれば殺します。言ってください」

 

「や……やめろ……キラだという事は信じる……」

 

ライトは嫌な役回りであるが、さらに念を押した。

「もっともあなたにとってはここに居る人たちよりも自分の大切な人の命を奪われる方が辛いでしょう。今人質にされてるのはそちらだと思ってください」

 

レイは、はっとした……不意をつかれたからだ……彼女の顔を思い浮かべた。

 

「まさか……彼女を」

 

「そうです。あなたの事は調べました。なので私の指示と異なることが分かればわかりますね?パソコンは持ってきてますよね?仕事柄常に持ち歩いているのは分かっております。捜査官のファイルは入っていますか?」

 

「そんなファイルは持っていない」

 

「ではこの封筒をどうぞ。この中に入ってるトランシーバーを出してイヤホンをつけてください」

 

茶色い封筒をすっと差し出した。

 

――トランシーバー……しかも、おもちゃに近い……だがこれなら通信記録はどこにも残らないし地下であろうと近距離ならば会話ができる考えたな……

 

『では山手線に乗ってください。内回り、外回りどちらでも構いません。しかし、ドアに近い角の席に座ってください。空いていなかったら空くまで待ってください』

 

レイは空いていた角の席に座った。

『まずお聞きします。私の見解と全く違う答えが返ってきたらあなたの彼女を殺します』

 

――言われた通りにするしかないな……

 

『日本に入ったFBIの構成と人数は?もちろん小声でお願いします』

「4チーム……合計12人と聞いている……」

 

――12人。案外少ないな……だとするとこちらとしては好都合だ……

 

『ではその捜査官の中で立場の弱い者に自分の携帯で電話してください。もちろんトランシーバーで会話がこちらに聞こえる様にしてください。日本に入った全員の個人情報の入ったファイルを早急に送って欲しいと言ってください』

 

レイは捜査官に電話しだした。

 

『送られてきたファイルを丁寧に封筒の中にある紙に書いてください。その作業が終わるまでは電車から降りられません。それを確実にして頂ければ少なくともあなたの彼女や家族の命は保証します』

 

レイは送られてきた捜査官のファイルを一枚一枚確認しながら書いていった。

 

『作業が終わったようですね。元の封筒に記入した神とトランシーバーを入れ網棚に乗せ30分以上そのまま手をひざに置き身動きせずに電車に乗り続け封筒を忘れている事に誰も気付かない様な社内の状況だと判断した駅で電車から降りて下さい』

 

レイは30分の間、ひざに手のひらを乗せ考えていた

 

――なぜあの声の主を思い出せない……くそっ……キラめ……お前は一体……

 




Lがペンバーの後ろにくっついていく必要ないんですよね。

LはFBI12名の事知っていますし。



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26冊:バーン

「おっ。これってあの時のやつか……?」

 

Lはある場面を何度も見返していた。それは、バスジャック事件の時の動画である。Lはウェディという小柄の女性に監視カメラの取り付けから回収までを頼んでいた。

 

――あの男は……

LはFBI捜査官と書かれたファイルを捲り始めた。あるページでその手を止めた

 

――レイ=ベンパーか。日本に入った12人の捜査官の一人。たまたま居合わせたのか……。バスの乗客は少ないにも関わらず敢えて、その前にカップルが座っている後ろの席に堂々と座っている。レイ=ベンパーの調査しているのは夜神家と北村家か……これは夜神月……こんなに近くで座っていたら警戒されそうですね……

 

Lはそのまま見続けた……

 

「乗客は犯人を除いて7人そして空席の方が多い状況。なのにあえて僕たちの真後ろに座るというのは違和感を感じる。例えば電車でも空席がある状況で見知らぬ人の真横に座ることはほとんどない。心理的に空いている所に座る。電車内で空席が多い状況で若い女の子の隣におじさんが座ってくるということも度々報告されている。僕の父も席が空いているのに僕と同じくらいの年ごろの女の子の隣に座りたがる。何か理由があれば空席がある状態でも座る。この状況を考えて空席がまだ沢山あるにも関わらず真後ろに座るのは理由があるから、つまり共犯だからだ、どうしました?図星でした?」

 

――夜神月……するどい洞察力……彼についていろいろ調べてみますか

 

 

 

 

 

FBIが殺された事により警察の人間も殺されるかも知れない……警察にいる誰もが思い浮かべた。総一郎は部下たちに「自分の人生や家族や友人のことを踏まえた上で捜査から外れたい人は外れてくれ」と発言し、結果残ったのは総一郎含め5人であった。命を懸けてもキラを戦っていくという覚悟が認められLの宿泊しているホテルに案内された。

 

 

髪がボサボサで白ロングTシャツに白いズボンを履いた裸足の男性が立っていた。右足の指で左足のかゆい部分をかいている。

 

警察庁のメンバーはそれぞれ挨拶をした。総一郎がまず警察手帳を開き、顔写真と名前を見せた。信用して貰うだめだ。

 

「警察庁の夜神です」

 

同じように他のメンバーも手帳を見せ挨拶した。

「松田です」「相沢です」「宇生田です」「模木です」

 

Lは全員の顔をじっと見た……

 

――警察庁の人間は馬鹿なのか……

 

右手で人差し指をピンと立てピストルのような形を作った。

 

 

そして総一郎に向けて

 

「バーーーン!!」

 

とその手で拳銃を撃つ真似をした。

 

相沢は思わず

 

「何ふざけてるんだ!!」と叫んでしまった。

 

Lは覗き込むようにして

「もし私がキラだったら死んでますよ?夜神総一郎さん」

 

――もちろん殺すつもりはないですが……

 

総一郎は息を飲んだ。その通りだったからだ。警察でもL=キラという噂もあったからである。

 

 




2019/10/2 ここまで修正済

オリジナルストーリーを削除してヨツバ編まで繋げたいが
果たして創作する時間があるのだろうか?

ただ3年前に書いた話に関しては当時の寒いギャグなども多く
できる限り原作に近い形でのL⇔キラの入れ替え話を書きたいために
オリジナルを削り原作に近づけます。

削除したせいで話のつながりがおかしい部分もでてしまうかも知れませんが。。


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27冊:どんぐりの背比べ

Lは総一郎を見つめつつ声のトーンを落とした。

 

「キラが殺人に必要なのは顔と名前。そんなことはもう分かってるはず……常識的に考えれば顔と名前だけで人は殺せない。しかし、現実に今それだけの情報で次々と犯罪者が殺されている。これはそういう殺人そう考えるしかないんです。命を張って捜査するものはもう我々だけです。不用意に名前は出さないでください。命は大切にしましょう」

 

「名前が必要?顔は聞いていましたがそんな話出てましたっけ?」

松田はこういう事もポンポン上司に聞くことができる。総一郎は

 

「名前が分からないあるいは名前を間違われて報道されていた大物犯罪者のすべてが死を免れている。本部でも言われていたことだ」

 

Lは後ろ向きに皆の話を聞いていた。警察庁のレベルがどれくらいかを測ろうとしているようにも思えた。

 

総一郎たちを座らせた。テーブルの上にはティーカップが5つ置かれていた。Lは体育座りで腰かけ「適当に掛けてください」と言った。松田は「先に座るのかよw」とつっこみを入れそうであったが、代わりに違う発言をした。

 

「今思ったのですが「顔と名前」が必要なら、各メディアの犯罪者の報道を規制すれば犠牲者を抑えられませんか?」

 

他の4人のメンバーも「松田の言うとおりだ」「気付かなかった」などと言っている。

 

「……」

――その場合どうなるか考えたことないのか

 

「そんなことをしたら一般人が殺されます」

 

「一般人?」「何故?」

 

「キラは幼稚で負けず嫌い。そう……私も幼稚で負けず嫌い……だからわかる……リンドLテイラーがキラに宣戦布告した時にそれまで犯罪者しか殺してなかったと思われるキラはためらうことなく、テレビに映っていたテイラーを殺した。そして日本の関東にキラが潜伏していると言えば日本の犯罪者を中心に殺し始めた。こんな行動をするキラに報道規制で悪人を隠したら「悪人を出さないなら罪の軽い者、罪のない者でも殺す」となるのがキラの思考回路です。どうせマスコミを利用するのはこういうのはどうでしょう……FBI殺しにアメリカ激怒。キラに世界中が憤り日本に合計1500人の捜査員導入……これでこの間のFBIどころではなくなる。外にいる者すべてが敵に見え背心的に追い詰められなんらかの反応を起こす……」

 

総一郎たちは尊敬のまなざしでLを見ている……凄すぎて言葉がでない……しばらく沈黙していた。冷蔵庫の音がかすかに響き渡った。

 

「面白い……」

「実際は7人しか働いていないのに1500人か……」「FBIと違って実在していないのだからリスクも少ない……」

 

総一郎はさすがLと思いこれはかなりキラ事件解決につながると考えた。

「竜崎この提案さっそく上の者にかけあってみる」

 

竜崎とは用心の為に呼ばせる名前である。

 

「……」

――なんなんだ、日本の警察庁たちは……こんな案はキラ相手に対して子供だましでしかない……それを……

 

「キラがこれに反発したらどうなりますかね?」

「反発しようにも……」

 

「……」

――この中に私のスケープゴートに相応しい人材はいないですね。

 



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28冊:ナオミ

作成中


ライトは父親の着替えを持っていくように母親に命じられた。霞が関駅で降りた。外はとても寒い。息をすると白く濁る。歩きながら父親に念のために連絡をした。

 

ぴぴぴ

 

『留守番電話サービスに……』

 

「あれ?珍しいな……大事な会議がない限りは繋がるんだけどな……」

 

警察庁の受付に行くと何やら揉めているようであった。黒いロングという髪からも女性であると分かった。

 

本部と昨日約束をしたが本部に誰もいないのはおかしいという内容である。

 

――本部に誰もいない……携帯は留守電……一体どうなっているんだ……

 

ライトは父親の着替えを渡した。すると受付の男がライトの助言で解決した保険金殺人事件の話をしてきた。そしてキラ事件も推理しているか?という旨を聞いてきた。

 

「ええ。うまくいけばLを出し抜けるかも……」

 

その女性は横で聞いていた。局長の息子……助言により事件解決……そして何よりもLを出し抜くという発言……

 

「あの……僕の父はキラ事件本部の長ですからもしよければ直接取次ましょうか?今は携帯を切っているみたいなので今すぐとは言えませんが……」

 

横で受付の人が「一般人にそういうのは……」と小言を挟んでいる。

 

「それにこの女性は信用できる。目を見ればわかります」

女性の大きな目には月と同じ何かを達成したいという力強い目をしていた。

 

女性はお願いしますと一礼した。外で歩きながら話をしている。キラ事件の話はあまり人に聞こえるところですべきではないと考えた。やりとりをしていてキラ事件を本気で捜査しているようであった。キラの能力は名前と顔が必要であることも確信していたし、それ以上の能力があるとも言っていた。そこで僕からあの秘密を切り出してみた。

 

「キラは人を殺すだけでなく死ぬ前の行動も操れます」

女性は歩くのを止めた。そして僕が振り返ると何かを言い出そうとしていた。

「私と同じ考えを持っていたなんて……それだけじゃない私の考えが正しければ……キラは行動を操った上心臓麻痺以外でも人を殺せる……」

月はびっくりし、冬にも関わらず冷や汗を一滴垂らした。

 

「心臓麻痺以外で殺人ができる……それは僕も考えてなかったことだ……しかし、それが本当なら……」

 

ライトは頭の中を整理している。今まで考えてこなかったけれど言われてみればそうなのかも知れないと考えた。例えば能力に条件があるなら大量に殺す以上できる限りその条件を知らせては自分の首を絞めることになる。顔、名前、心臓麻痺、殺人犯、キラを追うものこれらに該当する人しか殺されないとするなら確かに他に事故死をしたり自殺をしたりした人は軽視してしまうだろう……

 

「キラが本当に殺したい殺人は心臓麻痺以外で行う……」

 

「はい。私の知り合いが多分キラに会っています」

「キラに会っている?もしそれが本当なら会った本人が警察に言うべきでは?」

 

女性は歩くスピードが速くなった。そして伏し目がちにこういった。

「もうこの世にはいません。日本に入ったFBI捜査官の一人でしたから……そして彼は私の婚約者でもありました。彼は偶然バスジャックに巻き込まれたと言っていましたが、私の考えが正しければその事件は何らかの事情によりキラが起こしたと確信しています……」

 

――ま、まさか……

バスジャック……FBI……ある男の顔が思い浮かんできた。

――レイ=ペンバー……

 

女性は振り返るとライトの顔をじっと見つめた。

 

「だから私はキラを絶対許せない」

彼女のあの目は復讐心からだと悟った。僕よりもずっとキラを捕まえたいのかも知れない。

 

「何故そのバスジャックがキラ事件に関係あると?」

そのバスに乗り合わせていたとはこの場では言えなかった。名前も知らない女性ともっと親しい間柄になったあとに自分もいたことを告白しようと考えた。

 

「バスジャック犯は最後は事故死。その8時間前には指名手配犯がコンビニ強盗に入り自分にナイフが刺さって死亡。一日に二人の指名手配犯が再び犯罪を起こし、自ら命を失った……あまり例のない出来事です……バスジャックに遭遇した8日後彼は11人の捜査官とともに死にました。そしてその8日間に都内の罪の軽い者が20人以上心臓麻痺でなくなっています。そして彼が死んだあとその現象はぴたりと止まりました。全てキラに利用されたとしか考えられないんです

 

ライトは鬼のような形相になっていくのを感じていた……この話は筋が通っている。だとしたらキラはなんてひどい人間なんだ……人間の命を自分のおもちゃのように使っている……許せない……

 

「コンビニ強盗はバスジャックさせるための予行演習だったと考えることもできます……目的はFBIの情報を盗むためだったのかも知れません。なぜなら彼はバスの中でFBIのIDを見せたと言っていました。日本に入ったFBIの情報は彼から漏れたとしか思えない……

 

「……」

――それはない。なぜならその相手は僕だからだ。

 



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29冊:直感

真っ白い情景の中に二人は溶け込んでいた。高層ビルの影に入ると急に寒くなり月はポケットに手を入れた。

 

――結論は間違っているが推理の過程は概ね真実……もしキラ=Lならば彼女は始末される可能性がある……いや、死の前後を操れるならば婚約者を失っている状況をうまく利用し自殺に見せかけて殺す可能性もある……警察にこの情報が伝わってはいけない

 

月には彼女を警察に行かせないように誘導するうまい言葉が即座には思いつかなかった。しかし、時間があればうまく誘導できる自信はあった。そこで道路脇で立ち止まりポケットからメモ帳とペンを取り出した。

 

「あなたの話をもう一度よく検証したいのですが……」

そしてバスジャック事件の事や彼女が『間木照子』である事も知った。彼女は事件の事を淡々と話をして隙はなかった。これ以上は同じ話を何度もしかねない。彼女も全て伝えるべきことは伝えたなと感じ話を切り替え始めた。

 

「そろそろ戻ってみます。もう誰かいるかも知れません」

 

「えっ」

――くそっ。引き留めるのも不自然だ……どうする……このままじゃ……落ち着け……相手は女だ……いざとなったら力尽くで……馬鹿な……正月で少ないとはいえ周りに人は居る……それにLがキラというのはあくまで可能性でしかない……しかし……

 

考え事をしているからかだんだんと彼女と距離が離れていった。

 

 

――彼女をLの所に行かせてはいけない気がする……男の直感とでも言うのだろうか。僕は直感というのは合理的なものであると考えている。直感というのは脳にある今までの蓄積した情報や経験から働き一番合理的な答えを即座に出していると考える。

 

月の中で何かが繋がっていくのを感じた。そう……女の直感を利用するんだ。現時点では彼女は月の事をそれほど信頼も関心もない。それは淡々と話をしまるで事務処理のようにこなしているからだ。しかし、彼女が興味を持つ話をすると同時に彼女の求めている細かい心情を読み取りくすぐり続ければ突破口を開けると考えた。彼女が女の直感で月を信用できると判断すれば警察にいかないと考えたのである。

 

「本部に誰もいないというのはおかしいと思いませんか?」

 

「ええ。変だとは思いました」

 

本部に誰もいないという事実を使い、相手に「はい」と言わせた。そうすることにより次の発言が真実でも嘘でも一貫性がありそれっぽく思わせられる。月は捜査本部は担当する人間が分からないシステムを採用していることを知らなかったが、父親に連絡が繋がらない事や受付ですらどこにいるか分からないという状況から察して次の発言をした。

 

 

「キラ事件の捜査本部は担当する人間が分からないシステムを取っているんです」

真実を知らない月の言ったこのことは、実際の所真実であり彼女の心を少し動かした。

 

――まだだ……彼女のバックグラウンドを思い出せ。まだ押しが足らない。彼女はそんなにちょろい女性ではない……婚約者だった……そうだ……これだ

 

 




お待たせしました。


最近はモンスターズジョーカーや春イベントなどのせいで執筆できる時間がありませんでした。

次回、「誘導」

美空編は終了


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30冊:誘導

祝30冊目!!


「捜査している人間が一般人でも分かるようなずぼらな体制ではあなたの婚約者を襲った悲劇を繰り返すこともある……だから警察庁で「本部に誰もいない」と言われたのです。そして警察庁の受付の人間ですら本部の人間がどこにいるか知りません。つまり……」

 

月の中で筋が通るストーリーを考えながら婚約者の事を出した。悲劇を繰り返してはいけないということは彼女が一番深く感じているからだ。

 

「永遠に直接話をすることはできないということですね」

彼女は月の目をじっと見つめた。その眼光には力強いモノが宿っている。

 

――流れが変わった。彼女はどうしてもキラを捕まえたい意思がある……そして話に食いついた……あとは僕が沈黙をすれば向こうから質問してくるはずだ……

 

「なぜそんなに詳しく知っているんですか?」

 

月の目が大きくなっていた。

「それは……」

大きく息を飲んだ。ここが正念場である。

 

「僕も捜査本部の一員だからです」

 

ここから親が捜査本部の長であることや高校生の時に二件の事件の解決に携わった事から捜査本部の出入りが認められているということを伝えた。高校生で捜査本部に出入りできるだと嘘に思われるかも知れないが、彼女がいるときに警察庁の受付で事件解決の話や夜神局長の息子であるというのは警察側の人間が認めている。コネもありながら実力もあるなら捜査本部にいてもおかしくないと彼女なら考える。あとはうまく誘導すればLに近づけることを回避できる。そう安堵した瞬間だった……

 

「私も2年前にアメリカのある事件でLの下で働いたことがあるんです。この人は信頼できるどんな事件でも必ず解決してくれると確信しました」

 

「!!!!Lの下で働いた!?」

 

「つい3か月前まで私もFBIの捜査官でしたから」

 

――これだ……これを利用するんだ……

「なるほど……どうりでキラを追う姿勢や行動が素人とは違うと思っていました。核心に迫りながらも常に慎重で賢明だ……僕も見習いたいところです」

 

――ここで相手の長所を褒めて持ち上げる……父さんの女の子を攻略するゲームで学んだことだ

 

「あなたにはLに似たもの……近いモノを感じました……」

彼女の言葉は当たっている。二人は容姿や性格は異なっていても行き着くところは同じ……

 

「!」

――Lと同じ……もしLがキラなら僕もきっかけさえあればキラになっていた……確かに犯罪者をいなくなればいいと考えたことはあるが、だからと言ってたとえ犯罪者だとしても命を軽々しく奪っていい訳がない……しかし、彼女の発言には重みがある……今は深く考えるのを止めよう

 

月も彼女をじっと見つめた。

 

「一緒に捜査しませんか?」

 

喉の奥からすっと出た言葉であった。

月は『運命』という言葉などを巧みに使い畳み掛けた。そして彼女をその気にさせた。念の為身分証を見せてもらってさらに彼女ができる女性と確信した。彼女の本名は『美空ナオミ』であった。なぜ偽名を使ったかは語らなくても分かるであろう。

 




美空編終了



原作と変更するであろう話が美空ナオミです。


美空ナオミの死亡フラグは、「キラに的を得た発言をペラペラ喋ってしまうこと」だと思います。キラに会わなければ彼女は殺されることもなかったと思います。

美空ナオミは、現時点でキラと遭遇するというのは回避できました。


次回、ワンピース!


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31冊:ワンピース

捜査本部では他愛もない話をしていた。Lはいつ話が進展するかをじっと待っていたが限界だった。

 

――仕方ない

「そろそろキラ事件に対する私の考えを話してもいいでしょうか?」

 

すると部屋は静かになった。かすかにいやらしい声の音が漏れているがワタリがヘッドホンでナニかしているのだろう。松田はにやにやしていた。

 

「キラは単独犯。前の捜査本部の情報を得ていた……そ」

 

「キラって単独犯なの?」

相沢が話を遮ってきた。

 

――そんなことも話さないといけないのか……

 

「そして殺しに必要なのは顔と名前。死の時間、死の前の行動をある程度操れる……以上のことをふ」

 

「えええ。死の前の行動を操れるんですか?」

松田も話を遮ってきた。

 

 

「ふまえてこれから話すことを聞いてください」

 

Lは黒マジックを取り出した。マジックの先端部分を人差し指と親指の二本で持ち出しそのまま机の上に書きだした。

 

総一郎はつっこむのを止めた。

 

12月14日

FBI捜査官12人が日本に潜入

 

12月19日

○の中に☆を書いたり、えるしっているかなどの暗号を残したりと刑務所の犯罪者で死の前の行動を操るテストをしている

 

「ここまではいいですか?この意味が分かりますか?」

 

松田は「分かりません」とはっきり答えた。そして「えるしっているか」ってなんですかと聞いてきたので頭文字を横読みしてみるように伝えた。

 

「なるほど。犯罪者でテストとはキラも良く考えましたね」

相沢は関心している。

 

――そういう意味ではない。仕方ない……

 

「つまりこのたった5日の間にキラはFBIの存在に気付き、その存在を脅威に感じた。顔も名前も分からないFBIを全員消す為に死をどこまで操れるか犯罪者でテストする必要があった。キラは警察の情報を入手できる位置にいるので刑務所で死亡者が出ればそれを確認できる手法があったということ」

 

12月27日

FBI捜査官12人全員に彼らの顔と名前の入ったファイルを持たせ殺すことに成功しています。この理由は分かりますか?」

 

 

「それなら分かります。キラは顔と名前が必要だからですよ」

松田は自信満々に答えた。

 

「違います。これはファイルを見たのがわからなくする必要があった証……」

 

「なるほど。12人全員が同じファイルを持てばどこから入手したか絞れなくなるということだな」

 

総一郎はLの言いたいことをかみ砕いて言ったつもりだった。

 

――確かにその通りですが、本題はそこではない……本当に日本の警察はどこまで頭の回転が遅いのでしょうか……

 

「私の言いたいことは逆に言えばだれかとかなり接近したと考えられます。キラはFBIが調べていた者の中にいると考えることができます。キラはFBI全員の顔と名前を知るのにかなり無理をしています」

 

後ろで死神がクククと笑っていた。

「良く言うぜ。元々お前はFBI全員の顔も名前もずべて知っていたくせに」

 

 

「すごい……ここまで分かっていれば我々でも十分捜査できるぞ」

捜査本部のメンバーは希望に満ち溢れていた。これで一歩前進、いや二歩前進した気持ちになった。

 

総一郎は事件とは関係ない質問であるがL個人に興味があった。もちろん深い意味は……。

「竜崎ひとつだけ聞かせてくれ。あなたは自分を負けず嫌いと言っていたが我々に顔を見せるということがあなたにとってキラに負けたことにはなってないか?」

 

Lは体育座りで両足を両腕で抱え込んでいた。

「はい……顔を出したことも、FBIを犠牲にしたことも負けです……」

 

 

そして全員の顔を見渡して続けた。

「しかし……最後は勝ちます。ここに集った命がけの人間で見せてやりましょう……」

 

Lの顔が笑顔になった。はにかんでいる。

「正義は必ず勝つということを」

 

 

Lは雪降る町で外を眺めていた。

――何かひとつでも穴があったら……何かひとつでも真実が出てきたら命取りになる。

 

 

一方夜神家でも月は勉強しながら考えていた。

 

――これであと何か一つ決定的なものがあれば……そんなに焦ることもないだろう……いやここで逃したら……

 

 

 

二人は思った

 

「何かひとつ」

 

そして月は美空ナオミに出会ったのである。

 




次回、監視!


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32冊:監視

Lは捜査本部が気付いてくれるのを待っていた。警察本部が気付いてくれないとなかなか次に進めないからである。Lは事あるごとにヒント時には答えといっていいほどのヒントを与え続け少しずつ進展させてきていた。それでも当初予定してた時間よりもかかっている。「あれれぇ。おかしいなぁ」はそろそろやりすぎな気がしていた。

 

L的にはDランクレベルの易しい気付きを警察本部の力で発見して欲しかった。

――レイ=ペンバーに関してはあえて不審な点を多く散りばめ、しかも誰でも解けるレベルにしといたのに気付かないのか……仕方ない……

 

「あれれぇ。おかしいなぁ」

Lは口に指を加えながらレイの改札のシーン、乗車のシーン、死のシーンを見ていた。

同時に複数の動画を見ることができるらしい。

 

「1周1時間の山手線に1時間半乗っていた。遺留品に切符もなく、スイカの履歴からも途中下車はしていない……レイはファイルを持ちながら1時間半電車に乗り続けたことになる……」

 

「たしかに」そのような発言を捜査本部のメンバーはしていた。

 

――いや、せっかく3つのシーンを並べたんだ。良く見てほしい。封筒が消えていることにも気付けないのだろうか

 

 

「あっ!!!!封筒はどこへ行った??」

 

「封筒?」

相沢は画面を覗き込んだ。

「あっ確かに改札とホームでは封筒を持っています」

 

総一郎は割り込んだ。

「遺留品リストに封筒はなかった」

 

「レイは一番最初にファイルを貰ったハリーにその直前に電話をしています。一番ファイルを欲しがっていたのはレイかも知れない。これには大きな意味がある……そして山手線での不自然な行動……」

 

「なにかありそうだな……」段々とレイに対して不信感を感じ始めていた。

 

「レイは調べていた者を疑う余地なしとだけ報告していますが、この中にキラがいる可能性がある……レイが調べていたふたつの家に……」

 

Lは大きく息を飲んだ。そして捜査本部のメンバーに向けていた背中であったが、くるっとメンバーの顔を見渡した。

 

「盗聴器と監視カメラを仕掛けます」

 

 

「馬鹿な……日本ではそんなこと許されない……!!」

「いくらなんでもそれは無理ですよ、竜崎」

「ばれたら私たちみんなクビだ……」

総一郎以外の捜査メンバーがあわてふためいている。

 

「首ではなく命を懸けて捜査していたはずです……」

 

総一郎は分かっていた。キラを捕まえるならリスクを背負う必要を。

 

「そのペンバーが調べていた二人というのは誰なんですか?」

 

「北村次長とその家族……夜神局長とその家族です。この二軒の家に盗聴器とカメラをつけさせて頂きたい」

 

 

松田と相沢は猛反対していた。総一郎も汗が止まらなかった。事の重大さを分かっていたからだ。Lはキラがその中にいる可能性は5%と言った。しかし、今まではキラの容疑者候補がいなかったことを考えると5%と言えども非常に大きい可能性であることも理解していた。感情論では総一郎も反対したくなった……しかし、もし自分の家族ではないなら決行していたという感情を抑えることができなかった……。自分の家族だから感情論でキラを追い詰める好機を逃すのはいけない……頭では分かっていた。しかし、このまま家族が疑われるというのもいやであった。結果として家の隅々まで盗聴器と監視カメラを設置しLと総一郎の二人で監視をするということで落ち着いた。

 

 

1月8日……

 

月は玄関の鍵を開けた。

 

月が階段から上がっていく様を4つのカメラで監視している。

 

「夜神月……カメラを付けた者からの報告では自分の留守中部屋に誰か入ってないかチェックしています」

 

 

月は自分のドアノブを触れようとして何か違和感を感じた。ドアノブの位置やシャーシンの芯を使って誰かが入っていないかをチェックしている。そして明らかに家族以外の誰かが部屋に入っていることを確信した。物の位置なども探りを入れたようで元に戻してあるように思えるがほんの数ミリずれていた。そして私服に着替えて外に出た。

 

――尾行もついているのか

 

月は私服のコートを隅々まで調べた。盗聴器がないかを確認していいたのである。

LINEで誰かに通話し始めた。

 

「ナミコ……家に監視カメラか盗聴器……いやどうせなら両方だろう。仕掛けられた可能性がある」

 

 




次回69!


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33冊:69

「予想通り誰かが侵入した形跡があったの?」

 

「ああ。確かナミコは僕の家を別の場所から監視カメラで撮影していたはずだよね?この件に関しては何も言わないので誰がいつ侵入したかを割り出して貰えないかな?」

 

「監視カメラと盗聴器が設置されたであろう時間は分かる?」

 

「僕が学校へ行くために家を出たのは7時30分……そして帰宅したのは15時30分……昨日はしかけられてなかったのでこの時間帯に設置されたのは

確実……ただ僕が学校へ行ったあとも母さんは家にいた……そして部活動が無く受験生でもある僕は学校が終わるのも中学生のさゆよりも早い……急いで帰れば15時ということもありえる……」

 

「監視カメラと盗聴器をしかけるなら絶対に誰にもばれてはいけない……そしてしかけるなら家族の行動時間を把握している……月君のお父さんが一枚噛んでるかも知れないね……そうなると14時30分くらいに絞って調べればいいかな?」

 

「母親は12時にお昼を食べてそのあとに習い事に行く……つまり12時から14時30分の間に怪しい人物をいなかったか調べて欲しい。もし見つからないならその前後をしらみつぶしにしてほしい」

 

「1~2時間あればいつどのような人が侵入したかは報告できると思う。もし設置した人が誰であるかあるいはその相手の事をより詳しく調べるならもっと日数はかかってしまうかも知れないけど……」

 

「今はどんな人物が侵入したかだけでよいかな……ありがとう……頼りにしてるよ」

 

彼女は最後の一言で救われた。今まではなかなか接点の無かった沢山の女子からの憧れの的である月とこうして通話ができ感謝もされている。

そして自分の罪深いと感じたことのある悪趣味もこうやって役に立っている……

 

――監視カメラや盗聴器……いずれしてくると思っていた。一見監視カメラや盗聴器をしかけてキラっぽい行動をしたら僕をキラにでもするつもりだろう。例えキラっぽい行動をしなくてもキラは監視カメラなどがあってもうまく殺しを行っているなどと言い訳もできる。捜査本部の人数は限られているだろう。つまり監視できるのはせいぜい2~3家族が限界。おそらくレイの調べていた二家族の中にキラがいるとして捜査をしている。ここまで来たならLがキラなら僕をキラと見せかけるのも時間の問題か……

 

 

月とLINEの着信が公園で鳴り響く。月は左右を確認して特に怪しい人物がいないことを確認して通話を開始した。

 

「もしもし……」

 

「分かったよ……13時30分ごろに黒いスーツにサングラスの人が一人月君の家に入ってる。鍵を開ける時間は10数秒……スペアキーなら10秒もかからず鍵を開けれるからまず間違いなく非合法なやり方で鍵を開けてる……さらに言えば10数秒で鍵を開けるというのは相当のプロの犯行」

 

月は「だろうな」と思った。潜入に関してはプロの犯行だろうと感じていた。

ただドアノブやシャー芯の事を気付けないという意味では鍵・金庫・セキュリティ関係に特化したプロでそれ以外は並みの人間であろうと考えた……ただ気になる文言があった……『サングラスの人』……

 

「今の言い方でサングラスの人と言ったのはどういう事?……いや、ニュースなどでも黒ずくめの男とか中肉中背の男のように性別をいう事があるけれど人と言ったのは性別が分からないという風に聞こえるんだ」

 

「さすが月君。その通り。身長は推定170cm……ただ気になる点があるの……」

 

「気になる点?」

 

「とても華奢な体系。もちろん170cmほどということから男性である可能性は高いし華奢な男性も多い……ただ靴が女性もの。黒いブーツで男性で履く人は絶対にいないとも言えないだろうけど、私は女性の可能性が高いと思う。170cmの女性って珍しい部類だけどね」

 

「いや……もしかしたら外国の女性ということはありえる。確かに日本の女性の平均身長は158cm程度であり170cmとなるとかなり珍しい部類であるけどそれは小柄な日本人の特徴であり外国人ならむしろ納得できる」

 

「日本の警察って外国人っているっけ?……そういえば区役所や警察・消防でも外国人がいたという記憶はない……おかしくない?」

 

月は少し考えた。確か例外はあるが大部分の公務員は日本人である。特に警察・消防・自衛隊などの公安関係ならば日本人だけであるといってもいいすぎではない……

 

 

そして不法に侵入し、不法行為である監視カメラや盗聴器をしかける……外国人……これはLが犯罪者を使って不法な捜査をしている可能性があるという意味である。

 

この外国人と思われる人が仮に犯罪者ならばLと密接な関係にいるという意味でも相当怪しくなる。

むしろ犯罪者を使って不法な行為をしているというだけでも十分に起訴できるのではないだろうか……

 

「Lが外国人犯罪者を使って不当の不法な捜査をしている可能性がある。そしてできることなら僕の家に潜入したこの外国人らしい女性の人を調べて欲しい……写真は写りが悪くても構わないしどれだけの時間家にいたとかそういう些細な事でも構わない……そしてこの前紹介した美空ナオミさんは元FBI捜査官……彼女にその潜入者の事を調べて貰うように伝えて欲しい……10数秒でドアを開けるプロだ……有名な犯罪者なのかも知れない……そうすればLを追い詰められる。もう僕の中ではLがキラではないかという疑惑で溢れている……」

 

「どのくらいの可能性でLがキラだと思ってるの?」

 

「69%だ」

 

 

 




徐々に月の中で深まる疑惑……


次回ウエディの奇妙な冒険!

ついに天然ウエディが動き出す・・・・ッ!!!!


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3x冊:ウエディの奇妙な冒険’(特別編)

私の名前はメリー・ケンウッド。通称ウエディと呼ばれている。鍵・金庫・セキュリティ破りの力としては世界でもトップクラスである。しかし、潜入に関してはプロでも他の能力が並みか少し高い程度の為、Lに逮捕された。ただ、この力をLの為に使うという条件でLの依頼が無い時以外は自由の身である。さらに仕事を手伝う際には高額なバイト料も貰える。今回は日本の一般家庭に忍び込むという簡単なお仕事。

 

 黒ずくめの服装にサングラス、銀河鉄道のメーテルにでもなったような気分であった。Lから夜神家不在の時間帯は把握していた為、13時30分に玄関に着いた。確かに人の気配はない。民家の鍵ならこの鍵で十分である。ウエディは民家レベルを開ける鍵の事を『盗賊の鍵』と名付けている。他にもほとんどの鍵を開けられる『魔法の鍵』も作成した。どちらも製作者はウエディであり、それは様々な勇者たちに愛用されるようになるのはまた別の話。

 盗賊の鍵を探すのに時間がかかっただけで鍵を開けるのは一瞬だった。玄関に到着し9秒で鍵を探して2秒で鍵を開けてわずか11秒で鍵を開けた。

 

――ちょろい。せっかくだし日本でも盗賊の鍵めぐりでもしようかしら

 

ウエディはそのまま二階へ上がった。Lから夜神月はかなり頭の切れる人物と聞いていた。だから慎重に細かい点も見逃さないようにと言われていた。

 

――私が見逃す訳ないでしょ……

クスクスと笑っていた。

ドアノブを握りしめドアを開けた。するとひらひらと紙が舞い降りた。そして割れたシャーシンも転がり始めた。

 

――なるほどね。これで誰かが部屋に入ったか分かるようにしてるのね。まぁ高校生で頭が切れるというのはこのレベルでしょう。お姉さんにはこんなレベルは通用しないわ。後でこの紙はドアに挟んでおくとしようかしら。シャーシンも転がってたけど、これは報告する必要はないわね。

 

部屋を一瞥し、怪しいモノがないかを調べ始めた。机の引き出しが開かない所がある。

 

――これは怪しいわね。きっと鍵が必要。

 

盗賊の鍵を使うとその中には「日記帳」があった。好きなアイドルの話などが書かれている。

 

――まぁ真面目な息子と言ってたしアイドル好きも隠したいのかぁ。他には特に気になる所はなし。本棚も調べたけど特に異常はなかった。

 

テレビの横にあるデスクトップパソコンに目がついた。

 

――これは私の専門でもあるし履歴を消していても復元できる。

 

ウエディは月のパソコンのパスワードを破り、現在あるデータと消された履歴を自分の持ってきた小型パソコンへ移した。

 

――これはあとでじっくり解析するとしましょうか。このパソコンは改造されていて私と同じようにセキュリティに潜り込んでも足がつかない仕様になっている……本当にこの高校生がキラである可能性はあるわね

 

 

監視カメラを素早く設置している。昨日の夜はワタリ会が開催されワタリとアイバーとLでスマブラをやっていた。このゲームでは特にカービィが強い。ワタリは昔はマリオだった言っていた。確かに昔の写真を見るとマリオっぽい。去年のワタリ会をLの家で行った時に2mくらいジャンプして天井に頭をぶつけブロック塀を壊していたことを思い出した。マリオも確かジャンプが得意でブロックを壊してキノコを取り出している。

 

――まさか……

 

昨日やったスマブラは任天堂64というハードだったので

 

――64個監視カメラを設置すればいいか

となって原作が64個の監視カメラを仕掛けた理由が証明された。月以外の部屋にも監視カメラや盗聴器を仕掛けた。そしてLに報告した。

 

『なるほど……分かりました……気になった点は、ドアに紙が挟まっている点、パソコンでどこかのセキュリティに潜入した痕跡、鍵のついた日記帳ですね……はい……他には本当に何もないのですね?』

 

 

暫くするとウエディがパソコンのデータを解析してひとつひとつ丁寧に解説した。

――Xは夜神月だったのか……父親のパソコンに侵入・ロシアのサーバーを利用して痕跡を消していた……これはウエディ以外のものでは発見できなかった……

 

Lは目を瞑っていた。何もしていない秀才の高校生に全責任を押し付けていいのだろうか……しかし、今まで生きてきた中で一番自分の求める何かを持っているのは夜神月だと心に訴えかけている。いや、他にLを楽しませてくれる人物はいない。そして夜神月は楽しませてくれる人材であるとウエディの解析結果の話が進むほど色濃くなっていた。

 

――夜神月……君をキラに仕立てあげる。きっと私が君をキラと言えばキラでない君は私をキラと考える……いや、すでに考えているかも知れない。私は夜神月をキラだと認めさせるようにあれこれ仕組んでいく。もちろんデスノートで操って殺すというやり方ではなく、夜神月自身がキラであると認めざるを得ない状況を自分の手で作りあげる。夜神月は、私がキラであると認めざるを得ない状況を作る。どちらが先に到達できるか……勝負しようじゃありませんか

 




LはXを夜神月と断定

そこから、夜神月をあらゆる手を使いキラとして仕立てあげることを決意。


もうすぐLと月が初顔合わせ!!!!

そして第二のキラの登場!!!!ここから盛り上がっていきます。


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33、5冊:監視

梅酒24はデスノートの漫画は手元に2巻までしかない。

実家には全巻あるし今度実家に帰るし買うのもなぁ、、、


そうだ、アニメデスノート見たことないからそこだけ借りて見てみよう。

月→宮野
ミサ→平野
L→勝平
相沢→藤原


すごく、豪華な声優だぁー(歓喜)


今回の話はアニメ改変ストーリーでお送りします。






総一郎とLは夜神家の様子を二人だけで監視していた。お風呂やトイレにも監視カメラを仕掛ける以上の配慮ってやつだ。

 

月が部屋を出るときにしゃがみ込んだ。そしてドアの隙間に紙を挟み込んだ。

 

「息子があんなことをしてるとは……部屋に見られたくないものでもあるのか」

 

「私も意味なくそういうことをしたことがあります……彼に捜査状況を話したことは?」

 

「馬鹿な……報道されない極秘事情は絶対話したりはしない」

 

月はそして外出した……数時間が経過した後に月は帰宅した。そして本棚から『挑発に乗っては死亡フラグ』という分厚い本を取り出すとその中には数冊の世界のおじ様達が好きな本が何冊か入っていた。その本の中の一冊を取り出しベットに転がりながら読み始めた……。

 

 

「まさか……あの真面目な息子が……あ、あれは……」

 

「どうかしました?」

Lは総一郎の顔に変化が現れるのを見逃さなかった。総一郎の額から冷や汗がでている。

 

「いや……

(私の無くしたと思っていた「たとえ火の中、水の中、あの娘のスカートの中」ではないか……)

 

歯切れが悪くなったのを感じてとっさに「こんなものを見ているなんて夢にも思わなかった」と続けてみた。上手く誤魔化せたと思っているのだろうか。顔はいつも通りになっていた。

 

(……ここで月くんに対しての疑惑を少しずつ向けていきましょう。とりあえずこの本を見ていたことを上手に使っていきましょうか……)

 

「17歳には普通です……ですが、私には部屋に誰か入っていたのはこういう本です。と言い訳しているように見えるんです」

 

するとまっすぐ画面を見つめていた総一郎は左に90度顔を動かしLを睨めつけた。眉と眉の間には深いしわができている。

 

「まさか竜崎、私の息子を疑っているのか?」

 

(やはりむきになってきている……ここは正直に疑っていることを伝え、疑っているからこそ違法行為をしてまで捜査していることを伝えるのが吉だろう……)

 

「疑ってますよ、だからお宅と次長の家に盗聴器とカメラを仕掛けたんです」

 

月は本を読み終えるとおでこに手をあててやれやれって感じで

 

「あーあ、また父さんに騙された」

と小さく喋った。

 

「父さんに騙されたというのはあの本は夜神さんのということですか?」

 

「あ……いや……私は……5年前に発売された雑誌のことなど知らない……あっ……くそっ……ライトッ……!!!!」

 

(それよりもウエディが本棚の仕掛けを見落とした事の方が重要……ワタリでも見落とさないレベルの仕掛けを見落とすということは他にも見落とししてる可能性は十分ありそうだ……私自ら夜神家に侵入できない以上誰かに依頼する必要があるから不安要素は残る……盗聴やカメラがばれる可能性は低いだろうがばれた場合は犯罪となりうる。まぁその程度の訴えならいくらでも不起訴にはできますが……)

 

下の階から黄色い声がこだまする。

 

「おーにーいちゃーーん、ごーはーんっ だーょっ」

 

月は呼ばれてすぐに下に降りた。さゆは流河早樹のドラマを見ていた。母親はご飯の支度が完了しており色とりどりの夕食が食卓の上に用意されていた。

 




原作無でも書けるんだなと思いました。

次回:1500人


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34冊:1500人

Lはスマホでワタリに通話をしていた。

「はい……では例のテロップをお願いします……」

 

北村家夜神家が食卓についてテレビを見ているときにテロップを流すことをあらかじめ打ち合わせしていた。

 

突然ピロリロリンピロリロリンと災害速報の時に流れる音が鳴り響いた。

 

ICPOはキラ事件に対して1500人を派遣することを決定。

 

テロップが画面上に表示された。

 

(ここにも監視カメラはついているのだろう……ここで賢いということをPRすることができればキラ捜査に加入できる可能性あるいはLが僕をキラ候補に仕立てあげるかも知れない……ならばここではキラとしての疑惑と捜査でも役に立つという二つのPRをしていこう……それにしてもLも最初の時と手口が一緒だな……)

 

「馬鹿だな……ICPOも……こんなに送り込むなら堂々と発表するのではなく、こっそり入れるべきだ。なぜなら極秘で捜査していたFBIでさえあんな目にあったのに……これじゃその二の前になる……つまりこれは大げさに報道してキラを動揺させようとする警察の作戦だと考えた方がいいだろう……キラは非常に頭がいい……こんなのはキラにもバレバレと考えるのが妥当だろう……」

 

体育座りで画面を見ていたLは爪を噛んで凝視している。月の表情、声のトーン、内容どれも注意深く観察している。

 

「賢いですね……息子さん」

 

『うほっ。お前から「賢い」という言葉初めて聞いたわ……散々俺に日本人は無能とか言ってた癖に……本当にこの夜神月はお前の退屈さを脱却する救世主になるかもな』

 

Lは本心から答えた。Lから賢いという言葉が出たのは日本に来て初めてのことであった。

と同時にLの中では彼をキラであると上手く誘導していこうという考えがどんどん色濃くなっていった。

 

 

夕食が終わるとコンソメ味のポテトチップスを持って部屋の中で勉強をしはじめた。

 

「息子さんは夕食が終わるとテレビをつけずにひたすら勉強ですか……」

 

「センター試験も近いからな」

 

Lは月の背中を凝視していた。この角度なら机の一部分には死角ができる。

 

(ならば夜神月が知らない間に報道された軽犯罪者を一人殺しておこう……私が作り上げるキラ像は例え盗聴器や監視カメラがあってもしっぽは出さない……むしろ私が関していることを利用して無罪をPRしてくるだろう……しかし、あえて軽犯罪者を殺すことでキラがいつもと違う行動をしていると思わせられるし逆にキラは焦って軽犯罪者を殺してしまう状況にいたということもできる。あえて夜神家を初日から真っ白に思わせることで黒く仕立てあげる……簡単にキラを発見するのではそれは嘘っぽい……どんでん返しさせてキラだと仕立てあげる必要がある……)

 

 

23時……ワタリが21時頃に軽犯罪者が二人心臓麻痺で死亡したという伝言をしてきた。

 

「その時間帯夜神さん家では奥さんと娘さんはドラマを見ており、息子さんは部屋で勉強……」

 

「竜崎……つまりそのニュースを見ていないなのはキラではない……うちの家族はこれで潔白ですね」

両手を広げ喜びをあらわにした。自分の家族が疑われているのはとても気持ちいいことではなかったのが良く伝わってきた。

 

しかし、Lはその安堵感と喜びを不安にさせた。

 

「しかし今日のキラはずいぶん罪の軽い者を殺しましたね。しかも報道されてすぐに……しかもカメラをしかけて初日だというのに夜神家は面白いほどにすんなり白だ……」

 

総一郎は体が固まっていた……疑いが晴れていないとそう感じたからだ。少し晴れたというよりもむしろ1ミリも晴れていないという印象をLの言葉から受けた。

 




次回:ライトな犯罪


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35話:ライトな犯罪

次の日も月は朝刊を読み朝食を食べたのち自分の部屋で勉強をしていた。

 

(昨日は僕が勉強していた事件に横領犯とひったくり犯の二名が心臓麻痺……今までの犯罪者と比べて罪が非常に軽いという印象を受ける。監視カメラはトイレやお風呂にもあることを考えると僕たちを監視しているのはまず父さんは確実だろう……しかし身内だけが監視というのは許すはずがない……そう考えるとLが見ている。3人以上にしても人数を増やしすぎかつプライバシーうんぬんで気を使われているだろう。キラ対策本部は父さんよりも身分の低い者なのであるから。1人だけの監視という事もまずない……だから父さんとLが監視で間違いない……軽犯罪者が心臓麻痺というのが単なる偶然とも考えることはできるが僕はキラが行ったものだと考える……そうなるとあえて軽犯罪者を殺したということ……その狙いは……)

 

二次関数の方程式を平方完成しながら昨日の事件について考察をしていた。月にとっては計算問題は機械的にこなすことになれている。他の事を考えていても計算問題に集中していても正解に辿り着くなら考え事をしていた方が時間を無駄にしないという解答に辿り着いていた。

 

(僕をキラに仕立てあげるなら当然僕がテレビを見ているときに犯罪者を心臓麻痺で殺す……いや、Lなら例え僕がテレビを見ていなくても監視カメラの死角からスマートフォンなどを利用してニュースを得たとか、逆にカメラを仕掛けて初日だというのに夜神月はすんなり白だというような適当な事を言えばいくらでも僕を黒塗りできる……軽犯罪者が死んだというのは今までの殺しからはイレギュラーであるから監視カメラや盗聴器を仕掛けたことで起こった。そしてキラは監視カメラや盗聴器があってもボロを出さない。極端なことを言えば、僕がキラで身の潔白を証明するなら僕の家ではコンソメ味は僕しか食べないからその中に小型テレビあるいはモバイル端末でも入れておいて視覚から情報を得て殺害することだってできるのではないかと昨日考えていた。もしそれができるなら父さんとLが証人となり僕が白だと証明できる。盗聴器をしかけている以上音は聞こえないし、テレビだってきちんと見れないのでおそらく名前と顔を把握する程度でいっぱいいっぱいかも知れない。だからどのような犯罪者なのかを知ることなく適当に裁いてしまったのではないかというこじ付けもできたりする。まぁ、そんな気前のいいことはしないし、そもそも僕がキラと同じ能力を得たから人殺しなんて絶対にしない……僕自身をキラに仕立てあげるなら僕が今から軽犯罪者のニュースを見てそれが殺されるならLが僕をキラに仕立てあげようとしている可能性は上がる……)

 

月はリモコンを手に取りテレビをつけ始めた。

 




次回 納時


そろそろ月が動き出す


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36冊:納時

警察捜査本部が全員集まっていた。Lはゴディバのチョコを一つ摘まむとメンバーを見渡して重い口を開けた。

 

『どうするんだよ、結局夜神月をキラとして仕立てあげるだけのことはできなかったじゃないか……これ以上監視カメラや盗聴器仕掛けても進展するどころか何も起こらないとお前自身が無能ということになりかねないぞ』

 

(大丈夫です……手は打っています。そしてここの警察のメンバーなら私の誘導に流されます……見ててください)

「1週間監視カメラと盗聴器を仕掛けてみて北村家、夜神家の中に怪しい者はいません……」

 

総一郎はヒゲの処理を忘れていた、そして固くなった肩の力が抜けた。

 

「監視カメラと盗聴器の仕掛けを外します……」

 

「良かったですね!局長!」

「うかれるな松田!さてこれからも気を引き締めてやり直していこう」

 

ゴディバのチョコが体に染み渡る。

「勘違いしないでください……監視カメラや盗聴器から見る限りでは怪しい者はいないという意味です……この中にキラがいたとしてもボロは出しません」

 

捜査本部のメンバーは息を飲んだ。確かにキラはとても賢い。キラがあの中にいても簡単にボロを出すとは思えないと納得したところだった。

 

(これくらいで十分。キラはとても賢いからボロを出さない。これで夜神月へのキラ疑惑を維持したまま、監視カメラや盗聴器を仕掛けたのに何も収穫がないのではないかという話には進展しない……まぁ時間はありますしじっくりいきましょうか)

 

「えっ、じゃああの中にキラがいるってことですか?」

 

「ですからあの中にキラがいるのは5%です」

(これでいいだろう。夜神月への黒塗りの素材はある程度集まった……)

 

「たとえば夜神さんの息子さんが勉強しているときに背中が死角なんですよね。ウエディによると部屋の中に携帯端末やテレビがあるという報告はありませんでしたが、ポテトチップスの中身までは調べていないと言っていました」

 

「何が言いたい、竜崎?」

 

「例えばあのポテトチップスに小型のテレビあるいはスマートフォンなどを仕込んで座れば一部分死角ができる。外部から持ち出したもので机の上に置かれたのはポテトチップスだけなのでその中から情報を得ることも不可能ではない……盗聴器があるので音を出したら分かる……そして死角があるといってもそれはごく一部であるから犯罪者がどのような犯罪を犯したかまでは勉強しながら得るのは少々運が絡む……そういう意味では名前と顔だけで殺したという考えもできる……そうなれば軽犯罪者がその日二人殺されたこともうなづける……だから次の息子さんがテレビを見ているときに軽犯罪者が心臓麻痺になりましたが、そうするとこでその前日の二人の軽犯罪者の心臓麻痺は特別死されないともくらんだとも考えられます」

 

「確かにそれはありえる……局長に悪いですが北村家夜神家の中で賢くキラとして行動できそうなのは月君ではないかと思っていました……確かに小型機械を使えば監視されていても情報を得ることができますし、何よりなぜあの日軽犯罪者が二人死んだかもこれなら納得ができます」

 

「あ、僕も局長には悪いですが、月君は怪しいんじゃないかと思います。確か全国模試でも1位なんですよね。そして世界一の名探偵のLがいまだにキラを逮捕できないというのはキラも優秀だから。そう考えるとしっくりきます」

 

総一郎は何も言い返せなかった。確かにその可能性がある以上反論できない。

ここで反論しても感情論でしか語れないことを分かっていた。

 

(ちょろい……よし……動くか)

「では夜神月君をキラ容疑で任意同行を求めましょうか?」

 

総一郎でさえ息子がキラかも知れないと思った矢先であった。

 

そんな折だった。

 

ワタリが部屋にノックをせずに入ってきた。

 

(……何かあったのか……ワタリがノックをしないとは珍しい……しかし、今ワタリが報告するようなことは何も思いつかない……)

 

「皆さん取り込み中ですが隣の部屋に集まってください」

 

Lの中で胸騒ぎがした。これは自分の知らない何かが起こると予感していた。

 




次回は「反撃」


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37冊:反撃

ワタリの焦りようとその焦りようの理由に検討がつかないLは不吉な何かを感じるどころか期待に胸を膨らませていた。

(……このままいけば夜神月君がキラとして逮捕が秒読みというタイミングで何かが起きた……いや、もし私がキラではなくキラとして疑われるような月君の立場なら、数日の間に監視カメラや盗聴器の発見をし、逆にそこからキラ本人が自分をキラと仕立てあげるという推測を成り立たせるだろう……ここで月君が何も行動を起こさないならそれまでの男であったと考えます……さて扉の先には何が……)


一同は部屋に集まった。

 

モニターを見ると夜神月がベットに座っていた。足を組みながら腕組みをしていた。

そして机の上に大きな紙が置かれている。

 

「月君の机の上に大きな紙があり何か書いてません?そこ大きくしましょ」

 

 

紙には「16時に僕の推理を話します。キラが誰であるかを伝えたいと考えています」と書かれていた。

 

総一郎は時計を見た。15時56分……

 

「えっ……なんかこれ僕たちに対してのメッセージに見えませんか?」

 

「あと4分か……」

 

『もしかしてLはキラとか言ったりしてな。まずいんじゃないの?』

(ここで夜神月君を殺したらそれこそ私たちの中にキラがいるということになる……面白いじゃないですか聞いてあげましょう)

 

 

「16時だ……」

 

 

『父さんごめん、監視カメラと盗聴器には気付いてたけど気付いていないふりをしていた。おそらく今この画面を見ているのは父さん、捜査本部の皆さん、そしてL……』

 

 

「えっ。なんで分かるの?」

 

盗聴器などが仕掛けられているのはドアノブの仕掛けやシャーシンなどから誰かが入ったのは明白であったから注意深く観察をしたら発見できたという話をした。

 

(ウエディは侵入の腕はいいけど他が普通レベルですね……)

 

『監視カメラと盗聴器をしかけるなら日曜日から土曜日まで1週間仕掛けるだろう……だからといってずっとつける訳にはいかない……かといって一週間は最低監視する必要はるなら今日までは最悪カメラと盗聴器はついてると考えていました。もちろんすぐに推理の考察をお聞かせすることもできましたが僕からは捜査本部のみんなが全員見ているという保証はないため昼休みが終わっているだろう15時に机の上に紙を置けば1時間のうちにこの紙の存在を知り16時にはここに集まるだろうと考えました。あまり時間を掛けすぎてももしそこにキラがいる場合は何らかの対策はされるでしょうからあえて1時間前から告知しました。もちろんこの事で僕が殺されるリスクはありましたが僕がもし死んだらキラ対策本部にキラがいるということになりかなりキラを絞りやすくなったのですがこうして僕は生きています』

 

月はベッドから腰を上げ、椅子に座った。

 

『結論から言いますと僕はキラを……』

 

 

全員が月を凝視している。

 

『Lだと断定しています』

 

Lは凝視している。体が震えた。それは怖さよりもうれしさだった。

そしてそんなLを他のメンバーは見つめていた。

『お前……特定されてるぞ……w』

 

『僕がここでこうしてキラだと考えているLもいるのにここで話すには理由があります。Lは僕をキラに仕立てあげる為に監視カメラと盗聴器をしかけてあれこれ警察本部を誘導し僕を黒塗りしてきたかと思いますが、逆にみんなが見てるからこそこうしてみんなに僕の考えそして思いを伝える機会ができたと考えています。それはもしLがキラならそろそろ僕をキラとして仕立てあげるのではないかと考えるからです。世界一の探偵のLがキラを探し出せないのであればそれはLがキラであるから。インターネットでもたまに書かれていることですがそれは十分あり得る話です。ただキラがLの場合誰かをキラとして仕立てあげる必要があります。そして僕はそのキラとして仕立てあげるなら僕になるだろうと考えはじめ、監視カメラと盗聴器の下りで確信しました』

 

 

Lはじっと月の顔を見つめている。Lは微動だもしていない。

 

『捜査本部のメンバーは10名もいないのではないかと考えています。命を懸けてまで捜査したいという人よりも死なない範囲だけど社会に貢献できる仕事をするというのが常人の考え方だと思うからです。そうなると監視カメラと盗聴器をしかけて監視できる範囲は1家族あるいは2家族くらいまでこの時点で僕の家族は父さんを除き3人であるからもう一家族が7人くらいいてもキラ候補は10名程度。この程度なら全国模試で1位だったりキラ事件に興味を持っているという僕をキラにはしやすかったはず。初日で軽犯罪者が二人殺されたけれど、Lなら初日から驚くほど夜神月は白だとか、あるいはポテトチップスにでも小型機械を仕込ませて背中で死角を作れば犯罪者の名前と顔は得ることができるなどの難癖をつけるのではないかと思います』

 

「おいっ、これLが言ってた内容とほぼ同じなんだけど……本当にLがキラなの?」

松田はもう訳が分からなくなっていた。

 

(……そうこなくっちゃ……)

 

Lの口元はかすかに緩んでいた。




次回、演説!

まだまだ月のターン!!!!!

自分を楽しめてくれる相手を見つけ生きる意味を見出し始めたLと

天才高校生の夜神月……


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38冊:演説

『大丈夫です。Lはここで警察本部や僕を殺したらそれこそLがキラと言ってるようなものなので殺されることはないです。そして初日から白だというのは初日であり、ポテトチップスの話をするなら盗聴器を外すときあるいは今日あたりではないかと考えています』

 

 

「月君の言ってることが当たってる……でもなんで」

 

『まず僕が外部から持ち込んだもので机に置いたのはポテトチップスしかない……そして家族でコンソメ味のポテトチップスを食べるのは僕だけです。そう考えるとその中に仕掛けを作ってもばれません。そしてLがキラならこのことに注目しない訳がありません。なぜならここでしか軽犯罪者を殺すための情報を得られないのですから……もしLがキラならそれを後日いう事で僕をキラだと思わせることができます……そして後日に言う理由がポイントです。もし当日にそれを言うとゴミ箱を調べてその中に小型機械がないならば夜神月は完全に白となり黒塗りできなくなります。だからゴミ収集車に回収される金曜日以降に言う必要があり、後日に気付いたふりをして色々誘導するしかありません。ゴミ収集車は特別区のゴミ工場へ持ち運ばれその日のうちにゴミの山となりもはや発見するには困難になるでしょう。あえて軽犯罪者を殺すことにより、キラはその時きちんと情報を得ることができない状況と思わせることもできるので僕を色濃くできます……ただ簡単に僕をキラというのも今までしっぽをださなかったキラにしてはちんけすぎるということもあり初日は白と思わせて時間の経過とともに僕がキラであるとでも言っていたのでしょう。キラがLでないなら上のような話も出てないでしょうからその場合は安心してください。Lはキラではありません。Lがキラではないなら世界一の探偵のLがキラを追い詰めるのも時間の問題です。まったく当てはまらない内容ならもう僕の話に付き合わなくても結構です。ただ今の話に聞き覚えがあるのでしたら僕に今連絡をくれるとうれしいです』

 

総一郎は即座に電源を入れて連絡をかけようとした。

 

「夜神さんっ!!!!」

Lは手を伸ばした。電話をかけるなという意味らしい。

 

「竜崎。息子の言ってる話。筋は通っていて心当たりがある。私は息子の話を聞いてLがキラだと確信はしていないが確かに息子がキラの可能性があるなら竜崎もキラである可能性は十分あると考える」

 

「まずは息子さんの反応を見ましょう。それからでも遅くはありません。逆に私としては続きが気になります」

 

『連絡はないですね。まぁ父さんがLに止められて様子を見ましょうなどと言われている可能性はありますが、話は続けます。そもそも世界一の探偵Lが不法行為をしてまで調査するというのは確信を持って行動している証拠なんです。そしてもしLがキラではないなら1週間以内にキラを逮捕していてもおかしくはありません。過去にもLは違法捜査をしたという噂がありますがその場合は犯人と断定していて違法捜査後すぐに100%逮捕しています。しかし、今回はそのようなことはないのはLがキラであるからキラを逮捕できないのではないでしょうか?話は長くなりますが最初からLの行動を追いたいと思います』

 

 

『Lの最初の犠牲者になったのは「音原田」そしてLは日本人ではないと噂されているLがあえて日本人を殺したのは、日本は先進国であるが警察本部をうまく誘導できると考えていたからだろう。母国の人間を殺す場合はそれなりのリスクを背負うし、音原田を殺した時点で犯罪者を次々に裁き、誰かをキラとして仕立てあげることは考えられていたのでしょう。だから、50名以上の犯罪者を次々と殺したあとにリンドLテイラーを使って自演をした……そもそもあの話はうまくいきすぎている。確かに時間差報道によって誰もが関東にキラが潜伏していると思っただろう……しかし、そもそもキラがたまたまそのテレビを見ているとは限らないが、そのたまたまキラは見ていた。そしてたまたま一番最初に報道した関東でテイラーが死んだ……うまくいきすぎてるように感じました。もしキラが顔と名前で殺せるならば、もっと慎重に行動するのにあそこで殺したりするでしょうか?確かに煽られて殺しちゃう人もいるかも知れませんがそんな人物像ならとっくに逮捕されている……そう考えるとLの自演……つまりLはキラと考えることができます……』

 

(夜神月君……とても面白いです、君は……。その通りだ。その通りだけど証拠がなければ仮説にすぎない。もちろんここで警察本部のメンバーと月君を全員殺すことも可能であるけれど、月君が死亡した場合、インターネットにて今の内容が全世界に報道するように設定しているとかもあるだろうし、何よりも……)

 

『けけけ。見事に見透かされてるなぁ。いいのか殺されなくて?』

 

(逆にこの月君を完全に論破したいと思いました。私は彼と同じ大学へ入学して面と向かって戦っていこうと思います。面白そうじゃないですか……1日あれば日本の大学レベルなら何とか合格できるでしょう)

 

Lの目は澄んだ子供のようにキラキラした目をしていた。

 

 




これ誰も聞いてなかったらマジで月痛い人だよね。


文字を詰めすぎました……もう少し行間というものを考えないとですね。



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39冊:終演

『日本の関東と断定されてからは面白いように日本での心臓麻痺が増えています。もしキラが関東にいるならそんなことしないですよね。キラの思想は関東の人間を殺すことではなく犯罪者を殺したいということなのですから。関東に集中するというのも作為的にしか思えません。その後、日本の刑務所内で変死もいくつかありました。この時点でキラは何らかの実験をしていてその結果を入手できる立ち位置にいるということになります。極秘情報を入手できる人って警察内部でも数十名とその家族それにLとなりだいたい150名くらいまでに絞られるでしょう。この実験も殺しのは何かしらの法則がありL自身それを確かめる必要があったのでしょう。そしてその後FBIが殺されている……キラがLならFBIの顔と名前はすぐ手に入る……それを隠す為に色々実験してFBIを殺したからLはキラではないとでもしようとしてたのかも知れません……』

 

「でもLがキラなら警察本部のメンバーも殺してるはずだからLはキラじゃないんじゃないかな?」

松田はLに話しかけたがLは答えない……この後の月の発言によってはうかつに肯定できなかった……

 

「いえ、殺していないのではないでしょうか……逆にキラなら泳がせる方がよいと思います」

 

(僕はFBIに尾行されていたことも途中で気付きました。一度バスジャック事件の時にFBI捜査官の方と交流もしました。そういう意味でも亡くなられたことは大変残念です。いま思えばあのバスジャック事件もLの仕業ではなかったのだろうかとも思います。死刑囚などが書き残したメモを上だけ読んでいくと「死神はりんごしか食べない」という暗号がありましたが……この辺りは言わなくていいか……あのバスジャック犯が何かを見てるようだった……それが死神かも知れないとは言わない方がいいな。言ってもメリットはない……)

 

『キラがLではないなら優秀なLがキラを見つける。しかしキラがLなら誰がキラを捕まえるのか……僕は最悪なのはキラがLであるときと考えていました。確かに僕の発言は的を得ていないかも知れませんが、もしLがキラなら警察本部のメンバーを殺しているからキラではないと考えている人がいるならそれは違います。そもそもLが日本を選んだのは日本のレベルならうまく誘導できるからです。要は馬鹿にされているのです。日本の警察レベルなら放置しておいても危険にはならない。むしろ自分が近くにいることで色々筒抜けになるので逆に安全とでも考えているのでしょう』

 

(やはり……月君は見透かしていますね……こんなこと初めてだ……私と同程度の思考ができる人間は)

 

『僕が言いたいのはLを信用しすぎないということです。ここで僕が色々話したことでLがキラでも僕や警察本部は殺せないですし、殺したらLを逮捕すればいいだけです。もし僕が死んだらそのことをインターネットを介していつでも僕の集めた情報や考えは垂れ流されるようにしています。Lがキラなら僕をキラとするのが一番の近道でありLがキラでないなら早くキラを見つけて死刑台に送ればいいのです。明日はセンター試験なのでここで失礼します』

 

 

話し終えるとLは口を開き始めた。

 

「確かに月君のいう事は一理あります。私はキラではないので私=キラという視点は考えていませんでした。月君の言うとおり私の意見を盲信しすぎるのではないということです。さらに言えば月君の意見を鵜呑みにしたり盲信するのも良くないと考えます。月君の発言はあくまで仮説でありますし私の発言も月君の発言も矛盾はしていないですしそういう考え方もあるんだという風に思えば良いのではないでしょうか?」

 

松田の方を一瞥した。

 

「あっ、月君の意見に流されてたのばれてましたねw」

 

「とりあえず夜神君がここで発言したのは本人がキラであり、それがばれる前に自ら私に罪をなすりつけることで逃れようとしたとも考えられます。そういう意味では月君のキラへの疑惑は上がりました。明日私も入試を受けて一緒の大学に入ろうと思います」

 




はーい

月のターンは終わり。


次回、入試


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40冊:入試

話し終えるとLは口を開き始めた。

 

「確かに月君のいう事は一理あります。私はキラではないので私=キラという視点は考えていませんでした。月君の言うとおり私の意見を盲信しすぎるのではないということです。さらに言えば月君の意見を鵜呑みにしたり盲信するのも良くないと考えます。月君の発言はあくまで仮説でありますし私の発言も月君の発言も矛盾はしていないですしそういう考え方もあるんだという風に思えば良いのではないでしょうか?」

 

松田の方を一瞥した。

 

「あっ、月君の意見に流されてたのばれてましたねw」

 

「とりあえず夜神君がここで発言したのは本人がキラであり、それがばれる前に自ら私に罪をなすりつけることで逃れようとしたとも考えられます。そういう意味では月君のキラへの疑惑は上がりました。明日私も入試を受けて一緒の大学に入ろうと思います」

 

***********

 

 

次の日、母親と妹に見送られて入試会場へ向かった。

 

(大学に入ってしまえばキラ捜査への時間はうんと増える。そして今回のカメラでの発言によって僕の推理が当たっていればキラ捜査本部に誘いを受けるかも知れない……)

 

 

キーンコーンカーンコーン

試験監督のメガネをかけた男は試験はじめという合図をした。すると多くの人がペンを持ち解きはじめた。

 

(だいたい最初にペンを持つようなのは、落ちる率高いと思う……まずは問題文を良く読むところから焦りすぎて最初から解こうとするよりも全体を把握してからはじめるべきなんだよなぁ……論文試験とかも構成考えずにいきなり書きはじめる人いるけどあれもダメ……)

 

そして試験監督官が僕の方へ歩き始めてきた。

 

「そこぉ」

 

僕を通り過ぎて5人目くらいの位置で立ち止まった。

 

「受験番号162番、ちゃんと座りなさい」

 

そこには白いノースリーブシャツに青いジーバン裸足で頭がぼさぼさの男が体育座りで座っていた。目を大きくまん丸にしていた男と目があった。

 

 

 

************

 

 

 

桜舞い散る校門をくぐり抜けた。今日は新しいスーツをびっしり着こなしていた。

東京大学入学式と書かれていた。

 

 

入学式が始まった。月は一番前に座っていた。

 

「新入生代表 夜神月」

「はいっ」

びしっと元気に挨拶をした。

 

「同じく新入生代表 りゅうが ひでき」

 

「あっ、は~い」

気の抜けた返事だった。

 

会場がざわめいた。「もしかしてあのアイドルの?」「まさか」などと飛び交ったがすぐにそれは違うことに気付いた。

 

(新入生代表の挨拶は3人だと聞いていたがあと一人はまさか……こいつだとは……前期試験で変な座り方をしていた……)

 

「そして新入生代表……」

 




次回、 3人目の勇者


Lがデスノートを拾ったことで運命の歯車がくるっていた……

レイ=ペンバー事件にもひそかに登場していた
あの人が三人目の新入生代表として登場・・・!

今作最高のキーマンとなりえるか……?


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41冊:三人目の勇者

「渋井丸拓男っ」

金髪にガタイのいい男がさらに後ろを歩く。渋井丸は、ナミコのお願いでレイペンバーで山手線で追跡をしたときに死んだふりをしてもらったガタイの良い男である。

 

死亡フラグがあった彼であるが分岐点ルートで別ルートを選択した為生存していた。

家はお金持ちのボンボンであり、幼少期から英才教育を受けていた為元々勉強するだけの実力はあった。

 

「新入生代表って3人なの?成績1位の人じゃないの?」「いやー3人とも全教科満点らしい」「私は断然右かなー」「えーキョウコ趣味悪い」「おっ、アタシはあの男気溢れるタクオかなぁ」

 

入学式の挨拶が終わるとLは月の耳元で

「夜神月……警察庁局長の息子でありその父に負けないくらいの正義感のある持ち主……そしてキラ事件にも興味を持っている……実は私は……」

 

一呼吸置いた。

 

「Lです……」

 

(なんだこいつ……LがLだなんて言うはずがない……そもそも僕はL=キラだと公言しているんだぞ……いや……ここはひるんではいけない……)

 

「キラは心臓麻痺以外でも殺人をすることが可能。そして本当に隠したいことは心臓麻痺以外で殺す。バスジャック事件の時はまんまと君にやられたよ。あれもLの仕業だろ……」

 

月はLの後ろに回り耳元で囁いた

「死神まで使ってさ……」

 

(……死神……なぜ……動揺するな……いや、死刑囚のテストで「死神はりんごしか食べない」と書いたから適当に言っただけだ)

 

「んっ?動揺してるのが僕にはすごく伝わるよ。動揺を押し殺しているんだね。君がLだと今心から確信した……そしてキラであることもね。監視カメラで僕の主張は見たんだろう?死神がいるのが本当なんてね……あのバスジャック犯が世にも恐ろしい何かを見た感じは伝わった麻薬中毒特有の幻想かと思ったけど、死神は存在してその死神のおかげで人を殺せるんだね……それくらいじゃないとキラのしてることはできない……」

 

(……落ち着け……私としたことが……予想外の質問をされて戸惑っている……世界一の探偵Lとしてふるまわなくちゃ……済ました顔をしなくては……月君から視線を感じる……観察されている)

 

『こいつは大したもんだなぁ。お前のそんな顔や反応は初めてだw』

 

月はじっと観察している。女の子にもてる理由のひとつに相手の細かい点に気付けるということがある。月は微妙な体の変化からも目の前にいる相手がほぼ今まで戦ってきたLでキラであるのではと考えていた。

 

月の中でL=キラは80%近くになっていた。

 

『面白い入学だったなぁL』

Lはリムジンに無言で乗ろうとした。

 

「今日はありがとうね、また学校で会おう!僕を殺してもいいけど僕を論破せずに殺したら永遠に僕に勝てないという自負を追いながら生きていくことになるからね」

 

月はLを見つけ笑顔で声をかけた。

 

 

Lは自分の部屋に変えると机を叩いた。

 

「くそっ。完全に上から見下された感じがします。あれは完全に殺されると思っていない上、私をキラだと確信している。私を見てこいつにならキラの黒塗りされないと思ったのだろう……そして私が月君に勝ってもいない状態で殺しても心が救われない……むしろ虚無感になるであろうことを理解している……人を殺せるけど心は殺せないのか……まったく不便だよ、デスノートってやつは……」

 

「おいおいいつも冷静なお前が荒れ狂うとか珍しいな」

 

「監視カメラと盗聴器である程度は黒塗りできるとは考えていましたが、あのタイミングでのカウンターそして、まだまだ私に対して切り札を何枚か持っている余裕な感じ……完全に舐めていました……月君を殺しても私が疑われるだけつまり私は月君に何もできない……正攻法でつまり知恵比べで勝たないといけない……月君があの時にバスジャックの話や死神の話をするなんて考えてもみなかった……さらにキラだと思うってことを捜査本部全員がいる所で公言するのは最大の防御であるととも攻撃でもある良く考えていますね。今後私に接近しどんどん情報を得ようとしてくるでしょう……」

 

「ぷっぷっぷっぷっぷ。これはいいですね。悲観する必要はありません。それは相手もまだ私をキラと追い詰めるだけの材料がないという証拠。私と月君で直に接して騙しあい……知恵比べだ……表面上は仲良しに見えても裏ではどちらがキラかの探り合い……私は月君を信じ込ませそしてキラに仕立てあげます」

 

月家

 

月は椅子に座り口を大きく開け笑っていた。

「はっはっはっはっはっ。まぁLがキラじゃないならキラだと思う相手にLだと名乗るのは防御であると同時に攻撃でもあるいい手だけどそれは僕がキラである場合。正直あの作戦は僕には腐った攻撃でしかない……むしろこうやってL自らでていかなければいけない状況……これはいいね。Lは僕をキラとして追い詰めるだけの偽りの材料がないという証拠。僕とLで直に接して騙しあい……知恵比べだ……表面上は仲良しに見えても裏ではどちらがキラかの探り合い……僕は必ずLの上に行き、完膚なきまでにねじ伏せてやるよ」

 




ドSな月もいいんじゃない?


次回、テニスの王子様


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42冊:テニスの王子様

次の日大学で三人はテニスをしていた。そして三人はこれは建前であることを知っていた。このテニスを通じて親睦を深めたと了承し、今後付き合いやすくなる。

 

「夜神月って中学時代の全国チャンピオンみたいです」

「そして渋井丸拓男は高校時代の全国チャンピオンみたいです」

 

 

テニスを終えるとそれぞれ1勝1敗だった。渋井丸は月に勝っていた。

月は総合的な能力が高い……相手を翻弄するための小技も豊富にあり、相手に合わせてどの技を組み立てれば点数が取れるかを知っていた。しかし、月にも苦手な相手がいた……それは自分以上のパワーを持つ相手である。例え、相手の心理を分析したり相手に合わせて小技を使って試合をゲームメイクできても、それを壊すパワーがあると歯が立たないことを知っていた。渋井丸のテニスはパワー勝負である。圧倒的なパワーにより高校時代はねじ伏せてきた。安定はしないがはまったときの爆発力は高い。

 

渋井丸は、家の壁をパンチで穴を開けたという伝説も豪語していた。

もちろん嘘のような話だと周りの友人は思っていた。しかし、それを目の前でも見せて貰った友人がいてそれは伝説となった。壁が古かったとかそういう可能性もあるが

渋井丸はおぼっちゃんであり、裕福な家庭で育っている。当然普通の家よりもむしろ壊れにくい壁である。

 

見た目は悪いが勉強ができ、スポーツもでき、喧嘩にも強い。そしてお金持ちでそのお金を友人の為に使うのが好きだった渋井丸は不良の憧れの存在であり気が付くと慕われる存在になっていた。

 

 

 

 

 

Lと月は喫茶店に行き様々なキラ事件に関する話をしていた。そんな折二人に一通の電話が内容は総一郎が倒れたという話であった。

 

月は目をまんまるにした。

「まさか父が心臓発作……キラが……」

二人は急いで病院へ行った。総一郎は病院で寝ていたが生きていた。総一郎は、彼がLであるということを伝えた。

 

(……父がそう言ってる以上少なくとも今までLとして指揮を執っていた人物だ……つまりキラ……)

 

Lは月を推理力が高く的確であることを伝えた。しかし、レイペンバーの死に不審点が多いことから疑う対象は月しかいないということも。

 

「確かにその理論だと僕しか疑う対象はいないようだけどそもそもキラなら不審点を多く残すかな?Lがキラで僕をキラにする為にあえて不審点を作って罪を被せるという考えもできるよね?」

 

月はニコっと笑ってLの目をじっと見た。心の中では笑ってないのは分かるようになっていた。

 

「なるほどそう言う考えもありますね。そうなるといたちごっこでまた収拾がつかなくなりそうです」

 

「そうだな……まぁとりあえず父がLだと証明してくれたしこれからは捜査本部を手伝うよ」

 

「月……お前は大学生になったばかりじゃないか……就職した後でもいいんじゃないか?」

言葉は少し弱弱しくなっている。無理もない今は体調不良だからだ。

 

「いいや父さん。そんなことしていたら何年後になるかは分からない。それに言ったじゃないか……」

 

月はじっと父親を見つめた。

 

「父さんに何かあったら僕がキラを死刑台に送るって!」

 

そしてそのままLを見た。

 

(この息子がキラであるはずがない……)

 

「キラは悪だ……しかし私は最近こう思うようになっている……悪いのは人を殺せる力だ……そんな力を持った人間は不幸だ」

 

心なしかLは地面の方を見つめていた。

(十分楽しめています……不幸だなんて思いませんよ)

 

Lと月と総一郎で雑談をしたのち二人は家に帰ることにした。

 

 

 

総一郎のいない捜査本部は少し緊張感に欠けていた。松田はいつも以上におちゃらけていた。

 

ワタリから「竜崎……」と伝えられた。どうやらさくらテレビでキラと名乗る人物からメッセージが届いたという話だ。

 




渋井丸のスペック高すぎだわw

高校のチャンピオンの話とか原作で語られてないのでそういう部分に
ぶっこんでいこうと思います(

ちなみに大きな伏線がここの話に……

次回:さくら



「萌えっ娘もんすたぁ」というポケモン擬人化/能力を使った心理戦の小説もスタートしました。ゲームベースでの進行となりますが、デスノートと違いオリジナル要素は多いです。



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43冊:さくら

『キラから4日前に4つのテープが送られてきました。なぜキラだと言えるかというと1本目のテープに先日死亡した犯罪者の名前と死亡時刻が記録されておりその通りに死亡したからです』

 

Lは凝視していた。

(私は殺していない……偶然か……それとも……)

「ワタリ調べてくれ」

 

『では二本目のテープを流します……私はキラです。メインキャスターの○○を6時ちょうどに心臓麻痺で死亡します……』

 

チャンネルを変えるとメインキャスターがばたりと倒れた。

 

「テレビを二台用意してください……」

ワタリは早急にテレビを二台配置した。

 

『そしてもう一人犠牲になって貰います……』

 

「辞めさせないと……」

そういうと宇生田が部屋から出て行った。

 

さくらテレビに拳銃を持ってきた。いざという時の為だ。さくらテレビの前で「開けろ!!」と叫んだ。しかし、扉が開かない。そんな時だった胸に衝撃が走った。確か非常時にはベルトのバックルのボタンを押すとか聞いたっけ……そんなことを思い出しボタンを押そうとしたが永遠に押すことは無かった……。

 

(……これが偽キラだと分かっているのは私がキラであるが……)

 

さくらテレビ前のフリーアナウンサーはさくらテレビ前で誰かが倒れていると叫んでいた。

その画面にはさっきまで一緒に居た一人の男が映し出されていた。

 

(……偽名を使っているのに殺されてた……どういうことだ……元々宇生田を知っている人物がキラだというのか……違う……だったら他の捜査本部の人間も殺されるはず……大事なのはあそこに行ったら死んでしまったということ)

 

 

そして猛スピードで護送車がさくらテレビに突っ込んだ。そしてそこに突っ込んだ目の行かれたおっさんは出目川に対して拳銃を突きつけテープを全て回収した。

 

Lは北村次長に電話をした。これ以上警察関係者の犠牲を増やさない為だと言っていた。

(北村次長は警察を指揮執るだけの権限があるのと同時に、キラ事件とは関わりたくないという考えの持ち主……悪いけど数人ほど犠牲になって貰います)

 

Lが電話すると北村次長はキラ事件とは関わらないなどとの事を言っていた。

(まぁそうなるでしょうね。下手に手を出して巻き込まれたくないという考えの人だ……しかし、正義感のある警察官ならすでにさくらテレビに何人か向かうだろう。そこでその警察官たちが死亡するならば第二のキラは顔だけで殺せる……私と違うタイプのキラだ……)

 

さくらテレビに警察官たちが集まってきた。そしてパトカーからでるとパタパタと倒れていった。

 

「このままだと、正義感で動く警察官がどんどん死にます……どうか指揮を……」

犠牲者を見てここで動かない訳にはいけないと北村次長は考えた。Lから電話を受けたにも関わらずそれを無視して警察関係者の犠牲者を増やした場合責任を問われると考えたからだ。そこでLに言われた通りの指揮を執った。

 

 

(やはり……第二のキラは顔だけで殺せる……もしかしたら顔ではなく手や足のパーツなのかも知れないが……第二のキラがでることは想像していなかった訳ではないが、出てきたときにどう立ち回るか楽しもうとしていたというのはある。おそらくリュークからまだデスノートに関する秘密を全て聞いていないのだろう……)

 




ついに、Lも気付いた。
第二のキラの存在に……。

次回、おじさんの脱出

GWに遊びたいよぉ


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44冊:おじさんの脱出

そして総一郎からLに電話がかかってきた。二つの電話を持ち交互に指示を出した。

 

「では夜神さんは5分後にそのまま外へ出て下さい」

 

言われた通りに外へ出るとそこには黒いスモークシールドで顔や体を覆い隠す警察官たち。そのおかげでミサからは人の様子が見れなかった。

 

そして総一郎は本部に戻るとLはテープではなく真っ先に封筒を取り出した。

 

(……大阪の消印か……しかし死の前の行動は操れるから……)

相沢に鑑識に回すように伝えた。そしてテープを何度も見直した。それには日本警察の長官かLの首どちらかを差し出すか決めて下さいという内容だった。

 

 

月は家でその中継を見ていた。

「作り方といいどこからきたか分からない人を次々に殺していることからもこれは今までのキラとは違う……第二のキラとでもいうのだろうか……そして殺傷能力はキラより高い……しかし、これは逆にチャンスではないだろうか……もしLに第二のキラとつながると絶望的な展開になるかも知れない。しかし僕が第二のキラを見つけどのように殺しているか分かればLを逮捕できる可能性はある。テープの作り方やキラからのメッセージの内容といい本物のキラよりははるか劣る。僕が見つけ出せる可能性が高いと同時に警察やLも見つけやすいということになる。これは短期決戦になるな……ここはLを監視しつつ第二のキラも追う……つまり捜査本部に出入りすることが最短だろう」

 

 

次の日Lはケーキを食べていた。総一郎の話では長官の首を差し出すのではなくLの首を差し出すということで合意されたらしい。

 

「んー。キラに便乗された者……いや第二のキラに殺されるのは納得はいかないですね」

 

「第二のキラだと」

「ちゃんと話してくれないか?」

 

「まずビデオで殺すと予告殺人した犠牲者について……この犠牲者は女性週刊誌とワイドショーでしか報道されていなかった……本物のキラならそんなザコでやってみる必要はない……しかし第二のキラ視点本物のキラが殺す可能性のある犯罪者を予告には使えない」

 

ショートケーキの苺を頬りこんだ。そして第二のキラである可能性は70%以上と答えた。そしてこのキラのやり方は一定の基準でキラなりの理由と根拠をもとに殺しをしていたが第二のキラはきまぐれで殺している点が気に食わないことも話した。そしてこのような状況だからこそ総一郎に月君を捜査本部に呼んで欲しいことも頼んだ。

 

 

ただし、今回第二のキラは伏せておいてくださいと釘を打っていた。

 




次回:捜査本部

おじさんがマリオのように俊敏に敵をかわしステージクリアみたいな話はぼつになりました(

ギャグは好きなのですがシリアスベースの方が読者が望んでる感じですもんね。


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番外編:隙間

話は少し巻き戻る……


夜神家と北村家の二家族に絞って監視カメラと盗聴器をしかけて数日が経った。

連日の夜勤で総一郎は隣で眠っていた。ワタリもすでに定時帰宅していた。ワタリは大変几帳面である為、拘束時間が終わると同時に帰る。文字通りぴったりである。

 

多くの日本人は定時で帰れないということを噂では知っていたが、日本に住むことでそのことを目の当たりにしていた。

 

Lは日本人が真面目すぎる国民性と定時で帰らないことが習慣化され定時で帰ることが悪いことであるとか気が引ける行為だと刷り込まされている所に問題であるのではないかと考えていた。もちろん能力とか効率という話も相関性はあるとは考えている……しかし、サービス残業でも働く警察本部の人間を見てそれを肌に感じていた。

 

日本人は確かに能力とか効率という意味では他の先進国に劣る。

 

東京都でも池袋や秋葉原などの特別区に属する駅前では大型電気店の前に大型電気店などがある……結局のところ供給者は増やすことはできるが需要者は固定数である、供給者が増えれば増えるほど収益が減ることは子供でも分かるのではないだろうか……本来そういう局面になるのならば、ある特定層だけに必要な……つまりニッチなものを売り出したり、差別化を図ったりそういう点からメスを入れる……あるいはバカンスのあるような国のようにうまく仕事数を調整する……極端な話であるがバカンスは国によって1か月あるところもあれば3か月あるところもある。バカンス時にお店が休業すると困る消費者たちが多いと思うであろうが、逆に閑散とするバカンス時だけ仕事をするというお店もありうまくバランスが取れている。

 

ある種の神の見えざる手なのであるがその見えざる手は意外にも合理的なシステムなのだと考えている。日本の場合は365日に近い間お店を開く企業は珍しくない。先ほどの大型電気点の場合は、従業員が過剰なサービスを提供することで差別化を図る傾向にある。Y電気に負けない為にはYカメラはサービス残業してでも売り上げを伸ばそう!なぜなら商品時代はメーカーから発注しているものなのでそこで勝負はできない……勝負するならサービスだという考えなのだろうか。あるライバル会社がサービスに力を入れるならば対抗店もサービスに力を入れるようになる……それが競争社会だ。

 

その結果のしわ寄せは働く人……つまり多くの労働者に寄せられる。

そして大型電気展や居酒屋、介護などサービスに特化した従業員が自殺をすることも珍しいことでもなくニュースになることなくひっそりとその死者が増えていく……

 

だからといって誰かが逮捕されたり死刑になるということは日本ではほとんどない……

 

Lはそれを「間接的に殺人している」という考えを持つ。間接的に人を殺している状況を悪とか正義とかというレッテルを貼って自己満足に浸るつもりはない。

 

 

 

Lは大部分のことに悪とか正義とかは存在しないと考えている。

 

未完成な人間が作った未完成な社会のルールで生かされていると考えていた。

 

 

人間が人間を殺すことが許されないのはあくまで人間のエゴである。

 

そのルールは人間が豊かに暮らすために禁止してるにすぎない面もある。

 

人間が動物を殺すのはOKとして動物が人間を殺したり、人間が人間を殺すのはいけない……

 

 

つまり生物の命に優劣を作っている。ゆえに生命は平等ではない……

 

 

Lが信じる絶対的な平等は大きく二つある。

 

それは

 

「時間」

 

 

「死」

 

 

これは人間だろうが動物だろうが植物たち……細かく言えば金持ちだろうと貧乏だろうと男であろうと女であろうと平等に与えられている。

 

 

生命はいつかなくなり、1日は24時間で構成されている。

 

 

Lからすると人間の命も動物の命もどちらが上でどちらが下とかないと思っている。

 

だから人が日々動物の命を奪いながら生活するのとと同じように

 

Lにとってデスノートで人の命を奪うことは自然であるできごとであった。

 

 

Lは「チェンジザワールド」つまり、世界を変えることができる機会があるなら変えてみたいという好奇心はあった。

 

理由としては世界を丸ごと操るということが今までに前例がなかったからである。

 

そしてそれをすることは不可能であると思っていた。

 

そんな折、魔法のようなデスノートを拾ったのである。

 

犯罪者を殺したいとか犯罪の無い世界にしたいとは思っていない……

 

ただ犯罪者が消えていく中で人がどう動くのか……

 

 

それには興味があった。果たして「キラ」という存在が現れれば犯罪数は0になるのかそれとも変わらないのか、人々の意識は変化するのか……

 

変化するならうまくデスノートを利用して世界全体を変えていけるのではと……

 

 

未完成な人間が作った社会の未完成なルールやシステム……

 

 

これを脱却する一つの考えとして 完成された人間が完成された社会を作るということであった。

 

 

つまりは「哲人王思想」に類似したような考え方である。

 

 

 

 

 

ワタリは定時に帰ったあとにそんなことを考えていた。

日本では定時に帰る人間がいるとその相手に対して悪口をぶつけることもある。

 

ワタリは任された仕事はほとんど定時までに終わらせる。しごともきっちりしている。定時ぴったりに仕事が終えられるということはそれだけきちんと考えて仕事をしている証拠である。ワタリは自身の仕事のコツや信念などを口にはしないがきちんと考えて行っているというのは言葉ではなく行動から読み取れる。

 

 

だからLはワタリを信頼していた。

 

 

 

そんなワタリが帰ったあとは自身でコーヒーを入れて飲む。

同じコーヒーなのにワタリが入れるコーヒーの方が明らかにおいしい。

 

いれる温度や角度にも理由があるのかも知れない。

 

 

コーヒーを飲みながら今までの行動とこれからの行動をどうするか整理していた。

 

(監視カメラが付いている間にもキラによる殺人は行った……どんな方法で殺人を行っているかは私以外には分からない……おそらく念じれば殺人できるとくらいにしか思っていないだろう、日本の警察のことだから……普通の人間の場合、殺しを行う際には挙動や表情に何らかの変化はある……しかし夜神家も北村家でも普通の表情で普通に生活をしていた……日本警察ならあの中にキラはいない……そう決定づけてくる)

 

 

Lはコーヒーカップを持ち上げた。口には持っていかずそのまま固まっている。

少しだけコーヒーの表面が揺れている。

 

 

(……しかし、今まで作り上げた私のキラ像は精神はすでに神の領域に達している……そして監視カメラくらいでボロを出すような者ではない……ボロを出す方がおかしい……だとするとそれができそうな相手は……夜神月……私が感じた中で最もキラになりうる素質を持っている……)

 

 

Lの口に少しずつ黒い液体が流し込まれる。

 

(キラという大量殺人犯がいる以上……必ず「キラ」として誰かは捕まる……レイペンバーが12月19日まで調べていた者という意味であれば、やはりどちらかの家の人間をキラにしなくてはいけない……しかし、その相手をどう「キラ」だとして捕まえる?……「自分がキラです」と言って殺しを実際にやって貰うのが一番いい……いやその方法は……)



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45冊:捜査本部

月はどうやって捜査本部に行くか口実を考えた矢先総一郎から連絡があり捜査本部に来るように言われた。捜査本部ではキラが送りつけたというテープを見せられ感想が欲しいとの事だった。

(Lがキラなら自分ではない第三者が人を殺しているから第二のキラではないかということは知っているはず……にも関わらずテープの説明で第二のキラについての話が全くない……それはLが第二のキラの存在を隠しているからか?……いやそんなの僕から見ても吐き気のする作りだというのは分かる。さすがに気付いているだろう……深く考えずに第二のキラの存在を公言しておくべきだろうな)


捜査本部ではLや父さんをはじめ他の警察本部の関係者たちも数名いた。

(……まぁこの程度の人数だろうと予想はしていたが……)

 

大きなテレビがあり、その前に一人掛け用の高級のイスが置いてある。

イスを良く見るとケーキのクリームがかすかについていた。

 

(ここにLは座っていたのだろうな……それよりも……Lをキラだと考える僕をここに呼ぶ理由……それはもし今ここに居る人間がLと僕を残して死んでいったら……僕がキラであると工作してくる可能性はある……もちろんLが殺されない理由は名前が分からないからで済む……そのような理由で交わすくらいなら僕の反論としても僕を罪を被せるために僕だけは殺さなかったで説明できる……さすがにそれは数ある選択肢の中でも可能性は低くLらしくないやり方……)

 

Lからさくらテレビに送られたビデオについての概要を受けた。

そして、それを見て率直な感想を教えて欲しいとの内容であった。

 

そしてそのビデオが再生されていく。

 

(……このビデオを見て確信した……出来の悪さもそうであるがキラのイメージと全く異なる……この点において説明が無かったが……誰も気付いていないのか……いや、気づかないはずがない……だとしたら滑稽すぎる)

 

月は立ち上がった。

 

「第二のキラについての話が皆無だがこの送り主は今までのキラでない可能性が非常に高い。今までのキラなら予告にこんな犯罪者を使わない。キラの殺しに顔と名前が必要ならそこに偶然駆けつけた警察官が死んだのはおかしい。これにより本来は顔だけで殺せるけど先代のキラはそのことをばれるのを恐れて敢えて名前も分かってる人だけを選んで殺し続けたという考えもできる。しかし、それよりも第二のキラは顔だけで殺せると思う方がいいだろう」

 

 

「うわLと同じという意見だ」「これで息子の疑いは晴れたか!?」

 

Lはのっそりと立ち上がり月の正面に立つ。

月の目の前には能面のような表情をした男が見つめている。

 

「その通りです、月君。私も第二のキラだと見ています」

 

「私も……つまりLだけはそう思っていたということだな……なるほどな、このやり取りについて合点した……つまり僕に疑われているLが言ったところで説得力が欠ける。しかし僕もLと同じ推理をすることで説得力が増す……考えたね」

 

(いや、僕が偽キラの存在に気付けないならば、キラなら第二のキラの存在を隠したいはず……つまり僕をキラと仕立てあげる可能性は高くなる……気付いたなら自分の説が有力となり信用度が回復する……どちらに転んでもLにメリットがある……考えてあるな)

 

Lは自分の意見の説得力を増させる為に敢えて月を試したように見えた。そしてLが提案した。

 

「月君のホンモノのキラを演じて欲しいんです。キラからの呼びかけをすれば第二のキラはそれをしたがってくれると思うんです」

 

 

月はその為に呼ばれたことに気付いた。そしてキラになりきったつもりで原稿を作成した。

Lは殺してはいいというのは削除されてしまった。

 

「ははっ。まぁそれは適当に削除しといて」

笑顔でそう答えてメッセージをさくらテレビで流した。

 

(もしLがキラではないないならさらに本物のキラからメッセージが来る……というのは言わない方がいいだろう。もしメッセージが来ないならやはりLがキラの線は濃くなる)

 

(まぁ月君がキラですというテープを作ってるから、本来私がキラではなかったらキラ視点キラ騙りしている人が二人もいるってことになるからホンモノのキラが犯罪者を使って予告して証明する可能性もあるのですが、まぁこれから便乗して私はキラですみたいないたずらテープはいくつか来るでしょうし、月君が私への疑いを濃くしようが証拠がなければいくら疑いを濃くしても意味がないです。それよりも第二のキラを先に捕獲する方が先決)




毎日少しずつ更新


次回、日記


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46冊:日記

月の作ったテープが放映されてすぐに第二のキラからメッセージが届いた。

第二のキラはキラに従うということであった。

 

キラに会いたい。目を持っている。確認は死神でというようなことを言っていた。

Lに会えば確実に殺される……。現時点でLから証拠が出てくると思えない。

 

もしLが捕まるならば第二のキラ経由の他はない……自身がキラに殺されるということを第二のキラは考えていないのかも知れない……

 

あの有名な言葉ノートを持たない月にも浮かんでくる

 

(駄目だ……こいつ……早くなんとかしないと……)

 

それは第二のキラをLより先に見つけないとキラ事件は永遠に闇の中になるかも知れないからだ。

 

Lは死神の存在を認めろとでもいいのかといいながらイスから転げ落ちた。それは月が今まで感じた中でとても演技くさいと感じた。死神というワードはLに何度か伝えていたから、今更死神と聞いて驚くことはないからだ。またLというパーソナリティを知っているとこんなことで驚くようなキャラじゃない……

 

 

相沢はキラと第二のキラは一人で死神という言葉を使ってかく乱しているのではというけれどそれなら、Lをテレビに出させて殺すべきであるし、二人がすでに結びついていて死神という言葉で遊んでるというのも結びついているならLがテレビ出演するのを止めないというのをLと月は説明していた。

 

その後第二のキラから日記が送られてきた。

「僕は分かりますよ。30日東京ドームに巨人戦に行くしか書いてないからそこに第二のキラは来るんですよ」

 

(青山……ノート……こちらが伝えたい方でしょう……しかしノートで殺人ができるなんて私以外は分からない……このアドバンテージうまく使っていきましょう)

 

月は違和感を感じていた。Lが気付くはずのことを気付いていないようだったからである。

 

「Lも30日にキラが来るとでも思ってるのか?」

 

月はLの目をじっと見た。Lは月が何かを言いたそうなのを感じた。

 

「もしこの日記を放映したならさすがに東京ドームの巨人戦は中止になりますね。かといって報道しないのならこの中にキラがいない限りはこのメッセージがキラに伝わりません。まぁ第二のキラならそれすら分かっていないのかも知れませんが」

 

 

月は納得していない様子だった。

 

「それくらい分かるだろう。僕にはLがキラにしか知らないワードを見つけてそれを隠す為に余計な発言を避けているように見える……」

 

 

「えっ、月君どういうことっすか?」

 

 

「30日はブラフであり本命は22日 青山 ノート……あるいは24日 渋谷 洋品店に目を向ける方がしっくりくると思った。そう考えるとノートあるいは洋品店というのがキラ同士にしか分からないワードなんじゃないか?」

 

(するどい……しかし、するどくてもデスノートで名前を書けば殺せるということにすら辿りつかないだろうし、デスノートを見分ける力もないでしょう……この点に関してはばれないことが最優先でしたが否定すべき所ではない……認めよう)

 

「そうですねその二つにも注目していきましょう」

(当日……偽キラが捕まったとしても私がそこに居ればノートだけは押さえられます……最悪そこにいたものを殺す必要もでてくるかも知れませんが……まぁデスノートの見分けは私が一番素早くできますし22日は捜査都という名目で青山に行き偽キラを見つけるとしましょうか……)

 

Lは背後にいる月から強い視線を感じていた。

 

 

「まさかその二つのまちにLが行くなんてことはないよな?」

 

 

Lはドキリとした。今ふたつのまちに行こうと考えていたからだ。青山だけに行くのは青山に偽キラが来ることを知っているというのが分かってしまうから渋谷にも足を運ぶ予定で組み立てていた……ここは「いいえ、行きます」そして上手に行く理由を後付すれば問題ない。今までもそうして本部では行動してきた。

 

 

(……などと考えるなら先に僕から発言を潰す必要がある……そしてそれは皆が納得させる理由ならば何でもいい……一つだけの理由じゃ納得し辛いが二つの理由……それも客観的な理由と個人的な理由……それがいい。さらに松田さんあたりの活躍の場を与えることで松田さんからの賛成票も得られるだろう……これでいこう)

 

月は今ある情報を順番に並べて即座にストーリーを組み立てた。

 

「僕は……Lが渋谷や青山が似合うとは思えないんだ。入試の時も一人だけ注意を受けていた……そんな人物が渋谷や青山に行くというのは目立ちすぎる……それに……僕はLをキラと疑っているからそのまちに行かせる訳にはいかない」

 

(なるほど……確かに月君視点は私と第二のキラは会わせたくない。私からすれば月君が青山にいこうとも第二のキラを見つけることは難しいでしょう……)

 

「あと松井さんと僕の方が青山と渋谷に似合うしキラが興味あるのはキラだけなんだしLが動く理由がどこにある?」

 

 

「そうっすね。いやー月君と僕の名コンビで第二のキラを捕まえましょうか!確かにLや局長とかは明らかにアレな人ですもんね、良くわかってるな、月君は……」

 

 

総一郎はショックだった……しかし、他の捜査本部も心なしかこの提案が良いと考えているのでその案を採用することになった。

 




次回、青山なんとかは死神の生みの親


オリジナルストーリーです。ミサが月発見できないもんね。


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47冊:青山なんとかは死神の生みの親

47冊目ということで47に纏わる話……

47と言えば日本人は都道府県を思い浮かべる。

そして都道府県の中に「名古屋」があると勘違いする人も一定数はいる。

実は東京都には「青山」という公称地名は存在しない。

あるときからある一帯を青山と呼ばれるようになったので青山市とか青山区というのはないのである。ちなみに青山は港区に位置する特別区の一つ。


 

月は友達を連れて親戚の松井太郎さんが東京初めてだから案内してほしいという名目で青山を観光することになった。

 

月は青山にあるブルーノートという店に注目していた。この日クラブのイベントがあり青とノート両方が入っていることからこのイベントに参加している可能性が高いと踏んだのである。

 

スターバックスでストロベリーフラペチーノを飲んでいた。ミサは黒いおかっぱなウイッグに地味な服にメガネをかけていた。元々モデルという職業柄コスプレも良くするし好きであった。おそらくカメラが増設されるであろうことを考えての対策であった。スタバの窓から外を眺めてていると大学生のサークル集団の中に背が高くスラっとしているイケメンを発見した。

 

「やがみ……つきくんかな?……すごいかっこいい。でも寿命あるしキラじゃないね、残念」

 

ミサはキラを見つけられないでいた。多分ブルーノートの方へ来るのかも知れないと考えある程度客が入った所でブルーノートに入った。

 

入口を入りるとカウンターがありそこでお酒やフードを購入できる。イベント日ということもあり人は少しずつ増えていった。するとさっきの「やがみ つき」君も来ているのを発見した。

 

 

(あれ……すごい……偶然……)

 

人ごみの中でウイッグが外れそうになっていた。ウイッグのずれが気になって頭を押さえていると

 

「大丈夫ですか?もしかして具合が悪いのですか?」

身長の高いイケメンなやがみつきくんが話しかけていた。

 

「ここは空気悪いですし、一度外の空気を吸った方がいいかも知れません」

 

月は彼女の手を引いてブルーノートから出た。そして、自動販売機で水を購入して彼女に与えた。

 

「ナンパとかそういうのじゃなくて具合悪いのかなって気になったので気付いたら引っ張っちゃった。特に名前も連絡先も聞くとかそういう軽い真似はしないから落ち着くまではそばにいるね」

 

確かに中は暑かった。ウイッグは髪の上に装着するという意味では普通の人よりも体感温度は高くなる。ブルーノートにキラはいなかったし、外にいてもキラが来れば特定できるからブルーノートに入る人やブルーノートの近くに近づく人などを観察していた。

 

「あれ?誰か探してる?なんか近づく人を探してるって感じだったから……」

 

彼女は答えなかった。

 

(ああ、図星かなぁ。彼女は地味に見えるけど何かオーラを感じる……男の直感が気になってる……聞き方を変えないといけない……相手は初対面であるからまずは打ち解けないと……その為には自分から今日の目的や自分も人を探している話でもしたほうがいいな)

 

「あっ野暮なことを聞いちゃったね。実は僕が人を探しているからもしかしたらそうなのかな?って思ったんだ」

 

ミサとライトはしゃがみながら話していて横をみると体を丸くするつきくんがいる。

 

「えっ、つき君も人を探しているの?」

 

「えっ……?」

(気のせいか……ツキクンモって言ったかな。何かの名前だろうか)

 

「あっ、ごめんなさい。お兄さんも人を探してるの?」

(しまった……つきくんと心の中で叫んでたからつい口に出しちゃった)

 

「そうなんですよね。しかし、見つからなくてね。ここで待ち合わせなんだけど」

(なんだろうナミコとの塾帰りの時の会話の時のようにこの子から何か大事な何かを持っているような感じがする……これが嗅覚っていうやつなのかな)

 

「私も一応ここで待ち合わせをしているのですよ……」

 

(一応……ひっかかる言葉だなぁ……何か隠してる感じはする……)

 

 

 

 




オリジナルは思いついてそのまま書き終えた感じです。

次回その②


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47.5冊:青山なんとかは死神の生みの親

(一応……ひっかかる言葉だなぁ……何か隠してる感じはする……)

 

「一応っていうことは会えないかもとかってことですか?実は僕も会えないかも知れない相手で実は顔も連絡先も分からないのですよ」

 

「ええええっ私と一緒だぁー私も連絡先も顔も分からない相手を待っているんですよ」

 

(いや、ネットの相手とか顔出ししてない何かのファンとかなら会ったことがないとか連絡先が知らないとかは分かるけど連絡先も知らないし顔も知らない相手と待ち合わせっておかしくないか……そういうえばツキクンモって……つき君も……月君?)

 

「それ僕のことではないですか?」

 

「えっ新手のナンパですか?」

 

「いえ、顔も連絡先も知らないと言ってましたが、名前の事は言ってませんでした……そしてさっきツキクンモと言ってましたが、僕の名前を知っていたのではないですか?僕は月と書いてライトと読むのですが僕のことを知らないのならつきと呼んでも納得できるので」

 

「えっと違います。あとライト君と読むのですね、すみません」

 

(すみません?いやこれは間違えて読んでたからそういう発言したのもあるしそもそもそう読むんだよりも珍しい名前と言われる方が多いからこの子がなぜか知らないけど僕の名前を知っていたというのがしっくりは来る……でも声を掛けたのはたまたま……んー考えすぎか……ナミコの時もそうだったけどキラの話したら流れ変わったしキラの話でもしてみるか)

 

「僕の待ち合わせなのは実はキラ事件に関する人なんですよね」

 

「えっ」

 

(あれ、これは……ああそうかもしかしたらミステリー系が好きで青山ノートでブルーノートにキラが来るかもしれないから見に来たとかそういうこともあるのか……彼女自身がキラでキラを探しているとか?)

 

「テレビの青山 ノートをキーワードにブルーノートにキラが来るとか思ったとか実はお姉さんがキラであるかとかそんな感じですか?」

 

月は冗談っぽく聞いてみた。

 

「えっえっ……そうです……キラに会えるかなぁと思ってきたのですよ」

 

『ミサ、あまり余計なことを話さない方がいいんじゃないか?』

レムは心配していた。会話しているときに余計な口を挟まないで欲しいとは言われていだけどこの男は何か探りを入れているような雰囲気を感じ取っていた。

 

(そうだよね……名前は分かったし最悪また会いに行けばいいしここでばいばいする)

 

「ありがとうございます。私はそろそろ帰ります」

 

そういうと彼女は青山から姿を消した。金色の髪が1本ひらりと宙を舞った。

 

 

ミサはパソコンを利用して夜神月の情報を調べていた。

すると中学2,3年生でテニスの全国大会を行っていることや東京大学を1位合格していることなを知った。

 

「すごく優しかったなぁ……あんな風に強く手も握られ引っ張られたし若くてイケメンだし……お礼をしにいきたいな……キラにも会いたいけどライト君の方が会いたいな」

 

ミサは月の家に行くことを決意した。その理由のひとつにキラを崇拝する理由の一つがストーカーに殺されそうになったときにその相手が心臓麻痺で死亡した。このときミサはキラがしてくれたと思っていた。しかし、レムから死神の殺し方を聞いたときに自分の命を救ってくれたのはジェノスという死神であるということだった。そういう意味でキラに対する盲信は小さくなり、それよりも現実の世界で触れ合い会話をしたイケメンの月に対して興味を持っていた。

 




いつも読んでくださってありがとうー


丁寧に書きたいけど時間がなくて雑文です。

いつかゆっくり訂正してもう少しコンパクトにしたいですね


次回、

49冊:人物像


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48冊:人物像

その頃本部では渋谷と青山でキラらしき人物を発見できなかった。

本当に30日東京ドームにキラが来るのではという話がでていた。

 

月とLはイスに座りお互いの顔を観察している。月は腕を組んだまま座りLの顔をじっと見ながら考えていた。

(青山にノートを持った不審者は一人も現れなかった……そして渋谷の洋品店も同じだ……まさか本当に東京ドームで……?)

 

Lは子供が遠くから自分の結果が良かった時にする一つのポーズである手をグーにして親指を立てるいわゆる「GOOD」を表すしぐさをしていた。

しかしLにとってそのような意味ではなく癖である。そのGOODのしぐさをしながら親指の爪のあたりをかじっている。

 

(……まぁ青山には第二のキラは来ていたでしょう。しかしリュークは相手の死神を見つけ、さらにその死神が誰についてるかは教えないと言っていた、それは死神の性格によるもので向こうの死神は私がキラであることを教える可能性があるとのことだった……この条件の場合私が第二のキラを発見できる可能性は低く、むしろキラに見つかった場合殺される可能性もある……だから今回第二のキラを発見できないのは仕方なかった……そして私以外の人間が言ったところで特別区の人の数は日本最大級……絶対に見つけられないとは言えませんが、見つかる可能性は宝くじが当たるくらいと考えてもいい……大事なのはお互い動かなかったことで第二のキラがどう動くかです)

 

 

するとワタリから第二のキラからお便りが届いたと連絡があった。ビデオテープを抱えて持ってきていた。

そしてそのビデオテープをビデオデッキにセットした。その頃にはLをはじめ捜査本部全員がテレビ画面を凝視していた。

 

ワタリが再生ボタンを押して数秒経つと録画された内容が再生されていった。

 

「キラを見つけることはできませんでしたが、キラと会いたいという気持ちが無くなったのでもう探しません」

 

 

(……どういうことだ……この第二のキラ考えや行動がぶれすぎている……本来なら私に会いたいと何かしらのセクションをしてもいい……単に面倒くさくなっただけなのか……女性ファッション誌に書かれた人間を殺した点、機械音痴である点、感情の起伏が激しい点……ストレートに見るなら10代から20代前半の女性……考えや行動からまともな会社で働いていないように感じる。学生あるいはフリーター、仕事をしていても特殊な仕事……しかもファッション誌を見ることや青山や渋谷を指定することからもいわゆるオシャレな人物像……いや……青山の曜日は平日だった……学生で一日サボるということもできるがわざわざさぼるくらいなら普通に休みの日にするだろう。それを考えるとオシャレな渋谷や青山から連想し平日が休みになるのは、アパレル業やアクセサリーショップ、美容師などの職種……違う……まともの正社員ならここまでぶれない……もっと柔軟に……自由業に近いがオシャレである仕事……芸能界、モデル、歌手、声優など……それなら自身の売れ行きにもよるがある程度時間の余裕がありオシャレであるというイメージが湧く……そしてキラに会いたい気持ちはキラへの崇拝の現れ……そしてそれを超えるような心の変化……)

 

Lはその心の変化を経験したことはなかった。しかし、それは国語の教科書でも小説やドラマなどでも主軸に書かれるアレであることに気付いていた。

(……恋をしたんでしょう……第二のキラは……)

 

この結論に対して腑に落ちた。肩の力がぐっと抜けた。

 

それをよそに松田は大喜びしていた。

「やった。キラと第二のキラは手を組めなかったのですね」

 

「いや、そうとも言えないんじゃないか。すでに手を組んでいるがその事を隠す為にあえてこのようなことを言ったのかも知れないじゃないか」

 

「それならそもそもそんなことを投函して伝える必要はないと思いますよ。投函日を考えると青山の次の日……そう考えると青山で何かあって気が変わったと考える方が利口です」

 

 

Lはシュークリームを食べながら発言していた。恋をしたというのはあくまでLの結論でありこれについて公言する必要はないと考えていた。

 

月はLの肩の力が抜ける微妙な変化を見逃していなかった。何かに気付いているが口に出さないようであった。

 

「L……なぜ第二のキラは感情の変化があったと考えている?」

 

月はLをじっと凝視する……

 

「なるほど……月君も気付いていたましたか……それを私の口から言うのは似合わないと思って黙っていました。もし私が肩の力が抜けるのを見て何もそれについて口を開かないと考えていたのでしたらそれは単に私のキャラに合わないしそのことがキラ事件に繋がると思えない理由から口を挟みませんでした」

 

「そんな気はしていたよ、まずはLの考えから聞かせてくれ」

 

「気は乗りませんが……まぁ、恋をしたということでしょうね」

 

「恋!!!!井出さんがいたら聞かせてやりたいなぁ。ええっ。なんで第二のキラが恋をしていたと思うのですか?」

 

「じゃあここはLに変わって僕が話すよ。第二のキラは少なくともキラを崇拝していた。そんな人間が簡単に心の変化をしないだろう。しかし、崇拝を凌駕するほどの出来事がこの世界にあるとすればそれは「恋」キラ以上の人物を見つけた……だからキラを探すことに興味が無くなったと考える」

 

「月の推理は一理あるな……うむ……」

総一郎はあごのひげを手で触りながら息子の推理は一理あるとうなづいていた。

 

「そしてファッション誌に書かれた人間を殺害したことや青山、そして渋谷を指定し平日であったこと、恋をしたり考えや行動がぶれる事を考えると一般企業に就職していない10代後半から20代前半の女性と考えられる……もちろん年齢の多少の前後はあるかも知れないが……確かに平日なら暇な大学生やさぼるということもできるがそもそもさぼるくらいなら休みの日に決行すべきだと考える……そして常識を知っていればこのようなビデオを送ったり、キラの真似事をしないだろう……場所もオシャレで華やかでありファッション誌を見ているとなると、自由業かつ華やかな仕事……芸能界やモデル、イベント関連のコンパニオンの人物とかは最初に注目すべきではないかと思っている」

 

(……やはり月君の考えは私と非常に近い……結論もほぼ同じ……芸能界とモデルは同じであり私は歌手や声優をそのカテゴリにいれましたが月君はコンパニオンをその代わりいれている……本当にここまで考えられる人物が私以外にいて非常に楽しいですよ)

 

「私も月君の考えとほぼ同意見です。学生の線もあるとは思いますが、学生ではない場合比較的時間が取れて華やかな仕事……私の場合は歌手や声優をそのカテゴリにいれましたが月君はコンパニオンをその代わりいれていました。芸能界やモデル関係者は同意です。もちろんコンパニオン関係者という単語はでてこなかったですが私のイメージするカテゴリには入ります……第二のキラは10代後半から20代前半くらいの女性……そして大学生あるいは自由業についている……都内近郊に現在住んでいる……その線で推理しましょう。そして恋をしたからキラへ興味を失った。」

 

 

 

「うむ……月とLの考えをもとに捜査していこう。青山がきっかけで感情が変化したのかも知れないな。そうなるとせっかくの第二のキラからキラを追うという方法が使えなくなる……せっかくのチャンスだったがしょうがないな」

 

「父さん……逆だよ……チャンスだよ」

 

「月どういう意味だ?」

 

 

「キラへの興味を失ったということは、つまり寝返る可能性があるということなんだ。こちらから第二のキラに呼びかけてみるのはどうかな?第二のキラに対して好条件を出し、殺害方法や詳しい能力などを聞く代わりに逮捕は免除し様々な補助も受けられるというような」

 

月の顔は般若のような怖い顔をしながらLにだけ向けた。Lは月が自身をキラだという考えは曲げないつもりであるし、そして月君はこれを今回するつもりでトークを展開していたということを理解した。確かにこの方法ならLを捕まえる可能性が出てくるかも知れない

 

(……第二のキラならそれに乗っかる可能性もありますね……しかしそれが決行されたら止めるだけの方法がありません……)

 

『なぁ、Lこれはまずいんじゃねえのか?今内心ふるえちまってるだろう?』

 

(……まぁ震えと言ってもも武者震いでしょうかね……逆に私としてはここまでやってくれてうれしいですよ。どうやって切り抜けるか考えるだけでゾクゾクしますからね)

 

『お前というやつは本当変わってるな』

 

「父さん、これはできるだけ早い方がいい 今は19時25分……そしたら20時55分の各局のスポットで第一報を流すための準備をしよう、Lもキラじゃないなら拒否はしないよね?」

 

またいやらしい顔つきをLにだけ見せる。原作では月がミサを抱いて口説くときのような顔である。

 

「はい、私はキラではありませんし第二のキラなら乗っかる可能性もありますからね。面白いやってみましょう」

(逆に第二のキラをおびき寄せるいい手だと考えましょう……もし第一報で自主的に名乗り出てくれるようであれば第二のキラとの接触は月君とはほぼ同時……それならデスノートを持つ私が第二のキラを殺すだけの時間は十分にある……むしろこの策は私がキラだと考えているならすべきないもろはの策です)

 

 

 

 




やっとミサ登場だーーー

次回偽恋


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49冊:I am killer

20時55分……月もミサも自宅で一報を見ていた。

 

第二のキラへの呼びかけであり、キラは大量殺人犯なので手を貸してはいけない。キラの情報を警察に教えることで罪を償いキラの恐怖から世界の人々を救うというような内容だった。

 

「んー。警察は私好きじゃないし教えるつもりはないし……それに私はキラで情報を教えたら捕まると思う……だってね罪を無かったことにするという言葉も無ければ罪を軽くするという言葉も無い……あるのは罪を償いという曖昧な言葉……きっと私が第二のキラだと分かったらいくら情報教えても私は逮捕される……そしたらせっかく見つけた私の王子様とも過ごせなくなる……そんなのは嫌……」

 

『そうだな……警察に行くべきじゃない……ミサ自身のやりたいようにする……それで私は良いと考える』

 

ミサはお風呂上りの髪を二つ結びにし始めた。クローゼットを開けるとそこには黒いロリータと言われる服がずらりと並びその中の一つを選んだ。

 

『こんな時間にどこ行くんだ?』

 

「名乗り出るの」

 

 

『ああ……こっちか』

 

そこには「夜神」と書かれた表札があった。ミサは息を飲んでインターホンを押した。

 

その夜、夜神家にゴスロリツインテールの金髪の女の子が訪問してきた。さゆが応対すると「月君が大事なノートを大学に忘れていたので届けにきた」と話し始めた。さゆはそんな彼女の雰囲気が学校の友達で一人もいないし、原宿へ遊びに行ったときにそれに似た格好の人がいて周りの友達と見てびっくりしていた。

 

(……この人……多分お兄ちゃんの友達じゃない……見た目がかけ離れてるとかじゃなくて……直感がそう言ってる)

友達がいたらネタになるけれど対面すると少し怖い……自分とかけ離れた世界に住んでいる人だということを悟った……そしてさゆは感じていた。女の直感なのかも知れない。なんとなくお兄ちゃんとは親しい間柄じゃないと思った。もし友達なら電話やLINEなどを使って届けに来るということを伝える。そしてお兄ちゃんなら忘れ物を届けに来る人がいるということを家族に伝える。私の知るお兄ちゃんは完璧なんだ。

 

そしてお兄ちゃんを好きだから分かる……この人もお兄ちゃんが好きなんだと思う。目がキラキラしているしどこか浮かれているようにも見える。

今までにも女の子がうちへ来ることがあった。お兄ちゃんが約束している相手の場合は事前に家族に知らされる……ただ家族に知らされない訪問だとだいたいお兄ちゃんは驚いた顔をする。そして数十分外で会話をしたりする。だいたい、その女の子が泣き出す……それは分かる。好きだった相手に告白したけど振られたんだということ……私は少しだけ気の毒になるけど、かと言ってそういう女性が訪問してうれしい顔して帰るなら嫉妬するだろう……お兄ちゃんは兄弟として好きなのか分からない時があるからかも知れない。

 

そしてお兄ちゃんは一度もそういう告白をOKしたことはなかった……彼女という彼女もいないのを知っている。仲の良い子と遊んだりはするけど彼氏彼女の関係にはなったことがない……私の友達たちもお兄ちゃんかっこいいとかお兄ちゃん運動神経いいし頭もよくていいなとかいうし、他のクラスの知らない子からもお兄ちゃんを紹介してとか言う……そう言われるのは嬉しいけどたまにいやになる……私はお兄ちゃんの近くにいるけど生涯結ばれることがなく、唯一の妹として一番近くにいる。

そしてそれはお父さんやお母さんあるいはお兄ちゃんの子供よりも私が一番お兄ちゃんと生きる時間が多いのも分かる……だから悲しいのです。

 

でもそんな気持ちをお兄ちゃんが知ったら今まで通り暮らせるとは思えなかった。私は、元気で少し馬鹿な妹でいるのが一番いいんだ そう言い聞かせた。

最近はキラ事件とか騒がれてるけど私だって殺したい人は何人かいる……

 

 

さゆは「お兄ちゃんーお兄ちゃん大変!!!!なんかね変なおねえさんがノート持ってきたぁぁぁ」と大声出しながら階段を駆け上がってきた。月はノートを忘れてはいなかったが「ノート」という言葉から青山を連想した。そして恐る恐る階段を下りるとどこかでみたことがあるような女の子が立っていた。まがまがしいオーラが漂っている……このオーラから親や妹を関わらせてはいけないと直感が働き会話を聞かれたくない為に外に出た。

 

5月の夜の外は暖かくそしてひんやりした空気に包まれている。とても気持ちのいい快適な温度である。

 

 

「君は……?」

 

「あまねみさです……青山のブルーノートで介抱された子です」

 

「ああ」

 

何かを思い出した感じだった。それと同時になぜ家を知っているかが気になった。

そして見た目が違うことからこう推理した。

 

「なるほどあれは変装だったということかな?あのあとは体調大丈夫だった?」

 

「おかげさまで……いきなり押しかけてすみません……家も知ってるし不気味ですよね……月君がキラ事件に熱心に取り組んでると聞きました……私は実はキラが誰だか知っています」

 

月はミサをまっすぐ見つめた。嘘ではなさそうだ……あの時感じた隠し持ってる何かに辿り着ける感じがした。

 

「なるほど……それはとても興味深い……うちんちに上がって欲しい」

 

玄関を仲介し階段を登って貰う。

 

ミサを自分の部屋にあげると椅子に座らせた。数分後には母親が紅茶を届けてくれた。

 

「キラが誰だか知っていると言っていたけどそれはキラ?それとも第二のキラ?」

 

「やっぱり月君もキラが二人いると思ってるんですね。第二のキラです」

 

(……これは……第二のキラを知る人物が現れるなんて……いや……場合によってはLが仕組んだ罠ということもある……しかし……あの場所でこの子と会ったのは偶然……そして僕は彼女が……いや……しかし……イメージとしてはほぼ合致している)

 

「その第二のキラが誰なのかを聞いてもいいのかな?」

(もし彼女が第二のキラだと考えているのか……しかしイメージに近い……だとしたらわざわざこんなことをいいにくるのか……)

 

月は息を飲んだ。汗も出始めている。

 

「はい、私がキラです」

 

ミサの顔は透き通ったいい顔をしている。その目には力強い何かが宿り平然と月を見つめていた。

その力強さに月は飲み込まれそうになった。

 




サユも場合によっては主人公が務められたのではないかという部分も描いてみました。

ついにミサも動き出す

次回 偽恋


梅酒24のツイッターアカです。
@umesyu24

最終回に向けて何かしらつぶやくかもしれません。
もしよければフォローしてってね、ウメッシュ☆


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50冊:偽恋

祝50話目!!!!


70~80話くらいで終わるんじゃないかな?


月はある程度は予想はしていた……もし彼女がキラではないのならミサが警察か何かに告発すべきであるからだ。そして嘘をつくためにこんなことを言ってるのではないというのも感じ取っていた。第二のキラに殺されたのは女性ファッション誌などに書かれていた人であることや感情によって揺れ動いてる点からも若く女性であるのではないかという予想もしていたし第二のキラの像に当てはまる何かを感じていた。そして彼女は僕を脅すとか敵意があるということも感じ取れなかった。

 

「君のいう事は信じるよ。正直そういう話だとは思っていた。あっ君を警察に差し出すということは今はしないから安心して」

 

ミサはきょとんとしていてなんで驚かないのという顔をしていた.

だから上に述べた理由をかみ砕いて説明をすると尊敬のまなざしで見つめていた。

 

「もしかして僕の名前が分かったのもキラであるからとか?」

 

「はい、死神の目と言って死神の目で見た人の名前と寿命が見えるのです。振り仮名は書いてないので漢字しか分かりませんでした」

 

月は写真でも名前が分かるということを聞き、本当に名前が分かるのかを確認するため彼女が知るはずもない友人の写真をミサに見せた。

 

するとその友達の名前を答えられた。もしかしたら友人の名前も調べていた可能性はあるかも知れないがおそらく目の話は本当だろうと思った。

 

他にも聞かないといけないことがある。慎重に聞かないといけない。あまり聞きすぎると向こうが話してくれない可能性がある。

 

「君はなぜそんなことを僕に教えてきたの?」

 

「それは私を彼女にして欲しいからです」

(発言を誤ると殺される可能性がある……いや、)

 

「付き合わないと殺すということは言わないかな?」

 

「殺しに必要なのはこの『デスノート』これに名前を書いたら殺せるの。このノートをあなたに渡してもいい。そしたら殺すという事もなくなる」

 

(ノート……それが殺しに必要な道具だったのか……いやそれを深く聞くよりもまずはこの状況を打破しないと)

 

「しかし、そんなことをどうして僕にするんだい?まだ会うのも二回目だし」

 

「私自身ストーカーに殺されそうになったり、親が目の前で殺されたりしたの。そしてその犯人を裁いたのはキラ……そう思っていたの……だからキラを崇拝したし一言お礼を言いたかった……でもレムから……あ、私の死神から聞いて実は私のストーカーから私を守って殺したのはキラではなく他の死神だったの。それを聞いて私の盲信が間違いだったって気付いた。それにあの日、月君が私に優しくしてくれたのがとてもうれしかった……やっぱり実際に会って触れ合った人から優しくされるのは嬉しいから……月君が自首しろというなら自首する。キラに関する話を聞きたいならいくらでもする……だからお願い……彼女にして欲しい」

 

(なるほど……キラへの盲信によりあんな大胆なメッセージをしてきてその盲信がまやかしだったから一気に覚めた。そして本人も罪の意識もある……確かに彼女がしたことは許されることはない……おそらくこのまま自首したら死刑は確実だ……それよりもLに知られて隠ぺい工作をされる可能性もある……そういう意味で自首をさせるならLを逮捕してからだ……そしてまずいことは現時点彼女が家にいること……ナミコはもしかしたら今も外から見ている可能性もある……別の意味で殺されかねないが……)

 

 

ミサは椅子からおりてしゃがんでいる。月はそのミサを抱きしめた。

 

「彼氏にはなれないけど、そばにいるように最大限努力する。それはミサが嫌いとかという訳じゃなくて僕はいきなり恋をするというよりもじっくり愛を育みたいんだ。いきなり会って付き合うというよりもっとお互いを知ってそれで好きと言えるなら付き合う方が素敵だと思う。ただ僕としてもミサを頼りにしたいし頼れることがあるなら頼って欲しい」

 

力強く抱きしめられてミサは目を瞑ると涙がこぼれた……

 

「ありがとう……好きになって貰うようにがんばる」

 

レムは見下すように二人を見つめていた。




次回、キラ


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51冊:キラ

月はミサから知りうる情報を全て頭にいれた。そして録音した情報をミナコ、ナオミに伝えた。ミサがLを見てLの寿命が見えないなら確定でLがキラという話になった。月、ミナコ、ナオミはデスノートに触れて死神の存在を確認した。ミサを今は逮捕しないという話もした。それはLに殺される可能性があるからであった。月はLとのテニスの試合中にミナコにLの盗撮をするように頼んでいた。写真を用意していたミナコは月の家に来ていた。

 

「これが例の写真だよ。ばっちり撮れてるでしょ?これはミサちゃんが見て寿命が見えなけば、L=キラということだよね?」

 

「そう……これで白黒はっきりする……もし違ったのなら調べなおしだけど僕はLがキラだと思っている」

月も100%Lがキラかと言われれば確証はなかった……でも今までLと接してキラならLだけしかいないと考えていた。いやそう思いたかったのかも知れない。

 

あと少しで白黒はっきりする。ミサはモデルの活動の後に来るからあと30分はかかる。

その前にナオミも到着していた。

 

30分後にチャイム鳴りミサが到着した。さっそく部屋でLの写真を見せた。

「ミサこれがLの顔だ……」

 

「エルローライト……寿命が……」

 

つばを飲んだ

「見えない……キラです」

 

月はガッツポーズをした。自分の考えに間違えはなかった。そして月、ミサ、ナオミ、ナミコの4人がLがキラだということを知っている。

 

「月君、どうやってLを逮捕するの?」

 

ナミコは誰もが思ったことを最初に聞いた。Lがキラだとしてもそれを証明できなければいけない。ミサがノートに名前を書いて殺すという案も上がったがミサはもう殺しをしていないしミサがキラだったと知った時から殺しで解決という方法は例えキラ相手でもすべきではないと考えていた。それにLとは正攻法で戦いたかった。

 

「Lに自白させた上でLの筆跡が残っているデスノートを押収します。Lに自白をするには言い逃れができない状況を作らなければなりません。しかしLがキラである以上必ずほころびはできるはずです」

 

その手順を話していった。こんな発想は誰にも思いつかないと話をしていた。しかし、月の考えなら確かにL逮捕まで持って行けると誰もが思った。

 

「ただナオミさんが少し危険な目に合う可能性があります」

 

月はナオミの顔をじっとみるとナオミは下を見て深く考えていた。

ナオミは顔をあげると口を開き始めた。

 

「私は婚約者を殺されています……でもミサさんの話を信じれば死ぬことはないです……その役は私にしかできないですし何より敵を討つためにもその役、私にやらせてください。レイとは結婚する予定であとは入籍届を出すところまで進んでいたので苗字を変更することはできます。必要があればこの後行って来てもいいです」

 

ナオミの役はLに自白をさせる役である。それを上書きができないボイスレコーダーに記録する。大丈夫、デスノートのルールをきちんと把握したからこれならLを出し抜ける。

 




ついに月陣営

L=キラが確定事項に。

あとはどうやってLを追い詰めるか


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52冊:ナオミの策略①

美空ナオミは覚悟を決めていた。レイとは入籍関係にあったのでLと戦う前に自分の名字を変えていた。「大丈夫……デスノートのルールは覚えている……私は殺されないし、Lはボロを出す……」胸に手を当てた。大好きなレイが殺された……その犯人のキラがLであったこと……

 

 

 

ワタリはLにお客様が来ていることを伝えた。

 

「ミソラナオミ?……どこかで聞いたことのある名前だな……」

パソコンで調べると元FBI捜査官でLの元で活躍してくれたこともあった。

(ああ。あの時の……彼女は優秀な捜査官……そしてレイ=ベンパーの婚約者……このタイミングでのアポイントメント……もしかすると月君の……彼女は注意深い人間だ……)

 

Lはアイバーに連絡して美空ナオミに関する現在の情報を収集するように頼んだ。特に名前の変更や整形の有無などを頼んでいた。

 

トントン

「どうぞ、入ってください」

扉を開けると黒いジーンズに黒いライダースジャケットを着る黒髪の女性が立っていた。

彼女を見た瞬間にただよらぬオーラを感じた。

 

「ひさしぶりです。美空さん」

「そうね。Lのことだから用件は察しているのではないでしょうか?」

「はぁ。レイ=ペンバーのことですか?」

 

Lはどうぞと椅子に座るように言ったが彼女は座らなかった。

そこからも彼女が覚悟を決めて何か言おうとしていることが伝わってくる。

 

「そう……単刀直入に言うわ。私はあなたがキラであることを知っている」

 

(やはり……こんなところに伏兵がいたとは……まぁ月君ほどは手強くはないでしょうが久しぶりに骨のある月君以外の人との討論ですかね)

 

「確かに私をキラと結びつける方は多いですね。ただネットの情報を鵜呑みにしてここにきたということはないのではないでしょう」

 

ナオミはLの写真を取り出した。Lは写真を全て残さないようにしていた。そこには月君や渋井丸君とのテニス試合の時の写真であることに気付いた。

 

「テニスを本気で行わせたのは月君の性格のプロファイリングでもなく、建前で友情ごっこするための布石でもなく、集中しているところで盗撮する為だったの……」

 

(なるほど……すでに大学入学当初から彼女と月君は繋がっていたのか……そして確かに月君渋井丸君とテニスで戦うには本気で取り組む必要があった。例えば大学の校舎内や木の上からなど盗撮されるのであれば気付けないかも知れません。もちろん何人か私を撮影している人がいないか私服警備員を忍ばせてはいましたが気付けなかったようですね……)

 

「あなたの名前はエル=ローライト……なぜ名前を知ってるかはお察しの通り第二のキラにこの写真を見せたから……。そして第二のキラはキラである人物が誰だか分かるし名前も分かる。第二のキラはあなたをキラだと断定したわ」

 

(……アマネと先に繋がっていたのか……アマネミサ捕獲はもう秒読み……むしろ秒読みである状況であることは月君達は知るはずもない……アマネの部屋の猫の毛や化粧品の粉などと第二のキラがビデオテープに封をしてときの付着物が一致……美空ナオミは月君と戦う上では不必要……退場して貰いますか)

 

「なるほど……しかしその発言は第二のキラが発言したことであり、第二のキラが嘘をついてるとしか私は言えません。私とキラどちらのいう事を信じるのですか?」

 

「Lと第二のキラではなくキラと第二のキラだわ。そしてわざわざ第二のキラがキラであると告白をしている。本来なら自分がキラだなんて言わない。しかし第二のキラは自らそれを公言している。そしてデスノートに纏わる数々の話どれも信憑性が高かった。さらに……死神も私は見た。第二のキラであることは 確信した。そして第二のキラはデスノートで殺したことを反省しているから私と会った時から人殺しはしていない……だから信用した。それにL=キラなら納得できることも多い」

 

ライトから聞いた話を織り交ぜ証明していった。

 

(美空ナオミの言ってることは本当だろう……だとすると第二のキラは私の名前を知っているにも関わらず殺そうとしてない……その理由はおそらく月君も私を殺しただけではこの事件が解決すると考えていない。どちらの方がより上か……そして生きたまま私を捕まえ、なぜこんなことをしたのかを吐き出させ更生させる……そのような考えを持ってそうですね……美空を殺したのが分かれば私をノートに書いて殺す可能性もある……まず、美空は誰にも見つからない場所で自殺をさせる……そしてアマネに関しては材料もそろっているから緊急逮捕してあとは月君と一騎打ちだ……アマネ逮捕で最近お付き合いをしてしかもキラと一度疑われたことのある月君は例え無実でもこれだけで逮捕をさせることは難しくないだろう)

 

「分かりました。メモを取らさせて頂きます」

(気の毒ですがここで退場して貰います)

 

こっそりと美空ナオミの殺害方法と名前を書いている。

 

リュークはそのときククククククククク……と笑っていた。

 

(クがいつもより多いですね……)

 

 




もう最終決戦まで秒読みかな


次回もオリジナルストーリー


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53冊:ナオミの策略②

死の時間になっても行動を開始しない……

(そういえば美空ナオミと言っていた時もリュークは笑っていた……レイ=ペンバーは顔と名前を知られたから殺された……そして殺しの方法を知っているにも関わらずここにのこのこ来ている……つまり、名前を変えている……そうなるとアイバーに念のため頼んでおいて正解だったようですね……となるとアイバーから連絡来るまで時間を潰さなければなりません。彼女が操られるのはこの目でしっかり見ておきたい……)

 

Lは少し考えていた。月君との一騎打ちの予行練習として彼女と戦うのも一興。名前が分かればキラだとカミングアウトした所でどうにもならない。

 

「L……今書いた紙を見せて貰うわ」

ナオミは勢いよくLがメモをした紙に飛びついた。

 

「暴力は良くありません。いいですよ。この紙を見せてあげます」

Lはその紙をナオミに見せた。

そこには美空ナオミの名前と自殺方法が記されていた。

 

そして美空の目の前にナオミと同じように全身真っ黒で大きな羽をはやした死に神リュークが宙を浮いていた。

 

「はい。おめでとうございます。私がキラです」

首を45度傾けてチョコケーキを丸呑みした。

 

「死神が見える……そして今の発言……あなたが……」

ナオミは怒りが込み上げてきた。目の前にいるのは婚約者を殺された相手がいる。しかし、キラに対して聞きたいこともいくつかあった。

 

「まさか月君と美空さんが繋がっているとは思いませんでした。まぁちなみに第二のキラはアマネミサだとすでに断定していてもうすぐ逮捕されるでしょう。そしてアマネミサ逮捕で重要参考人として月君が呼ばれるでしょうね」

 

「キラだとカミングアウトしているのにずいぶん余裕そうじゃない」

 

「それはお互い様です……ただ美空ナオミでもデスノートが効かないということは、まぁ何かトリックがあるのでしょうね」

 

美空は一瞬俯いた。

 

「それで殺されないと安堵しているなら大間違いです。私がキラであると言ったからには残念ですが美空さんにはこの世から消えて貰います……ただそれまで少しお時間もあるのでお話しましょうか」

 

「なんでレイを殺したの?」

一番聞きたかった理由を聞いた。

 

「それは気まぐれでしょうか。FBIに関しては私にとってみれば脅威でもありません。FBIを放置して私が逮捕されることは0%です。ですので放置していてもよかったんです。ただ時間が経てば経つほどFBIの捜査は進み警察内部に怪しい者無しとなるのではわざわざ作為的に殺人者を殺してきた意味がなくなります。平和の世界を作りたいから悪人を殺そうと思った訳ではありませんから」

 

「どういう理由で殺していたというの?」

 

「デスノートは人を殺すノート。そうなるとやれることの範囲って結構少ないんですよね。全世界の人間が容疑者となる中で私を誰が見つけられるか、そして私を論破したり私の上を行く者が現れないか期待していました。生活の中で大きな刺激や喜びというのはもうなくなっていたのです。ヒントを散りばめながら私を脅かす存在が出てくるのを待っていました。そして現れたのが月君でした。彼のお蔭で時には追い詰められ時には追い詰め命がけの戦いをしてきたと思っています。私の場合は月君をキラとして仕立てあげること。月君は私をキラとして逮捕すること……だから月君をノートで殺そうという考えはありませんでした。どっちの方がより上なのかという知恵比べだからです」

 

「それでその知恵比べはどっちが勝ったの?」

 

「まだ分からないですね。ただ近日決着は着くでしょう。ただ私が逮捕されるのは私のデスノートを抑える、自白するくらいしか逮捕はできないです。もちろんこの部屋に盗聴器や監視カメラは私の以外はないことは確認済ですので今この話が外に漏れることもありません」

 

(勝った……私は小型の盗聴器をすでに忍び込ませている……これが自白の決定材料になる)

美空ナオミはにやりと口が緩んだ。

「もちろん今盗聴器で録音していたり、電話でどこかに通話中にしたまでいるかも知れませんが、ここは電波が通らないので通話中でも通話は他に届かないです。確認してみてください」

 

ナオミは電話を月に繋げっぱなしであった。確かに電話は繋がっていない……しかし小型盗聴器はある。きちんと録音できている。こっちだけでもあれば十分である。

 

「もちろん小型盗聴器やカメラがあってもそういうものを処分した上で自殺して貰います。死の前の行動は可能な範囲なら行えますのでどこに隠していても無駄です。そちらの芽は全て摘んでるからこう公言できてるのです」

 

「気付いてないようなら安心だわ。Lあなたの負けだわ……」

 

(ブラフかなんかでしょう……おそらく名前を変更……そして美空ナオミは名前変更してることに私が気付いたことに気付いていない)

 

Lのスマートフォンにメールが届いた。美空ナオミの顔写真と名前が書かれていた。

名前が変更されていた。

 

「ナオミ・ペンバー……なるほど道理でデスノートに書いても死ななかった訳ですね……名前を本日変えてそのことを極秘にしていたようですが、こちらには優秀な交渉人がいましてなんとか本名を入手できたようです」

 

「そんなはずは……」

ナオミの顔が青白くなっていた……

 

「入籍予定だったから苗字を変更する。苗字が変わった場合旧姓で名前を書いても死なない……そして個人情報は外部に漏れない……なぜ……」

 

「さよなら、ナオミ・ペンバー」

 

ナオミはくるっと振り向くとそのまま部屋を出て行こうとした。

 

「何かほかに言いたいことはないんですか?」

 

ナオミは喋らない……そしてそのまま部屋から消えた。後日美空家から捜索願いが出されたとのことだった。

 




結構なボリューム


次回:キラ逮捕


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55冊:牢獄

捜査本部全員が逮捕をしたミサを監視し続けていた。

Lは親指を口に入れて物思いにふけっていた。

ミサが口を開いたと思えば、やれストーカーだの、トイレに行きたいなどの発言を繰り返すばかりであった。

(……ノートの所有権を移した可能性が高い……夜神月の手に渡ったとかか?)


Lは記憶が消えているかを確かめる為に「なぜそこに縛られている?」「悪あがきか?」などの質問をし続けた。しかし、今までのデスノートに関する記憶だけ消えているとも思えるような回答だった。

 

(夜神月にデスノートが移った可能性は高くなった……これ以上月君を放置しているのは危険だ……今ある条件だけでも捕まえることはできる……ミサが逮捕されたことで完全に夜神月のキラ疑惑が色濃くなっている)

 

 

Lは夜神月確保までの流れを考察している。そんなときに携帯電話が鳴りだした。

Lは、はいと何度も答えていた。

 

 

(……どういうつもりだ……月君……)

 

 

しばらくたつと仏教面した月が捜査本部に入ってきた。

 

「L……電話で言ったが……僕がキラかもしれない……」

 

総一郎の口はあんぐり開いていた。

そしてはっとした総一郎は駆け足で月に近づき、肩に両手を乗せた。

肩に力が入っている。

 

「馬鹿な……何を言っているんだ……」

 

Lは後ろを振り向くと月が立っている。見上げる形になるけれど月は地面の方に目を合わせあえて視線を合わせようとしない。とても弱弱しく見える……

 

(が……ミサさんは第二のキラ容疑に対して何も話さない反面で、ここで月君がキラですと……ありえない……私がキラだ……一体何をしようとしている?)

 

 

「父さん、Lは世界一の探偵だ。そのLが僕をキラと疑い、ミサを口説いた男も僕だ……これは僕がLの立場でも僕をキラだと断定せざるを得ない……僕に自覚がないだけで僕がキラの可能性がある……」

 

月は自身の手を大きく広げ見つめていた。

 

そして月は自分がなぜキラかもしれないかを語り始めた。内容に意味はない……

(……なるほど……あくまで自覚がないと……そうか……ミサさんのように長期に拘束をして今後犯罪者が死んでいったら、月君はキラではないということになる……しかし、そんなこと私が新しくでた犯罪者を裁かなければ成立しなくなる……何を考えてるか分かりませんがそれが月君の対抗カードならそれにのっかりましょう)

 

「何か私には話の展開が気に入りませんが、夜神月を手足を縛り長期間、牢に監禁、その代わり今すぐです」

 

「分かった。僕もこの展開を望んでいた。その代わりLが僕をキラだと分かるかあるいはキラではないと納得するまでどんな状態になろうと自由にしないでくれ……」

 

月の顔からは余裕さえ感じられた。これから監禁されるであろう男の表情ではない。

 

「しかし、僕が自由でないのと同様にL、君も自由にはさせない……そして僕は父さんに極秘の手紙を渡す……それはLには見させない……僕は自分の自由を封じることで本当のキラを炙り出す」

 

 

月は両手に手錠をはめた。

 

 

相沢に連れてかれる月の背中を見ることなくLはミサを見つめていた。

 

(……こうなるように仕向けていてるのは分かっている。手紙もあえて公言することかからも何かしらの策略を張り巡らしているのだろう。あえて公言しなければ警戒させることもないということを考えると公言することで何か意味のあることをするのかも知れない……いや、月君が公言せずとも私は月君のひとつひとつの行動には注意深く観察している……公言してもしなくても同じだ……しかし……)

 

Lは不思議な胸騒ぎがしていた。追い詰めているのは自分のはずなのにも関わらず

こちらが追い詰められているのではないか………あの牢獄に自分自身も入るのではないかとと直感してしまった……

 

 




次回 どうこう


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54冊:キラ逮捕

「あれりゅうがが学校来てるなんて珍しいね」

「やあ月君が学校来てくれるとうれしいと言ったんですよ」

「そうか。そういえば僕への疑惑は消えたの?」

「そうですね。もう秒読みです」

Lは月をしっかり目で見つめた。それにはL側の方にもしっかりと準備をしている。もう後戻りをしないという意思表示に見えた。

「そうか。僕もりゅうががキラであると確信しているし秒読みだよ」

(大丈夫……Lがこれからしうる事ある程度想定しているし何が来ても対応できるように準備している……決着の時だ)

 

 

「月―撮影近いから来ちゃったぁ。あっ、月の彼女のあまねみさです」

 

「はい、りゅうがひできです」

(あれ?見えてる名前と違う……あっキラかぁ)

 

Lがじっとミサを見ている。

(なんだ……Lがミサをキラだと気付けるはずがない……)

 

「いやぁエイティーン8月号からのファンなんです!」

Lは大きな声で言った。すると学内にいた生徒がどんどん集まってきた。するとミサが「誰かお尻を……」と叫んだ。人ごみにまぎれてお尻を触った人でもいるのであろうか……するとマネージャーが迎えに来てミサを連れて行った。

 

 

するとLの携帯電話が鳴り始めた。

「はい……やりましたね」

電話を切ると月に向かって何か言った。

 

「月君に関しては嬉しかったり悲しかったりするお知らせです。あまねみさを第二のキラ容疑で確保しました」

 

月の顔が真っ青になった……

「一体いつからミサの事を……」

(その発言……やはりミサがキラであることを知っていた……)

「アマネの部屋から第二のキラかのビデオを送った時封をしていた時に使用していた付着部から多数の証拠がでました……もうこっちに戻ってくることはありませんでしょう」

 

Lは捜査本部に戻った。アマネに対してやりすぎたと他の本部の者が言っていた。アマネは黒いアイマスクに全身が縛られ身動きができない状態にされていた。それに対してLは画面越しに質問を投げかけていた。

 

総一郎に対しては

「あと重要参考人として夜神月君に来てもらいます。覚悟しておいてください」と一言伝えた。

 

アマネ捕獲から3日目……

 

「アマネがついに口を開きました」

相沢の言葉に寝泊まりしていた捜査員とLは飛び起きた。

ミサは「殺して……」「あなたなら殺せるでしょ……」と言葉を発していた。極限状態であると誰もが思った。

 

『まさか……ミサ……私に殺せと……?』

(そう……あなたなら殺せるでしょ……)

『だったらこんなことを合わせた夜神月を殺す……』

(それは駄目……)

そんなやり取りを繰り返すうちにミサがどんどん弱っていくのを感じた。レムはミサに対して妥協案としてノートの所有権を捨ててノートに関するすべての記憶を消すことで月に迷惑をかけないことを説明した。そして月への愛は忘れないことを伝えるとそうしてと言葉を短く切った。

 

 

 

 

「ミサを救い出す方法はある……」

月の中でひとつの決心をしていた。

 

ミサが逮捕されたことから僕もキラであるという主張は通りやすくなる。……僕はミサと過ごして愛着が湧いてきているしLがキラであるにも関わらず平然と今も人を殺しているのは放ってはおけない。ミサが逮捕された以上、僕自身も覚悟が必要でそれを今しなくてはいけない。

 

美空ナオミの携帯に何度も連絡したがむなしく着信音がこだまするだけであった。

 

 




次々に追い込まれる 

美空ナオミ デスノートより殺害……
ミサ逮捕……
ライトも重要参考人として呼ばれる……


追い詰められるライト陣営


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56冊:どうこう

Lの中で胸騒ぎがした……とりあえずミサに関しては殺してもいいと考えていた。
あとはトイレにでも言ってノートに名前を書けばよい。

そんなときの為にノートの一部を持ってきている。小さい紙であるがそれに名前を書いても効果は変わらないことは実験済である。


トイレに行くために立ち上がる。

そしてドアの前に行く。

 

そんな簡単なことが簡単ではなかった。

 

 

「Lどこへ行く?」

 

「トイレですが」

 

こんな言葉今までになかった。あの「手紙」がそうさせているとしか考えられなかった。

 

「悪いが私も同行しよう」

 

「分かりました、しかし大きい方ですがどうしましょう?」

 

「悪いが私も同行しよう」

 

「ならいいです」

 

 

(月君はあえて自分を封じることで私も封じるように仕組んできた。お風呂やトイレも

夜神さんと監視していた立場からするとそれくらい平気なのでしょう……しかしやられるほうとしては生きた心地がしない……それを狙っているとは思えないが少なくとも、これでこの事件が解決するまではミサさんは殺せない……おそらく、夜神さんが寝た時にトイレに行こうとしても他の捜査本部のメンバーが私を監視するでしょう……それくらいは月君は考えているだろう)

 

 

 

総一郎はLを凝視していた。そして総一郎はLに手錠をかけることになった。

あれこれ理由をつけて断ることもできるが、月の策略の一つなのであれば受入れようと考えた。もうこの状況でデスノートを使わなくてもライトとミサの両方をキラとして決定づけるまでのストーリーは出来上がっていたからだ。

 

今後の展開に関してはすでにデスノートに記載してある。

 

(これでいいのか。もちろん私が寝てる間は松田や相沢などにLの監視をお願いしている……私としては明らかに息子がキラだと思いたくないという一心でLを疑っている……月もLもキラでないことは望ましいが……)

 

 

 

監禁をしてから二週間……

 

新しい犯罪者は裁かれない。

 

そしてミサ、月が監禁されLが監視されているのは捜査本部の人間しか知らない。

 

 

「裁きが起きません……つまりそしてこの状況から見ても99%この中にキラがいる……そして第一のキラは月君……そして第二のキラはミサさん……そう結論付けてよいかと」

 

Lがその話を切り出したときに月が語り始めた。

 

 

「聞いてくれ……確かに僕は監禁されることを自ら望んだ。しかし、キラのやったことを自覚なしでやっていたとは思えない……キラによる殺人は自身の意思で行われている……その自覚のない僕はキラではない……」

 

「私も自覚なしで殺人をしているとは思いません……しかし月君がキラだとしたらキラだと認めていないだけで全ての辻褄は合います。月君を監禁した途端キラによる殺しがぴたりと止まった……」

 

「それは僕にも言える。Lがキラだから僕を監禁してその後殺人を止めればいい。そしてもし今殺人が行われていないのなら、僕とミサそしてLがいるこの状況を知っているのは捜査本部の者だけ……つまりこの時点でこの中にキラと第二のキラがいる……やはり僕も一緒に調べる……」

 

 

裁きがされない以上松田にも月を解放してはいけないことを考えていた。

一時は月もLもキラである可能性を考えていたがミサを逮捕したことでその彼氏とされる月がキラの可能性が非常に高いのは分かっていた。

 

そして15日目……

 

 

ワタリがダッシュで何かを伝えにきた。

 

「ワタリ速報のお時間です」




Lと総一郎は同行しLはライトミサの動向を観察し総一郎はLの動向を観察する……



またまたワタリ速報……

前回は月の演説をする知らせだったが果たして今回は……


次回、脳筋


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57冊:脳筋

ワタリはわたわたした様子で部屋に入ってきた。

 

「ワタリ速報です……Lの自宅に不法侵入した者を緊急捕獲致しました」

ワタリは白いハンカチで汗を拭っている。

 

<あqせdrftgyふじこlp;@p:「」>廊下からなんといっているか分からない叫び声が聞こえている。

 

(このタイミングで……不法侵入……確か今日はウエディが私の家を警備していたはず……そして廊下の物音……)

 

 

「そしてその不法侵入をした男を警備員4名がこちらへ搬送している最中です……しかし、その男、Lの部屋からDEATH NOTEという黒いノートを発見しこれがキラとなりうる証拠だと言っております」

 

(……あのセキュリティをどうやって突破したのでしょうか……ワタリの言ってることは概ね本当でしょう……ウエディがいてそもそもあのマンション自体ここの捜査本部以上のセキュリティのはずですが……)

 

「分かりました……その人物をこちらに連れてきて下さい。そして警察へ連絡して夜神月君の部屋を家宅捜査してください。その手続きはすでに終了していてどこをどのように調べるかも事前に連絡してあります」

 

ワタリは首を縦に振り捜査本部を後にした。入れ替わりで警備員に連れられた金色のがたいの男が連れてこられた。

 

その男はLを見るととびかかりそうになるような雰囲気であった。

「渋井丸君でしたか……ずいぶん私の部屋で無茶をしたと聞きました」

 

 

「そうだ……お前の部屋からデスノートが発見された……お前がキラだ……ここに書かれた筆跡を照合すればすぐに分かる……」

 

 

「分かりました……では筆跡を照合して貰うように手配致します。相沢さんよろしくお願いします」

 

相沢は黒いノートを受け取ると鑑識にその旨を伝えた。

 

「ところで渋井丸君……あのセキュリティをどうやって突破したのですか?」

 

「ああ。それか、教えてやるよ。お前の部屋はアイバーと呼ばれる詐欺師、ワタリというじいちゃん、ウエディという金髪の女性の3名はお前がいないときはお前の代わりに部屋を守っている……しかしウエディだけはその間に1時間ほど外出する習慣がある。あとは、お前の部屋の上の階の部屋を借りて俺のせいげんづきを放てば穴は開く。侵入さえできればおれのこぶしで様々な怪しいところを破壊してと思ったが、夜神から色々ノートの隠し場所候補を聞いていた。そのうちの一つに机の二重底の仕掛けがあった。夜神のメモを頼りのその仕掛けを解除したらまさかと思うがノートが発見された」

 

(……まったくあの方は……なるほど……あの仕掛けを月君も思いついていたのですか……)

 

「渋井丸君……今の発言録音していますが間違いないですね?」

 

「間違いないぜ!」

渋井丸は腕を組み自身マンマンに答えた。

 

「月君を解放します。ここまで来たらキラは私か月君……もうそのような状況です。私としてみれば一連の流れは私に罪を被せようと複数人で手を組んでるように感じます。ここは皆様がいる状態で本音で語り合っていきたいと思います。もちろんどちらかがキラなら不思議な力で人を殺す可能性もある……ですので私と月君はお互いに手錠をすることでお互いの動きに制限をかけます」

 

月本人がそれに賛同したことから他の捜査本部のメンバーは反対をする者がいなかった。解放された月はシャワーを浴びたのちLの前に姿を現し月の左腕とLの右腕に手錠をはめた。

 

「僕もこうやって対面で話すべきだと思っていた。この状況を作ったということは覚悟はできたようだね……お互いにここから先長くても今日中に決着が着くと思っている……もしかしたら数時間かも知れない……最後の戦いをしようじゃないか……」

 

「そうですね……これ以上ながながとやるよりはお互いに面と向かってやる方がいいでしょうね……今までの概要はシャワーを浴び身支度をする間に聞いていると思いますが、渋井丸君が私の家に不法侵入いたしました」

 

月の髪は微かに湿っている。ドライな髪と同時に表情もドライであった。

「この際不法侵入した件はどうでもいい……大事なのはLの家で何を見つけたかだ……そしてデスノートという黒いノートが発見された……そこには今までの犯罪者の名前と死亡内容が書かれていたそうじゃないか……それでもLは自分がキラではないと思っているのか?」

 

「ええ……そうです。はめられました……私は知りません……現在筆跡鑑定中です……ですのが違う話をしながら待ちましょう」

 

Lはかしわもちのかしわを取り外す。かしわにこびりついたおもちをきれいに舐めまわしていた。

 

「違う話とは?」

 

「はい。私は渋伊丸君の話を聞いて腑に落ちない点がありました……それは夜神君にメモを渡され私がしかけをしそうなしかけを考えられるだけメモに書き渡したとのこと。そしてメモしたしかけの一つが私の机の二重底の引出のしかけと同じだったということです。間違いないですね?」

 

Lはかしわもちをほおばりながら月の顔をしっかりと見ている。

 

(……なんだ……この感じ……デスノートが発見されたことは想定内といった感じだ……こちらが圧倒的に有利な証拠を見つけたにも関わらず焦る様子が一つもない……そして渋井丸にメモを渡したから僕をキラにするという強引なやり方はまずない……正直に話すか)

 

「ああ。間違いない。メモを渡したのも僕であり渋井丸に協力して貰った。まさかメモを渡したから、僕がキラという訳ではないだろうな?」

 

「ええ。問題はそこではありません。「夜神から色々ノートの隠し場所候補を聞いていた」ここです。なぜキラの殺しの道具がノートと具体的なのでしょうか?キラの殺しの道具に必要なものはノートであるということを知っているかのようだった……これはかなり怪しいでしょうね」

 

月は確かにと思った……ミサから殺しの方法を聞いていたのでノートで殺せるということはすでに月側の人間には周知の事実であった。ミサがキラであることを話すのは今ではないと考えた……その為すぐには弁解をしなかった。

 

その時にワタリ速報が流れた。ワタリによると筆跡鑑定の結果はLの筆跡に似せた別の者である可能性が高いということであった。そしてその筆跡は夜神月がLの字を真似て書いたようであるということだった。

 

「どうやら発見されたノートというのは夜神君が私の筆跡を真似て作ったようなものらしいです」

 

Lはこの時の為にあえて細工をしたデスノートをそれらしい場所に隠していた。本物のデスノートは夜神月の部屋に隠していた。そしてそれが見つかりそのノートに触れることで死神が見えるようになる。Lの部屋にあったデスノートは名前を書いても死なない。ただの大学ノートを加工したものであるからだ。

 

「悪いがそのノートに関しては僕が知らない。Lの仕組んだ罠としか言えないな……そもそも僕に似た筆跡ということがひっかかる。Lの家に偽装したものを忍ばせるなら自分で書いたりはしないだろう……つまりそれがLが仕組んだという証拠……さらにこれから僕の部屋から物的証拠を発見して僕をキラに仕立てあげるのがLのストーリーだろう」

 

月は腕組みをしながら目を瞑っている。顔は一層険しくなりつつある。

 

(……確かにその通り。すでに月君の部屋に本物のデスノートを忍ばせている……そして捜査員がそれを発見するのも時間の問題だ……それをどう突破してくる……?)

 

警視庁の現業から連絡があり、夜神月の部屋から黒いDEATHNOTEと書かれたノートが発見されたとの報告があった……その警察官たちは大至急そのノートを捜査本部に持ってきた。ノートを運んだ警察官が部屋に入るとこの世のモノとは思えない何かを見たような叫び声を上げた。そしてその警察官の話によると黒い大きな羽を生やした死神が見えるとのことだった。捜査本部の人間もそれぞれがそのノートを触るとその警察官たちが言ったように死神の存在を確認できた。

 

「このノートに触れると死神が見えるようですね……さきほど私の部屋から発見されたノートは触れても死神なんてものは見えませんでした……つまりこんな非現実的なことが起こるノートは本物……そうですか?死神」

 

「ああ、このノートは本物だ」

地獄から聞こえるような低い声でその死神は言った。嘘ではないこのノートは本物である。

 

「そしてこのノートの中身を見ると、素人目でも夜神月君の筆跡と酷似しています……というよりも本人が書いた考えていいでしょう……」

 

そのノートを総一郎にも見せる。総一郎は手を震わせながらデスノートを覗き込んだ。

 

「……これは確かに息子の字だ……」

総一郎は膝の力が抜けてその場に倒れこんだ……

 

 




次回、勝敗

最終回です。


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LASTNOTE:勝敗

「……L、人を陥れて楽しいか?……おそらくプロに頼んで僕の筆跡に真似て貰って偽装したのだろう……僕はキラではないからキラでないということは自分自身が分かっている……そして……このノートの内容を読んでみて確信したが、L、君の負けだ……」

 

月はビデオデッキにテープを差し込んだ。さくらTVの一見で再生の仕方は分かっている。

そのテープには黒いノートを持った金色の女性が夜神月の家に入るところを映していた。

 

「僕のことを盗撮……いや、前から撮影している人がいた……その人のお蔭でFBIの12名が殺害された後に監視カメラや盗聴器がしかけられたことにもいち早く気付けたし、今回何かを細工していることにも気が付けた……そしてこの画面を拡大すれば分かるが今発見された{DEATHNOTE}であることは間違いない……すでにウエディは不法侵入を幾度にも渡り繰り返していた罪で逮捕されている……そしてそれを誰が指示していたかはここにいる捜査本部の人間も分かるはずだ……今回のこのノートの偽装もLの命令と見て間違いない……外国人犯罪者に犯罪行為を命令している時点で捜査本部も犯罪組織であると言っていい。人殺しは罪が重いとか盗聴は罪が軽いとかそういうのは無しにしてどちらも犯罪だ……筆跡の偽造は指紋の偽造や人の家に誰にも気づかれずに監視カメラや盗聴器を複数つけるよりもはるかに簡単だ……プロに頼めばなんとでもなる……罪を認めたらどうだ?」

 

Lはオレンジジュースをストローで吸っていた。ほとんどが氷で埋め尽くされていたのでオレンジジュースの量はそこまで多くない……オレンジジュースを飲み干すと余った氷を口の中に入れてかみ砕いた。

 

「確かにFBIの件で監視カメラと盗聴器を仕掛けるように命令したのは私です……それは殺人と監視カメラを天秤にかけた結果です……そして今回のノートに関しては私は知りません……単独の行動、あるいは月君がそのノートに書いて操ったとも考えられます」

 

(月君も分かっているはず……決定的な証拠がない限り私は何とでも言い逃れができます……そして月君、君はこんな返ししか用意していなかったのですか?)

 

(……ここまでは茶番……決定的な証拠がない限りLは何度でも言い逃れするだろう……しかし、Lの逃げ道をいくつか防いだ上で決定的な証拠をぶつけたらどうだ……それは完全に敗北を意味する)

 

「L終わりにしよう……もう君の逃げ場はないんだ……そして頭のいい君なら分かる……完全にチェックメイトということに……」

 

月の目から涙が零れ落ちた。顔がくしゃってなっている。

「L……君とはもっと違う形で出会いたかった……」

 

(……この表情……演技にしてはくさ過ぎる……本当に……)

 

「これを見て欲しい……」

 

月は本物のDEATHNOTEに書かれたあるページを指差した。

 

ナオミ・ペンバー

自殺

手にした証拠を誰にも発見されないように処分を行う。

その上で人に迷惑がかからぬ様自分の考えられる最大限の遺体の発見されない自殺だけを考え行動し48時間以内に実行し死亡。

 

 

「……この殺人だけ非常に長い……この人物は何かを手にした……そしてキラに殺されたように見えないように特に注意して操って殺害している……そして僕からすれば僕に罪をなすりつけるならこれは書くべきじゃないと思った……しかし、これを書いたのはおそらく僕とナオミさんが繋がりがあったのをLは気付いたからあえてナオミさんの事も書いたのだろう……先に言っておくが、ナオミさんとは知り合いだ」

 

「捜査本部に美空さんのお母さんから電話があり娘が失踪したという電話がありました……そしてその美空さんと月君が知り合いだったのならば疑惑が濃くなるのも当然……おそらく美空さんは夜神君がキラだと気付いた……そして何か口論をし、月君に殺された……だから証拠を処分した上で見つからないように殺している……筋が通りませんか?」

 

 

目を瞑っていた月は目を開いた。とても大きく。

 

「ああ。筋は通る。ナオミさんが本当に失踪して死んだなら死人に口なしだ……僕はキラとして逮捕されるだろう……無実だとしてもな……しかしナオミさんが生きていたら話は180度変わる……その意味分かるな?」

 

 

Lは月の力強い目をそらしてしまった。

この時すでに敗北感という文字が見えた。

 

「入ってきてください、ナオミさん」

 

 

すると黒髪にライダースのジャケットを着た女性が部屋に入ってきた。

コツ……コツ……静まり返ったその部屋に彼女の歩く音が鳴り響いた……

Lはその姿を見て目をまん丸にした……そんなはずはない……そう思った。

 

そして、反抗をしても無駄であることはLは分かっていた。

 

「おめでとうございます……皆さん……もう反抗するつもりはありません……彼女が生存していた事で今後何時間議論しようと私の負けです……おそらく彼女が生きていたなら録画された会話の内容もあることでしょう……そうです、私がキラです」

 

Lは窓を開け空を眺めた。何かを考えているように見えた。

 

「心配しないでください……これ以上人を殺そうともしません。もちろん自分自身も……ただ聞かせて欲しいのですが、確かに彼女は殺したと思いました……なぜ生きているのでしょうか?」

 

ナオミはLをにらみつけた。あの時のように……

「それはね……私から説明するわ。私はレイと結婚の一歩手前まで話は進んでいた……だから苗字を変更したの……そしてそれがLに殺されない防御策……そう思わせるのが狙いだった……何も対策せずにL=キラの主張とアマネさんがキラであるという情報を言いに来ないとLは思うでしょう……自分を殺させないための何かを考え付いて対策してくる……そして名前を変えれば殺されない……殺しに必要なのは「名前」だけだから……そして名前が変更した場合は旧姓だろうと殺せない……名前を変えたから殺されないと思っていると思わせる必要があった……そして一度は美空ナオミで書いたが殺せなかったのでしょう……なぜならその時すでに名前は変わっていたのだから……しかしLはすでにそのことも考えて市役所の方から私の今の本名を入手した……そしてLはその時私をいつでも殺せると思ったのでしょう……だから色々と冥土の土産に話してくれたし、殺すのが確定していたから、最初に美空ナオミと書いて殺そうとした方法を私に見せた。しかし、その殺しの方法を見ることでLがどのように私を殺そうとしてるかが分かった……その方法をナオミ・ペンバーでも使うことは分かっていた。どうせすぐに死ぬ人間になら殺しの方法がばれていても関係ないし証拠は全て処分するからLにとって何の不利益は生じない……はずだった……実は私はここに秘密兵器がいるの」

 

ナオミはお腹を指差した。少しお腹が大きくなっている。

 

「デスノートは他人を巻き込む殺しはできない……例えば誰かを操って他のだれかを殺すことはできない……バスジャックを起こして乗客も一緒に死ぬなどもできない……そして私のおなかにはすでに生命が宿っていた……私が死ぬという事はこのおなかの子も死ぬことになるのは明白……つまり私のおなかに子供がいる限り、私は殺されない……そう、L、あなたはこれからの未来を創り支えていくまだこの世に誕生していない希望に負けたの……」

 

Lは理解した……確かにデスノートは他人を巻き込む殺しは出来ない……そしてもしあの時子供がいたなら例え本名を知って顔を知っていても殺すことができない……生命を司った母親というのはまさに聖母であったのだ……

 

「L……険しい道のりだった……しかし、ここまでやってこれたのはここにいるみんなのお蔭だ……そして僕はLの口からなぜキラとなり大量の殺人を犯したのかを聞きたい……Lにはそれだけの責任がある」

 

「退屈だったからです……私はLという地位に付いたものの難事件という事件もあっという間に解決し手ごたえを感じることはありませんででした。確かに当初はどんなことも目新しく困難な壁を乗り越えるごとに楽しくなっていくときがありましたが、いつの日か何でもできるようになり何でも買えるようになり何でも命令できるように生きるということが単なる作業のようになり生きる喜びを感じることはできませんでした。そんな折デスノートを拾いました……私は特に犯罪者は悪だから殺すべきという論理はありませんでしたが、人間が次々に死んでいったら人はどう反応するかというのには興味を持ちました。なぜなら今までに任意で人の手を下さずに人が大量に死んでいくということはありませんでしたから。ただ不特定の人間を殺すとなるとなる世界に大混乱が生じます……死刑制度を取る国も多く、犯罪者は死んで償うべきだという意見もあることからまずは犯罪者だけを殺してみたら世界はどう動くかということに興味を持ちました。果たして犯罪者が裁かれることで犯罪を犯そうとする人は減るのかそれとも変わらないのか……などそして上手く人間の増減を操ることができれば世の中に平和と秩序を人為的に作り出せるのではなどと考えたこともあります。ただそれ以上に月君と接点ができてからは私と同等の頭脳を持ち私の領域に踏み込もうとしてくるあなたに大変興味を抱きました……そして命を懸けた心理戦……人生で一番生きたここちを感じました……私の犯したことはこの世界の人間視点では許されない出来事かも知れません……ただ世界の動物たちや植物たち神たちからしてもどうでもいいことなのだと思います……つまりきまぐれ……退屈だったからきまぐれにやっただけなのです……私の考えを理解して貰おうとは思いませんし私は人間ですので人間のルールに則して裁いて貰って結構です……このノートを使うと決めた時からいつかはこの時が来ることは考えていました……むしろ誰かに止めて欲しかったのでしょう……ありがとうございました皆さん、そして初めての友達の月君……」

 

 

このような言葉を残したのちLは獄中に入ったと聞いた。大量殺人を犯していたキラがLだった……そのLの処分をどうするか慎重に判断しなければならない。

 

 

キラが逮捕されたと世界のテレビで報道があり1カ月立ち始めてから少しずつ犯罪が増えていった。

 

女子高生たちがお酒を飲みに行こうとしていたり、塾帰りの浪人生が親が迎えに来るのが遅くて切れていたり、不良少年たちがマフラーをふかしながら迷惑走行をしていたり日常的に小さな悪が増えつつあった。

 

世界は何度も同じことを繰り返し忘れたころに災害はやってくるのだろう。

 

 

そして約1年後の春に大量の集団死亡事件が起きることをこの時誰も知らなかった。




処女作として書き終えることができました。

何かを書くということ自体大学のレポートくらいしか経験していませんでしたが
はじめての物書きをしてみて面白なぁと思う反面途中でめんどくさいなあとも思うようになりました。

文章校正能力は皆無で特に上手くなりたいので小説の書き方的な本を読むことも無ければ
他のうまい小説家の書き方を参考にするということもしませんでした。


そんな小手先なことを学ぶよりもまずは書いてみるというのが自身の成長に繋がると考えたからです。

指摘を受けたこともありますが地の文が薄い……その通りです。

処女作を書き終えたことで反省点なども色々でてきたので
できる範囲で修正しながら次回作について書いていこうと思います。

応援してくださった方本当にありがとうございました。



この作品についてですが


リュークの登場が少なすぎました。前半はリュークも会話に参加していますが後半はほとんど喋っていません。

IFシリーズなら

ノートだけLが拾って、リュークはライトにつくという話の方がより原作に近かった気がします。


理由づけとしては元々夜神月がキラであったがもしお前以外の人物がキラだったときの話が見てみたかったので時が戻ったみたいな設定にしてノートの所有者に死神がつくというのは任意という設定にでも代えればより原作ベースで話が進めたのかと思います。


最後のトリックに関しては原作では書かれていないですが多分子供がお腹にいた場合その人は死なないんじゃないかと連載中に思っていました。大量殺人をしていたら赤ちゃんがいる女の人だっている訳だから赤ちゃんがいる母親は死なないとか逆に赤ちゃんは人間としてみなされないのにお腹に子が宿っていても死なないみたいなエピソードは本来どっかで通過してると思うんですよね……まぁ腐ってもジャンプそんなことは書けないでしょうが……

この連載当時に考えていたトリックを最後に利用しLを追い詰めようと思っていたので使う事にしました。

Lを追い詰めたのはまだ生まれてない子供……なかなかいいんじゃないかなと思ったのです。


このお話はもう少し文章構成能力がついたら修正したいと思います。

次回作は、獄中からスタートします。



最終回まで読んで下さった方ありがとうございましたー。
感想などを頂けたら嬉しいです。



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