超次元ソードアイズ ネプテューヌBS (アポロ雄将)
しおりを挟む

予告編 魂次元ライダーネプテューヌBS

 新たなスピリットがネプテューヌ達の戦いを激しくする……!


 12本の剣刃が揃って時が流れ――――――――――――ゲイムギョウ界に新たなる闘いが繰り広げられる!

 

 

 

 序章 始

 

 

 

 そしてこの世界に存在する4つの国を守護する四女神の一人――――――革新する紫の大地【プラネテューヌ】を統べるネプテューヌ―――――――――又の名はパープルハートを先頭に現在、【スピリット問題】を解決してこの世界生きるスピリット達と向き合いながら共に日々を過ごしていた。

 

 だがそんな中、異世界からの侵略者に送り付けられた多くの兵器により世界は再び混乱を招いた。

 

 「なんなの!?このスピリットは!?」

 

 ラステイションを統べる女神―――――――ノワール、又の名はブラックハートは侵略者の兵器と戦うが――――――

 

 『このスピリット……まるでスピリットじゃないわ!』

 

、かつて共に戦ったブラックハートのパートナー【闇皇ナインテイル・ダーク】の力でスピリットを撃退しようとするが―――――――そう、今戦ってるスピリットは通常のと違うスピリットだった。

 

 『わたし達たちはこの世界の技術を密かに吸出し、さらに今まで吸い出した技術とスピリットを融合したことで新たなスピリットを生み出したのです』

 

 「んなことが出来るのかよ……ッ!?」

 

 衝撃の真実に驚愕するのはルウィーを統べる女神、ブラン――――――――――又の名はホワイトハートだ。

 

 『これでは歯が立たぬぞ……!グリーンハート殿よ!』

 

 リーンボックスを統べる女神、ベール―――――――――グリーンハートの名を呼んだのは、パートナーの【黒蟲魔王ディアボリカ・マンティス】だ。

 

 今まで以上に比べ物にならない敵、ドーパントは女神達が持つカードでは遥かに桁が違うのである。

 

 「試しにわたしのコピーを使いましたが、わたし以上の力を引き出せるコアは凄いものだ」

 

 女神達を圧倒させたスピリットを操ったのは加頭ジュン――――――――この問題の元凶となる組織の使いの一人だ。

 

 「あとはソウルコアを手に入れることが出来たら、仮面ライダーを跡形もなく消し去ることが可能のはず」

 

 「ソウルコア……仮面ライダー……?わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ!」

 

 「その様子じゃソウルコアがないみたいですね。でも今のあなた達には関係ないか」

 

 そう、この世界ではソウルコアと呼ばれるコアは存在しないのだ。

 その原因はわからず、ネプテューヌ達でも存在が明確ではない。

 

 「くそっ、言いたいことだけ言いやがって」

 

 「さて、そろそろお暇しなくては次の計画に間に合わないのでここで始末してしまいましょう」

 

 男はさらに2枚のカードとメモリースティック型のデバイスをポケットから2本出し、そのデバイスに搭載するスイッチをカチッと押した。

 

 『テラー!』

 

 『ユートピア!』

 

 するとカードにデバイスを挿し込み、そのカードはを媒体にして召喚される。

 

 「フッフッフッフ……」

 

 テラーが媒体にしたカードは頭に青い大きな王冠にマントを覆った怪人に実体化する。

 このスピリットから感じるオーラはまさに恐怖そのもの。

 

 「フンッ!」

 

 一方、ユートピアが媒体にしたカードは理想郷という概念を現した怪人に実体化している。

 先ほど相手にしていたのはこの怪人。スピリットをベースにしたプロセッサを装備していても四女神は倒せなかった。

 

 「くっ!」

 

 パープルハートは歯を食いしばり、悔しさを拳に込めてアスファルトに叩く。

 何度も味わったこの絶望感に屈した女神達はもはや勝ち目はない。デッドエンドを迎えようとしたその時、不思議なことが起きた。

 

 『サイクロン!ジョーカー!』

 

 先ほどとほぼ同じ音声が戦場に鳴り響く。ジュンはまだドーパントを召喚するのだろうか。

 

 「ん!?」

 

 いや―――――――――――

 ジュンは戸惑っている。確かにジュンの手にメモリはない。じゃあ誰がメモリを使うのだろうか。

 

 「まさか増援か……!?」

 

 その言葉の次の瞬間、疾風と切り札の正体が目の前に現れる。

 風向きが変わり、その方向へネプテューヌ達が振り向く。

 その視線の先には体が左右2色に分かれた怪人らしき者がバイクに乗ってこちらへ向かって行く。

 

 「緑と黒……なんなのあれは?」

 

 ネプテューヌは初めて見る怪人に戸惑う。あれはゲイムギョウ界には存在しないものだ。

 

 そして緑と黒の怪人はネプテューヌ達を飛び越え、テラーとユートピアに突進する。

 

 「がはっ!」ぬぅ……!」

 

 突進を食らった二人の怪人は耐え抜く。

 

 「まさかこんなイレギュラーが出て来るとは……!」

 

 ジュンはこの戦慄に声が震える。こんな事態、誰が想定していたのやら。

 

 「味方……なのか?つーか、緑と黒ってことはバールとノワールの影響で作られたもんじゃねぇのか?そうだとすりゃ面白れぇスピリットが出来たもんだな」

 

 ブランは冗談交じりに仮説を語りだす。

 確かにスピリット問題が終わった影響でこの怪人らしきスピリットが誕生したのかもしれない。

 

 「だからってこんな半分こ怪人が誕生するわけないじゃない!」

 

 ノワールはブランの仮説に否定する。

 

 「でも一理ありますわね」

 

 ベールの方は肯定する。これで賛否両論だ。

 

 「んなわけねーだろ?それ以前に怪人って表現は間違えているぜ?」

 

 青年らしき声がブランの仮説を否定する。

 だがどう見ても怪人にしか見えないノワール達は呆れる。

 

 「あなた達はどうやってここに……!?」

 

 ジュンは困惑しながらも質問をする。

 あなた達―――――――という表現にブランは疑問に抱いた。

 今来たのはたった一人、なにかが引っかかるのだ。

 

 「ディメンションメモリの影響でここに来ることが出来たんだ。というよりも、ここに飛ばされたと言った方が合っているね」

 

 半分こ怪人から少年の声が聞こえ、緑の部分の赤い目は喋っているのと合わせて点滅している。

 

 「なあ、お前は一体何者なんだよ?」

 

 ブランは半分こ怪人に聞く。なにか答えてくれると判断したのだ。

 

 「俺たちはW」

 

 「二人で一人の仮面ライダーさ」

 

 そう、彼らは仮面ライダーW。2本のメモリーキー、通称ガイアメオリを使って変身する風都の仮面ライダーだ。

 

 「自己紹介も済んだところだし、久しぶりに行くぜフィリップ」

 

 青年が少しワクワクしながら少年―――――――――フィリップに呼びかける。

 

 「あぁ、翔太郎。この世界の初陣で負けたりしないでくれよ?」

 

 フィリップは青年—――――――――翔太朗をからかうように言う。

 

 「なんだよ、俺たちはこんな奴らに負けたりはしねぇって」

 

 翔太朗は自信満々で勝利を宣言する。

 彼らは一度――――――――いや、何度もドーパントの戦いに挑んでいる。何か問題が起きない限り負けはしないだろう。

 

 『さあ、お前の罪を数えろ!』

 

 二人とも息を合わせ、いつもの決め台詞を決める。

 

 「この隙に戦線離脱をしてみましょう」

 

 ベールはこの状況を見て提案をする。ドーパントに打つ手がない状態ではWの足を引っ張ってしまうと考えたのだろう。

 

 「そうね、ベールの言う通りここは逃げましょう」

 

 ノワールは冷静に判断し、ここは退くことになった。

 

 「おい!お前らも戦えよ!」

 

 翔太朗はこの場の展開に予期せず、ツッコミを入れた。

 

 「仕方ないだろう?今の彼女たちじゃ戦えない状態なんだから」

 

 フィリップは彼女たちの状況を把握しているうえで翔太朗に言う。

 

 「はぁ……わかったよ。準備してから戻ってこい!」

 

 

 序章 終

 

 

 

 

 

 

 

 中章 始

 

 

 

 プラネテューヌ教会に戻り、ネプテューヌの部屋でスピリット問題の解決に協力したBANG・DAI NAMCO Corporation(バンダイナムココーポレーション)現社長ナムコを呼び出す。

 

 彼女を呼び出したのはドーパントの対策を取るためだ。

 

 「ドーパントねぇ……まさかあんな奴らをスピリットにしちゃうなんて恐ろしいもんね。財団Xは」

 

 ナムコはドーパントの事や財団Xについて何か知っている様子だ。

 

 「なんか知ってんの?」

 

 ネプテューヌは質問する。

 

 「わたしに質問するな、なんて今は言えないわね。まあ、多少よ」

 

 軽く冗談を言ってナムコはホワイトボードの前に歩き出す。

 

 「と言ってもあいつらが言ったことだけしかわかんないわ。財団Xがここに来るなんて思わなかったし、興味なかったわ」

 

 財団Xの存在は知っていたものの、詳しいことはわからないようだ。

 

 「あいつらが言っていたのはガイアメモリとかそういうのをコピーしている作る死の商人と呼ばれてるってことだけね」

 

 ナムコは見た目の年齢に似合わないくらいの険しい顔で考える。

 

 「まさかカードの生成方法までコピーして新しいスピリットを生み出すことができるってなると厄介ね」

 

 これまでにはないスピリット絡みの問題が出来たのは初めてかもしれない。そう考えたナムコは―――――――――――――

 

 「目には目を!新しいものには新しいものを!わたし達も作るわよ!」

 

 ナムコの思い切った決断ネプテューヌ達は驚愕する。

 

 「そんなことをしたらこの世界のバランスが崩れる可能性があるわ。それでもやる気なの?」

 

 ブランは冷静に現実的なことを突く。

 

 「あいつらのやり方は自分の手でスピリットを作っている。でもあいつがいなくなってからスピリットの生成が増えてこの世界もグラン・ロロに似る世界になったわ」

 

 財団Xが使っているのは人工スピリット。いくらでも作れるが環境のバランスが生じる。

 だがこちらが作るのは―――――――――

 

 「この世界の力を利用して新しいカードを作るわ!」

 

 ネプテューヌは唖然とする。だがそれ以外は―――――――

 

 「要はこの世界の理論で作る、つまり天然のスピリットね」

 

 ブランはナムコの考えていることをネプテューヌがわかるように解釈する。

 

 「よくそんなことが思いつくわね。でも原理が分かったとしても財団Xに勝てる保証は?」

 

 新しいスピリットを作っても天然であるため、なにが出来るかわからないからドーパントを倒せる保証はない。

 普通じゃこの質問されたらぐうの音も出ない。だがナムコは―――――――――――――

 

 「あるわ」

 

 たっぷりの自信でナムコは答えた。

 

 「仮面ライダーを利用するわ」

 

 

 

 財団X再戦編

 

 

 「今の君達では勝てないことを知ってここで来たのかね?」

 

 テラードーパントは余裕で言う。

 

 「いいえ、今とっておきの切り札を持っているから今回のわたし――――――――いや、わたし達は違うわ!」

 

 ノワールはデバイスにデッキを装填する。

 

  『W MODE(Wモード)!』

 

 ノワールの腰に二つのコネクタが搭載された赤いベルトを巻かれる。そして――――――――

 

 『ジョーカー!』

 

 いつの間にかノワールの右手に黒いメモリーキーを持っていた。

 

 「準備はいいかしら?……えぇ」

 

 独り言―――――――いや、誰かに話しかけているように見える。ナインテイルなのか?

 

 「変身!」

 

 右手のメモリーキーを左に向き、右手はベルトに手を添えて何かを待っている。

 

 するとどこからか緑のメモリーキーがベルトのコネクタに半挿し状態でこちらにテレポートされた。

 ノワールはそのメモリを完全に挿し込み、黒いメモリーキーをもう片方のベルトのコネクタに挿し込む。

 ベルトを展開させ、そのベルトはWの文字が描かれる。

 

 『サイクロン!ジョーカー!』

 

 ノワールを包む風がプロセッサユニットの一部を生成及び装着して右半身緑、左半身黒に染められる。

 

 「ほう……こちらの世界のWかね?」

 

 テラードーパントの言う通りまさにこの姿は仮面ライダーW—―――――――だが本来のWとは何かが違う。

 そう、Wは変身したら全身スーツであるがノワールは従来の人の姿だ。だがこれは女神化じゃない。

 女神化と違う点はウイング、レッグ、アームのみ人間に装着しているカードバトラーとしての姿だ。

 

 「いいえ、今は二人で一人の女神よ?」

 

 そう、今のノワールは一人じゃない。

 

 「「さあ、あなたの罪を数えなさい!」」

 

 

 

 その頃、ブランは――――――――――――

 

 

 「さあ。実験を始めましょう」

 

 『BUILD MODE(ビルドモード)!鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!』

 

 赤の兎の能力と青の戦車の能力を秘めたプロセッサユニットを装着する。

 

 「なぜお前がビルドのの力を使える!?」

 

 仮面ライダーローグはボロボロになりながら想定外の事態に混乱する。

 

 「答えるまでもないわ。そもそも、あなた仮面ライダーなのにあんな奴に手を貸すのかしら?」

 

 ブランはこの状況をローグに問う。

 

 「かつて、ビルドの力を持つ男に俺は2度、3度も負けて失望した……!だから俺は財団Xについて行った!この次元で俺はすべての国をこの手に掴み、この次元を統一させる!」

 

 ローグの荒げた声からあふれ出る屈辱がブランに伝わる。

 

 「そう、だから何?」

 

 

 ベールの方では――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「2人同時に相手するのは厳しいですわね……!」

 

 カードバトラーの戦いは基本一騎打ちが基本の為、2対1のグリーンハートにとって不利な状況だ。

 

 「確かにそのようね。でもまさかお姉さまと一緒に戦うことになるのは最悪ね」

 

 土で固めて作られた少女の人形—―――――――クレイドール・ドーパントが不機嫌になる。

 

 「えぇ、護身用の玩具(玩具)に逆戻りしたクレイドールの妹と一緒にいるのは少し不安ね」

 

 赤い魔女――――――――タブー・ドーパントが不満を吐き出す

 

 「ちっ、相変わらずお姉さまの言葉は苛立たせるわ!」

 

 この二人は見ての通り姉妹――――――なのだがどう見ても不仲である。

 

 「でもそんなこと言ってる場合じゃないわ、さっさと片づけましょう」

 

 クレイドールの腕に搭載されている火球を撃ち放とうとする。だがその時―――――――

 

 「ちょっと待ったぁ!」

 

 少年の声が辺りに響き渡り、空から紅い鎧を纏う少年が降って来た。

 同時に少年が持つ薙刀を縦に振ると、クレイドールから放とうとした火球の標準が地面に向けて暴発してしまう。

 

 「一体何が起きたんですの!?」

 

 突然の状況に理解が追い付かないベール。だがこれだけでは終わらない。

 

 「うわああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 爆風から少年が飛んできて、ベールに体当たりをしてしまう。

 ベールは受け止めようとしたが衝撃に耐えられず、転がる。

 

 「痛ぇ……お、おい!大丈夫か!?」

 

 少年はすぐにどけて状態を確認する。

 

 「大丈夫ですわ……これくらい。それと、鉄砲玉のような戦い方していますと今のようなことが起きかねませんわよ?」

 

 「あっ、はい」と少年はあっさり素直に返事をした。

 

 「うぅ……!」

 

 煙が去るとクレイドールの右腕が粉々に砕けてしまったがその破片が左腕に集まり、何事もないように修復された。

 

 「嘘だろ……?」

 

 この能力を見た少年は唖然とする。

 

 「邪魔しないでよ……もうすぐで仕留められたのに!」 

 

 クレイドールはさらに苛立ちを見せる。

 

 「おい!2対1とか卑怯だろ!正々堂々と戦えよ!」

 

 「本当はそうしたいけど、簡単に『はい、そうですか』と従うわけにはいかないわよ」 

 「ゲイムギョウ界に来たからには勝たなきゃ気が済まないの!」

 

 ドーパント姉妹は強い意思で語る。

 

 「えっ、ゲイムギョウ界……!?まさか俺、異世界に来たのかよー!?」

 

 少年は驚きながら絶叫する。

 

 「まさかこの人も異次元から……?」

 

 ベールは少年に問う。

 

 「みたいかな?まさかあのメモリーキーが異世界への入り口になっちまうなんてよ」

 

 どうやらこの少年もディメンションメモリの影響でゲイムギョウ界に来たようだ。

 

 「あなたは一体何者なの!?」

 

 クレイドールが少年に質問をする。

 

 「俺は高坂穂乃村(こうさかほのむら)(いくさ)を極め、天下を取る男だ!」

 

 タブーはすぐさま光弾を放つ。

 その直後、薙刀で弾いてクレイドールに攻める。

 

 「まさかあなた一人で戦うつもり?2対1は卑怯だって言ったのにまるで自分はいいの?」

 

 後ろにタブーが回り込み、光弾を再び放つ。

 

 危険を察知した穂乃村はしゃがみ込み、光弾避ける。

 その光弾はクレイドールに当たり、体を回して薙刀でドーパント姉妹を振り払う。

 

 「あなた達カードバトラーは2対1が不利のはずなのに……どうして……!?」

 

 タブーはこの状況に困惑する。

 

 「教えてやる!俺のスピリットは2対1でも屈しないスキル、【連刃】がある!」

 

 【連刃】—―――――――――一部のスピリットが持つ特殊効果だ。

 これによって複数人相手にしても、不利にならない。

 

 「まだまだいくぜ!」

 

 振り払って隙が出来た瞬間、刃は炎を纏い素早くドーパント姉妹姉妹を斬る。

 

 「そ、そんな……!?」

 

 「砕けない……!?」

 

 ドーパント姉妹はさらに困惑する。

 

 「タブーは純粋な破壊って言った所か。そしてクレイドール、お前は球切れで自己修復は出来ない!」

 

 クレイドールは衝撃の言葉で混乱する。

 

 「ウソよ……前の世界じゃ何度でも自己修復が出来たのに!」

 

 「まだわからないですの?スピリットには弱点があるってことを」

 

 「スピリット……?」

 

 「まさか、自分の事何も聞かずに戦いに来たのか?」

 

 スピリットのクレイドール・ドーパントはカードがなければ自己修復が出来ない。本来なら召喚したカードバトラーがカードを消費しなければいけない。

 だが、離れることを予測したカードバトラークレイドールの中にカードを内蔵させたのだろう。

 

 「そういうことよ。大人ってものは本当に勝手な都合で自分の限界を決められるんだから」

 

 タブーは自分がスピリット――――――――いや、こうなることすらわかっていたかのように言う。

 

 「それに……知ってる?スピリットは人間の記憶と想像の欠片を混ざり、具現化したものよ」

 

 「つまりわたしたちは所詮偽物ってわけね……」

 

 「辛い現実よね?こんな現実が嫌でも突き出されるのだから」

 

 タブーは消滅し、カードとコアと破壊されたガイアメモリだけが残った。

 

 「……お姉さまのバカ」

 

 タブーに続いてクレイドールも消滅した。

 

 「現実……嫌な言葉ですわね」

 

 「……あぁ」

 

 

 

 

 

 一方、ネプテューヌは――――――――――――――

 

 

 

 「わたしはここで……諦めない!」

 

 『DECADE MODE(ディケイドモード)

 

 デバイスにデッキを差し込むと、白い変身ベルト―――――――――――ディケイドライバーが腰に巻かれる

 ネプテューヌはベルトにかけられているライドブッカーからディケイドのカードを出す。

 

 

 

 「変身!」

 

 『KAMEN RIDE……DECADE!(カメンライド ディケイド)

 

 ベルトが鳴ると同時に女神化を行い、マゼンダカラーをベースにしたバーコード型のプロセッサユニットが装着される。

 

 ライドブッカーのギミックが本能に伝わり、剣に変形させてドーパントに斬りつける。

 

 その斬撃を食らったドーパントは、シャイニング・ドラゴンをベースにしたプロセッサよりもダメージは大きかった。

 

 「効いてる……!これなら倒せる!」

 

 『ATTACK RIDE……SLASH!(アタックライド スラッシュ)

 

 ライドブッカーの刃は光り、ネプテューヌは敵に集中して斬り込む。

 

 「これで決まりよ!」

 

 

 

 

 

 魂次元ライダーネプテューヌBS 2070年4月17日連載開始!

 




 というのは嘘です!
 どうも、アポドラに改名したばかりのアポロです。改名してもこのサイトでは今後はアポロ雄将で居続けますので改めてよろしくお願いいたします。
 今回は仮面ライダーとバトスピがコラボしたというので2月から書いていました。本当はエグゼイドとか出したかったんですが、収録カードの関係でWに変えました。
 仮面ライダーWは見ていたんですが、中々覚えてなくて調べて思い出すのに苦労しました。
 あと、仮面ライダーローグ及びげんとくんを何故出したのかというと……収録カードになかったからおまけ程度に出しました!げんとくんが収録しなくて残念です!スタークも出しても良かったのに!
 でもてんこ盛りフォーム2枚の中、1枚がパラレルだったのでひとまずOKとします!
 あとエイプリルフールだから全部ウソだと思っているアナタ、じつはこの中に伏線があるのでネプテューヌ編が完結したら改めて読んで下さい!それではまた!ターンエンド!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1Nep「共鳴する魂」

 本作は、ソウルコロシアムの番外編であり、独自の設定が山ほどあります。それが苦手な方はブラウザバックを衝突します。


New Game

 

 さてさて、始まりましたー!私のエピソードだよ!

 ―――――――え?私が主役なら別の作品でやれって?

 わかってないなぁ、このソウルコロシアムシリーズはソードアイズ編の主役はわたしに選ばれたからわたしが中心に進むんだよ!

 

 「へぇ~、じゃあどうしてmk2の主役はあなたじゃないのかしら?」

 

 黒髪のツインテールのぼっち女神のノワールは呆れたかのように言った。

 いやいや、mk2は色んな事情があったからネプギアに譲った訳だし、でも神次元になってから主人公は私に戻ったから……え?今回はネプテューヌだけが主役じゃない?そもそもネプテューヌ以外にも話しを作るって?

 

 えぇ~!?それは聞いてないよ!え?今どうなってるか話せって?もうせっかちだなぁ。

 

 突然だけど今、わたし達……いや、ゲイムギョウ界がピンチだよ!だって、クザラット工場という廃墟型ダンジョンに魔王を倒すことが目的のゲームのスライム型モンスターが突然変異で剣のような鋭い羽が生えてちびっこいドラゴンになったり、ドット風のマスコット的な鹿が老けたタンポポとウサギになったりこれは完全に世界に異変が起きてるよ!!

 

 「それにしても倒してもキリがないわね。なにか弱点があればいいけれど」

 

 「それなら私に任せて!こういう時こそ主人公が弱点を見抜けられるんだよ!」

 

 私は集中を高めてモンスターの弱点を探った。

 

 そして数秒後……。

 

 「ごめん、無理だった」

 

 ノワールは「信じた私がバカだったわ!」との言葉と一緒に私の頭を手の平で叩きだした。

 

 「いったーい!もうノワールってばムキになりすぎだよ!大体味方に攻撃するのは混乱状態になった時だけだよ!やって欲しくないけど!」

 

 「あなたの頭が混乱してるから私が我に返させたのよ!」

 

 さすがノワール、ツッコミが通常運転だよ。

 

 「こうなれば武力行使で片づけるわ!アクセス!」

 

 ノワールは掛け声と共に、光に包まれ姿を変えた。

 女神には二つの状態があり、先ほどまでは人間だったけれど、今のノワールは女神化状態になっている。その姿は銀髪に変わり、黒をベースにしたレオタードに、さらにおまけとしてメカメカしい装甲、プロセッサユニットを装着した。そう、女神化することで、ステータスがアップするのだ!そして、女神化した彼女にはもう一つの名前がある。その名は『ブラックハート』!ラステイションの女神だ!

 って、ナレーション風にやってみたけどどうかな?

 

 「いつまでぼけ~っとしてるかしら?この連中を片づけてさっさと会議を行わなきゃこの世界は終わるわよ!」

 

 「おっとそうだった、私も女神化しないと」

 

 一応説明しとくけどわたし、プラネテューヌの女神なんだよね~。まぁ、女神らしくないって言われるのがオチだけどねー。

 

 ん?ノワールの後ろになにかが向かってる?いや、これ疑問系じゃなくて『本気』と書いて『マジ』だよ!

 

 「ノワール!後ろー!!」

 

 「ネプテューヌ!いつまでもふざけてないで女神化し……!?」

 

 いきなり光弾みたいなのがノワールが振り向いた瞬間光弾をまともに受けてしまい、ノワールは吹っ飛ばされた。

 

 「ノワール!」

 

 落ちて来るノワールを受け止め、わたしはノワールを呼びかける。でも、返事がない。

 

 「い、いきなりなによ……!?」

 

 ホントだよ!後ろから攻撃してくるなんて御法度だよ!

 

 「さすが異世界の力。たった一枚のカードで女神にこれほどのダメージを与えるとはな」

 

 野太い声で感心するのは太った黒いジャケットを着てる中年のおじさんだ。えっ誰……?

 

 「さっきの光弾、まさかあなたが……!?」

 

 ノワールはこのおじさんが誰か知ってるそうだよ。まさか最近ラステイションのシェアが激上がりしてるのは毎日ノワールがおじさんと夜な夜ななことを――――――――

 

 「してないわよ!売春なんか絶対にしないわ!」

 

 「ねぷぅ!?また読まれた!?」

 

 「……なあ、漫才を続けてると話が進まないんだが……」

 

 黒いジャケットのおじさんが困ったそうな表情で言う。

 

 「あっ、すっかり忘れてたよ。ノワールにどうして攻撃したの!?」

 

 「……お前たちに説明する必要があるようだな。俺はこの世界に不満があった、何故不満を持ってまで生きなければならないのか……」

 

 なんか無理矢理シリアスに戻そうとしてるけど、大丈夫なの?

 っていうか、もう第1話書き直したのは3回目だよ?

 

 「この不満を消すにはどうすればいいのか……それがあのスピリットという種類のエネミー、それと……スピリットを封じ込めたこのカード」

 

 おじさんはわたしたちにBSと書かれた紋章を真ん中に黒いカードを見せびらかす。

 

 「このカードは【スピリット】を封じ込めた一枚の紙切れ。このカードで【スピリット】同士戦わせ、異次元の人類はその戦いを……【バトルスピリッツ】と呼んだ」

 

 「【バトルスピリッツ】……?それとこの現象となにが関係してるのか理解できないわ……」

 

 「まだわからないか……。このカードには女神でさえも超える力を秘めてる……つまりだ……これを知った人類は40枚以上のデッキを作り上げ、世界を手に入れようとするということだ」

 

 「嘘……!?カードだけで女神を超える……!?」

 

 もしこの話が本当なら、女神を必要としない世界が出来ちゃうってこと……!? 

 

 「……そんなバカげた話、誰も信じたりしないわ……!」

 

 ノワールはその説を否定し、ダメージがまだ回復してないにも関わらず立ち上がる。

 

 「信じないのなら……見せてあげよう」

 

 おじさんが内ポケットから出した右手に持ってるカードと左手に透き通るような青い石が4つ。

 石とカードが光だし、石は輝きを失いカードは消滅する。

 その直後、ノワールとわたしの下から茨が生えわたし達を包むドームが生成された。

 

 「こんなもの……すぐに斬れば時間稼ぎにもなら……!?」

 

 ノワールが斬り込もうとした瞬間、わたし達に疲れが襲い掛かり、わたしたちは意識を朦朧とする。

 

 「一体なにが起きてるの……!?」

 

 「【スピリット】以外にも、【ブレイヴ】、【マジック】などの種類があり、それぞれ役割がある。その茨で出来たドームはマジックカードによるもの、マジックは一度っきりだが強力な力を秘めている」

 

 そんな……カード一枚でこんな力が……!

 

 「そのマジックは【ソーンプリズン】、茨から発散する目では見えない粉末は肉体を疲労させる効果がある。実に強力だ」

 

 「確かにこれは強力だよ……。力が入らない……よ……」

 

 ダメだ……喋るだけでも疲れる……。

 

 「【バトルスピリッツ】があれば世界を変えられる……。君達が目覚めたころにはもうラステイションは俺の手の中だ。まずはラステイションから変えるとしよう」

 

 その言葉を言い残し、わたし達に背を見せて去ろうとした。

 

 このままじゃラステイションだけじゃなくゲイムギョウ界までが……早く……止めないと……。

 

 その心を強く、立ち上がろうとしたけど全く力が入らない。

 

 もう……動け……な……。

 

 

 

 わたしはもう、起き上がる力さえも出ず、静かに眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――君の力はそんなものなのか?

 

 

 

 

 

 

 ここは一体?わたしが目にした光景は廃墟じゃなく、多くの剣が岩に刺さってる荒地―――――いや、剣の墓場と言っても過言じゃなかった。

 

 『君はここに来るのは初めてだろう』

 

 鋭いイケメンボイスの主は膝、胸、頭に鋼鉄を身に着けてる赤き鱗を纏った竜人だった。

 

 「君は?」

 

 『わたしは赤き龍のスピリット、【輝龍(きりゅう)シャイニング・ドラゴン】だ』

 

 スピリット!?待って待って待って!まだ戦う準備が出来てないよ!

 

 『待ちたまえ、わたしは敵ではない』

 

 「敵じゃない?じゃあ味方?」

 

 『立場的にはそうだ。とりあえずわたしの話を聞いてほしい』

 

 この竜はなにか不思議な力を感じる……。

 もしかしてだけどこの異変に関わることなのかもしれない。そう考えれば……。

 

 「わかった、手短にお願いするよ」

 

 わたしはシャイニング・ドラゴンと名乗る竜に耳を傾けることにした。

 

 「わかっていると思うが、君だけではヤツを倒すことはできない」

 

 そんなことはわかってるよ。でも戦わなきゃラステイションが……。

 

 『そこでだ。目には目を、【バトルスピリッツ】には【バトルスピリッツ】だ。わたしも力を貸そう』

 

 来たぁ!序盤のテンプレ!

 見た目はエンシェントドラゴンみたいに筋肉質じゃないけど、期待はしてもいいんだよね!

 でもさぁ……思ったことがあるんだけど――――――――

 

 「わたし、わからない場所で君と会ってるからあそこに戻ったら貸せないんじゃ……」

 

 『その点については問題ない。今の君の状態は夢を見てる、その夢に入り込みこみ、語り掛けてるんだ』

 

 女神もスピリットも心を覗けるの……?このシリーズ……。 

 

 『だが貸す前に名を聞きたい。これから共に戦う仲だからな』

 

 あぁ、そういえばまだ名乗ってなかったよ。

 

 「わたし、ネプテューヌ!プラネテューヌの女神なんだ」

 

 『あぁ、よろしく頼む。ネプティーヌ』

 

 ネプテューヌだよ!確かにわたしの名前は呼びにくいんだけど、パートナーになるんだからちゃんと言えるようにね?

 

 「時間がない。君の後ろに刺さってる錆びた剣を引き抜き、新たな力を手に入れるのだ!」

 

 錆びた剣を探すべく、周りを見渡し岩場に刺さる輝く剣の中一本だけ錆びて輝きを失った剣が一本だけあった。

 

 これを抜けば……力が……!

 

 シャイニング・ドラゴンの言う通り剣の持ち手を握り、錆びた剣を抜いた。

 

 その錆びた剣は光を放ち目の前が真っ白になった。

 

 ―――――――――――――っ!

 

 わたしはふと気が付き、精神を集中させ姿を変える。

 その衝撃で茨は吹き飛び、わたしの行動を制限する障害をなくした。

 

 『ネプテュース……なのか?』

 

 『だからわたしは……いえ、今はプラネテューヌの女神パープルハートよ』

 

 『最近の人間は変身が出来るのか……』

 

 正確には【女神化】よ。わたしの姿は普段の子供の体とは異なり、全くの別人と言われるレベルよ。

 

 右手になにか違和感を感じ、見てみると40枚のデッキがわたしの手に握っていた。

 

 『それが君の使うデッキだ。これぐらいあれば今は十分でだろう』

 

 これが……わたしが使うデッキ……。

 

 『これで私の力を貸すことが出来るようになった。さぁ、私の力をイメージするのだ!』

 

 ドラゴンのイメージ……私はシャイニング・ドラゴンのイメージを脳裏に浮かる。

 その瞬間、プロセッサユニットがドラゴンの色に変わり、胸当て、肩当て、膝当てが自動的に装備される。

 

 「プロセッサユニットが変わった……!?」

 

 『本来、【バトルスピリッツ】はスピリット同士戦わせるのが一般的だがこれは違う。実体を持つ魂と実体を持たない魂が共鳴し、強大な力を生み出すものだ』

 

 魂同士が共鳴し、力を生み出す……これがスピリットの力……。 

 

 デッキを入れるホルダーから一枚のカードが自ら出て行き、太陽の光から錆びた西洋の剣が降って来て私の目の前に刺さる。その瞬間、剣の錆びが崩れるように取れ輝く聖剣の姿へ取り戻した。

 

 『それは【輝きの聖剣シャイニング・ソード】だ。わたしの能力は【ブレイヴ】というスピリットの生きる装備品を無償に召喚する能力を持っている』

 

 「生きる装備品?」

 

 『【ブレイヴ】についてあとで説明しよう。さぁ、剣を今一度抜くんだ!』 

 

 言われた通り、再び輝く聖剣を抜く

 抜いた瞬間、聖剣は光り東洋の刀に変形する。

 

 『【輝きの聖剣シャイニングソード】が片刃の剣刃(つるぎ)に……!?』

 

 シャイニング・ドラゴンが驚いてる……?いや、まずは奴を止めないと!

 

 プロセッサのウイングを利用し、わたしは低空飛行でジャケットの男を10秒で追った。

 

 「……ん?まさかお前も女神だったとは……。しかも手に持ってるのはソードブレイヴ……いや、それの進化形―――――」

 

 ジャケットの男がブツブツ言ってる間にわたしは斬りかかる。が、男はこの斬り込みを避けられ髪だけが斬られた。

 

 「無駄口ばかり言ってると、命はないわ」

 

 ドスの聞いた声でわたしは男に警告する。

 

 「まあいい、お前が女神だろうと関係ない。その剣を貰おうか。【ストームアタック】!」

 

 ジャケットの男は足に風を纏い、わたしに蹴りを入れた。

 

 その蹴りは【ソーンプリズン】と同じように疲れが襲う。でもこんなところで負ける訳にはいかない! 

 

 『その意気だ!ネプテューヌ!その意志の強さがカードに対する強さになる!』

 

 だったらなおさらのこと、ここで斬り込む!

 蹴り込んだ足をがっちり掴み、片手に刀をしっかり握る。

 

 「はああぁぁぁ!!」

 

 男の肉体を斬り込んだその時、金属を叩いた感覚を得た。

 

 「これは……!?」

 

 布の切れ目から機械が見える。でも機械ならこの攻撃で壊れるはず。

 

 「悪いな、俺は人造人間だから並みの人間のように軟じゃないんだ」

 

 そんな……人造人間だなんて予想外よ……!

 

 「俺を倒せばすべてが終わると思っているだろう?それは大きな勘違いだ」

 

 「大きな勘違い……?じゃあどうして【バトルスピリッツ】に関することを知ってるのかしら?」

 

 「この知識は【バトルスピリッツ】の一部に過ぎない。すべてを知ってるのは……BANG・DAI(バンダイ)だ」

 

 BANG・DAI……?確か株式会社の中に |BANG・DAI NAMCO Corporation<バンダイナムココーポレーション>というのがあるけど、それになにか関連性が……?

 

 「奴はこの力以外にも様々な力を封じてるカードを所持している。俺もBANG・DAIから力を貰った」

 

 『わたしもその男の名を知っている。その男がこの世界で起きる現象の要因の一つなのか?』

 

 男……?BANG・DAIというのは人の名前なの……?

 

 「そこまでは知らん」

 

 「その男は今どこにいるの?」

 

 シャイニング・ドラゴンに続いてわたしも問う。

 

 「わからない。だがお前もカードを持つならばいずれは会う、いずれな」

 

 いずれ……その人がなにを企んでいるかわからないけど、その男を探せば……!

 

 「もういいだろう、その手を離してもらおう……かっ!」

 

 ジャケットの男は足を振り払い、掴んだ手を離してしまった。

 

 その瞬間、ジャケットの男はスタングレネードのレバーを外し空に投げ光を放つ。

 

 視界と聴覚が一瞬妨げられ、治った時には既に男の姿はなかった。

 

 『逃がしたか……』

 

 「そのようね」

 

 ノワールをお姫様抱っこ状態で担ぎ上げ、わたしたちは草原を後にした。

 

 犯罪組織マジェコンヌの事件、タリの事件もこの次元で起きたけど……それ以上の混乱が待っていることに違いないわ……。

 でもどんな難関だろうとわたしは乗り越えて見せる……!シャイニング・ドラゴンと共に!

 

 

 Save The Data……

 

 





 どうも、アポロです。もう第一話書き直すのは3度目ですね……、本当に申し訳ございません……。色々見直しが必要だったので……。
 とりあえず主要人物の名前と一話を変えただけなのでそれ以降のストーリーに影響はないので多分大丈夫だと思います。
 では最新話でお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2Nep「一番いい装備を頼む」 

 ネプテューヌ編書くとカオスが増してなに書いてるかわからなくなる……。一応タグに『他作品ネタ』を付けておくか……。


 NowLoading……

 

 とりあえずラステイションの教会に行ってノワールは無事軽傷で済んだけど本人が……。

 

 「はぁ!?逃がしたぁ!?」

 

 この通りノワールはご立腹。震えながら「う、うん……」と頷き、これまでのことを話した。もしノワールだったらR-18Gみたいな展開が起こってたかもしれないし……。

 

 「あいつ……今度会ったら絶対に逃がさないんだから……!!」

 

 かなりの殺気を感じるからこれ以上は直視出来ないよ……。

 

 『君は大変な友達を持ったものだ』

 

 あははは……そうだね……。って私とノワール友達に見える?

 

 『如何にも』

 

 「やっぱり?でもノワールはぼっちじゃないとなんかキャラとして輝けないような気がするんだよね」

 

 「聞こえてるわよ。そもそも誰と話してるの?」

 

 聞こえないように言ったつもりなんだけどね。

 え?聞こえない?

 

 「ノワールには聞こえないの?ほら!わたし達の新しい仲間、輝龍シャイニング・ドラゴ-ン!」 

 

 テンション高めでノワールにシャイニング・ドラゴンのカードを見せる。が―――――――

 

 「……ネプテューヌ、あなた疲れてるのよ。今日の予定はあれで終わったから泊まっていけば?」

 

 ……なんかノワールに冷たい目で見られた。ノワールにはシャイニング・ドラゴンの声が聞こえてなくてなんか切ない……これがぼっちの気持ち?

 

 『私がカードになってる間は所有者しか私の声が聞こえないのだよ』

 

 そんな!養豚場の豚を見る目で見られたくないよ!

 

 「なによ、せっかく私が泊めてあげるっていうのになによ、その表情(かお)

 

 えっわたし、今そんな表情(かお)してたの?

 そんなことより作者!ソウルコロシアム本編でも似たようなパターンやったじゃん!それの逆バージョンって、ちょっと手抜いてない?もうちょっと凝ったシチュエーションを――――――――

 あれ?今室内なのに空から何かが落ちてくるような気が……。冷や汗を掻いた時、なんか重いコンクリートのようなものが頭にぶつかった。

 

 「ちょっ、ネプテューヌ!?」

 

 「わたし、原作じゃ受け止める方じゃなくて、落ちる方なのに……」

 

 その衝撃に耐えられず、意識が遠退こうとした時、天からの声が聞こえた

 

 「今度文句言ったら、地獄を味わって貰おうか」

 

 一瞬だけど、天からの声の主の黒い笑顔が見えた。あはは……今度から気をつけよ。って言っても、いつかやらかしちゃうパターンだよね。覚悟しなきゃ……。

 わたしはその一瞬の笑顔を見た後、意識が切れた。

 

 

 

 ○

 

 

 ついに私の意識が戻り、見慣れない天井が視界に写った。ここはどこだろうか……。

 

 『君はついさっき意識がなくなって、ノワちゃんが怪我してるのに君を運んだんだ。ノワちゃん、君のことを心配してたぞ』

 

 シャイニング・ドラゴンはわたしが寝てたベットの隣のテーブルに置かれてた。

 あのノワールが私のことを心配したんだ。ノワールが運んだってことはラステイションにいるみたいだね。部屋の雰囲気だってそうだし。ってノワちゃん?

 

 『あぁ、わたしが付けたあだ名だ。あの子ともし話せるようになったら親しくなりたいんでね』

 

 そ、そうなんだ……。流石に主人公であるわたしでもちょっと引いたよ……。

 

 『そんなことよりも、今起きてるモンスターの突然変異だが、原因はわたしたちにも関係があるようだ』

 

 「え?じゃあもう既にストーリーの鍵を握ってんじゃん!もしかしてだけど、番外編だから次話で終わっちゃうパターン?それはひどいよ!」

 

 わたしは涙目でシャイニング・ドラゴンに訴えた。でも相手はカードだから一般人から見てみれば変人だと思われそう。

 

 『……君は何を言ってるんだが……』

 

 シャイニング・ドラゴンは発言に呆れたかのように呟いた。

 

 『おっと、話を戻そう。その突然変異の原因はスピリットによるものだ』

 

 「スピリット?スピリットって日本語で訳すと魂ってことだよね?」

 

 『その通りだ。スピリットを扱う才能がなければモンスター化をしてしまう。君の世界のモンスターが別の生命体に変異したのは見たのだろう?』

 

 確かにわたしは見た。でも、突然変異しただけで様子は変わらなかった。

 

 『それはスピリットの欲が弱すぎて意識を乗っ取ることは出来なかっただろう。最悪、闇のスピリットに意識を取られたら厄介な目に遭う』

 

 「闇?それとなにか関係あるの?」

 

 わたしは『闇』というキーワードに頭の上にはてなマークが出た。なんかここから先、中二臭くなるような気が……。

 

 『そうだ。この世界には光があれば闇も存在する、我々も同じように光と闇が対立してる』

 

 なんかすごい世界だね、わたしの頭じゃとても理解しがたい用語がバンバン飛んできてなにがなんだかわかんない。

 でも、あのモンスターってスピリットって呼んでるんだ。それだけは理解出来てるよ。

 

 『この世界も共通するものが山ほどあるはず。それを例にしてこれからわたしが知ってることを説明してゆこう』

 

 「おぉ!それは助かっちゃうよ!正直言ってわたしだけの解説はちょっと難しかったんだよねー。じゃ、第二解説はシャイニング・ドラゴンよろしく!」

 

 わたしは喜びと目を輝かせ、シャイニング・ドラゴンに期待を寄せた。

 

 『その代わり、一つ条件がある』

 

 「えー条件?そんな硬いことなんかやんないで解説してよー。ねぇ」

 

 シャイニング・ドラゴンの『条件』の一言で期待も失い、輝かせた目も細めた。

 

 『簡単なことだ、この世界に存在する12人の―――――――――』 

 

  シャイニング・ドラゴンが言う条件の内容を言おうとした瞬間、窓ガラスが突き破られる音がした。

 

 「なになに!?まさか少年達が野球してうっかりボールを突き破ったパターン!?」

 

 『早速来たか……闇のスピリット!』

 

 わたしが目にしたのはボールではなく、スピリットが闇のオーラを纏ったトナカイの姿だった。

 

 『ネプテューヌ!デッキを取れ!そのあと、ゲートオープン界放と叫ぶんだ』

 

 「待ってました!!」

 

 わたしはシャイニング・ドラゴンの指示通りデッキを取り、『ゲートオープン界放』と叫び、あの時の装備を身に着けた。

 

 ただし女神化はしてない。

 

 『ネプテューヌ!パープルハートに変身しないのか!?』

 

 シャイニング・ドラゴンは驚いた。なぜならわたしが変身しなくても戦えることは彼は知らないからだ。

 

 「チェストォー!」

 

 異空間から出した木刀でトナカイを叩き飛ばした。

 シャイニング・ドラゴンは驚きで声も出ない。

 

 「ふふーんだ!これくらいは女神化しなくてもへーきだよ!」

 

 『通りで自信がある訳だ。心配した私がバカだったよ……』

 

 トナカイは立ち上がり、首を振って埃を振り払った。

 

 「おぉ!一撃を受けても生きてるモンスターは久しぶりだよ!」

 

 『白属性のスピリットは守りに優れてる、たった一撃では奴は倒れはしない』

 

 「へぇ~、白属性のスピリットってなんかブランみたいだね!特に頑丈なところが!」

 

 『君は他人をネタにする際、申し訳なさを感じたらどうだ?』

 

 まぁまぁ!本人もいないから大丈夫だよ!作者が代わりに受けてくれるからさ!

 

 『……君も案外ブラックだね……』

 

 シャイニング・ドラゴンのツッコミが終わった後、ノワールがこの部屋に駆け付けた。

 

 「ちょっとネプテューヌ!人の教会を荒らさないで……って、モンスター!?嘘でしょ!?この国のセキュリティは頑丈に出来てるはずなのにどうして!?」

 

 さすがにノワールもこの驚きは隠せなかった。さすがにこんな状況で驚かないのは無理があるよね

 

 「と、とにかくわたしからも応援をを出すわ!それまでネプテューヌ!時間を稼いで!」

 

 ノワールは言い残し、この場を去った。その時、トナカイが突然遠吠えをした。その遠吠えの意味に、わたしは他のトナカイの仲間を呼ぶことに気付いた。

 

 そして、遠吠えに気づいたトナカイの群れがこの部屋を占領した。

 これじゃいくら余裕ぶってたわたしでもちょっと……。シャイニング・ドラゴンに一番いい装備を頼めばよかったなぁ……。

 

 『いい装備なら今出せるが』

 

 「本当!?なら早く出してよシャイえもん!」

 

 わたしは子供が物を強請る目で要求をした。それがあるならパパッと出してくれればいいのに!

 デッキホルダーから一枚、わたしの手元に来た。

 そのカードは、『輝きの聖剣シャイニングソード』だった。この剣じゃ、無双が出来ないよ。

 

 『それはどうかな?召喚してみればこの剣刃(つるぎ)の本当の力を見せることができるのだが?』

 

 いやぁ……。本当にそうかな~?この剣実は両手持ちじゃないときついんだよね。わたしはシャイニングソードのカードを天に翳した。

 

 その時、シャイニングソードのカードはちゃんとした西洋の剣に変化し、わたしの前に突き刺さった。

 

 「なんも変化ないじゃん!そもそも、こういう形状の剣はノワールに持たせるべきだよ!」

 

 わたしがシャイニング・ドラゴンに文句を言ったら、なんか剣が光だした。

 

 「え?なにこれ?」

 

 わたしが疑問に思った瞬間、その光は放出し、光が向かった先には、トナカイの群れだった。

 

 

 Save The Data……

 




 ドーモ。ミナ=サン。作者です。最近この作品の不自然さに気づいてリメイクしまくってます。本編も修正したいのですがその気にはなれない……。その上、最新話もなかなか完成しないという……トホホ……。
 で、何が言いたいかというと最新話完成まで気長に待ってくださいということです。
 
 それではまた最新話で会いましょう!
 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3Nep「闇を照らす聖火」

                                           Now Loading……

 

 「えっなにこれ?」

 

 放出された光は後に焼け野原となり、トナカイの群れは力尽き、元の姿のカードに戻り、お釣りとして青く輝く宝石がコロコロと落ちた。

 

 「シャイニング・ドラゴン……これ、どうなってんの?」

 

 「『輝きの聖剣シャイニングソード』の召喚時に、弱き魂はすべて焼け野原の餌になる。という説明ならすぐわかるかな?」

 

 いやいや!説明になってないよ!そもそもこれ、主人公が持つべき能力じゃないよね?それって世紀末の荒くれものがヒャッハー言いながらやることだよね?せめて、一体ずつ倒して勝利を勝ち取ろうよ!

 

 「ってうわー!火事だー!!消化器!誰か消化器持ってきてー!!」

 

 このままじゃノワールの教会が丸焼けになっちゃう!その時警報が鳴り響き、天井から水が降って来た。防火システムのおかげでなんとか火は収まった。さすがノワール!私には出来ないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!じゃなくて、丸焼けにならなかったのはいいけど、部屋が丸焦げだよ……。ノワールにどう言い訳すればいいのかなぁ……。

 

 「それはあとで考えればいい!そんなことより次に備えるのだ!」

 

 その言葉の後、次々とスピリットの大群がこの部屋に侵入してきた。

 わたしは聖剣を手に取り、次に次へと切り裂き、カードに変化した。しかし、わたし一人じゃ中々数は減らない。この数をどうすれば……。

 

 「デッキの中に『ツインフレイム』があるはずだ。先ほど落ちたコアを利用して発動するのだ!」

 

 わたしは指示されたカードをデッキの中から取り出した。コアって、お釣りで出たこの綺麗な宝石のことかな?それを手に取り、敵にカードを見せびらかした。

 

 「Flash(フラッシュ)!」

 

 シャイニング・ドラゴンの掛け声と共に『ツインフレイム』は発動し、二体のスピリットを焼き尽くした。

 

 「おぉ!さっきのシャイニングソードもいいけど、これも中々やるねぇ!もう一発!」

 

 『ツインフレイム』が再び発動し、二体のスピリットを焼き尽くす。

 そんな中、スピリット達はスピリットの残骸のコアを吸収し始めた。

 

 「よし!今がチャンスだね!このままこの大群をやっつけよう!」

 

 「いや、チャンスなのは相手の方だ」

 

 この時、わたしはこの言葉の意味がわからなかった。

 どう見てもチャンスにしかみえないこの瞬間にその意味が実現してしまった。スピリット達はコアを吸収し終えた後、様子が変わった。

 

 「な、なんかさっきまでとは違う殺気が感じるんだけど……シャイニング・ドラゴン、説明よろ」

 

 この殺気を感じてしまったわたしはついに声を震えてしまった。

 

 「実際に戦ってみればわかる」

 

 説明雑っ!こういう時こそ解説が必要なんだよ。

 そして再びスピリット達はわたしに襲い掛かって来た。わたしは抵抗するものの、さっきとは力が強く、一振りでカードになったスピリットは一振りでは一部のスピリットには適わなかった。

 

 「スピリットはコアを吸収することでレベルが上がり、力も強くなる」

 

 説明おっそーい!するなら襲われる前にしてよもう!

 

 「力が強くなるだけではない。北東側にいるスピリットを見るんだ」

 

 わたしは指示された通りのスピリットを見た。そのスピリットは不気味なオーラを発してる。一体あれはなんなの?

 

 「ベア・ポーラーだ。君が以前戦ったトナカイのスピリット、ダーク・カリブー同様攻撃は不得意なものの、攻撃には備えてる」

 

 だからあのスピリットは打たれ強かったんだ。それがあのクマさん型のロボットと同じ特性があると。それで?

 

 「だが奴は闇のスピリット、特定の条件が満たされることによって更なる力が発動する」

 

 「え?あのクマさんまだ強いの?」

 

 わたしが唖然とした次の瞬間、目の前のベア・ポーラーとは違う同種のスピリットがわたしに襲い掛かった。わたしはその攻撃をかわし、カウンターを放った。しかし、その攻撃は受け止められた。

 

 「うぅ……さすがにレベルアップしたスピリットは少し腕が立つね……」

 

 わたしの言葉に応えるかのように唸りをあげるクマさん。

 鍔競り合いが起こる中、急にわたしの体に疲労が迫って来た。

 

 「あ、あれ?おかしいなぁ」

 

 クマさんはわたしの疲労を見抜いたかのように目つきは鋭くなり、わたしを振り上げ床に叩き落とした。

 

 「あ痛たた……わたし今レベル999までいってるのに、なんか体が……」

 

 わたし、もう歳?でも体はピチピチだよ?なんで?

 

 「これがベア・ポーラーの隠してた力だ」

 

 え?ひょっとしてクマさんって歳を取らせる力があるの?女の子の天敵を味方にするなんて、もう遊んであげないから!

 

 「違う、ベア・ポーラーの隠してた力は疲労を相手に与えるものだ。年齢とは関係はない」

 

 よ、良かったぁ。歳なんて取っちゃったら次作のヒロインに選ばれないからびびったよ。

 

 「最も、次作なんて作るかどうかは作者次第だが」

 

 「そ、そうなの?それで疲労になにか関係ありそうだけど、シャイニング・ドラゴンにもなにか影響するの?」

 

 「ああ、疲労はわたしたちスピリットの力を半分以下するスピリットの天敵である。特殊を使うのは勿論、この力を永続的に使うのも疲労に繋がる。疲労が限界まで達した場合、わたしの力は使えなくなる」

 

 「え~と……つまり、どういうこと?」

 

 一気に説明されてもわかりません、

 

 「今の話をまとめると、この力を使うのに制限時間があるってことになる。つまりだ、時間内に全部倒し切れなきゃわたしたちが不利になるということだ」

 

 「ウソっ!?それじゃあ貴重な制限時間がさっきの攻撃で減ったってこと!?」

 

 そのことを気付いたわたしは驚愕した。

 

 「先ほどの攻撃は他の属性が得意とする技なんだが特定の条件が揃ったことにより、他属性の技を得意とする技を発揮することが出来る。これをわたしたちでは『連鎖(ラッシュ)』と呼び、闇のスピリットが得意とする戦術だ」

 

 なるほど、少し勉強になったような気がする。つまり――――――――

 

 

 「その特定の条件を倒せば『連鎖』が発揮されないんだね?」

 

 「その通りだ。条件というのは他属性のスピリットが場にいることだ」

 

 なるほど、って言ってもこれだけの数じゃさすがに一度に倒すことが出来ない。

 そういえばこの剣、出したときにビームを出してたよね。

 

 「この剣、さっきの様にビーム出せないの?もう一回出したいんだけど」

 

 「無理だ。この剣を出した瞬間に光線が出る仕組みになってる」

 

 「だったらもう一度、カードにしてまた出せば――――――」

 

 「それもわたしの能力上無理だ。カードに戻すには制限時間を越えなければならない」

 

 えっ、じゃあビームを出すには一回変身を解いてもう一回変身しなきゃいけないってこと?そんなことしたらノワールの応援が来るまで持たないよ!

 ビームを出せない以上、どうすれば……。

 

 「ネプテューヌ、これだけの数の中、他属性のスピリットを見分けることが出来るか?」

 

 確かに今の現状じゃ、見分けるのが非常に難しい。この時ノワールならどうしてるんだろう……。

 

 無意識に剣を視線に入れたら、ある出来事を思い出した。そう、わたしがシャイニングドラゴンの力を初めて使ったあの出来事。

 

 「やれるかどうかわからないけど、試さなきゃわからないよね!」

 

 わたしは光に包まれ、女神の姿に変わった。

 

 「ようやく本気出すようになったか……」

 

 「そうでもしなきゃ、アレを出せないから」

 

 わたしは剣を構え、あの剣のイメージを脳内で描いた。すると剣は突然光出し、造形が西洋剣から刀剣に変化した。

 

 「この現象は一体……?」

 

 シャイニング・ドラゴンはこの刀剣に困惑した。

 

 「わからないわ。とにかくこの武器で、一掃する!」

 

 わたしは力を込め、聖剣の刃に聖火を纏う。さらに聖火はデッキのカード達の力を加え、さらに燃え盛る。

 

 「はあぁ!!」

 

 聖剣を横に振り、燃え盛る聖火は炎の波紋となり、部屋を占領したほとんどのスピリット達は消し炭となった。

 

 「これが、女神の力……」

 

 生き残ったスピリットは怯え、突き破った窓から飛び降りていった。

 

 「休むつもりだったのに、また戦うことになるなんて思いもしなかったわ」

 

 シャイニングドラゴンは「そうだな」わたしに同感した。

 

 「さっきの続きだ。この世界に存在する剣眼(ソードアイ)を持つ12人を見つけてほしい」

 

 「剣眼(ソードアイ)?」

 

 わたしは初めて聞く言葉に困惑した。

 

 「そうだ。剣眼(ソードアイ)は12本のソードブレイヴの所有権を得る資格がある。その手に持ってる剣もその内の一本だ」

 

 「つまりもう既にわたしは剣眼を持ってるということになるのかしら?」

 

 「事実上そうなるな。君の手で《輝きの聖剣シャイニングソード》の封印を解いてる。君の右目がその証だ」

 

 わたしは右目を見るため、自分を映す鏡を見た。わたしの右眼は赤く輝いてる。

 

 「あなたの世界ではこの眼の所有者はなんて呼ばれているの?」

 

 「わたしたちの世界ではソードブレイヴの所有権を持つ者を『ソードアイズ』と呼んでいる」

 

 『ソードアイズ』……あいちゃんが好みそうな感じね。

 

 「ネプテューヌ!応援はあと少しで……って、もう終わったの?」

 

 ノワールが部屋に戻って来た。でも応援が来る前に倒してしまったのはなんか申し訳ないわ……。

 

 「ノワール、わざわざ応援を出してくれようとしたのにごめんなさい」

 

 「い、いいのよ。それにあんな連中を一人で倒すなんてあなたホントすごいわね。わたしだって……」

 

 ノワールが悔しさを静かに拳で握った。

 

 「ノワール、その「ネプテューヌ、ごめん。やっぱり、今日は帰って……」

 

 わたしの言葉を言い切る前にノワールはわたしに帰って欲しいことを言い渡され、部屋から去って行った。

 

 『人はスピリットを倒すことはほぼ不可能。倒せるのはカードとその力を得た人のみ。ノワちゃんは自分の無力さを知り、悔しい思いをしてるだろう……』

 

 ノワール……今はスピリットに勝てる力はないけれど、もし貴方がカードを手にしたら共に戦い、共に探しましょ、ソードアイズとソードブレイヴを……。

 

 Neptunia side end

――――――――――――――――――――

 

 ? side in 

 

 ネプテューヌ、やはりお前はソードアイズであったか。その上、ソードブレイヴを女神化と共に自分が使いやすいように変化させた。さすがにこれは予想外だなぁ。

 

 ドアが開く音がした。知り合いの部下を貸して貰ってるのだが雑用には最適だ。

 

 「ご苦労さん。ネズミ君。おかげでいいもんが見れたぜ」

 

 「最後まで見てたっチュか。オバハンレベルまではいかないっチュが人使いも荒いし、あんな弱いっちいスピリットを教会に送るなんて、オッサンはなにを考えてるっチュか。すぐに返討ちにされたっチュ!それにオイラはオバハンの部下でもないしネズミ君じゃないっチュ!オイラには『ワレチュー』というチャーミングな名前があるっチュ」

 

 「ハハハ、悪い悪い。でもいいんだ。あれあげてるようなもんだし。ま、重装甲持ちのスピリットは戻って来ちゃったな」

 

 俺は笑いながらネズ……じゃなかった。ワレチュー君からあげてもあげきれなかったカードを渡された。

 ま、どうせ直接行くし、渡したいもんがあるからなぁ。

 

 「さてとっと、俺、そろそろ行かねぇと」

 

 俺は椅子とデスクから離れ、皮ジャンと新しく買ったサングラスを着用した。

 昔はサングラスをよく着けてたんだが、また着けることになるなんてなぁ。

 

 「ラステイションへ行くっチュか?それならもう帰っていいっチュ?」

 

 ワレチュー君はジト目で俺を見つめる。美少女以外のジト目はうれしくないんだがなぁ。

 

 「あぁ、今日のところは帰っていいぜ。ご苦労さん」

 

 ワレチュー君に時給として970クレジットを渡した。さすがにタダ働きは可哀そうだからな。

 

 「ヂュ~こんなことするくらいなら違法DLして稼ぐほうがよっぽど楽っチュ」

 

 「そんなこと言わないでくれよ、悲しむぞオイ」

 

 「オッサンに悲しまれても困るだけっチュ」

 

 「はぁ、まぁいいや次の鍵を届けに参りますか。この『白夜の宝剣ミッドナイト・サン』を」

 

 その剣は太陽のように輝かしく、まさに宝剣の名に相応しい剣をカード化させ、懐に入れた。

 俺は目的を果たすため、次の扉をこの手で開けた。

 

 ? side end

 

 

 

 

 

                                          Save The Data……

                                  




 リメイクに時間かかってしまいました。申し訳ございません!なんでもしませんから!

 最新話についてですが全く筆が進んでません。寧ろ別の番外編が頭の中で書きこんでネプテューヌ編や本編のストーリーが真っ白です!そんなわたしを許してくれるならば、気長にお待ちください!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4Nep「ゲームやってる場合じゃねぇ!」

 Nep File1

 スピリット

 ゲイムギョウ界では未確認生物とされてるモンスター。絶命する時、エネミーのように普通に消滅するわけでもなくカード化されるようだ。また、スピリットの体内に作られるコアは吸収することで力が増幅され、特殊能力が目覚める場合がある。


 NowLoading……

 

 ラステイションの教会から追い出されたわたし(ネプテューヌ)は渋々わたし自身が治める国、プラネテューヌに戻り、いつも通り四女神オンラインでぐーたらしてるのであった。

 

 「ネプテューヌさん!いい加減に仕事をしてください!スピリットが現れてる今、ゲームなんてしてる場合ではありませんよ!」

 

 わたしに叱ってるのは、いーすんことイストワール。小さな体と裏腹に、プラネテューヌの教祖であり、このゲイムギョウ界の史書でもある。史書というのは……まぁネプテューヌシリーズをやってるならほとんど知ってるよね?

 

 『すまないがわたしはこの世界のことはあまり知らない。出来れば話してもらえると助かるのだが』

 

 うぅ……そうだった……。どこから来たか知らないけど、わたしの中にドラゴンがいるんだった……。ま、まぁそれはともかく、史書の時のいーすんは神秘的な本を乗り物にして、この次元の出来事をすべて記録するのが役目らしい。

 一方教祖の時のいーすんはわたしをサポートする他に、プラネテューヌ諜報部という組織でレジスタンスをやってるとか。

 

 「いーすんってば、またわたしをこき使う気?さっきまでノワールと一緒に調査までしたのに~。さっきの情報を頼りにしてスピリットをどかーん!ってやっちゃえばいいじゃん。」

 

 「ネプテューヌさんの説明だけじゃ確実な弱点が見つからないんです!」

 

 「もぉ~これだからいーすんは」

 

 「いーすんさん、お姉ちゃんはさっきまでノワールさんとお仕事をしてたんですから休ませてあげてください」

 

 勝利の女神キタ!これで勝つる!実際は女神候補生だけどね。

 この子はネプギア。わたしの妹で、さっきも言ったけど女神候補生なんだ。

 

 「ネプギアさんはネプテューヌさんに甘すぎます!このままではこの国どころか、ゲイムギョウ界そのものが滅んでしまいます!」

 

 あれを見たところ、滅ぶ気配がそんなにしないと思うんだけどな。

 

 『ネプテューヌ、君の国は本当に大丈夫なのかい?』

 

 大丈夫だよ。きっとこの世界に慣れてなくて興奮してるだけだからへーきへーき!

 

 『いや、そういう意味ではなく、いーすんの言う通り、この国は危機的な状況ではないか?』

 

 えっと……つまりどゆこと?

 

 『君達女神は人の信仰をエネルギーにしてこの国を維持してると推測し、もし危険度が高いスピリットが国に迫って来たとする。それがもし、他の女神が討伐したとすれば……あとはわかるだろう?』

 

 わたしはハテナマークを浮かべながらシャイニング・ドラゴンが言ったことを脳内で構築した。

 

 危険……エネルギー……信仰……女神……ハッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしは気が付いてしまった。

 

 もし、今から討伐しなければノワールたちに横取りされて国のシェアが逃げてしまう。それが続いてこの国のシェアが0になった時、プラネテューヌは消滅することを。

 

 

 「お、お姉ちゃん?急に汗びっしょりかいてるけど、大丈夫?こんぱさんに診てもらう?」

 

 「こうしちゃいられない!討伐対象に全速全進!」

 

 診てもらう暇なんてないよ!早く行かなくちゃ!!

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 舞台が変わりまして、ここはバーチャフォレストに向かったねぷねぷ一行は……と言っても、わたしとシャイニング・ドラゴンだけだけどね。そんなことを一々気にしたら負けだよ!

 

 おっと、説明が途中だったね。わたし達はシェアの横取りを防ぐため、未確認生物「スピリット」を捜索してるんだ。

 

 「お、お姉ちゃん……急に……走らないで……」

 

 おぉ!息が上がりながらも我が妹ネプギアがわたしについて来た!

 

 「あ!お姉ちゃん!あれ!」

 

 わたしはネプギアが指を指した方向を見た。わたしが目にしたものは、龍の群れだ。

 

 『《スタバ・ドラゴン》か。ネプテューヌ!これくらいどうってことはない!シャイニングソードを出すんだ!』

 

 「待ってました!」と言いながらキメ顔でカードを取り出した。

 

 「この時の為に、召喚口上考えてたんだ~。行くよ!光輝く剣刃(つるぎ)が今ここに!《輝きの聖剣シャイニングソード》!」

 

 『Summons(サモン)!!』

 

 広い青空からシャイニングソードが降り注ぎ、その勢いでシャイニングソードは大地を刺した。

 

 「いやあ~召喚口上が決まると気持ちいいよね~」

 

 「お、お姉ちゃん、これどうやって……」

 

 ネプギアは少しの驚きを見せた。そういえばネプギアにまだ見せてなかったよね。

 

 「でもまだ驚くのは早いよ~!不思議なことが起きるのはこれからだよ!」

 

 わたしはカードを取り出し、剣に翳した。

 

 『強化(チャージ)!』

 

 その時、カードは光に変わり、剣の光が強くなった。

 

 「おぉ~。シャイニング・ドラゴンが言ってたことはホントだったんだ」

 

 説明しよう!強化(チャージ)とは、光のスピリットのみ与えられる特殊能力である!属性によって、色んなパターンがあるらしいけど、この強化の場合、なんと破壊力を増すのだ!

 

 『その説明はわたしがやるべきだと思うのだが』

 

 呆れながらシャイニング・ドラゴンは言った。でも主人公特権を持ってるわたしにそんなの通用しないよ!

 

 「さらに4枚いっちゃうよ!答えは聞いてない!」

 

 『強強強強化(チャチャチャチャージ)!!』

 

 なんと強化は、重複も可能!

 

 「よし、いっけぇー!シャイニングビーム!!」

 

 集まった光は勢いよく放出した。龍の群れは炎に包まれ、断末魔の叫びを上げながらカード化した。

 

 「すごい!あれは一体でも倒すのが困難なのに一瞬で全部倒した!」

 

 「よし!この調子でどんどん倒していくよ!」

 

 「うん!」とネプギアは頷き、他のスピリットをカード化をするため、引き続き調査をした。

 

 

 

 Save The Data……

 

 




ドーモ、ミナ=サン。作者です。今回はこのシリーズの強化についての解説回です。

 更新まで2か月かかってしまいました……。しかもこのやっつけ感、自分が国語力がなくてこのクオリティになってしまいました。
 それはさておき、遅くなった理由でも話しておきましょう、一つは学校ですね。最近は忙しくて、3週間後には宿泊研修に行くんですよ。今はその為の準備中です。もう一つは、活動内容に書いてる通りスランプです。ネタを集めるために艦これアーケードをやってたりしてましたが中々抜け出せず……。次回は調子が出るようになんとか対処します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5Nep「諦めない限り」

 NepFile 2
 ソードブレイヴ

 伝説の12本の剣と呼ばれし異世界の剣。その剣は光と闇が対立され、一つの属性に2本、光と闇に6本ずつ存在する。

NepFile 3
 剣眼(ソードアイ)

 ソードブレイヴの所有者の証、右眼は光、左眼は闇と分類され、属性ごとに発光する色が違う。この証を持つ者は、ソードアイズと呼ばれていた。




 NowLoading……

 

 

 

 

 ネプテューヌ(お姉ちゃん)ネプギア(わたし)に合図を送ったその後、紫に光る電光の剣(ビームソード)を召喚し、スピリットの駆除に向かいました。

 お姉ちゃんは剣を振る度に次々にスピリットは消滅してますが、一方わたしのほうは鋼の翼を持つ一角のドラゴン型のスピリット一体に苦戦してます。

 

 グルルルル……!

 

 お互い睨み合い、わたしは武器を力強く握り、出方を窺ってます。

 

 

 

 (このままじゃわたしが倒されちゃう……なら!)

 

 わたしは最大限の力を解放し、女神候補生の姿に変えました。女神候補生は、女神と同じ様に姿を変えることが出来ます。ただ、力は女神よりは下回ってますがそれでもわたしは戦いに勝ち続けてます。

 

 「国を守るため、あなたにはここで倒れてもらいます!」

 

 この状態なら、まともに戦えるはず!そう確信したわたしは再び剣を振りました。

 

 

 ですが――――――――

 

 ガキンッ!

 

 「きゃっ!?」

 

 やっぱり力はスピリットのほうが上でした。力の差で剣は思わず手を放してしまい、腰を大地に落としてしまいました。同時に、いつもの姿に戻ってしまい、ドラゴンの力に驚き手が震えてしまいました。

 

 「そんな……女神化しても歯が立たないなんて……」

 

 女神化しても勝てない以上、勝つ術はない。そんなわたしを待ってるのは「死」の一文字だけ。

 

 ごめんお姉ちゃん、わたしはもうここまでみたいだよ……。

 

 わたしは潔く眼を閉じ、死を待ちました。

 

 「危ない!」

 

 諦めかけた次の瞬間、お姉ちゃんの声が耳に入った。眼を開けてみると、視界にはお姉ちゃんがスピリットと鍔競り合ってる姿があった。

 

 「お姉ちゃん……?」

 

 「ネプギア、大丈夫?」

 

 その言葉と同時にわたしに手を差し伸べ、わたしは立ち上がりました。

 

 「お姉ちゃん、ごめん。わたしにはお姉ちゃんの様にはなれないよ。だって、あのドラゴンでさえ、わたしには倒せないし……」

 

 わたしは全力でも倒せなかったショックで俯きました。

 

 「そんなことはないよ!わたしだって、最初はスピリットを倒せなかったかもしれない。でも、この40枚のカードのおかげでわたしはこのスピリットの群れを倒してきた。ネプギアもその時が絶対来るよ!」

 

 絶対……?

 

 「見ててネプギア、わたしの……変身!」

 

 お姉ちゃんは一度、剣を地面の刺し、デッキホルダーのカードを取り出し、天に捧げました。同時にお姉ちゃんが女神の姿に変え、プロセッサユニットが装着されました。

 しかし、お姉ちゃんがいつも装着するプロセッサユニットが炎に包まれ、赤紫をベースとした(ひかり)の龍を連想させる装備に変化しました。

 

 「最初と装備が違う……?」

 

 お姉ちゃんはその姿に戸惑いました。どうしたんだろう……?

 

 『わたし自身がレベルアップした。君の妹を励ます思いがわたしに応え、装備も見栄えが良くなり、能力もパワーアップした』

 

 お姉ちゃんからなにか声がした!?もしかしてお姉ちゃんが言ってたドラゴンってこの声のこと?

 

 「確かにいつもより力を感じる」

 

 お姉ちゃんが確認を終えたところでお姉ちゃんは再び剣を手に取りました。その瞬間、剣の形状が西洋剣からお姉ちゃんが得意の刀剣に変わりました。

 

 『ネプテューヌ、《天星龍クェーサー・ドラゴン 》の角には十分に気を付けたほうがいい。急所が狙われ死に陥る可能性がある』

 

 お姉ちゃんのドラゴンが忠告を受けた後、ドラゴンとお姉ちゃんがぶつかり合い、ドラゴンの角と刀は火花を散らしました。

 

 「てぇい!やぁ!」

 

 お姉ちゃんの掛け声は荒原に響き、ドラゴンと互角に戦ってます。

 やっぱりお姉ちゃんは凄い……見たことのない生物と戦えるなんて……。

 

 グオォ!

 

 ドラゴンは角でお姉ちゃんを貫こうとしましたが華麗に避けられ、お姉ちゃんがカウンターを放ちました。

 

 グアァァァ!!

 

 ドラゴンは急に叫びだし、後退しました。

 

 『見事だネプテューヌ!今斬った部位は急所だ!』

 

 今お姉ちゃんが斬り当てた部位は首。こんな間近にあったなんて。

 

 「弱点がわかった以上、そろそろ決めるわ」

 

 その言葉と同時に、お姉ちゃんは2枚のカードをホルダーから出しました。

 そのカードは《ライトブレイドラ》、《荒天竜スーパーセル・ドラグーン》。

 

 『強化(チャージ)lightning(ライトニング)!』

 

 三枚のカードが剣の窪みに填め、お姉ちゃんは空に剣を捧げた。

 その時、雷雲がお姉ちゃんに集中し嵐が巻き起こりました。

 

 「《サンダーボルテックス・スラッシュ》!」

 

 嵐の中で雷が剣に落ち、剣に電流が走る。そのエネルギーを利用して刀剣の先の部分が本体と離れ、浮遊し、回転し始めました。

 

 「やぁ!」

 

 左右に刀剣を振り、その動きに操られてるかのように刀剣の先は動く。

 

 ドラゴンの首は切り裂かれ、さらに叫び声を上げる。

 そして高く上がった刀剣の先は本体の振り下ろす動作で刀剣の先は首の後ろを斬りました。

 

 ――――――――ううん、¨叩き斬った¨のほうが合ってるかもしれません。

 

 グアァァァァ……!

 

 クエーサー・ドラゴンは断末魔の叫びを上げ、爆発しました。同時にコアと呼ばれる青い石が飛び散り、一枚のカードが残りました。

 

 「ふぅ、終わったわ」

 

 『お疲れ』

 

 お姉ちゃんは女神の姿からいつもの姿に戻り、力を抜くように息を吐きました。お姉ちゃんの戦いを見届けたわたしは、お姉ちゃんの元へ走って行った。

 

 「お姉ちゃんはやっぱり凄いよ!わたしじゃ適わなかったのに倒しちゃうなんて!」

 

 あの戦いを見たら凄いとしか言いようがない。

 

 「ううん、一番凄いのはシャイニングドラゴンのほうだよ。シャイニングドラゴンは倒せない相手を倒せるように力をくれた。もしいなかったらわたしは倒せなかったかもしれない」

 

 お姉ちゃんがいつもと違う顔をしてる……それぐらいお姉ちゃんのドラゴンに感謝してるんだ。

 

 「ネプギアもいつかわたしと同じような力が来るよ、諦めないかぎりね!」

 

 ¨諦めない限り¨――――――――本当に来るならお姉ちゃんの言葉を信じるよ。

 

 「さ、帰ってプリン食べよ!いーすんが待ってるよ!」

 

 お姉ちゃんがわたしに笑顔を見せた。

 

 「そうだね――――――――」

 

 何か視線を感じたわたしは再び武器を手に取り、警戒を始めました。

 

 「誰ですか!?隠れてないで出てきてください!!」

 

 声は届いてるはずのものの、出てくる気配が感じない……バーチャフォレストには物陰に隠れる場所はほとんどない。このもしかして気のせい……?

 

 「だ、誰かいるの?」

 

 お姉ちゃんは驚愕し、刀剣を構えました。

 

 視線は感じたのに物音が聞こえない……。

 

 「お姉ちゃん、気のせいだったから大丈夫だよ」

 

 「なんだ、驚かさないでよネプギア。じゃ、行こっ!」

 

 お姉ちゃんは無邪気に国へ歩いて行きました。

 あの視線、一体何だったんだろう……誰かに見られてた感じはしてたのに……。ここ最近は疑問ばかりです。

 

 「どったの?プリン嫌だった?」

 

 お姉ちゃんが振り返り、申し訳なさそうな目でこちらを見た。

 

 「あ、ううん。早くプリン食べようよ!」

 

 わたしは遠くにいるお姉ちゃんに向かって走り、自分の国に戻りました。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰かに見られてるかも気づかずに。

 

 

                                                   Seve The Data……

 




 どうも、作者です。ついに最新話が出来ました!なんとか書ききれたものの、睡眠時間が少なくなってしまった……。
 早速ですがカードのコンボ技いかがだったでしょうか?《サンダーボルテックス・スラッシュ》のイメージとしては仮面ライダー電王ソードフォームの俺の必殺技パート5(正式名称ではエクストリームスラッシュ)が一番近いですね。何気に元ネタが電王の技が多いような気がする……。
 それと改めて思うとギアちゃんの扱いが酷いですね……wまぁ、お約束というかなんと言えばいいのか……まぁこれからギアちゃんも出していく予定なのでそれで勘弁して!ギアちゃん!
 因みに新コーナー開設するです。あくまでも予定ですが


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6Nep「ユニの不安」

 NepFile4

 デッキホルダー
 40枚以上のデッキを持ち歩くためのケース、身に付けるタイプと紐でぶら下げるタイプがある。


 Now Loading……

 

 朝、それは新しい日の始まりの合図(コール)だ。

 

 「う、うーん……」

 

 目覚めたばかりの体を起こし、寝間着を普段着に着替える。

 君たちは朝が好き?ネプテューヌ(わたし)は好きだよ、だってまだ知らない物語をこの体で体験が出来るんだよ!

 

 「よーし!今日も遊び尽すよー!」

 

 普段着に着替え終えたわたしは眠気をふっ飛ばしてリビングに向かおうとした。

 おっと、相棒(シャイニング・ドラゴン)を置いてくところだった。シャイニング・ドラゴンに肌に離さず持ってろってうるさいんだよね~。まあ、寝てるときは流石にデッキホルダー付けたままじゃ邪魔くさくて寝れないから身近な場所に置いて寝てるんだよね。

 ……あれ?確かデッキホルダーはベットの隣に置いてたはずだけど、どこ行ったかな?もしかして寝てるときに蹴飛ばしちゃったとか!?それは大参事だよ!ここ結構広いからすぐ見つかると思ったけどカードが一枚も見つからない!うぅ……シャイニングドラゴンが起きる前に早く探さないと……。ネプギア起きてるかな……?起きてたら協力しておらおう。

 わたしはネプギアに協力を得るため、すぐさまネプギアの部屋に向かった。

 

 

 

    〇

 

 

 

 今わたしはネプギアの部屋に向かってる途中だよ。

 

 「はああぁぁぁ……!」

 

 部屋からネプギアの声が……!ネプギアの部屋だから当たり前だね。ってことは……!ラッキー!ネプギアが起きてる!ネプギアに協力してもらって早く集めなきゃ!

 わたしはすぐさまドアノブを手に取り、ドアを開けた。そこにはネプギアが――――――――――え?

 

 「お姉ちゃんのドラゴン、お願いです!わたしの思い、届いてください!」

 

 ネプギアがわたしのデッキの前で力強く眼を閉じ、両手に念を込めて集中をしている。……なにをやってるんだろう?

 そう思った直後、両手は下がり、眼を開けた。

 

 「カードの声が聞こえない……ううん、きっと思いがまだ弱いだけだよ!もっと思いを強くしてカードに応えなきゃ!」

 

 ネプギアは再び両手に念を込めて再び集中し始めた。って、わたしがネプギアの部屋にいることに気が付いてない?じゃあ今は放っといて気が済むまでやらせておけばいいかな?カードは見つかったし。うん、そうしたほうがいいね。わたしは気付かれないようにそ~っとドアを閉めようとした。その時――――――――――――――――――――――

 

 「あ、ネプテューヌさんおはようございます。先日の討伐の成果でシェアも上がってます!」

 

 急に後ろから笑顔でいーすんに話しかけられ、奇声をあげてしまった。ネプギアはそれに気づき、後ろを振り返り、タイミング良く閉まりかけたドアも再び開く。

 

 「お、おはよう、ネプギア……」

 

 突然の空気の重さにわたしはこの状況をどうにかしようとネプギアに朝の挨拶をしてみるがさらに空気が重くなり、気まずくなった。

 

 

 

                 〇

 

 

 

 あの出来事から10分経って、デッキは返してもらったけど、全く口を聞いてくれない気がする。

 わたしたちは食卓に座り沈黙が続く食事をしていた。ネプギアは一切手を付けず手で顔を隠してる、よっぽどショックだったんだね。

 突然、いーすんが咳払いを起こした。

 

 「そういえば、ノワールさんがカードのエネルギーを利用したシステムを開発してるようですよ。このことはまだ世界にまだ公表しておらず、ノワールさんの国でもまだ公表してないようですよ」

 

 「本当ですか!?それはすごく楽しみです!!」

 

 このことを聞いたネプギアは復活して目を輝かせた。ネプギアはメカニックだからこういうのは興味を持つんだっけ。

 

 「ですが、奇妙に感じませんか?世界はおろか、まだ自分の国には発表はしてないのにプラネテューヌ教会だけ情報が回ってるのです」

 

 それはわたしが一番の親友だから情報が回って当然じゃないかとわたしは思った。でもよく考えたらノワールの性格を考えてみるとプラネテューヌの教会だけ情報が回ってるのは確かに奇妙に感じる。

 

 「いーすんさん、その情報は誰から貰ったんですか?」

 

 「わかりません、メッセージの差出人は無名で発信先の特定が不可能なのです。一応アイエフさんにも協力を得てるのですが、情報は得ていません。」

 

 あいちゃんでも情報を手に取るもは難しいのか……。

 

 いーすんの話の途中、ネプギアのNギアの着信音が鳴り響いた。

 

 「あ、ごめんなさい、続きはお姉ちゃんから聞くので、席を外します」

 

 ネプギアはNギアを持って席を離れ、居間を出た。

 

 「ですが、協力を得たのはつい先ほどのことです。情報が出るまで気長に待ちましょう」

 

 「わかった、あいちゃんにもよろしく伝えといて」

 

 長話で冷めた食事を口にし、食器の始末はいーすんに任せた。

 

 『それぐらい自分でやったらどうだ?』

 

 シャイニング・ドラゴンのツッコミがわたしの脳内に響く。

 

 

 

              〇

 

 

 

 食事が終わってしばらく時間が経った。

 

 ネプギアが戻るまで、41枚のカードをじっくりと見た。

 カードには左上に数字が記載されてる。シャイニング・ドラゴン曰くこれはカードの強さを表してるようだ。

 中央にはカード名称、種類、そして系統が記載されてる。《系統》と呼ばれる部分には星竜と記載されてる。これには種族を表してるに違いない。だが理解不能な部分が一つ、そのカードの文字は意味不明な言語で記載されてる。それが理解出来るなんて、このカードはどんな構造してるの?

 そしてカードの下も同じく意味不明な言語で記載され、これだけ全く読めない。そしてもうひとつ、右下の赤い宝玉らしきものがある。これもシャイニング・ドラゴン曰く、スピリットの属性の象徴《シンボル》とよばれるらしい。これの説明は聞き逃した。なぜかって?それは長いから寝てたんだー。

 

 『全く、君というものは……一部説明しなくても理解はできたものの、重要な部分を聞き逃すとは……《シンボル》というのは-―――――――――――――――

 

 シャイニング・ドラゴンが説明しようとした瞬間、ネプギアが居間に戻った。

 

 「お姉ちゃん、ノワールさんがシステムのテストに手伝ってほしいからラステイションの教会まで来てって」

 

 あの意地っ張りなノワールが協力を求めるなんて珍しいね。ぼっちだと寂しいからかな?

 

 「ネプギア、システムってさっき言ってたカードのエネルギーを利用したシステムのこと?」

 

 「そこまでは言ってないからわからない、とにかく教会に行った方がいいんじゃないかな?」

 

 ネプギアの言ってることは確かだね。あのメッセージのことも気になるし、行ってみたほうがいいね。

 

 「よし、行こう!ネプギア!」

 

 わたしは、ネプギアと共にラステイションまで足を運んだ。

 

 

 

         〇

 

 

 

 女神ブラックハートが治める黒の国、ラステイション。わたし達はラステイションの教会でノワールにあのメッセージのことを話した。

 

 「そんなメッセージは送った覚えはないわね。まさかネプテューヌに協力してもらう前に情報が洩れてたなんて……」

 

 ノワールの身に覚えはない……この様子じゃ本当に送ってないみたいだ。

 

 「まあ、どっちにしろ世界に知れ渡るから問題はないけれども。そんなことはさておき、あなたに見せるものがあるの。ちょっと待ってて」

 

 ノワールはデバイスを手に、見せるものを用意してる。

 

 「あ……」

 

 ノワールの体を改めて見ると数多くの包帯、絆創膏がある、あの時以上の怪我だ。一体、どんなシステムをつくったんだろう。

 

 一方、ネプギアはノワールの妹のユニちゃんと一緒に部屋の端にいる。

 

 「……」

 

 ユニちゃんが不安そうに俯いてる、なにかあったのかな?

 

 「ネプテューヌ、これがわたしが開発したシステムよ」

 

 ノワールはホワイトボードに資料を映した。うわっ文字がすごいや……。

 

 「カードのデータベース、パワー制限、様々なデータがこの中にびっしり詰まってるわ。このシステムのメインは、《変身》よ」

 

 変身?女神化とは別な何かが搭載されるのかな?

 

 『以前女神化なしでわたしの力を使った状態を指すのでは?』

 

 シャイニング・ドラゴンはノワールの説明に参加していた。悲しいことにノワールには気が付いてないけど。

 

 「あぁ、アレね。2度目の戦いで変身した状態のこと?」

 

 周りに聞こえないようにわたしは呟いた。

 

 「研究結果によると生身で変身した場合、カードのコントロールをする素質がなければモンスターに完全変異することがわかったわ」

 

 嘘っ!?じゃあもし素質がなかったら醜いモンスターになってたってこと!?

 

 「そこでよ、カードの意思を封印して、コントロールする案が思い浮かんだの。勿論成功したわ」

 

 なるほど、意思を封印すれば完全変異してもコントロールは可能ってことだね。

 

 「封印にはコアが5個必要なの、これを利用してバリアを貼るのよ。これをライフと呼ぶわ」

 

 なるほど、バリアを作って完全変異を防ぐんだ。

 

 「ただ、ライフはダメージを受けすぎるとコアが一つずつ壊され、下手すればバリアが破壊されて完全変異をしてしまう可能性があるわ」

 

 「そこまでして使うくらいなら、わたしは使わなくてもいいかな?素質があるし」

 

 「あなたはいいかもしれないけれども、これを量産化して一般人が使えるようにするために、このシステムを作ったの」

 

 「これを量産化する気なの!?」

 

 わたしはノワールの発言に驚愕した。

 

 「対抗手段を練らなきゃいつか人類が滅んでしまうのよ?それに数は多いがいいわ、だってあなただけ重荷を背負わせるわけにはいかないもの」

 

 ノワールの優しさに感激したよ!やっぱり友達は最高だよ!!

 

 「さっきの続きだけれども、ライフが0になると強制解除プログラムが発動されるからリスクは少なくなるわ」

 

 『少なくなる?』

 

 シャイニング・ドラゴンは呟いたキーワードに疑問を抱いた。

 

 「如何にこのシステムがあるからって完全にリスクが0になる訳じゃないのよ」

 

 ノワールには聞こえないはずなのに会話が成立している。たまたま合っただけだよね?

 

 「これを量産化するに当たって、調整が必要なの。そこであなたに協力をしてもらいたいの、このプログラムが正常に作動するかをね。勿論戦わなきゃ発動しないから対戦相手を用意してるわ」

 

 対戦相手か……そういえばブランやベールがいないけど、サプライズで対戦相手がブランとベールだったりして!?

 

 『ブランとベール?その人物は君達の友人なのか?』

 

 あぁ、シャイニング・ドラゴンにはまだ話してなかったね、ブランとベールは友達でわたし達と同じ国を治める女神なんだ。わたし達4人は4女神と呼ばれてるよ。

 

 『なるほど、この世界は4つの国が中心に創られていたのか』

 

 軽い説明をしてたら、ホワイトボードに映された資料は消え、ノワールはこの部屋を出る準備をした。

 

 「さ、行きましょう。ここよりももっと広いなら全力で戦えるし、どこまで制限が可能なのか見られるわけだから」

 

 ブランとベールを待たせるわけにはいかないからね、早く行かないと!わたしたちはノワールの後を追い、システムのテストを始めようとした。

 

 

 

                  〇

 

 

 

 わたしに案内されたのは、地下の広いスタジアムだった。教会にこんなところがあったんだ。

 

 「ぼやっとしないで準備して、わたしは対戦相手にあなたがここに来たことを伝えなくちゃいけないの。その間に、この機体にデッキをセットアップして」

 

 わたしに渡された機体は紫の薄い携帯ゲーム機のようなものだった。左に十字キーがあり、右には〇、△、□、×のボタンとアナログパッドがある。裏にはβと表記されてる。これ本当にゲームが出来そう。

 

 「それは《バトルデバイス》、システムを使うのにこれを使うの。わたしはこの機体をPortable spirits・β(ポータブルスピリッツ・ベータ)、通称PS・βと呼んでるわ」

 

 これがノワールが開発したバトルデバイス……。わたしはPS・βをじっくり眺めた。

 

 『この世界は色んな意味で危険だな……』

 

 この世界での貴重なツッコミがわたしの直接脳内に入った。

 

 「それじゃあ、わたしは行くわ。あなたの力、見せてもらうわよ」

 

 ノワールはそう言い残し、スタジアムから去った。

 

 『ネプテューヌ、早速このバトルデバイスのセットアップを行うんだ。わたしが助言を出来ないのは少々惜しいが、これはこの世界すべてに関わるものだ』

 

 「『助言が出来ない』ってどういうこと?」

 

 『バトルデバイスのシステムを解釈してみれば、ライフというシステムで力の半分はネプテューヌ自身に加え、残りの半分とわたしの意識は封じ込められる可能性がある』

 

 それは惜しい、まだカードのことはほんの一部しか教えてもらってないからね。

 

 『とにかくそのバトルデバイスは今後も重要になるはずだ、システムの一部だけでも把握するんだ』

 

 確かにそれは正論だ。助言が聞けなくなるのは残念だけど、カードの制御が利かなくなったら全部パーだね。

 わたしはバトルデバイスのセットアップを行った。ってあれ?説明書がない!と、とりあえず起動してわかるところからセットアップしよう。

 しばらくいじると、電子説明書がシステムの中にあった。ノワール……β版くらいせめて説明書は紙にまとめてよ……。

 

 

             〇

 

 

 

 またお会いできましたね、ネプギアです。今はユニちゃんと一緒にスタジアムの放送室にいます。テストに巻き込まないように配慮をしてくれました。

 スタジアムの場内にはお姉ちゃんがバトルデバイスを左腕に取り付けてる姿を見受けられます。

 

 「……」

 

 ユニちゃんさっきから黙り込んでる……なにかあったんだろう……。

 

 「ユニちゃん、今日は体調が悪いの?だったら今からケイさんを呼んで医療室に「ううん、別に体調が悪いわけじゃないの」

 

 ユニちゃんは横に首を振って伝えました。

 

 「ねぇ、わたしの悩みを聞いてくれる?」

 

 会話にしばらく間を空け、ユニちゃんは不安そうにわたしに話しかけました。

 

 「悩み?」

 

 わたしはユニちゃんの悩みを聞いてあげることにしました。ちょっとだけでもユニちゃんの不安を和らげばいいんだけれども……。

 

 「うん……実はお姉ちゃん、システムを開発を始めた日から変になってきたの」

 

 「え?それじゃあ誰があのシステムを開発したの?」

 

 わたしはユニちゃんの言葉に疑問を抱きました。

 

 「実はあのシステム、お姉ちゃんが作ったわけじゃなくて、始めた日の前、ある男の人に頼まれて作ったの。それ以来、お姉ちゃんはシステムに没頭してい話す機会がなくなってきたんだ……」

 

 そんなことが……でも―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「仕方がないよ、ノワールさんはいつも忙しいみたいだし、それにあの出来事はまだ解決したわけじゃないみたいだし」

 

 「わかってる。でも、それだけじゃないの。お姉ちゃんが最近、ネプテューヌさんに決着をつけるようなことを言ってたし……」

 

 え?それじゃあまさか―――――――――――――――――――――

 

 「ユニちゃん、もしかしてノワールさんが言う対戦相手って……!?」

 

 ユニちゃんの言葉で察しがついてしまいました。ですが察しがついた時が既に遅かったようです。

 ノワールさんが再びスタジアムに姿を現し、お姉ちゃんの目の前に立ちました。

 

 「あ、ノワール!いきなり不具合発生だよ!システムの中に説明書を入れないで、紙にまとめてよ!これだからノワールはいつまでもぼっちなんだよ!」

 

 「はぁ……あなたはこんな状況でもよく無邪気にやってられるわね。まぁ、それがあなたの強みだから否定はしないわ」

 

 ノワールさんが真剣な表情でネプテューヌを見つめてます。ノワールさんの眼はいつもと違い、目の前の壁を越える勇気が感じられます。

 

 「あれ?対戦相手どこ?」

 

 お姉ちゃんがきょろきょろと対戦相手を探してます、ですがいくら探してもお姉ちゃんの周りにはノワールさんしかいません。

 

 「まだ気づかないの?こんなにもわかりやすい状況なのに、鈍感ね」

 

 そう、お姉ちゃんの対戦相手は――――――――――――――――――――――――――

 

 「わたしがあなたの対戦相手よ。あなたと決着をつけるために、ここで着けるッ!」

 

 

 

 Save The Data……




 どうも皆さん、作者です。今回は新たに導入されるシステム、バトルデバイスの解説回でした。正直言って、ノワールがライバルポジションなので無印の設定も考えましたがそれだとノワールが可哀そうなので、mk2の設定をちょっといじる方向になりました。
今回導入したバトルデバイスもまだまだβ版なのでこの小説で色々設定変わります。それと劇中で登場したPS・βなんですがモチーフとしてはお察しの通りPSPです。
 本来ノワール回をやろうと思いましたがアイディア不足により、没になりました……。とても残念です……。代わりに次回、ノワールが戦います!デッキのテーマは……次回のお楽しみで!
 
 追記(2016/09/27)
ネプギアが戻る前に、ちょっとカードの説明を追加しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7Nep「九尾の魂」

NepFile5

 バトルデバイス
 謎の人物がノワールに作らせたシステム。これによりライフというバリアが生成され、カードに秘めたパワーを抑える。また、ライフが0になった時、カードとのリンクが強制的に切断される。


 NowLoading……

 

 ノワールがわたし(ネプテューヌ)に言い渡されたのは、わたしへの挑戦だった。

 

 「ノワールってばいつの間に冗談が言えるようになったんだ?もう驚かさないでよー」

 

 わたしは聞き間違いだと判断し、いつも真面目なノワールを茶化した。わたしが知ってるノワールじゃ冗談を言えそうにないと思うけどね。

 

 「あなたが理解するまで何度でもいうわ。ネプテューヌ、あなたの対戦相手はこのノワール(わたし)よ!」

 

 この言葉が耳に聞き入れた瞬間、わたしの耳に聞き違いなんてしてなかったと理解した。

 

 「え?マジ?でもノワールまだ怪我してんじゃん。それに、カードがなきゃデバイスは使えないんじゃ?」

 

 説明書に書いてある通りなら、バトルデバイスを使用するにはカードを40枚以上を束ねたデッキが必要。これがなければカードのエネルギーによる変身が出来ない。そんなはずだった。

 

 「カードならもうとっくに40枚揃ってるわ」

 

 ノワールは揃ってる証拠にデッキを見せた。おまけに丁寧に1枚ずつ確認できてちゃんと40枚で構築されてる。

 

 「いい?ネプテューヌ、あなたがそれ(カード)を持ってるなら持つ者同士戦わなければならない。あの時(原作無印)もそうだったでしょう?」

 

 ここであの時(原作無印)の出来事を振るなんて予想外だった。てかノワールさん次元間違えてるよ?ここ超次元だけど無印と関係ないよね?

 

 と、とにかくノワールと戦わずに説得しないと。

 

 「ノワール?急に戦えなんて言われても、主人公オブ主人公のわたしでも困るよ?それにわたし達友達じゃん?戦う理由なんて一つもないはずだよ?」

 

 わたしはノワールの説得を出来る限りを尽くした。

 

 「確かにあなたのことをかけがいのない友達の一人よ。でも、わたしには戦わなきゃいけない理由があるの!だからここであなたと戦わなきゃならない運命だったのよ!!」

 

 ノワールの言葉から強い意思を感じる……。その意思にデッキが反応し白くて強い光りをだし、PS・βをセットし、ノワールがスクリーンを見せつけるように構えだした。

 

 『Standby(スタンバイ)……』

 

 ノワールは待機音声と共に〇ボタンに手を添える。

 

 「アクセス(変身)!!」

 

 ノワールが〇ボタンを押したと同時に周りが暗くなり、妖しげな炎がノワールを激しく包む。

 

 『この炎、まさか……!』

 

 シャイニング・ドラゴンは周り異変に気付いた、だがこれが初めてという訳ではないらしい。

 

 炎が静かに消滅すると共に暗闇から現れた。服装はクリアドレスはではなく、白き九尾を連想させる狩衣のボリュームを少なくなった感じに変化してる。おまけに絆創膏と包帯も燃え尽き、怪我も全治してる状態で女神の姿、に変わった。

 

 『はぁい、ネプちゃん初めして、そしてシャイニング・ドラゴン、久しぶりねぇ』

 

  この女性染みたねっとりした口調の男性的な声、おそらくノワールのカードだ。

 『やはり君だったか、《闇皇ナインテイル・ダーク》!』

 

 声の正体は【闇皇ナインテイル・ダーク】と呼ばれるスピリットだった。

 

 「おかしいわね、あなたの意識は封じ込めるようにプログラムされてるはずよ?」

 

 『作りが甘かったんじゃなぁいの?』

 

 ノワールは「ふぅ~ん」と軽く返した。

 

 「そんなことよりあなた、ネプテューヌが言ってたあの《輝竜シャイニング・ドラゴン》の知り合いなの?」

 

 『えぇ、あの時(剣刃編)以来よぉ、まさかまたこの形で出会う事になるなんてねぇ』

 

 ナインテイルは対立することが既に予測していたようだった。

 

 『どちらにせよ戦う事には変わらない、バトルスピリッツは昨日の友が今日の敵であることが日常茶飯事だからな』

 

 シャイニング・ドラゴンの言ってることはまさに今の状況と同じだ。これが日常茶飯事なんて……。わたしはシャイニング・ドラゴンの世界の戦い(バトルスピリッツ)は辛い日々を送ってることを理解した。

 

 『ネプテューヌ、ノワちゃん…いや、ノワールは本気で君を潰しにかかるつもりだもはや戦う以外の選択肢はない!君も変身をしたまえ!』

 

 ノワールがここまでするんだからもう止められない。

 

 「わかった、ノワールが望むなら相手にするよ。でもこれだけは約束して、この戦いが終わったら戦う理由を教えて」

 

  わたしはノワールと戦うことを決意した。

 

 『Standby(スタンバイ)……』

 

 ノワールと同じようにデバイスの〇ボタンに手を添えた。

 

 「括目せよ(変身)!」

 

 女神化と共にシャイニング・ドラゴンのパーツが自動的に装備され、いつもの刀剣の先をノワールに構えた。

 

 「いいのかしら?最初っから飛ばして」

 

 「システム上この戦いは楽しんだもの勝ちよ、だからこそ最初から本気出させてもらうわ」

 

 「『楽しんだもの勝ち』ね……。そう言ってられるのも今のうちよ!」

 

 ノワールはレイピアを手に取り、素早くわたしに襲い掛かった。

 

 ノワールの刃に抗い、刀剣で鍔競り合いが始まった。

 

 このまま鍔競り合いに勝って、すぐ斬りつけるようとしたが、受けた反動で攻撃を仕掛けるタイミングはノワールのほうが速く刃に押され真っ直ぐ刃を突き出す。

 

 わたしは刃を避けるため受けた衝撃を利用し、回転して後ろに飛び込みダメージを受けずに済んだ。

 

 さすがノワール、一筋縄にはいかないようね。

 

 「ふん!」

 

 ノワールが人差し指と中指を立てて力を込めると、複数の青い炎がノワールの周りに現れた。

 

 「喰らいなさいっ!」

 

 青い炎はわたしに襲い掛かって来た。

 

 これはまともに受けたらマズい攻撃だとわたしは勘づき、スタジアムを飛び回って回避行動を取った。

 

 攻撃を外した青い炎は壁に激突し、弾けて静かに消えた。

 

 このような攻撃は今まで見たことない、これもカードの能力の一つなの!?

 

 「やっぱりこの程度じゃ当たりもしないのは当たり前ね」

 

 ノワールは一枚のカードを取り出した。そのカードは鳥型の機械系のスピリットカード【シュライクン】だった。

 

 『能力追加(スキルアード)

 

 ノワールはデバイスにカードを読み込ませ、わたしに向かって飛び込む姿勢を取った。

 

 「はあぁっ!」

 

 ノワールの腕に翼が生成され、人並み以上に高く飛び上がりすぐわたしとの距離を縮めた。

 

 ノワールは再び炎を出し、腹部に直撃を許してしまった。

 

 ライフのコア一つが、バリアを展開した。しかしバリアは砕かれ、痛みがわたしを襲う。

 急降下するが体勢を立て直し着地をする。ノワールも着地をするがその後、生成された翼が消滅し、元の腕に戻る。

 

 「ここまで力の差が縮まるなんて、少し油断したわ」

 

 「当たり前じゃない、戦いも女神としての務めもバッチリだし。それにあなたを倒すために、このカードを完全に使いこなすために休むことなく鍛錬を積んできたのだから」

 

 「確かにあなたのテクニックは認めるわ。でも、あなたは少しだけミスを犯したこと気付いてないようね」

 

 「?」

 

 ノワールはわたしの言葉に疑問を抱いた。

 

 「あなたは数分前地上戦に持ち込むため、カードを一枚消費した。そのカードの能力は、飛行能力!わざわざカードを使わなくても届かないはずがない距離であなたは使った。要するにあなたは、損をしてるのよ!」

 

 わたしは口元をニヤリと笑う。

 

 「……ぷっ、あはははははは!何を言うかと思えばそんなこと?バカね、あのカード使ったことに意味があるのよ。それを今、教えてあげるわ!さぁ、かかってきなさい!」

 

 ノワールは余裕を見せながらわたしに挑発をした。

 

 「なんのつもりかわからないけれども、望み通りかかってあげるわ!」

 

 わたしは思いっきり地面を蹴り上げ、ノワールに刀を振り下ろした。

 

 しかしノワールは振り下ろした刀を横に避け、ノワールを通り過ぎようとした。

 だが避けることまでは予測通り。約3m離れた瞬間、このままカウンターをかける!

 

 ノワールから離れた瞬間、かかとで急ブレーキをかけた。

 しかし、力がさっきより弱まって中々止まらず予定より3m離れてしまい転倒してしまった。それでも体制を立て直し、次の攻撃に備える。

 

 「あら、まだそんなに時間は経ってないのに息が上がるなんてだらしないわね」

 

 確かに攻撃を受けた後に少し疲労を感じる。この状況、教会の中で戦った時と同じような状況だったような気がする。

 

 「ノワール、あなた一体なにをしたの……?」

 

 わたしはノワールに問いかけた。

 

 「『なにをした』って、ナインテイルの特殊能力の一つに決まってるじゃない。しかもその能力は条件付きだからそれを満たしたのよ」

 

 「条件?まさか【連鎖(ラッシュ)】!?」

 

 「鋭いわね。そう、【連鎖】。その条件は緑のシンボルがあること。能力は疲労よ」

 

 やっぱり【連鎖(ラッシュ)】があったのね。でもナインテイルの属性は白のはず、この場には他属性のスピリットがいない。考えれば考えるほど謎が深まるわ。

 

 「一つ教えてあげるわ、【シュライクン】は飛行能力を付けるだけじゃない。シンボルの色も変えることが出来るのよ!」

 

 属性の変化……!?でも【シュライクン】の属性も白だったはず。それにカードの色が条件と合わせないと条件は満たせないはず。

 

 「まだ理解出来ないの?【連鎖】の条件はカードの色だけじゃなくてシンボルの色、それさえ近くにあれば【連鎖】の発揮は十分よ!」

 

 条件はカードの色じゃなくてシンボルの色!?なるほど、これで説明が付く!【シュライクン】の特殊能力でノワールが持つシンボルは変化してた。

 つまり【連鎖】の発揮条件に他色のシンボルは必要だということになるわね。

 

 「ま、【シュライクン】のコストが少ないから能力の付着時間が少ないのが欠点よね」

 

 右上の数字、コストと呼ばれるものは強さだけじゃなくて、能力の付着時間を表してるということも分かった。

 

 恐らく《連鎖》の発動の為、【シュライクン】は3枚デッキに投入してるはず。今1枚消費したから【シュライクン】はあと2枚、発動時間は約1分と見たわ。1分なら何とか逃げ回れるし、もし当たりそうなら【ツインフレイム】で向かい撃てばいいわ。

 

 「さ、考察時間もこれで終わりよ、時間が勿体ないもの」

 

 ノワールは再び片手に剣を構える。

 

 「えぇ、わざわざ考える時間も与えてくれるのはとてもありがたいわ。御蔭さまであなたの戦法がわかった」

 

 わたしはデッキからカードをドローし、ノワールに見せた。この時、予想以上に早く手札に来るとは思わず、プランを変更した。

 

 「だからわたしの手の内を今、見せてあげるわ!」

 

 ノワールに見せたカードは12本の剣刃の一本【輝きの聖剣シャイニング・ソード】。

 

 『召喚(サモン)!』

 

 そのカードをデバイスに読み込ませ、剣刃(つるぎ)を呼び出した。

 

 「西洋剣?あなた、得意武器は刀剣じゃないの?」

 

 ノワールはわたしの行動に呆れたようだ。だがこれで終わりなわけがない。

 

 「ノワール、もしかしてだけどナインテイルから聞いてなかった?バトルスピリッツはいつ何が起こるのかわからないわ!」

 

 わたしは剣の持ち手を右手で握った。

 

 「こんな風にね!」

 

 シャイニング・ソードが炎と光の渦に包まれ、シャイニング・ソードの造形———————西洋剣から刀剣に変化した。

 

 「【神器化】、【輝きの聖刀シャイニング・ブレイド】!!」

 

 

 

 

 Save The Data……

 




 皆さん、お久しぶりです。
 ネプテューヌに続いてカードを使ってバトルが可能になったノワールが原作よりも好戦的になってしまった……。いわゆるキャラ崩壊が発生しましたね。ハイ。
 さて、ノワールのエーススピリットの闇皇ナインテイル・ダークの性格がオカマで驚いた方も少なくはないでしょう。どうしてそれに至ったかというと、ナインテイル・ダークの後ろにアノネデスが映り込んだのです。そのほうが面白いかと思いましてナイインテイル・ダークはオカマになりました。
 まあ結局、スピリット側は空気となりましたが、後付けで調整します。

 続いて説明するのは【神器化】ですね。これには二つ理由があります。一つは修正前、【神剣化】で表記してましたがストーリー上変更しました。もう一つはネプテューヌがよくシャイニング・ソードを刀剣化する現象についてそろそろ設定を付けなければならないと考えた結果、シャイニング・ブレイドが誕生しました。まぁ聖牙刀でもよかったけどね!詳しい説明は次回で明らかになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8Nep「輝竜と九尾の激闘」

 Nep File6

 連鎖(ラッシュ)

 闇のカード特有の特殊能力。特定のシンボルが身近に存在する時、更なる力が発揮される。カードによって条件は異なる。


NowLoading……

 

 「《神器化》ですって……?」

 

 ノワールは初めて見た《神器化》を目の前に動揺する。

 

 このソードブレイヴが刀剣に変化する現象、それが《神器化》。

 

 わたしが女神化するたびに起きる現象。シャイニング・ドラゴンの世界でもこのようなことは起きることはないと言われているわ。

 

 いーすん曰く「恐らくソードブレイヴはシェアエネルギーの影響で最も扱いに長けてる武器に変化してる」とのこと。それ以外にも原因はあると思うけれども、今思い当たるのはこれ一つしかないらしいわ。

 

 「その剣を持っただけで勝ったつもりでいる気?」

 

 ノワールはさっきの動揺を消し、いつもの強気な瞳でこちらを睨みつける。

 この様子だと、先ほどの動揺は《神器化》に対してじゃなくこの剣刃(つるぎ)に対してだったようね。

 

 強気なノワールにわたしはこう返す。

 

 「確かにこの刀を手に取っただけであなたに勝てる保証はないわ。でも、勝てる確率を上げるにはどんな手を使おうとも勝つ気でいるわ!」

 

 そう言い終えたわたしはシャイニング・ブレイドで構えを取った。

 

 「ふ~ん、『どんな手を使おうとも勝つ』ね……。ま、どの道あなたを倒すからわたしには関係ないわね!」

 

 ノワールはわたしに目掛けて特攻をかけた。それを対するわたしはノワールの持つレイピアを剣刃で受け止め、鋼の多くのぶつかり合いがスタジアムに響く。

 

 ノワールは一旦わたしとの距離を取り、一枚のカードをスキャンする。

 

 『能力追加(スキルアード)

 

 スキャンしたカードは《ダーク・カリブー》、ノワールは剣先をわたしに向け、突進をする。

 

 わたしは軽く力を込め、剣刃(つるぎ)を縦に振る、すると炎の波紋が勢いよくノワールを襲う。

 

 「まずい!」

 

 『Flash(フラッシュ)

 

 ノワールはデッキからカードをドローし、手に取ったカードをスキャンした。

 ノワールの周囲を包む風が壁となり、波紋を衝撃を抑える。恐らく使用したカードは《ウインドウォール》に違いない。

 

 「くっ……!」

 

 ノワールがなんとか波紋を塞ごうと歯を食いしばるが、波紋は風の壁を貫いた。

 ノワールは身に危険を感じ、波紋を右に回避する。が、ノワールは左膝を掠り、軽い火傷を負ってしまう。

 

 「……っ!?」

 

 ノワールが視線を向けた先には焦げ付いた床だった。

 いつ見てもすごい威力……ノワールでも引くぐらいだもの。

 

 「さすが異世界に伝わる伝説の剣刃の一本ね」

 

 ノワールは先ほど負った火傷をものともせずに立ち上がろうとするものの、少し体が左に寄せる。ダメージはあるようね。

 

 「まあ、そんな攻撃は当たらなければどうってことないけど」

 

 強がりを言いながらノワールは一枚のカードと2つのコア手に取った。

 

 「来なさい!《ダーク・ウラノス》!」

 

 ノワールは手に取り出したコアをデバイスに投入し、カードをデバイスのスキャナーにスキャンした。

 

 『召喚(サモン)

 

 スキャンに続いてデバイスから色のある音声が響く。

 

 すると後ろから謎の嘶きがスタジアムに響き、首から胸までダイヤモンドを一線に埋めた禍々しい赤い模様の馬が空から現れた。

 ウラノスは地上に足を付け、ノワールはウラノスの背中に乗る。

 

 「さあ、さっきの様に当ててみなさい!当てられるものならね!」

 

 ウラノスはノワールの言葉の後に大地を駆け出した。

 

 わたしはノワールの挑発に乗り、ノワールに狙いを定めひたすら炎の波紋を繰り出す

 しかし、ウラノスに乗ったノワールは蝶の如く炎の波紋を避ける、全く当たる気配がしない。

 

 『ネプテューヌ、聞こえるか!?』

 

 苦戦の中、わたしの胸の中から聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 シャイニング・ドラゴン?あなた、意識を閉じ込められていたはずなのに……!?

 

 相棒(シャイニング・ドラゴン)にわたしの心の中で語り掛けた。  

 

 『それについては後だ!今は戦いに集中するべきだ!』

 

 それなら少し黙っててくれるかしら?

 

 『待て、君に語り掛けたのは理由がある!』

 

 「理由?」

 

 『あぁ。《ダーク・ウラノス》は現在レベル2だ、レベル2の《ダーク・ウラノス》には注意して破壊するのだ!』

 

 レベル2?ウラノスは召喚されたばかりだからレベル1じゃ―――――――――――

 

 『それは自然影響によって召喚されたスピリットの場合のみ、デバイスによって召喚されたスピリットはコアを利用してレベルを調節が出来るんだ!』

 

 そんな!?それじゃあ以前戦ったウラノスのパワーが違うという事なの!?

 

 『更に人の手でコントロールされてる為、以前のように簡単に破壊出来ないだろう』

 

 確かにこのウラノスはあの時とは雰囲気が違う……ノワールに手懐かれてる証拠ね。

 

 『それともう一つ、ウラノスはレベル2以上だと特殊能力が追加される!』

 

 シャイニング・ドラゴンの説明を聞いてる間にノワールは妖しい緑の火球をわたしに襲う。

 

 わたしの反射神経が能に刺激され、バックステップで回避する。これじゃあさっきと立場が逆ね。

 

 あの炎を見ると連鎖(ラッシュ)を発動した時と同じような気配がする。《シュライクン》の能力は付着されてないのにどうして!?

 

 『《ダーク・ウラノス》はレベル2から緑属性に変えられる特性がある。それに反応し、ナインテイルの連鎖が発動しているのだろう』

 

 「そんな……!」

 

 ノワールの圧倒的なテクニックでわたしは唖然しすぎて声にしてしまった。

 

 『しかし、これだけのクオリティでデッキを構築されるのは熟練の業、最近力を手に入れたノワールが構築したとは思えない!』

 

 確かにバトルスピリッツを知って日が浅いわたしでもこれぐらいのテクニックは普通じゃどう考えても無理があるわ!

 

 「あら?これくらい戦いになるのは想定外みたいな顔をしてるわね」

 

 ノワールの発した言葉はまるでわたしの心を読まれているようだ、確かに想定外でもあるけれども。

 

 「あなた、さっき『バトルスピリッツはいつ何が起きるかわからない』って言ってたわね。まさか自分の言った言葉さえ忘れたわけ?」

 

 ノワールはウラノスから降りて再びデッキからカードをドローする、するとノワールは口元をニヤリと笑う。

 

 「その言葉をそのまま返してあげるわ!」

 

 『召喚(サモン)

 

 ノワールはデバイスにカードをスキャンすると左目が白く光り出し天井がオーロラに包まれ、同時に熱がこもった空気が冷気に包まれる。そのオーロラから白銀に輝く一本の剣刃が生成され、地に重い音が響き渡り、剣刃が浅く刺さる。

 

 

 『《白夜の宝剣ミッドナイト・サン》に左目の剣眼(ソードアイ)……!ノワール、やはり君は白き闇のソードアイズだったのか!!』

 

 「まさかあなたも……!?」

 

 シャイニング・ドラゴンの言葉によってわたしは驚いた。今日驚いたのはこれで何度目だろう?

 

 「えぇ、他に理由は幾つかあるけれども、わたしがソードアイズであるこそあなたに宣戦したんだから」

 

 ノワールは《白夜の宝剣ミッドナイト・サン》を抜き、剣刃(つるぎ)を構える。

 

 「あなたが《神器化》でシャイニング・ソードを強化しても、使いこなせなきゃ意味ないわね!」

 

 ノワールは再びウラノスに飛び乗り、わたしに向かって突進してくる。

 

 このまま倒される訳にはいかない。それに対抗すべくわたしはデッキからカードをドローし、カード2枚をデバイスにスキャンする。

 

 『能力追加(スキルアード)!』

 

 わたしがスキャンしたカードは《火旋竜ファイアーストーム》と《ミラージュ・ワイバーン》。

 シャイニング・ブレイドを口で噛み締め、両腕に緑の羽毛が生成される。まるで鳳凰をハーピーにした姿だ。

 

 突進するウラノスをギリギリのタイミングで飛び避ける。

 狙いは腰に聖刀(シャイニング・ブレイド)で斬りつけた。

 

 「やった!」

 

 攻撃に成功したわたしは喜びの声を挙げた。だが――――――――――

 

 「!?」

 

 確かに歯ごたえはある、攻撃はノワールに当たった。

 だが当たったのはノワールの¨体¨じゃない。視界に写ったのは、ノワールの¨(ミッドナイト・サン)¨がわたしの攻撃を防いでいた光景だった。

 

明らかに失敗だと判断した。

 

 わたしが動揺した隙にノワールが払いのけて蹴り飛ばし、わたしは転倒してコンクリートが体を引きずる。

 

 『大丈夫か!?ネプテューヌ!』

 

 シャイニング・ドラゴンの心配を和らげるため「大丈夫」と返す。

 

 ノワールがウラノスから飛び降り、刃を逆手に持って追い打ちをかける。当然、避けるために左に転がった。

 

 だが避けるのが遅かった。刃が鋭い音で右翼の羽毛の二の腕あたりを貫き、うつ伏せの状態で身動きが取れなくなった。

 

 「あぁっ……!ぐッ……!!」

 

 生成された右翼にも痛みが感じ、苦しみの声を挙げる。

 

 「お姉ちゃん!」

 

 ネプギアが放送室からわたしを呼んだ。だけどあんな遠くから声が届くはずがない。でもわたしは聞こえた。

 

 するとノワールは背を低くし、左脚を寝かせてこちらを見る。

 

 「ウラノスに対抗しようと、能力を追加したのが仇になったわね」

 

 その言葉を引き金に、わたしは訴えるようにノワールを睨んだ。

 

 確かにノワールの言う事は正論。もしかしたら能力を付着せずに攻撃したら攻撃失敗免れないけれども、今のような状況にならなかったかもしれない。その後悔が身に深く染みる。

 

 「じゃ、そろそろ終わりにするわ」

 

 ノワールは立ち上がり、デッキからカードをドローした。

 ノワールが引いたカードは《闇皇ナインテイル・ダーク》。

 

 力の源のナインテイルのカードを引くということは、確かマニュアルじゃ今までとは比べ物にならない力が発揮する合図。

 左翼に刺してくれたらデッキからカードを引けてなんとか抵抗出来るのに、右翼に刺さったらカードが引けない。

 

 立ち上がって刃を抜きたいけれども、立ち上がるのも難しいだろう。

 

 『EXE DRIVE(エグゼドライブ)

 

 ノワールは両手を真上に上げ、当帯が二つの大砲に変化して標的をわたしに向けた。

 再び複数の妖しい炎が現れ、砲口に入る。

 

 すると砲口から青い光が発した。恐らく威力を上げるために貯めてる。

 

 もはや負けを認めざる負えない、そう確信した。

 

 『Time Over(タイムオーバー)

 

 次の瞬間、互いの装備は自動的に消滅し、女神化も解けていつもの姿に戻った。

 

 「終わった……?」

 

 わたしは幼い声で辺りを確認し、視界を右に移したらミッドナイト・サンのカードが落ちてる。ってことはホントに終わったんだね……。

 

 「やっぱり、20分は少ないものね」

 

 ノワールはそう言いながらミッドナイト・サンのカードを回収した。

 

 はぁ……死ぬかと思ったよ……。

 

 

 

  〇

 

 

 

 戦いを終えたお姉ちゃん(ネプテューヌ)達は再び教会の庭でデバイスのチェックを行ってます。

 

 あ、申し遅れました、ネプギアです。わたしもユニちゃんと一緒に庭でお姉ちゃん達の戦いのことを話してます。

 

 「やっぱりノワールさんすごいよね!だってお姉ちゃんがカードを手に入れて数日でノワールさんも手に入れてカードを使いこなすなんて!」

 

 雰囲気がさっきとなかなか変わらないから盛り上げようとしてるけど、そんなに変わらないんですよ……。誰か助けてください。

 

 「……ネプテューヌさんはいいよね、あんな力手に入れても変わらない日常過ごしてて」

 

 「え?」

 

 わたしは思いにもよらない言葉を聞いて間抜けな返事をしてしまいました。

 

 「だ、大丈夫だよ!今までとは違う環境になったから忙しくて、その内いつも通りに戻るよ!ね?」

 

 わたしは必死でユニちゃんを励ましました。ユニちゃん、これ以上暗くならないで……!お願いだから!

 

 「本当に……そうかな?」

 

 余計暗くなちゃった!?な、なんとかしなきゃ!

 

 「本当だy「一瞬だけど、なんかお姉ちゃんじゃないような気がするの」

 

 わたしはユニちゃんの言葉に何か嫌な予感が感じてきました。その嫌な予感、当たらなきゃいいけど……。

 

 

 

    〇

 

 

 

 さてさて、変わりまして主人公オブ主人公ことネプテューヌが再び語るよー!

 

 今なんだけど、デバイスのテストを結果を確認した後、今日の戦いのことを話してたんだ。

 

 「あなたは最初本気出すと言ったけど、結局本気で行かなかったのね、最初は」

 

 「ま、まぁね……ほんのちょっとの小手調べって感じで最初戦ってたから……」

 

 だって、ノワールが相手になるって言うからどんなカードを使うかわからないし……。

 

 「ついでに、あなたの悪いところも一つぐらい言っておかないとね」

 

 そ、そんな……鬼畜ですかノワールさん……。

 

 「パートナースピリットに耳を傾けすぎ、そのせいであなたの隙が出来てしまうわ」

 

 「ちょっと待って!?確かに耳を傾けてたけど避けてたよ!?」

 

 いきなりノワールが異論のある発言が飛ばしてきてわたしは焦った。

 

 「途中まではね、でも羽を刺された時は避けきれなかったじゃない」

 

 うぅ……事実だから言い返せない……。

 

 「ま、セキュリティを甘くしたわたしが悪かったけど」

 

 あれ?ノワールが反省してる?

 

 『あらやだ、セキュリティが甘かったせいでノワールちゃんとお喋りが出来たんじゃない?』

 

 急にオカマ(ナインテイル)が割り込んできた!?

 

 「あなたねぇ……あなたが喋ると気が散るからわざわざこのセキュリティを作ったのよ!?」

 

 ノワールがイライラしてるところ久しぶりに見たような気がする。

 

 『もう、ノワールちゃんったら酷いわぁ、バトルスピリッツはパートナーと心を合わせて戦うのが醍醐味なのに、それを遮るなんて酷いわぁ』

 

 『そうだノワちゃ……ゲフンゲフン、ノワール!わたし達スピリットをなんだと思ってる!?これでも生き物だぞ!コミュニケーションぐらいいいだろう!』

 

 なんか講義も始まったし……。

 

 『あら、シャイニング・ドラゴンと意見が合うなんて久しぶりね、うふふ……』

 

 ナインテイルは不気味な笑いでシャイニング・ドラゴンに親しんでる。

 

 『それは偶然だ!それにネプテューヌはまだカードの使い方を一部しかしらないのだ!』

 

 『それはノワールちゃんも同じよ?』

 

 更に講義は激しくなってく……。シャイニング・ドラゴンは言葉じゃ嫌がってる(?)けど案外仲がいいんだね。

 

 「もう!あなた達いい加減にしなさい!わかったわよ!正規版はセキュリティは残すけど戦闘中も喋るようにするから!それなら文句ないでしょ!!」

 

 「おぉ!スピリットの要望を受け入れるなんてさすが女神の鑑!」

 

 わたしは追い打ちをかけるようにノワールを茶化す。

 

 「ネプテューヌまで……もう……」

 

 戦いの後とは思えないムードでテストプレイは終わった。

 

 「じゃ、そろそろ帰らないといーすんに怒られるから」

 

 「えぇ、バトルデバイスが完成したらあなたの国にもデータ分けてくから」

 

 ノワールも満足したみたいだし、いいよね?

 

 「うん!じゃあねー!ノワール!」

 

 わたしはネプギアと一緒に自分の国(プラネテューヌ)に帰国するため、ラステイションを後にした。

 

 ……あれ?そういえばいつものノワールならこの後にゲームに誘ってくれたり、泊めてもらえるんだけど今回はすんなりと帰っちゃった。

 

 ま、いいよね!ノワールは公式ぼっちだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   〇

 

 

 ネプギアが突然帰るって言うからすんなり返しちゃった……。まだ、話したいことがあるのに……。

 

 わたし(ユニ)はここ最近、デッキを渡したおじさんと会ってからお姉ちゃん(ノワール)が変だと感じてるの。やけに好戦的になったり、立てこもったり……。

 

 それからだけど、わたしはお姉ちゃんに気づかれないようにこっそり様子を見てるの。

 

 「さて、あとは調整するだけね」

 

 お姉ちゃん仕事部屋で今回の資料を目を通し、デバイスの調整をするためにキーボードをカチカチ打つ。

 

 今のところはいつも真面目なお姉ちゃんと変わりないけど、

 

 「うっ!?」

 

 お姉ちゃんが頭を痛めて頭を右手で押さえてる、最近お姉ちゃんは頭が痛める時が多くなったの。

 するとお姉ちゃんは痛みが治まったかのように手を離し、席を立った。

 

 「……あなたの御蔭でこいつ(ノワール)の体を元に実体が徐々に完成してるわ、こいつが無理にスピリットと合わせるからこっちにとっては好都合ね」

 

 やっぱりお姉ちゃんじゃない誰かがお姉ちゃんの中にいる……気のせいなんかじゃない、邪気がとても感じるもの。それに、聞き取れなかったけれど誰かの名前を呼んでいた。

 

 「……はっ!わたしはなにを……?」

 

 お姉ちゃん我に返った。もしかしてさっきの言葉、覚えてない?

 

「……疲れてるのかしら?」

 

 お姉ちゃんは何事もなかったかのようにソファに腰を掛け、休息を取った。

 謎は調べれば調べるほどさらに深まるばかり。

 お姉ちゃん、お願いだからこれ以上はもうやめて……!こんなことが続けたら誰かがお姉ちゃんを乗っ取られちゃう……!!

 

 心の中で叫ぶしかなかった、言葉にすればきっとやめるはずなのにどうしても言葉には出来なかった。

 

 

 

 

 

 Save The Data……




 皆さん、お久しぶりです。正直、VSノワール回がこんなに長くなるとは思いもしませんでした。ノワールが闇のソードアイズだったことを明かしたり、色々とね。
 テストバトル、いかがだったでしょうか?バトルデバイス在りのバトルではこんな感じでバトルします。ソウルコロシアムとそんなに変わらないけどね。

 さてさて、今回までのノワールが使用したデッキのテーマのことですが、カードバトラーの読者さんはお気づきでありましょう、バトルスピリッツソードアイズの白夜王ヤイバが使用する白緑連鎖デッキです。実際に発売されたスターターデッキのカードをどんな風に使用するか悩みながらこんな形になりました。

 それとノワールが最後に引いたパートナースピリットのナインテイル・ダークなのですが、仮面ライダー龍騎でいうファイナルベントってところです。必殺技があると燃えるでしょう?そんなノリで導入しました。

 視点もコロコロ変わって大変でしたが、ネプテューヌとシャイニング・ドラゴンの戦いはまだまだ続きます!ではまた次回お会いしましょう! 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9Nep「下っ端の野望」

 NepFile7
 
 EXE DRIVE(エグゼドライブ)

 カードバトラー最大の必殺技、パートナーとなるスピリットカードをデバイスにスキャンすることで放つことが出来る。

 


 Now Loading……

 

 犯罪組織マジェコンヌが壊滅してから1年半、元工作員のアタシ(リンダ)はごく普通に働きながらこの社会を生きている。コラ!そこの読者、下っ端言うんじゃねえ!

 

 それで今アタシはなにしてるかって、そりゃコンビニのアルバイトに決まってるだろ。正直、犯罪組織で働いてたから採用してくれるか心配だったけど、なんとかコンビニで働かせて貰ってんだ。

 それ以外はボランティアで活動して飯食ったり、ホントにごく普通の日常生活だよ。

 ただ、問題なのが一つ、アタシを支えてくれるヤツは誰もいねぇ。両親なんか4年半前に家出してそれっきり連絡もつかねぇし、あの発情ネズミ(ワレチュー)なんかも壊滅して以来、顔も合わしちゃいねぇ。飯を食ったり、賃貸の月々を払うだけで精一杯な日常さ。

 

 「いや~リンダさんの御蔭でここの経営も続いてるから助かるよ」

 

 アタシが会計してたところに男が話しかけてきた

 この男は同じくアルバイトの同僚だ。

 

 「あぁ、きっとここに来る前の経験が生きているからかな?」

 

 アタシは犯罪組織の事を伏せ、過去の経験ということで話した。

 

 「へぇ~、リンダさんってここのアルバイト以外でも働いたこともあるのか、どんな所だった?」

 

 「まぁ、色々な……」

 

 これ以上過去の話をしてたらアタシのことを構ってくれなくなる、だから誤魔化す。

 

 そんな何気ない話しをしてる途中、コンビニチャイムが鳴り響く。

 

 「いらっしゃーせー……あ?」

 

 客を出迎えたこの瞬間、見覚えのある姿を目の前にした。

 

 尻尾先がハートの形をして、背中にコウモリのような羽を付けた二足立ちをするまるででかいドブネズミ、間違いなくこいつは―――――――—

 

 「発情ネズミ!?今までどうしてたんだよ!」

 

 今まで姿を見せなかったワレチューがアタシの前に現れた。

 

 「ヂュっ!?初対面で『発情ネズミ』なんて失礼な女っチュ!」

 

 ……え?

 ちょっと待て、初対面?なんかおかしいぞ?確かにこいつとは犯罪組織の最期までいたよな?

 

 「申し訳ございません!同僚がとんだ無礼を!」

 

 同僚の男は発情ネズミにペコリと頭を下げた。

 

 「ほら!リンダさんも謝って!」

 

 「あ、あぁ……」

 

 アタシも同僚に続いて頭を下げる。

 

 「ハァ……まぁいいっチュ、その女に用があるからちょっといいっチュか?」

 

 ふざけんじゃねェよ、顔を忘れた癖に誰がこいつの相手をするかっての。

 

 「別に構いませんよ」

 

 オイィ!?アタシを売ってンじゃねェよ裏切り者!

 

 こうしてアタシはコンビニの裏まで連行されるのだった――――――――

 

 

 

 

     〇

 

 

 

 

 で、今コンビニの裏までついてきた訳だが――――――――

 

 「ヂュぅっ!?」

 

 ワレチューの胸倉を掴み、アタシの頭まで持ち上げた。

 普通こんなことやったら目立っちまうがここなら人気もねぇから目立つことはねェ。

 

 「よくこのアタシに忘れたって言えるな?あァ!?」

 

 「し、知らないっチュ!本当に知らないっチュ!!」

 

 ちっ、いつまでもとぼけやがって。必死こいて無駄な抵抗を取ろうが無駄なことは無駄なんだよォ!

 

 「よぉよぉ、動物虐待は感心しないなぁ」

 

 中年染みた男の声の方向を視線を向けたらそこにはアタッシュケースを持った革ジャンを着たサングラスの男が視界に映る。

 

 「誰だよテメェ、勝手に割り込んでじゃねェよ」

 

 この言葉と同時にワレチューの胸倉を離してやった。

 

 「そう言うなよ、一応そのネズミ君を雇い主なんだ」

 

 この発情ネズミ、こんなふざけた野郎に雇われてんのかよ。全くツイてねぇなオッサンは。

 

 「それはともかく、ネズミ君が言う用っていうのを気になるよなぁ?」

 

 んなこと確かに言ってたな、何なんだ用って。

 

 「ちょっと待ってな」とおっさんは言い、アタッシュケースのロックを解除し、開けて中身を見せびらかした。

 アタッシュケースの中身はカードと一つの端末だった。この端末確かラステイションで発表された【PS・β】じゃねェか!

 

 その隣に黒い紙切れを39枚、束にしてまとめてある。一体なんなんだ?

 

 「これの意味を知りたいよなぁ?」

 

 おっさんは一枚のカードと青い石を放り投げた。するとカードから六足のドラゴン型モンスターが現れ、雄叫びを上げる。

 

 「うわあぁぁぁ!?」

 

 カードからモンスターに変わるのを驚くなというのも無理がある!まさかこれって世間で噂になってるスピリットって奴!?そいつを召喚するなんて、なんなんだこのおっさんは!?

 

 「今から見せてやる、カードの力をよ」

 

 するとおっさんは一枚のカードを取り出し、突然唱えるようにぶつぶつなにか言いだした。

 

 「哀れな魂よ、全てを滅する炎に飲まれ地に帰りませい!【レッドレイ】!!」

 

 カードからオーラが地盤を突き刺し、ドラゴンの下のコンクリートが突然割れ、マグマと岩石が少し噴き上げる。

 そしてドラゴンは断末魔の叫び、青い石とカードになって落ちる。

 

 「これがその39枚の紙切れの力だ。どうだ、使う気になるだろ?」

 

 確かにすげぇ、もしかしたらこれを使ってあの憎たらしい女神共に復讐が出来るんじゃね!?それが出来ればアタシはビッグになって新しい国が出来て、アタシが女神として称えられるとか!?

 

 もしそれが実現できるなら当然買うに決まってりゃア!

 

 「おっさん!これ、メッチャ使いてぇ!金はちょっとしかねェけど後払い済ますからさ!」

 

 「まぁまぁ落ち着けよぉ、お嬢さん。焦んなくても無料で使わせてやるよ」

 

 「ホントか!?おっさん!」

 

 「ただし、こいつに認めてるかどうかはこいつの勝手だがなぁ」

 

 おっさんが言うこいつというのは一枚のカードの事だった。そのカードを手渡され、アタシの周りは闇に覆われた。

 

 

 

 

     ●

 

 

 

 

 ところ変わってわたし(ネプテューヌ)たちは、

 デバイスのテストプレイから一週間経ったんだけど、ノワールから完成はもう少し先って言われたんだよねー。

 

 で、わたし(ネプテューヌ)はノワールから未完成のバトルデバイスのシステムを二台目のNギアにインストールさせてもらって、バトルデバイス対応のアクセサリーを製作ったりしたんだ。

 それでまたしばらく調査してるんだけどスピリットのことのは全然解明出来ないよ!

 

で、解析してる間、シャイニング・ドラゴンに尋問してるってわけ。

 

 「シャイニング・ドラゴーン、君の世界の住人はどんな感じなのー?」

 

 『そうだな、紫の世界は【冥府の三巨頭】という名の三体のスピリットが存在している。その【冥府の三巨頭】は紫の世界は勿論、他の世界にも名は結構耳にしてる』

 

 シャイニング・ドラゴンの世界にも色があるんだ、つまり属性は6つあるから六世界も存在してるんだね。

 そういえば一つ聞きたいことが―――――――――――

 

 「シャイニング・ドラゴン、12人のソードアイズと12本のソードブレイヴが全部集まった時には何が起きるの?」

 

 そう、まずこれらを集める意味がまだ解らない、別に全部集めても全部解決することはまずないと思うんだけどね。

 

 『わたしとしたことが言い忘れてたよ。わかった、今から説明しよう』

 

 彼はは12人の剣眼(ソードアイ)宿す者(ソードアイズ)と12本のソードブレイヴが集まった時のことを語りだした。

 

 光のソードアイズ、闇のソードアイズがそれぞれ一つの属性につき2本存在し、バトスピには6属性存在する。

 合計12本のソードブレイヴが世界の中心に集いし時、世界を壊し、世界を創る【裁きの神剣】が復活し、それを手にしたものは永遠の命と不老を約束する。

 

 彼がいた世界ではそうだったらしいね。

 

 「世界を創るって、それだったら地道にスピリットをカード化した方がまだいい方じゃ『それではこの世界のバランスが崩壊してしまう』え?」

 

 彼が言う『バランスが崩壊』にわたしは疑問符が付いた。

 

 『いくらこの世界が広くてもエネルギーには限りがある。もし限界に近付き、この世界に生きる命が奪われてしまえばほとんど何もできなくなり……いずれこの世界の生態系が崩れてしまう恐れがあるからだ』

 

 なるほど、言われてみれば確かに。

 

 『理解してくれたようだな』

 

 シャイニング・ドラゴンがそうならその通りかもしれないけど、一つ謎がある、今それを彼に伝えるべきだと判断した。

 

 「じゃあシャイニング・ドラゴンはどうして「ネプテューヌさん!大変です!」

 

 再びシャイニング・ドラゴンに問いだそうとした瞬間にいーすんが慌てて部屋に飛び込んだ。

 

 「いーすん?なんか深刻そうな顔をしてるけど、何が起きたの?」

 

 「はぁ……はぁ……アイエフさんが国内で何者かによって重傷を負って今医療室に……!!」

 

 アイエフことあいちゃんはプラネテューヌ諜報部員一番の腕が立つ娘で、わたしが犯罪組織に捕まってる間ネプギアと一緒に犯罪組織と戦ったんだ。そんなあいちゃんが……重傷!?

 わたしは40枚のカードをデッキホルダーに収納し、急いでこの建物の中の医療室に駆け込んだ。

 

 

 

    ●

 

 

 

 そして、ドアノブを急いで捻って医療室に入った。

 

 「あいちゃん!!」

 

 そこにはナースのコンパちゃんことこんぱがベッドに寝るあいちゃんを治療してる図が視界に映る。

 

 「ネプ子……」

 

 包帯が上半身ほとんどに巻かれ、巻いた部分には紫に光る斬り傷の跡が透けて見えるあいちゃんが残りの力一杯の声でわたしの名前を呼ぶ。

 

 「あいちゃん!大丈夫!?なんか紫の傷跡が包帯で巻かれても全然隠れてないけど!?」

 

 そんなあいちゃんをわたしは心配して近くに居座る。

 

 「紫の傷跡?そんなのは見えないのですがあいちゃんは大丈夫です、命には関わらない程度の怪我でしたから心配いらないです」

 

 あいちゃんの状態を知らせてくれたのはこんぱだ。こんぱもネプギアと一緒に戦って、傷を治してくれてたんだ。コンパが言うから大丈夫みたいだけど……。

 

 え?見えない?この紫の傷跡はわたしには見えるのにこんぱには見えないのはおかしい。

 

 そんなことよりどうしてあいちゃんをこんな目に遭わせるなんて……。

 

 わたしはいつの間にか俯いてた。

 

 「ねぷねぷ……」

 

 このままじゃ気が済まない!

 わたしは振り切ってあいちゃんに聞き出すことに決めた。

 

 「あいちゃん!そのやられたモンスターはどんなのだった!?」

 

 「傷を付けたのは……モンスターじゃないわ……」

 

 その言葉にわたしは驚きを見せた。

 

 「とんでもない……気迫を持って……腕が……うぐっ!?」

 

 あいちゃんは深い傷を負ったと思われる左胸のあたりを手で押さえ苦しんでる。

 

 「ねぷねぷ、今はあいちゃんの傷が治るまで休ませて欲しいです。だから今は話しはあとにするですぅ」

 

 詳しい情報はそんなに聞けなかったけど、今はこんぱの言う通りここはあいちゃんの傷が十分に塞がったらまた話しを聞こう。

 その間にわずかな情報で見つけ出さないと!

 

 わたしは医療室の出口に駆け出した。

 

 

 

   ●

 

 

 

 

 街の人混みにいる中、わたしはあいちゃんを傷ついた人物を探すけど、情報が足りないから全然わからない。

 本当にこの中にいるのかな……?

 

 『ネプテューヌ、先ほどそのあいちゃんという娘の傷に注目してたね?』

 

 それは当然だよ!重傷で傷を見ないのはおかしいよ!

 

 『落ち着きたまえ、君が見た傷にはなにかおかしな点に気が付いたようだが覚えてるか?』

 

 おかしな点……そういえば包帯で隠れてるはずの傷が紫に光って透けていた。

 

 『君はそれを目に付けた、その傷は何者かが傷を付けた証拠だ』

 

 そうか!紫の傷を付けるのは普通じゃあり得ない、それを頼りにすればいいってことだよね!

 

 『その通りだ、その傷の付けかたはわたしは知ってる』

 

 嘘!?じゃあそれを早く言ってよ!

 

 『分かった、今から説明しよう』

 

 これが分かったらもう尻尾掴んだも同然だから早く!

 

 『この傷は特殊な傷の付け方だ、結論から言えばわたしの世界によるものだ』

 

 シャイニング・ドラゴンの世界のもの?

 

 『コアから生成されるスピリッツエネルギーによってダメージを与えその痕跡を残す、これを【魂跡】(こんせき)とわたしは呼んでる。恐らく傷の色は属性を表している』

 

 なるほど、【魂跡】か……これが分かれば犯人を特定できる!

 

 『ただ完全に特定できる訳ではない、今はその傷の色で判断して特定するしかない』

 

 なんだ、犯人は誰かがわかる訳じゃないんだ、ちょっとがっかりしたよ。

 

 『だがわたし達スピリットがこの世界に来てから数日しか経たない、さらにあいちゃんは国内で負傷してる。しかも傷の色は紫、つまり犯人は紫属性のスピリットの使い手のカードバトラーに違いない』

 

 シャイニング・ドラゴンの推理は説得力があり過ぎるから何も言えない……。

 

 『どうした?パートナーの言葉を信用出来ないのか?』

 

 ううん、わたしはシャイニング・ドラゴンの言葉を信じる!

 

 『……!近くにスピリットの気配が感じる!』

 

 この近くに犯人がいるんだ、慎重に見極めないと!

 

 するとわたしにパーカーのフードを被った一人の少女が段々近づきにきた。まさかだけどね。

 

 するとパーカーの少女がわたしに向けてバールを振り回した。どうやらわたしの勘が的中したみたいだね。

 

 それぐらいじゃわたしは倒れない!

 少女が持つバールをわたしは受け止めてフードを剥がした。

 

 「ちっ!やっぱ女神は一筋縄じゃいかねェな!」

 

 その少女の姿は緑髪のセミロングで肌の色が灰のような色だ。

 この少女は一度見たことがある気がする。

 

 「君は犯罪組織の下っ端!」

 

 そう、この娘は一年半前に犯罪組織の工作員の一人でネプギア曰く下っ端の割によく現れてたって言ってた。

 

 「アタシはもう下っ端じゃねェ!リンダだ!犯罪組織マジェコンヌが壊滅したからコンビニでバイトしてんだよ!」

 

 「アルバイトって結局下っ端じゃん」

 

 「だァー!女神側はどいつもこいつもムカつく奴ばっかだ!」

 

 いや、勝手にムカつかれても困るよ……。

 

 「まぁいい、テメェこれからアタシに倒されるからな!」

 

 下っ端は自信満々で左腕を見せびらかし、紫のカードを中心にしたデッキを取り出した。

 下っ端の左腕をよく見るとPS・βが取り付けられてる!まだ配布もされてないのに!

 

 『どうやらあの【魂跡】を付けた犯人はこの娘のようだ、油断するなネプテューヌ!今までとは比べ物にならないエネルギーの強さだ!』

 

 「ご名答、あの雑魚をやったのはアタシだ、(タマ)は無事みてェだけどよォ!」

 

 『Standby(スタンバイ)……』

 

 デスメタルな音楽が鳴り響き、変身の構えを取る。

 

 「変身!」

 

 ニヤリと笑みを浮かべると同時にデッキをデバイスに取り付けた。

 

 『The Baroque・Bordeaux(ザ・バロック・ボルドー)!!』

 

 紫の霧が下っ端を包み、阿修羅を白骨化させたような冥府の戦士を連想させる鎧に変化した。

 

 『よぉシャイニング・ドラゴォン、こっちの世界もバリバリやってるみてェだなァ?』

 

 下っ端のパートナーって、なんか杜王町にいる空間を削り取る高校生みたいな喋り方するね……。

 下っ端のパートナースピリットはシャイニング・ドラゴンを知ってる様子、やっぱりシャイニング・ドラゴンって有名人ならぬ有名竜なんだね。

 

 『君は……誰だ?』

 

 下っ端とそのパートナーと一緒にわたし古いコミカルなアニメみたいにずっこけた。

 

 『知らねェなんか言わせねぇよ!聞いたことあるだろォ?【冥府の三巨頭】をよォ!』

 

 『【冥府の三巨頭】?あぁ、紫の世界では名の高いあの』

 

 『そうだ!その一人がこの俺様、バロック・ボルドー様がゲイムギョウ界に登場だァ!』

 

 「な、なんだってー!?」

 

 

 【冥府の三巨頭】って、シャイニング・ドラゴンの世界でも聞いたことがあるって言うくらいだからとても強いってことだよね!?シャイニング・ドラゴン、ちょっとこれはまずくない?

 

 『……すまない、やはり君のことは知らない』

 

 

 「「『……え?』」」

 

 シャイニング・ドラゴンを除いて三人合わせて疑問符が付いた。

 シャイニング・ドラゴンが知らないって言うけど、もしかしてだけどこれって……。

 

 「……おい、お前さ、その【冥府の三巨頭】の中で一番弱ェんじゃねぇのか?」 

 

 うん、思った。わたしも思った。

 

 『んんんンな訳ねぇだろ?俺様は【冥府の三巨頭】の一人だぜ!?』

 

 ちょっと動揺してるよ!?なんか図星突かれちゃってるぽいけど大丈夫なの?

 

 『だが強いにしろ弱いにしろ君らを倒さなければならない、そうだろう?ネプテューヌ』

 

 「うん、早くあいちゃんの仇を取って知らせないとね!」

 

 わたしも相手に応じてアクセサリーをセットしまくりのNギアを腕に取りつけた。

 

 『Standby(スタンバイ)……!』

 

 対するわたしはアクションのゲームミュージックな待機音で右手にデッキを取り、変身の構えを取る。

 

 「変身!」

 

 『The Shining・Dragon(ザ・シャイニング・ドラゴン)!!』

 

 Nギアにデッキをセットし、いつもの姿で変身する。

 

 「ノーコンティニューでクリアしてやんよ!」

 

 召喚した刀剣を手に取り、構えを取る。

 

 「さぁ、反逆の時だァ!」

 

 下っ端もわたしに応じて両手に剣を構える。

 

『GATE OPEN KAIHO!!』(ゲートオープン・界放)

  

 デバイスの合図と共に下っ端の激戦が始まる。

 

 

 Save The Data…… 




 最近メガデッキが発売されたりポケモンサン・ムーンが発売されたり財布が軽くなってます。皆さんは御三家のポケモンどれを選びましたか?私はアシマリです。
 それはさておき、本題に入りましょう、実は下っ端ことリンダとバロック・ボルドーの組み合わせは前から予定してました。それで色々ストーリーを構成した結果あいちゃんが犠牲になりました、あいちゃん本当にごめんなさい……。
 新たなキーワード【魂跡】が生まれまして、それを頼りにネプテューヌと遭遇しましたね。なんかバロック・ボルドーが動揺してましたが、果たして実力は……?
 
 それでは次回またお会いしましょう! 感想よろしくお願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10Nep「DESTROY」

 NepFile8

 裁きの神剣

 世界を破壊し、世界を創造する伝説の神剣。伝説の言い伝えでは『光と闇、対立する6本の剣刃が揃ったとき、永遠の命と不老を約束する』と、シャイニング・ドラゴンの世界では伝えられたらしい。
 


 Now Loading……

 

 あいちゃんが下っ端に被害に遭い、仇を取るため人気のない市区で下っ端との闘いを繰り広げてる。

 闘いが始まってから5分、一刻も早く終わらせないと!

 

 「最っ高だなァ!この力!この圧倒力!これがありゃなんにも怖くねェ!」

 

 気分が高まってる下っ端は生成された4本の腕にそれぞれに握ってる剣を同時に風を斬り下ろす。

 

 わたしはその攻撃を全て刀を盾として受け止める。が、パワーの差が下っ端の方が上回り、わたしは耐えるのに精一杯だ。

 

 『このままでは押されてしまう!シャイニング・ソードを召喚だ!』

 

 「だよね!」

 

 シャイニング・ドラゴンの指示通り、デッキから【輝きの聖剣シャイニング・ソード】を手に取った。

 

 『召喚!(サモン)The・Shining・Sword(シャイニング・ソード)!!』

 

 

 下っ端の背後を取り。スキャンしたカードは太陽の光の一部になりて、光が集中する先は下っ端の背中に目標に剣刃(つるぎ)は降りて来る。

 

 「うぐっ……!」

 

 その剣刃は下っ端を貫き、うめき声を上げ剣刃の柄を握りしめ下っ端の体から抜き、下っ端の腹部を切り裂く。

 

 「アタシは……こんなところで倒れる訳には……!」

 

 下っ端は立ち上がれるまでの力はなく、体を地面に強く叩き倒す。

 

 「やった!」

 

 勝利を確信したわたしは喜ぶ。

 あいちゃん、これで仇は取ったよ……!

 

 その時、下っ端の鎧の胸辺りに三つに光る紫の石の内の一つが砕け散る。

 

 『Resurrection(リザレクション)!』

 

 呪文のようなキーワードをバロック・ボルドーは唱え出し、何もなかったかのように下っ端は起き上がる。

 

 「ふぃ~、今の攻撃生身で受けてたら死んでたなァ」

 

 そ、そんな!?今、完全に急所を狙ったはずなのに変身が解除しないなんて!?

 

 「今のアタシは死なねエ!何度でも蘇るんだよォ!!」

 

 む、無敵!?ストーリー序盤でなのにそんなのアリ!?

 

 『紫のスピリットの特性は主に自身を蘇らせるのが多い、だが弱点は必ずあるはずだ!』

 

 シャイニング・ドラゴンは自信満々にわたしに言う。

 

 「弱点?今のアタシにそんなモンねェに決まってるだろォ?」

 

 「いや、シャイニング・ドラゴンが言うんだから必ず弱点はある!それをわたしが見つけ出す!括目せよ!」

 

 国民のシェアエネルギーで生成されたシェアクリスタルをわたしはデバイスにセッティングし、女神の姿に変えた。

 

 「【神器化】!」

 

 その掛け声と共に炎の竜巻が剣刃を包み、黄金色に輝く刀剣【輝きの聖刀シャイニング・ブレイド】に変化した。

 

 「全く、勝てねェっ言ってんのに戦うなんてよ、ホンット無謀だよなァ、バロック」

 

 『あぁ、マジで困るよなァ。ま、ついでにヤツ(シャイニング・ドラゴン)も倒せば連中に土産話も出来るしよォ』

 

 あの二人は完全に勝てる前提で妄想を膨らましてるわ……。

 でも不死身とは言ってもまだ一回しか復活してないからもう一度倒して不死身かどうかは明らかになる、口だけの可能性もあり得るわ。

 

 「じゃあ、第二ラウンドと行こうじゃねェか。さあ!てめェの首を貰うぜェ!」

 

 『ついでにソードブレイヴも貰ってこうじゃねェかァ、あぁ?』

 

 「ソードブレイヴは渡さない!」

 

 一本の刀と複数の剣が火花を散らす。

 下っ端は腕の一本一本に力を込め、まさに太鼓を叩くように切り込む。一言でまとめればゴリ押しね。

 それが下っ端、いえ、バロック・ボルドーの戦い方!

 ここは距離を離して、マジックカードでダメージを与えてから、一気に畳み掛ける!

 

 わたしは下っ端から離れ、デッキから三枚カードを取る。

 引いたカードは【ツインフレイム】二枚と【ライトブレイドラ】一枚。

【ツインフレイム】単体じゃ火力が足りないけど、もう一枚と【強化】(チャージ)を持つライトブレイドラがあれば結構なダメージは与えられる!

 

 『Flash(フラッシュ)!Flash!【強化】!』

 

 両腕に纏った炎を力を込め、素早いジャブを放つ。

 

 一発目―――――—半径60cmの十字の炎が下っ端の真正面に放つ。

 

 「んなちっせェ炎で倒すなんてよ、女神の頭もイカれちまったようだッなァ!」

 

 右片方の腕で炎を弾き返し、地面叩きつけられ空中に砂が巻き起こす。

 

 二発目——————今度の炎は【強化】により、一回り大きい。

 

 「こんなもん効かねェってのわかんねェのかよ!」

 

 左片方の腕で炎を弾き返す―――――――が、一発目より効果があり、一回受けないと弾くことが難しかった様子。

 

 「ったく、手間かけさせやがって。ってやべ!周りが見えねェじゃねェか!」

 

 辺りは砂埃で回りが見えない状況だ。その状況を利用して足音を立てずに下っ端の後ろに忍び寄ることにした。

 

 「クソっ、どこにいやがる!」

 

 下っ端がこちら見つけるのに焦っていたかこちらには気付かず後ろを取ることが出来た。

 

 (今度こそ!)

 

 『Flash!【強化】!【強化】!』

 

 【ツインフレイム】と【ライトブレイドラ】二枚でコンボを作り、ゼロ距離で炎を纏ったシャイニング・ブレイドを十字に振り下ろす。

 

 下っ端の背中は十字の炎で焼かれ、両膝を地面に着く。

 

 『おい、リンダ!このままじゃガチでやべぇよ!お前が不死身でも痛覚が持たねぇって!』

 

 「……!じゃあどうすりゃいいんだよ!?」

 

 下っ端もそろそろ息があがってる、これはチャンスよ!

 

 「シャイニング・ドラゴン、そろそろ決めるわ!」

 

 『OK!』

 

 EXE DRIVE(エグゼドライブ)を発動するため、デッキからカードをドロー。

 

 引いた一枚のカードは-―――――――――――

 

 「嘘っ!?」

 

 特に特殊能力はなく能力上昇効果もないカード、いわゆる召喚用スピリットカード【モン・ドスーン】だった。

 

 「一番大切なところでこのカード……」

 

 こんな大場面でショックを受けないはずがない……。

 

 『諦めるなネプテューヌ!引けないのなら引けるまでドローを続けんだ!』

 

 シャイニング・ドラゴンの言葉で再び闘志が燃え上がる。

 

 そうよ、ここは主人公補正でドローを続ければ絶対に引ける!

 

 わたしは再びデッキに人差し指、中指を置いた。

 

 今度こそ、来なさい!

 

 デッキからカードをドローをしようとした瞬間、デバイスにブザーが鳴った。

 

 「……え?」

 

 『どうしたネプテューヌ!?早くドローをするんだ!』

 

 「い、今ドローするわよ!」

 

 きっと何かの気のせいだと思い、改めてドローする。

 

 カードをドローしようとするとデバイスからカードを引っ張られ、ブザーが鳴る。

 

 まさか、故障!?

 

 急な事態に焦り、どうすればいいのか混乱する。

 

 『おい、こりゃチャンスじゃねぇの?』

 

 「あぁ、チャンス到来だな」

 

 下っ端は突然立ち上がった。

 

 剣をコンクリートに刺し、下っ端自信の胸の石一つを取り外す。

 

 その石は中右手のグローブの手の甲辺りに填め込んだ。

 

 『DESTROY!(デストロイ)

 

 下っ端の腕は不吉なオーラを纏い、再び剣を取る。

 

 『しまった!このままでは逆転されてしまう!』

 

 EXE DRIVE!?いや、EXE DRIVEとは何かが違う!

 嫌な予感がする……まともに受けたら致命傷よ!

 

 「さっきはよくもやってくれたなァ!」

 

 下っ端は憎しみを抱いてこちらに突っ込んでくる!

 

 早く……引かないと……!

 

 デッキを見つめ、力ずくでカードをドローをするもブザーが鳴って引くことが出来ない!

 

 下っ端からの距離を改めてみると今から防御札を発動しても間に合わない距離だった。

 

 『くっ……ダメか……!?』

 

 『Flash!』

 

 諦めかけたその時、遠くから機械音声が聴こえた。

 

 自分の手札にはマジックカードもなければFlashは使えない。

 

 なら下っ端が使った?いや、その音が聴こえた直後下っ端はすぐ立ち止まって周りを見渡してる。

 

 じゃあ誰が?

 

 考えた次の瞬間、目の前に三枚の白い壁がわたしの目の前に現れた。

 

 『これは、【サイレント・ウォール】!?何故古代のマジックが目の前……うぶっ……』

 

 「シャイニング・ドラゴン!?一体どうし……うっ……頭がフラフラする……」

 

 シャイニング・ドラゴンがキラキラが吐きそうだけど……ダメ、状況が読み込めない……。

 

 更なる混乱に迫られる中、一人の人間らしき生物が現れた。

 視界がぼやけて顔はわからないけど、体形を見ると少女だ。

 

 そして、少女はわたしに声をかけた。

 

 「さあ、ここから離れましょう。しばらくしたらこの壁は消えてしまうので」

 

 そう言いながら手を差し伸べてくれた。

 

 でも今ここを離れたらまた下っ端が町で暴れる……!ここで退くわけには……!

 

 『ネプテューヌ!今は……退くべきだ……!今の戦力では……奴を倒すのは無理だ……!それに……一刻も早くこの場から離れた……うっ!』

 

 シャイニング・ドラゴンの言う通り、ここは離れるしかないわ。

 それにいくら小説だからと言ってもここでリバースしたら評価が駄々下がりよ、だからもうちょっと持って。

 

 「行きましょう」

 

 一度女神化を解除し、謎の少女の誘導でこの場を離れることにした。

 次戦う時は必ず、あいちゃんの仇を取るからね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ネプテューヌもう限界だ……!』

 「ダメぇぇぇぇ『オロロロロロロロロ……!

  

 

 

 

 Save The Data……




 一ヶ月半更新遅れたアポロです。
 いつもより文字数が少ないのも、今回の終わりにシャイニング・ドラゴンを吐かせてしまったのはわたしの責任だ、だがわたしは謝らない。
 というのは嘘です、汚いラストで閉めてすいません……。バトルものを書いたらグダって投げやりでこうなってしまいました。
 ソウルコロシアム本編の【サイレント・ウォール】は吐き気をさせてたのですが、ネプテューヌには目眩にさせました。いや、あんなかわいい少女が吐いたらちょっとかわいそうに思うじゃないですか。

 まあそんなところで気分で更新遅れてしまうことが多くなってしまいますが、今年もよろしくお願いします。それでは次回また会いましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11Nep「星剣龍と合法ロリ」

 NepFile9
 【強化】(チャージ)

 特定のカード能力の威力上昇させる光のスピリットが持つ特殊能力。
 属性によって威力上昇の対象が違う。


 Now Loading……

 

 

 あの戦いからどれだけ時間経つだろう、助けてくれた少女に続いて走ってる。

 

 「ねぇ、まだ着かないの?」

 

 わたしは少女に聞いた。そもそも身元も知らないのに付いて行っちゃったけど大丈夫なのかな?

 

 「もう少しで着きますから」

 

 【サイレント・ウォール】の効力が時間が流れる度に気分がよくなったから改めて聞くと清らかな声だ、どこかの社長の令嬢にいるような……。

 

 すると突然、少女が止まりだした。

 

 「ここなら安全ですよ」

 

 『GATE SHUT』(ゲートシャット)

 

 この音声から聞くと、彼女は変身を解除したそうだ。彼女に続けてわたしも変身を解除する。

 

 視界も段々よくなり、目の前には大きなビルが聳えてた。

 ってことは高級マンション?でも周りは住宅地じゃない。周りはビルに多くの企業のロゴが貼ってある。

 じゃあこれは一体?

 

 「ここはわたしの会社ですよ、もしかして女神様はこの会社に来るのは初めてでしょうか?」

 

 その言葉の意味がわからなかった、そもそもこの会社は一体何の会社なのかが問題だ。

 

 「この会社って?」

 

 「うふふ、では中にいらっしゃってください」

 

 なにかを期待するかのように微笑みながら少女は中に入って行った。

 ビルに見とれて後ろ姿しか見れなかったけど、OLみたいな服装で髪色は黄色でふんわりとしたポニーテール。長さは腰まである。

 変身中はスリムでちょっとゴツゴツした鎧姿だったからわからなかったけど、軽装になるとラインがすっきりしたスタイルだった。

 

 「あの人、なんか不思議な感じがする」

 

 『わたしは既に顔は見てたが?』

 

 「え!?どんな顔!?」

 

 『それは見てからのお楽しみだ』

 

 ちぇっ、シャイニング・ドラゴンのケチ。

 

 どんな会社なのか拝見するため、ビルの中に足を運んだ。

 

 

 

                〇

 

 

 

 最上階―――――――わたしが目の前で見えたのは数多くのガラスのショーケースと、奥にドンと設置されてる社長感溢れるデスクが置いてあった。

 

 そしてなにより目にしたのは、ショーケースの中にズラリとハード毎に並べられてるゲームソフトだ。最新作は勿論、名作まで揃ってる!テンションが上がって残像が見えるくらい横に首を振りたいぐらいだよ!

 

 「プラネテューヌの女神様って噂通りゲームがお好きなようですね」

 

 「うん、大好きSA!」

 

 「うふ、わたしも大好きですよ!」

 

 この人とは気が合うね!暇があったら教会に来てほしいな!

 

 『君は仕事をしたまえ!』

 

 「今その途中じゃん!」

 

 思わずシャイニング・ドラゴンの言葉に反応しちゃった、でもあの人変身してたから大丈夫だよね?

 

 『そろそろ自己紹介してもいいのでは?』

 

 この声、多分少女のスピリットの声だ!落ち着いていて、重みがあって結構強そうな感じだよ!

 

 「そうね、自己紹介しておかなくちゃ」

 

 自己紹介してくれるみたいだから少女視線を移した。

 改めて見てみると顔立ちは十代後半って感じで、目は若干タレ目だね。

 胸のほうはわたしの手だと掴めそうな感じかな?

 

 

 『俺はこの娘のパートナー、【十剣聖スターブレード・ドラゴン】だ』

 

 少女はデッキケースから一枚のカードを取り出し、わたしに見せびらかした。

 イラストは赤と青が交じり合い、雄々しい竜人の剣士のカードだった。あとドラゴンの中で結構イケメンなほうだと思う。

 

 『スターブレード!急にいなくなったから心配したじゃないか!』

 

 『やはり貴殿はシャイニング・ドラゴン殿であったか、久しいな』

 

 どうやらシャイニング・ドラゴンはスターブレードの知り合いだったようだね。

 

 「そっちのパートナーは知ってるみたいだけど、わたしも出しとくね」

 

 そっちに応えてシャイニング・ドラゴンのカードを出した。

 

 「【輝龍シャイニング・ドラゴン】……向こうの世界の活躍は少し聞いてるわ」

 

 シャイニング・ドラゴン、もう向こうの世界のカリスマじゃん!

 

 『最低限のことは話した、次はお前だ』

 

 「そうね。と、その前に問題!この会社はなんという企業でしょう?」

 

 少女が突然問題を出しながらウインクした。

 

 え~と、急に問題出されても困るっちゃうな……。

 

 「ヒントはこのケースの中にいくらでもありますよ」

 

 少女のスピリットもシャイニング・ドラゴンと同じポジションなんだね。

 

 ケースの中のゲームがヒントか……そういえばこの中に並べられてるゲームは一つのメーカーだけ揃ってるよね。

 うん……?一つのメーカー?まさか――――――――

 

 「わかったよ!この会社の名前!」

 

 わたしが出した答えは-―――――――

 

 「ここはBANG・DAI NAMCO Corporation(バンダイナムココーポレーション)!」

 

 このケースに並べられてるゲームは子供向けの特撮、人気漫画の原作にゲーム化が多い。

 なにしろ決定的なゲームは、アイドル育成ゲーム!これを知らないゲーマーはいないと言ってもいい!さあ、真実は-―――—――――

 

 

 「正解!」

 

 やった!でもどうしてわたしを助けてまでここに誘ったんだろう?

 

 「どうしてって顔してますね、じゃあその理由を今教えてあげますよ」

 

 『全く、普通に自己紹介はできないのか?』

 

 「普通にしたら面白味がなくなるじゃない、これもエンターテイメントなのよ」

 

 『エンタメはあのトマトで十分だ』

 

 まるで意味がわからないよ。

 って言いたいけど心の中でツッコんどこ。

 

 「ここにあなたを呼んだ理由は、不正に利用してるバトルデバイスを回収してもらいたいのです」

 

 「不正利用?というかバトルデバイスってノワールが開発したんじゃないの?」

 

 「システムはラステイション支部に任せてます、その部長がブラックハート様ことノワール様が担当してもらってるの。彼女は自ら協力を願ったから採用したの」

 

 ノワールって部長だったんだ。

 

 「本部である当社はバトルデバイスのモデル開発及びカードのデータベースを製作してるの。その内リーンボックスにも支部が建つ予定です」

 

 この会社、すごい大企業だね。

 そうだ、それなら聞きたいことがあるんだ!

 

 「デッキからカードをドローして、EXE DRIVE(エグゼドライブ)に必要なカードが来なかったから連続でドローしたかったけど、引けなかったんだ。これってもしかして何かの不具合?」

 

 そう、あの戦いでシャイニング・ドラゴンが引けなかったのがどうも気になったんだ。

 デバイスを作ってるここなら、わかるかも。

 

 「あなた、もしかしてEXE DRIVEアイコンのこと知らないのですか?」

 

 EXE DRIVEアイコン?そんなのあったっけ。

 

 「ゲージが十分に溜まった状態でアイコンをタップするとEXE DRIVE用カードが出るからそれを利用してください」

 

 いつの間にそんなのあったんだ。でも――――――――

 

 「でもノワールはそれを押さなくてもEXE DRIVEは発動できたよ?」

 

 「あの時のテストプレイはまだ未実装だったので、デバイスはまだ完成してないのにノワール様が『それでもいい』と言ってたので……」

 

 どれだけ勝負付けたかったの……。

 

 「それで、『いつまでも本題に入らないから俺が説明しよう』

 

 あ、話切られた、ドンマイ。

 

 『この娘はBANG・DAI NAMCO Corporationの社長、ナムコだ』

 

 「社長!?十代でトップクラスってあり得ないレベルだよ!」

 

 突然、ナムコちゃんが不機嫌そうに頬を膨らました。

 

 「わたし、これでも28だけど」

 

 28!?全然そうには見えない!やっぱり社長権限で合法ロリキャラで暮らしてきたの!?

 

 『気を付けろ、この娘を見た目で判断すると不機嫌になる』

 

 え、そうなの?

 

 「まあ、よく言われるけどね。今回は聞かなかったことにしてあげるわ」

 

 なんかさっきと態度変わっちゃってるよ?

 

 「不正利用したデバイスをどうするの?」

 

 「デバイスを非公式で配布した人物を特定し、突き止める!」

 

 うぅ……今の社会は怖いものだよ……一つの証拠で特定されるなんて……ん?でも待って。

 そのデバイスを配布した人物、もしかしたら……!

 

 「ナムコちゃん、これは聞いた話だけれども――――――――――――

 

 わたしは最初に戦った男の話をナムコちゃんに話した。

 

 「BANG・DAIが……?まさかそんな!?」

 

 ナムコちゃんが衝撃を受けたかのように絶望したかのような顔をした。

 

 「BANG・DAIは5年半前に死んでしまったはずなのに……!まさかあの男がこんなことを……?」

 

 そんな!?BANG・DAIは既に死んでいたの!?

 そういえば会社の名前に確か[BANG・DAI]って含まれてたね、なら聞くことが一つできた!

 

 「ねぇ、そのBANG・DAIって人とどんな関係だったの?」

 

 彼女なら、BANG・DAIの事を知ってるはず!

 

 「BANG・DAIは……あの人は……」

 

 

Save The Data……

 




 寒さに震え、長い冬休みを終えたアポロです。
 とりあえず今月分の更新出来ました。いつも一日で完成できるぐらいのペースで出来たらいいのに……なんて度々思います(笑)。
 今回初めて出演した新キャラ、ナムコが出ましたね。キャラ付けはまだまだなので次話までにはキャラが完成すると思います。
 一方そのパートナーのスターブレードは、原作のイラストを見て堅物なイメージが来たのでこのようなキャラになりました。当然近いうちにスターブレードを暴れさせますよ。
 あと、なりきり垢作りました!ネプテューヌ達の日常を見たり、質問してくれれば答えてくれるかも?定期的にキャラクターが変わるのでそこも注目してもらいたいところです! @Soul_Colosseum
1月の終わりまでネプテューヌが担当です!では次回またお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12Nep「どうしてナムコはBANG・DAIを知ってるのか」

 NepFile10
 BANG・DAI NAMCO Corporation(バンダイナムココーポレーション)

 ナムコが経営してる株式会社
 人気漫画、特撮、アニメのゲーム化で多くの名作が生み出されてる。
 また、バトルデバイスを生み出した会社でもある。


 Now Loading……

 

       

 

 あれは5年半前、わたし(ナムコ)BANG・DAI NAMCO Corporation(バンダイナムココーポレーション)で秘書をやっていた時、4女神がマジェコンヌ四天王に破られてから一年後の出来事だった。

 

 犯罪組織マジェコンヌによってクリエイターが激減するというのは当時の企業にとってかなりのダメージだったわ。

 

 この問題を解決するにはとても頭を悩ませた。その時、一人の男の人が立ち上がったの。

 

 「俺が4女神の代わりに、マジェコンヌ四天王を潰す」

 

 言いだした男はこの会社の当時の社長、BANG・DAIだった。

 

 「無茶です!女神様4人に加えて女神候補生一人がまとめて戦っても、マジェコンヌ四天王一人で圧倒的な力の差を付けられたのに挑もうだなんて無謀にもほどがあります!」

 

 わたしは突然猛反対したわ、普通に考えれば四天王に負けるなんてことを。

 

 「大丈夫だぁ、俺が密かに開発した秘密兵器がある」

 

 ¨秘密兵器¨の言葉にわたしは疑問に思った直後、彼は一つアタッシュケースを机に置き、中身を見せてもらったわ。

 その中身は、スターブレード・ドラゴンのカードと39枚のデッキ。そして初めて作られたバトルデバイスが入ってたの。

 

 「それは?」

 

 「異世界のモンスター達の魂が込められたカード、バトルスピリッツだ。そしてこの端末はバトルデバイス、【ワンダーズバン】だ」

 

 初めて見たわたしにはこれが秘密兵器だと疑ったの。

 なにかと思えばカードと端末だった。この時のわたしは彼のこと、もう頭がおかしくなったのかと思ったわ。

 

 「ふざけてるのですか!?遠足に行くんじゃないのですよ!!」

 

 「俺はいつだって真面目だぁ」

 

 この時彼は真剣な目でわたしを見たの。

 

 「このデバイスは数え切れないくらい失敗を繰り返し、作り上げた魂をこめて作った兵器だ。とは言ってもまだ試作品段階だが仕方がないことだ、誰も立ち向かわないならリスクを背負ってても俺は挑む」

 

 最後の意味深な言葉は意味がわからなかった、でも彼を信じることに決めたの。

 

 

 「わかりました。ただし、犯罪組織マジェコンヌを潰しちゃうところ見せてください」

 

 「わかった」

 

 この出来事で商売人らしく条件付きで二人でギョウカイ墓場へ向かうことになったの。

 

 

         〇

 

 

 そしてギョウカイ墓場————————空は赤く、黒く染まり、背景は一言で言うと廃墟だった。

 これがゲイムギョウ界の一部だなんて……あまりにも醜い光景だった。

 

 「さーって、デバイスデバイスっと」

 

 彼はアタッシュケースからデバイスとデッキを取り、腕にデバイスを取り付けた。

 

 「まさかあの姿を最初に見せる相手だなんてな、これも運命かもしれないなぁ」

 

 あの姿?わたしにはこの言葉の意味がわからなかった。

 

 「じゃ、いくぜぇ。変身!」

 

 掛け声とともにデッキの差込口にデッキをセットをした直後、紅蓮の炎が彼を包む。

 炎が消えた時は、竜剣士を連想させるような少しゴツゴツした鎧姿に変化した。

 

 「これって……女神化?」

 

 「女神化?違うな、この姿はカードバトラーとしての俺だぁ」

 

 この時、わたしはカードバトラーの存在を知った。

 

 『全く、勝てる保証はないと言うのに挑むのか。人というのは不思議なものだ』

 

 初めてスターブレードの声を聞いたとき、わたしは混乱した。周りにはわたしと彼しかいないはずなのに声の主を探した。

 

 「落ち着けよぉ、声の主はここだ」

 

 彼が指した方向は、彼が身に纏う鎧を指した。

 

 「こいつは【十剣聖スターブレード・ドラゴン】、長いからスターブレードって呼んでる」

 

 『いつ俺のことをお前が話せと言った?まあいい。君の言った言葉は間違いはないが、この男には余計バカになる薬だったようだな』

 

 鎧が喋ると共に胸の宝玉が点滅もしてた、当時初めて見たわたしにとって驚かないのが無理があったわ。

 

 「まあそう言うなよ、もし一人でも倒せたらあっち側(マジェコンヌ)を倒したらシェアも少しは減るだろぉ?」

 

 『まあ、お前がどうしようがお前の勝手だ。死んでも責任は取らん』

 

 「相変わらず冷たいヤツだなぁ」

 

 「あの、一体何が起きてるのですか?」

 

 わたしは彼に聞いた。何故鎧が喋るのかこの時のわたしは理解できなかった。

 

 『カードには一枚一枚魂が封印されてる。それを具現化し、装備品になったのがこの姿だ』

 

 スターブレードがわたしがわかりやすいように丁寧に説明してくれたの。スターブレードって、案外やさしかったのよ。

 

 「スピリットをコントロールするにはデバイスで押さえないと暴走するからな」

 

 「うおおおぉぉぉぉ!!暇だあぁぁぁ!!誰か俺と戦えぇぇぇぇ!!」

 

 遠くから叫び声が聞こえた、その叫び声は四天王の一人が叫んでいた。

 

 「じゃ、向こうは暇してるみたいだからいくぜぇ。怪我しないように良い席を取れよぉ」

 

 彼はわたしに気を付けろと言わんばかりに四天王の方へ向かった。

 わたしも彼のあとに続いて走って行ったの。

 

 

 

    〇

 

 

 

 

 「このままではヒマ死してしまう、そんなのはゴメンだあぁぁぁ!!」

 

 その声の主は死神かと思うようなアクセサリーと浮遊する黒い巨体の機械人、名前はジャッジ・ザ・ハード。奴が持つ右手には槍と斧を合成した武器だった。

 

 「ようよう、お前がマジェコンヌ四天王かぁ?」

 

 その前に現れたのは竜剣士の姿のBANG・DAI。

 

 「貴様か?貴様が俺の退屈凌いでくれるのか?」  

  

 「質問に答えろぉ」

 

 初っ端から会話のキャッチボールが出来てないのはどうして?なんてわたしは思った。

 

 「はぁ……もう我慢できん!俺に八つ裂きにされろおおぉぉぉ!!」

 

 「あー、間違えないな。こいつが四天王の一人、ジャッジ・ザ・ハードだ。噂通りの戦闘狂っぷりだな」

 

 わたしにとって、ジャッジ・ザ・ハードの第一印象は如何にも暴力的だった。無差別に殺しに行く奴の姿はとても怖く感じたの。

 

 『本当に倒す気でいるのか?』

 

 「あぁ、そうでなきゃここにはいねぇ」

 

 彼の手元から透き通る紅い刃の西洋の剣が生成された。 

 

 「暴れたいなら、一度逝って地獄で暴れろぉ!」

 

 彼と四天王の戦いを、わたしは戦いの行く末まで見守ることにした。

 

 彼の戦いっぷりを見れば、わたしにとって異次元の戦いだったわ。

 

 女神様たちが束になっても倒せなかった四天王を圧倒的な差をつけるなんて思いもしなかった。

 魔法を使おうとすれば一枚のカードをデバイスに読み込んで具現化する。カードを使って魔法を発動するのはあくまで仮説だと思ってたけど、当時のわたしからすれば生で見るのは初めてよ。

 

 その時、わたしは感じたの。人々がを女神様を超える時代が近いじゃないかと。

 でもそれと同時に、女神様の力が人類は不要になって国が滅びてしまうという恐れもあったわ。だけど組織を潰すには仕方のないことだと思った。

 

 そして、ジャッジの戦いは終わりを迎えようとしてた……。

 

 「何故だぁ……たかが人間一人ごときに力の差を付けられなければならないんだぁぁぁぁ!!」

 

 「よし、デバイスはほとんど成功と言ってもいいな」

 

 この言葉から聞いて、ジャッジの戦いの目的が本来と違うような気がしたの。でも、四天王を一人倒せば組織のほうも結構な痛手だから当時はそのことは気にしなかったわ。

 

 「一気に決めるぜぇ」

 

 そう言いながら彼は【十剣聖スターブレード・ドラゴン】のカードを読み込む。

 

 『EXE DRIVE(エグゼドライブ)

 

 「はぁー……!」

 

 両手に剣を構えると同時に、剣からオーラが漂った。これがジャッジの最期だと私は思った。

 

 「うぐっ!?」

 

 突然BANG・DAIの体に異変が起きて苦しみ、手の力が緩み剣を地に落とした。

 

 この時わたしはどうすればいいか混乱した。このような事態が起きたらどう対処すればいいかわたしには伝えられてなかった。恐らく彼は勝ちを確信してこの戦いに挑んだから伝える必要はなかったって考えてるの。

 

 「ふぅん、俺を倒す一歩手前まで追いつめたのは認めてやる。だが貴様は強すぎたぁ!」

 

 ジャッジは巨大な斧槍を振り回し、彼を襲った。でもこの攻撃は彼でも避けられるはずだった。

 

 でも苦しんでる彼は身動きが出来ず、防御行動さえも出来なかった。

 

 「どうした?さっきまでの威勢はどこへ行った!?」

 

 猛攻はさらに続き、ジャッジの猛攻を彼はただ受け続けるしかなかった。

 わたしはあの時の意味深な言葉に理解した。『リスクを背負ってても挑む』という言葉はこういうことだったと。

 

 ジャッジの猛攻を受け続け、彼の限界が近づき変身は解かれ地に這いつくばった。

 

 変身を解くと同時に彼のデバイスからデッキが離れ、落ちた衝撃でデッキが散らばった。

 

 「どうやら、ここまでみたいだ。スターブレード、お前が言ってることは正しかったみたいなぁ」

 

 そんな言葉を聞いた途端、わたしはすぐ彼のもとへ駆けつけ彼をかばった。

 

 「ナムコ!?」

 

 「ぬ?貴様は何者だ?」

 

 「これ以上社長を……彼を……BANG・DAIを傷つけないでッ!!」

 

 ジャッジを目の前にしたわたしは当然怖かったわよ、でも彼がいなくなるのはもっと怖かった。だから自分の命を犠牲にしてもわたしは彼を守りたかった。

 

 「ふぅん、社長か……貴様はその愚かな人間の愛人か?」

 

 ジャッジの言葉にわたしは少し動揺したけど、わたしにはただ彼には生き延びてほしいという強い思いがある。

 ジャッジの質問をわたしは返さずBANG・DAIをかばったの。

 

 「ふぅん、まあいい。愚かな人間の愛人よ、そこを退くつもりがなければ貴様ごと葬ってやる!」

 

 

 ジャッジは迷いなく斧槍の突起部分をわたしごと突こうとした。

 全く、こんなヤツに説得しようとしたわたしがバカだったわよ。

 

 「このバカ野郎!」

 

 その瞬間、彼は立ち上がりわたしを押し倒した。

 

 そして―――――ジャッジの攻撃は彼たった一人生身で貫かれ、体はぽっかりと穴が開いていた。

 

 「……!!社長ぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 貫かれた彼の体はブロック状になって徐々に消滅してゆく。そう、ギョウカイ墓場での死は体がブロック状に空へ消える事を意味する。

 

 「うぐっ、そうか……俺はここにはいちゃいけないのかぁ……」

 

 彼が喋る時に一瞬、ノイズの音が聞こえる。

 

 「何を言ってるんですか!?社長はまだこれから……!」

 

 「スターブレード……」

 

 彼はカードの名を呼び、二枚のカードとデバイス、そしてコア4つをわたしに差し出した。その二枚が、スターブレード・ドラゴンと、【次元断】だった。

 

 「彼女を……ナムコを頼んだ……!」

 

 わたしはそれを受け取った瞬間、彼はブロック状に消滅した。

 

 「うぅ……うわああぁぁぁ!!!!」

 

 わたしは泣き叫んだ。彼の最期がこんな形で終わるなんて思いもしなかったからだ。大切な人を失って心が不安定にならないなんておかしいぐらいだった。

 

 「結局は俺様には敵わなかったな。さぁ次は貴様の番だ!愚か者のところまで送ってやる!」

 

 わたしは、彼を失った怒りをジャッジに向けた。このまま戦う?いえ、わたしが取った行動は-——————————

 

 「【次元断】ッッッ!!」

 

 彼の渡したもう一枚のカードは、ギョウカイ墓場とゲイムギョウ界に行き来する為の空間を作るカード。行くときもこれを使用してた。

 

 スピリットを生身でコンロールするのはデバイスでコントロールするよりリスクは大きいけど、マジックなら影響はないと判断し、マジックカードを使用した。

 

 

 「がぁっ!?なんだ!?何が起きてる!?」

 

 ジャッジが混乱してる隙に【次元断】によって作られた空間はわたしを吸い込み、ゲイムギョウ界へ戻った。

 

 その後、わたしはスターブレードをパートナーとして向かい入れBANG・DAIの仇を取るために研究を続けていた。

 しかし、わたしは生物学には詳しくなくてスピリットの習性、何故スピリットはカード化するかも理解に時間が大きく掛かった。そして完全に理解出来た時はもう犯罪組織マジェコンヌは壊滅してた。

 

 

 

 

             〇

 

 

 

 

 彼女の過去を知ったわたし(ネプテューヌ)は驚くべき事実が多かった。

 

 スピリットが犯罪組織マジェコンヌが動き出したときから存在してたこと、BANG・DAIがこの会社の社長を務めてたこと、スターブレードは元々BANG・DAIのパートナーだったこと、わたしが知らないことばかりだった。

 

 『スターブレード、何故君はわたしの世界から突然いなくなってしまったんだ?』

 

 シャイニング・ドラゴンが質問する。確かにそれについても謎だよね。

 

 『わからない、気付いたらこの世界にいた』

 

 スターブレードもわからないなんて……一体BANG・DAIはなにが目的なんだろう?

 

 「とにかく戻るわ、あのデバイスを回収すれば何かわかるはずよ」

 

 もしこれが本当にBANG・DAIの仕業だったら、なんでわたしやノワールがソードアイズになったかもわかるはず!

 

 「わかった、行こう!「待って!」え?」

 

 突然ナムコちゃんに呼び止められた。

 

 「そのゴチャゴチャしたモデルじゃ話しにならないわ」

 

 と、ナムコちゃんはそう言い出してショーケースからバトルデバイスを取り出してわたしに渡された。

 

 「わたし、デバイスならもう持ってるよ?」

 

 「それは旧モデルよりもスペックが上がって変身時間もさらに長く保てる最新型モデル【バトルドライブ・MEGA】よ」

 

 じっくり見てみるとPS・βより重みがあって、起動してみるとメニューがさらに見やすくなってる。

 

 「これが……君が?」

 

 「そうよ、そのメニューの配置は私自身が考案したの」

 

 ナムコちゃん……やはり君は天才か……?

 

 「天才なのは元からよ。さ、とっとと回収しに行って突き止めるわよ!」

 

 「うん!」

 

 BANG・DAIの謎を突き止めるため、ナムコちゃんと共に不正利用してるバトルデバイスを回収しに下っ端の元へ走って行った。

 

 あれ、わたし主人公なのに立場変わってる……?

 

 

 SAVE The Data……

 




 どうも、アポロです。ストーリーの構成が1月で3つも出来てしまいます。この調子が続ければずっと続ければいいなと思います。
 さて、本題に入りましょう。今作初の回想回になりました、ちゃんと書けてるか心配……。
 それはともかく、これでまたBANG・DAIの謎が増えましたね。BANG・DAIは一体何者なのか……。
 次回は下っ端ちゃんへのリベンジです!スターブレードを本格的に暴れさせます!ではまた次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13Nep「限られた力」

 NepFile9

 BANG・DAI

 ゲイムギョウ界で初めてスピリットの力を扱えた男。5年半前その力で犯罪組織マジェコンヌに対抗しようとマジェコンヌ四天王の一人、ジャッジ・ザ・ハードに勝負を挑み、勝利はBANG・DAIにあったかと思ったがデバイスが試作品だった故、体が動けなくなってしまい形成は逆転されてしまいBANG・DAIの秘書がBANDAIをかばおうとしたがためらいもなく戦えないナムコごと攻撃するが、BANG・DAIが出せる力を振り絞りナムコをかばいBANG・DAIだけ攻撃を受けてしまい、BANG・DAIのパートナー【十剣聖スターブレード・ドラゴン】をナムコに託してゲイムギョウ界を去った。


Now Loading……

 

 バロック・ボルドーの力を手にしたこのアタシ―――――リンダはプラネテューヌ北区で破壊活動をしていた。

 

 「おいテメェら!これ以上壊されたくなきゃプラネテューヌの女神を出しな!」

 

 プラネテューヌをじっくり壊すのも悪くねェがあのガキ(ネプテューヌ)を倒さなきゃ後味が悪ィ!

 もし倒せばアタシはゲイムギョウ界の冥府の一巨頭!残りの二人は集めりゃいいか!

 さらにリーンボックス、ラステイション、ルウィーの女神を倒せば女神に昇格だァ!

 

 「うおぉぉー!決めてやるぜアタシ!テンションMAX!」

 

 『リンダァ!そいつは違う世界のソードアイズのセリフだ!それ以上はいけねェ!!』

 

 バロック・ボルドーの必死に止めようとする意味がわからねェが、この言葉がどうして浮き上がったかアタシでもわからねぇが言うだけならいいじゃんかよ。

 

 「やめてください!」

 

 アタシを止めようとするこの声は聞いたことがある!

 

 声がした方向を向いて見れば、薄紫色の長髪の白ワンピのガキがいた。1年半前に邪魔しやがったプラネテューヌの女神候補生のガキ(ネプギア)じゃねェか!

 

 「あなたは下っ端さん!?犯罪組織が壊滅したのにどうして!?」

 

 「だから下っ端じゃねェってんだろうが!いい加減覚えやがれ!!」

 

 ったく、犯罪組織は壊滅したってのにいつまで下っ端呼ばわりされなきゃいかねェんだよ!

 もうアタシは頭に来た!

 

 「おい女神候補生のガキ!まずてめェから血祭りに上あげてやる!プラネテューヌの女神を殺るのはそれからだ!」

 

 宣告したアタシはガキに剣を縦に振り下ろす。

 だが、その攻撃は横に避けられ、剣で叩いたコンクリートを砕く。

 

 瞬間――――ガキは女神である姿―――――パープルシスターに女神化し、わたしに立ち向かう。

 

 ガキは右手にビームガンソードを装備し、光の刃をアタシに振り下ろす。

 アタシもタダじゃやられねぇ!振り下ろす光の刃を本の剣で受け止め、鍔競り合いを起こす。

 

 その途中、アタシの中左腕に取り付けてあるPS・β(ポータブルスピリッツ・ベータ)に目を付けた。

 

 「それはどこで手に入れましたか?」

 

 ガキの口からなんか文句でも言うとでも思ったが、結局それかよ。

 

 「コレか?おっさんからの貰いモンだ、それ以外は言わねェよう契約してるからな!」

 

 「契約?」

 

 そう、アタシはPS・βを受け取る際におっさんとある契約をした。

 

 ¨好きに暴れても構わないが、俺の名前は口を避けても出すな¨

 

 こういうことはアタシには慣れてるからな。

 それに今のアタシならどんなヤツが来ようと負ける気はしねェ、だから仮に名前を聞いたとしても葬ったときには既に名前をわすれてるからなァ!

 

 「てめェに知る契約を権利もねェ!あの時の因縁に今決着を着けてやらァ!!」 

 

 アタシが持つ六本の剣は阿修羅の如くその一撃一撃、殺意を持ってガキを叩き斬る。

 

 だがガキはアタシの隙を利用し光刃の先で一線に突かれてしまい、アタシはその攻撃の衝動で怯む。

 

 「あなたがやりたいことは一体何ですか?わたしたち女神がそんなに憎いんですか!?」

 

 ガキは釘を刺すような勢いでアタシに聞いて来た。

 

 「憎い?確かにてめェら女神にも憎しみはあるけどよォ、この世界にもあるんだよなこれがッ!」

 

 一振りの衝動でガキは驚きの声を上げ、腰を抜かしてやった。

 立ち上がろうとするガキは「……どういう意味ですか?」と問いだした。

 

 アタシが持ってるその憎しみをわからせるためガキに語ることにした。

 

 犯罪組織が壊滅して以降、アタシは窮屈を味わった。

 マジェコンが機能しなくなり、売り物にもならねェガラクタはこの世には必要なくなった。一つでも売れることが出来りゃ、結構な利益だった。

 

 ガラクタが売り物にならなきゃ、別の商売をして稼いで生活するしかねェ。わたしは就けるところを探し回ったさ。

 だけど現実はそう甘くねェ。アタシは世界を脅かした犯罪組織マジェコンヌの工作員、受け入れられるはずがなかった。そんなアタシでもなにか出来ることはねェかと、ボランティアに参加してきた。そのボランティアの成果でようやくアタシはバイトに行ける程度にはなった。

 金は貰ってることは貰ってるが所詮はバイトだ、わずかしか貰えねぇ。

 それにアタシは各地でマジェコンの販売をしてきたから顔もよく知られてる。特にガキには影響力が強くてな、アタシに悪いイメージが世間に知られてる。

 一度顔を見せりゃコソコソとマジェコンヌの工作員の時のアタシの話をする、アタシにとっちゃあ黒歴史だから聞きたくもねェ。ひでぇ社会に生まれてきたモンだ。だから――――――――

 

 「そんな世の中をぶち壊すために、アタシはバロック・ボルドーと一緒に戦うって決めたんだよッッッッ!!」

 

 『Main(メイン)

 

 ウォォォォォッ!!

 

 マジックカード【ヘルズバースディ】をデバイスに読み込み、地面から禍々しい鎧の獣剣士【影の剣使いブラック・パルド】を呼び出した。

 

 「まずプラネテューヌからぶち壊す!それからアタシの野望は始まるんだッッッ!!!」

 

 ブラック・パルドと共にアタシは二人がかりでガキを襲う。

 

 瞬間、アタシ達の足元に二本のカタールが地面に刺さり、足を止める。

 

 ちッ邪魔をしやがって、一体誰なんだよ!?

 

 「結局アンタが言う事は甘えじゃない、聞いて損したわ」

 

 アタシの前に現れたのは、緑の双葉の髪飾りをした茶髪のサイドテールに体が小さいにも関わらずでけェ青いコートを着た小娘。アイツ、さっきボコボコにしてやったチビ(アイエフ)じゃねぇか!

 

 「アイエフさん!?どうしてこんなところに!?」

 

 ま、ガキが驚くのも無理はねェ。何しろコイツは二度と立てねェくらいにボロボロにしてやったのに、まさかまだ立てるなんてアタシも思いもしなかったからなァ。

 

 「アンタが一人で戦ってるって言うから、わたしも来たのよ。それより下っ端、アンタの私情なんかわたし達には知ったことじゃないわよ!」

 

 チビの言ってることにアタシの頭に来た。

 

 「私情なんか知らない?上司に不公平な怒りをぶつけられても無茶な仕事を無理矢理受けさせたとしても黙ってろってかよ!?てめェは自分の心を捨てたのかよ!!」

 

 この怒りはアタシだけじゃねェ!社会に不満を持ってる人間も多くいるんだ!なのにコイツは一つ理解しちゃいねェんだよ!

 

 「捨てる訳ないじゃない!あんたの過去になにが起きたかも知らないけど、それはあんたのわがままじゃない!自分が受けたことに文句を言ってるだけよ!!」

 

 言いたいこと言えるだけ言いやがって……!!

 

 「下っ端さん……アイエフさんはキツイことを言ってますけど、目指した目標を簡単に諦めないでってことなんですよ?」

 

 目標を……諦めない?

 

 「わたしがマジェコンヌ四天王に負けて一度だけゲイムギョウ界を救えませんでした……もう……ダメなんだと思いました……。でも、まだ諦めてない人が少なくともいました。だからわたしもアイエフさんとコンパさんに助けられた時から、ゲイムギョウ界を……お姉ちゃん達を助けるって心に決めたんです!」

 

 確かにガキはたった一つの目標の為にアタシの前に立ち向かってきた。一度立ち止まっても、また立ち向かってきた。そして今も――――――————

 

 「ネプギア、こいつに深入りしなくてもいいわ」

 

 チビはガキにそう言う。

 

 「わかってます、でも下っ端さんにわかって欲しいんです!」

 

 「だけど、この世界にもうマジェコンは必要としねェ……アタシの目標はもう終わっちまったんだ……」

 

 「だったらマジェコン以外に世界が必要とすることを考えてください!それがまずあなたが考えることです!」

 

 アタシの……目標は-――――――

 

 「もう既に決まってらァ……」

 

 ガキとチビはトーンを下げたこの言葉に反応した。

 

 「目の前にいるてめェらをブッ飛ばすことだッ!!アタシの野望を邪魔するヤツはどんなヤツであろうが、アタシは迷わずバロック・ボルドーの力でブッ殺す!!」

 

 「やっぱり下っ端はまともな考えはしないわね。ネプギア、さっさとやっつけなさい!」

 

 「は、はい!」

 

 チビに応じてガキは再び武器を構え出す。

 

 だがバロック・ボルドーの力がありゃ、女神共なんか粉々だァ!!滅びの力で天国に行かせてやるからよォ!

 

 胸に埋め込まれた石に手を差し伸べ、エネルギーを凝縮された石を取り除く。

 

 『お、おい!こんなヤツに使わなくても殺せるだろ!?』

 

 「今使わなきゃ損だぜ?」

 

 手に取った石を右腕の籠手に填め込む。

 

DESTROY!(デストロイ)

 

 石のエネルギーが右腕に流れる……!

 本当はこの力でプラネテューヌの女神を粉々にするつもりだったけどよォ、邪魔が入って不発に終わっちまったが今度は決めてやらァ!!

 

 「死にやがれェ!女神候補生!!」

 

 右腕に拳を振るう瞬間、チビが体を張ってアタシの体を抑えつけた。

 

 「な、なにしやがる!?離せ!!」

 

 アタシの体に這いつくばるチビを振り払うが全く離す気がしねェ!

 

 「させない!ここでネプギアを死なせるわけにはいかない!!」

 

 「ちィッ!ホントにしつこいヤツだ!おい、バルド!!こいつを離すことに手を貸せ!」

 

 ブラック・バルドはアタシの命令通りチビの引き離そうとするがそれでも離そうとしない。

 

 「今よ!ネプギア!!」

 

 「はい!てやぁ!」

 

 ガキがチビの合図に応え、アタシに体当たりでかまされ体制を崩す。

 同時にチビはアタシから離れ、バルドの体を蹴り解放された。

 体のバランスを慌てて直そうとするがバルドがいる方に倒れる。

 

 ウォッ!?ウォォォ!!

 

 ブラック・バルドは慌てて叫び、逃げようとしたが―――――

 

 「うわッちょっと待って!?に、逃げろ!早くゥ!!」

 

 だが、言った瞬間もう手遅れだった。

 右腕の拳に凝縮されたエネルギーはブラック・バルドに直撃してしまい、ブラック・バルド自身の体が爆散した。

 

 「どこまでも邪魔しやがって!ガキと一緒にあの世に行きやがれェ!」

 

 「悪いけど、かわいい妹にあの世になんか行かせないわ」

 

 その声の主、女神パープルハートが目の前に現れた。

 

 「お姉ちゃん!」

 

 「遅いわよ、ネプ子」

 

 チビが勝利を確信したかのように微かに笑う。

 

 「相手は冥府の三巨頭だって言うのに、よく立ち向かえたわね。そこだけは評価するわよ」

 

 女神の隣にいる偉そうな黄髪の小娘はなんだ?

 

 「そこのネズミ女!今わたしのことを子供だと思ったわね!?」

 

 えっ、読まれてやがる!?

 

 「世間知らずのアンタに教えてあげるわ!わたしはBANG・DAI_NAMCOCorporation(バンダイナムココーポレーション)の社長、ナムコよ!」

 

 嘘だろ!?あの世界的ゲーム会社の社長がこんなちっせェ娘が社長!?

 

 「あぁもう!あったま来た!!これは宣戦布告と見なすわ!殺るわよ!ネプ!!」

 

 「なんか呼び名まで変わってるわ……」

 

 女神がやれやれと顔に出すように言うと同時にナムコと女神はデバイスを腕に装着――――――ん?あれはPS・βでもガキが持ってるデバイスでもねェ?

 

 『『Standby……』』

 

 「「変身!!」」 

 

  二人はデッキをデバイスにセットし、カードバトラーとしての姿に変わる。

 

 『The・Shining・Dragon(ザ・シャイニングドラゴン)!』

 

 『The・StarBlade・Dragon(ザ・スターブレード・ドラゴン)

 

 女神の方は既に【神器化】したソードブレイヴを持ち、一方黄髪の小娘は片手にスターブレード自前の剣を持ってる。

 

 「これが……スターブレード・ドラゴンのプロセッサユニット……!」

 

 女神が驚くのも無理はねェ。

 ナムコは小さな体に似合わず、こんなゴツイ竜剣士のプロセッサユニットを小せェ体に身に付けるなんて普通思わねェもんな。

 

 『驚くのはまだ早いぞ』

 

 シャイニング・ドラゴンが女神に言う。

 まさかあの小娘が使ってるスピリットカードは高クラスのカードなのか!?

 

 「無駄口叩いてないでさっさと片づけるわよ。と、前にこれを……」

 

 ナムコのベルトに取り付けてたホルダーからキューブ状の端末を手に取り、カードを一枚端末に差し込んだ。

 

 「ネクサス展開!」

 

 その言葉と同時に投げ、転がったキューブ状の端末が展開する。

 

 「な、なんだ!?」

 

 「どうなってるんですか!?」

 

 多くの困惑の声が聞こえる中、周りを見たら街中じゃなく異世界にアタシ達は踏み込んでいた。

 

 『懐かしいな……まさかゲイムギョウ界でも俺が生まれ育った故郷が見れるとは帰れるまで当分ないと思ったな』

 

 スターブレードは優しい声で呟く。

 

 「これがあなた達スピリットの世界……」

 

 『そうだ。スターブレード、君がいなくなるまでわたし達はこの【星見の三連塔】で星を見ていたんだ』

 

 シャイニング・ドラゴンが言う【星見の三連塔】は女神の後ろに聳え、星を見るのに最適そうな建物だった。

 

 「綺麗……」

 

 『赤の世界も物騒な感じだと思ったけどよォ、そうでもねェんだな』

 

 ガキ共は異世界の夜空に魅了され、もはや戦いを忘れていた。

 

 「ふんっ!」

 

 突然ナムコがアタシに剣を振り、まともに攻撃を受けてしまった。

 

 「ネプ!わたし達は観光に来たんじゃないんだからさっさと殺るわよ!」

 

 「えぇ、わかってるわ!」

 

 あの小娘……!隙を作るためにこんなのを作ったのか……!だけど前の戦いでアタシは死なねェってのは女神はわかってるはずだ!

 

 「やってやるぜ!」

 

 『Flash(フラッシュ)

 

 【マーク・オブ・ゾロ】のマジックカードを読み込み、Zの字を描くように斬る。

 

 「そんな攻撃当たるとでも?」

 

 ナムコは小柄な体をうまく活用しながら滑らかに避けた後、もう片手に自前の剣が召喚してカウンターを放つ。

 

 「今よ!」

 

 合図と共に女神はアタシの前に、追い打ちをかけるように刃先で体を突く。

 

 「がはぁ……!」

 

 畜生……二人相手だと結構厄介になるな。

 

 やけくそに胸に填め込まれた最後の石を取り除き、右腕の籠手に填め込む。

 

 『DESTROY!(デストロイ)

 

 剣にエネルギーが流れ、Xの字を描くように剣を振り、エネルギーの波紋が女神達を襲う。

 

 『『Flash!』』

 

 二人は冷静にデッキから二枚カードを引き、一枚のカードを読み込んだあと二人が残ったカードから手を離し、炎の壁が二人の前に現れる。

 

 炎の壁がエネルギーの波紋を防ぎ、消滅する。

 

 「さっ、フィナーレにするわ」

  

 二人はエースとなるカードを引き、デバイスにカードを読み込む。

 

 『『EXE DRIVE(エグゼドライブ)!!』』

 

 女神は刃先をアタシに向けるように狙いを定め、ナムコは両手の剣で斬り込む体制に構える。

 

 「はっ!とりゃあ!」

 

 ナムコは吹き荒れる嵐の如く何度も斬り裂き、アタシがガードをする暇がなかった。

 

 そして攻撃の嵐は収まりナムコが下がると同時に女神が剣刃で斬り上げるがアタシに止めを刺すのが目的じゃなく、アタシの体を上空に上げるのが目的で斬り上げた。

 

 「これで……最後ッッッッ!!!!」

 

 空中に浮いた体が重力で引き戻す隙を見て女神はアタシの腹部を斬った。

 

 だが残念だけど今のアタシは不死身だからどんな攻撃を受けようがアタシは何度も蘇る――――――

 

 『GATE_SHUT(ゲートシャット)

 

 

 アタシが装着してたバロック・ボルドーのプロセッサユニットが一瞬で消滅し、いつもの姿に戻った。

 

 「う、嘘だろ……?」

 

 姿が元に戻ると同時にデバイスが取れてしまい、落ちた衝撃でデッキが散らばる。

 

 「バロック・ボルドー、お前はあんなヤツらに負けるはずないよな?だからさ、もう一度戦おうぜ?」

 

 負けたことを認められるず散らばったカードをひとつのデッキにまとめ、デバイスを拾い上げる。

 

 「もう一回……もう一回女神に復讐しようぜ?」

 

 装着したデバイスにデッキをセットした。

 

 『Error(エラー)

 

 デバイスの音声に耳を疑い、何度もデッキをセットする。

 だけど鳴る音はエラーの一言がわたしに聞かされる。

 

 「なんで、変身が出来ねェんだよ!?」

 

 突然女神が変身を解き、女神の口からわたしは衝撃的な事実を知る。

 

 「PS・βは、製品版のPSよりスペックが低いからリミッター付けてもそんなに精神エネルギーの消耗を抑えられない。だからノワールは変身後、12時間経たなきゃ再び変身できないようにシステムに書き込んだんだ」

 

 なんだと……!?じゃあもうアタシは戦えねェのかよ……!?

 

 この事実を知ったアタシは自分の情けなさに悔みこぶしを握り締め、いつの間にか涙を流してた。

 

 「なんで……アタシはいつまでも負けっぱなしなんだよ……!」

 

 『すまねぇ、リンダ……俺様が弱いせいで……』

 

 バロック・ボルドーは優しい声でわたしを慰めるだけど―――――――――

 

 「お前は悪くないんだよ……アタシが――――—————

 

 アタシがいつまでもやられてるから……アタシは弱いままなんだよ……ッ!

 

 「アタシが……もっと強かったら……こんなヤツらなんか……!!」

 

 SAVE・The・Data……

 




 どうもアポロです。
 最近Twitterのなりきりが楽しすぎて小説の続きを忘れそうになりました(笑)まぁ、色々ありましたけどね。
 さて、今回の話ですが下っ端ちゃん目線でストーリーが進みました。正直言うとまだ社会人じゃないので不満を持つところが違うかもしれません……(汗)
 バトスピを知ってる方なら知ってると思いますけど、実は言うとまだスターブレードは本気を出していません!はい。
 今後のソウルコロシアムシリーズなんですが、短編でバトスピと他作品を交じり合わせた作品を作ろうと思ってます。何故かというとソウルコロシアムシリーズは色んな作品とクロスオーバーさせて長編でもやろうと思ってたのですが一人でやったら時間がいくらあっても足りないということで決断させていただきました。あっ、ネプテューヌ編が終わってもやる気があれば長編を作りますよ。
 この先どうなるかわかりませんが、少しでもカードバトラーが増えますように……。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14Nep「融合する赤き神話の魂」

 Nep File11
 ネクサスキューブ
 スピリットの世界を再現したバーチャルリアリティーシステム。
 ネクサスによってバトルが有利になることもある。


 魂が激しくぶつかり合う戦いを終えたわたし―――――――――ネプテューヌ達は、プラネテューヌ北区に破壊行為を行った犯罪組織マジェコンヌの元工作員リンダもとい下っ端をゲーム会社の社長ナムコの強力により止めることに成功した。

 だけどこれで終わったわけじゃない。下っ端が持っていたバトルデバイス、PS・βを何故持ってるかを突き止めるために尋問する必要がある。

 

 「さあ~って、なんであんたがそれを持ってるのか聞きたいところだけど?まず誰から貰ったの?」

 

 下っ端が持つPS・βを軽くトントンと中指でナムコは叩き、個室で尋問が始まる。わたしたちは窓越しでその場を見る事に。

 あの後、変身を解くのを勧めたんだよね。でもナムコちゃんが「アイツは元工作員だから油断は出来ないわ」って言って変身したままで尋問しようとしたらしいけど、ネプギアが上手く説得してくれたおかげで変身を解いてくれたよ。さすが我が妹!

 

 「だから!それを言っちまったら契約を破ることになるッつーの!アタシはこの口が裂けても言うつもりはサラサラねェ!」

 

 キレ気味で下っ端は言う。

 ナムコちゃんを説得出来ても下っ端は説得できないこの様子。

 

 「さっきからあの調子だね……」

 

 さすがにネプギアもあれを見たら呆れるよね……、早く終わらせてゲームがしたいよ。

 

 「しばらく意地を張って時間を稼ぐ気つもりよ」

 

 アイエフことあいちゃんが言う。

 まさかスピリット絡みの事件がバトルデバイス配信前にプラネテューヌで起きるなんて思いもしなかったよ。

 

 「こんなヤツに時間を取るのは嫌だけど、起きてしまった以上仕方がないわ」

 

 結局そうなるよねー。んじゃ、あとはナムコちゃんに任せよっか。

 

 

 

     〇

 

 

 

 ちょっと!?わたしに押し付けないでよ!

 

 はぁ……プラネテューヌの女神様はいつもこうなのかしら……?ま、いいわ。

 

 ネプが説明した通り、今わたし――――――ナムコはこのリンダという下っ端に聞き込みをしてるわ。

 

 「はぁ……ホント往生際が悪いわね。これだからビジネスウーマンはね~」

 

 「てめェもビジネスウーマンだろうが!」

 

 『リンダ……お前、コンビニってところのアルバイトをしてたんじゃねぇのかよ?』

 

 まあ……行き場がなくなった以上、大抵はアルバイトでもしてるわよね。

 

 「おいてめェ、今鼻で笑ったろ?」

 

 「あっ、バレた?」

 

 「『バレた?』じゃねェよ!このアマァ!」

 

 全く、これぐらいで怒るなんて見苦しいわね。

 

 「そんなことはどうでもいいわ」

 

 わたしは布製の手袋を右手に履き、PS・βを取り上げる。

 

 「お、おい!なにしやがる!」

 

 「あんたの口から聞かなくても、これを調べればわかることよ」

 

 このデバイスになにか細工を仕掛けてるはずよ。その細工を調べ上げて特定出来れば―――――――

 

 「返しやがれクソガキ!」

 

 「うっさいわね!あーだこーだ言って意地を張るあんたがクソガキよ!」

 

 次の瞬間、外の窓が割れ光弾が地面に落ちて煙が視界を妨げる。

 

 そのチャンスを下っ端は見逃さず、すぐにPS・βを取る姿が見えた。

 

 「こいつは返してもらうぜ!」

 

 やったぜ、と言わんばかりの笑顔でリンダはすぐにわたしたちから立ち去る。

 

 「あっ!コラ!待ちなさい!」

 

 ―――――――――――

 

 「なんか爆発が起きた!?」

 

 あ、わたし(ネプテューヌ)に戻ったんだ。この通り部屋の中で爆発が起きて大参事だよ!

 あたふたとしてるうちにガシャンッとドアが開いて下っ端が全力で逃げ出した。

 

 「あいつ……逃げ出す気ね!」

 

 「ア、アイエフさん!」

 

 ネプギアは止めようとするも止められず、あいちゃんはすぐに下っ端の後を追う。どうしよう……わたしたち……。

 

 「アイツはどこ!?」

 

 ナムコちゃんは焦ってる様子でわたし達に聞く。

 

 「あっちです!アイエフさんが今追ってるので居場所がわかるはずです!」

 

 「よし、ついて来なさい!」

 

 ナムコちゃんも続いて走る。もうこれはどうするか決まったも同然だね。

 

 「行くよ!ネプギア!」

 

 さらにわたし達もナムコちゃんに続いて走る。

 

 ――――――――――――

 

 もう今日で外出るの何回目だろ……とりあえずプラネテューヌ北区の住宅街に逃げたって聞いたけど中々見つからない。

 

 「ったく……どこにいるのよあのDQNは……!」

 

 「見当たらないですね……」

 

 うぅ……もし逃がしたらいーすんになんて言われるんだろう……それにノワールにまで知れ渡ったら色々マズいよ……。

 

 『ネプ殿、まだ奴の気配は感じるから安心してくれ』

 

 「えっ、それはどういう意味?」

 

 スターブレードの言葉にわたしは困惑した。

 そもそも気配って近くにいなきゃ感じないんじゃ……?

 

 「スピリットは気配が強く、消すのはかなり難しいみたいだから気配を少し遠くに離れても感じるのよ。カードバトラーならね」

 

 なるほど……遠くにいても気配は感じるんだね……。

 

 「いい加減に諦めなさいよ!」

遠くからあいちゃんの声が聞こえる―――――――ってことは!

 

 「ハァ……ハァ……ここで……諦めてたまるかってんだァ……ハァ……ハァ……」

 

 噂をすれば下っ端を追いかけてるあいちゃんがいた!しかも下っ端は息が切れかけてる!ここまで追い詰めるなんてあいちゃん有能!

 

 「早く捕らえて!これは好機(チャンス)よ!」

 

 ちょっ!?わたしのセリフ取られた!?

 

 ナムコちゃんが下っ端を挟もうとしたその時、再び光弾がナムコちゃんを襲い掛かる。

 

 「やばっ!?」

 

 ナムコちゃんは奇襲が来ることが予測してたかのように大きく一歩飛び下がり、砂埃が巻き起こる。

 

 「ちぃ……!誰よ!?今相手にしてる場合じゃないのよ!!」

 

 砂埃がなくなると下っ端が消えた代わりにわたし達の前に一人の鎧男が現れた。オリーブ色の龍の鱗を纏った巨大な鎧に、甲冑は凶暴な太陽の龍をイメージさせるデザインだ。

 その男は銃とPS・βを組み合わせたような武器を腕に装着して銃口をナムコちゃんに向けてる

 

 「この女はこの次元の全てソードアイズを集結させる一つの駒だ。そう簡単にデバイスと共に渡すわけにはいかない」

 

 鎧男はボイスチェンジャーを使って言い出す。

 

 「ってことは、あんたもアイツと関係してるってわけかしら?」

 

 あいちゃんが鎧の男に問いだす。

 

 「だとしたら?」

 

 鎧男はあいちゃんに挑発をかけるよう首を右に倒し聞いてくる。

 

 「当然その重々しい鎧とコワモテの甲冑を剥がして聞き出すに決まってるじゃない! 」

 

 ナムコちゃんは【バトルドライブ・MEGA】を左腕に取り付ける。 

 あの機種はわたしだけが持ってる訳じゃなく、ナムコちゃんも持ってるんだ。

 ナムコちゃん曰く、あれは今使ってるのが使えなくなった時に使うデバイスだったみたい。

 

 「悪いけど、バンコレの社長!そいつはあんたに任せるわ!わたしは下っ端を追いかけるから!」

 

 「怪我はまだ治ってないみたいから無理しないで頂戴」

 

 あいちゃんは「言われなくても分かってるわ!」と言葉を残して下っ端の探し続けるため、向こうに走って行った。

 

 「待たせたわね、いくわよ!スターブレード!変身!」

 

 電源ボタンを入れると変身待機音が鳴り響き、デバイスにデッキをセットする。

 

 『The・StarBlade・Dragon(ザ・スターブレードドラゴン)

 

 デバイスにデッキを取りつけ、具現化したスターブレード・ドラゴンのプロセッサのパーツを装備する。

 

 「よし、わたしも変身―――――――」

 

 「素人女神は引っ込んでプロの戦いを見てなさい!」

 

 酷い……そんな言い方しなくても……。

 

 スターブレード自前の剣で鎧男より先に攻撃を仕掛ける。だけど―――――――――

 

 「ふんっ!」

 

 鎧男は右腕に身に着けてる籠手を盾にナムコちゃんの攻撃を凌ぐ。

 

 『馬鹿なっ!?スターブレードは赤のスピリットの中でも最高クラスのスピリットなのに自分の腕だけど凌いで何故動じないんだ!?』

  

 シャイニング・ドラゴンは目が飛び出るくらい驚いた。

 

 「フッ……これぐらいの攻撃を凌げるのは当然の事!」

 

 鎧男は腕で振り払い、ナムコは一定の距離を置いて下がる。

 

 「この鎧型プロセッサユニットのベースにしてるスピリット【太陽凶龍アポロ・ガンディノス】は、神話として語り継がれてる【太陽龍ジーク・アポロドラゴン】と【凶龍爆神ガンディノス】の二体を融合させたスピリット。そう簡単に倒されまい」

 

 ガンディノスとアポロドラゴン……シャイニング・ドラゴンから聞いたけど、神話のスピリットを融合だなんて聞いたこともありゃしないよ……!

 

 「お姉ちゃん……スピリットの世界にも神話があるの?」

 

 「えっ……?まあ、聞いたことは聞いたけどほとんど覚えてないや……」

 

 『ネプテューヌ、事が済んだら復習の時間だ』

 

 うぅ……シャイニング・ドラゴンの話は長いから覚えてられない……いっそのこと輝龍から鬼龍に変えたら……?

 

 「さ~って、次はこちらから行かせてもらうか!」

 

 鎧男は自身に纏ってる重々しい造形の鎧と見合わず、素早い右ストレートを放つ。

 

 ナムコちゃんは剣で攻撃を防ぐが衝撃に耐えられず滑り込むように下がり、剣の表面に拳の跡が残ってる。

 

 さらに追い打ちをかけるように鎧男は籠手のギミックで龍の鉤爪に変形し、両腕で引き裂く。

 だけどナムコちゃんも負けてない。引き裂く動きを流れるようにかわし、一瞬の隙を突き右脇を斬る。

 

 でも――――――斬ろうとした部位は斬れず、弾かれる。

 

 弾かれた剣の刃を握り、鎧男は彼女に問う。

 

 「その剣の切れ味が鈍いのは何故かわかるか……?」

 

 その言葉と共に握る力は強くなり、剣に割れ目が入る。

 なんとかしようとナムコちゃんは剣を必死に抜こうとするけど全くびくともせず、離す気配もない。

 

 「それはスターブレード・ドラゴンとの共振(シンクロ)率が低く、自分の物ともしてないからだぁ!!」

 

 答えが出ると共に剣は砕かれ、ナムコちゃんのお腹に左手で殴り込む。

 

 「スピリットととの共振率を高めるには大量のコアを摂取しなければならない!スターブレード・ドラゴンの必要とするコアは多数!」

 

 説明すると同時に拳の連打が徐々に激しく襲う。

 

 「そしてなにより、お前はパートナースピリットのことをまだまだ知らない!」

 

 この言葉と共に放つ乱撃は重い音が耳に響く。

 

 「もはやお前は刀の使い方を知らずに鞘に収めたまま振り回してる子供も同然だぁ!!」

 

 乱撃の次の一撃の拳がナムコちゃんを吹き飛ばす。

 

 「はぁ……はぁ……そろそろゲームエンドにしてやろうか……!」

 

 鎧男は息を荒くしながらデッキから一枚カードを引く。このままじゃナムコちゃんは……。

 

 「ふんっ……ゲームエンド?バカね、スピリットの力を纏った攻撃は精神的な疲労を進行早めるわ……!」

 

 確かに。ナムコちゃんの言う通り、さっきの猛威を振るう連続攻撃で鎧男はとても疲れてる……。

 この状態で大きい一撃を放ってもそんなにダメージはない……。

 

 「俺がそんなことを考えずに攻め続けてると思うかな……?」

 

 鎧男がデッキから引いたカードは【バーニングサン】のカード。

 

 『Flash!』

 

 カードを読み込んだ瞬間デッキからカードが一枚飛び、そのカードは静かに蒼く燃え上がって翼を持つ獣のスピリットの姿に変える。

 

 「アイツ……一体何を……!?」

 

 そのスピリットは鎧男の方に突っ込む。

 でもあのスピリット……なんか様子がおかしいよ!?

 

 『あれはスピリットではない!』

 

 「スピリットじゃないって……じゃあアレなに!?」

 

 『あれは【ブレイヴ】……!ソードブレイヴと違い、自分の意思で動く生きる装備品だ!』

 

 そ、装備品!?じゃあつまり――――――

 

 「合体(ブレイヴ)だ……【牙皇ケルベロード】」

 

 ケルベロードは翼を残し、鎧男はケルベロードと合体して鎧の柄も赤と黒が混じった模様に変化した。

 

 『まさかブレイヴまで人の兵器にすることが可能だとは……!』

 

 シャイニング・ドラゴンは今まで以上に驚いていた。

 

 「合体(ブレイヴ)スピリットならぬ、合体(ブレイヴ)バトラーだッ!こいつで終わりにしてやるッ!!」

 

 デバイスからケルベロードのカードを取り出し、デッキホルダー型デバイスに読み込む。

 

 『Cerbelord EXE_DRIVE(ケルベロードエグゼドライブ)

 

 籠手から獣の牙が生え、力を全て牙に集中し青いオーラを纏いナムコちゃんを下から上へと切り裂くように刺す。

 

 「きゃあっ!?」

 

 『GATE_SHUT』

 

 この攻撃を耐えられず、ナムコちゃんの変身状態は解けてしまい倒れ込んでしまった。

 

 「ナムコさん!」

 

 ネプギアはすぐに駆けつけ、ナムコちゃんの腕を肩に回して立つ。

 

 わたしもデバイスを左腕に取り付けて警戒するけど、突然鎧の男は後ろを振り向き向こうへ歩く。

 

 「敵を目の前にして背中を見せるなんてどれだけ舐めてんの!?あなた!」

 

 ナムコちゃんは鎧男が取った行動に激昂する。

 

 「舐めてる?違うな。俺は殺戮なんて興味はない、始まってすぐ退場したらゲームにならないからな」

 

 鎧男の言葉に心が滾った!この感覚は怒りだと言っても過言じゃない!

 

 「この混乱を……戦いをゲームだと思ってるみたいだけど、わたしたちはスピリットの出現で混乱を招いてるんだよ!?」

 

 そうだ……ノワールの教会にスピリットが入り込んだあの時だって……!

 

 「下手な使い方をしたせいでノワールも……あいちゃんも怪我をしてるんだよ……?死ななきゃいいってものじゃないんだよ!!」

 ナムコちゃんは驚いてるような表情で固まる。

 

 「……フン」

 

 鎧男は鼻で笑いながら地面に一発拳を入れて再び砂埃を撒き散らす。

 

 砂埃のせいでなに見えない……砂埃がなくなった時には既に鎧男はいなくなってた。

 

 「……また、逃がしちゃった……」

 

 2回も逃がしたわたしが情けなく感じたのは初めてだった。1回目は失敗しても、2回目は必ず成し遂げていたはずなのに……。

 

 『ネプテューヌ……まだ次がある。その時に取り戻せばいいんだ』

 

 そうだけど……もし、また失敗したら……もう……。

 

 するとネプギアのNギアの着信音が鳴り響き、電話に出た。

 

 「はい。はい……わかりました、お姉ちゃん達に伝えときます」

 

 ネプギアも切なそうに電話電話を切った。

 

 「お姉ちゃん、ナムコさん……下っ端さんのことだけど……」

 

 「……逃げられた……でしょ?」

 

 「……うん」

 

 ナムコちゃんは再び驚愕したような表情で拳を強く握る。

 やっぱり、ナムコちゃんも逃がしてしまったことにすごく後悔してるんだね……。

 

 ねぇ……ノワール……ノワールだったらこんな時どうするの……?

 

 

 Save・The・Data……




 どうも、ブランを出したくても作業スピードが遅くて出せないアポロです。
 今回のラストがいつもよりシリアスになってしまったのはエグゼイドを見たからかもしれません……。
 まあそんなことはさておき、今回出したキャンペーンXレアスピリット【太陽凶龍アポロ・ガンディノス】の脅威と、ナムコちゃんより熟練のカードバトラーの登場により、展開がより熱くなったと思います。謎が増えて行くばかりのこの事件、果たしてどうなるのやら……。
 次回の予定はノワール目線で進む予定でいます。次回も楽しみにしててください。
 少しでもカードバトラーが増えますように……。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15Nep「さまよう黒蟲魔王」

 Nep File12
 バトルドライブ・MEGA

 BANG・DAI NAMCO Corporation(バンダイナムココーポレーション)が作り上げたバトルデバイス。
 精神エネルギーの消費も抑えられるため、変身時間がPS・βより長く変身出来る。
  


 Now Loading……

 

 ここは重厚なる黒の大地、ラステイション―——————このゲイムギョウ界の中で高い技術力を誇る一つの国よ。

 そしてこの国を守護する女神、ブラックハートことこのわたし―――――ノワールは今、この国の中央に建てられてる教会の中でこの世界で一番の問題になってる【スピリット】の出現に頭を抱えているの。

 スピリットは各地に出現し、無限に生み出される。その出現地点は大体わかってるけど、たまに外からスピリットが街の中に現れて街に被害が出る可能性があるのよ。これがわたしが抱えてる問題の一つ。

 

 このままスピリットを放っておけばゲイムギョウ界はスピリットに支配される。

 冗談じゃないわ!そんな勝手な事されたらわたしたち女神までスピリットによって最期を迎えられちゃう!そんなこと、させる訳にはいかないんだから!

 

 このスピリットに関わる現象をわたし達は【スピリット問題】と呼んでるのよ。

 

 スピリットに対抗する為の新しい兵器、【バトルデバイス】の開発が終わって製品版の基本設計図を他の会社に配布したけど、運が悪いのか搬送予定の設計図が一部盗まれたのよ。

 この設計図は他の国にも配布してスピリットに対抗出来るように作ったもの、もし変なことに利用されたら自体はさらに悪化しちゃうのよ……!なんとしてでも盗んだ奴を特定して設計図を取り返すわ!

 

 この二つの重大な事態に頭を悩まされてる中、一件のメールがわたしのパソコンに届いた。

 誰からかと開いてみればベールからだったわ。早速内容を見てみれば――――――――

 

 『お忙しい中、申し訳ございませんがそちらに来てよろしいかしら?ちょっと相談事がありまして……相談事はノワールにするのがよいかと』

 

 ベールがわたしに相談事なんて珍しいわね。でもなんでこっちに来てまで相談する必要が……?

 

 『あらぁ?お友達からメール?もしかしてあなた、お友達が少なくてあんまり連絡が少ない方ぅ?』 

 

 ナインテイルがわたしにからかう。ホントこのオカマ狐何とかしてほしいわ……

 

 「そんなわけないわよ、みんな仕事が忙しくて休みなんてそんなに取れないんだから」

 

 ホントはみんな休みを取ろうと思えば取れるけど……。

 

 そんなことは置いといて、今は深く考えずにこっちに誘導してベールの相談に乗るついでにデバイスの輸入許可を出してもらうのよ。そうすれば戦力も増えるし、わたし以外のソードアイズが見つかる可能性も広がるわ。

 そうと決まったらわたしはベールにこう返す。

 

 『OKよ、わたしもあなたに相談があるからいつ来ても構わないわ』

 

 そう打ち終えてわたしは送信先のベールにこのメールを送ったわ。

 さて、ベールが来るのはまだ時間がかかるから特定班に依頼でもしておくわ。

 

 その瞬間、デバイスに通知音が鳴り響く。

 

 「なによ……今忙しいのに……」

 

 デバイスを見れば、ラステイション東区内にスピリットが現れたとの通報があった。

 

 「まさかと思ったけどこんなタイミングにね……!」

 

 すぐさまわたしはデバイスとデッキを持ってラステイション東区に駆けつけたわ。

 

 

 

 〇

 

 

 ラステイション東区、ここの中心は広場になってるのよ。確かにここなら現れて目立ってもおかしくないわね。

 なにか証拠になるものがあるかと周りを見渡せば地面の数々に魂跡(こんせき)がある、その色は緑属性。

 

 『あら、ここに緑属性のスピリットが現れるなんて珍しいじゃない?』

 

 「えぇ、でもわたしが持ってる【シュライクン】のように変色が可能のスピリットかもしれないからそうとは言い切れないわ」

 

 こんなことを何故言えるかはもう一つ、赤の魂跡が残ってるのよ。だから相手が緑属性のスピリットだけとは言えないわ。

 

 『なるほど、それがノワールちゃんの推測なのね』

 

 「そうゆうこと。もう少し説明したいけど早くカード化させないと被害が広がっちゃうわ」

 

 その時、遠くから男の悲鳴が聞こえたわ。

 

 「まずいわ!早くそっちに向かわなきゃ!」

 

 早急に悲鳴が聞こえた方向へわたしは走って行ったわ。そこに着くと巨大な黒がかかった緑のカマキリのスピリットが若い男の喉に刃を当てた。

 

 『答えよ若き人間!ここは何処だ!?』

 

 「ヒイィィィ!?だ、ダレカタスケテー!」

 

 若い男はそのスピリットに怯えて答えられない状況に迫れてる。

 

 「まずいわね、このままじゃ国民の命が奪われるわ!」

 

 この危機的状況を読み取りわたしはPortable spirits・β(ポータブルスピリッツ・ベータ)の正規版、Portable spirits(ポータブルスピリッツ)、通称ポタスピを腰に巻く。

 β版は腕に巻く仕様だったけど、どう考えても邪魔になるから腰に巻く仕様にしたのよ。

 

 「いくわよ、ナインテイル!」

 

 右手にデッキを持ち、ポタスピの起動ボタンを押す。

 

 『Standby……』

 

 「アクセス!」

 

 デッキをポタスピに取り付け、再び起動ボタンを押す。

 

 すると周りから妖しい炎が現れてその炎はわたしを包み、女神化と同時に白き九尾を連想させるミニスカート付き狩衣のプロセッサ・ユニットを身に着けた。

 

 「さっさと終わらせてあげるわ」

 

 『召喚(サモン)!The・Midnight・Sun(ミッドナイト・サン)!』

 

 【白夜の宝剣ミッドナイト・サン】を手に取ったわたしはあのデカいカマキリのスピリットに斬り込み、デカいカマキリは怯む。

 

 「早く逃げなさい!」

 

 若い男に振り向いてすぐ逃げるように言ってすぐ、男は立ち去った。

 

 「あなた、なんのつもりかは知らないけどさっさとカードになってもらうわ!」

 

 そう言ってすぐにわたしは連続でデカいカマキリに斬りつける。

 だけどデカいカマキリは戦闘センスが優れてるのか、わたしの攻撃を鎌で上手く受け止めてる。

 

 「こいつ、中々やるわね。なら!」

 

 デッキからカードを一枚取り出し、デバイスにカードをスキャンをしようとした。

 

 『突撃!』

 

 デカいカマキリの号令で突然、槍のような鋭い角を持つ怪虫が現れ引いたカードを持つ手に攻撃され放してしまった。

 

 「こいつ、一体だけじゃなかったの!?」

 

 『虫系のスピリットは集団行動が基本的だからいつどこで襲われてもおかしくないわ。特に一対一のタイマンだと思ったらそうじゃなかったケースが多いのよぉ』

 

 ナインテイルが冷静に解説するなんて初めて見るわ……。まぁ、ナインテイルの今の姿はわたしのプロセッサだけど。

 

 『ぬ?もしやお主、ナインテイル・ダーク殿か?』

 

 なにか知ってるようね、なら徹底的に弱らせて話を聞いてからカード化させてやるわ!

 

 『ちょっと待ってくれるかしら?ノワールちゃん』

 

 ナインテイルが急にわたしを止める。

 

 「なによナインテイル!?」

 

 体が石のように動かない……まさかだけどナインテイルが止めてるの!?

 

 『あらぁ?気が付いたのねぇ、【黒蟲魔王(こくちゅうまおう)ディアボリカ・マンティス】ちゃん』

 

 『おお、やはりか!剣刃編(あれ)以来だな!』

 

 えっ……ひょっとしてまさか――――――――――

 

 「あなた達知り合いなの!?」

 

 『如何にも、それとその人間の女子(おなご)は?』

 

 『アタシの新たな愛おしきパートナーノワールちゃん♪この国の女神様よぉ♪』

 

 うわぁ……なんかすっごい寒気がする……早くパートナースピリットに変えたいわ……。

 

 『女神殿!?ナインテイル・ダーク殿がその方と!?これは失礼した……』

 

 「いや、いいのよ……ただ国民の危害を与えるのをやめてほしいのよ」

 

 こんなデカい虫に敬意を払われてもわたしは困るのよね……。なんかやりづらいっていうか。

 

 『それはすまなかった……ワシは知らぬところに来てしまったものだから、色んな人間に聞いたのだがどうも聞いてくれなくてな』

 

 いや、あんな聞かれ方をしたらまず逃げるのが普通よね?

 

 「……え~とつまり、あなたここはどこか聞きたかったってこと?」

 

 『そういうことになる』

 

 だからってあんな手荒なことをしなくても……。

 

 『だから貴殿に聞きたい!ここは一体――――――』

 

 突然ディアボリカ・マンティスの様子が一変し、わたしに背を向けて構えを取る。

 

 「急にどうしたのよ?」

 

 『ワシの眷属が……助けを求めてる!』

 

 「ちょ、ちょっと!」

 

 ディアボリカ・マンティスはわたしが声をかけても止まらず、突然羽を広げ飛び出していった。

 

 『あの子は仲間意識が強いからあの子の虫達になにかあったのよ!』

 

 虫が何気に仲間意識が強いのはあっちも同じ訳ね。今日は暑いからそんなに動きたくないのに今日はよく走ることになるわね。

 

 「あら、ノワールじゃありませんの」

 

 その長い金髪と如何にも大人のお姉さんって感じのオーラを漂う感じはベール!?このタイミングはないわよ……。

 

 『で、そのベールって人はどんな人なのよぉ?』

 

 そういえばナインテイルには話してなかったわね。

 

 ベールはゲイムギョウ界に存在する4つの国の内一つの国、リーンボックスを治める女神よ。

って言ってもプライベートじゃ重度のゲーマー、三日間一睡もしないでオンラインゲームをやってるみたい。

 ついでに言えば腐女子、BLにハマっててわたしにとって結構レベルが高い存在ね……。

 

 『すごいわね……三日間一睡もせずに起きてられるなんてアタシには出来ないわよ』

 

 わたしだって無理よ……そもそもそんな余裕あったら女神業もそれくらいしてほしいわよ。

 

 「どうなさいました?」

 

 ベールは謎めいた表情でわたしを見つめる。

 

 「あっ、いやなんでもないわ」

 

 幸いにもベールはカードバトラーじゃないからナインテイルの会話は聞こえてないわね。

 

 「それにしてもコスプレで出迎えるなんて驚きですわ。しかも女神化した状態で」

 

 「え?」

 

 そうだった……まだスピリットを使ったプロセッサ・ユニットのことをまだ話してないからコスプレだと思われてるわ……。どうしよう……なんて説明すれば……。

こんな時どう言えばいいかわからなかったわたしは、ベールが背負ってる木箱に目を付けた。

 よし、この木箱を利用して―――――――――

 

 「その木箱はなにかしら?」

 

 わたしはベールが背負ってる長方形の木箱を指す。

 

 「これかしら?これがわたくしの相談に関わることですわ」

 

 中身がすごく気になるわね……一体何かしら?

 

 「それはともかく、早いところ教会に向かいませんこと?ここでは話しづらいので」

 

 困ったわ……今ディアボリカ・マンティスのあとを追うところだったけど、まさかのタイミングでベールと会うなんて思いもしなかったわ。とりあえず今は―――――――

 

 「悪いけどさっきあっちで通報があったから向かわなくちゃいけないのよ。だから相談はあとにしてもらえるかしら?」

 

 「ふむ……今相談したかったところですが、事件なら仕方がありませんわね」

 

 ベールは少しがっかりしたそうに言う。

 今のベールじゃ足手まといになるだけだからとりあえず教会で待ってもらおうかしら。

 

 「さっさと終わらせるから教会で待って――――――」

 

 空中飛行をしようとして構えを取った時、違和感を感じた。

 ……あれ?ちょっと待って……まさかこのプロセッサ・ユニット、飛行不能?嘘でしょう!?

 

 「……?もしかしてそのプロセッサ・ユニット、飛行が出来ない仕様とかでは?」

 

 しかもベールに読まれてる……最悪ね……。

 

 「……そうみたい」

 

 かっこ悪いところ見られたわ……あぁ、女神としてのプライドが……。

 

 「仕方ないのでそこまで送っておきますわね」

 

 ベールがそう言った瞬間、髪は緑に変色し一本に集中して纏められ露出が高い装備に変わる。

 そう、これベールの女神の姿……名前は……【グリーンハート】

 

 「それにそのプロセッサ・ユニットはただのコスプレ用ではないようですし、興味がありますわ」

 

 どうやらこの姿をコスプレじゃないとわかってくれた様子。

 

 「さあ、行きますわよ」

 

 本当ならこの状態を解除して再び女神化すれば飛行は出来るけど時間の無駄になるし、意地を張ってる場合じゃないから仕方ないわね。

 

 「申し訳ない気がするけど、頼むわ」

 

 そうと決まればベールは両手を差し出し、わたしも両手を重ねて吊るすようにわたしをディアボリカ・マンティスが飛んで行った方向へ向かった。

 

 ―――――何この光景、すごく……シュールね。

 

 

 

 

 ―――――――――――—————————

 

 

 

 この世界をさまよってる途中、ワシ―――――――――――——ディアボリカ・マンティスは一人の女神と古き友と会った。

 古き友は既にこの世界の白き闇のソードアイズと出会い、【白夜の宝剣ミッドナイト・サン】も手に入れてた。

 一刻も早くワシも剣刃と緑の闇のソードアイズを探さねば。

 

 『――――――――ッ!』

 

 ワシは後ろのなにかを感じ取り、振り向いた。が、誰もいなかった。

 だがワシは感じる……この近くにソードアイズがいると。

 

 しかしそれよりもワシは眷属を助けに行かねばならない。眷属はワシにとってかけがえのない仲間であり、かけがえのない家族である

 だからワシは眷属の為にソードアイズと会う事よりも眷属を守ることを優先する。たとえその選択が、命を落とす選択であろうとも……!

 

 

 Save・The・Data……

 

 




 お久しぶりです、アポロです。
 すみませんでしたアァァァァ!!先月まで投稿できなくて、一ヶ月遅れましたアアァァァァ!!(メテオ土下座)
 謝罪タイムはこれまでにしておき、15話について軽く説明しましょう。
 ノワールが使ってバトルデバイス【ポタスピ】のモチーフはPSPでもありますが、エグゼイドのバグルドライバーと龍騎の変身ベルトVパックルがモチーフになっております。
 そしてなぜ腕に取り付けるものが腰に取り付けるものになったのかは実は言うと、やっぱり変身アイテムは腰に巻きつけたくなるものです。自分は仮面ライダーを観て生きてるので。
 そして気になるベールが背負ってる木箱とディアボリカ・マンティスの最後の語り、あれはいったい何を意味するだろうか……?次回を待て(殴)
 すみませんまだ謝罪することがありました。
 すまぬブラン……出演はまだ先になるようだ……。
 ではまた次回お会いしましょう!ターンエンド!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16Nep「黒蟲魔王を賭ける戦い!ナインテイル・ダークVSアポロ・ガンディノス」

 Nep file13
 融合スピリット

 2体のスピリットが融合し、新たな姿と力を生み出したスピリット
 一例として【太陽龍ジーク・アポロドラゴン】と【凶龍爆神ガンディノス】の2体から誕生した【太陽凶龍アポロ・ガンディノス】が発見されたという。
 


 Now Loading……

 

 わたし達が今向かってるのはラステイション南区――――――――この方向にディアボリカ・マンティスが飛んで行ったからこの辺りにいるはずよ。

 

 念のためわたし達は次の戦闘に備えて女神化を解いて元の姿に戻ってるわ。

 通常の女神化なら時間は限りなく持続は出来るけど、デバイスを使っての変身なら話は別。スピリットにダメージを与えやすくする代わりに精神力の消費が伴うわ。

 

 ディアボリカ・マンティスはまだ興奮してるから戦闘に入ることはないとも言えないし、わたし達の世界のエネミーモンスターとは違う苦労があるわ。

 

 それに早くカードに戻さないと、なにも知らずにうろつかれたらわたしが困るのよ。もしあれを一般人が見たら国内は混乱する!

 

 『やっぱりあの子達は気配を隠すこと(カモフラージュ)が得意だから感じ取れないわねぇ……。さすが緑属性の隠密能力は他色のスピリットじゃ真似出来ないわ。』

 

 ナインテイルが大きなため息をつくなんて珍しいわね……。

 

 あんな巨体で隠れることができるなんて想定外よ。でもディアボリカ・マンティスが言ってた眷属――――――彼の仲間のスピリットのことを指してるはず。

 眷属に危機感を感じてたみたいだから長く隠れてはいられないはず。

 

 それでもいまだに見つからない……確かこの辺りに行ったのを見たからそこにいるはずなのに。

 

 「ベール、あなたはなにか見つかった?」

 

 ベールに聞いてみるも――――――――

 

 「なにも見つかりませんわ。それに詳しい事情も聞いてないので、状況もなにが起こってるのかも理解が追いつきませんし」

 

 そういえば説明もなしに協力してもらってることをすっかり忘れてたわ。

 

 「そういえばそうだったわ……。話が長くなるけどいいかしら?」

 

 「構いませんわ、何も説明もなしで探せと言われましてもわかりませんので」

 

 ベールに了承を得たことでわたしはゲイムギョウ界の現状――――――――――――【スピリット問題】について語った。

 

 「そういうことでしたの……このままではスピリットに侵略されてもおかしくはありませんわ」

 

 「それで今、異世界で伝説の剣として(たた)えられた12本の剣—―――――――――そしてソードブレイヴの所有権を持つ剣眼(ソードアイ)を宿す12人を探してるの」

 

 「合計24……多いのか少ないのか微妙な数ですわね……」

 

 ベールは険しい表情で悩む。

 でもゲイムギョウ界はわたし達女神にとって割と狭いのよ、自分の国の管轄内ならあちこち飛べるから探せるわ。

 

 「でもわたしとネプテューヌが剣眼とソードブレイヴを所持してるから残り20、もしかしたら案外早く見つかるかもしれないわ」

 

 この一ヶ月で二本及び二人が見つかってるわけだからこの調子だと半年で集まりそうな気がするわ。

 

 「そうですの?なら案外大事にならずに済むかもしれませんわね」

 

 少し安心したか、ベールの険しい表情が和らいだ。

 

 「そういえばわたくしの国で奇妙な剣を見つけて保護をしてるのですが……もしかしたら、あなたが求めてるものかもしれませんわね」

 

 「ん?それは本当かしら?」

 

 「えぇ。今、この箱の中に収めてますの」

 

 ベールが言う箱というのはさっきから気になる木箱を指してた。

 

 「ですがとても錆びついて使い物になるかどうかわかりませんが、もしかしたらこの剣がソードブレイヴでしたら……」

 

 錆びついてるんじゃ見分けがつかないわね……。

 でもそれがもし、本当にソードブレイヴなら―――――――――――――

 

 「あなたが信じるその可能性に賭けるわ、だけど今すぐは出来ないから今はあなたが持ってて頂戴」

 

 「わかってます。一刻も早くディアボリカ・マンティスというスピリットを探さなければ……」

 

 ベールが喋る途中、疑うような目で遠くを見つめてた。

 

 「どうしたのよ?」

 

 「いえ、あそこになにかが集まってるような気がしまして」

 

 わたしもベールが見つめる先に目を向けると、鳥のような飛行物体が一か所に集まってる。

 

 「不気味ですわ……まるでハチの巣みたいに群がっていますわ」

 

 ハチの巣―――――――そのキーワードにわたしは気が付いた。

 虫は集団で集まる習性があるのが多い――――――――――――――これがスピリットも同じなら。

 

 「ベール、緊急でそっちへ向かうわよ!!」

 

 「あっ、待ってくださいまし!」

 

 わたしたちはすぐに虫の大群が集まる方に向かった。

 

 

 ――――――――――――

 

 わたし達が向かった先は薄暗くてボロボロで人の気配が全くない廃墟―――――のはずだけど爆発音と砂埃が巻き起こり、この廃墟事態が戦闘区域になってる。

 当然わたし達が戦ってる訳じゃない、つまり何者かがディアボリカ・マンティスと戦闘してる可能性があるわ。

 

 「あなたの国の裏はこんなに物騒でしたの?これがバレてしまわれましたらシェアが落ちてしまいますわよ?」

 

 「いつもここは人気はないから戦争なんて起きないわよ!」

 

 そう、一人もいないはずなのに急に物騒になんかなるはずなんてないわよ。

 

 以前、人間の言語を喋ることが出来るナインテイルに聞いてみたけど彼はこう話した。

 

 『アタシの世界の生物のほとんどは争いながら生きてるのよ、あなたたちの先代の女神様が起こした守護女神戦争のようにね』

 

 今のゲイムギョウ界とは違って武力でシェアを奪い合うことなんてしなくなった。

 思い返してみればわたし達四女神は普通に仕事して、寝て、食べて、それからたまに遊んでの繰り返し。

 ピンチの時は歴代最悪だったけど、わたし達の世代は歴代で一番平和とも言える自信はあるわ。

 

 やっと楽しい女神人生を満喫できそうだと思ったのに……。スピリット問題なんてさっさと片づけてやるわ!

 

 そう思って駆けつけた先には―――――――わたしの予想を上回る出来事が目の前にした。

 

 巻き起こる炎の竜巻が巨大な虫達を巻き込み、虫達を焼き尽くしてカードにした光景をわたしは見た。

 

 「ノワール!あれを!」

 

 ベールが指を指す先には、炎の竜巻の中に人影が見える。まさかそいつがこの竜巻を!?

 

 人影はわたし達に気づいたかわたし達に叩きつけるように竜巻を折り曲げる

 

 「離れて!!」

 

 危機を察知したわたし達は二手に分かれて竜巻から離れる。

 

 ベールと離れてしまったけど、竜巻が収まればまた集まればいい!

 

 その時、炎の竜巻が消えて中にいた人影が露わになった。

 龍の鱗を纏った鎧の人間―――――――そいつが竜巻を起こしたヤツだった。

 

 「こんなところに女神様がいるなんて珍しいモンだな……何の用だ?」

 

 言葉の一つ一つがノイズがかかってる……間違いないわね、アイツがネプテューヌが言ってたアポロ・ガンディノス使い!

 

 「あら、あなた……プラネテューヌに居たんじゃないのかしら?」

 

 わたしはアポロ・ガンディノス使いの鎧の男に問う。

 プラネテューヌで起きた事件はとても重大。その為5000人体勢の捜索と各国への航空は制限してる。

 

 あの体勢から脱出出来るのはほぼ無理って言ってもいい。なのに今、この目の前にいるなんて……!

 

 

 「カード一枚でプラネテューヌから脱出出来たのは俺でも驚いたぜ」

 

 やっぱり、カードで……!

 

 「あそこはしばらくソードアイズが出ない様子だったから、ここに移動したんだ」

 

 こいつもソードアイズが目的に?一体なにを狙ってるというのよ。でも――――――――――――

 

 「なら都合がいいわ、あんたの鎧を剥がして設計図を場所を聞き出してやるわ!」

 

 「なんだ、せっかく害虫駆除をしてやったのにその言いざまはないな?」

 

 「害虫駆除?バカなことを言わないで。あなたがやってるのはカードの力を悪用して問題を大きくしてることよ!」

 

 ポタスピを腰に巻き、再び女神化変身の構えを取る。

 

 「悪用ねぇ……せめて有効活用と言ってもらいたいんだが」

 

 呆れたような様子で鎧男は言う。

 

 「変身!(アクセス)

 

 蒼い炎がわたしを包み、ブラックハートの姿に変えナインテイルプロセッサを身に着ける。

 

 「女神の怒らせたことを後悔させてやるわ!」

 

 『召喚(サモン)!The・Midnight・Sun(ミッドナイト・サン)!』

 

 純白に輝くミッドナイト・サンの刃を帯剣(たてはき)から抜き、戦闘体勢を整える。

 

 「ミッドナイト・サンにナインテイル・ダーク……それがこの世界の闇の白のソードアイズはお前だったか!」

 

 鎧男は感心してるのか少し期待してる様子。

 

 「ふんっ、どうせなら白属性だけじゃなくて黒属性も作って欲しかったわね。黒がないせいで教会に職員の一部にグレーハートなんていじられる始末よ!」

 

 幸い闇の白は体が黒いスピリットが多いみたいだからよかったけど、そうじゃなかったらわたしの立場がなくなっちゃうわよ。

 

 「ま、そんなことはどうでもいいわ。いい加減さっさと御用されなさい!」

 

 騎士の如く刃を振り鎧男に攻撃を仕掛けるが、鱗を纏った籠手で刃を防ぐ。

 しかもこの攻撃にビクともしないわね……相当な腕を持つと見るわ。

 

 鎧男が防いだ刃を振り払い、左腕に取り付けてるデバイスの銃口をわたしに向け光の銃弾を放つ。

 

 その銃弾をわたしは空を舞う蝶のようにかわし続ける。

 

 「見たことないデバイス……手遅れだった訳ね!」

 

 あのデバイス……明らかに企画されてないタイプのデバイスよ!しかも銃口を取り付けるなんて、何者なの!?

 

 「スターブレードの娘よりは中々やるな」

 

 スターブレード……!?噂は本当だったのね……。

 わたしは驚きを隠せなかった。まさかスターブレードを味方につけてるナムコが負けるなんて……。

 

 『ノワールちゃん、この戦いはスピリットの強さだけが勝敗が決まる訳じゃないわ!ノワールちゃんの戦いのセンス、そしてバトスピの知識の豊富さも関係するわよ!』

 

 「言われなくても分かってるわよ!」

 

 瞬間、わたしはアイツの銃弾をまともに喰らってしまい体勢を崩してしまった。

 

 「お喋りをする暇はないぜ?」

 

 あいつは赤属性のスピリットをベースにプロセッサ・ユニットを纏っている。赤属性のスピリットは接近戦で戦うことが多いから接近戦を中心とした武器、スキル、それに応じたプロセッサ・ユニットが生成される。

 

 どう見ても接近特化の武装にしかみえないけど、まさか30m離れても当たるなんて……。

 

 白属性は防御が得意とする属性だけどわたしのデッキは攻撃要素が強いカウンタータイプ、攻撃は最大の防御とも言えるけど攻めづらいわね……。

 

 それでも―――――――――

 

 「さあ来なさいよ、赤属性なら赤属性らしく攻めてきなさいよ!」

 

 わたしは刃を下し、無防備の体制で挑発をした。

 

 「中々の威勢を持っているな。いいだろう、その誘いに乗ってやるぜ!」

 

 アポロ・ガンディノス使いの鎧男はためらいもなくわたしの挑発に乗り一気に近くまで接近し、武器の龍の鉤爪でわたしに連続でひっかく。

 

 その動きを見破り、わたしはかわし続けてデッキからカードを一枚引き、引いたのと既に手札にあるデバイスのカードを同時に読み込ませる。

 

 『能力追加(スキルアード)Flash(フラッシュ)!』

 

 読み込ませたカードの影響により、いつもより体が速く動けることになった。

 強化されたこのステータスを利用し、得意の剣術で鎧男を斬りつける。

 

 「ちぃっ!少し油断しちまったな」

 

 鎧男は悔しそうに舌打ちをする

 

 「さっき使ったのはスピリットカードの【高速機獣オセローダー】に違いないな」

 

 使ったカードを当てられてわたしは衝撃を隠せなかった。

 

 オセローダーはモチーフのオセロットの身軽さが武器になってる。他にも兵器は搭載されてるけど能力追加にあたって身軽さのみステータスに反映されるけど、まさか一部の特徴だけで当てられるなんて……。

 

 「だが使い方が勿体ない・オセローダーは防衛反応で搭載された兵器が展開され、自身の戦闘力を上げられるというのにな」

 

 なんですって……!?

 もし本当なら、わたしがテキストを読み間違えたことになるってわけ?

 

 「あともう一枚は……マジックカードだな。その能力は相手の能力を下げるものだ」

 

 もう一枚のカードを当てられたことでわたしは屈辱を覚え、奥歯を噛み締める。

 

 「お?図星か?」

 

 やられたわ!まだカードの名前すら当ててないというのに心境を表情に出してしまうなんて……!

 

 やっぱりこの戦いは今までとは違う戦いね。

 自分の持つ業や経験は勿論、それなりのカードの知識が必要となるなら推測や読み合いも今まで以上に必要になってる。

 

 「一つ教えてやろう。デッキを構築するにはカードを40枚以上束ね、1種のカードには3枚しか入れられないのはお前は知ってるな?」

 

 「当たり前よ、このデバイスを作ったのはわたし達だから」

 

 この男、なに得意げに言ってるのよ……。

 

 「だが4枚以上入れられないのは不思議に思わないか?」

 

 確かに、ナムコが持ってた設計図によればそんな規制があった。でも――――――――

 

 「それはデッキとして成り立たないから、でしょ?あなたバトルデバイスを持ってて何を言ってるの?」

 

 何を言い出すかと思えばこれ、呆れるわ。

 

 「それもあるがもう一つ意味を深い事情がある。その理由は1種類のカードのほぼ、何千枚……いや、この世に数えきれないくらい大量に生成されてる訳だ」

 

 か、数えきれないくらい!?じゃあカードを全て回収するのは不可能ってことじゃない!

 

 「まっ、ほぼだから数枚しか存在しないのもある。それが強大な力を持つカード、Xレアと呼ばれるカードだな。」

 

 強大な力―――――ナインテイルやミッドナイト・サンは他のカードと比べていればぶっ飛ぶくらいの強さを持ってる。それに今まで同じ種類も見てない。つまり―――――――

 

 「お察しの通りその2枚も希少性が高く、強いカード。間違いなくそれはXレアだ」

 

 カードはそれぞれ能力は違うというのはわかってたけど、希少性にも関係するなんてね。

 

 「その希少な力と無限戦略、そして自分の能力をどう向き合っていくかはお前次第だ」

 

 カードで戦う……まるでトレーディングカードゲームにアクションを銜えたものね。

 

 「さて、お喋りはここまでとするか。ディアボリカ・マンティスもXレアだからな!ここで退くわけにはいかねぇんだ!」

 

 それでヤツを狙ってた訳ね!なら―――――――

 

 「そうと聞けばわたしも退くわけにはいかない!さぁ、バトルはまだ続いてるわ!」

 

 こいつをさっさと倒して早く見つけなきゃ!

 九尾の黒女神と太陽凶龍の戦いは再び幕を開ける――――――――――

 

 Save The Data……

 




 2つの季節越え、やっと更新出来ましたぁー!
 大変だった、本当に大変だった!ネタを絞り込んで戦闘シーンを字にしつつ、解説を描ききった快感は久しぶりだ!
 おっと、一人で盛り上がってすみません。最近ソードアイズのネタが思い浮かばなく、神皇編と煌臨編のネタしか思い浮かばず、ひたすらTwitterに籠ってました(汗)
 ある時はPSO2でネタを収集したり……ある時はアズールレーンをプレイしたり……そして今、無事に更新しました!

 ありがとうアズールレーン……君がネプテューヌとコラボしてなかったら今PCの前で書いてないよ……。
 
 こんな感じでやる気の問題で更新ペースが遅くなってますが、ぼちぼち更新しながら新しい世界でのバトスピを考えていきたいと思います。それでは次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17Nep「神速の女神、今ここに来たり」


 Nep_File14 
 ゲイムギョウ界
 
 現実世界とは異なる電脳世界。有機物、無機物ほぼ全てデータ化されて形になり、どんな物であろうとも概念があれば再現される。
 ゲイムギョウ界に入る方法は未だに不明。



 炎の竜巻から逃れるため、ノワールの逆方向へと飛び込んだわたくし―――――――ベールは巻き込まれることなく避けることが出来ましたわ。

 怪我はないのはいいのですがノワールとはぐれてしまいましたの。

 もしスピリットとの戦いでわたくしは不利ですし、一刻も早くノワールと会って例のスピリットを探さなくてはなりませんわね。

 

 そう悟ったわたくしは急ぎ足で例のスピリットを探しますが、この瓦礫の中で見つけるのは困難―――――――――おそらくカード化して身を潜めているをわたくしは思いますが――――――――

 

 『誰か……いるのか……?』

 

 息が荒いこの声――――――誰かがわたくしの魂に直接問いかけるような感じがしました。

 辺りを見回しても誰もいない。まさか逃げ遅れた市民が!?

 わたくしが異国の女神だとはいえこの状況は放っておけませんわ!早く助けないと命に関わる可能性がありますわ!

 

 「どこにいますの!?」

 

 危険を感じたわたくしは数多くの瓦礫をどけていきますが人の気配が全くありません。一体、どこに埋まっているのですの!?

 

 『……ここだよ』

 

 足元から老年の方の声が聞こえる……。足元の瓦礫をどけると、一枚のカードが挟まっていました。

 そのカードには緑のカマキリの怪虫の絵が描かれていましたの。

 

 『いやぁ、なかなか見つけてもらえんかったかったからこのままここで暮らすことになるかと思ったぞ。しかし、女子(おなご)のパンツを見れるならそれはそれでよかったかもしれんな』

 

 余計な一言のせいでわたくしは掘り出したことを後悔しました。

 いっそのこと埋めなおそうとした動きを取ろうとした時――――――――

 

 『待った!待った!冗談だ!!』

 

 冗談はほどほどにしろと言わんばかりにため息をつき、埋めなおすのをやめて岩場に座りましたの。

 

 『しかし、よくワシの声を聞きとれたの。本当ならカードを持つ者しか聞こえんはずだが……』

 

 「そうですの?」

 

 『如何にも。もしやお主、まだスピリットを仕えておらぬのか?』

 

 わたくしは老年のスピリットの質問に対して頷きました。

 

 「もしそれが本当でしたら、わたくしはこうしてあなたと会話が出来るのが不思議に思いますわ」

 

 『そうだろうな。ワシもそう思ったところだよ』

 

 心当たりのある記憶を探ってみますがなかなか見つかりません……。いつわたくしがカードを手に取ったかも思い当たりませんし。

 

 『このまま下手に逃げても捕らわれるだろうし、ワシはこの美しい女子の手で羽休めとするかの』

 

 手の平の上で虫を休めるのは変な気分ですわ。カードですが。

 

 『ところでお主、ワシのように立派な趣味はあるかの?』

 

 人のパンツを見るのが趣味のおじさまはあまり立派とは言えませんわよ?と、言いたいのですがここは心の中にしまっておきましょう。

 

 「そうですわね……やっぱりオンラインゲームですわ」

 

 『おんらいんげぇむ……?聞いたことがないの』

 

 スピリットにはそういう文化がないようですわね。ならここで説明しておかなければゲーマーの名が恥じますわ!

 

 「オンラインゲームは、電子機器を使って娯楽を楽しみながらコミュニケーションを取るんですの」

 

 『ふむ……まるで白の世界だな。』

 

 「ゲームですので何度やられてもやり直せますし、本当の戦いのように傷つくことがほとんどないので安心してプレイできますわ!」

 

 「そんなのがこの世界にあるのか」

 

 少し興味を持ってくれたのでしょうか?それなら奥深さを話す必要が――――――――

 

 『そんなことよりも、なにか臭うが?』

 

 自分で聞いておいて別の話に逸らされるのはショックですわ……。

 それに臭う?このおじさまなんなんですの?デリカシーというものがありませんの!?

 

 『お主、錆びた剣を手にしたか?』

 

 「え?はぁ……確かに手にしましたが」

 

 そういえばノワールに妙な剣を見せる時、直接触りましたわ。

 

 『その剣、今どこにあるのかの?』

 

 もしかしたらあの妙な剣の正体のことをなにか知ってるかもしれませんわ。そう感じたわたくしはケースから妙な剣を外に出しました。

 

 『おぉ!これはまさしくワシ愛用のソードブレイヴではないか!』

 

 「やっぱりそれはソードブレイヴですの!?」

 

 おじさまの歓声と共にわたくしも喜びました。あの時――――――――草原で調査した時に持ち帰って正解でしたわ!

 

 「うむ。あとはソードブレイヴを元に戻すだけだが、肝心な剣眼を持つ者がいなければこの錆びは取れん」

 

 「剣眼……そういえばノワールがお持ちでしたわよ?」

 

 『残念ながら、あの女子ではこの錆びは取れん』

 

 「え?どうしてですの?」

 

 確かノワールはあのミッドナイトサンというソードブレイヴを使っているので、剣眼の力で錆びを取ることができるはずですが……。

 

 『ソードブレイヴの力を発揮させるにはどの色の剣眼でもいいというわけではない。闇の白のソードブレイヴには闇の白の剣眼を、闇の緑のソードブレイヴには闇の緑の剣眼を。このように鍵穴に合った鍵を挿し込まなければならないと同じことだ』

 

 「つまり、このソードブレイヴは闇の白ではないと?」

 

 『うむ、その通りだ。このソードブレイヴの錆びを取るには闇の緑の剣眼を持つソードアイズが必要なのだ』

 

 この事実を聞いてわたくしは困りましたわ。まだ闇の緑の剣眼を持つ方が見つかっていませんし、このままわたくしが持っていても宝の持ち腐れですわ。

 

 『ふむ、残念だがここに用事はないということだな』

 

 「行ってしまいますの?」

 

 「闇の緑の剣眼を持つ者がいない以上、ここに留まる必要はない。が――――――――――」

 

 突然—――――――誰かがわたくしの横を勢い激しく通り、その方は横に転がりました。その方は-―――――――

 

 「ノワール!」

 

 ノワールが傷だらけで倒れている姿がわたくしの目の前にいましたの。

 

 「まだ……終われない……!」

 

 『GATE_SHUT(ゲートシャット)

 

 コールと共に女神化が解除され、戦闘不能に追い込まれている状況になっているとわたくしはこの場で理解しましたわ。

 

 「思ったより大したことはなかったか」

 

 龍の鱗を纏った鎧の方が雄々しい腕で砂埃を払い除けました。

 

 「さあ、大人しくソードブレイヴを渡して貰おうか」

 

 仮面越しの威圧でノワールに迫ります―――――――――――――

 

 「断ると言ったら?」

 

 ノワールは腕を抑え、強気で言います。

 

 「殺してでも奪い取る」

 

 鎧の方はデバイスの銃口をノワールに向ける。

 

 「お主の名を聞いてなかったな。ワシはディアボリカ・マンティスだ」

 

 「ここで名前を明かしますの!?」

 

 唐突すぎて訳が分かりませんわ!

 いえ、まさかですがわたくしを試しているのでは?でしたら――――――――

 

 「ベールですわ」

 

 「ベール殿、お主はどうするのか?友を見殺しにするのか?」

 

 「それは―――――――――」

 

 決まっていますわ。

 

 わたくしはただここで黙って見るだけで終わらせませんわ。だから――――――――――

 

 「ディアボリカ。力を貸して貰えませんか?」

 

 「お主が闇の緑の剣眼であるならばの」

 

 それが条件――――――――もしわたくしが剣眼を持たなかったらノワールは死ぬ。

 

 「そんなのわたくしは……嫌に決まってますわ!」

 

 今までシェアを奪い合い、時には良き友人としてゲームを共にする方がいなくなるのはわたくしが許しません!だから――――――――

 

 その時―――――――不思議なことが起こりました。

 

 突然、錆びた剣が希望満ち溢れる光りを放たれましたの。

 

 「ん……?」

 

 鎧の方は銃口を下げ、様子を伺うように目線をこちらに向けました。

 

 「これは……?」

 

 突然の出来事で言葉を失う―――――――ですが

 友を失う寂しさから怒りに変えることで、錆びた剣の封印が解かれた――――――――――なんとなくそんな気がしますの。

 

 「やりおったのベール殿。どうやらワシも共に戦う義務を果たす時が来たようじゃの」

 

 戦う――――――――それがこの現状を覆す唯一の手段。

 

 「さあベール殿、ワシの力を思う存分に使いくだされ」

 

 ディアボリカがそう言い残した直後、彼の体と剣が闇に包まれてカードと化しました。

 それを手に取るわたくし―――――――――――この2枚のカードがわたくしに未来を託されました。

 

 「ベール!これを使いなさい!」

 

 ノワールから投げ渡されたのは、彼女が使っていたデバイス――――――――――――――ポタスピと38枚のデッキ。

 このデッキに剣とディアボリカを入れればデッキが完成され、わたくしは戦闘に加入することができる。

 

 早速二枚のカードをデッキに入れ、デバイスを腰に巻きました。

 ノワールがやっていた通りにやればわたくしも……!

 

 『Standby……』

 ポタスピの起動ボタンを押してデッキを挿入、そして―――――――――

 

 「アクセス!」

 

 掛け声とともに再度ボタンを押す―――――――――

 これにより自動的に女神化状態になり、プロセッサ・ユニットが闇に包まれて黒緑(こくりょく)の蟲の王を連想させる装備に変わる。

 

 「これがわたくしのカードバトラーとしてディアボリカ・マンティスの力を統合した姿、女神グリーンハート……マンティスフォーム!この力が闇に変わろうとも、守護女神としての義務は変わりませんわ!」

 

 手元に槍が召喚され、わたくしは戦う姿勢に構えました。

 

 「まずはそっちのほうをお手並み拝見としようか。こいつはいつでもソードブレイヴを奪える」

 

 標的をノワールからわたくしに変わり、鎧の方は飛び込んで襲い掛かる。

 振り下ろす龍の鉤爪に対し、神の加護を受けた槍で向かい打つ――――――――

 

 互いの勢いから衝撃が発し、弾かれる。

 

 その隙を見過ごさずわたくしは後ろに回り、槍を振り上げる。

 

 鎧の方は不意を突かれた瞬間を受けきれず、尻餅を着く。

 

 その瞬間を狙い、迅速の一突きで狙いを定める。

 

 鎧の方は右に転がり、見事避けました。

 

 「さすが戦闘に長けていることだけありますわね、ならば!」

 

 デッキからカードを4枚引き、【ダーク・マッハゾー】【ダーク・ディオマンティス】を召喚。

 

 二体のスピリットは相手に容赦なく叩きのめし、特攻をかけましたの。

 

 「ちぃ!目障りな虫けらが!」

 

 その隙にもう一枚――――――――闇の緑のソードブレイヴ【黒蟲の妖刀ウスバカゲロウ】を召喚しました。

 

 「さあ、行きますわよ!」

 

 ウスバカゲロウを手に取った途端――――――――槍とウスバカゲロウが光りだしましたの。

 

 「これはもしや!」

 

 わたくしの勘をそのまま行動に―――――――妖刀と槍を繋ぎ合わせました。

 

 「完成ですわ!神器化!【妖の長刀(あやかしのなぎなた)ウスバカミキリ】!」

 

 女神のみ使える神器化―――――――まさかこのように使えるとは!

 

 攻撃面積が広がったこの武器で、立ち上がった瞬間を狙って切り裂く―――――――

 

 「こんなもんッ!」

 

 鎧の方はバク転して避け続ける―――――――――でしたら!

 

 「もう一体!」

 

 さらに【ダーク・マッハジー】を召喚して追い打ちをかけるまで!

 

 「甘い!そんな小細工で勝てると思ったら大間違いだ!」

 

 Uターンして背後から迫るダーク・マッハジー。

 

 「てやっ!」

 

 後ろにバク転し、ダーク・マッハジーを踏み台にして高く飛び上がる―――――――

 

 「これで終わりだッ!」

 

 勢いに任せて鉤爪を振り下ろす鎧の方――――――――この瞬間にわたくしはデッキからカードを一枚引いた直後、カードの力を発揮―――――――

 

 『Flash!』(フラッシュ)

 

 マジックカード【ストームアタック】で相手を吹き飛ばしました。

 

 「この女神ッ悪運が強いぜ……ッ!」

 

 相手が無防備な体制を晒している隙を狙い、ウスバカミキリが放つ緑の光刃(こうじん)が体を切り裂く。

 

 「やばいッ!」

 

 危機感を感じた鎧の方は前腕で刃を防ぐが―――――――――

 

 切り裂いた次の瞬間―――――――――――腕が切断され、体に大きな傷を付けることになってしまいました。

 

 「あっ……!しまっ……!?」

 

 やり過ぎたと気づいた時―――――――鎧の方の正体を知ることになりましたわ。

 

 本来なら血が噴き出すはずですが、この方は違いました。鎧の方は腕から無数の線と断線して火花が散る光景をわたくしはこの目で見ましたの。

 

 「ふむ、あなたの正体がまさか人間ではないとは驚きましたわ」

 

 人間ではない―――――――それ以外の正体――――――――――それはわたくしが今まで見たことのない最新鋭の戦闘型ロボットですわ。

 

 「フッ……これを見られちゃ仕方ねぇな。そうだ、俺は見ての通りロボットだ。人型以外のスピリットがこの次元の社会に溶け込めるように試験段階で特別に試させてもらっているんだよ」

 

 社会に溶け込めるように……試させてもらっている……?

 

 「どういうことよ?まるで意味がわからないわ!」

 

 困惑しているのはノワールも同じようですわ。

 

 「俺は元々、【太陽凶龍アポロ・ガンディノス】という赤のスピリットだ。俺のカードは今、この体のソフトウェア―――――――つまり脳ミソとして頭に埋め込まれている。つまり今の俺は人間がいなくてもカードバトラーをやっていけるんだよ」

 

 そんな技術がいつの間にこのゲイムギョウ界に!?

 

 「いい時代になったよなぁ……?カードバトラーがスピリットでもやっていける時代になってよ!」

 

 まさか知らない間にこのような事態になっているとは思いもしませんでしたわ。

 

 「当然、俺以外にもいる。まだ数えるくらいだがな」

 

 「そいつらはどこにいるのよ?答えなさい!」

 

 ノワールは焦っているのか感情的になって問い詰めました。

 

 「さあ?俺は知らねえよ。あいつらも意思を持つんだ、勝手にどっかの国でドンパチやってるかのんびりしてるかのどっちかだ」

 

 「ま、そんな訳だから俺ら【スピリットロイド】を見たら相手にしてやりな」

 

 スピリットロイド……それが彼らの機体の名前……。

 

 「いいか?この世界ももう既にスピリットだらけだ。この世界に慣れてない俺たちは自ら国を立ち上げるため、お前たち女神が造った社会に溶け込む必要がある。この世界で生きるために必要なことを知るためにな」

 

 国を築き上げる?スピリットだけで?

 でも今更、国を築き上げることなんて不可能にしか思いませんわ。

 

 「今更国を築き上げるなんてできないだろうって思ってるんだろ?ま、今はそうだろうな」

 

 人の心の声を読み上げるように言って……!

 

 「だが一つ忠告しておくぜ!裁きの神剣の封印が解かれたときが本当の闘いが始まることをな!その時はカードバトラーがお前たち人間や女神だけじゃねぇってことをよ!」

 

 捨て台詞を吐いた瞬間――――――――鉤爪で砂埃を起こして姿を隠し、収まった時は既に消えてました。

 

 「あいつが言うには、ソードブレイヴとソードアイズが集まっただけじゃ終わらないらしいわね」

 

 ノワールは立ち上がり、あのアポロ・ガンディノスが今まで述べた言動を考察し始める。

 

 「とにかく、裁きの神剣の存在は封印されたソードブレイヴを解く鍵になるスピリットやソードアイズだけが知ってるわけじゃないことは明確ね」

 

 さっきの言動を思い返せば、そうなりますわね。

 

 「ですがなんの為に裁きの神剣を?」

 

 「それよね。世界を創り直せるとはいえ、まさかリセットまではいかないでしょう」

 

 もし仮にそんなことをすれば、いったい何のためにこの世界にスピリットが送られてきたのか疑問になりますわ。

 

 「とりあえず、闇の緑の剣眼を持つソードアイズも見つかったことだし、これで3人目ね」

 

 そうでしたわ。こうしてディアボリカがわたくしに力を与えてくれて、ソードブレイヴの封印がわたくしの手で解かれたのでわたくしが闇の緑のソードアイズだということになりますわ。

 これで3本目のソードブレイヴが復活し、残りのソードブレイヴが9本になりましたわ。

 この先、どうなるかわかりませんが早いところ終わらせなくてはなりませんわね。

 

 Save_The_Data……

 

 





 久々に投稿出来ました!アポロです!
 もう1話を投稿してから3年経つのか……早いもんだなぁ……。神煌臨編が始まってから約3ヶ月!キーワード能力が新たに追加されてネタに困る!そんな感じでキーボードを無心に叩きますがどうしてもやりたいシリーズがあるけど、段階をちゃんと1歩ずつ踏み出さないと話が付いていけない……。
 それはさておき、まだネプテューヌ編は終わっていませんが新シリーズのプロジェクトの開始も考えてます!終わるかどうかは……わかりません!が、終わらせるつもりで頑張っていきますのでよろしくお願いします!ターンエンド!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18Nep「白き大地~剣眼とソードブレイヴの謎」

 Nep_File 15
【スピリットロイド】
 スピリットカードをAIとして本体に埋め込み、持ち主なしで単独行動が出来るヒューマノイド型ロボット。
 カードバトラー同様にスピリットエネルギーで構築したプロセッサユニットを武装して戦闘が可能。その一例がアポロ・ガンディノスである。


 ゲイムギョウ界に【スピリット問題】が発生して3カ月―――――――――――――各地にソードブレイヴと剣眼が発見されると同時に次々と明らかになっているカードの謎。

 

 今までの出来事を纏めれば――――――――――¨スピリット達によって完全に蝕まれる前に裁きの神剣力で世界のバランスを取る核の構築をするのだけれど、裁きの神剣は現在封印されている。

 封印を解く鍵になる12本のソードブレイヴが集いし時、裁きの神剣は真の力を取り戻して新たな世界を築き上げる¨

 その迷信を信じてわたし達女神は今、3本のソードブレイヴと―――――――それらの剣の所有権を握るソードアイズがいるわけだけど……全部合わせて24のものを揃えなきゃいけないから残りの三分の二を集めなくちゃいけないのだから正直のところろ気が遠くなる話よ。

 

 それに立ちはだかる下っ端とスピリットロイド……聞いた話を解釈すれば、誰かに命令されて阻んでいるように感じるの。

 

 一体なにが目的なのかしら……。

 

 「お姉ちゃん!約束は今日だよ!今日こそ3人で遊ぼ!」

 

 「約束……忘れてないよね?(そわそわ)」

 

 あれとこれと考えている中、妹のロムとラムがわたしの部屋に堂々と入ってきた。

 

 紹介するわ、活発な方がラム―――――――内気の方はロム。顔が瓜二つの双子よ。この二人はルウィーの女神候補生、ホワイトシスターでもあるわ。

 

 わたしはブラン、ルウィーを治める女神ホワイトハートよ。

 

 もう察していると思うけど、ここは夢見る白の大地【ルウィー】――――――――年中雪が積もっていて魔法が豊富の国で知られているわ。

 今わたし達がいるのはルウィーの中心部、教会よ。

 

 「……ごめんなさい、今日も手が離せないの」

 

 スピリット問題が起きてからスピリットの対策、その他諸々で結局最近は休めない……特にスピリットロイドの出現が大きいからそれの対策もしなきゃ国民を危険に晒すことになるわ。

 

 だから今日も報告書を目に通しておかないと――――――――――

 

 「それ昨日も言った!」

 

「お姉ちゃん……怒ってる……?」

 

一週間くらい前に開設したアトラクションを試遊という形で遊んでもらいたいっていう依頼もそういえば放ったらかしだったわ…。3人で行こうとは思ってたけど最近仕事詰めで中々行けない……。

 

「もういいよ!今日も二人で遊ぶから!行こっ!ロムちゃん!」

 

ラムは不満に耐えきれず部屋から出て行った。

 

「お姉ちゃん……本当に怒ってたらごめんね……?お姉ちゃんがいつも書いてる本にお絵描きしちゃった」

 

ロムは寂しそうに言い残して続いて部屋から去って行った。

 

……待て、なんか聞き捨てならねえことを聞いたぞ?

 

 ―――――――――――――っと、今はそれどころじゃないわ。まずはあの剣について調べなきゃいけないわ。

 

先日、海岸の砂浜に錆びた剣が刺さっていた。その剣は噂のソードブレイヴと特徴が一致していることから、わたしはその剣について研究しているわ。

 

とは言っても、研究はまだ始まったばかり。実際のところはまだ2割しか進んでない。

わかってるのはソードブレイヴであることと、錆を取るための条件。もっと進めるには剣眼を持つ者と、そのソードブレイヴと関連性があるスピリットが必要。

その二つが揃ってない以上、今は謎には近づくことはできない。

 

 剣眼を持つ者にはいま現在……女神だけが持つという共通点がある。これに意味があるとすれば――――――――――女神であるわたしと、女神候補生の4人が縛られる。

 

 でも、もし女神だけに縛られたとしたら残りの4本が余る……もし、一人に一つ剣眼とソードブレイヴを持つとなれば難点が出来るわ。

 

 その4本は女神以外の誰に所有権が与えられるか……それ以外になにかあるのかしら。

 

 「ロム様!ラム様!それはおもちゃではないんです!返してください!」

 部屋の外から何かと騒がしい……少し息抜きに様子見に行こうかしら。

 

 部屋のドアをあけると目の前にした光景は―――――――――――

 

 「なにこれー?おっきいけどボロボロでかっこわるーい!」

 

 「ざらざらしてる……」

 

 妹達が二回りくらい巨大な剣を持ってはしゃいでるのを手こずっている職員の光景が見えるわ。

 仕方ないわ……手本でも見せてあげましょう。

 

 「二人とも、こんな大きいものを持って走ったら危ないじゃない」

 

 「だってこのお姉さんが追いかけてくるもん!」

 

 「うん……だから逃げてるから、一応鬼ごっこもしてる」

 

 鬼ごっこね……。とはいえ、二人は女神候補生。この職員も一般人と変わらないから体力差で負けるのも目に見えてるわ。

 

 「いい?二人は女神だけど、今は職員の人の言うことを聞きなさい」

 

 「ぶー、お姉ちゃんいつもこういうよね!」

 

 「うん、うん」

 

 反論するラムにこくこくとロムは首を縦に振って同感する。

 

 「お姉ちゃんはいっつもそうだから国民にお婆ちゃんなんて言われるんだよ!少しは羽目外させてよね!」

 

 「いやおばあちゃんなんて言われたこともないし、あなた達いつも派目外してるじゃない」

 

 国民に言われたらイラ立つけど妹に言われたら逆に落ち込むのは何故かしら。

 

 「違うよラムちゃん、お姉ちゃんはお婆ちゃんじゃなくてお婆チャル(オバーチャル)だよ」

 

 「なるほど!」

 

 「お前ら!いい加減怒るぞ!」

 

 「お婆チャル様、血圧が悪くなってしまいますよ?」

 

 「あぁ!?」

 

 「ひっ……」

 

 振り返って威圧をかけられた職員は弱気な声を上げて怯えていた。

 

 「じゃあ行ってくるねー!」

 

 「あっ!おい待て!……ちっ、覚えてろよ……」

 

 振り返ると二人は既に遠くに出掛けてしまった。うまく逃げられたわ……。

 

 「あ、あの……ブラン様?」

 

 「……今度はなに?」

 

 さすがに怒ったままじゃ大人げないから一呼吸を置いて耳を傾けたわ。

 

 「……いいんですか?ソードブレイヴを持っていかれましたが」

 

 「なんだと!?それ早く言え!」

 

 あの状態じゃ壊れてしまうかもしれないのに!クソッ!一刻も早く取り戻さねぇと!

 

 「おい待て!それはおもちゃじゃねぇんだよ!」

 

 わたしは錆びたソードブレイヴを取り返すべく、必死に走って妹達を追うのだった。

 

 それが、新たなる試練へ挑戦する運命に導かれるのだった

 

 Save_The_Data……

 




 皆さん、お久しぶりです。ようやくブランを出すことが出来ました。
 ブランも出て早々いじられて喜んでいるのではないのでしょうか?後ろに殺気が感じますが。

 それはさておき、今回は短めで締めさせていただきました。さすがに毎回5000文字以上は脳が持たないのでしばらくこのペースでいかせてもらいます。
 最近語彙力も下がってきたこの頃ですが、とりあえず頑張ります!
 
 あと、なり垢で報告させていただきましたがオーズデッキ組めました。最終回タジャドル煌臨させてロストブレイズして高コスカード破壊するの楽しいです。
 そんなわけでまた次回お会いしましょう、ターンエンド!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19Nep「女神裁判?」

 Nep_File16
 コア
 
 あらゆる概念が集まり、結晶化した石。
 割れると数枚のカードが生成される謎に満ちた物質。コアの破片はカードを活性化させるエネルギー体であり、触れれば力が具現化――――――もしくはカードの絵の物自体が具現化される。



 錆びたソードブレイヴを持ち出した妹達を追いかけているものの、途中で見失った。

 

 「はあ……はあ……一体どこにいるの……」

 

 あれは未知数の力を持っている謎の剣――――――――なにが起きても不思議じゃないわ。ことが起きる前に早く見つけなきゃ。

 

 「いやーっ!?」

 

 近くに悲鳴が響き渡る。今は国民の安全を最優先にすべきね。

 すぐに聞こえる方向へ駆けつけに行くことにした。

 

 ○●○

 

 「ウオォー!」 

 

 大通りに未知の青い巨人兵士が雄叫びを上げ、国民に恐怖を与える光景をわたしは目撃した。

 

 「あれはゲイムギョウ界じゃ見たことない……スピリットと思ってもいいわね」

 

 駆除できるならしておきたいけど、わたしにはデッキがない。

 でもデッキがなくても、全力でダメージさえ与えれば少しは怯むはず。

 

 わずかな希望を持ったわたしは、自前の巨大なハンマーを召喚して手に取る。

 

 「少し黙ってなさい……!」

 

 体を中心に全力でぶん回して勢いが付いた直後、横に投げ出した。

 

 ハンマーはヌンブンとブーメランのように回り、巨人兵士に強い衝撃で鋸の如く連続で叩きのめす。

 

 巨人兵士は衝撃に耐えるけど、ここでわたしの猛攻は終わらない。

 回り続けるハンマーにめがけて走り出し、受け止める。

 

 残った回転力がわたしを振り回し、わたし自身が軌道を縦に変えて地面を叩いて高く飛び跳ねる。

 

 「ハートブレイク……ッ!これがわたしの最大火力!」

 

 回転しながら降下する勢いを利用して巨人の頭を狙い、1撃をかます。

 

 巨人兵士は耐えようにも強い衝撃で隕石が落ちた跡のように地面がえぐられる衝撃の強さにはダメージはさすがに残る。そう確信した。

 

 けど―――――――現実は上手く行かないもの。

 ハンマーに亀裂が入り、粉々に砕け散っていた。

 

 「何……!?」

 

 動揺した一瞬を付いて巨人兵士は拳を一発入れる。

 

 「があ……ッ!」

 

 逆にわたしは突き飛ばされ、地面に這いつくばる。

 

 「やっぱりネプテューヌの言ってたことは本当みたいね……この世界の兵器も魔法も効かない、唯一スピリットに対抗できるのはカードだけだっていうのは……!」

 

 必殺技級の技をかましてもまるで蚊に刺されたのようなこの様子。一刻を争う問題と言っても過言じゃないわ……!

 

 「せめてわたしにもデッキがあれば……!」

 

 協力者によれば、デッキがあれば撃破が出来るって聞いた。けど今のわたしにはデッキがない……どう打開しろと言うの!?

 

 現状、詰み状態のその時―――――――――大地から伝わる振動が響く。

 

 「そこをどいて!!お姉ちゃん!!」

 

 「どいて……!!」

 

 妹たちの声が聞こえる……まさか巨大化の魔法でゴリ押しするつもり……!?

 

 「ダメ……!どんな攻撃でもいまのわたし達じゃ……!?」

 

 振動元からの方向を振り向いたわたしは、衝撃の光景を目にした。

 

 あの振動は妹たちじゃない……なぜなら小さい体で一生懸命に倍に大きい剣を担いで走っている。

 

 あの振動元は――――――――

 

 「ウォォォォーーーーーーッ!その剣刃は余の物だ!返してもらうぞ!!」

 

 今、わたしが相手にしている巨人よりもはるかに上回る大きさ――――――――黄金の鎧を纏う蒼き巨人が妹を追いかけている!

 

あれがこの巨人の親玉!でも都合が悪すぎる!

 

 「ふぇぇ……重いよ……(はぁはぁ)」

 

 「もうちょっとよ!もうちょっとだけ頑張って!」

 

 息を切らしかけて弱音を吐くロムをラムが励ましている……。

 ラムは一体なにを……?

 

 妹達はわたしを通り過ぎて、わたしが相手にしていた巨人兵士に向かって走り出す。

 

 「――――――――ッ!!」

 

 向かってくる妹達に、巨人兵士は槍で阻もうとする。

 

 「乗り込むよ!ロムちゃん!」

 

 「……うん!」

 

 一閃で貫こうとする槍が地面を砕いた瞬間妹達は槍の上を渡り――――――巨人兵士の肩まで乗り込んだ。

 

 「そこを動くなァーッ!!」

 

 黄金の鎧の巨人は砂浜に立つ旗を取るように、剣へ飛び込んで取ろうとした――――――――――

 

 「今だよ……!」

 

 「そりゃっ!」

 

 飛び込んだ瞬間を狙って、妹達は肩から飛び降りる。

 

 「いけない……!」

 

 とっさに駆け込んだわたしは誰よりも早く巨人兵士を通り過ぎ、落ちていく妹達をわたしの体でクッション代わりに受け止めた。

 

 黄金の鎧の巨人は見事巨人兵士にぶつかり――――――衝撃で約1kmまで地面に擦って行った。

 

 「……これは相当な被害ね」

 

 巨人が滑り込んだ側を見ると、地面のレンガがえぐられている上に建物が何軒も破壊されている。

 

 「でも、結果オーライね」

 

 巨人兵士の方はいつの間にか消えて、少し歩いた先に1枚のカードが落ちている。

 

 この結果から推測すれば、スピリットをカード化するにはスピリットの力でないと無理だというのが完全に理解した。

 

 「えへへっ、お姉ちゃんが倒せそうになかったあいつを倒せたね!」

 

 「うん……勝っちゃった(どきどき)」

 

 「えぇ、そうね……」

 

 「……お姉ちゃん?」

 

 「やっぱり……怒っちゃう?(そわそわ)」

 

 「ったりめーだろうが!!国民に被害が出てないからまだいい!でもな!町はどうなんだよ!?これじゃ生活できねぇだろうが!!」

 

 「あぁ……でも、すぐに直るじゃん!」

 

 「どれだけの費用がかかると思ってんだ!?それによく考えてみろ!下手したら新アトラクションが体験できなくなっちまうんだよ!」

 

 「ごめんなさい……やっぱりやめたほうがよかったんだよ……楽しみがなくなっちゃった……(しょぼん)」

 

 「うぅ……ごめんなさい」

 

 説教している間、黄金の巨人は立ち上がった。

 

 「……!説教してる時間はないみたいね」

 

 「余の……余の剣刃……ないッ!」

 

 手の平を見た黄金の鎧の巨人は動揺してこちらに視線変える。

 

 「ざーんねん!剣はこっち!」

 

 ラムが挑発するように剣を持ち上げて見せびらかす。

 

 「てめぇ……人の国へ勝手に上がった上にこんなに荒らしやがって!そもそも!何のつもりでここに来たんだよ!?

 

 あいつは闇雲にここを踏み入れた訳じゃないはず、目的がわかっているのは―――――――この錆びた剣を狙っていること。

 

 「決まってる!その剣刃を返して貰うために来た!」

 

 「んなこたぁわかってんだよ!他に目的あんだろうが!」

 

 「お姉ちゃん落ち着いて!」

 

 「怖いよ……これ食べていつものお姉ちゃんに戻って……(ひょいっ)」

 

 ロムから小さな棒付きキャンディを口の中に入れられた。

 

 「ふむ……ならば教えてやろう!その剣刃の錆びを取れる者――――――青き剣眼を持つ者を探しに来た!」

 

 光の青の剣眼……ってことはこの剣(こいつ)は青のソードブレイヴってわけね。

 

 それにしてもこの飴、なかなかイケるわ。

 

 「それはわたし達も探しているわ。でもまだ見つかってないわ」

 

 「ふむ……それではこの国にはいないのか……これは失礼した!其方も探しているとは予測してなかったものでな!ではこれで失礼する!」

 

 「待ちなさい、あなたには前科があるわ。理由はもちろん……わかっているわよね?」

 

 「ふほうしんにゅうときぶつそんがいで……えっと……」

 

 「あなたが国民を不安にしたからよ!かくごのじゅんびをしなさい!近いうちにうったえるから!」

 

 「さいばんも起こすから……さいばんしょにぜったいに来てもらうよ……(じーっ)」

 

 「いしゃりょうも準備もしておきなさい!あなたははんざいしゃよ!」

 

 「わたしのデッキにぶち込まれるのを楽しみにしてなさい……いいわね……!」

 

 こんな奴に裁判起こそうにもどう起こすというのかしら……。

 

 「裁判?それは余の国と同盟を結んでから言ってほしいものだ」

 

 「ムカつく……あの金ピカ!ぜったいにさいばん起こすから!」

 

 「こんな下らんことをしているより、まず青の剣眼を持つ者を探し出すんだな。ふっははははは……!」

 

 黄金――――――いや、金ピカは高笑いしながら来た方向の逆の道を走って去って行った。

 

 「はぁ……一難去ってまた一難……また来られたらどうしようもないわ」

 

 「そうね!あんなのボッコボコにしてやりたい!」

 

 ラムの言う通りそうしたいところだけど、カードがないわたしには無理な話ね……仕方ないわ。ここはネプテューヌかノワールに救援を―――――――

 

 「お姉ちゃん(きらきら)」

 

 ロムが輝いた眼差しでこちらを見てる。きっと税金的によからぬ作戦ね。

 

 「ロクでもない作戦は反対――――――――」

 

 いや、希望はあるわ。【光の戦士ランダル】――――――――これでなにか掴める!

 

 

 

 Save_The_Data……

 




 どうもアポドラです。
 アイツのデッキ発売おめでとうございます!(今更感)今後もバトスピをよろしくお願いします!
 そんなわけで、復帰勢も来れば当然バトスピなりきりも増える現象が当たり前のように来ますね。自分は大歓迎です、ぜひ増えてください!

 今回はデッキを持たないブランがどう戦うかで悩まされましたが、結果的にこうなりました。セリフがラムちゃんばかりですが、自分はロムちゃんが好き。
 ホワシスになって剣ぶん回す展開も考えましたがそれじゃマンネリ化するのでやめました。
 
 さあ、光の戦士ランダルが鍵となったブラン達はどうするか!続きを楽しみにしてください!
 これでターンエンドにします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20Nep「ゲイムギョウ界の現状」


 17Nep ソードブレイヴの封印
 
 ゲイムギョウ界に現れたスピリットと共に生成されたソードブレイヴは、錆びついて力が発揮できない状態になっている。
 ナムコの推測ではあるが恐らくこれは剣眼を持つ者以外に使用されないようにしているっと思われる


 

 光の戦士ランダルのカードを手に入れ、すぐにヒントを探そうとしていた。

 カードに関しての知識がほぼないわたしには誰かの助けを求める必要がある。となれゲイムギョウ界内でカードに詳しいナムコに頼らないとならないわ。

 やることが決まったことで、パソコンの電源を入れてすぐビデオ通話で今までの出来事とこのカードのことを聞くことにした。

 

 「ブランが会ったのは恐らく、戦輝神(せんきしん)ゼルドナーグってヤツよ。これを狙っていたっていうことはそっちで保管されているのは光の青のソードブレイヴに違いないわね。錆びたソードブレイヴは剣眼を持っているヤツがいないと無防備だから必死になって探していたに違いないわ」

 

 光の青――――あの巨人軍団が守護していたってわけね。

 

 「青属性の小型スピリット……というのは確実だけど、なんか似てるのよね。これのデカいヤツ」

 

 「大きいの?」

 

 ロムは大きいというキーワードに注目疑問を抱いている。

 

 「詳しく聞かせて。ランダルの大きいスピリットに関してのことを」

 

 「うーん……このカードは祖先の眷属にあたるスピリットでね、アレクサンダーと言った巨人のスピリットがカードの世界の古代にいたの。それに似てるわ」

 

 古代……ってなるとカードの世界も歴史があるってわけね。

 カードの世界の歴史が今回の事変にどんな鍵が出来るのか……。

 

 「ランダルは眷属のカードだからそのアレクサンダーの力と比べて劣るわ。でも、このカードがあるってことはこのカードの子孫がいるはず」

 

 「へぇ、アレクサンダーにもお孫さんがいるんだ!わたしと同い年かも!」

 

 ラムはアレクサンダーの子孫のことを聞いてワクワクしていた。

 

 「この世代のアレクサンダーは……何世だっけ?まあとにかく、光の青のソードブレイヴの錆びを取るには青の剣眼とゼルドナーグを仲間に引き入れる必要があるわ。だからまずそのアレクサンダーを仲間に加えてあなたの戦力にして」

 

 「待って、現状光の青の剣眼がいないわ。あなたの話じゃゼルドナーグだけいても錆びは取れないはず」

 

 「あぁ、それに関しては問題ないわ。他の女神も守り手のスピリットと会った時点でなったみたいだし、ゼルドナーグと一緒に触れた段階で剣眼を持てると思うから」

 

 根拠のない言い方と態度が地味にムカつくわ……。見た目が子供らしいとは言っても実年齢は成人越えだから余計に。

 だからと言って説教とかしたら後々面倒になるからこの事変が終わったら言ってやるわ。

 

 ―○●○―  

 

 あの後、一人でルウィー近辺のダンジョンを探してみることにした。

 

 事変が起きて天変地異がよく起こっているから国以外の地域はほとんど跡形がない。あらゆるところでスピリットが誕生して独自の文明が発達しつつあるわ。

 もはやここまで来たら異世界と勘違いしそう……。

 

 あの金ピカの本拠地はルウィーの大陸内にルウィーとは違う建物―――――この感じだと中世ヨーロッパ風にあるレンガで積み上げた小規模の城ね。だけど、残念ながらそこにアレクサンダーはいないわ。

 

 巨人がいるところはルウィーの中でここぐらいで、後は幻獣やサイボーグタイプの獣がほとんど。

 

 他の女神たちに聞いたけど、どうやら大陸によって属性や種族の偏りがあるみたい。

 

 プラネテューヌは爬虫類、モンスター系の亜人が多く、ラステイションは機械系とゴーレムが中心。

 

 残ったリーンボックスは……大自然の生物や虫、人に近い亜人がいるみたい。

 

 この中で一番条件に近いのは……リーンボックス大陸ね。リーンボックスに行くには国境と海を跨ぐ必要がある上、海にももちろんスピリットがいるらしい。

 

 女神化して空を飛ぼうにも、鳥型のスピリットがいるわ翼竜型スピリットもいるわで空を自由に飛べないのは確実。

 

 噂じゃ空に浮遊島があって友好なスピリットもいるみたいだけど危険なのは変わらない。いったいどうすれば……。

 

 わたしでも頭を抱えているときみ端末機器から通知が鳴り、コートのポケットから取り出して電話に応じた。

  

 「ブラン様?心象はどうでしょうか?」

 

 わたしの電話に掛けたのは、ルウィーの教祖の西沢ミナ。わたしの性格上、ルウィーの公務は向いてないから7割を任せているの。

 

 「全然進まないわ……今、リーンボックスに行こうとはしていたけど、多分全船欠航でしょう?」

 

 「えぇ、ブラン様のおっしゃる通り欠航ですね……。今のゲイムギョウ界の安全地帯はほぼ国だけなので国民を危険な状態に晒すわけにはいきませんね」

 

 「そうね……それで情報掴めた?」

 

 「他のソードブレイヴに関しては今のところありませんが、全船欠航の代わりに空間転移システムを公共機関に提供しようと思います」

 

 「空間転移?あれはシェアを消費するから却下したって、前に言ったはず」

 

 シェアを消費すれば、女神化時の出力が落ちる―――つまりわたし自身の力が少しだけ失うことになるわ。

 

 「そのことなのですが、ナムコさんの技術で最近生成されるコアを燃料にすればシェアを消費することなく空間転移が出来るみたいです。ブラン様に試運転という形で利用させてもらえるみたいなので、リーンボックスに行かれるならそれをご利用になってはいかがでしょうか?」

 

 リーンボックスに行けるのはいいけど、わたしが実験するのね……。

 でもこれで問題は解決した。これでリーンボックスに行けるわね。

 

 「わかったわ、すぐ向かう」

 

 「あと、ついでにコアの採取をお願いします」

 

 そこはあっちが用意しねぇのかよ……

 

 Save_The_Data……

 





 どうもアポドラです。
 Twitterではある事情でなりきりはアズレンキャラに変更しました。しばらくこの状態が続きますが、ネプテューヌなりきりに戻す予定になりますので待っていてください。
 サブタイトルがパッと思いついてまんまとは思いましたが、下手なものよりいいと判断してこの形になりました。
 
 本題ですが、実はネプテューヌへの知識が段々薄れて設定が6割しか覚えてない危ない状態です。たまにYouTubeでVⅡのプレイを観て復習してます。
 今後の展開については駆け足でコツコツと進めたいと思います。ネプテューヌ編以外にも書きたいクロスオーバー作品がありすぎる故の結論ではありますがそうせざる負えません。
 
 忍者ネプテューヌはまだかと期待しながらまたお会いしましょう。ターンエンド!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 5~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。