エルーン…もふもふ獣耳プラス背中パックリ衣装。衣装の防御力低すぎる!
ドラフ…男はガッシリ、女の子は小さい、かと思いきや一部が豊満。最高じゃねーか!
ハーヴィン…いわゆる小人的な?だが待ってほしい…大人の女性でありながら少女の可愛さを残す矛盾、つまり最強に可愛い。
男組の渋さも良いが各種族があざとすぎる。ヒューマン?ファンタジー衣装ズルすぎませんかね…もはやファンタジー美女、美少女って種族だよ!
「団長、この前の戦闘の報酬について話が…」
騎空挺グランサイファーの一室、団長を務めるグランの部屋を小柄な少女が訪ねてきた。
彼女の名はミラオル。誇り高きハーヴィン族の傭兵である。
以前立ち寄った島で契約をしたときにイザコザがあり島を出るときグランサイファーに乗っていたためそのまま契約をしていた。何度か降りる機会もあったのだがルリアやビィと仲良くなり、契約を継続してくれている。
作業を中断して振り返り、何事かと尋ねた。
「前回の依頼での報酬についてよ。」
彼女の話に依頼を思い出す。先日の島での依頼はシェロカルテから依頼された魔物討伐、街中でのよろず屋の手伝い、新商品の試作会の味見役…1日に何件も受けたり、自分がいないところで起こった事件などいつにも増して慌ただしかったことを思い出した。
彼女が関わったのは魔物討伐と新商品のの味見役だったことを確認する。
「ええ、その2つね。買い出しもしたけど傭兵として任務じゃなかったしね。」
彼女が頷いたのを見て、その日のうちに魔物討伐の賞金とボーガンの矢などの消耗品は補充して支払った、というところまで思い出し味見の方の報酬を渡していないことに気がついた。
「そうよ、あの後貴方は別件に引っ張られて直ぐにいなくなったから貴方から受けとっていないのよ。」
納得したと同時に疑問が浮かんだ。
新商品はシェロカルテの知人のお菓子屋の試作品で騎空団の料理上手と女性陣にお願いしたがルリアも興味があったため自分もついていったものだ。タダでお菓子を食べられる事が報酬になっており料理上手組のアドバイスでかなりいいものが出来上がったため報酬もお菓子の詰め合わせを貰いみんなで食べられるよう人数分受け取っていたはずだ。
その事について聞き返してみた。
「…そうね、私は依頼の報酬は、受け取っているわ。」
ここで彼女の様子がいつもと違う事に気がついた。
船の上とはいえ偶に魔物が襲って来る事もある。その為彼女はいつも傭兵としての装備を着込んで見回りをしてくれるのだが珍しく武装の類を外している。護身用か腰にナイフと一挺の特殊なボーガンを付けているがそれ以外はフードも下ろし落ち着いた色使いの青い肩掛けに白いシャツ、黒のショートパンツと随分とラフなモノだった。
彼女が両手を後ろに回しており、何かを持っている事に気付いた。
「あ、貴方は自分の分も他の子にあげて十分に食べてないでしょう。それと、契約をしているのに報酬の受け渡しに他人を介すのはあまり感心しないわ。」
自分から報酬を渡していないという建前で、あの時あまり食べられなかった自分を気遣ってくれている。そう考えると自然と笑顔が浮かんできてしまう。
こちらが察した事に気がついたのか、言いかけた言葉を止めると、後ろ手に持っていたものを前に出すと横を向きながら顔をほんのり紅くした。
「…これを食べて感想を伝えなさい。貴方が好きなものについての情報で報酬は良いわ。」
笑いながら席を立ち、飲み物の準備をして来ると彼女に告げる。
食堂に行くと何人かが料理対決をしてそれを囃し立てる団員たちがいたが、部屋で待ってるミラオルの為に手早く紅茶の準備をする。自分に気づき挨拶をして来るので適当に返事を返しながら準備を進めた。
自分を誘う声もあったが先約を優先すると伝えると残念そうにしながらもまた騒ぎの中に戻っていった。楽しそうな様子に水を差すのも気が引けたが一言後片付けはしっかり、と声をかけてから食堂を後にする。
部屋に戻るとミラオルはソファーに腰掛けテーブルの上にお菓子を広げていた。他の人たちが言っていたように随分と見た目も良く美味しそうだった。
「それじゃあ、頂きましょうか。」
言いながらもこちらを伺う彼女に苦笑しながら一緒に、と伝え1つ1つ食べていく。感想を言い合いながら食べるのは存外に楽しく、食堂での騒ぎもそんな理由があるのかも知れないと考えながら、ふと疑問に思った事を口に出す。
自分の好みなんて報酬になるのか、と
「ええ、勿論。契約を交わしている以上傭い主との信頼関係は重要だって以前も言ったでしょ?」
彼女と本当の意味で信頼できるようになった時の事だ忘れていない。そう伝えると何故かミラオルは顔をそらして紅茶を一口飲んでから続けた。
「…とにかく、報酬がしっかり払われてる以上信頼も今以上に築いていく必要がある。その為に1つでも多く貴方の事を知るのは必要不可欠よ。…それにそろそろその情報に価値が出る。」
価値?信頼の方は彼女の普段の発言と行動から納得がいったがまたわからない事が出来た。
「シェロカルテが女性から男性に贈り物をする日があるとよろず屋で広めていたの。この団にも女性は多いし団長である貴方に贈り物をする人は必ずいるわ。だから、他の団員とのコミュニケーションにも役に立つし、もし私が貴方に贈り物をする時にも役に立つ。報酬としてみれば十分よ。」
納得の声をあげながらも、こうやって一緒に過ごすだけでも嬉しいのになと考える。彼女を見るとびっくりした様に眼を見開いていた。
どうしたのかと声をかけると、ビクッとしてから急に立ち上がり部屋の出口に向かっていった。
「き、今日はこの辺で良いわ。今後の報酬を渡す時は気をつけるのよ。」
急な変化に戸惑いながらも部屋を出る彼女に挨拶をする。
「…ええ、おやすみなさい。」
静かに扉を閉めてミラオルは部屋を出た。
見送ってから机の上を見ると先ほどまで広げていたお菓子もいつの間にか綺麗にまとめられておりすぐに片付けられる様になっていた。相変わらずの気遣いと行動の早さに感心しながら紅茶を片付け部屋を出る。
お菓子は様々な味がありどれも美味しく中々これが好みだ、と言えなかったのは少し心残りだった。
ただ、試作品で食べたものより全体的に自分好みの味だった気がするのは、気のせいか、ミラオルと一緒に食べたからか。そんな事を徒然と考えながらグランサイファーの廊下を歩いていった。
作中で仄めかすこともできない文才に絶望…。
グラン君は思った事を無自覚に口から出します。
天然鈍感属性持ち。実は服装褒めたりお菓子の感想言ったりしてるけど自分にセンスが無いので欄外で言ってます。
お菓子の詰め合わせの内容をグラン君は知らない。ミラオルさんは手先が器用で依頼から1日以上経っている。
ミラオルさんはそれっぽく書いてるけど、別に恋愛的な感情とは限らない。むしろ親愛が強い感じ。だから聞かれれば本当にグラン君の好みを他の人に伝える。今はまだ。
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