悪魔だけど平和に生きたい (ブレイカー)
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1話

処女作です。
どうか暖かい目で見ていただけたら幸いです。


気がついたら転生していた。

トラックに引かれて死んだ覚えがあるのに今、赤ん坊として多分俺の美人な母親に抱かれているので恐らく間違いないだろう。

 

さて、どんな世界に送られたかはわからないが神にあった覚えは無いので恐らくチートとかはついていないだろう。

できることなら平和な世界に転生しているといいなぁなんて希望を持っていました。

 

しかし、残念ながら俺は今世では種族=悪魔で悪魔、天使、堕天使の三竦みで戦争している時代に産まれてしまったみたいです。

 

やったね、俺。死亡フラグが増えるよ。

 

……嬉しくねぇ。恋愛フラグならまだ嬉しかったのに。

あっ、勿論ヤンデレフラグはノーセンキューで。

 

 

 

 

転生して数年が経ち、俺も青年と呼ばれてもいい歳になりました。

 

てなわけで戦争参戦です☆

 

……いやぁぁぁぁぁぁ!!

出たくない!行きたくない!

 

俺、魔法特化型だけど体が貧弱だからほぼ一般悪魔と変わらない紙装甲だよ!?

そんな俺が出てもなにもすることなく滅ぼされちゃうって!?

ほら、今も遠くから「ハルマゲドンじゃあぁぁぁぁぁ!!」とか叫び声が聞こえてるからね!?

 

俺なんかが行っても無駄だから!無理無理!まだ死にたくないですから!!

 

いや、グレモリー何でそんな目で俺を見るんだ!

アスタロトも止めてくれよ!!「お前はこの程度の戦争で死なないだろ?」馬鹿言え!体が貧弱で紙装甲の俺を巻き込むな。おい、そこで何でグレモリーみたいに「何言ってんだこいつ」みたいな目で見やがる。

 

うおっ!?シトリーいきなりくっつくなよ!

……えっ?戦争出てくれたら彼女になってあげてもいい?

 

う~ん。

その胸部装甲では俺は満足できないからまた数年後にガハッ。

く、くそ。あいつ思いっきり魔力を込めた拳で鳩尾殴りやがった。

あっ、ヤバ。意識飛ぶ。……ガク。

 

 

 

 

 

 

 

 

気づいたら知らない場所にいたらお約束な言葉があるよね。「知らない天井だ」だよ。

俺もそんな感じでいってみよう。

 

知らない戦場だ(真顔)

 

……ふざけんなぁぁぁぁ!!せめて天井がある場所に置いて行けぇぇぇぇ!!上に何もないから狙われ放題じゃねぇか!!いやぁぁぁぁぁぁ!!堕天使、天使の皆さん!止めて、そんなに光の槍をこっちになげないでぇ!?

 

あつっ!?今、擦った!?擦ったから!?

 

……あれ?痛くない?それに…何だか…気持ちよく……

 

(゜ロ゜;!?

 

危ねぇ。今俺は光によって浄化させられかけてたみたいだ。

シトリーが間一髪のところで回復させてくれなかったら死んでた。

何故か、膝枕での治療だったけど。こっちの方が治療しやすい?他のやつらの治療する度に膝枕してんのお前?もしかしてビッチ?俺の彼女になってもいいみたいなこと言ってたし。ビッチなんだろ!ゲフッ!?はい、すみませんでした。反省したのでその拳を下ろしてください。流石に二撃目はきついです。

ちなみに俺を襲っていた堕天使や天使達はシトリーの魔法で凍らされてました。

シトリー恐ぇ。俺は腹パンの分まだましなのかもしれない。あんな氷像にはなりたくないなぁ。

 

……えっ?俺も戦えって?

無理無理。俺に出きることは敵味方関係無く吹っ飛ばす広域殲滅魔法だけだよ。こんな場で使ったら敵も味方も崩壊しちゃうって。

それでもいいから撃てって?俺の魔法で死ぬような悪魔はいない?

 

……ほほう。

いいだろう。ならば俺の前世の記憶の中にある白い悪魔の魔法を放ってやらぁ!!

 

魔力を溜めて溜めて周辺にある魔力残骸も集めて、収束収束……

 

スターライトー……ブレイカーーー!!

 

大   爆   発   !

 

おおぅ。やっぱり魔王の魔砲は威力が桁違いだわ。

街三つ分ぐらい巻き込む爆発を作り出してやったぜ☆

 

おい、シトリー。何引いてやがる。

あそこまで強力な一撃だとは思わなかった?あれでは天使や堕天使どころか魔王や神も死んだかもしれない?

 

……俺、逃げるわ。誰も知らない、来れない場所に。

 

離せぇ!羽交い締めすんなシトリー!ボインなお姉さんにやられるのなら嬉しいけどお前みたいな絶壁がそんなことすんなオペラ!?

 

ス、スープレックス……だと……両手が塞がってたから油断してた。

あっ。また意識飛ぶ。おふ……。

 

 

 

 

次起きた時には戦争終わってた。俺が放った魔法以外の原因で魔王は死んでしまったらしい。少しホッとしたのは内緒だ。

結局戦争はどの種族も個体が極端に減ってしまったので終戦。この戦はそれぞれの種族の存続に多大な被害をもたらしただけだった。俺の両親も死んでしまったし。

 

ま、俺にはそこまで関係ないんだけどね。

両親が死んでしまったことは悲しいことだけど、その他は俺関係ないし。いざとなれば人間の女の子と結婚して子供作ればいいし。現悪魔上層部みたいに純血の悪魔を作らなければならない規則みたいに頭固くないし。

 

それをシトリー達の前で言ったら呆れられた。

何故だ?

 

 

 

 

さて、それから更に数百年後。

 

新しく就任制となった魔王の立場にグレモリー、アスタロト、シトリーがつくことになった。もう一人いたと思うけど名前は忘れた。だって影薄いんだもの。

 

アスタロト、改めベルゼブブとなった、アジュカに面白い物を渡された。

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)

 

チェスの駒をイメージした人や魔物を王の眷属悪魔として転生させる道具である。

実力次第ではドラゴンすら眷属悪魔に転生させられると言うのだから驚きものである。

いや、真に驚くべきなのはこれを開発したアジュカである。よくこんなものを思い付いたものだ。

……俺のお陰?いや全く意味わからないんだけど?

いやそこで含みのある笑いをされても俺困るんだけど。

 

そんな風に談笑しているとシトリー改めレヴィアタンとなった、セラフォルー……もといセラが勢いよく俺に体当たりしてきた。ゴフッ!?

 

因みに先程から俺が名前呼びにしているのはこいつらが魔王就任日に名前で呼んで欲しい、と言われたからである。

因みに拒否した場合はこの三人による一方的な私刑(リンチ)が行われるので俺に拒否権はなかった。まぁデメリットはないから別にいいんだけど。

セラフォルーだけはやけにモジモジして俺にセラってあだ名で呼んで欲しいと言ってきた。断る理由もなかったので呼んであげたら何かくねくねしてトリップし始めた。

流石ビッチだ。ってぼそりと言ってしまったらまたぶん殴られた。理不尽だ。

あっグレモリーはルシファーになって、呼ぶときはサーゼクスってよんでるからね。べ、別に説明を忘れてた訳じゃないんだからね!

 

悶話休題

 

腹の痛みが治まったのでセラの今回の要件を聞く。

私の『女王(クイーン)』になって?あっ、いや俺男だし、そういう趣味ないんで。

SMプレイをやりたいのなら他の場所でやってください。

 

怒られた。ぼこぼこにされた。

 

どうやらここで言う『女王』とは『悪魔の駒』の役職の事を言うらしい。

それならそうと最初に言えばいいのに。

 

まぁ良いけどね。

俺なんかで良いなら別に良いよ。

ほら駒を出しなよ。

 

俺がそういうとめっちゃ喜んでくれた。

俺なんかで喜んでくれる女の子がいると思ったら少し嬉しくなったが、セラがビッチだったことを思いだし萎えた。

声には出してない。人間は学ぶ生物なのだよ。現悪魔だけど。

なのに腹パン繰り出すとかありえない。

「女の子の勘は最強なんだよ」? ええ、今それを身をもって教えられました。

 

まぁそれはさておいて、俺はセラから『女王』の駒を受け取り体に埋め込みセラの眷属となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否、なろうとしたけど駒が俺の中から弾き出された。

 

その場にいた全員が一瞬呆然となり沈黙が辺りを支配する。

 

それからが大変だった。

 

セラは辺り構わず(俺めがけて)膨大な魔力を込めた魔法を放ち、アジュカは俺から駒が弾き出された理由を(興味本意で)調べだし、サーゼクスはその光景を苦笑いで見ている。俺は魔法を使ってセラから逃げようと必死に抵抗している。

何だ、このカオス。

 

 

それから、俺に特大の魔力弾が命中したところでようやく理由が判明。

 

どうやら俺の実力か潜在能力かは分からないがそれらが高すぎるらしく今のセラでは俺を眷属にできないらしい。

 

上げて落とす。

『悪魔の駒』って結構鬼畜なんだね。

セラの落ち込みよう凄いよ。まるでセラの妹に大っ嫌い!って言われたときのように落ち込んでるよ。

 

あっ因みにセラの妹はソーナちゃんといい、セラと違いかなりしっかりした子だった。

 

前にサーゼクスの所の妹のリアスちゃんと一緒に遊んでたら二人は扉の外から血の涙を流しながら壁を砕くぐらい力を入れて此方を見ていた。

いつシスコンに襲われるかと常に緊迫した雰囲気の中で遊ばなければいけなくなり常に胃が痛む。

因みにそんときはままごとで俺が夫役。じゃんけんで勝ったソーナちゃんが妻でリアスちゃんが愛人役だった。

ままごとってそんなぎすぎすした家庭を再現する遊びだっけ?

 

後ろからのプレッシャーとごっこ遊びではありえないリアルな修羅場を再現されたことで俺の胃が先程よりキリキリと痛むのを感じた。

もう、あの家であのメンバーが揃っているときに遊ばないと心に誓ったのは言うまでもないだろう。

 

悶話休題

 

まぁそれはともかくセラは俺に宣戦布告をして帰っていった。

「貴方を絶対に眷属にするんだから!」とのこと。

泣きながら走り去っていく彼女に俺は頑張れとしか言えなかった。

流石にこの場面で彼女をからかうのはできなかった。

そこまで俺は外道ではない。

 

それはさておきせっかく俺も『悪魔の駒』を貰ったので眷属を集めに旅に出てみようか。

 

あん?魔王の仕事を手伝え?

俺は魔王じゃないからやらなくてもいいだろ。

俺とお前らの仲?ははっ!ご冗談を。

どこかの誰かさんの妹と遊んでいる時に不意に何度も命を狙われ、実験を手伝えって言われて強制的に引っ張られ新しい術式の的にされる俺にお前らとの仲なんてあるわけがないだろう。

 

おい、こら。

目ぇ逸らすなよ。こっち見ろよ。

 

まぁ取り敢えず、暫く帰ってこないから色々と頑張れよ~

 

俺の眷属集めの冒険はこうして始まった。

 

因みにこの時、俺がセラに黙って旅に出たので再会した時に全力のパンチを腹にもらい、暫くの間転がり回ることになるのだがこの時の俺は知るよしもなかった。



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第2話

俺が旅に出てから暫くの時が経った。

 

現在俺は数学の教師やってます。

 

……どうしてこうなった?

 

 

 

あれは今から三年前のこと。

俺が五人目の眷属を仲間にした翌日のこと。

 

魔王達(セラとサーゼクス)が襲撃してきた。

 

あの時ほど今から死ぬかもしれないと覚悟を決めたことはない。

だって、あの二人魔力と殺気を全開にして人間界にある俺の隠れ屋に詰め寄ってきたんだもの。

魔王二人、しかもその内の一人は『超越者』として名を知られている二人が血走った目で家に詰め寄ってきたら誰だって怖いよね?

 

取り敢えず、話だけでもと思い聞いてみると、来年からリアスちゃんとソーナちゃんが駒王町の実質的な管理者になり駒王学園に入学するらしい。

でも、いきなりあの二人に管理の全てを任せるのはシスコンである二人には心配らしく俺に二人の補助をお願いしたいらしい。

 

……正直な話、俺は知るかという気持ちが大きかった。

 

何故俺が俺よりしっかりとしているあの二人の補助をしなければならないと思った。

あの二人は幼少の時しか知らないが、二人ともかなり優秀だった覚えしかない。

 

具体的にはままごとで俺の胃にダイレクトアタックを延々と繰り返してくるぐらいに。

思い出しただけで胃が……!

 

俺が思い出したように痛みだす胃の痛みに耐えていると、セラが心配そうに俺が押さえている腹に顔を近づけ擦ってくれた。

 

いや、それは嬉しいんだけどね。

この構図って見る人が見たら誤解しちゃうんじゃないかな?

 

胃の痛みを抑えるために少し前屈みになっている俺に同じく前屈みになって俺の腹部を擦っている(一応)美少女。

うん。危ない光景だ。

 

それを指摘しようとした瞬間家の扉が開き、俺の『騎士(ナイト)』として眷属にした、あの有名な聖女「ジャンヌダルク」の子孫であるジャンヌと知らない銀髪のメイド服の女性が入ってきた。

 

空気が凍るというのはこういうことをいうんだろうか?

 

物凄く冷たい視線を向けてくる銀髪の女性と『神器(セイクリッド・ギア)』である『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)』の亜種禁手(バランスブレイク)断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』を俺に向かって無言の真顔で発動するジャンヌ。

 

セラは(善意で)俺の腹を擦ってくれているのでセラを犠牲にするわけにもいかず慌ててセラを抱き抱えて逃げ出す俺。

 

抱き抱えたセラの顔が真っ赤になり、俺の胸に顔を擦り付けてくる。

流石ビッチ。あざとい。

 

それを見て更に本気で俺を殺しに来るジャンヌ。聖剣は洒落にならないから勘弁してほしい。

 

下級悪魔…いや、中級悪魔でさえ、触れるだけで消滅しかねない魔力をその手に集めだすメイドさん。セラのせいで防御力はかなり強化されてはいるがセラを抱き抱えている状態でそれを防ぐのは大分厳しいです。

 

唯一理由を知っているサーゼクスは止めようとしない。

 

俺が何をしたっていうんだー!!

 

 

 

結局、二人が落ち着いたのはサーゼクスが飽きたのか二人を魔王権限で止めた後だった。

 

二人が止まった後、サーゼクスが理由を説明すると、ジャンヌはそっぽを向き、銀髪の女性…グレイフィア・ルキフグスさんは深々と頭を下げた。

 

ジャンヌも『騎士』なら見習って欲しいものである。

 

因みに、セラは未だに俺の腕の中にいる。

魔王権限で「帰るまではこのままにしとけ」とのこと。

ジャンヌが忌々しそうに此方を睨んでくるので、できれば早く降ろしたいが、いつの間にか撮られていた俺がセラを抱き抱えている写真を冥界中にばら蒔くと脅迫…もとい、提案されたので降ろすのを諦めた。

 

くそぅ…あの貧乳少女が見ない間にこんな巨乳になりやがって。揉んでやろうか?

 

そんなことを考えた瞬間顔を赤くしたセラと般若のような顔をしたジャンヌに殴られた。

 

女の勘は鋭すぎるって事を忘れてた。ちくしょう。

 

 

 

っと暫く話が逸れていたが元々の本題である管理者の補助として駒王町に行くか行かないかっていう話に戻った。

 

俺は当然断るって言おうとしたら、また写真をネタに提案された。

 

…実質的な悪魔であるトップの魔王の命令を聞かないのは一悪魔としてはおかしいよね。仕方がない。受けてやろうではないか。だから、さぁそのネガを寄越しなさい。

 

先に誓約書にサインしろって?

ははは、仕方がないなぁ。サインしてやろ…ってこれ、一度サインしたら契約完了するか雇い主が破棄するまで絶対に解けない魔法の契約書じゃねぇか!

そんな物この程度の話で持ち出すなよ!

 

こうしておけば俺が途中で約束を破ることがなくなるって?流石サーゼクスだ。俺の事をよく知っている。

しかし、今はその無駄な理解力が恨めしい!!

 

ふとグレイフィアさんの方に目を向けるとなんだか同情の気持ちがこもった目で見られた。

 

───貴女も苦労しているんですね。

───ええ。お互い頑張りましょう。

 

この世界で生まれて数百年。初めて人と目と目だけで会話が成立した瞬間だった。決して嬉しいものではないけど。

 

しかし、何が気に入らなかったのかジャンヌとセラ、ついでにサーゼクスにまた殴られた。

ジャンヌとセラはいつもの事としてサーゼクスお前は何でだ?

その後、グレイフィアさんに頬をつねられていたのを見て少しスッキリしたが。ざまぁ。

 

こうして俺は契約書にサインして駒王町の管理者の補助役となったのだが、契約書の細かい制約の中に駒王学園の教師になるというのが書かれており俺は渋々契約に従って数学の教師になったのである。

 

良い子の皆は契約書の制約欄はしっかりと読もうね。俺みたいに騙されちゃ駄目だぞ。

 

 

 

 

 

そんなこんなで教師になって早三年。

 

何だかんだで教師生活が楽しく感じていた。

いゃあ教え子ってのは可愛いものだね。分からない所があったら、せんせぇ、せんせぇって教科書片手に寄ってきて理解できたら満面の笑みでお礼を言ってくる。

 

やべぇ。やめらんねぇわ、これ。

 

だが、兵藤、松田、元浜。

てめぇらは駄目だ。

 

何度覗きや、セクハラを繰り返し反省文書かせれば気がすむんだ。

 

そのせいで、最近は変態三人組が何かしたら俺が面倒を見るみたいな感じに思われちまってるじゃねぇか。

少しは自重しやがれ。

 

…何?「イケメンには、俺達みたいな気持ちは分からない」だと。

ふざけんなよ。自分でいうのもなんだが生まれてこのかた(生まれる前も含めて)モテたことなんて一回もねぇよ。そんなやつがイケメンの筈がねぇだろうが。

…何でそこで血の涙を流すんだよ。

 

鏡をよく見ろ?いつも見てるよ。

 

女子生徒の様子をよく見ろ?

見てるよ。お前らも知っているだろうけど見すぎてるせいで俺の事を気持ち悪がっているのか、何人か話しかけただけで顔を真っ赤にして逃げていくだろ。

 

よく休日に町で俺と女の子達が一緒にいるのをよく見かける?

あれはただ単に買い物に付き合っているだけだろ。それに女だけって訳ではなく男も数人いるだろ。よく見ろよ。

 

……おい、お前らなんでそんな鬼気迫る顔になって俺を見るんだよ。

「絶対彼女作ってやる」?「これだからイケメンは」?

お前らが何にそこまで怒っているのか分からないが……取り敢えず反省文(これ)はよ書けや。

俺がいつまで経っても帰れねぇだろうが。

 

反省文(三人会わせた一年間での通算百回目)を書かせた俺は、眷属達と住んでいる家に帰った。

って言っても今はジャンヌしかいないんだけども他は修業の旅に出たり用事があったりで忙しいらしいし。

 

……寂しくないよ。多分。きっと。メイビー。

 

少なくとも『僧侶(ビショップ)』の片割れぐらいは帰って来てほしい。

うちの眷属での数少ない癒しだし。もう片割れは帰ってこなくていいけど。ドMの雌豚はお呼びではありません。

 

それにしても、彼女かぁ。

俺も欲しいな。あの変態どもめ。俺がイケメンだなんて分かりやすい嘘つきやがって。

見ろ!商店街の奥さん連中なんか俺が愛想笑いを送るだけで顔を赤くして倒れるんだぞ。

こんな俺がイケメンの訳がない。

 

その後も俺が家に帰るまで奥さん連中が次々に倒れるという事件が続き落ち込み布団の中で泣きながら寝ることになった。

 

その翌日、兵藤に彼女ができたという話を聞き驚くと同時に妬んだのは別の話だ。




今回出てきた眷属の設定です。

名前:ジャンヌ(原作キャラ)
種族:転生悪魔(元人間)
駒:騎士
性別:女
筋力:C
耐久:D
敏捷:A
魔力:C
幸運:B
神器:『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)
禁手:『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)
容姿:原作より幼くした金髪の少女。胸は原作より幼くなった都合上、貧乳。

原作キャラでの転生悪魔第一号。

英雄「ジャンヌダルク」の子孫。
幼い時に教会に無実の罪で裁かれそうになったとき主人公に助けられた。
その時に恩と恋慕の情を抱き主人公の眷属になった。

神器や戦闘方法は原作同様の戦い方で、神器で作った聖剣を使い戦う。
ただし、戦闘技術は『女王』により、原作より桁違いに上がっており、もしグレモリー眷属にトレードされたとしたら木場くんが号泣して喜ぶレベルである。

原作との相違点は本来なら英雄派に入る時にはお姉さん体型になっている筈だが幼い時に眷属になり、寿命が伸び、成長が遅くなったことで未だ少女の見た目で胸が未成熟なところ。
それがコンプレックスとなっており、主人公が巨乳にデレデレしていると般若になる。

原作開始時は主人公の元に唯一残っている人物で主にツンデレ、突っ込み、苦労人キャラと様々な役割を果たす。


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第3話

祝お気に入り百人突破。
こんな駄文をお気に入り登録してくださる皆様には感無量です。


兵藤に彼女ができたと噂になった日の翌週。

 

何が有ったのか分からないが兵藤が悪魔になっていた。

 

あんな変態を眷属にするなんて物好きがいるんだなぁって変なところで感心していた俺だがそれがサーゼクスの妹のリアスちゃんと知ってあのシスコンが暴走しないかと心配になり胃が痛くなった。

 

しかも、『兵士(ポーン)』の駒八個消費だってよ。

あの変態に『兵士』の駒を全部使うなんてリアスちゃんの頭がおかしくなったのか本気で心配してしまった。

 

それを言ったらリアスちゃんが「嫉妬ですか?」なんて聞いてきた。

いいえ。純粋な心配です。って言ったらリアスちゃんが拗ねてしまい、リアスちゃんの『女王』である姫島朱乃ちゃんにウフフと若干背筋に寒気を覚える笑いをされた。

恐かった。いろんな意味で。

 

ま、まぁそれは置いといて。

 

兵藤を殺したのは堕天使らしい。

噂の兵藤の彼女とやらがその堕天使で兵藤が持っている神器を危険視して兵藤は殺されたらしい。

 

哀れ、変態兵藤。

女に飢えているのに漬け込まれて彼女の振りをした堕天使に殺される。

トラウマになっても仕方がないね。

 

それにしても『兵士』の駒八個とは。兵藤が凄いのかそれとも宿っている神器が凄いのか。まぁどちらにしても兵藤にそれだけの価値があるのには変わらないが。

少し納得できないけど。

 

取り敢えず、兵藤のことはリアスちゃんに丸投げした。

 

俺は俺で今日は生徒会の手伝いをしなければならないので忙しいのである。

決してソーナちゃんの上目遣い+涙目+お兄ちゃん呼びに負けたわけではないのだ。

 

……本当だよ。何でそんな疑いの目で見るのかな二人とも。

 

 

 

 

 

φ(..)カリカリ。

オチャドウゾ( ^-^)o旦o(^o^;アリガトウ

(/◎\)ゴクゴクッ……(#´ー´)旦フウゥゥゥ……

(о´∀`о)アリガトウ。ソーナチャンハイイオヨメサンニナレルネ

(///∇///)イイオヨメサンナンテソンナ……

(`Д´*)キーカイチョウトナカヨクシヤガッテ!

 

以上生徒会室でのやり取りである。

 

因みに今生徒会室にいるのは俺、ソーナちゃん、ソーナちゃんの『兵士』である匙元士郎君だけである。

 

この匙君実はソーナちゃんの『兵士』の駒四個消費の結構な期待株である。

兵藤の価値が『兵士』の駒八個だから少なく感じてしまうかもしれないが駒四個消費も中々の期待株なのだ。

断じて、匙君が評価が低いわけではない。兵藤が無駄に高いだけだ。

 

それに匙君は俺に対抗心があるのか度々敵意と殺意のこもった視線を向けてくる。

例え相手が悪魔の貴族だと知っていても恐れずに睨む心構えは素晴らしい。

しかし、俺が匙君の方を見るとサッと目を逸らすのだ。

何だよ。男らしいかも思って期待した俺が馬鹿みたいじゃないか。

 

その後は黙々と生徒会の書類の手伝いをする。

う~ん。無駄に書類が貯まっているな。どうしたんだか。

 

最近は新人が入ったから悪魔業の方が忙しかった?それのせいで人が足りなかった?

 

ふむ。まぁそれなら仕方がない。

遊んでいて仕事をサボってたなんて事だったら俺は今すぐにでも手伝いを辞めていたよ。

まぁ、あのソーナちゃんに限ってそれはないとは思うけどね。

(///∇///)ヽ(´Д` )ナデナデ

 

おっとついソーナちゃんの頭を撫でちまったぜ☆

昔からの癖で時々人が少なかったらついやっちゃうんだよな。

ソーナちゃんも照れて顔を赤くしながらも嫌がっておらず、寧ろ自分から撫でてくれと言わんばかりに頭を差し出すのが悪い。

 

後、ついでにソーナちゃんの後ろにいる匙君の顔が凄いことになっている。

それはもう、視線だけで人が殺せるんではないのかというレベルで。

 

しかし、まだ甘い。

俺はシスコン魔王二人組から文字通り殺気がこもった死線(誤字にあらず)を毎回受けていたのだ。

この程度なら軽い軽い。

いやぁ、あの二人の死線は部屋のなかを飛んでいた虫がが地に落ち、下級悪魔のメイドさん達がバタバタと倒れていくレベルだったからな。しかも、ご丁寧なことに妹達には器用に殺気をぶつけないようにしている。

 

……よくあの時、俺死ななかったな。

自分のことながら感心するわ。

あそこで調子のって抱きついていたりしてたら俺死んでたんだろうなぁ。自重しててよかった。

 

話を戻すが俺にとっては匙君の殺気のこもった視線は俺にとっては可愛いものである。

 

思わずにこやかに匙君に笑い返すぐらいには。

 

 

……なんか凄く匙君の顔色が悪くなりガクガクと怯えられた。ショックだ。

ソーナちゃんに慰められた。グスン

 

もう今日の分終わったから帰る。

帰ってジャンヌに癒してもらうんだあぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

俺は後ろで慌てて何かを言う二人を無視してダッシュで家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走って帰っている途中いきなり結界を貼られ、何事かと周りを警戒していると、堕天使のおっさんに追われている兵藤がいた。

年齢だけで考えれば俺もおっさんどころか爺に入るんだろうけど考えないことにする。悪魔は人間と違い寿命が長いのだ。だから俺ぐらいの年齢ならばきっとお兄さんと呼ばれても違和感はないはずだ!

 

……あれ?そう考えるとリアスちゃんとかソーナちゃんはどうなるんだ?まさか……まだ乳児だというのか!?

あの胸の大きいリアスちゃんが乳児……辞めよう犯罪臭が凄すぎる。

ソーナちゃんは……きっとすぐに君の姉のような立派なサイズになるさ。うんうん。

 

まぁ、今はそんなことはどうでも良いよね?取り敢えず、あのおっさんをどうにかしないと。

決して今、寒気に襲われたから無理矢理話を戻したわけではないぞ。

事実を述べているだけなのだ。

 

堕天使の力の波動を感じとる限り下級~中級くらいの力の持ち主だと思われる。

昔と比べて俺も少しは強くなり、俺でも相手の力量ぐらいは分かるようになっていたのだ。伊達に魔王と何年も過ごしてないからな。少なくとも魔王の一撃(セラの照れ隠し)を防げるぐらいの実力はある。

 

しかし、ここであの堕天使を殺してしまったら、今は休戦ということになっているが悪魔と堕天使との間で再び戦争が起こってしまうかもしれない。

 

どうしようかと考えている間に兵藤がおっさんに光の槍を突き付けられ絶体絶命な状況に追い込まれている。考えている時間もない。

 

ええぃ!仕方がないこうなったら喰らえ!

 

(非殺傷)ディバインバスター!!

 

ドンッッ!←発射音

ジュワッ←おっさんがディバインバスターに飲み込まれた音。

チュドーーーーーーーーーン←ディバインバスターがビルにぶつかり爆発する音。

ドンガラカッシャーンガラガラ←ビルが崩れ落ちる音。

シーン←静寂

 

 

 

 

……汚ねぇ花火だ。

 

 

じゃねぇよ!?やり過ぎちまった!

あれ?ちゃんと非殺傷にしたよね?ジュワッって音したけど気のせいだよね?蒸発なんてしてないよね?

 

おおお落ち着け、まままずは、しし深呼吸だ。

 

ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。

 

よし落ち着いた。落ち着いたから取り敢えず証拠隠滅しなきゃ(錯乱)

 

そんな感じで俺が慌てていると、瓦礫の中からボロボロのゾンビ……いや、おっさんが出てきた。

良かった生きてた。

 

ホッと一息入れたところでボロボロのおっさんが何者かと尋ねてきた。

 

それにたいして俺はおっさんに人の名前を聞くなら自分から答えろと常識を教えてあげた。

おっさんは口元をひくつかせながらも『ドーナシーク』と名乗った。

名乗ったからお前も名乗れと言われたところで魔方陣が輝きリアスちゃん 降 臨 !

 

 

リアスちゃんは来たときは辺りの状態に少し戸惑っていたが、堕天使を見て次に俺を見て状況を把握したのか溜め息をついていた。

ごめんね、リアスちゃん。こんなに壊しちゃって。

 

リアスちゃんは溜め息を一つ吐くとドーナシークに向かって「私の下僕(眷属)をよくもこんなにボロボロにしてくれたわね!」とのこと。

 

うん?確か兵藤は槍を刺される前に俺がドーナシークをディバインバスターでぶっ飛ばしたと思うから無事だと思うけど?

 

チラッと兵藤の方を向くと地面に黒こげになって痙攣している兵藤の姿が……。

 

 

 

……ドーナシーク!貴様なんてやつだ!俺の可愛い教え子にこんなひどい目に合わせやがって!お前だけは許せんぞ!

 

ビシッとドーナシークに向かって指差しそう宣言した俺。

ドーナシークはそんな俺を若干冷ややかな目で見ながらもリアスちゃんに捨て台詞だけ言って帰っていった。

 

た、助かった。

リアスちゃんにこの事がバレたかと思うと冷や汗物ですわ。

グレモリーは情愛の深い一族だからな。

滅ぼされてしまうかもしれん。

 

俺もなにか言われる前に帰ろうと忍び足で退散しようとしたがリアスちゃんに肩を叩かれ動きを止めてしまった。

ギギギとく首だけを回し後ろを向くとイイ笑顔のリアスちゃんがいた。"良い"じゃないよ"イイ"だよ。文字が違うだけで大分情景は変わるからね。

 

いや~リアスちゃん笑顔が怖いっすよ。

ほら、もっと柔らかく柔らかく。

 

えっ、これの修復の手伝いと今度お願いを聞いてくれたら許す?

あっ、うん。何でもは無理だけどそれぐらいなら良いよ。

 

俺とリアスちゃんはパッパッとその時の戦闘痕を魔法で治し、リアスちゃんは兵藤を治療するために兵藤の家へと転移していった。

 

って、俺も最初から家へと転移して帰っていればこんな戦闘に巻き込まれなかったんじゃないか?

……き、気付いてたし。歩いていった方が運動になるかなって、思って徒歩通していただけだし。

 

一人でやってても虚しいのでさっさと帰ることにした。

 

 

 

 

 

余談だが、家に帰るとジャンヌが新婚三択をテレビのドラマでやっていたのを観てしまい少し憧れができたらしくエプロンをつけ顔を赤くしたジャンヌが「ごはんにする? お風呂にする? それとも私?」をやってくれた。

 

俺が選んだのは四番「鼻血を出して今すぐ寝る(気絶)」だ。

 

あまりにも普段とのギャップがありすぎて盛大に鼻血を吹いてしまった。童貞丸出しだ。恥ずかしい。

 

俺は童貞を卒業する機会を一つ逃したことを後々盛大に後悔するのだ。

 



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第4話

お気に入り人数が200を超え、昨日は一時的とはいえ、ルーキー日間のランキングの10位以内に入っていました。

このような駄文を読んで頂ける皆様に感無量です。


堕天使襲来の翌日。

 

リアスちゃんが兵藤と一緒に登校してきた。

 

たったそれだけの事なのに正門前は阿鼻叫喚の嵐。

兵藤には盛大なブーイング、リアスちゃんにはファンの皆さんからの本気の心配。

 

これだけで二人がどれだけ他の生徒に良くも悪くも有名なのかはっきりと分かる。

まぁ、片方は変態もう片方は美少女だからな。気持ちは分かる。

 

だからと言って俺に二人を引き離すようにお願いをすんな。

殺るんなら、リアスちゃんに見つからないように二人が離れた瞬間を狙って殺ればいいだろう。

安心しろ。俺は何も見ないから。

 

俺の意見を聞いてギラギラと怪しい光を目に灯しだすファンの皆さん。

その殺気は周りに伝達していき、やがて周辺の人物全てが冷たい殺気を放ち出した。

 

……兵藤、冥福を祈るぞ。

俺が焚き付けたとはいえ、今回ばかりはお前も死ぬかもしれない。

 

と、少し兵藤に冥福を祈ってしまったが、兵藤が松田と元浜に「生乳を見たことがあるか?」と尋ねた時点で俺は冥福を祈る側から冥府に送る側へとシフトチェンジ。

 

リアスちゃんの生乳を見たんだな?あの豊満な胸を。

俺なんて、巨乳を見つめるだけで配下であるはずの眷属に殺しにかかられるのに。

さぁ?どうやって料理してやろうかな?

フフフ、ラクニシネルトオモウナヨ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

∥wc∥ ヤラナイカ(。+・`ω・´)bキリッ。

・゜゜(ノД`)イヤアァァァァァァ!?

 

 

 

さて、知り合いのABEさんに兵藤の料理を任せたので兵藤への罰はこれでいいだろう。

男連中は皆恐怖で尻を抑えて震えてるし。これ以上兵藤に手を出そうとするやつはいないだろう。

 

ただし女子連中、正確には"腐"女子連中は嬉々としてこの光景を映像として録画し、ペンを残像にしか見えない速さで動かして次々と原稿を仕上げていっている。

 

……もう駄目だ。腐りきっちまってる。

 

あっ。兵藤が捕まった。

こらこら、腐女子連中、立ち上がらないの。もうチャイム鳴るからね。

 

キーンコーンカーンコーン

 

よし、チャイムがなった。

兵藤は遅刻と。

 

出席簿の兵藤の欄に遅刻と書き込む。慈悲はない。

 

この時クラスの男達は絶対に俺を怒らせないようにしようと固く誓い、腐女子達は逆にどのようにしてクラスの男達が俺を怒らせるように仕向けようかと画策していたようだが俺は何も知らないし、何も聞こえなかったのだ。

 

兵藤の純()が守られたのかどうかは神のみぞ知ることだ。

 

 

 

放課後、リアスちゃんに彼女が部長を務めるオカルト研究部へと呼び出された。昨日の兵藤の事で話があるらしい。

まぁ呼びに来たのはリアスちゃんの『戦車(ルーク)』の塔城小猫ちゃんなのだが。

電話や使い魔をつかって呼べばいいのに直接呼びに来てくれるなんていい子だよね。

彼女達の上司達(魔王連中)は俺を拉致して強制的に手伝わせるんだから。

…い、胃が……胃が痛む!?思い出すなとの警告か!?

 

取り敢えずお駄賃として有名店のお菓子を一つプレゼント。

小猫ちゃんは嬉々としてお菓子を食べ始めた。彼女に尻尾があれば全力で振っているだろうな。

 

良いわぁ。癒されるわ。この娘。

最近、変態としかスキンシップ(物理)をしてこなかったから凄く癒される。

ああ、世の中が癒しで溢れていればいいのに。

 

小猫ちゃんが食べ終わるのをニコニコと見守り、食べ終わったのを見届けてからオカルト研究部のある旧校舎へと向かう。

その際、小猫ちゃんの頬は紅かった事だけは言っておこう。

 

オカルト研究部の部室に入ると中は到るところに魔方陣が描き込まれていた。

女性が多いこの部室にこれはどうなんだと思いつつも部室にあるソファーへと向かい座る。

小猫ちゃんも俺の隣に座り、羊羮をお菓子袋の中から取りだし一つ分けてくれた。さっきのお返しらしい。

ありがとう。と頭を撫でてあげるとやはり猫の尻尾の幻覚が見える。気のせいか撫でている頭の上にも猫耳が見えるような?

 

そんな不思議光景に眼を奪われていると後ろから物音が聞こえたので振り返ると、そこにはバスタオル姿のリアスちゃんがいた。

 

……なんでさ?

 

どうやら昨晩は兵藤の治療に付きっきりであったためシャワーをこれから浴びるらしい。

シャワーを浴びれなかった原因の一端を作ってしまった俺は何も言えなかった。じっくりと堪能はしたが。

 

だけど小猫ちゃんは忌々しそうにリアスちゃんのある一点を見続けている。具体的にはバスタオル越しでも分かる形が良く大きい胸に。

 

……気持ちは分かるけど、そこまで露骨に睨まなくてといいじゃない。大丈夫。胸の小さな女の子も世の中には好きだって言う人も沢山いるよ。

えっ?俺?

……う、うん。好きだよ胸の小さな女の子。だからそんな泣きそうな顔になるのやめなさい。罪悪感しか出てこないから。

 

俺がそう言うと小猫ちゃんはニッコリと最高の笑顔で俺の膝の上へと頭を乗せてソファーに寝転がった。

所詮、膝枕というやつだ。まぁ小猫ちゃんは小柄だから足も痺れたりしないだろうからいいか。

 

で?何でリアスちゃんはそんなに不満そうに頬を膨らませてんの?早くシャワーを浴びに行きなさい。風邪引くよ。

 

ほらほら朱乃ちゃんもそんな人が寒気を覚えるようなドSな笑顔を晒しだしてないで、リアスちゃんをさっさとシャワーを浴びに行くように進言して。

早くしないと兵藤が来るよ。

 

それから、暫くして兵藤が木場君と一緒に部室に入ってきた。

最初に兵藤の目には俺の顔が目にはいったらしく今朝の事を思い出したのか顔を青くして震えていたが、その膝上に学園のマスコットである小猫ちゃんがいたことで顔を怒りで赤くし血涙を流し、奥の方から聞こえてきたシャワーの音を聞きカーテン越しでも分かる抜群の女性のシルエットを見て鼻の下を伸ばし、別の意味で顔を赤くしている。

 

一人百面相か楽しそうだな、兵藤。

 

そんな兵藤を見て、小猫ちゃんがボソリと気持ち悪いと言ったのが胸に突き刺さったのか兵藤が胸を抑えて項垂れた。同情はしないけどな。

 

シャワーを浴び終わったリアスちゃんが、朱乃ちゃんと一緒にカーテンの裏から出てきた仄かにシャンプーのいい匂いがするが心頭滅却し、頭の中から雑念を振り払う。

俺は兵藤とは違うのだ。

 

しかし、心頭滅却するためにひたすら膝枕してあげている小猫ちゃんの頭を撫でていたらいつの間にか小猫ちゃんの顔が蕩けきっていた。

 

思わず撫でる手を止めてしまった俺にその蕩けきった顔で一言。

 

───もっと…もっと撫でてください。

 

こうか は ばつぐん だ ▼

 

俺と兵藤は仲良く鼻血を吹いた。

兵藤の事を馬鹿にできないかも。

 

この後、滅茶苦茶撫でまくった。

 

 

 

 

暫くして、鼻血を出しすぎて気絶していた兵藤が目覚めたところで本題に入る。

 

リアスちゃんが俺達の種族が悪魔で兵藤も悪魔になっている事を兵藤に説明した。

 

兵藤はいきなり言われたので戸惑っているようだが彼女(仮)であった堕天使の少女の写真を見せられ神器の話をしたことによって結構強引に納得させられていた。

 

兵藤の神器は『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』と呼ばれる、ありふれた神器だった。

何故これが危険な神器として処理されたのかが良くわからないんだが。

まぁ少し形が違うような気もするけど亜種の神器もあるから些細な違いでしかないのだろう。

 

それにしても空孫悟(そらまごさとる)のドラゴン波の物真似とは…

以外と兵藤もこっち(オタク) 側な人物なのかもしれない。

俺の場合はドラゴン波(それっぽいポーズ+ディバインバスター)真似できるし、その内兵藤にも教えてあげよう。

 

そんなこんなで話が進んでいき、兵藤も頑張り次第では最上級悪魔になり、『王』として、眷属を持てる事を聞くと途端にやる気に満ち溢れていた。

その理由が何かと言うと、「ハーレム王に俺はなる!!」だそうだ。

 

もう朧気にしか覚えていないがなんとなく某海賊漫画を汚されている気がして不愉快だったのでABEさんに連絡しておいた。

 

その晩、昼と同じようにトイレの回りから男の悲鳴が聞こえたようだったが、運悪くその場に誰もいなかったため真偽は本人達しか知らない。

 

 

 

 

 

家に帰ると兄弟や両親の知り合いがいて気まずくなることはないか?

俺はある。前世からの話だが教師と教え子と割りきっていれば何ともないが見ず知らずの人に話しかけるのは躊躇う。

 

だから、俺は部室から家に帰った時にジャンヌと一緒にいたシスターの女の子と堕天使のゴスロリ少女の前で盛大に人見知りを発動させていた。

 

何故だ?何故こんなことになっている?

おい、ジャンヌ。いったい何があったら悪魔にとって宿敵ともいえるシスターと堕天使を本拠地の家の中に入れることになるんだ?

俺の中では過去の三竦みの戦いが頭の中で盛大に勃発して、今度こそ『全種族終了のお知らせ』って書いてあるテロップが流れてるんだけど?

 

えっ「私の先祖も聖女なんだけど」?

何を言っているんだお前は。悪魔になった時点で聖女からは程遠い存在になっているし、お前は元々教会に殺されそうになっていた存在だし、今は俺の大切な眷属にして家族だろ。

 

…最後のところで普通に照れんなよ。言ってる俺も恥ずかしくなるだろ。

 

 

ジャンヌの話を聞く限り、町で迷っていたシスター服の少女…「アーシア・アルジェント」ちゃんを買い物途中で発見。

その道案内役にジャンヌが立候補し、案内している途中に、アイスクリーム屋の前でショーケースにへばりついているゴスロリ堕天使…「ミッテルト」ちゃんを発見。

二人が微笑ましい物をみている気分になり、じっとミッテルトちゃんを見ていると本人も視線に気付き慌てて弁解。その姿が可愛らしかったのでついつい構いたくなってしまい、アイスを買ってあげた。

最初は「悪魔の施しなんて受けるか!」と突っぱねていたミッテルトちゃんだったが、「早く食べないと溶けるから」と言う理由で無理矢理アイスを、押し付け、同じ方法でアーシアちゃんにも渡し、自分も買って三人で椅子に座って食べた。

そこから「とある話題」で意気投合し、話している間に日が暮れてしまったのと、お互いに波長があった事もあり二人を家に招待したらしい。

 

…ジャンヌのコミュ力すげー。俺なら最初の案内役の時点で無理だわ。見て見ぬ振りをするな。

ところで「とある話題」ってのも気になるんだけど…?

うん?どうした?胸抑えて項垂れて。

 

そこである可能性を思いつき、失礼だとは思うけどアーシアちゃん、ミッテルトちゃん、ジャンヌの順である一点を見比べ納得。

察したわ。

 

 

……ごめんなさい。何も察して無いから聖剣下ろしてください。

 

 

結局その後、ガールズトークに俺の介入する暇はなく肩身の狭い思いをしたのだが完璧な蛇足である。

 



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第5話

シスター、堕天使が我が家でお泊まりした翌日、平日だったので俺は学校に行かなければいけなかったので道案内の方はジャンヌに任せた。

 

アーシアちゃんにジャンヌは学校に行かなくていいのかと聞かれた。

ジャンヌは見た目は未成年だが実はそろそろ二十(ピー)歳になると言うことを教えてあげようと思ったのにジャンヌに全力で殴られた。

 

女性に年齢の話は禁止?

何で?生きてる限り歳は取るじゃん。

 

俺がそう言うとジャンヌは真剣な顔でとある仮定を話した。

 

───セラフォルー様に貴女の年齢何歳ですか?って言ってみてよ。それで全てが分かるわ。

───ごめんなさい。私が悪かったです。

 

冷静に考えてみると悪魔だからこそ見た目は若々しいが人間換算で言えば俺やセラの年齢は数百歳を越えているんだよな。

悪魔としてはまだ若々しい俺達だけど人間の文化……特に魔法『少女』としてこだわっているセラからしたら数百年を生きる仙人と同じ年齢っていうのは耐えきれないだろう。

そりゃ言ったら不味いわ。

 

その後、二人をこの町の教会に連れていったジャンヌは自分が悪魔になっているので教会に近寄れない事を思いだし、帰ってから落ち込んでいた。

まあ悪魔だから仕方がないよね。

 

その日も普通に授業を頑張るかと思い伸びをしたところで目の下に隈を作り、辺りを警戒しまくっている不審者…もとい兵藤が現れた。

 

何事か?と思い尋ねてみるとどうやら昨晩俺が連絡しておいたABEさんは一晩中兵藤を追いかけ回していたらしい。

俺は兵藤がABEさんから逃げ切れた事に驚いた。

あの超人のようなやつから良く逃げれたな、と。

 

因みにこちらのABEさんは俺と契約しており契約内容は「俺は男を引き渡す、もしくは紹介する。その対価としてこちらの要求に従いABEさんを好きなタイミングで召喚する」事だ。

 

俺にあまり得がないと思えるかもしれないがABEさんは男のスパイ等を拷問する際に便利なのである。

 

駒王町に来て最初にやったのが犯罪組織の撲滅。そのために情報を集める必要があったのだが、ABEさんに引き渡した幹部クラスの男が全部白状してくれたお陰で早々に片付いた。

どうやって聞き出したのかは聞いていない。聞いたら「試してみるか?」と言われる可能性も皆無ではない。

俺はそんな危ない橋は渡りたくない。(真顔)

 

因みにABEさんの兵藤への評価は「久しぶりに生きのいい少年だった。次こそは捕らえてみせるさ」。

兵藤は気に入られたみたいだ。

夜道には気を付けろよ。後ろから刺されるぞ(何処を何でとはいわない)。

 

因みに今窓の外からとある男の気配と視線を感じるのだが……気のせい…だよな?

恐くて見ることができないぜぇ(ガクガクブルブル)

 

 

 

 

 

その晩、俺とリアスちゃんとその眷属達は廃工場に部活動兼悪魔の仕事として訪れていた。

 

いや、最初は来る気無かったんだけどね。

リアスちゃんに悲しそうな目で「最近私達と付き合い悪いですね」と悲しそうな顔で言われたら行かざるを得ないでしょ?

シスコンに殺されたくないし。

 

ただ、俺にも都合があるから現地集合にしてもらった。

 

まぁ都合と言っても今日の食事当番が俺だから料理を作っていただけだけど。

 

因みに今回のメニューは昔、変な神父に教わった「愉悦麻婆豆腐」だ。

神父の癖に悪魔である俺とジャンヌが麻婆豆腐を食べに来たと言うとそれを信じたのかその麻婆を作ってくれた。

味の方はと言うと辛い。とにかく辛い。ひたすらに辛い。しかし、それが癖になる。止まらない、止められない、そんな味だ。

 

ジャンヌも最初は辛い辛い言ってたが結局最後まで完食しきってた。

それを見て満足したのか神父は俺達に麻婆豆腐のレシピを託しどこかに行ってしまった。

 

しかし、最後に俺の耳元で「その麻婆は私の中では最底辺の辛さ、真の麻婆はその十倍はする。味を想像して悶えていたまえ」って言われた。

 

あの時、俺は誓った。あの神父の真の麻婆を完食して見せる!と。

 

悶話休題。

 

そんな訳で、料理をしてきた俺はジャンヌに後片付けを任せここにやって来たわけである。

 

本当はジャンヌを連れてきたかったのだが(俺の安全のため)ジャンヌが今日は新しく予約してまで買った特撮ドラマのビデオを見るから無理と断られてしまった。

 

しかし、ジャンヌさんや?その特撮ドラマのタイトル『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』って書いてる気がするけど気のせい?しかもそれ何故か主役であるセラの恋人役として出ることになった俺のシャワーシーン(誰得だよ)付きの予約限定版だよな?何故お前が持っている?

セラに貰った?あいつ、今度あったらお仕置きしなければ…駄目だ、返り討ちに合う未来しか思い浮かばねぇ。

 

俺は、自らの無力を呪いながらリアスちゃんに合流したのだ。

 

因みにその予約限定版の売り上げ数は歴代最高の売り上げ数を誇るのだがこの時俺は全く知らなかった。何が原因なんだろうね?

 

廃工場の中をリアスちゃんが兵藤に駒の特性を説明しながら進んでいくと小猫ちゃんが血の臭いを感じたらしい。鼻がいいんだね。

俺にも出きるかなぁ?と思い臭いを嗅いでみるとシャンプーのいい匂いを感じたので慌てて匂うのを止めた。

俺の鼻は女性の匂いしか匂えない欠陥品なのかな?兵藤みたいに変態扱いされたらどうしよう。

 

俺は過去にセラに散々セクハラ紛いな発言をしていたことを棚に上げてそう考えていた。

 

そんな時に上から上半身は女性の身体で、下半身は馬のような悪魔が降ってきた。

どうやら、こいつが今回の討伐対象のはぐれ悪魔バイサーらしい。

 

そして、始まる戦闘。

 

木場君が斬り、小猫ちゃんがぶっ飛ばし、朱乃ちゃんが雷を(嬉々とした顔で)落としまくり、兵藤がリアスちゃんへの不意討ちを防ぎ、リアスちゃんが滅びの魔力で消し飛ばした。

 

…あれ?俺必要だった?

結局最後まで突っ立ってただけだよ?

 

戦闘を見てどう思ったか聞きたかった?

特にはないよ。一応リアスちゃん達は若手の悪魔だから俺みたいにしょっちゅう危険すぎる悪魔とかの討伐任務を出される訳でもないから現状ではいい方なんじゃない?

 

あん?兵藤「何様のつもりだよ」だって?

(一応)最上級悪魔で、魔王の幼馴染みで、この町の管理者の補助を魔王(シスコン)に命じられてやらされている悪魔だよ。

 

土下座された。綺麗な土下座だ。流れるような動作でやってのけた。ある意味尊敬する動きだ。

お、おう。許してやらんこともないぞ。

 

だから取り敢えずそんな地面に溜まっているバイサーの血の中に顔を突っ込んでないで早く出てきなさい。汚いから。

 

リアスちゃん達も血にまみれた兵藤を見てドン引きしていた。まぁ仕方がないよね?

 

結局、今日はそのまま解散することになった。

 

 

 

 

 

気分が悪いとはこの事を言うのだろうか。俺は今最高に苛ついている。

 

事の発端は昨日兵藤が依頼人の元へ自転車で(兵藤は魔力が無さすぎて転移魔法が使えなかったらしい)依頼人の所を訪ねたらしい。

しかし、依頼人ははぐれ悪魔祓い(エクソシスト)の……えっと、確か……フルート?と名乗る男に無惨に殺されていたらしい。

 

その男は兵藤をいたぶり、教会で保護されているはずのアーシアちゃんをもその手にかけようとしたらしい。

 

楽器みたいな名前の癖に何てやつだフルート。

 

しかも、聞いた話では兵藤を殺した堕天使がフルートの上司らしい。その中にはミッテルトちゃんもいたらしい。

 

ミッテルトちゃんは少しとはいえ家に泊まり話した仲だ。あの子の性格的に自ら進んでそんなことをするわけがない。

ならば、他の堕天使に強いられていると考えるのが妥当だろう。アーシアちゃん達と話しているミッテルトちゃんは楽しそうだったからな。

 

だから、俺は現在その真偽を確かめるために堕天使の本拠地、『神の子を見張る者(グリゴリ)』へと乗り込んでいた。

堕天使の総督ならば何か知っているだろうと思ってきたのだ。

それに今回仕掛けてきたのは堕天使陣営だからな。

いきなり戦争再開なんてことにはならないはず。

……ならないはずだよね?

 

グリゴリの中に入ってみたら留守なのかなんの物音もしない。

仕方がないから元気良く挨拶することにした。

 

 

 

───『閃光と(ブレイザー・シャイニング)暗黒の(・オア・ダークネス・)龍絶剣(ブレード)』総督あっそびましょー。

───死ね!オラァ!

 

 

 

都合良く堕天使の総督「アザゼル」が釣れた。

勢い良く飛んできた光の槍を結界魔法で防ぎ、背後に展開した百を超える魔力弾で堕天使総督を打ち落とした。

 

いやぁいつやってもアザゼルを打ち落とすのは楽しいわ。(恍惚)

ところで今日は白い子いないよね?あの子いると問答無用で襲いかかってくるからなぁ。毎回返り討ちにしてあげてるけど。

 

 

取り敢えず、伸びている『|閃光と暗黒の龍絶剣《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード》』総督を副総督の「シェムハザ」さんが引き摺っていき応接室に案内され用件を聞かれた。

 

俺は今回あった事件を報告するとアザゼルは疲れた顔で部下の暴走だと言い切った。

 

ちゃんと部下の管理ぐらいしろよ閃光と(ブレイザー・シャイニング)暗黒の(・オア・ダークネス・)龍絶剣(ブレード)総督。

 

怒られた。黒歴史をばらまかれるのがそんなに嫌だったのかな?取り敢えず慌てているアザゼルを写真に録りサーゼクスに送っておいた。

これで、さらにネタが増えるだろう。

 

ついでにリアスちゃんにも今回の事件は堕天使側が部下の暴走だと認めたから動いても大丈夫な事をメールで知らせた。

 

すると即座に返事が送られてきた。今すぐ行動するらしい。

 

リアスちゃん大丈夫かな?末端とはいえ堕天使だから悪魔にとって弱点である光の槍を使ってくることは確実だけど。

まぁジャンヌにも一応お願いしているから大丈夫だよね?

 

その後、俺は、リアスちゃん達の事を心配しながらも朱乃ちゃんの実父であるバラキエルさんに成長した朱乃ちゃんの写真(没収した盗撮写真+クラス写真等)を何枚か売り渡したのだ(一枚一万円)。

ざっと百枚は売れたな。

 



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第6話

アルジュナ欲しいなーって思いメンテ前にガチャ引いたら出てきたのは恋愛脳。
ピックアップとは何だったのか。

それでは第6話どうぞ。


グリゴリで堕天使陣営の総意とついでにストレス発散と金儲けをした俺は家に帰った……筈だ。

 

俺の目はおかしくなったのかな?

家の中にメイドがいるんだけど?

 

お、落ち着け。

冷静になれ俺。普通に考えたらこんなところにメイドさんがいるわけがないだろ。

ハハッ。なるほど、俺も焼きが回ったか。

童貞拗らせすぎて等々メイドの幻覚が見えるように……「お帰りなさいませ。ご主人様」?

 

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!

 

う、嘘だろ!目だけじゃなくて耳までいかれるなんてそこまで重症なのか俺!?

 

あわわわ、と、取り敢えず触ってみよう。

見た目は幼いけど幻覚なら触れない筈だ!

 

?( ・ω・)ヽ(゜_゜;)ナデナデ

 

……やべぇ。触覚もイカれてやがる。

 

な、なら五感全部試してみるか?

視覚、聴覚、触覚は試したから残りは嗅覚と味覚だよね。…ゴクリ。

 

ハァハァ、大丈夫。恐くないよ。恐くないからね。

 

そして、俺はジリジリとメイドに近寄り……

 

 

 

 

 

 

ジャンヌの神器で作った木刀で思い切り叩かれたのであった。

 

 

 

 

ジャンヌによって冷静になれた俺は改めてメイドさんを良く見たらミッテルトちゃんだった。

前に着ていた服がゴスロリ服だったから誰か分からなかった。っていうか何でメイド服着てんの?

 

「これからこの家でお世話になるならこの服を着なさい」ってジャンヌに言われた?おい、ジャンヌ。申し開きは?

「可愛いは正義、だからやった」?

そうか。ならば仕方がない。

ただし、君にはこれ(金○の闇の服)を着てもらおう。

可愛いは正義なんだろう?

ほらほrヘブッ!?

 

また殴られた。

理不尽だ。

 

えっ何でこんな服持ってるかって?

そりゃお前に着てもらうためクボッ!?

 

こ、今度は鳩尾……に!?

い、いい加減浄化されそうだから勘弁してくんない?それ下手な拷問器具よりも苦しいから。

 

 

俺が痛みから立ち直ったところで話を元に戻す。

 

ジャンヌ曰く、「悪魔なんだからお願い(契約)するなら報酬(対価)を支払え」だってさ。

契約はリアスちゃん達の支援、その対価としてミッテルトちゃんを眷属にする事をジャンヌは要求してきた。

…まぁそれならいいかな。別に俺は悪魔の遊戯(レーティングゲーム)をする気は全くないし。

眷属の枠を開けといても意味はない。ならば見知った人を眷属に入れておいても損はない筈だ。

 

というわけでミッテルトちゃんに兵士の駒を渡す。見た目や能力的に僧侶しかミッテルトちゃんには合いそうにないのだが生憎、既に埋まってしまっているので兵士の駒を渡したわけだ。

 

幸い一個で足りたらしく、ミッテルトちゃんの背中から堕天使の羽と悪魔の羽がそれぞれ一対ずつ現れた。

 

これで一件落着。めでたしめでたし。

 

……まぁ、俺の眷属に入った以上彼女(・・)の地獄のような修行に付き合わされる事になるのだが。

 

眷属になったばかりで死ななければいいけどなー(遠い目)

 

 

 

 

 

 

翌日、リアスちゃんに呼ばれて部室に行くとアーシアちゃんの歓迎会をやっていた。

一体何の歓迎会なんだろうか?

 

どうやらアーシアちゃんがリアスちゃんの僧侶として転生したのと、駒王学園編入兼オカルト研究部に所属することになった歓迎会らしい。

 

俺はアーシアちゃんがリアスちゃんの眷属になったことを知らなかったので驚いていたら逆に知らなかったことに驚かれた。ジャンヌは見届けてから帰ったからてっきり説明されたものだと思ってたらしい。

 

……ジャンヌめ。許さんぞ。今日帰ったらあいつの前でミッテルトちゃんの祝いとして買っておいた高級ケーキ(一個二千円)を食べてやる。

 

まぁ、愚痴っていても仕方がないので今はアーシアちゃんが加入したのを素直に喜んでおくべきだろう。

きっと俺も授業を受け持つことになるだろうし。

 

そういえば兵藤の神器『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』じゃなくて神滅具(ロンギヌス)の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』だってよ。

成る程。それなら兵藤の駒価値が八なのは納得できる。寧ろ、良く八個で眷属にできたな。神滅具といえば極めれば神すらも殺せるというのに。

 

え?いつかこの神器を使って俺を倒す?

今この場で決着つけてあげようか?倍加させる時間なんてやんねぇぞ。

 

兵藤は土下座した。

やっぱり兵藤の土下座は無駄に綺麗だわ。

 

その後は楽しくパーティを続け、気分良く帰ろうとしていたところでリアスちゃんからシスコン2号(サーゼクス)(1号はセラ)から呼び出しがかかっていたことを聞いて絶望するのだった。

 

 

 

 

サーゼクスの呼び出しを受けサーゼクスの元へと重い足取りで向かった俺は申し訳なさそうな顔をしているグレイフィアさんに連れられサーゼクスの待つ部屋へと連れていかれた。

 

別にこれが初めてって訳ではない。

寧ろ、過去には今と比べ物にならないぐらいの頻度で呼び出されていた。うちより上位の貴族であるグレモリー家に『番外の悪魔(エクストラ・デーモン)』の一家とはいえ俺が軽い理由で行かないなんて選択肢はないのである。

勿論、シトリー家も同様だ。

 

サーゼクスの話す内容と言えば六割が妹関係で、三割は嫁と息子自慢。残りの一割が仕事の愚痴。

 

もう帰らせてくれよ。(T-T)

何でサーゼクスと言いとセラといい俺に妹自慢してくんだよ。一人っ子の俺への当て付けか?

 

あん?俺も家族をもったらどうかって?彼女いない歴=年齢の俺にどうしろって言うんだ。

何?セラとかどうだって?

 

魔王だし、魔王少女だし、幼馴染みだし、シスコンだし、ないない。

 

おい何でそこで溜め息つくんですかね?

グレイフィアさんまで溜め息ついてるし。

なんだよ。なんか悪いこと言ったか、俺?

 

暫くたわいもない話をしていると、サーゼクスは今日の本題へと入った。

 

なんかリアスちゃんが婚約するらしい。

(;゚Д゚)エエー

 

相手はフェニックス家の三男。「ライザー・フェニックス」

長男とは違い、不真面目で変態で眷属にハーレムを作ったというある意味兵藤の願いを体現したようなやつである。

 

……兵藤がまた血の涙を流しそうだな。

 

そんなやつにリアスちゃんを渡すのはサーゼクス的には大変不服であり、もしこれが政略結婚でなければ名前が上がった時点で没にしているらしい。

それこそ不死の体現者であるフェニックスを精神的に殺してでも。

おい、シスコン大概にしとけよ。

 

しかし、この婚約にはリアスちゃんも不満を持っており本人的には政略結婚とは分かっていてもライザーのような男とは結婚したくないらしい。

 

まぁ気持ちは分からなくもない。

 

俺だって彼女が逆ハー作っていると知ったら嫌だ。

変態は程度による。仕方がないよね、男だもの。

ただし、兵藤みたいなオープン過ぎるやつは却下で。あいつレベルになると相当マニアックな事も要求されそうで嫌だ。

 

まぁそれはともかくその件に関して俺は力になれそうにない。サーゼクスには諦めてもらおう。

 

……理由説明するから胸ぐら掴むのと滅びの魔力若干漏らすの止めてくんない?

服が消滅していっているから!俺このままだと上半身裸で帰らないといけなくなるから!

グレイフィアさんこのシスコン止めて!?

……何でグレイフィアさんまでそんなに鋭い目付きになってるんですか?恐い!恐いよ!魔王一家!!

 

 

 

 

何とか冥界に上半身裸の変態が出現するのを回避できた。

危なかった。とは言っても上着は完全に消滅しちゃったんだけどな!絶対弁償してもらうぞ。

 

と、とりあえず理由を説明するとすれば俺は昔、俺の眷属関係でさ「フェニックスの涙」がどうしても必要な時があってその時にフェニックス家まで直接交渉に行ったんだ。

 

で、その時に必死に頼んだ俺に免じてフェニックスの涙をたった一つの条件……しかも、俺にとっても損にならない条件をのむだけで、格安で譲ってくれたんだ。

昔は俺は回復魔法を身に付けてなかったから本当に助かった。つまり、フェニックス家は俺にとって眷属の命を救ってくれた恩人な訳。

だから俺はフェニックス家に不利益となることはできないわけ。オッケー?

 

……なら、修業相手としてリアスちゃん達を鍛えてやってくれって?

それは関係あるのか?リアスちゃん達を鍛えてあげたところで、フェニックス家との婚約は無くならないぞ?

 

えっ?話が平行線で決着がつかないからレーティングゲームで決着をつける?

勝ったら婚約破棄で負けたら婚約?

 

なんだ。その滅茶苦茶なゲームは。仮にも一生を左右する話なんだからそんなんで決着を着けんなよ。

 

しかも、ライザーっての公式戦もある程度したことあるんだろ?フェニックスの特性を生かせれば負けの確率も限り無く低い筈だし。

 

……何驚いてんだよ。俺がそこまで頭回るとは思わなかった?なめてんのか?あん?

 

グレイフィアさんも何か言って……何でグレイフィアさんまで同じ顔をしているんですかねぇー?

そんなに俺は馬鹿そうに見えんのか?ああ?

 

おい、夫婦揃って目ぇ反らすなこっちを見ろや。

お前ら変なところで息があってるから手に負えねぇな。畜生が!

 

それで、了承してくれるかどうかだって?

お前ら了承しなくても無理矢理俺を修業相手として呼び出すんだろ?

分かってんだよ。

もう慣れたわ、このパターン。

 

分かっているなら話が早いじゃねぇんだよ。お前の美人奥さんを見習え。めっちゃ申し訳なさそうな顔してるだろうが。

畜生。やってやんよ!この野郎!!

 

ただし、修業内容はこちらで決めさせてもらうぞ!

幸い、こちらも眷属悪魔が一人増えたから彼女(・・)に連絡して既にこちらに帰ってくる手筈となっている。

だから、修業の殆どは彼女に頼む事になるだろうから修行中に何人かが廃人(・・)になったとしても恨むなよ!

 

サーゼクスもグレイフィアさんも冷や汗を流しながら顔をひきつらせる。

ふん。どうなろうが知らんぞ。

何て言ったって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()やつだからな。

 

過去に彼女の修行に付き合わされた俺と新しく入ったミッテルトちゃん以外の眷属達はその恐ろしさを知っている。

何度いっそ殺してくれと思った事か。

 

フハハハ、後悔してももう遅いぞ!

彼女は既にミッテルトちゃんの修業をノリノリで殺る気満々(誤字にあらず)だったからな!

リアスちゃん達が増えたところでどうってこともない!

 

俺は茫然自失としているサーゼクスとグレイフィアさんに帰る節を伝えておいたが聞こえているかどうかは分からない。

だけど少しだけあのシスコンを茫然とさせられたことでスッキリした。

…グレイフィアさんはごめんなさい。

 

しかし、この時俺は彼女について忘れていたことがあった。

その事を修業を開始する時に思いだし死にそうになるのはまた別の話。



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第7話

2日に1回ペースで投稿していましたが明日から忙しくなるのでおそらく3、4日に1回のペースに変わると思います。




サーゼクスとの会談から数日後、やはりというかリアスちゃんの様子がおかしくなった。

やはり婚約の話が関係しているのだろう。

 

その晩、今日もあいつ帰ってこなかったなーって少しホッとしているとドアのチャイムが鳴ったので俺とジャンヌは二人してビクリと震えた。

それだけあいつの修業はトラウマになっているのである。

ミッテルトちゃんは何故震えたのか分かってないみたいだけど。

 

恐る恐るドアを開くとそこには銀髪のメイド…そう十六夜○夜さんの姿が……

 

 

ハリセンで叩かれました。ありがとうございます。

ところで、今どこからそのハリセンを出したのかわたし、気になります。

 

俺がそんなアホなやりとりをしている間にグレイフィアさんはリアスちゃんがうちに来てないか訪ねてきた。

 

来てないっていうと少し考えた素振りをして、転移魔法で、帰っていった。一体何なんだろうか?

 

 

 

 

 

その翌日、俺が旧校舎にグレイフィアさんの気配を感じたので、ひとまず先生としての仕事を終えてから向かったらオカルト研究部の部室の中が燃えてた。

 

慌てて氷魔法で炎を消した……正確に言えば炎ごと凍らせたというのが正しいのだが。

 

俺がふぅと一息すると皆何か言いたげに此方を見ている。

なんだよ?俺が何かした?

 

皆が一斉に氷を指差すので氷を見ると中には金髪のホスト風の男が炎ごと凍らされており……

 

 

 

 

……証拠隠滅!砕け散れ!

 

俺は氷に魔力弾をぶつけ粉々に粉砕した。

 

皆慌てているが、俺はきっとこいつがライザー・フェニックスなのだと確信しているよ?

だから、粉々になっても復活するはず。

取り敢えず、記憶が混濁するように凍らせて粉々にする作業を繰り返し続けなければ!(錯乱)

 

フェニックス家に恩があるのではないのかって?

あるけど、それはそれ、これはこれだ。

 

この後、滅茶苦茶砕きまくった。

 

 

 

 

砕くこと十回目ライザーは人間界の空気に耐えられず気絶した……という設定にしておいた。

勿論、皆には口裏を合わせて貰っている。

 

ライザーが気絶している間に兵藤やアーシアちゃんにライザーの事を説明しておいた。

兵藤がハーレムを作れてリアスちゃんの婚約者という立場に立っているライザーに嫉妬して気絶しているライザーを蹴っていた事は言わない方がいいんだろうな。

 

それにしても本当にスケベなんだな。

隙あればリアスちゃんの身体に触れようとしている。

朱乃ちゃんも不機嫌そうだ。

 

そんな中、リアスちゃんが耐えきれなくなりライザーに噛みついたところでようやく、グレイフィアさんが起動。

 

この前決めていた通りにレーティングゲームで決着をつけるように提案。

それに二人とも了承の意を示した。

 

ライザーは話が終わるとリアスちゃんの眷属を一通り見てリアスちゃんの眷属ではライザーには勝てないと馬鹿にして、指をならす。

 

すると、フェニックスの紋様の描いてある魔方陣が現れ、光だしその中から十六人の人影が……?

って一人多くない?

 

あれ?おかしいな?見覚えのある金髪の縦ロールが見える。何で君がそこにいるのレイヴェルちゃん?

 

金髪縦ロールの少女「レイヴェル・フェニックス」ちゃんはその言葉を聞くと同時にこちらにもうダッシュ。そしてそのまま勢い良く飛び込んできた。グホッ!?

 

驚いて固まる一同そんな一同を無視してレイヴェルちゃんは俺の胸元に顔を擦り付けている。

俺の臭いがする?シャワー浴びてないから汗臭いでしょ。そんな物を臭っちゃいけません!

 

フリーズから回復した一同は俺に矢継ぎ早く質問をしてきた。

うん取り敢えず落ち着け。

 

この子はレイヴェル・フェニックス。

フェニックス家の長女にして俺の僧侶の(・・・)眷属悪魔にしてうちの眷属の癒し担当だ。

 

おお、皆驚いている。

レイヴェルちゃんは照れて顔真っ赤にしている。可愛い。

……小猫ちゃん痛い。俺の足踏んでるよ?

えっ?わざと踏んでるの?何で?

 

おや?どうした?ライザー。

そんな忌々しそうな顔して俺に逆らうことをフェニックス婦人から禁止にさせられていた?

あの人どんだけ俺を買っているんだよ。

 

そんなことを考えていると比較的年の若いライザー眷属が俺に詰め寄ってきた。

えっ?俺のサインが欲しい?何で?

えっ!?君達『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』見てんの!?

そんで持って俺のファン!?

俺、あの特撮特に何かしたって訳でもなく、後ろから指示したり、壁ドンを(強制的に)やってたりしただけだよ?

……う~ん、まぁそこまで言うならいいよ。

えっと、ミラちゃんでいいの?じゃあミラちゃんへっと。

そんなに嬉しそうにしてもらえると俺も嬉しい気分になるな。

はいはい、慌てない慌てない。

俺は逃げないから。

 

俺がサインを描いていると忌々しそうな顔をしたライザーはリアスちゃんへと向き直ると兵藤がライザーの眷属達を見て泣いていた。

 

それを見てライザー眷属はまるでGをみたかのような反応を示す。ぶっちゃければ気持ち悪い。

ライザーもドン引きだ。

 

しかし、俺的にはその後、見せしめとしていきなりDEEPなキスを始めるライザーの方が気持ち悪いと思う。

思わず近くにいた小猫ちゃんとレイヴェルちゃんを抱くようにして目を隠しちまったじゃねぇか。

後で、小猫ちゃん達に嫌われたらお前のせいだからな。

……けど二人とも一分の隙もないほどにくっついているけど臭くない?えっ?いい臭い?

う、うん。なら良かった……のか?

 

ふとアーシアちゃんの方を見ると朱乃ちゃんがアーシアちゃんの目を隠している。

ファインプレーです。朱乃ちゃん。

 

兵藤はそれに怒り赤龍帝の籠手を出しライザーに殴りかかったが先程、俺に真っ先にサインをねだりに来たミラちゃんって子が兵藤を懐から取り出した棍で天井までぶっ飛ばした。

 

おおう、倍加してなかったら兵藤弱いな。

やっぱり駒が八個で済んだのは兵藤自身のスペックが低かったからか。

歴代赤龍帝が噂通りならばあの程度軽く捻っているだろうし。

これは特訓が楽しみですな。(愉悦)

 

兵藤の様を見たライザーはレーティングゲーム開始の日時を一週間後に定め、眷属達と共に帰っていった。

 

まぁ、これは例えライザーが言い出さなかったとしてもグレイフィアさんと話して最初から特訓期間を作るように決めていた事だから向こうから言い出した分ラッキーである。

その余裕がお前の身を破綻させるのだ。

 

俺達は兵藤の怪我をアーシアちゃんが治した後に特訓の予定を大まかに決めて今日の所は家に帰る事にした。

 

今日は彼女(・・)が帰ってくる日でもあるしね。

 

……胃が!胃が痛む!!

頼むから今日ぐらいは大人しくしといてくれよ!

 

あ、胃薬とってくれて、ありがとうレイヴェルちゃん。

ところでレイヴェルちゃん。ライザーと一緒に帰らなくて良かったの?

 

両親には許可をとって来た?

それならいいけど……今日彼女帰ってくるよ?

 

レイヴェルちゃんが分かりやすく震え出した。

だよね。あいつ、恐いよね?

キチガイじみた特訓方法じゃなければいいお嫁さんになれそうな子なのにね。

 

レイヴェルちゃん、フェニックスだから、いいサンドbゲフン、技の練習相手として使われてたもんね。

大丈夫。怖くない怖くないよ。

 

俺が震えているレイヴェルちゃんを正面から抱いて頭を撫でていたら子猫ちゃんに足を強く踏まれた。

解せぬ。

 

 

 

 

そして、その晩。

とうとうその時が来てしまった。

 

俺達がやけに緊張してリビングに集まって震えている光景にミッテルトちゃんが疑問に思っているが、悪いが俺達はそれどころじゃない。

 

そろそろ彼女が帰ってくる時間なのだ。

皆が皆、何とかしてこの空気を変えようとしているがやはりどこかギクシャクしてしまっている。

 

そんな時に不意にチャイムが鳴った。

 

それと同時に俺達は一斉に肩をビクリとさせた。

 

────来た!

 

さて、彼女が帰ってきたのはいいが(いや本当は良くはないけど)誰が一番にドアを開けるかが重要になる。

 

何せ、ドアを開けた瞬間切り捨てられる(・・・・・・・)かもしれないのだ。

その危険を誰が負うかが重要になる。

 

さぁならば、決めよう。ジャンケンタイムだ!

 

最初はグー!ジャンケン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───はーい、誰ですかー?ガチャリ。

───せい!バギャ!

───ぎゃーーーー!?ドーン

 

 

ミッテルトちゃーーーーん!?

 

俺達は一斉に玄関に向けて走り出した。

まさか、ミッテルトちゃんが一番に開けに行くとは思わなかった。

 

俺達がリビングを出て最初に見たのは、粉砕され風通しが良くなった壁。

その壁の向こうに見える、スカートとか色々危ないことになりながら気絶しているミッテルトちゃん。

そして、玄関の狭いスペースで刀を振り切っている和服の美少女と顔に手を当て天を仰いでいる筋肉質の少年であった。

 

……お前何してんのー!?

峰打ちだから大丈夫?そういう問題じゃねぇんだよ!?

ミッテルトちゃん(辛うじて)傷は浅いぞー!?

 

 

さて。ミッテルトちゃんの手当てが終わり、気絶から目覚めた所でリビングに集まる。

 

俺達が必死にミッテルトちゃんの看病をしている間、彼女は呑気にお茶を飲み、もう一人はジャンヌ達によって柱に縛り付けられている。

縛り付けている理由は……まぁ、こいつが兵藤と似た奴であるから。とだけ言っておこう。

 

さて、彼女の名前は上杉輝姫(うえすぎてるひめ)

日本で有名な上杉謙信の子孫である。

 

この一族は代々毘沙門天に好かれる一族であり、幼少の頃から毘沙門天に師事を受けさせられる。

そして、この輝姫。歴代で一番才能があり、本気になった毘沙門天を十五歳の人間の身で危うく切り殺して(・・・・・)しまう所だった。

 

本当、俺何でこの規格外少女を眷属に出来たんでしょうねぇ?奇跡だわ。

 

あん?所でこの子は誰だって?

お前誰か分からずに切ったのか?「峰打ちです」ってそういう問題じゃねぇんだよ。

見ろ!早速ミッテルトちゃんにトラウマ植え付けてんじゃねぇか!可哀想に震えちゃって。

 

えっ?今から特訓始める?なにいってんの?

もう夜遅いんだけど?

悪魔は夜行性?いや、確かにそうだけどさ。この時間から輝姫の特訓受けていたら、ミッテルトちゃん死んじゃうよ?

 

……ならば皆でやりましょう?

いやいや、まてまて。staystay。俺達も?

 

私の仲間が弱いことなんて許しません?

いや、俺達もそこまで弱いということはないと思うよ?

私を倒してから言ってください?

無茶言うな。こん畜生。

 

……拝啓、リアスちゃん。俺明日からの特訓合宿行けそうな気がしません。

 

その夜、若い男女の悲鳴がとある家の中から聞こえていたが、防音効果のある結界によって近所の住民には聞こえなかったようで幸い警察を呼ばれる事はなかった。

 

……警察を呼ばれていた方が俺達的には助かったという噂もあるがそれはまた別の話。




名前:上杉輝姫(うえすぎてるひめ)

種族:転生悪魔(元人間)
駒:女王
性別:女
筋力:B
耐久:B
敏捷:A
魔力:A
幸運:C
武器:日本刀『姫鶴一文字・改』
容姿:長い黒髪で胸は大きすぎない美乳。

初めて主人公が眷属にした人間。
上杉謙信の子孫の少女。
眷属の中で唯一神器も特殊な技も持たない。
しかし、その実力は眷属最強であり眷属全員で挑んでも軽くあしらわれる。

転生前からあらゆる意味でチート臭かった彼女だが眷属悪魔となってから更に規格外へと至った。
具体的に言うなら、人間…いや、生物では到底無理な速さを魔力無しで動き、最上級悪魔を魔力無しの斬撃で消滅させ、遥か彼方に見える山を魔力無しで切り裂く。

魔法も主人公にディバインバスターと魔力弾を教わって習得しており、その気になれば主人公には及ばないものの強力な魔法を放てる。
更に主人公により強化されている名刀『姫鶴一文字・改』愛用しており、今なら滅びの魔力ですら斬れる頑丈さを誇っている。刀が凄いのか本人が凄いのかは不明。

原作開始時は武者修行として様々な強者に挑むため旅に出ている。因みに、この時点でとある神を刀一本で瀕死に追い込んでいる。

間違いなくこの作品内で存在がチートの連中(オーフィスやグレートレッド)を除く最強の人物である


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第8話

エイプリルフールで「お前の事が好きな女の子がいたから告白すれば付き合えるんじゃね?」って偽情報流したら、本当に好きだったようで付き合い始めました。

俺の事をまるで恋のキューピッドの様に感謝の言葉を言ってくる二人に本当の事が言えなくて胸がいたいです。


いよいよ特訓合宿の当日となった。

輝姫は準備があると言って昨日セクハラを犯そうとした馬鹿一名を引き摺って先に合宿場へと向かった。

……嫌な予感しかしません!

 

リアスちゃん達は俺達の姿がぼろぼろになっているのを見て疑問を抱いているみたいだ。表情を見れば分かる。

 

……すぐに分かるさ。君達も劣化バージョンとはいえあの特訓を受けるのだから……フフフ。

 

山の上の別荘に行く階段を昇る。

俺達の荷物はリアスちゃん達が少しでも特訓として使いたいってことで全部預けている。

子猫ちゃんはともかく、兵藤の荷物は山盛りになっている。

 

さて、山の中腹まで登った所で少しピリッとした感覚が俺を襲ったため横に跳ぶように叫んで忠告する。

皆、俺の言葉に反応し横に跳んだ。アーシアちゃんはジャンヌが抱えてくれている。流石です。

しかし、兵藤はただでさえ重い荷物のせいで反応も行動も遅れてしまったためその場に立ち尽くしてしまった。

 

その兵藤の腹に極太の木が突き刺さったのはその一秒後の話。

 

ごろごろと階段から転がり落ちる兵藤。

それを皆は呆然とした顔で見ている。

 

!ぼうっとすんな!第二波が来るぞ!

 

はっとしたリアスちゃん達が前を見るとそこには先程と同じ位の大きさの木が飛んできた。

それを皆慌てて回避する!

 

くそっ!あいつやりやがった!

 

輝姫式トレーニングその一。

 

『特訓場まで生きて行けるかな?弾幕ゲーム』

 

特訓場までの道程で輝姫が罠や攻撃を仕掛けてきて生きるか死ぬかのギリギリを見極めた弾幕を張ってくる修業だ。

 

今はリアスちゃん達がいるから極太の木で済んでいるが俺達だけだとこれが斬撃の嵐に変わる。

ちなみにかすっただけで致命傷になりかねない威力のね?

それに、比べたら遥かにレベルは低い。

 

おおっ!木場くんが仕掛けた!それに合わせて木もとんでもないスピードで迫る!

木場くんすれすれでかわしたー!

 

このまま一気に駆け登れー!!

 

 

 

 

 

 

 

しかし、木の影から重なるようにして飛んできていた二つ目の木に木場くんは腹を撃ち抜かれ兵藤と同じ様にごろごろと落ちていった。

木場くーーん!?

 

 

結局俺の眷属+アーシア(非戦闘要員として俺が抱いて上がる事を許された)以外が山頂の別荘に辿り着けたのは特訓その一開始から五時間後の事だった。

 

と言ってもクリアしたのではなくこのままではいつまでたっても特訓が始められないと判断した輝姫が途中でその一を中止にしたのである。その一からこの調子では先が思いやられるな。

 

アーシアちゃんがぼろぼろになって上がってきた全員を神器で治療している。俺とレイヴェルちゃんも回復魔法を使い怪我人の治療をしていく。

レイヴェルちゃんがフェニックスの涙を使おうとしていたが流石にそれは止めた。

何故ならばフェニックスの涙自体高価ってこともあるが、この程度の(・・・・・)傷で使っていては後々もたなくなる。

 

ちなみに輝姫におどさ…命令されて木を伐採していたのは戦車の眷属悪魔のラーク。

 

彼はグレモリー領内にいた下級悪魔で兵藤のように性欲に正直な奴だ。

一応中級悪魔には昇格しているが輝姫に修業の旅に付き合わされているため、その実力は最上級に匹敵する。

 

…まぁそれでも、戦闘要員の中では最弱の扱いなのだが。

他のやつらがチート過ぎる(ブーメラン)

 

 

 

 

ある程度休んだ所で戦闘スタイルに合わせて特訓開始。

ちなみにグループは以下のようになっている。

 

総監督:輝姫

魔法戦:朱乃ちゃん、リアスちゃん、補助で俺

近接戦:ジャンヌ、木場君、子猫ちゃん、補助で俺

補助役:レイヴェルちゃん、アーシアちゃん、俺

総合:兵藤、ミッテルトちゃん、ラーク

 

…俺過労死すんじゃないの?

実質、俺総合と変わんないと思う。

 

…えっ?「私の主ならそれぐらいはできます?」

いや、買ってくれているのは嬉しいんだけど俺、そこまで大物じゃないんだけど?

 

…ごめんなさい。分かりましたから、刀下ろしてください。

 

 

 

 

 

 

というわけで、早速特訓開始です。

 

被害が出てもいいように特別な結界……『封絶』を張って開始する。

この封絶、損害した分だけ魔力を籠める事で結界を張る前の状態まで戻せるという優れものだ。

輝姫の特訓の際にはお世話になってます。

 

先ずは近接戦闘組から。

 

特訓名その二『自分(少し強化版)×百人抜き大会』

 

ルールは簡単。

先ずは手加減付きのジャンヌとそれぞれ一体一で戦ってもらう。

 

その戦闘の最中に三人がやる癖や特徴を記憶し、それを片手間で作っていた本人そっくりなゴーレム(参加人数×百)にインプットする。

ちなみにそれぞれ体重や身長、スリーサイズまで完璧な出来となってます。

いやぁ、久々にいい仕事しました。

大満足。

 

出来映えを見て、詳細を聞いた子猫ちゃんが顔を赤くしてぶん殴られた。

何故だ?

 

後、兵藤とラーク。てめえら俺に女性のスリーサイズを聞きにくるんじゃねぇよ。

特にラークお前はロリコンなんだから余計駄目だ。

 

こほん…で後は出力。

本人達の実力より少し強くした出力に設定。

ただし木場君や兵藤の神器組の方は少し特色を変えているけど。

 

流石に神器まではどんなにやってもコピーはできないから木場君のゴーレムには無限の剣製もどきの術式を、兵藤のゴーレムには時間が経つにつれ出力をあげる術式を入れておいた。

 

こうしないと対等にはならないからな。仕方がない。

 

後は一日の間にこいつらを百人抜きしてもらうだけです。

あっ、ちなみにここ竜脈のほぼ真上位にあるからお前らが百人抜き失敗した時に自動で魔力を吸い上げ再生するように設定してるから。

 

……やっぱり顔ひきつるよね?分かります。

 

俺もこの修業やるって聞いたとき耳を疑ったわ。

 

あっちなみにラークとミッテルトちゃんはジャンヌとのガチ戦闘ね。

最近ジャンヌの作った聖剣、とんでもない聖なるオーラ出すから二人とも気を付けなよ?

 

とりあえず、今日は総合組は近接戦闘組に混じっててね。

俺は次の組の方へ行くから。

 

後ろから悲鳴が聞こえた気がするけど気のせいだろう。

 

 

 

 

 

はい。魔法戦闘組の方へやって来ました…が、どうやらこちらは既に始まっているようだ。

 

斬撃の嵐が盛大に吹いている。

 

それに合わせて木々もぶっ飛んでいる。

 

時折、滅びの魔力や雷が飛ぶのが見えるがそれすらも飲み込んで斬撃は術者を襲う。

 

……俺、魔法を教えることになってたけど見なかった事にしよう。

 

俺は静かにその場を立ち去った。

無責任と言われてもいい。俺は自分の命が大切なんだ!

 

特訓名その三『理不尽に撃ち勝て』から俺は静かに逃げ去った。

 

 

 

 

 

さて、ところ変わって補助組。

 

こちらはほのぼのとしていた。

 

レイヴェルちゃんがアーシアちゃんに神器が使えなくなった時の為に回復魔法や戦闘をサポートする魔法をアーシアちゃんに教え、それを修得していく度に一喜一憂するアーシアちゃん。

 

……いいわぁ。こういうのいいわぁ。

 

殺伐とした雰囲気俺苦手なんだよ。

これに明後日ミッテルトちゃんが合流する(明日は魔法組)と考えると凄く良いね。

 

俺が来たことが分かるとレイヴェルちゃんは俺に飛びかかってきた。子犬か何かかな?この子。(フェニックス)だけど。

 

俺もアーシアちゃんに色々と教えてあげる。

その間レイヴェルちゃんはずっと俺の膝の上だ。

 

俺だけこんないい思いしちゃっていいんだろうか?

 

ついつい浮かれちゃって禁術クラスの魔法まで教えちゃったけど……大丈夫だよね?

 

 

 

 

 

 

さて今日最後の修業となった。

 

特訓名その四『一日のまとめ、VS(笑)輝姫&俺』

 

この修業は名前通り、俺と輝姫がコンビを組み、グレモリー眷属(アーシア除く)+ミッテルトちゃんと手加減込みで戦うのである。

 

手加減はするけど遠慮はしない。

というわけでディバインバスターやスターライトブレイカー等ぶちこんでやりました。慈悲はない。

輝姫も切り捨て御免と言わんばかりに次々とグレモリー眷属の前衛を斬りまくる。

 

試合時間たったの三十秒。

 

そこから、アーシアちゃん、レイヴェルちゃん、ジャンヌ、俺で、治療し全快まで回復させるので三十秒。

一回の試合で合計一分。

 

そして、この特訓は一時間やる予定だ。

 

つまるところ一時間で六十試合はできる計算だ。

やったね!リアスちゃん!

 

 

全員死んだ目になった。

……気持ちは痛いほど分かるけど、俺達の場合はもっとえげつないことになるし、特訓を乗り越えたら殆どの事が大したことに感じなくなるから頑張ってほしい。

 

ちなみにこの時ラークはこの場にいるとセクハラをしかねないので先に合宿場に戻らせて料理をさせている。

 

勿論、彼にもこの特訓はやらす気だ。

 

ただし、俺と輝姫の本気バージョン。

勿論一分もかからずラークは倒れる。

 

この特訓合宿で誰よりもひどい目にあっているのは彼かもしれない。

 

……まぁ、ジャンヌと子猫ちゃんとアーシアちゃんとレイヴェルちゃんの着替えを覗こうとしたんだからこれも一種の罰だと思って欲しい。

 

ちなみに兵藤もラークと意気投合して覗こうとしていたのでとりあえずジャンヌに制裁は任せておいた。

いい加減にこりろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなで最終日。

 

いよいよ特訓の大詰めである。

そんな訳でどれだけ出来る様になったか実践形式で今日は締めることになっている。

 

そんな訳で初日から輝姫に言われ寝る間も惜しみ作り上げたレーティングゲームの会場の空間へ跳ぶ。

 

ステージを一人で作り上げた事を言うとリアスちゃん達に驚かれた。

 

まぁ空間に大規模なステージを作るのは相当な手間がかかるからね。

すぐに破棄する予定だから所々雑だけど。

 

今回作ったステージは恐らく決戦に使うであろう駒王学園。

細部は雑だが構造や配置等は完璧である。

 

俺らの拠点は生徒会室で、リアスちゃんの拠点は旧校舎のオカルト研究部にした。

これも実際にあり得そうだ。

 

ちなみに俺達の戦力は、俺、レイヴェルちゃん、ミッテルトちゃん、ラークとなっている。

勿論、王は俺ね。

 

輝姫とジャンヌは審判役に回っている。

輝姫だけでもオーバーキルだし、ジャンヌを入れるとそれこそ試合にならなくなってしまう。

 

そういう訳で試合開始だ。

満足させてくれよ?

 

じゃないと後が怖いぞ。主に輝姫がだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言おう。

 

グレモリー眷属全滅、俺らは一人リタイアという結果になった。

 

ちなみにこのリタイアしたやつはミッテルトちゃん……ではなくラークである。

 

奴は何かを狙っていた目(厭らしい感じもしたが)の兵藤を沈めた後、子猫ちゃんに同じ戦車として稽古をつけてやろうとか言って一対一の戦闘を挑んだ。

 

まぁ当たり前だが、輝姫の修業の度に付き合わされていたやつが弱いわけはない。子猫ちゃんの攻撃を易々と避け切る。そこまではまだよかった。

 

しかし、奴はあろうことか子猫ちゃんにセクハラを始めたのだ。

 

蹴りが放たれてはすれすれでかわし、脚や尻を撫で、拳が迫れば、柔術を仕掛けるふりを胸を撫でた。

 

試合だからと我慢していた俺だがラークの野郎が「小学生(ボディ)は最高だぜ!」とか言い出し、子猫ちゃんが本気泣きし始めた所で我慢の限界が来てラークにバインド付きスターライトブレイカーをぶっぱしておいた。

 

それでぼろぼろになってリタイアしたラークを合宿場に戻さずABEさんの元へと送っておいた。

 

死ね。氏ねじゃなくて死ね。

 

後、最後の台詞はお前より兵藤の方があっている気がする。声的に。

 

 

まぁその後もうなん試合かした後、特訓は終了を迎えた。

 

もう、特訓組全員号泣。

やっぱり辛かったんだね。

 

輝姫からの励ましの言葉も入り、全員が戦意に燃えている。

 

これならフェニックスといえども負けることはないだろう。

見てろ、ライザー・フェニックス。お前が馬鹿にしたやつらが明日お前の首を取りに行くぞ。

 

俺はそう感じ、明日の試合が楽しみになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお余談だが「負けたら罰ゲームですね」とにっこり笑顔で言う輝姫を見てより一層気合いが入ったそうだ。

受ける側でもないのに俺の背筋もゾクッとした。




名前:ラーク
種族:悪魔
駒:戦車
性別:男
筋力:A
耐久:B
敏捷:B
魔力:E
幸運:D
武器:己の肉体
容姿:茶髪の筋肉質のそこそこのイケメン

下級悪魔からの転生悪魔。
S級はぐれ悪魔が自分の暮らしている町に現れた際に家族や友達を守るために生まれつき持っていた「身体強化魔法」を使い死闘を繰り広げ、相討つ。
その戦闘に遅れて駆けつけた主人公が死にそうになっていたラークを惜しく思い眷属にした。

転生当初は一誠と同じく才能が無く、他の最上級悪魔からは主人公の眷属の唯一の汚点とまで言われており、悔しく思っていたが、輝姫の荒療治を受け評価が一変。近接戦闘だけなら他の最上級悪魔達とギリギリ戦えるようになった。(ただし、輝姫やジャンヌには瞬殺される)

下級悪魔でも有名な悪魔の眷属になり強くなれるという生き証人なので下級・中級からは人気が高い。
しかし、性格も一誠と同じくオープンスケベなのでモテない。因みに好きな女のタイプはロリッ娘。生粋のロリコンであるが紳士ではないので触りまくる。

将来の夢を主人公に聞かれた時に言った答えが「小さい女の子(意味深)のハーレム眷属を作りたい」。色々と残念である。


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第9話

風邪引いてうなされながら今回の話を書いたので理論的におかしいところがあるかもしれない。
なのでおかしいところがあれば言ってください。訂正します。

感想お待ちしておりまーす


ヤバイ。

俺は今、命の危機に立たされている。

 

その理由は俺の両隣にいる二人の殺気がヤバイことになっているからだ。

少しでも気を抜けば殺られる!みたいな。

 

先ずは右側、サーゼクス・ルシファー。

 

笑顔の癖に顔が笑ってない。

その目は「てめぇ、これはどういう事なんだよ!あぁん!!」と盛大に語っている。

 

そして、俺の左隣、上杉輝姫。

 

今にもフィールドに飛び出して、斬りかかりそうな雰囲気を出している。

そして、その目も笑っておらず「お・し・お・き・か・く・て・い・ね!」とこちらも盛大に語っている。

 

その回りの最上級悪魔達は完全に二人の雰囲気に萎縮してしまい、ぶるぶると震えているだけだ。

ちなみにジャンヌ達は既にこの部屋からは逃げ出している。恐らく自分達にも被害がいくと察したのだろう。

薄情者め!

 

ちなみにこの二人が怒っている理由を予測できる人……もしくは、人でなくてもいいので挙手、あるいは何らかの行動で示してください。

 

正解はですね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今目の前で、グレモリー眷属がライザー眷属に敗北しました☆

 

 

……いや、俺も負けが確定したときは呆然としたよ。

だって絶対に負けないように特訓したんだもん。

今でも負けたことが信じられない。

 

今回の敗因をゲーム中に起こった台詞や行動を見て考えるとすると、それはずばり「俺とその眷属達の知名度」。

 

実は俺とその眷属達は何故か冥界中で強力な力をもつ事で有名である。

 

その俺達がリアスちゃん達に修業をつけていることをライザー眷属が一人、僧侶の「謀殺の鬼畜」とまで呼ばれているミストって言う娘にバレてしまったのが原因だ。

 

その娘は最初にグレモリー眷属の陣地へ背後から襲わせるように指示して兵士を含む四人組で強襲をかけたが俺達の特訓を受けていたグレモリー眷属にとって大して実力ではなく撃退に成功した。

 

それにはつい最近、悪魔になったばかりの兵藤も感動していた。木場君達も自分達の成長を感じとれたのか嬉々として逃げていく敵を追いながら敵の本陣を狙った。

 

……ただし、兵藤。てめぇは後で説教だ。

何だ?「洋服破壊(ドレス・ブレイク)」って。そんな技を特訓期間中考えていやがったのか?ああ?

 

後、後ろで騒ぐ悪魔(変態)共。

少し黙ってろ。不愉快だから。

別に輝姫とジャンヌに切られたいって言うなら構わないけどよ。

 

一気に部屋が静寂で包み込まれる。

それほどこの二人は恐れられているのだ。

 

しかし、俺と輝姫、後サーゼクスは逃げていくライザーの眷属達を見て少し違和感を持ったがそれがなんなのかを確認することはできぬ間に次々と場の展開は進む。

 

次々とリタイアしていくライザー眷属。

ますます勢いを増し攻め込むグレモリー眷属。

 

そして、いよいよライザー陣営の本拠地の目の前へとたどり着いた。

流石にここまで攻められれば切り札を切るしか無かったのか「爆弾女王」と呼ばれる……ええっと……そうユベルとその他の眷属が現れた。

 

流石に女王なだけあり、兵藤達には荷が重かったので本陣の防衛を担当していた朱乃ちゃんが出た。

ライザー眷属が全員出たことでもうこれ以上の強襲は無いと判断したのだろう。

 

部屋にいるほぼ全ての人がグレモリー眷属の勝ちを予想した。

ジャンヌやレイヴェルちゃん達すら勝ちを予想していた。

 

しかし、俺、輝姫、サーゼクスは先程からくる違和感に悩まされ続けている。

何だ?何が気になっているんだ?

 

そして、その答えは朱乃ちゃんがライザー陣営の本拠地へたどり着き───例のミストちゃんがニヤリと笑みを深めた事で確信した。

 

そこで俺達は一斉に叫んだ。

 

 

 

 

───本陣へ戻れ!!

 

 

 

 

と。

 

 

それに驚いていたのは同じ部屋にいる人達。

悪魔の中でも滅多に声を荒げることのない俺達が一斉に叫んだのが相当驚いたのだろう。

 

しかし、俺達には今そんなことはどうでもいい問題なのはこの戦況が一気にひっくり返される事だった。

 

そして、俺達の叫びは届かず間に合わなかった。

 

本陣を丸ごと包み込む巨大な結界が張られグレモリー眷属は囚われてしまったのだ。

 

しかし、囚われたところで力が弱るわけでもない。

それにグレモリー眷属の総戦力が揃っているのでライザーを倒せばいいだけの話なのだから。特に気にすることは無いだろう。

 

 

 

"ライザーが結界の中にいれば(・・・・・・・・・・・・・)"の話だが。

 

結界が張られると同時にグレモリー眷属の本陣が炎に包まれた。

 

驚き振り替えると遠目で結界越しとはいえ、決して忘れる事ができない今回の敵の本命()がそこにいた。

 

リアスちゃんと一対一で向かい合っている。

炎に包まれた瞬間に僧侶のリタイアの宣言がされていたのでアーシアちゃんは先にやられてしまったのだろう。

 

グレモリー眷属は皆、どうしてライザーが自分達の本陣にいるのか分からず、呆然としていた。

何故?どうして?って感情が大きいように見える。

 

そこで今まで押し込まれていた、ライザー眷属が総反撃に出た。グレモリー眷属達は先程と明らかに力が違う事に戸惑いながら必死に対応している。

 

そう、これが俺達の考えていた違和感。

ライザー眷属があまりにもやられ過ぎていた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」事だった。

 

いくら俺達が鍛えたからと言ってライザー眷属があまりにも容易く撤退していた。

本来なら俺と輝姫はそれで一対一の力量差は良くて七:三ぐらいだろう。と予想していた。相手も既に公式戦を何度も経験している筈だから。

それなのに少し矛を交え軽傷の身で撤退していく事に違和感を抱いていたのだ。

 

そして、その答えが目の前の光景。

 

眷属全て……いや、本陣すらも捨て駒(サクリファイス)とした王による敵陣への単騎特攻。

それが答え、だ。

 

一概に王と言ってもその性能に差は当然ある。

それが素人(リアスちゃん)玄人(ライザー)であれば尚更だ。

 

それに今回は相性も悪い。

いくら滅びの魔力によって滅ぼそうとしてもライザーは不死鳥の力で蘇る。

何よりライザーはこの状況で遊ぼうとは考えずに本気でリアスちゃんを倒しにいっていた。

 

戦況がひっくり返った。

 

兵藤が朱乃ちゃん達の協力を得て倍加させた力で結界をぶち壊し、本陣に戻ろうとしているがそこは敵本陣にいたと言うことで、端から端まで戻らなければならない。

 

明らかに間に合わない事は誰の目からしても分かっていた。

 

それでも諦めなかった。兵藤はリアスちゃんの為……仲間のためにも走った。

 

しかし、現実は残酷だった。

本陣に戻った兵藤が見て聞いたのはぼろぼろになったリアスちゃんのか細い声と姿。そして、グレイフィアさんの無情なグレモリー眷属の敗北の宣告だった……。

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで冒頭に戻るわけだが……これどうしよう。

 

とりあえず、他の最上級悪魔の皆様方には一度この部屋から出ていって貰おう。

そうでないといつまで経っても話が進まない。

 

その場に俺達以外誰もいなくなると同時に俺の両肩をがっしりとサーゼクスが掴んだ。ミシミシと骨が悲鳴をあげている。痛い!痛いってば!?

 

勝てるように育てたのではないのかって?

最初からその気だったさ。そして、勝てるように育てた気だった。

まさか、あの変なプライドだけはありそうな男が全てを犠牲にして単騎特攻を仕掛けてくるなんて思ってなかったんだよ。

 

多分あのミストって娘の戦術だろうね。ライザーを動かしただけでも大したものだけど、俺達すらギリギリまでその作戦を見抜けなかった戦略に対する才能は本物だろう。

多分彼女がいなかったらグレモリー眷属の圧勝だったんだろうな。

 

……うちの牝豚(僧侶)とトレードしてくれないかな?無理だよなぁ?

 

そんなことはどうでもいいから、これからどうするか考えろだって?

 

う~ん。一応策は無いわけではないよ?

 

ただし、この作戦だとお前に色々と面倒な事案が発生するし、俺にも色々と代償はついて回る。

それでもいいならあるけど。

 

え?いいの?

なんなら魔王も辞めても良いって?

 

……ほんっとシスコンって恐いわー。

一時の気の迷いであろうけどそんなことを平然と言ってのけるなんて。グレイフィアさんが聞いたら荒ぶりそうだわ。いや、彼女もプライベートではシスコンだから、ノリノリでやりそうな気がする。

 

とりあえず、サーゼクスには俺の出したいくつかの条件を飲ませた。その中にはある程度無理がある事もあったが嬉々とした顔で次々とその条件を満たしていく。

本当に恐いわ。シスコン。

 

さてそんなわけでこの作戦一番の山場である「赤龍帝」の強化をしにいくとしますか。

時間は短いからな。

夢の中でも無理矢理戦闘の事しか考えられない様にしてやるぜ。

 

おや?輝姫もヤル気?

 

罰ゲームを執行する時が来ました?

 

じゃあ一緒に兵ど…ゲフン赤龍帝を鍛えに行こうか。

 

 

その後、兵藤はまさに生き地獄を味わったようだと後に語るがそれはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日いよいよ婚約パーティーの日である。

 

サーゼクスに婚約パーティーの日程を出来るだけ伸ばすようにお願いしていたので、修業の時間を一週間に伸ばすことができた。

 

兵藤には頑張ってもらわないといけない。俺やサーゼクスが手を下すと大人げないで終わらせられてしまうが、眷属悪魔である兵藤…いや、赤龍帝ならば話は別である。

 

後は兵藤をライザーと戦わせて兵藤に勝たすだけだ。

兵藤には不死鳥対策としてとある術式と道具を一通り持たせている上に神器の奥の手「禁手」にも代償込みで三十秒だけなれるようにもなった。

 

これで準備万端。

後は時間が来るのを待つだけだ。

 

よーし皆!

今日は兵藤の勝利を願って飲もうぜ!

いやっふー!レッツパーリィィィ!!

未成年組はジュースな!

今夜は寝かさないぜぇぇぇぇ!!

 

 

 

…おや?

何で貴女がここにいるの?グレイフィアさん。

 

…えっ?俺にもパーティーに出てもらう?

何で?

 

万が一の為の保険?

 

えっ?嫌だよ?この前のレーティングゲームの観戦時のように年老いたやつらばっかりのやつならまだいいけど、今度のパーティーでは若い悪魔も来るんだから中二臭い俺の二つ名が聞こえてきちゃうじゃん。

俺はアザゼルの様になりたくない(真顔)

 

というわけで拒否権を行使させてもらいます。

 

え?サーゼクスからの伝言?

「拒否権はないからな」?

 

流石幼馴染みの一人俺の言動を予測しきっているぜ!

 

こうして俺はグレモリー家の人妻メイドに礼服に着替えさせられ(昔から女には何故かよく服を着せ替えられるから慣れてしまった)パーティー会場まで腕を引っ張られた。

 

その時に、ドナドナが聞こえたのは気のせいだと思いたい。




ライザー眷属の僧侶枠にレイヴェルちゃんの代わりにオリキャラをいれてみました。

詳細はまた後々で。


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第10話

最近、他の作者様の作品を読ませていただいて、白龍皇を「ちゃん」にしようか「君」にしようか迷ってます。

どなたか意見を下さい!!

まぁそんなことより今回やっと主人公の名前が出ます。


さて、とうとうパーティー会場まで来てしまった。

 

この扉の向こうがパーティー会場で若い悪魔が沢山いると考えると胃が痛くなってくる。

しかし、何故か付き添いで付いて来た輝姫は笑顔である。

 

何でも俺が二つ名を聞いて恥ずかしがる姿を見たいとか。このドSめ。いい性格してるな、おい。

 

誉めてねぇからな?「恐縮です」じゃねぇんだよ。

 

しかし、いつまでもこの場所に突っ立っている訳にもいかない。

俺は扉を開いてくれたグレイフィアさんの後に続くように入場した。

 

 

 

扉が開いた瞬間、一斉に全ての人がこちらを見て……若い女性悪魔から黄色い悲鳴が上がった。

 

……なんだよぅ。普通に入っただけじゃん。そんな騒がなくてもいいじゃん。

 

モテモテだと羨ましいと思うかもしれないが俺的には大変不服である。

何故ならば……

 

 

───キャー!「創成の魔導王(クリエイター・オブ・マジックキング)」様が来てくださいましたわ!

───退きなさい!グレイ様にサインを貰うのは私が一番ですよ!

───あれがネビロス家の最後の生き残りか……婚約者とかいないのならうちの娘の婿に来てくれればいいのだが。

───馬鹿!「魔王少女の嫁(サタン・ワイフ)」って二つ名があることを知らないのか!?もう既にセラフォルー様と婚約を前提にお付き合いしてるって噂だぞ。

───ふん!そんなの週刊誌が取り上げた出鱈目よ!「聖剣乙女」本人からの話では付き合っている人はいないようだわ。

───その本人が付き合っている可能性は?

───……(;・ω・)

───俺はグレイ・ネビロスは男食家の気があるって話を聞いた事があるぜ。契約者が筋肉質の男だって話を聞いた事がある。

───だから、あいつからは浮ついた話が出てこないのか!

───グレイ様が男食家……ゴクリ。これで今晩…いえ、今週のおかずは大丈夫ですわ!

 

 

等々、様々な俺の(あらぬ)噂がこのパーティ会場を飛び回り始めるのだ。

 

…止めろよぅ。「創成の魔導王(クリエイター・オブ・マジックキング)」とかサーゼクスやアジュカ達の二つ名を聞いて爆笑したら仕返しとばかりに付けられた罰ゲームの二つ名なんだよぅ。俺にそんな力はありません……。

 

大体「魔王少女の嫁(サタン・ワイフ)」って何だよ。俺がセラと付き合うなんてあり得るはずがないだろ?

俺と彼女はただのお幼馴染みなんだし。

って言うか俺は嫁に行く気はねぇし。婿に行く気はあるけど。

 

だから絶賛彼女募集中なのでそこのお父様、俺に娘さん紹介してくださいな。

 

……何で輝姫とフェニックス家の一族ということでパーティに参加していたレイヴェルちゃんは俺の頬をつねるの?

なんか他の女性の事を考えている気がした?

すげぇな。二人ともエスパーなんじゃね?謝るから頬っぺたから手を離してください!!頬が痛いです!!

 

後、最後の人達。なんのおかずになるのかは聞かないからせめて俺が男食家だという噂を流すのは辞めてね。

確かにABEさんと契約はしているけどそんな関係じゃないから!

 

ちくしょう。だからこういう社交の場に出るのは嫌なんだよ。俺にとって黒歴史な事しか話に出ないんだから。

 

帰っちゃ駄目かな?

…駄目か。奥でサーゼクスが睨んでやがる。

 

 

さ、先にフェニックス夫妻の所へ挨拶に行こうかな?

いつもお世話になっているし。

 

……何でレイヴェルちゃん顔を赤くしてんの?しかも、俺が大胆ってどういうこと?

輝姫は何でそんなに不機嫌になってんの?俺なんかした?

 

 

そんな二人を気にしながらもフェニックス夫妻の元へと向かう。

 

フェニックス卿の方は現在不在であったが、フェニックス夫人はいた。レイヴェルちゃんにそっくりの可愛らしい顔で髪をアップにしている女性だ。

うん。人妻でなければ俺は告白していたかもしれないな。

 

 

……俺声に出してた?

フェニックス夫人はニコニコ顔で頬を少し染めながら「あらあら」と言っているし、レイヴェルちゃんは泣きながら、「お母様に告白するなら私にしてください!」なんて口走っちゃってるし、斜め後ろに控えている輝姫の方からは見る気も起きなくなるぐらいの殺気が発せられている。チャキッって刀の音が鳴ったのは気のせいだと思いたい。

って言うか、気のせいでなかったら俺は殺される。気のせいであってくれ。

 

一先ず二人を落ち着かせるのが先のようだ。

 

 

 

 

 

 

…… 疲れた。二人を宥めるのに暫く時間がかかった。

 

結局彼女達を納得させるために帰ってから二人の買い物に付き合うことになった。

しかも二人同時ではなく、二人別々に一日ずつの買い物だ。

レイヴェルちゃんはともかく輝姫の方は色々と嫌な予感がするのは日頃の彼女の行動が原因なのだろう。寒気が……。

 

止めよう。憂鬱になるには早すぎだ。

まだもしかしたら…万が一、億が一にでもまともな買い物で終わる可能性もある。

 

結局、フェニックス夫人はその間にこの場を離れてしまったので話せなかった。

まぁ仕方がない。身内の婚約パーティーなのだから挨拶回りとかしなくちゃいけないからね。

 

俺達がそうしている間にいつの間にかリアスちゃんの眷属だけでなくソーナちゃん達も会場に来ていた。

 

親友の(望まないとはいえ)婚約パーティーなので来ないことは出来ないとのこと。

うん。流石ソーナちゃん。優しい子だね。

(///∇///)ヽ(´Д` )ナデナデ

 

いつものように撫でてあげたら、ソーナちゃんの眷属の子達や回りにいる女性悪魔から羨望の眼差しを感じる。

男達からは殺気やら何やら負の感情を貰っているけど。特に匙君が凄まじい。

何故俺が誰かの頭を撫でるとこうなるんだ?

 

そんな時に不意に後ろから背中をつつかれたので後ろを見るとそこにはライザー眷属の僧侶、ミストちゃんがいた。

 

全く気配が感じなかった事を驚いているとミストちゃんが種明かしをどや顔でしてくれた。

 

彼女は魔術を使って空気に溶け込める事が出来るそうだ。

空気から消えるわけではないのでどんな場所にいたとしても全く自然に、その場にあって当然な物として扱われるようになる魔術のようだ。スパイもびっくりである。

 

そんな魔術を開発した彼女に驚いていると元々彼女は魔法使いの一族の末っ子で悪魔との取引の際に眷属にさせられたらしい。

その時に、失われていた秘術を悪魔となった恩恵で今まで以上に魔力を操り易くなったお陰で秘術を再現出来たようだ。

 

よくこれを使ってライザーに影からトゲとかを刺すのが最高に楽しいらしい。

 

……一応君達の王だよね?

 

しかし、そんな魔法があったら便利そうだなと思い、俺も試しでやってみたら一発で成功してしまった。

 

ミストちゃんは最初は呆然としていたがすぐに泣き始めてしまった。

一族の秘術を魔法で再現するまでに数年かかったのに目の前で一発で成功させられたのを見て、物凄く悔しかったらしい。

 

……うん。なんかごめん。

どうしたら許してくれるかを聞くとこのパーティが終わるまで抱っこしてくれたら許してくれるらしい。

ちなみに普通の抱っこではなくお姫様抱っこでだ。

 

 

……知り合いの望まない婚約パーティーで新郎夫婦が入場する前にお姫様抱っこでくっ付き合う男女。

一体どんな嫌がらせだ?

 

しかし、このまま泣かれていても困るので渋々了承するとピタリと泣き止み俺の腕の中に収まった。

そして、俺にだけ分かるようにニヤリと笑う。

 

ちくしょう!こいつ謀やがった!

 

回りの視線が痛い。真後ろなんか物理的な痛みを錯覚させるぐらいの殺気が籠っている。

 

ところで後ろの「あいつ斬っていいですか?」「駄目です。会場が血で汚れてしまいます」って会話は一体何なんだよ!

本当に実行はしないんだよな!?ってグレイフィアさんも止めてよ!

 

 

 

 

 

そんなこんなしている間に新郎夫婦(ライザーとリアスちゃん)が入ってきた。

白いウエディングドレスが素晴らしいが横にライザー(馬鹿)がいるせいで台無しに見えてしまうのは不思議なもんだ。

 

リアスちゃんのドレス姿にグレモリー眷属が悲痛な顔を見せる。

気持ちは分からなくもない。

自分達の力不足のせいでリアスちゃんが自らの望まない未来を歩もうとしているのが悔しいんだろう。

 

 

 

 

だが安心しろ。

 

ヒーロー(主役)は遅れてくるものだ。

 

 

全員がリアスちゃんやライザーに目を向けている際に後ろからバン!と、扉を思いきり開けた音がする。

 

その音に皆が驚き、振り替えるとそこには今代の赤龍帝(兵藤一誠)がいた。

 

その姿はボロボロで痛ましい。が、その目には確かな闘志が籠っていた。

 

そして、奴は皆の前で宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

───リアス・グレモリーの処女は俺の物だ!

 

 

 

 

 

……危なかった。もう少しでライザーが手を出す前にシスコンが手を出していた。

でも待て。今奴を殺ったら計画が台無しになる。殺るならこの茶番が終わってからだ。

 

数々の最上級悪魔が口々に兵藤の言動や態度の悪さを問題視し始めた。

しかし、今はそれはどうでもいいので話を進めて貰う。

 

兵藤はリアスちゃんが婚約するのを断固として拒否するためにこの場からリアスちゃんを拐ってでも連れて帰ると宣言した。

それにライザーは憤慨し衛兵達を差し向けたが朱乃ちゃん達もそれに抵抗。

特訓を(レベルが低いとはいえ)やり終えた彼女達と下級悪魔から徴収された衛兵とでは相手にならないのは目に見えていた。

 

そんな状況を見かねたライザーが直々に殺しに行こうと身を乗り出したところで俺とサーゼクスはニヤリと笑いストップをかける。

 

このままではお互いに死傷者も出かねないのでここでの争いは止めて当事者同士(兵藤とライザー)でリアスちゃんを奪い合ってもらおう。と提案をした。

 

計画を事前に知っていた者達は全然驚いていないが、そうでない者は驚いている。

 

まぁ当たり前か。一度決着が着いた話を掘り返して、再び花嫁を取り合えと言うのだから。

 

当然ライザーはその提案を渋るわな。

 

だけど、やってもらうぞ。俺の安全のために。

 

 

不死鳥が成り立ての悪魔である赤龍帝から逃げるのか?レーティングゲームの時も赤龍帝とは戦わず王狙いだったしな。

これでこの提案を受けなかったらフェニックス家の三男は赤龍帝とはいえ、成り立ての弱者(下級悪魔)から逃げた腰抜け野郎って噂が広まってしまうぞ。それでもいいならこの提案を受けなくてもいい。

 

そんな感じで挑発してやったら、ライザーは怒ってミストちゃん達眷属の話も聞かずに俺達の計画に嵌まった。

 

さてさて、御膳立てはしてやったぞ。

後は兵藤。お前にかかっているんだ。負けたら俺の命も危ないんだから絶対に勝てよ。

 

ライザーと兵藤を転送した俺は兵藤の勝利を願った。

っていうか、負けたらシスコンに殺されるから絶対勝て。

 

俺は兵藤が負けた時の事を考えると更に胃が痛くなってくる予感がしたのでそれ以上考えるのを止めた。




名前:グレイ・ネビロス
種族:悪魔(番外の悪魔(エクストラ・デーモン)
駒:王
性別:男
筋力:E
耐久:A
敏捷:C
魔力:EX
幸運:E
武器:魔法
容姿:肩まである黒髪のイケメン(無自覚)

本作の主人公。
転生者だが、神に会ってないのでテンプレ転生者のように自らにチートは無いと思い込んでいるが能力と才能と潜在魔力量だけで言えば十分なチートである。

しかし、幼少の頃から周りにはチートな両親、魔王の子供や『超越者』と呼ばれるようなチートな連中しかおらず、自らの力も把握しきれていない事もあり自分の力を卑下している。

幼馴染みであるセラフォルーとは両親が勝手に決めたとはいえ一応許嫁として書類には纏まってはいるが本人はそれを知らず、幼女時代から何かと一緒にいたのでいくらセラフォルーがアピールをしても女としてはあまり見れていない。
巨乳になってからようやく女なんだなぁという実感が湧き出したレベル。セラフォルーは泣いていい。


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第11話

気づけば前回の投稿から一週間以上過ぎていました。
楽しみにしていてくれた皆様。遅れてしまって申し訳ありません。
それもこれも一日やそこらでできない課題を出してくる大学が悪いんだ!

コホン

失礼しました。
それはさておき、悩みに悩んだ結果、リアスは一誠のヒロインへとなりました。
主人公への感情は憧れの近所のお兄さんレベルにしておいて恋愛フラグは立てないようにしておきます。
リアスファンの皆様申し訳ありません。

あ、因みに今回のメインは兵藤対ライザーとなっていますが後半エグい事になるので苦手な方はお気をつけ下さい。




兵藤対ライザーの試合が始まった。

 

兵藤にはなにがなんでも勝ってもらわなければならない。

だって、後ろのシスコンがすっげぇニコニコしてるもん。

負けたら俺も兵藤もただではすまないだろう。

 

実際これがラストチャンス。負けたら後はない。ライザーにリアスちゃんを嫁がせなければならない。

 

まぁ今の兵藤には心配はいらないだろう。

なんて言ったって俺と輝姫が鍛えたんだからな。

 

……ところで、いい加減この娘(ミストちゃん)降ろしちゃ駄目?腕が痺れてきたし、後ろからの殺気がすげぇ事になってんだけど?

 

他の悪魔の皆さんは俺達の現状にツッコミをいれない(特大の地雷源に突っ込まない)様にしているみたいで誰も何も言ってくれないから降ろすタイミングが見つからない。

 

誰か助けてくれ!この際グレモリー眷属でも、シトリー眷属でもいいから!

 

……全員目を逸らしやがった。薄情者共め。

 

 

 

さて、それはさておき兵藤の試合だ。

 

兵藤の現状の実力では本気になったライザーに一撃をいれるのは厳しいだろう。

 

ならば、本気を出す前に畳み掛ける。

 

試合開始直後に、兵藤は予定通り腕を犠牲にしてバランスブレイク。赤い鎧を纏った。

ライザーがそれに驚いている間に兵藤は次に俺が籠手に仕込んだ術式を一つ発動した。

 

『一刀修羅』

 

本来は魔法ではなく技術なのだが、兵藤ではまだまだ出来る技ではないので術式を編み出して籠手に組み込んでおいた。

 

この技は一分の間に自らの全力の限界を注ぎ込むことで一時的に力を増幅させる技である。

しかし、一分間に全力を注ぎ込むので当然発動後は限界が来て戦うことはおろか、立つことも厳しくなるのだ。

 

だが、今回の勝負の制限時間は一刀修羅が解ける一分間よりも更に短いバランスブレイクが解ける三十秒だ。

ならば一刀修羅を使うのに躊躇はいらない。

 

いきなり兵藤の力が跳ね上がったのを感じてライザーが思わず後ろに一歩後ずさってしまっている間に兵藤は高速でライザーに近づき腹に強力な一撃をいれ、腹を貫いた。

 

ライザーは腹を貫かれた衝撃よりも痛みの方が上だったみたいで兵藤を蹴り飛ばして無理矢理距離を取った後、腹を抑えて呻いている。

 

その腹には兵藤に貫かれた時に出来た穴がフェニックスの力で塞がって……なかった。

 

 

それに皆が驚いている。フェニックスの特性と言えば不死性と傷の再生の速さにある。

その力はリアスちゃんの滅びの魔力で受けた傷すらも再生させてしまう。

味方としては頼もしいが、敵に回すと厄介な特性。

それがフェニックスの特性だ。

 

 

 

ならばその特性を利用すればいい。

それが俺達がフェニックス対策として思い付いた戦略だ。

 

俺が兵藤の籠手に仕込んだ術式は二つ。

 

一つは先程説明した『一刀修羅』

これの役割は勿論ブースター。

悪魔に成り立ての悪魔である兵藤ではライザーには勝てないだろう。

だから、一時的にでも拮抗して貰うために仕込んだ。

 

 

そして、もう一つは『スティグマ』……傷の再生を阻害し時と共に傷を深め拡げていく術式だ。

 

これは今回、兵藤が勝つために必要な武器だ。

一刀修羅だけでは精々拮抗がいいところである。

だが、ライザーが油断している状態でなら話が変わってくる。

不死故の自信過剰であろうがライザーは相手を甘く見て序盤から全力で戦闘に挑むことが無いことは今までのライザーのレーティングゲームの映像を見て分かっていた。

ならばその油断に漬け込み致命的な一撃を与えられれば勝負は見えてくる。

そこに俺達は賭けたのだ。

 

そして、賭けに勝った。

 

ライザーは油断して、兵藤があり得ない力を見せて動転している間に致命的な傷を負った。

 

本来ならばいくらフェニックスの再生が速いといってもそれすらも封じ傷を増やしていく力を持つのだが兵藤の魔力の練りが甘かったのか、傷の再生を阻害できずに再生を打ち消すかのように傷を増やしていく。

 

しかし、いくら傷が拡がらないと言ってもスティグマの術式は強力だ。

それも、フェニックスの場合は自動で傷を治そうと魔力を無理に治療に回そうとする。しかし、傷は治らずそれでも治そうとより多くの魔力を治療に回すという悪循環が起こる。

 

故に兵藤が確実に勝つには後一撃。

それも軽傷でもいいのでどこかから血を流すような一撃を繰り出せれば勝てる。

そういう状態だ。

 

兵藤もそれを感じていたのかライザーに蹴り飛ばされて地面に転がりながらもライザーの様子を見てそう判断したらしく一気に攻めにかかった。

 

しかし、腐っても上級悪魔であるライザーは一撃一撃を丁寧にかわし始めた。次に同じものを喰らったら不味いと判断したのだろう。

兵藤も苛烈な攻撃を繰り出してはいるのだが、当たる気配はない。

 

 

 

そんな中、先に痺れを切らしたのは戦闘経験が少ない今代の赤龍帝(兵藤 一誠)だった。

 

 

 

制限時間が刻々と迫っているのを感じているのか、大振りの一撃をライザーに放った。

しかし、ライザーはその一撃に冷静に対処し逆に強力なカウンターを兵藤の腹に放った。兵藤よりも魔力が上手く練られた一撃は兵藤の鎧の防御力を貫通して大きなダメージを与えた。

 

兵藤の体はくの字に曲がり大きく吹っ飛ばされ、ゴロゴロと転がっていき、止まったと同時にバランスブレイクが解除され、生身に戻った。

そして、そのままピクリともしない。

 

それに他の上級悪魔達はやっぱりな、という顔をして兵藤を嘲笑っている。

ソーナちゃん達も期待していただけに、がっかりしている。

リアスちゃんも自分の眷属が自らのためにその身を犠牲にしてでも、助けようとしてくれている兵藤が傷ついていく事を悲哀の目で見ている。

 

ちくしょう。最悪の場合を考えて反則ではあるが一時的に兵藤の体を操る術式を用意しているけど、魔法使いであるミストちゃんがこんなにも近くにいる状況で使えば、バレてしまう。

 

……もしかして、俺の考えを読んで罰をお姫様抱っこにしたんじゃないだろうな?俺の気のせいであって欲しいけど……

そうじゃないなら厄介すぎる相手だな。

 

ライザーも勝ちを確信したのか腹に空いた穴を抑えながら兵藤に近づく。

その顔は痛みに耐えながらも愉悦に染まっており、このまま兵藤をいたぶろうとしている事は誰の目からしても分かるであろう。

 

誰もがこれから行われるであろう私刑から目を逸らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この時誰もが忘れていた。

 

まだ勝負は決まっていないということに。

 

 

ライザーが近づき兵藤まであと一歩というところで突然兵藤が起き上がり懐に隠していた瓶をライザーに思いきり投げつけた。

 

瓶はライザーにぶつかった後、割れて中身の液体がライザーの全身をずぶ濡れにした。

 

次の瞬間ライザーから煙と絶叫が上がりその体はまるで全身火傷をしたような感じになった。

 

 

 

今ライザーにかけたのは水から聖なるオーラ感じたので恐らく悪魔の弱点の一つの聖水に間違いないだろう。リアスちゃんの眷属には元聖女のアーシアちゃんがいるから聖水を持っているのは不思議ではない。

むしろ、ライザーの不死を突破するには当然の対策にも思える。

 

しかし、それだけではない。

聖水のオーラが段違いに跳ね上がっている。

 

兵藤は俺達の修業の最中に(強引に)封印を解いてしまい、倍加した力を他の物に譲渡する技『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』を発現していたことは知っていた。

知ってはいたが、今回の場合他の物を強化する場面はないだろうと判断して、徹底的に他の事を訓練させていたのだが、それを奴は一刀修羅で倍増させた力を聖水に譲渡し聖水の効果を高めたのだ。

しかも、ただ高めただけではなくスティグマの術式にも力を譲渡し聖水に付与させた状態で。

 

……一言言ってもいいだろうか?

 

あいつえげつねぇ!?

 

仮にもフェニックスだからいいものの、普通の悪魔にやっていたら上級どころか、最上級悪魔(俺達レベル)でさえ確実に滅ぶと言ってもいいぐらいにヤバイ物になってるぞ!?

あの野郎、帰ったらスティグマの術式は取り上げてやる。

じゃないと、いろんな意味で大変な事になりそうな気がする。

主に保身に走った最上級悪魔の苦情や嫌みで。

あっ、考えただけで胃が……!?

 

そんなこんなしている間にライザーの前に兵藤が立ち塞がり、思いきり殴る準備をしている。

 

ライザーは自身が間もなく負ける事になるのに気づいたのかこの結婚には悪魔の未来がかかっている~みたいな事を言って兵藤にこの決闘を無かったことにしようと交渉している。

 

いやいや、この結婚はしたところで後に待っているのは地獄(サーゼクス)です。どの道お前はいびられて子供も作れないような体にされていた可能性があるからラッキーじゃね?

 

兵藤もライザーのその提案を断り、この戦いを終わらせるため、全力でぶん殴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライザーの顔面を。

 

忘れてはいないだろうか?今の兵藤の腕力はバランスブレイクしていたとはいえ、ライザーの腹に穴を開ける位に強化されている。

そんな力で頭部を殴ればどうなるか。その答えは次の瞬間明らかになった。

 

当たった瞬間、弾け飛ぶライザーの頭部。飛び散る目や鼻、挙げ句の果てには脳味噌の断片が回りに飛び散る。

 

そして、頭部が無くなり倒れたライザーの体は小刻みに震えており、時々何かを探すかの如くライザーの手のみが動いている。

 

さて、ここで問題です。

 

Q.今日はなんの日ですか?

A.婚約パーティーの日です。

Q.では、沢山の料理は出ると思いますか?

A.パーティーですから当然ですね。

Q.今回は比較的に若い悪魔が集まっているのは何故でしょう。

A.今回の新郎夫婦が若い年代だからです。

Q.そんな彼らがこのホラー映画それも……かなり規制がかかるような物をモザイク等の処理無しで見せられ耐えられると思いますか?

A.無理です。勿論、一部を除いて──彼等の名誉の為に規制──な状態になります。

 

 

───暫くお待ちください───

 

 

 

 

よし、終わった。

 

何がどうとは言わないが色々被害が出たものを片付け終わったぞ。

 

因みに今の俺の服はグレイフィアさんに着せられた礼服ではなくグレモリー家で働く執事用の燕尾服を来ている。

あの礼服は誰のとは言わないが聖水(意味深)によって汚れてしまったのでグレイフィアさんにクリーニングをお願いしといた。

 

因みにあの後、兵藤は一刀修羅の反動が来てぶっ倒れてしまったので、代わりにサーゼクスがリアスちゃんの婚約を破棄する事を宣言した。

俺は急いで回りに引っ付いてきていた子達を少し強引に引き剥がし、ライザーの治療に回った。

 

本来なら治したくはないところだがあれをそのまま放置していたら二次被害が出る。

それだけは防がなければならない。

 

しかし、リアスちゃんや。

いくら、気に入らなかった元婚約者(ライザー)とはいえ、隣でスプラッタな惨状になっているのにも関わらず兵藤にしか目を向けず、しかもその死体(まだ死んでいない) を蹴るのはどうかと思う。

 

しかも、何で兵藤を胸に抱えて頬を染めてんの?

 

えっ?まさか惚れた?

嘘でしょ?こんな惨状を引き起こしたのに?

 

えっ?サーゼクスまで気にいったの?

(兵藤)は悪魔の希望になるかもしれない?

いや、こんな惨状を引き起こした奴は戦争ルート、一直線でしょ。悪魔の未来は閉ざされたも同然でしょ。どこを見てそう判断した?

ええい!グレモリー家の感性は化け物か!?

 

戦慄している間に兵藤が目を覚ましたようでいつのまにかリアスちゃん達と一緒に帰っていた。

いつのまにかサーゼクスや他の客達もいない。

 

あの野郎俺にここの片付けを押し付けやがったな。

 

いつか必ず、復讐してやると誓った瞬間である。

まぁこれは何度も誓っている事なんだけどね。誓うだけで実行ができないんだもんなぁ。俺ってば本当にヘタレ。

 

とりあえず今日は疲れたので帰ることにした。

明日は職員会議もある。早く寝なければヤバイ。

俺は家に帰ったらそのまま布団に潜り込んで寝た。

明日こそいい日になりますようにと願いながら。

 

 

 

 

 

朝起きたら腕に柔らかい感触がして布団の中を見てみると何故か裸の輝姫がいた。

しかも、気持ち良さそうに俺の腕にその大きくはないが形のいい胸を押し付けながら。

 

……確かにいい日になるように願いはしたけど、いきなり朝チュンだなんて俺にはレベルが高すぎます。

 

朝から絶叫することになり、それを聞き付けた眷属達が部屋にやって来て修羅場が形成されるのはまた別の話。



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番外編その一『せいはい戦争』

何だろう。ネタが浮かばなくてやってしまった感が凄まじい。
色々な意味で酷すぎる。

と、とりあえず読んでみてください。
それではどうぞ。





真に願うものがあるのならば立ち上がれ。

 

真に欲しいものがあるなら手を伸ばせ。

 

汝達は欲望の化身。我は願望の結晶。

 

汝達の為に我は存在する。

 

我が欲しければ、他の参加者を蹴散らし奪い取れ!

 

さすれば我は汝の物となろう!

 

第一次『せいはい戦争』開戦!

 

汝が真の勝者になれるよう期待している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんぞこれ?

 

おかしいなぁ。変なプロローグみたいなのが聞こえてきて疑問に思いながら家に入ると何で家の中が火の海になってんだ?

幸い結界のお陰で火は外まで出ていないが中は大変な事になっているんだけど?

 

折角職員会議で、球技大会の話し合いが一段落ついて気分よく家で寝れると思ってたのに、これじゃあ寝れねぇよ。

 

廊下の端を見ると首に『バーサーカー』と書かれたプラカードを着けたラークが気絶していた。

 

まぁあいつはどうでもいいけど、その向かい側に『アーチャー』と書かれたプラカードを着けたレイヴェルちゃんが気絶しているのが気になる。

 

フェニックスだから怪我はあまり心配はしてないけど、流石に女の子をこんな場所で寝かし続けるのは駄目だな。

俺はレイヴェルちゃんを抱えると一先ず安全な外に運び出した。

服が汚れてしまうかもしれないが、炎に焼かれ完全焼失してしまうよりはましだろう。

 

……でもフェニックスの服って燃えるんだろうか?

ライザーの服は怪我と同時に修復されていた気もするけど。

 

そんなことよりも、とりあえず中の様子を知ることが先決だ。

一体何がどうしたんだか。

 

その時、服を引っ張られた感覚がしたので後ろを振り向くと、そこには首に『アサシン』と書かれたプラカードを着け金色の『せいはい』と書かれたカップを持っているミストちゃんの姿が。

……何やってんの?

 

 

 

 

事の始まりはミストちゃん達魔術師が日本のとあるアニメを見たことだ。

 

そのアニメの名前は『運命』。

魔術師として才能のない少年が現代で再現した聖杯戦争に巻き込まれ金髪の女性の英霊(サーヴァント)と共に戦い、聖杯を勝ち取る物語だ。別ヒロインとしてうっかり少女が最終的に主人公とくっつく話もあるらしい。

 

うん。前世で見たことがある気がする。っていうかステイでナイトな作品ですね、分かります。

よし、早速ネットで購入しなきゃ!

 

と、まぁ俺の事は置いといて彼女達、魔術師は今魔術師の中でブームになっているこのアニメを見て聖杯を作ってみたいと思ったらしい。

 

因みにブームになっている理由はとある魔王少女の特撮と比べて遥かに魔術師らしさを再現できている事だ。

あれのせいで魔術師としてのイメージが大変な事になってしまっているので、魔術師の評判を戻すのに最高な作品だそうだ。教団の上層部が泣いて喜ぶ出来だそうだ。

 

……ごめん。俺、その魔術師の評判を落とす作品に出ちゃっているんだ。魔術師のイメージを壊しちゃってごめんね。

 

うん?魔術師の女性陣には俺は好評なの?

皆例のシャワーシーン付き限定DVD買ってた?

……まぁ不評じゃないならいいか。家の資金源でもあるし。

 

話を戻すが、その作品に出てくる聖杯は魔術で作られているらしい。

 

ならば、私達も作れるのではないか?と魔術師達が考えた結果、産まれたのが今目の前にある金色のカップ『せいはい1号(試作品)』である。

 

この『せいはい』は試作品と言うこともあり、あらゆる願いを叶える機能どころか英霊を召喚する機能もない。

しかし、この『せいはい』は勝者にささやかな願いを叶える程度の機能はある。

例えば恋愛成就やら金運向上とか。

所謂、かなりよく効くお守り程度の効力である。

 

今回、俺にこの『せいはい』の出来具合に意見を求めにやって来たミストちゃんが輝姫(馬鹿)に『せいはい』を見られ興味を持たれて内容を説明してしまったことで今回の事件が勃発。

家の中が火の海になってしまったということだ。

 

 

……とりあえず一言言うとしたら馬鹿かと。

 

何故、ささやかな願いしか叶えない『せいはい』を巡って争うんだ。

訳がわからないよ。

 

っていうか幸運になりたいのなら最近俺が作った魔法薬『フェリックス・フェリシス』をあげるけど?

 

これ結構凄い効き目の薬だから大丈夫。具体的には金運なら歩けば金が何処からか飛んできたり、恋愛運なら周りの異性が次々と告白してくる様になる。

 

う~ん、これだけ聞いてると詐欺の幸運の壺と大して変わらない気がする。まぁあっちとは違ってこれは本物だけど。

 

まぁそんなことより家の中の抗争を止めることが先だろう。

 

輝姫とジャンヌが本気で争って無事に終わる訳がない。今でさえ結界があるとはいえ、家が崩壊していないのが不思議なぐらいだ。

 

ただでさえ規格外の輝姫がガチバトルを行えば、家どころか空間すらも切り裂いてしまう。

ジャンヌも本気を出せば大抵の聖剣と比べて遜色ない……否、それすらも上回る聖剣を造り出せる。

 

……本当、何であいつら俺の眷属になったんだろう。

疑問が尽きねぇわ。

 

 

 

 

さて、今回の『せいはい戦争(仮)』がアニメの設定通りなら七つのクラスに分けられて戦っているはず。

 

現在『アーチャー』『アサシン』『バーサーカー』は判明しているので、残るクラスは四つ。『セイバー』『ランサー』『ライダー』『キャスター』のクラスだ。

 

……う~ん、セイバーは輝姫で間違いないだろうし、ジャンヌはそこまで魔術や槍には詳しくない筈だし、バランスブレイクをすれば巨大なドラゴンに乗れるからライダーで間違いないだろう。

となれば残りの家にいる人物はミッテルトちゃんのみなのだが……そうなるとクラスが一つ余る。

 

既にせいはい戦争が始まっているようなので、七つのクラスは出揃っているはずなのだが……あと一人は誰だ?

 

 

……まぁ考えているだけでも問題は解決しない。一先ず止めにいくか。

戦っている場所はリビングでは狭すぎるから、きっと地下のトレーニングルームだろう。

 

俺は家のドアを開けて、火の海となっている廊下を走って地下へと続く階段へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下のトレーニングルームは上より酷い惨状だった。壁であったところは大きく抉れ、床であった場所は一種の岩場となっている。

 

壁であった場所の角には『ランサー』と書かれたプラカードを着けているミッテルトちゃんが気絶している。

 

そして、岩場となっている岩の中でも大きな岩の上で睨み合う三つの人影。

 

一人目は『セイバー』のプラカードを着けた輝姫。

その手にはいつも通り、愛刀『姫鶴一文字・改』が握られている。

 

二人目は『ライダー』のプラカードを着けたジャンヌ。

手には聖属性の剣があり、そのすぐ側にはバランスブレイク『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』で産み出した聖剣のドラゴンが威嚇するかの如く対戦者を睨んでいる。

 

そして、最後の一人は……おい、何でお前がいやがる。

 

その人物は『キャスター』のプラカードを着け、魔法少女めいた杖を持ち、いつものツインテールの魔王少女、セラフォルー・レヴィアタン、通称『セラ』その人である。

 

頭が痛くなった。

おい何してやがる魔王(レヴィアタン)

仕事はどうした、仕事は。

俺は知ってんだぞ。お前が仕事をさぼるせいでお前の『女王』が涙を流しながら、徹夜で仕事をしているのを。

前に珈琲を差し入れしたら泣いて喜ばれたんだぞ。

もう少し眷属を労れよ、お前。

 

 

とりあえず、この戦いは結界を張り直した俺が3人を纏めてディバインバスターで吹っ飛ばしたことで終結を迎えた。

さて、こいつら一体どうしてやろうか?

 

 

 

 

 

 

 

結局、馬鹿達の処分は説教+家の建て直しに決まった。勿論、自腹でだ。お小遣い制の輝姫達にとってこれはかなりきついだろう。

 

ただし、魔王であるセラにとっては大したことのない金額なのでセラには、俺、ソーナちゃん、レヴィアタン眷属の『女王』で説教して、魔力を使えなくするリストバンドを着けた上で鉄格子の中に大量の書類と共に押し込んでおいた。

これで少しは仕事も進むだろう。

 

レヴィアタン眷属に号泣で感謝された。特に『女王』。

……どこまで仕事をサボっているんだセラ。

 

 

 

う~ん、なんか疲れた。

 

何で俺はこんな馬鹿共の面倒を見なければならないんだ。全く。

 

とりあえず、風呂に入るか。家が燃えてたせいで体は煤だらけだし、仕事を終えた後なので精神的な疲れもある。

幸い風呂の機能は生きていたので、さっさと風呂入って寝よう。

 

俺は風呂場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はロリコンではない。

 

そもそも、ロリコンとは元々ロシアの小説家『ウラジーミル・ナバコフ』が執筆した小説『ロリータ』で十二歳の少女『ロリータ』に主人公が恋をしたことで世の中に出回る際に生まれた派生語だ。

つまり、元々は少女(幼女)に特別な感情を抱くという意味ではなく少し幼かった少女を好きになった主人公の恋愛の様子を表した言葉だったのだ。

 

断じて、少女(幼女)に欲情することではない。断じて!

 

だから、俺はロリコンではない!!

 

例え、風呂に入っている最中に少女(幼女)がスクール水着で突撃してきた事で俺の息子が元気になりかけたとしてもそれは生理的な現象であって、断じて俺はロリコンではない!!

 

ついでとばかりに俺の体の隅から隅まで洗われてしまい、完全に元気になった息子にミストちゃんが触れて顔を真っ赤にしながらも洗われた事に興奮しているわけがないじゃないか!!

 

……ごめんなさい。実は凄くムラムラしてしまいました。

俺の息子がとても元気なのはきっと俺の意思と連動してしまっているんです。はい。

 

うぅ……辛い、辛いよ……。

 

風呂ってこんなに疲れるものだっけ?

肉体的にも精神的にも癒してくれるのが風呂の役目だろ?

ちっとも癒してくれないんだけど?体の方は一部凄く活性化していますけどね!しかし、発散先がないのでやはり、肉体的にも辛い。

ちくしょう。

 

そもそも何でミストちゃん、風呂に突撃してきたんだよ。表に『男、入浴中』って立て札かけといたろ。

 

……え?せいはい戦争の報酬?そう言えば唯一ミストちゃんだけ気絶(脱落)してなかったな。

あれの報酬って『せいはい1号(試作品)』じゃないの?

 

……あんな紛い物魔術師の誇りに賭けて渡すわけにはいかない?

じゃあ、何のためにお前ら争っていたんだよ。

 

……報酬は俺のお世話?何その意味深に聞こえる報酬。

それに、それって俺に得があってお前らには一切得無いよね?

 

いや、待て。落ち着け。そんな手をワキワキさせながら近寄ってくんな。

ちょっ!?おまっ!?そんなとこ触んな!!や、やめっ!?

 

あっ──────

 

 

とりあえず、俺の純潔は死守した事だけ言っておく。

 

その後も、俺の布団に下着で潜り込んだり、ご飯の際にもアーンをスプーンとか箸を使わず、直接口移しをしようとしてきたが期限の三日間鉄の意思(時々打ち破られそうになる)で乗りきった。

 

もう二度とせいはい戦争なんか起こさせるもんか!

 

俺は心からそう誓った。




因みにミストちゃんが報酬のご奉仕をしている間ラーク君は例の魔法を使われミストちゃんに三日間縛られた上に猿ぐつわされ、奥の方に放置されていました。
ロリコンパワーで縄を千切り脱出しようとしてましたがよくよく考えるとロリに両手両足を縛られる機会など無いことに気づきそのままロリにSMプレイをされている光景を思い浮かべ興奮していました。

本当に救い様のないやつになっちゃいましたね。どうしてこうなった(困惑)

因みにそれぞれが実際に聖杯があったら願うのはこんな感じ
主人公:平和な争いのない日常
輝姫:結婚
ジャンヌ:彼氏彼女の関係でお付き合い
セラフォルー:結婚
ミッテルト:沢山のお菓子
レイヴェル:彼氏彼女の関係でお付き合い
ミスト:私だけの玩具(旦那様)
ラーク:大量の幼女

半分以上があれな結果に。
特に後半二人がエグい。

次回も番外編やろうかと考えているんですけどあんまり長くやると本編が全く進まないので一つだけ上げようと思うんですけど、どれがいいですかね?

①使い魔の森編
②ミルたん登場編
③主人公の師匠的存在登場編

ではではご意見ご感想お願いします。


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番外編その二『ポケ○ンマスター』

番外編その2です。
使い魔の森編に決定しました。ワーパチパチ

中々執筆が進まず一週間に一度投稿みたいな感じになってしまって申し訳ないです。

半分ぐらいからはジャンヌさんの視点になってます。
とある人物がキャラ崩壊が激しいことになってます。

それでも構わねぇ!って人はお読みください。


ミストちゃんのご奉公(意味深)が終わった翌日の事だった。

 

リアスちゃん達が悪魔になったばかりの兵藤とアーシアちゃんに使い魔をゲットしに行くらしい。

ソーナちゃん達も行く予定はあったそうだが、リアスちゃんとの話し合い?で行く順番を決めたらしい。

 

この話し合いがHANASHIAIに一瞬聞こえてしまい、ビビったのは内緒だ。まぁあの二人だからそんな無茶はしないだろう。

……しないよね?

 

ゴ,ゴホン。

まぁそれはともかく、俺の所にも新しくミッテルトちゃんが眷属になったので一緒に連れていってもらった。

あまりにも人を増やしすぎると、他の生物が興奮しかねないが二人だけなら人が増えても周りの生き物達が興奮しないだろうからオッケーとのこと。

 

俺も今まで使い魔と契約をしてなかったのでちょうど良いかな~なんて思い付いていった。

()()()にもあってみたかったし。

 

ジャンヌも行きたかったようだが今日は何かしらの用事があったようで、来れないらしい。

物凄く悔しがっていた事は余談だな。ジャンヌもあの人に憧れを抱いていたし。

 

さて、そんなわけで早速使い魔を探しに来た俺達だったが、そこで昔、噂で聞いた「どんな使い魔でも即日ゲット」をキャッチフレーズにしている、マダラタウンのザトゥージさんという帽子をずらして被っている人物が現れた。

 

そこで、俺とミッテルトちゃん、それと小猫ちゃんはこっそりと懐からポケ○ンのソフトが挿入されているゲーム機を取り出した。

ザトゥージは最初は驚いた様子だったが、すぐにニヤリと笑い、鞄の中からゲーム機を取り出した。

 

フッ。やはり持っていたか。

噂に聞いた使い魔(ポケ○ン)マスターなら常に側に忍ばしていると思ったぞ。

 

そう。この人が俺やジャンヌが会いたがっていた使い魔(○ケモン)マスター「ザトゥージ」さんだ。

 

伝説厨を初代相棒「○カチュウ」一匹で叩きのめしたり、最初から最後まで「コイ○ング」一匹で「カン○ー地方」を制して見せたりと数知れずの伝説を持っている。

 

俺もジャンヌも彼の活躍を(動画で)見させてもらったことがあるので彼と会うのを楽しみにしていたのだ。

それは堕天使陣営の中でも同じらしくミッテルトちゃん曰く彼に憧れを抱いた者も少なくないとか。

やはり、使い魔(ポケモ○)マスターとは偉大な存在であるようだ。

 

そして、トレーナーとトレーナーが目があった。

ならば、それは勝負の合図!

よし!決闘(デュエル)だ!

 

俺達は一斉にゲーム機の電源を入れた。

己が真の○ケモンマスターだと証明するために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、バトルに突入する前に話が進まないからとリアスちゃんに俺達のゲーム機を没収された。

皆、一斉にorzとなったのは言うまでも無いだろう。

 

 

 

 

何とか持ち直した俺達は使い魔を探すために森の中を歩いていた。

しかし、やはり俺達四人のテンションは低い。

 

俺達は何とかして没収されたゲーム機を奪還しようと、とある人物が預り、鞄に入れたゲーム機を隙を見ては盗りにかかろうとするがその人物はSっ気溢れるニコニコ笑顔でゲーム機に雷を落とそうとするので泣く泣く諦めるしか無かったのだ。

俺達の涙目を見て、嬉しそうにする彼女に少しだけ怒りが湧いたが今は人質(ゲーム機)を取られている。

今は諦めよう……今はな!

 

そんな落ち込んでいる俺達をアーシアちゃんは必死にフォローしようとしてくれている、アーシアちゃんはマジ天使。

 

だけど、兵藤。そんな嫉妬に狂ったような目で睨まなくても良いじゃないか。

 

そんなこんなしている間に最初の使い魔候補が現れた。

 

その名は「ウンディーネ」

ゲームとかでよく美人のお姉さん見たいな容姿で出てくるRPGとかでは結構定番な妖精だ。

 

兵藤もウンディーネはやはりスタイルの良いお姉さん風な人だと想像している見たいで鼻の下が伸びている。自重しろよ。お前。

 

まぁ良い。これも良い薬になるだろう。

何故ならば、この世界のウンディーネとは雌でも筋肉ムキムキの漢女だからな。

 

縄張り争いで拳で殴りあっているウンディーネを見て兵藤が膝から崩れ落ちた。

アーシアちゃんが慌てて神器で兵藤を回復させる。

そのお陰か兵藤は立ち上がることが出来た。

……膝は震えているがな。

 

まぁ気持ちは分からなくもない。

 

俺も初めて辞典で見たときは酷くショックを受けたものである。

兵藤のように崩れ落ちはしなかったがそれでも思い切り頭を殴られたような頭痛がした。

 

そんなウンディーネをザトゥージはレア度が高いと進めてくるが兵藤は全力で却下した。

 

あの見た目では仕方がないかな。うんうん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おや?ミッテルトちゃんや。何ウンディーネをそんなキラキラした目で見ているんだい?

 

えっ?使い魔にしてくる?あの強さ(物理)に憧れたから?

 

……う、うん。まぁいいんじゃない?ミッテルトちゃんがあれで良いって言うんだったら。

 

それを聞いたミッテルトちゃんはウンディーネに向かって走っていった。

……ミッテルトちゃんには悪いけど契約失敗してくれたら良いなぁ。

 

俺達は縄張り争いに負けボコボコにされているウンディーネを見て、そう思った。

 

 

 

 

ミッテルトちゃんがウキウキ顔で戻ってきたのを見て、皆でがっくしと肩を落とした。

 

成功しちゃったのか……そう……。

 

本当は喜ぶべき所なのに素直に喜べない件について。

 

……うん?契約する時に条件を出された?

娘の育成をすることが条件?あの場所では襲撃者が多すぎて中々子育ての時間が取れないから?

 

……まぁ蛙の子は蛙って言うからね。どうせ、その子もムキムキのマッチョなんだ……ろ………!?

 

ミッテルトちゃんが魔方陣を出し召喚したウンディーネ(子供)は蒼い髪に綺麗な水色の瞳の美幼女だった!

 

と、鳶が鷹……否、(ドラゴン)を生みやがった!?

 

あまりの衝撃に俺達の誰もが固まり、動けなくなってしまった。

あまりにも子と親で印象が違いすぎる。

 

そんな中、ザトゥージさんは一つの仮説を出した。

恐らくウンディーネは長年縄張り争いが激化していく中で、あまりにも規模が増大し過ぎた為に魔法にも負けない肉体を作ることが縄張りを守ることの絶対条件となったのだろう。その過程で通用しなくなった魔法を鍛える理由がなくなり、今のように物理しか出来なくなったのではないか。というものだった。

 

つまり、生まれてきた時は人間の美的感覚にあった存在であるが、縄張りを守る為に(肉体的に)進化を続け、それと反比例するように魔法が衰退した結果、今の肉体美(世紀末)が完成したということだ。

 

 

 

兵藤がそれを聞いてウンディーネに突撃していった。

子供の頃から育て自分好みに育てる気らしい。

流石は変態。発想が厭らしい。

 

しかし、兵藤は肝心な事を忘れている。

 

ウンディーネの子供と契約するためにはあの世紀末に認められなければならない。

 

妖精の類いは極めて悪意には敏感だ。

それも、縄張りを守るために日々(肉体的に)進化しているウンディーネなら尚更だ。

 

先程のミッテルトちゃんは完璧な下心無しの純粋100%だったため娘を任されたのであろうが、あの性欲の化身が向かったとなれば……

 

あっ、兵藤がペガ○ス流星拳喰らった。

 

兵藤は星となったのだ。

 

 

 

 

 

さて、その後も歩いて様々な使い魔候補を見てきたが、どいつもこいつもどこかに問題を抱えているやつらばっかりである。

 

せめて、見た目的に良いのが来てほしいものだ。

誰がオッサン顔の犬や、ゾンビを使い魔にするものか。

 

そんな時に俺は森の中から視線を感じた。

ただの視線なら特に気にはしなかったがその視線は俺を観察しているようにも思える。

長年シスコンから逃げるために必死で習得した技能がこんなところで役に立つとはな。肝心の本人達には全く通用しなかったがな(泣)

 

俺はリアスちゃん達に一言いって少しその場を離れる。

それでも観察するような視線はずっと感じるのでどうやら俺に興味があるようだ。

 

俺は立ち止まり、隠れてみている者に出てくるように告げた。

すると、背後に黒服のスーツ姿のオッサンが降ってきた。

 

何の用か聞くと、俺にグレートレッドと呼ばれるドラゴンを倒すのに協力してほしいらしい。

 

……嫌だよ。俺知ってんだぞ。グレートレッドでこの世で最強のドラゴンなんだろ?そんなドラゴンをオッサンの頼みで相手にするなんて馬鹿な真似するわけないだろ?

せめて、女になって出直してこい。

 

フッ、こう言っておけばこいつも諦めるに違いない。

このオッサンもその為だけに性転換するわけが……!?

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

俺は奴に男の頼みなんか受ける訳ねぇだろっていった瞬間奴は黒髪の幼女へと変わっていた。

な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も奴がいつの間に性転換したのか分からなかった…

頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。

 

あまりにも突然の変化に俺は言葉を失って立ち尽くしていると、元オッサンがこれでどう?なんて小首を傾げて尋ねてきた。上目使いで。

 

 

……かはっ!?( ´゚Д゚)・;’.

 

な、なんて破壊力だ……!?思わず意識が飛びかけた。元がオッサンだと知らなければ危なかった。

お、俺はラークではない。紳士なんだ。

いや、変態という意味の紳士じゃなくて。

 

よ、よーし。一回落ち着け。ステイステイ。

深呼吸。吸って~吐いて~吸って~吐いて~。

 

よし!落ち着いた。

 

とりあえず返事をしなくちゃな。世界最強に挑むなんて小市民な俺には出来るわけがない。

ここは彼女(?)には悪いけど断らせて貰おう。

 

その決意をもって黒髪の幼女へ向き直るとそこには涙女な幼女が。

 

 

 

……とりあえず前向きに検討するって事にしといた。俺ってば本当ヘタレ。

 

はっ!?そう言えば俺ってこの森に使い魔を探しに来たんだった!

早く使い魔候補を探さなければ!

 

えっ?君がなりたいって?

いや、俺が探しているのは使い魔であって、従者とかじゃないからね?

 

……君の種族がドラゴン?

 

またまた~御冗談を。君みたいな可愛い子(オッサンだったことは記憶から消した)がドラゴンのわけ無いじゃないかぁ。

そう言えば名前、聞いてなかったね。俺の名前はグレイって言うんだけど君の名前は?

 

オーフィス?

あれ?どっかで聞いたことがある気がする。

どこだっけなぁ?

 

……まぁ良いか。

とりあえず使い魔になって貰うとすると契約の際にグレートレッドを倒すことを契約内容に入れられそうなので断らせて貰おう。

 

俺はオーフィスに一言断りを入れてリアスちゃん達に合流することを告げるとまた来ると言って空間が歪み消えていった。

 

……さて、俺も戻るか。

 

その後、俺がリアスちゃん達に合流すると何故か黒焦げで気絶している兵藤にその兵藤に威嚇をしている蒼いドラゴン、それに何故か服が溶けてしまっている女性陣がいた。

 

……一体、俺がいない間に何があったんだ?

とりあえず、女性陣には魔力糸で編んだ服をプレゼント。

大変好評であったことだけは言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今、霧が充満している森の中を歩いている。

この霧はただの霧ではない。方向感覚を狂わせる効果を持つ魔法の霧だ。しかも、回りにある木々にも人が通りすぎる度にその形を変える魔法が付与されている。

 

私のように道を教えてくれる魔法の招待状を持っていなければ迷うことは間違いない。

っていうか、わざわざ密談の為だけにこんな大規模な魔法使わなくてもいいのに。

本当にあいつは、時々慎重が過ぎるわ。

 

って言うか何で今日なのよ!折角今日はグレイとミッテルトとポケモ○マスターに会えるチャンスだったのに!

聖剣を刺してやろうかしら!!

 

私が呼び出した人物にどんな風に嫌がらせをするかを考えていると、私の目的地である湖へと辿り着いた。

そこにはローブを纏っている人物がいた。

 

「相変わらず貴女はノロマですね。そんなんであの人の右腕なんて名乗るなんて辞めてくれないかしら?っていうかその座を私に譲りなさい」

 

「うっさいわねぇ。そんな称号私が名乗っている訳じゃないわよ。大体あんたがこんな大規模な魔法を使わなかったら私だってもっと早く着けたわよ。あんたの慎重な性格からして罠が仕掛けられているかと思って無駄に警戒しちゃったじゃない」

 

全くこいつは。

あの霧の中を罠がないか、一々確認して進まなければならない私の気も知らないで。

 

「ふん。『聖剣乙女』ともあろうものが弱気ですね。全く情けない。その程度の存在ならあの人の『騎士』を辞めて貰えないかしら?」

 

……一々腹立つわ~こいつ。

一度締めてやろうか?

……駄目だ。こいつ、喜びそうだ。

こいつ生粋の変態(ドM)だから。

 

「それで?私を呼び出した理由は何なのよ?グレイに秘密であの組織に潜入させている貴女が私を呼び出したって事は何かがあるんでしょう?」

 

「……ええ。恐らく近々三大勢力のトップ陣による会談があると思います。その会談に私とその配下による襲撃を起こす予定なのでそこで例の計画(・・・・)を実行しようと思います。その際には是非我らが主を呼び出して欲しいのです」

 

「……それを言う為だけに私を呼び出したの?心配しなくてもあの魔王(シスコン)ならグレイを呼び出すわよ」

 

「いえ、それもあるのですが本題は貴女への忠告ですジャンヌ」

 

「私に?」

 

こいつが私に忠告?

言っては何だが私とこいつはあまり反りが会わない。

だから、今まではこいつとはいつも喧嘩ばかりしていたものだ。

そんな奴の忠告って事は相当ヤバイ事態って事ね。

 

「英雄派の存在はご存知ですか?」

 

「英雄派?……あぁ、英雄の子孫である事を自称している奴等ねそいつらがどうしたのかしら?」

 

「そのリーダーの『曹操』という男なのですがそいつが最強の神滅具(ロンギヌス)黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』を所持しているみたいなんです」

 

最強の神滅具……成る程。それならばこいつが警戒するように言うのも分かる。上位神滅具は本当にチートだからね。

 

「まぁ、それ自体はどうでも良いのですが」

 

「はい?」

 

「いくら最強の神滅具を持っていると言ってもまだまだ実力が追い付いてないひよっこです。そんな奴に負ける貴女ではないでしょう」

 

なら何故、警戒するように言ったのだろうか?

 

「……あの男の部屋から不気味な笑い声がしたのでチラリと覗き見た事があるのですが、あの男の部屋の壁から天井あらゆるところに貴女の写真が貼ってありました」

 

はい?

 

「奴はその写真に頬擦りをしながら気持ちの悪い笑いをし、口付けをしていました」

 

えっ?ちょっと?何を言っているの?

 

「奴はそのまま懐から一枚の下着を取り出し臭いをかぎ始めました。その下着は確か貴女のお気に入りの下着だったような気が」

 

「イヤァァァァァァァ!?」

 

へ、変態!?マジ物の変態じゃない!?

って私のお気に入りの下着が昔一枚無くなったと思っていたら、そいつが盗んでたの!?

 

「幸い、コッソリと盗み返す事には成功しました……があの男の精液が付着している恐れがありましたので処分しましたが構いませんね?」

 

「当たり前じゃない!!そんな気持ち悪いの穿けるか!」

 

むぐぐ、どうやってグレイの貼った結界を抜けたのよ!あいつの貼った結界なら神滅具持ちとはいえ、簡単には抜けられない筈……!

 

「どうやら部下に上位神滅具の『絶霧(ディメンション・ロスト)』持ちがいたみたいでその人物に協力を願い出たみたいです」

 

また神滅具か……!?

これだから神滅具持ちはチートなんて呼ばれんのよ!

自重しろ!!

 

「しかし、その神滅具持ちでも結界を一時的にでも破るのは五分が限界だったみたいで、その後そいつは倒れたみたいですけど。流石は私の『創成の魔導王』様……!」

 

「あんたの頭の中にはグレイの事しか無いんかい!?」

 

「当たり前でしょう!私の中では一にグレイ様、二に『創成の魔導王』様、三にネビロス様に決まっているでしょうが!」

 

「全部グレイの事じゃないの!?」

 

「ああ、グレイ様……!私が帰った暁には私の事を踏んで貶して鞭で痛め付けて欲しいです……!」

 

「この変態!!」

 

「誉め言葉ですね」

 

くっ、こいつ……!?私一人だと全部突っ込まなくてはいけないからしんどい!

せめて、グレイがいてくれたらあいつを身代わりに全ての突っ込みを押し付けたのに……!

 

「まぁそれはさておき、ここからが本題です」

 

「な、何よ」

 

いきなり真顔になって話を戻さないでよ。

少しビックリしたじゃない。

 

こいつは真剣な顔のまま言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女グレイ様とS○Xをした事はあるのですか?」

 

?…………!?

 

こ、こいつは突然何を言っているのかしら!?

 

「にゃ、にゃにを」

 

「その反応はやったって事ですね!!どんなプレイをしたのですかっ!?SM?野外?監禁?調教?さぁキリキリ吐きなさい!!」

 

肩を掴んで揺さぶってくる変態。

しかし、それどころではない。先程の奴の発言のせいで顔に血が上がって、頭がまともに働かない。

 

私とグレイが……その、子供を作る……行為をやる?

その、それは……うん。悪くないわ。

ただ時と場合さえわきまえてくれたら私は何時でも、

 

「聞いているのですか!!」

 

その時奴の大声が耳元から聞こえた事で我に帰った。

わ、私は今何を考えてた?

 

顔が先程より熱く感じる。

一瞬でもあんなことを考えてしまった私が恥ずかしい。

 

とりあえずその事を誤魔化すために神器で聖剣版洞爺湖を作り出し、

 

「いい加減にしなさい!!」

 

「ヘブッ!?」

 

頭を思いっきり叩いた。

 

「わ、私はあいつと何をしたわけでもないし、あいつにそんな想いなんて抱いてないから!勘違いしないでよ!!」

 

人はこの時の私に向けて『ツンデレ乙ww』と言うのだが、この時の私には全くそんな事を考える余裕は無かった。

 

私は逃げるようにその場を去った。

これ以上あいつに突っ込まれるのを避けるためだ。これ以上話していてはボロが出そうだ。

 

 

ジャンヌが逃げ去った後、頭を叩かれ地面に突っ伏した彼女は

 

「フム。聖剣で叩かれるのも中々良いですね。グレイ様にご褒美としてやってもらうようにお願いしましょう」

 

と呟いたそうな。

 

終わり。




というわけで曹操君が変態(真正)になりました。

今後も禍の団内では確実にキャラ崩壊が続く事でしょう。

さて、最後にジャンヌさんと話していた人は誰なんでしょうね?(すっとぼけ


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第12話

お気に入り数千人突破!

このような駄作を読んでいただきありがとうございます!

今回から原作三巻に入ります。


アーシアちゃんとミッテルトちゃんが使い魔を捕まえた数日後。

久し振りに生徒会の仕事を手伝ってから家に帰っていると、銀髪の神父に木場君が襲われていた。

その手にはそれなりに強力であろう聖剣が握られており、木場君をジワジワと追い込んでいく。

 

まぁそれを黙って見ている俺では無いのだが。

 

勿論生徒を守るため開幕ぶっぱしてやりましたが何か?

 

う~ん。それにしても頑丈だねー。

ディバインバスター直撃したのに、まだ動けるの?

 

じゃあもう一発撃っちゃおう。(無慈悲)

 

えっ?鬼?悪魔?

知ってた。俺(種族的に)悪魔です。

ドンッ!

 

またしても直撃した筈なのに意識を保っている神父。

おいおい、頑丈すぎだろ。

 

仕方がないので捕縛するために魔法で糸を造り亀甲縛りで神父を縛り上げた。若干縛る時に変な感じがしたが気のせいだろう。

 

何故亀甲縛りかって?

何となく似合いそうな気がしたんだよ。

この縛られている姿を見る限りMの素質ありそうだよ、こいつ。

っていうか薄い本とかでよくある「くっ殺」いただきましたー!ありがとうございます!

男の「くっ殺」なんて誰得だよ!とは突っ込まないでくれ。これはそういうノリなんだ。

 

そんなわけで俺と銀髪の神父はテンションMaxになり、ハイタッチをする。

いやぁ、こいつ最高なノリしてるわ。

思わず眷属に加えたくなるぐらい。アッハッハッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれ?何でこいつ亀甲縛りから脱け出してんの?

おかしくね?

 

縄脱けなんて神父の基本だって?

ねぇよ。神父ってなんだよ。神を崇めんじゃねぇの?縄脱けスキルが基本の神父なんて嫌だよ。どこぞの暗殺者じゃないんだから。

前に激辛麻婆を教えてくれた神父といい、昔会った借用書を押し付けてくる神父といい神父にまともな奴はいないのか。

 

そう言っている間に木場君が銀髪の神父に切りかかった。

あれ?これってもしかしてだけど銀髪の神父が木場君に襲いかかっていたんじゃなくて、木場君が銀髪の神父に切りかかっていたってこと?

うわ、ヤバ!最悪な勘違いしてたわ。

早く木場君を止めないと。

 

俺が木場君を何とか止めていると木場君がこの神父はかつてアーシアちゃんを痛め付けていた堕天使の部下だった『フリード・セルゼン』という奴だった事を教えてくれた。

あれ?『フルート』じゃなかったの?っていうかこんなノリがいいやつがアーシアちゃんを痛め付けていたの?

 

それに対して全力で銀髪の神父……フリード君に怒られた。

やりたくてやってたわけではないらしい。はぐれエクソシストとなったのも仲間に裏切られた結果らしい。

 

あの堕天使の下にいたのも、住所やら戸籍がなく、その上、教会に指名手配を受けていたため働けなかった事により渋々生きるために付いていっただけらしい。

 

そうじゃなかったら、大好ぶt……大好きな聖女をいたぶるなんてやりたくない、寧ろいたぶられたいとのこと。

やっぱりMなのか?そうなのか?後大好物って言いかけてなかった?気のせい?……まぁそういうことにしておこう。

 

にしても可哀想な奴だな。仲間に裏切られてこんな薄汚れた仕事まで受け持つなんて。

いっそのこと俺の眷属にならない?ノリの良い君なら大歓迎だけど?

 

俺がそう言うと木場君が驚いて止めてくる。しかし、これは結構真剣な話なのである。何となくこいつをこのまま薄汚れた仕事に染め尽くすのは惜しい気がしたんだよ。だからその殺気を抑えてくれ。

 

それで返事は?

 

 

 

一応仕事だから最後までやり遂げたい?

むむむ、そういうことなら仕方がない。

なら、その仕事が終わったら改めて答えを聞こうかな。

 

フリード君は嬉しそうに頷いた。

うむうむ。他人の喜ぶ顔は良いものだ。

 

ところでその仕事って何?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリード は けむりだま を つかった ▼

フリード は にげだした ▼

 

 

……あれ?何で逃げたんだろうか?

 

まぁ良いか。

 

また仕事が終わったら会えるようだしその時に期待しよう。

木場君も、もう彼の事は良いから早く帰るんだよ。

近頃は物騒だからさ。

俺は木場君にそれだけ告げて家に帰った。

 

 

 

 

家に帰るとジャンヌは何かに怯えるように至るところに結界構築用の聖剣を突き刺している。

俺の結界の強度も上げるように言われたので最高レベルまで上げてやったのだが……何かあったのかねぇ?

 

この前も使い魔の森から家に帰ったら泣きつくように俺の胸元に飛び込んできたし。

 

その後、二時間ぐらい俺の胸元で泣きついてくるジャンヌの頭を撫でていると漸く元の調子に戻ったようで、木刀(聖剣版)でぶっ叩かれた。

流石に理不尽すぎねぇ?

まぁ後で謝られたから許したけど。

 

だけど、この結界のせいで自由に家に入りづらくなっている。

ミッテルトちゃんもアクアちゃんも家に入るときは苦労しているみたいだ。

あっ、ちなみにアクアちゃんって言うのはこの前のウンディーネの子供のことね。ウンディーネ内では名前を付けないようだからミッテルトちゃんが命名してた。

……ネーミングセンスが単純とか言ってやんなよ。本人達は気に入ってんだから。

 

それはさておき、この二人があまりにも家に入るのに苦労しているので俺は二人に結界をすり抜けられる二人専用のパスポートの様なものを渡そうとしたが、輝姫がそれを却下した。

 

結界をすり抜けられるように魔力の扱い方を覚えるのもいい修行になるからとのこと。

やっぱり、あいつは鬼畜だ。

一応俺達の修行をやったとはいえ、下級悪魔になったばかりの存在とその使い魔が、最上級悪魔さえも封じ込めてしまう結界を抜けられるわけねぇだろ。

 

その本人もラークを連れて北欧の方へ修行の旅に戻ってしまったし。

また光の神(バルドル)や、勇者の魂(エインヘリャル)といった斬っても問題ない連中の元へ行ったのだろう。

あいつら基本的に必殺の攻撃を受けても復活(蘇生)できるし。

本人達からしたら、迷惑以外の何者でもないけどな。

この前苦情の電話が掛かってきたし。

 

って、何で俺が怒られなくちゃいけないんだよ!苦情なら本人に言えよ!

……恐くて出来ない?お前らそれでも神と勇者か!?

 

しかも、苦情入れる時にも戦乙女(ワルキューレ)使ってんじゃねぇよ!

電話越しに聞くワルキューレの申し訳なさそうな声に心が痛むんだよ!

何度、電話相手のワルキューレ達にお詫びの品を送ったことか。

 

……主神(オーディン)は少しは自重しろ。最初はお詫びの電話だったのに、段々ワルキューレ達のオーディンからのセクハラの被害の話になり、最近では愚痴の方が多くなってきている。

 

一度、輝姫にもセクハラを仕掛けて叩き斬られそうになったこともあるとか。

……命知らずのセクハラ爺め。

 

悶話及第(それはさておき)

 

う~ん。早いとこ、魔力の扱いに上手くならないとこの二人死んじゃうんじゃないかな?

 

……仕方ない今度、『俺式魔力操作術(応用編)』を開くとしよう。

ついでだから、グレモリー眷属とシトリー眷属も呼んでおこうか。彼女達の面倒も見ないと魔王(シスコン)が煩いからね。

 

俺がそう心に決めているとチャイムがなった。

玄関から聖なる気配を感じるので一般人の訪問者ということはあり得ないだろう。

 

もしかしたらフリードが依頼を完了して、返事をしに来たのかもしれない。

俺は少しワクワクしながら扉を開けて……後悔した。

 

そこにいたのはローブを纏っている二人組。

片方は怯えたような目をしており、もう片方は俺の事を睨み殺さんとばかりに鋭い目で睨んでいる。

 

……俺が思わず扉を無言で閉めたのも仕方がないと思う。

だって、不審者だもの。

 

直後、家のドアに破壊力抜群の聖剣が叩きつけられた音がした。

しかし、家の扉は結界によって無傷だったことは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、先程の不審者を家に上げてしまった。

 

別に結界が破られたわけではない。

扉を殴られている間、無駄にでかい音が鳴り響き続けていたため、睡眠妨害となりキレたジャンヌが二人を叩きのめしたのだ。

 

……勿論俺も二人を上げるつもりは無かったのだが、ローブ姿の女性二人──ジャンヌが叩きのめした際に顔が見えた──を放置するのは世間体的に悪い。

他の場所に運んでもよかったのだが魔法を使うと近所の人に見られると後処理が面倒だし、人力で運ぶと人目に付く可能性が高く、噂が立つ。

 

そう、仕方がなく、仕方がなーく。二人を横抱きで抱え上げたのだ。

 

け、決してやましい気持ちが会った訳じゃないんだよ?

家に上げるのに機嫌の悪いジャンヌに手伝わせるわけにもいかないし、見た目幼いミッテルトちゃんやアクアちゃんに手伝わせるわけにもいかない。

なので必然的に俺が抱え上げるしかないのだ。

 

……うん。色々と柔らかい感触で凄くドキドキしてしまった事は事実だがやましい気持ちは本当に無かったので、その聖剣下ろしてください。ジャンヌさんや。

この二人が持っている聖剣よりも聖なるオーラが出てる気がするんですけど?

 

結局二人が起きるまで俺の後ろで機嫌の悪いジャンヌに聖剣を向けられ続けられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局二人が起きたのは、翌日となってからだった。

よっぽど疲れていたのかぐっすりと寝ていた。

 

対して俺の体調は最悪である。

この二人が熟睡だったため、監視のため(?)ずっと後ろから殺気を感じて休むに休められない状態だったのだ。

 

そのジャンヌは二人が起きたのを確認すると、一人寝室へと戻っていった。

あの野郎……!

 

寝不足の状態なので若干目付きが悪いようで二人は軽くびびっている。

しかし、そこまで怯えられると俺も悲しくなるので止めて欲しい。

とりあえず、我が家を訪ねた理由の説明を促した。

 

すると二人は怯えながらも説明してくれた。

 

事の発端はグリゴリの幹部の堕天使『コカビエル』が教会が管理していた大戦で七つに折れた聖剣『エクスカリバー』を盗んだ事であった。

 

目的は不明だが、コカビエルは聖剣を盗んだ後、何人かのはぐれエクソシストを雇い日本にやって来たらしい。

 

それを教会は取り返そうと二人を派遣。教会側は悪魔陣営に邪魔されては困るので傍観していて欲しいと忠告するように言われていたので忠告に来た。

 

……まぁうん。教会からしたら俺たち悪魔も堕天使も敵であることには変わらないもんね。教会側の言い分も仕方がないか。

 

その忠告までは許せた。しかし、その後の事は許さない。

 

奴等は元聖女を……ジャンヌの事を『龍の魔女』と呼びやがった。

 

『龍の魔女』とはジャンヌにつけられた蔑称だ。

聖女が神を裏切り魔女となり、その魔女が操る異能(セイクリッド・ギア)が龍を形作った事で付けられた付けられた。

 

俺はそれにぶちギレた。

元はと言えばジャンヌが教会を追い出されたのは(教会)がジャンヌを裏切った事が原因だ。

それさえなければ、ジャンヌは未だに先祖と同じく、聖女と崇められている筈である。

 

それをお前ら(教会)は裏切った。

それなのに……お前らがジャンヌを『魔女』と呼ぶんじゃねぇ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……魔力と殺気を全力にして二人に向けてしまったせいで、目の前の二人は失禁しながら気絶してしまった。

 

最近、聖水(意味深)をよく目の前で漏らされる事が多いような気がする。

 

……やっちまったなぁ。大人げなかった。

この二人は人間だから見た目通り十数年しか生きてないだろう。

その二人に本気の怒りを向けてしまった。

反省しなくちゃな。

 

とりあえず、二人の面倒はミッテルトちゃんとアクアちゃんに任せておいた。流石に俺が二人の下の世話をするわけにはいかないだろう。

まぁ見た目幼い二人に世話をされたとなれば少しは恥ずかしがるかな?

 

あれだけ脅したのに俺の眷属であるミッテルトちゃん達に何かするようであれば俺は本気であの二人を消す。

 

前世なら無理なところだが、二人程度の力ならば消し飛ばす覚悟も力も今の俺にはある。

頼むから反省してくれよ。

 

その後、二人は気絶から目覚めた後、逃げるようにそそくさと家を出ていった。

 

ミッテルトちゃんから聞いた話だと、これからグレモリー眷属にも同じく忠告に行くらしい。

 

……まさかと思うがあの二人アーシアちゃんにも同じようなこと言わないよな?

 

俺はその事を心配しつつもとりあえず、未だに体が睡眠を求めていたため、布団に潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝起きたら、布団の中にジャンヌが下着姿で潜り込んでいた。

 

あ、なんか既視感(デジャウ)

 

とりあえず、俺は大きな悲鳴を上げておいた。




と、言うわけであらかじめ教会娘達にはアーシアの事を馬鹿に出来ないように釘を打っておきました。

後、この作品のフリード君は実はいい人です。後、眷属化のフラグも立てておきます。

次回もまた見てくださいね!


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第12.5話

おかしいな。本編を執筆していた筈なのに、いつの間にかジャンヌさんの過去編書いてた。
何を言っているのか(ry

本編が執筆が進まない中この話を放置しているのは勿体無い気がしたから、取り敢えず投稿。

それでは、ジャンヌさんの過去編どうぞ。


「……ふん。何よ。格好つけちゃって」

 

私はコッソリと教会の二人組とグレイとの話を盗み聞いていた。

 

普段のグレイならばれるが、今のグレイは睡眠不足により、注意力は散漫である。

だから、気配を本気で消せばばれることはなかった。

 

私は自身が教会からどんな蔑称で呼ばれているのか知っていた。

『龍の魔女』や『裏切りの聖女』やら様々な名称が広まっていることも知っているまぁここら辺はまだ格好いいと思えるだけましなのだろう。

だけど『淫乱魔女』ってのはどこから出てきたのよ?おかしいわよね?聖女から魔女になったら清楚な一面も反転すると思ってんの?ねぇ!?

 

コホン。

取り乱してしまったけど、話を戻すと私は私のために本気で怒ってくれたグレイに嬉しく思っていた。

 

昔は聖女だなんだと言われ祭り上げられていた私だけど、父母も早々に死に、私のために本気で何かをしてくれる人がいなくなってしまった。

だからこそ、私は人々の役にたち誰かに誉めて欲しかった。その為にありとあらゆる悪事を未然に防ぎ父母も愛していた神のために戦った。

 

しかし、それは教会にいる腐れ神父にとっては不都合な事であった。

今までに行った悪事を悪魔や堕天使のせいにして民から討伐代として金銭などをむしりとっていた教会にいる腐れ神父は無償で行動していた私を鬱陶しく思い、私を罠に嵌めて処刑しようとした。

処刑される寸前にバランスブレイクに目覚めて逃げ出していなかったら私は今ここにはいないだろう。

 

しかし、こうして生まれたバランスブレイク『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』は教会からしたら実に魔女認定するには都合がよかった。

 

神器で産み出した聖剣のドラゴンとはいえ、ドラゴンと言えば、どの神話も悪の化身や人間の敵として描かれている。

そんな物を造り上げたとしたら信じてなかった人々も当然私が魔女と認めざるを得ない。

 

この町の教会……否、全世界の信者がこの時、私の敵へとなったのだ。

 

その後、私は逃げ続けた。

どこまでもどこまでも遠く遠くに逃げた。

誰にも見つからないように。

 

しかし、逃げ続けていたとしてもいずれは限界が来る。私は隠れていた洞窟の中で遂に体は限界を迎え倒れた。

 

あぁ、ここまでかな。と思いながら私は意識を失いかけ……不意に感じたいい臭いで無理矢理、目を覚まさせられた。

 

私は臭いに釣られるがまま鉛のように思い体に鞭をいれて動く。正直、体はもう限界を告げていた。

けど、何故かこの臭いには体が勝手に反応して動いてしまう。

臭いの発生源、そこには二人の男女がいた。

 

「まだシチューはできないのですか、グレイ?もう私お腹空きました」

 

「もうちょっと待てってば。もうすぐ煮込み終わるから」

 

「もう少しですね。分かりました。……まだできないのですか?」

 

「はえぇよ!?」

 

「早く食べないとグレイと夜の修行が出来ないじゃないですか」

 

「妙に艶めかしい声で、誤解の生みそうな事を言うのを止めて貰えません!?」

 

「私はいつでも(戦闘訓練を)本気で待ってますよ?」

 

「畜生!?修行の事だと分かっていても反応しちまうこの体が憎いぜ!」

 

……最初の印象は随分賑やかな二人だなぁということだった。

この感じは私の父母に似ている。父が母にからかわれ、母の玩具にされる感じだ。

どこの世界も男は女に弱い生き物なのかもしれない。

 

次に感じたのは二人の気配だった。

この二人の気配はエクソシストを七歳から三年間続けてきた私には分かる。

この二人は悪魔……それも最上級いや、それ以上、魔王に匹敵する強さを持つ悪魔だ。

 

何故もっと早く気付かなかったのかと自分を叱咤した。

 

勿論、体が極度の疲労に達していたとか、この二人の実力が予想より遥かに上だったとか様々な理由はあるがこの時の私は逃げないとという気持ちで一杯だった。

 

しかし、体は時として自分の意思とは反する行動を起こすときがある。そして、今がその時であった。

 

 

 

 

 

グ~~~~~~

 

こっそりと逃げようとした私のお腹から盛大に音が鳴った。それはもう、誰かがわざと大きな声で言っているのではないかと疑ってしまうぐらい盛大に。

 

きっと、その時の私の顔は真っ赤であっただろう。恥ずかしすぎた。生まれて十年。聖女として生きてきた私にとって初めての恥辱であった。

 

「……あ~うん。そこに隠れている娘。お腹空いているならシチュー食べる?」

 

「遠慮はしなくてもいいんですよ?」

 

あまりにも大きな音だったせいか悪魔二人に気遣われてしまった。

はっ、恥ずかしすぎる。

 

結局シチューは鍋一杯頂いてしまった。だって空腹だったんだし、とっても美味しかったんだもの。

その後、男の方の悪魔から生暖かい視線を感じ、顔をまた赤く染めたのは別の話だ。

 

 

 

 

 

その後、私は二人に恩を感じ、二人のために何か出来ないかと二人に連いていき──決して、決して食べ物に釣られたわけではない──世界中を旅して回った。

ギリシャに行ったり、北欧に行ったり。

そのほとんどが戦闘目的ではあったが父と母が死んでから初めて色々な事が楽しく思えた。

 

そして、初めて出会ってから二年が経過した頃だった。

 

「……ねぇ、ジャンヌ。俺の眷属とならない?」

 

「えっ!?」

 

私はグレイに眷属へと誘われた。

 

「……嫌だった?」

 

「い、嫌じゃないけど……その……」

 

特に意味もないのにもじもじとしてしまう。

おかしい。私はこんなキャラではない筈。

 

「嫌なら嫌でいいよ。断ってくれて」

 

「えっ!?そんなことは……」

 

「元々俺の勝手な勧誘だしね。聖女であった君には耐えられないだろう」

 

そんなことはない。腐れ神父に嵌められたあの日から私は神を信じるのは止めた。

だから、この誘いは嬉しかった。

しかし、彼は私の事を考えてこの誘いを断ってもいいと言ってくれた。

いつもなら、私の為を思っての発言なら嬉しく思っている。

 

だけど……

 

「だから返事は、また今度でもいいよ。けど、俺達はこれから一回冥界に帰るから人間である君を連れていくわけにはいかない。だから一旦ここでお別れ。次出会う頃にはいい返事を聞かせてくれると嬉しいな」

 

「……」

 

何でこんなに……

 

「……うん。なんか暗くなっちゃったな。大丈夫!今生の別れって訳ではないんだから!またいつか会えるからね!」

 

悲しくなるのだろう?

私に背を向け去っていく姿は似てない筈なのに……死ぬ間際の父と被って見えた。

 

「!待って!!」

 

「わっ!?」

 

私は彼に後ろから飛び付いてしまった。

何故かは今となってもよく分からない。

しかし、ここで止めなければ一生会えないような気がした。

 

「あっ!?……う……」

 

「えっと……どうした?」

 

「…………よ」

 

「へっ?」

 

「あげ……わよ」

 

「?」

 

この……!何で察せないのよ!今までの話の流れで分かるでしょう!?わざとか!?わざとなのか!?

難聴系主人公ってヒロインを蔑ろにしているみたいで私は嫌いなのよ!

 

「だから!貴方の眷属になってあげるって言ってんの!!察しなさいよ!!」

 

「痛い!?痛いってば!?」

 

私は恥ずかしさのあまりポカポカとグレイを叩く。

実際にはポカポカなんて生易しいものでは無かったのだがこの時の私は恥ずかし過ぎてそんなことを気にする余裕は無かった。

 

 

そして、私はグレイの眷属となった。

駒は『騎士』。本当は彼の『女王』になりたかったけどその座は既に輝姫が取ってしまっているので私はなれなかった。

でも、別に駒の事は取っても取れなくてもどっちでもよかった。

 

だって、隣には私の好きな人(グレイ)がいて、眷属になった事で寿命が伸びて、人間だった頃よりも遥かに長く一緒にいられる。

その事実だけで私の心は満たされたような気がした。

 

ライバルも修行馬鹿(輝姫)しかいないし、私の勝ちは確定ね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、思っていた時もありました。

 

冥界に着いたら、早速出迎えたのはツインテールの巨乳の美少女であった。

 

彼女がグレイに飛び付いた瞬間にライバルだと分かったのだが、相手は魔王、レヴィアタンであった。

 

その時点で結構絶望していたというのに、次から次へと出てくる彼に想いを寄せる女の子達。

町を歩けば老若問わず女性悪魔に囲まれ、上級悪魔のお宅へ訪問すれば娘の許嫁にならないかと誘われ、宿に泊まれば従業員達(ほぼ全員が巨乳)が寄ってくる。

 

口の端がピクピクとひきつるのが分かった。

どうやら私の想い人にはライバルが多いそうです。

 

とりあえず巨乳を当てられデレデレしていたグレイの頭に木刀(聖剣版)を叩きつけておいた。

 

これが聖剣『洞爺湖』が生まれた瞬間である。

 

グレイは犠牲となったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……過去の事、思い出したら腹が立ってきた。

何よ!グレイったら巨乳に囲まれてデレデレしちゃってさ!そんなに貧乳は気に入らないの!?ささやかな胸は嫌いなわけ!?

 

……いいわ。その性癖(常識)ぶち壊してやるわよ!首を長くして待ってなさい!!

 

私はそう心に誓い、計画の第一段としてグレイが眠っている布団に下着姿で潜った。

 

その日の夜は隣に感じる人肌のおかげでいい夢が見れる気がした。




じ、次回こそは絶対本編を上げます。……た、多分。

また次回も見てください。

……批判や評価等の感想があってもいいんだよ?


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第13話

待たせたな!!

……あ、いや。そのごめんなさい。
リアルの方が色々忙しくて中々執筆時間取れなかったんです。はい。

今回は本編ですが全体的に雑な感じになってしまったイメージがあります。
どうか皆さん指摘やアドバイスをください!!

それでは本編どうぞ。


さて、ジャンヌが布団に潜入(スニーキング)した日の放課後。

 

俺はリアスちゃんに呼び出されてオカルト研究部の部室へ向かっていた。

 

何でも今日誰かと会う予定があるので、この土地の管理者の一人として話し合いに参加して欲しいとのこと。

 

そして、部室へ向かう途中、先日、俺の家に来た聖剣持ちのエクソシストの気配を感じたので若干不機嫌になる。

 

あいつらがここにいるってことは今日、会う人物とはあの二人の事らしい。

 

チッ。

 

おっと。舌打ちなんかしたらいけない。

俺は教育者である。生徒に悪影響が出るような事をしてはいけない。

 

そう。それが例え俺の大事な家族(眷属)を貶す発言をしていたとしても。

 

 

 

バキャ!!

……あ。駄目だ。怒りのあまり壁を壊しちまった。

ヤバイなぁ。

 

俺が部室の前に着くとピリピリした雰囲気を感じた。

またあの馬鹿達が暴れているのかと少し怒気を発しながら部室に入ると、一瞬でピリピリした雰囲気が霧散し、エクソシストの二人は俺の前に綺麗なジャンピング土下座をした。

 

……う、うん。流石に入った瞬間ジャンピング土下座をされるとは思っていなかったから面食らってしまった。

不覚。

 

ところで何があったのかな?

 

俺はひきつった顔で苦笑いしているリアスちゃんにそう尋ねた。

 

 

どうやら先程のピリピリした雰囲気は二人が持っていた聖剣『エクスカリバー』に恨みを持つ木場君が二人に、因縁を吹っ掛けた事が原因だそうだ。

 

その怒気に二人も触発され、緊迫した状態になった時に、俺が軽く(他の人曰く強力な殺気に等しい)怒気を発しながら部室に入ってきたので、この前の事件のせいで敏感になっている二人がジャンピング土下座を極めたと。

 

……う、うん。まぁ争いを事前に止められたのだから良しとしよう。

だから、いい加減頭あげてくんない?

教職員としては若い女性二人にその格好をさせ続けるのはかなり問題があるから。

 

その後、二人に土下座を辞めさせるのに数十分時間が経過した。

その間に、木場君は呆れた顔で出ていってしまった。

 

うん、なんかその……雰囲気壊してご免なさい。

 

結局この日の話し合いはこれで終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、怪しいフードの連中がうちの学校の制服を着た生徒と思われる人物達となにやら密談していたとの目撃情報がファミレスから入った。

 

……フードの怪しい奴等っていったらあのエクソシストしか思い付かねぇ!?っていうかよくそれまで通報されなかったな、と不思議に思える。

 

しかし、そんな連中とうちの生徒が密談していた?

リアスちゃんやソーナちゃんからはエクソシストに不用意に近づかないようにするって連絡を受けていたから多分違うだろう。

 

じゃあ一体誰があの怪しい連中と会っていたというのか。

 

……駄目だ。わからん。

しかし、こんな通報が入ってしまった為に急遽職員会議を開き、教師陣で夕方から見回りをすることになった。

他の教師は日替わり制なのだが俺の場合は理事長(グレモリー)命令で毎日やることになっている。

 

……おのれ、犯人め。許さんぞ。

 

そんな訳で今晩早速見回りをしていたわけなのだが……

 

なんということでしょう。

戦闘音と魔力の波動を感じたのでダッシュで駆けつけたらそこには尻をかなり魔力の籠った平手で()であるリアスちゃんとソーナちゃんにぶっ叩かれる兵藤と匙君の姿が。

 

……一体どういうことだってばよ?

 

 

此方に気付き顔を真っ赤にしていたソーナちゃんによると(リアスちゃんは下僕(ペット)の躾は当然の事ですと誇らしげにお仕置きを続行していた)最近、あのエクソシストと密談していたのは、お仕置きを受けている兵藤と匙君、それと小猫ちゃんらしい。

密談内容はエクソシスト達にエクスカリバーの破壊の協力について、だそうだ。

 

……眷属()()に似るんだね。

彼らは自らの仲間の為に頑張ろうとした。それは即ち情愛に深いグレモリーの思想と全く同じ物だ。

匙君はグレモリーじゃあ無いけど、誇っていい。

君達はリアスちゃんやソーナちゃん達にとって最高の眷属だ。

 

俺がそう誉めると、その場にいた対象の人物は顔を赤くしていた。どうやら照れているらしい。

残念ながら今回、対象外となってしまった人物達はガッカリしている。

まぁ今回は仕方がないから我慢してくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、それじゃあお仕置きを開始しようか。

 

……いや、何皆して呆けた顔してんの?

 

当たり前じゃん。

眷属としては最高とは言ったけど、不審者(ローブの怪しい奴等)にホイホイとついていき、挙げ句の果てにはこんな夜遊びまで。学生としては最悪なレベルだ。

 

この件は悪魔関係の話だから一般の先生に言うわけにはいかない。

だから俺達はほとぼりが冷めるまで見回りを続けなければならない。

 

つまりは俺のストレスはっさ……ゲフン、他の先生達のこれからの苦労の分までお前らも痛い目にあおうぜ♪って事だ。

 

あっ、勿論リアスちゃんとソーナちゃんも罰を受けなければならないよ。

 

……いや、何でって言われても眷属()の失態は()が責任をとらなければいけないだろ。

 

あっ、朱乃ちゃんや椿ちゃん達は帰っても大丈夫だよ。今から君達の分までリアスちゃん達が罰を受けるから。

 

椿ちゃん達、シトリー眷属は別れの挨拶をしたら駒の力と魔力を全力で使って逃げ出した。

おお!いいダッシュだ。

 

……ところで何で、朱乃ちゃんは残っているの?

えっ?お仕置きを見て学びたい?そ、そんなニコニコして言わなくても……。

 

ま、まあいい。

とりあえず、お仕置きを始めよう。

 

先ずは防音結界を貼って……昔あった妖怪の能力を真似た魔法『第三の目(サードアイ)』発動!

 

俺の背後に魔力で出来た目が現れる。それはその場にいた全員をギロリと睨む。

あまりの眼力にその場にいた全員が怯んでいた。

 

本来、この『第三の目』(サードアイ)は相手の深層心理まで干渉し、相手の精神的外傷(トラウマ)や秘密を暴く目だ。

俺の場合は魔力で作り出しているので、あの妖怪のように深層心理まで干渉することはできない。

が、俺の頭に相手のトラウマを映し出さないように限定さえすれば、少しだが干渉することができる。

 

しかし、干渉できるのは少しだけ。

だから、精神的に参ってしまうようなトラウマを映し出すことは不可能。

 

つまり、この場で彼女達が見ているのはそれぞれが胸に秘めている恥ずかしく、悶絶してしまうような出来事のみというわけだ。

 

絶叫が結界内で響いた。

 

其々が隠していた恥ずかしい秘密を脳内に無理矢理流され見悶えている。

時折、聞こえてくる言葉からどんな恥ずかしい事をしたのかも、何となく分かってくる。

 

ただ、一部聞いてるこっちが凄く恥ずかしくなる事を口走っている子もいる。

その筆頭が王だというのだから救われない。

こんな二人を見たくなかった(だけど、お仕置きはやめない)。

 

朱乃ちゃんは凄くイイ笑顔でいつの間にか持っていたビデオカメラで録画していた。

どこから取り出したのか聞いてはいけない。

色々な意味で危険な感じがする。

 

取り敢えず、最初から俺の中で決めていた罰ゲームの時間の間、俺は皆にトラウマを見せつけていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、いきなりリアスちゃん達に呼び出された。

 

何でもコカビエルがリアスちゃんとアーシアちゃんが同棲している兵藤の家へと襲撃したらしい。

 

……おかしいなぁ。お兄さんアーシアちゃんが兵藤の家に住んでいるのは知ってたけど、リアスちゃんまで住んでいるとは知らなかったんだけどなぁ~?

 

電話越しに慌てて弁解する声が聞こえた。

まぁ責めているわけではない。ただ知らなかっただけだからホウレンソウ(報告・連絡・相談)をして欲しかっただけだから。

それに、リアスちゃん流石にお兄さんには連絡しているんだよね?

 

……ねぇ。何でそこで黙るの?

えっ?もしかして、連絡してないの?

 

……俺、魔王(シスコン)に殺されないよね?

 

 

俺が気落ちしていると電話越しに励まそうとしているのが分かる。

それに早く来てくれとも言われた。

 

……一応魔王(シスコン)にリアスちゃん達とこの土地の事を任されている身としては行かないといけないけど生憎今は行けそうにない。

 

 

 

 

何故なら今目の前には神の子を見張る者(名前的にある意味管理局)の白い悪魔が目の前にいて俺の進路を塞いでいるのだから。

 

……いや、スターライトブレイカーとかは教えてないよ?あいつにこんな事を教えたら大変なことになる(主に俺の精神面で)。

 

で?何でお前がここにいるわけ?お前がここにいるって事はアザゼルからなんかの指令を受けてきてんだろ?

 

……馬鹿をやらかしたコカビエルの回収?

え?そんなことでお前が駆り出されんの?

 

……本当の目的は『赤龍帝(ライバル)』?

 

いや、あんまり期待しない方がいいぞ。

今代の赤龍帝は悪魔になりたてだから戦闘経験も魔力も少ないし、常に胸のことしか頭にないような変態だし、馬鹿だし、騒がしいし……ってあれ?悪いとこしかなくね?

 

い、いや待て。

どんな奴にも良いとこは一つはある。

だからそんな寂しそうな、それでいてガッカリしたような顔をするな。

 

え?兵藤の良いところ?

 

……………………………………こ、根性とか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、気を取り直してどうして俺の邪魔をするのか教えてもらおうか。

 

……お願いだから立ち直ってよ俺が苛めたみたいになってんじゃん。

 

俺がそんな風におろおろしていると、ポツポツとだが喋ってくれた。

 

赤龍帝の力と将来性を見るには極限まで追い込む必要があるから、俺に手を出してほしくなかった?

 

……まぁ気持ちは分かるけどさ、俺も教師兼協力者って立場だから無理があるな。

だからまぁ諦めてくれ。

 

俺がそう言うとあいつは懐をごそごそと漁り、何かを取り出した。

 

……!?な、何故お前がそれを持っている!?

 

あいつが取り出したのは俺にとってある意味弱点となるものだった。

っていうか、本当に何で持っている!?

それを持っているのは恐らく輝姫ぐらいし…か………

 

………犯人分かっちまったぜ、こんちくしょう。

そういえば、こいつ、輝姫のお気に入りだったな。

輝姫め………!俺に内緒で勝手に渡しやがって!

 

……分かったよ。それに免じて今回はお前のお願いを聞いてやる。

ただし、今回だけだからな。

 

俺の返答を聞いて笑顔になる。

はぁー。

まぁいいだろ。俺が手を出すまでも無いだろうし。

 

俺がそう言うと怪訝そうな顔になった。

今代の赤龍帝達は弱いのではないのかと。

 

まぁ今回の敵は木場君だけでなくあいつ(・・・)にも関係ある人物が敵だからな。

果たして兵藤達の出番があるのか。

 

俺がそう言った瞬間巨大な聖なるオーラが結界を突き破って天へと上った。

それを見て俺は、やっぱり兵藤達の出番はないのだろうなぁとため息をつくことしか出来なかった。




つ、次こそはこんなに遅くならないように頑張ります。

なので、どうか見捨てないでください。
ご意見ご感想お願いします!


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第14話

忙しい中、暇を見つけて書いたお話です。もしかしたら誤字や矛盾があるかもしれません。あったら指摘をよろしくお願いします。

今回は主人公の視点どころか登場自体ありません。
なので他の登場キャラ視点でやろうと思ったのですが作者の文才の無さ故に原作キャラ視点は難しかったので今回は地の文がメインとなります。

それではどうぞ。


時は少し前に遡る。

 

コカビエルとの決戦に周囲の土地や人に被害が出ないようにシトリー眷属が結界を貼り、グレモリー眷属がコカビエルとその手下達を倒す為、戦闘に入っていた。

 

時間稼ぎの為に呼び出されたケルベロス二体をそこそこ苦戦しながらも傷を負うことなく倒した、グレモリー眷属と教会のエクソシスト、ゼノヴィア(この時、イリナは既にリタイヤ済み)。

 

しかし、エクスカリバーの統合する時間はきっちりと稼がれてしまいこの町に集められた五本のエクスカリバーの内四本を統合させてしまった。

 

そのエクスカリバーを手にしたフリードを木場とゼノヴィアとで挑んだがその能力故に苦戦させられていた。

 

その時にバルパーが幼い木場達への実験の真実を語った。

その実験の末に結果的に残った木場と、木場を想い続けた仲間たち。その想いで、木場はバランスブレイク『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』へと至った。

 

その光景を見て口の端を引きつらせる、フリードとバルパー。

 

「やー、バルパーの爺さん。俺っちあれから嫌な気配ビンビン感じるんで逃げちゃダメっすかね?ぶっちゃけ勝てる気がしないっすわ」

 

「な、何を言い出すのかと思えば。お前には七分の四とはいえ伝説の聖剣『エクスカリバー』があるのだ。負けるわけがない……だろ?」

 

「いや、俺っちに聞かんでくだせぇよ。しかも、自信なさげに」

 

「いや、結晶渡したの私だけど、まさかあんなことになるとは思ってなかったのだ。……しかし、妙だな。聖と魔は水と油の関係。本来なら混ざり合うことはないのだが」

 

なんかぶつぶつ言っているが木場にとってはそんなことは関係ない。

昔の仲間達の思いや願いを籠めてエクスカリバーを持つフリードを睨む。

 

「フム、聖魔剣とエクスカリバーか。ならば私もこの決戦に相応しくしなければな」

 

「いや、そこにいる金髪君だけでもヤバイからそのままゆっくりしてくれても」

 

「却下だ」

 

「Oh………」

 

「ペトロ、バシリウス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ……我が声に耳を傾けてくれ」

 

フリードが項垂れている間にゼノヴィアは詠唱する。

その横に突き出した手の先に魔方陣が浮かび光が漏れ出した。

 

その光と同時に現れたのは一本の封印の術式の籠った鎖に巻かれた剣。

しかし、その剣は鎖に巻かれてなお莫大なオーラを感じる。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する!聖剣『デュランダル』!」

 

名を叫んだ瞬間、鎖が弾けとび、封印されていた膨大な聖なるオーラが溢れ出した。

 

その名を聞いて驚いたのはバルパー。

彼は驚愕と同時に叫んだ。

 

「馬鹿な! 私の研究ではデュランダルを扱える領域達していないぞ!!」

 

「悪いが、私はそいつやイリナとは違う数少ない天然物だ」

 

「完全なる聖剣適正者……真の聖剣使いだと言うのか!?」

 

ぐぬぬと唸りながら後退する、バルパー。

彼はかなりの高齢であり、ただの研究者でしかないので戦闘能力はない。

主であるコカビエルはこの状況を楽しんでいるのか、傍観に徹している。

この場で戦えるのはエクスカリバー(ただし七分の四)を持つフリード一人。

 

それに対して、相手側にはグレモリーの娘に雷を出す怖い巫女。それに怪力娘。

更には赤龍帝、聖魔剣、デュランダルといった武器が強力すぎる面子。

それに加えて回復要員も完備。

 

「なー、バルパーの爺さん。俺、本当に逃げ帰っちゃダメっすかね?この面子に俺一人で勝てっていうのは無理があるんすけどー?」

 

「……フリード。お前の死は無駄にしないぞ」

 

「ちょっ!?見捨てること前提っすか!?」

 

「当たり前だろ!私があんな奴等と戦えると思うなよ!」

 

「自信満々で言うんじゃねぇよ!俺だって無理だわ!」

 

「「いくぞ!!」」

 

「「止めろ!こっちくんな!?」」

 

何とも敵側(コカビエル陣営)が決戦とは思えない雰囲気となっているが主人公側(グレモリー眷属)からしたらそんなことは関係ない。

木場とゼノヴィアはフリード目掛けて突撃した。

 

フリードは真っ正面からでは勝てないと判断し懐から煙玉を取り出した。

そして、地面に叩きつけようとした瞬間、強力なオーラを放つ聖剣が下に叩きつけられようとした煙玉のみを削り取り地面に突き刺さった。

 

「全く。面白いことしてるわね。私も参加させて頂戴」

 

『ジャンヌさん!?』

 

グレモリー眷属にとっては師匠の一人で尊敬する先生の眷属の一人。デュランダル使いにとってはある意味トラウマの象徴である、見た目金髪幼女の最上級の実力者がこの場に現れた。

 

それを見た瞬間、フリードは「勝ちどころか一矢報いることも不可能だなー。あっ蝶だ」と現実逃避していた。

 

「ほう。この町に『創成の魔導王』と『斬姫』がいるとは聞いていたから奴等が現れると思ったが、まさか貴様が現れるとはな。『聖剣乙女』」

 

「…その呼び名辞めてくれない?前にその二つ名を変な勘違いで性剣(意味深)と思われた事があるから」

 

「むっ?ならばこの場では『龍の魔女』と呼んでおこうか。それで?貴様が来るということは奴等もいるのだろう?早く奴を出せ」

 

「生憎と我が主と彼女は不在よ。それに、貴方程度私が相手で充分よ」

 

その台詞にコカビエルの額に青筋が浮かぶ。

どうやら癪に触ったらしい。

膨大なオーラを発している。

 

そのオーラに、グレモリー眷属はおろか、味方であるフリード達も固まっていた。

しかし、肝心のジャンヌは全く気にしていない。

それが更にコカビエルを苛つかせる

 

「ほ、ほ~う。言うではないか」

 

「事実だからね。ぶっちゃけ、今のうちの眷属の中で貴方に勝てないのは最近眷属になった堕天使とその使い魔位ね。後、グレイと輝姫からしたら多分戦いどころか遊びにすらならないわ」

 

「はんっ!こちらこそお前ごときそこにいるフリードで充分だ!お前を倒し奴を引きずり出してやる!」

 

「ちょっ!?コカビエルの旦那!?俺を巻き込まないで!?」

 

「あらそう。なら取り敢えずフリード(雑魚)からやらせてもらおうかしら」

 

「うわーい。こっちくんな、このばけものどもー。っていうか投降するからゆるしてちょ」

 

「それはダメだよ、ジャンヌさん。彼は僕らの獲物だからね」

 

「そ、そうだぞ」

 

「むっ?そういうことなら仕方がないわね。じゃあそっちの相手は任せたわ。私は老害(バルパー)の方やるから」

 

「な、何故私の方に!?って今老害って言った!?」

 

「っていうか、俺の投降は無かったことにされてんのね。泣いていい?」

 

色々とグダグダである。

そして、フリード。第三者が冷静になって見れば君は泣いていいだろうと誰もが言うだろう。

しかし、残念なことにこの殺気が溢れる場に冷静な人物など一人しかいない。

 

その一人が率先して場をかき乱そうとしているので、どうしようも無いだろう。

 

「さあ!フリさん!バルさん!やっておしまい!」

 

「いや、旦那。俺等は逆だからな。寧ろボコボコにされる立場だから」

 

…案外こいつら楽しんでいるのかもしれない。

殺気が無ければそう思える光景であった。

 

「それにしても久し振りね、バルパー。私はあの日から一日たりとも貴方の事を忘れた事は無かったわ」

 

「っ!?まさか、あの事か!?」

 

「当たり前じゃない!貴方が私から奪った物は取り戻せない。だけど、許せるわけがないじゃない!!」

 

ジャンヌとバルパーが向き合った事でようやくシリアス方向に展開が戻ってきた。

その場にいる全員は先程の木場の件があったので、ジャンヌもバルパーに何か大切な物を盗まれたのかもしれないと怒りの目でバルパーを睨む。

 

「ええ。絶対に許せないわ貴方が奪った、大切な、大切な………

 

 

 

 

 

 

 

私のケーキを食べた貴方を!!」

 

『そんなことかよーーー!!?』

 

全員の心が一つになった。

何しろ先程、木場の悲しい過去の話を聞いたばかりだったのだ。

その流れでいえばシリアス風に誰か大切な人を失った~、とかが来て当然だと考えても仕方がないだろう。

 

ジャンヌはそんな全員の様子を驚いたようにキョロキョロして見て首を傾げた。

 

「何よ、この空気。だって楽しみに取っておいたケーキを他人に食われたら悲しくなるでしょう」

 

「同感です」

 

「小猫ちゃん!?」

 

どうやらもう一人お菓子好きーな同類がいたようだ。

二人は仲良さげにハイタッチをしている。

 

「ふ、ふざけるな!ジャンヌ・ダルク!!貴様を教会から追い出したのは私だぞ!!そんな私が憎くないのか!!」

 

「いや、全く」

 

「即答!?」

 

あまりにも早い返しにバルパーが呆然としている。

 

「貴方達が教会から追い出してくれたから、今の主に出会えたの。まぁ結果的には良かったのだから貴方達、老害に感謝してあげても良いわよ」

 

「な、なん……だと………!?」

 

その返事に更に驚愕することになるバルパー。

他の者もジャンヌの言い分に驚愕や嫌悪と様々な感情を顔に出している。

 

ここで終わればそれでよかったのだがここでジャンヌはミスを犯した。

 

「大体、戦争で魔王と一緒に死んでる神なんて信仰しても無駄なのよ。それならグレイと一緒にいる方が遥かにましよ」

 

空気が凍った。

 

漸くシリアスに戻ってきたようで地の文(作者)も一安心である。

 

「……お、お前」

 

「あ、これって言っちゃ駄目な事なんだっけ?今のカットでよろしくね」

 

『できるかーー!?』

 

ほぼ全員の声がハモった。

アーシアやゼノヴィアは呆然とし、バルパーは聖魔剣が出来た理由が分かり満足した顔をしており、他の面子はそんな面々のフォローや対処へと回っている。

本当にシリアスとは何なのか。

 

「まぁいいわ。後で貴方達には(物理的に)記憶を失ってもらうとして取り敢えずコカビエル。バルパーが戦う気が完全に失せてるようだからやっぱり先に貴方を倒すわ。バランスブレイク」

 

ジャンヌがそう言うと同時に大量の神器で造り出した聖剣が次々に集まり、ドラゴンの形をとる。

 

一本一本の聖剣から放たれるオーラがかなり強力なせいで、初めて見るその場にいたコカビエルを除いた全員は目を見開き、そのドラゴンを畏怖の眼差しで見る。

 

「ほう…それが噂に聞く聖剣のドラゴンか」

 

「『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』これが私のバランスブレイク。今からこのドラゴンで貴方を倒すわ」

 

「ふん。そんな見た目だけのドラゴンに俺が負けるわけがないだろ。本物のようにブレスが放てれば話は別だがな」

 

「あらそう。じゃあそうするわ」

 

「へっ?」

 

コカビエルが間の抜けた声を出している間に『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』は大きく息を吸い込む動作をする。

 

「ま、まさか」

 

「殺りなさい。『断罪の咆哮』」

 

次の瞬間空に浮かぶコカビエルに向けて特大の聖なるオーラが放たれた。

 

コカビエルを、結界を、更には通りすがりの宇宙船すら飲み込み空の彼方に打ち出された一撃。

そのオーラが通った後には何も無かった。

 

沈黙が回りを支配する。

ふと思い出したかのようにジャンヌは呆然としていた面子に向かって振り向き、一言。

 

「あっ、此方の戦闘は終わったらそっちはそっちでさっさと終わらせなさい。後、三分以内に終わらせなかったらさっきの貴方達に向かって撃つんで」

 

「さあ、皆!一分で片を付けるわよ!!」

 

了解(ラジャー)!!』

 

「ちょっ!?お前ら!?一対六は卑怯だろ!?」

 

「お前ら人間じゃねぇ!!」

 

この後、きっちり一分でエクスカリバーを叩き折り、バルパーとフリードを倒して捕縛した。

 

後、ここにいるメンバーの大半は人間ではないのでバルパーの言うことはある意味当たっている。

 

こうしてグダグダのままコカビエル戦は終了したのであった。




ジャンヌの神器『聖剣創造』は原作で正式な手順で造られたオリジナルの聖剣より強い物は造れない事になっているので指摘が出るかもしれませんが、これにもちゃんとした理由があります。

今後の話でそこら辺についても説明する予定はあるので今後をご期待ください。

最後になりましたが感想、評価、アドバイスお待ちしております。

今後ともよろしくお願いします。


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第15話

色々遅れてしまってすみませんでした!!

まさか書き上げたあとに保存に失敗して書き上げていた文章全てが飛ぶとは……!?
すみません。ただの言い訳です。はい。

今回の話は今まであまり無かったであろう展開になっております。
そして、あいつが性転換だ!

それでは本編15話どうぞ。


俺とこいつが駒王学園に到着した時には全てが終わっていた。

 

塵すら残っていないコカビエル。

ボロボロになって縛られているフリードとバルパー。

息を切らしながら汗を拭っているグレモリー眷属+α。

その様子を仁王立ちして満足そうに見守っているジャンヌ。

 

どちらが勝者かなんて猿でもわかるであろう。

 

隣にいる戦闘馬鹿は項垂れているし。

取り敢えず落ち着け。そんなに赤龍帝の戦いが見たかったのか?

 

俺が隣の馬鹿を慰めているとジャンヌ達が此方に気づいた。

 

兵藤は隣にいる馬鹿を見て興奮している。

その度合いはライバル(白龍皇)が若干引くレベルだ。

流石に気持ち悪いぞ。兵藤。

 

美少女がいたら男なら誰でも興奮する?

隣の木場君は別に何ともなさそうだけど?

 

…木場君はホモ?

んなわけないだろ。確かに木場くんは浮わついた噂は聞いたことは無いけどそれでも普通に女の子が好きだろうに。

なあ?木場くん?

 

……そこは、苦笑じゃなくて否定をしてほしかったなぁ。

木場君に一気にホモ疑惑が生まれてしまった。

尻を守る必要があるかな?

 

そんなことはいいからさっさとこいつを紹介しろって?

せっかちだなぁ。そんなんじゃあ女の子にはモテないぞ?

 

………お、おう。

速攻で正座して静聴し始めたよ。

あまりにも変わり身が速すぎてここにいる全員が少し引いている。俺もだけど。

 

まぁいい。

こいつはヴァーリ。

堕天使組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の一員であり、兵藤の神器『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の持ち主のライバルとなる宿命を持つ『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』を持つ()だ。

 

空気が凍った。

いやまぁ原因は分かっているのだけどね。

 

銀髪碧眼、悪魔と人間のハーフ、ドラゴン系神器(しかも神滅具)所持者、堕天使組織『神の子を見張る者』所属、どう見ても美少女にしか見えない見た目の男の娘。

要素詰め込みすぎだろ。

同人誌かっての。

 

泣くな、兵藤。これが現実だ。

それにまだリアスちゃんのところにはまだ引きこもり女装ヴァンパイア(ギャスパー・ヴラディ)もいるからまた同じような絶望を抱かなければならないんだぞ。

 

お前ならきっと乗り越えられる!俺はお前を信じてる!

 

そして、兵藤は「先生ぃぃぃぃ!」と叫びながら泣いた。

 

うむ、自分でやっといてなんだが意味わからん。

リアスちゃん達も目を白黒させてるし。

唯一、ジャンヌだけが呆れた表情で此方を見ていた。

 

少しだけその視線にゾクッと来たのは内緒だ。

 

 

 

 

さて、気を取り直して俺達…と言うよりはヴァーリ(白龍皇)兵藤(赤龍帝)は対面した。

 

まぁヴァーリは兵藤に大分興味を失ってしまっているのだが。

うん。まぁ兵藤から感じる力は大分ましになったとはいえ、それでも精々中の下位だもんな。

輝姫を何度も相手にしている(結果はほぼ輝姫の圧勝だが)ヴァーリからすれば大したことはないのであろう。

 

そんなわけで現在は神器に封じられているドラゴン同士で話している。

 

伝説のドラゴン同士の会話と聞くとなんだか凄いように聞こえるが、こいつらが封じられた理由は、お互いの喧嘩ついでに三大勢力の戦争に乱入して、一致団結した三大勢力の上位陣によって封じられたってことだからな。

所謂舐めプした結果、神器なんて物に封じられた伝説(笑)のドラゴンだ。

こう考えると格好悪い。

 

ドラゴン同士の会話が終わるとヴァーリは報告のために帰っていった。

どうやら兵藤への興味は完全に失せたようだ。

 

まぁ一教師としては生徒が無事なのは良いことだからヴァーリが兵藤に興味を失ったことは良いことなのだろう。

今更感はあるけど。

 

さて、事件は解決したから帰るかな。

明日もまた早いし。

 

そう考えて、踵を返した俺の肩をチョンチョンと誰かがつついた。

振り返って見てみると、そこには若干申し訳なさそうな顔をしたジャンヌが。

 

ジャンヌがこういう顔をするってことは……なんだか嫌な予感がする。

 

そして、俺の予感は当たっていたみたいでジャンヌはつい、神の死の事をうっかりこの場にいる面子に話してしまったらしい。

 

なん……だと……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神って死んでたのか。初めて知った。

 

俺がジャンヌにそう言うと、ギャグ漫画のようにその場にいた全員がずっこけた。

 

いやだって俺、大戦に参加したといっても一発全力で撃った後、気絶させられたし、その後のメディアにも魔王の死の事しか報道されなかったし、大戦を生き抜いた者たちに聞いても、皆あれは酷い戦いだったよな、からの何人討ち取ったみたいな自慢話が始まるだけだったからな。

 

そんなわけで俺も知らなかったんだ。

寧ろ逆にジャンヌよく知ってたな。

 

俺がそう言うと、ジャンヌは引きつった顔で聖剣(木刀)取り出した。

何故に?

 

そして、俺はジャンヌの突っ込み兼八つ当たりを受けて気絶した。

流石に理不尽だと思うのは俺だけではないと思うんだ。

 

 

 

 

 

コカビエル戦の翌日、俺はサーゼクスに呼び出された。

事後報告をしろって言われたからコカビエル消滅の件と神の死の事が今回のメンバー(俺含む)にバレた事を話した。

 

めっちゃ怒られた(T-T)

おかしいね。俺神が死んでたこと知らなかったのに。言ったのジャンヌなのに。

 

王が眷属の責任を取るのは当たり前?

お前、もしかしてリアスちゃんから俺がお仕置きしたこと聞いてた?

同じことを言ったような気がするよ?

 

含み笑い止めろ。色々と不安になるわ。

 

で?俺にどうしろと?

あいつらの記憶を消せって言うのなら消すよ?

少々頭がパーになる可能性があるけど。

 

……駒王学園で和平会談やるから会場を作ってほしい?

 

いや、それなんで俺がしなくちゃいけないのかな?

今回の件となんの関係もないし。

 

……この会談で、神の死の事を機密事項にするから知ってしまった以上無関係とはいえない?

そう言うサーゼクスの顔は笑ってこそはいるがその瞳の奥は殺る気で満ち溢れている。

グレイフィアさんに至っては無表情で本当に生きているのか?と疑問になるぐらいピクリとも動かず此方を見つめ…否、睨みつけている。

 

…あーはいはい。分かりましたよ。やればいいんでしょ。

 

確かに今回の件は、俺達がこの町にいたからコカビエルが狙ったというのもあるし、ジャンヌが口を滑らして機密事項を喋ってしまったという事実があるからな。

悪いのは俺達だよ。

 

でもさ、一つ疑問に思ったんだけどさ。

お前ら今回の件が起こってから会談を行うことが決定されるまでの時間早くね?

 

だって、今日、コカビエルの件が解決した翌日だぜ?

組織全体の方針を決める会談ならもっと細かいスケジュール調整が必要な筈だろ?

 

…お前らまさか最初から会談やる気で都合よく俺が巻き込まれたから面倒なことを俺に押し付けようとしている訳じゃないよな?

 

二人の明らかな反応を見た俺はにっこり笑って魔力弾をぶっぱなした。

 

結局会談の準備の際にはグレモリー家からも何人かメイドを貸して貰えることになった。

グレイフィアさんは流石に魔王の仕事の補佐があって来れないらしいがそれなりに優秀な者を貸してくれるらしい。

 

帰りは少しだけ俺の負担が減るとはいえ、普段通りの教師生活から会談会場を守るための結界調整やら、色々仕事ができてしまったことに。憂鬱な気分になりながら家に帰った。

 

 

 

 

 

家に帰るとメイド服のミッテルトちゃんと魔法少女(コスプレ)姿のアクアちゃんが出迎えてくれた。

 

ミッテルトちゃんはともかく、アクアちゃんは一体どうした?!

 

なんでも人間界の特撮の魔法少女ミルキーというやつのコスプレらしい。

なんでもツインテールの(自称)お姉さんが家に置いていったとか。

 

……犯人特定してしまった。

全くあいつは。良いぞもっtゲフンゲフン、録な事をしないな。

 

今度来るときには是非とも、違う感じのコスプレを持ってきてもらわなければ。

ソーナちゃんにも着さすっていったら絶対自分で作ってでも持ってくるだろう。

すまん。ソーナちゃん。俺のためにも犠牲になってくれ。

 

取り敢えず、似合っているぞって感想を告げて二人の頭を撫でると、猫のような声を出したので喉も撫でてみる。

すると、やはり気持ち良さそうにされるがまま撫でられる二人。

 

……やべぇ。いけない扉を開いてしまいそうだ。

取り敢えず、今度猫耳を渡してあげよう(使命感)

 

名残惜しいが俺は撫でるのを止め、今日の予定を済ますことにした。

そのために地下の部屋に閉じ込めておいたあいつの元へと向かう。

 

そう眷属に勧誘した結果、保留にしたままだった彼の元である。

 

いい返事を貰えると良いな。

 

 

 

 

 

 

 

俺は夢でも見ていたのだろうか?

 

地下室の部屋に入ると、そこには神父服の男ではなく、不機嫌そうな顔をしたドレス姿の美女が。

 

おかしいな。この部屋にはフリード君しかいない筈なんだけどなぁ。

 

そう現実逃避してしまう位綺麗だった。

 

フリード君(?)は俺の反応が気に入らなかったらしく睨んでくる。

いや、だってビフォーアフターしすぎでしょ。元の面影が無さすぎて、この部屋にいると知らなかったらフリードだって気付かなかったわ。

 

そして、現実逃避した頭の中では前に亀甲縛りをした時の事を思い出す。

……ああだから縛った時に違和感があったのか。股間らへんでアレに引っかかる感覚が無かったから。

 

っていうか、なんで神父服着てたのか?

ふと、思い付いてしまったので尋ねてしまった。

 

……シスター姿だと嘗められるから?いや、お前それは勿体無い。一部を除いて今お前最高な感じなんだから、これからもそれでいろよ。

 

顔を赤くしたフリード。うん。可愛い。

 

ところで一部ってどこかって?

そりゃあそのぜっぺkヘブシ!?

 

俺はいつの間にか音も気配も無く後ろにやって来ていたジャンヌと正面に高速で移動してきたフリードに顔面を同時に蹴られたのであった。

 

フリードはともかく、ジャンヌ、お前は暗殺者か?そんな変に高度な技術をこんなところで使うなよ。

 

後、フリード。その膝ぐらいまでしかない裾の短いドレスで蹴りなんかするなよ。

中の純白が見えガッ!?

 

今度は顎に右アッパー。かなり強力な一撃は綺麗に俺の意識と記憶を刈り取っていった。

 

ちなみに、この意識を刈り取られた時間の間でジャンヌとフリードとの間で何らかの契約が結ばれていたらしく、フリードは俺が目覚めると同時に眷属となった。

 

どんな契約をしたのか。そして、気絶する直前までどんな話をしていたのか。聞いてみたいところだが何故か頭が聞かない方がいいと訴えているので聞かないことにする。

 

こうしてフリード(♀)は『兵士』の駒一つで俺の眷属になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……準備はどうかしら?」

 

「順調よ。後は愚か者供に気付かれないようにあの日が来るのを待つだけね」

 

「そう……いよいよね」

 

「ええ。我らの主が全世界にその名を広める時がもう少しでやって来ますよ。貴女の方はどうかしら?」

 

「此方も順調ね。あらゆるパイプを使って既に手筈は住んでいるわ。特に日本の神話体系が積極的に動いてくれているわ。お陰で後、数日で全ての準備が整うわ」

 

「そう。ならばお互い頑張りましょう。ジャンヌ」

 

「ええ。貴女もしくじらないように気を付けなさいよ。『───』」

 

組織の力関係が崩れる時は近い。




今回の話の原作との相違点

ヴァーリ→強化+男の娘化
フリード→TS+眷属化

さて、皆さん。きっとお前かよ!?ってお思いでしょう。

今までヴァーリの性転換ネタは見たことはあるが男の娘化やフリードの性転換ネタは見たことが無かったのでやっちゃいました♪

反省も後悔もしてない。

それでは皆さん。また次回でお会いしましょう。


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第16話

最近執筆時間が全く取れなくて遅くなってしまい申し訳ございません。

今回の話はプール回なのですが長くなりすぎて半分に分けました。

さて、今回の話を見る前にハイスクールD×Dの一期の七話を一回見ていただく事を推奨します。
理由は読んで頂ければ分かると思います。

さてそれではどうぞ。



さて、フリードを眷属にしてから数日経過した。

 

その数日の間にあった事と言えばゼノヴィア(この前家で失禁をした青髪の方)がリアスちゃんの『騎士』となった事と神器マニア(アザゼル)が依頼人として兵藤と接触していた事ぐらいだろうか。

 

前者はともかく、後者は仕事しろよ。シェムハザさんが仕事が終わらないって嘆いてたぞ。

 

それはともかく俺は現在、会談用の結界の構築をしている。

 

今回構築する結界は会談を邪魔されないため、悪魔で入れるのは今回参加するリアスちゃん、ソーナちゃん、俺の当事者組とその眷属達。それと悪魔のトップであるサーゼクスとセラの眷属だけ。

 

天使、堕天使は会談に来る人数が不明な為に後から許可証を作りそれを持っている人だけ入れるように設定した。

 

因みに今回の結界の魔力供給源はフリードとアクアちゃんである。アクアちゃんは魔力を高める修行の為に、フリードはこの前殴ったお詫びをしたいとか。

 

……はて?一体いつ俺は殴られたったんだろうか?

なんか思い出そうとすると顎が軽く痛むけど……関係ないのかな?

 

……まぁそれはさておき、結界を破壊される可能性もあるので彼女達にも護衛を用意した。

 

この日本にいる数少ない友人であり、時々遊びに行って面倒を見てあげたりしていた女性である。

しかし、その度に彼女の姉も構って~とばかりに飛びかかってきたり、その弟も大剣片手に襲いかかって来るのはどうかと思うが。

 

まぁ、そんなわけで守りの方は一応安心してもいい。

一応不足の事態も想定して色々と準備もしておくけどね。

 

それに並行して、そろそろ行われる授業参観の準備もしなければならない。

 

いつも何故か生徒の人数以上に親が教室に集まってくるので、その分、俺へのプレッシャーとなり襲いかかって来る。

 

しかも、今回はリアスちゃんとソーナちゃんのクラスの授業があるのでシスコン供はともかく、グレモリー卿が来るって言ってた。

下手な授業はできない。

 

……あぁ、胃が痛い。

 

 

俺が胃の痛さを堪えながら作業をしていると、不意にリアスちゃんから、明日の朝からプール掃除をするから監督役として来てくれと頼まれた。終わったら一番にプールに入れるとか。

 

一応結界の構築作業も終盤に差し掛かっていたので気分転換をかねていいかな。

 

そんな訳で承諾した。

ジャンヌ達も誘ったのだが、来るのはミッテルトちゃんとアクアちゃんだけであった。

フリードとジャンヌは溜め息を吐いて自らの胸を怨めしげに見つめ……あっ(察し)

 

……よし、これ以上この話題は禁止だ。

二人に勘づかれれば俺の命は無いだろう。

 

俺はそそくさと逃げるように部屋に戻り、明日の為に去年使って以来使ってなかった水着をタンスの中から取り出すのであった。

 

 

 

さて、その翌日。朝からゴシゴシと必死になってやった俺達は無事プールに入れるようになった。

 

男の水着は直ぐに着替えられるので、さっさと着替えたのだが……木場君の終始笑顔で見つめてくる。まさか兵藤が言ったように本当に……。

いや、止めよう。考えるだけでも恐ろしい。

 

俺達がリアスちゃん達をプールサイドで先に準備体操をしながら待っていると、青色の髪の少女が出てきた。

 

その髪の色を見てアクアちゃんが来たんだな~と呑気に思いながら視線を下げた俺は、その姿を見て、足に魔力を込め、今までで恐らく最高速でアクアちゃんの元へと向かい、アクアちゃんを脇に抱え、男子更衣室に一緒に飛び込んだ。

 

……別にアクアちゃんに厭らしい事をしたいわけではない。

ただ、格好が少し問題なので、少なくとも兵藤に一時的にでも見られないように男子更衣室に飛び込んだだけだ。

念のために鍵もかけておこう。

 

さて問題のアクアちゃんなのだが何が問題なのかというと……左は大丈夫なのだが、右の胸が完全に露出しているのである。

 

今着ている服は前にウンディーネ(漢女)の着ていた服と同じ服であちらは完全な筋肉のせいで兵藤も興奮しなかったがこれは不味い。

やつは小猫ちゃんでも欲情できる真の変態だ。こんな姿を見せたら欲望のままに襲いかかるかもしれない。

 

最初に出会ったときは、少し薄着な格好だったので油断していた。

どうしてそんな服を着ているのか聞くと、最初に出会ったときの服はどうやらアクアちゃん曰く寝間着らしく、寝る時位にしかあの服を着ないのだとか。

偶々、あの時は寝起きだった為あの格好だったとか。

 

うわー。どうしよう、これ。

流石にアクアちゃんをこのまま、プールに出すのは無理だし、かといって、久々の水遊びを楽しみにしていたアクアちゃんにお預けをするのは可哀想だし……

 

本当にどうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生遅いです。一体何をしているんでしょうか」

 

今、私の近くにいる小猫ちゃんが凄くそわそわしていますわ。

 

どうやら、グレイ先生がアクアちゃんを男子更衣室に連れ込んだと聞いて、何をしているのか気になるみたいですわね。

ふふふ、小猫ちゃんも女の子だったってことかしら?

 

グレイ先生の性格的にアクアちゃんの様に幼い子には手を出さないとは思いますけど。

 

……それにしても、本当に遅いですわね。

 

「朱乃も小猫も少し落ち着きなさい。さっきから少しそわそわしすぎよ」

 

……リアスに言われてしまった。

最近はイッセー君の事しか考えてないリアスに言われたと思うと少し悔しい。

イッセー君のベッドに裸で突撃したと聞いたのにあのスケベなイッセー君に未だに手を出されてないって聞いたけど、もしかしたらリアスは女としての魅力がないのではないかと最近考えている」

 

「……朱乃、さっきから心の声が漏れてるわよ」

 

少し口許をヒクヒクさせながらそう言うリアス。

あらあら。

 

「リアス違うわ。漏れているのではなく漏らしているのよ」

 

「……いい度胸ね、朱乃。少しお仕置きしてあげるわ」

 

「あらあら。ふふふ、なら私も少し苛めてあげるわ」

 

手に滅びの魔力を纏うリアスを見て、私も雷を手から少し放出する。

 

「あわわ!?危ないっす!?こんなところで、そんな危ない物を出したらダメっすよ!?」

 

「そ、そうですよ。二人とも落ち着いてください!」

 

学校指定のスクール水着を着ているアーシアちゃんとワンピース型の水着を着ているミッテルトちゃんが私達の放つ魔力を感じて慌てて止めてくる。

しかし、二人には悪いけどここは引けない戦いの場なの。

 

私は雷をリアスに向け放つ……

 

「あれ?二人ともどうかしたのかい?」

 

直前で無理矢理魔力を放つ向きを変えた。

 

その雷はイッセー君に向かって一直線に向かい僅か数センチの所に二発(・・)着弾した。

 

どうやらリアスも慌てて向きを変えた様で私達はイッセー君の方向に向けて同時に放ったらしい。

私達の一撃はイッセー君のスレスレを通ったようだ。

 

あっ。イッセー君の腰が抜けたようですわ。

 

「い、イッセー君。大丈夫かい!?」

 

「イッセー!大丈夫だ!傷は浅いぞ!!」

 

「俺……今…夕麻ちゃんが手を振ってたのが見えたんだ。……あのおっぱいに飛び込んでいいよね」

 

「イッセー君!?君はそこまで胸の事を……!?ってそこは飛び込んでは駄目だよ!?」

 

「い、イッセーさん!飛び込むのなら私の胸にどうぞ!」

 

「む、アーシアが積極的だ。よし、イッセー。私の胸に飛び込んでもいいぞ」

 

「あはは。イッセーは相変わらずおっぱいに対する情熱は凄いっすね!」

 

「……ただスケベなだけです」

 

「カハッ。……小猫ちゃんの辛辣な一言が胸に刺さるぜ……ガクッ」

 

『イッセー(君)(さん)!?』

 

「えっと……なにこれ?」

 

グレイ先生はこの混沌とした状況に少し戸惑っている様ですわね。

後でイッセー君に謝らないといけませんわね。

 

……それにしても先生の体は凄い。

普段の姿を見る限り、とても鍛えているようには見えないが、こうして無駄のなく引き締まっている体は先生が男であることを嫌でも認識させられる。

 

チラチラと先生の体を見ているメンバーは皆顔が赤い。

きっと私も赤くなっている。それぐらい凄い。

 

……でも、そのメンバーの中に木場君がいるのは何故かしら?

もしかして噂通り……。

 

「あーうん。なんか分からないけど、俺のせいならごめんね」

 

先生の一言で私は意識を現実へと戻した。

そうよね。いつか聞いたあのBでLな噂は妄想の物ですよね。

 

「あ、後小猫ちゃんに少しお願いがあるんだけどいいかな?」

 

「は、はい。大丈夫です!」

 

あらあら、小猫ちゃん。

先生に頼み事されると聞いたら急に元気になりましたわね。顔は真っ赤だけど。

 

……それにしても、先生からのお願い……。

一体どんなお願いなのかしら?

 

「そっか。ありがとう。それじゃあお願いなんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫ちゃんの水着を貸してくれない?今すぐ」

 

私達は皆一様に固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

俺が小猫ちゃんに水着を貸して貰う様にお願いすると、皆が一斉に固まってしまった。

 

不思議に思っていると、朱乃ちゃんが俺に対していきなり雷を放った……ってなんでさ!?

 

慌てて防御用の結界を貼る。

しかし、真正面から受けても貫通性の高い朱乃ちゃんの雷では防ぎきれない可能性があるのであえて真っ正面に出さず、斜めに出す。こうすることで攻撃を受け止めるのではなく受け流すことができる。

これは戦闘でも中々役に立つ技能だから皆も覚えておくように。

 

って朱乃ちゃん!?何で二発目を用意してんのさ!?

 

俺は足に魔力を込め、朱乃ちゃんに近づき腕を掴んで止める。

 

すると、腕を掴まれた事に驚いたのか朱乃ちゃんが足を滑らせたみたいでその体が宙に浮いた。

 

慌てて俺は掴んでいた手を引っ張り、朱乃ちゃんを抱き寄せっ!?

む、胸が!?形が良くて大きくて柔らかいオパーイが!?俺の体に!?

 

お、落ち着け!?朱乃ちゃんは生徒だ!俺は教師!疚しいことはできないnフオゥゥゥゥゥ!?

 

あ、朱乃ちゃん!?何でそんなに胸を押し付けてきてんの!?何顔を俺の胸元に擦り付けてんの!?何で俺の足の間に朱乃ちゃんは足をいれてきてんの!?

 

あわわわわ。

お、落ち着け落ち着け!?と、取り敢えず、先ずは冷静に朱乃ちゃんを傷付けないように引き離して……ふぉう!?

 

こ、今度は後ろから柔らかい感触が!?

 

うえっ!?小猫ちゃん!?君まで一体どうした!?

 

私にお願いしたくせに朱乃ちゃんとイチャイチャしているのが気に入らなかった?

だから、自分も混ざる?

 

いや待って!?本当に待って!?君まで混ざると収拾がつかなくなるから!?

 

 

 

 

 

 

その後、何とか二人を説得することに成功した俺は、事情を説明した。

 

アクアちゃんの水着があれでは、そこで伸びている変態(兵藤)にとって毒にしかならない。かといって、予備の水着があるわけでもないし、こんなに楽しみにしているアクアちゃんにお預けをするのは忍びない。

 

ならばどうするのがいいのか。

それを考えた結果、浮かんだ答えが『無いのなら作ればいいじゃない』ということだった。

 

そんなわけで俺は、材料になりそうなものを魔法で作った倉庫的なやつから色々引っ張り出す。気分は四○元ポケット、もしくは、王○財宝。

 

そして、後は昔色々あって習った錬金術を使うだけ……なのだが一つここで問題が出た。

 

俺は、女性用の水着がどのように作られているのか知らないのである。

 

一見、錬金術とは材料だけ用意したらいいように思えるかもしれないが、実際は違う。

 

使うものによっては用途や構造が全く違うのだ。それを熟知……とまでは言わなくとも、ある程度知っていなければならない。

そうでなければ今回の水着の場合はもしかしたら、水に入ると溶けてしまうかもしれない。もしかしたら、透け透けになってしまうかもしれない。

 

……どっちも変態(兵藤)が喜びそうなので、それを避けるためにある程度スタイルの似ている小猫ちゃんの水着を貸して欲しかったのだ。

 

俺がそれを説明すると、全員で溜め息を着いた。

「ロリコンかと思った」なんて不名誉な事をボソリと呟かれたがそこはスルーしておこう。

一先ずは、アクアちゃんの方が先決である。

 

それを聞いた小猫ちゃんは一回更衣室に戻り水着を脱いできてくれた。ありがたい。

それを受け取った俺は、じっくりと手触りや構造等を観察した。

その途中、朱乃ちゃんから恐ろしい物を感じ取ったような気がするが気のせいだと思いたい。

後、何故か小猫ちゃんは顔を耳まで赤くして俯いていた。はて?何故だ?

 

その後、無事にスク水を錬成できた俺はアクアちゃんに渡して着て貰った。これで問題ない。

 

さて、漸くプールに入れる。久々に遊ぶからテンションが上がってしかたがない。

 

よっしゃ泳ぐぜ!レッツパァリィィィィィ!!




いかがでしたか?

七話を見て頂きたかった理由はアクアの服がどのような物かを見て頂きたかったからです。
あの服を幼女が着てプールを泳ぐ……犯罪臭がしますね。

それでは次回、またお会いしましょう。


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第17話

遅くなりました。
一度執筆したものを改めて読み返して見ると何だこれ?って感じになったので没にし、改めて書き直しました。

今回の話は主人公の視点は少ないですが、代わりにヒロインの視点が半分以上閉めています。

それではどうぞ


はっはっはっ。

 

興奮しすぎていたようだな。

すまない、反省している。

 

ある程度皆と遊んだところで、ふと俺なにやってんだろと正気に戻った俺は、はしゃいでた気持ちを無理矢理押し込める。

 

たまにはっちゃけるのは楽しいがそれを生徒達に見せて現在の地位である「(自称)頼れるお兄さん先生」を卒業しなければならない事は避けたい。

 

幸いにも誰も気にした様子は無かったのでホッと一息。少しプールサイドでのんびりしようと上がろうとした。

 

そこで小猫ちゃんが中々深刻そうな顔をしているのに気付き話しかけると、滅多に聞けない小猫ちゃんの「にゃっ!?」って言う驚きの声。

元の種族を知っている俺からしたら是非とも元の種族の姿で言って欲しい。きっと可愛さのあまり悶えてしまうだろう。

 

そんな内心を悟らせないように俺は、小猫ちゃんにどうしたのか聞いてみた。

 

……どうやら、小猫ちゃんは泳げないらしい。

そういえば、俺が小猫ちゃんと初めて会った時も湖で溺れていたような気がする。

あの時は、事情が事情だったので気にしていなかったのだが……

 

まぁそれはさておき、小猫ちゃんは俺に上目使いで俺に泳ぎ方を教えてくれと頼んできた。

 

……こうなったら俺は男としても、教師としても、断ることはできない。

これで断れる奴は男じゃないね!

 

そんなわけで早速、泳ぎの練習開始。

とは言っても簡単な物からだが。

 

先ずは、水に慣れるところからだ。

水の中で目を開けることから始める。

これが水を苦手に思っている人には中々難しいのだ。

 

案の定小猫ちゃんも水の中で目を開けることはできなかった。

 

う~ん。どうするかな。

じゃあとりあえず、恐怖心を減らすために手でも繋いで一緒に潜ってみる?

 

……お、おう。まさかそこまで食いつかれるとは思わんかった。

じゃあ早速……

 

 

 

 

 

 

結論から言うと駄目だった。

 

水の中で目を一瞬開けれそうになっていたので、水の中で微笑んだら、突然小猫ちゃんが口の中の空気を全部吐いて溺れそうになった。

 

一体どうしたのかと聞いても、俺のせいとしか言われないし……

 

とりあえず、水を多量に飲んでしまった小猫ちゃんを一度休ませることにした。

 

俺も小猫ちゃんを休ませなければならない原因を作ってしまったようなので一緒にプールサイドで休むことにした。

 

小猫ちゃんと雑談をしながら休んでいると、朱乃ちゃんが俺の背中に抱きついてきた。

背中にむにゅっと何か柔らかい物が当たっている音が聞こえた。

 

兵藤ならば狂喜狂乱に陥っていただろうが俺はあいつとは違う。

 

俺の心は鋼だ。

先程はいきなりの攻撃に慌てていたせいであのような失態を起こしてしまったが、本来の俺ならば耐えられるのだ。

ふふふ。この勝負貰った!!何の勝負かは知らんけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……危なかった。もう少しで我慢の限界が来ていた。

迂闊にフラグを建てるべきではない。俺はそれを今日改めて学んだ。

 

俺の反応が淡白すぎてつまらなかったのか、朱乃ちゃんはあろうことか、そのまま少しだけ立ち上がり俺の頭をその豊満な胸に挟み込んだのだ。ご丁寧に水着の紐の中に俺の顔を入れて逃げられないようにして。

 

兵藤が遠目で血の涙を流しているのが見えたが、リアスちゃんにオイルを塗って欲しいと言われるとルパンダイブをしてリアスちゃんに突撃しにいった。

不純異性行為はしない様に!と言いたかったが、現在進行形で限りなくグレー……いやブラックな行為をされている俺が言うのもおかしいので、黙っておく。

 

そんなことよりもむにゅむにゅと柔らかい物が頬に当たり続ける感覚はヤバイ。

何がヤバイって逃げようと少し前に顔を動かすと当然のように朱乃ちゃんの体……主に胸だがそれも一緒についてくる。

それと同時に艶やかな悲鳴が。

 

……俺は無言で耐えた。

隣にいる小猫ちゃんが俺の顔を無言で感情の籠っていない目で見つめて……いや、睨んでくるのでそれに耐えなければならないのも辛かった。

止めてください。

俺をそんな目で睨まないで下さい。

 

結局この後、俺は朱乃ちゃんが飽きるまでこの生き地獄を味わい、時間が来たので帰ることになるのであった。

 

……あれ?俺は息抜きをしに来たんだったよな?

逆に疲労増えてね?

 

後、帰るときの小猫ちゃんと朱乃ちゃんの笑顔が怖かった。

何故か他の女性陣に憐れむ様な視線を受けたことと何か関係があるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今とても機嫌が悪い。

 

先程までは私と一緒に休んでくれた異性として大好きな先生とお喋りをして時間を過ごしていたのに副部長が先生に絡み始めた。

 

それがただ絡むだけなら私の機嫌が悪くなることは無いのだが、副部長はあろうことか私に無い物を使って先生を誘惑しだしたのだ。

具体的に言うなら上半身にできる無駄な脂肪。

それを先生の顔を挟むようにして押し付けている。

 

 

 

 

……もぎり取ってやろうか、その脂肪(巨乳)

 

む、いけない。

つい、本音がポロリと漏れてしまった。

 

これが先生にバレたら嫌われてしまう。

それだけは避けなければならない。

 

とりあえず、私は先生を挟んでいる無駄な脂肪の塊を感情を圧し殺して睨む。

忌々しい脂肪の塊め。

どうして副部長にはそんなに胸に付くのに、私はお腹とお尻にしかつかないのだ。

もし胸の神がいるのなら呪ってやりたい。切実に。

 

まぁそんな思いも先生が副部長の胸に何の反応も示さなかったので、すぐに吹き飛んだのだが。

 

フフン。やっぱり先生は胸に興味は無いようだ。

結局諦めて離れる副部長の悔しがっている顔をみてスカッとした。

 

ザマァ(笑)。

 

「小猫ちゃん。今内心でザマァとか思いませんでしたか?」

 

鋭い。

副部長は私の考えている事をイイ笑顔でピタリと当てて見せた。

その笑顔が素敵です。

 

「はい。ついでにそんな無駄な脂肪を常にぶら下げてその重さで肩が凝って常に苦悩しているというのに稀に来るアピールタイムでも活かすことが出来なくて、可哀想な人だなとも思いました」

 

ついでにもっと笑顔になってもらえるように褒めて(挑発して)おいた。

副部長の笑顔がひきつった。

しかし、すぐにいつものイイ笑顔に戻った。

 

「あらあら。そうねぇやっぱり『今も』大きくなり続けていて困ったものですわ。今つけているブラもきついですし……そろそろ変え時かもしれませんわね」

 

これ見よがしに、水着から着替えている途中だったので露出していた胸を揺らす副部長。

 

今度は私の笑顔がひきつるのが分かった。

 

「……へぇ。やっぱりそうだったんですか。そんな『無駄に』大きくなって大変ですね。その内『ホルスタイン』とでも呼ばれる様になるんじゃないですか?」

 

「……うふふ。そうかも知れないですわね。けど『持たざる者』のように『憐れみの視線』で見られる事がなくなるので良かったと思いますわ」

 

「……」

 

「……」

 

両者共に無言で睨み合う。

その様子に隅の方でミッテルト、アーシア、ゼノヴィア、アクアの四人は恐怖し避難している。

 

つまり、この場に取り残された人は一人だけ。

 

そう。二人の間で運悪く着替えをしていた生け贄(リアス)だけである。

 

「……え~と。うん。二人とも一回落ち着きましょう。今こんなことで言い争っても不毛だわ」

 

リアスは二人を上手く宥める方法が思い付かなかったので一先ず落ち着くように言った。

それに対する二人の返事は……

 

「「ちっ」」

 

「ちょっ!?何で舌打ちするのよ!?」

 

「いえ。別に何でもありませんよ。副部長と同じくらい大きい赤い牛が気軽に話に介入してきたので空気を読んで欲しいなんて、これっぽっちも!全く!思ってませんから」

 

「あらあら。最近兵藤君との日常をのろけ混じりに、未だ全く恋の進展がない親友に話してくる裏切り者がどの面下げて話に入ってきているのかと思ってなんか全然!思ってませんわよ」

 

「……もう泣いていいかしら?」

 

「「鬱陶しいので端で泣いていて(ちょうだい)(ください)」」

 

「何でそこで息がピッタリと合うのよぉぉぉぉぉ!?貴女達私の眷属よね!?」

 

「「五月蝿いです(わよ)この雌豚」」

 

「うわぁぁぁぁぁん!!」

 

部長は見事に撃退されアーシア達の元へと強制退場させられた。

少し日頃の不満をだせれてスッキリした。

 

見れば副部長も少しスッキリした顔をしている。

 

お互いに部長に対して思うことはあったようだ。

 

「ふぅ。まぁ良いです。貴女が巨乳で、未だに胸が大きくなろうとも全く関係ありませんから」

 

「あらあら。負け惜しみかしら?」

 

ニヤリと笑って勝ちを確信する副部長。

だが甘い。

 

「いえ。既にそのサイズまで(・・・・・・・)育ってしまった副部長にはもう勝ちの目は無いのですから」

 

「……なんですって?」

 

私は先生の様子を観察し、分析して分かった、勝利の決め手となっている事が分かった。

それは……

 

「先生は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロリと貧乳のジャンルの女が好みなんです!!」

 

一瞬の沈黙。

 

『な、何だってぇぇぇぇぇ!?』

 

そして、同時に絶叫。

それは、ビリビリと部屋の中を揺らす衝撃を産み出す程の大声であった。

 

「う、嘘よ!そんな筈……あるわけないわ!!」

 

いつもの余裕が完全に無くなり騒ぐ副部長。

ふふふ。なら私がそう思い当たった事実を言ってあげます。

 

「私が思い付いたのは、先生の眷属を改めて思い浮かべた時です。ほら思い出してください」

 

輝姫さん←胸はないことはないけど限りなく貧に近い美乳。

ジャンヌさん←ロリ貧乳。

焼き鳥娘←胸はそれなりにあるが背丈的には私と同列。つまりはロリ巨乳(ちっ)。

ミットルテ←ロリ貧乳。

アクア←ロリ貧乳。

フリードさ…ん…?←貧……いやむしろ絶壁。

 

ここまで思い浮かべば既にお分かりだろう。

 

「そんな……嘘よ……」

 

「更に先生は、私達グレモリー眷属の中で貧乳に近いアーシア先輩と私には積極的に困った事は無かったのか聞きに来ました。副部長達の所には無かったですよね?」

 

「っ!!」

 

「これで分かったでしょう。既に巨乳お姉さんのジャンルまで成長してしまった貴女に既に勝ち目は無いのです」

 

「そんな……」

 

そして、膝から崩れ落ちる副部長。

ふっ。私の完全勝利です。

 

「……いえ、まだよ。まだ終わりじゃないわ」

 

「っ!?」

 

馬鹿な!?完全に心は折った筈!?

 

「例え先生がロリコンであろうと、関係ないわ。要するに先生を教育(調教)すればいいだけの話なんですから」

 

なん…だ……と……

 

「……正気ですか?『創成の魔導王』とまで呼ばれている先生を相手にすると分かっての発言ですか?」

 

「ええ。それが険しい道のりであることも分かっているわ。だけど、私は絶対に好きな人から逃げたりはしませんわ!」

 

どうやら私は副部長の事を甘くみすぎていたようだ。

 

「ふふ。ならどちらが先に先生を落とす(教育する)か勝負ですね。一応言っておきますが分は私にありますよ『朱乃先輩』」

 

「ふふ。そうねどちらが早く先生を落とす(調教する)か勝負ですわね『小猫』」

 

私と朱乃先輩はガッチリと握手をした。

どうやら私は良き好敵手(ライバル)を見つけれたようだ。

これからも私はこの人と競い合う事で成長していくことができるだろう。

 

 

 

そんな様子を回りで震えて見ていたメンバーは皆同じ事を考えていた。

 

 

 

───先生逃げて!超逃げて!!

 

グレイの明日はどっちだ!

きっと続く。




やっちまったぜ☆

ヒロイン視点で書いてみたら作者が暴走した結果がこれだよ。

まぁ書き直す前はヤンデレやらなんやら兎に角ダークな方向に進もうとするヒロイン達でしたから、それに比べたら今回のはまだまし……なのかなぁ?

誰かおらに意見を分けてくれ!
感想お待ちしております。


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第18話

遅れました!
畜生!大学の課題が憎いぜ!

気づかない間に前投稿からお気に入り登録数が百人増えてました!

やったぜ!

それでは今回のお話どうぞ。


さて、先日のプールから早数日過ぎた。

 

今、俺は今日の参観日の予定を確認している。

 

 

 

一限目、一年生数学(小猫ちゃんのクラス)

二限目、二年生数学(兵藤、ゼノヴィア、アーシアちゃんのクラス)

三限目、三年生数学(リアスちゃん、朱乃ちゃんのクラス)

四限目、二年生英語代行(兵藤以下略のクラス)

五限目、二年生英語代行(匙君のクラス)

六限目、三年生数学(ソーナちゃん、椿ちゃんのクラス)

 

 

 

なんかいつの間にか凄い仕事量になっていた。

 

いや、明らかにおかしい。通常の時間割でも六時限の間に一つ、二つぐらいは休憩できる時間があると言うのに今日は何故か代行が二つも入っている。しかも、参観日の日なのに。

 

その事を校長に直談判に行ったら、校長曰く「理事長(グレモリー)の圧力に負けた」の事。

 

……あのシスコン次会ったらぶっ飛ばす。

俺は心からそう誓った。

 

そんなわけで、俺は今日重労働を強いられている訳だ。

これもそれも、サーゼクスがすべて悪い。やっぱり終わったら最低で腹パン(魔力強化込み)は確定だな。

 

……はぁ。気が重い。

俺は早速小猫ちゃんのクラスへと向かった。

どうか無事に終わってくれますように。

 

俺は神に願おうとして神が死んでることを思いだし(ついでに祈るとダメージを受ける事も思い出した)、魔王に助けてくれと願おうとして忌まわしき赤髪と魔王少女が浮かんできたので、結局この願いが誰にも届きそうに無さそうな事にがくりと肩を落とすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺の願いは当然ながら届かなかったようだ。

 

小猫ちゃんのクラスへと向かうと、クラスから溢れるほど大量にいる保護者(主に母親)の皆さん。

一斉に此方を血走った目で見られた時は不覚にも少しびびってしまった。

 

落ち着けと自分自身に暗示をかけるために一回深呼吸。

 

そして、クラスに入り授業を開始した。

 

 

 

 

 

のはいいんだけど、後ろにいるメンバーの中で見知ったメンバーが幾人かいる。

それが気になってしかたがない。

 

それはキラキラした目で先陣で此方を見ている我が眷属の癒し三人衆、レイヴェルちゃん、ミッテルトちゃん、アクアちゃん。それに加えライザー眷属のミストちゃんだ。

 

見た目は幼いとはいえ、このクラスにいる小猫ちゃんと同じぐらいの見た目……あ。いや、レイヴェルちゃんは一部違うけど、俺に向けられていないのに明らかに回りから嫉妬や羨望や欲望の視線を感じていると分かるぐらいぐらい違うけど、まぁ背丈的には子猫ちゃんと大差がない四人組だ。

それが、今この場にいるのは不自然なので視線が集中している。

 

あ、後、後ろの方でお前特撮撮影この場でやる気かよ?と言いたくなる様な機材を持って撮影している馬鹿(幼馴染み)がいるがそちらは無視の方向で。

あんなのと幼馴染みと思われると恥ずかしい。

って言うかお前妹はどうした。シスコンのお前がなぜこっちにいる。

 

その後、俺は気にする事なく授業を続けたが時間が経過するに連れて人が増えていく気配を感じ取り緊張が増していった。

 

あぁ胃がいたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく昼になった。

 

それにしても先程の授業の英語の代行はいろんな意味で騒がしくなったなぁ。

 

指示通りやったのだが、何で英語の時間なのに紙粘土練らなければいけないのか。

訳がわからないよ。

 

兵藤は兵藤でやけに精巧なリアスちゃんのフィギュア作るし桐生さんも桐生さんで上半身裸の筋肉が生々しい俺の精巧なフィギュアを作りやがったし。

 

そのフィギュアを巡って万単位でのオークションが始まった時にはマジで焦った。

これって俺授業中に金銭の取引をやり始めたので懲罰の対象になるんじゃね、と。

 

まぁそれはいつの間にかやって来ていた理事長(グレモリー)がリアスちゃんのフィギュアを買い取ったことでうやむやになったのだが。流石シスコンの大金持ち。十万に至ったフィギュアを即決で買うとは。

兵藤めっちゃ萎縮していたけど。まぁ魔王の妹のフィギュアを勝手にオークション(本人は出す気は無かったとはいえ)に出したのが目の前でばれたら恐いわな。

 

因みに俺のフィギュアは馬鹿(魔王少女)が買っていきました。お前どこから湧いてきやがった。

 

まぁそれはさておき、昼になったので俺は昼飯を取りに職員室へ向かっている。今日はレイヴェルちゃんが愛情(恐らく家族愛)込めて作ったお弁当が鞄の中に入っているのだ。凄く楽しみである。

 

フェニックス夫人からレイヴェルちゃんが花嫁修業を頑張っているのは聞いている。そのため彼女の弁当には大いに期待が持てる。

どこぞの幼馴染みが作る暗黒物質(ダークマター)とは文字通り一味も二味も違うのだよ。

 

若干ルンルン気分で歩いていると不意に「コスプレ少女がいるんだってよ!」って声が聞こえた。

 

……いゃあ。まさか……ね?

さっき見たときはスーツだったから大丈夫だとは思うけど……あいつの事だから昼になったからとかいって着替えていてもおかしくはない。

 

……いや。俺。流石に幼馴染み(一応、辛うじて)を一方的に疑うのは悪いだろう。うん。やっぱり気のせいだ。そうに違いな「お姉さま!何て格好してるんですか!」「あー!ソーナちゃん!」……。

 

よし他人の振り。他人の振りをするんだ。

俺の幼馴染みがこんな人前で妹に恥をかかせる行為をする筈がない。

 

そんなわけで死んだ魚のような目をしながらやり過ごそうとしたのだが見事にばれた。

何でも『グレイレーダー』なる物に反応したとか。

そんな物は捨ててしまいなさい。

 

って言うかいきなり抱きつくな。

今の俺は教師なの。校内で不純異性行動しているとか噂になったらどうしてくれんだよ。こらそこ写真は止めなさい。

 

そんなこんなしている間にいつの間にかグレモリー卿達がやって来た。

 

こら、そこの馬鹿。グレモリー卿に間違った日本の文化教えんな。

サーゼクス。俺の拳受け止めんな。大人しく食らっとけ。

グレイフィアさん。無駄に高級なカメラで写真とらなくて良いからこの馬鹿しばくの手伝って。

 

最近のこの頃。この魔王(馬鹿)どもを止められる人員が一人でも多く欲しいと思う。切実に。

グレイフィアさんは仕事なら頼りになりストッパーとなってくれるが彼女は仕事外のプライベートの時間ではボケに回り、夫と共に最強の敵となる。

おのれ、魔王ども……!!

 

そんなこんなで馬鹿どもにツッコミをいれ、その度に間違った知識を常識として認識しようとするグレモリー卿に訂正を促していると恥ずかしさに耐えれなくなったソーナちゃんが逃げ出した。そんなソーナちゃんを追う我が幼馴染み。

その表情は実に楽しそうだ。

ソーナちゃんが可哀想だ。

 

そのまま馬鹿の一人がいなくなった事でその場は流れで解散することになった。

やっと解放され、ようやくお弁当が食べられる。さぁ職員室へと帰るか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

……あぁ分かってたよ。さっきのやり取りでかなり時間をとられていたなんて事はさ。

 

ははっ……昼は抜きか……。

しかもレイヴェルちゃんの弁当が……。

 

……終わったらあの馬鹿どもマジで絞めてやる。

 

具体的には幻覚をかけて、その中で幻覚のソーナちゃんとリアスちゃんに何度も大嫌いって言われるっていう罰だ。

グレイフィアさんにはリアスちゃんよりも息子のミリキャス君に言われる方がいいかもしれないからそっちで行こう。

 

俺はそう決意し、次の体育の授業をやる教室へと向かうのだった。

 

……腹をグーグー鳴らしながら。

 

 

 

 

 

さぁようやく授業参観日で忙しかった一日が終わった。

 

今の俺はきっと某ボクサーのように真っ白に燃え尽きているだろう。取り敢えず疲れた。

 

他の先生(主に女性教師)たちがそんな俺の様子を見て、励まそうとしてか飲み会に行こう!と誘ってくれた。

 

いつもなら断るところだが今日はこれから用事も特に無い。

よし!行くか!

 

そう決意して答えを出そうとしたところで携帯がなった。何事かと思って見てみるとメールがと届いておりそこにはジャンヌの名前が。

 

メールを確認してみるとそこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日はレイヴェル達が来ているから私達が今日の晩御飯を作るわ。早く帰ってきなさい。……別に遅くなるのなら遅くなるで良いのよ?グレイの分は冷蔵庫にラップして入れておくから。私的にはできたての温かいのを食べてもらいたいけどグレイにも用事があるだろうし、いきなり言った私達が悪いのだから。追伸。私も気持ちを籠めて作った料理があるからできれば食べて欲しいわ。愛しの主様』

 

………………………………ジャンヌがデレたーーーー!?

 

嘘だろ!?あのジャンヌが!?照れ隠しに木刀(聖剣)を振り回してくるあのジャンヌが!?

 

このメールを見た俺に先生達の誘いに乗ることはできなかった。

俺は先生達の誘いを断り、家にメールのお陰でルンルン気分になり家に帰った。

 

俺、家に帰ったらジャンヌ達の愛情籠った料理を食べるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おや?気づいたら翌日になっている。昨夜の記憶はない。あれ?参観日終わってからなんかしたっけ?思い出せない。

それになんか頭が痛い。具体的にはいつもまるでジャンヌに木刀で殴られたような痛みだ。

後、服と下着が何着か消えてるんだけど……?

 

しかし、ミッテルトちゃん曰く疲れて帰った瞬間に寝てしまったのだとか。

服も何着か傷んでしまっていたみたいでレイヴェルちゃんが直して持ってきてくれるそうだ。流石レイヴェルちゃん!花嫁修業を頑張っているだけはあるね!

 

さて、今日も一日頑張ろうかな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これでよし、と」

 

私は帰ってきたグレイを背後から気配を消して必殺の気を籠めて脳天にいつもの聖剣の木刀を叩きつけた。

 

近接戦闘型ではないグレイは案の定、私の気配を察せれずに呆気なく地に沈んだ。

……木刀と床に赤い液体がついているのは気のせいだろう。うん。そうに違いない。決して力加減を間違えたなんて事はない。

 

私は地に沈んでいる彼のポケットや鞄の中を探る。なんだか強盗のような真似をしているが別にそんなわけではない。

 

先程のメールを無かった事にしたいだけである。

 

「ん。あったわ携帯。さっさとさっきのメールを削除しなくちゃ」

 

私は彼の携帯を弄ろうとして画面を開こうとしたが携帯のメールはロックされていたらしく、見ることはできない。

 

……が、甘い。

 

「何年一緒にいると思っているのよ。この程度のロック今なら簡単に外せるわ」

 

私は簡単にロックを解除し、中のメールを見る。一番上に私の送ったメールがあった。

 

「あったあった。よし削除、と」

 

削除に成功したので目的は完了した。

後はグレイを布団に寝かすだけである。

 

「まずは、治療して血の痕跡を消して……よし。終わった。レイヴェルー、グレイが帰ったけどよっぽど疲れていた見たいで寝ちゃったの!布団につれていってあげてー!」

 

「えっ!?ほ、本当ですの!?」

 

その言葉と共にエプロン姿のレイヴェルが顔を出す。

 

「ええ。帰った瞬間にばたんと倒れたわ。今日は想像以上に疲れていたみたいね。お願いしてもいいかしら?」

 

「大丈夫ですけど、何で私に?言っては何ですが私より力持ちのフリードがいますわよね?別に私がやらなくても……」

 

「あら?意中の男性の部屋に合法的に入れる絶好の機k「分かりましたですわ!今すぐ届けてきますわ!」……速いわね。あー、グレイの押し入れの一番上段の服は痛んでるから自宅で直すって事にすれば合法的に持って帰れるわよー「貴重な情報感謝しますわ!」……ええ」

 

思ったよりレイヴェルの反応が凄くて若干引いた。まさかあそこまで食い付くとは。

 

まぁ良いわ。これでもう心配ないわ。

明日の朝には忘れているだろうから私は黒歴史を思い出されることはなくなり安心していられる。

 

余談だが一部始終を知っていたフリードはガタガタ震えて部屋の隅で私を見ていた。

イラッとした私は手に持っていた木刀(まだ血を拭き取っていない)を全力で投げつけた。

 

木刀は深々と壁にめり込み、それと同時にフリードは気絶した。

 

うん。スッキリ。




メールを送るまでのやり取り

ジャ「主様へと……こんな感じで良いのかしら?……いや、読み直して見るとこれ結構酷いわね。直さないと」

フリ「ジャンヌ。ここか?」ガチャ

ジャ「ひゃ!?ポチッ。へ?あー送っちゃた!?」

フリ「あ?なんかタイミング悪かったか?」

ジャ「悪かったどころか最悪よこのこの!!」

フリ「わ、悪かった!悪かったから木刀振り回すな!?
ギャー」



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第19話

お待たせしました!
遅れてしまって申し訳ないです。

昨日漸く大学のテストが終わり時間がとれるようになったので書き上げて投稿出来ました。




さて、参観日の翌日の授業も終わり帰ろうとしたら小猫ちゃんが俺を呼びに来た。

 

何でも引きこもり男の娘(ギャスパー)を旧校舎から外に出しても良い、とサーゼクスから許可を出されたらしい。

それで万が一にも神器の暴走が起こってはいけないので俺に来てほしいそうだ。

 

断る理由もないので即決返事を返して俺は無意識で小猫ちゃんの頭を撫でてしまった。

 

おっといけない。最近家に小さい女の子しかいないからついつい頭を撫でてしまう癖がついてしまっている。

早い内に何とかしなくてはセクハラ扱いされてしまうかもしれん。

これぐらいの歳の女の子は難しいって聞くからね。

 

だから、きっと俺が手を離した時に小猫ちゃんが少し残念そうな顔をしたのは俺の中の悪魔が見せた幻覚なのだろう。

惑わされるな俺。

 

小猫ちゃんと一緒に旧校舎まで歩いていくと既に俺たち以外のオカ研メンバーは全員いた。

どうやら一番遅くなってしまったらしい。

 

すまないと謝ると皆快く許してくれた。

助かる。これが我が幼馴染み(セラやサーゼクス)だったら俺は殺されていたかもしれない。

 

さて、早速封印を解いて引きこもりを出そう。

俺は封印の結界の術式に手を翳し結界を解除した。

 

それを見て苦笑いする面々。

一部は分かってないようだが本来結界というのは手を翳すだけで破れるような物ではない。

その程度で破れるような結界なんてヒビの入った今すぐ壊れそうな壁と大差ない。魔王の攻撃から何度も、結界で命を守ってた俺が言うのだ。説得力はきっとあるだろう。

 

まぁそんな無駄に結界に対して精通した知識を持ってしまった俺だからこそ簡単に結界を解除できるのだが、この知識を得る切っ掛けとなったのが幼馴染み(魔王)の本気の攻撃から身を護る為なので内心少し……いやかなり複雑である。

 

若干落ち込んだ俺をリアスちゃん達が心配そうにして見ていたのに気付き何でもないといい部屋の中に入る。

 

 

 

 

 

綺麗で埃一つない部屋。

 

その中央で優雅に紅茶を飲んでいる長い金髪の女性がいた。

 

その人物の紅茶を飲む動作の一つ一つが優雅な動作で思わず誰もが見惚れてしまっている。

 

その美貌や雰囲気のせいでいつも美少女をみたらでれでれしてしまう兵藤が口を開けてポカ~ンとしている。

 

が、すぐに正気に戻って兵藤が興奮しだした。

その様子を見てすぐそばにいた小猫ちゃんがボソリと気持ち悪いと言った。

うん。確かに。

 

俺は取り敢えず兵藤を落ち着ける。

だって(ギャスパー)に興奮している(兵藤)なんて気持ち悪いだけだから。

 

そう。

この人物こそがリアスちゃんの僧侶である『ギャスパー・ヴラディ』(♂)その人である!

 

俺の説明を聞いた兵藤がえっ?と首をギギギとこちらに向けてくる。

 

え?もう一度言ってほしい?

仕方がないなぁ。もう一度言うよ。

『ギャスパー・ウラディ』(♂)その人である!

……満足したか?

 

すると、兵藤は涙を流しながら地面をバンバン叩いている。

まぁ気持ちは分かるので今回は何も言わない。

 

その様子を見てギャスパーがクスクス笑う。

その動作もまた優雅だ。

泣きながら地面をバンバン叩いていた兵藤が叩くのを止めて一瞬見惚れて……また相手が男だった事を思い出して今度は壁にガンガン頭をぶつけ出した。

……忙しいやつだなぁ。

 

そんな兵藤をクスクス笑いながら見ていたギャスパーが兵藤を対象に神器を発動した。

 

すると兵藤がピタリと動きを止めた。

いや、止めたと言うよりは止められたと言うべきか。

 

俺や他のメンバーは見たことがあるのでそこまで何も思ってはいないが初めて見るアーシアちゃんやゼノヴィアが驚いている。

まぁ初見ならそうだよね。

 

これがギャスパーの神器。

停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)

能力は単純。視界に入った物の時間を停止させる能力だ。

しかし、単純が故に強力であり、人数が幾らいようと相手が自分よりも能力が下ならば纏めて時間を止める事も可能だ。

 

ギャスパーは昔、特訓……というか矯正の為に紅い館のカリスマ(笑)たっぷりの吸血鬼のおぜうさまに引き渡した結果、ギャスパーは館にいる喘息持ちの魔女に魔法を、時を操る完璧な従者により神器の制御と完璧な女子力(女装力とも言う)を身につけて帰ってきたのだ!

 

……俺的にはできれば男らしく矯正して欲しかったんだけどなぁ。

完璧な男の娘にしやがって……!

 

で?何で兵藤の時間を止めたの?

あのままにしてれば(気絶して)静かになっただろうに。

 

頭から流れる血を見て吸血衝動が出るのと部屋が血で汚れるのを防ぎたかった?

 

……できれば兵藤の心配をして欲しかったなぁと一応教師の身である俺は思ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

さて、あれから暫くして兵藤の時間を元に戻しギャスパーの説明をする。

 

ギャスパー・ウラディ。

本来ならリアスちゃんの実力では眷属に出来ない吸血鬼の男の娘だが、僧侶の『変異の駒』を使うことでリアスちゃんの眷属となっている。

 

因みにここに閉じ籠っている理由は、とある事情で吸血衝動が強くなってしまったので少しでもそれを抑えるためと、ただ単純に引き籠るのが好きなだけだ。

 

引き籠る為に高校を飛び級で卒業し、株で現在稼いでいる彼の引き籠る事に対しての熱意は本物だろう。

教師としては複雑な気持ちになるのだが。

 

ギャスパーはリアスちゃんに一緒に外に出るように言われるがギャスパー自身が引き籠りたがっているので当然拒否。それから話は平行線を辿った。

 

やがて、リアスちゃんが折れてギャスパーを外に出すのを諦めた。まぁ予想はできていたので苦笑いしてリアスちゃんを慰める事しか出来ない。

 

まぁ取り敢えず今日の予定は終わったぽいので帰ろうとしたらリアスちゃんに呼び止められた。

 

何事かと思ってリアスちゃんに尋ねると、今日会談の打ち合わせをするから一緒に行こうとの事。

 

……何それ?聞いていない。

 

えっ?まじで今日なの?来週とかじゃなくて?

 

俺が今の情報に余りにも驚いてフリーズしていると携帯が振動した。

どうやらメールらしい。この時点でかなり嫌な予感がした。

 

『今日会談やるからお前来い。お前に拒否権無いから予定あるなら全て断ってこい』

 

メールを読んで簡単に内容を纏めるとこんな感じだ。

もっとオブラートに言葉を選んで書いているが大体内容はあっているはず。

 

……フフフ、アノヤロウ。ブッコロシテヤロウカ?

 

その時の俺の殺気はリアスちゃん達曰く今まで感じた事のないような強さだったらしい。

 

ガタガタ怯えていた彼らを見て罪悪感が凄かった。

 

おのれ、この恨みは晴らさせてもらうぞ。サーゼクス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前は『メル』。

今年二十才になるグレモリー家にメイドとして雇ってもらっている者なのです。

 

今日は会談の準備のためにグレモリー家の執事とメイドが駆り出される事に成りました。

私はまだ雇ってもらってから一年しか経っていないので、館で先輩達と一緒にお留守番させられると思っていたのですがグレイフィアさんに指名されて今日はメイドや執事の精鋭の先輩達と一緒に連れてきてもらいました。

 

しかも今回の会談の責任者はあの『創成の魔導王』ことグレイ様だそうです!!

私、彼の大ファンなんです!

『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』の予約限定版のシャワーシーンなんてもう。実にたまらんとです!(鼻血ドバー)

 

ゴホン。フキフキ。と、取り敢えず、この準備の会談で少なくとも話せるようになって、あわよくばお近づきに!

 

と、思っていたのだが……

 

「『魔界粧・轟炎(まかいしょう・ごうえん)』!!」

 

「『滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)』!!」

 

片や物凄い魔力の籠められた魔法の炎で相手を焼き尽くさんと。

片やその魔法を滅びの魔力を使い上手く捌いている。

 

その戦闘は当に死闘と言っても可笑しくはないレベルの戦闘であった。

 

「はっはっはっ。大人しく当たってくんないかな~♪サーゼクス♪」

 

「嫌だなぁ。そんなもの食らったら丸焦げじゃすまないじゃないか」

 

「俺はそれを願っているんだよ?だ・か・ら・くたばれ!!」ゴウッ

 

「嫌だといっているじゃないか」ズドーン

 

そんな軽い会話をしながら私なら入るまでもなく致命傷を負いそうな攻防を繰り広げる魔王様とグレイ様。

 

それを先輩達は気にせず会談に使う道具や書類。紅茶などを用意し、リアスお嬢様達に試食をお願いしている。

 

「えっと……グレイフィア様。あれ止めなくていいんですか?」

 

私は恐る恐るグレイフィア様に尋ねた。

 

「大丈夫です。あれぐらいならばいつもの光景ですので」

 

あれで!?なんかドラゴン討伐ぐらい余裕でできそうな魔法を放っているんですけど!?

 

「あの二人にとってはそれぐらいは幼馴染みとしてのスキンシップを行っているようなものです。レヴィアタン様なんて更に強力な魔法を照れ隠しで彼に(一方的に)繰り出してますよ」

 

あのレヴィアタン様が!?

さ、流石は魔王様と創成の魔導王様と言ったとこなのかしら?

 

「でも、グレイフィア様?なんかお二人の放つ魔法の威力段々向上してきません?」

 

「久し振りのスキンシップ(死合い)ですからね。お二人とも熱が入ってきているんでしょう」

 

そんな物なんでしょうか?

でもお二人と長年付き合われているグレイフィア様がそう言うのならそうなんでしょう。

 

「……でも、そうですね。これ以上はお遊びではすまなくなりそうですね」

 

そう言ってグレイフィア様はサーゼクス様の元へ飛んでいった。

何をするんだろう?

 

「サーゼクス様」

 

「ん?なんだい?グレイフ『パーーーーン‼』へぶ!?」

 

ビ、ビンタ!?

さっきまで物凄い魔法放っていたグレイ様ですら動きを止めてしてしまうぐらいの大きな音でしたよ!?

 

「何をやっているんですか『パーーン』?サーゼクス様『パーーン』?私言いましたよね『パーーン』?事前に『パーーン』ちゃんとグレイ様に『パーーン』連絡をいれといてくださいって『パーーン』」

 

「へぶ!? グ、グレイフィア『パーーン』ぶっ!謝る!謝『パーーン』ば!ゆ、ゆるひて!」

 

「謝る相手が『パーーン』違うのでは無いですか?『パーーン』」

 

「ぶっ!グレイ様申し訳ありませんでした!!」

 

う、うわぁ。

容赦ないビンタの応酬にサーゼクス様の頬が数回受けただけで腫れ上がっているよ。

あまりの威力に受けてない筈のグレイ様も頬を抑えて引いているよ?

 

「グレイ様。本人はこの様に言っているのですが許していただけるでしょうか?」

 

「え?あ、う、うん。まぁそこまで言うなら許してあげよかな。……なんか少しサーゼクスが可哀想に思えたし(ボソッ」

 

「何か言いましたか?」

 

「い、いえ!何でもありません!!」

 

「そうですか。ではそろそろ会談の準備を始めてもらいましょう。私は仕事が残っているので帰らなければなりませんが……サーゼクス様サボらないでくださいね(ゴゴゴ」

 

『イエスマム!!』

 

謎の黒いオーラを出しながらグレイフィア様はそう言って転移魔法で帰っていった。

 

あまりの迫力に言われたサーゼクス様だけではなくその場にいた全員で敬礼してしまった。

 

こうして私達は会談の準備を始めた。

 

……少し休もうとすると謎の悪寒が走ったのは余談なんでしょうね。きっと。




これからは大学が夏休みに入るので確実に前より早い時期に投稿できるようになると思います。

これからもこの作品をどうかよろしくお願いします!

……感想をくれてもいいんだよ?


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第20話

前回の感想でもっと幼女を増やしてくれコールを受けた作者です。
皆幼女が好きなんですね!

今回は色々とアレな方向へととあるキャラが落ちていきかけます。

現在作者が言いたいのはただ一言だけ。

──どうしてこうなった!?


サーゼクスの頬が腫れ上がってから数時間後。

 

漸く会場の準備が終了した。

 

後は数日かけて作った結界を張るだけなのだが今から張っていたら流石に魔力が持たなくなるのでこの部屋に空間を置換する魔法陣を刻んでおく。

 

こうすることで、この会談用の部屋には誰も入る事はできなくるなる。

 

元の部屋の扉がどこと置換されたか知るのは俺だけなので例えこの中に裏切り者がいたとしても問題はない。

 

……は?俺が裏切り者ではないかって?

 

ほぉう。サーゼクス。数日間ほぼ徹夜で会談用の結界を完成させたり、急に呼び出され会談の準備をしている俺にそんなこと言うとはいい度胸だな。

奥さん(グレイフィアさん)に言いつけるぞ。

 

……三回転捻りジャンプからのスライディング土下座だと!?な、何て無駄に高度で綺麗な土下座なんだ。

思わず見惚れてしまった。

 

頼むからグレイフィアだけには言わないでくれって?

お、おう。さっきのがよっぽど効いたんだな。もしくは前々から調教されていたか。

 

やはり聞いた通り、結婚とは人生の墓場なのだな。

俺も結婚する相手が出来たら気を付けるとしよう。

……まず相手がいないけどな。

泣ける。

 

はぁ、と二人して溜め息をつく。

 

お互い悩みは少し違うが、考えている事は奥さんの話なので不思議と溜め息はシンクロした。

こんなシンクロは嫌だが。

 

取り敢えずこのままここで溜め息をついていても仕方がないので家へと帰ろうとしたらサーゼクスに呼び止められた。

 

何事か聞くと俺の家にこの会談の準備で何かと話してくれ仲良くなったまだ若いメイドのメルさんを俺の家でメイドの実習がてら預かって欲しいらしい。

 

報酬も出るらしいし、可愛い女の子が俺の世話をしてくれるなんて男としても断る理由がない。快く引き受けた。

 

しかし、この時俺はこれが最大の地雷元となることに気が付いていなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?もうこんな時間?」

 

私は読んでいた本を傍らに置き大きく背伸びをする。

昨晩、グレイは『今晩は遅くなるから』とだけしかメールで連絡をくれなかったのでそんなに遅くはならないだろう、と思って、私は今はもう冷めてしまっている料理……『麻婆豆腐』を作って待っていたのだが朝の四時を過ぎても帰ってこない。

 

グレイに限って何かあったとは思えないが、ここまで遅くなると少し心配になってくる。

 

「ふぁ~~~。ん。そろそろ限界ね。一度寝ましょう。明日は休みだし、すぐに会えるでしょう」

 

そう思って自分の部屋に帰ろうとリビングの扉を開けると玄関の方からガチャという音が聞こえた。

 

「ん?帰ってきたみたいね。折角だから、お帰りなさいぐらいは言ってあげましょうか」

 

そして、私は玄関まで小走りで向かいグレイの姿を見て……硬直した。

 

「あ、ジャンヌ?ただいま。珍しいね?ジャンヌがこんな時間まで起きているなんて」

 

と、何時もの笑顔で言ってくれるグレイ。

 

それはいい。それは良いのだが……

 

「あの、その……お、お邪魔します……」

 

ソノトナリニイルオンナハイッタイダレ?

 

「メルさん。今日から君はここに住むんだよ?そんな他人行儀じゃ駄目だよ」

 

「は、はい……その……ただいま?でいいんでしょうか……?」

 

「疑問系なのはあれだけど、うん。よろしい」

 

そう言ってグレイより身長の低い彼女の頭をよしよしと頭を撫でるグレイ。そして、顔を赤め恥ずかしがる彼女。

 

……なんだろう。ただあの娘が頭を撫でられているだけなのに、胸のうちから黒いのが溢れだしそうだ。

 

「あ、ジャンヌ。昨晩(会談会場造りの)作業を手伝ってもらったグレモリー家のメイドの『メル』さん。今日から家に住み込みで働くことになったから」

 

「メ、メイドのメルです。二十才です!昨晩はグレイ様に大変お世話になりました。ふ、不束者ですがよろしくお願いします!!」

 

……昨晩の作業(意味深)?大変お世話になった(意味深)?

 

へ、へぇ、昨夜は随分お楽しみだったようですね?

 

……い、いや、待て。私。

相手はあのヘタレ(グレイ)だ。そんなことをしているはずが……

 

「にしても昨夜は疲れたね。お陰で(重い荷物を持ち上げたりして)腰がいたいよ」

 

「はい。私も足腰がガタガタで、今にも腰が抜けそうです。……グレイフィア様から色々学んでいるのであの程度で腰が抜けてたら再教育させられるのでしょうけど」

 

「あぁ。グレイフィアさんそう言う事に厳しそうだからね。そう言う意味では大変だね。メイドというのも」

 

「大切なお客様を働かすわけにはいきませんから」

 

足腰がガタガタになり、女性の方…メル(泥棒猫)に至っては腰が抜けそう………。

 

あ、あはははは。さ、最近のメイドって言うのはそんなこともやらすのね。

知らなかったわ。

 

……ミッテルトもメイド服を着てるけどもしかして手を出してないわよね?手を出していたら私は貴方を物理的にも社会的にも殺さなくちゃいけなくなるわ。

 

私の考えはどんどん深く深くアレな方向へと沈んでいく。

 

「あの……グレイ様。その…私は今日はどこで寝ればよろしいでしょうか?」

 

「ん?ああ。そうか。すっかり部屋の事を忘れてた。う~ん。仕方がないから今日は俺の部屋で寝てくれ。部屋の鍵は開けとくから」

 

「ぐ、グレイ様の部屋ですか!?」

 

ブチッと私の中で何か切れた音がした。

何かは分からない。しかし、今はそんなことを解明するよりも、もっと大事なやらなければいけないことがある。

 

「うん。それで大事な事なんだけど『ガシッ!ギリリリリ』めぎゃ!?痛い!?痛いよ!?ジャンヌ!?」

 

私はグレイの肩を魔力を全力で(・・・) 籠めて掴む。

何やら悲鳴をあげているが知らない。私は何も聞いていない。

 

「えっと……めるさんだっけ?」

 

「ひゃっ!?ひゃい!?」

 

あら?可愛い返事。何だか震えている姿は怯えた子兎みたいね。……何だか少しいけない気分になりそう。

なんかこう……嗜虐心を煽られるような。ベキッ!

 

「ぎゃっ!?今ベキッてなった!?ベキッてなったから!?」

 

「こんな、男の汚くて穢らわしくて厭らしい部屋なんかで寝ることはないわ。私の部屋を貸してあげるからそっちで寝なさい」

 

「そんな汚くな『メキョ』ギャャャャア!?」

 

「は、はいぃぃぃぃぃぃ!!お、お借りしますぅぅぅぅぅ!!」

 

うんうん。素直で聞き分けのいい子は好きよ。ベキベキボキボキ。

 

「§#♯■■§※#&■‡!?」ガクッ

 

「あ、私の部屋は二階に上がってすぐ右側の部屋だから。行っていいわよ。私はこの(クズ)に用があるから。……これから先はグロ注意(R-18G)よ♪」

 

「ひゃい!失礼しますぅぅぅぅぅ!!」

 

彼女は走ってこの場から離脱した。

 

……これで、気にすることは何もない。遠慮しなくてもいい。

 

「取り敢えず、起きなさい」

 

「へぶしっ!?」

 

スパーンとグレイにビンタ一閃。痛さで気絶しているグレイを無理矢理起こす。

 

「……はっ!?じゃ、ジャンヌ!?一体何w「黙れ」は、はい!!」

 

「正座」

 

「はい?」

 

「二度も言わせる気?せ・い・ざ!!」ゴゴゴ

 

「イエスマム!!」

 

ふむ。従順なのは良いことね。これから与える苦痛がきっとほんの少しだけ減ることを期待してもいいわ。

さて、じゃあ早速私達のデート(調教)を始めましょう。

 

私は神器で聖剣(鞭っぽい形をした刃を潰した蛇腹剣ver)を造り出し、薄く笑いながらそれを振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っていう夢を見たんだ。

 

……ってオチに成ればよかったんだけどなぁ。

 

残念ながら全てが現実だ。

 

くそぅジャンヌのやつ、容赦なく聖なる力の籠った鞭で叩きやがって。

俺にそれでぶたれて悦ぶような性癖はねぇよ!!

 

最終的にジャンヌがノリノリになるまでに誤解が解けたからよかったけど、もう少しで未来永劫開いてはいけない扉を開いていたかもしれない。

 

……あ、でも少しだけ気持ち良かっゲフンゲフン。

やっぱり何でもない。俺はあの雌豚とは違うんだ。忘れてくれ。

 

で、俺はどうやら二日間、気絶していたみたいだ。

 

どうやらここ数日の間で溜まっていた疲労が一気に吹き出してしまったみたいだ。

まるで死んだかのように気絶していたようだ。

 

グレモリー家から借りているメルさんや、普段暇にしているミッテルトちゃんだけではなく、流石にこれには焦ったのかジャンヌまでが看病してくれた。

 

ただし、何故か全員がミニスカナース服。

 

……いや、何でさ?

看病してくれたのは嬉しいけどその格好で看病する理由はないよね?

……形から入ることが重要?

 

……あぁ。そういえばジャンヌは少し前に『魔法少女ミルキー』のコスプレをして部屋で玩具の杖をふりまわガフッ!?

 

ね、寝ている相手に鳩尾に踵落としだと!?それが弱っている人間にやる……はい。ごめんなさい。話すからその木刀仕舞ってください。はい。

 

夜中になんか音が聞こえたなぁと思ってもしかしたら泥棒かと思ってコッソリと見たら防音の結界を張りながらノリノリで、コスプレしてオープニング熱唱しているジャンヌがいたんだよ。

しかも、超本格的なコスプレ。ただ衣装を着ただけでなくカラフルなカツラまで被ってフリフリな衣装で。

しかも熱中し過ぎて防音の結界の効果も薄れていることに気づいてなかったし。

 

そんな人を見たら、そっと見なかった振りをして立ち去るのが優しさだろ?

 

……え?じゃあ何で今言ったか?

 

……………………ごめんなさい。口が滑りました。

 

勿論その後、俺はぶん殴られた。

 

……これでビデオ録画してパソコンに保存してあるとか言ったらパソコンごと壊されそうだなぁ。

絶対にバレないようにしよう(フラグ)。

 

 

 

 

 

因みにその頃……

 

「ううぅぅぅぅぅ!!何で俺までこんな格好を……!」

 

「似合ってるじゃないか、フリード。何をそんな照れているんだい?」

 

「ふざけんな!!こんな恥ずかしい格好何で俺がやんなきゃいけないんだ!!って言うか何でお前までそんな格好をしているんだグレモリーの騎士 !?恥はないのか!?」

 

「……ふっ。僕は先生達には今までお世話になってきているからね。それが例えジャンヌさんに女装でナース服のコスプレをして先生を看病しに来てくれって言われたら断れるわけ……断るわけないじゃないか」

 

「おい!?お前今絶対に駄目なこと口走らなかったか!?」

 

「まぁまぁ。ほら行くよ」

 

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

グレイの寝込んでいる隣の部屋にはナース服を着た金髪の騎士と同じくナース服を着た銀髪で絶壁な兵士が大きな声で話していたようだが、それは防音の結界によりグレイには聞こえなかった。

 

グレイが絶句して銀髪の兵士にぶん殴られるまで残り十数秒。



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番外編その三『一方その頃北欧では』

あれ?気付いたら前回投稿から一ヶ月経ってるぞ(困惑)
それに前見たときからお気に入り数が二百人以上増えてるし。

と、取り敢えずお待たせしました。

今回は本編ではなく輝姫さんをメインとした北欧のお話です。

これからの物語に結構深く関わっていきそうな、番外編なのでしっかり読んでおいてください。


私、輝姫は現在、雑用係(ラーク)を連れて北欧にいる。

 

理由?ここには疑似授肉した英雄の魂(エインヘリヤル)戦乙女(ヴァルキリー)といった強者が集まる場所だから、修行の場として最適だから。

後は、技を試せる絶好の的があるから、かな。

 

「あの……すみません。その的って僕の事ではないですよね?」

 

金髪のショタが何かほざいてます。

全く、失礼な人ですね。

 

「貴方は的ではありませんよ。サンドバッグです」

 

「何がどう違うのかなぁ!?」

 

「的は一度当てると砕けるじゃないですか。貴方なら砕けることはありえないので何度でも試せます。一家に一人は貴方(ストレス発散機)が欲しいですね」

 

「待て待て!?確かに僕の肉体は壊れないかもしれないけど痛みは感じるんだよ!?っていうか『貴方』のルビ降りおかしいから!?」

 

全く、うるさいショタですね。少し黙ってもらいましょうか。

私は最近オーディンのお爺さんにもらった剣をショタに向かって降り下ろした。

 

「うわぁぁぁ!?ちょっ!?それ!?」

 

「む?やっぱり使いなれてない剣では剣速が落ちますね。やっぱり日本刀が一番使いやすいです」

 

何時もなら避けきれずショタの脳天にガツンとあたる一撃がかわされた。

ちょっとショック。

 

「そんなことはどうでもいいよ!?そんなことよりその『ミストルティン』一体誰にもらったのさ!?」

 

「オーディンのお爺さんに貰いました」

 

「あのスケベ爺!!」

 

どうやら私が貰った剣の名前はミストルティンと言うらしい。セクハラの慰謝料がわりに何か寄越せと無茶ぶり振りをしたのだが、中々強力な魔剣だからこれ使ってみ。と言われて渡された。早速その効果を試してみようとしたのだが、彼にはこの剣は天敵らしい。

いつになく真剣な顔で怒っている。

 

「とにかくその剣で僕を斬るのは駄目だ。他の剣ならいざ知らず、その剣で斬られると僕は普通に死ぬ」

 

「……仕方ないですね。サンドバッグがいなくなるのは私が困ります。この剣で斬ることは諦めましょう」

 

「や。斬ること事態を諦めてくれてもいいんだよ?」

 

「それはないです」

 

「ですよねー」

 

全く。このショタは何を当たり前な事を言っているんでしょうね。

不死……ではないけど、ヤドリギを除いて『あらゆる物で傷を受けない』恩恵を受けている彼を斬れるようになれたら、即ち事実上斬れない物を斬れる存在になると言うこと。

私の目標であるグレイに勝つにはそれぐらいできなければならない。

 

……む?

 

「どうやら的の方が飛んできたみたいですね」

 

「え?的?……っておいおい。あれは……」

 

バサバサと飛んでくるのは鳥などではなく龍。それもいつものに比べたらかなりの大物です。しかし、あんな一直線にしか飛んでこない龍種なんて雑魚です。

私は腰に下げていた修練用の刀を振るい斬撃を放ち龍を切り裂いた。

うん。やっぱり雑魚ですね。

 

「いやいや!?確かにあれは模造品だけど、少なくとも五大龍王の一匹である「終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)」ミドガルズオルムの模造品だよ!?」

 

「雑魚は雑魚です。空飛ぶ蛇なんて放っておいても危ないだけですからね。早めに駆逐するに限ります。ほら、一匹見たら百匹いると思えと昔から言いますし」

 

「いや、そんな台所の隅から出てくる黒光りする害虫を駆除する感覚で龍殺し(ドラゴンスレイヤー)されても」

 

「それに……ほら」

 

「ん?」

 

私はある一点を指差した。

その方向に目を向けた彼は、動きを止め固まった。

 

「あれ、どう見ても百匹超えてますよね?」

 

うじゃうじゃと山のように飛んでくるミドガルズオルムの模造品。

う~ん。こうやってみると気持ち悪い。

 

私がそんな事を考えていると隣でショタが震えだした。もしかして……

 

「トイレですか?」

 

「違うよ!」

 

違ったらしい。

 

「……あれ絶対、ロキの仕業だよ!昔からあいつは僕に嫌がらせしてくるんだ!例えば食事にヤドリギを仕込んできたりとか、爪切りの刃に削って鋭くしたヤドリギを仕込んだりとか!」

 

「随分規模の小さい悪戯ですね」

 

何でしょう?北欧の神々は暇なのでしょうか?

オーディンはセクハラ、ロキは規模の小さい悪戯、バルドルはショタ。全く持ってましな神がいない。

私がそういうと彼は、ジト目でこちらを睨んだ。見た目が幼いので全く恐くないけど。

 

「君にとっては規模の小さい悪戯ですむかもしれないけどね。僕にとっては死活問題さ。いつ気付かずに暗殺されるかと思うと夜も安心して眠れない」

 

「じゃあいっそのこと永遠に寝て見たらどうです?いや、やっぱり駄目です。貴方のようないいサンドバッグを探すのは中々めんどくさいので死んでも生き返って私に斬られてください」

 

「……君って時々本当に無茶な要求をするよねぇ」

 

あきれられた目で見られた。

イラッとしたけど取り敢えずこのショタは無視。

あの蛇を斬ることが優先だろう。

 

取り敢えず横に一閃。

それだけで半分ぐらいの空飛ぶ蛇が斬られ、回りの蛇も何体かその衝撃の余波で墜ちそうになってた。

ふむ。

 

「張り合いが全くないです」

 

「いや、君にとってはそうかもしれないけど僕はもうかなりお腹一杯だからね?龍種を剣を一振りしただけで数十体纏めて墜とすって普通は無理だから」

 

「神の癖に情けないですね」

 

全く神ならばあの程度楽勝で落として欲しいです。

 

その後、僅か二分でミドガルズオルムの群れは全滅した。本当に張り合いがない。

 

それにしても、ロキですか……。ロキと言えば確か大層な剣を持っているって話でしたね。

……お土産に丁度いいかもしません。

 

「よし、ショタ。今からロキの所にいきますよ」

 

「いや、なんでさ!?っていうか僕の名前はショタじゃなくてバルドル!!ショタって言うな!小さいの気にしてるんだからさ!!」

 

「うるさいですよ。貴方みたいに不壊の加護ぐらいしか特徴のないちび神なんてショタで十分です」

 

「酷くない!?」

 

事実ですからしょうがないですよね。

文句を言うぐらいなら特徴の一つや二つ作ってきて欲しいです。

 

「ああ、それとロキの所に向かうのはちょっと最近はっちゃけてる(調子に載ってる)みたいなので少しお仕置き(調教)ついでに宝物でも頂戴しようかと思いまして」

 

「恐っ!?でもあそこには神喰らいの狼(フェンリル)がいるんだけど」

 

「大丈夫です。私、犬の調教には少し自信があります」

 

「はっはっは。僕、もう突っ込むのも疲れてきたよ……」

 

はて?そんな疲れる要素があったでしょうか?

流石はショタです。体力も子供並みとは。

 

「それでは行きましょう」

 

「ああ、うん。もうどうにでもしてくれよ……。ところで今日はラークはどうしたんだい?何時もなら僕と同じようにサンドバッグにするだろう?」

 

おや?自分からサンドバッグと言えるようになるとは。どうやらようやく私のサンドバッグという自覚が出てきたみたいです。

いい傾向ですね。

 

「ラークなら今日は休みをあげたので、きっと今頃町で最近見つけたって言ってた幼子に軟派しに行っているんじゃないでしょうか?」

 

「いや、それ問題だよね?警察にお世話になる事案じゃないかな?」

 

「いやまぁ、問題ないでしょう。最近聞いた話ではお互いに親しい関係らしいので」

 

「既に手遅れ!?」

 

いや、あの時は本当に吃驚しました。

あのラークが幼子を胸に抱き抱えて甘い甘いピンク色の雰囲気を出しながら泊まっている宿に戻ってきたのですから。

思わず催眠魔法でも使って拐って来たのではないかと勘違いして本気で斬りかかった私は悪くないと思います。

 

「私は相思相愛ならば何も言うことはありません。後は彼等の問題なので両親と話し合い許可が出れば私は彼等を祝福してもいいとは考えてます」

 

「ふーん。君って意外と大人なんだ」

 

「失礼なショタです。私ほど大人な女性は中々いないと思いますよ」

 

「その失礼って台詞そのまま返すよ。それにしても彼と相思相愛の女の子かぁ……幸せになれればいいね」

 

「そうですね。()()()幸せになれれば良いですね」

 

「……え?生きて?」

 

?……ああ、そうか。

ショタには彼が誰の娘と相思相愛の関係なのか説明していませんでしたね。

 

「実はラークと相思相愛な関係の少女は戦乙女(ヴァルキリー)をやっていまして少女の名前は『スルズ』と言います」

 

「うん?その名前どこかで聞いたことがあるような?」

 

「彼女の父親は北欧の神々の中でも上位に名を連ねており、得物は巨大な鎚を用い得意である雷を使い敵を殲滅します」

 

「………その神ってまさか」

 

「はい。雷神トールです」

 

「うわぁお」

 

雷神トール。

その名は北欧最強の神として有名であり、彼の獲物であるミョルニルは一撃で他の神々をも地に撃ち落とす威力を持ってます。

彼と模擬戦をした時はお互いがお互いに必殺の攻防を繰り広げたことで地形が変わってしまい、オーディンのお付きの銀髪のヴァルキリーに止められ決着は着きませんでした。その後、私達はそのヴァルキリーに延々と説教されて、ヘロヘロになりました。

……私達を説教するなんて、それこそグレイ程の度胸と実力を持たないと不可能です。意外と彼女こそが北欧最強なのかもしれません。

今度模擬戦でもお願いしてみましょうか?

 

話が逸れてしまいましたがそんな最強の神であるトール様でも一つだけ弱点が存在しています。それこそが娘であるスルズです。

 

「……彼も可哀想に。あの娘を溺愛していると言ってもいいトールの娘と相思相愛になるとは」

 

「ええ。彼は、娘を護れて幸せにできたら相手は誰だろうと認めるとは言ってました。けど、トールの場合は護るのに必要な力の基準が高すぎます。前に聞いてみたところ最低でも彼を苦戦させられる位の力は欲しいそうです」

 

それ即ち、私やグレイレベルとまではいかなくとも、少なくとも強者ランキングの八千番以内位には入らないと難しいでしょう。

因みに今の彼は、ざっと一万六千番位。まだまだ先は長そうですね。

 

「それはそうと早くいきますよ。早く彼に痛い目に遭わさなければ」

 

「ちょっ!?いきなり襟を持って引き摺らないで!?っていうか何でそんなに急いでるの?」

 

「もふもふ……いえ、合法的に神と手合わせをするのはそれなりに手間がかかるので。この機を逃すわけにはいかないでしょう?後ついでに噂に聞いたロキの秘蔵っ子とやらの顔でも見に行きましょう」

 

「絶対に最後の秘蔵っ子とやらが目当てだよね!?なんか目が凄く輝いているんだけど!?あっ!?止めて!?引き摺らないでーーー!!」

 

その後、メチャクチャロキをボコボコにして犬に芸を教え秘蔵っ子と遊んで魔剣『レーヴァティン』をぶんどり……貰いました。

久々に楽しい一日を送れて満足です。

 

ショタ?犬に頭を甘噛みされて悲鳴のような歓声を上げていましたよ?全く、犬に甘噛みされて喜ぶなんて子供ですね。




次回投稿=未定。

少なくても二週間以内には投稿したいなぁ。


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第21話

お久し振りです。

中々執筆が進まず苦労しました。
取り敢えず書けたので一応投稿します。

今回は後半は作者が純粋に疑問に思った事をお話しにした感じです。

なので、どんな批判や苦情も受け付けましょう。

だから意見ください。お願いします。


ジャンヌの謎の怒りに触れボコボコにされ、更にフリードの羞恥による理不尽な鉄拳に吹っ飛ばされて早数日。

 

とうとう会談の日がやってきた。

 

俺は現在、魔力を補充してくれるフリードとアクアちゃんの護衛をしてくれる友人を待っていた。

今日の深夜から会談が始まるので、午前中に電車で駆けつけてくれるらしい。

 

そして駅で待つ事数分後。

待っていた友達が乗っている電車がやって来た。

 

つい嬉しくて頬が緩む。何だかんだで久しぶりに友達と会えるので俺も少し気分が高揚しているらしい。

ドアが開くと同時に俺に向かって飛び出してくる小さな人影。俺は驚きながらもその人物を優しく受け止めた。

俺が優しく受け止めると、その人物は嬉しそうに俺の胸元に頬擦りをしてくる。

久しぶりに会ったからか中々スキンシップが激しい。

 

改めてその人物をよく見る。黒い綺麗な髪で上質な和服を着ており、その姿は幼いながらも大和撫子を彷彿とさせる。

 

この人物こそが俺の友人にして日本神話系統の幹部をしており女神でもある少女。月読命(つくよみのみこと)その人である。

師匠経由で知り合った大切な友人である。

ちなみに愛称は『ツッキー』。どこぞの吉原の人みたいにクナイは投げないからね。

 

嬉しそうに頬擦りをするツッキーを見て、俺もつい嬉しくなってしまい頭を撫でてしまう。

前世を含めて俺には兄弟、姉妹というのがいなかったから、彼女の事を妹みたいに感じてしまい甘やかしてしまう。姉弟子はいたけどアレとは競い合う仲だからノーカンで。

 

ジャンヌ達曰く「まるでどこかのシスコンを彷彿とさせる甘さ」だとか。

失礼な。精々食べたいお菓子があるって言ったら作ってあげたり、手を繋ぎたいと言われたら繋いであげ、お互いに水着を着て風呂場で髪を洗ってあげたりしているだけじゃないか。

 

と、そこまで考えて、いつもならツッキーと同じく俺に抱きつきにかかるツッキーの姉の天照大御神(あまてらすおおみかみ)やそんな二人を見て嫉妬交じりに草那芸之大刀(くさなぎのたち)を振り回す弟の素戔男尊(すさのおのみこと)がいないことに気がついた。

 

二人はどうしたのかツッキーに聞くとアマテラスは安定の天岩戸(引きこもり)生活で、スサノオは最近はよく嫁のクシナダヒメの元へとイチャイチャしに……もとい、遊びのお誘いに出たそうだ。

……アマテラスはともかくスサノオはモゲロ。リア充死すべし。慈悲はない。

帰ったら五寸釘と藁人形用意しとこう。

 

俺がスサノオに呪いを掛けることを決心していると、不意に腕をくいくいっと引かれた。

 

見ると少しむくれている義妹……もといツッキーが。

俺は即座に思考からゴミ(スサノオ)を廃棄しにっこり笑顔でツッキーを見る。あんな奴よりもツッキーの方が大事である。

 

どうやら俺が考え事に没頭している間に待ちくたびれてしまったようだ。

くっ!兄として最大の不覚だ。このお詫びは三色団子五本で許してくれないだろうか?

 

俺達はそんなやり取りをしながら家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、久々に我が家に来たツッキーを新しく入った眷属に紹介をして、余った時間でゲームをやっていたら、日が暮れてきたのでそろそろ結界を張る前に置換した空間を元に戻す為に会場に行かなくてはならない。

 

しかし、その前に最大の鬼門が俺達……正確には俺を待っていた。

 

これから行うのは会談を安全に行うための行動。それを終えたら恐らくすぐに会談を始めるであろうから休憩時間は取れないだろう。

となると当然家を出る前に全ての準備を終えなければならないわけである。

 

そして、現在この家には俺以外全員女性(心は男でありたいやつがいるけど)である。そして、これから行くのは三大勢力のこれからの行動を決める会談。つまりは何千何万という悪魔、天使、堕天使の未来のを決める重要な会議に出るのである。

 

そんな会場に果たして通常の格好で行けると?

 

断じて否である。

 

会議に出る女性陣は目の色を変えてドレスルームに山のようにある衣服の山の中から「何を着ていこうか?」「これなんてどうです?」なんてやり取りをずっと繰り返している。

 

それ以外の女性陣も面白半分に服を選び始め……いつの間にかセラも混じっているんだけど、お前本当にいつ来たの?全く気配感じなかったんだけど?

 

……まぁ、それもいいとしよう。いや、防犯の都合上全く良くないんだけど。それはそれとして置いといて、問題は彼女達が服を選ぶ度に俺に意見を求めることだ。

 

無難に感想を言うと冷たい目で「その程度しか言えないのか?」と言わんばかりに睨んできて、べた褒めをしたらしたで顔を赤く染め「じゃ、じゃあこれはどうかな?」と新しいのを探してまた意見を求めてくる。

 

……終わらねぇ(汗)

延々と続く無限ループだ。

本来は数日前に決めておく筈だったのだが色々なゴタゴタがあってすっかり忘れていた。

 

ああ!?もうこんな時間だ!?そろそろ決めてくれよ!時間が不味いんだけど!?……ひっ!?

ギロッ!て睨まれたんだけど!?

女の子にとってお洒落は大事なんだよ?

 

いやそれは分かるけど時間が!?時間が不味いんだけど!?

 

俺が遅れたら絶対、絶っっっっっっ対に!!サーゼクスのやつがいちゃもんつけてくると思うんだけど!?

 

頼むから早くしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

結局、彼女達が今日着ていく服を決めたのは俺が転移の魔法を使って駒王学園に向かい約束の時間に全力で魔力を回してギリギリで会場の準備を終えられる時間だった。

勿論、俺がバテて暫くダウンしていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっす。俺、赤龍帝の兵藤一誠。やっと主人公らしいことができる気がするぜ!

 

今日は三大勢力の和平会議の行われる日だ。

俺達グレモリー眷属はその会議に参加するように部長のお兄さん……サーゼクス様に言われて、来たんだけど……

 

「ぶ、部長?ほ、本当にここであっているんですか?」

 

「え、ええ。結界を張ってたフリードとアクアに聞いたんだから間違ってないと思うんだけど……」

思わず俺は部長に聞いてしまった。部長も困惑ぎみに答えてくれた。

 

ここ和平をするための会談の会場だよな?サーゼクス様や先生もそう言ってたし。

 

じゃあさ?何でこんなに膨大な殺気と魔力が辺りを充満しているんだよ!?

 

多分これ和平の会談だって知らない人が来たら恐らくこれから戦争でもするのか!?と勘違いしても可笑しくないレベルだぞ!?

 

しかも、奥に行けば行くほどその気配が濃くなっていくし!?

 

俺達は奥に行けば行くほど濃くなっていく殺気に「もしかして俺達は地獄への一本道を歩いているのではないか?」と怯えながら歩いていくとようやく、会談の会場が行われる部屋の扉の前へとたどり着いた。

 

その前には巨乳のメイドさんと先生の兵士の元下級堕天使のミッテルトとサーゼクス様の女王であるくグレイフィアさんがガタガタ軽く震えながら待っていた。

 

ミッテルトやあの巨乳のメイドさんはともかく、あのグレイフィアさんがこんなに怯えるなんて!?中では一体何が起こっているんだ!?

 

「お、お待ちしておりました……中で皆様が……特にグレイ様が首を長くして、お待ちしております」

 

「先生が?」

 

何時もなら先生が呼んでいると言われたらこ小猫ちゃんや朱乃さんが喜んで先生の所に主の筈の部長の命令を逆らって全力で向かうのだが今日に限っては朱乃さんも小猫ちゃんも少し後ずさっている。

 

いやまぁこんな扉がしまっているのにも関わらず、濃厚な殺気溢れる扉の奥に行きたくない気持ちは凄くよく分かるんだけどね。

 

それにグレイフィアさんの言い方も気になる所だ。

いつものグレイフィアさんなら「首を長くして」なんて言葉は使わない。もし使うとしても主であるサーゼクス様に皮肉気に忠告する時だけだろう。

 

それを今この場で軽く声が震えながら言ったってことは……

 

もしかして、この殺気を放っている人物は先生でそれは俺達に向けられているってことか?

 

………い、いやぁ。まさかな。あの先生だもんな。

ない。ないよな?絶対に。

 

「そ、それじゃあ、みみみんにゃ行くわよ!かかか覚悟はいい?」

 

部長。多分貴女も覚悟はできてませんよね!?思いっきり噛んでしまってますけど!?そんな部長も可愛らしくて素敵ですけどね!!

 

俺がそんな馬鹿なことを考えている間に(現実逃避とも言う )部長は扉の取っ手に手を掛け、文字通り殺気溢れる冥府への扉を開いた。

 

直後俺達に猛烈な殺気が襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと今の俺の目は死んでいることだろう。俺は今、それほどのショックを受けている。

 

何で……何で誰もまともな格好で来ねぇんだよぉ……………!!

 

悪魔代表のサーゼクスとグレイフィアさんも、堕天使代表のアザゼルとヴァーリーも、天使代表のミカエルといつかのお漏らしエクソシスト(名前は忘れた)も、全員俺が前に見た格好……戦闘着であった。

 

こんなに重要な会議だから!あんなに時間と苦労をかけて!ジャンヌ達の衣服を四苦八苦しながら選んだのに!何で全員!会議に相応しい格好で来ねぇんだああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

ああ?これは魔王や天使の長としての厳格で威厳のある格好だ?

普段から戦闘の時まで全く同じ服を着てたら厳格も何もねぇだろうが!!授業参観の時のようにスーツでいいんだよ!!

どいつもこいつも何でそんないかにも「ここで戦闘しますよ」みたいな相手を威嚇しかねん服を着てきてんだ!

お前ら本当に和平を結びに来たんだよな!?

 

俺の回りにいる俺から怒りのあまり溢れ出す魔力を感じ取って人物達は皆一様に顔を強張らせて震えている。

普段はブンブン聖剣を振り回すジャンヌやいつもお気楽なセラもそうだ。

メルさんやミットルテちゃんに至っては腰が抜けてしまって座り込んでしまっている。

そんなメイド二人を見てグレイフィアさんが「リアス様達をお迎えに向かいます」と言って部屋から連れて出ていってしまった。

 

悪いとは思うけど俺は正直なところ久々に切れてしまっていたのでそんなことを考えられなかった。

 

先程までの衣装決めやら最近の出来事やらで俺に溜まっていたストレスが、魔力と一緒に僅かに体の外に噴き出した感じになっている。……それでも最上級悪魔に匹敵する魔力量ではあるのだが。

 

で、更に待つ事、数十分。

 

ソーナちゃんと椿ちゃんが顔を強張らせながら入ってきた。……学校の制服姿で。

 

何でだよ!!少なくとも今日は学校休みの筈だろうが!!何で制服!?椿ちゃんはともかく、あのシスコンなセラがいるんだからソーナちゃんはスーツやドレスの一つや二つ持っているだろうが!!

シトリー家は重要な会議の場に学校の制服姿でしか娘を出せないのかと笑われてもいいのか!?下手すれば歴史書に名前が載って永遠の恥になるんだぞ!?

 

怒りのあまり、漏れだした魔力で会談用に用意していたこの空間がミシミシと音をあげ始めた。

 

その光景に一部の人が「ヒッ!?」と悲鳴をあげた。

 

おっと。いけない。流石に結界を破壊するのは問題だ。

落ち着け……落ち着け……。

取り敢えず魔力の放出は止めなければ。殺気は止めないけど。

 

そこから更に待つ事数十分。

しかし、まだリアスちゃん達は来なかった。

 

……ふふふ。この中で一番の若手にして当事者でもあり、地元の住民であるリアスちゃん達が一番遅いとはねぇ……?

これで会談にふさわしくない格好で来なかったら、リアスちゃんオシオキカクテイカナ?

 

そして、怯えた表情で入ってきたリアスちゃん達の姿を見た俺は修羅となったのであった。




重大な会議の場に一般人の家を一夜で魔改造できる金持がドレスや正装の一つも用意できないのはおかしいと思った結果が今回の話。

前書きにも書きましたがどんな批判や苦情も受け付けますので意見をください。それ次第によっては書き直すかもしれません。


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