Fate/apocrypha 少し違う外典のようです (カルナさんお迎えしたマン)
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プロローグ
1998年7月26日 観布子市
人気の無い路上に1人の少年が佇んでいた。
「どこ、ここ」
そうボソッと呟いて辺りを見回すが自分がどうやってここまで来たのかまったく分からない。いや、正確にはどの道順を通ってここまで来たのかが思い出せない。
好奇心で路地裏に入ったのが間違いだった。
こんな事なら 大人しくホテルで寝てればよかった。なんてことを今更悔やんでいても始まらない、帰り道が分からないからといって足を止めるわけにもいかない。適当に歩いて適当に角をまがる。
「この先は行き止まりかな」
「ちょいとお兄さん、寄ってくかい」
人1人通れるくらいの路地にミセを構える人がいた。
黒い服に身を包み、顔をこれまた黒いヴェールで隠している少し太めの女性がそこにはいた。
「俺のこと?」
「アンタ以外に誰がいるのさ」
さもありなん。こんな夜中の、しかも人気の無い路地裏なんかにいるのは自分以外にいるわけもない。
女性の方を注視しる。これみよがしに置かれた水晶といくつかの宝石が見える。
「占い師、ですか」
そう尋ねると女性は少し驚いたようなそれでいて呆れたような表情をした。
「まさかアタシを知らないでここまで来たのかい」
「こんな薄暗くて人っ子一人いないような路地にミセを構えてる占い師なんて知らないさ」
「…アンタ喧嘩売ってるなら買うよ?手始めに、アンタが昨日まで関わってた事件について当ててやろうか。」
「残念だけど今手持ちがないんだ」
「大の男のくせに情けないねぇ。アンタ名前は」
「壱原侑次まだ12歳だよ」
名前を聞いた途端彼女の顔つきが変わった。それまで何か含みのある笑いを浮かべていた顔が真剣なものへと変わっていた。
「気が変わったよ、さっきのは嫌味でだけど、今度は親切でみてあげる」
そう言うと彼女は俺の手を撫でるように触ってきた。
どうやらこの占い師、置いてある水晶や宝石はまったく使わないらしい。
「そういえば俺はまだあなたの名前を聞いてなかったですね」
「ホントにアタシのことを知らないらしいね。アタシは観布子の母って呼ばれてる占い師さ」
『観布子の母』占いに興味がない自分でもどこかで聞いたことがある名前だ。確か、2年ほど前に。
これから起こる悲劇を言い当てそれを回避する術を教えてくれるとかなんとか。言った通りにすれば100%悲劇を回避でき、しなかった人は例外なく悲劇に直面したとか。
「アンタ、生まれついての強力なチカラがあるね。しかもそれを隠してる。1つはその独特な呼吸法、もう1つは人型の像が見える」
「お、おいどうして波紋とスタンドのことを知っているッ!あんたスタンド使いなのかッ!それより、未来のことを占うんじゃあなかったのか!!」
「興奮するんじゃあないよ。安心しな、アタシはそのスタンド使いってのじゃないよ。そんなことより話は最後まで聞きな、ここからが本題なんだから。」
「これが興奮せずにいられるかッ!!あんたはいったい「アンタ7年後に死ぬよ」あ゛?!?」
…この占い師今なんて言った、死ぬ?俺が?
「占いで人に死ぬなんて言うのは少しタチが悪いんじゃあねえのか!」
「人の話を聞かない子だねえ、死にたくなかったらその時に決断することだよ。」
「決断?いったい何をどう決断すればいいんだよ」
能力を当てられ、自分の死を予言されてどうも口が悪くなっている。いや、まあ、誰だって知らない人間が自分のことをいろいろ知ってたらビビって焦るけども。
素数だ、素数を数えて落ち着かなければ。1 2 3 5 7 11 13...あれ、1って素数だっけ。
「そうさね、その時になれば分かるさ」
「抽象的過ぎる!そんなんじゃいつ決断すればいい判らないじゃないか!」
いかん、また熱くなってしまった。落ち着け俺、ビークール。
「7年後の秋、そこで決断をすることだよ」
かなり曖昧にしか言ってくれなが噂が本当ならその未来は本当におこるのだろう。
これ以上詳しく聞けば今の手持ちでは対価を支払うことが出来ない。
「…もういい。一応未来までみてもらったんだ、それ相応の対価は支払う」
ぶっきらぼうにそう吐き捨て財布を開く。が、中身は2500円しか入ってなかった。
は、恥ずかしい。カッコつけてそれ相応の対価を払うとか言っておきながら最初に呈示された金額すらないなんて。
「じゃあ、お代は2000円でいいよ」
うっ、この占い師、俺の持ち合わせを知っている。それでいて払える分ギリギリを突いてきやがる。
でも仕方ない、最初の値段より値引きされているから文句も言えない。
本来なら対価は過不足なく、それが原則なんだが増やされても払えはしないから余計なことは言わずにさっさと支払う。
「じゃあね婆さん、長生きしなよ。この辺りの夜は物騒だ、年寄りには向いてない。」
「あらまあ、今どきイナセな台詞じゃないか!アンタがあと10年早く生まれてたら惚れてたよ」
「やめてよ気持ち悪い。」
ひらひらと手を振り路地裏を後にする。不思議と迷わずすんなりと大通りに出ることができた。
これもあの占い師のおかげなのかなあ。と、そんなことをぼけーと考えつつ今日で泊まるのが最後になるホテルへと帰っていった。
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1998年3月某日
俺は今イギリスに来ている。何故かというとお婆ちゃんからもっと視野を広げてみなさい。と言われたからだ。
なんでもここイギリス・ロンドンには魔術協会なるものがあり、そこでは魔術師は日々研究に研究を重ね根源
話を戻そう。さっきも言ったようにお婆ちゃんの進言もあるがもう1つ理由があった。何故だか自分に「協会に来ないか」というオファーがあったらしい。
そのオファーを出した人物が昔お婆ちゃんに世話になったとかなんとか。
確か名前はガ、ガーリック・プレース〇ーション・ユグドレヤ。たぶんそんな名前だったような、そうじゃないような。正直に言うと覚えてない。割とどうでもいいや
「無事にロンドンに着いたし、婆ちゃんに電話でもかけるかな」
空港にある公衆電話を使い日本のN県にいる婆ちゃんの家に電話をかける。
「もしもしー、婆ちゃん?無事にロンドン着いたよー」
『そう、よかった。これから知らない土地で生活をすることになるけど、決して無理だけはしないでね』
「分かってるよ。ところで婆ちゃん、俺が住むことになるアパートなり寮は何処にあるの?」
『寮?何のことかしら』
「へ?今なんて?婆ちゃん、今なんて言ったの?!」
『寮とかアパートは借りてないわよ、侑次、アナタまさか…』
…マジか、てっきり婆ちゃんが全部してくれているとばっかり……
この年でホームレスはキツイぞ、冗談なしで。
『ロンドンは学園都市のようになっていて魔術師が多いからその周辺に空き家はもう無いわよ。少なくても半年前、夏休みには決めておかないと…』
知らなかった、ていうか半年前はお婆ちゃんのお使いで観布子市に行ってたのに!
まあ8月は遊んでたんだけどね…
『大丈夫、アナタならどこでだって強く生きていけるから。』ブツン
「もしもし婆ちゃん?!もしもーし!婆ちゃぁぁぁぁぁぁああああん!!!
...切りやがった、孫が海外でホームレスになるかもしれないのに。
どうすりゃいいのさ。
「はあ」
深い溜息を吐き財布を確認する。なんとか2泊ほどできるだけはある、だけどここで使ったら後々野宿するしかなくなる。
どうしよう、どこかで話がわかる日本人を探すか。ロンドンだ日本人くらいいるだろう。いたとしても住まわせてはくれないだろうけどさ。
どうしようもない不安が次々とやってくる
知ってる人が1人もいない。しかも言葉も通じないし。今にも泣き出しそうになる。
熱なった目頭を抑え上を見上げ、涙が出ないようにぐっと我慢する。
「ユージ・イチハラ様ですカ?」
突然どこからか声がした。
どこか覚束無い片言の日本語。それなのに柔らかく澄んだ声。聞く人を安心させるような、そんな印象を与える声だった。
「はぃ?」
それに比べて自分の声は不安と知らない人に話しかけられたことによって酷く震えていた。…かっこ悪ッ。
「ダーニックおじ様からの使いで貴方をお迎えに参りました」
振り返るとそこには車椅子に乗った少女が微笑んでいた。
ーーーたぶん、俺は
そう思えるほどの出会いだった。
「フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと申します。よろしくお願いしますユージ様」
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キャラクター設定
壱原侑次
年齢19歳
身長183cm
体重63kg
血液型B
誕生日7月11日
特技 これといってなし
好きなもの 平穏・祖母・フィオレ
苦手なもの 人混みの中 頭の硬い魔術師
イメージカラー 黒
天敵 ケイローン
この物語の主人公。転生の特典としてら波紋法とスタンドを貰った。
祖母であり次元の魔女と呼ばれている壱原侑子と一緒に暮らしていたが小学校を卒業を期に時計塔へと赴く。
空港で出会ったフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの計らいにより彼女と6年間同棲する。
超一流の魔術回路を持ち質、量共に一族の最高峰と言われている。(但し祖母である侑子には質、量どちらともまけている)
祖母侑子から受け継いだ膨大な魔術刻印(4割程度)のおかげでかなりの量の魔術を一工程で使うことができる。
扱う魔術はいろいろあり黒魔術、占星術、降霊術、陰陽道、呪術etc.
基本的には魔術による戦闘はめんどくさいらしく専らスタンドで無駄無駄している。
水鉄砲や霧吹きなどを使って波紋を飛ばすというふざけた戦い方をするが本人は至って真面目である。
聖杯大戦ではランサーであるカルナを召喚したため魔術による戦闘は望めないが別に気にしていない。
いかに侑次の魔術回路が超一流とはいえカルナが全力で戦える時間はせいぜい30秒が限界。それを超えてしまうとぶっ倒れて指1本動かせなくなる。
倫理観は一般人寄りで外道な行為はしないように心がけている。
スタンド名 エゴイスト
破壊力B
スピードA
射程距離D
持続性C
精密動作性A
成長性A
能力 時の加速
触れた対象の時を加速させ一時的に全ての行動速度を底上げする。簡単に言えば、1人だけ早送りをして動いているようになる。
この能力によって人間でも並の英霊程度とは渡り合えるスピードを手にすることが出来るチート能力。
スタンドはスタンドでしか触れることは出来ないのだが、生命力を変換する魔力、つまりは魔術による攻撃及び魔力によって存在しているサーヴァントの攻撃は唯一スタンドに攻撃することが出来る。
だからといって目視することは出来ない。
波紋
退魔一族が好んで習得する
呼吸によって生み出される生命エネルギー。
この物語では魔術における神仙道の内の1つではなく、波紋法という特殊な
退魔一族が好んで習得する
壱原侑子
本編には登場しない
年齢、経歴ともに不詳、見た目は20代にしか見えない。
侑次の祖母にあたる人物で願いが叶うミセの店主。
魔術を商売道具として使用しているので協会からはあまり良く思われていない。
一般人には魔術を使用しているところを見られていないため協会は手を出せずにいる。
その昔、第三次聖杯戦争に参加したと言われているが真相は定かではない。
かなり無茶苦茶な気がしますけど許してください。
次回はさから本編を始めますが何時になることやら……トホホ
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必然の前日
今年の型月は予想通りfate/GOでしたね!
個人的にはパラケルススとジキルがツボでした!!
あの出会いから6年の月日が流れた。
魔術師という人種がどういったものかを知った。
欲の為なら今ある安寧を捨てる、目的のためなら手段を選ばない。そんな生き物だ。
こうして言ってみたら聞こえはいいかもしれないが、この6年それがどういう意味なのか身をもって知った。
権力争だったり、選民思想という名の格差社会。学部間の仲の悪さ。そういうのを体験した。
なんなのアイツら、学術棟に立ち寄っただけで襲ってくるなんてカルシウム足りてないんじゃないの?それともあの日なの?イライラしちゃう日なの?
しかも学部によっては私設憲兵とか
そのせいで学部間抗争とか何度か起こちゃったけどその度に無駄無駄したから問題ないよね。
無駄無駄した結果何人かは病院送りになっちゃたけどそれ以降も構わず無駄無駄した。だって執拗いんだもん。
3年くらい経ったとき年下の鉱石科の子からオラオラされた。解せぬ。以後彼女のことを心の中であかいあくまと呼ぶようになった。
年々可愛くなるフィオレにムラムラした。手は出してない……ホントだよ。
フラットとつるむようになってからは教授たちからガミガミ言われるようになった。おのれフラット許すまじ。
と、まあ、なかなかにデンジャラスでバイオレンスな日々を過ごしたわけだが、今、この瞬間がこれまでの人生で一番緊張しているのではないだろうか。
腰まである長い黒髪、睨まれたら生徒の誰もが萎縮してしまう三白眼、いつも不機嫌そうにしている顔つき。
そう、俺の目の前にはいるのは時計塔を統べる十二の
やっぱりというか当たり前だがこの人を、いや年上の魔術師に意見するのは緊張する。
呼び止めたのはいいが緊張し過ぎて次の一言が思うように出ない。
「どうしたユージ、私もいろいろと用事があってだな。悪いがそれほど余裕がないんだ、出来れば手短に頼む」
「教授…俺を聖杯大戦に参加させてください!お願いします!」
「こんな廊下でその言葉を大声に出して叫ぶな!!貴様、それをどこで知ったんだ!いや、いい。…言わなくても分かるあの
そう言って教授はまさに頭が痛いと言わんばかりに頭を手で抑え、怒りと呆れを表すかのように大きなため息をついた。
流石はエルメロイ教室の最古参、教授との信頼はバッチリ紡げてるようだな。説明が省けて助かるぜフラット。
「はい、
事を知ったのは数日ほど前のことだった。
フラットに誘われいつものように地下講堂で秘密裏に行われている会議を盗聴していたらルーマニアで聖杯大戦なるものが行われると言うではないか。
しかも起こしてのはあのユグドミレニア一族。
事が集結したら自分は彼女と二度と合うことは出来ないのではないか。そんなことが頭を過りこうして教授に話を持ちかけた。
「説教をしてやりたいが、話を聞いていたのならこちらとしても説明が省ける。知っての通り、今回の聖杯戦争は協会の面子がかかっている。普段の亜種聖杯戦争ならいざ知らず、こと今回に限っては君のようなぺーぺーの小僧っ子を使うわけにはいかない」
分かっている。だけど今回に限っては引き下がるわけにはいかない。ここで食い下がらなければ自分は恩人を見捨てることになる。それだけはいやだ、絶対にいやだ!
「小僧っ子って言うなら今回聖堂教会から派遣された監督役は俺と年が変らないっていう話じゃないですか!それに魔術戦なら俺は確かに『狩猟』に特化した人には及ばないかもしれないけど、並の魔術師よりは戦えます!」
正直に言えばここまで食い下がる必要はどこにもない。
聖杯大戦に参加するだけならルーマニアに行きサーヴァントを召喚すればそれだけでいい。
あくまで『参加するだけ』ならだ。
そうした場合厄介になるのが情報が一切ない状態からのスタートや自分がたった一人の第三勢力になるということぐらいだ。
まあ、そのときは協会側に組伏せばいいのだが、最悪マスター権の剥奪とかがありそうだからこの手は使いたくない。
教授の顔がますます険しくなっていく。あっ、俺この顔知ってるよフラットに説教してるときの顔だ。失敬な、俺をあんな
「では質問を変えよう。仮に、仮にだ。君が相手の力量を上回っていたと仮定しよう。そうなった場合、君は相手を殺す覚悟はあるのか」
「俺も魔術師の端くれ。《《そんなもの》》出来てるに決まってるじゃないですか」
嘘だ、実際にそうなったとき自分は相手を殺せないだろう。
土壇場になって恐怖と罪悪感に押しつぶされるに決まってる。
殺したとしても、相手の全てを背負えるほどの覚悟なんて到底ない。
そのことは自分自身が一番分かっている。
だけど、ここでそのことを悟られるわけにはいかない。
「フム、時間がないからこれが最後の質問だ。君は何故聖杯大戦に参加しようとする?魔術師同士の闘争というものがどういったものか、君なら知っているだろう。」
「………それは、まあなんと言いますか……」
「…言わなくとも大体の見当はついてる。この件はロッコ老師たちに掛け合ってやる。結果は明日にでも伝えよう。それまでにそれらしい理由を考えておけ。」
全て見透かしたような顔をして教授は赤いコートを翻し歩き出した。
「ああ、それと命のやり取りをそんなものと言うべきではない。覚悟が出来ていないならせめて誠実であろうとしろ」
そう言って今度こそ教授は去っていった。
果たしてユージは協会の許しが出るのか!
次回「黄金林檎」に続く!(続くとは言っていない)
文才欲しい……
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その男の名は
次回からはもっと書けるように頑張ります。
翌日
俺は飛行機に乗ってルーマニアに向かっていた。
協会からお許しが出たのが意外な僥倖。いや、お婆ちゃんの言葉を借りるならコレは必然なのかもしれない。
何故一端の学生に聖杯大戦のマスターなんて役が回ってきたかって?
教授曰く
「知っての通り先日49人の魔術師が失われた。協会としてはこれ以上高位の魔術師を失うべきではないと判断していた。そこに先日の君の立候補があったわけだ。此方としてはまさに僥倖というわけだ。」
ーつまり代理。本来参加する予定だったセンベルン教授の代わり。まあ、正式に参加できるのならそれでもいいさ。べ、別に代わりだったからって怒ってなんかいないんだからね!
たがらといってタダでは参加させてくれないらしい。
…ケチだな、流石魔術協会。
協会から提示された条件は
一つ目…昨日から連絡の取れなくなったフリーランスのマスター達の捜索。
二つ目…最後まで生き残った場合、聖杯回収部隊が到着するまで聖杯の護衛。
三つ目…どのような形でもいいからユグドミレニアに甚大な被害を与えること。
一つ目は分かるがあと二つはちょっとな〜。いくらバックアップ要員を派遣すると言ってもなぁ。たかが学生如きにこの二つはなかなかに無理がある。
教授たちは何を考えてるんだ。
帰ったら文句の一つや二つ言ってやりたい(生きて帰れるとは言っていない。)
そんな考えを頭の隅に押しやり渡された資料に目を通す。
聖杯戦争の真の目的、儀式の内容その他ぎっしりと文字文字文字。
正直読む気になれない。このページはさして重要じゃあないから飛ばしてもいいだろう。
大切なのはユグドミレニア側のマスター候補だ。
予想通り、ダーニックとフィオレは候補者リストの一番最初に載っていた。
流石フィオレ!可愛いし魔術の才能も一流な上に時計塔からも警戒されてるなんて!
後は良くて二流、他は三流ばっかでどうでもいいなぁ。
あー、でも一点特化の奴らが何人かいるなぁ。厄介な奴はこのセレニケって写真を見ただけで性格の悪さが滲み出てる女とロシェとかいう子どもくらいかな。
何人かに目星をつけてそれ以外の奴は読み飛ばしていく。候補者リストも終盤にさしかかったところで手が止まった。
何だこの男?!
チャラチャラした服装、金髪、どこからどう見てもホスト。一見魔術師らしからぬ恰好だ。だがそんな見た目とは裏腹にコイツには
何故かって?
この男(かどうかは分からないが)とんでもないことをやってのけた。
正確に言うと項目の殆どが何者かの手によって意図的に文字化けしているのだ。
経歴不明、本名不明、年齢不詳。書かれていることといえば日本に住んでいることと陰陽道を扱うということだけだ。
もっともこんなに穴がある内容だ、この情報さえ信用していいのかどうか。
協会の目を欺くなんてかなりの実力者に違いない。
どうやらこの聖杯大戦、ダーニックよりお前を一番警戒しておいた方が良いようだな。
「ーーー相良z馬、お前は一体何物なんだ」
今回はユージが相良さんを強キャラと勘違いするというどうでもいい内容でした。(この作品には出てきません)
個人的には相良さん好きなんですけどね~、この話では玲霞さんがマスターをやってくれます。
ルーマニアに到着したユージを待っていたのは神父と女帝による紅茶攻撃だった!
このピンチをどう切り抜けるのか
次回「V系には興味ないんで」に続く!
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召喚と邂逅
話は変わりますけど、皆さんはfate/extellaは予約しましたか?私は2つ予約しました。今から11月が楽しみですね!
今回は侑次と神父の会話がメインですが2人とも口調が似ててややこしいです、申し訳ありません。
飛行機から降りた瞬間、手の甲に鈍い痛みが走った。どうやら聖杯が自分のことをマスターとして認めたらしく右手には令呪が刻まれていた。
先ずは第一段階達成かな。この調子で今夜にはサーヴァントを召喚しておきたい。
幸い、このルーマニアにはかなり上等な霊脈が幾つかあるようだから自分に合う場所もあるはずだ。
最後の一人が明日ルーマニアに到着した後、協会の魔術師たちが何人か派遣され聖杯大戦が本格的に始るらしい。
ならばこの二日である程度の準備をしなければならない。
先ずはシギショアラに行きトゥリファスに向けて偵察用の使い魔を数匹放つ。その後にサーヴァントの召喚、拠点の設置、連絡の途絶えたマスターたちの捜索。
思いつくだけで4つ。これを明日明後日までにはやっておかないといけない。
付け加えるなら大戦開始前に礼装の手入れやらなんやら。とにかくやることはまあまあある。自分から言い出したもののまったくもって面倒臭い。
聖杯戦争は殺し合いだ。それが大戦ともなればどんな事態になるのか想像もつかない。
ならば出来るだけ被害を受けない、いや死なないようにいろいろと対策をしなければ、主に防御面で。
そして最も警戒しないといけないのは、ダーニックとあの相良z馬(仮)である。全くもって油断できない。
先ずは首都であるブカレストから列車に乗りシギショアラを目指す。
「今から6時間も暇なのかよ、寝てよ寝てよ」
大したものは持って来たわけではないが、置き引きとか怖いし認識阻害と人払いの結界を張りさっさと寝る。
「起きた頃にはシギショアラに着いてるだろ」
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時刻は午前2時30分を回っている。俺の魔力が一番活発になる時間だ。
既に召喚陣は書き終わってる。協会から渡された触媒も陣の中心に置いてある。
『英霊を召喚する』というには些かショボい気がするが、あくまでもサーヴァントを召喚するのは聖杯であって、マスターはサーヴァントを現世に繋ぎ止める楔でしかないらしい。
まあ、大儀式ともなると費用が馬鹿にならないからこういう簡易的な儀式で済むなら願ったり叶ったりだ。
さて、後はあのくそ長い呪文を唱えるだけだ。
「そろそろやっか」
魔術回路を隆起させ自分の肉体を作り変える。人とからヒトでないものへと切り替わる。
詠唱を開始するのと同時に体が熱くなりそれに比例するかのように魔法陣が輝きはじめ、だんだんと光が強くなる。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。『手向ける色は“赤”。』
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
魔法陣から光が溢れ、一つの影が現れる。
「サーヴァント、ランサー。召喚の声に応じ参上した。問おう、お前が俺のマスターか」
黄金の鎧を身に纏った黒い痩躯、それに対し病的なまでに白い肌付き。肌と同じように白く無造作に伸ばさられた髪から覗く槍のように鋭い瞳。横一文字に閉ざされた口は彼が寡黙だということを表していかのようだ。
「魔術師の壱原侑次だ。これからよろしく頼む。ところでランサー、君の真名はーーー」
正直、彼の見た目からしてV系バンドのボーカルではないのか。と勘違いしてしまう。どれくらいかと言われたら、事前に誰の聖遺物かを聞いてなかったらミュージシャンのサーヴァントと思ってしまうほど彼の姿は特徴的であった。
「ーーーああ、マスターにはオレの真名を伝えていなかったな。我が真名はカルナ、短い間だがよろしく頼む」
そう言いうとランサーは無言のまま右手を差し出した。
はて、なにか気に触るようなことをしてしまったのだろうか。
「お前の国では初対面の者同士は握手をすると聖杯から与えられた知識にあったのだが……どうやら違ったようだな。」
どうやらこのカルナという英霊は礼節を重んじる男らしい
「ああ、そういうことね。ランサー、君の言う通りだ。改めてよろしく頼むよ。」
そう言い俺達は固い握手をした。
「さて、無事に召喚できたことだしさっさとホテルに帰って寝るとするかね。」
そう言って一歩踏み出そうとしたとき一枚の紙が足元に落ちてきた。
普段ならこんなもの知らん振りしてさっさと帰るところだが、今は聖杯大戦、もしかしたら行方を眩ませたマスターたちからの手紙かもしない。
「なになに、午前9時山の上教会」
おいおい、差出人不明とかやめてくれよ。しかも午前9時とかはやくない?今深夜の3時だよ…
「 すげぇめんどくさいな〜」
見なかったことにしよう。
そう言いかけた瞬間、再び目の前に何かが落下する。
見てみれば鳥の糞だった。
ギリギリだった、あと一歩踏み出していれば確実に自分の脳天に命中してたぞ。
なに?行けと。俺に行けと申すのか。もしかして行かなかったら今度は集中砲火されるのか、それは勘弁願いたい。
「分かった分かった、行きゃあいいんだろ、行きますよ行かせてください。」
誰に言い訳をしているのか全く分からん。神様かな、それとも…いや、何でない。
「マスター、先ほどと言っていることが真逆だぞ。お前は数秒前のことを忘れてしまう阿呆なのか?」
いやいやランサーよ、そんなことを言わないでくれ。何か大きな陰謀を感じずにはいられないんだ。
なんかこう、70年だか60年だかをかけた計画的なものを感じる。こう、どこかの根源的なものからかそう情報が流れてる気がする。たぶん…。
「誰が阿呆だ、何か大いなる力を感じただけだよ。こう世界の修正力的な行かないと話が始まらないような、そう感じただけだよ。」
「お前がなにを言ってるか俺には理解することが出来ないが、俺はお前の意志に従うだけだ。」
「ならさっさとホテルに戻って寝よう、俺はもう眠い」
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翌朝
なんで朝っぱらからこんなことをしないといけないのか。自己紹介とかだったら行く意味ないだろ、せめて相手サーヴァントの情報か行方不明のマスターの情報どちらかじゃないとこの早起きの対価に釣り合わないぞ。なんてことをシギショアラの観光名所の一つ、山の上教会に続く天蓋付き階段を登りながら考えていた。
時刻は8:55分、予定時間の五分前に着くことができた。周囲を見回しし誰もいないことを確認し教会特有の重苦し扉を開け中に入る。
祭壇の前に一人の男性が佇んでいた。
「長旅お疲れ様です。」
どうやらこちらのことを知っているらしい。彼が俺達を呼び出した人物のようだ。
「その恰好、教会の…シロウ・コトミネ神父ですね。」
「そう言う貴方は壱原侑次さんですね。」
「ここで約束してるんですけど、相手は貴方でいいですか?」
「ええ、もちろんです。」
身廊を歩きながら霊体化しているランサーに念話を飛ばす。
『ランサー、サーヴァントはいるか?』
いくら仲間とはいえ、警戒するに越したことは無いだろう。むしろ教会の連中だ。ここでグサリ、なんてことありえなくもない。
『知覚することはできないが何やら違和感を覚える、油断するなマスター』
知覚できない。と言うことはここにサーヴァントはいないのか、それとも気配遮断を扱うアサシンのサーヴァントか。
「それじゃあ、今回自分達を呼び出した理由についてお聞かせください」
「今回は顔合わせとそれぞれ持っている情報共有、後は戦略と役割などの把握です」
まあまあ普通だっなあ、これといって顔を合わせてまでするようなことじゃあないし。
「"黒"側のサーヴァントは全騎出てきたんですか?」
「いえ、今のところランサーとキャスターのみです。」
「その内真名が分かった奴は?」
「残念ながら一人も。ステータス程度なら既に確認出来ています。」
シロウ神父は懐から書類を取り出した。
お礼を言い中身をざっと見る。
固有スキルや宝具などの個人を特定できる情報は書かれていないな。
うーん、ステータスだけじゃ真名は分かんないなぁ。
「壱原さん、相手方の真名になにか心当たりがありますか?」
とか言われても分からねぇよ、無茶ぶりするなぁ。
「あー、アレだ。ここルーマニアだからこのステータスが阿呆みたいに高いランサーはあの人だ。えーっと、たしか、ヴラド三世ですよ、たぶん。」
ぱっと出てきた人物を言ってみたがあながち間違いじゃあないかもしれない。
思えば前回殺された49人の魔術師は串刺しにされていたのだとか。ルーマニアで杭ときたらヴラド三世しか思い浮かばない。
うん、たぶん…
「私も同意見です。」
見当ついてるんならそっちから言ってよ…
「キャスターは保留として、こっちのサーヴァントはどうなってるんですか?たしかセイバー以外は召喚されたはずです。」
「その前に一息入れましょう、壱原さんも息を付く暇もなかったでしょう?簡単ですがお茶を用意してきますので少しお待ちを」
そう言ってニコリと笑いながらシロウ神父は奥へ消えていった。
『ランサー、違和感の正体は掴めたか?』
『いぜんとして掴めてはいないがあの男が奥に行った後、違和感は完全に消え失せた。』
となるとやっぱり神父のサーヴァントか。
ランサーほどの武人をやり過ごすとなるとクラスはアサシンか。
教会の連中ってこともあるし取り敢えず出されたものは口にしないでおこう。
そう考えを纏めたと同時に奥から神父が出てきた。
「遅くなって申し訳ありません。ですがいい葉とお茶請けをお持ちしました。どうぞ冷めないうちに」
たしかに見た感じとても美味そうだ。だけど俺の危険センサーが手を付けるなと警報を鳴らしてる。
仕方ない、ここは
「シロウ神父、非常に言いにくいんですがこの紅茶、
エゴイスト、紅茶の時を加速させた!
「これは失礼しました。取替えてきますね」
「いや、それより話の続きをしましょう。赤側のサーヴァントとこれからの行動についてを」
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「アタランテ、アキレウス、シェイクスピア、セミラミス、スパルタカス、そしてカルナ。かなり豪華なメンツですね。」
協会側からの資料に載ってなかったのに知っているという事は彼等は一度この神父と会っているのか?
「十四騎が一斉に戦かったら街の一つは消し飛ぶでしょうね。」
「そんなに大規模になると、十中八九ルーラーが召喚されるでしょうね。」
「実はルーラーについて、貴方に頼みたいことが」
シロウ神父が侑次に頼んだ内容とは一体!
黒のセイバーの宝具バルムンー!の能力とは!
次回「最後の一文字言わなければ真名バレない」お楽しみに!
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聖女と槍兵と剣士と小太りと
「ルーラーの抹殺ねぇ」
『裁定者』何とも公平そうな名前だけど神父は何を考えて俺にこんな難題を押し付けたのか。
ルーラーと言えば聖杯戦争において圧倒的なステータスと聖杯によってもたらされた特権、全てのサーヴァントに対する令呪を二画ずつ有するチートサーヴァントじゃあねぇか。
いくらランサーといえどもルーラーの霊核を破壊できるかどうか。
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「ルーラーを早々に退場させていただきたいのです」
「そりゃまたどうしてですか?」
「今回の聖杯大戦どうもきな臭いと言いますか、今回のルーラーこちら側にとって不利になる状況を作ってしまう気がするのです。」
「なるほど、アナタがそう言うのであればその言葉信じますよ」
「ありがとうございます。それと最後に聞きたいのですが、貴方は何故この聖杯大戦に参加したのですか?」
「あー、それはなんと言うか恥ずかしいんですが女の尻を追っかけた結果ですよ。それに、本物の万能の願望機なんて物があるなら人が幸せでいられるように願いたいじゃないですか」
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何でか分からないけどあの人の言う事は何故か信じられるんだよなぁ、なんでかな。
と、トランシルヴァニア高速道で考えていると何処かで見たことある紙がまた落ちてきた。
どうやら神父のお使い鳩のようだ。
『ルーラーがヒッチハイクを使いトゥリファスに向かっています。数時間後にそちらに到着します。』
なるほどなるほど、早速準備に取り掛からないと。
人払いに協会から貰った魔術行使による魔力の漏洩防止の礼装そして、遠見の魔術防止の結界と素顔を隠すためのお面。こんなもんでいいだろ。
準備が済んだら戦いに巻き込まれないように離れた位置から隠れて様子見るようにする。
あとはルーラーが来るのを待つだけだ。
時間は流れ月が輝き道路標識の上に佇むランサーを照らす。
うん、このシュチュエーションV系のMV撮れるよ。うん。
なんてことをボケーッと思っていた瞬間、ランサーを中心に空気が変わる。
来たか。
ここからでは詳しくは分からないが一人の少女がランサーの前に立っている。どうやら彼女がこの聖杯大戦のルーラーのようだ。
少女だが目的は変わらない。女の子だからといって手を抜くことや見逃すことはしない。この場で仕留める。
何かを話しているがここからでは聞こえない。余りいい気分ではないが聴覚共有を使いランサーが聞いている音を共有する。
『愚かなのは貴方とそのマスターです。私を仕留めることに何の意味があるというのですか?』
『知らぬよ(ねぇよ)』
被った。
ただそう頼まれたからそうしているだけだ。特段何か意味があってしているのではない。
『ただマスターから命令された。ならばオレは契約に則りその指示に従うだけだ』
『ランサー、全力をもってルーラーを殺せ。宝具の開帳も厭わない!』
『了解した』
短い返事をしたランサーの右手には彼の得物である巨大な槍が握られていた。
『お前の特権を考慮するに、手加減をする余裕はない。悪いがこの一撃で勝負を着けさせてもらう』
その言葉と同時に膨れ上がった魔力にルーラーが驚愕しているようだ。
この一瞬が命取りになる。彼女が特権を使う前に事は済む。
『日輪ー』
ランサーが真名を解放しようとする。
これで終わりと思われた瞬間、結界が異物に反応をする!
『やれ、セイバー!!!』
何処からか聞こえる野太い声が響き辺りは静寂に包まれた。
戦場谺響する男の叫び、飛び散る火花。
戦いは夜明けまで繰り広げられる!
果たして彼は夜明けまで睡魔に襲われないのか!!
次回「一体、いつから自分は戦闘から抜け出していたと勘違いしていた?」に続く!
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思いは突然に
お気に入り登録が60を越えてて驚きでした、こんな拙い文章を読んでいただきありがとうございます。
更新出来るだけ早くするよう努めます!
「やれ、セイバー!!!」
その言葉と同時にランサーが足場にしていた鉄柱が両断された。
当然バランスを崩したランサーの攻撃は中断してしまう。
「ちっ」
これには思わず舌打ちをしてしまう。
ランサーの耳から伝わる野太い男の声。
それはこの場に置いて一番場違いとしか思わない。というか、邪魔されてかなりイラつく。
男はルーラーに歩み寄り自分達の正当性を語っている。
「危ないところでしたなルーラー。我が名はゴルド・ムジーク・ユグドミレニア。"黒"のセイバーのマスターとして此度の聖杯大戦に参加致しております。」
得意げに頬を釣り上げ男は続ける。
「"赤"のランサー!貴様がルーラーを謀殺しようとしたところ、たしかに目にしたぞ!」
まるで今、この場に置いて絶対的な正義が自身にあり、貴様は大人しく罰を受け、首を切られろと言っているように聞こえる。
殺意しか抱けない。
『ランサー予定変更だ。まず先にその煩いデブを殺せ』
返事をせずにランサーはその場に突っ立て演説をしている的へ刺突する!例えるのならまさに流星。魔力放出(炎)を使った一筋の赤い光が男を襲う!
「さあルーラー我らの手を取り憎きランサーを!?!」
気付いた時にはもう遅い。今度こそランサーの神槍は目標を穿ち、その爆炎を持って全てを灰塵にする________
はずだった。
ランサーによる攻撃は二度にわたりあの黒い剣士によって防がれてしまった。
サーヴァントではなくルーラーでもなく自分が狙われたことに驚くゴルドとかいう男。
驚きは即座に憤怒へと変わりゴルドは顔を赤くする。
「セイバー!殺せっ!!今すぐあの"赤"のランサーをぶち殺せ!!!」
ゴルドの言葉に無言で頷づき"黒"のセイバーは一歩前へ出る
。
「そうか。ならば、お前と二人で殺し合えるようだな。」
どうやらランサーは完全に殺る気満々だ。こうなってしまったらもうこっちが何を言ったって邪推にしかならない。
ああもう、上手く計画通りにいかない!
どうする?様子見に徹するか、それとも…俺がマスターを狙うか。
1、こうなってしまった以上ランサーが正面から"黒"のセイバーを打ち倒し、その後からルーラーを殺す。
2、増援が来るの待つ。
3、単身ルーラーを殺しに行って返り討ちにあう、現実は非常である。
いやいや、どれも現実的ではないな。
可能性があるのは1だけど、まだ相手の実力が分ってない。先ずは様子見するしかないか。
ランサーの槍が轟音をたて大気を切り裂く。
"黒"のセイバーはそれを目にしても眉一つ動かさず剣で捌きランサーに詰め寄っていく。
おかしい、ランサーの刺突はまさに壁と言っていい程の密度で繰り出されている、いくらセイバーが間合いを詰めなければいけないからといって、あれは傍から見れば自殺行為にしか見えない。
それでもセイバーは歩みを止めない。ランサーの攻撃で生じる限りなく無いに等しい隙を見極め、平然と間合いを詰めていく。
だからといって、全ての攻撃を捌けていわけではない。
幾つかの刺突が動脈を抉り、額に突き刺さりそして、霊核を破壊する__________
はずだった。
此処から見ても50発以上の攻撃が"黒のセイバー"に直撃し、瀕死の状態に追い詰めている筈なのに黒のセイバーからは出血はおろか目立った傷も見えない。
あれ程の攻撃のなかセイバーはどこ吹く風の如くランサーに詰め寄り大剣を振るう。
セイバーの防御力も大したものだが、ランサーも負けてはいない。
黄金の鎧によりランサーが受けるダメージはその九割を削減され、持ち前の治癒力をもって受けた傷を瞬時に回復する。
俺がこうして遠くから眺めているだけで既に何百、何千と攻防が繰り広げられている。それでもお互いに決定打がない状態で拮抗している。
どうする、目の前にはターゲットがいて、自分にはそれを達成出来るだけの
たった三回しか使えない絶対命令権。
それを今このタイミングで使うのか、まだ大戦は始まっちゃあいない。
いうなればこの闘いは前哨戦、前夜祭のようなものだ。
だが使う以外にこの場を進展させる手立てがない。
使うべきか、それともここは耐えて別の機会を伺うべきか。自分の手の甲に浮かぶ三画の令呪を見つめながら真剣に考える。
ここは
「令呪をもって命ず、「出てこい!!!協会の走狗!!!近くで見ておるのだろう!!このゴルド・ムジーク・ユグドミレニアと相対するのが怖いのか!!」ちっ!!」
「この決闘においてサーヴァントのみをよこし、あまつさえ自分は姿すら見せぬとはとんだ腰抜け魔術師のようだな!!この私自ら誅罰を与えてやる!!」
いいだろう、不本意ながらその安い挑発に乗ってやろうじゃあねぇか。
4つ目の選択肢だ、先ずはマスターを先に倒しその後ルーラーを退場させる!!
俺のスタンドエゴイストの能力を使ったら奴の元に10秒も掛からず辿りつくことができる。
だけど、その前に下準備をしなくちゃあいけない。
隣にルーラーがいるんだ、用心に越したことはない。
対人戦闘用に拵えたルーン文字が彫ってあるグローブと靴、水鉄砲それと最終兵器鉄球。これだけ有れば大丈夫だろう。
行くぜゴルゴ(?)・ムジーク・ユグドミレニア、テメェにはたっぷり喋ってもらいたいことがあるんだからな。
覚悟しておけ
今回の侑次は煽り耐性低すぎですねこんなんでフィオレちゃんにちゃんと会えるのか・・・
次回「堅いけど殴ってどうにかする!」に続く!
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出会いは唐突に
ここ数ヶ月もう色々ありすぎてろくに書くことができない日々が続きました
アポクリファアニメ化決定嬉しいです!動くカルナさんを見れると思うと今から楽しみすぎます!!
これを機にアポ二次創作増えてカルナさんファンが増えてくれれば私はとても嬉しいです!
私情ですがうちのカルデアに二人目のカルナさんが来てくれました(///_///)
「見ているのだろう?見ているのだろう!?!」
けたたましい叫びが悲しくあたりに谺響する。
それでも、誰も男を見ようとしない。
隣に立っている聖女も、自身の傀儡である筈の剣士ですら。
自分はこの聖杯大戦に参加しているどの魔術師より優秀で「ユグドミレニアを勝利に導く」そう思っていた。その筈だった。
彼のアインツベルン家からホムンクルスの製造の技術提供を受けホムンクルスを量産し戦力を大幅に上げ、聖杯のシステムに干渉し魔力の経路を分割することにだって成功した。
それによりサーヴァントの魔力供給をホムンクルスに代用させることにすら成功したのはこの儂。
ダーニックでも他の有象無象の家の者共でもない、このゴルド・ムジーク・ユグドミレニアだ!
だが、目の前の光景はどうだ。
何が起きている、何をしている?何をされている?
分からない、魔術で強化されている目でも追いつけない。
まともな指示すら出来ず、魔術を行使する隙は無くやれることと言ったら時折治癒魔術をかけることだけ。
だが、何よりも不服なのは"黒"のセイバーが打ち勝てないことだ。
アレは正しく最高のセイバーだ。
Bランク以下の攻撃を全て無効化する宝具を有しているのだぞ。
それすらも"赤"のランサーは軽く無視出来る程の英霊なのか!
せめて真名さえ判れば____
「ルーラーよ、どうか貴女の力を持って彼奴こ真名を」
「それは出来ません。中立たるサーヴァントがそれを伝えるのはルール違反です。」
「しかし!それでは「いやー、よかったよかった。ルーラーが公平な奴で」!?誰だ貴様」
誰だこいつは、今の今まで此処には儂とルーラーしかいなかったはず。
魔力の反応も無いのに何処から出てきたのだ。
「俺は今回"赤"のランサーのマスターとして参加した教会の走狗だよ」
「ほぅ、顔すら面で隠してとんだ腰抜けの様だな。だが臆しても尚、こうして死にに来たとは見直したぞ走狗」
「ルーラー、今回の俺達の狙いはアンタなのは解っている筈だ。なぜ、そこのおっさんと組みランサーを退こうとしなかった。」
「おい貴様!「"赤"のランサーが私を狙うのと"黒"のセイバーが赤"のランサーと闘うのは全く別の話です。私個人の置かれた状況を考慮して彼らの闘いに色を加えることは私の誇りにかけてできません。」」
「流石は裁定者。まあうちのランサーはあんたら全員でかかってきても何も問題なんかねぇけどな。」
一々癇に障る男だ!
この男を殺し、"赤"のランサーには早々に退場してもらう!!
「あんたと殺し合う前に一つ、いや二つ聞きたいことかある。一つ目はコイツらを知らないか?俺は走狗なんでな。上から人探し頼まれてんだ。」
そういうと面の男は四人の顔写真を投げ渡してきた。
写真に写っていたのはこの世界では知らぬ者はいないフリーランスの魔術師達だ。
「ここ数日ほど連絡が取れなくてな。俺が到着する前におっ死んじゃったんじゃあねぇかなって思ってよ。」
「敵にそのようなことを聞くとは益々巫山戯た男だ。姿を見せぬとは答えは出ているようなものだ!」
「なる程ねぇ、二つ目は女を探している。特徴はそうだな、先ず最初に可愛い。瞳は澄んだ蒼で髪は亜麻色って言えばいいかな?髪型はゆるふわカール?ってやつで身長162cm体重47kgでちょっと痩せすぎじゃあねぇかって思うけど本人は気にしてるみたいだから言えないんだが。特技は素手で胡桃を割ること性格は穏やかだけど負けず嫌いっていうか変なところで我が強いっていうか頑固なところがあるんだけどそこがまたキュートっていうか可愛いんだ。あ、スリーサイズは上からはちじゅ「巫山戯るのも大概にしておけ!!!」」
「急に殴り掛かってくるたぁ、穏やかじゃあねぇな。いいぜ、そっちがその気ならお望み通りマスター同士の魔術戦といこうじゃあねぇか。」
「貴様の首を協会の無能共に送り付けこの大戦を早々に終わらせてやる!」
今回はゴルドさん視点?の話になりました。
次は魔術戦の描写になるか若しくは既に終了しているか。
自分の文才の無さが悔やまれます。
他の方の作品見て勉強しないと…
てか一話の文字数増やさないと…
次回「輝ける銀腕」に続く!
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開幕
前回の前書きでアポのアニメが始まると言って今では最終回間近…
季節が巡るのは早いものですね!
ゴルドは自身の肉体の一部を金属に変換し、殴り守るというシンプルだが一撃で事を終わらせるには十分過ぎる殺傷力を秘めたビートアップ戦法。
侑次は自身のスタンド能力と波紋を併せゴルドの攻撃その全てを避け一撃離脱のヒットアンドアウェイの戦法をとりやり過ごす。
お互いに搦め手や奇策など用いらず、ただ愚直に殴り合っていた。
「そんな鈍っちい動きでこの俺を捉えられると思っているのかァ!間抜けがァ!貧弱貧弱ゥ!!」
本来なら侑次の拳から波紋が流れゴルドの動きを止めることが出来るのだが、金属に変換された身体がそれを許さない。
侑次の拳がゴルドの顔面めがけ放たれる。
頬を金属に変換することによりゴルドは拳を受けて止めた。
平凡な魔術師なら拳を金属に叩きつけた衝撃で苦痛に顔を歪めるところだが侑次は違った。
彼が手に着けているグローブには強い強化と硬化の魔術が施されているからだ。
ある封印指定執行者曰く「タングステン鋼より硬い」と。
だが、ここまで強化されていてもゴルドの防御を破ることはできない。
それ程までにゴルドが錬成する金属は硬かった。
「ぬぅ!?」
ここにきてゴルドにある疑問が浮かんでいた。
―なぜ奴はここまで速い?!何らかの魔術である筈だ。強化魔術でこんなにも速く動けるものなのか?それとも時流魔術を使っているのか?
どこかの魔術使いは己が体内に固有結界を構築することにより、一時的にだが高速で動けると聞く。
だとしても彼奴ら何故こんなにも長時間使い続けることが出来るのだ!?
それならなぜ奴は…
「なぜ世界からの修正を受けない」
「んなモン知るか。それは
侑次はカルナと"黒のセイバー"の闘いで飛び散ったコンクリートの破片を無造作に拾い、続けた。
「たしかに、魔術による物体の加速、時間流の干渉は可能だ。だがそれは時間が経てば世界からの修正をうけ、このように壊れていく」
そういうと侑次の持っていたコンクリートの破片は崩れて消えていった。
「だか俺のはちと違う。俺が干渉してもこいつは修正を受けず反動により壊れることはない。そしてーーー」
侑次はコンクリートを思い切りゴルドに向け投げつけた。
普通に投げていても時速70km程しか出ないであろうコンクリートだが侑次のスタンド「エゴイスト」の能力によりその速度を何倍にも跳ね上げている。
侑次が全力で投げたコンクリートはゴルドのすぐ横を通り過ぎ、後ろで傍観していたルーラーに向かって飛んでいった。
「…!?」
唖然。
ゴルドは今起こったことを認識することができず息を呑むことすらできないでいた。
ゴルドが身動き一つ取れない様子を前にして、侑次はニタリと悪い笑みを浮かべた。
お面で隠れて見えないが、余人が観れば関わらないよう避けるような顔だった。
「まだまだ序の口だがこれぐらいのスピードが出る」
(思った通りだ、コイツは今起こったことを理解できていない。だがどうする、奴の錬金術と俺の速度はほぼ同等、(いや、まだ本気を出してないだけだけどね。本気を出したらこんなもんじゃないけどね!!?こんな序盤じゃ手の内を見せたくないだけだからね!!)どうにかして隙を作りたい。一瞬だ、一瞬で奴を射程距離内におさめ最大の波紋を流しむ)
「日が昇るまでもう時間がねぇ。それに周りを見てみろ、アイツらの闘いで辺り一面焼け野原だ」
ホルスターから、水鉄砲と鉄球を取り出す。
一見すると玩具にしか見えない。というか玩具でしかない。
だが、俺にとっては隠し玉で切り札。奥の手とまでは言わないが、それだけ信用に値する道具だ。
これを使ってどうする、水鉄砲も鉄球も触れていないと波紋を流せない、植物油を使って波紋を帯びさせるか…。
ダメだ、避けられるのがオチだ。いや、待てよ…。もしかしたらもしかするかもしれない。
侑次の取り出した鉄球と水鉄砲。決着の時はすぐそこに
次回「夜明け前より白色な」
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眠気と風景
結局のところ奥の手を出す前に夜明けを迎え、決着が付かずそのまま戦闘を終えた。
仕方ないよね、守秘義務があるから。べ、別に倒せなかったわけじゃないんだからね!
本当は長期戦なんて面倒くさかったからラッキーとか思ってないからね。ホントだよ。
そこからは早かった。お互いに睨みを効かせながらゴルドは車に乗りこみ速攻でその場を離れていった。まさに脱兎の如く、三十六計逃げるに如かずとはこの事だ。
ルーラーもなんかぶつくさ言いながらトゥリファスの方へ消えって行った。というか、みすみすとり逃してしまった。
此方としても魔力の残りが少なかったから第2ラウンドは出来ないので僥倖だった。
え?現場?現場はあれだよ、ドラゴンボールかよってくらい地面がえぐれてたし、草とか木とか焦げてて、岩は溶けてるしやばかったよ。
聖杯大戦の前哨戦、1対1の小競り合いでこんなに被害が出るとはあまりにも予想外過ぎだぜ。
戦いが本格化した時のことを考えると、いったいどれだけの影響が出るのか想像がつかないぜ。
隠蔽頑張ってください。ホントごめんなさい。
ルーラーを仕留めきれなかったが侑次には収穫があった。
行方を眩ませた赤のマスターたちの事をユグドミレニア側が知らなかったのは不幸中の幸いだな。すでにユグドミレニア側に討ち取られていたんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ。でも俺があの小太りに言っちゃったからバレたけど。連携取れてないから一気に攻めてくるとかしないでね。うん、絶対ダメ。
けれでも、こうもコンタクトが取れないとすると本当に身を潜ませているのか。それとも別にマスター権を狙う何者かに襲撃されてしまったのか。どちらにせよ嫌な予感がする。
このことは時計塔にいるエルメロイ先生に報告して、次の手を考えないといけないな。
そして、あのゴルドとかいう男から微かにフィオレの匂いがしたのだ。ユグドミレニアの本拠地であるトゥリファスに彼女がいる可能性が出てきた。
許すまじゴルド!!
超絶かわいいマイエンジェル・フィオレたんの匂いがしたってことは、それだけ近くにいたって事だろ…
ほんの少しの間だけ近くにいただけじゃ付かない。つまり奴は最低でもフィオレと一緒に飯を食ったり、雑談をしているってことだよな。
必ず居場所を見つけ人誅を下してやる…
と使い魔を放ったが直ぐにまかれてしまった。
流石、腐ってもユグドミレニア一族に名を連ねているだけはあるな。
次に会ったときに決着をつけてみせる。
待っていてくれフィオレ、必ず君を見つけ出して見せるから。
ふと、自身のサーヴァントに目を向ける。なにやら嬉しそうな表情を見せる槍兵。どうやら彼もこの戦いに目的という物が生まれたのかもしれない。
「嬉しそうなじゃないかランサー。なんかいいことでもあった?」
「ーーあぁ」
短く返すとランサーは霊体化し姿を霧散させた。
願わくば彼の第2の生、その望みが叶うことを切実に祈るばかりだ
そんなことを考えながら壊れた景観をぼんやり眺め、俺達もトゥリファスれと向かった。。
1つの戦いが終わり、新たな命が産まれ運命が狂い出す。捻じれ、凶り外伝は新しい物語を紡ぐーーーーといいよねー!
次回、我々の界隈ではご褒美です!に続く!
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独白[検閲済み]
最近はログインもあまり出来ていないですね
私も気付けば社会人5年目という、、、
時の速さよ!
“助けて ”“ 助けて”“ ここから出して”“ 死にたくない”“ 痛い”“ ごめんなさい”“もう許して ”“ ありがとうございます!”
誰かが俺を呼んでいる。いや、誰かに届いてと声にならないこえを、嘆きを訴えている。
消え入りそうな声、苦痛に歪む声、助けを求める声。死を待つだけの弱々しい声、狂ったように叫ぶ声。
ああ、みんなの声が俺の中に入ってきては消え、流れては誰にも届かずに聞こえなくなる。
こんな理不尽な事があっていいのか。こんなところですり潰されていい事なのか。
━━━━━━ならば、俺が皆を救う。
夢から目が覚めた。
いや、現実から目を逸らしていただけなのかもしれない。
見てみろ自分の身体を。
両腕は痩せ細りろくに動かすことも出来ない。
魔術回路はどうだ。効率的に魔力を生成し、吸い上げられるだけの回路。魔術を使おうものなら、肉体を崩壊させかねない脆弱なものだ。
誰かの助けに応える力はない。誰かに訴える声はない。祈る相手もいない。自身の自由意志すら持てない。この世に産まれ落ち数ヶ月、サーヴァントに魔力供給をし、すり潰すだけの
未来がない、
と誰かが言った。なるほど、確かにその通りだ。明日も分からぬ塵芥だ。
成長がない、
と誰かが言った。完成された命だ。そもそも成長の余地がない。
発展がある、
と
獲得した知識が自分たちの存在意義を嫌という程わからせてくれる。
なにも消費する魔力はマスターからでなくてもいい。
自分たちの命を浪費すれば、どんなに燃費の悪い宝具だろうが大魔術の行使だろうが即座に魔力を補うことが出来る。
まさに、ユグドミレニアにとって最高の環境と言ってもいいだろう。
魔術師の世界にホムンクルスを惜しむ者など殆どいない。
「━━━━生きて、、、いたい、、、」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━
イギリスに置いてきた彼の事を思う。
彼が今の私を見たらどう思うのだろう。
黙って出ていってしまったことをどう思っているのだろうか。
怒ってる?悲しんでる?それとも、心配してくれているのだろうか。
大雑把な彼のことだ、数日したら帰ってくると思っているのかもしれない。
いっその事全部話して
どうしても弱気に考えてしまう。
それは自分の未熟さ故か、協会を裏切った罪悪感からか、
それとも…また、皆と笑い合っていたいと、捨てきれない過去に縋っていたいからか。
“ 助けて”と声を出せば彼は私の元に来てくれるのだろうか。笑いかけてくれるだろうか。
…いつものように私の車椅子を押してくれるのだろうか。
いろいろな事が私を不安にさせる。けれども、今まで奪ってきた
ここに彼はいないが、私にはとても頼もしい
私は私の浅ましい願いのために必ず勝たなければいけないのだ。
仮令どのようなことが起ころうとも…
そう決めたのだ。
ユージと別れたあの夜に。
次に会う時には私は…
今回は今作のヒロインフィオレちゃんの独白と本家の主人公の独白というシリアス?な話でした!おふざけ成分が足りない!!
次回
「これは私が0へと向かう物語」へ続く!
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kick back
予約はしましたか?
私はしました!!!!!
楽しみです!!!!!
あれは一時帰国した時に立ち寄った某カレー屋での出来事だった。
どんな軌跡を描いても辿り着けれればそれでいい。とかなんとかそんなことを言っていた(意訳)魔術使いもどきの眼鏡くんを思い出した。
不思議な感性を持ったヒトだと当時のオレはボケーとしなから話を聞いていた。
アレはきっとオレのスタンド『エゴイスト』にも言えるのではないだろうか。
先日の、小太り?の錬金術師、たしかゴルバチョフ、、、だと思う。たぶん。
身体能力では負けていなかった。
スピードもオレの方が速かったが、なぜか奴の魔術行使とどっこい。
いや、僅かながらに遅れをとっていた。
_____何故だ。
加速、加速、加速
自信を弾丸のように速く動かすイメージでいつも使っていたが、何か違うのかもしれない。
もっとこう、なんかあれな感じで今までの動きとは違ったなんか搦手のようなアレで!
…ダメだ解らん。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる思考がループする。
空に浮かぶ雲に目を移しても何も思いつかないまま時間だけが過ぎ去っていく。
カルナはといえば昨晩使った魔力を回復するのに専念し、眠っている?状態なのである。
せっかくの先達なのだからアドバイスを求めようとしたらコレである。おのれインドラ許すまじ。
サーヴァントにとって睡眠は不要なのだが、魔力を馬鹿食いする高燃費の彼は少しでも力の回復に専念することが日中の役目なのである。
ならば次は街に放った使い魔たちの映像を観ようじゃないか!
、、、どうやら全部潰されているようだった。
情報収集も出来ないじゃないか!!!
聖杯戦争は情報戦じゃん!!!
もう殆ど予備の使い魔いないよ!!
現地調達面倒臭い!!!
鳥とかネズミとか小動物捕まえるのめんどい!!使い魔に仕立てるのももっとめんどい!!!
はいクソー!
情報リテラシー高めの前時代魔術師共め!
おのれ千年樹許すまじ。
こうも上手くいかないとなると気分転換に街に出かけようかな。
逆転の発想的な。敵陣のど真ん中でショッピングする奴はいないという穴を突いた天才的着眼点的な。
そう、これは思い付きではないのである。作戦、そう、相手の虚を突いた作戦。
もしかしたら同じ考えのマスターがいるかもしれないし!
自分の目で情報収集できるし!罠の解除とか!逆に仕掛けたりとか!
うわ、オレって天才じゃん。
フィオレたん超えたわ。
嘘ですごめんなさい。
──────────────────
────────────
────────
──────
──
───いたわ。
街をうろつき始めて数分。
いたわ。
これでもかってほど怪しい男。
厳つい顔に強靭な体躯。遠くからでも臭うのは魔術師が扱う特有の薬品臭。
アレは間違いなく魔術師だろう。
はたして、
極めつけは際どい格好をした金髪の少女。
数メートル離れたここからでも分かる煮えたぎるほどの魔力。そして、全身がヒリつく程の殺気。
剥き出しの敵意が殺し合いの真っ只中である事を意識させられる。
碧眼がコチラを覗き込んでいるのが分かる。
さらに圧が強くなり、ビリビリとした視線がコチラを貫く。
喉が詰まる。息をしようとするが上手く空気を飲み込めない。
心臓の音がうるさく感じる。
──ドクン、ドクン。
心臓の鼓動が早くなる。
──ドクン、ドクン。
カルナは今そばにいない。はっきり言ってピンチである。
心臓の音が一層大きくなるのがわかる。
──────先日の魔術師から向けられた殺意とは比べられないほどのプレッシャー。
これが英霊。同じ空間にいるだけで足が竦む。
殺気とプレッシャー、焦りと不安が視界が狭める。
耳は街の喧騒を拾い、全てが煩く感じる。
──ドクン、ドクン。ドクンドクン。
──ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン
逃げるべきか…
…どうやって?
強化&スタンド能力で逃げれるのか?
ダメだ。
相手はサーヴァント。人間を上回る身体能力を持っている。
背を向けた瞬間に命を絶たれるであろう。
令呪を使うべきか?
発動までに詰められるのが関の山だ。
選択肢が無い。戦うべき力がここにはナイ。
脳は上手く酸素を取り込めず、思考が単純になっていく。
一歩後退る。
背後を確認するために、目を後ろへと向ける。
1秒にも満たない、そんな一瞬の出来事だ。
前方で爆ぜるような音が聞こえた!
慌てて視線を戻すが既に遅い!遅過ぎた!
少女の拳が眼前へと迫っている!!!
数メートルある距離をものの一歩で詰める、まさに雷速の一撃。
少女が破格のサーヴァントであることを本能として理解するには十分過ぎる。
咄嗟に腕を出して防御しようとするが間に合うのか!?
止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!トマレ!トマレ!とマれ!とまってくれ!!!!
奇跡的に少女の拳が顔に到達する前に何とか手が間に合い力を逸らしてクリティカルヒットは免れた。
まさに神業。神回避。
マスター界広しと言えど、サーヴァントの不意打ちを正面から防いだ人間はそれほど多くはないだろう。(正面からの不意打ちとは)
ー左腕の感覚ないけど。
痛みは波紋で和らげるけどもさ!!
喜ぶにはまだ早い。
一発目が外れたからといって、手を休めるような奴なら真っ昼間から戦闘を仕掛けてくるはずがない。
コイツは相当に頭のネジがぶっ飛んだヤツだ。
ヤツの次の動きをキャッチしろ!目を逸らすな!
左拳をガラ空きになった腹部に捩じ込もうとしている!
受け止めてはダメだ。止めた所から骨が砕けてしまう!
逸らすか、避けるかじゃ無いと圧倒的なパワーですぐに殺されてしまう!
出来るのか!?
サーヴァントの不可視に近い一撃を!!
いや、違う!!!
勝てる見込みがなくても、戦略的撤退を可能にしなければ死、有るのみ!
力の差がどんなに開いていようが、後手に回っていては好機は掴めない!!
俺はまだ死ぬわけにはいかない!
覚悟に共鳴するように魔術刻印が隆起し、自動で魔術を行使する。
硬化と強化そしてスタンドの三重防御。
拳が腹を穿つより早く受け止める体勢を整える!!!
「ぶっ飛びやがれ!!!!」
踏み込んだことで狙いが狂った拳が轟音と共に空を裂く。
しかし、勢いそのままの腕部が衝突し、鈍い音を出し体が撥ね上げられる。
肺から空気が抜け、意識が遠のいていく。
ーーーまだだ、まだ終われない!
意識を繋ぎ止めろ!!体は刻印が勝手に治そうとするはずだ!
痛みに耐えろ!痛覚を遮断するな!!
その痛みこそ一筋の
吹き飛ばされた体は幸運なことにヤツのマスターであるはずの巨漢の前に放り出された。
一撃、一撃で落とす!
サーヴァントが戻って来るよりも速く!
相手が魔術を行使するよりも速く!
体がひしゃげるよりはやく!!!
「お前さん、ガッツあるな。サーヴァントに突っ込むなんて
一撃をお見舞いする前に男のショットガンが俺を捉えていた。すぐ後ろにはサーヴァントの気配。
どうやらここまでのようだ。
体から力が抜けていく反面俺を生かそうと魔術回路は忙しく魔力を回している。
「ただまぁ、味方が皆んなヒキコもってる中お前のような面白い仲間に会えたのは幸運だったぜ。」
「はぁ!?!?!!???!」
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どうやらいたみトきんちょうがほぐれテきぜつしたみたいですまる
からだガいたいけどふしぎとうゴけますまる
まじゅつこくいんってすごイねまる
ゆーじの一撃宣言は一撃ではないしなんなら負けフラグなのでは?
サーヴァントにボコられた我らが主死公。彼が活躍する日はくるのか?来たらいいなーきたらー
次回「完成された人類」に続く!!
誤字脱字あったら教えてくれよな!
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ゆーじのゆめ〜YAKUZAを添えて〜
夢を見ていた。
もうずっと前の夢。
今も思い出す。思い出しては直ぐに忘れてしまう一夏の冒険。
あの頃の俺は純粋だった。
困っている人は助けたい。主観で善悪を決めていた視野の狭い子供だった。
茹だるような暑い夏の日、俺はお婆ちゃんのお使いで観布子市に行っていた。
何でも古くからの常連さん?太客の人たちから同時に依頼があったから荷物を渡してきて欲しいということだった。
なんでも今まで寝たきりだった女の人が目を覚ましたから快気祝いにある物と100万円程するビクトリア朝時代のウィジャ盤をそれぞれの依頼主に届けて欲しいとか。
普段ならミセに用がある人しか対応しないお婆ちゃんなんだが昔馴染みらしいから特別なんだと。
しかもホテルまでとってくれてていたせりつくせりで裏を感じずにはいられないぜ。
そんなわけで俺は絶賛迷子だ!
いくら俺でも初めての街で一人ぼっちだと泣いてしまうぞ!
歩けど歩けどよく分からない道に出るばかり。
目的地のビルに全然着かない!!
どこだよ!人形工房「伽藍の堂」!!
どういうことだってばよ!
届け先は魔術師の工房かそれに近いやつだから後にしよう!
日が暮れるどころか1日じゃたどり着かないよね!!!
次!この揺れるたびにカチャカチャ言ってる物騒な棒!これを届けに行こう!
とか何とかバスを間違うこと3回、道を尋ねて違う方向を教えられること5回。予定を変更してから5時間。歩き疲れて棒になった足を引き摺ること1時間。
ようやく2つ目の目的地、両儀さん家に着いたのだけど、、、
デカすぎやないですかね。
何となく、何となく「両儀さんのお家はどこですか?」と聞いてみんながみんな別の方向を伝えたのが分かった気がした。
多分893さんだ。
多分。うん。たぶん。
お、お婆ちゃんめ!!!孫にやーさんの家に行かせるなんて人の心とかないんか!!!
怖すぎて涙が出てきた…
恐る恐るインターホンを押すこと数分、中から全身真っ暗スーツの強面ヤクザさんが出てきた。
「遠いところご足労いただき、ありがとうございます。
私秘書を務めてさせていただいております、秋隆と申します。」
真面目だった。
いや、聞いたことがある。YAKUZA屋さんは一見物腰柔らかく見えるけど、少しでも怒らせると拉致されるんだ。
お、恐ろしい。
「え、えっと、お、お、僕は願いを叶えるミセ。えと、おばぁじゃあなくて侑子さんのお手伝いで荷物を届けに来た者、です。」
「当主より聞き及んでいます。」
短いやりとりを済ませ荷物を渡す。
早く帰りたい!!!!怖すぎる!
「ありがとうございます。お嬢様もお喜びになられます。」
そう言うと強面ヤクザさんの口元が弛んでいるが分かった。
きっとあの棒で人を殺るんだ。そうに違いない…。
「えっと、そろそろ失礼しましゅね!」
そそくさと帰ろうとするが何故か止められた。
「もう日が暮れてしまいます。よろしければ今夜はお泊まりになられてはいかがでしょうか。お嬢様は出られていますが、当主はそろそろ帰られてきます。貴方に会いたいと話しておりましたよ。」
「い、いえ!ま、またの機会にさせてもらいますね!!失礼しました!!」
ダッシュで逃げた。
だって当主って組長でしょ!
会いたいって何。人質に取りたいの間違いじゃないの!?
それであれでしょ、お婆ちゃんと取引しようとするんでしょ!?!
そんなの嫌だあああああ!!!!
日暮れの山道を狂ったように走る。
気がついたら夜になっていたし、よく分からない場所に着いてた。
今日はよく分からない場所にしか行ってないな。
もしや俺は方向音痴というやつではないのだろうか。
生まれて11年全く気付かなかったが今回で自分の特性を知ることができたのはやはりお婆ちゃんの仕業だったのかもしれないな。
ぼけぇと考えながらホテルまでの道を思い出す。
と言っても方向音痴気味なので朝出たホテルまでの道なんてこれっぽっちも覚えていない。
こっちの路地通った方が早く着くのでは?
そう俺の大六感が告げている!
街の明るさに対し夜は深まり道は暗くなる。補導されるのも時間の問題になってきた。
路地裏に入り数m。
さらに進む。
路地裏特有のドブのような臭いにキツい刺激臭。
重くなる空気、紅く濡れる地面。
美しいとは言い難い、不自然に凶った四肢。明後日とは言えず1週間くらいの方を見ている首。
単なる思い付き、重いツキ、想い尽き。
戯言だ。
小学生がそれをヒトであったモノと認識するのには少し…数秒ほど時間を有した。
不思議とパニックにならず冷静なのはコレが常軌を逸しているだけでこの世のモノというのは変わらないからなのか、自分の家系がなせることなのか。
どちらにせよ放っておこう。
お婆ちゃんが言っていた。
こういうヘンテコリンな事件は教会だか協会だか土地のセカンドオーナーなりが秘密裏に処理をするんだそうな。
触らぬ神に祟りなし。
血溜まりを避けながら更に奥へと進む。
もしかしたらさっきのオブジェクトを作った碌でなしがいるかもしれないが、こちらも先を急いでいる。補導とか怖いし、やーさん追ってくるかもしれないし。
何も出てこないことを祈りながら先を進む。
行き止まり。
やっぱり変な道に入るんじゃなくて大きな通りから行くべきだった。
「もし、そこの人。もしかして、見てしまいましたか?見てしまわれたなら、私アナタのことを殺さないといけません。」
こうしてヘタレが育っていくのでした。次回は本編書きますわよ〜
次回「その時既に行動は終わっている」に続く!
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